第9号 令和6年4月19日(金曜日)
令和六年四月十九日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 務台 俊介君
理事 畦元 将吾君 理事 伊藤 忠彦君
理事 小倉 將信君 理事 堀内 詔子君
理事 馬場 雄基君 理事 森田 俊和君
理事 奥下 剛光君 理事 鰐淵 洋子君
井上 信治君 井上 貴博君
石原 正敬君 稲田 朋美君
金子 容三君 菅家 一郎君
国定 勇人君 熊田 裕通君
笹川 博義君 西野 太亮君
宮澤 博行君 柳本 顕君
鷲尾英一郎君 大河原まさこ君
篠原 孝君 松木けんこう君
屋良 朝博君 山崎 誠君
渡辺 創君 杉本 和巳君
空本 誠喜君 林 佑美君
中川 康洋君
…………………………………
環境大臣 伊藤信太郎君
総務副大臣 馬場 成志君
農林水産副大臣 武村 展英君
経済産業副大臣 岩田 和親君
環境副大臣 八木 哲也君
厚生労働大臣政務官 塩崎 彰久君
国土交通大臣政務官 尾崎 正直君
環境大臣政務官 朝日健太郎君
環境大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 原嶋 清次君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 鈴木 清君
政府参考人
(農林水産省大臣官房参事官) 大島 英彦君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 長崎屋圭太君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(環境省大臣官房環境保健部長) 神ノ田昌博君
政府参考人
(環境省地球環境局長) 秦 康之君
政府参考人
(環境省水・大気環境局長) 土居健太郎君
政府参考人
(環境省自然環境局長) 白石 隆夫君
政府参考人
(環境省環境再生・資源循環局次長) 角倉 一郎君
政府参考人
(環境省総合環境政策統括官) 鑓水 洋君
環境委員会専門員 野崎 政栄君
―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
辞任 補欠選任
石原 正敬君 西野 太亮君
近藤 昭一君 渡辺 創君
屋良 朝博君 山崎 誠君
同日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 石原 正敬君
山崎 誠君 屋良 朝博君
渡辺 創君 近藤 昭一君
―――――――――――――
四月十八日
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)
環境の基本施策に関する件
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○務台委員長 これより会議を開きます。
環境の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官原嶋清次君、総務省大臣官房審議官鈴木清君、農林水産省大臣官房参事官大島英彦君、林野庁森林整備部長長崎屋圭太君、経済産業省大臣官房審議官田中一成君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄君、環境省大臣官房環境保健部長神ノ田昌博君、環境省地球環境局長秦康之君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、環境省自然環境局長白石隆夫君、環境省環境再生・資源循環局次長角倉一郎君、環境省総合環境政策統括官鑓水洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○務台委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。
○山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党、山崎誠でございます。本日も貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。
私、これまで浄化槽の管理の問題について累次取り上げてまいりました。本日も明確になってきました問題点について更に議論を進めさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
浄化槽の清掃率に関しての全国調査の結果、これは何度も取り上げておりますが、全国平均で六四%、年一回の清掃というのは管理者の義務ですから、この数字は余りにもやはり低い。伊藤大臣からも、目標は一〇〇%だということで御答弁もいただいているところでございます。
また、年一回の、こちらも義務になっていますけれども、浄化槽法十一条に定められている法定の検査、これも令和三年の実施率というのが四七・一%ということになっております。これも低い数字です。また、一般廃棄物の処理実施計画についても、これも法律で定めなければならないことになっておりますけれども、未定の自治体も多いということでございます。
この状況、さきの委員会等でも指摘をさせていただきました。その後どのような対応を取られているか、指導や助言などの実施状況について、できるだけ具体的に、大臣、お答えいただけないでしょうか。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
環境省では、浄化槽の清掃が浄化槽法に基づき適切に行われるよう、昨年の五月に通知を発出するなど、地方自治体に対して、浄化槽の維持管理の実施に向け、清掃を実施していない浄化槽管理者への指導を徹底するように周知を行ってきたところでございます。しかしながら、委員御指摘のように、昨年度の調査結果では、清掃実施率が全国平均で六四%であり、また市町村ごとにばらつきがあるということが明らかとなりました。
こうした調査結果等を踏まえて、環境省では、本年二月、有識者検討会を立ち上げたところでございます。本検討会の議論を通じて、浄化槽の維持管理が適切に行われるよう、課題の整理や対応策の検討を進め、その内容を踏まえて自治体への指導助言等の必要な対応を行ってまいりたいと思います。
また、今月十日には、昨年度の調査結果を踏まえ、都道府県に対して、維持管理の指導をより一層徹底するように通知を発出いたしました。あわせて、台帳の整備や協議会の活用等に先進的に取り組む自治体の事例集を公表いたしまして、横展開を図っております。今後も継続して、清掃の実施を含めた浄化槽の維持管理の徹底に向けて必要な対策を講じてまいりたいと思います。
また、一般廃棄物の処理計画についてでございますけれども、一般廃棄物の処理計画については、昨年十二月に市町村に対して実態調査を行った際に、計画を策定していない市町村において、一般廃棄物処理基本計画の策定の指針、またほかの市町村の計画を参考にしながら早急に計画を策定するように、文書によって指導してございます。
また、一般廃棄物処理計画を策定できていない主な理由の一つとして人手不足が考えられるわけでございまして、文書においては、政策的に関連の深い複数の計画と一体的に策定することや、複数の市区町村で共同して策定することも可能である旨を周知し、市区町村の負担軽減にも配慮したところでございます。
今後も、今回の実態調査の調査結果を受けて、一般廃棄物処理の計画を定めていない市区町村に対しても、都道府県と連携して早急に計画が策定されるように働きかけるとともに、都道府県を通じて定期的な策定状況の調査、フォローアップを行ってまいりたい。
ちょっと長くなって申し訳ありません。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
様々な対策を取っていただいていることが分かりました。是非続けていただいて、実効性のある浄化槽の管理につながるようにお願いをしたいと思います。
先ほど御説明の中にあった検討会、前回の質疑でも、この検討会で様々課題については検討してもらうんだということで、我々からいろいろ問題点も指摘させていただいて、それについてはこの検討会で議論されるものというふうに思っております。
この検討会もスタートしているわけでありますけれども、現状、簡単に要約していただいて、今後どういう見通しでこの検討会を進めていくのか。私は、検討も大事でありますけれども、スピード感を持って早く、様々な根本問題、やはり方向を出してもらいたいと思っておりますので、この検討会の様子を、簡単でいいです、御説明ください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
環境省では、本年二月に有識者検討会を立ち上げたところでございます。二月十五日に第一回検討会を開催いたしましたが、第一回におきましては、課題の整理や対応策の方向性等の検討を行いまして、第二回の検討会を三月十三日に開催いたしましたが、第二回におきましては、地方自治体から取組状況等のヒアリング及びヒアリングを踏まえた論点整理や対応策に関する議論を行ったところでございます。
この二回の検討会では、特定既存単独処理浄化槽に対する措置に係る環境省指針の見直しに向けた具体的な方向性や、維持管理向上のための浄化槽台帳の整備や維持管理情報の電子化等に係る障壁と対応策等が議論となったところでございます。
本年五月には第三回検討会を開催し、清掃、保守点検の事業者団体からヒアリングを行う予定としております。国会での御審議も踏まえ、また事業者の御意見もしっかりと伺いながら、浄化槽の維持管理の向上に向けて議論を進めることとしております。今後のスケジュールとしては、今年の夏を目途に、検討会の議論の取りまとめを行うことを予定しております。その内容を踏まえまして、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
是非、この際なんですが、今もお話がありましたけれども、単独処理浄化槽の問題だとか台帳整備の問題、これは大事な課題なのでありますけれども、そうしたことに矮小化することなく、浄化槽行政全般に課題があるということでこれまでも議論してまいりました、そうした広い視野で解決策を議論していただきたいと思います。
また、今御説明の中にもありました、ヒアリングを実施するということでありますけれども、机上の議論に終わることなく、清掃事業者など現場の声にしっかりと耳を傾けていただきたい、そして、是非、現場に出向き作業実態を把握するなど、力を入れてもらいたい、これは要望をさせていただきます。
そして、これは大臣にも是非考えていただきたいんですけれども、新しい論点かもしれません。
清掃率を上げようとしますと、清掃事業者の清掃能力だとか処理上の能力も併せて上げなければいけないんですよ。今、六割です。残り四割上げようとすると、全体が今七百五十万基あるので、三百万基を追加で清掃し、処理をしなければいけない、そういう計算になります。それだけの清掃業務を、三百万基ですからね、大変な数です、これを処理する清掃事業者の能力がそもそもこれから確保できるのか、あるいは、処理場、これが本当に、例えば、場合によっては設備の増強なども必要になってくると思います。
そういったことを視野に入れて、今後、この一〇〇%という目標に向かっていかなければいけないというふうに考えるんです。現状の処理能力の把握からスタートして、そしてそれをどうアップしていくか、そういう戦略を立てていかなければいけないと思います。これは政府参考人で構いません、どうお考えでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまいただきました御指摘も大変重要な論点であると、私どもとして受け止めております。
いただきました御指摘も踏まえまして検討会でよく議論させていただいて、今後、清掃実施率等を上げていく上でどういった条件整備を整えていくことが必要なのか、そうした観点も含めてしっかり議論してまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 大臣からも一言いただけますか。これは本当に、国を挙げて取り組まないといけない部分、特に処理場などはやはり行政の大事な機能でありますから、国がどうやって補強していくのか、増強していくのかという課題ですので。どうぞ。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
環境省としては、財政支援等によって、地方自治体が行う浄化槽台帳の整備を通じた維持管理の向上に努めるとともに、少人数高齢世帯の浄化槽管理者に対する維持管理費用の負担軽減も図っております。それだけではありませんけれども、今後とも清掃実施率向上に向けた支援を進めてまいりたいと思います。
また、今回の清掃実施率の調査結果や総務省の勧告を踏まえて、環境省では本年二月に、今ちょっと御説明がありましたけれども、有識者検討会を設置したところであり、この検討会の議論を通じて、浄化槽の清掃実施率の向上に向けての課題の整理、対応策の検討を進め、その内容を踏まえて必要な対応を、できれば予算も含めてしっかり進めてまいりたいと思います。
○山崎(誠)委員 先ほどお話ししたとおり、三百万基を追加で清掃して処理をしなければいけない、そういう目標なんだということをよくよく御理解をいただいて、今後の対応策を考えていただきたいと思います。
それから、今日は総務省さんに来ていただいています。
行政評価で、浄化槽行政に関する調査というのが行われております。まず、調査の目的、調査方法、そして調査の結果まで、端的にまとめてお答えいただけますでしょうか、どんな調査であったか。
○原嶋政府参考人 それでは、まとめてお答えさせていただきます。
まず最初に、調査の目的、調査方法につきましてでございます。
お尋ねの浄化槽行政に関する調査は、水質保全や悪臭等の防止に資するため、生活環境の保全に重大な支障が生じるおそれのある単独処理浄化槽に対する都道府県等の取組状況や浄化槽台帳の整備状況などを調査したものでございます。
調査対象とした都道府県等については、法定検査の結果、浄化槽本体が破損又は変形、漏水状態にあり、不適正と判断された単独処理浄化槽が多いこと、特定の地域に偏りが生じないことなどを考慮した上で、十二都道府県及び十二都道府県内に所在する市町村から保健所設置市などを二十二市町村、合わせて三十四の都道府県、市町村を選定したものでございます。
また、調査方法につきましては、三十四の都道府県等に対しまして、調査票による調査、都道府県等の担当者に対するヒアリングなどを行ったところでございます。
続きまして、調査の結果でございます。
調査した結果、都道府県等において、漏水状態が続いている単独処理浄化槽であっても、現在の特定既存単独処理浄化槽に係る国の判定指針では特定既存単独処理浄化槽に判定されない可能性があること、清掃業者や保守点検業者からの情報収集が低調であり、特定既存単独処理浄化槽と判定され得る単独処理浄化槽が十分に把握されていないこと、清掃業者や保守点検業者から紙媒体で情報収集を行っており、浄化槽の維持管理の実施向上に向けて浄化槽台帳が十分に活用されていないことなどの実態が見られました。
こうした調査結果を踏まえまして、環境省に対しまして、特定既存単独処理浄化槽に係る国の判定指針の見直し、清掃業者や保守点検業者からの情報収集の仕組みを機能させるための措置、浄化槽台帳の整備、活用、デジタル化の検討などを求めたところでございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
私、結果を読ませていただきましたけれども、極めて大事な現場の発見、気づきみたいなものが見られました。私、残念なのは、今回、調査はどうしてもこういう一定のテーマを設定するんだとは思いますけれども、単独処理浄化槽というものに焦点を当ててやはり検査が、調査が行われています。
総務副大臣にお越しいただいていますけれども、この結果などを踏まえて、例えば、今問題になっているのは、合併浄化槽なども含めて、全体の浄化槽行政という意味で様々な課題がある、先ほどもお話ししましたけれども、清掃率が六〇%ということで低いわけです、こういうことを考えると、総務省としても、今回の検査、調査を契機に、更にまた深掘りをしていくような、そんなお考えがないか、環境省とどういうやり取りをしていきたいか、副大臣の思いをお聞かせください。
○馬場副大臣 お答えします。
今回の調査では単独処理浄化槽を中心に実施いたしましたけれども、合併処理浄化槽を含めた浄化槽行政全体についても、清掃などの維持管理の実施率の向上につながるよう、浄化槽台帳の整備、活用やデジタル化の検討を進めるよう勧告を行っております。
今回の勧告を受けて、環境省では検討会を設置するなど、浄化槽行政全体について改善に向けた検討が開始されると承知しております。そのため、総務省としては、まずはこうした環境省の取組状況を注視してまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非、行政評価という、やはり独特な手法というかノウハウをお持ちですから、今後もそうした考え方を生かしてフォローをいただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。
ちょっと時間の関係で次に行きます。
浄化槽の台帳の整備についてお聞きをしたいと思います。
これまでも何度もこの台帳の重要性、台帳整備という必要性が上ってございます。実際に、この浄化槽の台帳、これも整備が法律で義務づけられている。誰がこれを整備する責任があるのでしょうか。そして、現在の整備状況というのはどういうふうに把握されていますか。参考人。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
浄化槽台帳の整備が義務づけられている団体でございますけれども、都道府県のほか、保健所設置市等、ほかにも、都道府県から権限を移譲されている市町村、そうしたところも浄化槽台帳の設置義務がかかる形になっております。
具体的には、保健所設置市等であれば百十でございますし、都道府県から権限移譲がされております市町村の数は三百七十六、市区町村でいきますと合計で四百八十六、こういう形になってございます。
現在の浄化槽台帳の整備状況でございますけれども、令和四年度末時点で四十の都府県で整備済みとなっております。残りの七道県でございますけれども、この七道県におきましては、台帳作成の権限を全て市町村に移譲しているか、若しくは今後権限を全て移譲する予定、こういう形になっておりますので、これら七道県においては台帳は整備をされていない状況となっております。
市町村の浄化槽台帳の整備状況については、現在調査中となっているところでございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
環境省の資料によると、浄化槽台帳というのはほぼほぼ整備ができているというようなレポートも目にしたのであります。
ただ、私は、大事なのはここからでありまして、じゃ、この浄化槽台帳が実際の浄化槽の何%をカバーしているか、このカバー率ですね。
というのは、台帳というのは、作ろうと思えば、例えば三百、そのエリアにあって、そのうちの百、台帳を作っても、台帳は台帳なんですよ。でも、その把握率というのは三分の一にしかなっていない。これじゃ台帳の意味がないですよね。清掃やいろいろな管理のための台帳ということであれば、やはり網羅性、ちゃんと一〇〇%に近くカバーしていないと意味がないですよ。
カバー率、どうですか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
浄化槽台帳の重要性、それはもう御指摘のとおりでございまして、本来、浄化槽台帳で、それぞれの地域内の浄化槽についてしっかり情報管理がされているということが大事であると私ども認識しております。
ただ、現実どうなっているかということにつきましては、ただいま御指摘いただきましたとおり、全てをカバーしている状況ではなく、実際どのくらいカバーできているかにつきましては、私ども、現在調査中でございまして、完全に把握し切れていない状況でございます。
総務省の勧告におきましても、浄化槽台帳をしっかり機能させるように、関係の事業者等からしっかり情報を得て台帳の内容を充実させるように、こういう御指摘もいただいておりますので、ただいまいただきました点も含めまして、検討会でしっかり議論させていただいて、浄化槽台帳をしっかり整備してまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 カバー率、まだまだだと思いますよ。
もう一つ、データというのは更新しなきゃ意味がないんですよ。だから、この更新のルールとか更新が定期的に行われる、そういうふうなことがちゃんと見えていないと台帳としては意味がありません。また、台帳があってそれで終わりではなくて、法定検査だとか保守点検とか清掃だとか、そのデータが台帳にひもづいて動いていかなければ台帳を作る意味がそもそもありません。
こうしたデータの連携というのは今図られているかどうか、どう把握されているか、これもお答えいただけますか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
まず、浄化槽台帳のデータの更新でございますけれども、浄化槽の清掃、保守点検の実施状況、この更新、情報の管理が行われている都道府県について、浄化槽台帳においてしっかり情報の管理ができているところは、少なくとも年一回以上のデータ更新は行われていると承知しております。
ただ、こうした清掃、保守点検の実施状況についてデータ管理がしっかり行われていない都道府県につきましては、台帳データの更新が十分に行われていない状況と私どもとしても認識をしております。
具体的な状況ですけれども、浄化槽台帳について、その都道府県内全ての市町村の維持管理情報が管理されている都道府県の数は、法定検査については三十一、保守点検については十九、清掃については十六にとどまっておりまして、浄化槽台帳におけるこれらの情報管理は十分ではないと私どもとしても受け止めております。
この点につきましても改善が必要であると考えておりまして、有識者検討会におきましても、関係団体等へのヒアリングを行いながら、こうした点、どうやって改善していくのかについてもしっかり議論を進めてまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 ここで本当は環境省さんに、これからどういう方向で、方針で整備を進めていくのかお聞きしたいんですけれども、多分、検討会でまだこれから議論する内容だと思いますので、なかなか今お答えを出していただくことは難しいんだろうということでございます。
ただ、正確な台帳を作ろうとすれば、現場の作業をしている皆さんの協力というのはやはり不可欠です。限られた行政の担当者だけでどう頑張っても、台帳の整備はなかなか進まないというのが私は実態だろうと思います。
それで、こうした管理が進んでいる岐阜県の話をお聞きしました。どうやっているか。業者の皆さんがそれぞれの担当割りがなされたエリアを回りまして、一軒一軒、保守点検だとか清掃の契約を取りながら、いいですか、一軒一軒契約を取りながら、契約をベースに台帳を整備しているんですよ。そのぐらい手をかけて整備をしないと、いい台帳は作れないということです。保守点検とか清掃だとか、そうした契約を取るときにちゃんと台帳に転記をしていく、台帳を作っていく、そういうプロセスです。だから、日々の作業と当然連動しますし、こうした作業をきちっとサポートするシステムができている、タブレットで現場で入力をすることができる、そういう仕組みをもうつくって実行している。だから、清掃率は極めて高い九八%なんですよ。
台帳の整備というのは、こういう作業が、現場の一つ一つ歩きながら積み上げていく努力がどうしても必要です。状況はどんどん変わって、廃止もあれば、新設もあれば、所有者が替わる、そういったことも踏まえて、生きた台帳を作っていかなきゃいけないということだと思います。是非、こうしたノウハウの詰まった成功事例を参照して、台帳整備を進めていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○伊藤国務大臣 委員から、具体的な成功例も含めて、非常に的確な御指摘をいただいたと思います。
確かに、台帳の整備が遅れている、そしてまた清掃率が低いという問題があります。まだ一部は紙の台帳が存在しているということもあります。浄化槽の清掃に関する情報管理がなかなかアップデートでしっかり行われていない都道府県も多く存在しております、御指摘のとおりでございます。
それで、総務省の勧告の中でも、清掃の実施率、これに向けた台帳の整備、活用等の対策について指摘も受けてございます。
委員の御指摘もあり、こういう状況もありますので、環境省としては、引き続き財政支援を通じた台帳整備の推進を図るとともに、有識者検討会での議論の結果も踏まえて、清掃実施率向上に向けた有効な情報収集、情報の管理、情報の電子化、これについても必要な対策を進めてまいりたい、そのように考えております。
○山崎(誠)委員 大臣、私が申し上げたいのは、やはり現場の積み上げなんですよ。幾らお金を配っても、幾らシステムを配っても、やはり現場でそれをきちっと使いこなして、こつこつこつこつ情報をつくっていく作業と連動させてそうしたことをやらないと生きた台帳にはならないんだ、そこを是非理解していただきたいと思います。なかなか環境省、やはり現場と距離感があるような気が私はするので、そこを是非埋めていただきたいと思います。
いつも議論していることなんですけれども、区域の定め。今もお話ししました、やはり台帳を作るにしても、区域がきちっと明確になって、業者の方々がそのエリアを歩いて初めて台帳ができ上がるんです。この区域の定めについて、これまでも何度も議論してきましたけれども、なかなか理解がされないようです。
私、環境省の皆さんが、何で区域を割ること、区域を指定することに消極的なのか。恐らくデメリットを感じていらっしゃると思うんですけれども、このデメリット、区域を割ることのデメリットをどうお感じですか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
メリット、デメリット等のお話がございました。具体的にどういったデメリット、メリットがあるかについては、これは地域によって様々であるかと思いますので、一概に申し上げることは困難であると思いますが、あえて申し上げると……(山崎(誠)委員「逃げないでよ、ちゃんと答えてよ」と呼ぶ)はい。あえて申し上げるとするとですけれども、これも必ずしも全ての地域に当てはまるものではないと思いますけれども、例えば、区域割りをして、一つの収集区域に一つの事業者となるように区域を定めた場合に、既存の事業者が既に複数存在している地域について、改めてそうした形で区域割りをするとした場合には、既存の事業者との調整の困難性、さらに、浄化槽管理者の立場からいたしますと、その区域の中に一つしか事業者さんがいらっしゃらないわけですので、他の事業者を選ぶ、そういう選択肢がなくなる、そうした点も挙げられるかと思っております。
ただ、いずれにしても、これは一般論で申し上げられることではないと思っておりますので、地域の実情に応じて御判断いただくべきことかと考えております。
○山崎(誠)委員 ここで、一つ提案ですよ。
区域を指定して、今もお話がありましたけれども、一区域に一業者というようなことを決めるとする、ある種の独占させるような体制をつくるとする。当然、今言ったように、いいかげんな仕事をしてもらうと、その住民の皆さんも困ります。当然ですけれども、例えば料金の規制をするとか、サービスの提供の義務だとか、就業、退出の規制をかけるとか、電気とかガスの事業はそのようにして独占を認めているわけですよ。地域を割っているわけです。
そうした規制を業者の皆さんが受け入れるということを条件にして、区割りを実施してはどうかと思うんですけれども、参考人、いかがですか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
区域割りに関しましては、この国会での御審議も含め、様々な御意見があると承知をしております。そうした御意見も含めまして、検討会でしっかりと議論をさせていただいた上で、今後の対応について考えてまいりたいと考えております。
○山崎(誠)委員 済みません。時間ですけれども、一点。
今の件、いいですか、規制をちゃんとかけた上で、業者の皆さんにしっかりとお任せをする、そういう区域割りの指定の仕方というのは、大臣、いかがですか、この方法について。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
浄化槽の管理は、一義的には自治体でやっていることでございます。ですから、自治体の最終的な判断になると思いますけれども、委員の御指摘もありますので、今回の有識者会議の議論の結果も踏まえて、どのような形にした方がいいか、的確に判断してまいりたいと思います。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
終わります。
○務台委員長 次に、大河原まさこ君。
○大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原まさこです。
本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。委員長を始め同僚議員の皆様の御理解と御配慮に感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。
本日は、プラスチック削減問題を取り上げたいと思います。
前回の質問で、一つ確認をしておきたいことがございます。有機フッ素化合物、PFASの問題について、もう一度大臣にお尋ねいたします。
岡山県吉備中央町では、再利用のための資材として保管されていた使用済活性炭がPFAS汚染の活性炭であったことが分かりました。この使用済活性炭は、保管の仕方に問題があったため、廃棄物とされ、検証も不十分のまま焼却処分されました。ここで問題なのは、PFASを吸着した使用済活性炭が再利用され、全国に広がった可能性があるということです。吉備中央町で起きたことをもっとしっかりと検証する必要があったのではないでしょうか。
PFASを吸着した活性炭は、全国各地で発生しています。環境省は、PFASを吸着した使用済活性炭が簡単に再利用されることのないよう、丁寧な助言をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
PFAS等を含む使用済みの活性炭については、今委員が御指摘なさったように、様々な懸念があると受け止めております。
環境省では、昨年七月に専門家会議において取りまとめた対応の方向性を踏まえ、PFASに関する対策技術を始め様々な科学的知見等を集約することとしております。
環境省としては、活性炭に関する様々な知見を充実させるために、その取扱いの実態について、今後速やかに関係者へのヒアリングを行うなど、国民の安全、安心のための取組を全力を挙げて進めてまいりたいと思います。
○大河原委員 それでは、プラスチック汚染問題についてお伺いします。着座にて失礼いたします。
二〇二二年の第五回国連総会で、二〇二四年中に国際プラスチック条約を作ることが採択されました。プラスチック条約は、国際的に法的拘束力を持つ条約になります。現在、ドラフト案に対して各国からの修正を盛り込むこととして、各国交渉、議論が重ねられていると聞いております。来週には、カナダのオタワで第四回政府間交渉が行われますが、日本がドラフト案に対して修正を求めた点についてお伺いいたします。
日本政府は、ドラフト案に対して、条約の目的に、二〇四〇年までの追加的汚染をゼロにする野心という文言を盛り込むべきであると主張されたと伺いました。この点について、分かりやすく御説明ください。
○土居政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、プラスチック汚染に関します条約策定に向けた政府間交渉委員会におきまして、我が国は、二〇四〇年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心を盛り込む提案をしておりまして、最新の条文案にも反映されているという状況でございます。
追加的なプラスチック汚染をゼロにするということは、基本的には、環境への新たな流出を防止するという趣旨でございまして、本政府間交渉委員会の設置を定めました国連環境総会決議のタイトル、プラスチック汚染を終わらせるとも整合しているというふうに考えております。
このような共通の野心を掲げることは、各国の取組の共同歩調を促す上で極めて重要だと考えておりまして、来週からカナダで開催されます第四回の政府間交渉委員会におきましても、各国の理解が得られるよう、積極的に交渉に参画していきたいというふうに考えております。
○大河原委員 更にお尋ねいたしますが、一次プラスチックの生産制限については、各国の事情を踏まえることを提案しています。
野心という言葉については、非常に達成することが難しいというニュアンスを感じてしまいますけれども、生産制限ということについては規制が更に難しいという意味を持たせているんでしょうか。一方では一律の規制をする、生産をする、もう一方では各国の事情を配慮するということですから、これは相矛盾している、そんなふうに受け止められます。
例えば、各国の事情というならば、日本の事情はどんなふうにお考えなんでしょうか。日本の事情はどんなふうなのか、お答えください。
○土居政府参考人 お答えいたします。
プラスチックにつきましては、途上国も含めました世界各国で様々な用途で使用されておりまして、その環境への流出につきましても、様々な形、経路で発生しているというふうに考えております。
我が国といたしましては、プラスチック汚染を終わらせるというためには、プラスチックの大量消費国及び排出国を含みますできるだけ多くの国が参加する実効的かつ進歩的な条約の策定を目指しているというところでございます。
そのためには、各国の事情を配慮しつつ、製造段階に限らず、流通、使用、廃棄、リサイクルに至るまで、プラスチックのライフサイクル全体で取り組む必要があるというふうに考えておりまして、こうしたアプローチが共通の野心の実現につながるものと考えております。
我が国の取組につきましては、先ほど申し上げましたように、流通、使用、廃棄、リサイクル、製造、各段階におきまして、様々な法律に基づいて努力が行われているということでございますので、収集、また廃棄、リサイクルの段階で多くのプラスチックが適正に処理されているというのが現状だと考えております。
○大河原委員 世界が一丸となって、プラスチックをなくすために努力をするわけです。そのためには一刻の猶予もならない。
日本の事情を今少し御説明いただきましたが、丈夫で軽くて安い、このプラスチックは本当に日本の暮らしの中に欠かせないものになってきました。そして、それが過剰生産をされているんじゃないかとさえ私は思いますし、だからこそ、身の回りにあふれて、そして手軽に使えて、気軽に捨てられる、これが汚染というところで、人の体にまで影響を及ぼす、そういう深刻な問題になっていると私は認識しております。
さて、様々な環境問題に対応するために、政府は、二〇一九年五月にプラスチック資源循環戦略を策定して、リデュース、リユース、リサイクルの3Rプラスリニューアブルの原則と、六つの野心的なマイルストーン、方向性を決めました。そのマイルストーンの一つ、つまり一里塚が、二〇三〇年までに、ワンウェープラスチック、使い捨てのプラスチックを累積で二五%排出抑制をするということになっているわけです。
現時点で、このマイルストーンの達成の状況はどのようになっていますでしょうか。教えてください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
ワンウェープラスチックの削減につきましては、プラスチックごみ問題に取り組む上で欠かせない対策となっており、ただいま御指摘いただきましたプラスチック資源循環戦略におきましては、二〇三〇年までに、容器包装等のワンウェープラスチックを累積で二五%排出抑制する、こういうマイルストーンを掲げております。
業界団体によりますと、このワンウェープラスチックの一つであるプラスチック容器包装については、二〇二二年度までの累計のリデュース率、削減率は一九・七%となっているところでございます。
○大河原委員 御答弁ありがとうございます。
本当に進捗状況をしっかりと把握をしていく、六つのマイルストーン全てを達成していくために、きっちりと進捗を見ていくということが大変重要だと私は思っております。それをしっかりチェックできるかどうかがその鍵なんです。
国際条約ができることに私も期待をかけますが、それを更に日本がリードしていけるような、まさに野心を持って、積極的に先進的な仕組みや実績を残せるように、環境省は、常に状況把握と後押しをしていく旗振り役をしっかりと果たす重要な役目なので、是非とも頑張っていただきたいと思います。
環境問題の中でも、プラスチックの削減は非常に重要な課題です。環境省は組織を再編してこれに臨んでいると聞いていますが、今年の四月に発足した容器包装・プラスチック資源循環室についてお尋ねします。
まず、その役割と体制についてお答えください。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
本年四月に発足いたしました環境省の容器包装・プラスチック資源循環室の体制、役割でございますけれども、まず、業務の担当といたしましては、これまでリサイクル推進室が担当しておりました容器包装リサイクル法とプラスチック資源循環法に関する施行に絡む業務を担当することとさせていただいております。こうしたプラスチックに特化する形で、私どもの人的リソースを投入をしてしっかり取組を前に進める、こういう体制を取っていきたいと考えております。
具体的な人員体制でございますけれども、併任職員も含めた体制でございますけれども、併任も含めて十九名となっておりまして、室長以下でしっかりとプラスチック問題に取り組んでまいりたいと考えております。
○大河原委員 二つの大きな法律を所管する重要な役割がありますし、ごみ問題、リサイクル問題、プラスチック削減問題は、非常に生活に密着した課題の細かな対応をしなければならないところでございますので、今後も、仕事量も増え、そして責任も更に重くなっていくというふうに考えますので、単なる看板のかけ替えではなく、体制強化を更に進めて頑張っていただきたいと思います。しっかり私も応援させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
プラスチック資源循環戦略は、いわばプラスチックをなくしていくためのロードマップだと考えます。3Rプラスリニューアブルを促進してサーキュラーエコノミー、循環経済への移行を加速するために制定されたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の第三十三条には、市町村は、分別収集物の再商品化計画を作り、分別収集を行うことができるとされていますが、この三十三条に基づいて分別収集を行っている市町村は現在幾つあるんでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
プラスチック資源循環法三十三条に基づく再商品化計画の認定を受けた地方公共団体の数は十四となっております。
なお、同じくプラスチック資源循環法の三十二条又は三十三条に基づき、製品プラスチックのリサイクルを実施している地方公共団体、こういう形になりますと、その数は約九十となっているところでございます。
○大河原委員 まだ百に近い数しかないということだと思いますが、少し自治体の動きはまだまだ遅いように思います。
なぜ三十三条に基づく処理方法を選択することが自治体にとって難しいのか、この点についてはいかがでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
私どもとしても、取り組んでいただいている自治体の数はまだまだ少ないと思っておりまして、是非これを後押ししていきたいと考えております。
そして、地方自治体においてまだ取組が少ない、こうした考えられる理由でございますけれども、製品プラスチックのリサイクルの実施に当たりましては、地方公共団体において分別収集方法等の検討や分別ルールの市民への周知など、こうしたものに準備が必要であり、どうしても時間がかかる、このため、検討、準備は進んでいるものの、まだプラスチック資源循環法に基づく計画認定の申請に至っていない場合があるものと考えております。また、分別収集、リサイクルに関するまた新しい取組を始めるわけでございますので、地方公共団体の費用負担も増える、こうした点が課題であると考えております。
こうした課題を踏まえまして、環境省におきましては、地方公共団体による製品プラスチックの分別収集、リサイクルに向けた調査や検討、実証への支援を行っているほか、地方公共団体が実施するプラスチック資源の分別収集、リサイクルに要する経費に対して、特別交付税措置が現在講じられているところでございます。
さらに、昨年八月から十月にかけて、全国の地方公共団体を対象として、地方ブロックごとにプラスチックの資源循環に関する事例説明会を開催し、実証事業の事例紹介のほか、再商品化計画の認定を受けて分別収集、リサイクルを行うメリット、例えば、選別等の中間処理工程の一体化が可能になること等についても御説明をさせていただいているところでございます。
こうした取組を行った結果、再商品化計画に関する地方公共団体からの環境省への問合せは増加している状況でございまして、興味を持っていただいている地方公共団体の数は今後も増えていくものと考えております。引き続き、これらの支援の実施や事例の横展開を図ることにより、地方公共団体による製品プラスチックのリサイクルを後押ししてまいりたいと考えております。
先ほど申し上げました総務省において講じられております特別交付税措置、こうしたことについてもしっかりと御紹介をさせていただいて、地方自治体の方の取組が少しでも前に進むように力を尽くしてまいりたいと考えております。
○大河原委員 本当に今るる御説明をいただきましたように、今まで容リ法に基づいてリサイクルシステムを実施してきた市町村が、新たにプラスチック資源循環促進法に基づいてシステムをつくり直すことは、市民参加を得る上でも大変意味深いものだと考えます。
しかし、実際にそのシステムをつくり直すということになりますと、やはり手間もコストもかかることも事実です。
交付税措置もしっかりとやっていただき、興味を持つ自治体が更に増えることを、循環室の仕事は、先ほど申し上げましたように、更に重く大変になると思いますが、これは達成感のある、やりがいのある仕事というふうに思いますし、実際にごみ処理問題は、自治体の中でも、大きな都市においても、更に先鋭な、画期的な事業となると思いますので、共に市民の理解と協力を大きく進めて、プラスチック削減をしっかりとやり遂げましょう。
少し話はずれますが、私の地元自治体、日野市、立川市、八王子市は、そろって、一人一日当たりのごみ排出量が全国平均を大きく下回っています。市民参加が重要だということを如実に示しているよい例だと私は思っております。
リサイクル回収をやめて焼却する自治体が増えてしまっているのは、プラスチック汚染をゼロにするという大きな目標からはどんどん遠ざかっているように思われてなりません。ですから、このような事態が拡大しないような施策を是非環境省が率先して考えてほしいと思います。
さて、次の質問に移ります。次は、拡大生産者責任、EPRについて伺います。
拡大生産者責任は、製品の廃棄やリサイクルの段階まで生産者や販売者が責任を負うという考え方ですが、EUでは、EPRの徹底はもちろんのこと、更に厳しい規制をかけていると聞いております。
EUのEPRがどのように規定されているのか、分かりやすく御説明願います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、一例でございますけれども、EUは、二〇一九年にシングルユースプラスチック規制を導入しております。この規制は、加盟国に対して、二〇二一年七月までにカトラリーやストローなどの使い捨てプラスチック製品の流通を禁止することを義務づけるものであります。
この規制では、使い捨てプラスチックの流通を禁止するに当たり、EU各国は拡大生産者責任の考え方を導入する、このようにされているところでございます。
具体的な措置としては、EU各国は、二〇二四年末までに食品容器包装や飲料ボトルなどの回収、処理費用等を製造事業者が負担する仕組みを整備することとされております。一例でございますが、こうした形で、EUにおいては拡大生産者責任の考え方が取り入れられているところでございます。
○大河原委員 今年のパリ・オリンピックも、そうした厳しい規制の中で行われるということで、注目をしたいと思います。
それでは、翻って、日本ではどのようにEPRは規定されているのか、御説明願います。
○伊藤国務大臣 御説明申し上げます。
委員が御指摘になりましたように、拡大生産者責任とは、自ら生産する製品等について、生産者が、資源の投入、製品の生産、使用の段階だけでなく、廃棄物等となった後まで一定の責任を負うという考え方でございます。
この考え方は、日本の循環型社会形成の基本的枠組みである循環型社会形成推進基本法に反映されてございます。現行の循環型社会形成基本計画にも記載されてございます。
例えば、循環型社会形成推進基本法では、製造事業者は、製品の製造段階や廃棄段階において、循環型社会形成のための責務や、適正な循環利用を促す措置を講じる責務、循環資源となった製品等を自ら循環利用を行う責務を有することとされてございます。
こうした考え方を踏まえる形で、我が国では、家電リサイクル法や自動車リサイクル法など個別のリサイクル法でも、製造事業者は一定の責務を有することとされております。リサイクル等が進められることは非常に重要だと考えております。
○大河原委員 大臣、御説明ありがとうございます。
作りっ放し、売りっ放しは許さない、拡大生産者責任は是非日本でも根づかせたいものだと思いますが、海洋プラスチック汚染を解決するためには本当にどうすべきか。事業者などの自主的な取組には限界があることは明らかです。
だからこそ、容器リサイクル法などにおけるEPRの規定を私は改正すべきだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。大臣、お願いします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
拡大生産者責任の考え方は、プラスチック資源循環においても極めて重要でございます。容器包装リサイクル法及びプラスチック資源循環法にも、その考え方を踏まえた規定を設けてございます。
まず、平成七年に制定された容器包装リサイクル法において、事業者は、容器包装廃棄物の排出抑制の責務を負うとともに、製造又は販売した容器包装のリサイクルを行う義務を負っております。
さらに、令和三年に制定されたプラスチック資源循環法において、製造事業者は、プラスチック使用製品の設計指針に即して製品の環境配慮設計を行うこと、また、自ら製造したプラスチック使用製品の自主回収、再資源化を率先して実施することが求められております。
こうした取組は、海洋へのプラスチック流出削減につながることから、引き続き、拡大生産者責任の考え方も踏まえて、プラスチック資源循環法に基づき、製造事業者の取組を促してまいりたいと考えております。
○大河原委員 本日は、プラスチック削減問題を取り上げましたが、最後に、マイクロプラスチックについて伺いたいと思います。
海洋汚染に、新たな大きな問題として、マイクロプラスチック問題があります。マイクロプラスチックには、プラスチックが波や紫外線などで細かく砕かれ五ミリ以下になったものや、元々マイクロサイズで製造されたプラスチックがあります。
私が今回特に問題にしたいのは、元々マイクロサイズで製造されたマイクロプラスチックです。柔軟仕上げ剤などの香り成分をカプセルに閉じ込めて香りを長もちさせるために使われ、化学物質だけでなく、プラスチックも大気中に放出、拡散されています。香りの害に苦しむ多くの市民が、マイクロカプセルの使用を中止するよう、長年活動されてきました。化学物質の香りにより健康被害を受けている方々は、香りを拡散するためにマイクロカプセルを使わないでほしいという主張をされておりますが、私は、これは至極もっともなことだと思います。
香りによる被害を増大させるマイクロカプセルは、使用制限、使用禁止にすべきです。しかし、環境省は、柔軟仕上げ剤などの使用自粛を呼びかけるにとどまっていて、マイクロプラスチックによる汚染は大変深刻です。海だけでなく、大気中に蔓延しているということは、呼吸によって体内に取り込まれ、血液に取り込まれて、全身に広がると考えられてもおります。
大気中のマイクロカプセルについて、是非実態把握をしてください。そして、健康リスクを解明することを環境省としてすべきだと強く主張させていただき、質問を終わります。
大臣、最後のお答えだけお願いします。
○土居政府参考人 お答えいたします。
マイクロプラスチックにつきましては、プラスチック汚染問題の一つであると認識しております。
このため、環境省におきましては、水生生物への影響を含めますリスク評価手法の検討を行うとともに、関連する研究支援を行っております。
また、代替素材の開発を始めといたしまして、日本の企業の先進的なマイクロプラスチック対策技術などを御紹介する、また、一般消費者向けの啓発リーフレットを作成するなどの取組を行っております。
こうした取組を進めるとともに、国内外の動向を踏まえつつ、関係者と協力しながら実効ある取組を進めてまいりたいと考えております。
○大河原委員 持ち時間が終わりました。
ありがとうございました。
○務台委員長 次に、篠原孝君。
○篠原(孝)委員 篠原でございます。
四十分間、質問させていただきます。
まず、環境大臣に、昨日大事な判決が出ました、水俣病についてですけれども。よく分からないんですけれども、三つ、みんなそれぞれ違う判決ですよね。しかし、昭和電工の責任は認めた。
僕は、数か月前に、原告団長の皆川さんとゆっくり話をしてきました。私の率直な感覚を言わせていただきますと、国が何でも責任というのは、分からなかったと思うんです。だから、こんなことを言うと原告の皆さんにお叱りを受けるかもしれませんけれども、圧倒的に悪いのは昭和電工だ。なぜかというと、水力発電でずっと上流にあったわけですね。そして、川に垂れ流しているわけです。本当に、千曲川と比べても全然短い河川なのにもかかわらず、水量が豊富で、魚が幾らでも捕れたわけです。それをみんな、肉なんてないです、水俣の方で魚を食べていたように、同じように食べている。
それで、妥当な判断で除斥期間二十年なんて、これはとぼけるなと。みんなは分かっているんだけれども、自分たちの子孫や近所の人たちに迷惑をかける、あの村は水俣病の患者だらけなんだ、そうなっちゃいけないから、みんな自制して訴えることができなかったんです。そういう社会のことをお分かりだと思います。だから、それをちゃんと裁判長は分かって、除斥期間なんてとんでもないとやったわけです。そのとおりだと思います。子供たちからも怒られているというんです、訴えた人が。自分は水俣病の水銀がまだ残っているかもしれない、分からないんですけれども、そういうことだから、救わなきゃいけないと。
三つそれぞれ、大阪は大勝利、熊本はひどい判決だと思います、全然認めなかった。今度は金額は多い。だけれども、金額の問題じゃないんです。お金の問題じゃなくて、お金の問題もあるけれども、ちゃんと責任を持って国なり企業なりが済みませんでしたと言うかどうかなんです。やはり国が前面に出なければならないと思いますけれども、判決が出たばっかしで、これからもまだ続きます。
しかし、和解の音頭を取って先頭に立たなければいけないのは政府だと思いますけれども、大臣、これについてどういう感触を持っておられますでしょうか。
○伊藤国務大臣 委員御指摘のとおり、新潟地方裁判所において、ノーモア・ミナマタ新潟訴訟の判決が言い渡され、被告国との関係では原告全員の請求が棄却されました。
ただし、国際的な科学的知見に基づかない理由等により原告を水俣病と認めていること等、判決の中には国の主張が認められていない部分もあるとは承知しております。
水俣病については、公害健康被害補償法に基づいてこれまで三千人が水俣病患者と認定され、また過去の二度の政治救済では、関係者の皆様が水俣病の問題の最終解決を目指して努力された結果、合わせて五万人以上が救済対象となってございます。
環境省としては、こうした水俣病問題の歴史と経緯を十分に踏まえつつ、引き続き、現行の公害健康被害補償法の丁寧な運用、医療、福祉の充実や地域再生、融和、振興などにしっかり取り組んでいくことが重要であるというふうに考えてございます。
○篠原(孝)委員 じゃ、次は、二つの問題について質問をさせていただきたいと思います。この二つとも援軍の質問ですよ、いつものとおりなんですが。
誠に済みませんけれども、これは林野庁が大きく関わります、花粉症対策ですね。もう一つは、SAF。皆さん、大体、SAFという言葉は聞かれたことがあるかと思いますけれども、バイオ燃料ですね。BDF、我々はバイオ・ディーゼル・フュエルと言っていましたけれども、何か途中から皆さんが、サステーナブル、この言葉は好きなので、サステーナブル・アビエーション・フュエルというふうに言い出して、SAFというふうに言っています。
これは、挙げて国土交通省の問題であり、経産省の問題なんですが、環境問題ということは、僕はいつも申し上げていますけれども、アンブレラ、傘の一番上にあるのが環境問題全体、環境省なんです。だから、ここでちょっとひさしをお借りさせていただきまして、農林水産省、まあ林野庁です、それから経済産業省、国土交通省、この皆さんに来ていただいて議論をさせていただきたいと思います。
まず、ちょっと時間がなくて尻切れトンボに終わったので、花粉症対策です。
私は幸いにして花粉症ではないと思いますけれども、よく皆さんに迷惑をおかけしていると思います。でかいくしゃみをするんですね。私の同僚はひどいことを言いまして、篠原さんは意図的にやっていると。どうしてというと、気に入らない人がしゃべっているときにでかいくしゃみをすると。そんなコントロールはできません。
だから、花粉症かと思っていたらそうじゃなくて、僕はにおいは駄目なんですが、本当に人よりもでかいくしゃみ、ちょっと我慢すればいいんですが、我慢すると気分が悪くなるので、済みませんけれども我慢せずにでかいくしゃみをしているんです。これもそうかもしれないんですけれどもね。
だけれども、統計によりますと、日本人の四割から五割が花粉症で悩んでいると。私の秘書なんてかわいそうですよ、目は潤んで涙が出てきて、この前も申し上げましたけれども。これは国民病で、だけれども命には関わらないから、がんとか高血圧とか心臓病とかそういうものと比べて研究が進んでいないんじゃないかと思うんです。
僕はこの前、都市部の人たちの方が排気ガスを吸っているから、だから、変なのが入ってきて、それでアレルギー体質になっていて、アレルギーでもって拒否反応を示す、田舎で生まれ育った方が花粉症になりにくいということを申し上げました。実際、僕の経験ではそうなんです、周りを見てもらうと。
しかし、あの後、雑誌の記事に面白いのがあったんです。田舎で生まれ育った方がかからないと。理由は、こんなことを言っちゃなんだけれども、小汚いところで、牛小屋があり、豚小屋があり、細菌、ほこりが飛んでいる、そういうところで育っているから免疫力が増しているんだ、そういうものに対して。都会は、何せきれい過ぎるところにいて免疫力がなくなっているんだと。
確かにそうなんです。東京で杉の木なんてありますか。まあ、イチョウの木や何かもみんなぶった切るというばかなことをやっている知事がいますけれどもね、けしからぬことに神宮外苑の森をなくすなんて。森がないわけです。
何でそんなにかかるか。飛散も、分からないんですけれども、数十キロ、百キロなんて飛んでいかないというんです、杉の花粉。東京の人たちもみんな花粉症にかかっている。
そうしたら、免疫力の問題で何か、もちろん杉の花粉が一つのきっかけにはなっているんでしょうけれども、元々、日本人の体が変なものでもってむしばまれていたり、きれい過ぎて、きれい過ぎてというのは、皆さん、御存じだと思います、瀬戸内海の環境保全法。余りきれいになり過ぎて、栄養分がなくなり過ぎて、いろいろなものが取れなくなったりする、そういうのがあるんですよ。余り人間がいじくり回しちゃいけないという証拠だと思います。
この研究、ちゃんとやっていないんですね。やっていただきたいと思うんです。厚生労働省はどのように考えているんでしょうか。
○塩崎大臣政務官 篠原委員の御質問にお答えします。
御案内のとおり、花粉症は有病率が高く、この症状による日常生活への影響が大きいことから、多くの国民を悩ませている社会問題であると認識をしております。
花粉症の発生や症状を悪化させる要因には様々なものがこれまでも指摘をされてきておりますが、厚労省においては、花粉症を含むアレルギー疾患に対して、免疫アレルギー疾患研究十か年戦略、こちらに基づきまして、免疫アレルギー疾患の本態解明を含む研究を推進しております。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、杉花粉以外の要因も念頭に、研究を推進してまいりたいと思っております。
○篠原(孝)委員 杉花粉ばっかし狙い撃ちして、簡単に言うと魔女狩りですよ。
うちの秘書の場合は、杉花粉じゃなくてブタクサだそうです。世界的には、ブタクサの花粉症で悩んでいる人の方が多いんだそうですね。だけれども、同じように、空気が汚れたり、きれいになり過ぎたりするのがある。
資料を見ていただきたいんです。杉花粉症関連の資料です。
何で杉花粉が狙われるかというと、しようがないと思うんです。見てください、この数字。杉人工林の面積の割合、国土の一〇%が杉の人工林で覆われている。こんな国は世界中どこにもないと思いますよ、一つの樹木で。多様性に欠け過ぎているんですね。LGBTQでもって多様性を認めなければいけない、いろいろな人間がいなくちゃいけない、国会議員もいろいろな人がいていいというのと同じですよ。女性議員も増やしてきている。森林面積の一八%、人工林の四四%ですよ。
皆さん、全然違和感を抱かない、山のところに杉が植わっている、長野の場合はカラマツが多いんですが、山というのはああいうものだと思われる人が多いと思います。世界の熱帯林、北欧だって行ってみた、人工林があんなふうにいっぱいあるところはないんですよ。皆さん、そういうところを見てこないんですかね。日本は異様なんです。
真面目過ぎる国民性がそういうことをしたわけです。戦後、はげ山になっちゃった。じゃ、植えろというので植えた。真面目だから、苗木は軽いですよ、てっぺんまで植えるわけです。でっかくなったときにどうやって切り出すかを考えたら、こんなところに植えたって、切って搬出するのにとてもじゃないが手間がかかってやってられないと分かるんですけれども、えっさえっさと、私のじいちゃんやばあちゃんや、ひいじいちゃんやひいばあちゃんが植えたんです。それがみんなでっかくなっている。
もう一つあって、薪炭林で、まき、それから炭でみんな料理をしていたのに、それがばっと、一九六〇年代から七〇年代、五〇年代の後半かな、なくなった。だから、薪炭林がみんな要らなくなっていった。それで、林種転換。雑木林、天然林から、役に立つ木にというのでぶわっと植えたんです。それが杉なんです。これがみんな伐採期に来ているんです。
じゃ、今、その下です、杉人工林の。五十年を超えると伐採期になるんです。だけれども、切れないんですね。切ったら、今申し上げました長野の山のてっぺんなんて、二束三文です。本当に安いんです。米の値段が下がって困っているわけですけれども、材木の値段の方がもっと下がっているんです。
日本の大失政の一つですけれどもね、全部外国から輸入してしまって。四分の一です、最盛期の。米は二分の一です。切れないんです。だから、ほったらかしになっている。これが、地震が起きたりしたら土砂崩れになるんです。もう切れるのが七〇%になっている、これを頭の中に入れてください。
それで、お答えいただきたいんですけれども、一緒にまとめて答えてくださいね。
杉が悪いからといって、悪いんだったらとっとと切ればいいのに、切らないでいる。切るに切れないんですよね、もうからないので。一生懸命やったんだけれども、遅れている。広葉樹の植え替えなんというのも、やったやったと言っていますけれども、ろくすっぽやっていないんですよ。その原因は何かというと、木材の価格が安過ぎる。
僕は、環境を守るために、輸入関税をかけて、そのお金でもって日本の緑を守るということにしたっていいと思うんです。ほかの国はそうし始めているんです。環境を理由に関税をかけて、日本の山の緑を守るためだと。急傾斜で伐採がしにくいんだったら、伐採できるように国が援助すればいいんです。
林野庁は、こういうことをしてきたんでしょうか、してこなかったんでしょうか。これからどうするのか、まとめて答えてください。
○武村副大臣 お答え申し上げます。
杉の伐採が進んでこなかったというお話でした。
これまで、森林所有者等により森林経営計画が策定されている森林におきましては、森林整備事業により植え替え等の支援がなされてきましたが、御指摘のように、条件が悪く、森林経営計画が策定されていない森林では、植え替えが進みにくい状況にございました。
このため、令和五年度補正予算におきましては、森林経営計画が策定されていない杉人工林を対象として、林業経営体が行う森林所有者への伐採、植え替えに向けた働きかけ等に必要な支援をしてきたところです。
今後、こうした措置を活用して、伐採、植え替えの加速化を推進してまいります。
○篠原(孝)委員 ちょっと答え足りないような気がしますけれどもね。今の三つの問題について答えていただいたんですかね。
もう伐採期に達しているんだから、みんな切ればいいし、効率を考えたら、この隣の木はまだ三十年ぐらいだ、だけれども、効率を考えたら、こっちは六十年たっている、こっちは三十年たっていても、一緒にもう切っちゃっていいんじゃないかと思うんです。そういう工夫をしてください。
そして、そんなことをいったって、細い木は切ったって売れないじゃないかというなら、政府が面倒を見ればいいんです。それで、後から申し上げますけれども、花粉症でうんと困っている人たちは、この花粉症を何とかしてくれるんだったら、そのぐらいのお金は俺が出したっていいという人はいっぱいいるはずです。
皆さんの中に、花粉症で困っている人はちょっと手を挙げてください、委員の方は。半分以上困っているわけですね。だから、深刻なはずなんです。僕は優しいから、全然困っていないんですけれどもみんなのためにこうやって質問しているんです。
本当に、気分が悪いはずで、花粉症がなくなったら非常に効率がよくなって、議員活動もできるし、工場で一生懸命働くこともできるし、研究者はいいアイデアで研究もできるんです。どれだけ日本国が損をしているか知れないんです。こういうのを経済学者は、数字をよく作ってくるんです。どうしてこういう計算をしないんですかね。
アメリカでは、太り過ぎがアメリカの経済を疲弊させているという研究をして、だから、PFCバランス、たんぱく質、炭水化物、脂肪、脂肪が多過ぎる、これを減らすようにとやっているわけですよ、経済のことを考えて。だから、日本もそういうことをやらないから、日本のいろいろな経済指標がみんなおっこちていまして、何だかんだごちゃごちゃ言っていますけれども、私は、大きな原因の一つが花粉症にあるんじゃないかと思っています。どうしてそういう研究をしないのかなと。能率がどれだけ下がっているか、生産性が向上しないというのは。僕は、冗談で言っているんじゃなくて、真面目に言っているんです。そういうことを考えない。だから、花粉症対策に全力を挙げて取り組んだって、罰は当たらないんです。
もう早速、岩手県と京都府で熊が出没している。熊問題をこの前やりました。林野庁に頑張ってほしいんです。農林水産副大臣に頑張っていただきたいんですけれども、こういうことがあるので、声を大にして叫んだらいいんですよ。山を何とかしろと。国民や都市住民も文句を言わないと思います。
杉の人工林を切って天然林に戻すと、じゃ、どういうメリットがあるのかというと、まず、熊の餌がちゃんと山の中であるようになるから、わざわざ外へ出てきて、人間などと接触するのは嫌がっているはずなんです。餌がないから出てくるんです。それは鹿もイノシシも同じですよ。食い物がなくなっているからです。みんな狂ったように人工林にして、杉にしちゃって、植物相が薄くなって、森林生態系がめちゃめちゃになっているんです。それを戻すんです。だから、鳥獣害に悩んでいる農民も喜ぶし、熊が出てきて困る人たちも喜ぶし、都会の花粉症に悩む人たちも喜ぶ。
それから、もう一つ大事なのは土砂災害ですよ。針葉樹というのは、ぱっぱぱっぱでかくなるけれども、緑が濃過ぎて下に日光が通らないから、下草がないんですね。下の小さなブッシュも、小さな木も生えないんです。だから、物すごく軟弱な基盤になって、大雨が降ったりしたら一斉に土砂崩れになるんです。
国土強靱化というと、コンクリートや何かでごちゃごちゃすることばっかし、そっちの方の予算ばっかしにいっていますけれども、違うんです、国土強靱化は、上流の森林の森を健全な森にすることからも始まるんです。一石何鳥ですか。一石四鳥か五鳥なんです。林野庁の予算とか農林水産省の予算は減らされっ放しなんです。情けないと思います。こんなのは、ほかのヨーロッパ先進国なら、イの一番の対策としてやっているはずなんです。
これは是非やっていただきたいんですけれども、副大臣、たっぷり時間がありますので、丁寧にお答えいただきたい、これからどうするか。
○武村副大臣 お答え申し上げます。
林種転換についてお尋ねがありました。森林・林業基本計画におきましては、多様で健全な森づくりを推進することとしておりまして、その際、地域の自然条件等に応じて、針葉樹だけでなく、針葉樹と広葉樹が交ざり合った針広混交の森づくりを進めることとしているところです。
このため、森林整備事業におきまして、針広混交林化、広葉樹林化を促進するための抜き切りや広葉樹植栽等への支援を行っているところです。さらには、森林譲与税を活用して、地域の実情に応じた多様な森づくりも可能になっているところです。
これらの取組は花粉症対策にも資すると考えておりまして、今後とも多様な森づくりを進めてまいります。
○篠原(孝)委員 じゃ、大臣の代わりに私がやるべきことを言いますと、頭を柔らかくしてください。米が千二百万トン、みんな百二十キロも食べていたのを六十キロしか食べない、だから、米の需要が減っている、人口も減っている。転作したんですね、米からほかのものに。私らは、農業者戸別所得補償というので、麦や大豆や菜種やソバに転換していくということをやったんですよね。これが十年続いたら、完全にうまくいっていたんです。
杉が多過ぎるので、杉からほかの林に転換するということですよ、ほかの林。杉を切って、ほかの木を育てる。森林における転作であり、本作化。転作というと何か駄目な方ばっかしやるから、そうじゃなくてポジティブに、天然林、自然林を復活させる、そういうふうにしていけばいいんですよ。
この資料の一番下の方になまくらな計画が出ているんですよね。二〇三三年に二割減少させる、三十年後に半減させる、二〇五三年ですね。毎年五万ヘクタール。何を言っているのか。もう三百八万ヘクタールも伐採期に達しているのに、切り切れないんですよね。それでほったらかしにしておくというんです。そんな情けないことがあるかというんです。外国から材木を輸入するんじゃなくて、日本の国産材を使えばいいということなんです。
それで、少しはそういう気になっているんですね。森林環境税、森林環境譲与税が今年から森林環境税になって、年間六百億円ほど集まることになっている。
しかし、これは一番最近の東京新聞だけが大きく報じましたけれども、大田区と渋谷区と台東区は全然一銭も使っていない、まだ森林環境譲与税ですけれども。調べた三十八の自治体では、新宿区なんかはインチキしていて、使わないのをもう四年やっているんですけれども、繰越金にしておいて、翌年、一般財源化している。裏金づくりが、裏金と言うとまた気にする人がいるからやめておきますけれども、マネーロンダリングですよね。
何てことですか。元々これは、何でこんなことになっているかといったら、悪いにおいは元からですが、森林もないところに何でそんな人口比なんて入れるか。私有林人工林面積、林業就業人口、そこに人口なんか、だから横浜市が一番多いんですよ。そんなとぼけた制度を平然とつくって、やっと五%、人口の割合を減らしましたけれども、使い切れていないんですよ。
今あるのでしようがないんだけれども、これを、花粉症に悩む人たちにも役立つので、田舎に持っていく、総務省はそれを考えていいと思うんです。まずはそんな人口比なんてやめるべきだと思いますけれども、今、スタートしちゃったのでしようがないので、まあ、先行しているところは先行しているんです。
昨日聞いたところでは、田舎の市町村と協定を結んで、そちらの森林保全をしてくださいよと。そんなことを市町村にやらせるなというんだ。東京都二十三区は人もいっぱいいるからいいですよ、田舎の村なんて職員が何人いると思うんですか。そんな人たちは、そんなことをやってられませんよ。
総務省がきちんと元から直せばいいんですけれども、直せなかったら、そういうことを率先してやれと言ったら、真面目ですから飛びついてやりますよ。田舎の市町村にお金が行くように、杉の切り出しにくい人工林を切り出すお金を出すと。みんな、東京都の区民も、何とか市の市民も、それに反対は絶対しないと思います。
総務省はどうお考えでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
森林環境譲与税は、法律に定められました森林の整備及びその促進に関する施策の範囲内におきまして、市町村の判断で幅広く事業を実施することが可能となってございます。
譲与税の活用につきましては、毎年の譲与額が想定される事業に比して小さい場合など、基金に積み立てて計画的に活用することも考えられるため、基金への積立て等は一定生じ得るものと考えております。
その上で、譲与税の活用事例といたしましては、既に、都市部と山間部の市町村とで連携をし、森林整備、木材利用の実施などに取り組む団体があると承知をしております。
総務省といたしましては、引き続き、林野庁と連携をし、取組事例集の作成や、優良事例の横展開などを通じまして、森林環境譲与税が一層有効に活用されますよう促してまいりたいと考えております。
○篠原(孝)委員 みんな真面目ですから、総務省がちゃんといい知恵を出せばみんな従いますから。
次に、二番目の話題、SAFについてです。時間がなくなりましたので、国土交通省、尾崎政務官にまとめて答えていただきたいと思います。
ICAOが、二〇三〇年までに航空機の全燃料の一〇%をSAFにする、それから、二〇二四年以降は二〇一九年のCO2排出量の八五%未満に抑えるという、物すごい意欲的な削減目標です。航空機は世界全体のCO2の排出の二%か三%ぐらいなんですけれども、襟を正してやると。
皆さん、覚えていると思います。グレタ・トゥンベリちゃんが、ちゃんなんて言っちゃいけないです、もう彼女は二十歳ぐらいになっていると思いますけれども、国連の総会に行くときにも、絶対飛行機では飛ばないと。フライトシェームという言葉、飛び恥ですよ、日本でも使っている。飛行機は一番ひどいことをしているんです、CO2を出すというのでは。だから、それを使わないと。忙しいビジネスマンや何かはしようがないと思いますけれども、彼女は、十六日間かけて、ソーラーパネルつきのヨットで大西洋を横断して国連総会に行っているんです。立派だと思います。日本は、こういうものに一体対応できるのか。
それから、ICAO、SAF、いろいろやってきているんですけれども、認証制度があります、こういうのをつくりましたよといったって、ちゃんと認められなくちゃいけない、そういうことが全然進んでいないんじゃないか。
それから、三つ目の問題ですけれども、フランスはもう義務づけているんです。立派ですよ、フランスは。地球環境問題に対して取組が一番しっかりしているのはフランスです。フランスの人はしっかりしていると思いますよ。私は、三年、OECD代表部というところにいたんですが、ほれぼれしちゃいました。いいかげんな国民かと思って、自由を謳歌し過ぎていると思ったけれども、全然違うんですね。
これについても、パリ協定をちゃんとつくったという自負があるのかもしれませんけれども、SAFの使用を二〇二〇年には二%にする、三〇年には五%、二〇五〇年には七〇%をバイオ燃料にするという、ウルトラ意欲的な目標を立てている。こういうことに日本は対応できているんでしょうか、そういう気持ちはあるんでしょうか。
最近、新聞で、皆さん、気がつかれていないと思いますが、JALとANAがSAFに取り組んでいくというのを、このぐらい小さな記事でありますよ。だから、いつものとおり、やっているふりをしているだけじゃなくて。できないんじゃないかと思います、相当性根を入れてやらなかったら。
この点について、国土交通省はどのように考えて取り組んでおられますでしょうか。
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
まず、ICAOの目標についてということであります。
二〇二二年に開催されました第四十一回ICAOの総会におきまして、二〇二四年以降のCO2排出量を二〇一九年の八五%以下に抑えるという目標が設定されたことは確かであります。我が国では、これに対しまして、SAFの導入促進に加えまして、管制の高度化による運航の改善、機材装備品等への環境新技術の導入の三つのアプローチによりまして、当該目標を達成することといたしております。
それぞれのテーマごとに官民協議会を立ち上げて、具体的取組の進捗管理を行っているところでもありまして、今後とも、関係省庁とも連携しながら、目標達成に向けた取組を推進してまいりたい、そのように考えております。
また、御指摘のように、フランスでは確かにSAFの使用義務づけなどの新たな取組が行われているところでございます。この点につきまして、我が国におきましても、このSAFの利用促進に向けて官民協議会を設けまして、いわゆる規制と利用に対する支援策、こちらをセットで対策を講じようと今行っているところでございまして、そういう中におきまして、二〇二二年十二月施行の改正航空法及び国の方針に基づきまして、航空会社は航空運送事業脱炭素化推進計画を策定することとしておりますけれども、この中で二〇三〇年のSAFの利用目標を設定することといたしております。
これを受けまして、本年一月にANAグループ及びJALグループが計画を策定しまして、両グループ共に二〇三〇年の燃料使用量の一〇%をSAFに置き換えるという、この設定をいたしているところです。
国土交通省としましては、この航空会社と連携をしながら、引き続き、航空分野の脱炭素化へ向けた取組を積極的に進めてまいりたいと考えております。
○篠原(孝)委員 武村副大臣、この二つの御本を読んだことがありますか。
知っていられると思います。滋賀県の藤井さんです。ずっと琵琶湖をきれいにというので、環境生協というのを初めてつくって、今、琵琶湖の観光船はこのバイオ・ディーゼル・フュエルで動いているはずなんです。
本を書かれています。それの目次、二ページ。二〇〇四年に、もう家庭の廃食油をバイオ燃料にやり始めているんです。一一年にも、同じように、「菜の花エコ事典」、これは緑と黄色の黄緑色にしてあるんです。菜の花サミットというのをずっとやっている。僕が現役の農林水産省の役人の頃から、藤井さんとは親しくつき合わせていただいています。もうやっているんですよ。彼女たちは今嘆いている。自分たちが石けんに、いろいろやってきたのを大企業がみんな持っていってしまうと。それはいいことなんですけれどもね。
だけれども、経産省から来ていただいて、時間がなくなっちゃうかもしれませんけれども、ジャトロファというのがベトナムにあって、バイオ燃料になるというのでいろいろやっています。それで、もうこれは実用化されている。こっちでは、ポンガミアというのはインドネシアの、豆みたいな木で、それがSAFの原料になるというのでやり始めていますけれども、僕は、やはりこれも国内でやるべきだと思います。
皆さん、もう余り菜種というのをちゃんと見たことがないかもしれませんけれども、よく言うんですよ、私が育った頃は、長野県の北の方は、春になると山麓は真っ黄色です、田んぼは、水田酪農を奨励していたので、レンゲの花でピンクです、青い空と白い雲、写生会というのが必ず開かれました。そこでいい情操が育てられて、僕みたいな人間ができるんだろうと思いますけれども。
今、黄色は消えちゃっているんですね。皆さん、旅行に行ったりすると、ちょっと五年ぐらいないんですけれども、ヨーロッパの空港に降り立つときに、下を見てください。飲んだくれてひっくり返っておられる方が多くて、見ていないのかもしれませんけれども、よく見れば、春は菜種で真っ黄色、夏はヒマワリで真っ黄色です。何なんですか、これは。油糧種子の燃料で、それが牛や豚の餌にもなる。資源化してみんな使っているんですよ。
これができるのに、日本は全部、カナダやアメリカの輸入菜種や輸入大豆の油に替えてしまって、こんな愚かな国はないんです。なぜ菜種をみんな使うかというと、六月に収穫できて、もう一回使える。耕地利用率が、二回使えるんです。それを、効率一点張りで全部なくしちゃったんです。さっきの自然林、天然林の復活ですけれども、菜種こそ復活すべきだと思います。
武村さん、いい人がいる、藤井さんもお年になって、菜の花サミット、二十回でもうやれないというんです、やめられているんですが、ずっと活動されていますけれども、立派な人がおられるんですから、ちゃんと助けてあげてください。大臣や副大臣の間に、菜種を、滋賀県から始めて復活していただきたいんですけれども、どうですか。
○武村副大臣 故郷の大先輩である藤井絢子さんのお取組を御紹介いただきました。私も、藤井絢子さんの思いを受け継いで取り組んでいきたいというふうに思います。
御指摘のとおり、菜種は、植物油の原料の多くを輸入に頼る中で、国内で生産をされている貴重な油糧作物です。農林水産省におきましては、担い手経営安定法に基づく畑作物の直接支払交付金、ゲタ対策によりまして、標準的な生産コストと標準的な販売収入の差額を数量払いで交付をするとともに、農業者等が行う機械、施設の導入や、新たな品種転換に対する取組等に支援を行っております。
今後とも、これらの施策によりまして、菜種の生産振興を図ってまいりたいと考えております。
○篠原(孝)委員 ちょっと時間がなくなりまして、経産省から来ていただいたんですけれども、ちょっと済みません、時間がなくなりましたので。
国交省に大問題です。
この資料の二ページ、へんちくりんな数字が出ています。これは何か分かりますね。エールフランスKLMが、列車で二時間半で行けるところの航空便を全部廃止しろと言ったんです。やっています。オルリー空港からの三便は廃止しています。ブリュッセルとパリのも減らしていますし、要するに、列車で行けというんですよ。簡単ですよ。グレタ・トゥンベリだけじゃないんです。飛行機が一番、よく数字が出てきますけれども、一キロ移動するのにどれだけCO2を排出しているか。飛行機が圧倒的に駄目なんです。
だから、日本もこれをやるべきだ。ちょっと小松空港を利用している人にはかわいそうなんですが、稲田さんなんか小松空港で行っているんですかね。福井空港というのもありますが、富山の。今度、新幹線が敦賀まで行きましたし、三時間で行けるのは、飛行機はやめろと。これだけ、大阪は大変ですよ、二時間四十五分で行く。伊丹空港は、六十便、三十往復。関空は十二往復。やめたっていいと思うんです。まして、リニア新幹線で、名古屋まで三十五分だ、四十五分で行くとかいって、大阪までもっと短く行きます。そうしたら、なおさら飛行機なんて要らなくなる。そうすべきだと思いますよ、国土交通省。全然そういうことをしていないんですよ。
EU諸国は、フランスなんか特に、都市に車を入れないんですよ、城壁都市だから。降りろと。産業用の必要なもの以外、乗用車みたいなものは入れないんです。通勤の車なんか絶対入れないんです。そういうふうにしているんです。
国土交通省ができたときに、総合的な交通政策をやるということで期待されたのに、それが全然行われていない。鉄道局と航空局と道路局とばらばらで、三つ要らないんだよ。だけれども、幸い、羽田―仙台、羽田―新潟はなくなっています。当然ですよ、新幹線で行けば十分なんだ。だけれども、もっとそれを拡大して、もうやめろと言うべきだと思うんですけれども、どうですか。
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
先生御指摘のとおり、フランスにおいては、地球温暖化対策の観点から、一部の近距離航空路線を鉄道輸送に転換する取組が行われているものと承知をいたしております。
我が国では、第一に、近距離であっても航空輸送に対する現実の利用者ニーズが相当程度あること、また、災害や輸送障害等のリスクを踏まえてリダンダンシーを確保しておくべきこと、SAFを始め航空業界において脱炭素化に向けた努力が進められていることなどの点を十分に考慮する必要があると考えておりまして、一律に航空機利用を控えるよう働きかけることは考えておりません。
御案内と思いますけれども、東京―大阪間でありますが、年間六百五十万人の方が航空機を利用しておられるというところもございます。約四分の一は航空機が使われているということでありまして、フランスのように一律な転換ということは難しいものと考えています。
ただ、いずれにしましても、交通分野においても地球温暖化対策を進めることは極めて重要であると認識しておりまして、海外の事例も勉強しながら、引き続き様々な対策を検討してまいらなければならない、そのように考えております。
また、その際、道路、鉄道、港湾、航空等、それぞれの特性に応じて役割分担をして、横断的な視点に立った総合交通体系を整備する、そういう意識で頑張ってまいりたいと考えております。
○篠原(孝)委員 総論はいいので、この続きは国土交通委員会でも差し替えでたっぷりさせていただこうと思っておりますので、以上で終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○務台委員長 次に、鰐淵洋子君。
○鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず、災害対策について質問させていただきます。災害廃棄物処理支援員制度について伺いたいと思います。
さきの能登半島地震を通しまして、災害廃棄物処理を経験した地方公共団体職員が被災地を支援するという災害廃棄物処理支援員制度、これが大変に重要な制度であると実感をいたしました。最近は、災害も激甚化、頻発化しておりますので、今後起こり得る災害時のことを考えますと、災害廃棄物処理支援員制度は大変に重要で、大きな役割をますます果たすと考えております。
まず、この災害廃棄物処理支援員制度について伺いたいと思います。
あわせまして、この度、能登半島地震における災害廃棄物処理支援員の活動状況について、実際にどのように派遣され、どのように活動されたのか、お伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
災害廃棄物処理支援員制度、いわゆる人材バンクにつきましては、災害廃棄物処理の経験、知見を有する地方自治体の職員を登録し、災害時に支援員として派遣を行い、被災自治体の災害廃棄物処理を支援する制度となっております。
令和三年一月から運用が開始され、令和六年三月末時点で二百九十名の方が支援員として登録されているところでございます。
能登半島地震におきましても、石川県及び富山県の被災自治体に計百四十二名の支援員等が派遣され、公費による解体に関するマネジメントを始め、災害廃棄物の処理について技術的な支援を行っていただいているところでございます。
引き続き、被災自治体のニーズを丁寧に聞き取り、支援員の派遣調整を行ってまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今回の能登半島地震でも活動していただいているということで、具体的に伺いました。改めて、この支援員の皆様の活動、また、今も被災地で自治体職員の皆様が懸命に活動してくださっております、心から敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。
その上で、こういった災害が起きたとき、先日も四国でも地震がございました、こういったときに、被災地域の自治体職員も、ほとんどというか、全ての方が初めてに近いと思いますので、経験者である支援員の方が助言してくださる、また調整をしてくださるということは大変にありがたく、心強いと思っております。
また、被災者の皆さんも、どのような支援があって、どのようなことができるのか、何をすればいいのか全く分からない状況で、自治体の皆さんにも問合せが来ると思いますので、是非とも自治体職員の皆様がしっかりと理解をしていただく、そして自治体の方もしっかりと体制を整えていただくといったことによりまして、被災者の皆様にも寄り添った、そしてスムーズに支援を結びつけていく、そういったことにつながると思いますので、是非ともこれから廃棄物処理支援員をしっかりと充実をさせていくことが重要ではないかと思っております。
ですので、災害大国であります我が国におきまして、いつどこで災害が起こるか分かりませんので、いざというときに、この支援員を平時から育成をしていく、また専門性を高めることが重要であると思っております。
この件につきまして、御見解や、また今後の取組をお伺いしたいと思います。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、平時から災害廃棄物処理支援員を育成していくことは大変重要であると考えております。
このため、環境省では、支援員の確保、育成に向けて、平時から、全国の自治体に対し災害廃棄物処理の経験、知見を有する職員の登録を依頼するとともに、登録された支援員に対する研修等を定期的に行っております。
また、昨年度からは、震災等の発災時に、支援員として登録されていない職員が支援員に補佐職員として同行し、被災自治体の支援を経験していただく取組も行っております。
先ほど私の方から、被災自治体に計百四十二名の支援員等が派遣されましたと能登半島地震について申し上げましたが、この支援員等と申し上げましたのは、この百四十二名のうち約六十名ぐらいの方が、実は支援員ではなくて補佐職員の方でございます。実際の経験のある方に経験のない方も随行していただいて、実際にその場で経験していただくことによって、次の支援員となっていただく候補として、人材として活躍していただけるような、そういう場を提供させていただいているところでございます。
こうした取組を積み重ねるとともに、今後、能登半島地震における取組状況も検証をさせていただき、支援員の拡充を含め、この人材バンク制度、支援員制度をしっかり拡充させ、更に発展させていきたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今、角倉次長からも具体的に御報告いただきました。しっかりと研修もしていただきながら、専門性も高めながら、人数の方もしっかりと充実をしていくということだと思います。引き続きしっかりと対応していただきたいと思います。
その中で、一つは、支援員の方も、本来の業務がある上でこういった研修を受けていただく、対応していただくということになると思いますので、過度な負担にならないように、ただ、しっかりと研修を受けていただくということで、その点もしっかりと配慮していただいて、進めていただきたいと思っております。
また、先ほども答弁の中でいただきました、今回の能登半島地震におきましても、三か月が過ぎまして、必要とされる人材も変わってきているかと思います。ですので、それぞれの地域のフェーズまたニーズをしっかりと把握していただいて、引き続き適切に派遣をしていただきたいと思いますので、最後に要望だけさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、熱中症対策について質問させていただきます。
昨年の通常国会におきまして気候変動適応法の法改正が行われまして、円滑な制度運用を進めていかなければなりません。先日の環境委員会におきましても、柳本委員からも、地方自治体で積極的に取り組んでいるような空気を感じない、そういった指摘もございました。本日、私の方からは、国民の皆様に対する取組について質問させていただきたいと思います。
まず、熱中症特別警戒アラート、これが四月の二十四日から環境省と気象庁による運用が始まると承知をしております。
先日、毎日新聞に、熱中症特別警戒アラートに関する記事が掲載をされておりました。その中で、タイガー魔法瓶が実施をした調査が紹介をされておりまして、熱中症特別警戒アラートについて知っているかと尋ねたそうであります。意味まで知っていると答えた方が四二・一%、それに対しまして、意味まで知らないが三八・四%、知らないと答えた方が一九・五%ということで、合わせますと、知らないと答えた方が五七・九%、約六割の方が知らない、そういった結果が出ておりました。この数字を見ましてからも、まだ御存じない方が多数いらっしゃるということもお分かりになるかと思います。
そこで、お伺いしたいと思いますが、熱中症特別警戒アラートについて、これまでは熱中症警戒アラート、特別がついていなかったんですが、これまでとの違いを含めまして、分かりやすく御説明をお願いしたいと思います。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
国内の熱中症による死亡者数は増加傾向にありまして、近年では、五年移動平均で見ると年間千人を超える高い水準となっております。また、極端な高温が発生した諸外国では、熱中症による救急搬送者数が急激に増加をいたしまして、救急医療が逼迫、結果的に多くの方が亡くなるというような甚大な健康被害が発生しております。
熱中症対策では、水分補給やエアコン利用等の熱中症予防行動を自主的に取っていただく自助が基本であり、環境省では、気象庁と共同して、令和三年度から熱中症警戒アラートを全国運用し、自主的な熱中症予防行動を促してきたところであります。
しかしながら、極端な高温が発生するような場合においては、周囲の方々が相互に助け合う共助や、公的な対応としての公助などを組み合わせて、熱中症の発生をより積極的に抑えていく必要がございます。
このため、今般の改正気候変動適応法では、熱中症警戒アラートを熱中症警戒情報として法律に位置づけるとともに、極端な高温が発生する場合に備え、一段上の熱中症特別警戒情報を創設することで、共助や公助を積極的に実践するための体制を構築したところであります。
また、運用面では、熱中症警戒情報は、従前の熱中症警戒アラートの運用を踏襲するのに対し、熱中症特別警戒情報は、前日十四時に都道府県単位で発表すること、県内全ての地点で暑さ指数が三十五以上となることが予測される場合などに発表すること、発表時には指定暑熱避難施設が開放されることなどの運用上の違いがございます。
なお、先ほど御指摘があったとおり、熱中症警戒情報、熱中症特別警戒情報のいずれにつきましても、本年度はゴールデンウィーク前の四月二十四日から運用を開始する予定となっております。
○鰐淵委員 詳しく、大変にありがとうございました。
今の御説明の中にもありましたが、より深刻、極端な、健康被害が生じる場合に発出されるものだと思いますけれども、実際にこれが発令される場合に、国民の皆様にどのように伝達されるのかを確認させていただきたいと思います。
先ほど時間のことも御説明いただきましたけれども、スピード感も大事ですし、また、子供から高齢者まで全ての方に正確に伝わることも大事だと思いますので、どのように国民の皆様に伝達されるのかを確認したいと思います。
その上で、この熱中症特別警戒アラートが出されたときに具体的にどのような行動を取ればいいのか、取るべき行動につきましても改めて国民の皆様にも知っていただきたいと思いますので、具体的に伺いたいと思います。
○神ノ田政府参考人 お答えいたします。
熱中症特別警戒情報の伝達経路としては、主に、都道府県、市町村経由、報道機関経由、関係府省庁や関連団体経由、ホームページ、SNS経由の四つの経路を想定しております。
また、熱中症特別警戒情報が発表された場合の具体的な行動としては、一般の地域住民の皆様に対しては、熱中症警戒アラートの発表時と同様に、エアコン等を利用するなど、涼しい環境で過ごすこと、小まめな休憩や水分補給、塩分補給を行うことなどの熱中症予防行動の徹底を促すとともに、校長や経営者、イベント主催者等の管理する立場の方々には、熱中症対策が徹底できているかを確認をし、運動、外出、イベント等の中止や延期、変更を含めた判断をしていただくこと、また、地方公共団体には、指定暑熱避難施設を開放するとともに、熱中症対策普及団体などの協力を得て、見守り、声かけ活動を展開するなど、公的な支援の強化を求めていきたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今、具体的に国民の皆様の取るべき行動も含めて教えていただきまして、ありがとうございました。
また、ちょっと話は戻るんですが、この熱中症特別警戒情報は、極端な、健康被害が生じるようなときに出されるというものですので、頻繁に出されるものではないというふうに認識をしております。だからこそ、これが実際に出されたときに、先ほども申し上げたんですが、しっかりと伝達ができるのかどうか、日頃の訓練というか準備が大事だと思いますので、対応していただいていると思いますが、その点も留意していただいて対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
この点についてまた大臣に伺いたいと思いますが、先ほども申し上げました気候変動適応法が法改正をされまして、国民の命と健康を守るために熱中症対策は大変重要でありまして、具体的に、死亡者数も減らすということも大事な取組になってくるかと思います。
しっかりと円滑な制度運用を進めていくわけですけれども、その中で、まだまだ自治体の取組を後押しすることも重要でございますし、また、先ほども御紹介いただきましたが、実際に自分自身、また周りの方の命を守るためにどうすればいいのかということも、これも何度も何度も国民の皆様に周知することも大事だと思っております。
ですので、これをしっかりとやっていただきたいということと、もう一つは、これをいつから始めるかということなんです。
これも先ほど紹介した新聞記事の中にあったんですが、熱中症対策を始める時期を聞いたところ、六月と七月と答えた方が合計五九・九%、六割の方が六月、七月ぐらいから始める、そういった答えでございまして、四月からと答えた方が二%だったそうであります。
実際に、四月というのは、まだ体が暑さに慣れていないということもありますし、今年も既に夏日も記録しております。ですから、早い段階から具体的に準備をしていくことも重要だと思っております。
そういったことも含めまして、これから本格的な暑い夏を迎えるに当たりまして、国民の皆様の命と健康を守るための熱中症対策を、大臣の下、しっかりと進めていただきたいと思いますが、決意も含めてお伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、熱中症対策では、地域における取組が非常に重要でございます。このため、環境省では、熱中症特別警戒情報や指定暑熱避難施設、熱中症対策普及団体など新制度の普及、定着に向けて、地方公共団体の職員等に対する研修や先進事例の展開により、地域における取組をしっかり後押ししてまいりたいと思います。
また、この四月から、関係府省庁が一体となって、産業界や各種団体等とも連携しながら、熱中症予防強化キャンペーンを実施しております。環境省の熱中症予防情報サイトを通じた各種啓発資材、情報の提供や、エアコンの早期試運転の呼びかけを行ってもございます。こういったキャンペーンを通じて、国民へ熱中症予防行動を広く呼びかけてまいりたいと思います。
政府の熱中症対策実行計画では、二〇三〇年に熱中症による死亡者数の半減という高い目標を掲げてございます。これを達成するべく、環境省は、関係府省庁と連携を図りながら、熱中症から国民の命を守る対策を一層強化してまいりたい、そのように考えてございます。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
是非大臣のリーダーシップの下、しっかりと進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に入らせていただきますが、特定外来生物クビアカツヤカミキリについて質問させていただきたいと思います。
クビアカツヤカミキリにつきましては、環境委員会で森田委員も取り上げていらっしゃいました。また、我が党の石川参議院議員も参議院の予算委員会で取り上げさせていただいておりまして、私も大変に危機感を持っておりますので、今日、この時間をいただいて質問させていただきたいと思います。
本日、資料を配付させていただいておりますが、環境省の資料を基に、クビアカツヤカミキリについて御紹介もさせていただきたいと思っております。
まず、成虫は、この写真のとおりなんですが、首の部分が赤いということが特徴でございまして、原産地は中国、台湾となっております。クビアカツヤカミキリは、木の中でさなぎから成虫になりまして、五月から八月に木から出てくることになります。木から出てきますと、すぐに交尾をして、その後、飛び回って幹や枝の割れ目などに多数産卵をいたします。その数は、平均三百から四百、また、ある資料では五百から千個とも言われておりまして、多数の卵を産卵いたします。その後、ふ化した幼虫が、桜、梅、桃、スモモなどのバラ科の樹木の中に入り込みまして、二、三年かけて成長いたします。その間、木の内部を食い荒らして、やがてその樹木は衰弱して枯れてしまうということになっております。
お配りしております資料の二枚目なんですが、被害に遭った梅の木の写真をつけさせていただいております。
これは、三月に和歌山県かつらぎ町の梅農園の方のところに行ってまいりました。実際に被害に遭った梅の木なんですけれども、左側は被害に遭った梅の木の全体で、ちょうど真ん中あたりにちょっと黒いというか、影の部分があるかと思います、それを拡大したのが右の写真になっておりまして、中央部分に縦に深く掘ったように見える部分があるかと思いますが、これが幼虫が食い荒らした跡になっております。これだけを見ましても、生命力というか、強さを感じていただけるかと思いますが、幼虫がこのように木を食い荒らす、そういったものになっております。
クビアカツヤカミキリは、二〇一二年に国内で初めて発見をされてから各地で分布拡大をしておりまして、最近も首都圏や関西圏でニュース、報道もされておりますので、少しずつ認知はされてきていると思いますけれども、やはりこの問題をしっかりと今取り組んでいかなければ甚大な被害が広がるということで、私は大変に危機感を持っております。
例えば、奈良県の大和高田市では、桜の名所であります高田千本桜、市が初めて被害を確認したのが昨年の春なんですが、その時点で相当数の被害が出ており、詳しく調査をいたしましたところ、三割に当たる百本以上の桜が被害に遭っていることが分かりました。
また、そのほか、私が訪問しました和歌山県のかつらぎ町の梅農園では、昨年は九本、今年は五本ということで、対策を講じていても被害が出ているという状況でございます。実際に被害に遭った木は伐採することになるんですが、十三年間かけて梅の木を育てたのに伐採しなければいけないということで、大変に悔しい、残念な思いをされておりました。また、伐採すると二万円の補助金が出るんですけれども、それだけでは伐採の費用で終わってしまう、そういった課題も伺っております。
そこで、改めて、クビアカツヤカミキリの被害状況を今私の方からも御報告させていただきましたが、環境省と農水省に伺いたいと思いますが、この問題をどのように受け止めて、そしてこれまで国としてどのような対策を講じてきているのか、お伺いをしたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、クビアカツヤカミキリによりまして、梅や桜等のバラ科の樹木に対する被害が続いております。現在、十三都府県において確認をされております。農業被害も大きくなっておりますし、森林被害、生態系への影響も懸念されるところでございます。
環境省では、平成三十年に本種を外来生物法に基づく特定外来生物に指定して以降、本種の早期発見に必要な同定マニュアル、それからチラシの作成、配布による注意喚起を行ってまいりました。
加えて、令和五年度から、地方公共団体が実施する生態系等に係る被害防止対策への交付金による支援を進めておりまして、令和五年度は、本種に係る生態系被害防止に関する事業二十件に対し、必要な資金的支援を行っております。
それから、地方公共団体が実施する被害防止対策につきましては、特別交付税措置の対象になっているというところでございます。
○大島政府参考人 お答えいたします。
クビアカツヤカミキリは、近年、梅や桃等の果樹園でも被害が顕在化をしておりまして、国内の農業生産に大変甚大な影響をもたらしかねない深刻な害虫であるという認識をしているところでございます。
このため、農林水産省といたしましては、果樹を対象に、地域における発生状況の調査ですとか、あとは蔓延を防ぐための被害樹の伐採、そして、その後の焼却処理、農薬による防除、あるいは、羽化した成虫が飛ばないようにするため幹にネットを巻く、そういった防除対策等につきまして、消費・安全対策交付金により支援を行っているところでございます。また、園地の再生に向けまして、被害樹を伐採せざるを得なかった場合に、その改植費用等に対しても支援を行っているところでございます。
このほか、効果的な防除が実施できますように調査研究事業も進めてございまして、その成果につきましては、マニュアルに取りまとめた上で公表させていただいているところでございます。
引き続き、環境省さんや、そして関係都道府県等の関係機関、団体と連携をしながら、この虫の蔓延防止対策等をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
それぞれお取組を伺いましたけれども、それを受けて、各地方自治体、またそれぞれの現場でもお取組をしていただいております。
その上で、一つ御意見として、やはり有効的な取組とか事例を知りたい、そういった情報をしっかりと受け止めて自分たちもやりたいという要望もいただいておりまして、そういった横展開をすることも大事だと思っております。先ほど農水省の方からも幾つか御紹介があったんですが、こういった参考となるような代表的な取組を是非ちょっと教えていただきたいと思います。
○大島政府参考人 お答えいたします。
私どもが承知しております限りでは、独自の取組を実施している自治体が多数あるということは承知をしているところでございます。
具体的な事例として御紹介を申し上げますと、例えば、群馬県において、地域内で発生状況、発生地点が一目で分かるような形でのマッピングシステムをつくられて、それを活用されておられます。
また、和歌山県みなべ町の事例として、早期発見に資するように、発見していただいた方に対して懸賞金を出すというようなお取組もあるというふうに承知をしております。
また、栃木県の足利市さんにおいては、小学生のお子さん等も含めて虫を地域で探していただき、捕まえていただく、そして、そのことに対して特典も出すというような形で、市民ボランティアによる虫の駆除等についてもお取組を進めていらっしゃる。
このように早期発見を目的とした取組を中心に、各自治体で創意工夫を凝らした取組を進めていただいているところでございます。
委員御指摘のように、このような優良事例を横展開をしていくということは大変重要でございまして、農水省でも、関係自治体等に参画いただいております対策会議を開催してございますので、このような場も活用しながら、こういった優良事例の周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
今答弁の中にもありましたが、こういった有効的な優良事例をしっかりと取りまとめていただいて、現場にしっかりと伝わるように引き続き御対応をお願いしたいと思います。
その上で、この横展開というお話もさせていただきましたが、是非これも、各現場もそうですし、国におきましても、各自治体におきましても、しっかりと連携を取りながら進めていくことが大事だと思うんですが、その中で、どうしても縦割りが一つ課題かと思っております。
クビアカツヤカミキリの被害がどこで起きたか、それによって対応する省庁が変わってきます。例えば、農地ですと農水省になりますし、森林は林野庁、学校の桜だったら文科省、学校の中も小学校、中学、高校、大学も違いますし、また分かれます。また、神社仏閣は文化庁、国交省だけでも河川、道路、港湾、空港など、やはり部局も分かれます。
このように縦割りになっておりますので、横展開、横の連携が大事になってくると思うんですが、しっかりと温度差なく一丸となって取り組む上で、ここは是非とも環境省に中心となって頑張っていただきたいと思っております。
これまでの国の取組の中で、紹介はなかったと思うんですが、外来カミキリムシ類に関する関係省庁連絡会議を設置していただいて、開催していただいていると承知をしております。こういった会議も活用しながら、とにかくこれ以上被害を広げない。
その中で、関係機関の中で環境省がしっかり全責任を持つという自覚を持って中心的役割を果たしていただきたい、頑張っていただきたいと思いますが、御見解とお取組をお伺いしたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおりでございまして、環境省では、農林水産省及び林野庁と共催をしております外来カミキリムシ類に関する関係省庁連絡会議におきまして、各省の取組状況を共有しながら、都道府県の関係部局へも情報提供を行い、対策を促しているというところでございます。
令和五年度は六月に開催いたしました。今年度も、近日中に開催に向けて準備を進めております。
環境省といたしまして、連絡会議の場もより一層活用し、いろいろな省庁、確かに関係するところがございます、関係するあらゆる省庁と連携を密にしながら自治体の対策への支援を進めまして、クビアカツヤカミキリによる被害防止のために取り組んでまいります。
○鰐淵委員 ありがとうございました。
農園でしっかりと対策をしたとしても、例えば近くの公園だったり学校から飛んできたりとか、そういったことも考えられますので、これは本当に一丸となって取り組む必要があると思いますので、重ねて、環境省はしっかり自覚を持ってやっていただきたいということで要請させていただきます。
最後に、具体的に環境省と農水省にお願いしたいのが、こういった対策、研究調査はしっかりと国がもっとやるべきではないかと思っております。
これは日経新聞に紹介されておりましたが、例えば、森林総研では、一定の周波数の振動を発生させる装置を木に取り付けて、幹を揺らすことで産卵行動を抑える方法を検討している。そのほか、ブラックライトですね、これは栃木県の農業総合研究センターなんですが、ブラックライトを使って卵を発見することができる、そういったことも考えていらっしゃいます。こういった対策を是非とも国がもっと調査研究をしていただいて、被害防止対策を講じていただきたいと思っております。
その中で、農家も様々課題を抱えております。例えば、梅農園ですと、ちょうど成虫が産卵する七月、八月は、梅を収穫を終えて塩漬けする作業で忙しい。ですから、クビアカツヤカミキリをチェックする時間もないぐらい忙しいという声も伺っておりまして、現場も様々な課題を抱えておりますので、その上でしっかりと国が支援する、対策を講じるということでお伺いをしたいと思います。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
クビアカツヤカミキリに関する調査研究についてでございます。
環境省の環境研究総合推進費におきまして、令和四年度から令和六年度までの予定で、特定外来生物クビアカツヤカミキリの新たな定着地の早期発見・早期駆除システムの開発の研究を実施しております。
本研究では、クビアカツヤカミキリの拡散経路の推定や侵入リスクが高い地点の特定、成虫駆除方法の開発に向けた研究が進められているというところでございます。
本種の防除に関する研究成果が得られた場合には、関係省庁や都道府県に周知することなどを通じまして、被害防止のために役立ててまいりたいというふうに考えております。
○大島政府参考人 農林水産省では、農研機構が中心となりまして、関係自治体の参画も得て、クビアカツヤカミキリを含めました外来カミキリムシを対象に、天敵ですとか、あとは委員から御紹介いただきました振動による行動制御、こういったものを利用した防除技術の開発等の研究を進めているところでございます。
これらの研究の推進を通じて得られました成果については、速やかに現場の対策に反映していくということが重要であるというふうに考えてございます。成果を取りまとめまして、可能な限り速やかに現場で取り組む関係自治体などに対して情報提供をしてまいりたいと存じます。
○鰐淵委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○務台委員長 次に、奥下剛光君。
○奥下委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の奥下でございます。本日もよろしくお願いいたします。
先日、参考人質疑が行われまして、参考人の方々から貴重なお話を聞かせていただきました。それを基に今日は質疑をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、質問させていただきます。
地球温暖化に伴う気候変動、資源の枯渇や食料の不足予想など、あらゆる問題に対応するべく、地球環境の持続可能性が世界規模での重要なテーマとして挙げられているのは広く知られることとなっておりますが、我が国において、大量生産、大量消費に伴う廃棄物の発生量が年々減ってきていることも承知しております。
持続可能性の実現のために、環境への意識と経済活動を両立させる経済モデル、サーキュラーエコノミーが注目を集める中、廃棄物の回収、再資源化を担う静脈産業の重要度が増してきております。
今後、我が国の資源循環を考える上で特に考慮しなければならないことは、循環経済に従来の3R、削減、再利用、再生に加えて、資源投入量、消費量を抑えつつ、ストックを有効にしながら、サービス化等を通じた新たな価値を生むことが重要だと考えますが、環境省の御見解をお願いいたします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
資源投入量、消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す循環経済への移行は、循環型社会の形成に向けたドライビングフォースとも言えるものと考えております。
この循環経済への移行は、気候変動、生物多様性の保全、環境汚染の防止等の社会的課題を解決し、産業競争力の強化や地方創生、経済安全保障にも資するものであり、関係者が一丸となって国家戦略として取り組むべき重要な政策課題である、このように考えております。
こうした考え方の下、現在、第五次循環型社会形成推進基本計画の策定に向けた検討作業を進めているところでございますが、その中では、循環経済への移行を国家戦略として明確に位置づける、こうした方向で議論を進めさせていただいているところでございます。
こうした取組も踏まえまして、引き続き、関係省庁と連携し、政府一丸となって、循環経済への移行を加速化させてまいりたい、このように考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
新たな価値を生み出すというのは、消費者側がやはり一番大きなウェートを占めているのかなと思っておりまして、今、パリ協定を始め、いろいろな会議体でいろいろな目標設定がされておりますけれども、今の、このままのペースでいったらなかなか難しいんじゃないかなというふうには考えております。
いわゆるZ世代の子たちは、そういう環境意識、すごい高い意識を持っているというふうに思います。どちらかというと、僕を含めて上の世代がそういった意識がまだまだ足りないんじゃないかなというふうに思っておりますので、是非、いろいろな角度からこういった価値を生み出すことをやっていっていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、サーキュラーエコノミーの三原則とされている、廃棄物と汚染を生み出さないデザイン、設計を行うということ、製品と原料を使い続ける、自然システムを再生する、この三原則は、再生可能資源の循環と枯渇性資源の循環の両者を対象としており、それらがサーキュラーエコノミー実現に不可欠な二つの要素であると考えられております。
以上のことから、資源循環に対する取組は、国際状況、国内状況を併せて、動脈産業から発生される廃棄物をいかに効率よく有効な資源に転換し、有効利用できるかの取組やリサイクル装置の開発が急務であり、重要であると考えますが、環境省の見解をお願いいたします。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、廃棄物となった枯渇性の資源や再生可能資源を可能な限り効率的、循環的に資源として活用し、新たな付加価値を生み出す、こうした循環経済への移行を推進することが大変重要でございまして、そのためには、輸入した資源を最大限効率的に利用するとともに、国外で発生した廃棄物も含め、国内外の廃棄物を資源として国内で徹底的に有効利用していく、こうしたことが必要であると考えております。
こうした考え方の下、現在策定中の第五次循環型社会形成推進基本計画においては、この循環経済への移行を前面に打ち出す方針で検討を行っておりますが、その中で、今後必要とする量と質の再生材を生み出す高度なリサイクルを促進すること、こうした観点も踏まえてしっかり議論を進めてまいりたいと考えております。
さらに、先般御審議いただきました資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案におきましては、製造事業者と廃棄物処分業者が連携して実施する再資源化事業などを認定し、その後押しを行うこと等により、資源循環産業全体での再資源化を促進する、こういう方向性、こういう枠組みも検討させていただいているところでございます。
また、御指摘いただきましたリサイクル装置の開発につきましては、プラスチックや金属、再生可能エネルギー関連製品のリサイクル技術に関する実証事業等を環境省で実施しているところでございます。
これらを通じまして、引き続き、資源循環の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。是非、本当に力強く進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、動静脈産業の連携は資源循環や脱炭素化において大きな役目を果たすと考えていますが、廃棄物をリサイクルする施設、装置まで運搬するだけでもCO2の発生を伴います。できれば、リサイクルしたい廃棄物を発生元にてリサイクルできることが望ましいと思います。また、発生場所そのものではなくても、同地域内においてリサイクル等の目的や方法が同一であれば、業種や産業が別でも、地域の資源循環の観点から、共同してのリサイクルは脱炭素化の取組として効果が高いと考えております。
静脈産業の脱炭素化の取組として、特に注目すべき取組としてはどのようなものがあると考えていらっしゃるでしょうか。
○角倉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、地域に着目して、地域内での資源循環、これもしっかり進めていく、そうした観点も大変重要であると考えておりまして、環境省では、従来から、地域循環共生圏、こういう枠組みの下で、地域の資源をいかに有効に活用して、地域の様々なアクター、利害関係者を巻き込みながら、それぞれの地域の特色ある取組を進めていく、こういうことを進めていきたいという考えの下で、これまで取組を進めてまいりました。
具体的に御質問の関連で申し上げますと、具体例として、岡山県真庭市の事例でございますけれども、木質バイオマス発電を行うほか、生ごみ等をメタン発酵させてメタンガスとバイオ液肥に再生し、このメタンガスを活用したバイオガス発電を行うことで脱炭素化を図るとともに、このバイオ液肥を市内農地で活用する、地域に着目した資源循環の取組を進めておられます。
また、佐賀県佐賀市の事例でございますけれども、佐賀市におきましては、地域の製材工場から廃棄される樹皮や木くず、農業で廃棄されるもみ殻等の未利用バイオマスを清掃工場の燃料として利用し、これにより得られたエネルギーを地域に供給することで、地域資源の有効活用と温室効果ガスの排出削減を両立する、こうした実証事業を行っているところでございます。
環境省では、こうした地域内の資源を活用して脱炭素を実現するような地方公共団体や地域の様々な主体による資源循環の取組を後押ししているところでございまして、具体的な事業としては、例えば、廃棄物処理システムを軸とした地域循環共生圏の構築に向けた実証事業でありますとか、食品廃棄ゼロエリア、食品廃棄物をゼロにする、こうしたエリアの創出を目指す先進的な取組を後押しするためのモデル事業、こうしたものも行っております。さらに、使用済紙おむつの再生利用等の促進のための地方自治体への伴走支援を行っております。
さらに、こうした取組に加えまして、現在、脱炭素先行地域の取組を全国各地で環境省で推し進めているところでございまして、それについて支援を集中的にやっているところでございますけれども、この脱炭素先行地域におきましても、資源循環の観点を入れて、資源循環と脱炭素を同時に進める、こうした提案についても多く脱炭素先行地域として選定させていただいているところでございます。
こうした取組を通じまして、地域内の資源を最大限活用する、こうした観点からの資源循環をしっかりと後押しをしてまいりたいと考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
私も、地域は違いますが、香川県の三豊市に、究極の分別をされて、自然発酵で燃やされているというのを見に行ったことがあります。本当にあれは、町民というのか市民を含めて、すごい意識が高いということがやはり一番重要だなというふうに思っておりますので、是非こういった取組ももっともっと広げていけたらなというふうに思っております。
次に、熱分解装置では様々な使用用途がありますが、その装置の構造や熱分解方法に対する法律施行令が現状の資源循環の観点では明確でない項目があり、環境省や各都道府県担当課での解釈が同一ではない現状があるとの御指摘が先日参考人の方からもありました。
例えば、熱分解作用では、被熱分解物の性状、成分、目的により、生成される残渣物、炭化水素油及び炭化水素油として回収されないガスに分かれますが、それらを各々処理した廃棄物の重量比で取扱いが条件に設定されています。
また、ガスを燃焼させる場合、一定の条件では処理した廃棄物の重量に対し四〇%以上であり、かつ、処理に伴って生じたガスのうち炭化水素油として回収されないガスの重量が処理した廃棄物に対し二五%以下である場合と条件が付されております。
ある県では、ガスを燃焼させる場合は焼却炉に該当するというような意見も出ているとのことですが、こういった御指摘について、環境省の見解をお願いいたします。
○伊藤国務大臣 専門的な立場から御指摘をいただきました。
廃棄物処分を熱分解で行う場合は、生活環境保全の観点から、廃棄物処理法等に基づき、必要な構造を有する熱分解設備を用いて、環境大臣が定める方法により実施する必要がございます。
こうした熱分解設備の構造や熱分解の方法については、廃棄物処理基準に従い適正な処理が行われるよう、平成十七年に、都道府県知事等に対して、その基準の明確化を図る通知を発出してございます。
具体の場面における廃棄物処理法の適用については都道府県知事等が行うこととなりますけれども、環境省としては、廃棄物処理法が適切に運用されるよう、引き続き、地方自治体に対し必要な技術的助言などをしっかり行うとともに、全国の廃棄物リサイクル行政の主管課長等が集まる会議等の場を通じて周知を図ってまいりたい、そのように考えてございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
現場サイドでは、そういった平成十七年に教示されたものに対しての、もうちょっと詳細化をしていただく方がまだ判断しやすいかなというお声があったことはお伝えしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、脱炭素化と資源循環を進めるために、静脈産業はどういった情報をどのように発信するかが重要になってくるかと考えますが、今後の環境省の取組を含めて教えていただけたらと思います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
脱炭素化と資源循環、これをパラレルというか、一つのことではありますけれども進めるためには、廃棄物処分業者と製造事業者との連携が不可欠でございます。より一層、その連携を強化していくことが重要だと思います。
現在、製造事業者等は、再生材に対して一定の品質と量の確保を求めておりますが、どの廃棄物処分業者がどのような種類の再生材を供給可能かといった情報を入手することが難しい状況もございます。そうした情報を製造事業者等が容易に入手できる環境を整備することが重要だと考えております。
このため、今国会に提出した資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案、ここにおいては、一定量以上の産業廃棄物の処分を行う廃棄物処分業者に対し、廃棄物の種類ごとに処分した数量と再資源化した数量等を国へ報告することを義務づけてございます。その内容を国が公表することで、製造事業者等と、それから資源循環の取組を行う廃棄物処分業者のマッチングを進めて、脱炭素化と資源循環を促進してまいりたいと思います。
国がこの情報を公表するに当たっては、ホームページ等を用いて広く公表し、再資源化の実施状況等の情報に容易にアクセスできるようにしたいと思います。また、廃棄物の種類、再資源化の量などの項目に応じて必要な情報を絞り込めるようにするなど、マッチングに当たり実効性を高めるものにしたいというふうにも考えております。
この法律案による措置等を通じて、製造事業者と廃棄物処分業者との連携をより一層促進して、脱炭素化と資源循環を更に進めてまいりたい、そのように考えてございます。
○奥下委員 ありがとうございます。
手段や頻度においては、国の制度や地域の産官学の連携が必要と考えております。地元の自治体が、えっ、そんな制度があったんですかという話が多いので、私も地元の自治体にはきちんと、もうちょっと意識高く情報を取るようにということは伝えておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、ちょっと話は変わりまして、地元の吹田市にNPO法人すいた市民環境会議さんというものがありまして、そこで、レッドリストすいた二〇二四という絶滅危惧種の発表をされております。現在展示されておりまして、先週末、私も子供を連れて見に行ってきました。
地元自治体がそういった生物多様性への戦略が全くないようで、全国自治体、どこも似たような状況だと思うんですけれども、絶滅危惧種の保護をするにしても自治体だけでは限界があると考えておりまして、NPO法人、市民団体だけでもそうなんですけれども、今後の、今回、地域の生物多様性の促進を機に、もっと環境省が旗振りをして戦略的にもうちょっと組み立てていただけたらなと思いますが、環境省の見解をお願いいたします。
○白石政府参考人 お答え申し上げます。
生物多様性の保全につきましては、国が生物多様性の保全の戦略を持つというのは当然でございますが、地域ごとの自然の状態や社会状況に応じて取り組むということも大事でございまして、各自治体におきましても、地域における生物多様性の保全に関する総合的なビジョンでございます生物多様性地域戦略を策定して取り組んでいただくということが非常に大事だというふうに考えてございます。
このため、環境省では、令和五年五月に地域戦略策定の手引きの改定版を公開いたしまして、地域戦略の策定に向けた専門家の派遣等の伴走支援を行う等、自治体への支援を行っているところでございます。
また、自治体、それから御指摘のございました市民団体等の活動について、財政支援の一つといたしまして、自然環境関係の法令に基づく指定種や保護地域に係る取組、あるいは法定計画の策定とそれに基づく取組など、国としても促進すべき事業を地域が行う場合につきましては、生物多様性保全の推進支援事業によりまして、活動等に必要な経費の一部を交付してございます。本事業に関しましては、自治体や関係するネットワーク、団体にも周知をし、応募をいただいているところでございます。
本事業によりまして、種の保存法で指定した国内希少野生動物種の保全のための生息環境の改善や調査等の活動や、重要里地里山等におけます環境的な課題と社会経済的課題を統合的に解決しようとする活動等に対して交付が可能になっております。
さらに、このような交付金による支援に限らず、活動団体と支援を希望する企業等とのマッチングの促進等を図りまして、民間等の多様な主体の参画の促進及び資金の流れの変革を図っていくということにしております。
引き続き、地域の積極的な活動が促進されますよう、必要な支援についてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
補助とか打たれているものも説明するんですけれども、やはりなかなか知られていないという現状がございまして、こちらも、地域、自治体を含めて、もうちょっと意識を持って取り組んでいただくよう、僕の方からも促していきたいと思います。
時間なので、終わります。ありがとうございました。
○務台委員長 次に、林佑美君。
○林(佑)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会、林佑美です。
本日は、質問の機会をありがとうございます。
前回、質問が途中で終わっておりましたので、その続きから質問させていただきます。
前回は、プラスチックによる海洋汚染が生じた最大の理由と、そして、世界でプラスチック汚染を食い止める取組について質問しておりました。引き続き、海洋プラスチック削減について伺います。
昨年十一月に開催された第三回政府間交渉委員会では、各国の意見の隔たりが大きいことから、各国の提案が全て盛り込まれた条文案の改定案が作成され、今後の交渉は、次の第四回の委員会に委ねられたと承知しております。多様な国々の意見の集約の難しさが浮き彫りとなったわけですが、このようなときこそ、我が国が交渉のリーダーシップを取るべきと考えます。
そこで、第三回の交渉委員会において、我が国としてどのような意見を述べ、国際的な議論にどのように貢献したのか、伺います。また、今月予定されております第四回政府間交渉委員会での議論の前進に向けた伊藤大臣の意気込みをお聞かせください。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
現在、プラスチック汚染に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会において、本年末までの合意を目指して交渉が進められております。これまで三回の交渉委員会が開催されているところでございますが、昨年十一月に開催された第三回交渉委員会、いわゆるINC3、ここにおいては、具体的な条文案について初めての議論の場となりました。我が国からは、二〇四〇年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心を盛り込むべきことを主張しました。
来週カナダで開催されるINC4では、これまでの交渉を踏まえて作成された条文案を基に、条約の具体的な規定の交渉を行うとともに、本年十一月に韓国で開催されるINC5までの間に行うべき具体的な作業について議論することを予定しております。
我が国は、プラスチックの大量消費国及び排出国を含むできるだけ多くの国が参加する実効的かつ進歩的な条約の策定を目指しており、引き続き積極的に議論をリードしてまいりたいと思います。
この交渉委員会そのものは事務レベルで進められておりますけれども、私自身もそれを支持するとともに、COP28における各国のバイ会談、約二十行ったんですけれども、そのたびにプラスチック汚染の問題を取り上げて、プラスチック汚染の重要性、そして日本の取組についても強く説明して、みんなでこのプラスチック問題、特に汚染を減らそうじゃないかということを主張してきたところでございます。これからも、私自身、この交渉の進展に積極的に貢献してまいりたい、そのように考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
一度海に流したごみは、処理する責任の所在が曖昧になるため、各国がそれぞれの責任と役割を再認識し、新たな海洋ごみ流出削減と、既に存在している海洋ごみの回収への取組の強化など、実践的で具体的な取組が進んでいけるよう期待しています。
そして、海洋立国日本だからこそ、発言力には大きな影響があると思います。先ほど御答弁にも、積極的にリードしてまいりますと伊藤大臣から力強いお言葉がございました。日本の技術力を背景にして、交渉過程における我が国のリーダーシップをしっかり発揮して、次回の交渉に挑んでいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
次に、漂着ごみについて、環境省は、自治体の協力の下、漂着ごみの組成及び量を把握する調査を実施していると承知いたしております。
そこで、これらの調査を踏まえ、日本に漂着するプラスチックごみ対策として、どのような対策を行うことが適切だと考えているのか、環境省に伺います。
また、海岸漂着物処理推進法では、海岸に漂着したプラスチックの円滑な処理の推進がうたわれておりますが、環境省の取組について伺います。
また、環境省によれば、令和三年における我が国のプラスチックの国内消費量は九百万トン、廃プラスチックの総排出量は八百二十四万トンと推計されています。このように多量のプラスチックを消費、生産している以上、これらを海に流出させないための適切な行動が求められています。
こうした中、環境省においては、プラスチック資源循環法などの法律に基づく対策に加え、民間の取組を広げるためのプラスチック・スマートの立ち上げなどを実施していると承知しております。
そこで、国内からプラスチックごみを海に流出させないための更なる取組の強化策についても併せてお聞きしたいと思います。
○土居政府参考人 お答えいたします。
まず、国内でのプラスチック対策といたしましては、プラスチック資源循環法に基づきまして、プラスチック以外の素材への代替などによりまして環境配慮設計を行っていくということ、有料化やポイント還元、さらに、軽量化されたものを使うなど、使い捨てプラスチック使用の合理化を求めているところでございます。
また、地方公共団体や事業者の取組をウェブサイトやSNSを通じて広く紹介するプラスチック・スマート事業や、自治体や企業等の関係者の間の連携を促進する先進的なモデルを創出するためのローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業を通じまして、多様な関係者の連携協力を進めているところでございます。
さらに、国内でも日本由来のごみが多く確認される瀬戸内海におきましては、昨年十月に、十四の関係府県と環境省による連携協力のためのネットワークでございます瀬戸内海プラごみ対策ネットワークを立ち上げまして、取組の強化を進めているところでございます。
さらに、海岸漂着ごみにつきましては、これまでも自治体による回収、処理の取組を支援しているところではございますが、さらに、外国語表記の海洋ごみが大量に漂着するなどの事態が発生した場合には、対象国に申入れを行うなどの対応も行っているというところでございます。
引き続き、このような対策を進め、多くの人々に海辺の環境保全への関心を高めていただきながら、海洋ごみ対策を更に推進していきたいというふうに考えております。
○林(佑)委員 海洋ごみの約八割は陸からの流出と言われております。まずはごみを出さないことが重要だと思います。各自治体との連携や支援もしっかり強化しているというお言葉がありましたけれども、更にしっかりとよろしくお願いいたします。
また、国内での取組をしっかりやることがプラスチック汚染に関する政府間交渉でも説得力が出てくると思いますので、実効力がある取組の継続と検証をしっかりしていただいて、次世代に残せる海洋環境をつくっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
海洋プラスチックの問題を解決するには、政府の取組も重要ですが、同時に、国民一人一人の行動が欠かせません。ここ最近では、スーパーマーケットにおけるレジ袋の辞退率は約八割であるとの調査結果もあり、国民のプラスチック問題の意識も一定程度高まっていると感じております。
しかし、まだまだ個々人の一層の取組によってプラスチックの流出を減らすことは可能だと考えております。例えば、環境省の出されているリーフレットでは、合成繊維の流出防止のために洗濯ネットの使用やフィルターの小まめな掃除が有効であることが紹介されています。こうした身近な取組をより多くの国民が実施することで、我が国全体のプラスチックごみの海洋汚染の低減へとつながっていくものと考えております。それには、環境省が国民にプラスチックによる海洋汚染の危険性を適切に提示し、対策の実行につながるような取組を進めていくことも重要だと考えております。
プラスチックごみ対策の更なる国民の意識改革に向けた伊藤環境大臣の御見解を伺います。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
私は、環境問題を考えるとき、とりわけこのプラスチックごみの排出抑制を進めるためには、国民の皆様の一人一人の価値観の変容、それに基づく行動変容、これが非常に重要だと思います。そのことが地域の活動、国の取組、国際的な広がりとなる、いわゆる私が常々言っている同心円の広がりだと思います。
今御指摘があった、例えば、一人が一枚多くプラスチックバッグを使えば、世界で七十九億枚多く使われますね。それと同じように、一人一人の行動というものが量的にも広がりますし、それぞれの行動は、結局、企業行動にも影響すると思います。みんなが使わなければ、逆に、プラスチックは生産されません。
でありますので、では、それを具体的に政策の中でどういうふうな意識づけをするかという話になるわけでありますけれども、例えば、今御指摘があったように、レジ袋の有料化を通じた意識づけ、あるいは自治体や企業が住民の皆様を巻き込みながらプラスチック対策を行うローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン推進事業、自治体や企業のそれぞれの先進的な取組の発信、さらにはマイクロプラスチックの流出抑制の呼びかけ等を実施しているところでございます。
プラスチック汚染というのは、いろいろな形で出ると思います。レジ袋もそうですし、芳香剤からも出ます。ですから、やはり全てのことに対して国民の皆様が意識を持つということが重要ですし、それに応じて産業構造や世界の在り方も必ず変わってくると私は信じています。
引き続き、国民の一人一人の皆様にプラスチックごみ問題に取り組んでいただけるように、こうした事業を活用しながら、またその思想面についても皆さんに広報できるように努力してまいりたいと思います。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
様々な事業を通じて対策を講じていただいていると思っております。
伊藤大臣から、ごみの削減には人々の価値観の変容と行動変容が一番重要だと思うというお言葉がありました。これに対しては私も同様に思っております。
しかし、これは大変難しいことであります。例えば、スーパーやコンビニのビニール袋自体を禁止するなど大きな変化がないと、なかなか浸透しないと思います。また、マイクロプラスチック流出抑制の呼びかけ等を実施されているとお聞きしておりますが、流出抑制のリーフレットも拝見いたしました、ホームページに掲載しているだけではなかなか国民の皆様の目に触れる機会は少ないと思いますし、SNS、動画広告などを工夫する余地はあると思います。持続可能な生活様式を普及させるためにも、更なる研究、そして情報共有など、総合的なアプローチを継続的にお願いいたします。
次に、カーボンニュートラルに向けた森林でのCO2吸収効果について質問いたします。
今月十二日の環境省の報道によれば、二〇二二年度の我が国の排出・吸収量は約十億八千五百万トンで、昨年度比で二・三%の減少、二〇一三年度比では二二・九%の減少となりました。今回、国連への報告では、初めて、約三十五万トンのブルーカーボン生態系の一つである海草・海藻藻場における吸収量と、約十七トンの環境配慮型コンクリートによる吸収量を報告したとされています。
政府は、二〇五〇年のカーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減を目標としておりますが、この目標に向けた我が国の二〇二二年度の温室効果ガス排出・吸収量の削減状況に対する受け止めについて、環境省に伺います。
○秦政府参考人 お答えいたします。
我が国は、パリ協定の一・五度目標と整合的な形で、二〇五〇年カーボンニュートラル、そして二〇三〇年度四六%削減という目標を掲げておるところでございます。
今し方委員から御紹介いただいたとおり、基準年である二〇一三年度に比べまして二三%の減となってございます。二〇五〇年ネットゼロに向けまして、順調に、いわゆるオントラックで削減がなされているということでございます。これには、国民の皆様、事業者の皆様を始め関係者の皆様に多大なる御尽力をしていただいている、しかも、それを継続していただいているということだと認識をいたしてございます。
引き続き、目標の達成に向けて、予断を持つことなく、政府一丸となって、地球温暖化対策計画に基づく取組をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
私の地元和歌山県では、面積の四分の三以上を森林が占めており、全国六位という森林県です。森林には、多面的な機能が発揮されることは言うまでもありませんが、CO2の吸収というカーボンニュートラルに向けて非常に大きな役割がございます。この森林の機能を最大限発揮できるよう、管理、整備をしていくことが大切です。森林を多く抱える自治体が連携し、相乗効果で脱炭素に貢献できるよう、国としても将来への投資を強化していただきたいと思っております。
次に、国連への報告では、新たに海草及び海藻の藻場における吸収量が約三十五万トンと報告された一方で、二〇二二年度の森林等からの吸収量は約五千二十万トンと、昨年度比六・四%の減少となりました。この吸収量の減少につきましては、環境省は、人工林の高齢化による成長の鈍化等が主な要因であると考えられるとしています。
この森林吸収量の減少は今に始まったことではなく、二〇〇三年頃をピークに減少傾向となっています。植木を植栽してから五十年を超える人工林が全人工林面積の半分を占めるようになったため、老齢化し、吸収量が減少した人工林を一旦伐採し、成長の速い、若い森林を再造林することで吸収量を増やす必要があると思います。
このことは、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略においても、高齢級化に伴い吸収量が減少傾向にある人工林についても、切って、使って、植えるという循環利用を確立するとされているところです。
そこで、森林吸収量の減少傾向が始まってから二十年が経過していますが、政府はこれまでどのような対策を講じ、どのような効果が出ているか、伺います。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、人工林の高齢級化に伴いまして、森林吸収量は減少傾向にございます。
このため、農林水産省においては、森林整備事業や、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法に基づく支援措置を活用しまして、間伐や造林等の森林整備を始めとする森林吸収源対策を進めてきたところでございまして、その結果として、森林吸収量につきましては、二〇二〇年度の目標、三千八百万二酸化炭素トンを達成したところでございます。
今後、我が国の人工林資源は、更に成熟いたしまして利用期を迎えるわけでございますけれども、建築物等への木材利用を促進し、成長の速いエリートツリー等を活用した再造林を推進することを通じまして、切って、使って、植えて、育てる循環利用を確立して、成長の旺盛な若い森林の造成に取り組んでまいります。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
林野庁の試算によりますと、適切に手入れがされている三十六年―四十年生の杉、約四百五十一本分の年間吸収量は、二〇一九年度の一世帯の年間排出量、約三千九百七十一キログラムに相当します。また、日本の二〇二〇年度のCO2吸収量のうち、森林の吸収量は約九割との結果もございます。
植栽、下刈り、枝打ち、間伐など、適切な手入れが行われている健全な森林は、それなりのCO2吸収量を確保することができるということだと思っております。面的な植え替えと管理を適宜行うことで相当な吸収量が増えると思いますので、先ほどおっしゃってくださった新しい技術との両輪で、身近で地道な取組も是非お願いしたいと思っております。
切って使うためには、森林を整備していくことも不可欠です。日本の森林は急傾斜が多く、切った木を運ぶ道の整備が十分ではありません。
令和三年の木材自給率は四割とされており、国として林道整備を積極的に後押しすることで、国産の木材のコストが下がり、利用が増え、植え替えが進み、森林の吸収量を増やすことにつながるのではないかと考えますが、林道整備の現状と今後の見通しについて伺います。
また、森林の管理については、温室効果ガスの吸収量を数値化し、国がクレジットとして認証するJクレジットの活用に取り組む企業、自治体が出てきています。クレジットを売却して資金ができれば、林道の整備や林業従事者の雇用を増やすことにも活用できるのではないかと考えますが、政府としてJクレジットの活用に対する認識と取組についてお伺いいたします。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
林道等の路網は、将来にわたって持続的に森林経営を行うために必要不可欠な基盤であると考えております。
令和四年度末の林道と森林作業道を合わせた路網延長は、約四十一万キロとなっております。今後とも、林道と森林作業道を適切に組み合わせまして、路網全体として、令和十七年には約五十一万キロ、将来の望ましい延長としては六十万キロ程度を目指して整備を進めていくこととしております。
また、森林分野のJクレジット制度で森林経営に外部資金が追加的に得られれば持続可能な森林経営につながることから、Jクレジット制度は、森林経営にとって非常に重要な制度であると考えております。
近年、森林分野のクレジットの創出量は大幅に増加傾向にございまして、引き続き、制度の運用改善や先進事例の情報発信などに取り組みまして、クレジットの創出と活用の促進に努めてまいります。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
御答弁にもございましたように、林道は森の管理に欠かすことができないインフラということですので、早急に進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。予算の確保とJクレジットなどの手法も含めて、森林整備の好循環を生み出す工夫を引き続きよろしくお願いいたします。
伐採後の木材も、建築資材として使用されている間は炭素を貯蔵しており、焼却等により廃棄された時点で排出に計上されることになります。先ほどの二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略でも、製造時のエネルギー消費が少ない木材の利用拡大を図るとして、高層建築物の木造化や、木質バイオマスのエネルギー利用、カスケード利用などが記載されております。
政府が考える廃材も含めた木材の有効活用策について伺います。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
二〇五〇年のカーボンニュートラルへの貢献に向けては、炭素貯蔵機能を有するとともに、鉄など、ほかの資材と比べて材料製造時の二酸化炭素排出量が少ない木材の利用を進めていくことが重要と考えております。
このため、農林水産省では、国産材利用の意義を国民に分かりやすく発信し、住宅での利用拡大とともに、中高層の建築物や住宅以外の建築物での利用を促進すべく、国土交通省等とも連携しながら、強度や耐火性に優れた建築用木材の技術の開発、普及、公共木造建築物の建築支援等に取り組んでいるところでございます。
さらに、木質バイオマスのエネルギー及びマテリアル利用の推進や、製材など、より付加価値の高い木材製品の輸出促進などの取組によりまして、国産材の更なる利用を推進してまいります。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
切り出した木材についても利用を促進することが森林の循環を高める最大のポイントであると思います。先ほど様々な取組をおっしゃっていただきましたけれども、国内の利用はもちろんですが、この円安の状況も踏まえながら、高い付加価値をつけて、海外への輸出の促進も更に進めていただきたいと思っております。
次は、花粉症対策とカーボンニュートラルの連携について伺います。
杉花粉症は、国民の約四割が罹患していると言われ、社会的、経済的に大きな影響を与えています。政府は、花粉症に関する関係閣僚会議において、十年後には杉人工林を約二割減らし、三十年後には花粉発生量を半減することを目指すとしております。
林野庁では、切って利用、植え替え、出させないとする花粉発生源対策を推進するとし、住宅、商業施設や公共建築物の木造化等に利用することにより、花粉を飛散させる杉の人工林の伐採を進めること、花粉の少ない苗木の生産増大に取り組み、杉の伐採跡地への植栽を促進することとし、花粉の少ない森林への転換促進緊急総合対策として、令和五年度補正予算で六十億を計上しております。また、カーボンニュートラル等を実現し、花粉発生量の削減にも資することを目的とする林業、森林、木材産業グリーン成長総合対策に、令和六年度予算で百四十四億円を計上しています。
カーボンニュートラルと花粉症対策は一体として進めていくようですが、集中的に植え替えを進められるよう、更なる予算確保の必要性について、政府の見解を伺います。
○長崎屋政府参考人 お答えいたします。
花粉発生源対策の予算につきましては、令和五年度の補正予算におきまして、杉人工林の伐採、植え替えの加速化ですとか、杉材の需要拡大に六十億円を措置しているほか、令和六年度当初予算におきましても、杉雄花花芽調査等に三千九百万円を、また、森林資源の循環利用サイクルの確立として、森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策として百四十四億円を計上しております。
今後とも、必要な予算の継続的な確保に努めまして、カーボンニュートラルへの貢献と、花粉の少ない多様で健全な森林への転換に向けて取り組んでいく考えでございます。
○林(佑)委員 ありがとうございました。
花粉症という視点だけで見るだけではなく、先ほども申しましたように、森林には多面的な機能がございます。地球環境保全、水源涵養、災害防止、さらに、森林が豊かになると海の環境にもいい影響を及ぼすことを考えれば、森林に投資することがどれだけ人々の暮らしを豊かにするのかは計り知れないものだと思っております。森は、将来世代の子供たちへのすばらしい贈物だと思っています。是非そのような視点で施策を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
これまで森林の整備や木材の活用について伺ってまいりました。人工林の高齢化による森林の吸収量の減少を食い止めるには、スピード感のある施策の実行が求められています。
最後に、カーボンニュートラル達成に向け、森林をどのように活用していくおつもりか、伊藤環境大臣にお伺いいたします。
○伊藤国務大臣 お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、産業部門、運輸部門、家庭部門など、あらゆる分野での排出削減に加え、森林を始めとする吸収源対策の推進も極めて重要だと思います。
そのため、政府全体では、林野庁を中心として、森林の整備や木材の活用など、森林吸収源対策に取り組んでございます。
環境省としても、林野庁等と連携しつつ、我が国の森林による吸収量をしっかり算定、計上し、国連に報告することで、対策を更に後押ししてまいりたい、そのように考えております。
○林(佑)委員 ありがとうございます。
答弁にもありましたように、森林によるCO2の吸収量をしっかり算定、計上するという数値化をして、国民への開示と情報共有もしっかりしていただくことも大変大事だと思っております。
また、昨今の気候変動や異常気象なども考えても、地球環境を守るためには、時間的にも非常に厳しいタイミングであると考えられております。一刻の猶予も許されない状況です。是非スピード感を持って身近な森林管理を徹底的に行っていただきたいと切にお願いいたします。
時間になりましたので、終了いたします。ありがとうございました。
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○務台委員長 次に、内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。伊藤環境大臣。
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地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○伊藤国務大臣 ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、二〇三〇年度温室効果ガス四六%削減の実現と五〇%の高みに向けた挑戦を続けています。国際の観点では、脱炭素技術、サービス等の普及や対策実施によるパートナー国の排出削減に加え、我が国企業の海外進出や我が国の削減目標達成にも貢献する二国間クレジット制度、いわゆるJCMについて、二〇三〇年度までの累積一億トン程度の国際的な排出削減、吸収量の確保を目指し、令和六年二月現在、二十九の国と署名し、二百五十件以上の事業を実施していますが、パートナー国の拡大やプロジェクトの形成を含め、その目標達成に向けて取組が必要です。また、国内の観点では、地域共生型再生可能エネルギーの導入拡大に向け、令和三年に創設された地域脱炭素促進事業制度の活用を一層促進することが求められています。
本法律案は、このような背景を踏まえ、JCMの実施体制を強化するための規定を整備するとともに、地域脱炭素化促進事業制度の拡充等の措置を講じ、国内外での地球温暖化対策を加速するものであります。
次に、本法律案の内容の概要について、主に二点御説明申し上げます。
第一に、JCMクレジット発行、口座簿の管理等に関する主務大臣の手続等を規定するとともに、主務大臣が指定する機関がこれらの手続等の一部を実施できるようにする指定法人制度を創設します。JCM運営業務を指定法人に委任することで、これらの業務を安定的に行えるようにするとともに、政府は、パートナー国の拡大や新規事業の形成等に注力し、JCMの一層の拡大を通じて世界の脱炭素化に貢献します。
第二に、現在、市町村のみが定めることができる再生可能エネルギーの促進区域等について、都道府県及び市町村が共同して定めることができることとし、その場合、複数市町村にわたる地域脱炭素化促進事業計画の認定を都道府県が行うこととします。これにより、制度の活用を加速させ、地域共生型再生可能エネルギーの導入を一層進めます。
これらのほか、日常生活の温室効果ガス排出削減を促進するため、原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体で排出量が少ない製品等の選択やライフスタイル転換を国民に促す規定を整備します。
以上が、本法律案の提案の理由及びその内容の概要です。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○務台委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
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○務台委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る二十六日金曜日午前十時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○務台委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時九分散会