衆議院

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第8号 令和7年4月17日(木曜日)

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令和七年四月十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠藤  敬君

   理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君

   理事 木原  稔君 理事 篠原  豪君

   理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君

   理事 美延 映夫君 理事 橋本 幹彦君

      江渡 聡徳君    金子 容三君

      黄川田仁志君    草間  剛君

      鈴木 英敬君    鈴木 隼人君

      関  芳弘君    中曽根康隆君

      福田かおる君    古川 直季君

      向山  淳君    吉田 真次君

      新垣 邦男君    五十嵐えり君

      伊藤 俊輔君   佐々木ナオミ君

      下野 幸助君    鈴木 岳幸君

      西川 厚志君    松尾 明弘君

      池畑浩太朗君    平岩 征樹君

      西園 勝秀君    山崎 正恭君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         中谷  元君

   防衛大臣政務官      金子 容三君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 針田  哲君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 森田 治男君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        嶺  康晴君

   政府参考人

   (防衛装備庁調達管理部長)            藤重 敦彦君

   安全保障委員会専門員   飯野 伸夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     吉田 真次君

  五十嵐えり君     佐々木ナオミ君

  伊藤 俊輔君     鈴木 岳幸君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田 真次君     古川 直季君

  佐々木ナオミ君    五十嵐えり君

  鈴木 岳幸君     西川 厚志君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     草間  剛君

  西川 厚志君     伊藤 俊輔君

    ―――――――――――――

四月十六日

 辺野古新基地建設の断念を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九三六号)

 同(志位和夫君紹介)(第九三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九三八号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第九三九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九四〇号)

 同(田村智子君紹介)(第九四一号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第九四二号)

 同(本村伸子君紹介)(第九四三号)

 平和、命、暮らしを壊す大軍拡、大増税に反対することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九五四号)

 同(志位和夫君紹介)(第九五五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九五六号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第九五七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九五八号)

 同(田村智子君紹介)(第九五九号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第九六〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第九六一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九九六号)

 同(志位和夫君紹介)(第九九七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九九八号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第九九九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇〇〇号)

 同(田村智子君紹介)(第一〇〇一号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一〇〇二号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇〇三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、環境省大臣官房審議官伯野春彦君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日はほかの委員会と重なっておりまして、委員長、理事の御了解を得まして、一番最初ということになりました。どうぞよろしくお願いします。

 それで、まず辺野古の問題から質問をします。

 防衛大臣は、四月十日の参議院外交防衛委員会で、普天間飛行場の危険性除去は二十年ほど前に国と沖縄県、名護市の三者で決めたもので、同じ時期の那覇空港の拡張工事は順調に進んだのだから、もっと沖縄県が努力すれば普天間の移転も早く進んだのではないかという趣旨の答弁を行いました。これは事実を歪曲するとんでもない発言であります。

 防衛大臣に改めて伺いますが、新基地の建設場所が現在のキャンプ・シュワブの沿岸域になったのは二〇〇五年十月のことです。この場所に決めたのは誰ですか。

中谷国務大臣 まず、普天間飛行場につきましては、一九九六年のSACO最終合意で沖縄県内に代替施設を建設するという前提で、一九九九年に、当時の辺野古沿岸案に対して沖縄県知事及び名護市長の同意を得てこれは閣議決定しております。その後、また協議がありまして、二〇〇五年、ちょうど二十年前ですけれども、十月、2プラス2において、キャンプ・シュワブの海岸線の区域とこれに近接する大浦湾の水域を結ぶL字案に設置することについて日米で合意をいたしました。当時は大野功統防衛庁長官であったと認識をいたしておりますけれども、そこで出てきたのがV字案でありまして、当時、島袋市長がこの基本合意を締結し、そして、稲嶺知事におきましても、二〇〇六年五月、V字案に係る基本確認書を締結されましたが、その後、八月に協議会を設置しまして三者で協議をいたしまして、そしてその後、仲井真知事が当選をされまして、政府、県知事、そして名護市長の下に、スタンスをそろえて協議を進めていた次第でございます。

赤嶺委員 キャンプ・シュワブ沿岸部、ここに決めたのは2プラス2で日米両政府ということですよね。沖縄県が決めたわけではないわけです。

 その日米合意に対して、当時の沖縄県はどのような見解を表明しましたか。

中谷国務大臣 二〇〇五年の2プラス2で合意したL字案につきましては、例えば、当時の稲嶺沖縄県知事からは、沖縄県としては絶対に容認できるものではない旨のコメントが出されたほか、沖縄県議会からは、沖縄の受入れ可能な案を米軍再編協議の最終報告に反映するよう要請があったと承知をしております。

 しかし、その後、現行の案、いわゆるV字案、額賀大臣の頃でありましたが、当時平成十八年、二〇〇六年五月に当時の額賀防衛庁長官と稲嶺知事との間で在沖米軍再編に係る基本確認書を結んだ上で、二〇〇六年、平成十八年八月以降、普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会において、政府、県、関係自治体との間で代替施設の建設計画、環境影響評価手続、普天間飛行場の危険性の除去について協議を重ねたわけでございます。

赤嶺委員 大臣、はしょって、いろいろ問題のあるところを飛ばして答弁する必要はないですよ、一問一問聞いていきますので。しかも、私、今日は十五分しかないので、端的にお願いします。

 当時の稲嶺知事は、代替施設を受け入れる上で、県民が納得できる条件として、軍民共用それから使用期限十五年を設けて、苦渋の選択をしたわけですね。一九九九年ですよ。国、県、名護市による基本計画の策定や作業の経緯を踏まえれば、絶対にL字型案、2プラス2は容認できるものではないという、怒りに満ちたコメントを出しております。

 九九年当時、国、県、名護市の三者で合意したことは、先ほどの大臣の答弁にもあるように、あります。しかし、それは県内移設という限られた選択肢を押しつけられた下で、北部地域の振興のために軍民共用空港とし、米軍の使用は十五年に限るという前提条件の下に合意したものでありました。

 私たちは、十五年の使用期限などできるはずがないと批判をしましたが、それでも当時の保守県政としては、県民との関係で、それが受け入れられるためのぎりぎりのラインだったのであります。

 ところが、その九九年合意、それを一方的に破棄して、ほごにしたのは日本政府です。軍民共用も十五年の使用期限も捨て去り、文字どおり米軍専用施設にしてしまいました。しかも、移設場所、建設場所は、沖合から集落に近い沿岸域に変更をいたしました。地元としてのめるはずがない案を沖縄県や名護市の頭越しに、日米両政府だけで決めてしまったんです。

 稲嶺県政の苦渋の選択をないがしろにして、協力関係を壊したのは日本政府の側だったのではありませんか。

中谷国務大臣 その後、丁寧に政府と沖縄県並びに地元の名護市と協議が続けられておりました。そこで、二〇〇六年、名護市の市長選挙において、新たな案への反対を掲げた島袋氏が当選しましたけれども、その後、国との協議の結果、島袋市長と東村長がV字案の基本合意書を締結いたしまして、その後、稲嶺知事が額賀長官とV字案に係る基本確認書を締結されました。

 その後、協議会が設置をされまして、何度も開催をされたわけでございますが、結局、二〇〇六年の十一月に沖合移転を公約に掲げた仲井真知事が当選をされまして、その後、実質的に協議が続けられたということでございます。

赤嶺委員 大臣、私は、九九年の合意、これは沖縄県、名護市、国、合意していた三者合意、しかし、それをほごにしたんですよ、あなた方は。十五年使用期限もほごにした、軍民共用空港もほごにした。その責任は国にあるんじゃないですか。自らの責任を頬かむりにして、県に責任を転嫁するなどというのは絶対に許されるものではありません。閣議決定までしたものを閣議決定でほごにする、こんなやり方がありますか。

 更に伺いますが、二〇〇二年に合意された軍民共用空港の建設場所は、沖合二・二キロの辺野古側の海域でした。防衛大臣、そこは軟弱地盤はありましたか。

中谷国務大臣 九七年、この当時は沖縄の防衛施設局が代替施設の検討に当たって土質調査を行った結果、辺野古の沖合の地点で沖積層の存在が確認された。その地点の一部は平成十四年、二〇〇二年七月の沖縄の辺野古沖合に代替施設を建設する案、いわゆる海上案の建設場所に含まれていると承知をいたしております。

 一方で、海上案につきましては、当時、具体的な設計を行う段階にはなくて、建設場所における地盤改良の必要性については詳細な検討は行っておらず、那覇の防衛施設局としては、地盤改良の必要性を把握していたものではなかった。つまり、海上案が浮上しておりましたので、その必要性はなかったというふうに承知しております。

赤嶺委員 辺野古側というのは水深の浅い海域で、軟弱地盤も確認できていませんでした。ところが、それを大浦湾にかかる形で変更したのが二〇〇五年の日米合意であります。

 今、軟弱地盤の改良工事のために大幅な工期の延長が必要になっています。普天間基地の返還が更に遅れる原因をつくったのは、軟弱地盤が広がる大浦湾側に建設場所を変更した日本政府の責任ではありませんか。

中谷国務大臣 これは、やはり二〇〇五年、二〇〇六年当時、国と沖縄県並びに名護市長等と話合いをしまして、このときに海上案、辺野古沖埋立てが要望されたわけでございますが、その後、V字案などが提案をされまして、先ほどお話をしたとおり、地元の皆様方との合意をするべく協議会を設置いたしまして話合いをした結果、仲井真知事等も当選されましたので、それで環境影響評価に対する方法書を出しまして、工事が進展していったということでございます。

赤嶺委員 答弁してまずいところは一切答弁しないで省いて言っているんですが、稲嶺知事はV字型案に賛成していなかったですよね。それを何かあたかも賛成したかのような言い方の答弁がありましたが。

 防衛省は、この海域の地盤の状況について知らなかったわけではありません。軍民共用空港の建設場所を決める過程で、音波探査もやって、地盤についての一定の認識も持っていました。にもかかわらず、大浦湾側に変更したのです。軟弱地盤の改良工事で大幅に遅れることになりました。遅れたのは防衛省の責任が極めて重大だということじゃありませんか。

 沖縄県民は一貫して、この計画に反対してきました。沖縄県が、その県民の民意を受けて新基地反対の立場に立つのは当然です。にもかかわらず、沖縄県の努力が足りないなどと発言するのは、大臣自身が民主主義を否定することになります。

 参議院での、沖縄県が協力すればもっと早くできたというあの発言は撤回すべきではありませんか。

中谷国務大臣 この事業の進捗につきましては、丁寧に時間をかけながら沖縄県と協議いたしております。

 そして、二〇〇六年の五月十一日に稲嶺知事が額賀長官とV字案に係る基本確認書を締結しておりまして、このV字案に合意をする上において、これを基本に協議するということで、その後、協議会が設置をされまして話合いをした結果、事業の承認を、沖縄県としても、V字案を基本に協議してきたということでございます。

 そこで、御質問の、埋立承認書における時間がかかったのではないかということでございますが、実は、平成二十五年、二〇一三年の埋立承認願書において、沖縄防衛局において、設計段階で必要な調査を行った上で作成をされたものでありまして、沖縄防衛局がこの埋立承認願書の審査段階において、施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県に説明をした上で、沖縄県知事から埋立承認を得たものであると承知をしております。

 その後、施工段階で必要な調査検討を行った結果、土質改良工事が必要であると判明しまして、工事の追加を行うということで行ってきたわけでありまして、いずれにしましても、防衛省は、様々な機会を通じて地元の皆さんに丁寧な説明を行い、そして沖縄県とも様々なレベルで対話を図りながら、飛行場の一日も早い全面返還を実現するために努力をしてきたわけでございます。

 その後、訴訟とかいろいろな出来事がありましたけれども、それによってやはり工事が遅れてきたということは事実でございますので、その点につきましては、国と県と市がもっと協力をしていればもっと早期に事業が進むんじゃないかなというふうに思います。

遠藤委員長 赤嶺君、時間が来ております。

赤嶺委員 今日は時間がありませんので。ただ、肝腎の九九年合意を閣議決定しながらほごにした。そして、軟弱地盤を自ら選んで工事を混乱させた、その責任はあなた方にあるというような、沖縄県はやるべきこと、訴えることをやっているんだということで、あしたもまた質問がありますので、法案とともに引き続き追及していきたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。これにて赤嶺政賢君の質疑は終わりました。

 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、四月の十五日の朝日新聞によりますと、三月三十日の日米防衛相会談で、中谷防衛大臣はヘグセス国防長官に対して、中国への対抗を念頭に、東シナ海、そして南シナ海、そしてまた朝鮮半島を中心とした地域を一体のシアター、戦域として捉え、日米が同志国とともに防衛協力を強化するワンシアター構想を伝えていたというふうに報じられています。

 当記事では、シアター、戦域、このことを、軍事作戦が展開をされる地域を指すと説明しておりますけれども、具体的に、ワンシアター、一つの戦域構想とはどのような構想なのでしょうか。

 また、中谷大臣が二月のフィリピン訪問の際に、マルコス大統領に、日本とフィリピンは同じシアターであるとお伝えしたということでありますけれども、中谷大臣がシアターという言葉を使い始めた意図、昨今言い始めたという感じがしますけれども、その意図についても併せて見解をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 日米防衛相会談の内容等につきましては、報道の記事がございますが、詳細につきましては、内容、表現を含めまして相手国との関係もありますので、これを明らかにすることは差し控えたいと思います。

 その上で申し上げますれば、インド太平洋地域の平和と安定、これは我が国の安全と繁栄のために極めて重要であり、一方で、この地域においては、軍事力の急速な近代化、そして軍事活動の活発化、東シナ海、南シナ海等における力又は威圧による一方的な現状変更の試みを含めて、安全保障上の課題が存在をいたしております。

 防衛省としましては、我が国の平和と安全を保つとともに、自由で開かれたインド太平洋、これを実現するには、この地域の安全保障環境を一つのものとして全体を俯瞰的に捉える必要があると考えております。この観点から、同盟国である米国、豪州、フィリピン、韓国を始めとする地域の様々なパートナーとの間で、地域における共通の課題について認識を共有するとともに、情報面や運用面を含む広範な分野における協力をも進めております。

 防衛省としましては、今後とも、二国間における取組にとどまらず、多国間との関係も含めまして、同盟国、同志国等の連携、これを発展させて、インド太平洋地域の平和と安定に貢献してまいりたいという考えでございます。

伊藤(俊)委員 ワンシアターの明確な地理的な範囲でしたり、まあ定まっていないというふうに思いますし、自衛隊の具体的な活動範囲等も非常に曖昧になっているのではないかと思いますし、日本が他国、地域の有事に巻き込まれるリスクが高まるのではないかという一部報道もありました。

 確かに、トランプ大統領の同盟国に対する現在のスタンス、姿勢も、そして東アジア情勢の緊迫化等のための我が国に求められる役割あるいは範囲というものが拡大をして、そして将来的には自衛隊の役割や負担、それに伴うリスクというものも大きくなっていくことが懸念される中で、外交、安全保障に関わる中身が明確でない構想に関しては慎重な議論が必要だというふうにも思っております。

 中谷防衛大臣は、この構想を打ち出すことで、我が国に求められる安全保障上の役割というもの、どのような影響があるというふうに考えているのか、改めてお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 防衛省といたしましては、我が国の平和と安全を保つというところで、もう既に外務省の外交の方針にもなっておりますけれども、自由で開かれたインド太平洋を実現するためには、この地域の安全保障環境を一つのものとして全体を俯瞰的に捉える必要があると考えております。こういった観点から、同盟国である米国、豪州、フィリピン、韓国を始めとする地域の様々なパートナーとの間で、地域における共通の課題について認識を共有するとともに、情報面や運用面を含む広範な分野における協力も進めているわけであります。

 こういった二国間の取組にとどまらず、多国間との協議も含めまして、同志国、同盟国との連携を発展させて、インド太平洋地域の平和と安定に貢献してまいりたいという考えでございます。

伊藤(俊)委員 中身に関しては、明確な範囲、対応、今日も答弁がなかなか難しいのかと思いますけれども、米国の負担の軽減という中において日本に求められるものが大きくなっているという一つのベースがあるのかもしれませんが、これから更に役割、負担というものが増えていく、あるいはリスクに対して、より慎重なこうした構想の発言もそしてまた中身の説明、議論も尽くしていただきたいとお願い申し上げたいと思います。

 次の質問に移りたいというふうに思います。

 私たち立憲民主党は、二〇二二年の六月に自衛隊員の応援議員連盟を立ち上げさせていただきまして、昨年十月の総選挙以来初めて今日午後に総会を開く予定でありますけれども、党内で最多の百三十八人を超える議員が参加をしておりまして、この安全保障委員会に所属する立憲民主党の議員、仲間も全員これに入っております。

 自衛隊員の生活あるいは勤務環境とか、あるいは待遇改善等、非常に大事だと思いますし、支援をしていきたい、応援をしていきたいなというふうに思いますけれども、私も一貫して改善を求める質疑、質問をさせていただいておりますけれども、今日も一つでも、少しでも改善ができるように前向きな答弁を求めたいというふうにお願い申し上げたいというふうに思います。

 まず、トラックによる自衛官の輸送についてお伺いしたいというふうに思います。

 警察や自衛隊など道路交通法の適用除外とされる特別な職種に限って、多数の人員をトラックで輸送することが可能とされております。自衛隊においては、災害派遣や訓練などの際にトラックの荷台に複数の隊員が乗り込んで移動しております。

 現在、トラックの荷台を用いた人員輸送というのは具体的にどのような場合に行われているのか、まず端的にお伺いしたいと思います。

大和政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊におきましては、移動の目的や人員数などを総合的に勘案し、演習場などの不整地に隊員を輸送する場合を始めとする日常の移動において、トラックの荷台を用いた人員輸送を行っております。

伊藤(俊)委員 隊員の移動の手段としてトラックの荷台を利用する理由というものを改めてお伺いしたいと思います。

 また、同じく道路交通法の適用除外を受けている警察においては、かなり前から冷暖房つきのバス等の輸送が行われておりますけれども、警察にできて自衛隊にできていない、あるいはやっていないのはどういうことなのか、端的にお伺いしたいと思います。

大和政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊におきましては、災害派遣などの各種任務において、個人装具を所持する多数の隊員を必要な資機材とともに一度に輸送し、これら隊員が迅速に車両から下車し速やかに行動に移るため、荷台で人員を輸送できる汎用性の高いトラックは不可欠であります。また、自衛隊の各種任務では不整地を走行する必要もあり、バスでの移動が適さないこともございます。

 自衛隊においては、このような任務に対応するために所有しているトラックについて、移動の目的や人員数などを総合的に勘案し、訓練を含む日常の移動においても活用しているものであります。

伊藤(俊)委員 自衛隊のトラックの荷台は、堅い板のベンチと背板があるのみで、人員を輸送するには適していないというふうにも聞いております。車両の振動も大きいために、常に隊員の足腰にも負担がかかっているという声もあります。また、自衛隊の中には、坐骨神経痛とかヘルニアとか、職業病だ、こう言われておりますけれども、防衛省においてそういった認識をお持ちなのか、お聞きしたいというふうに思います。

 また、このトラックの荷台輸送が隊員の身体、健康面に与える影響について、防衛省ではこれまで調査検討したことがあるのか、さらには、トラックの荷台による輸送で隊員が何らかの、ヘルニアとか坐骨神経痛も含んで、病気を発症した場合、公務災害として認定されているのか、お聞きしたいというふうに思います。

針田政府参考人 お答えいたします。

 トラックの乗車に伴う身体、健康面における影響につきましては、まず、坐骨神経痛や椎間板ヘルニアの患者さんの数を今確認しているところでございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、坐骨神経痛や椎間板ヘルニアについては、背骨への負担、筋肉の疲労などにより神経を圧迫することによって発症するものであり、様々な要因により発症するというふうに認識しております。

 なお、坐骨神経痛や椎間板ヘルニアが職務が原因で発症したものと認められる場合には、公務上の災害として認定され、治療費等の補償がされております。

伊藤(俊)委員 因果関係が分からないと公務災害の認定はなかなかできないという答弁なのかなというふうにも思っておりますが、隊員の健康面を第一に考えれば、幅広くそういったことにもケアをしていただきたいなというふうにも思うわけでありますけれども、是非、隊員に対して調査というか、いろいろ意見を聴取できるような機会をつくっていただけたらありがたいなというふうにも思っております。これはけが等も含めて、いろいろなケースがあるかというふうに思いますので、そういうことを把握することで様々な対策が打てるんだろうというふうに思いますので、お願いをしたいというふうに思います。

 米軍では、一番重要で高額な装備は軍人だ、こういうふうに考えられているようであります。銃撃を受ければ全滅をする、こういうようなトラックの荷台を利用した輸送は徹底的に排除をされていると聞いております。銃撃や地雷あるいは徹甲弾でも耐えられる装甲や、熱中症等も防ぐために、冷暖房完備の装甲兵員輸送車が採用されているようであります。

 米国の隊員輸送の状況について、日本と同様にトラックの荷台で輸送する、こういうことがまだ主軸で考えられているということなのか、それとも、新たに、こういうものは排除されて改善をされているのか、防衛省が分かる範囲で認識をお伺いしたいと思います。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省といたしまして、米国等の諸外国の軍の運用の細部まで把握しているわけではございませんけれども、委員御指摘の隊員の陸上輸送につきましては、一般的には、任務上の所要に基づきまして、様々な車両によって、安全も配慮しながら輸送が実施されているものと承知をしております。

伊藤(俊)委員 是非、米軍のみならず、諸外国の輸送の在り方等も情報として捉えていただいて、自衛隊にもしっかりと改善に向けて対応していただきたいというふうに思うわけであります。

 戦術的な話だけではなくて、現実的に、荷台に複数隊員が乗り込んで移動する際に、事故やけがのリスクということも実際起こっております。実際、二〇二三年の十一月には、東北自動車道で陸上自衛隊の大型トラック二台が衝突をして、隊員八人が負傷するという事故が発生しております。事故当時は、後方を走っていた車両には隊員二十五名が荷台で輸送されていたということであります。

 このような事故は今までどれくらいの件数があるのかお聞きしたいのと、事故に至らなくても、急停車等を含めて、トラックの荷台等、けがもあるかというふうに思います。輸送中じゃなくても、隊員が荷台から落ちて骨折をして、労災認定を受けられなかったという話も一部聞いたこともあります。様々なけが等、事故、あるんだと思いますけれども、その現状をまずお聞きしたいというふうに思います。

大和政府参考人 お答えいたします。

 トラックの荷台に乗せて輸送している隊員の負傷を伴う交通事故については、令和二年度以降、令和二年度に二件、令和五年度に二件発生しております。なお、死者を伴う交通事故は発生しておりません。

 また、交通事故に至らなかったものについては、発生場所がトラックの荷台であるかという観点では網羅的に把握はしておりませんが、公務災害に認定された負傷については把握することは可能であります。

伊藤(俊)委員 事故のみならず、荷台でのけがとか、あるいは輸送中のけが等も、是非、把握していただくように努めていただきたいなというふうに思っています。そういうことが把握できると、隊員に対して、労務災害もそうですけれども、どういう対策が取れるのかということにつながるんだというふうに思いますので、是非、把握に努めていただきたいというふうに思っています。

 それから、安全装置等もなかなかない車両が多いというふうに聞いておりますので、これは、運転している隊員も、乗員にけがをさせないようにということで、大きな精神的な負担があるとも聞いております。

 そこで、関連をして、自衛隊が運用する車両、特に戦車や装甲車なども含めた特殊車両は、法律上自動車としては認められておりませんので、自賠責保険への加入義務が免除されていると思います。これは自衛隊法第百十四条及び自衛隊法施行令の第百五十七条に基づくものでありますけれども、そのために、これらの車両には任意保険に加入しないのが一般的だというふうに聞いております。事故が発生した場合は、自衛隊車両による損害賠償は国家賠償法に基づいて国が直接対応する、つまり、民間の保険会社等は介さずに国が賠償責任を負うという仕組みになっていると聞いております。

 これは念のためにお聞きしますけれども、対物、対人を含めて事故を起こした場合、故意の場合を除き、国家賠償法に基づいて国が対応する、そして、隊員の責任に至ることはないということでよろしいでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が部隊の活動を行うに当たりまして、安全に配慮し、事故を起こさないようにするというのは当然のことでございます。

 その上で、御指摘に関連いたしましてお答え申し上げますと、万が一隊員が公務中に事故を起こし相手に損害が生じた場合は、御言及がありました国家賠償法に基づいて対応することになりますが、当該隊員に故意又は重大な過失があった場合を除き国が賠償金を負担することとなり、隊員個人に金銭的な負担が生じることはございません。

伊藤(俊)委員 故意という枠には、例えば飲酒運転だとか、様々あるんだと思いますが、あえてお聞きしたいと思いますけれども、例えば居眠りとか脇見運転とか、様々ありますけれども、特に居眠りなんかは、これは職務上大変な訓練をされたり、職務がありますから、やはり疲労こんぱいなとき、様々あるかと思います。運転を代わってくれる要員がいるときといないときもあるかと思いますし、そういった場合、飲酒等で、例えば運転をされていた隊員に責務が生じた事例というのはあるんでしょうか。そのほかも含めてですけれども、運転手が責任を持たなきゃいけなかった事例があったら教えていただきたいと思いますが、これは、なければ安心する話だと思いますので、お聞きしたいと思います。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘のところで、故意というのは、ある意味わざとでございますので、飲酒運転というのを更に超えて、ぶつけていいと思ってやっていますので、更に悪質度が高いということになりますが、ただ、申し上げましたように、重大な過失の場合も個人に賠償が求められる場合がございますので、その場合に、飲んで事故を起こしてもいいやという軽い気持ちでそういった事故を起こした場合は、重大な過失に当たる場合があり得ると思われます。

 ただし、ちょっと手元に詳細な記録がございませんが、私が記憶しているところでは、そういうのは最近の事案ではないというふうに聞いてございます。

伊藤(俊)委員 是非、これまでもこうした、今居眠り等も言及がなかったんですが、飲酒等は個人の責任も問われるかもしれません。ただ、こういう任意保険に入っていないことで、人生、失敗もありますから、その先の人生全て左右されてしまうという問題でありますし、対人の場合は相手方がいる話でありますから、運転するにおいてはすごくプレッシャーのある、隊員にとってはあるのかなというふうに思います。居眠り等含めて、そういう事案がないのかどうか、もし、何か更問い、ありますか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 失礼いたしました。居眠り又は過労による車両事故で隊員に求償した実績は確認できておりません。

 他方、もう一件、最近ではと申し上げたんですけれども、飲酒運転に伴う事故で求償をされたという事案が昭和四十年代に六件及び平成十二年に一件あるという記録がございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 ある程度ないということで安心はできるんですけれども、ただ、故意というのはなかなか範囲が難しいですが、飲酒も含めてですけれども、なかなかその先の人生、保険に入っていないことで、対人も含めてどういう責務を負うのかなということもすごく心配されるところでありますが、より、隊員の方々が運転をする際にプレッシャーにならないような手だてを講じていただきたいなというふうに思っているわけであります。

 端的に、ちょっと関連してお聞きしたいんですが、自衛官の大型免許の取得というのは、職務上必要なための義務という形になっているんでしょうか。そしてまた、運転をする際の手当等というのが今存在するんでしょうか。そして、訓練は、疲労こんぱい等ありますけれども、疲労こんぱいのときでも運転しなきゃいけないという声を実際に私も聞いたことがありますけれども、運転の明確な休息のルール等、そういったものが示されているのか、教えていただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊においては、職務に必要と判断される場合、隊員にいわゆる大型免許を取得させております。また、職務上、大型車両を操縦することのみをもって手当が支給されるということはございません。

 自衛隊において車両を用いて輸送する際、運行計画等を作成するというふうに決められております。具体的には、合理的な時間を設定すること、長時間運行する場合には、所定の間隔をもって休憩させること、交代する操縦士を同行させること、こういったことを定めまして、安全な運行を行うということとされております。

伊藤(俊)委員 あわせて、運転をされる方に、本当にプレッシャーにならないようにと思いますし、運転される方とされない方というので、かなり労力も違うんだろうというふうにも思いますし、また、運転ができる方が一人しかいないとか、そういった環境に陥ったときに、疲労こんぱいでも運転しなきゃいけないというときがあり得るんだろうとも思います。

 そういう、できるだけ休息を含めてルールを作っていただいて、それは何で言うかというと、できれば運転をしたくないので免許を取りたくないとか、あるいは、免許がなければ運転しなくていいとか、一部そういう声もありますし、一方では、再就職のときに、免許が取れるというのがメリットなんだ、そういうふうに福利厚生で言われる、そういうところだけがオープンになるんですけれども、ただ、内部では、やはりプレッシャーが大きいと思っている隊員もいらっしゃるということだと思いますので、より安心できる体制を整えていただきたいなというふうに思っております。

 先ほど紹介した事故の負傷は八人、これは軽傷で済んだという話でありました。トラックの荷台を用いた人員輸送というのは、戦術的にも、それから隊員の健康面、あるいは事故のリスク、そういうことから見ても、るる先ほど申し上げたことを含めてですが、やはり時代とともに見直しも必要なのではないかなというふうに思っております。

 このような安全性のない輸送手段が通常だというふうにするのであれば、自衛隊の隊員の皆様にとって、命を軽く見てしまうことにつながるのではないかというふうにも思いますので、是非、改善に向けて、中谷大臣の見解をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 御意見ありがとうございます。

 自衛隊におきましては、ただ一般道を走るのみならず、やはり演習場内とか、不整地とか、山道とか、目的とか人員において、やはりトラックの荷台に乗せて運送するということがございます。

 ただし、この輸送に当たりましては、御指摘のとおり、やはり一定以上の練度が高い者を操縦士に指定するとともに、隊員を保護するために、荷台に乗車する隊員にはヘルメットを装着とか、安全性を高めるように努める必要がございますので、今後とも、こういった現場のニーズをしっかり把握をしまして、安全という見地におきまして注力を注いでまいりたいというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 先ほど、るる細かくいろいろ言いましたけれども、一つでも、隊員の健康面だけでも改善しようと思えばできるというふうに思いますので、そういったところに目を向けていただきたいなというふうに思っておりますし、今、四十三兆円という大規模な予算の中で、やはり足下の隊員のことを考えないと、自衛官になろう、隊員になろうという方々がやはり増えないんだと思いますし、また、隊員になってからも、健康上の理由で辞めたりとかということがあるとすれば、これは本末転倒だというふうに思いますので、是非、目を向けて、改善をしていただきたいというふうに思っております。

 次に、隊舎、庁舎についてお伺いしたいというふうに思います。

 隊舎、庁舎も令和六年度から予算が確保されて、大幅に改善をしていくということをお聞きしております。約二万三千棟の隊舎、庁舎を、令和六年度には五百棟、令和七年度予算では約二百棟、建て替え、改修に着手をする予定だと聞いております。

 これは、隊舎は基本、生活隊舎と勤務隊舎、庁舎と分かれると思うんですけれども、中身が発表されていないものですから、生活隊舎を先にやられているのか、それとも古い建物からやられているのか、どういった基準、方向性でやっているのか、内訳等もあれば教えていただきたいというふうに思います。

茂籠政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、隊員の生活、勤務環境の改善のために、早急に対応が必要な隊舎、庁舎の建て替え、改修を進めていくことが必要であるというふうに考えておりまして、特に、旧耐震基準が適用されております昭和五十七年以前に建てられた隊舎約六百棟、庁舎の方が約八百棟につきまして、優先的にその整備を進めていくこととしております。

 今、設計及び工事につきましては、部隊運用等も踏まえつつ、順次進めているところでございますが、令和七年度予算の計上も含めますと、まず、隊舎全体の約六割に当たる約三百六十棟、庁舎は全体の約四割に当たる三百三十棟が事業化することとなっております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 やっとここで進んでいくという思いが、隊員の皆さん、隊舎を持っておられますので、是非着実に進めていただきたいというふうに思っております。

 そして、隊舎のことで関連して言うと、前回の質疑で、隊舎の中の寝具の更新の話をしました。最後、時間が余りなくて、曖昧な答弁で終わっていたなというふうに感じておりましたので、これは、質問した後、対象の皆さんからも、もっと具体的な回答が欲しいというお話もありました。

 ちょっと更問いで一問お伺いしたいと思いますが、この陸上自衛隊のSeikinパンフレットあるいは防衛省・自衛隊のパンフレットでは、隊舎のマットレス、かけ布団、毛布、シーツ、枕など、今までの規格から見直しをして、グレードを上げて、そして全数新品に交換をするという書きぶりなんですが、この間の答弁では、全数新品ということはなかなか難しく、お答えするのが難しいけれども、可能な限り更新を進めてまいりますと答えていただいたので、是非、全数新品交換をしますと明確にお答えいただけたらうれしいんですが、お願いします。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 陸上自衛隊における隊舎内の寝具の更新につきましてでございますが、令和七年度をめどとした全数新品への更新というのは難しいのですが、現在、寝具、規格の見直しを行っております。そして、令和九年度までには、隊舎内全ての寝具を対象としまして、見直し後の規格の新品の寝具への入替えということを完了させる予定になっております。

 一方、これまで損耗更新が滞っていたような寝具もあるんですけれども、これにつきましては優先して、令和七年度の予算でこれも更新を完了していくということでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 時期は少しかかるけれども、全数交換、新品に、グレードが高いものに全て替えるという答弁で理解をしました。隊員の皆さん、安心したと思いますので、ありがとうございます。

 次に、空調のエアコンの運用についてお伺いしたいというふうに思います。

 防衛省は、不具合が生じている隊舎、庁舎の空調機の改修等が令和七年度に完了予定をし、全館空調がない隊舎等への個別空調機の設置を、陸自は令和七年度予算で、そして空自は令和八年度に完了予定、そして海自は年度発生をする損耗更新という予定だというふうに聞いております。

 空調機の設置、改修が進むということは本当に喜ばしいことだというふうに思いますが、一方で、エアコンの使用のルールというものが今までありまして、使用期間あるいは使用時間というものが細かく決められていて、真夏など体調不良で休んでいるときもこのルールが適用されているということで、改善を求める声が多くありました。

 このSeikinのパンフレットにも「二十四時間運転を追求します。」と書かれておりまして、令和六年三月に通達も出して、二十四時間の冷暖房が使えるように運用ルールを変更したというふうに聞いておりますけれども、追求しますと言われると、実は、努力しますということで、全てがなっていないんじゃないかとも考えられるわけでありますが、実際に、現場からは、深夜などは使えていないという声がありました。

 防衛省からは、空調機、ボイラーの点検等があって、深夜帯を止めているところがありますという話がありましたけれども、具体的に一つお聞きしたら、川内駐屯地では、深夜、エアコンを切っているという実際の声がありました。

 ボイラー点検のために停止しているのか、まずお聞きしたいと思いますし、また、ボイラーから電気とか、様々違う、ボイラーを使わないものに替えていく必要性もあるんじゃないかと思いますが、そのことについてお聞きしたいと思います。

 改めてきちんとした、二十四時間じゃないじゃないかという声もありますから、ボイラーの点検等を含めてですが、きちんとした周知をしていただきたいなと思います。お願いします。

茂籠政府参考人 今委員御指摘いただきましたとおり、今、陸上自衛隊の方では、運用ルール、いわゆる冷暖房装置の運転要領を令和六年三月に改正をしております。この中で、隊員のニーズを反映して、二十四時間運転を追求する、こういうふうに表記をさせていただいているところです。

 他方で、駐屯地におきましては、ボイラーから蒸気供給に依存する蒸気式空調機については、ボイラー技士の不在時及びボイラーの保守の間においては稼働することができない。そのために、空調設備の運転時間に制約がある例が確認されております。委員御指摘の川内駐屯地もこの例に当たっております。

 今後につきましては、先ほど委員がおっしゃられましたように、蒸気式空調機を時間的制約が少ない電気式空調機に替えていくとともに、それまでの間、簡易的な空調機を設置するなど、運転時間の制約が生じないように対応していきたいと思っております。

 このような取組についても、改めて隊員に周知をしていきたいと思っております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 ボイラーは、蒸気で恐らく暖めたり冷やしたりということで、多分、今の時代においても効率が悪いのかなというふうにも思いますし、エアコンだけじゃなくて様々なものを使っているので、移行がなかなか難しいところもあるんだと思いますが、是非そこも更新というか、空調も更新を考えていただけたらありがたいなというふうに思っております。

 そして、周知も、二十四時間と言われたけれども、使えていないじゃないかという隊員からの声がありますので、是非丁寧に、ボイラーでこういう、まあボイラーは多分、一人、あるいは二人、三人と、その専門的な人がいないと二十四時間回せないというふうにも聞いているので、それもまた費用対効果的にも大変だなというふうに思いますので、是非替えていく努力をしていただきたいというふうに思っております。

 時間も迫ってきておりますが、次に、隊舎の洗濯機についてお聞きしたいと思います。

 独身の若い自衛官は、集団生活を行いますから、冷蔵庫とかお風呂とか洗濯機とか共有している状況であります。課業時間外で限られた時間に洗濯をするために洗濯機の数が足りていないということや、あるいは、自衛官の洗濯物というのは泥や砂など汚れているわけでありますけれども、すぐに故障してしまう、故障してもなかなか交換、修繕が行われていない、こういう話も聞いております。

 防衛省では、混雑緩和のために洗濯機の設置数やあるいは修理等を進められるというふうに聞いておりますけれども、現在、それでも洗濯機一台当たり八人で使うというような計算でありまして、しかも、家庭用洗濯機だということであります。砂や泥などが多いと、どうしても故障につながって耐久年数が短くなってしまうことなども懸念されるわけでありますが、米国では、今日も添付資料を最後につけてありますが、大型のランドリールームで温水洗濯機、高温乾燥機を使用して、耐久性も高く、汚れも落ちやすく、そして殺菌効果も高いと評価されております。

 隊舎でも、業務用の洗濯機等の導入を、やはり入れ替えるときには、コストもありますけれども、耐久年数やその効果を考えれば検討すべきだというふうに思いますけれども、防衛省の見解をお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の洗濯機につきましては、部隊等に設置される洗濯機の不足により利用者に順番待ちが生じていた状況が起きておりましたため、例えば陸上自衛隊においては令和五年度に洗濯機の設置基準を改正し、人数当たりの設置可能数を一・五倍に増加させております。また、新たな設置や故障に伴う更新等の予算も計上しております。

 御指摘の洗濯機の種類や性能につきましては、引き続き現場のニーズも踏まえながら不断に見直しを図っていきたいと考えております。

伊藤(俊)委員 装備品とかの分厚い資料、冊子で、僕も初めて防衛の装備品をいろいろ見たんですけれども、すごくマイナーな本をいろいろ見て、何か、野外洗濯セット二型というのが載っていました。一時間で作業着四十着を対応できる、乾燥機もついていると書いてあったんですが、こういったものも、使っているかどうか分かりませんが、書いてありました。

 こういったものもあるということですから、できれば大型なものとか、より多く、機能性が高いものに検討していただくことをお願いしたいというふうに思っております。

 そして、陸上自衛隊の貸与品、支給品についてもお伺いしたいというふうに思います。

 災害派遣時に使うヘッドライトあるいは手袋、そういったものが支給若しくは貸与されているというふうに聞いております。今までは隊員一人一人に配っていなかったものを、今、現状はお配りをしている、あるいはこれから配るように変えるというふうにも聞いております。そこの詳細をお聞きしたいというふうに思いますが。

 そして、能登の震災等でも、例えばヘッドライト一つ取っても、手袋もヘッドライトも貸与、その都度支給されているのに、自費で買ったものを使っているという姿が多く見られております。それは、貸し出したりあるいは支給されるものが、やはり機能的に低いのか使いづらいのか、様々な理由があるのかもしれないというふうに思います。できれば、そういう皆さんに統一で使っていただけるような機能のものをより考えていただきたいというふうに思います。

 特にヘッドライトは、皆さん、自分のものを使っている方が多いというふうに聞いていますので、是非そういうことがないように、自費で買うような負担がないように工夫していただきたいということと、手袋は破れたり破損したときは、これまではかなり交換してもらうのに時間がかかるという話がありました。ただ、今は即座に交換してもらえる対応ができているというふうに聞いておりますが、隊員の方々から、こういうのは知らない方がいらっしゃると思いますので、こうした議論を通じて最新の状況をお伝えしていただきたいというふうに思います。併せてお願いします。

嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ヘッドライトの件でございますが、恐らく、これは災害用に備蓄しているヘッドライトのことでございまして、これは民生品でございますが、防じん、防水機能、あとはLEDをしっかり備えているものでございまして、これはある程度いい機能のものだと考えておりますが、以前隊員へアンケートした調査の結果、これは災害派遣時だけでなくて、通常の訓練時にも使いたいとヘッドライトの貸与を希望する意見が多くございました。それを踏まえまして、我々、災害備蓄用のヘッドライトは被服と同じで個人管理に七年度から運用方法を変更するということですね。今までは確かにそのときに貸与していたということですけれども、それを改めまして、これから個人管理になるということでございます。

 あと、手袋でございますが、これは御認識のとおりでございまして、従前から個人管理にしてはおります。あらかじめ支給した上で、災派などで活動時に仮に破れたりしたりしても、そもそも、各方面隊にある補給処等には十分新品の手袋が保管されておりますので、要望があれば即座に、必要があれば即座に交換できる体制になっております。

伊藤(俊)委員 運用が変わったということで、ありがたいと思います。

 恐らく、知らない方はまだいるんじゃないかなという気もしまして、これから手袋も災害用のやつを支給されるという話なので、まず、多分、自己管理で自分のものを使ってもよし、あるいは災害時に配られる、あるいは支給されるものを使ってもよしということなんだと思いますが、破れたとき等も、これまでは、なかなか、申請して、もらうまで時間がかかるので、破れたままで災害時作業していたという隊員も結構多かったというふうに聞いていますので、是非そのことも、周知していると思いますが、なお一層隊員に、無理をせず、けがをしないように、交換できるんだということも周知していただきたいというふうに思っております。

 そして、もう時間がほとんどありませんが、最後になるかなと思いますが、日用品の支給についてもお伺いしたいというふうに思います。

 前回の質疑で、廠舎の環境をるるお話をさせていただきました。少し劣悪な環境、様々訓練に必要だという部分もあるのかもしれませんが、そういう中で、昆虫類がたくさん入ってきてしまうとか様々あって、虫よけスプレーとか、あるいはかゆみ止めとか、こういったものを自費で購入している方々が多いというふうにも聞いておりました。これは支給品に入っていないのか、まず端的にお伺いしたいというふうに思うのと、是非、自費で購入しないようにしていただきたいというふうに思っております。

 そして、あわせて、日用品というと事務的なものとかでありまして、自費で購入しているものは見受けられないというアンケートもありましたけれども、先ほどるる申し上げたヘッドライトだとか手袋だとかも含めてですが、自費で購入しているものにどういうものがあるのかという調査をしていただくことで、より隊員の方々の負担を軽減できる、よりいい改善ができるのではないかというふうに思いますので、併せて幅広に、隊員が自費で購入しているものはないのかということを調査していただけたらありがたいなと思います。

針田政府参考人 お答えいたします。

 訓練時においては、救護支援を行う救護員が虫よけスプレーやかゆみ止めを携行し、必要に応じて使用できる状況にあり、また、隊員が駐屯地医務室等を受診した際には、かゆみ止め等の医薬品の処方を自己負担なく受けることができます。

 また、隊員が訓練時で使用する被服等の使用状況につきましては、定期的にアンケート調査を実施しているところですけれども、委員の御指摘も踏まえまして、日用品等に係る自費購入等の状況調査に含まれない品目についても、隊員へのアンケート調査などの実態把握を通じて、その結果を踏まえて引き続き改善に取り組みたいというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 是非改善をお願いをしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでした。

 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。

 まず初めに、本日議題の防衛省設置法案には、人的基盤の抜本的強化、自衛官の人材確保の側面からまず御質問をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 本法案では、任期制自衛官の確保のために、当初から自衛官として採用する新たな任期制士を創設し、自衛官候補生を廃止することになっております。それに伴って、自衛官候補生の初任給が月額十七万九千円から、新たな任期制士の初任給は月額二十二万四千六百円と引き上げられているんですが、物価上昇への対応として民間企業の給与や人事院勧告が引き上げられる中で、任期制自衛官の初任給が上昇すること自体は、一定程度の評価だろうと思っております。

 ただ一方、少子高齢化が進んで人手不足が深刻化している中、人材確保のため、大企業では大卒初任給が三十万円時代を迎えているんですが、任期制士の初任給が月額二十二万四千六百円、これが妥当な金額と言えるのか、その辺、民間企業がかなり底上げをしているという意味では、防衛省の認識を伺いたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の募集が厳しく、喫緊の課題となっている中、防衛力の担い手である人材の確保は至上命題であり、特に新隊員の採用は喫緊の課題です。こうした状況を踏まえまして、閣僚会議の基本方針に基づきまして、委員御指摘のように、自衛官候補生制度を廃止しまして、新たな任期制士を創設することにより、初任給は二十二万四千円となったところです。

 また、いろいろなニュース等では、大手企業では初任給三十万円といったようなニュースがございますけれども、これは基本的に大卒の初任給を指しているのかなというふうに考えておりますが、自衛隊において、現在の大卒の自衛官の初任給をちょっと御紹介させていただきますと、大学を卒業して一般幹部候補生で入隊して自衛官になった場合の初任給は二十七万三千六百円。一年後に、三尉に、幹部自衛官になりますので、その時点では二十九万三千円になるという状況でございます。

 いずれにいたしましても、自衛官の任務や勤務環境の特殊性に見合った給与とするということが重要でございますので、基本方針に基づきましてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 民間も、なかなか採用が少ないということで基本給の底上げをしたんだろうと思っています。ただ、自衛官の場合は国家公務員ということで、人勧に沿ってということなんですが、ただ、自衛官の給料表の改定について、部外の専門家による検討を踏まえ、令和十年度に行うこととされていますが、自衛官が公務員である以上、人事院勧告の枠内での見直しを、令和十年度以降給料表の見直しを考えているということがあるんですが、この辺りを踏まえてですが、現時点での議論の状況や改定の見通しが一体どういう方向に行っているのか、もしそれが議論されているのであれば、お願いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 閣僚会議の基本方針におきまして、自衛官の俸給表を改定するということにしております。具体的には、自衛官の任務や勤務環境の特殊性に見合った給与とするため、勤務実態調査の結果や、公平性、公正性を確保するための部外の専門家の意見を踏まえ、また諸外国の軍隊の状況、これも見ながら、令和十年度に自衛官の俸給表の改定を目指すということとしています。

 これを踏まえまして、本年二月、防衛人事審議会に新たな部会、処遇・給与部会を設け、早速部外の専門家による検討体制を確立し、既に二回審議を行い、また、今月、三回目の審議を行うところでございます。そういった中で、人事院勧告を踏まえた給与体系の在り方も踏まえて検討を進めているところでございます。

新垣委員 要するに、今の審議会での、委員会の中での検討というのは、これまでのとおり人勧に沿った枠組みで検討するのか、あるいは、自衛官特別職みたいな形で、逆に防衛省自体の給料表みたいなものを考えているのかどうなのか、この辺はどうなんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊員も国家公務員でございますので、自衛官ではなく、例えば、私のような自衛隊員も特別職でございますけれども、それも一般職の給与を基に俸給表というものが作られて適用されております。委員御案内のとおり、一般職の俸給表というのは、民間の賃金や物価をベースにしておりますので、それを踏まえた形で、一般職も特別職も、あるいは地方公務員も給与体系がつくられているということになります。

 自衛官につきましては、民間の普通の会社員と勤務形態、働く内容が違いますので、それとは異なる視点ということで俸給表を定める必要がありますけれども、他方で、民間の賃金や物価水準を全く無視して独自に作るということは多分ないのかなというふうに思っておりますので、そういった意味で、人事院勧告と民間の給与の動きも踏まえますが、いずれにいたしましても、一般職の国家公務員のそのままを使うのではなくて、独自の給与体系、俸給表というものを作るべく、今議論を進めているところでございます。

新垣委員 これまでは、人勧に沿ってですから、国家公務員、地方公務員等々の給与体制を参考にしながらやってくるんでしょうけれども、当然、それをがらっと変えるというのは、なかなか国民を納得させるにはかなり難しいと思うんです。

 ただ、これまで、ずっとこの委員会でも議論があって、自衛官がどんどんどんどん少なくなっていく、候補も少ないという意味では、ある意味、大胆な給与法ですかね、そういうことも検討すべきじゃないかなと私自身は思っているんですが、その辺、これからの議論が深まっていくんだろうと思っているんですが、これからどういう議論がなされていくのか、随時、また確認をしていきたいと思っております。

 次に、予備自衛官の充足率が七〇%を切るまでに低迷をしているんですが、改善は喫緊の課題となっています。

 そういう意味では、どういうふうに自衛官を募集をして、応募がたくさん来るのかという視点ですけれども、基本的には、自衛官や予備自衛官になるためには日本国籍が必要だという基本原則を踏まえているんですが、世界的には、軍隊への入隊を外国人にも認めている国が多く存在をし、米軍においても、適法な外国人居住者の入隊を認めていると私は認識をしているんですが、予備自衛官の充足率が低迷する中、例えば、地震、津波等の災害対応に限って、外国籍の予備自衛官を招集可能とするなど、弾力的な運用も考えられるのではないか、こういう時期ですから。

 一般公募予備自衛官や技能公募予備自衛官について、国籍要件を設けている理由というのはどこにあるのかなと思っているんですが、よろしくお願いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますと、国家公務員につきましては、公権力の行使に携わる公務員になるためには日本国籍を有することが必要というふうに理解をしております。

 自衛官などの自衛隊員の採用におきましても、受験資格において、日本国籍を有しない者の受験は認めておりません。

 予備自衛官は、非常勤の自衛隊員でございます。また、有事の際には、招集され、常備自衛官となるということから、このような者が日本国籍を有することが必要であるというふうに考えております。

新垣委員 私も、原則は日本国籍というのは、当然それは必要だろうと思っております。ただ、これだけなかなか、なり手がないという中で、やはり、何らかの工夫というんですかね、弾力性を持った対応というのは、それが必要な時期が来るんじゃないかと思っているんですね。かたくなに国籍にこだわっているのも大事なんですが、果たして、じゃ、それで充足するのかといった場合、やはり、時代の変遷に伴って、対応というのは十分に柔軟にやる必要性も一方あるのではないかという視点で、この質問をしたんですが。

 次に、本改正案によって、予備自衛官手当は三十八年ぶりの引上げとなり、即応予備自衛官手当は、平成九年度の制度導入以来、初めての引上げとなっております。

 予備自衛官の充足率は、平成十一年度に一〇〇%を割り込んだ後、令和二年度以降は七〇%を切るまでに低下をしております。

 長きにわたっての手当の据置きが充足率に歯止めがかけられなかった一因にもなっているように思えるんですが、これまで、予備自衛官そして即応自衛官、両手当の引上げが行われなかった理由について確認をしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、手当面の処遇改善につきましては、予備自衛官等より常備の自衛官、こちらを我々としては優先をしておりまして、その結果として、予備自衛官等の手当が、数十年にわたり、長い間据え置かれていたという実態がございました。

 しかしながら、この関係閣僚会議で取りまとめられた基本方針におきまして、有事や災害に際しては自衛官となって防衛力を急速に増強する役割を担い、継戦能力の上でも重要な存在である予備自衛官についても、処遇改善を図ることというふうにされまして、これを踏まえまして、予備自衛官手当、そしてまた即応予備自衛官手当、こういったものを大幅に増額をするということにしたものでございます。

 防衛省といたしましては、まさに継戦能力の上で重要な予備自衛官の安定的な確保に向けて、引き続き処遇改善に努めてまいります。

新垣委員 そういう意味で改正されたということなんですが、予備自衛官のその募集については、今、見解として、防衛省としてはどういう見方をしているんですか。例えば、そういう改正をしたから、結構応募が来るだろうという予測なのか、あるいは、ちょっと、ひょっとしたら来ないんじゃないかという予測なのか。この辺はどうなんでしょう。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、大幅に増額するというふうに申し上げましたけれども、具体的に申しますと、一任期三年間、予備自衛官、即応予備自衛官はあるわけですが、それを務めますと、今までは三年間で二十七万円だったのが六十八万円、これは二・五倍になります。即応予備自衛官につきましては、三曹のケースでいえば二百七十四万円と、一・五倍という手当がもらえることになりまして、これを今積極的に広報をしているところでございます。

 具体的に数字でもって上がってきているものではございませんけれども、地方協力本部、現場の者からは、二・五倍や一・五倍という非常に大きなインパクトがあるということで、現行の予備自衛官が任期満了後に継続をする、あるいは予備自衛官でない者が予備自衛官になるといったようなことについて結構前向きな雰囲気は感じているところですが、数字としてはまだ今持っているものではございません。

新垣委員 結構大幅な引上げなので、その応募が多く来ることを期待したいと思っております。

 次に、これは設置法とはちょっと違うんですが、PFOSの問題で、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 米軍普天間飛行場周辺で、高濃度の有機フッ素化合物、PFOSが相次いで検出されている問題で、平田健正和歌山大学名誉教授を座長とする沖縄県の有機フッ素化合物汚染源調査に係る専門家会議が、結論として、基地由来だという報告書を出しているんですね。

 結果をまとめられて、ホームページにも掲載をされているんですが、中谷防衛大臣において、専門家会議が導いた結論、その根拠、総括の内容などをまとめた資料を確認していると思っているんですが、この専門家会議が出した今回の結論、普天間基地から由来しているということに関して、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 その資料は確認をいたしております。また、今後、報告書が取りまとめられ、沖縄県から公表されるものだと承知しております。

 その上で、PFOS、またPFOAは、これまでも日本国内において様々な用途に使用されたということは承知しておりますが、現時点において、PFOS、PFOAの検出と在日米軍との因果関係については、確たることを申し上げることは困難な状況でございます。

 防衛省としましては、沖縄県民の皆様がPFOS、PFOAの検出に対して不安を抱いておられるということは重く受け止めておりまして、今後、政府の取組を進める中で、関係自治体、関係省庁、米側と緊密に連携をしまして、沖縄県民の皆様方の不安、これを取り除くように、払拭できるように、取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 今大臣は、基地との因果関係ははっきりしないと言っているんですが、今回の専門家会議で、令和三年から令和六年、専門家の皆さんが集まって、様々な調査をしながら結論を出しているんですね。そういう意味では、私は、これは基地から発生していると言っても過言ではないと思っているんです。

 ちょっと資料を添付してあります。これです。これは県が出した資料なんですが、これは普天間基地です。格納庫が、黄色い長い線であります。左側が、二〇二〇年四月流出事故発生格納庫ということで、右側の丸い、消火訓練施設、ここから上流にはそんなに、検出されても濃度が上がっていないんですが、この吸い込み穴、ポノールの下は住民施設、住宅地です。特に高いのが、右側の1の消火訓練施設から流れているだろうと思われているこの下のエリアは、濃度がもう四千を超えているんですね。五十ナノグラムという基準を超えて、ここから四千六百ぐらい出ている。その周辺、この資料からすると、上の方になるんですが、そこは下流になっているんですが、そこからはもう千以上出ているんですね。これは恐らく基地からだろうということで、確定をしていると思っています。

 ですから、やはりこれは早めにやるべきではないかなと私は思っているんですが、今環境省もその調査をしているということで、後ほどまた大臣にお尋ねしたいんですが、まず環境省さんに、今、PFOS、PFOAの専門家会議が二つ設置されていると思っているんですが、今、進捗状況はどうなっているのか、ちょっと確認をしたいと思います。

伯野政府参考人 お答えいたします。

 PFASについては、地方自治体や地域住民の方々からの不安の声を受け、環境省では、令和五年一月に二つの専門家会議を設置し、有識者の意見を聞きながら対応を進めてきております。

 そのうち、PFASに対する総合戦略検討専門家会議においては、PFASへの対応についての戦略や国民へのリスクコミュニケーションの方針について御議論いただき、令和五年七月にPFASに関する今後の対応の方向性及びPFOS、PFOAに関するQアンドA集が取りまとめられております。

 もう一つのPFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議においては、昨年六月の内閣府食品安全委員会による評価結果も踏まえまして、昨年十二月に、水道水質に関する検討会と合同で、水道水質における暫定目標値の水質基準への引上げ等について御議論をいただいております。

 引き続き、三月二十七日まで実施しておりましたパブリックコメントの結果も踏まえまして、水道事業者等に遵守や検査等を義務づける水道水の水質基準化等に関する手続を進めてまいりたいと考えております。

新垣委員 環境省においては二つの専門家会議が発足しているということで、実は、令和五年でしたかね、二つの専門家会議が発足するという時期に環境委員会で少し質問をさせていただいたんですが、一つは水道水、一つはPFOS、PFOA、この基準値をいつ決めるのかという質問をさせてもらったんですね。

 アメリカは四ナノグラムと言っているんですが、日本としてこれは早めに基準を決めないと対応ができないのではないかと思っているんですが、この両委員会でいつ頃、いつ頃というんですかね、早めに結論を出してもらいたいんです。令和五年から令和六年、今は令和七年ですが、検討するには時間も必要なんでしょうけれども、ある一定程度の結果を出す時期を見据えないとなかなかこの問題は前に進まないんじゃないかなと思っているんですが、それが決定される、結論が出る時期というのはいつなんでしょうか。

伯野政府参考人 お答えいたします。

 水道水質基準への引上げは今後いつなのかという御質問でございます。

 PFOS等の水道水質基準への引上げについては、二月に開催しました環境省の審議会においておおむね了承されまして、先ほど申し上げました、二月末からのパブリックコメントを開始して、今春をめどに方向性を取りまとめ、水道法に基づく省令を改正し、令和八年四月に施行する予定と考えているところでございます。

新垣委員 では、令和七年度、今年度いっぱいでは結論が出るという認識の確認でよろしいですかね。

伯野政府参考人 お答えいたします。

 その方向で検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

新垣委員 是非、環境省の立場から結論を早急に出していただきたいと思っています。

 先ほど、大臣は、基地との因果関係ははっきりしないと言っているんですが、やはり今環境省も調査をしながら、来年度には結果が出るということなので、今回の沖縄県の専門家会議の報告を受けて、大臣として、米国政府に基地内への立入調査を認めてほしいという交渉をするお気持ちはないのかどうなのか。

中谷国務大臣 今回の沖縄県からの資料によりますと、普天間飛行場の周辺の河川等からPFOS、PFOAが検出されているということを受けまして、汚染源の特定のために普天間飛行場への立入りの要請がされておりますので、この要請につきましては、これまでも様々な機会に米側に伝達をしているところでございますが、引き続き、関係自治体、関係省庁と連携をしながら、米側と調整してまいりたいと考えております。

新垣委員 これまでもお願いをしてきたんですが、なかなか米側がオーケーをしないという、防衛省もその回答をずっと受けてきたんですね。一回、普天間基地内に立入りをしたんですが、それより後は全く許可がされていないということなので、是非、大臣頑張っていただいて、今回、沖縄県からこういう形で明確な、基地から発生しているという結論が出ているわけですから、これを担保に、米国政府に、是非とも立入調査をさせてくれというお願いをやっていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

 次に、先日もその話は出たんですが、当委員会で問題視されている、米軍の嘉手納基地への大型無人偵察機MQ4トライトンの配備について、これは沖縄県始め周辺自治体が非常に不安を持って、今反発をしているという状況です。これは明確な基地負担の増加なんじゃないかということで、特に嘉手納町さん、そして、嘉手納基地は私の選挙区でもあるし、普天間もそうなんですが、常に問題だらけだということなので、非常に心配をしております。

 その上で、大臣に何点か伺いたいんですが、その前に、このMQ4トライトンの運用に関わる隊員がどのぐらいいるのか、来るのか。そして、この無人偵察機MQ4トライトンの期間、嘉手納にいる期間というのはどのぐらいなのか。今分かっているのであれば、よろしくお願いしたいと思います。

大和政府参考人 お答えいたします。

 今回の展開に伴いまして新たに嘉手納に配置される人員でありますけれども、米側からは、具体的な人数については米軍の運用に関わるためお答えすることを差し控えるが、人員数は前回配備時と同等程度との説明を受けています。前回配備時というのは、五十人程度ということであります。

新垣委員 済みません、もう一点。配備期間がどのぐらいなのか。人数は五十名程度ということなんですが、期間について、もし確認ができれば。

大和政府参考人 お答えいたします。

 米側からは、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、情報収集、警戒監視、偵察活動はますます重要になっておりまして、展開の終了時期を定めることはできないという説明を受けてございます。

 その上ででございますが、このトライトンは、嘉手納飛行場に恒久的に配備されるのではなく、あくまでもグアムのアンダーセン空軍基地を本拠としつつ展開するものであるという説明を受けてございます。

 今後とも、米側に対しましては、地域の実情を理解の上で、騒音の低減を始め、一層の協力をするよう粘り強く働きかけるなど、可能な限り負担の軽減に努めてまいります。

新垣委員 負担の軽減になるかどうか、ちょっと怪しいんですけれども、大臣、四月八日の記者会見で、MQ4の騒音による影響は限定的であるとし、昨年の一時配備の際にも苦情はほぼなかったと報告を受けているという御主張をなさっているんですが、大臣、苦情がないとか住民が物を言わなければ、配備は容認したというお考えなんでしょうか。

中谷国務大臣 そういうわけではございませんが、現実問題としまして、このMQ4につきましては、頻繁な離発着はしません。それから、離陸後は速やかに海上に進出するということでありますので、騒音につきましては、影響は限定的であるというふうに考えております。事実、昨年の嘉手納飛行場への一時展開に際しましては、騒音に係る苦情というのはほぼなかったというふうに報告を受けております。

 しかしながら、こういった騒音問題につきましては、基地負担の問題もございますので、しっかりと受け止めまして、今後の展開につきましても、騒音問題に関する地元の懸念、また、人口密集地の上空を飛行することを避けるということなども伝達しておりまして、米側もこれを理解した上で飛行しているようでございます。

 今後とも、米側に対しては、地元の実情の理解の上で、騒音の低減を始め、一層協力をするように働きかけをしてまいって、基地負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。

新垣委員 今大臣からあったんですが、基本的には、日米両政府が在日米軍の装備や配置の重要な変更に関して事前協議するという取決めがあるはずなんですが、その事前協議をなさったのかどうなのかということを確認したいなと思っているんです。ただ、地元としては、何かいきなり配備されたというイメージなんですね、今回。ですから、その辺はどうだったんだろうかなということで、お願いします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねのあったような意味での事前協議ということかどうかは別としまして、米側から情報が得られましたので、それについては地元の皆様に対しても丁寧な御説明ですとか情報提供を行うことが重要と考えまして、日米間で所要の協議や調整を行って確認した上で、地元の自治体に対して御説明をさせていただいたということでございます。

新垣委員 ただ、地元では、大臣の発表とほぼ同時に地元に通達が来たということなんですね。これはもう少し事前にやらないと、地元の不安というのが更に増大するのではないかと思っているんですが、これはそんなに騒音がないからすぐやっていいよというような、要するに認識の違いというんですか、かなり軽く考えているんじゃないかなと思っているんですが。

 実は、私が心配しているのは、今、MQ4以外にMQ9も来ているわけですね。これも早朝から深夜、結構な時間飛び回っているんですよ。全く事故がなかったということではなくて、過去には事故もあったということなのです。

 実は、私が心配しているのは、無人機だけじゃなくて、今、嘉手納基地は、F15が撤退して、F35、F22、F16が順次来ているんですね。だから、そういう意味では、基地負担は、離着陸時の騒音だけではなく、悪臭やエンジン調整音、ヘリ等のホバリングに伴う騒音、いわゆる地上騒音による被害が非常に大きいんですよ。

 ですから、大臣は、地域の実情を理解し、騒音低減などに協力するよう粘り強く働きかけるというような形でおっしゃっているんですが、かなりいろいろな機種が集まっていると、地元には物すごい負担だな、全然軽減されていないんじゃないかという認識があるんですが、その辺は、MQ9が来る、MQ4も来る、結構4は大きいですから、それは全く、当然、F35、F22とかいうものよりは少し落ちるかもしれないんですが、そんなに負担軽減になるのかなという心配なんですが、これはどういう見解なんでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納飛行場周辺におきます騒音の問題、その他基地に由来する問題につきましては、周辺住民の皆様にとって深刻な問題であるというふうに考えてございます。そして、その負担軽減を図るということは重要な課題であるという認識でございます。

 嘉手納飛行場につきましては、日米両政府の合意によりまして航空機騒音規制措置が定められているなど、一定の負担軽減に向けた取組を行ってございます。

 防衛省としましては、こういった日米合意を遵守するように米側に対しまして強く働きかけているところでございますし、また、米側からは、日米合意に基づき、必要な運用を行いつつも、住民生活とのバランスを図り、できるだけ周辺地域への影響を局限する運用に努めているという説明を受けてございます。

 引き続き、米側に対しまして、日米合意を遵守し、航空機の運用による周辺住民への影響を最小限とするよう求めてまいりたいと考えております。

新垣委員 今、日米合意を遵守して、しっかり迷惑をかけないようにすると言っているんですが、実態は全くこれが守られていないというのが、私は現状だと思っています。

 嘉手納基地と住宅地域が百メートルぐらいしか離れていないわけです。当然、早朝から、エンジン、そして悪臭等々は結構大きいものがあって、今、もう嘉手納町から離れていく住民が結構いらっしゃるわけですね。

 だから、騒音防止協定がほとんど守られていないという状況なので、防衛省は常にこれを米側に言っていますと言うんだけれども、ほとんどそれが守られていないという現状。さらに、いろいろな機種がどんどん来るということになると、非常に不安な要因が大きなものがあります。

 その中で、今度、外来機が頻繁に飛来して、今回、無人機も新たに配備されるというかなり過密な状況になっているんですが、大臣にお伺いしたいんですが、民間地に近い旧海軍駐機場の再使用やパパループの恒常的な使用を米軍はしない、させないという断言をしていただいて、是非、米側に申し入れていただきたい。

 というのは、今、嘉手納町が心配しているのは、旧海軍駐機場をまた再利用するんじゃないか、パパループも恒常的に使っていくんじゃないかと。ここが住民地域に非常に隣接しているんですよ。ですから、これは使わないよ、再利用しないよということを、是非、大臣が交渉の先頭に立って米側にそれを伝えてほしいと思っているんですが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 御指摘のパパループにつきましては、SACOの最終報告において、騒音軽減イニシアティブとして、滑走路南側に新たな駐機場を整備して、海軍機が移駐した跡地であります。米軍の運用上、駐機が避けられない場合もあると承知しておりますが、日米合意の趣旨に基づいた使用となるように、引き続き米側に求めてまいります。

 このパパループにつきましては、米軍の使用、運用を制限する日米間の合意はございません。現在は施設整備の関係で使用せざるを得ない状況が継続していると承知しておりますが、その上で、米側は、地元における騒音問題の機微を認識しておりまして、このパパループの使用に当たっては、エンジンの調整を行わないなど、自主的に配慮した運用を行っているわけでございます。

 なお、御指摘のとおり、住民の皆様に理解をいただけますように、今後とも、このパパループの使用に際しましては、周辺地域への影響を最小限にとどめるように、米側に引き続き働きかけてまいります。

新垣委員 住民の理解は、なかなか得られないと思います。ただ、大臣、今おっしゃったので、是非それは、米軍にルールは守ってくれと、しっかり申入れをしていただきたいと思っております。

 次に、退役した嘉手納基地のF15戦闘機の後継機として最新鋭のF15EXが配備されるということなんですが、同基地の第一八航空団司令官が、報道各社に、来年春あたりじゃないかということを言っているんですが、防衛省は米側からどのような説明を受けているのか、配備機数とか騒音レベル等の情報とか、このF15EXというのはどういう機能を持っているのか、よろしくお願いします。

大和政府参考人 お答えいたします。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面し、周辺国の軍事活動が活発化する中、我が国における在日米軍のプレゼンスを維持強化し、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化するため、米国は、三沢飛行場や嘉手納飛行場、岩国飛行場に配備している戦闘機について、今後、数年をかけて体制の更新を行うこととしております。

 嘉手納飛行場に関しましては、米空軍の四十八機のF15C及びDを三十六機のF15EXに更新する計画であると承知しております。騒音レベルに関しては、公表されている情報によれば、F15EXは、F15C及びDと比べ、最大騒音レベルが僅かに大きいというデータはありますが、実際の航空機の騒音については、飛行状況、測定機材、気象条件等の要因に左右されるため、一概に比較することは難しいところであります。

 いずれにいたしましても、米側からは、引き続き、パイロットに対してしっかりと教育を行い、航空機騒音規制措置を遵守するなど、騒音の影響を始め、地元に配慮して運用していくという説明を受けているところであります。

 防衛省といたしましても、引き続き、米側に対して、騒音の影響を始め、周辺地域への影響を最小限にするよう求めてまいります。

新垣委員 じゃ、今の説明で、F15EXは、これまでの在来機よりも騒音は大きいということだと思っているんですね。今も大きいのに、更に大きくなるという話になると、非常に心配だなと思っています。

 そして、三十六機が配置換えをするということなんですが、このF15EXというのはどういう機能なのか、F15とどう違うのか。そして、三十六機と言っているんですが、これがどんどんどんどん増えていくという可能性はないのかどうなのか、その辺、お願いします。

大和政府参考人 お答えいたします。

 F15C及びDとEXの差でございますが、私の知る限りでは、EXというのは、CとDに比べて対地攻撃機能がついているということであります。F15CとDというのは基本的に要撃戦闘機でありますが、F15EXというのは対空戦闘と対地攻撃機能が両方合わさって、いわゆるマルチロールの戦闘機だということであります。

 そして、機数の件でありますけれども、先ほど申しましたが、嘉手納飛行場においては、米空軍の四十八機のC及びDを三十六機のEXに今後数年をかけて更新していく計画であるということであります。今後の機数について予断を持ってお答えすることは困難でありますが、現時点において、三十六機という今の数を増やすという計画はないというふうに認識しております。

 今後、新たにお示しできる情報が得られ次第、関係自治体に対しては改めて御説明をさせていただくという考えであります。

新垣委員 もうこれ以上増やしていただきたくないという思いを強く訴えておきたいと思います。

 最後になると思うんですが、大臣に御質問なんですが、辺野古新基地をめぐる沖縄県と政府、防衛省の訴訟は全て確定いたしました。現在係争中じゃないことを確認した上で、普天間飛行場の危険性に対する国、防衛省の認識について大臣にお伺いしたいと思っているんですが、防衛省は、設計変更申請の承認に関する代執行訴訟で、辺野古埋立てについて、普天間飛行場の危険性除去に関わる極めて公共性が高い事業であると評価をするとおっしゃっていたんですね。

 ところが、一方で、第三次普天間爆音訴訟、これはまだ係争中なんですが、その準備書面で、高台にある普天間飛行場が災害時には住民避難や物資輸送などの役割を果たす公共性があると主張をしているわけですね、この答弁で。

 普天間飛行場の危険性を除去するために辺野古新基地が必要なんだという公共性と、災害発生時に重要な役割を果たす普天間飛行場は周辺住民にとっても有益だから必要な基地なのだという、この両方の公共性が矛盾しているんじゃないかと私は思っているんですね。

 普天間基地が危険だから辺野古に移しますよということで、これまで裁判もいろいろやってきたんですが、ところが、普天間爆音訴訟団の訴訟に対する回答は、災害時には重要な役割を果たす、だから住民にとっても有益だ、公共性があるんだという答弁なんですが、この見解はどうも私は矛盾しているように思っているんですが、大臣の御認識はいかがなんでしょうか。

中谷国務大臣 普天間飛行場の危険性の除去ということは一日も早く実現しなければなりませんが、この観点で、辺野古への移設は唯一の解決策であるということで、現在努力いたしております。

 その一方で、全面返還が実現するまでの間においても基地負担の軽減は一層進めていかなければなりませんので、米側に対しては、安全確保に最大限努め、航空機騒音規制措置の遵守など、周辺地域への影響を最小限にとどめるよう粘り強く働きかけをいたしております。

 訓練移転、また地域社会との調和に係る各種施策なども着実に実施していくことが必要でありまして、今後とも、こういった観点で地元の皆様への丁寧な説明を行いながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現して、基地負担の軽減を図るために全力で取り組んでまいっております。

 なお、一点、先ほど私の発言の中で、SACOの最終報告において移駐をした跡地、これはパパループではなくて旧海軍駐機場のことでございますので、この点、訂正させていただきます。

新垣委員 ちょっとまだ納得感はないんですが、是非その辺は、矛盾を指摘された場合、それを明確に答えられるようにしていただきたいなと思っています。

 最後に、質問項目にないので大臣の答弁はいいと思うんですが、先ほど赤嶺委員からもありました、大臣の参議院での発言なんですが、これは、県民として非常に、不快感というんですかね、長年そういう裁判もやってきた中で、いかにも、県民がもう少し頑張れば、県が頑張ればという話なんですが、決してそうではないと思います。

 ですから、これは、軟弱地盤が分かって、さらに工期が五年というのが十二年になったという中で、これは決して沖縄県が怠慢でやったわけじゃないんだということは明確にしておかないと、年月がたっていくと、どうも県が悪いんじゃないか、県が何もしていないからそうなったんじゃないかという話にはならないと思っているので、私は撤回も求めませんが、後ほどまた赤嶺先生からあるはずですが、是非この辺は、認識というんですか、大臣の、どこかで少し、訂正というんですかね、それをやった方がいいと私は思っていますので、その辺の御検討をよろしくお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。これにて新垣邦男君の質疑は終了いたしました。

 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延映夫です。

 早速質疑に入らせていただきます。

 防衛省設置法の一部を改正する法律案に入る前に、二問ほど大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、一問目です。

 全く通告していなくて非常に恐縮ですけれども、急遽決まった赤澤大臣とトランプ大統領の会談で、米軍の駐留経費について言及したとの報道がありましたが、中谷大臣は現状でどのような報告を聞いているのか、そしてどう感じているのか、まず教えていただけますでしょうか。

中谷国務大臣 現時点におきまして、本日の米国の関税措置に関する日米協議の結果については報告を受けておりません。まだそういう状態でありますので、予断を持ってコメントすることはいたしませんが、まずは関係省庁からの報告を待って、防衛省としても、今後、関係省庁とも協力、連携の上、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

美延委員 米側の国防長官ともしっかり話し合っていただいて、いずれかの機会にそれに対して質疑をさせていただきます。今日はまずそこだけ聞かせていただきたかったんです。

 もう一問。これも通告していなくて非常に恐縮ですけれども、土曜日の万博の開会式で大臣ともお会いしまして、翌日、大臣がテープカットされているところが大阪のニュースで映っておりました。

 私も地方議会のときからずっと関わっておりますので、何とかこの万博を、もちろん国家事業でありますので大成功に終わらせたいと思っているんですけれども、残念といいますか、これは天候で仕方がなかったんですけれども、当日四月十三日のお昼ぐらいに夢洲の上空にブルーインパルスが展示飛行をするという話があって、実は、私が朝によく行く近所の喫茶店があるんですけれども、その喫茶店のお客さんが僕も見に行くねんみたいなことを言うてはって、大阪城に行くと。何で大阪城に行きはるのかなと思って、後で防衛省の方に資料をもらったら、大阪城とか太陽の塔とかひらかたパークとか、こういうところをずっと回るルートが報道されていたということで、大阪城に行く。

 ということで、大阪の住民は皆さんかなり期待されておって、これも報道によると、吉村知事も大臣に是非もう一回お願いしたいというようなことを言われたと私も聞いております。

 私も、大阪に住んでいる住民、そして万博を応援している一人として、前回は天候不良ですからしようがなかったんですけれども、是非どこかの機会で、まだ十月十三日までありますので、もう一度ブルーインパルスの飛行をお願いしたいと思うんですけれども、大臣、御所見をお願いいたします。

中谷国務大臣 まず、大阪・関西万博が開催されまして、非常に多くの方々が見学に行かれたということで、私も開会式に参加させていただきましたけれども、各パビリオンやリングの上にはたくさんの方々がおられました。

 その理由は、ブルーインパルスの飛行があるということで、大阪の各地でもそれを期待されている方がいらっしゃいましたけれども、天候不良のために中止になりまして、楽しみにしていた多くの皆様の期待に応えることができずに、私も本当に残念に思っております。

 同時に、この中止の決定に対しましても、私もリングの上にいましたけれども、お叱りとか批判ではなくて、多くの皆様に非常に理解のあるコメントを頂戴しまして、ブルーインパルスの人気の高さを実感するとともに、自衛隊に対する信頼感も感じたところでございます。

 その後、十五日に吉村知事から、万博会期中に再度の飛行の御要望を電話でいただいたところでございます。私からは、ブルーインパルスの再度の展示飛行につきましては今後検討してまいりたいというお返事をいたしましたので、どのようなことができるか分かりませんが、もう一度できるかどうか検討してまいりたいと思っております。

美延委員 大臣、是非前向きな検討をよろしくお願いします。

 それでは、法案に入らせていただきます。

 これまでも各議員が質問されておりますので、内容が多少かぶるところがあるかもしれませんが、改めての確認の意味も含めて、最初にACSAについて質問させていただきます。

 まずは、日伊ACSAに関する規定の整備について伺います。

 防衛省・自衛隊は多角的、多層的な防衛協力を推進しており、その一環として各国とACSAを活用していると理解しております。

 まず、そもそもACSAとは何のためなのかということについて確認したいと思います。ACSAの意義及び目的についてどうお考えか、大臣の御所見を伺います。

中谷国務大臣 ACSAは、自衛隊と相手国の軍隊が活動を行うに際しまして、両者の間での物品、役務の相互提供に適用される決済手続などの枠組みを定めたものでございます。このACSAに定める決済手続を取る場合に、そうでない場合と比べて物品、役務を提供する際の手続が簡素化され、自衛隊と相手国の軍隊との物品、役務の相互の提供がより円滑になるものでございます。

 このACSAの活用によりまして、共同訓練、災害救助といった両者が共に活動に従事する現場において、より緊密な連携が促進されることになるものと考えております。

美延委員 ありがとうございます。ACSAは物品、役務の提供の根拠そのものではなく、提供の際の決済手続を定めるものであると理解させていただきました。

 それでは、このACSAに定める決済手続とは具体的にはどのようなものか、教えていただけますか。

大和政府参考人 お答えいたします。

 ACSAの締結により、両締約国は、ACSAの適用がない場合と比べ、より簡素な決済手続により物品、役務を相互提供することが可能となります。

 まず、物品については、受領国政府は、提供国政府にとって満足のできる状態及び方法により提供を受けた物品そのものを返還するということであります。

 ただ、提供を受けた物品が消耗品である場合、又は提供を受けた物品そのものが返還できない場合には、同種、同等及び同量の物品を提供国政府にとって満足のできる状態及び方法で返還する。そして、同種、同等及び同量の物品の返還もできない場合については、提供国政府の指定する通貨により償還するという形で決済されることになります。

 また、役務につきましては、受領国政府は、提供国政府の指定する通貨により償還するか、同種かつ同等の価値を有する役務を提供することによって決済される。こういうことになります。

美延委員 例えば、ACSAが存在しない場合でも物品、役務の提供ができる一方で、ACSAが適用されることで物品や役務を提供する際の手続が簡素化されることが分かりました。

 これまで我が国は、アメリカやオーストラリアを始め、七か国とACSAを締結していますが、ACSAは頻繁に使われているのでしょうか。各国とのACSAの適用件数はどれぐらいなのか、また、どのような場面で適用されているのか、教えていただけますか。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 各国とのACSAの適用件数につきましては、令和六年、昨年十二月末時点で数字を取りますと、まず、日米間で約一万四千件ございます。日豪間では二百五十三件、日英間で四十三件、日仏間で三十九件、日加間で、カナダとの間で五十五件、インドとの間で三十八件、昨年締結されましたドイツとの間では七件となってございます。

 具体的にどのような場面でというお尋ねでございますけれども、例えば共同訓練でありますとか、あるいは災害派遣、国際緊急援助活動など、自衛隊と相手国軍隊とが共に従事している、同じ場にいるような場面で、燃料でありますとか食料の相互提供、宿泊、輸送、修理、整備といった分野への適用、こういったことをしているところでございます。

美延委員 御説明ありがとうございます。様々な場面で各国とのACSAが活用されており、同盟国や同志国との協力関係に役立っていることがよく分かりました。

 これまではACSAを締結するたびに自衛隊法及びPKO法の関連規定が改正されていましたが、今回の法改正によって、ACSAに関する国内担保実施法の規定が共通化されることになります。どのような背景で共通規定化することになったのか、大臣にお伺いいたします。

中谷国務大臣 我が国は現在までに七か国との間でACSAを締結しておりますが、これまでは、ACSAを締結するごとにACSAに対応する自衛隊法、PKO法の規定を整備してきました。一方で、これまで締結されたACSAでは、適用対象となる活動の範囲、提供される物品、役務の類型が基本的に同様となっております。

 こうしたACSAの締結の実績の積み重ねを踏まえまして、ACSAに関する国内法の内容は定型化していると判断しまして、本法案におきましてACSAの国内法を共通規定化することにしました。

 この規定化につきましては、従来のように相手国ごとに個別の条文を参照することなく、ACSAの適用対象となる活動の範囲及び提供される物品、役務の類型を総覧できるようになります。また、潜在的なACSA締結国に対して、我が国とのACSAの締結に伴って我が国が実施する国内法の措置について一定の示唆を与えて、今後の新たな協定の交渉を円滑に進めることに資するといった意義があるのではないかと考えております。

美延委員 ACSAの規定する活動の類型や提供される物品の役務の内容が定型化されているということですが、今後、例外が生じる可能性はないのでしょうか。また、その例外が生じた場合にどういう対処をされるのか、教えていただけますか。

大和政府参考人 お答えいたします。

 各国とのACSA締結の実績の積み重ねを踏まえ、ACSAの適用対象となる活動の範囲、提供される物品、役務の類型は定型化しておりまして、共通規定の例外が生じる場合は限定的であると考えております。

 ただ、その上で、仮に例外が生じた場合には、改めて法改正が必要となります。

美延委員 分かりました。今後締結される各国とのACSAは、基本的に共通規定化されている内容に基づいて見込まれるということがよく分かりました。

 私としては、この共通規定化により、我が国が締結したACSAの迅速かつ円滑な実施が可能となり、同志国との防衛協力を一層強化して、我が国の安全保障をより確かなものとすると確信しております。今後とも同志国との防衛協力の強化にACSAをしっかり活用していただきたいということを要望しておきます。

 次に、自衛隊の人的基盤の強化について御質問させていただきます。

 人的基盤の強化は、日本の防衛力を維持向上するために必要な概念であると思います。これは、単に自衛官を増やすだけではなくて、質を高め、多様な人材が活躍できる環境を包括的に意味すると思います。

 近年、我が国の安全保障は厳しさを増しており、自衛官の人的基盤の強化は我が国の防衛力を確固たるものにするために重要な柱となるという思いで、以下、自衛官の立場に立った思いで質疑をさせていただきたいと思います。

 先々週、新年度予算案が可決されました。国会では修正が二十九年ぶりということで、ある意味では歴史的な予算案が可決されたと認識しているところですけれども、特に、可決された予算案には自衛隊の処遇改善に係る予算もあるところから、確認の意味も兼ねて、自衛官の処遇改善に対する大臣の決意をまず伺いたいと思います。

 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している中、その担い手である自衛官が任務に専念できる環境を整備することの重要性は言うまでもありません。

 大臣は、二月五日の衆議院予算委員会で、自衛官の処遇改善について、誇りと名誉を得ることができるよう、各種施策の実施に全力を挙げて取り組んでまいりますと述べておられましたが、予算案が可決した現在、その決意は変わっておらないか、もう一度答弁をお願いいたします。

中谷国務大臣 令和七年度の予算につきましては、昨年末に取りまとめられた基本方針において、自衛官の任務、勤務環境の特殊性を踏まえた処遇改善を図るとともに、新たな生涯設計の確立、叙勲の対象の範囲の拡大など、自衛官としての誇り、名誉、国民からの尊敬を図る上で重要な施策についても取り込まれております。

 この予算の中には、自衛官という職業を選択したこと、現役時代は自衛官であること、そして退職後は自衛官であったことについて誇りと名誉を得ることができるように、各種施策の実施に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 こういった国の防衛につきまして、自らの国は自らで守るという下で、国会で新年度の予算が承認、成立したことは非常に重く受け止められるわけでございますので、そういう意味におきましては、今後、これらの予算の成立を受けまして、この方針に従って更に施策を推進してまいりたいと考えております。

美延委員 四月に入って、各地の駐屯地では、今年度入隊した若者が入隊式を迎えました。国を守るという崇高な決意の下で、親元を離れ、厳しい訓練に汗を流していると思われます。今まで親元を離れて生活したことがない若者にとっては、慣れない生活環境での厳しい訓練は心身共につらいものであると想像できますが、是非頑張っていただきたいと思います。

 関係閣僚会議にて昨年十二月に取りまとめられた基本方針では、三十を超える手当の新設や引上げ等、様々な施策が打ち出されています。実際に入隊する人が増加しなければ、これらの施策も打ち出した意味がありません。

 今回の基本方針に基づき取りまとめられた施策が隊員の募集、採用状況に現状どのような影響を与えているとお考えなのか、防衛省に御所見を伺います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の安全保障環境が厳しさを増す中、防衛力の担い手である自衛官の人材確保は至上命題です。

 関係閣僚会議の基本方針に基づきまして、今委員の御指摘がありましたように、三十を超える手当の新設、金額の引上げ等、また、間仕切り等による個室化、無線LAN環境の拡充等の生活、勤務環境の改善、そして、再就職先の拡充等の新たな生涯設計の確立の推進、こういった取組を行っているところです。

 このような取組によりまして、特に若年層に対して職業としての自衛官の魅力が向上し、採用市場における競争力が増し、採用に好影響があるのではないかと期待しているところでございます。

 今後、自衛官の採用などにいかに寄与しているかという観点から、関係閣僚会議において令和七年中に効果の検証を行い、毎年フォローアップを行うこととしております。

 このような検証も踏まえつつ、基本方針で取りまとめた各施策の実効性を確保するとともに、人材確保に資する新たな方策についても不断に検討してまいります。

美延委員 ありがとうございます。

 次に、ほぼ毎日のように中国海警局の船舶が我が国固有の領土の尖閣諸島周辺の接続水域で活動しており、頻繁に領海侵入を繰り返しています。また、中国海警局の船舶は大型化、武装化が進んでおり、日本の漁船に接近するなどの行動も確認されています。これらの活動は日本の主権を侵害するものであり、日中間の緊張を高める要因となっています。そのような中で、今後も厳しい安全保障環境が継続していくと思われます。

 防衛省・自衛隊では、このような厳しい安全保障環境の中、新たな装備品の調達など、抑止力の向上に努めていますが、それを担う隊員が集まらなければ、装備品もただの置物にしかなりません。優秀な人材獲得のためにも、自衛隊の魅力をより発信し、募集、採用につなげていかなければならないと思いますが、今後の施策の概要について防衛省の御見解を伺います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 より多くの方に自衛官という職業を選んでいただくためには、委員御指摘のとおり、自衛官という職業の魅力を積極的に発信して知っていただくことが必要不可欠だと思います。

 このため、募集のための広報におきましては、これまで蓄積してきたノウハウに加えまして、民間企業の知見の活用やオンライン化を進めることで、受け手側の属性や理解、関心に応じて、オンライン広報や体験型の各種広報などを組み合わせまして、きめ細やかな発信を行っていくことにしております。

 具体的には、SNS等を活用した給与面などの処遇の改善を記載したフライヤーや動画の発信、駅周辺など募集に効果的な立地への募集事務所の移転、サテライトブースの設置、こういったことを行っていくこととしております。

 引き続き、効果的に自衛隊の魅力を伝えられるよう、民間の優れた知見や最新のIT技術を用いながら、募集広報のメッセージや発信方法につきまして不断に検討してまいります。

美延委員 この前、元自衛隊の最高幹部だった方の御講演をいただいたんですけれども、その際に、昔は、自衛隊に入ればいろいろな免許が取れる、そういうことを言えたけれども、今はなかなかそれができないこともあるみたいなので、それがもちろん全てではないと思いますけれども、そういうことも実際に私は大事なことだと思いますので、是非そういうところに関してももう一度考えていただければと思います。

 次に、少子化に伴う人手不足は、自衛隊のみならず民間でも同じです。しかし、民間企業とは違い、国防という国家存立の根幹を成す仕事について、人手不足だからという言い訳は全く通用しません。日々厳しさを増す安全保障環境を前に、自衛隊への国民の期待は高まっております。

 基本方針の下に打ち出された施策がどれほど自衛隊の募集、勤務環境の改善に効果をもたらしたのか、しっかり検証していただいて、自衛隊の処遇改善をより加速していかなければならないと考えておりますが、防衛大臣の御所見をお願いいたします。

中谷国務大臣 人がいなければ自衛隊は活動できません。隊員それぞれ持ち場があり、役割があり、それが合わさって機能していくわけでございますので、優秀な隊員を集めることは基本でございます。

 そういう中で、現状は非常に人手不足という点がございますので、これに対して、政府は基本方針を作りまして、自衛官の処遇、生活環境の改善、新たな生涯設計の確立に向けて取り組んでいるところでございます。これがどういった機能、効果を表すのか、これはこれから表れてくるものでございますので、しっかりとヒアリングをする、分析をするということをまずやります。

 そして、今後は、こういった基本方針の内容も含めまして、職業としての自衛隊の魅力についてSNS、動画等を用いて分かりやすく発信し、広報、募集の強化にも積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 そして、こういった取組によって自衛隊の生活、勤務環境が改善されて給与面における処遇が充実することなどから、中途退職の抑制、特に若者層に対して職業としての自衛官の魅力が向上して、採用市場における競争力が増して採用に好影響が出てくるように、毎年フォローアップを行いながら今後とも努力を続けてまいりたいと思います。

美延委員 大臣、是非よろしくお願いいたします。

 次に、新たな任期制士について質問させていただきます。

 自衛官候補生という身分は二〇一〇年の自衛隊法の改正により新設されたもので、入隊当初の三か月間は基礎的な教育訓練に専念させ、この期間は非自衛官として、自衛隊員としての任務を付与させないものであります。

 今回審議いたします法案において、新たな任期制士を創設して、この自衛官候補生を廃止するとされています。多くの若者にとって今は転職が当たり前という時代に、自衛隊においても社会の潮流に取り残されるわけにはいかないと思っておりますけれども、まずその趣旨について教えていただけますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官、特に士の募集環境は極めて厳しく、中でも自衛官候補生の採用数が年々減少していることから、士の充足も年々低下しています。

 自衛官候補生は、任期制士に任官するまでの間、自衛官の身分は付与されず、自衛隊の任務に従事することはありません。このため、任期制士を当初から自衛官として採用することにより、これらの者が必要に応じ自衛隊の任務に従事することが可能となります。

 また、自衛官候補生は、自衛官の二士として入隊する一般曹候補生より初任給が低く抑えられております。そこで、他の公安系の公務員と比べて給与面で見劣りするということで、採用活動において不利になっているという現状がございます。

 これらを踏まえまして、任期制士を当初から自衛官として採用する新たな任期制士を創設いたしまして、自衛官候補生の身分を廃止するとしたところでございます。

美延委員 厳しい安全保障を担う曹士の確保は重要であり、新たな任期制士の創設が人材獲得に効果を発揮することを願っております。

 では、仮に今国会において法案が成立した場合、新たな任期制士によって自衛官の充足はどの程度向上すると見込んでいるのか、教えていただけますか。

青木政府参考人 お答えいたします。

 防衛省としては、新たな任期制士の創設により、士の充足の向上を期待しております。

 任期制士を当初から自衛官として採用することにより、先ほど申し上げましたように、初任給が一般曹候補生と同等になることから、採用面での不利な状態の要因の一つが解消され、応募者数が増加することにより充足が向上することを期待しております。

 また、自衛官候補生は、教育訓練に専念する三か月間は非自衛官であるため、自衛官の充足に算入されておりませんが、新たな任期制士の採用により、これらの者が当初から任務に従事する自衛官となるため、充足が向上することとなります。

 新たな任期制士についての広報、周知を含め、募集活動を積極的に行うことにより、採用者数の増加と充足向上に努めてまいります。

美延委員 防衛省は、二〇二四年度に新設隊舎について原則個室とするほか、現存隊舎の居室についてはパーティションなどの間仕切りで個室化し、陸上自衛隊では二〇二五年度、海上自衛隊、航空自衛隊は二〇二八年度までに完了予定となっております。

 また、隊員の生活、勤務環境に直接関わる隊舎及び庁舎のうち、約千四百棟は旧耐震基準であることから、二〇二四年度までに約五百棟を建て替え、改修等に着手、二〇二五年度予算では新たに二百棟の建て替え、改修等に着手予定と聞いております。

 また、今回の法案において、入隊直後から営内生活に対しての給付金が新設されると承知しております。

 人が働く上において、モチベーションをいかに維持するかということは非常に重要であります。自衛官は、その生活環境の性格上、モチベーションの維持は特に大切かと思われます。六年間で最大百二十万円を支給するとのことで、自衛官のモチベーションアップにもつながると思いますが、本給付金の狙いや意義について防衛省の御説明をお願いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 入隊後の営舎内や艦艇内における集団生活を伴う勤務が現代の多くの若者にとってなじみのある生活スタイルではないため、任期制、非任期制にかかわらず、入隊を妨げる要因の一つとなっています。

 こうした生活環境は、一定の工夫、改善の余地はあるものの、有事即応という自衛官の任務の特性上、全てをなくすことはできません。

 そこで、即応のための不慣れな集団生活を強いられる入隊後の自衛官がモチベーションを維持向上させ、士気高く精強な自衛隊を維持することを後押しする目的で、指定場所生活調整金を新設することといたしました。

 これによりまして、自衛官の給与等の処遇が充実し、特に若年層に対して職業としての自衛官の魅力が向上し、採用市場における競争力が増し、採用に好影響があると期待しております。

美延委員 もう少し質問はあるんですけれども、今日はここで終了させていただいて、残余の質問に関しては一般質問のときにさせていただきます。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 ありがとうございます。

 美延理事には、いつも大変御配慮いただきまして、誠にありがとうございます。

 次に、橋本幹彦君。

橋本(幹)委員 橋本幹彦でございます。

 今、世界は混沌とした時代に入りつつあります。

 中谷大臣、今、同盟国、同志国、近隣諸国との関係を通じて日本がこの国際情勢を乗り切っていく、そういうようなときだと思いますけれども、ここに当たって、日本人が自ら主体性を持って戦略を立てていくことが大事だと思います。そのようなことについて大臣の認識はいかがでしょうか。

中谷国務大臣 もちろん、ウクライナの例を見るまでもなく、自分の国は自分で守るというのが一番大事なことでございます。

 しかし、これまでの戦後の国際安全保障を見てまいりますと、国連の役割とか、二国間の安全保障における条約、取決め、国際安全保障機構などが存在しまして、同盟国、同志国間のネットワークを重層的に構築することも大変重要でありますので、これを拡大して抑止力を強化していくことは重要であると認識しております。

橋本(幹)委員 これに当たって、先ほどまで赤澤大臣が米国で交渉をしていました。この交渉の構えについて伺いたいと思います。

 日本国政府は、防衛と経済は切り離して議論するべきだというふうに考えていたのではないかと思います。交渉の対象はあくまで関税に限られる、そういった想定が強かったと思います。お米ですとか自動車ですとか、そういったところがよくこの国会でも議題に上がりました。ところが、赤澤大臣が航空機で移動中の昨夜、トランプ大統領は、関税、軍事支援の費用、貿易の公平性について交渉するために日本は訪米するんだ、そのように自身のSNSで述べました。

 中谷大臣、日本国政府の想定は甘かったのではないでしょうか。

中谷国務大臣 日米安保条約は、安全保障など、平和的な国際関係の発展に貢献するということで、締約国は、国際経済社会における食い違いを除くことに努め、また、両国間の経済的な協力を促進する、これは第二条に書かれているわけでありまして、相互的に日米が協力して平和と繁栄を維持しているということでございます。

 そこで、今般発動された相互関税措置を始め、米国による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済、多角的な貿易体制全体に大きな影響を及ぼしかねないと認識いたしておりまして、これに対して、先般、石破総理の指示を踏まえまして、関連情報を収集するなど、防衛省としましても、関係省庁と連携の上、しっかり取り組んでいく考えでございます。

 現在、赤澤大臣が米国で協議をされておられますので、この動向、結果をしっかり注視して対応してまいりたいと思います。

橋本(幹)委員 省庁間で連携してということですけれども、では、赤澤大臣の訪米に際して、防衛省は幹部を随行させたんでしょうか。

中谷国務大臣 この日米間の交渉につきましては、赤澤担当大臣に一任されて、国を代表して今交渉に当たっているわけでございますので、現在のところ、防衛省としましては、この成り行き、経過を注視しているところでございます。

橋本(幹)委員 随行させなかったということだと受け止めましたけれども、中谷大臣、私は日本国政府にしっかりとしたリーダーシップを発揮していただきたいんです。

 この混沌としている国際情勢を力強く歩んでいって、国民の生活、農業もそうです、産業もそうです、これを守り抜くんだということを政府一丸となってやっていく、そのような意気込みも聞こえたわけですけれども、なぜ随行させなかったんでしょうか。なぜ幹部が赤澤大臣を支える体制を取らなかったんでしょうか。

中谷国務大臣 今回は第一回目の訪米による直接交渉になるわけでございますので、どういったことが要求されるのか、どういう認識であるのか、そういうことも踏まえて政府は対応しなければなりません。

 事前に日本政府としては、全省庁、全閣僚が一体的にこれに対応するということで認識を深めておりまして、そういう意味で、今回は赤澤大臣が代表して交渉に行ったわけでございますので、この内容、結果を注視して、その後しっかり対応してまいりたいと考えております。

橋本(幹)委員 政府の情勢認識は甘過ぎると言わざるを得ません。

 ちょうど一週間前の四月十日にもこの安全保障委員会の場で私から岩屋外務大臣に質問しました。国際情勢認識をただして、岩屋大臣は、米国の安全保障の方針は揺らいでいない、日本は引き続き日米同盟を新たな高みに引き上げていく、そのように発言されたわけです。私はこれに対して、甘いのではないかと発言しましたけれども、今振り返ってみれば、やはり甘かったんだなというふうに感じます。

 先ほど大臣から日米安全保障条約を引用いただきました。そのとおりだと思います。資料の二ですが、前文に「両国の間の一層緊密な経済的協力を促進」するですとか、あるいは、第二条、「国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」トランプ大統領の日本に対する、あるいは世界に対する発信は、この日米安全保障条約に反するようなものではないでしょうか。この日米の基本的な関係を根底から覆すようなものだと思います。

 そして、資料四、トランプ大統領による米軍制服組トップのブラウン参謀本部議長らの解任。これは、米国内の体制としてもパラダイムシフトが進んでいることを裏づけるような事案ではないでしょうか。

 日本は、ある意味で米国なくして国の基本的な機能を維持できませんでした。しかし、それは軍事支援を、トランプ大統領の言うミリタリーサポートを一方的に受けてきたというものではないと思います。決して、赤子のようにただ栄養を待っていた、そういうものではなくて、日本国も能動的に選択した結果、アメリカにとってもいい取引を、ディールを続けてきたものではないでしょうか。

 例えば、赤嶺先生はいらっしゃらないですけれども、沖縄の皆さんに大変な苦難を強いて、米国にとって世界一の戦略拠点を日本は提供してきたわけです。あるいは、治外法権も認めて、空域や電波の使用も許してきて、さらには、国内の言論環境にも大変な気を配って、ナショナリズムが高ぶらないように、自主防衛ですとか米軍の撤退、あるいは核兵器の自主保有、そういった言説が沸騰しないようなきめ細やかな配慮もしてきたわけです。

 トランプ大統領は、にわかに現実的ではないことを言っています。ある意味で荒唐無稽と言ったら失礼かもしれませんが、できないことも含めて主張しています。これは交渉術としてハイボールを投げている、高い要求を突きつけているにすぎないわけですから、あめとむちの交渉なわけですから、であれば、我々日本も交渉術として日米関係の前提を見直すような条件を突きつけないと、この交渉は主体的に進まないのではないでしょうか。

 例えば、先ほどまで大和太郎防衛政策局長がいらっしゃいましたが、国際派の大変すばらしい人材だと思います。こういった人材がいらっしゃるわけですから、国会対応から離れていただいて、米国との交渉の前面に立っていただいて、アメリカの核の傘に頼らずとも日本は自主防衛する、そういう姿勢を伝える、むちの役割を担っていただくことも大事だったと私は思います。

 中谷大臣、先ほど政府としてどのように交渉していくべきかお答えをいただきましたけれども、改めて、今後、安全保障をどのように交渉を進めていくおつもりでしょうか。

中谷国務大臣 現在は赤澤大臣が代表して交渉に当たっておりますけれども、それまでの事前の情報等につきましても、今のところ、安全保障や日本の防衛政策について何ら具体的な要求があったわけではございません。

 せんだって三月三十日に日米の防衛大臣会談でヘグセス国防長官との間で話をいたしましたが、その間は具体的な要求は何もありませんでした。そして、日米それぞれの防衛力の強化、日米同盟の抑止力、対処力を強化していく取組については切迫感を持って進めていく決意を確認したところでありますし、また、今後、非常に厳しい国際環境の中で、日米同盟の重要性は一層高まってまいりますので、防衛省としましては、引き続き、我が国自身の努力として防衛力の強化及び日米同盟の抑止力、対処力の強化を着実に進めてまいりたいと思います。

 そこで、トランプ大統領の発言は注目いたしておりますが、日米同盟は我が国の外交、安全保障の基軸でありまして、政府としては、米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて日米安保の義務を果たすということについては全幅の信頼を置いております。

 また、平和安全法制によりまして、日米がお互いに助け合うことが可能になった法律でありまして、助け合うことのできる同盟のきずなを強くすることは、今や日米同盟はかつてないほど強固になってきているわけでございますので、こういった信頼関係の上に今後両国は話をしていくわけでございまして、今後とも今の交渉の成り行きを注視しているところでございます。

橋本(幹)委員 資料五、ドイツにおいて首相就任目前のメルツ氏の発言です。私にとって絶対的な優先事項は、米国からの独立を実際に段階的に達成できるよう、できるだけ早く欧州を強化することだ。そして、資料六、防衛とインフラ分野に対する債務ブレーキを外すというドイツにとっては大変重要な歴史的な決定をしました。日本国もドイツのことをそのままやれという話ではないと思いますけれども、是非、主体性を持って力強く交渉していただければというふうに願っております。

 その主体性や交渉力の裏づけとなるのが自衛隊の精強性であります。しかし、今回の処遇改善で果たして精強性が向上するのでしょうか。

 資料七から十二。これは、三月に私が依頼して、二週間かけて防衛省に作成いただいた資料です。処遇改善の対象者が何人なのか、そして、自衛官一人当たり幾ら上がるのか、幹部、准尉、曹士といった階級別あるいは職種別のモデルケースを示す資料です。網羅的な資料ではありませんけれども、議論の土台にはなろうかと思っています。

 このような資料を作っていただいた防衛省には大変感謝ですけれども、ただ、そもそもこのような基礎的な資料がないまま処遇改善の検討が進んでいたかと思うと、とてもむなしい思いです。

 石破政権になってから、総理も自民党も、今までにない処遇改善といろいろなところで言っています。自衛隊の部隊を回るときも資料を配ってそういったことを宣伝しているわけですけれども、こんな基礎資料もなくて、総額ありき、手当の数ありきの関係閣僚会議だったのではないでしょうか。本当に必要なところに手当が行き届いているんでしょうか。

 本当はこの資料に基づいて一つ一つ課題を述べたいですけれども、時間の制約があるので、大変申し訳ないですけれども総論だけ申し上げると、一言で言うと兵たんの軽視だと感じました。

 現役の自衛官に対する手当の総額は五十億円です。一人当たり平均すると、年二万円。資料を読み取りいただければ、いかに今回の手当がごく一部の職種や配置の隊員に対するものであるか、よく分かると思います。この兵たんの軽視は大変残念です。

 例えば、昨年の音楽まつりで、華やかな音楽隊だけではなくて、バックヤードで支えている隊員がいるということを紹介されました。大変画期的だったと思います。あるいは、統合作戦司令部の編成式に御家族を呼んで編成式をやった。これも画期的だったと思います。後方を、裏で支えている人たちを大事にしようという心は伝わるんですが、ただ、それが実際に施策に落ちているのかというと、今回の手当を見ると残念ながらそうは思いません。

 これも具体例で申し上げますけれども、三月二十九日に中谷大臣は硫黄島へ行かれたと思います。そのとき、大変暑かったと思いますけれども、米軍は大きなテントを張ってウォーターサーバーを用意しているのに対して、自衛隊は氷を首に当てている。これは、硫黄島の水不足で苦しんだ、あの戦いをしのんで行ったときなのに、日米の兵たんの格差をまざまざと見せつけられた。さきの大戦の反省とは何なのか、自衛官の名誉と誇りとは何なのか、大変示唆に富む事例だったと思います。

 改めて、大臣、この後方の軽視というところの問題意識を共有していただけないでしょうか。

中谷国務大臣 せんだって硫黄島の慰霊に参りましたけれども、自衛隊の方は、しっかりとした隊舎もありますし、倉庫や施設もあって、暑さ対策につきましても冷房がしっかり利いておりまして、決してこういった点において隊員に対して苦痛を与えるというような認識は感じませんでした。

 そして、処遇につきましては、今、定年の引上げとか、若年定年退職金の給付の引上げとか、俸給表の改定とか、各種総合的に実施いたしておりますので、このようなことについて効果の検証を行いながら、しっかりとしたやりがいができる自衛隊づくりに全力を挙げている最中でございます。

 そして、先ほどドイツのお話がありました。しかし、我が国はドイツと違って、現実に、力による一方的な現状変更の取組の深刻化、それから北朝鮮によるミサイル発射など、ドイツとは違った非常に厳しい安全保障環境に直面しておりまして、そういう中で、今、防衛力の抜本的強化に努めているわけでございますので、こういった施策の推進と同時に日米同盟の抑止力、対処力の強化も着実に進めていくということで、今後ともこういった努力を不断に続けていきたいと考えております。

橋本(幹)委員 後方の軽視についてお話ししているわけですけれども、よく国会でもトイレットペーパーが不足しているという話題が出ますけれども、トイレットペーパーが不足するというぐらい分かりやすい話題ではないんです。だからこそ国会でも余り取り上げられてこなかったんだと思いますが、私自身も航空機整備で後方の職種でした。政治の光が当たらないなと感じることもたくさんありました。政治だけではなくて、例えば各幕僚長も後方職域の出身者は余り多くないんです。組織の中においても、なかなか光が当たらないなと感じる者もいると思います。

 手当の新設だけではないと思いますから、落下傘部隊も大事です、水上、潜水パイロット、こういう最前線で任務を遂行する者も大事ですけれども、是非後方の職域も政治の光を当てていただきたい。大臣、いかがでしょうか、後方の重視について抱負をお聞かせいただければと思います。

中谷国務大臣 もちろん後方に十分配慮しながら考えていかなければなりませんが、後方のみならず、情報の世界とか、現場の訓練に当たる部署とか、自衛隊はあらゆる部署で仕事をしておりますので、総合的に力が発揮できますように、各分野、各部署の処遇、現状をしっかり把握して、能力が発揮できなくならないように努力してまいりたいと思っております。

橋本(幹)委員 後方だけではなくて、全ての隊員が大事であるというのはそのとおりだと思います。

 資料十三、これは「台湾有事を想定、空自戦闘機が中国艦を攻撃 日米共同演習の概要判明」という産経新聞の四月六日の記事です。そもそも戦にならぬことを切に願うものですが、しかし、現場の隊員は、万が一があったときの究極の任務に備えて訓練しているのだと、この記事を読んで改めて感謝と敬意の念を新たにしたものですけれども、当然、自衛隊は平素からこのような高い作戦を想定して訓練していると思いますが、そのような認識でよいでしょうか。

中谷国務大臣 私もこの記事を見ましたけれども、これが全てではないのです。一例かもしれませんけれども、そういうことを書いて報道されたのではないか。この根拠は私も分かりません。

 こういったものは本当に一例でありまして、あらゆる事態に切れ目のない対応ができるように、装備も含めまして訓練、隊務を行っておりますので、自衛隊はあらゆる事態を想定して対応しているということでございます。

橋本(幹)委員 これだけではないと思います。これは一例だと思います。

 一般論として、こういった訓練の状況ですとか自衛隊の運用に係る情報は秘密になっています。それも特定秘密になり得るものだと思います。

 仮に、こういう記事のような内容が本当だとしたら、これがエビデンスがあるものだとしたら、これは特定秘密に当たるのではないかと思いますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

中谷国務大臣 自衛隊の訓練の詳細を明らかにすることはできません。ただし、秘密保全とか情報の漏えいは自衛隊としてもあってはならないことでありまして、看過できないわけでございますので、仮にそういうことがあるとすれば、しっかり調査してしかるべき処置をすべきであると考えております。

橋本(幹)委員 今回の記事を通じて、私は、日本の安全保障に関する議論、特に国会における議論というのはまだまだ道半ばだなと感じました。

 今国会の閣法の審議はこの防衛省設置法の改正で終わりますけれども、ただ、国会で議論すべきことは山ほどあると思います。こういう諸問題について是非一般質問でも取り上げられればと思いますけれども、日本国憲法第四十一条にあるとおり、国会は国権の最高機関です。こういった情報が国会の場ではなくてこういった記事ですとか、あるいは資料十四、各幕僚長が記者会見を行っていますけれども、運用に関わる情報にアクセスするというような構造になっています。やはり議論の土台がおかしいと思います。国会においてしっかりとした情報源に基づいて議論ができなくて、何が国権の最高機関なのか、そして何が文民統制なのかと思うわけです。

 案件によっては秘密会を開いて、クリアランスもしっかりして、運用に関して腹を割った議論ができなければならないと思います。その際、与党も野党もないと思いますし、また、背広組も制服組も関係ない話だと思います。

 資料十七、二月十七日、産経新聞社説「文民統制を履き違えるな」、資料十八、四月十一日、毎日新聞の記事「「制服組」国会答弁 タブー?」という記事ですが、こういった記事を見ますと、世論としても、制服組を交えた議論に前例があること、そして法的制約がないこと、文民統制とは関係がないことについて理解が進んできたように思います。

 大臣、改めて確認ですけれども、制服組を国会に呼ぶことは防衛省の考える文民統制に反するでしょうか。

中谷国務大臣 国会は、文民統制、シビリアンコントロールにおいて最も重要な存在でございまして、本日も安全保障委員会で非常に活発にいろいろ議論されているわけでありますが、私は非常に充実した議論が行われていると認識しておりまして、この安全保障委員会という存在もシビリアンコントロールの一つのようなものでございます。そういう意味におきましては、幅広く国会で議論していただきたいと思います。

 また、秘密会という御指摘がありましたけれども、これは国会で判断して決めることでございますので、これも国会の決定に従って対応していきたいと思っております。

橋本(幹)委員 文民統制に当たるということではないという理解でよろしいですね。国会に制服組を呼ぶことは文民統制を侵す話ではなくて、それは国会が議論する話だ、そういう防衛省の見解ということでよろしいでしょうか。

中谷国務大臣 国会答弁も含めまして、全ての国会の質疑や内容等につきましては国会で決めることでございますので、その中で検討されるべきものではないか。防衛省としましては、決まったことに対しては、それに従ってしっかり対応するということでございます。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。文民統制とは関係ないという答弁だったと理解します。

 資料十九、政治学者の三浦瑠麗氏が二月六日にSNSのXにて発信した内容です。日本の野党が政権を取れない理由の一端には、外交安全保障の観点から彼らの実力を不安視する有権者の存在がある。もちろん、全てが根拠のある不安というわけではなかろうが、野党が武官の持つ知見を得られないこともそれに寄与している。憲法にも国会が文民統制するとは書いていない。国会も文民統制するという趣旨の条項を憲法に定め、自ら国会で自衛官に質問できた方がよい。

 仄聞するところによると、与党の国防部会では、制服組を呼んでヒアリングし、次期の参院選の公約を練ると聞いておりますが、立憲主義的な改憲の立場からも、あるいは政権交代を目指す野党の立場からも、リベラル、保守関係なく、議論の土台を見直すことは大変有意義だと思います。

 是非、前例にとらわれない形で国権の最高機関にふさわしい議論の場をこの安全保障委員会で設けられればと思っておりますが、委員長、今後、理事会でお取り計らいいただけないでしょうか。

遠藤委員長 はい、協議いたします。

橋本(幹)委員 ありがとうございます。

 それでは、組織文化改革、精強性、知的基盤の連接について伺います。

 ここまで、国際情勢に向かっていくこと、あるいは処遇の改善、文民統制の在り方を議論しました。当然これだけでは先ほどの記事であったような激しい任務、訓練というところで戦えないと思います。やはり国民の理解と知的基盤がしっかりとした自衛隊でなければこういった困難な任務には立ち向かえないという問題意識からです。

 資料三十、繰り返しになりますけれども、自衛隊における修士、博士を取っている者の数を示した資料です。今の知的基盤の現状はこういうところでありますが、資料三十一に「ドクトリン研究室について」という航空自衛隊が開示している資料を載せています。このドクトリンというものは知的基盤の結晶だと思っています。どういうふうに部隊を運用していくか、どのようなことに配慮するのか、こういったことを定めているのがドクトリンです。

 資料の三十六には、昨年発表された海上自衛隊の基本ドクトリンも載せております。こちらを見ますと、例えば、資料四十を見ますと、海上自衛隊ではユーモアが大事だ、そういう精神的なところも書いてあれば、その前のページ、資料三十九、「部下に指揮官の意図を理解させた上で、ミッション・コマンドを行う」と書いてあるわけです。こういうことを見ると、パレードをやっている自衛隊とかブルーインパルスをやっている自衛隊と、実際の訓練をやっている自衛隊は全然違うものなんだということがよく分かると思います。

 このドクトリンを開示している理由は定かではないですけれども、是非こういったところを国民に理解していただくことも自衛隊が精強性を発揮する基盤ではなかろうかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 古くはマハンの海洋戦略の考え方もありますが、ドクトリンというのは非常に大事なことでありまして、国家においても国家安全保障の戦略とか防衛戦略とか、そういう考えをまとめておりますが、それぞれ陸海空自衛隊においても、こういったドクトリン的な要綱、考え方をまとめて、それに従って実際に活動すべきであります。

 パレードの話がありましたけれども、もはや形式とか権威を示す時代ではなくて、実際に訓練を重ねていろいろな事態に対応する能力、強い自衛隊をつくっていくべきでございますので、それぞれ陸海空自衛隊においては、こういった任務が達成できるような考えをまとめて、しっかり対応していただきたいと思っております。

橋本(幹)委員 パレードの話もいただきました。パレードが美しい軍隊は実戦に弱いという言葉もあります。まさにその警句を自衛隊も直視して変わりつつあるのだと思います。

 ただ、それを装備品を充てて処遇改善してというところは、これも大事ですけれども、仏像作って魂込めずのようなものだと思うんです。

 あるいは、大臣もラグビーをされますけれども、ラグビーでいったら、例えばビデオ判定を入れますとか、それをドローンで撮って分析とか中継できるようにしますとか、そういったところはとても充実しているけれども、肝腎の今いるメンバーの例えば錬成のところにちゃんとしたコーチをつけているのかとか、どういう理論に基づいて体をつくっていくのかとか、そういったところが弱いのではないかという問題意識があります。それも知的基盤の根本というか、真髄がドクトリンだと思います。

 先ほど海上自衛隊ドクトリンを引用しましたけれども、果たしてここで書かれたミッションコマンドが本当のミッションコマンドなのかというと、私は疑問です。

 これはいろいろな議論があるわけです。米国の論文を見ても、グーグルで調べれば出てくる話は幾らでもあるわけですけれども、自衛隊のミッションコマンドの理解はこの程度なのかというところは、逆に弱点をさらしているようなものだと思うんです。

 ミッションコマンドですとか分権的な指揮、ここは今後の自衛隊のキーワードになってくると思います。ストラテジックコーポラル、戦略的伍長という議論が米国でありました。現場の一兵卒であっても博士号を持っていて、国際情勢の認識を持った上で任務を遂行しなければ、国全体としての戦略に大きな影響を与えてしまう。だからこそ戦略的伍長なんです。一人の判断に戦略が懸かっている、そういうような作戦もあるわけです。

 是非、知的基盤を抜本的に強化していく。そのときには、ドクトリンは大事ですけれども、ドクトリンをたまたまその部署にいた者が考えるのではなくて、防衛大学校、防衛研究所、あるいは各学校で論文を積み重ねていって、あるいは「陸戦研究」ですとか「鵬友」といった、廃刊されてしまいましたけれども、そういう平場の議論を大事にしていって知的基盤を底上げしていくことが極めて重要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 先ほど、海上自衛隊の基本ドクトリンのお話がございました。これを読んでみますと、確立した定義があるわけではありませんけれども、常に環境が変化する海上作戦の性質に鑑みて、下級指揮官が自らの権限の範囲内において任務遂行の方法を委ねられることが大事であるというようなことで、まさにこういった真髄的なことも指摘をいただいております。

 今、統合訓練とか国際訓練を幅広く実施するようになりましたけれども、要は、各部隊の隊員一人一人が強く意識して部隊として活動することが基本でありますので、そういうことを忘れずにやっていくということで、海上自衛隊のドクトリンの中にもそういうことが書かれております。

 防衛大学校も、いろいろハラスメントがあって、昨年、学生自らが学校の校則を変えたり、今までの現状では駄目だということで、意識改革が進んできているわけでありますので、今、時代の変化の中で、自ら変わっていくような試みをしっかりしていかなければならないと思います。

橋本(幹)委員 最後に、国民の理解のところですけれども、今まで服務の宣誓の文言ですとか顕彰の在り方について議論してきました。これも大変重要だと思います。なかなか議論が進みづらいところだと思いますけれども、私は、我が国の平和と独立を守ると言われても、二十四万の自衛官が皆ぴんとくるかというと、こない文言だと思います。

 資料四十二、米国軍人の誓約が書いてありますけれども、例えば、リベラルの立場からいえば、立憲主義を守るんだという文言があってもいいかもしれない。あるいは、保守的な立場からいったら、歴史的な連続性を守っていくんだ、そういうような文言もあってもいいかもしれない。

 どういう言葉が心に響くかというのはいろいろな議論があると思いますけれども、我が国が守るべき価値観とは何か、そこがなければ国の守りというのは決してできませんから、是非、顕彰ですとか誓約の件について改めて御検討いただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

遠藤委員長 中谷大臣、簡潔にお願いいたします。

中谷国務大臣 服務の宣誓のお話がありましたけれども、この服務の宣誓の中に「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」とあります。まさにここがポイントだと思います。

 自衛隊も、国民の命、暮らし、平和を守るという負託に応えて、この国を守り抜くという任務が必要でありまして、そのためにどう考えるかということにつきましては、ここがポイントだと思います。国を守るということの真髄をしっかりわきまえて勤務することが大事ではないかと思います。

橋本(幹)委員 大変いい議論ができました。ありがとうございました。終わります。

遠藤委員長 お疲れさまでございました。橋本幹彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、平岩征樹君。

平岩委員 国民民主党の平岩征樹です。

 安全保障委員会の場におきまして質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 先日四月四日に本会議でも本法案について質疑を行わせていただきましたが、本日は、その議論を更に深めるべく、委員会においても具体的な論点を幾つか掘り下げて御質問したいと思っております。中谷防衛大臣におきましても、引き続きよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、本会議でも申し上げたとおり、本法案が掲げる自衛官の処遇改善については大いに賛成するところでございますが、今回の処遇改善に当たって、当然ながら、単なる給与の引上げにとどまらず、それが実際の採用率の増加や隊員の士気向上に直結していかなくては意味がないと考えます。幾ら制度上の改善を行ったとしても、現場でそれが実感されずに、結果として人材の確保や維持につながらなければ制度としての目的が達成されない。そのためには、政策の実行に当たって当然仮説を立てて、仮説、実行、検証、改善という政策サイクルを実行していかなくてはいけないと思っております。定性的な政策立案もそうですが、定量的な指標や目標等の数字をしっかり根拠を持って見ていくのも大事だと考えています。

 本日は、各論の具体的なところを幾つかお聞きした後で、そもそもの政策立案の全体的な考え方について大臣にもお伺いできればと思います。

 まず最初に、今回の中で一番の増加率であり、また、今までずっと据え置かれてきました即応予備自衛官の手当についてです。

 常備自衛官については、昨年もそうですが、人事院勧告に連動して俸給が増減してきましたが、予備自衛官の手当については長らく据え置かれてきた。そして、物価や最低賃金との連動も見られなかった。最低賃金との関係に至っては、これまで一日八千百円の日当だったので、一日を八時間で割れば最低賃金を下回るというような状態にあったわけです。これは自衛隊という国家の安全保障を支える組織において極めて深刻な課題だと考えます。

 そこで、今回の予備自衛官等の日当の増額については何を基準に金額を設定されたのでしょうか。また、今後どのような基準や根拠に基づいて日当水準を改善していくのか、防衛省の考え方をお聞かせください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 令和七年度におきましては、予備自衛官等に支給する手当を大幅に引き上げることとしております。このうち、予備自衛官の訓練招集日に支給する訓練招集手当につきましては、現在の日額八千百円を一万一千円に引き上げることとしております。

 現在の日額八千百円は常備自衛官の俸給表の額とは連動しておらず、今回の見直し後の日額一万一千円につきましては、常備自衛官の俸給表の額を参考にして日額に換算して算出したものでございます。したがいまして、今後、常備自衛官の俸給月額が人事院勧告に伴い改定されれば、それを踏まえて予備自衛官の訓練招集手当も改定されることになります。

平岩委員 常備自衛官の俸給と連動していくということで安心しておりますが、もちろんアンケート等もされたと伺っていますので、そうした定性的な調査と併せて、定量的な基準と連動させるということも明確化という観点からは必要だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 その上で、今回この法律が成立しますと、予備自衛官等の訓練手当が引き上げられるわけですが、今回の法律では、施行期日は成立してから六か月以内と定められています。人事院勧告による給与の引上げですと、法律成立後に遡って差額が支払われるという運用がされているわけですが、今回の改定では、予備自衛官等の訓練手当に関しては施行日以降に参加した訓練の訓練手当が適用される。予備自衛官等の場合、同じ今年度の訓練でも、四月に参加した隊員と十二月に参加した隊員で日当に差が出ることになるんですが、この点について防衛省としての見解を伺います。

 そして、今後、訓練手当が変更される際に、年度の切り替わりを意識して制度設計を行っていくのかについても併せてお願いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、人事院勧告を踏まえて自衛官の俸給表を引上げ改定する場合でございますが、これは、改正法案が成立した後、四月に遡って差額が支給されております。これは、そもそも人事院勧告が、四月時点の官民較差を調査し、それに基づき公務員の給与を是正するものである、このためにこういう仕組みとなっていると承知しております。

 他方、今回の予備自衛官等の処遇改善につきましては、例えば予備自衛官事業継続給付金などを含む抜本的な制度改正、新たな制度の創設もございまして、予備自衛官等はふだんは本業として民間企業において勤務されている方が多いこと、また、訓練等の参加に当たっては雇用企業との調整が必要であるというような事情がございます。

 このような観点から、国会においてこの法律案の成立をお認めいただいた後、意見公募手続、いわゆるパブリックコメントを行ったり、また、予備自衛官等、雇用企業への一定の周知期間が必要だと考えております。そのため、本法律案が成立いたしまして、その公布以降、できる限り速やかに施行することとしております。

 今後につきましては、常備自衛官の俸給月額の改定を踏まえまして、先ほど申し上げましたように、予備自衛官等の手当も改定していくことになります。

平岩委員 御答弁いただきましたように、理屈としては分からなくはないですけれども、せっかく訓練手当を引き上げるということなので、これ自体はいいことだと思いますので、より公正な形で手当が支払われるように検討をお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に参ります。

 次は、予備自衛官と即応予備自衛官の訓練日当の差異についてお聞きします。

 今回引き上げられた予備自衛官の日当についてですが、即応予備自衛官は階級に従って訓練日当が変わります。これは、訓練において階級毎に違った役割があって、その能力をもって職務に当たるために日当が違うと思料しております。

 予備自衛官の場合は、通常、一年に五日間の訓練だと、階級が違っても基本的には同じ訓練をするために日当に差がないということも理解できます。一方で、予備自衛官には一般と技能の区分があって、特に技能においては、個々の専門性を生かした特別な招集訓練に参加する場合があると思います。米軍との合同指揮所演習に通訳として語学の技能を持った予備自衛官が参加するといったようなケースが考えられると思います。

 また、現在、サイバー人材の確保から、サイバー予備自衛官の拡充等も打ち出されていると思いますが、これらの方々に対して職能や専門分野に応じた報酬を払うことが今後の制度維持、拡大の観点からも重要ではないかと考えます。

 この点、予備自衛官の自分の技能を使った訓練をする場合の日当について、職能に比した日当を払うことについて防衛省の見解をお伺いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 技能を有する予備自衛官につきましては、個々の専門性を重視いたしまして、その技能に見合った活躍ができる環境を整えることは重要でございます。

 他方、例えば、実際の災害派遣活動に際しましては、常備自衛官につきましても、特殊な技能を有していることを理由に災害派遣等手当の額に差をつけるということはしておりません。同様に、予備自衛官につきましても、特殊な技能を有していること、それのみを理由に手当の額に差をつけていないという現状でございます。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、今後の処遇改善の効果などを検証しながら、予備自衛官の安定的な確保に向け、不断に検討してまいります。

平岩委員 ありがとうございます。

 今後の効果を見ていくみたいな話もあったと思うんですが、ちなみに、専門技能の有無で募集や充足率に差が出ているみたいなデータはあったりするんでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 技能予備自、専門的な技能と申しますのは、委員御指摘の例えば語学であるとか医療関係の資格を持っている、また、法務関係の資格、サイバー、そういったものがございますけれども、そういったものにつきましては、個別に採用しておりますので、一般と比較しながら採用しているということではございませんので、募集の差異というものは特にございません。

平岩委員 ありがとうございます。

 当然、現在職務に就いておられる方は日当も承知した上で参加されていると思いますが、今後、定足を満たしていく、拡充するという意味においても技能を持った方の処遇は大事だと思いますので、是非検討をよろしくお願いいたします。

 さて、少し通告と順番が変わってしまいまして恐縮ですが、先に予備自衛官制度の理解醸成についてお伺いします。

 先ほども申し上げましたように、予備自衛官で年間五日間、即応予備自衛官で年間三十日間の訓練が義務づけられておりまして、これに参加するには職場の理解が不可欠です。勤務先からなかなか理解が得られず、訓練に参加できずに予備自衛官を諦めてしまう隊員も少なくないと聞いております。

 私も以前、自分の会社で即応予備自衛官を雇用しておりましたので、地方協力本部の方による制度説明を聞いたり、部隊の視察にも行かせてもらったりしたので、身をもって知っているわけでありますが、元々理解のあるところはいいと思うんです。でも、あれだけで理解を醸成するのはなかなか難しいというのが感想です。

 本会議でも御答弁いただきましたが、現在の施策をなぞるような答弁だったように思いますので、再度大臣にお聞きしますが、予備自衛官制度の普及や職場を含めた理解醸成について、今後防衛省として抜本的な対策を講じていくのが大事だと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

中谷国務大臣 予備自衛官の方はほかに本業を持っておられる方が多くて、雇用企業などの御理解、御協力が不可欠であると認識しております。したがって、経営者などの方に、大臣、方面総監、地連、地方協力本部長から感謝状を贈与しております。私も約二十の雇用企業等に感謝状を贈与いたしました。

 また、予備自衛官に対する社会的な関心、理解を深めるということで、予備自衛官協力事務所表示制度を設けまして、防衛大臣、地方協力本部長が認定、称揚することをいたしております。

 さらに、SNSを活用した広報、予備自衛官等である有名人等の協力などによりまして、積極的な広報活動を行っております。

 なお、令和七年度におきましては、雇用企業等の管理職、職場の同僚を念頭に置きまして、幅広い国民の皆様に予備自衛官制度の理解を深めていただけるように、より積極的に動画広報などの取組を行うために、前年度の約四倍の広報予算を計上いたしております。

 非常に短い時間にメッセージを込めて、数多くの人に触れられるような工夫もいたしておりますし、また、現役の予備自衛官雇用企業等に対するアンケート、インタビューを行うなど、現状の把握を継続的に行いまして、何といっても雇用企業、予備自衛官等の意向、ニーズを踏まえて、より出頭しやすいような環境を構築することを念頭に不断に努力してまいりたいと思っております。

平岩委員 ありがとうございます。

 企業にとってのインセンティブが見えにくいというのがあると思うんです。あと、経営者とか人事は分かっていても、職場の隣の人が余り理解がないみたいなこともあると思いますので、是非、企業協力が進んだ事例を研究していただいて、どういうような説明をしていくのか、また、税制優遇とかも含めてインセンティブを検討していただければと思います。

 それでは、次に、自衛官の再就職支援についてです。

 本会議の御答弁では、様々な施策を実行することで、令和五年度は求人数が再就職を希望する隊員の四十倍になったみたいな答弁がありました。これは非常に心強い成果ですが、これをどう採用増につなげていくかが重要だと考えています。

 先日四月四日に、厚生労働省との連名で、福祉分野への退職自衛官の再就職について都道府県知事に依頼が出されましたが、業界内の広報はされているものの、世間へのインパクトのある広報はまだできていないように思います。

 改めて、退職自衛官の再就職について、今後どのような取組、そしてそれをどう採用増につなげていくのか、防衛省の方針をお伺いいたします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、特に任期制自衛官に対しましては、再就職を希望する人数に対して四十倍の求人数を獲得したところでございまして、実際に支援を希望するほぼ全ての退職予定者が再就職先を確保することができております。また、再就職した者の約八割が再就職先に満足しているという回答を得ているところでございます。

 また、委員の方から福祉、介護のお話がございましたけれども、それ以外にも幅広い業界や関係省庁と連携いたしまして、経済団体に対する退職自衛官の活用の働きかけを行っております。具体的には、鉄道事業、海運業、住宅産業、電気通信業、警備業等の分野で申合せを行っているところでございます。こういった申合せに基づきまして、各業界、各企業の中で周知をしていただき始めていると認識しております。

 また、関係省庁とか地方公共団体の公的部門における退職自衛官の活用を促進していくことも重要でございまして、例えば消防庁との間で人材確保についての申合せを締結するなどの取組を進めているところでございます。

 引き続き、任期制隊員の声も聞きながら、我々の活動が国民に知れ渡るように、積極的に周知活動をしっかりと図っていきたいと考えております。

平岩委員 ありがとうございます。実際の就職率とか定着率を是非検証していただいて進めていただければと思います。

 次の質問です。

 今回の処遇改善では給与や手当の改善がメインですが、待遇面に関する課題も見過ごせません。特に、自衛官の産休や育休の取得率はほかの公務員と比べて際立って低く、年間休日数や産休や育休、また、その消化率、取得率も含めて処遇改善を図っていかなければならないと考えます。

 自衛官の産休や育休の取得状況についての現状認識と、今後の改善施策についてお聞かせください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 育児休業の取得率について、令和五年度の実績が公表されておりますけれども、防衛省の男性職員の取得率は二五・二%となっておりまして、前年度と比べ八%上昇しているところです。ただ、国家公務員全体の取得率は五二・一%でございますので、それと比べれば、上昇しているとはいえ、低い水準にあるというのは委員御指摘のとおりでございます。

 このため、防衛省といたしましては、更なる取得率向上につなげるべく、省内の幹部の会議を重ねまして、防衛省の育児休業取得率が国家公務員全体に比べて低いという今申し上げましたような状況を共有いたしまして、特に幹部職員の育児休業取得についての意識改革を徹底しているところでございます。

 加えまして、プライバシーに配慮する必要がございますけれども、職員の出生状況を確実に把握して、職員側からの申出を待つのではなくて、管理職自らが積極的に育児休業の取得を勧奨することを徹底するといったような取組を進めまして、特に管理職がこれまで以上に育休の取得に関与する取組を推進しているところです。

 こういった取組に加えまして、さらに、いろいろな教育を行っておりますので、上司もそうですが、職場の同僚がしっかりと同僚の状況を見て、育休を取りやすい環境醸成に努めております。

 制度的なものといたしましては、育児と仕事の両立ができるように、フレックスタイム制、短時間勤務、出産、育児に係る各種の特別休暇などの柔軟な働き方を可能とする体制を充実させているところでございます。

 引き続き、管理職を含めた全職員に対する意識啓発を積極的に行いながら、隊員が子供を持ちながら任務に精励できる環境の整備を推進してまいります。

平岩委員 少子化対策をしっかりしていかなくてはいけないという状況でもありますので、公務員たる自衛官も家庭を持って働ける環境を整備していただきたいと思います。

 次の質問に参ります。

 これも本会議で御質問させていただきましたが、緊急参集要員のオンコールについてです。

 オンコール状態というのは、基本的に自由に制限がかけられているので、これに対しても、民間との均衡を図るという観点から、自衛隊においても参集要員に対してオンコール中にも待機手当みたいなものを支払う制度をつくるべきと考えますが、この点はいかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、多くの自衛隊員が即応態勢を維持するために緊急参集要員として自宅等で待機しており、勤務時間外においても一定の制約を受けているという現状がございます。

 本日もこの委員会でも議論していただきまして、また、今回の法律案にも入ってございますけれども、そういったことも踏まえまして、営舎内などの特殊な生活環境下で集団生活を強いられる自衛官への給付金といたしまして指定場所生活調整金を新設いたしまして、採用から六年間、一年ごとに二十万円を支給することといたしました。

 関係閣僚会議で取りまとめられた基本方針におきましては、手当の拡充や自衛官の俸給表の改定を目指すこととしております。防衛省としては、このような緊急参集要員が特殊な状況に置かれていることも考慮し、勤務実態調査の結果や諸外国の状況を見ながら、ふさわしい給与の在り方について検討を進めているところです。

平岩委員 これについても、人材確保という点からも是非御検討をお願いしたいと思います。

 次に、有休消化や代休消化についてお聞きします。

 本会議の答弁で、艦艇乗組員の代休取得のために、艦艇が停泊中の一部の業務を民間企業へ委託していくための調査研究ということがありました。私も現場の声を聞いていく中で、イベント中の警備だったり、艦艇のペンキが剥げているところのタッチアップだったり、物資の搬入だったり、いろいろな作業があって、航海中にたまった代休を消化しづらいんだというような話を聞いたことがあります。

 そこで、実際にどのような業務を民間委託し、その結果としてどの程度の代休消化率の改善が見込まれるのか、防衛省の現時点での見通しをお聞かせください。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、艦艇乗組員は、出航回数や洋上滞在日数が増加する一方で、母港へ入港し、停泊している期間においても勤務の必要性があることから、代休が消化し切れないまま失効するといったような状況にございます。

 こうした状況を改善するため、昨年度、艦艇乗組員が停泊中に実施している業務の一部を民間委託できないかを検討するために調査研究を実施したところでございます。

 現在、この調査研究の結果を踏まえながら、必要な予算を計上すべく準備を行っているところでございまして、その中で、具体的な業務、どういったものを委託できるのかということも今まさに検討しているところでございますので、これを確実に進めまして代休の取得促進に取り組んで、艦艇乗組員の処遇の改善につなげていきたいと考えております。

平岩委員 まだ検討段階ということですが、是非、代休取得率をしっかり指標として見ていっていただければいいのかなと思います。

 ここまでるる質問をさせていただきましたが、これらの質問は、日当の算定基準や職能に比した手当、民間との均衡、取得率、消化率をお聞きしてまいりました。当然、政策には根拠が必要でありまして、これは安全保障についても全く変わりがないということでございます。

 今回、処遇改善という大きな枠組みの中で、給与、手当の増額や手当の新設等の様々な施策が打ち出されたことは、いわゆる現下の厳しい安全保障環境を見ると当然のことだと思います。

 しかしながら、これが隅々までしっかり仮説を立てて根拠を持って立案して、実行後にちゃんと検証して次の施策に生かしていくことが重要であって、そうでなければ、処遇改善自体が一過性のものに終わってしまうのではないか。やったけれども採用率は余り伸びなかった、もうやめておこうかみたいなことにならないとも限らないわけであります。

 最後の質問ですが、改めて本法案の根幹にある処遇改善についてお伺いします。

 今回の処遇改善に当たり、どのような定性的、定量的な目標を立てて、また、それをどのように検証していくのか、防衛省としてEBPMの観点からどのように政策の質を高めていくのか、最後に大臣の抱負、所見をお聞かせください。

中谷国務大臣 EBPMとは、証拠に基づく政策立案ということで、データ等のエビデンスに基づいて機動的に政策を立案、修正することでございます。

 この点につきまして、関係閣僚会議の基本方針に基づきまして、手当の新設、金額の引上げ、居住区内の環境改善、再就職のあっせんなど、生活設計の確立に向けた取組が進んでいるところでございますが、最近の部内の問題として、働き盛りの特に中堅の幕僚監部の幹部の方が突然退職する数が増えてきております。こういった中途退職の抑制とか、また、充足率、以前は一個中隊に百五十人いたんですけれども、今は百人程度に減ってきておりまして、こういう中でいかに任務を達成するかというような根幹の問題等にも遭遇いたしておりますので、こういった充足率の向上にいかに寄与していくかという観点につきましては、関係閣僚会議等において施策の検証を行いましてフォローアップをすることで、こういった人材確保の問題について検討、対応してまいりたいと考えております。

平岩委員 是非応援したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、私の質問を終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 お疲れさまでした。これにて平岩征樹君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十八日金曜日午後二時二十分理事会、午後二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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