第1号 令和8年3月10日(火曜日)
令和八年三月十日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 坂本 哲志君
理事 勝俣 孝明君 理事 齋藤 健君
理事 笹川 博義君 理事 とかしきなおみ君
理事 鳩山 二郎君 理事 藤原 崇君
理事 長妻 昭君 理事 池下 卓君
理事 長友 慎治君
石川 昭政君 石橋林太郎君
井出 庸生君 伊藤信太郎君
井上 信治君 井原 巧君
小田原 潔君 勝目 康君
加藤 鮎子君 加藤 勝信君
神田 潤一君 北神 圭朗君
後藤 茂之君 塩崎 彰久君
菅原 一秀君 鈴木 淳司君
平 将明君 谷川 とむ君
土田 慎君 中曽根康隆君
中山 泰秀君 西田 昭二君
橋本 岳君 平沼正二郎君
福田かおる君 牧島かれん君
丸川 珠代君 盛山 正仁君
山田 美樹君 吉田 真次君
若山 慎司君 鷲尾英一郎君
渡辺 博道君 伊佐 進一君
後藤 祐一君 近藤 和也君
中野 洋昌君 山本 香苗君
早稲田ゆき君 東 徹君
うるま譲司君 横田 光弘君
福田 徹君 村岡 敏英君
石川 勝君 豊田真由子君
高山 聡史君 塩川 鉄也君
辰巳孝太郎君
…………………………………
公述人
(東海大学健康学部健康マネジメント学科教授) 堀 真奈美君
公述人
(慶應義塾大学大学院教授) 小幡 績君
公述人
(嘉悦大学大学院教授) 高橋 洋一君
公述人
(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授) 田中浩一郎君
公述人
(早稲田大学研究院教授) 遠藤 典子君
公述人
(日本労働組合総連合会事務局長) 神保 政史君
公述人
(一般財団法人日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員) 小山 堅君
公述人
(一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長) 天野 慎介君
予算委員会専門員 藤井 宏治君
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委員の異動
三月十日
辞任 補欠選任
稲田 朋美君 勝目 康君
加藤 鮎子君 中曽根康隆君
平 将明君 土田 慎君
谷川 とむ君 井原 巧君
中山 泰秀君 吉田 真次君
福原 淳嗣君 若山 慎司君
伊佐 進一君 近藤 和也君
山本 香苗君 早稲田ゆき君
和田 政宗君 石川 勝君
辰巳孝太郎君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
井原 巧君 谷川 とむ君
勝目 康君 稲田 朋美君
土田 慎君 平 将明君
中曽根康隆君 加藤 鮎子君
吉田 真次君 福田かおる君
若山 慎司君 平沼正二郎君
近藤 和也君 伊佐 進一君
早稲田ゆき君 山本 香苗君
石川 勝君 和田 政宗君
塩川 鉄也君 辰巳孝太郎君
同日
辞任 補欠選任
平沼正二郎君 簗 和生君
福田かおる君 中山 泰秀君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
令和八年度一般会計予算
令和八年度特別会計予算
令和八年度政府関係機関予算
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○坂本委員長 これより会議を開きます。
令和八年度一般会計予算、令和八年度特別会計予算、令和八年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。令和八年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。ありがとうございます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず堀真奈美公述人、次に小幡績公述人、次に高橋洋一公述人、次に田中浩一郎公述人の順序で、お一人二十分ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、堀公述人にお願いいたします。
○堀公述人 本日は、貴重な御機会をいただき、ありがとうございます。
東海大学の堀真奈美と申します。専門は、社会保障、公共政策、医療経済となります。
早速ですが、令和八年度予算についてというところで、社会保障についてお話をさせていただきたいんですが、そもそも社会保障とは何かというところから少しお話をさせていただければと思っております。
有識者だけではなく、テキスト的にもそうなんですが、社会保障の定義は、実は、時代、国、文化、そして価値観によって異なって、統一はされておりません。
抽象的な概念で捉えますと、個々人の生活上のリスクの中で、社会的リスクとみなすものに対し、社会的に対応する仕組み、公的責任において行う制度、政策とされますが、何をどこまで社会的リスクとするかにつきましては、国民的な合意が必要ということもありまして、国によって、時代によって大きく異なるということです。
日本の場合、第二次世界大戦後の社会保障制度審議会において規定されたものが中心になりまして、厚生労働省の資料ですけれども、日本の制度上の社会保障には、社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療、公衆衛生が含まれております。
国民の生活を生涯にわたって支える社会保障制度として現状では定着しているかと思いますが、社会福祉とは何か、社会保険とは何かというものにつきましても、国によって、時代によって必ずしも一様ではないということがあるかと思います。
日本の社会保障の変遷について簡単に述べさせていただきたいと思います。
戦後の混乱期は救貧というものがメインで社会保障制度が構築されておりますが、高度経済成長期は産業構造、社会構造の変化の中で国民皆保険というものが成立いたします。その後、オイルショック等、高度経済成長終了に伴い、少子高齢化への対応というものもございますが、制度が大きく変わってきたというのがございます。
次のページに行きます。
皆様御存じのように、既に人口ボーナス社会から人口オーナス社会と言われる社会になっております。これは、人口動態の、人口転換理論によりますと、将来的には定常化する見込みですが、その定常化に至るまでの間にどれくらい時間がかかるかに関しましてはいろいろなシナリオがあって、今、少子化対策等をされていることかと思います。
ここから、国民皆保険の持続可能性について少しお話をさせていただきたいと思います。
国民皆保険は一九六一年に成立しております。先ほどもお話ししましたが、高度経済成長期、平均寿命、男性六十六歳、女性が七十・九歳の時代に成立しております。
一九六〇年代前半といいますと、私自身もまだ生まれておりませんが、高度経済成長前期、所得倍増計画、東海道新幹線が開通する、カラーテレビ、公害が大きな問題となる、そして社会の経済産業構造が大きく大きく変わった時代です。その当時の社会経済構造に対応するように国民皆保険というのは成立しました。
非常にすばらしい制度であると思いますが、その当時の、国民皆保険成立時の暗黙の前提、多数の若年層、主に地方から都市に移動してきた方たちを含みますが、少数の社会的弱者とも言われる高齢者、あるいは地方にいらっしゃる方とかを支えるような仕組みとして成立した。
正規労働者が、正規雇用の人が扶養家族を支えることを前提というふうな形でもあったと思いますし、共働きの方が現在は主流になっておりますが、当時は主流ではなかった。
何が言いたいかといいますと、高度経済成長期以降の大きな日本の社会経済構造の転換に合わせるように成立した国民皆保険の前提が今現在も成立するかというと、非常に難しいところがあるかと思います。
とはいいましても、医療保険の持続可能性というのが懸念されるようになったのは今に始まったことではございません。先ほど申しました国民皆保険が成立する前においても、医療保険の財政的な問題というのは非常に大きな課題となっておりました。
そして、高齢化、医療の高度化により医療が増えていくということも、もうこれも今に始まったことではありませんが、構造的に増加していく状態があります。
本来は、そもそも医療費が増えることそのものが悪でも善でもどちらでもない、それは現象として増えるということかと思うんですが、医療における給付と負担の対応関係がうまくいかなくなってくると、当然なことですが、財政的に、構造的に悪化していきます。
医療費を増加させるプレッシャーとしましては、テクノロジーの増加、医療への患者の期待、後期高齢者の増加ということもありますし、そして、医療費を抑制するプレッシャーとしましては、人口減少であるとか、現役世代の負担をどうやって抑えなければいけないか、あるいは財政悪化をどうするかというようなことがあるかと思います。
これは、実は今に始まったことではなくて、非常に、数十年と言ってもいいくらい、構造課題として言われていることです。
次のページです。
これまでにも、制度改革は、必ず、たくさんされてきたと思います。しかし、構造的な改革はもちろんありますが、非常に少なく、局所的な対応が多かったかと思います。
特に、医療、介護は、現物給付ということの部分がありますので、供給体制とセットで議論しなければなりません。ステークホルダー間の利害構造もありますし、ほかの社会保障制度以上に、なかなか構造的な改革というのは難しいというところがあります。
特定の利害関係者に関心があっても、玄人的な問題がどちらかというと解決対象になり、それはそれで全く問題はないんですが、非常に一般の方たちはなかなか分かりにくいというところがあります。
メディアが大きく取り上げられるような問題に国民は関心を持つと思いますが、それも悪いわけではありませんが、ただ、そうなってくると、その全体像を俯瞰して、何が問題なのかというのを見るのがなかなか難しい状態になっているところがあるのではないかと思います。
そうした中、近年の改革の方向性としまして、社会保障と税の一体改革、団塊世代が後期高齢者となる二〇二五年を念頭に消費税を含む一体改革が行われたことは記憶にあるかと思います。その後、二〇四〇年を展望した社会保障・働き方改革、全世代型社会保障改革というふうに行われていきました。
徐々に改革というのは行われてはいるわけですが、二〇二五年問題、今年、既に二〇二六年になっております。団塊世代が既にもう後期高齢者に全てなっていますが、その当時の社会保障と税の一体改革のターゲットとなる年でありましたし、改革工程表に沿った改革はほぼほぼ実施されたかと思います。
ただ、残念ながら、全てが改革の進捗どおりになっているかどうかというと、まだまだ予測不可能な事態が、災害が起きたりとか、新型コロナパンデミックがあったりなどといったこともありまして、完全に二〇二五年問題そのものを全てクリアしているかというと、まだそうとは言えないところもある、課題もあるかと思います。
後期高齢者の増大がなぜ医療・介護需要に影響を与えるか、そちらについて、有訴率が高い、受療率が一般的に高い、救急搬送件数が高い、一人当たり医療費が高い、要介護認定率が高い、単身世帯の認定率が高いといったことがあり、地域医療構想、医療提供体制の改革、そして地域包括ケアの推進が唱えられ、それはそれで進められてきたと思います。
今後もその改革は進めていくことになるかと思いますが、まだ全て予定どおりになっているとは言えないところもあるかと思います。
何が言いたいかといいますと、社会保障そのもののレジリエンスが非常に重要になってくる。それは、二〇二五年問題がターゲットになっていた時代よりもより一層難しい。二〇二五年問題というのは、社会保障、あるいは公共政策や医療経済等の研究者の中でも、その時代をどう乗り越えるのかということが非常に問題になっておりましたが、その問題がまだある状態で、さらに、二〇三五、二〇四〇年、二〇四五年、団塊ジュニア世代が今後高齢期に入ってきますので、これまでの二十年とは全く異なる時代になると思います。
従来制度の延長線での持続可能性を検討することは当然重要ですが、それだけでは難しいところがあるのではないかと思います。
次のページです。
給付と負担のバランスにつきましては、日本は、マクロレベルで見ると、国際的には給付に対して負担が低い国というところがあります。給付先行型の負担、中福祉・低負担になっているところもあります。
しかし、ミクロレベルで見たときには、受益感が乏しく、国民が当事者として給付と負担の在り方に向き合うような機運になっているとは思えません。これは、経済情勢の変化、人口動態が大きく変わる中で、非常に大きな問題となってくると思います。
当然ですが、給付も必要、だけれども負担はなかなかできないというふうになってきますと、給付の在り方を見直していく必要も出てきますし、そこのところを令和の構造的な課題に対してどういうふうに考えていくのかがこれから非常に重要になってくる、大きな歴史的な転換点なのではないかと思います。
増加が見込まれる需要と供給のギャップをどう埋めるのかというところで、現役世代の過重な負担を抑制するということは当然ですし、医療、福祉業界で就労可能な人口そのものも制約がございます。当然、イノベーション等も必要になってきますし、そこのところをどうするのかというところが非常に大局的には大きな課題なのではないかと思います。
ここから、令和八年度予算と社会保障というところについて、幾つか焦点となりそうなところだけ抜粋させていただきました。
歳出関係で見ますと、社会保障関係費が、三十九兆六百億円だったかと思いますが、過去最大の値となっておりますが、前年度プラスで七千六百二十一億円、診療報酬改定が、これも大きくメディアで取り上げられましたが、三・〇九%の増になりました。これは、規模云々というよりは、高齢化による増加分に、物価動向と、賃金の上昇も含めてですけれども、それを反映した金額となっているかと思います。
あと、持続可能性に向けた見直しということで、保険料負担を軽減するというところから、高額療養費制度の見直し、OTC類似薬を含む薬剤費自己負担の見直しなども図られました。
私自身が今回の内容を見て感じるところは、非常にめり張りといいますか、予算の金額の多寡というよりは、予算の配分の在り方というところに非常に着目するところがあるかなというふうに思っております。物価動向等に対する反映も非常に丁寧に、施設の種類別ごと、あるいは人件費に反映されるように目配りができているかなというところがあるかと思います。
高額療養費制度の見直しにつきましては、昨年度、議論となって、仕切り直しという形で、高額療養費制度の在り方に関する専門委員会が設置されたかと思います。
こちらの、医療保険部会の中に設置されているこの専門委員会の議論を拝見いたしますと、昨年度との違いは、医療保険制度全体の見直しを踏まえ、高額療養費のセーフティーネット機能に鑑みというところが強調されているところかと思います。
非常に、昨年度の段階以上に丁寧な議論がされていると思いますが、多数該当の長期療養者や低所得者の経済的負担の在り方に配慮した見直しや、また、年齢に関わらない応能負担に基づく制度の在り方が検討されているかと思います。
さらに、見直し後の負担変化、外来特例の見直しのところ、それから外来特例の月額上限に該当する者の患者割合のところの資料は、高額療養費制度の在り方に関する専門委員会で、昨年度に比べますと非常に細かなデータが出ているというふうな印象を受けております。
さらに、OTC類似薬を含む薬剤費自己負担の見直しについても、こちらも、OTC類似薬だけを取り上げるというよりは、医療保険制度全体の中での議論をというところの中で検討されているのかと思いますが、保険外負担を求める新たな仕組みの創設、特別の料金の対象となる医薬品の範囲、特別の料金の設定、そして食品類似薬の保険給付の見直しなどが図られていたかと思います。
この内容につきましては、基本的にはその社会的リスクは何かというところの話にもつながりますが、給付と負担の在り方をどういうふうに考えるのかという意味では、一歩進んだ検討がされているのではないかというふうには思います。
一方、引き続き検討は、今回の予算だけではなく今後のことかと思いますが、まだ検討が必要な構造課題も、当然ですが、たくさんあります。医療保険は医療供給とセットで考えなければいけないところですし、ファイナンスだけではなくデリバリーも含めてセットで考えなければならない課題かと思いますので、そういう意味では、今後の人口動態、医療の高度化といった環境変化も含めて、さらに、給付の適正化というものも必要ですが、同時に、安定的な財源確保というのは安心した医療提供体制の構築のためには必要不可欠かと思います。
過去の社会保障と税の一体改革では安定財源確保のところが検討されておりましたが、前回の社会保障と税の一体改革は二〇二五年を目標としたものでしたので、ポスト二〇二五年、二〇二五年問題以上に非常に複雑で大変な課題かと思いますが、これまで以上に安定的な財源確保も必要だと思いますし、国民的な合意が得られるような検討が、この予算会議ではなく、予算会議とはまた別の形で、より長期的な構造課題のための検討というのが必要かというふうに思っております。
以下に参考資料を幾つか挙げています。
こちら、次の参考資料の一、医療費の給付水準の決定要因と、給付の適正化のアプローチというのを入れています。これは、あくまで理屈上のものであって、よしあしを述べていません。こういうやり方があり得る、それがいい悪いを判断するのは国民だと思いますので、あり得るアプローチというものを整理しております。
そして、参考資料二以下につきましては、現状の社会保障の給付と負担の基礎的な資料、社会保障給付費の推移であるとか、あるいは医療保険制度の体系について、そして国民負担率の状態、あと保険者の比較、それから、保健医療二〇三五といって、政策の流れの中の一つでもありますが、通常のものとは少し違う形の提言というのもありましたので、そちらも参考までに掲載させていただいています。
それから、構造的な課題、もうこれは十年、二十年ではなくて三十年、四十年近く続いている課題かと思いますが、固定化する地域格差の課題、それから医療資源が分散型になっている課題、そして患者の受診行動、ヘルスリテラシーが、まあ、不安があるということもあるのかもしれませんが、国際的に見て非常に高い外来受診回数というのがあります。コンビニ受診ということも各種報道等でもされているかもしれませんが、これをやめろと言うのは簡単なんですけれども、やめろと言う前にヘルスリテラシーを上げていく、どういうふうに患者自身が自分の健康課題に向き合っていくかということにも課題があるので、この教育的なものは重要かと思います。
そして、国保、国民健康保険につきましては、これは国民皆保険が成立したときの、国民皆保険を達成した時代の国保とは随分状態が変わっているということを示しているものです。世帯主の年齢、職種別の状態、国保加入者の変容について挙げていますが、実は、国保というのは自営業、農林水産業、無職という方が多いと言われましたが、見ていただくと、被用者の方もかなり入っていることが分かるかと思います。それから、保険料の算定方法も、保険制度によって、国保と被用者保険でかなり違うということも述べさせていただきます。
それから、これは、厚生労働省の令和七年度の労働経済の分析、労働力供給制約での持続的な経済成長に向けてで掲載されている資料ですが、医療・福祉業の労働生産性が相対的に低いということがあります。これは、制度との関係もありますが、そこをどういうふうにしていくのかというところを考えていく必要があるかと思います。
最後に、新しいサービスの提供の在り方。
要は、もう、ポスト二〇二五年を踏まえますと、これまでとは本当に時代の環境は変わっていきますので、プライマリーケアを重視するとか、タスクシフト、タスクシェア、デジタル化、DXなど、あるいは人への投資というのが一層重要になるのではないかと思います。
私からの意見は以上となります。早口で申し訳ありません。ありがとうございました。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
次に、小幡公述人にお願いいたします。
○小幡公述人 慶応義塾大学の小幡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
光栄なことに三年前にも呼んでいただきまして、そのとき、経済政策を話してくれと言われて、プレゼンした資料が、経済政策は要らないというプレゼンをして、かなり賛否両論だったんですが、今回は、非常にオーソドックスな、ごくごく普通な話をしたいと思います。
財政政策ということでお願いします。
一枚めくっていただくと、財政収支は一番重要なことではないんですね。三番目ぐらいに重要ですが、別の軸として重要だと。枚数は多いんですけれども、中身は余りないので大丈夫です。
二枚目が、債務残高GDP比。これも余り重要じゃないですね。これはもっと重要じゃないかもしれません。関係はもちろんあるんですけれども、直接的な話ではない。しかも、現在の日本にとっては余り関係ないということです。
もう一枚めくっていただくと、じゃ、一体何が重要なんだというと、当たり前のことですが、要は、財政政策で何をするか。その中身が重要なわけですね。だから、支出額とか支出する気合とかじゃなくて、何をやるかが重要だということです。
ちょっと話はそれますけれども、給付つき税額控除も、経済学者アンケートだとほぼ全員賛成なんです。ただ、それは、経済学者が、理論的な手法としてこれは優れているよということなので、イメージはみんな違うんです。イギリスのユニバーサルクレジットよりも更に何か先進的というか包括的な、すごく理想的なのをイメージしている。それで、やはり政治の現実は大分違いますから、その辺は、経済学者とこちらでの給付つき税額控除の議論の目的というか考え方は、大分根本から異なっている可能性があると思います。
一枚めくっていただくと、これはちょっとあれなんですが、要は、いい財政支出を余り私は見たことないです。少なくとも二十一世紀になってから、日本に限らず、これは日本が悪いと言っているんじゃなくて、成熟経済において、経済成長を目指した財政支出はほぼ無駄に終わっている。
一枚めくっていただくと、これはなぜかというと、高度成長期というのはやはり発展途上だったので利いたということ。ただ、あれは世界の歴史上にも類いまれなる、日本が誇る大成果なので、非常にアジア諸国からもまねされたわけですけれども、そうじゃない。今は全然違うんだ、成熟経済においてはですね。
一枚めくっていただくと、要は、民間にできないことは政府にはもっとできない。人、金、リスク、リスクが取れるという意味ですけれども、これが民間にはなくて政府にある場合。昔はそういう時代があります。お金がない場合、それで世界銀行から借りてくる場合もあります。ところが、今、民間には全部あるんです。アメリカの企業は国家予算よりも大きい支出をできます。
政府には、残念ながら年々リソースが減っています。特に、皆さんも感じていらっしゃると思いますけれども、官僚を始めとして、スタッフの人不足。その中で支出の目利きをするのは非常に難しい。これは誰がやるんだというと、誰もできないというふうに思います。
一枚めくっていただくと、いやいや、何を言っているんだ、海外ではやっているんだ、日本は負けていられないというんですが、これは、特にアメリカ、中国は成功しているものもあります。それはなぜかというと、勝ち馬に更に金を乗せるという、勝ち馬にレバレッジを利かせる、ブーストするという戦略なんですね。
つまり、アメリカの世界での勝ち組、中国での世界での勝ち組、主に中国マーケットですけれども、これが世界覇権を争っているときに、よし、中国の企業に負けるなといって、アメリカが一番勝っている企業に金を入れる、これはあります、勝ち馬を更に勝たせるという。ところが、日本の場合は、いや、米中に大分後れを取った、勝ち馬をつくれという政策なんですね。その場合は難しい。勝ち馬がいなくては金は乗せられない。
一枚めくっていただくと、要は、米中でも勝ち馬をつくったことはないんです。NASAがスペースXに負けている。中国ですら、民間企業に後から金を入れたり規制を入れたり、まあ、あめとむちを使いながらコントロールしている。韓国は成功したプレーヤーに癒着する。これは賛否はありますけれども、日本にはできないですね。日本にはできない。公平主義ですし、どちらかというと、弱い、衰退した企業を何とか支援するという方針ですから。
まあ、余りゼロ・ツー・ワンという言葉は個人的には好きではないんですけれども、ゼロからすごい企業を生み出すということは政府には無理なんですね。ですから、勝ち馬がいる、勝ち馬に乗せる。だから、今勝っているところに乗せる、勝ち馬がいない分野は悔しいですけれども諦める、そういうことです。
一枚めくっていただくと、リスクは、今は民間のリスク許容度が高いので、リスクを取らないとすると、それはリスクがもう高いし、期待リターンでもマイナスだったケース。つまり、やってももうからない。リスクも高いし、もうからない、そんなのやっていられない、政府がやってくれるならまあ拝見という感じだと思います。
一枚めくっていただくと、政府による呼び水、誘導はあり得ないということですが、どの分野が有望でどのような投資が有望かは、やはり政府に目利きはできないと申し上げました。少なくとも民間の方が知っていると。
一番申し上げたいのは、実は民間にも全く分からないですね、何が本当に来るのか。今はAIだと後からみんなでわあっと入っていく、それはできますけれども、これを先んじて見抜くことはできない。政府が号令をかけたから乗るというのは、大変申し上げにくいですが、要はおつき合いということです。あるいは、優遇がおいしい、もらえるものはもらおう、そういうことです。
一枚めくっていただくと、私が今日一番強調したいところの一つですが、やはり日本政府は良心的過ぎるので引けないんですよね。だから、勝ち馬も勝ち分野も、民間でも誰にも分からないです。やってみて、ああ、やはり駄目だったなということばかりで、これは臨機応変というか、試行錯誤の繰り返しですね。
ただ、日本というか、日本だけじゃないんですけれども、政府予算の場合は、非常に慎重に議論をして、国民の税金を使って責任を持って支出しますから、ちょっとやってみたものの、うんっ、ちょっといまいちじゃないかという時点では引けないですよ。引いたら怒られるし、何でこんなのを出したんだと。それを続ければ続けたで、何で続けたんだと後で怒られる。
これは、だから、リスクの高い分野で未来のことに関して政府が意思決定をするのは一番不利なんですよ。なので、それは、悲しいというか、もどかしいですけれども、民間といいますかプレーヤーに頑張っていただいて、勝ち馬が出たらみんなで全力で応援する、そういうことなんですね。
複数年度の投資というのは、財務省が辛気臭いので、それよりはましだという可能性は、まあ、可能性としてはないんですけれども、これは引く機会を失うという問題があって、毎年だと、銀行でも、短期資金をロールオーバーするときに一応チェックできるので、何かおかしくなったらいつでも引ける体制を整えていくということはあるんですけれども、単年度は一応形式的にチェックが厳しく入るので、そうすると継続性、持続性が危ぶまれてという問題がある一方で、やはり引きにくくなる、引けないという一番の問題点を更に助長するんじゃないかというふうに思っています。
ファンドとか基金は、一種複数年度なんですが、ううんという感じだと私は思うんですけれども、結局同じことなんですね。
一個めくっていただくと、ディス・タイム・ディファレントというのは、ハーバードのケネス・ロゴフの有名な、金融危機とかバブルとかに関して、いや、今回はバブルじゃないよと言うんだけれども、結局やはりバブルで崩壊すると言うんですが、これは全てのものに言えて、何かいい例が思いつきませんけれども、二度と浮気しませんと言っても多分そういう人はするんですね。済みません、例が思いつかなくて、ごめんなさい。
だから、今までの財政支出と今度は違うといっても、いや、どうしてそんな革命的に今回だけ違うんだというのは、なかなか難しい。だから、財務省を排除するのは構わないんですけれども、じゃ、代わりに誰がやるんだと。じゃ、いい財務省をつくろうよと。まあ、財務省の名前、よくないか、何かいい機関をつくって、査定なり目利きをしてくれる組織をつくらないことには始まらないんですけれども、まだできていないと思うんですね。ですから、今まで経済成長の財政支出はうまくいかない。
次は、高圧経済というスライドですが、需要主導で、それで成長軌道に乗せるという戦略ですが、これは今はやはりあり得ないと思うんですね。
だから、一九三〇年の大恐慌というか、世界が凍りついているときに政府が、これはケインズが主張したことですけれども、世界を解かすためにがつんといく、それで引っ張り上げるというのがあるんですけれども、これは、今は、二十一世紀はあり得ない、とりわけ日本はあり得ない。
これは前に言われたことなんですけれども、私、最近スランプなんだよなと友達に相談したら、いつからスランプなのと聞かれて、いや、三十年前と言ったら、それは実力だと言われまして、まさに日本経済はそういうことなんですよ。三十年駄目ということは、景気の問題じゃなくて実力なんですね。
一枚めくっていただくと、今風に言えば供給力ですね、需要よりも供給だと。こういう状況で、量的な需要喚起はマイナスなんです。なぜかというと、需要が足りないときは何でもいいから需要をやって回して活性化しよう、それはそうです、そういうときもあります。ところが、今みたいに供給力不足で、人あるいは部品とか流通とかそういうリソースが不足しているときは、どの需要に金を回すか、人をつけるかということが一番重要なんですね。
だから、やみくもに量を入れるんじゃなくて、量より圧倒的に質なんです。誰が何をやるのかが一番重要なんですね。だから、やみくもに量で高圧でというのは、今はもう百八十度逆だと思います。
一枚めくっていただくと、供給力強化はどうやるかというと、経済安全保障、大変恐縮ながら、これは経済にはマイナスなんですね。
なぜかというと、ほっておいてマーケットで要は負け組になって、日本は供給できません、あるいはコストが合わなくてできません、それを、じゃ、自分でつくるということは、明らかに劣ったもの、あるいは割高なもので我慢するということですね、日本産ということに限って。ということは、つくれないので、つくるプレーヤーがいない、あるいは、コストが合わないんだから、それはやればできるかもしれませんけれども、劣ったもの、遅れたもの、あるいは割高なものを使わされるということになります。
一枚めくっていただくと、TSMCを最後に呼んできて、これはいい政策だと思いますが、駄目なものしかつくれないから諦めて連れてくる、これはいい判断だと思うんですけれども、TSMCは、日本のために供給してくれと言ったんだけれども、結局、何か日本の需要は余りないなというので、世界的にもっと需要の高い、高度なものに工場を、予定を変更するというようなことになっていると。
一枚めくっていただくと、経済安全保障は経済成長にマイナス。これは、だから、社会構造支援というか社会政策としてはあり得ると思うんですよ。あるいは、防衛の観点からはもちろんあり得ると思うんです。ところが、経済合理性からいうと、要は負け組支援なので、負けた部品を使わされるメーカーは更に負けるということなんですね。
一枚めくっていただくと、物価対策は、ちょっとこれは、ここで言うのは大変勇気が要りますが、要は、ガソリンの暫定税率廃止は、あれは経済政策ではなくて政治政策なんですね。つまり、イランが起きて、今やるんだったら、もちろんこれは経済を平準化させるため経済政策としての意味がありますが、一バレル六十ドルで、ほぼ理由が円安で、ほかの世界的にはガソリンの値段が下がっているときにやるのは、これは政治政策だと思います。
もちろん、政治の現実が我々経済学者は分かっていないわけですから、こんな経済学者の言うことをと、全くそのとおりなんです。だから、政治政策に関しては我々は全く判断できませんから、皆さんというか国会で判断されると思うんですけれども、ただ、それは経済政策としては関係ないということなんですね。だから、根本から断たないと、経済的には物価対策にはならない。要は円安ですねということです。
一枚めくっていただくと、社会インフラというのは、これは社会政策として意味がある。これは繰り返しですね。
一枚めくっていただくと、軍事支出は、これはだから高圧経済と一緒で、需要は別に関係ないんですよね。むしろ、そっちに取られて、クラウディングアウトで、国民が、ほかに必要な民需のものがつくれなくなるということです。もしGDPが仮に一緒だとしても、日本国内に残ったものが、民需のものと、要は、国防、だから、国防政策上必要なものは絶対必要なので、これは経済を犠牲にしても、国民の生活を犠牲にしても防衛は必要です。私はそれは賛成します。ただ、それは経済政策にとってはマイナスだということなんですね。補助金も減税もうまくいかないし、減税で勝ち組はつくれないということです。
じゃあ何をやればというスライドに行っていただくと、私は、これは客観的というよりは私の意見ですが、国家百年の計で教育投資だと。経済の基盤は社会で、社会の基盤は人である。いい人が育てばいい社会になり、いい社会は長期的な経済発展をすると。
昨日、吉川里奈議員が公立学校の御質問をされていて、私は全面的に賛成なんですけれども、やはり公立学校。だから、大学、慶応義塾大学に一銭もやる必要はありません。私立大学は割高です。だから、それよりも初等教育に金を全部突っ込んだ方が国家百年の計としては絶対に正しい。慶応がなくなっても日本は困らない。だけれども、公立小学校が悪くなったら日本は困るんです。
結局、結論、これはちょっとあれなんですけれども、強い日本列島ではなく、強い日本人をつくろうよということです。
一枚めくっていただくと、実は、強い日本人というのはどうやって生まれるかというと、アメリカで私は留学させていただいて、大変いい教育を受けさせていただいたんですが、やはり多様な多数の留学生の雰囲気、そして自由な雰囲気、あれはもう圧倒的で、残念ながら、アメリカの大学院というのは、イギリスでもフランスでもどこでもつくれません、もう全然かなわない。今後どうなるかは分かりませんけれども。
だから、それも我々のやるべき初等教育で考えてみれば、初等教育も、広い視野を得るためには、やはり多様な社会をつくることが必要ではないかと思います。
付録に行っていただいて、あとは時間の許す限りと思ってあれなんですが、一枚めくると、永田町経済学と学界の経済学にはギャップがあると。さっきちょっとそういうお話をしました。目的が違うので、もし御関心があれば記事をということで。
一枚めくっていただくと、たまたま株が乱高下しているときなので、一番の専門は株価なのでやりますと、よく、株価は市場に聞けとか、株価が今日下がったということはこうだと解説するんですけれども、それは、株価は実体経済とは短期的には基本的には無関係です。何かというと、投資家の今の気分、状況を表している。投資家がまずいと思ったら売る、あるいは投資家が追い込まれていれば金がないから売る。だから、投資家の気持ちです。強気、弱気というものが状況をつくっている。
ですから、今みたいに一旦悪くなると、どんなニュースが出ても取りあえずネガティブに反応するんですね。みんながすごい楽観視しているときは、多少の悪いニュースは無視するんですね。楽観のときは、よく分からないニュースも無視するんですよ。ところが、弱気に一回なってくると、よく分からないニュースでも怖いから取りあえず売るわけですよ。
だから、株価というのはなかなか面白いんですけれども、これは投資家の状況を表すにはすごくいい指標なんですけれども、短期的には実体経済とは大分乖離します。政策の文脈でいうと、何か政策を打ち出してばあっと上がったときに、じゃ、この政策はいいんだ、株価が評価しているというのは、これは実は間違いで、一枚めくっていただくと、株式投資家はインフレ、円安が大好きなんですが、なぜかというと、短期に動かしているのは、日経平均先物を動かしているトレーダーなんですね。だから、一ドル百円から二百円に暴落して、日経平均四万円が五万円に上がっても、それをドルで見れば、四百ドルから二百五十ドルに下がっているという状況でも、日経平均は四万円で買って五万円で売れば一万円もうかるんです。一万円が一ドル百円のときは百ドルもうかるはずが、二百円になったら五十ドルしかもうからないから、これは損したように見えるけれども、差益でもうけるので、プラスかマイナスかの勝負ですから、五十ドルでもプラスなら何でもいいんです。
だから、彼らはやはりインフレとか名目値が上がることを物すごく重要視するんですね。だから、配当よりも自社株買いというのはそういうことです。配当すると上がらない、自社株買いだと名目で上がっていくということなんですね。
株式市場はあれなんですが、そろそろ時間もあれなので。
最初、財政収支と債務のGDP比は関係ないと言いましたが、これは財政の持続性にとっては極めて重要です。持続性は、GDP比ではなくて、問題は国債の買手がいるかどうかにかかっているんです。赤字ということは、新しい買手を呼んでこなきゃいけない。そういう意味で財政赤字やプライマリーバランスは重要である。
ちょっと時間もなくなってきましたが、インフレが一番やばいです。インフレというのは、インフレになれば名目金利は上がります、ということは、利払い費が増えるということです。
このときに、一枚めくっていただいて、日銀の政策金利の短期を幾ら抑えても、長期金利はインフレ予想に連動して上がりますから、そうすると、長期国債を発行するときには利回りが高くなって、まずくなる。
インフレになると、一枚めくっていただくと、インフレは投資家の売りを呼ぶ。これは円安も一緒なんですが、円安になる、インフレになるということは、アメリカにいる投資家で日本の国債を買っている人にとっては、値下がりを意味するんです。ということは、まだ値下がるから買わなくなるんです。ということは、どんどん値が下がっていきます。そうすると、国内投資家も、下がるんだったら待とうとなります。
ですから、円安、インフレは国債市場に決定的にマイナスで、財政破綻懸念といううわさが出ているときに出るというのは最悪で、しかも、健全性に問題がなくても買手がいなくなる可能性があります。
ちょっと時間なので、この辺で終わります。また後ほど、御質問あればよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
次に、高橋公述人にお願いいたします。
○高橋公述人 嘉悦大学の高橋でございます。
本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
では、ちょっと資料に沿って話をさせていただきたいと思います。そんなたくさん長い資料じゃなくて、ほとんどグラフですから、見ながらということで。
私が見ると、過去三十年間でひどかったことというのは何個かあるんですけれども、それを国際比較という観点でグラフにしております。
一つは、各国の名目GDPの推移。このグラフを見ると、ちょっと愕然としますね。ほかの国はみんな上がっているのに、全然上がっていなかったという話であります。途中にたらればとかいうのが書いてありますけれども、これは私の試算でありまして、普通の経済政策をすればこの程度は上がっていたはずだろうというのがちょっと書いてあります。
これがいわゆるデフレという話でして、ちょっとこれを分解しますと、二ページ目ですけれども、過去三十年間でひどかったこと二というので、デフレーター。物価を見るときにいろいろな見方がありますけれども、デフレーターで見ても全く同じような図になっているわけであります。
ですから、こういうところをどうやって直していったらいいのかという話で、過去三十年間できなかったのに今更できるのかというふうなことを言われるかもしれませんけれども、結構原因は私なりには分かっているつもりなので、そこを直していくかどうかということで、まさしく政治の意思が問われているんじゃないかなということがあろうと思います。
では、次の三ページ目。
それを更にいろいろと見ていきますと、これもG7の中で見ると同じようなグラフになるんですけれども、各国の公的資本形成の推移。公的資本形成というのは、いわゆる政府の公共投資であります。それがどうなっているかというのを見たやつなんですけれども、ちょっと統計分析しますと、こういうふうな公的資本形成でかなりの部分が三十年間の低成長を説明できちゃうということであります。
これはちょっと資料に書かなかったんですけれども、公的資本形成が低い国というのは、実は民間投資も結構低いです。だから、民間投資でこのグラフを描いても、似たようなグラフになるんですけれどもね。
でも、そういうのを見てみますと、幾ら何でも公的資本形成というのは政府が決められるだろうと。だから、これを怠っていたというのが、私にとっては非常に驚きであります。
ちなみに、私自身は役人をしていて、財務省だったんですけれども、今から二十年ちょっと前、二十何年か前は国交省というところに行っておりまして、そこで課長をしております。課長をしているときにいろいろな国の公共投資の話というのを調査したわけなんですけれども、そのときにいろいろな思いがあって、それが次からの話にちょっと関係しております。
二番目は、なぜ政府が過少投資だったのかということを考えたいと思います。
投資というのはちょっと面白いコンポーネントでありまして、というのは、当面はGDPの押し上げ要因になるんです。例えば、工場を造るとかいって部品を買う、これ自体がGDPの押し上げになる。その一方で、ちょっと期間を経ると、中期的という言い方なんですけれども、そうすると今度は供給力の方も上げる。だから、当面は需要を上げつつ、その後、供給力を上げるという意味で、かなり経済の中では投資というのは重要視されている分野であります。
この重要視されている分野というのを、この数字を見ると、ちょっと正直言って情けないと思いました。情けないというのは、三ページ目の日本の状況でありますね。これはどういうものなんでしょうかと思って、これで私なりにちょっとまた分析をしてみますと、二点ほど気がつきました。
それで、今のプライマリーバランスというのはどうやって計算するか。これは、私は総務省にもいて、こういうふうな細かい計算をするのは結構得意だったんですけれども、どうもプライマリーバランスの計算というのが、政府の範囲が狭かったり、地方政府を入れたり、普通の国とはちょっと違っていたということであります。
一般的には財政状況というのはどのように見られるかというのは、これは株式なんかと全く一緒なんですけれども、本体のバランスシートだけじゃなくて、関連会社を含めたバランスシートで大体見ておけば、大きな間違いはないと思います。もちろん、それだけに限られることはなくて、いろいろと多面的に見る必要があるんですけれども、でも、いろいろと関連会社を含めた資産、負債、共に見ていくというのが普通ということだと思います。もちろん、負債だけで見ても、それで間違いじゃないときもあります。
日本の実例としては、ちょっと私も関わったんですけれども、コロナ対策というのを百兆円やった。
これは、私のプリンストン大学の先生のバーナンキに言わせると、マネーファイナンシングだという言い方をしていたんですけれども、安倍さんに言わせると、政府、日銀の連合軍だという言い方をしております。どういうのかというと、百兆円出して、それをちょっとしたら市場から日本銀行が買った。これは、さっきの統合政府というので見ると、負債に立っているんですけれども資産にも立つ、そういうふうな話です。だから、負債に立って資産にも立つので、案外財政を悪くしない。
ただし、難点は、これを下手にやると物すごいインフレになるということです。
ですから、そのときに、インフレになるかならないかというのが結構ポイントだったので、私は、どのくらい出せるのと安倍総理から言われたときに、これが一番、全く関心がありますよね、いろいろな方は。一千兆出せるのか、それはちょっと無理ですよと。じゃ、三百兆はどうか、これは値踏みみたいな話ですけれども、それも無理ですねと。無理ですねというか、そのくらいになるとすごいリスクがありますねとお話しして。率直に言うと百五十兆から百兆円ぐらいは多分大丈夫ですよという計算をしたというところであります。
この計算というのをどういうふうにするかというと、実は、一番最初に述べた、投資のときに述べた供給力というのをきちんと計測するというところから始まります。そこで、コロナのときに需要がおっこっているわけですから、供給過多になっているので、どのくらい上回っているかというのを推計しながらやりました。それで、それをぎりぎりまでやるというと、ちょっと危ないんですね。危ないから百ぐらいにとどめ、百ぐらいで何とかなると。でも、結果的には、この予算の執行を見ていますと、八十ぐらいでたしか止まっていると思いました。
そこから出てくるのが、そういうときにはこういう手がある、ただし、今の状況はそうじゃないだろうというふうな反論が必ずあるんですけれども、いつも私は、供給力というのと需要というのを両方見ながら考えて、さらに、政府のバランスシートで、これも資産と負債を両方見ながら考えるという癖をつけております。
あともう一個、これは私が国交省にいたときの話なので、自分の恥をさらけ出すようですけれども、非常に世界の国と違っているというのが、二番目に書いてあります社会的割引率であります。
これは今は四%となっているんですけれども、四%になったというのを、私、国交省に行っていたときに聞かれたんですよね、高橋さん、財務省から来ているからこういうのに詳しいでしょうと。はっきり言ってそんなに詳しくないんですけれどもね。詳しくないんですけれども、いろいろな国のやり方は知っていたので、国債金利ですから四%ぐらいですかねと言ったら、それそのままだったんですよ。それが今も四%。この間、国債金利がすごく低くなっても四%でありました。
そうしますと、社会的割引率が四%といって、いわば市場の金利より高いままというのは、恐ろしく公共投資の抑制要因になります。社会的割引率というのをあえて言うと、社内金利に相当すると思います。だから、四%の社会的収益がなければ投資しちゃいけない、そういうことになるわけなんです。
じゃ、ほかの国はどういうふうにやっているのかというと、大体どこの国も、国債金利に合わせて、毎年とか二年とか、そういうので見直しております。だから、これを見直さないということ自体が、私にとってはほとんど無責任だと。私も安倍政権のときにこれを一生懸命是正するように頑張って、それで国交省で研究会かなんかでやったんですけれども、結果的にはやってくれなくて、今に至っているというところであります。
ですから、よく積極財政、積極財政と言われるんですけれども、私は、責任ある積極財政というのはそのとおりなんですけれども、無責任はちょっとまずいでしょう、そういう立場です。無責任じゃなくて、普通にやればまあいいでしょうと。これは今、普通に見直すと、二%から二・五くらいになるんですけれどもね。
そうなったら、どのくらい公共投資が増えるか。これは、確かに、どこをやってうまくいくかという難しい問題はあるんですけれども、そのためにこのような社会的割引率というのがあって、それぞれの分野で、BバイCという言い方をするんですけれども、Bはベネフィットです、それで、コストが割るC、これが一以上になったら採択するとかいう言い方をして、それでいろいろと、分かりにくいんですけれども、分かりにくいながら工夫して、民主主義プロセスをやっているという話です。このBバイCのやり方というのは、過去六十年間ぐらい行われているので、かなり枯れた技術でありまして、枯れた技術というのはそれなりに、結構信頼性は、すごくは高くないかもしれないですけれども、それなりに信頼ができるものだと思います。
ちなみに、このやり方というのは、今や地方自治体でも結構マニュアル化されていて、やっているというところも結構あるし、だから、かなり確立された技術であると思います。
だから、ここは無責任にならないで、これを普通の国並みに、毎年、国債連動する、直すだけで大分違います。大分というか、恐らく公共投資は今の水準の二倍以上になるんじゃないかなという気がしております。
次のやつですけれども、これは、財政事情を見るときに、さっき言ったように統合政府というので見るんですけれども、それは別に私の専売特許でも何でもなくて、これはちょっとIMFのデータを取ってきたわけであります。これを見ていますと、日本というのはそんなに悪い数字になっているわけじゃないです。もちろんこれは、新しくやったりするとちょっとずつ数字が違うところもあるんですけれども、すごく悪くはないですね。だから、すごく悪くないということは、余り当面心配することもないと思います。
それで、あと、その次の六ページ目ですけれども、こういうふうな、ネットワースというんですけれども、これは純資産という言い方です。これは純負債と言い直しても一緒です。純負債にするんだったら、マイナスがつくだけなんです。純負債という形にすると、負債マイナス資産という形になるわけですけれども、そこがちょっとひっくり返るというだけなんですが、これが実は、CDSといって、マーケットで計算される財政の健全度に結構関係があるというふうな資料が六ページであります。
ですから、よく格付、格付という言い方をするんですけれども、格付機関だってこれを見ているわけです。それでやっていて、格付なんて定性的なので、ほとんどマーケットではできないですから、こういう形でちょっと定量的にやっているというのをお示ししたところであります。
それとあと、しばしばよく間違う話としては、金利が上がると財政が大変になるとみんな言いますよね。私の出身の財務省もいつも言っています。これは、いわばバランスシートの、バランスシートというのは左側に資産があって右側に負債があるんですけれどもね。負債の大半は国債ですから、当然、金利が上がれば負債の利払い費は増えます。そこの一部分だけを捉まえた議論でありまして、だから私は、バランスシートで実は見るということを言うんですけれども。
実は、金利が上がって利払い費が増えるというところは事実です。さすがに財務省もうそはつかない。ただし、都合の悪いことは言わないというぐらいですけれども。金利が上がって利払い費が増えるのは事実なんです。
私が財務省の中にいたときに、今から三十年以上前ですけれども、これはやはりバランスシートで見なきゃいかぬでしょうと。それで、金利が上がったときにどのような変化があるかということを、シミュレーションのシステムはつくってあります。既に三十年以上前につくってあります。
それを見ますと、ここで広い意味での政府の資産というのが利いてくるんです。そこの広い意味での政府の資産というのは、大半が実は金融資産です。そうすると、そちらの方は金利収入は上がります。金利収入が上がって、これをほっておくとどうなるかというと、実は、それは財務省だってそこは見逃すはずがないんですね、ぱくって取って中に入れて税外収入にするんですけれども、ぱくって取って、取られる方はたまらないからというので、いろいろな会計処理をしたりして、取られないような会計操作もします。ただし、全体のバランスシートを見ているとすぐ分かります、これは。
そういうのを込み込みで見ると、金利が上がっても、利払い費が増えるのはそのとおりなんですけれども、実は税外収入の方が本来はほとんど同じだけ増えます。ということはどういうことかというと、金利が上がってもほとんど関係ない、財政には関係ないという答えになってしまうわけです。これは、そのシステムはまだあるはずなんですけれどもね。絶対に財務省の方は、金利が上がって税外収入が増えるということを余り言わないんですけれども、本当は増えます。ということであります。
そうすると、ちょっとまとめると、政府の過少投資を直すためにということですと、いろいろと財政収支も現行のPBも、広義のPB、広義というのは今言ったようなバランスシートのPBですけれども、そういうのを全部見てやるということしかないと思います。
ただし、当面いろいろ考えると、次の八ページですけれども、統合政府から見れば、余り意識しなくても余り問題が出てこないと思います。ですから、それは、金利が上がって大変だとか、それとあと借金が大変だという議論は、かなり割り引いて考える必要があるんじゃないかなと思います。
それとあと、資産を考える観点から立つと、建設国債については、見合い資産があるから、こういうのはちょっと計算上いろいろ工夫した方がよろしいんじゃないかなというふうに思います。
次に、九ページ目ですけれども、社会的割引率、これは余りに高過ぎます。見直そうと思ってやったんですけれども、国交省の役人は見直してくれると言ったんですけれども、はっきり言ってうそでしたね。これはちょっとまずいですね。だから、それをちょっと普通に直すだけで、普通に直すというので、積極でも何でもないんですよ。ただ単に普通にするというレベルなんですけれども、そうすると公的資本形成が伸びて経済成長するという形になるんだと思います。
特に、今、老朽化された社会インフラというのは、年数が来たら自動的に更新するという形にした方がいいんだと思います。今、どこが悪いかを探そうなんというすごく壮大な計画を立てていますけれども、そんなのは多分やめた方がよくて、時期が来たら全部リプレースメントしていくというのが普通だと思います。
最後に、ちょっと社会保障改革だけ述べたいと思います。後ろの方のは数学の注ですから、これを見たら目が潰れますから、見ないでいただいて結構であります。
社会保障の話でいくと、いろいろな国で最近導入されていて日本にないというのは歳入庁であると思います。これは、税務と社会保険料の徴収一元化です。
かつては、所得税の源泉徴収制度、これは今は結構できているんですけれどもね。あと、社会保障と国民番号とのリンクがうまくいかないから駄目だったと言われたんですけれども、これはもうそういう時期じゃないですね。制度を見るときに、いろいろな各国の資料を見ていると、日本だけないのはかなりいびつですね、先進国で。昔の経緯があるからないのはちょっとありますけれども、でも、ちょっとこれは真剣にやった方がいいんじゃないかな、そういう気がしております。もうデジタルでいろいろなことができる時代になっております。せっかくマイナンバーを入れたわけなので。そうすると、歳入庁の条件として、これは私が言っている条件じゃなくて、有名な海外の学者が言っている条件ですけれども、そこはもう完成されて、機が熟しつつあるんじゃないかなというふうに思います。
歳入庁をやりますと、今の日本年金機構の徴収部門の人と国税庁が一緒になるわけなので、そうすると大きな行革になります。それとともに、社会保険料の増収効果がかなりあります。これは計算がいろいろあって、よく分かりにくいです。これは国会の中で出てきた資料を見ていても、ある国会議員の人が、十兆円近く増収があると。年間十兆円ですけれども、すごいですよね。
私も、財務省にいて、大蔵省にいて、税務署長をやっていて、そのときの経験で、源泉徴収するんですけれども、社会保険の徴収漏れというのはすごく多かったです。そのたびにいつも、社会保険庁の事務所長に徴収漏れしていますよと言ったんですけれども、余り取っていなかったような感じがしましたけれどもね。もちろん、今は状況が違っていると思います。でも、この増収効果がすごくあるので、これはほっておく手はないんじゃないかなと私は思っております。
ということで、私のプレゼンテーションはこれで終わりでございます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
次に、田中公述人にお願いいたします。
○田中公述人 慶応義塾大学の田中でございます。
先ほど同じ大学の小幡公述人がいらっしゃいましたけれども、キャラが大分違うので、そこは御容赦いただきたいと思います。私が話すことというのは大体、ネガティブといいますか、危機が起きているときにどう対処するかという話になりますので、どうしても何か暗い話というか展望が開けない話が多いので、そこも御容赦いただければと思います。
私の方の資料は非常に簡便なものになっておりますが、今日はそちらをベースにしてお話をさせていただきたいと思っておりまして、簡単に言いますと、危機管理をどうやっていくのかということ、それから、安全保障上の観点から今何が必要なのかということを申し上げたいと思っております。
ページをめくっていただきますと、二ページ目に論点として述べてありますが、なぜこういうことを書いたのかといいますと、言うまでもなく、今、改めてペルシャ湾情勢が非常に緊迫しております。もちろん、それ以前からもいろいろな兆候がありましたので注意はしていたんですが、そういう状況に陥りました。長い間、ホルムズ海峡が封鎖されたらどうしようなんという話をいろいろなシミュレーションでもやって、ウォーゲームでもやって、いろいろなところでやってきたのが、図らずも今現実に起きているという状態でもあります。
この端緒になったのが、イスラエルとアメリカによる、ある種違法な対イラン軍事攻撃、先制軍事攻撃でございましたが、イスラエルに至っては、これは二度目のことであります。今、中東で生じている紛争、これを通じて見えてきたのが、我が国の安全保障上の課題についてということであります。
一枚めくっていただきまして、三ページ目のところでございますが、まず、日本は、化石エネルギーを大きく頼っているところはどこかといえば中東ですけれども、その中でもとりわけペルシャ湾でございます。
我々の目と耳というのは、どちらかといえば、このペルシャ湾の情勢とか、それから原油価格ということに向かいがちではあるんですけれども、一番大事なのは、この地域の不安定化ということなんですね。価格の高騰とかというのは、いろいろな要因で起きます。下落も起きます。一時的なもので動くときには収まるんですが、地域が不安定化するというのが一番実は怖いわけでありまして、それが日本経済にとっての脅威でもあります。
そう思っていたところ、降って湧いたのが、先ほど述べました軍事力の行使ということであります。
攻撃を始めたイスラエルとアメリカは、幾度となくイランの側で問題とされてきた問題行動、もっと端的に言えば、それらを使って攻撃を正当化するような対象でございます、具体的には核開発、あるいはもう少し細かく言うとウラン濃縮でございまして、それからその濃縮されたウランの所在というようなこと、これらが大きな課題なんですが、ほかにも、イスラエルを射程に収める弾道ミサイルの開発、レバノンのヒズブッラー、イエメンのホーシー、それからパレスチナのハマス、これらの代理勢力への支援などが挙げられております。
いずれもイランの悪事としてはもっともらしいところでもございますが、とりわけウラン濃縮、それから兵器開発をめぐる糾弾については、ややこれはイスラエル及びアメリカの情報の操作、それから印象操作なども含まれておりまして、そもそも、去年六月に一旦軍事攻撃を行った後の、軍事作戦遂行後のレビュー、あるいは去年三月時点でのアメリカの国家情報評価などを見ても、アメリカ自身にも、大きく矛盾するか、かけ離れた現実がございます。そして、国連の専門機関である国際原子力機関、IAEAの見解ともそごがあるところでもございます。
一方、ミサイル射程については、日本列島も北朝鮮のミサイルの件においては非常にぴりぴりしている状況にございますが、イスラエルから度々主権を侵害されている国家として、その国家が対イスラエル抑止という点で国防上不可欠であるという点を踏まえれば、一定の説明はつくところでもございます。
さて一方で、現在の危機をつくり出しているのはまずイランだけではないということに、やはり中東においては目を向けるべきではないかと思っております。
ガザの住民に対して行われている執拗な攻撃、それから、パレスチナ人の権利じゅうりんを常態化している、このイスラエルの行動。ガザでは、七万五千人を優に超えるパレスチナ人が殺害されておりまして、民族浄化あるいはジェノサイドの疑惑も出てきております。イスラエルの首相に至っては、ICC、国際刑事裁判所から、ジェノサイドに関しての、戦争犯罪としての逮捕状を発給されているような状態にもございます。
日常化しているシリアそれからレバノンに対しての断続的な軍事攻撃、それから、ヨルダン川西岸の違法入植地の拡大、さらには併合など、明らかな国際法違反が続いているわけですが、世界は、イスラエルが国際法を超越したかのような存在であるように例外として扱い、イスラエル例外主義で対応してきました。そのイスラエル例外主義が中東地域における不安定を拡大させており、決して、イラン一国における問題がこの地域のあらゆる問題をつくり出している、その根源であるということが言えるはずもないわけであります。
そして、最近では、改めて、イスラエルそれからアメリカによる先制軍事攻撃、その違法性も問題として取り上げなければいけないわけでありますが、去年六月のいわゆる十二日間戦争と言われました先制攻撃において、この攻撃の主体となったのがイスラエルであるにもかかわらず、その責任追及がないままに見逃されてきたことこそが、今改めてペルシャ湾全域を危機に陥れる、そういう状況をつくり出しているということも忘れてはならないと思っております。
さて、四ページ目に移りますけれども、既に、イスラエルとアメリカによる攻撃、そしてそれに対するイランからの報復攻撃は十日を数えております。
奇襲攻撃を受けたイランでは、開始直後の爆撃でイランの政治指導者、ハメネイ最高指導者を失っておりますし、軍の高官ら四十人余りも同時に抹殺されたとも言われております。ほぼ同時刻に、イラン南部では女子小学校が空爆を受け、百七十人以上のいたいけな学童が殺害されております。当初からアメリカによる誤爆が指摘されておりますけれども、最近になりましてトランプ大統領は、これはイランの仕業であるということで強弁しております。主な都市部における民間人死傷者も多数発生しておりまして、三月九日までに千三百人前後ということで、イラン側が十二日間戦争を通じて失ったときの数をもう既に凌駕する数になっております。
一方、イランによるイスラエル及び域内のアメリカ軍基地に対する報復攻撃並びに周辺国の民間施設に対する空爆などで、各国で死傷者が発生しております。周辺のアラブ諸国にしてみれば、まさに巻き添え被害ということでありますが、イランがこれらの国々に対して、米軍基地の設置以外、いかなる事由で攻撃を行っているのかについては不透明でありまして、二月二十八日の攻撃を受ける数週間前にイラン側で防衛ドクトリンの改定を行ったということとの関連が問われるところでもあります。
いずれにせよ、民間航空機が離発着する国際ハブ空港や石油施設などが標的となるなど、攻撃の法的な正当性には疑問が呈されるところでもあります。昨日、三月九日、我が国の茂木外務大臣がイランのアラグチ外務大臣と電話会談を行い、この種の攻撃を強く非難し、やめることを求めたのは至極当然であると考えます。
このイランによる報復攻撃で注目されているのが、やはり自爆型ドローンの活用、それから弾道ミサイルの威力でもあります。長年、武器禁輸の下に置かれてきたイランにとりまして、これはどちらも自前でそろえた数少ない対抗手段であります。
幾度となく改良が加えられてきた結果、特にドローンの攻撃力と破壊力は侮れないこと、これは、二〇二二年二月に始まったロシアによるウクライナ侵攻でも実証されているところでもあります。御承知のとおり、最初期のドローンは、イランから提供されたものでございました。
また、自爆型ドローンが軍事ターゲットだけでなく民間インフラ施設に対しても脅威となることは、ウクライナでも中東でも全く同じであります。手作りの兵器の能力を疑うものではないんですけれども、家内制手工業の延長にあるような設備で比較的安価な汎用品を集めて造られていると考えられる現在のシャヘド136、これがペルシャ湾の対岸からアラビア半島側に飛来し、標的とおぼしき建造物に突撃するさまには、まさに戦慄を覚えるところです。
イスラエル以外では、特にUAE、アラブ首長国連邦の二つの首長国、アブダビとドバイに対するドローン攻撃が約千五百と際立って多く、そのほとんどが途上で撃墜されているとはいっても、数%、一部は着弾して被害をもたらしております。以前から警戒され、用いられてきたスウォーム攻撃であります。防衛システムを飽和させることで撃ち損じ、撃ち漏れが生じ、一部が防空網をかいくぐることに成功するということになるわけですが、現地で今回留め置かれていた邦人たちが経験した恐怖というものも道理であります。
従来の地域紛争と異なりまして、現在の危機が危機と称するにふさわしいのは、ホルムズ海峡の実質的な封鎖が成立したからにほかなりません。
二月二十八日の開戦後、イランのイスラム革命防衛隊は、VHF無線を通じまして、周辺を航行する船舶に対して海峡が閉鎖されていることを通告したこと、ここから始まりましたが、やがてこの警告に従わない船舶への攻撃を脅すようになり、さらには飛翔体による船舶、商船への攻撃も発生しております。これまでにタンカーを含む約十隻の船舶が攻撃を受けて被災しておりまして、その結果、三月二日までにはホルムズ海峡の通航はほぼ止まった状態にあります。現在もその状況に変わりはありません。
これがまさに、長年、何千回も何万回もシミュレーションを、さらにはウォーゲームで用いられてきたホルムズ海峡の封鎖ということになりますが、これが空想ではなく現実のものとなっております。
その意味するところは、ペルシャ湾と外海が遮断されたということでありまして、言うまでもなく、ペルシャ湾の中で産出される原油及び天然ガス、あるいはそれらの派生商品、派生製品も含めて国際市場には供給されない、そういう状態が今生まれております。あわせて、原油生産及びLNG生産が減産ないしは停止に追い込まれる、そういう事態も発生しておりまして、これも非常にまれというか、普通は起きない状態でございます。近年で起きたのはコロナ禍のとき、油価がマイナスを記録したときがございますけれども、あの瞬間には原油の生産を著しく絞らなければいけないということが起きましたが、それ以外では普通は起きないことでございます。
湾岸のアラブ諸国にとっては、これは報復を含めた軍事攻撃で受ける被害、直接的な被害以上に大きいものとなることでしょう。そして、その影響ですが、これは日本を含む東アジアにとどまることなく、世界経済にまで及ぶことになると見ております。
イランによる攻撃が湾岸アラブ諸国などに及ぶことによって、現地にいる邦人の退避というものが改めて注目されました。一部の在留邦人や渡航予定者には、一足先に移動を開始するとか渡航を取りやめるといった動きも見られましたが、大多数の方は、航空便のキャンセルによって多大な不自由と不安を抱えることになりました。
こうした事態は先々を読んで行動することの難しさを提示しているわけではございますが、多くの渡航者が集中的に交差する国際ハブ空港に特有の事象であるとも言えるわけでありまして、どれだけ事前の予備調査を行っても、旅の途中で立ち寄ったところでこのような不幸に見舞われるということはなかなか避け難いことだろうと言えます。だからといって、再発防止を視野に入れた対応策の検討を怠っていいということではないはずでもございます。
五ページ目、最後のところに移りたいと思いますが、このような危機を前にしまして、我が国は、想定外の事態が生じないように、多角的また多元的に泣きどころや盲点を追求して、そこに光を当てていかなければなりません。
まず、民間インフラとはいえ、人命に関わる基礎インフラは多々存在するわけでありまして、その防御と機能保全は高い優先順位を与えるべきであると考えます。
日本国内においては、飲み水から住民が完全に遮断されるというようなケースは、大規模災害時以外にはなかなか想定されておりません。しかし、飲料水を始め、ほぼあらゆる用途の水を海水から造水、すなわち水を造るというような乾燥地帯においては、造水プラントへの影響、攻撃あるいは破壊というものは、道義的にも重大な問題をはらんでおります。既に米軍がペルシャ湾上の島嶼部に対してこうした攻撃を行っていること、これを看過することは、たとえ作戦上の効果が見込まれるとしても、一般島民の生死に関わる問題となるだけに、慎重さが求められるところであります。
また、ホルムズ海峡の封鎖状態、これは我が国だけでなく世界的な問題であります。もろもろの経済の間の連動性だけではなく、市場で生じる玉突き現象のことも指しております。
原油の備蓄が十分にある、このことは我々は大分誇ってはいいとは思います。一九七三年の第一次オイルショックのときの教訓を現在に至るまで生かしているということでございますが、こちらは、当座のところ価格の高騰は免れない、それはもうどうしようもないところであります。しかし、供給不足に陥る心配がないということは、安堵していいことだということです。
一方、LNGにつきましては、ペルシャ湾内への依存度が、日本の場合、六%から七%程度で低い、広く言えば多様化ができているということで、これは悪いことではないんですが、影響は軽微であると見ている向きも多いわけです。
しかしながら、我が国が調達しているLNGのうち、約四割はスポットでの対応です。スポットで調達しておりまして、スポット市場あるいは短期契約によって入れているものであって、この視点から見ると、別の絵が見えてきます。スポット市場の急騰の影響を免れることはできないということであります。
原油の高騰に伴って、フォーミュラに従って長期契約のLNG価格が上がるには、一定の時間を要します。しかし、スポットは瞬時に上がります。もう既に上がっております。原油の方に目が向いてはおりますが、実際のところはスポットでのLNGの上がり方の方がはるかに激しいわけでありまして、そこを四割、我々は頼っているということ、これを忘れてはいけないわけですね。
加えて、カタールとUAE、これは合わせて年間八千三百万トンのLNGを生産しております。これが今、外に出ない状態です。そうすると、そこからスポットであれ長期契約であれ購入している顧客は、ほかからの調達を余儀なくされます。これはスポットの方に流れます。
となりますと、スポット市場に殺到するこういった追加需要を、果たして今のLNG供給国がほかで賄うことができるのかという重大な問題があるわけでございまして、原油価格にリンクしていく、そういったタイミングはもちろんこの先であるとしても、スポット市場の急騰による電気料金への影響はもう少し早いところで起きる可能性もあるわけですし、それ以上に、スポット市場で買い負けをするというようなことが起きると、これは量的な問題が生じます。なので、実は安穏としてはいられないということが、LNG市場においてもあるということを申し上げたいと思います。
最後になりますけれども、イランに対してのイスラエル及びアメリカの軍事攻撃が体制転換を企図しておりまして、その途上で軍事力の徹底的な破壊を狙っていることは周知の事実でございますが、イランという人口九千万人の多民族国家が、外部からの力の介入、あるいは内部崩壊であれ、統制の取れた政府あるいは軍組織がいなくなった場合にどのような混乱が生じ得るのかということを考える必要が大いにあると思います。
イランは、ペルシャ湾とオマーン海に対して二千五百キロの海岸線を有しております。この海岸線が不安定になった際、それから対岸のアラビア半島にこれが及んだようなときには、一体どれほどの混乱が待ち受けているのかということを改めて問いたいと思います。
以上でございます。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
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○坂本委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田潤一君。
○神田委員 自由民主党・無所属の会の神田潤一と申します。
本日は、堀先生、小幡先生、高橋先生、そして田中先生、お忙しい中、貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。社会保障について、あるいは財政政策、経済政策、そして外交など、非常に重い、あるいは重要なテーマについて分かりやすく御説明をいただきました。
十五分という限られた時間ですので、幾つか伺っていきますが、まずは堀先生に伺いたいと思います。
社会保障は、日本は世界に冠たる国民皆保険をずっと堅持してきたわけですが、一方で、少子高齢化の進展などで、構造的な改革が求められているという大きなお話だったと思います。
そうした中において、今回、給付つき税額控除、あるいは食料品の消費税の低減といったようなことを国民会議で議論しようということで、政府としては今、動き出しているところであります。また、そういう中において安定的な財源確保の話も議論されていくものと思われますが、この国民会議に対する期待、あるいは、安定的な財源をどういうところに求めていけばいいのか、堀先生の御意見を伺わせていただければと思います。
○堀公述人 御質問ありがとうございます。
先ほどからもお話しさせていただきましたけれども、構造課題というのは、すぐに解決できる、本当に非常に、やろうとしてすぐにできるということではないだけに、重要なことだと思うんです。
国民会議の中で、給付つき税額控除の話であるとか、あるいは消費税を減税した後の財源をどうするかという議論をされるということですので、そこは非常に重要なことだと思いますが、制度ありきではなくて、そもそも給付の在り方をどうするのか、あるいは再分配の在り方をどうするのかというところをセットで国民会議の中で議論していただけると、いろいろな手段があり得ると思うんですよね。
当然、今出ている案も非常に重要な案だと思いますが、最初からそれありきではなくて、そもそもどういう給付の在り方を望むのかということも踏まえて考えていただけると、いろいろなソリューションが出てくるのではないかなと思っていますし、あと、国民的な意見を入れるような、何かそういう仕組みが国民会議の中であるといいなというふうに思っております。
以上です。
○神田委員 ありがとうございます。
現在、テーマとしては、食料品の消費税の減税、あるいは給付つき税額控除ということですが、それらだけではなく、広く議論を集約していく、あるいは国民全体で議論していくという御意見をいただきました。是非とも野党の皆様にも国民会議に御参加いただければということを申し添えたいと思います。
次に、小幡先生にお話を伺いたいと思います。
大変ユーモアを交えた御説明でありましたが、内容としては、現在、高市政権が目指す財政政策による成長戦略については、やや厳しめの御意見をいただいたのではないかなと思っております。
ただ、成長戦略としては厳しい御意見なのかもしれませんが、社会政策あるいは産業政策として、民間がなかなか賄うことができないコストですとか、あるいはインフラの整備ですとか、税制の優遇ですとか、そういったところで支援をしていくというような考え方はあり得るのではないか、あるいは、市場の失敗を政府の介入によって是正していくという考え方はあり得るのではないかというふうに私自身は思いながら聞いておりました。
それを踏まえた上で、複数年度の投資や予算については、やや政府がプロジェクトから撤退するのが遅れるのではないかという御意見もいただきましたが、一方で、長くかかるプロジェクトに対して、予見可能性を持たせた上でプロジェクトを推進していくという効果もあるのではないかというふうに思われます。
この点についてもう少し伺いたいのと、もう一つ、中央と地方という意味で、日本の地方がなかなか活用できていない。地方に対して、例えばTSMCのような工場を配置して、適正な国土の形成を図っていく、活用を図っていくという考え方も、これはやはり政府として、大きな政策としてやっていく意義があるものではないかというふうにも思われるんですが、この二点について御意見をいただければと思います。
○小幡公述人 御質問ありがとうございます。
一つ目の御質問に関しては、理論的には全くそのとおりなんですけれども、現実的に、やはり、ないんじゃないかなと思うんですよ。
基金とかファンドとかは、言い方を悪く言えば、補正のときに金額合わせで膨らませてやって、後でいいものを入れようということだと思うんですけれども、結局、ファンドや基金の事後の議論を見ると、うまくいっていないか、全く支出されていない。つまり、いい案件があれば今までの枠組みでもできたはずなので、ということは、政府主導でできる案件はやはり余りないんじゃないか、特に大きな案件では。
つまり、それはなぜかというと、先ほど申し上げたのと同じなんですけれども、やはり、担い手が自ら育ってこないと、そこに乗せるということができないということで、結局、やはり複数年度は、理論上はもちろんそのとおりなんですが、現在の日本でそれをやる力はないし、目利き力ということに関して言えばもっとないので、私はかなり、相当悲観的でいます。
二つ目の話は全く逆で、全くそのとおりなんですけれども、だから、TSMC化というのは問題がちょっとあって。やはり、地方創生という響きはいいんですけれども、実際には地方の止血をしなきゃいけないという。
もう地域社会が壊れている中で、東京とか、TSMCもそうですけれども、高度な産業や都市部での経済発展というのはやはり各地域の基盤の上に成り立っていて、いいとこ取りというかクリームスキミング、上澄みだけを、華やかな大都市という舞台で経済的な効率性で成長を謳歌するということになっていますので。日本の多様性というのも、地方の多様性、地方出身者が都市部に集まることで発展している、いろいろなアイデアが出るということがあると思いますので、地方の社会基盤の整備に一番お金は使っていただきたいと思います。
そのときに、ただ、国としてTSMCをやることに対しては一点問題がありまして、かつて、どこの工場と言うのは語弊がありますが、東北地方にエレクトロニクス系の工場を、パソコンでもいろいろな半導体でも造った場合に、五年ぐらいでやはり時代遅れになるんですね。五年後もその工場が勝ち続けるかどうかというのは何とも言えないので。一旦そこに工場を造って、みんなが、地域がそこに地域の命運を預けても、例えば、そこのメーカーサイドとしては、五年になったら山形は撤退しますとか、仙台は撤退しますとか、そういうことになってしまうので。
やはり、ボトムアップで地域から出てきた、自ら、地元の人、地元の意見、地元のプレーヤーがお金が足りない、助けてほしいというものを各地方自治体が支援する、そういうような、手間暇かけることが重要だと思うんですよ。日本の政策で一番重要なのは、政策はお金を突っ込めば自動的にできるような錯覚に陥っていますけれども、効率性を重視しますから。やはり、手間暇かけるということが重要だと思います。
済みません、長くなりました。
○神田委員 ありがとうございます。
少し、高橋先生にも伺いたいことがあるんですが、まず田中先生の方に伺いたいと思います。
ペルシャ湾情勢について、地域の不安定化が一番の懸念材料だということ。現在のイランの対応などを見ていますと、ホルムズ海峡の閉鎖あるいは周辺諸国への攻撃など、ややイランが孤立していくような方向に進んでいるようにも見えます。
アメリカとイスラエルによる攻撃が国際法違反かどうかはこの質問では問いませんが、ただ、こうした状況の中で、これまで日本がパレスチナ問題で取ってきた二国家解決、つまり、イスラエルも国としては承認、存立していくし、一方でパレスチナも国として承認していくというようなこれまでの日本の外交アプローチは、今後、修正が求められるのでしょうか。これについて御意見をいただければと思います。
○田中公述人 御質問ありがとうございます。
まず、ペルシャ湾かいわいの情勢に関しましては、イランの行動に大いなる問題があることは御指摘のとおりでございまして、いかなる事由であれ、第三国を攻撃しているということに関しての対応を日本としても厳しく問うというその姿勢に、私も異論はございません。これは、例えば日本とイランとの間で伝統的な友好関係があるということとは全く無関係でありまして、ただすところはただすべきだと考えております。
一方、トゥーステートソリューション、いわゆる二国家解決の実現などに向けての我が国のスタンスは堅持すべきだと私も考えておりますが、一方で、もう長きにわたりまして両者の間の交渉がない、また、イスラエルでは現在、このトゥーステートソリューションをむしろ否定する論調それから政策が優先的に取られているということ、また、パレスチナ側の方でパレスチナを代表する機関というものは機能していないということなどから、客観的に見て実現が極めて難しい状態にあると思いますが、政策として、両国、すなわちパレスチナとイスラエルが両立するということなしに問題の解決はないと思っております。ですので、堅持すべきだと考えております。
○神田委員 ありがとうございます。
大変示唆に富んだ、難しい、これからもいろいろ考えていかなければならないお答えをいただいたと思います。ありがとうございます。
最後に、高橋先生に伺いたいと思います。
社会的割引率がずっと四%で使われているというのは、確かに、非常に公共投資の減少要因であるという御指摘は、大変新しいし、私にとっては新しい視点でしたし、これからしっかり考えていきたいと思います。また、小幡先生と高橋先生が統合政府の考え方に対してやや反対のお考えをお持ちで開陳されていらっしゃるのを少し突っ込みたい気はするんですが、時間も限られておりますので。
高橋先生に伺いたいのは、歳入庁をつくってはどうか、歳入庁をつくることによって税務と社会保険料の徴収を一体化して、特に社会保険料の徴収が伸びるのではないか、収入が増えるのではないかという御指摘がありました。一方で、現在は、歳入と歳出を財務省が一体で管理をする、両側のバランスを取りながら見ていくということで日本の財政をずっと運営してきたという歴史であり、知恵があったと思うんですけれども、この歳入庁と、あるいは歳出、財政の支出の部分を分けることによる弊害などについてはどのようにお考えでしょうか。あるいは、やはりメリットの方が大きいということであれば、もう少し詳しく伺いたいと思います。
○高橋公述人 どうもありがとうございます。
歳入庁というのは、やっている国は物すごく多いんですよね。
政府の中で考えると、財務省が両方を見ないというだけなんです、政府としては絶対に両方を見るわけです。多分、歳入庁をつくるとなると、内閣府とかそういうところがやると思うんですけれどもね。政府としては、支出も収入も見ている。現に、支出でも、社会保険の支出なんかは随分あるんですけれども、そういうところも一体として。
最終的に言うと、こういうのというのは、議会の方でチェックするというのが普通の仕組みだと思います。ですから、全然どこもチェックしないで財務省の一つの役所に任せるというか、そっちの方がちょっといびつだと思いますよ。ですから、そういう意味では、国会で、両方を集めてやって、見た方がよろしいんじゃないかなというふうに思います。
ちなみに、歳入庁というのは、つくっていない国を探すのは結構大変です。だって、さっきも申し上げましたけれども、社会保険料の徴収というのは源泉徴収とほぼ一緒です、ほぼ同じですから。それは普通やりますし、共産圏でもほとんどやっています、これは。
ですから、その意味では、なぜやらないのかという質問、なぜやらないのかの方が大変でしてね。かつて、野党の方でこれをやろうというふうに思った政党もありましたけれども、何か落としちゃったり、訳が分からないですね、これは。今はもうそのときと比べてデジタル化がすごく進展しているので、すごく機が熟しているんじゃないかなと思って申し上げた次第であります。
○神田委員 ありがとうございます。
マイナンバーカードの普及などもあり、より個人の、まさに確定申告なども簡便になっていく方向だと思いますので、これから真剣に検討してまいりたいと思います。
また、高市政権では、非常に新しい観点で、新しいチャレンジをしようとしております。是非とも、これからも先生方の御知見をいただければと思います。
本日はありがとうございます。以上で質問を終了いたします。
○坂本委員長 次に、近藤和也君。
○近藤(和)委員 中道改革連合の近藤和也でございます。よろしくお願いいたします。
今日は、四名の公述人の先生の皆様、ありがとうございます。時間の関係上、全て皆様にお伺いできないこともあるかもしれませんが、その点は御容赦をいただければと思います。
まずは、田中先生にお伺いをいたします。現状のイラン情勢についてです。
先ほど神田委員からの問いにもありましたように、イランにも課題があるということもおっしゃられました。一方で、先生の中から今日は、先制軍事行動、また違法ということを、アメリカとイスラエルの行動に対してそのような御発言もありましたが、先生の御見地から、アメリカそしてイスラエルの行動というのは国際法違反に当たるという見方なのかどうか、よろしくお願いいたします。
○田中公述人 御質問ありがとうございます。
私どもの、ある種の常識と言うのも変なんですが、議論の中で常にあるのは、そもそも手続を取っているのかということもありますし、自衛権の行使というものを主張するだけの材料を、口頭では言っていますが、何も具体的に提示していないという点などを踏まえまして、国際法上の観点から、違法な先制軍事攻撃であるという結論を出しております。
もちろん、私自身は法律の専門家ではありませんので、それに対する重みをどう捉えるかは先生方にお任せするしかありませんが、私個人としてはそのように結論づけております。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
実際には、日本政府も苦しい立場にはあるんだろうなというふうには思います。この予算委員会でも、法的評価はどうなのかといったこと、いつするのかといったことも、度々、総理や外務大臣に対しての質問がされているわけですけれども。
アメリカに配慮をすれば、し過ぎていれば、日本人の安全ですとか、日本の経済ですとか、国際的な全体的な信用といったことですとか、特に、中国に対して、ロシアに対しても、法の支配ということや、力による現状変更は認めないということ、アメリカに配慮し過ぎると、こういった点が非常に苦しいのかなというふうに思います。
一方で、イランに配慮をし過ぎれば、日米同盟に対して亀裂も入りかねない。経済的な米国からの動きもあるかもしれません。
このジレンマに今、日本はあるのかなというふうに思いますが、望ましい日本の在り方、少なくとも中長期的な在り方と短期的な見方があると思いますが、来週、高市総理がトランプ大統領と会談をされますが、それまでの間の日本の望ましい姿の見せ方というのはいかがでしょうか。
○田中公述人 重ねての御質問、ありがとうございます。
私が考えるところには、少なくとも、去年六月にイスラエル単独による先制軍事攻撃が始まった際には、岩屋外務大臣の方から、かなり厳しく、毅然とイスラエルを非難する声明が出ています。
今回は、攻撃をした側は同じような手続だと思われるんですが、法的なというんでしょうか、攻撃自体に対する非難が一切ないまま、イランの核拡散の問題ということを捉えて、攻撃の正当性の方をむしろ後押ししているように見えますので、そこら辺は明らかに去年の六月と今年の二月の声明との間に大分大きなずれがあると思いますので、この不整合がやはりより大きく日本の信用を損なうことになると思いますので、やはりきちんと、前回はっきりと違法だということを、あるいはその非難をしたということで、今回も非難をすべき対象だったのではないかと見ております。
○近藤(和)委員 大変厳しい状況なのかなと思います。
加えてですが、昨年六月にイスラエルが特にイランへ攻撃をしたとき、そのときでも、先生はもうその当時で、イスラエルはイランの体制転換まで視野に入れているので、ここで止めたくないのが本音ですといったことを喝破されていらっしゃいました。
そしてまた、イスラエル側は体制変換、こちらを考えている、そしてトランプ大統領もそのようなことを言う中で、今回はハメネイ師の息子さんのモジタバ師が後継者ということになりました。体制転換にはならないという見方だと思いますが、体制転換にならないのであれば、また更なるイスラエル、イランの攻撃があり得るのか、また、若しくはどこかで国家分裂的な動きになるのか、民主的な親米政権が誕生する可能性があるのかということもありますが、恐らくはこのままでいけば、世界経済に与える影響も含めて、先生の現状の今後の推察というのはいかがでしょうか。
○田中公述人 ありがとうございます。
将来を予見するのが非常に難しい状況ではあるんですが、私が考えているのは二つのシナリオであります。
一つは、今回、モジタバ・ハメネイ師という、殺されたハメネイ師の次男が後継者に選ばれましたが、取りあえずそれをもって体制が存続するという形での内部的な処理が行われております。しかし、外を見れば、アメリカは恐らく、そして間違いなくイスラエルがこれには納得をしておりませんので、引き続き軍事攻撃を続ける事態になると見ています。これは、イラン側が反撃する能力をほぼ失ったような状態であったとしても、体制が潰れるまであらゆる形で空爆を行い、最終的には、ひょっとしたら特殊部隊などの力もかりる、あるいはもっと大々的に地上部隊ということにもなるのかもしれません。
もう一点は、イラン側で後継者が出たということで、体制固めをもう一度しまして、それを基により強権的な、国内向けです、国内向けにはより強権を振りかざすような体制で、一切の反論を許さないほどの統治を行う、そういった手法も考えられるところであります。
いずれにしましても、私が想定しているところで、民主的な国家になるということ、それから親米になるということは、全くその視野の中に、あるいはそのシミュレーションをしている中に、なかなか決着点としては見えてこないところでもあります。途中経過で民主的あるいは民主化するということはあっても、それはやはり、多民族国家で分離独立主義の動きなどを見ておりますと、安定しないことに最終的にはなると思っております。
○近藤(和)委員 このままでは厳しいのかな、そういった受け取り方をいたしましたけれども。
そこで、経済についてちょっとお伺いいたしたいと思います。小幡先生、高橋先生にお伺いしたいと思います。
今、このまま緊張状態がしばらく続くとすれば、そして、一旦収まったとしてもまた再燃する可能性を考えてみれば、日本経済に与える影響というのは非常に大きいのかなと。現状でも、もう大きくなりつつありますが。日本国として、経済対策、特に財政政策に対しては、小幡先生と高橋先生は、幅というのはあると思いますが、すべきかどうか、そして日本の財政に与える影響も含めて、その点、御見地をお願いいたしたいと思います。
○小幡公述人 難しいんですけれども、私は、もちろん直接的にはエネルギー価格の上昇ということが実体経済には大きなダメージを与え、先ほど田中先生からも教わったところでありますが、イランが弱くてもホルムズ海峡をなかなか継続するということであれば、スポットの、さっきLNGの話もありましたとおり、影響はやはり大きいと思うので、これはかなり大きいと思います。
一方で、金融市場が、バブルかどうかという議論はあるんですけれども、非常に高い水準で、世界的に、株価だけじゃなくて、全てのリスク資産が、金を始めとして、ありとあらゆるものが高い現状では、ここはやはり金融ショックとして、昨日下がって今日上がってみたいな乱高下が続くと思うんですけれども、このショックが全ての金融市場に影響を与えますので。これは為替にも国債市場にも影響を与え、日本は非常に債務残高が大きい中で、また国債の資金調達に苦労している中で起きる場合には、やはり金融市場発の財政に対するショックは大きいと思うので、実際のショックが来るまで、ためているというか、必要なときにまとめて打ち出すために、できる限りためておくべきだというふうに考えております。
○高橋公述人 どうもありがとうございます。
経済のショックを考えるときに、経済学者ですから、需要と供給という、総供給、総需要で考えるんですけれども、一般的にこういうふうなのは、オイルショックみたいな、総供給ショックと言われるものなんですね。
総供給ショックがあったときの対策というのは正直言って結構難しいところもあって、総需要でなかなか対応はできにくいんですね。ですから、当面は一時的なしのぎとして総需要の対策はすると思います、した方がいいと思いますけれども、その次には、例えばエネルギーの問題であったら、エネルギーであると、今、日本ですと余地があると思うのは原発ですよね、原発の話。それとあと石炭なんかをフル活用して、なるべくそういうふうなエネルギーショックに対する対応をするというのが一つの手段だと思います。
それとあと、総供給ショックなんですけれども、実は、世界経済全体がおっこちますと、コロナのように、ひょっとしたら総需要もおっこちる可能性があるんですよね。そこはちょっと見極めないと分からないので。これで総需要がおっこちてくれると、これはこれで対策が結構簡単になりまして、総需要対策という形になって、それで、コロナのときにやった百兆円。百兆円、あれは実は増税なしでやりましたのでね。そういうのが有効になるかと思います。
ただし、総供給の話ですと、価格がおっこちないで、価格は上がるんですよね。上がったときにはその手は使えないから、ちょっと違う手を使わざるを得なくなると思いますので、そうすると、なかなか対策が結構難しくなる。
これは、いずれにしても、どのくらい続くかに依存するんです。例えば、イランの継戦能力が仮に半年なり四か月だったら、備蓄で泳げる可能性が結構あると思います。それより長くなると、これは結構大変になると思います。
ですから、それは今後どういう状態がどういうふうに続くのか、総供給なのか総需要なのかというのを見極めながら対策を練っていくという話だと思います。
○近藤(和)委員 小幡先生にお伺いいたしたいと思います。
ここ数日だけで見れば、有事のドル買い、場面によっては有事の円買いも起きることもありますけれども、そもそもの現状は厳しい円安である。このまま放任、放置するのはよろしくないという御意見かなというふうに思いますけれども。
この物価高も含めて、原油価格もまた上がっているということも含めて、日本の国民の生活が厳しくなるということも含めて、今、日本政府の取るべき金融政策、例えばアコードの見直し、これは私たちもずっと求めてきている、旧立憲民主党のときから求めてきていることなんですけれども、アコードに対してどのような思いがあるのか。そのようなことをお教えいただきたいと思います。
○小幡公述人 日銀との関係というよりも、やはり、政府として毅然と新しいビジョンを打ち出すということが重要だと思います。
なぜかといいますと、ここ数日で数円円安になったとはいえ、そもそも今、百五十円台というのが大問題でありまして、これはやはり長期の、要は、異次元の金融緩和はよかったことと悪かったことがあると思うんですけれども、その副作用がひどく残っていますから、ここで政府として何としても、世界で、自国通貨が弱くて喜ぶというか、弱い方がいいと思っている気配のある政府というのはなかなかないので、ここで政府でデフレ脱却宣言を明確にして、強い通貨は、強い円は日本の国益であると高らかに宣言をすることが何よりも重要だというふうに思います。
○近藤(和)委員 ありがとうございます。
実際、今、この急遽のイランでの情勢の変更、大幅な危機的な状況において今この予算委員会が開かれているわけでございますけれども、臨機応変の対応がしっかりと取っていけるように、この予算委員会の審議が充実したものになりますことを願いまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、うるま譲司君。
○うるま委員 日本維新の会のうるまと申します。
公述人の皆様、今日は本当にありがとうございます。
大阪府の池田市、豊中市選出の議員であります。
まずは、高橋先生にお伺いしたいと思います。
先ほど社会的割引率のお話がありましたけれども、これがもう何十年も見直されていないということで、おっしゃっていただきました。何十年も見直されていないその理由について、何か御見解ありましたら、おっしゃっていただければと思います。
○高橋公述人 これをやったのは私ですから、いや、私と言うと、たまたまそのとき財務省から出向していたので、どうかと聞かれたから言っただけなんですよね。こういうのは国債金利と同じようなので、どこの国も大体そうですから、毎年見直すものだというふうな形で言っておきました。そうしたら、毎年見直さなかったわけですよね。
恐らく、見直さないことのメリットというのがあったんでしょうね。あったというのは、要するに投資の縮小ですよ。
陰謀論になっちゃうかもしれませんけれども、投資を余りさせたくないグループ、それと、あと、これが結構政治的にやりにくかったのは、正直言うと、国交大臣の政党があれだったですね。そこをどこまではっきり言えるかよく分かりませんけれどもね。
私、やって、事務方と話をしたり、あと学者と話をすると、それはそうだろうねと。幾ら何でも毎年見直すような話を今も高いままはひどいねとみんな言うんですよ。みんな言うんですけれども、何となく、最後の決定になると、いや、今のままでいいんじゃないのという答えになって。
実は、ちょっと資料にも書きましたけれども、国交省の中で検討会をつくってやりました。それでも、最終的には、まあ今のままでいいんじゃないのと、ちょっと理解不能な結論にはなっております。
ですから、それは国交省として、高いままでよかった。高いままでよかったので、かなりの過少投資になってきたと私は思っております。
以上です。
○うるま委員 過少投資になってきた理由ということで、様々おっしゃっていただきました。ちょっと私もコメントしにくいお話もありましたけれども。
投資という意味でいいますと、私自身、今、国会の中で副首都の法案が議論されているんですけれども、統治機構改革というのは結構な投資につながるんじゃないかと思っております。
かつては、大阪で、大阪府と大阪市の統治機構改革ということで、大阪都構想の経済効果の算出に関しては、高橋先生に本当にお世話になったところであります。実際、高橋先生の所属する嘉悦大学の真鍋さんに算出していただいたところでありますけれども。
この統治機構改革、大阪府と大阪市が協力することで、様々に、今、大阪では、万博もそうですし、IRもそうですし、投資が行われているところなんですけれども、この統治機構改革が投資につながるか、成長投資につながるかということについて、高橋先生から是非御意見いただきたいと思います。
○高橋公述人 計算したのは私ではなくて、本当に、同じ大学の同僚がやっただけなんですけれども。
私自身は、国交省にいたときに、実は首都機能移転という仕事をやっていたんです。首都機能移転というのはどういうのかというと、今の首都機能をどこかに移すというやつ。言ってみるとカット・アンド・ペーストなんですよ、今の首都機能をなくして新しいところに移す。これは物すごく大規模投資になります。その当時の、今から二十五年ぐらい前の試算ですけれども、もう十兆円規模の話になります。それを今の段階で引き直すだけで、多分二倍ぐらいになるんじゃないでしょうかね。
今回は、副首都というのはコピー・アンド・ペーストですね。要するに、首都の方はそのままにして、コピーをつくる。これもだから同じような意味合いの計算がかなりできる話だと思います。そうすると、十兆円から、それ以上大きい規模の大規模投資になると思います。
それで、今まで大阪の方が地盤沈下していたというのを分析すると、やはりこれも過少投資なんですよ。過少投資で駄目だったんですけれども、ここ数年は何と、大阪のGDPの日本に占める地位が上がっているんです。これはやはり、投資しているからです。それのいい例でいうと、万博であり、IRであり。万博とかIRというのは、ていをよくした公共投資ですよ、はっきり言えば。あれを大規模に、大阪のみならず近畿圏でやれば、これはまず間違いなく上がるんじゃないでしょうか。というふうに思います。
ですから、投資というのは、やはり、投資すべきところにしないと、多分ちょっと成長しないというレベルだと思います。これは、インフラを造ってやると周りにたくさん人が集まってきたりするし、大阪でも淀川左岸の話とか、あと地下鉄なんかもやりましたよね、そういうのをもうちょっと真剣にやって。それで、今ですと、南海トラフの関係でやるべき投資は山ほどあるのかなと私は思います。ですから、それをやって非常に強い都市をつくるということは、取りも直さず、大阪の地域の発展にもつながる。
投資は、さっきも言いましたけれども、需要にもなり、将来は生産力、供給にもなるんですよね。ですから、これは非常にいい話なんですけれども、それを大阪が全国平均を下回るというのは、ちょっと私には解せないということでありますので、せめて全国平均を上回ってもらいたい。全国平均を上回れば、それなりに成長すると思います。
○うるま委員 ありがとうございます。投資の重要性ということでおっしゃっていただきました。
続いて、小幡先生にお伺いしたいと思います。
投資についてなんですけれども、政府の投資は余り成功しないよといったようなことをおっしゃっていただきました。最後に、それでも大切なのは教育への投資だということでもおっしゃっていただきました。ここは、お話を総合しますと、教育への投資は政府は失敗しないのかというところを、私はちょっと疑問に思ったんですけれども。
大阪では十五年前から教育の無償化というものをさせていただいているんですけれども、これはある意味、民間、家庭にお金を渡すことで、家庭に選ばれる学校教育を、競争してもらって教育の方向性を決めるという側面があって、これは小幡先生の言う、勝ち馬に乗るという考え方にも沿うのかなと思っております。
私の地元の甲子園出場校の監督の先生に、何でそんなに強いんですかと聞いたら、大阪の無償化のおかげですと。無償化によって、今まで行けなかった、うちで野球をやりたかった子供たちが野球で来れるようになって、そのおかげでうちの野球部のレベルが上がっているということをおっしゃっておったんですけれども。これはまさに勝ち馬に乗るという話なのかなと思っておりますけれども、このことに関してちょっと御所見をお伺いしたいと思います。
○小幡公述人 どう答えていいかちょっと迷いますけれども、まず、最後のお話でいえば、それは私の考えと正反対で、つまり、強いものをより強くするので、それは民間に任せておけばいい。公立学校あるいは公教育の重要性というのは、弱い者を自分の力で生きていけるように助けるということですから。
選択に任せると、強いものはより強くなるわけなので、教育は全く正反対で、全ての公立学校、とりわけ義務教育、とりわけ小学校、そこにとことん支援するということをするべきだと思います。
それで、それは失敗しますね、間違いなく。よく言われるのは、文部科学省体制の悪口を言うとまた怒られますけれども、今の体制で、例えば大学ならいいですね、今の大学に金を入れても機能しないんですよ。アメリカの大学みたいにすごくいい雰囲気があるわけじゃないので、金を入れても、形式的な業績争いになりますから。大学改革せずに大学に金を突っ込んでも無駄です。小学校も恐らくそういう面はあると思います、私は小学校の教員じゃないから分かりませんけれども。ただ、やるべきところはそこである。
私の私案でいえば、やはりもっと小さく丁寧にやるべきだと思うんですね。つまり、例えば、会社というのは広報がいるじゃないですか。小学校も広報をやって、いわゆるモンスターペアレンツの対応は、先生は、担任が全部責任を持つわけじゃなくて、担任の先生は子供を見て授業に専念する、広報は広報担当がやる。教員は不足していますけれども、一般的な人はいますから。部活はもっと部活の先生にお金を払ってやるという、分業体制をつくる。例えばそういう丁寧な投資をすべきだと思います。
これも必ず失敗すると思います。だから、試行錯誤が重要だと思います。それは地方自治体の独自、国でやるべきことではないような気もします。
○うるま委員 ありがとうございます。
地方自治体、今、大阪の方でもしっかりそういう、伸びる学校は伸びるというところと同時に、公立高校がしっかりそういった子供たちを支えていくというところもやっているというのは言及させていただきたいと思います。
続いて、堀先生にお伺いしたいと思います。
先ほど神田委員の質問の中で、国民会議において、もっと民間の、国民の皆さんの意見を聞く仕組みがあればいいということをおっしゃっていただきましたけれども、どういった仕組みがあればいいと思われますか。具体的にお願いいたします。
○堀公述人 ありがとうございます。
いろいろな形のものがあると思うんですけれども、まず、ステークホルダーを超えたところの、利害が固定している中で議論をするとなかなかうまくいかないというところはありますので、国民の人たちも、国民模擬審議会じゃないですけれども、自分たちがいろいろな立場になったときにどうなるのかというのを何回かやってみるというのがいいのかなと思っています。
私、かつて、慶応義塾大学で非常勤をしていたときに、模擬審議会というのを授業の中でやったことがあります。それぞれ立場を変えていろいろな形でやったときに、物の見方が随分変わったという声が聞こえたんですね。
これは何を言いたいかというと、多分、今の自分の状況に対してどうなのかということではなくて、自分が未来の立場だったらどうなのか、自分が医療従事者だったらどうなのか、自分が何かの立場だったらという、立場をいろいろな形で変える中でどうなるのかという発見のようなものの機会が国民の方たちにもあれば、通常の意見をただ単に公募するだけではなくて、そういう、何といいますか、参加型のものがあると、少し、未来に向けて新しい発想が生まれてくるのではないかなというふうに思っています。
ただ、これはあくまで一例ですので、ほかにもいろいろな形のやり方はあるかなというふうには思っていますが、ただ単に、普通に、形式的に国民の声を聞きましたではなく、ちょっと違うアクションでやっていくのがいいのではないかなというふうに思います。
以上です。
○うるま委員 模擬審議会など、アイデアをいただきまして、ありがとうございます。
続きまして、田中先生にお伺いしたいと思います。私も慶応大学出身であります。
今、国で、三月に、和平調停に関わる部署というのが外務省に設置されるところであります。あわせて、インテリジェンス改革ということで、日本にも、諜報活動だったり、そういったインテリジェンス機関を強化するという改革が行われているんですけれども、こういったことに対する期待みたいなもの、若しくは御所見、こういったものは要らないんだというのだったらそれでも構わないんですけれども、御所見をちょっとお伺いしたいと思います。
○田中公述人 御質問ありがとうございます。
ちょっと古い話なんですけれども、二〇一五年でしたかね、ISが活動しているときにもいろいろなことが起きまして、それに合わせて、いろいろな情報を集めてそれを精査するということから、いろいろな仕組みが新たにつくられたことも記憶しておりますし、それが今機能しているというのも私は理解しております。
なので、それらを総合的にもう一回再編し直して一つの機関をぼんとつくるということ自体は私はいいことだと思うんですが、ただ、インテリジェンス機関というのは、一つのところだけでやっているとタコつぼになるので、やはり、複数あってそれぞれが独自にやったものを照らし合わせるような、まあアメリカ型が全部正しいとは思いませんけれども、それでもやはり幾つかは分けておく必要があるところもあるということは申し上げておきたいと思います。
○うるま委員 最後に、もう一度、高橋先生にお伺いしたいと思います。
歳入庁の話なんですけれども、我々も歳入庁に関しては、昨年の年金改革のときに提言も出させていただいて、これは進めなければならない改革だと思っております。行政改革の話でありますのでなかなか進めるのが難しくて、ちょっとこれは政治家が、おまえが考えろと言われるかもしれませんけれども、この歳入庁のスムーズな進め方について、何か御所見などありましたらお伺いしたいと思います。
○高橋公述人 まあ、役人は嫌ですよね、これははっきり言えば。でも、どこの国でもみんなやっていますからね。
普通は、内閣府か何かにつくって、吸収して、一緒の組織をつくって、だんだんだんだん吸収して、それで人数を絞っていく。そういうのが普通のやり方だと思いますけれどもね。大きいのは国税庁なわけなんですけれども、国税庁は五万人近くいますけれども、年金機構の方とかほかの保険料徴収機関も入れても一万人程度だと思いますけれども、それで、合わせて、後は徐々に徐々に、定年退職の人がいたのを補充しないとか、そういう形になるんだと思います。
最後は要は決めでありまして、ばらばらにやる必要は全くない。多分、世界の中でばらばらの国というのは、すごい昔からやっている何か国の国しかないと思いますよ。ですから、それは早くやった方がいいと思うし、効率化できるし、まさしくこれは政治がやって、先に設置法を作っちゃえば、法律を作っちゃえば、そこに役人は動かざるを得ないと私は思いますけれども。
ですから、法律を作らないでどうしたらいいか、どうしたらいいかと言うんですけれども、実は、法律を作るというのがやはり政治家の一番の役割だと思うし、そこを法律で押していくというのが正攻法だと思います。
○うるま委員 ありがとうございました。
今日は、本当にありがとうございました。これで終わらせていただきます。
○坂本委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友でございます。
まずは、高橋先生に一問お伺いしたいと思います。
先ほど小幡先生から、すばらしい財政支出は見たことがないと御説明をいただいておりますが、これは大蔵省の御出身の高橋洋一先生もそのようにお考えかどうか、伺ってもよろしいでしょうか。
○高橋公述人 どうもありがとうございます。
どこをどういうふうに見るかなんじゃないですか。
例えば、狭い部門の財政収支だけ見ていれば、それは、悪く見せるのはできますね。もうちょっと広く取ってみて見れば全然悪くないし、それと、あと、ストックも含めて見れば全然悪くないということは、グラフで示したと思います。すごくいいかどうかというのは価値判断に属すると思いますけれども、どういう観点で見るかといって、見え方が全く違う。
私がずっと言っているのは、言ってみると、会社の中で一部分だけの収支を見て全部分かるかという話に近いんですよ。もし会社の中で見ても、会社の単体だけで見るか、グループで見るかによって、大分違いますよね。それと、あと、資産を見るのか見ないのかによって大分違うし。オーソドックスなファイナンス理論から見れば、全部グループで見て、資産で見るというのが普通ですから、それで見れば日本は全然悪くないという形で私は資料を出したつもりです。
ですから、その意味で、見たことがないというのは、それを見ていない人は見たことがないかもしれませんけれどもね。いろいろな観点で見ていると、いろいろな見え方がすると思います。
○長友委員 ありがとうございます。
高橋先生にもう一問、更問いをさせていただきます。
小幡先生は、併せて、二十一世紀の成熟経済においては、経済成長を目的とした財政支出は無駄ではないかという御指摘もいただいております。また、民間にできないことは政府にはもっとできないと。こういうことに関して、また高橋さんの御意見を伺いたいと思います。
○高橋公述人 どうもありがとうございます。
ある意味でそうなんですけれども、私が示した資料というのは、ほかの国はやっているようなレベルの話をしているだけです。
ほかの国でも実はなかなか大変ですけれども、でも、ほかの国でも公共投資はやっていますよね。やっていますから、それで、せめてほかの国のレベルぐらいのことをやったらどうかという意味で、そんなに過大な要求もしていないわけです。せめてほかの国レベル、G7のほかの国レベルでやれることはやったらどうと。ほかの国のレベルのこともできないとは思いません。
ですから、その意味で、全部ができないとかいうふうな形で一概に否定はしないで。私はレベルが低いのかもしれませんけれどもね。要するに、G7のほかの国のレベルぐらいなことはやったらいいんじゃないかと言っているだけでございます。
○長友委員 高橋先生、ありがとうございます。
小幡先生からもいろいろ反論とか御意見もあると思うんですが、今日はちょっとそこをお聞きはせずに、またちょっと次の質問に伺わせていただきます。
ホルムズ海峡封鎖による経済への影響というのを、今、国民の皆さんは大変心配をしているところなんですが、これは今から小幡先生、高橋先生、田中先生にちょっと質問をお伺いさせていただきたいと思います。
今、原油の価格が上がっていることは御承知のとおりでございまして、ガソリンの暫定税率を廃止したわけですが、このままいくとリッター当たり二百円前後になるんじゃないかというような試算が、ニッセイ基礎研究所の分析等で出ております。一バレル百十ドルということで試算すると、三週間か四週間後には、ガソリンの価格がリッター当たり二百円を超える。
そういう状況の中、これは第三次オイルショックのような様相も呈してきているわけですが、こういう状況に対して、日本政府として何を手を打つべきなのかということを、それぞれの、お三人のお立場で御示唆いただきたいと思いますが、まずは小幡先生から、高橋先生、田中先生とお願いしたいと思います。
○小幡公述人 昨日も予算委員会で議論があったと思うんですけれども、例えばガソリンよりもナフサとか、そういう産業のボトルネックというか不可欠なもの、やはりそういうものを優先する。
こういう危機のときは、価格よりも、とにかく数量を確保、なくてはなりませんから。価格は二の次で数量を確保、それを最優先すべきであって、言い方は悪いですけれども、ガソリンは必需品の方もいらっしゃる、ただ、節約できる方もいらっしゃるということであれば、ガソリンに対する価格の調整というのは一番後回しだと思います。
○高橋公述人 先ほど述べたのとちょっと重複しているんですけれども、短期的に、ある程度一時的な対策は、国民生活上必要だったらやむを得ないと思います。
ガソリンの暫定税率をなくしてまだよかったなと。今ですと、なくした範囲で収まっていますからね。それは多分超える可能性もあると思いますので、そうすると、ガソリン税の本則の話についても一時停止というのは、政策論としてはあり得るんじゃないかなというふうに思います。
ただ一方で、やはり、エネルギーの話ですから、エネルギーで日本が何を持っているかというのをよく精査して、それで対応できるものはフル活用するということも必要かなというふうに思います。具体的には、石炭と原子力です。
○田中公述人 私も専門外のことなんですけれども、少なくともガソリンの価格がこれだけ高くなる、あるいはもっと高くなるということで、思い出されるのは、原油価格が最高値をつけたことというのが二〇〇七年、八年のときにあるわけですよね。ただ、あのときにはガソリンはこんなに高くなかったわけで、平たく言えば、円安がやはり物すごく効いているというふうに私は理解しております。
もちろん、いろいろな要素が絡んできますから、いきなり円高にしろ、あるいは円高に向かわせろといっても、そうならないこともあるでしょうし、それによる弊害も起きるので、私の方からはそれ以上のことは申し上げられませんけれども、やはり円安の影響は非常に大きいと思っております。
○長友委員 高橋先生、先ほど、具体的に言うと石炭と原子力というお話がありました。そこの部分をもう少し詳しく、先生の考えを伺ってもよろしいですか。
○高橋公述人 エネルギーの日本の電源構成を見ますと、石炭が二〇ちょっと、原子力が今は七ぐらいかな、それと、あと、石油が九ぐらいですからね。LNGは大きいです、三三ぐらいですけれども、大きいんですけれどもね。
そうすると、今まで石炭について言うと、CO2を出すからという話で結構抑制的に、それはエネルギーの基本計画についてもかなり抑制的なスタンスだったと思いますけれども、こういうときには背に腹は代えられないと正直言って思います。それで、日本の石炭火力の技術で見ると、出すCO2なんて本当に微々たるものですからね。そういうのをちょっと止めて、それで、そこは石炭火力で対応する余地がまあまあある。
あと、原子力もそうですよね。東日本の方では、まだ動いていないというのが多いですよね。ですから、これはもちろん安全が第一条件なわけなんですけれども、これは持てる資源ですし、原子力というのはいわば準国産ですからね。動かそうと思って、安全基準をクリアして、世界で最高水準の安全基準ですからね、クリアして、動かしていくという手はあるんじゃないかなというふうに思います。
○長友委員 ありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。
それでは、堀先生に、社会保障について伺いたいと思います。
公述の中で、給付と負担のバランスというお話をいただきました。日本は、マクロレベルで見ると、国際的に見ても給付に対して負担が低い国であるという事実と、給付先行型の負担、中福祉・低負担になっていると。もう一つ、今度はミクロレベルで見ると、受益感が乏しくて、国民が当事者として、給付と負担の在り方に向き合うような機運になっていないということを述べていただきましたけれども、この給付の在り方、まさに今問われて国民会議で話をしていくわけですが、国民会議での議論に期待することということをお伺いできればと思います。
○堀公述人 質問ありがとうございます。
国民会議に期待することということでありますが、先ほどの模擬審議会は一つの例としてお話をしましたけれども、恐らく、政治家の方に対してお話をしたりとか、あるいは一般の市民の方に話したりとか、学生に対して話をするときにでも、皆さん漠然と何となくは、社会保障は身近で、生まれてから死ぬまでの間何らかの形で関わるので、スポット的に自分のこととして語れると思うんですね。だけれども、日本全体の社会保障の在り方について、多分、皆さん何となく分かっていても、考えたくない、あるいは考えられないというようなことが多いと思います。
実際、例えば何か事件が起きると、すごく局所的に大きい事件に目が集まります。それはそれで確かに重要なことなんですけれども、それを解決をしている間にじわじわと進んでいる構造的な変化に対する対応ができない。そうなると、目の前の問題に対応している間に、更に構造的な問題は深くなっていく、非常に深刻になっていくという中で、もう最終的にどうすればいいか分からないという状態になっている。
制度そのものは、実は世界に冠たる国民皆保険とも言われてきましたし、非常に精緻、洗練された制度であったと思います。ただ、この構造変化になかなか変えられないうちに、環境が大きく変わってしまって、このままではせっかくいいものだったものが、そのそもそもが、前提が崩れるというところに、多分皆さん行っていない。
だから、今までと同じように空気のようにあるのが当たり前と思っているものが、ある日突然、あることがないかもしれないという意識を共有したところで、どういう給付の在り方がいいのかというのを、改めて、それこそ、高度経済成長期に国民皆保険ができたときの議会の皆さんたちの議論というのは、恐らく非常に白熱したものだったと思うんです、新しい社会経済にどうやって合わせていくかと。
先ほどから、皆様から海外の情勢の話とかがありますけれども、本当にこれまでと全く違う令和のこれからの時代にどうしていくのかというのを、政治家の、政党の利害とも全く関係のないところで、本当にゼロベースで考えていかないと。
私は、三十年以上、社会保障であるとか医療保険とかの研究をしていますけれども、一向に変わっていない印象を、三十年前に書いたペーパーが今でもまだ使えるんじゃないかなというような本当に残念な、なので、こういうところまで出てきてお話をさせていただくのは、さすがにそれでは、本当に団塊世代の方たちが今現在七十五歳を超え、そして、二番目に人口構成の多い団塊ジュニアの層が、そろそろ、あと十数年もすれば高齢者、定年になります。そのときにこのままで本当にいいのかというところを、今、目先の負担が多いとか給付が抑制されるとか、そういうことではない、もっと大きい、哲学的なところもあるかもしれませんけれども、そこも含めて皆さんで議論する機会、そしてそれを政治家の方が、政治家の方々こそが、国民に正直に、今どうなっているのかというのを伝えていただけるような機会になるといいのではないかなということ。
あともう一つは、見える化です。デジタル化も進んでいますけれども、なかなか社会保障の問題、データもそうですけれども、複雑過ぎて分かりにくいというところがありますので、是非、状況をもう少し見える化できるようにして、国民の方たちとも対話をしながら、そして、皆さん自身のこれからの未来のためにも、済みません、繰り返しますけれども、検討していただければと思います。
以上です。
○長友委員 ありがとうございます。
社会保障について考えるときに、今、財源の論点というのが非常に難しくなっているんですが、最後に、堀先生の考える、財源の確保についての何かしらのお考えをお聞かせいただければと思います。
○堀公述人 財源の確保というときに、今回限りの短期的な話なのか、長期的な話は全く違うと思うんですね。
要は、構造的な改革、変えていくとなるならば、それこそ消費税というのは、私自身は非常に重要な財源確保の手段であると思います。もちろん、今、国民会議で議論される給付つき税額控除も非常に重要なものだと思いますが。
要は、何を言いたいかというと、何が駄目、何がいいということではなくて、これまで過去に議論されてきたことも踏まえて、本当に何が公平な負担なのかというのを、若い世代の人たちもそうですし、高齢の方たちもそうですし、いろいろな方たちを踏まえて、全ての可能性を否定せずに検討していく必要があるのではないかと思いますが、私見としては、暫定的な減税はともかく、保険料も含めてですが、セットで議論していく必要があるかなというふうに思います。
○長友委員 重要な御示唆をいただきました。
ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、豊田真由子さん。
○豊田委員 参政党の豊田真由子と申します。
本日はありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は五人目の質疑者でございまして、全く出ていない論点を探すのがちょっと難しゅうございまして、その点、御容赦いただけたらと思います。
まず、田中先生にお伺いをしたいと思います。三点ございます。非常にリアリスティックな分析をありがとうございました。
今後のこと、それに対してどう対応することが国際的にできるのかという点なんですが、イランの側は、保有する軍事能力、全力で、捨て身でやってくる。各国に持っているテロのネットワークとかもあると思いますし、あるいは、トランプ大統領はもう全部破壊したと言っておりますけれども、核も残っているんじゃないかという状況の中で、捨て身でやってくる。アメリカもイスラエルも、イランの体制を、絶対悪を転換をするんだということであれば、もう行くところまで行っちゃうんじゃないかという状況の中で、さっき先生もおっしゃったように、決して経済的な問題だけではなくて、本当にこの地域の不安定化が世界に大きな影響を及ぼすという中をどうすればいいのかというところなんです。
これは、アメリカなりイスラエルなりはどういった要因があればちょっと抑えようかな、やめようかなみたいなことになるのかなというときに、例えば世論の方で、人命が失われることは許し難いとか、あるいは、この一週間でアメリカの原油価格が一六%ほど上がっておりますので、経済的な影響がトランプ政権の支持率を下げるとか、いろいろな外的、内政的要因があると思いますが、これはどうやったら止まるのかと、ちょっとお花畑的な質問かもしれませんが、思っているということ。
それに対しては、今、実は日本は余りこういうときにやれることが少ないケースが多いんですが、私は今回は結構あると思っております。というのは、皆様も御承知のとおり、西側諸国の中で、日本は本当にイランと長年友好関係を保っているという非常に希有な、そして特殊な状況にありまして、これは、高市総理もおっしゃるように早期の事態鎮静化ということで、イスラエル、米国、またイラン、両方にとって友好的な第三者という立場でできることがあるのではないかと私は思っておりまして、その点いかがかということ。
最後、湾岸諸国ですが、これも非常にイスラエルとの関係は難しゅうございまして、長年緊張関係にあったものがちょっとよくなってきたかなと思ったら今回のこのケースで、ただやはり、リアリスティックに言えば、各国にとりましても、湾岸諸国にとりましても、イランの脅威が低下していくことはある意味ちょっとざまあ見ろ的なところもあるのかと思っていて、そうすると、軍事行動に出るというような可能性もある。そうすると、ますます事態は悪化する。
ですので、どのように湾岸諸国がこれから出ていくのか、それに対してまたどういう行動、変動があるのかといった、長くなって済みませんが、以上の三点につきまして、お教えいただければと思います。
○田中公述人 大変細かい質問も含めてでいただきまして、ありがとうございます。
まず、アメリカ、イスラエルがどのような環境で矛を収めるのかということなんですが、私、実はかなり悲観的に見ております。
とりわけ、イスラエルは明白に、去年の六月以降、レジームチェンジというものを出しております。ネタニヤフ首相が、次の指導者を選んだらそれも標的にするということを公言しておりますし、恐らくその言葉にうそはないんだと思うんですね。ということでありますと、それを達成した、すなわち、また改めてイランが新たな最高指導者を選出しなければいけなくなるような事態にまで至ると思っております。
一方、アメリカのトランプ大統領の方は、発言がぶれていますので、どこかで自分が考えるおいしいものと、それから見栄えのいいもの、この二つがそろったときに手を打てるのではないかと彼自身も考えていると思うんですね。
恐らく、私はベネズエラ方式と言っているんですけれども、一月にベネズエラでマドゥーロを捕まえたけれども、結局、体制自体は残って、民主化を要求していた運動の方は完全にはしごを外されてしまったわけですよね。あのような形での収め方はトランプ大統領に関してはあるんだと思うんですけれども、そちらの方になびくと、どうもネタニヤフ首相が電話をしたりしてまた自分の方に引き戻すということをやっております。昨日のやり取りでも、再びトランプ大統領が、一緒に最後決めるんだというようなことで、ネタニヤフ首相との共同歩調を強調しているというのは、まさにそのことではないかと思います。
ということでいいますと、この戦いというか紛争の行く末はかなりひどいものになると私は思っておりまして、少なくとも、イランの側に継戦能力が完全に絶たれたような状態になったとしても、イスラエル、アメリカは多分攻撃をやめないということであろうかと思います。もちろん、大義名分として、濃縮ウランを確保するとか、核施設を破壊するとか、ミサイルを破壊するとか、いろいろなことが付随してはありますけれども、究極の目的は体制を潰すことにありますので、そこは余り楽観しておりません。
ただ、問題は、体制を潰した後に、イスラエルは恐らく、その後が安定することには多分関心がないと思います。アメリカは、湾岸諸国の方のいろいろな意見もありますので、何かをしなければいけないだろうということで動こうとはすると思いますが、イスラエルはそこまでは関心がないので、結果、要するに破壊するだけ破壊し尽くして、今はちょうどガザがそんな状態ですよね。自らの手で破壊して、その再建に関しては、平和理事会とかをトランプさんがつくり出しましたけれども、イスラエルは、占領は続けていますけれども、つくり直すということはイスラエルはやっていないわけですよね。ですから、そういう状態に向かってしまうのではないかということを危惧しております。
日本の役割については、確かに私も期待したいところなんですけれども、近年、とりわけイランとの関係は非常に今、低レベルになっているということをちょっと認めざるを得ないと思います。
これは言うまでもなく、イラン側の方から見れば、日本はもはや原油も買っていない、二〇一九年三月に拾ったやつが最後になりまして、もう都合六年間、石油取引での関係でも切れた状態になっています。
そこへもってきて、去年の六月のイスラエル先制攻撃に際しての日本側の対応については、イラン側は非常に評価というか公平であるというふうに見ていたんですが、少なくとも今回の高市総理の発言などに関して、それから茂木外務大臣の発言などに関しては、やはりかなり一方的、しかも、アメリカの側にしか、あるいはアメリカ、イスラエルの方しか見ていないということで、日本の役割を自ら狭めてしまっているなという感じはいたします。せめて、攻撃を、合法性か違法性を問うことはなかったとしても、少なくとも、先制攻撃を外交交渉が続いている相手に行ったということに関して、しかも、当事国であるアメリカですらそれをやったということに関しては、やはり批判をすべきだったと私は思っております。
GCCは、確かに、イランが強大な国で対岸に位置しているということから、それから民族的な相違、あるいは宗派的な相違、そして領土紛争なども含めて、いろいろな点で対立を抱えておりますので、強いイランであるよりは弱いイランであった方がいいというふうに思っているとは思います。
ただ、イランが散り散りばらばらになること、分離独立主義が拡大して、クルドがクルディスタンになる、バルーチ人がバルーチスタンをつくる、それに伴ってイラク、トルコなどが不安定化する、パキスタンが不安定化する、フーゼスタンがアラビスタンに取られる、それをめぐっての紛争がほかの民族主義者とアラブ独立運動との間で起きるなどして、戦火が拡大して、かつてのイラクのような分裂状態になれば、当然、火の粉が対岸であるアラブ諸国の側にも降ってきますので、そこまでの不安定化を助長するような対応は志向していないと見ております。
○豊田委員 ありがとうございました。
私も実は相当ペシミスティックなのでございますが、やはり日本国の国会議員の一人として、この不条理と悲しみに満ちた世界に一筋の希望を見出したいかなと思っての質問でございました。ありがとうございました。
次に、堀先生にお伺いをしたいんですが、時間がなくなってきまして、抜本的な構造改革ということで。
私は厚労省の出身でございまして、日本の医療の薄利多売、いろんなことに寛容過ぎることを、国民の側も、医療従事者の側も、制度の側も、全部変えなきゃいけないと思っております。なので、診療報酬なり介護報酬なりを抜本的に引き上げて。でも、生命、健康は絶対に守らなきゃいけません。だけれども、今、いろいろなデータから見ると、やはり日本は医療サービス提供が国際的に見ても過剰でございます。
それをきちんと適正化していく、そのことによって現場の従事者も負荷が減り、医療機関も経営が健全化され、国民は健康でハッピーということに対して、やはりいろんなステークホルダーがあったり、いろんな状況の中でなかなか難しいというところをどうやってブレークスルーをしていったらいいかというのを、一分程度でお願いできましたらと思います。ありがとうございます。
○堀公述人 質問ありがとうございます。
適正化は非常に重要だと思っていて、適正化という言葉の意味は、全て何も給付の伸びを抑制するということだけではなくて、具体的に何により重点的にお金を使うか、人を使うかというところも含めて、例えば、何か新しい、本当に必要な治療とかで、入れたいけれども入れないというようなものがあったときに、それをどうしても入れたいとなったら、それを入れるためにはお金がないとなったら、どこかからお金を捻出しなきゃいけないということもあるでしょう。
何が言いたいかといいますと、給付の適正化というものの言葉の意味も、抑制というのではなくて、より自分たち、国民的に投資したいというか使いたいものに使えるように、単純に、先ほどおっしゃった薄利多売ではなくて。
本当に、私たちがこれだけ、世界に冠たる国民皆保険とよく日本では言うんですけれども、申し訳ないんですけれども、私は海外にもいたことがあるんですけれども、少なくとも最近聞いたことはないです。恐らくそれは、若干ガラパゴス化した日本の医療提供体制が原因にあるのではないかと思うんです。
日本の医療従事者の方たちも、医療提供体制も、非常に頑張っているというふうには認めてはいるんですけれども、先ほどおっしゃったように、内容的に、質的に見たときではまだまだ適正化するところ、無理、むら、無駄を少しなくしてもっと自分たちにとってもよりよい環境にすることもできるでしょうし、それをするために、先ほどから繰り返していますけれども、データがもう少しあった方がいいとか、制度ももう少しシンプルにした方がいいとか、あるいは国民そのものにもう少し市民としての参画意識を持っていただきたいということはあるかなというふうには思っております。
済みません、ちょっと長くなりました。
○豊田委員 ありがとうございます。
私も、適正化という言葉で我慢しろということは一言も申し上げておりませんで、やはり本当に必要な、個々の命と健康が守られるステータスよりも今は大分高いものを提供しているというところが、国民の側も医療従事者の側も気づいてやってもらうべきかなというような意味でございます。ありがとうございます。
済みません、最後、小幡先生と高橋先生に。
私も、知識が本当に勉強不足の中で、先生方の御本、御著書とか資料を拝見いたしました。いろいろな説というのが世の中にはあるんだなと思いました。あと、一言で、今の日本政府、あるいは今回の予算も含めて、いわゆる経済を強く豊かにというときに、いやいや、今ここは、それは間違っている方法だよ、これはこうすべきだという、高市政権に対しての御注文というか、ここは間違っていてこうした方がいいとか、あるいは何かアドバイスみたいなものが簡潔にちょっと分かるといいなと思いまして、お願いできればと思います。
○小幡公述人 先ほども申し上げましたけれども、やはり円安、通貨安というのは国益に最も反することで、これは世界共通だと思います。その点だと思います。
○高橋公述人 通貨安というのは悪くない。
こういうのはどういう言葉で言ったらいいんでしょうかね、近隣窮乏化というのを習ったことはありますよね。近隣窮乏化というのは、自分の国だけ通貨安になったときに、自分の国はいいけれども、ほかの国は都合が悪いという話ですね。
こういうのは古今東西成り立つ話なので、どんなところの国際機関モデルで計算してもいいですけれども、これは内閣府のモデルでも一緒です。日本が一〇%円安になると、日本の経済成長率というのは〇・四から一・二ぐらい上がるんですね。ほかに、これでやると、アメリカと実はEUが下がります。これは、逆にアメリカの方が同じ状況になっても、日本が下がる。アメリカだけ上がって、日本とEUが下がります。これはEUがやっても同じなんですね、EUだけ上がっていって。
この近隣窮乏化というのがあるので、度外れた、国家破綻になるような、国家破綻が反映されるような円安でなければ、普通はほかの国が、相手国が文句を言うレベルなんですね。文句を言わない限りやっていた方がいいというのが私の立場であります。
ですから、これはなかなか数量的にみんな言わないんですけれども、財務官僚だったらみんな知っていると思いますけれどもね。円安になったときに、はっきり言って、GDPが上がるから、税収も増えるんですよ。更に言うと、円安になると、日本は外為特会を持っているので、ここで、うはうはです。私は、ほくほくとは言いませんけれども、うはうはと申し上げ、年中言っています。
要するに、外為特会で百五十兆円ぐらい持っていますから、これはドル債ですけれども、これの益が増えますので、その益が増えたときに、この益をどのように取り出すかというのは財務省がよく知っていますから、いつも税外収入がすごく増えます。ですから、これを使ってやるというので。何も財源がないよりかは、あった方が楽なんですよね。税収が増えて、資産で、そこから税外収入が取り出せるということであれば。
いろいろなところで、確かに円安になって苦しい人もいるんですよ。いるんですけれども、その対策はすごく簡単です。
ですから、その意味では、通貨の話というのは非常に面白くて、何か魔法のようなことになるかもしれませんけれども、でも、これをみんなうまいことよく使っていて、それで国難をしのいだりしておりますので、その意味では、円安になって、非常に日本は今ラッキーかなという気がします。
○豊田委員 ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、高山聡史君。
○高山委員 公述人の先生方、本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございます。
チームみらいの高山聡史でございます。
本日は、まず、堀先生に御質問させてください。
先ほど、医療保険制度の持続可能性について、これまでの制度改革の経緯にも触れられた上で、特に、高額療養費制度の見直しであるとか、OTC類似薬の自己負担の在り方についてお話がありました。いずれも国民の負担に直結する問題で、慎重かつ丁寧な議論が必要な論点であると思います。
しかし、先生のおっしゃるとおり、社会保障の問題というのは、どうしても構造的な改革よりも局所的な対応になりがちである、あるいは、国民が当事者として、給付と負担のバランス、この全体像に向き合うということがなかなか難しいテーマであって、この妥当性について冷静な検証が必要であると思います。
例えば、高額療養費制度については、先日、辰巳委員の質疑にもあったとおり、保険料の負担の軽減がどれほどであるかといってみれば月額百二十円ほどであるという中で、自己負担額は最大三八%上がるということを、この年金、医療、福祉など様々な社会保障の給付費が増加をしていく中で、なぜここを今優先するのかといった側面もあるのかなと思います。
以前から、先生におかれましては、エビデンスに基づく議論であったりとか国民的な議論を通じて、国民自身が選択をしていくということの重要性について述べられておりまして、私もそういった考え方には強く共感するところでございます。
ここで堀先生に伺いたいのですが、個別の各制度の持続可能性といった問題と、社会保障の給付と負担、全体像の議論、このバランスを取りながら、国民が納得感を持って、税や社会保険料の支払い、必要な給付を受けられる社会をつくっていくために、今議論の在り方として足りていないものであるとか、あるいは、より国民に伝わっていくべきだと思われるような情報、こういったものがあれば、率直な御見解、伺えないでしょうか。
○堀公述人 御質問ありがとうございます。
高額療養費の見直しについても、OTC類似薬についても、もちろん個別のことではあるんですけれども、私は、それ自身は実は保険給付の在り方を考えるものでもあるかなというふうに評価しています。
例えば、高額療養費、今までですと、病気の種類であるとか、重症度であるとか、あるいは頻度であるとか、そういうものとは、中身はなく、経済的な負担の上限を決めていました。でも、今回は、多数回に関しては除外するとか、今までよりすごいきめ細やかになっているという、メッセージとしては、給付の中身をより丁寧に見ていくというメッセージというふうに受け取れることもできるというふうには思います。大きなリスクについては守ると言っているようにも私には取れるところがあると思います。ただ、今回のこれだけで十分かどうかというのは、これから先のことにもつながると思うのでまた検討が必要かもしれませんが。
また、OTC類似薬についても、例えば、当然ですけれども、皆さん、患者の自己負担は少ない方がいいかどうかと聞いたら、恐らく普通は少ない方がいいとなると思うんです。でも、全体の状態を見たときに、日本の国民皆保険としてあるべき姿としてどうかといったときには、それならば、そちらの、OTC類似薬があるものの方は少し負担を多くしてもいいかな、それによってほかの制度、ほかの部分が持続できるならというふうに思うかもしれないですよね。そういう意味では、今回のは、個別の制度ではあるんですけれども、医療保険の在り方を考える上では非常に大きいテーマですし、かなり丁寧にできているのではないかというふうに思います。
ただ、社会保障というふうに見ると、実は、今回、診療報酬もありましたけれども、医療だけではなくて、例えば後期高齢者を考えると、医療を受けている人は恐らく介護も受けている可能性があると思うんですね。そうすると、医療と介護を合わせたときの合算の療養費制度というのがあるんですけれども、今回、多分そこは全く見られていないと思うので、これは今後、医療だけで見るのではなくて、医療と介護を見たときにどうなのかとか。あるいは、生活保護の医療扶助もそうですけれども、生活保護の医療扶助の医療の部分と医療保険における医療の部分がどうなのかとか。要は、それぞれの制度ごとの、単体の制度の中でも複雑にあるんですけれども、それぞれを今までは本当に精緻に、持続可能なようにとやってきたと思うんです。
それはそれでいいと思うんですが、それとは別に、社会保障全体を見たときに、その重なりであるとか、例えば四十歳以上が介護保険には入ることになっていますけれども、それは、介護保険をつくった当時はともかく、今現在、なぜ四十歳以上なのかといったときに、恐らくなかなか理由づけが難しくなってきていると思うんですよね。それは過去からだからだということがあるかもしれないんですけれども。じゃ、障害者総合支援法という法律もありますけれども、それも、介護を受けている方たちも両方重なるというか、そこの部分の制度間の整合性をどういうふうに取るかとか、そういうところを見た上で新しい制度設計というのができるのではないかと思いますし、それはすぐにできることではないので、本当にじっくりと検討した方がいいと思うんですけれども、個別のところとは別という意味ではそういうことです。
済みません、お答えになっておりますでしょうか。
○高山委員 ありがとうございます。
個別の議論においても、これまでよりもきめ細やかに議論されるようになってきた部分があることであるとか、あるいは、おっしゃっていただいた制度間の重なりについてより目を向けていく必要があるといったところ、非常に重要な観点だと思います。
もう一点ちょっと関連してお伺いしたいのが、そういった非常に複雑な問題がある中で、エビデンスに基づいた議論を進めていくためには、そもそも前提となるデータがきちんと取られて、かつ、それが国民に開かれた形で開示をされて議論ができるという環境が必須であるかなというふうに思います。
このデータの関連でいくと、医療の領域では全国医療情報プラットフォームの整備、これは、電子カルテ情報の標準化であったりとか、レセプトのデータとの連携、あるいは自治体と医療機関をつなぐ情報連携の在り方みたいなところも整備が進みつつある。一方で、これが国際的に見てどういう状況なのか。先生は国際比較などもいろいろされていると思いますので、ここは評価できて、ここはまだ足りないみたいなところがあれば、是非御見解を伺えないでしょうか。
○堀公述人 御質問ありがとうございます。
御指摘のとおりかと思うんですが、国際的に比較できるようなデータがそろっているところとそろっていないところがあるというのはあるかと思います。例えばデジタル化を進めようといったときも、今、随分マイナンバーカードとかの整備によって変わりつつある、状況はかなり変わっていますし、デジタル庁が中心に様々なデジタル化を進めて変わってきてはいる。まさに変わっている過渡期ではあると思うんですけれども、そもそもそれぞれの、例えば医療機関の中だけでデジタル化が進んでいるところもあれば紙のところもあったりとか、情報連携することによって初めていろいろな活用があるところが、それがなかなかできていないのでうまくいっていないと思います。
例えば、これは今後改善されると思うんですけれども、がんのスクリーニングに関してのデータに関しても、私はデジタル先進国と言われているある国にいたことがあるんですけれども、そちらでは、全国民にデジタルポストで、例えば対象者に対して、あなたはがんのスクリーニングの対象ですというふうに一斉にメールを送って、そのメールの送り方にもいろいろあるんですけれども、それでデータをちゃんと取って、その後、医療データも含めて研究者も研究をして、それが治療の方にもつながるし、あるいは新しいイノベーションにもつながるような、データそのものが、国民にとっても、取られることが、個人情報保護の云々ではなくて、自分たちにとってもプラス、恩恵になるんだということが分かるような形でデジタル化が進んでいるので、多分、デジタル化を進めることがすごくいいとなると思うんですけれども、なかなかそういうふうになっていなくて、そもそも、デフラグな状態になっていると、つなげるといっても、なかなかつなぐこと自身がうまくいかなかったりするので、手作業でデータを見なきゃいけなかったりということになったりもします。
ですので、医療機関に関するデータに関しても、本当に、集めることによって、それは医療経営上の把握ということだけではなくて、診療の質であるとかあるいはサービスの生産性を上げるために、自分たちにとってもどう使えるかという意味でプラスになる可能性もあると思うので、そこはうまく、よい事例とかも踏まえてデジタル化とデータの見える化を進めていく必要があるのではないかなというふうに思っています。それがひいてはエビデンスベースの政策形成につながるのではないかなと。
今ですと、多分そうだと思うという、あるいは、ある特定の省庁が一生懸命頑張って一時的にデータを集めるという形になったりしているところも一部あると思いますので、そこは将来的に改善していく方がいいと思いますが、今は過渡期なのかなというふうに思っております。
○高山委員 ありがとうございます。
今、まさに、我が国においては、国民の負担をどう軽減をしていくかというところと、一方で、同時に、国民の命、健康はしっかり守る、こういった皆保険の仕組みは維持する必要があるという難しい課題がある中で、先生おっしゃったとおり、データを、今なかなか使いやすい形になっていないところもある中で、しっかりとした検証をしていく必要があるものだと理解をいたしました。引き続きいろいろと議論あるいは御指導いただければと思います。ありがとうございます。
最後に一点、田中先生に伺いたいと思います。
直近の事態で、先ほどのお話にもありました、海水淡水化プラントへの攻撃に関するところです。
イランの無人機攻撃によってバーレーンの淡水化プラントが損傷を受けたという話に関連して、まさに先生もおっしゃっていたとおり、この淡水化プラントというのは湾岸諸国の民間の方々にとって命に直結するインフラであるということ、この水というインフラに対して攻撃が行われるということは、非常に、この紛争の性質が一段階フェーズが変わったという意味合いを持つかなと思います。かつ、これに関して、イラン側は米国側が前例をつくったのであるというような話もしており、これは非常に深刻な状況かなと思います。
民間人の命に直結するインフラの攻撃というのは、人道的にもあるいは国際法的にも重要な問題で、これ以上エスカレートすることは容認できないものであるというふうに思います。
そこで、こういったことに対して、国際社会としてあるいは日本として取り得る外交的な、現実的なオプションというものがどういうものがあり得るのかというところを、先生のお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
○田中公述人 御質問ありがとうございます。
事実関係では確かに両方とも破壊をしているので、結局、けんか両成敗みたいな形にしかならないんですが、まず、共に破壊、それぞれに関して非難をすることはまず必須だと言えます。片側だけ非難してもう片側を非難しないという状態だと、やはりこれはダブルスタンダードということになってしまいますので。
あとは、もちろん交戦規定でいろいろなものがありますけれども、人道に関わるところに、例えば病院を攻撃してはならないとかそういった戦時国際法などがありますので、それに従っていれば、本来は十分に対象に入る、カバーされているところです。
ですから、片側だけの非難だけで終わらせていると、もう片側がそれを超えてしまうこともありますので、そこら辺はきっちりと、非難するときはきちんと等しく非難するという対応からまず入るべきだと思っております。
○高山委員 ありがとうございます。
改めて、そういった、命に直結する施設への攻撃は許されないというところ、しっかりと立場を示す必要性について認識いたしました。ありがとうございます。
これにて私の質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
公述人の皆さんには、貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。
最初に、田中公述人にお尋ねをいたします。
先ほどの冒頭の意見陳述や、また質疑の中で、アメリカ、イスラエルのイランに対する武力攻撃について、国際法違反であり、その際の日本の政府の対応について、昨年六月のイスラエルによるイラン攻撃について岩屋大臣が強く非難したということも紹介をされて、今回も非難をすべきだった、また、今回の場合について、外交の途上だったにもかかわらず武力攻撃を行ったことについても、そういった点についての批判もすべきだったということをおっしゃっておられました。
そうしますと、昨年の六月と今回のとを対比をしたときの違い、日本政府の対応の違いというのは何があるのかということについてお話しいただけないでしょうか。
○田中公述人 御質問ありがとうございます。
あくまでも外形的な相違ということをベースにお話を申し上げますと、去年の六月の段階で最初にイスラエルが攻撃をした際には非難がありました。しかし、その十日後に米国も参戦して攻撃したことに関しては非難はなかったんですね。
今回は、イスラエルと米軍がほぼ同時に入って、若干イスラエルが早いんですけれども、ほぼ同時に起きているということで、去年の六月のときの二度目の攻撃、すなわちアメリカによる攻撃が加わっているということが、今回の法的な評価を差し控える、その他もろもろ、非難をしないというところにつながっているものだと私は理解しています。
○塩川委員 アメリカが関わると法的な評価をしないというのはなぜなのか、その問題点も含めて御説明いただけないでしょうか。
○田中公述人 これもあくまでも私の臆測ではありますけれども、日米同盟は最重要であるという、そこの一極にやはり集中しているがゆえに、少しでもそれを危うくするような環境をつくりたくないということだろうと思います。
また、現状においては、トランプ大統領が、ちょっとでも何かしらか気に入らないような言動をどこからかされると、これは国内でも国外でも、国際関係においてもあると、とてつもないしっぺ返しをしてくる。例えば関税の話とかを持ち出したりすること。あるいは、例えばスペインの例でいいますと、貿易関係とかを全部断絶するとかですね。そういうことを言うような言動に対して、やはり非常に神経質になっているがゆえの対応ではないかと見ています。
○塩川委員 続けて、スペインのお話がありましたが、スペイン政府としては、やはり、国内の基地の使用を米軍機には認めないとかいうことを含めて、国際法違反を厳しく批判して、アメリカのイラン攻撃に反対をしております。アメリカの同盟国でも立場の違いがあるわけです。
こういった、アメリカの同盟国において、でも立場の違いがある、その対応の違いというのはどこにあるのか、どこからくるのか、その点についてはいかがでしょうか。
○田中公述人 スペインの場合には、NATOという集団安全保障体制の下にあるので、スペイン一国がどう対応するかということでNATO全体を壊すことが恐らくアメリカとしてはできないという対応も、スペインが、強硬と言うと変ですね、強い立場で発言することを可能にしているんだろうと思います。
一方、日本の場合には、片務的な日米同盟しかないということで、そこに大きな瑕疵がやはりある、借りがあるという立場からの対応になっているんだろうと思っています。
○塩川委員 ありがとうございました。
次に、堀公述人にお尋ねをいたします。
堀公述人におかれては、社会保障政策についてのお話をいただきました。
高市首相の施政方針演説を見ていますと、社会保障政策についてのまとまった部分というのはないんですよね、どうかと思いましたけれども。一方で、責任ある積極財政ということを強調されておられて、これまでの政策の在り方を根本的に転換する本丸として責任ある積極財政と述べているんですが、この責任ある積極財政と社会保障政策の関係について、お考えのところをお示しいただけないでしょうか。
○堀公述人 責任ある財政、経済成長を進めなければ、社会保障、経済成長をすることで所得が増えて、そしてそれによって負担することもできる、それで給付をよくするという、その好循環を進めるという意味では積極財政という考え方もあり得るとは思っています。ただ、具体的に実際どうなるかは正直まだ分からないところもありますので、この先を見ていきたいなというふうに思っております。
今回、社会保障に関してだけ見る限りは、かなり、内容を見て精査して、丁寧に適正化、よい意味で適正化も図っているところもあるのではないかというふうに思っております。ですので、そういう意味では、責任あるというところが全うされようとしているところは見られるのではないかというふうには思います。
ただ、先ほどもお話ししましたように、一政権の問題ではなく、より長期的に続く構造的な課題に関しては、恐らく、今回の予算であるとか、短期的に対応するようなことではないと思いますので、そちらについて考えたときには、やはり新たな財源確保というのは非常に重要な課題になってくるというふうに認識をしております。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、小幡公述人に伺います。
高市首相の責任ある積極財政なんですけれども、この責任ある積極財政とはいかなるものかについてのお考えをお聞かせいただきたいのと、どう評価するのかという点について伺います。
○小幡公述人 積極財政という言葉自体は気合を示したものだけですので、全く評価はどうしていいか分かりません。
○塩川委員 そういう一連の施策の中で、複数年度の投資の話もありました。小幡公述人自身も、一旦始めたら引けない悪い癖を助長するとか、形式的にでも毎年チェックしていれば引くきっかけは存在する、一年の損失で食い止められるというお話をされておりました。
今回、関連の法案として特例公債法案が出ております。五年間の期間延長を目指すものですけれども、こういった、五年とかというまとまった格好での対応となるこの特例公債法案についてはどのように評価しておられるでしょうか。
○小幡公述人 冒頭のお話でも申し上げたとおり、私はこう見えても財務省出身ではあるんですが、特例公債かどうかということは関係ないというふうに思います。つまり、特例公債、必要なときは出す、それで何をやるかということですね。
例えば、先ほどの例でいえば、こういうイランへの侵攻が起きて、原油価格を始め、昨日のお話でいえば、ナフサという産業にとっての要となるようなものがなくなるというときには、特例公債でも何でも必要なものは出したらいい。ただ、一バレル六十ドルで、円安だけでガソリンが日本だけ上がっているという状況のときに、それは、財源は特例国債だろうが、財源がどこにあろうが、そこで財政支出するというのは適切でないというふうに考えます。
それは、つまり、資金調達の手段とは関係なく、支出の中身の問題で、いい支出を今までそんなにしていない以上、規模を大きくするというのは、それだけ言われますと反対せざるを得ないというふうに思います。
○塩川委員 以前は、特例公債法案、毎年毎年やっていたものを、民主党政権以降、五年に一回ですとか束ねてやるような形になった。そういう在り方についてはどのようにお考えでしょうか。
○小幡公述人 特例公債というのは、元々やはり、昔でいえばその裏にちゃんと物が残る、今日、バランスシートの話、スライドというか紙には書いたんですけれどもお話しできなかったんですが。つまり、投資として残るものを出すときは、それは建設国債で出すから問題ありません。赤字国債というのは、負債だけ残る。
要は、バランスシートというのは負債があって資産があって、別にどれだけ負債が膨らんでも、いい資産が残っていれば何の問題もないです、バランスシートですから。いい社会が残っていれば何の問題もないです。ところが、特例公債がなぜ問題かというと、その年のために使ってしまって後世には何も残らない、ただ、こっちの負債は残ります、だから問題だということで、特に厳しい、基本的には禁止、毎年の法律が必要だということだったので。
それを緩めるというのは、やはり基本的にはガバナンスを緩めるということになりますので、望ましくはないというふうには考えます。
○塩川委員 今、危機管理投資、成長投資ということで高市政権が取り組んでいる一つに経済安全保障の分野があって、冒頭の陳述でも、経済安全保障は経済成長にマイナスというお話もされました。実際、十七成長分野への投資支援ということを掲げている高市政権ですけれども、そういった十七分野の成長分野への支援というのは意味がないというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
○小幡公述人 それも中身によるので、これからいい弾が出てくれば、いいのもある。例えば、十七分野と関係ありませんが、前政権かもしれませんけれども、ラピダスがありますけれども、これは賛否両論です。私は、ラピダスはうまくいかないと思っています。それはなぜかというと、日本国産とか北海道とかいろいろな制約条件をべたべたにつけて、オール・ジャパンで頑張るという、やはり思いが含まれてしまっているので、完全に制約条件なしのグローバル競争に大分ハンデを背負っているので、勝つ可能性はもちろんゼロじゃないんですけれども、どうしても、財政で、国でやるとなると、そういうものが入ってくるので難しい。
十七分野に関して言えば、今、何となく話題になっているのを並べたら十七あるという、まあ、全部ということなので、絞った方がいいとは思いますけれども、現時点では何がこれから始まるのやらという感じなので、中身次第ですし、分野を広げ過ぎているという意味では余り賛成できません。
○塩川委員 冒頭の陳述のところにも書かれておりました、軍事支出は経済にはマイナス、軍備、兵器輸出が国民を不幸にすることについて、もう一回、意味するところを御説明いただけないでしょうか。
○小幡公述人 これは共産党的な意味ではなくて、私、戦争には賛成も反対も申し上げなくて、戦争をしたければすればいいと思いますし、防衛が必要であればするんですよ。ただ、あたかも、軍需にやると需要が出て経済にプラスだみたいな話があるんですが、それは絶対にありません。
需要がないときに軍需で需要を出してGDPの数字が同じになったとしても、手元に残っている需要やお金のうち、軍需を百兆円つくってほかのものを百兆円つくらなかったわけですから、もし軍需がなければ、ほかのものを百兆円つくって、GDPなんだから、その百兆円が生活インフラになっていれば、そっちの方が圧倒的にいいわけですよね。
だから、第二次大戦、太平洋戦争の例を出すまでもなく、国民が生活を徹底的に我慢した上で同じGDPで戦争を戦う、そういう心意気は、ウクライナを見ていればそういう心意気が必要なときもあるとは思います。ただ、経済には明らかにマイナスで、生活には明らかにマイナスだ、そういうことでございます。
○塩川委員 ありがとうございます。
高橋公述人にお尋ねいたします。
メディアでの発言で拝見したんですけれども、消費減税のことですが、日本も他の先進国と同様に消費減税を経済状況に応じて行えばよいのではないのかと述べておられます。こういったように、他の国と同様の消費税減税を、経済状況に応じて下げるような場合、こういったことの必要性について御説明いただけないでしょうか。
○高橋公述人 消費税といえども経済政策ですから、経済状況に応じてやるというのはごく当たり前だと思うんですけれども、上げは絶対にオーケーだけれども下げはいけないとか、硬直的に考えることはないんじゃないかなというぐらいの趣旨であります。
○塩川委員 時間が参りました。
ありがとうございました。
○坂本委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。
公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。(拍手)
午後一時から公聴会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時六分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
令和八年度総予算についての公聴会を続行いたします。
この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。令和八年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず遠藤典子公述人、次に神保政史公述人、次に小山堅公述人、次に天野慎介公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、遠藤公述人にお願いいたします。
○遠藤公述人 ありがとうございます。
早稲田大学でエネルギー科学、また安全保障の議論に参加させていただいております。政府の成長戦略会議の委員でもございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今起こっているイラン戦争の事象につきましてなんですが、エネルギーへの影響度を少し私の方からお話し申し上げたいと思います。
ホルムズ海峡というのは、世界の石油消費量の二〇%に相当する日量二千万バレル、世界のLNG貿易の約二〇%が通る最大のチョークポイントです。その封鎖が実際に起こるなんてことは、イスラエルの空爆が始まった去年の六月とか、今年の二月になっても、我々エネルギーの研究者であるとか実務家であるとかは全く想定をしておりませんでした。それはやはり、合理的な結論を導こうとすると、それがいかにもナンセンスだったからです。
八〇年代のイラン・イラク戦争においても、完全封鎖されたとは言えません、言っていません。今回も、イランの方は六日に、封鎖したこともなく、封鎖することもないというふうにイラン軍の報道官が説明をしています。
ただ、現実的に起きていることを申し上げますと、確定的に起きている途絶がありまして、ロイターの報道などによると、現在のイランの石油生産が約八割減少しています。それをざっくり計算すると、世界の原油供給量の約三%が生産ベースで消滅したことになります。
途絶し得る供給としては、仮に二千万バレルが供給途絶となった場合、世界の原油供給の一九%が消滅することになります。これは輸送による途絶のベースです。
そういう状況の中で、スポット価格が今どうなっているのかを見ますと、お手元の資料を御覧になっていただきたいのですが、今、私が作ったデータは三月六日までだったんですが、その後、二六から三〇%の上昇をしまして、WTIは百十八ドルに達しました。これは長期戦にもつれ込むということを市場が織り込み始めたんですが、ここに、G7が協調備蓄の放出を検討しているという報道がありました。それで百四ドルに下落する。
しかも、今度はトランプ大統領が、戦争はほぼ終了だという発言を行いました。そうすると、八十一ドル台にまた下がる、乱高下をしているということです。しかも、それは一米国の大統領と申しますか、その方の発言によって市場が乱高下するので、今後も確定的なことが申し上げられない、非常に注視せざるを得ないマーケットの環境になっているということが言えるかと存じます。
一方、LNGのマーケットについても、最大の輸出国であるカタールのLNGの九割超はホルムズ海峡を通過します。ここも、LNG船のスポット運賃が四〇%跳ねただとか、カタールの生産の二割を担うラスラファンというところがあるんですが、そこがドローン攻撃を受けたとか、フォースマジュールというんですが、契約上の出荷を免責、一時停止を主張するための宣言というのがあるんですが、それを行ったとか、そういった報道がスポット先物価格を引き上げたり引き下げたり、そういう報道によってとにかく乱高下しているということが言えると思います。
過去を振り返ってみますと、ロシアによるウクライナ侵略のとき以降、初めてこれほどの高価格になっているということが言えると思います。もちろん、リーマン・ショック以降、リーマン・ショックの直前が最も高かったときなんですけれども、そこから非常に低位で流動していた価格が、今回、久しぶりに跳ね上がることになったということです。
もちろん、日本は輸入をしています。為替の影響を大きく受けますので、円安に振れる場合は輸入のインパクトが大きくなるということが言えると思います。
ただ、足下なんですけれども、ガソリンの価格は、円安の影響を補助金でカバーしてきました。ガソリンの補助というのは去年の末で終了したんですけれども、三月頭までの全国平均だと百五十八円ということで、下がっております。今後上昇が見込まれるために注視が必要ですけれども、先ほど申し上げたように、一国の大統領の発言で非常に揺れるような市場だということが言えると思います。
足下の石油の備蓄については、世界トップレベルで、二百五十四日ございます。石油火力は、沖縄電力とか一部まだあるところがあるんですが、廃止が進んでいまして、むしろ、石油の影響を受けるのは、電力だけではなくて、石化の製品の価格上昇が見られるかもしれないということです。
例えば、エチレンなどの原料になるナフサなんですけれども、日本で使うナフサは、国際生産分もあるので、国内消費全体で見ると中東依存度は約四割、輸入分だけで見ると約七割。ただし、日本の企業は代替先の確保に既に着手をしているというふうに聞いております。
LNGについては、大体約三週間分、四百万トン弱の在庫が電力、ガス会社にございます。ホルムズ海峡を経由するLNGの輸入量の約一年分が備蓄できているということです。
しかも、ウクライナ戦争のときの経験が生きていまして、電力会社等においては長期契約の締結が進んでいます。これは、価格の安定化に大きく寄与するものでございます。もちろん、電力会社の規模によっては準備の差があることは否めません。
ウクライナ戦争との違いなんですけれども、ウクライナ戦争で起きたことは、ガスフローの再構築なんですね。ロシアは供給先として中国を求めたし、ヨーロッパは調達先として米国を求めました。別の均衡に落ち着いたわけです。ネットとして不足しているわけでもなくて、現在と違うのは、生産が二〇%近く落ちるかもしれないというリスクがあるということが今回の危機とは違うということです。
現在、暖かい時期なのでいいだろうという状況でもあるんですが、欧州の在庫というのは今少ないんですね。春から夏にかけて、安定的な、比較的安価な時期に買い増すのが通例なので、アジアとの奪い合いになる可能性もあります。
石炭価格もじわじわと上昇しています。現状は古い石炭火力の稼働は抑えられているため、日本にとっては、その抑えたもののたき増しで、これも一つのカードになり得ります。四月から日本でも排出権取引制度が開始されるんですけれども、急速な脱炭素への移行は現実的ではないと私の方は考えます。一か月前を指数としたときの価格上昇度につきましては、右下の図に収めております。
日本のエネルギー構造に触れてまいりたいと思います。ごめんなさい、その前に、ちょっと一つ、アジア諸国への影響について触れておきたいと思います。
ホルムズ海峡を通峡するLNGというのは、八〇%がアジア向けなんですね。日本のLNG輸入の中東依存度は一〇%程度、ホルムズ海峡への依存度は六・三%と多様化ができているんですが、深刻なのは、アジアの中で台湾です。ホルムズ依存度が高くて、かつ発電量における天然ガス火力の割合が高いわけです。しかも、脱原発政策への深化というか、進めていますので、代替性が低いです。
台湾は、世界的な半導体の拠点であります。台湾経済への影響を通じた国家安全保障の問題、世界経済への影響にも非常に注視が必要だと思っています。こちらの図が、私は、非常に新しい、日本としては、台湾との関係で注視しなくてはならない状況として顕在化してきたなというふうに思っています。
日本のエネルギー構造に参りたいと思います。
こちらの鉱物性燃料の輸入でという表を見ていただければ分かると思いますが、古くから言われていることなんですけれども、資源に乏しく、化石燃料の輸入に依存している我が国でございます。貿易収支の赤字の大きな要因であり、大体三十兆円前後の国富が海外に流出している、稼いだ外貨を吐き出しているというふうな状況です。
次に、日本の電源構成は、次のページの発電電力量の推移というところで表していますが、石油ショック以降、中東依存度の軽減を輸入元の多様化及び電源構成における脱石油で図ってきました。石油の割合を減らし、石油火力を減らし、あと中東依存度を減らすということです。輸入元は、中国とかインドネシアに一時分散して六七・九%まで落ちたんですけれども、またコロナ禍以降高止まりして、中東依存が高いということです。
民主党の菅内閣のときには、第三次エネルギー基本計画を立てました。このときは、五割を原子力で賄うということを掲げています。福島事故の結果、化石燃料比率が一気に高まってきましたが、ここで申し上げたいのは、原子力の重要性です。
つい三月三日のことでございますが、東京電力の柏崎刈羽原発の六号機、これは設備容量が百三十六万キロワットなんですが、ようやく一〇〇%の出力に到達しました。試算すると、この六号機たった一基で年間百十万トン相当のLNGの節約が可能になります。これは、ホルムズで賄える分の三分の一です。
原子力発電は、皆様も御存じのとおり、極めて発電効率が高くて、その原料であるウランの七割はカナダ、オーストラリアから輸入していますし、転換、濃縮プロセスも脱ロシアが進んでいます。国内にも、もちろん濃縮の設備があります。そういう意味では、準国産電源に位置づけられているわけです。
格納容器など発電用のシステムのサプライチェーンは、日本製でまだ完結できています。同じ脱炭素電源でも、中国の依存度が高い太陽光や風力とは異なります。また、これは、風が吹いたとき、太陽が照ったときということになりますので、今、AI、データセンターを中心とするそういう産業が活況を呈して、このボトルネックは電力ということが世界中に言われています。つまり、産業競争力を電力が決めるという時代になっているわけです。ここで原子力をしっかりと中長期的に見直していく必要が、極めて重要な日本の課題だというふうに考えております。
今、よく経産省が作っております日本の稼働の状況を見ていただければ分かると思いますけれども、まだ設置変更許可が出た三基、規制基準の審査中が八基ある状況で、なかなか再稼働に時間を要している状況であります。また、地元同意も非常に難度を極めています。やはり、安全が確認された炉の再稼働が急速に進められるということが、日本のエネルギー、経済、産業の安全保障の喫緊の課題だというふうに考えます。
具体的に何をすればいいのかということなんですけれども、まず、特定重大事故等対処施設、いわゆる特重施設というものがございます。これは、意図的な航空機が衝突するテロみたいな重大事故に対処するバックアップ施設でして、信頼性を向上させるという営みの中で位置づけられています。
現行制度は、特重施設の設置期限というのは本体の工事計画の認可後五年以内とされているんです。その建設には大規模工事が必要ですし、大体、今の人手不足、資材の高騰を考えると、非常に時間がかかっているという状況です。今、特重施設を設置することが義務づけられていますけれども、ほとんどの電力会社の発電所が設置期間を超過してしまっていて、運転を安全だと認められたのに停止しなくてはならない状況になっています。例えば、東北電力の女川原子力発電所、こちらの特重施設の設置期限が今年の十二月二十二日に迫っています。今の段階でいきますと、到底間に合いそうもない状況です。
現行制度では、先ほど申し上げましたような工事認可後が起算日になっているんですけれども、それよりも、使用前検査、つまり、営業運転の開始から五年以内というような起算日に変更していただくというような措置が、今々、原子力について国が対応し得る一つの状況だと思っております。
先ほど申し上げました石炭火力についても、第七次エネルギー基本計画、こちらの策定に私も関わりましたが、石炭はバックアップ電源として位置づけられています。
もちろん、環境規制もありますし、脱炭素の大きな目標もありますが、今、この日本の存亡の危機にあるようなエネルギー危機の状態においては、あらゆる手段を講じるということがとても必要になるかと思っております。そのために総力を結集していくということをあらゆる議論の場で進めてまいりたいと思いますし、国会におきましても、そういった議論を是非進めていただきたいというふうに思っております。
私の方からは以上でございます。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
次に、神保公述人にお願いいたします。
○神保公述人 ただいま御指名いただきました連合の神保でございます。
本日は、このような場で意見を述べる機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
私ども連合は、働くことを軸とする安心社会の実現を目指していろいろな取組をしているところでございます。本日は、働く者、生活者の立場から意見を申し上げたい、このように思います。
まず初めにでございますけれども、ただいま二〇二六春季生活闘争の真っただ中でございます。連合は、人への投資を起点に経済の好循環を力強く回すことを目指す、未来づくり春闘と称してこれらを推進しているところでございます。今年の春闘は、日本の実質賃金を一%の上昇軌道に乗せ、賃金が持続的に上昇するという賃上げノルム、これを確立させるべく正念場、このように位置づけているところでございます。
お配りしております資料の三ページを御覧ください。
これは、これまでの賃上げ状況の推移をグラフ化したものでございます。全体では二年連続で五%台の賃上げが実現したものの、中小組合、中小企業ですけれども、その賃上げ率が四%台にとどまっております。物価高を背景に、生活向上を実感している人が少ないのではないか、このように捉えているところでございます。
このような中、今年の要求の集計を三月五日に公表させていただきました。その集計結果では、中小組合の要求水準が全体を上回っている、こういうようなことになっております。この勢いをしっかりと回答につなげて、日本全体に賃上げの裾野を広げていく必要があるんだろう、このように考えているところでございます。
資料四ページを御覧になってください。
これは、中小企業庁が価格転嫁の状況を調査した結果でございます。賃上げの裾野を広げていくためには、労働者の約七割が働く中小企業における適切な価格転嫁、そして適正取引の徹底が必要となってまいりますが、価格転嫁率はいまだに五割強にとどまっているのが実態でございます。全く価格転嫁できなかったという企業も約一七%ほど存在をしております。
本年一月施行の中小受託取引適正化法、いわゆる取適法及び労務費転嫁指針、この周知徹底などにより、公共調達部門も含めた価格転嫁を円滑化し、サプライチェーン全体での付加価値の適正配分により、人的投資、設備投資、研究開発投資を行うことで更なる付加価値を創出していく、こういうような好循環を実現していかなくてはならないと考えております。
政府は、十二月、私たちの要請を踏まえ、荷主や運送事業者などに向けて「燃料価格下落時におけるトラック運送業の適正取引の徹底について」、この要請文を発出されたことを承知しております。要請文は運輸業界の賃上げの大きな後押しになっている、このように感じております。この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。
また、ほかの産業でも、医療、介護、保育などの分野では、働く労働者も含めていろいろ課題もございますので、引き続き、賃上げ実現に向けた環境整備をお願いするものでございます。
また、毎年の春闘では、賃上げのみならず、長時間労働の是正を始めとする働き方の改革、改善、あるいは、育児、介護や治療、これらと仕事の両立推進支援、多様性が尊重され、誰もが働きやすい職場の実現などにも取り組んでおります。これらについても、法改正などの環境整備をお願いいたします。
次に、公平、連帯、納得の税制改正の実現について、二点ほど申し上げさせていただきます。
一点目は、給付つき税額控除についてでございます。
政府は、国民会議を立ち上げ、給付つき税額控除の仕組みの実現に向けた検討を開始した、このように承知しております。
連合は、消費税の逆進性対策、税による再分配機能の強化を求めてきております。その中で、給付つき税額控除は、就労支援にも資するものとして、仕組みの構築を求めてきたところでございます。有識者の中には、制度設計次第で時間をかけずに構築が可能、このような意見もございます。国民会議においては、そうした有識者の意見も踏まえながら、給付つき税額控除の仕組みの早期構築に向けた検討をお願いいたします。
なお、給付つき税額控除の仕組み構築までのつなぎとして、二年間に限り飲食料品を消費税の対象から外すという案があることは承知しておりますが、期間を限定した消費税減税は、現場が混乱するだけではなくて、減税期間終了後に消費税率を元に戻す際の物価が上昇する懸念であったり、あるいは、飲食料品を消費税の対象から外すことは高所得者ほど恩恵が大きいとの指摘もございます。
給付つき税額控除の仕組み構築までのつなぎとしては、消費税減税よりも、真に支援を必要とする層への給付の方がふさわしいのではないか、こう考えております。国民会議での慎重な検討を求めるところでございます。
二点目でございますけれども、燃料課税の当分の間税率廃止についてでございます。
昨年十一月二十八日施行の改正法によって、半世紀以上も維持されてきた燃料課税の当分の間税率廃止が実現をいたしました。しかし、年度内に税制改正関連法が成立に至らない場合は軽油引取税の当分の間税率廃止が先送りになるなど、国民生活への影響が懸念されるところでございます。仮に年度内成立に至らない場合には、国民生活に影響が生じないような対応を求めるところでございます。
次に、二〇二六年度予算案についてでございます。
予算案は、燃料課税の当分の間税率廃止により地方の財政運営に支障を生じさせないための財政措置や、医療従事者の処遇改善のための診療報酬引上げなど、必要な歳出が盛り込まれていると承知をしているところでございます。
一方、過去最大の税収を見込むにもかかわらず二十九・六兆円もの新規国債発行を予定するなど、政府が予算策定時に掲げた歳出構造の平時化に配慮した予算編成となっているのか、こういうような懸念がございます。
また、十二月に二〇二五年度補正予算を編成したばかりであることや、会計検査院から執行内容を十分考慮せず積み増されていた基金があるなどとの指摘をされたことを踏まえ、二〇二六年度予算案は、二〇二五年度補正予算と一体として考え、基金の積み増しを始めその内容を精査し、修正を行う必要があるものと考えておるところでございます。
同時に、利払い費の膨張が政策経費を圧迫しつつあることを踏まえ、財政運営を中長期的な視点から評価、監視する独立財政機関を設置し、財政規律の強化と歳出構造の見直し、これに取り組む必要があるのではないかと考えておるところでございます。
予算の参考資料である平成八年の経済見通しと経済財政運営の基本的態度、ここについても意見を申し上げたいと思います。
昨年度の閣議了解され公開されている資料において、実質賃金は、昨年度実績がプラス、今年度もプラス見込みと記載されていると承知をしているところでございます。これは、賃金を実質化する際の消費者物価指数として毎月勤労統計調査が用いている持家の帰属家賃を除く総合ではなくて、上昇が緩やかな総合を用いたことが大きな要因だと思っております。しかし、昨年度も今年度も実質賃金プラスというのは、私たち働く者、生活者の実感とは全く異なりますし、そもそも、政府経済見通し本文の記載とも異なると考えております。
予算審議の前提となる重要な資料と考えておりますので、国民生活実態と合う指標を用いていただくよう、お願いを申し上げるところでございます。
次に、医療、介護、保育など、社会保障サービスを担う人材の処遇改善について申し上げます。
資料五ページの左のグラフを御覧になってください。
厚生労働省の二〇二五年の賃上げ実態調査では、賃上げの改定額、率共に、医療、福祉、ここが最も低い結果となっております。さらに、二〇二四年と比較しても下がっている状況にございます。二〇二五年度補正予算による処遇改善策を着実に進めるとともに、今年度予算においては、医療、介護、保育などの分野が魅力ある職場となるよう、他産業との賃金格差の解消を目指し、更なる処遇改善を求めるものでございます。
次に、雇用の安定と公正労働条件の確保について、三点ほど申し上げます。
一点目は、働き方改革の見直しについてでございます。
労政審において見直し議論が続けられている中、政府は、裁量労働制の見直しを含めた労働時間規制の緩和検討を掲げました。
働き方改革の出発点である二〇一七年の労使合意、それを基にした働き方改革関連法の目的は、過労死、過労自死ゼロの実現、多様な人材が活躍できる社会の構築だったはずです。この間、長時間労働の是正は一定程度進展したものの、残念ながら、法施行後六年が経過しても、過労死などを含む、過重労働などによる脳・心臓疾患や精神障害を理由とした労災請求件数は過去最多を記録しているところでございます。働き方改革の実現にはほど遠い状況にあるのが実態と考えております。
このように、いまだに長時間労働や過労死などがなくなっていないことを踏まえれば、働き方改革に逆行する緩和ではなくて、時間外労働の上限規制の強化を含め、労働時間規制の実効性を高めていくことが喫緊の課題である、このように認識しているところでございます。
また、総理の施政方針演説や、一部の経済団体から拡充の声が上がっている裁量労働制についてでございますが、厚生労働省の調査でも長時間労働につながりがちな実態が明らかになるなどの課題があることから、安易に拡充や要件緩和を行えば長時間労働を助長しかねないと考えております。二〇二四年改正を踏まえた本人の同意、撤回手続、モニタリングの強化など、適正運用の徹底こそが必要であって、対象業務の拡充や要件緩和を行うべきではないということを申し上げておきます。
二点目でございますけれども、ワークルール教育の推進についてでございます。
近年、働き方改革が多様化してきている中、労働条件が事前に明示されない、あるいは、就労実態と異なる事案や、テレワーク等の柔軟な働き方をめぐる問題などの労使間でのトラブルが生じている、こんなようなことが言われております。背景には、働くことに関する知識不足の問題も大きい、このように考えております。労働基準法を始めとする法規制の整備に加え、労使双方がワークルールを理解することが重要であろう、このように考えております。
政府においては、企業や働く者に対し、様々な機会におけるワークルール教育の充実や支援をお願いするとともに、今こそワークルール教育推進法の策定が必要だ、このように考えております。
三点目でございますけれども、あらゆるハラスメントの防止についてでございます。
昨年の通常国会で成立した改正労働施策総合推進法などにより、本年十月から、カスタマーハラスメント対策、求職者などに対するセクシュアルハラスメント対策が雇用管理上の措置義務となります。
政府には、ハラスメント禁止の積極的な啓発活動とともに、関係省庁と連携した各業界の取組の推進、中小企業の支援などにより、法の実効性確保を求めます。
あわせて、ハラスメント根絶に向けて一定の法整備が設立されたことから、ILO第百九十号条約、これは仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約でございますけれども、この批准に向けた検討も求めるところでございます。
次に、教育についてでございます。
教員が子供と向き合う時間を確保し、きめ細かな教育を行うには、教職員の配置増と処遇改善、部活動の地域展開、外部人材の活用を含めた負担軽減など、改正給特法を踏まえた取組を行い、学校の働き方改革を進める必要がある、このように考えております。
現在、中学校三十五人学級の実現などを盛り込んだ義務標準法の改正法案が衆議院に提出されていることを承知しております。学校現場が混乱したり、子供たちが困ったりすることがないよう、年度内の成立を強く求めるところでございます。
また、学校の働き方改革の進捗状況把握も不可欠です。政府は、教育委員会を通じて時間外在校等時間を把握するとしていますが、この調査は、家に持ち帰った業務の時間が含まれていないなどの問題が指摘されております。実態をより正確に把握できる教員勤務実態調査を速やかに行い、給特法を更に見直す必要がないか、検討をお願いするところでございます。
次に、第六次男女共同参画基本計画についてでございます。
第五次計画で掲げられた数値目標の多くが達成できていない状況にあります。指導的地位に占める女性の割合が三〇%程度の早期達成に向けて、取組の加速をお願いいたします。
なお、昨年十二月に男女共同参画会議において、連合を始め複数の委員から反対の声があったことから議長一任となっていた、第六次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方、これが三月六日に原案どおり答申をされたところでございます。
私ども連合としては、旧姓使用法制化に反対の立場には変わりございません。
日本は、夫婦同氏を強制されている唯一の国であり、国連の女性差別撤廃委員会から繰り返し勧告を受けているところでございます。金融機関では戸籍姓での手続が求められたり、若年男性からは、同姓強要が婚姻の妨げになるという声も聞こえてくるところでございます。連合が実施している世論調査でも、そういった点が明らかになっているところでございます。こういったことから仕事や生活の面で影響を及ぼしており、旧姓使用の拡大では問題の解決には至らない点もあり、人権尊重という要請にも応えるものではございません。
連合が求める選択的夫婦別氏制度は、夫婦が結婚する際に、同じ姓にするか、自分の姓を名のり続けるかを選べるものであり、夫婦同氏を否定するものではございません。選択的夫婦別氏制度を直ちに導入すべき、このように考えます。
最後に、防災についてでございます。
先般の災害対策基本法などの改正を踏まえた対応が各自治体でなされようとするには政府の支援が不可欠だろう、このように考えています。特に、自治体などが公表する物資の備蓄は広域災害にも対応できるものとなるよう、また、被災者援護協力団体の登録制度は、適切な団体が登録され、人権意識に基づいた被災者援護を行う団体が育成されるよう、支援をお願いするところでございます。
今年中に設置が計画されている防災庁については、事前防災の強化を図り、発災時には被災者の人権が守られた形で復旧復興が進められるよう、司令塔機能を担い得る万全の体制で設置していただきたいと存じます。また、防災庁の設置後には、国、都道府県、市町村、事業者、NPOなどが効果的かつ効率的に協働できるよう、災害対策基本法や災害援助法で定められている役割分担の再検討を行っていただくことも併せてお願いいたします。
以上申し述べて、意見陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
次に、小山公述人にお願いいたします。
○小山公述人 日本エネルギー経済研究所の小山と申します。
本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は、これから、イランの問題とそれから国際エネルギー情勢について、お手元の資料を基にお話をさせていただきたいというふうに思います。
二ページ目を今御覧いただきたいんですけれども、二月二十八日のアメリカ、イスラエルによる攻撃開始以来、トランプ大統領は直近で、戦争は終わりに近づいたというような趣旨の発言をされていますけれども、ここに至るまで、見たことのない未曽有の激しい攻撃が続いてきています。
そして、今回、何よりも私が重要というふうに考えたのが、攻撃の初日にトランプ大統領が、いわゆるイランの体制の転換、レジームチェンジを視野に入れるといったような趣旨の発言をされ、そこから攻撃が行われた。それがゆえに、イランはもはや捨て身の報復攻撃をしないといけなくなったということであります。そして、この捨て身の報復攻撃こそがホルムズ海峡の通航の実質的な支障、封鎖を生み出した最大の原因ということでございます。
通航の要路であるホルムズ海峡の実質的封鎖に加えて、周辺の湾岸産油国などにイスラエルの反撃が及び、その結果として、主要なエネルギーのインフラにも被害が発生、あるいは生産を停止するという事態が起きています。
この支障、インフラの損傷による供給の低下というのは、通航の停止とはまた違った意味を持つという点にも留意が必要です。一言で言うと、仮に通航が、明日にでももし安全が確保されて動くということになれば、通航の部分は回復する。しかし、もしインフラが損傷して本当に大きな被害を受けていれば、それは簡単に戻らない。つまり、この二つには違った意味があるという点は押さえておく必要があると思います。
これらのイランによる捨て身の攻撃は一体何が重要なポイントなのかというと、これはまさに、アメリカにとって、そしてこれから秋に中間選挙を迎えるトランプ大統領にとってのコストを上昇させるというイランの攻撃ということになります。アメリカ、トランプ大統領にとってのコストにはいろいろな要素が含まれますが、その中の一つがエネルギー価格の上昇であることは多分間違いないでしょう。とりわけ、アメリカにとっては、ガソリン価格の上昇は大変大きな政治的な意味を持ちます。
そうした中で、トランプ大統領としてはできるだけ早く決着をつける、その意味においても、更なる大規模な攻撃は十分あり得る。そして、それにイランがどう反撃するのか、今のところ、正直言ってまだ全く先は分からないということかと思います。
三ページ目を御覧いただきたいんですけれども、これまで、ホルムズ海峡という要衝については、もう長い間、封鎖の問題がずっと取り沙汰されてきました。しかし、これは実質的には一度も止まったことがなかったわけです。なぜかといえば、先ほど申し上げたとおり、これを、特にイラン側が封鎖すれば、まさにアメリカの強力な軍事介入を招いて、その結果として体制転覆につながるという意識をイラン側が持っていたからです。
しかし、先ほど申し上げたとおり、戦争の開始の段階でレジームチェンジという話になった以上、これはもうイランにとっては失うものはない捨て身の攻撃ということになりました。また、湾岸産油国のエネルギー施設も、先ほど申し上げたとおり、攻撃対象になっているということであります。
ホルムズ海峡を経過して通航しているエネルギーの量というのは、まさに巨大なものがあります。石油、これは原油と石油製品合わせてなんですけれども二千万バレル・パー・デー、そして年間LNGの輸送量は八千万トンで、世界の供給量の二割という数字です。これだけの巨大な数量を、どこかほかの国、ほかの供給者が代替できるのかといえば、これは全く不可能です。この代替が不可能だということをエネルギーの関係者あるいは先物取引をしてエネルギーを売買している人たちはみんな分かっているがゆえに、今回のような価格高騰が起きるということになります。
詳細に見ますと、まず、原油については、実はホルムズ海峡を迂回するパイプラインがあります。サウジアラビアの紅海側、レッドシー側にパイプラインがつながっていて、そこから輸送できる、あるいは、アラブ首長国連邦、UAEにもホルムズ海峡を迂回する原油のパイプラインがあって、これでおおむね四百あるいは五百万バレル、一日当たりの代替の迂回が可能ではないかと言われていますが、先ほど申し上げたとおり、一日当たり二千万というのには到底及びません。
その結果として、今、実際にはまだ通航はほぼ遮断されている状況なんですけれども、この期間が長引けば長引くほど、実際の需給逼迫懸念は強まります。石油二千万バレルのうち、仮に五百万バレル、迂回の原油パイプラインで出したとすると、一日当たりのロスが千五百万バレル。十日間で一億五千万バレル、二十日間で三億バレルという石油の供給が実際に失われていくということになります。
その結果として、原油も、後から少し詳しく申し上げますが、石油製品も、そして液化天然ガス、LNGも価格が大きく上昇し、これらは我々の暮らし、経済に必須のものであるがゆえに、そのインパクト、打撃はどんどんと大きくなっていくということになります。
あともう一つ、価格高騰の問題に加えて、このスライドの最後に書きましたけれども、もしこの需給逼迫が本当に長期化していくと、どうしても必要だというふうに思う輸入国、消費国の間でいわゆる取り合い、争奪戦的なものが発生するおそれもなしではありません。これが、ある意味でいくと最悪の問題になるということかというふうに思います。
四ページを御覧いただきたいんですけれども、その結果として起きているのが、石油、LNG市場の著しい不安定化ということになります。
先物市場というのは、常に先を読んで売ったり買ったりしますから、先が不安だということになれば、それだけで買いが進み、価格が上昇する。それがまさに、この一両日の間に起きた、瞬間風速でいうと百十九ドル、一バレル当たり百十九ドルというところまでつけた。これは、ここから先どうなるか分からないという不安が買いを呼んだということであります。
ただし、先ほど遠藤さんの方からお話があったとおり、もう戦争が終わりに近いというようなトランプ大統領の発言を見ると、戦争が終わるんだったら供給支障が回復するんじゃないかということで、いきなり売られて八十ドル台まで下がる。終わり値は九十ドル台ということになっているんですけれども、この九十ドルという値段は決して安い価格ではない。
そして、あともう一つは、いまだに供給の実質的な支障は改善されていないというところは、これは見逃すことができない大事なポイントになります。先ほどから申し上げているとおり、この巨大な供給量、通航量を代替することはほかの人にはできないということを考えますと、これが長引けば、また価格が上昇していく可能性は否定できないというふうに思います。
あともう一つ、中東の産油国は、原油輸出国として有名ではありますが、実は石油製品の輸出も非常に大量に行っています。一日当たりの二千万バレルの通航量のうち、恐らく四百から五百万バレルぐらいは石油製品であろうというふうに言われていまして、その大多数はLPG、液化石油ガス、ナフサなどですが、あるいはディーゼルオイル、軽油とかジェット燃料のような中間留分もかなりあります。これらが、実は、原油の場合には代替パイプラインがあると申し上げたんですが、石油製品には全くない、それが全部止まるということで、実は石油製品市場の方が大きく価格が上がっているというようなことがあります。
例えば、ヨーロッパ市場では、ウクライナ戦争以降、それまではロシアから大量に買っていた石油製品を買えなくなって中東から買っていた、これが止まっています。その結果として、欧州では、石油製品価格の高騰の方が原油よりもより厳しいというようなことが起きている。
あともう一つは、LNGについては、これは後ほど日本の場合との対照、比較で申し上げますけれども、全体としての八千万トンに相当する供給が止まっているということになった結果、例えばスポット市場、あるいはヨーロッパ市場のように、天然ガスの需要と供給でガスの値段が決まる、そういう市場において価格高騰が極めて著しくなっています。ガスの需要と供給、それのみで価格が決まるとなったときには、この失われた供給の大きさに加えて、ガスの場合の備蓄の低さということも強く意識された、その結果として価格が高騰している。
いずれも一言で価格高騰というふうにくくられますけれども、原油、石油製品、LNGで、それぞれに特徴と違いがあるということもあります。
実は、日本は、LNGは、需要と供給のバランスで価格が決まるというよりは、大体は原油価格の値段に連動してLNGの値段が決まる方式を取っています。その結果として、しかも、この値段の決まる方式には、タイムラグ、おおむね三か月から四か月遅れて価格が決まってくるという仕組みを持っていますので、今の時点では、日本の場合、LNGの値段はそれほど上がらない。ここから上がるにしても、ヨーロッパやスポットのLNGに頼る人たちほど上がらないということにはなるでしょう。
しかし、いずれにせよ、エネルギーの価格が上昇していくことは、必須の物資の価格が上がる、すなわち、我々の可処分所得が皆失われ、低下していくということになって、暮らしを直撃することは間違いないということになります。
五ページは原油価格の推移を簡単に示したもので、申し上げたい点はごくごくシンプルで簡単でございます。
これは、最初は二〇二五年の最初から最近まで、直近までを取っているんですが、実は、二〇二五年はずっと傾向として原油価格は下がってきているんですね。昨年の六月のイスラエル、アメリカによるイラン核施設への攻撃、十二日間戦争といいますけれども、このときに一瞬わっと盛り上がったんですけれども、こういう例外を除くと基本的に価格は下がってきていました。これはなぜかというと、世界の石油市場に十分な供給が存在し続けて、その十分な供給が価格を圧迫して下げてきた。
しかし、実は、今年の一月ぐらいから、それが反転して上がり始めています。これは、年初にベネズエラへの軍事攻撃が行われて、トランプ大統領がまさにベネズエラという世界で有数の産油国を攻撃するといったところから潮目が変わってきた。一言で言うと、地政学リスクに市場が反応する、そういう状況が強まったということなわけです。
そして、それの、今の段階でいうと最も極端な例が今般のイランに対する攻撃であり、それが瞬間風速でいうと百十九というところまでいったということであります。終わり値では九十ドル台の半ばというところですが、先ほど申し上げたとおり、通航支障が本当に解除される、そしてタンカーの通航が通常の方に戻っていって、大量の供給に回復するというめどが立たない間は、市場には非常に不安定で価格を押し上げする要因が残り続ける。その点は決して安心できないということかと思います。
その次の六ページは、今度は、天然ガス、LNGのスポット価格、それから原油価格を横に並べてみたものであります。
原油の値段は、ブレントというヨーロッパ産の指標原油の値段。この緑の値段も最近ぐっと上がっているんですが、それ以上に赤い線、青い線が大きく飛び抜けて跳ねています。これは、先ほど申し上げたとおり、世界全体の供給量が大きく減少する中、スポットでLNGを買わなくてはいけない人たちが必死になって買っている、供給量が減少した中で大きく買いを入れるということをせざるを得ない人たちのその行動によって価格が上昇してしまっているということになります。
ここから先も、それぞれの市場の状況、構造によって価格動向というのは結構違いが出てくる。しかし、いずれにせよ、価格高騰の問題というのは見過ごせない、その可能性として我々は考える必要があると思います。
最後のお時間を使わせていただいて、日本の問題を七ページでまずお話ししたいと思います。
ここは皆さんも御案内のとおり、石油は相当、依存度をこの半世紀以降の取組によって下げてきました。五十年前の石油危機のときには七割あった依存度は、今は四割を切る。しかし、いまだに石油は最大のエネルギー源であることには変わりません。しかも、その石油について、原油の中東依存度は九五%ということで、著しく高いホルムズ依存度という状況になっています。もちろん、国内には二百五十日を超える備蓄があり、そして、国際エネルギー機関、IEA等との国際協力の体制というのも石油危機の教訓を踏まえて整備されてきました。
他方、LNGは、発電用の燃料として、これは今でも最も主要な発電用の燃料の一つでありますし、大手の都市ガス事業者にとってみれば、主要な都市ガス原料として極めて重要な役割を果たしています。
しかし、中東原油の場合と変わって、LNGはアジア太平洋からの長期契約による原油価格連動型の輸入が主体であって、ホルムズへの依存度は六%とかなり低い。しかし、逆に国内の在庫は非常に低い。これはひとえに、マイナス百六十二度という超低温で保存する必要があるということによる経済的なコストの大きさ、あるいは、物的なそういう特徴から、在庫、備蓄というのを大量に持つのが難しいということになります。
その結果として、一番下に書いたとおり、日本の企業が持っている長期契約、つまり、ホルムズ海峡経由でないところの長期契約での追加的な供給確保や柔軟性の高いLNGを市場から活用していくというのが重要になるということです。
最後、八ページに今後の影響と対応ということで、繰り返しになりますけれども、今後、今の九十ドル台から更に原油価格が上がっていくということは本当に深刻な影響をもたらすということになります。
あともう一つ、原油価格が上昇すると、ガソリン、灯油のような石油製品がまず価格が上がりますけれども、先ほど申し上げたとおり、タイムラグを伴ってLNGの値段も上がります。そして、LNGの値段が上がれば電力の値段も上がっていくということになりまして、原油の価格高騰は日本のエネルギーコスト全体を押し上げていってしまうという問題になります。
あともう一つ、これは本当に余り考えたくもない状況ではありますけれども、本当にこの問題が長期化して、通航支障が長く続くというようなことがあると、この量は日本にとっては非常に巨大なものになりますので、それを全て代替してどこかから持ってくるというのは恐らく難しい。このような場合には、極めて強力な総合的、包括的対策、つまり、思い切ったエネルギーの節減、原子力あるいは石炭火力等も含めた可能な分野での代替、あるいは備蓄の活用と国際協力、これは必要不可欠になるというふうに思います。
LNGの方は、これはホルムズ経由のLNGを代替するためには、先ほど申し上げたとおり、それ以外の、例えばオーストラリア、マレーシア、その他もろもろの国と持っている長期契約の中に、柔軟性を持って供給を増やす条項がある場合が結構あります。これをまず徹底的に行い、かつ、それに加えて、スポット価格での調達は価格高騰も招くという副作用がありますが、必要に応じてそれをやっていく。
先ほどから申し上げているとおり、在庫に限界がある以上は、特に発電用のLNGについては、発電事業者は自分の手のうちに例えば石炭火力のような代替電源を持っているということになりますから、徹底的なLNGの代替と、そして同じく節電、省エネといったことによって危機を乗り切っていくということが必要不可欠になるというふうに思います。
以上で私からの報告を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
次に、天野公述人にお願いいたします。
○天野公述人 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
全国がん患者団体連合会理事長の天野慎介と申します。
私たち全国がん患者団体連合会は、現在、加盟団体が五十二団体、会員総数はおよそ二万人を有する患者団体の連合組織です。
私自身は、二〇〇〇年、二十七歳のときに血液がんの悪性リンパ腫を発症しまして、抗がん剤治療や放射線療法、造血幹細胞移植などを受けまして、二回の再発も経験いたしました。日本の医療制度と国民皆保険制度に命を救っていただいた立場です。
本日は、政府予算案のうち、特に高額療養費の見直しについて意見を申し述べます。
資料の二ページを御覧いただければと思います。
御承知のとおり、二〇二五年三月に高額療養費制度の見直しは一旦凍結となり、二〇二五年秋までに、改めて検討を行い、方針を決定するとされました。厚生労働省には、私たちがんや難病の患者団体も参画する高額療養費制度の在り方に関する専門委員会を設けていただきまして、関係団体や有識者へのヒアリングを行いつつ、八回にわたり検討を行ってきました。
二〇二五年の十二月十五日には第八回の専門委員会が開催され、高額療養費制度の見直しの基本的な考え方が取りまとめられました。この中では、多数回該当の据置きや一部引下げ、あるいは年間上限の新設など、見直しの基本的な方針が決まり、長期にわたり継続して治療を受ける患者や、所得が低い患者への配慮が盛り込まれました。これは、私たち患者団体、あるいは与野党の超党派議員連盟からの要望を反映していただいていることですので、改めてこの場で感謝を申し上げます。
一方で、具体的な見直し金額については、年末の予算編成の結果、十二月二十四日の厚労、財務大臣の大臣折衝において決定され、翌日、十二月二十五日の第九回専門委員会において初めて具体的な金額が提示されました。これを受けて、私たち全国がん患者団体連合会と日本難病・疾病団体協議会は十二月二十四日付で、厚生労働大臣と保険局長に対して、高額療養費の見直しに関する共同声明を送付、提出いたしました。
資料の三ページを御覧ください。
共同声明では、三点の要望をいたしました。
一点目、多数回該当の据置きと年間上限の新設により、長期にわたり継続して治療を受ける患者の年間での負担軽減を着実に実行する一方で、月ごとの限度額についてはまだ十分に抑制されていないため、仮に月ごとの限度額を引き上げる場合でも、治療断念や生活破綻につながることがないように更なる抑制を検討すること。
二点目、特に、七十歳未満の月ごとの限度額について、いわゆる現役世代が既に高い社会保険料を負担しているにもかかわらず、応能負担に基づいて引上げ金額が大きくなっているため、特段の配慮を行うこと。
三点目、高額療養費制度は我が国の公的保険医療制度の根幹を成し、大きなリスクに備える重要なセーフティーネットであることから、医療費節減に資する他の代替手段について、優先かつ十分な検討を引き続き行うこと。
以上となります。
資料の四ページを御覧ください。
今回の見直し案の概要となります。グラフは、縦軸が月ごとの自己負担の限度額、横軸が所得区分を表しています。黒い実線が現在の高額療養費制度の自己負担限度額、赤い実線が今回の見直し案の自己負担限度額、そして一番下の青い実線が多数回該当となった場合の自己負担限度額となります。グラフを御覧のとおり、多数回該当となれば大きく負担が軽減されることが分かります。
今回の見直し案ですが、多数回該当の据置きや一部引下げ、あるいは年間上限の新設などが盛り込まれた一方で、所得区分の細分化や、負担引上げと応能負担の強化を行うことにより、全体としては二千四百五十億円の医療費抑制を見込むものとなっています。なお、二千四百五十億円のうち千七十億円については、いわゆる長瀬効果による削減を見込んでいます。
資料の五ページを御覧ください。
五ページの左側の表は、今回の見直し案の詳細な金額となっています。赤枠で囲っている部分が月額の上限額となります。そして、月額上限の金額だけをまとめたのが右側の表となります。
例えばですが、年収六百五十万から七百七十万円の区分では、現在の月額上限は八万百円プラス一%となっていますが、今年の八月からは八万五千八百円、来年の八月からは十一万四百円に引上げとなります。これはおよそ三八%の引上げとなっておりまして、昨年がおよそ七〇%、最大ですが、最大七〇%の引上げとなっていたのと比べれば、おおむね半分程度の引上げ幅となっていますが、そもそも昨年の引上げ幅が過重な負担増であったということかと思います。
資料六ページを御覧ください。
ここで破滅的医療支出という言葉を確認いたしますが、世界保健機関、WHOの定義となります。具体的には、破滅的医療支出のある世帯は、自己負担額が医療費支払い能力の四〇%以上と定義されます。ここで医療費の支払い能力とは、家計の総消費額から、いわゆる基本的なニーズ、例えば食費であるとか住居費、光熱費ですが、これをカバーするための基準額を差し引いた額と定義されています。
資料七ページを御覧ください。
この定義に基づいて、改めて今回の見直し案を見ていきますと、こちらのグラフは、立教大学経済学部の安藤道人教授の試算によるものです。縦軸が医療費支払い能力に対する自己負担の割合、横軸が年収区分となります。医療費支払い能力に対して今回の見直し案が年額、年間ではどの程度の割合になっているかということを表していますが、所得が低い区分ではいまだ四〇%を超える負担割合とはなっているものの、多くの年収区分では四〇%未満の低い負担割合に抑えられていることが分かります。
資料八ページを御覧ください。
一方で、今回の見直し案が月額ではどの程度の割合になっているかを見ますと、先ほどの年額とは打って変わりまして、月額ではほとんどの年収区分で、世界保健機関、WHOが定義する破滅的医療支出の四〇%を超えてしまっています。
ところで、今見てきたこれらの計算は、患者さんが病気になる前と後で所得が変わらないという前提での計算となります。しかし、現実では、患者さんが病気などになると、療養生活に伴い、退職や転職、働き方の変化により、所得が減少する場合も多くあります。
資料九ページを御覧ください。
こちらは、中央値で二八・六%所得が減少した場合を想定したグラフになります。日本における最近の研究では、がんと診断された一年後に所得水準が平均で三四%減少したとの分析結果が出ていますので、このグラフはがん患者さんの現実におおむね即した分析ではないかと考えられます。
なお、このグラフの所得が低い区分については、住民税非課税世帯や生活保護世帯への移行レベルの所得減少となってしまうので、妥当性の高い試算は困難と考えられるため、計算せずに空欄となっているということになります。
このグラフで、所得が減少した場合、今回の見直し案が年額でどの程度の負担割合になっているかということを見ますと、年額でも、所得が減少した場合には、軒並み、破滅的医療支出の四〇%に近づいてくる負担割合となっています。
資料十ページを御覧ください。
それでは、所得が減少する場合に、月額ではどの程度の負担割合になっているかということを見ますと、破滅的医療支出の四〇%を大きく超える、五〇%、六〇%、あるいはそれ以上の大きな負担割合となってしまっているのが現状です。恐らく、このグラフこそが、今回の見直し案によって、高額療養費を実際に使うことになる患者さんの現実というか、実態に近い負担状況を表しているのではないかと考えられます。治療断念や生活破綻につながることがないように、私たち患者団体としましては、月額の限度額の引上げについては更なる抑制を検討するよう重ねて要望いたします。
資料十一ページを御覧ください。
今回の見直し案による自己負担額への影響、つまり自己負担が増加する高額療養費利用者の割合についてでございますが、こちらのグラフは、東京大学大学院薬学系研究科医療政策・公衆衛生学の五十嵐中特任准教授の試算によるものです。こちらのグラフからも分かるように、所得が低い区分オを除いて、区分アから区分エまで、多くの所得区分で、今回の見直しにより自己負担が増加する患者さんの割合が八割を超えるという推計結果となっています。
資料十二ページを御覧ください。
政府は、昨年より、国会などにおいて、高額療養費引上げの理由として、高額療養費の伸びが国民医療費から比べるとおよそ倍となっていることを挙げてこられました。この左側のグラフを見ますと、名目値ですが、国民医療費全体で約四十六・七兆円の中で、高額療養費は約二・九七兆円となっています。名目値だけを見ても余り意味がないですので、右側のグラフ、対GDP比で見ますと、国民医療費が二〇一二年の七・七七%から二〇二二年に七・八九%に伸びる中で、高額療養費は二〇一二年の〇・四%から二〇二二年の〇・五%という伸びにとどまっています。
もちろん、高額療養費が対GDP比で伸びがとどまっているからといって、このままでよいとは申しませんが、国民皆保険制度の中核である高額療養費のほかに、社会保障全体で議論すべきところがあるのではないかと考えます。
資料十三ページを御覧ください。
こちらは、厚生労働省が専門委員会で示した資料となりますが、今回の高額療養費見直しによる財政影響と保険料軽減効果の粗い試算ということになります。被保険者一人当たりで推計すると、加入している保険者によっても異なりますが、年額で千四百円の保険料軽減効果、月額にして百五十円の保険料軽減効果となっています。国会でも指摘がありましたが、果たして、ペットボトル一本分の保険料軽減効果と引換えに、高額療養費が有するセーフティー機能を私たちは失ってもよいのでしょうか。
資料十四ページを御覧ください。
ここまで、今回の見直し案による金額を中心に見てきましたが、高額療養費制度には、実は運用上の課題も存在します。
例えばですが、まず一点目、高額療養費の合算についてです。高額療養費の申請では、同一の医療機関の自己負担額が上限額を超えない場合であっても、ほかの医療機関の医療費であるとか、あるいは同じ世帯の同じ公的医療保険に加入している方の医療費については合算が可能です。ただし、七十歳未満の場合はそれぞれの自己負担額が二万一千円以上であることが必要であるのに対して、七十一歳以上は二万一千円に満たなくても合算が可能です。
具体例で見ますと、右側の表で、佐藤さんという患者さんを想定していますが、この方はA病院とB病院を受診しています。それぞれの診療科で、六万円、十万円、五万円と医療費が生じていますが、一番右側の二万円は、二万一千円に満たないので、七十歳未満の場合は合算ができません。
高齢者は合算ができるのに対して、現役世代だけが合算できないのか、その理由は承知しておりませんが、現役世代だけに負担を強いる不公正な取扱いではないかと考えますので、現役世代の負担軽減のためにも、七十歳未満であっても合算ができるよう、このいわゆる二万一千円の壁を直ちに見直していただきたいと考えています。
二点目は、今回の見直しで新設していただいている年間上限の取扱いです。年間上限は、当面の間は、償還払い、かつ患者申告制となる見込みと伺っております。これはシステム改修が間に合わないためと聞いておりますが、償還払い、かつ患者申告制では患者の負担が大きくなってしまう可能性がありますので、これも早期に運用を見直していただければと考えています。
三点目、多数回該当のリセット問題です。現行の高額療養費制度では、退職や転職、あるいは転居などによって、加入する保険者が変わる際に、多数回該当のカウントがリセットされてしまう仕組みになります。これについても、カウントが引き継がれる仕組みの検討を早急に進めていただければと考えております。
最後、資料十五ページを御覧ください。
全国がん患者団体連合会が昨年一月に実施した緊急オンラインアンケートでは、僅か三日間で三千名を超える皆様から切実な声をいただいております。生きることを諦めさせないでください、生活が破綻してしまいます、子供の将来のために治療を諦めなければならなくなりますなど、特に子育てする現役世代からの声が切実です。
資料十六ページを御覧ください。
その中から、斉藤樺嵯斗さんからのメッセージをこの場で紹介いたします。樺嵯斗さんは、医学部五年生のときに血液がんの悪性リンパ腫を発症しまして、二度の骨髄移植を経てリハビリを続けてきましたが、病状が悪化し、昨年九月に、残念ながら二十四歳の若さで逝去されました。
斉藤樺嵯斗さんのお父様からメッセージをいただいておりますので、紹介いたします。
樺嵯斗は旅立ちました。つらくて、悲しくて、寂しいですが、それでも私は、高額療養費制度が命と心の時間を支えてくれたと感じています。この制度があったからこそ、経済的な不安に押し潰されることなく治療に向き合い、家族として寄り添う時間を持つことができました。そして樺嵯斗は、やれるだけの治療をやり切り、最期まで自分の時間を生きました。高額療養費制度は、そこに至るまでの生き方と家族の時間を支えてくれる、かけがえのない制度です。
また、斉藤樺嵯斗さんが昨年七月にSNSに記したメッセージを紹介いたします。
病気になる以前は政治に関しては無関心で、正直、自分が投票しても何も変わらないと思っていました。けれど、二十二歳で悪性リンパ腫を発症し、多額の治療費が必要な中、国民皆保険制度や高額療養費制度のおかげでどうにか治療費を払うことができました。このとき、日本の医療制度にとてつもない感謝をしたことを覚えています。
しかし、今年の二月頃、高額療養費制度の見直しが提案されました。このとき、私も含め全国の病気と闘う人たちが不安になりました。ただでさえ闘病でつらい中、お金のことも考えなくてはいけないのは想像以上につらいものなのです。そんな中、日本中の患者団体が声を上げて、反対運動を起こしました。私も微力ながら、SNSやテレビを通じて協力させていただきました。
そして、何と高額療養費制度の見直しの延期が決まりました。私がなぜこの話をしたかというと、政治に無関心のまま制度が変えられていく恐怖を伝えたかったからです。特に若い人は政治が生活に直接関わってくることは少ないかもしれません。しかし、遠い未来、あなたにとって大切な人ができたときに日本の医療制度が崩壊していたら、あなたはどうやってその人を守りますか。
手遅れになる前に、あなたの一票で日本をよりよい国にしていきましょう。きっと、それがあなたにとっての幸せにつながると思うから。
この斉藤樺嵯斗さんからの問いかけに対して、私たちはどのように答えればよいのでしょうか。そして、これからの日本を担う将来の世代の皆さんに、私たちはどのような高額療養費制度や国民皆保険制度を残せばよいのでしょうか。今回の高額療養費見直し案は、そのことを私たちあるいは国会議員の皆様に問いかけているのではないでしょうか。
これにて私の意見陳述を終了とさせていただきます。
御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
○坂本委員長 ありがとうございました。
―――――――――――――
○坂本委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。塩崎彰久君。
○塩崎委員 自由民主党の塩崎彰久でございます。
まず、公述人の皆様、今日はお忙しい中、お時間をいただきまして、本当にありがとうございます。
まず冒頭、あしたで東日本大震災から十五年の節目になります。改めて、犠牲になられた多くの方々に御冥福をお祈りするとともに、今なお困難の中にいる被災者、避難者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思っております。
あの日の揺れ、あの日の恐怖、あの日の絶望にも似たような不安、今も私も鮮明に覚えております。ちょうどその震災の後、私は弁護士をやっていたんですけれども、福島原発事故の民間検証委員会、独立事故調、民間事故調の委員として、この原発事故の原因究明と再発防止の検証に当たらせていただいて、報告書を出させていただきました。
そのときに感じたのは、やはりエネルギー政策というのは、単に経済の問題ではなく、国家の安全保障そのもの、そして国民生活そのものだという深い認識でございました。今日は、そうした観点から、公述人の皆様に質問をさせていただきたいと思っております。
まず、小山先生にお伺いしたいと思います。
エネルギー外交の観点でございます。
今日お話をいただいたイラン戦争に発端をする原油価格の上昇でございますが、日本のようにエネルギーを海外に多く依存する国にとっては死活問題でございます。ただ、ホルムズ海峡の封鎖というのは、かねてより先生を始め我々も含めて検討してきた、そして想定をしていたワーストケースシナリオ、その一つがまさに顕在化したということだと考えております。
このホルムズ海峡の影響、先ほど、先生の分析の中でも、今、目の前の通航の支障による影響と今後の地政学的なリスクの高まりによる影響、この二つがある、そういう分析をしていただいていたところと思います。
そこで、先生にお伺いしたいんですが、今回の中東情勢の混乱に伴う一時的な原油高、エネルギー高ですけれども、今後、一時的なものは解消されたとしても、残っていく地政学的なリスクプレミアム、これから報復があったり、不安定化するかもしれない、そうしたことを含めたリスクというのはどの程度あると考えるべきなのか。
そして、そういう今後の中長期的な影響を考えたときに、エネルギー外交という観点からは、例えば、備蓄の協調的な放出とか、又は様々な国際的な枠組みの在り方とか、供給の多角化とか、こうした観点、日本はどういった点を考えていくべきか、是非お考えをお伺いできればと思います。
○小山公述人 御質問どうもありがとうございます。
御質問、御指摘いただいた点は大変重要な点であるというふうに私も心から認識しておりますし、私がエネルギー問題を研究している中で、ある意味でいくと、ずっとその点に集中、関心を持って取り組んできたものとまさに重なるところだというふうに思います。
まず、リスクはこの後どのぐらい残るのかということのお答えですけれども、仮に今回の事象がある程度落ち着いたとしても、中東という地政学リスクがずっと存続し続けてきたところに多くのエネルギー供給を依存するということは、やはり問題というか、大きな課題である、これは率直に言ってそのとおりになっているというふうに思います。
ただ、半世紀前からその問題は分かっていたはずではないか、にもかかわらず、なぜここまで依存をしているのかについての答えが、実は非常に複雑な問題を提起しております。
これは、中東のエネルギー、例えばサウジアラビアの石油とかカタールのLNGというのは、世界の中でも最も競争力のあるエネルギーだから。要するに、経済原則、市場原理の中で我々はみんな生きていますので、競争に打ちかつためには、できるだけコストの安い、そういう供給源にアクセスしないといけない。通常時のビジネスや暮らしの中でいうと、競争力のあるエネルギー源を無視することはできない。逆に、それを無視というか、意図的にそこから離れようとすれば、我々は常に追加的なコストを支払わなきゃいけない。この覚悟と決意をどれだけ持ち続けるのかというところに問題は行き着きます。
あともう一つ、日本の場合、特に石油ですけれども、これは歴史的な経緯があります。日本は、第二次大戦に負けて、そのとき全ての精製システムを失いましたけれども、そのとき、精製業の再建というのは、いわゆる石油メジャーの技術と資本と原油の供給というのに大きく依存しました。ちょうど、折しもこのときは彼らが中東で石油の大開発をやっていた時期で、要するに、中東で大開発した石油が日本の精製システムにぴったりと合うという形で再構築された。つまり、日本の精製という観点からすると、中東の原油は最も最適で、フィットする原油になるということであります。
その点において、これは、いわゆる経済原則、市場原理に本当に委ねておいたのでは、なかなか解が見つからないということになるかと思います。
今は、中東原油の依存度は九五%になりました。この理由にはいろいろあります。一番直近では、ウクライナ危機があって、ロシアからの原油を買うのをやめた、西側の一員としてやめた。その結果として、頼るのは中東しかなかったということです。この競争力のある供給源から離れようとするのならば、まさに日本の国家を挙げて、本当に包括的、総合的な対策をしないといけないと思います。
実際、これを日本は第一次石油危機以降やってきました。ですから、原油輸入における中東依存度は九五%と高いんですが、一次エネルギーにおける石油依存度を大きく下げてきた結果として、トータルエネルギー、トータル経済の中での中東原油のウェートは大きく下がってきています。このような取組が必要だと思います。
あと、最後に一つだけ。エネルギーの外交という点でいうと、この問題は、これから先、ほかの点でも考えないといけない。例えばレアアースのようなものは、最も競争力のある供給源、ここは中国になると思います。自然体で置いておけば、これは必ずそこに依存が高まる。これは総合的、包括的な国家戦略が必要な、重要な部分だと思います。
以上です。
○塩崎委員 小山先生、どうもありがとうございました。
中東依存度を下げていくためには、まさに国を挙げての政治的な意思、これが必要ではないかという御発言だったと思います。
そこで、遠藤先生にお伺いしたいんですが、遠藤先生、原発賠償の受賞もされた御著書もあったりして、まさに原発についても専門家でいただいていますけれども、エネルギーの自給率、今、小山先生からもありましたが、これをこれからしっかりと見直していくということを考えていかなければならない一つのきっかけを今回与えていただいていると思っております。
そうした中で、遠藤先生のこれまで研究してきたエネルギー政策、リスクガバナンスの観点から、地政学的なリスクの高まりの中でも安定的なエネルギーを供給していくために、日本のエネルギー自給率の向上とそして再生エネルギーへの転換、この両立をどう図っていくのか、これが大変重要になってくると思います。
ここについて、先生の御知見、日本として何を今考えていかなければならないか、是非お聞かせください。
○遠藤公述人 御質問ありがとうございます。
第七次エネルギー基本計画を立てました際に、そもそも、エネルギー政策を考えるときによく、SプラススリーEということで、安全を大前提とした環境適合性と経済性、四つを両立するという形でエネルギーの政策はあるべきだということだったんですけれども、七次では安定供給がまずは第一番手に来るんだという、少しSプラススリーEのバランスは変わったように思います。
やはり安定的に供給をされないと、日本のエネルギーは、先ほど先生もおっしゃられましたように、経済の基盤であり、産業の基盤であり、国家安全保障そのものでありますので、安定供給が第一番に優先されるべきだということだと思っております。
今回の事象は、その安定供給のところに非常に極めてリスクを検知させたというか、リスクを顕在化し、我々の認識が高まったところなんですけれども、一つ重要なのは、当然、長期的に自給率を下げていくという長期戦略の部分と、短期的な、ある種の安定供給を現実的に解決していこうというリアリスティックな解、その両方が必要になるかと思っております。
前段階のところの現実的な解については、今の状態がどのぐらい長引くかにもよるのですが、この危機に対応するためには総動員でいかなくてはならない。これは、脱炭素であるとかそういうことはもう関係なく、安定供給を確保していかなくてはいけない。しかも、低位な価格で、国民生活を脅かさないような価格で確保していく。
もう一方、長期のところでは、先ほども申し上げましたように、脱炭素電源を中心としたような自給率を高めていく方式を日本は模索していかなくてはならない。再エネだけではなくて、それで、原子力が必要だということを言った理由としては、先ほどのサプライチェーンの問題も申し上げましたし、安定度の問題、今のAI、半導体産業に非常にマッチしているからだというふうに申し上げました。
その二つを分けながら政策として構築していくのが、私は一番大事なことだというふうに思っております。
以上です。
○塩崎委員 ありがとうございました。
まさに原子力の役割についても、また新たな視点で議論していく必要があるかと思っております。
また、エネルギーの価格高騰につきましては、様々な生活への影響が非常に大きいということで、特に患者団体、天野理事長、今日来ていただいておりますけれども、非常に大きな影響を感じられている皆様ではないかと思っております。
先ほど、高額療養費のお話がありました。奇妙な御縁で、昨年の予算委員会、まさにこの場所で、私は、福岡厚労大臣に、高額療養費の見直しについて、患者の皆さんの御意見をもっと聞いていただいてはどうか、そういうお話をさせていただきまして、その後、患者団体の皆様も加わるような形で、政策論議がここまで進んできていると思っております。
天野理事長御自身、これまで、増大する高額療養費を負担能力に応じてどのように分かち合うか、検討を丁寧に進める必要があると述べられておりまして、国民の理解の下で、制度を維持するための見直しについては前向きに検討してきていただいたと思っております。
今回の議論の過程で、政府と患者団体との間で意見交換が行われてきたことについてどのような受け止めか、簡潔に、率直に教えていただければと思います。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
先ほど申し上げたとおり、具体的な金額については、これは予算編成で決まることですので、専門委員会で議論した後に決まっているということは申し上げたとおりですが、ただ、先ほど申し上げたように、第一回から第八回、昨年の五月からおよそ半年間にわたって専門委員会を設けていただいて、その中で、私たちからの要望、特に長期にわたって継続して治療を受ける患者さんへの配慮、あるいは所得が低い方への配慮、そういったことについて要望を丁寧に聞いていただいたことについては、これは、私たち患者団体としても、厚生労働省の対応に感謝しているところでございます。
現在、様々な審議会で患者さんの参画が進んでいますので、こういった当事者の参画というものを是非これからも進めていただきたいと願っております。
○塩崎委員 ありがとうございました。
是非、丁寧な議論を通じて、皆様にとって理解の得られる制度になることを願っております。
最後に一言だけ申し上げたいと思います。
今日の議論を通じて、エネルギーの安全保障は、経済の問題であると同時に、やはり国民生活そのものだという思いを新たにいたしました。今回の予算の中にも、エネルギーの基盤を強化するために一兆円超の予算が計上されております。まさに、今日の公述人の皆様のお話を伺う中で、一日も早くこの予算を成立させて、今の中東に端を発する危機に対して、安心して国民の皆様の期待に応えられるような政策を進めていく必要を改めて感じたところでございます。
神保公述人には大変申し訳ないんですが、時間の関係で質問できませんでしたが、御容赦ください。
本日は、大変示唆に富む御意見、ありがとうございました。
以上でございます。
○坂本委員長 次に、早稲田ゆきさん。
○早稲田委員 中道改革連合の早稲田ゆきでございます。
本日は、こうして四人の公述人の皆様にお忙しい中こちらに御出席を賜りまして、予算委員会公聴会にありがとうございます。
先ほど来も皆様の議論を伺いながら、私も質問をさせていただきたいと思います。
改めまして、明日は東日本大震災から十五年目ということで、こちらで本当に犠牲となられた皆様に御冥福を心からお祈り申し上げ、そしてまた、今なお、故郷ではない、ふるさとではないところに移住をされている皆様、帰りたいと思っていらっしゃる皆様、本当に多くの被災をされた皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
そこで、私は社会保障を中心に伺ってまいりたいと思います。
まず、全ての世代が安心できる社会保障制度の確立ということは大変重要だと思っておりまして、その点について、働く者の代表でいらっしゃいます連合の神保事務局長に伺いたいと思います。
資料もお示しをいただきました。まず、私は、厚生労働委員会の方でずっと取り組んでまいっておりますエッセンシャルワーカーの処遇改善であります。
保育、それからまた介護、そして障害福祉の人材の処遇改善が、もちろん毎年少しずつは上がっているわけですけれども、これについてもなかなか、全産業平均と比べてもまだ八・三万円低い。そしてまた、二五年は更にこの差が開いたと思います。
そうしたことも踏まえて、現場の声、働いている皆様の声、子育て世代も含め、高齢者の方も、介護をしていらっしゃる方の皆様の現場の声ということをまず私たちに教えていただきたいと思います。お願いします。
○神保公述人 ありがとうございます。
御指摘のとおり、医療、介護、保育などの社会保障、これは、誰もが将来にわたり安心して暮らし、働き続けるための基盤になるものだろう、このように思っています。
今御指摘いただいたように、処遇面を見ますと、やはり他の産業に比べると平均で八・三万円の差があるということであったり、先ほど申し上げましたとおり、率、額共に低位にある、こういうことでございます。我々、構成組織が調査したところによると、やはり処遇の厳しい局面がある中で、物価上昇に追いついていないということですから、生活に与える影響が大きい、苦しいという声も数多く聞かれているということでございます。
報酬改定の予算措置に処遇改善が盛り込まれていることは重々承知しているところでございますけれども、他の産業と比べての比較においてまだまだ改善すべきところがあるということでございますし、人材確保の観点からも、あるいは働いていらっしゃる方々の処遇改善、魅力ある職場という観点からも、これからも引き続き取組が必要なのではないか、このように思っているところでございます。
○早稲田委員 神保公述人も先ほどおっしゃいました、実質賃金、今年上がるということであるけれども、そこは実態と非常に、現場の感覚とはちょっとずれているのではないかというお話もございました。
さらに、エッセンシャルワーカーの皆様方の処遇改善はもう待ったなしであります。昨年の補正予算でもこうした予算はついております。そして、それにほとんど同じような形でまたこの八年度もついているわけなんですけれども、それだけではまだまだ足りない。そしてまた、人材確保につながる報酬改定には至っていないのではないかと私も思っておりますので、引き続きこの問題を取り組んでまいりたいと思います。
それから、働く皆様の雇用の安定ということであります。
三月五日に厚生労働省から、働き方改革の総点検という結果、これが公表されました。労働時間を増やしたいという方が約一割ということであったという結果が明らかになったわけです。
この間、高市総理の方から、働き方の改革を進めるべきだということで、例えば裁量労働制、それから労働時間の規制の緩和ということも御提示があって、私たちはどうしてそういうことになるのかなと大変疑問を感じている中でありますけれども、働く仲間の皆様の代表として、労働時間を増やしたいというのが一割であって、ほとんどの方が今まででいいというようなアンケート結果が出ておりますことを踏まえて、どのような受け止めをされているか、お尋ねしたいと思います。
○神保公述人 ありがとうございます。
三月五日に厚生労働省から働き方改革の総点検、今御指摘ありましたが、発出されました。おっしゃられるとおり、労働時間を増やしたいと回答された方が一〇・五%、約一割というふうに承知しております。
ただ、それをよくよく見てみますと、増やしたいとおっしゃっている方々の理由が、たくさん稼ぎたいからということであったり、残業代がないと生計が立てられないから、こういう切実な回答が多くなっております。
こうした結果から、労働時間でという今の御指摘、生活を支えるための残業代というよりも、やはり所定内賃金を高めていくということも必要な取組ではないか、このように思っているところでございます。
それと、労働時間を語るときに、やはり過労死ラインというところが、しっかりとここを見ていかなくてはいけないのではないかというふうに思っております。
現在、過労死ラインでもある現在の上限、月約八十時間を超えて働きたい、こういうような方々は全体の〇・五%にすぎません。むしろ、労働時間はこのままがよい、この方々が大体五九・五%、あるいは減らしたいが三〇%ということでございますから、こういうところから見ても、実態をしっかりと把握した上での労働法制というものが求められるのではないか、このように思います。
むしろ、長時間労働に頼るということではなくて、いかに生産性を高めていくかということであったり、賃金を上げていくかということであったり、そういうようなことによる働き方改革というものが求められているのではないか、このように思います。
○早稲田委員 おっしゃるとおりだと思います。
過労死ラインなんですよね、この上限規制というのは。ですから、全国の過労死を考える家族の会からも私たちもヒアリングをさせていただいておりますが、こうした中で、全会一致で過労死等防止対策推進法が超党派の議員連盟そして御家族の皆様との御協力で成立をいたしまして、これが二〇一四年であります。
そこからの経緯を見ましても、まだ過労死の方が高止まりをしている。それからまた、先ほどもありましたが、メンタルとかそれからまた心臓疾患などで、こうした方の労災認定も最多となっております。
そうしたところをどうしていくかということが今の喫緊の課題であるにもかかわらず、こうした上限規制であるとか、また、次に触れさせていただきます裁量労働の拡大というところにつながるのは大変私は本末転倒だと思っておりますので、しっかり、働く皆様の立場、そして労働環境を守る立場で議論をしてまいりたいと思います。
さらに、裁量労働制についてでございますが、これは先ほども、対象業務の拡大、それから要件緩和は行うべきではないという発言もございました。
高市総理の方では、適用労働者本人からの満足度は高く、また、制度適用による労働時間が著しく長くなる、処遇が低くなる、健康状態が悪化するとは言えないということも明らかになっておりますと答弁もされている中ですけれども、どうぞ、この受け止め、それからまたお考え、教えてください。
○神保公述人 裁量労働制について満足度が高いというところをよくよく見てみますと、やはりそこは処遇が高いという方々が多いので、裁量労働制そのものがというところから見ると、もう少し分析が必要なのではなかろうか、このように思います。
あと、裁量労働制を適用している、採用している企業は多くございます。我々の構成組織の中においても、これを制度として導入をしてうまく運用している、こういうところも多々ございます。
ただ、その一方で、やはり裁量がない方々にも適用されてしまっているとか、なかなか自分で時間コントロールができない方々にもそういったものが適用されてしまっているということから、長時間労働が常態化してきているということもあるでしょうし、また、これはなかなか言葉を選びますとあれですけれども、そのことによって長時間労働が助長されてしまって、残業代を支払わなくてもいい、こういう隠れみのになっているという実態も一方ではあるということですから、そういうようなことから、二〇二四年には、適用をしっかりと運営を見直そう、強化しようということで取り組んできたという経過があります。
ということからすると、今行うべきは、それがしっかりと運用されているのかということをしっかりとウォッチした上で、そこで課題があれば改善していくということだと思いますし、また、先ほど申し上げたとおり、うまく運用しているところもございますので、そういったところもしっかりと研究するというか、展開していくということもセットでやるべきだというふうに思います。
以上です。
○早稲田委員 神保公述人に、最後でございますが、もちろん、多様な働き方をきちんと労使で合意をして、そしてやっていくということが大前提であるということでございます。
さらに、この予算審議でありますが、大変、与党が短い審議日程の中で強引に進めようとしている部分が多々ございます。平時ではない今のイラン状況それから世界情勢、これを見ましても、やはりそうした、先ほども先生方が公述していただきましたエネルギーの問題、エネルギー高、これもどんどん長期化する懸念も大変高まっている中で、やはり私たちは、しっかりと組替えなど、それからまた暫定予算なども視野に入れて、そして、国民の思いを入れた丁寧な審議が必要だと思っておりますけれども、この点について連合としてお考えをお願いします。
○神保公述人 予算審議についてでございますけれども、先ほども予算についてお話をしたとおりでございますが、それに加えてでございますけれども、来年度予算については、ガソリン税であったり、あるいは、先ほども話題になりましたけれども、医療従事者の処遇改善等々も織り込まれております。これらは我々連合としても求めてきたところでございますので、評価をさせていただいているところでございます。
ただ、これらも、仮に年度内に成立しない場合になってきますと国民生活に支障を来す、こういう懸念もございますので、しっかりとその点を留意しながら、暫定予算も含め、対応を図っていただきたい、このように考えているところでございます。
他方で、歳出構造の平時化に配慮した予算編成になっているのかということであったり、補正予算における、先ほども指摘させていただきましたけれども、基金の積み増しの問題、あるいは執行状況の不透明さ、こういうような内容も十分精査を求めているところでございます。
あと、近年の予算審議においても、財政規律、中長期財政運営については議論が深まっていない部分があろうかと思いますので、我々連合としては、予算審議にかかわらず、国会運営は十分審議を尽くして、透明性高い、こういった熟議の国会にしていただくことを望むところでございます。
以上でございます。
○早稲田委員 ありがとうございます。
十分な審議を尽くしてということも御教示いただきました。当然のことですけれども、なかなかそうなっておりませんので。ありがとうございます。
それでは、全がん連、全国がん患者団体連合会の天野理事長にも一、二点伺わせていただきます。
大変詳細な資料をいただきまして、その中でも、破滅的支出に該当してしまうような方が、月額の方でやはり十一区分、所得でも。ほとんどの方がそういうふうになってしまうということは、もちろん、一方では多数回該当の据置きでありますとか年間上限の設定、これは評価をできますけれども、やはり、一番リスクの高い方、今がんや難病の治療をされていて、精神的にも、それからまた治療的にも、そしてまた生活的にも厳しい方に更にリスクを負わせるようなことは、私はもっと抑制的であるべきだと思っています。このことについて、どのようなお声があるのか。
そしてまた、抑制をもう一度再検討、評価をするところはそのままもちろんやるべきだと思いますけれども、ほとんどの、八割以上の方が自己負担増になるという部分をもう一度再検討をするべきではないかと思いますが、二点続けてお答えいただけますでしょうか。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
まず一点目、どういった声があるのかということですが、私、今日はがんの患者団体の立場で来ておりますが、当然、難病の団体の方々からも、今回の高額療養費の引上げ、特に月額の部分については負担がまだまだ大きいという声をたくさんいただいていますし、実は、がん以外の様々な疾病の患者団体というか患者さんや一般の方からもお声をいただいていて、例えば不妊治療を行っている方、不妊治療を行っている方が今回のような引上げになってしまうと、負担が大きくなって不妊治療を続けることが困難なので、これを機に不妊治療をやめることを考えているといったコメントもいただいています。
特に今、特徴的だと思われるのが、先ほど申し上げたように、いわゆる子育て世代の方、子育てされている方は扶養家族が多いですので、その分、経済的な負担も大きくなりがちということで、何とか負担の軽減をしていただきたいという声をいただいているところです。
また、高額療養費では、医療費はカバーされますが、医療費以外の、例えば病院への通院であるとか、様々な費用がかかってきたり、あるいは転職、退職に伴って収入が減りますので、そういった部分はもちろんカバーされないわけなので、まだまだしんどいといった声は多数いただいているというのが一点目の御質問への回答になるかと思います。
二点目ですけれども、どういった検討の方法が望ましいのかというのは、これはまさに政府あるいは国会議員の皆様に考えていただくことだとは思うのですが、ただ、昨年のことを振り返りますと、今年は二段階の引上げになっていますが、昨年は三段階の引上げとなっていました。その中で、政府の方で検討いただいて、複数回にわたって修正をしていただいたという経緯があって、一回目は多数回該当の据置き、二回目は、一段階目は実行するけれども、二段階目以降は凍結するといった方法が昨年は取られたと承知していて、三回目に全て一旦凍結というふうな判断をしていただいたと思いますので、その部分は、是非この国会の場で十分に審議していただきたいというふうに願っています。
○早稲田委員 ありがとうございます。
たくさんの御教示をいただきました。御質問できなかった先生方、申し訳ございませんでした。また、こうしたことを参考に審議をしてまいりたいと思います。
ありがとうございます。
○坂本委員長 次に、横田光弘君。
○横田委員 日本維新の会の横田でございます。
今日は、公述人の先生方、本当に私、参考になりました。ありがとうございます。
今日は、電力、そして次世代のエネルギーということについて質問させていただきたいと思っております。
AIの需要が、今ですら、明日若しくは来月、来年、どのくらい広がっていくのか分からないという今のこの現状。それから、DXと言われているようなデジタル化の推進によって、データセンターが非常に今世界中で増えていますよね。そういう中で、やはり私たちが考えなければいけないのは、電力の需要がこれからどうなっていくのかということであります。
今回、対米投資というのがありましたよね。あれが、第一弾としてガス火力発電、これをアメリカに投資をしていく。その理由は、データセンターで電力の需要が増えちゃうからということでもあるそうです。それから、中国は、新しい原発を、百基以上ですか、とてつもない量で増やしていって、これも同様の理由だろうというふうに思います。
今、資源エネルギー庁の見通しで、二〇三四年には、全国の需要が八千五百二十四億キロワットアワー、二〇二四年比較で六%増というふうになっております。特に重要なのは、産業用の地域別で、大都市は絶対値としては当然のことながら、例えば北海道、それから中国地方、ここで増加率が大幅に伸びている。理由はデータセンターや半導体製造、こういうようなことになっているということであります。
じゃ、今のエネルギーミックスの中でそれを賄えるのかというやはり一つの大きな課題が出てくるわけです。
再生可能エネルギーについては、今回いろいろ話題になり、この国会でも議論になっている太陽光発電等は、やはりパネルが中国製だったりするわけですけれども、それはおいておいたとしても、少なからず日本でいろいろな、環境の問題もある。それから、風力発電にしても、私は昔から思っていたんですけれども、風力発電というのは、やはりジェネレーターが中に入っているわけです。そうすると、回るとノイズが出るんですよね。これで、結局、安全保障上の問題点、例えば防衛省のホームページには、「風力発電設備が自衛隊・在日米軍の運用に及ぼす影響及び風力発電関係者の皆様への事前相談のお願い」と書いてあるぐらいに、やはり非常に問題が大きいんです、これは。となると、例えば地熱発電とか、海を使った発電とか。
私も再生可能エネルギーは非常に重要だと思っております。ただ、やはりこういった、それこそさっき遠藤先生がおっしゃったSプラススリーEという観点から、この最後のエンバイロンメントという意味でもう少し考えてとすると、本当にこの需要を賄うことができるのか、そういう非常に大きな心配が沸き起こってきます。
ということで、遠藤先生にちょっとお伺いしたいんですけれども、政府が今行っている需要の計画、見通し、こういったものが適正なのかどうなのか、ちょっと一言お願いいたします。
○遠藤公述人 ありがとうございます。
第七次エネルギー基本計画の中の需要の、二〇四〇年の需要は一・二兆キロワットだったと思います。
その見通しが甘いかどうかということにつきましては、私個人の考え方とすると、AIやデータセンターの需要、この拡大のスピードからすると、もしかするとそれを上回るような電力の需要が、省エネやそういったような削減の取組を上回る可能性も出てきているというふうに考えております。
ただ、それの確定性というのか、そういうものは少し分からないところもまだあるということでございます。
○横田委員 需要というのは多分増えてくるんだろうなというのを、専門家でもないけれども、私でも何となく分かるような気がします。
そういったところで、例えばNTTが光の半導体素子を作ってみたり、それから光ファイバーを、日本は張り巡らされていますけれども、更に高性能にしていく、いろいろな努力がされています。それでもやはり電力は増えていく、こういうような状態の中で、エネルギーミックスは本当に考えていかなきゃいけない。その中で非常に重要になってくるのは、先ほど遠藤先生がおっしゃったように、やはり原子力発電ということであります。
私たちの日本というのは、自然とともに生きてきた文化を持っております、歴史も持っている。そういう中で、やはり原子力発電所の事故というのは非常に大きなインパクトを我々に与えました。だから、細心の注意をして安全性を担保するということは当然だとして、しかしながら、この電力需要を賄っていかなければいけないということ。
と同時に、先ほどから先生方からお話があったような、今のイラン情勢、これにおける原油若しくはLNGの運搬が止まってしまう可能性がある、そういう供給面でのおそれ、こういったようなものを配慮して考えていくと、やはり原発というものを現実的に考えなきゃいけないし、先ほどの遠藤先生の一番最後の資料のところにもありましたような、今の既存の原発、これを再稼働するにしても、やはり手続が非常に煩雑、それから、地元の御理解をいただくとかいうような意味で手間若しくは時間がかかっていくということだと思います。
そこで、二番目の、ちょっとお伺いしたいんですけれども、最近、いわゆる次世代型の原子炉というものが言われています。三菱重工さんや、それから、いろいろな各メーカー、日立GEとか東芝、そういった各メーカーがいろいろな形で工夫をしながらやっている。プラス、新しい新興の人たちも研究をしているということで、現在、二〇三〇年に向けた政府のエネルギーミックスが、再生可能エネルギーが三六から三八%、それから原子力は二〇%ぐらい、それから火力が四一。現状は六〇%を火力は超えているわけですよね。それを下げていくということなんです。
となると、再生可能エネルギーは先ほど言った幾つかの課題があるということであれば、やはり原子力をということになってくるわけですが、その中でも、次世代炉と言われているものが、一つは高温ガス炉、それからいわゆるSMR、小型原子炉ですね、それから三菱重工が造っているマイクロ炉、こういったものがあります。
高温ガス炉については、ヘリウムガスで冷却しますので、いわゆる炉心融解というものがほぼないというふうに言われております。それから、SMRは、小型なので自然冷却をすることができるということで、安全性を担保するということが非常に重要であるわけですけれども、しかも、SMRについては、カナダに日立が輸出というか建設するわけですよね。これの稼働が二〇二九年から二〇三〇年というふうに言われています。もちろん、小型ですから出力は一基当たりは弱いんでしょうけれども、しかしそれを並べればということなんだと思います。
となると、じゃ、一体、日本はどうなのという一つの素朴な疑問が出てくるわけでありますけれども、そういったものも含めて、三菱重工も、マイクロ炉、トラックで運べるぐらいの大きさということでありますから、例えば、災害が起きた場合にはそこにすぐ駆けつけることができる、こういうような形。それから、一説によると、日本が今これから研究するかもしれないというふうにされている原子力を使った、動力源とした潜水艦、こういったようなものにも応用できるのではないかというふうにも言われておるわけですけれども、少なくとも、SMRそれから高温ガス炉等々の新たな安全なエネルギー源、これについて先生の御所見をいただきたいと思います。
○遠藤公述人 御質問ありがとうございます。
まさしく、経済産業省の原子力小委員会の下に革新炉ワーキンググループというものがございまして、そこの中でロードマップを検討をしているところでございます。
先生がおっしゃられたような、SMRであるとか、これは軽水炉のSMRだったりとか、高温ガス炉であるとか、そういうものは日本の得意な技術も関わってきておりますので、どうしてもやっていかなくちゃいけない技術だというふうに考えています。
なぜそうなのかというところで、まず一つ申し上げますと、SMR、Sはスモールなんですが、Mがモジュラーなんですね。モジュラーというのは標準化ということですので、標準化の大量生産を前提としたデザインがされているということです。そうすると、今までテレビだったりそういったものがどんどんプラモデル化していったように、原子炉の生産も、もしかするとモジュラーとしてプラモデル的に造られる時代が来るかもしれない。そこにアメリカを中心としていろいろな国が力を注いでいるわけです。
なぜそうなのかというと、別に、データセンターの中に、隣にSMRを置いたりとか、もっと言えば、今、月に、月面にデータセンターを置く、原子炉を置くという計画もある。もっと言えば、船の中に小さいものを積む。これは、日本の造船業界も連合して、イギリスのコアパワーというところに出資をしています。そういったような新しい動力源として使えるかもしれないという可能性もある。そういった原子力利用の広がりの中でSMRが出てきているということを理解をしておかなくてはならないんだと思っています。
この間ロサンゼルスの方に行きましたら、スペースXの方々がベンチャーとしてつくっている原子炉のメーカーがありまして、それは一メガです。災害用に出荷をする。来年、再来年にはもう出荷ができる、商用化の段階に入ってきています。そういった新たな営みの中に日本が遅れるわけにはいかない。もちろん核融合も大事なんですが、その手前の革新炉の原子力において、原子力の技術を維持していくということが、日本の中に唯一の産業として整っている原子力産業を維持していくことが重要だということを改めて申し上げたいというふうに思っております。
以上です。
○横田委員 ありがとうございます。
そういうことだと思います。今、それこそ世界がしのぎを削っている、アメリカ、中国に限らずですね。そういう中で、私たち日本が、それなりのというか非常に優れた技術をやはり有していることは間違いありません。それこそ三菱電機さんも、三菱重工さんも、NECも、日立も、みんなそうだと思うんですよね。そういった方々、それからあとはベンチャーのスタートアップの人たちも含めて、いわゆる学術機関も総合して、やはりこういった問題に取り組むべきだと私は思っております。
そこで、今先生もちらっとおっしゃった核融合、フュージョンのエネルギーについてお伺いしたいというふうに思います。
核融合については、日本はある意味では先進的だったわけですよね、ずっとやってきましたから。だけれども、なかなかこれは夢のエネルギーということで、いつ夢が現実になるのかというふうに言われ続けているわけですけれども、少なくとも、例えば日本の中でスタートアップの企業もいっぱい出てきているわけです。世界中で今、投資合戦になっている。例えば京都フュージョニアリングとか、ほかにも新たなスタートアップの方々がいらっしゃる。先ほどの高温ガス炉なんかもそうですよね。
だから、そういう中で、やはりもっと投資の規模を本当に膨らませていかなきゃいけない。これについて、是非とも最後に一言お願いいたします。
○遠藤公述人 ありがとうございます。
成長戦略会議の中の十七つの柱の中に、フュージョンエネルギーが入っております。たくさんのベンチャー企業が資金を集めてそこに投入しているところでございますし、フランスのITERでは、日本も中核的な技術を担っているということになります。
もちろん、まだまだ未来の技術である、発電にすぐさま効果をもたらすかということは別ですけれども、科学技術としては日本の中でしっかりとキープをしていかなくてはならない技術だと思っておりますので、こちらは十七の中の一つとしてしっかり育てていく必要があるんだと思っております。
以上です。
○横田委員 最後に一言。本当に今先生がおっしゃっていただいたように、この分野をやはり国を挙げて議論し、そして実現に向けて進んでいかなきゃいけないし、お金をやはり調達しなければいけない。こういうところから官民を挙げて前進することが重要だと考えております。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、福田徹君。
○福田(徹)委員 公述人の皆様、本日は、大切なお話をお聞かせくださり、ありがとうございます。
国民民主党、福田徹です。
日本列島を強く豊かにするためには、経済的な投資と同時に、働く人が働ける、生き生きと働ける、そんな政策が必要だと思っております。働かなければ決してこの国は強く豊かになりません。
一方で、様々なデータから、働きづらい社会になっているように思われます。様々な理由で、働ける人が働けなくなっている現状、これは大きな問題です。
令和六年度過労死等の労災補償状況を見ますと、特に精神障害に関する請求件数、決定件数が増えています。精神障害の支給決定の中では、ハラスメント関係が特に増えています。上司等から身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けたが百五十七件から二百二十四件。顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けたが五十二件から百八件。
ただ一方で、厚労省の職場のハラスメントに関する実態調査では、令和二年と令和五年を比較して、ハラスメントを受けたと回答した労働者の割合は減少しています。
この国の最大の資源である働く人の声を集めます連合からお越しくださいました神保様にお尋ねします。
ハラスメントを受けたという労働者の数は減っている、一方で、ハラスメントが原因と考えられる精神障害が増えている、この差について、現場の声、現場での肌感覚から、どのような理由があるのか、実態はどのようなものか、お聞かせいただけますでしょうか。
○神保公述人 ありがとうございます。
今御指摘いただいたように、ハラスメントが後を絶たない状況にあるんだろうというふうに思います。
ハラスメントを受けたと回答した労働者の数が減っているということについては、ハラスメント対策関連法、これが一定の成果を出しているのではないかというふうに思っております。ただ、その一方で、ハラスメントが原因であろうと考えられるような精神障害が増えていることについては、これは深刻なハラスメントが増えているのではないか、このように思っております。
働く現場において、これは肌感覚ということになろうかと思いますけれども、あるいは職場からの声を集めると、人手不足による業務量の増加であったり、あるいは長時間労働、先ほども少し話題になりましたけれども、そこからくるストレスというものも一つの原因だと思います。
また、コミュニケーション不足、これは職場もそうでしょうけれども、最近、社会情勢としても、そういうようなコミュニケーション不足にも課題がいろいろ指摘されているところでございますけれども、そういうようなコミュニケーション不足、あるいは、やはり職場環境の人間関係というところもあろうかと思います。そういうような、世代間、あるいはアンコンシャスバイアス等々、そういうようなことがハラスメントをより深刻にさせている背景があるのではないかな、こんなふうに思っているところでございます。
それと、あと、ハラスメントの境界線であったり、自覚、認識不足、そういうようなところからくる問題もあるんじゃないかと思います。
職場ではいろいろな問題がございまして、先ほど私は、春季交渉、春闘で賃上げをやっているというお話をしましたけれども、こういう職場環境の整備、誰もが働き続けられる環境整備ということもこの春季交渉の大きなテーマでございますので、こういうハラスメントがなくなるような、そういう職場にしていきたいと思いますし、社会の醸成にも努めてまいりたいと思いますし、そういったことも行政には求めたいと思います。
ありがとうございます。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。一番大切な生の声、現場の肌感覚を教えていただきました。
精神障害に関する労災請求件数の増加というのは、先ほどおっしゃったとおり、二〇二〇年六月一日に職場におけるハラスメント防止対策が施行されたことによる、いわゆるハラスメント防止措置の周知によって、企業内で相談や把握が進んだという側面が考えられます。
一方で、精神障害の労災認定の件数が増加していることは、問題を相談しやすくなったという一方で、なお深刻な健康被害を生んでいるという証拠であると思っております。政府は、ハラスメント防止措置をより実効性のあるものにする必要があると考えています。
そこで、こちらも神保様にお尋ねします。
いわゆる労働施策総合推進法などでハラスメント防止をするための法律ができましたが、実効性という点でまだ改善の余地があると考えております。労働者の一番近い場所から見て、これをよりよいものとするために、政府そして私たち政治に何か提案をいただけることはありますでしょうか。
○神保公述人 実態等々、職場実態あるいは私の肌感覚、職場から寄せられている声は先ほどお話ししたとおりでございますけれども、御指摘のとおり、いろいろな施策を展開することによって数は減っていますが、深刻化してきたということの中において、やはり一つは、理解をしっかりとすることだと思うんですよね。
ハラスメントに対する知識、認識、そして、それらを一人一人が正しく理解をして、それが職場全体で風土として根づくためにどういう施策が展開されるべきかというものを、常に職場の健全性を保つために我々も考えているところでございますが、そのことが社会全体で行われるような、例えばカスタマーハラスメントもそうですけれども、やはりそういう一つ一つの課題がより深刻化しているような、社会現象になっているということもございますので、そういったものが社会全体の風土醸成につながるような、各省庁が連携を取りながら、そういうような風土の醸成、あるいは、ガイドライン等々を示すことによって、企業なり団体なりへの周知徹底、教育現場も含めて展開をしていただくことを望むところでございます。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。より強い周知が必要だという御提言をいただきました。
私、本当にハラスメントを減らしたいんですよね。何か自分でできることはないかと思って、一生懸命、今勉強しているんですが、職場のハラスメントに関する実態調査を見ますと、先ほどおっしゃったとおり、人手が常に不足している、及び、上司と部下のコミュニケーションが少ない、こういう職場においてパワハラを受けた人が多いことが分かっております。
ただ、問題は、この調査から、じゃ、人手を増やせばパワハラが減る、上司と部下のコミュニケーションを増やせばパワハラが減ると言い切れない点がありまして、といいますのも、いわゆる因果関係です。パワハラがある職場だから、人が辞めて人手不足になっている可能性があったり、パワハラがある職場だから、上司と部下のコミュニケーションが少ない可能性があって、この因果関係がはっきりしないんですよね。この点が、私自身、まだこれが有効だという施策を確信できない点です。
ただ、調べていると、参考になりそうなデータがありまして、従業員がパワハラを受けた後の行動として、何もしなかったが三六・九%で最も多く、勤務先がパワハラを認識していた割合も四〇%弱のようです。そして、職場が認識した後の対応でも、特に何もしなかったが五三・二%。つまり、従業員も企業も、パワハラが存在していることが分かっても適切な対応がなされていないという実態が分かります。ここに正しい打ち手のヒントがあるように感じています。
そして、適切な相談がされない原因を見ると、何をしても解決にならないと思ったからが六五・六%、及び、勤務上不利益が生じると思ったからが二〇・七%と、上位二つの理由が挙げられております。つまり、今必要なのは、解決してくれる相談先、安心して相談できる相談先が求められているのではないかなと想像されます。
そのことから、私は、産業医の果たす役割の強化を提案したいと思っております。
二〇二五年四月二十五日の厚労委員会にて、これは私が、嘱託産業医のうち、精神、神経領域が専門である者というのは一・八%、医師の面接指導を受けた労働者のアンケートで、適切な指摘を受けられたが三一%、就業上の措置を講じてもらえたは一七・二%というデータをお示ししました。
今、産業医に求められている役割というのが、労働にまつわる外傷の予防から精神障害へと大きくニーズが変わっていく中で、改めて、産業医の育成方法や業務内容について大幅に見直していく必要があるのではないかと思っております。
こちらも神保様にお尋ねします。
現場が望む産業医の姿について御意見をいただけないでしょうか。
○神保公述人 ありがとうございます。
今、相談できるところ、これは機関なのか、あるいは人なのか、上司、先輩等々を含めてでしょうけれども、そういうところがないんだということでございましたけれども、やはり我々労働組合としても現場の相談事をしっかりと受け止めて対処できる力をつけていかなきゃいけないなと改めて感じたことを申し上げた上で、産業医の在り方についてですけれども、今の職場ではいろいろな課題があります。心身の健康もそうでしょうし、今御指摘のハラスメントなんて最たるものだと思います。
それらの背景には複雑化したこういった課題も多くあって、そういったことをいかに受け止めてもらえるかということ、それと、やはり第三者の視点として、職場をよく知る産業医の方が、職場を巡回しながら、そういった労働環境も含めて、そして心身の健康等々も含めてチェックしていただいて、適切なアドバイスを、これは当事者にもそうでしょうし、企業なりにもしていただけるという産業医が求められるのではないかと思います。
というと、かなり産業医の皆さんに負荷がかかってくるんだと思うんですね。そういう意味からすると、そういうような、育成であったりとか、しっかりとそういったものの位置づけというものを明確にしながら、それらを企業なりに根づかせていくという取組も必要なのではなかろうかというふうに思いますし、また、産業医の皆さんの育成、確保というところも大事な視点ではなかろうかというふうに思います。
○福田(徹)委員 ありがとうございます。
私は、本物の産業医を育てたいなと思うんですよね。産業医が果たせる役割というのは本来は物すごく大きくて、今よりも求められる能力も高くしたいし、権限も強くしたいし、責任も強くする。そうやって、産業医が、真に働く者のために、もちろん企業を経営する者のために、この国に大きな役割を果たしてもらえるような政治を進めていきたいなと思っております。
次に、高額療養費制度についてお聞きします。
天野様は、高額療養費制度の在り方に関する専門委員会の委員として大きな役割を果たしていること、心から敬意を表します。ありがとうございます。
私は、高額療養費制度の見直しの基本的な考え方として記載されている文書の中で最も重要な点は、制度改革の必要性は理解するが、その際には、高額療養費制度だけでなく、ほかの改革項目も含め、医療保険制度全体の中で全体感を持って議論していくことが必要である、これが資料に書かれている文章です。
この点について、委員である天野様にお聞きします。
この専門委員会の中で、どの程度、医療保険全体を見る議論がされたと感じますでしょうか。ほかの改革でこの程度医療費適正化ができれば、高額療養費制度の持続性のために自己負担を上げるのはこれぐらいでいいんじゃないかみたいな、こういう広く見た議論というものはありましたでしょうか。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
まず、専門委員会のたてつけなんですが、いわゆる社会保障審議会の中に存在している専門委員会ということになっていまして、一応たてつけとしては、専門委員会は高額療養費制度の見直しのみについて議論するというたてつけでありましたので、専門委員会で直接議論されたことはないと承知しています。
ただ、私も複数回、専門委員会で、今まさに先生がおっしゃったように、社会保障制度全体で議論していただきたいということは繰り返しお願いさせていただきました。
その結果、社会保障審議会の方で、いわゆる親会の方でそういった議論は行われていたとは思ってはおりますが、ただ、それが十分であったかというとまだ道半ばだと思っておりまして、更に議論を深めていただかないと、現状ですと高額療養費だけに負担が集中してしまう可能性があるというふうに危惧はしております。
○福田(徹)委員 ありがとうございました。
この基本的な考え方に述べられている、社会保障全体でというこの理念を、逆に、専門委員会であるがために、その中では狭い分野しか議論できないというところが、これは大切な理念と実際にできることの差が大きくて、非常に難しかっただろうな、御苦労されただろうなと思っております。
ただ、こういう場で、もちろん社会保障全体の中でしっかり議論していくことが必要だと思いますので、これから私もしっかり訴えていきたいと思っております。
そして、遠藤様、小山様、今日はエネルギーに関して御指導いただき、ありがとうございました。
私たち国民民主党、自分の国は自分で守るを掲げておりまして、エネルギー安全保障をとても大切にしたいと思っております。一方で、やはり特に原子力発電に関しては、世論を含めて多くの意見があると思っております。ただ、私も、今の社会環境、再稼働が必要だと思っております。
そのために、世論に向けて何か、専門家の方から、こういう説明をするとより多くの意見を持つ方に受け入れられるのではないか、そういうメッセージの出し方について、何か御意見、これは時間が短いですが、お二人からいただけたらなと思っております。
○遠藤公述人 非常に難しい問題なんですが、私が感じるのは、実際に発電所を見ていただくのが一番有効だと思っています。
新規制基準の中でかなり厳しい規制がかけられ、その中で非常に重厚な守りができています。そこで御説明を聞いていただくというのが私は適当ではないかなと思っております。学生も連れていって見学をしております。
○小山公述人 ありがとうございます。
ごく手短に。
私は、やはり何といっても、原子力発電を活用することの実際のメリットを目に見える形でしっかりと国民の皆さんにお示しするというのが重要なメッセージになるというふうに思います。
その中には、当然のことながら、また改めていろいろなアクシデントを起こさない、それがあったときも隠さない、それをやることによって信頼できる事業として多くの人に受け取ってもらうということが大事で、これまで再稼働が進んできた地域においては、電力料金が実際に安くなるというようなことも起きています。
いろいろな課題があるのは先ほど御指摘があったとおりなんですけれども、それをつまびらかにして、そして、なぜ日本にこれが必要なのかということを、正々堂々というか正面からコミュニケーションを取っていくということが私は大事だと思います。
○福田(徹)委員 ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、石川勝君。
○石川(勝)委員 参政党の石川勝でございます。
新人なもので、今日、初めて予算委員会質疑でございます。よろしくお願いいたします。
今、先進国の中で日本だけが経済成長ができていない、こういう、失われた三十年ということを引きずっておりますけれども、国民の負担率が四六%ぐらいになっておりまして、参政党といたしましては、三十年前の、少なくとも国民負担率約三五%あたりにすべきだという主張をしております。その手法といたしましては、消費税の段階的廃止、それから予防医療の推進による社会保障費の削減であったりとか、あるいは積極財政、この三つを主な主張としております。
そこで、まず神保先生にお伺いをさせていただきたいんですけれども、賃上げの必要性につきましては様々な意見があると承知しております。
現実には、消費税それから社会保険料、各種の負担増、これによって家計の可処分所得はなかなか増えていないというところにあると思いますけれども、参政党は、先ほども申し上げましたように、現在、国民負担率が約四六%という水準にある中で、まずは負担を下げる方向、例えば消費税の一律減税、段階的廃止、これを真剣に検討するべきだ、そういう局面に来ていると考えております。
また、特に中小企業とか小規模事業者、あるいはフリーランスとか個人事業主の現場では、インボイス制度の導入で事務負担や取引排除の懸念が強いということも承知しております。今後、賃上げとか地域経済の底上げを目指すのであれば、インボイス制度はむしろ逆行しているというふうに考えておりますし、廃止すべきだという声にも相当な合理性があると考えております。
そこで、国民負担率とか消費税、インボイス、これらについての御意見、それから、税と社会保障の一体改革、これは根本的な大改革が必要だと考えておるんですけれども、神保先生の御所見をお伺いいたします。
○神保公述人 ありがとうございます。
よく言われますとおり、日本はこの間、経済が成長しない、給与が上がらない国と言われてまいりました。これは、OECD各国と比較しても、その給与の水準また伸び率共に低位にあるというのが実態でございます。
そういうようなことから可処分所得も増加してございませんし、そのことが国民生活を厳しいものにしている。そこに加えて今の物価上昇ということになっておりますので、それらを何とか打開すべきということの思いから、この賃上げの重要性、必要性というものを訴えながら、そしてそれらを好循環につなげていくんだという思いで、この間、春季交渉で賃上げを言ってきたというところでございます。
おかげさまで二年間連続しての五%台ということではございますけれども、まだまだ実質賃金がプラスに転じないということであったりとか、我々も各種調査をしますと、やはり、生活の豊かさを実感できる方々というのは少なくて、むしろ貯蓄なんかを取り崩しながら生活している世帯も一定程度いて、それが増加傾向にもあるというデータもあります。そういう意味からすると、いかに可処分所得を上げていくかというのが求められると思います。
その一つの方策として、賃上げというのもそうなんでしょうけれども、今御指摘いただきました社会保障の負担、これも相当なものがございます。そういうようなことから考えたときに、消費税のお話にも触れられましたけれども、やはりこの給付つき税額控除というのが、我々は以前から申し上げてきたところでございまして、それをすることによって真に必要とするところへの財源を充てていくんだ、こういう思いを持っていますので、そういったものの論議がこれから加速していくことを期待しております。
そのときにやはり全体での取組が必要になってくると思うので、今御指摘いただいた、税と社会保障の問題、給付と負担の問題、そういうようなことであったりとか、賃上げ。賃上げをつくり出すためには、やはり人的投資、設備投資、研究開発投資といった経済政策もしっかりとやっていかなきゃいけないということだと思いますので、そういったことがバランスが取れて初めてそういうような負担の軽減になっていくのではなかろうか、このように思います。我々としては、給付つき税額控除というのを今一つの期待として捉えているところでございます。
以上でございます。
○石川(勝)委員 今御意見いただきましたようなことについては国民広く議論をしていかなければならないと考えておりますし、国民会議が開催されるということも聞き及んでおりますが、我々参政党はそのお声もかかっていないという立場でございまして、いろいろと我々もどういったことがやれるか気になっているところなんですけれども、先生におかれましては、そういった、一部の、そういうところには声がかからないということについてはどのようにお考えでしょうか。
○神保公述人 私の立場でどうお答えしたらいいかというのはありますけれども、国民会議ですから、より透明性高く、いろいろな有識者の方なんかの意見も踏まえながら、透明性、納得性が担保される中で、国民に多くの方々が周知できるようなプロセスも大事にしていただきながら、国民が納得するような制度改定が成ればいいな、このように期待しているところでございます。
ここから先は御容赦賜れればと思います。
○石川(勝)委員 貴重な御意見、ありがとうございました。
次に、天野先生にお伺いをしたいんですけれども、医療費に関することでありますけれども、我々、予防医療それから重症化予防などについてお伺いいたしたいと思いますが、先ほども申し上げましたけれども、国民負担率が極めて高い中で、高額医療費の制度、この見直し等を通じて患者の負担を更に引き上げる方向というのは、これは病気になった方や御家族に二重、三重の負担を強いるということになると思います。
参政党としては、社会保障費の適正化は必要だというふうに主張しておりますけれども、その手法は、患者負担の引上げではなくて、予防医療それから重症化予防の推進によって行うべきだという主張をしております。
消費税や社会保険料、物価高に加えて医療費の自己負担まで重くなれば、治療継続を断念する方が現れたり生活が破綻する方が出てくるということも先生おっしゃっておられますけれども、それは結果として社会全体の損失を拡大するというふうに考えます。
そこで、天野先生にお伺いしたいんですが、患者の負担、それから高額医療のお話がありましたけれども、特に予防医療とか重症化予防の推進についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
私、専門家ではない立場でということでお話をさせていただくと、長らく日本では、二〇〇六年、がん対策基本法が成立しまして、がん対策基本法の中でもがんの予防というのは非常に大きな柱として位置づけられてきましたが、では、その中で、例えばいわゆるがん対策の検診率が諸外国と比べて高いかというと、必ずしも高くないという現状があります。なので、政府も積極的な予防医療ということをおっしゃっているかとは思うんですけれども、そういった予防医療というのはまだまだ進める余地は残っていると思いますので、社会保障の適正化という観点からも、予防医療は極めて重要だというのは先生の御意見に賛同するところです。
○石川(勝)委員 どうもありがとうございます。
続きまして、小山様にお伺いをしたいんですが、エネルギー安全保障と国民負担、及び公営インフラや基幹エネルギー分野における外資の参入について、二点お伺いをしたいと思っております。
エネルギーの安全保障が重要だということは当然のことでありますけれども、しかし、そんな中で、日本の家庭や中小企業は、電気代、ガス代、燃料費の高騰、これに苦しみ続けていると思います。多様な電源構成とか安定供給が必要だということは分かりますが、これまで様々な政策を推進してきましたけれども、結果として国民の負担率が軽くならないというのであれば、これまでのエネルギー政策は成功しているとは言い難い状況にあるんじゃないかと考えております。
また、日本は、エネルギー自給率の低さ、これが課題とされておりますけれども、資源だけでなくて、設備、技術、サプライチェーン、それから場合によっては外資の影響まで含めて見たときに、真の意味でのエネルギーの自立ということにはなお距離があるのではないかと今現状考えております。
そうした意味からも、参政党では、内需の拡大と安全保障の観点から、国内基盤への投資をもっと強めるべきだと主張しておりまして、特に公営インフラとか基幹エネルギーの分野につきましては、効率性だけを理由に海外資本や海外主体への依存を深めることは、これは安全保障上の懸念があると考えております。エネルギーや水などの基幹インフラについては、国家としてより慎重なルールの設定が必要ではないかと考えているところであります。
そこで、小山様にお伺いしたいんですけれども、エネルギーの安全保障と国民負担について、また、基幹インフラにおける外資の参入についてのお考えを参考にさせていただきたいと思いますので、御所見をお伺いいたします。
○小山公述人 御質問ありがとうございます。
私は、今御質問、御指摘があった基幹、戦略的なインフラにおいては、国内基盤を強化することは絶対必要だというふうに思いますし、外資の関わりについてはこれまで以上にしっかりとした精査、チェック、レビューといったものが必要になるだろうというふうに思います。
エネルギー政策の歴史を研究してきた者として、過去、八〇年代、九〇年代以降は、エネルギーというのは特別なものであるというところから、エネルギーも普通のものになってきたので、市場原理や経済原則というのをより当てはめていくべきだという流れがこの半世紀近く続いてきたと思います。
しかし、この五、六年ほど、その流れがまた逆転して、エネルギーというのは極めて戦略的で重要な分野であり、国家と国家がぶつかり合うようなところだというような意識が強く芽生えています。
私は、今、世界にはエネルギーの分野で三つの支配、ドミナンスが競争しているというふうに思っていまして、一つは、アメリカが主導する、トランプ大統領が言うエネルギードミナンス、これは主に石油とガスの分野の支配、ドミナンスです。もう一つは、中国が支配する、どちらかというとクリーンエネルギーやクリティカルミネラル、レアアースにおけるドミナンス。そして、三つ目がAIや情報化をめぐるドミナンス。これはいずれもエネルギーに直接結びついています。
日本は、これらの世界情勢の中で、御質問があったとおり、重要な国家インフラ戦略分野として、それを守る、育てるというようなことをこれからやっていくということがどうしても必要になると私自身も思っております。
○石川(勝)委員 どうもありがとうございました。
続きまして、遠藤様にもお伺いをさせていただきます。
エネルギーの安全保障と国民生活に関連しまして、外国人の土地購入規制を含めた総合的な政策についてお伺いしたいんですけれども、エネルギーの安全保障を考える際には、供給の安定確保、これだけでなくて、国民が無理なく負担できる価格であることも極めて重要だと考えております。
原子力を含む現行エネルギーの政策は、国民負担率が高止まりする中で、家計や中小企業の負担軽減に本当に資する計画になっているかというのは、今現状では疑問であります。
我が国のエネルギー政策は、安全保障の名の下に、原子力と化石燃料、再エネ、この組合せの議論をやっておりますけれども、どの選択肢を取るにしても海外依存や外部リスクを抱えていると思っています。そうであれば、単に電源構成の議論だけでなくて、国内での技術基盤とか供給網、重要な土地あるいは施設の管理、これまでを含めた総合的な安全保障政策というものが必要だと考えております。
安全保障と国民生活、そして外国人の土地購入の規制も含めた総合的な政策について、御意見をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤公述人 御質問ありがとうございます。
まず、国民生活の基盤であるという観点からいいますと、先ほど小山委員も触れておられましたが、原子力が稼働した地域、例えば、今現実的には、九州であるとか関西であるとか、その地区の電気料金というのは極めて低位に安定をしているというふうな状況になります。ですので、現時点で既存の原子力発電所を稼働させるということが日本の国民生活を支えるエネルギーの基盤になるんだと思っております。
先生の御関心があります土地の問題でございますが、これは、外国資本におけるところは外為法の規制にも関わってきますので、五万キロワット以上だと思いますが、そこの大きな発電施設に関しましては審査が重要で、必要になるということ。あとまた、重要土地法案というのがございますので、その中で重要施設の周りの規制があるということです。
ですので、関連諸法案を全部組み合わせた形でエネルギー問題を再構築していくというのは先生のおっしゃるとおりだと思っておりますので、エネルギーが安全保障の要諦だということを念頭にして、全体として議論していく、先生のおっしゃるとおりだと思っております。
以上です。
○石川(勝)委員 大変貴重な御意見をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げます。
終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、高山聡史君。
○高山委員 公述人の皆様、本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございます。
チームみらいの高山聡史でございます。
この時間は、まず天野理事長に御質問させてください。
今回の高額療養費制度の見直しによる保険料の軽減効果というものが、この予算委員会でも質疑なんかでありました。上野厚労大臣の答弁によれば、一人当たり月額約百二十円ということでした。一方で、自己負担額の増加幅というのは最大三八%に及ぶということを聞いております。
ここで伺いたいのは、そもそも、この負担増の是非ということよりも、実際にこういうことがあったときに、患者さんの行動にどういう影響が出るかという点です。具体的には、自己負担額の限度額が引き上げられることで、例えば、治療の開始をちゅうちょされるであるとか、結果として治療の開始そのものが遅れるというケースがどの程度生じ得ると考えられるでしょうか。
これは、何かアンケートであるとか、あるいは日頃患者さんと接しておられる中での実感も含めて、天野理事長の所感をお伺いできればというふうに思います。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
今回の高額療養費の見直し案、先ほど来申し上げているように、長期にわたり継続して治療を受ける患者さんに関しては負担が増えるということはなく配慮がされているので、例えば、薬を、抗がん剤治療をずっとやり続けるような方々は、サポートされるというか、救われる面があるかと思いますが、まさに先生今御指摘のとおり、月額で見た場合、どういったことがあり得るのかということです。
例えばがん治療、今申し上げたように、ずっと一年間通じて飲み続けている、治療を受け続けている方は実際いらっしゃいますけれども、一方で、例えば二か月に一遍とか治療を受けている方がいるとします。結構そういうことはあり得ます。そうすると、年六回、高額療養費の上限に該当するということがあり得るわけですけれども、そうすると、今回の高額療養費の見直し案だと、恐らく負担増になってしまうということが想定されています。もちろん、個別例でかなり金額とかは違ってくるので全てそうだと言えませんが、上限が、年のうち一回から恐らく八回、九回ぐらいまでは負担増となる可能性があるというふうに考えています。
具体的に、じゃ、そういった負担増となった場合にどうやって患者さんを支えたらいいんだろうかということについては、これはなかなか難しいんですが、昨年の高額療養費制度の見直し案が出たとき、私、実際にがん患者さんをサポートしているがん相談支援センターであるとかがん専門病院のソーシャルワーカーの方々と対応策を話し合ったことがありました。そのときにソーシャルワーカーの方々がおっしゃったのは、もし患者さんが治療できないような経済的負担になった場合は、これは申し上げにくいんですが、世帯を分けたりとか、あるいは離婚という形にもなるかもしれませんが、そういう形をして、生活保護を受けていただくしか恐らく手段はないだろうということを相談支援センターのソーシャルワーカーの方々はおっしゃっていた。これが現実だとは思っております。
ほかに、済みません、その後の質問の内容をもう一度おっしゃっていただいてよろしいでしょうか。
○高山委員 実際に治療開始が遅れるケースであるとか。
○天野公述人 治療の開始が遅れるケースということになってくると、これは現時点でも実はそういった患者さんはいらっしゃって、特に、先ほど申し上げたように、子育てをされている世帯の方は、やはりお子さんの教育費のため、お子さんの学費であるとか、生活のためとか、そういったものにお金を残しておきたいとおっしゃるお母様はかなりいらっしゃいますので、そういった方々は現時点でも治療の受診を控えたりであるとか、そういったことがあるということは実際聞いています。
○高山委員 ありがとうございます。
今伺った、本当に支払いができなくなったときに、離婚して世帯を分けるということであったりとか、あるいは生活保護を受けるといったことは、かなり迫られた、究極の判断を患者さんが迫られることがあるということだと重く受け止めたいと思います。
また、治療の開始の遅れ、これは実際に今も発生をしているということで、ある意味、現時点の検討が、既に闘病、治療を開始されていて月々ずっとお金がかかっているという方に対しては、多数回の該当であったりとか、今すぐにでも声を上げたい方に対してきちんと対応しようということが考えられていることは、これは大変評価できるところだと思うのですが、まさに、これからもしそういった、がんにしても難病にしても、いつ自分の身に降りかかるか分からないという性質がある中で、そういった方の万一の事態を守れなくなるということに対しては大変慎重な検討が必要であるというふうに思います。
もう一点お伺いをさせてください。
現行の案において、制度の運用上も、配付いただいた資料にもありますが、課題があるというふうに認識をしております。
例えば、年間上限が、償還払いであったりとか、申告制であるということであったりとか、あと、複数医療機関における自己負担額の合算の問題、そして、加入する保険者が替わった場合に多数回該当のカウントがリセットされるといった問題。これが、高額療養費制度というのは、患者さんを守るためにつくられた仕組みであるにもかかわらず、まだまだ改善しなければならない点、実際の療養生活の中で恩恵が十分届かない点があるということだと認識しております。
この辺り、患者さんに対する具体的な影響について、もう少しお聞かせください。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
先ほどお示しした資料の中で、即して申し上げますと、例えば、加入する保険者が替わる際に多数回該当がリセットされてしまうという問題、これはかなり多くの患者さんから改善を求められていて、専門委員会でも私も申し上げて、一定程度は入れていただいています。
実際、一体どういったことが起きるかというと、例えば、がんの患者さんとかがやむを得ず転職をする、退職をする、あるいは転居等に応じて保険者が替わることがあるんですけれども、そのたびに多数回該当がリセットされてしまうと、一気に負担が上がります。なので、患者さんとしては、多数回該当に達するために何とかしたいというふうな思いが出てきて、場合によっては治療とか検査をまとめるとか、そういったことをされる方も実際にいらっしゃいます。なので、多数回該当に当たるか当たらないかだと全く負担の額が違ってくるので、ここは特に患者さんから強く要請が出ているところです。
また、いわゆる合算ができない問題ですね。二万一千円未満というのは、具体的にどういったことが出てくるかというと、例えば検査ですね。がんの患者さん、経過観察等でCTの検査とかを受けたりすることが結構あるんですけれども、CTの検査だけ別の病院で受けるということが実はあったりします。そうすると、大体三割負担で、もちろん個別によって違いますけれども、二万円に達しない額なんですよね、ぎりぎり。そうすると、その額は多数回該当の上限の額に達しないので、結局その部分は払わなければいけなくなってしまって、丸めることができませんから、そういったことで負担が雪だるま式にどんどん増えていく方々がいらっしゃって。
また、例えば、がん治療を受けている病院以外で、サポーティブケアということで、緩和ケアであるとか支持療法を受ける方もいますので、それが、医療機関の連携の中で複数の病院を受けていると、合算ができなくなって負担がどんどん増えていくということが実際生じていて、現役世代でこういうことが生じているので、是非この部分は速やかに検討していただきたいというふうに願っています。
○高山委員 ありがとうございます。
もう一点、天野理事長にお伺いさせてください。
今回の高額療養費の件、今回の検討もそうですが、今後、定期的な見直しという議論もあるというふうに承知をしております。
この辺り、患者さんからしてみると、負担額、自己負担の限度額というものが年々上がっていくのではないかというような懸念もあるのではないかと推察します。その辺り、リアルな患者さんのお声があれば、是非共有いただけますでしょうか。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
今先生御質問の点は、恐らく、二月に共同通信の方で、今後の医療保険の改革の法案の中で二年ごとに見直しをするというふうな規定が入ったというふうな報道があって、その報道を見たときに、私たちも、全国がん患者団体連合会や様々な患者会から、寝耳に水だであるとか、こんなのは全く認められないであるとか、非常に厳しいお声をいただきましたし、SNSでも当時大きな騒ぎになったと承知しております。
先ほどお示ししたように、現時点でも、高額療養費に関しては、月額上限に関してはWHOが定義する破滅的医療支出の水準を超えてしまっている水準にあります。なので、正直なところ、これ以上月額上限に関しては負担を上げる余地は残っていないのではないかというのが私の率直な意見ですし、年間上限を抑えていただいていますが、これはもう年間で見ていますので、相当高い金額をこちらも払っていますので、そう考えると、現状では、これ以上、高額療養費制度に関しては患者さんの負担を上げる余地が残されていない。上げられても、恐らくは払えない方が続出するのではないかと懸念しています。
○高山委員 今、天野理事長のお話を伺いながら、先ほど御紹介をいただいた斉藤樺嵯斗さんのメッセージということに少し、併せて思いを致していたんですが、ある意味、政治に無関心なまま制度が変えられていく恐怖ということが述べられていたのかなというふうに思うのですが、今この高額療養費制度に関する議論、やはり、自分が当事者でなかったりとか、あるいは周りに当事者がいないとなかなか実感を持ちづらい議論であるように思います。そんな中、年々上がっていくようなおそれがあるんじゃないかというような、ある意味恐怖が広がっていくというのは望ましい姿ではないであろうと。
また、この制度とほかの制度とを比較したときに、こういった大変苦しい立場にある患者さんの負担が極めて厳しい形で見直しが定期的になされて、じゃ、ほかの制度は、二年ごととか毎年の見直し、そこまでの厳しさでなされているのかといった公平感の問題もあるのかなというふうに思います。
私たち、国会での議論、そういった患者さんのリアルな懸念であるとか、あるいは思いをしっかりと受け止めて議論を進めてまいりたいなというふうに思います。ありがとうございます。
済みません、ちょっと時間が少ない中ですが、遠藤先生に一点お伺いをさせてください。
先ほど来、LNG供給に関するお話、午前中もございましたが、大変注目を向けられている状況だと思います。非常に事態が流動的である中で、このエネルギー安全保障に関する計画、これは実際、短期、中期あると思うんですが、どういう時間軸で見直しを図っていくのがあるべき姿なのかというところ、これに関して先生の御所見を少しいただけますでしょうか。
○遠藤公述人 御質問ありがとうございます。
今、エネルギー基本計画というものは、中長期の見通しを立てるということで、おおむね三年に一回の見直しがされております。この重要性は、これからの電源投資をする事業者にとって、しっかりと予見可能性を与えるという意味で非常に大事な側面になっております。
今のこういう情勢を受けた短期的な見直しというものは、それぞれ各省がやっていたり、ここの国会の場でいろいろと議論がされたり、補正が組まれたりとか、予算的措置がされたりとか、そういうことが行われてくるんだと思います。
ちょっと付言しておきたいのですが、実際に今のLNGの価格がすぐさま今電気料金に跳ね上がるかというと、そうではありません。電気料金というのは、燃料費調整というシステムがありまして、大体、貿易統計から取られますので、前の三か月から五か月の平均の値で電力料金が決まってきます。ですので、そういうものを注視しながら現状に対応していくということが大事になると思っております。
○高山委員 ありがとうございます。
実際に今、マーケットの原油価格であるとか各種エネルギー価格の動きと、実際に調達でかかる費用のインパクトというものがまた違った時間軸であるということ、重要な点だと思いました。
時間ですので、これにて私の質問を終わります。ありがとうございました。
○坂本委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、お忙しい中、予算委員会公述人としてお越しいただきまして、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
まず、天野公述人にお聞きをしたいというふうに思います。
私もこの予算委員会で、高額療養費の上限の見直し問題というものを取り上げてまいりました。上限見直しをされたとしても、社会保険料の軽減というものが月額ペットボトル一本ほどではないかということで、ペットボトル一本分の負担の軽減で助からない命を増やしてしまうのは絶対駄目じゃないかという趣旨の質問もさせていただきました。
この質問の中で、非常に興味深いといいますか、おやっと思ったやり取りもありました。それは、高額療養費の負担増によって、政府は、二千四百五十億円中千七十億円の医療費の削減、これを受診抑制として見込んでいるのではないかという質問をしたところ、受診抑制としては見込んでいないというようなお話をされたんですね。
恐らく政府としては、そういう言葉で余り語りたくないということだと思うのですが、実際問題としては、受診抑制として一千億円以上、つまり、治療を諦めたり、あるいは治療を軽いものにしたり、薬を安いものにしたりということが今回の高額療養費の負担増で見込まれているということだというふうに思います。
そこで、天野公述人に改めてお聞きをしたいのですけれども、やはり、今回の高額療養費の負担増となってしまえば、患者さんに与える影響、特に、治療を諦める、あるいはベストな医療ではなくてより低価格な医療を選ぶことにつながるのではないかというふうに改めて危惧をするわけなんですけれども、当事者として、どのような声が出ているのか、御懸念などを聞かせていただければと思います。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
この間、高額療養費の見直しというお話が出てから、多くの患者さん、御家族から、我々患者団体に本当にたくさんのお声をいただいています。
特に、我々、がんの患者団体ということで申し上げますと、がん治療になってきますので、その中でお金が足りないとなると、がん治療を一部ためらう、あるいは諦めるということになってきまして、現行の高額療養費制度においても、私もこの間、こういった高額療養費の見直しの話が出てから、がん治療を行っている医療者の方々にもお話を伺いましたが、実は現在でも、やはり、お金が足りないからこの治療は受けない、治療効果がより低い、昔の治療といったらいいんですかね、そういった治療を選択されているような患者さんはいらっしゃるというふうには聞いておりました。
なので、今回引上げとなりますと、もちろん、据置きとなる、負担が増えない患者さんもいらっしゃいますが、負担が増える患者さんは、当然、従来いらっしゃったわけですから、増える可能性はあり得ると考えています。
○辰巳委員 そうですね。昨年、衆議院で通った予算が参議院の方で修正をされた。現行憲法下で初めてのことが起こったということの過程の中でも、参議院の方で当事者の方が発言をされる、あるいはSNS等で、若い現役世代の御夫婦で、もう現行の高額療養費の負担もできないので、治療を諦めて子供の教育費、衣服費に回すと決断をしたという悲痛な声がやはり出たわけですので、それを更に負担増させていくというのはちょっとあり得ないというふうに思うんですね。
それと、今日、天野参考人から非常に貴重な資料をいただいたなというふうに思って見させていただいたのが、六ページ以降の、先ほど来少しありました、破壊的医療支出という概念でございます。
医療費の支払い能力という概念がある。これは、家計の総消費額から基本的ニーズ、食費、住居費、光熱費などを差し引いた残りのお金、その残りの支払い能力から自己負担が四割、医療費の支払い能力の四割を超えてしまうと、破壊的、もう生活が成り立たなくなるよね、そういう指標だというふうに思います。
今日いただいたのは、これは現行でこうなるんじゃないかということですよね。うなずいていただきました。
それで、この八ページ、例えば月額、年額でいうと上限というのが設けられるということなんですが、今回、月額でいっても、支払い能力に対する自己負担上限の割合が低所得の方ほど非常に重くなるという指標がこの八ページで出ているということですし、九割とか九割五分とかいうことになると、もうどえらいことですよね。三百万の方が六九%、これも破滅的医療費の支出ということになる。もうほとんどの所得でそれに近いようになってしまうということだと思います。
更にひどいなというふうに思ったのが、十ページ、これも月額なんですけれども、おっしゃっていただいたとおり、重い病気に罹患をされるということになると、仕事が続けられなくなってしまう方が多い。従来の所得を維持できないということで、所得減少となってしまう。そのケースで見てみた場合に、本当に驚愕で、年収四百万の方で一二五・六という指標が出ているということは、これは要するに、従来の所得ではもう足りずに、負債、借金しないと賄えないということなんだろうと私は思うんですね、一〇〇%超えるということは。軒並み四割超えて、もう八割とか六割とかということになる。
ですから、現行制度でも、今の高額療養費でも、所得が減少してしまうと生活そのものが成り立たなくなるということですので、これを今回、月額で上限を上げてしまうということになれば、更に負担が増えてしまうということになるのはもう火を見るよりも明らかだというふうに改めて思いました。
そこで、天野公述人に改めてお聞きしたいんですが、先ほどもありましたけれども、少し報道で、この高額療養費の上限額を定期的に見直していくんだという話もありました。その報道に対する受け止め、当事者の皆さんの受け止めを改めて聞かせていただけませんでしょうか。
○天野公述人 御質問ありがとうございます。
先ほどもお答えしたんですが、おっしゃるとおりでして、本当に驚愕というか、全くそういった話は今まで出ていなかったので、現行の引上げでも厳しい、今回の見直し案でも厳しいという意見が出ている中で、二年ごとに上げていくというのは全くもう無理だ、払えないというお声を多数いただいています。
月額上限がなぜ厳しいのかということなんですけれども、よく言われるのが、貯蓄はあるだろうとか、そういうことを言われたりするんですが、実際、私たちのアンケート、三千人を超える方々のアンケートで、特に現役世代の方から本当に悲痛な声が寄せられていて、例えば、四十代の女性の方のお声をここで紹介しますと、この方は、現在乳がんの治療中で、がん保険には加入されていなくて、非正規雇用だと。都内で賃貸の独り暮らしをされているというふうなことをおっしゃっていて、いわゆるカードのリボ払いでしのいでいる、医療費を払って、貯蓄が全くないんですよね。なので、そういった中で支払っているので、月額上限が上がっても、蓄えがない方がいらっしゃるので、そういった場合は特に厳しい状況になってしまうということが言えるのではないかというふうに思います。
○辰巳委員 リボ払いという話がありましたけれども、大変厳しい状況であるということを思いました。
それでは、連合の神保公述人に裁量労働制についてお聞きをしたいと思います。
裁量労働制の見直しという話がこの間されております。労政審において議論がされているわけですが、最近の厚生労働省の調査を見ても、裁量労働は、そうでないものと比べて労働時間が長く、働き方を自ら決める、そういう触れ込みもあるんですが、実際は上司が決めてしまうというのが三分の一になっているということなど、いわゆる違法とか濫用の実態というのがあるんじゃないかなというふうに私は思います。処遇もそれに見合ったものになっていないという指摘もされていますけれども、この現状の裁量労働制の問題点をどう見ておられますでしょうか。
○神保公述人 ありがとうございます。
先ほど申し上げましたけれども、裁量労働制を導入しているところは数多くあります。そういった中で、的確な運営をしているところもあれば、なかなかその制度趣旨に沿った運営ができていないところも多数あるのは承知しております。
多くあるところは、ある一定のみなし労働時間があったとして、その手当てがあったとして、それを上回る労働時間をしているにもかかわらず、そこの管理がずさんであったりとか、そこに対する健康上の配慮、あるいは残業代的なもののことが行き届いていない、こういうことがあるという実態から、二〇二四年に、その運営をしっかりとやっていこう、こういうことで見直しがされたというふうに認識をしております。
そういった中において、いわば、現時点では、やはりこれは労使自治の下でしっかりと運営していくんだということ、あるいは、健康管理であったり労働時間をしっかりと把握していくんだということ、そして何よりも、裁量がその方にあるのかないのか、このことをしっかりと確認するということ、そういうような、制度の基本的なものがしっかりとなし得て、制度の趣旨どおりに運営がなされるということですから、そういうようなことのチェック機能であったり、課題が出たときの対処方法であったり、そういったものをしっかりと進めていく、サイクルを回していく、このことが重要なのではなかろうかというふうに思っております。
○辰巳委員 ありがとうございます。
続けて、神保公述人にお聞きしたいんですが、日本の正規の労働者の労働時間というのはやはり国際的にも長く、労災認定の件数や過労死というのもむしろ増加をしていると。裁量労働制という話もあるんですけれども、やはり労働時間の規制ということでいうと、緩和という流れではなくて、今、日本ではやはり厳格化こそ求められているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○神保公述人 ありがとうございます。
日本の労働時間の長時間化というのはいろいろ以前から指摘があるところでございまして、やはり、過労死という残念な結果であったり、その言葉が世界的にも通用してしまうような、そんな悲しいことがあった。そして、今もなおそういうような実態がゼロになっていないということ、このことはそれぞれが重く受け止めるべき課題だろうというふうに思います。
先ほど御説明させていただいたときの資料八ページ目にあるように、時間外労働の上限規制等に関する労使合意というものが、これは二〇一七年ですから、もう九年前になるわけでございますけれども、ここに記載されているのは、長時間労働に依存した企業文化、職場風土の抜本的な見直しということ、加えて、過労死、過労自殺ゼロの実現ということをうたったところでございます。
これは、長時間労働に頼っている風土ではなくて、いかに効率的な業務を遂行しながら生産性を高めていくかということであったりとか、そういうような働き方改革を目指そうということでございますから、そのことが今実態と照らし合わせてどうなのかということのチェックも必要だと思いますし、そこに課題があるのであれば、それをしっかりと受け止めて改善していくべきだ、このように思います。
○辰巳委員 ありがとうございました。
我が党も、一日の労働時間を八時間ではなくて七時間にしていこう、そういう政策も掲げておりますので、きちっと、緩和ではなくて厳格な管理、監督行政含めてしていく必要があるというふうに思っております。
時間が参りましたので、今日質問できなかった公述人の皆さん含めて、本当にありがとうございました。
以上です。
○坂本委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。
公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、誠にありがとうございました。心からお礼を申し上げます。今後ともまたよろしくお願いします。(拍手)
以上をもちまして公聴会は終了いたしました。
次回は、明十一日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十八分散会

