第12号 令和8年5月22日(金曜日)
令和八年五月二十二日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 國場幸之助君
理事 石橋林太郎君 理事 小田原 潔君
理事 高木 啓君 理事 穂坂 泰君
理事 星野 剛士君 理事 近藤 和也君
理事 青柳 仁士君 理事 深作ヘスス君
伊藤 聡君 今岡 植君
岩崎 比菜君 岩屋 毅君
大西 洋平君 小渕 優子君
鹿嶋 祐介君 川松真一朗君
塩崎 彰久君 島田 智明君
新藤 義孝君 中曽根康隆君
永田磨梨奈君 西銘恒三郎君
東田 淳平君 前川 恵君
松下 英樹君 松島みどり君
山田 基靖君 金城 泰邦君
原田 直樹君 横田 光弘君
佐々木真琴君 木下 敏之君
宇佐美 登君
…………………………………
外務大臣 茂木 敏充君
外務副大臣 国光あやの君
外務大臣政務官 大西 洋平君
外務大臣政務官 島田 智明君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 原 克彦君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 松本 恭典君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 西崎 寿美君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 貝原健太郎君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 大塚 建吾君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局長) 岩本 桂一君
政府参考人
(外務省中東アフリカ局アフリカ部長) 高橋美佐子君
政府参考人
(外務省国際協力局長) 今福 孝男君
政府参考人
(外務省国際法局長) 中村 和彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 松浦 重和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 生田 知子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 秋山 伸一君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 今村 亘君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 山田 仁君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君
政府参考人
(防衛装備庁技術戦略部長) 嶺 康晴君
外務委員会専門員 山本 浩慎君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
岩屋 毅君 塩崎 彰久君
英利アルフィヤ君 鹿嶋 祐介君
東田 淳平君 松下 英樹君
同日
辞任 補欠選任
鹿嶋 祐介君 永田磨梨奈君
塩崎 彰久君 岩屋 毅君
松下 英樹君 東田 淳平君
同日
辞任 補欠選任
永田磨梨奈君 岩崎 比菜君
同日
辞任 補欠選任
岩崎 比菜君 英利アルフィヤ君
―――――――――――――
五月二十一日
日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)
日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)
日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)
刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)
同日
女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(山本ジョージ君紹介)(第五四〇号)
同(有田芳生君紹介)(第五五〇号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)
日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)
日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)
刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)
国際情勢に関する件
――――◇―――――
○國場委員長 これより会議を開きます。
国際情勢に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官松本恭典君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○國場委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○國場委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田基靖君。
○山田(基)委員 おはようございます。自由民主党の山田基靖でございます。
本日、初めて国会議員として質問に立たせていただくわけですけれども、それが、歴史と伝統あるこの外務委員会の場で、しかも外務大臣が茂木大臣ということで、大変緊張しておりますけれども、大臣の胸もかりさせていただきながら、また、この場に立てることを、地元姫路の有権者の皆様方に感謝の気持ちを表明させていただいて、質問に入らせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
本日は、十五分間という限られた時間ですので、切り口を安全保障に絞って進めさせていただきたいと思います。
大臣が所信でも述べられていたとおり、まさに、世界は戦後最も大きな構造的変化の中にあって、我が国と世界を取り巻く環境の変化は加速度的に進んでいると認識しております。
私自身も、大学一年生のときに、九・一一テロという、まさに世界秩序が大きく揺れた現場に偶然居合わせまして、日本を強くしたいという思いで外務省の門をたたかせていただきました。
外務省で最後のポスト、二〇二二年末の安保戦略の改定に携わらせていただきましたけれども、それから三年強たちまして、長引くウクライナ侵略もそうですし、ロシアと北朝鮮による戦略パートナーシップ条約の締結であったり、また中ロ連携の強化、そして中国の右肩上がりの軍事費増加と、我が国周辺の安全保障環境は一層不透明感を増していると思います。また、昨今の中東情勢は言うまでもなく新たな国際社会の大きな火種となり、国際社会の一層の分断リスクを肌で感じているわけでございます。それがゆえに、今こそ我が国ならではの外交を展開していくことが力強く求められているタイミングだと思います。
日本外交は、ちょうど私が二〇〇五年に外務省に入省して間もない頃に、麻生大臣の頃だったと思うんですけれども、自由と繁栄の弧という戦略を提唱されまして、また、二〇一六年に、安倍総理がそのウィングをインド太平洋全体に広げて、FOIPという形で戦略を提唱されたわけですけれども、提唱後、今年で十年となって、価値観外交ではないですけれども、本当に、民主主義、市場経済、法の支配といった基本的な価値観を同盟国、同志国と共有するという力強い外交を展開してきたわけだと思います。
そこで、まさに国際秩序が揺れている今だからこそ日本がリーダーシップを発揮すべきという問題意識の中でお伺いしたいと思うんですけれども、まず、これまで十年間のFOIPの歩みを振り返っていただいて、外交当局として、FOIPを日本外交の柱に据えることの意義、実績を改めてどのように評価しているのか、御答弁いただければと思います。
○貝原政府参考人 お答え申し上げます。
自由で開かれたインド太平洋、いわゆるFOIPは、二〇一六年、当時の安倍総理がケニアで提唱した日本外交のビジョンでございます。太平洋とインド洋という二つの海を囲む成長著しいアジア、潜在力あふれるアフリカ、この二つの大陸において連結性を強化し、この地域において、全ての国が、威圧と無縁で、法の支配に基づく安定した国際秩序の恩恵の下、平和と繁栄を享受することを目指していくとの考えを示したものでございます。
その提唱以来、我が国は日本外交の柱としてFOIPを積極的に推進し、その結果、FOIPは、米国やG7を始めとするいわゆる先進国のみならず、グローバルサウスを含む幅広い国々から受け入れられてまいりました。
今般、高市総理が表明したFOIPの進化は、自由、開放性、包摂性、多様性、法の支配といったFOIPの中核的な理念は堅持しつつ、地域の国々の自律性、強靱性を高め、具体的な協力を通じて、地域全体として共に強く豊かになることを目指すものでございます。
今月二日、ベトナムにおいて高市総理御自身から発信したのに加え、茂木大臣からもFOIP発祥の地であるケニアにおいて発信を行いました。
国際秩序が大きな挑戦を受ける中、一貫した外交姿勢を堅持する日本への期待は高まっております。国際社会から期待される日本の役割と責任を果たしていくためにも、改めて、今回、進化したFOIPという形で日本が目指す外交ビジョンを示したことは意義の大きいものであったというふうに考えております。
今後とも、各国、各地域と協力しながら、日本、相手国、そしてインド太平洋地域全体に利益と恩恵をもたらす具体的な協力を積み重ね、FOIPの実現に向けて邁進してまいりたいと考えております。
○山田(基)委員 ありがとうございます。
混沌とする国際情勢だからこそ、FOIPという共通のビジョンをより多くの国々と共有することで、大臣が所信で述べられた包容力と力強さを兼ね備えた日本外交につながるものと思います。
まさに御答弁ありましたけれども、今回、ゴールデンウィークで、高市総理は、新しい経済安保の切り口でこの進化したFOIPを発表されて、タイミングを同じくして、大臣は、ゴールデンウィークでアフリカを歴訪されて、まさに十年前、ケニアで、安倍元総理が提唱された同じ場所で、FOIPの意義を含めた包括的なアフリカ外交政策スピーチを行われた。このことの意義と狙いを改めて大臣からお伺いできればと思います。
○茂木国務大臣 委員会で、与野党の皆さんから、大変姿勢がいい、こういう評価をいただいている山田委員から御質問いただきました。
アフリカは、グローバルサウスの主要な地域の一つでありまして、高い人口増加率によります若い人口と豊富な天然資源を有する、日本外交にとって重要なパートナーであります。
国際情勢が厳しさを増す中、アフリカ諸国との連携を強化していく、このことは、自由や民主主義といった共通の価値観の推進であったり、我が国自身の経済成長、そして御指摘もありました安全保障にとっても重要であると考えております。
こうした中、今回のゴールデンウィークのアフリカ訪問を捉えまして、十年前に日本が初めて自由で開かれたインド太平洋、FOIPを提唱しましたケニアにおきまして、FOIPの進化、そしてそれを踏まえた日本のアフリカ外交政策について対外発信する、これは、日・アフリカ関係の更なる強化のみならず、日本のグローバルサウス外交の観点からも極めて重要な機会になる、こう考えて、スピーチをケニアにおいて行うということにしたわけであります。
ケニアでのスピーチは、当初、会場は二百五十人ぐらい椅子等を用意していたんですが、実際には五百七十人の方に集まっていただきまして、どうしても立ち見が出てしまう、こういう、多くの方に集まっていただき、熱気にあふれて、日本のアフリカ外交の関心の高さを強く感じたところであります。
最初、スワヒリ語で、ハム・ジャンボ、皆さん、こんにちはと言いましたら、それだけでも拍手が沸く、こういう状態でありました。
引き続き、日本が、アフリカ開発会議、TICAD等を通じてアフリカ各国と長年にわたって築いてきた信頼と協力の実績を基に、アフリカと未来を共につくる、共創するパートナーとして日本らしいアフリカ外交を展開してまいりたい、そのように考えております。
○山田(基)委員 御答弁ありがとうございます。
まさにFOIPは、本当にウィングをどんどん広げていくことが我が国にとって望ましい安全保障環境につながることだと思っています。
来週早々にインドでクアッドの外相会合が予定されていると承知しておりますけれども、バイ、マルチ、プルリ、様々な場面でこのFOIPが広がりを持つことが本当に我が国にとって非常に重要だと思っておりますので、引き続き力強い外交をお願い申し上げまして、私の一問目とさせていただきたいと思います。
次に、ODAと安全保障のテーマで少し進めさせていただきたいと思っていまして、このテーマは、超党派、与党、野党を超えて、この外務委員会のメンバーで危機感を共有できないかという思いで質問させていただきたいと思っています。
もう御案内のとおり、ODAは、我が国始まって以来、規模、水準が非常に低い状況にあります。USAIDが解体される、欧州諸国の予算も軒並み下がってくる、国際機関の予算もどんどん減らされている中にあって、他国の肩代わりを当然日本がするということでは全くないものの、もう御案内のとおりの中国の戦略、一帯一路も含めて、このままだとグローバルサウスの存在感、ますますやはり日本は中国に取って代わられるといった危機感を持つ中で、今回、戦略三文書の改定が、見直されるタイミングに来ている。このタイミングで、改めて、ODAをもう一回復活させるんだという気持ちを持っていくというのは非常に安全保障の視点でも重要だと思っています。
参考人に是非お聞きしたいのが、今、ODAのこの水準で、やはり厳しいんだ、もっともっと増やしていかなければいけないんだという危機感を是非、外務省の政府参考人からまずちょっとお聞きできないかと思いまして、質問させていただきます。
○西崎政府参考人 お答えいたします。
国連総会で採択されました、ODAの対GNI比を〇・七%とする国際目標を念頭に置きつつ、我が国の極めて厳しい財政状況も十分踏まえ、様々な形でODAを拡充すべく必要な努力を行ってきております。最新の二〇二五年暫定値は〇・三五%となり、年ごとに多少の増減は見られるものの、上昇傾向となっております。
委員御指摘のとおり、ODA事業経費のうち外貨建てでの支払い部分については、為替レートの変動による影響を受けます。また、物価高騰などの影響を伴う国内外における調達価格や輸送費、労務費などの高騰は、ODA事業経費の増加につながっております。
国際環境が大きく変化し、日本のODAの戦略的意義が一層高まる中、ODA事業の実施に必要な運営体制や環境を整備するため、外務省として必要な予算の確保に努めてまいります。
○山田(基)委員 御答弁ありがとうございます。
大臣、是非、三文書の改定の中で、ODA、OSAと両輪になる形で、広義の安全保障の経費として是非大臣に引っ張っていただいて、増額につなげていただきたいと思うんです。大臣に御所見をいただければと思います。
○茂木国務大臣 山田委員、大変いい御指摘だ、そんなふうに思っております。
今週、ちょうど、グテーレス事務総長を始め国連関係機関のトップが集まる会合、初めてアジアで、この東京で開かれたわけでありますけれども、そこでも日本の様々な形での国際貢献に対して高い評価をいただいたところであります。
ODAを通じて国際社会の平和と繁栄に貢献すること、これは我が国の平和と安定にもつながるものだと考えております。
例えば、ODAによります巡視船の供与であったりとか人材育成など、海上法執行機関の能力強化は、我が国の安全保障にとって重要なシーレーンの安定にも資すると考えております。また、港湾であったり空港など、同志国の戦略的に重要なインフラを整備することは、相手国のみならず我が国にとっても望ましい安全保障環境を創出していく、さらには経済活動の発展にも資するものだと考えております。
国際情勢が厳しさを増す中、OSAとともに安全保障分野におけるODAを強化していくことで、地域の平和と安定のための連携拡大を通じて、FOIPの戦略的な進化にも一層貢献していくことが重要だと考えております。
新たな安全保障戦略等を始めとする三文書、今年改定する予定でありますが、それを踏まえて、今後の予算の在り方については、こうしたODAの安全保障への貢献の重要度を踏まえたこととなるように関係省庁とも調整をしてまいりたい、このように考えております。
○山田(基)委員 大変力強いお言葉、ありがとうございます。
是非、このODA、反転をしていくという気概を外務委員としても持っていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
残り時間は僅かですので、最後に、中東情勢の点だけ一点お伺いしたいと思います。
私、地元は姫路なんですけれども、非常に、物づくり、産業の町、これは恐らく、各委員の方々はいろいろなところで、ナフサの問題も、また石油危機、エネルギー価格の問題もいろいろと、陳情もあったり、非常に厳しい状況にあると思うんです。
前回の外務委員会で、大臣の方から、ホルムズ海峡は通過通航制度が適用される国際海峡であると、御認識をいただいたと思います。この点で、イラン政府は、今までは、通航料を支払ったら通ってもいいといったようなことを述べてみたり、一部運用が開始されているとの報道も散見されましたけれども、イラン政府がこのような通航料を求める運用というのは、同海峡が通過通航制度が適用される国際海峡であるとの認識に立つと国際法上どのように評価されるのか、海洋法条約に加えて慣習法上の観点からも……
○國場委員長 まとめてください。
○山田(基)委員 御答弁いただきたいと思います。
以上です。
○國場委員長 中村国際法局長、簡潔な答弁、御協力をお願いします。
○中村政府参考人 お答えをいたします。
五月十三日の本委員会において、ホルムズ海峡は国際海峡であると答弁したこと、御指摘のとおりでございます。
国連海洋法条約に規定しますところの通過通航制度というのは、その制度が適用される海峡におきまして、全ての船舶による航行の自由そして全ての航空機による上空飛行の自由が継続的かつ迅速な通過のためにのみ保障される、これを中核とする制度でございます。
イランは国連海洋法条約を締結していないわけでございますが、今般の政府の精査の結果、近年の国家実行の集積、学説の発展も踏まえますと、その国連海洋法条約に規定する通過通航制度の中核的内容につきましては慣習国際法化している、こういう認識に至ったものでございます。
その上で、御質問の通航料についてお答えいたしますと、一般論になりますが、国際法上、通過通航制度が適用される国際海峡におきまして、沿岸国は通航のみを理由として外国船舶に対して通航料を課すことは認められないということでございます。
その上で、ただ、イラン政府が実際に具体的にホルムズ海峡通過に関する通航料をどう徴収しているか、こういうことにつきましては、その目的、あるいはどういう手段で行っているかということが具体的に判然としませんので、日本政府として確定的な見解を述べることは困難であるということでございます。
○山田(基)委員 終わりにします。ありがとうございました。
○國場委員長 次に、金城泰邦君。
○金城委員 おはようございます。中道改革連合、金城泰邦でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
また、本日は、我ら地元の沖縄、特に西銘先生の地元の南風原町の皆様、ようこそお越しいただきました。ありがとうございます。
では、質問に入りますが、初めに日韓首脳会談について伺いたいと思います。
今月十九日、韓国の南東部、安東で、高市総理と李在明大統領による日韓首脳会談が開催されました。緊迫する中東情勢を踏まえ、原油や石油製品、液化天然ガスの相互融通を含む日韓のエネルギー安全保障の強化で一致したと報道されております。インド太平洋地域の石油備蓄を含む供給安定化に向けた協力拡大も確認をし、具体策を協議する産業・通商政策対話の創設で合意でき、会談の成果を盛り込んだ共同文書が発表されました。
先般の外務委員会で茂木大臣は、韓国は国際社会の様々な重要な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国であります、特に北朝鮮への対応を含めて、現下の戦略環境を踏まえれば、日韓、日米韓で緊密に連携していくことの重要性は一層高まっていると述べられましたが、まさに今回の首脳会談では、日韓の協力関係が一層前進した有意義な会談になったものと思っております。
この日韓首脳会談の成果について、茂木外務大臣に伺いたいと思います。
○茂木国務大臣 今日の委員会では、わざわざ沖縄の方から傍聴に来ていただいた方々、心から歓迎を申し上げる次第であります。
今般の日韓首脳会談においては、日韓関係全般及び中東情勢も踏まえたインド太平洋の地域情勢について、率直な意見交換が行われたところであります。昨年からこれで三回目になるわけでありますけれども、昨年の韓国での首脳会談は、私も同席をさせていただきましたが、最初から非常にいい雰囲気で会談が行われておりまして、かみ合った議論が続いていると思っているところであります。
両首脳は、日韓関係の戦略的重要性について今回も認識を共有し、良好な日韓関係の基調を維持強化していくこと等で一致をいたしました。また、現下の国際情勢を踏まえて、インド太平洋地域の平和と安定を促進するために、日米同盟また米韓同盟、そしてその戦略的連携によります抑止力、対処力の維持強化を含めて、日韓が主体的に取り組んでいくことの重要性について認識を共有をしたところであります。
今回のシャトル外交は李在明大統領の故郷であります安東を訪問した、前回は奈良を訪問していただいた、こういうこともありまして、両首脳の信頼関係を更に強化する機会になったと考えております。また、両首脳は、今後も、シャトル外交の積極的な実施を含めて、日韓両政府間で緊密に意思疎通を続けていくことで一致をいたしました。
ちょうど私が前回外務大臣を務めておりましたときは、かなり日韓関係が冷え込んでいる、こういう状況から一変したなと。未来志向で両国の関係を発展させていこうということで、これから様々な分野での協力もしっかりと進めていきたい、こんなふうに考えております。
○金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。しっかりと日韓関係に努めていただきたいと思います。
続きまして、ホルムズ海峡が封鎖をされ、日韓両国とも原油や石油製品の確保が急務となっております。共同通信の世論調査では、プラスチック原料のナフサの調達不足による生活への影響に不安を感じるとの回答が七割を超えております。昨日の閣僚会議で、総理大臣は目詰まりの実態把握を指示されたとの報道もありました。
高市内閣は、先月、アジア全体でエネルギー確保を設けることを決めたアジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ、通称パワー・アジアを発表いたしました。具体的には、政府系機関を通じてアジア各国の製油所に保険を提供して代金回収を保証することで、中東からの原油調達を支援、それによってアジアから医療物資などの石油製品を円滑に調達できるようにする狙いがあり、将来的にはアジア全体で原油の備蓄に取り組むことも想定しているものと承知をしており、大変重要な取組であると思っております。
今回の日韓首脳会談を受けて、通称パワー・アジア、この枠組みでの韓国との取組の具体的な内容について、可能であれば伺いたいと思いますが、御答弁をよろしくお願いします。
○山田政府参考人 お答え申し上げます。
五月十九日の日韓首脳会談におきまして、韓国の産業通商部と経済産業省の連名で、エネルギー安全保障及びサプライチェーン強靱化に関する協力についての共同プレスリリースを発表いたしております。
今後、この首脳会談の成果を踏まえまして、パワー・アジア等の取組を通じて、備蓄を含む分野において、アジアにおけるエネルギー供給強靱化に向けた協力の可能性を検討していくこととしてございます。
今後、更なる具体化に向けて、韓国側と密に連携をしてまいりたいと考えております。
○金城委員 ありがとうございました。
続きまして、ロシアと軍事協力を進める北朝鮮がミサイルの能力を向上させたり、米国が戦力を中東に割いたことでアジアに力の空白が生まれている状況も軽視できない状況であります。
そこで、今般の日韓首脳会談で、日韓及び日米韓の安保協力、この連携がどのように進んでいくのかについて伺いたいと思います。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
今回の会談におきましては、冒頭、大臣からもございましたけれども、両首脳は、日米同盟、米韓同盟、そしてその戦略的連携による抑止力、対処力の維持強化を含め、日韓が主体的に取り組んでいくことの重要性について認識を共有したところでございますけれども、この文脈では、特に先般、日韓安全保障対話が初めて次官級で開催されたことを両首脳は歓迎したところでございます。また、両首脳は、日韓それから日米韓の安全保障協力を含む戦略的な連携の重要性について一致したところでございます。
両首脳は、これまでも具体的な日米韓の協力が進んでいることを歓迎し、安全保障そして経済安全保障を含む日米韓の具体的な協力を持続、強化するため、一層緊密に情報共有をし、協力していくという意思を確認したところでございます。
○金城委員 ありがとうございます。
日韓のしっかりした協力で抑止力を高めていく取組を今後もしっかり続けていっていただきたいと思います。
続きまして、李大統領は、共同発表で日中韓の関係に言及をし、北東アジア地域の平和と安定のため、日中韓が互いに尊重、協力して共通の利益を模索することが重要という趣旨の発言をされたように報道されております。
この一年間の韓国との関係改善はすばらしいことであると評価すべきであります。中国とも協力をして共通の利益を追求していくことが必要であり、それがアジアの真の安定と日本の国益にもつながっていくことであると考えております。
中国が日本の隣国であることは、今後も変えることはできません。地政学的にもそういう状況であります。経済面だけでなく、文化面でも大きく関与してきた国でもあります。
今回の会談で、日中韓の関係についてどのような協議であったのか、外務省より説明をいただきたいと思います。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
今般の会談におきまして、両首脳は、日韓関係全般それから中東情勢も踏まえたインド太平洋の地域情勢について率直な意見交換を行ったところでございますけれども、その中で、李在明大統領から、日中韓の協力の重要性についても言及があったところでございます。
日中韓三か国の間で様々な課題について率直な対話を行い、未来志向の交流と協力を推進することは、三か国の共通の利益でございまして、地域そして国際社会の平和と繁栄にとっても重要であると考えているところでございます。
○金城委員 ありがとうございました。
今後も、首脳同士の頻繁な往来によって、日韓が抱えている共通の課題の克服につなげていただくことを期待をしております。
日中関係の改善に向けてでありますが、現在、日中関係は、政治、経済、安全保障などのあらゆる面で深刻な冷え込みを見せております。
転換点となったのは、昨年十一月七日の衆議院予算委員会における高市総理の、台湾有事は日本の存立危機事態になり得る旨の国会答弁であり、これに対して中国側が猛反発をし、自国民に日本への渡航自粛を呼びかけました。その結果、日本国内のホテルで中国人によるキャンセルが相次ぎ、訪日旅行消費額が二兆円に上る中国人観光客が激減したことで、日本経済に深刻な影響を及ぼしております。
また、日本はレアアースの約七割を中国から輸入しておりますが、本年一月、中国はレアアースを含む軍民共用の品目の対日輸出規制を強化すると発表し、現状では、自動車や部品メーカーが一定量のレアアースを在庫として抱えており、生産への影響は出ていないものの、長期化すれば影響はあるであろうなどとの不安の声もあり、問題が長期化した場合には日本の経済成長を下押しする懸念もあります。
そこで、日中関係がかつてないレベルで悪化しつつありますが、中国による渡航自粛やレアアースの対日輸出規制などについて、外務省の現状認識、受け止めを聞きたいと思います。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
中国による、二国間の人的交流を萎縮させるかのような渡航自粛要請につきましては、日中両国で確認しております戦略的互恵関係の包括的な推進や建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性と相入れないものと考えております。
また、委員から御指摘がございました、我が国のみをターゲットとした一連の輸出管理措置でございますけれども、国際的な慣行とも大きく異なり、決して許容できないものでございまして、強く抗議をするとともに、措置の撤回を求めているところでございます。
その上で、一般論として申し上げますれば、経済安全保障の観点から、特定国への依存度を減らすことは非常に重要でございまして、政府としても、サプライチェーンの多角化、強靱化を含め、関係国とも緊密に連携しつつ、必要な取組を加速化していきたいと考えているところでございます。
○金城委員 さらに、安全保障面では、反撃能力、敵基地攻撃能力のある長射程ミサイル、スタンドオフミサイルの配備に対して、中国側が反発を強めております。
本年三月、富士駐屯地や健軍駐屯地に、射程千キロを超える長射程ミサイルを運用する部隊が配備をされました。日本側はこれを、軍事的圧力を強める中国を念頭に、抑止力の強化と説明をしておりますが、中国側は自国の安全保障上の脅威として警戒をしております。
このような状況の中、政府は年内に、安全保障関連三文書、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画、この三文書の改定を予定しておりますが、政府・与党内では、国家安全保障戦略において中国をこれまでの「深刻な懸念事項」や「最大の戦略的な挑戦」から脅威へと格上げする、そういった議論があり、更なる対立の激化が懸念をされるところであります。
日本側の長射程ミサイル配備等について中国側は警戒を強めていることへの政府の受け止め、見解を伺いたいと思います。
○寺田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の防衛政策や防衛力整備は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではございません。我が国は、戦後一貫して、日本国憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本方針に従い、平和国家としての道を歩んでまいりました。今後とも、こうした平和国家としての歩みを決して変えることはございません。
そして、スタンドオフミサイルを含め、我が国が保有する防衛力が、相手から武力攻撃を受けた場合に初めて行使される自衛のための必要最小限の防衛力であることにも変わりはございません。
その上で、我が国のこうした平和国家としての歩み、また、現在においても、日米同盟を基軸として、インド太平洋地域、さらには世界の平和と繁栄に大きな貢献を行っているということは、国際社会に広く受け入れられている事実であるというふうに考えております。
いずれにいたしましても、我が国としては、今後とも、こうした平和国家としての歩みを決して変えることはございませんし、また、引き続き、我が国の抑止力、対処力を強化するため、スタンドオフミサイルの配備を着実に進めてまいります。
○金城委員 我が国としての防衛力強化についても、いわゆる特定の国を名指しでやる防衛ではないということは、私は大事だと思っています。
今、ロシアによるウクライナ侵略もあります。そして、パレスチナ紛争もありました。イランの紛争もあります。そういった国際的環境というのは、これまでとは違う状況であります。
そういった中で、我が国は、攻撃を受けるとしたならば、それに対する反撃をすることで防衛力になる、その防衛力が足りない分を補うという議論はこれまでもやってまいりましたし、それはしっかりと整えていくべきだと思いますが、この反撃、防衛、こういったことを超えて、攻撃という部分を強く打ち出していく、あるいは特定の国を名指しするようなことというのは、我が国の方から発信するメッセージではないと思っております。今の防衛力強化も、あらゆる場面から国民を守る取組を日本としてやっているんだということを、しっかりとメッセージを発信していただきたいと思っております。
質問が変わります。
これまで、政治的な対立の中でも日中の相互理解を支えていた民間交流すらも、かつてない苦境にさらされております。昨年のあの発言以降、両国の大学間の協定に基づく留学プログラムが一部で停止をしております。報道によりますと、中国の複数の主要大学で日本への交換留学などを取りやめたことが判明しておりますが、政府はこの事態を把握しているのでしょうか。
我が国としては、交換留学や学術交流などを含めて、日中間の民間交流を絶やさず、継続的なアプローチが必要であると考えますが、文科省、外務省にそれぞれ見解を伺いたいと思います。
○松浦政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、一部の大学におきまして中国と日本の交換留学や学術交流の取りやめが発生しているという事実は、我々も把握しているところであります。一方で、これまでどおりの交流が続いている大学もあるというふうに承知しております。
文部科学省といたしましては、中国を含め多様な国及び地域から優秀な外国人留学生等を受け入れることは、大学等における教育研究活動の質や国際競争力の向上に資するものと考えております。また、若年層の相互理解を促進し、中長期的な日中関係の安定に資する人材を育成していく上で、大学における多様な国及び地域との相互交流は重要であるというふうに考えておりまして、引き続き、状況を注視してまいります。
○大塚政府参考人 お答えいたします。
日中間には様々な懸案と課題があるからこそ、委員御指摘の交換留学などを含めまして、民間交流も重要であると考えているところでございます。
引き続き、邦人の安全確保にも万全を期しながら、国民レベルでの相互理解の深化と相互信頼の醸成に努めていきたいと外務省としても考えているところでございます。
○金城委員 今後の学術交流が損なわれないように努めていただきたいと思いますし、事教育の更なる、今後も国として特に科学技術の分野などを伸ばしていくという方針があるわけですから、そういった意味においては、あらゆる国からの学生を受け入れ、そして、日本の学生とともに切磋琢磨する中で、刺激を受けてますます力を伸ばしていく、そういう政策を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
あと、台湾有事が今現実味を帯びてしまった場合ですけれども、今日も地元から皆さんに来ていただいておりますが、私どもの地元の沖縄、ここが真っ先に巻き込まれる可能性が高いという状況の中で、今、移動するための様々な取組とかも準備がされております。
北朝鮮の脅威なども踏まえますと、抑止のための防衛力、先ほども議論しました、これは必ずしも否定されるものではありません。しかしながら、偶発的な衝突を避け、平和的な日中関係を維持するためには、互いの意思疎通は不可欠であります。
今、政府の方で、先島諸島の五市町村において、有事の際に一定期間滞在可能な特定臨時避難施設、地下シェルターの整備を進めたり、台湾有事を想定し、先島諸島の住民、観光客約十二万人を、航空機や船舶を用いて六日間で九州、山口の八県に避難させる計画の具体化を進めております。
私は、今月十日、十一日と、与那国島の方に視察に行きました。住民の方とも多く意見交換をしました。その中で、住民の皆様からいただいた声としては、避難の計画も確かに大事ではありますが、政府においては、何よりも避難しないでいいようにしてもらいたいという強い要望をたくさん受けてまいりました。
現在の緊張を緩和し、互恵的な関係を再構築するためにも、中国との外交正常化に向けて積極的に対話をすべきと考えますが、政府の現在の取組状況と今後の方針について伺いたいと思います。
○茂木国務大臣 日本として、中国との間で戦略的互恵関係を包括的に推進をし、また建設的、安定的な関係を構築していく、この方針は一貫をしております。
日本と中国は隣国であります。隣国というものは、えてして様々な懸案であったりとか課題というのがある。これは日中に限らず、中世以来、ヨーロッパでいいますとドイツとフランス、常に様々な課題を抱え、紛争も起こり、普仏戦争であったりとかアルザス・ロレーヌ地方の取り合い、こういったことも起こっておりましたし、現在も、アフリカにおいても東南アジアにおいても、隣国同士で様々な問題というのは起こっております。
日中間、こういった様々な懸案と課題があるからこそ意思疎通が重要でありまして、これは金城委員御指摘のとおりだと思っておりまして、日本として、中国との対話についてオープンであります。先週から今週にかけまして、APEC関連会合に出席をするために、黄川田男女共同参画担当大臣、さらには赤澤経済大臣、そして外務省でも堀井副大臣が訪中をしているところでありまして、こうした様々なチャンネルや機会も生かしながら、国益の観点から、引き続き冷静かつ適切に対応していきたいと思っております。
日本として、決して、事態をエスカレーションしよう、こういう思いはありません。鎮静化できるように様々な取組を進めていければ、こんなふうに思っております。
○金城委員 大臣、御丁寧に答弁いただきまして、ありがとうございます。しっかりと沖縄の島々を守っていく取組、そのためには対話を、しっかりと日本の側から発信を進めていく、そういった取組を今後もやっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
質問が変わります。国連改革についてでございます。
今月十八日、東京の国連大学で、日本の国連加盟七十周年を記念するシンポジウムが開催をされました。シンポジウムは、日本と国連の七十年の歩みと多国間主義の未来がテーマであり、来日中の国連のグテーレス事務総長と茂木外務大臣が基調講演をされました。また、今後の日本の発展を担う若いリーダーも参加してのパネルディスカッションや、会場参加の学生等からの質疑応答も行うなど、盛会裏に終了されたと思います。
また、年に二回開催されている国連システム幹部会の東京開催、アジアでの初開催、この実現につきましても、茂木大臣始め外務省の皆様の御尽力に心から敬意を表したいと思っております。
そこで、伺いたいと思います。
茂木外務大臣は、国連大学でのシンポジウムにおける基調講演の冒頭で、日本と国連の協力の歴史は、多国間主義に対する日本の揺るぎないコミットメントの歴史であるとの趣旨を述べられました。日本が国連で果たしてきたコミットメントの重要事項を具体的に説明いただければと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
○茂木国務大臣 我が国は、一九五六年に国連に加盟して以来、国連の活動の三本柱であります国際の平和と安全、そして開発、さらに人権人道分野におきまして、多国間協力を通じた政策目的の実現を図ってきたところであります。
我が国として、特に三点。一つは、人間の安全保障の考え方の下での平和構築、紛争の防止、予防、そして二つ目に、自由で開かれた国際秩序を維持強化する上で重要な法の支配、三つ目に、国連がその機能を十分に発揮するための国連改革等を重視をしておりまして、こうした分野で国連における議論に貢献をしてまいりました。こういった日本の貢献については、今週、私もグテーレス事務総長を始め国連機関のトップの皆さんとお会いをいたしましたが、日本の貢献について非常に高い評価、グテーレス事務総長を始め各機関の皆さんからもそれぞれ高い評価を受けたところであります。
そして、御指摘の十八日に行いました国連大学での私の基調講演において、日本は、特に平和構築・紛争予防、法の支配、国連改革の分野で、国連の場において一層リーダーシップを発揮していく旨述べたところであります。
国連は、創設当時五十一か国であったのが、今、百九十三か国まで増えております。そういった国際社会の実態をしっかりと反映した国連改革というのは極めて重要だ、こんなふうに考えているところであります。
今後も、日本として、包容力と力強さを兼ね備えた外交を通じて、国連を中核とする多国間主義にコミットをし、国連とともに平和を築き、法の支配を守り、そして改革を推進していきたい、こんなふうに考えております。
○金城委員 大臣、力強い答弁、ありがとうございました。
次は、米国の国際機関への対応について、関連して質問したいと思います。
先ほど答弁にもありましたように、日本が多国間主義でのアプローチを重要視する一方で、マルチラテラリズムに基づく国際協調の枠組みを否定するトランプ米大統領は、本年一月七日、六十六の国際機関からの脱退又は資金拠出の停止を指示する大統領覚書を発表しました。米国のウォルツ国連大使は、国連機関からの脱退や資金拠出停止について、対象を検討していく考えを示しております。
第二期トランプ政権下において離脱した又は離脱を表明した国際機関についての把握状況を外務省に伺いたいと思います。
○貝原政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、トランプ米国大統領は、米国時間本年一月七日、六十六の国際機関から米国が離脱する旨表明をいたしております。
その影響は国際機関によって異なるため、一概に申し上げることは困難ではございますけれども、例えば、これまで米国が資金拠出を行っていた国際機関、そういった機関においては、例えば財政面で一定の影響等を受けているものというふうに認識しております。
○金城委員 国連総会は、昨年十二月三十日、協議が難航していた二〇二六年の通常予算案を、議場の総意により無投票で採択しました。米国の圧力により、予算を前年比で一割近く減らし、人員も二千六百人以上削減をしました。
国連が、最大の拠出国である米国のトランプ大統領の出方を見ながら政策を進めるような状況になってはならないと考えております。また、大幅な人員削減も行われているようでありますが、外務省の対応状況を伺いたいと思います。
○貝原政府参考人 お答え申し上げます。
我が国は、一九五六年に国連に加盟して以来七十年、国連の活動の三本柱である平和と安全、開発及び人権人道を始めとする様々な分野において、多国間協力を通じた政策目的の実現を図ってまいりました。
我が国も、国連はより強靱で実効性のある組織となるよう改革が必要であるとの考えではありますが、その上で、国連は多様な分野における国際社会の課題に取り組んでおり、多国間主義の中核を成す重要な役割を担っておりますことから、我が国としては、今後とも、国連を支え、かつ、しっかりと協力を深め、日本としての政策目的の実現を図ってまいる考えでございます。
その上で、お尋ねの人員削減の関連でございますけれども、グテーレス国連事務総長は、昨年三月、国連の効率性と実効性を高めるためにUN80という改革イニシアチブを発表しております。この国連主導の国連改革の一環として、人員ですとか予算の削減というものが行われておりまして、その結果として、邦人職員等の勤務に一定の影響が生じる事案も一部に発生しているということは認識しております。
ただ、その上で、外務省としましては、従来から国際機関における邦人職員の増強というのを非常に重視しておりますので、今後とも、邦人職員の雇用機会の確保等に向けて、最大限努力を図ってまいりたいと思っております。今週も、グテーレス事務総長が訪日した機会も捉えまして、茂木大臣から、邦人職員の採用、昇進に配慮をお願いする旨お伝えした次第でございます。
○金城委員 御答弁ありがとうございました。
残りの国連の質問はちょっと省かせていただきたいと思います。済みません。
NPTの運用検討会議について伺います。
NPT運用検討会議が先月二十七日にニューヨークで開始し、今月二十二日、まさに本日の米国東部時間で閉会をいたします。高市総理は、同会議へのメッセージで、核兵器不使用の歴史を継続し、NPTへのコミットメントを一層強固にし、今回の会議を否定的連鎖を断ち切る対話の一歩とすることが求められていますと述べられました。
核兵器のない世界の実現に向け、日本政府として、会議の成果文書採択を目指して最終の協議に入っているものと思います。また、国連大学でのシンポジウムにおいて、グテーレス事務総長は、核兵器のない世界は日本と国連のDNAに深く刻まれた目標だと述べられております。
それで、質問でございますが、核兵器のない世界の実現への第一歩として、この会議での成果文書の採択は極めて重要であると考えております。同会議において日本が主張してきたこと、及び文書採択に向けての外務大臣の決意を伺えればと思います。
○茂木国務大臣 これまで二回にわたって成果文書をまとめることができなかった、今回、成果文書をどうしてもまとめなければいけない、そういう強い思いは共有をいたしております。NPT運用検討会議は現在大詰めの状況にありますが、全てのNPT締約国で見解を一致させることはなかなか容易ではない、こういう状況が続いております。
事前に私から、会議の成功のために議長を最大限支援すること、これが一つ目であります、そして二つ目に、日本が主導する多国間グループ等を活用してNPT体制の維持強化に向けた機運醸成に全力を挙げること、さらに三つ目として、被爆の実相への国際社会の理解の促進に努めること等について指示を出しておりまして、これに基づきまして我が国の代表団が外交努力を最大限払っているところでありまして、三つの委員会といいますかグループにおきましても、それぞれ大使を張りつけて協議に臨んでいるところであります。
さらには、会議冒頭には国光外務副大臣、そして今週には英利外務大臣政務官を派遣いたしまして、議長であったり各国代表と直接やり取りを行いまして、関係国間の意見が一致できる点を見出すべく、調整を主導してきたところであります。
会議の趨勢は予断を許さない状況にあるわけでありますが、残り一日、最後まで最善を尽くしてまいりたいと考えております。
○金城委員 大臣の力強い御決意もいただきました。しっかりと日本がリードしてこの取組を前に進めていただければという思いを述べまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○國場委員長 次に、原田直樹君。
○原田委員 おはようございます。中道改革連合の原田直樹です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、三十五分ほどお時間をいただいております。前半で、先週行われた米中首脳会談に対する日本政府の受け止めと対応について、そして、後半で、国際保健についてお伺いしたいと思っております。
昨今のこの国際情勢が激動をする中で、日本外交には、目先の危機に備える現実的な対応と、一方で、中長期の国際公共財を支える責任ある貢献、その両方が求められていると考えております。そうした問題意識に沿って、まずは直近の米中首脳会談について伺います。
アメリカと中国は、言うまでもなく世界の大国であり、日本とは安全保障、経済を含む様々な面で関係の深い二か国であります。報道によれば、米中首脳会談の終了後にはトランプ大統領と高市総理との間で電話会談も行われ、一定の共有があったともされております。
そこで、大臣にお伺いいたします。
日本政府として、今回の米中首脳会談について、どのような点に注目し、その結果をどのように受け止めているのでしょうか。日本にとって評価できる点はどこであり、逆に、期待したとおりでなかった点はどういったところにあるのでしょうか。
○茂木国務大臣 米中関係が日本を含みます国際社会の安定に資するものとなることが重要である。当然、アメリカと中国は、経済面におきましても技術面におきましても、様々な面で超大国であるということは間違いないわけでありまして、この関係が安定をするということは非常に重要であると考えております。今般の米中首脳会談についても、高い関心を持って注視をしてきたところであります。
今回の米中首脳会談におきましては、今後の米中関係の方向性に加えまして、イラン情勢であったりとか、貿易・投資等、幅広い分野について意見が行われた、このように承知をいたしております。引き続き、我が国に対する影響も含めて、更に情報収集を進めて、適切に対応していきたいと思っております。
いずれにしても、政府として、引き続き、同盟国たる米国との強固な信頼関係の下、中国に対して、その立場にふさわしい責任を果たすように働きかけていくことが重要であると考えております。
外交において、先生の方から目先の対応と中長期的な方針という話がありましたが、基本は、中長期的にどうしていくのか、長い目で見て、国際社会の在り方、また日本外交の在り方というのを考えながら、当面、今、直面している課題を一つ一つ解決していく、こういう姿勢が私は必要なんじゃないかなと考えております。
○原田委員 御答弁ありがとうございます。
次に、日本の役割についてお伺いをしたいと思います。
今回の米中首脳会談で、アメリカ、中国、それぞれ当局の発表、また様々なメディアによる報道がされておりますけれども、米中両国が建設的な戦略的安定関係を築くことで一致されたということについては、双方の発表や報道を見ても一致をした点であると思っております。今大臣の御答弁にもありましたけれども、米中関係が不必要に不安定化しない、安定をしていくということは、国際社会にとって歓迎すべきことであると思います。
一方で、トランプ大統領は、米中関係をG2と称しており、米中両国が自国の利益を優先することで、国際社会全体に影響するような重要な課題が、日本も含めて他の国々の意思を十分に反映しない形で動いていってしまう、そうしたことへの懸念もございます。
そうした問題意識を踏まえて、お伺いをいたします。
米中双方が発表した建設的な戦略的安定関係とは、どのような状態を指すと日本政府としては考えており、また、それが日本や国際社会にどのような影響を及ぼし得ると見ていらっしゃるのでしょうか。また、高市総理は世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻すと述べておられますが、その実現のために、日本はこれからどのような役割を積極的に果たしていくべきとお考えなのでしょうか。
○茂木国務大臣 御指摘の点について、米国のファクトシートを見てみますと、米国と中国が公平性と相互性を基盤として、建設的な戦略的安定関係を構築するべきであるということで一致した、このように米国のファクトシートでは発表がされております。また、中国側の発表にも、米中の建設的な戦略的安定関係を米中関係の新たな位置づけとする旨の記載があるところであります。
では、その意味するところということでありますけれども、二国間関係について、建設的という言葉であったりとか戦略的という言葉であったりとか安定、これは、原田委員も御案内のとおり、いろいろな形で使われておりますし、また、これは、日本とどこかの関係であればこういう関係だと説明できますけれども、他国間のやり取りでありまして、日本政府として、こういうことなんだということについて、コメントする立場にありません。
いずれにしましても、米中関係が日本を含みます国際社会の安定に資するものとなることが重要であると考えておりますし、米国との間では同盟関係があるわけであります。この強い同盟関係の下、様々な課題について意見のすり合わせというのはしっかりと進めてきておりますし、今後もそうしてまいりたい、このように考えております。
○原田委員 御答弁ありがとうございます。
次に、対米外交について伺います。
米国第一を掲げるトランプ大統領に対して、我が国としては、法の支配、自由で開かれた国際秩序の重要性を引き続き丁寧かつ粘り強く伝えていく必要があると私は考えております。そして、そうした取組は、日本単独ではなくて、同志国と連携をして進めることが極めて重要であります。
そこで、お伺いをいたします。
先ほど山田委員の質疑の中でもありましたけれども、来週インドで日米豪印、いわゆるクアッドの外相会合が開催をされ、茂木外務大臣も出席をされるとのことでありますが、その場ではどういった問題意識でどのような論点を議論するお考えでしょうか。
また、このクアッドの枠組みについては、アメリカがバイデン政権であったときには首脳会合も開催をされておりましたが、トランプ政権になって以降はまだ首脳会合が開かれておりません。私は、日本として、是非クアッドの首脳会合を開催するべく働きかけていくべきだと考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
○茂木国務大臣 御案内のとおり、日本外交の基軸は日米同盟にあるわけでありますが、同時に、同志国との連携を一層深めていく、さらに、今、国際社会で発言力を増しておりますグローバルサウス、こことの関与を強めていくということは極めて重要になっていると思っております。そういった同志国との連携、この中でもクアッドというものは極めて重要だと思っております。
私は、来週五月二十五日からインドを訪問しまして、二十六日にニューデリーにおきまして日米豪印の外相会合に出席をいたします。十一回目の外相会合になると思いますが、第一回目も、ちょうど二〇一九年九月でありましたが、国連総会の際に、当時私は一回目の外務大臣でありましたが、その外相会合に出席した。私にとっても非常に思い入れのある会合ということになるわけであります。
今回の外相会合におきましては、国際秩序の構造的な変化に直面をする中、国際情勢について外相間で戦略的かつ率直な意見交換を行いたいと考えております。米国のマルコ・ルビオ国務長官、さらには、ふだんはジェイと呼んでおりますけれども、インドのジャイシャンカル外相、さらには、先日も訪日をされましたが、オーストラリアのウォン外相とも個人的にも様々なやり取りをしておりますので、率直な意見交換ができるのではないかなと考えております。
また、自由で開かれたインド太平洋の実現へのコミットを再確認し、さらに、今後のあり得べき具体的な協力について議論するということを今回のクアッドにおいては想定をしております。また、今般の外相会合においては、あり得べき首脳会合も見据え、外相間でしっかりコミュニケーションを取りたい、このように考えております。
その上で、日米豪印を含みます地域の同志国のネットワークを強化していくことの重要性は、日米間を含め、各国の首脳、外相レベルで累次にわたって確認をしてきているところであります。我が国として、引き続き、日米豪印の協力を一層深化させ、地域の国々に真に裨益する取組を力強く推進をしていきたいと思っております。
かなりこのクアッドの枠組みでの協力は、例えばコロナの頃は医療分野での協力を強化するとか、そういった協力の幅というのも広がっているところでありまして、そういった中で、一つ一つ具体的な実績を出していく、また、ほかの他国が提示する様々な支援とは異なる新たな選択肢を日米豪印が途上国等に提供していく、こういったことは極めて重要だ、こんなふうに考えております。
○原田委員 大変丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
続いて、アメリカともう一方の中国、対中外交についてお伺いをしたいと思います。
日本は、昨年十一月の高市総理の国会答弁以降、中国との間で十分な対話が進んでいない、そうした理解をしております。先ほど金城委員からの質疑の中でも対中外交には触れておりまして、大臣の方からも、課題があるからこそ意思疎通が重要である、また、複数の政務三役の訪中についても触れていただいたところであります。しかし、一方で、なかなか首脳会談といったレベルでの突破口は見えてこない、なかなか糸口がつかめない、そうした状況は依然としてあるというふうに思っております。
他方で、今、米中首脳会談の文脈で質問しておりますけれども、米中間では、今年の年内に、今後も首脳会談が複数重ねられる可能性、予定が指摘をされておりまして、十一月に中国で開催されるAPECや、十二月にアメリカで開催されるG20といった多国間の枠組みの機会を使っての首脳会談の可能性、こうしたことも言及をされております。
そこで、お伺いをいたします。
日本政府としては、対中国という意味ですけれども、この多国間の枠組みの機会、APECやG20、今言及しましたけれども、こうした機会も生かしながら、日中首脳会談の対話の糸口を何とか見出していっていただきたい、このように思いますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。
○茂木国務大臣 原田委員、先ほどの金城委員の御質問とほぼ一緒なんですね。そうすると、私として、金城委員にお答えしたのと全く違うお答えをするというわけにいかないということは是非御理解いただきたいと思いますが、日本として、中国との間で戦略的互恵関係を包括的に推進をし、建設的かつ安定的な関係を構築していく、こういった方針は一貫をいたしております。
そして、別にもう一回普仏戦争の話をするつもりはありませんけれども、我が国としては、中国との間で様々な懸案と課題があるからこそ意思疎通が重要であって、中国との対話について、これはトップレベルはもちろんでありますけれども、様々なレベルにおいてオープンであります。ですから、先週から今週にかけて、APECの関連会合に出席するために、黄川田男女共同参画担当大臣、赤澤大臣、そして堀井副大臣が訪中をしているところであります。こうした様々なチャンネルや機会を活用して、国益の観点から、引き続き冷静かつ適切に対応していきたいと思っております。
そういった国際会議があったときに、今申し上げたように、日本が、どこの国だから出席をしない、こういう立場を取っているわけではないということは是非御理解いただければと思います。
○原田委員 御答弁ありがとうございます。
続いて、台湾海峡の情勢についてお伺いをいたします。
中国は、今回の米中首脳会談の中でも、台湾問題が米中関係において最も重要な問題であるとの立場を改めて強調し、アメリカの関与を強く牽制したと報じられております。また、アメリカによる台湾への武器売却や、関税、レアアース等の重要鉱物、農産物や航空機の購入など、経済と安全保障が複雑に絡み合う形で議論や交渉が進んでいるとも伝えられております。
私は、台湾海峡の平和と安定が経済的な交渉のカードとして扱われ、仮に、アメリカが経済的な利益を優先することによって結果的に安全保障のバランスが崩れる、そうしたことがあってはならないと考えます。地域の平和と安定のためには、アメリカの東アジア地域に対するコミットメントが引き続き明確であることが極めて重要です。
そこで、お伺いをいたします。
アメリカによる東アジアの安全保障へのコミットメントを確かなものとしていくために、日本政府として、トランプ政権に対しどのような働きかけを行っていく考えでしょうか。
○茂木国務大臣 アメリカの安全保障戦略は、御案内のとおり、国家安全保障戦略というのが基本になるわけでありますが、米国政府が公表しました国家安全保障戦略においては、インド太平洋地域における紛争を抑止するために同盟国等との協力をすることや、台湾海峡をめぐる一方的な現状変更は支持をしないこと、さらに、共通の目標であります自由で開かれたインド太平洋についてのコミットメント、これが明確に記載をされているところであります。
一方、現在、中国との間では、尖閣諸島を含みます東シナ海や南シナ海における力又は威圧による一方的現状変更の試みが続いている、また、我が国周辺における一連の軍事活動を含め、数多くの懸案や課題が存在をしているところであります。
こうした厳しさを増す国際情勢において、我が国自身の様々な防衛力の強化に取り組むとともに、強固な日米同盟や同志国等との連携によりまして、東アジアの平和と安定をしっかり確保していきたい、このように考えております。
○原田委員 御答弁ありがとうございます。
ここまで、米中首脳会談を受けた東アジアの安全保障環境について伺ってまいりました。安全保障や経済といった分野での対応は、日本の国益に直ちに影響する緊急度の高い課題であり、常に最新の国際情勢に対応する必要があります。国際情勢が、緊張感が非常に高まっている昨今の情勢であります。
一方で、危機の時代にあるからこそ、日本は自国ファーストに傾いてはなりません。日本国憲法の前文で、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、」とうたわれているとおり、自国の利益のみを追求する独善的な姿勢を戒め、諸外国と友好的に協力し合う国際協調主義は日本外交の根幹であります。
例えば、公衆衛生、気候変動、災害対策など、日本一国のためだけではなく、いわば人類益のために中長期的な目線で対応する必要のある諸課題についても地道に粘り強く取り組み、国際社会の中でリーダーシップを発揮することが、日本外交が目指すべき姿であると私は思います。
とりわけ感染症危機については、もう五年以上たちましたけれども、私たちが新型コロナウイルスの危機を通じて経験したように、医療の問題にとどまらず、経済活動、サプライチェーン、社会の安定、さらには国家間の信頼関係にも大きな影響を及ぼすものであります。そう考えますと、国際保健というものは単なる人道支援や善意の取組ではなく、日本自身のレジリエンスと国益に大きく影響する重要な外交課題であると考えております。
少し前置きが長くなりましたけれども、ここから、国際保健分野における我が国の貢献の在り方についてお伺いをいたします。
自由で開かれたインド太平洋、いわゆるFOIPは日本外交の重要な基軸であり、二〇二三年には岸田政権下で新たなプランが示され、国際保健を含む国際公共財への対応というものもFOIPの中で明確に位置づけられました。
国際保健の取組は、被支援国の健康水準の向上に資するだけではなく、感染症危機への備え、サプライチェーンの安定、地域のレジリエンス強化を通じて、日本自身の安全保障や経済安全保障にもつながるものです。
こうした問題意識を踏まえて、お伺いをいたします。
今月の二日、高市総理は進化したFOIPを発表されました。昨今の国際情勢を踏まえて、資源、エネルギー等のサプライチェーンの強靱化に焦点が当たっております。その点についてはそうあるべきであると私も考えております。
一方で、従来からの国際保健を始めとする国際公共財への取組、こういったものを継続をする方針は堅持されるものであると理解をしておりますが、この点について確認をさせていただきたく、大臣の御答弁をお願いいたします。
○茂木国務大臣 国際保健は、今委員がおっしゃるように、単に医療の分野にとどまらず、経済、社会、安全保障上のリスクにも関わる重要な課題でありまして、国際社会のみならず、我が国の安定と発展のためにも国際的な取組を進めていくことが重要であると認識をいたしております。
二〇二〇年、コロナ危機が世界を覆う中で、ノー・ワン・イズ・セーフ・アンティル・エブリワン・イズ・セーフ、全ての人が安全でなければ世界全体が安全にはならない、こういう言葉が言われたわけでありますけれども、それは今においても全く同じである、こんなふうに考えているところであります。
この認識の下、我が国は国際保健を外交の柱の一つとして位置づけ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けて、二国間支援であったりとか、国際保健機関、WHO等の国際機関を通じて総合的な支援を進めてきておりまして、これらの取組はこれまでも高く評価をされてきたところであります。
引き続き、日本として、国際社会において国際保健に係る議論を主導し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けて、日本らしい顔の見える協力を含めて、国際保健分野における多角的な取組を継続する方針であります。
○原田委員 前向きな力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
続いて、少し各論に入っていきますけれども、ODAのオファー型協力についてお伺いをいたします。
日本の強みを生かした協力メニューを途上国に積極的に提案をしていくオファー型協力の枠組みにおいて、日本政府は、昨年の八月に保健を新たな柱として位置づけました。保健医療分野における日本の優れた技術や知見を、外交政策と連動させながらグローバルサウスに提供していくことは、現地の課題解決に資するだけではなく、日本企業の国際展開や官民連携の促進にもつながる重要な取組であると考えております。
そうした点を踏まえて、お伺いをします。
昨年八月の保健が柱に入った発表から間もなく一年となりますが、保健分野におけるODAのオファー型協力案件の進捗状況についてお伺いいたします。
○西崎政府参考人 お答えいたします。
二〇二三年、オファー型協力を打ち出して以来、我が国から、能動的な提案に基づき、これを戦略的に実施しているところでございます。直近では、昨年十二月の中央アジアプラス日本対話・首脳会合において、中央アジア五か国に対する域内外の連結性強化のためのカスピ海ルートに係るオファー型協力を立ち上げております。
委員御指摘のとおり、昨年八月、オファー型協力の戦略分野に保健を追加しました。また、具体的な取組として、TICAD9において、政策パッケージ、アフリカ保健投資促進パッケージを立ち上げております。
引き続き、ODAの戦略的な活用を通じて、日本経済へもメリットをもたらす形でオファー型協力を活用してまいりたいと考えております。
○原田委員 御答弁ありがとうございます。
案件の組成については保健分野はまだこれからということで、そういう理解でよろしかったでしょうか。
○西崎政府参考人 お答え申し上げます。
現時点において保健分野において公表済みのオファー型協力の案件はございませんが、案件形成に向け、各省、企業などと鋭意今協議中でございます。
○原田委員 御答弁ありがとうございます。
このオファー型協力を積極的に戦略活用することは、国際社会への貢献を中核としつつも、多くの日本企業にとって経済機会の創出にもつながります。案件の確立に向けて、引き続き、外務省やJICAには御尽力をお願いしたい、期待をしたいと思います。
では、続いて、UHCナレッジハブについてお伺いをいたします。
外交戦略上、国際保健を位置づけるに当たっては、ハード面の支援だけではなく、ソフト面、とりわけ人材育成や制度づくりへの貢献も極めて重要であります。その意味で、日本政府が主導して立ち上げたUHCナレッジハブは、各国の保健財政、人材育成、制度設計を支える知の拠点として大きな可能性を持っていると考えます。
UHC、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、先ほど大臣の答弁の中でも言及いただきましたけれども、これは、全ての人が必要なときに経済的負担なく質の高い保健サービスを受けることができる状態という概念でありまして、二〇一二年の国連総会で、世界の国々が国際社会の共通目標とすることに合意をした概念であります。SDGsのゴールの一つにも掲げられております。
日本は、これまで、このユニバーサル・ヘルス・カバレッジを国際社会において主流化し、持続可能な開発目標、SDGs達成の基盤として位置づけることに尽力をしてまいりました。その中で、このUHCナレッジハブについても立ち上げをしてまいったと理解をしております。
そこで、お伺いをいたします。
二〇三〇年に向けて、このUHC、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを国際社会で更に前進をさせるために、政府として、UHCナレッジハブの取組をどのように後押しし、更に発展をさせていく考えか、御答弁をお願いいたします。
○秋山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、日本政府は、二〇三〇年までのユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向けまして、世界銀行、WHOと連携をして、開発途上国におけるUHC達成のための知見共有や人材育成を行う世界的な拠点として、UHCナレッジハブを昨年設置をいたしまして、その取組を推進してございます。
UHCナレッジハブの主な活動は二つございます。
一つは、開発途上国における保健財政の強化のために、各国の保健省、財務省の政策立案者に対する能力構築支援を行ってございます。その一環として、例えば、今年二月には東京で対面研修を行いまして、初年度研修対象国八か国を含む合計七十名程度が参加をいたしました。
もう一つの活動は、UHCハイレベルフォーラムの開催でございます。UHC達成に向けた機運の更なる醸成のために、UHCを推進する国及び組織のリーダーなどを集めまして、UHCハイレベルフォーラム二〇二五を昨年十二月に開催をいたしまして、二十四か国、約二百名が参加をいたしました。
本年もこのUHCハイレベルフォーラムを開催する予定でございますし、引き続き、UHCナレッジハブの取組を通じまして、日本の知見も活用して、財務、保健連携などを通じた保健財政制度の立案、実行を支援し、開発途上国におけるUHCの達成に貢献していきたいと思っております。
○原田委員 御答弁ありがとうございます。
日本の強みを発揮したすばらしい取組であると思っておりますので、是非、引き続きの御尽力をお願いしたいと思っております。
続きまして、国際保健機関に対する日本政府としての拠出方針についてお伺いをいたします。
先ほどODAの質問もさせていただきましたけれども、日本はこれまで、二国間援助に加えて、国際機関との連携を通じた多国間の援助によって、世界の健康医療安全保障に貢献をしてまいりました。そうした点を踏まえ、今月頭、参議院の公明党の国際保健推進委員会が、国光外務副大臣に対して申入れを行っております。国産ワクチンの研究開発、製造、供給体制の強化といった内容、またCEPI等との連携を通じた日本のプレゼンス向上を提言をしております。これらは、国際保健を人道や善意の分野にとどめず、国際貢献と日本の国益、この両立を図る戦略分野として位置づける考え方であると受け止めております。
そうした点を踏まえて、お伺いをいたします。
政府として、今後の国際保健機関、様々な機関があると思いますけれども、そうした機関に対する拠出について、例えば、どの機関、どの枠組みに重点を置き、どのような戦略で日本の国際貢献と国益を両立させていく考えであるか、政府の拠出方針について御答弁をお願いいたします。
○西崎政府参考人 お答えいたします。
国際保健は、国際社会にとって人々の命と健康に直接関わるのみならず、我が国の経済、社会、安全保障上のリスクにも関わる重要な課題であると認識しております。この認識の下、国際保健を日本外交の柱の一つと位置づけ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けて取り組んでいるところです。
将来の健康危機への予防、備え、対応は、それぞれの国や地域における取組のみならず、国際的取組が必要であり、国際保健機関等への拠出は、我が国の保健外交を進める上で極めて重要です。我が国は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けて、二国間支援や、世界保健機構、WHOなどの国際機関を通じ総合的に支援を進めてきており、これらの取組がこれまでも高く評価されてきております。
引き続き、国際社会において国際保健に係る議論を主導し、ポストコロナの新たな時代に求められるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成に向けて、日本らしい顔の見える協力を含め、国際保健分野における多角的な取組を継続していく方針です。
○原田委員 御答弁ありがとうございました。
日本はこれまで、二国間援助と、また、今御答弁いただいたとおり、国際機関との連携を通じた多国間援助を通じて、世界の健康医療安全保障に貢献しつつ、自国を守ってまいりました。
今日は、米中首脳会談のテーマと国際保健のテーマと、二つの論点について質問をさせていただきました。引き続き、高市政権が掲げる世界の真ん中で咲き誇る日本外交において、直近の日本の国益を守る必要な対応、そして国際保健分野を含む中長期的な粘り強い取組が必要となるような取組についても、しっかりと国際社会をリードしていっていただきたいと思います。
国際社会が激動の危機の時代を迎える中にあって、秩序ある国際法の支配、こうした秩序を日本がリーダーシップを持ってつくっていく、そうした御期待を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○國場委員長 次に、青柳仁士君。
○青柳委員 日本維新の会の青柳仁士です。
まず、ODAの戦略的活用について、これまでの質疑も踏まえて、改めて質問させていただきたいと思います。
今朝、山田委員の方から類似の質疑がありましたので、通告していた質問、一問目と二問目を併せて御答弁いただければと思っております。
現在のODAが、従来型の国際協力政策にとどまらず、実態として総合的な安全保障政策の重要な一部を担っている、こういう認識は、先ほども大臣の御答弁にもありましたし、これまでも度々議論があったところかと思います。
そうであるならば、今後の安保三文書、あるいは来年度予算の骨太の方針等の議論においても、ODAを外交、経済、安全保障を横断する戦略的な政策手段としてより明確に位置づけていくことが重要ではないかと考えております。この政策的な位置づけを是非変えていくこと、これが非常に重要だと思いますが、これについての御所見。
あわせて、もしそうであれば、これからの議論、安全保障の議論は、防衛費のみを個別に積み上げていくということではなくて、防衛費、ODA、OSA、海上保安、そして経済安全保障の投資、これらを一体的に総合的な安全保障の投資として捉えていく、こういった視点が必要ではないかと思っております。
特に、今後拡大していく安全保障予算の中で、非軍事分野への投資という観点でODAを戦略的に位置づけていくこと、実際、政府の中での財政当局との議論、あるいは政府の中の予算の議論、政策の議論の中での位置づけを変えていく必要があるのではないかと考えておりますが、これについての御所見をいただければと思います。
○茂木国務大臣 まず、大前提として、これから安保三文書等の見直しを行っていくわけでありますけれども、必要な経費を積み上げていくという中で防衛費だけのことを考えている、こういうことではないということはまず御理解いただきたいと思っております。
そして、OSAとともにODAを活用して我が国の安全保障、経済安全保障上の重要課題に対応していくということは極めて重要だ、こんなふうに考えております。こうした認識に基づきまして我が国の安全保障であったり経済安全保障に資するODAを強化をすることで、地域の平和と安定やFOIPの戦略的な推進に貢献をしていきたいと考えております。
なお、新たな国家安全保障戦略を始めとする三文書を踏まえた今後の安全保障や防衛に係る経費の在り方については、こうしたODAの安全保障への貢献の重要性、こういったものになるように関係省庁としっかりと調整してまいりたいと考えております。
○青柳委員 まさに、おっしゃったような認識でこれからの議論を進められていくことが非常に重要ではないかと思っております。
まさに、現在、安全保障環境は非常に大きく変わっていまして、安全保障という言葉の定義が大きく変わっている中で、ODAの実質的な意義、これをしっかりと見直していくことも必要であろうと思っております。
そういった観点から三つ目の質問に入りますが、これまでODAは、そうはいっても、支援額であるとかあるいは開発効果、こういったことが中心となって評価をされてきたものだと認識しております。そういうODAの評価基準であるとか成果指標、これを戦略的観点から再整理すべきではないかと考えております。
これまでの質疑においても、外務省からも、ODAは我が国の安全保障や経済活動の発展にも資する、こういう明確な御答弁もありましたし、また、大臣からも、日本企業の海外展開や市場開拓、こういったことにも、貢献は非常に大きなものである、こういう御答弁もいただいております。
そういった中で、従来のようなODA評価、やはり中心は支援額と開発効果という形に現状はなっていると思いますが、今後、日本企業の海外展開、供給網の安定化、国際ルールの形成、技術の標準化、対日好感度の向上、同志国との連携強化、こういった戦略的な成果、こういったものをしっかり可視化できるような、そういった総合的な安全保障、経済成長、国際競争力への貢献、こういうものを評価の基準の中に位置づけていって、かつ、国民の皆さんにもそれをしっかり理解していただくこと、これが、ODAの真の意味、重要性を理解していただく上で不可欠だと考えておりますが、この点についての大臣の御所見をお伺いできればと思います。
○今福政府参考人 お答え申し上げます。
ODAの評価につきましては、これまで、第三者の知見も活用しつつ、援助対象国の社会経済開発の視点に加えまして外交政策の視点からも検証し、ODAによる国益への貢献を評価し、政策決定や事業実施にフィードバックしてきております。
他方、国際環境が現在大きく変化する中で、ODAを活用し、我が国の安全保障や経済安全保障上の重要課題に対応するとともに、日本企業の海外展開や民間投資を促進し、日本成長戦略の実現に貢献するといったことがより一層重要となってきております。
委員御指摘のとおり、こうした観点も踏まえてODAを実施していくことは重要と考えております。今後のODAの評価の在り方についてもそのように検討していきたいと考えております。
○青柳委員 非常に前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
是非、ODAの戦略的な意義、元々は、戦後の賠償であるとか、あるいは、対外的に非常に、国際協力という観点だったと思いますが、今はやはり、ウィン・ウィンといいますが、そういった効果も相手国に与えながらも、しかし、我が国の非常に重要な国益である安全保障そして経済成長、こういったところへの貢献を同時に得ていくもの、そしてそれをしっかりと評価していく、こういった体制が具体的に必要だと思っておりますので、是非とも御対応いただければと思っております。
続きまして、そういった観点からも、ODA、OSA、防衛協力、こういったものを統合した国別の戦略が必要ではないかと考えております。
これまでの質疑におきましても、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けてODAの戦略的な活用、こういったことは非常に重要である、地域あるいは国に対しての統合的な対応としてのODA、こういう観点は幾度も示されてまいりました。
現在の安全保障環境においては、港湾、通信、海底ケーブル、AI、宇宙、海洋監視、サイバー、人材育成、こういった中で軍民共用領域の重要性が急速に高まっています。
一方で、現状では、ODA、OSA、防衛協力、海上保安支援、経済安全保障の協力、こういったものがそれぞれ縦割りで実施されている、こういう側面があろうかと思います。
しかし、インド太平洋、ASEAN、太平洋島嶼国、南アジア、アフリカ、こういったところとの関係性を考えていけば、本来は、今申し上げたようなこと、これらは一体的に設計した上で、国別の協力、対応方針というものを考えていくことが必要ではないかと思っております。
政府として、こうした政府横断型の戦略設計を更に強化していくべきと考えますが、これについての御所見をいただければと思います。
○茂木国務大臣 ODA、OSA、防衛協力等を統合した国別戦略という話ですけれども、考え方というのは同じなのかもしれないんですが、基本的には、国別の外交戦略というものがあって、その下にODAであったりOSAであったりとか防衛協力というのがある。そして、それぞれのものがしっかりとこういった基本的な外交戦略の下で連携をしていく、こういうのが本来あるべき姿だと。
そして、そのような対策を今取っているところでありまして、国際環境が厳しさを増す中で、日本外交にとって重要なツールでありますODAとOSAを含みます同志国との地域の安全保障、防衛協力等を組み合わせて戦略的に取り組むことによって、地域の平和と安定に貢献していくことが重要だと考えております。
ODAにつきましては、被援助国との二国間関係であったりとか開発課題等を踏まえて国別の開発協力方針を策定して、戦略的かつ効果的に実施をしてきております。
また、OSAにつきましては、我が国及び地域の安全保障上のニーズであったりとか二国間関係等を総合的に判断して、どうなったら我が国にとって望ましい安全保障環境を創出できるか、こういった点も含めて実施をしてきているところであります。
委員御指摘のように、ODA、OSAを含みます同志国との安全保障、防衛協力といったツールを有機的に連動させ、各国及び地域の平和と安定に貢献すること、これは我が国にとって望ましい安全保障環境の創出につながると考えているところでありまして、私は、ODA、OSA、防衛協力を組み合わせればいいんじゃない、その前に、まず、その国に対して、その地域に対してどういった外交戦略を取っていくか、これが基本にあって、その下にそれぞれのツールというのがあって、それぞれが連携をすることによって最大限の効果を上げる、こういうアプローチが必要なのではないかなと考えております。
○青柳委員 一つの外交戦略の下に様々なツールをどのように使っていくか、こういう戦略を外務省を中心に考えていく、これは非常に、全くおっしゃるとおりだと思います。
一方で、それぞれのODAとかOSA、国別戦略の中で、横串が通っていない部分、矛盾が生じている部分というのも散見されるところでありまして、具体的な、先ほどの質疑でも、実際に相手国が求めているのは実物であるというようなお話もありました。実物を提供する際に、そこが更なる戦略性を持ってやっていけるように、国別の戦略を統合していく、更なる統合をしていく、戦略性を持っていく、こういうことは是非とも御検討いただければと思っております。
最後に、これまでも日本のODAは様々な成果を既に上げてきております。そして、JICAを中心に、ODAの実施体制、ここには本当に多くの方々が関わっておりまして、もちろん、省庁を退任されて行かれている方とか辞められて行かれている方、民間の方も含めて様々な日本人、そしてそこのカウンターパート、あるいはそこの現地で雇われているスタッフも含め何万人、何十万人という人が、何年もかけて、何十年もやってきている、こういう下地があるものであります。
また、日本の外交の成果だと思いますが、日本人は各国から嫌われていないという、非常に数少ない、周辺国はまたいろいろありますけれども、グローバルに見ますと非常に嫌っている国が少ない。昨日も、國場委員長を始め皆さんと一緒にトルコの外交団と夜にお会いさせていただきましたが、トルコの方々も、日本ほど信頼できる国はない、こういうことをおっしゃられる、こういう国であります。そういった国において、ODAの額もかつては一番であったときがあります。そして、日本人の性格といいますか、あと、能力の高さ、これが認知されている中において、JICAを中心として、長年にわたって途上国の政府、現地の企業、研究機関、市民社会との深い信頼関係を構築して、そして各国の政治、経済、安全保障、産業、人材等に関する膨大な知見を蓄積してきた、こういう実績がございます。
さらに、今後のODAは、単なる相手国の支援だけではなくて、日本企業、大学、研究機関、スタートアップ等、こういったところとも連携しながら、共同研究、技術実証、人材育成、サイバー協力、防災協力、こういった、日本と相手国双方の戦略的利益を高める、こういう協働的な価値創造型の方向へ進化していく、こういう議論もなされているところであります。
こうした観点から、JICAを中心に、こうしたODAの現在の実施体制を、外交、安全保障、経済安全保障、そして成長戦略を支える一つのプラットフォームとして、もちろんODAですから途上国のみが対象になりますので、グローバルサウスに対する戦略的なプラットフォームとして、政府全体でより戦略的に活用していくべきというふうに考えておりますけれども、これについての御所見をいただければと思います。
○今福政府参考人 お答え申し上げます。
JICAが長年の協力を通じて蓄積してきた知見、経験、国内外のネットワーク、これは重要な資産であるというのは委員御指摘のとおりだと思います。
これまでも外務省としても最大限活用してまいりました。例えば、中小企業・SDGsビジネス支援事業を通じて、JICAが有するネットワークを活用して、日本企業の海外展開、途上国の社会課題解決に資する取組を実施してきております。また、昨年、JICA法を改正いたしまして、多様な主体との連携を強化できるようにいたしました。
引き続き、こうしたJICAの知見、経験を活用しつつ、ODAを戦略的に実施し、国際社会で発言力を高めるグローバルサウスの国々との連携を強化していきたいと考えております。
○青柳委員 是非とも、本日の議論を踏まえて、ODAの更なる戦略的な活用を御検討いただければと思います。
時間となりましたので、終了します。ありがとうございました。
○國場委員長 次に、深作ヘスス君。
○深作委員 国民民主党・無所属クラブの深作ヘススです。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
質問に入ります前に、一言、大臣にお礼を申し上げたいと思って今日は参りました。
先日、外務省のホームページに任期付職員の採用の掲示が出ておりました。大臣が設置をされた和平調停ユニット、今、十名以上の職員に就いていただいていますが、皆さん併任という中において二名の専属の職員を募集しようということで、大臣のリーダーシップの下、しっかりとこれを機能させていこうというその思いと外務省の皆様方の取組に、まず冒頭、御礼を申し上げたいと思います。
そして、もう一言、済みません、質問に入ります前に、先ほど原田委員の質問の中で、大臣はアメリカのホワイトハウスのファクトシートについて触れられておられました。
私は、以前、日米首脳会談が行われた際に、あのファクトシートの扱いについて少し御質問をしたことがございます。そのときには、実は総理にもお伺いをしたときには、ファクトシートというものは、あれはアメリカ側が作ったものである、一方的なものであるのでこれは我が国のスタンスを明確に主張するものではないというような主張でありました。
他方で、大臣も原田委員からの質問に対してファクトシートを示したということは、このファクトシートは、ある意味でファクトとして世界を独り歩きし得るものであるという可能性があるということは、大臣も御認識をいただけることだと思います。
何を言いたいかといいますと、そのときも申し上げたんですが、やはり、日米首脳会談などを行うときに、必ずしも共同声明でなくても、一方的に物事が言われるというような環境をどう防いでいくか。これはアメリカというよりは今のホワイトハウスだと認識をしますが、今後、日米間で交渉をするときなどは、共同声明でなくても、同じテーブルで一緒に何かしらのメモ、文書を作るということで、一方的な主張がされないように是非取り組んでいただきたいということを、まず冒頭、改めて申し上げたいと思います。
ここから質問に入りたいと思います。私も、まずは日韓首脳会談についてお伺いをしたいと思います。
今回の日韓首脳会談は大変大成功であったというふうに思います。いろいろな危機を共有をする韓国との間において、友好関係を深め、そして様々な協力が進んだということは、大変いい外交を皆様方にしていただいていると思います。
他方で、今回、ACSAについても、この締結に向けた動きがあると当初は言われていたものの、最終的な成果としては出てきませんでした。
東アジアの安全保障環境が大変厳しい状況になっていく中で、日韓の間での協力を制度として後押しをしていくことは大変意義があることだと考えます。特に、共同訓練や災害対応、後方支援などにおける円滑な連携の体制をつくっていくことは、地域の抑止力、対処力の向上にも資するものであると考えます。
今回、日韓のACSA締結に向けて動いていたというような報道が出ていますが、我が国の基本的な日韓ACSA締結に向けた考え方、そして現在の協議の状況について、大臣にお伺いをいたします。
○茂木国務大臣 まず、深作委員には、冒頭触れていただきました和平調停に関しまして、様々な形でこれまでも議論を進めていただき、さらには議連の創設にも中心的な役割を担っていただいたことに敬意を表したい、そんなふうに思っているところであります。
そして、様々な首脳会談等におけます発表の在り方ということでありますけれども、これは、一般的に申し上げますと、日本としてはこういう主張をしました、そして相手側は自国の立場について説明をしましたと、相手のことは余り言わないというのは一般的なやり方でありますけれども、日米関係は非常に緊密な関係にあるわけでありますから、できるだけそういった形の、そこでそごが出ないような形の発表というのは必要なのではないかな、私もそんなふうに考えているところであります。
そこで、今般の日韓首脳会談におきましてでありますが、両首脳は、日韓、日米韓の安全保障協力を含みます戦略的な連携の重要性について一致をいたしました。
また、両首脳は、先般、日韓安全保障対話が初めて次官級で開催をされた、このことを歓迎したところであります。
その上で、両首脳は、現下の国際情勢を踏まえて、インド太平洋地域の平和と安定を促進するため、日米同盟、米韓同盟、そしてその戦略的な連携によります抑止力、対処力の維持強化を含めて、日韓が主体的に取り組んでいくことの重要性について認識を共有いたしました。
お尋ねの点を含めまして、これ以上の詳細につきましては外交上のやり取りということになってきますので控えたいと思いますが、日韓の安保協力については様々な取組を着実に進展させていきたいと考えております。
大きな首脳会談等々がありますと、よく、マスコミ等におきましては、事前に予測報道というのが出るということはあるわけでありますけれども、それはあくまで予測報道でありまして、日本としては着実にやるべきことを一つ一つ進めていきたい、こんなふうに考えております。
○深作委員 大臣、通告にないことにも丁寧にお答えをいただき、ありがとうございます。
大臣がおっしゃられるように、この文書の在り方というものは、本来であれば、紳士的に、お互いある程度節度を持ってというか、今までのルールの在り方の中でやられるところですが、少しそれとは違う動きをする国もある中で、どのように、私たちの主張が勝手に進められないかということは今後も是非取り組んでいただきたいと思います。
続いて、日米韓の協力についてお伺いをしたいと思います。
大臣から、金城委員も聞いていたじゃないか、原田委員もという中で、また同じ質問になりますが、私は少し角度を変えてお伺いをしたいと思います。
一つは、先般行われましたトランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談に象徴されるように、東アジアにおける安全保障、これが米中間で頭越しに議論をされていくということを防いでいかなければいけない。その中において、日本と韓国は、ある意味で、様々な脅威も、地政学的な、地理的な意味でもいろいろなものを共有する中で、この日米韓の三か国で、物事、共同で動いていくときに、三か国でという考え方もそうですが、どのようにそこにアメリカのコミットメントを引きつけていくのか、必ずそこにアメリカを引きつけておくための努力をどうしていくのかという視点でお伺いをしたいと思います。
今回、韓国との間での議論、総理も、最後、何かあったら一緒に電話をして話しましょうねというような発言があったというふうに、これは報道もされていますが、これまで想定をしてきた様々な危機については、あえて何かあったらという言い方をされないと思います。
そういう意味では、不測の事態にどう我が国が、そして日韓で取り組んでいくかということを一緒にやっていこうということだと思いますが、その中には、アメリカへの関与の在り方、アメリカとの向き合い方というのも含まれるものと思います。その点において、この日米韓の在り方、そして、そこにどうアメリカのコミットメントをしっかりと引き止めておくのか、これに対して我が国がどのように取り組んでいるのか、また、今回、この日韓首脳会談の中でどのような議論があったのか、この点について政府参考人にお伺いをいたします。
○大塚政府参考人 お答えをいたします。
今回の首脳会談におきまして、両首脳が、日米同盟、米韓同盟、そしてその戦略的連携による抑止力、対処力の維持強化を含めて、日韓が主体的に取り組んでいくことの重要性について認識を共有したというのは、今日、この委員会の中で何度も、大臣からもお答えをしておりますけれども、まさに、今申し上げたことは、委員が今指摘をされた日米韓連携ということの基調にある考え方だったというふうに思います。
また、会談におきまして、両首脳が、日韓そして日米韓の安全保障協力を含む戦略的な連携の重要性に一致したということも繰り返し申し上げておりますけれども、こうした認識の上で、両首脳は、これまでも具体的な日米韓協力が進んでいることを今回の会談において歓迎をいたしました。そして、安全保障、経済安全保障を含む日米韓の具体的な協力を持続そして強化するために、一層緊密に情報共有をし、協力していくという意思を確認したところでございます。
○茂木国務大臣 御質問に対する答弁は今参考人の方からさせていただいたとおりなんですが、先ほど深作委員の方から、何かあったら電話をしましょうね、そういう話をしたということなんですけれども、これは、必ずしも、危機的な状況が起こったりとか深刻な状況というよりも、何もないのに電話をするのは変ですよ、首脳間で。それは、話すべき議題があったらいつでも電話をしましょうと。これは、トランプ大統領も何かあったらいつでも電話をしてくれと高市総理に対しておっしゃられている、これと一緒だと思っております。
何か常に危機的な状況を想定してというか、それは危機的な状況には備えなければなりませんけれども、危機的な状況だから電話するというだけではなくて、緊密な意思疎通をしていきましょう、こういう表現だと私は受け止めております。
○深作委員 ありがとうございます。
私もあれは前向きな表現であったと思っています。何かあれば常に電話ができる相手である。大臣も先ほど、以前大臣を務めておられたときの韓国とは全く違う状況であるという中で、あのフレーズはある意味で今の日韓関係の状況をよく表していると思いますし、気軽に、有事であったり何かがなくとも電話ができる環境であるということは大変重要だと思いますので、私も前向きに捉えているというところであります。
続けて、北朝鮮についてお伺いをしていきたいと思います。
一つだけ質問を飛ばさせていただきますが、通告で次のものに行かせていただきますが、北朝鮮の非核化についてお伺いをしたいと思います。
四月二十一日、アメリカの外交問題評議会が発行する雑誌、フォーリン・アフェアーズという雑誌の中で、ビクター・チャ氏が「ノース・コリア・アズ・イット・イズ ザ・ケース・フォー・ア・コールド・ピース」という論文を掲載をしています。
少しだけこの論文について御説明をしたいと思いますが、過去三十年間米国が取ってきた北朝鮮政策が間違っていたのではないかということを指摘がされています。特に非核化政策が失敗をしたと論じているのがこの論文の特徴であり、そして、これまでの北朝鮮政策を、非核化に向けていくのではなく、北朝鮮をある意味で敵国であったり脅威の盤上から外していく、コールドピースという形でビクター・チャ氏は説明をしていますが、このシフトをしようということがこの論文の中で言われています。
現在、皆さんも御存じのとおり、北朝鮮は五十発程度の核爆弾を保有をして、更に四十から五十程度製造可能な核物質を備蓄をしている。そして、ICBMを含む運搬システム、デリバリーができるという状況も整っています。原子力潜水艦の建造も始めたということも明らかになっています。さらに、ウクライナ戦争においては、ロシアへの派兵、弾薬の提供、これの見返りとして軍事技術を受け、この北朝鮮の脅威というのはある意味で高まっているわけであります。
その北朝鮮の核開発に対して、歴代のアメリカ政権というものは、経済制裁と段階的な見返りを用いて、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を追求をしてきました。しかし、今申し上げたように、北朝鮮は、核の能力を上げているわけですし、これを手放す意思がないということは明らかになっています。実現のめどが立たない非核化にこだわって交渉を停滞をさせることが、これは、アメリカにとっては、米本土を標的としたミサイル配備であったり核物質の生産といった脅威の拡大を野放しにするというふうにこの論文の中では訴えています。
この状況というのが米国にとって許容できない状況であるというふうにしており、一方で、米国は、先ほど申し上げたように、中国やロシア、イランを始めとする多過ぎる様々な仮想敵国であったり脅威と同時に敵対状況にある。軍事的外交リソースがそちらに割かれて、極めて著しく圧迫をされている状況であって、米国は、戦略的にこのチェスのボードにいる相手を降ろしていって、北朝鮮との間で冷たい平和、コールドピースを築くことで、他地域へのリソースを分散をしていこうという動機があるということを言っています。
皆さん、このビクター・チャ氏についてはよく御存じの方も多いと思いますが、彼自身も所属をするアメリカのシンクタンク、CSISも同じような議論を始めています。先日の米中首脳会談の中で、ホワイトハウスが、先ほど大臣にも質問しましたが、ファクトシートにはアメリカが完全なる非核化を訴えたということが書かれていますので、アメリカが政策方針を変えたというふうには現時点で一切思っていませんが、今、その間にワシントンでは新たな北朝鮮への向き合い方というものが提案をし始められているということは事実でありますし、私たちとしては注目せざるを得ないというふうに考えています。
そして、専門家の中には、トランプ大統領自身が非核化に強い執着を持っていないと評価をして、自国への脅威を削減をするという実利を優先をした、このディールとしてコールドピースに移行していくのではないかと言っている専門家もいます。
このように、アメリカが北朝鮮の非核化に関する政策転換を少しでも考え始めている中で、まあ、アメリカというよりは周辺で行われている中で、これが変わっていくということは、我が国の北朝鮮との向き合い方も大きく変わり得るということをこの時点で考えていかなければいけません。
本来であれば、大臣にこれについてどう思うかと聞いてみたいところではありますが、ただ、一学者の考え方、一機関の考え方に大臣にコメントをいただくということはなかなか私もできませんので、今日は、この中で指摘をされているものに対して、我が国がどう今捉えているのかという視点で御質問をしたいと思います。
そこで、政府参考人で結構ですが、現在、北朝鮮の完全なる非核化、これはどこまで進んでいると日本政府は認識をされているんでしょうか。完全なる非核化の実現までのロードマップをどのように策定をし、具体的にどのように非核化に向けて取り組まれているのか、そして、今そのロードマップのどこにいるのか、政府としての見解をお示しください。
○大塚政府参考人 お答えをいたします。
北朝鮮による核・ミサイル開発は、関連する国連安保理決議の明白な違反であるとともに、我が国のみならず、国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて認められるものではございません。
米国及び韓国を含め関係国との間では、累次の機会に北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを確認をしてきております。
我が国としては、米国及び韓国を始めとする国際社会とも協力をしながら、関連する国連安保理決議の完全な履行に向けた取組を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく、そういう考えでございます。
○深作委員 まあ、そういうことですか。はい。
これも、論文が指摘しているところは、私はかなり鋭い指摘であると思います。我が国がすぐに何か政策方針を変えていくべきだとは申し上げませんし、現状、これからどうなっていくのか注視をしながら進めていくべきだと思いますが、やはり、様々な可能性について、可能性を考えながら次の展開を考えていくということも大変重要であると思います。
続いて、では、経済政策がどれだけ利いているのかという質問を考えていましたが、少し、時間の関係上、これについても同じような答弁になってしまうのではないかなと思いましたので。
最後に、この北朝鮮政策、非核化に対する政府の方針と実態には乖離があると言わざるを得ないと思います。これがいい悪いではなくて、大臣御自身がこれまでの北朝鮮政策をどのように評価をされているのか。
そして、先ほど取り上げましたコールドピース戦略に関する論文にもあったとおり、米国が北朝鮮の核に対する対応方針をもし仮に変えようとする、そういった兆しを見せている中で、今後もどのように米国の関与を担保していくのか。
また、北朝鮮に関しては、日米韓以外にも、インド太平洋地域の有志国そして友好国の枠組みを活用しなければいけない。そういった検討をする中においてどのように我が国が立ち振る舞っていくのか、是非大臣のお考えをお示しください。
○茂木国務大臣 深作委員が引用されましたビクター・チャ氏のフォーリン・アフェアーズに寄稿した論文ですが、「ノース・コリア・アズ・イット・イズ ザ・ケース・フォー・ア・コールド・ピース」、こういった様々な考え方というか、北朝鮮にどう向き合っていくかについては様々な意見があるということは承知をいたしております。
そして、北朝鮮との関係といいますか、日本として、例えば日朝平壌宣言以降どう動いてきているかということについて、問題が解決していない、このことは事実なんだ、こんなふうに思っておりますが、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決する、これに向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討を行っているところであります。
では、どう検討しているかということをお話をすると、これは手のうちを見せてしまうことになりますので、そのことは控えたいということを御理解いただければと思っておりますが、何にしても、国際社会の圧力というのは必要なんだと思っております。
これは、核、ミサイルについてもそうであります。国連決議をしっかりと履行させるということについて国際社会全体で声を上げていくということは極めて重要だと思っておりまして、そのために日本としても主導的な役割を果たしていかなければならないと考えております。
同時に、拉致問題、例えば、二十年前に拉致問題を例えば二国間の外交問題で取り上げると、アブダクションイシューと言ってもなかなか、説明が必要だったんですが、もう今、アブダクションイシューと言えば、相手はすぐに理解してくれて、支持を表明してくれている。こういった形で、国際社会の理解というのも広がっていると思っておりまして、そういった国際社会全体で、日本が主体的でありながらこういった問題の解決に取り組んでいきたい、こう考えております。
○深作委員 ありがとうございます。是非力強く取り組んでいただきたいと思います。
時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○國場委員長 次に、佐々木真琴君。
○佐々木(真)委員 国民民主党の佐々木真琴です。
本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
では、何名かから話にちょっとだけ上がりましたけれども、私からは、国連加盟七十周年という節目に合わせて質問を何点かさせていただきたいというふうに思います。
まずは、今週月曜日、五月十八日に、国連加盟七十周年記念シンポジウム、茂木外務大臣も基調挨拶をしていただきまして、非常に力強いメッセージだったなというふうに受け止めておるところでございます。
また、今回の七十周年も受けまして、我々日本として、国連の外交、そして、国際社会における主導的な、主体的な役割について質問させていただきたいというふうに思います。
まず、皆様ももちろん御存じだと思いますけれども、一九五六年に加盟をして以来、多国間主義を重視をして、そして、国際社会の平和と安全に我々としても貢献をしてきたところでございます。先ほど来、委員の質問に対して大臣からも答弁があったところでございます。しかし、国際情勢は、力による現状変更であるとか既存の国際秩序への挑戦など、かつてない危機に直面しているというところもございます。
先ほども申し上げましたけれども、十八日、今週月曜日にシンポジウムの中で茂木大臣自らが、安全保障理事会が国際情勢に有効に対処できていないという強い危機感を表明されておりますし、国連改革への強い決意についても語られております。この大臣の現状認識と表明に関しては、本当に同意をするところであります。では、そこを踏まえて日本がそれをどうやって動かしていくのかであるとか、現実的な外交戦略こそが問われている局面だというふうに受け止めております。
これまでも、常任理事国入りを目指して、長年、外交努力を続けてこられました。しかし、現状は依然として膠着状態が続いているという認識でございます。
この長年というのがどのぐらい長年かというところでありますけれども、一九七〇年代から水面下では安保理常任理事国入りを目指してまいりましたし、具体的な言及としては、一九九四年に正式に常任理事国入りを目指すという言及があったというふうに認識をいたしております。私は一九九六年生まれですので、私が生まれる前から正式に言及をして進められるぐらい、長年、日本としても取り組んでいるけれども、やはり膠着状態は続いている状態というふうに思っております。
この中で、専門家の皆様からは、今の状態が続くのであれば、既存の常任理事国が拒否権を手放さない以上、日本も、長期的又は再選可能な議席などを含む中間の案へ軸足を移すべきではないかという指摘も長年されているところであります。
そこで、大臣に伺いますけれども、これまでの交渉の手応えであるとか壁を感じている部分、そして、専門家からのこうした中間的な案へ軸足を移すべきであるという指摘も含めて、今後の安保理改革に向けた我が国の現実的な外交戦略について、大臣の見解を伺いたいと思います。
○茂木国務大臣 まず、基本的な認識から若干お話をさせていただきますが、国連は、加盟国が、創設当時の五十一か国から現在は百九十三ということですから、四倍近くに大幅に増加する一方で、安保理の構成というのはほとんど変わっておらず、現在の構成は国際社会の実態を必ずしも反映していないのは明らかだと考えております。また、国際社会の諸課題、様々な課題に対してもより効果的に対処できるように改革を推進し、安保理の代表性そして正統性を向上させること、これは必要不可欠だと考えております。
そのためには、様々な案というのはあるのかもしれませんけれども、常任及び非常任理事国双方の拡大というのが必要だと考えております。
我が国を含みますG4、日本、ドイツ、インド、ブラジル、それから、今アフリカも結局五十四か国あるのに代表が出ない、こういう状態に対しては様々な意見を持っておりますし、一部の常任理事国等を始めとする多くの国々もこうした考えを共有しているところでありまして、私自身、二月に、ミュンヘン安全保障会議の際に開催しましたG4の外相会合に出席して、安保理改革に向けてG4が緊密に協力することの重要性を確認をしたところであります。
最初の案が出されたのは佐々木委員が生まれる前だ、こういうお話がありましたが、佐々木委員も、国会に、自らの意思を通して御当選をされた。安保理改革も同じように実行できれば、そんなふうに考えております。
○佐々木(真)委員 ありがとうございます。
長年努力されていることはもちろん存じ上げておりますし、その新しい形も含めて、是非とも皆様で一緒に議論できればいいなというふうに思っているところです。
では、続いて、併せて伺いますけれども、国連改革をしているところでありますけれども、避けて通れないのが財政的な貢献であるかなというふうにも思います。
先ほどからもODAの話等もありますけれども、今、国内の状況を見ても、拠出金をたくさん出していくほどの余剰な、余力があるところではないと思いますけれども、かつて我が国は、国連の分担金、全体の約二割を占める大国でございました。やがて、今や中国が二三・七%という形で拠出、分担をしております。今、我が国のシェアは六・九三%ということで、かつてに比べると大分シェアを低下させているところでございます。しかし、お金の優等生でなくなったわけでは、今でも三位ですので。当初から比べると下がってはきていますけれども。
それと同時に見ていくべきは、日本だからこそできること、日本にしかできない貢献を、しっかりと国連の中でも、また国際社会の中でも訴えて理解をしてもらうことが重要であるというふうに認識をいたしております。例えば、人間の安全保障の推進であるとか、災害救助、防災、減災の部分、科学技術のイノベーションの推進など、我が国の得意分野をしっかりと生かしていくことができるんじゃないかというふうにも思っております。
ここで伺いますけれども、国連における日本らしい貢献の核というものを大臣は何だと捉えていらっしゃるのか、また、それらを世界に理解していただくために今後どういった方針を取っていかれるのか、お考えを伺いたいと思います。
○茂木国務大臣 我が国は、一九五六年に国連に加盟して以来、国連活動の三本柱、国際の平和と安全、そして開発、さらには人権人道分野において、多国間協力を通じた政策目的の実現を図ってきております。
人間の安全保障を開発の中心に置く、こういったこともそうだと思いますが、それも含めて、特に三点。一つが、人間の安全保障の考え方の下での平和の構築、紛争の予防、そして二つ目に、自由で開かれた国際秩序を維持強化する上で重要な法の支配、そして三番目に、国連がその機能を十分に発揮するための、先ほども申し上げましたが、国連改革、もちろん防災等の分野でも貢献をしておりますが、こういった点を重視しておりまして、いずれも委員御指摘の日本らしい貢献たり得るものだと考えております。
日本として、今後も、包容力と力強さを兼ね備えた外交。つまり、全部同じ価値観というか、例えば、宗教的にも、また経済発展上も、さらには置かれている立場も違う、それを、一つの思想の下でこれが正しいんだというよりも、相手の立場をしっかりと考えて、それを尊重しながらお互いにいい関係をつくっていく、そういう包容力。さらには、基本的な原則、法の支配であったりとか、問題が起こったら、平和的にこれを話合いによって解決していく、さらには自由体制を維持していく、こういった原則については譲らない、はっきり主張する、こういう力強さ。
この包容力と力強さを兼ね備えた外交を通じて、国連を中核とする多国間主義にコミットし、国連とともに平和を築き、法の支配を守り、さらには改革を推進していきたいと思っております。
○佐々木(真)委員 ありがとうございます。
では、まさに今お話にもあったとおり、日本ならではの強み、日本だからこそできることについて、ちょっと話を移していきたいと思うんです。
国連からはちょっと離れてしまうかもしれませんが、食料の安全保障の観点であるとかエネルギーについても、アジア諸国がまさに今困っているときには、日本として貢献していくことが非常に重要であるというふうにも認識をいたしております。
気候変動であるとか国際情勢の影響によって、アジア諸国では、過去から現在に至るまでも供給不足に直面している国も少なくないといったところがありますし、また、今、日本の農政でも、輸出を約四万トンあるところから四十万トン規模まで拡大していくという方針も示されておりますので、そういったところともつなげつつ、日本らしい、日本だからこそできる強みを訴えていくことは大切かなというふうに認識しています。
そこで、参考人に伺いたいと思いますけれども、日本が誇る高い農業技術であるとか、安心、安全な食料の安定提供の経験も生かして、アジアの国々を支える形で日本の責任をどう果たしていくのか。これも、アジア諸国に対して日本の信頼や責任を高める道の一つでもあると認識しておりますけれども、どういったお考えをお持ちか、見解を伺いたいと思います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、食料分野における開発協力は、日本の強みを生かした国際貢献であると認識してございます。また同時に、世界の食料の安定供給確保は、食料の多くを輸入に頼る日本にとっても極めて重要な課題でございます。
そのような観点から、これまでも、世界各地で、二国間協力、あるいは国連食糧農業機関、FAO等の国際機関を通じまして、各国それぞれのニーズに応える形で、食料の生産能力向上、フードバリューチェーンの構築等の取組を実施してきているところでございます。
お尋ねのアジア諸国との協力につきましては、気候変動や自然災害等の各国での異なる課題を踏まえつつ、個別ニーズに応じた協力を進めているところでございます。例えば、インドネシアについては、全国の食料自給改善計画の策定を支援しているほか、フィリピンにおいては、野菜を主といたしました園芸作物のバリューチェーン強化に向けたロードマップの策定を支援しているところでございます。
今後も、日本の強みを生かしつつ、各国のニーズに応じた支援を通して、食料安全保障の観点からもアジア諸国への貢献を進めてまいりたいと考えてございます。
○佐々木(真)委員 ありがとうございます。
今、食料について伺いましたけれども、エネルギーについても伺いたいと思います。
直近の中東情勢の緊迫化も受けまして、輸送リスクであるとか、原油価格の高騰、LNG市場の不安定化等もございます。振り返れば、二〇二二年のウクライナ危機以降の燃料高騰であるとか、それ以前の国際情勢の緊迫化の際にも、アジアの新興国の多くは同様な深刻な事態が繰り返されてきたというふうに認識をいたしております。学校が臨時休校してしまうですとか、政府によるテレワークの強制、推奨といった社会活動の制限に追い込まれるような事情も過去発生をいたしております。
こうした脆弱性を放置するということは、アジア地域の混乱を招くだけではなくて、我が国にとっても、サプライチェーンを通じて経済にも跳ね返ってくるものであるとも認識をしております。こういった分野においても主導的な役割を果たしていくことは、地域における我が国のプレゼンスや信頼を高める上でも極めて重要な戦略だというふうに認識をいたしております。
そこで、今後、日本として、アジア諸国に対して、備蓄制度のノウハウの共有であるとか、緊急時の協力の枠組みを含めて、エネルギー安全保障分野でどういった戦略をお持ちなのかについて伺いたいと思います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、現下の中東情勢により、エネルギーや資源の供給が滞ることの影響を最も受けているのはアジアでございます。本年四月、高市総理が新たな協力の枠組みとしてパワー・アジアを立ち上げた、まさにそうした問題意識に基づくものでございます。
パワー・アジアは、足下の原油、石油製品等の調達やサプライチェーンの維持といった緊急時対応に主として金融面を通じて対処するとともに、各国の備蓄制度構築あるいはその強化を含む中長期の構造的対応、これに対応する、その両輪から成るものでございます。今月二日には、その初の案件といたしまして、ベトナムのニソン製油所の原油等調達について、NEXIを通じて支援する方向で一致したところでございます。
パワー・アジアは、まさに高市政権が掲げるFOIPの具体化でもございます。政府としては、引き続き、平和と繁栄をつくる責任ある日本外交の一翼を担うものとして、これを推進してまいりたいと考えてございます。
○佐々木(真)委員 ありがとうございました。
では、一問ちょっと飛ばさせていただいて、最後の質問に移りたいと思うんですけれども、国連加盟七十周年という節目を、国際社会における日本の立ち位置を広く国民に対しても示していく契機としてどのように活用されていくのか、情報発信やレガシーの構築について伺っていきたいと思います。
今回予定されている各種記念事業であるとかそういったものは、単に外務省内の一過性のイベントで終わらせずに、今、国際社会がどのような局面にあるのか、また、その中で日本がどういう立ち位置にいるのか、そして、なぜ多国間主義であるとか国連の枠組みが今のこの社会に重要なのかといったところを、国民、とりわけ次世代を担う子供たちであるとか、学校現場、社会へも広く浸透させていく、節目の年であるので、絶好の機会であるとも考えております。
国連加盟七十周年という大きな節目を活用して、教育現場であるとか各種イベント、これまで培ってきた様々な国際ネットワークや機運を通じて、国連外交の重要性をどのように戦略的に情報発信をされていくのか、国家的な機運として残していく計画なのかを大臣にお伺いしたいと思います。
○茂木国務大臣 大変重要な御指摘だと思っております。
今年、日本が国連加盟七十周年ということでありまして、この一年間を通じて、日本のこれまでの国連への貢献であったり、国連活動、様々な分野で行っている、その重要性を発信することで、日本の国連外交に対する国民の皆さんの理解を深めるとともに、御指摘のように、将来を担うグローバル人材、それに対するアプローチといいますか訴求、これを図ってまいりたいと考えております。
具体的に申し上げますと、今週十八日には、アジアで初めての開催となりました国連システム幹部会のため、グテーレス事務総長が訪日した機会を捉えまして、国連大学等が主催をしましたシンポジウムで私が基調講演を行いまして、国連を中核とする多国間主義に対する日本のコミットメントを発信したところであります。また、グテーレス事務総長を始め、国連各機関のトップとも有意義な意見交換ができた、こんなふうに考えております。
さらに、日本の国連加盟七十周年について、私自らが出演しました国連外交の意義を発信する広報動画も公開しておりますほか、七十周年記念SNSのアカウントを開設しまして、また、御覧いただいたかどうか分かりませんが、七十周年記念のロゴも制作するなど、国連外交の重要性を戦略的に発信をして、国連活動に対する国民の理解を促進する絶好な機会だ、こんなふうに捉えております。
日本の国連加盟七十周年となります十二月十八日に向けて、SNSの活用、教育現場における啓発活動であったりとか記念イベントの開催等を通じて、日本の国連外交に対する国民の理解の促進を図ってまいりたい、こんなふうに考えております。
○佐々木(真)委員 ありがとうございました。
是非とも、先日も答弁いただいた茂木大臣のSNS等もたくさん使っていただいて、広報力を存分に生かしていただければと思います。私たちも応援してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○國場委員長 次に、木下敏之君。
○木下委員 参政党の木下敏之でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
本日、私が取り上げるテーマは、先週の水曜日、五月十三日の外務委員会一般質疑におきまして我々参政党の谷議員が取り上げました、東シナ海における原油などの資源開発問題の続きでございます。
先週の質疑におきまして、谷議員から、東シナ海の資源開発は、我が国が主導権を持ちながらも、アメリカ政府やアメリカの石油メジャーと提携して行うのが現実的であり、外交、資源、安全保障にまたがる複雑な問題を取り仕切っていけるのは茂木大臣をおいてほかにいないのではないかとの問題提起をさせていただいたところであります。
ただ、日本側がアメリカと組みたいと言ったところで、石油メジャー側から見ましたら、世界に多々ある原油埋蔵の可能性がある海域、地域の中で、地政学的なリスクのある日韓共同開発区域や東シナ海の開発に着手すべき理由、条件を日本側がもっと整理しておく必要があるのではないかと思っております。
その条件というのは、一つは、四十年以上調査が行われていない海域でございますので、最新技術を用いて資源探査をいま一度行うこと、そして、資源探査を行う際には様々な外交上の問題が想定されますので、それに対してまずは日本政府が断固たる姿勢で対応すること、この二つではないかと思っています。
前回の一般質疑では、谷議員から、近年の深海掘削技術や三次元物理探査技術の進展を踏まえて、改めてこの海域での資源ポテンシャルを再評価する必要があるのではないかと経済産業省に対して質問を行いまして、経済産業省の政府参考人からは、政府全体として戦略的観点から適切に対応していく方針でございますとのお答えをいただいたところでございます。私も農林水産省におりましたので、霞が関文学は理解しておるつもりでございますが、このお答えは、何もしないと言っているに等しい回答ではないかと感じています。
そこで、今回は、政府全体として戦略的観点から適切に対応していく方針というのは一体どういうことなのかを、更に質問させていただきたいと考えています。
前回の質疑で、ブラジルの事例を取り上げさせていただきました。水深二千メートルの海底の、そのまた更に二千メートル深いところまで掘って油田を見つけている、そういう事例でございましたが、この事例は、海底に塩をたくさん含んだ層があったそうでして、これまでのデータ処理の仕方では対応することができなかった事例だったそうでございます。それで、塩層下、塩の層の下のイメージング技術というそうなんですが、欧米メジャーは既にAIを駆使してデータ処理をしているということを伺っております。
ただ、AIを使えるようにするためには、AIのデータ処理の結果と実際の掘削の結果を照合して精度を高めていくという過程が欠かせないわけでございまして、その点で、世界中で探査や掘削を行っている欧米系の資源探査会社の技術が我が国を大きく引き離しているのではないかということを大変危惧をしております。
我が国のJOGMECは、二〇一九年に世界有数の三次元物理探査船「たんさ」を購入いたしまして、既に七年が経過しておるわけであります。船を持つだけではなくて、取得したデータをどこまで解析できるのかということが非常に重要となっておりますが、「たんさ」は当時の世界最高水準級の探査船を買い取ったと承知しておりますので、ハードの強化よりも、AIの解析、深部構造解析などについてのソフト面の能力開発が重要だと考えております。
いささか前置きが長くなりましたが、ここで経済産業省に対して改めて伺います。
調査船の「たんさ」購入後、世界の最先端の資源探査技術、掘削技術はどのように進化していると経済産業省では理解されているのか。それを説明された上で、調査船「たんさ」は、現時点でその技術が世界最先端のものであると言えるのかどうか。さらには、調査船「たんさ」に対して、この五年間でどのような能力向上投資を行ってきたのか。ハード、ソフトも含めて、その投資額も含めて御説明ください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、資源探査技術でございますけれども、様々な技術の発展によりまして、より解像度高く効率的に地下構造を把握できるようになってございます。例えば、海底設置型の受信器を活用した新しいデータ取得方法とか、それから、飛躍的に向上したデータ処理能力を生かした分析手法などが今実装されているところでございます。
それから、掘削技術につきましても技術が発展してございまして、特にシェールガス、オイルに代表される水圧破砕、水平坑井の掘削技術、それから、数千メートルの大水深、超高圧力下での掘削技術の発展によりまして、従来では技術的に採取が困難であった資源が取得可能となっているというふうに考えてございます。
それから、委員御指摘のJOGMECの「たんさ」でございますけれども、「たんさ」の三次元物理探査技術につきましては、これは世界最先端の水準でございます。欧米のオイルメジャーを始めとする世界の主要な資源開発企業も、同様の手法で探査を実施をしているところでございます。
この「たんさ」の運航費用を始めといたしまして、石油、ガスの探査に必要な予算としては、直近五年合計で約六百億円を確保してございます。この中で、探査、分析手法の改善も行ってきているところでございます。これによりまして、例えば地下構造データの解像度向上に寄与する音波発生装置の拡充、それから、データ処理の効率化に寄与する探査制御システムの導入などを行いまして、技術の改善を実現したところでございます。
引き続き、探査、分析技術の向上に向けて対応を進めてまいりたいと考えてございます。
○木下委員 お答えありがとうございます。
五年で六百億というのは、運航経費も含めての合計金額ですよね。その中で、AIだとかデータ解析技術、ソフト面の投資というのはどれぐらい行われているんでしょうか。
○和久田政府参考人 金額につきましては今手元にございませんが、その内数でやっているということでございます。後ほどまた委員には個別に御説明申し上げたいと思います。
○木下委員 ありがとうございます。
事前のレクチャーのときは、金額を言えるかどうか分からないということでしたが、こういう船舶の運航経費は非常に通常経費がかかると思いますので、実際にAIに関する投資を見てみたら何千万円だとか何億円だったということはよくある話ですので、是非、後でデータも教えていただいた上で、この経費について増額をお願いしたいと思っています。
次の質問に入ります。
今、AIにどれぐらいお金を使っているか、金額は示されなかったわけですが、重要なのは、これまでの海底のデータと、実際掘ってみて、そこにどれだけ石油があったのか、ガスがあったのか、なかったのかどうか、そことの照合なわけですね。
それで、世界中の深海油田データを持っている企業ということであれば、テキサス州のヒューストンにSLB、旧シュルンベルジェというんですかね、という会社がございまして、そこは、北海、メキシコ湾、ブラジル、西アフリカなどの膨大なデータを持っているものと思われます。
先ほども申し上げたように、日本単独でデータ解析を強化しようとしても、我が国自体が深海の巨大油田経験がほぼないと言える状態でありまして、AIを強化していくための教師データが不足しているという条件は明らかにあるわけでございます。
そこで、改めて経済産業省にお伺いいたします。
これは、SLBのような世界最先端の解析AIを持つような、そして海洋データを持つような世界的な資源探査企業と組むべきではないかと思うんですが、既に組んでいらっしゃるとしたら、どこの企業と組んでいるのか、組んでいないとしたら、これからこういう世界的な探査企業と組むおつもりがあるのかどうかについてお答えください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、資源探査において有効な分析を出力するためには、物理探査によってデータを取得するところから、このデータを処理をして解析それから解釈を行うところまで、全体のプロセスを整合が取れた形で設計をして実施をすることが重要だというふうに考えてございます。
現在、JOGMECにおきましても、全体の資源探査技術の組合せも考慮しながら、随時、最新のAI技術の導入について検討を進めているところでございます。最新技術の導入も含めた最適な資源探査体制の構築を進めていくというような方針でございます。
それから、委員御指摘のSLB、それからハリバートン、そういった世界最先端の企業との連携でございますけれども、私どもとしても、こういった会社が技術水準の高い地層データの分析サービスを提供しているということは承知をしてございます。
今現在、JOGMECが実施をしている物理探査におきましては、世界の主たる物理探査企業であるTGS社、それからデータ解析企業であるSLB社とも連携をいたしまして、データの取得、処理、解析を実施をしているところでございます。引き続き、技術力の高い企業との協業を含めまして、最適な資源探査体制の構築を進めてまいりたいと考えてございます。
○木下委員 お答えありがとうございます。
TGSというのはたしかノルウェーの会社だったと思いますが、元々、探査船「たんさ」が北欧系の技術思想で造られているということからすると、非常に相性がいい。だから、TGSと組んでいるというのはよく分かるんですが。
具体的に、TGSやSLBとはどのような連携をされているんでしょうか。連携、連携といっても、単に年に何回か会っているだけだったり、具体的に何千万、何億円とお金を支払って、何かデータのやり取り、AI解析をしていただいている、いろいろな連携の仕方があると思うんですが、その点について具体的にお答えください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まずTGSですけれども、これはまさに、船を使って先進的な物理探査技術を実施をしている企業でございます。具体的には、音波を用いまして地下構造の探査、これは、地層のイメージ化をしたりとか、ストリーマーケーブルという長いケーブルを引っ張って広域、高精度でデータを取得したりとか、それから、解析につきましても、ノイズ除去とか解析処理による鮮明な地下構造イメージを生成する、そういった企業でございます。こういった技術につきまして、先ほどのJOGMECの「たんさ」を通じて連携をし、技術を高めているということでございます。
SLBにつきましても、データ解析、それからデータの処理、こういったところに強みを有してございますので、JOGMECと連携しながら技術を高めて、それを活用しているということでございます。
○木下委員 お答えありがとうございます。
具体的にどれぐらいの金額で、事業か何かを委託されているんでしょうか。
○和久田政府参考人 大変恐縮ながら、金額につきましては先ほどの金額の内数ということでございまして、また個別に委員にも御説明申し上げようと思います。
○木下委員 では、次の質問に参ります。
委員の皆さんのお手元にも、石油・天然ガスの探査海域に関する検討状況ということで資料を一枚お配りしておりますが、これは現在、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画で、大体十年間、二〇一九年度以降ですかね、二〇二八年まで十年間でどういった海域を調査しようかという計画図のようなものだと理解をしております。
海洋エネルギー・鉱物資源開発計画によりますと、これは二〇二三年時点でのコメントだと思いますが、二〇二三年度は目立ったトラブルもなく、十二月末時点での実績が約七千三百平方キロメートルと、順調なデータの取得ができていると。十年間でおよそ五万平方キロメートルの探査実施を目指して取り組んでいるということからすると、少し調査は遅れているのではないかと思います。
この丸で囲まれたところ、色も幾つか違いますが、ここが「たんさ」を使って調査するという海域だと思いますが、ここで、改めて経済産業省に伺います。
この地図の中で、日韓共同開発区域、若しくは、前回も質問させていただきました東シナ海、日中共同開発線近くのところ、ここは調査対象に含まれているのでしょうか。調査対象に含まれていないとしたら、その理由は何かを御説明ください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、御指摘の東シナ海でございますけれども、これは、民間事業者とはコミュニケーションをしてございますが、民間事業者から特段の探査要望を受けていないということでございます。
また、日韓共同開発区域につきましては、日韓大陸棚南部共同開発協定に基づきまして、日韓両国がそれぞれ許可する開発権者が共同して資源の探査等を行うということとされております。
したがって、いずれの海域も、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に基づき推進している物理探査の対象外となっているところでございます。
○木下委員 今、調査しない理由を御説明になったわけですが、いま一つ具体的に、何でここをやらないのかということがよく分からない御回答ではなかったかと思います。
特に東シナ海、民間側からここをやってくれという要望がないというのは、要は当たり前だと思っておりまして、これだけ地政学リスクがあって中国からの妨害も予想されるところを民間単独で調査してくださいということは、なかなか想定されないことだと思っております。
ここでやはり思うのは、こういった妨害が予想される区域、外交上もめることが予想される区域において、そして資源の眠っている可能性があるというところでは、国家として開発する意思があるのかどうかということが非常に問われているのではないかと思っております。
ここで、改めて経済産業省に伺いたいと思います。
こういった、民間から手が挙がらない、若しくは外交上もめる可能性がある、そういったところに対して開発を行うのは、やはり政府主導でなければ行えないと思うのですが、改めて、国家の意思としてこの海域で資源調査を行うことを検討する意思がないのかどうか、経済産業省のお考えを伺いたいと思います。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国周辺海域における資源探査につきましては、民間事業者からの要望に加えまして、石油、天然ガスの開発に進展する技術的な可能性も踏まえまして、有望度の高い海域における資源探査を推進をしていくということでございます。
したがって、例えば日韓共同開発区域でございますけれども、これは、日韓大陸棚南部共同開発協定の実施に関する事項等につきまして、引き続き日韓双方で緊密に意思疎通を行っていくことで一致をしてございますし、こういったいろいろな状況を踏まえまして適切に判断をしてまいりたいと考えてございます。
○木下委員 お答えありがとうございました。
何十年も動かなかった海域の調査に手をつけるのはタイミングが重要だと思いまして、ホルムズ海峡封鎖によって日本の石油の確保が大変難しいというこのタイミングを逃しては、なかなかこの海域で調査を始めるということは難しいのではないかと思います。
それで、これからだということになりますが、メジャーと提携するにしても、メジャー側からすると、どれぐらい資源があるのかどうかということと、まず調査でもめたときに、日本側がまず前面に立って戦ってくれるよね、守ってくれるよねということを示す必要があると思っておりまして、こういった地政学リスクが非常に高いところでは、通常の、企業側に対する税制優遇ですとか債務保証だとか特別償却だとか、そういったことに加えて、操業中断のときのリスク分担、若しくは、海上保安庁になると思うんですが、海上警備、それから、長期に権益を安定して確保する、そういった国家戦略型の支援パッケージを今から検討しておく必要があると思うんですが、経済産業省のお考えをお伺いいたします。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、国内資源につきましては、地政学リスクの影響に左右されず、安定的な供給の確保が可能でございまして、国内資源開発の推進は重要であるというふうに考えてございます。
その推進でございますけれども、これは実際に開発を行う民間事業者との連携がやはり必要不可欠でございます。したがって、資源探査を実施する海域は、民間事業者からの要望等に基づいて国が選定をしているところでございます。
具体的な政策措置につきましても、国内資源開発を効率よく進捗させる観点から、民間事業者の要望をよく確認する必要があると考えてございます。その際には、例えば物理探査につきましては、実施検討委員会などを形成をいたしまして、その中で様々な民間企業の方の御意見も伺いながら、評価結果の審議、それから優先順位の決定等、こういったものをしっかりやっているところでございます。
引き続き、民間事業者と密接に連携をしながら、必要な環境整備を行ってまいりたいと考えてございます。
○木下委員 お答えありがとうございます。
私が農林省にいたときの経済産業省の皆さんというのは、いろいろな仕掛けをして、日本のためにいろいろな行動をされてこられました。ですから、今回もタイミングとしては非常にいろいろなことを仕掛けやすいタイミングだと思いますので、我が国の資源確保の観点から、いろいろな有力な政治家の方を使って国を引っ張っていくんだという昔の通商産業省が持っていた気概を是非持っていただきたいと思います。
もう時間がなくなりましたので、最後は質問ではなくて要望になりますが、まず、これらの地域の資源海域は、九州や沖縄の経済振興にとっても極めて有効な事業でありますので、その点からも、経済産業省には資源開発に取り組んでいただきたいと思います。
そして、最後に、これは質問ではなくて茂木大臣に要望でございますが、こういった極めて高度な交渉を要するもの、経済産業省、それから外務省、防衛省も関わってくると思いますが、そして石油メジャーとの交渉は、やはり茂木大臣をおいてこういったものをまとめることができる方はほかにいないのではないかと思いますので、是非、頭の隅っこに留めておくだけではなくて、いろいろな仕掛けをしていただいて。
そして、このテーマは、役人に任せていてはいつまでたっても進まないと思います。役人の皆さんも頑張っておられると思いますが、政府全体として戦略的観点から適切に対応していくということの状況から前進することは、お役所に任せていてはなかなか難しいと思いますので、是非、大臣に政治的に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、ちょうど時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○國場委員長 次に、宇佐美登君。
○宇佐美委員 チームみらいの宇佐美登でございます。
本日もお時間をいただき、誠にありがとうございます。
さて、今日、五月二十二日なんですけれども、実は、六十六年前の一九六〇年、衆議院で新日米安保条約が採決された日でございまして、当時は陸海空と物理的兵力が中心でしたが、現在、安保は、主戦場はサイバーであり、宇宙であり、そして経済、技術と変質をしているわけでございます。
先端技術の優位性が国家の主権や同盟関係に直結する現代においても、この六十六年間における安保環境の構造的変化をどのように認識しているのか、茂木大臣の御見解をお願いいたします。
○茂木国務大臣 日米安全保障条約、今年で発効して六十六年目に当たるわけでありますが、この条約が我が国の平和と繁栄の礎となってきたこと、改めて深い思いを致すところであります。
御指摘のとおり、当時から、安全保障環境、六十年以上たっているわけでありますから大きく変化をしておりまして、特にこの五年、十年の変化というのは激しいと考えておりまして、現在、世界は、パワーバランスの変化であったり、紛争、対立の激化を受けて、戦後最も大きな構造的変化の中にあります。
また、安全保障の裾野、これも外交、防衛という伝統的な領域から経済、技術の分野にも大きく拡大しておりまして、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、そして人材力といった日本の総合的な国力を徹底的に強くしていかなければいけない、こんなふうに考えております。
こうした考え方の下、我が国として、同盟国、同志国とサイバー、宇宙、経済安全保障を含みます幅広い分野で協力を進め、ドローンの大量運用であったりとか、宇佐美委員が非常に造詣の深いAI、量子などの新興技術の発展といった新たな安全保障環境の変化にしっかりと対応していきたい、こんなふうに考えております。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
これは通告はしていないんですけれども、今度、七月の七日から八日、トルコのアンカラでNATOの首脳会議もあります。是非、私は、総理大臣に、高市さんに行ってもらいたいなと思っておりまして、この緊迫した世界のパワーバランスの中で、この会議に出るか出ないかは、私は、個人的にではありますけれども大変重要だと思っておりますので、その点、今、たしか外相会議をNATOはやっているということでありますけれども、是非今回の、ちょうど昨日、委員長のお力添えでトルコの議員団の皆さんとも会合をさせていただいた中でも是非来てほしいなという言葉もありましたし、私も、積極的に、進んで行くべきだというふうに思っていることを申し添えたいと思います。
さて、今、茂木大臣のお答えの中でもいただきました量子コンピューターの話でございます。
現代の安保環境における技術の優位性というのは、まさに今、茂木大臣に言っていただいたとおりであり、その覇権を左右する最先端の領域において、内閣府は日本政府の量子戦略の司令塔でございます。
前の方でお答えいただく皆さん、そして、その後ろにいる事務方というか現場でやっている方は、何と今、大体週一回ぐらい会議を開いているそうでございまして、熱心にこの量子関係も議論をいただいているところで、心より敬意を表したいと思います。
そして、この全体の取りまとめとして内閣府、文科省、経産省、防衛省などなどの縦割りを排し、最重点の戦略領域に予算やリソースを重点配分してくださっているわけでございますが、内閣府の全体戦略は、なかなか、いろいろな議事録を見たんですけれども載ってございません。私、個人的には、この二日間、何十時間というぐらいレクをいただいたり、御相談させていただきましたが、是非御答弁いただければと思います。
○原政府参考人 お答えいたします。
内閣府におきましては、科学技術の総合的かつ計画的な振興を図るための基本的な政策に関する事項ですとか、科学技術に関する予算、人材その他の科学技術の振興に必要な資源の配分の方針に関する事項などを所掌しているところでございます。
この中で、量子分野につきましては、量子技術イノベーション会議を設置いたしまして、関係各省とも協力しながら、我が国として量子分野への資源の投入が最適なものとなるよう、基礎研究から社会実装に至るまで量子分野の政府全体としての戦略を立案してきているところでございます。
委員御指摘のとおり、量子技術は、AI、半導体と並ぶ次世代の戦略的な基盤技術でございまして、技術の進歩も速いということ、それからまた、世界の競争は、研究段階から産業化、市場化に向けたものに拡大しつつあるというふうに認識しているところでございます。
このため、令和二年にまず量子技術イノベーション戦略を策定いたしました。その後、毎年のように新たな推進方策などを策定し、技術の進歩等を踏まえた各省の連携あるいは産学連携の取組を図ってきているところでございます。現在では、量子を日本成長戦略の重点分野の一つとして位置づけまして、官民投資ロードマップを策定するための検討を内閣府を中心に行っているところでございます。
関係省庁とも協力しながら、供給面だけでなく官需をも活用しながら、初期需要の創出を図り、研究から社会実装に至るまで一気通貫で取り組んでまいるということとしてございます。
以上です。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
ここは外務委員会なので、多分、量子コンピューターとか量子といってもなかなか、何だろうなと思われる方も比較的多いかと思いますが、今までのコンピューターが、基本的には電気が流れる、流れないのゼロ、一で分析というか考えていくコンピューターなんですけれども、今、これは古典とかもう呼ばれ始めていて、量子コンピューターでは、ゼロと一の両方が確率論で併存するというか存在するというのがこの量子の考え方でございます。
これをやっていくと、例えば、この前も、高速道路が渋滞していて、降りたら、グーグルマップで見ながらなんですけれども、前の車も大体同じような動きをしていくんですね。どういうことかというと、今こっちの方がすいている道ですよと誘導をしてくれる。これだけでも助かるんですが、実は同じ道にたくさんの車が行ったらどんどんまた混んできちゃうわけですよ。でも、常磐の、茨城の辺りですから東京までの道というのは幾らでも、何百万通り、何千万通りあって、それを例えば分散して、この車にはここに行ってね、このBさんにはこっちねというようなことまでを一瞬でやれるのが、実は量子コンピューターの特徴でございます。
私のやっていた医療工学の分野でいえば、例えば、薬を作るときにも、たんぱく質の融合をするときに微妙な割合を重ねていくわけですね。そのときに、スーパーコンピューターでももちろん今能力が上がっているのでできるんですけれども、この量子コンピューターだともう本当に一瞬でできてしまうこともある。ただ、誤りも時々生まれてくるんですね。その誤りの訂正も今やり始めているという状態なんですけれども、経産省さんが非常に頑張っていただいております。
この量子コンピューター、そして我々がいつも申し上げているAI、人工知能というものの組合せも非常に重要だと思っております。国内の産業界、そしてスタートアップへどのように実装していくのかを含めて、経産省さんからお答えいただきたいと思います。
○今村政府参考人 お答え申し上げます。
今先生からお話がありましたように、量子コンピューターは、従来型のコンピューターでは解決が困難な問題に活用できる可能性がございます。我が国の産業競争力や経済安全保障、こういったものの確保のためには非常に重要な技術だというふうに思っております。
今先生からもお話がありましたように、量子コンピューターの社会実装のためには、AIを含むいわゆる古典コンピューターとそれから量子コンピューター、それぞれの強みを生かしたハイブリッドコンピューティングを実現していくことが重要というふうに考えております。
政府の方針としましても、日本成長戦略本部において検討を進めております量子の官民投資ロードマップの案、こちらにおきましてハイブリッド計算基盤の早期構築が示されております。
経済産業省では、産業技術総合研究所の量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター、略しましてG―QuATにおきまして、量子それから古典ハイブリッドコンピューティングのための世界最高水準のテストベッド環境、それからインキュベーション施設の整備を進めております。スタートアップを含めた産業界が量子コンピューターのユースケース実証に利用可能な環境を整えているところでございます。
引き続きまして、量子コンピューターの産業実装に向けた取組を行ってまいりたいというふうに考えております。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
先ほどの木下委員からの質問の中にありました石油とか天然ガスの発掘の話なんですが、実は、量子コンピューターは何種類かあるんですけれども、絶対零度、マイナス二百七十三度、若しくはその付近で動いているものが多いんですね。そのときに天然ガスの中から精製プロセスの中で出てくるのが実はヘリウムでございまして、先ほどの木下委員もそうですけれども、天然ガスについても是非日本として頑張っていただいて、その中から、量子コンピューターを冷やすだけではない、ほかでも冷却で使うところはたくさんありますので、ヘリウムもこの国で精製できるようにしてもらえたらなと思っております。
さて、今申し上げている量子コンピューターの分野も、やはり人材が一番重要でございます。そんな中で、文部科学省さんがこの量子やAIについて非常に具体的な研究支援とか人材育成をしてくださっております。御答弁いただければと思います。
○生田政府参考人 お答えいたします。
先ほど先生から御指摘がございましたように、量子コンピューター開発の国際競争はますます激化していることから、最先端の研究環境や優れた人材を引きつける環境づくりが喫緊の課題であると考えております。
このため、文部科学省では、優秀な研究者を引きつけるための世界トップレベルの研究拠点の整備や国際卓越研究大学への支援などの取組を進めるなど、優れた人材の確保に努めております。
また、特に国際競争の激しい量子分野におきまして、文部科学省として、光・量子飛躍フラッグシッププロジェクト、略してQ―LEAPというプログラムを通じ、理化学研究所を始めとする大学や研究機関の研究開発を最長十年間にわたり長期的に支援することで量子専門人材の育成を行っており、今年度からは新たに、高専生や高校生向けの量子技術を学ぶプログラムの開発等も予定しているところでございます。
引き続き、これらの取組を着実に推進し、日本の量子技術の発展を支えてまいります。
以上です。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
そうやって小さいうちから、今、高校生の話を中心にされました、大学生もそうですけれども、本当に子供のうちから、量子というものが、我々が生きている中で、実は全てそういうところで動いているわけでございますので、より理解を深めてもらえるような支援をしていただければと思います。
さて、防衛領域における量子やAIなどの社会実装というのも大変重要でございます。例えば、量子、AIを用いたサイバー防衛はもちろん、ステルス機、潜水艦の探知とか、防衛現場への適用は急務でございます。この点を含めて防衛省からお答えいただきたいと思います。
○嶺政府参考人 お答え申し上げます。
先端技術研究とその成果の安全保障目的の活用などについて、主要国が競争を激化させる中で、量子技術やAIを始めとする先端技術は将来の戦闘様相を一変させ得る極めて重要な技術であると考えておりまして、防衛省としてもその育成や活用、取り込みを着実に進めているところでございます。
例えば、量子技術につきましては、将来の戦い方を大きく変える可能性を秘めた技術としまして、特に探知、識別能力の高度化等への活用を検討しておりまして、安全保障技術研究推進制度等におきまして量子センシングなどの分野の研究を推進しております。
一方、AIでございますが、その活用につきましては、意思決定の迅速化、自衛隊員の負担軽減、省人化、省力化、これらを図るため、例えば、指揮官の判断を補佐する幕僚をAIで再現しまして、議論させ、対応策を提案させるような研究を実施しておりまして、これは指揮統制などの分野において応用される可能性のあるもので、重点的に進めているところでございます。
今後とも、日本成長戦略、量子ワーキンググループ、AI・半導体ワーキンググループなどの場を含めまして、関係省庁との緊密な連携を通じて、最先端科学技術の防衛分野への取り込みを積極的に進めてまいります。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
センシング技術もあれですけれども、あと、ジャイロですよね。GPSが今いろいろいじられて駄目なときに、実は、この量子技術を使った、自分の居場所とかそういうのが精密に分かるようになっていきます。是非そういった意味も含めて、防衛省さんも頑張っていただきたいと思います。
さて、最後になりましたけれども、今お聞きいただいたとおり、外務大臣、外交カードとしても、経済安保戦略の展開の一カードとして、この量子やAIというもの、大変重要だと思っております。外相の方針と決意をお願いいたします。
○茂木国務大臣 宇佐美委員の御質問を聞いておりまして、先日はアンチモンの原子番号は五十一番だと聞いて驚いたところですけれども、今日も量子技術、量子コンピューターについて大変分かりやすい説明で、今度お許しがいただけたら、交通渋滞の例を使いながら私も説明させていただければ、こんなふうにも思っております。
地政学的な緊張の高まりであったり、AI、量子を始めとする新興技術の急速な進展によりまして、科学技術と経済が近接する、これが加速するとともに、これらが外交、安全保障政策と密接に結びついてきております。
こうした中、外務省として、我が国の自律性、不可欠性を確保すべく、重要技術、新興技術の保全、開発促進に取り組んでいるところであります。
例えば、米国との間では、昨年十月の技術繁栄ディールに関する協力覚書等に基づきまして、AI、量子、バイオ等の戦略的な科学技術分野における協力の強化を進めて、自律性の向上、二国間でこれを図っているところであります。
また、日本として、昨年は機微技術の輸出管理に関する国際的な枠組みでありますワッセナー・アレンジメントの総会議長国を務めるなど、国際的な議論を主導する役割も果たしてきております。
こうした同盟国、同志国間の協力を着実に進めつつ、時代の変化に合わせて、重要物資のサプライチェーンであったり、AI、データ時代の新たな経済基盤の強靱化を図り、新たに進化したFOIPの考え方も踏まえて、我が国の経済安全保障をしっかりと確保していきたい、そのように考えております。
○宇佐美委員 ありがとうございます。
時間でございますので、終わらせていただきます。
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○國場委員長 次に、日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣茂木敏充君。
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日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件
〔本号末尾に掲載〕
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○茂木国務大臣 ただいま議題となりました四件につきまして、提案理由を御説明をいたします。
まず、日本国の自衛隊とフィリピンの軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフィリピン共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件については、令和八年一月十五日に協定の署名が行われました。
この協定は、自衛隊とフィリピンの軍隊との間で、それぞれの国の法令により認められる物品又は役務の提供における決済手続等を定めるものです。
この協定の締結により、自衛隊とフィリピンの軍隊が行う活動においてそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与することが期待されます。
よって、この協定の締結について御承認を求める次第です。
次に、日本国の自衛隊とオランダ王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオランダ王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件については、令和七年十二月十八日に協定の署名が行われました。
この協定は、自衛隊とオランダ王国の軍隊との間で、それぞれの国の法令により認められる物品又は役務の提供における決済手続等を定めるものです。
この協定の締結により、自衛隊とオランダ王国の軍隊が行う活動においてそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与することが期待されます。
よって、この協定の締結について御承認を求める次第です。
次に、日本国の自衛隊とニュージーランド国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とニュージーランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件については、令和七年十二月十九日に協定の署名が行われました。
この協定は、自衛隊とニュージーランド国防軍との間で、それぞれの国の法令により認められる物品又は役務の提供における決済手続等を定めるものです。
この協定の締結により、自衛隊とニュージーランド国防軍が行う活動においてそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与することが期待をされます。
よって、この協定の締結について御承認を求める次第です。
最後に、刑事に関する共助に関する日本国とカナダとの間の条約の締結について承認を求めるの件については、令和七年十二月十二日に条約の署名が行われました。
この条約は、一方の締約国が他方の締約国の請求に基づき、捜査、訴追その他の刑事手続について共助を実施すること、そのための枠組みとして、両締約国が指定する中央当局が相互に直接連絡すること等を定めるものです。
この条約の締結により、我が国からカナダに請求する共助がカナダにおいて実施されることを確保できるとともに、共助に関する連絡を中央当局間で直接行うことにより、共助の効率化、迅速化が期待されます。
よって、この条約の締結について御承認を求める次第です。
以上が、四件の提案理由及びその概要です。
以上四件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
○國場委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会

