第9号 令和7年4月18日(金曜日)
令和七年四月十八日(金曜日)午後二時四十九分開議
出席委員
委員長 遠藤 敬君
理事 岩田 和親君 理事 尾崎 正直君
理事 木原 稔君 理事 篠原 豪君
理事 升田世喜男君 理事 屋良 朝博君
理事 美延 映夫君 理事 橋本 幹彦君
江渡 聡徳君 金子 容三君
黄川田仁志君 草間 剛君
鈴木 英敬君 鈴木 隼人君
関 芳弘君 福田かおる君
向山 淳君 若山 慎司君
新垣 邦男君 五十嵐えり君
伊藤 俊輔君 下野 幸助君
藤岡たかお君 松尾 明弘君
池畑浩太朗君 平岩 征樹君
西園 勝秀君 山崎 正恭君
赤嶺 政賢君
…………………………………
防衛大臣 中谷 元君
防衛副大臣 本田 太郎君
防衛大臣政務官 金子 容三君
防衛大臣政務官 小林 一大君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 門前 浩司君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 清野 晃平君
政府参考人
(防衛省大臣官房長) 萬浪 学君
政府参考人
(防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 家護谷昌徳君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 大和 太郎君
政府参考人
(防衛省整備計画局長) 青柳 肇君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 青木 健至君
政府参考人
(防衛省統合幕僚監部総括官) 小野 功雄君
安全保障委員会専門員 飯野 伸夫君
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委員の異動
四月十八日
辞任 補欠選任
中曽根康隆君 若山 慎司君
重徳 和彦君 藤岡たかお君
同日
辞任 補欠選任
若山 慎司君 中曽根康隆君
藤岡たかお君 重徳 和彦君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
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○遠藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房内閣審議官門前浩司君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○遠藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。下野幸助君。
○下野委員 立憲民主党、三重二区の下野幸助です。
早速ですが、質問に入る前に、米国トランプ大統領の関税政策について、赤澤大臣が渡米されたことについて、少しお尋ねをしたいというふうに思います。
赤澤大臣とトランプ大統領の会談で、関税を安全保障の話に関連してきまして、今日の新聞各社にも出ておりましたけれども、在日米軍の駐留経費が議論の俎上に上がってきたと聞きましたが、このことに関しまして、中谷大臣のお受け止めについてお伺いいたしたいと思います。
○中谷国務大臣 昨日の関税協議につきましては、非常に率直かつ建設的な議論が行われて、次につながる協議が行われていると認識いたしております。
昨日の協議の内容、詳細につきましては、赤澤大臣から会見でお答えがあった以上に申し上げることはありませんし、外交上のやり取りでありますので、お答えはできないことを御理解ください。
今後、赤澤大臣が帰国をされて、報告を聞いた上で、それを踏まえて、防衛省としても、関係省庁と協力、連携の上、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○下野委員 ありがとうございます。
御帰国されてから、いろいろな情報交換とかがあると思います。聞くところによると、軍事コストアップとか、防衛装備品、防衛産業への負の影響があるかどうかというところもしっかりと注視を大臣にしていただきまして、そして、トランプ大統領も突然の会議参加ということで、やはり展開が速いものですから、そういったことで、日本側、そして防衛の関係の絡みも迅速な対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。
それでは、質問に入らせていただきたいというふうに思います。
まず一点目の、ACSAの国内実施法の共通規定化についてでございます。
ACSA、物品役務相互協定なんですが、この法案では、これまで締約相手国ごとに自衛隊法及び国際平和協力法に定めてきた規定を共通規定化することとしております。
二〇一七年、平成二十九年の豪州及び日英ACSAの国内実施法の審査の際、政府は、締約国ごとに別個の条文を規定する理由として三点ほど挙げられておりました。
やはり、物品役務提供の根拠規定、自衛隊法第百条の八及び第百条の十は、豪州、英国それぞれとの議論を踏まえ、それぞれの相手国軍隊ごとに自衛隊が物品、役務を提供し得る活動類型のメニューを規定したものであって、結果的に内容が同じになったにすぎず、そのような立法経緯を踏まえれば、それぞれ別個の独立した条文とすることは自然であるということ。
そして、仮に、今後、豪州又は日英間の議論により当該メニューに変更が生じた際、第百条の八、第百条の十とで内容に違いが生じる可能性もある。
そして、三点目に、規定の内容が全く同じとなる場合であったとしても、仮に一つの条文にまとめた場合には、一つの条文の中に施行部分と未施行部分が併存してしまう場合があるということで、別個の条文を規定するということでした。
一方で、政府は、本法律案において、締約国ごとの規定を共通規定化する際、これらの課題を克服されたのかどうか、検討、どのように結論を出したのでしょうかということをお伺いしたいというふうに思います。
○大和政府参考人 お答えいたします。
まず、日米ACSAについてでありますが、これについて、米国が日米安保条約に基づく対日防衛義務を負っているなどの理由から、適用対象となる活動の範囲がほかの国々とのACSAとは異なるため、今回の共通規定化の対象とはしておりません。
一方、米国以外の各国とのACSAにつきましては、日本とインドのACSAにおいて、提供される物品に弾薬は含まれていないことを唯一の例外として、これ以外の国内法の規定は全く同じ内容となっております。
こうした点を踏まえ、米国以外の各国とのACSAにつきましては、国内法の内容が定型化したと判断いたしまして、日印ACSAに関する例外規定を置いた上で共通規定化することといたしました。
この共通規定化には、従来のように相手国ごとに別個の条文を参照することなく、自衛隊法及びPKO法が規定するACSAに係る活動の範囲及び提供される物品、役務の類型を総覧できるようになる、また、潜在的なACSA締約国に対して、我が国とのACSAの締結に伴って我が国が実施する国内法上の措置について一定の示唆を与え、今後の新たな協定の交渉を円滑に進めることに資する、こういった意義があるものと考えているところであります。
○下野委員 一方で、先ほど局長が言われたとおり、日印のときはずっと個別で一部例外があるというような御説明でございました。
そもそも、二〇一七年と私が最初に言ったときは、これは、八年前のちょうど四月の二十一日に稲田朋美防衛大臣が、別個になる方が自然ではないかという考えであったんですが、それが今の答弁ではちょっと変わってきたということだろうというふうに認識しています。
私が申し上げたいのは、やはり例外のある締約国については、しっかりとその内容について記述をしていただいて、国民や相手国との混乱がないような法整備化をお願いしたいというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
二点目の質問に移らせていただきます。自衛隊員の確保についてです。
我が国の防衛力の中核であり、防衛力の強化には、必要な人材の確保と能力、士気の向上が不可欠です。民間の労働市場の改善や働き方に対する意識変化により、自衛隊員の中でも特に自衛官の採用環境は依然として厳しい状況が続いています。よく言われておりますけれども、昨年も二万人募集して一万人しか採用できないということもございますし、自衛官の定員割れが続いており、充足率は約九〇%というふうに大臣からも聞いております。
一方で、令和七年度予算においては、自衛官の処遇改善に対する経費に百六十七億円が計上され、その内訳といたしまして、給料面の処遇改善が五十億、士の確保等が九十一億、予備自衛官等の処遇改善が二十六億となっております。そのうち自衛官候補生の廃止等、法律改正が必要なものの一部については本改正案に盛り込まれておると思います。
そこで、ちょっとお尋ねいたしますが、法案改正で実施される各種手当等、引上げとかいろいろ予備自衛官の処遇改善を行いますが、これを行うことで、どの程度採用人数や充足率が向上していくのか、見通しについてお伺いいたします。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の安全保障環境が厳しさを増す中、防衛力の担い手である自衛官の人材確保は至上命題です。
関係閣僚会議の基本方針に基づきまして、三十を超える手当等の新設、金額の引上げや自衛官の処遇、生活、勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立に向け取り組んでいるところです。
また、自衛官候補生を廃止し、任期制士を当初から自衛官として採用することにより、初任給が一般曹候補生と同等になるため、採用面での不利な状態の要因の一つが解消され、応募者数が増加することを期待しております。
こうした取組によりまして、特に若年層に対して職業としての自衛官の魅力が向上し、採用市場における競争力が増し、採用に好影響があると期待しているところでございます。
今後、自衛官の採用などにいかに寄与しているかという観点から、関係閣僚会議において令和七年中に効果検証を行い、毎年フォローアップを行うこととしておりますが、この検証も踏まえつつ、基本方針で取りまとめた各施策の実効性を確保するとともに、人材確保に資する新たな施策についても不断に検討してまいります。
○下野委員 ありがとうございます。
是非、給料面を上げて、お金の部分は今回上げていただきますけれども、しっかりと今おっしゃられたとおりフォローアップをしていただいて、よく大臣も言われていると思うんです、給料を上げたからそのままそれが働き方の向上になるとは限らないとよく言われておりますので、そこの部分、今回、給料等の処遇はありますけれども、やはり士気の向上とかも大切だと思いますので、その部分も両輪でお願いしたいというふうに思います。
そして、充足率が低い観点から、ちょっと三点ほど質問させていただきたいと思います。
一つは、先日、我が党の新垣委員からもありました国籍についてでございます。
即応予備自衛官や予備自衛官になるためには、現在では日本国籍が必要というふうになっています。他方、世界的には軍隊への入隊を外国人に認めている国もあり、米国でも適法な外国人居住者の入隊を認めております。
まずは、即応予備自衛官と予備自衛官について、外国籍の予備自衛官は災害招集に限って招集する、あるいは、国民保護等、招集の際にはACSA等の協定を締結している同盟国、同志国の国籍の者に限って招集するなどの対応も考えられるというふうに思います。
予備自衛官の充足が低迷する中、この外国人に対しての採用を設けてはいかがでしょうかということを、中谷防衛大臣にお伺いしたいと思います。
もう一点、引き続き質問をさせていただきます。
先ほどの自衛官の定員割れに関連するんですが、一般の隊員の定年を二〇二八年度以降二歳程度引き上げるための検討を行うということになっているということなんですが、一方で、制度上は任期制自衛官の任期の更新回数及び上限年齢が定められてはいませんけれども、一任期及び二任期目の隊員が約八四%と大半を占めておりまして、五任期以上は僅か〇・三%となっています。ですので、一任期、二任期ぐらいでもう退職されている、継続ができなかったというような状況なんですが、継続任用が認められていないのはどのような場合なんでしょうか。これも併せてお伺いしたいと思います。
あと、三点目なんですが、防衛大学校の留学について質問させていただきたいと思います。
本改正案では、留学を命ぜられた防衛大学校の学生、留学中又は自衛官任用後に八年以内に辞めてしまうと留学の費用を国に返還しなければならないということになっておりますけれども、この八年以内の定義というのを教えていただきたいと思います。
なぜならば、一般公務員、防衛職員は五年以内で償還義務、あるいは防衛医科大学校は九年、看護学科は六年。なぜ防衛大学校は八年と、これはいろいろ基準が設けておられると思うんですが、ここら辺の考え方について、以上、済みません、三点質問させていただきました。
大臣、よろしくお願いします。
○中谷国務大臣 まず、予備自衛官につきましては、非常勤の国家公務員でありまして、自衛官となって国民の国防の任務に従事することが前提となっているものであることから、日本国籍を有することが必要であると考えております。公権力の行使に携わる公務員となるためには、やはり日本国籍を有することが必要であると理解しております。
爾後は局長からお願いします。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、継続任用の件でございますけれども、任期制自衛官は、任期満了に際し、本人が志願したときは、引き続き二年を任用期間として任用することができます。任期制自衛官の任期更新は、本人が任期の継続を志願した上で、志願者本人の健康状態、体力、職務遂行能力、服務の状況を総合的に勘案し、任務の遂行に支障がないと認められれば継続任用されます。士の充足率が年々低下している中、士の確保は喫緊の課題でございます。本人が志願する場合には可能な限り継続任用しております。
継続任用しない例としては、例えば健康上の理由があったり、服務上の義務違反、こういったようなものがあった場合には継続任用しないという事例があると承知しております。
また、任期制ではなくてずっと自衛隊で勤めたいという場合は、任期制から普通の曹になって定年まで勤めるというふうに移行する方も結構多いので、そういった意味で、五任期、六任期という人は事実上少なくなっているという事情がございます。
留学費の償還制度についてお尋ねがありましたが、この制度は、まさに国内では得られない知識や技能を習得して、普遍的価値と戦略的利益を共有する米国等との協力、連携を深めるという観点から、四年間留学させる、その留学の準備期間を含めまして五年二か月の教育期間というふうに考えておりまして、その五年二か月に対して八年間の償還期間を設けております。
一般職の国家公務員は通常二年から三年程度留学しますけれども、その二年から三年程度に対して五年間、防衛医科大学校は、医学は六年間に対して九年間の償還期間ということでございます。
それぞれ、およそ教育期間の一・五倍程度の償還期間を設けているということでございますので、この制度が五年二か月というものに対して八年間というのは、私どもとしてはそれは適切な期間ではないかというふうに考えております。
○下野委員 ありがとうございます。
最初の、大臣に答弁いただいた国籍の件ですけれども、日本人でも外国人でも日本に貢献したいという思いの方はいらっしゃると思いますので、だから、アメリカでもそうですけれども、是非、充足率が低下している中で検討していただければと。後にちょっともう一度お伺いしたいというふうに思います。
あと、それから、大学の償還の話は理解させていただきました。学ぶ期間と帰ってきてからの期間ということですね。ありがとうございました。
それでは、三点目の質問に入らせていただきたいというふうに思います。
南海トラフ巨大地震発生時の自衛隊の災害派遣体制についてということで、質問させていただきたいというふうに思います。
仮に、今、南海トラフ大地震が発生した場合、定員不足に陥っている自衛隊において、災害派遣を行うのに十分な人員は確保されているのでしょうか。
また、よく石破総理がおっしゃっていますけれども、地震のときに更に違う有事が同時多発的に生じた場合の想定なども行っているんでしょうか。大臣にお尋ねいたします。
○中谷国務大臣 南海トラフ地震への対応につきましては、統合作戦部隊の南海トラフ地震対処計画というものが作成されておりまして、防衛、警備等の事態に際し、対応し得る態勢を維持しつつ、最大約十一万人の態勢によりまして迅速かつ組織的に災害派遣を実施するということとしております。
自衛隊は、いかなる事態におきましても、この国を守るべく、防衛、警備、災害派遣のいずれについても全力を挙げて適切に対応してまいります。
○下野委員 ありがとうございます。
同時多発のときにも全力を尽くしてということで、御答弁いただきました。
関連をいたしまして、先日、ちょっと質問もさせていただきましたRAA、円滑化協定において、私、海外からの車両搬入の質問もさせていただいたんですが、これは震災絡みで質問なんですが、ACSAの共通化規定もしておりますし、七か国締結ということで、こういうACSA、RAAというのは、有事の際に、両国で救援していきましょうということなんですが、大規模、南海トラフの際に対してもこういったことを、諸外国との連携を加味されているのかどうかということを大臣にお尋ねしたいというふうに思います。
あともう一点、済みません、先ほどの外国籍の話です。
実は、私は三重県なんですが、百七十万人の三重県民がいて、約四%が外国人なんですね。そういったことで、災害復旧とかに、先ほど申し上げたとおり、即応予備自衛官とか予備自衛官の方々、外国籍の方にも加わっていただければ、ブラジル人、ベトナム人、こういった方を救援するときに言葉の問題とかもあろうかと思うんですが、こういったことでも国、日本に貢献できると思うんですが、その点につきまして、二点、中谷大臣に御質問させていただきます。
○中谷国務大臣 災害におけるRAAにつきまして、実際、東日本大震災においては、米軍だけではなくて、オーストラリア軍を含む複数の国の軍隊から物資輸送等の支援を受けております。
この円滑化協定の下で、個別具体的な協力の活動内容は、両締約国の法律の認める範囲内で、その都度、両国間で適切に判断をして相互に決定をするということになりますが、その上で、我が国の災害発生時において、円滑化協定の締結国であるオーストラリアやイギリスの軍隊が我が国に来訪して支援を行う場合に、自衛隊とそうした軍隊が共に行う活動に円滑化協定を適用することを我が国と相手国との間で決定した場合には、相手国軍隊の出入国等の手続また調整が簡素化され、より効果的、効率的な活動が可能になると考えられます。
今後とも、国内外で大規模災害の発生時に各国軍と連携して効果的に対応できますように、災害救援の分野においても、オーストラリアや英国を始め、各国との間で緊密に連携をしてまいりたいというふうに思います。
そして、外国籍の者を予備自衛官として採用すればという御質問でございますが、予備自衛官の中には、語学の中で英語、中国語、ポルトガル語など、幅広い語学の技能を保有する者が約五百五十名採用されております。東日本大震災においては、招集された予備自衛官が現地の通訳支援業務に従事しました。
このように、災害派遣活動に語学の技能を有する予備自衛官を活用することは外国人被災者の支援を行う上でも有益と考えておりまして、災害が発生した場合には、政府として自治体や災害ボランティアなどとも協力して外国人被災者への支援を行うこととなりますので、自衛隊といたしましては、予備自衛官を活用しながら、国民の生命と暮らしを守るために万全を期することができるように取り組んでまいりたいと考えております。
○下野委員 丁寧な御答弁、ありがとうございます。
三十年以内に八割以上の確率で東南海トラフ大地震が来るということでございますので、今大臣おっしゃられたとおり、オーストラリア、イギリスを始め、緊密に連携を取っていただいて、そして、いかなる場合も海外からの支援をいただけるように、よろしくお願いしたいというふうに思います。
それから、五百五十名、外国人の言葉の部分ですけれども、語学対応の予備自衛官がいらっしゃるということだったんですけれども、まだまだ足りないというふうに思うんですよね。三重県一つ取っても七万人程度の外国人がいらっしゃいますし、いろんな言語がありますので、そういった観点からも是非、日本に貢献していただける外国人もたくさんいらっしゃいますので、重ねてこの点はお願いさせていただきたいというふうに思います。
それでは、四点目の質問に入らせていただきたいと思います。
サイバー専門部隊員の確保と育成についてでございます。
この点についても中谷防衛大臣に二点お伺いしたいというふうに思います。
まずは、配付させていただきました資料を御覧いただきたいと思います。
体制の抜本的強化ということで、かいつまんで申し上げますと、丸がだんだん大きくなっていく、組織が大きくなっていきますよということで、濃い色がコアな要員ということで、現在、六年度末で二千四百十人、これを四千人に持っていくということでございます。
スペシャリストであるサイバー専門部隊員を四千人に持っていくということは大変重要であると同時に、組織を拡大していくということについて大変難しい、そして教育をどのようにしていくのかということが一点目の質問でございます。
もう一点は、今後AIの活用についても力を入れていくということも中谷大臣はおっしゃっていただいておりますけれども、人材確保の面についてお尋ねをしたいというふうに思います。
先日、警視庁がNECさんからサイバー警部というのを採用したということもありましたけれども、やはり専門のスペシャリストは高い給料とそれなりの役職をもって報いる必要があると思いますが、優秀な人材の確保についての、二点を大臣にお尋ねしたいと思います。
○中谷国務大臣 この二万人体制を整備することは大変重要で困難なことだと認識しておりますが、人材の採用については、まず地方協力本部を通じた隊員の募集、そして専門学校等における採用説明会、そして中央における経験者採用など、各種の取組を実施しております。
人材育成につきましては、陸海空自衛隊の学校における専門教育、また国内外の教育機関を活用しましたサイバー要員の育成を行っております。そして部隊の実務による研さん、企業研修、国内外の教育機関への留学などを通じまして、更に高いレベルの人材育成も行っております。また、様々な取組を通じて、サイバーの専門的知見を持つ外部人材の採用も行っております。
今後とも、採用、そして専門教育、部外人材の取り込みなど、更に充実させていきたいと考えております。
○下野委員 人材確保というのは大変難しいと思うんですよね。二万人、そしてコアの部分が四千人ということで、恐らく民間企業との連携等も必要かというふうに思いますので、積極的な採用の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。
五点目の質問はちょっとかいつまんで一点大臣にお尋ねをしたいんですが、自衛官の処遇改善のうち、俸給表の改定についてお尋ねしたいというふうに思うんです。
自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針で令和十年に行うとされておりますが、現時点におきまして、自衛官の俸給、お給料の今後の見通しについて大臣にお尋ねいたしたいと思います。
○中谷国務大臣 これにつきましては、自衛官の任務、勤務環境の特殊性に見合った給与とするため、勤務実態調査の結果や、公平性、公正性を確保するための部外の専門家の意見、これを踏まえまして、そして諸外国の状況も見ながら、令和十年度に自衛官の俸給表の改定を目指すということを行っております。
これを踏まえて、本年二月、防衛人事審議会に新たな部会、これは処遇・給与部会といいますけれども、これを設けまして、早速部外の専門家による検討体制を確立しまして、既に二回審議を行いました。
防衛力の新たな担い手である新隊員、また現場などで働く現役の自衛官、いずれも処遇も改善され、自衛官という職業が魅力的なものになるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○下野委員 しっかりとお願いしたいと思います。
先ほども申し上げましたけれども、お給料の面と士気を高める面と両輪で是非ともお願いをしたいというふうに思います。
最後に、自衛官の処遇、生活の改善の周知についてということでお尋ねしたいというふうに思うんですが、実は、いろいろ今回、処遇改善で、令和七年度にいろいろ変わっていますよね。いろいろ変わっているこの制度について、現場サイドで理解が浸透されていないという事実が私のところの事務所にもあったので、具体的に一つ申し上げたいと思うんですが、令和七年度から自衛官に対して行われた中で、新規採用の際に単身赴任手当というものがあります。これは実は、令和七年度から始まっているんですが、令和六年度以前の採用者であっても令和七年度から適用なんですよね。うなずいていらっしゃいますけれども、これが実は現場サイドで理解されていなくて、何でなんですかという質問が実はありました。
もう端的に言いますと、やはりいろいろな制度が今後変わっていく中で、現場の職員までしっかりと、隊員まで、落とし込むということをしっかりと大臣にお願いしたいんですが、最後に御答弁よろしくお願いしたいと思います。
○中谷国務大臣 まさにこのことは一般隊員、部隊レベルで理解されているということが大事でありますが、議員御指摘のように、一部の部隊が改正の内容を正しく理解していなかったということは自衛隊員の処遇の確保に影響を及ぼすものでありまして、いま一度、教育を実施するなどしまして、給与支給事務担当者等が給与制度を正しく理解するように再発防止に努めてまいります。
これまでも給与制度が改定された場合には、各自衛隊に対して、説明資料を作成して、例えばテレビ会議による教育を実施し、隊員が閲覧するポータルサイトに掲載をし、そしてメール、事務連絡などに資料の共有をするといった方法によりまして、各部隊の給与支給事務担当者等に対して正しい内容を周知していくということでございますが、こういった制度の改正によりまして、隊員が不利益を被ることが決してないように、しっかりと周知し、より丁寧に教育を行いまして、支給事務が滞りなく進むように努めてまいりたいと考えております。
○下野委員 これからも自衛隊員の皆さんを応援していますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○遠藤委員長 お疲れさまでございました。下野幸助君の質疑は終了いたしました。
次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
まず、法案について質問をいたします。
今回の法案には、陸上自衛隊補給統制本部の補給本部への改編が盛り込まれております。新設する補給本部長が全国の補給処長を一元的に指揮監督する体制をつくるものです。
防衛大臣に伺いますが、今回の改編によって具体的にどういうことが可能になるのでしょうか。前線に近い補給処に、人員や物資を集中させることも可能になるということですか。
○中谷国務大臣 補給に関しましては、これまで、方面隊の警備区域ごとに一定程度完結をして後方支援を行うということを前提に、各補給処についても、各警備区域における作戦の主宰者たる各方面総監が直接指揮監督を行いまして、補給統制本部が全国的な在庫量の適正管理という観点から統制を行うという体制といたしておりました。
しかし、状況が大きく変わりましたので、各種事態に応じて柔軟かつ機動的に対応できる体制を構築する観点から、防衛力整備計画において、第一五旅団を除く各師旅団は、所属する方面隊の警備区域内のみで活動することを前提とせずに、機動運用を基本とすることとされております。
これを受けまして、後方支援に係る体制につきましても、機動運用される部隊に適切に後方支援を行うために、補給処が所在する方面の警備区域、これをまたいで、より円滑な補給の実施、装備品等の整備を行うことが可能な体制を構築することといたしました。
今般、補給統制本部を補給本部に改編しまして、補給本部長が全国の各補給処を一元的に指揮監督できる体制を構築することといたしました。
この改編によりまして、補給本部長が、各部隊の需要、そして各補給処の在庫状況を一元的に把握して、陸上自衛隊全体として最適な後方支援を企画することが可能となるほか、補給処で業務に当たる隊員の練度を全国的に管理して、事態に応じて補給処に補給要員、また整備要員の運用、配置を柔軟に行うことが可能となるなど、自衛隊の後方支援体制を強化されるように変えていきたいと考えております。
○赤嶺委員 そうしますと、今、防衛省は、沖縄市にある陸上自衛隊の訓練場に新たな補給処支処を新設する計画も進めています。既に、与那国、宮古、石垣島には、自衛隊の駐屯地が開設され、弾薬庫や倉庫なども設置されています。
こうしたところに、事前に、あるいは事態発生時に、全国の補給処から人員や燃料、弾薬、食料などの物資を集中させることも可能になる、そういうことですか。
○青柳政府参考人 お答えいたします。
今まさに大臣からお答えいただいたように、今回、後方支援に係る体制の強化ということで、まさに機動運用される部隊に適切に後方支援を行うということですので、その機動運用される部隊が必要とするものを必要なときにしっかりと届けられるような体制にするということでございます。
○赤嶺委員 ですから、宮古や石垣や与那国などにも、事態発生前に補給処へ集めるということもできるわけですよね。
○青柳政府参考人 お答え申し上げます。
個々具体的な事例は、まさに様々な状況に応じますので、ここでは申し上げられませんけれども、まさに機動運用される部隊に適時適切に後方支援をするということで、その機動運用される部隊の必要に応じ適切に物品を届ける、装備を届けるということでございます。
○赤嶺委員 否定されないわけですが、台湾有事に備えた戦争準備を進めることは、私たちは絶対に認めることはできません。ましてや、住民の命と安全に関わる問題を秘密裏に進めるということなど到底許されないと思います。
一方で、こうした前線への戦争準備を進めながら、この戦争準備との関係で見過ごすことができないのは、陸上自衛隊の第一五旅団、これが、沖縄戦当時の旧日本軍第三二軍の牛島司令官の辞世の句をホームページに再掲載した問題であります。昨年六月に地元紙が報道し、旧軍の精神を受け継いでいるのではないかという批判の声が上がりました。一五旅団は、十月に一旦削除しましたが、戦後八十年を迎えた年明けの一月一日に再び掲載をしました。
防衛省に伺いますが、県民から批判の声が上がっていたにもかかわらず、なぜ再掲載することになったのか。事前に、陸上幕僚監部や防衛省本省に相談はあったんですか。
○萬浪政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねのホームページにつきましては、陸上自衛隊第一五旅団が作成しているものでございまして、昨年の十月から検討しておりまして、本年一月にリニューアルされたもの、先生御言及のとおりでございます。これにつきましては、同旅団の前身として沖縄県の本土復帰直後に沖縄に配備された臨時第一混成群を含め、これまでの部隊の歩みを正確かつ丁寧に説明することが、地元の皆様に第一五旅団を身近な存在と感じていただくためには不可欠と考えまして、かかる観点から、各部隊の新編などの節目ごとにおける部隊長の訓示等をホームページに掲載することとしたと承知してございます。
その中で、昭和四十七年の臨時第一混成群長による沖縄県本土復帰に伴う訓示もこのホームページに掲載しておりまして、この訓示には、当時作成されました部隊史、臨時第一混成群史によりますと、御指摘の牛島司令官の辞世の句が訓示に含まれているということになってございます。このため、当時のものをそのまま紹介するという趣旨で、御指摘の句も含まれた同部隊史の当該ページをそのまま直接引用して掲載しているところでございます。
なお、当該リニューアルの予定につきましては、事前に、陸上幕僚監部、陸上幕僚長及び当時の大臣官房長に報告されてございました。
以上です。
○赤嶺委員 事前に報告があったということです。
それに対して、本省としてどういう対応をしたんですか。そのまま認めたということですか。
○萬浪政府参考人 お答え申し上げます。
重なりますが、第一五旅団のホームページを作成しているのは一五旅団そのものでございますけれども、そちらの方で、地元の皆様に身近な存在だと感じていただくという趣旨でこういうようなリニューアルを行ったというふうに聞いてございます。
その上で、こうしたホームページの記載内容を含めまして、部隊の情報発信の在り方につきましては、日頃から地元の方々と身近に接して地域の実情に通じておる各部隊において、しかるべく判断し、対応すべきものというふうに考えておるところでございます。
○赤嶺委員 先ほどの答弁でも、本省のお墨つきの下で掲載されたということであります。
防衛大臣に伺いますが、当時の日本軍は、軍官民共生共死一体化、軍も官も民も、共に生き、共に死ぬ、一体化するという方針の下に、住民を戦争に動員し、捕虜になることを許さず、最後は自決することを強要しました。
牛島司令官は、摩文仁の丘で、米軍に包囲され、万策尽きた六月十八日、最後の命令を下しました。司令官自身が自決に追い込まれる状況にあっても、投降を許さず、最後まで戦い続けるよう指示するものでありました。鉄血勤皇隊に動員された少年たちは、斬り込み攻撃や北部の国頭に脱出して再起を図るよう迫られました。看護学徒隊に動員された少女たちも、戦場に放り出され、次々と命を落としていきました。
こうした下で、翌十九日、上級部隊への決別文に記したのが、辞世の句です。辞世の句の中身は、秋が来るのを待たずして戦場に散っていったとしても、皇国でよみがえる、だから最後まで戦えという辞世の句であります。
防衛大臣は、今月十日の安保委員会で、私の質問に、沖縄戦は、軍隊が住民を盾にし、共に移動することで住民の被害が大きくなったが、今回は、武力攻撃に先立って住民に安全なところに避難してもらうと強調しておりました。
自衛隊が旧軍とは違うというのであれば、この辞世の句を再掲載するようなことを認めてはならないと思います。大臣の責任で削除を指示すべきだと思いますが、いかがですか。
○中谷国務大臣 沖縄戦におきましては、私も防衛大臣として県民の追悼式に参列をさせていただいておりますけれども、やはり、さきの大戦の末期、県民を巻き込んだ凄惨な地上戦が行われて、軍民合わせて二十万人という貴い命が失われた。特に、本島の南部の地域においては、多くの住民の方々が犠牲になったものだと認識をいたしております。まさに沖縄の方々の筆舌に尽くし難い困難と、癒えることのない悲しみ、苦しみ、これは私自身も胸に刻みながらでありますが、日本全体の国民においても、こういったことをしっかり受け止めて、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないというふうに考えております。
この牛島司令官の評価、旧軍の評価につきましては様々な御意見があるということは承知いたしておりますけれども、そういうことを含めまして、このホームページにおきましては、地元の部隊の司令官が地元の皆様に非常に身近な部隊であるということを感じていただくために、これまでの過去の歴史や経緯を伝えるという意味において、訓示を含めて、ホームページに掲載することとしたものと承知いたしております。
いろいろとこれに対してお考え等もありますけれども、私は、この掲示によりまして、やはり、もう二度とあのようなことが起こらないように平和を願っているという意味の印象が強いのではないかなというふうに思っておりますので、こういった、日頃から地元の方々に、実情をしっかり通じて部隊のあるべき姿を問うているというふうに思います。
もう一点、それから、住民の避難と武力攻撃に対応するということをどう考えるかということにつきましては、これはまさに委員が在籍中に武力攻撃事態の法案を作成したときに、当初は武力攻撃事態に対応するという内容の法案でしかなかったんですね。ところが、そこを更に与野党で検討いたしまして、それに国民保護法という内容の法律も加えて、両方が有事法制ということにいたしておりますので、これは、そういった事態が起こったときに、両方のことを両立させてやっていくということを可能にしておりますので、両方対応することが大切ではないかなというふうに思っております。
○赤嶺委員 牛島司令官の沖縄戦における役割の評価は定まっていますよ。定まっていないと思っていますか。結局、三二軍の司令官として、沖縄県民を戦場に巻き込んで、そして、この辞世の句は平和を願っている歌と言いましたが、誰が読んでも、とにかく最後の一人まで戦え、自分の命が長らえることは考えるな、死んで皇国に尽くせという歌ですよ、これは。平和の歌じゃないですよ。しかも、評価は決まっていますよ。住民を犠牲にした、こんな戦争なんてないじゃないですか。
大臣もそのことをよく分かっておられる。それでも、この辞世の句は掲載をやめない、大臣、そうおっしゃるんですか。
○中谷国務大臣 一つの歴史の事実として、さきの大戦において、司令官も含めて戦ったわけでありますが、私が注目するのはこの最後の句で、御国の春によみがえらなんという句でありまして、そういうことを踏まえて、これから平和を願ってやっていかなければならない、そういうふうに受け取っております。
○赤嶺委員 それは違いますよ。今死んでも、必ず将来はこの皇国がよみがえることになるから、皇国のために死ねということですよ、これは。自分が長生きするんじゃなくて、皇国に尽くせということを司令官は言っているんですよ。何を言っているんですか、そんなの。それは、六月二十三日の慰霊祭に参加する資格さえないですよ、そんなことを大臣が答弁するのであれば。これは絶対に許されないと思います。
今大臣、いろいろ弁解もしました。大臣と何度もおつき合いしてきましたし、本音のところではそうではないんじゃないかと思っていますけれども、しかし、委員会で公然と、これは平和を願う歌。そして、住民は戦争に志願して行ったんじゃないですよ、巻き込まれたんですよ。日本兵によってスパイ扱いされ、ごうを追い出され、犠牲になっていった。こういう歴史の事実から照らしても、大臣の弁解は絶対に許せないと思います。
結局、いろいろ言いますけれども、防衛省自身が旧日本軍の精神を受け継いでいると言われても仕方がないと思います。そうではないと大臣がおっしゃるのであれば、指揮監督権は防衛大臣にあるわけですから、しかるべき対応を取るべきだということを強くこの場で申し上げておきたいと思います。
先ほど紹介した答弁で、防衛大臣は、武力攻撃に先立って、今回は、国民保護の法律もあるんだから、住民を避難させるということを言いました。しかし、相手の行動を全て予測し尽くすことはできないと思います。住民の避難が終わらないうちに実際に攻撃が始まった場合、どうするのか。島に住民が取り残される中にあっても、米軍や自衛隊は戦闘を開始することになっていきます。そうならないという保証はありますか。
○中谷国務大臣 一言、先ほどの牛島中将の歌碑についての感想でありますが、私は、やはり、さきの大戦において犠牲になった方々に心からの哀悼の意を表して、その教訓を生かして、これからの平和をしっかりと願うという歌に受け取っております。
そして、先ほどの御質問につきましては、やはり、有事に際しては、住民の生命財産をしっかり確保するために、我が国に対する武力攻撃に十分先立って、住民の迅速な避難を実現することが何よりも重要であるという政府の考え方でありまして、住民避難が完了する前に武力攻撃が発生したとしても、事態対処法の下で、国の対策本部が中心となって、住民避難を含めて必要な措置を的確に実施していくということになります。
この際、防衛省・自衛隊は、武力攻撃の早期排除、これが国民の生命財産を守ることにつながると考えて、武力攻撃を排除し、国民の被害を局限化をするという主たる任務を遂行するとともに、支障のない範囲で可能な限りの国民保護の措置を行うということにいたしております。
○赤嶺委員 さっきの牛島中将の理解は、余りにも身勝手、そして、県民が受けた犠牲について何の反省もない。再び戦争を起こさないということじゃないんですよ。もう牛島中将自身が自決せざるを得ないときに、私は自決するけれども、それでもみんなはこの皇国をよみがえらすために最後まで戦えと言っているんですよ、これは。そういう歌ですよ。軍官民共生共死の一体化と言っているんですよ。余りにも身勝手な歌の解釈だと思います。
国民保護についてもうちょっと述べたいんですが、防衛大臣は、三月十八日の会見で、自衛隊の地対艦ミサイルについて、移動しながら運用する装備だと述べています。なぜ移動する必要があるんですか。
○中谷国務大臣 陸上自衛隊の使命といたしましては、各種事態において、その態様に応じて、航空機、船舶、車両等、必要な場所に機動展開をして対処を行う。
ミサイル向上型を運用する部隊についても、事態の態様に応じて必要な場所に機動展開をし、我が国への侵攻を洋上で阻止、排除する任務に当たるということといたしております。
○赤嶺委員 結局、石垣島や宮古島や与那国島、多良間を含めて、島を移動しながら攻撃を続けるということになったら、島中が相手の攻撃にもさらされることになります。住民も巻き添えになるのではありませんか。いかがですか。
○中谷国務大臣 この一二式の地対艦誘導弾の能力向上型を運用する部隊の展開場所を含む詳細又は場所等につきましては、状況に応じてこれを判断する必要がありますので、事態の態様は千差万別でございます。
一概にお答えすることは困難でありますが、いずれにしても、あらゆる事態にしっかり対応できるように、事態の態様に応じて、適切な場所に機動展開をしてまいります。
○赤嶺委員 ですから、いろいろな事態が起こり得るわけですよ。いろいろな事態が起こり得るから、島中を移動して、一二式ミサイルで相手に撃ち込むわけですね。相手も反撃する。つまり、ミサイル部隊が動くところに反撃されるわけですから、島中が戦場になるわけですよね。そういう具合になったら、島が攻撃されるような事態になったら、補給路が断たれ、たちまち食料の調達もままならなくなっていきます。
部隊の食料が尽きたとき、極限状態に置かれた自衛隊員はどうするのか。結局、沖縄戦と同じように、住民に食料を差し出すように迫ることになるのではありませんか。
○中谷国務大臣 そのようなことにならないために、自衛隊というのは、日頃装備を、訓練し、あらゆる場所に展開するということを可能にしております。
これはなぜかというと、やはりそうすることによって、相手に撃たせない、又は抑止する、こういうことをもって現状を維持するという目的もございますので、その辺も是非御理解をいただきたいと思います。
○赤嶺委員 安保三文書には、抑止が破れる場合もあると書いてありますよね。抑止で一方的に抑え込むというんじゃなくて、相手の反撃によっては抑止が破られる場合もあると。
島が戦場になれば、住宅も、農地も、家畜も、商店も攻撃を受ける可能性があります。被害を受けた個人の財産は補償されるんですか。
○門前政府参考人 お答えいたします。
国民の被害に係る補償につきましては、法律上、明確な規定はありませんけれども、武力攻撃による国民の被害には様々な場合があり、個別具体的な判断が必要であることから、武力攻撃が終了した後、復興施策の在り方の一環として検討すべきものであり、その状況下で可能な検討がされることとなると認識しております。
○赤嶺委員 そんなばかげた答弁は通用しませんよ。沖縄戦で財産を失って、補償していますか。全く補償されていませんよ。沖縄戦でさえ、あるいは、あのアジア太平洋戦争でさえ、東京大空襲でさえ補償もしていないのに、今度来る有事の事態では補償することを、今は考えていませんけれども、これから考えますと言っても、誰も信用できるものではありません。
戦争は国民を犠牲にするものです。こういう体制はやめるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○遠藤委員長 お疲れさまでございました。赤嶺政賢君の質疑は終了いたしました。
これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○遠藤委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。松尾明弘君。
○松尾委員 立憲民主党を代表して、防衛省設置法等の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。
今法律案は、自衛官の待遇、自衛隊の組織改編、ACSAの国内実施法の共通規定化など様々な項目が盛り込まれ、防衛省設置法の改正、自衛隊法の改正、そして防衛省給与法の改正、国際平和協力法の改正を行ういわゆる束ね法案となっています。
安全保障環境の変化に応じて、自衛隊の任務の効率化のための組織改編や人材確保、人的基盤の強化に向けた制度整備を行うものであり、その目的は理解できます。しかし、緊張感が高まっているからこそ、様々な法案審議は慎重かつ丁寧に行われるべきであり、政策の統一性、条項の関連性といった観点からも、束ね法案とすることは相当ではなかったと指摘せざるを得ません。
また、自衛隊員の人員不足は依然として深刻な問題であり、今法律案による処遇改善施策にとどまらず、更なる努力が求められます。特に組織内のハラスメント問題の実態把握とその対策が不可欠です。さらには、集団的自衛権行使に起因する他国のための戦争や避けられるべきはずの衝突に起因する戦争で命を落とすリスクが高まれば、入隊志願や勤続の精神的ハードルは上がります。よって、自衛隊員の人材確保に向けた努力という観点からも、日本の戦争参加を回避するための外交努力が必要です。
ACSAの共通規定化により、同志国との連携が円滑、迅速に行えるようになることは評価できます。しかし、今後、新たな国との物品、役務提供が国会での法案審議を経ないこととなります。ACSAを新たにどの国と締結するか、その内容は日本の安全保障上重要な論点です。これらの決定に関して民主的コントロールの機会を減らすことは、国会軽視と言わざるを得ません。本法案成立後も、新たな国とACSAに署名する際には、政府が安全保障委員会に遅滞なく報告することで安全保障委員会における議論の場を確保することが必要です。
さらに、同志国との連携強化による緊張感の更なる高まりを緩和するために、周辺国とのコミュニケーションの質と量を高め、外交上の不断の努力を一層進めるべきです。
以上の課題点が残されていることを指摘して、私からの討論を終わります。
ありがとうございます。
○遠藤委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。
本法案は、安保三文書に基づき、日米軍事一体化と自衛隊の抜本的な態勢強化を進めるものであります。憲法九条を踏みにじり、地域の緊張と対立を拡大するものであり、断じて容認できません。
自衛官定数の変更は、イージスシステム搭載艦の導入や航空自衛隊宇宙作戦団の新編、自衛隊サイバー防衛隊と統合作戦司令部の体制強化などによるものです。アメリカが同盟国と一体で構築を進める統合防空ミサイル防衛、IAMDを具体化し、自衛隊を米軍指揮下に一層深く組み込むものです。
陸上自衛隊補給本部や海上自衛隊水上艦隊の新編は、南西諸島における島嶼防衛体制や艦隊の即応体制を強化し、台湾海峡や南シナ海、朝鮮半島などへの介入体制を強化するものです。
ACSAの関連法整備は、これまで個々の締約国ごとに整備してきた自衛隊法、国連PKO法の実施規定を共通規定化し、新たな協定締結に伴う法案提出を原則不要とするものです。国会審議を形骸化させ、国会の審議権、立法権を侵害するものであります。
最後に、自衛官の処遇改善は、安保三文書に基づく態勢強化を進めるためのものです。
政府は募集環境の厳しさを強調しますが、中途退職者で処遇を理由に挙げているのは全体の二%にすぎません。募集難の背景として指摘されているのは、ロシアのウクライナ侵略で武力行使が現実感を増していることや、自衛隊内でパワハラ、セクハラが蔓延していることです。こうした根本問題にこそ目を向けるべきです。
以上を指摘し、討論を終わります。
○遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○遠藤委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○遠藤委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、木原稔君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。五十嵐えりさん。
○五十嵐(え)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 今後、新たに物品役務相互提供協定が署名された際に、当該協定が自衛隊法第八十四条の五に規定する物品役務相互提供協定に含まれることが想定される場合には、防衛省は、遅滞なく本委員会に報告し、意見を求めること。
二 国会における審議の形骸化を防ぐため、複数の法改正を一本の法案として提出する形式は、内閣法制局の審査基準でも求められている「政策の統一性」、「条項の関連性」等が明らかに認められる場合に限ること。
三 本法による自衛官の処遇改善は、令和の時代に相応しい処遇確立の端緒に過ぎない。我が国防衛力の中核たる自衛官に見合った俸給表とするため抜本的に見直し、勤務環境を整え、勲章授与基準を拡充するなど、さらなる処遇改善に向け取り組むこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○遠藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中谷防衛大臣。
○中谷国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいります。
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○遠藤委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時散会