第4号 令和7年11月11日(火曜日)
令和七年十一月十一日(火曜日)午後零時五十九分開議
出席委員
委員長 枝野 幸男君
理事 勝俣 孝明君 理事 齋藤 健君
理事 笹川 博義君 理事 鳩山 二郎君
理事 今井 雅人君 理事 奥野総一郎君
理事 源馬謙太郎君 理事 奥下 剛光君
理事 長友 慎治君
井出 庸生君 伊藤 達也君
稲田 朋美君 岩屋 毅君
加藤 勝信君 神田 潤一君
河野 太郎君 後藤 茂之君
塩崎 彰久君 平 将明君
田中 和徳君 谷 公一君
土屋 品子君 寺田 稔君
平沢 勝栄君 古川 康君
武藤 容治君 池田 真紀君
井坂 信彦君 稲富 修二君
大串 博志君 おおつき紅葉君
亀井亜紀子君 川内 博史君
黒岩 宇洋君 重徳 和彦君
長妻 昭君 野間 健君
道下 大樹君 猪口 幸子君
高橋 英明君 萩原 佳君
田中 健君 福田 徹君
森ようすけ君 岡本 三成君
中野 洋昌君 沼崎 満子君
山崎 正恭君 鰐淵 洋子君
櫛渕 万里君 田村 貴昭君
田村 智子君 緒方林太郎君
…………………………………
内閣総理大臣 高市 早苗君
総務大臣 林 芳正君
法務大臣 平口 洋君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 片山さつき君
文部科学大臣 松本 洋平君
厚生労働大臣 上野賢一郎君
農林水産大臣 鈴木 憲和君
経済産業大臣
国務大臣
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当) 赤澤 亮正君
国土交通大臣 金子 恭之君
環境大臣
国務大臣
(原子力防災担当) 石原 宏高君
防衛大臣 小泉進次郎君
国務大臣
(内閣官房長官) 木原 稔君
国務大臣
(デジタル大臣)
(サイバー安全保障担当) 松本 尚君
国務大臣
(復興大臣) 牧野たかお君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当)
(海洋政策担当) あかま二郎君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(消費者及び食品安全担当)
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)
(地方創生担当)
(アイヌ施策担当)
(共生・共助担当) 黄川田仁志君
国務大臣
(経済財政政策担当)
(規制改革担当) 城内 実君
国務大臣
(クールジャパン戦略担当)
(知的財産戦略担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙政策担当)
(人工知能戦略担当)
(経済安全保障担当) 小野田紀美君
外務副大臣 国光あやの君
財務副大臣 中谷 真一君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 岩尾 信行君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 市川 道夫君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 浦上健一朗君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 吉岡 秀弥君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 山本 文土君
政府参考人
(財務省理財局長) 井口 裕之君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 塩見みづ枝君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 合田 哲雄君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 村山 誠君
政府参考人
(厚生労働省年金局長) 朝川 知昭君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 坂 勝浩君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 山口 靖君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 河野 太志君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 石井 宏幸君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 佐々木正士郎君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 宿本 尚吾君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 寺田 広紀君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 萬浪 学君
政府参考人
(防衛省整備計画局長) 伊藤 晋哉君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 森田 治男君
予算委員会専門員 藤井 宏治君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十一日
辞任 補欠選任
福田 徹君 田中 健君
沼崎 満子君 山崎 正恭君
鰐淵 洋子君 岡本 三成君
田村 貴昭君 田村 智子君
同日
辞任 補欠選任
田中 健君 福田 徹君
岡本 三成君 鰐淵 洋子君
山崎 正恭君 沼崎 満子君
田村 智子君 田村 貴昭君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
予算の実施状況に関する件
――――◇―――――
○枝野委員長 これより会議を開きます。
予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官市川道夫さん外二十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○枝野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○枝野委員長 基本的質疑を行います。
この際、昨日の長友慎治さんの質疑に関連し、田中健さんから質疑の申出があります。長友さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。田中健さん。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
本日は、予算委員会の質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
また、高市総理におきましては、御就任おめでとうございます。初めての質疑となりますので、今日は経済政策を中心に考えをお聞きをしたいと思います。是非とも前向きな答弁をよろしくお願いします。
まず、日本経済の現状認識についてです。
総理は、今、日本はデフレなのかインフレなのかと聞かれたら、どちらであると答えますでしょうか。
○高市内閣総理大臣 政府として、デフレというのは物価が持続的に下落する状況と定義しております。足下の物価動向を見ますと、消費者物価は上昇を続けておりますので、日本経済は今、デフレの状況にはないと認識をしております。
ただ、デフレを脱却したかどうかというと、脱却については、物価が持続的に下落する状況を脱し、かつ、再びそういう状況に戻る見込みがないというふうに定義しております。ですから、デフレを脱却したかどうかという判断については、物価の基調とともに賃金上昇の持続性、そういった物価動向の背景を総合的に考慮して慎重に判断する必要があると考えております。
ですから、今、日本経済が再びデフレに戻る見込みがないと言える状況には至っていないと考えております。
○田中(健)委員 大変分かりづらいです。デフレかインフレかと聞きましたので。デフレの状況にはないというのは、これまでの政府がずっと言ってきた話であります。デフレの状況にはないがデフレ脱却はできていない、これが常套句で、今もそのようにおっしゃりました。
一方、日本銀行は、既に今年の二月の予算委員会ではインフレの状態と明確に答えており、そのスタンスを変えておりません。
一の資料にもつけましたが、二〇二二年以降、物価上昇は続いています。そして、インフレの状態であると多くの専門家も言っています。更に言えば、今回の国会での様々な審議も、物価高騰対策、まさにインフレに対してどのような国民生活に対した政策を打つということでありますから、高市政権になりましたから、誰でもない政府が決めた様々な指標があるんですけれども、是非これを乗り越えて、デフレ脱却宣言というものを高市政権に出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高市内閣総理大臣 それを目指しております。
経済学的に、物価上昇それ自体をインフレと呼ぶのであれば、今はインフレの状態にあると思っております。ただ、まだデフレを脱却したとは言えない。だから、食料品を中心とした物価高が当面の景気下押しリスクとなっているという中で、高市内閣としては、強い経済をつくっていくために、まずは物価高対策に最優先に取り組んで、暮らしの安心を確実かつ迅速に届ける必要があると考えております。
以上でございます。
○田中(健)委員 インフレなのにデフレを気にする、この認識がずっと変わらないからこそ、デフレ脱却という言葉がいつまでたっても私たちの頭にこびりついてしまうということです。
今、様々なリスクがあると言いましたが、そうであるなら、今の日本経済にデフレに後戻りするリスクというのは本当にあるのか。あるとすれば、どういったメカニズムでデフレになるのか。さらに、どの程度その可能性というのが顕在化するのか。そもそも、そうしたリスクを評価すること自体も正しいのかどうかといった議論を早急に始めて結論を出していかないと、日本銀行と政府の懸念していること、ないしは認識が違うと私は効率的な経済政策を行えないと思いますが、いかがでしょうか。
○城内国務大臣 田中委員御指摘のことについてですが、デフレ脱却、すなわち再びデフレに戻る見込みがないと言えるかについては、ある指標が一定の基準を満たせばデフレを脱却した、そういう一義的な基準に基づくものではございません。
デフレ脱却の判断に当たりましては、消費者物価やGDPデフレーターといった物価の基調、あるいはGDPギャップ、ユニット・レーバー・コスト、賃金上昇、企業の価格転嫁、物価上昇の広がり、予想物価上昇率といった物価の背景、様々な要因がございますので、それを総合的に考慮し、やはりこの点については慎重に判断していく必要があるというふうに考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
それでは最後に、先ほど言った日銀との関係なんですけれども、やはり日銀と整合性がないと日本経済がどのように前に進むかが分かりません。昨日の報道では、日本経済に日銀への注文を盛り込むというような方針があると報道がありましたが、日銀との関係については総理はどう考えていますか。
○高市内閣総理大臣 経済政策全体に対する責任は政府が負う、内閣が負うものだと思っております。
その上で、日銀法第四条に基づきまして、しっかりと内閣と日銀の間でコミュニケーションを取って整合性を取っていくということでございます。これからコミュニケーションをしっかりと取ってまいりたいと思っております。
○田中(健)委員 デフレ脱却の話は、城内大臣が言いましたけれども様々な指標があるということで、日銀とのコミュニケーションで脱却するものではありませんので、政府としての考えというのを明確にしてほしいと私は思いますし、高市総理だからこそ私は脱却宣言を出せると思っていますので、是非期待をしております。
次に移ります。増税、消費税、またインボイスに関して伺いたいと思います。
総理の、税率を上げずとも税収を増加させること、これを目指す考えには私も賛同いたします。私たち国民民主党も、経済が成長すれば、増税しなくとも税収を増やすことは可能だと考えているからであります。
その中でいえば、総理の考えとしては、任期中の増税というのは考えていないという認識でよろしいでしょうか。
○高市内閣総理大臣 まさにこの内閣では、責任ある積極財政の下で、戦略的に財政出動を行ってまいります。これによって、消費を増やして、消費マインドを改善して、事業収益が上がって、税率を上げずとも税収が増えていく、そういう姿をつくっていきたいと考えております。
ただ、税制全体については、税収の確保、つまり増税による税収の確保ということだけではなくて、例えば、税負担の公平性の確保ですとか、所得再分配機能の向上ですとか、それから、もう既に指示を出しておりますが、政策効果を踏まえた租税特別措置の適正化といった切り口で、そういった意味での見直しというのはあり得るということでございます。
○田中(健)委員 まさに今後の状況を見極めてということでありますが、どういった状況を想定されているのかということもお聞きをしたいと思います。
これまでですと、足りないから増税で賄う、例えば前政権でありますと、ガソリンの暫定税率廃止、それに対する財源を、ある意味、自動車関連諸税を議題に上げたりしてそれで賄うというような考えで税の負担をしてきたと思うんですけれども、高市総理の場合は、多くの人はそうではなく、増税をしないということに期待をしているかと思いますので、改めてその視点での税に関する考えをお伺いします。
○高市内閣総理大臣 経済あっての財政という基本的な方針は損ないません。
当然の前提ですけれども、税制について経済財政状況も踏まえつつ議論する必要があるというのは、先ほど申し上げましたように、例えば、租税特別措置の適正化をしていく、こういったことによって一部の方にとってはこれまで受けられていたメリットがない、こういう状況もあるかもしれません。
ただ、やはり今は経済を成長させるべきときでございますので、積極的な投資をもって、それでだんだん効果が出てきて、税率を上げずとも税収が増えていく、そういう強い経済をつくっていくことを目指しているということでございます。
○田中(健)委員 まだ明確に増税しないというわけではないということが分かりました。
多くの皆さんは、申しましたように、高市総理は増税せずに減税によって経済を活性化させるということに期待をしているかと思いますので、それについても今からまたお聞きをしていきたいと思っています。
積極財政の考えにもつながりますが、私たちは実質賃金がプラスになることを大きな目標としておりまして、消費税に関しても、日本経済がいわゆるスタグフレーション、景気が悪くなってインフレが起きるような、そういった状況に陥らないようにするためには、財政の健全化目標というのは見直すとともに、名目賃金上昇率が一定水準、物価プラス二%に達するまでは財政出動を続けていこう、また、五%への消費減税も進めていこうという考えを訴えてきました。
消費減税に関しては、今様々な議論がされておりますが、高市総理の考える具体的な判断基準や指標やそういった基本的な考えというのがあれば教えていただきたいと思います。
○高市内閣総理大臣 まず、消費税減税につきましては、自民党と日本維新の会の連立合意書で、「飲食料品については、二年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う。」とされております。ですから、私自身も、消費税率の引下げは選択肢として排除いたしておりません。
他方、消費税が、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくくて安定しているという点は一つある、それから、現役世代など特定の層に負担が集中することはないという特徴もある、それから、社会保障給付ということで家計に還元されているということにも留意する必要はあると思います。
御党の議員が昨日質問をしてくださいました。やはり働いたら働いただけ手元にお金が残っていく、物すごく頑張っているのにうんと高い税率をかけられるというようなことで、何というんですかね、やはり働きがいがないような改革というのはどういうものかといった問題提起もされたと。昨日伺っていて、そういう意識なんだなと私は思いました。
ですから、消費税というのは、特定の層に負担が集中することはない、こういう特徴もあると考えております。ただ、飲食料品に関する減税については、これは選択肢として、合意文書に基づいてしっかりと検討する、そういった段階でございます。
○田中(健)委員 半年前に食料品ゼロは国家の品格だと言い、そしてそれをまたすぐに撤回してしまうということで、皆さんは期待をしたり落胆をしたりという中にあります。是非とも、御自身がおっしゃったことには信念を通していただき、高市総理だからできるという消費税の議論もしてほしいと思います。
私たちは、食料品ゼロではなく、一律五%ということを言っていますが、それは消費税の複数税率といった問題があると思っています。この複数税率については、総理はどのようにお考えでしょうか。
○高市内閣総理大臣 複数税率というのは、これまでの議論を経てそうなってきたものでございます。食料品に関しては少し安くしようということで複数税率になってきたということでございます。
私が総裁選に出る前の話でございますが、自民党の税制調査会で申し上げたことはそのとおりでございます。
○田中(健)委員 それでは、あわせて、私たちは、単一税率にすればインボイスも廃止をできるということを言っています。高市総理も、答弁の中で、インボイスは複数税率のために必要だということを言っていますが、単一税率にすればインボイスを廃止できるというお考えは変わりないでしょうか。
○高市内閣総理大臣 インボイス制度は、今の複数税率の下では、事業者が仕入れ税額控除において差し引く金額を正しく計算できるようにするということで、消費税の課税が適正に行われることを確保するために必要な仕組みとして導入されたものでございます。
ただ、ちょっと諸外国を見てみますと、今、消費税に相当する税制を有する国、地域というのが百七十以上存在するんですけれども、前段階、要は仕入れ先で課税されていることの証明としてインボイスが必要だという理由から、単一税率の場合であってもインボイス制度が導入されているということでございます。現時点でインボイス制度を有さない国というものが確認できておりません。
ですから、インボイス制度にも一定の意義はあるのかなと思っております。
○田中(健)委員 それでは、単一税率にしてもインボイスは継続ということでよろしいんでしょうか。
○片山国務大臣 田中委員にお答えします。
インボイス制度がなぜあるかというと、本当にこの場でその話をさせていただいて大変ありがたいんですけれども、戦後の資金調達の制度をつくっていくときにフランスの大蔵省がつくったのがこの付加価値税型制度ですが、それは、重複制度であった間接税を全部の国が持っていて、それでは余りにも疲弊してしまうので、前段階を差し引けるようにするためにこの形にして、そのために証票が必要なのでこれが出てきたので、あちらの国では、この前段階を差し引けるための証書として、インボイスはそれほど忌避されておりません。つまり、そのことによって税負担が軽くなったんです。
ただ、日本がこれを最初に入れようと思ってフランスに聞きに行ったときに私は同席していたんですが、日本の場合はそれが全くなく、大型間接税がないところに入れるということで、初めは、やはり課税台帳、いわゆる帳面方式しか無理だろうなということから始まっているので、日本の中小企業、委員がよく御存じの、今までの長い慣行を見ると、確かに多少慣れはないかもしれませんが、税金の正確な執行の仕組み自体がインボイスを前提にしているという構造は事実でございます。
○田中(健)委員 私は、単一にすれば廃止できるかということで、単一にすれば、帳簿方式をそのまま続ければインボイスを廃止できるといった意見もありますので、消費税、ないしは単一税率にしてこれは廃止をすべきだということを我が党は訴えていきたいと思っています。
といいますのも、インボイス、一年、二年たちまして、大変に多くの課題が見えてきました。
インボイス制度を考えるフリーランスの会では、インボイス一万人の実態調査を行いました。課税事業者の九割が消費税に強い負担を感じている、また登録事業者の八割が消費税の負担を価格に転嫁をできていない、また登録事業者の四割超が消費税の支払いを所得や貯蓄から捻出をしているということであります。
そんな中で、二割特例、八割特例を設けて対応してくれていると思いますが、この負担軽減措置が来年の十月でなくなりますが、これの見通しについてお答えいただきたいと思っています。
○高市内閣総理大臣 インボイス制度につきまして、今、二割特例の話も八割控除の話もしてくださいましたけれども、ちょっと中継を御覧の皆様のために申し上げますが、制度開始を機に課税事業者に転換した方は、実際の仕入れ税額にかかわらず売上時に受け取った消費税分の二割を納税すればいいという二割特例、それから、発注側への影響を抑えることで、免税事業者が課税事業者に転換するか否かを検討する時間を確保するという観点から、本来は控除ができない免税事業者からの仕入れについても支払った税額の八割を控除できることとする八割控除といった特例が設けられております。
おっしゃいましたとおり、これらの措置ですが、インボイス制度導入から三年がたつ令和八年の九月末にそれぞれ見直すこととされていますけれども、延長を求める声があるということも承知をしています。
この特例の在り方を考える際には、期限を区切って特例が設けられた趣旨ですとか、日々の買物で消費者の方々が消費税分として支払ったものが、特例によって実際には全て納税をされず事業者の手元に残る場合があること、消費者の皆様の視点も踏まえて考えるという必要がございます。ですから、まずは与党の税制調査会で幅広い観点から議論をされるべきだと考えております。
○田中(健)委員 是非、現状をもう少ししっかり調査をしてほしいと思います。フリーランスや農家の方やまた小規模の建設業者の方々、これでは事業が成り立たないという本当に悲痛な声が上がっています。
先ほど、特例の期間を決めた、その間にしっかりしてほしいと言ったんですけれども、私は逆に、その間にこの抜本的な見直し、廃止を含む見直しが必要と考えておりますので、これは都度訴えていきたいと思います。
物価高騰対策に移りたいと思います。
物価高騰対策は、今回、高市政権も目玉でありますし、どの党も、今苦しむ国民に対しての対応が求められております。
所得税の減税、ガソリン減税、また電気、ガスへの補助というのは明確にしておりますが、それ以外はまだまだ具体的な姿が見えてきていませんが、どのような方策を考えているんでしょうか。
○高市内閣総理大臣 足下の物価高に対しまして早期に効果が見込める施策としては、お一人二万円から四万円の所得税減税、年末のいわゆるガソリン税の暫定税率廃止をお決めいただきましたが、それまでの間、現在の基金を活用した補助、これは年内から進めているということで、早速今週木曜日から安くなっていくということでございます。
それから、加えて、既に策定を指示しております経済対策におきましては、医療、介護などにおける処遇改善や経営改善、それから、国、自治体と民間の請負契約単価を物価上昇などを踏まえて見直すこと、それから、中小企業、小規模事業を始めとする賃上げ環境の整備、それから、これは少し時間がかかりますが、給付つき税額控除、これは検討に着手するということでございます。
それから、自治体向けの重点支援地方交付金を拡充するということで、これは物価高の影響を受ける生活者や事業者の方々に対して、地域の実情に合った的確な支援を速やかにお届けしたいと考えております。ですから、速やかにお届けするために、自治体への交付額目安の早期通知など、そういった工夫も検討してまいりたいと思っております。
○田中(健)委員 御丁寧に説明いただきましたが、所得減税は昨年決まったものが実行されるだけであって、ガソリン減税については野党、六党皆で力を合わせて訴えてきたものでありますから、目新しいものはありません。
二枚目の資料を見ていただければ分かりますが、今お話に出た重点支援地方交付金、これは今年の予算案ではありません。昨年の補正予算案です。これに、今おっしゃった医療、介護の事業者支援、中小企業対策も、更に言えば、生活者支援の方には、電力、ガスを始めプレミアム商品券も、もろもろ全部ここに入っています。新しい政策がありません。
速やかに早期にという話をしておりましたが、この間、三か月の空白があり、そして、この間も多くの議論がありましたが、新しい対策、私たちはまだ見たことがないんですが、これで対策になるのかということと、あとは、スピード感が大事だ、早期に速やかにと言っていましたが、重点支援地方交付金ですと、地方に予算が入り、そして議会で決めてということで、この補正のときには、昨年ですと六月以降に実施となりました。これでは緊急の、喫緊の物価対策には私はならないと思っておりますが、いかがでしょうか。
○高市内閣総理大臣 例えば、ガソリンの暫定税率について、本当に各党の皆様に大変な御尽力をいただきましたけれども、軽油引取税につきましてもこれは暫定税率を廃止する、そして、併せて軽油も今の基金を利用して早期に下げていく、これは新たな政策だと考えております。
それから、先ほど申し上げましたけれども、できるだけ早く地方創生の、要は、交付金が地方に行ってからすごく時間がかかる。対応に時間がかかるというよりは、先にいろいろな工夫をしていただこう、考えていただこうということで、先ほど申し上げましたとおり、ちょっと早めに、早期の目安の通知をさせていただきたい、そういったことを検討いたしております。
○田中(健)委員 早期の対応、また地方にということですが、逆に言えば、私は地方に丸投げじゃないかと思っております。
総理としての、また高市政権としての物価高対策というのを、私はもう少し明確に打ち出した方がいいと思っておる立場です。なぜならば、推奨メニューということで、ここに書きますが、選ぶのは地方でありまして、また議会での議論もありますので、どれが選ばれるかも分かりませんし、大変に時間がかかりますし、また、昨日から話題になっていましたプレミアム商品券などは、その発行事業やまた様々な手数料やそういったものに対しての大きな疑問があるという声も上がっています。
高市政権に望んだのは、今までのようにお金を集めてそれを地方にばらまくのではなくて、そもそも取らないということで、減税によって私たちの国民生活を支えてくれる、軽減してくれるという声だったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○高市内閣総理大臣 私に求めていただいていること、高市内閣に求めていただいていること、何かというと、それは分かりませんけれども。
しかしながら、やはり積極的な危機管理投資をして、そこで必ず需要というのが生まれてまいります。雇用も生まれてまいります。そしてまた、海外展開することによって富も呼び込めます。それで、今生きている私たちも、将来に生きる人たちも安心感を持てる。例えば、食料安全保障もそうですし、エネルギー安全保障もそうですし、それから医療健康安全保障もそう、それから国土強靱化対策もそうです、サイバーセキュリティー対策もそうです。こういった様々なリスクを減らすための投資を今思い切ってやっていくことで、そこに必ず需要は生まれますから、そうやって強い経済をつくっていく、安心感もつくっていく、そういうことをお訴えさせていただいております。
でも、取りあえず、この臨時国会におきましては、今申し上げた危機管理投資の頭出しとなる、呼び水的な頭出しはいたしますけれども、何といっても、私の思いというのは、今生活に困っておられる方に対する手当てにできるだけ多くの予算を割きたいということで、そこの規模感は少し大きくしてほしいということを伝えております。
○田中(健)委員 もちろん、十七の戦略的投資分野については是非進めていただきたいとも思います。そして、今言った様々な安全保障も大事だと思いますが、やはり物価上昇に苦しむこの国民生活にどう寄与していくのかが見えてきません。もちろん、長期的に見れば、それは日本の経済やまた日本の産業を発展させるのかもしれませんが、今苦しんでいる国民がいるということで、私たちは、年内中に多くの経済対策を、また物価高対策をと言ってまいりました。
更に言えば、具体的に言えば、中小零細企業はもっと厳しい現状だと思います。これについては高市大臣も、中小企業や小規模事業者への対応として、賃上げと設備投資を強力に後押しするという発言もあります。
済みません、社会保障をちょっと飛ばして中小企業の賃上げに入っておりますが、これについて、中小企業の後押しというものに対してはどのような方策を考えているのか、伺います。
○高市内閣総理大臣 何度か申し上げてきましたけれども、物価上昇を上回る賃上げというのが絶対に必要だという考え方の下で、それを事業者に丸投げしてしまってはやはり事業者の経営が苦しくなるだけだ、これは非常に強い問題意識でございました。
継続的に賃上げできる環境を整えるということが政府の役割だと思っております。ですから、官公需も含めた価格転嫁、それから取引適正化の徹底、それから中小企業の成長投資を含む生産性向上支援に加えまして、事業承継、あとMアンドAの環境整備、賃上げに向けて経営される中小企業、小規模事業者を強力に後押しをしてまいります。
先ほどの地方向けの交付金でございますが、これも、赤字で賃上げ税制を活用できない企業に対しての支援、こういったものを推奨メニューに入れていくということを検討いたしております。
○田中(健)委員 また最後に重点支援の地方交付金を活用するということだったんですけれども、玉手箱ではないので、何か全部推奨メニューに入れれば対策が済むということではないと私は思っています。
総理としては、総裁選のときに、群馬県や大分県の例を出して、赤字でも賃上げした企業に直接補助を出すというようなことも言及をしておりまして、大変にいいことだなと思っていましたので、重点支援地方交付金ですと本当にメニューがたくさんあります、生活支援から産業支援、事業者支援までありますので、是非、政府の意思として、中小企業に対して直接支援ができるようなメニューも考えていただきたいと思っております。
さらに、その中で大事なのが、中小企業における投資の促進であります。
資料三でありますけれども、これは日銀短観の資料です。ソフトウェアの投資というのが、計画ベースではありますけれども、大企業が一〇%増であるのに対して、中堅、中小はそれぞれ一四%増や二八%増ということであります。これは昨年はマイナスでありましたから、この数字だけを見れば、中堅・中小企業が投資に向けて大幅なギアチェンジをしたんだということを思います。
このソフトウェア投資が人手不足対策にも大きく寄与するのは間違いないと思います。今こそ、この流れを止めずに、企業経営を前向きな設備投資に向かわせる必要があると思っています。
即時償却といった議論も拝見しておりまして、これをどんどんやればいいと思っていますが、国民民主党としては、更に踏み込んで、投資額以上の償却を認めるハイパー償却税制というものをこれまで訴え続けてまいりました。様々な投資促進策を通じて、中堅、中小を含めた企業、促進を後押しすべきだと考えますが、総理の考えを伺います。
○高市内閣総理大臣 ハイパー償却税制でございますけれども、設備投資の取得額以上の減価償却を認める制度ということだろうと思います。中堅・中小企業にとっては、キャッシュフローの改善効果、それから税負担の軽減効果が見込まれますので、必要な資金を追加投資に回すことができるというメリットがございます。御党の御提案も真摯に受け止めた上で、このハイパー償却の有効性、それから海外の制度の利用実態なども踏まえながら、必要な措置について議論を深めてまいります。
また、先ほど少し即時償却にも触れられましたけれども、これもやはりキャッシュフローの改善効果が見込まれますし、政府による投資促進策としても、欧米各国でも同様の制度が導入されております。これは、やはり造船とか、航空とか宇宙とか、リスク低減ですとか社会課題を解決するための新たな需要があるのに十分な供給力が培われていないといった産業分野における戦略投資や、それから、中堅・中小企業の設備投資を強力に引き出していく極めて有効な支援策だと考えておりますので、しっかりと議論を深めてまいります。
○田中(健)委員 前向きに検討という言葉をお聞きをしました。ハイパー償却税制は、イタリアでもこれまで取り上げられて実行されてきましたので、是非参考にしていただければと思いますし、即時償却は欧米でされていることも私も学ばせていただきました。是非積極的な促進を進めていただければと思います。
高市総理のおっしゃる供給力の強化につながる投資拡大というのは賛成でありますが、しかし、これは昨日、長友議員も議論を深めましたが、最大のネックはやはり人手不足だと思っています。
国民民主党は、所得税の控除額を最低賃金に連動させて引き上げて、働き控えを解消すべきと主張しています。もちろん、壁を増やすことで皆さんの手取りを増やすと同時に、働きたい人が働けないという現状を解消していこうという狙いがあります。人手不足で、幾ら投資を進めて工場を建設しようとしても、人がいなければ絵に描いた餅になってしまいます。
まず、この中で、我が党の長友議員の中で、最低賃金の連動ということで、二〇二〇年代に千五百円を目指すお話をさせていただきましたが、昨日の議論を聞いていると、国が言いっ放し、目標を言うだけ、地方から苦情の声、余りいい環境にないという話でしたから、この最低賃金の千五百円を目指すという方針は、方針を変えるという理解でよろしいでしょうか。
○高市内閣総理大臣 確かに、様々な事業主体があり、様々な地域の状況もございます。ですから、国が一方的に目標を定めて、それについてきてください、やってくださいというようなことよりは、むしろ賃上げができる環境を整えていく、これが国の役割だと私は考えております。
○田中(健)委員 国が一方的に定めてそれを目標とするというのは適さないということですので、二〇二〇年代に千五百円を目指すというのは、高市政権の中では目指さないというように私は理解をさせていただきました。
労働力に関してなんですけれども、日経新聞の記事でありましたが、人手不足で生じた機会損失というのが年十六兆に達したという驚きの記事がありました。積極財政で需要を喚起するということは私たちも賛成ですが、なかなかこれだけでは経済が回らないということでありますから、労働生産性の改善ということも総理はおっしゃっていただいておりますが、やはり労働投入をまず増やすということが第一だと思っています。
その中で、基礎控除等を含むいわゆる年収の壁の上限を自民党さん内で議論をしているという報道もありますが、やはり私たちは百七十八万円というのにこだわっています。なぜかというと、これは、一九九五年に今の百三万円が設定されたときから現時点の最低賃金、改善の前ですけれども、それが上昇率が一・七三倍だった、だからこそ掛け合わせて百七十八万円だということを訴え、これを昨年、三党合意をしていただいたものだと思っています。
ですから、これは最低賃金、ないしは賃金にも連動して上げていくということに理解をしてもらっているというふうに私は考えておりますが、この考えについては、総理、いかがでしょうか。
○高市内閣総理大臣 まず、三党合意につきましては、御党とそれから公明党、自民党、三党の幹事長間で結んだ公党間の約束でございますので、本年末までの令和八年度税制改正プロセスで、基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置については具体化をしてまいりたいと思っております。今後、与党の税制調査会の御議論も必要かと思います。
最低賃金というお話がございましたけれども、基礎控除でしたら原則全ての納税者に適用されますけれども、最低賃金は給与所得者のごく一部にのみ適用されるものですから、基礎控除を最低賃金に連動して調整するということについては現段階で考えておりません。
○田中(健)委員 そうであるならば、じゃ、給与所得控除については最低賃金に合わせて引き上げるという、そういった考えはありますでしょうか。
○高市内閣総理大臣 今せっかく三党でも御議論いただいたりいたしておりますけれども、これは税制改正プロセスの中でしっかり議論させていただきます。
○田中(健)委員 私たちは、この百七十八万円を思いつきや単に言ったわけではございませんし、三党の合意というのは総理も大変に尊重していただいておりますので、是非求めてまいりたいと思います。
時間もなくなりましたので、最後の質問をさせていただきたいと思います。再エネ賦課金についてです。四枚目の資料でございます。
再エネ賦課金の単価というのは、制度開始から見るときれいな上昇カーブを描いています。二〇一二年の導入当時は一キロワットアワー〇・二二円が、今年は三・九八円と引き上げられて、過去十三年間で十八倍もの値上がりを記録しています。これは、標準家庭使用量四百キロワットでこの表を作られておりますが、月千六百円の上乗せであります。年間一万九千二百円、電気料の一割超にもなっています。
さらに、この再エネ賦課金は、二〇三二年頃までまだ増加するとも言われています。専門家からも、既に国民の許容範囲を超えているんじゃないかといった声が上がっている中、電気料の値下げといった議論もされておりますが、是非、この再エネ賦課金、廃止をして、更に電気料金を下げませんか。総理の考えを伺います。
○高市内閣総理大臣 まずは経済産業省の関係審議会で速やかに議論を開始して、必要な検討を加速させてまいりたいと思います。
再エネ賦課金は、法律に基づいて再エネ電気の買取り等を行うため、電気の利用者の皆様に御負担をいただいております。
今後、ペロブスカイト太陽電池の導入拡大に当たって同法に基づく支援が必要か否かということも含めて、経済産業省には議論をさせます。また、これは経済産業大臣にもしっかりと検討をさせてまいります。
○枝野委員長 時間が経過しております。
○田中(健)委員 ありがとうございました。
太陽光パネル等々、いろいろな課題もまだ残っておりますので、是非検討を進めていただければと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○枝野委員長 これにて長友さん、森さん、田中さんの質疑は終了いたしました。
次に、岡本三成さん。
○岡本(三)委員 公明党政調会長の岡本三成です。
高市総理、総理御就任、誠におめでとうございます。私ども、女性総理の誕生を心から期待をしておりましたし、私、個人的に、高市総理の掲げられている経済政策、共感するところも多いです。是非一緒にやらせていただきたいところ、多く御提案させていただきたいと思います。
私たち公明党も、連立から離脱をいたしまして、中道改革の軸として国民目線の政策を必ず実現していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
今日は、二つのことについて質問させていただきます。二つだけです。一つは、物価高対策。そしてもう一つは、財源をつくり出す政府系ファンドの創設です。
ちょっと順番を変えまして、政府系ファンドの方から先に質問させてください。
私たち、政府系ファンド、愛称でジャパン・ファンドというふうに呼んでおりますけれども、ジャパン・ファンドとは、我が国が持っている様々な金融資産を安定的に、そして効率的に運用をし、その運用から得た果実で国民全員が期待するような政策に使っていく。つまり、これまでの財源というと、それが税収であり国債の発行だったんですけれども、これにジャパン・ファンドからのリターンも新たな財源としてつけ加えていきたい、それだけのノウハウが日本にはたまったというふうに考えています。
海外では、既に活用事例も多くあります。これまで公明党は、学術界、金融界、産業界、様々な方ともう既に検討会を持ってまいりましたし、実は官庁の方々とも議論を今進めているところであります。
まず、総理にお伺いいたします。
これは、私どもが与党の時代、今年の骨太の方針の中に、この政府系ファンド、ジャパン・ファンドをイメージをしまして、このような一文を入れております。「公的部門が保有する資産について、その保有目的等も踏まえつつ、運用改善や有効活用の有用性を検討する。」であります。この骨太は閣議決定もされておりますので、私どもが連立を離脱した今も有効な政府文書だという認識でよろしいでしょうか。
○高市内閣総理大臣 有効な文書でございます。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
この中で最も大切なのは、私は、年金積立運用法人、GPIFのノウハウを活用することだというふうに思っています。
お手元の資料を御覧になっていただきたいと思います。
これは、GPIFが自主運用を始めて、これまで二十四年間の間の運用実績。先週、二〇二五年の第二・四半期のものも発表されております。これまでの二十四年間の収益率、年率で四・五一%。これはベンチマークに対して物すごく高いです。その累積の運用収益は、百八十兆円。とりわけこの五年間で百兆円以上収益を上げています。
この赤い折れ線グラフを御覧になっていただきたいんですけれども、運用を始めた二〇〇一年から一三年までは、日本国債中心の安全な運用でしたので、収益も当然低かったです。その後、海外で経験を積まれたプロの最高責任者、投資責任者を招き入れまして、二〇一四年に資産分散、アセットアロケーションを変えました。ほぼ全て日本国債だったものを、国内に半分、海外に半分、そして株式に半分、債券に半分、つまり二五%ずつの資産分散、アセットアロケーションに変えたんですね。そこから一気にパフォーマンスが上がってまいりました。
そして、二〇一九年からは、次の最高責任者、投資責任者としてリスクマネジメントのプロをお迎えをいたしました。私、議員になる前にアメリカの金融機関で長く働いていたんですが、この最高投資責任者の方は、その会社のアジアのトップ、プロ中のプロの方です。この人がやったのは、投資のパフォーマンスを最大化することではないんですね。リスクを最小化することです。
二〇一九年から今年まで物すごい勢いで収益が上がっていますけれども、これは収益が上がっていることがすごいのではありません。これだけの収益を上げるのに、取っているリスク量が物すごくちっちゃいことがすごいんですね。
つまり、今、GPIFの戦略というのは世界トップクラスです。アメリカ、ヨーロッパの法人も追いつけないぐらいのものをつくり上げているので、これを是非活用していきたいというふうに思っているんです。
総理、まず、このGPIFのこれまでの約二十五年のパフォーマンス、どのように御評価されているか、教えてください。
○高市内閣総理大臣 今御紹介いただきました累積収益額なども、もう数字的な御紹介はいただきましたので、そこは割愛しますが、年金積立金の運用というのは、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うということとされております。年金財政上の必要とされる運用利回りを最低限のリスクで確保するということが求められています。
自主運用開始から二〇二四年度末までの実質的な運用利回りはプラス三・九九%でございますので、年金財政上必要な運用利回りを上回る収益率、これをちゃんと確保しているということで、これは、市場平均収益率と比較しますと、おおむね遜色のない運用となっています。
この間、世界経済は、長期的に見ると成長を続けております。GPIFは、長期分散投資を通じて世界全体の成長の果実を得て、しっかりと収益を上げて年金財政にプラスの影響を与えているというふうに私は評価をいたします。
○岡本(三)委員 おっしゃるとおりで、資産運用はばくちではありません。科学そのもの、サイエンスなんですね。ですから、ノウハウが蓄積されます。そのノウハウをGPIF以外の資産にどのように活用していくかということが今まさに求められていると思います。
次のパネルを御覧ください。これが、私どもがイメージしておりますジャパン・ファンドの今の時点での全体図であります。今後、更に議論を進めていきたいと思っています。
例えば、日本が持っている様々な資産、左側を御覧になっていただきますと、もちろん厚労省の年金基金、財務省の外為特会、日銀のETFなど様々な運用資産を、真ん中にありますジャパン・ファンドに運用委託をいたします。それぞれの資産には、当然、運用の目的があります。
例えば、厚労省の年金基金であれば、今総理がおっしゃったように、賃金上昇率プラス一・九%です。これは実質には、今、賃金上昇プラス三・九九で回っていますので、約束の数字よりも二%。運用の世界で二%のオーバーパフォーマンスというのは大変なことです。ただ、一・九%は、最低限、約束です。
例えば、財務省の外為特会。外為特会の運用目的、又はこのジャパン・ファンドに依頼する運用指針は、これはいざというときには介入に使うお金なので、常に、例えばその資金の二〇%はアメリカの短期国債で運用するようにという、そういう指示かもしれません。どんな指示でも結構です。
日銀のETFは金融緩和のためにやったものです。これから長きにわたって市場に放出していくことを現時点では決めていらっしゃいますので、マーケットインパクトを与えないように。ただ、その期間ごとに、あたかも日銀がETFを持っていたのと同じだけのリターンをちゃんと支払うようにということかもしれません。
それぞれの運用委託者から運用の指示を受けます。そして、このジャパン・ファンドが、これを全体として一括して、全体最適の中で運用する。
今一番残念なのは、それぞれのお金が個別の運用目的を持っていますので、個別最適にはなっているんですが、全体で見たときに、取っているリスク量に対してリターンが余りにも低いことが問題なんですね。ここで一括運用を、例えば、今GPIFがやっているスケジュールというか戦略に基づいて国内外の債券や株式その他で運用をし、そのリターンがジャパン・ファンドに返ってきます。その上で、それぞれの運用元にお約束したものをお支払いします。
過去二十五年で試算したときに、お支払いした後、ジャパン・ファンドに何%残るか。これは、運用資金の、優に二%以上残ります。五百兆円規模でやると、毎年十兆円規模、約束したものをお支払いした後に残るんですね。全部使おうなんて思っていません。例えば、浮き沈みもあると思いますから、仮に半分使えることになっても五兆円。
しかも、先ほどのGPIFのボードをもう一回御覧になっていただきたいんですけれども、これのすばらしいところは何かというと、運用はこの赤線で、プラスとかマイナス、これは時価評価なんです。仮に売ればこれぐらいマイナスになることもあるし、プラスになる。ただ、毎年、資産を持っていますと、それに対して配当金や金利が入ってきますので、下の線、これはキャッシュフローなんですが、キャッシュフローは常にプラスです。GPIFの歴史上キャッシュフローがマイナスになったことなんかないんですね。
つまり、安定的に運用すると、恒常的に、恒久財源として毎年十兆円ぐらいは見込めるし、半分使ったとしても五兆円ぐらいは使える可能性があるというのが、今私どもがイメージしているジャパン・ファンドであります。
ちなみに、ありがたいことに、自民党の皆さんや立憲の皆さんや国民民主や参政党の方からも、是非一緒に取り組みたいというお声がけをいただいておりまして、近々超党派での議論を始めたいというふうに思っておりますし、世界中の、日本も含めて、トップの金融資産会社の、運用会社の日本人の方から、日本のジャパン・ファンドが立ち上がるのであれば是非貢献したいというお声もたくさんいただいています。
まず初めに片山財務大臣にお伺いしたいんですが、ジャパン・ファンド、是非実現したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○片山国務大臣 委員におかれましては、まさに新しい金融の流れ、そして新しい資本主義、そして運用で稼げる日本につきまして、長年にわたって大変有用な提案をたくさんいただいていることに御礼を申し上げますし、まさに機会費用というところで、例えば、仮に米国債で四・何%で今回っている部分があるとすると、それは日本に引き直したら一から一・五というのはおっしゃっているとおりですから、それは確かに機会費用の逸失があります。
そういうことも含めて、ただ、今、公的部門の保有する資産が、一般に税金や保険料、市場からの借入れ等が原資であり、その運用に当たって、各々の資産の保有目的等を踏まえて、まずは安全性が原則に来ているというのは事実でございますし、先ほどの、外為特会においては機動的な介入を行うために、二割とおっしゃっていたけれども、三割なのか、四割なのか、二割なのか、一定のものを確保する流動性ということは、それはプロでいらっしゃる先生はよく御存じでございますが。
こういったことも詰めながら、まずは研究を始めていただくということで、何かすばらしいメンバーの超党派の議員連盟が立ち上がるようでございますし、当然、私どもの自民党からもそうそうたるメンバーが入られると思いますので、これに非常に御期待を申し上げますし、海外の政府系ファンドについても一部検討はしておりますし、そういった御質問もいただいておりますので、まさに英知を結集した、成熟国家としては、運用で稼ぐという視点は非常に重要でございますので、安全性にも、しっかり判断をさせていただいた上で、こういった前向きな提案について、是非今後も御検討いただきたいと思っております。
○岡本(三)委員 総理にも御感想を伺いたいんですが、今財務大臣がおっしゃったことはそのとおりで、ですから、例えば外為特会であれば、二割と言わず、三割、四割でも。実際、先ほど申し上げましたように、今のGPIFも分散投資しておりますので、例えば、介入のために十兆円分のドルを用意してくれ、二日でできます。なので、いつでも言っていただければ御用命をお承りいたしますので。
ちなみに、借入金があるというふうにおっしゃるのは、今も一緒です。今も日本の短期国債で調達をして外為特会を運用しておりますので、借入金利が発生しているからといって、そこからのリターンが低くていいということにはつながりませんので、是非一緒に検討させていただきたいと思いますし、これが最終形ではなくて、政府のお考えも伺いながらみんなで考えていきたいという趣旨でございますので、総理にも一言御感想をいただければと思います。
○高市内閣総理大臣 何かすごく明るい気分になりました。夢が持てました。
一般論として、資産の運用に当たっては、安全性を担保した上で、おっしゃるように、リスクとリターンの関係性、それから運用しないことによる機会費用、これは考慮すべきだと思います。この問題意識は共有できると思います。
これからジャパン・ファンドの検討に入られるということで、楽しみにいたしております。現時点でちょっと評価を言えませんけれども、是非とも、制度設計したら教えてください。また、こちらも情報提供に協力をさせていただきます。
○岡本(三)委員 総理、その上でちょっとお伺いしたいことがありまして、高市総理が誕生して、やはり町場が明るくなった感じがするんですね。女性の初の総理だということもあります。経済政策に対する期待もあると思いますので、働く方も学生の方も大変明るくなったというふうに思います。
なので、あえてお伺いしたいんですけれども、仮にこれが実現できたとして、仮定の御質問にはお答えできませんというのは、なるべく違う形でお答えいただきたいんですが、仮に、五兆円、総理が自由に使っていいというふうに国民から委託された恒久財源が毎年五兆円、これから使えるとします。総理は何にこの五兆円を……(発言する者あり)自由にというのは、済みません、国民のために使うとして、この五兆円の恒久財源を何に使いたいというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。
○高市内閣総理大臣 五兆円、恒久財源ですね。自民党には怒られるかもしれませんけれども、今だったら、例えば食料品の消費税軽減税率、これをずっとゼロにするとか、恒久財源があればですよ、恒久財源があれば、に使うという手もあるし、私が申し上げているような、やはり危機管理投資ですね。危機管理投資というのは、やはり今の人たちの命や、心配、これをどちらかといえば希望に変えていく。様々もう既にこの委員会でも申し上げておりますので繰り返しませんけれども、危機管理投資に使うお金、政府が出すのは呼び水ということになりますが、民間投資だけで足りない部分、ここにはしっかり投資していきたいですね。特に科学技術分野、これを強くしなきゃいけませんので、そこに突っ込めると大変ありがたいですね。
もし恒久財源、自由に使えるのが十兆円あったら、もっとやりたいことはいっぱいあります。ありがとうございます。
○岡本(三)委員 大変突っ込んだ、個人的な御意見だと思いますけれども、伺えて、本当に元気が出てきました。
私ども、軽減税率を導入したのが、御案内のとおり公明党であります。前回の参議院選挙のときには、重要政策といたしましたけれども、公約とはいたしませんでした。なぜならば、恒久財源を示すことができなかったからなんですね。
私たち、福祉的な観点から、実は、経済対策として一、二年だけ軽減税率を下げるというのは私たちは反対です。それは、事務コストが高過ぎて、事業者の方への負担を余りにもかけ過ぎるからです。ただ、福祉的な観点から恒久的に下げていきたくて、おっしゃるとおり、今の経済規模でいいますと、仮に軽減税率八%をゼロにすると年間四・八兆円です。五兆円で十分に賄えます。ですから、それも含めて。
ただ、将来への投資という意味において、科学技術への投資であったり、もしかしたら若い世代に対する社会保険料の低減にも使えるかもしれません。そういうことも一緒に議論しながら、このジャパン・ファンド、是非実現したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、次に物価高対策について質問させていただきます。
総理は、この物価高対策こそが高市政権の最重要課題だというふうにおっしゃっています。
公明党は、参議院選挙のときに、減税か給付かだけではなくて、減税も給付もというふうに訴えました。これは、減税とか給付とか個別の手段を申し上げたわけではありません。つまり、数年かかる減税のようなことであっても、今すぐできるような給付のような即効性のあることであっても、やれることは全てやるべきだというぐらいの物価高の状況だという認識の下に、全てやれることはやりたいという思いで、減税も給付も、そういうスローガンで選挙は臨みました。
今までの予算委員会で、二年、三年かかることは結構もう議論されています。ですから、今日は、即効性のあるものに限って議論し、提案させていただきたいと思います。即効性のあるものというものは、例えば年末までに実施が始められるもの、遅くても年度末、来年の三月ぐらいまでには生活者のお手元にお届けすることができるということに絞って総理にお伺いしたいというふうに思います。
まず、今の時点で、これから経済対策が出てくる中でもっと多くのものが出てくると思いますけれども、今の時点で高市総理がおっしゃっていることは、一つはガソリンの暫定税率の廃止。是非実現すべきだと思います。
一方で、どれぐらいの経済効果があるかというと、日本全国平均すると、日本総研の試算では、二人以上の御家庭で、一世帯、年間の軽減額七千六百円、一世帯では毎月六百三十三円です。私は東京都荒川区に住んでいるんですが、東京だと自家用車をお持ちじゃない方も多いです。東京は、年間一世帯平均二千三百円、一世帯毎月百九十二円です。車を持っていない御家庭はメリットゼロなんですね。やるべきですけれども、決して十分ではありません。
今、高市政権で言われている電気代とガス代の値下げ、これは所信でもおっしゃいました。是非やるべきです。けれども、今年の夏と同じ水準だと言われていますけれども、そうであれば、電気、ガス合わせて一世帯毎月千円です。全く不十分なんですね。
明らかになっているのはこの二つぐらい。これに加えまして、重点支援地方交付金の増額。是非やるべきだと思います。
ちょっと不十分だと思うんですね。その意味では、昨年末に、年収の壁、引き上げておいて本当によかったと思います。これで、今年の年末か年始の確定申告で、働く方ほぼ全ての方、九九%の方に二万円から四万円の所得税減税を受け取っていただけます。
いろいろな議論がありました。国民民主党の方から百三万円の壁を上げるべきだという問題提起がありました。けれども、百七十八万円までいかなければ、まあ譲れないということだったので、議論の途中でちょっと離脱をしていかれたんですね。自民党の方は、そんなお金、どうしようかということの中で、これも残念ながらちょっと遠くに行かれまして。
私たちは、百点満点までいかなくても、十点でも二十点でも、ちょっとでも上げたいと思って、これは財務省の方に感謝申し上げたいんですが、財務省の方、国民の方からいろいろなことを言われることもありますが、実は、財務省の方にお願いをして、財源を一緒に探りました。そして、これも使えます、あれも使えますという御提案をたくさんいただいて、それで使えるお金でやれるのが最大二万円から四万円だったんですね。不十分だと思います。けれども、ゼロよりましです、現実主義で。これはやっておいて本当によかったと今思います。
その上で、総理、今いろいろなメニューが報道等でなされていますが、今明らかになっているものでは私は不十分だと思っているんですが、どういう御評価で、今後更にどういうふうに取り組んでいただけるかということを、国民が期待できるような形で御表明いただければと思います。
○高市内閣総理大臣 まず規模感なんですが、これから補正予算を組んで、お認めいただくということになりますので、規模感を明快には申し上げられませんが、やはり今物価高、国民生活を少しでも楽にするという意味から、それなりの規模を想定しています。
電気代、ガス代、あれじゃ不十分じゃないかという話ですけれども、これは深掘りをさせていただきます。それから、ガソリンに加えて軽油ですね、軽油の方も安くなる。これは新規であると思っております。それから、やはり官発注の請負契約の単価、これをちょっと適正化していくということ、発注元へのちゃんとした周知徹底をしていくということ。それから、医療、介護、これも診療報酬や介護報酬の改定を待たずに先にお金を入れていくということ。
それから、あとは、所得税の年収の壁の話は今していただきました。まずは一・二兆円分、百六十万円までということで、これは今年の年末調整でお手元に参ります。
それから、重点支援地方交付金ですけれども、これもやはり、物価高に苦しんでおられる生活者や中小・小規模事業者、また農林水産業、いろいろなことに使えますけれども、これは地方の方で、その地域のニーズに合わせて相当知恵を絞っていただかなきゃいけない。これは拡充と申し上げておりますので、それなりの規模で考えております。
このほか、中小・小規模事業者の賃上げ環境を整えると申し上げましたので、これは重点支援地方交付金も使えますけれども、キャリアアップ助成金、この活用の促進、それから業務改善助成金、これも拡充いたします。また、生産性向上支援、省力化の投資など、これも推進する、取引適正化もするというようなことで、今のところ、物価高対策として考えていることでございます。
ちょっと、中期のものは省きます。
○岡本(三)委員 報道によると、お米券やら商品券やらといううわさも聞きますけれども、やれるんだったら、コストは高いですけれどもやればいいと思いますけれども、そんなにお渡しするんだったら、だったら給付でいいじゃないかと思うところも実はあります。
総理、いろいろなところで給付はやらないとおっしゃっていますのでそういうことなんだと思うんですけれども、ただ、総理がおっしゃる給付をやらない理由が、選挙において民意を得ることができなかったということをおっしゃいますけれども、私は、そういう側面もあるかもしれませんが、違う側面もあると思っていまして、つまり、選挙で自公が負けたのは、給付が嫌だからではなくて、自公に投票するのが嫌だったからだと思うんですね。なので、給付に関してはもうちょっと別の考え方があっても。
例えば、一律というのがやはりばらまき色がありますので、全部課税所得にして、年末調整や確定申告で収入の高い方は半分税金で持っていってもらうとか、中間所得層までに限るとか、又は、この機にインフラをちゃんと整えるために、マイナポイントで受け取ってくださる方は二割増しで受け取っていただけるとか、何でもいいんですけれども、もうちょっと工夫をするような余地も是非排除せずに景気対策をお考えいただければというふうに思います。ただ、私自身は給付にこだわっているわけではありません。(発言する者あり)いやいや、要は、短期間で来年の三月ぐらいまでにお手元に届けるものをメニューアップしていただきたいということなんですね。
それで、総理、先ほど、電気代、ガス代は深掘りするというふうにおっしゃいました。是非やっていただきたいです。これは、すごいのは、決めたら次の月ぐらいにはもう始めて、送金手数料がかからないんですね。そして、実際払うべき電気代が少なくなるので可処分所得が増える。
メニューを増やしていただきたいんです。例えば、今年の夏、東京都では水道料金の基本料を無償化にいたしました。物すごく都民の方からの評判はよかったです。けれども、他の道府県の方からすると、財政力があるところはいいな、うちは財源がないんだというお声がたくさんありました。日本全国、全ての国民が水道を使っています。この重点交付金の推奨事業の中には水道料金の無償化を是非入れていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。水道料金の基本料金の無償化又は値下げですね。お願いします。
○高市内閣総理大臣 既に、推奨事業メニュー、令和六年度の補正予算のときには、これは水道料金の減免という書きぶりで入っておりますが、国土交通省から自治体に対して、重点支援地方交付金は水道事業に活用が可能であり、地域の実情に応じて検討を進めるようという呼びかけ通知はしております。この水道料金の基本料金無償化を既に実施している自治体もあると承知しております。
ただ、やはり、今回の推奨メニューにも改めてきっちりと入れて再周知するということを検討いたします。
○岡本(三)委員 続きまして、ちょっと米のことも。
やはり米は生活必需品ですので、米の値段が高いとそれはそのまま、物価高の一番中心にあるのが米の値段だと思うんですね。政府として米の値段にいろいろと関わりたくないというのは農水大臣の最近の発言でも接していますけれども、総理に、消費者として、一消費者としてお伺いしたいと思います。
現在の経済状況、現在の所得状況等々を考えたときに、一年数か月前には二千円台だった五キロのお米の新米が、全国平均でも四千三百円、東京においては五千円近くする、五キロ五千円ぐらいする米の値段が、消費者として総理にはどのように映るか教えてください。
○高市内閣総理大臣 米の小売価格ですけれども、昨年六月以降約二倍に上昇して、現在も高止まりしているということですから、昨年に比べるとうんと高いということです。
これまでの答弁でも、生産者の再生産が可能で、かつ消費者にも理解が得られるような価格水準に落ち着いていくことが重要だと考えるとお答えをしてまいりました。そういう意味では、何とかお米もそういう水準になっていけばいいなと考えております。
詳細が必要でしたら、農水大臣がおりますので。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
その上でですね、これは大臣のいろいろな発言も聞いておりますので、その上で。
これまで、ガソリン代に補助金を入れてきました。それは、国民生活にとって必要不可欠だということで、何兆円もの補助金を入れてきました。正しい選択だったと思います。ただ、国民生活に重大な影響を及ぼすものとして考えると、米は、ガソリンと同様、それ以上に重要じゃないかというふうに思うこともあります。
ガソリンに補助金を入れられるんだったら、米にも補助金を入れて店頭価格を五百円ぐらい下げるぐらいの予算づけをしても納税者の皆さんは喜んでくださるというふうに思うんですけれども、農水大臣、いかがでしょうか。
○鈴木国務大臣 お答え申し上げます。
岡本委員おっしゃることは、聞くと、一見そうかなというふうにうなずきそうになってしまうのでありますけれども、これは、どうやってやるかということが大変大事だと思っています。
そして、今ガソリンと比べられたんですけれども、ガソリンと比べますと、お米の流通業者数というのが膨大なものになっております。例えばなんですけれども、燃油、燃料の油の元売業者は三十三社でありますが、一方で、米麦の卸売業者数は千七百三十二、そして米穀類の小売業者数は二千七十一となっておりまして、例えばですけれども、米の流通業者に個別に補助金で支援する方法というのが即効性の点で慎重な検討を要するかなと思います。
そしてもう一点は、仕入価格自体が一律なものではない。様々な作り方によって様々な値段設定がありますので、その辺も含めて、私自身も様々なやり方があるのではないかということももちろん内々では検討しておりますが、結果として、米も含めた足下の物価高に対しては地域の実情に合った的確な支援をお届けできるように重点支援交付金の拡充を検討しているところであり、お米券という手法についてもこの物価高対策の中で検討してまいりたいというふうに考えております。
○岡本(三)委員 ガソリンと米では物流のチャネルが違っている、よく分かっていますけれども、そこは、農政のプロである大臣ですので、是非知恵を働かせていただいて、できない理由をお伺いいたしましたけれども、こうやってできるようになりましたというふうに今後表明いただけることを期待させていただきたいと思います。
次に、若い皆さんは、給料が必ずしも高くないけれども、奨学金返済で御苦労されている方がたくさんいらっしゃいます。私は、奨学金を借りていらっしゃる方というのは、借金してでも自分の将来のために学びたいと決意をしてくださった非常に志の高い方が多いというふうに思っています。ですから、この方々をどのように支援するか、奨学金を支援するということは公明党は力を入れてきました。
これまでは、例えば給付型の奨学金、御家庭の生活状況が厳しい方には返す必要のない奨学金の割合を増やしてきました。ただ、今最も力を入れているのは、返済をされている方々をどう支援していくかということなんですね。
これまでやっている中で、一つは減額返済。例えば、十年で返済しなければいけないんだったら毎月の金額は大きいんだけれども、二十年かけて返済だったら毎月その半分でいいので、長くかけて少しずつ返していただくというようなこともやってきたんですが、最も私は効果があると思っているのが、実は企業の代理返済なんですね。
その若い方がある企業に就職をする、そうすると、その企業が、人材獲得のために、大切な武器として、その奨学金を肩代わりして返済をしてあげると、その社員の方もすごくやる気もできます。会社に対するロイヤリティーも湧くかもしれません。会社はその返済した金額を実は会社の費用として計上することができるようになっていまして、法人税から控除されていきます。なので、三方よしなんですね。これは公明党が提案をして、五年間伸ばしてきました。みんなが喜ぶ仕組みなんですが、残念なのは、御活用されている数がいまだ四千三百社程度なんです。
これはなぜそうなのかと思って、私は現場を歩いているときによく企業の関係者の方にお伺いするんですね。問題は、そういう仕組みがあることを御存じの企業経営者、人事の方はほとんどいらっしゃいません。文科省の方、こんなにいい仕組みなのに、文科省のチャネルだけで事業者に宣伝していこうというのは到底無理なんですね。けれども、気づけば新しくこれを採用してくださった方はたくさんいらっしゃいます。これをもし今採用していただいて、十二月にその社員の方の肩代わりをすると、その瞬間から社員の方の毎月のキャッシュフローが変わってきます。即効性がめちゃくちゃあるんですね。
私の提案は、経産大臣にこの御協力をお願いしたいんですね。文科省の仕事だというふうにせずに、経産大臣から、例えば、大企業、中小企業、全て含めて、経済団体、中小企業がつき合っているような税理士会、社労士会、あらゆるチャンネルを使って、やらなきゃ損ですというぐらいに、少なくとも、そういう選択肢があることを企業にお伝えし、結果的に、その企業も新しい人材を獲得する、長くできる、法人税もその分節約になる、その若い方は何より毎月の暮らしがよくなっていくような、そういう協力を経産大臣にお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。
その上で、文科省だけでやっているということではなくて、まだ足りないという御指摘は甘んじて受けますが、経産省も従来から努力しているということも申し上げたいと思います。
人手不足が深刻化する中で、企業による自社の魅力向上を通じた人材確保や定着を後押しするという産業政策の観点からも、奨学金の代理返還制度が活用されることは極めて重要だと思っています。
このため、経済産業省としても、本制度の企業への周知を進めております。具体的には、日本学生支援機構が作成したパンフレット等も活用し、御指摘のあった経済団体、よろず支援拠点等の中小企業支援機関を通じた広報に加えて、六百五十を超える企業の経営層が参加する人的資本経営コンソーシアムでの周知などに取り組んではおります。
ただ、まだまだ足りない、こういう御指摘だと思うので、引き続き、文部科学省と密接に連携をして、更なる周知等に全力で取り組んでまいりたいと考えます。
○岡本(三)委員 赤澤大臣の御決意は大変頼もしくお伺いしましたが、一方で、経産省まで関わっていてたった四千三百社なんですかと、ちょっと残念な気持ちになりました。なので、今の御尽力レベルをもうちょっと、十倍ぐらいに上げていただいて、是非、少なくとも、その企業が採用するかどうかは別にして、こういう仕組みがあることはほぼ全ての企業がちゃんと御理解をされるというふうな努力は続けていただきたいと思います。
最後に、それでも、フリーランスで働いていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます、一〇〇%の企業がそのような仕組みを導入できるかというと、そんなに甘くないと思います。やはりそういう方にもしっかりと奨学金の返済について応援していくことが私は何より重要だというふうに思っておりまして、私ども、斉藤代表が所信に対する質疑で提案をいたしましたように、奨学金減税も、この様々な枠で支援することができない方々に対して奨学金減税も是非実現していただきたいというふうに思います。
所信に対する質問の中での総理の御答弁の中では、例えば、若い方は所得税率が低いので、所得税減税としてあげても大した金額になりませんという御答弁がありました。そうだと思います。そうであれば、税額控除してあげればいいだけですよね。年間返済している分の例えば二割は税金でお返しするようなことの工夫もできますので、とにかく、日本を明るくしてくださっている、この雰囲気をつくってくださった高市政権が、とりわけ若い皆さんに希望の光を差してくれることを心から期待をしております。
その上で、私たち公明党は、中道改革の軸として、生活者目線の政策実現に全力で取り組むことをお約束いたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○枝野委員長 この際、中野洋昌さんから関連質疑の申出があります。岡本さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。中野洋昌さん。
○中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。
まず、高市総理、御就任おめでとうございます。私、地元は兵庫県の尼崎市であります。関西からの久しぶりの総理であります。本当にお喜びを申し上げます。
今回、私からは、主に政治改革について質問をさせていただき、そして、防災、減災や住宅についても最後に質問をさせていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いを申し上げます。
私ども公明党は、先ほど岡本政調会長からも、国民のためのいろいろな改革をしっかり進めていきたい、こういう思いであります。あわせて、やはり政治の信頼を取り戻す改革も断じて進めていかないといけない、こういう思いもございます。一昨年の自民党派閥をめぐる政治資金問題以降、この問題はずっと議論をさせていただいております。なかなか結論が出ないという状況でもあります。このテーマにも、是非総理、強い思いで取り組んでいただきたいということをまず冒頭お願いを申し上げたいというふうに思います。
冒頭、二点お伺いをしたいのが、なかなか結論が出ないというのが二点あると思っております。一つは、問題の全容解明であります。もう一つは、企業・団体献金であります。
問題の全容解明という意味では、総理からも今まで、それぞれ真摯な説明を各議員していただいている、二度とこういうことを繰り返さないことが大事だ、こういうことも繰り返し答弁もしていただいておりますけれども。
そして、実際、今まで衆議院選、参議院選と二つの選挙もございました。しかし、例えば、今年七月の参議院選挙の後を見ても、いろいろな新しい事実というのは出てきていると思います。例えば、元政策秘書が略式起訴されたようなケースもございました。あるいは、パーティー券の収入の還流の再開を求めた幹部の名前が法廷で証言をされたりと。この参議院選挙が終わった後も次々と新しいことが起きているということであれば、やはり国民の皆様も、いつまでたってもこの問題、けりがつかない、そういう思いを持たれている方も正直多いと思います。説明責任をしっかり果たす必要があると思います。また、全容解明をしていく必要もあると思います。
代表質問を含め、何度もこの問題、確認をさせていただいておりますが、どうこのように対応されるのか、総理にお伺いをいたします。
○高市内閣総理大臣 まず、自民党における旧派閥の政治資金収支報告書の不記載に関する問題によりまして政治への信頼を損ねることになったことにつきましては、自民党総裁として、国民の皆様、また全国民の代表でいらっしゃる議員の皆様に心よりおわびを申し上げます。
そして、私も、この問題が決着済みだとは決して思っておりません。とにかく、こういう問題を過去のものとはせずに、二度とこのような事態を繰り返さないことが大事だと思っています。政治とお金の問題には厳しい姿勢で臨んでまいります。改正政治資金規正法を始めまして、ルールを徹底的に遵守する自民党、これを確立するために誠心誠意働き、そしてまた結果を出し続けてまいります。
それから、先ほどちょっと具体的な事例をおっしゃいましたけれども、今なおこの問題に関する事案が司法において取り扱われているということについても大変申し訳なく、政治に対する皆様の信頼を得るための努力を続けなきゃいけないと改めて感じております。
お尋ねの点でございますけれども、自民党としては非常に重く受け止めております。これまでに把握したこと、そして解明された事実関係を踏まえて、再発防止にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○中野(洋)委員 総理からも、まだ、決着済みだと思っているわけではないというふうな御発言もいただきました。重く受け止めているという御発言もいただきました。
それぞれ一つ一つ、余り個別の事案を、私、ここで取り上げるつもりは全くございません。総理の姿勢として、やはり説明責任をしっかり果たしていくということを、具体的に行動として、是非党としてもこれからも示していただきたいということを改めて強く申し上げたいというふうに思います。
そして、企業・団体献金もそうであります。これはなかなかやはり難しい問題だということは、私もこの二年来取り組んできて、非常に分かっているつもりではございます。政治改革特別委員会でもずっと議論をして、自民党さんからは公開の強化を掲げる法案も出ております。他方で、立憲さん、維新さん、有志さん、参政党さん、企業・団体献金は禁止だという法案も出てきております。
今までの答弁をお伺いをいたしますと、総理、非常に慎重な、やはり企業・団体献金の規制に対してはそういう答弁もあるというふうに感じておりまして、これを禁止に持っていくというのは、率直に言ってなかなか難しいと考えておられるのではないかというふうにも拝察をいたします。自由民主党、この企業・団体献金に対するそもそものスタンスというのをもう一度答弁していただけますか。
○高市内閣総理大臣 まず、企業、団体にとって、献金は、自らの政治的意見を表明するための重要な活動であり、憲法と最高裁判例により政治活動の自由の一環として保障されているものだということ。そのため、企業・団体献金の規制につきましては、企業、団体の政治活動の自由に関わるものですから、必要性や相当性について慎重に議論する必要があると考えていることでございます。
自民党としては、禁止よりも公開という観点から、企業・団体献金を含む政治資金の透明性を確保する取組を進めてまいりましたが、やはり透明性の確保は重要であると考えております。
ただ、連立政権となりまして、連立合意に当たっては、この企業、団体からの献金、それから政治団体からの献金、受け手の規制、金額上限規制、また機関誌等による政党の事業収益及び公開の在り方を含めて、政党の資金調達の在り方、これを幅広く検討していくということになりました。
ですから、連立政権内、両党でまず合意した考え方に沿って検討を進め、御党を含む各党と真摯な議論を重ねていくという段階にあると存じます。
○中野(洋)委員 自民党さんのスタンスを御説明をいただいたと思っております。
これはそうなんです。非常に、政治改革特別委員会でも大変に難しい、決着のつかない議論がずっと続いておりました。維新の会さんと今回協議をされるということだと思うんですけれども、この間、なかなか結論が出ない、正直そういう状態で、実際に政治改革特別委員会でも、本来はこの企業・団体献金の禁止の関連のことについて令和六年度末までに決着をつけようという申入れもし、そして、それでも決着がつかないという中で、じゃ、どうするかということを議論をしてきた中で、我々、やはり、公開をするのか禁止をするのかという二項対立でいくと、なかなか決着がつかない。であれば、今、政党支部で受けられるわけでありますけれども、実際はかなり数多くの政党支部が正直あるという状況の中で、この受皿を絞っていくことで、ガバナンスを利かせる、あるいはしっかりと透明性を確保するというふうな、受皿の規制ができるんじゃないか、こういう議論を政治改革特委でずっとやってきたわけであります。
実際に、今年の参院選後に、これは前政権のことではありますが、こうした企業・団体献金の受皿を限定する、私ども公明党とそして国民民主党さんで議論をしてきた案でございますが、これを軸として、じゃ、落としどころを探ろうかというふうな議論も委員会の中ではあったわけでございますし、また、前石破総理も、これを受けて、自民党の政党支部について調査をしようということで前幹事長に指示をされたりですとか、具体的な議論をされているんだろうなというふうに私は受け止めておりました。
前回までのこの流れを受けての自由民主党内における受皿規制についての議論、現在どうなっているのかというのを、総理、答弁いただけますか。
○高市内閣総理大臣 石破前総裁からお約束をいたしました、各政党支部、たくさんございます。市町村支部も含め、地方議員のやっていらっしゃる支部も含め、たくさんございます。これらの点については、今、自民党の事務局でかなり丁寧に実態を調査しております。この結果をしっかり分析して、自民党としての考え方を練るのに生かしていかなければならないと考えております。
○中野(洋)委員 しっかり自民党として調査をされているというふうな答弁もいただけました。
具体的に外に出して、何か意見を言う、そういう段階ではまだないということ、そういうことですか、総裁。
○高市内閣総理大臣 まだ、具体的に外に出してという話でございますけれども、今調査をしてはいるんですけれども、それを具体的に外に出す、出さないということの判断までには至っておりません。市町村支部、かなりの数ございますので、丁寧にきっちりと調査をしているということです。
政党の資金調達の在り方そのものについては、今般、日本維新の会との間の連立合意がございますので、これは、企業・団体献金の在り方も含め、割と幅広に検討することになりました。ですから、その検討に当たっても、また党の考え方を練るために、今事務局でやっております様々な調査、分析というのは役に立つものだろうと思っております。
○中野(洋)委員 現状の議論の状況をお伺いをさせていただきました。
また各論の議論は、政治改革の特別委員会もあると思いますので、そこでやっていこうと思っておりますけれども、この政党支部の話も、最近特に降って湧いたような話でもなくて、これは平成六年の、それこそリクルート事件を受けての大きな政治改革の制度改正以降の議論でもございます。
総理も、当時の議論も参加をされておられると思いますので、当時の状況もよく御存じかと思いますけれども、当時から、元々個人で受けていた献金というのを政党の支部で受けられる形にしよう、そうすることで、ある意味、個人と企業、団体の癒着というのが切り離せるんじゃないか、そんな狙いがあったんだというふうに思います。しかし、それ以降、政党支部が何千何百も増えるわけはないだろうというふうな議論も当時はあったわけでございますが、しかし、かなり、政党支部の数、今、相当増えているような状況でもございます。
この受皿規制につきましては、もちろん、民主主義を支える、政治資金改革制度、これはインフラでございますので、当然、各党各会派、様々な御意見をしっかりと伺いながら進めていくべき事項だというふうに我々も考えております。
現在、公明党と国民民主党の両党で法案の要綱も作成をしまして、条文化も含めて、今まさに作業をさせていただいているところであります。これは、我々、いろいろな各政党に是非働きかけをしまして、受皿規制についてしっかり進めていこうということをさせていただきたいと思っておりますが、自民党も是非真摯に議論に参加していただきたいと思いますけれども、総理、いかがでございましょうか。
○高市内閣総理大臣 内閣総理大臣の立場としては、他党提出予定の議員提出法案について具体的なコメントは控えさせていただきますが、企業・団体献金への規制につきましては、先ほど申し上げましたように、禁止より公開というのが自民党の基本的な考え方でございます。
今後、日本維新の会との連立合意に基づいて、両党の間で、国民の皆様に信頼していただける政治資金の在り方について幅広く検討して、御党も含む他党とも真摯な議論を重ねてまいる考えでございます。もとより、各党各会派が御提案される考え方についても、これは真摯に受け止め、率直に議論をさせていただきたいと思っております。
○中野(洋)委員 是非よろしくお願いを申し上げます。
政治資金に関して、もう一つ重要な取組があると考えております。第三者機関の設置、政治資金を監視する第三者機関であります。
昨年六月、政治資金規正法の改正の附則の中で、これは公明党、我が党が訴えさせていただき、この附則を盛り込みました。そして、昨年十二月、これを設置するというプログラム法もまさに成立をしたところでもございます。
自由民主党さんと維新の会さんの連立の合意を見ましても、この政治資金の改革について、第三者的なところの意見も伺いながらというふうに書いておられますので、第三者機関、まさに政治資金を第三者の目で、お手盛りで自分でやるわけではなくて、やはり第三者の目でしっかりと監視をするということが非常に重要だということも御理解をされているのではないかというふうに拝察をいたしました。
先月末、御党も参加をしていただいて、この設置に向けた各党での実務者協議会というのを開始をさせていただきました。是非この議論も加速してまいりたいと思いますが、総理、いかがでございますか。
○高市内閣総理大臣 これは、御党と国民民主党の間で政治資金監視委員会等の設置について規定されたプログラム法案が、昨年、臨時国会で成立をしました。
この法律におきまして、政治資金監視委員会の設置のためには別途の立法が必要だと規定されておりますので、内閣総理大臣の立場でコメントするのは差し控えますが、自民党総裁として申し上げましたら、法の規定が適切に実現されますように、自民党として誠実に応じてまいりたいと考えております。
○中野(洋)委員 設置に向けたかなりいろいろな論点、今詰めてまいりますので、是非よろしくお願いをいたします。
議員定数削減についても質問をさせていただきます。
これも様々、もう総理、御答弁いただいておりますので、繰り返しの質問はいたしませんが、十一月六日に超党派の議連が議長に提言をいたしました。今、衆議院の中で、議長の下にまさに衆議院選挙制度に関する協議会というのが設置をされておりまして、この全体の議論をしております。この定数削減の議論の進め方なんですけれども、高市総理も先週金曜日の予算委員会で、この協議会との議論の関係を、衆議院のことなので、そちらを尊重しなければいけないのかなと思うというふうな御発言もあったかというふうに思います。
この協議会、選挙制度の改正、一票の格差是正等、様々な議論がある中で、国会での附帯決議で設置をされまして、これは当然、議員定数も含めて、選挙制度全体について議論を、抜本的な検討をしようということで設置をされて、まさに議論が続いているのがこの協議会でございますので、この協議会の議論というのをしっかりと尊重をしていく、あるいはここでしっかり議論をしていくということでいいのかということを改めて確認をしたいというふうに思います。
○高市内閣総理大臣 衆議院の議員定数、これを具体的にこれだけ削減するという議員立法案の提出につきましては、これは日本維新の会との間で合意しておりますので、できるだけ幅広い賛同をいただくことが重要だと思っております。
ですから、今後、与党間の実務者協議体で、協議を含めた上で、御党を含めた各党各会派の皆様と真摯に議論を重ねるという考えでございます。その際、衆議院選挙制度に関する協議会において議論することも一つの選択肢になり得ると考えます。具体的な進め方につきましては、その段階で各党各会派の皆様と御相談をさせていただくことになると思います。
○中野(洋)委員 議員立法についてはまず自民と維新で検討をして、進め方については各党各会派と議論をさせていただく、相談をさせていただくということかというふうに思いました。
院に設置された協議会、議長の下の協議会でありますので、私、ここでの検討というのは非常に重いものだというふうに思っております。
また、当然、先ほどの政治資金の問題もそうですけれども、選挙制度というのも、まさに民主主義を支えるインフラそのものでございますので、各党各会派、ここでしっかりと幅広い合意が必要だということも当然だということを、総理もそれは答弁されておられますけれども、改めて申し上げたいというふうに思います。
議員定数削減の具体的な方法についても伺わせていただきたいと思います。
これは、総理も御承知のとおり、平成六年の政治改革のときの議論であります。そのときに、小選挙区というのは民意を集約をしていく、政権交代が可能な、そういう制度でもあるというふうな議論もあったかと思います。他方で、やはり比例代表というのは直接民意が議席に反映をされるということで、これは民意を反映をしていくための制度だと。そのバランスをどうするのかというのも当時大きな議論になったというふうに伺っております。その中で、六対四という、この小選挙区と比例代表の定数配分の比率というものも決まったというふうに承知をしております。
私どもも、定数削減に反対をするということではありません。しかし、どう削減するかによって選挙制度そのものの持つ意味が大きく変わるということだというふうに考えております。
そういう意味では、私たち、今のバランスは重要だというふうに思いますし、削減の数と方法なんですけれども、例えば、小選挙区を全部削減するのかとか、今、比例区を全部削減すべきだという意見もあります。それによって、やはり選挙制度の持つ意味合い、そして、民意をどう集約し、民意をどう反映をするかというバランス、これが変わってまいりますので、私は、ここはあくまでセットで議論すべきだというふうに考えておりますけれども、総理、いかがお考えでございますか。
○高市内閣総理大臣 定数削減に当たりましては、今御指摘いただいたような点も含めて、まさに各党各会派で御議論いただくべきものでございます。これから、自民党と日本維新の会との合意に従って、まず与党間での考えを整理した上で、御党を含む各党と真摯に議論をしていくということを考えております。
○中野(洋)委員 そういったことも含めて各党各会派で議論をするという答弁であります。
平成六年の改正の基になりましたのが、平成二年の選挙制度調査会というところで出た答申というのが一つベースなのかなというふうに思っております。
総理、例えば、今連立を組まれている維新の会さんは、比例だけを削減すればいいんじゃないか、そっちの方がスピーディーではないか、こういう御意見もあるわけであります。しかし、他方で、この選挙制度調査会の答申の中でも、比例代表制というのは、多様な民意をそのまま選挙に反映し、少数勢力も議席を確保し得るという特性があるという制度の特性が書いてあります。小選挙区制では少数意見が選挙に反映されにくいという問題もある、こういうところも指摘をされているわけであります。
比例代表だけを削減をするという意見が今与党の中で出ておりますが、そうすると、少数意見というのは当然反映されにくくなる、そういう制度のたてつけであるということは、総理もそういうお考えだということでよろしいですか。ちょっと確認をさせていただければと思います。
○高市内閣総理大臣 日本維新の会と自民党の間の合意なんですけれども、衆議院定数おおむね一割、これを削減するということ、これを議員立法で提案をして、成立を目指すということでございますので、まず数について考える。
どのように削減していくかということは、これはまさに各党各会派で御議論いただくべき事柄でありますので、日本維新の会との合意に従って、まず与党間で考え方を整理した上で、御党を含む各党と真摯に議論をさせていただきたいと思っております。
○中野(洋)委員 政治資金もそうであります、選挙制度というのもまさに民主主義を支えるインフラ、これは、各党各会派、幅広い合意を得る中でしっかりと進めていくべき課題であるというふうに思います。
そういう意味では、我々、先ほども申し上げましたとおり、選挙制度というのは、やはり民意の反映、民意の集約、いろいろな視点からの検討が必要でございますので、しっかりとそうした点も踏まえた議論というのが必要だということは改めて申し上げたいというふうに思います。
最後、残った時間、残り一問ぐらいかと思いますが、少し住宅政策について金子大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
私も国土交通大臣として取り組んできたテーマでもございますが、公明党は今まで、住まいというのは生活の基盤であるというふうに位置づけてまいりました。ある意味、住宅というのは社会保障の基盤だというふうに考えてきたところもあります。
そういう意味では、福祉と住宅の連携というのをずっと進めてまいりました。例えば、住居確保給付金で、失業などで住居を失うおそれがある方に対するそういったサポートであるとか、あるいは高齢者や障害者など住まいの確保が困難な方を支援するセーフティーネット住宅等々、いろいろな取組をしてまいりまして、もちろん、現役の子育て世帯、若い方、こうした方が住宅を取得しやすくなるように、こういう支援もるる行ってまいりました。
しかし、最近、特に課題となってまいりますのが、都心部などを中心に住宅価格が非常に高騰をしている、現役世帯が購入できるレベルをはるかに超えているんじゃないか、こういう御指摘があるわけであります。私も大変に危機感を持っておりましたし、そういった目で政策を考えておりました。
もちろん、マンションの価格というのは、大臣も御承知のとおり、需要と供給の関係というのもありますし、元々資材や人件費も相当高騰している、コロナ後のそういった価格が反映をされているということもあります。様々な要因が当然あるんですけれども、一つよくある御指摘として、こうした都心のマンションについては投機目的の取引というのがひょっとしたら価格を引き上げているのではないか、こういった御指摘があったかと思います。
実態の調査等も私もやってまいりましたが、実需を当然反映をした部分もかなり多いというふうなヒアリングの結果もありましたが、国外居住者を含めて、投機目的の取引が本当にないのか、どの程度なのかというところは実態調査しないと分からないんじゃないかということで、調査の開始を当時指示をした経緯もございます。
この実態について、是非引き続き調査をしていただき、原因を把握をして、投機的な動きが問題となるのであれば、やはり対応が必要だというふうに思います。
あわせて、やはり住宅取得環境の整備、あるいは、今、既存住宅も流通をさせようという取組も促進をしておりますけれども、若い世代ですとか、あるいは子育て世帯ですとか、皆さんがしっかりと希望する住宅を手に入れられるようなこういう施策、これから経済対策等も含めて様々検討されるかと思いますけれども、これは是非しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。金子大臣の答弁をいただきたいと思います。
○金子国務大臣 大臣を引き継ぎました私に御質問いただきまして、ありがとうございます。
都市部を中心とした住宅価格高騰につきましては、中野前大臣におかれましては、住宅取得環境の整備やマンション取引の実態把握に積極的に取り組んでこられたことに対しまして、深く敬意を表します。
住まいは生活の基盤であり、御指摘のとおり、住宅取得を望む方が安心して住宅を確保できる環境を整備していくことが重要だと考えております。
この点、近年の住宅価格上昇の背景には、先ほどお話がありました、供給と需要の両面での様々な要因があるものと認識しており、例えば、資材価格や労務費の上昇等に伴う建築費の上昇や、利便性に優れた都心部等への堅調な住宅需要などが影響しているものと認識をしております。
このような様々な要因の一つとして、前大臣御指摘のとおり、投機目的でのマンション取引の可能性を指摘する声もあると承知をしております。実需に基づかない投機的な取引は好ましくないものと考えているところでございます。まずは取引の実態を把握することが重要であり、今月四日の総理指示も踏まえ、国外からの取得を含めたマンション取引実態を早急に把握し、結果を公表してまいりたいと思います。もう既に前大臣から御指示をいただいて、今、その調査に向けて最大限努力をしているところでございます。
また、住宅取得環境の整備については、住宅ローン減税などによる住宅取得負担の軽減や、全期間固定金利の住宅ローンの提供、既存住宅流通市場の活性化などに全力で取り組んでいただきたいと思います。
今後とも御指導よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
○中野(洋)委員 ありがとうございます。
しっかりと、経済対策、これから議論がある中で、我が党としても、国民生活のために必要な政策、様々提言をさせていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○枝野委員長 この際、山崎正恭さんから関連質疑の申出があります。岡本さんの持ち時間の範囲内でこれを許します。山崎正恭さん。
○山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。
高市総理、御就任おめでとうございます。
公明党の三人目のバッターとして、高市総理等に御質問をいたします。よろしくお願いいたします。
初めに、私は、公明党、自民党、日本維新の会の三党による、いわゆる教育の無償化に関する三党協議の実務者の一人でありますので、まず高校無償化について質問をいたします。
公明党は、今までも、経済的理由により子供たちが希望する進路を諦めてしまうことがないように、一貫して取り組んできました。実は、私は元々が公立中学校の教員をしておりましたので、少なからず、本当は私立高校に行きたいけれども、経済的な事情等により公立高校へ進路変更するという子供たちも実際にいましたので、今回はそういった子供たちの進路を開いていこうとの決意で議論を進めてきました。
去年の十二月から三党で議論をスタートし、十月二十七日に、三党の実務者の中で高校無償化についての制度設計が合意しました。その中で、令和八年度から、私立全日制高校には年額上限四十五万七千円、私立通信制高校には年額上限三十三万七千円の授業料支援を行うことという制度設計になりましたが、本日は、ここまで制度設計を行ってきた中で、ここが重要だと公明党がこだわってきた大事な部分について、三点御質問をさせていただきます。
一点目は、授業料は、来年度から例えば全日制で四十五万七千円支援されることになったとしても、それだけでは経済的に厳しい子供さんは私立高校に進学することができません。それは、授業料以外、例えば教科書代や修学旅行費等のお金がかかるからです。
そういった部分においては、現在、高校生等奨学給付金という形で、授業料以外に使える給付金として経済的に厳しい家庭の皆さん方に支援をしておりますが、実際に私立高校に進学するとなると、そういった授業料以外にかかるお金が、明らかに公立高校よりも私立高校が高いことが分かっていますので、経済的に厳しい子供さんたちが私立学校に進学をするためには、この奨学給付金の拡充、具体的には、現在は生活保護家庭と住民税非課税世帯となっている支援対象家庭の拡充と支援金額の拡充が不可欠であると、協議スタートの時点から一貫して訴えてまいりました。
さらに、この拡充方法については、現在、奨学給付金は国が三分の一、地方が三分の二負担となっていますが、今回の制度の拡充により自治体間格差を生まないためにも、授業料の支援と同じように国が十分の十支援していくということを訴えてまいりました。
そのことも今回の合意文書の中に入れ込んでもらいましたが、授業料以外の支援、奨学給付金の拡充については、自治体間格差を生まないように、授業料の支援と同様にその財源を国が十分の十負担で行う、あくまで一般的な地財措置ではなくて、このことに使われることが見える形での運用が大切であると思いますが、総理の御見解をお伺いします。
○高市内閣総理大臣 高校生等奨学給付金につきましては、公明党、日本維新の会、自民党との合意におきまして、税制による対応も含め、安定財源を確保しつつ、中所得層までの範囲の拡大、そして、給付金の国の負担の割合を十分の十にすることなど、見直しをすることになったということを踏まえまして、文部科学大臣に適切に制度設計をさせてまいります。
○山崎(正)委員 ありがとうございます。
やはり民間会社の調査でも、教材や行事等の学校教育費は、私立は公立の約二倍以上、学校外活動費、修学旅行費は一・五倍、PTA等の諸会費に至っては三倍以上といった状況ですので、是非この形を、地財措置されるお金がしっかりと見えるような形でお願いしたいと思います。
それと、総理、もう一点だけ。
先ほど財源のお話が出ましたので、実は、今回この話が出たときに、私が教育現場の方とか教育行政の方々から結構心配の声で言われてきたのが、山崎さん、このことをやるのはいい、ただ、そのことによって今行われている教育活動が削減されるようなことになってはならないというふうな、そういった不安の声、心配の声を受けてまいりました。
それについては三党でも話題になりましたので、今までの教育活動が削減されることのないように、既存の教育財源というわけではなくて、しっかり新たな財源の確保と制度設計とを一体でやっていくというふうなお話も出ましたけれども、この財源についてもしっかりとそういった形で進めていっていただきたいと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
○高市内閣総理大臣 公明党、日本維新の会、自由民主党の検討チームで作っていただきました中にも、これは既存の教育財源を原資とすることなく、国と地方の関係について整理しつつ、財源確保と今回の制度改正を一体的に実施するということでございます。さらに、国の負担割合を十分の十とするなどの見直しをするとなっておりますのを確認しておりますので、文部科学省にしっかりと設計をしてもらいます。
○山崎(正)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、二点目に私たちが一貫して訴えてきたのは、私立高校への支援と併せて公立高校への支援も行うべきということであります。
協議開始当初から、そんなことをしてどうするんだ、地方の公立高校を潰すつもりか等の心配のお声を私もたくさん頂戴してきました。
この点については、先日の本会議の代表質問で、我が党の斉藤代表からも質問をさせていただきまして、それに対して高市総理からは、国として高校教育改革のグランドデザインを今年度中に策定し、各都道府県が策定する計画に基づく取組を支援する仕組みを構築して取り組む等の趣旨の答弁をされましたけれども、このグランドデザインとは一体どのようなイメージのものなんでしょうか。
公明党としましては、本年二月に出された中央教育審議会の高等学校教育の在り方ワーキンググループの審議のまとめを踏まえたものとしながら、地方の声や関係団体の声など現場の声をしっかり聞いて作成するべきだと考えますが、高市総理の見解をお伺いします。
○高市内閣総理大臣 今、山崎委員の方から言っていただきました中央教育審議会ですが、高校教育については、少子化や生徒の多様化、産業界からのニーズへの対応など、その在り方について議論がなされてきた、それを承知いたしております。
国の高校教育改革に関するグランドデザインの策定でございますが、今申し上げましたような議論を前提として、我が国の地域や産業を支え、イノベーションを起こす人材の育成をする、こういう観点から、地方自治体、学校関係者、経済団体など様々な関係者の御意見も聞きながら検討して、今年度中に提示できるように取り組んでまいります。
○山崎(正)委員 関連して、公立高校への支援について、先ほどありました高校教育改革のグランドデザインを今年度中に策定して、各都道府県がそれに基づいて策定する計画に基づく取組を支援するといろいろなところで言われているんですけれども、確かに学校の施設整備等については、各都道府県が策定する計画に基づいてやらないと、例えば、近い将来統合等の可能性が高い学校への施設整備が必要なのかというふうな側面もあると思いますが、このグランドデザインができ上がるまで公立高校への支援が始まらないというのではなくて、緊要性のあるものについては先行的に始めるべきだと考えますが、松本文科大臣の見解をお伺いします。
○松本(洋)国務大臣 お答えをいたしたいと思いますが、まずは、私も三党実務者協議のメンバーでありまして、この協議を山崎委員がリードされたこと、心から敬意を表したいと思います。
その上で、御質問ですが、いわゆる高校無償化については、三党の合意において、高校教育等の振興方策について、公立高校や専門高校等への支援の拡充を行うこととされており、理系人材の育成や文理分断からの脱却の取組を含む普通科改革、また専門高校の機能強化、高度化などを通じた支援を実施することとされております。
あわせて、グランドデザインを今年度中に提示をし、各都道府県が策定する取組を支援するということになっているわけでありますが、加えて、緊要性のある取組等は先行的に実施をするとされているところでもあります。
さらに、高市総理からは総合経済対策の策定の指示を受けており、その中で、公教育再生や、政党間合意を踏まえた教育無償化の対応も含まれているところであります。
これらの合意や指示を踏まえまして、高校教育改革、高校教育の質の向上に向けた取組に早期に着手できるよう、文科省としてもスピード感を持って検討を進め、取組を進めてまいります。
○山崎(正)委員 ありがとうございます。松本文科大臣とともに進めてきましたので、このタイミングで松本文科大臣になっていただいて本当によかったなというふうに思っております。
グランドデザインを策定するときに一点だけお願いしたいんですけれども、都道府県で決めるときに、高校をどれだけ、これからなかなか子供が減ってくる中なんですけれども、例えば何キロ圏内に一校とかというふうな、そういった画一的な統一ではなくて、課題先進県と言われる私の地元の高知県なんかでも高校の存続は地域の生命線でありまして、例えば高知県檮原町なんかでは、地域が一体となって十二年前ぐらいから、そこは野球部を中心とした取組ということで、官民挙げて何とか高校を存続させていこう、地域を活性化していこうというふうな取組を全力で行いまして、国、県、市のあらゆる制度を使って町が今元気になっていっているところであります。今は、そういった取組もあって、全校生徒の約三分の一が野球部員ということで、ずっと存続を図っております。
現在、総務省が、公立高校と産業界等との連携に係るコーディネーター事業として、地域と学校をつなぐコーディネーターを配置して、公立高校と市町村、自治体が協定を結び、高校の魅力化、地域活性化に取り組んでいますが、今後は、文科省としても、そういった省庁を超えた取組としっかり連携をしていただきながら。
先ほどの例でいっても、私の知り合いが今回野球部の監督で行きました。そうすると、地域のおばあちゃんたちが、何か最近、野球部の子供たちが本当に前よりも元気に挨拶するようになったねとか、例えば、野球部の寮なんかもいろいろな補助金で建てたんですけれども、野球部が使う、地域の若者が使う、そして高齢者の皆さん方が健康維持のために使う、そういった取組をしながら、交流をしながら共に地域で育てていく、そういったことが行われているわけでございます。
子供たちも、地域のために何ができるかということをしっかり学んでおります。社会の実学の中で、人との触れ合いの中で生きる力を学んでいく、これが、今回の無償化の中で言われてきましたやはり教育の質の向上の一端であるというふうに思います。こういった例は全国にたくさんあると思うんですけれども、こういったことも無償化の中で共に進めていただきたいというふうに思います。
最後、三点目です。
今回の私立の授業料の無償化について、所得制限なしに全ての世帯に支援という部分については、私のところにも心配の声、もっと言えば疑問の声、御批判の声があったのも事実であります。本当に超富裕層のお金持ちの家庭にも支援を行うのか、本来は経済的な理由で行けない子供たちの支援ではないのか等が主なお声であります。
この点も含めて、三党合意では、三党で検証の場を設けるとしており、今後三党で、先行して実施している自治体のデメリットも含めた高校無償化の効果検証を行うこととなります。
そこで、三党としても、しっかり有識者の声、現場の声などに耳を傾け、制度運営についてフォローアップをしていきますが、実際の制度を所管する政府としても、これと伴走する形で検証を行うべきだと考えますが、総理の見解をお伺いします。
○高市内閣総理大臣 三党合意の内容は先ほど来出ておりますので、この三党合意を踏まえまして、収入要件や支給上限額、いわゆる便乗値上げの抑制策、外国籍生徒等の扱いといった、実施による影響のみならず、特に公立高校への影響について検証しながら必要な見直しを行っていく必要があると思っております。
政府におきましても、有識者や現場の皆様のお声を含め、状況の把握や分析を行いながら、その影響について十分な検証を実施してまいります。
○山崎(正)委員 しっかり、三党合意にも速やかに検証を行うとありますが、三年程度のと書いていますけれども、三年と言わず、多額の公費の投入になりますので、速やかな検証を共にお願いしたいと思います。
最後の質問になります。
先週の金曜日から、小学校における給食費の支援、いわゆる給食の無償化の議論が三党の実務者間でスタートしました。これも来年度からの実施を予定していますので、丁寧かつ速やかな制度設計が必要であります。
公明党としましては、これを単なる給食費の支援で終わらせるのではなく、乳幼児から大人になるまでの子供の食に関して、例えば、一つは地産地消や有機野菜の活用などを通して食育を更に充実させていく、そういったことが重要であります。
また、昨今の米不足の問題、特に米の価格の問題の中で、持続可能な農業に向けての消費者理解がクローズアップされています。消費者にとってはお米の値段は安い方がいいですが、肥料や資材など様々なコストが上がる中で激減している農業生産者の方にとって、農業が持続可能なお米の値段は幾らなのか、そういった視点での教育。
今でも、調べてみると、小学校五年生は、お米の生産について、ふだん皆さんが買っているお米の中には、農業をやっている人の費用とか運用費用とかお店の利益が乗っていますということはやっています。中学校においても、中学二年生で、フェアトレード、開発途上国の原料や製品を適正な価格でやろうというふうな、そういった教育がやられているんですけれども、私は、今こそ、従来の消費者教育の枠を超えた、実際の生活に関連した消費者教育の推進のチャンスじゃないかなというふうに思います。
僕は元々中学校の教員だったんですけれども、今もし教壇に戻れたら、例えば、お金に係るコスト指標とか、減少している農業従事者数のデータとか、高騰する農業機械等の設備変遷のデータとか物価データ、様々なそういったデータを掲示したり調べさせたりしながら、そして、これも今の時代だと思うんですけれども、米の値段や米の政策に対してはいろいろな情報がSNSに出ていますけれども、調べたデータとそれぞれの情報がどうなのかということも考えさせながら、整合性を取りながら、授業の大きなテーマとしては、あなたは五キロの米の値段は幾らがベストでありますかというふうなことを各々に考えさせながら、班で価格を決めて、まず班で討議しながらしっかりとクラスの中でもそれについて討議していったり、若しくは、米の値段は消費者中心で考えるべきか生産者中心で考えるべきかというふうなディベートをやらせたりということも、非常に、多くの子供たちの心と思考を働かせていける機会であると思いますので、是非そういった消費者理解、消費者教育の拡充をお願いしたいと思います。
もう一つは、有機農法。みどりの食料システム戦略には、有機農法の耕地面積を二〇五〇年度までに二五%にすると言いますけれども、二〇二二年のデータでは〇・七%であります。
有機農法が進まない一つの理由は、やはり売り先の問題であるとも言われます。今回の給食費の支援の取組の中でしっかりと有機農法の農産物を活用していくということを打ち出すことで、有機農法を行おうという大きな追い風になると思います。
現在でも、地元の高知県香南市では、農薬の使用量を約半分に抑えた特別栽培米が市内保育園、幼稚園、小学校、中学校の計三千食に対して年間を通して供給されておりますし、姉妹都市の大阪府泉大津市の子供たちにも供給されております。しっかりとこういった取組を進めていく中で、有機農法なんかを知る、またそれを広げていく機会にもしていただきたいと思います。
さらには、私どもに届いている大きな要望の声として、子供の貧困の問題とも関連して、放課後児童クラブの長期休業中の昼食支援や子供食堂等への支援のお声です。そういった、小学校の給食に限らず、生まれたときからの子育て支援、食の支援としても、この政策を推進していくことが重要であると思います。
そこで、いわゆる給食の無償化の取組については、地産地消や有機野菜の活用など地域農業が活性化できるような農政課題も含めた食育の充実や、今般の米不足の問題の中でクローズアップされた消費者教育の推進、さらには、放課後児童クラブの長期休業中の昼食支援など子育て支援ということをベースにしたトータル的な政策としての推進が必要だと考えますが、総理の認識をお伺いいたします。
○高市内閣総理大臣 今、山崎委員は、私が申し上げたいことをほとんど言ってしまわれました。
まさに、子供たちに食を身近に感じてもらうための食育の取組というのは、生産者の御努力ですとかまた食に対する感謝の念を育むものですから、食育基本法に基づいて、農業政策や子供政策も含めて推進をしております。
今おっしゃっていただいたような、学校給食における有機農産物の活用ですとか、また、生産から消費に至る持続的な食料システムの実現に向けた農業の生産現場の実態を知っていただくような理解の増進ですとか、まさに子供食堂や放課後児童クラブにおける食の提供、こういったことを実施いたしております。
これからも、やはり食育は物すごく大事です。これは、子供さんだけじゃなくて世代ごとに進めていけたらいいなと思います。健康長寿でお互いに生きていくためにも、多くの世代の方に広がっていけばいいなと思っております。
ありがとうございます。
○山崎(正)委員 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
○枝野委員長 これにて岡本さん、中野さん、山崎さんの質疑は終了いたしました。
この際、十分間休憩いたします。
午後三時八分休憩
――――◇―――――
午後三時十八分開議
○枝野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。櫛渕万里さん。
○櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。
高市総理、私は、今年二月三日の予算委員会で、石破総理に次のように申し上げたんです。もうこれじゃ生きていけないという人が増えている、財政という数字ではなくて、国民生活を救うために、まず人間を見ていただきたい。高市総理にも同じことを申し上げます。
自民党がそれから九か月間何をしてきたか、まるで無策ですよ。生活が苦しいと言っている人がますます増えています。今こそ、消費税廃止、少なくとも消費税の減税、季節ごとの現金給付、積極財政で国民生活を救っていただきたいんですね。
積極財政、高市総理は、私も言っている、こう思われるかもしれません。しかし、高市総理のは、責任ある積極財政という言葉で、枕言葉がついていらっしゃいますよね。では、責任ある積極財政とは一体どういうことなのか、伺いたいんです。給付金もない、消費税減税もない、これ、どこが積極財政なんですか。誰のための積極財政なのか、ここは大変重要なところです。やはり高市総理も、財政という数字、ここが優先されて、国民生活やそして人間の姿は見えていないんじゃないか、そう思わざるを得ません。
上場企業の二五年三月期の決算は、四年連続過去最高益でした。でも、実質賃金は九月連続でマイナス。五年前、二〇二〇年と比較すると、何と二割近くも賃金が減っているんですよ。物価高の今、必要なのは、みんなのお財布に直接届く、こうした政府の支援じゃないですか。それが消費税の減税や少なくとも給付金、これは必ず必要なことだと思っています。
総理にお伺いします。
責任ある積極財政の責任とは、誰に対して行っているんでしょうか。実質賃金が五年で二割も減っているのに、給付金もない、消費税減税もやらないのは、国民に対する政治の責任放棄だと思いますよ。国民の生活を責任を持って下支えするという意味での責任ある積極財政であるべきですが、違うのではないですか。いかがですか。
○高市内閣総理大臣 責任ある積極財政、誰に対する責任かということを最初におっしゃいました。これは、今を生きている国民と未来を生きる国民に対する責任でございます。
高市内閣では、経済あっての財政というものを基本として、強い経済を構築するために、責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動をいたします。これによって、所得を増やす、消費マインドを改善する、事業収益も上げる、税率を上げずとも税収を増加させていける、そういう環境をつくることを目指してまいります。
責任ある積極財政の下では、強い経済を構築するのと同時に、財政の持続可能性、これを確保することへの責任があると考えています。戦略的に財政出動を行うことで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいります。
国民生活が、人間が見えていないんじゃないかというおっしゃり方もされましたけれども、私ども、物価高対策、しっかりと用意をしております。ガソリンや軽油の値段も下がります。そして、電気代、ガス代もこれまでより深掘りをして、安くしてまいります。また、請負契約、この単価も上げてまいります。要は、労務単価、資材単価の引上げ、こういったものも反映させてまいります。そして、医療と介護、しっかりと守ってまいります。所得税も、年収の壁が見直されます。また、重点支援地方交付金によりまして、様々生活にお困りの方、そして大変な思いをされている中小・小規模事業者の方への支援も可能となってまいります。しっかりと取り組んでまいります。
○櫛渕委員 総理、ずらずらいろいろ言われたんですけれども、残念ながら、国民のお財布に直接今すぐ届くものがない、このことを申し上げているんですよ。
高市政権の物価高対策は、いろいろある中でも、結局補助金なんですよね。地方交付税の拡充にしても、自治体ごとの準備や手続に差があって即効性に欠けるわけです。ちょっと前まで連立のパートナーだった公明党からですら、このことは批判されていましたよね。今その公明党も野党で、消費税減税を言っています。参議院選挙では、全ての野党が消費税減税を公約に掲げていました。高市総理も、消費税減税は大事だ、選択肢の一つだと言っていましたよね。だったら、今すぐ、国会に消費税減税のための協議体を設置しませんか。食品だけ消費税ゼロで小さくまとまるのはやめていただきたいんです。
なぜこういうことを言うかというと、こちら、パネル二を御覧ください。資料の順番、ちょっと番号が変わります。
今、生活が苦しいと訴えている国民が六割です。子供がいる世帯では六・五割で、更に物価高は広がっていますよ、食料品だけじゃないんですよ。今や中間層のマイホームなんて夢のまた夢。その四割が、スーパーで高くて買うのを諦める、コンビニは高いから行かない、子供の習い事も削っている。生活困窮者に至っては、約九割が、暖房や冷房をつけないで過ごす、十分な食事は取れない、携帯、スマホの維持は諦める。だから、次のパネルのように、どのマスコミの世論調査を見ても、消費税減税、廃止、これを求める声が七割を超えているんです。これが国民の民意なんですよ。だから、参議院選で自民党以外全ての政党は消費税減税を公約に掲げたわけですね。
私たちれいわ新選組は、六年前、代表山本太郎がたった一人で政党を立ち上げ、一貫してぶれずに消費税廃止、このことを訴えてまいりました。最初は、誰にも見向きもされませんでしたよ。けれども、ようやく各党にもその状況の深刻さが伝わって、国民の声に寄り添う、このような状況が出てきたことは、私は歓迎いたします。
しかし、選挙が終わった途端に、国民に対して手のひら返しはやめた方がいいです。
例えば、国民民主党は、さきの通常国会で、議員が消費税減税を求めたのはたったの二回ですよ。れいわ新選組は四十五回。議席の数も質疑の数もずっと私たちより多いのに、やる気を出してもらっていいですか。
また、維新の会は、消費税減税を連立入りの重要要件としていたのに、連立が決まると、事実上先送りですよ。
参政党に至っては、驚くことに、消費税廃止の財源は四十兆円の医療費予算を半分にすればいいと代表が発言をされています。全く積極財政ではない。それどころか、これでは、消費税が下がっても、あなたの大切な人の命が削られてしまいます。
国民の皆さん、だまされないでください。消費税廃止、減税を確実に、ぶれずに訴えてきているのは、れいわ新選組一択です。そして、各党の皆さん、そうでないと言うのならば、この国会に、与野党みんなが参加ができる、消費税減税のための協議体を設置しようじゃありませんか。
委員長にお願いがあります。
消費税をテーマにした集中審議、是非入れてください。
○枝野委員長 理事会で協議します。
○櫛渕委員 ちなみに、ようやくガソリン税の暫定税率廃止にめどがつきましたが、遅過ぎますよ。れいわ新選組があれだけ法案の採決を求めていた八月の臨時国会、会期を延長して採決を実行していれば、野党多数で法案を可決し、もう今月からでも、ガソリン減税、始まっていたじゃないですか。
こうした本気の姿勢がないから、与党も野党も茶番だ、このように言われるんです。野党多数なんですから、もっと本気で国民生活に、皆さん、向き合おうじゃありませんか。それが政治の責任です。
総理、もう一度お聞きします。
給付金もない、消費税減税もない、なぜですか。SNSやテレビでは、消費税減税ができないのをレジシステムのせいにするな、増税でレジ改修は必要なのは、減税ができないの、増税でもやるのにということですね。中小企業の単独レジシステムなら一日で変更可能、大手チェーンのクラウドPOS導入店は三か月で可能など、疑問の声があふれていますよ。
総理、給付金は選挙の公約なのに、やらないと言っている。消費税減税はやるべきだと言っていたのに、総理になった途端に、やらないという姿勢です。うそつき政治、やめてもらっていいですか。いかがですか。
○高市内閣総理大臣 まず、給付金につきましては、自民党の総裁選挙で五人立候補いたしました。それはもう参議院選挙に負けた後のことでございました。五人のうちお一人を除いては、残り四人は、これはもう選挙で国民の皆様の御理解が得られなかったからやらないと。もうお一人も慎重な検討を主張されました。
それから、消費税の減税です。これも今年の五月に私が一平議員として党内で申し上げたことでございます。食料品に限ってのことでございますけれども、自民党税制調査会では賛同を得られなかったということです。
その自民党を率いている私として、まだ党内で賛同が得られていないことを即やるということはございませんが、ただ、自民党と日本維新の会の間の連立合意、この合意文書の中に、飲食料品に限定でございますけれども、消費税に関しまして、「二年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う。」とされていますので、消費税率の引下げについては、選択肢として今排除しているものではございません。
○櫛渕委員 参議院選で国民の理解が得られなかったのは、給付金じゃありませんよ、裏金自民党そのものです。
そして、消費税減税について選択肢の一つだと言い続けておっしゃるのであれば、レジシステム、一年間かかるというのであれば、民間のせいにするんじゃなくて、政治がまず決断することが必要なんじゃないですか。やると決めて、じゃ、その次の、先ほど求めた集中審議で、レジの関係者、業者の方も呼んで、どうやったら一日でも早くできるのか、それを協議しましょうよ。
パネル三、御覧ください。
先日、インドも、トランプ関税の影響から、国内の内需を活性化させるために消費税減税に踏み切りましたよ。たった一か月で実行しています。背景は違えど、イギリスは七日、ドイツは二十八日、アイルランドは二十三日、マレーシアは十六日、やればできるんですよ。日本もできないわけないじゃないですか。
問題は、物価高だけではない。次のテーマに移ってまいります。
多くの国民の生活が苦しいのは、三十年の不況にコロナ、そこへ物価高が押し寄せているからですよね。
パネル四です。
失われた三十年、先進国で唯一経済成長していないのは日本だけ。一九九五年に世界における日本のGDPシェアは一七・二%あったものが、二〇二四年には三・六%に下落しています。
一人当たりGDPも、日本、第二位だったのが、二〇二四年には何と第四十位に下落ですよ。国民もそして国全体も貧しくなっている。一世帯当たりの所得の中央値は、一九九四年に五百五万円だったものが、二〇二三年に三百六十五万円となり、百四十万円もダウンしているんです。働いても働いても働いても豊かにならない人が社会にあふれているんですよ、総理。
総理、日本経済が三十年間成長していない原因は何かと尋ねた我が党の高井崇志議員の代表質問に対して、総理はこう答弁されました。一九九〇年以降のデフレにより、企業は賃金を抑制し、消費者も消費を抑制し、デフレが加速する悪循環が生じた。これは、総理、民間の責任なんですか。政治の責任はないんですか。
次のパネルを御覧ください。
この三十年間の実質の民間消費支出の推移です。消費税増税のたびに、消費の落ち込みの大きさがよく分かると思いますよ。消費税はリーマン・ショック超えの大不況を誘発しているわけですね。過去三回の消費税増税のたびに、一回の消費税増税で、百年に一度と言われる大不況、リーマン・ショックを上回るほど消費が落ち込んでいるんじゃないですか。いまだに消費税一〇%増税の落ち込みは回復していません。
総理、お伺いします。
特に第二次安倍政権以降、経済にブレーキをかけたのは、消費税を二回引き上げたことによる。お認めになりますね。
○高市内閣総理大臣 確かに、消費増税の影響がなかったとは言いません。そして、新型コロナウイルス感染症の影響もございました。それによって、かなり改善していた雇用状況が悪くなったということは事実でございます。
それでも、アベノミクスが始まって、もう圧倒的に経済状況、つまり、特に雇用環境、雇用の状況というのはよくなった、これは明らかなことでございます。
○櫛渕委員 アベノミクスの失敗は、二回にわたる消費税増税ですよ。一部それはお認めになったという発言と受け取りました。だから、景気が回復せず、賃金が下がり、デフレが続いた、この失敗を認めて、消費税をなくすのが日本経済を復活する第一歩じゃありませんか。不況のときは減税や財政出動を行い、景気が過熱したら増税や歳出を抑制する、それが当たり前の経済政策ですよね。
今の日本は、需要が引っ張る需要喚起型のよいインフレにはなっていません。今の物価高は、まだコストプッシュインフレが多分に含まれています。むしろ、需要が弱く、供給力も十分で、国債発行をちゅうちょするときではありません。
先ほど国民の六割の生活が苦しいという声に触れましたが、今、中小企業もばたばたと潰れていて、今年も倒産件数が一万件以上、十二年ぶり、過去最多となる状況です。そのうち八割が不況型倒産ですが、税金滞納型倒産が急増していることは見逃せません。
このパネルです。税と社会保険料が重いことによる倒産が二〇二一年から九倍。中でも、赤字でも払わなきゃいけない消費税が重くて払えない、そのために倒産している事業者の割合が新規滞納の半分以上を占めています。
これは明らかに、二三年十月に導入されたインボイス制度の影響ですよ。事業者は借入れまでして消費税を払っている、そんなケースもあり、中小企業は消費税があるために経営も破綻、従業員に賃金も払えない、本末転倒じゃないですか。中小企業が日本経済の屋台骨を支えているんですよね。
総理、インボイスは廃止、最低でも来年九月に終わる八割控除の経過措置は延長する必要があります。いかがですか。
○高市内閣総理大臣 インボイス制度につきましては先ほども答弁いたしましたけれども、二割特例もあり、そして八割控除、こういった特例も設けられております。
これは、インボイス制度導入から三年がたちますので、令和八年九月末にそれぞれ見直すこととされていますけれども、延長を求める声があるということも承知をしています。こうした特例の在り方を考える際には、期限を区切って特例が設けられた趣旨ですとか、元々、消費税というのは、日々の買物で消費者の方々が消費税分として支払ったものが、特例によって実際には全て納税されておらず事業者の手元に残っている場合があるということですから、やはり消費者の皆様の視点も踏まえて考える必要はあると思っております。
インボイス制度に関して事業者の御懸念があるということは承知しておりますが、これは丁寧な相談対応などを通じて課題を解決し、きめ細やかに対応していかなければならないと思っております。与党の税制調査会での議論もまたしていただきます。
○櫛渕委員 是非、国会に消費税減税のための協議体を設置して、その中でも、インボイス制度、御議論いただきたいんですね。
先ほど消費者が払っているとおっしゃっていますけれども、事業者が払っているじゃないですか。中小企業が消費税を納めているんですよ。だから、先ほどのパネルで、新規滞納の消費税の割合が高過ぎて、倒産をしている、そのことを申し上げたわけです。はっきり現実を認識されてください。
今の経済に必要なのは、消費税、インボイス廃止、少なくとも消費税減税と季節ごとの十万円給付、これを積極財政で国債発行して実行することこそが、経済成長に最も効果的でスピーディーです。経済成長こそ財源なんじゃないんですか。総理、そのためには、国民の生活を責任を持って下支えする、こうした責任ある積極財政をやっていただきたい、こういうことなんですね。
ちなみに、消費税減税の負担軽減効果について比較してみました。先ほど、食料品のみ消費税ゼロで小さくまとまらないでくださいと申し上げましたけれども、これを見ていただきたいんですね。
一番左の青いところ、食品のみ消費税ゼロにしたときの負担軽減額は一年間で六・四万円、一か月五千三百円にしかすぎません。しかも、立憲民主党の案だと原則たった一年だけで、しょぼ過ぎます。また、先ほどレジシステムの話がありましたが、小売の現場では、一年、二年減税して、その後すぐ戻すというのは負担が大き過ぎるという声が出ていますよ。値札のつけ替えや従業員の教育を含めて大変という声を聞いてください。
真ん中の緑色は、消費税五%減税したときは一年間に十四万円、一月一万二千円。一番右の赤いところ、消費税を廃止したときには一年間で二十九・八万円、一月二万五千円の負担軽減効果があるという試算が出ています。
繰り返しますが、消費税減税あるいは廃止は単なる物価高対策ではありません。経済政策として、国民の賃金を上げる、日本の経済を復活させるための重要な柱であるということをもう一度繰り返させていただきます。
残念ながら、食料品のみ消費税ゼロではその効果は期待できないんですね。失われた三十年を四十年にしないために、経済政策として、人々に責任ある積極財政で消費税廃止、減税を、総理、やろうじゃありませんか。総理、ジャパン・イズ・バック、そうですよね。是非、この経済政策、消費税廃止、このことを出発点に考えていただきたいと思います。
さて、次に、成長率の範囲内に債務残高のGDP比を引き下げるについてお伺いをしていきたいと思います。
一見もっともらしいんですけれども、成長の範囲内に債務残高の伸び率を抑えるとしているわけですが、総理、成長率がマイナスになった場合でもこの目標を維持されるんですか。
○高市内閣総理大臣 私が目指しておりますのは、要は名目金利を超える名目成長率です。それがまさに、債務残高対GDP比を緩やかに押し下げていくことと同義になっていくという考え方でございます。
あくまでも、やはり成長するための投資、仕込みをしていかなきゃいけないんですよ。それなくして、とにかく、じゃ、財政の持続可能性ということを全く無視してやっていく、どんどんどんどんお金を配る、そして、まあ減税はいいですよ、政策減税として必要なときにはいいかと思いますけれども、消費税もなくします、そして給付も大型でやります、じゃ、成長に向けての投資は一体どうなるんですか。
そういうことを考えますと、やはり総合的に考えて、ちゃんと財政の持続性も見ながらやっていく、成長に必要な投資はやっていく、これが責任ある積極財政だと私は考えております。
○櫛渕委員 GDPが伸びない、あるいはマイナスだから国債もたくさん発行できない、お金がないから国民は苦しくても我慢しろということになりませんかね。逆じゃないですか。日本のGDPの六割が個人の消費ですから、国全体の経済が伸びないなら、国債を大量発行し、積極財政で国民生活を救うべきですよね。これは成長率が低い場合も同じような考え方、そうですか。
具体的に数字で見てみたいと思います。今年の骨太の方針で出された、中長期の経済試算です。お手元の資料を御覧ください。
幾つかケースがありますけれども、一番ありそうな過去投影ケースで検討します。資料九です。成長率は大体一%以下、これが国債残高伸び率の上限になりますから、これでは国債発行しません宣言、そうじゃないですか。結局、高市総理も財政健全化至上主義者にすぎない、こう言われますよ。
なお、この表の一番下には、「国・地方の公債等残高(対名目GDP比)」とありますね。総理の言う成長率も、同じように名目GDPのことですか。だとしたら、大きな問題があります。先ほどそのようなお答え、ちらっとされていたように思いますが、もう一度お聞きします。
表では、二〇二三年から二〇二五年にかけて、GDP比は低下しているんですよ。しかし、潜在成長率は〇・三から〇・六とほぼ横ばい。債務残高GDP比率が低くなった大きな理由は物価上昇率ですよね。物価が上がれば、名目GDPはその分だけ大きくなるんです。事実、この表でも、実質GDP成長率は一%以下なのに、名目GDP成長率は四・九とか三・七とか、高い数字となっています。
つまり、物価が上がれば上がるほど名目GDPは大きく増加し、消費税を始めとする税収も増えるんです。総理の言う政府債務残高の対GDP比引下げの目標は簡単に達成できてしまうんですよ。
でも、これだと、確かに財政は改善しますが、物価高と重い税金で国民はますます苦しくなっています。そういう構造になるわけですね。こんなことをしちゃいけないんですよ。GDPが伸びないときほど積極財政が必要、そうじゃありませんか。
ちょうど今の状況と同じですよ。ここ数年、六年間、過去最高の税収ですね。でも、国民はどんどんどんどん貧しくなっている。国は税金取り過ぎ、国民は取られ過ぎなんです。こういう構造を継続していく、こういうことですか。お答えください。
○高市内閣総理大臣 ちょっと基本的なスタンス、考え方が違うということであろうと思っております。
私はとにかく、今本当に物価高ですから、短期的に、まず、国民の皆様の生活に少しでも楽になっていただく、そのための緊急的な対策を今打ち始めました。そしてまた、補正予算としても提出をいたします。
でも、その上で、補正予算でも頭出しをさせていただきますけれども、危機管理投資を中心とした、やはり未来に向けて安心して住んでいただける日本をつくる、そしてちゃんと成長する日本をつくる、それが何よりの私たちの責任だと私は思っております。
そして、やはり投資をする呼び水としての投資を国が行う、官民が共同していろいろな社会課題解決のための投資を行う、これはもう今、世界の潮流になってきています。こういう投資を行うことによって必ず需要も生まれますし、将来の税収につながっていく、こういう流れができてきます。ですから、税率を上げずとも税収が増えていく、その状態まで持っていきたいと思って、今取組を始めたところでございます。
これから来年度の予算編成もございますが、こういった視点、日本の経済のパイを大きくする視点を持って私は取組を進めてまいります。ですから、今国債をどんどんどんどん発行してでも配ればいいじゃないか、そして大型の減税をすればいいじゃないか、それは積極財政ではありますけれども、責任ある積極財政ではないと思います。
○櫛渕委員 国民に対して積極財政、責任を持ってくださいと冒頭から申し上げているんですね。成長、成長で企業に投資をしてトリクルダウンが起こるといったことが結局失敗しているじゃないですか。そして、国民生活はどんどんどんどん貧しくなっているのが今の現状なんですよ。
だから、個人消費が六割、これを占める日本経済、そこを底上げしていくには、まずは国民一人一人が購買力を持たなきゃいけない、消費力を伸ばさなきゃいけない、そこから需要を増やさなきゃいけないんじゃないですか。それが景気回復ですよね。そうした道筋をしっかりつくってくださいと申し上げているんです。
もう一度、確認します。
総理、先ほどおっしゃっていたのは、総理の言う成長率も、同じように名目GDP、よろしかったですか。
○枝野委員長 何について総理の言っていることですか。
○櫛渕委員 もう一度、繰り返します。
総理の使う成長率とは、名目ですか、実質ですか。名目だとすれば、物価高が続くほど総理の目標が達成しやすくなると思うんですね。
先ほど申し上げたように、GDP、国民はどんどん貧しくなる状況の中では、国債発行しないという基準になるわけですから、国民には国債発行しない、そのような状況が生まれて、給付金もない、消費税も減税もない、物価高対策を何もしないのは、実は、ひょっとして、物価高が続けば財政再建に役立つという財政健全化至上主義丸出しの発想と同じじゃないかということが疑問だから、お聞きしています。
成長率、このことの範囲内に債務残高GDPを引き下げるといったときの総理の成長率は、名目GDPということでよろしいですか。
○高市内閣総理大臣 済みません、要は、私が申し上げているのは、名目金利を超える名目成長率、これを達成していくということでございます。名目で申し上げております。
○櫛渕委員 実質GDPではないわけですね。
○高市内閣総理大臣 名目で見ておりますけれども。
○櫛渕委員 もう一度繰り返しますが、名目GDPでいけば、物価高、その分、名目GDPも上がる、そして税収も上がる。しかし、今の状況がまさにそうですけれども、国民は実質賃金が下がりっ放しで、コストプッシュインフレは回復しないわけですから、どんどん国民は貧しくなるという状況が続くんじゃないですかということです。
いろいろおっしゃいますけれども、結局、国民には積極財政しない、そのことが、給付金もやらない、消費税の減税もやらないということで明らかなんですよ。
自民と維新の連立合意書を見れば、全く積極財政でないことがここからも明らかです。特に、医療費四兆円削減はとんでもない内容で、財政規律を優先して国民に自己負担を求める、あるいは諦めさせて命が削られてしまいます。OTC類似薬の保険適用除外で薬代は二十倍、高額療養費の自己負担引上げで治療が受けられなくなる、介護保険についても要介護一、二が保険から外され、無料だったケアプランも有料化。どこが積極財政ですか。人々に対してはこうした厳しい緊縮財政、財政健全化至上主義丸出しだということを申し上げているんです。
そして、与党だけではなく、野党第一党の立憲民主党も財政健全化至上主義だということが問題です。野田代表のプライマリーバランス黒字化目標達成が責任ある姿だという代表質問での発言は、本当に残念でした。財政という数字が、国民の生活、つまり、人間を見ずに、むしろ縛るような考え方を優先させるようなことがあってはなりません。与野党共に財政健全化至上主義はやめていただきたい。
私も街頭に立ちますけれども、プライマリーバランスを黒字にしてくれなんと言う人は一人もいないじゃないですか。生活が苦しい、消費税を下げてくれ、賃金を上げてくれ、これが国民の声です。
総理が介護の公定価格の引上げに言及されていることは歓迎します。パネル十一。御存じのとおり、介護分野、保育分野もそうですが、賃金が低過ぎますよね。全産業平均よりも年収百万円、月八・五万円低いために、れいわ新選組は、月十万円アップすべきと公約に掲げてきました。
今、介護事業所がばたばた倒産していますけれども、そもそも、自民党政権でまさかの訪問介護の報酬引下げ、これを行ったことがきっかけで倒産に加速が生まれました。介護離職が相次いで、介護人材が不足して。まずは、総理、この自民党政権の政策の失敗を認め、現場の皆さんに謝罪すべきですよ。
総理は介護業界の寿退社という言葉を聞いたことはありますか。結婚を機に、主に男性職員が、低賃金を理由に大好きな介護職を辞めて、しかし他業種に転職をせざるを得ないことを言うそうです。
こうした状況を看過できませんし、ヤングケアラーも問題ですが、経産省は、二〇三〇年にビジネスケアラーが三百十八万人、それに伴う経済損失は九兆円と算出をしています。介護の人材不足の影響が、家族の負担はもちろんのこと、経済へも及んでいるわけですね。
総理、訪問介護の報酬引下げは間違いだった、このようにお認めになるんだったら、まず謝罪してください。そしてまた、どれぐらい介護人材の公定価格を引き上げるおつもりか、お答えください。
○高市内閣総理大臣 介護職員の処遇改善ですが、人材確保を図る観点から累次の取組を講じてきた結果、介護職の賃金、月額三十・三万円は、全産業平均、月額三十八・六万円とはまだ差がありますけれども、平成二十年から比較すると月額四・八万円程度は改善してきております。
それでも、依然、人手不足も厳しい状況ですし、これで十分な報酬だとは言えませんから、介護報酬改定の時期を待たずして、しっかりと予算を手当てをして、前倒しをして、介護に携わる方々の賃上げにつながることを行っていく。しかも、今年中に提出をさせていただきます経済対策にこれをしっかりと盛り込むという旨をお約束いたしております。
○櫛渕委員 公定価格がどれぐらいかというのはまだお答えになれないということでしょうか。是非、補助金とかあるいは加算で行うのではなくて、基本報酬、ここをしっかりと引き上げてください。それをお約束いただきたいと思います。
さて、ちょっと時間がなくなりましたので、外交、防衛についてお伺いしていきます。
まず、核実験についてです。
総理、十月三十日、トランプ大統領が核実験の実施を指示したとされ、世界に震撼が走っていますが、まさかアメリカに何も抗議しないおつもりですか。その発言の真意をトランプ大統領に確認されましたか。
○高市内閣総理大臣 別に、トランプ大統領に私は確認はいたしておりません。米国とは、核軍縮の問題ですとか我が国の考え方については緊密に意思疎通をしております。今後もこれを継続してまいります。ただ、今回のトランプ大統領の御発言については承知をしておりますけれども、それについて逐一コメントするということは差し控えさせていただきます。
日本は唯一の戦争被爆国ですから、引き続き、国際社会と緊密に連携をしながら、核兵器のない世界の実現に向けて、NPT体制を維持強化するための現実的かつ実践的な取組を進めていくということでございます。
○櫛渕委員 総理、事の重大性を分かっておられないと思いますね。トランプ大統領に続いて、既にプーチン大統領が、アメリカが核実験を行えばすぐにロシアが対抗して核実験を行うよう準備を指示したというふうな報道があります。アメリカが実行すれば、中国も北朝鮮も続くでしょう。
この間、三十三年間、核爆発実験はモラトリアムの時期が続いていますけれども、もしここでそれが崩れれば、世界は新たな核軍拡競争の時代に突入します。最も深刻なのは、ここ東アジアの地域ではないですか。高市内閣は、常に最悪の想定をする、このように危機管理内閣をうたっておられます。余りにも認識が甘いと思いますよ。
トランプ大統領の、米国エネルギー省との発言がちぐはぐだったり、真意が何なのか、いろいろなことが言われていますけれども、ちょうど同じ時期に、日本が毎年提出する核廃絶の国連決議案、賛成していた国が、今年はアメリカ、棄権に転じました。そして、CTBT促進を求める決議案にも、何と世界で唯一アメリカだけが反対をしているんですね。つまり、トランプ大統領は核実験容認の方向に大きくかじを切っています。
日本は、いかなる国による核実験も決して認めないというのが日本政府の立場である、総理、それでよろしいですね。
○枝野委員長 内閣総理大臣高市早苗さん。
もしあれなら、外務大臣に振ってください。
○高市内閣総理大臣 外務大臣は出張中でございまして、申し訳ございません。
いずれにしましても、我が国は唯一の戦争被爆国ですから、引き続き、国際社会と緊密に連携しながら、核兵器のない世界の実現に向けて、NPT体制を維持強化するための現実的かつ実践的な取組を進めていく考えでございます。
○櫛渕委員 総理、いかなる国による核実験も決して認めない、この日本の立場を維持されないんですか。
○国光副大臣 外務大臣が出張中ゆえに、副大臣の国光からお答えをさせていただきたいと思います。
高市総理が先ほどお答えを申し上げましたとおり、我が国は唯一の戦争被爆国として、引き続き、国際社会と緊密に連携をしながら、核兵器のない世界の実現に向けて、NPT体制の維持強化のための現実的かつ実践的な取組を進めていく考えでございます。
○櫛渕委員 国際社会と連携すると言うなら、NPTはもちろんですけれども、核兵器禁止条約、ここの批准を目指して、署名、そして、まずはオブザーバー参加をしてくださいよ。
そして、もう一つ、最後にお聞きしたいと思いますが、高市総理の御本人の著書の中で、非核三原則は邪魔になる、このような記述があります。ここを確認させてください。国是である非核三原則は堅持するということでよろしいですね。
○高市内閣総理大臣 現段階で、政府としては非核三原則を政策上の方針として堅持しております。
○櫛渕委員 もう一つお聞きします。
安保三文書の改定を来年中に行う方針を示されていますけれども、ここに書かれている基本の原則、すなわち、「平和国家として、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を堅持する」、ここの文言、堅持するでよろしいですね。
○高市内閣総理大臣 戦略三文書の見直しについては、指示をしたところでございます。これから作業が始まります。今、断言する、これはこのような書きぶりになるということを私の方から申し上げるような段階ではございません。
○櫛渕委員 一国の総理が、非核三原則、これは国是です、日本の立場として維持をする、このことを明言されないことに大変驚きました。
この非核三原則については、これまで累次の国会決議で確認されているんですよ。間違っても、総理の判断や閣議決定だけでは変えてはならないんです。国会決議そして国民的議論が少なくとも不可欠です。そのことを併せて申し上げておきたい。
そして、広島、長崎の悲劇を経験した日本にとって、この非核三原則は世論の高い支持があることも指摘をしておきます。今年五月、朝日新聞の世論調査では、六九%、およそ七割が支持、不支持はたった八%です。東京大学の調査でも、六〇%が支持、逆に不支持は一四%。
昨今、トランプ大統領を始め核保有国の指導者が、核兵器をあたかもゲームの手段のように扱い、核の使用や威嚇、実験と称した核爆発など、余りに軽々しく語る姿に私は恐怖を感じています。そういう国民は多いと思います。
高市総理には、そのような核保有国の振る舞いに追随をして、唯一の戦争被爆国として確固たる核廃絶の立場を揺るがすようなことは断じて許されないということを肝に銘じていただきたい。人間として生きることも死ぬことも許されなかった広島の約三十五万人の皆さん、長崎で約二十万人の原爆犠牲者の無念の思いを一国の総理として……
○枝野委員長 申合せの時間が過ぎております。おまとめください。
○櫛渕委員 しっかり引き継いでいただきたいと思います。
やるべきは、非核三原則を堅持して……
○枝野委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、まとめてください。
○櫛渕委員 北東アジアの非核地帯構想をしっかり平和外交としてやっていただくよう求め、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○枝野委員長 これにて櫛渕さんの質疑は終了いたしました。
次に、田村智子さん。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
まず、台湾有事に関する七日の総理の答弁についてお聞きします。
総理は、台湾有事と日本の対応について、戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、存立危機事態になり得るケースだと述べました。一国の総理大臣が国会の場で台湾という地域を挙げて有事の具体例を想定して発言する、このこと自体が軍事的危機をあおることになります。総理大臣の発言というものは、国内外にそれだけの影響を持つものです。
総理も昨日の質疑の中で、反省点として、特定のケースを想定したことにつきましては、この場で明言することは慎もうと思っておりますと発言をされました。ならば、七日の台湾有事についての発言そのものを撤回すべきではないでしょうか。
○高市内閣総理大臣 去る十一月七日の衆議院予算委員会におけます私の答弁は、台湾海峡をめぐる情勢について様々な想定を述べたものでございますが、その上で、どのような事態が存立危機事態に該当するかにつきましては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合的に判断すると明確に答弁をしております。
御指摘の私の答弁は、政府の従来の立場を変えるものではございませんので、撤回の必要はないと考えております。
○田村(智)委員 他国の有事を想定して発言をされたわけですよ。そして、存立危機事態というのは、集団的自衛権の行使で、日本は攻撃も侵略も受けていないのに自衛隊が海外で武力行使をするという重大な問題になるわけです。だから、撤回を求めている。
反省を述べられたわけですよ。特定のケースをしたことを反省していると。台湾有事という他国の有事を想定しての発言、これは適切ではなかったと思いますが、いかがですか。
○高市内閣総理大臣 重ねて申し上げますが、どのような事態が存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合的に判断するという政府の立場には変わりはございません。
他方、十一月七日でございますけれども、この議論は、岡田委員と台湾海峡をめぐる情勢に関する様々な想定について議論する中で、事態の推移によっては武力行使に発展する場合もあり得ることについて申し上げました。その際にも、存立危機事態については、実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断すると明確に申し上げており、ある状況が存立危機事態に当たるか否かについては、これに尽きます。
反省点として申し上げましたのは、この予算委員会で台湾海峡をめぐる情勢に関する様々な想定を交えて議論した結果、これが従来の政府の立場を超えて答弁したかのように受け止められてしまったことを反省点として捉え、今後の国会での議論に臨んでまいりたいという気持ちでございます。
○田村(智)委員 総理は問題を分かっていないと思いますね。危機をあおるようなことを一国の総理大臣が国会の場で言うべきじゃないんですよ。総理がやるべきは、危機をあおることじゃない。危機を取り除くための外交努力、ここに力を注力すべきだと思いますよ。
我が党は、戦争の心配のない東アジアをつくるために、東アジア平和提言を提唱して、世界の国々と率直な対話をしています。中国に対しても、次のような我が党の意見を繰り返し伝えています。
二〇〇八年の日中首脳会談で、日中双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないと合意している。この合意に基づき、日中双方が緊張と対立を悪化させるような行動を自制すべきだ。その上で、台湾問題についても、台湾海峡の平和と安定は地域と世界の平和と安定に関わる問題であり、平和的解決を強く求める。その際、台湾住民の自由に表明された民意を尊重すべきだ。そして、中国の台湾に対する武力行使や武力による威嚇には反対する。同時に、アメリカと日本が軍事的に関与することに反対だ。
このように、私たちは機会を捉えて繰り返し中国に私たちの見解を伝えています。言うべきことは言う。同時に、両国の関係を前向きに打開する。もめごと、争い事、これを絶対に武力衝突や戦争にはさせない。そのために努力を尽くす。これが私たちの立場です。
総理、こういう立場に立つべきじゃないでしょうか、危機をあおるのではなくて。特に、互いに脅威とならないという日中の二〇〇八年の合意、これは今後の日中関係の基本に据えるべきだと思います。軍事的緊張を高める言動ではなく、戦争のリスクを取り除くための外交こそ必要ではないのか。これはいかがですか。
○高市内閣総理大臣 台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要でございます。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の従来から一貫した立場でございます。
我が国としては、日中首脳会談を始め、あらゆる機会にこうした立場を中国側にも直接伝えておりますし、日米やG7の首脳会談等においても、関係各国の共通の立場として明確に発信をしてまいりました。ですから、今後ともこうした外交努力を続けていくということは当然のことでございます。
○田村(智)委員 外交努力とともに、危機をあおる、軍事的緊張を高める、こうしたことをお互いに自制するという方向にこの東アジアを持っていかなきゃいけない、北東アジアをそういう方向に持っていかなければならないと思います。
その点で、日本で今、逆に軍事的緊張を高める軍事費の増額、大規模な軍備の拡大が進められている、このことも今日は質問したいと思うんですね。
今年度は、初めて、外国を攻撃できるミサイル配備が日本の中で行われます。
射程一千キロと言われるミサイル、一二式地対艦誘導弾能力向上型、今年度、熊本県の陸上自衛隊健軍駐屯地に配備され、二七年度には茨城県の百里基地、神奈川県の横須賀基地、静岡県の富士駐屯地に配備されます。
高速滑空弾、音速を超えるスピードで複雑な軌道で滑空するミサイルですが、これは、今年度は富士駐屯地、来年度には北海道の上富良野駐屯地、宮崎県のえびの駐屯地に配備される。このミサイルは、今後、射程二千キロから三千キロに改良されると言われています。
アメリカ製の長距離巡航ミサイル・トマホーク、今年度、長崎県の佐世保基地所属の「ちょうかい」に配備され、海上自衛隊八隻のイージス艦に搭載されていきます。
ミサイルを貯蔵するためには弾薬庫が必要となります。北海道から沖縄まで、全国で弾薬庫の新増設の計画がメジロ押しです。まさに、日本全域をミサイル列島にする計画が進んでいます。
まず、総理にお聞きしたいんです。
日本で初めて長射程ミサイルが配備される熊本県、熊本日日新聞の世論調査では、約六割がこのミサイルの配備に反対をしています。女性では七六%を超えています。長射程ミサイル配備に住民の多数が不安を抱き、反対をしている。総理はこのことを御存じですか。
○高市内閣総理大臣 この配備につきまして、お地元で様々な御意見があるということは承知をしております。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、スタンドオフミサイルの配備というのは、我が国の抑止力、対処力を向上させる重要な取組でございます。防衛省において、今、配備の必要性などについて既に積極的に発信をしておられると承知していますけれども、これは熊本県や熊本市ともしっかり連携を取りながら、丁寧な説明や丁寧な情報提供に努めていくと認識をしております。
必要でしたら防衛大臣から詳細を説明させます。
○田村(智)委員 私は、二週間前に健軍地域に伺ったんですね。これは本当に住宅地の中心に、真ん中に駐屯地があるんですよ。道路を隔てて市民病院が目の前にあります。半径二キロ圏内には、小中学校が二十校、盲学校や聾学校もあって、高校は八校、保育施設も多数あります。まさに熊本市の中心市街地そのものなんですね。
市民の皆さんにお話をお聞きしますと、こんな住宅地のど真ん中にどうして長射程ミサイルを配備するのか、相手からターゲットにされるんじゃないのか、司令部を地下化する工事も同時に行われる、これは攻撃に備えてのことじゃないのか、市民はどうなるのか、こういう声が次々と出されました。当然の不安だと思います。
ところが、驚いたことに、防衛省は住民説明会すら開いていないんですよ。熊本選出の議員でもある木原官房長官、今日はいなくてとても残念なんですけれども、十月三十一日の地元紙のインタビューで、住民説明会を実施する予定はないと断言しちゃっているんですね。
小泉防衛大臣、これは余りにもひどい対応だと思うんですが、いかがですか。
○小泉国務大臣 まず、先ほど、ミサイル列島という、そういったパネルをお示しをされましたけれども、あたかも、日本が自制が利かず、我々が軍備を増強しているということをレッテルを貼るようなことは、私はまず基本的な認識として違うと思います。
中国は、不透明な軍備増強を続けていますし、国防費を継続的に高い水準で増加させています。そして、五日、これは七日に報道もありましたけれども、三隻目の空母を就役をさせています。
そして、日本と中国の防衛大臣会合も開催をして、私も会いましたけれども、その際にも、尖閣などで海警の船からヘリコプターが出て、そういったところの領空侵犯なども直ちにやめるように、こういったことも申し上げていますので、日本が今回、スタンドオフ、この配備も含めて、今先生がおっしゃったような地元への丁寧な説明は、防衛省は、熊本県そして熊本市、適切な情報提供に努めてまいります。
そして、何よりも、こうしたスタンドオフの防衛能力を保有することで、我が国として相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力を得ることができ、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を……(発言する者あり)
○枝野委員長 不規則発言はおやめください。
○小泉国務大臣 低下させることができると考えていますので、丁寧に、こういったことについても御理解を得られるように説明は続けてまいります。
○田村(智)委員 質問に答えていないんですよ。今みたいに、抑止力を高めるんだということを前提の上で住民の皆さんは不安に思っているんですよ。そういう政府の説明を受けた上で不安に思っているわけですよ。住民説明会を開いていない。開こうともしない。やる予定がないと官房長官が言う。これはひどい対応じゃないですかと聞いているんですよ。
○枝野委員長 小泉大臣、問いに率直にお答えください。
○小泉国務大臣 官房長官がいないんですけれども、私は、官房長官がというよりも、今、配備先に対する適切な説明や情報提供が必要だということは、先ほど私はお答えをさせていただきました。
そして、健軍駐屯地へのスタンドオフミサイル配備については、八月の二十九日に九州防衛局長から熊本県知事及び熊本市長に御説明をし、その際、県知事と市長からは、住民に対する丁寧な説明を求められたところであります。
こうした地元自治体からの御意見も踏まえて、九州防衛局において問合せ窓口を設置し、質問に逐次お答えするなど対応しているほか、九州防衛局のウェブサイトにQアンドAを掲載することにより、既に積極的な発信に努めております。
こうした取組を行っている中、現時点において住民説明会を実施する予定はありませんが、熊本県、熊本市とも緊密に連携しながら、引き続き丁寧な御説明を続けていきたいと思います。(発言する者あり)
○枝野委員長 まず、不規則発言はお慎みください。
○田村(智)委員 そうしたら、まず、住民の疑問にこの場でも答えてほしいんですよ。
一つは、配備するのは移動式の発射台だと強調されていて、じゃ、健軍から撃たないのか。まさに住宅地のど真ん中ですから、健軍駐屯地から長射程ミサイルを発射することは絶対にないと断言できるのでしょうか。
二つ目。健軍駐屯地には弾薬庫が新設されるんですよ。その工事を、今、発注、やっているわけですね。じゃ、その弾薬庫に長射程ミサイルを貯蔵するのかどうか。
お答えください。
○小泉国務大臣 今、田村先生から御指摘がありましたが、具体的な展開場所や運用要領はまさに事態の様相に応じて判断するものでありますから、予断を持ってお答えすることはできないことは御理解をいただきたいと思います。
○田村(智)委員 つまり、抑止力という一言で、住民の不安には応えない、住民の不安に応える説明もできないということじゃありませんか。
特に、住民説明会なんですよ、住民説明会。九日、健軍商店街でミサイル配備反対の集会が行われました。一千二百人、集まりました。アーケードいっぱいですよ。それだけの人が集まっているんです。私だけじゃないんですよ、不安を持っているのは。住民が不安を抱えているんですよ。その集会の中でも、防衛省による直接の説明がないことに強い不信と怒りが示されて、まず説明会をと。これはもう立場の違いを超えて、参加者の総意となっているわけです。
高市総理、総裁選での地元メディアからのインタビューに、住民説明会は絶対大事、大切な情報提供をすることがイロハのイと答えています。防衛省に直ちに住民説明会を行うように指示すべきだと思いますが、いかがですか。
○高市内閣総理大臣 小泉大臣から先ほど答弁があったのを聞いて、私はむしろ安心をいたしました。つまり、しっかりと防衛局に相談窓口をつくって、そして丁寧に疑問にも答えている、一つ一つ答えている、そしてまた情報発信もしているということで、全く住民の皆様に情報が提供されないというようなことではなくて、相当な努力をしていただいているわけです。
その上で、住民説明会を今後開く、開かないというのは、これは防衛大臣の判断に私は任せたいと思います。今かなり丁寧にやっていること、答弁で御承知いただけたと思います。
とにかく、このスタンドオフミサイルを配備するというのは、敵の艦船とか上陸部隊、これを早期かつ遠方で阻止し、排除することが可能になるからです。そして、まさに先ほど大臣が答弁をしたとおり、相手に攻撃を思いとどまらせるという抑止力、これをちゃんと得ることができるからです。国民の皆様を守るためでございます。これはよくよく御理解をいただきたいと思います。
余りにも、ミサイル列島と言われるような状況じゃなくて、全然足りないです、スタンドオフミサイル。これから、スタンドオフの能力が足りない、だから日本はもっともっとこの抑止力を強くしていかなきゃいけないと私は思っています。
○田村(智)委員 まず、九州防衛局の窓口、全然答えていないんですよ。住民の説明に答えられない人が窓口で電話を取っているんですよ。答えていないんですよ。それで、QアンドAをホームページに出したから、これで説明ができていますなんというのは全然違いますよ。
住民説明会はイロハのイじゃないんですか。イロハのイを投げ出すということですか。指示していただきたい。いかがですか。
○高市内閣総理大臣 その必要性は、先ほど申し上げましたとおり、防衛大臣に私は託したいと思っております。その判断を託したいと思っております。
○田村(智)委員 今、抑止力、抑止力と言ったんですけれども、結局、安全保障環境が厳しいと、危機をあおるんですよ。先日の台湾有事の発言もそうなんですよね。
それで、外国を射程に捉える、敵基地攻撃だといって、初めて、外国を攻撃し得るミサイルを持つわけですよ。それが今後、まだまだ足りない、大量に配備される。防衛省に聞いても、これは第一段階だ、もっともっと置いていく。もう既に総理がそういう発言をされましたので、そういうことになるんですよね。
抑止力だと言うけれども、これで安全になると言うけれども、直近の日米共同演習、どうですか。日米一体で、ミサイル総動員で、まさに戦争準備ですよ。
二〇二三年、国会審議で、敵基地攻撃能力の問題での質疑の中で、岸田総理は、存立危機事態、つまりは日本が攻撃も侵略も受けていなくても長射程ミサイルを使用することがあり得る、こういう答弁もしています。これは、事実上、先制攻撃の危険性さえあるということにもなるわけですよ。そういうミサイルを張り巡らしていくということじゃありませんか。
こんな軍事対軍事、ミサイル対ミサイルの悪循環、軍事的緊張を高めていって、どうしてその先に平和があるのかということです。むしろ、何かのアクシデントから武力衝突が生じかねない、それが歴史の教訓ではありませんか。
私は、専守防衛さえ投げ出す憲法違反のこの長射程ミサイルの配備計画、撤回を求めたいし、今日の質疑で明らかになったのは、住民説明会もできないんですよ、結局。説明すればするほど不安になるからでしょう。説明ができないということだと思いますよ。こういう姿勢では、本当にこんな計画を進めさせることはできないというふうに言わなければなりません。
○小泉国務大臣 今、総理から、説明会を開催するかどうかは防衛大臣の所掌で判断しろということです。
私は、大事なことは、説明会か説明かというそういった中でいえば、しっかりと説明をさせていただくことが大事なことだと思っています。ですので、今回、防衛局、ここで窓口もありますし、QアンドAなどもやっております。そして、これからもまたお問合せがあればしっかりと情報提供を、説明をしたいと思います。
また、先ほどから、まるで日本が自制が利かず軍拡を進めているかのような前提に立ってお話をずっとされていますが、正直、理解に苦しみます。これは、我々から、今このような対処をしているのは、総理も申し上げているとおり、いかに日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっているか、こういった中での日本の抑止力と対処力を高めるための不断の取組をすること、このことは、危機をあおるのではなくて、厳しくなっている安全保障環境に対して適切な対応を進めているということですので。
これをどのように判断をされるか、先生の基本的な認識が国民の皆さんがそのとおりだと思うのか、いや、それはちょっと余りにも、まあ私はこれ以上は言いませんけれども、国民の皆さんに御理解いただけるように十分説明を続けたいと思います。
○田村(智)委員 軍事的緊張、安全保障環境、これを解決するのは外交しかないんですよ。外交しかないんですよ。そして、そのことをしっかりと説明もできない、これが今明らかになったと思います。
これは暮らしにも関わっていくんですね。こういうミサイルをどんどん置いていくというのは、まさに軍事費二%への増額二年前倒しの問題と重なっていると思います。(発言する者あり)
○枝野委員長 両サイドとも不規則発言はおやめください。
○田村(智)委員 二〇二二年、岸田内閣の下で安保三文書が閣議決定されて、敵基地攻撃能力の保有となった。そして、軍事費の総額をGDP比一%から二%へ、五年間で一気に倍増させるということになりました。これを高市総理は、三年目の今年度中に前倒しで達成する、安保三文書も一年前倒しで改定すると、十月二十四日の国会での演説で突如表明されたんです。驚きました。
これは憲法にも、平和にも暮らしにも全てに関わる重大な問題なのに、参議院選挙で自民党の公約になんかなかったですよね。選挙の党首討論でも、一言もこんなことは言及なかったですよ。自民党の総裁選でも、防衛予算はしっかり積み上げた上で対応するというのが高市総理の発言でした。それが突然、補正予算まで組んで、今年度中に二%を達成すると。
総理、二%前倒し、補正予算で一・一兆円、これは一体どういう分野で幾ら積み増すということなんですか。
○高市内閣総理大臣 まず、安全保障関連経費について、令和七年度当初予算に追加で必要となる経費としては、今の安全保障環境を踏まえまして、例えば、ドローン対処機材の整備などの自衛隊の活動基盤の強化、自衛隊における人的基盤の強化、自衛隊の運用態勢の早期確保などを含めて、必要な経費の計上を考えております。
これらが一定の額に達すると見込まれることから、対GDP比二%水準にしても、結果として達成する。プラス一・一兆円、そのとおりでございますけれども、結果として達成する。
補正予算に計上予定の具体的な事業について更にお知りになりたければ、防衛大臣に答弁をさせます。
○田村(智)委員 積み上げだと言ってきたわけですから、じゃ、今言ったようなのが、それぞれ幾らぐらいの規模になるという見込みなのか。額で答えてください。
○小泉国務大臣 今、その御質問も含めて、高市総理が結果としてこの二パーを達成するということでお答えをされたと思いますが。
先ほどから国民の皆さんの声を聞けということをおっしゃっていますが、その観点からしますと、今回、この前倒しの中で、空調設備の整備が整っていないような自衛隊の皆さんがお住まいになっている隊舎とか、こういったことも含めて人的基盤の強化もこの中には入っていますし、最近、アメリカも、陸軍長官が、この二、三年でドローンを百万機調達をするという発言がありましたが、本当に、田村先生、今、世界を取り巻いている安全保障状況は目まぐるしく動いています。
そういった中で、ドローン対処機材、そして災害対処機材の整備などを加速して進めなければいけないというのは、私は当然のことだと思いますし、今、自衛隊の採用も含めて大変厳しい状況の中でも、自衛隊の待遇改善も含めてそういったことを進めていくことは、私は、国民の皆さんに丁寧に説明をすれば御理解を得られることだと思っております。
○田村(智)委員 聞いていることに答えていないんですよ。これは答えられないんですよ。防衛省に説明を求めても、総理の政治的表明を受けて、これから検討するという説明なんですよ。
防衛大臣が先ほど言われたようなことが問題だったら、参議院選挙の公約に掲げればいいじゃないですか、二%前倒ししますと。掲げていないじゃないですか、自民党は。選挙中の党首討論で、私は、防衛予算のことについて、軍事費のことについて、石破総理と何度も党首討論でやりましたよ。一言もないですよ、二%への前倒しなんて。予算にも関わる、暮らしにも関わる、そして閣議決定の変更なんですから。全く説明になっていないですよ。
今年二月十七日の予算委員会で、我が党の志位和夫議長が政府の軍事費の増額の問題についてただした際に、石破総理は何と答弁したか。数字ありきではなく、必要なものを積み上げた結果としてその数字がある、数字から逆算するなぞということをやるつもりは全くございません、こう答弁しているんですよ。この答弁さえもほごにしているのがこの数字ありき、二%の前倒しですよ。
では、何でこれは急ぐのか。そもそもGDP比二%の震源地はどこにあったのかなんですね。
一期目のトランプ政権、当時のエスパー国防長官が二〇二〇年九月、日本を含む同盟国に、少なくとも二%にと増額を要求しました。ここが始まりです。これに日本政府はどう対応したか。
十月二十四日の産経新聞、一面トップの記事は、二〇二二年五月の日米首脳会談で岸田首相がバイデン大統領に、GDP比二%を目標に防衛予算を増額する方針を伝えていたと報じています。GDP比二%という閣議決定は二二年十二月です。その半年以上前、五月にアメリカの大統領に二%の目標と伝えていたということなんですか。
○高市内閣総理大臣 御指摘のお話ですが、報道にあるような事実はないと承知しております。
○田村(智)委員 そうすると、産経新聞の大誤報という答弁になるんですけれども、この記事は、日本政府とアメリカとのやり取りまで詳細に報じているものなんですね。今の答弁だけで納得するわけにはいきません。
この二%目標という根幹に関わる問題ですので、当時の会談記録での総理の発言、少なくとも、当時、私たちに示されたものは、総理の発言は、相当な増額を表明したというものなんですよ。この相当な増額ということに関連する発言の記録、会議録、この提出を求めたいと思います。
委員長、お願いいたします。
○枝野委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○田村(智)委員 改めて、なぜ二%の前倒しなのか。私は代表質問で、トランプ政権がGDP比三・五%という途方もない軍事費の増額を求めている、この下で、日米首脳会談の直前に、二%の前倒し、こういう表明を行えば、トランプ政権の要求を受け入れたことになりますよと指摘をしました。総理は、我が国の主体的判断という答弁でした。では、客観的事実を確認したいんです。
第二次トランプ政権の発足以降、アメリカが日本に対してGDP比三・五%の軍事費を要求している、この認識は高市総理にはありますか。
○高市内閣総理大臣 少なくとも、私は内閣総理大臣になって間がありません。この間、トランプ大統領と会談をさせていただきました。首脳間の会談ですからそんなに詳細な内容は申し上げられませんけれども、ただ、少なくとも、防衛費の規模感ですとか特定の数字については何ら話は出ませんでした。片山大臣も同席していらっしゃったので、それはみんな知っていることだと思います。
○田村(智)委員 私がお聞きしたのは、この間の日米首脳会談の話ではないんですよ。いろいろにもう報道されています。では、アメリカが日本に対してGDP比三・五%の軍事費への増額という要求を持っている、このことを知っているか、事実として。そのことを聞いています。
○高市内閣総理大臣 特に直接私に申入れのないことは承知をいたしておりません。
いずれにしましても、我が国の主体的な判断の下で、具体的そして現実的な議論を積み重ねていく。今後の防衛力の具体的な内容ですとか、これを実現するための防衛費の水準というのは、積み上げだと石破前総理がおっしゃったのはそのとおりでございます。これは具体的に必要なものを現実的に積み上げていくということです。
たまたま今回、その金額、プラス一・一兆円、これがGDP比二%規模ということになる。それぐらいの必要額は当たり前だろうという判断でございます。
○田村(智)委員 これだけ報道されていて、要求しているという事実、その認識さえ示さないんですかね。
イギリスのメディアは、コルビー国防次官が三・五%への引上げを日本に対して要求した、政府が参議院選挙への影響を恐れて、七月に予定されていた日米の外務・防衛担当閣僚による協議、いわゆる2プラス2、これを延期したというふうに報道しました。また、NATOは、トランプ大統領から五%への引上げを要求されて、二〇三五年までに引き上げるということを決めました。もう世界はこういうふうに動いているわけですよ、今。そして、日本もそういうふうに見られているわけですよ、メディアから。
こういう下で、日米首脳会談の直前に、軍事費増額を前倒しするんだ、次の計画策定も前倒しするんだ、こういう表明を突然すれば、これは、総理がどう言おうとも、客観的には日本がアメリカの要求を受け入れたということになりますよ。客観的に見て、様々な事実から。
そうでないというのなら、GDP比三・五%、これは、幾つものアメリカの政治家の発言で、日本に要求されていることは事実なんですよ。この三・五%というアメリカからの要求は受け入れないと、この場ではっきり表明していただきたい。アメリカから言われる筋合いではないと表明いただきたい。いかがですか。
○高市内閣総理大臣 まず、私がトランプ大統領から何の数字も規模感も伝えられていないということは事実でございます。
仮に、委員がおっしゃるように、三・五%という数字をアメリカ側が私に伝えてきたとしたら、GDP比二%という話では、それじゃいかぬだろう、足りぬだろう、そういう反応になるはずでございますけれども、具体的な数字は示されておりませんし、こちらも別に、アメリカに言われてGDP比二%を前倒しするわけでもございません。あくまでも主体的な判断です。
そして、GDP比二%というのは、私も政調会長をしておりましたので、岸田内閣の下で総選挙をやったときの衆議院の公約に、明確に、そこを目指していくということを書いてございます。突然降って湧いた数字じゃありません。
ただ、今、ロシアとウクライナの戦争の状況を見ていても、明らかに戦い方が変わってきています。ドローンですごい攻撃がなされている、そしてまた、継戦能力、これを高めなきゃいけないということでもう世界各国は動き出しているんですね。そういった中で、ニーズがあるものにしっかりと予算をつけていく。当たり前じゃないでしょうか。
○田村(智)委員 戦争の準備が当たり前、憲法上の規定は関係ないというような答弁に聞こえますよ。
それで、三・五%ということを要求しているというのは周知の事実なんですよ。これは国際社会の中でそう見ていますよ、みんな。NATOは五%、日本はそれに該当するのが三・五%なんですから。これを拒否しない、やらないとは言えない、二%は前倒しと。
私は、三・五%というのは本当に拒否しなきゃいけない、それはやらないと表明しなければならないと思います。なぜか。もしもアメリカの要求どおりGDP比三・五%への増額となれば、一体どれだけの予算が必要になるのかなんです。三文書の前、これは関連経費を含めて約六兆円規模だった軍事費が、二%で十一兆円、これだけでも大変ですよ。それで、三・五%では二十一兆円。医療、介護、生活保護の国の予算、全部合わせて十八兆円、それさえも大きく上回るあり得ない規模なんです。あり得ないですよという表明をしなきゃ駄目だと思う。
しかも、その軍拡の財源として、これは十一兆も含めてですけれども、総理は国債も否定されない。将来世代への莫大な借金で賄うなどということは無責任極まりないやり方です。国民を守るどころか、暮らしも、そして日本の財政も破綻する、まさに亡国の道を歩むことになってしまう。だから、三・五%は絶対駄目、やらないと言わなきゃいけないと思います。
今、日本の国内でも、トランプ大統領の、国連憲章や国際法を意に介さない、こういう言動を見て、果たして日米同盟絶対でいいのか、アメリカにつき従っていていいのか、こういう声は強まっています。ところが、高市総理は、米軍の空母ジョージ・ワシントンの上でトランプ大統領と並んで演説をして、米軍に向けて防衛力強化への決意を表明された。その後ろには、力による平和という言葉が掲げられていたわけですよ。
私たちは、アメリカもロシアも中国も、力による現状変更、力による支配、これはやっちゃ駄目だ、こういう立場です。大国による力の支配に対して、今、世界の国々は、国連憲章、国際法に基づく平和の国際秩序を守って発展させよう、こういう努力をしているところです。日本が行うべきは、主体的な外交努力。日米同盟が絶対で、アメリカにつき従って、軍事力強化に突き進む、こういうことではないと思う。
改めてお聞きしたいんです。私、十一兆でも大変だと思う。三・五%、二十一兆、あり得ないですよね、あり得ない。表明いただきたい、あり得ない。
○高市内閣総理大臣 アメリカ側から何にもこの数字の規模について私に対して要求がないのに、三・五%と、いきなりそういうことを言われてもどうしようもありません。これはもう日本が主体的に必要な防衛力を整備して、ちゃんと国民の皆様と大事な領土を守るために抑止力を持つ、これが全てでございますよ。
何かおっしゃっていることが、外交努力、外交努力とおっしゃいます、外交が大事なのは当たり前です。国力の一番目に外交力と、日本の戦略三文書でも持ってきているんです。外交力も必要、防衛力も必要ですよ。だけれども、でも、やはりそれじゃ……
○枝野委員長 気持ちは分かりますが、申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○高市内閣総理大臣 それだと、世界のどこでも戦争は起こらないはずじゃないですか。現実に今起こっているわけです。
○田村(智)委員 どう聞いても三・五%を否定されなかった。重大だと思います。
終わります。
○枝野委員長 これにて田村さんの質疑は終了いたしました。
次に、緒方林太郎さん。
○緒方委員 最後三十分、よろしくお願いいたします。
最後の十分強は大相撲九州場所の方に押し出されるそうでありますので、ちょっと質疑の順番を入れ替えたいと思います。
まず、外国人優遇についてお伺いいたしたいと思います。
よく、国の仕組みの中にそもそも外国人優遇の要素が盛り込まれているんじゃないかという指摘をする方がおられます。私がよく聞くのは、訪日外国人が出国するときの消費税の還付とか、あと生活保護とか、社会保険の高額療養費とか、あと年金の脱退一時金とか、そういうものそのものが外国人優遇の要素があるのではないか、そういう指摘をさきの参議院選挙の際に争点化する動きすらあったやに記憶をいたしております。
高市総理にお伺いしたいと思います。今言った四つの制度の中に外国人優遇が内在化されているというふうに思われますでしょうか、高市総理。
○高市内閣総理大臣 今おっしゃった四つの制度ということでしたら、外国人であることを理由に優遇するものではないと考えております。
○緒方委員 簡潔に答弁してくれと言ったら本当に簡潔だったので、ありがとうございます。
続きまして、全くテーマを移しまして、売春防止法についてお伺いをいたしたいと思います。
売春防止法は、売春をする者による勧誘が罰せられるんですね。これは、なぜそういうふうになっているかというと、社会の風紀を乱し、公衆に迷惑を及ぼす、そういう理由です。要するに、街娼は見た目が悪くて邪魔なのでとっ捕まえます、そういうことです。私、全くと言っていいほど現代性がないと思うんですね。
男女共同参画計画において、女性の尊厳の観点から、売春防止法を、売春の相手方を罰するという可能性について言及が入るようになったのは、二〇一〇年、第三次計画であります。それから十五年、第四次、第五次と来て表現ぶりが全く変わらなかったんですが、私、通常国会の内閣委員会でこの件を取り上げたところ、三原じゅん子当時の担当大臣が極めて誠実に対応いただき、年末に閣議決定されるだろう第六次の男女共同参画計画では、売春の相手方を罰する可能性について少し踏み込んだ表現になっています。さきの参議院本会議でも、塩村あやかさんの質疑に対して、高市総理は、売春の根絶に向けた取組を進めていくと答弁しておられました。
更に一歩進んで、具体的に売春の相手方を罰する可能性について検討するように、是非、後ろにおられる平口法務大臣に指示を出していただきたいと思うんですね。是非、答弁を期待している方はたくさんおられますので、はいかイエスで答弁ください。高市総理大臣。
○高市内閣総理大臣 はいかイエスですか。
売春の相手方に対する処罰の必要性ということで、売買春に係る規制の在り方について必要な検討を行うことを、では、法務大臣に指示いたします。
○緒方委員 ありがとうございました。
では、指示の下りた平口大臣、一言答弁いただければと思います。
○平口国務大臣 お答えをいたします。
ただいま総理から指示がありましたとおり、売春防止法を所管する法務省において、近時の社会情勢などを踏まえた売買春に係る規制の在り方について、必要な検討を行ってまいります。
○緒方委員 ありがとうございました。
続きまして、ぽんぽんとテーマが移りますが、規制緩和の功罪ということについて、あるテーマをベースに議論させていただければと思うんですが。
高市総理は、アベノミクスで足らなかったところはどこだというふうに質問したところ、第三の矢のところが不十分であったという答弁を何度かしておられます。安倍政権はドリルのやいばとなって岩盤規制を破っていくというふうに言っておられましたが、ドリルの穴の空け方を結構間違っているんですね。その一つが、私は、不動産のクラウドファンディングの世界だと実は思っています。
低金利で市場にあふれるマネーを吸収する観点から、二〇一七年に、不動産のクラウドファンディングの規制緩和を行っています。その結果として、投資家保護が不十分なまま市場規模が拡大して、現在、二千億円の出資を集めて、利回り、償還が数か月にわたって滞っている、みんなで大家さんのような事例につながっております。集団訴訟も起きています。
しかし、現在起きている事態は、では想定できなかったことなのかというと、議事録をよく読んでみると、二〇一七年に国会審議をした際に、日本共産党の清水忠史さんが、ほぼ質疑において清水さんが質問したとおりのスキャンダルというか不祥事というか、起きているんですね。
法律の不備によって金融面から見た投資家保護が不十分なまま不動産クラウドファンディングを拡大したことに対する反省の弁を求めたいと思います。金子大臣。
○金子国務大臣 ただいま御指摘のとおり、大変な問題になっていることは認識をしております。
そもそも、不動産特定共同事業は、投資商品を提供するものであり、一定のリスクを伴うことから、事業者から投資家に対して商品に関する説明がリスクも含めて適切に行われ、取引の公正性が確保されることが重要であるわけであります。
こうした特性を踏まえて、不動産特定共同事業法においては、金融商品取引法などと同様に、広告時における誇大広告等の規制や投資家に対する契約に際しての情報提供義務などの仕組みを設けまして、投資家の保護を行っております。
また、御指摘の平成二十九年法改正による不動産クラウドファンディングの導入においても、インターネットを介した取引の特性に応じて、こうした取引に係る業務を行うための業務管理体制の整備や、投資家の投資判断上重要な事項のホームページでの掲示を義務づける等により、追加的な措置を講じているところでございます。
国土交通省としては、金融庁とともに、今後も市場環境の変化等に応じて投資家保護のための取組の強化に努めてまいりたいと思います。
一方、今お話がありましたような、投資家の参加が大きく増加している状況を踏まえ、本年三月に国土交通に有識者検討会を設置いたしまして、八月に、想定利回りの根拠等の一般投資家向けの情報開示の充実等に関する内容を盛り込んだところでございます。
これからも、投資家保護を含めて、しっかり取り組んでまいります。
○緒方委員 もう一度お伺いしたいと思います。
今言ったような説明というのは、法改正のときも行われていたんです。けれども、それじゃ不十分ですよねと共産党の、今、国会に議席をお持ちじゃないですけれども、清水議員の方から指摘があったんです。なので、法律がやはり不備だったんじゃないかというふうに私は思うわけですよね。法律の不備はなかったというふうに認識しておられますか、金子大臣。
○枝野委員長 金子大臣、問いに端的にお答えください。
○金子国務大臣 ただいまの御指摘に関しましては、今回の問題をしっかり今調査をしておりますので、改めるところは改めるべきだと思っておりますので、今後検討させていただきたいと思います。
○緒方委員 私は、この件が大問題であることを、実は一年九か月前から国土交通省と金融庁にはしつこいくらいに指摘をしてきました。しかし、現在に至るまで、この事業そのものに対する処分がなされていないんですね。まさかとは思いますが、私の指摘に限りませんけれども、国会議員からの圧力が行政判断をねじ曲げているということはないというふうに言い切れますか、大臣。
○枝野委員長 金子国土交通大臣、端的にお願いします。
○金子国務大臣 そのようなことはなかったと認識しております。
○緒方委員 低金利政策を続けると、こういった高金利をうたうビジネスがあちこちにばっこしていくんですね。金融抑圧をやったことの副産物だろう、私はそう思っています。
最近はポンジ・スキームと言わずに、日本語で破綻必至商法と呼んでいるようでありますが、あちこちにあります。古くは豊田商事の金であったり、最近になりますと安愚楽牧場というのは牛の肥育でありました。ジャパンライフは健康器具のレンタルでありましたし、かぼちゃの馬車のシェアオフィス、トケマッチの時計、そして不動産小口証券化の不動産特定共同事業法。手法は極めて類似しているんですね。手法は類似しているんですけれども、根拠法が異なることに伴う問題点があります。
この破綻必至商法を分野横断的に捉えて対応する仕組みを整えるべきではないかというふうに私は思いますが、高市総理、いかがでしょうか。
○高市内閣総理大臣 確かに、我が国の規制、今おっしゃった破綻必至商法に対する規制は、出資法、預託法、刑法、金融商品取引法といった複数の法律で取り締まられております。
各所管官庁は、ですから、裁判をすることなく、問題のある業者への警告ですとか業務停止命令で対応してきているんですが、ただ、おっしゃるとおり、分野横断的な規制ですとか有効な被害回復制度がないということは事実でございます。
様々な悪質商法が出てきている中で、より有効な解決方法がないかについて、これは消費者庁を中心に検証させます。
○緒方委員 では、検証ということでありましたので、一言、消費者担当大臣に答弁を求めたいと思います。黄川田さん。
○黄川田国務大臣 ただいま総理から、御指示を踏まえましたので、破綻商法等、悪質な商法のある中で、より有効な解決策がないか、消費者庁が中心となって検証していくこととしたいと思います。
○緒方委員 ありがとうございます。
実は、この件、やり始めると結構難しいんです。何が難しいかというと、早い段階で公権力が何か入れようとすると憲法の財産権とひっかかるという問題があって、この件は非常に難しいというのは私も分かっています。だからこそ、これは進めていくのに非常に知恵を使わなきゃいけないし、労力も要ると思います。黄川田大臣の活躍を大いに期待いたしたいと思います。頑張ってください。
それでは、今日、実は一番最初にここからスタートしようと思ったテーマに移りたいと思います。
保守主義についてお伺いしたいと思います。
私は、実は、自由民主党が保守政党だと思ったことが余りないんですね。その成り立ち、歩みからして、せいぜい進歩主義ではないというぐらいの、そういう意味での反射的効果を体現しているというぐらいかなというふうに、今委員長がうなずいておられますが、私はそう思っているんですね。
そうすると、進歩主義的なものの勢いが今弱くなってくると、余り人気がなくなってくると、反射的効果としての括弧付保守主義が意味を成さなくなり、保守主義という言葉が漂流しているように見えます。人によって言っていることが全く異なる、そういうふうに思います。
高市総理にお伺いしたいと思います。高市総理が考える保守主義とはいかなるものですか。
○高市内閣総理大臣 過去、国会において、保守主義とは何かという議論は何度かなされていると思います。直近では、安倍総理が平成二十九年に、基本的に歴史に対して謙虚になり、今の仕組みがどのような歴史の積み上げの中でつくられたのか、その重みを感じながら、大切なものを守るためには、時には思い切って、勇気を持って変えていくことだ、このようなことを述べられていて、平成二十七年にも同様の答弁をしておられます。
私も基本的にはこの考えを引き継いでおりますが、私は、やはり時間軸ですね、過去、現在、未来、この時間軸を大事にしています。ですから、過去の方々がどのような思いでこういうものをつくったのか、こういうシステムにしたのか、そういったことも、しっかり文化や歴史も踏まえながら、そして現在、現在をしっかりと生きなきゃいけない、感謝しながら生きなきゃいけない。そして、未来に対してちゃんと責任を果たしていかなきゃいけない。そういう長い歴史の中で、守るべきものは守り、変えるべきものは変え、未来を切り開いていく、そういうスタンスであると思っております。
○緒方委員 私も極めて似たような考え方を持っていて、過去から未来に向けて存在している、これから存在するであろう方も含めてですね、その一連の流れの中に自分がいるのであるというふうに思い、そして、過去に生きていた方のみならず未来に生きている人も含めて、全ての方の中で、ある意味、民主主義、責任を考えていくということなんだろう、それが保守主義だと私も思っています。おおむね納得するところがあったんですが。
そうすると、これを、では経済政策に移していくとどうなるかということになると、私は保守主義には幾つかの系譜があると思っていますが、ツケを将来に残さず、自由主義的な意味合いでの保守主義を私は持っています。その観点から、財政規律に緩い保守主義者というのは余り私の中にないんですね。
財政健全化を志向しない保守主義というのがあり得るというふうに高市総理は思われますか。
○高市内閣総理大臣 過去、現在、未来、この世代を結ぶ契約という捉え方に立ちますと、やはり将来世代への責任、これから二十二世紀まで生きるかもしれない方、その次の世代の方への責任、こういう主張、その責任を果たしていくべきだという思いを強く持っております。
ですから、だからこそ、私は、今の内閣で何とか危機管理投資を仕上げたい、強い経済をつくりたいと思っています。とにかく、食料安全保障やエネルギー安全保障や国土強靱化やサイバーセキュリティー対策や健康医療安全保障や、いろいろな課題を私たちの代のうちで何とか解決するための投資を始めたい。その投資によって、未来に対して、必ず成長する経済、これを残してやるということ。だから、安全な社会で、なおかつ成長する経済、こういう姿を次の世代に残しておくということが大事なことだと考えています。
○緒方委員 端的にお答えいただければと思うんですが、私は、世界の様々な保守の方を見ていて、基本的に、財政健全化を志向しない保守主義というのは余り見ないなというふうに思うんですね。その点、高市総理、いかがお考えですか。
○枝野委員長 高市内閣総理大臣、端的にお願いいたします。
○高市内閣総理大臣 保守主義と財政健全化というのを、私は、結びつけて考えたことはございません。
○緒方委員 これまで自由民主党がやってきた政策とか、今、高市総理が打ち出そうとしている政策の中には、世界的に見てみると、結構左派的な政策がかなり含まれるなというふうに思います。賃上げをしたら税を減免するといった政策というのはとても保守主義から導き出されるとは思わないですし、また、低金利政策の維持によって円安に誘導するというのは日本の安売りであり、これはとても保守主義とは言えないと思います。現下の状況では、保守を自認するのであれば円高を志向するはずだと私は思うんですね。総理の見解を伺いたいと思います。
○高市内閣総理大臣 ここで為替について私が答弁をすることはございません。
でも、先ほど申し上げたのは、未来への責任を果たしていくために重要な政策である。やはり過去からせっかくこの日本を引き継いできた。私は、日本と日本人の底力を信じてやまない者として、次の世代にも、ああ、日本に生まれてきてよかったと思ってもらえる、安全に暮らせる、ちゃんと働く場所もある、必要な医療や福祉が受けられる、質の高い教育も受けられる、そういう日本を残したい、それが私にとっての保守です。
○緒方委員 それでは、もう少し具体的に経済政策についてお伺いしたいと思います。
債務残高対GDP比を継続的に下げていくためには、現下のプライマリーバランスが赤字の状況では、名目成長率が金利を大幅に上回る必要があると思います。それは別に政策的にどうとかいうことではなくて、単に数学の問題でして、必ず、数学で計算すると、名目成長率が金利を大幅に上回る必要があると思います。しかしながら、現在、人口減少等に伴い、潜在成長率は〇・六%程度であります。ということは、名目成長率が金利を大幅に上回るためには、数字の計算で考えるだけでも、インフレ税と金融抑圧による利率を抑え込むこと、この選択肢しか私の頭で想像できないんですね。
インフレで名目の経済成長率を伸ばす、しかしながら、債務の伸びは利率を抑え込むことによって抑える、このやり方しか私は思い浮かばないんですけれども、このやり方以外の方法で債務残高の対GDP比を抑えることができるというのであれば、力強くとか責任あるとか、そういう気合ワードは結構ですので、論理的に、数式的に説明いただければと思います。高市大臣。
○高市内閣総理大臣 債務残高対GDP比は、政府が負う債務について、その返済の原資となる税収を生み出す元となる国の経済規模、すなわち、GDPに対してどの程度の割合になっているかということを示した指標でございます。これが財政の持続可能性を見るということで有意義になっている、そう思っております。
特に、中長期的に債務残高対GDP比の引下げというのを安定的に実現するということが、これは財政の、健全化とは言いません、私はいつも持続可能性と申し上げておりますけれども、マーケットからの信認を確保していく上で重要だと考えております。
○緒方委員 そういうふうに達成していきたいというのは、それは頭では理解していますが、けれども、これを達成しようとすると、潜在成長率〇・六%、これでも少し上がってきているんですけれども、そういう中、成長率を高く、できるだけ高く見積もり、そして、国債の新規発行は恐らく増えるでしょうから、それにもかかわらず債務の伸びが抑えられているということは金融抑圧をするということですよ。
このインフレ税と金融抑圧以外で政府債務残高の対GDP比が抑えられるというその理屈を是非見せていただきたいというふうに思っているんです。いかがですか。
○片山国務大臣 緒方委員に御質問をいただきましたが、足下の数字として、名目成長率が四%弱でございます。そして、足下の数字として、国債の今の発行、十年物が一・六九五でございまして、一時上がったんですが、一定の範囲にございまして、こちらの数字をどう見るかについてはいろいろ計算方法があるんですが、今、生きているというか、利払いをしている国債の中ではもっと低いものも多いですから、加重平均をすると、もっと下がるんですよ。
ということは、四弱と一・六以内ということは、かなり今の時点で有意の差がありますから、委員が御心配いただく訳も分かるんですけれども、その状態で安定運営をしていくということは決してできないことではないと思いますし、以前、委員からは国債市場についての御心配もいろいろいただいておりまして、政府委員もいらっしゃいますけれども、今のところは、その国債政策の管理によってきちっと回っていると私どもは理解しております。
○緒方委員 今年の六月、国債の発行計画を見直しているんですね。スタートしてから僅か三か月で見直しているんです。超長期国債の量を減らして、短期国債に三兆円近く振っているんですね。
今日は理財局長にお越しいただいております。どういう背景で、どういうことをされたんでしょうか。
○井口政府参考人 お答えいたします。
昨年末に策定いたしました令和七年度国債発行計画におきましては、当時の市場のニーズを踏まえ、主要投資家である生命保険会社からの需要減退等を踏まえ、前年度計画に比べ、四十年債、三十年債について減額を行いました。その上で、本年四月以降、超長期国債につきましては、他の年限の国債に比べ、大きく金利が上昇する動きが見られました。
金利動向は、様々な要因を背景に市場において決まるものでございますが、その背景といたしましては、本年四月に米国による相互関税の発表等を受けまして市場金利が大きく変動する中、投資家が価格変化のより大きな超長期国債への投資に慎重になった影響や、我が国の財政を取り巻く状況の反映といった要因が市場参加者から指摘されたところでございます。
こうした状況の下、国債発行当局といたしましては、市場参加者と丁寧な対話を行い、本年六月、超長期国債の発行を減額する等の令和七年度国債発行計画の変更を行ったところであります。
○緒方委員 今、いろいろ理屈を言われましたけれども、一つ言われなかったことの中に、円に対する信認が下がってきているのではないか、それによって金利が上がったので、超長期国債を発行してしまうとその利回りの負担が重いので短期に振ったんだろう、そういう指摘もあるわけですよね。結構予断を許さない状況に今あると思うんです。
もう一つ言うと、今、日米間の実質金利差がどんどん狭まってきています。本来なら、これは円高に振れる要因です。しかし、その関係が成り立たなくなってきています。日米の実質金利差が狭まってきているのに円安に振れる。それは何を意味しているかというと、恐らく今年の四月、五月ぐらいからそういうトレンドが如実なんですね、気前のいいことを言う政党が選挙で勝つんじゃないかとか、財政規律を弱める発言を高市総理がしていることがそういうことに影響しているんじゃないかとか、そういうふうに思うわけですよね。
実質金利が縮んでいるのに円安が進行しているというのは、私の目には、極めて軽度であるけれども、極めて軽度であるけれども、既にトラス・ショックを起こしているんじゃないかという懸念を持ちます。高市総理大臣の見解を求めたいと思います。
○高市内閣総理大臣 為替相場というのは、多様な要因を背景に市場において決まるものですから、財政政策のみを取り出して為替相場に与える影響というものを一概に申し上げるということは困難です。
トラス・ショックを起こしているんじゃないかという話なんですが、トラス・ショックのあの当時、やはり経常収支などについて我が国の状況とは異なっておりました。これは私も総裁選の前から党内でも申し上げてきたことです。同様の状況が今の日本において生じているとは考えておりません。
○緒方委員 しかしながら、財政に対する信認と、恐らく、金利差が狭まってきているのに円安に振れるという、本来あり得ないことが今起きているということについては、慎重な慎重な対応が必要だと思います。その慎重さについては共有いただけますね、高市総理。
○枝野委員長 高市総理大臣、端的にお願いします。
○高市内閣総理大臣 慎重さについては、もちろん共有をいたします。戦略的な財政出動は行いますけれども、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑える、政府債務残高の対GDP比を引き下げていく、マーケットからの信認を確保していく。以上でございます。
○緒方委員 多分最後の質問になるかなと思いますが、最近、高市総理、税収の上振れという言葉を使わなくなりましたが、インフレを理由に最近税収が増えているということがあると思います。恐らく、今、税収が増えているもののかなりの部分はインフレによるものだと思います。これは支出の上振れとセットのはずです。そして、それだけじゃなくて、金利の上昇にもつながりますから、名目金利の上昇にもつながりますから、債務利払いの増も考慮に入れると、インフレを理由とする税収の上振れなんというものは、財源とならないどころか、場合によってはマイナスの可能性すら私はあると思っています。
こういうインフレを理由とする税収増というのは、真水で使える財源に私はなりにくいと思います。いかがお考えでしょうか。
○高市内閣総理大臣 インフレによる税収増ということですけれども、その活用ということですが、税収は景気動向によって変動します。そしてまた、物価や金利が上昇する場合には、例えば人件費、年金給付、利払い費の増加など、歳出面の増加につながること、これにも留意をしなければなりません。
この税収増の活用については、例えば、補正予算の編成時に当初の見積りからの上振れが見込まれる場合には、この増額分を補正予算の財源として活用するなど、これまででも一時的な財源としては活用してきているということでございます。
○緒方委員 終わります。
○枝野委員長 これにて緒方さんの質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十一分散会

