衆議院

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第9号 令和7年4月16日(水曜日)

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令和七年四月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君

   理事 葉梨 康弘君 理事 神谷  裕君

   理事 野間  健君 理事 池畑浩太朗君

   理事 長友 慎治君

      五十嵐 清君    大空 幸星君

      栗原  渉君    小池 正昭君

      島田 智明君    武村 展英君

      田野瀬太道君    根本  拓君

      根本 幸典君    長谷川淳二君

      広瀬  建君    福原 淳嗣君

      三反園 訓君    宮下 一郎君

      向山  淳君    森下 千里君

      簗  和生君    石川 香織君

      岡田 華子君    岡本あき子君

      金子 恵美君    小山 展弘君

      近藤 和也君    西川 将人君

      福田 淳太君    緑川 貴士君

      柳沢  剛君    山田 勝彦君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      許斐亮太郎君    村岡 敏英君

      庄子 賢一君    角田 秀穂君

      山崎 正恭君    八幡  愛君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   会計検査院事務総局第四局長            中川  浩君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          深水 秀介君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           安岡 澄人君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省畜産局長)  松本  平君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   政府参考人

   (林野庁長官)      青山 豊久君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  根本  拓君     広瀬  建君

  長谷川淳二君     島田 智明君

  平沼正二郎君     福原 淳嗣君

  山本 大地君     向山  淳君

  石川 香織君     岡本あき子君

  庄子 賢一君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 智明君     長谷川淳二君

  広瀬  建君     根本  拓君

  福原 淳嗣君     五十嵐 清君

  向山  淳君     山本 大地君

  岡本あき子君     石川 香織君

  山崎 正恭君     庄子 賢一君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     三反園 訓君

同日

 辞任         補欠選任

  三反園 訓君     平沼正二郎君

    ―――――――――――――

四月十六日

 国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八九三号)

 同(石川香織君紹介)(第八九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第八九五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八九六号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第八九七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第八九八号)

 同(田村智子君紹介)(第八九九号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第九〇〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第九〇一号)

 同(渡辺創君紹介)(第九〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件(食料・農業・農村基本計画)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、食料・農業・農村基本計画について政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣江藤拓君。

江藤国務大臣 おはようございます。

 改正食料・農業・農村基本法に基づく初めての食料・農業・農村基本計画が、四月十一日に閣議決定されました。

 熟議の国会でありますので、与野党の垣根を超え、基本計画に係る委員会質疑をいただき、また、本委員会の決議もいただきました。このことにつきまして感謝申し上げます。これらの議論を最大限尊重し、本基本計画を策定いたしました。

 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。

 まず、「まえがき」として、食料安全保障に関する課題を整理した上で、改正基本法の基本理念に基づき、我が国の食料、農業、農村を維持発展させるために必要な施策の方向性を具体化すること、また、初動五年間で農業の構造転換を集中的に推し進めるため、基本計画の計画期間を五年とすることを掲げています。

 次に、第一の食料、農業及び農村に関する施策についての基本的な方針です。

 具体的には、我が国の食料供給として、農地、人や生産資材等の資源を確保し、それらと農業生産基盤の整備、保全、先端的技術の開発普及とが効率的に組み合わされた農業構造へ転換して生産性を向上させることにより、食料自給力を確保します。また、生産性向上と付加価値向上を通じ、農業経営の収益力を高め、農業者の所得向上を図ることにより、農業の持続的発展を図ります。あわせて、食料の安定的な輸入の確保、備蓄の確保を図ることとします。

 輸出の促進等については、国内への食料供給に加え、今後成長する海外の食市場を取り込み、農林水産物・食品の輸出の促進等により海外から稼ぐ力を強化することで、農業生産の基盤、食料産業の事業基盤等の食料供給能力を確保することとします。

 国民一人一人の食料安全保障、持続的な食料システムについては、持続的な食料システムを構築し、食料を消費者まで送り届けられるよう、食品産業の持続的発展を図るとともに、合理的な価格形成を推進します。また、平時からの物理的、経済的な食品アクセスに加え、不測時の食品アクセスを確保します。

 環境と調和の取れた食料システムの確立、多面的機能の発揮について、食料供給の各段階において、環境負荷の低減を図ります。また、多面的機能について、環境への負荷低減を図りつつ、適切かつ十分に発揮することとしています。

 農村の振興について、人口減少下においても地域社会が維持され、食料供給能力及び多面的機能が発揮されるよう、生産基盤の整備、保全や共同活動の促進、所得向上や雇用の創出、生活利便性を確保する取組等の推進を図ります。

 次に、第二の食料安全保障の動向では、我が国の食料安全保障と密接に結びついている、世界の食料需給、貿易等の動向、それに影響を与え得るリスクなどについて分析し、整理しております。

 第三では、目標年度を令和十二年度とし、食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標を定めております。

 食料安全保障の確保のための食料の安定的な供給は、国内の農業生産の増大を基本とし、安定的な輸入と備蓄の確保を図ることにより行うこととしており、そのため、供給熱量ベースの食料自給率を四五%、摂取熱量ベース食料自給率を五三%に設定し、また、食料自給力の確保に向け、農地面積や担い手数、生産性の向上、生産資材の確保に関する目標を設定しています。これに加え、輸入の安定化や備蓄の確保に関する目標を設定しています。

 輸出の促進等に関し、農林水産物・食品の輸出額目標を五兆円とするとともに、食品産業の海外展開による収益額、インバウンドによる食関連消費額の目標など、食料安全保障の確保に関する目標を掲げています。

 また、目標と併せKPIを設定し、目標の達成状況の把握だけではなく、KPIを検証することにより、PDCAサイクルによる施策の不断の見直しを行うことといたします。

 第四は、食料、農業及び農村に関し総合的かつ計画的に構ずべき施策です。

 一つ目は、我が国の食料供給に関する施策です。

 まず、水田政策について、令和九年度から根本的に見直すこととし、水田を対象として支援する水田活用の直接支払交付金を、作物ごとの生産性向上等への支援へと転換することを位置づけました。

 加えて、米輸出の更なる拡大に向けて、低コストで生産できる輸出向け産地を新たに育成するとともに、海外における需要拡大を推進します。

 また、規模の大小や個人、法人などの経営形態にかかわらず、農業で生計を立てる担い手、農地、水を確保するとともに、地域計画に基づき担い手への農地の集積、集約化を推進します。

 さらに、サステーナブルな農業構造を実現するため、親元就農や雇用就農の促進により、担い手を確保します。

 生産コストの低減を図るため、農地の大区画化、情報通信環境の整備、スマート農業技術、DXの推進や農業支援サービス事業者の育成、品種の育成、共同利用施設等の再編、集約、合理化等を推進します。

 加えて、生産資材について、国内資源の肥料利用の拡大、化学肥料の原料備蓄、主な穀物の国産種子の自給、国産飼料への転換を推進します。

 二つ目は、輸出の促進に関する施策です。

 マーケットイン、マーケットメイクの観点から、新たな輸出先の開拓、輸出産地の育成、国内外一貫したサプライチェーンの構築を推進します。

 また、食品産業の海外展開とインバウンドによる食関連消費の拡大により、輸出拡大との相乗効果の発揮を図ります。

 これらにより、食料自給率、食料自給力の向上、海外から稼ぐ力の強化を図ることを通じて、農業経営の収益力を高め、農業者の所得の向上に取り組みます。

 三つ目は、国民一人一人の食料安全保障、持続的な食料システムに関する施策です。

 食料システムの関係者の連携を通じた、食品等の持続的な供給のための取組、合理的な価格形成を推進します。

 食品アクセスの確保に関しては、ラストワンマイル物流の確保、フードバンク等の食料受入れ、提供機能の強化等を行います。

 四つ目は、環境と調和の取れた食料システムの確立、多面的機能の発揮に関する施策です。

 GXに取り組む民間活力を取り込み、脱炭素化、生産性向上、地域経済の活性化を同時に実現するみどりGX推進プランを策定し、新たな環境直接支払い交付金やクロスコンプライアンスの実施を通じた環境負荷の低減、農林漁業循環経済の取組を促進します。

 また、農業生産活動の継続を通じた多面的機能の発揮を促進します。

 五つ目は、農村の振興に関する施策です。

 総合的な農村振興のため、地方みらい共創戦略を策定し、官民共創の仕組みを活用した、地域内外の民間企業の参画促進や地域と企業の新たな結合等により、関係人口の増加を図り、楽しい農村を創出します。

 農泊や農福連携等、内発型新事業を創出するとともに、生活インフラ等の確保に取り組みます。

 また、中山間地域等の振興のため、農村RMOの立ち上げ等による集落機能の維持、地域課題に対応し、地域の特色を生かした農業で稼ぐための取組を支援します。

 六つ目は、国民理解の醸成に関する施策です。

 農業等に対する消費者の更なる理解や行動変容につなげるため、食育等を推進します。

 七つ目は、自然災害への対応に関する施策です。

 東日本大震災からの復旧復興については、被災地のニーズを丁寧に酌み取りつつ、担い手の確保や産地形成等を支援してまいります。能登半島地震と豪雨災害からの復旧復興については、農地等の復旧やなりわい再建等の総合的な支援策を切れ目なく実施してまいります。

 最後に、第五、食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項です。

 食料システム全体の生産性向上に向けたDXの推進、食料システムの関係者間の連携、関係府省庁との連携による施策の推進等を位置づけております。

 農林水産省といたしましては、この基本計画に基づき、多くの方々の御意見と御理解を得て、食料システムが一体となって、スピード感を持って施策を推進してまいります。

 委員長を始め理事、委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

御法川委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口靖君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、大臣官房統計部長深水秀介君、消費・安全局長安岡澄人君、輸出・国際局長森重樹君、農産局長松尾浩則君、畜産局長松本平君、経営局長杉中淳君、農村振興局長前島明成君、林野庁長官青山豊久君、水産庁長官森健君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、会計検査院事務総局第四局長中川浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘です。久しぶりに質問に立たせていただきます。

 今、江藤大臣から、食料・農業・農村基本計画の御説明を受けたところです。

 斎藤財務副大臣に伺います。

 この閣議決定された食料・農業・農村基本計画、これは食料安全保障を確立するためにいろいろなKPIが盛り込まれているんです。この施策を確実に実行して、達成することが求められています。それには当然、予算面の裏づけが必要です。財務省としてもしっかり御協力をしていただきたいと考えますが、どうでしょうか。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 我が国が農業者の減少、高齢化や国際社会における食料需給の不安定化に直面している中で、農業経営の収益力を高め、農業者の所得を向上することを通じて、食料安全保障の強化と農業の持続的な発展を図ることが重要であると考えております。

 こうした考えの下、今月十一日に閣議決定された食料・農業・農村基本計画において、必要な農地や担い手の確保、生産性の向上等に関する目標とKPIを設定したところです。

 政府といたしまして、今後五年間をかけてこうした目標とKPIの達成に向けて取り組む中で、必要な予算の確保を含め、しっかりと施策の推進が図れますように、農林水産省と連携してまいります。

葉梨委員 今日は、そういうことで、この基本計画のKPIを達成するための、特に農業農村基盤整備、これに絞って御質問させていただきたいと思います。

 この基本計画には、やはり今後の農業従事者の激減への対応、米の輸出促進などのためには、米の生産コストや水田における麦、大豆等の生産コストを低減することが求められています。少ない農業従事者で食料の安定供給を図るため、スマート技術の普及や多収穫品種の開発に加えて、水田の集約化や大区画化が必要と考えます。

 現在、おおよそ七割の水田が三十アール区画として整備されていると聞きますけれども、このKPIを達成するために、今後どのような基盤整備が必要と考えていますでしょうか。お答えください。

前島政府参考人 お答えいたします。

 令和五年三月時点での水田の整備状況は、一ヘクタール程度以上の大区画化済みの農地が二十九万ヘクタール、標準区画の三十アール程度の農地が百三十二万ヘクタール、未整備の農地が七十四万ヘクタール程度となっております。

 農業者が減少する中、基本計画で二〇三〇年度のKPIとして定めている生産コストの達成に向けましては、大型機械やスマート農業技術の導入などによる生産コストの大幅な低減が不可欠であり、一ヘクタール以上の農地の大区画化が重要であると考えております。

 このため、今後、三十アール程度の区画を一ヘクタール以上にする大区画化を積極的に行うとともに、大区画化が困難な地域につきましては、地形条件等を踏まえ、必要な基盤整備を推進していく考えでございます。

葉梨委員 そうですね。まずはこのKPIを達成するためには、一ヘクタール程度以上に大区画化をするということがやはり必要だというふうに思われます。ただ、狭小な中山間地等について、なかなか一ヘクタールというのは難しいところもあるのも分かっています。

 令和五年の基盤法の施行で、地域農業経営基盤促進計画、いわゆる地域計画の作成が義務づけられ、令和六年度末までにおおむねの計画が農林水産省に上がっていると聞いています。中山間地を中心に、耕作する受け手のいない白地の農地が多いということも漏れ聞きますけれども、この白地の農地を解消するために、現場の声としてどのような施策を実施してくれという声が多いのか、伺います。

杉中政府参考人 お答えいたします。

 全国の市町村に策定いただきました地域計画は、現在集計中でございますけれども、三月末までにおおよそ一万九千地区で策定されたところでございます。

 策定された地域計画の分析を今行っておりますけれども、議員御指摘のように、将来利用する者が不在の農地が多く存在することが確認をされます。これは、小区画、不整形の農地が多い中山間地域などで特に見られますけれども、まず、農地が分散しており、まとまった農地がない、また、そのような農地が基盤整備をされていない、また、地域に受け手となる担い手がいないなどの課題が挙げられておりまして、そのような地域では、まずは基盤整備を特に要望する声が上がっているところでございます。

 農林水産省としては、今後、策定された全ての地域計画をしっかり分析するとともに、現場の声をしっかりと聞き取って、農地の有効利用に向けた支援の在り方について検討していきたいと考えています。

葉梨委員 そういうことなんですよね。ですから、農地を大区画化するだけが農業農村基盤整備ではない。中山間地の区画整理というのもある。

 後半はもう大区画化ということに絞って伺っていきたいと思っているんですが、今現在、年間、大区画化には何千ヘクタールぐらい、それ以外には何千ヘクタールぐらいの基盤整備を進めていらっしゃるのか、伺いたいと思います。

前島政府参考人 お答えいたします。

 現行土地改良長期計画の計画期間の最初の二年間となります令和三年度及び令和四年度における水田の区画整理面積は、年間約八千ヘクタールでございます。そのうち、五十アール以上に大区画化された整備面積は約六千ヘクタールとなります。地域の関係者の意向や地形条件などから大区画化が困難な地域もございますが、そうしたところでは三十アール程度区画への整備を行ってきておりまして、それらが残りの約二千ヘクタールとなっておるところでございます。

葉梨委員 そうなんですね。現在、年間約八千ヘクタールのうち、大区画化に六千ヘクタール、それ以外の中山間地等に二千ヘクタールということになります。

 そこで、資料の一でございますが、こちらの左の下、三十アール程度以上区画の水田、これを大区画化していくということが、コスト低減とか、あるいは、これからの農業人口の激減に対応するためには必要ということになります。

 ただ、戦後、本当に狭小な水田を三十アールにするというような基盤整備が行われてきました。ですから、その部分で、圃区均平田というらしいんですけれども、田んぼが平らに連担していて、あぜを取っ払ってしまえば大区画化ができるという田んぼもございます。

 そういう田んぼについては、予算をたくさん使うということよりも、それぞれ農業者がお話合いをしていただいて、あぜを取っ払うということ、これで簡易に整備をするということをどんどん私は進めるべきだと思っていますし、私の地元の龍ケ崎市というところがあるんですが、百六十ヘクタールぐらいやっている大規模な水田農家がありますが、そこは自前であぜを取っ払って圃場を広くしています。

 そこで、しっかりと予算をかけてこれから整備をしなければいけない水田がどれぐらいあるかということなんですが、この資料からも見てお分かりのとおり、全体の水田面積が二百三十四万ヘクタールあります。そのうち、三十アール程度の区画整理の対象となるであろう中山間地等における不整形、狭小な水田が七十四万ヘクタール、これを除いた百六十一万ヘクタールから、既に大区画化済みの水田面積二十九万ヘクタールと、簡易整備可能な五十二万ヘクタール、これを除いた八十万ヘクタールを早急に大区画化をしなければいけない、そういうような計算になっています。

 資料二を御覧いただきたいと思います。

 これは、先ほど前島局長が述べられた、年間六千ヘクタール大区画化をしていると、何年かかるか。これはもう単純な算数です。百三十三年。食料安全保障を確立して、そして先ほどの基本計画のKPIを達成する、そのための基盤となる農地の整備、大区画化、これに今の予算だと何年かかるか。百三十三年。この話を私が地元の土地改良の皆さんとの集まりでお話しすると、失笑が漏れるんですよね。

 当然、百三十三年後だから、ここにいらっしゃる方々は誰も生きていない、そういうペースなんです。ですから、このペースで五年でやるには、予算を二十倍以上にしなきゃいけない。なかなかそれは難しいにしても、私は三十年ぐらいでは達成するべきだというふうには思っているんです。私も、死ぬか生きるか境目ぐらいの頃には、その状況を見たいなというふうに思っています。ただ、その前に、やはり国民に対してしっかり説明をしていかなければいけない。

 資料の三を御覧になっていただきたい。

 農業農村整備、いわゆる土地改良予算、民主党政権のときに減らされた時代もあったんですが、それは今日は言いませんけれども、その前も相当これはお金をかけているんですよ。そのかけたお金というのは一体意味があったのかという話にもなってしまう。これについては、なかなかちょっと、役所で答弁をというと、余りはっきり物を言ったような答弁ができないものですから、そこのところはちょっとこちらでのみ込んで申し上げますけれども、たくさんの予算、確かにつくったんです。

 今現在、そういう形で三十アール以上に区画されている水田というのは六八・七%あります。ただ、これ自体は、お米自体、日本で自給できるようになったのは昭和四十二年、戦後ずっと足りないという時代が続いていました。また、食管制度があった時代は、やはり小さな農家が非常に多かった。一九九五年に食管制度が廃止されて、それからいろいろな形での大規模化というのが急速に進み出したわけです。

 その前の時代の土地改良というのは一体何だったのかということなんですけれども、まず、小規模自作農が耕作していました。私の小学校時代に、都府県の水田の一戸当たりの平均の面積は一・一ヘクタール、しかも実際に働いていました。土地に対する愛着は、日本人は当時は非常に強かった。ですから、お話合いをして区画を広くしようといったって、自分のところは自分の区画で耕すんだと、まとまらないんですよ、一ヘクタールの区画なんかを造ろうって。せいぜい三十アールだと。

 そして、その中で、さっきも言ったとおり、昭和四十二年まではお米の自給ができなかった。食料が不足している。少しでも生産性を上げなきゃいけない。じゃ、田植機を入れられるように、あるいはコンバインを入れられるように、当時の、今の田植機もそんなに大きくないですから、そうすると、その機械を入れるというようなことになると、最低でも区画整理はやっていかなきゃいけない。ですから、もう三十アールで、致し方ないけれども、日本人を食べていかせるためには、これは仕方がないということで進めてきたんです。

 ですから、さっきも言ったとおり、圃区均平田については、もう自前であぜを取っ払ってもらいましょう。でも、ほかのところについてはしっかりと農業農村基盤整備をやっていかなきゃいけない。ですから、かつての必要性と、それからこれからの必要性ですね。このことを、やはりしっかり国民に対して説明をしていかなければなりません。

 農業農村基盤整備、農業従事者が激減します、国際情勢が不透明化します、その中で日本人が食べていけるようにするためには、これからが正念場。このことを国民の皆さんにしっかりと理解をしていただかなければいけない。その意味で、今述べた六八・七%の整備率という数字が独り歩きしますと、三十アールでいいじゃないかというふうに思われてしまうと、これからの食料安全保障を確保することができない。今、六八・七%の進捗率という数字が独り歩きしてしまうと、もう農業農村基盤整備事業は要らないじゃないか、そういう話になりかねない。この見せ方、これは工夫する必要はあると思うんですけれども、いかがでしょうか。

前島政府参考人 お答えいたします。

 これまでも食料・農業・農村白書などにおきましては、三十アール程度以上の整備率と併せまして、五十アール以上の大区画への整備率を併記してきております。

 委員御指摘のとおり、スマート農業技術の導入などによります生産コストの低減に向けまして、農地の大区画化を加速することが不可欠であると考えておりまして、令和八年度以降の新規地区につきましては、平たん地ではおおむね一ヘクタール又はそれ以上の大区画化を基本に検討していくこととしているところでございます。

 一方、中山間地域などにおきましては、大区画化が困難な場合もございますことから、三十アール程度の整備も進めてきたところでございます。

 このような地域につきましては、自動給水栓、リモコン草刈り機などの導入による省力化の取組を進めていくことが必要でございまして、水路のパイプライン化、のり面の緩傾斜化などのスマート農業技術に対応した基盤整備を推進していく考えでございます。

 今後、閣議決定を目指します令和六年度食料・農業・農村白書におきましては、三十アール程度以上の整備率と五十アール以上の整備率に加えまして、一ヘクタール以上の大区画の整備率についても記載する方針としております。このほかに、大区画化の整備率を含め、水田の整備状況の示し方につきましても検討してまいりたいと考えております。

葉梨委員 これはしっかりと工夫していただかないと、これでいいんじゃないかというふうに国民の皆さんに思われたら予算がつかないですから。斎藤さん、水田地帯ですから、新潟ですから。

 それで、私、予算を二十数倍にして五年にしろとはさすがになかなか言えないと思うんですよ。でも、少なくとも、さっきも言ったように、やはり三十年ぐらいでは完成させるということが必要だろうというふうに思います。

 というのは、何でかというと、これは受ける側なんですが、五年間だけ予算を増やしますよと言われても、まず自治体も人を雇わない、土地改良区も人を雇わない、それから業者さんも人も雇わないし設備投資もしない。ある程度の期間が、集中期間は、やはり五年じゃなくて三十年ぐらいの期間が見通せれば、設備投資をしてくれて受けてくれる。それで一巡するわけです。

 機械の耐用年数も大体三十年です。それから、人間だって働いていられるのは三十五年とかそんなものです。ですから、それぐらいではやはり整備をしていかないといけないし、そのためには今の約四倍以上の予算が必要になる。これが別枠という意味だと私は考えています。この間決議をいたしました。

 しかも、その財源というのは、私は建設国債でいいと思います。何でかといったら、建設国債というのは確かに借金ではあるけれども、将来の人たちが裨益する、だから、今借金してもいいんです。今借金して、私たちが使っちゃうわけじゃなくて、将来に、子孫に美田を残すための借金であれば、今借金して、投資して、将来は税金で返ってくる可能性も非常に高いし、また、将来の日本人、子供や孫の代の日本人を食べさせていくための施策だから、これはしっかりと建設国債、これにまさになじむんだと思う。

 しかも、農地の場合は、無駄な道路とかいう話が昔ありましたが、必ず使うんです。道路は通らなければ、車が通らなければ、無駄になります。でも、農地は必ず使われる。

 ということで、しっかり予算を確保していかなければいけないと思いますし、今、少数与党で政権から転落するかもしれない危機にあるわけなんですが、もしもそちらにいらっしゃる皆さんが政権を取ったとしても、将来に美田を残すための予算を削って直接支払いに回すというようなことは、これはやはり、将来の生産性を犠牲にして今配っちゃうということですから。これは、いかがいかでも一緒に、心を一つにしながら、我々の農業農村基盤整備、この必要性というのを一緒に共有して、決議をしたわけです、別枠で予算を取る、まさに別枠で予算を取るというのはこういう意味だということを、皆さんと一緒に気持ちを共有させていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、西田昭二君。

西田(昭)委員 おはようございます。自民党、能登半島出身、西田昭二でございます。

 今日は農林水産委員会の質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 そしてまた、本当に毎回毎回、党派を超えて、能登半島地震の復旧復興に対して多くの国会の場で質疑が行われているわけでございます。改めて被災者の一人として感謝、御礼を申し上げるところでございます。能登の方々も、この国会の発言、そしてまた取組に対して、本当に励まされているわけでもございますし、多くの方々が希望を持っているわけでございます。引き続き、国会の皆様方の御支援、御協力、そしてまたお力添えをどうぞよろしくお願いを申し上げるところでございます。

 能登半島地震が発災して十五か月、そしてまた、奥能登豪雨災害が発災して七か月余りが経過をいたしたわけでございます。本当にこの間、地震であったり津波であったり、甚大な被害をもたらしたわけでございます。また、その上に追い打ちをかけるように豪雨災害に見舞われたわけでございます。

 本当に、地域は、かつてないほどの複合災害に遭って、大変な被害を受けたわけでございます。特に、石川県の基幹産業であります農林水産業については、壊滅的な被害を受けたわけでございます。今も完全な復旧には至っておりません。現地では、国、自治体、民間団体が連携をいたしまして、復旧復興に向けた着実な取組を進めていただいているものと思っております。

 また、能登の漁業について申し上げさせていただきますと、地震と津波により、六十以上の漁港が損壊をし、特に輪島市鹿磯漁港では、約四メートルの地盤隆起が発生をいたしました。岸壁、防波堤、漁船などが大きな被害を受け、漁業活動の継続が困難な状況になっておりました。現在も完全復旧には至ってはおりませんけれども、国や自治体、関係団体の御尽力によりまして、復旧が着実に進められているわけでございます。

 輪島港では、海底の隆起によって航行が不能となった区域のしゅんせつ、新たな航路の設定が進められて、令和七年四月時点では、一部航路の啓開が完了をしているところでございます。小型の船舶も限定的な通航が可能となっております。漁港施設についても、仮設の岸壁補修や荷揚げ場の整備が進み、一部では仮復旧の状態で漁業が再開をされているわけでございます。

 また、水産庁におかれましては、漁業者に対する漁船導入支援また金融支援などを実施していただき、日本財団からも軽油ドラム缶の提供などを受け、燃料の支援を行っていただいております。そのおかげで、また海に出たい、地元の魚を取り戻したいという漁業者の強い思いが復興の原動力になり、地域全体が一丸となって前進をさせていただいているところでございます。

 先日、石川県漁協の組合長を始め役員の皆さん方とともに農林水産省を訪問させていただき、要望活動をさせていただきました。江藤農林水産大臣においても、大変お忙しい中ではありましたけれども、面会をしていただき、漁業施設や漁業の再建に向けた要望について、本当に一人一人丁寧に、親身になってそのお話を聞いていただきました。特に、避難をしている若い漁業者が希望を持って一日でも早くふるさと、能登へ戻ってこられることが地域再生の大きな要であると思っております。

 江藤農林水産大臣には、石川県漁協の要望を受けた思いを是非お聞かせをいただきたいと思います。

江藤国務大臣 先日は、皆様をお連れいただきまして、ありがとうございました。御出席いただいた方には全ての方に御意見をいただいて、現場にももちろん私は行きましたけれども、それに加えて、また、状況の変化等も御報告をいただいて、大変ありがたかったと思います。

 珠洲の辺りの方々は、まともに使える岸壁が全くない、一つもないんだというのは、なかなか衝撃的なお話で、これは何とかしなきゃなりませんし、それで漁業ができるはずがない。それから、輪島についても、海底のしゅんせつ等を一生懸命やっておりますが岩盤だ、岩盤で普通の海底耕うんではどうにも歯が立たぬ、何とかしてくれ、新しい工法を導入できないかというお話を伺ったり、様々なお話をいただきました。

 そして、浮き桟橋を使っているんだと。私の門川町というところなんですが、浮き桟橋は非常に使い勝手がよくて、浮き桟橋を利用しているならいいなと思ったんですが、話を聞いてみたら、高低差が二メーターあると。二メーターあると、スロープを使ってベルトコンベヤーを使っても、結構なかなかこれは面倒くさいんですよ。ああ、浮き桟橋でも駄目なのかと。そして、やはりつなぎ止められる場所も少ないので、船を並列で、普通は一隻一隻並べるのを、三隻並べたり二隻並べたり、その場も見ましたけれども、まだそういう状況であるお話を聞いて、急がなきゃいけないなという気持ちを強くしました。

 委員が言われるように、そこが、もう一度元の姿、更によくなるためには、やはり若い人たちが帰ってきて、そして復興の原動力になってくれるということがとても大事でありますので。それには、今の状況では、桟橋を使うにしても、三交代ぐらいでやっているということですから。競りのタイミングもありますよね、やはり、最初に競る人、揚げる人はいいですが、三番目になると大分時間がたちますから。

 そういった浜値に関することについても当然影響があるでしょうし、物流にも影響があるでしょうし、様々な御意向をまた定期的にお伺いをしながら対応してまいりたいなというふうに考えているところでございます。

西田(昭)委員 江藤大臣には、本当に現場の状況を踏まえて、そしてまた様々な状況を加味しながら私は今御答弁をいただいたものと思っております。浜の再生そしてまた能登の再生に向けて、これからも農林水産省一丸となってしっかり御支援、御協力、そしてまたお支えを賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、漁港施設の復旧に合わせて、漁船の整備についてお伺いをさせていただきます。

 昨年十二月の委員会でも質問をさせていただきましたが、被災漁船の建造補助制度である事業の年度内の建造という条件が、造船所の混雑のため、大きなネックとなっております。このままでは、建造が間に合わず、使われない漁業者が出てしまう可能性があります。

 輪島港でも、被災前約二百隻あった漁船が現在約百隻での操業となっており、施設の仮復旧や、海底の隆起の影響もあり、従来の効率的な操業は本当に難しい状況でございます。また、漁船の係留場所が十分に復旧できてはいません。

 この状況の下、令和七年度末で制度が終了してしまうのではないかという不安の声が上がっているところでございます。

 漁船の建造に時間がかかる今、再開を目指す漁業者にとって大変ありがたい制度だと思っておりますし、制度の延長、継続を含めて前向きな御対応を賜りますよう、水産庁の御所見をお伺いをさせていただきたいと思います。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 被災地におきます漁船の復旧につきましては、共同利用漁船等復旧支援対策事業によりまして、新船の建造、中古漁船の導入等に対して支援を行っているところでございます。

 この事業につきましては、令和六年度予備費及び補正予算において措置されているものでございますが、御指摘のとおり、造船所の混雑の問題等によりまして新船建造には非常に時間がかかるということで、なかなか早急な対応が困難だというふうな現場の声の方は十分承知をさせていただいているところでございます。

 予算措置ということでございますと、なかなか御答弁が難しいわけですけれども、私どもとしても、なりわいが着実に再建できるよう、県とも十分連携しながら、引き続き被災者に寄り添って必要な対応を行っていく、このことが国の責務であるというふうに考えているところでございます。

西田(昭)委員 引き続き、漁船の再建に向けて、しっかりと対応をお願いしたいと思います。

 次に、石川県輪島市北方の約四十八キロメートルに位置する舳倉島についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 舳倉島は、周囲約五キロメートル、弥生時代から人が暮らしていた歴史がある島で、輪島の海女漁は二〇一八年に国の重要無形民俗文化財に指定されるなど、能登の伝統文化の象徴でもございます。

 しかし、今回の津波で、漁港は高さ三メートルから四メートルの津波に襲われ、島唯一の発電所も停止、島民の足である三輪自転車なども押し流され、壊滅的な被害となったわけでございます。

 輪島の海女には、島で暮らしながら海に潜る定住海女と、輪島港から舳倉島や七ツ島の漁場に向かう通い海女がいるわけでございます。輪島港の施設の被害により通うこともできない状況、本当に困難な状況でございます。

 能登半島のシンボルとも言えるこの海女漁の本格再開には舳倉島航路の復旧が不可欠であり、関係者の方々も再開を悲願とされております。つきましては、航路の復旧の見通しと海女漁の再開に向けた取組について、お伺いをさせていただきます。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 私も、昨年、衆院の災特委でお邪魔した、視察をさせていただいたときに、ちょうど輪島港で漁業に従事する皆さん、それから海女漁に従事する皆さんから様々な声を聞かせていただきました。特に海女漁の皆さん方には、もうとにかく再開をさせてほしい、何かしたいというような、本当に切実な思いを披瀝をしていただいて、私自身も非常にその言葉一つ一つにショックを受けたわけであります。

 いずれにいたしましても、今委員から御質問ございましたが、舳倉島の海女漁の再開に向けては、まず、今年夏頃の航路再開に向けた輪島港の港湾施設の復旧について、今、国交省が県と連携して進めているところであります。

 同時にまた、舳倉島周辺海域においては、今年の三月にアワビの放流を行い、同時にまた、輪島周辺海域においては、昨年の夏にモズク、そしてまた今年の四月にはワカメの海女漁を一部再開をしたところでもございます。

 また、操業が困難となっている海女の皆さんの収入を確保ということで、漁場復旧対策支援事業により、漁場環境調査等の取組を海女漁の皆さんにも大変お手伝いをいただいたということで、感謝を申し上げたいと思います。

 いずれにしましても、大臣からも漁の再開含めての支援と思いも披瀝したところでありまして、一層取り組んでまいりたいというふうに思います。

西田(昭)委員 今ほど御答弁のとおりに、昨年から、海洋調査であったりとか復旧のお手伝い等で、何か月間か漁船で舳倉島の方へ通われたという話も伺っております。関係者の皆さん方は、一日も早い航路と海女漁の再開への願いは本当に強いところでございます。復旧復興の大きな励みになることを確信をしております。是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、昨年九月の奥能登豪雨災害は、時間雨量百二十ミリ、一日の総雨量が四百七十ミリを超える過去最大級の豪雨は、地震で被災した地域を更に襲い、約四百ヘクタールの農地が土砂や流木で埋まり、約百五十ヘクタールは復旧に五、六年要する見込みとなっているところでございます。

 収穫目前の災害に農家の方々のショックは本当に大きく、また、将来の見通しも立たずに、営農の継続を諦めざるを得ない状況に追い込まれ、すぐに江藤農林水産大臣を始め、政務三役も現地入りをしていただきました。厳しい状況を視察をし、農家の声を直接聞いていただきました。

 現在、国、県、地元自治体など、関係機関が連携をして復旧作業を進めていただいておりますが、農地の復旧の進捗状況についてお伺いをさせていただきます。

前島政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月の豪雨によりまして、約四百ヘクタールの農地におきまして、土砂や流木等が堆積する被害が発生しております。

 こうした農地の復旧につきまして、石川県では、国や市町、地元JAと連携して、まずはこの春の営農に間に合うように、被害が小規模な約百七十ヘクタールの農地の復旧を見込んでいるところでございます。

 国といたしましても、県と連携いたしまして、建設業者の確保に努めたところでございます。現在、県内外の二十五業者が、農地などの復旧工事を進めているところでございます。

 県によりますと、現時点で、この百七十ヘクタールのうち約三割の農地におきまして復旧工事が完了しており、残りの農地におきましても、この春の営農に間に合わせるべく、建設業者によりまして復旧工事が鋭意進められているということでございます。

 今後とも、県や市町などと緊密に連携いたしまして、再び奥能登地域で営農したいという農家の方々のお気持ちに寄り添い、地震と豪雨からの復旧工事を一体的に進めるため、切れ目なく支援してまいります。

西田(昭)委員 本当に、まだまだ多くの農地には、土砂であったりとか流木が堆積をしたままでございます。以前のような、のどかで風光明媚な田園風景を取り戻し、地域復興の原動力にするために、一枚でも多くの水田に作付ができるよう、引き続き農地の復旧に向けて全力で対応をお願いしたいと思います。

 最後に、能登半島地震によって被災をいたしました林道の復旧状況についてお伺いをさせていただきます。

 国の御支援により、国道二百四十九号線や県道など、主要道路の復旧が進み、奥能登の周遊も可能となったわけでございます。

 私も先日、輪島市西保地区に伺い、仮設住宅に避難していた方々が、家の片づけや農作業に励み、そしてまた、高齢の方々が隆起をした海岸に、そしてまたその岩場で海藻を採取をして、貴重な天然のノリ作りを行う姿を拝見させていただきました。地域のなりわいが少しずつ再生しているということを実感をさせていただきました。

 しかし、市街地に近い県道は復旧の見通しが全く立たず、また、林道は、損傷が激しく、危険で、地元からは早期の改修を求める声が上がっているところでございます。林道は、林業の再開や住民の生活の再建のために不可欠なものでございます。

 今後も、地元自治体や関係機関と連携し、将来の災害に備えた林道の強化、そしてまた持続可能な森林管理の推進に取り組んでいただきたいと考えております。御所見をお伺いをさせていただきたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 能登半島におきましては、地震、豪雨と短期間で度重なる自然災害を受けまして、石川県や市町が管理している林道の被害箇所数は二千七百か所を超えたところでございます。

 農林水産省としては、林道技術者を現地に派遣し、復旧工法の助言等を行ったほか、地震災害と豪雨災害を一体的に査定できることとするなど、災害査定の手続を簡素化し、昨年のうちに申請のあった災害箇所六百八十三か所全ての査定を完了したところでございます。

 令和七年度には、地域住民も活用している林道や水道施設につながる林道など、特に重要な林道の復旧工事を予定しておりまして、そのうち約三割について調査、設計を発注済みであり、順次、工事に着手していく予定でございます。

 林道は、林業の復興に欠かせないものであり、災害発生時には代替路としての機能も期待されることから、早期の復旧に取り組んでまいりたいと考えております。

西田(昭)委員 能登半島の一日も早い復旧復興のために、本当に全力を挙げて、御支援、御協力、そしてまたお支えを賜りますよう心からお願い申し上げ、私の質問を終わりといたします。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 西田委員とは同じ地元でございます。

 まずは、私からも、能登の大地震そして豪雨災害、農林水産省の皆様に復旧復興に当たっていただきまして、心から感謝を申し上げます。

 舳倉島のお話がございました。私の舳倉島の思い出とすれば、舳倉島に行くまで船で一時間以上かかるんですが、行ったら、帰りの船まで五、六時間いなきゃいけないんですが、海女さんが船から、捕ってきたアワビをそのまま食えと言うんですよね、そのまま。うねうね動いているんです。食べたことは多分ないと思いますが、食えと言うから、食べますよね、政治家ですから。怖いんですけれども、物すごくおいしいんです。びっくりしました。塩味がたっぷりとしてジューシーで。これはお金に代えられないものでございますので、是非とも、航路の復活のお話がございました、海女漁の復活の話もございました、いつの日かそういうことができる日が来ると信じていますので、またお力添えをいただければと思います。

 そして、今日は、少し田んぼの話を中心にいたしたいと思います。

 今の季節であれば、私の集落、ちなみに資料の二枚目ですが、これは、後ろ姿で分かりづらいですけれども、私の姿です。三月の中旬から四月の前半にかけて、江堀、地域によっては、井堀とか、溝堀とか、えんぞ堀とか、恐らく全国各地の農村地域ではこのようなことをするのではないかなと。田んぼのある人もない人も、地域の皆さんが、私であれば、くわ、おじいちゃん、おばあちゃん、私の父であれば鎌とか、それぞれのできることに応じて地域の溝を掃除をする。秋、冬にかけてたまった泥だとかごみだとかをきれいにして、そして田んぼに水が行き渡るようにしていくという作業でございます。

 今、私の地域では当たり前のように江堀は行われているんですが、やはり奥能登に行きますと、この江堀さえも、今年はもうどうせ作れないからやれないというところがあったり、多くの人が避難をしているからもう無理だ、今年はもう江堀はできないと。ただ、ありがたいことに、ボランティアさんが今年江堀に参加していただいていて、地域の皆さんが戻れない中でも今年は江堀ができた。じゃ、来年、再来年、全国からボランティアさんが来ていただけるのかということを考えると、ぞっとする思いでございます。

 何とか、人手が少なくなってきている中で、やはり農業をこれからも続けていきたいんだということに対しては、今までの農政、支援の在り方ではやはりまだ足りないのかなというところも含めて、これは全国的な問題、課題だというふうに思いますので、何とかこの制度をまた新たにつくっていただけたらと思います。

 先ほどの西田委員の質問と重複する部分があるんですけれども、今、先ほど役所の方からも答えていただきました、四百ヘクタール中、作れない、そして百七十ヘクタールは今年できるようにする、そのうちの三割までは工事が完了したということでございますけれども、農家の方から伺うと、四百どころじゃないんじゃないかという話、もっともっと多いんじゃないか。そして、百七十で、今三割終わったと言っていますが、いや、百七十全部今年できないんじゃないかという不安の声がございます。

 そして、さらには、もし四百分の百七十、きれいにできたとしても、あと二百三十ヘクタール、どのくらい時間がかかるの、ちゃんと工事してくれるのということを言われます。

 四、五年だとか十年だとかいう話がありますが、来年できるというのであれば我慢しようという話はありますが、四年、五年という期間を皆様想像していただければと思います。衆議院の任期は四年ですよね。次の選挙に出られない、議席を失っている、四年後、五年後、十年後、じゃ、皆さん我慢して政治活動できますかということです。その間に、選挙カーだとかスピーカーとかありますよね。農家の方にしてみれば、コンバインだとかトラクターだとかを何年間も動かさないでおくこと、しかも大抵借金があるわけですから、そういう方々が、じゃ、三年、四年、五年我慢できるかということなんです。ちゃんとしたビジョンを示してほしい、徹底的に自分たちを支えてほしいという、メッセージが欲しいんです。

 収入保険の話も何度か大臣ともさせていただきましたが、今は厳しいのは分かるんですが、ちなみに、厚生労働省の雇用調整助成金、これは自民党の西田さんも、私たちも、代表選挙含めて、雇用調整助成金、一年間特例という形でやっていただいて、特例の特例で今年も雇用調整助成金を延長していただいているんです。厚生労働省も頑張っています。

 農林水産省も頑張っていただいていることは重々承知なんですが、希望というものを示していかないと、もうやめてしまいますから。何とか、現状をどれだけ把握されておられるのかということ、そして、四年、五年、営農意欲のある方にはしっかりと農業を続けることができますということのメッセージをいただきたいんですが、いかがでしょうか。それは、役所の方ではなくて、やはり大臣から。

江藤国務大臣 今、雇用調整助成金の話もありました。それは収入保険と絡めてのお話だと思いますが、性質が違うということは、片っ方は保険制度ですから、御理解いただけると思いますが、確かに委員がおっしゃるように、五年は長いですよね。五年は長いですよ。やはり、見込みが立たないと、もう新たな人生を歩もうかという人生の選択をする可能性もある。はっきり言うと、農を諦めて金沢あたりに出ていこうかとか、東京に出ていこうかとかということもあり得る話でありまして。

 我々としても、マンパワーの問題、そして、予算はそんなに私は問題ではないと思っておりますが、様々な物理的な問題もあって、期間を短くするのは難しいという部分はありますけれども、まずは、局長も答弁しましたが、やれるところ、春の作付に間に合うところについてまずやらせていただいて、それに残った部分については、更に状況が厳しいところが後に残るわけでありますが、しかし、それについてもできるだけ、予算の確保も含めて、四年、五年と言われたものが三年になりというような努力は農林水産省としても懸命にしなければならない、そうでないと人はその地域から離れてしまうというのが一番怖いということを考えておりますので、またいろいろと御意見いただければと思います。

近藤(和)委員 優しいお言葉、ありがとうございます。

 ちなみに、こちらの一枚目の資料ですが、済みません、実際、これは輪島ではなくて珠洲市です。一枚目の左上の写真ですが、これは何を示しているかといいますと、ここに水路が通っているんです。水路が通っていて、右上の二枚目、左下のところ、山を通り抜けて、この水路、この先に三十ヘクタールの田んぼがあります、すごくこの辺りだと広い田んぼなんですけれども。この水路の問題に関しても、川から水を引き上げてくるのもやはりお金も電気代もかかりますし、やはり、この山そのものが崩れてしまった。私も改めて、先人の知恵というか、動力を使わずに山に水を通す、本当に先人は尊いことをされてきたなというふうにも思うんですが。

 ちなみに、この山の手前のところは土の塊があります。右下のところはその反対側から撮った写真なんですが、これは二メーターぐらい、ちなみに、この山の泥が積み上がっているところが田んぼなんです。もう本当にぞっとします。何年後にこれを取り除いてくれるんだろうということもありますので、是非とも、復旧復興は進んではきていますが、見えないところではまだまだ時間がかかるということで、お力添えをいただきたいと思います。

 そして、作付をできない農家の方々、そして工事を待っている農家の方々に直営施工のお話がございます。ただ、この直営施工に関しては、私もお願いして、何か器具をつけることに対しては補助がほとんど出るとか、本当にありがとうございます。

 ただ、上手に工事をできる方と、やはり不安だ、素人仕事で自分が直営施工をして、また水が漏れたり崩れたりすると怖い、現状では直営施工をやると農林水産省の復旧事業が使えない、素人仕事でして駄目だったらそれは後で自分の金で直してくださいよということだと、直営施工に踏み込めないという御意見をいただいています。これは是非とも改善をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

前島政府参考人 お答えいたします。

 能登半島地震及び豪雨による災害におきましては、農地に土砂等が堆積しておりまして、復旧の過程で、それまで確認されていなかった被害が確認されることもございます。こうした被害も災害復旧事業の対象となるところでございます。

 また、直営施工を実施した後に水田に水を張っても水がたまらないなどの不具合が確認された場合は、建設業者による復旧工事で農地を修復することが可能でございます。

 なお、被災地の市役所にも私たちの方で確認をいたしましたところ、直営施工につきましては、農業機械や建設機械の運転に習熟した方を有しております農業法人ですとか担い手の方、こういった方々を対象としておりまして、農家の方々から市役所の方には、直営施工に取り組むに当たりまして技術的に不安があるということは今のところ聞いていないというふうに伺っております。

 直営施工に関しまして不安又は不明の点があるようでありましたら、是非市役所の方に御相談いただくよう、相談者の方にお伝えいただければと考えておるところでございます。

近藤(和)委員 不安の声をしっかり聞いていますので。

 そして、直営施工をして駄目だったら、ちゃんと復旧事業をやっていただけるんですね。ありがとうございます。それで踏み込める人は本当にたくさんいらっしゃると思いますので。

 あとは、直営施工をする重機、道具も含めて借りなきゃいけないという話もあるようなので、何とか違う地域から一時的に回していただければ、順番待ちのような、皆さんお行儀いいので、何とか違うところからも一時的にでも借りられるようにしていただけたらありがたいなと思います。

 そして、もう一つ、こういう話もあるんです。

 圃場整備がまだ済んでいないところが土砂でぐちゃぐちゃになってしまって、二年、三年、四年かかると。こういうときに、原形復旧ということで、二反だ三反だという田んぼで直すのではなくて、もうこの際だから、圃場整備をした上で、そしてさらには、例えばパイプなども、用水、水のところもパイプでちゃんと必要なときに必要な水が出せるように、言い方は難しいですが、原形復旧を乗り越えた形で農業を、これから地域が生き残っていけるようにこの事業をしていくということ。

 これは、微妙な答えかもしれないんですけれども、地域で必ず聞かれることなので、何とかしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 基本的に、災害が起こった後、原形復旧が原則であることは間違いないですが、しかし、その後、同じ災害が起こらないようにすること、それから、災害復旧工事をした後に機能向上がなされていること、これが国土交通省においても基本的な考え方だというふうに私は理解をいたしております。

 そして、地域計画を今しっかり書いていただいておりますから、地域計画に基づいて、その被災した土地がどのような未来予想図になっているのかということは、復旧工事のときには参考にし得るものだろうと思っています。

 ですから、区画を整理して、今おっしゃったように、元どおりに細かく、分散錯圃みたいな復旧をするんじゃなくて、ある程度、地域計画の将来図に基づいたそういう基盤整備等も含めながらやるということは、言い方によれば二重にお金をかけなくて済むということにもなり得ることでありますから、いい御意見だと思いますので、役所としてはまだ正直、はっきりは、真っすぐ答えられないと思いますけれども、自分としては、いい御提案だなというふうに思っているところであります。

近藤(和)委員 大臣がそのように、いい計画だということを、そして二重でお金をかけなくて済むということでもありますので、来年、再来年の話なので、何とか検討していただけたらなというふうに思います。

 そして、更にその上でなんですけれども、今は田んぼを借りている、ただ、圃場整備をするときには同意が必要ですよね、所有者の方々。今、この同意を取るのが大変難しい。金沢に出ていったり、それこそお子さん、お孫さんの東京や大阪に出ていったりということで、更にその先の話になりますが、同意を取るのが大変難しい。

 緊急時だから、災害時だから同意を取らないでいいということが理想なんですけれども、例えば先週可決しました森林経営管理法のような、半分の同意者でいいだとか、例えば、中間管理機構を通じて借りている農地であれば、それは、それこそ地域計画に従って圃場整備をするのであれば同意を緩和するとか、こういうことが可能なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

前島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような、例えば復旧事業というような場合でしたら、場合によってということにはなるんですけれども、迅速に手続を進めていくということも可能になるところでございますけれども、今委員御指摘のケースというのは、復旧事業に併せて圃場整備をしていくというようなケースだというふうに私は受け止めております。

 このようなことになってきますと、土地改良法上は、三分の二以上の同意を得ることで事業実施が可能となります。ただ、これは規定上の話でございますので、実際には、圃場整備事業というのは、個人の財産である農地の形を変えていくというようなことになります。権利関係の変更も生じてくる、換地などもいたしますので。そういうことで、事業の実施前に可能な限り全員の同意を得ていただくということをお願いしておるところでございます。

 災害復旧事業と併せまして圃場整備を行う、あとパイプラインを整備するというようなこと、このこと自体は、現在の制度下におきましても、災害復旧事業と災害関連事業ということ、これを組み合わせて行うということで、農地の大区画化などの圃場整備を実施することが可能となっておるところでございますけれども、この同意を省略していくということにつきましては、事業着手後や完了後に地元でトラブルが起きるというようなことも心配がございますことから、手続をこれ以上簡素化するということについては適切ではないということについて、御理解をいただければというふうに考えているところでございます。

近藤(和)委員 済みません、今ちょっと話が、検討するのか、できるのか。災害復旧事業ということであれば拡大することができる、ただ、同意は必要だよねということなんですかね。

 そして、あと加えて、可能な限りという、この限りというのは誰が判断するんですか。

前島政府参考人 まず、災害復旧として行うというのは、元々あった区画の状態に基本的に戻していくというところまで、これはもう地元の方の同意をいただくのが理想ではありますけれども、なくてもやっていくことができるということでございます。

 それを超えて、圃場整備をするでありますとか、又はパイプライン化するとかいうようなことになってきますと、地元の方の同意を得ていただいた上で、関連事業として一緒にやっていくということが、これが今でも可能ということでございます。

 あと、可能な限り全員の同意を得ていただきたいということにつきましては、これは、誰がということでいいますと、例えば、圃場整備、最終的に認可をするのは、県の方で認可をする、事業を認めるとかですね、ということになりますので、そこは県の方で御判断いただくということになっております。

近藤(和)委員 何とか、復旧して、農家、この地域で頑張っていくんだというその意欲をそがないように、むしろ協力していくんだというところで、お力添えをいただきたいと思います。

 土木工事が進まないことについては問題提起だけちょっとしたいんですけれども、皆さん、やはり単価が道路と比べて低いから、土木工事、田んぼ、進まないという意見が農家の方々から出ています。そして、私の知っている土建業者の方も、田んぼとかをやるよりも道路の方がお金がいいからということを言っています。ただ、農林水産省と国土交通省に聞くと、単価は一緒だと言っています。

 私の問題提起としては、早く、やはり、それこそ大臣が言われました、四年のところを三年、三年のところを二年に、早く直してほしいということでございますので、原因がどこにあるかをちょっと是非調べていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、米のことについて、話を移しますが、米価が全然下がりません。

 卸売や小売で、大臣が各団体から、一昨日ですか、ヒアリングをされたということを伺いました。保管倉庫が東日本に偏っているから流通が地域や取引先で差がある、均等に行き渡るようにしなければいけない、継続的に備蓄米を放出してほしいという御意見があったようです。

 そして、大臣からは、備蓄米販売に関わる規制の見直しをしたいということも言われたようですが、ほかにどういった意見があったのか。また、大臣から、こういう解決策があるよということがあれば、そしてこの備蓄米販売に関わる規制の見直しとは何ぞやということなんですが、よろしくお願いいたします。

江藤国務大臣 自分も週に二回はスーパーに必ず行くようにいたしております。私の家の近所には五つのスーパーと一つのドン・キホーテがあるんですが、毎回全部回るわけじゃないですけれども、なるべく行って、最近は、裏もちゃんと見て、ブレンド米というのを確認しておりますが、かなり、三千五百円ぐらいも、安い、切っているやつも見つけました。そういうのも出てきているなという感じではありますが、ただ、POSでやっていますので、ブランド米は相変わらず高いので、加重平均で価格を取ると、連続十四週ですか、八円高というような状況であります。

 意見交換の場では、大変よかったと思います。大手の卸の方、それから中規模の卸の方、いわゆる、卸ではあるけれども、例えば、自分のところで、別会社で病院や介護施設を持っている、そういうところを持っている方、それから、小売の方も、大手のスーパーの方々にも来ていただきましたけれども、チェーンストア協会とかですね、そういった方に来ていただきましたが、いわゆる地方の中小のスーパーマーケットの方々、それから東京都の米の、いわゆるお米屋さんも来ていただきました。そして、御出席いただいた方には全て、一人残らず御意見を述べていただきました。

 出しさえすればぱっと流れるものではないということは最初から分かっていたことでありますけれども、やはり、これだけ差が出るのかと思います。日頃、卸とつき合いがない、集荷業者とのつき合いがないような人については、なかなか自分のところには声もかからない、声をかけても、あんたのところとはつき合ったことがないからというようなことで、特に町のお米屋さんのようなところにはなかなか米が渡ってこないというようなことがあるようであります。

 ですから、そういうことがなるべくないように、我々としては、どこに販売をしたのか、どれぐらいの値段で販売したのか、それを隔週ごとに報告しろということを義務づけてはいるんですが、それでもやはり今までの流れを優先しているということが明らかになったんだと思います。

 ですから、今後、一回、二回、入札をいたしました、三回目は、また入札の資格審査を少しやり直そうと思っております。そして、入札して落札された方々についても、できる限り、私が申し上げたのは、物流は血流と一緒ですので、毛細血管の先まで血流が流れなければやはり意味が余りないので、そこら辺にも配慮していただきたいというお話をいたしました。

 大分、まだ言いたいことはたくさんあると言われておられましたけれども、大体一時間半ぐらいやりまして、引き続きこういう会議は是非やってほしいと言っていただけましたので、やはり、そういう業界に携わっている方々の現場の御意見をしっかり聞きながら、これから備蓄米の放出については細かく気を配ってまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 時間が参りましたが、MA米を活用しようかという意見が一部出ているようですが、それは農林水産省また大臣の見解じゃないですよね。

江藤国務大臣 備蓄米が異常に減ってしまっている場合があります、例えば五十万トンを切るとか。そういう場合には、MAの中に主食用米に回せるものはありますから、国民の安心を担保するために、かつてそんな量を出したことはありませんから、ないとは思いますけれども、本当に備蓄米を五十万トン、六十万トン、七十万トン出さなければ国民の生活が守れないような状況が生まれたらMAも活用しますというようなことも、制度上は可能にしておこうというふうに思っておるわけでありまして、備蓄米に別に繰り込むということでは決してありません。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

御法川委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 新たな基本計画について質問する前に、喫緊の課題、国難とも言えるトランプ関税について質問させていただきたいというふうに思います。

 本日、赤澤大臣が渡米ということになっておりますので、もう日本を出発されているかもしれませんし、日本時間の明日交渉を予定しているというふうにも聞いております。

 実際に、一言で言うと、私は、日本も含め世界が振り回されているという状況ではないかというふうに思いますし、我々としては、毅然とした態度でしっかりとした交渉をしてほしいというふうに願っているところでもあります。

 私、以前、この委員会において、まだまだいろいろなものが確定する前に、大臣にもこの点について質問させていただきました。そのときには、もちろん、仮定の質問には答えられないというようなことではありましたけれども、ただ、思いとしては、我々の日本の農業を守ること、あるいは、食料安全保障というその方向性を潰すことがないようにすること、こういうところでは一致しているのではないかというふうに思っているところでもあります。

 そういったところから質問させていただきたいと思うんですけれども、今回、赤澤大臣が訪米ということで、これには農林水産省から担当者が同行ということはないのかどうかということ。

 それから、やはり、実際に交渉の中で、米を始めとした農産物の市場開放を求められた場合、それを想定したあらゆるシナリオをやはり考えていって、その上での対応というのは必要になってくるというふうにも思いますし、戦略というのが必要になるんだというふうに思いますけれども、そのことについてどうだったのかということ。

 そしてまた、輸出促進ということを、今も基本計画について御説明いただく中では随分、輸出促進という言葉がありますけれども、それを本当に本気でおやりになるということであろうと思いますが、そのことについてどのような影響を与えると想定するか。

 もちろん、前提とするのは交渉が成功することでありまして、我々はとにかく守るべきことはしっかりと守っていくということだというふうに思いますけれども、大臣の御決意も含めて見解を伺いたいと思います。お願いします。

江藤国務大臣 余り、何か民放のマイクも増えちゃっているみたいなので、変なことを言うとまた問題になるかもしれませんが、前回の日米の貿易交渉をやったときの大臣も私でした。予算委員会で大変厳しい追及を受けました。そのときに申し上げたのは、そのときには私の首を差し出しますと、もしちゃんとした結果が得られなければですね。覚悟を決めて交渉に臨みますし、当時の茂木大臣とは十二分に意思疎通をしておりますし、茂木大臣を信頼しておりますということを国会で申し上げました。全く気持ちは変わりません。

 今回は、交渉というよりも要求ですから、交渉というのは、こっちも得るものがある、向こうも出すものがある、これが交渉ですけれども、向こうから一方的に言われている話なので、全然違うと私は思っています。

 そして、五年前の日米の貿易交渉のときの大統領もトランプさんでありますし、共同声明でああ言ったこう言ったを言っても、常識も通用しないというような報道もありますから、詮なきことかもしれませんが、しかし、私としては、今回、農林水産省の職員を同行させるつもりはありませんし、ということは、農林水産品について交渉するというのは想定していないということであります。

 いろいろ要求はしてくるかもしれません。赤澤大臣とも大分話をしました。しっかり頑張ってほしい、まずは、何を求めてどんなむちゃを言ってくるのか聞くことから始めることしかないので。先ほど申し上げましたように、これは交渉ではなくて、相手の一方的な求めでありますので、非常に異常な事態だと思っておりますが、とにかく、赤澤大臣が帰ってくるのを待って、報告を受けて、その上でやるべきことがあれば考えますが、私は、前回の日米の貿易交渉のときのラインが、乾いた雑巾を必死に絞って最後の一滴まで絞り出した内容だと思っておりますので、そのことだけは申し上げておきたいと思います。

金子(恵)委員 余り今日は時間がないので、詳しいことのやり取りはできないと思いますし、しかも、一方的に言われていることなので、それを受け止めることすらしてはいけないんだろうという、様々な交渉の手法というものもあるというふうに思いますが。

 いずれにしましても、やはり日米貿易協定を履行するということを求めていくことなのかなというふうにも思いますし、聞くところによりますと、与党自民党さんの中でも、米国の関税措置に関する総合対策本部の会合を開かれて、絶対に農産物、譲歩を認めぬというような、そういう強いお話もあったようでありますので、もちろんそこの部分は我々も一緒でありますから、共にここはしっかりと、改めて、何度も申し上げますけれども、毅然とした態度で対応していかなくてはいけないというふうに思っていますので、大臣もよろしくお願いしたいというふうに思います。詳細についての答弁はありませんでしたけれども、気持ちは届いたというふうに感じております。

 次に、それでは基本計画でありますけれども、審議会の答申から、この委員会も含めて国会での熟議を経て、それで基本計画が変更、拡充された具体的な内容というのもあろうかというふうにも思います。答申から閣議決定までというのはちょっと時間がありましたから、ここの部分については、もちろん、熟議の国会ということで、丁寧な対応をしていただいたのかなというふうにも思っていました。

 ただ、一方で、例えば、ある新聞報道では、閣議決定がずれ込んだのは自民党政務調査会の承認が必要になったためなどという手続上のことが書かれてしまったんですね。もちろん、手続は大切ですから、これを全否定するわけではないんです。

 しかしながら、中身がちゃんと、いろいろな私たちの思いや提言とかそういうものも、ここでの決議も出したわけですから、そういうものもちゃんと含まれた上で、本当の意味での熟議の国会の中で作られた基本計画であるということを私は確認をここでさせていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 全くおっしゃるとおりであります。全くおっしゃるとおりであります。

 本当に、私自身も大変時間をかけましたし、全て御提言いただいたものをのめたわけではないわけではありますが、しかし、共通して共感できる部分については、本当に、役所の諸君についても、できる限り盛り込むように、それは御党だけではなくて、ほかの政党からいただいた御提案についても同様であります。何といっても、全会一致で御決議までいただいたわけですから、あの段階で、大変ありがたいなというふうに私は感謝をいたしました。

 まあ何か変な報道があったらしいですけれども、それは違いますよ。それは、本来であれば三月中にという話ではありましたけれども、国会も非常に日程もタイトなわけですから。しかし、自分としては、やはりぎりぎりまで、御意見があればぎりぎりまで聞くんだ、だから閣議決定を早める必要はないということを申し上げて、四月にずれ込んだということは御理解をいただきたいと思います。

 確認ということでありますから、少し長くなりますが申し上げます。よろしいでしょうか。

 まずは、具体的には、地域政策を、産業政策の車の両輪として実施する、これはちょっと古いという失礼な言い方をしましたが、入れさせていただきました、このままですね。それから、輪作体系の確立と、ブロックローテーションの導入、これも、徳永先生とか、委員会決議等もありますので、これも入れさせていただきました。それから、フェアトレード、これもとても大事なことだというふうに思いますので、これも入れさせていただきました。

 その他たくさんありますけれども、読むと長くなりますので申し上げませんが、しかし、今回、皆様方の御意見をいただいて、大変いい結果だと思います。

 というのは、これから政策を立てて予算を獲得していく上で、与野党が協力して事に当たれる体制が、この基本計画の作成を通じて私はできたのではないか。我々の意見も入っていないのであれば協力するいわれはないよと言われちゃうかもしれませんが、ちょっと広い言い方をすれば、みんなでこの基本計画には責任を持って作成をしたということでありますので、いい結果になったなというふうに思いますので、今後とも引き続き御協力をよろしくお願いいたします。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 我々の意見等も取り入れていただいたということではありますが、まあ全部ではないにしても、一部取り入れていただいたことには感謝したいというふうに思います。

 食料自給率目標、私たちは五〇%です。でも、今回四五%ということでありますが、今、実際には食料自給率が三八%ですから、目標を持ち、しっかりとそこは四五%という目標に向けて頑張るんだということをちゃんと示していただいている、その姿勢というのは評価をしたいというふうに思いますが、ただ、私たちは五〇%を目指していくべきだというふうに思っています。

 食料自給率目標に関連して、KPIとして、品目別の国内消費仕向け量や生産量とか輸出量等も示されました。二〇三〇年度の品目別の生産量は、米も含めてほとんどの品目で、現状から増やす、こうした方向性を出している点は過去の基本計画とは違っていて、令和二年の基本計画、担当はそのときも江藤大臣でありましたけれども、米の生産努力目標は現状値より低いものでした。ですから、生産量を増やすという方向性を示した新たな基本計画は、生産者にとっても勇気づけられるものではないかなというふうに思っています。

 そういったところから、生産量を増やすためには単収の向上等の方策がありますが、農業者の所得を確保して、安定的な農業経営をしていくということが必要かというふうに思っています。

 米であれば、複数年契約を含めた播種前契約を増やしていくことが経営の安定につながるというふうに思いますが、新たな基本計画ではこの播種前契約が伸び悩んでいることが指摘されている状況でもありまして、播種前契約を増やすためにどのような施策を講じていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

江藤国務大臣 播種前契約については、もう大分前で、いつだったか忘れちゃいましたけれども、筆頭が非常に強力に自民党内で御主張されまして、播種前でやるんだと。それはやはり、複数年契約をして、播種前でやれば、今後の営農計画、それから償還の計画、そういったものを立てられる。やはり、農家も企業経営と同じように経営計画をしっかり立てていかなきゃいけない、その上で播種前契約は極めて有効だということで、それはいいねという話になって、この播種前契約に取り組もうということにしたのでありますけれども、なかなか進んでいない現実はあるということは認めたいと思います。

 しかし、今、結ぶために商談とか販売促進に係る経費、こういったものの支援はさせていただいております。そして、今後、播種前契約は非常に重要な取組でありますので、こういう播種前契約をしたことによってこのように経営計画が立てられて、いい営農ができたというような、そういったものの事例の紹介といったものももうちょっとする必要があるのかなと思っております。

 ただ、昨今のような米価の急激な変動の時代になりますと、なかなか複数年、播種前、やる人がどうなるかというのは少し難しい部分があるかもしれませんが、しかし、大事な取組であることは変わりがないというふうに思っております。

金子(恵)委員 播種前契約を増やすために例えばどのような施策を講じていくとの明確なお答えがあったというふうには思えないのですけれども、重要であるということ、安定的な農業経営というのはとにかく求めていかなくてはいけないというのは間違いのないことで、出どころがどこであろうと、農業の安定的な経営、これはしっかりやらなくてはいけない。そこはやはり所得の安定ですから、そこを含め、もしこれが機能しないということであれば、しっかりとした形でやはり所得の安定確保ができるような、安定経営できるような、そういう方策というのは考えていかなくてはいけないのかなというふうに思っています。ただ、基本計画の中でもこのような指摘がありましたので、改めてお伺いさせていただきました。

 次に行かせていただきます。

 基本計画の中では、やはり、消費者の皆さんの役割とか食育という観点でも、今回、以前に比べていろいろと盛り込んでいるように思います。基本法で消費者の役割というものが定められたからだというふうに思います。「国民理解の醸成」の中では、食育の推進、食品産業による国民理解の醸成、消費者の行動変容の内容、前の基本計画と比較すると、相当充実したものになっているような気もいたします。

 しかしながら、食育や国民の理解醸成関連の目標、KPIが少ないというふうに感じるんですが、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 食については、先ほど、基本計画に基づいて、これについては着実に推進していくことはもちろんでございますが、食育につきましては、食育基本法に基づいて、第四次の食育推進基本計画を定め、十六の目標を設定して取組を推進をいたしておるところでございます。

 次期の計画につきましては今年度中の取りまとめの方向でやっているところでもございますが、いずれにいたしましても、次期の計画策定につきましては、また委員からの御指導も賜れればというふうに思います。

金子(恵)委員 国民の理解醸成関連についてはお答えがなかったんですけれども、食育ということでは、食育基本法に基づいた食育推進基本計画があるから、そちらの方に盛り込んでいるからいい、そういう答弁だったというふうに思うんですが、食料・農業・農村基本法、これは農政の憲法でありまして、それに基づいた基本計画をこうやって議論する場をつくっていただいてきています。それで、基本計画自体は本当に熟議の国会の中で策定されたものでありまして、やはり、ほかの法律があるからそちらの計画でいいんだということにならないと私は思うんですが、いかがですか。

笹川副大臣 食育についての重要性については、私も委員も多分、恐らくほぼ共通な認識だというふうに思います。

 ただ、食育基本法は、もう第四次ということでありますので、やはり食育については大切だということの中で、我々もこの食育基本法に基づいて計画を立ててまいりましたので、是非御理解いただきたいと同時に、今委員からの、今回の食料・農業・農村基本計画に基づき食育についても着実に推進を図っていくということですが、それを加味した上で次期の計画ということになると思いますので、よろしくお願いします。

金子(恵)委員 では、是非よろしくお願いしたいと思います。

 納得しているわけではないんですけれども、もう出てしまっているものなので、きちんと、やはり、基本計画があって、そしてその上で、別法でも様々な、食育推進基本計画もありますと。いろいろ重ね持っているとは思います。重なっているところというのはあるわけですけれども、大切な部分というのは、この食育というものが、食料安全保障について意識をしっかり高めていくことや農業従事者を増やしていくということにつながっていくんだということですから、とても重要なことです。是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に参ります。

 三月の二十五日の本委員会における決議の中でも、「農業生産活動が与える環境負荷については、畑作中心の欧米諸国と、アジアモンスーン地帯における水田・稲作が中心のアジア諸国では、その発生状況等が異なると考えられることから、温室効果ガス削減の観点だけでなく、生物多様性の保全、土壌流出の防止等、様々な観点からの調査研究を推進すること。」ということを盛り込ませていただいているということであります。

 一方、FAOが各産業の水の利用効率をモニタリングしているということで、これはちょうど、四月の八日の日本農業新聞の中で、SDGsの一つの目標である、目標六ですね、「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」関連のターゲットとして、「二〇三〇年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。」との関係での水の利用効率について農水省が神経をとがらせている、またこういう記事も出ていたわけなんですけれども、これは、取水量に占める総付加価値額で利用効率を計算するので、水源の涵養といった水田の多面的機能は考慮されないということでありました。

 水田の持つ多面的機能について、私は、国際社会の理解を得るための取組というものが必要になっているのではないかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

笹川副大臣 FAO、国連食糧農業機関とは様々、農林水産省としても、研究なりいろいろな連携をしております。

 今委員から御指摘があったとおり、やはり畑地の主力の地域の声が大きくて、いわゆる水田の多面的機能、先ほど委員が御指摘いただきました、もちろん、また環境保全もそうですし、それから自然災害への対応について様々な機能を持っている、このことを、やはり、畑地が周りにしかない、水田が縁遠いところの国々の人たちにも是非理解をしてもらう。

 そしてまた、食料生産、世界に対して食料供給についても貢献するということでございますので、ある意味、水田を中心とした国際水田・水環境ネットワーク、これは実は十九か国で構成をされております。昨年、ヨーロッパのイタリアとアフリカのケニアが新しく入っていただいたということでありますので、それぞれの地域のところに声をかけていただいて、水田の多面的機能というものを理解した上での方程式ということを是非訴えていきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 水田農業は、我が国の気候風土に合った農業形態であって、とても重要なので、是非国際社会の中でも理解を深めていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 最後の質問になってしまうのですが、新規就農支援策でございます。

 まず、大臣、基本計画における新規就農支援策の位置づけについてお聞かせいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 大変大切なものだということで位置づけさせていただいたつもりであります。

 様々議論させていただきましたが、四十九歳の議論とか、年齢制限をなくすとか、それから親元就農の話とか、平均年齢は六十八歳であるとか、そういったものも全部含めて、やはり農業構造、農業の産業構造自体が高齢化しているということについてしっかり向き合うためには、新規就農を呼び込まなきゃいけない。それに加えて、新規就農だけではなくて、様々な異業種からの参入も入れていかなければならない。

 ですから、農地所有適格法人への出資比率も、今まで五〇%以上は認めませんでしたが、五〇%を超えても、いわゆる食品産業等で日頃おつき合いがある会社であれば五一%以上の出資も認めるというような要件も様々設けたところであって、新規に農業に参入する、新規就農者ということに限らずやらせていただきました。

 そして、これも議論があったところですけれども、四十九歳以下の担い手の数を維持することを目標づけることについては、ちょっといろいろ委員会でも御議論がありましたが、やはり長い時間いていられる、私のような六十四歳の人間が就農するよりも、四十九歳以下の人の方がサステーナビリティーには非常に貢献するのではないかということで、そういう書き方をさせていただきましたが、しかし、百十一万人から三十万人に変遷する、そのトレンドを止めるためには大変大事なことであるということは、基本計画の中にもしっかり書かせていただいたつもりであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 私、前にもこの件については大臣と議論させていただきまして、もちろん、年齢制限の、対象年齢の拡大とか、そしてまた親元就農のリスク条件撤廃、更なる緩和、抜本的な拡充、これは検討していただきたい、更に検討していただきたいというふうに思いますし、こちらからもしっかりと求めていきたいというふうに思います。

 そういった中で、やはり私が気になるところは、新規就農者調査で示されている人数のうち、どれだけ本当に、国の新規就農者支援策、これによって交付を受けて支援を受けているのかというところをちゃんと確認をした上で、本当に今の制度でいいのかということをしっかりと確認をしていかなくてはいけないと思うんですが、大臣、最後になりますが。

江藤国務大臣 令和五年の数字でありますが、新規就農は一万六千人、そして、この新規就農支援事業を利用して就農した人が大体四千人。だから、四分の一ということになります。これは多いか少ないかは評価はいろいろあると思います。この事業を利用しなくても、自分の周りに農業に就農するだけの環境が整っている方もおられたということもあると思いますけれども、これは一つの数字としてはやはり目安になるんだろうと思っています。

 ですから、先ほどもちょっと言いましたけれども、農地所有適格法人、様々な法人に対する就農の要件を見直したり、それから親元就農についての見直しを行う。これは七年からは、さらに、研修農場というものをちゃんとつくって、そこで研修していただいて就農していただくというような切り口もやはりこれからやりたいと思っております。

 そして、関係人口についても若干申し上げると、関係人口、交流人口、まあいろいろな言い方がありますが、そういう方々が来ていただけることによって、農業の魅力に気がついて、ああ、いいね、もう交流するだけじゃなくて農業をやろうというような人が増えてくれることも一つの切り口になり得るのかなというふうに考えております。

金子(恵)委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、岡田華子君。

岡田(華)委員 立憲民主党の岡田華子です。

 先日、日本の人口減少のニュースがテレビや新聞で話題になりましたけれども、本日は、地方の働き手不足、農林水産分野における働き手不足について取り上げさせていただきたいと思います。

 先日、私は、地元の青森県の深浦町というところに行ってまいりました。深浦というのは日本海側に面した町で、日本海のおいしい魚介と、それから、白神山地に面しているので白神山地からのミネラルたっぷりの水で作る米ですとか、野菜もすごくよくて、雪の下から掘り起こす雪の下ニンジンというのが有名で、もう本当にトウモロコシなんじゃないかと思うぐらい甘みのあるニンジンができたりするんですね。すごく、最高の食がある、資源のある町なんです。

 今、町では、こういった資源を活用して、もっと町を元気にしていこう、補助金がなければ成り立たないようなそういった農林水産業じゃなくて、しっかり自立できるような産業にしていこう、元気な町にしていこう、そういう意気込みを持って頑張っておられる方がたくさんいる町でございます。

 そんな彼らとお話をする中で出てくるのが、今、やはり働き手不足の問題になります。よいものがたくさんあって、着実に引き合いも増えてきている。なんだけれども、そのニーズに応えるだけの働き手が確保できない。

 最近の例でいうと、すごくいい大根ができたんだけれども、売上げで考えたら二千万円ぐらい行くんだろうなというような大根を、全部収穫しないで終わるしかなかった、働き手がいなかったから。そういったお声がありました。産業振興のために、町の人口を増やすために頑張るんだけれども、でも、今々、やはり人口減少が先に進んでしまって、なかなか農林水産業で働く人たちを確保する、それが難しい、そういう状況にあります。恐らく、日本の地方にある町村といったところは同じような状況なんだと思うんです。

 そんな中、頼みの綱になるのが外国人の労働者。外国人の方に来てもらって、一緒に町村の産業、農林水産業を守り立ててもらいたいと思っている、そういった状況なんですけれども、今、地域によって、外国人に選んでもらえる地域と選んでもらえない地域、人気のある地域と人気のない地域というのが出てきているように思います。

 要因は幾つかありまして、まず大きいのは賃金の格差ですね。地元の青森は、全国の中でも賃金が低いということで、本当に毎年、最低、四十七位だ、四十六位だみたいなところで報道が出てしまうような地域で、賃金を上げるために物すごく頑張ってはいるんだけれども、なかなか上がらない。そんな中で、外国人の人に来てもらうにも、正直、月十五、六万でお願いしたいというところで考えているのに、関東の方だともう十万円ぐらい高い金額が出ていたりする。そうなると、やはり見劣りするんです。

 さらには、住環境の方もかなりの差が出てきている。電車で何十分か行けば大都市があるような田舎であればいいんですけれども、深浦町のような日本海側の町であると、そういうことにもいかない。人口の減少が進んでいるので、アパートなんかも十分ではなくて、住まわせる場所を用意するのも大変。

 さらに、青森県には雪が降ります。冬には雪が降って、公共交通機関が充実していない、そんな中で外国の方が来てもらっても、夏場は自転車で移動してスーパーや職場に通勤というのができるんですけれども、冬、車がない彼らにとって生活はすごく大変な実態にある。

 さらに、あと、日本語の支援のところも大変で、町民と共生してもらいたいので日本語の支援、日本語を教える環境というのも是非準備してあげたいというのもあるんですけれども、町だけで準備するのはとても難しい。

 そういった環境にあって、外国人の方に是非来ていただきたいんだけれども、余り人気がない、どうしようか、そういった声が多く聞かれます。

 今、外国人の方に来てもらえるように、農水の方もそうですね、厚労省とか、いろいろなところで議論が進んでいるところだと思うんですけれども、日本国内の地域特性を鑑みずに一律に対応していっては格差が開く一方だというふうに、私は少し懸念をしております。この問題点、この課題について大臣はどのようにお考えか、御所見を伺えればと思います。

江藤国務大臣 委員も御存じのとおり、いわゆる研修から、技能実習ですけれども、これからはまさに労働力として入っていただく、いわゆる育成就労制度、これに変更していくわけでありますから、いよいよ労働力として外国人へ頼るという形が産業の中で出てくる。

 最近、若干円高にはなってまいりましたが、まず円が安かったということによって、普通の賃金水準にしていても、他国と比べると、手取りベースで送金するときには安くなってしまうというような賃金の問題。それから、住居の問題。雪は大変ですよね。私のところは分かりませんが、本当に雪は大変だろうと思います。

 ただ、すごく感じることは、青森でもそうされていると思いますが、コロナのときに、随分外国人の研修生は国に帰りました。しかし、宮崎は帰らなかった子たちが多かったんですよ。君たち、何で帰らないのと聞いたら、大変お父さん、お母さんがよくしてくれるんです、だから、御恩があるので、コロナだから帰るなんてそんな冷たいことはできませんと言われて、とても感動しました。

 やはり、日本人の持つそういう優しい気持ちとかそういったものも、外国人を呼び込む一つの力だと。というのは、今は研修生の話をしましたけれども、研修生が国に帰って、どうだったと聞いたときに、日本はいい国だ、本当に自分たちと差別をせずに、お父さん、お母さんと同じテーブルで同じものを食べた、そして、温泉に時々連れていってくれた、そういうような話が実は日本に労働力を呼び込む上で極めて力を発揮しているという話を聞きました。

 国としては、今度、育成就労制度に移るに当たっては、大都市圏に過度に集中しないような配慮を定めるということを政府としても検討しております。ですから、なるべく地方にも労働者が行くように。

 そして、農業の労働環境改善に向けた政策の在り方に関する検討会、これを農林水産省では今検討しておりますので、やはり選ばれる地域、選ばれる産業にできるだけなれるように、皆様方の現場の御意見を聞きながら、農林省としてもしっかり検討してまいりたいと考えております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 最初に大臣がおっしゃられたように、確かに他国との戦いというか、外国人労働者はあらゆる国がこれから必要になってくるというところで、日本が選ばれなければならない、さらに、日本の国内の中でも選ばれる地域になっていかなければならない、これからそういった競争環境というのが出てくるのかなというふうに思います。宮崎の事例のように、地元に本当に根づいて、外国人の方に愛されて、一緒に農林水産業を育成していけるとか成長させていけるようなパートナーになれるような関係性をつくっていくことが本当に望ましいと思います。

 一方で、やはり雪のない宮崎と雪のある北海道や東北というところを本当に一律で同じ制度でやってしまって大丈夫なのかなというような懸念もございますので、今、育成就労の方の議論が絶賛進められているところだと思います。分野別で今議論がされていると思うんですけれども、地方の活性化、分野別というとやはり農林水産業ですとか、介護ですとか建設といったところの分野であるんだと思うんですけれども、地方の成長という意味では、やはり引っ張っていくのは農林水産業の我々だと思いますので、是非、育成就労の議論を農林水産業の皆様方でリードしていただいて、使いやすい、実効性のある制度にしていっていただければと思います。

 続いて、もう一点、遠方産地の支援という意味で質問をさせていただきます。

 遠方産地、青森は消費地からかなり距離があるという遠方産地なんですけれども、そうすると、消費地に送るためにどうしても物流のコストが上乗せになってしまう。魚介においては、コストだけではなくて鮮度が、一日市場に到着するのが遅れるというようなところで、鮮度の関係で価格が下がってしまうといった、どうしても距離によるビハインドというところがあります。漁協さんとお話ししていても、大型トラックの速度規制は何とかならないのか、八十が九十になったけれども、あれを百にしてくれたら本当に変わるんだよね、そういうようなお声をいただくことがあります。

 ただ、現実的にはそう簡単に解決策がない中、物流コストですとか鮮度による価格差というような問題、これを補うことができないままでいる、今、現状はそういう状況だと思っております。

 この遠方産地の課題について、農水省としてどのように捉えているのか、どのような支援策を考えておられるのか、御意見、御所見を伺いたいと思います。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 水産物につきましては、水揚げをする漁港が消費地から遠くにあることが大変多いわけでございまして、特に物流の二〇二四年問題を契機として、こうした遠隔地からの物流をいかに効率的に行うかが大変重要な課題になっているところでございます。

 農林水産省といたしましては、このため、物流の二〇二四年問題対応といたしまして、農林水産物全体を対象として、中継共同物流拠点の整備、標準仕様パレットの導入、さらにはモーダルシフト等への支援を行っておりますし、また、水産物を対象として、生産、加工、流通業者が連携して行います流通の効率化、革新的な鮮度保持技術の導入等に向けた取組への支援も行っているところでございます。

 例えば、魚価の向上が期待できる活魚の出荷、活魚輸送について、低コストで効率的な活魚輸送を行う取組についての支援なども行っているところでございます。引き続き必要な取組への支援を行ってまいります。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 物流の効率化を始めとして、様々な努力をしていただいているところでございます。地元の遠隔地の漁港さん、農林の方も含めてですけれども、みんなで一丸となって、遠隔地のビハインドというところの支援をしていっていただければと思いますので、引き続き御尽力のほどお願い申し上げます。

 続きまして、次は、漁協さんの経営についての質問をさせていただきます。

 先日の漁災法の委員会の質疑でもありましたけれども、海の状態が変わっていて、魚が捕れなくなっていると。深浦で話を聞いたときも、今年も壊滅的だというようなお話があったんですけれども、不漁が続く中、資源管理も重要だという認識が共有されています。

 資源管理で漁獲が制限される、そもそも全然魚が捕れない、そういった期間は、漁師さんたちの生活は漁業共済などで支援しているというような、制度的な担保があるという現状だと思っておりますが、漁協さんの方はどうなのかという点を少しお伺いしたいです。

 漁協の主な収入源は、漁獲量に応じた手数料収入になっている。今のように、魚が捕れないですとか、資源管理のために漁獲を制限されているという状況になると、漁協は経営が苦しくなる一方なんじゃないかというふうに思います。地元で話を聞いていても、資源管理をして魚が戻ってくる頃には漁協がなくなるんじゃないかというような、本当に笑えない冗談が出るような状況であります。

 そこで、お伺いいたしますけれども、漁協さんへの経営支援策といったところについてはどうなっているのか、現状について教えていただければと思います。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 近年の漁協の販売事業の取扱高は、全国的には増加傾向にあるんですけれども、委員御指摘のとおり、地域によっては、深刻な不漁などによりまして手数料収入が減少しているといったような場合も多いというふうに承知をしているところでございます。

 漁協は、組合員の生産活動を支えるという役割を担っているということでございまして、組合員にとって必要な業務を円滑に行えるよう、システム導入など業務効率化によるコスト削減ですとか、要すれば、手数料の適正化にも取り組んでいただくことが必要だというふうに考えております。

 農林水産省といたしましては、漁協経営基盤強化対策支援事業によりまして、合併など経営基盤の強化を図るためのコンサルタント派遣ですとか、金融助成などの支援策を措置しているところでございます。こうした事業も活用して、漁協の事業の見直しや合理化など経営基盤の強化、この取組をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 経営の効率化、合理化といったところで、その辺を支援していくという国の方針とお伺いいたしました。

 小さな漁協さんなんかでは、企業努力で何とかしなさいと言われてもなかなか厳しいところまで今追い詰められている、そんな現状ではなかろうかと思います。是非とも、そういった手数料収入がだんだん減ってきて、企業努力も頑張っているんだけれども、でも苦しい、そういう漁協さんは多いと思いますので、その点の現状把握と力強い支援をお願いできればと思います。

 もう一点、漁協さんに絡んでなんですけれども、小さな漁協さんは、数人の職員さん、三、四人とか、そういった少ない職員さんで対応せざるを得ないといった現状があると聞いております。船、漁師さんの動きに合わせて早朝から、夜はデータの入力まで入れると九時、十時までかかることもある、職員さんはかなり多忙ですというようなお話を聞きます。

 そんな中、納得のいかない業務ということで、各種報告書、各種資料の作成といったところは、もう少し何とかならないのかというようなリクエストをいただきました。

 例えば、TACの報告、県統計、農林統計、揚がってくる魚というのは同じなんですけれども、微妙にフォーマットが違って、毎回ちょっとずつ違う報告をやらなきゃいけない。データで出して、ウェブで出しているんだけれども、集計目的が違うというような理由で紙でも出してくださいと言われるような事例もある。何だか無駄な作業が多いんだよね、ただでさえ忙しいのに、こういうのは何とかならないのか、今DXの時代でしょうというようなお話を聞きます。

 システムの標準化、データ集計の一元化など漁協の事務負担を減らす策について、今どのようになっているのか、お知らせください。

森(健)政府参考人 お答えいたします。

 現場では、漁業者ごとのTAC対象資源の漁獲報告が漁協に委任をされていたり、個々の漁業者に代わって漁協が統計調査に回答するといったようなケースもある、多いというふうに承知をしているところでございます。

 このうち、TAC報告については、報告の迅速化と併せて、こうした漁協の職員の方の負担を軽減する観点も踏まえまして、令和二年度、令和三年度に予算措置を行いまして、漁協や産地市場で水揚げされた漁獲物の銘柄や重量のデータを国が整備したデータベースに送ることができる仕組み、これを整備したところでございます。青森県におきましても、県下の三十七か所でこの仕組みが導入されているという状況でございます。

 また、農林水産統計につきましては、全ての調査について、調査対象によるオンライン回答を可能とするなど、手続の簡素化も図っているところでございます。

 ただ、御指摘のような無駄な負担になっていないのかどうか、そういった点について配慮が必要ではないかといった点、そうした御指摘はしっかりと受け止めて取り組んでまいりたいと思います。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 特に、システムの標準化みたいなところは、漁協さん同士で使っているシステムが違うとあって、そこを標準化していこうとなると、交渉でかなり大変だ。システムの標準化というのはお金もかかるものですので、ただでさえ少ない人数でやっている漁協さんが自ら企画立案して進めていくとなると、なかなか進捗も難しいのかなというふうに思います。

 標準化については、本当に国が率先してやるというところ、行政が入って一律に進めていくというところが一番全体最適のある仕組みを構築できると思いますので、是非御検討をいただければと思います。

 続きまして、ちょっと質問を飛ばしまして、通告で六番のところなんですけれども、基本計画のKPI、キー・パフォーマンス・インディケーターについて最後にお伺いさせていただきます。

 言わずと知れたKPI、業績管理の指標になります。ある目的を達成するためのプロセスですとか中間目標のことをいいますけれども、今回、三十を超えるKPI値が定められております。

 KPIというのは、今申し上げたとおり、あくまでもプロセスとか中間目標にすぎないので、これらを達成することによって最終的に達成したい目標、ゴールというものがあるわけです。今回KPIの一覧を見ると、この最終ゴールの中には、食料自給率のように定量的な数値目標があるものもあれば、肥料の安定供給の確保といったような定性的な目標だけのものもございます。

 そこで質問なんですけれども、定量的な目標があるものについては、各KPIは逆算して算定されたものなのか。定性的な目標しかないものは、どういう考えの下でこのKPIの数字というものが決められたのかについて教えていただきたいです。この数字が何としてでもクリアしなければならないという最低限のラインなのか、実現可能で、できたらいいな、そういうラインのものなのか、その点も併せてお聞きいたします。お願いいたします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘のあった、例えば自給率のような目標につきましては、品目ごとの課題に対して講じる施策を踏まえて、実現可能な消費量ですとか生産量、輸出量等をKPIとして定めて、それに必要な投入量となる農地、人、技術、生産資材についても目標をKPIとして掲げて、それらを組み合わせないと食料自給率の目標約四五%というのが達成できないというような形で設定されております。

 一方で、例えば基本計画の目標のうち、動植物検疫のような確実な対応が求められるものですとか、生産資材の安定供給ですとか輸入の安定化のように、現状の維持ですとか少しでも改善をするというようなもの、あと、食料システムの持続性の確保ですとか生物多様性の保全といった、なかなか数値的な目標を直接定め難いものについては、定性的な目標を定めているということでございます。

 これらについても、確実な対応が求められるものについては、例えば取組の一〇〇%の実施とかをKPIにするですとか、現状の維持や少しでも改善をされるものを目的とするもの、そういう目標につきましては、KPIを現状の維持を把握するための数値として設定する。あるいは、数値的な目標を直接定め難いもの、こういうものを目標とするものについては、例えば生産量を倍増するとか、そういうような形で意欲的なKPIを設定するというような形で目標KPIを設定したところでございます。

岡田(華)委員 ありがとうございます。大分クリアに理解ができました。

 その上でなんですけれども、各KPIは五年後の目標ということが定められていて、毎年PDCAを回しますということになっております。

 例えば輸出の促進を目指すKPIについてなんですけれども、リンゴの場合、私は青森なのでリンゴを例に取って見させていただくと、二〇二四年は約二百億円、それを五年たった二〇三〇年には約二百八十を目指そうということで、KPIに盛り込まれております。

 二〇二四年の実績が今二百一億円なんですけれども、例えば二〇二五年度の実績というのはいつ出るものなのか。ほかの項目については、恐らく輸出の統計は早めに出るんだと思うんですけれども、ほかの項目において実績が出てくる時期というのは各々ばらばらだと思うんですけれども、PDCAが行われる時期というのはどうなっているのか。

 そして、例えば、計画を出した初年度、五年で八十億を目指しますと言った目標に対して、二〇二五年度、例えば十でした、五でしたというような数字が出た場合、どのように分析されるのか。各年度の目標がない中でどのように分析されるのかという点について、イメージを持ちたいので教えていただければと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員から御指摘のあった例えばリンゴの輸出額については、これは毎年、貿易統計で把握が可能ということでございますので、貿易統計でその年の前年度の輸出額というのを把握した上で、それと目標年度から逆算したその年度あり得べき輸出額というのを比較して、到達の水準を比較するということになろうかと思っています。

 基本的に、委員御指摘のとおり、例えば貿易統計ですと結構、年度当初に前年の輸出額というのは分かるので把握しやすいですが、物によってはその把握が遅れるものも当然ございます。

 ただ、例えばそのデータが出た都度都度、評価をするということだと、例えば、我々も結果については食料・農業・農村政策審議会の委員の皆様の評価をいただこうというふうにも思っていますので、そういうのはなかなか、一定の時期にそろえられるものをお諮りするという形になるのかなと思っていますが、今回は特にKPIにつきましては、毎年度、その前年の状況が把握できるものをKPIとして定めていますので、そういう意味では、その前年の状況とあり得べき前年の目標値との逆算した数値を比較して把握するということになろうかと思っております。

岡田(華)委員 ありがとうございます。

 あり得べき目標額との差を分析するとのことだったので、恐らく各年度の目標値というのがこれから定められていくんだと思うんですけれども、五年間の間、リニアに上がっていくものと、スタートダッシュで上がっていくものと、最後にぐいっと尻上がりで上がっていくような、そういった、それぞれのKPIによって内容は違うと思うんです。なので、その点について是非、実効性のある目標値ができますように、審議会の中でも御議論をいただければと思いますので、引き続き一緒に頑張っていければと思います。

 今日はありがとうございました。終わります。

御法川委員長 次に、福田淳太君。

福田(淳)委員 立憲民主党、長野五区の福田淳太でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まずは、畜産農家への支援について伺います。

 今、畜産農家、特に牛を育てる農家の経営が大変苦しくなっております。まず、牛の餌代の負担が増しております。二月の農林水産省農業物価指数では、トウモロコシや麦などの飼料価格が令和二年比で一三九・七、実に三九%値上がりしているわけです。その背景に、トウモロコシのシカゴ市場や海上運賃はだんだんと下がってきているものの、為替相場で円安の基調が変わらないことが一因になっているかと思います。

 まず、この飼料価格の高騰の要因をどのように考えているのか、畜産農家にどのような支援を行うのか、伺います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 我が国の飼料につきましては、その多くを輸入に依存している状況にございます。その価格につきましては、トウモロコシなどの国際相場や為替の影響を強く受ける、このような状況でございます。

 現在、トウモロコシ等の国際相場は落ち着いている一方で、委員から話のありました令和二年と比べますと、為替相場、こちらは円安の状況により飼料価格が高止まりしており、価格指数の上昇の主たる要因となっているところでございます。

 これらに対応するためには、金融政策、経営安定対策など、総合的に対応しているところでございます。

福田(淳)委員 ありがとうございます。

 本当に飼料の価格がまずどうにかならないとどうしようもないというような話を伺いますので、引き続き実効性がある対策を取り組んでいただきたいと思います。

 その飼料価格に加えて、枝肉の価格についても、新型コロナウイルス禍の際に、インバウンド需要や外食需要の減退によって大幅に価格が低下してしまいました。現在では、物価高により生活防衛意識が高まり、購買意欲が湧かない状況に陥ってしまっております。枝肉価格は上がらず、子牛の価格は上がるという負のスパイラルにより、農家戸数の減少にもつながってしまうおそれがあるかと思います。

 この負の連鎖を打開するためにもどのような対策を講じていくのか、伺います。

江藤国務大臣 私のところは畜産県でありますが、大変苦しんでまいりました。やめた方もおられます。しかし、必ず復活するときが来るので頑張ってくれということでやってまいりました。

 まず、六十万円を切った部分については埋めるという緊急対策事業をやりました。そしてまた、今年になって、六十万円を、余り言うといけませんが、財務的にはなかなか、農家の負担も一円もないわけですから、この政策についていかがかというような御意見もあったかもしれませんが、しかし、逆に六十一万円まで引き上げました。そして、保証基準価格も更に引き上げました。そして、昨年の補正事業では、いわゆるフルセットで肉を売る場合についても対象とするというふうに対象を広げて、百七十億円をつけました。かなり効果がありました。

 これで分かったことは、ある程度小売の段階でお値段が下がれば消費者の方々は買っていただける、やはり和牛の人気は高いということは、間違いない。前までの対策は、小売のところで下げるということでは余りなかったんですよ。今度は小売の段階で下げろということをしたので、かなり効果があったんだろうと思っております。

 これは、今委員が言われたように、枝が下がり、子牛が下がり、そして子牛が下がっているから餌代を渋り、餌代を渋るから牛が太らない、太らないから痩せている、更に安い、安い牛はたたかれる、そして肥育の段階でも餌を絞ればサシの入りが悪くなる。様々負のスパイラルはあります。

 逆に言うと、これが今私のところで六十五万を超えているんですよ、もう六十八万とかですね。こういう段階になれば、今度は、枝が高いから子牛を高く買える。そして、子牛が高いからしっかりとした餌を上げられる。そして、この先にある大事な政策は、今度の水活でも、青刈りトウモロコシそれから子実トウモロコシに重点を置こうというのは、やはり飼料自給率が低過ぎる。アメリカに多くのトウモロコシ、それからブラジルに多くのトウモロコシを依存している産業構造はやはりよくないということでありますから、様々な政策を駆使して、日本の畜産、それは牛だけじゃなくて、豚も鶏もしっかりやっていけるように政策を練っていきたいというふうに考えております。

福田(淳)委員 ありがとうございます。

 次に、地球温暖化と農産物への影響について伺います。

 私の地元伊那谷は果樹の産地です。涼しい気候や寒暖差があるからこそ、これまでリンゴや市田柿などの特産物が育ってまいりました。しかし、リンゴは高温の影響で日焼けや着色不良を昨年起こしてしまいました。地元のある果樹農家さんは、もうこの場所でリンゴを育てるのは難しくなっているとまでおっしゃっておりました。

 地元の飯田、下伊那、特に飯田市はシードルと呼ばれるリンゴのワインの生産も行っておりますし、市のマークもリンゴをかたどったものでございます。さらには、夏の一番大きなお祭りも「りんごん」という名前でございまして、本当にリンゴを生かしてあの地域を盛り上げようとする取組がこれまで続けてこられたわけでございます。地元の農家さんも、地元の特産であるリンゴを守りたいけれどもこれではどうしようもないと、かなりもどかしさを訴えてくれました。

 さらに、特産の市田柿です。市田柿は十月下旬から収穫が始まり、加工して干しますが、その時期の温度が非常に高かったのと、雨が多かった影響で、加工して干していた柿が落ちてしまう被害があったそうです。さらには、白い粉がうまく吹かない被害もありました。JAみなみ信州によると、市田柿の一割ほどは廃棄をしてしまったとのことでした。

 そこで、昨年の高温の影響でリンゴや市田柿など果樹類にどのような影響があったのか、伺います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 近年、夏場の極端な高温によって果実に障害が発生し、生産量が減少する、こういった影響が出てきております。

 令和六年におきましても、夏場の極端な高温の影響により、一部の果樹で日焼けでございますとか着色不良、こういった生理障害が発生したことによりまして、例えば、卸売市場への出荷数量が、リンゴでは平年比二割、ミカンでは平年比二割、柿では平年比一割減少する、こういった影響があったと認識しております。

福田(淳)委員 ありがとうございます。二割、一割と、やはり大きな影響かと思います。

 そして、この果樹の被害は、気温だけではなく、それに伴い発生するカメムシ類の病害虫にも起因しております。昨年は、暖冬と春以降の高温により、全国的に果樹カメムシ類の発生量が増加しました。果樹カメムシ類の防除を促す注意報、警報の発表件数は、三十八都府県延べ六十一件で、過去十年間で最多となりました。

 もちろん地球温暖化自体を食い止める努力も必要ではございますが、すぐにこの異常気象が変わるとは思えません。まずは、今ある品種を酷暑でも安心して作り続けてもらう環境の整備が必要であると考えております。

 こういった病害虫や高温による被害は、工夫によってある程度軽減できるわけです。リンゴの日焼けには果実の被覆、病害虫には交信の攪乱、市田柿にはクーラーの設置が有効とされております。

 こういった気候変動に対応した果樹栽培のために、高温対策、病害虫対策の手厚い支援が必要と考えますが、御所見を伺います。

江藤国務大臣 この間も松くい虫の話とか様々あったんですけれども、非常に虫は厄介であります。

 カメムシも、今までの常識だと冬になったら寒くて死んじゃうという話だったんですが、最近は暖かくて彼らも越冬するようになってしまいまして、果樹は、これは一年のものじゃなくて永年性の作物でありますから、年を越えて影響を受ける可能性が高い。ですから、これは大問題だと思っております。

 高温に耐性のある品種の開発を進めておりますけれども、すぐに変えることは無理ですし、ですから、産地パワーアップ事業なんかで遮光ネットとかかん水施設とか、そういったものをやっておりますが、これはカメムシを直接やることじゃなくて、生産性向上に関わることでありますけれども。

 ですから、これにつきましては、都道府県と協力して発生予想情報は一応出しています、御存じですよね、出しておりますから。七年度の予算では、消費・安全対策交付金のうち病害虫の防除の推進の予算、これは十九億ほどありますので。やはり早めにやる、この予報に対して、出てしまってから対応するのではなくて、出そうだ、ちょこっと出たなと、早い段階で防除をすることが有効であります。

 やはり、この予算の活用と、それから予報と組み合わせて早めの対応をすることが大切だと考えております。

福田(淳)委員 ありがとうございます。

 中長期的には、やはりこの品種の改良も必要になってくるかと思います。

 長野県では、県の農業関係試験場が高温でも適応するリンゴなどの品種改良に努めております。リンゴは気温差がないときれいに色づかない果物です。気温が高くても着色がよい品種の改良に向けて、現在、三個体を選抜し、収量や食味、長もちがするか、病気に強いかなど、今後更に研究を重ねていく予定となっております。

 ただ、品種改良には非常に時間もコストもかかるものです。県の担当者に聞くと、より効率的に品種改良を進めるためには予算や技術面でのサポートが望ましいとのことでした。将来的には更に果樹の植え替えも検討していかなければならないかもしれません。

 こういった地球温暖化が進む状況を受け、果樹の新品種改良や植え替えをどのように促進していくのか、伺います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 高温への適応性が高い品種、例えばリンゴでは紅みのり、ブドウではグロースクローネ、こういった高温の状況の下でも着色に優れた品種が特に農研機構によって開発されてきたところでございまして、こういった気候変動に適応した品種の開発をしっかり進めていくこととしております。

 また、それに加えまして、こういった新しい果樹への改植、また、それに伴う未収益期間の幼木管理経費、こういったものにもしっかり支援を行っております。

 こういった支援を通じまして、開発された高温適応性品種や、収穫時期が異なる高温のリスク分散、こういったものを図っていきたいというふうに考えています。

福田(淳)委員 ありがとうございます。

 次に、地理的表示、GI保護制度について伺います。

 GIは、その地域ならではの特性を持つ産品の名称で、市田柿や神戸ビーフ、越前がになどが該当します。

 GIは、その地域で二十五年以上の生産実績があるか、社会的評価があるか、管理する団体があるかなど、厳しい要件をクリアしなければ登録できません。この産地の宝である名称を、生産地、特性、生産方法等の基準とともに登録し、保護するのがGI保護制度になります。

 しかし、まだまだGIが一般消費者から広く認知されているとは言い難い状況ではないでしょうか。地元の農業関係者からは、厳しい基準をクリアして取得したのに、GIを取得しているメリットが感じづらいとの御指摘もいただきました。

 さらに、輸出をするとき、相手国にGIの存在を知ってもらわなければその価値が低減してしまうわけです。

 GIの知名度向上に向けて、消費者に対して、そして輸出国に対して、どのような取組を行うのか、伺います。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 GI保護制度は、御指摘がありましたとおり、地域と結びついた特性を有する産品の名称を国が登録し、保護することにより、模倣品を排除し、ブランド価値を守る制度でございます。

 この制度の活用によりまして、登録産品の品質や社会的評価が見える化されるとともに、真正な地域産品であり、日本産品であることを示すことにもつながるものでございます。

 委員御地元のGI産品、市田柿も、二〇二三年、輸出が二億五千万円、この七年で四倍の伸びとなってございます。

 こうしたGI登録の効果を発揮していく上で、この制度の認知度を高めることが重要と考えてございます。

 このため、私どもは、ウェブ広告やSNSを活用したGIのプロモーションを支援いたしますとともに、製造、小売、外食等と連携した商品開発などを推進し、GIを消費者が目にする機会を拡大してきたところでございます。

 今後は、特に海外に向けGI制度やGI産品の価値を広めていくことが重要と考えてございまして、インバウンド向けツアーにおけるGI産品の活用でございますとか、開催中の大阪・関西万博の機会を活用したPRなどによりまして、広く本制度を周知していく予定でございます。

 引き続き、この制度の認知度向上に向けて取り組んでまいる考えでございます。

福田(淳)委員 時間が参りましたので、終了します。どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会、空本誠喜でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 今日は、ミニマムアクセス米、そしてアメリカの今の米作り状況、こういったことについてまず議論を進めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 配付資料がございます。配付資料の、裏表になっておりまして、一、MA米の売買損益と損益合計ということで、一九九五年ぐらいからこの売買損益とその合計というのを示したものでございまして、今赤字になっているということでございます。

 MA米、アメリカからはカリフォルニア産のジャポニカ米、またタイ産のお米、こういったものを入れておりますが、二〇二〇年頃から、まずは売買損益、また一九九五年ぐらいからの合計について、農林水産省としてどのように把握されているかといいますか、どういう集計をされているか、まずお答えください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 ミニマムアクセス米の二〇二〇年度からの毎年度の売買損益につきましては、二〇二〇年度はマイナス二百七十億円、二〇二一年度はマイナス三百七十九億円、二〇二二年度はマイナス五百九十四億円、二〇二三年度はマイナス五百八十六億円となっております。

 また、一九九五年度以降二〇二三年度までの損益の合計はマイナス七千三十四億円となっております。

空本委員 MA米の場合は、入れて、売買して、その差額の損益、さらには保管料、こういったものがあって、それはウルグアイ・ラウンドから、ガットからこういうことで決められたものでございますので、そういった形で計上しているということは理解できるんですが、これについて、会計検査院として、この売買損益、損益の合計をどのように御理解されて、容認されているのか、まず会計検査院からお答えください。

中川会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、ミニマムアクセス米の損益状況も含めた農林水産省の会計経理につきまして、これまでも多角的な観点から検査を実施してきており、その結果、報告すべきと認められた事項があった場合には、検査報告に掲記するなどして報告しております。

 委員お尋ねにつきまして、この場で検査の結果に基づかず見解を申し上げることは困難であることを御理解いただければと存じますが、会計検査院といたしましては、お尋ねの点も含めた農林水産省の会計経理につきまして、今後も適切に検査を実施してまいりたいと考えております。

空本委員 MA米については国際間での取決めで輸入するということでございますので、損益が出ないようにどう配慮するかというのは農水省でしっかり考えていただかなきゃいけないのかなと思うんですが、保管料なり、また、入れたものに対して、飼料米とか、その用途に応じてやはり差額が出てくる、それは理解できます。

 しかしながら、今、米不足とかいうときに、先ほども近藤委員等の質疑から話がありましたけれども、MA米を備蓄米に回すのかどうか、そういった在り方、MA米と備蓄米の在り方自身も今ここで考えるべきかなというふうに進言させていただきたい、提言させていただきたいと思います。

 そして、先日の予算委員会の集中審議におきまして、日本維新の会幹事長の岩谷衆議院議員が、アメリカから今年に限って米を輸入させてもらってもいいんじゃないか。

 私自身、トランプ政権とのディール、取引として、その一つとして、今年に限って、まずは米、在庫があるならば入れさせてもらって、後からまた質問させていただきますが、例えば七月、八月とかそういったところ、端境期になって、備蓄米も、今、九十一万トンから二十一万トン放出し、更に十万トン、十万トン、十万トンと、どんどん放出していく。さらには、飼料米も不足してきているというような話もございます。そういった中では、これこそディールですよね、取引ですよね。今年に限って、トランプさん、どうでしょうかというような、トランプ政権に対する仕掛けを行ってもいいのではないか。

 また、MA米、アメリカから要請として、また関税を入れないような形でのMA米の数量を、今、三十三万トンとかアメリカからは入っていると思いますが、これをもっともっと、あと二十万トンとか三十万トンとか入れなきゃ、入れてほしいというような要請が来た場合、新たに来た場合は新たにまた政府で考えることになると思いますが、そういう要請が来た場合、財源、じゃ、どうするのか。財務省としてそういうお考えは今検討はされていますでしょうか。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 今後の米国との協議に関しまして、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 そのため、米国トランプ政権からMA米の購入の追加要請が来た場合の対応という仮定の御質問と受け止めさせていただきますが、一概にこの場でお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

空本委員 アメリカのある調査報告が出ています。USITC・リリース・レポート・オン・US・ライス・インダストリー・アンド・グローバル・コンペティティブネスというような報告書が出ていまして、これは三月七日に出ているんですよね。アメリカから出ています。これはつけていないんですけれども、米国の国際貿易委員会から、一九三〇年関税法三百三十二条に基づく米国の米産業の国際競争力に関する調査結果報告書というのが三月七日に出ていますが、これは農水省さん、ちょっと質問通告していないんですが、この報告書を御存じですかね、今。

森(重)政府参考人 お答え申し上げます。

 突然のお話でございまして、恐縮でございます、ちょっと今手元に御用意がないところでございます。恐縮でございます。

空本委員 どうも済みません。実は、こういう報告書、ウォッチをしていただきたいと思っていまして、突然の質問で申し訳なかったんですけれども。

 こちらについては、本当に、各国の輸入制限措置がアメリカの国産の米の輸出を妨げていると書いてあるんですね、その可能性を指摘している。さらには、日本の米輸出で、関税割当て、TRQ拡大がアメリカ産米の輸出増加に最も寄与すると指摘し、特にカリフォルニア州の米の産業の利益増加につながる可能性を指摘しているというような、これはジェトロの方もそういうペーパーを出しています、同じ。三月十一日付でジェトロからも出ているんですが。

 私、これはちょっといろいろ調べていて、アメリカはしかけてくるだろうなと。しかけてくる前に、こちらからしかけた方が勝ちなんですよ。トランプさんに対しては、こちらから、善処するところは善処しながらも、対策を打っていった方が私は得策かなと思っていまして、財務省として、ある程度財源を、予備費でもいいですから、確保しておいていただいて、数百億だと思いますけれども、そういう取引というのをやった方がいいんじゃないか。

 これはちょっと農水大臣に質問通告していないんですが、大臣、いかがですかね。

江藤国務大臣 何とコメントしていいんですかね。

 私も、直接交渉担当はしておりませんが、TPPのときは林大臣の下で副大臣でした。日米のときは私が大臣でした。日英も私がやりました。そのとき甘利大臣が私に言った言葉は、アメリカという国は、右手に何かを載せると、瞬間、左手が出てくる、そして、一晩たつと、昨日言っていたことと今日言っていたことが全然違うと言って甘利さんはよく怒っていましたよ。

 ですから、こちらから何かを出せばいいディールになるというのは多分全く間違いだと思いますね。そんなに出せるならもっと出せるだろうと言うのが関の山じゃないかなと、想像ですよ、と思います。

 今、赤澤大臣が米国に行くということになっておりますので、まずは、今回は、ディールだディールだと言いますが、こっちから求めているものは、やめてくれという話なんですよね、何かをくれという話じゃなくて。一方的な話なので、その状況において、こちらの方から何かトランプさんが喜びそうなものを出すということが何になるのかなと。済みません、言葉をもうちょっと選んだ方がいいかもしれませんが。

 そして、私は農林水産大臣でありますので、特に昨今は、米を三十五万トン、食料・農業・農村基本計画においても、輸出をしよう、五年かけてですね。そして、国内の生産基盤もしっかりと、こういう輸出に対応できる農地もつくっていこうというときに、一年限りといえども、このようなことをするということは、私は決していい判断ではないというふうに思います。

空本委員 大臣、ありがとうございます。

 そういう取組、やはりしっかりとアメリカに対して言うべきは言うということの姿勢は必要だと思いますので、是非そういう姿勢は貫いていただきたいと思うんですが。

 実は、もう一つ、私の手元に資料があって、昨年、私は維新の代表選挙に出馬、立候補させていただきました。まあ吉村さんが圧勝するであろうということはありますが、また維新の中の改革も進めていきたいという思いで、大阪、そして首都圏だけではなくて、地方の声ももっともっと維新の中で大きくしていこう、そういう思いで、昨年、維新の代表選挙に立候補させていただきました。そして、いい代表選をさせていただきました。

 その中で、いろいろな議論をしたんですね。四人で、吉村知事、またほかの議員さんとともにやったんですが、そのときに討論会がありまして、討論会の中で言われたのは、これからの安全保障、どうなるかという問題と、日本の経済、また為替、こういったものはどうなるかなという話がありました。そのときに、ほとんどというんですか、私以外の方々は、円安が続く、いえ、もっともっと円安になるであろうということをおっしゃいました。

 ここにちょっと、今これは理事会で御許可いただきまして出したんですが、これがちょうど討論会、いろいろネットでやっておりまして、討論会で出したんですが、下の方が経済と書いてありまして、為替とか、どうなるかということなんですが、私は、一ドル百三十円台、下手すると百二十円台に行ってしまうのではないか。その理由としては、トランプ政権であるから。トランプ政権は、やるときにはずっとやる、これが姿勢であります。

 実は、この裏にあるものは、私もちょっといろいろその当時に調べていたことがあって、一つのガイドラインというか、ア・ユーザーズ・ガイド・トゥー・リストラクチャリング・ザ・グローバル・トレーディング・システムといって、ハドソン・ベイ・キャピタルが二〇二四年十一月に出されたペーパーがあります。まさにこのペーパーというのは、今、トランプ政権のバイブルなんですよ。ここに書かれたことが、今、相互関税とかやられているんですよ。

 政府の、財務省の副大臣もいらっしゃっていただいていますので、このペーパーを日本の政府がちゃんと読み込んでいて、それに対する対策を打っているのかなというところがすごく心配なんですね。

 ここには、相互関税を進める、そしてその中で、円高がやはり障壁であるというような、そういったものも記載がございます。問題点としては、ドル高、貿易不均衡、解決策としては、関税の活用、通貨政策と金融市場へのしっかりとした影響を与えること、こういったことが、書かれたハドソン・ベイ・キャピタルの当時の首席の戦略官、分析官、この方はスティーブン・ミランさんという方でありますが、今、トランプ政権における大統領経済諮問委員会の委員長であります。この方が書いたペーパーが、今現実に全て起きているんですよ。

 これを日本政府は、まず話をしなきゃ分からないじゃないんですよ、ここに書かれているペーパーをしっかり読み込んで、それで何をやってくるかということを考えながら対策を打つ。

 農政関係においても、やってくることが分かっています。先ほどありましたとおり、米の問題があるよと。じゃ、MA米と備蓄米の、今、うちの方から、百万トンをMA米として緊急、この間の予算委員会で、輸入したらどうでしょうかということを質問させていただいたんですが、これから備蓄米をどんどん放出するわけですよ。六月から八月の端境期、ここにおいて備蓄米がショートする可能性は高い。

 適正な備蓄米の数量、在庫量というのは、どのように農水省さんは考えていらっしゃいますか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、政府備蓄米の適正備蓄水準ということでございますけれども、十年に一度の不作等の事態があっても不足分を補って国産米で一年間供給できる水準として、百万トンというふうに考えております。

 現在、備蓄米の在庫水準、九十一万トン以上確保するようにということで運用しておりますけれども、現在の在庫水準からいえば、この九十一万トンに、単純に、これから、二十一万トンを売却、それから第三回で十万トン売り渡すということで、六十万トンということになりますけれども、その後については、今決まっているわけではないということでございます。

空本委員 その予測、見込みでございまして、これからどのぐらい備蓄米が減っていくかということはまだ分かりませんけれども、アメリカに在庫があるんだったら、ある程度そこからの購入、カリフォルニア米を購入する、そういったことも考えていいのかなというふうに提言させていただきたいと思います。

 次に、そうしましたら、MA米、備蓄米の用途についてまず御説明いただきながら、そして、現在のMA米、備蓄米の在庫量、もう一度御説明をお願いしたいんですが、農水省から。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、ミニマムアクセス米でございますけれども、まず、年間十万トンを上限に、主に主食用で流通しているSBS、それから、加工用、飼料用、援助用、こういったものに、ミニマムアクセス米、そのほかは販売している。現在では、大体、最低でも三十六万トンの在庫水準を維持しながら運営しております。

 他方、備蓄米は、買い入れた米は五年程度経過した後に飼料用米等として販売しております。先ほど申しましたように、これまで供給している二十一万トンに加えまして第三回の入札で十万トン売り渡すと、残りが六十万トンということでございます。

 ただ、これまでの備蓄米の実績ということをもう一回述べさせていただきますと、平成七年度にこういった備蓄米の制度が導入されまして、二十三年度に現在の棚上げ備蓄というのになったわけなのでございます。その以降、主食米の供給という意味では、例えば、平成二十三年の東日本大震災で四万トン、あるいは、もう一回は二十八年の熊本地震のときの約九十トン、この二回のみというふうになっている、こういったことにも御留意をいただきたいというふうに考えております。

空本委員 MA米、備蓄米、どういう仕組みであるべきか、やはり今、変えていくべきときに来ているかな、全体、MA米の在り方、備蓄米の在り方。

 その中で、世界各国の米の生産量と消費量がどうなっているか、皆さん多分御存じと思いますが、配付資料の裏面の方でございます。見ていただけたらと思います。これはちょっと古いデータで、二〇一五年ぐらいのデータで、新しいデータも、二〇二三年、いろいろありますけれども、ちょっと農水省さんのホームページにありましたので、こちらが見やすかったので御提示させていただきました。

 やはり、一番多いのは中国ですね。もう桁が違います。消費量も生産量も桁違い。そして、インドであります。インドも桁が違います。ただし、インドは輸出国、中国は輸入国。インドネシアも消費量の方が多いですから、輸入国。バングラデシュはとんとんぐらいだったかな。逆に、ベトナムがちょっと出せるかなと。タイも出せますというところでございます。

 そして、皆さん御存じのとおり、米には大きく分けて三つありますよね。日本人が大好きなジャポニカ米、そしてインディカ米とジャバニカ米、こういった三つの種類があって、日本人が好きな米というのは、ある程度限られた地域しかないかなというところでございます。

 そういった中で、米の生産量と消費量、このデータから見まして、世界的には米不足の傾向ではないかなと考えますが、農水省、その需給バランス、世界全体でどうなっているか、どう捉えていらっしゃいますか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 二〇二三年度の世界全体の米の生産量、消費量は、共に、約五億二千万トンになっております。

 現在の世界の米の需給動向につきましては、二〇二四年度九月末に、米の主要輸出国であるインドの一部輸出制限が解除されたことにより、米の国際価格の指標でございますタイ産米価格は一時の高値よりも下落傾向にある、こういうふうに承知しております。

空本委員 全体的にはこうなっていますし、といっても、米、私自身は、東南アジアを中心としての生産そして消費となっておりますけれども、ここで、ジャポニカ米、日本人の和食に合うジャポニカ米は世界全体でも二割程度ぐらいかなというふうに見ていまして、一九九三年のタイ米の緊急輸入がありました。

 そして、米の輸出と、海外への、輸入輸出、今、これから日本は輸出しようということも考えていますが、いろいろなことを考えていくときには、この全体を考えながら、農水省として、米を、備蓄米またMA米、こういったものをある程度維持していく、ジャポニカ米を維持していくという全体的な仕組みづくりというのを対策を講じておく必要があるんじゃないかなと考えているんですが、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 委員御指摘の備蓄の運営ということでございますけれども、私ども、今、適正な備蓄、在庫水準百万トンということで基本として、国産米をきちんと国で備蓄をやっていくということでやっておりますので、引き続きそういった基本方針でやっていきたいと思っております。

空本委員 じゃ、次に、アメリカ国内での生産と消費、これについて見ていきたいと思うんですが、また資料の表面、一に戻っていただきまして、下の方に書いております。

 皆さん御存じのとおり、アメリカでもある程度の米を生産していて、日本にはカリフォルニア米を出したいと。ただし、アーカンソー州とかルイジアナ州とか、こういったところでも米を作っています。ここで作っているのはジャポニカ米ではございません。

 じゃ、ここの米はどこにアメリカは輸出しているかというのが右の表でありまして、多くはメキシコであります、中南米です。日本にも若干出しているよ、数十万トン出していますということになっていまして、実質的には、アメリカ国内での消費、この間の委員会の資料を見させていただいて、四月八日の村岡議員の配付資料を見てみると、例えば、二〇二三年―二〇二四年で、生産量が六百四十七万トンで、消費量が四百九十二万トン。その前は、ちょっと干ばつがあって、生産量が五百九万トンで消費量四百七十九万トン。

 実は、アメリカ国内でもお米はたくさん食べている、そして、インディカ米もしっかり食べているし、ジャポニカ米もある程度食べられている、一部を日本にMA米等で輸出しているという状況でありまして、実際のところ、アメリカで残っている在庫というのは意外に少ないんじゃないかなと思っているんですが、この生産量、消費量について農水省はどのように捉えていらっしゃいますか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米国農務省によりますと、二〇二三年度の米国の米の生産量は七百九十二万トン、国内消費量は五百五十三万トン、輸出量は三百五十万トン、輸入量は百五十九万トンと承知しております。

空本委員 アメリカ国内でも、在庫量的なものを今現在そんなにたくさん持っていないと私は思うんですね。先ほど言いましたけれども、取引するという、実はそういった裏には、こういったことの全体を把握しながら、アメリカの生産と消費、さらには世界の生産と消費をにらみながら戦略を練っていって、これからトランプ政権と渡り合うべきであると思っております。

 その点、こちら、先ほどのは質問を大臣に通告していたんですが、こういう、先ほど、百万トン、例えば、うちの維新の幹事長が、数量は言いませんでしたが、例えば数十万トンをこれからアメリカと交渉でやろうじゃないか、こういうことを全体像を理解した上でやるというんだったら、私はやる価値はあると思うんですが、いかがですかね、大臣。

江藤国務大臣 アメリカの供給余力はどうとか、在庫がどうとかいうことは、アメリカの御事情だというふうに思います。

 先ほども申し上げましたが、米について、基本的なことを申し上げますけれども、日本が自給できる唯一のものであります。これは、何としてもこの体制を守っていかなければならない。たとえ非常事態であっても、この体制に影響を与えるようなことはしたくない。

 そして、かつて、平成の米騒動というのがありました。そのときにタイ米を輸入をしましたが、あのときには備蓄米という制度自体がまだありませんでした。

 今回、備蓄米という制度があり、そしてMAにも三十六万トンほど食用に回せるお米はありますので、国民の皆様方に五十万トンの水準まで出したとしても、緊急時に食料を供給するだけの体制は維持できるというのが備蓄米の本来果たすべき役割の担保だと私は思っております。

 ですから、委員が非常にアメリカの交渉について、厳しい相手ですから、いい工夫はないか、こんな工夫もあるのではないかということで考えていただくことは大変ありがたいことだと思います。

 しかし、私は農林水産大臣なので、例えば車について手心を加えてくれるために、これを出します、農林についてはこれを出しますというようなディールは私はあり得ないんだろうというふうに考えております。そのことは御理解いただきたいと思います。

空本委員 ずっと出せというわけではなくて、今年に限って、こういう事態であるからこそ、そういうことも一つの案であるということでございます。

 私自身も、日本の国産の自給率というのが、カロリーベースで私自身は五〇%を維持すべきだというふうに思っていますので、そういった意味で、米の自給率一〇〇%、これは維持しながらも、しっかりと取引すればいいのではないかなと思っているんですが。

 カリフォルニア産米の、まずは生産量、輸出状況、そして生産費、我が国との輸入価格、こういったものをまとめて農水省から御説明をお願いします。

松尾政府参考人 お答えします。

 カリフォルニア産の米につきましてお尋ねでございました。

 まず、カリフォルニアの米の生産費につきまして、カリフォルニアに特定というのは難しゅうございまして、米国内の平均の米の生産コストというのは、六十キログラム三千八百円程度と承知しております。

 また、その価格につきまして、日本への価格ということだと思いますけれども、主に主食用に流通しているSBS米につきまして、例えば、直近の令和六年十二月の入札における米国産ウルチ精米中粒種、輸入価格は一キログラム百九十一円、小売価格というのはなかなか把握できておりませんけれども、一キログラム当たり四百八十三円の政府売渡価格に流通経費や流通業者のマージン等が上乗せされているものと承知しております。

空本委員 日本は輸出戦略を考えていらっしゃる。そして、その中には肉もあり米もある。米の輸出先というのは、中国かもしれませんが、アメリカも想定されていると思います。

 アメリカに輸出するときにかかるものというのは輸送費であります。船積みで行かなきゃいけない。そのときにかかるコストが一番実は大きくなってきて、カリフォルニアの米と日本の米がアメリカで売られるときにかなり価格差が出てくる。そこを埋めるためには品質だと思いますが、輸出戦略はそう簡単ではないと思います。

 東南アジアに売ることは大変たやすい。中国を中心として、ベトナムとか、そういったところはたやすいと思いますが、そういった生産費だけではなくて、コストだけじゃなくて、輸送費、そういったものを考えながら輸送戦略を考えていただきたいと思っております。

 余り時間がないので、マークアップも含めて実際どうあるべきか、また今後議論させていただきたいと思っております。

 そして、国内のお米の話、一つ戻っていきたいと思うんですが、平地、例えば茨城県の平地部、私は広島県ですが、中山間地域、中国山地、多いです。ここでの生産コストの比較、どのぐらいでしょうか。その差分は幾らぐらいでしょうか。お答えください。

深水政府参考人 お答えいたします。

 国内で生産されます米の生産費につきまして、令和五年産の農産物生産費統計のデータで平地の農業地域と中山間の農業地域で比較をいたしますと、平地農業地域では六十キロ当たりで一万四千三百二十四円、中山間農業地域では同じく六十キロ当たりで一万八千五百六十四円となっておりまして、中山間農業地域は平地に比べて生産費が四千二百四十円高いというデータとなっております。

空本委員 では、その六十キロ当たり四千円の違いは何か。

 あと、新たな農業・農村基本計画に関する、出る前に、私自身、農水省の方と話をして、いろいろな農業者の方から、例えば中山間地域を中心に話を聞いてもらいたい、それで、すばらしい、意見、要望をまとめていらっしゃいます。これは多分、農水省の皆さん、各委員の先生にお配りいただいて、これを見てまた今後の議論をしていただきたいと思うんですが。

 その中で、やはり生産費、中山間地域と平地は違います。今、四千円違いました。何がどう違うんでしょうか。農水省から御説明ください。

深水政府参考人 お答えいたします。

 中山間農業地域における米生産は、平地農業地域と比べまして、総じて、圃場が傾斜地にあり、その区画も小さく、一経営体当たりの作付面積が小さいという状況にございます。そうしたことから、大型の機械を使って効率的に耕うんをしたり、田植をしたり、収穫の作業を行うというようなことが難しい、それから労働時間や農機具の稼働時間も多くかかるというのが総じての傾向でございます。

 このために、中山間農業地域の生産費につきましては、平地農業地域よりも、六十キロ当たりで見ますと、労働費において千六百十七円、農機具費が千二百二十四円高くなっております。また、収穫、乾燥、調製等の作業についても外部化している率が高いということで、賃借料及び料金が三百五十九円高くなっているという状況にございます。

空本委員 そういった形で、中山間地域は機械費も高いし、人件費もかかっている。そういった意味で、そこの補正をかけるという意味では、やはり、農業者、これからアメリカがどう言ってくるか分かりませんが、日本の農業はしっかり守る、米作りはしっかり守るというならば、戸別所得補償制度をやっておけば安心ですよね。戸別所得補償制度を入れた形で、それで足りないときはアメリカから購入するとか、そういったいろいろな戦略を練ってもいいのかなと思っております。

 まだまだ、水田利活用、五年水張り見直し、こういったもの、いろいろ今、基本計画の中で、改定していく、見直していくということでうたっていただいておりますので、そういった意味で、これについてまだまだブラッシュアップしていただいて、制度自身ももっと中山間地域に寄り添った形のものになっていただくようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 食料・農業・農村基本計画の策定に当たりましては、閣議決定前から農水省の皆様には丁寧な御説明をいただきました。それに対して、私たち野党の意見も共感いただけるものに対して取り入れていただいたことに対しまして感謝を申し上げまして、質問に入りたいと思います。

 まず、食料の備蓄の確保についてになります。

 この基本計画の中に、国産の小麦や国産の大豆についての備蓄のKPIは書き込まれておりましたけれども、米についての備蓄に対しては特に数字は出てきませんでした。

 それをお聞きしようとは思ったんですが、先ほど、午前中の空本先生との質疑の中で百万トンだということで示されましたので、その前提で次の質問をさせていただきます。

 政府は、これまでに、三月に二回に分けて計二十一万トンの備蓄米の入札を実施をしております。そして、四月下旬にも十万トンの入札を行う予定ということで、この時点で計三十一万トンを放出することになっております。九十一万トンの備蓄から三十一万トンですから、在庫が六十万トンということで、その後も、五月、六月、七月も毎月放出するような計画があるということでございますが、毎月放出していけば、それが五十万トン、四十万トン、三十万トンまで行くかどうかは分かりませんけれども、在庫が減っていくわけでございます。

 放出が収まるタイミングはいずれ来ると思うんですが、この放出が収まった後に、今後どのように備蓄米をまた補充していくのか、その計画について農水省の見解を伺いたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今回の政府備蓄米の売渡しにつきましては、買戻し条件付の売渡しとしております。

 集荷業者からの買戻しは原則として一年としているものの、それを超えて延期することも可能としており、できるだけ需給が落ち着いたところで返してもらえばよいというふうに考えております。

 こうした考えの下で、できるだけ需給に影響を与えないような形で買い戻していく、こういったことで備蓄水準の回復を図ってまいりたいと考えております。

長友(慎)委員 できるだけ需給に影響を与えないようなスパンでということを御答弁いただきました。更問いをちょっとさせていただきます。

 原則一年以内に買い戻すという条件付だから米の価格がなかなか下がらないんじゃないか、そういう指摘が現場からも聞こえてきたりしますが、この指摘に対しては農水省はどのような見解になりますでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 政府米の備蓄の売渡し、三月に入札を行って、今進めております。基本的には、政府米の備蓄が本格的に各店舗で並んで、先行的に三月の末から行っていますけれども、本格的には四月に入ってからということでございますので、私ども、そういった備蓄米の販売の状況をきちんと注視しながら、よく見ていく必要があるというふうに考えております。

長友(慎)委員 状況を見て、いわゆる価格が下がり過ぎないように慎重にということで、いろいろと難しい面はあると思うんですが、先日、四月七日にあった参議院の決算委員会で、石破総理が、米の増産を求めた公明党の高橋参議院議員の質問に対して、農地を減らして生産を減らしているのは日本ぐらいのものだ、そういう御答弁をされました。

 つまりは、米の増産に意欲的に取り組むと私は受け止めたわけですが、この食料・農業・農村基本計画の中でも米を増産する方向性であるのか、そこは間違いないのかということを確認したいのですが、農水省の見解を伺います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 今回の新たな基本計画におきまして、米については、人口減少局面でありますけれども、主食用米の国内需要の減少が避けられない、こういった中ではございますけれども、米、パック御飯、こういったものの二〇三〇年の輸出目標を三十五・三万トン、こういった意欲的な目標を設定するなど、輸出でございますとか米粉、こういったものの国内外の需要の増大を図っていくことで生産量の増大を図っていくというふうに考えております。

 こういった基本計画に掲げた目標の達成のためには、米の生産コストの低減が課題ということで、農地の大区画化、生産基盤の強化、多収品種の普及、スマート農業、こういったことで生産性の向上を図ることにより、生産量につきましては、二〇二三年の七百九十一万トンから八百十八万トンまで増加する、こういったKPIを掲げているところでございます。

長友(慎)委員 過去の農政におきまして、減反政策をして、そして減反を廃止した後もいわゆる畑地化を進めてきた中で、米の生産を増産すると明確に打ち出したということは大きな方針だというふうに捉えております。

 その上で、米の作況指数についてお伺いをしたいと思います。

 この作況指数の算出の方法について、改めて具体的にお示しをいただきたいのですが、農林水産省、お願いします。

深水政府参考人 お答えいたします。

 米の作況指数は、統計理論に基づきまして、無作為に約八千筆の調査圃場を選定し、その圃場で実際に稲を刈り取って把握をしましたその年の十アール当たり収量を、過去からの趨勢を基に、その年に異常気象などがなかったとした場合に予想される平年の収量で割って算出したものでございます。

 この作況指数算出に当たっての十アール当たり収量は、生産者の実感に合いますように、その地域の生産者が多く使っているふるい目、例えば宮崎県ですと一・八ミリでふるって算出をしているところでございます。

 このように、作況指数は、その年の十アール当たり収量が平年の収量と比べて多いか少ないかを示している指標でして、この十アール当たり収量については、収量の少ない圃場から多い圃場までの平均値である。したがいまして、これを下回る生産者の方からしますと、作況指数を高く感じる場合があるというふうに考えております。

 また、前年産に比べて多いか少ないかで収量を判断される生産者の方からしましても、平年との比較である作況指数ですと、実感と合わないというふうに感じられる場合もおありなのかなというふうに考えております。

 加えまして、調査で把握している収量につきましては、主食用に供給される可能性のある玄米の全量を把握するということとしておりますので、農産物検査の三等までを収量の基準としています。このために、品質向上を目指して色彩選別機等で選別を行っていらっしゃる生産者の方には、作況指数を高く感じる場合があるというふうに考えております。

 我々としましては、現時点での調査において正確性は確保されていると考えておりますけれども、このような理由から、ギャップを感じている方も相当程度おられるというふうに考えておりますので、どういうことがギャップの原因となると考えられるのかなどにつきまして、機会あるごとに生産者の方々と関係団体と意見交換を行いまして、丁寧な周知と理解の醸成に努めてまいりたいと考えております。

長友(慎)委員 今御説明いただいたとおり、私の地元の米農家さんも、作況指数を見て、そんなわけないなと言う方もたくさんいらっしゃいます。

 平均値だということですので、自分のところが作況指数を下回ることもあるということは理解はいたしますが、どうも生産者さんの話を聞いていると、昔は何かもっと、農済さんとか共済さんのところにもヒアリングに来て、丁寧に指数を微調整していたんじゃないか、そういう指摘をされている方もいましたので、もし、この作況指数というのがいわゆる令和の今回の米騒動の一つの要因になっている可能性があるとしたら、見直し等も是非検討をいただきたいと思います。多分、宮崎だけじゃなくて、各地の農家さんがそういう実感を持っているというような声はお聞きしておりますので、引き続き改善等も取組をお願いしたいと思います。

 その上で、水田政策の見直しについて質問をさせていただきます。

 飼料用米についてなんですが、飼料用米の二〇二五年の作付が大きく減る見込みです。農水省がまとめた一月末時点での意向調査で、面積が前年から一六%減る、そういう結果が出ております。

 米価の値上がりを受けて、飼料用米から主食用米に転換する動きが活発になった、そういうふうに見られているわけですが、これに対し、畜産農家の皆さんから、飼料用米の配合の割合を減らすことも検討する必要があると、いろいろ不安の声が上がっているわけなんですが、農水省としまして、飼料用米がどうも不足するというこの状況で、不安に思っていらっしゃる畜産農家の皆さんに対して何か対策等を考えているのか、お示しをいただきたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 飼料用米につきましては、ほぼ同等の栄養価を有するトウモロコシの代替として利用できることから、水田を活用するための選択肢の一つとして、水田活用の直接支払交付金により支援しているところでございます。

 飼料用米の供給量につきましては、これまでも、主食用米の需給動向などを反映して増減してきております。畜産サイドとしましては、トウモロコシとの配合割合の変更等により、これまで対応してきたところでございます。

 こうした中、水田活用の直接支払交付金につきましては、飼料用米の飼料としての安定供給に資するよう、多収品種を基本とする支援体系に移行しているところでございます。

 今後とも、畜産農家が必要とする飼料の種類や数量、品質等の情報を提供するなど、畜産農家から耕種農家に働きかけるとともに、飼料生産を地域計画に位置づけることを促し、国産飼料の安定供給に努めてまいりたいと考えております。

長友(慎)委員 配合の割合を減らすとか変えるとかという話なんですけれども、養豚農家さんとか養鶏の皆さんに聞くと、飼料用米を交ぜることによって、肉質や卵の付加価値を高めていらっしゃるわけなんですね。ブランド化しているわけなんです。そのブランド化されたものの割合を変えるというのは、そう簡単なことではないと私は思うんです。

 また、今日の日本農業新聞の一面に、輸入米であるミニマムアクセス米を主食用米として利用できる量を増やすべきだと財務省が提言したという記事が出ております。財務省が、ミニマムアクセス米について、主食用米として利用できる量を増やして、国内の需給の調整弁に使うことを提言したというような内容になっております。

 飼料用米は、近年、主食用米の需給と価格を安定させる機能を担ってきたというふうに思います。しかし、財務省は、最近、飼料用米の支援の削減を一貫して求めてきておりますので、地域の耕畜連携を維持できなくなるような懸念もあるんじゃないか、そういう声も上がっております。畜産農家さんのこの困り感に是非寄り添っていただくことをお願いしたいと思います。

 また、もし飼料用米の考え方を変える必要があるというのであれば、収穫前にあらかじめ主食用米、飼料用米等の用途ごとの生産量を決める現行の生産調整、これは事前調整という考え方だと思いますが、それを、米として区別せずに生産して、収穫後に市況や品質に応じて用途を振り分ける事後調整へと転換するということも、飼料用米と主食用米の安定のためにできる案も言われていたりしますので、このようなことも、これが合っているかどうかも含めて御検討をいただきたいと思います。

 とにかく、畜産の現場では、飼料用米が減ることに対しては、今、困っているという声があるということに対しては、しっかり受け止めをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、水田政策の見直しにおいて、中山間地域等直接支払いについて、条件不利の実態に配慮し、支援を拡大する、多面的機能支払いについて、活動組織の体制を強化するということが明示されました。具体的にどのようにこの支援が拡大され、そして活動組織の体制が強化されるのかということを農水省に伺いたいと思います。

前島政府参考人 お答えいたします。

 水田政策につきましては、令和九年度に向けて、現行の水活を作物ごとの生産性向上等への支援へと転換する、根本的な見直しの検討を行うことなどを基本計画に位置づけたところでございます。

 この水田政策の見直しの中で、中山間地域等直接支払いについては、条件不利地域の生産コストの調査を実施した上で、条件不利の実態に配慮し、支援を拡大する、多面的機能支払いについては、活動組織の体制を強化することに取り組んでいくこととしているところでございます。

 これらにつきましては、令和七年度中の方針策定に向けまして、現場の声もよく聞きながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

長友(慎)委員 現在検討していらっしゃるということですが、生産基盤をしっかりしていく上で、規模の拡大、効率化、生産性を上げていく、そして規模を大きくしていく。一方で、このように中山間地域の直接支払い等を条件不利の現場に合わせて支援を拡大する、強化するということは、非常に当事者である皆様にとっては希望になっておりますので、是非ここを前向きに御検討をお願いしておきたいと思います。

 そしてもう一つ、今度は、米の輸出についてお伺いをしたいと思います。

 基本計画の輸出重点品目につきまして、品目ごとの輸出額については、米のところで、米、パック御飯、米粉及び米粉製品は、二〇二四年の実績は百三十六億円に対して、二〇三〇年の目標は九百二十二億円と、品目だけ見れば約七倍の目標を掲げています。まさにそのとおりになればいいなとは思うんですが、具体的に、じゃ、この品目の米、パック御飯、米粉及び米粉製品は、どの国にどのくらい販売していく、輸出していくというような計画でこの数字が出てきたのかをお伺いしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米、パック御飯などの二〇二四年の輸出額につきましては百三十六億円となっており、これまでの農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略で定めた二〇二五年輸出額目標の百二十五億円を一年前倒しで達成しております。

 こういった順調な伸びというものを考慮いたしまして、米、パック御飯等の二〇三〇年の目標を三十五・三万トン、九百二十二億円とする意欲的な目標を今回基本計画において設定しております。これにつきましては、先ほど申しましたような、足下の順調な米の輸出の伸びを更に加速する、こういった考え方で設定しております。

 御指摘のあった国、地域別ということでございます。今回の基本計画の中では、今後、国、地域別、品目別のマーケットの動向や供給体制を踏まえて具体的な戦略を検討すると、同じように書かれているところでございます。この戦略の中で、米、パック御飯等につきましても、国、地域別の輸出額あるいはその対応方向、こういったものをきちんと定めてまいりたいと考えております。

長友(慎)委員 この基本計画で目標を策定したときというのは、トランプ・ショック前だと思うんですね。今、相互関税等、トランプ・ショックによる世界の経済の情勢が見通せない中、この目標がそのまま達成できるのか等も含めて、改めて検討されると思うんですが、そのときの根拠というものはまた教えていただきたいと思います。

 基本計画の中では、牛肉の消費についても明言がされました。今後、人口減少により牛肉の国内消費量がやや減少傾向で推移すると見込まれる中、消費者のニーズに応じた品質、数量の提供を通じた国産牛肉の消費拡大に向けて、脂肪交雑の強みは維持しつつ、多様な消費者ニーズを捉え、適度な脂肪交雑で、脂肪の口溶け、香りなど消費者に訴求可能な食味を追求するというふうに示されております。

 この方針を受けて、牛の生産者の皆さんは、五年に一度開催される和牛の品評会、全国和牛能力共進会で牛の改良の成果と肉質を競い合っていますけれども、基本計画にこのようなことが明示されたことによって全共の評価基準は変更されるものなのかどうか、農水省の見解を伺います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 全国和牛能力共進会、いわゆる全共につきましては、二〇二二年に行われました鹿児島大会におきまして、脂肪の質の改良と新たな価値観の醸成などを目的としまして、脂肪の口溶けや香りに関するオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸、こちらを評価基準に取り入れたところでございます。これに伴いまして、脂肪の質評価群の区分を新たに新設をいたしました。

 また、次回、二〇二七年の北海道大会におきましては、前回大会と同様に、脂肪の質評価群の区分が設定されますとともに、若雄、総合評価群、去勢肥育牛の区分につきまして、出品牛の脂肪の質に関する条件が新たに追加される、このようになっております。これらを始めとする出品条件を踏まえ、既に出品候補牛の交配が終わるなど、準備が進展しているところでございます。

 このように、全共の評価基準と基本計画の方向性は同じ、まさに軌を一にしていると考えているところでございます。

長友(慎)委員 今、繁殖農家さんの子牛の価格がやっと上がり始めている中で、しっかりこれが肥育農家に渡って売れる肉をつくっていくということを農水省としても示していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、食育について質問をさせていただきます。

 基本計画の中で、大人の食育の推進が書き込まれました。また、食育に関心を持っている国民の割合が近年伸び悩んでいるということも指摘をされています。

 このような状況を踏まえまして、これは私からの御提案になりますが、ふるさと納税の返礼品のメニューとして、農泊ツアー、農業体験、また定置網体験、林業体験などのメニュー、これを是非増やしていく。総務省との連携が必要であれば総務省さんにも協力してもらい、農村と地方の関係人口の創出にも寄与するふるさと納税の体験のメニューというものを農林水産省としても是非力強く推進をしていただきたいと思いますが、最後に江藤農林水産大臣の見解を伺います。

江藤国務大臣 大変大事な取組だと思っています。

 大人の食育というものを今回基本計画の中に書き込みました。子供の頃から体験することも大切ですが、大人の方々がやはり消費には直接行動しますし、そして就農される方は現時点で大人ですから、そういった方々が様々な体験の機会を多く持つということはいいことだと思います。そして、関係人口の中でも、時々関係するだけではなくて、交流するだけではなくて、その交流の中で、やはりここに住みたい、ここで自分の人生を過ごしたい、ここで子育てをしたいと思う人たちが増えてくれれば、これは地域にとっては大変ありがたいことでありますから、是非そのようにしていきたいと思っております。

 そして、先ほどもちょっと御紹介しましたけれども、スイスの方では、やはり食べて応援するという気持ちがすごく強い。国産の、スイスで作った農産物を食べようという人たちが八〇%を超えているということでありますから。

 やはり、私が五年前にコロナを経験したときには、皆さん方、覚えていらっしゃるかどうか分かりませんが、広瀬すずさんをテレビで採用して、食べて応援するというキャンペーンをやりました。大変評判はよかったです。やはり、日本人が日本のものを食べて、そして地域のものを食べて、自分の地域で何が作られ、誰が作っていて、どのような工程を経ているのか、そういったことも体験しながら、知りながら、日本の食を国民全体で支えていきたい、支えていただきたいと思っております。

長友(慎)委員 農業、林業、水産業に携わる皆様の課題は、決してその方々だけの問題ではなくて、国民全員の課題、問題だということを、先ほど大臣が教えていただいたように、みんなで食べて応援する等、そういう国民運動の機運を是非農水省が力強いリーダーシップで盛り上げていただきたいと思いますので、そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日は、農水委員会におきまして質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、昨年、食料・農業・農村基本法が改正され、新たな基本計画の実効性を確保するためには、個々の施策を講じるための十分な予算が必要であります。

 農林水産関係予算は、国全体の予算が膨らむ中で、ピーク時の六割まで減少しており、予算総額の確保が非常に重要であります。特に食料安全保障の観点からも、農業構造転換集中対策期間の二〇二四年からの五年間が非常に重要であり、日本の農業の重要なターニングポイントであると考えています。ここでの思い切った予算総額の増額が必要であるというふうに考えます。

 そこで、新たな基本法、基本計画を踏まえた食の安全保障を確保するためには、農林水産関係予算について異次元の増額をすべきだと考えますが、是非大臣から力強い決意をお聞かせ願えたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

江藤国務大臣 先生方におかれましては、大変すばらしい食料・農業基本計画の議論をしていただきまして、これがまさに予算を要求する上での土台となります。何をやるのか、しっかり方向性を示し、何を変えるのか、それも方向性を示し、そしてKPIを設定してPDCAサイクルを回すということでありますから、政策実現のスピードと成果がまさに国民に示されなければならない。

 どのような産業でも、構造を転換するということであれば、必ず設備投資を大幅にいたします。農業でも、産業構造を変換するのであれば、お金をかけなくてできるはずがありません。ですから、お金をくれと言うだけではなくて、今申し上げましたように、これをやる、これを実現する、これを達成する、こうしなければならないということを示すことと、あとはやはり、UR対策で、集荷施設やカントリーエレベーターなんかが一斉に古くなっているんですよ。こういったもの、それから選果場なんかも新しくしないと、これからの新しい農業には対応できません。

 ですから、やらなきゃいけないことはたくさんありますので、皆様方から築き上げていただいた基本計画に基づいて、しっかりと令和八年度の概算要求に向けて全力で努力をしたいと思っております。

山崎(正)委員 大臣、大変力強いお言葉、ありがとうございました。

 私も、ふだん農業現場を歩いていますので、その中で様々聞かせていただく声を中心に今日は御質問させていただきたいと思います。

 先ほど大臣の方からも少し触れてくださいましたけれども、やはり、現場に行く中で、農業を持続的に発展させていくには、地域農業のインフラ整備が極めて重要であると考えます。

 中でも、私たちの地元の高知なんかは、また四国を歩いていても聞くのが、やはり共同利用施設の老朽化対策が喫緊の課題であります。今まで、産地パワーアップとか強農とかでのそういったことの取組もありましたけれども、今回の新事業では最大十分の六の補助率となり、これも非常に現場では喜ばれています。

 現在稼働している共同利用施設の約七割が三十年以上前に設置されており、老朽化が進んでおります。JAの調査によれば、二〇二四年から二九年の五年以内に更新、再編、集約化等の整備を、約三割、千六百三十六施設が予定をしています。施設整備には利用者の合意形成などもありますので、時間がかかっているところもあるので、これは年を追うごとに更に増えてくるのではないかというふうに考えます。

 そこで、共同利用施設関係の予算については、この農業構造転換集中対策期間はしっかりと予算を確保していくことが基本法の初期の段階では非常に重要だと考えますが、大臣の所感をお伺いします。

江藤国務大臣 全くそのとおりだと思っております。

 農家の方々が懸命に努力をして収穫をされる、しかし選果の段階や様々な段階で物すごくマンパワーがかかってしまう、これは駄目ですよ。今、集荷のところでも選果場でも、人が集まらなくて本当に困っているんです。そこを近代化、例えば光選別だったり、近代化することによって、手間をかけずに、さらにはスピーディーに、そしてもっと言えば、予冷をして温度を下げて、そして鮮度を保った状態で出荷をする、そのような流通体系、サプライチェーンを確立しないと、なかなかこれから難しいです。

 今言われましたように、新基本計画実装・農業構造転換支援事業、これについてはますますその役割は大きいですし、委員から御紹介いただきました、今まで十分の五から抜け出せなかったところを、都道府県からの御協力をいただければ十分の六まで踏み込むところまで何とかやってまいりました。

 私は、もう一歩踏み込みたい、そう思っております、予算との見合いはありますが。しかし、様々なものの値段が上がっています。建材費の値段も上がっています。そういう中で、かつての二分の一と今の二分の一では金額ベースでいうと全く違いますので、それに見合った国の補助率であったりそういったものを考える必要も今後あるんだろうと考えておりますので、様々な政策、御提言をこれからもよろしくお願いいたします。

山崎(正)委員 ありがとうございます。大変現場のことを本当に理解してくださっていまして。

 やはり、人がいないということで困られています。また、集荷場を新しくするときにも、組合員数も減ってきているという中で苦労されている中で、今回六割になったということを非常に喜ばれています。

 是非もう一段をと言おうと思ったら、先に大臣の方が言ってくださいまして、これは簡単なことでないというのは分かっています。ここを六割に持ってきてくださったのも大変な中でなんですけれども、現場では更にそういったところが希望もあるということで、是非、私たちもこの予算確保に向けて共に戦っていきたいと思います。

 次に、農産物の適正な価格形成についてお伺いします。

 どこの現場に行っても、必ずこの話になります。食料安全保障の実現もあります。持続可能な食料システムまた農業構造をどうつくっていくかが大事であります。

 やはり何といいましても、日本の基幹的農業従事者はこの二十年で半数以上減少しており、働き盛りの四十九歳以下の従事者は七割近く減少しています。次世代を担う農業従事者が減少していく現状です。

 先日も、地元のある若い施設園芸農家の方から、農産物価格がこの三十年ほぼ横ばいの中、肥料、重油、資材等が高騰し、利益が削られ続け、高齢者はこれを機にやめているが、若い新規参入者は借金をして始めており、やめることもできないとの声がありました。若い農業従事者を増やしていかなければ、食料安全保障、持続可能な食料システム、農業、農村の多面的機能も失われてしまいます。

 農産物の適正な価格形成に対する期待は非常に大きいところがあります。令和八年四月の施行を目指して、いよいよ本委員会でも法案審議が始まると理解していますが、法案審議の前ですが、二点確認をしたいと思います。

 一点目、法制化における規制的措置の流れについて、まず、食料全般に関する取引実態調査に基づき、費用、取引価格等を把握するというふうに承知しています。

 次に、努力義務として、持続的な供給に要する費用等の考慮を求める事由を示して協議の申出があった場合は誠実に協議に応ずる。商慣習の見直し等の持続的な供給に資する取組の提案があった場合は協力する。的確な実施を確保するために必要な場合、当該食料関係事業者を対象に指導助言を実施する。

 今回、二段階になっているというふうに理解していまして、ここで確認したいのが、今までに比べたら、今説明した説明まででも一定効果がある取組だと思うんですけれども、ここまでの流れは全品目が対象ということで間違いないでしょうか。

 対象品目を絞ってスタートするということなんですけれども、法施行段階で、食料全般について一定程度の効果を出していこうという面において、ここまでが全品目が対象というのが非常に重要であると考えますが、この点についてお伺いします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ありましたとおり、食料システム法案の努力義務、判断基準、指導助言などの措置につきましては、食料全般を対象にいたしているところでございます。

 この法案の中では、このほかに、米ですとか野菜などを候補とする指定品目というものを指定することとしてございますが、これらの品目につきましては、消費者などの手元に届けるまでにかかるコストの指標を公表するということとしているところでございまして、こういった取組によって消費者の理解醸成ですとか生産性の向上に努めていこうとしているところでございます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 次に、二点目の確認で、法制化における規制の対象品目についてワーキンググループ等で議論中と認識しています。

 規制については、段階的に、価格協議の申出があった場合は誠実に協議することや、商慣習の見直しの提案があった場合は協力する等の努力義務が課され、これに応じないと指導助言が実施され、更にこれに従わなければ報告、立入検査、最終的には勧告、公表として、勧告に従わなければ事業名が公表される、このような法制化における規制について、どの品目が対象になるのかということで、現場の生産者の皆さんは非常に注視されています。

 そこで、対象品目を絞ってスタートすると承知していますが、将来的には、ここが皆さん一番興味があるんですが、随時拡大していくということなのか、お伺いいたします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案自体は、食料全般を対象にして措置をされているところでございます。先ほど申し上げました指定品目につきましては、米と野菜と飲用牛乳と豆腐、納豆というものを例として、現在、具体的な協議を関係者としているところでございます。

 この協議をするというのは、コスト指標をどういうふうに作っていくのかですとか、コスト指標をどういうふうに活用していくのかといったことについて、技術的な課題をクリアしていかなくちゃいけないということでございます。こういったことに関して、現在、詰めをしているというところでございます。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 今からするところで、拡大という話はあれだと思いますけれども、それだけ期待も大きいし、拡大を望んでいる現場の声があるということを今日お伝えしたかったところでございます。

 次に、米の価格高騰についてお伺いします。

 いまだ続いている米不足の問題について、政府が備蓄米を放出するなど対策を講じてくれていますが、いまだ品薄傾向で、価格の高騰が続いています。

 私の地元高知県では、東部地域で二週間ぐらい前に若干、五キロ四千円していたのが、三千六百円のところがあったり三千七百円のお店があったりと、そのとき花見に行っていたんですけれども、話題になっていました。ただ、一昨日に行った香川県丸亀市や愛媛県伊予市などは、私がお話を聞いた複数の方からは、残念ながら全くお米の値段は下がっていないとのことでありました。

 今回の事態について、政府としては、流通段階での目詰まりがあるなどの分析をしていると思いますが、今後このような事態が生じないよう、しっかりとした検証が必要であると考えます。

 そこで、今回の事態を踏まえ、米の安定供給をしていくために、生産、販売、流通、備蓄の在り方についての検証に関してどのような取組をしているのか。また、価格高騰が続く状況を鑑み、更なる早急な対応が必要であると考えますが、見解をお伺いします。

庄子大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 検証が必要だと思っておりますので、委員御存じのことと思いますが、先般、生産者及び小規模事業者を対象とし、在庫量の調査を行いました。そうしましたところ、生産者の出荷量自体は十四万トン増えているんですけれども、これは恐らく集荷競争の影響もあるかと思うんですが、集荷業者への出荷量というのは対前年比で三十一万トンのマイナス、一方で、生産者が直接販売をする、あるいは集荷業者以外のところへ出荷するという量は四十四万トン増えているということになっております。

 加えまして、生産者、卸、小売、あるいは中食、外食、それぞれの流通過程でちょっとずつ在庫が積み増しているという状況もよく分かりました。

 こうした中で、特に集荷業者への出荷が三十一万トンも減っているということを踏まえまして、この夏の端境期までの間、毎月、備蓄米の売渡しを行って、三回目の入札は十万トンということでございます。こうした取組をまずはしっかり行っていくことが大事だと思っております。

 この農林水産委員会でも、新たな食料・農業・農村基本計画に基づく施策の推進に関する件におきましては、「今後検討される新たな水田政策の下においても、米の生産・流通・備蓄政策全般について必要な検証を行うこと。」という決議をいただいておりますので、これについて検証、検討をしっかり行ってまいりたいと思っております。

山崎(正)委員 先ほどお話しした花見の場所でも、そこは参加者のほぼ九割の方が農業従事者でした。そのときに言われました。山崎さん、一体政府は米の値が幾らに下がるまで備蓄米を放出するのかと聞かれました。一定点まで行くと暴落するかもしれないというような、そんな説もありますので、買戻しの話もしましたが、やはり主食の米の不足、高騰に国民の皆さんが悲鳴を上げている一方で、農家の皆さんからは米の値段が三十年前に戻っただけとの声もあり、やはり、消費者の生活を守ると同時に、農業従事者の経営を持続可能なものにする、この両立が政治に求められていると思います。引き続きの検証と対策をお願いしたいと思います。

 次に、先日お伺いした地元の地域で、大学を出て二年目の二十四歳の女性とお会いしました。大学で惑星政治学というのを学んでいまして、それはどんな学問かというと、自然環境学と国際政治学をかけ合わせるようで、人間のみの視点から考えたり見たりするのではなく、もう一歩引いた自然や動物の視点から国際政治を捉えていこうという学問だそうです。

 そこから、人間にとって重要な食に注目し、自然環境にも人間の体にも優しい有機農法、自然農法に興味を持ち、そしてついには、その食を支えてくださっている農業者に自分もなりたいと、有機農法を行う農業従事者のところにアルバイトで飛び込み始めました。そこで、今は国も新規で農業をしたいという若者はすごく応援してくれているから是非一度聞きに行ってみたらということで、勧められて相談に、行政機関の方に行ったようですけれども、有機農法は生産量が少なかったり生産性の問題で厳しいよということで余り丁寧に対応してもらえずに、そのまま帰ってきてしまったようです。

 そこで、有機農法を始めたいという若者等への支援の現状についてお伺いします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 みどりの食料システム戦略におきまして、有機農業を二〇五〇年百万ヘクタールに拡大する、こういった目標を設定し、その実現に向けて、令和九年度を目標に、新たな環境直接支払い交付金の創設、こういったことも検討していくこととしております。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、現状では、JAの方々あるいは県の普及の方々、こういったところでも、有機農業の技術を指導するための知見が少なく、教えたくてもそれが難しい場合があるというふうに私どもも認識しております。

 このため、JAの方々あるいは普及組織、こういったところで、有機農業を教えられる人材の育成、こういったことを図るため、農林水産省では、有機農業の栽培技術、有機JAS制度等の指導を行う有機農業指導員の育成ということで支援をしております。

 また、JAグループでも、環境調和型農業取り組み方針、こういったものを策定して、有機農業の推進に取り組み始めておられます。私ども、県、市町、農業団体とも連携いたしまして、有機農業の推進に努めてまいりたいと考えております。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 この女性の場合、違う視点からいうと、おじいちゃん、おばあちゃんの前までずっと農家だったということで、父親と母親は違うけれども、何とかここまでつないできた農地を守りたいとの思いで頑張っていますので、是非こういった若者、女性就業者を応援してもらいたいと思います。

 また、やはり、現場を歩いていると、有機農業のことをよく思っていないというか、ううんと思う方が多いのも、たくさんおるのも分かるんですけれども、やはりしっかり、有機農法を始めたいという方のバックアップ体制の拡充、好事例の横展開を急スピードで行っていただきたいと思います。

 最後の質問です。

 今年、私の地元高知では、鳥獣害被害、その中でも特に今年被害が大きいのが、ヒヨドリの被害が大きい状況があります。ネットを使用しての対策を講じていますが、そこで従事者の方から言われるのが、支柱部分が補助対象外となっていますが、被害の大きさや資材価格の高騰を考慮した場合、是非支柱部分も補助対象にしてもらえないか、していく必要があるというふうに思いますが、その認識についてお伺いいたします。

庄子大臣政務官 ヒヨドリの被害につきましては、果樹全体をネットで覆うということが効果的でございます。ただ、被害がその年々によってかなり振れ幅が大きくて、今年が被害が大きかったと思ったら来年は大幅に減少するといったことがありますので、なかなか地域全体で費用をかけてまでの対策がこれまで進んでいないというのが実態でございました。

 一方で、既に防風ネットが設置をされている場合には支柱がありますので、この支柱に新たにネットを覆うだけで対策ができるということがございますので、鳥獣対策交付金では、こうしたケースを念頭に、ネットを支援対象とし、支柱は支援対象から外すという運用をしてまいりました。

 今委員からの御意見も踏まえまして、例えば、もう少し簡易な支柱にネットを張るといった手法などを含めまして、今後の対策に対する現場の考え方をよく伺って、農水省としても、しっかり検討し、対応を考えてまいりたいと思っております。

山崎(正)委員 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

御法川委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 先週十一日に閣議決定されました、食料・農業・農村基本法に関連しての質問ということで、食の安全保障の確立を目指すためにも、しっかり聞いていきたいと思うんですが、皆さん、ほかの委員の方とも共通の問題意識がありますので、重複する質問もあるかもしれないんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、トランプ関税についてなんですが、一昨日、十四日の衆院予算委員会で、石破総理は、農産物を始めとする貿易の面でも、日本の国益を害して交渉を行うつもりは全くないと発言しているんですが、その一方で、翌日の十五日、政府は、対米交渉のため、車と農産品に照準を合わせ、非関税障壁の洗い出しに入ったとの報道があったんですけれども、これはまた、TPP交渉のときのように、車のツケを農産物で払うつもりなのでしょうか。

 国産の農産物を引換えに交渉を行うのか、そうではないのか、様々報道がありますが、本当の方針を、大臣、教えてください。お願いします。

江藤国務大臣 まだ赤澤さんが行った段階ですから、私は総理大臣じゃないので、全てをこの場で、こういう方針でございますとまでは言えませんが、先ほども申し上げましたように、日経新聞が書いたようですけれども、報道ですから、洗い出しと言われても困っちゃうので、私としては。

 先ほど申し上げましたように、日米交渉の段階で、乾いた雑巾を絞りに絞って最後の一滴まで出したのが日米の貿易協定の内容でありますから、あれが基本であって、そこから先にと言われても困っちゃうねと。困っちゃうねというのはちょっと国会答弁としてはあれですけれども、なかなか、それは報道ではそうかもしれませんが、極めて困難な話だなと思っております。

八幡委員 洗い出されないようにしっかりと、搾り取られないように、大臣、よろしくお願いします。見張っておいてください。(江藤国務大臣「からっからですから」と呼ぶ)からっからですか。じゃ、洗い出されないように、安心しておりますが。

 十三日のNHK「日曜討論」でも、れいわ新選組の政策委員である伊勢崎賢治氏も言及しておりました。アメリカは、日本を余剰農産物の処分場として、食料で自立させないよう属国化してきた、まさに胃袋の属国化です。トランプ関税を国難とするなら、この国難を、食の自給率をアップする、改善するチャンスにすべきだと我々は訴えております。

 先ほど大臣からも話がありましたけれども、そもそも、トランプ氏の最優先課題というのは貿易赤字の解消で一貫しておりますが、農林水産物に限れば、米国は二兆円近い黒字なんですよね。米国に我々が協力しているというのが現実だと思うんです。なので、もっと強気であってほしいと思っております。

 そして、一番混乱しているのは生産者の皆様ですが、そこにおいては、各省庁と連携をして、農林水産物・食品の特別相談窓口を今月設置されたということで、取りあえずの応急措置は取られていると聞いておりますので、引き続き、農林水産省の皆様、現場の声に寄り添っていただきたいと思っております。

 続いて、基本計画とその予算についてなんですが、れいわ新選組は、もうさんざん、予算は四兆円ぐらい、倍増することを考えなあかんと訴えているんですけれども、自民党は先週、既存の予算とは別に一定規模の予算を確保することを政府に要望したと、これも報道があったんですね。

 政府イコール自民党ではないというのは分かっているんですけれども、率直に申し上げて、今、自民党イコール政府の状態じゃないですか。予算が足りていないと分かっているんだったら、はよやってくださいよという国民の声が私には聞こえたんですよ。

 なので、この別枠予算について、本当につける気があるのかないのか。今回の基本計画を実現するためにも、私は予算の増額が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。お願いします。

笹川副大臣 御質問ありがとうございます。

 先ほど来、予算につきましては大臣からも御答弁をさせていただきました。また、当委員会におきましても、別枠予算の措置も含めての決議もいただきました。そしてまた、自民党の申入れにつきましてということでありますが、それも承知をいたしております。

 我々としては、基本計画をベースにし、大切にし、そして必要な予算を獲得するために努めてまいりますということでございます。

八幡委員 力強いお言葉、ありがとうございます。しっかりと予算確保をして、国民の食の安全保障を実現してまいりましょう。

 続いて、基本計画の中の食育の問題も行かせていただきます。

 食育というと、一般的に、子供たちへ、食を通して、日本のものを食べてもらうとか、食文化の保護とか継承をしていくというようなイメージが湧くと思うんですが、今回の基本計画の中では、大人の食育というのも書かれておりまして、食料、農業、農村に関する国民の理解を深めるなどが実現することを目指されているということで、私も実際ここは推し進めていくべきだと考えております。

 でも、今回、農水省の方から基本計画の全体の説明のレクチャーを受けたときに私がひっかかったのが、現在、海外では日本食ブームだ、インバウンドの影響もあるから、日本に来てもらったときに日本食を好きになって、自分の国に帰ったときに日本食をまた食べてもらえるように、食品産業の海外展開を促進するんだとおっしゃっておられたんですね。実際、これも基本計画の中に書かれております。

 これは一体誰を食育しているのかなと疑問に思いました。日本人が日本のお米すら満足に食べられないという状況で、国産のお肉なんて高くて買えないから輸入肉で我慢していますという声が聞こえてくる一方で、海外の方には日本食の食育を進める。

 当然、外貨を稼ぐためにある程度の海外進出ということを私は全否定はしないんですけれども、この日本食ブームが今回の基本計画の射程である五年後まで続くかどうか、分からないですよね。なので、そこに力を入れるよりも、やはり国内の需要に力を入れるべきだと思っております。

 日本の人に日本食を食べてもらう、食育の今後の方針としていかがでしょうか。お願いします。

安岡政府参考人 お答えいたします。

 食料の持続的な供給を確保するためには、これを支える国民の農業に関する理解を深めること、これが必要不可欠でございます。このため、改めて食育を推進すること、これが重要となっているところでございます。このため、食育は、外国人向けということではなくて、国民の皆さんの理解醸成のためにやる取組というふうに考えております。

 今般閣議決定された基本計画では、食育の更なる推進に向けて、子供の頃から農や食について学んで、さらには体験する、学校などでの食育を強化するとともに、消費者である大人に働きかける食育活動の推進、さらには、生産者の努力を実感してもらう農業体験など、食卓と生産現場の距離を縮める取組の拡大などを進めることとしているところでございます。

 これらの方針の下、関係省庁と連携して、国民理解の醸成、これが非常に大事でございますので、食育の取組を一層推進してまいります。

八幡委員 最近、本当に国民の理解という言葉がよく出てくるんですけれども、国民はまあまあ理解が進んできていると思うんですね。やはり、安いだけでは駄目だ、しっかりと、作ってくださった方たち、生産者の方にももうけてもらわないといけない。ただ、日本のものを買うにはお金がないんだ、物価高騰でしんどいんだというようなところで、経済政策、これもやはり大事だなと、先ほどお話を聞きながら思っておりました。れいわ新選組としても、しっかり経済政策も同時にやっていきたいと思っております。

 ということで、食の安全保障の観点からも、やはり価格保障、所得補償など必要だと思っております。皆さんが、手頃というか、普通に食べられるような値段で国産のものを食べてもらえるようにすべきだと考えております。

 その流れで、やはりお米ですね。これは様々、たくさんの委員の方が御質問されておりましたけれども、備蓄米の放出についてです。

 大臣、先週八日の農水委員会で、私の、備蓄米はどこに行ったんですかみたいな質問に対して、生産者と卸に前年よりもはるかに多いお米のスタックがあるから、十日ぐらいになったら徐々に流通されるであろうという見解だったんですよ。

 何で十日を強調されるんだろうかなと思っていたら、その翌日、九日に石破総理と会談されて、夏まで毎月備蓄米を放出するということを発表されたので、このことを大臣はもしかしたら想定されていたのかもしれないなと思ったんですが、結局、その後、現在に至るまで、スーパーのお米、平均価格、五キロ四千二百十四円であり、十四週連続してやはり値上げしてしまっているんです。

 この原因というのは、これまでに高値で卸売業者から購入した小売業者からしたら価格を下げる余地がないからというのは、多分、一般的にも誰でも分かることだと思うんですが、米の価格高騰を抑えるためには、やはり、小売業者、卸売業者から購入した額と適正な市場価格との差額を政府は補填すべきだと考えております。備蓄米に限っては、もう入札方式をやめるぐらいの大胆なことをしていかないと解決しないのではないでしょうか。

 さっきも言いましたけれども、様々な委員からも質問がありましたが、とにかく国民は、安心、安全なお米を今よりも安い価格で買いたい、でも農家さんも守りたい、その理解はしているんだと。毎月毎月これから備蓄米が放出されるんですけれども、果たしてこれからどうなっていくのか。

 私と江藤大臣のやり取りというのはネット上ですごく人気で、いろいろな動画が回っているんですよ。ですので、四月十六日現在の江藤大臣から国民へのメッセージを最後にお願いいたします。

江藤国務大臣 私が人気なんじゃなくて、あなたが人気なんだろうなと思いますけれども、巻き込まれているということなので慎重に答弁をさせていただきます。

 別に、十日に、総理に会うからということは全く関係ありません。一時間余り総理と話をして、結局ああいう結論になりました。四月の十日というのは間違いではなくて、いわゆる大手のスーパーさんなんかでは四月の十日ぐらい。この間も答弁した記憶がありますが、私は週に二回はスーパーに行きます。今朝でバナナが切れたので、今日もスーパーに行きます。そうしたら必ず米を見ます。これはこのところ習慣になっておりますので。

 ただ、意見交換会を行いました。そして、大手の卸の方、それから中規模、そして地方の卸の方、そして小売の方も、スーパーマーケット協会のでかいところ、それから地方のスーパーマーケットの方々、それから町のお米屋さんの代表の方、来ていただいて、全員の方から一言ずつは必ず、一人五分ぐらいということでお願いしたんですが、皆さん十分ぐらいずつお話しになって、かなり時間をオーバーしたんですが、まだ言い足りないというようなことでありました。

 ただ、そこで一つ私をほっとさせたのは、二十一万トン出してもらって、これで十万トン出してもらったら、大体流通に関してはこれで足りるのではないかと思いますというふうに卸の方々は言われていました。

 ただ、問題は、遠隔地であったり小規模であったり町のお米屋さんであったり、そういったところには今の流通のシステムの中ではなかなか行き渡るのに時間がかかる、下手をすると五月の頭までなかなか手にすることができぬという話がありましたから、これは我々の方で工夫をしたいと思います。集荷業者さんにも工夫をしていただきますし、卸にも工夫をしていただいて、なるべく遠隔地にも、それから小さな小売のところにも米が渡るように努力をいたしたいと思っております。

八幡委員 その工夫というやつを是非、国民の見える化をしていただいて、安心して日本のお米を食べていただけるような状況をつくっていただく。今日はお米の話ばかりしているんですが、ほかの農産物も含めて、お肉もそうですし海産物もそうですし、冒頭に戻りますけれども、トランプ関税に負けないように、国内の自給率を引き続き守っていきたいと思っております。

 今日は、大臣にたくさんしゃべっていただけるかなと思って、私が冒頭早口し過ぎたために、ちょっと時間を余らせてしまいましたけれども、やはり難しいな、一筋縄ではいかないなと思いました。なので、時間が余っているから言うわけではないんですが、備蓄米も、毎月毎月出して、それでうまくいくかどうかも一筋縄ではいかないとは思うんですが、何か試行錯誤しながら、食の問題は、与野党を超えてみんなで手をつないでしっかり日本国民のために頑張っていく、生産者のためにも頑張っていくと私の決意を添えて、時間を余らせて終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 いつも毎回審議の最後の方は同じ顔ぶれで申し訳ないんですけれども、また私の方から御質問させていただきます。

 まず、大臣には、今さっき話がありましたが、昨日、読売新聞を見ますと、私が先週質問していましたいわゆる町のお米屋さん、ここにちゃんとお米が行き届くように工夫をするという記事が出ておりましたので、私が言ったからやっていただいたのかどうか分かりませんが、心から御礼を申し上げたいというふうに思います。そうしないと、やはり消費者になかなか行き届かないという問題がありますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 今日もお米の問題について質問をしたいと思いますが、皆さんは今の高騰の原因は流通の目詰まりにあるということなんですが、私は、前から申し上げているように、むしろお米の量が足りないのではないかと。皆さん、それをなかなか認めてくれないんですけれども、私はそういう仮説に立ってずっと質問してまいりました。

 今日も資料を御覧いただきますと、一つ目のグラフを見ていただきますと、青い線が生産量、赤い線が需要量なんですが、最新の数字であります令和五年産のお米については、大体四十四万トン不足、いわゆる供給不足ということになっています。その前の年の四年産につきましては、二十一万トン不足をしている、需要に足りないという状況で、この四年産、五年産合わせても、六十五万トンお米の供給量が足りないというような状況であります。

 私は、恐らく先食い先食いで、令和六年産についてもこういったところが響いているのではないか、ちょっとしたことでお米の価格は上がりますので、そういったことが背景にあるんじゃないかというふうに思っています。

 今日は、分析よりも提案ですね。いつも皆さんは、毎年、適正供給量というものを農林水産省から出されます。皆さんは、いや、基本的に価格とか需給は市場で決まるんだというふうにおっしゃいますけれども、さすがに農林水産省が適正供給量という数字を出すと、やはり全国のお百姓さんは、それを極めて重視をするということになっているというふうに思います。

 これが、私が前に申し上げた歩留り不足、歩留りの狂いですね、玄米から精米にするときの。特に、高温障害が最近多いので。これが一%狂ったら七万トン減る。そして、これもまたいずれ質問しますけれども、収穫量でも、大体十アールにつき作況指数掛ける農地の面積ということをやりますけれども、この農地の面積も、現場の声を聞くと、実はかなり過大に、かなりというかやや過大に報告している可能性が高いということ。これも大体、一%ぐらい変わると七万トンぐらい減ってしまう。

 こういうことを考えると、余り適正供給量をぴしっと、今年はたしか六百八十三万トンという適正供給量ですが、余りピンポイントでやるよりは、もう少し幅を設けたらいかがかなという提案をさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 かつてのことですが、平成三十年に、いわゆる生産数量目標の張りつけをやめたことが起こったときには、まだ皆様方が慣れていないということもあって、幅を持たせた時期が、多分先生も御存じだと思いますが、あったんですよ。それをやっている間に、やはり、例えば幅の上に張りついて作っちゃったときには作り過ぎだった、それは生産者の判断のミスだ、下に張りつけたときには、これもまた国の数字の出し方が悪かったとか様々あるので、そういうあやふやなものではなくて、しっかりとしたものを出してほしいというのがやはり現場の御要望としてはあったというふうに聞いております。

 ですから、食料の、主食ですから、この需給見通しについては、今お話ありましたように、高温障害のふるい下米の話とか、それから歩留りの話とか様々な要素がありますので、これから引き続き、幅を持たせるかどうかについては今日は明言はいたしませんが、これはまた別のこととして、できる限り農家の方々にとって信頼度の高い数字が出せるように工夫はしてみたいと思っております。

北神委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に行きますけれども、これも資料を御覧いただきますと、二と三、これは最近の調査で、流通の状況というものを数字で表しております。

 簡単に言うと、農協を始め大手の集荷業者に農家から行く量がかなり減っている。二つ目の資料を御覧いただきますと、先ほども話がありましたけれども、三十一万トン減っている。それから、逆に下の方を見ていただきますと、四十四万トン、いわゆる直接販売の方に移っているというのが一つ。

 もう一つ、この裏の、三枚目の資料を御覧いただきますと、これは令和四年産米の話なんですが、これも私、ちょっと不思議なんですけれども、全体としては六百五十三万トン、いわゆる主食用米、この一番下のその他を除いた数字が六百五十三万トンある。そして、集出荷業者には三百三万トン、大体全体の四六%です。それから、下の方の農家の直売は二百三十五万トン。農家消費、これは百十五万トン。農家消費だけで一八%あるんですね。

 私はちょっと計算して、百十五万トンというのは基本的に市場に出回らないという前提なんですけれども、これを引くと、六百三十五万引く百十五で五百三十七万トン。五百三十七万トンで、これは農林業センサスから取った数字ですけれども、一年間の国民の一人当たりのお米の消費量が大体五十五キロ、これで割ると、九千八百万人分ぐらいになるんですよ、九千八百万。この農家消費を足して、六百五十三万トンの、元の数字でいくと、五十五で割ると、大体一億一千万強になるんですね。だから、この農家消費が、一千万人分ぐらいはいかないですけれども、かなり、八百万、九百万人ぐらい取っていると。

 この数字自体が非常に根拠が不思議なんですが、何を言いたいかというと、これが正しいとするならば、やはり、この農家消費の割合が増えているということは市場に出回る分も減るということなので、こういったところもやはり認識を変えないといけないなというふうに思います。

 これは事務方の方で結構なんですが、こういう最近の流通の動きを見て、簡単に言うと、農協がどんどん減っている、流通が増えるということは把握が難しくなる、農家消費が増えるということは市場に出回らないということについて、どうお考えかというのをお聞きしたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 委員が配付していただいている資料の中で、基本的には、米の生産量、全体の生産量が減少傾向にございます。

 その中で、例えば、農家の方の数も減っておりますので、農家消費もやや減少傾向、あるいは集荷業者に出される数量もやや減少傾向というのが一つあろうかと思います。

 それで、農家消費のお話がありましたが、右側の入手経路別の購入割合ということで、これは米穀機構がまた別に調査している中で、無償譲渡、要は、ただで親戚の方とか知り合いの方とか、こういったものもこの農家消費の中に入っていまして、この割合がまあまああるというのが一つでございます。

 いずれにしましても、今回調査を行いました中で、集荷業者への出荷が三十一万トン減少して、集荷業者以外の方々への出荷が四十四万トン増加ということで、特に六年産につきましては、集荷競争の強まりの中で、そういった直接販売あるいは集荷業者以外の方への出荷が増えているんだと思っております。

 こういった集荷業者以外の方々の流通というのは非常に把握は難しい面もございますけれども、委員御指摘のとおり、今後とも、米流通全体を適切に把握できるよう、私ども、各種の情報の収集でございますとか分析に努めてまいりたいと考えております。

北神委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 恐らく、この直接販売という流れは今後も続くだろう、現場の農家の皆さんの話を聞いているとそんな状況なので、どこまでこういうのを追跡するかというのは皆さんも大変だと思いますけれども、こういう今のような米騒動みたいなことにならないように、やはり、皆さんも流通の目詰まりという説に立っているわけですから、そこの把握というのを是非よろしくお願いして、もう時間が来ましたので終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次回は、明十七日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十分散会


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