第2号 令和7年3月21日(金曜日)
令和七年三月二十一日(金曜日)午前八時三十分開議
出席委員
委員長 遠藤 敬君
理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君
理事 木原 稔君 理事 篠原 豪君
理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君
理事 美延 映夫君 理事 橋本 幹彦君
江渡 聡徳君 鬼木 誠君
金子 容三君 黄川田仁志君
草間 剛君 鈴木 英敬君
鈴木 隼人君 関 芳弘君
田畑 裕明君 中曽根康隆君
福田かおる君 松本 尚君
向山 淳君 山田 賢司君
新垣 邦男君 五十嵐えり君
大塚小百合君 重徳 和彦君
篠田奈保子君 下野 幸助君
辻 英之君 波多野 翼君
松尾 明弘君 池畑浩太朗君
空本 誠喜君 平岩 征樹君
西園 勝秀君 山崎 正恭君
赤嶺 政賢君
…………………………………
外務大臣 岩屋 毅君
防衛大臣 中谷 元君
防衛大臣政務官 金子 容三君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 門前 浩司君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 安藤 敦史君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 石川 誠己君
政府参考人
(外務省国際情報統括官) 石瀬 素行君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森友 浩史君
政府参考人
(防衛省大臣官房長) 萬浪 学君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 大和 太郎君
政府参考人
(防衛省整備計画局長) 青柳 肇君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 青木 健至君
政府参考人
(防衛装備庁長官官房審議官) 西脇 修君
安全保障委員会専門員 飯野 伸夫君
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委員の異動
三月二十一日
辞任 補欠選任
黄川田仁志君 田畑 裕明君
鈴木 英敬君 松本 尚君
伊藤 俊輔君 篠田奈保子君
池畑浩太朗君 空本 誠喜君
同日
辞任 補欠選任
田畑 裕明君 鬼木 誠君
松本 尚君 鈴木 英敬君
篠田奈保子君 辻 英之君
空本 誠喜君 池畑浩太朗君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 山田 賢司君
辻 英之君 大塚小百合君
同日
辞任 補欠選任
山田 賢司君 黄川田仁志君
大塚小百合君 波多野 翼君
同日
辞任 補欠選任
波多野 翼君 伊藤 俊輔君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
国の安全保障に関する件
――――◇―――――
○遠藤委員長 これより会議を開きます。
国の安全保障に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房内閣審議官門前浩司君外十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○遠藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。
○篠原(豪)委員 おはようございます。篠原豪でございます。
時間がないので早速中身に入らせていただきたいと思いますけれども、両大臣におかれましては、朝早くからお疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
現下、最大の外交課題の焦点の一つは、やはりトランプ大統領が主張するウクライナ停戦だろうと思っております。三年を経て一向に決着を見ないウクライナ戦争を終わらせようと停戦を模索すること自体は、紛争の平和的手段による解決で、これは何ら違和感もございません。
問題は、トランプ大統領がその過程で、侵略をした側のロシアに寄り添い、そしてウクライナに圧力をかける姿勢を鮮明にしていることだと思います。そこで、その背景と今後の影響を分析する観点から、今日は質問させていただきます。
まず、法の支配こそ大原則だというところでございます。
国際秩序を支える根幹は、武力行使つまり侵略や戦争を違法とする国連憲章です。この国際法の大原則の下で、力による一方的な現状変更を容認しないということは、日本が提唱した法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋戦略の基本理念であって、アメリカを始めとする同盟国や友好国も支持してきているということでございます。
ところが、今回の事態は、国連憲章を体現する国連安保理の中核国であるロシアがウクライナに軍事侵攻し、三年を経た今も続けているということの深刻さでございます。したがって、単に戦闘を止めるだけでは侵略を事実上認めてしまうことになりますので、国際秩序の根本が崩れてしまいます。
そういった観点から、政府は従来ロシアのウクライナ侵攻に批判的な立場を堅持してきていますけれども、これまで、正確にはどのような表現で、日本としての外交上の基本スタンスを対外的に発信してきたのかをお伺いいたします。
○岩屋国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略については、その時々に応じて様々な表現を使っておりますが、主に三つのことを申し上げております。一つは、この侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であるということ、二番目には、このような力による一方的な現状変更は世界のどこであれ容認できないということ、三番目には、法の支配に基づく国際秩序を守るべく国際社会が結束して対応していかなければならないというような表現で、我が国の立場を明らかにしてきたところでございます。
○篠原(豪)委員 今おっしゃったロシアによるウクライナの侵攻は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙ということ、そして残り二つをおっしゃられましたけれども、これは、この立場をしっかりと堅持していただければと思います。
そして、アメリカの戦略上の課題と対応についてお伺いしたいと思います。
一九九一年にソ連が崩壊し、東西冷戦が終結をしました。アメリカは唯一の超大国としてそのときからの地位を確立していますけれども、二〇〇一年の九月十一日の同時多発テロから、その後の対テロ戦争でアメリカの国力が消耗する。一方、その間に経済的にも軍事的にも台頭してきた中国がアメリカを脅かす存在になりました。そこで、オバマ大統領のときですけれども、二〇一二年の一月に発表した軍事戦略では、アジア太平洋地域へのリバランスを打ち出しました。これは、中国との競争に注力する姿勢を示したものであります。
トランプ大統領も、対中戦略を重視する姿勢を示して、一期目の二〇一八年十二月の中頃にはシリアの駐留米軍の早期撤退を表明しました。翌一九年一月に、これはアフガン政府の頭越しにやったんですけれども、反政府勢力だったタリバンにアフガン駐留米軍の完全撤退の方針を伝えて、二〇二〇年二月にタリバンと和平合意を結んで、そして翌三月に段階的な撤退を始めたわけです。
ところが、攻勢をその後タリバンが強めまして、アフガン政府との和解協議が進まないということになりまして、やがてアフガン政府が崩壊をするというところにつながりました。そして、それが避けられないと判断をしたバイデン政権は、二〇二一年八月に米軍を完全撤退させて、そしてタリバンの政権復帰が実現するということになったということがありました。
これは、つまり、シリアもそうだったんですけれども、頭越しに交渉することによって、シリアとかアフガニスタンからの駐留米軍の撤退は、アメリカが国力が衰えているから、対中戦略に資源を集中するためには戦略的判断としてせざるを得なかったんだと思います。
このときの戦略的判断を、政府は今の状況を見てどういうふうに捉えているかということを教えていただければと思います。
○岩屋国務大臣 米国の戦略的判断について我が方からこれを断定的に評価するということは避けたいというふうに思いますけれども、米国がインド太平洋地域を極めて重視しているということについては、我が国としては歓迎をしたいというふうに思っております。
いずれにしても、米国は国際社会の平和と安全に不可欠な役割を果たしていると思うし、果たしてもらわなければならないというふうに思っておりますので、引き続き、中東あるいはウクライナ、様々な課題の対応でも緊密に連携をしていきたいというふうに考えております。
○篠原(豪)委員 今、アメリカの戦略的判断については我が国としては申し述べる立場にないということではありますが、その後お話しされたウクライナの話というのは、このときのアメリカの戦略的判断をロシアは見ていて、そして、そのロシアは、対中戦略に行かなければいけないということにアメリカがシフトするのならば、プーチンさんは、アメリカのこのリソース動員とその他の地域の力の空白を絶好のチャンスと捉えた。そして、その捉えた結果、クリミアの問題に、併合につながっていっているということでございますので、これをてことしたウクライナ侵略へと突き進んだことはやはり考えなければいけないと思いますので、いま一度、このことも踏まえて、あのときの状況をどういうふうに捉えていらっしゃるかというのを少し教えていただければと思います。
○岩屋国務大臣 ウクライナ侵略の遠因が那辺にあるかということについては、今委員御指摘があったようなお話も含めていろいろな見方があるんだろうと思いますけれども、これを政府として断定的に評価することは控えたいというふうに思っております。
今日、中東ガザにしても、あるいはウクライナにしても、様々な見方、評価がありますが、米国の新政権のイニシアチブによって膠着していた事態が動き始めたということは事実だろうと思いますので、我々としては、これを歓迎し、これがよい結論に導かれるように、同盟国として、またG7の一員として、しっかり支援をしていきたいと考えているところでございます。
○篠原(豪)委員 そうすると、停戦をどのようにしっかりやっていくのかということが大切だということだと思いますので、これから中身について議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
今、見ていますと、トランプ政権の、新しい今回の政権の停戦の戦略的な狙いというのは、さっきの対中戦略もありますので、数千億ドル規模の支援をアメリカ単独で今後も続けるということができるのかどうかというところも恐らく考えているんだと思います、資源は限られていますので。そうすると、対中戦略の延長上に最近の動きがやはりあるんじゃないか。今申し上げましたけれども、アフガンの撤退もそうですし。
そうすると、困るのは、やろうとするのは、そこはアメリカが考えるとしても、何でもいいからやってしまえという話ではなくて、国際法を守らないやり方で停戦に持ち込もうとすることだと思います。
トランプ政権のヘグセス国防長官ですけれども、二月十二日に、南部クリミア半島をロシアに一方的に併合された二〇一四年以前の領土に戻すことは非現実的で幻想的な目標だとおっしゃっています。これは、ウクライナの領土奪還を支援してきたバイデン政権の考え方から大転換だと思います。
二〇一四年の以前まで、国際法上、力による侵略は許されないわけですから、だからそこのところはしっかり戻さなければいけない最低のラインだということと思いますけれども。そうすると、トランプ大統領が、今ヘグセスさんが話したようなことであるとすると、これはロシアの侵略行為を事実上容認するということにつながってしまう。これはさすがにあってはいけないんだろうと思います。
ですので、このことについて政府は、同盟国としてアメリカの戦略的観点からの停戦の在り方にどのような思いを持っているのか、どのような考え方で法の支配を堅持しようとしているのかということを、もちろん、同盟国ですから、アメリカが考えて決めた戦略的判断において全面的に否定をするというのはなかなか難しいということも分かった上で、しかし、守らなければいけないところは守らないとということなので、お伺いをさせていただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 ヘグセス国防長官の発言は承知をいたしております。トランプ政権からは大統領を含めて様々な発言が出ておりますけれども、最終的にどういう方針に決着するのかというのはよく見ていかなければいけないと思っております。
我が国としては、言うまでもありませんが、クリミアを含むウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持してきております。ウクライナは被侵略国でありロシアは侵略国であるという原点を忘れてはならないというふうに思っておりまして、したがって、停戦の仕方、その後の和平の在り方というのは、そこから誤った教訓が導き出されることがあってはならないということを随時申し上げているところでございまして、先般のカナダでのG7外相会合でも私はそのことをしっかり申し上げたところでございます。
○篠原(豪)委員 是非G7、もし時間があればG20、この間のカナダの話もお伺いさせていただきたいと思いますけれども、その前にちょっと聞くことがありますので続けさせていただきます。
今のお話はどこに通じるかというと、ヘグセス長官がおっしゃった話というのは、領土の一体性を否定しかねない発言なんですよね。とすると、何よりも我が国として領土の一体性で大切なのは北方領土です。この北方領土の返還を求めるという根拠もそのようなことを認めれば失われていくので、これはあってはいけない。つまり、侵略を事実上認めないことが日本外交の大前提ですので、今、被侵略国と侵略国ということでございましたけれども、そこのところはしっかりと、北方領土のことも考えながらもちろんやっていただいているとは思いますけれども、やはり我々としても、ここは大切なポイントだということなので、あえてこの場で申し上げさせていただきたいと思います。
そして、トランプさんですけれども、アメリカの力が相対的に衰えていく中で、トランプさんの今の外交の流儀というのはほかにどういう影響を及ぼすのかなということを考えますと、欧州正面とそして中東周辺に派遣した米軍がありますので、これを削減するような話も今出てきているところでございます。後で時間があれば、防衛大臣にもこの直近のコメントについても伺いたいと思うんですけれども。
トランプさんは、最速で目的を達成するために、複雑な利害関係の調整というのを回避して、事態の決定権を持っている最有力者のみとディールを行って解決しようという傾向があるんだと思います。ですので、これでは交渉から排除された同盟国や友好国、あるいはグローバルサウスまで考えないといけなくて、あのようなやり方をアメリカはするんだということになれば、今いろいろな発言がありますけれども、やはりグローバルサウスの方々がどう聞いているのかなというところまで考えたときに、これはアメリカ離れが進んでいくんだと思いますね。
そうなると、USAIDの事業を八三%切り捨てたということも言っていますので、これもグローバルサウス離れがどんどん加速するということは目に見えているわけですよ。
そういった中で、我が国は、交渉の段階に、同盟国や友好国、あるいはグローバルサウス、グローバルサウスは直接は関係ないかもしれないです、関係する国もありますけれども、日本政府としては、今のアメリカのやり方もあるんだけれども、日本は日本で独自にグローバルサウスとも仲よくしなければいけないですし、日本は主権国家ですから、日本が主体的にできることはあると思うんですよ。この辺についてどのように考えていらっしゃるのかということをお伺いさせていただければと思います。
○岩屋国務大臣 米国は、例えばウクライナについて申し上げれば、遠からずまたサウジアラビアでロシアとも交渉するしウクライナとも交渉するというふうに承知をしておりまして、取っかかりは今委員がおっしゃったような感じではありましたけれども、やはり当然のことながら当事者たちとしっかりそれぞれ話をしなければいけないということだと思います。
また、ウクライナについて言えば、イギリス、フランスなどを中心に、欧州も一つの停戦の在り方、和平の在り方について考えをまとめて、米政権側にこれをまた提起するというふうに聞いておりますし、我々も、ウクライナに関する様々な会議、中東に関する様々な会議に我が国も参画をしておりますし、最終的には、委員おっしゃるとおり、当事者のみならず、多くの国々を巻き込んだ形で決着が図られなければならない、また、そうすることが真の和平につながっていくというふうに考えております。
○篠原(豪)委員 それで、是非そうしていただきたいと思いますけれども、今度は、我が国の足下を顧みて、これからどうなるかということですけれども、NATOや日米同盟の重要性を認識してきて多国間協力を強化してきたバイデン政権がありまして、一方で、アメリカ・ファーストに徹するトランプ政権ということで、どういうふうに接していくかということで、トランプさんは、日米安保条約について、我々は日本を守らなければいけないが、日本は我々を守る必要はない、このような発言ですけれども、一体誰がこんな取引を結んだのかと不満を示して、国防次官候補のコルビー氏は、次官候補だったときに、日本に対して、防衛費を国内総生産のGDP比で少なくとも三%支出すべきだというふうに要求をして、次期駐日大使に指名されたジョージ・グラス元駐ポルトガル大使も、上院の指名の公聴会で、在日米軍駐留経費の日本側負担、思いやり予算の増額を求めるというふうに述べています。
中谷防衛大臣にお伺いをさせていただければと思うんですが、NATO諸国との防衛費について、GDP比五%の引上げ要求をNATOに対してしたヘグセス国防長官とこれから月内にも大臣は会談をするという予定だと聞いております。その中で、同盟国に対して防衛費負担の増額を強く要求しているトランプ政権に我が国の主張をどのように受けてもらうのか、アメリカ政府を納得させる見通しがあるのかということについて、まずお伺いしたいと思います。
○中谷国務大臣 現在、御指摘のヘグセス長官との会談につきましては、可能な限り早期の対面で実施できるように調整中でございます。
現在は、基本的に、日米間の安全保障につきましては、これまでの経緯も含めまして、日米同盟の重要性、特に日米のガイドラインとか、いろいろと協議がありましたし、首脳会談もございました。その上で、安全保障に関しましては、国家安全保障戦略において、我が国の主体的な判断、そして、二〇二七年において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せまして、そのための予算水準がGDPの二%に達するよう所要の措置を講ずるということを基本としております。
これは、金額とかGDP比の割合ではなくて、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な防衛力の内容を積み上げた上で導き出したものでありまして、まずはこの国家安全保障戦略等に基づき防衛力の抜本的強化、これを今全力で着実に進めている最中でございます。
加えて、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙する中で、我が国として主体的に抑止力、対処力を強化するための取組を不断に検討を進めていくということも当然でございまして、ヘグセス長官との会談におきましても、このような我が国の基本的な考え方、そして、現在の情勢等については協議をして、話合いをしたいというふうに思います。
○篠原(豪)委員 是非、中谷大臣であられますのでしっかりとした交渉をしてきていただけると思っておりますけれども、一方で、昨日の報道ですけれども、在日米軍強化中止検討かみたいな報道も出てきておりまして、これは、まさにバイデン政権下で日米が合意していた在日米軍の再編強化計画の中止を検討しているということなので、かつてドイツに駐留していた経費を削減して軍事費の負担増を迫ったことがありましたので、交渉に行かれる前段でこのようなことがまた出てくるということは、何らかの意図を持って当然やっているというふうに考えていらっしゃると思いますので、その辺もしっかりと頭に入れた上で、日本には日本の立場というものがありますので、そこを堅持してお守りいただきながら交渉に強く臨んでいただければと思います。
○中谷国務大臣 来週、我が国の安全保障上の指揮の在り方について大変大きな変化がございます。それは、統合作戦司令部、これを新設するということで、現在、日米間においても、これを踏まえて指揮統制の枠組みの議論を行っておりますが、非常に複雑な国際社会が進んでいく中で、やはり日米の抑止力、対処力の更なる強化というのは一番の大切なことでございますので、指揮統制の向上を目指してしっかりと日米間で話合いが進んでいくように、調整をしていきたいと思っております。
○篠原(豪)委員 本当に、来週のこの日米間の新しいパートナーシップというか、枠組みを迎えるということには大変な努力があったというふうに思いますので、是非、それがしっかりとうまく前に行くように、そのこともお伝えいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
もう一つ、今EUの話が出ましたので、少しその議論をさせていただきたいと思うんです。
二月十二日にトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が電話会談を行った際には、交渉の場には欧州の席がない、必要ないということを言いました。トランプ大統領が交渉を複雑化させかねない欧州を排除するのは、彼のやり方からするとごく自然なことなのかもしれません。しかし、ウクライナの安全の保障を自分事と捉えている欧州は、アメリカへの過度の依存を減らして自らの立場を強化することがまずやるべきことだと気づいていたとは思いますけれども、更に強い認識になったんだというふうに思います。
最後の質問ですけれども、そして、この事態を受けて欧州は、ウクライナと連帯をして停戦交渉を支援する観点から、今後四年間で百二十八兆円の防衛費を確保する欧州再編整備計画を策定することで、欧州の安全保障のアメリカへの依存を減らして自らの責任能力を高める措置を取っています。ロシアの再侵略を抑制するためには、イギリス、フランス主導の枠組みで平和維持部隊を派遣するという構想も掲げました。
この欧州の対応は、米欧の対立を緩和し、同時にロシアの脅威に対抗するための現実的な対応策だと思いますけれども、日本政府としてはどのように評価しているのでしょうか。
今こそ、やはり日本も、日欧が連携することが重要な局面に来ていると思います。私もGIGOで造る戦闘機の会社も行かせていただきまして、議論もさせていただきましたし、このために、政府として今後欧州の動きを支援するべきだと考えていますので、同じような考え方がおありだとすれば、どのような措置を取ることができるのか、どのような考え方でいくのかということを教えていただければと思います。
○岩屋国務大臣 ウクライナ情勢を受けた欧州の安全保障について、現在、委員御指摘のように、欧州の防衛力強化を目指す欧州委員会の欧州再軍備計画を推進していくということが先般の特別欧州理事会で合意されましたし、また同時に、ウクライナにおけるあり得べき和平に関連して、欧州が中心となってウクライナの和平を保障することの必要性について議論がなされていると承知をしております。
私どもとしては、やはり米欧が対立をしたり分断されたりすることは決して望ましいことではない、こう思っておりますので、EU、欧州の方ともしっかりと連携し、また米国とも緊密に連携を取って、これらの取組に我が国としてなし得る貢献をしっかりしていきたい。ただ、枠組みがまだ必ずしも明確になっておりませんので、それが見えてきた段階でしっかり検討したいというふうに思っております。
○篠原(豪)委員 欧米の分断は我々としても当然求めていないんですが、一方で、クリミアがあって、ロシアがG8という枠組みから排除されてG7になったのは二〇一四年のあの行動でございまして、それを今度は、ロシアをG7に戻したらいいんじゃないか、G8にした方がいいんじゃないかということをトランプさんは主張していることもあるわけで、こうなると、G7の枠組みであるとかヨーロッパの枠組みというものと、彼らもそれを言われて、どういうことなんですかということになると思うんですよね。
それでありますので、最後の質問にさせていただきますけれども、この間、G7のカナダ会合にお出になりまして、このことも今の議論も踏まえた上で少し教えていただきたいんですけれども、岩屋外相が参加したカナダでのG7外相会合の共同声明では、ロシア側に、平等な条件で停戦に合意をし、完全に履行するように求めたと。平等な条件で停戦し、完全に履行ということでありますので、この平等な条件で停戦に合意をしというのはどのようなことなのか、完全に履行というのはどのような意味なのかということを、日本政府として、G7諸国と共同しつつ、どのように実現しようとしているのかも含めて、最後の質問とさせていただきたいと思います。
○岩屋国務大臣 委員御案内のとおり、米国とウクライナ両政府はサウジアラビアでの協議で、三十日間の即時かつ暫定的な停戦との米側提案にウクライナが応じる用意がある、そして、今後、今般の協議結果を受けて、米側としてロシア側と協議すること等を内容とする共同声明を発表いたしました。
その後、今度は、エネルギー関連施設に対する攻撃はしないとか様々な今やり取りがされておりますが、これは当然、ウクライナ側もロシア側も同様な条件で合意し、また、合意後、それを完全に履行することが求められているということだと思いますので、我々としては、そういう結論が見出されるようにしっかりとこの交渉を見守り、またバックアップもしていきたいと思っております。
○篠原(豪)委員 これまで、トランプさんが御就任されるまでは、長らく我々の外交、安全保障上の問題の議論の中心は中国とかアジアの地域がどうするかということだったと思いますけれども、ところが、経済的威圧もそうですし、様々なことをやってくるということでありますので、トランプさんが繰り出す政策が日々余りにも慌ただしくて、その対応に我が国を含めて各国が振り回されているような状況に私からも見えますので、これから様々な重要な会談を、来週もされるということでございますので、皆様方におかれましては、どういうふうに向き合うのか、そしてその中で日本としてしっかり立場を、これまでの立場を曲げられることのないようにやっていただきたいということで、今日は議論させていただきました。
どうもありがとうございました。
○遠藤委員長 これにて篠原豪君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございます。
次に、重徳和彦君。
○重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。
参議院の予算委員会もある中で、両大臣、そして、こういった委員会の設定に御尽力されました与野党両筆頭に心から感謝を申し上げます。
まず最初に、国産の防衛装備品に関連する質問をさせていただきます。
私は、安全保障委員会は八年目、継続して参加させていただいております。その最初の頃から訴えておりましたのが、防衛装備品は国産化していくべきだ、そして、国内の防衛産業をしっかりと振興していくべきだ、こういうことを申し上げてまいりました。そういう中で、今回の中谷大臣の所信にも、「もがみ」型の護衛艦をオーストラリアに移転するということに取り組んでおられる、こういうことがございました。
少し私自身の身近な話をしますと、この「もがみ」型ですが、これの一つとして護衛艦「やはぎ」が昨年就航しまして、実は「やはぎ」というのは、私の地元に矢作川という川があって、その地名にも由来するということもあり、そして、先週末、三月十五日土曜日に愛知県の蒲郡港に護衛艦「やはぎ」が入港し、一般公開された、こういうことがありました。岡崎市内の矢作川沿いに矢作神社という神社もありまして、そこの宮司さんを後援会長とする護衛艦「やはぎ」の後援会が、私も顧問なんですけれども、歓迎レセプションをやって海上自衛隊員の皆さん方を歓迎した。こういうことを行いました。
矢作というのは当然古来からの地名なので、日本海軍時代から、当時は巡洋艦と言われていましたが、二代続いておりまして、今回の護衛艦「やはぎ」は三代目ということであります。
そういう経緯がありまして、これまで自衛隊とか自衛隊のアセットに親しみを感じるのは、一部のマニアックな方々は大好きなんですけれども、地域の方々が広く海上自衛隊に親しみを持ったり応援しようというきっかけとしては後援会というのは非常にいいなと私自身も思ってやっているんですけれども、全国の地名、河川の名前にちなんだ船は海上自衛隊にたくさんありますが、こういった後援会とか、地名に由来する地域を挙げて応援するとか、こういう取組はどのぐらいあるものなのかをまず知りたくて、御質問させていただきます。
○中谷国務大臣 重徳委員におかれましては、日頃から、地元の自衛隊のみならず、全国の各海上自衛隊を始めとする艦艇等におきまして御支援や応援をいただいておりまして、誠にありがとうございます。
艦艇の後援会について、委員が顧問を務めておられます護衛艦「やはぎ」のほか、護衛艦「くまの」そして輸送艦「おおすみ」など、一部の地域に所在することは承知しておりますが、これらは任意団体であり、全てを網羅的に把握しておりませんけれども、防衛省・自衛隊の活動に御理解と御協力をいただいていることは大変ありがたく思っております。どうもありがとうございます。
○重徳委員 海上自衛官の皆さん方の任務は大変過酷な部分もあると思いますので、できるだけ日本国民として支える、そういう枠組みがもっと増えるといいなと切望しております。
立憲民主党も、これは何遍も言っているんですけれども、党の自衛隊員応援議員連盟というものを、私は事務局長をやっているんですけれども、党内最大の議員連盟でありまして、多分自民党の議連より人数が多いんじゃないかと私は思います。こういう姿勢でこれからも自衛隊員の応援をしっかりしていきたいと思っております。
そして、中谷大臣の所信の中で、「もがみ」型についてこのようにおっしゃっています。「豪州政府が進める次期汎用フリゲートの最終候補に、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である令和六年度型護衛艦が残っています。」ということであります。
「もがみ」型護衛艦の強みは何かということと、オーストラリアへの移転の最終選定に向けた状況はどうなのかということをお尋ねします。
○中谷国務大臣 経緯を申し上げますと、昨年十一月に、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型である令和六年度型護衛艦がオーストラリア次期汎用フリゲートの最終候補に選定されたということでございます。
これを受けまして、昨年十二月に、官民、関係省庁とオール・ジャパンの体制で官民合同推進委員会を設置しまして第一回目の会合を開催いたしておりまして、本年度中にも見込まれる最終選考に向けましてよい提案ができるように、関係企業と関係省庁がしっかり連携しまして、官民一体となって今いろいろな検討や努力を続けているところであります。
なお、この六年度型の護衛艦は、優れたステルス性、米空母機動部隊に同行できるスピード、米海軍との相互運用性を確保した信頼性の高い武器システムを持ちつつ、自動化、省人化により従来より大幅に少ない乗組員で運用が可能となっておりまして、このような優れた我が国の技術が結集したすばらしい艦艇を是非オーストラリアに採用していただくように、積極的に現在も行動しているということでございます。
○重徳委員 国内の防衛産業の振興のためにも是非取り組んでいただきたいと思います。ありがとうございます。
続いて、先ほど篠原筆頭からもテーマとして取り上げられておりましたけれども、アメリカのトランプ政権との関係でございます。
石破首相とトランプ大統領の日米首脳会談は二月七日でしたね、もう二か月半がたとうとしております。
当時は、一兆ドルの投資をアメリカにしますよとか、あるいは、天然ガスをたくさん購入しますよというようなことを石破総理が提案され、そして、トランプ大統領から余り過度な要求もその場では行われなかったので、首脳会談はまあまあうまくいったじゃないか、こういう雰囲気に包まれていたのもつかの間、今、トランプ大統領から、鉄鋼、アルミの関税引上げとか、更に、自動車の二五%への追加関税ということも打ち出され、また、日米安保体制についても、アメリカは日本を守るのに、日本はアメリカを守らないのかといった、素朴な疑問かもしれませんが、これは誤解に基づく疑問だと私は捉えておりますが、そういったことが提起されております。
武藤経産大臣も渡米をされて、自動車関税を始め、関税について日本を例外にしてほしいといったことも働きかけを行っておられるというところまでは周知のとおりであります。
しかし、更に追い打ちをかけられているのが、例えば、先ほどもありました、コルビー防衛次官がアメリカの上院軍事委員会の公聴会で、少なくとも日本の防衛費はGDPの三%に引き上げるべきだということを発言している。あるいは、ラトニック商務長官はアメリカのテレビ番組で、自動車への関税二五%というのは日本も例外ではないんだということを話しておられるということであります。
まず中谷防衛大臣にお聞きしますが、コルビー防衛次官の防衛費三%発言、コルビーさんはずっと国防関係の仕事をされていますので、かなり影響力が強いと言われております。この発言をどう受け止められているのか。最近はグラス大使も言われていますし、そして、先ほど話がありましたヘグセス長官との会談も控えておられるということなので、改めて中谷大臣からお聞きします。
○中谷国務大臣 コルビー国防次官候補による上院での証言、回答は承知いたしております。
このことに対して、我が国として既に防衛力の抜本的強化について今取り組んでおりまして、問題は中身でありますので、金額とかGDP比の割合ありきではなくて、中身をしっかり説明して日本の姿勢を示すことが大切ではないかと思います。
そういう意味では、現在、主体的に抑止力、対処力を強化するための取組を不断に検討して、国家防衛戦略に基づいた抜本的防衛力強化を実施いたしておりますので、石破総理も、防衛費を増額するとかそのようなことはアメリカに言われて日本がやることではない、それは日本国が日本国のために自らの責任においてそれを決断すべきものと述べているところでございますので、私も同様の考え方をいたしております。
○重徳委員 私は時々気になることがあるんですが、何%という数字ありきではないんだ、これが基本線でずっと答弁されていると思うんですけれども、ただ、先ほどの篠原委員への御答弁の中でも、これは政府の文書にも書いてあるのかな、二%に達するよう、そういう表現もあるじゃないですか。数値目標、つまりパーセンテージじゃないんだと言うんだったら、二%に達するようといったような表現ぶりもやらない方がいいんじゃないかと思うんです、いろいろな意味で。
そこだけ二%に達するようと先ほどの篠原さんへの答弁でおっしゃっていたじゃないですか。本当に積み上げた結果二%なんだとか、あるいは、これからどうなるか分かりませんけれども、三%という数字に何かしら言及されるようなときに、達するようという言い方はちょっとおかしいんじゃないかなと思うんですけれども、これはどうお考えですか、大臣。
○中谷国務大臣 これは、防衛力の抜本的強化ということを実際にシミュレーションを行いながら積み上げていった結果でありまして、これに補完する取組を併せて、令和九年度において、策定時点のGDPの二%に達するように所要の措置を講じることにいたしております。
この規模については積み上げでありますが、防衛力の抜本的強化が達成できて防衛省としてもしっかり役割を果たせるという内容と、金額の積み上げとして決定されたものでございますので、一応このような数字を積み上げて発表いたしておりますけれども、実際は、その過程を重視して、そもそも数字ありきで決まったものではないということです。
○重徳委員 やはり苦しいと思うんですよ、今のようなおっしゃり方は。だから、二%に達するようというような表現ぶりは私は改めた方がいいんじゃないかと思いますので、是非御検討いただければと思います。矛盾してしまうと思うんですね。
それから、今度は岩屋外務大臣にお尋ねします。
日米交渉は、政治家だけではなくて、政府だけではなくて、経済界も大変懸念されていますし、官民連携で取り組むべきだということを、つい一昨日の日本自動車工業会の片山会長の記者会見でも様々言及されています。
特に、私は、トランプ政権の自動車への追加関税が四月二日に予定どおり適用された場合、自工会の片山会長がおっしゃっているのが、例えばかなり生産調整も予測されると。自動車産業というのは、部品を含めた関連企業を含めると五百五十万人の雇用を生んでいるということなんです。だから、日本国において生産調整だとかそういった影響が出るというのは非常に深刻な問題だと思っております。
これは直接の担当は経産大臣かもしれませんが、今の追加関税の話とか、それから、今中谷大臣にお聞きしました防衛費を増やすようにといった圧力に関して、かなりアメリカ側の姿勢がはっきりしてきましたよね。こういうことに対しまして、さっき石破さんが、首脳会談ではまず一安心だという雰囲気が一瞬出ましたけれども、全く安心できる状況どころではないということでございます。
これは日米だけではなくて、他の同じ自由主義を持つ国々との連携を含めて本当に精力的に取り組まなければならない問題だと思いますが、今後の外交方針についてお尋ねいたします。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のように、日米首脳会談のときは私も同席しておりましたが、手前みそではなくて、非常にいい会談だったと思います。両首脳の信頼関係がしっかり構築された会談だったと思いますし、その段階では関税の話も防衛費の話も一切出ておりませんでしたが、その後そういう話が出てきていることは事実です。
私は、私のカウンターパートはマルコ・ルビオ国務長官になりますが、ミュンヘン安全保障会議のときに時間を取ってもらって、鉄鋼、アルミへの課税あるいは自動車関税は我が国は除外されるべきだということを強く申入れを行いました。また、先般、カナダ・ケベックでの日米外相会談でも同様のことを申し上げました。
委員御指摘のように、武藤経産大臣も渡米してカウンターパートのラトニック商務長官とこの件で話合いを持っておりますけれども、ルビオ国務長官は関税、貿易政策については直接の担当ではないわけですが、外交の側面からもしっかりその声を引き続き強く米側に伝えていきたいと思っておりますし、また、同志国あるいは友好国とも緊密にいろいろ連携を取っていきたいと考えております。
○重徳委員 アメリカのみならず、世界各国に影響のある話だと思います。その観点から、もう一つ、ウクライナに関連した質問をしたいと思います。
三月十四日のG7、カナダ・シャルルボワ外相会合において、ロシアに対して停戦に応じるように求めたということが大きなテーマだったんです。共同声明の中でこのような表現があります。我々は、そのような停戦が合意されない場合に、更なる制裁、石油価格の上限価格設定、ウクライナへの追加支援及び他の手段を通じたものを含むロシアへの更なるコストを課すことを議論したということであります。
ロシアが停戦に応じない場合は、このとおり日本も経済制裁の強化などに踏み切ると考えてよろしいでしょうか。
○岩屋国務大臣 委員御指摘のとおり、三月十四日のシャルルボワでのG7外相会合の後に発出された共同声明に、G7外相会合においては、停戦が合意されない場合には、制裁を含め、ロシアに更なるコストを課すことについて議論をいたしました。これは米国も入った中で共同声明にこの記述がなされたということでございますので、これはコンセンサスだったと申し上げてよろしいかと思います。
まだ停戦については協議が様々続いておりますので、この段階で断定的に申し上げるのは控えたいと思いますけれども、この共同声明に示された考え方に沿って我が方も対応していきたいと考えております。
○重徳委員 日本を含めたコンセンサスであるということです。
ロシアへの対応というのは、対応を誤ると北東アジア情勢、台湾情勢にも非常に深刻な影響が生じると思っております。大変懸念しております。
今回のG7はアメリカも含むコンセンサスだというお話が今岩屋大臣からありましたけれども、ただ、いろいろな意味で温度差が今トランプ政権と欧州の間でありますよね。現に、欧州においては少し異なるスタンスだと思います。アメリカを除く有志連合を結成するという話が上がってきています。平和維持のための部隊派遣などを検討しているということでございます。
そうなると、G7で先ほどの共同声明をまとめた、その内容についてはコンセンサスがアメリカもヨーロッパも日本もあったということなんでしょうけれども、ウクライナ戦争あるいはその停戦のプロセスについて、EU各国の外務大臣とアメリカのルビオ国務長官との間で、何かしらの温度差とか言葉のニュアンスの違いとか、そういったものはG7の場において岩屋大臣は感じられましたか。
○岩屋国務大臣 外相会合が始まる前までは、米欧がかなり対立するのではないかという予測もあったわけですけれども、二日間の会議を通じてそこはかなり歩み寄って、さっき申し上げた共同声明の形にまとめることができた。これは非常に大きな意義があったと思います。この段階でG7が空中分解するようなことになれば様々な悪影響が及ぶと私も思っておりましたので、G7が結束することが大事だ。
そして、もちろん欧州は欧州で今いろいろな計画を作ろうとしておりますが、やはり米国のコミットメントが全くないということではそれは奏功しないということも欧州側からも発言があると思います。
したがって、我が国としては、米欧の結束の接着剤と言うとちょっとおこがましいかもしれませんけれども、そういう役割を果たさなければいけないというつもりで、これからも外交に臨んでまいりたいと考えております。
○重徳委員 それでは、通告を一個飛ばしますけれども、ウクライナ軍とアメリカ軍が主催する訓練が一九九七年からずっとあるんです。シーブリーズと言われるものであります。これは、アメリカとウクライナが共催して欧州諸国がかねて参加してきたものであります。これについて、日本もここ数年参画しているという話がございます。
二〇二一年に日本は初めてオブザーバーとしてこのシーブリーズに参加した。そして、二〇二二年はウクライナ戦争が始まった年だったので訓練そのものが中止された。そして、二〇二三年はイギリスでの訓練に日本も参加した。二〇二四年、昨年は黒海の、もちろんウクライナ領内ではありませんが、ブルガリア領海内での訓練に自衛官十一人が参加した。このように聞いております。
ここは、事務方の皆さんからもお聞きしまして、要するにウクライナという戦争当事国への日本の関わりというところを私は焦点にしたいと思っているんですが、訓練であって実戦に関わっているわけではないんだ、こういう説明になろうかと思うんです。
一方で、日本が今までウクライナに対する支援としては、資金支援のほか、殺傷能力のないヘルメットとか、そういう装備品を提供した、あるいは地雷の除去といった、それをもって直接的ではない関わりをしてきたという説明でございます。日本は平和国家ですから、どこかで線引きをしなくてはいけないと思うんです。
訓練に参加する、それも黒海、ウクライナ、ロシアにかなり近い地域で行うということは、これはあくまで訓練だから実戦への関わり方として非常に薄いんだという説明になるんでしょうか。ここをはっきりさせないと説明がつかないと思うんです。戦争当事国が主催する訓練に日本の自衛官が参加する、ここははっきり説明しないといけないと思います。どのように説明されるんでしょうか。
○中谷国務大臣 訓練の認識で参加いたしております。
と申しますと、一九九七年以降、このシーブリーズは毎年実施されておりますし、また、二〇二一年から自衛隊の要員を派遣して日・ウクライナ防衛協力・交流の一環として行っておりますが、昨年実施されたシーブリーズ二〇二四につきましては、機雷除去等を内容として、昨年六月二十五日から七月五日までの間、英国、次に、九月九日から二十日までの間、ブルガリアで実施されて、海上自衛隊から英国に一名、ブルガリアに十名参加いたしております。
このブルガリアの訓練につきましては、安全が十分に確保されたブルガリア領域内において、実際の機雷ではなくて、訓練用の模擬機雷を使用して機雷除去の手順等を演練したものでありますので、実際の戦闘行為に係るものではありません。
こういうことを踏まえますと、本件は、これまでの日・ウクライナにおける取組と比較して大きく踏み込んだものであったとは考えておりませんし、また、本年シーブリーズが実施された場合の我が国の参加につきましてはまだ決まっておりませんけれども、国外における訓練の参加も含めまして、自衛隊の活動は憲法その他の国内法令に従って実施したいと考えております。
○重徳委員 お聞きする前にお答えになりましたけれども、今年は参加する予定があるかどうか、もう一回確認します。
○中谷国務大臣 まだ決まっておりませんが、国外における訓練の参加を含めまして、自衛隊の活動が憲法上また国内法に従っているかどうかということを判断して実施したいということでございます。
○重徳委員 憲法に触れてはならないことは当然のことですが、こういった取組についてきちっと説明しないと、聞けば、国会で問われるまで、この訓練に参加していることについて表に出していなかったということであります。漏れてはいけないと思いながらやっていたんじゃないかみたいな疑いを立てられないようにしなければならないと私は思っておりますし、説明責任が伴うことだと思いますので、しっかりお願いします。
最後に、能動的サイバー防御についてです。
これは内閣委員会で議論が行われていることは承知しておりますが、本来の所管はいわば安全保障委員会あるいは防衛省だと私は思うんです。国家の安全保障が目的の法制だ、私はそのように感じ、昨年来ずっと質問を続けてまいりました。
一番大事なことは、防衛目的である、安全保障目的であるというところをはっきりさせないと私は国民的な理解が得られないと思っております。これが犯罪捜査目的、いわゆる司法目的に使われるというような疑念が立ってしまうと、そうであれば、本当は通信傍受法で裁判所から捜査令状を取らなくてはできないことなので。
ですから、今回の能動的サイバー防御は、アトリビューションといいまして、どこが攻撃元なのかを突き止める、そのために日常的にサイバーパトロールをする、こういう話でありますから、これはあくまで外国勢力からの攻撃を日本国として防衛するものであるということに目的が限定されているとはっきり答えられなければ国民的理解が逆に得られなくなる。
非常に重要な法案で、立憲民主党は法制が必要だとずっと言ってまいりました。私も言ってまいりました。ですから、そこが受け止めが違ってしまう、あるいは曖昧にしては絶対ならないと思うんですが、その点について明確に言い切っていただきたいと思います。
○中谷国務大臣 重徳委員から、この法律の必要性について御意見をいただきながら作ってまいったところでございます。
これは、国家安全保障戦略に基づいて、我が国として、武力攻撃に至らないものの、重大なサイバー攻撃のおそれがある場合に、これによる被害を未然に防止して、発生した場合の被害を防止するための能動的サイバー防御を導入するということで、タイトルにおいてもサイバー対処能力強化法案といたしております。
これらの法案は、国家安全保障戦略に定めたサイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等に向上させるという目標の実現に不可欠なものと考えておりまして、目的としましては、安全保障が目的であるということです。
○重徳委員 その点を私は一番重視していると言っても過言ではないところですので、今後内閣委員会を舞台に審議が進むと思いますけれども、この点だけは肝に銘じていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 これにて重徳和彦君の質疑は終了しました。お疲れさまでございます。
この際、暫時休憩いたします。
午前九時三十二分休憩
――――◇―――――
午前十時十一分開議
○遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。升田世喜男君。
○升田委員 立憲民主党の升田世喜男であります。
七年ぶりに国会に戻ってまいりましたので、七年ぶりの初の質疑でありますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
篠原委員、重徳委員の、三番目でありますから、多少かぶっていますのでそこは御容赦願いたい、こう思います。
まず、岩屋外務大臣にお伺いしたいんですが、先般、首脳会談がございましたけれども、同席されておったわけでありますから、トランプ大統領と恐らく握手もしただろうし、会話もしただろうし、まず、トランプ大統領の人間性というか、雰囲気というか、外務大臣としてどんな感想をお持ちになったか。と同時に、首脳会談そのものの雰囲気というのを改めて御報告願えませんか。
○岩屋国務大臣 まず、参議院予算委員会の答弁のため中断していただいて申し訳ありませんでした。
それから、升田委員、七年ぶりに国会にお戻りになったということで、私もかつて七年浪人をしたことがありますので、お気持ちはよく分かります。よく頑張られたと思います。
それで、お尋ねですけれども、正直に申し上げると、テレビ等で拝見していた大統領の雰囲気とは随分違うんだなというふうに感じまして、かなり気遣いの方なのかなというふうに私は感じた次第でございました。首脳同士のケミストリーが合うとまで言っていいのかどうか分かりませんが、当初心配されていたように、合わないということはなかった、非常に人間味あふれるやり取りもできた首脳会談だったのではないかなというふうに思います。
ただ、最初、オーバルルームという大統領執務室で最初の会談をやったんですけれども、何十人も記者さんたちが入って、カメラが何十台も回っている中での非常に緊張したスタートでしたけれども、石破総理はまさに堂々と振る舞われて、非常に、記者会見に至るまでいい雰囲気の、また、いい雰囲気になるように大統領もいろいろ気遣いをしていただいた会談だったなというふうに振り返って思います。
○升田委員 浪人七年と言われましたけれども、浪人は僕は十七年です。そこは訂正させていただきます。県会議員を辞めてから初当選まで約十年で、初当選からまた十年。その間、三年間国会議員をさせていただいた。前回から七年ということです。
人間味のあふれる、イメージとは違うということでした。ただ、その後の言動は、これまたちょっとイメージと違う、そんな感じがあったんじゃないかなと思うんです。
首脳会談を終えられて、共同声明がされました。ここで法の支配という文言が今回消えてしまったわけでありますけれども、これに対して外務大臣はどういう認識を持っていますか。
○岩屋国務大臣 その御指摘を他のところでも度々いただくんですが、共同声明を出すときには、いつも定番で同じ文言でなければならないということではなくて、その時々で様々表現が変わったりするわけですけれども、言うまでもないことですが、自由で開かれたインド太平洋の中核的な理念が法の支配ということですから、これは共同声明でもしっかりと堅持するということが確認されております。
また、首脳会談の場で石破総理から直接、力又は威圧によるあらゆる現状変更への試みに強く反対するということを述べられ、共同声明でもこれを確認しております。
したがって、法の支配が重要であるということは、いささかも今般の日米首脳会談から抜け落ちてはいないというふうに考えております。
○升田委員 いつも同じ文言である必要はないというような趣旨の答弁でありましたけれども、ただ、法の支配という言葉は大事だと思います。
我が国は、本来、自由あるいは民主主義、そして人権の尊重、そして法の支配あるいは市場経済、こういう普遍的価値を大事にされて、価値外交というのを展開してまいった、こう思うんですね。ですから、継続しなきゃいけないものは継続しないといけないと思います。この法の支配というのに私は違和感を感じました。
このことに対して中谷防衛大臣にお伺いしたいんですが、法の支配という文言が消えましたけれども、これは大臣としてどんな見解をお持ちですか。
○中谷国務大臣 私も以前、国際人権担当補佐官をしておりまして、官邸の中で、政府の方針としましては自由、人権、法の支配、民主主義ということを基本に話をしておりました。
今回、法の支配がないじゃないかということでございますが、しかし、外務大臣から答弁があったとおり、やはり、自由で開かれたインド太平洋という中核的な理念であるということは変わっていないと。共同声明でも、自由で開かれたインド太平洋を堅持するということが確認されておりますし、我が国の外交、安全保障政策も、FOIPという、自由で開かれたインド太平洋というのは基本原則になっておりますので、その点においてはこれでカバーできるんじゃないかなというふうに思います。
○升田委員 言葉というのは大事にしてしかるべきだと私は思うんですね。
ちょっと気になるところがあるんです。実は、この中谷防衛大臣の所信に、これを開きますと、二ページ目なんですけれども、「このような中国の対外的な姿勢や軍事動向等は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦となっています。」という言葉なんですが、個人的に、最後のこの挑戦という言葉、これに個人的に強い違和感を感じます。
冒頭、会話がありましたけれども、かなり落選しましたので、衆議院は七回戦っております。だけれども、敗れる度に、また頑張る、挑戦させていただきますと。これは明るい気持ちですね。未来志向です。
三月というのは、高校や大学、あるいは中学校の卒業式でありますが、大半の校長先生は、自分を信じて、自分の可能性を信じていろんなことに挑戦してくれと言うわけです。
本来、この挑戦というのは明るい気持ちなんだけれども、ここに書かれているのは、その意味と真逆です。中国が危機をもたらす、これまでにない最大の戦略的な挑戦というわけでありますから、私は、ここは言葉の研究をしてもいいんじゃないかなと。例えば、威嚇的で挑発的な活動とか、こういう言葉の表現の仕方もあろうと思うんです。
一般論として、挑戦というのは、未来志向、前向きでありますから、こう感じますけれども、中谷防衛大臣、いかがでしょうか。
○大和政府参考人 お答え申し上げます。
中国は、軍事力の質、量を広範かつ急速に強化しております。国防費の急速な増加を背景に、我が国を上回る数の近代的な海上、航空アセットを保持し、宇宙、サイバー等の新たな領域における能力や核・ミサイル戦力を強化させております。
このような軍事力を背景として、尖閣諸島周辺海域を含む我が国周辺全体での活動を活発化させているほか、台湾に対する軍事的圧力を高め、さらに、南シナ海での軍事拠点化などを推し進めています。
このような中国の対外的な姿勢や軍事動向などは、我が国を含む国際社会の深刻な懸念事項であり、また、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦であり、我が国の防衛力を含む総合的な国力と、同盟国、同志国などとの協力、連携により対応すべきものと考えております。
国家安全保障戦略及び国家防衛戦略においては、このような趣旨を御説明する上で、これまでにない最大の戦略的な挑戦としているところであります。
○升田委員 防衛大臣、一言。
○中谷国務大臣 この挑戦という言葉でございますが、これまで、防衛白書などにおいても、近年の中国の動向の中で、平和や国際秩序に対する挑戦とかいうことで何度か使ったことがございます。多分、同じような意味で、やはり現状の秩序に対する破壊を目的としたことに対する挑戦というふうな意味ではないでしょうか。
○升田委員 昨年の四月の十日ですかね、当時の岸田総理とバイデン大統領のいわゆる首脳会談があって、共同声明がありました。私はこれを読んでみました。法の支配という文言が二回出ているんですね。今回はなくなった。
前回、バイデンさんと岸田総理との共同声明にあって、これまた消えた言葉があるんですね、今回の共同声明。それは気候変動です。気候変動という言葉が、今回の首脳会談の声明ではありませんでした。
逆に、昨年の共同声明になくて、この度の共同声明で増えた言葉は不法移民です。この言葉です。
この言葉を入れる、入れないというのは、例えばトランプ大統領の思惑というか思いがやはり隠されているのではないか、こんなふうに思えてならないので、言葉というのは大事にしてほしいなと思います。
次の質問に行きます。
GDP三%、アメリカの方からそういう発信をされておりまして、この件については、先ほど重徳委員が質問されておりますので、そこははしょりたいと思いますが、中谷防衛大臣にお伺いしますけれども、アメリカは、はったりですかね、本気ですか。これはどっちでしょうか。
○中谷国務大臣 現在、私は報道でそういうのに接しているだけで、米国からそのようなことを発言されたり、お願いされたり、全くございません。
ですから、現時点におきましては、自分の考え方でしっかりと対応していくという方針でありまして、米国からまだ何も言われていないというのが現状でございます。
○升田委員 これに関して、石破総理も自国のことは自国で決めるべきだ、こういう趣旨の発言をされております。私も全く同感でございます。先ほどの重徳委員とのやり取りの中でも、数字ありきではない、中身が大事だ、こういう答弁もされました。おっしゃるとおりだと思います。
その姿勢で向き合ってほしいなと思いますが、さて、ロシアの侵略によって、ウクライナ戦争、よもや、これほど続くとは誰もが予想だにしなかったと思います。トランプ大統領は停戦をさせるということで今動いておりますけれども、これは、本当の目的というのは一体何なのかというところがよく分からぬです。
中谷防衛大臣はその辺をどう捉えておりますか。
○中谷国務大臣 トランプ大統領は、御指摘の点については、例えば、多大な人命の損失であり、早期終結が必要と、大統領就任前から発信しているということは承知しておりますし、また、十八日も、ウクライナの情勢につきましては、ロシアのプーチン大統領との間で電話会談を行うなど、積極的に取り組んでおり、やはり早く戦争を終結したいという思いをお持ちではないかなというふうに思います。
我が国としましては、こうした米国の外交努力が、長く継続をする戦闘の終結、さらには、公正かつ永続的な平和の実現につながることが重要と考えておりまして、引き続き、ロシア側の前向きな対応を強く期待いたしております。
なお、米国との交渉とか日米協議につきましては外務省が所管しておりますので、外務大臣の御発言で考えてまいりたいというふうに思っております。
○升田委員 岩屋大臣にお伺いします。
私も、アメリカのどなたかとパイプがあるかといったらありません。今、情報収集しているのは、いろいろな報道番組、ありとあらゆる、可能な限り見させていただいております。
いろいろな話が出ています、トランプさんの思惑というか方向性は。もうアメリカは自分のことしか考えないよと。それは、アジアであろうが、ヨーロッパであろうが、自国のことは自国でやってくださいなというものなのか、あるいは、これ以上に中国とロシアがくっつくのが駄目だ、ロシアと中国が一緒になって世界征服などということがあったら、これは国際的にも不幸になるから、深い意味で動いているんだ、こういう思いなのか、あるいは、もうアメリカ、ロシア、中国、この三つの国で世界を牛耳ればそれでいいじゃないかのような気持ちがあるのか、これは本当に分からない。だけれども、ここをどう分析していくかというのは国益に影響があることだと思います。
私はこの委員会でこの話題を言うかどうか迷いました、正直言って。言っていいものかどうか。
だけれども、やはり、あのような発言、いわゆる、今日も先ほどニュースで出て、ゼレンスキーが原発に関しては全く議論していない、だけれども、トランプ大統領は、それを自分が、アメリカが管理するんだということを発信されている。
全く言うことが違う、こういうことになっていきますと、やはり、あのような発言があれば、世界のどこかで議論する、日本の国の中でも、あの発言を、動きを受けて、国会で議論するというのは、これはやはり私の中で当然のことだな、こういう思いの中で今質問させていただいておりまして。
岩屋大臣はこの辺をどう捉えますか。
○岩屋国務大臣 答弁でも言っていいこととそうでないことがありますので、そこは御理解いただいた上で聞いていただきたいんですが。
米国の新トランプ政権、大統領を始めいろいろな方が連日いろいろなことをおっしゃっておられます。事態は極めて流動的で、現在進行形だと思うんですね。だから、最後というか、那辺に方針が集約されていくのかというのは、やはりよく、じっくり見て、まさに情報を収集して分析してやり取りもして、その中で我が方の対応を適切に判断していかなければいけないというふうに思っているんですね。
これは私見ですが、でも、トランプ大統領が登場されたことによって、三年間膠着してきたウクライナ情勢というのが前に動き出したことは事実だと思います。ガザについてもいろいろな発言をされておられますが、やはり、トランプ大統領の登場によって事態が動き出したことも事実なので、ここにしっかり我々は関与していって、そしてよりよい結論を導き出していく、そういうつもりで外交を進めていく、日米関係をマネージしていくということが大事だというふうに考えているところでございます。
○升田委員 岩屋外務大臣に、冒頭、トランプ大統領の印象をお伺いいたしました。とても気遣いのある方だなというお話がございましたが、ただ、その後の言動は、とても気遣いがあるようなところとは真逆なような発言がある。
そこで、これは外務省になるんだと思うんですが、これは提案なのか質問なのか、私もちょっとまだ整理できないんですけれども、トランプ大統領に対する、人間像というか考え方、何が好きで何が嫌いなのか等々を含めて、研究するチームなんかを徹底的につくるということも国益にかなうことじゃないかと思うんですが、この辺は、岩屋大臣、どうでしょうか。
○岩屋国務大臣 米国に限らず、外交の交渉相手については、やはり様々いい意味で研究する必要があると思います。
今般の日米首脳会談に向けても、外務省はもとよりでございますけれども、関係省庁が、トランプ大統領の政策、思いや考え方が那辺にあるかということは、様々研究というか勉強させていただいて、それを基に総理に首脳会談に臨んでいただいたということがございました。
今後ともそういう努力はしっかりやっていきたいと考えております。
○升田委員 我が日本にとって大事なことだと思いますので、しっかり受け止めていただければと思います。
中谷防衛大臣にお伺いいたします。
陸海空それぞれの自衛隊があって、そして将官まで調っているのは東京都と青森県だ、こう伺っております。
そこで、安全保障における青森県の位置づけ、また青森県内の自衛隊基地が果たしている役割について、どう認識されていますか。
○中谷国務大臣 青森県は、我が国北方の要衝でありまして、日本海と太平洋を結ぶ津軽海峡に面する地理的に大変重要なところでございます。近年では、中国とロシア軍の艦艇が津軽海峡を通過する事例が確認されておりますが、その安全保障上の重要性は頻度が多くなりましてますます高まっております。また、県内には、核燃料施設、原子力発電所なども、重要な施設も数多く所在いたしております。そして、青森県には現在、陸上自衛隊の第九師団、海上自衛隊の大湊地方隊、航空自衛隊の北部航空方面隊など、陸海空自衛隊の三主要部隊が所在するとともに、三沢基地、在日米軍も所在しております。
したがいまして、防衛省・自衛隊としましては、平素からの情報収集、警戒監視に遺漏なきを期すとともに、引き続き、当地域の安全保障の重要性を踏まえまして万全の防衛体制をしいてまいる考えであります。
○升田委員 そこで、お伺いします。
これは防衛大臣でありますが、例えばですけれども、北朝鮮から三発のミサイル、これが六ケ所の核燃料サイクル、あるいは大間原発、東通原発にミサイルを飛ばしてきたときに、日本は迎撃できますか。
○中谷国務大臣 自衛隊は、あらゆる事態に切れ目のない対応をできるように、常に警戒監視、また訓練や部隊の配備などを行っておりますけれども、原発に対する攻撃、それにつきましては、まず、イージス艦を派遣して展開させる、それからPAC3を状況に応じて機動的に移動、展開させる、その上で、最近は非常にミサイルの戦力が増強されておりますので、GPIの日米共同の開発、またイージス艦、PAC3といった迎撃能力の更なる向上に努めているところでございます。
そして、このミサイル防衛網によって飛来するミサイルを防ぐとともに、反撃能力を保有することでミサイル攻撃そのものを抑止してまいるということも研究や分析いたしているわけでありまして、防衛省・自衛隊としては、こうした取組を通じて、いかなる事態においても、国民の生命財産を守る手段を持ち、そして対策に全力を期してまいりたいと考えております。
○升田委員 今起きているウクライナとロシアとの戦争、僕はとても対岸の火事とは思えないんですね。ですから、青森県の代表の一人として、万々が一青森県内にそのようなことがあったらこれは大変だと。原発の施設というのは、飛行機が落ちても大丈夫だけれども、ミサイルには耐えられないんです。ですから、ここのしっかりした守りは取っていただきたい。
そして、これは防衛大臣の管轄ではありませんけれども、避難道路もまだ脆弱なんですよ。ですから、閣僚の一人でありますので、こういう施設のあるところの道路整備というのは、超法規的というか、もう急務ですから、ここはしっかりと受け止めて、閣僚会議か何かでこれは大事だということを一つ言っていただきたいな、こう思います。
そこで、時間がなくなったので、通告の質問をちょっと整理して、次回にまた残ったものはやらせてください。済みません、答弁を用意した方には申し訳ないと思いますが。
インテリジェンスについてお伺いしたいと思います。
とても大事なことだと僕は思っています。
今どんな取組をしているのか、御説明をお願いしたいと思います。
○中谷国務大臣 今まさに、ロシアの軍事活動、また北朝鮮の核・ミサイル活動など、こういった我が国の安全保障に対して非常に重大な影響を及ぼす事態がございますので、こういった点の情報収集能力の強化におきましては、全力を挙げて対応しております。
防衛省としましては、今般、防衛力整備計画で、指揮統制・情報関連機能に関して、前中期防衛計画の約〇・三兆円から大幅に増加して一兆円を計上するなど、情報収集、分析に関する体制強化に取り組んでいる最中でございます。
○升田委員 インテリジェンス、人間の体でいったら目と耳だと思います。見えず、聞こえず、これだったら何もできない。国を守ることはできません。
今日はシェルターのことも、あとは自衛官の確保のことも質問させていただきたかったんですけれども、重ねて、インテリジェンスの強化と自衛官の確保というのは国益でございますから、しっかりと取り組んでいただきたい。
以上申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤委員長 升田世喜男君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございました。
次に、空本誠喜君。
○空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。本日もよろしくお願いいたします。
また、今回、発言の機会をいただきまして、理事、そして委員の皆様に感謝を申し上げますとともに、維新の議員の皆さんの御理解をいただいて、実は、先週金曜日はエネルギー安全保障に係るカーボンプライシングとかについて環境委員会で、一昨日は経済安全保障に係るラピダスの問題について経済産業委員会、あわせて、そのお昼時間に食料安全保障に係る問題としまして農水委員会で米の問題とか、しっかり議論をさせていただいたところでございます。提案型の議論を進めていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、二月二十八日に、中谷大臣に予算委員会の分科会の方で、安全保障、特に防衛について、何を強化すべきかということで議論をさせていただいております。その中で、一番大事な問題は、自衛隊隊員の処遇改善であることはもちろんながら、どうやって自衛隊に入隊していただくか、若い方々が自ら自衛隊に入ってこの国をしっかり守っていこうという動機づけ、モチベーション、こういったものをどう持ってもらうかというのが一番大事。
今現在、国の募集の計画は一万人以上、一般の自衛官の候補生ではありますけれども、高めていますけれども、採用されている人数はかなり低く、六割とか七割とか、昨年のデータは持っていませんが、六割近くであったというふうな年もございます。そういった意味で、若い方々が自衛隊隊員に自らなりたいと思える環境整備。
実は、石破総理になられまして、自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針を出されています。私はすばらしいと思います。また、その前に、自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議を複数回開いていただいて、議論されています。
ここで、第四回の閣僚会議の議事録要旨を見ますと、自衛官を募集していかなきゃいけない、その仕組みづくりをしっかり固めていこうという記載はございますが、前回の予算委員会の分科会でも話したんですが、自衛官としての質の高い人材を確保するため、地方公共団体との連携、採用広報、ハローワークの活用などについて強化してまいります、また、国民の幅広い理解を得るべく、コンプライアンス機能の強化、安全保障に係る理解の促進にも努めてまいりますというような記載がありますが、実際のところ、これが若い方々には届いていない。そして、若い方々が、自衛隊とはどういうところなんだ、本当に面白いところなんだという魅力、そういった発信ができていない、ここが一番大切なところではないかな。
人がいなければ我が国は守れませんということで、入隊の魅力、そして入隊の動機づけ、これについて、今、高等工科学校とか任期制の自衛官の方々もいらっしゃいますが、航空学生、さらには一般の曹候補生、一般の幹部候補学生、防衛大学校、防衛医科大学校、また貸費学生の応募、こういったものをされていらっしゃいますが、まず、特に任期制の自衛官候補生をどう集めて、そのときにどういう入隊の動機づけであったか。また、幹部候補生学校に行かれていらっしゃる方。実は、この間、日本維新の会の有志議員五名で、江田島の海軍兵学校のあった第一術科学校と、さらには幹部候補生学校、そして呉の町、私は地元でございますけれども、呉の護衛艦に乗船させていただき、中の装備をしっかり見させていただきました。また、呉地方総監にも御挨拶をさせていただきました。
そういう中で、いろいろな声は聞くんですけれども、若い方々の入隊の動機づけは何だったかというのがいまいち聞こえてこない。しかしながら、幹部候補生学校を卒業された方は、意外に、映画を見たとかテレビを見て私は入りたくなったという方々も多くいらっしゃるんですよね。「愛と青春の旅だち」で私はあの制服に憧れて入隊したんだ、幹部候補生になったんだという方もいらっしゃいました、もう幹部の方ですが。
そういう方々がいらっしゃるんですが、そういう入隊の動機づけ、そして入隊の魅力をどのように調査されているか、まず大臣よりお答えいただけたら。お願いします。
○中谷国務大臣 昨日も、自衛隊の高等工科学校、その卒業式がありました。三時間にわたって学生一人一人の名前を呼んで、学校長が直接卒業証書を渡しますけれども、一人一人が本当にやる気に満ちた、使命感に満ちた立派な学生が育っているんですね。教育も大切でありますけれども、やはり国防というのは、国民の意識、それから隊員の意識、そして政府の対応というものがしっかりしていないと育っていかないということでありまして、現状はどうなのかということで隊員の入隊動機についてアンケートを行いまして、現状を調べております。
それにつきましては、まず、社会に貢献できる、人として成長できそう、収入や処遇、福利厚生がよい、やりがいがあるといった理由が上位に挙げられておりまして、自衛官候補生及び幹部候補生についても同様な結果になっております。それから、それぞれの陸海空自衛隊を選んだ理由については、憧れという答えが最も高い回答をされております。
そのことから、自衛隊の仕事が、我が国の防衛を担う崇高な目的のための誇りと名誉ある職業という点に関して魅力を感じて入隊を希望する人が多いと考えておりますので、私も、元自衛官といたしまして、自衛隊で培った経験やその能力をたくさんの人にお伝えをしてまいりたいというふうに思っております。
私はよく言うのは、自衛隊というのは面白いところである。いろいろなことができるし、みんながまとまって一つのことを成し遂げるということで、非常にやりがいのある、しかも国を守るという崇高な目的もあるということで、多くの方々に自衛官を職業として選んでいただけるようにお願いをいたしておりますが、皆さんが実際に入って士気高く任務に専念できるような環境そして部隊の内容が実現できるように、これは皆様方の声を聞きながら取り組んでいかなければならない。職業の魅力化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○空本委員 調査されていらっしゃって、そして、今、私の手元に自衛隊の募集、採用の案内をいただいておりまして、私もこれは前から眺めていまして、よくよく読むと本当に魅力はあるんですよね。これがまだ伝わっていないというか、高校の先生とかにもっともっと伝わっていかなきゃいけないというところを防衛省としても取り組んでいただきたいし、そして、実は一番大事なのは御家族なんですよね。家族の方々が、本当にうちの息子、娘を自衛隊にやっていいのかどうか、危ないところに行かされるんじゃないかと。
私自身、自衛隊の町、元々呉の町は、十増十減前は地元でありながら選挙区を選んでいませんでした。ただし、陸上自衛隊の海田市駐屯地、こちらが選挙区でありまして、ずっと海田の町とかまたその周辺の広島市とか。実は、広島県の場合、海田市駐屯地の前とか呉の町とか江田島の町というのは、自衛隊隊員の人が制服で歩いているんですね、通勤されているんです。海上自衛隊の場合はバイクで来たり自動車で来たりするので制服は着ていないことはあるんですけれども、陸上自衛隊の方々は大体制服で自転車通勤しているとか、よくそういう風景を見るんですよ。となると、日常的に違和感を感じない。
しかしながら、全国的に見ると、そういう地域は少ないと思うんですよね。ですから、自衛隊に対する理解というのが一般の方々は少ないのではないかな。若しくは、え、自衛隊に入るの、うちの息子というふうに思ってしまう家族の方もいらっしゃると思うんですよね。
私は、家族会に入らせてもらっています。隊友会もまた水交会も入れていただいていまして、いろいろお話を聞くんですが、そういう生活環境に、自衛隊の方々が周辺にいらっしゃるところは余り抵抗感はないけれども、やはりそういう地域ではない方々は、抵抗感といいますか、ちょっとちゅうちょされるんじゃないかな。家族の皆さんが理解していただかないとまずい。
自民党の先生方、公明党の先生方、また野党の先生方もたくさんいろいろ自衛隊に対して御理解いただいていると思うんですが、できれば家族会に皆さん入会していただきたいんですよ。家族会というのは、入っていらっしゃる方はもう御存じと思いますが、いろいろな行事に出てみんなを応援していく、また、行動訓練とかそういったところで道に立って皆さんを応援する、そういったのは、隊員の皆さん、一番励みになるとおっしゃっています。
ですから、安全保障委員会の委員の先生方、また他の委員会の先生方も、できれば、自衛隊をこれから強化するというんだったらば、家族会、これは質問に入っていないんですが、家族会に入ってもらって、国会議員自ら自衛隊を応援するんだというような雰囲気を醸成したらどうかと思うんですが、これは、大臣の方でまず、両大臣、ちょっと質問通告していないんですが、中谷大臣と岩屋大臣、いかがお考えですか、ちょっとお願いいたします。質問通告がなくて申し訳ありません。
○中谷国務大臣 非常に大事な点を御提案いただきまして、防衛大臣としても大変うれしく思っております。
自衛隊の団体としては、家族会と隊友会と防衛協会とかございますが、特に家族会というのは、本当に無私の愛情を持って防衛省それから隊員を支えていただいておりますし、昨日の卒業式においても、御家族が来られて、本当に頑張ったね、よかったねというような声をかけて、非常に隊員にとっては一番の心のよりどころになっているわけでございます。
残念ながら、近年この家族会に対する加入率が少なくなってきたというふうに思っておりますけれども、基本的には全ての隊員の御家族に入っていただいて、本当に家族と同様に、自衛隊も頑張っていけるような仕組みができたらいいなというふうに思っております。
○岩屋国務大臣 元防衛大臣として、私も大変うれしく思います。
家族会の行事は、都合がつく限りずっと私も参画してまいりました。隊友会の皆さんも市民との懸け橋になっていただいてはいるんですが、家族会はもっとアットホームといいますか、そういう雰囲気の中で自衛隊を支えていただいているので、多くの議員の先生方が応援していただけるというのは本当にすばらしいことだし、ありがたいことだなというふうに私も感じております。
○空本委員 ありがとうございました。
家族会、今財政的に厳しい地域も多いんですね。やはりだんだん、子供は入隊しているけれども家族会には入っていないというところもたくさんあって、うちの東広島の家族会も財政がきつい、費用が足りない。そういった面でも、周りの人が入って費用面でも面倒を見るといいますか、支援していくというのも大事かなと思っていますので、是非、自民党の先生、公明党の先生、野党の先生、皆さん、よろしくお願いしたいと思います。
続いて、任期制の自衛官のお話にもう一度戻っていきたいんですが、二月二十八日にこれは中谷大臣にお願いしたところでございます。大臣からも本当に快い御回答をいただいたんですが、任期制の期間中に一般大学に入学できる編入制度を導入したらどうか。二年、三年の任期中に、大学と提携しながら、任期中に教養課程を任務の中でしっかり学んで、そして、選抜試験はあるかと思いますけれども、任期満了したと同時に大学に編入する、二年生、三年生に編入する、こういった仕組み。これは一つの任期制の自衛官募集のモチベーション、動機づけになるのではないかなと思うんですが、まず文部科学省に、いかがでしょうか、お答えください。
○森友政府参考人 お答え申し上げます。
若年自衛官のセカンドキャリアを見据え、大学進学も含めた多様な進路選択の機会が確保されることは望ましいことと考えております。
文部科学省としても、大学への編入学等にもつながる、通信制大学も含め、大学と連携した任期制自衛官の課程内外での学習機会の検討につきまして、防衛省における検討内容を丁寧にお伺いしながら、適切に協力してまいりたいと考えております。
○空本委員 中谷大臣、前回も快い御回答をいただいたと思うんですが、そこで、この任期制、陸上自衛隊は一年九か月、海上自衛隊、航空自衛隊は二年九か月という任期なんですが、これはもう少し長くしてもいいのかなと、そういう大学に進学することを考えたときに。私自身も、一年九か月を陸上自衛隊にしているその意味合いがよく分かっていなくて、お聞きしたいところは、こういったものを統一するなり、ある程度もう少し、任期中に学校に行けるとか若しくはそういう課程を取れるとか、そういった考え方というのはいかがでしょうか。大臣、いかがですか。
○中谷国務大臣 この任期制というのは、陸上自衛隊は一年九か月、海と空は約二年九か月ということでございますが、一応一つの、正式な自衛官と、それから、臨時採用じゃありませんけれども、任期制において自衛隊ですよということで、陸曹とかになれば本当の自衛官に採用されるわけでありますので、その間の区間として期限が設けられておりますし、またこれは延長できます。しかし、二度、三度、四度と延長していますと、それだけ、八年とか十年とかになってしまいますともう三十歳になってしまいますので、一つの限界を示すという意味で任期制を設けて、ある程度の期間において勤めていただくということになろうかというふうに思います。
それから、大学の進学の補助をされるということは、私は非常にすばらしいと思いますし、また、自衛隊の募集のためのいい材料になっていると思います。
と申しますのは、今、日本の大学生は、進学率がほぼ六割以上の、過半数の人が高校から大学に行くようになってきているわけでありますので、自衛官の中でも一般大学に行けるということにおいては、非常に能力が上がる点も含めまして、一つの機会を設けるということではすばらしいチャンスではないかなというふうに思います。
反対に、韓国は、徴兵ですけれども、大学へ行きながら軍隊へ行っているということで、ある意味、勉強もするし、お国のために貢献もするという意味では、非常にそういう意味においては、韓国なりのやり方で、大学へ行きながら軍隊にも入れるというようなやり方もやっているということでありますので、多くの国々の状況をよく参考にしていきたいというふうに思っております。
○空本委員 是非お願いしたいです。家庭環境、経済環境によって大学進学を諦めるという方もいらっしゃいます。芸能人のやす子さんとか、やはりそういうところへ行きたかったかなというふうに感じています。だけれども、自衛隊に行って、また新たな道が開けた。その中に、一つの選択肢として、経済的に厳しかったけれども、自衛隊に行って、心身共に鍛えてもらった上で、そして大学も進学できるんだよと。それも、財政的な面もある程度工面できる。また、任期が終わったら、任期満了の場合、お金もいただけますし、そういったものを使って大学に進学できるということは一つすごく魅力かなと思いますので、そういったことを含めて、これから情報発信、また、そういう仕組みをつくっていただいて、我が国を一緒に守ろうじゃないかというところを広めていただけたらうれしいと思います。
そして、もう一点。昔は、自衛隊には自動車学校とか重機の学校とかたくさんあった。まだありますけれども、だんだん減っているというのを聞いているんですよね。そういった中で、これはちょっと質問を外したんですが、重機等もしっかり免許が取れる、選択だと聞いてはおりますけれども。そうすると、大学、俺は勉強はいいよ、でも、すぐ社会へ出て金をもうけたいんだよ、仕事をしたいんだよ、家庭を持ちたいんだよと思えば、そういう重機の資格を持つなり、またいろいろな資格を持てば、例えば電気とかそういったものを持てば、いろいろな職種展開ができるんじゃないかなと思っておりますので、そういったことも含めて是非お願いしたいと思います。
続きまして、では、入ったら、自衛官の任期中のモチベーションとは何ぞやというところでございます。
今回、財政措置で様々な手当を増やしていただいていますし、また給与面でも上がってくるのであろうというところでございますが、ただし、自衛官の場合は特別職の国家公務員でありまして、やはり特殊性がございます。その意味でも、これまで給与体系については、元々は自衛隊は別の給与体系だったけれども、一般職と同じく上げていくためには、一般職と同じ考え方で給与を上げていく、法体系は違うかもしれませんが、考え方は一緒になってきたかなと。
そういうことで、自衛官の新たな俸給体系といいますか、そういったものの見直し、これも以前からずっと他の議員の皆さんが提案していると思うんですが、こういう見直しというのはこれからどう進んでいくのか、大臣若しくは防衛省よりお答えください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の自衛官独自の俸給表に関しましては、昨年末の関係閣僚会議で取りまとめられました基本方針にも検討すべきというふうに明記をされております。具体的にも検討し始めているところでございます。
自衛官の任務や勤務環境の特殊性に見合った給与とするということで、今、勤務実態調査、公平性、公正性を確保するための部外の専門家の意見を踏まえ、また諸外国の状況も見ながら、自衛官の俸給表の改定を目指すということにしております。
具体的には、これを踏まえまして、先月、防衛人事審議会というものがあるんですが、そこに新たな部会として処遇・給与部会を設けまして、早速、部外の専門家による検討体制を確立するなど、鋭意検討を進めております。これは毎月この部会で議論をしていただくというふうにしております。
このような施策を通じまして、自衛官という職業の魅力化に取り組んで、より多くの方々に自衛官という職業を選んでいただけるようにこれからも引き続き努力をしてまいりたいと思います。
○空本委員 是非見直しを行っていただきながら、こういったことも強く国民の皆さんにアピールをしていただきたいと思っておりますし、また、あわせて、海外にはまだ残っている恩給制度、こういったものも、昔はありましたけれども、なかなか今制定するというのは厳しいのかもしれませんが、いかがですか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
諸外国あるいは戦前とは、給与の体系であるとか、あるいは一般の公務員以外の方々の扱いというところで大きく違いがありますけれども、まさに諸外国の例も参考にしながら更に自衛官の処遇を上げていくということで、何ができるかということについては、我々、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
○空本委員 是非、そういったことも含めての給与体系の見直しといいますか、俸給の見直し、よろしくお願いしたいと思います。
そして、では、若年定年制の問題がありますけれども、セカンドキャリア、実は就職率はほぼほぼ一〇〇%、どこにもみんな、逆に人気がある。自衛官であれば規律正しいし忍耐力もあるし、そういった方々というのは一般の企業では受け入れやすいという企業も多くいらっしゃいます。
地方協力本部のパンフレットとか私も見させていただいていて、実際のところ、かなり優良の企業にも就職されていらっしゃる方もいらっしゃいますが、一部、やはり募集、こういうところに入りますよというようなところ、もう少し肉体系じゃないところでも働きたいよ、そういうところを魅力として出してほしい。若しくは若い方々、五十五、五十六歳、このぐらいで定年される方ではなくて、三十代とか四十代で定年される方々にとってはある程度そういう、ガテン系と言っていいのかどうか分かりませんが、そういう職種じゃなくて、もう少し事務職とかIT系とか、こういったところもあっていいんじゃないかな。そういうのを募集要項とかにも増やしていきたいというような声もあったりすると私は聞いております。
そういった中で、こういう若年定年制自衛官の皆さんの募集については、もう少し見直しをかけていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですが、いかがお考えか、防衛省、お答えください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員御指摘のとおりだと防衛省としても思っております。
定年まで勤める自衛官、そして先ほど冒頭ございました任期を区切られて若いときに辞める自衛官、両方おりますけれども、それぞれに応じて様々な職業訓練のようなものを自衛隊にいる間にやっていただくということにしておりまして、例えばコンピュータープログラミングであるとか英語であるとか、そういったものについても資格を取れるようにしております。こういったところを積極的に、自衛隊に入るとこういった資格が取れるというようなことを積極的に広報もしていきたいというふうに思っております。
また、再就職先の拡充を図るというのは非常に重要でございますので、関係省庁と連携をいたしまして、幅広い業界や経済団体に対する退職自衛官の活用の働きかけ、また公的部門、特に防災、危機管理部門を含めます公的部門における退職自衛官の活用促進、こういったところを進めております。
また、今月、業界等への働きかけの一例といたしまして、防衛大臣と国土交通大臣、あと総務大臣から、鉄道事業者あるいは電気通信業において再就職をしっかりと拡充していくという申合せを大臣間でしたところでございます。
また、具体的に更に申し上げますと、海上保安庁の選考採用であるとか、そういったところも具体的に説明会等が既に行われておりまして、そういったところでしっかりと再就職先、自衛隊の中に対しても、こういうところがありますよ、外に向けても、自衛官を積極的に活用していただきたいというような形で取組を進めているところでございます。
引き続き、隊員が自衛隊にいたときに培った知識、技能、経験、これがまさに生かされるような、そういう再就職先を拡充していきたい、またそのことを積極的に広報していきたいというふうに考えております。
○空本委員 是非、多様な職種の募集が来るような形での、魅力ある自衛隊づくりといいますか、環境づくりをお願いしたいと思いますし、また、今、衣食住については、自衛隊、環境改善といいますか、生活環境の改善、冊子があって、これも見させていただきまして、いろいろなところが充実してきていることは間違いありません。
そして、衣服とか食事とか生活環境についてのアンケート調査もしっかり今されていらっしゃって、その中で足りないところはどこなのかというところも確認をされていらっしゃって、そういうところも令和七年、令和八年、順次改善していくという計画を立てられていらっしゃることも理解しています。
その中で、実は先日、江田島の幹部候補生学校に行きまして、今、女性の方がどんどん増えている、女性自衛官で幹部候補生の方も増えていって、元々そんなに女性の方が応募しないであろうといった宿舎であったんだけれども、もっと増やさなきゃいけない、女性に向けて宿舎を改善していかなきゃいけないというところも要望としてこの間聞いてきたんですけれども、今どうなっていますか、若しくは今後どうされますか。防衛省からお願いします。
○青木政府参考人 お答えを申し上げます。
女性自衛官につきましては、配置制限を撤廃したことによりまして、活躍の場が広まってきております。新たに入隊を希望する方も増えてきておりますし、自衛隊の中で昇任していく方も増えております。
こうした女性自衛官の活躍を確実なものにするためには、教育、生活、勤務環境などの基盤の整備が必要不可欠でありまして、これは委員御指摘のとおりでございます。このため、関連予算を大幅に増額いたしまして、スピード感を持ってこういった基盤の整備を進めております。
女性に関して言いますと、具体的には、各駐屯地、基地等における女性用のトイレ、浴場、また女性用区画、男性用区画とは切り離された女性用区画の整備、また、艦艇におきましても女性用区画の整備をするというようなことを進めまして、まさに女性隊員が安心して勤務し、また基地、艦船の中で過ごせる、そういったことで、女性自衛官が持てる能力を十分に発揮できる基盤の整備に取り組んでいるところでございます。
今後も引き続き、女性自衛官の活躍を推進するために、そういった基盤の整備についても積極的に進めてまいりたいと考えております。
○空本委員 是非お願いします。
そして、実は、前回の予算委員会分科会でも、地元の自衛官の方々が見ていらっしゃって、そういうところも欲しいよねというような意見もありました。いろいろな自衛官の方々の御意見を伺いながら改善を進めていただきたいと思います。
それ以外にも本当は、演習場に行くまで高速道路を使いやすくしてほしいとか、まあ、財政面がありますので、そういった、演習場に早く行けると演習をしっかりできるんだ、逆に一般道を通って行っていると時間だけかかって演習時間が短くなるということもありまして。ちょっと時間がないので、時間があればお答えいただきたいと思うんですが。
次に、若年定年制の最後の問題として、六十五歳まで、一般の年金がもらえる年代まで、例えば予備の防衛官として、既に自衛官を退職された方々を再任されていらっしゃる制度はあるんですが、そういう方々の活用。
例えば、病院船基地化という話が自民党さんの方からありまして、病院船、南海トラフ地震とかの際に病院船を誰が運航するんだといったら、私は、海上自衛隊の元自衛官の方々、まだまだ体力はあるし、そしてこれまでの経験も豊富であって海洋も外洋もよく知っていらっしゃる、こういう方々にしっかり活躍してもらえればいいのかなと思っているんです。
そういう、五十五歳で定年された方々の使い方、警備とか入ってもらいながら、いざ有事になって、あっちゃいけないんですが、有事になったときに輸送、海上輸送なんかを担ってもらうとか、できると思うんですね。そういう方々の本当に実のある次のセカンドキャリアはあるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○遠藤委員長 青木人事教育局長、もう答弁だけで。時間が参っております。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
人材確保が厳しい中、自衛隊の能力を最大限発揮するためには、現役自衛官が担うべき業務の整理を検討いたしまして、その部分を退職自衛官を含む部外力を積極的に活用していくことが必要だというふうに考えております。
また、防衛省の中においても人材を活用していくということも重要と考えておりまして、自衛官を事務官等として選考採用したり、また、定年引上げや再任用の対象の拡大なども検討しております。
こういった様々な取組によりまして、人材確保が厳しいという中でしっかりと防衛に対する任務ができるような体制を取っていきたいというふうに考えております。
○空本委員 是非防衛省にはしっかりお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 空本誠喜君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでございます。
次に、橋本幹彦君。
○橋本(幹)委員 国民民主党の橋本幹彦でございます。
中谷防衛大臣、そして岩屋外務大臣の所信に関して質問いたします。
まず冒頭、私は、日本が自分の国のことは自分で決められる、このことが極めて重要だと考えております。その上において、その根幹において、自分の国のことを自分で守る、これが欠かせない要素であると考えております。この国の根幹、国の守りというところを確かにするために、その担い手である自衛官を大事にする、これについては会派を超えて異論はないと思います。
では、自衛官を大事にするとはどういうことか。
私は、今、政権が検討している、俸給を上げたり、あるいは叙勲の在り方を検討したり、こういったものももちろん大事ですけれども、それだけではないと考えております。本質的なところで言いますと、自衛官の専門性や特殊性を重んずるところにあると考えております。今回の質問を通じて、自衛官の専門性、特殊性、これについて議論を深めることができればと考えております。
さて、先ほどもありましたけれども、明日は防衛大学校の卒業式でありますが、陸海空の自衛官の士官となる者が「我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、」という文言から始まる服務の宣誓をいたします。そこには総理大臣と中谷防衛大臣も臨席されるわけでありますけれども、その臨席いただくことは卒業生にとって大変な名誉と誇りになると考えます。
冒頭、中谷大臣から、明日の防大卒業式を控える中、彼らの名誉と誇りについてどのように考えているか、心境をお聞かせいただければと思います。特に、石破政権は自衛官としての名誉と誇りを大事にするというメッセージを関係閣僚会議でも発していますけれども、そもそもその名誉と誇りとは何だとお考えでしょうか。
○中谷国務大臣 名誉と申しますと、それぞれの本人が、そのことをやることとか、そのことに所属しているとか、それに対する満足というかやりがいというか、そういうものが誇りだというふうに思います。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
今お尋ねしたのは自衛官としての名誉と誇りについてであります。一般論としてそのような名誉と誇りというのはあろうかとは思うんですけれども、自衛官の専門性、特殊性というところを踏まえたときに、その名誉と誇りの議論のスタートは、やはり、命を賭して戦う可能性がある、そのときに、何のために戦うのか、どうして戦うのか、この問いに答えることが議論のスタートになるものだと考えています。
勲章や俸給、生活環境は確かに大事ですけれども、これは名誉と誇りという意味では末節の議論であって、何のために戦うのかというところへの問いに答えていることにはなりません。今の政府の議論はこういった問いについて真っ向から向き合っているのかと言われると、私は若干怪しいと考えております。
そして、何のために戦うのか。自衛官の宣誓には、先ほど申し上げた宣誓の冒頭に、「我が国の平和と独立を守る」という文言があります。これをもって自衛官に我が国の平和と独立を守るために戦うんだと教育しているものだと思いますけれども、この文言について大臣に質問いたします。
自衛官が向かうべき本来の任務はそもそも我が国の防衛であって、我が国の存立そのものが脅かされるようなときになります。このような状況下で、平和と独立を守るという文言が何のために戦うのかという自衛官の問いに答えているのか、私は疑問でなりません。平和と独立という言葉が自衛官の士気を維持できるのか、あるいは認知戦に耐えることができるのか懸念していますが、中谷大臣はいかにお考えでしょうか。
○中谷国務大臣 自衛官は任官する際に服務の宣誓を行いますが、この服務の宣誓の中に、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛するという自衛隊の任務、隊員としての服務の義務を一人一人に位置づけをしているわけでございます。
また、政府の最も重要な責務である、国民の命と幸せな暮らしを守るという自衛隊に対して託された思いに応えることを国民に対して宣誓しているわけでありまして、このような服務の宣誓というのは、自衛隊員として身を挺してその任務を遂行し、国民の命と幸せな暮らしを守るという国民から託された思いに応えられるということであり、隊員一人一人に要求される重い責任を自覚されるものであるというふうに考えております。
○橋本(幹)委員 例えば、我が国の平和を守るという言葉ですけれども、戦闘状態に入るということは、既に平和が崩れている状態なわけです。場合によっては、自衛隊が戦わない方が平和なのではないかというような世論が形成される状況も想定されると思います。
当然、自衛隊は国民の支持なくして戦えません。しかし、自衛隊の持つ戦い抜く正義が平和という言葉によって表されるものだとしたら、任務を遂行するに当たって広く国民の理解を得られない文言なのではないかということなんです。
あるいは、独立を守るという言葉。現場にいる人間としては、米軍と一体化している場面が非常に多いわけです。多くの駐留軍が日本にいるときは、日本人の多くが占領されている感覚があったと思いますが、その駐留軍の大宗は過去に本国に帰国したわけです。
ただ、例えば沖縄を見たとき、あるいは横須賀の米軍基地を見たときに、我が国にとって大変重要な場所が占領されているなという感覚になることもあると思います。あるいは、空においては、空域の話は有名な話ですけれども、情報ですとか電波ですとか、かなり米国に重要な部分を渡しているようなところもあるわけで、現場にいる者として、自衛隊にとって、日本にとって独立とは何なのかというところで迷うような状況も出てくると思います。
平和と独立という言葉は大変いい言葉だとは思いますけれども、全く全面的に否定するものではないんですが、ただ、国民が共有すべき価値観、国家観を端的に表した文言ではないというふうに考えます。
配付資料三ページに米国における宣誓の文言を書いております。「アイ ウィル サポート アンド ディフェンド ザ コンスティチューション オブ ザ ユナイテッド ステーツ アゲンスト オール エネミーズ フォーリン アンド ドメスティック」すなわち、アメリカ合衆国憲法を国内外のあらゆる敵から支持し、擁護するという文言があるわけです。例えば、配付資料の四ページ目ですけれども、トランプ大統領支持者による連邦議会議事堂乱入に当たって、米国の制服組が合衆国憲法の擁護を強く発信し、あるいは行動したことにこういう宣誓の精神が端的に表れていると思っています。
我が国の存立が脅かされるような状況というのは、例えばこういう本当に難しい場面においていかに制服組が判断していくのか、防衛省が判断していくのかという場面においてであると思います。それに当たって平和と独立という言葉が機能するんだろうかというのが問題意識にあります。
似たような事例が、最近、大韓民国においてもありました。尹錫悦大統領の戒厳令において韓国軍の行動が外形的に見てある意味消極的であったことも軍隊と社会との関係を考えさせる事案でありました。
中谷大臣、せっかく自衛官の名誉と誇りを重視するという政権の方針があるのですから、是非、何のために戦うのか、その根源的な問いに答えるヒントを政府としてあるいは防衛省として明確に示していただければと思いますが、いかがでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣から説明したとおり、国民に対する負託に応えることが重要だというふうに考えております。また、服務の宣誓、この内容、意味、あるいはこの構造は委員もよく御存じだと思いますけれども、服務の宣誓の一番最後にある「もつて国民の負託にこたえる」、ここが重要だというふうに私どもは思っております。
では、その国民の負託とは何なのかということでございますけれども、まさに究極的には、国民の命と幸せな暮らしを守る、こういうことを国民から自衛隊は負託されている。その自衛隊を構成する自衛隊員は、これに基づいて、この負託に応えるように身を賭して頑張りますということをまさに自覚しながらやっていくことが重要だと考えております。
○橋本(幹)委員 今の局長のお答え、負託に応えるのはそのとおりだと思うんです。ただ、るる先ほど申し上げたような事例、例えば韓国の事例、米国の事例は、敵というものが何なのか、何に対して戦って、それは何のために戦うのかという哲学的な問いが発生するような状況で、自衛隊が果たしてこの憲法の下で戦い抜くことができるのか、自衛官が迷いなく戦うことができるのか、そういった言葉になっているのかということをお尋ねしているわけであります。
そもそも論ですけれども、敵という言葉を先ほど言いましたけれども、自衛隊において敵という言葉をどういうふうに捉えているんでしょうか。どういうものが敵だというふうに考えているんでしょうか。
○中谷国務大臣 自衛隊は、国の平和と安全を守り、そして主権を守っていくということでありますので、敵ということで定義はされておりませんけれども、そのような平和を害するものとか、主権を侵すものとか、そういうものを排除していくということではないでしょうか。
○橋本(幹)委員 御答弁ありがとうございます。
今、自衛官の現場で何が起きているかといいますと、敵という言葉を訓練の場で使えないような状況が出ているんです。抑制的に使っているんだと思います。戦闘という言葉が国会で大変論戦になったこともありますけれども、敵という言葉ですとか戦闘という言葉は自衛隊にとっては大変重要な言葉であると思います。まず名を正すことが大事だと思いますし、先ほど来の質問でもそういった質問があったと思いますけれども、自衛隊が敵という言葉を使うと、何か不穏な動きをしているんじゃないかとか、戦闘という言葉を使うと、文民統制を侵しているんじゃないかとか、そういったことがあると思いますけれども、そこは是非政府としてしっかりと隊員のことを守っていただきたいと思いますし、敵という文言、戦闘という文言を使えないということは、認知戦上も大変重要な問題であると思いますから、是非防衛省として現場の自衛官が職務に専念する環境を整えていただければと思っております。
続いて、名誉と誇りの話をしておりますが、今、何のために戦うかという目的の話をしました。あるいは処遇改善の話もこの名誉と誇りにつながるところだと思いますが、この名誉と誇りということについて議論するに当たって避けて通れないのが、先ほどもありましたけれども、恩給ですとか、あるいは顕彰の話、殉職者の顕彰という議論は避けて通れないところだと思っております。
ここでまず伺いますが、防衛省が行っている殉職者の顕彰とはどういったものでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省では、任務遂行中に不幸にして職に殉じた自衛隊員を追悼するため、毎年、自衛隊記念日行事の一環として、防衛大臣の主催により、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣の御臨席の下、自衛隊殉職隊員追悼式を執り行っております。
この自衛隊殉職隊員追悼式は、防衛省内の慰霊碑地区におきまして、御遺族の方々、総理大臣、防衛省政務三役、事務次官、各幕僚長等が参列いたしまして、殉職隊員の殉職の年月日、階級、氏名を刻印した銘板を慰霊碑に奉納しております。奉納された顕彰者数は、昭和二十六年の警察予備隊以降、本年度までで二千百十二柱となりました。
慰霊碑地区は、顕彰された殉職隊員の御遺族の方々にとっても追悼の意をささげる場と御理解いただいていると考えております。
○橋本(幹)委員 配付資料七ページ目に、今局長がお答えいただいたような内容、概要が載っています。
この殉職者の慰霊碑ですけれども、大臣、これは果たして顕彰と言えるんでしょうか。顕彰という言葉は、その功を世の中に広く示していくというような意味合いであると思いますけれども、この慰霊碑は市ケ谷の一般人がにわかに入れないような場所にあるわけです。もちろん、今まで自衛隊として戦闘によって命を落とされた方はいないわけですけれども、ただ、もし我が国の平和と独立を守る使命を果たすときに当たって亡くなられるような方がいたときに、私は、こういう市ケ谷の区域内で、広く国民が慰霊に、追悼に気軽に行けないような場所で顕彰することが適切なのかどうかというところは大変疑問ですが、中谷大臣はいかにお考えでしょうか。
○中谷国務大臣 私も防衛大臣として、自衛隊員の殉職の追悼式におきましては、毎年出席しまして市ケ谷の顕彰碑の前で哀悼の意をささげているわけでございます。
彼らは事故とか様々な要因で命を落としておりますが、全て、我が国の安全を維持するため、そして国民の生命財産を守るために貴い命を落としていると認識いたしておりますので、たとえ防衛省の中に慰霊碑があろうとも、そういう思いを持ちながら、国のために犠牲になった貴い命に対して哀悼の意をささげているところでございます。
○橋本(幹)委員 今、哀悼の意という言葉ですとか慰霊という言葉がありましたけれども、先ほど来私が言っているのは顕彰なんです。慰霊と顕彰というのは厳密に言うと意味合いが変わってくると思います。まず、慰霊と顕彰というのはそもそもどういうふうな区別があるんでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
今、慰霊と顕彰の違いを正確にお答えすることはできませんけれども、防衛省・自衛隊の考えとしては、殉職された隊員の努力が今の自衛隊の中にまさに生きているということを我々は確信しております。そういった方々に対して、まさに国の職務に殉じて亡くなった方々に対しては、敬意を払って適切に対応していくということが我々としてはやるべきことではないかと考えております。
○橋本(幹)委員 今のお答えを聞いても、顕彰と慰霊の区別がついていないんだろうなと思いますし、顕彰は使命を果たすときには極めて重要な問題であると思いますから、今の市ケ谷地区における慰霊碑の在り方は私はベストな状況ではないと思いますから、是非問題意識を持って防衛省としても取り組んでいただければと思っております。
次に、我が国の国際情勢の認識を伺います。
岩屋外務大臣、外務省がどのように他国の方針、事、米国の方針について情報を収集し、分析し、判断しているか、そのインテリジェンスの在り方について伺います。
大臣は所信において、日米同盟の充実と強化は石破政権の最重要事項である、先般の日米首脳会談の成果を踏まえ、日米同盟を新たな高みに引き上げるというふうに述べました。これは米国の対日防衛政策の一貫性、継続性を信じるという前提があると思いますけれども、そのように信じることができる根拠は何でしょうか。
○岩屋国務大臣 まず、米国を含む米国政府機関による様々な発信がございますが、我々はこれを緊密にフォローしておりますし、在外公館を通じて米国の政府要人から直接情報収集を行い、また、必要に応じて適切な働きかけを行っているところでございます。
その上で、トランプ政権、就任式に私も参加させていただいたんですけれども、その直後に日米豪印のクアッドの外相会談が行われ、そして直ちに日米外相会談が行われました。また、石破総理とトランプ大統領の首脳会談も、たしかイスラエルに次ぐタイミングで早期に実施され、また、共同声明で日米同盟を一層強化するということが確認されておりますので、そこについては米国の対日姿勢に全く変化はないと認識しているところでございます。
○橋本(幹)委員 ありがとうございます。
大臣は、重層的に同盟国との関係、同志国との関係を構築していくという言葉をよくお使いになります。今お答えいただいたところはまさにその重層とは何なのかというところで、トップの発信だけではない。トランプ大統領の発信も大分揺らぎがあるように見えるものですから、やはりトップの発言だけをもって米国の方針は判断できないと思うんです。
そういう意味において、いろいろなレイヤー、行政もそうです、経済界もそうだと思いますし、世論の動向もそうだと思いますし、軍隊の動向も一つそれは外務省が情報収集するに当たって重要な情報だろうと思います。
ここで更にお伺いしたいのは、米国軍隊の動向について外務省はどのように情報を得ているんでしょうか。
例えば、米国制服組のトップである統合参謀本部議長はいろいろな場面で発信しています。例えば、議会における公聴会の発言ですとか、論文を発表したりですとか、そういったところがありまして、私もそれを拝見すると、米国軍隊の方針は一貫しているな、いかにトランプ大統領の発信が揺らいだとしても、米国の方針は根本的に揺らいでいないんだなという所感を持つわけですけれども、外務省としても当然そういった制服組の発信は注視されているという認識でよいでしょうか。
○岩屋国務大臣 まず防衛省がそういう情報収集はしっかりやっていただいていると思いますけれども、外務省としても、米国の政策の方向性をしっかりと情報収集し、分析するために、軍による発信についてもフォローさせていただいております。
○橋本(幹)委員 昨日の米国の報道によると、国防総省が、経費削減の一環として、在日米軍の態勢強化の計画を中止する可能性があるというような報道もありました。まだ予断を持って判断する段階ではないとは思いますけれども、当然、これまでの日米の合意がほごになる可能性も十分ある情勢だと思っております。
外務省には国際情勢の情報収集と分析により一層緊張感を持って取り組んでいただきたいと思っておりますが、その要となるのは国際情報統括官組織ではなかろうかと思っております。この予算は大変増えております。令和六年度では九億円だったものが、令和七年度では十四億円となっております。これは単年度で五億円増えているわけですし、十年前と比較すると三倍に増えているわけです。
ここでお伺いしますけれども、国際情報統括官組織の拡充は、どういった領域、あるいはどういった能力に重点を置いてその拡充を行っているんでしょうか。
○石瀬政府参考人 お答えいたします。
今御指摘のございましたとおり、国際情報統括官組織においては、前年度の予算八・六億円から今年度十三・七億円ということで予算を増やしております。その中身でございますけれども、主な増加は、AI等を活用した公開情報収集及び分析のための予算でございます。
安全保障環境が厳しく複雑になる中、インテリジェンスにおける公開情報の活用は、情報戦への対応という観点からも極めて重要でございます。新興技術を活用した情報の収集及び分析能力の強化に努めているところでございます。
○橋本(幹)委員 今、オシント、オープンソースのところを重視すると言われました。
ここで気になるのは防衛省との役割分担です。当然、防衛省もインテリジェンスとして公開情報をウォッチしていると思います。先ほど岩屋大臣からも防衛省において米軍の制服組の動向を注視しているという話はありましたけれども、防衛省においては、情報本部だけではなくて、駐在武官ですとか自衛隊情報保全隊ですとか、様々な部隊においてインテリジェンスを担っているものと理解しております。
中には情報活動を行っていると公然にしていない組織もあろうかと思いますが、これら広義のインテリジェンスコミュニティーの全体調和は防衛省内でどのように図っているでしょうか。そして、外務省とはどういう役割分担の調整を行っているのでしょうか。
○中谷国務大臣 防衛省は、我が国の防衛に資する軍事情勢に関わる情報収集、分析を行っているわけでございますが、これは、情報本部のみならず、宇宙の衛星を利用したり、サイバーとか、ありとあらゆる組織がありますので、そういった組織を通じて情報収集もやっておりますし、それをまとめて分析を行うところもございますし、それを活用するという活用の部分もございます。
要するに、情報のサイクル、これを処理するような、そういう意味で情報収集活動を行っているということです。
○橋本(幹)委員 是非、そこのサイクルを回すに当たって、日本国政府として全体として調和ある活動をしていただきたいと思います。
さきの予算委員会第三分科会で確認させていただいたんですが、我が国においてインテリジェンスコミュニティーと言われるものは一応ありますけれども、では、どういうふうに組織をつくっていくのかというところを見ている部局はないわけです。公安調査庁もあります、内閣情報調査室もあります。そういった中で、一応会議はやっているものの、その組織まで全体調和を図っているのか、活動内容の調和を図っているのか。調和は取れていないものだと思っておりますから、今回、情報本部も予算を増やしました、国際情報統括官組織も予算を増やしました。予算を増やすことは必要であれば重要だと思いますけれども、是非そこは効果的に組織を発展させていただければと思っております。
時間が限られておりますので、最後に一つ伺います。C17輸送機の件について伺います。
それこそ、先ほど来あった日米首脳会談においてそういった議論があったのではないかというような報道もありましたし、国会でもそういった質問があるわけであります。そこのつまびらかないきさつは分かりませんけれども、そもそも、このC17輸送機の導入について防衛省内では検討があったんでしょうか。
○中谷国務大臣 まず、C17の導入については、現在、何ら決まったものはございません。
導入につきましては、例えば、F35Bの戦闘機の導入をした手続でいいましたら、空幕が、軍事専門的な見地から運用構想や要求性能、それから、空幕長は、整備計画局長、防衛装備局長と協議をしながら、提案要求書の案、評価基準書の案、機種選定の案、そういうものを作成するプロセスから全ての組織が意見を言いながら選考を進めてきたということで、結果的に、航空幕僚長からまとまった意見を防衛大臣に機種選定案として上申されて、そして、事務次官を議長とした航空機機種選定諮問会議において審議されて、それでF35Bが正式に決定するというプロセスを経ているわけでございます。
このように、ほかの機種もほぼ同じような過程で行っているところでございます。
○遠藤委員長 橋本君、時間が参っております。
○橋本(幹)委員 時間があれなのでコメントだけで終わりますが、例えば、大きな買物をするときに、政府の検討の過程というのは極めて重要だと思います。
先ほど、空幕において軍事専門的見地からの助言があるという話もありました。是非、制服組の軍事専門的見地とは何なのか、専門性とは何なのかというところは大事にするべきだと思いますし、どうもここが曖昧なままになっていると思います。本日は時間がないのでそちらについては追及しませんが、是非そういった軍事専門的見地のところを大事にして今後も防衛行政に当たっていただければと思います。
私からの質問を終わります。
○遠藤委員長 橋本幹彦君の質疑は終了いたしました。お疲れさまでした。
次回は、来る二十五日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十七分散会