衆議院

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第20号 令和7年3月13日(木曜日)

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令和七年三月十三日(木曜日)

    午後三時五十分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 井上 信治君 理事 齋藤  健君

   理事 牧島かれん君 理事 山下 貴司君

   理事 岡本あき子君 理事 奥野総一郎君

   理事 山井 和則君 理事 三木 圭恵君

   理事 浅野  哲君

      井出 庸生君    伊藤 達也君

      河野 太郎君    後藤 茂之君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      高木  啓君    田所 嘉徳君

      田中 和徳君    谷  公一君

      田村 憲久君    土屋 品子君

      西銘恒三郎君    平沢 勝栄君

      深澤 陽一君    福原 淳嗣君

      古屋 圭司君    松本 洋平君

      今井 雅人君    大西 健介君

      岡田 華子君    神谷  裕君

      川内 博史君    黒岩 宇洋君

      近藤 和也君    酒井なつみ君

      階   猛君    野田 佳彦君

      藤岡たかお君    本庄 知史君

      米山 隆一君    早稲田ゆき君

      池下  卓君    徳安 淳子君

      西田  薫君    玉木雄一郎君

      長友 慎治君    橋本 幹彦君

      赤羽 一嘉君    大森江里子君

      河西 宏一君    櫛渕 万里君

      田村 貴昭君    緒方林太郎君

    …………………………………

   内閣総理大臣       石破  茂君

   財務大臣         加藤 勝信君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   予算委員会専門員     中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  山崎 正恭君     大森江里子君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     井出 庸生君

  高木  啓君     福原 淳嗣君

  神谷  裕君     岡田 華子君

  酒井なつみ君     野田 佳彦君

  橋本 幹彦君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     稲田 朋美君

  福原 淳嗣君     高木  啓君

  岡田 華子君     神谷  裕君

  野田 佳彦君     酒井なつみ君

  玉木雄一郎君     橋本 幹彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 予算の実施状況に関する件(高額療養費等)


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 予算の実施状況に関する件、特に高額療養費等について調査を進めます。

 この際、石破内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣石破茂君。

石破内閣総理大臣 近年、高額な薬剤の普及などにより、高額療養費の総額は医療費全体の倍のスピードで伸びており、健康保険組合では、一千万円以上の医療費がかかるケースが十年間で約七倍となっております。

 他方、この制度は、前回、平成二十七年に見直しを行って以降、見直しを行っておらず、自己負担以上に保険料負担が増大しております。

 今後もこのペースで増加し続けた場合、この制度の持続可能性を維持できるのか、現役世代を中心に保険料負担はどうなるのかといった課題があります。

 こうしたことから、全世代型社会保障の改革工程を踏まえ、厚生労働省において、社会保障審議会医療保険部会において議論を重ね、物価、経済の動向を反映した定率改定と所得区分の細分化による所得に応じた負担の徹底という見直しを行うこととし、こうした内容を盛り込んだ令和七年度予算を提案いたしました。

 これらは、所得に応じた配慮を行うものであるとともに、激変緩和の観点から、段階的に三回に分けて施行していく案としていたところでございます。しかしながら、本委員会において、各党各委員から、患者、当事者の声を直接聞いてほしい、決定プロセスに丁寧さを欠いているのではないかといった様々な御意見をいただきました。

 これを受け、厚生労働大臣及び厚生労働省において、患者団体とそれぞれ複数回面会し、当事者の皆様の切実なお声をお伺いいたしました。私自身も、その際に寄せられた御負担の状況や不安なお気持ちについて、厚生労働大臣等の面会の都度報告を受け、真摯に受け止めさせていただきました。

 御意見の多くは、長期にわたって治療を継続される方々の不安の声でありましたので、二月十四日、長期に療養される方の御不安や負担感に最大限配慮する観点から、年に四回以上高額療養費に該当する方の自己負担限度額を据え置くことにいたしました。

 他方で、その後、患者団体の皆様や本委員会における御意見として、現在、多数回該当に当たる方の負担額は上がらないとしても、今後、長期に療養される方について、負担限度額が引き上がった結果、多数回該当に当たらない方が生ずるのではないかとの御指摘がありました。

 こうしたお声にもきめ細かく対応するため、二月二十八日の本委員会において、立憲民主党野田代表の御質問に対し、新たに多数回該当の判定基準を設けることを含め、令和八年度以降に実施する所得区分の細分化については、本年秋までに改めて検討し、決定することといたしました。

 その結果、関係各位の御理解もいただき、三月四日、本衆議院において、政府提案の予算を修正いただいた上で可決いただいたところであります。

 しかしながら、その後、参議院予算委員会での審議の過程においても、各党各会派の委員から引き続き御意見をいただきました。

 委員会に出席された患者団体の方の御要請を受け、先週七日には、私自ら患者団体の皆様と直接面会し、その思いをお聞きいたしました。その際、これまでの修正経緯等について説明をし、出席された皆様からは、これまでの修正経緯について一定の評価をいただいたものの、本年分の定率改定を含め、今回の見直しについて、なお御理解をいただくには至りませんでした。

 高額療養費制度を将来にわたって守っていくためには、保険料をお支払いいただく方々の御理解もいただきつつ、増加する高額療養費の費用を皆が負担能力に応じて支え合う仕組みとすることが必要です。保険料を負担する被保険者の方々の声に応えるためにも、制度の見直し自体には御理解をいただきたかったところでありますが、患者団体の皆様からは、それでも受診抑制につながるおそれがあるとの御意見がありました。

 ここに至るまで患者団体の皆様に御理解をいただけない理由の一つとして、本件の検討プロセスに丁寧さを欠いたとの御指摘をいただいたことは、政府として重く受け止めなければならないと考えました。患者の皆様に御不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではございません。

 こうしたことから、先週七日に、本年八月に予定される定率改定を含めて、見直し全体について実施を見合わせるという決断をいたしました。本年秋までに改めて方針を検討し、決定することといたします。

 この方針について、与党に対し、所要の手続について検討するよう指示したところ、与党より、令和七年度予算の再修正という方針が示されたと承知をいたしております。政府としては、与党での検討を踏まえて、適切に対応してまいります。

 今後の具体的な検討の方向性について、現時点で予断を持って申し上げる段階にはありませんが、保険料負担の抑制や制度の持続可能性の確保とともに、患者の方々の経済的な御負担が過度なものとならないようにすることが重要です。

 検討に当たりましては、保険料を負担する被保険者の皆様からの御意見も拝聴しつつ、患者の方々のお話を十分伺い、その御理解をいただくべく最善を尽くしてまいります。

 予算が衆議院を通過した後に再度修正することになったという経緯については大変申し訳ないことでありますが、政府といたしましては、両院各党各会派の皆様の御意見を承りながら、引き続き、予算の年度内成立に向けて努力してまいる所存であります。

 高額療養費制度が患者の皆様にとって大切な制度であるからこそ、丁寧なプロセスを積み重ねることで、これを持続可能なものとして次の世代に引き継いでまいりたいと存じますので、何とぞ御理解を賜りますようお願いを申し上げます。

    ―――――――――――――

安住委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省保険局長鹿沼均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田村憲久君。

田村(憲)委員 自由民主党の田村憲久です。

 ただいま総理が、本年八月に予定をしておりました定率改定も含めた高額療養費の見直しというものを見合わせるということをおっしゃられました。我々も賛同させていただきたいというふうに思います。

 我々も、これは政令改正でございますので、事前審査案件ではないんですが、予算が絡んでおりますから、与党としてチェックをしたわけでありますが、十分にし切れていませんでした。その点は反省をしなければならないというふうに思っております。

 その上で、患者団体の皆様方からもお話をお聞かせをいただきました。医療の進歩、医薬品の技術の進展等がありまして、やはり高額な医療というものを長期間、今まで以上に長期間受けられる方々が増えてきているという実態がありました。それ自体、十分に我々は思いがそこに至らなかったということ、これも反省をしなきゃいけないなということであります。

 長期間でありますから、かなり生活に影響が出てまいります。そこで、多数回該当という、四回以上、これに対しての引上げというものを見合わせるということを提案もさせていただいたわけでありますが、ただ、やはり事ここに至っては、患者団体との信頼関係というものが築けておりませんので、全面的に見合わせるということ、これは当然であろうというふうに思います。

 一方で、今、全体を考えたときに、医療費自体が伸びているのは事実でありまして、今総理がおっしゃられたとおり、医療費の伸びよりも高額療養費の伸びが倍ぐらいのスピードだということであります。

 我々も手をこまねいてきたわけではございませんでして、いろいろなことをやってまいりました。高齢者の方々に二割負担を一部導入をさせていただいたりでありますとか、それから、後発薬のある先発薬品を使う場合には一部差額を負担いただくでありますとか、薬価制度も何度も見直しまして、中間年改定をやる中で薬価を抑えてきたということがあります。

 パネルを見ていただきたいんですが、実は、そういう中において、八十六品目、二〇二三年、これは日本の国に申請が出てきていないという状況になってしまいました。薬価を抑えたのもその一つの要因であります。結果的に、患者団体からは、この薬が承認されていれば治療ができるのになというようなお声もいただいております。

 そういう意味で、いろいろなことをやってきたんですが、もう限界に来ているのも事実でありまして、海外の製薬団体にお話をお聞かせいただきますと、こういうことを続けておったのでは、日本に新しい薬というものを申請しづらい、こういうお声もいただいております。技術の進展を、患者の方々が恩恵を被れない、こういう状況もあります。

 一方で、じゃ、軽度な医療を保険から外せ、そういう議論もあります。ただ、子供たちは軽度な医療をよく受けているんですね。今、子供は医療の無償化というものを進めている中で、これに反します。一方、高齢者はといいますと、これもパネルを見ていただきたいんですが、やはり加齢に伴う疾病リスクというのは高うございまして、八十五歳以上の方々は年百万円以上かかっているんですね。

 これはまさに若い方々と高齢者の分断ではなくて、やがて若い人たちも高齢者になります。そのときに、加齢に伴う、言うなれば疾病リスクというもの、これに負担というものの不安が重なりますと、若い方々の今の消費にも当然影響が出てくるわけでありますから、これも、何度も何度も負担を上げていくというのは限界が来ているということであります。

 そんな中での今回の高額療養費の議論であったというふうに思うんですが、総理には三問お聞きしたいんです。

 まず、今回、高額療養費の見直しの意図というもの、これは何であるのか。そして、見合わせたわけでありますね、これに対する思いというもの。さらには、これは秋に検討という話もありますが、来年度は負担が増えるということではないのであろうと思いますが、それに対する確認。この三点をお願いいたしたいと思います。

安住委員長 石破内閣総理大臣、ちょっと時間が来ますので、簡潔に答弁をお願いいたします。

石破内閣総理大臣 今までの経緯につきましては先ほどるる申し述べたとおりでございますが、特に、経済、物価動向に対応した本年八月の定率改定は、中間所得層の方で年収の〇・一から〇・二%に当たる引上げであるとともに、低所得者の方の引上げ率は抑えるというふうにしておったところでございます。

 当初の見直し案では、最終的に、国費千百億円、保険料負担三千七百億円の抑制が図られ、加入者一人当たりの保険料負担としては、年額一千百円から五千円に相当する抑制となるものであり、保険料を負担する被保険者の方々のお声に応えるためにも、説明を尽くしてまいりましたが、なお十分御理解をいただくには至りませんでした。本年秋までに改めて方針を検討し、決定することといたしておりまして、来年度中に何らかの見直しを施行することは考えておりません。

 この重要な高額療養費制度を守っていきたいという思いは皆様も共通というふうに考えております。今後の検討に当たりましては、保険料を負担する被保険者の皆様方からの御意見も承りつつ、患者の方々のお話を十分に伺い、その御理解をいただくべく、あえて申し上げますが、最善を尽くす、その努力を最大限にいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。

 よろしくお願いを申し上げます。

田村(憲)委員 終わります。

安住委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 立憲民主党の野田佳彦です。

 総理、よろしくお願いをいたします。

 政府の元々の方針としては、今年の八月から三回に分けて高額療養費の自己負担の上限の引上げをしていくという方針でございました。でも、患者団体の皆さんの強い反発、白紙に戻すように、一旦立ち止まって考えるようにという御要請があって、ようやく白紙撤回に至ったということでありますけれども、これも、あくまで、やはり患者団体の皆さんの危機感といいますか、その後の熱意ある行動というのは目をみはるべきものがありました。それが野党を動かし、与党を動かし、最後は政府を動かしたんだろうと思います。

 我々もその後押しをするための論陣を張ってきましたけれども、結果的には白紙撤回まで来たということについて、お役に立てたとするならば少し安堵するところもありますが、ただ、結果的にはそうなりましたけれども、私は、石破政権の姿勢というのは、余りにも二転三転感があり過ぎたと思っています。

 一回目の修正が二月十四日でございましたね。これは一部修正でございました。長きにわたって治療を要するような人たちのための負担の調整をするための修正でございました。

 そして二回目が、ちょうど私が予算委員会の集中審議でこのテーマを取り上げさせていただきまして、八月からの引上げも含めて白紙撤回をするように申し上げましたけれども、これは定率改定であるから、ここだけはどうしても実現をさせてほしいということで、頑として受け付けなかったのが総理のお立場でございました。過ちを改むるにはばかることなかれと申し上げましたけれども、ここはかたくなに、二回目、三回目からは見直すけれども、一回目だけはどうしても引き上げさせてほしいという、この姿勢は変わらなかったんですね。

 その結果、三月四日の予算の修正がありましたけれども、その後、参議院に行って、参議院に入って審議が三日目にして、今度、三回目の修正をすることになりました。

 私は、状況の変化はなかったんだろうと思います。大きな変化、定率改定の必要性を説いていた状況は変わっていなかった。心境の変化だけ、変わったんですね、心境の変化。四日から七日、僅か三日間です。

 それは、患者団体の皆さんとお会いをしたからということが多分一番の原因と、先ほどの御説明ではありましたけれども、患者団体と接した厚労省とのやり取りというのは、ずっと報告が入ってきたはずです。

 にもかかわらず、心境の変化があったとするならば、それは、選挙を前にした自民党、公明党からも、公然とその見直しが、予算委員会の中で、参議院の予算委員会で出てきたからということが大きかったんじゃないんでしょうかと私には思えるんですけれども、二〇二五年度当初予算を再修正するという方針を固めた理由というのを、改めて端的に御教示をいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 今なお御理解をいただくに至っていないということを私自身が実感をしたということでございます。

 それは、患者団体の方々と、福岡大臣あるいは厚生労働省、複数回といいますか、三回、四回だったと思います、状況を丁寧にお聞きをした。そして、その都度報告も受け、やり取りも全て報告を受けてまいりました。

 十年間やってきておりませんので、物価上昇分、賃金上昇分、その分だけは是非とも御理解をいただきたいということで、もちろん、上がらない方がいいにこしたことはないのですが、この制度を維持していかねばならぬ、私どもとして、この制度が重要なものであらばこそ、持続可能性を維持するためにそれだけは御理解いただきたいということで、何とか御理解をいただけたのではないかという判断を私自身もいたしたところでございます。さればこそ、衆議院でも、あのような形で、参議院に送付をいただきました。

 参議院においてまたいろいろな御議論をいただき、患者団体の方々と私自身が直接会うということをお約束いたしました。かなり濃密な議論も厚生労働大臣とともにさせていただき、御意見も承りました。そこでの実感は、なお御理解をいただくに至っていないという判断を、それは状況は変わっていない、心境の変化だというふうに御指摘をいただけば、そのとおりでございます。

 私自身、患者の方々の御納得をいただかないままにこれを通すということ、かたくなにという言葉をおっしゃいましたが、患者の皆様の御理解をいただけないというふうに私自身が心情的に思ったということでございます。

野田(佳)委員 私は、予算修正すること自体は決して悪いことではないと思っておりまして、欧米のように、アジアでもありますけれども、政府が提出した予算案を、与野党が真剣に議論して、よりよい予算にするために修正をするというのは、去年の臨時国会では二十八年ぶり、今年の当初予算をめぐる修正は二十九年ぶりと言われていますけれども、そういうことがもっとあってしかるべきだと思いますので、予算修正自体は否定をするものではありません。

 ですけれども、三月四日に衆議院で予算修正をして、それが通過をして三日後です。だったら、何だったんだろう、あの衆議院の予算審議は、何のための予算審議だったと思わざるを得ないんですよ。これはやはり混乱としか言いようがありません。

 だったら、もっと早く患者団体に会うべきだったんじゃないんですか。そういう心境の変化になるんだったら、もっと早い段階で、衆議院の予算審議の佳境に入ってきた時点で、御自身が患者団体の皆さんと接すべきだったんじゃないですか。そこに反省はないんですか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 御指摘はそのとおりでございます。

 私も厚生労働大臣から何度も報告を受け、あるいは、実際に患者団体の方々と接した厚生労働省の担当者からも何度も報告を受けました。何とか御理解をいただくに至ったというふうに判断をした私の判断が間違いだったといえば、そういうことでございます。したがいまして、もっと早く聞くべきだったという御指摘は甘んじて受けなければなりません。

 さればこそ、二院制の意義というものがあるのだろう。そこに十分に、私自身、お目にかかるべきだったという判断をしなかったが、参議院において、参考人で患者団体の代表の方々も質疑の中で御意見を述べられ、そしてまた、実際にお目にかかるという機会を得ることができました。

 したがって、二院制の意義、熟議の国会というのは、そういうものも意義あることだったと存じますが、代表おっしゃいますように、衆議院の審議段階で会っておくべきだったという御指摘をいただけば、それはそのとおりでございます。大変申し訳ございません。

野田(佳)委員 率直にお認めになりましたから、このことについてはこれ以上申し上げませんけれども、その結果、高額療養費の自己負担上限額引上げ、これの見送りに伴って、今回は、だから、百五億円の増額修正になるんですよね。

 その百五億円は、どのような財源の捻出をお考えですか。お答えいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 この制度につきましては、今般、見直し全体について実施を見合わせ、本年秋までに改めて方針を検討し、決定することとしたというのは先ほど来申し述べておるとおりでございますが、今後の必要な手続につきましては、先般、与党より、令和七年度予算の再修正という方針が示されております。

 国会法五十九条、すなわち、内閣が、各議院の会議又は委員会において議題となった議案を修正し、又は撤回するには、その院の承認を要する。ただし、一の議院で議決した後は、修正し、又は撤回することはできない。これが国会法第五十九条の規定でございます。

 この規定に基づきまして、衆議院で議決いただきました予算を政府が修正することはできませんため、与党において、財源面を含めた予算修正全体の姿を検討いただいているもの、このように承知をいたしております。

 政府といたしましては、与党での検討を踏まえ、適切に対応いたしてまいります。

野田(佳)委員 与党の検討を待っている、その間には財源のイメージはないということですか。

 私は、それも与党とよく連携をしながら、せめて財源はどういうものでということをこの場で答えられるようにしてこなければ、予算審議で、衆議院でこの問題というのはなかなかできないじゃないですか。私は財源なくして政策なしだと思っていますので、修正に関わるときも、財源については明示してもらわなければいけないと思っています。

 総理のイメージはないんですか、行政のトップとして。だって、再修正を決めた最終責任者は総理じゃないですか。だったら、財源の裏づけを持って修正すべきだと思いますけれども、いかがですか。

石破内閣総理大臣 もちろん、方法としては、こういうアイデアがあるということはございます。

 ただ、今、私どもとして修正し、撤回をすることはできないという国会法の規定がございますので、そのことについて、もちろん与党といろいろな議論をすることは必要でございますが、この国会、予算委員会の場においてそのことに言及することは差し控えたいと存じております。

 そういうことに全くアイデアがないとか、そんな無責任なことを申し上げるつもりはございませんが、与党において今御議論をいただいているときに、そういう立場にあります政府がここにおいて言及をすることはいたしません。

野田(佳)委員 私は、先般、我々の予算の修正案は否決されてしまいましたけれども、やはりペイ・アズ・ユー・ゴーの精神というのはお互いに持って共通の政策を語っていきたいと思いますので、問題提起をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、これからのプロセスについてお聞きをしたいと思います。

 政府は、秋以降に再び改革案を提示する方向であるということであります。なぜ秋までなんでしょうか。

 私は、深い反省をしてほしいと思っているのは、石破政権が発足をして、約一か月の間で四回の審議会で、今回の政府の高額療養費の自己負担の上限引上げを決めてきたわけです。その間に、患者団体との丁寧な対話はなかったんです。ですから、生煮えのアイデアだったと思います。ですから、修正を常に余儀なくされてきたと思うし、大体、自己負担がこれぐらい上がったら、所得階層によって違うと思いますけれども、その試算も十分やっていなかったじゃないですか。

 粗っぽい制度設計だったということを深く反省をしてもらうとするならば、次なるプロセスも、やはり熟議で、丁寧に患者団体の皆さんの声を聞きながらこれからの改革案というのを作っていくべきだと思うんですが、この反省の下にどういうプロセスをたどろうとしているのか、御説明をいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 それは、深い反省の下にこれから先のプロセスは踏んでいかねばならないということは先ほど来申し上げているとおりでございますし、私自身、そのプロセスについて注意深く見てまいらねばならない、その責任があると思っておるところでございます。

 本年秋までに改めて方針を検討し、決定いたします際には、保険料を負担する被保険者の皆様方からの御意見も拝聴する、ここが十分だったと思っておりません、私自身。そういう方々、そうでないと持続可能性が維持できませんので、保険料を負担される被保険者の皆様方の御意見も拝聴しつつ、先ほど来代表がおっしゃっておられますように、患者の皆様の話を十分にお伺いをし、御理解をいただくべく、最善を尽くしてまいります。

 丁寧さを欠いておったという御指摘をいただいたことを深い反省といたしまして、改めて厚生労働省においてよく考えて進めてもらいますが、厚生労働省任せにすることなく、私自身もそのことの議論には参画をして、よく注意をしながら、最善と申し上げましたので、これが最善だというふうに自分で理解ができる、得心がいくところまでやってまいりたいと思っておるところでございます。

 患者の方々の経済的な御負担が過度なものとならないようというのは、一体どれぐらいの所得の方々にどれぐらいの御負担をいただくのかということを、マクロで見るのではなくてミクロで見るということも必要だというふうに認識をいたしておるところでございます。

 必要な関係者の皆様方の御意見というものをよく承って、どのような形で御意見を述べていただくかということに細心の注意を払いながらやってまいりたいと思っております。自分たちの意見が聞き入れられなかったということがないように、しかしながら、そこにおいて、被保険者の方々の御意見も踏まえながらやっていきたいと思っております。

 先ほど来最善と申し上げているのは、そういう趣旨でございます。

野田(佳)委員 私も、この制度というのは、持続可能性、これをきちっと担保しなきゃいけないと思いますし、現役世代の負担の問題についても十分考慮しなければいけないと思いますので、被保険者団体の声もしっかり受け止めていくということは大事だと思います。

 先ほど田村先生が、薬剤が高騰していることとか、十年間で七倍ぐらいになってきたとか、そういう現状をよく踏まえながら、持続可能な制度にするために、一方で、患者さんの急激な負担、過度な負担とかはあってはならないと思いますので、よく対話をしていただくというところから、適切な制度設計を是非してほしいと思うんです。

 でも、秋というふうに後ろを切ってしまうと、いろいろな試算とかができないんじゃないかなと、そこを心配しているんです。十分に注意していただく、今、総理も入ってというお話だったので、そこは信頼をしたいと思いますけれども、秋とくくらずに、もうちょっと長い目で、長過ぎてもいけないとは思いますけれども、丁寧に試算などを繰り返しながら、患者団体の皆さんにも御理解いただくように、これはお願いをしたいというふうに思います。

 残り五分になっちゃったので、もう一つ、これはどうしても聞かなきゃいけないのは、重要広範である年金制度改革法案、今日の議運では、あした十四日までが締切りだったんですけれども、あしたまでには提出できないというお話ですよね。

 この年金制度改革というのは、長期の財政的な見通しについての検証をした上で、五年に一回、年金制度改革をやるというのが通例だったじゃないですか。その通例である重要広範議案、これは与野党が合意をしてきたことでありますよ。合意をして、四つの法案を決めている。それが締切りに間に合わないという理由は何なんでしょうか。端的にお答えいただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 次期の年金制度改正につきましては、昨年七月に公表いたしました財政検証の結果を踏まえ、厚労省におきまして、被用者保険の適用拡大など働き方に中立な制度の構築、高齢期の所得保障、再分配機能の強化といった観点から、今国会への法案提出に向けて検討及び各種調整を進めておりますが、様々な御意見があり、調整に時間を要している、このように理解をいたしておるところでございます。

 このため、政府提出法案の提出期限であります三月十四日の閣議に付議することは難しい状況にございますが、今国会への法案提出に向け、党内の調整を急いで進めるよう、党に対して改めて指示をいたしました。

 厚生労働省におきまして、各方面に幅広く御理解をいただくよう丁寧な説明を重ね、できる限り早期に法案を提出できますよう努力を重ねてまいります。

野田(佳)委員 今日の議運の官房副長官の御説明は、政府内の調整が時間がかかっているというお話だったと聞いています。

 今のお話だと、党内でいろいろな意見があるということですね。むしろ党内なんですね。それでよろしいですか。

石破内閣総理大臣 もちろん、党内にもいろいろな意見が当然ございます。報道にあるとおりでございます。政府にもいろいろな意見はございますが、党内に多くの意見がございます。

 でありますからこそ、党に対しまして、党内の調整を急いで進めるようにというような指示をしたということを申し上げておるところでございます。

野田(佳)委員 調整が時間がかかっているというけれども、必ず法案を提出するということは約束していただけますか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 党内にそのような指示をいたしております。

 党として、それに対応して方針を決するものというふうに認識をいたしておるところでございます。

野田(佳)委員 重要広範議案、本当に丁寧に、じっくり、重要な法案だから時間をかけていこうと与野党合意したことを、党内の事情があったりして、政府内の調整があったりして出せないとするならば、それは政権担当能力がないと断ぜざるを得ない状況になるということは御覚悟いただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

石破内閣総理大臣 政権担当能力があるかないか、それはまたいろいろな御判断があろうかと思いますが、今申し上げましたように、できる限り早期に法案を提出するよう努力を重ねるということを申し上げました。それに尽きます。

 できる限り早期に法案を提出できるように、最大限努力をいたします。

野田(佳)委員 重要広範議案が法案として提出されなかったことは過去にありません。過去になかったことが今起こりつつあるという、私は今、危機感を感じました。法案が出てきたら、我々も正々堂々と議論をしたいと思います、大事なテーマですから。そのことは我々も約束をしたいと思います。

 最後に質問したいと思うんですけれども、高額療養費の二転三転、そして、本来だったらスケジュールどおり出すべき年金改革法案が出せないでいる現状。

 私は、今回の厚生労働省の責任、厚生労働大臣の責任は極めて重たいと思いますけれども、任命権者である総理の御見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 私自身、厚生労働大臣がこの問題に誠心誠意、全身全霊で取り組んできたということは、長いつき合いでもございます、信頼関係もございます、人柄に表裏もございません。誠心誠意、今までも厚生労働政策に取り組んできた福岡資麿大臣でございます。

 任命責任は私にございます。私自身、厚生労働大臣が引き続き誠心誠意、全身全霊で対応に当たるというふうに申し上げたいと存じます。

安住委員長 時間です。

野田(佳)委員 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。

 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 総理、よろしくお願いします。

 高額療養費についてお伺いをしたいと思いますけれども、やはり、がんや難病を患う人におきましてまさに命綱であるかと思いますが、まさに、ここから手をつけた、非常に大きい意味があったかと思います。

 今回、一時凍結というところでありますけれども、昨日、私も厚労委員会に出させていただきましたが、大臣の御答弁の中で、今後の方向性は定まっていないという話がありました。

 秋になって、また自然解凍じゃないですけれども、このまま引き上げでいくとか、まさかそういうことはないかと思うんですけれども、患者さんの皆さんは非常に不安になられているかと思います。また後ほどお答えいただきたいんですけれども、今後の方向性について、一つお伺いをしたいと思います。

 また、今日の新聞で見たんですけれども、昨日、自民党の参議院の方から、このままではこの夏の選挙が戦えないと。また、公然と石破総理への退陣要求をされている議員さんもいらっしゃるという具合に聞いております。

 まさかですけれども、この秋というのは参議院選挙の後ですので、それがこの判断に関わってきたのではないかなと、ちょっと心配するところもございます。

 やはり、政府、政策の矛盾、これもちょっと指摘をさせていただきたいと思うんですけれども、今、政府の方でも、年収の壁であったりとか賃上げ、こういうところをされている、ここは一定私も理解をさせていただくわけなんですけれども。やはり、高額療養の問題といいますのは、現役世代の方でも病気を持ちながら治療をされている、そして仕事の両立をさせている、この方々は保険を担っていただいているわけなんですよね。現役世代の負担を減らすと言われながら、一方で、こういう現役世代の患者さんの負担を増やしていくということにつきましてどのように考えられているのか。ここはちょっと政策の矛盾があるのではないかなという具合に思っています。

 先ほど総理、やはり、被保険者の声を聞くということも言われました、被保険者ですよね。当然、今病気になっていらっしゃらない方々、こういう方々も保険を掛けられて、いざというときのために、病気になったときのために保険を掛けられているわけですので、そういうときの、万が一のための、共に助け合う共助の制度ですから、その制度に対して、今度、高額療養を上げていくというところに対しての指摘もされていくのかなという具合に思っております。

 そして、先ほど野田先生の方からもありましたけれども、なぜ秋なんですかということですよね。患者団体さんも早急じゃないですかということも言われておりますし、一方で、有識者の見解もそうなんですが、昨年の社保審の医療保険部会の場でも、高額療養費制度を利用する患者世帯の所得階層別の負担の実態をより精緻に調査すべきという指摘があったんですよ。けれども、数回の会合の中で上げると決めちゃったということは大きな問題だと思っております。

 そこで、こういう問題、ちょっと指摘を幾つかさせていただきましたが、政府は、負担増が受診抑制を引き起こす可能性について、様々なエビデンスに基づいて分析をしっかりと行っていく予定はあるんでしょうか。この秋までに、高額療養制度の利用者、データ、こういうのをしっかりと詳細に分析して、所得別、疾患別医療費負担の影響をしっかりと検証すべきと考えますけれども、総理の見解をお伺いしたいと思います。

石破内閣総理大臣 本年秋までに改めて方針の検討をし、決定するということを申し上げました。それに尽きます。委員が今、比喩的におっしゃったと思いますが、自然解凍なぞということは、冷凍食品ではございませんので、そのようなことはございません。

 そこに至りますまでに、衆議院の委員会におきましても長瀬効果とかいろいろな議論がございました。かなりこれは前の議論でございまして、長瀬効果についてどうなのかということはですね。それが過度な負担になり、受診抑制になるかならないか、ならないようにということは、先ほども答弁申し上げましたが、マクロで見ておっても仕方がないので、そこはミクロで見なければならないと思っております。

 ですから、国民生活基礎調査あるいはレセプトデータ、全国消費実態調査等々、活用するデータとして検討すべきものはたくさんあろうかと思っております。医療費がそれぞれの家計全体の消費行動にいかなる影響を及ぼすかということは、可能な限り精密に分析、把握をする必要があるというふうに私自身認識をしておるところでございまして、委員に御指摘をいただいておりますデータも含めまして、更にどのようなデータがお示しできるかということにつきましても厚生労働省において検討をいたさせます。

 繰り返しになりますが、この制度が患者にとって大切な制度だということであらばこそ、今回の反省を踏まえて、丁寧なプロセスを踏んでまいりたいと考えておるところでございます。

池下委員 今、総理、丁寧なプロセスというところで言っていただいた、これはしっかりとデータ分析をやっていただきたいんですけれども。

 一方で、患者の声を聞くというところも一つ御指摘させていただきたいと思います。今までの、私も患者さんといろいろお話しさせていただいたんですけれども、やはり、審議会の中で自分たちもメンバーに入れていただいて、しっかりと意見を聞いていただきたいと。単に声を聞いているんですよということで、ガス抜きされてはいけないなと私は思っております。

 そこで、一つお伺いをしていきたいなということですけれども、二〇二二年、民間の一般社団法人の新時代戦略研究所というところがあるんですけれども、資料の一番を御覧いただければと思います。この中で、審議会のメンバー構成を見直して患者や市民代表の参画を義務化する必要性というのが書かれております。

 そういう中で、資料の二の方になるんですが、厚生労働省内に患者、市民の参画を促す専門機関を設置することであったりとか、疾病に偏らないような委員の選択基準などを示すこと、そして、市民、患者の意見が実際に政策に反映されているかどうかという第三者の機関を設置することなどが書かれております。

 そういう中で、先ほど申し上げましたように、ただ単に患者さんの意見を聞きますよと、アドボカシーという、聴取だけではなくて、しっかりと私は法律で、ある程度、ちょっと法律を作っていただいて、患者の意見をしっかりと担保できるような仕組みというものをつくっていく必要があるかという具合に思っておりますけれども。

 立法府である国会で、是非、総理にはこの法改正を含めた整備をやっていただきたいと思いますが、見解をお伺いいたします。

石破内閣総理大臣 委員のお考えは理解できるところでございますが、現行におきましても、いろいろな審議会はございますが、その審議会の所掌に応じまして、患者の皆様、市民団体の皆様方に委員として御参加をいただいているということが現状でございます。

 ただ、これらの審議会は、それぞれが広範な内容を審議しておるものでございまして、特定の患者団体の代表者を、その全ての審議に御参加いただく、あるいは、御提案のように、別に常設の機関を設けるということがどういうような意味を持つかということについては検討が必要だと思っております。

 何も後ろ向きなことを申し上げているわけではなくて、ガス抜きとか、アリバイづくりとか、やったふりとか、そういうことで御納得がいただけるとは私は毛頭考えておりませんので、そういうそしりを受けることがないようにしてまいりたいと思っております。

 患者の皆様、市民の皆様、そういうような御意見をいかにして適切に反映するかということにつきましては、更に委員の御指摘も踏まえまして今後政府部内で検討をいたしてまいります。

 私が先ほど来最善と言っておりますのは、それほどいいかげんなことを言っているわけではございません。多くの方の御理解を得るべく、いろいろな方法についてまた御教示を賜りたいと存じます。

安住委員長 池下君、間もなく時間です。

池下委員 時間になりましたので、これで終わりますが、先ほどから総理は丁寧なプロセスをしていくということです。これは是非約束をしていただきたいと思います。患者さん、本当に必死で頑張っていらっしゃいますので、是非その声を聞いていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

安住委員長 これにて池下君の質疑は終了いたしました。

 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党代表の玉木雄一郎です。

 まず、百三万の壁の引上げと、ガソリンの暫定税率の廃止について伺います。

 総理、選挙中に、総理はルールを守るということを訴えておられたと思いますが、私は約束を守ってもらいたいと思っております。

 選挙中に、特に現役世代の手取りを増やすということを訴えて、我が党は選挙を戦い、議席を増やしました。

 そして、昨年の十二月十一日、御党の森山幹事長と公明党の西田幹事長と我が党の榛葉幹事長の、三党のナンバーツー、幹事長が合意をして、いわゆる百三万の壁については百七十八万円を目指して今年から引き上げる。あわせて、ガソリンの暫定税率についてはこれを廃止する。このことについて合意をしました。

 総理に伺います。自民党の総裁として伺います。この三党の幹事長間の合意は、現時点において満たされていると総裁は考えておられるのか。仮に満たされていないとしたら、今後満たしていく努力はするのかしないのか。総裁としてお答えください。

石破内閣総理大臣 約束を守るというのは当然のことであります。ですから、御指摘のように、自民、公明、国民民主、三党の幹事長が昨年の十二月十一日合意をいたしました内容は、いわゆる百三万円の壁は国民民主党の主張される百七十八万円を目指して来年から引き上げる、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止するという、そのような合意がなされたものでございます。

 残念ながら税制改正法案の審議の詰めの時点までに合意を形成し得なかったということでありますが、今般の改正案におきましては国民民主党との三党協議を踏まえた内容が盛り込まれております。それとともに、与党としては令和八年度の改正に向けて引き続き真摯に政党間協議を行っていくということでございまして、現時点において、自公国、この幹事長合意が守られなかったということではない、真摯にこの合意の達成に向けて努力をしておるということでございます。

玉木委員 一・二兆円の減税、これは御党にも、そしてまた公明党の皆さんにも御協力をいただいて、この物価高の中で手取りを増やす政策として、一・二兆、二回に分けました、年末の六千億と、そして年が替わっての六千億、一・二兆円の減税ができたことは評価しております。

 ただ、不十分。かつ、税制を、極めて、特に基礎控除の所得制限がいっぱい入ってしまって、複雑になってしまったことは、私はこれは納得のできない結果だと思っております。

 もう一つは、物価高に多くの人が苦しむ中で、幅広い所得層に対して支援を及ぼそう、所得を増やそう、手取りを増やそうということが、低所得者対策に寄り過ぎてしまったのではないかということが問題点だと考えています。

 その意味で、これは加藤財務大臣でも結構ですが、今回、百三が百六十になったということで、五十七万円の控除額のアップなんですね、これは基礎控除と給与所得控除を足したものですが。この満額五十七万円の控除額のアップを受けられる人は所得税を払っている人のうち一体何%になるのか、お答えください。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと急遽の御質問なので、ちょっと手元に資料を持っておりませんので、また改めて御説明をさせていただきたいと思いますし、あと、本件はあくまでも我々の案とそれから政府の案と合体したものでございますので、それを踏まえて、また後で説明させていただきたいと思います。

安住委員長 ちょっと速記を止めて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こして。

 玉木君。

玉木委員 済みません、ちょっと通告が十分にできていなかったとしたら反省いたしますが。

 私から申し上げるので、もし間違っていたら訂正してください。

 二百万円以下の人にプラス、最後、三十七万円を乗せた対象者は、財務省、政府の資料によると約三百万人、五千五百万人の所得税を払っている人の中で五%強ですね。さらに、給与所得控除が満額受けられる人は更にそれより少なくなるので、いわゆる百六十万、プラス五十七万円の控除を満額受けられる人は年収百八十七万五千円以下なので、多分二百五十万人ぐらいだと思います。五%未満です。

 ですから、極めて、確かに所得の低い人を助けることは大事です、今回。ただ、物価高で困っているのは低所得者だけじゃないので、五%だけ対応するというのは私は不十分だと。

 ただ、総理おっしゃったとおり、一里塚としては評価します。一・二兆円の減税というのは今までできなかったから、それは評価しますけれども。

 今後、是非、これから物価高騰はまた続くかもしれない、トランプ政権になってインフレが再燃する可能性はアメリカ国内でも日本国内でもあるわけですから。それに対応する政策をきちんと取っていただくことをお願いしたいし、そのことには協力をしたいというふうに思います。

 ガソリン減税について伺います。

 ガソリンの暫定税率廃止も三党の幹事長間で決めましたが、どうやら、再来年度からやればいいというような話が出ており、維新さんも再来年度からやるという法案を出しておられます。

 私は、役所の理屈も分かるし、地方の理屈も分かるんだけれども、今は特に地方、私も地方ですが、車がないと生活できない地域の人は、ガソリン高いの何とかしてくれ、今何とかしてくれと思っているんですよ、総理。

 なので、これは再来年度ではなくて来年度から、何らかの形でガソリンの減税、暫定税率の廃止、やりませんか、総理。いかがですか。(発言する者あり)

安住委員長 静粛に。

石破内閣総理大臣 それは、香川も、私どもの地域もそうです。働く人の数だけ車はあるのですから、それはガソリンの負担が重いということは承知をいたしております。

 あればこそ、いかにして百八十五円というものを維持するかということについて、政府として最大限支援をいたしておりますし、重点地方支援交付金というものを使いまして、使い道は限定はそんなにございませんので、灯油にも併せて使える、そういうような券をお配りするということも、それぞれの自治体の判断でやっていただいておるものでございます。

 私どもとして、いつからやるかということについて、まだ三党の協議が続いておりますので政府として予断を持って申し上げることはできませんが。今、多くの方の御努力によって、昨日も多くの満額回答が春闘においてなされておるところでございます。物価上昇を上回る賃金上昇ということを目指し、そしてまた、地方の方々の御負担を思えばこそ、様々な政策を通じて御負担の軽減に努めておるところでございまして、時期について今政府として断言をする立場にはございません。

安住委員長 玉木君、時間が来ました。終わってください。

玉木委員 総理のおっしゃる地方創生に一番即効性のあるのは、私は地方の人が使うガソリンを下げることだと思いますから、再来年度と言わず来年度から実施できるように引き続き求めて、私の質問を終わります。

安住委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。

 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一でございます。

 実は、私自身、五十代で父親が末期がんになりまして、余命宣告三か月、ただ、高額療養費のおかげで治療を続けることができまして、二年近く延命ができた、こういった実体験がございます。

 どれだけ治療費がかかっても支払いに上限がある、したがって安心して治療を続けられる、極めて大切な制度であるというふうに思っております。平均的な年収の現役世代の方であれば、治療費百万円でも自己負担は八万七千四百三十円、それが、倍の治療費二百万円でも自己負担は九万円台に収まってくる、こういうことであります。

 これまで我が党としても、限度額の引下げ、あるいは立替え払いなしの現物給付化、あるいは高齢者の皆様の年間の上限額の設定、一貫して取り組んできた公明党だからこそです。医療費の増大、あるいは少子高齢化、先ほどもドラッグラグ、ドラッグロスということもありましたけれども、この波を乗り越えて、何としても安心のセーフティーネット、現在から未来へ持続をさせていかなければならない、このように思っております。

 しかし、そのために制度を見直すにしても、がん患者団体など当事者の皆様を始めといたしまして、やはり国民の理解というものが大前提であります。先ほど来総理もおっしゃっているとおりでございます。よって、我が党としても、まずは西田幹事長、また斉藤代表からも、反省すべきは反省をしながら、今は一度立ち止まることも必要ではないか、こんな思いを申し上げてきたところであります。

 そこで、総理にお伺いをいたしますけれども、三月五日、総理は、我が党の斉藤代表から連絡を受けまして、今回の高額療養費制度の見直しについて、与党のまさに党首間で短時間会談をされたと伺っております。また、その翌日も我が党の谷合参院議員から質疑があったところでありまして、総理は、こうした我が党の思い、また何より国民の思いをどのように受け止めて、今回の決断に至ったのか。

 あわせまして、今回の教訓を踏まえまして、秋までに行うとされております方針の再検討、これに向けては、がん患者また難病の患者の皆さんが月々に支払う医療費は幾らで、またその中で高額療養費制度がどう役立っているのか、実態をもう一度丁寧に、データ等も含めて把握をして、その上で、患者団体の皆様の御理解と御納得を前提として最終的な結論を得るべきである、このように考えますけれども、二問併せて総理にお伺いをしたいというふうに思っております。

石破内閣総理大臣 三月六日、参議院予算委員会がございました。そこにおいて、公明党の谷合議員から、御指摘のように、制度の持続可能性や現役世代の保険料負担の軽減を図っていくという考えは与野党で一致したのではないかとされつつも、より多様な声を丁寧に聞いて判断をしていかねばならないという御意見を承ったところでございます。

 また、斉藤代表とは、ほとんど毎日のように、いろいろな意見交換を、直接会わせていただいたり電話で、常に意思疎通を図っておるところでございます。

 先週の金曜日には、患者団体の皆様の御意見を直接伺う機会をつくらせていただいたということも、先ほど来申し上げておるとおりでございます。

 今後の検討に際しまして、個々の患者さんの疾病の状況、就労、生活実態が様々である中で、その負担の実態を一つ一つ丁寧に見ることにはなお困難な面もございますが、可能な限り実態を踏まえたデータ、これを出して御納得をいただくというような工夫を最大限尽くしてまいりたいと思っております。

 その意味からも、患者の皆様方のお話を十分に承り、丁寧に議論を進め、その御理解をいただきますよう、公明党の皆様方のお気持ちにも十分応えられますように努力をいたしてまいります。

安住委員長 河西君、間もなく時間が来ますので、まとめてください。

河西委員 データ等の取得は難しい面もあると思いますが、議論の土台をしっかりと整えていく、これは大事かと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 公明党としても、現場の皆様に寄り添いながら、どこまでも未来に責任を持っていく、安心をつないでいく、このことを申し上げまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 これにて河西君の質疑は終了いたしました。

 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 総理、患者の方々から、治療が受けられなくなる、死ねというのか、こうした悲痛な声が国会に届けられ、先週三月四日の予算委員会でも本会議でも、私は、本予算案では国民を救うことができない、今まだ採決してはならないということを言いました。総理もお聞きになっていますよね。それが正しかったことが証明されたんじゃありませんか。

 総理、確認いたしますけれども、高額療養費の負担引上げの問題、先ほど、立憲民主党の野田代表は白紙撤回と言われました、維新の会の池下委員は一時凍結と言われました。どちらですか。

石破内閣総理大臣 いろいろな方々の御意見を丁寧に承りながら、秋までに方針を決定するということでございます。

櫛渕委員 総理はその実施を見合わせるという決断をした、秋までに検討し決定する、これは単なる見送り、凍結ですよね。これは、参議院選が終わったらまた復活して制度をやるということになれば意味ないんですよ。

 そもそも、高額療養費の問題が議論された社会保障審議会医療保険部会には、医師会や歯科医師会など医療提供側の代表、あるいは国保中央会や健保協会など保険者側の代表はいますが、患者団体の代表はおりません。総理は患者団体から丁寧に意見を聞くことは必要と言いますが、意見を聞くのではなく、政策を決める意思決定プロセスに参加をしてもらうべきなんじゃありませんか。

 審議会の在り方から見直し、れいわ新選組は、高額療養費の負担引上げは凍結ではなく撤回をした上で、ゼロから出直すことを求めます。

 立憲民主党さんも、凍結でいいんですか。ここまで粘ったんですから、野党が一致して、患者の会に寄り添って、本当の白紙撤回を求めていきましょうよ。

 それに、問題は高額療養費だけではありません。後期高齢者医療保険では、何と四割の方々が毎月受診しています。これでは、万が一に備えるという保険原理がもはや成り立たないことは明らかでしょう。

 れいわ新選組は、後期高齢者医療制度は廃止し、全額公費負担とする、その代わりに現役世代の社会保険料の負担を減らすということを公約としています。

 維新の会や国民民主党のように、高齢者の負担を増やして現役世代の負担を減らすという、世代間を分断するような政策は間違っています。そもそも国民民主党は、高額療養費の負担限度額の見直しを公約に掲げていましたよね。それよりも、玉木代表は先ほど約束を守れと総理に迫っていましたけれども、消費税五%減税という国民との約束、それはどうなったんですか。

 また、特に厳しい国民健康保険や協会けんぽ、この保険料の負担も引き下げ、国費負担の割合を引き上げるべきです。

 人々の保険料の負担を減らし制度を存続させるには、保険の枠内だけで考えるのではなくて、税や国債を財源にした国費の投入、これを大胆に行うべきであると考えます。今回の高額療養費の問題にしても、能力に応じた負担と政府は説明しますが、だったら所得税や法人税の累進化、これを財源にした方がよほど合理的です。社会保険の枠内だとどうしても逆進性が残るからです。

 総理、重い負担となっている社会保険料を引き下げるために、後期高齢者医療保険制度は廃止をして全額公費負担、また国民健康保険と協会けんぽは国庫補助率を引き上げる、いかがですか。さらに、自民党、公明、維新の冷酷三兄弟で合意をした国民医療費の四兆円削減、これは撤回してください。総理、お答えください。

安住委員長 石破内閣総理大臣、間もなく時間が来ますので、簡潔な答弁をお願いします。

石破内閣総理大臣 どの党に対して何を言っておられるのかちょっとよく理解できないところはございますが。

 先ほど四兆円のお話をなさいましたが、冷酷三兄弟などではございません。私ども、そのようなことを言っておるのでは全くございません。そのような決めつけというものは、私どもとして甚だ心外でございます。私どもとして、四兆円というのを念頭に置くということを申し上げているのであって、維新の会がそういう御主張をなさっておられる、そのことは念頭に置いて三党で議論をいたしてまいります。

 私どもは、どうすれば患者さん方がこれから先も安心して医療を受けていただくことができるか、そのための方策を、三党の真摯な議論によって解を見出したいし、その過程において、いろいろな御意見は各党からも承ってまいりたいと思っております。

 決めつけられました議論をされますと、世の中の方々は誤解をされますので、その点については是非とも御留意をいただきたいと存じます。

安住委員長 櫛渕さん、もう終了していますので。

櫛渕委員 時間なので終わりますが、国民から見たら、冷酷三兄弟そのものです。医療費四兆円削減なんというのは国家的殺人です。

 もう一度、申し上げます。

安住委員長 終わってください。

櫛渕委員 本物の改革を積極財政で実現してください。

 終わります。

安住委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 高額療養費上限額の八月引上げは見送られ、来年度予算は修正されることになりました。石破総理、しかし、大きな問題があります。

 政府の全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程では、二〇二八年度までに実施する取組として、高額療養費自己負担限度額の見直しというのが明確に明記されています。総理、この改革工程は撤回しないんですか。

石破内閣総理大臣 御党からはいろいろな御意見を承っておるところでございますが、改革工程にございます改革項目につきましては、高額療養費の見直しかほかの制度改革かといった二者択一の議論ではないと政府としては考えておるところでございます。

 医療保険制度の持続可能性を高めていかねばならないのでございますが、そのときに二者択一的な議論ではそれはなかなか困難だと思っておりまして、それぞれの項目の必要性に応じまして丁寧な議論を行ってまいりたいと私どもとしては考えておるところでございます。

田村(貴)委員 総理、改革工程は閣議決定されたものですよね。これがある限り、二〇二八年度までに高額療養費の上限額は引き上げられるんですよ。これを見て、上限額が引き下げられるとは誰も思いませんよ。結局、患者負担の引上げということになっちゃうわけなんですよ。

 この上限額を引き上げないと断言できますか。先ほどから秋までに方針案をつくると言うんですけれども、それは再来年度以降に上限額の引上げを目的としているんですか。いかがなんですか。

石破内閣総理大臣 それは本当に、がん、あるいは難病に苦しむ方々が受診抑制ということにならないようにと。それぞれ御事情も違うでしょう、しかしながら、それが受診抑制にならないような、そういう見直しを行っていかねばならないと思っております。

 私どもが考えていかねばならないのはそういうことであって、引き上げないと断言するということをここで申し上げることはいたしません。これが受診抑制にならないように、丁寧な議論をこれから先も心がけて実行してまいります。

田村(貴)委員 上限額の引上げが受診抑制になるということは、もう方針上あっているんですよ。だから、引き上げたら駄目なんです。

 患者負担の増大につながる規定はほかにもあります。例えば、子ども・子育て支援金制度、この財源は社会保障費から一兆円確保と書いてあります。また、二月二十五日の自民、公明、維新の三党合意では、国民医療費、年間最低四兆円削減が入っています。

 こうした社会保障費とか医療費を削減させる基本方針あるいは政党間合意がある限り、高額療養費の上限引上げというのは必至になるんじゃありませんか。これらの撤回、見直しを行って、やはりこの際、高額療養費上限額引上げは明確に白紙撤回する、そういうふうに、総理、決断するべきじゃありませんか。

石破内閣総理大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、これから先、医学の進歩によって高額療養というものはもっと広がっていくかもしれません。そして、この保険は持続可能にしていかねばならないものでございます。そこにおいて、先ほどどなたかが御指摘ありましたが、これでは払えない、治療を諦めざるを得ないという方が決して出ないように私どもは丁寧にやってまいりたいと思います。

 そしてまた、これは物価上昇等々を含むものでございますが、物価上昇に負けない賃金上昇ということも、さればこそ、私どもとして、全力を尽くして多くの御協力をいただいておるところでございます。

 繰り返して申し上げますが、受診抑制につながることがないように、本当に適切な見直しというものを多くの御議論を踏まえて決定してまいりたい、方向性はそういうことでございます。

田村(貴)委員 総理は、先ほども、患者に不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではないと述べられました。その患者さんの抱える不安というのは、文字どおり上限額の引上げなんですよ。今でさえ厳しい上限額の引上げなんです。幾ら政府が、総理が説明を尽くしたとしても、負担が増えるのであれば、その不安は解消されません。

 上限額の引上げはきっぱり白紙撤回すべきです。そして、財源においては、突出した軍事費を削減する、あるいは大企業の優遇措置を見直していく。社会保障を支える財源は幾らでもあるじゃないか。そのことも含めて申し上げて、質問を終わります。

安住委員長 これにて田村君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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