衆議院

メインへスキップ



第2号 令和7年1月31日(金曜日)

会議録本文へ
令和七年一月三十一日(金曜日)

    午前八時五十七分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      伊藤 達也君    稲田 朋美君

      小野寺五典君    木原 誠二君

      草間  剛君    国光あやの君

      河野 太郎君    小寺 裕雄君

      後藤 茂之君    小林 茂樹君

      塩崎 彰久君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    谷  公一君

      田野瀬太道君    土屋 品子君

      寺田  稔君    中曽根康隆君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    福田かおる君

      古屋 圭司君    森下 千里君

      山田 賢司君    東  克哉君

      阿部祐美子君   安藤じゅん子君

      今井 雅人君    大島  敦君

      おおたけりえ君    大西 健介君

      神谷  裕君    川内 博史君

      城井  崇君    黒岩 宇洋君

      源馬謙太郎君    近藤 和也君

      齋藤 裕喜君    酒井なつみ君

      佐々木ナオミ君    階   猛君

      宗野  創君    高橋  永君

      長妻  昭君    藤岡たかお君

      本庄 知史君    米山 隆一君

      早稲田ゆき君    池下  卓君

      徳安 淳子君    西田  薫君

      長友 慎治君    橋本 幹彦君

      赤羽 一嘉君    大森江里子君

      河西 宏一君    櫛渕 万里君

      田村 貴昭君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   総務大臣         村上誠一郎君

   法務大臣         鈴木 馨祐君

   外務大臣         岩屋  毅君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       加藤 勝信君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   農林水産大臣       江藤  拓君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      武藤 容治君

   国土交通大臣

   国務大臣         中野 洋昌君

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    浅尾慶一郎君

   防衛大臣         中谷  元君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (デジタル大臣)

   (規制改革担当)     平  将明君

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (海洋政策担当)     坂井  学君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生・共助担当)   三原じゅん子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   赤澤 亮正君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (知的財産戦略担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (経済安全保障担当)   城内  実君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (地方創生担当)

   (アイヌ施策担当)    伊東 良孝君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    岩尾 信行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小杉 裕一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         岩間  浩君

   政府参考人

   (内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)         北尾 昌也君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官)            柿田 恭良君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            渡邊 昇治君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林 美都子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (農林水産省農産局長)  松尾 浩則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           今村  亘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田尻 貴裕君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済安全保障局長)        福永 哲郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  青木 健至君

   参考人

   (日本銀行総裁)     植田 和男君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月三十一日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     福田かおる君

  高木  啓君     小野寺五典君

  田所 嘉徳君     木原 誠二君

  深澤 陽一君     中曽根康隆君

  大島  敦君     藤岡たかお君

  酒井なつみ君     宗野  創君

  本庄 知史君     長妻  昭君

  米山 隆一君     源馬謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     小寺 裕雄君

  木原 誠二君     森下 千里君

  中曽根康隆君     草間  剛君

  福田かおる君     河野 太郎君

  源馬謙太郎君     米山 隆一君

  宗野  創君     城井  崇君

  長妻  昭君     東  克哉君

同日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     塩崎 彰久君

  小寺 裕雄君     田野瀬太道君

  森下 千里君     田所 嘉徳君

  東  克哉君     おおたけりえ君

  城井  崇君     酒井なつみ君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     深澤 陽一君

  田野瀬太道君     高木  啓君

  おおたけりえ君    齋藤 裕喜君

同日

 辞任         補欠選任

  齋藤 裕喜君     安藤じゅん子君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤じゅん子君    阿部祐美子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部祐美子君     高橋  永君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋  永君     佐々木ナオミ君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木ナオミ君    本庄 知史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 令和七年度一般会計予算

 令和七年度特別会計予算

 令和七年度政府関係機関予算


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算、令和七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。

 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小杉裕一君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岩間浩君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官北尾昌也君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局統括官柿田恭良君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官渡邊昇治君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、総務省自治財政局長大沢博君、総務省情報流通行政局長豊嶋基暢君、外務省大臣官房審議官松尾裕敬君、外務省大臣官房審議官林美都子君、外務省大臣官房審議官熊谷直樹君、外務省大臣官房審議官日下部英紀君、外務省大臣官房参事官門脇仁一君、厚生労働省雇用環境・均等局長田中佐智子君、厚生労働省保険局長鹿沼均君、農林水産省農産局長松尾浩則君、経済産業省大臣官房審議官小見山康二君、経済産業省大臣官房審議官今村亘君、経済産業省大臣官房審議官田尻貴裕君、経済産業省貿易経済安全保障局長福永哲郎君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官木原晋一君、中小企業庁事業環境部長山本和徳君、防衛省大臣官房審議官寺田広紀君、防衛省防衛政策局長大和太郎君、防衛省人事教育局長青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 おはようございます。自由民主党の小野寺五典です。

 冒頭、一言申し上げます。

 当初の予定であれば、この委員会は昨日から始まる予定でありました。熟議を掲げる国会であります。一日一日を大切にしなければなりません。安住委員長には、そうした点も十分考慮し、公平な委員会運営をお願いしたいと思っております。

 さて、これから審議する予算でありますが、国民所得の拡大はもちろん、経済成長、地方創生、外交、安全保障など、我が国にとって重要な施策の裏づけとなる予算となります。野党の皆さんとも誠実に向き合いながら審議を進め、一日も早い成立を期したい、そのように思っております。

 世界に目を向ければ、いよいよ混迷の度を深めております。一月二十日にはトランプ大統領が就任、WHOからの脱退、パリ協定の離脱、メキシコ湾をアメリカ湾に名称変更し、関税引上げに向けた調査を開始するなど、現在まで五十以上の大統領令に署名し、内政、外交とも政策転換が始まり、世界が注目をしています。アメリカのみならず、ロシアによるウクライナ侵略も長期化し、収束の見通しが立っていません。イスラエルとハマスとの停戦協定、合意されたとはいえ、和平が訪れたとは言えない状況にあります。

 我が国周辺を見ても、尖閣を始め台湾、南沙諸島をめぐる問題など、安全保障上目を離すことができません。国連決議に反しミサイルの発射を繰り返す北朝鮮も、依然我が国にとって脅威であり続けております。

 このような世界情勢の中、国家としてどのように生き抜いていくのか、国民をどのように守っていくのかということを考えた場合に、最終的な目標として、楽しい日本を目指すことは必要です。そのためにも、まずつくり上げるべきは、強い日本、トランプ流に言えば、メイク・ジャパン・ストロング・アゲインではないでしょうか。強い日本をつくって国民を守る、そのための強い経済、地方、人材育成、外交、安保など、様々な切り口から令和七年度予算案について議論を深めていきたいと思っております。

 その第一は、強い経済の実現です。

 日本は、過去三十年デフレが続き、その間コストカット型経済に走り、本来振り向けるべき投資を国内より海外に加速させてきました。その結果、国内の資本蓄積は細り、成長率は低下、世界に比べ日本だけが低空飛行の状態が続いてまいりました。

 そして、コロナが起きました。マスクや注射針など治療に必要な物資も満足に供給できず、ワクチンさえも開発できない。サプライチェーンの脆弱性もあらわになりました。

 コロナが収束すると、今度は、経済社会活動、その再開とともに、先端技術に必要な半導体などの戦略物資やレアアースなどの資源の供給元が特定の地域に偏っていたことも分かりました。

 こうした経験から、私たちは、経済安全保障上も成長戦略上も不可欠と思われている産業、これを日本にしっかりと残さなければいけないという強い思いから、半導体、バイオ、宇宙、蓄電池などの分野に重点的に投資を行ってきました。

 この度、石破総理は、令和の列島改造を提唱されました。昭和の列島改造は、新幹線や道路を全国でつなぎ、地方の工業化を促進し、経済成長を推し進める政策でありました。令和の列島改造は、それと同じわけにはいきません。人口減少、労働力減少を前提とした国づくりが必要となります。

 そのため、地域の特色を生かした国内投資を進め、全国各地にコアとなる産業の集積を図り、そこが中核となって地域が盛り上がっていく、しかもグローバルな視線で新たな付加価値をつけてということになります。令和七年度予算には、経済成長に向けた国内投資、中小企業支援、地方創生に向けた予算も入っております。

 まず総理に、強い経済実現に向け、令和七年度予算に込めた思いを伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 令和七年度予算、これは一体何を目的とするものであるかという御質問を頂戴をいたしました。

 小野寺委員御指摘のように、やはり日本だけがずっと低空飛行を続けてきたのはなぜだろうかということをよく検証し、反省すべきは反省をしていかねばならないと思っております。

 御指摘のように、コストカット型経済というのをずっとやってきたのではないかと思っております。賃金は上がらない、でも、雇用は維持するが賃金は上がらない、下請の皆さん方との関係は維持をするが十分なお金が払えない。あるいは、設備投資、新しい商品、新しいサービス、そういうものを開発するための投資が十分ではなかったということだと思っております。

 私は、GDPが全てだとは思っていませんが、ですが、GDPの本質が付加価値の総和でございますので、いかにして付加価値を生み出していくかということを中心に考えていきたいというふうに思っております。

 お尋ねにありましたように、具体的には、じゃ、何をするんだいということでございますが、やはり賃上げというのは、企業が稼ぐ力というのをつけていかねばならない。じゃ、どうすれば稼ぐ力がつくだろうかということを考えたときに、AI、半導体分野での投資を促進する、あるいはGXの投資を促進する、そういうようなものを官民連携の下で着実に進めていき、成長力を高めていきたいということがございます。

 もう一つは、令和の列島改造にも関係することでございますが、やはり地方には伸び代がたくさんあるだろうと思っております。農林水産業であり、サービス業であり、中小企業の皆さん方であり、そういうような地方の潜在力というものを最大限に伸ばしていくために地方創生交付金も倍増してまいるということでございます。

 そしてもう一つは、こども未来戦略に基づきます子供、子育て支援、これを本格的に実施をして、令和七年度に、高等教育の負担軽減、これは更に拡充をしていきたい、一歳児の配置改善など保育の質を向上させたい、育休給付の充実を実施するなど、全ての子供、子育て世帯に対して切れ目のない支援を行いたいと思っております。これがもう一つ。

 もう一つは、昨年のお正月に能登半島であのような震災がございました。そして、そこからようやっと復興に向けて歩みが始まったときに、あの九月の豪雨でございます。というような、我が国は災害多発国でございますので、この災害対応力を飛躍的に高めてまいりたいと思っております。将来の防災庁、防災省の設立ということも視野に入れながら、来年度予算におきましては、内閣府防災担当の予算、定員を倍増したいと思っております。

 安全保障の環境は極めて厳しいということでございまして、昨年も補正予算の際に御議論もいただいたことでございますが、自衛官の処遇改善というものを進めてまいりたいということであります。

 そして同時に、骨太方針に基づきまして、歳出改革の取組、これを継続をいたします。新規国債発行額の減額ということも実現をして、経済再生、そして財政健全化、この両立を図るために、めり張りの利いた予算として御審議を賜りたいと思っておるところでございます。

小野寺委員 今総理の方から、地方には伸び代があるというお話がありました。少し、その伸び代、強い地方をつくるということについて触れたいと思います。

 冒頭お話ししたように、私どもは、様々な反省から、地域に、例えばバイオやサイバーあるいは蓄電池、宇宙、様々な地方の芽を育成するための支援の予算、事業をしてまいりました。その結果、今、いろいろな芽が生まれつつあります。

 例えば、宇宙分野であります。宇宙の市場規模、ある金融機関の予測によれば、二〇四〇年までに一兆ドル、約百五十七兆円。

 実は、この問題で今、九州が大変注目を集めています。

 九州、ここにある研究機関、衛星から地上を捉える際、現在の主流のセンサーでは、夜間や悪天候では光をキャッチすることができません。これをクリアしたのが、SARと呼ばれるレーダー衛星です。ですが、元々これは小型化や軽量化が難しい。実は、技術力でこれをクリアしたのが九州のベンチャーです。しかも、その部品の八割は九州の中小企業が担っております。

 小型衛星の活用というのは非常に無限大です。三十から四十打ち上げて一体で活用すれば様々なデータが取れます。

 例えば、農作物の生育状況、これは衛星でしっかり分かります。今年はキャベツを始め葉物野菜が非常に高騰していますが、こういうことも事前に分かればしっかり手を打つことができると思います。また、詳細なデータが集まりますので、例えば、地震や豪雨被害で崖崩れが起きそうな場所、ここも事前に察知することができます。この活用によれば防災にも役立ちます。そして、ここから生まれる様々な、恐らくビジネス、これが日本を引っ張っていくこと、それに私どもは期待をかけております。

 また、この衛星ですが、打ち上げるためには発射場も必要になります。日本には現在、鹿児島県の種子島、北海道の大樹町、和歌山県の串本町などにありますが、実は、これは同時に観光スポットにもなっております。

 こうした企業や研究機関への支援をしっかりするということが私どもは大事でして、何よりも、宇宙分野への投資から生まれた成果を地方創生や国民生活の向上に結びつけていくこと、とても重要だと思います。

 この日本が目指す宇宙政策について、担当であります城内大臣にお伺いしたいと思います。

城内国務大臣 小野寺委員の御質問にお答えします。

 委員御指摘のとおり、宇宙分野は、防災、減災等の国民生活の向上や、さらには地方創生にも貢献する分野であるとともに、自動車産業に次ぐ我が国の基幹産業になり得る分野であるというふうに考えております。主要国でも積極的に宇宙への投資を進めておりまして、近年は、宇宙の開発利用の主体が官主導から官民連携による総力戦へと移行しております。

 私自身、宇宙政策担当大臣として現場の方々とも数回にわたり意見交換をさせていただいておりますが、スタートアップを含めた民間企業等による取組が大きく進み始めていることを強く強く実感したところでございます。

 今後、我が国として、これまで宇宙に関係してこなかった非宇宙企業を含む様々な民間企業や研究機関、人材が宇宙分野へ参入することを促し、新たな宇宙ビジネスや市場を形成していくことが極めて重要だと考えております。

 また、このことは、我が国の宇宙活動における優位性や自立性を確保することにもつながります。成長分野であるとともに、日本国民、特に若い世代の方々に夢と希望を与えることのできる宇宙という新たなフロンティアでの様々な挑戦を政府として後押しし、新たな雇用創出や経済成長にしっかりとつなげてまいりたいと思います。

 また、宇宙分野への投資を地方創生や国民生活の向上にいかに結びつけるか御質問いただきましたが、宇宙を活用した取組としては、具体的には、例えば、衛星データを活用した農家の作業効率化や水道管の点検作業の効率化、測位衛星を活用した自動運転による除雪作業の省人化、通信衛星を活用した山間部での通信環境の整備、こういった様々な取組が進んでいるところでございます。

 こうした宇宙の利活用が地域における産業の高付加価値化、地域の稼ぐ力の拡大にもつながっていくと考えております。こうした取組を今後とも拡大し、小野寺委員御指摘の地方創生や国民生活の向上にしっかりとつなげてまいりたいと考えております。

 最後に、あわせて、宇宙分野の様々な活動や成果が国民生活に結びついているということを国民の皆様に知っていただく、関心を持っていただくことが極めて重要でありまして、関係府省、関係機関一丸となって発信の強化にも尽力してまいる所存であります。

 以上です。

小野寺委員 先日、NASAに行ってまいりました。

 既にアメリカでは、宇宙開発の主体というのはむしろスペースXのような民間企業に移っていき、アメリカ政府はむしろ資金面や技術面でサポートをする、そのような、民間を伸ばしていく状況が今宇宙分野の中核となっています。日本もしっかりそれに備えた対応を取っていただきたいと思っています。

 次に、半導体分野についての中小企業の取組について御紹介したいと思います。

 私たちがふだん使っているスマホやパソコンの中には小さな半導体のチップが入っています。ですが、このチップも大切ですが、これに対して、光や熱、湿気、衝撃などからチップを守る断熱、あるいは逆に電気を通すための導電、こうした特別な樹脂を作る素材メーカー、これが実は日本にあります。新潟であります。この断熱での世界シェアは、何と世界の四割です。この小さな企業が世界の四割のシェアを占めている。大量生産では対応できない難しい分野ですが、この企業は売上げの一〇%を研究開発に充てて、今や売上げの八割は海外です。グローバル企業となりました。

 元々はこの会社、ペンキ製造の会社だったそうです。その技術を生かして電子部品用の絶縁塗料を開発し、エレクトロニクス分野に経営資源をシフト、移しました。実はこの企業、今後更にまた拡大するために、国の大規模成長投資補助金、今回の予算にも入っておりますが、これを使って工場を更に広げて、生産能力を増強する、そして、五年後には従業員一人当たりの平均の給与が一千万を超える企業を目指す、今これで向かっております。

 実は、地方にはこうした元気な中堅、中小の企業がたくさんあります。ここの図に示したように、これは一部であります。残念ながら、鳥取県とか私の地元宮城にはまだ表に表すものはありませんが、ただ、これをどんどん後押ししていくことがとても大切だと思います。

 今後の研究開発、人材育成の支援について、武藤経産大臣にその取組についてお伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 小野寺委員にお答えをさせていただきます。

 鳥取もそうですけれども、宮城もないんですけれども、岐阜県もないんですけれども、ちょっと残念ですが。

 いずれにしましても、御指摘のとおり、地方の経済、雇用は中堅・中小企業が担っている。地方の中堅・中小企業の成長を後押ししていくことが、地域経済の成長さらには日本経済全体の成長において大変重要であるというのが我々の認識でもあります。

 そのため、昨年の経済対策において、中堅・中小企業の大規模な設備投資に対する補助制度に加えて、売上高百億円を目指す中小企業への成長投資支援の新設、そして中小企業の生産性向上、省力化等支援の拡充等を盛り込んだところであります。こうした取組により、しっかりと地方の中堅・中小企業の更なる成長を後押ししてまいりたいと思います。

 以上です。

小野寺委員 ここに示したように、今、これだけではありませんが、全国で様々な動きが起きて、そして成長分野に投資していこう、そこをしっかり拡充していこう、そういう動きが全国に広がっている。私は、これがやはり令和の日本列島改造という一つの大きな切り口でもあるのではないかと思います。

 そして、実は人材です。

 今年卒業見込みの大学生、アンケートを取りましたら、実は、Uターン希望者がどんどん増えています。コロナ前の二〇二〇年と比べても、相当、全国全てで、実はUターンをしたいという若者、逆に言うと、地元に職があれば地元で働きたい、こういう思いを持っている人がたくさんいます。大切なのは、地方でしっかりと将来を見据えて、できれば世界に向かって羽ばたける企業があり、そこで自分の能力を発揮したい、そういう若者が地元に戻っていくことだと思っています。

 考えてみると、アメリカで今成長している分野、例えば、アマゾンやメタ、グーグル、テスラ、これらの企業はアメリカのワシントンやニューヨークにはありません。みんな、地方の中堅、中小の都市から世界企業が出ている。私は、日本もそうあってほしいと思います。

 今回、その投資、設備投資の拡大のために、政府としては、官民合同の委員会を設け、今週の月曜日にも会議を開いたと伺っております。

 総理に、令和の日本列島改造のために何が必要なのか、そのお考えをお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 委員御指摘のように、アメリカのそういうような企業というのはニューヨークやワシントンにあるわけではない。地方からそういうものが発展し、世界に向けて広がっている。それを日本でもやりたいというふうに考えておるところでございます。

 地方創生二・〇、令和の日本列島改造というふうに申し上げているわけでございますが、それはハードだけではない、ソフトの魅力が新たな人の流れを生み出すものだというふうに思っております。

 具体的には、若い方、女性の方、そういう方々に地方が選ばれるということが必要である、そして、産官学、これが地方にもっと移転をするようにしていかねばならない、あるいは、地方イノベーション創生構想、新時代のインフラ整備、そして広域リージョン連携というものが必要だというふうに思っておるところでございます。

 地方大学が地元の企業と連携するという例が全国あちらこちらに生まれておりますが、地域産業を担う実践的な人材の育成、研究開発による地域産業の高付加価値化、そういうものが本質なのであって、地方にあるそういう資源というものを最大限に活用し、相乗効果を生み出していきたいというふうに考えておるところでございます。

小野寺委員 今総理がおっしゃるように、実は、地方の企業だけではなくて、地方の大学との連携も今進んでおります。

 例えば、東北大学は、ナノテラスという新しい装置が、装備が国の支援でできました。それを使って、今、新しいベンチャー企業がたくさん育っておりますし、信州大学は、水の分野では最先端を行っています。この取組は今回の大阪の万博で紹介されると聞いておりますし、また、広島大学は、元々自動車産業の地でありますので、地域の自動車産業と結びついた新たな産業、これも今生まれつつあると伺っております。是非しっかり後押しをしていただきたい、そう思っています。

 そこで、もう一つ、この次の、新しい技術でありますAIの分野、ここについて、少し心配なことがありますので伺いたいと思います。

 今、AI分野の大きな話題となっているのが、今月二十七日です、ニューヨーク市場で半導体大手のエヌビディアの株が急落をしました。一夜で九十二兆円、これが吹っ飛び、ナスダック市場は三%下落したという事案です。

 なぜこれが起きたか。中国企業ディープシークが低コストの生成AIを開発し、アップルストアでチャットGPTを抜いて最もダウンロードされた無料アプリとなり、これまで牽引してきたアメリカ企業の優位性が失われるという懸念から起きました。

 その人気の秘密は、チャットGPTと同様、強力なAIのアシスタントの機能にあると言われています。便利だということで喜んでばかりもいられません。大きな懸念が起きています。

 例えば、英国の国営放送BBCが、このアプリで試しに一九八九年六月四日に天安門広場で何が起きたかと尋ねたら、その答えは、申し訳ありませんが、その質問にお答えできません、私は役に立つ無害な回答を提供するように設計されたAIアシスタントですというものでありました。また、NHKによると、二〇一四年に香港で起きたいわば民主化運動、雨傘運動について尋ねると、この質問には回答できません、話題を変えてくださいなどと表示されたということであります。

 私も、このディープシークで、試してみたいかなと思っていたんですが、万が一このようなことがあったら私のスマホ自身に何か起きるかもしれない、実は危険だと思って、やらずに、既にディープシークを入れてしまった方に協力をいただいて、試しに、ディープシークと、それから今まで使っているチャットGPTそれぞれに、尖閣は日本の領土かと聞いてみました。

 すると、ディープシークは、尖閣は歴史的及び国際法上、中国固有の領土ですと、事実と違う答えが返ってきています。チャットGPTは、同じように尋ねると、国際法上、日本の領有権は確立しており、日本の実効支配も継続しているため、日本の領土であると言えると。これが当たり前の答えであります。

 実は、この当たり前のことをねじ曲げてしまうのがこのディープシークだと私は心配しています。これを御覧になった方は、是非、危ないのでディープシークをダウンロードすることはやめていただきたいと思います。

 実は、その精度はともかく、この低価格、そして開発力、技術力、これはやはりすごいなと思います。心配なのは、その設定のアルゴリズム次第では、中国にとって都合のよい、まさにチャイナ・ファーストのレスポンスが生成されかねません。

 心配なのは、尖閣のことを知っている世界中の人はそんなに多くない。仮にもし、中国と日本が尖閣をめぐっていろいろな議論があったとき、これはどんな問題なんだろうということで、このディープシークを使って世界の人が検索したら、そこにみんな中国が正しいと出てしまったらどうなるか。

 実は、既に認知戦が始まっていると考えるべきだと思っています。私ども、安全保障の面で一番心配なのは、確かにミサイル防衛やサイバー防衛も大事ですが、認知戦、人々の考え方をむしろ支配してしまう、これが大変心配だと思っています。

 実は、このような懸念、世界中に今少しずつ広がっています。ブルームバーグによれば、この開発に関し、ディープシーク社がデータの不正利用をした疑いがあると報じております。また、オーストラリアの産業科学大臣はプライバシーの流出に懸念を表明して、イタリアやアイルランドの情報当局担当も、個人情報の取得をされるという懸念、そのことについて、このディープシーク社に説明や情報提供を求めております。そして、アメリカ海軍、実は、隊員に対して、安全上の懸念があるとして、このアプリをダウンロードしてはいけない、そして、いかなる場合でも利用をしてはいけないと軍が命令を出しています。今後、この事態の推移を注目していかなければならない。

 新しい技術は大切です。それを使って私たちが便利になることも大切です。ですが、それを意図して、おかしな方向に行くとすれば、大変これは危うい。そして、中国は、国家情報法という法律、これは、中国国民、中国の企業であれば、自分たちが持っている情報を全て中国国家と人民解放軍に提供しなければならないという法律です。これがある法律の国がこのような、ディープシークのようなAI、生成AIを開発し世界中に広めるということは、例えばそこで検索した私たちの考え方が、ある面では、アルゴリズムを使って、違う形で洗脳を行ってしまう可能性がある、あるいは、私たちがやった情報が、実は中国政府の中にしっかり反映されて、むしろ情報が、私たち、取られてしまう、様々な心配があります。

 総理にお伺いいたします。

 私ども、やはりAIの分野、特に、安全保障上、日本としてもしっかりこの能力を持ち、そして、日本国民が安全、安心で使えること、これも大切だと思います。この今お話ししましたAIの技術開発について、総理のお考えを伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 御指摘のように、安全保障の重要な分野において我が国として信頼できるAIを開発利用する必要というのがございます。関係省庁が連携をしてAIの開発力の強化に取り組むということは極めて重要なことであり、今後力を入れてまいりたいと思っております。

 今御指摘のように、何を学習させるかということについて、恣意的なというか、意図を持って学習させちゃいますと、今、小野寺委員が御指摘のようなお話になる。それが世界中に物すごいスピードで伝播していくというのは非常に恐ろしいことだと思っております。学習データが意図せざる形で移転するというのも非常に恐ろしいことでございます。

 これに対して、いかにして我々は安心、安全できるAIの研究開発、活用ができるかということについて基本計画を作っていかねばならないと思っております。そしてまた、仮に問題のある事業者というものがいた場合に、どのようにしてそれに対応できるか、指導助言、あるいはそれで足りなければ、それを上回るような措置というのを講ずることができるかというものを、法案を作っていかねばならないと思っております。

 そういうような法案の作成に向けて、担当大臣を中心にこれから精力的に取り組み、国会の御審議をいただきたいと思っております。与党のみならず、野党の先生方にもいろいろな御意見がおありかと思いますので、その法案を提出すべく準備を加速いたしてまいります。

小野寺委員 このディープシーク、恐らく大変高い技術があるんだと思います。でも、私が不思議だなと思うのは、実は、アメリカのアップル社のアップルストアで、これが無料でダウンロードが皆できちゃうということ。経済安全保障上のことを考えれば、是非、アメリカもこの問題に対してもっと敏感になるべきではないかと思っておりますし、アメリカ軍自体が否定しているものでありますので、私たちも、今後、これについては十分注視をして、公正な形で使われていくように、しっかり国際社会でも促していくということが大切だと思っています。

 次に、外交、安全保障政策についてお伺いいたします。

 特に、やはり日本が強くなるためには、外交面でも強い姿勢が必要だと思っています。

 トランプ大統領、今回、トランプ2の政権が始まりました。私は、トランプ1のときには、防衛大臣として米国と様々な交渉をし、アメリカの理解を得られるように、日本の立場を丁寧に説明したことを覚えております。

 トランプ大統領、米国第一主義を突き進んでいます。ですから、恐らく、前のトランプ1・0以上に日本は厳しい対応を迫られるのではないかと思っています。総理には、なるべく早いタイミングを選んで渡米し、そして忌憚のない意見交換を行い、まずは首脳間の人間関係をしっかりつくっていただきたい、そう思っています。

 実は、亡くなられた安倍総理、トランプ大統領に最も信頼された首脳でもありました。ほかのG7の各国は、安倍総理によるトランプ大統領との関係構築に学ぼうとしておりました。

 安倍総理は、トランプ大統領と会談するたび、私も覚えておりますが、日本がアメリカの経済にいかに寄与しているかという説明を欠かしませんでした。地図を持っていき、アメリカのこの州には日本のこういう企業、こういう企業、こういう企業が出ていって、そしてアメリカの雇用をつくっているんだ、実は会うたびに繰り返しこれをトランプ大統領に説明した姿を覚えております。これが大切な姿勢かと思っています。

 そして、もう一つ大事なポイントというのが、実はトランプ1・0のときにトランプ大統領が日本に要請した、アメリカに対して対米投資を増やしてほしいということ、アメリカの雇用をつくってほしいということ、これは、トランプ1・0が終わり、バイデン政権に替わっても、この約束は、日本はずっと、後の菅政権、岸田政権、ここでつないでおります。そして、その証拠に、五年連続で実は、アメリカの、対米投資額、世界一は日本なんです。むしろ増やしているんです。

 ですから、トランプ大統領に、あなたとの約束はその後も日本はずっと守ってきているんだよ、このことについてしっかり伝えていただきたい。そして、既にアメリカの雇用百万人は日本の企業が担っています。このような姿勢で日米関係をしっかりつないでいただきたい。

 今、トランプ大統領との首脳会談、スケジュールを調整されていると伺っております。この首脳会談についての石破総理のお考えを伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 基本的に、委員と同じように認識をいたしております。

 この五年間で、アメリカに対する投資、一番多いのは、世界中で日本が一番多い、多くの企業が立地をし、雇用も創出をしてきている、そのとおりです。ですから、今後も日本として、そういうような投資は行っていきたい、雇用も創出したいと思っております。

 同時に、我々として、日本の国益も実現をしていかなければなりません。アメリカに雇用を生む、それは大事なことでしょう。しかし同時に、我が国として、じゃ、トランプ政権の間に日本国のどのような利益を実現していくかということで、一方が得をして一方が損をする、そんな関係が長続きをすると私は思っておりません。

 だとするならば、日本において今足りないものは何だろうかということを考えたときに、中東の情勢を鑑みましても、エネルギーの安定供給というのは極めて大事なことだと思っております。もちろん、化石燃料の割合を我が国としては減らしていかねばならない、気温の上昇というもの、気候変動というものにも的確に対処をしたいと思っておりますが、安定的なエネルギー供給というものに対して、合衆国に我々として要請すべきことはあるんだろうというふうに思っております。

 ですから、トランプ大統領と向き合うに当たっては、アメリカにはアメリカの国益があり、日本には日本の国益がある、どうやってその両方の国益を満たすような新しい形の同盟というものを築くことができるかということをきちんとお話をし、日米同盟というのを新たな高みに引き上げてまいりたい。安全保障は当然のことでございます。

小野寺委員 今、トランプ政権の陣容が固まりつつあり、これから首脳会談等が各国と開かれると思います。早く行けばいいということではありませんが、少なくても中国より、初めに、同盟国日本でありますので、首脳会談をしっかり行っていただくことが、私は、世界に間違ったメッセージを与えないための大切なことだとも思っております。外交努力、期待を申し上げます。

 次に、外交、安全保障の中で、特に今、日本が力を入れなければいけないサイバー分野での取組についてお伺いをしたいと思います。

 昨年末、記憶に新しいんですが、JALで運航の不具合が起きました。サイバー攻撃があったと聞いております。恐らく、JALだけではなく、様々ほかの企業も受けているのではないかと類推しますし、また、金融機関、三菱UFJを始め、重要インフラへのサイバー攻撃が今も相次いでいると聞いております。

 こうした攻撃、年々巧妙になっています。相手のシステム内に入って障害を起こし、そして身の代金を要求するものもあります。昨年は、DMM、日本の企業でありますが、ここが四百八十億円相当のビットコインを盗まれました。過去には、マウントゴックスが四百八十億円、コインチェックが五百八十億円、このような被害があります。

 一部報道によれば、その犯人は北朝鮮の可能性が高いということなんです。もし、この資金で北朝鮮が核、ミサイルの開発をしていたら、日本から盗まれた資金や身の代金で北朝鮮が日本を脅かす核、ミサイルを開発しているとすれば、日本の安全保障の脅威となっているとすれば、まるで笑い話です。北朝鮮では、サイバー空間で犯罪を起こし、資金を集めれば、英雄になります。

 この問題、一刻も早く対処しなければ、むしろ資金源を断つというのは、サイバー空間上での脅威に対応することが重要かと思っています。

 さらに、実際の軍事行動、安全保障面でも深刻な状況があります。

 ロシアは、ウクライナ侵略直前に、ウクライナ政府機関や国立銀行、そして衛星通信網など、重要インフラにまずサイバーで攻撃を行いました。そして、ウクライナ国内を混乱させ、軍の通信を遮断した後、その後に軍事侵攻に出て、今でもウクライナ戦争は続いております。

 実は、軍事上、侵略前にサイバー攻撃で相手の重要インフラを攻撃をし、相手の防衛装備の能力の低下を起こす、そしてその後に実際の軍事行動に出るということが軍事上の常識となっています。

 二〇二二年、国家安全保障戦略を我が国は作りましたが、その中でも、国や重要インフラに対して重大なサイバー攻撃があるおそれがあれば、能動的サイバー防御の導入、これが提言され、ようやくです、今、この法案がこの国会で審議されようとしております。

 サイバー攻撃や被害数は増加傾向にあります。総務省によれば、二〇二三年、十四秒に一回攻撃がしかけられています。また、警察庁は、先日、中国系のミラーフェースと呼ばれるハッカー集団が我が国の政府や企業に対してサイバー攻撃を繰り返していると発表しています。日本人の暮らしが脅かされております。

 今回政府が提出するサイバーの関連の法律、そのことについて少し触れたいと思います。

 まずは、重要インフラや企業、JAXAも含めてですが、そこにサイバー攻撃があった場合には、政府として情報を共有し、対応策についても政府から事業者へ周知をする官民連携、これが義務づけられることになります。

 実は、サイバー攻撃は、同時に複数箇所に攻撃をする場合もあります。また、身の代金を要求するランサムウェアも、同じ手口が繰り返されます。ですから、どんな攻撃がどこにあったか、どんな手口で来たかということをいち早く収集しておけば、それに対する対応が十分でき、そして、関連の企業に、今こんな攻撃があったんだよ、だからちゃんと備えてくださいね、こうして周知することで対処もしやすくなる、相手の攻撃の被害を最小限にできる、実はこういうことがあるんですが、今、この連携がほとんどできておりません。この法律は、是非、攻撃を受けたら速やかに、こんな攻撃がありましたと報告をしていただきたい、そんな内容なんです。

 ランサムウェアというのは、人質です。子供を人質に取って犯人が身の代金を要求すれば、警察組織は全力を挙げて被害者を守り、人質救出に全力を尽くします。そして世間は、大変だという形で同情すると思います。でも、不思議なことに、サイバー空間で様々なデータを取られ、それを人質として交渉された場合、もしこれを企業が、済みません、こんなことをされてしまいましたと言ったら、その個人情報はどうするんだということで、企業はおわびをしなきゃいけない。上級官庁に報告すれば、何をやっているんだと叱られる。だったら、払っちゃって、静かにした方がいい。実は、残念ながら、これが行われていると聞いております。

 私たちは、こんなことをされたら、まずはしっかり上級官庁に報告をし、政府として情報をしっかり共有する。そして、その対応策も取ってあげる。悪いのは、ランサムウェアをしかけたその犯人です。それがしっかりできるためにも、まずはこの官民連携が必要となります。

 また、次に大切なのが、実は、日頃からどんな攻撃を受けているか、サイバー空間上での監視も重要です。

 今回の法案では、通信事業者から情報提供を受け、日本を経由するサイバー情報のモニタリングが行えるとしました。これが二の通信情報の利用ということになります。

 ですが、これは、憲法二十一条に規定された通信の秘密、これに十分配慮して行う必要があります。政府は、この法案作成に当たり、憲法の研究者、プライバシー保護に詳しい弁護士などにメンバーに入ってもらった有識者会議で時間をかけて議論し、法案を作成したと聞いております。

 そして、さらに、悪意を持って繰り返しサイバー攻撃を行う相手に対しては、攻撃を防ぐために、これらの相手に対して攻撃を無害化するための措置を講ずることができる、三のアクセス・無害化措置ということであります。サイバー空間上で、ある面では相手に攻撃をしかけるということになります。ですが、これも今回の法案では、あくまでも警察権の範囲で、しかも、それを行う方も限定されるということができていると聞いております。

 そして、これら今までにない行動を取るためには、しっかりとした監視が必要です。今回、ここにある通信情報の利用やアクセス・無害化、二番と三番を行う際には、政府の対応がちゃんとしているかということを監督するために、第三者機関としてサイバー通信情報監理委員会が設けられることになりました。この機関のモデルは、イギリスにあります情報権限コミッショナーという組織です。

 実は、つい先日、このコミッショナーのトップでありますブライアン・レベンソンさんが私のところに来られました。私は、少し時間をいただいて聞きました。八年前、イギリスも同じような制度がスタートしました。この八年間、イギリスにおいて、例えば情報漏えいやプライバシーの侵害、そのような問題は起きていますかと確認をしましたら、大きな問題は起きていないということであります。

 私は、是非、今回のこのサイバー法案、従前お話ししたように、ここから出た資金が、もしかしたら北朝鮮の核・ミサイル開発に使われているかもしれない、あるいは、世界中、日本のサイバー法案ができていないために、むしろG7の中で日本がサイバー犯罪の天国、温床になりつつある、無法地帯になりつつある、こんなことを評価されないためにも、早急に、このサイバー法案、審議をし、成立をさせ、国民生活を守るためにやっていただきたい。私どもも、各党に御協力をいただきながら、この審議、しっかりしていきたいと思います。

 総理のサイバー空間での防衛についてのお考えをお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 この法案の必要性、重要性につきましては、今委員御指摘のとおりでございます。

 以前から、日本のこういうサイバー攻撃に対する脆弱性というのは指摘をされてきたことでございますが、この点に関する法整備というものは随分と遅れてまいりました。

 今委員御指摘の点、あるいはこの法案を提出して御審議をいただくに当たりましては、与野党の先生方のいろいろな御意見を承りながら、一つは、表現の自由、こういうものに抵触しないかどうか、そしてまた、今までの防衛の考え方というものに抵触しないかどうか、そういう点にもよく配意をしながら万全を、それこそ、これは万全という言葉をあえて使いますが、期していかねばならないというふうに思っておるところでございます。

 多くの皆様方のお知恵、御見識を賜りたく、お願い申し上げます。

小野寺委員 まだこの法律の審議、これからということになりますが、政府には、できるだけ、法案の内容について各党に丁寧に説明をし、そして、それの様々な指摘については真摯に受け止め、熟議の中で一日も早い成立をお願いしたいと思っております。

 次に、もう一つ、強い外交、安全保障を目指す上で、国民生活に密着した問題、これについて政府にお伺いをしたいと思います。

 実は、日本の大手コンビニチェーンがカナダのコンビニ大手から買収提案をされているという報道があります。

 コンビニは、私たちの日々の生活、社会インフラとしては、今なくてはならない存在ということになります。災害時には、必要な物資を被災地に提供する拠点でもあります。また、ふだんの生活では、ATMは、公共料金収納等の金融機能、そして、住民票の写しや戸籍証明書など各種証明書の取得、この行政サービスも代行しています。既に、例えば住民票等の証明書の発行は全体の三割近くがコンビニで行われている、そういう実態もあります。

 ところが、今、大手コンビニチェーンが外国資本に買収されるかもしれない、そのような報道があります。カナダの話の、議論が今言われていますが、仮に、もしこれが中国の企業に買収されたらどうなるのか。ここには、住民票や戸籍抄本、そしてコンビニが持っている様々な個人情報もたくさんあります。実は、経済安全保障上、このコンビニも大きな、私どもとして注視すべきことではないかと思っています。

 そして、実は、外資規制を含め議論をする外為法、この外為法上は、外国人の投資に対して、指定された業種に関しての事前審査、これはあります。ですが、この事前審査の対象の中にコンビニの小売業、金融業は、実は指定業種として入っておりません。

 私たちは自由貿易を尊重はします。ですが、今、コンビニというインフラは、小売業や金融業を営むほかに、さきに述べた各種証明書の代行という大事な情報を預かっています。また、この事業者が有する個人情報、これも膨大なものであります。

 これを考えると、私ども、このことについても、経済安全保障上、真剣に検討すべき課題ではないかと思いますが、総理の見解を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 コンビニ事業者におきます重要な情報の取扱いにつきまして、例えて申し上げますれば、コンビニ交付サービスを含め、各種のセキュリティー対策を講じるということで、コンビニ事業者への情報流出を防ぐという仕組みは要請をされていると思います。

 コンビニがどんな情報を持っているだろうかということを考えたときに、コンビニ自体が情報を持っているわけではない。ある意味で、コンビニの各店にありますのは、操作をして、いろいろな情報が出てきますが、一種のプリンターが置いてあるだけみたいな考え方もあるわけであって、じゃ、コンビニに対して、今委員御懸念のようなことが起こらないように、どういうような対策ができるかということをよく考えてまいりたいというふうに思っております。

 経済安全保障の確保の観点から、どのような情報をどのように保護していくべきか、そして、これによって利便性が不当に損なわれることがないように、どのような形ができるかということを、海外の事例も参考にしながら、これも万全を期していかねばなりませんし、急を要する課題であるということはよく認識をしておるところでございます。

小野寺委員 実際に、私たちの感覚からすると、そこで住民票や戸籍抄本が取れる、そして、私たちはいろいろな情報を、実はポイントの加入とかいう形で情報を既に入れている。そこが外資規制の対象になっていない。

 これは、やめろということではなくて、事前審査が必要だという制度、これにはいろいろな企業が、重要企業がその対象になっていますが、実は小売、コンビニは入っていないということ。むしろ、実態を考えれば、ここも事前審査の中に入れるべきではないか。万が一、中国がこの企業を買収をし、その資本の中で、日本全国、私たちの証明書の発行がされているということは、私はやはり、決して、何か楽しい話ではない。

 是非、この問題についてもう少し政府のお考えを伺いたいと思います。

城内国務大臣 今、石破総理から御答弁がございましたが、コンビニ事業者が提供するサービスに含まれる個人情報や、流通、小売事業者が有する顧客情報等の流出は経済安全保障上のリスクとなり得るものであると認識しております。

 他方で、民間企業の個別事案についてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、一般論として申し上げますと、コンビニエンスストアは、御指摘のとおり国民の生活になくてはならない存在となっております。他方で、経済安全保障推進法のいわゆる十四の基幹インフラ役務には入ってはおりませんが、特に地方では欠くことのない、広い意味での重要なインフラであることは間違いないと思います。

 したがいまして、経済安全保障担当大臣としては、こうした事業を営む企業の買収に向けた動きを大きな関心を持って注視していく考えであります。

 いずれにしましても、小野寺委員の御指摘のとおり、本件についても、情報収集を行いながら、対応すべきリスクとその対策について、関係省庁としっかり連携をしながら検討を進めていく考えであります。

小野寺委員 私ども、是非注視をしていただきたい。経済安全保障上、実はいろいろな形で今、これがもしかしたら問題になるんじゃないか、これは課題があるんじゃないかということを一つ一つやっておりますが、その中でもコンビニ、あるいはもしかしたらこれからいろいろな議論をする中に新たに経済安全保障上必要なものが出てくると思いますので、丁寧に対応していただきたい、そのように思っております。

 そして、もう一つ、やはりこの国を強くするためには、安全保障の中では、食料の安全保障、これも重要だということになります。

 今、私どももスーパーに行って驚くのは、キャベツ、一時千円という報道もありました。今、そこまでは高くありませんが、やはり五百円ぐらいしてしまう。随分高いな。それから、特にその中でも米であります。私も、地元が農業地域でありますから、米について高い関心を持っております。そして、昨年の暮れから、米がかなり値段が上がっている。米のいろいろな取引がありますが、相対取引価格では一時六十キロ当たり四万円台になったこともあるということ、こんな数字を私はなかなか見たことがありません。

 しかし、不思議なんです。昨年秋に米を収穫しました。その時点の収穫量、そして毎年日本人がどのぐらい米を消費するかという消費量を換算しても、米不足に極端になるような数字ではないんです。何でこれだけ値段が上がっているのか。そして、実は、農家、生産者は、既に収穫した米はもう出荷しているんです。売っているんです。確かに、今年は概算金も一定よかったです。六十キロ当たり二万円程度、そういう価格であった。何でそれで売ってあるのが今相場で四万ぐらいになるんだと実は農家も不思議に思っています。恐らくどこかで流通の目詰まりがあって、この米価高になっているんじゃないか。

 私が心配しているのは、米が高くなる、そうすると、やはり米よりもパン、麺ということで消費が減ってしまう。米の消費が減ることが逆にこれから以降の農家の生産意欲の減退につながると、食料安全保障に大きな影響が出てしまう。

 現在の状況、どこで流通の目詰まりがあるのか、これを解消するにはどうしたらいいのか、農水大臣にお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 まず、野菜については、非常に高くて、四百円ぐらいに今なっておりますけれども、昨年から、夏は暑い、それから秋は非常に天候が不順、冬になったら、今度は極端に寒くて雨が降らない。水をまいて一生懸命生産農家は頑張ってくれています。しかし、幾らまいても畑がからっからに乾いていますので追いつかない。ですから大玉ができないんですね。大玉が値段が高い。それが千円ですから、そういったものができないことで値段が上がっていることが消費者の方々にとっては大変なことだというふうに受け止めております。

 それから、米につきましては御指摘のとおりであります。昨年から国内の消費量を十分賄えるだけの米は生産をされ、そして販売もされています。しかし店頭にはないという状況であります。ですから、新米が出れば何とかなるという話でありましたが、今年になっても全くスポットも上がり続けている。大変異常な状態だというふうに思っています。

 ですから、この状況を受けて、私は、食糧法の理念からいって、やはり緊急事態に備蓄米は使うべきものだからなかなか出せないという答弁をしてまいりましたが、昨年から、関係省庁としっかり打合せをして、何とかならないのかという検討をしてきました。

 その結果、食糧法の第二十九条に基づいて、買戻しをするということであれば、農林水産大臣の判断で、法改正を経なくても売渡しができるというような御回答もいただきましたので、それに基づいて今日諮問をしたいというふうに思っております。

 これについて市場がどのように動くかについては申し述べませんが、しかし、米はあるんですよ、昨年より十八万トン多いんですから。十八万トン多いんですよ。そして、もっと問題は、主にスーパーやそういった店頭に供給する集荷業者、そういった方のところに、昨年よりも十七万トンも少なく、米が集まっていない。これはもっと減るかもしれません。そして、今年は、農家の方々は作付面積を増やしています、主食米について。それでもこのような状況です。

 これは、我々農政にずっと関わってきた人間からすると全く理解のできない状況でありますので、何とか、農林水産省としては、流通の改善にも寄与するような判断をしていきたいと思っております。

小野寺委員 どこかに目詰まりしているんです。それが制度的なものなのか、考えたくはありませんが意図的なものなのか。そういうことをしっかり解消していただいて、農家は一生懸命作って、今年すごく米が上がったなと安心しているんですが、なぜこんなにスーパーで売っている米が上がってしまっているんだ。私は、是非、適正な形をしっかり模索していただきたい、そう思っています。

 そして、今、米のお話をしたので、一つ、水田のお話をさせていただきたいと思います。

 地元でずっと、この水田政策、説明をしてまいりました。実は、水田活用の直接支払交付金というのが農水省の制度にあります。これは水田に着目した支援なので、水田の証明をしろと、この補助金をもらう限りは水田の証明をしなきゃいけない。そして、政府から言われたその証明の仕方は、五年に一回水を張れという。でも、農地によっては、水を張ったら次の作物が育たないような、そういう作物も作っているので、水田なんだけれども、この水張りという要件をやめてくれないか、米以外の生産をするためにやめてくれないか、こういう声がずっとあります。

 私は、むしろ、水田だから出る補助金なので水田の証明をしなきゃいけないとすれば、もうこの補助金、交付金の要件の水田という考えを見直して、直接農家の支援ができるような、そんな制度、こういう考えをすることが、食料安全保障の面でとても重要だと思います。

 私だけではなく、野党の皆さんからもずっとこの意見がありました。是非、この考え方について農水大臣にお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 お答えさせていただきます。

 小野寺先生は、自民党の米の政策のトップをずっとされておられました。私も調査会長をしておりましたので、この水活については、本当にもう泥をかぶりながら努力をしてきた結果だというふうに思っております。

 いろいろ言われますので、私も地元で言われます、何とかならないのか、この水張りの要件についてはですね。このことについては、そういうような御意見を踏まえまして、食料安定供給を図る観点から、水田を対象として支援する水活を根本的に見直すという検討を始めることといたします。

 私は、紙を読むのは余り好きじゃないんですが、これから正確を期さなければなりませんので、昨日の夜まで推敲を重ねたペーパーを作りましたので、しっかり読ませていただきます。

 米の生産性を根本的に向上させつつ、必要な水田を維持するとともに、米以外の作物を作る農地について、食料自給力向上への費用対効果も踏まえた上で、これまで作付してきた作物の本作化を図り、作物ごとの生産性向上への支援へと政策構造を転換するということを考えております。こうした方向性の見直しにより、水田機能の確認は不要となります。そうなれば、令和九年以降の五年水張りの要件は求めないということとなります。

 さらに、令和七年、八年、この二年間におきましては、土壌改良資材の散布、これはふだんからやっていることではありますが、これをしっかりやっていただければ、連作障害回避をしたということになりますので、水張りをしなくても水活の対象としたらどうかというふうに考えております。

 また、水田政策全体について考えますと、昨年から、そうした米の品不足、それに続く、先ほど御指摘あった価格の高騰といった直近の課題もあります。

 今後は、国際情勢、気候の変動など、そういったものによって需要と供給のバランスが崩れてしまうというリスクがありますので、それから、担い手が急激に減るというような農業構造の変化への課題も山積しております。こういった中で、農業者のみならず、国民の皆様に食料の安定供給がなされるよう、これまでの殻を破った水田政策の見直しが必要だと考えております。

 今後は、与野党の先生方の垣根を越えて御議論いただき、現場の方々、それから関係団体も含めた幅広い御意見を丁寧に伺った上で、この検討の方向性を基本計画に盛り込んでいきたいと考えておりますので、先生方の活発な御議論をよろしくお願いいたします。

安住委員長 時間が過ぎていますので、簡潔に。

小野寺委員 野党の皆様の様々な声の力もいただきまして、水張りについては要件としないという答弁をいただきました。これからも農家に寄り添い、国民に寄り添った政策を石破内閣にはお願いしたいと思います。

 終わります。

安住委員長 この際、中曽根康隆君から関連質疑の申出があります。小野寺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中曽根康隆君。

中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆です。

 冒頭、一言申し上げたいと思います。

 熟議を掲げながら、参考人招致を審議入りの条件とし、国民生活に直結する総予算の審議入りが一日遅れたことは甚だ遺憾であります。

 また、安住予算委員長の職権により行われた昨日の参考人出頭決議についても言及をさせていただきます。

 賛成多数による議決は五十一年ぶりとはいえ、判決が確定した当事者という観点からは過去に例はなく、初めての事例となりました。これは長年積み上げられてきた全会一致の原則を逸脱するものであるとともに、司法権の独立と人権保護の観点からも重大な禍根を残すものであり、極めて遺憾であります。

 更に言えば、立憲委員一名が遅刻によってこの重大な採決を欠席されたことは大変遺憾であります。

 以上申し述べて、質問に入りたいと思います。

 まず、総理に自立した国についてお伺いをいたします。

 総理は、施政方針演説において、自立した形で国民を守る戦略的な国家運営が必要とおっしゃいました。この自立というのは極めて我が国にとって重要なキーワードだというふうに思っております。日本は果たして自立した国と言えるのか、いま一度考えるべきだと思います。

 そもそも、一国が自立するとはどういうことか。いろいろな定義があると思いますが、私なりに考えると、いついかなるときも国民の命と暮らしを守る体制を国家として整えておくことだというふうに思います。

 現状、国家としての責任を果たせる状態かどうか、極めて私は懐疑的であります。なぜならば、やはり海外依存が大きいということでございます。平時はよくても、いざ有事の際に、同盟国、同志国、そしてその他の国々との関係が機能しなくなったとき、又は自由貿易が機能不全に陥ったときに、他国に頼らずに国民の命と暮らしが守れるのかどうか。可能な限りの自己完結を目指すことが大事であり、極力依存を減らしていくことが重要であります。

 真の自立国家に向けて、私は三つの安全保障が重要だと思っております。一つが国家安全保障、二つ目がエネルギー安全保障、そして三つ目が、さっきから出ていますけれども、食料安全保障であります。

 一つ目の国家安全保障。我が国は戦後、吉田ドクトリンの下に経済成長を追求してきた。一方で、防衛、安全保障というものは、正直、アメリカに依存してきた部分が大きい。自分の国を自分で守るという意識は低かったというふうに思います。いわゆる基盤的防衛力構想の発想であります。

 しかし、世の中は変わりました。もうアメリカも世界の警察はやめております。日本も、緊張感高まる世界情勢の中で、自分の国を自分で守る国にようやく生まれ変わりつつあります。これを機に、自分の足で立てる防衛的自立国になる必要がまずはあります。

 そして、二つ目、三つ目のエネルギー、食料に関してですけれども、とにかく依存が大きい。エネルギー自給率は一三%、食料自給率はカロリーベースで三八%であります。

 いざ有事が起きて、シーレーンが途絶されて、これまで当たり前のように我が国に入ってきたものがぴたっと入ってこなくなったときに、日本国民が安心して生活できる、そして、企業が継続して社会活動できるエネルギーを国内で供給することが果たしてできるのか。又は、日本国民が飢餓に陥らずに食べていけるだけの食料を国内で確保できるのか。まさにこれは経済安全保障そのものでありまして、やはり依存というものは怖いわけであります。

 サプライチェーンの確保、これを平時から同盟国、同志国と連携強化するとともに、とにかく国内の供給率を上げていくこと、これが急務であります。要するに、依存を減らしていくこと、自分の足で立てる国になること、この重要性をいま一度認識をして、戦略的に政策を進めていくことが政府の責任であると思います。

 総理にお伺いしますけれども、今述べたこの三つの安全保障を踏まえて、依存した現状からどのように脱却をしていくのか、総理の自立国家に対する認識とその先の戦略をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 私も今年で議員になって四十年になりますが、委員が御指摘になったことは、私は最初に議員になったのは昭和六十一年なのですが、全く同じことを考えておりました。

 時の総理は中曽根康弘先生でありましたが、食料がそう、エネルギーがそう、防衛がそう。この三つの自立というのか独立というのか、これが、さあ、四十年間でどれぐらい高まっただろうかということを反省してみると、防衛大臣も農林水産大臣もやりましたが、やはりそれが着実に高まってきたという実感を、申し訳ありません、持っておりません。

 これを少しでも高めていくために、では、食料自給率、穀物ベース、カロリーベース、いろいろな考え方がありますが、それをどれぐらい高めることができただろうか。

 エネルギーの自給率を考えたときに、もう日本では石油が出ないんだから仕方ないね、以上、みたいなことを言っても仕方がなくて、最大限に安全性が確認された原子力というものも視野に入れながら、やはり我が国は地熱のポテンシャルが物すごくありますよね。では、太陽光にしても、今、ペロブスカイトというものの開発が急ピッチで進んでおりますが、中国に依存しなくても、ヨウ素というものは我が国は相当のポテンシャルがございますので、このペロブスカイトで太陽光発電がどれぐらいできるだろうかということも考えていかねばならない。

 食料の安全保障、先ほど農林水産大臣も答弁申し上げましたが、世界中が農業生産を増やしている、農地を増やしている中にあって、我が国の米政策、これで本当にいいですかということは問うていかねばならぬことだと思っております。

 エネルギーにしても、あるいは食料にしても、あるいはいわゆる防衛面においても、何ができるだろうかということを一つ一つお示しをしていきながら、我が国の自立性、独立性というものを着実に高めていきませんと、今までと違って人口が急減するモードに入っているわけですから、今までとは全く違うということだと思っております。

 経済も成長させていきながら、コストカット型の経済から付加価値創出型の経済には変えてまいりますが、人口減少というのはしばらく止まりません。そういう中にあってどうやって自立性を高めるかということは、この予算委員会におきましてもよく御説明をしてまいりたいと思っております。

中曽根委員 これはもう国家の土台に関することですので、是非とも総理の力強い政策の推進をお願いしたいと思います。

 続いて、対米戦略、特に北朝鮮拉致問題についてお伺いをしたいと思います。

 トランプ大統領、就任早々多くの話題を提供しております。WHOやパリ協定からの脱退、そして多くの大統領令に既に署名をしております。今回は二期目、トリプルレッド、そして最後の四年間ということで、一期目よりも恐らく独自色を出してきて、そして、よりアメリカ・ファーストの姿勢を鮮明に出してくるというふうに思います。また、世の中は、石破総理がトランプ大統領とどのような関係を築くかにも注目が集まっております。

 そんな中で私が一つ気になるのは、先日、トランプ大統領による北朝鮮の核保有国発言がありました。この発言の真意は当然私は分かりませんけれども、もしトランプ大統領がこの発言を基に北朝鮮と何らかのディールをしようと考えているのであれば、これは我が国にとっては懸念材料になるというふうに思います。

 というのも、我が国にとっては最重要事項である拉致被害者の奪還、これが置き去りになることは絶対に避けなくてはならないからであります。トランプ大統領が以前に、拉致被害者の家族の皆さんと面会をして、その声に真摯に耳を傾けたということ、これを理由に楽観視してはいけないと思います。あのときはあのとき、今は今のトランプ大統領であります。

 日本政府として、今回の核保有国発言の真意を問うとともに、改めて、拉致被害者の奪還について強く、トランプ大統領、そしてその周辺にインプットをする必要があると思いますし、同時に、米国の強いコミットメントと協力を要請し続けるべきだと思います。

 改めて、総理は、トランプ大統領とどのように向き合い、そして、北朝鮮拉致問題に関していかに米国の協力を得るつもりか、伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 先ほど小野寺政調会長にもお答えをいたしましたが、もちろんアメリカの理解、協力は必要です。領土についても、尖閣が日米安全保障条約の対象であるということをきちんと確認をするのは大事なことです。そしてまた、拉致問題についても、アメリカの理解であり協力でありを求めることは必要なことであって、さればこそ、安倍元総理が何度も何度もこの問題を提起し、トランプ大統領の理解を得、来日時には拉致被害者の方々の御家族にも会っていただいたというようなこともございました。それは今後もきちんと続けてまいります。

 しかしながら、同時にきちんと確認しておかねばならぬのは、領土の問題も拉致被害者の問題も、これは我が国の主権の問題でございます。拉致問題が単なる誘拐事件ではなく国家主権の問題であると言っているのは、国家主権の三要素である領土であり国民であり統治機構であり、これが他国の主権によって脅かされるということが主権侵害でなくて何だということでございますから、領土にしても拉致問題にしても、これを解決するのは、当然、我が国の努力によるべきものである。アメリカが何とかしてくれるというような考え方であってはならないと思っております。

 トランプ大統領にはそのことはきちんと申し上げた上で、アメリカにバンデンバーグ決議というのがございますが、自分の国が努力をしない国はアメリカは助けないという国会の決議ですよね。当然のことでございます。日本として何ができるかということをきちんと示した上で、合衆国の理解、協力を求めるという姿勢で臨んでまいります。

中曽根委員 総理おっしゃるとおりで、自助あっての共助だと思います。

 先日、私も、横田めぐみさんの弟さんと、お話を伺うことがありました。心の底からやはり怒りが込み上げてくるとともに、この非人道的な、いわゆる国家主権を侵している重大な国家犯罪、これは過去の話じゃなくて、今なお続いている現在進行形の国家犯罪でありますので、国を挙げて一刻も早く解決しなくてはいけない。総理の覚悟と行動に是非とも期待をしたいというふうに思います。

 ちょっと話は変わりますけれども、今、総理とトランプ大統領がいつ会うのかという話がちょこちょこメディアでも出ます。アメリカの大統領が替わると、各国の首脳がこぞって我先に会いに行こうというふうにしますけれども、日本も例外ではありません。○○首相は就任前に会ったとか、就任直後に会った、こういったことが報道で出ます。

 ただ、私、個人的には、これは早く会えばいいというものではないというふうに思っております。大事なのは、会ったときに政府として何を伝え、主張し、そしてどんな成果を得て帰ってくるか。そして、これには、極めて重要な、万全の準備というものが必要になってまいります。

 なので、早く会うよりも、タイミングをしっかりと見極めた上で、会ったときに確実に成果を残してくる、こういったことに是非とも意識を置いて、今後の日程も、総理、考えていただきたいというふうに思います。

 そして、もう一点申し上げますと、今後、我が国は、これまでのバイデン政権以上に対米戦略を明確に持たなきゃいけないというふうに思っております。これまでとは違うシビアな局面が増える可能性が高いと思うからです。そして、米国からもし理不尽な要求やディールが来たときに、決して受け身になることなく、押し返していただきたい。アメリカにとって日本がいかに重要な国か、いかに必要な国か、我が国の不可欠性というものをアメリカにしっかりと主張し、伝えていかなくてはいけない。

 例えば、在日米軍基地の存在意義もそうだし、日本の地理的重要性もそうだし、グローバルサウスとの懸け橋としての役割もそうだし、日本にしかできないことがあるわけです。堂々と米国と向き合って、その上で信頼関係を構築していただきたいというふうに思います。

 続いて、BRICSを含むグローバルサウス戦略について、外務大臣にお伺いをいたします。

 質問に入る前に、一点、中国との向き合い方について意見を申し上げます。

 米国が保護主義に走る中で、中国がこれをチャンスと捉えて、より積極的に行動してくることを私は懸念をしております。今後、日中韓の外相会談、報道では三月末にあるかもしれないと出ておりますし、三か国によるFTAの話も進むかもしれない。中国はこれを足がかりにして、今度はTPPの加盟についてもより力を強めてくるかもしれない。また、習近平主席が総理に送った書簡に、近いうちの首脳会談という内容が、これは事実かは分かりませんけれども、報道もあります。

 この中国との戦略的互恵関係というもの、私、いまいちその定義がはっきりしませんけれども、確実に言えるのは、今後、緊張感のある国益を懸けた交渉とか駆け引きの連続になるということを是非とも強く覚悟して、中国と向き合っていただきたいというふうに思います。

 ここから本題に入ります。

 BRICSを含むグローバルサウスが今台頭しているわけであります。これらの国々は、これまで欧米が主導してきた価値観に必ずしも賛同していない。自分たちの新たな価値観とか共通利益を基に新しい制度や秩序を構築しようと、というよりも、もうし始めております。

 今、欧米と中ロがこれらの国々を自分の陣営に引き込もうとある意味綱引きをしている状態ですけれども、ここで大事なのは、我が国のスタンスです。BRICSプラス、これは日本にとっても極めて重要であって、エネルギーの依存もあるし、サプライチェーンの要の国々も入っております。大事なことは、日本がこの綱引きに加わるのではなくて、このグローバルサウスの国々の存在をしっかりと正面から受け止めた上で、これらの国々が共生できる新しい世界秩序の形成に日本が積極的に協力をしていくべきだというふうに私は思っております。

 ここで外務大臣にお伺いしますけれども、中国がこういった形で、あめとむちを使って自陣営に引き込もうとしている、こういった状況において、これほど我が国が主体的に戦略的に外交を展開するべき時期はないと思いますし、こういうときこそ、日本にしかできない役割を果たしていくべきだというふうに思います。どうしても米中に我々は視点が行きがちですけれども、やはりグローバルサウス、これまで以上に目を向けていく必要があります。

 我が国の強みというのは、米国に必ずしもいい感情を抱いていないグローバルサウスの国々とも話ができること、一方で、グローバルサウスの国々は日本を通してアメリカと話ができること、やはりこういった懸け橋、ブリッジ役を我々は担えるわけであります。

 ここで質問ですけれども、我が国としてどのようにこのBRICSプラスを始めグローバルサウスの国にアプローチをしていくのか、日本にしかできない役割を担っていくのか、その意気込みと戦略をお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 まず、委員が御指摘になった対中関係でございます。

 これは、首脳会談で確認したように、これから戦略的互恵関係を包括的に進めていこう、そして建設的、安定的な関係を築いていこうということで進めていくわけでありますが、先刻委員からあった御指摘もしっかりと踏まえて日中関係をマネージしていきたいというふうに考えております。

 その上で、グローバルサウスについての御質問ですけれども、私は、委員が、綱引きに加わることではなく、グローバルサウスと正面から向き合って関係を構築すべきだという御見識に全く同感でございます。

 今、国際社会は分断が深刻化しておりますし、多極化というか、多様化という状況に入ってきていると思います。また、グローバルサウスの国々は、必ずしも一様ではなくて、いつもどちらか側につくという判断をするわけではないというふうに思っておりますので、こういう国々ときめ細やかに対応していくことが必要だというふうに思っております。そして、目指すところは、やはり法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持、そして発展させていく、その結節点に我が国がなっていくということが大切だというふうに考えております。

 したがいまして、それぞれの国と丁寧に向き合って、日本ができる支援、連携というものを一つずつ丁寧に進めていくという考え方でグローバルサウスと向き合っていきたいというふうに考えております。

中曽根委員 ありがとうございます。

 次に、自衛官の確保及び国民の認識についての醸成、これを防衛大臣に伺いたいというふうに思います。

 言うまでもなく、今我が国が置かれている安全保障情勢というのは、戦後最も厳しいと言っても過言ではありません。

 今後、あらゆる面から防衛力の抜本的強化が必要とされますけれども、私が何よりも大事だと考えるのは人であります、人的基盤の強化。やはり自衛官こそが防衛力そのものであるからであります。どうやって人材を確保するのか、そして、自衛官たちが誇りを持って働ける環境をどのように整備をしていくのか。

 私が防衛大臣政務官を務めさせていただいた際に、日本中の基地、駐屯地を回りまして、そして、自衛官がぎりぎりの精神状態においても日々の任務を遂行している姿を見てまいりました。

 例えば、ジブチ共和国で、四十度の灼熱の中で、プレハブに寝泊まりをしながら海賊対処に当たっている自衛官だったり、又は、硫黄島で、電波がほぼない中で、携帯電話がほとんど見られないときに、三段ベッドに寝泊まりしながら、雨水をためて、それを生活水に使っている自衛官たちもいました。又は、潜水艦ではよく言われますけれども、魚雷と一緒に寝ている自衛官もいるわけです。やはり我々が何の心配もせずに日々暮らしていられるのは、こういった一人一人の自衛官の使命感と責任感があるからだというふうに思います。

 大臣も御存じのとおりで、自衛官は服務の宣誓を行います。これは、要するに、何か危険が起きたときには命を懸けて国と国民を守ると彼らは誓っているわけであります。自衛官に対する国民意識のより一層の醸成が必要だと私は思いますし、彼らへの心からの敬意とともに、処遇の抜本的改善とか、また、退官後の処遇とかを含めて、やはり人材確保のために手を尽くすことが政府の責任だというふうに思います。

 防衛大臣として、自衛官に対する国民意識の醸成及び人材確保への決意をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 中曽根委員御指摘のとおり、現在、自衛官は、大変高い使命感と、そして責任感を持って勤務についております。

 現在、我が国の防衛力を抜本的に強化をしていくということを実施しておりますけれども、そのためには、何といっても自衛隊の担い手であります自衛官の人材確保、これが重要でありますが、それとともに、やはり教育、育成、そして全ての自衛官が、国防という国家にとって極めて崇高な任務に誇りと名誉、そして高い使命感を持って専念できる体制を整えるということが不可欠でございます。

 そのためには、現在、石破総理を議長といたしまして、関係閣僚会議、これを開催をしておりまして、その中で基本方針を定め、三十を超える手当の新設、金額の引上げなど、過去に例のない取組を令和七年度予算案に計上しております。また、法律、制度改正が必要なものについて、今国会に法律を提出いたしまして、加えて、自衛官に対する叙勲の在り方の検討など、自衛官としての誇りと名誉、国民からの尊敬を得る上で重要な施策についても実施をするということにしております。

 この基本方針で取りまとめた各種の施策の実効性を確保することによりまして、引き続き、隊員の処遇、また生活環境の改善に努めて、より高い意識を持った自衛官を養成したいと考えております。

中曽根委員 ありがとうございます。

 私には忘れられない光景があります。防衛大学校を訪れて学生たちと話をしているときでありますけれども、一人の一年生が私に本当に不安な顔をして言いました。政務官、私、朝六時の起床ラッパを聞くのが怖いんですと。慣れない集団生活、日々の訓練、そして、今後本当に有事の際に出動する可能性が増えてきている。こういったことを考えると、朝を迎えるのが怖いという話でありました。こういう状況でも、防大生、十代の子です、そして未来の自衛官たちというのは立派に頑張っているわけであります。

 処遇改善は当然とした上で、我々はもっと自衛官に対して敬意を表するべきでありますし、誰のおかげで日々の平和な暮らしがあるのか、いま一度国民全体で考えるべきだというふうに思います。

 次に、中小企業、小規模事業者対策について、経産大臣にお伺いをいたします。

 総理は、施政方針演説において、楽しい日本とおっしゃいました。全ての人が自分の夢に挑戦し、今日より明日がよくなる、実感が得られる日本、これは物すごく大事なことだし、前向きなメッセージで、いいとは思います。しかし、今、国民から聞こえてくるのは、楽しさよりも、目の前の苦しさを何とかしてくれということであります。

 そして、地方二・〇によって地方に活力を取り戻すというのは、これも極めて重要であります。ただ、私が特に強調したいのは、現在、都市部と地方、大企業と中小企業、これは置かれている状況が全く違うということであります。

 先日も新聞報道でありました。プライム上場企業が初任給を四十万円に乗せる。そして、初任給三十万円の大企業もたくさん出てきている。さらには、賃上げを五%以上、しかも、これを何年も連続でやっていくという企業がどんどん出てきている。

 一方で、地方はどうか。コストは上がる、価格転嫁ができない、だからこそ利益が上がらない、だからこそ賃上げができない、賃上げができないから人が逃げていく、人が足りない。こういう極めてネガティブなスパイラルにはまっているのが今の地方の実情であります。このままでは、ますます都市部と地方、大企業と中小企業、格差が広がっていってしまうことを大変懸念をしております。

 政府の目指す中小企業、小規模事業者の価格転嫁とか生産性の向上を達成して自走できるようにする、これは重要です。しかし、私、地元を回っていると、やはりその達成のタイミングは今でなくて、もう少し時間がかかるというふうに思います。一年又は二年、タイムラグができるかもしれません。やはりそれまでは、事業者の底力を信じつつも、補助や減税や金融支援やあらゆる手段で、粘り強くこういった企業に支援を行っていかなくてはいけないというふうに思います。

 大臣に伺いますけれども、大企業と中小企業の今置かれている現状、タイムラグ、こういったことを踏まえて、具体的にどういった支援策があるのか、提供できるのか、どうやってこの格差を止めていくのか、伺いたいと思います。

武藤国務大臣 中曽根委員にお答えをさせていただきます。

 中曽根委員も私もどちらかというと海なし県の地方の出身でありますので、まさに私自身も商売をやってきた関係からいうと、議員との問題意識は全く共有するところであります。

 これはいつもお話ししているところですけれども、我が国の雇用の七割は中小企業、そして小規模な事業者。これが日本経済にとって極めて重要な支え手、いわゆる基盤であります。

 御指摘のとおり、大都市圏と地方圏の業況、あるいは大企業と中小企業の業績に差が見られる、こういう中で、足下の物価高ですとか金利上昇、人手不足など、経営課題に直面する中小企業をしっかりと下支えしながら、中小企業の将来的な成長に向けて、稼ぐ力をしっかり強化していくことが大変重要だというのが、現状の、今の認識です。

 まずは、全国の商工会とか商工会議所がございます。また、よろず支援拠点を通じた経営者へのきめ細かな伴走支援、そして、物価高騰に直面する中小企業に対するセーフティーネット貸付けなどの資金繰り支援などなど、全力で引き続き取り組んでまいります。

 そして、さらに、持続的な賃上げを実現するために、中小企業の稼ぐ力の強化が重要であります。公正取引委員会と連携をした下請法の改正法案の提出など、サプライチェーン全体での取引適正化対策を推進するとともに、先般の補正予算あるいは既存予算を含めて、総額一兆円を上回る中小企業向け支援を最大限に活用しながら、省力化を含む生産性向上、成長投資、事業承継やMアンドAを強力に後押しするなど、施策の総動員をまさに実施してまいります。

 こうした支援が行き届くように、国や公的機関の支援情報、施策の発信を取り組んできており、地域の経営者に支援を実感していただけるように、不断の努力をこれからも続けさせていただきます。よろしくお願いいたします。

中曽根委員 ありがとうございます。

 地方の経営者、そしてそこで働く従業員の皆さんに実感が行き渡って初めて成果が出たと言えるわけであります。政府には是非とも、このタイムラグを意識していただいて、先頭を走っている人を見るのではなくて、一番後ろで頑張っている人に目を向け続けていただきたいというふうに思います。

 次に、農業政策について、農水大臣にお伺いをいたします。

 農業には、攻めの政策と守りの政策があるというふうに思います。

 まず、攻めの話でいえば、やはり大規模化、法人化、事業の多角化、こういったことで国産農産物を効率的に大量に生産をして、それを戦略的に海外に輸出をしていく、そして稼げる産業に持っていくということだというふうに思います。同時に、これは食料安全保障にも直結しますし、自立した国への土台にもつながってまいります。やはりメイド・イン・ジャパン、この強みを生かして、世界に付加価値のある国産のものをどんどん出していく。これはまさに攻めの農業であります。

 私が今日特に申し上げたいのは、守りの方であります。

 現在、我が国の農業経営体、全部で百三十七万軒あります。そのうちの百三十四万軒が家族経営の農家であります。我が国の農業は家族経営農家に支えられていると言っても過言ではありません。そして、この小さな農家たちは、日々大変な闘いを強いられているわけであります。肥料、飼料、資材、燃料の高騰はもちろんですし、豪雪、豪雨、霜、ひょう、こういった天候、そして自然災害、こういったものと闘っている。

 また、今、政府が最低賃金千五百円を目指すと言っていますけれども、こういった小さな農家、雇っているパートさんとか、又は技能実習、特定技能の外国人とか、こういった方たちの賃金が上がると、農業の経営を物すごく圧迫することにも今後なる、大変大きな不安があるというふうに声をいただいております。

 また、先週、私の地元前橋市において、残念ながら豚熱が出てしまいました。養豚農家さん、大事に育てた豚、言ってみれば資産、それが一晩で何千頭と殺処分をしなきゃいけなくなる、こういうことも農家は起きるわけであります。

 こういう日々闘っている農家をどのように国として守っていくのか、これは最重要課題だというふうに思います。また、食料安全保障も、突き詰めれば、結局、こういう日本全国の家族経営の農家さんたちが足腰強く営農できる環境をつくれるかどうかに懸かっていますし、いざというときに全国各地で農産物を作り供給してくれる農家さんたちがいてくれるかどうか、これは食料安保そのものだというふうに思います。

 政府として、家族経営農家をどのように位置づけているのか。コストは上がるけれども価格転嫁ができない、売値も自分で決められない、もう自助ではどうしようもないような、そういった農家さんたちにどのようなサポートができるのか。

 そして、こういった家族経営の農家は今後激減していくことがもう確実と言われておりますけれども、こういった中での日本の農産業及び食料安全保障について、農水大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 中曽根委員におかれましては、大変深い御見識をお持ちであるということがよく分かりまして、心から敬意を表しますし、地元もしっかり歩いておられるんだなということがよく分かりました。是非これからも農政について共に議論をしていきたいと思います。

 今御指摘ありましたように、家族経営に支えられているのが日本の農業ですが、総農業生産の四割は中山間地域で生まれています。ですから、中山間地域の農業が潰れてしまったら、総農業生産が一気に四割減る。三八%の食料自給率、これが食料安全保障上極めて問題だという意識はみんな持っておりますが、中山間地域が潰れたらどかんと落ちることはもう明白でありますから、いかに家族経営を守り、条件の悪いところもしっかりと守っていくかということは大変大事だと思っております。

 実は、私が五年前、また農水大臣をやりましたが、そのときに食料・農業・農村基本計画の改正をいたしました。そのときに、それまで記述のなかった、規模の大小を問わず、家族経営を含めた意欲のある担い手を育成、確保していくことが重要であるという文言を加えました。これは今も生きております。これを更に強化したいと思っています。

 大変、営農の経営は厳しくなっています。今御指摘あったように、様々な物財費が上がっていく。そして、今国会には合理的な価格形成のための法律は出しますが、それができたからといって、すぐに効果があるというものではないかもしれません。しかし、やらなければなりません。そういったことも含めて、今後の、これから新しく作る新しい基本計画においても、家族経営とは、それから条件不利、中山間地域の農業について、いかにやるのか、そしてその支援策についても幅広に議論していきたい。

 そして、輸出についても御議論がありました。これから、世界の食料マーケットは十年間で一・五倍に増えるというふうに言われています。そこを取りにいかない手はやはりないと思うんですよ。やはり輸出もしっかりマーケットイン、そしてマーケットメイクという気持ちを持って、幅広い、国内に向けてしっかり食料を供給する、そして世界にも、食文化も含めて日本の農業をアピールしていく、そういった農政をやっていきたいと考えておりますので、是非これからもよろしくお願いします。

中曽根委員 是非とも、地方の家族経営の農家たちに、政府はしっかりと皆さんのことを見ていますよというメッセージを出していただきたいですし、その本気度を行動で示していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、産業政策における国家意思ということについて、また経産大臣にお伺いしたいと思います。

 自由主義、資本主義の世界において、民間の活動に政府が過度に介入するということは望ましくはありません。技術革新によって世の中に新しい価値を提供していくのは、常に民間主導であります。

 一方で、昨今、経済安全保障において、各国が優位性や不可欠性を維持するために国として守らなくてはいけない技術、こういう概念が重要になってきております。我が国にも守るべき技術が多数あります。

 そして同時に、これらの技術というのは、我が国の武器として今後大きな可能性も持っているわけであります。例えば原発の技術もそうだし、小型モジュール、SMRもそうだし、量子も半導体も水素も核融合も、いろいろな日本が強みを持っている科学技術、世界でも優位性がある、不可欠性がある技術があるわけです。

 これらを国家の意思としてしっかりとまず守る、そして育てる、そして産業としてつくっていく。この国家の本気度を示すことによって、民間のプレーヤーにもどんどん入ってきてもらって、そして民間の投資も呼び込んで、そこに人も入ってくる、人が育っていく。こういった形で、しっかりと稼げる産業に国の意思としてつなげていく必要があるというふうに思います。

 これは我が国の繁栄にもつながりますけれども、世界の発展に寄与することにもつながるわけであります。技術で勝ってビジネスで負けると言われてきた日本、この反省を踏まえて、技術で勝ってビジネスでも勝つ、やはりこういった日本になるために、官民一体で同じ方向を見て、オール・ジャパンで産業をつくって成長させていく必要があるというふうに思います。

 経済安保の観点から、技術を発掘して守ること、そして、産業政策として、その技術を生かしてビジネスとして成長させること、これを民間と連携した上で、国家として、一連の流れを責任を持って担っていこうということが重要だというふうに認識をいたします。

 改めて大臣にお伺いしますけれども、国家意思を示して、国として責任を持って技術を守って、日の丸の産業をつくっていくことの覚悟と、そして、その具体的な戦略を政府は持っているのか、お伺いしたいというふうに思います。

武藤国務大臣 まさに中曽根委員と問題意識を共有するところであります。

 今おっしゃられたような半導体、量子、AIなどの先端分野における技術競争がまさに国際的に激化している中で、各国は自国の産業基盤強化のため、破格の規模で積極投資を今進めているわけであります。

 我が国としても、重要物資や技術を戦略的に育て守るため、国家安全保障局や経済産業省などがそれぞれ連携をしながら、積極的に産業政策を進めてきているところであります。

 例えば、この中でAI、半導体、これについては、二〇三〇年度までに十兆円以上の公的支援の枠組みを設けさせていただき、次世代半導体の量産等に必要な法案の提出を今国会で予定しているところであります。

 また、量子コンピューターにつきましては、世界最高水準の研究開発拠点を整備していくとともに、国内サプライチェーンの強化に向けた研究開発支援も実施しているところであります。

 こうした産業や技術を育てる政策、また同時に、外為法に基づきまして技術流出対策を徹底するという守るスキームも導入しながら、育て、守る、両面での対応を行っております。

 こうした取組を通じて、官民一体で我が国の不可欠性、そして優位性を高めながら世界にも貢献する、先生がおっしゃるとおりです、産業技術基盤の強化に全力を尽くしてまいります。

中曽根委員 ありがとうございます。

 今日いろいろと質問させていただきましたけれども、とにかく国難にあるわけであります。日本として、この喫緊の課題、目の前の課題を一個一個対処していくと同時に、やはり二〇五〇年、二一〇〇年という日本を見て、中長期で国家ビジョンをしっかり持った上で、政府として前進をしていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、私の質問は終わります。ありがとうございました。

安住委員長 この際、木原誠二君から関連質疑の申出があります。小野寺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。木原誠二君。

木原(誠)委員 自由民主党の木原誠二です。

 まずは、質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げます。

 総理も施政方針演説の中でおっしゃっておられますように、与党、野党共に、責任ある立場で熟議をし、国民の理解と納得を得て、まさに経済、外交、社会保障、この基盤となる令和七年度予算の早期成立を図ってまいりたい、このように思います。

 その観点で、私の立場からも、昨日、予算審議入りが一日遅れたということについては一言苦言を呈しておきたい、このように思います。

 それで、本日は、基本的質疑ということでございますので、石破政権の経済、外交の基本的な方向性について、余り細かいことではなく、伺っていきたい、このように思いますが、そのことに入る前に、今週、大変ショックなニュースがありましたので、一点、冒頭、お伺いをしたいというふうに思います。

 一昨日、令和六年の年間自殺者数の暫定値が公表をされました。子供、お子さん、つまり小中高生の自殺者数が五百二十七人ということで、統計のある昭和五十年以降、過去最悪、こういうことでございます。私は、子供ファーストの行政を実現する議員連盟の座長をやってまいりまして、自殺対策にも取り組んでまいりましたが、大変残念というか、悔しい思いも持っております。

 政府を挙げて、改めて、この対策を強化していかなければならないというふうに思いますが、そのためには、まずは、これまでの子供の自殺対策の効果検証、これがなされる必要があると考えますが、まずこの点、総理にお伺いしておきたいと思います。

石破内閣総理大臣 御指摘のとおり、自殺者総数で見れば統計を取り始めて以来二番目に少ないということでしたが、お子さんの自殺は五百二十七人、これは最高に多かった、これはゆゆしきことだと思っております。

 先般も、私、そういう相談の現場というものに行ってまいりました。AIなんかも活用して、とにかく聞いてほしい、誰か聞いてほしいということ、これをやっていかねばならないと思っていますが、御指摘のように、いろいろなことをやるんですけれども、何が効果的であったのかということ、これを検証することは必要であって、こういうのが効果的だねというものは予算も増やし人員も増やすということが必要なことだと思っております。

 子供たちが命を絶つこと、これは我々はもっと深刻に考えねばなりませんので、検証の体制はきちんと整えてまいりたいと思います。

木原(誠)委員 総理、ありがとうございます。是非、しっかりとした検証をしていただき、これを更なる対策につなげていただきたい。総理は、人、人材ということを非常に重要視されております。未来のある子供たちでありますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、経済運営の基本的考え方についてお伺いをしたいというふうに思います。

 総理は、施政方針演説の中で、賃上げこそが成長戦略の要だと、はっきりお話をされておられます。まさに非常に重要な点だというふうに思います。

 従来の経済運営の考え方というのは、むしろ、成長があって初めて賃上げもできる、成長があって初めて投資もできる、いわばトリクルダウン的な考え方だというふうに思いますが、実際に起きたことは、トリクルダウンが起きるのではなくて、むしろ、総理のお言葉をおかりすればコストカット、そのコストカットの中に賃金も投資も含まれて、そして結果的に、成長も実現できず、デフレに陥っていった、こういうことだろうと思います。

 資料をもしよろしければ御覧いただければと思いますが。

 岸田政権で新しい資本主義というのを掲げたわけですが、この肝は、このトリクルダウン的な発想を逆転をさせる、そして、むしろ噴水型に持っていく、こういうことでありまして、まず賃上げ、そしてまず投資をする、このことによって成長を導き出していく、こういう考え方であります。そのために、賃上げのための官民そして政労使の緊密な連携、あるいは税制措置、価格転嫁対策、政府調達の活用、本当に幅広い取組を展開したわけでございます。

 結果的に二年連続の高い賃上げが実現しているわけでありますが、総理が、賃上げこそ成長戦略の要だとおっしゃっている、その言葉に込めた思い、そしてまた、今年の春闘に期待することなど、経済運営のまず基本的な方針をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 ありがとうございます。

 雇用は守るが賃上げはしない、下請との関係は維持するが十分にお金は払えない、そして、新しいサービス、新しい製品をつくるための設備投資はしないということであれば、経済が成長するはずはないのであって、いかにして賃上げをやっていくか。特に、GDPの過半を占めます個人消費を上げていくためには賃上げをしなければどうにもならぬということだと思っています。

 一番の根幹は賃上げだということであり、企業の生産性を上げていくということは賃上げのためにやるのであって、内部留保を増やしたり、あるいは役員報酬を上げる、それは必要じゃないとは言いませんが、まず賃上げのために企業の生産性を上げていくということだろう。

 そして、個人消費を喚起し経済を復活させる、そういう考え方の下に、岸田内閣の下におきまして委員が大きな役割を果たしてこられましたが、それを基本的には継承しながら発展をさせたいというふうに考えておるところでございます。

木原(誠)委員 ありがとうございます。

 まさに、賃上げを起点に消費の促進につなげ、そしてそれが企業収益の向上をもたらして次の賃上げ、投資に向かっていく、そういう好循環をつくっていく、こういうことでありまして、この資料にありますとおり、ここ三年で、賃金総額二十四・五兆円の増、投資は十六・二兆円の増、そしてGDPも約六十兆円の増加と、着実に成果は出てきているもの、このように認識をしています。

 ただ、この賃上げを起点とした経済成長に大きく立ちはだかるものがあります。それはいわゆる物価の高騰であります。本来、賃上げが消費を喚起をし、マイルドな物価上昇につながっていく、これが一番望ましい姿なわけですが、実際は、今、コストプッシュ型の物価上昇が先行しているということだろうと思います。放置すれば、これは消費の増加につながらず、結果的にデフレに逆戻りということも考えられないわけではないんだろうというふうに思います。だからこそ、民間の皆さんには積極的な賃上げをお願いしつつも、官の方も各種の物価高騰対策あるいは定額減税といった、物価高を乗り越えるための官民での取組を進めてきたということであります。

 税制改正にも盛り込まれております百三万から百二十三万、基礎控除あるいは給与控除の引上げ、これもその一環であろうというふうに思います。必要かつ有意義なことだというふうに思います。しかし、事はこれだけにとどまるものではないというふうに認識をいたします。例えば、一九七〇年代以降ずっと据え置かれている政府や自治体の少額随意契約の基準額、こういったものもそろそろ物価水準に合わせて見直していく、こうした五十年ぶりの見直しなども実現すべきであろうと私自身は思います。

 改めて、物価上昇というのは何をもたらすのかといえば、政府にとっては税金が増える、そして、同時に、物価上昇はやはり債務者にとって一番有利なもの。そういう意味でいいますと、政府の実質的な債務も減らす効果がある。もちろん、物価上昇は金利にも影響いたしますから、中長期的には、財政を見たときに、金利上昇というのはしっかり警戒をしておくことは重要でありますが、短期的には、債務の実質負担を減少させるということはしっかり認識しておく必要があると思います。そういう意味では、まだデフレからの脱却が十分定着していない今は、政府においてしっかりと物価高への対応を常にやっていくということが求められるのではないかというふうに思います。

 今回の予算においても教職員や保育士の給与改善などを盛り込んでいただいておりますが、是非今後とも、各種の予算措置、あるいは公的制度、あるいは公的調達に関する閾値や基準値、こういったものがデフレ時代のまま据え置かれているものがないかどうか、インフレ時代に入って見直すべきものがないのか、こういったことなどを、経済財政諮問会議などの場も活用しながら、継続的に、そして省庁横断的に検証し、そして政府の施策に反映をしていただく、そうした取組を行うべきだというふうに思いますが、総理のお考えをお伺いします。

石破内閣総理大臣 御指摘は極めて重要なことだと思っております。

 実は長年ずっと据え置いてきたものというものはあるだろう、同時に、賃金の上昇というものは、当然、それは物価上昇ということにもつながるわけであって、そこは総合的に、こういう言葉は余り軽々に使ってはいけませんが、総合的に判断をしていかねばならぬだろうと思っております。

 したがいまして、経済財政諮問会議の下にそういうようなことを議論できるような、そういうような仕組みというものをつくっていく、あるいは、そのことについてきちんと点検をし議論をする、そういうことは私どもとして提起をしてまいりたいと思っております。

 御指摘ありがとうございました。

木原(誠)委員 ありがとうございます。

 今、様々な壁の議論があります。税の壁、社会保障の壁。私は、しかし今、直近、何よりも打破しなければいけないのは物価の壁ということだろうというふうに思います。

 私自身は、日本経済について、比較的楽観論者であります。というのは、やはり、デフレ時代、物を動かさなくていい、投資をしない方が得だ、現預金で持っていた方が得だ、こういう時代が長く続いた中で、ようやく物価が上がっていく、まさに、今まで抑制されていたエネルギーがこれから噴き出していく、そういうタイミングにありますので、今後、マイルドな物価高、物価の上昇を所与としながら、官民共にそれぞれの行動に反映させていく、まさに今はその分岐点にあるというふうに思いますので、是非、政府においても、今、経済財政諮問会議等でもというお話もいただきましたので、前向きに継続的な検討を行っていただければ、このように思います。

 次に、実質賃金について伺いたいと思います。

 二枚目の資料を御覧いただきたいと思いますが、物価、賃金、そして実質賃金の動向、これはまさに地域ごとにかなりの濃淡があります。当然のことながら、TSMCが躍動する熊本周辺、あるいはインバウンドでにぎわうニセコ周辺など、賃金が上昇しているわけで、産業構造等でかなりの濃淡が生じております。なので、やはり地域ごとにきめ細かく見ていくということが必要だろうというふうに思います。

 さらに、世代別にきめ細かく見ていけば、初任給は上がっているけれども、しかし、四十代、五十代の就職氷河期世代と言われる世代は恩恵を受けていない、こういった可能性も指摘をされているわけであります。

 総理は、新しい資本主義を継承しつつ、地方創生二・〇、これを掲げておられます。新しい資本主義掛ける地方創生二・〇ということであれば、私は、政策目標の一つに、全ての都道府県で、四十七全ての都道府県で実質賃金をプラスにする、こういったものも掲げるべきではないかなというふうに考えております。

 全国平均でなく、都道府県ごとに実質賃金プラスを達成する、この政策目標を定めることで、実質賃金について地域別あるいは世代別のきめ細かい分析を行った上で、地域の賃上げを牽引する中堅企業あるいは中小企業への徹底した支援、そして価格転嫁状況の改善、こういったものをきめ細かにやっていく、そして、これから質問いたしますが、地域ごとの産業興し、何をやっていくのかということの視座も得るということができるというふうに思いますが、地域ごとの実質賃金、全都道府県での実質賃金プラスということを政策目標に掲げることについて、赤澤大臣から一言いただきたいと思います。

赤澤国務大臣 委員御指摘のとおりです。

 物価上昇を上回る賃金上昇を全国津々浦々に波及させていくことが重要であり、賃金や物価の動向について地域別、世代別などきめ細かく見ていく必要があると考えております。

 そのために、地域の賃上げを牽引することが期待される中堅企業や成長志向の中小企業について、中堅・中小企業が工場等の拠点新設や大規模な設備投資を行う際の補助、あるいは、売上高百億円を目指す中小企業が設備投資を行う際の補助により、地域における産業興しや産業立地を支援してまいります。また、四十代後半以降の中高年齢層を対象としたキャリア形成支援の強化を行うなど、世代別にも必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

 こうした取組など、全国一律の視点のみならず、地域別や世代別のきめ細かな視点を重視して取り組んでまいります。

木原(誠)委員 ありがとうございます。是非、きめ細かに検証をいただき、そして、地方創生二・〇につながる政策をまた地域ごとにしっかりつくっていっていただきたい、このように思います。

 今まさに求められていること、地方、地域ということだろうというふうに思います。その意味で、石破総理が、施政方針演説において、私がぱっとお聞きしていた限りでいえば、およそ三分の一ぐらいを思い切って地方に割いて、そして五つの柱を明確に示されたことは、時宜を得たものだというふうに思いますし、総理の強い決意を感じたところであります。

 改めて、次の資料を御覧いただきたいと思いますが、こちらのパネルは、横軸に人口の増加、縦軸に一人当たり実質GDPの増加を取っているものでありますけれども、御覧いただいて分かりますとおり、もちろん東京は人口が増えてきているわけでありますが、一人当たりGDPの上昇率は他地域よりも鈍化をしているということであります。

 これは一人当たりGDPでありますけれども、例えば地域ごとの可処分所得の増加などの他の統計を利用して見ても、これは民間のシンクタンクなどがかなり詳細に検証していますけれども、一極集中は必ずしも、規模の経済を通じて、経済の成長や経済の豊かさにはつながっていない、こういうことであります。

 逆に言えば、地方にこそ成長のチャンスがある、伸び代がある、こういうことだろうというふうに思います。そうしたことを敏感に感じて、先ほど小野寺委員もおっしゃっておりましたけれども、新卒の大学生は、やはり自分の地元に帰りたい、そして仕事をしたいという方も増えているわけであります。

 その際、私は、非常に重要だと思いますのは、これまでの地域創生、地方創生というのは、ややもすると、国からの権限、財源の移譲、あるいは国の機関の地方移転、やや公主導で、官主導で行われてきたということであろうというふうに思いますが、まさに地方創生二・〇は、民主導、民を主役に官がそれをサポートしていく、そういう流れでなければいけない、したがって、主役は産業であり、そして企業であり、そして民であるというふうに思います。

 先ほど政調会長が御指摘されていましたけれども、地方への産業集積、あるいは拠点づくり、八〇年代以降、この国は産業立地政策というものを事実上放棄をしてまいりましたが、改めてこういう産業集積をつくっていくということが重要なゆえんでもあろうというふうに思います。

 私は、今日お伺いしたいのは、こうした大規模な産業集積、産業集積型、いわばやや上から産業立地政策をやっていく、そういう展開に加えて、新しい資本主義が掲げてきた官民連携をキーワードに、個々の企業が地方創生に向けて自発的、積極的に取り組む、いわば下からのこういう立地の動きを官がサポートしていただく、このことが重要だということであります。

 少し具体的に申し上げたいと思います。

 我が国には、地域の町づくりにも意欲を持つ活力あるスタートアップ企業が多数存在をしています。例えば、オイシックスの高島社長は、豊かな食文化と食産業を誇る新潟を世界に誇るフードテックにしようということで奔走されておりますし、また、ジンズの田中社長は、群馬県の前橋市、町づくり再生に奮闘されて、本社も設置をされているところであります。

 総理、いかがでしょうか。こうした意欲とそして活力ある企業が、産学官の連携の中で、地域の人材育成や産業の連携や社会のインフラ整備、雇用創出、まさに重層的に取り組む、私は勝手ながら、令和版の企業城下町、これを百つくるべきだ、こう申し上げているんですが、こういった実践的で具体的な取組をしっかりと支援をしていくということが重要ではないかというふうに思います。まさに、企業が動くことで人も動く、そして、利益追求だけでなく社会課題を解決していこう、そういう企業群、それが今後の日本をつくっていくものだ、このように思っています。

 ただ、これまでも企業の地方移転というのは随分議論をされ、政策がつくられてきましたが、なかなか実現していないのも確かでありますので、今回は、是非、どこの役所がこういった活力と意欲ある企業をサポートするのか、その責任をしっかり明確にしていただく、KPIをしっかり設置していただく。そして、公務員の二地域拠点活動というものも総理は提唱されていますが、その公務員の仕事の一つにこういう企業のサポートというのも加えていただく。官がより強固にサポートする、そういうシステムをつくっていただくことが必要じゃないかと思いますが、お考えをいただければと思います。

石破内閣総理大臣 先ほど委員が御指摘になりました前橋の例は非常に面白かったですね。私、お話を聞かせていただきました。あるいは、山形県鶴岡の話も聞けば聞くほど面白くて、全国にあちこちそういうのがある。これは確かに、地方創生をずっと続ける間において、そういうものは点が密になりつつあると思っております。

 ともすれば、やりっ放しの行政、頼りっ放しの民間、全然無関心の市民、これが三位一体になると大体失敗することになっておるわけでありまして、こんな面白いのがあるよねというものを、委員のお言葉をかりれば、それを行政がサポートする形で、経済産業省なんというのはそういうのを後押しするのが大好きですから、いかにして後押しをして、こんな面白い話があるよということを広げていくかということだと思っています。

 私が楽しさと言っているのは、この時代におまえ、楽しさかよといってお叱りをいただくこともあるんですけれども、やはりわくわくする楽しさというのがあってそういうのは広がっていくんだろうと思っているのですね。群馬の方のお話を聞いても、三十分、一時間が物すごく楽しい、話を聞いていて。そこで働く人たちも楽しい。

 以前に比べて、私、昭和三十年代、四十年代は鳥取で育ちましたが、その頃に比べれば、道路は格段によくなった、鉄道も格段によくなった、いろいろなインフラも整備された。飛行機は全然飛んでいなかったのに、一日、鳥取、米子を合わせれば十一便も飛んでいる。それがどうしたと言われるかもしれませんが。

 格段によくなったのに人はどんどん減っているのは、これは一体何なんだということを考えたときに、やはりわくわくする楽しさというものを地方に広げていく、そのために民と官が、やはり民が主だと思っています、官はいかにしてそれを後押しするか。楽しさ、わくわくどきどき、そういうものを広げていくことがこれから先の日本には必要だと思っております。

木原(誠)委員 大変ありがとうございました。

 武藤大臣、是非、私の言葉で言えば企業城下町百選、サポートしていただければと思います。また後でお話しできれば、こう思いますが。

 いずれにしても、わくわくどきどきというのは非常に重要で、今まさに地域を盛り上げようという若者、経営者、起業家、たくさんおられます。こういった皆さんを石破政権の五本の柱のイニシアチブによって地域に集積をさせ、連携をさせ、そして仕事をしていただく、町づくりをしていただくということが重要だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 その中で、規制緩和もやはり重要だというふうに思います。

 企業ができる、例えば医療も介護も教育も、医療が参入できるようにはなってきていますが、しかし、経営者の皆さんからよく聞くのは、その地域で大学の経営に参加をしようというふうにすると、構造改革特区で参画はできるんだけれども、しかし、参画した途端、私学助成がなくなり、寄附金の控除がなくなり、こういうこともあるんだというのがあります。ですので、是非きめ細かに対応していただければ大変ありがたいなというふうに思います。

 次の話題に移りたいと思います。

 地方とともに、私は、今後やはり目配りが非常に重要だなと思いますのは、対外関係、特に輸出力ということであります。

 デフレギャップが解消に向かう中で、今後求められるのは供給力の強化ということなわけですが、その供給力が、人口減少が進む日本の国内のみにとどまっていては成長につながらないということでありますので、やはり外の、外貨を取りに行くということは非常に重要だろうと思います。

 昨年、日本は名目GDPでドイツに抜かれたわけであります。これは為替の問題だというふうにおっしゃる方もおられますが、私自身は、事態はもっと深刻で、やはり輸出力、稼ぐ力の差だと考えるべきだろうというふうに思います。

 図を見ていただいて、ドイツは、人口は日本の七割程度でありますけれども、日本に比べて一・八倍輸出があります。名目GDPに占める輸出の割合は、日本が二割程度ですが、ドイツは四割強、こういうことでありますので、二倍の差、こういうことであります。ドイツが貿易で稼ぐ一方で、私たちは貿易赤字を所得収支で埋めている、こういう構造でございます。

 この差はどう生まれたのかといえば、やはり三十年間のまさに蓄積と申し上げていいというふうに思います。日本で産業の空洞化が問題となって国内投資が低迷する間も、ドイツは着々と国内投資を続けてきた、そして輸出も三倍以上に持ち上げてきている。内部留保にもこの差が出ています。我々日本は三百五十兆円、企業の内部留保があるといいますが、ドイツは百兆円ちょっと、こういうことでありますから、まさにかなりの差が出てきてしまっている。

 もちろん、ドイツの場合は、後ろにEUの単一市場があります。その強みというのはこれは無視できないと思いますが、しかし、私たちには成長するアジア太平洋というセクターがついているということも事実であります。

 そして、幸いなことに、昨今は、半導体あるいはGX、こういった官民連携での国内投資も進んできておりますし、何よりも、経済安全保障面で見たときの地政学的なメリットが日本にも今出つつある、こういうことでありますので、輸出立国という言葉がやや時代遅れかもしれませんが、しかし、私は、我が国をもう一度輸出の立国にするということを考える時期に来ているのではないかなというふうに思います。

 例えば、牛丼チェーン店、アジアで今七百店舗を展開する企業があります。それから、おむすびの専門店を経営する企業は香港だけで百五十店舗展開をしている、こういうことであります。

 しかし、日本食レストランの進出と同時に日本の食材が輸出できているかというと、必ずしもそうではない。企業の経営者の方に伺うと、やはりアジアにはまだコールドチェーンがない、コールドチェーンがないと日本の食材を持っていけないんだと。であれば、私たちは、サプライチェーンを一体として、経済協力も活用しながらこういったものをサポートしていく、そんなこともできるんだろうというふうに思いますし、アニメやコンテンツ、こういったもの、エンタメコンテンツの世界でもできることは多々あると思います。

 総理にお伺いいたします。

 是非、輸出立国に向けて何が政策的に必要なのか、政府として省庁横断的に検討、検証して、これはなかなかお答えにくいとは思いますが、最終的に輸出立国五か年計画みたいなものを省庁横断的に作るときではないかなというふうに思いますが、お考えをいただければと思います。

石破内閣総理大臣 私たち、小学校、中学校、高校の頃、日本は輸出立国と教わって育ちました。加工貿易は日本のお家芸だと教わって育ちましたが、そのときに、今委員御指摘のような、その国の、当時はGNPと言っていたんですが、それに占める輸出の割合ランキングというのは余り見たことがない。そのまま日本は輸出大国だと思ってきたが、国会議員になっていろいろな指標を見て愕然とすることが多くて、一番驚いたのは今委員が御指摘のドイツとの比較であって、ドイツと比べて日本は面積も多いし、人口も多いんだが、とうとう西ドイツを抜いた、西ドイツと言われておった頃ですが、当時のGNPで抜いたのが昭和四十三年、一九六八年だったと思います。これがまた逆転された。

 これは一体何なんだということを考えたときに、やはりドイツは、あくまでメイド・イン・ジャーマニーにこだわるということ、そして安さで勝負をしないということ、品質で勝負をする。あくまでメイド・イン・ジャーマニーにこだわる。

 そして、これは地方創生大臣のときに伊東委員に教えていただいたことなんですが、地方の中小企業が輸出ということに対して非常に熱心であり、中央政府もあるいは地方政府も、日本でいえば商工会議所も、地方の中小企業がいかにして輸出で稼ぐ力を持つかということについて非常に政策が緻密であるということを考えたときに、逆に言えば、日本にはそれだけ伸び代がありますよということだと思っております。

 世界に何とかドナルドとかいうハンバーガーチェーンが四万、五万あるのだが、じゃ、おにぎり屋さんが全世界に幾つあるかというと、二千か三千のはずなのですね。パリでもニューヨークでもおにぎり屋さんは長蛇の列で大人気であるということを考えたときに、こんなに日本はおいしいものがたくさんあるのねということで、農産品も水産物も林産品も伸びる余地はいっぱいあるだろうということであります。

 駄目だ駄目だと言うのではなくて、こんなに伸びる余地はあるよ、どこの部分にそれはあるのということを与野党共に議論しながら、本当に日本をもう一度、本当の意味での輸出大国、安売りでもない、海外依存するのでもない、GDPの中で輸出というもののウェートを更に上げるということは政府として取り組んでまいります。

木原(誠)委員 ありがとうございました。まさにおっしゃるとおりで、メイド・バイ・ジャパンではなく、やはりメイド・イン・ジャパンというものをもう一度見直すということが非常に重要だというふうに思います。

 そのときに、今、インフラ輸出の計画があります。農産品も、これからお米もきっと計画が出てくるんだろうというふうに思いますが、やはり省庁、政府が横串で一つの大きなパッケージをつくっていくということは私は非常に重要だと思いますので、是非お取り組みをいただければと思いますし、まさに総理がおっしゃったとおり、ドイツは中小企業、地域の小規模事業者に輸出パッケージをまさに官がしっかり提供している、こういうことでありますので、そういったこともやっていただければというふうに思います。

 武藤大臣、本当はここで投資のことをお伺いしたかったが、ちょっと時間がなくなってきましたので、言いっ放しになって大変恐縮ですけれども、輸出力を強化するためには、やはり稼ぐ力の源泉である技術を磨いていく、特に最先端の科学技術を磨いていくということが非常に重要だというふうに思います。

 その意味で、この間、官民の投資フォーラム、第六回というふうに伺っておりますが、開かれまして、岸田政権で始めたときは二〇二七年度で百十五兆円という目標だったというふうに思いますが、それがかなり上方修正をされて、二〇四〇年に二百兆円というところまで来た。非常にいい傾向だろうというふうに思います。是非これをきちっと、戦略的な分野、稼げる分野にしっかり集中投資をするということが重要だというふうに思います。

 お隣の韓国は、十二の分野を戦略分野と特定をして、そこに税制、予算、集中的な取組をしております。我が国も、私は今、党の量子PTの座長をやっていますけれども、量子とかも含めて戦略分野をしっかり特定をして、研究開発から設備投資、そして人材育成、一気通貫の取組を強化をしていただきたい、そのことを武藤大臣にお願いをして、大変恐縮ですが、外交について、一、二問お伺いをしておきたいというふうに思います。

 トランプ大統領が再び大統領ということで、今後の日米関係や日本経済への影響を懸念する声があります。ただ、私自身は、日米関係というのは日本にとってもアメリカにとっても最も重要な二国関係である、がゆえに、これまでも協調、協力と摩擦の歴史をずっと繰り返してきた。一九八〇年代の貿易摩擦もそうですし、一九九〇年代の湾岸戦争のときもそうであります。なので、余り一喜一憂すべきでもないかな、こう考えております。

 私は、日米のバイの二国間関係以上にちょっと懸念をいたしますのは、国際社会でますます大国のエゴというものが顕在化していることであります。ロシアのウクライナ侵略はもちろんです。中国は、南シナ海、そして尖閣、我が国の領土である尖閣を含む東シナ海、この領土的拡張主義を隠していませんし、いよいよアメリカも、メキシコ湾をアメリカ湾に改称し、そして今、グリーンランドの所有を主張する、こういう状況であります。そして、パリ協定からの脱却を始め国際協調の取組にも水を差している、こういう状況であります。

 こうした状況で最も懸念されるのは、アメリカが不関与になることによって国際社会にパワーバランスの空白が生まれることだと思います。そこにまさに中国やロシアが単独で、あるいは連携してルールメイキング等で割り込んでくる、こういう状況ではないかと思います。

 大国がそれぞれの利益をむき出しにして出てくる中で、多くの国々が右往左往する、そして分断の前で非常に悩む、こういう状況になっているわけで、私は、やはり日本の役割は、まさに国際的な協調をリードする、主導する、そういう役割だろうというふうに思います。

 そうした観点から、二点まとめてお伺いをしておきます。

 まず、総理は、マレーシア、インドネシアを訪問され、日、米、フィリピンの首脳電話会合を行った後に、日本とラオスの包括的、戦略的パートナーシップへの格上げ、こういったことをなさっておられます。自由で開かれたインド太平洋の推進に向けて、まず東南アジアへの関与をしっかり示す、そして強化をする。先ほど中曽根委員もおっしゃっていましたが、私は、すぐにトランプ大統領と会うのがいいのかといえば、必ずしもそうではなくて、まさに総理がアジアとの関係をまず戦略的に固めに行ったということは非常に重要なことだと思っていますが、今後、トランプ大統領との関係を含めて、どのような形でこの自由で開かれたインド太平洋を推進していくお考えか、これが第一点。

 そして第二点として、国際社会の様々な課題への米国の関与が問われるという時代にあって、今後トランプ大統領とお会いになったときに、いかなる働きかけで米国の国際的な関与を引き出していくおつもりか。

 二点、お伺いできればと思います。

石破内閣総理大臣 マレーシアはASEANの議長国でございます。インドネシアは人口大国であり、経済成長著しいということで、私は、マレーシア、インドネシアをちゃんと訪問、ちゃんとしたといいますか、訪問したのは三十四年ぶりだったんですが、こんなに変わるんだというのは、本当にすごい衝撃を受けましたですね。

 やはり東南アジアとの信頼関係というのは、日本がこれから先、更に強めていかねばならないものだと思うし、合衆国といろいろな関係を築く上において、東南アジアの国々が日本を信頼しているということ、この信頼というのは結構大事なことで、日本だけが利益を得るのではない、日本と東南アジアの国々がお互いに信頼を基に利益を共有するという関係が、アメリカとの関係を築いていく上においても極めて重要なことだと思っております。

 もちろん、トランプ大統領と向き合うときに、日本は、アメリカに雇用もつくりましょう、投資もしましょう、でも、それだけではなくて、では日本がアメリカから得るものとは何なんだ、そして、アメリカと中国が対立の関係ではなくて協調の関係になっていくときに、日本はアメリカとも中国ともきちんと話ができますよ、その源泉はやはり東南アジアとの信頼関係が大事なのだというふうに思っております。

 ですから、東南アジアは東南アジア、アメリカはアメリカ、中国は中国ということではなくて、東南アジアとの確固たる信頼関係を基に、アメリカとも中国とも今後外交を展開してまいりたいと考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 実は、安倍元総理の国葬儀のときに、オーストラリアの現首相そして元首相、岸田総理が面会をされまして、私も同席をいたしました。そのときに、トランプ政権が誕生をして、第一次トランプ政権です、国際社会が大きく動揺している中で、安倍総理が自ら提唱したクアッドを再始動をして、そしてCPTPPを主導された、国際社会の協調に向けたその卓越したリーダーシップに本当に感謝をする、私は、そういう最大限の賛辞が送られたことを非常に鮮明に覚えております。

 ですので、是非、石破総理には、アメリカが何と言おうと、この国際協調を日本がリードをするんだという気概を持ってまた対応、外交を進めていただければと思います。

 最後に、武藤大臣、日米の関係、これから何でもトレードオフというか、ゼロサムの競争関係が起こるのかもしれませんが、しかし、やはり全てがゼロサムではなく、ウィン・ウィンのところをどうつくっていくかということが日米のバイにおいては非常に重要かなというふうに思います。

 トランプ大統領が掘って掘って掘りまくれと言っておられますので、私は、このエネルギーの分野は、そのウィン・ウィンを築ける一つの大きな分野ではないかなというふうにも感じております。LNGはもとよりでありますけれども、水素、アンモニアにおいてもアメリカは供給国として有望でありますので、最後に、是非、安価で安定したエネルギー供給を確保するという意味から、日米のエネルギー協力をどう進めていかれるか、お聞きをして終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。

武藤国務大臣 木原委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 まさに今日これまでのお話にもありましたけれども、エネルギーという問題、日本にとっては大変貴重な、そして何とか成し遂げていかなきゃいけない話であります。

 今回、米国LNGということで、輸出許可の一時停止の撤廃等の動きもあるように聞いております。天然ガスの生産拡大、これが行われることは世界全体の市場の安定化にも貢献をされるべきことだと思っておりますし、LNG調達の予見性を高めるもので、大変重要な観点だと思っています。

 また、今おっしゃられたように、天然ガスですとかCCS、このことにつきましても、水素、アンモニアというこれからの、また未来の一つの大きなエネルギーの原力として、将来的に日本が供給国となり得るとも認識をしているところであります。

 民間企業のエネルギー分野の案件を後押しする、いわゆる環境の醸成に向けて、政府として、私としても精いっぱい頑張ってまいりますので、御指導をまたよろしくお願いいたします。

木原(誠)委員 もう時間が来ておりますので最後にいたしますが、総理、是非、地方を拠点とした日本の強い経済づくり、そして国際協調をリードする、そういった、はっきりとした明確な外交、期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。

 終わります。

安住委員長 この際、塩崎彰久君から関連質疑の申出があります。小野寺君の持ち時間の範囲内でこれを許します。塩崎彰久君。

塩崎委員 おはようございます。塩崎彰久でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今朝の報道を見ておりますと、早ければ、石破総理、来週にもアメリカでトランプ大統領と会談があるかもしれないということでございまして、是非実りある会談になることを祈念をしております。

 トランプ大統領でございますが、就任早々、もう既に数十本の大統領令に署名をしまして、アメリカの政策を大きく転換をさせました。日本として、だから、じゃ、右往左往するということは私は全く必要ないと思っており、日本としての戦略的意思に基づいて国益をしっかりと追求していくことが大事だと思っております。

 他方で、このアメリカの政策転換のいろいろなテーマの中には、やはり日本としても、改めて、国の利益はどこにあるのか、なぜこういう方針を取るのか、問い直すに足りる重要なテーマが様々含まれていると思いますので、今日は、その辺りを中心に石破内閣の閣僚の皆様に考えを伺いたいと思っております。

 まず、石破総理、トランプ大統領は、あなたは辞書の中で何の言葉が一番好きですか、関税だ、こうおっしゃっているわけです。石破総理、石破総理は、辞書の中でどの言葉が一番好きですかと聞かれたら、何とお答えになりますでしょうか。

石破内閣総理大臣 なかなか、関税が一番好きだというのはびっくりしました。これが一番美しいかどうかはちょっと見解を異にいたしますが。

 私は、全部の単語を知っているわけじゃないですけれども、一言で言えば、やはりふるさとなんだろうと思っています。

 故郷という字を書く、ウサギ追いしかの山というのがありますよね。あれは、作詞者は中野市の方ですが、作曲者は鳥取市の人なんですけれども。まあ、それはどうでもいいんですが。

 やはり、まぶたを閉じるとふるさとだというのがあって、人情があって、風光明媚で、皆さん、それぞれに心の中にそういうのがあるんだろうと思いますけれども、私にとっては、ふるさとというのは一番美しい言葉でございます。

塩崎委員 ふるさと、まさに石破カラーというか、すばらしいチョイスだと思います。郷土愛、これは大事にしていただきまして、是非対米外交においても発揮していただければと思います。

 さて、AIについてでございます。

 大統領令の中で、トランプ大統領は、バイデン政権時代の大統領令、これは規制が強過ぎるといって一斉に撤廃をいたしました。

 AIの在り方についてでございますが、今年はAIエージェント元年などとも言われておりまして、私の地元でも、実は中小企業の経営者の方々がここ一、二年で非常に多く生成AIを使うようになっておりまして、人手不足の解消、生産性の向上、こういう地域の活力、地方創生のために非常に使われるようになっているところでございます。

 パネルを見ていただければと思いますが、自民党では、これまでも早くから、AIについて、世界一AIフレンドリーな社会をつくっていこうじゃないかということで、これを訴えてまいりまして、岸田総理の下で、G7でAI広島プロセスを立ち上げるなど、国際的な議論を主導してまいりました。

 一方で、今週は、中国のスタートアップ企業が開発したディープシーク、これがアメリカのトップ企業のAIに匹敵する機能を発揮したということで、三つのショックが起きております。一つは、非常に安価にAIが提供されていること。二つ目は、オープンソースにコードが公開されていること。そして三つ目は、中国の企業がこれほどの開発力を持ったことでございます。

 新しい技術が生まれたときに、イノベーションと規制のバランスをどう取るか。ここには、国の個性、そしてリーダーの個性が強く表れます。

 石破総理に伺いたい。

 AIがもたらす社会の便益とリスクについて、石破総理はどのようにお考えになりますか。

石破内閣総理大臣 それは朝からお答えをしておりますように、いかにして生産性を上げていくかということを考えねばならない。いかにして付加価値を増すか。もう一つは、人口はどんどん減るわけで、外国から人材を入れるにしても、やはり労働力不足というのは我が国の大変大きな課題だろう。いかにして生産性を上げ、いかにして労働力不足を補うかということを考えたときに、AIの果たす役割というのは物すごく大きいだろうと思っております。それは医療でもそう、介護でもそう。そういう分野において、生産性という言葉が適当かどうかはともかくとして、日本の抱える多くの課題を解決する場合にAIの持つ重要性は非常に大きいということなんですが。

 また、小野寺政調会長が御指摘になりましたように、このAI社会というのは恐ろしさも物すごく含んでいる。それは偽情報であり、誤情報であり、それが瞬時にして伝播する。この恐ろしさをどう考えるかということであって、利便性を最大限に高めながら、危険性というのか、リスクというのか、この最小化をどう図るかということについての法整備というものは喫緊の課題だと認識をしておるところでございます。

    〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕

塩崎委員 ありがとうございます。

 AIの利便性を最大化しながらリスクを最小化する、私も全く同じ考えでございます。ただ、今我々が直面している大きな課題は、AIにどのようなリスクがあるか、そのことすらなかなか把握するのが難しいということでございます。

 城内大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほど総理からも、そのリスクについての言及がありました。今や、先端的なAIモデル、これが、同盟国のアメリカに本社を置くのみならず、様々な国で開発され、そしてそれが日本でも市民によって利用される時代が訪れようとしています。

 そうした中で、やはり我々自民党としては、これは提言させていただいたんですが、それぞれのAIの基盤モデルが持つ基本的な仕様、例えば、ちゃんと安全性テストをしていますとか、サイバーセキュリティーの備えはどうか、どういったデータを使っているか、こうしたことについての国としての一定の法的な権限が必要ではないかということを提言をさせていただきました。

 今、城内大臣の下で、このAI法制についても検討していただいていると思います。AI法制の検討状況について、是非、具体的にお話しいただければと思います。

城内国務大臣 お答えいたします。

 塩崎彰久委員におかれましては、党の科学技術・イノベーション戦略調査会の事務局長として、科学技術・イノベーション、AIを含むこの問題について大変積極的に取り組んでくださっていることを改めて御礼申し上げたいと思います。

 御指摘のAI法案ですけれども、現在、パブリックコメントにかけたAI戦略会議、AI制度研究会の中間取りまとめ案、これに寄せられました、国民の皆様を始めとする様々な貴重な御意見なども踏まえまして、鋭意その内容を精査しているところでございます。

 このAI法案は、イノベーション促進とリスク対応を両立させる取組を政府一丸となって推進するために、政府におけるAI政策の司令塔機能を強化する内容とすることを考えておりまして、本国会への提出を予定しております。

 いずれにしましても、本法案は、我が国においてAIがもたらす多様なリスクに対する不安、先ほど予算委員会の小野寺委員からも御指摘ございましたけれども、こうしたことを背景に、他の先進国と比較しても、AIの研究開発と活用が残念ながら進んでいないこの状況をしっかりと解消することなどを目的に提出するものでございます。

 安全、安心で信頼できる、世界のモデルとなるようなAI制度をしっかりと構築いたしまして、我が国が世界で最もAIを開発そして活用しやすい国となることを担当大臣として目指してまいる考えであります。

    〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎委員 ありがとうございました。

 やはり、ガードレールがある方が車は速く走れる、こういうふうにも言われます。一定の安全弁があった方がイノベーションも進むのではないかと思っています。

 是非、城内大臣、この法案成立に向けて、また御尽力いただければと思います。

 さて、トランプ大統領は暗号資産についても大統領令に署名されました。アメリカはこれからデジタル資産を国の経済成長とイノベーションを引っ張っていく重要な分野と位置づけて、ビットコインなどを国家備蓄の一部にも入れていく、こうした新たな政策でございます。

 実は日本でも、暗号資産やブロックチェーン、こうしたウェブ3ビジネスについてはかなり広がりを持っておりまして、平大臣、今日いらっしゃいますけれども、自民党時代にはウェブ3PTを引っ張っていただきまして、強力に政策を後押ししてまいりました。

 今、暗号資産口座だけでも国内で一千百万口座を超えるほど多くの方がもう既に使うようになっております。また、金融以外の分野でも、例えば、医療の創薬の治験にブロックチェーンを使ってコストを劇的に下げたり、又は、私の四国でも、ブロックチェーンを使ったDAOという新たな法人形態で古民家再生を行うなど、地方創生にも役立つ動きが出てきております。

 石破総理、この分野については、残念ながら、SNSなどでは、石破総理が暗号資産は余り好きじゃないんじゃないかという誤解が一部で広がっているわけでございますが、改めて、日本における暗号資産の活用、デジタルエコノミーの発展に向けた総理の考えをお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 別に好き嫌いの問題ではございませんのですが、先ほど来お話が出ておりますが、去年の四月にウェブ3ホワイトペーパー二〇二四というものの御提言を委員を中心になさいまして、どれぐらい理解できたかは、すごい自信があるわけではありませんが、大体御提言の内容は把握をいたしておるつもりでございます。

 暗号資産を含めましたウェブ3の健全な発展ということは極めて重要で、この日本が抱えている社会問題を解決する、あるいは生産性を向上させる、そのために利用者の保護というものを確保をしつつ環境整備を進めていきたい、この中核になるのはブロックチェーン技術だと思っております。

 我が国としては、世界に先駆けて暗号資産の交換業者に登録制を採用するというようなことをやってきたわけでございまして、この環境整備には更に取り組んでいかねばならない。別に好き嫌いで物事を申しておるわけではございません。よくまた学んでまいりたいと思っております。

塩崎委員 ありがとうございます。

 石破総理から、暗号資産そしてウェブ3ビジネスについても大事な産業であるというふうに御明言をいただきまして、ありがとうございます。

 さて、この関連で、加藤金融担当大臣にお伺いしたいと思います。

 今、暗号資産に関係して、一番議論が集中しているのが税の取扱いでございます。

 例えば、アメリカでは、暗号資産の取引から利益を得た場合、これはキャピタルゲイン課税ということで二〇%が上限という形になっておりますが、日本では、これは雑所得ということで、所得に応じて最大五五%まで税金がかかるということになっております。海外と比べて日本の税金が厳しいのではないか、これが日本の競争力を阻害しているのではないかという指摘があります。

 自民党の、今、デジタル社会推進本部では、我々の中で、この税制の格差の問題を解消するということで、昨年末に緊急提言を出させていただきまして、そして与党の税制改正大綱の中でもこの見直しについて記載をされたところでございます。

 こうした中、今、金融庁では暗号資産に関する制度の再点検を進めていると承知しておりますが、二点確認させてください。

 この再点検というのは、与党の税制改正大綱、この内容を踏まえた内容か、そして、この検討はいつ頃までに結論が出るものか、お答えいただければと思います。

加藤国務大臣 まず、一点目でありますけれども、まさしく与党における税制改正大綱、これを踏まえた議論でございまして、大綱の中においては、大きく、必要な法整備をするということと、あるいは、取引業者等による取引内容の税務当局への報告義務の整備等をすることを前提に、その見直しを検討すると。それを踏まえて暗号資産について議論させていただいておりますが、暗号資産については、決済手段としての利用も見られる一方で、実際には投資目的で売買されていることが多いという指摘、また、関連する取引の市場が健全に発展するためには利用者保護等が図られ国民から広く信頼を得られることが不可欠であるといった指摘もあると承知をしておりまして、こうした指摘を踏まえて、金融庁においては、本年六月までを目途に暗号資産に関する制度の検証を行うこととしており、昨年秋より外部有識者による勉強会を開催しております。

 この勉強会では、現在は法令上、決済手段として位置づけられている暗号資産を投資対象として整理することが適切か否かなどについて、利用者保護等々の様々な観点から幅広く御意見を伺うこととしております。

 この勉強会における議論、また、先ほどお話がありました諸外国の状況などを参考にしながら、現在進めている検証結果に基づき、先ほど申し上げた与党税制改正大綱も踏まえて、税制面を含めて必要な対応を検討していきたい、かように考えております。

塩崎委員 ありがとうございます。

 暗号資産に関する金融庁の勉強会、この中身について非常に関心が高かったんですが、なかなかその中身は分からなかった。その中で、今日は、与党税制改正大綱を踏まえたものであるということ、そして六月末をめどに一定の結論を出していただくことを明言をいただきまして、ありがとうございます。

 さて、トランプ大統領の様々署名した大統領令の中でも、特にインパクトの大きいものの一つがWHOからの脱退でございます。福岡大臣にこの後お伺いしたいと思います。

 私は実は昨年、厚生労働大臣政務官を務めさせていただいておりまして、ジュネーブのWHOの年次総会の方にも行ってまいりました。そこでいろいろな国の代表の方とお話をさせていただいたんですが、やはりこの国際保健の分野においては、日本の存在感、そして期待が非常に大きいんですね。世界の中でも、健康寿命世界一、そして非常に優れた創薬、医療基盤を持っている日本に対する期待は非常に大きいところでございます。

 ただ一方で、パネルを見ていただきますと、残念ながら、日本の貢献、金銭的な面での貢献は年々下がってきております。そして、大きな大きなこのアメリカの拠出、これが仮に抜けるようなことがあると、その他の国、例えば中国に対する依存がますます高まっていってしまうのではないか、これが懸念されるわけでございます。

 国際保健というこの分野は往々にして外交的な観点で語られるんですが、パンデミックのときに我々は学びました。発展途上国で感染爆発が起きれば、そこでの突然変異がまた日本に流入してきて人の命を奪うということ。国際保健は、外交だけでなく、公衆衛生、そしてイノベーション、様々な意味で日本自体の国益でもあると私は思っております。

 そういった意味で、福岡大臣に是非お伺いしたい。今こそ、この国際保健分野への財政面、そして人材面での日本の揺るぎないコミットメントを明確にすべきと思いますが、お考えをお聞かせください。

福岡国務大臣 委員におかれては、政務官の御経験による深い御理解によって様々な御提言をいただいていること、重く受け止めさせていただきたいと思います。

 御指摘がありましたように、国際的な保健課題には国際社会が協力して対応していくことが大変重要でございまして、厚生労働省としては、WHOが引き続き保健をつかさどる国連の専門機関としてその専門性を生かし、科学的知見に基づいて国際保健分野の諸課題の解決に向けて活動していくことが大変重要だというふうに考えています。

 今回の米国の決定の影響につきましては、今後の米国の動向を含め、慎重に分析、評価していく必要がございますため、この時点で拙速にお答えすることは差し控えさせていただきますが、我が国としては、加盟国の一つとして、WHOが国際保健の中核機関としてその機能と役割をしっかりと果たせるように日本として貢献していくとともに、米国を含む各国と連携しながら国際保健の諸課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

塩崎委員 国際保健の中核機関としてWHOの機能と役割をしっかりと日本としても支えていくという御答弁、ありがとうございました。

 福岡大臣にもう二問、お伺いしたいと思います。

 厚労関係でございますけれども、昨年末、全国的に季節性インフルエンザが大変流行しまして、我が家でも、息子が学校でもらってきて、大流行した経緯がございます。様々なところで聞くのは、お父さん、お母さんたち、インフルエンザになって薬局に行ったけれどもお薬がない、タミフルがない、こうした非常に不安の声を聞きました。この問題は、やはり医療大国としての日本としてしっかりと対応しなければいけない問題だと思っております。

 このパネルを見ていただければと思いますが、実は我が国には、新型インフルエンザ特措法に基づいて、国と自治体で抗インフルエンザ薬をたくさん常備しているんです。これは、さきのコロナ対応で我々が反省と教訓に基づいてこうしたことをやっているわけでございます。

 この備蓄している抗インフルエンザ薬を季節性インフルエンザの緊急なときには出したらいいじゃないかと、私も、地元の薬剤師さんとか父兄の方から言われることがあります。これは、調べてみると、法律上の備蓄目標というのは三千五百万人分なんですね。今は三千八百万人分を超える量が備蓄されております。この目標量を超える分の備蓄については、実は、法律上、出すことについては問題ないのではないでしょうか。

 もちろん、実際にこの備蓄を放出する場合には、このラベルを貼り替えなくちゃいけなかったり、メーカーと交渉しなくちゃいけない、そういう事務的な手間は当然ありますけれども、これは人の命に関わる問題でございますので、政治の決断があれば出せるんだ、このことを多くの自治体関係者も知らない方が多いので、ここは大臣、厚労省から通知を出すなどして、万が一また緊急のこういう季節性インフルエンザのスパイクが来たようなときには、備蓄している抗インフルエンザ薬を柔軟に、弾力的に出していく、こうした通知、周知を働きかけていただきたいと思いますが、お考え、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、様々、薬が足りないというようなお声については承知していますが、足下の状況を見ますと、抗インフルエンザウイルス薬については、一月の十九日時点で、メーカー及び卸売販売業者において約一千三十二万人分の在庫を確保してございます。

 現時点では、この冬の季節性インフルエンザの流行に対応可能な在庫が確保できているものと考えておりますが、更なる流行の拡大に備え、医療機関や薬局に対して、適正な使用や発注、そして代替薬の使用などについての協力を要請するとともに、毎週、在庫量等についての情報発信を行わせていただいているところでございます。

 また、今御指摘ありましたように、新型インフルエンザ等対策の実施のため、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づきまして、国及び都道府県において抗インフルエンザウイルス薬を備蓄しているというところでございますが、備蓄薬の放出は、元々のこの新型インフルエンザの法律の趣旨であったり、また今国内外で発生しています鳥インフルエンザの発生状況、こういったものも考慮して検討する必要があるというふうに考えています。

 今おっしゃいましたように備蓄の放出については手続上の課題もありますが、例えば、今後急速に感染が拡大したときに、必要に応じて製薬企業が、本来国や都道府県に納品する抗インフルエンザウイルス薬の納入期限を調整しながら市場への流通を先に優先するなど、運用面での可能な対応を検討してまいりたいと考えております。

塩崎委員 福岡大臣、ありがとうございます。

 このインフルエンザの対応というのは、私のように子育て世代中の世帯であったり、御高齢の両親もいる世帯であったり、非常にもう差し迫った切実な問題でありますので、是非国民の皆さんに安心感を届けていただくようなメッセージをまたよろしくお願いいたします。

 引き続き、福岡大臣に質問でございます。

 高額療養費制度の見直しについてお尋ねをしたいと思います。

 この高額療養費制度でございますが、これは元々、例えば病気になったときに非常に高額な医療費の自己負担が発生する、こうしたときに、所得に応じて一定の上限額以上は払わなくてもいいですよという、大変国民にとっては安心のよりどころになる仕組みでございます。

 今回、政府は、高額療養費制度を見直して、今年の八月から三段階で上限額を引き上げることを検討していると聞いております。もちろん、引き上げないで済むならそれがベストだと私も思います。ただ、その背景としては、今、やはり、一件当たりの治療費、医療費が非常に上がっているという事情があると聞いております。例えば、一件一千万円を超えるようなレセプト、診療報酬請求が、数年前に比べると何倍にも増えてしまっている。これは、医療の高度化に伴う我々の便益もあるわけですが、この高額療養費制度という仕組みを国民経済上維持していくために今回見直しをされる必要がある、そこは私も理解するところでございます。

 しかし、心配する声は少なくありません。私も先週末、地元でがん患者団体の代表の方から切実な声を聞かせていただきました。やはり重病の方、慢性病の方は一年間の間に何度も何度も病院に通わなければいけない、この負担上限額が引き上がっていくと、非常にやはり家計に、生活に重たい負担が寄ってしまう、何とか配慮してもらえないか、考えてもらえないか、こうした声もあるところでございます。

 そこで、福岡大臣に、改めて、ここは丁寧に、国民の皆様に分かるように、今回の見直しの背景の趣旨、そしてこうした患者の声に対してどう対応していくのか、お考えをお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

福岡国務大臣 高額療養費制度は、医療費の自己負担に上限額を設ける大変重要なセーフティーネット機能でございまして、海外にも余り例のない制度でございます。

 御指摘がありましたように、近年、大変高額な薬剤などが普及していることなどによりまして、その総額が医療費の伸びの倍のスピードで伸びているというような現状がございます。そのため、今後とも現在と同様のペースで高額療養費が増額し続けた場合には、今御指摘ありましたように、制度の持続可能性という観点、また、結果としまして現役世代を中心に保険料負担が大きくなってしまうという観点から、課題があるというふうに承知をしています。

 こうした現状を踏まえまして、高額療養費という、医療の重要なセーフティーネットとしての役割を将来にわたって維持しながら、高額薬剤の一層の普及等にも耐えられるように、また、保険料負担の抑制という観点から、制度の見直しを行うこととしたところでございます。

 見直しに当たりましては、負担能力に応じて御負担いただくという観点から、平均的な所得を下回る方については自己負担上限額の引上げ率を緩やかにする、また、長期で医療を受けられる場合には、自己負担限度額を更に抑えます多数回該当という仕組みを堅持しながら、その金額についても所得に応じた形で見直しを行うなど、低所得者であったり長期にわたって医療を受けておられる方々などの経済的負担を考慮してございます。

 今御指摘ありましたように、今回の見直しに当たっては、医療の現場に知悉していらっしゃる方も含めて様々な立場の有識者で構成される専門家の審議会において四回の御議論をいただくなど、丁寧なプロセスを経たところでありますが、今御指摘いただいたように、がん患者さんなど当事者の方々の声も真摯に受け止めながら、可能な限り幅広い合意形成が図られるように努めてまいりたいと考えております。

塩崎委員 こちらの金額自体は、まだ最終決定までには時間があると理解をしております。今、がん患者団体を始め関係団体、関係者の皆様の声を真摯に聞いていただける、そして対応いただけるというお話をいただきました。大変心強いと思っております。是非、幅広い合意が得られる仕組みにしていただければと思っております。

 続きまして、武藤経産大臣にお伺いしたいと思いますが、気候変動。

 トランプ大統領は、今回、パリ協定を離脱するということを表明をいたしました。これを機会に、実は、日本の企業の中で、もうこれは、地球温暖化対策というのはやらなくていいんじゃないか、取組をしていくと日本の企業の競争力がそがれるんじゃないか、こんな声も一部で出てき始めているやのようなお話もあります。

 一方で、この地球の温暖化自体は決して止まることがないわけでございます。

 私の地元でも、昨年、集中豪雨がありまして、松山城の土砂が崩れて人が亡くなるという本当に痛ましいことがありました。全国各地でも、自然災害が激甚化している状況でございます。

 こうした気候変動への対策の一つの大きな一歩として、今年、排出権取引を日本でも導入する、こういう動きを政府の中で検討しているというふうに伺っております。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、今回、世界で様々な動きがありますが、排出権取引に関する法案を今国会に提出するという方針に変わりがないこと、そして、二〇二六年の本格稼働、これも変えない、しっかりとやるんだということを確認させていただければと思います。

武藤国務大臣 塩崎委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 まさに、気候変動問題、今回のアメリカの大統領の御発言もいろいろあると思います。ただ、こういう政権の動向は今後も注視をしていかなくてはいけません、しかしながら、気候変動問題そのものは国際社会が一体となって取り組むべき人類共通の重要課題である点、これは全く変わらないと私は承知しております。

 また、世界的に、データセンター向けに脱炭素電源が求められ、そして製品やサプライチェーンのグリーン化が市場でも求められている。そして、各国の政府や企業が脱炭素と産業競争力の両立に向けた取組を進める中で、我が国もGXの取組を着実に進めなければ、産業力がまさに失われていってしまう、これが現実だというふうに承知しています。

 その中で、昨年末に、産業競争力強化、脱炭素、エネルギー安定供給の同時実現を目指していく方針をGX二〇四〇ビジョンとしてまとめ上げたところです。国会でもいろいろと御審議をいただきましたけれども、この方針に基づいて、米国の動向もいろいろあると思いますけれども、揺るぎなくGXを進めていく所存であります。

 そして、今おっしゃられたGX経済移行債を活用した投資支援、また、カーボンプライシングなどの規制措置を一体的に講じていかなくてはいけないと思っています。

 そして、排出量取引制度ですけれども、炭素への価格づけの中長期的な見通し、これは予見性の問題で必ず必要になりますけれども、GX投資を促進するために不可欠な制度であります。二〇二六年度からの本格稼働に向けて、今国会に、これは御審議いただかなくてはいけませんけれども、関連法案も提出する予定であります。是非、皆様方の御協議をよろしくお願いを申し上げます。

 以上でございます。

塩崎委員 ありがとうございます。

 日本としてはカーボンオフセットに向けての国際的なコミットメントをもうお約束をしているわけでございますので、是非、排出権取引についても揺らがずに導入を進めていっていただければと思います。

 続きまして、城内大臣に、科学技術・イノベーションの関係でお伺いをできればと思います。

 トランプ大統領は、今回の大統領令の中で、科学技術の専門家から成る新たな諮問機関、これはPCASTと言われておりますが、これを組成して、アメリカの科学技術を、また再び世界の最先端を走らせていくんだという決意を発表いたしました。国家安全保障の観点から、AI、量子コンピューター、バイオ、こうした先端科学の分野に徹底的に投資をしていくという意思を表明しております。

 実は、今年は、我が国でも、来年から始まる第七期科学技術・イノベーション基本計画を策定しなければいけない大変重要な年でございまして、私も今、自民党の科学技術・イノベーション調査会の事務局長としてそのお手伝いをさせていただいているところでございます。

 日本では、これまで長く、自然科学の分野で様々なノーベル賞学者を生んできたりとか、優れた科学的知見で海外にも知られてきたところでございますが、残念ながら、近年はトップ一〇論文と言われるものの数、割合共に下がってきておりまして、予算当たりの論文生産性においても下がってきてしまっているというふうにデータでお示しされています。

 この日本の科学技術研究力の低下、私は大変強い危機感を持っておりますが、城内大臣として、第七期計画を作っていくに当たりまして、どのような危機感を持っていらっしゃるか。そして、どうやってこうした問題を解消していこうと考えていらっしゃるか。是非お話しください。

城内国務大臣 私自身も塩崎彰久委員と全く同じ問題意識を共有しております。

 言うまでもなく、科学技術・イノベーション、これは我が国の国力の源泉でありまして、その基盤となる研究力の強化は、極めて重要な課題であります。

 そうした中、近年は、トップクラス論文数などの指標におきまして、我が国の国際的な順位が残念ながら下がっております。研究力の低下傾向に私自身も同様に大きな危機感を抱いております。

 その原因、要因については様々なものがございますが、例えば、若手研究者の活躍、研究機関、支援体制などの面で、研究者を取り巻く環境、状況が非常に厳しいということが一つ挙げられますし、また、博士課程進学率が停滞するなど、研究人材の育成、確保に課題があること。また、国際共著論文、すなわち、日本の研究者と海外の大学研究機関等の研究者との共同の、英語で書いた論文でありますが、これが非常に少ない、いわゆる国際頭脳循環の流れに残念ながら出遅れていること。そしてまた、政府の研究開発投資は拡大しているんですけれども、官民を合わせた研究開発投資の総額は、これまた残念ながら目標を下回って推移しております。

 こうしたことが挙げられると思いますが、こうしたことを踏まえまして、政府としては、こうした課題をしっかりと直視し、受け止めた上で、御指摘の第七期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた検討を進めているところであります。

 我が国の科学技術・イノベーションの強化につながる、また、将来を担う若い世代がもっと夢や希望を持って取り組めるように、そしてまた、世界からも注目される基本計画となることを目指して、塩崎委員の今の御指摘も踏まえて、しっかり具体的に検討してまいりたいと考えております。

塩崎委員 城内大臣、ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃられたような危機感を実際にこの計画の中に反映していくには、これはなかなかボトムアップで出てくる提案だけでは難しいと思っております。是非、大臣のリーダーシップの下で、第七期計画は違うなというすばらしい計画を作っていただき、私も微力ながらお手伝いをさせていただければと思います。

 今日はこうした形で、アメリカの基本政策が政権交代で大きく揺らぐ中、改めて、それぞれの大切なテーマについて、日本の国益とは何かということを石破内閣の皆様にお伺いをさせていただきました。

 トランプ大統領はよくアメリカ・ファーストという言葉を使います。そして、これに対して一部批判的な論調もあるやに聞いております。ただ、私は、アメリカ大統領だったらアメリカ・ファーストは当たり前じゃないかとも思うんですね。この言い方の露骨さというもの、これはもちろん様々あるとは思いますが、どこの国のリーダーであっても、自分の国の国益を考える、これは当然なわけでございます。

 石破総理にも是非、ジャパン・ファーストでしっかりとこの日本の国益を追求をしていただきたい。AIにしても、気候変動にしても、安全保障にしても、経済にしても、今日議論に出てきた様々な問題、本当に難しい課題ばかりでございます。日本のために何が最も正しい選択なのか、これを問い続けていただきまして、強いリーダーシップでこの日本を前に進めていただくことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 これにて小野寺君、中曽根君、木原君、塩崎君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭です。よろしくお願いします。

 まず、午前中、中曽根さんが一方的にお話しになった件について一言申し上げます。

 旧安倍派の松本元事務局長の昨日の議決は全会一致ではなく、議決するのはおかしいなどなど、とうとうと述べられたわけですね。私は相当的外れだったと思います。

 誰がこんな議決をさせる原因をつくったのか、国会で膨大な時間を使わせているのは誰なのか、全く当事者意識が感じられません。率先して真相解明をする自民党がそれをしないから、議決せざるを得なくなったのではないでしょうか。その自民党が何と議決自体に反対、採決でも反対する、とんでもないことだと思います。

 本来は自民党が、今やじを飛ばしておられますけれども、松本元事務局長からきちんとヒアリングをして、キックバック再開に関わった政治家を特定して、発表していれば、呼ぶ必要はないんですよ。それを怠ったために呼ばざるを得なくなったということをよく認識いただきたい。どの口が言うのかということを強く申し上げたいというふうに思います。

 それでは、質疑に入りますが、その前に、先ほど来、トランプ大統領との向き合い方などについて議論がございます。新聞を読んでいましたら、昨年末に石破さんが麻生さんに、トランプさんとの会話で気にしなければいけないのは何ですかと聞いたらば、麻生さんは、結論から先に言うことだ、こういうふうにアドバイスをしたと。麻生さんにしては的確なアドバイスだと思います。それに対して石破さんは、それは私が最も苦手なことですと答えたという報道があるんですけれども、そんなやり取りはあったんですか。

石破内閣総理大臣 やり取りの詳細について全部記憶をしているわけではございませんが、トランプ大統領と非常にいろいろな議論を交わしてきた麻生元総理のいろいろな経験を御教授いただきたいということでお話を聞かせていただきました。

 結論をまず言えということであって、私の場合、こうなってこうなってこうなってこうだから、こうですみたいなことを言っておってはいかぬということであります。最も苦手かどうかはともかくとして、自分の今までのやり方を百八十度ひっくり返すというのは、それなりにやりやすいことではありますね。結論を言ってその後にこういう理屈を言うというのは、別にそんな面倒くさい話ではないということでございます。

 そのようなやり取りがあったと記憶をいたしております。

長妻委員 何でこんなことを申し上げたかというと、まさに予算委員会でそれを徹底させていただきたいんですよ、徹底して。昨年末の予算委員会ではかなりうんちく答弁が相当長くて、結論が来ると思ったら、いや、検討しますと。結論がない、これが多かった。初めに結論を持ってきていただいて端的にお答えを、今後、野党の質問に入りますので、いただきたいということを是非本当にお願いしたいんです。

 一点、先日、二十九日に石破総理がシンポジウムに参加された。そこで、今年は敗戦後八十年、あえて敗戦後と言うが、終戦では事の本質を間違える、私もそう思います、今を逃して戦争の検証はできないと。

 私も、我が国がこの一連の昭和の戦争の検証、国策を誤りという村山談話がありました、どの国策がどういうタイミングで誤ったのか、これをきちっと検証しないと。戦後、一度も日本は、我が国は検証していないんですよね、さきの戦争。これは是非やっていただきたいと思うんですが、石破総理、その決意を、戦後八十年、敗戦後八十年、是非今年やるということを決意をお述べいただきたい。

石破内閣総理大臣 これは何度か申し上げたことですが、かつて田中角栄先生が、あの戦争に行ったやつがこの国の中心にいる間は日本は大丈夫だ、あの戦争に行ったやつがこの国の中心からいなくなるときが怖いんだ、だから、よく勉強してもらわねばならぬというふうによくおっしゃっておられました。

 私は、今が敗戦後八十年、次は九十年ということになると、もちろん御存命の方もおられるに違いないけれども、本当にそういうことをリアルに経験した方がおられなくなるということです、それはやはり恐ろしいことだと思っている。

 ですから、なぜあの戦争を始めたのか、なぜ避けることができなかったのか、なぜ途中でやめることができずに、あのような、東京が焼け野原になり、広島、長崎に原爆が落ち、大勢の方が亡くなっていったということになったのかということを、まだその記憶をきちんと自己のものとして持っておられる方々がおられるうちに検証するというのは、やはり八十年の今年が極めて大事だというふうな認識を持っておるところでございます。

長妻委員 言うだけじゃなくて、是非具体的にやりましょう。お願いします。

 石破さんは、「日本再生へのチャレンジ」という書籍、去年十二月発行、失われた三十年検証研究会の書籍でこういうことをおっしゃっているんですね、私も共感することなんですが。さきの戦争において、陸軍も海軍も戦争に勝てないことを知っていたが、予算を削られることを恐れて戦争に突っ込んだ、この結果、この国は一度滅びた、この検証を全く学校現場でもやっていないことは恐ろしいことだ、我が自民党も似ている、結局、責任を誰も取らないままに、一生懸命やったんだからいいじゃないかという、そういう構造は戦前も戦後も連続している気がする、もう一度同じことが起きてもおかしくない、こういうふうにおっしゃっておられる。共感しますので、是非検証を与野党でやっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 そして、氷河期世代の話に入りますが、パネルを見ていただきますと、いわゆる就職氷河期世代、三十代後半から五十代半ばまでなんですが、大体二千万人弱おられると言われております。本当に大変な思いをされて、ちょうどこのときに、実は、一九九五年に経団連の前身の日経連が雇用のポートフォリオ論というのを出して、柔軟型雇用、つまり、非正規をいっぱいつくらないと日本企業は生き残れない、景気が悪くなったときにすぐ解雇して、よくなったらまたぱっと雇う、こういう便利な社員がいないと駄目だということで、どんどこどんどこ非正規雇用を増やした。これは、私は自民党の大罪の一つだと思っているんですが。

 そこと重なって、この就職氷河期世代の方々が、過去五年の、直近五年の名目の賃金の伸びを見ますと、見ていただきたいんですが、五十から五十四歳はマイナスになっているんですね。四十五から四十九歳も非常に低いんです。一番低いんです。ここは、初めに就いた職が非正規雇用とか、熟練度がすごく低いんですね。

 この就職氷河期世代の対策の最大のポイントは、安定した雇用、同一価値労働同一賃金を入れるとか、あとは住宅支援、これがあるんですが、そして、もう一つ重要なのは、彼らが老後、年金受給になったときに、賃金が低いので老後の年金がすごく低くて、そして多くの方が、今予想されるのは、生活保護になだれ込んでいくのではないかという非常に重大な私は懸念を持っております。

 そこで、今厚労省が頑張っていただいているのが年金改革で、今の年金は就職氷河期世代に大変冷たい年金制度になっていまして、就職氷河期世代が年金を受給する頃には、基礎年金が実質価値で三割ぐらい下がっちゃうんですよ。厚生年金をもらっている方も基礎部分はありますから基礎年金が下がるということで、非常に年金の下支え機能が弱くなって、今、生活保護は年間三・五兆円で、半分以上が高齢者なんですね、生活保護は。年金代わりになっている。これは国の財政にとっても大変なことだし、御本人にとっても大変なことなので、年金の、三割基礎年金が目減りするのを何とかしなきゃいけない。

 私もそう思っているんですが、先日、政府から聞いたら驚いたのは、その対策を政府は出していたのに、これを先送りすると。先送りする、四年後。でも、四年後もやるかどうかも分からないよ、こういうことなんですが、じゃ、三割目減りする対策は何か考えているんですか。

福岡国務大臣 今、御承知のとおり、基礎年金水準を確保するということは大変重要な論点だというふうに思います。これは経済情勢によって変動がありますから、まずは、政府としては、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするために全力を尽くす。そのために、今後、次の財政検証までの間に、経済動向をしっかり注視しながら発動の是非については検討していくということですが、その発動の要否を判断する際の具体的な考え方については、今後どうやっていくかは、引き続き検討を行っていきたいと考えております。

長妻委員 だから、何にもやらないということですか。いいんですか、これは。危ないですよ。本当に大変なことになりますよ。

 政府から詳細に説明を受けると、今、景気がよくなるかどうかを見るとおっしゃいましたけれども、詳細に聞いてみると、次のパネル、二、三年たったらちょっと景気がよくなるかもしれないから、基礎年金は三割目減りしない可能性もあるから、ちょっと様子を見ようと。様子を見ているうちも、どんどんどんどん問題は深刻化するんですが。どういうふうに政府は言っているかといいますと、過去三十年の実際の実質賃金の伸びというのはちょうど〇・〇%なんですね。これは政府に確認しまして、このブルー、これが過去の実績値。ところが、政府は、今後百年間、成長型ケース、毎年毎年実質賃金が一・五%、赤の上の線ですね、こういうふうに百年間伸び続けると。こういうふうに伸び続ければ、確かに基礎年金の目減りは三割ではなくて五%目減りで済むんですよ、このバラ色の成長が毎年毎年。

 今、皆さん、実質賃金は四か月マイナスなんですよ、直近で。これは、福岡大臣、成長型ケースを無理やり予想して、年金制度は何も手をつけない、こういう無責任なことは本当に困るんですが、いかがですか。

福岡国務大臣 まず、今お示しいただきました過去三十年投影ケースの経済前提と比べると、御指摘のとおり、実質賃金についてはほぼ伸びていないということでありますが、積立金の実質的な運用利回り、スプレッドの前提については、元々の想定の一・七%に対して実績の三・七%、かなりいい結果が出ているというような状況もあります。

 ですから、そういう意味においては、今回の六年の財政検証でも、年金財政の状況は改善が見られるということですから、今後、しっかり経済成長の状況を見ながら、次の対応について検証を行っていくということでございます。

長妻委員 これは、一番年金にとって御法度のことなんですよ。積立金というのは、株価が上がれば上がるし、株というのは変動が大きいんですね。そうじゃなくて、実質賃金で見ているわけなので。しかも、二、三年待って景気がよくなればいいかなじゃなくて、百年間の予想をするわけなので、これは余りにも無責任。バラ色だから先送りするということなんですね。

 そして、しかも、ちょっとこれは重大なことなんですが、もう一つのパネルを見せていただきますと、これは有識者とも議論しましたが、どうしても容認できないというふうにおっしゃる方が多いんです。

 少し難しい話なので簡単に申し上げますと、まず、何にも、今年、年金改革の法案が出てこないとどうなるかといいますと、厚生年金については、マクロ経済スライドの一致を、基礎年金と合わせないで済むので、厚生年金は下げ止まるんですね。二〇二八年に、赤線です、下げ止まって、ずっとこのまま水準は続く。減るのは二〇二八年度で終わる。

 ところが、今回不思議なのは、厚生年金と国民年金を事実上統合して、そして将来の基礎年金を拡充する、こういう案をするかしないかを四年後に決めます、先送りした。先送りしたのならば、普通、赤い線のまま、年金を下げずに、そこで検討するというのが筋だと思うんですが、先送りして、やるかやらないか分からないのに、二〇二九年度も一応下げる、様子見なのに。三〇年度まで下げていく、二年下げる。

 しかも、この下げた金が生かされればいいですよ。将来の基礎年金を拡充する、氷河期世代のために使われるのならいいけれども、検討して、やらない場合は、やらずぼったくりなんですよ、はっきり言えば。無駄金になっちゃうんですよ、減らされるだけ減らして、基礎年金に行かないわけですから。

 ですから、これはルール違反ですよ。これは、民間保険であれば、保険者の、ちゃんと了解を得ないといけない不利益変更に当たるわけですね。しかも、大義がない。

 これは、二年下げて、やらない場合、金を返してくれるんですか。

福岡国務大臣 まず、このような制度設計につきましては、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了において、基礎年金給付水準の確保が重要な中、経済が好調に推移しない場合の備えとしまして、経済情勢及び安定財源の確保の状況等を踏まえて、次期財政検証後に発動の要否を判断することや、備えの具体的な対応を明確にするために、発動する場合の具体的仕組み、これを法案で規定することを前提に、報酬比例部分のマクロ経済スライドの調整期間を次期財政検証の翌年度まで時限で継続することを基本的な考えとする方向で調整しております。

 御指摘のとおり、報酬比例部分のマクロ経済スライドを継続することによりまして……(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。ちょっと今答弁しているから、静かにしなさい。

 大臣、続けて。

福岡国務大臣 はい。

 仮に早期終了する場合には、将来の基礎年金水準を引き上げる効果が発揮されるんですが、今おっしゃったように、調整期間の一致を行う場合については、御指摘の懸念があること、それはそういう御指摘があるというふうに思います。

 それについては、今国会に提出予定の年金改正法の取りまとめに向けまして、どういう対応を行っていくかということについては検討を進めてまいりたいと思います。

長妻委員 はっきりもう一回言います。やらずぼったくりです、これは。空振りで、やらない場合、何で減らすんですか。自民党、説明できますか。これはどう考えてもおかしいわけでして、私は、三割減というような厳しいことを避けるには、やはりマクロ経済スライドの調整期間を一致させる。ただし、そのときに国費が二兆円以上将来かかるので、きちっと安定財源を確保するということを確認した上で、そして、直近で減る方に対しては対応を取る、これをセットで国会に出してほしいんですよ。そして、今回、決着をつけたいというふうに思っております。

 石破首相、この三割減に対する対応をどういうふうに考えますか。

石破内閣総理大臣 やらずぼったくりというのは当たらないのだと私は思っております。

 それは、いかにしてこの年金制度なるものを維持していくかということが重要なことであって、いかにしてこの制度自体がきちんと続くようにするかということでございます。そこにおいて公費を導入するかどうかということを、委員も含めまして今後議論を深めてまいりたいと思っておりますが、制度自体をきちんと継続させるということが一番重要だと思っております。

長妻委員 ちょっとこれは相当物議を醸すというか、とんでもないことだと思いますので、引き続きこれは議論を継続したいと思います。

 そして、政治と金の問題に行きますけれども、石破首相に先月質問したんですね、三十年前の話。そうしたときに、石破首相は、細川首相の三十年前の答弁を紹介されて、こういうふうにおっしゃいました。企業・団体献金の受け手を政党に限って、政党が介在することによって企業と政治家個人との結びつきに起因する政治腐敗事件の防止に大きな効果を持つと。

 つまり、三十年前は、全面禁止はしないけれども、政党に限るから、これは透明性が確保できるから、個人的なつながりがないから一定程度いいんじゃないの、こういう議論だったという御紹介でした。確かに、当時そういう議論はありました。

 ところが、当時は、政党に限るからいいんじゃないと思いきや、政党支部が、当時予想していなかったぐらいいっぱいできてきたということがあるんですね。

 石破総理、今、自民党は、政党支部は大体幾つぐらいあると思いますか。大体で結構です。

石破内閣総理大臣 政党支部について、今確たる数字を持っておりませんので、判明し次第お答えをしたいと思っております。(長妻委員「何千か何百か」と呼ぶ)約三千ないし四千ぐらいではないかなというふうに思っております。

長妻委員 今、ちょっと総理の認識を聞くためにお伺いしたんですが、今年の一月一日に、総務省が出している資料だと、自民党は、支部の数は七千七百六十六なんですよ。これは圧倒的なんですよ、ほかの党に比べると。

 これは自民党の皆さんも聞いていただきたいんですが、三十年前に、実は、懸念を持った議員が当時の佐藤自治大臣に質問しているんですね。まさか、政党に寄せる、政党しか受け取れないということをしたら、それを、理念をねじ曲げて支部をいっぱいつくる、何千もつくるような政党は出てこないだろうねと聞いたらば、佐藤自治大臣は、こういうふうに答えているんです。政党が、企業・団体献金を集めるために支部を、規約を変えてわざわざたくさん、何百何千つくるということをやること自体が国民の目から見て一体どうなるだろうか、そういう監視の中で果たしてやることができるのだろうかと。

 つまり、こんな恥ずかしいことはできるわけがないから、あんた、余り心配するなというような立場で自治大臣が答弁しているんですが、やっちゃっているんじゃないですか、七千。

 しかも、私もちょっと二、三見ましたら、株式会社支部というのがあるんですね。これは配付資料で配付しておりますが、私が見たのは三つありました、ただ、全部調べているわけじゃありませんが。

 これは、ちょっと企業名は言わずに言いますけれども、自由民主党A社支部、自由民主党B社支部、自由民主党C社支部、配付資料の三、四、五に実物の収支報告がございますが、調べると、二つの会社は社長が支部長でした。一つの会社は会長が支部長でした。会計責任者は、全てがその会社の総務、管理部門の人でした。別会社ですけれどもね、三つとも。これは自由民主党の、株式会社一社のそういう支部があるわけで、事務所は、全て会社の本社と同じ住所なんですね。

 じゃ、この自由民主党の支部の賃料は会社からもらっているとか払っているとか、どういうふうになるのか。ここで働いている会計の人の人件費はどうなっているのか。なぜ株式会社の支部をつくっているんですか。

石破内閣総理大臣 我が党の党則におきましては、地方組織として、このように記されておる。一定の職域を単位とし、職域支部を置くというふうに党則に規定がございます。

 この職域支部は、各地方の職域での党勢拡大が目的でございまして、各都道府県の会社や事業所ごとに設置するもの、都道府県内の同一業種団体ごとに設置するものなどがございます。

 今御指摘の株式会社支部という言葉、私も、正直言って初めて聞きました。それはなぜかというと、我が党の党則などでこの株式会社支部というのがあるわけではない、私どもの中では職域支部ということで統一をいたしておるところでございます。

 お尋ねのものは、会社ごとに設置された職域支部というものだと認識をいたしておるところでございます。

 その総数、職域支部の総数ですが、約千八百ということでございまして、これは職域支部のことだというふうに考えております。

 じゃ、その家賃なんかはどうなっているのというお話でございますが、職域支部、私のところにもございますが、それは、ここに事務所があって、そこに専従の職員を置いて、そういうような機能を果たしているというのは本当にまれでございます。私自身は認識をいたしておりません。利用実態というのはそういうものであって、じゃ、そこが賃料を払う必要があるだろうか。常勤の職員がいて、常にそういうような活動に専ら使われておるというものではございません。

 そういうものに対して賃料を払うとか、そういうようなことは想定をされておらないものでございます。

長妻委員 今、ちょっと混同があるんですけれども、職域支部というのは、例えば、士業の地域支部と自民党士業支部みたいなのがあるんですけれども、株式会社単品、一社の支部というのは私も聞いたことがないんですが、これはトータルで、一社だけが支部なのは、今、自民党は何個ぐらいあるんですか。

石破内閣総理大臣 その数は今把握をいたしておりません。

 ただ、例えば私の選挙区において、そういう株式会社が支部を置いているというものは、現在、存在しておらないと認識をいたしております。

長妻委員 こうなると、企業・団体献金がこの支部では受けられるのか、受けられないのか。実は、政党支部でも、受けられる支部と受けられない支部があるわけです。そして、賃料についても、活動実績があるように見受けられる収支報告のお金の移動もあるので、これは相当、ちょっと数も分からないということなので、チェックをしていただきたいということは強くお願いをいたします。結論として言えるのは、余りにも支部をつくり過ぎだというふうに思います。

 そして、もう一つ、これは政党に寄せていくというのが三十年前の理念にもかかわらず、石破首相が総支部長を務めている鳥取県、衆議院の第一支部から毎年毎年一千万円、石破後援会にお金が流れているんですね。

 これは、お金は、後援会では今企業・団体献金を受けられない、ただ、支部では受けられる。だから、支部でお金、企業・団体献金を受けて、それを後援会に流すというふうに見えるわけですけれども、これは、なぜこういうことをしているんですか。

石破内閣総理大臣 もう一度整理をしておきますが、これを、企業・団体献金を政党や政治資金団体に対するものに限定したのはなぜかといえば、先ほど、佐藤観樹さんだったと思いますが、私もそのときのやり取りを覚えていますけれども、平成六年の政治改革により、選挙や政治活動を政策本位、政党本位で行うこととした。よって、そうであるがゆえに、お金も政党中心というふうに改めたところでございます。

 政党支部は、政治資金規正法に基づく規約などを策定し、その定めるところに従って団体として活動しているものでございまして、同時に、政党の支部として、その政党の政策の周知を図るなど、政党活動の一翼を担っておるものでございます。

 ですから、政党支部というのは、議員個人、その後援会と明らかに異なる別の主体として考えるべきものだと思っております。その政党支部や支持する企業、団体から寄附をいただくこと、その政策目的を果たすため、組織としての判断により寄附を行うことというのは元々想定をされておるところでございまして、こういうような取組は重要でございます。であらばこそ、その透明性をきちんと確保するということに努めておるところでございます。

長妻委員 これは国民の皆さんも見ていただいていると思うんですが、支部が数千あって、例えば、地方自治体議員も一人一支部持っているような地域もあるわけですよ、自民党の場合。そういうようなことで、政党に寄せるから、企業・団体献金は全面禁止をしなくて、政党に限ったにもかかわらず、ほとんど議員個人のお財布にお金が入るような、そういう仕組みになっちゃっているんですよ、支部が非常に多いので。

 だから、今の移動の話も、おっしゃるように、これは法律違反じゃありません。ありませんが、こういうような当初の理念と違う形で、事実上、個人の後援会とか個人の政治家が差配できるような財布に企業・団体献金がどんどん入っているという現状があるので、ここはすっぱりと、やはり企業・団体献金を、パーティーも含めて禁止しなきゃいけない、こういうふうにやはり決断いただかなきゃいけないんですね。

 そして、もう一つ、六ページ、七ページ目を見ますと、少し前の資料ですけれども、石破幹事長の名前で日本建設業連合会に対して、お金をちょうだいというようなお手紙を出しているんですね。ここにも書いてありますのは、別途国民政治協会よりお願い申し上げます、国民政治協会というのは自民党の政治資金団体ですけれども。そして、この七ページ目は、同じ時期に国民政治協会から同じ日本建設業連合会に、これまたびっくりしますよね、請求書、一時国会も問題になりましたけれども、四億七千百万円なりと金額まで書いてある。しかも、これは、初めのおもて紙は石破幹事長の名前で出している。

 何でこんなことをやったんですか。今もやっているんですか。

石破内閣総理大臣 それはお願いであって、請求ではございません。あくまで、そういうような要請をされましても、そのままいただければ何も困らないんですが、それはお願いとしてやっているものでございます。ですから、今委員のお話を聞けば、請求で、払わなきゃいかぬような、そういうような印象を与えますが、そういうようなことはございません。

 私は、当時、自民党の幹事長として、なかなか財政が厳しい時期でもございましたので、あくまでお願いをしたものでございまして、それにお応えいただくかいただかないかは、それは任意のものでございます。

長妻委員 では、これ以降は、金額入りのこういうお願い、金額入りのですよ、お願いというのはもう一切していないんですか。

石破内閣総理大臣 現在、幾らということでお願いをしているとは承知をいたしておりませんが、御指摘でございますので、確認はさせていただきたいと思います。

長妻委員 それでは、これ以降、金額入りのお願いをしたかどうか、確認されるということなので、確認をいただきたいというふうに思います。

 委員長も、理事会でお計らいいただければ。

安住委員長 委員会に対して調査要求しているということですか。

長妻委員 はい。

安住委員長 では、理事会で協議します。

長妻委員 今、これはお願いベースだというふうな話なんですが、強靱な国土の建設をするというようなことで、ある意味では、あなたの業界の受注が増えるという話を書きながら金額を書いている。

 これはあくまで言い値ということなんですが、現実にはこの金額は入ったんですか、入らなかったんですか。

石破内閣総理大臣 それは確認を要します。ですが、お願いした金額そのものが入ったということは、そのように多くはないと承知をいたしております。

長妻委員 それでは、これ以上の金額が入ったかどうかも確認をしていただきたいというふうに思います。

 そして、もう一つ、石破首相の総裁選の公約というのがあるんですが、これは八ページでございますが、総裁選のときの昨年の公約でこういうことが書いてあるんですね。これは私も同意する話なんですけれども、裏金についてです。不記載の金額のうち、政治資金であるという説明がつかない金額については納税してしかるべしという考えの浸透を図ります、それはそうだ。

 都議会の問題なんですけれども、都議会の裏金議員は、裏金を何に使ったのかというのがはっきりしないんですね。はっきりしないんですよ。キックバックで、上納して戻ってきたんじゃなくて、ノルマ以上は自分のポケットに入るような仕組みもあったので。

 私は、都議会議員に対して、総裁選でこういうふうにおっしゃっておられる以上、是非、総裁として、都議会議員の裏金の皆さんには、全て帳簿を持って一旦税務署に行って、自分は税を払わないでいいんですか、払うべきなんですかというのを相談して、税務署が払わないでいいですと言ったら私はいいと思うんですけれども、そういう相談に行かせる、その促しをしていただきたいと思うんですが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 それは、納税の義務があるものに対して納税をするのは当然のことだというふうに思っております。

 そして、それは、いやしくも都民の皆様方の信任を得て議員としての職責を果たしている我が党の議員は、そういうような意識をみんなきちんと持っておるというふうに承知をいたしております。

長妻委員 いや、私が言っているのは、都議会議員の裏金の方は使途を公開しようとしていないんですよ、裏金の使い道を。

 ちゃんと使い道を公開しなさい、かつ、公開できない場合は税務署に行って相談しなさい、この二点をお約束いただけますか。

石破内閣総理大臣 党としてそれは適正に判断をいたしてまいります。それは党の支部でございますし、党所属の議員でございますから、それは都連の話、都議会の話なので党本部は知りませんなどということは申し上げません。それぞれが良識に従って判断をし、党としてはそういう見識を持っていると承知をいたしております。

長妻委員 ちょっと、私が言っているのに答えていないんですけれども。

 じゃ、裏金の使途を全部公開するべきだ、しなさいというような総裁としての発言をいただけますか。

石破内閣総理大臣 それは我が党の良識に従って判断をいたします。

長妻委員 その裏金の使途を、都議会議員に公開しなさい、つまびらかにしなさいという指示をされますか、されませんかということなんです。

石破内閣総理大臣 それは法にのっとって適切に判断をするということに尽きます。(長妻委員「指示するのかと。やっていないから。指示するんですか。一回止めてください」と呼ぶ)

安住委員長 ちょっと速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こしてください。

 それでは、追加答弁を、石破内閣総理大臣。

石破内閣総理大臣 これは、我が党の組織であります東京都連におきまして、法にのっとって適切に判断するということでございますし、都連からそれぞれの議員に対してそういうような指示を出しておるというふうに承知をいたしております。

長妻委員 今、都連会長は、横におられますけれども、指示を出している、うなずいておられますので、じゃ、指示に従わない議員はもう公認しないということを私はすべきではないかなというふうに思います。

 時間も残り少なくなってまいりましたので。自民党が、今日なのか近々なのか分かりませんが、企業・団体献金は禁止せずに、それを公開するような法案、私も概要を見ました、そして、いろいろな政治団体の構成員が自由意思で入っているのかどうか、これをチェックする法案、こういうのを出すということですが、これは既に我が党は出しているんですね、そういう法案は。かつ、それは企業・団体献金、パーティーも含めた禁止の法律とセットでうちは出しているんですね。つまみ食いして、その一部だけ成立させて企業・団体献金禁止から逃れようとすることは、私はできないというふうに思います。

 私は、長年国会で活動させていただいて、やはり金がないと政治に声が届かない、そういうような政治に今どんどんなっているというふうに感じるんです。ある意味では、少子化対策とか非正規雇用対策とか、教育費がばか高い問題とか、大学の研究費が少ないとか、こういう分野は、はっきり言うと、パーティー券が売れないんですね。企業・団体献金も集まらない。そういうところはいつも後回しになる、予算が。こういうようなことが、先ほどの氷河期世代の大変な状況も、非正規雇用がどんどん増えているときに我々はいろいろな法律を出しましたが、自民党はのんでいただけなかった。

 この非正規雇用対策も、非正規雇用の方々を便利に使う巨大業界からは、潤沢なパーティー券から、あるいは企業・団体献金から入ってくるわけです。たった一社で五千万円をぽんと自民党本部に献金するような会社もあるわけでございまして、金の力ではもう太刀打ちできません。

 是非、企業・団体献金を全面禁止をする、パーティー券の企業、団体の購入も含めて。フランスもカナダもアメリカも禁止しました。アメリカは政治団体は除外しております、フランスも除外していますけれども、禁止しているんですね。イギリスは、百万円以上の企業献金は株主総会の議決を義務づけているんです。先進七か国で一番日本が緩いんです。そして、法律違反ではないとはいえ、それをかいくぐるような支部の数とか、いろいろな問題が起こっているじゃないですか、今指摘したように。

 是非この問題を決着をつけるために、石破総理、自民党、企業・団体献金禁止の法律、これを是非賛成いただきたいということを申し上げて、私の質問とします。

 よろしくお願いします。

安住委員長 この際、城井崇君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。どうぞよろしくお願いいたします。

 総理、国民が物価高に苦しんでいます。先日も、福岡県内の高齢者から、立憲民主党にこういう声が届きました。米の高値、今の値段を承知しているか、以前の二・五倍だ。叫ぶような訴えでした。

 私たち立憲民主党として、この度の来年度予算案の審議に当たりまして、国民生活の苦しい状況を改善するためには、政府案のままでは駄目だ、予算修正が必要だ、その柱は物価高対策だと考えます。

 資料二ページとパネルを御覧ください。

 ここでは、予算の国会修正へ、まず物価高対策の充実、国民の負担を減らす、そして国民の収入を増やす、この二つの視点から具体的な政策提案を申し上げ、また、併せて、予算修正実現のための政策財源の確保の提案もお示しします。石破総理におかれては、是非、私たち立憲民主党の主張に耳を傾けて、予算案の国会修正に応じていただくように強く求めたいと思います。

 私からお示しする物価高対策は次のとおりです。資料三ページとパネルを御覧ください。

 一つ目の視点は、国民の負担を減らすです。税負担を減らす方策として、リッター当たり二十五・一円のガソリン減税、そして、これまでも防衛力強化と言いながら内容が十分に国民には示されていない、数字ありきにも見える防衛増税の中止、ここをまず行うべきです。

 教育費の負担を減らす方策として、教育無償化を各年代に届ける政策パッケージを準備しました。具体的には、立憲、維新、国民の三党を中心に議員立法も出している学校給食の無償化、維新の皆さんも取り組む高校無償化の拡充、大学、専門学校の無償化、そしてゼロ歳から二歳の保育での所得制限の撤廃です。

 二つ目の視点は、国民の収入を増やすことです。資料四ページとパネルを御覧ください。

 全産業平均より七万円以上月収が低い介護や障害福祉、保育、幼稚園教諭などの収入アップにつながる処遇改善を議員立法と併せて提起をいたします。介護報酬が削られ、各地域で苦境が続く訪問介護事業者の緊急支援も重要です。

 また、自分たちではどうしようもない壁にぶつかる皆さんを支援するのも大切です。国民民主党も取り組む百三万円の壁対策は重要ですが、同じように、社会保険料における百三十万円の壁というよりは、むしろ崖の対策を急ぐべきです。あわせて、中小企業の社会保険料軽減も行うべきと提起をいたしております。

 がん患者の皆さんなどから悲痛な声が多く届いている高額療養費の自己負担引上げの凍結についても盛り込むことといたしました。

 三つ目の視点は、本気の歳出改革による財源確保です。資料五ページとパネルを御覧ください。

 立憲民主党では、これまでも厳しく税金の無駄遣いチェックを行ってきたのとともに、本気の歳出改革作業チーム、国会議員七十名規模で編成し、各省庁の予算を厳しくチェックをしています。国民の目がなかなか届かない政府基金、特別会計、予備費、外為準備金を始めとした政府資産など、使い道や在り方も検証しています。

 今回の立憲民主党の予算修正案においては、政策財源として、まず、この政府基金の積み過ぎ部分、約七・八兆円と、立憲民主党の試算であります、この国庫返納による活用。また、一般予備費一兆円という予算案の内容でございましたが、この一部活用をまず行うことを提案しています。加えて、教育、子育て支援への活用を提言してきた日銀保有のETF分配金の一部活用。また、行政改革や税制改革による恒久財源の確保にも取り組んでいます。こうした具体的な財源確保の努力の中から、最終的な予算修正部分の財源を賄う考えです。

 これらを踏まえて、石破総理に質問をいたします。

 まず、国民の負担を減らすという部分です。

 総理、ガソリン税、そして軽油引取税に上乗せしてきた暫定税率の廃止によるリッター二十五・一円のガソリン減税、速やかに行うべきです。ガソリンの高値が厳しさを増しているからであります。昨日時点で、リッター二百円超えというすさまじい高値も聞こえてまいりました。私の調べでは、二百二十二円というところもあった状況であります。

 政府の補助金政策の失策に加え、その補助も打切りになった悪影響が各地域に及んでいます。私の地元の建設会社に伺った折には、全国石油商業組合連合会からのチラシが配られていると聞きました。

 資料一ページとパネルを御覧ください。

 価格上昇を抑制してきたガソリン、軽油、灯油への補助金は、以下中略しますが、令和六年十二月十九日より縮小されておりますが、今後、更なる縮小が始まります。これに伴い、令和七年一月十六日木曜日以降、ガソリン、軽油、灯油等の店頭における販売価格に影響することが予想されますとの書きぶり。

 総理、ガソリン等を売る側としても、消費者への説明に苦しんでいるさまが表れているというふうに思うんです。これまでこのようなことはなかったと、ガソリン等を買う側、消費者側からもお声があります。

 事ほどさように、ガソリン等の値上がりに、暮らしも職場も苦しんでいます。国民生活の実情を踏まえ、まず、ガソリン税、軽油引取税の暫定税率を廃止して、リッター二十五・一円のガソリン減税、速やかに実現すべきです。総理、御決断ください。

石破内閣総理大臣 これは、昨年の十二月、自民、公明、国民民主、三党で幹事長間の合意がございます。その合意は、これは何度も申し上げておりますが、いわゆる暫定税率、ガソリンの暫定税率、廃止をいたします。具体的な実施方法等につきましては、関係者間で誠実に協議を進めるということになっておりますので、この合意のとおり、私ども、誠実にやってまいりたいというふうに考えております。

 なお、令和七年度与党の税制改正大綱におきましても、引き続き政党間で真摯に協議を行うということになっておりますので、政府といたしましては、この結果に適切に対応してまいりたいと考えております。

城井委員 三党合意、そして税制改正大綱の御答弁がありましたが、肝腎の現場、肝腎の暮らし、肝腎の職場が、今まさに目の前で、リッター二百円超えのガソリンに苦しんでいるんです。ここに手だてがないというのが重要なんです。ここではガソリン税、ガソリンと軽油の話をしておりますが、灯油もそう。そして、航空機燃料を含めた辺りもそう。こういう一つ一つ、国民の燃料、エネルギーに関わるところは、同様の状況にさらされていくんじゃないかという不安でいっぱいであります。実害を被っているんじゃないか。

 総理、何もしないんですか。

石破内閣総理大臣 何もしないなぞということはございません。

 私どもとして、燃料油価格の激変緩和対策というものを講じております。現在、ガソリンの小売価格が全国平均でリッター当たり百八十五円となりますように、支援は継続をいたしておるところでございます。

 その上で、一律支援だけではこれはいかぬのでありまして、低所得の方々に対しては給付金をお出しする。地域の実情に応じて支援が可能な、まさしくそういうことを可能とする重点支援地方交付金と併せました総合的な対策をしておるところでございまして、何もしないなぞということは、それはございません。

城井委員 実害を被っている暮らしや職場に向けて、ガソリン減税、二十五・一円、リッター当たり、是非実現していただきたいということをこの場ではしっかり申し上げておきたいというふうに思います。いつまでも検討というわけにはいきませんよ、総理。

 続きまして、教育費の負担を減らす提案について伺ってまいります。ここでは、学校給食の無償化をまず取り上げます。

 資料三ページとパネルを御覧ください。

 石破総理の自民党総裁選のときの公約にもあった学校給食の無償化につきましては、昨年の臨時国会で、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の三党で学校給食無償化法案を共同提出いたしました。他の野党にも賛同、協力を呼びかけ、幾つかの政党からは賛同のお声もいただいています。地方からも、実現を求める声が多く届いています。

 そこで伺います。

 この学校給食を無償化するメリット、意義についてです。私どもとしては、社会全体で子供を育てる、食育を教育の一環と位置づける、子供の貧困対策、また給食費の徴収事務負担を軽減する、こういった観点で意義は大きいというふうに考えています。子育て家庭の給食費を軽減した場合には、消費性向が高い点から、この手元に残った分が地域での経済活性化に資するというふうにも考えています。着目すべき重要な点です。

 これらの学校給食の無償化のメリットについて、総理の見解を伺います。

石破内閣総理大臣 済みません、足らざるところは担当大臣からお答えを申し上げます。

 これは、今の時点で、もう低所得の世帯の皆様方に対しては無償化というのをやっております。それは、もう割合にすれば一四%ということになっております。

 それぞれの自治体の判断によりまして無償化を行っておるわけでございます。そういう自治体もあります。その場合に、保護者の方々の負担軽減、少子化対策、転住、転入促進、それぞれ何のために無償化をしますかということの目的は、それぞれによって違っておるということがございます。

 そういうことを考えますと、一体どういうような政策目的でやっているのか、それをやることによって政策目的がどのように達成されたのかということにつきまして、よく検証し効果を見定めた上で政府として判断をいたしてまいりたいと考えております。

城井委員 総理、低所得者向けの支援は就学援助の一部で行われていると承知をしているんですが、あれは希望した世帯、家庭の子供たちは届いていますが、親がぐっとこらえて手を挙げていない、就学援助を受けていない低所得の皆さんもおられます。

 しかも、今の施策の状況では、子供たちを分断してしまう状況になってしまうということが大変問題だというふうに思っています。メリット、効果については、私どもから幾つか先ほど、食育や子供の貧困対策ということも含めて、何よりも社会全体で子供を育てる観点が大事だということを提起をさせていただきました。この点は是非踏まえていただきたいというふうに思うんです。

 そこで伺います。

 公立小中学校における現在の給食についての保護者の費用負担分、また、国立及び私立の小中学校における保護者の費用負担、これは総理、どのように認識されていますか。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 学校給食に関しましては、学校の設置者と保護者とが協力してその目的を達し得るものであるというふうな考えから、食材費に関しましては保護者負担というふうに整理をさせていただいているところでございます。

 その上で、先ほど総理からもございましたが、一四%の低所得者世帯においては既に無償とされていますこと、また食費が一般的に個人の負担に帰するべきものとされていること、また食材費は義務教育か否かにかかわらず必要なものであることなど、食材がまとめて調達されることによって、少なくとも負担は今軽減されていることなどを踏まえますと、この考え方が必ずしも非合理であるということは言い切れないのではないかと私ども考えております。

 文部科学省といたしましては、引き続き、重点支援地方交付金の活用を通じました給食費に関わる保護者負担の軽減にしっかりと努めてまいります。

城井委員 文科大臣、現状の保護者負担の数字を確認しているんです。問いに答えてください。

安住委員長 文部科学大臣、簡潔に。

あべ国務大臣 失礼いたしました。

 給食費に関わる保護者負担額についてでございますけれども、今、昨年六月に公表いたしました学校給食に関する実態調査におきましては、完全給食を実施した場合の食材費相当額の月額平均について調査をしているところでございまして、令和五年の五月一日現在でございますが、公立の小学校では四千六百八十八円、公立の中学校におきましては五千三百六十七円となっているところでございますが、なお、国立、私立学校に関しては調査を実施していないところでございます。

 以上でございます。

城井委員 今の月負担の話を足し上げてまいりますと、公立小中学校で四千八百億円余りという計算になるはずであります。国立や私立についてもどうするかという検討をするので数字を聞いてきたんですが、今の大臣のお話で、実態把握がまだ届いていないという状況でございました。

 では、あわせて、給食を実施していない学校もございますが、この状況について総理の認識を確認したいと思います。

安住委員長 あべ文部科学大臣、簡潔に、聞かれたところだけ答えなさい。

あべ国務大臣 はい。

 給食の未実施校の状況についてでございますが、昨年六月に公表いたしました学校給食の実態調査の結果では、完全給食の実施率は、小学校で九八・八%、また中学校では八九・八%となっておりまして、学校給食につきましては、学校給食法上、学校の設置者が実施に努めるものというふうにされておりまして、その上で、実施に当たりましては、地域の実情を踏まえまして、学校設置者において適切に判断されるものと考えているところでございます。

城井委員 小中学校を合わせますと、約一割で給食を実施していないというのを今の数字からも確認をしました。

 総理、今の現状を踏まえて、実際の公立小中学校での負担、そして未実施校の割合も含めて、まず公立小中学校における給食費の無償化を行い、未実施校での児童生徒については、その無償化の見合い額を交付する形で、学校給食の無償化を実現すべきです。

 この内容での予算修正に応じていただきたいと思いますが、総理の見解をお願いします。

石破内閣総理大臣 先ほど来、文部科学大臣からお答えをしておるとおりでございますが、なぜ実施をしていないかということについては、それぞれの地域のいろいろな事情がございます。そういうことをきちんと把握をした上で政府として考えてまいりたいと思いますが、これを恒常的に実施するということになりますと、先ほど来お話ししておりますように、今、一四%が無償となっております。それぞれの地域にいろいろな課題がございます。

 また、こども未来戦略の加速化プランに基づきまして、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減などを進めておりまして、家計を支援するという形において、いろいろなプランを実施中でございます。

 したがいまして、子ども・子育て政策につきまして効果検証をきちんと行いました上で、最もふさわしい対応を考えてまいりたいと思っております。

城井委員 課題の整理は既に文部科学省でいただいています。地方自治体がやれなかった理由の最大は財源の確保でした。国が一律で応援をすることによって、そのできなかった、やれなかった理由を取り除いていくということはできる。じゃ、目標、目的は何かといえば、先ほどから申しているとおりであります。

 ここは、総理、決断だと。私どもからの予算修正に是非応じていただきたいというふうに思います。

 この学校給食の無償化の実現に当たっては、今ほど申した、いわゆる国からの予算支援も含めた経済的な部分もさることながら、給食の質の確保や、また、給食調理員などの職員の処遇改善、食材の地産地消の推進、また、無農薬、減農薬野菜やオーガニック食材の普及、活用などといった関連課題への取組の関心も高まっています。これらの課題解決にもできる限り取り組むように、石破総理に要請をしたいというふうに思います。

 続きまして、高校無償化の拡充について伺いたいと思います。

 私立高校を含めた支援の拡充については、立憲民主党としては、未来の人材育成や国づくりにつながる高校無償化の拡充を行う場合、各地域での公教育へのアクセス確保や、また、公立高校の施設整備などの支援拡充をセットで行うことが不可欠だと考えています。

 そこで、先行実施されている大阪方式のメリットとデメリットについて伺いたいと思います。

 我々も、現地聞き取りを含めて分析をしてきました。家庭の経済状況によらず、子供たちにとって選択肢が広がるメリットということを一つ言われていますが、その一方で、私立高校にとって授業料の上限が行政によって決められてしまうというキャップ制が私学教育の独自性を奪う形になっていることが、私学関係者などからも懸念が聞こえますし、立憲民主党としても、課題だ、問題だと捉えています。

 加えて、大阪方式が始まったことで、私立高校を受験する生徒が増え、公立高校の淘汰が進んでいます。公教育のインフラとしての公立高校空白地域が増えることに強い懸念を持っています。大阪府内での公立高校への施設整備費が絞られ、老朽化が著しいとの報告を立憲民主党の地方議員からも受けています。

 以上を踏まえ、総理、高校無償化の大阪方式のメリットとデメリットについていかにお考えか、教えてください。

安住委員長 あべ文部科学大臣、政府としての考えを簡潔に。

あべ国務大臣 はい。簡潔に頑張ります。

 地域における様々な実情を踏まえまして、各地方自治体の努力で独自の上乗せ支援が今行われているものと認識しておりますが、御指摘の大阪府の仕組みに関しては、いわゆるキャップ制ということで言われているところでございまして、具体的には、学校の授業料が支援金額を上回る場合においては差額分を学校が負担する必要があるものと承知しておりまして、このように、各学校で合理性のない授業料の値上げにつながることがない仕組みがまさに重要だというふうに思っております。

 まずは、私学の自主性を損なわないようにすることも必要であるというふうに考えているところでございまして、文部科学省といたしましては、まずは、教育の機会均等を図るための基盤としての国の支援、さらには、それに上乗せして取り組まれる地方自治体の独自支援が一体となって教育支援の軽減が図られることが望ましいと考えています。

 以上です。

城井委員 公立高校の淘汰や老朽化の件に触れていただけていないのが大変残念でありますが、次に行きたいと思います。

 次に、同様に先行実施されている東京方式、高校無償化の東京方式についても伺います。

 東京都で実現した高校無償化の拡充は、立憲民主党東京都議団から数度にわたる都議会での提案の結果、実現したものです。所得制限をなくし、家庭の経済状況によらず、子供たちにとって選択肢が広がるメリットは大きいと。

 一方、私立高校へのキャップ制は、ここでは取っていないというふうに聞いていますが、この影響。そして、都立高校の空白地域ができるか、老朽化対策がどうか、もう少し状況を見極める必要もあるかと考えますが、高校無償化の東京方式のメリットとデメリットについても見解を伺います。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 地域における様々な実情がございまして、それを踏まえて、各地方自治体の努力で独自の上乗せ支援が行われているところでございますが、御指摘の東京都の仕組みにおきましては、都内の授業料平均額を参考に約四十八万円を上限に、所得制限を設けずに支援をしていると承知しているところでございます。

 一般論で申し上げますと、やはり、私立学校の建学の精神に基づき、自主的な尊重はまさに重要ではないかと思っておりまして、文部科学省といたしましては、支援の拡充をしっかりとしていきながら、また、各学校で合理性のない授業料の値上げを行うことは望ましくないという旨を周知してきたところでございまして、こうした点にも留意していただく必要があるかと思っております。

 いずれにいたしましても、基盤として行う国の支援、また、上乗せして取り組まれる地方自治体の独自支援が一体となって教育費の負担の軽減が図られることが望ましいと思っております。

城井委員 メリットとデメリットの確認をしているんですが、仕組みの説明だけに終わって、文科省の決意だけ言われても、議論が深まりません。

 総理、今ほど、大阪方式、東京方式、私から、ここはメリットだ、ここはまずいんじゃないかというのを幾つか御指摘を申し上げました。立憲民主党からは提案として、東京方式の全国展開を念頭に、私立高校の平均授業料約四十五万円に支援金額を拡充した上で、所得制限を撤廃する形で高校授業料の無償化の拡充を行うこと、あわせて、先ほど御指摘した懸念を振り払うためにも、地域の公立高校での公教育の機会確保を行うべく、施設整備など支援を拡充する内容の予算修正に応じていただきたいと思いますが、総理、御決断をお願いできますか。

石破内閣総理大臣 私学というものがそういう形になった場合に、それでは、東京都の場合でいえば、都立高校はどうなっていくんだろうかということはよく勘案をしていかねばならないことだと思っております。

 そしてまた、私学は私学の建学の精神というものがあって、それに共鳴するお子さんあるいは保護者の方、そういう方々が、多少高くても私学に行くという考え方も私はあるんだろうと思っております。

 しかしながら、高等学校教育がきちんと、お金がなくても教育が受けられるという環境を整備をするということがあって、その上でなお、多少のお金の負担がかかっても私学に行くというもののメリットというものはやはりきちんと残しておかねばならないのではないかと私は思います。

城井委員 都立高校の役割、そして私学の精神、いずれも大事だと思っていまして、だからこそ、先ほどの提案なんです。

 是非、この提案、御検討いただいて、今回の予算修正に加えていただきたいと思いますが、御検討いただけますか。

石破内閣総理大臣 それは、そのためにこの予算委員会があるんだと私どもは思っておりまして、皆様方のいろいろな御提案がある、あるいは、ほかの党のいろいろな考え方もございます。私どもは、その議論を承りながら、よりよい方向というものを目指してまいりたいと思っておりますが、現時点におきまして、私どもとして最もふさわしい、最もよい予算として御提案を申し上げておるところでございます。

城井委員 今後の予算委員会の議論で深めてまいりたいと思いますが、この点は是非予算修正をお願いしたいということを改めて申し上げたいと思います。

 次に、本気の歳出改革について伺います。

 先ほど御説明申し上げましたように、立憲民主党からは、国民の負担を減らす、国民の収入を増やすを実現するための政策財源の確保を具体的にお示ししています。

 パネル、そして資料の五ページ、六ページを御覧いただければと思います。

 この中から、政府基金の積み過ぎ部分、約七・八兆円の国庫返納による活用について、ここでは総理に伺います。

 総理、これまでも政府基金は、まず向こう三年間使うものは確保しながら、それ以降は成果を検証してという三年ルールを設けてまいりましたね。この適用がどうかということ。

 私どもから見ますと、この三年ルールにのっとりますと、向こう三年分の支出見込みに相当する金額を基金の中できちんと確保して残した上で、それでも積み過ぎている分を物価高対策などの対策の政策財源として使っていくべきだ、こういう提案を申し上げたいというふうに思っています。

 私どもとしても試算を申し上げておりまして、百一基金、そして七兆七千八百十二億円、これは約ということですが、この約七・八兆円は向こう三年必要な金額を取り置いても使える金額だ、こういう見立てであります。

 この約七・八兆円の基金の積み過ぎ部分を、私どもが先ほどから申し上げている負担の軽減や収入増につながる政策実現の財源の一部として使っていただきたい、このことで予算修正をお願いしたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 余り時間がないので、端的に申し上げさせていただきます。

 まず一つは、いわゆる三年ルール自体は令和五年の十二月から適用されておりますから、それ以降の予算については、今提出している令和七年度予算も適用しておりますが、それ以前の基金分については、直接は適用せずに、それぞれの、我々、レビューをしながらチェックをし、必要な予算額を歳入の方に戻す形でやらせていただいている。

 そして、出していただいたのは、過去の分を見ながら先をシミュレートしているという意味で、ちょっといかがなものなのかなと。やはり、先行きを見ながら決めなきゃいけないというのは一つあると思います。

 それから、適用以外、適用されていない部分についても、今後必要なものを一回返すということになると、またどこかで計上しなきゃいけない。そうすると、今、金利が上がっていくという見込みの中で、資金コストから見てどういうことになるのか、こういった議論をしっかりしていかなければならないというふうに思っています。

城井委員 だとするならば、私どもはぎりぎり政府からの公開資料によっての試算をしておりますから、そこを踏まえて出した考え方に沿って、是非政府からも、この積み過ぎ分は本当はどれぐらいかというのは出していただきたいと思いますが、お願いできますか。

加藤国務大臣 正直言って、例えば、令和六年度の残高がどうなのかといっても、今進行中で分からない。それから、今年の予算の分は分かりますけれども、過去の分について、令和七年度分まで分かっているんですが、令和八年度以降はまとめて出ていますから、それを区分しないと、おっしゃる三年にはならないということで、現時点ですぐに出せと言われてもちょっと難しいところでありますが、どういうやり方がその中であるのか、正直言って、ないのか、あると言い切れませんので、あるのか、ないのかを含めて検討させていただきたいと思います。

安住委員長 時間が来ているので、簡潔に結論を。

城井委員 今の答弁を受けて、政府から、この基金の積み過ぎ部分について検討した結果を是非提出していただきたいということを委員会で求めてまいりたいと思います。

 委員長、お取り計らいをお願いします。

安住委員長 理事会で協議します。

城井委員 では、今後も……

安住委員長 もう時間ですから、終わってください。

城井委員 はい。では、終わります。ありがとうございました。

安住委員長 この際、源馬謙太郎君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、石破総理の外交姿勢についてお伺いしていきたいと思います。

 アメリカでは、トランプ第二次政権が誕生いたしまして、米国第一主義そして保護主義へと向かっていく、そういう様相ですが、日本はこれから、国益をしっかり確保しながら、国際秩序や安全保障の枠組みに米国に引き続き関与させながら、同時に、その米国が離れてしまうかもしれない国際協調の枠組みのリーダーシップを取っていかなくてはいけない、そういう大事な立場になっていくと思います。総理がこれまでもおっしゃってきたとおり、ただのアメリカ追随やアメリカ頼みの関係ではいけないと思います。

 二月にも模索をされていると聞いております日米首脳会談ですが、このときに総理がトランプ大統領にどう向き合ってくるのかを、この国会の場で、確認をしながら、くぎを刺しながら、いろいろ聞いていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、拉致問題について伺いたいと思います。

 これは非常に日本の国益にとっても大切な課題です。政権の最重要課題といつもおっしゃいますが、具体的にどのようにこの拉致問題を解決していくのか。横田早紀江さんはあさって、しあさってには八十九歳になりますし、有本さんのお父様ももう九十六歳です。もう最後のチャンスだと思います。

 今日午前中の質疑で、アメリカに協力を求めるべきではないかというお話があり、それに対して総理は、求めるだけでは駄目だ、日本が何をできるかを示してアメリカに協力を求めると。まさにそのとおりだと思いますが、日本は何をするんですか、総理、協力を求めるために。

石破内閣総理大臣 それは、アメリカに対して協力を求める。金正恩委員長とトランプ大統領が会談する機会というのもまたあるかもしれません、そのときに、アメリカとしての決然たる決意というものを示すということは当然求めていかねばなりませんし、それは協力ということになりましょう。

 アメリカがこれから先、北朝鮮とどのような交渉をするか、それは私の知る範囲ではございません。

源馬委員 総理、質問を聞いていてください。

 総理自身が、アメリカに協力を求める前に、日本が何をできるかを示して協力を求めるとおっしゃった。日本は何をできると示すんですか。

石破内閣総理大臣 それはかねて申し上げておりますとおり、拉致、核、ミサイルということでございます。そういうもののきちんとした解決というものを図る、そのように金正恩委員長に対してきちんとした交渉を行うということでしょう。(源馬委員「いやいや、何をできるかを示す」と呼ぶ)何ができるかということは、じゃ、見返りにどうするのかということだとするならば、それをここで申し上げることは適当だと思っておりません。

源馬委員 いや、総理自身がこの国会の場でおっしゃったことですよ、米国に協力を求める前に日本が何をできるかを示して協力を求めないとそれはおかしいと。まさにそのとおりだと思って聞いていましたが、何をできると示すんですか。

石破内閣総理大臣 具体的にここで何をするということを申し上げることはいたしません。

 つまり、ミサイルの問題、あるいは核の問題、これは日本と北朝鮮だけの問題ではなくて、国連決議に基づいて私どもは北朝鮮に対して要請をしておることでございます。そういうことについてきちんと解決を示すということは、国連加盟国でもあります北朝鮮の義務ではありませんか。そういうことをきちんと北朝鮮との会談において申し上げる。その時期がいつが適当かということは、これから適切に判断をいたしてまいります。

源馬委員 よく分かりませんが、今、会談を求めるというお話がありました。これまで岸田総理の時代も、所信表明演説には直接向き合うという話がありましたが、石破総理になってからは、その直接向き合うという言葉が削除されています。直接しっかり会談するつもりということは今おっしゃったので、そうだろうと思いますが。

 総裁選のときから、東京と平壌に連絡事務所をつくるというのが総理の御持論だったと思いますが、これはもう撤回するでよろしいですか、それとも今もそのおつもりですか。

石破内閣総理大臣 私は、北朝鮮と交渉するに当たりまして、連絡事務所があるということはそれなりに有効なことだと思っております。しかしながら、それをやることは北朝鮮の術中にはまることだという反対の御意見があることもよく承知をいたしております。

 しかしながら、今どういうような課題について、例えば北朝鮮の労働者の遺骨の問題がある、我々はもちろん拉致の問題がある、それがどういうことで今行われているのかということが、常に、迂遠な道ではなくて、連絡事務所を置くことによって、より我が国の有権者の前に明らかになることのメリットというのもあろうかと思うんです。

 ですから、委員が、いや、それは意味がないということをおっしゃるので……(源馬委員「どっちなんですか。そのままなんですか」と呼ぶ)私はその可能性は、私はあると思っております。しかしながら、それに対する反対論もございますから、よく検証していかねばなりません。

安住委員長 源馬君、座りながらお話をしないように。

源馬委員 はい。

 結局、どっちなのか全く分からないわけですね、まだ連絡事務所をつくるつもりなのか、それは一旦やめておくのか。

 家族会も救う会も反対しています。総理自身も今おっしゃいましたが、これを時間稼ぎに使われる可能性もやはりあるわけですよ、懸念が。これはもう本当に、さっきも申し上げたとおり時間がない課題なのに、連絡事務所をどうするかを検討している、そんな時間をつくったら、もっと先送りになっちゃうじゃないですか。

 もう今のうちにこの連絡事務所はやめて、総理が金正恩氏に直接向き合う、なるべく早いその実現を目指して具体的に前に進めていただきたいと思いますが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 これは小泉純一郎総理のときからずっと、この問題はどうするのが一番適当かという議論をやってまいりました。私自身も、初代の拉致議連の会長として、この問題をどうするかということは考えてまいりました。

 何が一番適当かというのは、そんなに簡単なお話ではございません。もちろん、金正恩委員長と日本国内閣総理大臣が向き合う場合に、いきなり出たとこ勝負というようなお話にはなりませんので、そのときに、じゃ、核の問題をどう解決するか、そして、今の体制の保証というものをどういう形でやっていくのか。北朝鮮の最終目標というか核心的利益があの体制の維持、保証というものであることは委員御承知のとおりです。じゃ、それをどのようにしていくのかということについて我が国だけで判断できるか。

 どっちですかということを先ほど来おっしゃる方がありますが、そんなに簡単なことだったら、外交なんか苦労はしません。

源馬委員 いや、政権の最重要課題といいながら、結局、先送りじゃないですか。今、石破政権になって初めてこの問題が出てきたなら、そんな簡単な話じゃないというのは分かりますが、何十年もやっているじゃないですか、これ。しかも、初代拉致議連の会長をやられて、ずっと考えてきたんじゃないんですか。まだ考えるんですか。私は、これは先延ばしだと思います。非常にがっかりしました。

 次に行きたいと思います。

 USスチールの問題はちょっと飛ばさせていただきまして、そのほかにもいろいろ不安なことがありまして、トランプ政権になって、例えばメキシコやカナダに関税を二五%かけるとか、日本も含む全ての国に一律関税を上げていく、こういう話も出ています。

 トランプ大統領と向き合うときに、安易に、新たな負担要求、課税の引上げ、これに応じてくるということはないですよね、総理。

石破内閣総理大臣 これは、アメリカの新政権に対して今の時点でこうするということを断定はいたしません。トランプ政権によるUSスチールに対する方策というものがいまだはっきりしておるわけではございませんので、よく見定めてやってまいりたいと思っています。

源馬委員 USスチールの問題はちょっと飛ばさせていただきました。新たな関税の引上げについて、次の質問にさせていただきますと申し上げました。ちょっと答弁がずれていると思います。

 これは、第一次トランプ政権のときに日米で結んだ日米貿易協定ですね。このパネルにあるとおり、アメリカからの豚肉、牛肉については、関税が段階的に引き下げられていて、今も引き下げられています、事実。日本からは、自動車及び自動車部品について、これも関税撤廃すると約束を一応して、それに向けた協議を四か月以内に終わらせるということでしたが、参考人に簡潔にお答えいただきたいんですが、今、自動車と自動車部品の関税は撤廃されていますか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車及び自動車部品でございますが、日米貿易協定の米国側附属書に、関税の撤廃に関して更に交渉すると記載されておりまして、関税撤廃がなされることを前提に、具体的な撤廃時期等について交渉が行われることとなっております。

 その上で申し上げればということでございますが、現時点におきましては、我が国から米国に輸出する自動車及び自動車部品には一定の関税がかかっております。

源馬委員 関税撤廃されていない上に、一%も下がっていないのが現実だと思います。つまり、日本だけアメリカ側の要求どおり関税を下げ、ウィン・ウィンだと政府はあのとき誇らしげに言っていましたけれども、結局負けっ放しだと思います。

 まさか、この関税撤廃もまたなくなるということはないですよね。引き続き、自動車及び自動車関連部品は関税撤廃、これはもう確約でよろしいですか、総理。もう確定でよろしいですね。

岩屋国務大臣 この日米貿易協定においては、今事務方からお答えしたように、まだ一定の、自動車部品については関税がかかっておりますが、これから交渉をするということになっております。その上で、米国の新政権が貿易政策、関税政策でいかなる方針を打ち出してくるかということをしっかり見定めて、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。

源馬委員 これはもう約束して、政府はあのときウィン・ウィンだと誇らしげに言っていた日米協定なんですよ。しかも、二〇二〇年に発効して、それから四か月以内に、どの部分について関税撤廃の対象にするかを四か月以内に協議を終えて、そこから交渉すると言っていたのに、その四か月以内の協議もまだ終わっていない。五年たっているじゃないですか。負けっ放しじゃないですか。

 しかも、今の大臣の御答弁だったら、向こうの出方を見て、これは覆されるかもしれない、そういう答弁だったと思いますよ。非常に危ういと思います。また米国追随、負けっ放しの外交交渉になっていくんじゃないかなと非常に懸念しています。

 さらに、防衛費なんかについての負担も上げるのではないかということを言われていますが、これについても、安易に受け入れることはないようにしていただきたいというふうに思います。

 例えば、米軍駐留経費、これは日本が、いわゆる思いやり予算ということで、もう目いっぱい今までも払っているわけですよ。最近、何割負担というのは言わなくなりましたが。この特別協定というのがあるたびに、五年ごとに一回、例えば、米軍基地内で働いている二万六千人の人のうちの二万二千人分を負担していたのが二万三千人にしましょうとか、もう目いっぱい増やしてきて、今これです。

 今後、米軍駐留経費を含めて、防衛費をまた上げろとか言われてきたときに、それを更に受け入れるということはないということでよろしいですね。

安住委員長 中谷防衛大臣、簡潔に。

中谷国務大臣 我が国の防衛につきまして、日米同盟というのがありますけれども、これはやはり、地域におけるパワーバランス、この変化の中で、力の空白による不安定なことがないように、米国とは常に協議をしながら行っているものでございます。

 現在の日本の防衛力につきましては、GDPの二%に合わせるような措置をということで、これはあくまでも、我が国自身が判断して、必要な防衛力の内容を積み上げたもので決定したことでありまして、今後、この水準につきましても我が国自身の判断で決定をしていくものであります。

 装備品の調達につきましても、米国製であれ国内製であれ、今後、我が国の防衛に必要な装備品を個別に評価、検討しまして調達を決定しているところでございますので、今後とも我が国自身の判断で行うものであると考えております。

源馬委員 駐留経費も、今お答えになりませんでしたが、もうこれ以上負担する余地もないのではないかなと思います。今まさしく大臣がおっしゃったように、二%は我が国自身で積み上げたものであるならば、アメリカがたとえ三パーにしろとか言われても、しないということだと今受け止めました。しっかりと、そこはきちんと対応していただきたいと思います。

 関税については本当にちょっと心配ですが、引上げを向こうが言ってきたら日米貿易協定すらどうなってしまうか分からない。非常に不安を感じます。

 さらに、ちょっと伺っていきたいと思いますが、今日午前中の質疑で、尖閣は日米安保の対象だとトランプ大統領に確認をするという総理の御答弁があったと思います。これは、これまでの大統領も、日米安保の対象であるということは言い続けてきた一方で、ずっと、中国に配慮して、尖閣が日本固有の領土であることには全くコミットしてこなかったわけです。

 そこで、今度総理が日米安保の対象かどうかを確認するときには、そういうことは、尖閣諸島の日本領有を米国が認め、沖縄の米軍が共同防衛に当たる、そこまで意味するかどうかを確認してもらいたいと思いますが、いかがですか、総理。

石破内閣総理大臣 尖閣は我が国固有の領土でございます。そもそも領有権の問題は存在していない、これは我が国の一貫した姿勢でございます。

 アメリカは日本のそのような立場を十分に理解をしておるというふうに承知をいたしておりまして、したがいまして、アメリカは累次にわたり日米安保の五条の適用を確認しておるということでございます。それ以外に申し上げることはございません。アメリカは我が国の立場を十分に承知をいたしておりますし、尖閣が日米安全保障条約の対象であるということも共通認識でございます。

 ただし、そのように何か不測の事態があった場合に、日米安保の対象だから大丈夫だなどという話ではございませんでしょう。それは、まず我が国として、きちんと尖閣がそういうような主権の侵害にならないような状況をつくり出し、万が一そのようなことになれば、まず我が国が独力で対処し、これを排除する。主権独立国家である以上、当たり前のことでございます。

源馬委員 まさにそのとおりだと思います。日米安保の対象だからといって安心していいことではないと思います。だからこそ、新しい国務長官のルビオさんが議会で言ったこともあるように、尖閣は日本の領土だということまで確認した方が私はいいのではないかと思います。

 これはちょっと通告していないんですが、岩屋大臣にお伺いしたいんですが、この前、アメリカへ行かれまして、ルビオ国務長官と会談されました。そのときにも、自由で開かれたインド太平洋の強化というのは文言にも出ていましたが、法の支配に基づいたという言葉がなかったんですね。日米豪印外相会談のときは、法の支配に基づいた自由で開かれたインド太平洋を確認したとなっていましたが、ルビオさんと会談したときには、法の支配に基づいたというのがなかった。

 今、アメリカのトランプ大統領が本当に法の支配に基づいた国際秩序の中でやっていくかどうか不安視されているときに、これも、アメリカにもちゃんと法の支配に基づいたFOIPを求めていくということでよろしいですか。

岩屋国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 日米豪印のクアッドの外相会合でもそうでしたが、その後に開催した日米外相会談においても、法の支配に基づいた自由で開かれたインド太平洋、FOIPを日米共に協力して実現をしていこう、そういう話をさせていただきました。

源馬委員 それでは、総理にも是非、トランプ大統領と会談するときには、法の支配に基づいた行動をして、法の支配に基づいたFOIP、これをしっかり強化していく、これをしっかり確認していただきたいと思います。

 さらに、国際秩序からアメリカが離脱するのではないかということ、実際に表明したものもあります。非常にこれは国際社会としても懸念もあることだと思います。

 総理、会われたら、例えばWHO脱退とかパリ協定からの離脱、これについて、踏みとどまるように、思いとどまるように、翻意するように、そういったお話をするつもりはございますか。

石破内閣総理大臣 現在、日にちを確定しておるところでございますので、会ってこれとこれとこれを確認しますということについて申し上げるのは時期尚早であろうかと存じますが、WHOがそれなりの役割を果たしてきた、大きな役割について我が国として評価をいたしておるところでございます。今後ともWHOがその役割を適切に果たすこと、これを私どもとして期待をしておるところでございます。

 アメリカは、御存じのとおり、国際保健の取組について今まで重要な役割を果たしてまいりました。この役割をアメリカが今よりも減じていくということは、我が国として歓迎をいたすことではございません。よくアメリカの出方を見ながら、WHOその他の保健機関、国際機関の役割が十分に果たされるように努力をいたしてまいります。

源馬委員 アメリカの出方を見ることも大事ですが、冒頭申し上げたとおり、これから我が国に求められるのは、アメリカにもしっかり国際秩序の枠組み、国際協調の枠組みにとどまってもらって、国際協調を日本がリーダーシップを取って進めていくという大事な役割もあると思いますので、ただ見ているだけではなくて、しっかりとくぎを刺すなり、発言をするなり、是非していただきたいというふうに思います。

 次に、日韓関係について伺いたいと思います。

 今年は日韓国交正常化六十周年で、政情は不安定ですけれども、いずれにしても日韓関係が大事というのは総理も御答弁されているところでございます。我々も立憲民主党として訪韓団を派遣し、私もその一員として、先日、韓国に行ってまいりました。韓国側も、日韓関係が非常に大事ということでは与野党を超えて一致していたと思います。

 だからこそ、この国交正常化六十周年のときに、前向きな取組をやはりしてもらいたい。政府が今検討している東京タワーとソウルタワーのダブルライトアップとか、それもいいんですが、もっとやはり本格的なことも検討していただきたい。

 そのときにちょっとお話があったのが、山口県にある長生炭鉱という炭鉱がありまして、林官房長官はよく御存じだと思いますが、ここで一九四二年に水没事故が起きて、百三十六人の朝鮮半島出身者の方、そして四十七人の日本人がそのまま亡くなった。遺骨がまだ回収できていないというものがございます。この遺骨の返還を日韓共同事業にしたらどうだ、こういう御提案がありました。

 これについて、総理、どういうふうにお考えですか。

安住委員長 福岡厚生労働大臣、時間が限られているので、簡潔に答弁をお願いします。

福岡国務大臣 御指摘の一九四二年、長生炭鉱において発生した事故については、大変痛ましい事故であったと認識をしておりまして、お亡くなりになられた方々には心からお悔やみ申し上げます。

 そして、これまで、韓国との合意に基づきまして、御遺骨を返還するため、関係省庁と連携し、情報収集や遺骨の実地調査に取り組んできたところです。

 長生炭鉱の御遺骨は、お話がありましたように、海底にある坑道に埋没していると考えられますことから、その御遺骨の埋没位置、深度等が明らかでなく、しかも、八十年以上も前に落盤事故が発生した海底の坑道に潜水して調査、発掘することについて安全性の懸念もございます。

 こうしたことを考慮すると、実地調査という実務に照らしまして、対応可能な範囲を超えていると考えられますが、御承知のように、本日から二度目の民間による潜水調査が行われるというふうに承知しておりまして、引き続き丁寧に把握してまいりたいと思います。

源馬委員 まさに今日から民間のダイバーが、クラウドファンディングをやってお金を集めて、調査しているわけですよ。

 遺骨の所在が明らかでないと言いましたが、あることは事実で。じゃ、ダイバーが仮に遺骨を一片でも発見して所在が分かったら、国として調査してもらえますか。

安住委員長 これが最後の質問になりますからね。

福岡国務大臣 状況をつまびらかに精査いたしますが、先ほども申しましたように、そこは安全性の問題もありますから、そういうことも含めて今後の対応は検討してまいりたいと思います。

源馬委員 ありがとうございました。しっかり検討していただきたいと思います。

 終わります。

安住委員長 この際、階猛君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、三十分間の時間を使いまして、物価高と百三十万円の壁についてお尋ねしていきたいと思います。

 建設的な議論を行っていきたいと思いますので、是非総理にも簡潔明瞭な答弁をお願いしたいと思います。

 早速、パネル一を御覧になってください。「進行する「生活直撃インフレ」」と題しましたけれども、二〇二〇年頃を境にして、生活に欠かせない食料やエネルギーの値段が上がり始めました。最近は生鮮食品の値段も急上昇して、生活を直撃しています。多くの国民は、こうした生活必需品の値段を下げてほしいと願っていると思います。

 一方で、政府は、昨年来、巨額の補正予算、そして今回の本予算によって支出を増やしたり、あるいは日銀は、二年で達成するはずだった二%の物価安定目標がいまだ達成されないとして、金融緩和を続けています。これは、経済全体の需要を増やし、物価を押し上げる要因になります。しかしながら、政府は一方で物価高対策を続けると言い、日銀は先週も、金利を引き上げて物価を抑えようともしています。

 一般の国民からすると、政府と日銀は物価を上げたいのか下げたいのか、分からないと思います。一体どちらを目指しているのか、総理と日銀総裁から簡潔明瞭にお答えいただきたいと思います。

植田参考人 私ども日本銀行は、二%の物価安定の目標の下で、その持続的、安定的な実現という観点から金融政策を運営しております。

 現在、物価上昇率は、委員御指摘のように、二%を上回って推移しております。これは、これも委員御指摘のように、食料やエネルギー価格の上昇といったコストプッシュ要因による面が大きいと思っております。もちろん、これが国民に多大な負担をおかけしているということは認識しておりますが、私どもは、このインフレの部分は年央、年末にかけて低下していくというふうに考えております。

 他方、私どもが目指していますのは、賃金のしっかりとした上昇を伴いつつ物価が緩やかに上昇する姿でございます。そのために、現時点では、基調的な物価上昇率が二%に向けて徐々に高まっていくよう、緩和的な金融緩和を維持することを通じて経済活動をサポートすることが必要と考えております。

 基調的な物価上昇率については、今のところまだ二%を少し下回っているということで、こういう考えでございます。

 その上で、昨年来、経済、物価情勢を点検しながら緩和度合いを調整してきているところでございます。

石破内閣総理大臣 安定した物価の上昇というものは必要だと思っております。

 しかしながら、安定して物価が上昇しながら、それを上回る賃金上昇というものも併せて実現していかなければなりません。物価が下落し続けるというデフレの状況は、決して好ましいものではなかったというふうに私は思っております。

階委員 安定したという枕言葉はつきますけれども、結局、物価上昇を目指しているわけですよね。これが果たして国民感覚に合致するのかどうかということで、パネル二をお願いします。

 これは、「円安が物価を押し上げ」という表題をつけております。物価を押し上げている大きな要因は円安であると、かねがね申し上げてきました。二〇二〇年を一〇〇とした上昇の度合いを見ますと、気候変動やウクライナ戦争もあって、青い線の輸入物価が二五%弱上昇。ただし、これは、ドルなどの輸入元の通貨で見た場合です。円安によって、日本が輸入するときに支払う価格は緑の線で、六三%も上昇しました。その結果、赤い線の消費者物価指数は、生鮮食品を除いても約一〇%上昇しています。特に、二〇二二年頃からは、海外価格が上がるときは円安で国内価格は一段と上昇し、海外価格が下がるときは円安が国内価格を高止まりさせているわけです。

 円安・ドル高は、米国から見ると、自国の輸出産業にとって不利なことであって、是非はともかく米国第一を主張しているトランプ政権も、これは変えたいと思っているんじゃないかと私は考えます。今が円安の流れを変えるチャンスです。政府と日銀は、やれることは何でもやるという姿勢で、円安を是正する努力をすべきではないでしょうか。

 円安を是正する方策について、前回この委員会で石破総理に尋ねましたけれども、そのときの総理の答弁は、過去、円高の是正に向けた努力をずっとしてきたんだという昔話でした。これでは意味がありませんので、まず日銀に、ちゃんと円安を是正する努力、聞きたいと思います。そして、もし総理から意味のある答弁があるのであれば、補足していただきたいと思います。

植田参考人 私どもは、金融政策運営に当たって、為替レートを特定の水準に誘導するというような政策はしてございません。ただし、為替レートの変動がインフレ率に様々な影響を与えるということは十分認識してございます。

 そういう認識も踏まえた上で、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現という観点から、適切に政策を運営してまいりたいと考えております。

石破内閣総理大臣 金融政策は為替の誘導を目的とはいたしておりません。そのことは階委員よく御案内のとおりでございます。

 私どもとして、日銀とよく協調、連携をしながらやってまいりますが、安定的なという枕言葉がつきますが、物価上昇は必要なものだと思っております。物価が安くてうれしいなということが一時的にはございましても、それがあのデフレという恐ろしいものが長期化したということの反省は、私どもは持たねばならないと思います。

階委員 私どもも、別にデフレをよしとするわけではありません、プラス領域でいいと思っております。ただ、その上で、先ほど来申し上げている円安による物価の行き過ぎ、これは何とかしなくちゃいけないんだという思いで質問していました。

 日銀総裁からは、私もよく、重々承知しておりますけれども、金融政策は為替を意識するものではないという御答弁があったり、また、為替の水準が物価に影響を及ぼすというようなお話もありました。それはそうなんですけれども、これから、円安を止めようと思えば、日銀が金融政策を正常化していくということが必要になってくると思います。

 ただ、この金融政策を正常化できるのかどうか、金融市場は、実は懐疑的に見ているような気がします。と申しますのも、日銀が金融政策を正常化する、すなわち利上げをすればするほど、借金だらけの政府の利払いが厳しくなります。また、日本銀行の財務内容が悪化するため、日銀は自らの首を絞めるようなことはできないのではないかというふうに金融市場に見限られているような気がするんですが、日銀総裁、この点についてどうお考えになりますか。

植田参考人 私どもは、先行きの政策運営について、経済、物価の私どもの見通しが実現していくとしますと、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくという考え方は明確に示してきております。こうした日本銀行の考え方は、マーケットにもしっかりと伝わっていると考えております。

 私どもの政策の目的はあくまでも物価の安定でありまして、これが、政府による財政資金の調達支援や日本銀行の財務への配慮のために、必要な政策の遂行が妨げられることはないと考えております。

階委員 今、最後の方で日銀総裁からは、日銀の財務の内容によって金融政策の遂行が妨げられることはないというような答弁がありました。これに関して、パネルの三を見ていただきたいと思います。

 これは、昨年の暮れ、日銀が異次元金融緩和以来続いてきた超低金利と国債の大量保有を見直して金融政策を正常化していった場合、日銀の収益と自己資本にどのような影響が及ぶかという試算を出したわけです。

 私はこれを見て、二つのことがちょっと欠けていると思いました。一つは、試算の前提である国債保有の減額のペースが遅いということ、もう一つは、試算の前提として、年間一兆円を上回るETFの分配金を、今後もずっと入ってくるということを当てにしている。この二つが問題だと思って、そうしたことをちゃんと加味した上の試算というものを出し直してほしいとお願いしたところ、このパネルの三が出てきたわけです。

 ちょっと御説明しますと、ブルーの面積というか図形の部分が、ブルーのシャドーがかかっている部分が元々日銀が出したものです。これを見ていただくと、収益的には一時落ち込むんですが、右側の自己資本、ゼロという横のラインがありますけれども、御覧になっていただけると分かるとおり、ゼロを下回ることはないんですね。ということはどういうことか。すなわち、債務超過になることはないという試算になっています。

 ところが、私が出し直してもらった試算、これが赤の実線や点線の部分です。下の方に行っている線を見ると、債務超過、一番最悪のときで六兆円程度の債務超過になる。これはETFを処分した、その結果です。処分したというか、売り切るというわけではなくて、配当金をずっと日銀がもらい続ける、そういう前提をなくすると、これだけの債務超過になるわけです。

 やはり、それを考えると、ETFはずっと持ち続けてしまうのではないかと思うのですが、先ほど城井委員からも説明があったとおり、我々は、ETFは本来、日銀が異次元金融緩和を終えたならば速やかに政府なりに移管して、国民のために還元すべきものだというふうに考えております。

 先ほど日銀総裁がおっしゃったように、ちゃんと、日銀の財務内容とかを勘案せずに、金融政策を正常化していくというのであれば、速やかにETFは政府に移管して、国民のために使うというようなことを考えるべきだと思うんですが、この点いかがでしょうか。

植田参考人 委員が想定されましたような厳しいケースを念頭に置き、さらに、ETFの分配金を日本銀行は受け取らないという場合には、その分、日本銀行の収益は下振れ、場合によっては自己資本がマイナスになるというケースもあり得るという計算結果でございます。

 ただ、申し上げたいのは、その場合でも、時間がたてば自己資本は元に戻ってくるという姿であるということと、自己資本がマイナスの間でも正常なオペレーション、金融政策のオペレーションは続けることができる。

 ただし、中央銀行の財務リスクに注目が当たって金融政策をめぐる無用の混乱が生じる場合には、そのことが日本銀行に対する信認の低下につながるリスクがございます。

 そういうことで、引き続き、私どもとしては、財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めてまいりたいと考えております。(階委員「ETFはどうするんですか」と呼ぶ)財務の健全性に留意しつつ、適切な政策運営に努めてまいるということでございます。

階委員 ETFは持ち続けるんですか、そうすると。そこだけ、結論をお願いします。

植田参考人 私ども保有のETFについてどうするかについては、以前より申し上げてございますように、時間をかけてその方法を決めたいというふうに考えているところでございます。

階委員 ETFを日銀が買うというのは、ほかの中央銀行ではあり得ないことですよ。三十七兆円の簿価、時価は七十兆円以上、これだけのものを買い込んだ結果、確かに日銀は財産が増えましたけれども、国民は、本来もっと低い値段で株が買えたかもしれないのにその機会を奪われたり、あるいは、そもそも超低金利が続いた結果、預貯金の利息収入がうんと減ったりしているわけです。だからこそ、我々は、日銀がため込むんじゃなくて、国民に還元するということをやるべきだということを言っているわけです。

 やはり、最後の話を聞くと、日銀の財務の健全性に留意しつつとおっしゃっていましたから、日銀第一なんですよ。それはおかしいということを指摘しておきます。

 日銀総裁、ここまでで結構です。ありがとうございました。

安住委員長 では、総裁、御退席して結構ですよ。

階委員 では、次に、賃金上昇がある程度進んできたわけですね。最低賃金の引上げがこの間進んできたことで、パート労働者は、実は物価を上回る賃金上昇です。一般労働者の賃金は、上昇はしていますけれども物価上昇には追いついていない。収益力の低い中小企業などが大幅な賃上げは難しいからだと考えております。

 第二次安倍政権が発足した二〇一三年度から、政府は、賃上げした企業の法人税を減税する租税特別措置、いわゆる租特を導入しています。この制度は順次拡充などもして、昨年度は減税額が七千億円以上に上るというふうに報道されています。しかし、減税の恩恵をより多く受けるのは、収益力が高くて法人税をたくさん納めているような企業です。そのような企業は、減税がなくても、最近の人手不足の中では、人材確保のために自分の意思で賃上げを進めるはずです。そこに七千億円以上の減税をするよりも、収益力が低くて賃上げに苦しんでいるようなところにお金を回す、そういう仕組みをつくるべきです。

 資料の五ページ、お手元にあると思います。委員の方々は御覧になってください。パネルはありません。

 立憲民主党の方では、かねてから、社会保険料事業者負担軽減法案というものを国会に出してきました。これは、中小企業が正規雇用を増やした、その場合に発生する社会保険料の事業者負担の半分を十年間国が補填するというものです。法人税の減税と異なって、赤字企業でも恩恵があります。財政負担も、先ほど城井委員の資料にもありましたが、初年度は二百数十億円の予算で足ります。

 貴重な法人税を費用対効果が疑わしくなっている賃上げ促進税制に充てるのではなくて、社会保険料の負担を軽減することで、収益力が低い中小企業などが正規社員を増やして生産性を高め、賃金を上げやすくする方法が合理的ではないかと思います。総理、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 階議員のいわゆる疑念、疑問というんですか、よく理解するところですけれども、経産省としまして、賃上げについての、ちょっとだけお話をさせていただきます。短くします。

 賃上げそのものが、税制の導入のみの効果を定量的にお示しすることは確かに難しいとは思いますが、賃上げ促進税制は企業が実際に賃上げを行った場合に適用を受けられる税制で、先生御承知のとおりで、令和四年度においては、大企業、中小企業、これは幅広く二十万社を超える企業が適用を受けております。

 経産省においても、過去にアンケートを行った調査によれば、中小企業も含めて六割以上の企業が、本税制が賃上げの引上げを後押ししたということを回答しているところであります。

 三十三年ぶりの高水準の賃上げに一定程度寄与しているということは、御報告させていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 賃金上昇が定着するというところまでは、この税制は続けていく必要があると私は思っております。まだこれが定着というふうに判断するに至っておりません。

 ただ、それをいつまでも税制で見ていくということには限界があることは承知をいたしております。

階委員 いつまでもやるものではないというお話はそのとおりなんですが、もうその時期に来ているのではないでしょうか。むしろ、費用対効果を考えたら、我々が提案している中小企業の社会保険料負担を軽減するようなことによって、正社員を増やし、生産性を高め、中小企業が賃金を上げられるようにする、そっちの方向にかじを切るべきだということを改めて申し上げます。

 次の質問に移りたいと思います。

 パネルの六を御覧になってください。これは各種の年収の壁と本人の手取りに与える影響をまとめたものです。

 我が党がかねてから主張してきたとおり、最も手取りが減るのが百三十万円の壁で、これを越えると扶養から外れ、本人が国民年金や国民健康保険の保険料を払わなくてはなりません。これを避けるため、働き控えが生じます。しかも、先ほど述べたように、最低賃金が上昇する中、労働時間がそれほど多くなくても年収が百三十万円に達するようになってきました。その結果、働き控えが増えて、人手不足に拍車がかかっています。

 人手不足が進めば、本来提供できる物やサービスが提供できなくなります。つまり、需要に比べて供給が少なくなるので、物価が上がりやすくなるのではないでしょうか。総理、お答えください。

石破内閣総理大臣 済みません、先ほど答弁をいたし損ねましたが、事業者負担を軽減するということを税金で見る、公費で見るということの是非は、やはりきちんと論ずる必要があるんだろうと思っております。そのことについて、これが本当に正しいやり方なのか、また階委員と議論をさせていただきたいと思っております。

 百三十万円の壁のお話でございますが、これが人手不足による供給制約を招き、更に物価が高くなっちゃうんじゃないのという問題意識であられるかと思っております。

 百三十万円の壁として、社会保険加入時の保険料負担の発生に伴う手取り収入の減少を回避する目的で就業調整をするという方がおられることは事実でございます。しかしながら、物価動向に影響を与える要素は様々なので、そうした方がおられることが物価上昇につながるかどうか、これは一概に申し上げることができません。

 私どもとして、いわゆる百三十万円の壁への対応につきまして、年収の壁・支援強化パッケージの活用に取り組むということをした上で、就業調整を行っておられる労働者の方々が希望に応じて働くことができるように、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用保険の更なる適用拡大ということに向けまして、年金改正法の取りまとめをやってまいりたいと思っております。

階委員 働き控えへの対策は政府もやっているという趣旨なんだと思うんですね。

 我々の案は、パネルの七を御覧になってください。

 これはかねがね御説明していますけれども、百三十万の壁を越えて手取りが減った分を給付で埋めることによって、手取りを右肩上がりにして、働き控えを招くのではなくて働きがいを高めていくということをやろうとしているわけです。

 政府は現在、支援強化パッケージでしたか、それに代わる新たな百六万の壁対策というのもやっていますね。これも私は不十分なものだと思っています。

 ちょっと質問項目が、時間の関係で飛びますね。8を質問します。

 これは今の見直しをまとめたものなんですが、現状は、月収八万八千円以上、年収に直すと百六万円以上の、従業員五十一人以上の規模、結構大きな企業です、この企業で働く人が、週の所定労働時間が二十時間以上となると厚生年金などに加入しなくてはならないということで、そこで保険料負担が生じて働き控えになっていた。これを改めて、将来的には、賃金水準や企業規模を問わず、週二十時間勤務すれば保険料負担が生じるようにするというのが、今政府が検討中の案です。働く人からすると、将来の年金は増えるけれども、手取り減となるので、新たに二十時間の壁、これによって働き控えが起きるのではないかという指摘があります。

 これを解決する案として、つい最近、厚労省が示してきたのがパネルの十です。これは、さっきパネルの七、私たちの案を示しましたけれども、よく御覧になってください。パネルの七の右側の我々の案と、今回政府が示してきた案と、非常に形がよく似ていますね。似ているように見えるんですけれども、大きく違うところがあります。

 まず、政府案は、我々の案と違って手取り減少を完全には防げていません。半分ぐらいしか埋められていない。そして、この手取り減少の穴埋めを何でやるかというと、事業主の保険料負担を増やすことで行うということになっています。すなわち、本来であれば、働く人と事業主が保険料を二分の一ずつ折半するはずです。これを変えて、最大で一対三の割合で事業主が多く負担することで手取り減を少なくしようとしています。

 これだけだとさすがに事業主から文句が出ると思ったのか、事業主の負担が増える分の何割かは還付等を行うという、還付等というよく分からない言葉が出てきています。

 この還付等というのは、一体、年間幾らかかるんでしょうか。そして、その資金はどこから捻出するんでしょうか。これは、総理というよりも担当大臣の方がいいと思います。お答えいただけますか。

福岡国務大臣 まず、所要額については、軽減した御本人の保険料の一定割合を制度的に支援するということでございまして、その一定割合の、当該割合等の設計によりまして異なりますので、現時点において、その正確な、幾らということをお示しすることは困難であるというふうに……(階委員「あらあらでもいいんですよ」と呼ぶ)

 そういうことでいいますと、その一定割合、それが仮に、そもそも、全部、十割ということになると、軽減額は最大二百億円弱程度となるということでございます。その財源というのは保険料の中で行うということでございます。

階委員 びっくりしましたけれども、さっき、保険料を政府が補填するのはおかしいと我々の法案についておっしゃっていましたよね、総理。矛盾していますよね。こっちはいいんですか。総理、保険料を充てると言っていますけれども、矛盾していませんか。

石破内閣総理大臣 先ほど来お話をしております厚生労働省の案は、公費で穴埋めをするものではございません。保険制度、保険料の中で出すものでございまして、矛盾はいたしておりません。

階委員 これはかえってまずいんじゃないですか。保険料はみんながそれぞれのリスクに備えて納めているものを、一部の事業者の損失を穴埋めするために使うというのは、これこそ公平性に反するんじゃないですか。もっとまずくないですか。総理、お答えください。

石破内閣総理大臣 それは、公費で見るということの方が私は公平を失するのだろうと思っております。それは、所得再配分という観点から見ました場合に、先ほど来申し上げている案は決して不合理なものだと考えておりません。

階委員 普通に厚生年金、組合健康保険に入って社会保険料を納めている働く人、あるいはそこで雇われている事業主さん、こうした方々は何の補填もなく保険料を納めていますよね。その保険料から一部の人のために保険料を補填に充てる、これはどう見ても不公平だと思うんですが。流用ですよ。おかしくないですか。

安住委員長 共助の考え方が違うんじゃないの。誰か、ちょっと整理して話をしなさいよ。

福岡国務大臣 お答えします。

 保険というのは、相互扶助の精神で賄われているものでございます。ですから、そういう意味でいうと、税金を納めている同じ保険制度の中、そこの中で行うということで、それは合理性はあるというふうに考えております。

安住委員長 じゃ、階さん、今のことに対してどうですか。

階委員 よく意味が分からなかったというか、ちょっとこの制度設計が不透明なところが多過ぎるので、ちゃんと委員会で説明してください、資料を出して。それを、委員長、お願いします。

安住委員長 これは理事会で協議します。

階委員 だんだん時間も差し迫ってまいりました。

 我々の提案ですね、資料七、パネル七。我々の案に対して、百三十万の壁を越える段階では、国民年金等に加入するので、事業主の社会保険料負担は生じない。ところが、百三十万円を超えて手取りをもっと増やそうと勤務時間を延ばしていくと、週三十時間を超えるところで厚生年金等に移ってまいります。そうすると、その段階で、働く人の手取りが減ったり、事業主の保険料負担が発生したりといった、さっきの二十時間の壁と同じような問題がいわば三十時間の壁として発生するのではないかという懸念の声が寄せられたことがありました。

 資料十一ページを御覧になってください。しかし……

安住委員長 間もなく時間が終わりますからね。

階委員 すぐ終わります。

 御懸念には及びません。働く人については、国民年金等の保険料は全額自己負担なんですが、厚生年金に入れば、手取りは、労使折半となるため保険料負担が減るので、基本的に減りません。事業主については、先ほどの資料五ページで説明した社会保険料の軽減措置を我々は考えていますので、事業主にも配慮している。人手不足の中で、短時間労働だった方が正社員と同等の時間を勤務してもらえることによって、社会保険料の負担が多少発生したとしても……

安住委員長 時間です。

階委員 事業主からは歓迎されると思います。

 以上によって我々の案が妥当だと考えていることを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

安住委員長 この際、お諮りいたします。

 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官畠山貴晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 この際、奥野総一郎君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。奥野総一郎君。

奥野委員 私は、まず、昨日の参考人招致の議決について総理に伺おうと思いますが。

 総理、読売の一月の世論調査では、政治と金の問題をめぐる自民党のこれまでの対応は十分だと思いますかという問いに対して、思うはたったの九%なんですよ。読売ですよ。そして、思わないが八六%。ということは、多くの国民、ほとんどの国民は、自民党の対応は不十分だ、こう思っているわけですよ。八億円を赤い羽根に寄附したとか、あるいは、政倫審も精力的に開いていますが、全く事実は解明されていない。国民はそれをよく見ているわけです。

 そして、松本氏の参考人招致については、これはTBSの一月調査ですが、招致すべきは六一%、招致する必要はないは二九%なんですね。これも多くの国民が招致に賛成しているわけです。それも当然です。

 パネルを御覧ください。これは何回も言われてきたことでありますけれども、松本氏は、二二年八月の幹部会の結果、これは裁判での証言ですけれども、安倍派の幹部会の中で、還付は再開した、還付やむなしとなって、四人の議員がそれぞれに連絡をしたということなんですね。これに対して、政倫審では、下村、西村、世耕各氏は、そんなことは決まっていないということです。塩谷さんはちょっと違いますけれども、主要幹部三人と松本氏の証言が食い違っている、これが一つ。

 そして、最近の政倫審でも多くの議員が、一連の問題が発覚するまでは不記載を知らなかった、そして、還付金を収支報告書に記載しないようにとの指示は派閥の事務局、これは松本氏でしょう、松本氏から、事務局からそれぞれの秘書に対して行われていた、こう発言しているんですが、こんな大事なことを本当に議員に知らせなかったのか、知らなかったのか、ここも一つポイントになりますが、これも松本氏に聞かなければならない重要な問題だと思います。

 松本氏は、裁判で述べていますが、前任の畠山さんという方、その方から事務局長を引き継いだ際、二〇一九年一月頃と言っていますが、キックバックの経緯も引き継いだ、こういうふうに述べているわけであります。経緯を知るキーパーソンなんですよ。そして、世論も求めている。その招致を議決することは、私は、まさに国政調査権の発動であって、世論の求めに応じた当然のことだと思うんですね。

 ですから、総理は、この議決に従って、国会の議決もまた重いんですよ。自民党は反対されたかもしれない。しかし、議決は通りました。総理は、きちんと国会の議決に従って、松本氏に参考人招致、自民党総裁として、応ずるように促すべきだと思うんですが、総理、促していただけませんか。

石破内閣総理大臣 検察による厳正な捜査が行われ、決着がついておるものでございます。また、民間人を参考人として招致をするということについては慎重であるべきで、さらばこそ、ずっと全会一致ということが行われてきたと承知をいたしております。

 国会の議決は国会の議決としてそれは尊重すべきものではございますが、私ども自由民主党としては、民間人、そしてまた検察による捜査、それなりの決着がついているもの、そういう方を参考人で招致するのは慎重であるべきだという立場には変わりはございません。

奥野委員 係争中のときにこの話をすると、係争中だから、司法の手にかかっているから呼べない、聞くべきじゃないという話になるわけです。そして、確定判決が出て、終わったら呼ぼうとしたら、今のような答弁になるんですね。

 これじゃ、呼べないじゃないですか。国政調査権、発動できないじゃないですか。自ら縛っていいんですか。おかしいですよね。これだけ世の中が求めている。僕は、これは政治に対する信頼を失っている大きな原因だと思いますよ。この大変なときにこそ、きちんと解決すべきだと思います。

 もう一回聞きますが、総理は促すつもりはないということでよろしいんですね。

石破内閣総理大臣 国会の議決がなされたということは、それなりに重いものだと思っております。国会の議決というものがなされた上で、その方がどのように判断されるかということについて、今予断を持って申し上げる立場にはございません。

奥野委員 これまで、じゃ、話を伺ったことはありますか。岸田前総理は、火の玉になって先頭に立って、聞き取りをやると。私は、不十分だったと思いますが、それなりに一生懸命やっておられたと思うんですよ。

 石破総理はどうですか。再調査もしない、新たな事実が出てきても再調査はしないとおっしゃり、そして、松本氏の参考人招致も促さない、ありていに言えば、反対だ、こうおっしゃっているわけですよ。これでは解決できません。国益に私は反すると思うんですね。

 もう一回聞きますが、今まで松本さんから話を聞いたことがありますか。そして、これから参考人招致を促そうと。もう一度聞きますが、促すつもりはないということなんですか。

石破内閣総理大臣 先ほど来申し述べておるとおりでございます。

 この方はただいま民間人でございます。国会の議決がございました。どういう判断をされるか、私には今申し上げる立場にはないところでございます。

奥野委員 お答えになっていないんですね。結局本人次第だとおっしゃるが。

 しかし、幾ら民間人であっても、自民党総裁として、自民党の責任者として、促すぐらいはできると思うんですね。促して駄目だというのはあるのかもしれない。

 これまでそういう話はされましたか。そして、されていないのであれば、せめて、出なさい、ここの場で説明しなさいと総理が促すべきだと思うんですよ。それもしないんですか。

石破内閣総理大臣 先ほど来申し述べておりますように、国会の議決がございました。我が党は反対をいたしましたが、国会の議決がなされたものでございます。

 今、その方は民間人であって、私ども自由民主党と関係が直接にある方ではございません。これをどのように御本人が判断されるかということが分からない時点で、出なさいなぞと言う立場に私はおりません。

奥野委員 ちょっと聞き方を変えましょう。

 自民党の政治改革本部として聞き取りをすればいいじゃないですか。民間人であっても、国会に呼んじゃいけないのでというんだったら、自民党総裁として自民党の中で聞き取りをして、それをここで総理が述べてくださればいいんじゃないですか。それもやらない、それもできないんでしょうか。

石破内閣総理大臣 検察による厳正な捜査が行われて結論が出ておるものでございますが、それでは足りないと。したがって、国会に出て参考人として申し述べよというのが現在の国会の立場でございます。それを御本人がどう判断されるか。

 私どもとして、検察による厳正な捜査が行われ結論が出ておる、今は民間人であるということは尊重していかねばならない、法治国家である以上、当然のことでございます。

奥野委員 今の私の質問に答えていないんですね。自民党の中で総裁として聞いてはどうですか、それもやらないんですかという質問に答えていただいていないんですよ。極めて後ろ向きじゃないですか。

 これでは、いつまでたってもこの問題は終わりませんよ。幾らやったって、法案が通ったって、何したって。都連の問題も出てきていますし、この問題は決して終わらないんですよ。だから、松本さんに語っていただくことが大事だと思うんですね。裁判と同じことでもいいんですよ、そのことは国民も知らないわけだから。

 どうですか、総理。裁判で語った以上のことは語れないとおっしゃっているのかもしれないけれども、同じことを繰り返していただいたって構わないんですよ、国会で。どうですか。

 では、これでもう終わりにしておきますが、極めて後ろ向きだと思うんです。これでは国民は納得しません。さっきの話ですけれども、一割の方しか納得していないということを申し上げておきます。そしてこの問題は後々、これから、きちっとここでやっておかないと、なかなか終わらないと思います。このぐらいにしておきます。

 そして、次はフジテレビ問題ですが。

 官房長官に伺いたいんですが、昨日、政府広告をやめた、政府広告出稿は見合わせるというふうに会見で言われていますが、現下の状況などを踏まえとおっしゃっていますが、これはどういう判断なんですか。現下の状況というのはどういうことですか。

林国務大臣 昨日、内閣官房の内閣広報室におきまして、各府省において株式会社フジテレビジョンが関わる広報啓発活動について照会を行った結果を踏まえまして、当面株式会社フジテレビジョンへの広告出稿については見合わせるなどの考え方を各府省に示したところでございます。このなどは、タイアップや企画、制作への協力とか、広告の出稿以外のですね、これは各府省において総合的に勘案し、内閣官房に相談の上対応する。さらには、報道番組への出演それから報道のための取材対応については通常どおりの対応とする。これが三項目でございます。

 お尋ねは、状況というのはどういうことかということでございますが、これは、株式会社フジテレビジョン及び株式会社フジ・メディア・ホールディングスにおいて、一連の報道をめぐりまして、事実関係の調査及び株式会社フジテレビジョンの事後対応やグループガバナンスの有効性、これを客観的かつ独立した立場から調査、検証するための第三者委員会が一月二十三日に設置され、今後調査が進められること等の状況を総合的に勘案したものでございます。

奥野委員 もう一回確認しますが、今の状況が政府が広告を出すにはふさわしくない、フジテレビに出すのはふさわしくないという判断があったということですね。

林国務大臣 まさに第三者委員会が既に設置をされて、そこで調査、検証をされるということになりましたので、その結果を踏まえて判断するまで当面見合わせたということでございます。

奥野委員 ふさわしくない、こういうことなんですが。

 これは海外にも波及していまして、これはニューヨーク・タイムズの電子版なんですが、ミー・トゥー運動の激化から日本の放送局のコマーシャルが引き揚げられている、ミー・トゥー運動が原因でコマーシャルがなくなっている、こういうことがニューヨーク・タイムズの電子版にも出ています。ほかにも、ロイターなどは、日本では近年、性加害に関する不祥事が多発しており、二〇一七年に米国で始まったミー・トゥー運動を思い起こさせる等々、海外でも取り上げられるようになっているんですよ。

 これは、まさに女性の人権問題なんですね。ところが、フジテレビが会見を開くようになった原因は、米国ファンドのダルトンというところが書簡を送って物を申したというところから始まっているわけです。まさに自浄作用が国内で働いていないんですよね。ここが私は大きな問題だと思うんです。

 総理に伺いますが、女性の人権問題でもあるこの問題に対して、政府として調査をし、必要があれば何らかの措置を講ずるつもりはおありでしょうか。

石破内閣総理大臣 今、奥野委員が御指摘になっていることにつきましては、一月二十三日でございますが、総務省からフジテレビに対しまして、第三者委員会において早期に調査を進め、適切な対応を行うようにというふうに要請をいたしておるところでございます。

 フジテレビから第三者委員会への調査委嘱事項として、御指摘の人権への取組、これも含まれておるわけでございまして、この結果がどうなるか、これを受けてフジがどのように対応するかということをまず見たいと思っております。

奥野委員 最初はガイドラインに沿った第三者委員会でないということだったんですが、さすがに日弁連のガイドラインに沿った形にはなったようなんですが、だからといって必ずしも全てが解決するわけじゃないんですね。

 うまくいっていない例もあるんですよ。東芝の株主総会の問題。それから、宝塚歌劇団。宝塚では、例えば、パワハラは一旦否定されたんだけれども、これは再調査でひっくり返っているということです。うまくいったのは、ジャニーズのときは、きちんと被害者の方に寄り添って調査をした結果、うまくいっているということがあるんですね。注意しないと、第三者委員会ができたから全て原因が究明されてうまくいくというものでもないんですね、この例を見てもそうなんですけれども。

 そこで、やはり一定程度政府も関与をして、きちんとフォローすべきだと思うんですが、今回はとりわけガバナンスの問題であります。

 例えば、放送の問題でいえば、フジテレビがこの問題を二三年六月に把握をして、社長に上がったのは十月とかという話になっていますが、その後も、社長が把握していながら、あるいは現場が把握をしながら放送を続けた、番組を続けたということは、これは編集責任の問題でもあるわけですよ。

 放送法の四条で、編集責任ですね、公安及び善良な風俗を害しないことということで、そういう編集責任の問題として取り上げていますが、政府としても、編集責任の問題として、資料提出など放送法に基づく一定の措置を取り得るんじゃないでしょうか、総務大臣。

村上国務大臣 奥野委員の御質問に。資料提出については放送法第百七十五条に規定がございます。当該規定では、放送法の施行に必要な限度において、政令に定めるところにより、総務大臣が放送事業者に対して資料の提出を求めることができると定められております。資料の提出を求めることができる具体的な事項は、政令で定める事項に限定されております。

 御指摘の放送法第四条の番組準則に関する事項については政令で定められないため、放送法第百七十五条に基づいて資料の提出を求めることはできないと考えております。

 以上であります。

奥野委員 政令を変えればいいんですよね。ただ、放送法四条には規範性があるかどうかという問題はもちろんあるのは私も承知をしていますが。

 であるならば、また別の切り口がありまして、お配りしている資料の七ページですね。これはパネルはありませんが、テレビジョン放送事業者宛ての要請文です。これは放送の再免許をするときに必ず交付しているんですが、その二番目に、放送番組については、その制作過程を含めて、人権及び児童、青少年に与える影響に十分配慮するとともに、関係法令を遵守すること、こういうことを要請しているわけであります。

 今回について言えば、例えばコンプライアンス室がこの問題を共有しなかったとか、いろいろ過程にも問題があると思われますが、例えば、ある意味免許条件ですが、この免許条件を守られているかどうかについて、放送法に基づいて調査することは可能なんじゃないですか。

村上国務大臣 御指摘の再免許時の放送事業者への要請は、放送事業者の自主自律を前提として、放送事業者に遵守していただきたい事項を各放送事業者に対して一律に要請しているものであります。

 この要請事項を遵守しているかどうかは、まずは放送事業者において説明されるべきものと考えております。先ほども答弁申し上げたように、総務省において調査することは慎重であるべきと考えております。

 繰り返しになりますけれども、総務省としましては、一月二十三日に、フジ・メディア・ホールディングス及びフジテレビに対して、第三者委員会において早期に調査を進め、その結果を踏まえて適切に判断することを要請したところであります。

 フジテレビにおいては、早急に事実関係を明らかにして視聴者やスポンサーの信頼を回復することが必要である、そういうふうに考えております。

奥野委員 ただ、これだけ大きな問題ですよね。海外からこれだけ言われて恥ずかしいですよ。ミー・トゥー運動のときに日本は、そんなに大きな問題にならなかったんですよね。ようやくここで、こういう問題を正すチャンスだと思うんですよ。

 だから、まずは自主自律とおっしゃるけれども、じゃ、どういうことを、今の現状を聞き取りぐらいはできると思うんですよ、総務省として。放送業を所管しているわけですよね。きちんと所管官庁として調べるべきじゃないですか。

 ちょっと、だから、勘ぐってしまうのは、フジテレビに例えば総務省のOBの方が再雇用されていたり、政治家の子弟の方がいらっしゃるというふうな話もありますが、今の、例えば日枝相談役に忖度して動かないんじゃないか、こういうふうに見えてしまうんですよね。だからこそ、しっかりやってほしいんですよ。いかがですか、大臣。(発言する者あり)

村上国務大臣 それはございません。

 今回の事案を受け、コマーシャルの差止めが相次いでいる事態は、広告によって成り立つ民間放送事業者の存立基盤に影響を与えかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を損ないかねない事態であると認識しております。そのためには、先ほど申し上げましたように、一月二十三日に要請しております。

 その上で、御指摘の国家公務員の再就職に関しては、公務の公正性とそれに対する国民の信頼を確保することが重要であり、総務省としても職員のあっせん等を禁じた再就職の規制の遵守を徹底しております。

 御指摘の元総務省職員の再就職については、会社が自らの判断で採用したものと理解しております。府省庁が企業等にあっせんし再就職する、いわゆる天下りという事実はありません。総務省として、放送法を所管する立場から……

安住委員長 村上総務大臣、そこはまだ質問していないんですよ。ちょっと一回下がってください。

村上国務大臣 ああ、そうですか。じゃ、ここでやめておきます。

奥野委員 そんなことを聞いているんじゃなくて、再就職者がいるから、あるいは忖度しているんじゃないですか、そこまで言っているだけで、再就職がいいとか悪いとか私は全然言っていなくて、総務大臣としてきちんとした対処ができないんじゃないですかということを言っているわけです。

村上国務大臣 ですから、そういう疑いがあるというふうに思われていますけれども、実態は違います。とにかく、辞めた方が、フジテレビと……(奥野委員「違う、違う」と呼ぶ)

 つまり、私が申し上げたいのは、総務省としては、今回の方が、何人か行っていますけれども、これは総務省として天下りをあっせんしたわけではないということを申し上げた。

奥野委員 そんなことは聞いていなくて、ごめんなさい、時間がもったいなくて。きちんと毅然とした態度で業所管大臣としてやってくださいねということなんですよ。そんなことは聞いていない。全然聞いていないことを答えないでください。時間がなくて、済みません、ちょっと総理に聞こうと思ったのに時間がないので、別の話、地方創生の話をどうしてもしたかったのでしますが。

 地方創生について、まず、総理が肝煎りで二千億円、倍増すると言っていますが、内閣府かな、地方創生交付金の執行額、これは決算ベースで見ると、令和四年度で千三百十九億円、令和五年度で千四百九十八億円、これは補正も合わせた額です、当初予算一千億に比べて。そして、不用額、要するに、使われずに返納された額が、令和四年度で三百九十八億円、そして令和五年度で三百二十八億円ということで、大体千四百億円ぐらいしか年間使えなくて、余らせて返しているんですよ。

 それでいいんですよね、内閣府。短く。イエスかノーか。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度及び令和五年度の執行額及び不用額については、御指摘のとおりでございます。

奥野委員 ということは、使い切れないんですよ、二千億やったって使い切れないんですよね。使い勝手の問題もあるんですよ。そういうことはまず検証しなきゃいけない。

 去年、総理は、ちゃんと反省をしてバージョン二・〇の地方創生交付金をやる、こうおっしゃっていたんですね。基本構想を年内に作って、それに従って予算を執行すると。ところが、基本構想はまだできていないんですよ、できていない。今から議論する。

 そして、これも去年使ったボードですけれども、結局、地方創生については、人口減少や東京圏への一極集中など大きな流れを変えるに至っておらず、地方が厳しい状況にあることを重く受け止める必要があると冒頭に、この反省文に書いてあるんですね。

 この反省を踏まえてどうするかということで、これは去年も言いましたけれども、成果はほとんどなくて課題ばっかりなんですよ。この課題にどう応えるかを基本構想で考えるということなんでしょうが、基本構想はまだできていない。議論が始まったばかりなんです。にもかかわらず二千億という倍増の予算がついたのは、私はこれは規模ありきだと思うんですが、何か積算根拠はありますか。

石破内閣総理大臣 使い道はもっと徹底して考えるべきだと私は思っています。それは、もっといろいろな考え方があるでしょうがということですし、仕組みとしても、ハード、ソフトというふうに分けていたのを、これはやめます。もっと使い便利がいいようにいたします。

 ですので、規模ありきではございません。これではまだ足りないと言われるところまで考えていただきたいと思いますし、それができないはずはないと私は思います。

奥野委員 昨年の答弁をもう一回見返すと、総理は何とおっしゃったかというと、竹下内閣のふるさと創生の話を持ち出して、当時、一市町村に一億円を交付をしました、千七百十八市町村あるので、単純に言うと、それを一億円配ったとしたらそのぐらいになるんじゃないかというような趣旨のことをおっしゃっているんですね。ところが、あの当時というのはバブルの頃で、お金が余っていたんですよ。お金が余っていたからああいうことが行われたんですね。しかも、地方交付税で配っているんですよ、一般財源としてね。

 私は、この前も申し上げたけれども、本当に地方のことを思うなら、一般財源として、地方交付税の中の地方創生枠を使って配賦すべきだと思うんですよ。何より、バージョンアップするとおっしゃるけれども、基本は余り変わっていないと思うんですね。恐らく、二千億だと使い切れない可能性がある。

 そこで提案なんですけれども、先ほど給食費の無償化の話もございました。総理は、新聞によれば、地域で取れたもの、食材を学校給食無償化の前提にしてはどうだ、こうおっしゃっているわけですね。ですから、まず、二千億のうち一千億は今までどおり仮に使うとしても、増加分の一千億を、私は、例えば給食費の無償化に振り分けると。

 先ほど地方創生臨時交付金の話が出ましたけれども、あれは補正なんですよ。当初予算では給食費無償化の予算は何にも入っていないんですよ。あたかも補正を前提としたかのようにそれを使ってくださいと言われても、到底承服できない。我々は補正は基本的には反対ですから。不要不急のときしか使っちゃいけないんだから、不要不急じゃなくて、あらかじめこれは分かっているわけですよ。

 であれば、この二千億のうちの一千億を、地方創生臨時交付金、地方創生重点支援交付金のスキームにして、振り替えて、一千億、それから、ほかから財源を見つけてきて四千八百億円の財源にして、今年度は当初予算で給食費の無償化の財源にしたらどうですか。そうしたらできますよね。

石破内閣総理大臣 そのようにお使いになることは、それぞれの自治体の御判断でございます。それは、ですから、地産地消というんでしょうか、そこにおける食材、これを用いる、それでこのお金を活用する、それはその自治体の御判断でございます。

奥野委員 私が言いたいのは、二千億は使い切れないので、一千億を返してもらって、それをより使い勝手のいい重点支援交付金、これは各市町村に自動的に配分されますから、それにしたらどうですかと。さらに、ほかの無駄をカットして上乗せをして、当初予算に重点支援交付金スキームをのっけて四千八百億で無償化したらどうですかと申し上げているんですよ。

 時間もないので、文科省に新しく項を立てるとか、これは専門的な話ですけれども、それだと憲法の問題も出てきますから、取りあえずこの地方創生の枠の中で今年はやられたらどうですかと。建設的な提案ですよ。

石破内閣総理大臣 それは使い切れないというふうに決めつけるものだと私は思っておりません。それを分けるということは、私として今考えにはございません。

奥野委員 でも、現に四年度、五年度は余っていますよ。使い切れないから無理に使うものでもないと思うんです。要は、有効に、ワイズスペンディングですから。地産地消で、地域の食材、これは農家にもお金が行きますよ。そして、地域の振興にもつながっていきます。そういうふうに賢く使ったらどうですか、こう申し上げているわけです。そうすると、給食費の無償化の財源にもなります。私、この間、地元の首長さんと何人も会いましたけれども、給食費の無償化への要望は物すごく強いんですよ。

 もう一回、繰り返しになりますけれども、補正であるけれども、当初予算のメニューには給食費の無償化に使えるお金はないんですよ。だから、やられたらどうですかと。今から補正を前提にされているわけじゃないんでしょう。また補正をやるんですか。

石破内閣総理大臣 それは、補正予算は補正予算の、当初予算をつくりましたときに予想されなかった事態、それが生じた場合に使うものでございまして、今の時点で補正予算を組みますなぞということは、間違っても申し上げるわけにはまいりません。

安住委員長 奥野君、時間ですので、最後にまとめてください。

奥野委員 じゃ、予算の組替えを求めたいのは、今のところメニューがないんですよ、給食費無償化に使えるお金が。だから申し上げているんです。それで予算の組替えを求めます。

安住委員長 この際、酒井なつみさんから関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。酒井なつみさん。

酒井委員 立憲民主党の酒井なつみでございます。

 予算委員会、初めて質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、高額療養費制度の限度額引上げについて質問をいたします。

 私は、政治の道に進む前、看護師、助産師として十二年間医療現場で勤めてまいりました。また、二十八歳でがんの闘病を経験をしました。宣告をされたときには、目の前が真っ暗になりました。二十八歳でしたから、貯金も余りなく、抗がん剤で髪の毛が抜けたときにも安いウィッグしか買えませんでしたし、経済的にもとても苦しい思いをしました。そのため、がんになっても大きな病気になっても安心して暮らせる社会にしたいというのが私の政治の原点です。

 この度、高額療養費制度の上限額が引き上げられること、そして、その金額の詳細を知り、大変驚きました。これは、入院などで多額の医療費がかかった場合に、患者の自己負担を低く抑える仕組みです。これを政府は三段階で引き上げるとし、二年後には、現行の平均年収区分約三百七十万円から七百七十万円の場合、自己負担の限度額が四〇%増や七〇%増となる人も出てきてしまうんです。国民の皆様にも危機感を共有いただければと存じます。

 我々は断固反対です。がんや難病の方々などからは、多くの切実な反対意見、怒りの声が続出しています。

 パネル一をお願いします。

 ここに、全国がん患者団体連合会、全がん連さんが集めた反対に関するアンケートの冊子がありますが、三日間で三千六百二十三人の声が集まったそうです。

 紹介をさせていただきます。

 「スキルス胃がん患者です。高額療養費制度を使っていますが、支払いは苦しいです。家族に申し訳ないです。引き上げられることを知り泣きました。私はいずれ死ぬのでしょうが、子どものために少しでも長く生きたいです。毎月さらに多くの医療費を支払うことはできません。死ぬことを受け入れ、子どもの将来のためにお金を少しでも残す方がいいのか追い詰められています。」二十代の女性がん患者さんの声です。

 次に、「本当にお金がかかります。びっくりします。どうしようと思います。泣きたくなります。でも生きたいです。まだ小さい子供の成長を見たいです。みんな生きたいと思ってます、治療したいんです。生きる希望を閉ざさないでください。」という三十代の女性がん患者さんの声です。

 石破総理に伺います。そもそも、この高額療養費制度の見直しは、高齢化や医療の高度化などにより総額が年々増加し、現役世代を中心とした保険料が増加してきたことから、その負担の軽減、抑制を図る観点で方向性が出されたのではないでしょうか。にもかかわらず、現役世代のがんや難病患者などの方々の自己負担額が増えるのは、方向性と矛盾しているのではありませんか。

    〔委員長退席、岡本(あ)委員長代理着席〕

石破内閣総理大臣 おっしゃることはよく理解できます。

 一方において、最近、近年と言ったらいいんでしょうか、びっくりするような高額な薬剤というのが物すごいスピードで増えているということがまた事実としてございます。そうすると、この制度をどうやって続けていくことができるだろうか。今まだ二十代、三十代、若いお母さんがそういうものを引き続き受けたい、所得の低い方、そういう方については負担能力に応じてでございますので、当然、そういうのが受けられるように最大限の配慮をいたしております。

 なお足りないところがあるとすれば、実際にそういうのを経験された委員のお話は、私ども、謙虚に、真摯に承ってまいります。どうすればそういうような方々が悲しい、苦しい思いをしなくて済むかということは、政府として当然に考えてまいります。

酒井委員 矛盾しているんですよね。今でさえ支払いは苦しいと言っておられるんですよ。今日も、がん患者さんや難病患者さん約十名が傍聴にいらっしゃっております。

 パネル二をお願いします。

 例えば、年収約五百十万円の方の場合、今年八月に約一〇%負担が増えます。そして、来年には二五%増、二年後には四一%増の引上げとなっています。現役世代の自己負担が大幅に増えるんですね。負担できないとの声が三日間で三千六百二十三人ですよ。

 一月二十八日の重徳議員の質問に対し石破総理の答弁を聞かれた全がん連の天野理事長は、ゼロ回答でした、引上げを強行すれば、今闘病中の患者はもちろん、これから罹患していくがん患者や家族、難病その他の疾病の患者や家族、特に現役世代に大きな災いをもたらす致命的な失政となると話されています。

 この審議過程では、がん患者などの方々の御意見は聞かれたのですか。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。総理に伺います。

福岡国務大臣 まず、この検討に当たっては、様々な立場の有識者で構成される専門の審議会、これは医療の現場に知悉されている方も数多く入っていらっしゃいます。そこで、データ等に基づいて複数回議論を行う中で決定したものと承知をしています。

 今おっしゃられましたように、当該団体の方から直接お話を聞くということは行っておりませんが、今後、ただいま御紹介いただいたがん患者さんなど当事者の方々の声も真摯に受け止めながら、可能な限り幅広い合意形成が図れるように努めてまいりたいと考えております。

酒井委員 審議会のメンバーにはがん患者団体は不在なんです。今、聞いていないということもおっしゃいました。これだけ命に関わることですから、総理、是非とも話を聞いていただきたいと思います。当事者のお話を聞かずに決めるのはやめてください。

 そして、パネル三を御覧ください。

 審議会の議論は、約一か月という短期間で四回の審議という、短い審議の過程もとても問題だと思っています。とても丁寧なプロセスを経たとは言えないと思います。当事者の皆さんは治療を断念せざるを得ないかもしれないと言われていらっしゃいます。午前中、塩崎委員の質問に、がん患者さんなど当事者の方々の声も真摯に受け止めながら、可能な限り幅広い合意形成が図られるようにと述べられておられましたが、到底合意できるものではないんですね。

 石破総理、今から会ってお話を聞くべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 一番苦しんでおられる方々の声を聞かずに、このような制度を決めていいとは思いません。それはきちんと聞いた上で、そういう方々に対して不安を払拭するということも政府の務めだと思っております。

 その上でなお、私どもとして、この制度の持続可能性をいかに維持するか、高額な医療費であったとしてもそれが受けられるためにいかなる工夫ができるか、政府として何を考えているかということもよく御説明をしていかなければならないと思っております。厚生労働省において、そういう方々の御意見をどういう形で聞くのが一番適切か、検討いたさせます。

酒井委員 是非検討をしていただきたいというふうに思います。

 御意見を一度も聞かずに、治療を諦めざるを得ないという方々の切実な状況は決して分からないと思います。命を守ることが医療保険の役目であり、政治の使命だと思います。

 高額療養費の引上げは今年八月からとしていますが、来年度の予算削減額は幾らなのか、伺います。

    〔岡本(あ)委員長代理退席、委員長着席〕

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 今回の見直し案につきましては、システムの関係ですとか、引上げによる影響等に配慮して、令和七年八月から令和九年八月にかけて三段階で実施することを考えております。

 このため、今先生から御質問ありました来年度予算への影響につきましては限られたものとなりますが、引上げがない場合に比べて、国費で約二百億円減少となります。また、保険料負担の軽減額が約六百億円となります。

 なお、最終的な影響額については、国費で千百億円程度、保険料負担額で三千七百億円程度の軽減になると見込んでおります。

酒井委員 八月からの引上げ凍結に必要な財源は約二百億円とのことです。先ほど城井委員から申し上げたとおり、我々もこの二百億円を取り入れた予算修正案を出しますので、修正に応じることを要請をいたします。

 そこで、総理、八月からの引上げは一旦凍結して、がん患者や難病患者の方々からの御意見をよく聞いた上で、対象や方法を含め再検討するべきではありませんか。

福岡国務大臣 この高額療養費制度は、セーフティーネット機能を維持しつつ、先ほど来申し上げますように、将来にわたって持続可能な、現役世代の保険料負担との兼ね合いも踏まえて議論していくことが必要だと考えています。

 その中で、先ほども総理も申し上げたとおり、がん患者さんなど当事者の方々の声も今後真摯に受け止めながら、可能な限り幅広い合意形成が図れるように努めてまいりたいと考えています。

酒井委員 今の福岡大臣の答弁は先ほどと全く同じなんですね。石破総理は一歩前進した答弁をいただいたかなというふうに捉えております。

 是非総理にも答弁をいただきたいんですけれども、一旦、この八月の引上げを凍結いただき、再検討を指示をしていただけませんでしょうか。

石破内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、いかにして御負担を減らすかということ、特に、低所得の方、長期にわたって治療を受けておられる方々の負担を減らすかということは、厚生労働省において、政府としてかなり綿密に考えたものでございますが、それが実際にそういう治療を受けておられる方々の御納得が得られるかどうかということにつきましては、更に努力をいたしてまいります。

 その上で、今ここで凍結なぞということを、私どもは予算を提出しております立場として申し上げるわけにはまいりませんが、まず意見を聞くということは丁寧にやってまいります。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

酒井委員 私はやはり元がん患者、サバイバーですし、ここは引き下がれないんですね。

 長期にわたって高額な医療が必要な患者さんは約百六十万人います。二人に一人ががんになる時代で、男性は五十歳代から増えるんですけれども、女性は二十代からがんに罹患する方がとても多いんです。子供を残して死にたくない、とても負担できないという声がたくさん上がっています。

 是非、ここは決めるのは総理ですから、御決断をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 先ほど来申し上げておるとおりでございます。

 厚生労働省として、長期にわたって治療を要する方、負担能力が十分でない方に対してできる限りの配慮をいたしてまいりました。そのことが御納得いただけないとするならば、あるいは納税者の方々の御理解を得られないとすれば、それは考えていかなければなりません。

 まずきちんと御説明をする、御納得をいただくというようなこと、いただけるかどうかは、やってみなければ分かりません。厚生労働省としてそこは本当に細心の注意を払ってまいりましたが、払ってまいりましただけでは駄目なので、これは御理解いただけるように、きちんと御説明をするという機会は必ずつくります。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

酒井委員 説明を受けても、到底受け入れられない、到底容認できないという声です。また、丁寧なプロセスを経て決定された方針とも思えません。

 時間の関係で、次の質問に移ります。

 選択的夫婦別姓について伺います。

 報道によりますと、自民党は折衷案として旧姓の通称使用拡大案を考えているとのことですが、通称使用の拡大では様々な不都合が解決しないことは既に明らかとなっています。

 昨年実施された経団連のアンケートでは、八八%の女性役員が、旧姓の通称使用が可能である場合でも、何かしら不便さ・不都合、不利益が生じると思うと回答されたとしています。経団連も選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めています。

 旧姓の通称使用拡大では、長期的なキャリア形成やグローバルな活躍に際してなど、多くの不都合は解消しないのではありませんか。総理に伺います。

鈴木国務大臣 今委員の、旧姓の通称使用拡大では全ての課題が解決しないのではないかという御質問でありますけれども、外国政府や、あるいは国際的な学会あるいは国際機関等々に関するものなど、全ての社会生活上の不利益が解消されるのかと言われますと、全てが解消される、旧姓の通称使用によって解消されるわけではないとの指摘、その点は承知をしております。

 また一方で、様々な御指摘、様々な御意見も同時にありますので、その点は是非、先生の御指摘も含めて、この立法府の中できちんとした議論を建設的に行っていただきたいと考えております。

石破内閣総理大臣 今法務大臣が答弁したとおりでございます。それは、通称というものをもっと法的に整備をするということで解決しない問題があるということは承知をいたしております。

 それで、これがベストだというものはございません。どちらか両方に偏るというわけにもまいりません。何がより多くの御理解をいただけるか、委員御指摘のように、それじゃ解決しない問題があるだろうということに対してどう対応するかも含めまして、いつまでも引きずっていいお話だと私は思っておりませんので、きちんと論点を整理し解を見出すことは、国会の御議論、各党の御議論を承った上で、政府も責任を持つべきだと思っております。

酒井委員 折衷案を検討するということに関しては、選択的夫婦別姓は選択的なんです。なので、強制的に別々の姓を名のっていくような制度ではないので、まさに折衷案が選択的夫婦別姓だと私は思っているんですね。

 若い世代の声も御紹介したいと思いますけれども、若者世代への民間アンケート調査の結果は、多くの大学生らが答えている調査によっては、八割が賛成、女性に限っては九割が賛成をしています。若者にとっては、結婚の意思決定にも大きく影響を及ぼすと答えています。そして、共同通信社が一月二十五日、二十六日に実施した全国電話世論調査では、賛成五九%と過半数となっています。そして、自民党の支持層も五七%が賛成と答えており、賛成過半数なんですね。

 石破総理は、一月二十七日の野田佳彦代表に対する本会議の答弁では、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えておりません、党としての考え方を明らかにすべく、議論の頻度を上げ、その熟度を高めてまいりたいと存じますと述べられましたが、結婚を考えている、これから考えていく若者の声を十分に聞く必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 これから結婚される方々の御意見をきちんと聞くことは大事なことで、当然だと思います。

酒井委員 では、団体さんなどもありますので、是非ともお話を伺う機会をつくっていただきたいと思います。

 その上で、早期に選択的夫婦別姓制度を導入するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 私も、この問題は四十年ずっと考えてきました。ただ、全く違う御意見、あるいは新しい御意見もございます。ですから、頻度を上げ、この問題には限りませんが、いろいろなお話を聞いて自分の考えが変わったものもございますので、我が党の中で議論の頻度を上げ解を見出すということは、国政責任政党である以上、当然のことだと思っております。

酒井委員 私は結婚して夫の姓になりましたけれども、女きょうだいでして、自分の生まれた姓がなくなってしまう、そのまま続けられないという葛藤がありました。そして、今、仕事をしながら、キャリアを形成しながら働いていらっしゃる多くの女性が、現時点では九六%が女性が改姓をしておりますので、その声というのは真摯に受け止めていただきたいというふうに思います。

 また、子供の姓がどうなるのかということをもしかしたら総理は懸念されているのかなと思うんですけれども、そもそも子供は姓を選べません。結婚した姓で自分の名前になるわけですから、そのこともお伝えをしておきたいと思います。

 是非、これから結婚を考える若者世代の声が政治に反映されるように、通称拡大の法制化だと本当に遠回りになりますので、前向きに自民党の皆さんには検討いただきたいと思います。

 質問を終わります。

安住委員長 この際、近藤和也君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤和也君。

近藤(和)委員 立憲民主党の近藤和也でございます。今日もよろしくお願いいたします。

 今日は、能登半島の復旧復興、そして米問題について質問いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 質問に入らせていただく前に、さきの国会、臨時国会におきまして、我々立憲民主党から、能登半島の復旧復興のための一千億円の増額修正を求めさせていただきました。そして、与党、野党の皆様に御理解をいただいて、一千億円の実質増額ということを実現していただきまして、本当にありがとうございます。

 今日は、米俵は積みましたということ、ただ、米俵をどこに持っていきますかということはまだ決まっていないわけですから、それを決めていく議論だというふうに思っております。どうかよろしくお願いいたします。

 そして、もちろん大切な税金ですから、全国の皆様にもやはり現状を御理解いただく、委員の皆様にも御理解をいただく必要があるんだろうというふうに思いますので。

 まず、パネルの一番を御覧ください。

 これは今週の能登の風景でございます。ちょっと雪が降る前なんですけれども、公費解体につきましては、早い自治体では、住家においては七割から八割進んできました。大変ありがたい。壊さないと、次、住めないですから。

 ただ、一方で、公費解体をした後に、まだ家が余り建っていないという状況です。数百メーター先、一キロ、二キロ先まで見えてしまっています。物理的にも心の中にも穴が空いたような状況です。

 そして、残ったおうちに関しましては、ブルーシートがかかっています。最近、ブルーではないグレーのシートもかかっていて、少し、その分、不思議と、ありがたいなと。ブルーばかりになってしまっていますので、ありがたいなと思いますが、今、このブルーシートでも二種類あります。家を直せる方のブルーシートと、もう無理だけれども取りあえずかけてもらったというブルーシートですね。今、大切なのは、無理だという方々のブルーシートもちゃんと直せるようにしていただきたいということです。

 今日、たまたま地元の新聞でもアンケートが出まして、県外の公営住宅に避難されている方々のアンケートで、県外ですね、四四%の方が戻らないということです。本当につらいんですが、その一番の大きな理由は住まい、そして次はお金(再建費用)ということでございます。我々と問題意識が全く同じだなというふうに改めて感じます。

 そして、パネルの二です。

 こちらにつきましては、今、能登は、半年前、一年前は通れない道がたくさんございました。ただ、主要道路に関してはかなり直していただきました。これにつきましては、工事関係者の皆様も含めて、政府、また自治体の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 一方で、市道、町道などのいわゆる生活道路はまさしくこれからでございます。御覧いただいておりますように、もうがたがたです。実際には、災害査定もようやく終わって、入札をこれから始める、始めたというところが多いんですが、入札の不調、もう既に起きている自治体がございます。これからももっともっと起きてくるんだろうというふうに思っています。

 このがたがたの道、せっかく住める家、直して住める家にいらっしゃっても、日々がたがたの道で暮らしている。このがたがたの道で、乳母車を押すのも大変だという方もいらっしゃるんですね、仮設に入らずに済んだ方でも。

 ですから、今、何とかして自由度のあるお金、こちらに関してはやはり自治体の方が一番分かっていますから、しっかりと回していただきたい、こういう観点で質問をさせていただきます。

 まず、最初の質問です。

 住宅の修理に関しましては、被災者生活再建支援金の、全額であれば三百万円、そして地域福祉推進支援臨時特例給付金、これは三百万円、満額でつくっていただきました。人によっては六百万円ですね。

 ただ、地震前は一坪七十万円だったのが、半年前だと百万円、今だと百二十万円、百五十万円。昨日電話をした珠洲市の方は、一坪百八十万だと言っていました。もう無理かなというふうに言われていました。本当につらいです。

 そういった中で、地域福祉推進支援臨時特例給付金に関しては、対象の北の六市町の隣接の方々は対象外でございます。そして、六市町の方であったとしても、若い方で条件に当てはまらない方は当然当たりません。そしてまた、準半壊などの損傷の具合によっても、準半壊であれば応急修理制度の三十五万程度しか当たらないということで、これで本当に住んでいけるのかという不安がございます。

 こうした一つ一つの制度で、国の支援から抜け落ちてしまわれている方がたくさんいらっしゃるのが今の能登の現状でございます。もちろん、能登だけじゃなくて、内灘町、津幡町、かほく市、能登ではない、金沢の、石川県内のところはあるんですけれども、こういったところも含めて、補正予算において能登の復旧復興に充てるとされた予備費ですけれども、こうしたはざまに落ちてしまっている方を是非とも救うために使っていただきたい。

 予備費の予算措置や執行に当たっては、地域間や世代間、被災した建物の状況などについて公平性を確保していただきたいと考えていますが、総理の見解を伺います。

石破内閣総理大臣 被災された方々の生活の再建のために支給させていただいております被災者生活再建支援金、あるいは地域福祉推進支援臨時特例交付金、これは、物事の性質上、一定の基準は設けております。ここは御理解いただけるかと思いますが、今御指摘いただきました地域間による不公平、あるいは世代間の不公平、そういうものがないように、例えて申し上げれば、被災自治体による液状化対策事業、住宅再建のための利子助成制度、これを六市町村以外で実施することによりまして、不公平が生じないようにしたいと思っております。

 予備費を活用いたしました支援について、おとといですか、二十九日に石川県知事からも御要望をいただいたところであります。委員始め地元の議員の皆様方、あるいは首長の皆様方の御要望を踏まえつつ、公平を備えた切れ目のない支援を行いたいと思っておりますし、国の交付金による支援、また、新たな自治体負担が生じないように最大限配慮をせよというような御要望をいただいておりますので、被災自治体で機動的な対応が可能になる自由度の高い支援というものを念頭に、更に使い便利のいい支援というものを考えてまいりたいと思っております。

 また、問題点を踏まえて御指摘を賜りますれば、政府として適切に対応いたしてまいります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 石川県の要望も踏まえてということをおっしゃっていただきました。私どもも要望をいただいたんですが、ありがとうございます。

 実は、次の質問と含めて御答弁いただいたようなことなんですけれども、一応、私からどういう質問をしようかということだったんですけれども。

 まずは、住宅の修繕、こちらについては、私どもの試算で、この一千億の内訳の中では、大体四百億円は必要なんだろうなと。そしてまた、地域や年代のはざまを埋める部分には百億円ぐらいは必要である、そして、急激な物価上昇の部分を含めると大体二百億円で、ほかも含めると一千億円という試算です。石川県さんの方も、ある程度、創造的復興というところで、自分たちに自由度の高いお金をもらえないかということですね。規模と自由度、そして地元の負担を最小化してほしい、こういうことを私が質問をしようとしていました。

 そういたしましたら、総理は、望ましいような答弁をいただいたということ、規模と自由度を確保し、地元の負担を最小化するということですね。本当にありがとうございます。

 今、改めて、この一千億の使い方ということは、地元の皆様、本当に注目をしております。今、能登では、住民票は一割ぐらい移されております。小学校、中学校、自治体によっては三割の児童が転校をしております。本当に、出ていかれる方もつらいですし、残る人もつらいです。東日本大震災の被災地、去年のデータでいけば、沿岸自治体であれば一二・七%、四十三の自治体では減っている。三つの自治体では三割以上人が減っております。

 何とか、私たちも、人にとどまっていただく、戻っていただくために頑張っていきたいと思いますし、政府には、今総理から相当前向きな答弁をいただきましたので、私たちも頑張って生きていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に参ります。復興基金についてです。

 復興基金については、五百四十億円、熊本並みにつけていただきました。熊本より二十億円多いですよね。本当にありがとうございます。

 ただしなんですが、被災自治体の皆様から伺うと、使い勝手が悪いというんですね。ハードの部分に使いづらいだとか、国が大きく出す支援、例えば国で半分出す事業について、残りを県や市、町が出さなければいけないところを、復興基金を余り使わないでねと。裏負担と一般的に言いますけれども、裏負担に使わないでということであったり、また、例えばなりわい補助金、四分の三、国がお金を出してもらえますけれども、残りの四分の一も結構多額なんですよね、被災者の皆様にとっては、数千万単位のお金ですから。この部分に対して復興基金を県や市、町が使うことは少し、いかがかというようなブレーキがかかってしまっています。

 一方で、総務省に聞きますと、いやいや、そんなことはないですよと。国の制度の隙間を埋めるものであって、具体的にこれは駄目だというふうに言っているわけじゃないんですよね、答弁は求めませんけれども。それで、ただし、この後に言葉が続きます。特別地方交付税から出しているからほかの全国の自治体の共有財産だ、だから説明がつくようにしなければいけないという言葉が、枕言葉ではなくて、一番最後の尻尾の言葉としてつくわけです。結果として、いや、使いづらいよねということになるんです。

 そこで、総理に伺いますが、復興基金といいながら、今のままでは自治体が萎縮してしまうわけですね。せっかくの復興基金ですから、被災自治体がこれが必要だというものであれば使えるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 石川県が創設した復興基金につきましては、国として特別交付税措置を講じているわけでございます。能登半島地震からの復興に向けて、これは国の事業を補ったり、国の制度の隙間、そういうものの事業について対応するために設けたものでございます。

 そういった趣旨も踏まえながら、石川県において被災自治体と協議して、しっかりと使っていただけるように我々としても創設したものでございますので、その中で自主的に御判断をいただくべきものというふうに考えているところでございます。

石破内閣総理大臣 今政府からお答えをしたとおりでございます。実際、そうでないと基金の意味がないので。そういう隙間みたいなものに対応するための基金でございますから、地元に使い便利がいいようにということで創設をしたものでございます。

 仮に何か問題があるとすれば、また御指摘いただければ、的確に対応させていただきます。

近藤(和)委員 百点満点の回答だったと思います。本当に感謝をいたします。

 それでは、なりわい補助金について伺います。

 なりわい補助金については、これは東日本大震災のときにつくられたお金ですが、大変ありがたいです、対象の方々は。ただし、使えない業種、職種の方がいらっしゃるんですよね。

 今、能登の復旧復興が、私は本当に皆さん頑張っていただいていると思いますが、遅いと言われている一つの理由が、工事関係者の方がとどまってそこで工事ができない環境がずっと続いていました。今でも続いています。人によっては金沢から通って、二時間、二時間半かけて行くんですね。

 それで、元々アパートやマンションが少ないです、借家も少ないんですけれども、アパートやマンション、借家などを直すことについては、なりわい補助金を使えません。これは経済産業省なりの理由があって、商品には補償しないということなんですよね。

 でも、今後、能登だけではなくて、将来起こり得る被災地においては、工事関係者の方々もとどまる、被災された方も、県外ではなくてそこでとどまることが復興になりますから、復旧になりますから、商品だからというそのたてつけを外していただきたいんですね。これは二回か三回委員会でやっているんですが、総理、いい答えをいただけないんです。

 そして、ほかにも、例えばスナックやバー、ラブホテル、これらは対象外なんです。コロナのときも対象外でした。皆様御存じでしたか。何で職業で差別するんですかね。風営法のところの、風営法の改正がこの国会であると聞いていますけれども、対象外なんですよ。

 納税者でした、生活者でした、そこで商いをしていました、そこにお客さんもいらっしゃいました。今、例えば輪島や飯田や七尾市、穴水でもそうですけれども、こういう飲食店、スナックやバーのところ、ラブホテルもそうなんですが、自力ではもう直せないんです、助けていただけないんです。その方々を助けるだけじゃなくて、地域を助けていただきたいんです。

 総理、ここがもう政治決断だと思います。私も何回もやってはね返されているんですが、今日、せっかくテレビも入っているところで、総理の御決断で被災地が救われます。未来の被災地も救われますから、どうか踏み込んだ答えをいただきたいんですが、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 御指摘のなりわい再建支援補助金であります。

 公平性を念頭に、近藤先生にも今までもいろいろと御指導いただいていると思いますけれども、被災者の実情に即して柔軟な対応を我が省では一応行ってきているということであります。

 アパート、マンションについては、事業用として貸し付けていた施設であって、借主である中小企業等が継続して事業を行う上で不可欠な場合には、例外的に補助対象としているところであります。これはもう先生も御承知のとおりだと思いますけれども。

 そして、今のスナック、バー、ラブホテルにつきましても、風営法の規制対象外であれば支援対象としておるところであります。また、同法の規制対象であっても、料理店の許可を得ている事業者ですとか、深夜営業の届出をしている事業者などは支援対象としているところであります。引き続き、被災者に寄り添った支援を進めてまいります。

 近藤先生にもいろいろと今まで御指導いただいていますけれども、いわゆる風営法の営業区分の話も、警察ともいろいろ調整をしながら、できるだけ配慮させていただけるようにこれからも頑張っていきます。

近藤(和)委員 寄り添っていただいているようで、全然寄り添っていただいていないです。変わっていません。料理店などはできるということは以前もそうでしたが、実際には、女性なり男性なりが接客をするという、真面目に登録をされておられる方が対象外なんですよ。

 本当に、大臣も、総理も含めて、想像していただきたいんです。特に田舎の方々は、古びた飲み屋さん、飲食店街ですね、ただ、大事なところです。そこが地震に遭ってしまって、経営者の方がもう諦めようとなったら、ますます寂しい状況になりますから。自然に負けるのは致し方ない部分はありますが、制度で、政策で救えるんだったら、やはり救っていただきたいんです。

 何とかこれは、今度は経済産業委員会か災害対策特別委員会でやりたいと思うんですが、総理、今のままでは救われないんです。そこは認識をしていただきたいということで、答弁をお願いしたいんですが、お願いいたします。

石破内閣総理大臣 事情はよく承りました。

 アパート、マンション、スナック、バー、ラブホテル等々、そこにおいて真面目に商売しておられる方々がきちんと報われるということ。(発言する者あり)別に不真面目なものがあると言っているわけじゃありません。皆さん真面目にやっておられるんだと思います。

 それが報われない、これでやめちゃわざるを得ない、業種によってそういうようなことが、違いが出るというのは決していいことだと思っておりませんので、それぞれの、大変恐縮ではございますが、この場合どうなんだという個々のお話を、それぞれ全部個々に対応すると言っているわけではなくて、それを何かカテゴライズすることは可能なんだろうと思っております。

 お話を聞かせていただきまして、経産省におきまして適切に対応することになろうかと思います。よろしくお願い申し上げます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 たくさんお話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。本当にここが大事なところだと思いますので、よろしくお願いいたします。武藤大臣もよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 それでは、お米の質問に参ります。

 質問に入らせていただく前に、今日、小野寺自民党政調会長と江藤農水大臣の間でやり取りがありました。水田利活用の五年の水張りルールをやめますということですね。

 こちらについては、私も思わず拍手してしまいましたが、遅いんですよ。遅いです。ありがとうございますとは思いますけれども、遅いです。もう三年間たちました。二〇二一年の冬からですよね。去年もおととしもその前の年も、私たちも何度も何度も国会で質問に取り上げてきました。恐らく与党の方々も、部会では声を上げられていらっしゃったのかなというふうに思います。

 この三年の間に、もう米作りをやめたという方がいらっしゃったかもしれません。時は金なりで、失ったものは戻ってこないという可能性もありますので、江藤大臣には頑張っていただいたと思いますが、そこは感謝と怒りの気持ちがあるということは受け止めていただきたいと思います。

 そして、今、お米の値段で多くの方々が困っていらっしゃいます、怒っていらっしゃいます。

 パネルの六にありますように、この一年間でお米の値段は一・六五倍になりました。今日、もう東京の速報値が出たようですけれども、一年前と、七〇%の上昇、そのような消費者物価指数が出てしまいました。

 その中で、私の能登も米どころですから、去年の夏ぐらいのときには、農家の方々は、ああ、ほっとした、これが正直なところでした。ただ、今はもう心配しています、みんなお米を買ってくれなくなったらどうしようかと。消費者の方も、当然ながら困っていらっしゃいます。

 そして、江藤大臣も先ほどこちらで答えていらっしゃいましたが、去年はおととしと比べて十八万トン多く米が取れました、よかったですねということですよね。そして、秋になれば、冬になれば新米が出るから米価が落ち着くかなと思っていたら、集荷の段階で十七万トン少ないということですね。米価が更に高騰している。では、どこに問題があるのかということです。

 江藤大臣も、先日、記者会見で、足りないはずがないんですよ、必ず米はある、しかし、これは商取引ですから、出さないことはけしからぬとかそういうことはやはり言えないんだろうと思いますと言われました。健全な状態ではないとも言われました。そのとおりだと思います。ですから、今回、備蓄米制度の運用ルールの見直しに至ったということだと思います。

 総理に伺います。

 買占めや売惜しみはいけませんよ、国はいざとなったら売りますよということのアナウンス効果を狙った今回の備蓄米制度の運用ルールだと思いますが、今の米価は望ましいものではない、異常である、そして流通に問題がありとの認識で捉えていらっしゃるか、御見解を伺います。総理の見解ですから。

石破内閣総理大臣 私は、米の値段というのは基本的に市場原理で決まるべきものだと思っております。そこにおいて、再生産が可能になる、そういうような価格であるべきだと思っております。

 こんなことではもうやってられぬわということでやめてしまう、そしてまた、そのやめちゃった水田がそのまま耕作放棄地になるということは決していいことだと思っておりませんので、基本的に、再生産が可能になる、そういうようなお米の値段であるべきだと思っております。

 これが、いろいろ政府の備蓄米が市場に出るということになって、その適切なアナウンス効果が発揮をされ、消費者の方々が納得がいく、負担感が少ない価格になっていく。つまり、生産者の方が作ったお米はもう手元にないわけでございまして、今年の収穫米からきちんとそういう投機的な取引がなされないというメッセージが発せられることも、併せて極めて大事なことだと思っております。

近藤(和)委員 このお米の値段が望ましいかどうかというところ、そして流通に問題があるのではないかということに対しては、ちょっと、かなり不明確な答弁だったと思いますので、もう一度お願いいたします。

石破内閣総理大臣 失礼しました。

 足らざるは農水大臣から答弁申し上げますが、流通制度に問題があるというよりも、そこにおいて投機的な取引、そういうものが行われることが問題だと思っております。制度そのものに根本的な問題があると私は認識をいたしてはおりません。

近藤(和)委員 根本的な問題がないという認識であれば、少し、このままでは解決しないのではないかなという心配をしています。

 私も流通の方を一方的に悪いと言うつもりはなくて、健全にやってこられた方もいらっしゃいますし、駆け込み的に、今のうちに稼いでしまえという、飛び込み的にやってきている方もいらっしゃるんですよね。いらっしゃると思います。そこはしっかりと、今後この国会で、適正な価格とは何なのかという議論もするはずですから。不適格な方々もどこかでは現れてくる、残念なことですけれども、そういう方々が現れてのこの米価の現象だということは共通認識として持ちたいと思います。

 最後の質問になりますが、やはり上がっても困る、下がっても困るということですね。

 パネルの四、こちらは、お米のいわゆるコスト、青色の線の生産費と、相対取引価格を長期のグラフで示したものです。

 これによって何を言いたいかといいますと、青色の線はいわゆるコストですから、相対取引価格でさえも、青色を上回っているときの方が少ないんですよね。だから、農家の方々は、お米なんて、お米を作っているのに飯が食えぬという、これは田舎の議員であればみんな聞かれていることだと思います。

 こういう現状に対して、そもそもが、総理が言われたように、市場は価格だと思います。ただ、一方で、所得の方は政策でやっていかなければ、この未来の予測、二〇二四から二〇三〇、二〇四〇のグラフを見ていただきますと、二〇三〇年では農地は三割減る予想、そして二〇四〇年では更に八十万人減る、もっともっと米が作れなくなります。恐ろしいです。

 総理の、元々二〇〇九年の農水大臣のときにも、最後、御退任されるときに、米政策の第二次シミュレーションを出されましたよね。生産調整をやめて、そして、赤字の農家には所得を補償していくべきではないかと。これは私たち野党がずっと言ってきています考えとほとんど一緒なんです。根っこは一緒なんですよ。

 改めて、根っこが一緒、米価が上下に振られる今の状況というのは望ましいことではない。そして、食料の安全保障ということに関しても、農政をしっかりと転換していく。水田利活用のルールも三年間かかって転換していただきましたが、総理の持論からしても、恐らく二十年、三十年の時を経ていると思います。今、総理大臣なんですから、私は今転換すべきときだと思いますが、いかがでしょうか。

安住委員長 質疑時間がそろそろ終了するので、総理の答弁が最後になりますから。

石破内閣総理大臣 生産者の方々への支援の在り方は、新たな食料・農業・農村基本計画の策定、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で議論を深めてまいるということになります。農水大臣の方から基本的な方向性というものが示されるということに相なっております。

 私は、直接所得補償というのをあながち全部否定はいたしておりません。ただ、広くあまねく皆さんにやるということは、私は必ずしも適当ではないと思っております。どういう方々を対象としてやるならやるのかということと、そして、二反、三反という、そういうものが多くあって、それが分散錯圃状態にあってコストがずっと高いままというのは、私はそれはやはりいいことだと思っておりません。

 いかにしてコストを軽減するか、あるいは、それを貸し出して賃料を得るということが、一部の大規模な稲作農家に負担が行かないか等々、今まで問題となった点がたくさんございますので、江藤大臣の下でそこは整理をして、新しい米政策というものを示してまいります。

 今までのように農地がどんどんと耕作放棄地になるという状況は止めていきませんと、日本国が世界の中でかなり無責任な立場になるというふうに思っておりますので、是非とも今後とも議論を深めさせていただきたいと思っております。

近藤(和)委員 熟議の国会ですので、根っこは近いと思いますので、同じ方向で進んでいけたらと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

安住委員長 この際、今井雅人君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今井雅人君。

今井委員 立憲民主党の今井雅人でございます。どうぞよろしくお願いします。

 最初にちょっと雪の話なんですけれども、先日の衆議院の本会議で、今年の雪害について、石破総理が特別交付税なども使ってしっかり対応されるということを伺いましたけれども、その際に是非お願いしたいことがありまして、ちょっと今日、最初にこの問題を取り上げます。

 お手元の資料のところに、最初のこれですけれども、これは私の選挙区の飛騨市の市役所が作った資料なんですが、これは、除雪の費用で、除雪ドーザーという除雪をする機械、このコストが実は十二年で二・二倍に増えていまして、つまり除雪費用が物すごく高騰しているんですね。

 ですから、今年のように雪が本当に多いときにはこの費用が以前よりも倍かかっているということで、この予算が本当に自治体の大変大きな負担になっておりますので、特別交付税の増額も含めて、対応されるときには是非こういうところもしっかり見ていただいて対応していただく必要があると思いますけれども、その点についてのまず総理の御見解をいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 委員の御地元が物すごく雪が降るということは承知をいたしております。

 今年がどうなのか、直近の数字は存じませんが、国によります道路除排雪経費の補助、特別交付税の交付、これは、その年の降雪状況、そしてまた、委員が御指摘になりましたように、これだけ除雪ドーザーの単価が上がると相当自治体の負担というのは重いということ、またよく認識をいたしました。適切に対応させていただきます。

今井委員 またこれから大雪が降るようでございますので、しっかりよろしくお願いします。

 次に、昨日、大阪の高裁の方で森友学園の、森友関連文書の開示を求めた裁判の判決が出まして、一審を覆して不開示命令を取り消すということが出ました。亡くなられた赤木俊夫さんの妻雅子さんは本当に喜んでおられたんですけれども、ちょっとまずは確認なんですが、総理はこの赤木雅子さんに何度かお会いになって、その後もやり取りがあるというふうに伺っておりますけれども、まずその点は事実かどうか確認させてください。

石破内閣総理大臣 この方は、元々国鉄に奉職をしておられた方でございますが、国鉄民営化のときに今でいう財務省、税務当局の職員になられて、それの最初の任地が私の選挙区であったやに聞いております。また、京都の大学に通信で、高い教育を受けなきゃいかぬという向学心で勉強しておられたときに舞鶴というところに行っておられましたので、そんな御縁もありまして、個人的にあちら様の方から親近感を感じていただき、お亡くなりになった後ですが、お話をさせていただいたことは奥様とはございます。

今井委員 違っていたら言ってください。報道によりますと、この方は、再調査を是非していただきたいということで当時の岸田総理に手紙を書いた、それに対して、当時の、石破総理、今は総理が、長い戦いになるかもしれませんが、正義や誠意が通じない世の中はあってはなりませんと、この方を一生懸命支援するようなメールを打っておられたというふうに報道があります。そのほか、テレビのインタビューなどでも、人が一人死んでいる、人生もあれば家族もあった、それをどう考えるのかということだというふうに同情されておられます。

 今、この雅子さんは、やっと、やっと夫の亡くなった経緯が分かるんじゃないかというところまでたどり着いた、もう国は上告をしないでほしいと。そして、これは不開示命令を取り消しているだけですから、まだ開示されるかどうかも分からないんです。それは、両方とも国が決められるんですよ。つまり、国のトップである石破総理が今決められる立場にあるんですね。

 ですから、是非、今までこの方に寄り添ってこられたのであれば、今回の高裁の判決を尊重して、上告はしないで、そして、ある文書は全部開示するということを財務省に指示していただきたい、そのことをお願いしますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今お話がありました、本当に、赤木俊夫さん、真面目に仕事に取り組んでいただいて、お亡くなりになった。改めて哀悼の誠と、また、御遺族に対しては、公務に起因する中において自死に至ったということで、本当に申し訳なく、また、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。

 その上で、今お話がありましたように、今回の判決では国の主張が認められなかったものと承知をしております。まず、私どもとしては、まずは判決の内容を精査した上で、関係省庁とも協議をし、今後の対応について検討していきたい、このように考えております。

石破内閣総理大臣 済みません、判決内容をよく読みたいと思っております。よく精査をしなければなりません。これは、今御指摘になったように、人が一人亡くなった、本当に誠心誠意職務に精励しておられた方が亡くなったということは真摯に受け止めなければならないものと思っております。

 そういうことを踏まえまして、まず判決をよく精査をさせてください。そして、国が適切な対応を取ることができますように、よく財務省あるいは法務省とも相談をしながら、適切に対処をいたしてまいります。

今井委員 今回、何が争点だったかというと、要は、この文書を開示すると捜査にどう影響があるか、今後の捜査にどう影響があるかということで、今回の判決要旨を言うと、文書がいかなるものか明らかになったとしても、将来の同種事件だけではなく、犯罪一般の捜査に支障を及ぼすおそれがあるとは認められない、こういう趣旨で今回は不開示命令の取消しということになっているわけです。

 常識的に考えて、これはほかの事案に影響するなんということはあり得ないと思うんですよね。多分、石破総理も当時はそういうお考えだったと思うんです。ですから、いろいろなところでこういう、サポートするようなお話をされていたと思うんですよ。

 我々は再調査をしてほしいですけれども、再調査はなかなか手間がかかるかもしれません。でも、これは、上告をやめて、あるものを開示する、それだけですから、手間はかからないんですよ。是非そのことを、雅子さんの気持ちになって、総理、決断してほしい。ここで言っていただけませんか。

石破内閣総理大臣 今御指摘の判決文、もう一度よく読ませてください。よく精査をいたしました上で、今回の判決は文書の開示が命じられたというものではございません。つまり、文書の存在、不存在も明らかにしないという存否応答拒否による不開示決定が取り消された、こういうものでございます。しち面倒くさいことを言うつもりはございませんが、よくこの判決文を読ませてください。

 そして、未亡人の方、奥様、そういう方々が納得されるということはとても大事なことだということはよく承知をいたしております。国の行政が適正、適切になされるということは信用の上においても必要なことでございますので、判決文をよく精査させてください。

今井委員 分かりました。それでは、総理、それを、判決文をよく読んで、その結果どういう判断をされたかということをこの予算委員会で報告をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 よく読みます。そしてまた、当事者である財務省あるいは法務当局、よく分析をしながら、自分の今の職責から考えて、思いつきみたいなことはできませんので、適切に、しかしながら、きちんとした理屈を、理論を持ってお答えをできるように努めさせていただきます。

今井委員 この予算委員会の間に総理の決定は教えていただけますか。この予算委員会ではなくて、この通常国会の衆議院の予算委員会の間に。いかがですか。

石破内閣総理大臣 これは、昨日、一月三十日に判決がなされたわけでございますが、上告期間は二月十三日まででございますので、それまで判決は確定しないということになっております。そのことも踏まえて適切に対応いたしてまいります。

今井委員 分かりました。では、それまでに判断をして、どうしてこういう判断になったかということを説明していただけますね。(発言する者あり)

 いやいや、僕は、総理がずっとそういう、私は、この間も議論させていただきましたけれども、総理になる前におっしゃったことと、総理になってからやっていることが違うというのはやはりおかしいと思うんですね。これまでずっと総理の発言を聞いておられたら、やはりこういうことに対してちゃんと開示すべきだというふうにおっしゃっておられるので、だから、それは総理に判断してやっていただきたい。だから総理にお伺いしているんです。いかがですか。もう一度。

石破内閣総理大臣 これは、日本国政府の責任者といたしまして、政府の中に入ってみて気がつくこと、承知したこともございます。ですから、断定的なことは申し上げません。しかしながら、法治国家でございますので、法と証拠に基づいて適切な判断をしてまいる、当然のことだと思っております。

今井委員 二月十三日までに何らかの判断が出ると思いますから、またどこかでお伺いしたいと思います。

 次に、東京都連の裏金の問題についてちょっとお話をしたいと思うんですけれども、先日、自民党都議会が会見を開いていろいろ説明しておられましたけれども、全く分かりません。一番大事なことは、なぜこういうことが起きたのか、いつからこういうことが起きたのか、このことが一番ポイントなんだと思うんですね。それがない限り、その原因が究明されない限り、再発防止できないじゃないですか。

 ところが、ここで発言されている皆さんは、一生懸命思い出そうとしたけれども、いつからかは定かではありませんとか、資料が残っていないので分かりませんとか、何となく前例を踏襲しました、それだけですとか、こういう発言しかないんですね。

 総理、これで自民党の都議会として説明責任を果たしていると思われますか。

石破内閣総理大臣 多くの都民の皆様あるいは国民の皆様方が納得していただくような努力は、今後とも真摯に続けてまいります。十分な納得がいただけるというような認識を、私は今のところ持っておりません。

今井委員 そうしましたら、先ほど、長妻議員とのところで、総理は、これは党の支部でございます、党所属の議員でございますから、それは都連の話、都議会の話なので党本部は知りませんなどということは申し上げませんと。

 これは党本部の責任ですということをおっしゃっていますから、総理の方から、きちっと経緯をもう一度調査をして、説明責任を果たすようにというふうに指示をしてください。

石破内閣総理大臣 今、隣席に我が党の都連の会長もおりますので、全国どこであろうとも、それは党が責任を負わなければいけない。

 ただ、状況はそれぞれの地域の方がより的確に判断をできますので、その地域においてどうしてこういう結論に至ったのかということをもう一度確認をいたしました上で、党本部として適切に対応をしたいと思っております。よく東京都連と相談をしながら答えを出したいと思っております。

今井委員 いや、先ほど総理は、まだ十分だとは思っていないとおっしゃっていたので、だったら、やはり十分だと思われるところまで説明責任を果たすということを都連の方に指導していただきたい、そういうことを申し上げているだけですけれども、いかがでしょう。

石破内閣総理大臣 それは、党本部と都連というものが一体となってこのような政治不信の払拭に努力をするのは当然のことだと思っております。

今井委員 分かりました。それは党本部も責任を持つということで理解をいたしました。

 それで、それに関しまして、自民党の本部の方で、ほかの都道府県でもこういう事案がないのかということを調査されたというふうに伺っております。森山幹事長の方では、都道府県連をめぐっては過去五年の政治資金パーティーの開催状況を調べた、販売ノルマを超えて集めた分の収入を議員に還流させるインセンティブを出していたのは二十二都道府県だった、いずれも不記載は見つからなかったというふうに書いてありますけれども、これは当たり前なんですね。

 資料にもつけておりますが、実は、安倍派の裏金問題が出たときに、各都道府県連は、自分のところを、マスコミがチェックしたりして、いろいろなところで調べているんですね。

 それで、私は記事を集めて見てみましたけれども、実に、この時期に二十以上の都道府県が不記載があって訂正をしています。ですから、今回不記載がなかったなんて当たり前なんですよ。そのときに訂正をしてしまっているんですね。

 問題は、そのときにきっちりと説明責任を果たしたかということなんですけれども、ここに新聞記事をつけております。「「還流」自民地方組織も」というところ、記事がありますね。これを見ますと、大変残念ながら、二十幾つの都道府県で不記載があったんですが、一番金額が多かったのが私の今住んでおります岐阜県でございまして、何と二年間で二千二百七十五万円の不記載があることが判明しました。この後、収支報告の訂正が行われたということなんですけれども、私もずっと確認していましたし、マスコミにも確認したんですけれども、県連あるいは自民党の地方組織の方でしっかり調べて、これを、理由をしっかりと公表しているという経緯が私には見当たりませんでした。

 今日、たまたま岐阜県の県連会長が経産大臣でございますので、私も県連会長なので県連会長同士なんですが、ちょっとお伺いしたいんですけれども、この事案について、岐阜県の県連として、どうしてこれだけの金額が不記載が起きてしまって、それはどういう再発防止をするのかというのは、ちゃんと調査はされましたか。そして、そのことを何らかの形で正式に公表されましたか。

武藤国務大臣 今、岐阜県連の不記載の問題について御質問いただきました。

 予算委員会ですので、私は政府の一員として、本来お答えする立場にはないというその上の中でお答えさせていただきますが、御指摘の不記載の件は、自民党の岐阜県内の支部の記載、支部の収支報告書において、本来記載すべき二〇二〇年、そして二二年に県連から支部に交付した資金について記載が漏れていたという案件だというふうに承知しています。

 従来から、県連が政治資金パーティーで得た収入のうち、各支部の販売割当てに対する一定比率につきましては、還付金として県内の各支部に交付していたところです。県連の収支報告書には各支部への交付金をきちんと記載をしておりまして、県連から各支部には、当該交付金について収支報告書に適切に記載するよう通知していたところです。

 しかしながら、令和五年になりますけれども、二〇二三年、安倍派の記載漏れ、先生が今おっしゃられたとおりですが、記載漏れが判明した際に、県内の各支部で記載漏れがないか確認を行いました。一部の支部において記載漏れがあったことも判明したため、収支報告書の訂正を行ったものと承知をしています。不記載の原因につきましては、担当者が記載を失念していたなどの事務的なミスであると承知をしているところです。

 そして、こうした経緯や原因につきましては、マスコミ等からの取材を受けておりまして、丁寧に説明を行ってきていたというところであります。

 以上です。

今井委員 二十幾つ調べたんですけれども、確かにここは事務ミスだなというところもあるんです。僅か数万円とか数十万円とか、それは多分事務ミスなんだろうなと思うんですけれども、二年間で二千三百万円近くですよ。しかも、起きている現象は、県連の方には載っているけれども、支部の方に載っていない。これは安倍派のケースと同じなんですね。派閥の方には載っていたけれども、もらった側は載せていない。ケースとしては同じなんですよ。

 その後、収支報告をいろいろ訂正しているんですが、僕はこの訂正も本当におかしいと思って見ていたんですね。これは、ある一つの支部の訂正の内容なんですけれども、どういう訂正をしているかといいますと、こういう不記載があったというふうに言われたので、その分は収入を増やしています。支出は変えていません。結果として繰越金が増えている。

 つまり、これは読みようによってはどう読めるかというと、大体、最後の残高なんかは通帳の残高と合わせていますから、そことは合いませんでした、自分でもらったお金をもらっていて、それを収入にも載せて、繰越しにも載せているんですと。つまり、これは私が裏金を持っていましたと言っているような訂正なんですよ。まるで、これは私が載せないで裏金で持っていましたと言っているような訂正の仕方なんです。

 総理、やはりそういうふうにこれは見えませんか。支出が何にもない、収入だけ上げ漏れていましたという訂正をしているんですよ。これを御覧になってどうお感じになりますか。

石破内閣総理大臣 恐縮です、今日初めて拝見をしましたが、確かに金額がやたらと大きいですね。ただ収入を増やして繰越金の方、つまり、何に使ったかよく分からぬねということの御指摘なんだろうと思っております。

 事実、そういうことだと思いますが、どうしてこんなことが起こったのか、単なる事務ミスであったのか、そこは、経産大臣、岐阜県連会長でもございますので、それがそれぞれの支部において、どうしてこういうことが起こったのかということは、我が党の岐阜県の支持者の方々に対しましても、あるいはそれぞれの支部の支持者の方々に対しても説明責任はありますので、これは更にきちんと把握をして説明をいたさせたいと思います。

今井委員 私が岐阜県だからこの話を持ち出したんじゃなくて、たまたま一番金額が多かったから出しているんですけれども、ほかも同じなんですね。

 何が申し上げたかったかというと、今回の党本部の調査が不十分じゃないかということを言っているんです。形式的に今直ってしまっていますけれども、訂正しているから。でも、その裏に一体何があったのかというところまで調べていないじゃないですか。

 だから私は、これは不十分だからもう一度調べるべきだというふうに思うんですけれども、あるいはもう一度それぞれの都道府県に照会をするべきだと思いますが、総裁としていかがお考えですか。

石破内閣総理大臣 これは、東京都議会自由民主党の問題が指摘されて以来、我が党の幹事長に指示をいたしまして、四十七都道府県、きちんとすぐ調べるようにということで、かなり詳細な調査を行って報告をしたものでございます。私も鳥取県連会長でございますが、それぞれの県において、かなり正確に把握をし、報告をしておるものでございまして、いいかげんなものだというふうには考えておりません。

 仮に今後そういうようなものが判明をすれば厳正に対応するというのは当然のことでございますが、今の時点で党として、これは会計監査も当然ございますので、そこでいろいろな帳票を見ながら時間をかけて会計監査をしておりますので、そのようにいいかげんなものだとは思っておらないところでございます。

今井委員 どうしてももう一つ聞かなきゃいけないことがあるのでこれで終わりますけれども、やはり、先ほどもありましたけれども、国民はまだ説明責任をしっかり果たしていないという判断をしていますから、こういう問題についても、私もこれからもう少し掘り下げますけれども、党としてしっかりと説明責任を果たしていただきたいということをお願い申し上げておきます。

 次に、伊藤復興大臣にちょっとお伺いしたいと思います。これも余り聞きたくないんですけれども、聞かざるを得ません。

 昨年の臨時国会でも話がありましたけれども、伊藤復興大臣が代表をやっておられる支部が二年間収支報告書を提出していなかったということがございましたけれども、御自分は、法律を違反している、あるいは法律を違反した状態にしばらくずっとあったという認識はございますか。

伊藤国務大臣 今井先生の質問に答えさせていただきます。

 政治資金規正法上、収支報告書の提出が義務づけられているのは、政治団体の会計責任者及びその職務を補佐する者であると規定されております。

 その上で、事実関係を御説明申し上げますと、知多支部長を務めておりました二〇〇九年、平成二十一年の分の収支報告書については、当時の事務担当者を信頼をしておりまして、会計手続を任せた結果、未提出となってしまいました。

 二〇一〇年、平成二十二年分の収支報告書につきましては、私は二〇一〇年の春に知多支部長の職を離れておりましたが、当時の支部長であった者に、事務的ミスにより未提出であったということでございます。

 これらにより二年連続で収支報告書が未提出であったことは大変遺憾なことだというふうに私自身も思っております。

 また、知多市支部がみなし無届け団体となったことは、私が支部長を退任した後の二〇一一年、すなわち平成二十三年の四月であると承知をしておりますけれども、それにしても、私自身も関係をしておりました団体がかような心配をおかけしたことについては、率直におわびを申し上げなければならないと思っております。

 以上でございます。

今井委員 資料につけていますけれども、平成二十三年六月十日に愛知県の公報に載っているんですね。二年間出していませんよという、選挙管理委員会告示というところでわざわざ公報が出ているんです。それからずっと放置されているわけですね。

 これは、二年間出さないと、それ以降その支部は寄附ももらえないし支出もできないという状態だったんですけれども、でも、後任の方は、寄附ももらってしまっているし支出もしているんです。つまり、法律違反しているんですね。これは、伊藤大臣がそういう、二年忘れたことによってその人たちを巻き込んでいるんですよ。その人たちに違反行為をさせてしまっているんです。だって、支出ができない、寄附ができないところでしてしまっているんですから。同じ支部ですよ。

 ですから、やはり責任は非常に重いと僕は思いますので、そこはやはり一定の責任を僕は取るべきだと思いますけれども、政治家としての責任をどう取られるか、もう一度お答えください。

伊藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 二〇一〇年、平成二十二年の春以降につきましての、知多支部長の職から離れ、支部の活動内容は承知しておりませんでしたので、当時の知多支部長に確認をさせていただいたところ、現在そのお金につきましても返金のための準備をしているとの回答を受けたところでございます。

 今後適切に処理されるものと承知をしておりますが、それにしても、私の関係していた団体がこのような御心配をおかけしたことについては、率直におわびを申し上げたいと存じます。本当に、これからしっかりと、自分自身も含めまして引き締めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

今井委員 最後に、総理、この任命責任をどう取られますか。

石破内閣総理大臣 今、復興大臣が真摯におわびをしたところでございます。二度とこのようなことがないように、内閣も気を引き締めてやってまいりますし、復興大臣も、よくよくなぜこのようなことになったかということを真摯に反省をしながら今後対応をする、このように考えております。任命責任は私にございます。

今井委員 責任もしっかり取らない、説明責任も果たさない、これでは国民の信頼は戻ってこないということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 次回は、来る二月三日午前八時五十五分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.