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第14号 令和7年5月27日(火曜日)

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令和七年五月二十七日(火曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 鈴木 貴子君 理事 西田 昭二君

   理事 葉梨 康弘君 理事 神谷  裕君

   理事 野間  健君 理事 渡辺  創君

   理事 池畑浩太朗君 理事 長友 慎治君

      大空 幸星君    栗原  渉君

      小池 正昭君    武村 展英君

      田野瀬太道君    根本  拓君

      根本 幸典君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    宮下 一郎君

      森下 千里君    簗  和生君

      山本 大地君    石川 香織君

      岡田 華子君    金子 恵美君

      小山 展弘君    近藤 和也君

      西川 将人君    福田 淳太君

      緑川 貴士君    柳沢  剛君

      山田 勝彦君    空本 誠喜君

      林  佑美君    許斐亮太郎君

      村岡 敏英君    庄子 賢一君

      角田 秀穂君    八幡  愛君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   農林水産大臣       小泉進次郎君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   農林水産大臣政務官    庄子 賢一君

   農林水産委員会専門員   千葉  諭君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、昨二十六日、政府備蓄米の保管状況及び中山間地域の農業振興の取組等に関する実情調査のため、新潟県において視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、鈴木貴子君、西田昭二君、葉梨康弘君、神谷裕君、野間健君、渡辺創君、池畑浩太朗君、許斐亮太郎君、角田秀穂君、八幡愛君、そして私、御法川信英の十一名でございました。

 まず、政府備蓄米の保管倉庫を視察いたしました。現地では、政府備蓄米の保管状況等について説明を聴取いたしました。

 その後、新発田地域振興局で新潟県の行政関係者と意見交換会を行いました。

 意見交換会では、米の合理的な価格形成への要望、中山間地域維持のための支援の拡充の必要性、鳥獣被害への手厚い支援の必要性等の御意見をいただきました。

 次に、長岡市上来伝において、中山間地域の農業現場を視察いたしました。現地では、米の生産を始めとした営農状況や、鳥獣被害等の中山間地域の課題等について説明を聴取いたしました。

 その後、栃尾産業交流センターで地域の農業者や農業団体、新潟県や長岡市の行政関係者と意見交換会を行いました。

 意見交換会では、将来の安定が見通せる農政の必要性、消費者とともに生産者にも配慮した米の価格の在り方、中山間地域等直接支払交付金等の中山間地域支援の拡充の必要性、特に若手の担い手確保に向けた支援の必要性、地域の農業で日本の安心、安全な食を守ることの重要性、意見交換後のフォローアップについての要望等の御意見をいただきました。

 以上が、視察の概要であります。

 最後になりますが、今回の視察に御協力をいただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣小泉進次郎君。

小泉国務大臣 どうぞよろしくお願いいたします。

 農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣としての考え方の一端を申し述べます。

 この度、農林水産大臣を拝命いたしました。委員の皆様の御指導を賜りながら職責を果たしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方を申し述べます。

 農林水産省の最も重要な使命は、国民に食料を安定的に供給することです。

 このため、まずは、米について、消費者に安定した価格で供給できるよう、全力で取り組んでまいります。

 備蓄米の早期販売や米価の安定を図るため、第四回目の備蓄米の放出について随意契約によるものとし、申請の受付を昨日から開始したところであります。これにより、国民の皆様の不安感を払拭するとともに、これ以上の米離れを防げるよう、全力を尽くしてまいります。

 また、我が国の農林水産物・食品の輸出のうち、米国向けは全体の一七%を占め、輸出額は二千四百二十九億円に上るなど、米国の関税措置による輸出への影響は小さくありません。米国の関税措置に係る日米交渉に当たっては、農林水産業を犠牲にしないという方針の下、国益の確保に向けて、関係省庁と連携し、しっかりと対応してまいります。

 我が国の農林水産業を取り巻く環境は、世界的な人口増加に伴う食料争奪の激化、国際情勢や気候変動による生産の不安定化、人口減少や高齢者の引退による基幹的農業従事者の急減など、大きく変化しており、食料安全保障上のリスクは、近年に例がないほど高まっています。

 このような厳しい現実から目をそらすことなく、平時からの食料安全保障を実現するため、改正食料・農業・農村基本法の初動五年間において、強い農業の実現に必要な投資として、農業の構造転換を集中的に推進してまいります。

 具体的には、新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、生産性の抜本的向上等を図るため、農地の大区画化、共同利用施設の再編、集約化、スマート農業技術、新品種の開発やスマート農業機械等の実装、輸出産地の育成といった、早急かつ計画的に対応する事業を核に、施策を集中的に展開してまいります。

 こうした取組により、生産性向上や付加価値向上を通じた農林漁業者の所得向上を図るとともに、食料自給率、食料自給力の向上を通じた食料安全保障の確保に全力を尽くしてまいります。

 以下、具体的な施策を申し述べます。

 水田政策について、令和九年度に向けて、水田を対象として支援してきた現行水活を、作物ごとの生産性向上等への支援へと転換する、根本的な見直しの検討を開始いたしました。

 農業者のみならず、国民の皆様のため、食料の安定供給がなされるよう、米の生産性を抜本的に向上させつつ、必要な水田を維持するとともに、さらに、米以外の作物を作る農地について、食料自給力向上の費用対効果を踏まえて、これまで作付してきた作物の本作化を図り、水田、畑にかかわらず、生産性を向上させる方向で政策を転換いたします。

 同時に、生産性向上に限界のある中山間地域等については、地域計画を軸に、地域農業を維持し、農地を守るための取組をより強力に支援してまいります。

 こうした見直しの中で、国産飼料の生産性向上を図るため、飼料用米中心の生産体系を見直し、青刈りトウモロコシ等の生産振興を図ってまいります。さらに、有機農業や化学肥料、化学農薬の使用低減等について支援する新たな交付金の創設を検討してまいります。加えて、農業者が急減する中で、担い手が生産性を向上させながら、より多くの離農農地の引受けを進めていけるよう、農地の集約化等への支援制度の見直し、強化を検討してまいります。

 こうした対策の検討に当たっては、各種の実態調査を行った上で、今年度中に方針を策定してまいります。こうした見直しにより必要となる予算は、現行水活の見直しや、見直しに伴う既存施策の再編により得られた財源を活用いたします。

 生産資材、原材料価格の高騰など、農業、食品産業の事業環境が変化する中で、持続可能な食料システムの確立を図るためには、持続的な食料供給に要する合理的な費用を考慮した価格形成が必要です。このため、生産、加工、流通、小売、消費に至る食料システム全体で、合理的な費用を考慮した価格形成を推進するとともに、食品産業の持続的な発展を促すための法案を今国会に提出し、可決いただいたところです。

 国内市場の縮小が見込まれる中、食料の供給能力を維持するためには、国内への供給に加え、輸出を促進するなど、農業、食品産業の海外から稼ぐ力の強化が必要です。そのため、新たな市場の開拓、輸出産地の育成、サプライチェーンの強化、さらには、食品産業の海外展開、インバウンドによる消費拡大などを推進します。

 食料の安定供給のためには、環境への負荷を低減し、食料システムの持続性を高める必要があります。このため、化学肥料、化学農薬の使用低減や有機農業の拡大、環境負荷低減の取組の見える化、Jクレジット制度の活用の推進、クロスコンプライアンス等を実施してまいります。

 人口減少に伴い、農業者の減少が避けられない中で、持続的な食料供給を図るためには、新規就農を促進しながら、少ない農業者でも対応可能な強い生産基盤が必要であります。このため、地域計画に基づき、農地の集積、集約化を進めてまいります。また、規模の大小を問わず、家族農業を含めた効率的かつ安定的な経営体の育成、確保、円滑な経営継承に取り組んでまいります。

 農業生産活動を継続していくためには、農業、農村の基盤整備が欠かせません。また、農業の生産性向上や農村地域の防災・減災、国土強靱化を実現するため、水田の汎用化、畑地化、農業水利施設の長寿命化等を推進してまいります。

 スマート農林水産業の推進による生産性向上等を加速化してまいります。具体的には、スマート農業技術等の開発、実用化や、経営、技術等において農業者をサポートするサービス事業体の育成、確保を推進してまいります。さらに、スマート農業技術の活用とこれに適合するための生産、流通、販売方式の転換への取組、スマート農業技術の導入に資する農地の大区画化や情報通信環境の整備を後押ししてまいります。

 食料安全保障の強化には、多収性や高温耐性、病害虫抵抗性等の特性を有する優良な新品種の開発及びその適切な利用が一層重要であることから、品種保護を徹底しつつ、産官学の連携の下、先端技術も活用した優良な新品種の育成、普及を推進してまいります。

 農村を支える人材を確保し、活力ある農村を次世代に継承していくため、官民共創、農泊、六次産業化、農福連携、農村RMOの形成、中山間地域等における基盤整備や、中山間地域等直接支払いを通じた支援、スマート農業技術の開発、実用化等を推進してまいります。また、鳥獣被害の防止やジビエの利活用を進めてまいります。

 畜産、酪農については、中山間地域を始め、地方を支える重要な産業であり、耕畜連携などによる国産飼料等の生産、利用の拡大を進めてまいります。また、和牛の生産、供給基盤の強化や、食肉処理施設の整備、和牛肉の消費拡大、脱脂粉乳の需要改善に向けた取組を推進してまいります。さらに、畜種ごとの経営安定対策や金融支援などの各種施策を総合的に講じ、生産者の経営改善に向けた取組への支援を行ってまいります。

 豚熱、アフリカ豚熱、高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病については、飼養衛生管理の徹底を基本とした発生予防、蔓延防止対策と水際での侵入防止対策に都道府県等と連携して全力で取り組んでまいります。

 食品産業については、産地、食品産業が連携した国産原材料の安定調達、フードテックなどの新技術の活用等による新たな需要の開拓等を推進してまいります。

 さらに、円滑な食品アクセスの確保を図るため、中継共同物流拠点の整備やラストワンマイル配送に向けた取組、フードバンク等を通じた食料供給を円滑にする地域の体制づくり等を進めてまいります。

 森林・林業政策については、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け、路網や木材加工流通施設の整備、製材、CLTを用いた建築物の低コスト化等を通じた木材の需要拡大、担い手の育成など、川上から川下までの取組を総合的に進めてまいります。あわせて、森林整備や治山対策に取り組むことにより、森林吸収源の機能強化と国土強靱化を進めてまいります。さらに、花粉症対策を着実に実行してまいります。

 水産政策については、これまでにない海洋環境の激変の中で、地域に根差した強い漁業を実現していくため、水産資源の調査、評価の強化や、新たな操業形態への転換、未来の漁業を担う経営体、人の確保、高性能漁船の導入、スマート化に向けた取組により、漁業の強靱化を図ってまいります。

 また、豊かで魅力ある浜づくりに向け、地域資源等を活用する海業の全国展開、漁村環境の保全に向けた漁業者活動を推進してまいります。

 さらに、ALPS処理水放出を受けた一部の国、地域による科学的根拠なき輸入規制の撤廃を求め、水産事業者の取組への支援に引き続き万全を尽くしてまいります。

 東日本大震災の被災地域においては、依然として営農再開や水産業、林業の再生、福島県産品の販路拡大などの課題があります。引き続き、万全の支援を行ってまいります。

 また、能登地域においては、昨年の元旦に発生した令和六年能登半島地震、九月の豪雨により多くの被害が発生いたしました。地震と豪雨からの復旧復興を一体的に推進するため、農地、農業用施設、山地、漁港の復旧などの総合的な対策を講じ、農林水産業の再建を切れ目なく支援してまいります。

 以上、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。

 機会あるごとに現場に足を運び、様々な声に耳を傾け、両副大臣、両政務官、そして職員全員と一丸となって、これらの課題に取り組んでまいります。

 御法川委員長を始め理事、委員各位に重ねて御指導、御鞭撻賜りますようお願いを申し上げ、私の御挨拶とさせていただきます。

 ありがとうございました。よろしくお願いします。(拍手)

御法川委員長 次回は、明二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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