衆議院

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第7号 令和8年4月28日(火曜日)

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令和八年四月二十八日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 関  芳弘君

   理事 小里 泰弘君 理事 河野 正美君

   理事 谷  公一君 理事 簗  和生君

   理事 山口  晋君 理事 中川 宏昌君

   理事 青柳 仁士君 理事 田中  健君

      内山 こう君    大空 幸星君

      岡本 康宏君    長田紘一郎君

      加藤 大博君    木村 次郎君

      今  洋佑君    斉藤 りえ君

      佐藤 主迪君    園崎 弘道君

      高見 康裕君    田中 昌史君

      辻  秀樹君   中川こういち君

      永田磨梨奈君    西田 昭二君

      藤田 洋司君    文月  涼君

      古川 直季君    松下 英樹君

      三原 朝利君    村木  汀君

      山本 裕三君    吉村  悠君

      渡辺 勝幸君    赤羽 一嘉君

      近藤 和也君    原田 直樹君

      柏倉 祐司君    黒田 征樹君

      佐々木真琴君    工藤 聖子君

      山田 瑛理君

    …………………………………

   内閣府大臣政務官     古川 直季君

   参考人

   (宮城県気仙沼市長)   菅原  茂君

   参考人

   (大阪公立大学大学院文学研究科准教授)      菅野  拓君

   参考人

   (兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授)   阪本真由美君

   参考人

   (国際医療福祉大学大学院災害医療分野教授)    石井美恵子君

   衆議院調査局第三特別調査室長           江成 友幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  伊藤  聡君     文月  涼君

  高見 康裕君     大空 幸星君

  中川こういち君    村木  汀君

  吉村  悠君     山本 裕三君

  西園 勝秀君     原田 直樹君

  渡辺  創君     赤羽 一嘉君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     岡本 康宏君

  文月  涼君     辻  秀樹君

  村木  汀君     長田紘一郎君

  山本 裕三君     吉村  悠君

  赤羽 一嘉君     渡辺  創君

  原田 直樹君     西園 勝秀君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 康宏君     高見 康裕君

  長田紘一郎君     中川こういち君

  辻  秀樹君     渡辺 勝幸君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺 勝幸君     伊藤  聡君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 防災庁設置法案(内閣提出第一三号)

 防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一四号)


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     ――――◇―――――

関委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、宮城県気仙沼市長菅原茂君、大阪公立大学大学院文学研究科准教授菅野拓君、兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授阪本真由美君、国際医療福祉大学大学院災害医療分野教授石井美恵子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず菅原参考人にお願いいたします。

菅原参考人 皆さん、おはようございます。宮城県気仙沼市の市長の菅原茂でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 東日本大震災から十五年が経過しました。岩手、宮城、福島の被災三県の中で、沿岸部において首長を継続して続けているのは私のみになってしまいました。また、一昨日、五選を果たしましたので、このことが私の使命と思い、これからも防災に尽力をしていきたいと思っております。御指導をよろしくお願いいたします。

 お手元に本市の被害状況と住環境整備についての資料を置かせていただきましたが、細かいことにつきましては本日はお話はさせていただかなくて、省いて、後で見ていただければと思います。

 基本的にハード面の復興は完了して、町の姿は防災力も含めまして大変変わりましたし、随分強くなったというふうに理解しております。これまでの政府の復旧復興に対する御尽力に心から感謝を申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。

 一方、そのペーパーの右下にあります人口と高齢化の推移を見ていただきたいと存じます。人口減少が著しく、特に高齢化率の上昇が激しいということ、つまり、生産年齢人口が極端に細っている状況にございます。そういう意味で、ここから、復興には、ハード整備と被災者ケアだけではなくて、産業の強力な振興というものがあって初めて復興するんだろうなということが読み取れると思います。

 二項目めに移りたいと思います。防災庁の設置を歓迎するということでございます。

 本市は、昨日の夕方まで、北海道・三陸沖後発地震注意情報の対象地になっていました。東日本大震災から本日まで、私が市長にある間に、津波による避難指示を八回出したことがあります。また、大雨洪水、土砂災害に関しましては、高齢者避難もありますので、十四回も出しております。つまり、全国の多くの自治体が災害と隣り合わせにあるということでございます。事前防災を含むことを所掌とする常設官庁、防災庁が設置されることは大変時宜を得たものであり、必要だと感じているところでございます。

 なお、本市は、内閣府の行政実務研修、防災スペシャリストOJTに五年前から職員を派遣させていただいております。極めて有効だというふうに感じております。本日の私の随行も、その経験者が担当しております。

 是非、防災大学校は実現してほしいと思いますし、立地につきましては、大災害に備える防災局と併せ、被災経験のある土地又はその周辺、オフサイトとなるのだと思いますが、候補になると考えております。

 大震災から十五年を経ても、復興庁は私たちにとってよりどころであり、窓口として機能しております。復興庁で得た知見を生かした上で、防災庁は、より網羅的であり、創造的な役所として発足、発展してほしいと願っております。復興庁が受け身としてつくられたのに対し、防災庁は未来を守るための攻めの官庁であってほしい、そういうふうに願っております。

 三つ目です。直接的犠牲者を出さないことに最大限の注力をしてほしいということです。

 災害で実際に人が犠牲になる場面、それは一瞬であり、捉えることができません、報じられません。亡くなった人は話もできません。それに対し、避難所の生活は長くて、マスコミも常時取材をしています。避難者は課題を話すことができます。

 防災というと避難訓練、特に避難所の設営や運営などについてが訓練の中心となりまして、防災力が高まったと思いがちでありますが、本当に大事なのは、避難所に無事に到達することであります。津波の場合などは、それがほぼ全てと言っていいのではないかと思っています。そのための調査研究に注力をしてほしいと存じます。

 例えば、津波における徒歩避難でありますが、徒歩避難は基本と言われ、例外的に車避難が認められている状況にありますが、全地区そのような考え方でよいのか、また、例えば遠地津波のように時間の余裕のあるときも同じでよいのか、明確な基準がありません。さらには、車の渋滞について、避難所の駐車場の吸い込みについてどれほど研究されているのか。また、停電で信号がついていないとき、またついているとき、全く状況は違います。そのことについても研究がされていないと思います。

 つまり、東日本大震災での課題はまだまだ十分に解決されておりません。避難者への対応も大変大事でありますが、まずは、どう命を救うかということについての研究を進めていただきたいと思っています。

 四つ目です。いわゆる事前防災に当てはまると思います。社会的な仕組みのことです。大規模災害では、速やかに国職員を自治体へ派遣をお願いしたいと思っています。

 大規模災害発生時、自治体としては、人命の救助、道路の啓開、支障物撤去や被災者支援に集中しますが、首長にとって、どうしてもその費用が気がかりになります。災害対策基本法及び災害救助法などその関連法令を読み解き、復興ステージを含めて連続的に発せられる政府の膨大な数の通知などを整理し、首長に解説を含め判断の手助けをする補佐役が必要であります。本庁でいえば、各省庁とやり取りができる課長補佐級が必要だと思っています。場合によっては複数の中長期派遣が必要であり、システム化すべきだと考えます。

 本市では、東日本大震災において半年近くたった頃、当時の古川元久官房副長官からお声がけがありまして、トライアル的に、入省三年から五年目のキャリア官僚四名、財務、国交、厚労、総務から送っていただきました。復興支援員として、半年、私たちと一緒に復興復旧に当たりました。大変有効だったし、今もその中には本市に心を寄せていただいている方もいらっしゃいます。一方で、もっと早く首長としては片腕が欲しかったなという思いが強くあります。

 事前防災の二つ目です。公営住宅の入居要件の緩和。

 先週、住宅の耐震化率について、日経新聞の「経済教室」の欄に先生が取り上げておられましたけれども、本市の住宅の耐震化率は八〇%前半です。これは地方としては異常に高いと思います。それは、多くの家が一旦被災して全壊したからであります。一方、診断や改修に踏み切れない方々が大勢いらっしゃって、その多くは高齢者だったり、改修費用が出せない、また、どうせやるなら水回りやバリアフリーも一緒にしたいということで、費用が大きく見えてしまう、そういう方たちです。

 また、全国で現在、土砂災害警戒区域の指定が進んでいますが、そこに、高齢者や障害を持つ方、緊急車両のアクセス困難の方など、防災の観点から本来移住が望ましい方が多く存在しています。これら安全な場所への移住の必要性のある人のために公営住宅が活用できないかと思っています。

 私たち東日本大震災の被災地はもとより、人口減少社会において、災害公営住宅や従来の公営住宅はますます空きが出てまいります。公営住宅法による入居者の条件、住宅困窮者、つまり持家がないことの緩和は防災上意味があると考えるので、事前防災の一つとして考えていただければと思っています。

 事前防災の三つ目です。大都市圏大規模被災における高齢者、児童生徒の疎開です。

 首都直下地震などにおいて、直後の最大の問題は人口の多さだと想像しています。食事や排せつなど、すぐに限界に達します。一方、町の復興には時間がかかります。

 東日本大震災では、多くの高齢世帯は、仙台圏や関東圏に暮らす子供たちの家庭に、又はその周辺に長期にわたり避難をしました。

 大都市圏での被災において、高齢者世帯を地方において受け入れたり、少子化により児童数が減少し、少人数学級や空き教室を利用し、学校そのものを受け入れたりするホストシティーの制度を創設できないか、検討をお願いしたいと思っています。これも事前防災の一つになると思います。

 東日本大震災で全国から支援を受けた東北の被災地は、恩返しをしたいと思っています。都市部の被災地のために役に立ちたいと考えています。事前に自治体のマッチングを行うことで事前交流が発生し、政府の計画するふるさと住民登録制度や関係人口づくりにも寄与して、地方創生の後押しになると考えられます。

 最後になりますが、震災遺構への運営支援です。

 本市では、津波で四階まで浸水した旧気仙沼向洋高校の校舎を震災遺構とし、近くにあって同じく被災した観光施設を伝承館として再建し、大震災の記憶の伝承と防災教育の拠点として活用しております。年間五、六万人の来場者があります。整備には復興交付金、復興特交と災害復旧制度を活用しました。現在、入館料大人五百円をいただいておりますが、年間三千万円ほどの手出しが発生しています。当初は千五百万円ぐらいだと思いましたが、だんだん来館者が落ち着いてきたり、コストが上がってきたりしております。また、他の自治体の施設では、無料のところもいっぱいあります。

 防災庁では、震災の伝承にも力を入れ、このような施設に対して経済的支援ができないか、検討をお願いをしたいというふうに思っております。

 東日本大震災の被災地からの代表として、私からの発言は以上とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

関委員長 ありがとうございました。

 次に、菅野参考人にお願いいたします。

菅野参考人 よろしくお願い申し上げます。大阪公立大学というところから参りました菅野と申します。

 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。

 防災庁の設置法案、非常に歓迎しているという大前提の下に、もう少しだけこの部分を更に注力いただけるとうれしいなとか、こういったことをもうちょっと考えていただけるとうれしいなということを、つけ加えるような形で今日は発言を述べさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、大前提として、国の各機関とか都道府県、市町村や営利企業、あとソーシャルセクター、NPO、NGOや我々学術機関なんかも、やはり様々な主体が協働して、餅は餅屋と言っておりますけれども、そういった防災の要として防災庁を設置するということをまず歓迎をしているということでございます。

 まず、平時から政府とか地方自治体がやっていらっしゃる仕事の延長にある仕事というのは、非常に我が国は災害対策上上手だというふうに考えています。例えば、ハード整備なんかも非常に強く造られていますし、回復も早いなと思いますし、消防とか治安維持、まさに、例えば国土交通省さんや消防庁さんや、あとは警察庁さんなんかが非常に力を入れて頑張られているところというのは、本当に防災大国と言っても過言ではないぐらいの制度ができ上がっているなと思いますし、能登半島クラスでもそんなに課題が上がらないというふうには考えています。

 ただ、やはり不得意な部分があるということなんだというふうに思っています。例えば、平時はマーケットの中で供給されているような物やサービス、例えば食料なんかもそうですし、家なんかもそうかなと思います。あと、例えば福祉サービスとか医療サービスなんかも、実はこれは、制度は政府でつくっておりますが、やっていらっしゃる方はみんな民間ということでございます。要は、この部分というのを地方自治体が急に慣れない中でやらなければいけなくなってしまう、これが私は災害時の混乱の基本構造だというふうに考えております。なので、餅は餅屋という言葉が非常に大事だと思っておりまして、やはりプロにお任せして、どのように支援の質を上げていくのか、これが、防災庁が最も考えるべき重要な点ではないかというふうに感じております。

 なので、やはり防災における様々な主体、当然、政府内というところで勧告権や尊重義務という話はありますけれども、それだけじゃなくて、民間の世界、例えば医療や福祉の業界とはどうなんだ、物資をふだん扱っていらっしゃるような民間の流通、小売業界とはどうなんだ、そういったところときっちりと信頼関係や協働関係というのをつくっていただいて、そこと一緒に災害対応をしていく。そうしないと、このように関連死という非常に不名誉な言葉が出ていますけれども、そういったものが減っていくという社会は築けないんじゃないかなと思います。そのためにも、出身セクターが様々なプロパー職員を中心に専門性を蓄積する防災庁でしっかりと総合調整をしていただきたいなというふうに考えております。

 今までの内閣府防災ですと、皆さんすばらしい職員さんが来て、いろいろな対応をされるんですが、やはり出身省庁に二年ほどで戻っていかれるんですね。そうなると、やはりそこに専門性というのはなかなか蓄積しませんし、さらには大きな法改正というのも難しい。要は、基本構造を変えるような改正というのはなかなか難しい。これが今までの日本の防災の実情だったのではないかなというふうに思います。

 その内閣府さんなんですけれども、まさに被害想定と対策というのは非常にきっちりとやられてきたなと思いますし、発災直後は本当に総動員、逆に言うと、平時の仕事が止まってしまうぐらいの総動員で対応に当たられるということなんですけれども、それだとやはり、事前防災の観点であるとか、大きな枠組みを見直していくという観点でなかなか難しいだろうというふうに考えています。なので、防災庁が事前防災から復興までかなりの人員を充てて対応されるということを非常に高く評価をしているということになります。

 特に、災害が起こって数年たってから発覚するような問題というのも多数ございます。例えば、在宅被災者や在宅避難者という言葉が、今はやっと世間でも普通に使われる言葉になりましたが、これは東日本大震災から数年たってやっと出てきた言葉でございます。

 要は、これは、既に内閣府防災で検証を終えて、様々な対応を考えた後に出てきた言葉、ただ、これが非常に問題だということで、ずっと社会問題として取り扱われてきたわけですね。こういうものは要は検証がされなかった、それでなかなか対応ができなかったということなので、復興まで見据えて、ちゃんと検証や制度改正ということができてこなかったんだというふうに思います。

 また、被災地の復興に関することならひとまず何でも引き受けて、実務を行う現地や関係府省との意見交換とか事業の調整を行うといった、復興庁さんが東日本大震災当時に見出したようなこういった役回りというのは、やはりどの災害でも必要だなというふうに思います。

 これはまさに地方自治体を伴走するということかと思いますが、南海トラフの巨大地震なんかに備えても、地方自治体が策定する事前計画というのを後押しすることも重要ですし、そういった伴走する役割というのはやっていただきたいなと思うんですが、ただし、もう一つ、時代の変化というのも防災庁の皆さんに捉えていただきたいなというふうに思っています。

 実は、今の災害対応、特に復旧復興に関わる枠組みというのは、高度成長期以降ほぼ変わっていません。要は、どんな人口減少地域であっても、復旧という形で全て直るということです。

 それはどういうことかというと、例えば、水道が直るとどういうことが起こるか。そのときはいいんですけれども、その維持管理若しくは水道料金は次の将来世代に乗ってくるわけですね。そこで人口減少していくとどうなるかというと、水道料金が上がって、そのツケを何らかほかの方法で払わなければいけない、こういう事態もやってくるということですので。

 是非、激甚災害法や公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、こういったもので今の制度が枠づけられているわけですが、そういったところを前提とせずに、どうやって大きな災害のときは持続可能な復興を成し遂げるのか、こういった制度の下に是非事前復興なんかを進めていただくということかと思いますし、そうしないと、やはり国家財政上の負担も極めて重くなるというふうに考えております。

 南海トラフ巨大地震のときに高度経済成長のような復旧復興をやってしまうと、我が国の財政というのはどうなるかということを是非考えていただいて、そういった大きな枠組みにも是非とも検討のメスを入れていただく、こういうこともすごく大事だろうというふうに思っています。

 また、三つ目になりますが、災害対策基本法の基本理念の改正、特に、全ての被災者がその被災地にかかわらずできる限り良好な生活環境をあまねく享受できるようにする等というものが追加されるというふうに伺っております。

 これは非常に大事なことだと思っています。場所、避難所から人、被災者への支援の転換というのを実は内閣府さん自身ももうずっと言ってくださっていますが、こういうものが端的に表れる表現だというふうに評価しています。

 南海トラフ巨大地震とか首都直下地震クラス、また、実は能登半島地震クラスでも多数の広域避難者という方が出ています。要は、住民票を異動させずにほかの自治体に避難をされる、こういうことなんですが、被災自治体からすると、その方々はどこに行ったかすらつかめないという事態が起こっています。しかも、その方々に対して支援するのは、例えば東京に避難されても名古屋に避難されても、能登の方々ということになります。これで首都直下や南海トラフを迎えるとどうなるかということを考えていただきたいと思います。

 例えば、高知の方が大阪に来て支援をする、そういったことが現行法では基本ということになっています。やはりこれはまずいというふうに考えていますので、そういったものを変えていかなければならない。

 また、現行の避難所では十分な支援が受けられない要配慮者や、生活再建が困難な被災者が多数存在するなと思っています。

 災害対応を行った政府や地方自治体の職員の方は、やはり、ふだんできることしかできなかったと口にされます。平時と有事を切り分けずに、有事に備えて平時の仕組みを設計していくフェーズフリーの考え方というのを、各種の社会保障制度やケアを支える人員、若しくはこども計画のように、要は、ふだんなかなか声が上げられない方の声を受け止めて、様々な施策に反映していくような仕組みに、ちゃんと災害時のことも考えておかないと、当然災害時はできないということになってしまいますので、こういったフェーズフリーの仕組みをつくっていただきたいです。

 さらに、発災時には、被災地において避難環境の水準を当然高めつつ、確実に、例えば広域避難された方なんかにも、今政府でも進めていただいています伴走型の被災者支援の制度であります災害ケースマネジメントということができるように、そういう体制整備をしていただきたいなというふうに思っています。これこそが、まさにこの理念に掲げられたものが実現されるということかと思っています。

 また、四つ目です。

 伝家の宝刀としての勧告権とか尊重義務以外に、首相を始めとした閣僚を中心に構成される中央防災会議に関係行政機関相互の調整を規定しているのはすごくありがたいことだなと思います。ただし、同時に、有識者とか実務者による審議の機能というのをどのように考えるかということだと思います。

 実は、図一というふうに何ページか後に書かせていただいていますが、現行の内閣府防災さんでも実は様々な委員会や検討会があるんですが、どこで何が審議されていて、一体どれが重要なのかはさっぱり分からない。要は、普通の省庁だとお持ちのような審議会のような機能がないんですね。例えば、厚生労働省さんだったら社会保障審議会の様子を見ておけば、いろいろな主体が、ああ、こういうふうに制度が動くんだな、こういう方向で考えるんだなというのを検討できるんですが、現行の内閣府防災さんではなかなかその機能がないということになります。

 また、中央防災会議は、どうしても閣僚の皆さんで構成される会議体です。ということは、そこで審議をするというよりは、やはり実際の調整の場だということなんですね。ですので、是非、審議の場をちゃんと恒常的に見える形でつくっていただかないと、様々な主体が一緒に協働して防災をしていくということがなかなか難しいのではないかなと思います。

 特に、混乱する部分というのはきっちりと考えていただきたいなと思います。一つ目が、国、都道府県、市町村の役割分担の抜本見直しをする審議会のような機能。二つ目が、被災者支援の抜本改善。まさに民間が関わっている部分だからこそ自治体ではなかなかできない、こういう部分。さらに、防災DXの推進ですね。我が国は人口減少過程に入っていますので、やはりここで高度化しなければいけない。さらには、どうやって民間の力をかりるのか。こういった四つの部分というのはしっかりとやらないと、なかなか今までできていなかったことですので、是非とも安定的な審議の場をしていただきたいと思います。

 一つ一つ簡単に説明していきたいと思います。

 まず、国、都道府県、市町村の役割分担の抜本見直しの審議機能。

 これはやはり、災害対策基本法というのが過度に地方分権的だというふうに考えています。恐らく、様々な法体系の中でも市町村の責務が一番重い。自治体にやらなきゃいけないことが相当にある。

 これは逆ですよね、災害のときというのは。本来であれば、市町村だと大規模災害のときに機能しないから、都道府県が助けましょう、国が助けましょうという補完性の原理を最も働かせなければいけないところに、市町村が全部やらなければいけない。しかも、それは大規模災害であっても、ちっちゃい災害であっても同じということです。なので、南海トラフが来ても基本的には市町村の皆さんが対応する、被災者であるにもかかわらず。この構造を我が国は持っているということでございます。

 これをどうやって見直すのか。当然、地方自治法にも関係するような部分が出てくるかと思いますので、長い審議になると思います。しっかりと審議をしていただきたいと思います。

 もう一つ、何十年も、はっきり言います、環境が改善していない被災者支援の部分ということです。これも、慣れない事務を市町村中心に自治体の方が行う、こういうことが今の状況を生み出しています。

 昨年度の災害対策基本法改正でも、福祉サービスの提供を追加いただいて一歩進められたというふうには認識していますが、更に進めていただきたい。

 しかも、例えば、持家や借家も関係なく、たまたま住んでいた家の壊れ具合で全ての支援制度を決めていくような状況に今は、全ては言い過ぎですけれども、大きな支援制度ほとんどを決めていくような状況に陥っています。持家も借家も関係ないんですね。

 本当にそれで適切に被災者の方を支援できているのか。この基準の見直しなんかもしっかりしなければいけないですし、災害ケースマネジメントということを実現していかなければいけない。

 さらには、防災DXですね。

 先ほどの広域避難のことを一つ取っても、デジタル的に、誰がどこに行ったのかというのは本当はつかめますよね。でも、つかめないんです、今は。そんな基幹システムもないからです。なので、そっちで被災者支援してよ、災害ケースマネジメントしてよというふうにしたところで、誰がそこに行っているかすら分からない。これが東日本大震災以降の広域避難の最大の問題だと思います。

 是非、パーソナルデータや個人情報のことをしっかりとどの地域でも扱えるような枠組みをつくっていただいて、ちゃんと、大きな災害であっても、いろいろなところが相互応援しながら、被災地じゃなくて避難先で人を支えられるような、そういう状況にしていただきたいというふうに思っています。

 官民協働防災は、まさに餅は餅屋の要でございます。今までだと、NPOの皆さんや医療、福祉の皆さんは結構入っていただいておりますが、例えば流通、小売の皆さんとか不動産の皆さんとか、もっと入っていただく日本の力というのはありますよね。こういった方とどうやって協議会のようなものをつくって一緒に対応していくのか、是非考えていただきたいと思います。

 最後になります。防災大学校を是非つくっていただきたいなというふうに思います。

 やはり、防災庁に関わる人員の専門性を高めるというのは非常に大事なことです。いろいろな文化を学びながらいろいろなところと交わらないと、一緒に協働していくということはできないはずです。やはり、同じ釜の飯を食い、同じ景色を見て育つ、これが防災庁職員の専門性を形作る非常に大きなことになると思います。是非、防災大学校等の、研修及び研究を行う文教施設、必ず設置をしていただきたいというふうに思います。

 以上になります。ありがとうございました。(拍手)

関委員長 ありがとうございました。

 次に、阪本参考人にお願いいたします。

阪本参考人 本日は、このような大変貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。

 兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の阪本真由美です。

 私は、防災教育ですとか被災者支援、防災政策などについて研究をしております。本日は、その観点から、防災庁の意義ですとか今後目指すべき方向性についてお話をさせていただきます。

 日本は、地震、津波、豪雨災害、火山などの自然災害のリスクが大変大きい国です。先日も、北海道・青森県沖を震源とする大きな地震がありまして、北海道・三陸沖後発地震注意情報なども出されました。こういう情報をきっかけに防災体制を確認し徹底するということは極めて重要です。けれども、それだけで被害が減らせるのでしょうか。

 この点について極めて大きい課題を突きつけたのが、二〇二四年の能登半島地震だったと思います。

 資料に沿って説明したいと思いますので、一ページをおめくりください。

 能登半島地震では大きく三つの課題が示されたと考えています。一点目は、防げるはずの災害関連死を減らせなかった点、二点目が、被災後の復興が難しい地域がある点、三点目が、災害支援の仕組みが十分機能していなかった点です。

 これらの課題が生じる最大の原因は、災害対策の責任が各省庁そして地方自治体に分散されており、それを統合する司令塔としての仕組みが今の日本にはない点です。もちろん、内閣府は災害が起きたときに様々な動きを調整します。けれども、調整するだけでは、責任を持って対応するに至りません。司令塔となる組織は不可欠です。

 二ページを御覧ください。

 現在の災害対応の最大の課題は、災害関連死を防ぐことができない点です。災害関連死への対策の必要性は、地震が起きた直後から分かっていました。それにもかかわらず、能登半島地震では、十二月末の時点で、直接死が二百二十八名であるのに対し、災害関連死は四百四十九名に上っています。災害関連死に認定された方のうち、八十歳代以上が九割、既往症があった方が九五・八%に上っています。つまり、高齢者、基礎疾患のある方の犠牲になられる率が大変高い状況になっています。

 その災害関連死の原因を図一に示しています。多いのは、地震のショック、余震への恐怖による肉体的、精神的負担、電気、水道の途絶による肉体的、精神的負担、社会福祉施設の被災による介護機能の低下、避難所生活の肉体的、精神的疲労です。これらの要因はいずれも社会的な要因です。我々社会の要因によって、本来は防げるはずの死が招かれている状況があります。

 高齢化や疾病、障害のある方が多いところで社会機能の寸断が長期化すると、災害関連死は増えていきます。したがって、対策をするには、自然ハザード現象の分析だけでは十分ではありません。社会特性をきちんと把握し、高齢化率であったり、社会機能がどれだけ維持できるのかという点からもきちんと把握して、対策を検討する必要があります。

 それにもかかわらず、現在では、災害が起きた後に災害関連死の認定作業を行ってはいるものの、災害関連死を防ぐための事前対策はほとんど行っていません。それについても、責任を持って進めていく仕組みづくりというのが求められます。

 三ページを御覧ください。

 先ほど気仙沼の菅原市長からも話がありましたが、現在、能登の被災地でも最大の課題になっているのが人口減少です。

 図二は、珠洲市のデータを示しています。珠洲市では、六八%の住民が住まいを失って仮住まいであり、二四%の人は市外に居住しています。中でも、生産年齢に該当する若い世代では、三七%が市外に居住しているような状況です。

 どうして市外に居住しているのか理由を聞くと、若い世代は、転職のため、教育を受けさせるため、七十歳代以上からは、医療・福祉サービスのためという回答が挙がってきます。つまり、雇用、教育、福祉サービス、医療サービスの継続こそが、人口減少を防ぐ、人口流出を防ぐ一番大事な対策です。それにもかかわらず、その対策が事前に検討されていません。

 復興というと、住まいやまちづくりに焦点が置かれがちで、暮らしを再建する対策が不十分です。これを災害が起きたときから導入できるような方向性を検討していかなければいけません。

 今お伝えした災害関連死あるいは人口減少という課題は、先ほど話にありましたように、東日本大震災でも指摘されている課題です。それにもかかわらず、なぜこの問題を繰り返してしまうのか。

 その背景には、災害対応に関わる自治体、行政の職員方が専門的な知識を持っていない、いわば素人だからという事情があると思います。行政の防災を担当する職員の多くは一般の事務職です。防災専門職を配置している自治体は限られています。つまり、素人が災害対応をしていて、過去にほかの地域で起きた災害の知識もほとんどありません。したがって、人材育成の仕組みは不可欠です。

 また、災害が起きたときに被災市町に寄り添ってサポートする仕組みも必要になります。災害が起きると、被災市町の職員は、被災者でありながら、支援者でもあるという立場に置かれます。

 四ページを御覧ください。

 二〇二四年、能登半島地震における、珠洲市の職員が一月一日から最初の五日間どこに滞在して業務をしていたかという数字を示しています。大変申し訳ありませんが、数字に若干誤りがあるので修正させていただきます。

 この図三のデータは、一月一日から五日までの主な宿泊先となります。指定避難所に滞在されていた方が二六%、そして、指定避難所以外の場所に滞在していた方は七%、自宅に滞在されていた方が二三%、知人、親戚宅が五%、車中泊が一八%、ホテルは〇・三%です。これに庁舎という言葉が加わります。庁舎にいらっしゃった方が七%でした。

 職員の多くはこのように、御自身の生活基盤を失った中で災害対応を強いられていました。自治体の職員だけではなく、警察、消防、保健、医療、福祉の関係者、教育関係者、地域の人を支援していた方々は、自らが被災者でありながら、支援者でもありました。

 こういう被災支援者をサポートしていく仕組みというのが必要です。人的だけではなくて、財政的にも事業が継続できるようなサポートの仕組みが必要なんですが、残念ながら、その点はいまだ議論されていません。この点についても、今後対策が求められます。

 五ページを御覧ください。

 災害時に避難される方は、避難所だけにいるわけではありません。在宅避難、車中泊、親戚、知人宅、ホテル、旅館等にも滞在しています。

 これら避難所外にいる方への情報把握の体制がどうなっているのか内閣府が行った調査の結果を六ページにお示ししています。全国の市町村に対して避難所外避難者の情報把握の仕組みがあるのか確認したところ、回答のあった千百六十二市区町村のうち七百二十六市区町村、六二%相当が、仕組みがないと回答をしています。災害対策基本法上はこれらの人々にも支援を届けることがきちんと明文化されているにもかかわらず、仕組みがないと答えているところがほとんどです。

 現在の市町村の体制では、避難所支援に人を配置するのが精いっぱいであり、避難所外のところへ支援することは厳しい現状があります。ですので、行政だけではなく、官民連携によって被災者を支援することが求められます。

 全ての被災者を支援するために、国は令和三年度から、避難生活、防災人材育成エコシステムというのを始めています。人材育成の取組もしており、避難者を支援するリーダー、サポーター養成研修も行っています。令和七年度は二十七市区町村に対して研修が行われています。けれども、全国には千七百四十一の市区町村があります。実施されたところをパーセンテージで表すとゼロ%相当になってしまいます。もっと全国レベルでこの仕組みを改善していく必要があります。

 今回の災害対策基本法の改正において、全ての被災者がその被災地にかかわらずできる限り良好な生活環境をあまねく享受するよう支援体制を整備することが明記されたのは、大変大きな前進だと考えています。けれども、法律上に明文化するだけではなくて、その運用体制を具体的に考えていくことこそが、これから先に求められることだと思います。

 また、災害対応においては、官民連携により対策が実際に現場で進められているものもあります。

 八ページを御覧ください。

 能登半島地震では、官民連携による二次避難が行われて、最大時には五千二百七十五人が避難しました。民間施設を活用した二次避難としては過去災害最大の規模でした。

 国と県と旅行宿泊業界による能登半島地震二次避難所運営事務局というのが設置されまして、旅館業界のノウハウを生かして、旅館、ホテルなどを探し、避難希望者とのマッチングが行われました。これは大変すばらしい取組だったと思いますし、直前にあった新型コロナウイルスの感染拡大のときに民間の宿泊施設を療養施設として利用した経緯もあり、行政と民間宿泊業界との連携ができていた。これはとてもよかったと思います。けれども、この仕組みを制度化しないと、これから先、二次避難に使えるわけではありません。現場で行われていることをきちんと分析して今後の災害対策に生かすことが求められます。

 九ページを御覧ください。

 災害時に行政と民間が連携するということは大変重要ですし、被災者援護協力団体の整備についても法制度化されようとしています。今後被災者支援に携わる民間団体は増えていくものと考えられますが、同時に、これら民間団体を支援するための中間支援組織というのも必要になります。

 現在、国、都道府県が協力して、災害中間支援組織を都道府県レベルで整備しています。けれども、整備率は六割です。南海トラフ地震、日本海沿岸を震源とする地震による被害が想定されるにもかかわらず、まだ整備されていない県があります。この整備は急いで行っていく必要があります。

 十ページを御覧ください。

 もう一つ、今の日本が直面している大きな課題は外国人の急速な増加です。昨年末時点で、在留外国人は百九十六か国から四百十二万人、訪日外国人は四千二百六十万人になっています。災害時にはこれら外国人も避難しますし、それらの外国人の避難を支援しようとそれぞれの国々が支援活動を展開します。実際に、東日本大震災では百九十七か国から支援が提供されています。けれども、国全体の受入れ体制はあったものの、国と自治体との調整体制、あるいは民間のボランティア団体の受入れ体制はありませんでした。現在もなお、この点は明確となっていません。防災庁による海外との窓口の一元化、そして国際連携体制の強化がこれから先大事です。特に、日本だけでは対応できないことも多くなると考えられます。

 以上述べたことを実現するには、防災庁を核として、あらゆる組織の連携が必要になっています。過去に起きた災害を忘れず、それを知見として活用できるようにすることは大事ですし、防災専門人材も、災害対策、ロジスティックのみならず、社会のデータ分析ができる人であったり、広報戦略が練れる人であったり、コミュニケーションにたけた人、様々な領域での取組が求められます。この取組は一刻も早く求められるものです。

 災害は、いつ起きるか分かりません。あした起きるかもしれません。そのためにも、一刻も早い防災庁の設置、さらに、運用体制の強化をお願いしたいと思います。

 私の報告は以上です。ありがとうございました。(拍手)

関委員長 ありがとうございました。

 次に、石井参考人にお願いいたします。

石井参考人 このような貴重な機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。

 私の方からは、防災庁の在り方について、主に四点についてお話をさせていただきます。多分、菅野委員、阪本委員と同じような内容も少し含まれておりますけれども、まず第一点が、国と関係省庁、それから都道府県、市町村の責務というものの災害対策基本法の抜本的な見直しを是非行っていただきたいというふうに思っております。そして第二点として、漏れ、むらのない防災業務計画と対応の実現。そして三点目は、JICA国際緊急援助隊の国内活動を可能とするJDR法の見直し並びに国際連携強化について。そして最後に、避難所、避難生活環境の抜本的な改善に向けた体制整備についてお話をさせていただきます。

 二ページ目になりますけれども、我が国の責務というところで、実は、阪本委員もおっしゃっていましたけれども、災害対策基本法の実施主体は、被災している基礎自治体となっています。まさにこの自治体の職員の方々も被災者です。一昨年、イタリアに視察に行ってまいりましたけれども、イタリアでは、自治体職員も被災者であり、支援を受ける権利があるとして、避難所の対応とかは自治体職員は一切関わりません。外部支援で全部やるんだということでやっています。

 下の図の三のところに示しているのは、これは広島大学の久保先生たちのデータをお借りしていますけれども、やはり能登半島地震で前線にいる基礎自治体の職員の疲労度が非常に高い。七、八点あたりというのはかなり厳しい状態にあるというふうに言われているんですけれども、それぐらい疲れ切って対応している、こういう現実があります。

 ですので、是非、防災庁の所掌事務の中に、防災のための施策に関する基本的な方針及び計画に関する企画及び立案並びに総合調整に関することというところで、図の二に示すような体制整備に向けた抜本的な見直し改善を図ることを提案したいと思います。

 ですので、例えば、小規模災害であれば基礎自治体が行う。中規模、大規模であれば、四十八時間は基礎自治体で頑張ってもらう。その後に、中規模であれば、被災している都道府県が支援をしっかりしていく。そして、大規模災害、南海トラフ等になった場合には、国、防災庁が徹底的に実施主体として動く。こういう体制に変えていかないと、避難所の問題とかいろいろなことがやはり積み増しになっていってしまいますので、是非この見直しは御検討いただければと思っています。

 三ページ目を御覧ください。

 最初の方は災害対策基本法なんですけれども、例えば、私たち医療支援にずっと関わってきている者たちの仕組みというのは、まさに先ほどお話ししたように、小規模災害、大規模災害で体制を変えていくんですね。ですけれども、行政はこういう体制になっていないんですよ。ですから、例えば、これはDMATですけれども、これぐらいの規模であればどうするということがきちんと明記されています。整理されています。ですので、この体制を行政の中にもしっかりつくっていただければと思っております。

 次のページをお願いいたします。四ページ目です。

 漏れ、むらのない防災業務計画ということで、下の図は、国際支援で私たちが海外で支援活動をするときに使われているクラスターアプローチというものになります。防災庁が設置されたら、漏れ、むらのない防災業務ということで、是非しっかり点検をして、まず何が必要なのかというところから構造化をしていただきたい。

 その上で、クラスターアプローチにあるような、リードエージェンシーといいますけれども、例えば保健であればWHOがリードエージェンシーになりますというふうに、どこが担当するかというのは、やることがあってから決められるんですね。なので、現行で、多分、重複していることとか、どっちがやるのかよく分からないこととかがかなりあるんじゃないかなというふうに思いますので、しっかりと構造化をした上で、じゃ、どこが責務を負うのかという見直しをしていただきたいと思っています。

 次のページ、五ページ目は、クラスターアプローチとリードエージェンシーということで、国際社会ではこういうふうになっているという参考でございます。

 次のページ、六ページ目に行ってください。

 私は長らく、JICA国際緊急援助隊医療チームとして国際支援を行ってきました。そして、東日本大震災で初めて国内で活動をしてちょっと衝撃を受けたんですけれども、やはり、国際社会で支援をするときには国連がしっかりマネジメントをしてくれます。彼らはすばらしいノウハウを持っています。ですけれども、国内は、一体誰が何をどこまでやるのかよく分からない。みんな必死になっているんですよ、誰も怠けていないです、すごく一生懸命やっているんだけれども、それがお互いに、足し算にもならなければ掛け算にもなっていかない、ずっと一足す一をやっているような、そういう様子があります。

 そして、国際緊急援助隊医療チームとして活動してきましたけれども、JDR法の中に「海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において」という規定がございます。

 実は、今国際社会の中では、WHOがエマージェンシー・メディカル・チームの認証制度というものをつくって、私たちJICAのチームも、この認証制度のうち、タイプワン、タイプツー、タイプスリーと三種類あるんですけれども、日本はタイプツーまで取っています。中国とイスラエルがタイプスリーで、本当に、本格的な病院が展開できるというチームなんですけれども。このタイプツーまであるということは何かというと、実は、検査もできますし、レントゲンも撮れますし、手術もできますし、透析もできます。それらのトレーニングを私たちはしっかりやっています。

 しかし、例えばトルコの地震のときにタイプツーを展開していますけれども、これはトルコで展開できるんですけれども、日本では展開できないんですね。そして、これらの機能は実はDMATは持っていません。DMATはこのような大規模な展開はできませんので、せっかく持っている日本の資源を国内で活用できないというのは非常にもったいないと思っていますし、恐らく南海トラフ地震のときにはこの機能が役に立つんじゃないかというふうに非常に思っておりますので、是非このJDR法の見直しを検討していただきたいです。

 もう一つは、JICA国際緊急援助隊の救助チームです。これも国際社会でINSARAGがしっかりと評価をするんですけれども、国際認証を持つヘビー級のチームがあります。しかし、このチームも日本では活動できないんですね。イタリアにはこのヘビー級のチームが四チームございますけれども、基本的に、国内で活動しているチームが国際認証を受けて海外でも支援に当たる、そういう仕組みになっています。ですので、是非ここの見直し、せっかく日本が持っているこの有効な資源を活用しない手はないと思いますので、是非御検討いただきたいと思っております。

 七ページ目に行きたいと思います。

 今言ったように、EMTの認証を受けているチームが、GOのチームが二十六チーム、NGOが十四チーム認証されています。この人たちを、どうやってうまく支援を受け入れるか。国際協力に関することということが所掌事務の中に含まれています。ですので、国際社会からの支援を円滑に受けるための受援計画の策定が非常に重要です。これは防災庁だけではなくて、外務省、厚生労働省との調整や訓練が必要になると思いますので、是非この点についても御検討いただければと思っています。

 次、八ページ目に移りますけれども、これは参考までです。私、二〇一五年にネパール地震で支援に行きましたけれども、世界どこからでもこのサイトが閲覧できて、そこをクリックすれば、どこのチームがどこで活動しているというのが一目瞭然なんですね。ですので、防災DXの中にこういう発想も是非入れていただいて、国際協力を受けやすいようにしていただきたいと思っています。それから、下の参考資料七は、実は日本のDMATと海外のDMATは合同訓練を行っています。ですので、これをしっかりと、JICAの国際緊急援助隊医療チームとか、もう少し広範囲に連携ができるようになっていったらいいんじゃないかと思っております。

 九ページ目に行きたいと思います。

 被災者の方たちが良好な生活環境をあまねく享受できるようにすることということが基本理念に含まれたということをとても評価をいたします。しかし、これを具現化する、実際に行うためには相当に制度設計が必要になっていくと思っています。

 主な点としては、指定避難所に非常用発電機と空調設備の設置を義務化すること、これを是非実現してほしいと思っています。災害時に、真っ暗な被災地で明るいところはどこかというと、病院だけなんですよ。東日本もそうでした。能登もそうでした。病院に被災者が来てしまう。私たちは医療を提供したいのに、避難所対応までしなくてはいけなくなっている、これが実態です。ですので、指定避難所、特に、小中学校の体育館等に非常用発電機と空調設備を設置するだけで、低体温症だとか熱中症予防、こういったものが可能になるのではないかというふうに思っております。

 ですので、指定するだけで終わらない、その後の機能までしっかり義務化していただきたいと思っています。

 それから、この基本理念の実現に向けて、是非、防災庁が設置されたら直ちに、実務者レベルの有識者会議若しくはワーキンググループを設置して、何をしたいかというと、避難所の標準化とユニット化を実現するということです。そして、防災庁が避難所に係る人員をしっかり登録をし、そしてユニット化された物資をしっかり備蓄をして、それを防災庁がコーディネートできる。これはイタリアの仕組みが非常にモデルとして参考になりますので、是非御検討いただければと思っております。

 災害関連死、阪本委員からも御指摘がありましたけれども、十ページ目をめくっていただければと思いますけれども、私はこの災害関連死というのは氷山の一角だと思っています。

 実は、避難所で様々な健康被害が生じています。ですので、災害に被災したから寿命が短くなったかどうかはなかなかデータ化できない、客観的には測れないんですけれども、関連死に至らないまでも様々な健康被害が生じている。これは、私たち、災害を自然災害、人為災害とかいろいろ分類するんですけれども、実は、この事態というのは、複雑な緊急事態、コンプレックスエマージェンシーズの状態にあるのではないかというのが私の見解です。

 これはBBCが難民キャンプ以下だというような報道もしていますけれども、やはり様々な社会制度とかが機能できなくて、自然災害に影響されて複雑な緊急事態をもたらしている。そして、公衆衛生上の様々な課題が避難生活に及んでいる。この結果としての、本当に氷山の一角が関連死なんだ。是非この視点の切替えをしていただければと思っております。

 そして、十一ページ目に行きますけれども、良好な生活環境をあまねく享受できるようにすることということで、防災庁の設置の説明の中にスフィア基準等に基づくという言葉が入ったことは非常に評価をしています。そして、このスフィア基準というのは、トイレの数が何個とか水道が何個とか、もちろんこの最低基準も大事なんですけれども、何よりも大事なのは、尊厳のある生活への権利、人道援助を受ける権利、そして保護と安全への権利、こういう権利を保障するんだということを国の文章としてうたったということを、是非、共通理解をしていただければと思っております。

 次のところは、先ほど言った非常電源の設置です。日本には非常に優れたものがあります。水循環型ポータブル手洗い器とかラップ式トイレとか非常に優れたものがありますけれども、これは電気がないと使えない。ですので、是非このことを御検討いただいて。

 十二ページに行きますけれども、実は、日本ではニーズと資源の不均衡が起きています。最初にたくさんの避難者がいるんですけれども、物資が届くのはその後なんですね。イタリアは、四十八時間、最大量の資源を投入して、それから減らしていくんです。ですので、是非この仕組みをつくっていただければと思っております。

 十三ページ以降は是非参照していただければ結構なんですけれども、十五ページのところの、少子高齢、人口減少社会で千七百四十一の備蓄は、実はすごく多いんです。だけれども、期限が切れて捨ててしまう。この繰り返しですので、是非、国として備蓄をして、どこでも使えるようにする、無駄を省く、この計画もしっかり立てていただいて。実は、この予防コストにお金をかけることの方がよほど損失コストは少ないという試算も出ていますので、是非。

 最後、十六ページですけれども、防災立国の実現ということで、避難所を標準化し、ユニット化をし、さらには、アジアが特に災害が多いわけですので、これを輸出産業に発展させていって、是非、防災立国として、人間の安全保障、警察庁、消防庁と同じような、ここまで防災庁を発展させていただけたらありがたいなというふうに思っております。

 以上でございます。(拍手)

関委員長 ありがとうございました。

 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

関委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山口晋君。

山口(晋)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の山口晋です。

 本日は、四名の参考人の皆様方に大変に貴重なお話を伺い、様々御示唆をいただいたこと、しっかりとこれを法案に反映をしていかなければというふうに思っております。

 そしてまた、菅原気仙沼市長におかれましては、本当に、選挙戦が終わった直後にもかかわらずこの場に来ていただき、また、五選目を見事勝ち取られて、これからのかじ取りということであります。これからもますます気仙沼市が発展することを心から御期待を申し上げるところでございます。

 そしてまた、三名の先生方におかれましては、防災庁の設置準備アドバイザー会議の立ち上げメンバーとして、目指すべき防災庁の姿について様々御知見をいただいていることと承知をしておりまして、本当に心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。

 本日、四名の先生方からお話を聞く中において、やはり防災庁は日本にとって非常に重要だということを改めて私自身も認識をしたところであります。そういう中において、四名の先生方からいろいろな御意見があったわけでありますけれども、是非質問に移らさせていただきたいと思います。

 まず、四名の先生方に、勧告権についてお伺いをしたいと思っています。

 実は、私自身も、私の選挙区、令和元年の台風十九号の際に、大雨によって堤防決壊という被害が起こりました。その中で、私自身は、当時秘書でありましたけれども、地元の被災された方々の被災者再建支援であったりとか、地元の首長さんと連携を取りながら国への要望を言わせていただいたわけでありますけれども、その中で首長さんから言われたことが三つありました。まずは、国としてのスピード感が非常に欠如しているということ、そして二点目が、窓口が幾つもあり、支援を依頼する方法もどこにしていいのか分からないということ、そして三点目が、責任の所在が明確でないということ、どこまで首長の判断で様々な施策を実行していいのか、また、どこの省庁が、責任を誰が取ってくれるのかが分かりづらいということを言われたことを今でも覚えております。

 そういう中において、今回、防災庁はそのような問題に対してもしっかりと解決して、ワンストップで実行できる省庁にしていかなければというふうに私は思っておりますが、やはりそこで肝になってくるのが勧告権だと私は考えております。

 総理大臣の下で、防災担当大臣が各関係省庁に、勧告権を付与して、それぞれ調整をしていくというところでありますけれども、そういう中において、やはりまだ、勧告権の行使の基準であるとか方針を定める必要について明確にうたっていないように私も認識をしておりますが、まずは、その基準を定める必要があるのかということについての御意見と、そしてまた、ある場合にはどのような勧告権のイメージをお持ちであるのか、四名の先生方から御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。

菅原参考人 私たち、東日本大震災においても、今先生がおっしゃられた三つのことは非常に課題になりました。そういう意味で、先ほど私の方からそのことを、自治体の長は目の前のことで一生懸命、時間がありませんので、中央省庁の方から人を出していただいてそこを整理して、また、各省庁とつなぐ、また交渉する役割を担ってほしいという話をしました。そのことを今回仕組み化することの一つがこの勧告だというふうに思っております。

 是非、防災庁において勧告をしっかりと機能させることが大事だと思っておりますが、その基準ということになりますと、災害の大きさ等について、また災害のタイプによって、物すごくバラエティーに富み過ぎて、想定したことそのものは実際は起こりません。違うことが起こることがほとんどだと思っていますので、ここで一つのルールということを私の方から示すことはできませんが、そのとおりに動かすかどうかは別として、ルールがないと勧告が実際には機能しない可能性がありますので、一つのルールを作るということ自体には非常に大きな意味があるのではないかなというふうに感じているところです。

菅野参考人 山口先生御指摘のとおり、やはりワンストップで対応していくというのが本当にどの被災地でも望まれていることであるというふうに思いますし、そのときに、あってはならぬことかとは思いますけれども、ワンストップで受け止めたものを他省庁の皆さんがうまく果たしていただけない、そういうことを想定して勧告権というものを設定しているとは思うんですが、現実の災害の現場を見ると、どの省庁も本当に一生懸命働かれているんですね。

 そのときに、例えば、何か勧告をして、無理やりにでもやってください、そういう世界は多分実際には訪れないのではないかなと思っていまして、むしろ、勧告権なんかが本来的に必要になってくるのは、その後の検証の段階で、例えば、こういった法律を本来的には見直してほしいんだけれどもそれは我が省庁としては見直せません、こういったことが出てきたときなのではないかなというふうには思っています。

 そのときに、勧告権の基準という話になりますと、例えば、勧告権と尊重義務があるというだけで、担当者同士の様々な調整というのは意味合いが変わりますよね。あくまでも、勧告をするだけではなくて、そういう権限を持っているところと恐らくしゃべって様々な調整をするんだということこそが肝になるかと思いますので、明確に何かルールを作るということではまずはないのではないかというふうに私は考えています。まずは、そういった勧告権と尊重義務がある前提の中で、しっかりと他省庁同士で調整をする、またそれで実際に実行していくという慣例をつくっていくということが大事なことなのではないかというふうに考えます。

 以上になります。

阪本参考人 災害時には、省庁間連携が求められる事項が本当にたくさんあります。例えば、仮設住宅を設置するのは国土交通省、入居者の支援をするのは厚生労働省、都道府県が住宅の手続をして市町村が支援する、ボランティアが被災者の支援をしていくみたいな構図になっています。

 こういう省庁間の連携が求められる事項をどこが責任を持ってやっていくのかというのが今決まっていません。なので、先ほど石井先生からはリードエージェンシーという言葉がありましたが、どの省庁が主体的にやっていくのかという運用体制を定めていくというのが、まずもって、勧告権に先駆けて大事なことだと思います。

 その上で、災害対応をやっていく現場においては、従来の法制度だけでは運用ができないものがたくさんあります。こういう法制度の運用がどうしても難しいときなどにこの勧告権を活用することが考えられます。ただ、勧告権の活用の前に運用体制をきっちり決めておく、これが最も望ましいことだと考えております。

 以上です。

石井参考人 先ほども申しましたけれども、クラスターアプローチのような手法を参考にして、漏れ、むらをまずなくす。何がちゃんとできているのかということの概念整理をしないといけないんだと思うんですね。その上で、それはどこの責務なのかということを整理した上で、それを実行する上で何か必要があったときに、災害が起きたときではなくて、むしろ事前防災の中でそこをきちんと整理をした上で、事前防災として不足な点において勧告権限等を使い、それを推進していくということが大事なのではないかというふうに思います。

 例えば、東京都の防災委員とかもしているんですけれども、小中学校に自家発電設備をつけてくださいと言っても、防災担当部局は、それは教育委員会だから僕たちは口を出せないんですよというふうに、もう何年もずっと言われているんですね。

 だから、こういったところにうまく勧告権限、若しくは予算の点でしっかりと何かサポートできるような、そういった体制を整備していく。事前防災の中でそこをしっかり整理をしていくことで、災害が起きたときにも、どこに責任があるのかということが明確になっていくのではないかというふうに思います。

 以上です。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 しっかりとやはりこの勧告権について考えていかなければならないと思いますし、私自身の経験上、国レベルはいいとしても、国と県と市とか、市町になっていくと、やはり縦の方の連携というのは本当に難しいなと改めて感じたところでありますので、その辺を含めた、勧告権をしっかりと行使できるような形で進められればというふうに思っております。

 次に、菅原参考人にお伺いをしたいと思います。

 震災遺構の運営支援と防災教育の在り方について、最後に少しお話も触れていただいたわけでありますが、実は、私自身、一期目のときに自民党の青年局のチーム・イレブンで、被災地応援という形で震災遺構を訪問させていただきまして、多くの学びをいただきました。災害は、どんなに教科書で教えられるよりも、実際に現地に行って、そして被災された方々から直接お話を伺うということが本当に貴重な経験だったというふうに思っております。ただ、市長も御指摘されていましたけれども、やはり、月日がたつにつれて、遺構の維持管理、運営というのも決して容易ではないというふうに承知をしております。

 そこで、菅原参考人が考える、私は、震災遺構と教育というのをうまく関連づけることによって、しっかりと次の世代へ、災害の、重要性というか、震災の悲惨さというものも維持、継承できるのではないかというふうに考えているんですけれども、その辺のお考えについてお話を伺えればと思います。

菅原参考人 御質問ありがとうございます。

 本市においては、先ほど申しましたように、大変海に近い、それも気仙沼市において最も外洋に近いところに建っていました気仙沼向洋高等学校が、四階建ての建物で四階まで被災をしました。幸い人は亡くなりませんでしたけれども、建物としては壊滅的な状態になりまして、現在、そのまま保存しております。

 その脇に、近くにあった観光施設の災害復旧として伝承館を建てまして運営しておりますけれども、先ほど言いましたように、年間五、六万人の来場者ということで、当初、五千万円ぐらいの費用で一千五百万ぐらい手出しかなと思っていましたけれども、現在は三千万ぐらいの手出しになっているという状況でございます。この施設については、やめる気は全くありません。東日本大震災で被災した我々がこのことを伝承しないで誰が伝承するのかと、責務と思ってやっていることでございます。

 この施設においては、見学される方もございますが、同時に、研修をされる方もいますし、教育という意味では、企業における防災教育でありましたり、学校教育の中で修学旅行等で訪れてくれる人たちもいます。

 本市の特徴としては、安倍総理時代にも来ていただきましたけれども、語り部がおります。大人の語り部の人たちだけではなくて、中高生の語り部がおります。中高生の語り部においては、実は、被災を覚えていない、又は被災後に生まれた世代が語り部になっています。彼らにとっては、最初は戸惑いです、自分が被災をしていないのに人に伝えていいのかどうか、そういう葛藤を抱えながら、先輩に励まされながら、そのことを今しています。

 このことは極めて大事で、いずれ全員が、被災をしていないのに被災を語ることになります。そういう施設を延々と続けていくこと、そしてそこを常にバージョンアップしていく、本市においては東北大学の災害科学国際研究所に監修をしていただいておりますので、そういう面でも少しずつ費用はかけなくてはいけないのですが、展示の仕方だとか新しい知見をその場で示していって、より教育的効果を発揮していく、そういうようなことを我々としては今後とも進めていきたいと思っています。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 しっかりと進めていけるように、国からも支援をしていかなければと考えております。

 続きまして、菅野参考人にお伺いしたいと思います。内容は、防災局の設置規定についてであります。

 本日の先生の資料の中においては、餅は餅屋の防災とおっしゃっていて、しっかりと、出身セクターが様々なプロパーの職員を中心に専門性を持って蓄積する必要があるということ、そしてまたそれをうまくコーディネートをしていく必要があるということをおっしゃっておられました。

 今後、防災局の設置を行う中において、もちろんこれが防災庁であればそういったことが全てできるかもしれませんけれども、やはり各地各地で様々災害も異なってきますし、状況も異なってくると思います。だからこそ、私はそういった役割は防災局にも持たせるべきだと思っているんですけれども、その場合の設置基準の在り方というか、要は、今既に、国土交通省であれば関東地整のようなそれぞれの出先があると思いますけれども、そのようなブロックでいいのか、それとも、よりもう少し広域がいいのか、よりもう少し小さい方がいいのか、そういったお考えがあればお伺いできればと思っております。お願いします。

菅野参考人 御質問ありがとうございます。

 防災局の設置基準ということでございます。

 御指摘のとおり、やはり専門性をちゃんと蓄積していけるということが防災庁及び防災局の強みかと思います。自治体、例えば都道府県を見ても、なかなか、防災担当の専門職員をしっかりと置いて、そこに専門性を蓄積して対応しているということはかなり少ないのではなかろうかというふうに思います。なので、災害が起こるたびに、要は、専門性を蓄積しない部分、例えば被災者支援なんかは本当に典型ですけれども、同じような混乱が起こり続ける。この是正ということが極めて重要になるかと思います。

 なので、防災局の方にも当然、専門人材、要はずっと防災に関わり続ける人材が置かれるということになりますので、そういった方々がいるということが大前提かと思います。

 さらに、設置基準ということになりますと、要は、カウンターパートは恐らく、その際は、一番大きな自治体の皆さん、特に都道府県ということになるかと思います。それで、例えば都道府県を二十も三十も担当しますということであれば、防災庁と全く同じということになっておりますので、やはり、例えば地方整備局ぐらいの単位で、ある程度のまとまりの中で、その分野でこの都道府県さんやこの政令市さんはうまくやっている部分があるんだったらそのノウハウを移転しましょうとか、そこと一緒に顔の見える関係をつくって研修をやりましょうとか、そういった単位で設置をしていくということが望ましいし、効果的なのではないかというふうに考えております。

 以上になります。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間も限られてきましたので、続きまして、阪本先生、福祉支援についてお話を伺いたいと思います。

 以前も先生は、衆議院の特別委員会で参考人として御発言されたときに、恐らく三点のことをおっしゃっていたと思っておりまして、一つは、避難した被災者の方々の情報の把握と情報の活用、そして二点目が、福祉支援を支えるための体制整備そしてまた福祉支援の重要性を訴えられたと思っています。そして三点目が、官民の連携の必要性を訴えられたと思っています。

 先生も先ほどお話の中で、日本はハード面の支援は非常に進んでいるけれども、災害関連死の観点から見ても、やはり福祉支援の部分に少し支援が足りないんじゃないかというような御指摘がございましたけれども、より具体的に、どういったところを充実させていくことが必要か、お話を伺えればと思います。

阪本参考人 御質問ありがとうございます。

 福祉支援については、三つぐらい取組が必要だと考えています。一つは、被災した地域の福祉施設の事業継続に対するサポートです。この人たちが事業を継続できない限り、被災地にいる高齢、障害のある方を支える仕組みはありません。二つ目は、個別避難計画として、平時からそういう方々の情報把握、そして災害が起きた後のケースマネジメントによる支援につなげる点です。三点目は、災害時の福祉支援の拡充です。

 DWATなども設置されていますし、災害福祉支援センターについても整備が進められていますが、DWATについても、メンバー構成は都道府県によって違います。こういう方々が被災地に入って、避難所、在宅、そして福祉施設のサポートに効果よく入れるというような仕組みづくりは、これから先必要だと考えています。

 以上です。

山口(晋)委員 ありがとうございます。

 最後に、石井参考人の方に、海外支援についてお話を伺いたいと思います。

 先ほど先生は、海外でいろいろな経験をされて、日本に来たときに日本の脆弱さに対してちょっとショックを受けたというようなお話がございました。しかし、私自身は、今回の高市政権においても成長分野の一つとして防災を位置づけているといったこと、そしてまた、今回のこの設置法の中においても国際貢献ということをしっかりとうたっているというふうに思っております。

 そういう中において、先生の御知見から、これは日本の強みだと海外に示せることが何かありましたら教えていただければというふうに思っております。よろしくお願いします。

関委員長 石井参考人、お時間ですので、簡潔にお願いします。

石井参考人 大変難しい御質問をありがとうございます。

 例えば、スマトラの地震、津波災害で支援に行ったときには、なぜ支援に来る前に津波警報という仕組みをODAで支援してくれなかったんだということをたくさんの被災者の方から言われました。ですので、恐らく、日本の強みはそういったハード面のところなんだろうと思います。

 さらには、先ほど申し上げたように、避難所をしっかりユニット化して、途上国でも、やはりテント、国連が支援してテント生活にはなってプライバシーは保たれるんですけれども、必ずしも清潔な環境とは言えないので、そこにも是非力を入れて、まさに防災立国、ハード面、ソフト面両方からそういったものを実現していただければと思います。

 以上でございます。

山口(晋)委員 ありがとうございました。

関委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 中道改革連合の中川宏昌でございます。

 本日は、四名の参考人の皆様、大変お忙しい中、当委員会に御出席をいただきまして、貴重な意見をお伺いさせていただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 それぞれ、現場の最前線で長年被災者支援また被災地支援をされてきた皆様でございまして、構造的な課題をよくよく御存じの皆様であるというふうに思っております。その皆様から直接お話をお伺いできましたことは本法案の審議において大変有意義であったと思っておりまして、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 まず一点目ですけれども、災害対応と官民協働の実効性の確保につきまして、菅野参考人と阪本参考人両名にお伺いさせていただきたいというふうに思っております。

 先ほどからお話のあるとおり、行政におきましては、ハード整備や復旧は得意である。一方で、平時は民間が市場等を通して供給しているいわゆる財やサービス、ケアですとか物資は、災害時には急に行政が担うことになります。行政の皆さんは大変な中本当に対応していただいているところでございますけれども、結果としましては被災者支援がどうしても混乱をし続けているという、この構造的な課題の指摘は、私も被災地をお伺いしてきた中で強く実感しているところであります。私も、専門的な民間団体等の知見を最大に生かしていくことは、実効性ある災害対応において大変重要な部分であるというふうに思っております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいと思います。

 菅野参考人からは餅は餅屋というお話がございましたが、餅は餅屋の災害対応を真に実現して、そして民間組織や専門家が被災現場でその力を十分発揮するようにするためには、新設される防災庁においては平時からどのような仕組みを構築していくべきだとお考えか、その点につきましてまずお伺いをさせていただきます。

菅野参考人 中川先生、御質問ありがとうございます。

 まずは、官民協働ということで、やはりここが実は一番迅速に様々な効果が出る部分。今まで、まさに例えばハード整備であるとか救命救助や治安維持といったところは、本当に政府が一丸となって対応されてきたことなんですね。更にレベルをずっと上げられてきたところですが、やはりここの部分というのはまだまだ後手に回っていた。官民協働の部分というのは非常に大事な部分かというふうに思います。

 一つは、非常に大事な部分としては、やはり災害ケースマネジメントをちゃんと全国に展開し、体制整備するということでございます。

 要は、これは伴走型の被災者支援というんですが、災害が起こってから、急に皆さん、やらなきゃといって始まるわけですね。でも、よく考えると、災害の被災地で厳しい状況に置かれる方というのは、例えば福祉的なケアが必要なんだとか、医療のケアが必要なんだ、弁護士の支援が必要なんだということで、実際には平時から、例えば包括支援体制と言ってみたりとか地域包括ケアと言ってみたり、平時に支えられている人、支えなきゃいけないとされている人たちとよく似た構造ですし、その支える人たちの専門性というのはまさに平時の世界にある。なので、やはり平時から、例えば厚生労働省さんと防災庁さんなんかと一緒になって、災害ケースマネジメントの体制整備を全国にしていただきたいなと思います。

 また、民間が担っているケアの部分というところが今やはりうまく動いていない。先ほど石井先生からもDMATの話なんかがありましたが、やはり福祉の部分というのはまだまだ弱い。

 昨年度、法改正がされて、やっと福祉サービスの提供というのが規定されましたが、やはり福祉施設への応援派遣なんかの制度もまだちゃんとできていないんですね。災害救助法ではなくて、実は福祉事業者同士の応援関係だけでやっているというのが現実でして、その組織もなかなかつくられていないということになります。DWATと言っていいのか分かりませんが、やはり福祉施設への応援なんかは速やかに民間の力をかりてやっていくということが重要だと思います。

 さらには、物資も非常に大事な点だというふうに思います。

 これも、物資なんてやったことのない自治体職員さんがいきなりどうやって対応したらいいのかという話になって、しかも、民間と一緒にやればいいよというんですけれども、指示するのをやったことのない行政職員、こういう構造なんですね。

 例えばDMATなんかの皆さんもそうですが、応援要請をすれば自動的に自律的に対応いただける、こういう世界があるわけなので、物資なんかもそういうことにしていればいいんだというふうに思います。例えば、大手の流通の企業さんなんかでちゃんと協議会を組んでいただいて、国や都道府県なんかも入って、一緒に事前から決めておいて、お願いねと言えば、ちゃんとベストエフォートで対応していただける。こういう部分は官民協働の非常に大事な部分かと思います。

 最後、長期避難対応型のユニットの避難所みたいなものは非常に大事かなと思います。

 今、小学校とかで避難所を長期運営するということなんですね。場合によっては仮設住宅まで建ってしまう。これはやはり、子供の教育を受ける権利を極めて阻害したまま我々は被災者対応をやっているということなんです。

 本来であれば、そういうところは例えば三日、できれば一週間以内ぐらいにはやめて、例えば県有施設なんかで、そういったところに関わりのないところでちゃんと人権配慮型の対応をする。これも、でも、都道府県に、それじゃ県の何かでやってくださいと責務をお願いしても、ふだん住民サービスを行ったことがないのが都道府県ということになりますので、そここそ、まさに例えばイベント会社であるとかNPOの皆さんなんかと一緒に組んでやっていく。この辺りというのは官民協働の非常に大事なポイントかというふうに思っています。

 以上になります。

阪本参考人 御質問どうもありがとうございます。

 やはり、被災者支援の質を上げていくには、民間の力というものが不可欠です。行政ができる支援というのは恐らく必要最低限の支援でして、それだけで命が守れるかというと、決してそうではありません。よりよいサービスの提供には、やはり民間の力が必要です。

 そのときに、例えば、避難所での食事の提供であったとしても、地元の飲食業と連携してセントラルキッチン方式でよい食事を提供したり、あるいは、現在、子供食堂が全国で展開されています、こういう子供食堂が持つネットワークを生かして避難所での食対応をやっていくなども重要になっていると思います。

 また、福祉サービスについても、外部からのDWATのような支援チームだけではなくて、地元の訪問看護ステーションだったり介護ステーションだったり、こういうところが災害時には事業ができなくなってしまうので、そういうマンパワーもうまく生かして避難所支援などに当たっていただけると、地域の事業継続にもつながっていくように思います。

 なので、平時の仕組みとの連続性というのをどれだけ担保できるのか、行政任せにしない体制をあらかじめ事前にどれだけ検討できるのかという点が重要になってくると思います。

 以上です。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 被災者支援の質を上げていくためには民間の力が必要だというお二人の先生からのお話でございました。その中でも、具体的にお話がありましたけれども、災害ケースマネジメントの全国展開、被災福祉施設への応援派遣、また物資の支援、そして避難所の運営における民間の力の活用など、大変具体的に重要な指摘をいただいたというふうに思っております。

 災害対応は行政だけでは完結するものではなくて、専門性を持つ多様な主体の力、阪本参考人からは、平時からが大事だよというお話がございましたが、この平時からいかに制度の中に位置づけていくこと、これが不可欠だと感じ取らせていただきました。

 今回設置される防災庁につきましては、こうした官民協働を一過性の連携に終わらせず、全国どこでも機能していく、そういった実効性ある仕組みとして構築していく役割を私は期待したいなというふうに思っております。

 続きまして、場所から人への支援転換と災害ケースマネジメントの全国展開、先ほど菅野参考人からもありましたが、この二つについて、菅野参考人と石井参考人からお伺いさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備におきまして、災害対策基本法の基本理念に、全ての被災者がその被災地にかかわらずできる限り良好な生活環境をあまねく享受できるようにする等の趣旨が盛り込まれようとされております。

 これは、災害法制に福祉の視点をより明確に位置づけるものとして、私も重要な改正であるというふうに捉えさせていただいております。その福祉の視点の具現化、これが私は災害ケースマネジメントであるというふうに考えております。

 能登半島地震におきましても、避難所にいない在宅避難者、また広域避難を余儀なくされた方への支援が大きな課題となったところであります。この被災者一人一人の個別事情に伴走する災害ケースマネジメントを、被災自治体だけではなくて、広域避難先の自治体も含めて全国で確実に機能させていくために、防災庁は国としてどのような支援また体制整備を強力に牽引していくべきでしょうかということをお尋ねさせていただきたいと思います。

菅野参考人 御質問ありがとうございます。

 やはり、三つあるかというふうに思っています。

 まず、今、じゃ、災害ケースマネジメントをやってくださいと言われて、確かに、先ほど申し上げたように、例えば包括的支援体制整備であるとか地域包括ケアとか、今地域で社会福祉上の課題若しくは医療上の課題なんかに対応されようとしていらっしゃるような取組と非常に似たところはあるんですが、そもそもそれはまず災害を目的にしていらっしゃらないということになりますし、例えば、今国会で、社会福祉法の改正なんかでも防災との連携がうたわれるというふうには聞いておりますけれども、やはり、そこにどうやって実効性を持たせるかということが鍵だと思います。

 私は、一つの考え方が、安全率をソフトな面にも掛ける、こういう発想だと思っております。例えば、建築や土木構造物なんというのは、まさに災害が来ても壊れないように強く造っているわけです。要は、掘っ立て小屋を建てては駄目よ、こういうふうにしているところに、ケアの部分、人を支える部分というのは余力が全くない。要は、平時にその人を支えるだけのぎりぎりのことでやっているということなんですね。

 なので、そこに、ちゃんと防災に資する、例えばDWATのように派遣するんだとか、ここで被災者を受け止めるんだということをうたえば、一定余力がつくように加算がそれぞれの制度でついていく、例えばその加算なんかをちゃんと防災庁の費用として見る、こういった形で強化をしていく、これが一つなのではないかなと思います。

 もう一つ、広域避難なんかがちゃんとできても、受入先が被災者の支援をすることになるのではなくて、実際には被災された市町村が支援をする、こういうことになるわけですので、広域避難の場合というのは、受入先の市町村若しくは都道府県、自治体が被災者の支援をするということを義務にする、これが答えなのではないかなというふうに思っています。

 三つ目ですが、その際に、当然、住民票を異動される方というのはほぼいないということですね。まずは着のみ着のまま避難されるなんということが起こるわけなので、誰がどこに行ったか分からないという話になってしまいます。ただ、よく考えると、何か役所に相談に行けば、例えばコンビニで住民票を取れば、そこにいるなということは本来分かるわけなんですね。要は、そういった基幹的な広域避難者を扱うシステムがないというだけの話なんです。

 なので、やはり、被災者データベースなんという言葉を言っていますが、広域的にどこに行っても分かるものを、例えば住民基本台帳のネットワークの中、若しくはガバメントクラウド、ガバクラの中なんかで、基幹システムとして広域被災者データベースをきっちりと位置づける、こういうことが非常に大事だというふうに思います。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 福祉の視点をどう入れるかということなんですけれども、まず第一点として、私、海外の学会で福祉避難所についての発表をしたときに、日本人は面白いことを言うわね、シェルターは福祉の場所でしょうと言われて、なので、まずは、広域避難の前に一定期間、安全で安心できる避難生活ができる環境をしっかりと準備をした上で、その上で、しっかり次の段階として、広域避難する人たちにどう対応していくかということなのかなというふうに思います。

 もう一つは、やはり住民への啓発。何か被災者がこういう支援を受けられるんだよということを住民自身が知っていれば、何らかの手を挙げてくる、声を上げてくるんじゃないかなというふうに思いますので、広域避難している人たちを全部網羅的に行政でやりますというのはすごく難しいことですので、広域避難されている方々が困ったときにきちんとその情報にアクセスできるように、そういう体制整備ということも必要なのかなというふうに思っております。

 あとは、ケースマネジメント、個別避難計画、指定福祉避難所とかということが制度化されているわけですけれども、これはどこもうまくやれていないというのが実態です。試行事業をやっているところでもうまくいっていない。ですので、ちょっとここはもう抜本的に見直しをして、基礎自治体の負担になっていますので、むしろ、一般の避難所をしっかり福祉的な環境にして、さらにそこで、必要な人は社会福祉施設とか、そういう発想の転換が必要なのではないかなというふうに思います。

 以上でございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 まず、石井参考人がおっしゃっていた住民への啓発というのは、私は事前防災という観点からも非常に大事だと思っていまして、ここに力を入れていくことはまず大前提として大事なことだと思っております。

 そして、その上で、菅野参考人が言われていた、まずはケースマネジメントの全国的な制度化をしていくことと、受入れ自治体の役割を明確化していくこと、あと、被災者情報を適時的確にしっかりと把握できる基盤体制、基盤整備、これは相当やっていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、そういったことを国が責任を持って進めていくということですね。そのように捉えさせていただきましたので、この点も是非防災庁には頑張っていただきたいなというふうに思っております。

 それでは、最後の質問になろうかと思いますが、市町村の負担軽減につきまして、菅原参考人にお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 これまで経験してきた度重なる災害の中で、被災市町村の職員の皆様は、先ほどからもお話があるとおり、御自身が被災しながらも、業務に、膨大な量に当たっていただいておりました。近年の災害を見ますと、災害の規模にかかわらず、被災市町村の役割が重過ぎるために厳しい事態を引き起こしているというふうに私は捉えさせていただいております。

 そこで、お伺いをさせていただきたいんですが、大規模災害時における被災市町村の負担を軽減するための国や都道府県の役割分担の抜本的な見直しですとか、また、産学官民の多様な主体によるネットワークづくりについて、防災庁に期待する役割を最後にお聞かせいただきたいというふうに思います。

菅原参考人 御質問ありがとうございます。

 市町村は、まさしく何倍の職員があっても足らないというような状況にあります。現在では、自治法におきまして、全国の自治体から応援の職員が来ることになっております。そのことのより確立というものが必要だというふうに思っています。

 本市において実際に起こったことですが、職員も被災者だということもありましたけれども、それ以上のことが起こります。本市が大震災に遭ったときに、最も忙しい建設部長の御子息が亡くなられました。建設部長は、そのお葬式のために半日だけ休みました。あとは一年間休んでいないと思います。そういう状況に陥りますので、是非、人員の派遣ということのシステム化がこれまで以上に円滑にいくように、仕組みを強化していくことが必要だと思います。

 また、権限という意味では、本市においても、例えば瓦れき処理については県の方でやっていただいた、港の岸壁については国が直轄でやっていただいたとか、大変助かりました。そういうことが即時決定されて進んでいくことが大切だと思っていますので、特に、各省庁において得意分野というか、このことについては県より国だね、このことについては市町村より県だねというのは随分経験をしていますので、そのことを整理した上で、より大きな組織の方でやっていただくことが大事です。

 そして、住民とのいろいろな意味で調整が必要になります。そのときに、現場の自治体だからこそいろいろお話ができるところもありますし、逆に、現場の自治体だからゆえに、なかなか住民の皆さんのことをおもんぱかり過ぎて進められないこともあります。そういうことも含めて、各、国、県、自治体が役割分担を行う、その規模によって、より川上の方で担っていただくことが必要かと思っております。

中川(宏)委員 実体験に即した貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。

 時間になりましたので、終了したいと思います。ありがとうございました。

関委員長 次に、黒田征樹君。

黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。

 今日は、四名の参考人の皆様、貴重なお話をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 私自身は、大阪の堺というところで市議会議員をしてまいりまして、その初当選が二〇一一年ということで、まさに東日本大震災の直後の統一地方選挙でして、当選後、これは全国の自治体そうだったと思いますが、まさに防災に関するそういった議論というのは進められてきたんだろうというふうに思います。

 そんな中で、まずは菅原参考人にお聞きしたいのですけれども、被災自治体のワンストップ窓口を、防災庁を設置するというようなお話がありました。これは口で言うのは簡単ですけれども、なかなかハードルもあるのかなというふうに思っておりまして、それを本当に機能させるためにはどういったことが必要かなというふうに考えられるか、その点、御意見あればお聞かせいただきたいというふうに思います。

菅原参考人 ありがとうございます。

 防災庁の機能ということでありますけれども、東日本大震災においては復興庁が立てられました。復興庁が設立されるまで実は十一か月かかっております。翌年の二月一日であったかなと思っておりますけれども、その間も、政府は政府の中で担当の部署をつくりつつやられたということだと思います。

 復興庁ができまして、私たちは各省庁に要望に行かなくて済むようになったんですね。つまり、復興庁に行って全ての要望を出していくということができるようになりました。

 実際の防災庁においては、それだけの機能ではありませんので、冒頭のお話の中でさせていただきましたけれども、網羅的に全ての起こり得ることに対して対応をする、また勉強していくということが必要だと思っています。一つ災害が起これば、新たな課題が浮かび上がってきて、新たな知見が出てくるということの繰り返しだと思っていますので、そのことを集中的に防災庁の方でやっていくことによって、備えというものの強さが出てくるのではないかなというふうに思っているところです。

 それと、先ほどお話がありましたが、勧告の件ですけれども、そういうようなものが存在するということがやはり、各先生のお話もありましたけれども、より担当省庁との話を円滑にできるみそなのかなというふうにも思っておりますので、そのこともしっかりと確保した上で、常に勉強して知見を重ねていく官庁として発足していただければと思っております。

黒田委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおりかなというふうに思いますので、我々も、もし防災庁が設置されるということになれば、そういったところもしっかりと見ていきたいというふうに思っております。

 再度、菅原参考人にお聞かせいただきたいと思います。

 自治体にとって、専門人材を確保していくというのが非常に難しいというふうに思っております。先ほどもお話があったかと思いますが、数年で人が替わってしまうというような、こっちは防災庁の話でもありますけれども、人材を確保、育成というところが難しいのかなというふうに思うんですけれども、それに対する考え方というのをお聞かせいただけたらというふうに思います。

菅原参考人 ありがとうございます。

 例えば本市で言えば、現在部長になっている人たちは四十前後だったと思います、被災したときに。課長になっている人たちは三十代ということで、まだしばらく、すぐ同じことが起こっても同様以上の対応ができる体制には今はありますが、やがてそのことは難しくなってこようかなと思っています。

 そういう意味で、冒頭お話をしましたけれども、やはり防災庁においては、防災大学校というものを、いわゆる学位を取るものでなくて結構ですので、研修の機関、それも一種類の研修だけではなくて様々な種類の研修、様々な期間、またレベルも含めていろいろなことをやっていただくことが必要だと思っています。

 そのことによって、例えば、現在、私どもの職員の中で防災スペシャリストOJTを受けた者がおりますが、この人間が次のステップのところに今度行ってみよう、その人間が更にもっと難しいステップのところに、防災大学校で教えてもらうというようなことが積み重なっていけば、各市町の防災力が向上しますし、私たちが感じているのは、実際にその研修に出した人間の意思が大変強くなって、背筋が伸びて帰ってくる、ノウハウを俺持ってきたよ、こういうようなことが見えていますので、そのことが多層的に全国的に行われていくことが必要だというふうに思っています。

 その上で、例えば本市であれば、消防の本部と一般の行政の本部の人事交流だとか、そういうものも意図的にやっていく必要があるのかなとも考えているところです。

黒田委員 ありがとうございました。

 防災大学校というか、そういった養成機関というか、そういったのは僕も早急に設置していくべきだなというふうに思っていますので、その辺の後押しもしっかりさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、菅野参考人にお聞かせいただきたいと思います。

 各地域では、防災訓練というものを自治会主体にされておりまして、そこでやはり課題になるのが参加者の数です。恐らく体育館で避難する方というのはその周辺住民の数%ぐらいしか来ていないという現状で、何か参加者を増やすすべがないかなといって地元の小学校区で考えたのが街角防災訓練ということで、体育館にまで足を運ぶのがおっくうな方がいらっしゃっても、少し街角に出る、若しくは、ドアのノブのところにタオルをかけて、無事ですよというアピールをする。そういう参加者を入れると、かなりそれに関わる方が増えるということがありました。

 とはいえ、これはすごくアナログな手法だなというふうに思っていまして、先生がおっしゃられている被災者データベース、これについて全国標準化も求められていたと思いますけれども、この内容等、それを広げるに当たっての課題をお聞かせいただけたらなというふうに思います。

菅野参考人 黒田先生、御質問ありがとうございます。

 被災者データベース、なかなか、今までの災害というのはおっしゃるとおりアナログでして、必ずしも避難所に行くことだけが恐らく正解じゃない人も避難所に何とかというのが多分市町村さんの、ある意味では、どんなに頑張っても人員等々の限界でもあったんだろうなと思います。そこで、抜本的に変え得るのがDXの世界で、被災者データベースなんというふうに申し上げました。

 現状は、恐らく各市町村に被災者台帳という形で、一応、そういう様々な災害時のときは、いろいろな方、端的に言うと、個人情報の本人の同意がなくても救援とか援護のためだったら共有して使っていいよ、こういう制度は法的にはあるんですが、中身自体は実は自治の世界に任されている。なので、作っているところもあれば、準備もしていないところもあれば、実際起こってからエクセルでやっているとか、統一すらされていない。これが現状かと思います。

 なので、それは、やはり国が一括して、少なくても規格は合わせるとか、できれば一体運用するとか、ちゃんと自治体の日々の、市町村の基幹システムの中に位置づけて触れる、こういう構造が非常に大事だろうと思います。それがちゃんとつながっていれば、もしそれで、こっちの人はこっちに来たよというのが分かれば、そちらでももしかしたらやはり支援体制をつくらなければいけないね、こういう話がやっとちゃんとできるということですので、こういったものを想定をして言っているということになります。

 さらに、避難訓練等々の中で、やはりふだん使っていないものは使えないんですね、我々。だから、急に被災者台帳を作りなさいと言われるから、余計に使えないし、そんなものは誰も見ない。結局は罹災証明書の発行だけをしているのが現実のところかというふうに思います。どれだけ導入を進めていてもそうなっているということですので、平時、ある種フェーズフリーに使えるということが非常に大事だと思います。

 例えば、一個が、まず避難訓練等々のふだんの防災の業務の中でちゃんと被災者台帳を使う。今は被災自治体しか作れないという規定になっているんですね、実は。だから、それで何とか裏を読んでも、訓練で使えるかなどうかな、こういう話にしかなっていないところが、ちゃんとできるんだと規定してあげること。

 更に進めると、実は、そうやっていろいろな個人情報を共有して、いろいろな方のケアをしなきゃいけないシーンというのは、ほかのシーンでもあるはずなんです。例えば、先ほどの包括支援体制なんかの支援会議みたいなところは、あのおばあちゃん、ちょっと心配なんだけれどもどうなっていると、いろいろな情報を持ち寄るんですね。そういったところに例えばフェーズフリーに使っていくとか、やはりふだん使っているものを災害時も使うんだ、こういう形で進めていただくというのが非常に大事かなというふうに考えております。

 以上になります。

黒田委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃるとおりだなというふうに思うんですけれども、これは、被災者の方を要は行政側が勝手に把握をして、プッシュ型で何かをしていく、そういうイメージということでよろしいでしょうか。

菅野参考人 そのとおりかと思っております。

 ただ、当然、個人情報の厳格な壁というか、やはり個人情報はちゃんと使わなければいけないということだと思いますので、やはりその使途というのは一定限定をされたもの。例えば、法的に問題がないというふうにされているのが先ほどの支援会議の場であるとか、あと、防災訓練なんかはもっと積極的に使ってちゃんと慣れておくということはすごく大事なことなのではないかなというふうに考えております。

 以上になります。

黒田委員 ありがとうございます。

 そこら辺、僕も、できることというのは努めていきたいなというふうに思っていますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、阪本参考人にお聞きしたいと思います。

 いただいた資料で、なぜ災害関連死を減らせないのかというところの一番大きな理由の中に、地震のショック、余震への恐怖による肉体的、精神的負担というふうにあります。それ以下の部分は何とか防ぎようがあるというか、そういうものに見えるんですけれども、この一番上の理由については何をどうしたらいいのかなというところが全く分からなくて、その辺について、もしかするとこれは石井参考人の部分にもつながると思いますけれども、お二人からお答えをいただければというふうに思います。

阪本参考人 ありがとうございます。

 地震、津波対策などの弱さを示していると思います。

 地震が来ても、耐震化が進んだ家でどのように身を守るかを知っているとか、地震がどのような仕組みで起こり、その後どう津波が来るのかという理解があれば、ある程度対策をすることができるんですが、そういう理解もなく、御自宅の耐震化などが進まない状況で、慌ててしまったり不安だけが強まっていく状況があるように思います。

 そういう方々に対しても心のケアの面でもサポートできる仕組みもあればいいんですが、それすらないので、きちんとそういう面についても理解を深めていただくのが何よりも大切だと思います。

 以上です。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 恐らく、イタリアの例がやはり参考になると思うんですね。イタリアの人たちは、被災者を幸せにするということをモットーにして活動されています。それは何かというと、情緒的なものではなくて、被災者の方たちは心身共にエネルギーが枯渇した状態にある、だから、その人たちに、安全な居住空間、それから安心できる居住空間、さらには、おいしいものを食べて、ほっとして、ぐっすり眠る、こういったことをきちんと保障して、できるだけ早く回復していただく。そして、回復していただいた人たちにしっかりと復興にも取り組んでいただく。

 非常に経済的にも効率的な仕組みがつくられていますので、発災直後のストレスを減らすためには、まずは、そういった、見捨てられていない、あなたたちにはちゃんと支援の手が届いているんだということを伝えていくことも大事なんじゃないかなというふうに思います。

 以上です。

黒田委員 よく分かりました。ありがとうございます。

 続けて、ちょっと阪本参考人にお聞きしたいというふうに思います。

 備蓄の自治体格差の解消というものが非常に大事かなというふうに思っています。共同調達とかそういったことも議論としてはあろうかなというふうに思いますけれども、これを制度化することの課題とかその可能性、そういったものについてちょっと御意見を伺えればというふうに思います。

阪本参考人 御質問ありがとうございます。

 地方自治体が持つ備蓄については、データ公開が進むようになって、ようやく自治体間の格差が見えるようになってきました。それぞれの自治体がそれぞれでそろえてはいたものの、ほかの自治体と比べてみると足りていないみたいな課題があるように思います。

 そこをこれから先、漏れやむらがないように拡充していくだけではなくて、やはり、災害が起きた後、足りているところから足りていないところまで補完していくような、そういう国レベルでの仕組み整備というのはすごく重要になってくると思います。

 また、備蓄の多くは民間企業との協定締結によって提供されていますが、民間企業側が持つキャパシティーがなかなか把握できないという状況もあるので、官民連携でここは取組を進めていく必要があるように思います。

 以上です。

黒田委員 ありがとうございます。

 最後になるんですけれども、補完性の原則に沿って自治体というものは運営されているという中で、その在り方というものも、まさに今、基礎自治体の方が一番負担が大きいというところで、どこをどうしていくべきかというのを再度整理しないといけないというのは共通の認識かなというふうに思いますけれども、今まで運営をしてきたという実態がある中で、これを一気に変えていくとなれば、今度、都道府県側の負担も非常に大きくなろうかなというふうに思います。

 ここを何かスムーズにやっていくような方法等、御意見があればお聞かせいただきたいなというふうに思いますけれども、多分、時間の関係上お一人ぐらいかなというふうに思いますので、是非我こそはという方がいらっしゃいましたら、手を挙げてくださればというふうに思います。

菅野参考人 我こそはで出てまいりました。申し訳ございません。やはり補完性の原理をもっと働かせるべきだというのが私の強い主張でもございますので、質問に答えさせていただければと思います。

 やはり、災害対策基本法の中に二つ概念がないと実は思っているんです。

 一つは、災害の規模という問題です。

 要は、大きい災害でも市町村がやるんだと。例えば、災害救助法が幾つか、都道府県の中で半分とかの地域にかかったら、それは大きいので、本来は県がもっと前面に出なきゃいけないということが分かるにもかかわらず、やはり市町村でお願い、こういうふうになってしまいますので、規模という概念をきっちり入れて、どこが何の実施責任を持つのかというのを、規模によって応じるということがまず一つの考え方だと思います。市町村で当然ちっちゃい災害はやるべきだと思いますが、やはり大きい災害になると都道府県が出るんだ、国が出るんだ、こういう考え方を入れる。

 もう一つが、時間なんですね。

 要は、避難所をやるといったら延々避難所をやるということになるんです。しかも、小学校とかで空けたところで。これはまずいということなんですね。子供の教育の権利上もまずい。なので、例えば大きい災害の場合は、一週間たったら、都道府県が県有施設で人権配慮型の避難所をやりましょうと。でも、それは都道府県はやったことがないですので、だからこそ、民間と一緒に協定をしておいて、そこでやりましょうというのを訓練しておいてくださいと。

 こうやると、都道府県も被災者支援の義務が生じるということになるわけですね。こういう改革というのが一番素直なんじゃないか。都道府県も、いきなり住民事務をやらなくて済みますし、民間の知恵をどうやって使おうかというふうに準備ができる。こういった形で、いわば補完性の原理で分けていくというのが一番重要なことなのではないかというふうに思っています。

黒田委員 皆さん、どうもありがとうございました。また引き続きよろしくお願い申し上げます。

関委員長 次に、佐々木真琴君。

佐々木(真)委員 国民民主党の佐々木真琴です。

 参考人の皆様、本日は大変お忙しいところ、貴重な御知見を賜りまして、本当にありがとうございます。

 十五年前の東日本大震災、私、当時岩手県宮古市におりまして、十四歳でございました。避難所の生活もしましたし、在宅避難もして、車中泊もして、水も自分でくみに行ってというような様々な経験をしましたので、皆様とともに、現場の声から始まる防災制度を議論させていただければなというふうに思います。

 また、昨日までも、今皆様もニュースを見られておいでだと思いますけれども、岩手県大槌町におきまして山林火災が起きておりまして、昨日も現場へ行ってまいったんですけれども、善意の混乱というようなものも既に起きておりまして、そういった現場の課題感も含めて、防災庁の設置によって、どう仕組みで押し上げていくのかというところを伺ってまいりたいと思います。

 まず一点目でございますけれども、菅原参考人にお伺いをしたいと思います。

 菅原参考人は、先日の選挙も受けまして、今、沿岸唯一の現職の、当時を経験した首長であるということ、大変驚きました。確かに、今考えてみればそうだなというところでございます。私自身も、気仙沼は宮古の次に大変大好きな町でございます。

 市長には、地方自治体の首長というお立場から、広域連携について伺いたいと思います。

 現在の大槌の現場を見ましても、制度上、県による調整を待つのではなくて、平時から顔が見えるつながりが近隣自治体の皆様はございますので、直接やり取りをする中で、物資であるとか資機材であるとかの手配をスピーディーに進めているというような状況が今も起きております。

 首長として、実際、長年現地を率いてこられたお立場から、防災庁という組織ができた際に、現場のスピード感を、顔が見える連携として進めつつも、国であるとか県であるとか市町村がどう役割分担をして混乱を防いでいくのかという形が、どういった形がベターであるというふうにお考えなのか、一点お伺いできればと思います。お願いいたします。

菅原参考人 気仙沼を愛していただきまして、大変ありがとうございます。私も宮古は大好きです。

 大槌の火災において、緊急消防援助隊、本市も早速、私も選挙中でありましたけれども、夜八時半の出発ということで、消防本部に行きまして、激励、見送りをさせていただきまして、今、替わりの替わりの順番ぐらいで行っているかなというふうに思っております。鎮圧方向ということで、一安心できればいいなと思っております。

 今の御質問でありますけれども、現在、この十五年間で何が進んだかというと、自治体間連携と、もう一つは、各自治体が民間の企業と包括的連携協定を結ばさせていただいて、例えば、段ボール会社と段ボールベッドのことだとか、マスクを持ってきてくれる会社と連携協定だとかというものを結んでいます。そういうものが幾層にもできてきている状態であります。

 また、国においては、プッシュ型ということで、より力強い物資の供給がなされつつあるわけですが、そのことの情報の管理、整理ということは是非とも必要だというふうに思っておりますので、防災庁そのものがその整理の係になる必要はないと思うんですけれども、そういうことが必要だということを明確にうたっていただいて、それは県が担うのか、市町村で必ず一人置きなさいよということにするのか、そういう仕組みをつくるということが、仕組みを地方に与えるということが防災庁の役目ではないかなというふうに感じているところです。

佐々木(真)委員 ありがとうございます。宮古の件も触れていただき、ありがとうございます。

 続いて、もう一度御質問をさせていただきたいんですけれども、先ほど冒頭申し上げましたとおり、大槌で今起きているのが、善意で物資がどんどん現地に届いてしまって、もう置くところもなくて大変困っているという電話が、今朝、この委員会が始まる前にも現場から届いたところでして、善意の混乱が既に起きているなというところです。恐らく、菅原参考人も当時、現場でそういった経験をされているんじゃないかなと思われます。

 そういった、国や県で全てハンドリングし切ることは非常に難しいですけれども、やはり、こういった物資の調整であるとか受入れの体制であるとか、防災庁が今後できることにおいて、現場の自治体とどのような情報共有ですとか、体制を整備することですとか、物資の登録、コントロールという点を築いておかれると自治体としてはいいなという観点がありましたら、是非お聞かせいただければと思います。

菅原参考人 まず、災害の規模によって、規模というか集中度合い、例えば今回の場合は大槌一か所ですね。一か所だから全国から来てしまうんです。これが広域であればある程度分散するということがありますので、事情は災害によって違うのかなということはございますけれども。

 今の御質問に関して私が感じたことは、まずは、何が必要かというようなリストのようなものを防災庁の仕事の一つとして確立していただくといいかなというふうに思います。この災害においてはこのリストのうちこことここが必要なんだなということが自治体で確認できる、これは忘れていたなということが確認できる、そういうようなマニュアル的なリストを防災庁の方で確立していただくことから始まるのかなというふうに思います。

 それを基に、またみんなが同じものを持って、国、県、自治体、NPO、また民間企業がそこをどう補完していくかという、自分のやるべき仕事を見つけていく、それを管理をするチーフがいる、こういうような形がよいのではないかなと思います。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 では、続いて、石井参考人に御質問させていただきたいと思います。

 先生は、我が国の防災対策基本法における主体性の在り方について、抜本的な見直しが必要であるというところを訴えておるかと思います。特に、イタリアの例を取りましても、自治体職員も被災者であるというところであるとか、先ほどは、幸せにするという観点で避難所運営をされているというところも、非常に我々に今までなかった視点だなというところを受けております。

 その上で、今、実際の現場では、支援をしたいと思っていても、受け入れている被災自治体が小規模であればあるほど、問合せをすることでさえ負担させてしまうんだろうなというような状況であるとか、自治体の過度な負担を解消して、外部支援をシステムとして受け入れていく体制が非常に急務なんじゃないかというふうに考えております。

 防災庁が持つべき法的責務であるとか、受援体制を受入れ側の自治体にどう持ってもらうのか、そして、支援する体制をどう捉えていくのかというところのお考えをもう少し深くお聞かせいただければと思います。

石井参考人 御質問ありがとうございます。

 イタリアの例を取りますと、これはもう事前にしっかり計画されているんですね。この地域が被災をしたらここに避難所を設営するというところがもう決まっていて、そしてしっかりと訓練をしていきます。そして、この訓練の予算も国が負担をしているわけです。ですので、日本の場合は備蓄で止まってしまって、避難訓練といっても、避難所まで行くぐらいで終わってしまうんですよね。

 だから、実際に、本格的な避難所の設営とか、そこまで至っていないというのが実情ですので、是非、防災庁ができた場合には、あらかじめそういった計画を、災害が起きてから調整するのでは間に合わない、ですから、事前に各基礎自治体とか都道府県と連携をして、じゃ、このエリアで何万人規模の避難者が発生した場合にはこういった計画でやっていこうということをあらかじめしっかり計画をし、訓練をしていく、このことが重要だと思います。

 以上です。

佐々木(真)委員 ありがとうございます。

 重ねて石井参考人に質問させていただきたいんですけれども、良好な生活環境をあまねく享受できるようにするという概念が今回具現化され、具体的にしていくためにどういった観点が必要かということなんです。

 先ほどの説明の中で、非常用発電機であるとか空調設備を設置してほしい、義務化していきたいというところを御提案されておりましたけれども、避難所が単なる場所の提供にとどまらず、やはり生活の場として機能していくためには、防災庁が避難所の基準をどう法制化するかということであるとか、あと、財政当局とどういうふうにやり取りしていくかという観点も非常に重要になってくると思います。その辺りについてのお考えを是非ともお聞かせいただければと思います。

石井参考人 ありがとうございます。

 何度も言いますけれども、イタリアでも、やはり発災から四十八時間は現場で乗り切らなきゃいけないフェーズがあるんですね。なので、体育館等の指定避難所はその四十八時間を乗り越える場所として、かつ、空調設備については東京都が突出して設置しているんですけれども、ほかの都道府県は本当に数%程度だったりしますので、特に、日本海溝・千島海溝が寒冷期に起きたら大変なことになってしまいますので、この空調設備、ともかくは命が守れる場所をまずはつくる、その上で、生活ができる環境を整える、ここをどう整理していくか。

 それは何も、イタリアのようなテントによる避難所だけじゃなくてもいいと思うんですね。人口減少社会ですので、空いている公営住宅とかホテルとか、そういった様々なものを活用していければいいんだと思うんですけれども、段階を置いてしっかり考えていくということが大事で。

 実は、世界的に見ても、災害の熱中症の死者は意外と多いんですよ。だから、低体温よりも熱中症の方が多いんですね、アジアが多いからなのかもしれないんですけれども。ですので、この対策をまずは急ぎやった上で、そして防災庁として、今後日本の避難所、避難生活環境をどうするのかということはしっかり標準化するなり、どこの地域で発災しても同じような避難所が設営される、そういう社会をつくっていくということが大きな課題ではないかなというふうに思っております。

 以上です。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 では、続いて、阪本参考人に御質問させていただきたいと思います。

 先ほど、防げるはずの災害関連死を減らせなかったというような非常に重い課題を御指摘いただいていると思います。災害関連死を防ぐためには、避難所外の被災者の把握が非常に不可欠であるというふうに私自身も感じております。

 自分の経験を踏まえても、避難所である体育館の前の駐車場に車中泊していたんですけれども、そこにはやはり御飯は届かなかったですし、誰が避難しているんだというような調査もなかなか入りにくい状況で、自ら申告に行くというような形でしたので、やはり非常に厳しい状況がいまだにあるなというところを感じております。

 ですので、把握の仕組みがないというように答えている自治体も六割を超えているというような状況ですので、今回、防災庁を設置していくということに立ったときに、今の、見えていない、可視化されていない被災者をどのようにデジタル技術等を活用して可視化していくのかであるとか、避難先の自治体がケースマネジメントしていくためにもどのように可視化できる体制を整えていくべきかというところの観点で御質問させていただきます。

阪本参考人 大変重要な御指摘をありがとうございます。

 在宅、避難所外にいる被災者の情報を把握するというのは決して簡単な話ではないんですが、まず大事なのは、御本人が情報を発信できるような仕組みを考えていく点です。被災者は動くんですが、どこへ行っても情報が追跡できるように、被災者のデータベースを構築して、それを全国レベルで運用できるようにする必要があります。現在は自治体レベルでしか運用できていないので、それを全国レベルにしていくということは大事です。

 それから、在宅避難をしている人、車中泊の人のアセスメント、これができる体制を整えていかなければいけません。ここは民間も使って、外部支援も使って、協力し合って情報共有をして、支援が届くようにしていく必要があります。

 あと、避難所以外でも支援が届く被災者支援拠点というのを整備していくのも大事だと考えています。道の駅の活用などもありますが、それだけではなくて、地域の店だったりあらゆるところが活用できると考えておりますので、そういうのを効果的に組み合わせて体制を整備していくのが重要だと思います。

 以上です。

佐々木(真)委員 ありがとうございました。

 では、続いて、菅野参考人にも御質問させていただきたいと思います。

 先生は、餅は餅屋というところを資料の中でも何度も発言されております。民間のプロの力を活用するという重要性も非常にこれからは大切になってくると思います。

 今、大槌の現場でも、先ほど来申し上げていますとおり、物資のミスマッチが起きておりますけれども、これを解消するにも、行政だけでなく、民間であるとかNPOであるとかをつなぐ中間支援のネットワーク等も不可欠であるというふうに認識しております。

 防災庁が今後できる中で、こうしたネットワークと平時からどのようなプラットフォームを築いていくのかであるとか、現場のニーズと支援をつなぐハブとしてどう機能させていくのかというところも重要だなと思っております。コーディネーターになるようなチームを置いていくことも必要だと思いますし、資料の中に官民協働のコーディネーターチームとも書いてございますので、その点を含めて是非教えていただければと思います。

菅野参考人 御質問ありがとうございます。

 まさに、ハブという言葉が出たかと思いますが、防災庁に求めるものはそれですね。そのためには、餅は餅屋と言っていますが、当然、餅屋の世界にそれぞれ文化ややり方というのはあるわけなので、それを熟知しながら、そこと協働していく、パートナーシップを組んでいく、これが防災庁の職員さん方に求められる仕事だろうというふうに思っております。

 例えば、今だと、先ほど阪本委員も御発言があった災害中間支援みたいな形で、例えばNPOの世界がメインにはなるかと思いますが、そういうところとは各地域でネットワークを張っていく、こういうことをしていらっしゃいますが、恐らくそれだけだと、実際の現場、災害対策本部、市町村なんかの中で起こっていることにはなかなか対応できない部分もあるんじゃないかなというふうに思っています。

 官民協働のコーディネーターみたいな言い方をしたんですけれども、まさに、市町村を支えるのは、今だと、総務省さんの方で派遣を調整されている災害マネジメント総括支援員制度、GADMと通称言われている、そういうものはあるんですが、実は、行政のプロであっても、やはり民間との連携というのはほぼないプロたちなんですね。

 やはりそれをちゃんとチームにして、例えば、民間ではこういうことが得意だから、こういうところにお願いすればいいよとか、こういうやり方を災害の通常はするんだから、こういうふうに段取れば行政内ではいいよ、こういうものを、ちゃんとチームになって、防災庁と一緒になってやっていく。

 例えば、防災庁のある部門とかにそういうアドバイザーみたいな人たちをチームとして養成をしておいて、それはどうしても人とのつき合いがありますので、職責だけじゃないんですね。ふだんからネットワークに入って、お互いに意見交換をして、顔の見える関係というのがありますので、絶対職責だけではうまくいかないので、チームにして送り込む、こういった設計が非常に大事なのではないかなというふうに思っています。

佐々木(真)委員 ありがとうございます。

 では、続いて、石井参考人と阪本参考人に伺いたいと思います。

 避難生活が長期化するといったところの視点なんですけれども、生活の質の確保は非常に重要になってくると思います。尊厳ある生活への権利もありますし、社会的特性、高齢化であるとかにも応じた事前対策も必要であるというふうに考えます。

 防災庁が災害関連死ゼロを目指していく中で、優先度の高いアクションとしては何だとお考えかというすごく広い質問ではあるんですけれども、是非ともお一人ずつお聞かせいただければと思います。

阪本参考人 御質問ありがとうございます。

 やはり、平時のサービスとの連結性というのが大事になってくると思います。災害から時間が経過した後、平時の仕組みにどんどん戻していかなければいけません。そこで戻せないとなかなか苦労するところがあるので、災害が起きる前に個別避難計画を作成し、災害ケースマネジメントに移し、また個別避難計画に持っていくような、そのような仕組みづくりは大事になると思います。

石井参考人 ありがとうございます。

 関連死の予防は、まず一つは避難生活環境の改善というのはあるんですけれども、ふだんの社会の仕組みの中で防災教育というものをどうやっていくかというところで、人間というのはモチベーションがないと学習しないんですね。なので、例えば、母子手帳に防災のページができました、でも、誰もそんなところは見ていないんですよ。だけれども、これから出産するという両親に助産師さんたちが指導するわけですけれども、そこに防災教育を入れると行動が変わるんですね。きちんと備えるんです。

 ですから、関連死に関しては、明らかに六十歳以上の慢性疾患を有している人が比率は非常に高いわけなので、例えば、是非これは介護報酬とか診療報酬に入れていただきたいんですけれども、防災教育をしたら診療報酬がつきますよとか、ちゃんと個別避難計画をケアマネジャーさんとかがやったら報酬になりますよとか、こういう仕組みをつくっていただけると一気に進むと思うんですね。

 病院というのは本当にそういうところで、今までやってもいなかったのに、診療報酬がついた途端に一気に広まるというのが日本全国津々浦々で起きますので、何かこういう上手な仕掛けをしてほしいというふうに思っております。

 そうすると、かなりリスクが下がり、そうすると、災害が起きてから支援しなければならない人たちの人数が減れば、ケアの質を上げていけるということも起きますので、平時からの備え、ここの視点を是非入れていただきたいと思います。

 以上です。

佐々木(真)委員 皆様、多岐にわたる質問にお答えいただきまして、ありがとうございました。

 今、最後にあったとおり、やはり、どう行動変容を起こしていけるかが、我々が今議論している防災庁設置法案の中の一番大きなところだと思いますので、仕組みとしてどうやって行動変容を起こしていけるのかについて、これからも議論を重ねていきたいと思います。

 大変ありがとうございました。

関委員長 次に、工藤聖子君。

工藤(聖)委員 参政党の工藤聖子でございます。

 参考人の皆様におかれましては、本日は、大変お忙しい中いらしていただき、貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございます。

 早速ですが、本日は、防災の執行体制とか、国による自治体支援の在り方についてお伺いしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、菅野参考人に伺います。

 先ほど菅野参考人から、日本の災害対応は過度に分権的であるとか、自治体の責任が重いというお話を伺いました。どうしてこのような体制になっていったのかなというふうに考えておりましたら、菅野参考人が、過去、雑誌への寄稿の中で、災害対応の執行を被災自治体が中心となって行う現行の役割分担は戦後のGHQの流れを受けているといった趣旨の御説明をされていたと思います。

 改めて、その御説明の趣旨や歴史的背景について御解説をいただけますでしょうか。また、人口減少や、専門人材が不足している今日において、結果として日本の防災体制に見直すべき点はあるとお考えでしょうか。御見解をお伺いいたします。

菅野参考人 工藤先生、御質問ありがとうございます。また、文書も読んでいただき、非常にうれしく感じています。

 分権的というのが、一九四七年に災害救助法という、我が国の、今もちゃんと使っている、災害の法律では最も古い法律ができていますが、そこで実は、知事が救助をするんだ、こういうふうな規定が書かれているんですね。それがまさに、今の自治体ベースの災害ということの基になっている部分じゃないかなというふうに考えております。

 そもそもの趣旨としては、要は、昭和南海地震等々でうまく対応できなかったので、日本の皆さん、今から日本の皆さんは福祉国家になっていくんだし、地方分権でやっていくんですよねと。例えば、それまでは、知事は官選の知事、要は内務省の役人さんたちが知事をやるという時代から、ちゃんと知事を選挙で選ぶんだ、こういう時代に変えましょうという中で、だからこそ自治体でその仕事をするんですよ、こういう形になった。

 まさに、実はGHQが求めたのは、そのときに、要は人に寄り添ってやっていただきたいと。しかも、救助は、国としては、実は、対応する省庁は厚生省が呼ばれておりました。まさに厚生省の保護課、今でいうところの生活保護の担当セクションが呼ばれて作られたということになっております。なので、生存権保障をちゃんとやってください、そういう趣旨で災害救助法というのは実は作られているというのが実際のところです。

 ただ、当然、災害というのはある地域にたまにしか起きません。ですので、知事といったって、大きい災害が来るのは何十年に一回ということですので、当然、災害を現役で経験される、ここに、菅原市長はまさに経験されて、今も気仙沼市は何か起こったら非常に重要な対応をされるんだろうと思うんですが、さてそういった知事や首長さんたちがうまく対応できるかというと、なかなかということになるかと思います。

 そこ以降、一九六一年ですかね、災害対策基本法でも、実はこれは、今でいうところの総務省さん、旧自治省さんが中心になって法案を作られていて、どちらかというと恐らく消防のイメージで作られたのではないかなと思うんですが、そこで市町村でと。こういうのが過度に進んできたというのが大きな経緯ということになります。

 この体制というのがずっと見直されないまま今に至っているので、なぜか、最も補完性の原理を働かせねばいけない災害のときに一番分権的、こういう体制が今も続いているということなのかなというふうに考えております。

 また、人口減少の中では、やはり補完性の原理というのをもっとしっかりと働かせるべきです。ただ、いつも起こるのは、全ての都道府県がそうだとは言いません、市町村を応援しようとすごく頑張られる都道府県もあられるんですが、どうしても、これは市町村の仕事ですといって仕事を断ってしまうような都道府県の皆さんもあられるということです。

 なので、やはりちゃんと、大きな災害においては、被災者支援を中心とした事務というのを都道府県にも分担しますよ、そこに対しては都道府県が責務を持つんですよ、こういうものを規定しない限りは、例えば人口三千人の市とかがあったとしても、全ての対応をそこがしなきゃいけない、こういう事態はずっと解決しないということでございますので、是非、やはり補完的な業務は広域的にやった方がいい。例えば様々な給付事務なんというのは、絶対、都道府県でやった方が効率的だなと思います。

 あとは、最後、被災者に寄り添わなくて、むしろ監査をしなきゃいけないような仕事、例えば罹災証明の発行というのは、あれはすぐにお金に結びついてしまいますが、市町村職員さんはすごく心苦しいんです。多分、身近な人にあなたのところにはお金は渡しませんという宣言を彼らはされているということなんですね。こういう事務ほど実は上の方でやって適切に執行する、こういうふうにしてあげないと、なかなか市町村は、被災者であり支援者である市町村職員さんの人権が本当に守られていない、こういう構造が続いているなというふうに感じています。

 以上です。

工藤(聖)委員 ありがとうございました。

 参政党は、戦後、日本に占領下でいろいろ作られた、憲法の問題だったりとか、あと国債の発行に関する財政法四条の問題だったり、また教育を変えられたというところがありまして、そこを見直すべきじゃないかということをずっと議論しているんですが、災害に対してもこういった影響があったということを伺いまして、私も驚いているんですが、すごく勉強になりました。また、もう八十年たっておりますので、今の日本の体制に合う抜本的な改革というのが必要だと改めて感じております。ありがとうございます。

 続けて菅野参考人に伺わせてください。

 被災市町村が、平時から十分な人員や専門性を確保できないまま、発災後に、先ほどもお話がありましたが、未経験の災害対応を担うということは、構造的な困難があると考えております。

 その上で、菅野参考人の言われる餅は餅屋の災害対応を実現するために、たくさん課題を挙げていただき、あると思いますが、防災庁は何を最優先にして制度化、財源化すべきとお考えでしょうか。御見解をお聞かせください。

菅野参考人 続けて御質問、ありがとうございます。

 被災市町村、本当に、ふだんやっていらっしゃる事務に関してはやはり慣れていらっしゃるので、それを拡幅したり早回ししたり、例えば道路の復旧なんというのは、当然国交省さんや都道府県さんもやられますが、市町村さんでもそれなりの対応をされるなといつも思います。先ほど、建設部長さんが御子息が亡くなられたのに対応されたと。それぐらいやはり市町村もすごく事務が多くて、でも何とか頑張られる、こういう領域だと思うんです。

 やはりケアの部分というのが僕は最優先だと思っています。それは、ふだんは民間の、どちらかというと市場的な原理でやられている、例えば医療一つ取ったって準市場という形で、制度や財源のところは政府が関わってつくるけれども根本的には民間のサービスとしてやられているところ、こういうところが機能不全になってしまうということですので、やはりそういったところに、お願いねと応援要請をすれば勝手に動いてくれる世界をつくらなければいけないということです。

 その成功モデルは僕はDMATだと思っていまして、あれは知事からすると、応援要請したら基本的に自律的に動いてくれる、こういう世界なんですね。例えば、それを福祉の部門でつくらなければいけないとか、物資の部門でつくらなければいけない。こうやって人の暮らしのケアの部分というのを成り立たせる世界をつくる、これが私は防災庁の災害対応におけるまず最優先のことだと思っています。

 もう一点、被災市町村が苦しんでしまう理由というのは、制度が古いまま残っている、しかも今に合わない、何でこんなことをしなければいけないんだ、これがちゃんと見直しされていないということだと思います。

 今回、事前防災から復興まで全部所管するんだ、こういうふうに書いていただいたということは、要は、事前防災の段階であっても復興の段階であってもちゃんと防災庁は見ているんだよ、こういうことでございますが、見ているということは、何か問題が起こったときは制度をちゃんと変えるということでございます。なので、しっかりと全体を通したグランドデザインとともに検証をして、変えていって、ちゃんと対応していく、そういう枠組み、まさにそれが、防災庁の専門性である知識の源泉になると思います。こういったことを最優先でやっていただきたい。この二点でございます。

工藤(聖)委員 ありがとうございます。

 たくさんの現場を御覧になったからこその御意見と、また、制度が古いまま残っているということで、本当に、今、防災庁を設置する大きな機会ですので、抜本的な制度の見直しというものを図っていかなくてはならないと改めて感じております。

 次に、菅原参考人に伺いたいと思います。

 先ほど、大規模災害時の国の職員の自治体派遣についてお話がありました。六か月たってから補佐が入ったということで、もうちょっと早く入ってもらえなかっただろうかというお話がありましたが、私、選挙区が、地元が千葉なんですが、千葉県の熊谷知事も同じようなことをおっしゃっておりまして、東日本大震災や令和元年の房総半島台風を経験されて、また各地の災害を見ていらっしゃって、やはり国のエキスパートを、たまにしか起こらない災害地に対して、国から、中央からすぐに派遣できるシステムが必要なんじゃないかというふうにおっしゃっておりました。

 自治体の首長のお立場から、防災庁に最も期待する自治体支援について、第一に事前防災、それから発災時、また復旧復興の三つの段階ごとにそれぞれお示しいただけますでしょうか。また、国の支援が実情とずれていた、やりにくかったという点もあればお聞かせください。

菅原参考人 御質問ありがとうございます。

 私が本市の事例としてお話しさせていただいたのは、半年ぐらいたって、これは官房副長官の方でお考えになって、職員派遣をしたら受け入れられるかという話がありまして、若手が来られました。いわゆるキャリア官僚が四省庁から来られて、半年間、私たちと一緒になって防災対応に当たりました。

 一方、同時に必要だというふうに感じたのは、そのクラスの人も仕事はあるわけですが、やはり、国と渡り合ったり、ほかの省庁と連絡を非常に密に取ることができて、法律を完璧に理解した上で、そういう課長補佐レベルの人がすぐ派遣されるといいなというふうに感じたところです。

 実態的には、本市においても、やはり市の土地をどうしていくかということが大事だったものですから、都市局からは、常駐ではありませんが、担当は決まっていました。国交省の都市局の方から担当の方は決まっていて、何度か話すことがありましたが、私がお話ししたのは、市長の脇にいて国とのやり取りを全部さばいていく又は解釈していくという片腕が必要だということであります。

 そのことについては、それを担える人というのは各省庁でもいつでも必要な人なんですね。そういう矛盾というものはどうしても発生してしまいますけれども、是非、発災時には国の方から、その被災の規模に応じて、そのことを担える人を送っていただく。大きめの自治体においては副市長さんの一人を国から派遣していただいたりしているケースがありますので、その場合は随分カバーできるんだと思いますが、それがなされていない場合にはそういうことが必要だということが、明確に防災庁の方でもそこに関与していくんだということがしっかり分かればなと思っております。

 事前防災につきましては、先ほど私から、事前防災の例になるのではないかというのを三点ほどお話ししました。これは私が二つ目の点でお話しした、避難所に来ることができることが大事なんだ、つまり、人が亡くならない、直接死しないということが大事なんだということを強調させていただきました。

 そのためには、いろいろな調査とか研究とかというのが必要であります。そのことにおいて、事前防災の例はまだまだあると思いますし、それは時間もお金もかかると思います、研究者の層も厚くなくてはいけないというふうに思いますので、是非そこを長期的な視点でしていただければと思います。

 復旧復興のフェーズになりますと、やはり、さっきの話の中では、一つ、ワンストップ窓口というのは非常に大事だなというふうに思っています。それと、東日本大震災において非常に大きく復興に寄与したのは、復興交付金という制度でありました。そういう制度をどの段階でどう災害に合わせてつくっていくのか、活用していくのかというようなことを事前に準備をしていただくことが大事だなと思いました。

 そこで、実は私たちが一番苦しんだことは何かというと、これが復興事業に当たるのか当たらないのか、これは自分でやるべきことなのか、復興事業として国に支援していただけるのかということのせめぎ合いをもう十何年間やってきているわけですけれども、そういう意味でも、東日本大震災だけではなくいろいろな事例がありますので、そのことを整理をしていただくことが大事だろうなというふうに思っています。

 先ほど述べましたが、被災自治体においては、破産するんじゃないか、そういう悩みなんですよ。自治体の長は、これをやったら市がもう駄目になっちゃうんじゃないか、どこまで国の方で、また県の方で支援がいただけるのかというようなことがとてもとても心配になりますので、そういうことが事前に整理されて、今でも一応の法的なことはあるにせよ、災害ごとに、現場と密接な関係性の下に防災庁の方でしっかりと示していただくことが肝要かと思っております。

工藤(聖)委員 ありがとうございました。

 先ほどもおっしゃっていましたが、費用が気がかりだったとか、破産するんじゃないかという心配があったということで、やはり国としてしっかりと支援が必要なんだということを改めて認識しました。

 その点を踏まえまして、次の質問に行きたいと思います。

 全ての参考人に伺いたいと思います。

 令和七年十二月に政府が出した防災立国の推進に向けた基本方針では、地方自治体の防災力強化への支援が、防災庁の重要な機能、役割として前面に掲げられています。しかしながら、肝腎の防災庁設置法案においては、防災庁の所掌事務にそれらが明示的に規定されておりません。

 この点、政府としては、あえて支援と記載せずともほかの包括的規定で読み込めるとのことでした。前回の委員会で私が質問したときの回答なんですが、しかし、政府の基本方針で前面に掲げている内容を立法意思として所掌事務に明示することと、明示せずにほかの包括的規定の解釈に委ねることとでは、自治体支援に係る今後の施策展開や予算措置の優先度に大きく影響してくるのではないかと危惧しております。まさに参考人の皆様が国に求める自治体支援の法的根拠にも関わってくるように思います。

 また、同じ組織設置法である復興庁設置法の方では、関係地方公共団体が行う復興事業への国の支援が復興庁の所掌事務として明記されておりますので、防災庁設置法案でも同様の明文化ができないわけではないと思っております。

 以上のことから、私としては、地方自治における防災力強化の取組支援を防災庁の所掌事務として明示的に法案に定めることに合理性があるのではと考えておりますが、参考人の皆様のお考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

菅原参考人 明示する必要性についての御質問だというふうに思いますが、解釈としては非常に難しいところがあって、そういうふうに今なっているのではないかなと想像させていただきます。

 というのは、ふだんから我々、例えば道路だったら国交省、防潮堤だったら水産庁とか、そういうふうになっているわけですね。その方たちが、防災においても、また災害においても、事前防災においても実際に仕事をしていくし、予算もつけていくんだというふうに思います。そことの兼ね合いがあったのかなとちょっと想像してしまいますけれども。

 具体的なことではなくて、そういうことが所掌に入るんだということを示すことは一つ意味はあるんだろうなと思いますが、法的な兼ね合いということのせめぎ合いにつきましては、私の方から今どうでなくてはいけないということをお話しすることではないのかなと思いました。ただ、実際、各省庁が事前防災に当たることも頑張っておられますので、そのことがないがしろにされないような形が必要かと思っております。

菅野参考人 非常に難しい御質問だなというふうに感じております。

 所掌事務として防災庁設置法案に書くかどうかということなんですけれども、要は、まず全省庁が地方自治体を支援されるということなんですね。防災においてそこだけが支援するとなってしまったら、ほかはしなくていいんですかという話が出てこないかというのが一番気になるところでございます。だから、所掌事務として書くということなのかどうかは、ちょっと異なる部分もあるんじゃないかなというふうには、正直言うと考えています。

 また、もう一つ、復興庁との違いという意味では、災害対策基本法という災害の憲法みたいな存在があって、そこの中で実は国や自治体等々の責務が規定されているということになると思います。恐らく、王道は、こちらできっちりと見直していかなきゃいけない。

 でも、先ほど申しましたように、過度に分権的だなというふうに思う部分もあるので、そこをしっかりと審議するには今回だけではなかなか調整が利かないということでもあるのではないかと思います。なので、しっかりとした審議の場をつくっていただいて、ここに問題があるということは恐らくみんな思っていることだとは思いますので、きっちりと調整の上で、地方自治体をどう支援していくのかというのを位置づけていきたいということなのかなというふうに思っておりますので、私自体は、今の所掌事務の中で早急に位置づけるというよりは、きっちりと災害対策基本法の中でやっていただきたいなというふうに感じるところでございます。

 以上です。

阪本参考人 ただいまの菅野委員と私も同じ意見でして、地方自治体の防災力強化はもちろん大事なことなんですが、現在のところ、災害対策基本法においてその事項が位置づけられているということから、防災庁においてはむしろ、現在、防災庁の議論では、組織体制の話をしている中で防災局を設置するという話があって、その防災局を通した地方自治体への働きかけが将来的には考えられるのではないかと思います。ただ、現時点では、災害対策基本法を優先して考えるのがよいのではないかと思います。今後議論が必要なことだとも思います。

 以上です。

石井参考人 もう時間も押しているようなのですが、お二人の意見と同意見で、現時点では、多分いろいろな関連法案があると思うので、そこは慌てて明記する必要はなくて、きちんと、今後、防災庁ができた後に、防災局ができた後に整合性を取っていけばいいんじゃないかというふうに思います。

 以上です。

工藤(聖)委員 ありがとうございました。

 時間も来ておりますので終わりますが、今後しっかりと自治体、市町村をカバー、支援していける、そういう体制をつくっていく。これから防災庁として法案の方もしっかりと見ていきたい、また質問に生かしていきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

関委員長 次に、山田瑛理君。

山田(瑛)委員 チームみらいの山田瑛理と申します。

 本当に、貴重なお話をありがとうございました。まさに今、防災庁設置法案の審議をしているに際しまして、様々深度が深まる、そのようなお話をお聞かせいただきました。

 早速ですが、いろいろとお伺いをさせていただこうと思います。

 まず初めに、菅原参考人にお伺いをいたします。

 首長さんというものが、災害対策本部の本部長となりまして、そういったところで実際に経験された立場から、有事の際に政府と自治体との連携とか共有において御苦労された点。先ほど、本当に右腕が欲しかったとおっしゃっていたかと思うんです。本当に、災害時になると、政府の方から様々、毎日いろいろな情報発信がされる、それをしっかりとキャッチアップしていってまとめてインプットされること、すごく御苦労されたかと思うんですけれども、例えばそれはAIがすごく得意分野だったりもしますので、防災DXを進めるに際してはそんなところも注力していけたらいいななんというふうに思っているんですが、その他で限界を感じた点というところを御共有いただきたいです。

 また、震災というものはいつ来るか分かりませんというところで、菅原参考人は東日本大震災発災時は一期目でいらっしゃったと思います。仮にですけれども、就任直後の首長さんが同じ状況に置かれた場合に、経験とか人脈、判断軸、いずれもなかなか深度が深まらないまま本部長を務めるという状況もあるのではないかと思っております。コミュニケーションの深度は、ある意味、いろいろな関係各位の皆様とのあうんの呼吸というのがすごく重要になってくるのが有事だと思っております。もちろん、災害対応に当たられる職員さんは本当にしっかりしていらっしゃると思いますから、機能不全ということはないと思います。ただ、もし御見解として何か共有いただけるようなことがあったら教えていただきたいというのが、防災庁のような国の専門機関と首長さんとの平時の情報共有とかコミュニケーションにおいて何か必要なことがあるのではないか、そのようなヒントがいただければとの意図でのお伺いになります。よろしくお願いします。

菅原参考人 御質問ありがとうございます。

 まさに今御質問でお話しされたことが防災庁の必要性そのものだと思いました。

 私は十か月目で被災をしました。当時、副市長さんは県から来て八か月目、あと、もちろん総務部長さんも危機管理監もおられましたけれども、実際にそのメンバーで大きな災害に遭ったことがありませんでしたので、毎日、どのような議論をすればいいかということも含めて、みんな寝てもいませんので、そんな中で過ごしてきたわけであります。

 今のお話のように、防災庁でまとめていただかなくちゃならないものの一つに、首長又は自治体が組織的にこういうような段取りで発災時には当たってください、発災の前、事前においてはこういうことに取り組んでくださいというものを示していくことによって、それが首長にとっても自分がやらなくちゃならないことが明確になって、町内での防災力を高めることになるのではないかというふうに思います。そのことが、今までは、各自治体においてばらばらだったり深さが違ったり、首長さんの防災に対する関心度の差だったりするのではないかなというふうに思いました。

 先ほど冒頭に、全国どの自治体も災害と隣り合わせだということをお話ししました。本市でも数回、津波の避難指示を出しておりますし、十数回の大雨による高齢者避難等を出しております。ただし、そういう町だけではないんですね。ゼロという町があるかどうか分かりませんけれども、濃淡があります。しかしながら、いつどこで起こるか分からない、地震などはまさしくそういうことだと思いますので、自治体においてどういうことをどういう順番でやるんだというものを全国的に確立していくことが防災庁にも求められているというふうに思います。

山田(瑛)委員 ありがとうございます。

 御経験に基づいて、防災庁の役割というところをしっかりと理解をさせていただきました。ありがとうございました。

 続きまして、避難訓練について、菅原参考人と菅野参考人それぞれにお伺いをさせていただきたく、まずは菅原参考人に。

 どれほど避難訓練を積んでも、実際の災害はシナリオどおりには動かず、避難訓練は、各自治体、町の皆さんとともに、常日頃しっかりと実施していると思います。そのように訓練をとにかくとにかく積み上げて、その上で、発災時は現場で臨機応変な対応を職員さんも市民の皆様も取ることができるのだと感じております。

 一方で、少し形骸化してしまっているということも事実ではないのかなと思っていて、御経験から、実効的な訓練とはどういうものだったか、そしてまた、震災を経てアップデートした部分がありましたら、御共有いただければと思います。

菅原参考人 ありがとうございます。

 最初ちょっとお話ししましたけれども、私のところは津波被害が大きかったので津波のことがイメージされますが、避難訓練をすればするほど、避難所訓練になってしまう。一番大事なのは避難所へ到達すること、そのことが、私は防災庁にとっての一番大きな仕事だと実は思っています。

 その上で、避難訓練が形骸化していくことを防ぐということについては、本市でも、中学校単位に地区が分かれていますので、避難訓練も中学校単位でやることが多いわけですけれども、町づくりと一緒にやることだと思います。地域コミュニティーをしっかりつくっていくこと、防災を通じて地域コミュニティーをつくっていくことによって、高齢者から小学生まで入ってくる、そして、担うべき年代の人たちがその役目を果たしていくということになります。避難訓練だけやろうとするのではなくて、そのことを町づくり、コミュニティーづくりに生かしていく、つなげていくということが有効かと感じております。

山田(瑛)委員 菅野参考人にはまたちょっと別の角度でお伺いをさせていただきたく。

 防災訓練については、各自治体で、町会とか地元企業などと官民共同で行われている状況ではありますけれども、日本の防災訓練の現状について今どのように評価をされているのかというところ。

 やはり、私、先ほど申し上げましたけれども、どうしても形骸化という状況を指摘せざるを得ない部分があるかなと思っておりまして、形骸化してしまう本質的な原因がどのようなところにあるのか。また、訓練の実効性を高めるためには主体ごとに異なるアプローチが必要だと思います。町会、自治会さんとか、企業、学校、福祉施設、それぞれに対して、こういう訓練ならリアルな備えになるのにと、そういう具体的な方向性がもしございましたら、是非知見を御共有いただければと思います。

菅野参考人 山田先生、御質問ありがとうございます。

 実は、答えは、僕は菅原市長とほぼ同じような感覚を持っておりまして、町づくりと一緒にというふうにおっしゃられました。

 実は、防災というものの、特に事前にやることの本質的な難しさというのは、やはり備えるということへ我々はコストがかけられないということなんですね。あした来るかもしれない南海トラフと言われても、多分南海トラフの備えをしている人はほとんどいない、こういう話が本質的なので、要は、どんどんやれやれ、避難訓練をやろうと言っても、まさに委員御指摘の形骸化という問題がやってくるかなというふうに思っています。

 やはりそれは、民間と連携をする前に、例えば行政の中でもやれることがあって、先ほどの町づくりと一緒にというのは、要は、いろいろな部局で避難訓練というのを意味があるものにしていくということだと思うんですね。

 例えば、私は、好きな例に、障害者の方とか高齢者の方がなかなか避難所まで到達できないから、一緒にやってみようと言わずに、まずは、「ひなんさんぽ」といって、地域の人と一緒にお散歩しようからスタートするとか、そこでちゃんとお茶を飲んでお話合いをして、顔の見える関係をつくって。これは実は、要は、福祉と防災を掛け算して、地域の福祉的なコミュニティーづくりにも意味がある形にしているということなんですね。これは福祉部局と防災部局が連携してやっているということなんです。

 私はこれもやはりフェーズフリーの発想だというふうに思いますが、防災だけで何かしようと思うと、備えというのはつらいということになるので、何とかそれを、ほかの、町づくりであるとか社会保障の中であるとか、そこと掛け算して、そこにとっても意味がある、こういう形に変えていかなければいけない。そうすると、そこにとっては意味がある、例えば、参加する人は一緒にお茶が飲めて楽しいとか、違う価値が出てくるわけですね。そういったものを防災庁さんなんかにも後押ししていただきながら取組を進めていく、こういうことが重要なのではないかと思っております。

山田(瑛)委員 ありがとうございます。

 引き続き菅野参考人にお伺いをしたいんですけれども、まさに今おっしゃっていただいたこと、防災の日常化ということだと思います。参考人は、防災という言葉がなくなることイコール防災が当然の営みになるという理念をお持ちということを伺っておりまして、そういった防災の日常化が、本当に、まさに今後、防災庁の役割として、日本の防災の標準の底上げをしていくのが役割だと思っているんです。

 その点におきまして、現状の課題、防災庁がやっていくべきこと、ちょっとお考えがあったら御共有いただければと思います。

菅野参考人 御質問ありがとうございます。

 すごく大きな話で、何を言おうかという形なんですが、やはり防災というのがまだまだ特別な言葉なんですね。特別な言葉ができると、我々はすぐ縦割りで考えたくなるということなんです。要は、防災というのは危機管理の仕事でしょうといってほかの部局が協力しないということが日常茶飯事ということになるわけですね。

 まさに、第一回の国連防災世界会議が行われた横浜市、第二回あたりでできた防災の主流化という言葉を私たちはちょっと取り違えたんじゃないかなと思います。我々がやってきたのは防災の専門化だったんです。むしろ、日常の中のどの部局だって防災に関わるんだからそっちでやってくださいよと。防災というのは本来はそういうふうにやってもらう仕事であって、調整すべき仕事であって、その調整こそが、まさに協働して、いろいろなセクターと、いろいろな省庁と調整して協働することこそが防災庁でしょう、こういう話のはずなんですね。

 だから、重要なことは、防災のものを、別に防災庁だけの仕事じゃないよねと。当然やっていらっしゃるんですね、今も防災業務計画を作られたりとかとやっていらっしゃるんですけれども、日常の中でうまく使っていく。それこそが、フェーズフリーという概念に表れていたりとか、餅は餅屋という、ほかのところにもお願いしますという概念に表れていたり。結果として、何か知らないけれども簡単な災害ぐらいだったら自然と対応ができている、防災の部局が動くことなくという、これが防災という言葉がなくなるということだと思いますので、やはり、どうやって協働していくのか、そこにやってもらうための仕掛けというのを防災庁がしっかりとつくっていくということだというふうに思っています。

山田(瑛)委員 どうもありがとうございました。

 続きまして、阪本参考人にお伺いをさせてください。

 阪本参考人は、減災復興政策研究科というところで御指導されていらっしゃると思います。先週の本委員会におきまして、私よりちょっと質疑をしたことがございます。防災庁設置法案には減災という言葉が使われておらずということで、やはり法律というのは言葉がとても大切で、そこに明示されることによって国民にしっかり伝わるんじゃないかなんという質疑をさせていただきました。政府の整理としましては、防災という今回の概念の中に減災がしっかりと含まれていますよということでございました。

 減災は、災害をゼロにはできないという現実を受け止めた上で災害を最小化するという能動的な発想ですので、その言葉が見えなくなることへの懸念を質疑をさせていただいたんですけれども、減災を研究、御実践されてきた立場から、この防災庁に減災の言葉が使われていないというところ、もしお考えを御共有いただければと思って。よろしくお願いします。

阪本参考人 本研究科の名前も参照していただいて、どうもありがとうございます。

 災害の被害には防ぎ切れないものがあるので、災害対応体制を強くすることによって被害を減らす減災という言葉は、世界的にも使われていて、私自身もとても大切な言葉だと思います。

 一方、防災という言葉は、日本では災害対策基本法ができたときに初めて本格的に使われるようになった、被害を防ぎたいという思いを込めた、大変重みのある言葉だとも感じています。

 今回、防災庁設置に当たって、本気の事前防災という言葉が繰り返し言われてきた中には、減災も含めて本気な事前防災となっています。なのでそこはそのように酌み取りつつ、名前は防災庁なんですが、中に減災の大切さを入れていけるように取り組んでいければなと私自身思っています。

 以上です。

山田(瑛)委員 ありがとうございました。

 では続きまして、石井参考人にお伺いをさせてください。

 被災者の人権、尊厳の維持というところをお訴えされていらっしゃるかと思います。支援の本質は人道支援であり、人間の尊厳の維持と保護の実現が重要だということ、私も大変に共感をいたしております。

 日本の避難所は長らく、体育館の床に雑魚寝が当たり前とされてきました。これは災害だから仕方ないというような空気が社会的にも行政にもしみついているからではないかと思っていて、こういった我慢が美徳となってしまうという背景、例えば、権利として、被災者支援という概念が日本の制度にも文化にも根づいているところが一因としてもあるのではないかなと思っていて、不謹慎という空気が一気にはびこる、そんな感覚も持っています。

 防災庁が設置されるこの機会に、支援は恩恵ではなく権利であるという発想を制度に刻み込むとすれば何が必要とお考えでしょうか。意識の問題なのか制度の問題なのか、その意識の変容を促すために必要なことはどのようなことなのか、お考えをお聞かせください。

石井参考人 またまたとても難しい質問、ありがとうございます。

 日本の人権教育が、文科省のホームページ、皆さん見ていただければ分かるんですけれども、人権は権利であるとうたわれているんですけれども、人権教育になると、自分の人権を守って他者の人権を守りましょうと、思いやり教育にすり替えられています。ですから、人権は権利なんだということを社会全体がコモンセンスとして共通認識しないと、どうしても、我慢させるというか。それはもしかしたら、ふだんの福祉とか生活保護の問題とか、そういったこととも関係するかもしれませんけれども、やはり人権教育というものを根本的に見直していかないと、そもそも災害時にも同じことを繰り返してしまうんじゃないかなというふうに思います。

 以上です。

山田(瑛)委員 どうもありがとうございました。

 続きまして、菅原参考人にお聞きをさせてください。

 子供の学びを止めないために何が必要かというところを是非御共有いただければと思っていて、学校は地域の避難所にもなります。でも、子供たちの学びというものは止めてはいけないというふうには思っております。発災後にこの学びを止めないために実際に機能したことや課題になったことをお聞かせいただければと思っております。

 防災庁が関係省庁と連携をしていくことも必要だと考えておりまして、教育継続支援に関与する仕組みの必要性についても御意見をいただきたく、また、関連して、災害孤児の実態把握とか、支援として有効だったこと、心のケアといったところ、整備すべき部分、そういったところも教えていただければと思います。

菅原参考人 ありがとうございます。

 本市で、東日本大震災においては、学校そのものが被災したところも大変多いし、生徒児童の御家庭も全壊したところが大変多かったので、実際に学校が開始されたのは五月の九日だったと思います。それまでは、学校どころではないということだったと思います。そういうケースだけではないとは思いますけれども、まずは学校を安全なところに建てるということが極めて大事だというふうに思います。

 先ほど、東日本大震災で本市の旧向洋高校が震災遺構になっているということに象徴されますように、津波常襲地帯であっても、本市においてはそういうところに立地していたということがありますので、学校がやはり常に機能できるように安全なところに建てる、そのことが同時に、避難所としても使えるということになると思います。

 あわせて、普通教室については一定程度の時期がたつと授業が行われる可能性がありますけれども、それ以外の特別な教室というのはあるわけですね、図画工作であるとか音楽だとか。そういうところについては、避難所との兼用みたいなことが速やかに行われるような仕組みづくりというか、考え方というものが必要になってくるのかなというふうに思います。

 あとは、子供たちにとってみれば、実は、人生の中では大変大きな学びの時間になると思います。本市において、気仙沼小学校というところで子供たちが自主的に何を始めたかというと、壁新聞を作る。ファイト新聞というんですね。子供たちが自分で新聞を作ることによって、そのことを見た大人たちが、自分たちが頑張らなくてはいけない、しっかりしなくてはいけないということに気づかされたということがありました。

 あとは、学校の継続という意味では、被災していない学校との連携によって、教室を移動させるとか、そういうような様々なアレンジメントはできるのではないかなというふうに思ったところです。

 あとは、実際に御両親が被害に遭われた、犠牲者になられた御家庭につきましては、物すごく多くの数ではありませんので、実際、フォローもしておりましたし、様々な支援の手が十分に金銭面では入ってきているというふうに感じておりますが、その心のケアというところまでいくと、しっかりとした仕組みの中で十分できたかということにつきましては検証が必要だなというふうに思っておりますので、そのことについては、先ほど来のお話のように、子供の権利、人権というものを最大限尊重した対応がこれからも必要だというふうに考えております。

山田(瑛)委員 それぞれ、御意見ありがとうございました。

 終わります。

関委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、来る五月十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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