衆議院

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第3号 令和7年3月25日(火曜日)

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令和七年三月二十五日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 遠藤  敬君

   理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君

   理事 木原  稔君 理事 篠原  豪君

   理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君

   理事 美延 映夫君 理事 橋本 幹彦君

      江渡 聡徳君    金子 容三君

      黄川田仁志君    草間  剛君

      鈴木 英敬君    鈴木 隼人君

      関  芳弘君    中曽根康隆君

      福田かおる君    向山  淳君

      新垣 邦男君    五十嵐えり君

      伊藤 俊輔君    下野 幸助君

      松尾 明弘君    池畑浩太朗君

      平岩 征樹君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   防衛大臣         中谷  元君

   防衛大臣政務官      金子 容三君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       堀内 俊彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           家護谷昌徳君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  田中 利則君

   安全保障委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、外務省大臣官房審議官熊谷直樹君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。草間剛君。

草間委員 自民党の草間剛でございます。

 本委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 横浜市議を三期十二年務めてまいりました。篠原筆頭理事とは横浜市議当選同期ということでもあるんですけれども、その間、また今でも、自衛隊募集相談員を十年以上務めてまいりまして、特に再就職の援護に重点を置いて取り組んでまいりました。

 そのような立場としても、今回の石破内閣で、自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議が設置され、様々な取組が進んでいることは画期的だと思います。

 中谷大臣もこの問題には長年取り組まれていると思うんですけれども、そこで、自衛官の処遇改善や新たな生涯設計の確立に対する元自衛官としての大臣の問題意識と、今まさに行われている取組に対する決意を伺います。

中谷国務大臣 草間委員には募集相談員をもう十年以上お務めいただいていまして、募集とか援護などにおいて、隊員の気持ちとか、また学生の気持ちなどを十分把握した上で仕事をしていただいているわけでございますが、この募集の問題につきましては、私も元自衛官でありますけれども、本来、自衛隊という仕事は非常に面白くて、かつ、国を守り、そして領土、領海、領空を守るという非常に大切な仕事でありますが、やはり、全ての自衛官が国防という国家にとって極めて枢要な任務に誇りと名誉、使命感を持って専念できる体制、これを整えることができるかというのが不可欠ではないかなというふうに思っております。

 そのため、昨年来、官邸で、三十を超える新設の手当、引上げ、自衛官としての知識、技能、経験を生かした再就職先、叙勲などによりまして、自衛官の地位向上などにおいて基本方針を定めました。

 紹介をいただいたように、防災、危機管理部門において、七百名の退職自衛官が、地域の防災に貢献して、各地の防災能力の向上のために重要な役割を負っていただいておりまして、非常に今、退職公務員を採用しやすい取組というのも広げておりますので、今後、隊員の処遇改善、また新たな生涯設計の確立に向けて、この基本方針を一つでも実現すべく、全力を挙げて取り組んでまいりたいなというふうに思っております。またよろしくお願いします。

草間委員 私は、実は、東日本大震災があった二〇一一年の四月に市会議員に初当選をさせていただいたんですけれども、その後、熊本地震や北海道地震、豪雨災害、昨年の能登半島地震など多くの大規模災害があり、今もまさに愛媛や岡山の山火事に自衛隊も派遣をされております。

 災害派遣により国民が守られていること、これは何より重要なことなんですけれども、同時に、自衛隊本来の国防につきましては、その機会損失が問題視もされております。

 そこで、災害対処のため、一部の訓練を中止、短縮した事例は過去十年でどれぐらいあるのか、伺います。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 災害対処のために中止ないしは短縮した訓練については、過去十年間にわたって網羅的に集計していないことから、件数についてお答えすることは困難でありますが、近年の災害派遣活動の大規模化、多様化などにより、当初予定していた訓練を行えず、訓練計画上見込んでいた部隊の練度の維持向上の達成に支障を来すこともございました。

 防衛省・自衛隊といたしましては、このような状況の中、自衛隊の災害派遣活動について、自治体や関係省庁などとの間での役割分担の明確化などにより効率的、効果的に行うことで、部隊の訓練等に与える影響を最小限にとどめるよう努めているところであります。

草間委員 もう数え切れないぐらい訓練の機会が喪失されているということなんですけれども、自然災害の規模と頻度も拡大しておりまして、日本では、災害対処に自衛隊が工数を割くことがどんどん増えてしまっております。自衛隊本来の能力の維持に大いに支障が出ていることを危惧をしております。

 アメリカ、中国、ロシアは、軍事組織以外にそれぞれ災害対処専門組織を有しておりまして、しかも、その組織に属する人員は、軍事的有事には戦闘に参加する制度になっております。これによって、アメリカ、中国、ロシアなどは、軍事組織が災害時においても軍事に専念できる体制ができております。

 私は、日本も独自に、自衛隊とは別に、災害対処組織を創設するべきだと考えております。現役ではなくて退職自衛官を中心に、平時は防衛力として、災害時は災害対処要員として、有事には追加戦力として活用することで、自衛官の退職後の生活という援護の課題と安全保障の問題、そして災害対応という三つの課題に対応していくべきだと考えております。

 先ほどの、自衛隊の災害対処のための機会損失を鑑みて、退職自衛官を災害対応に活用していくべきと考えますけれども、大臣のお考えを伺います。

中谷国務大臣 個人的にですけれども、退職自衛官を災害派遣などに活用をすべきではないかということについて、すばらしいアイデアだというふうに思っております。

 現在も、先ほど御指摘のように、訓練や行事のために計画していたんですが、災害派遣活動があるために行われない場合も出てきておりますが、そういった場合の有効な対策も考えなければなりません。

 特に退職自衛官については、現在、隊友会、そして自衛隊の家族会の会員として、災害派遣等で出動した隊員の留守家族の支援を行うなど、現役の自衛官が後顧の憂いなく安んじて任務に従事できるように支援をする組織が、積極的に行われております。

 また、退職自衛官を再任用自衛官として更に活用していくということも、自衛隊の人的資源の有効活用の観点から重要な取組と認識しておりまして、現在、再任用要件の見直し等の取組も行っているところでございますので、御指摘の御意見も踏まえつつ、真剣に、また不断に検討してまいりたいと思っております。

草間委員 ありがとうございます。

 まさに今の山火事もそうですし、また鳥インフルエンザなどもそうですけれども、自衛隊の皆さんが、国民としてはありがたいんですけれども、国民を守る業務にどんどん従事して、要は災害対応をやっていただく。一方で、やはりこの機会損失をどうするかという議論というのは、本当にどうにかしなければいけないと思っております。

 また、予備自衛官制度の中に、災害対応に特化した予備自衛官というのも一つ重要なことだと思っておりまして、今政府が検討している防災庁の議論と並行して、中谷大臣のリーダーシップを是非ともよろしくお願いしたいと思います。

 さて、今年八月二十日から二十二日まで、私の地元横浜で第九回アフリカ開発会議がいよいよ開催をされます。USAIDの活動停止によって、アフリカ各地でのエイズやマラリアなどの感染症対策が中断されておりまして、多くの患者が治療を受けられない状況に陥っております。また、干ばつなどの影響で、食料支援を必要とする数百万人の人々への援助が滞る可能性が指摘されておりまして、これは中国やロシアの更なるアフリカでの影響拡大につながるおそれがあると思っております。そうした環境下において、第九回アフリカ開発会議は、今までともちょっと違う、大変重要な会議になると思います。

 そこで、現在の国際情勢を鑑みた中での第九回アフリカ開発会議に対する外務大臣の御認識、また、アフリカでの日本のプレゼンスを高めるために新たな戦略が必要と考えますけれども、大臣のお考えを伺います。

岩屋国務大臣 今お話がありましたように、米国のUSAIDの動向については私どもも注視をしております。どういうふうに最終的に決着するかまだ分かりませんが、言われているような方向に進みますと、世界のあちこちに相当大きな影響が出てくる、我が国の支援というものもこれまで以上に求められてくるのではないかというふうに思っておりまして、そういう状況の中で、委員御指摘のように開かれるこの夏のTICAD9というのは極めて重要な会議になるというふうに思っております。

 我が国としては、現在の国際情勢も踏まえながら、アフリカ各国の直面する課題や現状に応じたきめ細やかな対応を進めていかなければいけないというふうに思っております。

 我々としては、日本の誇る様々な科学技術ですとか、これまでの経験を踏まえて、各国の実情に応じた支援を共につくり上げていくというための会議にしたいというふうに思っておりまして、お地元で開かれるということもありまして、是非また御支援をよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 グローバルサウスがこれだけ存在感を増している中で、アフリカとの連携は今まで以上に重要になってくると思いますので、成果の上がる会議にしたいというふうに考えております。

草間委員 今日もTICADプロジェクトチームが党でございまして、私も事務局長を仰せつかっておりますので、私たちは全力で取り組んでまいります。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでした。

 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、防衛省のサイバーセキュリティー人材の確保についてお伺いします。

 現在、内閣委員会において審議されていますいわゆる能動的サイバー防御法案においては、サイバー攻撃による重大な危害を防止するために、日頃からサイバー犯罪捜査を行っている警察や、高度人材を登用した自衛隊サイバー防衛隊として活動している自衛隊がその措置を行うようになっています。現在の内閣サイバーセキュリティセンター、NISCを改組し、定員約百九十人を四十人前後増やすとしています。

 体制の強化は急務で、防衛省では、令和六年十月十一日に改正自衛隊法が施行され、サイバー等の分野における高度な専門的知識、経験等を有する人材を含め、民間から人材を柔軟に取り入れていくため、特定任期付自衛官制度が新設されて、最大五年の任期で、職務内容等に応じて、事務次官、統合幕僚長の年収に相当する給与、約二千三百万円を最高額としています。

 そこで、ここでお聞きしたいのが、これは非常に重要な取組だと思うのですが、次官級の年収に相当する二千三百万の処遇を準備したんですけれども、近年、民間でのニーズも急速に高まり、民間会社が行ったサイバー人材の最近の調査でも、海外を含めて年間で数千万円から一億円規模が支払われる場合もあると聞きますが、この特定任期付自衛官の検討状況は今どうなのか、本当に即戦力を採用することができる処遇なのか、中谷大臣にお伺いいたします。

中谷国務大臣 今、世界は官民を問わずサイバー競争の時代だと言われておりまして、サイバーを身につけた優秀な人材の確保、そのためのサイバーの専門的な知見を持つ部外人材、これの活用は極めて重要な御指摘でございます。

 こうした認識の下に、委員御指摘のサイバー分野における特定任期付自衛官につきましては、令和七年度中に募集を開始すべく、現在検討を進めているところであります。

 この特定任期付自衛官につきましては、民間の給与水準を参考にしつつ、高い給与水準を可能とする制度設計を行ったところでありますが、更に、自衛隊のサイバー専門部隊等に勤務する場合には特殊作戦隊員手当も支給をされ、専門性や職務内容を踏まえた上で処遇の向上が図られているわけでございます。

 また、サイバー人材の確保や能力の向上に当たりましては、優秀な人材を採用するとともに、自衛隊で技術を身につけたサイバー人材が退職後に民間で活躍をし、そして民間の技術力の向上に貢献をし、民間での経験を生かして再び防衛省で活躍するなど、防衛省と民間との間でもサイバー人材の好循環、これを生み出していくということも重要でございます。

 御指摘のような現実を踏まえまして、今後、優秀なサイバー人材の確保、また能力向上を実現するための取組を進めてまいりたいと思います。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 令和四年の末に策定された安保三文書でも、自衛隊のサイバー防御機能向上に向けた大幅な体制拡充を目指すということになっていまして、令和九年度をめどに、サイバー専門部隊を約四千人に拡充し、システム調達や整備に従事する隊員を約二万人体制にするというふうにあると思います。

 民間と取り合いになっています。国際的な非営利組織ISCスクエアによると、日本の専門人材は想定需要に比べて約十七万人不足と言われ、前年の十一万人より大きく拡大しています。

 だから、やはり人材の獲得に今から動いていくということで、もう一つ、特殊手当、いわゆる陸海空自衛隊のサイバー専門の部隊等の隊員に新たに特殊作戦手当が支給されることになって、初号俸から一〇%掛けた、一尉の場合は月額三万二千円が支給されることになってきたんです。

 先ほど言ったように、今まさに重要な、大事な人材をしっかりと確保していくという点においては、今日言いたかったのは、やはり、今回の制度自体も、思い切った、今までにないような制度だと思うんですけれども、より柔軟に、少しお金をかけてでも採らなければならなかったら、余りに民間との処遇の違いが出てしまうと優秀な人材が採れないということがありますので、そこは後れを取らないようにしっかりと条件を提示して採っていただきたいなと思います。

 それともう一つは、やはり、こういう優秀な人材の人たちというのは、本人のキャリア形成の中でも、ずっとそこにいることを望んでいない場合があると思いますので、大臣から先ほどございましたけれども、自衛隊に入って民間にいたりとか、ずっと自衛隊にい続けると、またこう、民間としてのキャリアでいうと、行き来をした方がキャリアアップがされると言われていまして。

 例えば今、防災庁の設置なんかも、今回新たに、ふるさと防災職員というのは三年から五年の雇用を見越して、民間からも入ってくるけれども、またそこで磨いて民間に戻っていくという、キャリアの高い人は割とそういう雇用の方法も望んでいるかなというふうに思いますので、そういったところも、先ほど言いましたような、リボルビングドア制度というらしいんですけれども、そういった行ったり来たりできるような制度も是非柔軟に取り入れていただけたらというふうに思います。

 次に、現在、一般の公務員より若くして退職を余儀なくされる自衛官に対して、若年定年制から生ずる不利益を補うため、若年定年退職者給付金等を給付していると思います。

 そんな中、現在、人的基盤の強化の一環として、自衛官の定年年齢の引上げが行われていると承知しています。また、本委員会でも池畑委員なんかが農業への再就職ということを提言されていましたけれども、退職自衛官の再就職支援も大変必要である、重要であると思いますけれども、再任用による在職者数は令和四年の末時点で過去最高の千三百四十七人が在職しており、六十歳まで働く自衛官は増加しています。

 そこで、自衛隊の充足率を引き上げていくためには、この際、もう一律に六十歳までの定年延長を行うことが必要ではないかなというふうにも思います。二曹及び三曹等の定年年齢は、これが今、徐々に引き上げられているのは知っているんですけれども、例えば二曹、三曹等の定年年齢の根拠となっている、なぜ五十五歳なのか、五十六歳なのかというその根拠、なぜなのかということも併せてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

中谷国務大臣 本当に時代は変わってまいりまして、以前は、七十歳になりますと老化というか体が動かないということで仕事ができませんが、最近は、九十歳まで生きられるということで、平均年齢も上がってきております。そういう意味におきまして、若年定年制をどうするかというのは、現在、防衛省の中で検討しておりまして。

 若年定年制というのは、六十歳程度で退職するその以前ですけれども、家庭において一番お金のかかる時期に退職をする。その後の手当等もありますけれども、生涯の収入なども考えますと、やはり、しっかりとした定年制において自衛隊も考えを示すべきだということは、私も認識をいたしております。

 そこで、現在、事実、少子化、高齢化に伴う人手不足というのが自衛隊にも深刻な影響を及ぼしておりますので、こういった知識、技能、経験を豊富に備えた人材の一層の有効活用、これを図ることは重要であるという観点から、令和二年から令和六年にかけて、一佐から三曹までの自衛官の定年を二歳ずつ引き上げたところでございます。

 また、昨年、関係閣僚会議に取りまとめられた、自衛官の処遇・勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立に関する基本方針に基づきまして、自衛官の定年を令和十年度以降二歳程度引き上げるということを念頭に、現在詳細な検討を行っているところでございまして、自衛官の定年の年齢については、人材の有効活用や自衛官の生涯設計、精強性の維持の観点を踏まえて検討しておりますので、階級ごとに、職務に必要とされる知識経験、体力等も引き続き考慮しつつ、引上げ幅を検討していきます。

 特に、高級幹部と呼ばれる将官、それは大体六十で終わってしまいます。その以前に、陸曹とか三佐とか、そういう方はもう五十五ぐらいで定年になってしまいますので、私は本当にもったいないな、まだまだ働いて、有効に活用できるところがあると思いますので、こういう点もまた今後更に検討を進めてまいりたいというふうに思います。

山崎(正)委員 これは自衛官だけの問題じゃないと思うんですけれども、例えで言うと、昔、小学校の校長先生が定年するとき、六十歳で物すごいおじいちゃんに見えたと思うんですけれども、今の六十歳の人は本当に若くて、何らかの根拠を持って、しっかりと働けるんだということで、自衛官だけじゃなくて、延長していけたらいいと思います。

 済みません、時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、議長主催の行事もありまして、この委員会、御配慮をいただきました。委員長を始め両筆頭、そして委員の皆様に、改めてお礼を申し上げたいと思います。両大臣もよろしくお願いいたします。

遠藤委員長 おめでとうございました。

赤嶺委員 ありがとうございます。

 それで、おめでとうの後にまたこういう質問をするかと思われると思いますが、それはまた、そういうことでやっていきたいと思います。

 初めに、予算委員会での総理の答弁について、外務大臣に質問をいたします。

 二月二十六日の予算委員会で、相次ぐ米軍による性暴力事件の問題を私が取り上げたのに対して、総理は、米軍が駐留することによって犯罪が起こっているという因果関係を存じ上げない、このように述べました。再発防止に有効な手だてを持たない政府の弁解にしても、本当にひど過ぎる答弁だなとその場で思いました。

 二月五日の予算委員会でも、私、紹介をいたしましたけれども、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会という組織が沖縄県にあります。その会がまとめた資料を見たら、沖縄戦で米軍が上陸した直後からおびただしい数の性暴力事件が発生してきたことは一目瞭然であります。

 沖縄県警によると、本土復帰以降だけでも、二三年度までに六千二百三十五件の刑法犯罪が発生をしています。ここには含まれていない、訴え出ることもできなかった事件も無数に存在をしております。米軍の駐留によって犯罪が起こっているという因果関係は余りにも明白だ、このように思いますが、外務大臣はどのように認識しておられますか。

岩屋国務大臣 まず、赤嶺委員におかれましては、在職二十五年表彰、誠におめでとうございました。もう長い間の論友でございますけれども、今後ともよろしくお願い申し上げます。もう少しお手柔らかにしていただけるともっとありがたいと思っております。

 そこで、お尋ねでございますが、御指摘の予算委員会のとき、私も同席しておりましたけれども、石破総理の答弁は、私が聞いた感じでは、今委員がお示しになったような具体の数字などについては存じ上げていないということを言われたのではないかなというふうに思います。

 いずれにしても、個別の表現ぶりのみを取り上げるということは適切ではないのではないかと思っているところでございます。

 在日米軍は、当然、安定的な駐留でなければなりません。地域住民の方々の生活環境への影響を踏まえまして、各地域の実情に合った負担軽減の努力をすることは当然であり、また必要なことであると。特に沖縄の基地負担軽減は政権の最重要課題の一つでありまして、これまでも取組を続けてきております。

 特に米軍関係者による事件、事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものでありまして、あってはならないと考えております。石破総理の答弁はこうした政府の一貫した立場を述べたものであるというふうに御理解いただければと思っております。

赤嶺委員 外務大臣からお祝いの言葉をいただいて、いただいた直後にまたこういう質問になっていくわけですが、そこはお互いの立場で、御容赦願いたいと思います。

 ただ、総理は、具体的な数字を知らなかったから因果関係について知らないと言ったわけじゃないんですよね。はっきり、米軍と事件との因果関係について知らないということで、私が今外務大臣に伺ったのも、そういう因果関係についての認識、これを聞いたわけであります。

 米軍犯罪が一般的に許されないということは当然ですが、それがなぜ起こっているのかという点についてはっきりしておかなきゃ、再発防止なんて、結局、同じことを繰り返し述べるだけで、犯罪は一向にやまないということになるわけです。繰り返されている犯罪は、米軍が駐留することでたまたま起こっているものではありません。軍隊としての教育や訓練の結果として、必然的に起こっているものであります。

 ベトナム戦争の帰還兵に、アレン・ネルソンさんという方がいました。彼は、九五年の少女暴行事件に心を痛めて、日本全国で講演を行うようになりました。人間性を破壊するような新兵教育を通じて、上官の命令一つで人を殺傷できる海兵隊員になっていくこと、そうした中で、犯罪への罪の意識も失われ、女性を殴りつけたり、タクシー料金を踏み倒すなどの犯罪が日常茶飯事になっていたことを強調していました。

 米国防総省が議会に提出した年次報告書によると、女性兵士の二四・七%、四人に一人がセクハラを、六・八%が性暴力を受けたとしております。男性兵士もそれぞれ、五・八%がセクハラを、一・三%が性暴力を受けております。在日米軍は、一年間に五十五件の性暴力事件が報告されております。

 基地の中では性暴力が蔓延しているということで、米軍当局も頭を抱えておりますが、繰り返される犯罪は軍隊としての構造的な問題だと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 御指摘の年次報告書については承知をいたしておりますが、他国の政府の報告書について、政府の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。

 いずれにしても、米軍関係者による事件、事故は、地元の皆様に大変大きな不安を与えるものでありまして、あってはならないものと考えております。平素から、あらゆるレベルで米軍関係者にはやり取りをして、綱紀粛正を働きかけております。私も、先般、ジョスト在日米軍司令官に対しても、米軍人等による事件、事故防止の徹底について働きかけたところでございます。また、石破総理からも、トランプ大統領に対しては沖縄の負担軽減の必要性を説明をしております。

 これまで米側が発表した一連の再発防止策をもう一度徹底をしてもらって、実効性のある形で実施してもらうということが何より大事だと思っておりまして、引き続きこうした働きかけをしっかり行ってまいりたいと思います。

赤嶺委員 米軍駐留に伴う事件、事故は、沖縄だけの問題ではないわけです。全国の国民が、米軍の駐留に伴う刑法犯や航空機事故、交通事故などの被害に遭っています。

 防衛省に伺いますが、日米安保条約が発効した一九五二年度以降の在日米軍による事件、事故の発生件数、死亡者数、賠償金額、そのうちの沖縄の内訳、全体に占める沖縄の割合、これを明らかにしていただけますか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の在日米軍による事件、事故という形で防衛省が把握している限りで申し上げさせていただきますと、まず件数でございますが、これは酒気帯び等の交通事案等も含めた様々な類型のものを機械的に足し上げたものでございます。

 一九五二年度、昭和二十七年度から令和五年度までに発生した全国における事件、事故の件数は二十一万四千六百十七件。死亡者数は千百一人。賠償等の金額については約百三十八億四千二百万円でございます。

 また、沖縄県が本土復帰した一九七二年度、昭和四十七年度から令和五年度までに発生した全国における在日米軍による事件、事故の件数については八万四千四百七十四件。死亡者数は二百十人でございます。賠償等の金額については約百二十億六千五百万円でございます。そのうち、沖縄県における在日米軍による事件、事故の件数については四万八千百二十三件で、全体に占める割合は約五七%、賠償等の金額については約五十億五千三百万円で、全体に占める割合は約四二%ということでございます。なお、死亡者数につきましては、本土及び沖縄県の総数のみで把握しているということでございます。

赤嶺委員 死亡者数については沖縄と本土の判別はできないということですが、ただ、防衛省が把握するだけで、安保条約の締結以降、全国で二十一万件以上の事件、事故が発生しているわけです。しかも、今の件数には、アメリカが施政権を握っていた本土復帰前の沖縄は含まれておりません。

 日米安保体制の下で、国際法違反のベトナム戦争やイラク戦争などへの出撃、展開拠点の役割を果たしてきたのが米軍基地です。ガザの所有やグリーンランドの取得などを公然と主張するトランプ政権の下で、一体何のために基地を提供しているのかが根本から問われなければならないと思います。対米従属外交から抜け出して、基地の縮小、撤去と地位協定、これの抜本改正に正面から取り組むべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、防衛大臣に伺います。

 敵基地攻撃能力の保有について質問をいたします。

 政府は、安保三文書に基づいて、来年度中に、アメリカ製の長距離巡航ミサイル・トマホークと、長射程化した一二式地対艦誘導弾能力向上型の配備を開始しようとしております。防衛大臣は、三月十八日の記者会見で、トマホークについては、佐世保基地を母港とする海上自衛隊のイージス艦「ちょうかい」から配備を始める考えを示しました。一二式誘導弾については、現在検討中としつつも、配備に当たっては丁寧な説明と適切な情報提供に努めていくと述べています。

 一二式誘導弾についても、決まり次第、配備先を明らかにするということで、これでよろしいですか。

中谷国務大臣 在職二十五周年、おめでとうございます。

 思い起こせば、一九九〇年に沖縄で当選されて国会におられましたが、そのとき、小泉内閣がありまして、私、防衛庁長官でありまして、時折、赤嶺委員から質問で、この問題は首をかしげたくなりませんかと言われて、かしげたくなると言ったら大変なことになりましたが、いろんな点を本当に御指摘をいただいたことにつきましては感謝を申し上げたいなというふうに思っております。

 そこで、お尋ねの敵基地攻撃、スタンドオフにつきましてでありますが、非常に今、国際情勢が非常に厳しくなりまして、やはり、国民の命と暮らしを守るためには、領海、領土、領空を守り抜くために、我が国に侵攻する艦艇、そして上陸部隊、これを脅威圏の外から重層的に対処可能なものとするスタンドオフ防衛能力の強化が喫緊の課題でありまして、これを国家戦略の中にも記述をいたしておりますけれども、これを踏まえて、トマホークの取得、そして地上発射型の一二式地対艦誘導弾能力向上型の部隊配備を、当初の予定より一年前倒しをしまして、令和七年度から開始することといたしております。

 トマホークについては、イージス艦に順次搭載をする計画としておりまして、令和七年度には、まず「ちょうかい」にトマホーク発射機能を付加するための改修を行う予定でございます。

 そして、一二式の地対艦誘導弾能力向上型の具体的な配備場所につきましては、現在検討中でございまして、総合的に検討した上で今後適切な時期に決定してまいりますので、その上で、配備に当たっては、地元の皆さんに対する丁寧な御説明、また適切な情報提供に努めていく考えでございます。

赤嶺委員 防衛大臣からもお祝いのお言葉、ありがとうございます。

 私が当選した直後、新進気鋭の防衛庁長官として、いろいろ勉強もさせていただきました。意見の一致があればいいのになと何度思ったことか分かりません。

 そういうことで、今日もちょっと質問をしていきたいんですが、保管する弾薬庫、この弾薬庫については明らかにするのですか。

中谷国務大臣 現在、一二式の地対艦誘導弾能力向上型の地上配備装置の具体的な配備場所は検討中でございますし、弾薬につきましては、個々の火薬庫に保管する弾薬の種類につきましても、自衛隊の能力を明らかにするおそれがあるために、具体的にお示しをすることが困難でございます。

 どこの弾薬庫に配備するかにつきましても、これは、やはり円滑な部隊活動の実施に当たっては地元の皆様の御協力が必要でございますので、地元の皆さんに対する丁寧な説明、また適切な情報提供に努めるということは大変重要でございますので、こういった状況におきましては、可能な限り、地元の皆様に決まりましたらお知らせをしているところでございますが、現在は、この場所につきましてはいまだ決定には至っていないということでございます。

赤嶺委員 配備する部隊は、トマホークなども明らかにしているわけですが、弾薬庫は、決まってから説明するのでは遅いと思うんですよね。弾薬庫は明らかにしないというような説明は通らないと思います。

 住民からすれば、部隊もそうですが、むしろ弾薬庫についての説明こそが必要であります。部隊は移動しながら運用しますが、弾薬庫は移動しません。攻撃される可能性が高いからであります。

 丁寧に説明するというのであれば、弾薬庫についても明らかにするのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 個別の弾薬の保管場所につきましては、これを明らかにすることで、弾薬の運搬、補給要領といった運用に係る我が方の手のうち、これが明らかになるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきます。

 弾薬庫の設置に当たっては、火薬類取締法等の関係法令に基づきまして、十分な保安距離等を確保するとともに、幾重にもわたる安全措置を講じるなど、安全の確保には万全を、当たってするような予定でございます。

赤嶺委員 弾薬庫、手のうちを明かすことになるからというのは説明しない言い訳だと思うんですよね。

 以前は、弾薬庫についても防衛省は明らかにしていました。外務大臣も防衛大臣の時代に取り組まれていたんですが、石垣島への自衛隊配備に先立った、二〇一六年五月二十四日に行われた石垣での住民説明会で、配備する誘導弾の型式や諸元などを聞いた質問に対して、一二式誘導弾の配備を予定しているということを明らかにし、有効射程は百数十キロと答えています。

 一二式誘導弾は石垣駐屯地の弾薬庫に保管をされております。当時は明らかにしているわけですね。なぜ今回は明らかにしないんですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 一二式地対艦誘導弾能力向上型の地上配備装置等の装備品については、各種事態に際し、駐屯地から機動展開を行い、対処することが前提であることから、平素の配備先を公表しても自衛隊の能力や運用に係る我が方の手のうちを明らかにすることにならないという場合には、公表することはございます。

赤嶺委員 いや、以前は、石垣では明らかにしていたのに、なぜ今回は明らかにしないのかということを聞いているんです。

青柳政府参考人 今申し上げましたように、公表したとしても自衛隊の能力や運用に係る我が方の手のうちを明らかにしないというようなケースであれば、地元説明というのは重要でございますから、その観点から我々は丁寧に情報提供するという場合はございます。

赤嶺委員 ちょっとよく今の答弁の意味が分からないんですが。手のうちを明らかにしないことであれば弾薬庫についても明らかにすると。どういう意味ですか。もうちょっとはっきりさせてくれませんか。

青柳政府参考人 例えば、島の中でありますと、もうそれは何を置くかというのはかなり明確になっておりますので、そこをもって我が国の手のうちを明らかにするということにならないようなケース、そういうケースがありますれば、我々として、住民説明の重要性に鑑みまして情報提供するというケースはございます。

赤嶺委員 そういうケースはありますか。どんな場合ですか。

青柳政府参考人 それは、今御指摘になられました石垣のようなケース、そういう場合がございます。

赤嶺委員 石垣には一二式の改良型の弾薬庫も設置するということなんですね。

青柳政府参考人 一二式型の能力向上型については、まだ配備場所等を我々は決定しておりませんので、そういう意味では、今ここでお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 以前は配備する前から弾薬庫についても配備先も明らかにしていたのに、今、私が聞いているのは弾薬庫ですよね、これについては全く明らかにしようとしておりません。やはり、新規配備のときは説明したけれども、追加配備である場合は全く明らかにしようとしない。危険を抱えることになるのは同じですね。住民に事実を隠して配備を既成事実化するということは絶対に許されないと思います。

 弾薬庫についてですが、ロシアによるウクライナ侵略、ここでも双方の弾薬庫が繰り返し攻撃の対象となっています。侵略開始以降の弾薬庫が攻撃された主な事例と件数について、防衛省はどのように把握しておりますか。

遠藤委員長 大和防衛政策局長、もう質疑時間が終わっておりますので、簡単にお願い申し上げます。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナ侵略開始以降、ロシア軍及びウクライナ軍が様々な目標に対して多くの攻撃を行ってきていると認識しております。

 防衛省といたしましては、公開情報を含む様々な情報によって、こういった攻撃の状況について、弾薬庫に対するものも含め把握に努めていますが、これらを網羅的に申し上げることは困難であることを御理解願えればと存じます。

 その上で申しますが、ロシアそれからウクライナが公表した情報を踏まえますと、弾薬庫に対しても、主に無人機により攻撃がなされているものと認識をしております。

赤嶺委員 終わりますが、弾薬庫に何が配備されるか、住民は非常に戦々恐々であります。そういうことを一方的に既成事実化していくことは絶対にやめてほしい。全国に弾薬庫設置がありますけれども、そういうのは撤回して、平和外交に徹すべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

遠藤委員長 お疲れさまでした。

 赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十一分散会


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