衆議院

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第3号 令和7年5月29日(木曜日)

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令和七年五月二十九日(木曜日)

    午後一時六分開議

 出席委員

   委員長 逢坂 誠二君

   理事 國場幸之助君 理事 島尻安伊子君

   理事 鈴木 貴子君 理事 新垣 邦男君

   理事 川内 博史君 理事 屋良 朝博君

   理事 藤巻 健太君 理事 許斐亮太郎君

      上田 英俊君    小池 正昭君

      小林 鷹之君    鈴木 隼人君

      高木  啓君    西銘恒三郎君

      広瀬  建君    福田かおる君

      向山  淳君    若山 慎司君

      東  克哉君    市來 伴子君

      川原田英世君    篠田奈保子君

      杉村 慎治君    西川 将人君

      松木けんこう君    高橋 英明君

      深作ヘスス君    吉田 宣弘君

      山川  仁君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         岩屋  毅君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当) 伊東 良孝君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   水野  敦君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  齊藤  馨君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           原  典久君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        礒部 哲郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 門脇 仁一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田口精一郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中澤 正彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           橋爪  淳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       今村 聡子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           平中 隆司君

   政府参考人

   (農林水産省農産局農産政策部長)         山口潤一郎君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  魚谷 敏紀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           木村  大君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         安部  賢君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       井崎 信也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 岡野まさ子君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            長崎 敏志君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  服部 真樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 奥田  健君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           小野 功雄君

   衆議院調査局第一特別調査室長           松本 邦義君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  西銘恒三郎君     高木  啓君

  向山  淳君     福田かおる君

  川原田英世君     東  克哉君

  篠田奈保子君     市來 伴子君

  松木けんこう君    杉村 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     西銘恒三郎君

  福田かおる君     小池 正昭君

  東  克哉君     川原田英世君

  市來 伴子君     篠田奈保子君

  杉村 慎治君     松木けんこう君

同日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     向山  淳君

    ―――――――――――――

五月二十二日

 北方領土返還促進に関する請願(鈴木貴子君外六名紹介)(第一三一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 沖縄及び北方問題に関する件


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     ――――◇―――――

逢坂委員長 これより会議を開きます。

 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官水野敦君、内閣府沖縄振興局長齊藤馨君、内閣府北方対策本部審議官原典久君、警察庁長官官房審議官大濱健志君、出入国在留管理庁出入国管理部長礒部哲郎君、外務省大臣官房審議官熊谷直樹君、外務省大臣官房参事官門脇仁一君、外務省大臣官房参事官田口精一郎君、財務省大臣官房審議官中澤正彦君、文部科学省大臣官房審議官橋爪淳君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官今村聡子君、厚生労働省大臣官房審議官宮本直樹君、厚生労働省大臣官房審議官岡本利久君、農林水産省大臣官房参事官平中隆司君、農林水産省農産局農産政策部長山口潤一郎君、水産庁資源管理部長魚谷敏紀君、国土交通省大臣官房審議官木村大君、国土交通省大臣官房技術参事官安部賢君、国土交通省水管理・国土保全局次長井崎信也君、国土交通省道路局次長佐々木俊一君、国土交通省鉄道局次長岡野まさ子君、観光庁観光地域振興部長長崎敏志君、海上保安庁総務部長服部真樹君、環境省大臣官房審議官飯田博文君、防衛省大臣官房審議官奥田健君、防衛省統合幕僚監部総括官小野功雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

逢坂委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。國場幸之助君。

國場委員 質問の機会をありがとうございます。

 今年は、戦後八十年の重要な節目でもあります。戦争体験者の記憶から、いかに記録に継承、つなげていくのか、極めて大切な時期に来ていると思います。

 まず冒頭に、慰霊碑、慰霊塔についてお尋ねをしたいと思います。

 今、沖縄県内では、把握できる範囲で四百四十二の慰霊碑、慰霊塔がありますけれども、これは、一般住民の九万四千人もの犠牲者を出し、また、県出身の軍人軍属を含めると四人に一人が貴い命を失った大変な地上戦がありました。しかし、今、遺族の高齢化等で、慰霊碑、慰霊塔の維持が極めて困難になってきております。

 厚生労働省の支援策では、年間一千万円の予算で、自治体が慰霊碑、慰霊塔を移設、撤去、補修する場合に、費用の半額、上限五十万円だったかと思いますけれども、それを補助する制度を創設しておりますが、様々な要件が厳しいということもあり、活用が極めて限定的です。

 本来は、遺族の方々が維持管理をし、慰霊祭また鎮魂を継続し、後世に伝えていくべきだと思いますけれども、高齢化等の様々な課題があり、担い手がいなくなっているという深刻な課題に直面をしております。

 従来の支援策をどのように総括し、今後どのように慰霊碑、慰霊塔を守っていくのか、改善していくのか。特に地上戦のあった沖縄県内の慰霊碑、慰霊塔への支援をどのように考えているのかについて、答弁をお願いします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 戦後八十年を迎える中、さきの大戦に関する記憶を継承し、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝えていく上で、御遺族あるいは戦友の方が建立した慰霊碑が適切に維持管理されていくことは重要であるというふうに考えております。

 厚生労働省としましては、先ほど先生から御指摘ありましたような慰霊碑に関する補助事業を実施してまいっているということではございますが、令和七年度におきましては、委託事業によりまして、全国の国内民間建立慰霊碑の管理状況などを確認する調査を行うということにしております。

 その際には、慰霊碑の状態のほか、慰霊碑での追悼式とか慰霊祭、あるいは地域の平和学習への活用状況といったこと、それから、建立者から、今後、慰霊碑を現状維持していくのか、あるいは補修や移設等々、こういった御意向の有無なども伺うことを検討しているということでございます。この調査結果あるいは関係者の御意見も伺いながら、沖縄県も含めて自治体とも連携して、適切な維持管理について必要な取組を検討していきたいということでございます。

 あわせまして、記憶の継承の活動自体ということも大切なことかと思っております。慰霊碑の補修とかということとは別に、各地域の教育現場などでの語り部などの活動を支援する平和の語り部事業というものの予算を今年度は大幅に増額をさせていただいております。こうした取組も併せて、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

國場委員 三百十万人もの貴い命を失ったさきの大戦を風化させることなく、国家的責務でありますので、使命感を持ってしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、沖縄県の農林水産物の条件不利性解消事業についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、沖縄の地理的不利性から生じる農林水産物の物流コスト、沖縄から県外に出す、具体的には沖縄県から鹿児島までの輸送コストへの支援策であり、非常に意義のある取組であると考えております。今の経済対策の本丸は、物価高対応、ここに尽きます。

 有人国境離島法や、沖縄県は対象ではありませんけれども離島振興法には、島の外から島に入ってくる輸送費を支援する、原材料の移入や仕入れに要するコストを支援する制度があります。しかし、沖縄振興特別措置法には、沖縄から県外に出す不利性解消事業はありますが、県外から沖縄に仕入れる輸送費支援策はありません。

 そこで、質問です。昨今の経済状況を踏まえ、また、島嶼県というこの条件不利性というものは今後何年たっても沖縄県は変わりません。有人国境離島法や離島振興法にある、外から入ってくる農林水産物や様々な物資に対して支援するような輸送制度は沖縄県も持つことができないのか、そのことについて水野政策統括官にお尋ねをします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 沖縄における農林水産物など輸送条件の不利性解消は重要な課題と認識してございます。

 今委員からも御指摘ございましたが、令和七年度予算におきましては、地元農業関係団体からも輸送条件の不利性を解消する施策の着実な実施について強い要望をいただいたということも踏まえまして、指摘のあった農林水産物の県外への輸送費の負担軽減のための事業につきまして、国の個別補助事業として実施することとしまして、必要な財源を確保したところでございます。

 委員御指摘の移入コストの負担軽減策につきましては、まずは沖縄県等の関係者のお話をしっかりと伺いながら、対応状況等の把握にしっかり努めてまいりたいと考えてございます。

國場委員 何か余りにもあっさりとした答弁でありましたけれども。

 沖縄は、先月の消費者物価指数を見ても明らかなんですが、全国で最も高いんです。ちなみに、沖縄県の最も高い個別品目は、食料、米、牛乳・乳製品、住宅設備維持費、自動車、家事用消耗品、保健医療費、石けん、化粧品等、これは全部沖縄県が最も高いです。また、沖縄の食料自給率は三四%なんですが、これはサトウキビが中心の産業ですからカロリーベースで高く出ているんですけれども、実際の食生活とは乖離があると思いますし、また、エネルギーの自給率は三%もありません。

 食料もエネルギーも沖縄県外に依存せざるを得ない、必然的に厳しい状況にありますから、これは有人国境離島法とか離島振興法には存在している制度でもありますので、県との調整云々ではなくて、沖縄振興というものは国家戦略です、いかにして沖縄の発展、振興に臨んでいくのか。それを政府としても問題意識を持って、むしろ、ほかの離島にはこういう制度があるんだから、沖縄県、どうですか、一緒に考えませんかと呼びかけをいただきたいんですが、水野政策統括官の決意表明をお願いします。

水野政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、今委員御指摘の移入コストの負担軽減策については、有人国境離島あるいは離島振興の予算ではあるということも今日お聞きしましたので、またしっかりと県の方にも、今日の審議の模様もお伝えしながら、現状どうなっているのかということもまたしっかりお伺いしながら対応状況を検討してまいりたいと思います。

 以上です。

國場委員 是非しっかりと話をしていただきたいと思います。

 あと、伊東大臣に最後にお尋ねをしたいと思いますが、沖縄振興というものは、沖縄の発展が日本全体の活力をつくっていくんだ、日本とアジアの懸け橋としての役割、そしてまた沖縄の経済成長というものが日本のイノベーションをつくっていく、そういう大変重要な役割を担っていると思います。

 沖縄振興は国家戦略であるということを踏まえて、伊東大臣からの決意というか、今の議論を踏まえた上での御発言をお願いします。

伊東国務大臣 國場委員の御質問にお答えしてまいります。

 沖縄振興策を国家戦略として総合的に推進する旨は昨年の骨太方針二〇二四にも明記されているところでありまして、沖縄振興が国家戦略であることは論をまたないと考えております。

 また、沖縄の経済界や那覇市、浦添市、宜野湾市による推進協議会による構想、ゲートウェー二〇五〇、GW二〇五〇プロジェクトにつきましては、本年五月にグランドデザインが公表されるなど大変意義深い取組であると考えており、内閣府では、沖縄振興特定事業推進費民間補助金で調査検討に係る支援を行っているところであります。

 様々なインフラ整備を進める上で必要な体制整備につきまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

國場委員 総合事務局の体制強化も含めて、しっかりとよろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

逢坂委員長 次に、川原田英世君。

川原田委員 立憲民主党の川原田英世です。

 主に、北方問題に関して質問させていただきたいと思います。

 私は北海道の網走の生まれでして、子供の頃は町の中にロシア人がたくさんいて経済活動も行われていました。

 思い出に残っているのは、多分小学校二年生ぐらいのときだったと思いますが、学校に行くと同級生の子供が泣いていまして、話を聞くと、自分の父親が拿捕されてしまったということで、そのとき、拿捕って何だろうと思いながら、非常に近いところに異国があるということをリアルに感じながら子供の頃を過ごしてきたところであります。

 ということで、漁業に関する課題から何点か伺っていきたいというふうに思っています。

 資料でもお配りをさせていただいたんですが、今、オホーツク海で違法に設置された漁具というのが大変多くあります。設置されているところは大和堆、日本各地に大和堆がありますが、北見大和堆と言われるところで、非常に水産資源が豊富なところであります。そこに仕掛けられているわけですけれども、非常に巧妙で、海面からは見えないようにちゃんと海の中に隠しているんですね。隠していて、何を使っているのか分からないですけれども、特定をしながらやっていく。だから、上を走っている船からは全く分からないわけでして、様々な問題が起きているなというふうに思っているところですけれども、まずは、このことの現状をどのように認識しているのか、お伺いしたいと思います。

魚谷政府参考人 お答えいたします。

 オホーツク海では、水産庁の漁業取締り船が、航行する外国船舶、これは便宜置籍船ということになるかと思いますが、そういった船舶の航行を確認しておりまして、水産庁といたしましては、これらの船舶が我が国排他的経済水域内にカニ籠、漁具を違法に設置している可能性が高いと考えております。

 また、関係する漁業者の皆さんからは、これらの漁具が操業の妨げになっているという声が出ていると認識しております。

川原田委員 認識は同じくしていただいているということで、結構大きな問題だと僕は思っています。

 では、これは一体どこの国の船籍が、どこの漁業者がやっているのかちゃんと特定できないとなかなか対策が難しいというふうに思うんですけれども、そこら辺は今どうなっているのか、伺います。

魚谷政府参考人 お答え申し上げます。

 違法操業が疑われる船舶につきましては、そういった船籍を偽装している可能性、あるいは二重三重の国籍になっている可能性も排除されないと考えておりますので、この場でどういう国の船籍であるということをお答えするのは差し控えさせていただければと思います。

川原田委員 なかなか特定するのは難しいということでありますけれども、ただ、いずれにしても、日本とロシアとの間にある、日本側にありますけれども、そういった地域での違法な漁業が行われているということですので、ここについてはしっかりとロシア側と話し合って情報共有をしておく、こういったことがあるんだということをしっかりと共通認識として持っておく必要があると思うんですが、この件についてロシア側としっかりそういった点を話し合っているのか、お伺いします。

田口政府参考人 御答弁申し上げます。

 今委員から御指摘もあり、また水産庁からも答弁がありましたとおり、オホーツク海におきまして、外国人が違法に設置したと見られる漁具が発見、押収される事例が発生しているということを私どもも承知しております。

 こういった問題も含め、違法操業をめぐる問題につきましては、関係省庁から提供された情報も踏まえつつ、関係省庁とともに、ロシア側との間でも協議を実施し、問題認識を共有するとともに、必要な対策について議論を重ねてきているところでございます。

 外務省としては、引き続き関係省庁とも連携しつつ適切に対応していきたい、このように考えております。

川原田委員 是非適切に対応していただきたいというふうに思うところです。

 先ほど海面の下に隠して仕掛けをやっているので分からないという話をしましたけれども、これによって漁業被害というのが結構起きていて、例えば底引き船とかかけまわしだとかいろいろな船がありますけれども、絡まっちゃうわけですよね。朝出て、絡まっちゃうともう漁業はできませんから、そのまま引き返してきて、それを取るのが物すごく大変、絡まっちゃっていますからね。

 そういったところで、本当に漁業者にとっては、絡まったらその網も使えなくなるかもしれない、そうなると、一千万単位の損失もある、その日は操業が当然できない。いろいろなところで被害、これは結構大きいんです。

 隠れてやっているわけですから明らかに悪質なんですけれども、そういったところで漁業者が被害を受けているということに対して何らかの手だてというのはできないものなのかというふうに思うんですけれども、その点、伺いたいと思います。

魚谷政府参考人 お答え申し上げます。

 水産庁としましては、オホーツク海域に漁業取締り船、取締り航空機を派遣しまして、外国船舶が違法操業を行わないよう監視、取締り活動を行うとともに、違法に設置された漁具の捜索を積極的に行い、これが発見された場合には押収をしております。こういった捜索、押収については、漁業者の被害の軽減にも資するものと考えているところです。

 その上で、違法漁具が網に絡まったことに伴い操業を中断せざるを得なくなるなど、結果として一定以上の減収が生じた場合には、漁業共済、あと漁業収入安定対策事業、いわゆる積立ぷらすによりその減収を補填することが可能となっております。

川原田委員 分かりました。対象となるということで、確認させていただきました。ありがとうございます。

 やはり、特定しないといけないと思いますし、そういった悪質な漁業者の取締りをしっかりやらなくちゃいけないというふうに思っていますので、その強化は今御答弁いただいたとおりなんですけれども、仮にそういった漁業者を発見した場合、そういった日本ではない漁業者が違法に網を仕掛けている最中を発見した場合、対策は取れる状況にあるのか、その点、お答えできればお伺いしたいんです。

魚谷政府参考人 お答え申し上げます。

 そういった船舶が現場の海域で違法に操業をやっているという現場を現認した場合については、これは無許可操業ということになりますので、法に従ってしかるべく処分に向けて対応していくということになります。

川原田委員 分かりました。

 対処するというのは分かるんですけれども、対処できる体制が現地にちゃんとあるのかということも含めて、これは今後の課題としてしっかりと確認をして取組を進めていただきたいというふうに思います。

 次は、オホーツク海をちょっと南側に行きまして、根室海峡におけるロシアのトロール船の操業についてお伺いをしたいというふうに思います。

 これは、現地からも要望活動などはあるんだというふうに思っています。余りにも極端な底引き船による操業、これは双方にとってもよろしいことではないと思います。海は一つですから、その一つの海に対して、乱獲につながってしまっているという状況は、持続可能な漁業をこれからの将来残していくためにも、双方にとって極めてよくない状況になってしまっているんだというふうに思います。

 そこで、今なかなかロシア側と外交というのが難しいということは理解しますけれども、しっかりとした漁業の見地を持って外交をしていただきたいというふうに思うわけです。現状どのようになっているのかと認識をお伺いしたいと思います。

魚谷政府参考人 お答え申し上げます。

 根室海峡におけるロシア連邦トロール漁船の操業につきましては、これまでも、ロシア側に対しまして、資源管理の重要性やトロール漁船の操業抑制を含めた必要な措置を取ることにつきまして、繰り返し申入れを行ってきているところであります。

 ロシアによるウクライナ侵略により日ロ関係は厳しい状況にありますが、引き続き外務省と連携をしながら、ロシア側に対して根室海峡の資源管理が双方にとって重要であることを粘り強く主張していきたいと考えているところでございます。

川原田委員 分かりました。

 水産庁からもそういった話がありましたけれども、外務省としてはそれを受けてどのように取り組んでいるのか、確認します。

田口政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘のありましたロシアのトロール漁船の操業から生じる問題につきましては、地元の皆様から累次にわたり御指摘をいただいているということについては、外務省としても認識しているところでございます。

 このような操業は、また、根室海峡ということでございまして、北方領土周辺海水域でございまして、そもそも北方四島に関する我が国の立場に反するもの、このように認識しておりますが、その上で、さらに、ロシア側に対して、累次にわたり資源管理の重要性を訴えつつ適切な操業を行うよう申入れを行ってきているところでございます。

 引き続きロシア側に対して粘り強く働きかけていきたい、このように考えております。

川原田委員 お願いします。これは粘り強さというのが大事ですし、漁業者の知見、そして国際的な漁業におけるルールというものも利用しながら、しっかりとした正論で議論をしていくことが必要だというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次に、北方領土問題についての広報啓発活動について伺っていきたいというふうに思うんです。

 この前も、多くの署名が提出をされました。私も、署名活動を昔から青年会議所などでやっていまして、取組をしてきたところです。多くの署名が集まって、国民の意思が表れたというふうに私も思っているんですが、どうも近年、私が余りテレビを見ていないからなのかもしれませんけれども、余り報道されなくなってきているのじゃないかなというふうに受け止めてしまいます。それは新聞を読んでいてもそうなんですけれども、どうもこれまでのように取扱いが、枠がちっちゃくなってきているというか、そういった側面が見られるんじゃないかというふうに思っていて、それはとても署名活動に取り組む人間の一人としても悲しいことだなというふうに思っているんですが、この点についてどのような認識を持たれているのか、お伺いします。

伊東国務大臣 川原田委員の御質問にお答えいたします。

 私も全くマスコミの扱いを含めて同感であります。四島交流等事業が、ビザなし交流も、自由訪問、墓参、こうしたものが全部ストップしているという関係も恐らくあるのだろうと思いますけれども、それだけにマスコミに載る機会が減ってきている、このように思います。これは、北方領土問題に対する国民の関心が薄れかねない、こう思うところでありまして、懸念をいたしているところであります。

 そのため、多くの国民、とりわけ次代を担う若い世代の関心を喚起し、理解を促進していくことが重要であると考えておりまして、これまでもSNS等を活用した情報発信などに取り組んできたところであります。

 ビザなし交流や洋上慰霊等で使用しております船舶「えとぴりか」、これを啓発事業に活用することが重要と考えております。これは、今まで何回も使っていたものが、交流事業が停滞しているものでありますから停泊していて、本当に宝の持ち腐れ状態になっているところであります。

 そこで、来月二十八日、二十九日には、万博会場の近くの大阪港で「えとぴりか」の一般公開を行うことといたしております。大阪・関西万博に大勢の方が来訪する機会を捉えまして万博会場近くでこうした取組を行うことにより、多くの方に北方領土問題について関心を持っていただくきっかけになればいいなと考えているところであります。

 今後とも、報道などを通じまして、多くの方々に北方領土問題について関心を持っていただける取組を行ってまいる予定であります。

川原田委員 お願いします。

 それと同時に、八十年という節目でもありますので、様々なものを通じながら報道の目に触れる機会を創出していくことが必要だというふうに思っています。

 今の万博もそうですけれども、あらゆるところでスポットが当たるような取組が重要なんじゃないかなというふうに思うんですが、八十年に合わせて何か取組を行う予定なのか、お伺いします。

伊東国務大臣 戦後八十年となる本年に行う広報啓発活動につきましては、令和七年度政府予算におきまして、戦後八十年節目啓発事業開催費を盛り込んだところであります。

 同事業では、特に若年層を対象にいたしまして、北方領土に関する啓発パネル等の展示、リーフレットの配布、ステージイベント等を行い、北方領土問題への正しい理解を深め、今後の返還要求運動への参画を促すことを予定いたしております。現在、実施団体であります北対協におきまして、事業実施に向けた手続を進めていると承知をいたしております。

 内閣府といたしましても、戦後八十年の節目の啓発事業を、一人でも多くの方に北方領土問題について考えていただく機会にしたいと考えているところであります。

川原田委員 そういった取組を是非進めていただきたいというふうに思います。

 しかしながら、八十年の時の流れというのは残酷で、どんどんどんどんと北方領土の問題が風化されていく、特に若い世代の中で風化されていくという懸念をすごく強く僕は持っているところであります。

 署名活動をしていると、こんなことを言われました。やって何の意味があるのと言われたのが一つです。大変残念でありました。それと、返ってきて一体僕らに何のメリットがあるんですかということを問う若者の方がおりました。そういう認識があるんだなというふうに思ったところです。

 考えてみると、僕も取り組んできた署名問題にしても、八十年前を基点として、そのことをベースにしてどうしても話をするものですから、時間とともに風化するということと当事者がどんどんどんどん減っていくということ、避けられない現実がどうしてもあるわけです。そういった中で、今を生きる若い世代、これからを生きる方たちにどうやって当事者意識を持ってもらうのか。

 この問題を知ってもらうということはもちろんそうなんですけれども、戻ってくることによってどうなるのかだとか、そういった別の側面でもしっかりと当事者になってもらうということがこれから私はすごく必要なんだと思うんです。なかなか、そう言っても、自分自身でもそう思いながらも、では何があるんだろうと思うと非常に悩むところなんですけれども。

 ただ、今のままでは時の流れを止めることはできない。では、今この現時点からもっと多くの方にこの問題を共有して、そして次の世代にバトンタッチさせるために、当事者になってもらうための何か新しいことをしなくちゃならないときが今なんだと思うんです。その点について、大臣にお伺いしたいと思います。

伊東国務大臣 実は私も先生と同様に毎年署名活動をやっているところでありまして、おっしゃられている思いは一緒であります。

 近年、北方領土問題に関する世論調査をいたしまして、それによりますと、北方領土問題の認知度につきましては若年層において相対的に低い傾向にありまして、このような結果を踏まえますと、特に若い世代に関心を持っていただき、理解を促進していくことが非常に重要であると考えております。

 その際、北方領土をじかに見たり元島民の方々から直接話を聞いたりすることが、若い世代が北方領土問題を自分のこととして考えることになるきっかけになる、こう思うわけであります。

 このため、内閣府におきましては、四島交流事業の使用船舶「えとぴりか」を利用した学生による洋上視察や、あるいはまた北方領土隣接地域への修学旅行の誘致など、若い世代の正しい理解と関心につながるための働きかけを重点的に進めているところであります。

 また、先ほども述べましたが、来月二十八、二十九日には、万博会場の近くの大阪港でこの「えとぴりか」の一般公開を行うこととしております。子供たちを含め一人でも多くの方にお越しいただき、北方領土問題について理解を深め、関心を持っていただきたいと考えているところであります。引き続き国民世論の啓発等に着実に取り組んでまいりたいと思います。

 「えとぴりか」で私も択捉などへ行ったこともあるんですけれども、たくさんの人数、八十人、百人乗れる船でありますし、中で資料の展示や説明、あるいはビデオなどを含めて、子供たち、あるいは全国各地の県民会議の皆さんにこれを供することによって、更に関心が高まり運動に力が入るのかなという、そんな期待をしているところであります。

川原田委員 確かにそのとおりで、いろいろな形で若い人たちに訴えていくということが必要だと思います。それと同時に、若い人たちが問題認識を持ってくれないというのは、一方では、日本に生まれてよかったですかとかというアンケートだと、そうではないという答えが多かったりだとか、そういった中で、日本固有の領土だ、守らなくちゃならないと言ってもなかなか若い人たちには届かない。いろいろな意味で、政治の信頼とかも含めて私はこれは大きな課題だというふうに思っていますが、より多くのアイデアを出し合いながら、どうやったら若い人たちに当事者意識を持ってもらえるのか、これからもより議論をしていきたいなというふうに思っています。

 残り時間も少なくなってきたので、外交について伺いたいというふうに思います。

 ウクライナ以降、どの報道を見ても、外交について非常に厳しい状況にあるということは誰もが認識をしているところだと思います。でも、だからこそ私は外交が重要だと思っていて、仲のいい国と外交、それも必要なんですけれども、それ以上に、問題があるからこそ外交をするわけであって、問題をする相手であるからこそ、しっかりとこっちから積極的な外交努力を続けるべきだというふうに思っていますけれども、その点についての認識をまずお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。難しい状況だからこそ、外交の必要性があると考えております。

 しかし、御案内のとおり、ロシアのウクライナへの侵略はまだ続いておりますし、我が方は制裁をかけている。私もロシアの制裁対象になっておりますけれども。

 外交関係はそういう厳しい状況にありますけれども、委員が今おっしゃったように、漁業でありますとか、あるいは北方四島交流、特に北方墓参、こういう事業は是非再開をさせなければいけないと思っておりまして、パイプはしっかりつないで、対話は重ねる必要があると考えているところでございます。

 外相レベルの接触はあえて今しておりませんけれども、それ以外においては、こういった課題の解決に向けて、対話はしっかりと重ねて、一つずつ答えを出していけるように、今後とも最大限の努力をしてまいりたいと思います。

川原田委員 お願いいたします。

 外交といっても様々な外交があると思っていますが、私はその中で、これまでなかなかできてこなかった樺太、千島での遺骨の収集事業、これを一つの外交としてしっかりやっていく必要があるのではないかというふうに思うわけですね。そこには当然両方の多くの遺体がそのまま眠っておられるということで、こういったことは、ある意味平和的な外交の手段として積極的に呼びかけていくということが私は必要だと思うんですが、それについてのお考えを伺います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 戦没者の遺骨収集につきましては、遺骨収集推進法に基づきまして、令和十一年度までの集中実施期間に一柱でも多くの御遺骨を収集できるように取組を進めているというところでございます。

 樺太、千島におきます遺骨収集事業につきましては、ロシアによるウクライナ侵略を受け、現時点において直ちに事業を実施することが困難な状況ではございますが、今後、事業実施が可能となった段階で速やかに再開できるように、また、その際には一日も早い御遺骨の御帰還ができるように、引き続き、外務省等と連携し、しっかり対応してまいりたいというふうに考えております。

川原田委員 しっかりと進めていただきたいと思います。これも途切れなく、しっかりと進めていただきたい。もう八十年という月日でありますので。

 持ち時間が終わりましたのでこれで終わりますけれども、先ほどもあったように、ウクライナの状況があって、我が国も制裁をしている状況です。ただ、私の地元は、そういった中でロシアからの観光船が来たりしているわけですね、民間外交は行われている。そして、そういった中ででも、制裁しているんだからうちの地元では余りおつき合いできないよねというふうになって、ちょっと皆さん悩んでいるところがあります。

逢坂委員長 川原田君、質疑時間が過ぎております。

川原田委員 はい。なので、そういったところも取組を是非していただきたいとお願いして、私の質問を終わります。

逢坂委員長 次に、屋良朝博君。

屋良委員 立憲民主党の屋良でございます。

 委員長、両大臣、よろしくお願いいたします。

 本日は、沖縄振興体制の在り方について質疑をさせていただきたいと思っております。

 今年二月の衆議院予算委員会第一分科会で、政府参考人から、令和四年度からハード交付金が減額されたことについて、財政当局から、沖縄県は、他の自治体においては国からの補助金によらず地方単独事業により実施していると考えられる事業を一括交付金により実施しているなどの厳しい指摘を受けましたという答弁をいただきました。

 それをベースに質疑をさせていただきたいのですけれども、まず、沖縄県は大体毎年七百億円ぐらいのハード交付金を要望しておりますけれども、概算要求段階でほぼほぼ半分に削られます。財政当局が単独事業で実施できるとする予算規模は削られている半分に相当するのかどうか、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。よろしくお願いします。

伊東国務大臣 屋良先生の御質問にお答えしてまいります。

 ハード交付金、沖縄振興公共投資交付金は、県が自主的な選択に基づき実施する事業を推進するものであり、厳密な積み上げにはなじまない性質の交付金である、このように解釈をしております。

 また、内閣府としては、第六次沖縄振興計画が開始をいたしました令和四年度以降、沖縄県や市町村が前年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするとの考え方を踏まえつつ、厳しい財政事情の中、所要額を確保してきたものというふうに認識しております。

屋良委員 ですから、財務省の御指摘は、沖縄県もほかの自治体と同じように普通に要求して、そして予算を編成していけばいいんじゃないですかというふうな指摘を受けたので、概算要求に、積み上げにもなじまないというような答弁をいただいたと記憶しております。

 この財務当局からの指摘というのは、例えば、地方債によって財源を調達して自治体の単独事業を拡大しても、元利償還金の一部が地方交付税の基準財政需要額に組み込まれて交付税で措置されるので同じじゃないですか、ほかの県がやっているようなもの、このようにやっているというふうな御指摘だったと私はそのとき理解したんですけれども、財務省の指摘というのはそのような趣旨で受け止めてよろしいんでしょうか。

伊東国務大臣 御指摘いただきました政府参考人の当時の発言は、本年二月の衆議院予算委員会第一分科会において令和四年度の一括交付金が前年度と比べて減少した経緯を御説明した際に申し上げたものであります。

 そのときの答弁でありますけれども、改めて申し上げますと、当時、一括交付金につきましては、財務当局から、沖縄県は、他の自治体においては国からの補助金によらず地方単独事業により実施していると考える事業を一括交付金により実施している等の厳しい指摘を受けていたところであります。そういう答弁をしたものでありまして、財務当局からの指摘内容を申し上げたものであります。

屋良委員 繰り返しになりますけれども、だから、財務当局は、一括交付金も一括計上の中に入れなくても、普通の、普通のというか、ほかの県のように予算要求して、それで起債をするなり地方債を立てて事業展開するのもあるんだけれども、それも内閣府の一括交付金の中に組み込んでいるので、それは予算要求にはなじみませんよというふうに財務当局から言われたというふうな理解をしているんです。

 確認ですけれども、そのような御指摘だった、財務省からの指摘だったよというふうに理解してよろしいんでしょうか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣が答弁されたのは、本年二月の分科会で、財務当局から令和四年度のときにこういう厳しい指摘を受けたものだということで答弁したものだということを今大臣は答弁されたということでございます。

 今、屋良委員の方から、財務当局の指摘の趣旨ということだと思うんですけれども、財務当局からは、他の都道府県では、それこそ起債等、あるいは県単費でやっている事業もたくさんありますよということで、沖縄県は、もちろん単費もあるし起債するものもあるし一括交付金を使うものもある、手段がほかの都道府県と比べて一つ多いということで、そこが仮に減ったからといってまだほかに手段が、起債であるとか単費とかそういう手段がございますよねということで、そういう厳しい指摘を予算編成過程の中で受けていたということでございます。

 もう一つ、積み上げにはなじまないというところは、これは財務当局の指摘とはまた別の話でございまして、結局、一括交付金というのは、県あるいは市町村の裁量で使途を決めていくものでございまして、なので、八月あるいは十二月の予算案を決めるときには国の方であらかじめ、県が何に使うか、市町村が何に使うかというのは全く決まっていないわけです、だから、この事業、この事業といって一個一個積み上げるというものにはなじまないということで申し上げているものでございまして、財務当局の指摘とこの問題は直接は関係ないということでございます。

 済みません、長くなりました。

屋良委員 答弁ありがとうございます。

 とすれば、予算計上の方式を、内閣府の一括計上にこだわらず、他県と同じようなこと、同じような方式とすることを財務省も求めて、そして内閣府もそれに同意したので一括交付金のハード交付金は要求額の半分に削られているというふうな認識でよろしいんでしょうか。お願いします。

伊東国務大臣 ハード交付金につきましては、県が自主的な選択に基づき推進するものであり、厳密な積み上げにはなじまないと今答弁したとおりであります。

 内閣府といたしましては、第六次沖縄振興計画が開始をいたしました令和四年度以降、沖縄県や市町村が前年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするとの考え方を踏まえつつ、厳しい財政事情の中でありますが、所要額を確保してきたものであります。

屋良委員 私の質問は、一括計上にこだわらなくていいんじゃないのと財務当局が言っていたということで、厳しい指摘を受けていると。沖縄県は、一括交付金の中に、あるいは一括計上の中に他府県では県単費、県単事業としてやっているのも含まれているので、それはちょっと厳しく、優先順位を決めて予算要求すればよかったんじゃないですかというふうなことを言われているので、予算を半分に削らざるを得なかったというような現状なのかなと思っていたんですけれども。

 例えば、それが財務省が意図するものであったというふうなことであるのかどうかということを、内閣府はどのように御認識されているのかということを、もう一度、大臣、教えてください。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 他の県では単独事業で実施をしているものも含まれているのではないかという指摘に関しましては、要は、その部分に関しましてはそれぞれ単費で対応ができるのではないかというふうな御指摘、厳しい御指摘でございまして、一括計上以外の、別の予算を要求せよというふうな趣旨でおっしゃっていたわけではないということでございます。

屋良委員 そうすると、ほかに方法はあるんでしょうか。

 沖縄県は七百億要求しているんだけれども、それが三百五十億ぐらいの概算要求になってしまっているというので、沖縄県は、毎年毎年、夏の時期になると予算確保をお願いし、年末になると各省庁を回り各政党を回り予算要求をお願いしているんだけれども、なかなかそれが増えないというか、要望どおりにならない。そうしたら、県単費でやりなさいというふうに財務省に言われたので、そういうような厳しい指摘を受けていますということが現状ですというふうなことを政府参考人は委員会で御発言されたんです。

 とすれば、一括計上に頼らずやったらどうですかというふうに言われた、なので、そこにシフトしていったらどうですかというふうなことを内閣府が考えているのであれば、そこにシフトしていくような流れというのはありじゃないのかなと私は思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

水野政府参考人 失礼いたします。まず私の方からお答えをさせていただきます。

 財務当局の指摘は、若干繰り返しになってしまうかもしれませんが、他の都道府県が県単費とか起債をするような形で行っている事業が、一括交付金でないとできないというふうに沖縄県は言っているけれども、いや、ほかの道もあるんじゃないですかということ、そういうことで指摘を受けているということです。

 それで、今、いわゆる沖縄振興予算の一括計上方式というのは、他の公共事業でも一旦内閣府の予算でやってそれを各事業官庁に移替えして事業を執行してもらうということなんですが、その一括計上をもうやめてもいいではないかということまで財務当局は言っているわけではないし、我々もそれを求めているわけではないということだけ申し上げておきたいと思います。

伊東国務大臣 では、私の方からは補足でありますけれども、沖縄振興予算につきましては、特別措置法の趣旨も踏まえまして、県を始め地元関係者の御要望等も幅広くお伺いした上で、国として考える必要額を積み上げたものであります。

 一括交付金につきましては、地元自治体が、地域の実情に即し、自主的な選択に基づいて様々な事業を実施することが可能な予算であります。

 なお、令和七年度の沖縄振興予算につきましては、玉城沖縄県知事を始め沖縄県市長会、町村会の方からも直接感謝の言葉をいただいたところでもありまして、こうした現状に鑑みれば、今の沖縄振興体制や予算につきまして抜本的な見直しを行う状況にあるとは考えておりません。

 いずれにせよ、地元の声をしっかり伺いながら、沖縄振興予算あるいは税制等を活用し、沖縄振興を国家戦略として総合的、積極的に推進してまいる所存であります。

屋良委員 財務当局は、一括計上に頼らずとも、県単でやってもできる事業があるというふうな御指摘があったということが私の質問のベースにあるんですけれども。そういうふうに政府参考人は答えていたので。その一括計上と、もう一つ、高率補助という制度があるんですけれども、この二つはリンクするんでしょうか。大臣、もしお答えが難しければ、政府参考人でもいいですよ。

水野政府参考人 お答えいたします。

 内閣府に沖縄振興予算、公共事業等を始めとして一括計上する一括計上方式と、沖振法に基づく高率補助というのは、ストレートにリンクしているわけではもちろんございませんが、沖縄振興特別措置法の制度として両方とも中心的な部分に位置づけられていますので、まさに沖振法の核となる制度だと私は思っております。

屋良委員 一括計上は内閣府設置法ですよね。高率補助は沖振法ですよね。別々の法律ですよね。

 もう一度聞きます。リンクするんでしょうか。

水野政府参考人 大変失礼いたしました。

 ということでございますが、高率補助と内閣府の予算の一括計上というのは、両者とも沖縄振興の重要な柱だと考えてございます。

屋良委員 それは分かっているんですけれども、リンクするのかしないのか。答えていただけますか。

水野政府参考人 大変失礼いたしました。

 リンクするのかしないのか。いわゆる沖縄振興の制度の中で高率補助、それから予算の一括計上というのは、両方元々からあるというものでございますので、リンクしているかしていないかという問いがちょっと分からないんですが、非常に中心的な制度だということだと思います。

逢坂委員長 屋良朝博君、リンクをしているという言葉の意味をもう少し丁寧に言った方がいいかと思います。

屋良委員 はい。一括計上で予算要求しなければ、高率補助は使えないのかどうかということです。

 財務省が、県単でやってもいいんじゃないのと言っているわけですね。それを、県単でやりますといったときに、沖振法の法改正をしなければ高率補助が使えるんじゃないのかというのが私の疑問なんですよ。一括計上をやめるときには内閣府設置法を変えないといけない。それぞれ別の法律なので。

 一方、一括計上にのっからないものであっても、県単でやった場合、高率補助の制度が使えるかどうかということが私は知りたくて、そこをリンクしているんですかというような表現をさせていただいているんです。お願いします。

齊藤政府参考人 お答えします。

 今おっしゃった、県の単独事業で実施をする場合、高率補助が使えるのかというふうな問題意識だとお伺いしました。

 それに関しましては、県の単独事業でございますので、補助というふうなものはございませんので、当然、高率云々にかかわらず、補助の事業ではございません。

 したがって、単独事業でやる場合には、今実施をしているような高率補助というふうな仕組みの外でございます。

屋良委員 そうすると、財務省の指摘というのは、一括計上でのっからないのは県単でやればいいじゃないかという話は、沖振法の高率補助にのっけるなよというふうな、切り離して全く単独でやれというような話だったというふうに理解されるんですけれども、それに対して内閣府がそうですねということで概算要求段階で半分に削るということは、財務省が言っていることはそのとおりですねというふうに言っているということですよねという質問。今伝わっていますか。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 令和四年の予算編成の際の財務当局からの指摘に関する認識といいますか、説明になりますけれども、他の自治体において県単独事業としてやっているものも含まれているというふうな指摘の趣旨は、一括交付金という沖縄の独自の制度、逆に言いますと、沖縄の独自の行政ニーズといいますか、そういったものに機動的に自主的に使える財源というふうなことで一括交付金という制度をつくってございますので、他の自治体で同じ事業を単独事業でやっている場合にそういった制度の趣旨になじむのかというふうな御指摘だと認識をいたしております。

屋良委員 今、制度は別々なんだけれども、予算要求するときに、一括計上なり一括交付金の積み上げにはなじまないので、沖縄県が要求しているハード交付金の七百億円というのが半分に削られている。そうしたらどうすればいいのかというふうな話なんですけれども、これは議論がかみ合っていないような、私の方が悪いのかもしれませんけれども、かみ合っていないような気がするので、これはちょっとおいておいて。

 鉄道事業について、国土交通省もいらしておりますので、残り時間が少なくなってきましたけれども、国土交通省は一括計上というふうな仕組みがなければ沖縄の鉄道事業に対応できないんでしょうか。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県の鉄軌道事業の構想についてのお尋ねというふうに承知してございます。

 こちらの構想につきましては、現在、内閣府の調査において検討が進められているというふうに承知してございます。

 どういった事業スキームを用いるのか等、具体化されていないという中にありましては、鉄道事業の許可の可否であったり、あるいは予算措置の可能性といったことについて、現段階で予断を持ってお答えするということは差し控えさせていただきたいというふうに考えてございます。

屋良委員 様々手続があると思いますけれども、制度の中で沖縄県が直接国土交通省に事業認可を申請する。それで、様々条件が合えば、条件にはいろいろあるでしょうね、安全性が確保できるのとかいろいろあると思いますけれども、そういった審査を踏まえた上で、これは事業認可をしていいねというふうな結論に至ったときに、沖縄で鉄道は走るんでしょうか。どうでしょうか。

岡野政府参考人 お答えします。

 まず、一般論としまして、鉄軌道事業の許可等につきましては、法律に基づきまして、申請があれば、事業計画について、経営上適切なものであるのか、輸送の安全上適切であるのかといったことを総合的に勘案して審査の上、判断するというふうになってございます。

 先ほども申し上げましたが、まだ今どういった事業スキームを用いるのかといったことについて具体化されていないという状況でございますので、どういった予算が使えるのかということについては私どもとしてはお答えしかねるところでございます。

 いずれにしましても、沖縄における鉄軌道プロジェクトの検討につきましては、一義的には内閣府や沖縄県などの地域の関係者が行っていらっしゃるというふうに承知してございますが、今後、プロジェクトが具体化し、内閣府や沖縄県等から御相談がございましたら、関係者とも連携して対応していきたいというふうに考えてございます。

屋良委員 今の予算のスキームでは、内閣府を通さないと事業化というのは難しいねというようなことだと理解しているんですね。

 ちなみに、内閣府が今の沖縄県の鉄道事業を認めていない大きな理由にはBバイCがひっかかっているというのがあるんですけれども、鉄道事業の認可条件の中にBバイCは入っていますでしょうか。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、鉄道事業を経営しようとする場合には、鉄道事業法に基づいて、経営上の適切性あるいは輸送の安全上の適切性といったものを審査して許可を行うということになりますが、今御指摘ございました費用対効果、いわゆるBバイCにつきましては、鉄道事業の許可を行うに当たっての要件にはなっておりません。

屋良委員 鉄道事業を所管する国交省が条件の中に入れていないことを理由にずっと十四、五年も調査ばかり続けていて、BバイCが上がりません、BバイCが上がりませんと言い続けている内閣府があって、そこが認めないと一括計上にのっからないから予算が出てこないので、国交省も手のつけようがないという現状があるというふうに私は認識しているんです。そこは正しいですかと聞いてもなかなか答えづらいですよね。大臣、それでいいんでしょうか。

水野政府参考人 済みません、お答えいたします。

 鉄軌道調査に関して御答弁申し上げます。

 沖縄における新たな鉄軌道等の導入について、委員おっしゃるとおり継続的に調査を実施してございますが、一つ、委員御指摘のBバイC、事業効率性を評価するBバイCが依然として一を下回っているほかに、開業後四十年間の累積損益が黒字転換にならない、大幅な累積赤字が出るという試算になってございます。なかなか事業の採算性が確保されないという課題が明らかになっているということで、引き続き調査を行っているという状況でございます。

屋良委員 時間が来たので終わりますけれども、沖縄県が行っているBバイCでは一をクリアしているので、そうすると、地元がやりたい、地元の調査でBバイCが上がっている事業について、鉄道局は多分、内閣府がそこで止めていなければいけると思っておるというふうに私は固く信じておりますということを言わせていただいて、質疑を終わらせていただきます。

 よろしくお願いします。

逢坂委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。よろしくお願いいたします。

 まず初めに、今沖縄で大変大きな問題になっているんですが、自民党の西田昌司参議院議員によるひめゆりの塔をめぐる一連の発言についてお伺いをしたいと思っております。

 御承知のとおり、発言は沖縄戦の史実を歪曲し、体験者証言や戦後八十年にわたる積み上げられた研究を愚弄する許し難いものであると同時に、西田議員のゆがんだ歴史認識に基づく発言で、多くの県民を深く傷つけたことは厳しく非難せざるを得ない、私はそう思っております。

 西田議員の発言について、石破総理も先日の予算委員会で認識を異にしていると。さらには、自民党総裁として深くおわびを申し上げるということで直接謝罪をいたしました。西田議員も謝罪をしたんですが、逆に、謝罪になっていない、火に油を注いでしまったというような結果に今なっているという状況なんです。

 その中で、伊東大臣、西田議員の一連の発言に関して、沖縄担当大臣としての認識や率直な思いをまずお聞かせいただきたいと思っております。また、かかる発言を受けて、沖縄県議会始め県内の各市町村議会で抗議決議が相次いで採決されている状況にございます。大臣はこのような状況をどう受け止められているのか、是非大臣の率直な所見をお伺いしたいと思います。

伊東国務大臣 新垣委員の御質問にお答えしてまいります。

 御指摘の西田議員の発言につきましては、石破総理も先日の衆議院予算委員会におきまして認識を異にしていると述べられておりますとともに、先週行われましたかりゆしウェアの贈呈式におきましても、西田議員の発言を念頭に自民党総裁の立場から玉城知事に直接謝罪されたと承知をいたしております。

 私も過去、二度、三度、現地を訪れたことがありまして、涙した思い出がございます。さきの大戦におきまして、一般の住民の皆さんを巻き込んだ苛烈な地上戦が行われ、二十万人もの多くの貴い命が奪われるなど、筆舌に尽くし難い苦難を経験されたことは紛れもない事実であろう、こう思いますし、私も同様の認識をしているところであります。

新垣委員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、西田議員お一人の発言がこんなに波紋を広げて、国会議員全体がそうじゃないかというような見られ方をしかねない、県民にとっては非常に屈辱的な発言だったなというふうに思っているんですが、是非ともその辺は大臣としても、こういう発言は慎んでもらいたいということを御指摘していただきたいなというふうに思っております。

 伊東大臣は、五月二十三日の参議院ODA沖縄北方特別委員会で、高良鉄美議員の質問に対して、内閣府として、沖縄県が実施している沖縄戦の実相や教訓を次世代に継承、発信していく事業を支援しているといった趣旨で答弁されているんですが、内閣府として認識している沖縄戦の実相、教訓とは具体的にどのようなものなのか。かかる実相、教訓と西田議員の発言は相通ずるものなのか。内閣府の見解をお聞きしたいと思います。

水野政府参考人 お答えいたします。

 まず、私の方からは、先週の大臣の答弁における沖縄戦の教訓、実相とは具体的にどのようなものかという御質問にお答えしたいと思います。

 議員御指摘のとおり、先週の参議院ODA・沖北特委におきまして、沖縄県が実施している沖縄戦の実相や教訓を次世代に継承、発信していく事業について内閣府がソフト交付金を通じて支援を行っている旨、伊東大臣から答弁がございましたところでございます。

 この事業を実際に実施しているのが沖縄県でございますので、実相や教訓を次世代に継承、発信していく事業を実施している沖縄県に確認したところ、教訓とは、沖縄戦において悲惨な経験を身をもって体験したことから、命の大切さ、平和の尊さを学んだということを意味しており、実相とは、沖縄戦において、一般住民が地上戦に巻き込まれ、二十万人余りの多くの貴い命が犠牲となり、貴重な文化遺産や美しい自然が失われたことを意味しているとのことでございました。

 ソフト交付金を活用して支援している本事業におきましては、これら沖縄戦の実相と教訓を次世代に継承するため、県内外でのワークショップやシンポジウム等を県の方で開催しているところでございます。

新垣委員 今の答弁からすると、決して西田議員の発言が内閣府の考え方と相通ずるものではないだろう、私もそう思っております。ですから、こういう事業を通してしっかり、戦後八十年、復帰五十三年なんですが、いまだにそういう沖縄県民の気持ちには全く、さきの大戦の中で強烈な、悲惨な思いをしたということは決して消えておりません。ですから、その辺はやはり丁寧にやるべきだろうというふうに思っております。今後ともよろしくお願いしたいと思っております。

 次に、子供の貧困対策を効果的なものにするために沖縄県が毎年実施している沖縄こども調査の二〇二四年版報告書が、去る五月二十六日に公表されております。今回で十回目となるんですが、この報告書に対する伊東大臣の評価をお伺いしたいと思います。

伊東国務大臣 沖縄県が公表いたしました沖縄こども調査によりますと、県内の小学一年生、小学五年生及び中学二年の児童生徒及び保護者を対象とした調査で、困窮世帯の割合が、二〇二一年度の調査より七・一%減少し、二一・八%になったと承知しているところであります。

 沖縄は、出生率が全国一であるなど多くの優れた一面もある一方で、子供を取り巻く状況は依然として厳しい状況にあることから、これまでも沖縄独自の追加支援として沖縄こどもの貧困緊急対策事業を行ってまいりました。県による調査結果も踏まえながら、引き続き必要な対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 今大臣からお話があったように、今回の報告書で特徴的なのは、困窮層の割合そのものは、初年度となる二〇一五年の調査の二九・九%から二一・八%に低下をしているという実態がございます。食料が買えなかったと回答した中学校二年生の保護者の困窮層が、二〇一五年の四八・七%から五八・二%に上昇しているんですね。困窮世帯の割合は改善方向にある一方、暮らし向きがより悪化をしているという実態が浮き彫りになっております。その証拠に、今回九〇%以上の子育て世帯が物価高で生活苦を、非常に苦しいんだというふうに感じていると回答をしております。

 昨今の物価高と相まって、沖縄における子供の貧困は数値に見えない部分でより深刻になっているのが事実ではないかと考えますが、伊東大臣の見解をお伺いしたいと思います。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 沖縄こども調査の報告にあったとおり、世帯収入や困窮世帯の割合は改善傾向にあるものの、実質賃金が低下しており、現在の暮らしの状況について、大変苦しい、苦しいという回答の割合が増加しているというふうなことで、沖縄の子供の貧困の実態は依然として深刻な状況にあるというふうに認識をしてございます。

新垣委員 そのとおりなので、全く子供の貧困問題が、なかなか解消されない、これまでも内閣府も一生懸命やっていただいたんですが、なかなか改善されていないんだなというのが実態で、今の物価高によって更に生活が苦しくなるというような状況なので、これは当然、県も努力しなきゃならないはずですが、県ともしっかり調整をしていただいて、先ほど大臣からあったんですが、様々な対策を講じているよということなんですが、今後更に内閣府として、沖縄の子供の貧困問題、具体的にそういう対策事業があるのかないのか、よろしくお願いします。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 子供の貧困につきまして、一人当たりの県民所得の向上、それから、現在厳しい状況に置かれている子供及びその家庭への支援を両輪で進めていくことが重要であると認識してございまして、平成二十八年度から、子供の貧困対策支援員の配置や、子供の居場所の設置に係る支援を中心とした沖縄こどもの貧困緊急対策事業を実施してきたところでございます。

 令和七年度におきましては、これらの取組の更なる推進に加えまして、新たに貧困の連鎖を断ち切るという観点から、学習、就労支援の強化に向けた地域体制づくり等の取組を実施する市町村に対する財政的な支援を行うとともに、非常設型の若年妊産婦の居場所のモデル的な設置や、市町村における計画的な事業実施を支援するための居場所へのアドバイザーの派遣を実施することとしたところでございます。

 引き続き、こども家庭庁における施策と連携を図りながら、必要な取組をしっかり進めてまいりたいと考えてございます。

新垣委員 それでは、農水省にちょっとお尋ねしたいんですが、総務省が五月二十三日に発表した四月の小売物価統計調査で、那覇市のコシヒカリ以外の米価格が五キロ当たり五千百八十九円となっているんですね。過去最高値を更新しております。全国平均の四千二百八十五円と比べて千円近く高くなっているんですが、今小泉農水大臣が一生懸命取り組んでおられて、五月二十六日、今後放出する備蓄米が、五キロ当たり税抜き二千円程度で六月初旬にも店頭に並ぶ見込みであるということを発表されているんですが、マスコミでいうと、何か沖縄と北海道はまだはっきりしていないということなんです。

 そこで、農水省にお聞きしたいんですが、沖縄でも同様に備蓄米二千円は実現されるのかどうなのか。そして、されたとして、また、沖縄県は今かなり高いので、争奪戦が起こらないかなという心配もあるんですが、その辺はどうでしょうか。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、政府備蓄米を安価で安定的に供給するという観点から、随意契約による売渡しを進めているところでございます。

 これまで、政府備蓄米の売渡しにおきましては、輸送を民間に任せておりましたけれども、現在行っている随意契約による売渡しにおきましては、小売業者が指定する精米工場等まで国が配送するということにしてございます。沖縄県の場合、沖縄にある精米工場まで国の負担でお持ちするということになります。これによりまして、安価かつ迅速に備蓄米の供給を行っていくということとしてございます。

 また、全国各地の小売価格の動向を逐次把握していくということにしておりまして、これらの状況も見ながら、離島などにも備蓄米を安価かつ速やかに届けられるように、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。

新垣委員 今、安価で離島までも輸送するんだと言っていたんですが、どうしても沖縄は島嶼県ですので輸送コストがかかるということで、例えば、本島の方では二千円台あるいは三千円台なんですが、沖縄では二千円台、三千円台は無理だよ、どうしても四千円近くなるだろう、輸送コストも入れると。そういう状況になるのかどうなのかというのが心配なんですね。その辺、よろしくお願いします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 買い入れた小売業者さんが、沖縄本島の精米工場、あるいは沖縄の、例えば石垣島とかそういった精米工場を御指定いただければ、そこまでは玄米は国の方でお届けをいたします。それによって、輸送費がかなり節減できるかというふうに思ってございます。その後の更なる離島への輸送等につきまして、価格の状況等も見ながら、私どもも、安価かつ安定的に届けられるように、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

新垣委員 実は、離島はもっと高いんですよ。五千円、六千円するんですね、今。悲鳴を上げているわけです、島民は。とてもじゃないが、ただでさえ生活が苦しいのに、米が五千円、六千円になる。今テレビでは、小泉農水大臣が頑張って二千円にするんだとおっしゃっているので、県民も非常に期待をしているわけです。

 沖縄でも恐らく二千円台で販売されるんじゃないかということなんですが、これが、本島のみならず、あるいは離島に行くと相変わらず四千円、五千円だという話になると、これは県民の期待を裏切るわけですから、是非その辺どう考えているのか、具体的に。もしそれができるんだったら、いやいや、そういうことはないですよ、ちゃんと本土並みに二千円台で販売できますよというのが言えるのかどうなのか。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、私どもといたしましては、御指定の精米所までの輸送というのは確保しておるところでございます。その後、離島への輸送につきましては、現状等も見ながら少し私どもも考えてまいりたいというふうに考えてございます。

新垣委員 何か明確にお答えがないというのは非常に不安だなと思っているんですが、是非その辺は政府全体で考えていただいて、特に沖縄県は離島が多いですから、小さな離島に行っても安価で米が買えるという環境を是非つくってもらいたいなと思っております。せっかく農水大臣が頑張っても、何だ、結果的には沖縄は変わらぬじゃないかと言われたのでは話にならないので、是非よろしくお願いしたいと思っております。

 ちょっと飛ばします、済みません。

 沖縄県内にあるゆがふ製糖、製糖工場の質問をしたいと思っているんですが、沖縄本島唯一の製糖工場であるゆがふ製糖の建て替えについて伺いたいと思います。

 実は私、先日、同社に島尻社長を訪ねて、工場内を視察させていただきました。そうすると、かなり老朽化しているんですよ、ひび割れがあるし。六十年以上になるということなので、何とか建て替えをしたいということなんですが、なかなか進んでいない。これは、予算がかなり大きいものですからなかなか厳しいというような状況を目の当たりにしているんです。

 そこで、ゆがふ製糖の建て替えですが、二百六十四億の事業費のうち、製糖工場本体は二百六億一千万、副産物などを利用する関連施設に三十三億五千万、外構工事に二十四億五千万を見積もっているのですが、事業費は農水省の補助で約六割が負担されるということで、残り四割を沖縄県で賄うことになっているんですが、費用調達の面が本当に大きな課題となっております。当然、県あるいは市町村にもお願いをするんですが、なかなからちが明かぬ、金額が大きいので。

 そこで、ゆがふ製糖建て替えの事業計画や協議の進捗状況について、農水省にお伺いしたいと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の沖縄県うるま市のゆがふ製糖につきましては、工場の老朽化に対応するために、現在、関係者の間で工場の建て替えに向けた検討が進められているというふうに承知してございます。

 こうした中、農水省におきましては、令和六年補正及び令和七年当初予算におきまして、新基本計画実装・農業構造転換支援事業というものを創設してございます。こちらは、委員御指摘のように、十分の六の従来の支援に加えまして、県の方が国の補助に上乗せ支援を行う場合には地元負担を軽減する仕組みを導入してございます。

 分蜜糖工場の老朽化対策につきましては、こういった国の新しい予算措置も念頭にいただいて、地元の関係者の皆様で、適正な施設規模、事業費の負担の在り方等について十分検討いただき、具体的な計画を策定いただくことが重要かと考えてございます。

 農林水産省といたしましても、今後とも、地元の関係者に適時適切にアドバイスを行う等、分蜜糖工場の持続的な生産体制の構築に努めてまいりたいと考えてございます。

新垣委員 農水省から今あったように、農水省は補助で六割方見ると。農水省さんにとっても六割出すというのはなかなかこれまでなかったことですよというようなこともお伺いしているんですが、この補助事業を使って全てそれが賄えればいいんですが、あと残り四割をどうするかというのが今非常にゆがふ製糖さんの頭の痛い問題になっているんですね。

 そこで、これ以上農水省さんが出せないというなら、どうするかという話です。恐らく、沖縄県が単独で四十億、あるいは二十六市町村が二十億余り出すというのはなかなか難しいのかなと思っているんです。そこで、先ほど國場委員からもあったんですが、沖縄振興は国家戦略だと。大臣も、積極的に果敢に、そして推進をしていくんだということをおっしゃっていたんです。農水省の補助を使って、残りは内閣府の補助をいただけないかという話は通らないということは分かるんですが、何らかの形でゆがふ製糖の建て替えというのは国として考えられないのかどうなのか。

 実は、サトウキビは沖縄の基幹産業ということで、県内農家の約七割が栽培をしているんです。私が心配しているのは、製糖工場がなくなることによって、沖縄のサトウキビの生産者が潰れてしまうわけですよ。大きな経済効果もある、そして非常に生産者が心配している、そういう意味では、農水省単独ではなかなか厳しいというのであるならば、もう少し何か知恵をひねって、国として、当然県も市町村もやらなきゃならないんですが、全部賄うというのはなかなか厳しいので、それを何とかできないかというようなお願いを私はしたいなと。

 当然、今ここで答えてくださいという話にはならないんですが、是非そのことを念頭に入れていただきたい。これはもう本当に困っています。県選出の国会議員の皆さん、本当に困っていて、どうしようかというような話もずっとしているんですが、なかなからちが明かない。これはずっと長いんですよ、経緯が。ですから、ここで何とかしないと、いざ、ゆがふ製糖さんの中で事故が起こったり、あるいは大きな問題が起こったり、そして生産が止まったりしたら、もう大変なことです、沖縄経済にとって。是非そのことを大臣にも考えていただいて、よろしくお願いしたいと思っております。回答はここではいいです。

 最後に、せっかく外務大臣がいらしているので、今、沖縄県、在沖米兵による性暴力事件が後を絶ちません。御承知のとおりだと思います。抗議決議をしたり県民大会を開いたりいろいろやっていて、なかなからちが明かないということで、最後に三点だけ御質問をさせてもらいたいと思います。

 まず、フォーラムです。昨年六月に在沖米兵による性暴力事件が相次いで発覚したことを受けて、当時の在日米軍トップが再発防止策としてフォーラムを設置するということになったんですが、ただ、九か月余りも要しているんですよね、このフォーラムの設置に。さらに、たった年一回程度の協議で実効ある再発防止を構じることができるのかどうなのか。そして、フォーラムの設置によって、米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チームはどうなるのか。こういうことでフォーラムとワーキングチームと設置をしているんですが、一体この関連性があるのかどうなのか、これは実効性があるのかどうなのか。ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

岩屋国務大臣 五月九日に、キャンプ瑞慶覧において沖縄県と在日米軍が共催する沖縄コミュニティ・パートナーシップ・フォーラムが開催されまして、外務省関係者も出席をいたしました。

 このフォーラムは、委員御指摘がありましたように、昨年七月に米側が発表した一連の再発防止策に含まれておりまして、このフォーラムにおいて、在日米軍の綱紀粛正と再発防止に向けて建設的な議論が行われたことを政府としては評価しております。

 この創設に当たっては、建設的なやり取りになるように、共催者である沖縄県庁と在日米軍の間で五回にわたって準備が行われたと承知をしております。したがって、確かに開催まで時間がかかりましたが、このフォーラムが、今後、日米双方及び地元の利益にかなう具体的な協力を生み出していけるような場となるように、政府としても外務省としても引き続きしっかり協力していきたいと考えております。

 それから、今たくさんお尋ねがございましたが、年一回でいいのかということでございますけれども、原則一年に一回は開催して、必要に応じて更に開催されることになっていると承知をしているところでございます。

 それから、これまでの、委員御指摘のCWT、コオペレーション・ワーキング・チームはどうなるのかということでございますが、これについては、別になくなったということではなくて、それはそれで存続していると認識をしておりますけれども、今度できたフォーラムとCWT双方が相まって事件、事故の防止、再発防止につながっていくということを期待したいと思っております。

新垣委員 何はともあれ、沖縄県では、性被害が本当に後を絶たないという現状があります。是非、大臣、実効性のある、そして効果のある対策を講じていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

逢坂委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年七月にサイパンで行われました日米合同慰霊祭に、我が党は三人で参加をさせていただきました。その際、遺骨収集の現場にも行きまして、実際に遺骨を収集して、手に取ったわけですけれども、やはり、ああいうのをしっかり自分の目で見ると、これは何とかしなきゃいけないなとつくづく感じさせていただきました。

 先ほども遺骨収集の話題が出ておりましたけれども、先日、我が党が主体となって、超党派で遺骨収集の議連、これをつくらせていただきました。是非とも、一人でも多くの方々に参加いただければなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 この遺骨に関してですけれども、沖縄といえばやはり遺骨収集の問題というのも大きな問題だというように思っておりますので、現在の状況をお聞かせください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県におきましては、戦後間もなくより、沖縄の方々によって遺骨収集が行われて、県民の方の運動として取り組まれるなどにより、多くの御遺骨が収容されてきたというふうに承知をしております。

 ただ、今なお、地下ごうでありますとか、あるいは開発現場などから御遺骨が発見されているところというところでございますが、現在、厚生労働省と沖縄県との方で役割を分担しながら、遺骨収集というのを進めているというところでございます。

 こうした取組の中で、沖縄県推計の戦没者数ということでございますと、これまで十八万八千百三十六名の方ということであるのに対しまして、これまでに御遺骨を収容した数ということにつきましては、約十八万七千七百柱というふうな状況にあるというふうに承知をしております。

 引き続き、一柱でも多くの御遺骨を一日も早く収容できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(英)委員 この数字を見ると、結構頑張られているなというふうには思うんです。

 民間の方と軍人の方との割合を教えてください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県推計の戦没者数のうち、軍人の方と民間人の方の内訳につきましては、沖縄県の方が作成をした資料によりますと、戦没者数十八万八千百三十六名という方のうち、軍人軍属の方が九万四千百三十六名、一般住民の方が九万四千人というふうになっているというふうに承知をしております。

高橋(英)委員 これを聞くと、ほぼほぼ半分が民間なんだというのが改めて分かるわけですけれども、これだけ聞いただけでも、やはり、予算も含め、もう少し沖縄には配慮すべきだろうと、ちょっと改めて感じさせていただきました。

 予算をちょっと聞かせていただけますか、どんな形になっているのか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたけれども、沖縄県におきましては、厚生労働省と沖縄県が役割を分担して、連携しながら遺骨収集を進めているというところでございます。

 沖縄県におきます遺骨収集に係る令和七年度の予算ということでございますが、国の直接の実施分ということで約二千六百万円、それから沖縄県への委託というふうなことで約三千万円ということで、五千六百万円を計上しているということでございます。

高橋(英)委員 これというのは、ボランティアの方々が来た場合には幾分かの配慮みたいなのはあるんですか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和七年度の予算の中での、ボランティアの方、補助金の交付額ということでございますが、二百万円というふうなことで計上しているところでございます。

高橋(英)委員 何かすごい少ないような気がするんですけれども。

 というのは、何でこんなことを聞いたかというと、私もボランティアに参加しましたけれども、やはり、現地へ行くとボランティアの方々の方が圧倒的に仕事が早いなという気がしてしようがないので、もっと積極的に、ボランティアの方々に支援をして、募った方がいいと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県におきます遺骨収集の実施ということにつきましては、県の方とよく連携をしてこれまで進めてきているということでございますので、今後とも、こういったボランティアの方の活用といいますか御協力をいただくという点についても、県の方とよく連携をしながら考えていきたいというふうに考えております。

高橋(英)委員 じゃ、今後のスケジュール感をちょっと教えていただけますか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの取組については、先ほど申し上げてきたとおりでございます。沖縄県におきましては、県と役割を分担して、適切に連携しながら取り組むということが大事かと思っております。

 戦没者の遺骨収集につきましては、遺骨収集推進法に基づきまして、令和十一年度までの集中実施期間に一柱でも多くの御遺骨を収容できるように取組を進めるということにしているところでございます。

 沖縄県につきましては、これまでの情報収集により得られたところ、五か所の情報について精査を進めるということにしておりますが、こういったことに加えまして、県の方では戦没者遺骨収集情報センターというもので収集に係る情報を一元的に収集しているということがございます。開発業者などが作業中に御遺骨を発見した場合など、新たな情報にも対応できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

 こういった中で、県と連携して、一柱でも多くの御遺骨を一日でも早く収容できるようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高橋(英)委員 今、令和十一年という話なんですけれども、沖北の委員会ですから、今日は沖縄だけ聞いていますけれども、全体で令和十一年までやり遂げるというイメージなんでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県に限らず全体ということでございますが、遺骨収集推進法につきましては、集中実施期間を定めておりましたけれども、新型コロナの影響で海外での実施がなかなか難しいというふうな状況があったことも踏まえまして、改正が行われて、令和十一年度まで集中実施期間というのが延長されたというふうに承知をしております。

 その上で、全体で申し上げますと三千三百か所程度の情報があるということで、こういった情報について集中実施期間内にしっかり現地調査を進めていく、それによって一柱でも多くの御遺骨を収容できるように取組を進めていきたいというふうに考えております。

高橋(英)委員 去年サイパンへ行って本当に感じましたけれども、やはり、現地の人が圧倒的に詳しいので、現地の人をしっかりとどんどん採用して情報収集した方がいいというふうに思いますので、多いのはアジア圏なのかな、是非積極的に現地の人を採用して、やっていただきたいというように思います。

 では、次に移ります。

 領土問題に関してですけれども、東シナ海の周辺海域のガス田、これも本当に大きな領土問題だというように思っております。

 今、中国とどんな状況にあるのかお聞かせください。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 中国は、東シナ海の日中の地理的中間線の西側において、いわゆる二〇〇八年合意以前に、平湖、八角亭、樫、白樺の四基の海洋構造物を設置しております。また、中国は、二〇〇八年合意の後も含めて、現時点で合計十九基の海洋構造物を設置していることを確認しております。このうち、白樺、第十四基及び第十五基を除く全てにおいて採掘が行われ、生産に向けた活動が行われている可能性が高いことを示すフレアが確認されている、そのような状況になっております。

高橋(英)委員 共同開発する、〇八合意というのがありましたけれども、これは全く守られていないと思うんですけれども、その点はいかがですか。

門脇政府参考人 お答えいたします。

 中国との間では、首脳レベルを含め、東シナ海資源開発に関する日中間の協力に関する二〇〇八年合意、御指摘の二〇〇八年合意を推進、実施して、東シナ海を平和、協力、友好の海とするとの目標を実現することで一致をしております。

 一方で、中国側は東シナ海の境界未画定の海域において資源開発を活発化させており、政府として、このような中国側の一方的な開発、その既成事実化の試みを行わないよう求めて、繰り返し抗議をしてきております。

 政府といたしましては、今後も様々な機会を捉えて、中国側に対し、一方的な開発行為、その既成事実化の試みを行わないよう求めるとともに、二〇〇八年合意に基づく国際約束締結交渉を早期に再開し、この合意を早期に実施に移すよう、引き続き強く求めていく考えでございます。

高橋(英)委員 中国に言っても、抗議しても全然聞かないんだろうというふうに思いますし、何やら軍隊、海軍を置いて開発等々しようとしているという話も聞いているんですけれども、まさか南シナ海みたいにプラットホームみたいな形で造られたら大変なことになるというふうに思いますけれども、そういった懸念は考えていないんでしょうか。これは大臣の方がいいかな。

岩屋国務大臣 今事務方からもお答えしましたように、中国側がこの海域において一方的な開発を進めていることは極めて遺憾でありまして、中国側に対しては、累次にわたって、一方的な開発やその既成事実化の試みの中止を繰り返し求め、また抗議をしてきております。

 二〇〇八年合意に基づいて、国際約束を締結しましょうねということを当時合意しておりますので、早くこの交渉を再開しましょうということを言い続けているんですけれども、まだ具体的な動きになっておりません。引き続き、強く中国側にこの合意の履行を求めてまいりたいと思います。

高橋(英)委員 これはもう領土問題だと思っているので。

 先日、大臣は中国に行かれましたけれども、この問題は話題には出なかったんでしょうか。

岩屋国務大臣 外交上のやり取りについて詳細は控えたいと思いますが、中国との間にはこれだけではなくてたくさんの課題があります。それら全てについて申入れを行っております。

高橋(英)委員 全てにおいてということですから、本当にこれは強く言ってもらわないと困るんです。言っても言っても全然聞かないので、これは自民党の高市さんも話をしていましたけれども、これこそ日米共同開発した方がいいだろうと言っていました。私も、ああ、それはいいことだなというふうに思いました。今、赤澤大臣、アメリカへ行っていますけれども、弾としていいんじゃないですかね。どうでしょうか。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 政府として、今後の対応については中国側の対応を見極めながら、全体として戦略的観点から検討していきたいと考えております。

 今米国に言及がございましたけれども、こういった東シナ海における中国による一方的な現状変更の試み、これに反対していくということについては、日米、G7関係国との間でも累次にわたり確認してきております。また、中国が参加している国際会議の場においても、我が国の立場を明確に説明してきております。そういった中で、今後の対応については、中国側の対応を見極めながら、政府全体として戦略的観点から検討していく考えであります。

高橋(英)委員 何となく一歩も進んでいかないような気がするんです。

 よく台湾有事という話はございますけれども、本当にプラットホーム的なものが中国の頭の中にあるとしたら、今中国がやっていることはもう有事ですよね、はっきり言って。そういう考えでやはり外務省も当たっていただきたいし、外務大臣も当たっていただかないとこれはどうしようもないと思うんです。

 今後の、これだけではないんでしょうけれども、中国に対する大臣のお考えをお聞かせください。

逢坂委員長 岩屋大臣、申合せの時間が過ぎています。コンパクトにお願いします。

岩屋国務大臣 中国とは戦略的互恵関係に基づいて建設的、安定的な関係を築いていきたいと考えておりますが、一方で、言うべきことはしっかり言っていくという姿勢を堅持してまいりたいと思います。

高橋(英)委員 とにかく、強い気持ちで、毅然とした態度でお願いを申し上げたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

逢坂委員長 次に、藤巻健太君。

藤巻委員 日本維新の会の藤巻でございます。よろしくお願いします。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきます。

 まず、沖縄の学力問題について質問させていただきます。

 全国の小学校六年生と中学三年生を対象に二〇〇七年から行われている全国学力テストは、特に中学三年生の方は、沖縄は開始以来十七年間ずっと全国最下位でございます。文科省としてはこの理由をどう考えられているのでしょうか。

金城大臣政務官 お答えをいたします。

 今、藤巻委員の御指摘のように、最近の全国学力・学習状況調査におきましては、都道府県別の平均正答率の散らばりは極めて狭い範囲に収まっている状況でございまして、都道府県の間に大きな差は見られないと捉えているところでございます。

 その上で、沖縄県の中学校について、令和六年度の調査結果を分析しますと、数学における下位層の生徒や学習時間が短い生徒が全国平均と比べて多いという課題が見られます。

 本調査は都道府県の序列化を目的としたものではございませんで、文部科学省としましては、引き続き、一人一人の学力課題を把握して、エビデンスに基づく学習指導に生かすという本調査の目的をしっかりと果たしてまいりたいと思っておりますし、学力向上に貢献してまいりたいと思います。

藤巻委員 大きな差は見られないとは言っていても、沖縄は十七年間ずっと最下位にいるわけですから、そういうことを考えると、やはり沖縄の子供たちというのは、ほかの地域の子供たちと同じように整った教育環境が提供されていないということだと思うんですけれども、文部科学省としては、沖縄県が十七年間ずっと最下位であるということを別に特に問題として捉えていないということなのでしょうか。

金城大臣政務官 お答えいたします。

 令和六年度の全国学力・学習状況調査におきまして、国語、算数、数学の平均正答率が、全ての都道府県で全国平均プラスマイナス一〇ポイントの範囲内に収まっている状況でございます。

 そうした都道府県別の平均正答率の状況については、本調査の結果の取扱いを検討している有識者会議において、調査開始当初、地域間格差が懸念されることもあったものの、現在のばらつきの状況は極めて狭い範囲内にまとまっていると評価をされているところでございます。

 以上です。

藤巻委員 では、沖縄がずっと最下位にいるということに対して、文科省としては、特別、何もやっていないということでしょうか。

金城大臣政務官 お答えいたします。

 これまで、文部科学省としましては、沖縄県教育委員会や各市町村の教育委員会の求めに応じて、授業改善のアイデア例の提供や、教科の専門家による助言や、ICTの効果的活用に関するアドバイザーの国費派遣等を行ってまいりましたが、今年度は、沖縄県に特化した学力、学習状況の分析結果も提供する予定でございます。

 文部科学省としましては、引き続き、沖縄県からの御要望を伺いつつ、可能な限りきめ細やかな助言や伴走支援を行ってまいりたいと思っております。

藤巻委員 今、いろいろなアイデアを提供したりとか様々な方法を言っていたと思うので、それはいつ頃からやられているんですか。

橋爪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げた沖縄県に特化した学力、学習状況の分析結果の提供でございますけれども、これは今年度から試行的に実施していく方向で検討しております。

藤巻委員 今年度から。十七年間ずっと最下位が続いていて、今まで特に特別なことをやっていなくて、今年度からやるということで、遅いんじゃないかという思いはありますけれども、やはり全国各地の子供たちに平等に教育の機会を提供するのが文科省としての使命だと思いますので、もし学力に地域格差が明確に見られるようなら、そこは、平等な教育の機会が、整った教育環境が提供されていないということだと思いますので、十七年間放置してきたわけではありますけれども、今年からいろいろやるということであるならばしっかりやっていただきたいというふうに思うところでありますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、沖縄の観光について質問させていただきます。

 私は、旅が好きで、全国各地、たくさん旅行してきたんですけれども、やはり沖縄と北海道、魅力は格別だというふうに、多くの人と同じように感じているところでございます。

 そんな魅力的な沖縄だからこそ、オーバーツーリズムの問題というのも発生すると思うんですけれども、特に円安が急速に進んでいる昨今、遠くて時差もあって、治安も決してよくはない上に高いハワイよりも、近くて安くて、何ならハワイよりも海がきれいで安全な沖縄に行こうという人は、これからもますます増えることが予想されます。

 これは余談なんですけれども、私は昔、友人の結婚式でハワイに行ったときに銃撃事件に遭遇しまして、生まれて初めて本物の銃声を聞いたわけでございます。現場からそれなりに離れていたので事なきを得たんですけれども、沖縄ならそんな心配は全くないと思います。

 話を戻しますけれども、沖縄観光において、方向性として、インバウンドも含めて今後も観光客を増やせるだけ増やしていく、それがいいのか、あるいは、オーバーツーリズムの問題等も踏まえて、増やせばいいというわけではない、ある程度人数をコントロールしながら観光を盛り上げていくとか、そういった方向性についてはどうお考えでしょうか。

伊東国務大臣 藤巻委員の御質問にお答えしてまいります。

 沖縄県では、従来、入域観光客数を目標としていたところでありますが、令和四年七月に策定いたしました第六次沖縄県観光振興基本計画におきまして、観光収入や観光客の満足度など複数の目標を設定し、量と質のバランスの取れた、世界から選ばれる持続可能な観光地を目指すこととしているところであります。

 また、内閣府におきましては、令和四年五月に策定した「強い沖縄経済」実現ビジョンにおいて、特に強化すべき重点分野の一つとして観光・リゾートを指定し、県、市町村、経済界等と協調しながら、観光の質的向上を目指した各種取組を支援しているところであります。

 内閣府といたしましては、引き続き、地元からの御相談等にも応じながら、観光の振興に向けて必要な施策を推進してまいりたいと考えております。

藤巻委員 質にもしっかり重点を置いて、やはり、観光客が増えるということは沖縄経済全体を見ると基本的にはいいことであるというふうに思うんですけれども、ただ、全ての人に恩恵があるわけではありません。観光業とは全く関係ないところで働く人たちにとっては、直接的な恩恵がないばかりか、オーバーツーリズムの問題もあるわけでございます。そういった事実についてはどう捉えて対策等を打っていらっしゃるでしょうか。

水野政府参考人 お答えいたします。

 オーバーツーリズムの懸念ということでございますが、全国におきましても、観光需要が堅調な回復傾向にある中で、観光客が集中する一部の地域、時間帯においては、過度な混雑などによるオーバーツーリズムの問題が生じているものと認識してございます。

 沖縄におけるオーバーツーリズムを防ぐため、内閣府では、ソフト交付金を活用し、年間を通した入域観光客数の平準化や自然環境の保全と適正利用の両立を推進する沖縄県の取組を支援しているところでございます。

 また、メリット、裨益ということでございますが、観光業は沖縄のリーディング産業でございます。その経済波及効果は観光業以外にも様々な分野に及び、沖縄の自立型経済の持続可能な発展に貢献することが見込まれる。さらに、そうした経済的側面に加えまして、観光を通じ、国内外との交流人口の拡大による地域活性化、自然、文化の保全、地域住民の誇り、愛着の醸成といった多面的な効果が期待されるところでございます。

 沖縄県におきましても、先ほど大臣からもありました、令和四年に策定した第六次沖縄県観光振興基本計画において、県民、観光事業者、観光客の全てが幸せな三方よしの社会を基本方向として掲げ、県民の幸せ感を目標値の一つに設定して観光施策を推進しているところでございます。

 内閣府といたしましても、引き続き、地元からの御相談等にも応じながら、沖縄観光の振興に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。

藤巻委員 これは沖縄に限った話ではないんですけれども、今、ホテルの宿泊料金が大きく上がっております。これはさっきも言ったんですが円安の影響も多分にあるところで、一ドル八十円の時代から考えると、インバウンドの方々から見るとホテル代も食事代も半額近くになっているわけです。多少高くても昔に比べれば半額なわけですから、インバウンドの方から見ると全然大丈夫なわけです。私が調べた限りでは、沖縄も、高いところのホテルだと一泊何十万円というところが幾つもありました。

 こういったところ、やはり、基本的にはインバウンドをメインターゲットとして考えているんだと思うんですけれども、沖縄の高級リゾート、泊まれるのは外人ばかりで、日本人はめったに泊まれない。健全な市場原理の結果なので悪いというわけではないんですけれども、少しちょっと悲しい気持ちにもなってしまうなと。こういった状況をどう捉えられて、何とかならないのかなというふうに思っているんですけれども、どうでしょうか。

水野政府参考人 お答えします。

 政府としては、ホテル宿泊料、客室単価についてお答えする立場にはございませんことを御理解いただきたいと思います。

 ちなみに、沖縄振興開発金融公庫の調査によりますと、沖縄県内の主要ホテルの客室単価でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一旦大きく下落した後、回復傾向となりまして、令和五年度には、コロナ禍以前、令和元年度の水準となったところでございまして、数字で申し上げますと、シティーホテルの客室単価、令和元年度は平均で一万四千円だったところが令和五年度だと一万三千三百八十三円と、ほぼコロナ禍前に戻っているところでございます。

 以上でございます。

藤巻委員 ありがとうございます。

 時間も限られていますので、最後にちょっとOISTについて聞かせていただきます。

 沖縄科学技術大学院大学、その卓越した研究成果により国際的にも高い評価を得ているところでございます。最先端の研究環境の下に、世界中から優秀な頭脳が集まって、日本の科学技術の向上に貢献しているところであると思うんですけれども、一方で、私立大学でありながら、収入のほとんどは沖縄振興予算から振り分けられて、令和七年度は二百一億円、この予算が配置されており、これは沖縄振興予算全体の七、八%ぐらいにも及ぶものでございます。

 OISTは、基礎研究の場で、短期的な成果を得る、そういった目的の研究機関ではないということは承知しているんですけれども、それでもやはり、ここまで大きな予算を措置しているならば、ある程度は直接的に、沖縄経済であったり、ひいては日本経済に寄与する成果を求められても否定できない側面はあるかなというふうに考えているんですけれども、そのような観点からどうお考えでしょうか。

伊東国務大臣 私も、二度ほどOISTを見学、そしてまた懇談させていただきました。すばらしい大学だな、こう思っております。

 OISTは、開学以来、世界最高水準の科学技術に関する教育研究を行ってきた結果、令和四年には所属するペーボ教授がノーベル生理学・医学賞を受賞するなど、着実に成果を上げているところであります。

 OISTにおいては、こうした優れた教育研究の成果を社会に還元するためスタートアップ支援にも力を入れており、大学発スタートアップ創出数が五十二社となるほか、沖縄の企業との連携も着実に進んでいるところであります。

 OIST発スタートアップ企業につきましては、例えば、開発された吸水性の高い資材が沖縄県内のJAにおいて販売され、沖縄の農業生産性に寄与する成果を上げている企業も出てきているところであります。また、地元企業におきましては、令和六年三月に沖縄電力株式会社と脱炭素及び持続可能な社会の実現を目指した連携推進に関する覚書を締結し、連携を進めておりまして、今後の沖縄経済への寄与も期待されるところであります。

 このように、OISTは、世界最高水準の教育研究の推進を通じ、沖縄経済への具体的な成果も着実に出始めている、このように考えております。

藤巻委員 OIST、大きな可能性を秘めていると思います。

 一方で、大きな金額の国費が投入されているわけですから、結果を出さなければいけないという観点も持って、これから様々な方策を打っていっていただければと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

逢坂委員長 次に、許斐亮太郎君。

許斐委員 国民民主党・無所属クラブの許斐亮太郎でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 一月の閉会中審査の質疑でも自己紹介しましたが、前職のNHK報道カメラマンとしての沖縄勤務の経験がありますので、友人も沖縄に多数います。様々な意見をいただいてきましたので、自身の経験も踏まえて今日の質問を行いたいと思います。

 まずは、生活者目線に立って、沖縄県の住宅事情についてお伺いいたします。

 早速の質問で恐縮ですが、沖縄では家を買えない、借りられない、そもそも家がない、最近、そのように言われています。この現状を伊東大臣は御存じでしょうか。

伊東国務大臣 沖縄に住む、あるいは暮らすというのは、恐らく、本州方面にいる、我々は北海道でありますけれども、憧れであり、本当にすばらしいなといつも思っているところであります。

 ただ、台風が来るからコンクリートの柱の家がいっぱいあるなとか、昔は水不足で、屋根の上に貯水タンクを置いていたり、随分やはり内地とは違うなという、そんな思いをして、見てきたところであります。

 住宅の状況としては、近年、土地価格の上昇やあるいは建設資材等の高騰もありまして、新築一戸建ての建設費用や賃貸住宅の家賃が上昇傾向にあるというふうに承知をしているところであります。

 特に、新たに建設される住宅の約八割が中南部の地域に集中しておりまして、残り二割のほとんどを北部や宮古、八重山の地区が占めていると承知をしております。また、県内賃貸住宅の稼働率も高止まりの状況にあると承知をしているところであります。

許斐委員 ありがとうございます。

 そうしたら、まずは、深掘りして、買えないことについてお伺いしたいと思います。

 令和五年度の住宅・土地統計調査では、沖縄の持家率は四二・六%で、全国最低です。その原因に、先ほど御答弁にもありました新築物件の高騰があります。資材や人件費の高止まりのために価格が上がっていることは理解できますが、沖縄の人には手が出ない価格に今なってしまっています。中古物件も上がっています。そんな中、沖縄県はいまだに全国で最下位の一人当たりの県民所得です。

 那覇の人がこう言っていました。物件を買っているのは県外の人たち、そして海外の人が投資で買っているのではないか、とても県民はついていけない、こうおっしゃっていました。

 そこで、お伺いいたします。

 持家率が全国最低の認識をお伺いするとともに、その原因は何であるとお考えでしょうか。そこに、沖縄の住宅が投資、マネーゲームの舞台になっている、そのような実態はあるのでしょうか。お答えください。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど引用いただきました総務省の調査によりますと、居住世帯のある住宅のうち持家である住宅の割合は、全国平均六〇・九%に対しまして、沖縄県は四二・六%となっており、全国で最も低い割合であると承知をいたしているところでございます。

 沖縄県の持家率が低い要因につきましては、県民所得の低さ、個人のライフスタイルや住まいの選択意向等様々な要因が考えられ、一概にお答えすることは難しいと考えてございます。

 内閣府といたしましては、沖縄県の実態も踏まえ、引き続き、関係省庁それから沖縄県と緊密に連携しながら、沖縄の豊かな住民生活の実現に向けた総合的な取組を推進してまいりたいと考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 やはり、一番の解決策は県民の所得を上げることだと思います。本委員会でも、強い沖縄経済をつくっていくべく様々議論を行っていく必要があると思います。

 そんな中、次に、借りられないことについてお伺いします。

 持家だけではありません。借家、賃貸住宅も異常に高くなっています。令和五年の住宅・土地統計調査によれば、一か月の平均家賃は、沖縄県は九州において二位です。また、沖縄の民間調査では、平成三十年から令和四年で一〇%近く上昇しているとの試算があります。

 そして、実際に住民からもこんな声が聞かれます。沖縄県中部、沖縄市に住んで、子供を六人育てる、小さいながらも内装業を経営して、アパートで暮らしている家族です。こう言っていました、広い家に引っ越したいが、那覇よりももはや家賃が高くなっているために到底住めない。このような話を聞きました。学費もかかるので、子育て世代には手が出ない価格になってしまっています。さらに、沖縄振興策の重点地域でもある沖縄県北部や離島では更に深刻です。北部、今年度の名桜大学の新入生が、部屋を借りることができずに、学校の施設に寝泊まりしている実態があります。離島、宮古島では、車で寝泊まり、いわゆる車中泊をしながら働いている人もいます。

 そこで、質問です。

 既に沖縄での生活、経済活動に大きな影響を与えているこの賃貸物件が少ない状況、この状況を国はどのように考えて、今後どのような対策ができると考えているのか、お答えください。よろしくお願いします。

齊藤政府参考人 お答えいたします。

 沖縄県においては、公営住宅の整備や住宅確保要配慮者向けの賃貸住宅に対する支援等を重点的に進めていると聞いております。

 これまでのところ、沖縄県から内閣府に対して賃貸住宅に関する具体的な相談はございませんけれども、今後、相談があれば、現地の沖縄総合事務局を始め内閣府としても、どのような対策ができるか、県と緊密に連携してまいりたいと考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 沖縄県と連絡を密に取っていただきたい、そう思います。

 あと、家が足りないと思います、絶対的に。宮古島では住宅の稼働率は九九%を超えて、石垣島も九九・五%です。沖縄県全域でも九五%を超えています。もう家が足りていません。

 住宅の質問として最後に、家がないことについてお伺いいたします。

 住宅の政策で一番大切なのは、生活に困っている人を助けることだと私は思っています。高齢者、障害者、低所得者、そして子育て世帯のために住宅をしっかりと確保、準備しなければなりません。

 まさに、その生活者のためにあるのが公営住宅、県営住宅だと思います。沖縄県の県営住宅の応募倍率は九倍です。全国は二二年度でおよそ三・六倍です。このように、安価に住むことができる県営住宅の速やかな建設準備が必要だと思います。

 そこで、必要なのはやはり予算です。ハード交付金だと思います。平成二十六年に九百三十二億円あったハード交付金が、令和七年には三百八十億円に減らされている。これでは県の背中も押すことができません。

 そこで、質問です。住宅供給のために思い切ったハード交付金の増額が必要だと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

伊東国務大臣 ハード交付金、いわゆる沖縄振興公共投資交付金は、県が自主的な選択に基づき実施する事業を推進するものであり、厳密な積み上げにはなじまない性質の交付金であります。このため、個別の事業を積み上げて、国におきまして予算を確保したり、個別の事業への配分を国において決定したりすることは想定をされていないところであります。

 委員の問題意識につきましては県にもお伝えをいたしますが、県におきましては、沖縄振興に何が真に必要かをよく検討の上、既存事業の進捗状況等も踏まえつつ、適切に事業の順位づけを行い、ハード交付金が最大限効果的、効率的に活用されるよう検証を続けていきたいと考えております。

 内閣府といたしましても、令和七年度予算におきまして、物価高騰等を勘案して、令和六年度予算より十二億円増の三百八十億円を確保したところでもあります。また、令和六年度補正予算におきましても六十二億円を確保したところであります。

 今後とも、地元の声を丁寧に伺いながら、今必要な予算額を確保できるよう力を尽くしてまいりたいと考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 県がやる、国がやる、結局これでは私は県民が困ると思います。

 重ねての質問で恐縮ですが、大臣にお伺いしたいと思います。思い切って、これは、国が沖縄公営住宅の促進事業を立ててはいかがですか。これは通告していませんのでちょっと厳しいかもしれませんが、大臣の答弁を是非お願いしたいと思います。

伊東国務大臣 繰り返しになりますが、私も行政経験があるので思うんですけれども、住宅が足りない地域、県営住宅、市営住宅、町営住宅等々、公共の住宅もそれぞれの自治体で整備をされている現状でありますので、県営住宅と同時に、やはり市町村の町営住宅、村営住宅、市営住宅を整備することも併せて必要ではないかという思いがいたしております。

許斐委員 ありがとうございます。

 非常に一委員としておこがましいですが、国と沖縄県に提案したいと思います。

 ハード交付金は、おおむね二百戸未満の住宅の建設に利用できます。土地が狭いところ、そして離島にもちょうどよい規模の住宅が建設できると思います。豪華でなくてもいいと思います。民間で厳しいなら、公の資本が必要ではないでしょうか。県がやらない、国がやらないのではやはり困るのは県民です。この委員会を通して、国にはハード交付金の増額を重ねてお願いするとともに、県には県営住宅の建設を是非進めていただきたいとお願いいたします。

 関連質問で沖縄北部地域の定住条件の整備に資する事業の質問を用意しておりましたが、時間の関係上、割愛させていただき、次の質問に移りたいと思います。

 話題を変えまして、直近の尖閣諸島の事情について質問をさせていただきます。

 中国が用いている小刻みな日本への侵入、侵犯、いわゆるサラミ方式という戦略があります。これに伴う領空侵犯の問題について質問いたします。

 五月三日、尖閣諸島の日本領海を航行していた中国海警局船からヘリコプター一機が飛び立って日本の領空を侵犯したということがありましたが、これは小刻みな侵入行動を大幅に超える行動であり、とても容認できる内容ではないことと思います。大臣の認識を改めてお伺い申し上げます。

岩屋国務大臣 五月三日、領海侵入した中国海警船から発艦したヘリコプターが尖閣諸島周辺の我が国領空を侵犯したことは、断じて容認できません。こういった中国海警局の活動は国際法違反でございます。

 我が方からは、三日、船越外務次官から、呉江浩在京中国大使を始め、東京及び北京で中国側には極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めたところでございます。

 引き続き、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、今後とも冷静かつ毅然と対応してまいります。

許斐委員 ありがとうございます。

 この背景には、二〇一三年十一月に、中国が尖閣諸島上空に一方的に防空識別圏、東シナ海防空識別区を設定したことがあると思います。非常に許せないことですが、既にもう十二年たっています。

 そこで、質問です。

 この件に関して、中国への外交のアプローチはどのように進んでいるのでしょうか。参考人の御答弁、よろしくお願い申し上げます。

門脇政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の中国による東シナ海防空識別区の設定、これは、国際法上の一般原則である公海上空における飛行の自由の原則を不当に侵害するものであって、我が国としてその撤回を求めております。

 また、中国側が設定した空域でございますけれども、これは我が国固有の領土である尖閣諸島の領空があたかも中国の領空であるかのごとき表示がされておりまして、我が国として全く受け入れることはできません。

 このような我が国の立場については、中国側が空域を設定した二〇一三年、外務大臣談話を発出しております。また、それ以来、外交ルートを通じ、中国側に対して我が国の懸念を伝え、厳重に抗議するとともに、撤回を求めてきております。

 また、政府としては、例えば公海上空における飛行の自由の重要性あるいは東シナ海における力による現状変更の試みへの懸念について、G7の外相会合あるいは東アジア首脳会議といった国際会議の機会を通じて各国の間で確認するといった外交努力も続けてきております。

 また、中国との間では、日中安保対話等による安全保障分野における平素からの意思疎通を含めて、幅広い分野で意思疎通を一層やっていくべく、主張すべきは主張し、引き続き責任ある行動を強く求めていく考えであります。

許斐委員 重ねて、防空識別圏について、関連して質問いたします。

 一連の中国の対応が、尖閣諸島の報道分野において影響が出ています。具体的には、尖閣諸島に関連する報道に使用するいわゆる資料映像、写真が、各報道機関で古いものになっています。私も、NHK沖縄放送局に勤務しているとき、固定翼機やヘリコプターで尖閣諸島や中国の海警局船などの撮影を行ってきましたが、まさに中国が防空識別圏を設定して以降、我が国の領土である尖閣諸島の上空において、民間機による空撮がいわゆる自主規制で行われていません。

 私の認識では、NHKでも二〇一三年の十一月に撮影したものが最後の映像です。先日の五月三日のニュースでも、二〇一三年の映像そして写真を各社が使っていました。一部、石垣市が行った海洋調査でのドローン映像も見かけますが、私たちがテレビニュースや新聞、ネットニュースで見ている尖閣諸島の映像のほとんどが実はおよそ十二年前の映像、このことは非常に異常事態だと思います。

 そこで、質問といいますか、提案とお願いです。

 尖閣諸島を常に国民が監視をする、今の尖閣諸島、そしてその周辺の現状を国民に知ってもらうために、現場の上空や海域を哨戒活動している自衛隊や海上保安庁が撮影した最新の映像を、国民に共有していただけないでしょうか。これは予算委員会の総務分科会でもお願いしましたが、改めて本委員会でも申し上げます。検討は進んでいるのでしょうか。防衛省、国交省の両参考人にお伺いいたします。

小野政府参考人 お答えします。

 国民への適時適切な情報発信の重要性、これについての委員の問題意識というのは十分に共有いたします。

 それから、防衛省・自衛隊におきましては、尖閣諸島周辺の我が国周辺海空域におきまして警戒監視活動等をしっかり行っておりまして、こうした監視活動を通じて得られた周辺国の海軍艦艇の動向等につきましては、注視すべきものや特異なもの等があれば、速やかに当該艦艇等の行動概要あるいは写真等を公表いたしております。

 先日、五月二十五日も、東シナ海での空母遼寧を含む中国海軍艦艇の活動や艦載機の発着艦につきまして、写真を添えて公表いたしたところです。

 他方で、委員お尋ねの映像の提供でございますけれども、これについては、先日の他委員会での委員に対しまして御答弁いたしましたとおり、一般論として申し上げれば、自衛隊が警戒監視において撮影した映像を公開すれば、自衛隊の体制や能力等、こういった詳細を推察されかねないということもございますので、こうした点を踏まえて引き続き慎重に検討いたしておるところです。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊として、引き続き、警戒監視、情報収集に万全を期すとともに、活動を通じて得られた情報につきましては適切に公表してまいります。

服部政府参考人 海上保安庁では、常に尖閣諸島周辺海域に巡視船を配備して領海警備に当たっており、中国海警局に所属する船舶への対応については、相手勢力を上回る巡視船で対応するなど、万全の領海警備体制を確保しております。

 このような当庁の活動状況については、これまでも、関係省庁と調整の上、報道機関に海上保安庁広報映像の提供などを行っているところです。

 海上保安庁としては、尖閣諸島周辺海域における当庁の活動状況について国民の皆様に知っていただくため、今後とも適時適切な情報発信に努めてまいります。

許斐委員 領土をしっかり守っていくこともこの委員会の大きな使命です。尖閣問題に関しては、外交で、国際世論もしっかりと味方につけて、日本の領土であることを認識させる、それが絶対的に必要です。加えて、国民に今の尖閣諸島、今の現実をしっかりと伝えることも必要だと思います。それが国民の世論喚起になります。元カメラマンとしては是非映像で伝えてほしい、重ねてお願いを申し上げます。

 続きまして、話題を変えます。

 沖縄の農業について質問いたします。

 去年の三月に沖縄で確認された、沖縄の農作物、特にゴーヤやパパイヤに被害をもたらすセグロウリミバエについての質問です。私が所属する農水委員会でも今年三月十二日にも質問しましたが、日にちもたちましたので、確認の意味で本委員会でも質問させていただきます。

 まずは、現在の発生状況と根絶に向けた取組を教えてください。

平中政府参考人 お答えいたします。

 セグロウリミバエは、ニガウリなどウリ科等の果実に大きな被害をもたらす害虫でございます。

 沖縄県では、昨年三月に発生が確認されて以来、その発生が拡大傾向にありましたことから、本年四月に緊急防除を開始し、沖縄県と連携し、また生産者の協力も得ながら、薬剤散布による防除や寄主植物の移動制限等に取り組んでおります。

 現在、十六市町村で発生が継続しておりますが、防除の効果もございまして、発生は収穫後の残渣や家庭菜園が中心でありまして、現在のところ、生産者に経済的な被害を与える状況には至っておりません。

 また、沖縄県におきまして、本虫の根絶を図るための不妊虫の放飼技術の研究開発が進められておりまして、本年四月より県内において実用化に向けた試験放飼が始まったと承知しております。

 農水省といたしましても、引き続き、根絶に向け、防除対策を進めてまいります。

許斐委員 ありがとうございます。

 沖縄の県民、沖縄の農家の方、そして家庭菜園を作らないなど、県民の人が非常に頑張っています。これ以上の被害の拡大を是非食い止めていただきたいと思います。

 そこで、さきの答弁にもありました不妊虫についてお伺いしたいと思います。

 以前、一九九三年、沖縄でウリミバエというものがありました。その根絶に大きな成果を与えたのが不妊虫の放飼、いわゆる散布です。NHKの「プロジェクトX」でも特集されました。ハエに放射線のガンマ線、コバルト60を照射して繁殖機能をなくした個体、いわゆる不妊虫を使って、それをヘリコプターでばらまいて個体数を減らすものです。この不妊虫は沖縄県の病害虫防除技術センターで飼育されています。現在でも、予防的に、毎週、県内に二千四百万頭を放飼、散布する必要があります。

 そして、今、そこに負担がかかっています。以前のウリミバエに加えて、今回のセグロウリミバエの生産が必要となって、生産能力を限界まで稼働させています。

 また、今後、ヘリコプターでまく範囲も増えることに加えて、ヘリコプターの機体が替わるために委託費も増えることになり、予算は、令和五年度ではおよそ十二億だったものが令和七年度ではおよそ二十四億円と、二倍となっています。さらに、機材の更新の時期も来ています。

 そこで、質問です。

 この予算は、特殊病害虫特別防除事業として、主に沖縄振興特別推進交付金、ソフト交付金から捻出されています。今後、全国への拡散を抑止する観点からも、国からしっかりとその分の予算を増額して、しっかりと国が沖縄県を支援し、沖縄を、そして日本を守る必要があると思いますが、そのお考えはありますでしょうか。大臣にお伺いいたします。

伊東国務大臣 ただいまのお話、非常に大事だ、こう思っております。病害虫の根絶対策、これを推進することは沖縄の農業振興の観点から極めて重要である、このように考えております。

 内閣府におきましては、ソフト交付金を活用し、今、御例示もありましたが、今年度は前年度比三億円増の約十五億円をこれに充てており、沖縄県が実施するミバエ類の病害虫の根絶防除など、これに係る取組を支援しているところであります。

 引き続き、地元の声も伺いながら、必要な予算を確保してまいりたいと思う次第であります。

 不妊虫放飼というのは、これは非常に効果のある大事な事業である、このように思っております。

許斐委員 ありがとうございます。

 負担が増えた部分はしっかりと国がケアをしていただき、国と県がしっかりと連携して、根絶に向けた引き続きの取組を万全にするようお願い申し上げて、本日の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

逢坂委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 前回、沖北委員会におきましては、観光客の一年を通じた平準化、そしてその効果としての人材育成に資するということ、そのための文化観光の振興について質問をさせていただきました。

 本日は、観光産業振興における受入れ体制の整備について、沖縄県内の離島の今の実情から質問をさせていただきます。

 沖縄県石垣市では、コロナが収束し、多くの観光客の姿が見られるようになったとのことでございます。また、外航クルーズ船の増加や、本年秋頃には台湾との貨客船による定期航路も新規で開設され、人流、物流両面において石垣市の経済発展が進んでいくものと思われます。このよい流れを妨げるようなボトルネックがあるとすれば改善をされなければいけないと私は思っております。

 今申し上げたように、石垣市において来日客の増加が見込まれておりますが、CIQのような国の受入れ体制について、人手不足等を理由に調整が進まないこともあり、来日客の増加という喜ぶべき状況に水を差すような懸念も生じているところでございます。

 ここに、CIQとは、税関、カスタムズ、出入国管理、イミグレーション、それから検疫、クアランティーンの頭文字を取った略語でCIQなんですけれども、これらは人、物が入国する際の法令に基づき行われる必要な検査、審査の総称のことを言っております。

 そこで、石垣市の例を取りましたけれども、沖縄県全体にちょっと広げて問いますけれども、沖縄県を訪れる多くの来日客にスムーズに対応できるような、沖縄県におけるCIQに係る人員や審査機器の確保などCIQ体制の充実を図るとともに、人員体制についても今後の発展を見据えた必要な人員配置を講じるべきと考えますけれども、財務省、それから出入国管理庁、厚労省、観光庁の順に答弁をお願いしたいと存じます。

    〔委員長退席、屋良委員長代理着席〕

中澤政府参考人 お答えいたします。

 税関では、沖縄県を始めとして人の往来が活発している状況を踏まえまして、職員の適正配置による必要な人員の確保や、エックス線検査装置などの取締り検査機器等の積極的な活用により、迅速な通関、厳格な水際取締りの両立に努めております。

 今後も、国際クルーズ船の増加や貨客船の定期航路の新規開設などの状況対応に対し、所要の人員の確保を含め、万全の対応に努めてまいりたいと考えております。

 また、委員御指摘の石垣港に国際クルーズ船が到着、出発する際には、石垣税関支署の職員が支署から取締り検査キットとともに移動して、出入国旅客の税関検査に対応しておるところでございます。また、旅客数に応じて沖縄地区税関本関等から職員の応援派遣も行っておるところでございますが、引き続き、石垣市の関係者とも連携しながら対応に万全を期してまいりたい所存でございます。

    〔屋良委員長代理退席、委員長着席〕

礒部政府参考人 お答えいたします。

 入管庁におきましては、国際航空便やクルーズ船の運航状況等に応じて、外国人の円滑な出入国審査の取組として、随時、職員の応援派遣や機動的な配置を行うとともに、審査機器の整備を行うなどして必要な体制を確保しているところでございます。

 委員から御指摘のございました石垣市には、外国人が出入国を行う出入国港として新石垣空港と石垣港があると承知しておりますが、沖縄県における出入国審査体制を含め適正な出入国在留管理行政を実現する上で、人員を含めた入管庁の体制整備を図ることは重要であると認識しております。

 引き続き、必要な体制整備に最善を尽くしてまいりたいと考えております。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省としては、本年四月に新たに新石垣空港に那覇検疫所石垣空港出張所を開設するなど、対応を行っているところでございます。沖縄県域の検疫に必要な体制の確保をしております。

 今後とも、訪日外国人の推移等を踏まえ、検疫業務に必要な体制の確保にしっかり努めてまいりたいと考えております。

長崎政府参考人 二〇三〇年の訪日外国人旅行者六千万人、消費額十五兆円という政府目標を掲げる中で、沖縄を始め地方への誘客をより一層推進していくということは、我々の、政府としての大きな命題、宿題でございます。

 そのためには、地方空港、港湾といった我が国ゲートウェーのCIQを含めた受入れ環境整備、これに取り組むことは大変重要な課題だ、こう認識しております。

 観光庁といたしましても、引き続き、関係省庁と連携しながら、この目標の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 政府一丸となってこの課題については取り組んでいただきたいと思います。せっかくたくさん来てくださる観光客が、本当に気持ちよく日本の、沖縄の観光を楽しんでいただいて、是非ともリピーターになってもらいたいわけですね。そういったいい思い出をつくっていただけるように、待たされたりするといらいらするものですから、是非お力をいただければと思います。

 次に、また同じ石垣市においてですけれども、言うまでもなく石垣市は離島でございまして、玄関口となる港湾における船舶の離発着に係る機能強化を進めることが、災害への備え等においても重要であると私は考えております。

 そこで、石垣市の港湾施設の早期機能強化を図るべきと私は考えておりますけれども、国土交通省から答弁をいただきたいと思います。

安部政府参考人 お答え申し上げます。

 石垣港につきましては、御指摘のとおり、平常時だけでなく災害発生時も含め、八重山諸島一市二町の生活を支える拠点港として機能することが重要です。

 また、現在、石垣港は、昨年は過去三番目に多い百二十回と、クルーズ船が多数寄港しており、八重山諸島の国際観光拠点としての役割を果たしております。

 このため、国は、石垣港において大型クルーズ船の受入れのための港湾整備を推進しており、令和三年には新港地区に水深十・五メートルのクルーズ岸壁が完成、供用しております。また、現在は、防波堤や航路、泊地の整備、そして臨港道路サザンゲートブリッジの老朽化対策を進めております。

 これら港湾施設の強化は、災害発生時においても緊急物資の輸送等の支援を行う船舶の利用に資するものと考えております。引き続き、石垣港の機能強化をしっかりと進めてまいります。

吉田(宣)委員 このような港湾の機能強化を進めることは、来日客の皆様にとっても、安心、安全な観光を楽しんでいただける、そういった力強いバックボーンになりますので、引き続きお力をいただきたく存じます。

 用意した質問が終わりましたので、以上で私の質問を終わらせていただきます。

逢坂委員長 次に、山川仁君。

山川委員 れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、沖縄県、全国的に行われている闘鶏と賭博問題について質疑をさせていただきます。

 闘鶏とは、鳥を戦わせて勝敗を競う。場所によっては賭けの対象となり、違法賭博としての要素もあるようです。

 その闘鶏ですが、沖縄では、古くからの娯楽の一つ、若しくは、人によっては伝統文化と言う方もいたりするようです。

 しかし、近年は、時代背景も大きく様変わりをし、伝統文化や娯楽的要素も一転、動物虐待、戦いで傷つき、死んでしまい、そのまま死体を遺棄して放置していることもあり、その傷ついた鳥を保護し、ボランティアで看護している沖縄の施設には、約百羽以上の傷ついた鳥が、様々な治療を受け、どんどん数が増えてきているような状態だと伺っております。

 資料をお配りしているので、資料一を見ながらお願いしたいと思います。

 まず質問ですが、闘鶏について、動物愛護法に照らした環境省の見解を伺いたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 動物愛護管理法の第四十四条では、鶏を含む愛護動物をみだりに殺傷することや、みだりに愛護動物の身体に外傷が生ずるおそれのある行為をさせることなどを禁止しております。このみだりにとは、他の法令における一般的な解釈と同様、おおむね正当な理由なくという意味で用いられているものと理解しております。

 これらの行為に該当するか否かについては個別事案ごとに司法において判断されることとなりますが、その上で、一般論として申し上げますと、単に好奇的な娯楽を目的として闘鶏が行われる場合は、愛護動物を傷つけるおそれのある行為をさせることの正当な理由としては認められず、虐待に該当する可能性が高いものと考えられます。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、沖縄県内の闘鶏の実態について伺います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県の闘鶏の実態について、環境省では詳細を把握しておりませんけれども、現在、沖縄県の動物愛護担当部局においては、県内市町村に対するアンケート調査などにより、闘鶏に用いられる鶏の飼養状況や遺棄の状況などの実態把握を進めようとしていると聞いております。

 また、沖縄県としては、市町村や県警など関係機関と連携し、闘鶏に関する実態把握や情報収集に引き続き努め、動物愛護法違反が確認される事案に対しては厳正に対処すると聞いております。

 環境省としても、沖縄県におけるこれらの対応が円滑に進むよう、技術的助言に取り組んでまいりたいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは次に、年間、闘鶏によって遺棄、保護されている件数がありましたら伺います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県では、警察署で遺失物として預かり、県の動物愛護センターに移送された鶏や、負傷動物として直接動物愛護センターに収容された鶏の数を集計しています。

 この県の集計によれば、令和六年度に収容した鶏は二十羽であり、闘鶏により傷ついたものであるかどうかは定かではないものの、このうち五羽が闘鶏に用いられる種類の鶏とされております。

山川委員 ありがとうございます。

 この資料一は新聞の切り抜きになっておりますが、「シャモの遺棄 相次ぐ」。この中で、二〇一七年から、けがをしたり遺棄されたりした鳥を保護しているという県内在住の方がそのようなコメントを出して、闘鶏の禁止条例を求め陳情を、当時、動いたようです。体中傷だらけ、また、先ほどいろいろと、伝統文化もという話がありましたけれども、賭け事のために命を粗末にするような文化などないとはっきりこの方はおっしゃっていて、県も含めて、環境省もこのような状況をしっかりと把握をして、東京都若しくは北海道、神奈川ほか幾つかの都道府県が闘鶏禁止条例を設置しているようなので、是非ともこういった動きを活発に進めていただければと思っています。

 闘鶏について、沖縄県と連携をして更なる実態調査を、もっと深掘りしながら、動物愛護法を遵守した社会形成及び段階的に全国的な闘鶏禁止法を設置していただきたいと思いますが、見解を伺います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになる部分もございますけれども、沖縄県では県内の闘鶏に関する実態把握や情報収集を進めていると聞いています。

 また、環境省としましては、動物愛護管理法に関する法的解釈の助言などを求められた場合に必要な支援を行ってまいりたいと考えています。

 また、動物愛護管理法の第四十四条において、鶏を含む愛護動物をみだりに殺傷することや、みだりに愛護動物の身体に外傷が生ずるおそれのある行為をさせることなどが既に禁止をされておりまして、これらの条文に抵触する行為については、当該規制に基づき対処することが可能であると考えております。

山川委員 官房審議官、ありがとうございます。

 まず、先ほど冒頭で動物愛護法四十四条のお話をされていましたが、みだりに殺し、傷つけた者は懲役又は罰金に処するとあります。このアニマルウェルフェア、動物福祉を明確に今後定義づけて、導入すべきと考えます。また、環境省としてどのような認識をお持ちなのかを伺います。

飯田政府参考人 繰り返しになりますけれども、動物愛護管理法の第四十四条において、愛護動物を殺傷することや、愛護動物の身体に外傷が生ずるおそれのある行為をさせることなどが既に禁止をされておりまして、こういった規定に照らしまして、沖縄県始め自治体としっかり連携をしながら、法の執行に努めてまいりたいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 是非、今回質疑をさせていただきましたので、環境省も、現場を訪問していただき、その状況を、どのような状況、環境になっているのか見ていただければと思っております。このアニマルウェルフェア、動物福祉を日本も明確に定義をつけていく、そこはしっかりと今後もお願いしていきたいと思います。

 では、次に進みます。

 沖縄振興予算について、資料の二枚目になります。

 安倍元総理が、二〇一三年十二月の閣議において表明をした、十年間三千億円台の確保を約束しました。しかしながら、なぜか、開始時の約束年度は二千九百三十七億円、約束を守っておらず、そして、県民の生活に直結する沖縄振興予算の国直轄事業分は年々増加する、制定趣旨に反するような状況が続いています。

 なぜその話をするかというと、国直轄事業分と地方向けの補助金分の沖縄振興予算が、分けたときに幾らになるのか、この十年間の平均額をお答えください。

水野政府参考人 お答えいたします。

 沖縄振興予算のうち、今回議員が配付された資料にあります国直轄分につきまして、平成二十四年度から令和三年度までの十年間の平均額は一千百六十六億円でございます。

 また、沖縄振興予算のうち、これも議員が配付された資料にございます地方向け補助金でございますが、これにつきましては、平成二十四年度から令和三年度までの十年間の平均額は一千九百六十六億円となってございます。

 以上です。

山川委員 ありがとうございます。

 国直轄分を除けば、沖縄県民の生活に資するような地方補助金分は二千億もいかないという状況。それをあたかも三千億円台を確保したかのような環境で、沖縄県民の今のこの社会環境をつくってしまっているというところをお話ししていきたいと思います。

 沖縄県の試算を基に考えると、安倍元総理が表明をした沖縄振興予算の三千億円台の確保というのは、当時の、二〇一四年の予算における地方向け補助金二千二百九十七億円をしっかりとやはり上回るべきだと思います。二〇一四年以降は一切この額を上回ることもなく、国の直轄事業予算は増え続け、地方向け予算は減額続きであることはこのお配りした資料二を見ても分かります。

 仮に、約束をした十年間三千億円が、国の直轄分を除いて十年間計算をすると、その不足分、約一兆三百億円ぐらいになります。これは遡及をして次年度から沖縄の振興予算にしっかりと配分していただきたい、それが県民感情です。

 十年間の平均値を出してみると、先ほど来話があったように、国直轄事業は約一千百六十億円程度、地方向け補助金と言われている純粋な沖縄県民予算が十年間の平均で約千九百六十億円程度。当時の政府は、三千億円台の約束を守らず、基地建設は強引に進め、沖縄振興特別措置法の制定趣旨にも反し、そして、沖縄県民の特殊な諸事情に鑑み、沖縄の自立発展と豊かな住民生活の実現を目的とした法律をないがしろにしていると言わざるを得ません。その特措法の制定に合った予算と本当になっているのか、伊東大臣、今、この資料もしっかり見てください。

 また、次に質問しますが、国直轄事業はほとんど変わらず、逆に増加して、地方向け補助金だけが減額されている状況、沖縄県民のニーズに沿った政策立案の予算なのかと言わざるを得ませんが、沖縄に未来への投資と言える振興予算になっているのか。地方向け補助金を三千億円台に確保した上で、国直轄事業は別枠で、国が裁量としてちゃんと別で計上する。そして、離島振興を更に上乗せして強力に推進すべきで、次年度からその要素も取り入れた振興予算の編成を要望しますが、大臣の御見解を伺います。

伊東国務大臣 山川委員の御質問にお答えしてまいります。

 今御指摘ありました国直轄事業では、今までの政府といたしましては、那覇空港の第二滑走路の整備、あるいは首里城復元の取組、直轄国道の整備、また国管理の多目的ダムの整備、管理、農業農村整備事業など、沖縄振興や県民生活に直結する予算等を計上してきたところであります。

 また、御指摘のありました離島振興につきましては、今年度から離島活性化推進事業を増額して計上し、特に条件不利性が高い小規模離島町村を対象とした子育て支援を新たに実施するとともに、従来はソフト交付金で実施されてまいりました農林水産物条件不利性解消事業及び離島住民交通コスト負担軽減事業につきましては、それぞれ必要額を増額計上した上で新規事業として実施しているところであります。

 今後とも、沖縄の持つ優位性あるいは潜在力を生かした強い沖縄経済が実現され、沖縄が日本の経済成長の牽引役となるよう、また県民の皆様の暮らしの向上や豊かさを実感できるよう、引き続き地元の声をしっかり伺いながら必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 大臣、県民の声をしっかり本当に聞いていただきたいです。大幅に県民の声とずれがあって、沖縄の戦後八十年、負担だけ押しつけられて、毎年、米軍属の事件、事故に悲しみ、やりたい放題の植民地化になって、それを防衛省も外務省も見て見ぬふり、実効ある対策も全く打てずにいる。やっているふりで、置かれた現状を、日米安保という名の下に、強い経済活性化のフロントランナーどころか貧困のトップランナーにしてしまっていること、どのような反省と改善策を政治の結果としてこれから残していくのか。

 今、資料三を開いていただきたいんですが、沖縄担当大臣がマスコミへコメントした、沖縄振興は着実に成果を上げている、黄色いマーカーをしている部分です。これは詭弁ですよ、大臣。このようなこと、国民は、沖縄県民は黙っていないですよ。

 復帰五十三年間、県民所得ワースト、貧困率は全国の二倍以上、貯蓄残高も全国最下位。更に詳細を話すと、進学率も非正規雇用率も全国ワースト、生活保護率も全国で上位、米軍統治下の影響もあり年金も月二万円にも満たない県民もいる中で、現実に向き合ったコメントだとは言えません。国家戦略として経済活性化のフロントランナーではなくて、貧困のトップランナーへとなり果てた状態に、成果を上げていると言っているようなものですよ、大臣。

 そういった沖縄を立て直す、県民ニーズを的確に捉えた振興計画、政策立案、事業予算を確保していただきたいと思います。これからの沖縄県内の窮状を理解していただき、是非とも、今年度の補正若しくは次年度の沖縄振興予算は、国直轄事業は別枠で、まず当面は三千億円台の確保、そういった御支援をいただきながら、国家戦略及び日本のフロントランナーとしての位置づけを示しているわけですから、そのことも約束してもらい、結果の伴う内容になることを強く要望します。

 次に、ちょっと時間もありますので、日米地位協定について質疑します。

 今国会、参議院では、質疑において、米国が日本の防衛費を三%要求してきたのに対し、石破総理は日本が決めるとおっしゃっておりました。そうです、同盟国であっても予算などについて他国に物を言われる筋合いはありません。

 思いやり予算、今では同盟強靱化予算と言われているようですけれども、その予算はここ十年右肩上がり、近年は約二千百億円以上もお金を提供しておりますが、今後、沖縄に関係する米側への財政措置をする必要があるんですか、岩屋大臣。この同盟強靱化予算、出す必要はないですよ。

 沖縄県は、右肩下がりで振興予算も減らされ、さらには、米軍属の事件、事故は、また逆に右肩上がりに増え続け、実効ある対策も何もできない。そういった負担だけ沖縄県民に押しつけ、声にも寄り添わず、負担軽減の目に見える成果を着実に積み上げるなど詭弁、方便の無責任政府、米国に沖縄の自治を壊されており、逆に、政府は、県民生活を日本の最高水準まで押し上げる大胆な予算編成措置と、米国には損害を請求する、そういったことをやるのがまず先じゃないですか。その上で、納得できる環境をつくってもらいたい、現実的な日米安保を構築するべき、まずは先にそこからやっていただきたいと思います。

 日米地位協定というルールがまさにそうで、日米合同委員会もブラックボックス。国防、防衛上と言えば何でも隠して、負担だけは沖縄県民にごめんなさいと、寄り添う姿勢が全くない無責任な政治を進めています。同盟国だからこそ、日本の防衛は日本が決め、敗戦国として八十年、ほかの国では既に自分たちの国のルールで自国民優先であっても、日本はそうじゃないんですよ。

 自分たちのルールで何もできない、その状況を、今国会、もうそろそろ会期末を迎えますけれども、日米地位協定の改定、総理の旗振り役で、いつ変えるんですか、岩屋大臣。

岩屋国務大臣 まず、御指摘のホスト・ネーション・サポートですけれども、次の改定は二〇二七年になりますので、来年から議論を開始することになります。これまでも適切に分担してきていると思いますが、次回についても、適切に分担をするということを基本方針に協議に臨んでいきたいと考えております。

 それから、今、地位協定についてのお尋ねがございました。石破総理も、これは一朝一夕にできるものではないというふうに答弁をされておられると思いますが、目下、与党自民党の中で、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会が開催されておりまして、既に三回開催されたと承知をしております。この地位協定も含めて幅広い議論が行われていると承知をしております。

 こういったものも踏まえつつ、参考にしつつ、同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、その強靱性、又は地元の理解も含めた持続性を高めていくという観点から、検討し対応していきたいと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 自民党内で協議中と、再三、去った予算委員会の中でも、外務省の岩屋大臣からその話を聞かされておりますけれども、これまで、沖縄の事件、事故、戦闘機の昼夜問わない爆音、小学校の上空を飛ばないでほしい旨、また小学校の運動場にPFAS汚染が出ている調査など、何ら実効性のある対策を打っていただけない、変えられない自民党に、何を期待して政権与党のその協議を待たなければいけないんですか、我々。

 そういう状況じゃなくて、国会改革をしながら、多くの方々が、議連なり立ち上げて、日米地位協定を改定するためにそれぞれがしっかりと責任を負って議論しましょうよという話も当時しましたけれども、全国民の皆さん方も、沖縄の基地、負担だけを押しつけるんじゃなくて、みんなで享受をして、この日本が植民地を脱却するためにどうあるべきなのかと。本当に今の状況で、ずっと押しつけられている状況ですよ、我々沖縄は。そのことをしっかりと踏まえた上で、是非とも協議を加速していただきたい。

 最後の質問になるかと思いますけれども、石破総理になって……

逢坂委員長 山川君、申合せの時間が過ぎております。質問は終了をお願いいたします。

山川委員 済みません。じゃ、質問も終わりなので。

 ちょっと質問を残しましたけれども、是非、両大臣にお伝えした内容についてはしっかりと胸に留めて、要望を受け止めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

逢坂委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今日は、世界自然遺産にも登録されている山原地域に近接する海岸で浸食が起こっている問題について質問をいたします。

 まず、伊東大臣にお聞きします。

 沖縄が人々の心を引きつけているのは、青い空、青い海、白い砂浜と言われていますが、この自然景観を保護することは、生態系の維持や住民の豊かな暮らしにつながるのはもちろん、観光を始め経済振興にも寄与すると思いますが、この点、大臣はどのようにお考えですか。

伊東国務大臣 赤嶺先生の御質問にお答えしてまいります。

 答えというより、おっしゃられていること、本当にごもっともなお話でありまして、私も議員をやる前から何回も何回も沖縄に来て、本当にここでゆっくり住んで暮らしていければいいなと思ったことも何回もあるところであります。

 それは、まさしく今お話しのとおり、自然景観がすばらしい、そしてまた、今おっしゃられた海も空も砂浜も含めて、魅了するものであり、日本の宝である、このように私も考えているところであります。

赤嶺委員 それで、沖縄県北部に位置する国頭村は、八割を亜熱帯の木々に囲まれ、ヤンバルクイナやノグチゲラなど固有種、希少種が生息する自然豊かな村であります。また、ウミガメの産卵地としても有名な西海岸の謝敷海岸には、アカウミガメ、アオウミガメ、そしてタイマイという絶滅危惧種のウミガメ三種が産卵に訪れます。

 その謝敷海岸で海岸の浸食が深刻な問題となっております。国頭村議会では、浸食による謝敷海岸の消滅の危機という具合に議論が行われております。私は、先週、この委員会室におられる屋良議員や新垣議員も御一緒してその現場を見てきました。海岸沿いには国道五十八号線が通っていますが、護岸が浸食により崩壊している箇所が幾つもありました。こうした現象が西海岸沿いに数キロにわたって何か所も起きています。

 国交省にお聞きします。こうした現状、どのように認識し、対応しておられますか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました国頭村の謝敷地区の海沿いを通る国道五十八号の石積み、この護岸につきましては変状を起こしていることは承知をしております。変状の要因といたしましては、護岸下が波浪により洗掘を受けたこと、これによりまして護岸背面の裏側の土が吸い出され、変状したものと考えております。

 この箇所につきましては、令和五年度に護岸の変状を確認いたしております。更なる洗掘を防ぐため、大型土のうを設置するなどの応急対策を実施しております。あわせて、本復旧対策について検討を進め、今年度より対策工事を着手する予定としております。

赤嶺委員 五十八号線沿いの砂浜が持っていかれて歩道の場所が沈下しているという、立入禁止のマークもついておりました。

 ところで、国交省は、二〇一七年に砂浜保全に関する懇談会、これは全国の砂浜の保全に関する懇談会ですが、そこに提出した資料では、かつてあった砂浜が失われたままとなっている事例として、申し上げました謝敷海岸を挙げています。そこには、「謝敷海岸は本島の西側海岸で一番のウミガメ産卵場所であるが、沖での砂利採取や台風の影響により侵食が進行。」このように書かれております。

 沖での海砂採取が海岸浸食の要因の一つに挙げられているわけですが、沖縄県の琉球諸島沿岸海岸保全基本計画では、人工リーフ等による保全施設の整備を図るとしています。この計画は今どうなっていますか。

逢坂委員長 答弁。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

逢坂委員長 じゃ、速記を起こしてください。

赤嶺委員 ちょっと調整がうまくいっていないようですが、県に確認して報告するようにと通告では伝えてあるんですが、伝わっていないですか、国交省。

逢坂委員長 ちょっと速記を止めてください。

    〔速記中止〕

逢坂委員長 それでは、速記を起こしてください。

井崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘をいただきました謝敷海岸の浸食の状況につきまして、沖縄県に確認をするようにという御指示をいただきましたので、今回、沖縄県に改めて確認をいたしました。

 沖縄県からは、謝敷海岸の浸食については、台風の影響や気候変動による平均海面水位の上昇等、幾つかの要因が考えられるということを伺っております。

赤嶺委員 台風の影響、もちろんあります。沖合で砂を取っているために、台風で砂が流された場合には、その砂の採取場所に入り込んでいって、海岸の砂が少なくなっていくという関係なんですね。それで、人工リーフも、限られた予算の中で、優先的に設置される、措置されるということにはなっていない。

 ただ、地元住民は、目の前で砂浜の減少や海岸の浸食が進み、原因究明と対策を求める要請書を北部国道事務所長宛てに提出しています。十分な予算があればこうした浸食による護岸の崩壊にも対応できるということを指摘しておきたいと思います。

 海岸の浸食が今でも激しいわけですが、砂浜もどんどんどんどん小さくなっていっているわけですが、沖縄の砂浜、こうした状況があるにもかかわらず、今、防衛省は、辺野古新基地建設に関わって軟弱地盤の改良工事に必要となる大量の海砂を県内から調達するとしております。その量は、全体で約三百九十万立米、県内の年間採取量の約二倍に相当いたします。

 防衛省に聞きますが、これまでにどれだけの量の海砂採取を契約してきているのか、それはどこから採取する計画なのか、説明していただけますか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 普天間飛行場代替施設建設事業において使用する海砂については、委員御指摘のとおり、約三百九十万立方メートルを予定していると承知しております。また、現在、沖縄防衛局が契約している海砂を使用する六件の工事については、入札公告において予定している海砂の使用量を示しておりまして、その合計は約二百三十万立方メートルであると承知しております。

 本事業に使用する海砂の採取場所については、工事の安全かつ円滑な実施等の観点からお答えできないことを御理解ください。

 以上です。

赤嶺委員 採取場所については答えられないということですが、この海域で海砂を採取していることについては、採取業者が地元の区に対して説明をしています。地元の方々も、辺野古のために海砂を採取していることはよく知っておられます。

 ただでさえ、今まででさえこれだけの浸食被害が起こっている下で、沖縄県民が反対する辺野古新基地建設に海砂を更に採取し、使用するという計画はやめるべきだと思いますが、いかがですか。

本田副大臣 お答えいたします。

 普天間飛行場代替施設につきましては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づきまして着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。

 この普天間飛行場代替施設については、海砂を用いた地盤改良工事などによりまして飛行場として問題なく建設できるものであり、現在、様々な工事が着実に進捗しているところであります。

 防衛省といたしましては、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、そして基地負担の軽減を図るため、引き続き、環境保全にも配慮しながら、辺野古への移設工事を着実に進めてまいります。

赤嶺委員 辺野古の基地が完成する頃は、沖縄の海岸の砂は、今の一年間の量の二倍の量の砂を取っていきますから、全部壊れてしまいますよ。先ほど伊東大臣が言った沖縄の魅力、これも全部失われますよ。それでよく、自然環境に気をつけながら辺野古の基地を造りますと。

 辺野古の基地を造るための海砂の採取が更に自然を壊していくと、ウミガメが海岸からいなくなるんですよ。ウミガメというのは、やはり子亀が、産卵するときは分かるそうですね、子亀は一度に百匹ぐらい海に戻っていく、この行進を、アリの行列のようなものを見ていたらとても感動的だということを聞かされましたけれども。やはり、伊東大臣も先ほど沖縄賛歌がありました、そういう自然を守るためにも、海砂の採取は即刻やめるべきだと強く申し上げておきたいと思います。

 次に、外務大臣に伺います。

 四月十八日に、嘉手納基地周辺のゲート通りなどで日米合同パトロールが行われました。これは元々、米軍占領下の沖縄で行われたもので、本土復帰後に県警が中止を求めていたんですね。一九七四年以降、共同パトロールというのは実施されていなかったものであります。

 沖縄県の警察がその中止を求めたのは、米軍の憲兵隊と県警が犯罪の現場に居合わせた場合には、米軍が逮捕し、身柄を拘束するという日米間の取決めがあるからであります。外国軍隊の警察権の拡大は認められないということであります。私は、沖縄県警が取ってきた態度は、誇りある立派な、当然の対応だと思います。

 その後、事件が起こるたびに、米軍が合同パトロールの復活を求め、県警は拒否するということが繰り返されました。ところが、今回、一昨年十二月の少女に対する性的暴行事件の発覚を受け、米軍が昨年七月に再び持ち出し、沖縄市が主催する防犯パトロールに相乗りする形で実現されたというのが経過であります。

 これまで、政府が導入検討を打ち出したときに、日米間でパトロール時の警察権限の行使について必要な調整を行うと政府は言ってきたわけですね、日米間で共同パトロールを行う場合は必要な調整を行うと。

 ところが、今回、その点の整理がなされないまま実施されたと報じられています。これは、外務大臣、事実でしょうか。これでは米軍の警察権の拡大を容認したことになるのではありませんか。

岩屋国務大臣 四月十八日、沖縄市において、犯罪、事故の防止や地域の防犯意識の向上を目的として、市民、行政、米軍関係者が協力して地域の安全と安心を確保するために、日米合同地域安全パトロールが実施されたと承知しています。

 これまでの経過については委員も御指摘ありましたが、これまでも地元自治会や防犯協会が防犯パトロールを実施してきており、この活動に沖縄県警や米軍関係者が加わる形で日米合同地域安全パトロールが実施されましたが、これは日米地位協定とも整合的に実施されたものと承知をしております。

 もとより、米軍人等による事件、事故はあってはならないことでありますけれども、昨年七月に米側が発表した一連の再発防止策には沖縄県における県警と米軍による共同パトロールも含まれておりまして、日米合同地域安全パトロールが実施されたことは、在日米軍の綱紀粛正と再発防止にも資していくものであって、政府としてはこれを前向きに評価しているところでございます。

赤嶺委員 外務大臣、合同パトロールについての政府の考え方はそうでしょうけれども、ただ、合同パトロールを行う場合には警察権について必要な整理、必要な調整を行うとしてきたわけですよ。

 この必要な調整、これはやりましたか。

岩屋国務大臣 言うまでもないことですが、日米合同地域安全パトロールでございますから、これは、犯罪、事故の防止や地域の防犯意識の向上を目的とする、言ってみれば啓発活動でございます。しかも、先ほど申し上げたように、日米地位協定とも整合的に実施されたものと承知をしております。

 地位協定十七条の10の(b)で……(赤嶺委員「いいです、いや、もうそこまでで。もう一問ありますから」と呼ぶ)いいですか、はい。

赤嶺委員 外務大臣、今、途中で答弁を止めて失礼ですけれども、ただ、合同パトロールが行われるようになったら、米軍が一方的に身柄を拘束するケースが増加することになるんですよ。私は何度も国会でその問題を取り上げてきました。佐世保、北谷、那覇などでそうした問題が繰り返されております。

 しかも、米軍は、先ほど行われたフォーラムで、那覇市を含む沖縄のほかの地域への拡大も提案、議論したという具合になっています。まるで占領下に戻るようなものです。やはり……

逢坂委員長 赤嶺君、申合せの時間が過ぎております。

赤嶺委員 はい。

 外国の軍隊の、米軍の軍隊の警察権が拡大するようなやり方を容認している、それを改めるように求めて、質問を終わります。

逢坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十五分散会


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