衆議院

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第13号 令和7年5月13日(火曜日)

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令和七年五月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君

   理事 葉梨 康弘君 理事 神谷  裕君

   理事 野間  健君 理事 渡辺  創君

   理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君

      大空 幸星君    岸 信千世君

      栗原  渉君    小池 正昭君

      小林 茂樹君    鈴木 英敬君

      武村 展英君    田野瀬太道君

      根本  拓君    根本 幸典君

      長谷川淳二君    福田かおる君

      福原 淳嗣君    宮下 一郎君

      森下 千里君    簗  和生君

      山本 大地君    石川 香織君

      岡田 華子君    金子 恵美君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      辻  英之君    西川 将人君

      福田 淳太君    緑川 貴士君

      柳沢  剛君    山田 勝彦君

      空本 誠喜君    林  佑美君

      三木 圭恵君    臼木 秀剛君

      許斐亮太郎君    村岡 敏英君

      庄子 賢一君    角田 秀穂君

      八幡  愛君    北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          田尻 貴裕君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       牛山 智弘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口  靖君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         宮浦 浩司君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       堺田 輝也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            谷村 栄二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         伊藤 優志君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          深水 秀介君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           森  重樹君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  杉中  淳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            前島 明成君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           大野  達君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     小林 茂樹君

  平沼正二郎君     福原 淳嗣君

  近藤 和也君     辻  英之君

  林  佑美君     三木 圭恵君

  村岡 敏英君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 茂樹君     田野瀬太道君

  福原 淳嗣君     岸 信千世君

  辻  英之君     近藤 和也君

  三木 圭恵君     林  佑美君

  臼木 秀剛君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  岸 信千世君     鈴木 英敬君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     福田かおる君

同日

 辞任         補欠選任

  福田かおる君     平沼正二郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口靖君、大臣官房総括審議官宮浦浩司君、大臣官房技術総括審議官堺田輝也君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官谷村栄二君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官伊藤優志君、大臣官房統計部長深水秀介君、輸出・国際局長森重樹君、農産局長松尾浩則君、経営局長杉中淳君、農村振興局長前島明成君、水産庁長官森健君、内閣官房GX実行推進室次長田尻貴裕君、総務省情報流通行政局郵政行政部長牛山智弘君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、国土交通省総合政策局次長大野達君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西川将人君。

西川(将)委員 おはようございます。立憲民主党の西川将人でございます。

 今日は、委員会質疑の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 食料システム法案に関しまして、まず初めに、農産物の持続的な供給を実現する上で、食料システム法案の限界について、また、農業者への直接支払い制度の必要性、今後の備蓄米放出と米確保の方向性についてまずお聞きしたいと思います。

 先般は、本会議場での初質疑となる機会を本法案についていただきましたが、大臣から御答弁をいただきまして、様々な課題について認識を共有させていただいたことについて、まず冒頭、お礼を申し上げます。ありがとうございます。

 その上で、本日、改めて質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、農産物の価格形成につきましては、これまで農業者が関わる機会がなかったことを考えると、本法案の内容は大きな一歩だと考えますが、どれだけの実効性を担保することができるかということが今後問われていくというふうに考えております。

 先般もお尋ねしましたが、資本主義にある我が国におきましては、食料価格は基本的に市場原理により形成される中で、合理的な価格形成を実現するための措置が、本法案ではあくまでも努力義務にとどまる内容となっており、そのことに対しては、先般、本会議場で、大臣からも懸念がある旨の答弁もありましたが、やはり一定の限界があると考えております。

 現在の米価格の高騰というのは、ある意味異常な状況でありますけれども、一方で、生産者の方には一息つくことができている、米農家の方はそういう状況にもあります。しかし、市場の情勢変化によっては、今後いつ米価の暴落が起きるかというのは分かりませんし、現在、私の地元の米農家の皆さんは、この反動、価格の反動を非常に気にしていまして、今、米価格が高騰している中で、農家の皆さんの実入りという部分ではそれほど多く増えているわけではないんですけれども、大変この価格の反動ということを気にしている状況にあります。

 生産者が再生産可能な安定した所得を確保することは、持続的な農産物の供給を実現するためには必要不可欠であると考えております。我が党は、これまでも、農地に着目した生産者への直接支払い制度の創設を訴えてきておりますが、今回、食料確保、農地維持支払い制度として、令和版直接支払い制度について取りまとめをさせていただきました。この機会に、少し制度の内容について紹介をさせていただきたいと思います。

 水田、畑、草地、採草牧草地、それぞれの維持のために農地維持支払いとして約八千億円。現在の日本型直接支払制度を再編した加算措置として約一千億円。水田活用直接支払交付金の後継対策として、品目ごとの直接支払いに対して約三千億円。また、万が一、米価が生産費を割り込んだ場合に発動する主食用米直接支払いとして約百億円。総額一兆二千億円規模の制度を今回、党内で取りまとめさせていただきました。

 そこでお聞きしますが、令和九年度の米政策の抜本改正に向けまして、令和七年度中に調査と実態把握に努め、方針を決定し、令和八年の概算要求につなげていくということでありますが、農産物の持続的な供給を実現するためにも、この度我が党で取りまとめた直接支払い制度について是非とも御検討いただきたくお願いするとともに、直接支払い制度実現に向けて必要な予算の確保についてもお願いをし、大臣に見解をお聞きいたします。

江藤国務大臣 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 まず、システム法案につきましては、その実効性についてはしっかりこれから、まずは法律をしっかり御議論いただいて、御可決いただいた暁には、その実効性の確保のためにも引き続き努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 努力義務である部分については、強制力を持たせる、ましてや法律に基づいて罰則を求めることについてはハードルが極めて高いということもありまして、努力義務でありますが、何とか御理解をいただきたいと思っております。

 それから、米の反動については、私の地元でも同じです。大変、飼料用米を作るのをやめて主食用米に転換した人も多いです。そういった方々の中にも、大丈夫だろうかと思いながら転換した方も多いので、それについては注意深く見ていきたいと思っております。

 御検討されている食料確保、農地維持支払い制度については見させていただきました。総額一兆二千億という、今の農林水産予算の約半分を使う予算であります。もちろん、この予算を固定的に私は考えているわけじゃありません、予算を大きく増やしたいというのは先生方と同じ共通の意識であります。しかし、一兆二千億というのはなかなかだなというのが正直な感想であります。

 特に、農地維持支払いについて若干申し上げると、少し古い話ですが、昭和四十六年にいわゆる減反政策をやったときに、農地を持っていさえすればいい、農地を所持していれば何も作らなくても三万円、十アール当たり払いますということをやりました。これはやはり、生産しなくても払うということであれば、農地の維持とは何ぞやということも議論する必要があると思います。例えば、複数年度にわたってしっかり耕作を進めているものだけを農地として認定するのか、それとも、地目として農地として認定されているものはもう農地なのか、様々な議論があると思います。

 ですから、私は、大臣就任当時から、全ての政策をテーブルの上にのせて再検討するということを申し上げておりますので、御党の法案が駄目だとか、フィージビリティースタディーをやった上で実現可能性が低いとか、そういうことを今の段階で申し上げるつもりはありません。ありませんが、しかし、実現可能性というものをやはり考えて、全体の予算のどこかにしわ寄せが行くようなことがあってもまずいので、それは今後、先生方としっかり議論をしながら、在り方について考えていきたいと考えております。

西川(将)委員 大臣、どうもありがとうございます。

 時間の関係で、詳細まではちょっと、制度の御説明時間はないんですけれども、当然、農地を維持する上で、何も作物を作っていない農地に対してそれだけの税金を投入するということに対しては、私どももよしとはしておりませんので、しっかりそこが使われているというのが当然前提になる形で制度を構築していかなければいけないというふうには認識としては持たせていただいております。

 また、現在の農水省予算の約半分ほどの規模になりますので、当然、今の規模であれば、これらの制度をつくっていくというのは非常に難しいとは思っておりますけれども、何とか、農水省全体の予算の総額を増やしていくという取組を進めていただく中で、新たな制度として是非組み入れていただいていくという視点も持っていただければ非常にありがたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次の質問に移らせていただきたいと思いますが、現在、政府備蓄米につきましては、三月に二十一万トン、四月に十万トン、既に三十一万トンが落札をされていますけれども、市場に出回っている米はまだごく一部という状況で、価格高騰が収まる気配というのはまだ見られない状況であります。今後、五月以降も備蓄米を放出していくということであれば、入札方法も少し工夫をしていく必要があるのではないかなというふうにも私は考えております。

 また、今後、毎月十万トンを七月まで放出をするということになると、八月の時点で備蓄米の量が三十万トン程度まで落ち込んでいくということになるわけであります。非常にやはり少ない量になりますね。

 気候の予測というのは非常に難しいと思いますけれども、気象庁の予測によると、今年の夏も平年以上の高温が予想をされております。昨年は非常に高温でありまして、米の収量はそれなりに取れたんですけれども、高温障害によってシラタですとか胴割れですとか、やはり品質の部分で米にいっぱい課題が出て、一等米の収量が大きく減少したという状況でありました。

 今年も気候次第では作柄に不測の事態が起きる可能性が十分あるというふうに考えておりまして、また、大規模災害については、地震大国日本においてはいつ起きるか分からないわけであります。そういう中で、万が一、備蓄米が三十万トンまで減少した場合、本当に心もとない状況になるかというふうに考えております。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、一九九三年に平成の米騒動がありまして、当時、国内から国産米が消えたという状況でありました。その後、品種改良、また、それぞれの農家さんが冷害に強い米への作付変更を行って、それまではササニシキというお米が一番のブランド米でありましたけれども、その後、ササニシキの作付が減って、今、全国的に言うと、コシヒカリという比較的寒さに強い米に皆さん転換をしてきている状況であります。

 ただ、ここまで備蓄米が目減りしていく中で、万が一、国内から米がなくなる事態に直面をしないために、確保に向けてしっかりと備えていくべきと考えておりますが、現時点で、そのことに対しての大臣の御認識と、考えられる対応策について見解をお聞かせいただきたいと思います。

江藤国務大臣 おっしゃっている意味はよく分かります。どんどん減っていくことについては、やはり非常に切迫感といいますか、自分としても、そして、今年の分の備蓄米の買入れができていないという状況もあるわけですから、この状況をずっと放置するわけにはいかない。そして、世の中では、買戻しに対して非常に批判的な御意見も多い。しかし、備蓄米の水準は、やはり、一定水準以上を保つことが国民の安心、安全につながるということは間違いないので、このことについてはしっかり考えていかなきゃいけないと思っております。

 高温障害につきましては、大変現場も御努力をいただいておりまして、高温耐性の強い品種を田植している割合は一三%上がっております。ですから、全作付面積の一六・二%がもう高温耐性の稲に今なっております。先生御指摘のとおり、ふるい下も多くて割れてしまったり白濁したり、様々な障害が起きました。そういったものを現場の方々も十分意識して作付も工夫をしていただいているところだと思います。

 では、三十万トンで大丈夫なのかという御指摘については、東日本大震災のときには四万トン備蓄米を出しました。そして、熊本地震のときには約九十トン出しました。災害対応でお米を備蓄米から融通したのはこれの二回だけでありますので、この過去実績だけ見れば、三十万トンでも対応できるということになるのかもしれません。

 ただ、政府としては、食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針、これを決めましたので、三十万トンでも対応できないというようなことが起こればミニマムアクセス米を活用するということも決めてありますので、しっかり対応できる一応体制にはなっているのかなというふうに認識をいたしております。

西川(将)委員 ありがとうございます。是非しっかりと御対応、備えをしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次の質問に移らさせていただきます。

 市場ニーズに合致した農産物の生産を促進するため、農業者と食品事業者の更なる連携強化の必要性についてお聞きをいたします。

 本法案では、持続的な食料システムの確立を進めるために、農林漁業者と食品事業者の安定的な取引関係の確立、連携強化の必要性がうたわれております。

 そこで、現在の国民における食料の消費形態別支出割合を見ますと、生鮮食品としての支出が二五%、加工食品あるいは外食としての支出が七五%という状況になっております。核家族世帯、夫婦共働き世帯、単身世帯、高齢者世帯が増えていることなどによって、家庭での調理機会が減少していることが影響していると考えますが、二〇四〇年には更に生鮮食品の支出割合が減少して、二〇%ほどまで減少すると今予測をされております。

 一方、外食や加工食品として使われる加工、業務用野菜については、輸入割合が年々増えておりまして、現在三〇%を超えている状況であります。また、現在の国内野菜価格の高騰、あるいは生産者人口の減少などによって、更に輸入の割合が増える傾向にあります。これからも生鮮中心の高品質な農産物生産を産地に求めていくと、需要と供給のミスマッチが増大をして、加工、業務用野菜については輸入依存度が更に増えていくことになるのではないかと考えております。当然、そのことによって食料自給率も低下をしていくことになります。

 このような状況にある中で、市場ニーズに合った国産農産物を持続的に供給するためには、農業者が加工、業務用農産物の生産量を増やす政策誘導が必要であると考えております。

 そこでお聞きをいたします。

 現在でも加工、業務用として必要とする農産物確保のために、生産者と直接契約を結んで市場に供給をしている大手食品事業者があります。いわゆる契約栽培です。今後、消費者のニーズに合った加工用、業務用農産物生産への転換を更に促進していく必要があると考えますが、この件についてまずお聞きをします。

 続けて、加工、業務用農産物生産への転換を促進するためには、食品事業者が自ら農業法人を設立するという方法もありますが、生産人口が減少する中で、食品事業者が生産者に対して、例えば人材の派遣ですとか機械の提供、技術指導、こういったことを行うということも考える必要があるのではないかと考えますが、同じく見解をお聞きします。

 また、こういった政策を誘導するためには、国として食品事業者に対しての財政支援なども必要と考えますけれども、以上三点について見解をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

庄子大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 食料の消費におきましては、いわゆるタイパが重視をされている中で、加工あるいは冷凍食品、そして中食と呼ばれる総菜等の需要が大変に増加をしてきております。消費者ニーズに合った生産、製造を進めていくことが極めて重要だというふうに思っております。

 食品産業につきましては、国産農林水産物の仕向け先でありますとともに、加工食品等の需要に応える存在であるため、この法案では、計画制度を創設し、食品産業が国産原材料の安定調達を図り、農林漁業者との安定的な取引を構築することを促すとしているところであります。

 御指摘の食品産業によります農業への参入につきましては、本年四月から、農地所有適格法人の出資に関する要件を見直しておりまして、食品事業者の参入の道を開く農業経営発展計画制度を創設をいたしましたほか、人や技術の導入等につきましても、令和六年度補正予算において、国産原材料の取扱量の増加を目的に、食品事業者から産地に対しまして、先ほど委員御指摘をいただきましたとおり、社員や専門家の派遣、あるいは農業機械の提供を支援しておりまして、こうした施策を通じ、消費者ニーズに沿った食品の供給を進め、食料の持続的な供給を実現してまいりたいと思っております。

西川(将)委員 ありがとうございます。

 是非、今後、需給のバランスに合った作付が進んでいくようにしっかりと進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次の質疑に移ります。

 農林水産省共通申請サービス、eMAFFについてお聞きをしたいと思います。

 同システムは令和三年度から本格スタートし、農水省の各種手続をインターネットで行えるサービスとして、令和七年度には利用率六〇%を目指すとしておりましたが、現在、利用率が数%と非常に低迷している状況にあります。本法案に関連する各種手続も、eMAFFの活用を積極的に進めていくべきと考えておりますが、これまで利用が進まない本システムには様々な課題があると考えております。

 令和二年度以降、同システムの運用費用として、毎年三十から三十五億円の予算が投入され、総枠として、これまで少なくとも百三十億円以上の経費がかかっている状況であります。

 ちなみに、令和五年度は、運用経費が三十三億円に対して申請件数は六万八千件ということで、一申請に対するコストが四万九千円。令和六年度については、運用経費三十三億に対して申請件数が十七万七千件と、前年度に比べて倍以上に申請件数は増えているものの、一申請に対するコストは一万九千円ということで、依然、非常に高い状況にあります。令和七年度も十七億円の運用費を見込んでいますが、一申請に対するコストが大きく、費用対効果の面からも大変非効率な事業運用にある状況にあります。

 また、昨年の政府による秋の行政事業レビューにおいて、eMAFFについては、費用対効果が悪く、見直しが必要だと求められたことについて、大臣からも、その後の記者会見において、御指摘については非常にごもっともだと受け止めているとの認識が述べられております。

 現在、大変非効率な事業になっているものの、これまで百三十億円以上の税金が投入をされておりますから、これを無駄にしないためにも、何としても改善を図っていただかなければならないと願っております。

 そこで、お聞きをします。

 本サービスは約三千三百種の手続に対応しているとなっておりますが、生産者がeMAFFを利用するためには、生産者の所在自治体がeMAFF利用登録をしていないと申請できないシステムになっております。現在、全国に約千七百四十の自治体がありますが、幾つの自治体で現在利用できる状況になっているのか、現状をお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 現在、eMAFFにネットワーク上接続しており利用可能な自治体数は、千六百四十五市町村となっております。

西川(将)委員 どうもありがとうございます。

 かなりの自治体で対応可能ということになってきておりますので、あとはシステムの内容が使い勝手がよくなれば、これは利用が進んでいく可能性が非常に高いのかなというふうに今考えさせていただきました。

 現在、農業者の平均年齢が六十八歳という状況でありますから、オンライン申請ということができる農業者には一定の限界があるかもしれませんが、しかし、これまで百三十億以上の税金を投入してきているわけですから、この低迷する利用状況は、費用対効果から考えてもやはり問題があると考えております。

 そこでお聞きをしますが、来年、令和八年度には、このシステムの抜本的な改修を行って新システムに移行すると聞いておりますが、現在、利用が進まないシステムの課題は何なのかについてお聞きをするとともに、また、来年度、具体的にどのような改修を行って利用者数を増やそうということを考えているかについてもお聞きいたします。よろしくお願いします。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 eMAFFの課題としましては、申請件数の少ない手続も含め、ほぼ全ての申請手続をオンライン化したことにより、システムが複雑化し費用が膨張したこと、また、オンライン申請の入力作業が煩雑等の理由により、申請件数が伸び悩んでいたことが挙げられます。

 これらの課題に対応するため、現在見直しを進めている最中でございまして、運用費用については、令和六年度と比べて半額程度に削減し、申請件数については、先ほども少し御紹介いただきましたけれども、令和六年度は五年度と比べまして三倍近くの増加を図ったというところでございます。

 さらに、利便性の向上を図りつつ運用コストを大幅に削減するため、抜本的な見直しを行うこととしておりまして、対象手続を総申請件数が多いものに限定等した上で、令和八年度中に、現場の方々が利用しやすく、かつ機能を大幅に簡素化した新システムへ移行し、利用拡大を図ってまいりたいと思います。

 また、行政手続のオンライン化は、農林漁業者等の申請者におかれましては、窓口に行く手間が省け、いつでも申請が可能になりますし、申請を受け付ける自治体等にとっても、受付対応、データ集約等の作業が効率化する等の利点がございます。

 こういった利点の周知、普及をしっかりと図りながら、若年層から高齢の方々の申請までしっかりとサポートを行いまして、現場の皆様の事務負担が軽減され、生産や経営等に注力できる環境づくりを進めてまいりたいと思います。

西川(将)委員 ありがとうございます。

 これまで百三十億以上の投入がされてきているわけですから、今回、システム改修に当たっては、是非多くの農業者の皆さんが利用していただけるようなシステムに改修していただけることを心から願っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次の質疑をさせていただきます。食品等の取引の適正化におけるコスト指標の作成についてお聞きをいたします。

 今後、コスト指標作成団体の構成メンバーを選定し、コスト指標を作成していくことになりますが、例えば、米農家におきましては、米の生産コストが一俵当たり一万二千円という農家もあれば、一方では一万八千円という農家もあるわけであります。

 米に限らず、野菜、農林水産物については同様な状況で、個々の生産者によってコストが変わっている現状の中で、例えば、コスト指標で示された金額が米六十キロ、一俵当たり一万五千円とされた場合に、コストが一万八千円かかっている農家は、逆に取引先から買いたたかれて生産費を確保できないような状況が起きる、そういう可能性はないのでしょうか。この点についてどのような認識をお持ちであるかということ、また、その対策についてどのようなことを考えていらっしゃるかということについて、見解をお聞かせください。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありましたとおり、生産コストは、同じ品目でも、露地ですとかハウス、こういった栽培方法の違いですとか、平場地域か中山間地域かといった立地条件の違い、こういったことによって様々になるというふうに認識をしてございます。

 このために、まず、コスト指標の作成につきましては、各地域ごとに、一般的な栽培方法というものを前提といたしまして、最初のコスト指標を作成するというようなことで取り組んでいこうと考えているところでございます。現在、コスト指標の作成の仕方などにつきまして、品目別のワーキンググループにおいて関係者の皆様方と協議をしているところでございます。

 コスト指標の作成自体は、その水準をもって生産性の向上の目標とする、そういう効用もございますが、その水準だけではなくて、様々なコストの変化率、こういうことも考慮しながら、水準だけにこだわらないように、協議の際の説明事由としていく、こういう使い方もあるのではないかという議論もいたしてございます。

 いずれにいたしましても、制度の安定した運用が可能となるように、引き続き関係者と十分協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。

西川(将)委員 是非、各生産者によってコストがかなり違っておりますので、そこを、皆さんしっかりとこれからも持続的な生産が可能な状況が維持、継続されるように、本法案をこれから施行していくに当たって、しっかりと市場を注視していっていただきたいというふうにお願いをいたします。

 それでは、時間となりましたので、私の質疑はここで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。今日もよろしくお願いいたします。

 先に震災関連から質問に入らせていただきます。

 今、ゴールデンウィークが過ぎて、能登の方では田植が各地域で行われています。本当に美しい姿で、ああいいなと、私もSNSでアップしようかなと思いながら、ただ一方で、奥能登の方では残酷な景色が広がっていまして、田植が今年もできない、そういう方々の気持ちを考えたら、やはり表に出すことはつらいなと、本当に複雑な気持ちでゴールデンウィークを過ごしてまいりました。

 そんな中で、前回質疑の中で、まだ田植ができない田んぼ、今年生産できない、来年もできそうもないというところで、圃場整備が今までされていないから、復旧と圃場整備やパイプラインの整備などを、せっかくという言い方は難しいですが、二年後、三年後になるんだったら、これを一遍にしていけないかという御要望を各地域でいただいております。

 その中で、前回、大臣に質問いたしましたところ、いい御提案だなというふうに思っているということをいただいたんですが、何となく、もうちょっと前向きな答えがいただけないのかなということで、ちょっと明確に御答弁をいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

江藤国務大臣 委員も御存じのとおり、災害復旧事業と災害関連事業を組み合わせることは今でも十分可能であります。

 三月三十一日までに地域計画を作っていただきました。これも将来の未来予想図を作るものでありますから、それにつきましては、農地の大区画化であったり、そういうものも含まれていくわけでありますから、こういうものを、二年ぐらいできないということであれば、セットでやるということは、私はあってもいいことだと当然思っています。

 ただ、それは、早く復旧してもらいたいという方々がおられる。だけれども、どうせやるなら先延ばしになってもまとめてやった方がいいという方々もおられる。地域の方々が意見統一をしていただくことがやはり前提かなと思うんですよ。

 ですから、そういう御要望があればしっかり受け止めたいと思いますが、これは我が省だけではなくて、国土交通省とか、ほかの省とも連携が必要でありますので。ですけれども、作業の効率化をすることによって、ある意味コストを下げられる部分も私はあるんじゃないかと思います。やはり、税金を使って事業を行う以上は、いかにコスパを上げていくかということを考える必要がありますから、これは積極的にやるべき案件だというふうに思っております。

 余計なことですが、千枚田も、私が行ったときには、これはもうしばらくは無理かなと思いましたが、水源も含めて、田植もこの間テレビでやっている姿を見て、地域の方々が一生懸命頑張って田植までこぎ着けられている姿も見させていただきました。

 そういうこともありますので、いかに効率的に、地元の方々が望む復旧復興の形、そして機能向上が図られるような復旧の形については、是非現場の方々と意見を交換しながら、よりよいものにしてまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。積極的にしていくべきだと。

 単なる復旧ではなくて、今石川県といたしましても創造的復興ということを掲げています。確かに地域がまとまることが非常に大事だというふうにも思っています。そこは、元々結束力の強い地域でもありますので、何とかできたらと思います。あとは、所有権の問題のところ、ここはちょっと未解決といいますか、まだハードルがあるのかなと思いますので、何とか柔軟に解決していけるように一緒に考えていけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次は、共同利用施設に関しての復旧事業なんですが、資料の一で、これは二つの災害復旧での支援策です。左側が水産業共同利用施設等復旧事業で、二分の一出していただきます。そして、右の方では共同利用施設災害復旧事業ということなんですが、こちらは最大だと十分の九出ます。

 なぜこれを取り上げたかといいますと、皆様も御地元で、例えば農協とか漁協とか、大きい建物があって、漁協だと、下が荷さばき場で、上が事務所というのは結構ありますよね、立派な。今回、被災をして、建物が元々古いところが多いんですけれども、荷さばき場をちゃんと造ってほしいと。そして、当然ながら、下が駄目だったら上も駄目ですから。そして、事務所の部分は支援の対象外なんですよね。それで、共同利用の作業場というのは一体何ぞやということになると思います。

 今、なりわい補助金で、結果として、これは経産省ですけれども、四分の三出していただけるので、荷さばき場は農水省の事業で、そして事務所の方は経産省の事業でということで、確かに大事なことだと思うんですが、何というか、余りいい姿じゃないと私は思っています。できれば農林水産省でしっかりとカバーしていく方が農林水産業に関わる方は安心されるというふうにも思いますし、そもそも、なりわい補助金は特定非常災害ということが基本的になりますので、激甚災害だけでは使えないものであります。

 例えば私の知っている方の共同作業施設、事務所ですけれども、農業をされている方も、事務所の中で例えば大豆の選別とか、要は事務所の中で共同作業もしているわけですよ。そうなので、基本的には農業も漁業も事務所は私は共同作業場じゃないかなと思うんです。そこは、他省庁との横並びというところはあるかもしれないですが、むしろ一次産業の味方として一歩前進していただきたいんですが、いかがでしょうか。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 近藤委員からのお話、御指摘のとおりでありますので、今、現行法でいうならば、農水の予算の対象と、それから経産省のなりわい再建支援補助金の対象ということは、やはり省庁間の連携をしっかりして前に進めていくことが大事ということだというふうに思いますが、今委員の御指摘がありましたことは、ある意味、私自身も何となく、心の声とすれば、そうだよなというところもないわけじゃございません。ただ、現行法でいうならば今の対処の方法ということになりますので、その御指摘につきましてはまた受け止めさせていただきたいというふうに思います。

近藤(和)委員 思いを共有していただいて、ありがとうございます。

 今回の能登の地震そして豪雨については、事務所の部分は、これはなりわい補助金でいいと思いますが、今後の災害に向けては、それこそ一つの窓口で、被災者の皆さんもいろいろな手続で大変なので、これはどこどこの役所だ、ここはどこどこの役所だとなると大変なので、そういう気持ちの負担軽減も含めて、何とか努力をしていただけたらと思います。

 そして、右側の共同利用施設災害復旧事業、こちらについて、少し何とか改善できないのかなというところがございます。

 ちなみに、左側の事業はどんなに古い建物でも半分という形で支援していただけますが、右側の共同利用施設災害復旧事業は、残存価値なんですよね。基本的には、各委員の皆様の農協や漁協を想像していただければと思いますが、古い建物が多いですよね。長い耐用年数でも三十数年ということを聞いていますが、要は、例えば一億円の建物があったとして、四十年、三十数年たっていて、残りの価値が一千万しかないというところで、たとえ十分の九を払ってもらっても、一億の建物で九百万しか出ないわけですよ。これが果たして現実的なのかなと。

 もちろん、この事業を今回も利用していただいているので、この事業がおかしいと言うつもりはなくて、改善していけることがあるのではないかというふうには思うのですが、いかがでしょうか。

笹川副大臣 御指摘ありがとうございました。

 いわゆる減価償却等についての考え方は、大蔵省令というもので、減価償却資産の耐用年数等に関する省令が定められているということでありますので、いわゆる減価償却等々についての考え方というのは、これがベースになっておるわけであります。

 ただ、法定耐用年数を一・四倍に延ばした耐用年数として、災害復旧に取組をしやすいところにもしたということでありますので、委員の御指摘について満足の得られる回答がなかなか用意できないことについては申し訳なく思っておりますが、農林水産省だけでは判断できないというところもあるということは是非御理解いただければというふうに思います。

近藤(和)委員 この耐用年数の考え方そのものも、日本が若かったときに大体つくられたものが多いと思うんですね。今、特に一次産業に関わる方はかなり高齢化されてきて、産業も少し弱くなってきているという部分もあります。そして、その中で、三十年、四十年、五十年たった建物を今でもしっかりと使われている。逆に、それを使わざるを得ないという方がたくさんいらっしゃいます。

 何とかこの大蔵省令のところも、農林水産省さんとしても、自分たちの関連する方々は、かなり老朽化してきているんだ、そこを更新していくという事業もされていますけれども、そこは一緒に声を上げていただけたらというふうに思います。

 今回でも、農協の建物が避難所になっていたとか。漁協の建物そのものは、海の近くなので、今回津波警報もあったので、そこは避難所になりづらかったとは思いますけれども、そういった農協さんや漁協さんの建物というのは何らかの形で避難所にも十分なり得るところでもありますので、そういう地域に対しての資産だという考え方も持ち合わせていただけたらなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、法案の質疑に入りますが、先ほど西川委員も取り上げられましたが、努力義務への懸念ですね、実効性をいかに担保するか。これは参考人の方からも、複数の方がこのことに対して心配をされていらっしゃいました。そして、大臣は、引き続き努力、そして何とか理解してくださいという、何とも、それに対してどうリアクションすればいいか難しいような御答弁をいただいたんですが。

 例えば、一回でぽんと問題解決というのがなされるものじゃないと思うんですよね、この協議の場というのは。何度も何度も、それぞれの作るものによって、場面場面によって事例が生まれていって、そして、それを共有していって、改善させていくというこの不断の努力というのが今後必要なんだろうなと。一年後、二年後、三年後で、はい、これがルールですということには恐らくならないというふうに思います。

 こういうことも含めて、もっと具体的に明示していく、努力していくということを少し質問したいと思いますが、いかがでしょうか。

庄子大臣政務官 ありがとうございます。

 この法案におきましては、コスト等の取引条件を示しまして、協議の申出があった場合には誠実に協議をする等の努力義務を定めているところでありますが、必要な場合におきましては指導助言を行って、不十分な場合には勧告、公表等の措置を講ずるということにさせていただいております。

 また、こうした努力義務につきましては、食品事業者等がどのような取組を行う必要があるのか、これを一層明確化するために、食品事業者等の行動規範、判断基準ですね、これを今後、関係者間で十分協議をした上で、省令で定めたいというふうに思っています。

 事例を積み重ねてルールを作っていくという今の委員の御指摘、そのとおりだと思っておりまして、関係者同士で十分に協議を重ねていっていただきたいというふうに考えます。

 また、このほか、農林水産省本省や地方農政局等にこの法案に関する専門職員を配置をいたしまして取引実態調査を行うほか、外部からの相談等に対応するということにしております。

 御指摘をいただきましたとおり実効性が重要だと認識をしておりますので、その充実に努めてまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 今回、私も、災害にもいろいろ携わりながら、例えば省令というものも、本当の現場に届いていないというか、そんなの出ていたのとか、役所間でとどまっているとかということもあるので、省令でちゃんときめ細かくやったよということで終わるのではなくて、本当にこの指先まで届いているかというところまで、それをしていくことで、よりよいものに、今回の法案もよくぞ踏み込んでいただいたと私も思いますので、何とか努力をしていただけたらと思います。

 そして、今、お米の値段がどんどん上がってきていますが、そもそも今回の食料システム法は、生産者のことをより考えてということだと思います。コスト割れしてしまうところを、流通の方、小売の方、そして消費者の方にも御理解をいただいて再生産可能な一次産業をつくっていこうということで、大変重要だと思っています。

 一方で、結果として値上がりを伴うものにならざるを得ない、これも現実だと思うんですよね、再生産可能な価格にしていくということは。

 そのときに、これも参考人の方が言われましたが、現状でも、買いたくても買えない人もいらっしゃいますが、ちゃんと生産コストが上乗せされて、流通コストが上乗せされて、消費者に届く段階にちゃんとこの法律が機能するようになれば、また更に、食料が買えない方、食料アクセスから遠ざかってしまう方が増えてしまう可能性があると思います。

 その点について、これをいかにサポートしていくかということが重要だと思いますが、いかがでしょうか。

庄子大臣政務官 同じ認識を持っているところでございますが、この法案につきましては、食料の持続的な供給を実現するという目的の下で、費用を考慮した取引を促しまして、コスト割れでの供給を抑止しようというものでございます。このために、中期的には、消費者の皆様の食料アクセスに資するものであるということを申し上げておきたいというふうに思っております。

 その上で、政府といたしましては、価格転嫁の促進を通じて賃上げを実行し、あらゆる産業におきまして所得増と成長の好循環を実現できますように、現在、強力に推進をしております。

 消費者の購買力の確保につきましては、引き続き様々な取組を推進をしてまいりたいと思っておりますが、今回改正されました食料・農業・農村基本法第二条におきましては、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態の確保が図られなければならない旨、規定をされました。国民一人一人に安定的に食料を届けるということは国の重要な責務であるというふうに明確になったと思っております。

 加えまして、経済的に困窮をしている皆様に対しましては、例えば、フードバンク、子供食堂等への多様な食料の提供に向けまして、自治体を中心とした地域の関係者が連携する体制づくり、これを一層進めてまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 生産者が困る、若しくは少なくなっていけば、最終的に困るのは消費者である、共存共栄のための法律なんだということをしっかりと世の皆様に伝えていくことが本当に大事だなというふうに思います。その一例が今の米の高騰のところにも表れているのかなというふうに、流通なのかどこなのかという問題はまた後にしますけれども、よろしくお願いいたします。

 そして、今、衆議院では可決をいたしました取引適正化法、旧下請法ですね、こちらとの関係について伺います。

 この取引適正化法も、今回の食料の流通の部分にも関わる部分が、重複する部分もあると思いますが、この取引適正化法との関係について伺います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 こちらの法案でございますが、資材価格などが高止まりする中で、食品の取引を対象といたしまして、自由な競争だけではコスト割れが生じるということで、食料の持続的な供給を目的として新たに措置したものでございます。

 御指摘のございました取引適正化法、こちらは、食品に限らず様々な商品、サービスについて、ただし取引形態として、製造委託を始めとする一定の委託契約、こういうものを対象に、取引の公正化と受注者の利益保護を図るということで措置をされているところでございます。

 御指摘のございましたとおり、重複部分は若干ございます。具体的に申し上げますと、例えば、小売業者がプライベートブランドとして製造するような食品、こういったものに関しましては食品製造業者に委託される場合がございますので、こういった部分に関しては両法が重複するところがございます。

 食料システム法案におきましては、努力義務において、協議のプロセスに関して誠実な協議を求める、こういう仕組みにしてございます。一方で、取引適正化法は、一方的な価格決定などの不公正な取引方法などの確認をしないといけないということで、食料システム法案が場合によっては先んじて対応ができるという強みがあるのではないかと考えてございます。

 いずれにいたしましても、公正取引委員会、中小企業庁におかれましては、様々なノウハウをお持ちでございますので、関係省庁と協力連携して、今後、相互連携の在り方についても十分協議をしていきたいと考えているところでございます。

近藤(和)委員 公正取引委員会の方では、取引適正化法に関しては大体百十九名の下請代金検査官という方がいらっしゃって、四十万社を毎年調べていると。かなりノウハウがあると思います。

 今回は、今法案については、二十数名、調査に関わる方を増やすということを伺っていますけれども、やはり、人員的にも厳しいところもあると思いますし、公取のところの方々との連携もある程度しっかりと強化をしていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 そして、現場の声を聞いてほしいということがやはりあります。この調査でいけば、恐らく数万社ぐらいになるのかなと思いますが、企業単位ということだけではなくて、担当者、現場の声を聞いてほしいと、これも先日の参考人質疑の中で参考人の方が言われたことですが、本当に現場の担当者から話を聞いてほしいということに対して、少し答弁をいただきたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、法律の中で、食品等取引実態調査というものを行うことにいたしてございます。この実態調査におきましては、企業向けにアンケート調査を行うだけではありませんで、現場の生の声も伺えるようにヒアリング調査も行っていこうというふうに考えてございます。関係者ともよく協議をいたしまして、現場の実態を適切に把握できるように、更に詳細を詰めていきたいと考えているところでございます。

 また、運用面では、地方農政局それから本省に専門の職員を配置して、相談窓口を設置をいたします。この外部からの通報窓口におきましては、どなたからでも情報をお寄せいただけるようにしたいと考えてございますので、こういった取組を通じて、適切かつ効果的な制度の運用を行ってまいりたいと考えているところでございます。

近藤(和)委員 商習慣について伺います。

 この商習慣を改善していくということも今回の法案の相当大きい部分なんだろうなというふうに思いますが、ある方は不満でも、ある方は、それはそうだよねという商習慣もあると思うんですね。地域によってもローカルルールというものもあると思います。ある地域では賛成だけれども、ある地域ではこれはおかしいというところもあると思います。そこを調整していくことが大変重要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

庄子大臣政務官 商習慣の見直しにつきましては、先般の参考人質疑におきましても様々御指摘をいただきました。発注から納入までの時間、リードタイムの緩和の問題ですとか、あるいは商品の搬入、陳列への従業員の派遣でありますとか、年末年始等の購入協力要請等について言及をいただきました。ほかにも、発送する商品をできるだけまとめて効率的に届ける納入頻度の削減など、こうした様々な取組が想定をされているところであります。

 本省では、令和五年度から、製造、流通、小売、外食、消費の関係者に参画をいただきまして、食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組の情報連絡会を開催をし、関係者の合意形成に努めているところでございます。

 また、令和五年三月には、首都圏に店舗を展開しますスーパーマーケット四社が共同いたしまして、これまで三分の一となっておりました納入期限の緩和、これを二分の一ルールとして採用を宣言していただきました後、現時点ではこれが二十社までに拡大をしている状況もございます。

 こうした取組については、御指摘のとおり、生産者、製造業者からだけ提案されるということではありませんので、小売業者、流通業者からの提案も含め、柔軟に、できるところから対処していきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、米の問題について質問に移ります。

 なかなか今、小売段階での米価が下がらない、昨日ですかね、ようやく十八週連続じゃなかったということだったようですけれども、なかなか下がらない、備蓄米を出していってもですね。この下がらない要因についてどのようにお考えでしょうか。

笹川副大臣 今委員が御指摘のとおり、十八週ぶりに、十九円ですか、五キロ四千二百十四円ということでありますので、これをどういうふうに評価するかということだというふうに思います。一言で言うなら、十分に下がっていないという状況だというふうに思います。

 いずれにいたしましても、五月の八日時点で、全農についてですが、十九万九千トン全量の販売先との契約が完了した、卸売業者等からの出荷依頼に対して、一〇〇%に当たる約六万三千トンの備蓄米を卸売業者等へ既に出荷済みということであります。五月二日の日に、全農に対してもそれぞれ、安定供給、速やかにというような要請をさせていただきました。

 まだまだ十分でないという御指摘については真摯に受け止めて、あらゆる努力を積み重ねてまいりたいというふうに思います。

近藤(和)委員 資料の二を御覧ください。

 備蓄米の運営ということで、現在三十一万トンということで、令和五年度の十九万トンと令和六年度の十七万トン、これがほぼなくなったという状況ですよね。今度の十万トンについては令和四年度のものを十万トンということで、もう令和四年度、三年度、二年度、古々米、古々々米、古々々々米というんでしょうか、そういう状況になってきて、今、この六年、五年度の、そもそものこの売り渡す価格が高ければ、結果としてそれ以上安く売るなんて商売の方はされるはずもないので、実際にはどんどん古くなっていくお米に対しての最初の値段というものも考えていってもいいのかなというふうに思います。

 ただ、誤解を恐れずに言えば、古いお米もおいしいんですよね。私もおすし屋さんにいろいろ聞いたら、むしろ新米よりも古米の方を使っているそうですね。酢の吸い込みがいいということで、あえて古米を使っているという方の方が多かったです。

 この二年古米、三年古米、今後どんどん古くなるものに対しては、大臣始め皆様は食べられていますけれども、私たちは食べていないんですよね。国会の食堂で全国会議員が二年古米、三年古米おいしいんだよということをPRするだけでも大事なことかなというふうにも思います。あとは、最初から二万二千円、二万三千円、もう高く売れることはある程度分かっていますが、古いものであえて抑えて、そして最終的な小売のところの値段も抑えてくださいと。今緊急事態ですからということで、そこも手を打っていかなきゃいけないのかなと思います。

 資料の三です。

 この左側を見ていただきますと、買受け単価が二万一千二百四十六円、そして農協さんのところ、集荷のところで二万二千二百七円で、そして卸、最終的に小売というところで、少しずつ上乗せされているんですが、これを見ていても、農協さんは結構頑張っていらっしゃるな、相当薄い単価で運んでいただいているんだなということも分かりますが、要は、一番最初の買受け単価のところを下げていかない限り、そして入札ということでいくと、高い値段をみんな出していきますので、そこは何か工夫の余地があると思います。

 そして、もう一つ加えていけば、やはり買戻し条件ですね。私も大臣に予算委員会のときに取り上げましたけれども、場合によっては一年で買い戻すとは限らないと。限らないんじゃなくて、少なくとも二年古米、三年古米、四年などについては買戻し条件を最初からつけないということをしていただくことが大変重要なんじゃないか、最初からブレーキつけませんよという方が市場に対して安心感を与えると思います。

 二つ、ちょっとお願いいたします。

江藤国務大臣 まず、集荷の方々の落札価格についてですが、備蓄米は国家の財産であります。これは財政法の縛りがあります。備蓄米に限らず、例えば土地であったり建物であったり、国の資産を民間に売却するときには入札に付さなければならないというのが大原則でありますから、これはどうしても外せない。

 そして、どうも報道等を見ていると、JA系ばかりに出しているじゃないかというふうに御批判をいただきますが、我々は、大体五千トン以上の卸の方々、八十九社ぐらいおりますけれども、この方々には全て声をしっかりかけております、入札に御参加くださいと。しかし、手が挙がらないんですよ。ですから、農林水産省として絞ったということではなくて、声をかけたけれども参加していただけないというのがまず事実であるということを分かっていただきたい。

 私としても、できればなるべく安い値段で御入札いただいて安い値段で流通していただきたいという気持ちはありますが、入札である以上は、この結果についてまで、例えばこの値段で入札してくださいよというわけにはいかないじゃないですか、入札なんですから。これが苦しいところだということは御理解いただきたいと思います。

 それから、買戻しについては、当初から、一年以内に買戻しがあるということであれば、いずれ市場から吸い上げるということが前提であれば価格引下げの効果は薄いんじゃないかということは、私自身も十分自覚をしておりました。

 しかし、その一方で、先ほども御質問いただいたように、これだけ減っていって、三十万トンにまでなってしまったらどうするんだというお声もあるわけであって、なるべく早いタイミングで備蓄米の水準を戻さなきゃいけないということも国民の要望だと思うんですよ。

 ですから、これについては検討の余地はないのかと言われれば、あるのかないのか今日は答えませんけれども、しかし、これから第四回を迎えることになります。一回、二回、何分やったことがないことをやっているので、ベストのシナリオでできるとは最初から思っておりませんでした。ですけれども、二回、三回、四回とやるにつれて、その方法、手法についても一定の工夫をしていくということは当然検討しなければなりませんので、考えていきたいと思っております。

近藤(和)委員 この前提をやはり変えていかないと、正直苦しいのかなと。実質的には、しっかりと卸の方に回すには、農協さんの力をかりないといけないと思います。ですから、入札にこだわるというところではちょっと正直厳しいのかなと思っています。

 そして、資料の最後のページですけれども、やはり、今、先物の方でも十月限のところで逆に値段が上がっているんですよね。そもそも備蓄米を出すといったときも二万六千円ぐらいでしたから、ちょっとマーケットもシビアに見ているということも含めて、やはり、前例を更に乗り越えていくということも含めて、ある意味非常事態だというふうに思いますし、米価をぐんと下げなきゃいけないということと、一方で、農家の方を何があっても絶対守るということの情報発信もしっかりとしていただけたらと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、柳沢剛君。

柳沢委員 立憲民主党、柳沢剛です。

 本日は、貴重なお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。この委員会では二度目の質疑になります。よろしくお願いいたします。

 それでは、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案について、本日は、大きく分けてコスト指標と商慣習の見直しの二点について質問させていただきたいと思います。

 まず、コスト指標についてお伺いいたします。

 農産物は地域や経営規模によって生産コストが大きく異なると考えられておりますが、コスト指標の単位や枠組みについて、これはどのように作成することを想定しているのでしょうか。お願いいたします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 コスト指標でございますが、御指摘ございましたとおり、作成の方法についてでございます、現状は、露地とかハウスなどの栽培方法が違ったり、平場地域か中山間地域かといった立地条件、様々でありますので、コスト指標は、まずはそれぞれの品目の主産地を念頭に置きまして、米の場合は全国の産地になろうかと思いますが、一般的な栽培方法を前提とし、地域ごとに作成するということが実態とよく合ったような指標になるのではないかというふうに考えているところでございます。

 現在、具体的な作成の仕方などにつきまして、米、野菜などの品目別のワーキンググループというものを設置をいたしまして、関係者と協議を進めているところでございます。品目ごとの実情が十分に反映されるものとなるように、よく調整をしてまいりたいと考えてございます。

柳沢委員 ありがとうございます。

 また、このコストなんですけれども、様々な要因で変動すると考えられます。コスト指標を作成した後なんですが、定期的な見直しは予定しているのか、また、大きく変動したときの緊急の見直し、これも予定しているのか、この辺をお伺いしたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、コスト指標でございますが、これは生産者などが価格交渉をしやすくするという効用とともに、消費者に、生産、製造、加工、流通、販売の各段階でかかっているコストについて理解醸成を促す、こういう目的を有しているというふうに考えてございますので、やはり定期的に更新をして信頼性を維持するということが必要であろうというふうに考えてございます。

 具体的な更新の方法などにつきまして、四月に行いました品目別のワーキンググループにおきましては、既存の統計ですとかアンケート調査によりまして作成した基準年のデータというものを基本としながら、コストの費目ごとによって物価統計などを活用して変動を反映させていく、そういったことによって直近年の費用を推計する、こういった形でちゃんとアジャストをしていくというようなことをやっていく必要があるだろうということで、引き続き関係者間で協議を進めていこうというふうにしているところでございます。

柳沢委員 定期的な見直しは今おっしゃっていただいたんですが、緊急の場合、いろいろこれは世の中の変動で変わると思うんですが、緊急の場合というのは特別にコストを変えたりすることはあるんですか。

宮浦政府参考人 失礼しました。

 緊急の場合でございますが、基本的には、様々なデータをきちっと捉えて、消費者に対して説明できるようなことを整えていく必要があるだろうというふうに思ってございます。

 緊急の場合においても、何らかの形で、民間データも含めてそういったデータを整えて、その変化はきちんとコスト指標に反映して、それで価格交渉などの協議に活用いただけるように進めていく必要があるだろうというふうに考えてございます。

柳沢委員 ありがとうございました。

 また、買手側の立場が強いことが一般的に考えられているんですが、小売側などの一部に偏ったコスト指標になってしまうんじゃないか、こういった懸念の声も聞こえてきております。この件に関してはいかがでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の費用を考慮した取引というのは、やはり、生産から消費に至る食料システム全体でいかに合意形成を図るのかということが非常に重要であろうというふうに考えてございます。コスト指標につきましても、まさしく関係者の合意の下で作成するということが必要になってまいりますので、この法案の中でも、コスト指標作成団体につきましてかなり丁寧に規定をいたしてございます。

 具体的には、生産、製造、加工、流通、販売、こういった各段階の関係の事業者、事業者団体の中から、理想的には全ての段階の方々に御参加をいただきたいと考えてございますが、少なくとも複数の段階の事業者、事業者団体が参画をする、こういうことを要件といたしております。

 また、その認定に当たりましても、農林水産大臣が全ての段階の関係者の意見を直接聞くということと、それから、認定をするということに関しまして公正取引委員会にも協議を行うという手続を経ることといたしてございます。

 御指摘のとおり、コスト指標の客観性ですとかコスト指標作成団体の公正性というのは重要でありますので、引き続き、こういった取組についてしっかりと運用してまいりたいと考えてございます。

柳沢委員 どうもありがとうございました。

 では、次の質問に変えさせていただきます。

 商慣習の見直しについて質問させていただきます。

 商慣習、調べてみますと、先ほど庄子政務官からもございましたように、実に様々な問題となる事例が出てきております。

 農水省では、ガイドラインの作成など、商慣習の見直しに向けたこれまでの取組について、どんなことを想定して、どんな取組を現在しているのか、まず教えていただけますでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、これまでも、三分の一ルールを含む商慣習ですとか取引実態について調査を行ってきてございます。

 この調査につきましては、毎年、行いましたら、関係事業者に対して、取引の適正化に向けた協力要請ですとか、内容によっては注意喚起といったようなことをまず行ってきてございます。

 それから、こういった調査の結果をこれまで積み重ねてきてございますので、令和三年の十二月には、こういった結果を踏まえた望ましい商慣習の在り方を盛り込んだ食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインというものを取りまとめをいたしまして、これをメーカーそれから小売業者の方に周知を行ってきたところでございます。

 また、こういう商慣習というのは、取引の適正化という観点だけではありませんで、食品ロスの観点からも非常に重要な論点でございます。このために、令和五年からは、関係事業者にも参画をいただきまして、食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組の情報連絡会というものを設置をいたしまして、生産、製造、加工、流通、販売の皆様方に対して、優良事例などをその都度いろいろ御発表いただきながら、横展開を図っていこうというふうにしてきたところでございます。

 さらに、今年の三月には、食品リサイクル法に基づく省令を改正をいたしまして、納品期限の緩和ですとか早期発注などの取組を促すというふうにしてきているところでございます。

 今後とも、こういった取組については鋭意進めてまいりたいと考えているところでございます。

柳沢委員 丁寧にお答えいただき、ありがとうございます。

 短い納期での発注、リードタイムについて、先日の本会議で立憲民主党の西川議員からも一部事例が示されました。

 更に詳しく御紹介しますと、例えばパンを製造している会社の場合、大手スーパーやコンビニなど販売業者からの受注期限、これは多くが納品二日前とされております。これは、作る側の人員体制や生産体制の確保など、働き方改革にも影響してくる問題も含んでいますので、そのような形が取られているわけですが、一部業者の中には、依然、納品の発注を前日とする商慣習が残っているそうです。これにより、前日、大量の発注を受けて、急遽深夜に及ぶ勤務を強いられるという問題が実際に発生しております。前日発注により、生産体制、人員体制を急遽増やしたり減らしたりしなければならなくなっているそうです。

 また、需要が明らかでないまま生産されることも間々あり、大量の廃棄、いわゆる、先ほどありましたようなフードロスが発生するなど、様々な問題が発生しております。

 買いたたきや、あしき慣習の見直しは当然のことといたしまして、このような改めるべき商慣習、まだまだたくさんあると思います。

 そして、この商慣習の中、先ほど触れていただきましたけれども、三分の一ルールというものがございます。この三分の一ルールというのはそもそも何なのか。そして、それに対して農水省はどのような見解を持っているのか。また、この三分の一ルールの見直しを求める声が非常に多くなっております。これに向けた農水省の取組があるのであれば、それも詳しく教えていただければと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、そもそも三分の一ルールとはということでございますが、製造業者などが製造から賞味期限までの最初の三分の一の期間までの間に小売業者に納入する、こういう商慣行でございます。この期間を超えると、商品の回収を求められたり廃棄を求められるといったようなこと、これは商品管理を優先する余り起きることでございますが、ただし、今となっては、食品ロスを非常に多く招くということで見直しを進める動きが出てきているというところでございます。

 農林水産省におきましては、先ほど申し上げましたような適正取引の推進ガイドラインですとか、あるいは関係事業者との情報連絡会、省令改正などを行って、見直しを仕組みとして行ってまいりました。また、運動論といたしまして、毎年十月三十日を食品ロス削減の日と併せて全国商慣習見直しの日と定めまして、この三分の一ルールの見直しなどに取り組む事業者を募集、公表して、事業者に参画いただくような取組の拡大に努めてきているようなところでございます。

 それから、先ほど庄子政務官からも一部御答弁をいただきましたが、民間からも、この三分の一ルールの見直しというものが、首都圏のスーパーマーケットを中心に取組が始まっております。これは首都圏だけではなくて、今となりましては全国二十社まで取組が拡大をしているというような状況でして、こういった取組によって、今後とも、三分の一ルールを始めとする商慣習を、必要なものの見直しを進めてまいりたいと考えているところでございます。

柳沢委員 ありがとうございます。

 食料システム法案によって商慣習の見直しが進むことが期待されておりますが、農水省、この商慣習の見直しについて、今後はどんな体制で取り組んでいくことを予定しているのか、この辺を教えていただけますでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、これまでの取組は、農林水産省の本省を中心として、関係業界とよく連携をして取組を進めてまいりました。

 今後は、これを地方も含めて取組を更に広げていきたいというふうに考えているところでございます。具体的には、令和七年度におきまして、本省と地方農政局に二十名程度の専門の職員を増員をいたします。この職員が取引の実態調査も行いますし、相談窓口の対応なども行ってまいります。こういったことによってこの裾野を広げてまいりたいと考えてございます。

 また、ちょうど昨日、公正取引委員会がフードサプライチェーンにおける商慣行に関する実態調査というものを発表いたしてございます。各省庁におきましても、こういった食ロス、商慣行の見直しというものの取組が様々と進んでございますので、関係省庁とも連携をよくして、今後とも対応をしてまいりたいと考えているところでございます。

柳沢委員 それでは、ここで農林水産大臣にお聞きしたいと思います。

 大臣、この法案を通じて目指すべき食料システムの将来像、どのように考えているのか、御答弁をお願いできますでしょうか。お願いいたします。

江藤国務大臣 フランスのエガリム法とかそういったものをもちろん参考にしたわけではありますが、なかなかチャレンジングな法案だと思っています。その実効性を担保するのが努力義務でいいのかとか、様々な御指摘もいただいております。

 しかし、とにかくやってみようと思います。そして、やはり納得するということが一番人間にとって大切なことで、この食料システムに関わる生産、流通、加工、販売、消費者の方々が納得するということであれば価格形成は正しい。ただ、この流通の段階の中でどこかがどかんともうけて、どこかが非常に買いたたかれているというのはやはり正常な形ではないし、それは持続可能性も私はないんだろうと思っています。

 そして、とかく、この法案を議論すると、生産者のことばかり考えているような印象を持たれる方がおられますが、決してそうではなくて、生産者の方々がいなくなったら食料システム全体が崩壊するということがまず大前提としてありますけれども、しかし、そのシステムができ上がれば、消費者の方々も私は裨益をされる。

 そして、価格が妙に上がってしまった場合は、それはまた、私は、一方通行の話じゃなくて、ぐるっと回る話だと思っています。生産、流通、加工、販売、消費、そしてまた生産へと情報はフィードバックされて、そしてそこで情報がブラッシュアップされて更新されて、それで、時間をかけることによって、対象品目も広がっていき、そして食料の安定供給にもつながっていく。

 なかなかチャレンジングなものであって、ただ、今まで、こういった一つの目的に向かって、特に生産、流通、加工の方々が一つのテーブルに着くということはありませんでしたし、消費者団体の方々が御理解を示していただくということはありませんでした。やはり消費者の方々はできるだけ安く供給してほしいというのは正直な気持ちですから、その気持ちも理解しながら、しかし生産あってこそですよということも理解していただく大切な法案でありますので、是非先生方の御理解をいただければ大変ありがたいというふうに考えております。

柳沢委員 確かにそのとおりだと思います。農水大臣として、消費者の皆さんと敵対するわけではない、そういった考えだと思います。

 大臣としては、生産者の方と消費者の方、共に周知をしていってほしいと思うんですけれども、周知の仕方、訴え方、大臣の方から何かございましたらお願いしたいんですが。

江藤国務大臣 まずは、やはり農家の方々は基本的には個人事業者でいらっしゃいますから、農業生産法人ももちろんたくさんおられますけれども、いわゆる青申をしている方もまだ決して多くはないわけであります。やはり、生産コストを明確に示すには、事業計画を農業者の方々が経営者として立てていく。それによって、明確に数字、エビデンスがあれば価格交渉もできるし協議もできるということになると思うんです。

 ですから、一生懸命作ることについては農家の方々は非常に優れているし、プロフェッショナルですが、やはり価格については、例えば市場に出すところで終わってしまうとか、ありますけれども、ただ、宮崎なんかを見ていても、非常に強気の価格交渉をしている農家はいますよ、もう既に。この値段じゃないと売らないよ、分かりましたと、向こうが折れるようなピーマンやキュウリを作っている人たちはおられます。マンゴーなんかでもおられます。

 ですから、それが全部になるとは思いませんが、しかし、付加価値のあるもの、価値のあるものについては正当な評価が得られる、正当な評価を得られた上で価格形成がされる、そして、最終的な消費者の方々もその価値を認めていただいた上で購入していただくというようなシステム、とてもバラ色の話をしていて、じゃ、その実現可能性はどれぐらいあるのかと問われれば、それぞれやはり流通の過程にある方々は、なるべく安く仕入れたい、なるべく高く売りたいというのは、商売をやる上ではこれはもう当然の考え方ですから、それが全体としてあっという間に是正されるとは思えません。

 しかし、我々がこの法案を国会で審議をして取り組むことによって一つの大きな方向性は示すことができるのではないかと思いますので、法律が通った後、肝腎なことはやはり運用ですから、しっかり、先生から御指摘があったように、非常事態が生じたとき、様々な事態が生じたときに見直しを行うなど、柔軟な運用を行うことによって実効性を上げていきたいというふうに考えております。

柳沢委員 どうもありがとうございます。

 最初の質疑のときに、大臣の方から、宮城三区の中山間地の農業の方々にメッセージを送っていただきました。彼らから、大臣が直接言ってくれたので、農地を放棄することなく今年もやってみようと思う、前向きなお話もいただきました。

 その中山間地の皆さん、今大臣がおっしゃいましたけれども、価格に対して、やはり直接的に訴えるような体制ができていないと思います。そんな農家の方たちに、何かこの法案に対するメッセージ、こういうふうにやっていったらいいんじゃないか、そんなことがございましたらアドバイスいただけますでしょうか。

江藤国務大臣 やはり条件不利のところというのは間違いなくあるわけですよ。規模を拡大したいといっても、棚田はできません。全くできないわけじゃないですよ。大規模土木工事をやって棚田を広げたところも、全国的には、長崎とか、そういうところはありますので。できないことはありますが、ただ、中山間地に行けば行くほど高齢化も進んでおりますから、そういう段階において、更なる設備投資、いわゆる投資を行った上でコストを下げていこうということを言うのはなかなか難しいと思います。

 ですから、我々としては、私も何度も申し上げておりますが、中山間地域のようなところについては、直接支払い制度についても単価を上げるなどの見直しを行う、条件についても、急傾斜、いわゆる傾斜要件だけに着目したようなものについては見直しをする、そういった、やはり政策はパッケージだと思っておりますので、一つの方策をやれば中山間地域は救われる、そういうものでは決してなくて、このシステム法案も一つの一助とはなると思いますが、これだけでどうにかなるということではなくて、様々なこの委員会の質疑を通じて新たな農政の枠組みを基本計画に基づいてつくって、それによって地域が次の世代にまで引き継がれていくような努力を先生方と一緒にしていきたいというふうに思っております。

柳沢委員 ありがとうございます。

 農家の方々、消費者の皆さんとの直接的なことが離れている、乖離していると、非常に困っているというようなこともございます。持続的な食料システムの確立のためには、農林水産業と食品産業の健全な発展、そして何より消費者の理解が必要だと思っております。しっかりとした周知、広報もお願いしたいと思います。

 このような広報について、大臣、どんなことをお考えになっていますでしょうか。

江藤国務大臣 やはり農政のこれまでの一つの反省として、一生懸命制度はつくりました、一生懸命見直しも行いました、予算も確保しました、しかし、変わったことを知らない、そういう制度があることも知らない、そういう方が多かったという側面はやはりあったと思います。

 ですから、先生がおっしゃるように、知っていただく。やはり、現場と、それから基礎的な自治体と、県と、それから国政を預かる私たちとが、できる限り同じ方向を向いて情報も共有できるような努力をしないと、一生懸命やったんだけれども使われなかったということでは意味がありませんし、そういうことがないように、やはり広報にも力を尽くしていくことが政策の実効性を上げていく上では欠かせないというふうに考えております。

柳沢委員 どうもありがとうございました。

 ちょっと早いんですけれども、以上で質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。しっかり質問させていただきます。

 まず、今日は米の価格の話もいろいろさせていただけたらと思いますが、その前に、今回、配付資料を今お配りしているんですが、A3裏表になっております。そのうちの一というもので、食品産業の持続的な発展に向けた検討会、上段でございます。そちらに検討会の構成メンバーの一覧がございます。生産者に全中、全農さん等が入っているというところでございます。

 まず、こういう農水省の検討会、また他の審議会、こういったものにおける構成員の在り方でございますが、全中さん、全農さん、これは生産者なんです、位置づけられているんですが、実情としては流通業者に当たるのではないでしょうかという質問でございます。

 特に米などは、集荷してそれを出荷するという集荷業者であって、生産には、まあ苗とかは直接育てていらっしゃるところもありますが、特にこれは、これからの審議会、やはりちょっと考えていただきたいなということも含めて、まず、農水省から、やはり現場で農業をやっていらっしゃる、そして農業の薫りがする、顔が見えるような方に生産者として来ていただくべきではないか。まず事務方にお聞きしたら、実際のところ、代表の方はやはり事務方の方がいらっしゃって、実際には農業をされていらっしゃらないということでございます。

 そういった意味で、農水省からまず御回答をお願いいたします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今資料でも御提示ございました、食品産業の持続的な発展に向けた検討会あるいは適正な価格形成に関する協議会におきまして、今回、食料の持続的な供給を実現するという観点から、多角的に議論をしていただくということで、御覧のとおり、生産、製造、加工、流通、販売、消費などの幅広い関係者の方々に参画をいただきました。

 御指摘の全国農業協同組合中央会あるいは全国農業協同組合連合会の方々におかれましては、農業者の立場ということで出席をいただきました。これは、幅広い関係者が参画する中で、農業界を代表して意見を述べていただく上では、やはり農協の根幹が生産であり、全中、全農は農業者の協同組織を主たる構成員としているというところを捉えまして、検討会や協議会の運営を行ってきたところでございます。

空本委員 食品産業ですので、これ以外にも、例えば魚とか養殖物とか、そういったものがあろうと思うんですが、水産業者も検討会のメンバーに入れるべきではないかと思うんですが、これについても政府からお願いいたします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 検討会あるいは協議会の議論は、元々、改正食料・農業・農村基本法の、食品産業の健全な発展ですとか、費用を考慮した合理的な価格形成を端緒として議論を開始をしたところでございます。食料にはもちろん水産物も含まれますし、食品産業には水産加工業者も含まれるところではあるんですけれども、その主眼はやはり農産物などであったところでございます。このために、まずは農産物などに関連する方々に参画をいただき、御議論をお願いしたといったところでございます。

 なお、適正な価格形成に関する協議会におきましては、品目別のワーキンググループを設置して、品目ごとの関係者に参画をいただいて具体的な議論を進めてございます。今後、水産物の議論、こういったものを開始する場合には、もちろん水産関係者に参画いただくことになるだろうというふうに考えているところでございます。

空本委員 適切な方を選んでいただきたいと思います。

 そして、こういう農林水産省の審議会、検討会において、大臣にお願いしたいところなんですが、農協さん、これはやはり流通業者ですよ、どう見ても。そして、生産者、ここには本当に農業とか水産業とかをやっていらっしゃる方々を入れていただきたい。いかがでしょうか。大臣よりお答えください。

江藤国務大臣 今局長から御答弁させていただいたように、食料・農業・農村基本法の趣旨に基づいておりますので、今回は水産は入っておりませんけれども、この構成メンバーについては、余り多過ぎてもよくないというのもありますし、しかし、十分に全体の意見が聞けていないということも私はよくないんだろうと思います。

 全中については、全国のいわゆる農協の代表者で組織された組織ですから、まさに生産者の代表としてふさわしいと思います。

 そして、全農については、両方の側面を持っているんだと思いますよ。でっかい組織なので、先生から見れば、でっかい、大きな、いわゆる農協系の商社じゃないか、そういう御指摘もあるのかもしれません。しかし、いわゆる農家、全国の農家にくまなくネットワークを持っているということもこれまた事実でありますので、経済連も私の宮崎にもありますし、そういったところの結びつきも強いので、今のところは生産者サイドの代表として入っているということであります。

 今後の構成メンバーについて、これで固定的だということを申し上げるつもりはありませんが、今現在の状況として全農、全中が入っていることについては、やはり生産者サイドに入れておくこともそんなに違和感はないのではないかなというふうに理解をいたしております。

空本委員 全中、全農が入っていることに対しては違和感は感じていませんが、生産者として入っていることに対しては違和感を感じますので、その辺、見直しをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 そして、農協の在り方に少し触れさせていただきたいんですが、最近、農協の統廃合が多くて、そして、支店とか営業店舗、こういったものが集約されて地域から消えています。これはもう全国的な流れかと思いますが、そんな中で、元々営農の指導機関であった農協が、営農指導員をもう近くに置かず、地域に置かず、さらには地域金融としての機能しか持っていない、こういうふうな、私も、農協の共済も入っておりますし、農協の口座も持っております。また、農協からお金も借りております。そういった意味で、農協さんはすごくありがたいんです。という意味で、やはり地域金融機関にもう変貌している。

 農協の組合長さんとかは、農業経営、農業をやっていらっしゃった方々が、特に米作りをやっておられた方々が、実際も今やっていらっしゃる方々が単協の組合長さんでいるんですが、けれども、全体的な組織としては、もう金融機関になっていて、営農指導機関にはなっていないと思います。

 大臣、この点、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 九年前に農協法の改正をやりました。あのときは、私はもう自民党の農林インナーの中に入っていまして、土曜も日曜もみんなで集まって議論をしたことを覚えております。そのときに、やはり選ばれる農協でなきゃ駄目だよねというのが一番基本的な考え方でした。そして、その選ばれるということの中には、営農指導というものをしっかりやらないといけないということはもう中心的な議論としてあったことをよく覚えております。

 我が宮崎も、いろいろ御意見はありますけれども、一県一農協、十三JAがあるんですけれども、一県一農協に移りました。それはやはり、農家の方々に、我々もスリム化することによって、業務の効率化を図ることによって、農家の方々のサービスの質を上げていこうという理念の下にやったことであって、決してJAが金融機関だけではないというふうに私は思っています。私も実は住宅ローンを借りておって、今年無事完済して、担保権が外れて、よかったなと実は思っているんですが、まあ余計なことですけれども。

 ですから、金融機関としての機能も必要なんですよ。田舎に行けば行くほど、JAの支所が潰れて、そこにATMがあったのがなくなったのが寂しいとかそういう声も聞きますので、金融機関としての機能も必要ではありますけれども、しかし、主な業務としては、やはり農家は協同組合という理念を忘れてはならないというふうに思っております。

 協同組合とは何ぞや、今年はまた記念の年でもありますので、しっかり、全国の農協の方々にとっても、この間言っていただきましたね、全国の農協の方々にとっても大事な年であります。やはり原点に立ち返って、我々こそが地域の農業を支えているんだという誇りを持っていただいて頑張っていただきたいと私は思っています。

 特に私の地元なんか、よく台風が来ますけれども、台風で被害が出ると最初に駆けつけるのは農協の職員ですよ。間違いないです。そして、その次に来るのが共済の職員ですよ。ですから、農協の方々は非常にやはり現場には寄り添う姿勢を持っているということは、先生、是非御理解いただきたいと思います。

空本委員 しっかり営農指導ができるような機関として、農水省から指導いただきたいと思います。

 順番をちょっと飛ばします。最後の質問にさせていただきたい。最後といいますか、郵便行政の件と一緒にやらせていただきたいんですが、総務省さんの方にまずお聞きしたいと思います。そして、その次に農水省さんにお聞きしたいんですが。

 中山間地域、重要な課題は、高齢化、鳥獣対策、草刈り、そして、地域に金融機関とか、また小売とかがない状況にある、農協が今どんどんどんどん集約、そして店舗がなくなっている。その中で、今回、郵政民営化法案の改正が議員立法で議論されるところでございます。その中で、地方の郵便局は今、どんどん経営が厳しくなっている、生き残れるかどうか分からない状況にあります。

 そのときに、地域を守るためのコミュニティーハブとしての位置づけというのがあるかな、中山間地域や島嶼部ですね、特に。そういった地域においては郵便局というのが、農協が消えているんですから、残るは郵便局しかないと思います。そういった意味で、そういうコミュニティーハブとしての位置づけ。

 そして、郵便局長さんの方から話を聞いたりしているんですが、やはり、例えば草刈りとかは、地域のおばあちゃんが、やってほしい、そういったものを頼まれるんだと。そういったときにそういう郵便局さんがやってくれればうれしいよね、郵便局の局員さんとか局長さんとかが仕事としてやってくれたら本当にありがたいよねというような意見もいただきます。

 そういった意味で、中山間地域でありますので、中山間の直接支払いとか多面的機能、こういったものを有効活用して、郵便局の一つの仕事として、例えば地域共創事業部という、郵政の方では考えられていらっしゃるというんですけれども、そういった取組をますます加速させるというか、郵便局が地方で生き残れる、中山間地域、島嶼部で生き残れるような仕組みづくりを農水省と総務省で組んでやっていただきたいと思うんですが、まず総務省から御見解をお願いします。

牛山政府参考人 総務省よりお答え申し上げます。

 中山間地域や島嶼部を始めといたします日本の地域社会におきまして、全国二万四千局のネットワークを持つ郵便局は、地域の重要な生活インフラとしての役割を担っており、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、地域の実情やニーズに合わせた取組への期待もますます大きくなってございます。

 日本郵便におきましても、こうした期待に応えるため、社内に専門の部署を設置し、自治体窓口事務の取扱いや買物支援、地域の見守り等の取組を実施しているところでございます。

 総務省としても、これまで、郵便局でのオンライン診療、服薬指導や、共助型買物サービスと組み合わせた地産品配送の実証事業を行うなど、郵便局の利活用による地域活性化を後押ししてきたところでございます。

 令和七年度におきましても、自治体窓口事務などの行政サービスとオンライン診療、買物支援といった住民生活支援サービスを一元的に提供するコミュニティーハブとして郵便局を活用するための実証事業を行うべく、必要な予算を確保しております。

 また、令和七年度より、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づきまして窓口事務を受託する過疎地の郵便局等に対しまして市町村が行政サービスや住民生活支援サービスを委託することに伴う初期経費につきまして、特別交付税措置を講じることとしております。

 こうした取組をしっかりと進めまして、今後とも、郵便局が住民に身近な存在として中山間地域や島嶼部を始めとする地域の活性化に貢献する役割を果たせますよう、農林水産省を含め関係省庁とも連携しながら支援をしてまいりたいと考えております。

空本委員 じゃ、農水省さんからお願いいたします。

前島政府参考人 お答えいたします。

 中山間地域等直接支払いと多面的機能支払いにおきましては、農業を行っていない団体が共同活動に参画したり、保全活動などを行う組織から作業を受託することが可能となっております。

 お尋ねの郵便局につきましては、島根県雲南市におきまして、中山間地域等直接支払いの集落協定が、協定の人手不足により負担となっていた事務作業を郵便局に委託している事例があると伺っております。

 また、東海農政局におきましては、今年三月に日本郵便株式会社と連携協定を締結いたしまして、中山間地域等におけるコミュニティーの維持や地域資源の利活用などの地域振興の取組におきまして緊密な協力を図っていくこととしたところでございます。

 両支払いの活動を行う組織は、共同活動への参加者の減少や高齢化によりまして、弱体化が課題となっております。多様な団体や非農業者の共同活動への参画の促進などを通じまして、共同活動が継続できる体制づくりを進めてまいりたいと考えております。先ほど答弁申し上げました取組を含めまして、郵便局と連携した地域活性化の取組の推進に向けまして、総務省と連携を深めてまいりたいと考えております。

空本委員 今、とてもすばらしい御見解だと思います。総務省と郵便局と、そして農水省、地域の農家の方々がタッグを組んだり、また市町村がタッグを組むということは、やはり地域の活性化にとても重要であるというふうに考えますので、是非お願いいたします。

 そして、配付資料の、まず先ほどの資料の下側、今度は、食品の価格が適正であるかどうか、そういったもの、米についてまず考えてみたいんですが、これは先日の参考人質疑でも参考人の方から配られた資料の中に入っておりますけれども、米のコスト指標のイメージで、生産費、あとは、集荷、卸、小売、こういったところで輸送費とか人件費とか包装費とかが入っているよ、基準年が令和四年ならば、直近年は令和六年産米、幾らなのかなというので、今大変これが高くなり過ぎているのではないかという消費者の皆さんの不信感、こういったものが大きくなっているのではないかなと思います。

 そして、その資料の裏側を見てください。こちらに、私なりにいろいろ考えて、米の取引の考え方の一例ということで示させていただきました。玄米六十キロ当たりどのぐらいかかるのかなというところです。

 左から見ていただきますと、令和五年、令和六年産米の米農家さんの売上げは、六十キロ一万五千円、ちょっとこれは違ったと思います、仮の数字として考えてください。そして、相対価格が一万八千円だった、JAさんの販売手数料が三千円だったと仮定します。令和六年は、農家さんは二万円。そして、販売手数料、これは三千円かどうか分かりませんが、ちょっとプラスアルファあるかもしれません。そして、相対価格、これは二万四千円と書いていますが二万三千円ですね、済みません、私の記載ミスでございます。

 そういった中で、一番右側を見てください。小売、消費者のところで、精米しますので、一割、米は目減りします。だから、六十キロの米は五十四キロぐらいになります。そのときに幾らで売られていたか。

 実際、去年は二千円台で売られていたということなんですが、五十四キロ三万二千四百円が一番計算しやすかったので、例えば、五キロ三千円だったと、去年。

 そして、令和六年産米、ちょっとこれは上がっているよね、五千円若しくは八千円ぐらい、農家さんの概算金と精算金は上がっているよねと。その中で、販売手数料を加味して相対価格は二万四千円。小売価格はどうなるかというと、本来、農家さんに五千円だけアップしたならば、五十四キロ当たり三万七千八百円のはずです。五キロにすると三千五百円ぐらい。これが、現在、一般のスーパーマーケットでは四千五百円になっている、五キロが。となると、五十四キロで四万八千六百円になっている。

 じゃ、三万二千四百円から三万七千八百円になっていて、その差分、三万七千八百円と四万八千六百円の差分を考えると一万円、どこにこれが消えていったのかな、それは、卸であり小売であり、その卸の手数料、小売の手数料、そこで物流費も上がったかもしれませんが、これが上がり過ぎているんじゃないかなと。ここを農水省にしっかり見てもらわないと、本当に説明できないと思うんですよ。

 今、農協が取り過ぎているんじゃないか、この販売手数料は取り過ぎじゃないかなという話もあります。

 じゃ、卸とか小売、そして下の段を見ていただくと、一般集荷業者は、例えば、六十キロ二万とか以上に、もっと二万数千円、今年の米、令和七年産米だと、三万円で六十キロ引き取るよと言っている方々もたくさんいらっしゃって、もっと上がっていくんじゃないかなと。そして、そういう方々は、例えばインターネット販売をされています。袋は自分たちで包装を作ってやっているとすると、そこにまたどんともうけが発生している。だから、集荷業者、卸さんはすごく今もうかっている状況にある、これは間違いないです。

 ここが適正にならなければ、一般消費者、主婦の方々がスーパーマーケットで買う五キロ、まあ三千五百円というのは厳しいかもしれないけれども、四千円弱ぐらいで買えるんだったら納得してもらえるんじゃないかな。ここを解明することが今回の販売価格の高騰の一番のポイントになると私は考えます。

 それで、お聞きしたいことは、まず、堂島の先物取引が始まりました。去年の八月でございます。ここで、この取引が実は、去年の八月も価格が上がってきました、米の値段が上がってきました、これが拍車をかけたんじゃないかな。いかがでしょうか、農水省。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、米の小売価格の動向でございますが、昨年の八月以降、二回にわたって上昇期が続いたというふうに承知をしてございます。

 まず一回目ですが、昨年八月八日に宮崎県沖の日向灘地震が発生をいたしました。この際に南海トラフ地震臨時情報が発令されましたが、それ以降、十月初旬にかけまして、大体五キロ当たり二千六百円程度から三千三百円程度まで上昇したというふうに承知をしております。また、その後、二回目といたしましては、昨年十二月から本年三月にかけて、五キロ当たり三千五百円程度から四千二百円程度まで上昇していた。この二回があろうというふうに考えてございます。

 一方で、御指摘の米の先物取引でございますが、こちらは、昨年八月十三日に堂島取引所の取引が開始をされました。取引開始当初は取引量も非常に少なく、昨年十二月までは、日々の取引量に応じて価格が一進一退するような、市場としてはまだまだ未成熟な状態でございました。

 また、二期目の昨年十二月以降は、六十キロ当たりで日によって二万五千円から二万七千円台までいろいろと推移をするようなことはございましたが、現時点におきましても昨年十二月頃と大きな変化がないといった状況でございまして、小売価格と先物の取引の価格は動き方がかなり違うなという印象を持ってございます。そういったことから、先物取引が米の価格高騰を招いたというような認識は持っていないようなところでございます。

 なお、先物取引につきましては、当然、急激な価格変動に対しまして、一日の値動きが大きい場合には値幅制限を実施するなど、市場の監視、監督を適正に実施をしてきてございます。

 引き続き、安定的な市場運営が行われるように、取引状況を注視をしてまいります。

空本委員 先物は影響していないとおっしゃる。一応、私はその辺はもう少し注視して見ていきたいと思っております。

 その中で、米の値段が、実際、農家さんの生産費は幾らだったかな、前回も質問しました。六十キロ当たり、玄米で、平地で一万四千円、そして中山間地域で一万八千円。ちょっとこれは飛ばしますので、済みません。

 一人当たりの人件費の時給は幾らでしょうかということをお聞きしたいと思います。

深水政府参考人 お答えいたします。

 水田農家の時給についてでございますけれども、仮に、営農類型別経営統計において把握をしております水田作経営における農業所得を単純に自営農業労働時間で割ったものでお示ししますと、経営規模等に応じて大きく異なっておりまして、令和五年においては、自家消費が主な小規模な経営体を含めた水田作経営の平均でいえば九十七円、農業の所得が主である主業経営体の平均で見れば八百九十二円、主業経営体のうち作付面積二十ヘクタール以上の層で見れば千九百十七円というふうになります。

 以上でございます。

空本委員 ありがとうございます。

 九十七円、八百九十二円、千九百十七円、いろいろ、まちまちなんですね。地域によって、中山間なんかは逆に、時給というか、もう時給はないもの同然かと思います。こういうことを踏まえて米の値段の在り方というのを考えなきゃいけないのかなと思います。

 そして、備蓄米について考えても、今、第一回、第二回、第三回の取引についての農水省さんの資料、四月三十日付プレスリリースがありまして、大体、落札価格が二万一千円、二万二千円前後かなというところであります。

 じゃ、二万一千、二万二千円だった場合、米の値段が今後どうなるかというと、相対価格が大体二万四千五百円とかそのぐらいでしたので、そのときの販売手数料を考えたときには、三千、四千円乗っけていくとすると、五キロ四千円ぐらいは変わらないのかもしれません。

 そういうことも踏まえて、じゃ、今度は、これについて考えるときに、コスト割れを絶対、中山間地域なんかは起こしていると思うんですよね。

 兼業農家についていえば、確実に、他の仕事、会社員をやっていて、そこで得た所得をもって農機具を買う。農機具も肥料もすごく高くなっています。コンバインなんかは一千万を超えてきている。そして、コンバインを例えば機械メーカーさんの店舗に持っていって、それをメンテナンスしてもらうとすると、一回につき、百万は行かないけれども、八十万、七十万というような費用がかかってしまう。これもすごく大変な状況なんですよね。それが全部生産費に乗ってきますので、米の農家さんの所得としてはというか、まず売渡価格としてはやはり二万円ぐらいないと、今、六十キロ二万円ないとやっていけない状況にあります。そういうことを聞きます。

 その中で、コスト割れ、兼業農家、政府としてどうお考えか、お答えください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米農家の方々の生産コストということでございますけれども、規模によって生産コストも違っております。規模拡大を図っている方々は、しっかり所得を得ておられる方々もおられると承知しております。他方、作付規模が小さく、生産費の高い農家の方々は、これまでなかなかコストが賄われていない状況にあったというふうに認識しております。

空本委員 規模が小さくても、中山間地域、さっき中山間地域のお話も質問にありましたが、その中で、やはり規模が小さくても維持していかなきゃいけない。そういうときは農機具が要るんですよね。田植機も要るし、コンバインも要るし、大変なんですよね。そういったときに、やはり地域を守るということであれば、ある程度の若者も入ってもらわなきゃいけない。そのときに所得というのをどう考えるか。

 確定申告をします。確定申告の際に、農業所得について、生産費、いろいろな費用を引いた上で、どのくらいだったら若者は農業を維持してもらえるのかな。その辺、農水省のお考え、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 若者の方々が就農していただける所得、こういったことを一概に申し上げることは難しいと考えておりますけれども、その上で、あえて申し上げますと、例えば、認定農業者制度に基づきまして、それぞれの市町村では、地域の実情を踏まえて、基本構想で、認定農業者の認定に当たっての所得目標、こういったものを定めております。この基本構想では、全国平均で四百万円程度の所得を上げることが基準となっているというふうに承知しています。

空本委員 実際、若い方々がやっていただくためには、三百万、四百万しか今手取りがないよというか、そういう方々もたくさんいらっしゃって困っているよ、地域が困っている。逆に、米農家でも、一人でやられる方、若しくは家族でやられる方でも、やはり五百万以上、六百万、七百万、できれば、キュウリ農家さんと話したんですが、五、六百万でやっているんだけれども、やはり継承してもらうためには一千万近く所得がないとやっていけない、そして維持できないという方もいらっしゃいます。そういった意味で、農業所得ということをすごく考えていただきたいと思っております。

 そして、こういう、先ほど示しましたが、農協さんの販売手数料というのは適当とお考えでしょうか。そして、去年は三千円ぐらいかな、六十キロ。今年、幾らぐらいなのか、そういったものを的確に把握されていますでしょうか。農水省さん、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 米のJAグループの方々の集荷、流通にかかるコストにつきましては、集荷業者の方からの聞き取りによれば、例えば、年産でございますとか産地、銘柄によって異なるものの、相対取引価格のおよそ一〇%程度、六十キロ当たりおおむね二千円程度というふうに聞いております。

空本委員 相対価格の一〇%ならば、変わってくるんですよ。例えば、相対価格、去年は一万八千円だった、今年、二万四千円である。となると、一割ということは、この販売手数料も変わってくるはずなんですね。そうすると、そこが引かれている、それは適正なのかどうか。農水省、いかがですかね。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの相対価格の約一〇%の流通にかかるコストということでございますけれども、その中には、当然必要な、例えば、保管料でございますとか運賃、こういったものが四%、八百円程度、あるいは検査でございますとか広告の費用、こういったものが四百円、そのほかに手数料として六百円、三%程度、こういうふうに聞いておりますので、こうした必要な手数料なり経費が引かれている、計上されているというふうに承知しております。

空本委員 そして、今、カーボンプライシング、GX法案が審議されております。そのときに、輸送費が上がってきます。それに加えて、カーボンプライシングは、輸送機関、鉄道とかトラック業者さん、燃料費が上がりますので、こういったところに影響するんじゃないかなと思うんですが、国土交通省さん、いかがでしょうか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、農産物や水産物を含みます食品等の輸送を物流事業者が請け負う場合の運賃・料金につきましては、燃料費や人件費、設備投資費等を加えまして、その時々の需給状況等を踏まえて個別の事業者間で決められるものでございまして、現時点において、その見通しについて予断を持ってお答えすることは難しいと考えております。

空本委員 そうしましたら、エネ庁さんの方に、電気、そして燃油とか油、こういったものの高騰もこれからカーボンプライシングで行くんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、将来の電気料金につきましては、発電に係る新たな技術の開発導入の状況、カーボンプライシングも含めたGXの進展による化石燃料の調達コスト等の低減状況、燃料価格の変動、人件費や発電設備の維持管理に必要な資材等のコスト変動といった様々なコストの増減による影響等を受けることに加えまして、需要家が負担する料金の水準は事業者が設定するものであるため、予断を持ってお答えすることは困難であるというふうに考えております。

 ガソリン等の燃料油の価格につきましても同様に、国際的な原油価格、為替動向、各ガソリンスタンドの経営状況や競争環境など複合的な影響によって決まるものであるため、予断を持ってお答えすることは困難であると考えてございます。

空本委員 カーボンプライシングをやると、頑張っても、やはり、先日経産委員会の方で質問させていただいたときには、政府の見解として、過度な負担を国民に押しつけることはないとおっしゃったんですが、過度の負担ではなくて、負担はさせるんですね。押しつけるんですね。ここを、様々な農産物、食品なんかについても物流コストがかかってきますので、上がります。

 そして、今日お示ししました相対価格と販売手数料とそして卸の手数料、こういったところが実際どうなっているかというのを解明してもらわなければ、米の価格高騰の本質を議論できないと思います。是非とも農水省さんの方にはこちらの徹底解明をお願いしたいと思いますが、最後、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 備蓄米についてはしっかり報告を求めています。今ここで申し上げた方がいいと言っていますから、紙が来ましたので申し上げますが、集荷業者の経費は、三月十七日から四月十三日までの実績ですけれども、集荷業者の方々は六十キロ当たり九百六十一円。しかし、卸売業者の方々は、経費、利益は六十キロ当たり七千五百九十三円取っています。

 これは、他方、第三回の米のワーキンググループにおいて令和四年産を対象としたコストの調査結果とこれを比較しますと、地域によってばらつきはありますけれども、卸の方々は六十キロ当たり二千二百六円から四千六百八十九円ですから、この備蓄米については、卸の方々はかなり乗せているなというのが率直な数字であります。

 ですから、多分、委員の御指摘というのは、備蓄米だけではなくて通常の取引についても情報をしっかり取るべきではないかということだろうと思いますが、しかし、商取引でありますので、それぞれの卸、それぞれの段階においてコストは違うかもしれませんけれども、やはり、そこら辺については合理的な価格形成ということを我々は今目指しているわけです、この法案によって。ということは、このシステムの中にやはり流通というものは入ってきますので、御指摘のようなこともやはり考える場面が出てくるのかもしれないなというふうに考えております。

空本委員 これはブラックボックスなんですね。ここを解明することによって、消費者の皆さんも、農家の皆さんも、また流通業界の皆さんも安心すると思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、臼木秀剛君。

臼木委員 ありがとうございます。国民民主党の臼木秀剛と申します。

 今回、法案の質疑の機会をいただきまして、委員長を始め、委員の皆様方には改めて感謝を申し上げます。

 今回、この法案につきましては、先般改正がされました食料・農業・農村基本法の二条、二十三条に基づき、流通のところにおいて、特にきちんと合理的な価格形成であったり理解醸成をしていくんだという趣旨で提出をされているものと承知をしております。

 まず、改めて確認をさせていただきたいんですけれども、食料・農業・農村基本法の二条、二十三条にもある合理的な費用というものについて、どういう意味を持つのか。また、今回あえてこれを出しているということは、今までは合理的ではなかったから合理的な費用をつくるんだという趣旨であると思いますので、今まではどういう点が不合理であったか、どういう点を直さなければいけないということを考えておられるのか。参考人でも政府の方でも結構です。御答弁をお願いいたします。

庄子大臣政務官 ありがとうございます。

 今御指摘の合理的な費用につきまして、誰にとってという意味でいえば生産から消費に至る各段階の関係者、そして、どのような点でという意味で申し上げれば納得が得られるという点において、合理的であるという旨をこれまでも答弁をしてまいりました。これは、昨年改正されました基本法において規定をされているとおりでございます。

 近年、資材価格やエネルギー価格が高騰する中で、生産者や集荷業者等、食料システムの一部の関係者におきまして、コスト割れをして供給せざるを得ないという状況に至る、こうした不合理な事態が生じてまいりましたために、費用を考慮した取引を促進するという本法案を提出をするということになったものでございます。

臼木委員 ありがとうございます。

 生産から消費までということでありましたけれども、本法案につきましてはBトゥーBということで、生産から流通、販売のところまでを基本的には規定をしているものだというふうな理解をしております。

 その上で、今ありました最後に消費者に行くところに、先日、大臣からの答弁であったかとは思いますけれども、全ての価格転嫁がプラス、プラス、プラスとされるわけではないということではあるにせよ、やはり消費者の負担感につながるということは本委員会でも既に指摘を多数されております。

 やはり、今、まだまだ消費力、購買力が伸びていかない中で、消費者の皆様方にどのような説明、どのような措置を講じていくのかということについても御説明をいただけますでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、消費者の理解醸成というのが非常に重要なテーマでございます。この法律の中にもコスト指標というものを規定いたしてございます。これは、生産から製造、加工、流通、販売、要は、消費者の手元に届くまでにどれだけのコストが実際かかっているのかということを目に見える形にしていこうというものでございます。この取組自体、非常に難しい取組ではありますが、こういったコスト指標を明らかにしていこうというのが、まず第一点目でございます。

 それからもう一つ、法案の中で計画制度というものがございます。この中では消費者への情報伝達の計画制度というものもございます。これは、食品産業の皆様方が直接的に消費者に接するという意味において、消費者に、生産現場、製造現場は一体どういう状況にあるのかということを、広報媒体なども活用しながら一生懸命アピールをしていただく、そういう取組を後押ししようと、こういう中身をこの法案の中に盛り込んでいるところでございます。

臼木委員 ありがとうございます。

 確かに、おっしゃるところも分かりますし、これから消費者の皆様方の理解醸成もしていかなければいけない。さらには、生産者の皆様方にも、やはり、今まで少しコストのところ、御無理を強いていたところにきちんと転嫁していくということも必要だとは思います。

 ただ、一方で、消費者の皆様にとっても、必ずしもきちんとした情報がという方ばかりではないんだろうなという気もしております。例えば、デフレ下であるという理由はあるかもしれませんが、令和五年度の食生活・ライフスタイル調査では、やはり、環境配慮であったり、こういった生産者を応援したいということもまだまだ数字としては低いですし、先日大臣が答弁されていましたけれども、どおんと積んでばあんと運んで、とにかく量があったらいい、とにかくおなかいっぱい食べられればいいという消費者の方もおられるでしょうし。こういった多様なニーズのところにも目くばせをして、要は、付加価値がある飲食料品等を求める方に対しては、きちんとした価格転嫁の上乗せをしていく。

 一方で、当然、原価割れということはあってはならないと思います。当然、生産者の皆さん方からのコストの積み上げということはきちんとしていった上で、それでも、低廉な食料品というものの需要であったり、消費者側のニーズもあるとは思いますので、こういった幅広い消費者のニーズにも目くばせをしながらこの法律を回していただきたいと思いますけれども、大臣、御答弁いただけますでしょうか。

江藤国務大臣 言われるとおりだと思いますよ。ですから、この食料システムをつくりたいわけであって、これが持続可能なものにならなければならない。国民の皆様方にできる限り理屈の通った値段で物が届く、そして、生産に関わる方々も、流通に関わる方々も、加工に関わる方々も、やはり事業が継続できなければ、システムの途中がなくなってしまうと流通全体のシステムも壊れてしまいますので、どこか特定のところに利益を供給しようというものではありません。

 先ほど申し上げましたが、農家の方々に対しては、やはり、もう最近のウクライナへの侵略をきっかけにして余りにも生産コストが上がっていて、それが反映できていないと悲鳴に似た声が上がっています。それに対しては応えなきゃいけないと思っておりますが、しかし、だからといって、消費者の方々には高くなって当たり前でしょうということを言うつもりもありません。

 ですから、やはり各段階でしっかりとした協議をして、そして、一度ここまで行ったらまた元に戻ってもらって、それを何回かぐるぐる回ることによって、このシステム自体がうまく回転するようになるという世界を求めていきたいと考えております。

臼木委員 大臣、非常に明快な答弁ありがとうございます。私も全く思いを同じくするところであって、やはり、生産者の皆様方、大変御苦労されておりますし、きちんとここの部分を見ていく必要があると思っています。

 その観点で、もう一点、今回、法の三十六条で、飲食料品等事業者等については努力義務がかかっております。この飲食料品等事業者等については、生産者も含まれると既にお聞きはしております。とすると、この生産者の皆様方にとって、何か実務的な負担が生じるのか、ないし、負担感を与えるようなことがあり得るのではないかという懸念もあるようですけれども、法を読む限りそういうことはないんだろうと思いますけれども、是非、生産者の皆様に向けて大臣から明確なメッセージをいただければと思いますが、いかがでしょうか。

庄子大臣政務官 お答え申し上げます。

 三十六条関係でございますが、この法案の努力義務につきましては、飲食料品等事業者等を対象としておりまして、今御指摘のとおり、生産者も含まれてまいります。

 この努力義務に基づきまして、生産者には、主に売手として、持続的な供給に要する費用等を取引相手に示すことが求められるわけでございますが、場合によっては困難なケースも想定をされますので、御自身のコストの代わりにコスト指標を用いて協議を行うこともできるということにしております。生産者の負担にもしっかり配慮をして取り組んでいきたいというふうに思っております。

臼木委員 ありがとうございます。

 三十六条から四十条まで規定がされていますけれども、取組が不十分な場合については、勧告、公表というような措置も組み込まれているところでございます。

 ちょっともう一度、大臣から是非メッセージをいただけますでしょうか。

江藤国務大臣 ですから、先ほども申し上げましたが、全ての方々が生産コストをしっかり把握することはやはり難しいんですよ、青申もしていないわけですから。ですから、代表的な地域の数字を取らざるを得ない。しかし、同じものを作っていても、中山間地域と条件のいいところでは生産コストも違いますから、できるだけ細かくやりたいと思っております。

 しかし、やはり、このシステム全体に関わる方々は、全ての方々に御努力をいただくということだろうと思います。生産者の方々も、これだけかかったんだから当然上げてもらわなきゃ困るということだけではなくて、やはり、生産効率を上げていく、そういう努力もやっていただくこともシステム全体を守る上では大事なことですから。ですから、この三十六条については、生産者も関わっておりますけれども、しかし、これは過度な負担をかけるということがあってはなりませんが、しかし、やはり、このシステム全体に関わっている方々はみんなで一緒に努力をしましょうという趣旨でございますので、御理解いただければと思います。

臼木委員 ありがとうございます。

 少し飛びまして、法の四十一条で、今回、指定飲食料品等の措置が講じられることとなっています。実際に、今農水省の方から御説明をいただくと、品目としては、牛乳それから豆腐、納豆、米、野菜というものを指定することを検討しているということを伺っていますけれども、そもそも、まずこの措置を設けた理由は何なのか。そして、この今四品目ですかね、牛乳、豆腐、納豆、米、野菜、これの指定を検討している理由についてお答えいただけますでしょうか。お願いいたします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律でございますが、指定品目について、コストを明らかにするということで、改めて規定をいたしてございます。この指定品目についてコスト指標を策定、公表するということで、これを通じて、消費者の理解醸成ですとか、あるいは関係者の生産性の向上を促していくということを意図しているところでございます。

 また、御指摘のございましたとおり、米、野菜、飲用牛乳、豆腐、納豆について、現在、関係者と協議を進めているところでございます。少なくとも、これらの品目については、きちんとコストを明らかにして、費用を考慮した価格形成を促していく、そういう立法の趣旨に即した形で運用を進めていきたいと考えているところでございます。

臼木委員 その上で、今条文の方を見ると「飲食料品等であって、時の経過によりその品質が特に低下しやすいこと、日常の生活必需品として日々その売買がされること等の性質により、」云々とありますけれども、基本的に、大体生鮮食品であればほぼほぼ入ってくるんではないかなと私としては思ってしまうんですけれども。その中で、今回、牛乳、豆腐、納豆、米、野菜という品目を検討しているということですけれども、これからどこまでこの指定をしていくことになるのか、見通しですね。要は、広げれば広げるほど、全ての指標を作っていく、それを農水省としてはきちんとウォッチをしていくということにもなり、マンパワーも要することになります。

 これが通った先の見通しということについて何かお考えがあれば、是非政務の方から伺いたいんですけれども、いかがでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この米、野菜、飲用牛乳、豆腐、納豆の今コスト指標の議論を、関係者が集まって協議を進めてございます。コスト指標の作成自体も非常に難しい課題でございまして、今、この四品目のその先をというお話がございましたが、まずはこの四品目についてきちんとコスト指標を作成するということが当面の課題であって、その先は今後検討するということだと思っております。

臼木委員 ありがとうございます。

 今、まずは四品目といって、なぜその四品目をまず挙げるようにしたのかというところをもう少し、ちょっとだけ教えていただいてよろしいですか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員からも条文の御指摘などもございましたが、少しかみ砕いて申し上げますと、小売業者などの棚において、販売の値頃感からすると、消費者に大体買ってもらえる価格はこれぐらいの価格ですというところから小売価格がまず決まって、そこから逆算で、納入価格といいますか、こういう価格が決まるようなことが、食品の場合、非常に多いところでございます。

 こういった食品に関して、まずはきちっと、どれだけコストがかかっているのかということを明確にしていこうということで、今回、こういった条文を規定したところでございます。

臼木委員 ありがとうございます。

 ほかにも様々な品目があるだろうなと個人的には思うわけで、どこまでやっていくかということは、きちんとやはりある程度今後の見通しも立てていく必要があるとは思います。

 確かに、このコスト指標を作るのは難しいということも事前の説明でも伺っていますし、この委員会の質疑でお聞きをしていても分かるんですけれども、できるところからというよりは、とにかくやはり必要なところからきちんとやっていく必要があるのではないかという問題意識を私は持っています。是非、この辺りについて、大臣、お考えがあれば伺えますでしょうか。

江藤国務大臣 今局長からも、若干言い方が難しかったですけれども、販売価格、店頭でこの値段で売りたいから、生産現場についてはこの値段でなきゃいけないというのがやはり一番の瑕疵というか、問題だと思うんですよ。特に牛乳なんかは、いわゆるお客様を呼び寄せるための商材として使われるから、九十円ですということがまず先にあってですね、小売に、そういうことはやはり大問題だということで、ずっと国会で議論されてきたことであります。

 やはりフィージビリティースタディーはしなきゃなりませんので。正直言って、この法案を作るときに、最初は米とか野菜とかなかった、これを入れること自体も非常にチャレンジングなんです。野菜というと何か一つみたいですけれども、野菜は物すごい枝が多いので、じゃ、果物はどうするんだという話にも多分なることであります。

 ですから、エガリム法もそうですけれども、やってすぐ実効性がどかんと上がる、それを求めておりますけれども、まずやってみようと。チャレンジしようという側面が強いので、チャレンジする段階から非常に難しいものをやってしまうと、なかなか広がるのが難しくなってしまう、これは正直な気持ちです。やはりできそうなところからまずやらせていただきたいということでいいな、いいと言っておりますので、そういうことでございます。

臼木委員 本当に誠実な答弁、ありがとうございます。

 本当に御趣旨は分かるんですけれども、やはり待ったなし、生産者の皆さんも大変厳しい状況で取組をされていると思いますので、できるところからもそうですけれども、必要なところにきちんと手当てができる政治でありたいなと思っておりますので、私も皆様方と協力して進めていければと思っております。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治でございます。

 農水省の発表で、ようやく米の価格が落ち着いてきて、下がり始めたというのが昨日発表されました。米の平均価格、五キロ当たり四千二百十四円となりまして、十八週ぶりに値下がりが確認できたということでございます。四月の二十八日から五月四日まで全国のスーパーで販売された米五キロ当たりの平均価格が、前の週より十九円下がって四千二百十四円、十八週ぶりの値下がりということになりました。

 これが去年の同じ時期と比べると二倍の価格となっていて、依然として高値は続いている、そのような報道等見ておりますが、この高値というのが、消費者にとっては、消費者価格としては高値なのかもしれません。しかし、生産者にとっての、生産者側から見れば、私も地元やいろいろな生産者から直接話を聞きますけれども、やっと二十年前の価格に戻った、この価格を本当は維持してほしいということは言われております。

 この生産者価格と消費者価格の間にどのようなプレーヤーがいて、それぞれどのくらいの価格転嫁をしているのか、それをできるだけ公表し、明らかになると、消費者も、現在の米の価格が適正なのかどうか判断ができるようになる。そういう思いで今日は質問しようと思っていたんですが、先ほど空本先生がしっかりと質問していただいたんですが、ちょっと角度を変えながら御質問をさせていただきたいと思っております。

 農水省にお聞きをしたいと思います。

 米の価格が決まっていく過程、空本先生の資料がもうお手元に皆さんありますので、農家さんから集荷業者、集荷業者から卸、小売、そして消費者の手元に届く。このときの生産者価格、消費者価格、これは、玄米と精米後で消費者価格になって、そこの違いはありますけれども、生産者から消費者の手元に届くまでにこういう工程があって、ここのそれぞれで、例えば米一俵当たり価格転嫁がなされていくということを説明ができれば説明していただきたいということが私の質問になるんですが、先ほど大臣も紙が出てきたということで御答弁いただきましたので、改めて事務方から答弁をお願いします。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、昨年来の米の流通の状況から若干御説明させていただきますと、これまでにない集荷競争が発生して、集荷業者への出荷数量というのが例年よりも三十一万トン、要はJA等々への出荷数量が三十一万トン減少する一方、集荷業者以外の方々への出荷というのは四十四万トン増加したということでございます。

 それで、集荷業者が卸に売られる相対価格ということで我々取っておりますけれども、それは六割程度の上昇に、とどまっているというのも変ですけれども、六割程度の上昇になっております。

 他方で、集荷業者以外の方々の流通なんですけれども、これは、例えば業者間で取引がなされておるものが相当反映されておると思います。それにつきましては、六十キロ大体四万五千円を超えるような価格で取引がなされていると承知しております。

 その結果、小売段階で販売される価格は、集荷業者を通ってきたある意味昔の流通の幹みたいなところとそれ以外のところというのが相まって、現在のところ、昨年から比べると大体二倍ぐらいになっている、そういった状況になっているというふうに考えています。

長友(慎)委員 御答弁ありがとうございます。

 昨日の数字でいうと五キロが四千二百十四円になりますので、シンプルにちょっと話をしますと、五キロを五で割れば一キロ当たり八百四十二・八円、そういう数字が出てきます。大体八百四十三円、今現在が、一キロですね、消費者価格。

 これを、商品の仕入れ値、いわゆる一般の商売するときに三掛けとか二掛けとかありますけれども、例えば三掛けだとしたら、八百四十三円に〇・三を掛けると二百五十二・九円になります、これは一キロ当たりですね。これを、では六十キロに換算すれば、一キロ当たり約二百五十三円に六十キロ掛けて一万五千百八十円。これは、空本先生の資料だと、令和五年産の数字と大体合ってくるんですね。商品の仕入れ値を、例えば五掛けだ、半分だとしたときは、八百四十三円に〇・五を掛けて一キロ当たり四百二十一・五円。これを六十キロに換算すると二万五千二百九十円になります。

 今、三掛けと五掛けを紹介しましたけれども、四掛けにすると約二万少しになりますので、令和六年産の六十キロの二万円も空本先生の数字に合ってくるんですけれども、こういうことをしっかり国民の皆様や消費者の皆様にも数字で説明していかないと、やはり適正価格は幾らなんだということが実感を持って説明できないと私は思います。

 今日は、これまでの答弁の中でそういう部分が明らかになってきたので、今後はそういうふうに消費者の皆様に説明をしていけると思うんですけれども、三掛けで仕入れて売るというのは、普通の商売感覚だと、別に全然ぼっていませんし、普通のことだということは、感覚としては分かってもらえると思うんですね。

 ですので、そういう数字を持って生産者の皆さんと消費者の皆さんと会話をしていくということが今の時世において非常に大切なことだな、そのように今日思いを持っているんですが、農水省としても、外に情報を発信するときにそのような努力をしているのか、また、していこうという思いが今後もあるのかということを農水省にお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 私ども、これまでいろいろな、在庫でございますとか、集荷数量でございますとか、価格でございますとか、こういった数字を取って、公表してきておりましたけれども、また、ますます、きちんと分かりやすい公表の仕方あるいは御説明の仕方というのに今後、一生懸命努めてまいりたいというふうに考えております。

長友(慎)委員 是非そうしていただきたいのと、米に限らずなんですが、米の価格に限らず価格転嫁を、今後、やはり物価高を克服していくのに、生産者だったり間に入っている小売や卸の皆さんも、価格転嫁を実現しないと持続可能じゃないと思うんですね。消費者の理解を得るために、価格転嫁を形成する上での啓蒙や周知活動を、農水省はどのように行っているのかを伺います。

笹川副大臣 今委員から御指摘ございました、まさに消費者の理解、お米だけでなくて全般として、やはり消費者の理解の醸成が大事だというふうに思っております。

 令和五年度から実施しているフェアプライスプロジェクト、合理的な価格形成に向けた消費者の理解醸成ということのプロジェクトをスタートさせておりますので、このプロジェクトを引き続き展開をしていく。

 もちろん、ネットですとか様々な情報発信をしていって、値段は段階を踏んでこうなんですよということを消費者の人に理解をしていただく、このことが正しく伝わることがやはり大事だというふうに思います。

長友(慎)委員 ありがとうございます。

 今こそ、生産者や農家の皆さんに対する応援をしていくということが必要なときだと思いますので、農水省のしっかりとした情報発信をお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 食品等流通システム法の改正法案について、法案審議が終局を迎えるということですが、価格決定の構造、商習慣を見直し、生産者のコスト割れを是正しようとする改正法案の目的は正当であると理解しているんですが、れいわ新選組としては、消費者理解の醸成を促すといいながら、結局は消費者にコスト転嫁をするという考えにはやはり賛同できません。

 政府の財政措置なくしては問題解決がなされないと冒頭表明させていただいた上で、まずは、避けて通れないお米について大臣に質問させていただきます。

 昨日の報道で、ほかの委員からもありましたけれども、全国のスーパーで今月四日までの一週間に販売された米の平均価格、五キロ当たり消費税込みで四千二百十四円と、前の週から十九円値下がりしました。米の平均価格が値下がりするのは、昨年十二月以来、十八週ぶりとのことで、十九円、これは様々な受け止めがあると思いますが、まだまだ高止まりの印象でございます。

 私の地元である東大阪では、もう米が高いとか安いの前に、スーパーに並んでいないやないか、ゴールデンウィークにまたどうなっているんやと、また事務所にたくさん電話がかかってきたんですよ。

 店頭に並ぶか並ばないか、これは地域差もあると思うんですが、少しずつ改善をされていくという理解はしているんですが、そんな中、昨日の予算委員会で、石破総理が、日本のおいしい安全な米を世界に提供するのは日本がやるべき国際社会に対する責任じゃないかと発言されて、いや、まずは日本国民に届けるべきやろうと反発の声が上がっております。何で今そんなことをわざわざ言うんかなと、私としては理解が不能なんですけれども、国民の不安の一つに、そんなさなか、今の状況でですよ、この今の状況で、災害が来たらどうなってしまうのかという声も聞かれます。

 これも私自身も危惧していることで、私が政治家を志したきっかけの一つに、我が国の災害対策という理由があります。いつ何が起きるか分からないこの災害大国において、お米すら目詰まりを起こしてしまっている、手元に届かない。このままの状況では、災害時の食料確保など、米に限らずとも対処できないのではないかと危惧をしております。

 通常、災害時に備えて、お米を各家庭で備蓄されている方も多いと思うんですけれども、今食べるお米がないという状況で、備蓄なんてする余裕は当然ないと思います。

 そもそも、政府の備蓄米の意義が問われていると思います。市場価格を下げるために備蓄をしてきたわけではありませんね。それでも、主食が手に入らない事態の中、今回の備蓄米放出というのは私は一定評価をするんですが、なかなか効果を発揮しておりません。農水省は、原則一年以内に政府が買い戻すとした当初の要件を緩和することを検討されているんですが、そういう報道もあったりしていますが、柔軟な対応が求められているところです。

 そうこうしているうちに、やはり、今災害が来たらどうなるのかという国民の不安というものが残ると思います。

 有事の際や災害時のために、本来、国防として食料は備蓄されるべきなので、早急にもっと農家さんに作っていただいて、政府が買い上げる、そして備蓄強化も図っていくという必要があると私は考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。災害時の食料安全保障についても併せてお聞かせください。お願いします。

江藤国務大臣 まさに今この時代は何があるかは分かりません。本当に、例えば、海外に食料を余り依存すると、日本に入ってくる物資の九九%は、海ですから、船によって輸送されていますので、海上封鎖をされたら大変なことになりかねない、国民が飢えるというような状況も起こらないとは限らない、そういう時代に突入したと思っています。

 そういう意味では、やはり、緊急事態に備える、大凶作や連続する不作、その他災害に備えて、備蓄米を百万トン水準で持っておくということは、私は意義深いことだと思っております。

 しかし、現在も三十万トン放出をして、もう残り六十万しかありません。これからあと三回予定しておりますので、仮に十万ずつ出したとすれば残り三十万トンしかありませんので、それについて委員がそれでいいのかという問題意識を持つことはごもっともだと思います。

 その場合は、何度か御答弁させていただきましたが、ミニマムアクセス米を流用するということも考えますけれども、しかし、現在においては、毎年買い入れている二十万トン、今はその分の買入れもできておりませんので、これについては、できるだけ早めにその水準を回復させるという意味で、一年以内の買戻しということを原則としてつけておりますが、しかし、これにこだわるつもりは私は全くありません。価格は高いのに市場から米を吸い上げるということはあるはずがないのであって。しかし、それが明文上残っているということが影響を与えているということはあるのかなということも自覚をいたしております。

 これから先、ようやく一つの、これが転換点になってくれればいいんですが、ただ、店舗を私は週に二回は回るようにしています。そうすると、五キロの米ではなくて、二キロの米が売れるようになっています。そして、二キロの米を計算すると、その一キロ当たりの単価は逆に上がってしまっているんですよ。

 消費者の方々にとっては、二キロでないとなかなか手が伸ばせないという御要望もあって、これは小売を責めているわけではありません、そういうニーズがあるから二キロの袋にしているということではあるかもしれませんが、そういうのも考えると、思い切り下がってほしいなという気持ちはすごくあるんですが、なかなか難しいですけれども、この備蓄の本来の責務、何のための備蓄なのかということを忘れずに、今回限りにこういった事態は最後にしたいという思いを込めて、今後も努力していきたいと考えております。

八幡委員 御丁寧な答弁ありがとうございます。

 しかも、私も二キロの米の話をこれからしようと思ったのに、先に言っていただいて、本当にスーパーを回られているんだなということを感じました。

 本当にもう今何が起きるか分からない、そして、この転換点を、ピンチをチャンスに変えていくというのは私も賛同します。

 ですので、石破総理は割とのらりくらりしてはると思うんですが、ちょっと江藤大臣にはそこはぴしっと言っていただいて、我々農林水産委員会の思いとして総理に言っていただきたいなということを言いつつ、今回の法改正案についても話をしていくんですが、今回、再生産に必要なコストというのが多く議論されております。

 これを考えたときに、やはり米の問題もそうですけれども、第一次産業において労働コストって適切に転嫁されているのかなと疑問に思います。

 今年三月の三十日に都内で行われましたトラクターデモ、令和の百姓一揆では、農家の窮状を訴えるために繰り返し、米農家の時給十円というのが訴えられました。これは二〇二二年の農業所得から導かれたものなんですが、今年の三月に農水省が公表した農業経営統計調査を基に農協新聞が報じたんですけれども、二〇二三年では時給六十三円でした。十円から多少上がったとはいえ、当然最低賃金にはほど遠く、農家の労働が米価に反映されていないということを意味しております。これでは生活が成り立ちませんし、では、農業労働コストを反映した金額で今お米が売れるんですかといったら、現実的ではないと思います。

 改めて大臣にお伺いします。

 米農家の時給、十円とか六十三円とか、それらを強いている現状について大臣はどのような印象をお持ちでしょうか。お願いします。

江藤国務大臣 この十円という報道が出たときに、一部の報道、報道というか、SNSも含めてですけれども、そんなことないだろうというような指摘もありましたよね。しかし、私はそんなに的外れな数字ではないというふうに受け止めています、まず申し上げておきたいのは。

 しかし、これは販売農家を全部対象としておりますので、例えば私が十作っていて、九は自分のところで食べるか縁故米で周りの人にただで配るとか、そういう一しか売っていない人も販売農家なんですよ。そういった方々も全部分母として入っていますので、平均すると、どかんと下がるということはありますが、しかし、今、全国のいわゆる最低賃金は千五十五円ですから、最低賃金が千五十五円になった時代にこの数字はやはり厳しいだろうと思います。

 ですから、やはり今回の食料・農業・農村基本計画の目的の中にも、所得を上げていかなきゃいけないんだ、農家の手取りも上げていかなきゃいけないんだ、そのことによって食料安全保障を確保するんだ、生産基盤を守っていくんだということがうたわれているわけでありますから、決してこういった数字を矮小化した評価をしてはいけないんだろうと思っています。

 先日申し上げましたが、令和の百姓一揆の方々が、やはり労働組合だけではなくて、農業者の方々もしっかりと世間に対して自分たちの立場を訴えるような行動を起こすことは、私は正しいと思うんですよ。

 私は、TPPのときには、国益を守る会の会長としてずっと努力をしてきました。そのときには座込みがあったり、いろいろなことがあったわけですが、そういう努力というものはやはりしっかり政治としても見なきゃなりませんし、決してこの数字はうそだとも思いませんし、軽いものだとも考えておりません。

八幡委員 大臣がおっしゃること、全てだと思うんですが、その上で、やはりコスト価格の転嫁というのは難しいということ、さっきの大臣の答弁からも皆さん感じ取ったと思うんですけれども、これは法案では、やはりさらっと書かれてしまっているんです。これは、農家だけではなく、畜産や酪農の現場も同じだと思っています。だからこそ、消費者理解の醸成に頼るだけでは限界があると思います。

 これは、れいわ新選組だけが言っているだけではないんですよ。農水省が行いました適正な価格形成に関する協議会の議事録を、私、拝見したんですけれども、多くの出席者が私たちと同じようなことを言っているんです。紹介させていただきます。

 まず、日本スーパーマーケット協会。消費者も食品に払える金額は簡単に変わるものではないため、全部転嫁しようとすれば大変なことになると考えている。

 全国消費者団体連絡会。更なる値上げによる消費者の暮らし全般に与える影響は計り知れないため、消費者の家計負担や可処分所得の状況を踏まえ、段階的な値上げや、急激な価格上昇を緩和するための政策的な補強なども検討してほしい。

 主婦連合会。非正規雇用も相対的貧困層も生活が厳しく不安定な状況にあるので、こうした人たちのことも念頭に置いていただきたい。

 日本チェーンストア協会。価格転嫁をすると、ますます米離れが拡大すると考える。現に米の価格は非常に高く、現場からも、米の代替として麺類や餅の需要が増しているという声も上がっている。この価格転嫁の仕組みを導入すると、その動きがますます激しくなるのではないか。そのようなものを導入していいのかということを逆にお聞きしたい。

 以上の発言が、今回の法案について議論するために開催された農水省の適正な価格形成に関する協議会で実際にあった声なんですね。これは国民の声だと思うんです。

 今回の法案は、これに対してどう応えているのか。消費者の家計負担や可処分所得の状況、生活が厳しく不安定な状況にある非正規雇用も、相対的貧困層に対しても、どのような配慮や制度設計がなされているのか教えてください。お願いします。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただきましたとおり、費用を考慮した価格形成、食料を持続的に供給していくために、消費者も含めてどこかにしわ寄せが行くということでは成り立たない、関係者の納得が得られるものにするということで、いろいろと検討を進めてきたところでございます。

 今回の制度化に当たりましても、最終的な取引条件は当事者間で決定するという考え方を取っております。質疑の中でもございましたとおり、フランスでは、契約に基づいて、コストが上昇したら自動的に価格が改定されるという仕組みであったわけですが、こういう手法は取らずに、コストが上昇したことをきちんと説明した上で、交渉プロセスにおいて誠実に協議するということを努力義務として求めるという、取引プロセスに着目した仕組みといたしてございます。

 御指摘がありましたとおり、現実には、消費者に直接販売する小売業者の方々からも、この価格では幾ら何でも売れないだろうというようなこともあろうかと思います。こういったことにも対処できるように、消費者にも十分配慮した制度にしてあるというふうに考えているところでございます。

八幡委員 もう本当に、作り手も売手も買手も、国民に寄り添ってほしいという思いだと思います。それを表しているのが、もうすぐ参議院選挙もやってまいりますけれども、最近、与野党を問わず、消費税減税についての議論が盛んになっていると思います。これは、本当に国民、皆さん選挙区に帰ったら地元の人たちとしゃべるわけですから、当然生活が苦しいんだという話のことが大半だと思うんですよ。だから、そういった声に私たち政治家というのは寄り添っていかないといけない。

 ですから、法案をこうやって決めるときも、そういった小さい声をすくっていかないといけないと思います。ですので、やはり求められるのは、国が生産者に直接支払いする政策であったり、価格保障、直接払いの所得補償ではないかとれいわ新選組は考えます。

 あともう一つ、農水省の統計職員とGメンの増員についても聞こうと思ったんですが、時間がないので私の方でまとめさせていただきます。

 この前、先月ですね、二十三日、笹川副大臣が、いわゆるGメン、これを二十人ぐらい用意するんだとおっしゃっていただきましたけれども、これは全国で換算したら、八つの地方局がありますので、一組織当たり二名程度じゃないですか。全然そんなん数足りひんやんという話を今日したかったんです。

 そして一方で、自民党の中では、適正な価格形成について、農林統計の活用も検討しているんだと言うんだけれども、農水省はこの二十年間に、農林水産省の中の統計職員を七八%も減らしているんですよ。その状況で適切で迅速なデータの提供というのはほど遠いんだと思いますので、しっかりと、私、この農林水産委員会にやってきまして、毎回質問しているんですけれども、やはり、人員もそうだけれども予算が少な過ぎる、これに尽きるのではないかと思っております。

 ですので、引き続き農政を進めるためにも予算の拡大を訴えさせていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 京都の、私は京都なんですけれども、京都中央卸売市場というのがありまして、そこのちょっと現場の声を皆さんにお届けしたいというふうに思います。

 今回の法案というのは非常に野心的であると思います。さっきの質疑の中にもありましたように、基本的に民民の取引というものを尊重しながら、コスト指標というものを明らかにして、できるだけ適正な価格に誘導するという仕組みだというふうに理解しております。

 市場、いわゆる生鮮食品ですね、日もちの余りない野菜とか果物、八割ぐらいが全国的にいうと市場を通ります。

 一つの問題は、例えば野菜、資料にもありますけれども、とりわけバレイショ、いわゆるジャガイモですね、ジャガイモと、もう一つはタマネギというのが、一と二でちょっと出しておりますけれども、これらが輸入比率が比較的高い。ジャガイモというのは約三二%、それからタマネギというのが大体二割程度ですね。こういうときに価格を上げると、どうしても外国勢にパイを取られてしまう。一旦パイを取られるとなかなか値上げというのが厳しくなる。中国は、この二年間でたしか七か所ぐらい、冷凍ポテトの工場というものを矢継ぎ早に造っております。

 ですから、こういうところもやはり考慮に入れないと、元々皆さんが国産の生産というものを促進しようとしているのに、その裏腹に、外国にやられてしまうのではないかという懸念がありますけれども、いかがでしょうか。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ありましたとおり、元々、今回の議論は食料安全保障の議論から始まったところでございます。そういったことも含めて、今御指摘のありましたタマネギやジャガイモについてもよく見ましたところ、タマネギの場合、国産品は、主に家計、家庭用も含めて幅広い用途に用いられてございますが、輸入品は主に加工業務用に回っているというふうに考えてございます。それからジャガイモにつきましても、生鮮品で入ってくる輸入品というのは主にポテトチップ向けのものでございます。

 こういう形で、国産品と輸入品への代替というのには一定の制約があるのではないかと考えられますので、よく競合する部分というものをきちんと押さえながら、私どもも、需要に合った生産、製造ということを重視して、十分に注意を払いながら制度の運用を行ってまいりたいと考えているところでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 加工品も多いですけれども、結構、さっき私、間違えまして、七か所と言いましたけれども、中国では二十か所ぐらい、この二年間で、冷凍ポテトですね。ですから、冷凍ポテトというのが一つ懸念されるところでありますので、是非その点も、本来の趣旨にたがわないように、運用でお願いしたいというふうに思います。

 もう一点、現場の声といたしましては、市場というのは全量引受けをしないといけない。例えば、キャベツ一千箱、生産者が市場に置きたいと言った場合に、断れない。本当は五百箱ぐらいでいいのに、一千箱全部引き受けないといけない。法律上そのように義務づけられております。アメリカだったら、要らないと思われる五百箱は捨てて価格維持をしますけれども、我が国はそうはなっていないという状況の中で、生鮮で日もちのないようなものを全量引き受けてしまうと、ここで価格が、コスト指標をある程度尊重をしていくと、相当経営が、市場の方ですよ、圧迫をされてしまう。

 この点についてどういうふうに、全量買取り義務とコスト指標との関係についてお伺いしたいと思います。

宮浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございましたとおり、卸売市場というのは、需給事情それから品質評価を基に、価格を調整弁として、出荷された青果物を早期に売買する、こういう場でございます。特に中央卸売市場につきましては、産地から販売の委託があった場合には、卸売業者が基本的に受託を拒否できないということが法定をされてございます。

 このために、コスト指標を定めて、これを考慮した取引を卸売市場で行おうとした場合には、売れ残りリスクというものをどういうふうに対処するかということに関して十分注意をしなければいけないと考えてございます。

 これまでも、卸売業者の方々とこういった点について協議を進めてまいりました。その中で、卸売市場での取引については、比較的貯蔵性の高いタマネギそれからジャガイモというものをまずは出発点として、産地との間であらかじめ価格や数量などの取引条件を決めて、卸売市場に商品を預かって、その上で需給状況等を見ながら仲卸業者の方々に販売するという、契約的取引と俗に呼ばれているようなものが現在もありますので、こういった取引形態をまずは出発点として、ここに着目をして、コスト指標を活用した取引というものに着手をしていこうというふうに考えているところでございます。

 御指摘のありましたとおり、日もちしない生鮮食料品の取引については非常に課題が多いというふうに認識をいたしております。今後とも、市場関係者などと十分に協議をしながら、こういった費用を考慮した取引について運用を図っていきたいと考えているところでございます。

北神委員 丁寧な答弁、ありがたいというふうに思います。

 是非、市場の、やはり現場の声を聞きながら上手にやっていただかなければ、やはり市場というのは農業の中核的なインフラでありますので、そういった意味で、彼らが余り経営的に追い詰められることは本意ではないというふうに思っていますので、お願いしたいと思います。

 最後に、この資料の裏側を見ていただきますと、備蓄米、大臣もいろいろ批判はされておりますけれども、私は応援をしておりますので、何とか、これはそんな簡単な話じゃないということを何度も私、この質疑でも申し上げております。

 ただ、ちょっと心配しているのは、流通実績というのが三ポツに、資料にありますけれども、四月十三日の時点であります。

 集荷業者、左側のフローチャートみたいなものを見ていただきますと、集荷業者から卸、それから小売というふうにありますけれども、卸売業者が六十キロ当たり二万二千で購入して、それを三万三千百十一円で売っている。大体五二%のマージンが取られている。過去どうなのか分かりませんけれども、私が率直に、一目見ると、まあまあそこそこ、結構取っているんじゃないか。これは白米ベースにしますと三七%取っているということです。

 過去の実績が、役所に聞いても、ないという話だったので、ちょっと右の方の資料を見ていただきますと、いわゆるワーキンググループで作られたコスト指標ですね、お米の。これを見ますと、取引価格、ちょっと分かりにくいですけれども、この下の方を見ていただきますと、集荷から卸、卸から小売というところがあります。これが、卸を中心に見ますと、取引価格二百二十一・七円で買って、これは玄米でいうと一キロ当たりですね、それを小売に卸は二百五十五・四円で売っていて、大体一五%ぐらいなんですね。これはもちろん、令和四年産の数字なんですが、一応これが、ワーキンググループとしては標準的なコストとして参考にすると。

 ですから、仮に、この辺が、一五%前後が平均であり、標準であるとするならば、今、備蓄米が白米ベースでいうと三七%価格が上昇しているというのはやはり、これは彼らの気持ちも分かるんです。恐らく、高いお米を在庫で持っているから、いきなり安い備蓄米をそのままの値段で売ってしまうと彼らも困る、こういう事情が、まあこれは私の推測ですけれども。

 しかしながら、大臣が今頑張っている目的を果たすためには、やはりここの協力が必要だと思いますので、やはりここを、指導するなり、どうするかというのは私もなかなか妙案はございませんけれども、やはりここを余りマージン取られていくとなかなか価格は落ち着かないというふうに思いますので、この点、いかがでしょうか、大臣。

江藤国務大臣 大変ありがたい御指摘をいただいたと思っております。

 いわゆる集荷の方々は、先ほどもちょっと申し上げましたが、六十キロ当たり九百六十一円しか取っておりません。通常の半分以下の数字で頑張ってくれています。しかし、卸の方々については、経費、利益で六十キロ当たり七千五百九十三円。これは加重平均ですから、もっと上の人も当然いるということですよ。

 ですから、私は、意見交換したときにも、国民の財産である備蓄米を放出したその趣旨を分かってほしい、理解してほしいと。商取引ですから、この値段で売ってくださいとか、こうしてくださいということの強制力は私は持っておりませんが、ただ、この緊急事態に際して、どうして備蓄米の放出をするに至ったのかということは、長年米の流通に関わってきた方々についてはその趣旨を理解した上で売っていただきたいというのが私の正直な気持ちであります。

北神委員 是非お願いをしたいと思います。

 彼らは彼らで経営の論理でやっているんでしょうけれども、おっしゃるとおり、お米という主食で、しかも生産者の現実を考えると、やはりそこは彼らに何とか理解していただきたいと思いますし、大臣の誠心誠意の気持ちで彼らに話すというのも一つですし、何らかの支援を、今までの高いお米を買った分、損をするところを多少面倒を見るとか、そういった方法もあるかもしれませんけれども。

 いずれにせよ、ここはちょっと私は取り過ぎやというふうに思っていますので、是非お願いをしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木貴子君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。神谷裕君。

神谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明に代えさせていただきます。

    食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  生産資材・原材料価格の高止まりなどの中で、食品等の持続的な供給を実現するためには、持続的な供給に要する費用を考慮した価格形成を促進するとともに、農林漁業者と食品産業との連携強化を始めとする食品産業の持続的な発展に向けた事業活動を促進することが重要である。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 肥料・飼料費、人件費、輸送費等の生産・流通コストが上昇する中、我が国の食料システム全体の持続性の確保が図られる食品等の価格形成を実現するため、持続的な供給に要する費用の明確化と取引におけるこれらの費用の考慮について、生産・加工・流通・小売・消費等の食料システムの幅広い関係者の合意形成と理解醸成が図られるよう、必要な取組を推進すること。

 二 持続的な供給に要する費用が考慮される価格形成の実現に向けては、消費者も納得する生産性向上や付加価値向上の取組が生産・加工・流通・販売の各段階において不断に重ねられていくことが重要であることを踏まえ、こうした取組の促進のために必要な施策を十分に講じること。

 三 指定飲食料品等については、認定指標作成等団体が公表するコスト指標を活用した取引の適正化の必要性等を踏まえ、食料・農業・農村政策審議会等での議論を経て、順次対象品目を定めること。特に、現在食料システムの関係者が一堂に会して協議が進められている米、野菜、飲用牛乳、豆腐・納豆については検討を速やかに進め、対象品目として定めること。

 四 持続的な食料供給の実現を図るためには、持続的な供給に要する費用の考慮や納品期限の緩和を始めとする持続的な供給に資する商習慣の見直しを進めることが重要であることから、こうした取組が食料システムの幅広い関係者において実施されるよう、食品等取引実態調査をきめ細かく行い、実態を把握した上で、農林漁業者や食品等事業者に対する指導・助言等を適切に実施すること。

 五 国際的な原材料調達競争の激化に対応する国内農林漁業者と食品産業との間の安定的な取引関係の確立、環境負荷の軽減等の食品等事業者による持続的な食料供給の実現に向けた取組が促進されるよう、本法に基づく計画認定制度について、関係者への制度の周知などを積極的に進め、十分に活用されるよう努めること。

 六 持続的な供給に要する費用の考慮や商習慣の見直しには、消費者の理解が必要不可欠となることから、本法で措置されている食品等事業者による消費者選択支援事業活動や、国による普及啓発活動等の実施などを通じ、官民一体で消費者の理解醸成に努めること。

 七 食品等取引実態調査や、事業者からの相談窓口での対応等を確実に進めるために必要となる地方農政局を含む国の組織・人員体制の整備を図るとともに、公正取引委員会、中小企業庁等との連携を密にし、関係省庁一体となって本法に基づく措置等の適正な執行を図ること。

 八 食品等の価格上昇の影響をより大きく受ける生活困窮者や子ども食堂等に対する支援については、必要な食料が円滑に入手できるよう、関係省庁が密接に連携して取り組むこと。

 九 カーボンプライシングの本格導入に当たり、農業、漁業及び食品産業への影響を注視するとともに、関係省庁が密接に連携して適切な措置を講じること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。

江藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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