衆議院

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第6号 令和7年4月9日(水曜日)

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令和七年四月九日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 堀内 詔子君

   理事 中曽根康隆君 理事 星野 剛士君

   理事 山田 賢司君 理事 源馬謙太郎君

   理事 鈴木 庸介君 理事 太  栄志君

   理事 杉本 和巳君 理事 西岡 秀子君

      逢沢 一郎君  英利アルフィヤ君

      大空 幸星君    新藤 義孝君

      高木  啓君    広瀬  建君

      松島みどり君    松本  尚君

      茂木 敏充君    阿部祐美子君

      亀井亜紀子君    篠原  豪君

      竹内 千春君    武正 公一君

      渡辺  周君    西田  薫君

      和田有一朗君    深作ヘスス君

      西園 勝秀君    山崎 正恭君

      吉田 宣弘君    阪口 直人君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   外務副大臣        藤井比早之君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   外務大臣政務官    英利アルフィヤ君

   外務大臣政務官      松本  尚君

   外務大臣政務官      生稲 晃子君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部企画・推進審議官) 田島 浩志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   大鶴 哲也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長徳 英晶君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 渡邊  滋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 村上 顯樹君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    岩本 桂一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           橋爪  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 有馬 孝典君

   外務委員会専門員     山本 浩慎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  小熊 慎司君     阿部祐美子君

  西園 勝秀君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部祐美子君     小熊 慎司君

  吉田 宣弘君     西園 勝秀君

同日

 理事臼木秀剛君同月二日委員辞任につき、その補欠として西岡秀子君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月九日

 航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

堀内委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に西岡秀子君を指名いたします。

     ――――◇―――――

堀内委員長 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 各件に対する質疑は、去る二日に終局いたしております。

 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

堀内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

堀内委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房長大鶴哲也君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

堀内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 今日、まさに相互関税、日本に対して二四%が適用されたわけですけれども、今日は、初めに竹島問題、後半は、いわゆるトランプ関税について質問をいたします。

 私は島根一区選出ですので、竹島問題というのは避けて通れない立場にあります。今年、島根県が竹島の日条例を制定してちょうど二十年たちまして、地元の新聞でも特集が組まれましたし、様々議論が起きておりますので、まず、この竹島の日についての質問から始めたいと思います。

 島根県が竹島の日を制定したというのは、領土問題ですから、国にもっと前面に出て交渉していただきたい、県が対応することじゃないですよねということで、啓発するために竹島の日を制定をいたしました。二月の二十二日です。そして、この二十年間、進歩したこともあります、啓発という意味では前進したと思います。

 私は二〇〇七年に参議院に初当選しまして、二〇〇八年の竹島の日から参加をし、この問題に関わってきました。最初の頃の県の要望書というのは、例えば、政府に領土問題の担当の部署、担当大臣を置いてほしい、これは実現しています。教科書、学習指導要領に載せてほしい、これも最初解説に載り、それから教科書に載り、実現をしています。海外に啓発をしてほしい、これも英語のリーフレットが作られ、海外に、大使館などに配られということがありました。そして、領土の資料館を造ってほしい、これも領土・主権展示館が東京に設置をされておりますので、今まで要望してきたことで実現したこともあるんですけれども、あくまでもゴールは竹島の領土返還であります。

 竹島の日の式典に毎年政府を御案内するわけですけれども、これまで政務官の出席はあっても、それ以上の副大臣や大臣の御出席はない。それに対して、北方領土の日、二月七日というのは、内閣官房が啓発をしていて、それで政府が前面に立って取り組んでいるのに、なぜこの北方領土と竹島と国の取組方が違うのでしょうか。これはもう県民みんなの疑問ですから、まず質問いたします。

 加えて、今日の質問を一昨日作成して、昨日、誰が答弁をするかということで、外務省と内閣官房の間で非常に何回もキャッチボールがありました。それで、一体、この領土問題の担当というのはどういうふうに分かれているのだろうと私も混乱しましたので、領土問題について内閣官房と外務省の役割分担についても教えてください。よろしくお願いいたします。

今井大臣政務官 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も明らかに我が国固有の領土でございます。竹島の領有権をめぐる問題は、一朝一夕に解決する問題ではございません。しかし、領土や主権という我が国の根幹に関わる極めて重要な課題であり、我が国の一貫した立場に基づき毅然と対応しつつ、国際法にのっとり、粘り強い外交努力によって平和的に紛争を解決することが政府の方針でございます。

 議員御指摘の竹島の日記念式典に関する政府の対応については、様々な御意見があることは承知しております。一方で、北方領土問題と竹島問題についての政府の取組については、それぞれの領土問題をめぐる経緯及び状況等が異なることから、これらを単純に比較することは困難であると考えております。

 また、領土問題については政府内で様々な組織が取り組んでおりますが、そのうち外務省は外交面を、内閣官房は領土、主権に関する国民世論の啓発等を担っております。領土問題の解決に向けて何よりも後押しとなるのは、国民世論の盛り上がりと国際社会の理解です。そのためにも、竹島に関する正確な情報を内外に発信し、一層の関心の喚起を図ってまいりたいと思っています。

亀井委員 今の御答弁でも整理されましたけれども、あくまでも、領土問題の解決に当たるのは、外交交渉するのは、当たり前ですけれども外務省であって、内閣官房というのは、国内に対して、まず、教科書に載せるですとか展示資料館を造るですとか、啓発をするということで、すみ分けがされているということでありました。

 では、次の質問に移りたいんですけれども、二十年、竹島の日の条例、式典をしながら、啓発そして解決に向けて島根県が動きながら、啓発は進んでも、竹島の方はもう韓国が警備で常駐するようになりましたし、実際には悪化しているとも言えます。大統領による上陸もありましたし、全く解決に向かっていない。

 なぜ外務省が前面にもっと出ていかないのかということについて、今年、この竹島問題について、「竹島問題の「なぜ」 島根県条例制定二十年」という特集の記事が組まれまして、山陰中央新報、地元紙ですけれども、その元旦の記事を今日は添付をいたしました。ここに、密約があるのではないかと。「日韓条約で竹島密約説か」という記事が載っております。

 これによりますと、日韓の国交正常化、基本条約の締結において竹島問題というのがネックになっていて、この解決がなければ国交正常化はないと日本は言っていたけれども、この条約の締結を優先するということで当時密約が交わされたのではないかとこの記事では指摘をしてあります。

 これを言っている人は、韓国人の政治経済学者ロー・ダニエルさん。このローさんによると、密約の中身は、竹島、独島問題は解決せざるをもって解決したとみなす、したがって、日韓基本条約では触れないを大原則に、一、両国とも自国の領土であると主張することを認め、同時にそれに反論することに異論はない、二、韓国は現状を維持し、警備員の増強や施設の新設、増設を行わないといった条項がつけられていたとあります。密約交渉は条約締結前の一九六四年から六五年にかけて行われ、日本側は河野一郎副総理と宇野宗佑衆院議員、韓国側は丁一権総理と金鍾珞が当たった、佐藤栄作首相と朴正熙大統領が了承したとされるとかなり具体的に書いてあるんです。

 この密約説について、鈴木宗男議員が質問主意書を出し、それに対して、政府はそういう事実はないという回答をされておりますが、もう一度ここで確認をさせてください。本当に密約は存在しないんでしょうか。

岩屋国務大臣 我が国としては、大韓民国による竹島の不法占拠、この不法占拠は、竹島の領有権に関する我が国の立場に照らし受け入れられるものではないという立場に基づいて、竹島の領有権の問題の平和的な解決を図るために、従来より外交努力を不断に行ってきているところでございます。

 今委員御指摘のあったような説を唱えておられる方がおられるということは承知しておりますけれども、このような我が国の立場に反する約束を両国間で秘密裏に行うことは当然認められず、御指摘の密約が我が国と大韓民国との間で行われたという事実はありません。

亀井委員 密約説ですから、この委員会で質問して、ありますという回答が来るわけはないので、これは想定内なんですけれども、ただ、こういうことを言われていますよ、こういう説を唱えている人がありますということを私はここでお話をしたかったんです。

 そして、この密約説も頭の隅に入れながら質問をしたいと思います。

 この密約があったと仮定しても、竹島に対して施設をつくったり、増強したりということは違反になるわけですから、韓国側は明らかに行き過ぎているわけです。

 そして、韓国は、二〇〇六年から、東北アジア歴史財団を設立し、国家的に史実を、これは捏造としか言いようがないんですけれども、日本のいろいろな書物に残っている事実に反する説を流布し、そして国際社会にもそれをPRしているわけですから、それは看過できず、ですから、島根県側でも研究をし、発信をしてきました。

 そのことについてもう少し国に前面に出ていただきたいんですけれども、日本も領土問題について長期的な外交戦略を練る必要があると考えます。韓国のようにシンクタンクをつくるというようなことをするべきではないかなと思うんですけれども、これも実は、昨晩、質問に誰が回答するかということで、内閣官房と外務省とでキャッチボールがあったのですが、やはり長期的な外交戦略を練るわけですから、私は、これは外務省にお答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

岩屋国務大臣 領土保全は、申し上げるまでもなく、政府にとって基本的な重要な責務でございます。日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針は不変でございまして、引き続き、毅然として、かつ冷静に対応するという考え方の下に、政府の関係機関が緊密に協力して情報収集をしたり、また、関連の取組を進めているところでございます。

 同時に、在外公館、二百を超える人脈や知見を活用しながら、領土保全に関する日本の主張を積極的に国際社会に発信してきましたし、一層していかなければいけないと考えております。

 引き続き、政府関係機関と緊密に連携協力して、適切な取組を行っていきたいと考えております。

亀井委員 内閣官房の指摘ですと、日本国際問題研究所というところが外務省の関連であるそうです。であるならば、もう少しこちらの研究機関でも力を入れていただきたく要望をいたします。

 では、関連で次の質問ですけれども、韓国がどういう対応をしているかといいますと、竹島に近い鬱陵島に独島博物館を設立し、この島を竹島への観光拠点としています。船が竹島に向かって出ています。

 北方領土の方を見ますと、ロシアは、国後島など、北方領土の島々を今観光開発しております。私も宣伝を映像で見ましたし、リゾート開発をしたり、あるいは漁業の、缶詰の工場か何かを造って、とにかく今開発をしています。

 自国の領土はもちろんのこと、不法占拠した島も、各国は、国境離島については国家戦略として進めます。それを見たときに、隠岐の島は当然日本の領土ですし、もう少しやはり隠岐の島町を開発をして、そして今、町からも要望がありますけれども、国直轄の啓発施設、竹島の啓発施設が求められておりますので、まず、人の往来を活発にして、観光開発と啓発施設、資料館、この設置を急ぐべきじゃないかと私は考えております。

 やはり、国境離島に人がいなくなる、人口が減少するというのはまた新たな脅威ですので、ここは戦略的に私は開発をしていくべきだと考えますけれども、政府の考えを伺います。

今井大臣政務官 隠岐諸島を含む特定有人国境離島地域における地域社会の維持やこれを支える人の往来の活発化は、委員御指摘のように、極めて重要であると認識しております。そのため、有人国境離島法に基づきまして、滞在型観光の促進を始めとした施策に政府としてしっかりと取り組んでまいります。

 隠岐の島に国直轄の啓発施設の設置を求める要望については、地方における施設の設置というものは、一般論として、やはり財源や安定的な維持管理の観点など様々な課題があると承知しております。

 なお、今、国が運営している東京の領土・主権展示館から、隠岐の島町の久見竹島歴史館や島根県の竹島資料室にパネル一式などを貸し出すなど、これまでも、島根県や隠岐の島町と様々な連携を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としては、このような連携を深めながら、先生の御指摘も踏まえて、どのようなことができるかというものを考えてまいりたいと思います。

亀井委員 この二十年要望している中で実現をしていないことでして、やはり、現地に啓発の施設が欲しい、そしてもっと人の往来が出てきて、そこに、領土問題なんて何の関心もない、ただ旅行にやってきた人が、隠岐でどこに行くところがあるんだろうと初めて資料館に足を運んで領土問題について知る、そういう機会をつくるということは私は大事だと思いますので、これは引き続き訴えてまいります。是非よろしくお願いいたします。

 では、次に、もう一つ、今日は配付資料をつけております。「竹島を考える」、下條正男先生の記事でして、この下條先生というのは、島根県の竹島問題研究の第一人者で、たくさんの史実を掘り起こしてくださっております。

 これは四月の四日の記事なんですけれども、戦後八十年談話をどうするかということについて触れておりまして、詳細はこれをお読みいただければお分かりいただけるかと思います。

 先日、石破政権が、戦後八十年談話は出さない予定である、その代わりに戦争検証で有識者会議を開催するというような報道がありました。これについて、この下條先生は、戦後七十年談話を出すときに、半年ぐらい準備をして、そして、もうこの戦後の謝罪外交は終止符を打ちたいということで、かなり練ったものを発表した、だから戦後八十年談話は出さなくてよいと、この下條先生は書いておられるわけですね。これをまた、新たに戦争検証で有識者会議を立ち上げたりすると、喜ぶのは韓国側の反日の勢力であって、また、いろいろな蒸し返しが起きる、そうすると、日韓の関係がまた離れていってしまうので、それはやらない方がいいということをこの新聞記事でも書かれているんですけれども、戦後八十年談話は出さないということでよろしいでしょうか。外務大臣に伺います。

岩屋国務大臣 私の立場で断定的に申し上げていいかどうかということはございますけれども、いずれにしても、石破内閣は、これまでの内閣総理大臣談話を含めて歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおりまして、今後も引き継いでまいります。これは、累次にわたって総理も表明されていることだと思います。

 その上で、現時点で新たな談話を発出するかどうかは決定しておらず、今後の対応については、これまでの経緯も踏まえながら、様々な観点から考えていきたいというのが現段階での総理の方針だというふうに承知をしているところでございます。

亀井委員 竹島問題については最後の質問です。

 日本海呼称問題というのがあります。トランプ大統領がメキシコ湾の呼称を変えようとしたときに、私はこの日本海呼称問題をすぐ思い出したんですけれども、韓国は、日本海ではなくて、東の海、東海としたい、これを国連地名標準化会議などで訴えてきたわけですが、それについて日本側が反証して、この問題は一応終結したというふうに聞いておりますけれども、どのように終結したのか、もう一回蒸し返される可能性はないのかということについてお伺いをいたします。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 日本海は国際的に確立した唯一の呼称であり、国連や米国を始めとする主要国政府も日本海の呼称を正式に使用しております。これまで政府としては、国際社会に対し、本件に対する正しい理解を広げ、深めるべく努力してきております。

 二〇〇四年、平成十六年三月に、国連は、日本海が標準的な地名であり、国連公式文書では標準的な地名として日本海が使用されなければならないとの方針を確認しております。また、現在では、韓国及び北朝鮮を除く世界の主要各国の地図の九七%以上が日本海という呼称のみを使用しておりまして、広く国際的に定着していると考えております。

 日本海の単一呼称を引き続き確保していくため、今後も、国際社会に対し、日本海呼称問題に対する正しい理解と我が国への支持を得るべく努めていく考えでございます。

亀井委員 この日本海呼称問題も、日本海と書かれたその中に竹島があるといかにも日本の領土のように見えるから、名称を東海に変えようとしているという戦略的な韓国側の立場がありますので、また蒸し返されたりしないように、単一呼称で外務省は毅然と主張していただきたく、お願いを申し上げます。

 では、大分時間がなくなってきましたけれども、トランプ関税について伺いたいと思います。

 今日からまさに二四%が適用されたわけですけれども、このトランプ大統領の方針というのは、そう簡単にひっくり返るものではないと思います。

 といいますのは、彼は、まず、同盟国であろうが何であろうが一切例外なしで相互関税を適用し、そして、これはやはり、ここまでするということは自由貿易体制を変えていきたいのだろう、本人の強い意思を持ってこれをやっているのではないかなと。

 つまり、自由貿易の負の部分として反グローバリズムという運動がありますけれども、アメリカがこの自由貿易を推進してきた結果として、余り思ったように米国の利益にならなかったという思いの下で今この動きがあるわけですから、ロシアのウクライナ侵攻を見ても、国連の常任理事国が隣国を侵略し、そして超大国であるアメリカの大統領が相互関税を適用するということは、もう戦後の八十年の世界秩序というのが壊れてきているというふうに見えるわけですけれども、今の世界情勢についての大臣の御所見をお伺いいたします。

岩屋国務大臣 そこはもう委員と私は全く同感でございまして、国際社会は今大きな歴史の転換点にあると申し上げていいのではないかと思っております。

 まさに戦後八十年、冷戦があったり、それが終わったり、いろいろございましたけれども、戦後の国際秩序というものが非常に大きく揺らいできている、御指摘の自由貿易体制についても非常に先行き不透明なものになりつつあるという状況でございますので。また、ウクライナや中東情勢などをめぐって国際社会の分断も深まっているということでございます。そういう意味で、非常に大きな転換期を迎えているという認識を持っております。

 したがって、我が国の役割は、やはりこういう局面の中で、同盟国、同志国、多くの国としっかり連携をして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持する、そして、地域及び世界の平和と安定に貢献していくということを目指して外交努力を展開していかなければならないというふうに考えているところでございます。

亀井委員 自由貿易体制を変えようとしてトランプ大統領が今かなり強権的な手段に出ているので、私としては、やはりこれから、恐らく石破総理が訪米されるか、今まさに検討中でしょうけれども、何らかの交渉を、総理であるのか大臣であるのか分かりませんけれども、日米で交渉が始まっていくのだと思います。

 私がお願いしたいのは、これまでも私は農林水産分野を守りたいと。自由貿易協定の中で、各国との貿易協定の中で、さんざん関税を下げてきたという経緯がありますので、これからアメリカと交渉するに当たって、日本だけ適用除外してください、そのために非関税障壁も含めて、例えば米の輸入ですとかいろいろなことについて、日本が条件を下げてまで何とかしてもらうというような交渉はもうやめていただきたいなと思うわけです。日本の食料自給率は三八%で、もう去年から主食の米も不足していますから、これ以上の譲歩はしていただきたくない。今まで譲歩しても、自動車分野で関税で得られたものはなかったと承知をしております。

 日米貿易協定を、先日、武正委員もたしか指摘されておりましたけれども、文書をもってこれは日本側が終結させることもでき、別にそれは対抗措置ということでもないわけですから、そういう方法はありますよねということで質問もありましたが、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 米国とは、これから政府一丸となって措置の撤回に向けて働きかけを行ってまいります。昨日、交渉担当大臣も指名をされたところでございますので、外務省としても、しっかりとその交渉を支えていきたいというふうに思っております。

 その際、もちろん我が国の国益をしっかり確保しなければなりませんけれども、委員がおっしゃったように、我が国だけがよければいいということではないわけでございまして、CPTPPなどの国際的な枠組みにおいては、参加国全ての利益というものにも配意をしていかなければいけないというふうに思っております。

 また、今回の措置は、日米貿易協定に照らしても、その整合性に大いに疑義があるところでございますが、まずは、粘り強い交渉によって、関税措置の見直し、最終的には撤回というものを求めて、これから交渉をしっかり行ってまいりたいというふうに考えております。

亀井委員 時間がなくなってまいりましたので、次の質問をまとめます。

 一つ目は、電話会談がまさに行われたところですけれども、政府側はどのような主張をしたのですかという質問が一つ目。

 それから、今までも何度も質問してきているんですけれども、この局面でアメリカがCPTPPに復帰するということはまずない、あり得ないと考えます。今までアメリカの復帰をずっと期待するような御答弁でしたけれども、私は、もうこれは復帰はないと考えておりますし、であるならば、日本が、TPP12から11になったときに、農林水産分野のセーフガード、緊急輸入制限措置の発動基準値というのはアメリカの枠も入れたまま締結をしてしまっているので、これを、TPP11協定の第六条に従って、締約国に協定の見直しを申し入れるべきではないかと考えますが、大臣の御所見を伺います。

岩屋国務大臣 まず、日米首脳電話会談の中身ですけれども、石破総理は、二月の日米首脳会談の成果を踏まえまして、トランプ大統領との間で、日米関係全体を更に発展させていくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて共に協力していくことを確認をいたしました。

 その上で、経済分野について、総理から、日本が五年連続で最大の対米投資国であるということを述べつつ、米国の関税措置によって日本企業の投資余力が減退するということを強く懸念しているという考えを伝えた上で、一方的な関税ではなく、投資の拡大を含めて、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべきだというふうに述べたところでございます。そして、今回の首脳間のやり取りを踏まえて、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくこととなったということでございました。

 そして、委員お尋ねのCPTPP、TPPに関してでございますが、御指摘のCPTPP第六条に基づく協定の見直しについては、我が国として、現時点において同条に基づく見直しを行う状況になったとは考えておりません。

 いずれにしても、CPTPPのセーフガード措置については、引き続き関係国と緊密に意見交換を行ってまいりたいと思っておりますし、やはり米国のTPP復帰が望ましいという立場に変わりはございません。これに関しても、米政権と引き続き緊密に意思疎通をしていきたいと考えております。

亀井委員 質問時間が来てしまったので、最後の質問を割愛いたします。政府参考人の方、申し訳ありません。

 英国がCPTPPに入ったときに、セーフガードの発動基準値を動かしていないというのを聞いております。ですから、再交渉ができないのであれば、新規加盟国が入るときに、この発動基準値を動かさず、アメリカの枠をほかの国に使ってもらうというようなことしかやりようがないんじゃないかなと考えておりますので、そのことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、山田賢司君。

山田(賢)委員 自由民主党の山田賢司でございます。

 本日は、質問の機会をありがとうございます。

 外務大臣、参議院の本会議に御出席ということで。せっかく外務大臣が先週NATO外相会合に行かれたので聞きたかったんですが、どうぞ参議院の方に行ってきてください。

 なので、事務方にまずお伺いをしたいと思います。

 先週の三日、四日にかけて、岩屋外務大臣はNATOの外相会談に御出席されました。この意義あるいは成果について、お聞かせいただけますでしょうか。

藤井副大臣 先週、岩屋大臣は、NATO外相会合のIP4、インド太平洋パートナーが招かれたセッションに出席をいたしました。

 岩屋大臣からは、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障が密接不可分との認識の下、ロシアによるウクライナ侵略を含め、世界のどこであれ、力による一方的な現状変更の試みは許されないこと、インド太平洋地域においてもそのような試みが継続、強化されていることを説明し、NATOのインド太平洋への更なる関与の強化について各国から賛同を得たところでございます。

 また、岩屋大臣は日米韓外相会合に出席いたしました。米国務長官と立ち話を行ったほか、各国外相と二国間会談を実施したところでございます。

 今回の岩屋大臣の出席を通じて、NATO及び加盟国との間でインド太平洋への更なる関与を促し、連携を前に進めることができたと考えております。本日のルッテ事務総長と石破総理の会談の機会も通じて、我が国の安全保障に資する具体的な協力をNATOと深めていく考えでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私は、大変よいタイミングでNATOの外相会合が開かれたというふうに思っております。もちろん、ウクライナの問題であったり、国際秩序の問題、自由で開かれたインド太平洋の問題もあるんですが、まさにトランプ大統領の関税措置、これをめぐって、単に経済的な問題だけではなく、安全保障環境にも重大な影響を及ぼすことだと思っています。

 こういった問題意識を是非、NATOの閣僚、あるいは日米外相会談も行われましたので、この場で、単なる経済の問題だけじゃないんだ、中国の台頭を助長することによって、国際秩序の不安定化を招いたり、あるいは先進国とグローバルサウスの対立を招くなど、様々な面での、米国を含めた同志国の安全保障上の脅威を招きかねない事態だ、こういった危機意識を共有していただきたいと考えておりますけれども、日米外相会合、ルビオ国務長官と岩屋外務大臣の間でこういった危機意識を共有するような会談を持たれたんでしょうか。お聞かせください。

藤井副大臣 我が国からは、これまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置を取るべきではない旨などを申し入れてきたにもかかわらず、米国政府が今般の相互関税措置を発動したことは極めて遺憾でございます。WTO協定及び日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しているところでございます。米国政府に対しては、今般の措置が極めて遺憾である旨伝えるとともに、措置の見直しを強く申し入れているところでございます。

 現地時間四月三日午前に行われた日米韓外相会合及びその後の立ち話において、岩屋大臣からルビオ国務長官に対し、米国政府が相互関税措置を発表し、また自動車関税措置を発動したことは極めて遺憾である旨伝達し、措置の見直しを強く申し入れたところでございます。

 委員御指摘の点も念頭に置きつつ、我が国としては、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めてまいります。同時に、米国と緊密に協議を進めるなど必要な対応を粘り強く行ってまいります。

山田(賢)委員 質問のポイントがちょっと、何というかな、答えていらっしゃるんでしょうけれども、重点というか。

 私が言っているのは、経済的な、WTOだとか自由貿易に反することが遺憾だということはもう当然なんですけれども、このことが単に経済的な問題だけではなくて、安全保障上の問題あるいは国際秩序を揺るがしかねない、先進国とグローバルサウスの対立を招くだとか中国の台頭を許してしまうとか、こういった観点での問題意識をむしろルビオ国務長官との間で共有できたかどうかという質問なんですけれども、もしよかったら、参考人の方からフォローしていただければ。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 日米のやり取りという意味では、今副大臣の方から答弁を申し上げたとおりでございます。

 一方で、先ほど紹介がありましたとおり、現地では日米韓の外相会合なども行われておりまして、ここの場におきましては、まさにその日米韓三か国が法の支配を含む共通の原則を堅持しつつ、地域そして世界の平和と繁栄につながるとの認識を再確認しておりますし、また、力による一方的な現状変更の試み、こういうことを含む地域情勢についても意見交換を行っております。その上で、経済安全保障分野、ここにおける日米韓協力の具体化に向けて協議していこう、協力していこうということも話し合っております。そういう中での日米のやり取りということで御理解いただきたいと思います。

山田(賢)委員 同様に、NATO諸国、NATOの会議の中ではIP4というセッションでの参加だったと思うんですけれども、NATOとしても、自由で開かれたインド太平洋、これに大変コミットしていただいております。

 こういった観点から、NATO、今日、ルッテ事務総長が来られていると思います。この後、石破総理との会談も行われますので、是非、こういった、単なる経済上の問題はもちろんなんだけれども、安全保障、自由で開かれたインド太平洋、さらには自由貿易、法の支配というようなことを守っていくためにも、アメリカを除くNATOと一致して、考え直すように説得していくように申し入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

田口政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御指摘もありましたし、また副大臣からも御答弁を申し上げましたとおり、本日夕刻に、ルッテ事務総長と石破大臣の会談の機会が設けられることが予定されてございます。

 会談前でございますので、会談の結果につきまして予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきますが、私どもとしては、まさに委員から御指摘のありましたとおり、インド太平洋へのNATOの関与も含めまして、日・NATO協力を深化する、その中で様々な議論が行われるということを期待しているところでございます。

山田(賢)委員 これは決して米国の政策とも反するものではないと考えていまして、米国自身が、中国が最大の挑戦だとか脅威だというふうに言っている中、そして、法の支配ということを貫徹していかなければならないという観点ですね。米国、世界のリーダーになっているような国が率先して約束をほごにするようなことがある。これは本当に法の支配であったり国際秩序を揺るがしかねないんだ、こういう問題意識を持っています。

 ただ、トランプ大統領に対して、あなたは間違っていると全面的に言っても反発を招くだけなので、我々としても、いろいろな外交措置、経済界のことに対する支援もやっていかなければなりませんけれども、それと同時に、先ほど亀井委員もおっしゃっていましたけれども、慌てて何か右往左往して変な譲歩をするのではなくて、しっかりと腰を据えて、国内の産業に対しては支援しつつも、しっかりと話をして。

 一番大事なのは、トランプ大統領は一体何をしたいんだということね。これはある意味、言い方は逆説的になるんですけれども、寄り添ってあげて、孤立しているんじゃないか、あなた、本当に何がしたかったんだということを聞いてあげて、アメリカの、米国第一をしたいんだったら、もっと世界と協力した方がアメリカのためになるんだよ、こういったスタンスで、米国の国民の生活の向上にも資するような、こんな提案をしていく、こんなことを考えて交渉いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 七日に行われました日米首脳電話会議におきまして、石破総理からは、日本が五年連続で最大の対米投資国であると述べつつ、米国の関税措置により日本企業の投資余力が減退することを強く懸念するとの考えを伝えた上で、関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべきである旨述べました。

 トランプ大統領からは、国際経済において米国が現在置かれている状況について、率直な認識が示されております。石破総理とトランプ大統領は、今後も率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認しました。今回の首脳会談のやり取りを踏まえ、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくことを確認しました。

 今後の対応につきましては、具体的な検討状況をつまびらかにすることは差し控えますけれども、今般の首脳会談のやり取りも踏まえつつ、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら取り組んでまいりたいと思います。

山田(賢)委員 恐らく、これからの交渉ですから、予断を持って、何かやりますとか、こういう方向でやりますとは言いませんけれども、やはりトランプ大統領の真意をしっかり確かめる必要があると思うんです。米国第一ということが彼の一番の政策ですから。

 実は、今般の関税引上げは米国第一にすらなっていないんじゃないかなというふうに考えております。製造業も部品のコストが上がるだとか、米国の消費者は高いものを買わされてしまう。こういったことも含めて、米国第一で構わないから、本当に米国の第一になるようなことを、日本としても協力できるところは協力できる、こういうスタンスで、米国の消費者にも日本のいいものを買っていただきたいし、また、米国がいいものを作るんだったら、日本も輸入するし、また、国内で投資もするしといった形で、お互いにとっていい方策を是非考えていっていただきたいと思っています。

 一つちょっとお伺いしたいのは、令和元年に日米貿易協定及び日米共同声明というのが出されていて、これらの協定が誠実に履行されている間は両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らないという約束がなされていると思うんですね。今回のこの関税の一方的な引上げというのはこの精神に反するのではないか、この点についてお考えをお聞かせください。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一九年九月の日米共同声明において、両国は、協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない旨を明記してございます。そして、これが日本の自動車・自動車部品に対して米国が追加関税を課さないという趣旨であることは、当時の首脳会談において、安倍総理からトランプ大統領に明確に確認したと承知してございます。

 この点も踏まえ、米国政府には我が国から、これまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置を取るべきでない旨などを申し入れてきました。米国政府に対しては、今般の措置がこうした経緯に照らしても極めて遺憾である旨伝えるとともに、措置の見直しを強く申し入れてございます。その上で、今般の米国の措置につきましては、日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有してございます。

 いずれにせよ、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めてまいります。同時に、米国と緊密に協議するなど必要な対応を粘り強く行ってまいります。

山田(賢)委員 今御紹介いただいた日米共同声明の問題で、この精神に反する行動を取らないということが合意されているんですけれども、この精神に反する行動を取った場合というのは、どういう効果というか担保があるんでしょうか。お聞かせください。

渡邊政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、この共同声明におきましては、協定が誠実に履行されている間、両協定及び共同声明の精神に反する行動を取らない旨を明記してございます。したがいまして、今般の米国の措置につきましては、日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しているところでございます。

山田(賢)委員 余り答えになっていないんだけれども。

 共同声明ですから、お互いこういう精神でやろうということで、それに反する行動は取らないということになっているんだけれども、約束は守らないといけない、これが大前提、信頼関係の大前提です。

 もう時間が来たので終わりますけれども、大統領がああいう感じで、また、その側近、閣僚もトランプの言うことに反することができないけれども、我々議員も議員外交などを通じて申し入れていきますが、事務方でも、やはりこれはおかしいよね、アメリカのためになっていないよねということを是非情報を共有していただいて、よりよい方向にしていっていただければと思います。

 以上、申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

堀内委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 貴重な時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 先ほど亀井委員また山田筆頭からも質問がありましたように、私も、まず初めにアメリカのトランプ大統領の関税措置についてお伺いしたいと思います。

 米国のトランプ大統領は、三日、先ほど来お話があるように、自動車への二五%の追加関税を発動しました。また、五日には、相互関税として、全ての国や地域に一律で一〇%の追加関税を発動し、いよいよ九日から、今日から、日本に対しては二四%の引上げが発動されました。

 アメリカは、我が国にとって最大の輸出相手国であります。中でも自動車は我が国の基幹産業でありまして、自動車部品は、対米輸出の約三割を占めております。今、こういったところによりまして、非常に自動車産業を中心として大きな不安の声が聞かれるわけであります。

 また、相互関税は幅広い品目に課税するものであり、これらの課税措置による我が国経済への影響は避けられない状況でございます。四月三日、我が党の斉藤代表は、政府には、影響を最小限に抑えるため、的確なかじ取りをお願いしたいということの発表をいたしました。日本を始め世界の金融市場が、非常に株が株安で反応しておりまして、企業収益の悪化、需要の減退など、景気悪化が大変強まってきている状況でございます。

 こんな中で、国内産業への支援と、やはり、アメリカ政府との外交交渉の強化、この両輪を進めていくことが重要であると思います。

 総理は、国内産業、雇用への影響の精査と特別相談窓口の設置、資金繰り、資金調達への支援等を指示されました。具体的には、各都道府県のジェトロにおける相談体制と、また、日本政策金融公庫や民間金融機関への資金繰り支援の要請が行われたと承知しております。

 しっかりと、この中小企業、小規模事業者の資金繰り支援が重要であり、雇用調整助成金等の活用も緊急的に講じていく必要があると思います。我が党としましても、今後、関係団体からヒアリングを行いながら、政府と連携して適切な対応を進めていきたいと考えております。

 政府も、昨日、アメリカの関税措置に対する協議を担当する大臣に赤澤経済再生担当大臣を指名されまして、外務省や経済産業省などを中心としたチームを設け、準備を加速させ、できるだけ早期にアメリカを訪問し、協議を始めていくと承知しています。

 そこで、現時点で、我が国への影響についてどのように考えて、そして、対応としてはそれぞれの省庁にまたがっていく対応になると思いますが、やはり外務省が外交の窓口としてしっかりとリーダーシップを発揮して、どのようにこの問題に取り組んでいくお考えなのか、お伺いいたします。

藤井副大臣 我が国から、これまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置を取るべきではない旨などを申し入れてきたにもかかわらず、米国政府が相互関税及び自動車関税措置を発動したことは極めて遺憾でございます。WTO協定及び日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しているところでございまして、米国政府に対しては、今般の措置が極めて遺憾である旨を伝えるとともに、措置の見直しを強く申し入れているところでございます。

 今般の措置を始め、米国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねません。

 昨日八日、全閣僚出席の下で開催された米国の関税措置に関する総合対策本部の第一回会合において、石破総理からは、トランプ大統領による発表内容を含め、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析すること、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めるなど、外交面の取組を進めること、関税措置による国内産業への影響を勘案し、引き続き、資金繰り支援など必要な対策に万全を期すことなどにつきまして、政府を挙げて対応するよう改めて指示があったところでございます。

 総理の御指示を踏まえまして、外務省としては、引き続き、関係省庁とも協力、連携の上、措置の見直しを強く求めるなど、外交面の取組を進めるべく全力で取り組んでまいります。

山崎(正)委員 是非、外務省さん、よろしくお願いいたします。

 今回のトランプ大統領の関税措置は、中国、カナダ、メキシコといった個別の国に対するものから、鉄鋼、アルミニウムと品目別に広がり、自動車や、相互関税の発動により、全世界に影響を与えるものとなっています。

 ここで、アメリカと交渉して適用外を求めていく個々の交渉だけではなくて、先ほどもお話がありましたけれども、各国と協力して自由貿易の重要性をアメリカに訴えていくことが必要であり、我が国がその先導役を果たしていくべきだと考えます。

 岩屋外務大臣は、先週、NATOの外相会談のためベルギーを訪問。先ほどもありましたけれども、訪問前には、ルビオ・アメリカ国務長官に関税措置の撤回を求めていきたいと述べられていました。ルビオ国務長官とは、外相会談ではなくて、立ち話で短時間のやり取りを行ったと聞いておりますし、先ほどその内容についてもお話があったと思います。

 ほかにもEUや各国の要人と会談を行ったとのことですが、米国の関税措置について話をしたのか。したとすれば、どのような話をされたのか。そして、個々に米国と交渉して適用除外を求めていくだけではなくて、各国と協力して自由貿易の重要性をアメリカに訴えていくことが重要であると思いますが、各国との今後の協力について政府の考えをお伺いいたします。

藤井副大臣 委員御指摘のとおり、ルールに基づく自由貿易体制の維持拡大は我が国の経済外交の柱であり、日本経済を含む世界経済の成長に不可欠な基盤を提供しております。我が国は、同志国との連携を強化しつつ、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持拡大のために引き続き取り組んでまいります。

 その上で申し上げますと、今般の措置を始め、米国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねません。

 委員御指摘のとおり、先日、岩屋大臣は、四月三日からのNATO外相会合に出席をいたしました。日米韓外相会合及びその後の立ち話におきまして、岩屋大臣からルビオ国務長官に対し、米国政府が相互関税措置を発表し、また自動車関税措置を発動したことは極めて遺憾である旨伝達し、措置の見直しを強く申し入れたところでございます。また、この機会を捉えまして、EUを始めその他複数国と外相会談を行ったところでございます。

 御指摘の点を含め、外交上のやり取りであり、詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただきますが、他国と連携した取組を含め、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら取り組んでまいります。

山崎(正)委員 今回、本当に世界一斉にかけられたということで、例えば自動車産業にしても、短期的にはインパクトが少ないといいますか、日本以外の車にもかけられるわけで、そして、アメリカ国内の自動車生産が急に上がるかといったら、そういう状況でもないと思われますので、なかなか、大変なのはかえってアメリカの国民の皆さんじゃないかとも言われていますし、アメリカの国民の皆さんの消費が冷え込んでしまうことが日本にとっての一番の大きな影響ではないかとも言われています。

 本当にそういった意味では、慎重に今後アメリカの経済を見ていく、また世界経済を見ていくことが重要であると思いますけれども、アメリカ側は、非関税障壁として、為替政策や付加価値税、相手国の国内消費や賃金の抑圧等を挙げております。これらによって国内消費が冷え込み、米国製品が売れなくなる。日本が行ってきた今までの賃上げや給付、減税などは、いずれもトランプ政権が求める非関税障壁の低減に当たると思います。

 国内消費の減退に対して手をしっかりと打っていく、給付、減税、賃上げなども、可能性も見ていきながら様々な手を打っていきながら、今後、国内需要の安定化を図っていくことが重要であると思いますので、どうかまた総力を尽くして、その対応をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、タイ、ミャンマー国境付近における特殊詐欺事案についてお伺いします。

 近年、ミャンマーとタイの国境付近において、外国人が特殊詐欺に加担させられる事件が多発しており、日本人が関与するケースも報告されており、オンラインゲームやSNSで知り合った面識もない知人から海外での仕事を紹介されて渡航し、最終的には、ミャンマーの特殊詐欺の拠点に連れられて特殊詐欺に加担させられる事案が相次いで発生しております。本年二月には、このミャンマーを舞台にした国際的な詐欺事案で、日本から渡航した高校生の少年二人が保護されるという事態となりました。

 そこで、本事案について、未成年者が、しかも、海外で特殊詐欺に関与することになってしまった。若者が被害者であり、詐欺の加害者になることを防げなかったことについて、政府としてどのように受け止め、問題意識を持っているのか、お伺いします。

 あわせて、これを踏まえた三月十一日の記者会見において、大臣から再発防止に向けた政府の取組が公表されたと思いますが、再発防止に向けて、外務省として具体的にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。

藤井副大臣 本件事案につきましては、未成年者を含めた邦人が意図せずに犯罪の加害者や被害者になったことにつきまして、政府としても深刻に受け止めております。

 外務省としては、これまでホームページやSNSで注意喚起を行ってきているほか、三月十一日の記者会見で岩屋外務大臣が紹介した広報資料を全国の旅券事務所窓口や在外公館の領事窓口において配付しているところでございます。また、国内の国際空港における広報を行うべく準備を進めております。

 引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら、再発防止に関する注意喚起を強化しつつ、邦人保護について万全を期してまいります。

山崎(正)委員 この問題に対しては政府全体として取り組んでいくことが必要であり、なかんずく文科省の取組も重要だと考えますが、文科省としてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

橋爪政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる闇バイトへの応募をきっかけに、生徒や学生が知らない間に犯罪に加担してしまうことはあってはならないことでございます。

 このため、文部科学省といたしましても、昨年六月、政府の犯罪対策閣僚会議において決定いたしました国民を詐欺から守るための総合対策に基づき、関係省庁と連携して対策に取り組んでございます。

 具体的には、これまでも、児童生徒の非行防止に関する基本的な考え方、有効な取組等を示した生徒指導提要の周知、それから情報モラル教育の着実な実施、それから大学等に対する闇バイトに関する注意喚起の実施などに取り組んできたところでございます。さらに、警察庁や個人情報保護委員会と連携いたしまして、啓発資料を学校等に周知するとともに、海外への渡航に関する注意喚起につきましてホームページやSNSで周知を行ってございます。

 引き続き、関係省庁等とも連携しつつ、青少年が犯罪に巻き込まれることのないよう、必要な取組を推進してまいります。

 以上でございます。

山崎(正)委員 今回の事案を踏まえてミャンマーやタイで取締りが強化されても、犯罪拠点が隣の国に移ったりということがありますので、やはりASEAN等、いわゆる国際連携が不可欠だと考えます。そのことについてちょっとお聞きしたかったんですけれども、時間が来ましたので、要請にさせていただきたいと思います。

 残りの質問につきましては、また次の機会にさせていただきます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

堀内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時十九分開議

堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太栄志君。

太委員 おはようございます。太栄志でございます。

 大臣、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 いよいよ、本日十三時でしょうか、十三時一分ということで、トランプ大統領による相互関税が発動されるということになっております。

 私はちょうど、大体十五年ほど前に、当時オバマ政権でした、アメリカに五年ほど暮らしていましたが、本当にその頃とアメリカが大きく様変わりしてしまったということで、大変悲しく、また憤ってもいるところであります。

 先週、まさにトランプ大統領は解放の日と言っておりましたが、世界全体の相互関税を発表。それを受けて、まさに今、世界が戦々恐々としながら発動を見守っているということであると思っております。

 私は、今年の一月のトランプ第二次政権発足直後から、この外務委員会でも繰り返しお訴えをしてまいりました。大臣は先ほどもおっしゃっていましたね、まさに歴史の転換点だということですね。私も、繰り返し言っておりますが、法の支配が大きく崩壊させられてしまって、そして、これまで、まさにアメリカ、米国自らリードしてきたその国際秩序が、ルールや国際規範に基づくそういった自由貿易体制が崩壊の危機を迎えているというふうに認識をしている次第であります。

 そういった意味で、本日は、そういった同盟国アメリカとどのように向き合っていくのか、そういった視点からの質疑をしていきたいというふうに思っております。

 それでは、まず大臣、今回のトランプ大統領による高関税に関しまして、これまで米国と外交的にどのように対応されてきたのか、カウンターパートのルビオ国務長官とのやり取りも含めて、御説明をお願いいたします。

岩屋国務大臣 私は、委員御承知のように、大統領就任式にも出席をさせていただきました。したがって、トランプ政権誕生のときから現場にいたわけでございます。

 マルコ・ルビオ国務長官が議会で早速に承認されまして、翌日、すぐさまクアッドの外相会合、そして日米外相会合を行いました。その段階から、トランプ大統領が選挙中から関税のことをおっしゃっておられたので、我が国は対象となるべきではないということをその段階から申し上げてまいりました。

 また、累次にわたって、もう三回も四回もルビオ国務長官とはお目にかかっておりますが、お目にかかるたびに我が国の主張を申し述べ、撤回を、まず、そういう措置を取るべきでない、そして、措置を取るということが表明された後は、撤回されるべきだということを申し上げてまいりました。

 また、武藤経産大臣もその後、渡米をされて、カウンターパートのラトニック商務長官とそういう会談をされ、また、一昨日は、総理から直接、電話首脳会談でその申入れを行ったところでございます。

 やはり、我が国の経済のみならず、最終的には米国経済にも私は大きなマイナスの影響が及ぶのではないかというふうに考えておりますし、委員がおっしゃった自由貿易体制にも大きな影を落とす今回の措置だと思いますので、引き続き、粘り強い交渉を通じて、この見直しというものを求めてまいりたいというふうに考えております。

太委員 大臣、ありがとうございました。

 大臣の御尽力、本当に私は大きかったと思っておりますが、一方で、どの国でも成功しなかったということでありますので、じゃ、これからどうしていくのか、そこが大事になってくると思っておりまして、幾つか確認をさせていただきたいと思っております。

 今回の米国の関税措置に対して、中国や、あるいはカナダは、カナダは今朝でしょうか、WTOに提訴をするということを行っております。今、このWTOは、二〇一九年以降、紛争解決の役割が機能低下しているということは私も重々承知はしているんですが、今後、我が国として、それではどう対処していくのかというところをお伺いしたいと思っております。

 先週ですか、財務大臣からは、国内法的には我が国として、関税定率法上、報復措置は可能との見解を述べられているということは分かっております。

 それじゃ、大臣、今後の対策としてお伺いしたいんですが、我が国として、同盟国であります米国に対して、報復の何らかの措置というのは可能性としてあるのかどうか、その点、御見解を教えてください。

岩屋国務大臣 石破総理も述べておられるように、まず、あらゆる選択肢というものはある、オン・ザ・テーブルであると。しかし、その上で、まずは粘り強く交渉を通じて事態を打開をしていきたいということで、昨日は交渉担当の大臣も指名をされましたので、まず、政府が一丸となってこの交渉を支えていかなければならないというふうに思っております。

 委員御指摘のように、WTO協定上、今般の措置というのは、その整合性に大きな疑念があるというふうに思っておりますが、全ての選択肢をテーブルに置いた上で、まずは、粘り強く交渉を通じて問題の解決に当たっていきたいというふうに考えております。

太委員 立ち位置としてよく分かりました。ありがとうございます。

 一方で、やはり今大臣がおっしゃったように、様々な可能性を持っていることが大事だと思っておりますし、その際に、今、先ほど私も申し上げましたように、財務大臣は、一般論として、もちろんそういった報復も可能だということも述べられております。大臣も、今、WTOに違反する、抵触する可能性があるということで懸念をしているという発言でありましたので、WTOはもちろん機能不全に陥っていますが、一方で、パネル、第一審と二審ですか、一審の方に関してはまだ機能していますよね。例えば、そういったところへの提訴だったりとか。

 あるいは、もう一つ。中国あるいはカナダと同じようにというわけじゃないですが、我が国もこれまで米国に対して、関税によって、報復関税ということはやったことがありますよね。二〇〇五年から大体九年近くですね。WTOにもちろん提訴した上で、アメリカの協定違反というのが確定した上で、二〇〇五年から九年間、機械の部品に関して、玉軸受け等らしいんですが、今までそういったこともありました。

 そういった意味で、私は、まさに大臣、一番気をつけなきゃいけないのは、報復合戦になっちゃいけない、その点だと思っておりますが、一方、やはりトランプ政権とのしっかりとした交渉になっていきますので、そのときには、我々も、日本の方も、様々な選択肢なり、オプションというのはしっかりと持っていなきゃいけないというふうに思っていますので、そこは進めていただきたい。

 もう一つ、大臣はもちろん重々承知だと思っておりますが、やはり、我が国としては、安全保障上、本当に大きく米国に依存しております。そこを踏まえた上での行動をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 それでは、今後、どういうふうに交渉を進めていくのかというところなんですが、先ほど来も出ております、二〇一九年十月に、当時、第一次トランプ政権と安倍政権との間で締結された日米の貿易協定を、やはり私は前面に出していくというのが一つのやり方じゃないかということ。

 先ほど山田先生も聞かれておりましたが、やはりここは、大臣、WTOに、あるいは日米貿易協定も先ほど言ったのか、ちょっとごめんなさい、確認できませんでしたが、整合性に深刻な懸念を持っていらっしゃるということでありますが、この日米貿易協定において、日本は米に対する関税を、アメリカは自動車と自動車部品に対する関税を二・五%で維持することで最終的に合意をしています。これは事実です。さらに、協定には、更なる交渉により関税を撤廃しようということも規定がありますよ。

 そういった意味では、アメリカの今回の自動車関税も含めて、撤廃する方向で議論が続くことになっているのが日米貿易協定であります。この貿易協定、今有効という認識でよろしいんでしょうか。大臣の御見解を教えてください。

岩屋国務大臣 日米貿易協定は、今なお有効でございます。

太委員 今私が申し上げましたように、日米の貿易協定での最終的な合意であったり、あるいは共同宣言の精神に大きく反することというのは明確でありますが、それに反する場合には、どういった形で法的な拘束力というのが実際あるのかないのか、大臣は今でも日米の貿易協定自体有効だとおっしゃいましたが、それでは、この問題は、今明らかに違反しているわけですね、懸念を示しておりましたが。

 そういった中で、どういった法的拘束力があって、そして我が国政府としてはどのように今後対応していくのか、この点に関して御見解をお聞かせください。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣が申しましたとおり、日米貿易協定は現在も有効でございます。すなわち、日米貿易協定は法的拘束力を有してございます。

 いずれにせよ、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めてまいります。同時に、米国と緊密に協議するなど必要な対応を粘り強く行ってまいります。

太委員 先ほども、この問題に、ちゃんと明確に答えていただけなかったんですよ。今明らかに違反していますよね、数字の上でも。二・五%を維持するということで最終的に合意しています。

 そういった中で、今、完全に、明らかにトランプ政権で、まさに間もなく発動されます。違反しています。そういったときにどういった法的拘束力が違反した場合にあるのかということ、そして我が国としてどう対処していくのか、大臣、お願いいたします。

岩屋国務大臣 日米貿易協定には紛争解決のための手段は定められていないと承知をしておりますので、直ちに、違反と認められた場合にすぐさまその効力をもって対応をするという方法はないと考えておりますが、大いにその整合性に、貿易協定上も整合性に疑念があるというふうに思っておりますので、これらも、これまでの経緯も含めてしっかり米側に指摘をした上で、自動車関税についても交渉によって打開を図っていきたいというふうに考えております。

太委員 まさに、法的拘束がやはりないんですよね。そういった中で、ここはやはりこの約束をしっかりと守ってくれ、履行してくれということを迫っていくしかないと思っておりますので、そこを是非とも、大臣、交渉を進めていっていただきたいと思っております。

 あと、もう一つ大事な点は、貿易協定において、今申し上げましたように、自動車に関しては二・五%、一方、米国産の、アメリカ産の牛肉や豚肉などの関税は、日本はあえて今引き下げています、自動車との交渉の中で引き下げていますが、それをまさに上げるということも含めて、しっかりと迫っていく必要があるんじゃないかというふうに思っておりますが、その点に関してもう一点、大臣、御見解をお願いします。

岩屋国務大臣 我が方のこれからの対応ぶりについてあらかじめ明らかにすることは適切ではないと考えておりますが、もちろん、相互関税というのは多岐にわたって包括的にかけられているというものでもございますので、様々な課題を包含して我が方も対応策を考えていかなければいけないというふうに思っております。

太委員 大臣、まさにこれから厳しい交渉も進んでいくと思っておりますので、外務大臣として引き続き我が国の国益をしっかりと最大限にしていく、それと同時に、自由貿易の体制をどう守っていくか、その視点から働きかけをしていただきたいと思っております。

 この点に関して、もう一点。

 やはり、アメリカが今抜けました、抜けようとしています、そういった中で、ですけれども、我が国としては、どう自由貿易の枠組みというものをつくっていくのか、維持していくのか、その点が大事だと思っております。

 そういった視点からすると、CPTPP、米国が抜けて以降、第一次トランプ政権で抜けて以降、我が国が主導して進めてまいりました。世界的にも最もハイスタンダードで自由度が高いということで、昨年、イギリスも入ってきました。今、参加したいという国も幾つかあります、地域もですね。

 そういった中で、私は、引き続きアメリカ抜きでもしっかりと自由貿易の枠組みを堅持していくということこそが、これからのアメリカとの交渉においても大事な材料になっていくんじゃないかと思っておりますが、このCPTPP、是非とも、大臣、台湾とか中国も申請しています、そういったところを巻き込んでやっていくことも含めた大臣の御見解を最後にお願いいたします。

岩屋国務大臣 CPTPPについては、元々の言い出しっぺである米国が抜けた中で、我が国はしっかりとこの枠組みを主導してつくり上げてきたわけでございます。

 やはり米国が戻ってくることが望ましいという考え方に変わりはありませんので、そのスタンスを堅持しながら、更にこの枠組みが充実強化されるように、加盟国としっかり連携しながら考えていきたいと思っておりますし、その他、我が国は様々なFTA、EPA等々を結んできておりますけれども、そういう自由貿易の枠組みというのはこれからもしっかり拡充していかなければならないと思っております。

 もとより、米国もこの自由貿易によって相当に裨益をしてきたからこそ、今なお世界一の経済大国であるわけでありまして、そこをやはりしっかり踏まえたリーダーシップを米国に発揮してもらえるように、働きかけを強めていきたいと考えております。

太委員 是非とも大臣のリーダーシップを、どうかよろしくお願いいたします。

 今年は戦後八十年ということで、第二次世界大戦の一番の原因は、一九三〇年代の世界恐慌の中で、各国がブロック経済化していった、保護主義になっていった、そのことがきっかけとしてはやはり大きいですので、そういった意味でも、今、各地の戦争、紛争が続いています、台湾海峡でもきな臭くなっています、引き続き、世界大戦を決して起こさない、その意識は私は必要だと思っておりまして、次に移りたいと思います。関連します。

 今、トランプ政権による関税措置と併せて同時並行で進んでいるのが、まさにウクライナですね。

 大臣、先週ですか、二日から五日までベルギーへ訪問されてきたということで、我が国としては、やはりG7の分断というのをどうまとめていくのかというところも含めて、そして、何よりも、明らかに法の支配に基づかないロシアの行動を決して許さないという視点からの対処が必要だと思っておりまして、そういった視点から質問したいと思います。

 大臣、今回、IP4として参加されたわけでありますが、イギリス、フランスが主導する有志国連合への参加要請、これはあったんでしょうか。その点、また前回に引き続きですが、教えてください。

岩屋国務大臣 今回のNATO外相会合、そこにIP4の一員として呼ばれたわけでございましたけれども、当然、会議の中ではウクライナ支援というのが大きなテーマの一つではありましたが、今委員御指摘のいわゆる有志国連合と呼ばれるものについて、何か具体的に議論されたり、また、何かが決まったということではありませんでした。

 我が国としては、引き続きウクライナ支援をしっかりやっていく、それから、この紛争、戦争の終わり方から誤った教訓が導き出されてはならないということをしっかり主張してきたところでございます。

 したがって、有志国連合については今なお議論が続いている最中だと認識をしておりまして、今後とも、当事国であるウクライナ、またG7を含む関係国としっかり連携して情報収集を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、分かりました。

 いずれにしましても、今回、ウクライナの問題、アメリカが今ロシアに大変融和的な形で停戦協定を進めているというのが現状ですね。そういった中で、我が国としては、やはり、もちろん日米同盟というのは外交安保上、我が国の基軸でありますが、一方で、今回の関税措置でもそうですが、アメリカからの過度な依存というのを我々はもうそろそろ抜け出さなきゃいけない。そして、やはり、できる限り、価値観を共有する欧州の国々と、あるいは、今言いましたIP4、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、こういった国々との連携を深める、多角化していくことがまさにこれから大事になってくると思います。

 有志国連合、いろいろとまだ定義も分からないという話でありますが、もう既に三十一の国と国際機関が集っておりますので、そういった意味で、我が国がしっかりとアジェンダセッティングをするということがやはり大事だと思っております。そこを意識して我が国として関わっていただきたい、コミットしていただきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 いよいよ開催まで百三十三日となりました。私の地元でもあります横浜で八月の二十日から二十二日まで、第九回目のアフリカ開発会議、TICAD9が開催されるということであります。大臣も先ほど何度かおっしゃっていたと思いますが、グローバルサウスとのつき合いですね。まさにこの関係構築ということが大変重要。

 そういった中で、私は、TICADのこの取組というのは、外務省さんの主導で、もう三十年と古いんですが、本当にこれは大変先駆的な、また、我が国のリーダーシップとして大変評価されるべきことだったと思っております。

 そういった中、トランプ大統領がUSAIDの解体を進め、対外支援に後ろ向きな中、アフリカでも、アフリカの国々ももちろん関税措置、特に南アフリカは三〇%ですか、相互関税を発表されたという中、より一層西側の、西側というか欧米の存在感が薄れていって、中国、ロシアが影響力が大変増していく、そういった環境になっているというふうに思っております。

 そういった中、今回、TICADに関して、TICAD、もちろん幅広い分野を扱うということなんですが、今回のTICAD9ではどういった議題セッティングをして臨まれる予定なのか、その点に関して大きな話をお聞かせください。大臣、お願いします。

岩屋国務大臣 TICAD、この夏、お地元横浜で開催をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 TICADの枠組みは一九九三年に立ち上げておりますので、三十年以上にわたって、アフリカ自らが主導する開発を後押ししていくという精神で取り組んできた取組でございます。

 今度の横浜でのTICAD9では、例えば、AIなどのテクノロジーを使う開発でありますとか、廃棄物のリサイクルのノウハウなど、我が国の革新的な技術あるいは知見を生かしながら個々の課題の解決策を共につくり上げるということを大きな目標にして開催をしたいというふうに考えております。

 グローバルサウスの諸国がますます存在感を増してきている中で、アフリカ諸国との連携強化は今まで以上に重要だというふうに考えておりまして、今般のTICAD9でしっかりと成果を出せるように、アフリカ諸国を含む様々なステークホルダーと協力して準備を進めていきたいというふうに考えております。

太委員 大臣、是非とも、やはりアジェンダセッティングが一番大事になってきますので、有意義な会議になるよう、どうかこれから準備を進めていただきたいと思っております。

 今大臣がおっしゃったように、グローバルサウスとのつき合い方、また我が国のアフリカでの影響力をどう高めていくのか、そういった視点から少し、ごめんなさい、質問の順番を変えさせていただきます。

 我が国は、もちろん海洋国家として、国家の生存と繁栄の基盤である資源や食料の多くを海上輸送に依存しております。そういった意味でシーレーンというのは大事だし、そういった視点からすると海賊行為というのは看過できない、そういった問題です。言うまでもないです。

 そういった中、前回のTICAD8、そして昨年のTICADの閣僚会合において話し合われたのが海洋安全保障ですね、この概念が大事だということで。もちろん我が国は海上自衛隊を出して、海上保安庁はもちろん、ソマリア沖・アデン湾において今海賊対策というのを進めておりますが、アデン湾において海賊行為というのは減少傾向にある。

 一方、世界で最も深刻な海賊の事案があるのがギニア湾だということで、今、海賊行為がイスラム過激派の資金源にもなっていっているという状況であります。

 そこで、お伺いしたいんですが、今はまさにアフリカの東側で海賊対策をやっているということでありますが、これを西側の方、ギニア湾において我が国が何らかの行動をしていくべきじゃないか、そのことこそが様々な海洋国家日本としての役割じゃないかというふうに私は思っております。

 既に我が国は、西側の方において沿岸国の能力構築支援をやっています。IMOへの資金拠出もやっているということでありますが、同じように、アデン湾での海賊対処行動の経験を生かして、ギニア湾でも沿岸国との共同訓練やパトロールなどを実施すべきじゃないかというふうに思いますし、そのことこそTICAD9で、大臣、我が国として提言すべきじゃないかと思っておりますが、その点に関しての御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 委員御指摘のように、ギニア湾は海賊が多発する海域の一つでありまして、海賊事案の件数自体は、ピーク時と比較しますと四分の一以下に減少していると承知しておりますが、依然として海賊の脅威が存在すると認識をしております。

 これも今委員御指摘あったように、我が国は、G7諸国とギニア湾諸国及びアフリカ連合、西アフリカ諸国経済共同体らで構成をいたしますG7・ギニア湾フレンズ会合を通して、IMO、国際海事機関の信託基金に拠出するなど、これまで、ギニア湾周辺海域における海賊対策のための協力を推進してきております。

 今後も、ギニア湾の沿岸国の海上法執行能力の強化の支援を様々な形で行っていきたいと考えております。ODAやOSAを使って海上の法執行能力を高める支援をしていくということは大事だと思っております。

 ただ、ソマリア沖でやっているような自衛隊を使った海賊対処行動と類似のものがこの辺でできるかどうかというのはよく検討してみなければならないと思っておりますけれども、まずは、周辺諸国の、沿岸国の海上法執行能力を高めるためにしっかり支援を行っていきたいと考えております。

太委員 是非とも大臣、アフリカ西側でも航行の自由を守っていく、まさに法の支配を守っていくということからも大事なことだと私は思っておりますので、シーレーンにとっても日本にとっても、天然ガスや様々な重要なルートにもなっておりますので、そういった視点からも是非とも御検討いただきたいと思っております。

 ごめんなさい、ちょっと幾つか飛ばしてしまっているんですが、じゃ、最後にTICADに関して、前回のTICAD8が開催された二〇二二年というのが、日本企業がアフリカへ進出した数が過去最多となりました。

 そういった意味でも、是非とも今後は中小企業を含む日本企業のアフリカ進出支援が重要となっていく中で、TICADを、今三年に一回、今までは五年に一回だったのが三年に一回になりました。これからは、是非とも横浜を中心に、一年、毎年開催というのが私は日本の影響力がより向上できると思っておりますが、そこへ向けての大臣の御見解をお聞かせください。

岩屋国務大臣 TICAD9が終われば当然次はTICAD10ということになるんですが、一つの大きな節目を迎えると思います。

 また、我が国と同様の試みを、例えば中国であったりロシアであったり韓国であったり、いろいろな国もやっておりますので、これからのTICADをどうするかというのは、TICAD10という節目を機に、よくもう一度考えていかなければいけないというふうに思っております。

 委員は毎年やったらどうかという御提案でございますが、そういう御提案も受け止めながら、これからTICADがどうあるべきか、アフリカ側の要望も踏まえつつ、是非よい意味の改革というものを図っていかなければいけないと思っておりますので、また是非様々な御意見また御提案をいただければ大変ありがたいというふうに思っております。

太委員 大臣、是非とも、最初の問題から併せてそうなんですが、アメリカが本当に今混乱しておりますし、新しい国際秩序ができてくるときだ、転換の時期だと思っております。

 そういった意味でも、グローバルサウスとのつき合い方、そして、我が国として、いかにしてこの法の支配に基づく国際秩序、そのことを守ることこそが我が国の国益に直結しますし、世界の平和に直結すると思っていますので、引き続きの大臣のリーダーシップをお願いしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。以上です。

堀内委員長 次に、阿部祐美子君。

阿部(祐)委員 立憲民主党の阿部祐美子です。

 私は、外務委員会では初めての質問となります。外務委員会での機会をいただきまして、理事の皆様、そして委員の皆様、また外務大臣始め外務省の皆様方に感謝申し上げたいと思います。

 初めに、米国のトランプ大統領による関税措置についてお伺いをしたいと思っております。

 日本時間で本日の一時一分に発動される見込みですが、これに関しては、これまでも、そして今日の委員会の中でもかなり多くの質疑が行われてまいったところですので、私の方からはちょっと角度を変えて質問したいと思います。

 まず、外務省では、これまでオール・ジャパンでの官民連携という形で経済力の強化を進めてまいりました。これは、大企業のみならず、中小企業や団体、そしてまた大学や自治体など、多様なプレーヤーに向けて事業を後押ししてきたわけですけれども、このことについてはとても大切なことだと思っておりますが、この官民連携の視点から、今回のトランプ関税の影響をどのように見ているのか、岩屋外務大臣にお伺いいたします。

岩屋国務大臣 今回の米国政権の関税措置にまずはどう立ち向かって乗り越えていくかということを、まずそこに全力を尽くしていかなければいけないと思っておりますが、委員御指摘のように、オール・ジャパンでの官民連携によって日本の経済力強化の取組を強化していくということは、一方で大変重要なことだと思っております。

 委員もポーランド大使館にお勤めの御経験があると承知しておりますが、今、ほぼ全ての在外公館に日本企業支援窓口を設けておりまして、個々の企業へのきめ細かな支援を行うとともに、それぞれの公館で日本企業のビジネス活動に資するイベントを精力的に行う等、日本企業の海外展開支援を進めているところでございます。我が国としては、引き続き、こういった取組を強化していくことが必要だというふうに思っております。

 米国政府の今般の措置は、日米両国の経済関係のみならず、世界経済や多角的貿易体制全体に大きな影響を及ぼしかねないというふうに考えておりまして、その措置の内容を精査して、我が国企業の海外展開への影響を含めて十分に分析をして、日本企業の海外展開に資する支援をしっかり行っていきたいと考えております。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 このトランプ関税の影響を経産省にもお伺いしたいと思います。

 この米国による今回の関税は、日本にとってはあくまでも米国への輸出時の関税ということですけれども、世界各国に高い関税を課すことによって、各国、各企業に行動の変化をもたらせてしまいます。

 日米間ではどのような変化をもたらすのか、また、調達コストの変化等によって大規模なサプライチェーンの変化をもたらしたり、あるいは、販売戦略の見直しや競争環境の変化など、それぞれが生き残りのために動くことが玉突きのように複雑に起こってくることが予想されますが、そうした変化に対してどのように把握をし、対応しようとしているのか、お伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の措置は、特定の品目や地域に限らず、我が国産業の広範囲に影響が及ぶ可能性がございます。各企業のサプライチェーンや販売戦略、これは、それぞれの企業戦略や為替を含む各国の事業環境などにより変わり得るものでございまして、今般の措置によりどのような影響があるかを一概に申し上げることは難しいと考えております。

 そうした中、経済産業省としましては、例えばジェトロと共同で、米国関税措置などに伴う日本企業相談窓口、これを立ち上げております。こういった窓口で、広く日本企業からの個別相談対応に当たっております。加えまして、経済産業省の副大臣や政務官、さらに職員の派遣など、様々な形でプッシュ型の現場把握に取り組んでおります。

 こうした取組を通じて我が国産業への影響把握を速やかに行いまして、それらの状況も踏まえて対応を検討してまいりたいと考えております。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 石破首相も、昨日、国内産業への影響分析と支援ということを指示されたということで、スピーディーな対応に期待をしたいと思います。

 特に中小企業は、資金面でも情報収集面でもリソースが限られているということで、しっかり支援をしていただきたいところです。日頃より、中小企業支援あるいは小規模事業者の支援というのは、国というよりも、むしろ自治体がきめ細かく担っている部分も大きいかと存じます。ただ、一方で、各自治体の中では、大きな変化に対して対応力が必ずしもあるわけではありません。そうした意味では、自治体を通した支援というところにも是非力を入れていただきたいと思います。

 ところで、国内産業への支援を行うためには、日本としても一定の財源が必要になってくるかと思います。事が事だけに、日本が保有する米国債の一部を売却して充てるというのも一つの考え方かと思うのですけれども、このお考えについて、もし外務省として思うところがあれば、大臣にお聞かせいただければと思います。

岩屋国務大臣 これからの米国との交渉においては、様々な選択肢をまずテーブルに置いた上で、粘り強く交渉によって事態の打開を図っていかなければいけないというふうに思っております。

 今、米国債についての御指摘がありましたが、現段階でそれについて何か政府の方に考えがあるというわけではありませんけれども、様々な選択肢を持った上で、まずは交渉によって事態の打開を図るべく全力を尽くしていきたいと考えております。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 外務省でどの手法で財源確保ということではないかと思いますけれども、是非、政府一丸となって、様々な手法を検討していただければと思います。

 さて、日本では少子化が進んでいて、人口並びに労働力人口が、ある意味不可逆的に減っております。しかし、世界に目を向ければ、人口は大きく増加しています。私が小学生のときには世界の人口は約四十億人と習ったんですけれども、今は八十億人に達しております。そして、今後も半世紀は増加が続くと見込まれている。

 今回のトランプ関税を、貿易の枠組みを見直し、また新興国や途上国への市場参入を広げる契機として捉える考え方も必要ではなかろうかと思います。ただ、新興国あるいは途上国への市場参入には個別のハードルも大変高いものがあります。これは簡単ではない。その足がかりの一つとして注目したいのが、国際調達です。

 私は、二月の予算委員会の第一分科会の中で、国際調達について少し触れさせていただきました。日本は、国連の拠出では世界三位の規模ですけれども、四兆円規模と言われる国連の調達では一%未満しかその存在がないということを指摘させていただきました。改めて、国連調達の日本の現況と拡大に向けた外務省の取組を簡単に御説明いただければと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今、委員御指摘のとおり、日本自身の国際機関の調達の割合は非常に低うございまして、全体に占める割合は約〇・三%、世界七十一位となっております。その拡大を図る必要があると外務省としても考えております。

 具体的には、例えば、外務省では、国際機関の調達への日本企業の参入及び受注の拡大を目的として、二〇一五年から日本企業を対象とした国連調達セミナーを毎年度開催しております。このセミナーでは、国連機関の調達部門関係者から、国際機関入札参加及び受注獲得のための実践的かつ具体的なアドバイスを得ているほか、企業との間でも個別に相談も実施しているところでございます。

 コロナ以降オンライン開催となっておりますが、今年三月には約五年ぶりにユニセフとの間で対面形式でこのセミナーを開催できまして、四十以上の企業や団体の参加を得たところでございます。

 引き続き、こういうセミナー等を通じて、日本企業の調達参入をいろいろ後押ししていきたいと考えております。

阿部(祐)委員 セミナーを開催して御努力されていることは分かるんですけれども、二〇一五年からセミナーを始めて、その間も調達の比率はどんどん落ちてきてしまっているんですよね。これは、更なる施策、後押しが必要ではないかと思います。

 例えば、厚労省さんの方では、令和四年度からなんですけれども、国際機関の調達枠組みを活用した海外展開促進事業をスタートさせております。

 国連からの調達案件は頻繁かつ膨大に出てくるもので、厚労省の事業の中では医薬品と医療機器分野に特化したものではありますけれども、調達参入を目指す企業の強みにフィットしたものかどうか、これを何千もある調達の情報の中から精査していって、そして、毎週という形でありますけれども、タイムリーに参加企業に発信していったり、あるいは、その調達手続に要する基本的な書類を事前に作っておく、そうしたきめの細かい伴走型支援を行っているわけです。また、国連機関に働きかけて、調達に関するプレゼンの機会を設けたりということもされております。そして、始めてから実質的にはまだ二年くらいですけれども、調達に結びつきそうな案件も今出てきているというふうに聞いているところです。

 こうした国際機関との関係構築というのは、むしろ外務省さんが得意とするところではないでしょうか。ただ、一方で、各業界に対するきめ細かな支援というのは、外務省さんだけで進めるよりも、例えば、経産省ですとか、あるいは国際NGOですとか、そういったところと連携をしながら有望分野を絞り込んで、よりきめ細かい支援体制をつくるべきではないかと考えますが、お考えを伺います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 私自身も、個人的には、十五年前、ニューヨークの方で、国連代表部で勤務しておりまして、まさにこの調達を担当しておりました。当時、国連事務局とも頻繁に意見交換をしまして、かつ日本企業もいろいろ意見交換しまして、その後、実際に調達に結びついたという案件もあったと承知しております。

 その上で、今委員御指摘のとおり、医療など日本が非常に得意な分野もございますし、厚労省さん等がいろいろ支援している部分もありますので、関係省庁とも一緒にこういう調達を後押ししていきたいと考えております。

阿部(祐)委員 是非よろしくお願いいたします。

 この国連調達に関わる分野というのは新興国あるいは途上国が多いということで、先ほど太委員のお話にもありましたように、やはりアフリカですとか、そうした市場がこれから伸びていく地域の案件が圧倒的に多いということ、そして、日本製品というのは比較的高品質であるというのが、なかなか逆に調達に適合するには難しい面もあるかとは思うんです。

 しかし、そうした国々も、これから発展していく、よりよい品物を求めていく、その市場開拓のきっかけとして、国連というある意味お墨つきを得ながら物品を納入していく、調達をしていくというのは、これは単にその一回一回の取引だけではなくて、市場を形成していく、そこに早期から参入していくという意味では、非常にこれは価値のあることだと思っておりますので、是非力を入れていただければと思います。

 ただ、先ほど〇・三%というお話もありましたけれども、この国連調達についての統計というのはなかなか成果が分かりにくいもので、この数字というのはサプライヤーベースになっているわけですよね。つまり、例えば日本の企業が医薬品の調達を行うというときに、日本の企業が、単価を抑えるために、どこか第三国、例えばインドの工場で作ってそこから納入すると、これはインドの方の数字になってしまう。これでは、なかなか頑張って調達を増やしていっても、成果として見にくい部分があるのではないかと思っております。

 これは統計上のことでもあろうかと思いますので、今、セミナーを何回開いて何社出てきましたというようなことは、やはりこれは成果ではなくて、これがしっかりと取引に結びついていく、できれば長期の取引に結びついていくということがこの成果の指標になるかと思います。こうした成果の指標というものをしっかりと押さえていくことが必要ではないかと思いますが、お考えを伺います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、国連における調達は、最終的には国連と個別企業との間の契約になってしまいますので、なかなか政府として全体像を把握するというのが難しいところもございますけれども、委員御指摘のとおり、額も加えて、日本企業がどのくらい件数を調達しているかということも、今後、調達実績の評価ということで一つ検討の材料としていきたいと思います。

阿部(祐)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 これに関連して、先ほども少しお話が出ました、今年行われる第九回のアフリカ開発会議、TICADの開催に際して、日本では資金的支援や技術支援を行うこととしておりますが、その一部の支援案件については、日本企業による調達を条件づけているというふうに聞いております。その概要と進捗についてお伺いできればと思います。

長徳政府参考人 お答え申し上げます。

 本年八月に横浜で開催されますTICAD9では、日本の革新的な技術や知見を生かしながら、課題の解決策をアフリカとともにつくり上げる機会にしたいと考えております。

 その上で申し上げますと、TICAD9での具体的な成果につきましては、現在、政府部内で検討を行っているところでございまして、内容については、今のところ何ら決まっているものではございません。

 いずれにしましても、TICAD9に向けて、日本らしい協力の着実な実施を通じまして、これまでに培ってきましたアフリカ各国との関係を一層深化させていきたいと考えております。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 こうした資金的支援と調達のひもづけというのは大変バランスの難しいところではあろうかと思うのですけれども、是非いい形で、両国にとっていい形になるように御努力いただければと思います。

 次に、人権外交についてお伺いをしたいのです。

 近年、DEI、多様性、公平性、包括性の頭文字から成るこのDEI、これを企業経営において、従業員それぞれが持つ多様な個性を最大限に生かしていくことで企業価値を高めていこうということで推進をしている、これはもう御存じのとおりであろうかと思いますし、日本としても推進をしてきたところであろうかと思います。

 また、ビジネスと人権ということにも法制化が進んでおりまして、私は昨年まで東京都議会議員を務めておりましたけれども、東京都でも社会的責任調達の指針を定めるなど、これは自治体の中でもこの考え方が広がっている、大変喜ばしいことだと思っております。

 ただ、一方で、アメリカのトランプ政権では反DEIを打ち出し、日本企業も残念ながらそれに続いているというようなことも一部には起こっているようです。また、環境問題においても、アメリカ共和党が環境団体に敵対的なと言ったらいいんでしょうか、姿勢を見せているという中で、例えば、日本の金融機関が相次いでネットゼロ・バンキング・アライアンスから脱退するというようなことも起きているようです。

 こうしたビジネスと人権ですとか、あるいはDEI、こうしたことがアメリカ発で少しざわめいている中で、日本外交の方向性あるいは今後の目標設定などに影響があるかどうか、確認をさせていただきたいと思います。岩屋大臣、お願いします。

岩屋国務大臣 全ての人々が生きがいを感じ、その尊厳が損なわれることなく、多様性が尊重される包摂的な社会を実現するということは極めて重要であると考えておりまして、ビジネスと人権に関する取組を進めていくという方針に変わりはございません。

 ビジネスと人権につきましては、現行の行動計画の規定に基づきまして、昨年五月の関係府省庁連絡会議におきまして、ビジネスと人権に関する行動計画の改定作業に着手するということが承認されたことを踏まえまして、今改定に向けた検討を行っているところでございます。

 引き続き、DEIの考え方も適切に踏まえつつ、政府一丸となって、ビジネスにおける人権尊重の取組を重視して、推し進めてまいります。

阿部(祐)委員 そこの堅持、大臣の口から確認をさせていただきまして、ありがとうございました。大変心強く感じます。

 ただ、この今の反DEIの動きですけれども、やはり企業の方々の脱退ということが続いている、そうした意味では、このような企業の姿勢に対して、推進してきた経産省側の受け止めも伺いたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省としては、ダイバーシティー経営というふうに称しまして、多様な人材が活躍できる環境の整備と組織文化の醸成を通じまして、イノベーションを生み出し、企業価値の向上につなげていくことは重要だ、こういうことを訴えてまいりました。

 現在、委員御指摘のとおり、内外でダイバーシティーに関して様々な議論が起こっていることは承知をしておりますけれども、経済産業省としては、自社の経営戦略に応じてダイバーシティー経営を推進いただくことが引き続き重要である、こういうふうに考えておりまして、今月、こうした考え方をまとめたレポートも公表させていただいたところでございます。

 引き続き、企業の取組を促進していきたいというふうに思っております。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。是非後押しをしていただきたいと思います。

 このDEIですとか、あるいはビジネスと人権、こうしたものは単なる政策ということではなくて、ある意味、倫理とか価値観という部分ですので、環境が変わったからといってそんなに簡単に変えるものではないと思っているんですね。逆に言えば、こういうものがすぐに変わるようでは、むしろ、その発言力を低下させる、信頼を失わせてしまうという面もあろうかと思っております。

 今、先ほどの御指摘にもありましたように、アメリカだけではなくて、全世界を見て、自由で公正な国際秩序あるいは国際経済秩序をどうやって守っていくのか。同じ価値観を持つ各国の連携を深めていくという意味で、こうしたフィロソフィーの意味でもしっかりと連携を深め、信頼を深めていくことがとても大切だと思っておりますので、是非、この見え方も含めて、企業が現実にはやっているんですよというだけではなくて、脱退しましたと言えば、それがニュースにもなってしまいますので、見え方も含めて、ここはしっかりと守っていただきたいと思います。

 ミャンマーの大地震についてもお伺いしたかったんですけれども、ちょっと時間の関係で、この点については飛ばしていきたいと思います。御努力いただいた皆様、申し訳ございません。

 邦人保護について伺いたいと思います。

 私は、国を守るということは、ひっきょう国民を守るということであって、それは地理的に国内にいる国民だけではなくて、世界中にいる国民、世界中で活動する国民をしっかりと守っていく、このことがとても大切だと思っております。

 大臣からお話があったように、私は、三十年前に二年間ほどポーランドの在外公館で勤務してきたことがありますけれども、その中で、ソ連崩壊直後の東ヨーロッパということで、様々な業務に当たっている皆様方のお仕事ぶりを見てまいりました。

 特に、在外公館での領事の業務、これは外交全体の中では日頃余り注目をされないところであるかと思いますけれども、大変地道で苦労の多い仕事だと思っております。ビザ発給などの日常業務から邦人保護、そして、本当に日常的に、旅先でパスポートを盗まれたとか、あるいは一方で、災害やテロあるいは有事の際の緊急輸送など、落ち度がないのが当たり前というような中で日々業務に当たられている皆様方には本当に敬意を表したいと思います。

 その上で、そんな中で、今年二月、同じ東欧のハンガリーで邦人女性DV死事件が起こってしまったというのは、大変残念でなりません。お亡くなりになった方に心から哀悼の意をささげたいと思います。

 この事件で、当初、大使館から現地警察に通報しなかったのは切迫度によるという、すなわち、通報するほど切迫する事態ではなかったという大臣の御答弁。その後、いろいろな事情も出てきておりますが、今でも同じ考えなのか、お伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 本件におきましては、まず故人に、改めて心よりお悔やみを申し上げたいと思います。

 本件に関しましては、二〇二二年六月に当該邦人から元夫との関係などについて在ハンガリー日本国大使館が相談を受けた際におきましても、また、二〇二四年の八月にお子様の旅券申請について同大使館が照会を受けた際におきましても、いずれも、当該邦人からDVについての具体的な状況についての相談はされなかったと報告を受けております。

 御指摘いただいた私の答弁は、こうした事実関係を踏まえて、切迫度にもよると申し述べたものでございますが、いずれにしても、個別の事情を十分踏まえながら、丁寧に対応していくことが重要であると考えております。そのため、私から、在ハンガリー大使館を含め、領事業務を行う全公館において、邦人援護業務における対応について点検、再確認を行うように指示をしたところでございます。

 今後も一層丁寧な対応に努め、邦人保護に万全を期してまいりたいと考えております。

阿部(祐)委員 この切迫度の判断というのは本当に難しいことだと思うんですね。

 私、地方議員として、国内でのDVに絡む相談を直接受けたり、あるいはシェルターや婦人保護施設などに足を運んだり、そしてまた自治体の政策づくりにも一部関わってきたりもしてまいりました。この切迫度を判断する、また被害を予見するというのは専門家でも極めて困難なことであるからこそ、切迫度ということを判断する前に、まずは保護をするということを実際にやっているところです。

 そうしたことを専門家でもやっているにもかかわらず、在外の中で領事担当官がこの切迫度を判断するというのは、むしろ極めて酷なことだと思うんですね。むしろ、それを支えていくための体制とそれから専門人材が必要であろうかと思っております。

 そうしたことも踏まえまして、事件後にどのような相談体制の強化を図ったのか、教えてください。

岩本政府参考人 ただいま岩屋大臣からもお話がありましたとおり、今回の事案を受けまして、大臣の指示の下、現在、領事業務を行う公館が世界で二百四十八ございますが、この全公館において、邦人保護業務における対応について点検、再確認を行っているところでございます。

 現時点で、既に複数の公館から過去の対応ぶりについての報告、そして、現在進行中の事案について本省にも相談が来ております。これを受けまして、本省の方でも、その個別の事情に応じてしっかりと丁寧に対応するよう、逐一指示を出しているところでございます。

 また、今委員から御指摘のありました専門的な知見を持った人が重要ではないかという点でございますけれども、実は、外務本省では、いわゆる子の連れ去りに関するハーグ条約を担当する部門がございますが、ここにも、DVの被害者に対応するために専門的な知識を持っている職員を複数配置しております。

 したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、在外公館から今後もこのDVの関係で御相談等があれば、こういった専門的な知識を持った職員の知見もしっかりと生かしながら対応していきたいという具合に考えております。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 複数といっても極めて少数であると認識しておりますけれども、公館が二百四十八ある中で、どれだけ相談アクセスがしやすいかという問題、それから、あと、医務官がどの程度在外の中で、今、巡回のような形で医務官が仕事をしているというふうにも聞いております。

 また、それだけではなくて、在外での地元の例えば医師あるいは福祉関係専門家との顧問契約、時間がありませんのでもう提案の形にしますけれども、そしてまた、御相談を受けるときの、例えば問診票のようなチェックリストから相談の漏れを防いでいくなど、いろいろまだまだできることはありますので、是非、また個別にもお話ししたいと思いますが、やっていただきたいと思います。

 最後になりますが、こうしたことを支えていくためには、やはり外務省の中で人材の確保が必要だと感じているところです。二〇三〇年までに定員八千人にする目標というのがありますけれども、今、本当に全分野で人手不足という中で、なかなかこれは高い目標だと思うんですね。

 いかに採用を増やしていくのか、そしてまた病休やあるいはメンタルによる休業などをどうやって減らしていくのか、そうしたことが一つ問題になってくるかと思います。また、専門調査員や派遣員といった方々の活用、そしてまた公邸料理人の雇用形態の見直しなど、様々な形で努力されていると思いますが、いかにしてこの目標に達していくのか、それについて一言御答弁をいただければと思います。

大鶴政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、現在の国際環境の中で、外交力強化というのは待ったなしだと思っております。引き続きできますことを、業務合理化、効率化、人員配置、業務分担の見直し、人材育成等を行ってまいりますけれども、御指摘も踏まえまして、引き続き人的体制の強化に取り組んでまいりたいと考えます。

阿部(祐)委員 終わります。ありがとうございます。

堀内委員長 次に、西田薫君。

西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。

 前回の質疑で、私、五問ほど用意をさせていただいておりましたが、時間の関係で二問しか質問ができませんでした。そこで、今回は、前回質問させていただこうと思っていた残り三問を中心に質問させていただきたいというふうに思っております。

 間もなく関税措置が発動されるということで、今日も多くの議員の皆さんがトランプ関税についての質問をされました。私からも、まずは、ちょっと順番を変えさせていただいて、関税措置について質問させていただきたいと思います。

 来週の月曜日に衆議院予算委員会が開かれる、そこで集中審議も行われるというふうに聞いております。私も予算委のメンバーでありますが、恐らく、その予算委員会では、我が党は前原代表若しくは幹事長が質疑に立つんじゃないかなというふうに思っておりますので、党の考え方、方向性というのは、その衆議院予算委員会の方で質問させていただきたいというふうに思っておりますので、私の方から、これまでの経緯について質問させていただければというふうに思っております。

 今年の二月八日でしたか、石破総理は渡米をし、初めてトランプ大統領と会談をされた。その後、会談の後、石破総理は非常に成果があったということを述べられておられました。対米投資額も一兆ドルを超える、引き上げるということまでお話をされておりましたし、あの後、石破総理の支持率も上がったのではないかというふうに思っております。

 しかし、今回のこういった措置は、我が国だけに対する措置ではない、全世界に対する措置ということでありますが、まず大臣、非常に成果があったと言われていたこの二月、二か月前の総理と大統領との会談を経て、しかし、結果、こうなっている。これについて、まず、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 その際の首脳会談には私も同席をしておりましたが、最大の目的は、初の石破・トランプ会談でございましたので、まず両首脳間で信頼関係を構築をする、そして、幅広い、安全保障も含めた日米同盟というものをより高みに引き上げていくということで認識を一致させるということが目的でございましたので、それら全般を成果があったというふうに総理もおっしゃったんだと思いますし、私も非常によい会談だったというふうに感じました。

 しかし、その後、こういう関税措置が、委員御指摘のように、我が国だけではなくて、全世界に向けて発せられたわけでございます。我が国としては、これは我が国が対象になるべきではない、何しろ米国に対する世界最大の投資国なわけでございまして、更にこれからもそれを続けていくというような話も首脳会談でされておりまして、非常にいい雰囲気だったものですから、そういう意味でいうと、正直、意外でもあったし、非常に残念、遺憾に思っております。

 しかし、この事態を受けて、政府一丸となって、まずは、粘り強い交渉でこの事態の打開を目指していきたいというふうに考えております。

西田(薫)委員 今回、本当に国難だと思うんですよね。今こそ、野党、与党間なく、そこでいがみ合ったりとか、指摘し合うというものではなく、与野党一丸となってこの国難を乗り越えていかないといけないというふうに思っておりますので、私も余り、今回、指摘をするというか、追及するということは、これに関してはしないでおこうというふうには思っておるんですね。

 そこで、これまでも外務省の皆さんは、しっかりと外交交渉であったり情報収集、これまでされてきたと思うんですけれども、いろいろな努力をされてきたと思います。しかし、中には、一体外務省は何をしていたんだというようなお声を上げる方々もいらっしゃろうかと思うんです。

 そこで、これまで外務省としましてはどういった取組をされていたのか、御答弁願います。

渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省としまして、米国政府には、我が国からこれまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置を取るべきではない旨などを申し入れてきてございます。

 岩屋大臣からも、これまで、二月にミュンヘン、三月にシャルルボア、先週はブリュッセルにおいて、カウンターパートであるルビオ国務長官に対し、米国の関税措置に関して、措置の見直しを強く申し入れてきました。加えて、武藤経産大臣からラトニック商務長官等に対しても、訪米や電話会談の機会に同様の申入れを行ってきてございます。それにもかかわらず、米国政府が今般の関税措置を発動したことは極めて遺憾でございます。

 我が国としては、トランプ大統領の発表も含め、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析しつつ、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めてまいります。

西田(薫)委員 これまでもしっかりと取り組んできていただいていたというふうに私も思っております。

 そういった中、今、一部、報復関税をすべきだというような御意見をおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに、その気持ちというのも、私も理解はできる部分はあるんです。しかし、これは、感情的に進んでいくというのは非常によくないというふうに思っております。

 そういった中、先ほども各委員さんからの質問の中で、大臣の御答弁でもありましたが、関税措置の撤廃であったり見直し、こういったことをこれから求めていくということであったり、今、我が国政府としては、その除外を求めるという方針というふうに理解はしているんですが、それが最善の策なのかなというふうにも思っているんです。

 今後の方針について、これからの外交交渉ということもあるでしょうから、なかなか言えないこともあるんじゃないかなというふうに思うんですが、言える範囲で大臣の御所見をお伺いしたいなと思っております。

岩屋国務大臣 まずは、我が国としては、今般の米国の関税措置の内容を精査をいたしまして、我が国への影響を十分に分析をするということが必要だと思っております。その上で、この措置の見直しを強く求めていきたいと考えております。

 一方で、影響が既に出てきてもいると思いますが、国内産業、雇用への影響を勘案して、資金繰り支援など必要な国内対策にも万全を期していかなければなりません。これらを含めて、総理から御指示が出ておりますので、関係省庁とも協力連携の上、政府を挙げて対応していきたいと思います。

 いずれにしても、様々な選択肢の中で、何が我が国の国益に資するのか、何が最も効果的なのかということを考えて取り組んでまいりたいと考えております。

西田(薫)委員 是非よろしくお願いいたします。

 先ほども申し上げましたように、やはり、ここは与野党一致団結しながらしっかりこの国難に向かっていくというか、乗り越えていくということをしなければいけないというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 次の質問も、前回の質疑の中で通告していた質問ではないのですが、これまた順番を入れ替えさせていただいて、日中ハイレベル人的・文化交流対話に関する質問をさせていただきたいと思います。

 昨年十二月、外務大臣と文科大臣は訪中をされた。そして、日中ハイレベル人的・文化交流対話に臨まれた。ただ、そこの会談の中で、相互の修学旅行受入れを促進するというようなことが議題に上がった。それを受けまして、先々週ぐらいですかね、参議院の外交防衛委員会で、自民党の議員さんの方から、今、こういったことをするのは理解し難いという、結構強めの質問をされたというふうに聞いております。

 それを受けまして、私、先週に文部科学委員会で質問の機会をいただきましたので、そこでこれに関する質問をさせていただきました。

 私は、文科大臣に対しても、やはり今、日本側から中国に修学旅行に行ってくださいというのは違うんじゃないかな、国民感情としてもそう思わない方が非常に多いのではないかという質問をさせていただきまして、そのときに、岩屋外務大臣が参議院の外交防衛委員会で御答弁された内容をあべ大臣にも質問をさせていただいて、この答弁も違うと思うという形で、私、質疑をさせていただいたんですね。

 ただ、文部科学委員会におきましては、外務大臣は出席されていない中で、勝手に外務大臣の答弁を引用しながら質問していた。いわば大臣がいないところで大臣の答弁を指摘していたというのは非常に大臣に対して失礼じゃないかという思いから、今回改めて、この質問をもう一回させていただきたいというふうに思っているんです。

 私はやはり、中国に対する修学旅行、文科大臣も御答弁をされておりました、決して推奨して行くというものでもないということをおっしゃっておられたんですが、もう一度改めて、どういった意図なのか、どういった思いでこういった話になったのか、外務大臣の御所見をお伺いします。

岩屋国務大臣 昨年の暮れの日中ハイレベル人的・文化交流対話、何のためにやったかといえば、当然交流のためにやっているわけですね。日中双方で世論調査をすると、お互いの九割が相手国によくない印象を持っている、これは非常によろしくない状況だと私は考えております。あらゆるレベルで、人的、文化交流をもう一度活性化させていこうというために開いた会合でございました。

 ここでは、日本政府が何も日本の個々の学校に対して中国への修学旅行の実施を求めるということではなくて、中国への修学旅行を希望する学校に対しては政府として安全確保の面で可能な支援を行うというものでございます。実際、その後も、合計で三百人近い学生さんが中国で修学旅行を実施するということがございましたが、その際には、中国側とも連携、連絡を取って、教師や児童等の安全確保に全力を尽くしているところでございます。中国からは、今なお年間六千人ぐらいの学生さんが日本に修学旅行に来ているということでございます。

 いずれにしても、修学旅行にもし行きたいという御希望がある学校があれば、側面的な支援をしっかり行っていきたいというふうに考えているところでございます。

西田(薫)委員 今、大臣の御答弁の中でも、九割の人たちが余りいい思いを持っていないという状況の中で、やはり私は違うんじゃないかなと。それであれば、日中両国の障壁を政府がもっと取り除いた中で、双方がそこまでそういう思いを、嫌な思いを持っていないような状況になってから、やはり子供たちというのは行ってもらうべきじゃないかなというふうに思っております。

 前回の御答弁の中でも、現地当局がしっかりと警備をしていただいたというような御答弁だったと思うんですね。それも私は違うんじゃないかなと。現地でしっかりとした警備が必要な場所に行くということが、そもそも少し違うんじゃないかなというふうに思うんですね。

 少し話を大きくしますと、大きくというかちょっとオーバーに表現をいたしますと、例えば、旅行客、観光客の方が、治安が悪い地域であったり国であったり、旅行に行きます。しかし、そこに行っても現地の軍隊がしっかり守ってくれていますからというふうなことは普通はならないんです。そういうところであれば、渡航禁止であったりとか、いわば渡航自粛というような措置になろうかと思うんですよね。それはちょっと話が大き過ぎるんですが。ただ、現地でしっかりと警備が必要な場所というのは、そういった場所に修学旅行に行くというのは果たしてどうかというふうには思っているんです。

 また、先ほど大臣がおっしゃったとおり、中国へ修学旅行に行ってくださいということを政府が決して呼びかけるものではないというふうな御答弁でしたので、それであれば、いまだに外務省のホームページには「修学旅行の相互受入れを促進し、」というふうに書かれているんですよね。この言葉を読むと、やはり中国へ行ってくださいというような誤解を与えるんじゃないかなと思うんです。

 例えば、今現在、オーストラリアに修学旅行に行く、シンガポールに修学旅行に行くという学校もたくさんあろうかと思うんですけれども、例えば、オーストラリアの外相と話をしたときに、こうやって修学旅行の相互受入れを促進するということは、そもそも議題にも上がらないと思うんですよ。

 だから、ここにまだ、外務省がいまだに「修学旅行の相互受入れを促進し、」というふうに記載されているという中で、多くの誤解を生んでしまうので、そういう思いではない、あくまでも学校が希望をして、行かれる人たちにはしっかりと安全確保を要請するというのであれば、この「促進し、」という言葉は、やはり私は違うと思うんですよね。

 ここはやはり外務省のホームページを書き換えるべきだと思うんですが、そういった思いは、大臣、おありでしょうか。

岩屋国務大臣 そもそも我が国は、学校に対して、どこに修学旅行に行くべきだ、あるいは行くべきでないなどということを言うような権能を政府は持っておりません。

 したがって、先ほども申し上げたとおりに、中国に修学旅行に行きたいという学校があれば、側面的な支援をして、当然のことながら、安全の確保についてもしっかりと外務省として支援をしていくということを申し上げているところでございまして、ホームページの書きぶりがどうあるべきかということについては、御指摘を踏まえてちょっと検討してみたいとは思いますが、趣旨はそういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。

西田(薫)委員 今、御答弁の中で、そもそも政府としては、国としてはそういった権能を持っていないということであれば、なおさら、修学旅行のことを書く必要はないかと思うんですよね。だから、今検討するということでしたので、そこは一度御検討いただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。次は、ドイツに設置をされた慰安婦像について質問させていただきます。実は、この質問は、前回の委員会質疑でさせていただこうと思っておりました。

 この三月に、ドイツに今度また新たに二体ほど慰安婦像が設置をされた。私、強く抗議をすべきじゃないかなというふうには思っております。

 そういった中で、そもそも、大臣、従軍慰安婦という言葉であったりとか慰安婦の強制連行ということ、これについて大臣の御所見をお伺いいたします。

岩屋国務大臣 まず、今般の慰安婦像の設置は、我が国政府の立場やこれまでの取組と相入れない、極めて残念なことだと思います。

 政府としても、これまで、様々な関係者にアプローチし、我が国政府の立場について説明し、強い懸念を伝えてきました。今後とも、引き続き、関係者に対し適切な対応を求めてまいりたいと思います。

 ただ、ドイツ当局や、ケルン、カッセル市の当局が設置をしたということではありませんので。ただ、そういうことを認めないでもらいたいという働きかけをずっとしてまいりましたし、これからもしっかりしていきたいと思います。

 それから、これまで政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見つかっておらず、これまでの政権もこうした立場を述べてきているところでございます。

 したがって、政府としては、従軍慰安婦という用語を用いることは誤解を招くおそれがあり、単に慰安婦という用語を用いることが適切であると考えているところでございます。

西田(薫)委員 そうですね、政府はずっと、強制性を示す資料がないということを言われておりますよね。

 そこで、大臣、今回のドイツ、あくまでも民間の施設ということでありますが、この銅像の前には碑文があるんですね。その内容というのは御存じですかね。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツのケルンにおける慰安婦像、そしてドイツ・カッセルにおける慰安婦像の碑文の内容については承知しているところでございます。

西田(薫)委員 大臣は御存じですか。

岩屋国務大臣 私は、直接には存じません。

西田(薫)委員 やはり、大臣は知るべきだと思いますよ。大きな問題ですよ、碑文がどういった内容かというのは。

 そもそも、この質問に当たっては、私、碑文をいただきたいということを外務省に言わせていただきました。資料請求もさせていただきました。そうしたら、英文の資料をいただきました。

 今、すぐ翻訳はできます。インターネットにおいても翻訳ができるんですが、私、外務省が訳した文書を欲しいという資料請求もしました。しかし、外務省は、日本訳の資料は提出できませんという御答弁というか、事前の資料請求の段階でそう言われたんです。私、そもそも、そこがおかしいと思うんですよね。

 私の方で翻訳をしました。全部は読み上げませんが、一部です、ドイツの慰安婦像の前に置かれている碑文です。

 大日本帝国軍は、数え切れないほどの少女や女性を拉致し、性的奴隷に仕立て上げたというふうに書かれている。間違いないですよね、外務省。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような内容の趣旨の記述があるということは確認しております。

西田(薫)委員 今、一番最後に何とおっしゃられたか。確認しておりますですね。

 そうなんですよね、こういうことを書かれているんですよね。これは、もっと強い抗議をしないといけないんじゃないかなというふうに思っております、もうだんだん時間がなくなってきたんですが。

 大臣は、慰安婦においても、強制性の資料、証拠がないということも先ほど答弁で言われておりましたし、慰安婦に対する、従軍慰安婦であったりとか慰安婦強制連行ということの認識は私と全く同じだというふうに思っておりますし、釈迦に説法、孔子に悟道になるかもしれないんですが。

 元々、一九八二年、朝日新聞が、吉田清治氏の証言を初めて新聞で掲載をされた。それから、従軍慰安婦であったり、慰安婦を強制連行したと。吉田清治氏の証言によると、多くの女性を強制連行してきたうち、九百五十人が従軍慰安婦だったというこの記事から、本来、この問題というのがずっと続いていたかと思うんですよね。

 それからちょうど十年後です、一九九二年一月十一日に、やはり朝日新聞が、軍の関与を示す資料を発見ということが一月十一日の新聞で、大きく一面で掲載をされました。その二日後です、当時の加藤官房長官がおわびと反省の談話をされ、さらにその三日後、一月十六日に、当時、宮沢総理が訪韓し、二十二分間にわたって八回謝罪をされているんですよね。翌年には河野談話が発表されて、さらにそれから三年後です、全国の中学校の歴史教科書の中で、従軍慰安婦であったり慰安婦強制連行ということが教科書にも掲載されるようになった。

 ところが、二〇一四年に、朝日新聞は、この従軍慰安婦に関する記事、慰安婦を強制連行に関する記事を全て取り消しましたよね。訂正をし、取り消したわけです。

 そういった中で、私、昨年十月まで大阪府議会議員をやっておりましたので、大阪府議会でもこの問題を取り上げさせていただいたんですね。

 そういった中で、ただ、教科書は、元々朝日新聞の誤報、吉田清治氏の証言が虚偽ということから、この慰安婦問題、従軍慰安婦であったり、慰安婦を強制連行ということが日本国内でも言われるようになったということなんですが、そもそも吉田清治氏の証言は虚偽だったということから、朝日新聞は記事を取り消しているわけです。しかし、学校の教科書には、その当時はまだ、教科書というのは教科書検定がありますから、すぐに変更はできないわけですよね。そういった中で、強制連行という文言が書かれている教科書も現に配付をされていた、生徒さんたちは使われていた。

 そこで、私、当時松井知事です、しっかりと正しい歴史認識を子供たちに持ってもらうためにも補助教材を作成したらどうでしょうという提案をさせていただいたところ、全国で唯一です、大阪府は、この慰安婦に関する補助教材まで作っていただいたんですね。

 今、地方が、地方の首長であっても、しっかりそういった認識を持って、自分たちができることはしっかりやっていこうというふうに取り組んでいると思うんですよ。大阪府知事である吉村知事も、吉村市長時代、サンフランシスコに慰安婦像が建ったときには友好都市を解消するということまで、地方の首長がそういう声を上げているわけですよね。

 そこで、今回、私、この碑文を訳した資料を下さいと言っただけにもかかわらず、外務省の方がその訳すことにもちゅうちょされている。ここが、やはり私は、もっとしっかりとしていただきたいなというふうに思っておりますし、こういった文章を書かれている慰安婦像が、今も、今日もドイツに設置をされているわけですよね。ここはやはりもっと、強い憤りを持ってしっかりと韓国に対して交渉していただきたいというふうに、交渉というか、抗議をしていただきたいというふうに思うんです。

 ただ、一方で、こういった民間団体の動きです、その背景には、北が、北朝鮮が関与しているというようなことであれば、やはり北朝鮮としては、日韓関係が悪くなる方がいいという思いを持っておるわけですから、もしそういった関与があるのであれば、逆に、日韓関係というのは、今こそしっかりと友好関係を構築しないといけないという思いも私も持っておりますし、そういう観点から、なかなかこういった問題に関しては外務省としても強く言えないというのであれば分かるんですが、私はやはり、今日も、六月までですかね、この慰安婦像というのはドイツに設置されますので、もう一度しっかりと韓国に対して強い抗議をすべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。

岩屋国務大臣 いずれにしても、慰安婦像の設置というものは我が国の立場と相入れないものでございますので、政府としては、様々な関係者に我が国の立場について説明し、適切な対応をこれからも求めてまいります。

西田(薫)委員 この後、質問がまだ二問ほど用意はしておりましたが、恐らく、もう時間があと四十五秒となっています。終わりですので、今日、用意していた質問ができなかった参考人の方が出席されておられれば、おわびを申し上げたいというふうに思っております。

 改めて、大統領も、前の大統領であれば比較的、日本に友好的な大統領ということを言われておりまして、時間ということですので終了させていただきますが、しっかりと抗議をしていただきたいということを改めてお願い申し上げておきます。

堀内委員長 次に、深作ヘスス君。

深作委員 国民民主党・無所属クラブ、深作ヘススでございます。

 本日、冒頭まず、先日大臣が外務省入省式において、外交において最も大切なものは人と人との関係であって、人様の信頼を得るには誠心誠意向き合うことが大事だというような訓示があったというふうに聞いております。

 今、それこそ、人と人との関係の中で、どのように外交交渉に向き合っていくのか。トップリーダーとの関係、本当に大臣がおっしゃられるとおり、人との関係というのが大変重要な局面になっていると思います。

 こういった観点からも、本日は幾つか御質問させていただきますが、今日もいろいろと皆様方から、アメリカの関税について御質問がありましたので、各論に入っていく前に、順番を変えまして四番目の質問から、まず総論的なところから、日本外交の今の現状についてお伺いをしたいと思っております。

 これまで大臣は、所信の中でも、外交力の抜本的強化という言葉を使われてきておられます。これがどのようなことを指して、どういったことを目的とし、何をすればこれが達成をされるのか。そして、その中で、日本の出先機関等にもなります在外公館がどういった役割を果たし、そして、その在外公館が行う活動の方針、こういったものがどのように策定をされ、決まっていくのか。この方針についてお聞かせください。

岩屋国務大臣 外交力というのはいろいろな定義の仕方があるんだと思いますが、今委員が御指摘いただいた、外交を実施していく体制の強化という観点から申し上げますと、我が国の二〇二二年の国家安全保障戦略におきましても、国力の第一の柱として、外交力というのが掲げられております。私自身、大臣就任後、これを実感を持って再認識をしているところでございます。

 今の我が国が置かれた厳しい安全保障環境、それから昨今の国際経済秩序をめぐる厳しい状況の下で、日本の安全と繁栄を守り抜いて、平和で安定した国際環境を創出していくためにも、外交力そしてその外交を進める体制の抜本的強化は喫緊の課題だと考えております。

 一時期は、とにかく公館を増やしていこうということで努力をさせていただいてきたわけですが、今は、人的体制の強化に力点を置いて、予算、体制等をお願いをしているところでございまして、前年比でいいますと、令和七年度は八十七名の純増を果たすことができました。委員の先生方の御理解、御支援にも感謝申し上げたいと思います。

 この人材をしっかり育成して、効率的な人員配置を行っていくということが大切だと思っておりますし、また、在外公館施設というのは邦人にとっては最後のとりででございますので、その強靱化にも取り組んでまいりたいと思っております。また、緊急事態対応や情報保全対策に万全を期す各種の体制整備にも意を用いていきたいと考えているところでございます。

深作委員 ありがとうございます。

 中でも、先ほど御質問させていただきましたが、在外公館、どういった方針で決まっていくのかということと、あとは、併せて、在外公館において、今いろいろな課題が各国との中である中で、どれだけいろいろなところに種を植えていたのか。種さえ植えていなければ根を張ることもないですし、実が出ることもないということを考えると、どれだけ接点を持って外交としてアプローチをしていたのかということが大変重要だと思います。

 そういった点において、各国の政府、議会であったり、文化団体、経済団体などにどのようなアプローチをかけているのか。先ほどの在外公館の取組、方針の部分も併せて、お伺いさせていただきます。

大鶴政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、在外公館における取組の指針ですとか方針の決定プロセス、これは、事案の性格ですとか背景、相手国政府の体制などによってまちまちでございますけれども、在外公館長の発意あるいは助言などに基づきまして政策策定という形もありますし、あるいは、在外公館からの日々の情報の報告などを受けまして、外務本省、関係省庁、あるいは国会議員の先生方からの御指摘なんかも踏まえながら施策を策定していくというような場合もございます。

 各方面への働きかけですけれども、もう全く御指摘のとおりでございまして、これまでも、我が国の立場ですとか政策については、任国の政府、議会、経済界はもちろんですが、文化界あるいは一般国民を始めとする正しい理解を得るべく、在外公館を通じた情報収集、情報発信、それから関係者との関係構築などを鋭意行ってきているところでございます。

深作委員 ありがとうございます。

 この御質問をした背景には、こういった今経済的な危機に私たちは立たされている中ではありますが、こういったときにどれだけ私たちがツールを持っているのかということは、今突然取り組んでも、どうしてもこれは育てることができません。長きにわたって、様々な関係各所とどれだけ連携を取っていけるのか。

 実は、私がアメリカの連邦議会で働いていたときに、北朝鮮がミサイルをどんどんと撃ち始めたタイミングでございました。このとき大変印象的だったのが、韓国が、各議会の部屋を訪ねて、いかに太陽政策が重要なのか、いかに文在寅政権が掲げているものがアメリカにとっても重要なのか、大変積極的なロビーイングをしているのを私も目の当たりにしましたし、私もそのロビーを受ける側におりました。

 当時は、議会決議案を韓国が書いて、ここまでやるのかと思いましたが、こういった内容で決議案を出してはいかがでしょうかと、かなり踏み込んで活動をされていて、ここまで日本がやるのかということは各政府において判断をされていくことだと思いますが、どのようにこのような種をいろいろなところに植えていくのか、これは大変重要なことでもあります。

 これから御質問させていただきますアメリカの関税のことにおきましても、やはり、今回この事象が起きてから、どこにルートを求めていくのかではなく、じゃ、あのルートを使ってみよう、こういったルートを私たちは持っているから、ここのアプローチもできるのではないか、この間口を広げていく上で大変重要だと思っておりますので、大臣には、こういった観点からも、今後、外交力の強化に取り組んでいただきたいと思います。

 先ほど阿部委員からもありましたが、やはり人があってのことでございますので、そういったところにも是非力を入れていただければと思います。

 続きまして、相互関税についてお伺いをいたします。

 我が政党といたしましても、政争は水際までという観点から、いち早く総理の訪米、そして、その際には国会の日程は全て協力をするということを申し上げて、できる限り総理の訪米を早く果たしていただくことで交渉に当たっていただきたいということを申し上げてまいりました。

 他方で、今回、先日の電話会談をもって、担当者が決まって、今後交渉を行っていくということが決まったわけでありますが、大臣も先ほど来おっしゃられているように、御就任のタイミングから、この関税というものはあり得る話として、本来は日本が準備してきたはずであると考えています。

 そうなると、交渉に着けたということを私たちはよしとするのではなく、なぜ交渉に着くタイミングまで来てしまったのかということは、今のタイミングではなくて、将来的にはしっかりと見直して、そもそも関税をかけられない状況をどうすればつくることができたのであろうかということについても考えていく必要があると思っております。

 そして、今日ちょっと通告はしていないんですけれども、今回、交渉担当者が決まって、交渉が始まるということが決まりましたが、そのタイミングで、間もなく、一時間後にはこの関税が発動することになりますが、この交渉がある程度の地点が見えるまでこれを凍結するというようなことは、日本側からお願い又は申入れをしたのか、凍結という手段を提示をされたのか。これについて、もしお答えいただけるようであれば、政府参考人からお答えいただければと思います。

渡邊政府参考人 今回の交渉につきましては、今大臣が決まりまして、これから政府内で、詳細を申し上げることはできませんけれども、あらゆる可能性を排除せずに、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、テーブルをして、それで、日本の国益にとって何が最も正しいのかという観点から交渉を進めてまいる考えでございます。

深作委員 なかなか、今進んでいる交渉の中身でありますので、それをつまびらかに明らかにするということは難しいかと思いますが、やはり、本来であれば、日本側として、関税がかけられない状況をどうすればつくれたのであろうか、そして、今回も、交渉に着いたタイミングで一度これを凍結をするなど、できる限り猶予をつくっていく余地があったのではないかということについては、今後も検証をしていただきたいと思うし、今後類似の事項が起きたときに、そういった対応が取れるような体制を取っていただく、つくっていただくことが重要であると考えております。

 そして、今回、これから交渉に臨まれるわけでありますが、まずお伺いをしたいのが、そもそも政府は、今回のトランプ氏の相互関税発動の政策目的がどこにあるのか、そして、どこをゴールとして、目標としてセットしていると想定して交渉に臨まれるのか、このゴール設定についてお聞かせください。

岩屋国務大臣 米国側の意図について、政府、我が方として断定的にお答えする立場にはないんですけれども、報道等によれば、世界の貿易体制をリセットするということなどを言っておられると承知をしております。また、貿易赤字というものがいかぬのだというようなことを言っているということも承知をしております。

 しかし、それぞれについて我が方の考え方もございますので、そういうことも含めて、率直に、ほかならぬ日米関係ですから、交渉担当者も決まったことですし、これを外務省としても政府一丸となってしっかり支えて、腹を割った意思疎通をしていただいた上で事態の打開につなげていきたいと考えているところでございます。

深作委員 ありがとうございます。

 今回、なかなか、交渉のタイミングでありますので、先方の意図を、大臣がおっしゃられるように、額面どおりに受け取ればそういったことがあるであろうということであると思いますが、トランプ氏は、この第二次政権発足直後に、コロンビアに対しての関税をてこに強制送還を実現をしたり、これは関税が目的のように見えて実はそうではないということもありますので、様々な選択肢、可能性についてやはり追求をして、どこにどういったボタンがあり得るのか、ここを多く模索をしていただくことが重要であると考えています。

 その中においても、我が国として、五年連続で最大の対米投資国であること、そして、日米のこの摩擦によって、今、日本の経済状況が悪くなれば投資さえも難しくなっていくんだということは、今後も引き続き主張していただくことも重要であると思いますし、先ほど来ほかの委員からもありましたように、これによって、アメリカ国内で輸入業を営んでいる人たちも大きな打撃を受けていることは、これは皆さん御承知のことと思います。

 ですので、ある意味で、アメリカ国内の有権者であるそういった影響を受けた人たちに対して、しっかりとアドボケートしてもらう、主張してもらうようなことは、なかなか日本政府としてやることは難しいというのは承知をしていますが、本来、いろいろな種をまいていたとすれば、そういったこともできたのではないかというふうに考えますし、全ての選択肢をとおっしゃられますので、是非、そういった視点からも、アメリカの有権者から声を上げていくようなことについてもできることがあるのではないかということを一言申し上げたいと思います。

 今回、こういったことを背景に、様々な国との間でこういった力の関係が起きたり、空白が起き得るんじゃないかとか、いろいろなことが今起きている中で、国際社会が日本がどう出ていくのかというのをよく見ていると思います。ですので、毅然たる態度で、私たちがただ従順な国家であるのではなく、しっかりと主張していくべきところには主張していただく。

 そして、このタイミングで、中国がALPS処理水に関する考え方というものを一部変更したような報道も出ています。これも、これをもって今後何かを変えていくというようなことまでは踏み込まれていませんが、こういった様々な変化のときにいろいろなことが動いていく可能性もありますので、アメリカだけではなく、多方向に対してしっかりと日本の主張を通していくということを今後も是非取り組んでいただきたいと思います。

 この裏側で、ちょうどUSスチールも、対米外国投資委員会での再審査に入ると。過去、私が調べた限りでは、いわゆる相手国に対してネガティブだったものに対して再審査に入るというのは大変まれなケースだと思いますし、これは当局間の皆さんが紡いできた多くの糸が、今、少しずつ結実をする可能性が出てきているということでありますので、こういった形で、是非引き続き関税についても取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、NATO、この間の御出張についてお伺いをしたいと思います。

 総理との会談ということも今予定をされている中でありますが、NATOは、御承知おきのとおり、北大西洋条約に基づく地域的集団的安全保障体制であり、インド太平洋における危機への対処がどのような法的根拠に基づくのかというのが明確ではないというふうに考えています。

 昨日の中谷大臣との会談では、今後、軍事産業分野での連携を深めていくという合意があったと承知をしておりますが、今後、日本として、NATOとの戦略的な安全保障協力をどのように進めていくのか、確認をさせていただきます。

 インド太平洋地域におけるパートナー国を含む地域でのエスカレーションの際、NATOはどのような根拠、プロセスをもって関与し得るのか。そして、NATOの意思決定には北大西洋理事会の全会一致が必要とされていますが、仮にここで合意が得られなかった場合、加盟国が個別又は有志連合的に連携する形で関与することが想定をされているのか。そして、これまでこういったエスカレーションを想定した具体的な議論があったのか。これについて、三点ありますが、お答えいただければと思います。

田口政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、NATOは基本的価値と戦略的利益を共有するパートナーでございまして、先週の岩屋大臣の御出張、NATO外相会合への出席におきましては、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障が密接不可分という認識の下、NATOのインド太平洋の更なる関与強化を求め、多くの国から賛同を得たというところでございます。

 NATOのインド太平洋関与ということでございますけれども、近年、日・NATO間では、サイバー、宇宙、共同訓練の実施等の協力が強化されております。これは、安全保障環境が一層厳しさを増す中、安全保障の裾野が拡大し、地域を超えた同志国間の安全保障協力の重要性が増している、こういうことを反映したものというふうに考えてございます。

 こういった情勢を踏まえまして、委員の今御指摘のありましたルッテ事務総長の本日の訪日におきましても、我が国の安全保障に資する具体的な協力をNATOと深めていく、こういう考えでございます。

 加えまして、御指摘のありましたインド太平洋におけるエスカレーションの際の対応、また、北大西洋理事会についてのお尋ねでございますけれども、NATOがインド太平洋における事態に際してどのような対応を取るかということにつきましては、加盟国でない我が国として、その根拠、プロセスを含めて、予断を持って申し上げることは難しい、このように考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 パートナー国という立場でなかなかこういったことについて言及することは難しいことは承知をしておりますが、今般、大臣がNATOに御出張されたことをもって様々な国とのバイ会談、立ち話ができたということで、この枠組みをどのように使っていくのか、そして、その中で私たちがプレゼンスを示していき、私たちの脅威であったり課題というものを共有をしていく、こういったことを通じて、エスカレーションの際にできる限りコミットメントをしてもらう体制をつくっていくことが重要であると考えております。

 最後に、今回の外遊では、ベルギー、スウェーデンのカウンターパートとも会談をされたというふうに承知をしておりますが、フィンランドとの外相会談について、最後にお伺いをいたします。

 まず、フィンランド外相会談の成果と大臣の所感をお伺いするとともに、今回、今の段階で防衛装備品・技術移転協定について議論をされたのか。今後の進捗や今後の進展のめどなどについてお聞かせください。

岩屋国務大臣 フィンランドは、言うまでもなく、ロシアに国境を接している国でもありますし、今般の事態を受けてNATOに加盟をしたという国でもございます。また、フィンランドは、日本からある意味一番近い欧州であって、法の支配、自由、民主主義、人権などの価値や原則を共有する戦略的パートナーでもございます。

 この度、私は、NATO外相会合の機会に、フィンランドのバルトネン外務大臣と初めて会談を行いました。会談では、昨年十二月の日・フィンランド首脳会談の成果も踏まえて、安全保障それから科学技術分野での協力を着実に積み重ねていこうということを確認をいたしました。

 今度の会談を通じまして、NATO外相会合の出席を通じまして、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は密接不可分であるという認識がもうしっかり共有できているなということを実感して戻ってまいりました。

 フィンランドとも、安全保障の分野を含め、幅広い分野でしっかりとした二国間関係を築いていきたいというふうに考えております。

深作委員 ありがとうございます。

 今回の御出張の内容を見ても、多くの国々とこういったものを共有をされているということもよく見えてきましたし、あとは、先ほど冒頭に申し上げたように、人と人との関係ということを大臣が紡いでいってくださっているということを感じております。

 最後に、時間となりましたが、フィンランドとの間では、ハイブリッド脅威対抗センターであったり、スパコンの協力など、非軍事分野においても協力が今後必須となってくると思いますので、是非その点も引き続き取り組んでいただければと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

堀内委員長 次に、本日付託になりました航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件、千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件及び東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岩屋毅君。

    ―――――――――――――

 航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件

 千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件

 東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岩屋国務大臣 ただいま議題となりました四件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和六年二月二十九日に協定の署名が行われました。

 この協定は、チェコとの間で定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものでございます。

 この協定の締結により、両国間の人的及び経済的な交流が更に促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定の締結について承認を求めるの件は、令和六年六月十一日に協定の署名が行われました。

 この協定は、ルクセンブルクとの間で定期航空業務の安定的な運営を可能にするための法的枠組みについて定めるものであります。

 この協定の締結によって、両国間の人的及び経済的な交流が更に促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、千九百九十四年四月十五日にマラケシュで作成された世界貿易機関を設立するマラケシュ協定のサービスの貿易に関する一般協定の日本国の特定の約束に係る表の改善に関する確認書の締結について承認を求めるの件は、令和六年七月二十九日に確認書が採択されました。

 この確認書は、資格要件等に関する措置がサービスの貿易に対する不必要な障害とならないことを確保するため、サービスの貿易に関する一般協定に含まれる日本国の約束表に追加的な約束を記載することについて定めるものです。

 我が国がこの確認書を締結することは、サービスの貿易の円滑化を促進するという見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この確認書の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターを設立する協定の第二次改正の受諾について承認を求めるの件は、令和六年六月二十日に改正が採択されました。

 この改正は、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センターの年次予算について、拠出金の分担率の改定等を定めるものでございます。

 我が国がこの改正を受諾することは、我が国の財政負担を軽減し、ASEAN構成国の経済発展の実態をより反映した分担率を実現するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。

 以上四件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。

堀内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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