衆議院

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第6号 令和7年3月4日(火曜日)

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令和七年三月四日(火曜日)

    午前十一時五十分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君

   理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君

   理事 岡島 一正君 理事 吉川  元君

   理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君

      石橋林太郎君    大空 幸星君

      大西 洋平君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    小森 卓郎君

      佐藤  勉君    田所 嘉徳君

      中野 英幸君    広瀬  建君

      福原 淳嗣君    古川 直季君

      山口 俊一君    若山 慎司君

      おおたけりえ君    岡本あき子君

      奥野総一郎君    杉村 慎治君

      高松 智之君    武正 公一君

      西川 厚志君    福田 昭夫君

      福森和歌子君    松尾 明弘君

      山花 郁夫君    藤巻 健太君

      守島  正君    福田  玄君

      中川 康洋君    上村 英明君

      山川  仁君    辰巳孝太郎君

    …………………………………

   総務大臣         村上誠一郎君

   総務副大臣        冨樫 博之君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   総務大臣政務官      川崎ひでと君

   総務大臣政務官      古川 直季君

   政府参考人

   (人事院事務総局審議官) 植村 隆生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        北尾 昌也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           藤田 昌邦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原 英憲君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月四日

 辞任         補欠選任

  高市 早苗君     小林 茂樹君

  福原 淳嗣君     大空 幸星君

  道下 大樹君     福森和歌子君

  山川  仁君     上村 英明君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     広瀬  建君

  小林 茂樹君     高市 早苗君

  福森和歌子君     道下 大樹君

  上村 英明君     山川  仁君

同日

 辞任         補欠選任

  広瀬  建君     福原 淳嗣君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 持続可能な地方税財政基盤の確立等に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する山花郁夫君外一名提出の修正案並びに内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 ただいま議題となっております山花郁夫君外一名提出の修正案について、提出者全員から撤回の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対し、山花郁夫君外一名から、立憲民主党・無所属及び国民民主党・無所属クラブの二派共同提案による修正案が、また、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、島尻安伊子君外二名から、自由民主党・無所属の会及び公明党の二派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。山花郁夫君。

    ―――――――――――――

 地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山花委員 ただいま議題となりました地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 原油価格の高騰や円安の影響等によるガソリン、軽油価格の高騰に対し、政府が支給していた補助金が段階的に縮小され、今後も大幅な値上がりが見込まれます。事業者の負担を軽減するとともに、国民の皆様の生活を守るために、当分の間税率を廃止し、軽油の価格を引き下げる必要があります。

 次に、本修正案の内容を御説明申し上げます。

 軽油引取税の当分の間税率は、令和七年四月一日から廃止するものとし、これに関連する規定を削除することとしております。また、現下の軽油を燃料とする自動車を用いて行われる運輸事業をめぐる状況に鑑み、引き続き運輸事業振興助成交付金を交付することとしております。このほか、政府は、軽油引取税の収入の減少が地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことがないよう、当該収入の減少に伴う地方公共団体の収入の減収を補填するために必要な措置を講ずるものとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹内委員長 次に、島尻安伊子君。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

島尻委員 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 自由民主党・無所属の会及び公明党が財務金融委員会に提出いたしました所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案では、いわゆる百三万円の壁の更なる引上げにより、新たに所得税で六千二百十億円の減収が生じる見込みとなっております。これに伴い、地方交付税の総額は、所得税の減収額の法定率分である二千五十六億円減少することとなりますが、当初予算に計上された地方交付税の総額は確実に確保する必要があります。

 そこで、本修正案では、地方交付税の減少分について、交付税特別会計借入金の償還の一部を取りやめることにより対応することとし、具体的には、交付税特別会計借入金について、令和七年度の償還額を二千五十六億円減額し、令和三十四年度までに償還することとしております。

 以上であります。

 何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、お諮りいたします。

 両案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、人事院事務総局審議官植村隆生君外九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより両案及び両修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高松智之君。

高松委員 立憲民主党の高松智之です。

 初めに、今回与党が提出した修正案、地方交付税法の一部を改正する法律案の修正についてお伺いいたします。ただいま趣旨説明をいただきました。

 国民民主党さんがさきの衆議院選挙において主張され、多くの支持を受けたいわゆる百三万円の壁を百六十万円に引き上げることに伴い、新たに所得税で六千二百十億円の減収が発生し、所得税の法定率分である三三・一%が地方交付税の原資となっていることから、所得税の減収に伴い法定率分二千五十六億円が減少となることは理解をいたしました。

 所得税控除額の引上げによる地方交付税への影響は、従前から全国知事会等からも心配の声が上がっていましたので、百三万円の壁を引き上げた際のその対応方針には関心が持たれておりました。今回の自民党、公明党の与党案における百三万円の壁の引上げ、いわゆる百六十万円案に際し、今回見込まれる地方交付税減少分についてはどのような考え方、対処で取り組んでこられたのか、お伺いをいたします。

小森委員 今の御質問の中でもありましたけれども、所得税の減収に伴いまして、令和七年度の地方交付税が二千五十六億円減少するということでございまして、この対処につきまして質問をいただきました。

 考え方でございますけれども、令和七年度予算案に計上されました地方交付税の総額約十九兆円、十八兆九千五百七十四億円を確実に確保する必要がある、こうした考え方の下に、交付税特別会計借入金の償還額を二千五十六億円減額することによりまして、所要の財源を確保しているところでございます。

高松委員 今回は、当初予算案で示された地方交付税総額十八兆九千五百七十四億円を確保するために、この百六十万円案実施による不足分の二千五十六億円を交付税特別会計借入金の償還額の減額を行うことで対応することということです。当初予算案では、これまで償還を繰り延べてきた二・二兆円に加え〇・六兆円の計二・八兆円が償還される予定でした。ここから二千五十六億円、約〇・二兆円を減額するとのことです。当初予算案では二・八兆円だった償還額が二・六兆円となるわけであります。

 ここで、交付税特別会計借入金とはどのようなものか、そして、今回の修正案に示されたとおり交付税特別会計借入金の償還額が当初予算案から減少することで今後将来的にどのような影響が出るのか、総務省にお伺いをいたします。政策金利が上がる中、この〇・二兆円が来年度以降に繰延べになりますと利息額も増えると思います。その試算も含めてお願いをしたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 交付税特別会計借入金は、地方の財源不足を補填するために交付税特別会計において借入れを行ってきたものでありまして、平成十八年度まで行われておりました。現在は、財源不足の補填のための借入金の増額は行っておりません。

 交付税特別会計借入金については償還計画に基づき償還を進めておりまして、令和七年度におきましては、既定の償還計画における償還額に、これまで償還を後年度に繰り延べてきたもののうち、令和六年度までの繰延べ分二・二兆円を加えた二・八兆円を償還することとしておりました。

 今回の与党修正案に伴う交付税原資の減に伴い、交付税特別会計借入金の償還を〇・二兆円減額することとなっても、二兆円の償還の前倒しを行うこととなるものであり、政府としては地方財政の健全化を損ねるものではないと考えております。

 また、今回、交付税特別会計借入金の償還を〇・二兆円減額することに伴い、令和七年度の交付税特別会計における利払い費は、機械的に試算をいたしますと、十億円程度の利払い費が生じることが見込まれると考えております。

高松委員 影響はないという御回答だったんですが、利払い費十億円。我々は、百十五兆円とかそういうお話ばかりしているから十億円って大したことはないというふうに思っちゃうと思うんですが、十億円って結構大きい金額ですからね、このことは申し上げておきたいと思います。

 そして、今回の修正案が可決されることを前提として考えた場合、来年、令和八年度以降もこの百六十万円案については継続が見込まれます。来年度以降も、財源は交付税特別会計借入金の減額で賄うつもりなのでしょうか。今回いわば財源に充てた交付税特別会計借入金の償還は地方財政の健全化において重要なものであり、また、本年は臨時財政対策債の発行もゼロとなったこともあり、税収の確保が順調である中において、いわばせっかく借金返済が進むときに、その借金返済のお財布に手を突っ込んでいく、未来世代から搾取をしていくというのは極めていかがなものかと思います。御見解を伺います。

中川(康)委員 お答えを申し上げます。

 議員も御指摘のとおり、地方財政の健全化につきましては、地方における安定的な行政サービスの提供、また地方の自主性を高めるという意味からも大変重要な課題であると私どもも捉えております。その上で、今回の地方交付税原資の減収につきましては、基礎控除の特例を創設することを踏まえ、政府予算案の所得税額を減額修正することに伴うものでございます。

 別途、財務金融委員会に提案されております所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案におきましては、その附則第八十二条でございますが、このように書かれております。令和七年度末までに、歳入及び歳出における措置を通じた今回の特例措置の財源の確保について検討を加え、必要な措置を講ずるものというふうにされている、このように私どもも承知をいたしております。

 こうしたことを踏まえて、今後の地方財源の確保につきましては、地方の財政に極力影響が出ないように私どもとしても適切に対応してまいりたい、このように考えておりますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

高松委員 御答弁のとおり、附則第八十二条には、政府は、令和七年度末までに、歳入及び歳出における措置を通じた所得税の基礎控除の特例の実施に要する財源の確保について、前条の検討と併せて検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとされています。恒久的な財源あってこその百六十万円案であるということを改めて考えるわけでありますが、いかがでしょうか。

 今回の与党案では、年収二百万円以下における課税最低額の百六十万円の引上げは恒久措置になっているんですね。それ以上の年収においては、令和七年度、八年度の二年間の時限措置であります。年収二百万円以下においては恒久措置なわけですから、制度の持続性に鑑みて、いま一度答弁をいただきたいと思います。

小森委員 お尋ねいただきましたけれども、恒久的な措置の実施には恒久的な財源の確保が必要であるというのが基本的な考え方でございます。その上で、先ほども答弁がございましたとおり、財務金融委員会で議論されております所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案、この附則におきましては、令和七年度末までに今回の特例措置の財源の確保について検討を加え必要な措置を講ずるものとされているところでありまして、これに沿って適切に対応されるものというふうに考えているものでございます。

 議員御承知のように、今回の我々の修正案は、根っこは所得税の減税に発するところでございますけれども、令和七年度分につきましては、この部分につきましては、予算修正によりまして、予備費の削減や税外収入の追加など一時的な財源で賄うとされた上で、先ほど申し上げた附則がついているという状況でございます。

高松委員 二月二十五日の総務委員会においては、私ども立憲民主党から提出した軽油引取税の当分の間税率について与党の委員の方々から、恒久的な財源確保が必要だと繰り返しの質問がありました。自民党さんの委員からは、民主党政権下のことをぐちぐちと持ち出されながら、来年以降のことは来年政府に対して求めていく、こういうような形でこんな大事なことを法案として出せるのでしょうかという発言がありました。この言葉、そっくりそのままお返ししたいと思いますよ。開いた口が塞がらないとはまさにこのことですよ。厳しく指摘しておきたいと思います。

 そして、最後に質問いたしますが、既に提出されている立憲民主党案の軽油引取税の当分の間税率の撤廃について織り込むことは考えなかったのでしょうか。

 与党自民党、公明党、そして国民民主党は既に、三党合意として、ガソリン暫定税率の廃止に合意をしています。また、昨日、私たちは国民民主党さんとともに改めて、ガソリン暫定税率の廃止法案を再提出しました。予算委員会でも議論されていましたが、石破総理は恒久的な財源の確保が必要として、極めて慎重な姿勢を崩しません。百三万円の壁の影響に伴う地方交付税減少分は一時的財源で賄っているわけですから、軽油引取税の当分の間税率だって、やる気になればできると思いますよ。今回の改正案提出に当たり軽油引取税の当分の間税率の撤廃について考えなかったのか、御見解を伺います。

島尻委員 先生御指摘のいわゆるガソリンの暫定税率については、それこそ先生から今質問の中で触れていただきました三党合意に向けて、しっかりと廃止の方向に向かって取り組んでいかなければならない、これは基礎的な、基本的な考え方でございます。

 その上で、御党の修正案について申し上げさせていただくのであれば、安定的な財源の確保のほかにも、税率の引下げが急激に行われますとマーケットに大きな影響が出るのではないかということ、あるいは現在の税収を前提として既に予算編成を行っている各自治体への影響が大変大きいということから、慎重な検討がなされる必要があるというふうに考えているところでございます。

高松委員 自分たちの都合で財源論を持ち出して先送りにするというのは結局やる気がないんですよ、要するに。昨年の衆議院選挙で、与党過半数割れという構図を国民の皆さんがつくってくれました。今、国民が求めているのは国民の声に寄り添った政治ですよ。ガソリン高、軽油高に苦しむ特に地方の住民のためにも、是非、今後も軽油引取税の当分の間税率の撤廃を求めてまいりたいと思います。

 そして、事前に答弁要求していませんが、ここまでの議論の経過で、村上誠一郎大臣、財源確保と政策実現の関係性について、大臣としての御感想、また個人的な見解でも結構ですので、一言頂戴できればと思います。

村上国務大臣 高松委員の御質問にお答えします。

 議員提出の修正案でありますので、政府の立場で見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えております。

 ただ、その上で申し上げれば、今般議論になっているいわゆる百三万円の壁や軽油引取税の当分の間税率の廃止については、自治体の皆様方からも減収に対する御懸念があるものと考えており、こうした御懸念には丁寧にお答えすることがあると考えております。

 いずれにせよ、総務省としましては誠実に対応していきたいと考えております。

高松委員 それでは、この質問を終わります。

 次に、地方公務員の給与改定等に要する地方財源の確保に関連して、地方自治体における中途採用の現状についてお伺いをいたします。

 令和六年人事委員会勧告に伴う給与改定に要する経費、地方負担分七千七百億円程度、うち会計年度任用職員分千四百五十億円程度を計上することとされています。また、令和七年度の給与改定に備え、一般行政経費に給与改善費として二千億円を計上することとされています。地方公務員も労働者である以上、地方公務員及びその扶養親族の生活維持がなされるべきであり、その財源確保は非常に重要であります。今後も財源確保に努めていただくようお願いをいたします。

 さて、日本の構造的な問題である少子高齢化、人口減少に伴い、民間の労働市場では労働力不足、人手不足が深刻化しています。前回の質疑でも取り上げましたが、学生の青田買いが進展しています。そうした中、国の省庁で働くことを志望するいわゆる官僚志望者が減少していることも報道されています。あわせて、地方自治体においても採用試験への受験者数の減少等が報じられています。地方公務員の採用試験の志望者数、倍率等、近年の推移をお伺いいたします。あわせて、民間経験を有する者等の中途採用の状況についてもお伺いいたします。

小池政府参考人 地方公務員の競争試験について、令和五年度の受験者数は、前年度から約三万九千人減少し、三十九万九千百九十九人となっております。

 競争率は、前年度から〇・六ポイント減少して四・六倍となっており、減少傾向が続いています。

 また、地方公務員の中途採用については、令和五年度の受験者数は、前年度から約三千五百人減少し、七万六千四百七十一人となっています。

 採用倍率は、前年度から一・八ポイント減少して六・九倍となっており、令和二年度以降、減少傾向が続いているところでございます。

高松委員 御答弁のとおり、地方公務員の採用試験の受験者数、いわゆる志望者数は減少が続いており、採用に当たっての倍率も低減傾向にあります。また、中途採用においても受験者数が減少しています。

 全国の地方自治体におかれては、公の担い手としての地方公務員の魅力発信に努め、一層の処遇改善、働きやすい職場づくりに努めていただきたいと思います。

 新卒採用においての魅力発信、情報発信も大切ではありますが、近年は労働市場の流動化が進む中、地方公務員においても中途採用が行われています。私も練馬区議会議員を務めていましたが、練馬区では法務へのアドバイス強化に弁護士を採用しました。こうした専門職の採用や、また民間企業出身の有為な人材を中途採用することは地方自治体においても重要な取組と考えます。

 私自身も民間企業で転職を経験しました。転職の際に重視することは人それぞれではありますが、仕事のやりがいなどに加え、いわゆる年収も重視されることは言うまでもありません。

 民間企業から地方公務員に転じるに当たり、その給与水準は採用前の前歴が職歴加算とされ、号給として決定されます。

 二〇二四年公務員人事管理に関する報告によれば、国では、若年退職者の増加に対応するため、また民間企業における多様な経験や専門性を適切に評価するため、民間人材を積極的に誘致し確保することが不可欠だとしています。

 そうした中、本年二月五日付に人事院規則が改正され、本年二月十二日付で事務総局給与局長名にて各府省官房長宛てに、民間企業等からの採用時の給与決定及び職員の昇格の柔軟な運用についての通知がなされました。ここでは民間企業等での経験を公務員としての経験と同様と認め、民間における企業体、団体等の職員等としての在職期間、また自営業、フリーランス等の期間についても当該期間が職員としての職務にその経験が直接役立つと認められる職務に従事した期間には、職歴として一〇〇分の一〇〇以下での換算率で換算することができるとされました。

 有為な人材確保に向けて柔軟な運用をきちんと制度化したことを評価し、この改正の趣旨とその狙いを伺います。

植村政府参考人 お答えいたします。

 民間企業等におきまして、職務経験を有する者を各府省が採用する際の初任給につきましては、採用されるポストの職務に応じて級を定め、その上で人事院規則で定める経験年数換算表に基づいて、職務への有用性を基準に換算した経験年数分の号俸を加算して決定することとなっております。

 この経験年数換算表につきましては、これまでも、令和四年九月に人事院から通知を発出しておりまして、職務への有用性の評価基準の明確化を図り、民間企業等における職務経験が公務での経験と同様に評価されるように取り組んでまいりました。

 今般の経験年数換算表の改正は、こうした取組を踏まえた上で、公務での経験か、民間企業等における職務経験かにかかわらず、採用後の職務にその経験が直接役立つと認められる職務に従事した期間について百分の百で換算することを制度上明確化するために行ったものでございます。

 今般の改正によって採用者の職務経験等がより適切に評価されることを通じて、民間企業等における多様な経験あるいは専門性を有する人材をより一層公務に誘致、確保することが可能になるものと考えております。

高松委員 本当は次の具体的な事例も伺いたかったんですが、ちょっと時間の関係で飛ばしまして。以前であれば民間企業、団体での経験が十分に評価されなかったことが、この給与局長通知によって適切に評価されるようになったことはすばらしい対応だと思います。今後も、公務と民間企業、団体での経験、職務に格差があるような換算の在り方は行われないことを要望いたします。

 今回の通知は国家公務員を対象としたものでありますが、これが地方公務員に対してどのように関わっていくのかをお伺いしたいと思っています。地方自治体の中途採用者の給与決定に当たり、国家公務員の中途採用の制度を考慮すべきであるという認識を総務省としてお持ちであるか、確認をさせていただきます。

小池政府参考人 多様で優秀な人材の確保という観点、また昨今の人材確保が困難な状況からは、新卒者に限らない、経験者採用による、多様な経験や知識、技能、専門性を持った人材を確保していくことも重要と考えております。

 このため、中途採用者の初任給を決定する際に民間企業等における経験を十分に考慮して給与を決定することは重要であると考えております。

 中途採用者の給与決定については、地方公務員法の均衡の原則等を踏まえ、国家公務員の制度を考慮し、自治体において適切に対応していただきたいと考えております。

高松委員 地方自治体の関係者に伺うと、今回通知があったものの総務省として自治体に明確な見解がないと。地方自治体の現場では難しい判断を迫られているというふうに伺っています。是非、地方自治体においてもこの通知を受けて積極的に民間企業、団体での勤務経験を評価するよう、総務省からも後押しを改めてするべきと考えますが、お考えをお伺いしたいと思います。

小池政府参考人 中途採用者の採用時の給与決定に関する国家公務員の取扱いについては、今回の人事院の通知も含め、これまでも自治体に情報提供してきたところでございます。

 中途採用者の給与決定については、自治体から問合せもあることから、引き続き適切に助言等を行ってまいりたいと考えております。

高松委員 地方自治体が中途採用を行うに当たり、民間企業、団体での経験を十分に考慮し、適切に給与決定ができるよう、総務省として努力されることを改めてお願いしたいと思います。

 言うまでもありませんが、地方公務員の給与については国家公務員の給与制度を考慮するという均衡の原則がございます。社会の変革が一層進む中で、地方公務員の中途採用者に対し国家公務員と同じルールを適用することが最も適切であると考えますので、総務省におかれては一層の御努力をお願いして、この質問を終わりたいと思います。

 あと二つ質問を用意していたんですが、ちょっと前半でヒートアップしてしまったので、二拠点居住の関係だけに触れさせていただきます。中小企業庁さんには申し訳ありません。

 今、人口減少、東京一極集中、この委員会の中でも議論されています。そうした中で、私は東京選出の議員なものですから、二地域居住は非常に大きな魅力があるものだなというふうに思っています。私自身も五歳と二歳の子供を妻の実家に、長野県ですが、連れていくと、東京にはない景色が広がっていることで、こうした子育て世代を二地域居住に促していく、導いていくというのは大きな意味があるというふうに思っています。

 そうした意味で、国土交通省さんから、今回、二地域居住に向けてどんな頑張りをしているかお伺いして、質問を終わりたいというふうに思います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住は、個人の多様な暮らし方や働き方のニーズに応えるとともに、地方への人の流れを創出するという意義のある取組であるというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましては、昨年施行された関連法に基づきまして、住宅、コワーキングスペース、交流施設等の二地域居住に必要な環境の整備のほか、二地域居住者と地域をつなぐコーディネーターの役割を果たす支援法人の育成、確保等に取り組んでいるところでございます。

 引き続き二地域居住の促進に努めてまいりたいと考えてございます。

高松委員 引き続き取組を強化していただくことを要望して、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 まず最初に、前回の交付税法改正の質問のときにやり切れなかった公立病院に対する資金繰り支援に関して質問いたします。

 令和五年度決算における資金不足が生じている病院数が三十八事業五十四病院ということで、これに対する資金手当ては地域医療確保のためには大事だというふうに考えているんですけれども、やはり公立病院だからこそ経営が厳しいという環境があることからも目を背けてはいけないと思っています。

 私、衆議員になる前は大阪市議を十年務めたんですが、大都市は特に都市需要が大きいということもありまして公営企業の負担が重くて、公営企業だけじゃ会計が回らず一般会計からの繰入れなんかもかなりしていて、一般会計も苦しくなっていたという経緯がありまして、病院に関しては大阪市立の病院を独法化するとともに府市共同の医療センターなんかも設置、運営したりしていましたし、ほかにもこの十年少しで、例えば地下鉄、バスの民営化、下水道の民営化、そして大学や研究所、博物館群、あと動物園とかも独法化するなど、多くの経営形態の変更を行ってきました。最近話題の水道管の老朽問題、大阪市は他都市よりもかなり老朽管率が高かったんですよね。老朽管の割合が高かったんですが、これも管路更新を、PFI事業を導入して管路の更新のペースを倍速で今進めているということで、かなり各種事業の持続可能性というのを経営形態の変更で高めてきたというのがこの十年の大阪であります。

 結局、このような経営形態の変更の必要性を過去に大臣に訴えてきたんですけれども、各種の経営形態の変更も有効な策だというんですけれども、最終的には地方公共団体が決めるものですねという発言でとどまってしまっているんですね。今回の公立病院の資金繰りに関してもそうですが、やはり経営改革をプッシュしないと、対処療法的に資金手当て、充当するのは大事ですけれども、そこを抜本的な解決に導いていくべきだというふうに考えているんですが、その点、総務省はどう考えているでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 総務省が策定しております公立病院経営強化ガイドラインにおきましては、公立病院設置団体が経営強化プランを策定するに当たり、地域の実情を踏まえ、経営の強化に向けた最適な経営形態を検討するように求めております。具体的には、経営形態の見直しに係る選択肢として、地方独立行政法人化、地方公営企業法の全部適用、指定管理者制度の導入、事業形態の見直しというものを掲げまして、地域の実情を踏まえつつ十分な検討を行うべきであるというふうな形で助言させていただいているところです。このプランの実施状況についておおむね年一回以上、点検、評価を行うことも求めております。

 一方で、公立病院の経営状況が悪化する中で地域医療提供体制を確保するためには早急に経営状況に応じた経営改善に取り組むことも求められますので、先ほど委員から御指摘のあったような、公立病院の資金繰りを支援して経営改善を促進するために、令和七年度に新たに資金手当てのための地方債を創設することとしたところであります。

 公立病院におきましては、地域の実情を踏まえ、経営の強化に向けた最適な経営形態を検討するとともに、今回新たに創設する地方債措置を活用するなどして、経営改善に取り組んでいただくことが重要であるというふうに考えております。

守島委員 もちろん今手当てするということに関しては否定はしていないんですけれども、やはり経営形態の変更になったら検討を求めているとか助言しているというところにとどまるんですよね。プッシュが弱いと思っているんですよ。総務省も過去いろいろ、アドバイザーを送ったり努力しているのは存じ上げているんですけれども、これも統治機構改革と同じで、自治体裁量ではなかなか変わらないケースが多いんですね。

 実際に私もやってきたので、公営企業の改革を行うときはすごく反発が多いんです。特に議会を通すのはめちゃくちゃ難しくて、オール自民党から共産党さんまでも、全部が反対するような状況を知っているので、そうしたハードルがあるのは認識しているんです。けれども、抜本的な解決のために経営形態の在り方を国がしっかり示して後押ししてほしいと思っているので、こういう突破力も含めて大臣の意見を聞きたいと思います。よろしくお願いします。

村上国務大臣 守島委員の御質問にお答えします。

 ただ、今、大沢局長が説明したように、正直言って、私もいろいろ見ているんですけれども、国がどういう形で関与していくかというのは非常に難しいと思うんですね。

 だから、公営企業の経営に当たっては、事業そのものの意義や、提供しているサービス自体の必要性、事業としての持続可能性について検証するとともに、住民生活に必要なサービスを安定的に提供していくために、事業ごとの特性に応じて経営形態の在り方について検討を行うことは重要である、一般論はこうなんですけれども。

 その上で、望ましい経営形態につきましては、住民のニーズや担い手になる民間企業の有無など、各地域、各事業者の実情を考慮して、各自治体において主体的に判断することが大切だと考えておるわけです。

 総務省としましては、今委員がおっしゃったように、その旨を自治体に助言するとともに専門アドバイザーの派遣事業を展開してきたところでありまして、引き続き公営企業の経営改革の取組を支援してまいりたいと思います。

 これが一般の答えであるんですが、私のおふくろも妹もみんな医者で、よく見ているんですけれども、これはなかなかお医者さんが経営していくこともありましてね。言うのは簡単なんですけれども、お医者さんにそういう経営能力があるかということもありまして、そこら辺も含めて今後いろいろ考えていかなきゃいけないんじゃないかなという気がしますね。

守島委員 そうなんですね、実際に経営効率だけを考えると、公の縛りがなくなった方が予算も単年度で組まなくてよかったり、先ほど来問題になっている人材面とかでも、もっと流動的に人集めができたりですね。やはり公の縛りというのはかなりきついので、そういったことも含めて、最終的には自治体裁量というんですけれども、もう一プッシュで総務省はやらないと、こういうふうに地方債であったり手当てをしていくだけでは解決に向かわないというふうに思っているので、是非その点も踏まえて能動的な旗振りをお願いしたいというふうに思っています。

 続きまして、地方税法関連に移らせていただきます。

 この間、我々も予算及び所得税法や地方税法の見直し等を党内でも議論した上で自公維の三党合意をしたものの、その後すぐに新たな基礎控除の上乗せの話が降ってきたことに対しては、正直、快く感じてはいません。

 この場では、地方への影響部分に関してのみ提出者に伺うこととします。今回の所得控除の引上げによる減収影響分六千二百十億円のうち、地方交付税の原資となる法定率分が二千五十六億円ということで、減少となることに対する評価を教えてください。

小森委員 今御質問のありました二千五十六億円の減少でありますけれども、それに対しましては、令和七年度予算額で示しておりました地方交付税の総額を確実に確保するために特別会計借入金の償還額を減額するといったことで所要の財源を確保するといったことで、これは先ほど来やり取りをさせていただいているとおりでございます。

 その上で、評価についてお尋ねがありました。

 七年度の交付税特別会計の借入金の償還でございますけれども、これは、六年度予算の時点では、償還計画としては〇・六兆円、六千億円を計画しておりました。これに対して、七年度予算編成過程におきまして二・二兆円を追加して、二・八兆円となっているところであります。今回の措置では、このうち償還額を約〇・二兆円減額することとなりますので、上乗せ分というのが約二兆円になるといったことであります。地方財政の健全化の流れを損なうものではないというふうに私どもとしては考えているところであります。

守島委員 減少への対処方針は理解しました。

 今回は交付税特別会計借入金の償還を減額するということなんですけれども、そうなると、償還計画の見直し、それに伴う法改正が必要になります。今回、基礎控除の引上げ措置期間は二年と伺っているんですが、各党と引き続きの議論が求められている中で、本当に時限的に終わるのか分からないですし、更なる見直しの可能性も踏まえると、長期的な地方財政であったり償還計画にまた影響を及ぼすことになると思うんですけれども、その点に関する認識や対応方針を総務省にお願いします。

大沢政府参考人 お答えいたします。長期的な影響ということでございます。

 今回、償還額を〇・二兆円減額しますが、なお二兆円の償還を追加で行うということでございますので、地方財政の健全化を損ねるものではないというのが一点であります。

 もう一点は、政府予算案の修正が成立をした場合に交付税特別会計借入金の償還額が減額になりますので、追加的な利子負担が生じることになりますが、利子負担相当額については、将来において交付税総額に国から加算を行う方向で検討しておりまして、これにより将来的な地方財政への影響にも配慮できるのではないかと考えているところです。

守島委員 大沢局長は影響は余りないような表現をされていましたが、先日私がマクロの地方財政は健全化しているんじゃないかという話をさせていただいたときに、局長は依然厳しい状況で予断を許さないとおっしゃったので、予断を許さないという回答を行ったばかりで、地方財政に対するマイナス影響があるということに関してはちょっとどうなのかなというふうに思ったりするんですけれども。今後、更なる見直しの可能性も踏まえて、長期的な地方財政への影響を見据えた対応を政府及び与党の皆さんにはお願いしたいと思います。

 次に、企業版ふるさと納税に関して伺います。

 地方再生計画に記載された地方公共団体の事業に法人が寄附を行った場合、最大軽減効果が九割ということですが、この制度を活用する企業の所在自治体への減収影響が甚大で、かつ、直近は寄附実績も大きく増加しています。その減収分は基準財政収入額に反映し、減収分のうち七五%は交付税で補填されるとのことですけれども、それでも減収幅は大きいですし、不交付団体であればそのまま減収の影響を受けてしまうと思うんですが、そうした影響に関しての考えを教えてください。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 本税制を活用した場合、寄附企業が所在する地方公共団体では減収となりますが、地方税の税額控除の対象となる法人住民税、法人事業税共に税額等の二割を控除の上限とすることで、企業が所在する地方公共団体の減収に過度な影響を与えないような仕組みとしております。

 寄附企業の納税地である地方公共団体が地方交付税の不交付団体である場合には、地方交付税制度による減収の影響の抑制効果が生じず、法人住民税や法人事業税の減収のみが生じることとなります。

 しかしながら、地方創生を実現するためには人口減少が著しい地方圏を特に支援することが必要でございまして、こうした地方圏が元気になることが日本全体の発展にとって重要であると考えてございます。

守島委員 やはり減収影響がある自治体も多くあるんですよね。評価は後でさせていただくとして。

 企業版ふるさと納税においては、自治体が寄附の代償として見返りを企業に与えることを禁止しているんですけれども、実際に寄附の還流という事案も起きてしまいました。それを踏まえて与党の令和七年度の大綱においてもチェック機能の強化とか活用状況の透明化を図るとされているんですが、具体的にどうチェック機能を強化し、適切な実施を担保するのか。また、匿名の寄附を認めていることが不適切事案発生の遠因になっているんじゃないかと考えると、あくまで制度の特例であるべきことや、所在自治体への影響も甚大ということに鑑みて企業名は開示してしかるべきと思いますが、匿名の寄附を認めることとした理由と、その対応方針を教えてください。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 企業版ふるさと納税につきましては、令和七年度税制改正大綱におきまして適用期限を三年間延長することとしておりますが、認定を取り消した事案なども踏まえまして、制度の健全な発展の観点から見直しを行うこととしてございます。具体的にでありますけれども、寄附活用事業の実施に当たり自治体に自発的な確認を促すためのチェックリストの導入、一定の場合における寄附企業名の公表、地域再生計画の取消しを受けた場合における二年間の再申請の欠格期間の創設等の措置を新たに設けることとしてございます。

 また、御指摘の匿名による寄附について、これまでは、自治体に対し公表を希望しない企業を除き寄附企業名等を公表するよう要請しているところでございます。その上で、本制度は、地方創生に貢献するという意欲に基づき企業が自発的に寄附を行うものであり、企業においても、寄附を公表することによってほかの自治体からも寄附を求められることを防ぎたい等の理由があることから、自治体が一律に企業名や寄附額を公表することを義務づけておりません。

 ただし、寄附活用事業の実施状況の透明化の観点から、今回講じる改善策におきましては、先ほど述べましたとおり、寄附企業が一者応札で受託した場合等において国への実施報告を義務づけ、寄附企業名を公表することとしてございます。このように改善策を講じることで、抑止力の大幅な強化につなげ、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

守島委員 けれども、大幅な寄附控除を特例で受けているということを考えると、事業の透明化のために企業名を出すのは当たり前だと思うんですけれどもね。だからこその特例で、受益があるのにそこをオープンにしなくてもいい、ほかからもお願いされるからというのはちょっと違うかなというふうに私自身は思っています。インフラの整備費用など、企業が所在することによるコストは各自治体にかかってくるのに、その企業から税収が得られないことを考えるとやはり違和感があって、税の公平性をゆがめてしまうんじゃないかと思いますが、本制度に対する大臣の評価を伺いたいと思います。

村上国務大臣 守島委員の御指摘はもっともな点も多々あるんですが、企業版ふるさと納税については、平成二十八年度の制度創設以降、各自治体の地方創生の取組を後押ししてきたことがありました。また、地方創生二・〇の実現には民の力を生かすことが必要であることから、本税制を通じた企業による地方への資金の流れの実現は重要であるというふうに考えております。

 それで、令和七年度の税制改正に当たり、地方六団体、知事さん、市町村長さん、それからまた各議員の先生たちの六団体からも、本税制を通じた企業の地方創生への参画、地域経済の活性化や地域における雇用創出などの推進のため、本税制の延長要望があったところであります。

 各自治体において本税制を活用して地方創生に向けた取組を進めていただけたら、そういうふうに考えております。

守島委員 その理由は分かるんですよ、地方創生とか地方にお金を回すという理由は分かるんですけれども、結局、不交付団体は減収影響をめちゃくちゃ受けるとか、頑張って財政を健全化している自治体に悪影響を及ぼすとか、実際にコストをかけてインフラ整備をしている自治体はマイナスだというようなことを考えたら、やはり公平な制度じゃないと思うんですね。もちろん企業版ふるさと納税もしかりなんですが、個人版のふるさと納税に関しても、私自身、公平性の観点から違和感があって、この件も今後、質問させていただきながら見直し等を求めていきたいと思います。

 もう時間がないので、簡単に、最後、中小企業への設備投資における特例に関して聞きます。

 これに関しては、昨年十一月に地方財政審議会の意見で、普通に固定資産税が市町村の基幹税目ということを踏まえたら時限措置の期限の到来で終了すべきとされていましたが、今回、二年の延長を求めています。審議会の意見の受け止めをお聞かせください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の延長に当たりましては、地方財政審議会から期限の到来をもって終了すべきとの意見もあったところでございます。

 一方で、地域経済を支える中小企業の賃上げは地域社会にとりましても重要な課題でございます。こういったことを踏まえまして、令和七年度税制改正では、賃上げを後押しするよう見直しを行った上で二年に限り延長することといたしております。

 今後とも、市町村の基幹税である固定資産税の安定的な確保に配慮しつつ、特例措置の必要性について関係省庁としっかり議論してまいります。

守島委員 中小とかは計画自体を継ぐのが難しいと思うので、是非考えてください。

 以上で終わります。ありがとうございます。

竹内委員長 次に、福田玄君。

福田(玄)委員 国民民主党、福田玄でございます。

 軽油引取税の当分の間税率の廃止などについて、まずはお伺いしたいと思います。

 まず初めに、村上大臣、石破内閣の守護神ということでいらっしゃいますけれども、昨日の予算委員会で石破総理から、地方自治体から暫定税率を廃止しないでほしいとの声が集まっているという御発言がございました。先日、予算委員会の公聴会で私が広島に赴いた際に、地方財政に穴が空くことはしないでほしいという意見はお伺いをしておりますが、暫定税率を廃止しないでほしいという声は私は初めて伺いました。

 実際に自治体から暫定税率を廃止しないでほしいという声は集まっているのか、お伺いしたい。また、地方経済にプラスになる暫定税率の廃止そのものに反対しているということではなくて、暫定税率を廃止した場合にその税収の減少を地方にしわ寄せさせないでほしいという意味合いではないかと思うのですが、この点についていかがお考えになるか、お聞かせください。

村上国務大臣 福田委員の御質問にお答えします。

 昨年の十一月に開催された政府主催の全国知事会議において、村井全国知事会長などから、軽油引取税の見直しの議論などに関連しまして、恒久的な減税になるのであれば恒久的な財源で対応し、地方財政への影響に十分配慮するようにというお話というか、そういう要請がございました。

 また、令和七年度与党税制改正大綱が決定された際に全国知事会がコメントを公表しておりますけれども、その中で、軽油引取税などの燃料課税を含めた自動車関係諸税については、一つ、地方にとって貴重な税財源であること、二つ、今後地方の社会インフラの更新・老朽化対策や防災・減災事業などに対する財政需要が一層増していくと見込まれることを考慮し、国、地方を通じた安定的な財源確保を前提として議論することとされております。

 そういう面において、自治体の皆さん方の御意見は、こうした恒久財源の確保なしにいわゆる暫定税率の廃止だけを決定されては困るという意味で、そういう趣旨でおっしゃっているというふうに私自身は今受け止めております。

 以上であります。

福田(玄)委員 まさに恒久的な財源を担保してほしいというのは地方自治体からすれば当然の話ではあると思いますが、暫定税率を廃止しないでほしいということではないと思います。

 今回、立憲、国民で法案を出していますけれども、私たちは今苦しんでいる生活者や事業者をまずは支えたいという、そんな思いで法案を提出していますので、やはりそこの部分はしっかりと言葉を、政治家ですので、大切にしていただきたいと思いますので、村上大臣からもよろしくお伝えください。お願いいたします。

 それでは、今回の法案について法案提出者と政府参考人にお伺いをいたします。法律が変更された場合、その実務の実行は令和七年四月一日に施行されるとございますが、実際に四月一日の施行日で間に合うのかどうか、実務的なことも含めてお答えください。

向山(好)委員 お答えいたします。

 福田玄委員から、四月一日に間に合うのかというような御質問がございました。

 私どもが提出している法案は、本年四月一日から施行となっております。したがいまして、成立すれば、四月一日のスタンド等での店頭販売から当分の間税率が廃止された税率が適用されるということになります。

 平成二十年四月に、ガソリン税の暫定税率が、一時的ですけれども廃止されました。その際、政府は、廃止直前の三月二十七日に対応を発表されたと承知しております。

 したがいまして、租税法定主義に沿いまして、法律が決まりましたら、その税率での実施には支障がないのではないかなというふうに認識しております。改めて、我々の修正提案の早期の成立をお願いする次第でございます。

 以上です。

福田(玄)委員 法案提出者からは間に合うということでございましたが、事務方としてどうでしょうか。政府参考人からも御答弁をお願いいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 仮に軽油引取税の当分の間税率が令和七年四月一日から廃止される場合のあくまで実務上の課題として考えられますのは、まず、現在全国の都道府県などの議会で予算を審議中でございますが、この予算の中には軽油引取税の税収が入っております。この税収の減少に対しまして、その財源を具体的にどのように補填するのか、歳入予算をどのように組み替えるのかという問題が各都道府県において発生するものだと考えております。さらには、都道府県がこれを課税しておりますので、都道府県側におけるシステムの変更が必要でありますし、条例改正の必要があります。さらに、軽油引取税の多くがガソリンスタンドでの購入時に課税されることになりますので、ガソリンスタンド側での税率変更でのシステム対応でございますとか、消費者の方の買い控えなどの混乱が起きないのかという問題もあろうかと思っております。さらに、仮に現在の燃油の補助金が廃止された場合には、当分の間税率が廃止される一方で補助金が廃止されますと、農業や漁業に使用される免税軽油というのがございまして、こちらの価格が上昇することになりかねないといった課題もあろうかと考えております。

 いずれにいたしましても、こうした諸問題については関係者間で丁寧な調整があるものと私どもとしては承知しているところでございます。

福田(玄)委員 細かく説明いただきましたが、間に合うのかどうかということについて、実際に間に合うのかどうかということを一言お答えいただけますか。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在議員修正において議論中でございますので、政府の立場で確たるお答えはできませんが、先ほど申しましたような課題があることは現時点では事実でございまして、これらに対して、課題をどのようにクリアするのかについて、私どもは現時点では具体的な答えを持ち合わせていないというのが実際でございます。

福田(玄)委員 現時点でということですが、やる気を持って是非やっていただきたい、間に合わせていただきたいというふうに思います。

 そして、軽油引取税、課税の根拠についてちょっとお伺いしたいと思っております。

 軽油引取税を見ると、複雑な変遷を遂げています。昭和三十一年に創設され、順次税率の引上げがなされました。昭和五十一年に特例税率、いわゆる暫定税率を導入、その後、昭和五十四年、平成五年に二度引上げが行われております。平成二十一年には道路特定財源の一般財源化が行われ、その上、翌年の平成二十二年には特例税率が廃止をされ、当分の間平成二十一年度の税率水準を維持することとなり、トリガー条項を導入したということでございます。

 元々、三十二・一円の税額の中、本則が十五円、そして当分の間税率が十七・一円というふうに分けられていますが、本則より高い暫定税率が設けられている。これは道路を当時は整備しなきゃいけないからそのために皆さん御協力くださいねということだと思うんですが、その変更があった際には相応の理由があったと思います。しかし、現在の姿を見ると、そもそもどのような社会を目指してこの軽油引取税が存在しているのかという意義すら、税金の目的が全く分からなくなっているのではないかというふうに思います。言い方は悪いですが、取りやすいところから税金を取っているだけというように国民から見えても仕方がないのではないかというふうに思っております。

 この軽油引取税については、国民が納得できる形になるよう、当分の間税率を廃止することはもちろんですが、その在り方から見直すべきだと考えますが、御所見を伺いたいと思います。先日の質問でも伺いましたが、今これだけ、環境問題、自動車のEV化、円安や不安定な国際情勢を考えたときに、自動車関連の税制を根本的なところから新しい仕組みにするということも考えるべきではないかということでございますが、軽油引取税のことも併せて御答弁をいただきたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 軽油引取税につきましては、御指摘のとおり、地方団体における道路特定財源として昭和三十一年度に創設されたものでございます。その後、平成二十一年度に一般財源化され、その後も、軽油の使用と道路や地域の環境対策などの地方団体が行う行政サービスとの応益関係の観点から引き続き課税されているものでございます。

 現在、軽油引取税を始めとする自動車関係諸税の地方分の歳入総額が三・四兆円となっております。あくまでこれは一般財源ではございますが、道路や橋梁、トンネルなどの更新・老朽化対策といった自動車に関する地方の行政サービスの歳出額は地方分で五・七兆円となっているところでございます。

 こうした状況も踏まえますと、自動車のユーザーの方々に御負担いただいている財源だけでは自動車に関する地方の行政サービスに要する費用が十分賄われていないといった現状も踏まえる必要があろうかと考えております。

 燃料課税を含みます自動車関係諸税の総合的な見直しに関しましては、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、日本の自動車戦略、インフラ整備の長期展望、さらにはカーボンニュートラル目標実現などの観点も踏まえ、国、地方を通じた安定的な財源確保を前提に、公平、中立、簡素な課税の在り方について中長期的な観点から総合的に検討し見直しを行うとの考え方が示されておりまして、総務省といたしましても関係者の意見を丁寧にお聞きしながら検討してまいります。

福田(玄)委員 中長期的な観点からということですが、税は私たちがお預かりしているものですから、やはり納得感を持って、このためにしっかり負担をしているんだということが分かるように簡素にしていただく必要があると思っております。是非、その点は考慮に入れて議論を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、百三万の壁などに係る諸問題についてお伺いをしたいと思います。

 先ほども四月一日からシステムが間に合うのかという質問をさせていただきましたが、昨年から百三万の壁を壊す議論が続いている中で、積極的でない意見の一つに、システム変更をするのに時間がかかり令和七年の予算には間に合わないという意見がございました。しかし、今回の与党修正案では所得の壁が四段階にされ、所得税の話ですので総務委員会とは少し離れるところはありますが、より複雑な制度設計になってしまっていると感じております。今回、令和七年四月一日にシステム変更を進め実行が間に合うということであるのであれば、今後こういった税制改正をやるときは百三万の壁のような減税議論についてもこれくらいのスピードで間に合うということであると思いますので、実行が可能だという理解でよいのかどうか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

寺崎政府参考人 技術的な課題でございますので、私の方から答弁させていただきます。

 今回の百三万円の壁の対応に当たりましては、私どもの住民税におきましては令和八年度分からの適用ということになってございます。

 この施行時期の考え方、個人住民税は御案内のとおり翌年度課税でございます、自治体においては所得税で提出された申告資料を基に所得を捕捉して課税を行っているところでございます。さらに、給与所得者の場合には六月からの特別徴収に間に合うようにちゃんと通知をするといったような対応も必要でございます。こういった事情を勘案して、今後仮に税制改正が行われる場合には、施行時期について適切に判断されるべきものと考えております。

村上国務大臣 事実関係は、今、寺崎局長が言ったとおりで、なお、今後の税制改正における対応につきましては、一般論で申し上げれば、所得税の施行時期のほか、自治体や特別徴収義務者の事務負担にも考慮しまして適切な施行時期を定めていく必要がある、そういうふうに考えております。

福田(玄)委員 是非、適切な時期をということではございますが、余り無理な変更で国民に対しても負担をかけるのはよくないということではございますが、ただ、野党からこういった減税の議論が出るときに、財源、確かに財源は大切だし、しかしシステム変更が間に合わないからできないという話が出てくる。片や与党からの壁が四つも五つもできたような案に対しては、それは実行できてしまうということでございますから、そこはやはり真摯な議論を通じて、これはできる、これはできないということをきちっと国民に分かるように議論していく必要があると思っていますので、システムでできないとか、こういったことは今後議論の俎上に上らないように、しっかりと共通認識を持っていただきたいというふうに思います。是非よろしくお願いを申し上げます。

 そして、ちょっと時間がなくなってきましたので一問飛ばしまして、今回、当初予定した交付税特別会計の償還を減額する手法で借金返済の額を減らすという短期的には地方に負担がかからないやり方、一定程度理解をすることができます。ただ、これは単年度の措置であり、政府・与党の言う恒久的な財源ではないというふうに理解をしております。一方、所得税の法定率分を変更する方法もあるのではないかと思いますが、今回、三三・一%という法定率の変更は検討されたかどうか、お答えください。

大沢政府参考人 検討というか、事実関係を政府側から御説明させていただきます。

 与党の修正案におきましては、令和七年度については国と同様に、一時的な財源ということで、交付税特別会計借入金の償還を減額することにより所要の財源を確保することとしていると承知しております。

 令和八年度以降については、別途財政金融委員会に提案されている所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案において、歳入歳出における措置を通じた今回の特例措置の財源の確保について、令和七年度末までに検討を加え必要な措置を講ずるものとされているというふうに承知しているところであります。

福田(玄)委員 こちらは総務委員会ですので、法定率の話はるる議論に上がるわけであります。そして、法定率を何とか引き上げてほしいという意見も伝えているけれどもなかなか通らないということでありますが、過去を見ると、法定率分は永久に固定というわけではなくて、数年で変更になるものであります。その意味で、単年度措置よりも長期的で、地方からは安定的な財源として見ることができると思います。対応すべき金額の規模にもよりますが、百三万円の壁を突破するといったようなことに対応するためには、法定率の変更をもって恒久的な財源を確保できるようにするということも重要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。

大沢政府参考人 若干繰り返しになりますけれども、百三万円の壁につきましては、まず、百二十三万円への引上げは与党税制改正大綱において特段の財源確保措置を要しないものというふうに整理され、今般与党から提案のあった特例措置の創設、これについては、令和八年度の予算編成及び税制改正において、財源の確保について検討を加え必要な措置を講ずるというふうにされております。

 したがいまして、政府としてはこのことを踏まえて真摯に検討していくということになろうかと思います。

福田(玄)委員 真摯に検討していただくということですので、是非、こういったタイミングを捉まえて、しっかりと地方の安定的な財源を確保していただくように働きかけも行っていただきたいというふうに思います。

 最後の質問に移りたいと思います。政府の財政的余裕についてお伺いをしたいと思います。

 ここ数年、日本の税収は過去最高を続けております。国としては財源に一定の余裕がある状況ではないかというふうに思うんですね。今まで厳しい厳しいと言われながら税収は過去最高、そして国民負担率が約五〇%に近づいているという中で、厳しい財政状況と言われていますが、その反面、どのような状況になれば厳しい財政状況から脱するのか。国民が稼いで、負担率が半分近くになっている、さらには税収は過去最高をずっと続けているということでありますが、この見込みとして、まさに財政と経済のバランスを取ることが大切だとは思うんですが、日本の喫緊の課題は、収入が物価を上回る経済の好循環を生み出すために分厚い中間層を取り戻し経済を回すことが私は優先的だと考えますが、この点についての政府の認識は、いかがお考えでしょうか。

西野大臣政務官 経済財政運営につきましてはいろいろな御議論があるというふうに思いますけれども、我々といたしましては、経済あっての財政という基本的な考え方の下に、経済の成長そして財政健全化の両立を図ってきたつもりでございますし、今後ともこの考え方が基本的な方向性として適切ではないかというふうに思います。

 例えば、石破政権では、日本経済が三十年来苦しんできたデフレから完全に脱却して好循環を生み出していく、その絶好のチャンスだというふうに思っておりますので、賃上げそして投資が牽引する成長型経済に向けて、税制改正あるいは経済対策を適切に実施してきたというふうに思います。一方で、財政の健全化についても、これから、大規模な災害あるいは有事に備える等、マーケットから日本の財政運営の信認を得るということは非常に重要だというふうに思いますので、このバランスが重要だというふうに思います。

 こうした考え方を内閣府の試算でも示しておりまして、例えば実質成長率が安定的に一%を上回る成長移行ケースという下では、企業部門が賃金への分配と投資の拡大によって投資超過へとシフトしていく中で国、地方のプライマリーバランスが中長期的に徐々に改善していくという見通しをお示ししているところでございます。

 今後とも、こうした考え方の下、適切に経済財政運営をしていきたいというふうに思います。

福田(玄)委員 時間が参りましたので、最後、一言だけですが、絶好のチャンスが来ているということですので、まさに今ガソリンにしても軽油引取税にしても下げて廃止して、国民がしっかりと経済を回していける環境を整えていただきたいと思いますので、そのことを強く要望申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、山川仁君。

山川委員 れいわ新選組の山川仁です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、今日は、私の手元の方に令和七年度の税制改正大綱、抜粋をさせていただきますが、この資料を持ちながら少しいろいろ質問させていただければと思っております。

 まず、この資料は、令和六年十二月二十日、昨年末ですが、そのときに自民、公明さんが出されたものだというふうに伺っております。

 税制改正の基本的な考え方。一、成長型経済への移行。(一)物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応。この中で、冒頭にこういうふうに表現されています。

 所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題がある。我が国経済は長きにわたり、デフレの状態が続いてきたため、こうした問題が顕在化することはなかったが、足下では物価が上昇傾向にある。

 というふうに、いろいろとるるまた長く書かれておりますが、その中で、我が国経済は長きにわたりデフレの状態が続いてきた、そしてまた足下では物価が上昇傾向にあるというふうに記載されています。

 昨年末からこの間二か月ほど経過をして、物価上昇も足下から首まで締めつけられるような状況になっていること、そして、この三十年間経済が壊され、この文中の長きにわたるデフレを解消するためにはまずは積極的な財政出動をやらなくてはいけないという考え方も必要ではないか、また、是非、税制についても地方への積極的な財政支援を期待したいという気持ちで、今回、総務省の方に、大臣にも少し質問を投げていきたいと思います。

 まず初めに、所得税の百三万円の壁の引上げに伴う地方の減収補填についてどのように考えているのか、お聞かせください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 百三万円の壁の百二十三万円への引上げにつきましては、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、デフレからの脱却局面に鑑み、物価調整を行うものであることを踏まえて、特段の財源確保措置を要しないものというふうに整理されたところです。

 その上で、令和七年度の地方財政計画では一般財源総額及び地方交付税総額を増額して確保しておりまして、適切に財源を確保できているものと考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 時間もありますので、次に行きたいと思いますが、令和七年度の税制改正の影響は令和八年度の住民税に影響すると考えておりますが、その際に住民税非課税世帯がどの程度増えるのか、試算やシミュレーションをしているのか、お考えをお聞かせください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の給与所得控除の引上げ及び特定親族特別控除の創設等に係る個人住民税の減収額につきましては、御指摘のとおり令和八年度以降に発生するものでございますが、平年度ベースで七百五十億円程度と見込んでおります。

 この影響によります非課税世帯の数については把握しておりませんが、給与所得控除の最低保障額の引上げによりまして、新たに所得割が非課税となる方は百二十万人程度と考えているところでございます。

山川委員 ありがとうございます。

 百二十万人、七百五十億程度の予算が必要になってくるということです。

 その中で、今回、臨時財政対策債の発行ゼロも、地方にとってそれがいいのか悪いのかという、地域特性の中で多分考え方に違いがあるかと思いますが、国民から預かった税、すなわち税収が増えただけ、その中で、税収が増えて財源が確保できたのであれば、先ほど福田委員からもありましたように、過去最高の税収を持って、しっかりと地方交付税ももっと増やして、地方財政を本気で支援するような総務省であってほしいなと思っております。国民へのキックバックということで、しっかりとそのような見解を持っていただきたいと思いますけれども、総務省の見解を伺いたいと思います。

村上国務大臣 山川委員の御質問にお答えします。

 自治体が必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていくためには、地方税や地方交付税など必要な財源を確保するとともに、財政の健全化に取り組んで、地方財政の持続可能性の確保に努めることが重要であるというふうに考えております。

 令和七年度の地方財政計画におきましては、社会保障関係費や人件費の増、物価高対応に要する経費など、必要な歳出を適切に計上しまして、一般財源総額について令和六年度を一・一兆円上回る六十三・八兆円を確保するともに、交付税総額につきましては〇・三兆円上回る十九・〇兆円を確保しました。

 その上で、臨時財政対策債が始まって以来、発行をゼロとするなど、地方財政の健全化にも取り組むこととしております。地方からは、一般財源総額や交付税総額を確保しつつ地方財政の健全化も図られていることについて、一定の評価をいただいております。

 多額の臨時財政対策債や交付税特別会計借入金などの債務残高がある中で、財政健全化の取組を放棄することは適切であるというふうに考えておりません。今たまたま税収がいいからといって、これが永久的に続くか、今後どうなるかも分からないわけでありますし、国全体の借金はG7の中で最高でありますので、今後もやはり油断せずに、必要な地方財源を確保した上で、地方財政の健全化にしっかりと取り組んで、地方財政の持続可能性の確保に努めてまいりたい、そのように考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 国が借金しているのを国民に押しつけるような考え方はよくないと思っておりますが、その中で、私たちれいわ新選組は、国の負債は国民の資産という形で、積極的な財政支援をお願いしているところでございます。

 次の質問に移りたいと思いますが、何かもし大臣から発言があれば。(村上国務大臣「時間がないですから、質問をやってください」と呼ぶ)よろしいですか。それでは、次に特定扶養控除の関係についてお聞きしたいと思います。

 まず聞きたいのは、大学生の年代の子らが親の扶養の範囲で稼ぐことができる額が百三万円から百五十万円まで上がります。ここで言う子らの年齢、前年の十二月三十一日時点での年齢が十九歳から二十二歳、大学生年代と言われておるようですが、その中で一月から三月生まれの子らが対象にならない。この不平等の理由をお聞かせください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 特定扶養控除、今回、特定親族特別控除もそうでございますが、早生まれの方に対する適用でございます。個人住民税における扶養控除の判定につきましては、分かりやすさ等の観点から所得税と同一といたしております。前年の十二月三十一日時点で対象年齢の扶養親族がおられるかどうかにおいて判定されるということになっているところでございます。

山川委員 ありがとうございます。

 次に行きたいと思いますが、同様のことで、特定親族特別控除にもその内容は同じようなことが言えると思いますけれども、今回新たに創設される特別控除の中で、前年の十二月三十一日時点で年齢が十九歳から二十二歳を対象にしたものとされていて、早生まれが一緒に優遇されないのはなぜなのかという一つの単純な疑問であります。

 十八歳で大学に入学をした子がいる家庭は、その年の十二月三十一日時点では十九歳ではなく、まだ十八歳なので、この扶養控除の対象外となります。かといって、一年遅れての控除の対象にはなりません。二十二歳で卒業した場合、就職をした場合は、親の扶養控除から外れてしまうためであります。十八歳での進学ではなくて、十九歳や二十歳での進学をした場合でも同様のことが言えますが、なぜ皆さん方は、先ほどと同じ答弁になるかもしれませんけれども、事情があるのか、お聞かせください。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 扶養控除の判定の仕方、様々な考え方があろうかと思いますし、ただいま御指摘のように、早生まれの方への適用について御指摘があることも承知しております。

 一方、今委員御指摘のように、大学等への進学に関する個人のライフスタイルは様々でございます。年齢基準を用いる限りにおきまして、扶養に入っておられる限りは、早生まれか否かにかかわらず、通算で見れば、トータルで同じ回数の扶養控除の適用を受けることができるという面もあろうかと思っております。

 いずれにいたしましても、住民税といたしましては、独自の判断というよりも、所得税における対応や他の扶養控除との関係も含めて慎重に検討する必要がある課題であるというふうに承知しております。

山川委員 ありがとうございます。

 今日、午前中に議員室でテレビを見ていると、予算委員会の中で、税の三原則ということで、公平、中立、簡素だという表現をされた先生方がいらっしゃいましたけれども、まさにその公平、中立、簡素の原則に沿った内容になっていないと思っております。早生まれの皆さん方がしっかりと、同じ環境の中でしっかりと扶養控除等が基礎控除も含めて受けられるような状況をつくっていただきたいと思います。

 そこで、大臣に御質問をしていきたいと思いますけれども、このような、事務的で、同じ国民への配慮が欠けた社会のルールを、まずは全ての同世代の方々が恩恵を受けられるように整備するのが国の務めだ、責務だと思っております。どこの誰のどの事情なのかは分かりませんが、この理不尽な措置を即刻改めることを求めますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

村上国務大臣 ここら辺の問題点はちょっと非常に微妙な点があるんですけれども、早生まれの方につきましては控除回数等について御指摘があることはよく知っております。

 所得税と判定時期をそろえることは一定の合理性があること、扶養に入っている限りは生まれた月にかかわらず通算で見れば同じ回数の控除の適用を受けることが可能であるといった点についても考慮する必要があるんじゃないかと考えております。

 いずれにしましても、判定時期の在り方について、所得税における対応や他の扶養控除との関係も含めて慎重に検討することが必要であると考えております。

山川委員 時間もあと二分程度だと思うんですけれども、今言われているように、通算で回数がそれぞれそんなことにならないんだというような言い方でしたけれども、分かりやすく、みんなが気持ちよくその環境に置かれた方が、国としてしっかりと若者を育てていく上で、日本の将来を背負っていく皆さん方のためになると思います。今の答弁だとどうしても、どこでどういうふうにしっかりと受け止めて、しっかり国がやってくれているんだなという気持ちがちょっと伝わりづらい、分かりづらい説明だったと思います。公平、中立、簡素というような原則を踏まえた上でのしっかりとした説明をもう一度お聞かせいただきたいんですが、いかがでしょうか。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、税制におきましては公平、中立、簡素といった考え方は極めて重要でございます。一方で、課税実務の観点から簡便で分かりやすい制度にすることも必要でございます。

 今御指摘のあったように、早生まれの方についての御指摘は我々も承知しているところでございますが、例えばその方がいつ生まれ、どのような学校に、例えば大学に行かずに浪人生活を送っておられるのか、大学院等に進学されるのか、様々なライフスタイルがあろうかと思います。中には高校を卒業して就職される方もおられるかと思います。そういった方々に対する控除の在り方、税制で講ずる際に、現在、申し上げましたように、年齢で判断させていただいているということでございます。

 こういった支援の在り方については税制のみならず多方面において検討されるべき課題と考えておりますが、私ども税制といたしましては、先ほどから申し上げているような原則にのっとって現時点では判断しているところでございまして、今後とも慎重に検討する必要がある課題であるというふうに承知しております。

山川委員 慎重かつ大胆に、また迅速に制度を見直すことが望ましい今の時代だと思っております。その中で、若い世代がしっかりと応分に恩恵を受けられるような状況、当然、税制として、また税の原則として、いろいろな皆さん方の持分があるかと思いますけれども、そこを踏まえた上で国として国民に向いた改正をしっかりと取り上げていただいて、一歩でも前進するように期待したいと思いますので、どうぞよろしくお願いして、本日の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 今日は、自治体職員、とりわけ技術系の職員の減少が災害対応に甚大な影響を及ぼしているという観点から質問をしたいと思います。

 埼玉県の八潮市の陥没事故についてまず聞きたいと思うんです。国土交通省は、同様の事故を防ぐため、陥没箇所と同様の大規模な下水道管路を対象とした緊急点検と、補完的な路面下空洞調査を行いました。その調査の結果を教えていただけますか。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、今回のような陥没事故を未然に防ぐため、事故が発生した翌日に、陥没箇所と同様の大規模な下水道管路を有する流域下水道管理者に対し、目視や管口カメラによる緊急点検と、これを補うための空洞探査車による路面下空洞調査を要請いたしました。

 緊急点検対象の下水道管路延長約四百二十キロメートルに存在するマンホールの点検の結果、管路の腐食などの異状が三か所で発見されました。また、路面下空洞調査が約三百二十キロメートル実施された結果、下水道管路に起因する空洞の可能性がある箇所は確認されませんでした。

辰巳委員 今回の事故のような大規模施設以外でも陥没事故というのは起きております。老朽化したインフラ施設の点検が緊急的に求められると思うんですけれども、ただ、自治体の下水道事業や水道事業の技術職員というのが年々減ってきておりまして、そして財政的にも厳しい。ちょっと聞きたいんですけれども、網羅的に点検を行える体制というのはあるんでしょうか。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体における技術職員の減少などの中においても上下水道施設を適切に管理していくことは重要と認識しておりまして、国土交通省では、予防保全型の施設管理を推進するためのガイドラインの策定や、点検、調査等の施設管理に関する技術開発などの技術的支援に取り組むとともに、維持管理のうち、施設の点検や調査、その結果に基づく計画的な更新、改築などの重要な対策について財政的支援を行っております。

 また、上下水道事業を持続可能なものとするために、広域連携、官民連携などの事業運営の基盤強化に加えまして、分散型システムの活用など、地域の特性に応じた適切な施設管理が重要でございまして、これらの取組を推進するため、ガイドラインを策定するなどの技術的支援を行っているところでございます。

 さらに、DX技術も活用し、施設管理や老朽化対策を高度化、効率化していく必要があります。このため、地方公共団体向けの分かりやすいDX技術カタログを今年度中に取りまとめるなど、その速やかな実装に向けて取組を進めてまいります。

辰巳委員 今の答弁ではやはり、自治体の現場の技術職員の減少について、これだけ大変なんだよというような思いというのは全然伝わってこないと思うんですよね。

 この間、水道事業、下水道事業の職員については二〇〇〇年以降、推移を提出してもらいました。二〇〇〇年の水道事業は職員が六万六千五百三十八人なんですね。下水道事業では四万二千六百一人でありました。ただ、この職員が、二〇二三年には水道事業で四万二千四百二十五人、下水道事業は二万六千六百十七人。つまり、この二十三年余りでいずれも約六割まで減少をしているわけなんですね。水道事業でいえば、一九八〇年をピークに減少を続けてきております。

 政府は健全化とか、今ありましたように効率化とか適正化とかいろいろ言うんですけれども、二〇〇五年から二〇一〇年までの集中改革プランで職員が減少傾向だった地方自治体に徹底した人員削減というのを促してきたわけなんですよ。ただ、その後、地方自治体の職員数というのは二〇一八年の二百七十三万六千八百六十人となって以降横ばいか微増となっているのに、上下水道の職員というのは減少を続けているわけなんですね。これは何でなんですか、いかがですか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 水道事業におきましては、水道メーターの検針や施設の維持管理などの業務の外部への委託が進んだことなどにより職員数が減少してきたものと考えています。

 また、下水道事業においては、これまでの整備によって普及が進み、整備推進から維持管理などへとシフトしてきたことなどにより職員数が減少してきたものと考えております。

辰巳委員 いやいや、今そう言うけれども、じゃ、こう聞きましょうか。昨年一月に発災した能登半島の地震、その後、九月には豪雨災害によって被災地のインフラというのは再び甚大な被害を受けたわけです。能登地方の六市町、この上下水道の職員の人数というのをちょっと教えていただけますか。

松原政府参考人 お答えいたします。

 能登六市町の上下水道の職員の人数は、水道協会と下水道協会の統計によりますと、七尾市が二十人、輪島市が十三人、珠洲市が九人、志賀町が九人、穴水町が七人、能登町が十三人でございまして、合計七十一人となります。

辰巳委員 今言っていただいた人数は、例えば二〇〇五年、二十年前ですけれども、水道は九十三人いてるんです、下水は七十九人いてますから、二〇二〇年末でいうと、今おっしゃっていただいた数字でいうと、大体五割、四割に職員の数というのは減っているわけですよね。ただ単なる外注していますとかそういう話ではなくて、全体が減った上で、そして技術系だって当然減るわけですよね。これがやはり災害対応に甚大な影響をもたらしている、そういう意識を持たないと私は駄目だと思うんですよね。

 これは能登には限りません。とりわけ小規模の自治体では地震による甚大な災害になかなか立ち向かえない。能登六市町には、発災直後から全国の県や市町村から応援職員というのが派遣をされました。全国から災害復旧のために派遣するスキームというのは阪神・淡路大震災のときに設けられたわけですけれども、各自治体が相互に協力して災害復旧に当たるというものであります。

 国交省が事前に示していただいた資料によりますと、今回の派遣というのは、全国の自治体数、延べの職員数でいうと、水道では百六十六の都、県、市、延べ二万四千百四十七人、下水道でいうと二十四の都、県、市、延べで一万五百九十四人ということなんですね。今回の能登半島地震の発災後の救援のための短期の派遣において、例えば名古屋市では水道で三千百三十四人、下水道で二千六百十四人を派遣しております。

 そこで、私は、名古屋市の公営企業評議会の方から話を伺いました。費用についてなんですね。災害派遣時の費用負担というのは、被災自治体である受援自治体が負担をして、特別交付税措置があるとされています。しかし、派遣をされた職員の基本給、派遣元である名古屋市に残された職員が派遣された職員の分まで業務をこなす、そういう職員の給料や超過勤務手当は事実上派遣元の自治体の負担となっております。超過した負担額というのは名古屋市でも数億円になるのではないかと述べておられました。

 ちょっと確認したいと思うんですけれども、公営企業会計の原則でいえば、結局は派遣元の受益者である名古屋市民の負担になってしまうのではないかと思うんですが、実態を調べるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

大沢政府参考人 負担につきましては、派遣元自治体から被災地へ派遣された職員の基本給については、当該職員が派遣元自治体の職員たる身分に基づき活動を行うものであることから、派遣元自治体が負担すべきものと考えられます。

 また、派遣元自治体の本来業務に携わる派遣元に残された職員の給与や超過勤務手当については、派遣元自治体が負担すべきものと考えられます。

 応援派遣を行う自治体においては、このような考え方を踏まえた上で派遣していただいているものと認識しております。

 その上で、派遣元自治体が追加的に負担することとなります派遣職員の旅費でありますとか時間外勤務手当などにつきましては、特別交付税措置を講じているところでございます。

辰巳委員 一般会計からの繰入れは可能ですか、それだけ。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 企業会計の場合ですけれども、企業会計の場合は繰り出し基準におきましてその負担関係を定めていると承知をしております。

辰巳委員 一般会計からの繰入れは可能なのか、イエスかノーか。

大沢政府参考人 可能であります。

辰巳委員 このことを知らない自治体というのもなかなかありますので、もちろん一般会計から繰入れしたとしても、それは結局名古屋市民の負担ということになりますからね。本来国が補填するべきだとは思いますけれども、これの周知も求めたいというふうに思っております。

 先ほど名古屋市など大きな自治体では職員をたくさん派遣したという話をしましたけれども、こういった派遣される職員ですけれども、災害の応援に行っているわけですから、日常的に名古屋市の上下水道に従事して、技術、技能を身につけたベテランの職員が特に派遣されているということであります。

 派遣元である名古屋では、派遣された職員の業務を補って、今あったように残業が続いたというふうにも聞いております。災害時に必要な力は日常業務で培われるというのが技術職、技能職では常識になっていると聞きました。政府は技術力の持続可能性とか効率化を掲げて広域化を促してきたんですけれども、しかし比較的小さい自治体ではこの災害対応能力というのはもう既に失われているというふうにおっしゃるんですね。ですから、現場の職員からは、災害派遣の中核を担ってきた大阪市とか名古屋市とか横浜市とか、そういった自治体でもこのまま職員が減り続けていけば、今後想定される南海トラフの地震が起きれば対応できなくなるという危惧も示されているんですね。

 もちろん全ての自治体で技術系の職員の増員を図ることが急務だと思うんですけれども、大臣に聞きたいと思うんです。ただ、しかし既に技術力を失っている比較的小さい自治体では職員を補充しただけでは技術力の回復というのはなかなかできないという話でございました。比較的大きい自治体、中小規模の自治体が現状で何とか技術力を維持している。名古屋とか大阪とか、そういう都市で実践的な研修ができるようにするなど、災害対応能力を回復させていくような取組が私は必要だと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

村上国務大臣 辰巳委員の御質問に答えます。

 まさに委員御指摘のように、これは今後の地方自治における大きな課題だと思っています。だから、私はそういうことも含めて前回、三百の市と言ったわけでございます。

 上下水道事業については、事業に従事する職員数が減少傾向にある中、将来にわたり持続可能な経営を確保するための取組を進めることが全国的に課題となっているというふうに考えております。

 このため、総務省としましては、中長期的な経営の基本計画である経営戦略を適切に策定、改定し、計画的に組織、人材の強化を図りつつ業務効率化にも取り組むよう自治体に助言してきたところであります。

 また、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害時の中長期派遣要員を確保するために、各都道府県に対し、令和五年度から令和十年度までの技術職員確保計画を策定した上で、当該計画を必要に応じ毎年度見直すよう要請いたしました。さらに、令和六年九月に総務大臣から各都道府県知事宛てに書簡を発出し、技術職員の確保に計画的に取り組んでいただくよう要請しているところであります。

 なお、上下水道事業に従事する職員の研修につきましては、国土交通省の関係団体において技術習得に関する研修等が実施されていると承知しております。引き続き関係省庁で連携して適切に対応していきたい、そういうふうに考えております。

辰巳委員 職員の増員を求めて、私の質問を終わります。以上です。

竹内委員長 これにて両案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより両案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。あかま二郎君。

あかま委員 私は、自民党、公明党を代表し、ただいま議題となりました地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、賛成の立場から討論をいたします。

 まず、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に賛成する理由を申し述べます。

 今回の法案には、個人住民税に係る特定親族特別控除の創設や扶養親族等に係る所得要件の引上げが盛り込まれております。このことは、いわゆる百三万円の壁に対応しつつ、個人住民税が地域社会の会費的な性格であることや、地方税財源への影響、税務手続の簡素化の観点等に配慮がなされているものです。

 また、企業版ふるさと納税や、生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に係る固定資産税の特例措置の延長といった、地方創生や活力ある地域経済の実現に貢献する措置を講じつつ、鉄道の豪雨対策の促進に係る特例措置の創設などにより地域の安全、安心を図ることは非常に意義のあることだと考えます。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成する理由を申し述べます。

 地方団体の安定的な財政運営のためには、一般財源総額の確保が大変重要です。地方団体において、人件費の増加や物価高への対応などが求められる中、一般財源総額について一・一兆円の増と令和六年度を大幅に上回る水準を確保し、地方交付税総額も前年度を上回る約十九兆円を確保しており、地方団体からも評価の声が上がっております。

 また、臨時財政対策債の新規発行額について、平成十三年度の制度創設以来初めてゼロとなったことは画期的なことであります。

 地方団体からの長年の要望にも応える内容であり、地方財政の健全化を大きく前進させる内容として高く評価できるものであります。

 さらに、自治体DX、地域社会DXや防災・減災対策の推進が必要とされる中、新たにデジタル活用推進事業債を創設するとともに、緊急浚渫推進事業債についても特例期間の延長等を行っており、地方の重要課題にも目配りをした内容となっております。

 なお、いわゆる百三万円の壁の更なる引上げによる所得税の減収に伴い法定率分の減が生ずることとなりますが、与党提案の修正案により当初予定していた地方交付税総額を確保することとしており、令和七年度の地方団体の財政運営には影響が生じることはありません。

 以上、議題となっております両法案は、与党提案の修正案も含め、令和七年度の地方団体の財政運営をしっかりと支えていけるものでありますことから、速やかに成立させるべきであることを申し上げて、私からの討論とさせていただきます。(拍手)

竹内委員長 次に、杉村慎治君。

杉村委員 立憲民主党・無所属の杉村慎治です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につき、原案に反対、立憲民主党、国民民主党提出の修正案に賛成、地方交付税法等の一部を改正する法律案の原案及び与党提出の修正案に賛成の立場で討論を行います。

 まず、地方税法等改正案について申し上げます。

 原油価格の高騰や円安の影響等により、ガソリンや軽油といった燃料の高騰が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしています。軽油の価格を下げ、事業者の負担を軽減するとともに、国民の生活を守るために、立憲民主党と国民民主党は軽油引取税の当分の間税率の廃止等を盛り込んだ修正案を提出しました。自民党、公明党も昨年十二月十一日のいわゆるガソリンの暫定税率は廃止という三党合意を結び、令和七年税制改正大綱に明記されています。国民生活の窮状に鑑みれば、修正の上、地方税法等改正案を成立させ、直ちに当分の間税率を廃止し、軽油引取税の減税を実現すべきです。

 そこで、軽油の価格を下げ、事業者の負担を軽減するとともに、国民の生活を守るために、立憲民主党と国民民主党は軽油引取税の当分の間税率の廃止等を盛り込んだ修正案を提出しました。自民党、公明党も昨年十二月十一日のいわゆるガソリンの暫定税率は廃止という三党合意を結び、令和七年税制改正大綱に明記されています。国民生活の窮状に鑑みれば、まずは当分の間税率の廃止、軽油引取税の減税を実現すべきであり、修正案に賛成するものです。

 なお、政府原案には、地方創生応援税制について見直しが不十分なまま延長されている点や、本来目指すべき分権社会に向けた税源移譲がなされていない点等の課題があることを指摘しておきます。

 次に、地方交付税法等改正案に賛成する理由について申し上げます。

 一般財源総額、地方交付税総額共に高水準の伸び率で今年度を上回り、財源不足額も縮小されています。臨時財政対策債は制度創設以来初めて発行額がゼロになり、過去の交付税特別会計借入金の償還も進むなど、地方財政の健全化が進められています。加えて、積極的な人への投資が図られ、物価高への対応や持続可能な地域社会の実現に向けた取組なども評価できます。

 公立病院対策の一層の強化や、施設やインフラの老朽化対策の強化、交付税の法定率そのものの引上げなど課題は残されていますが、総じて地方の要望に応えたものとなっており、賛成いたします。

 百三万円の壁の引上げの拡大に伴い、交付税の減収も拡大しました。地方の固有財源という交付税の性格に鑑み、本来、国費による補填など、きちんとした財源対策を講じるべきであり、与党修正案には将来の利払い費拡大の懸念も残りますが、交付税配分の減を埋めるため、賛成やむなしとします。

 以上、両案に対する討論を終わります。(拍手)

竹内委員長 次に、黒田征樹君。

黒田委員 日本維新の会の黒田征樹です。

 会派を代表いたしまして、地方税法を改正する法律案等について、賛成の立場から討論いたします。

 まず初めに、令和七年度の地方財政計画において臨時財政対策債の新規発行額が平成十三年度の制度創設以降初めてゼロになった点は評価いたします。政府には、来年度以降も、法定率を引き上げる等の措置により、臨財債に頼らない安定的な地方財源の確保を求めます。

 また、個人住民税に関しては、地方の一般財源総額を確保しつつ百三万円の壁を引き上げることを評価しております。しかし、壁の高さ、内容についてはまだまだ不十分であります。今後、我々も与党に厳しく迫り、抵抗や批判を受けても途中で投げ出すことなく、国民が求める更なる壁の引上げで、働き控えや手取りの問題の解決に取り組みます。

 今後、日本全国でインフラの老朽化への対応が喫緊の課題となります。地方自治体は、厳しい財政状況に加え、昨今の人手不足やエネルギーコストの高騰で工事費が上昇しており、ますます厳しい状況に陥っております。政府には、自治体に対して適切なインフラ保全の支援を求めます。

 また、地方創生について、KPIの設定が東京一極集中の打破につながっていない現状を指摘してまいりました。政府は地方創生の取組の評価を厳格に行い、成果が上がらないものについてはすぐに取りやめるべきです。そして、我々は、東京一極集中の構造的な問題の解決に向けて、まずは大阪を副首都とした二極化、その先にある道州制による多極化の実現に力を尽くしてまいります。

 最後に、我々は、少数与党の状況にある今国会で、医療改革、教育無償化といった維新の公約を前に進めるために与党の協力を取り付けました。批判だけでは国の諸課題は解決しません。政治家は公約実現に向け一歩でも前に進めるために、責任を持った決断が必要です。

 課題が山積している日本国ですが、我々は、批判があろうとも真の対決より解決を実行し、誇れる日本を次の世代に引き継いでいくために、複雑化した課題解決に挑戦し続けることをお誓いし、賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

竹内委員長 次に、向山好一君。

向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。

 会派を代表いたしまして、与党提出の地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の修正案に反対し、国民民主党と立憲民主党が共同提出した地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成の立場で討論を行います。

 まず、与党提出の修正案は、所得税法の与党修正案に対応したものです。その内容は、年収を五段階に切り分け、基礎控除が徐々に減額され、いわゆる中間所得層には恩恵が微々たるものとなっており、国民全体の生活実態に応えたものとはなっておりません。

 さらに、与党修正案は複雑な制度となっており、税制の三原則である公平、中立、簡素から逸脱したものでございます。

 また、昨年十二月の自民、公明と我が党の三党で合意した、いわゆる百三万円の壁は国民民主党の主張する百七十八万円を目指し来年から引き上げるということとはかけ離れた提案と言わざるを得ません。

 特に申し上げたいのは、この与党修正案では個人住民税の給与所得控除の最低保障額を十万円引き上げるだけの内容となっており、減税額は全ての所得層で微々たるものであり、現下の物価高で悲鳴を上げている国民の声に応えたものとはなっておりません。

 次に、立憲民主党と共同で提出しました軽油引取税の当分の間税率の廃止法案は、私ども国民民主党が以前から燃料費高騰の即効薬としてその実現を訴えてきたガソリン税のトリガー条項の凍結解除、つまり暫定税率の廃止と一体の内容となっている修正案です。

 特に、軽油引取税の当分の間税率の廃止は物価高騰の大きな要因となっている輸送費を下げることにつながり、物価高を抑制する効果が大いに期待できます。

 昨年十二月の三党合意の中には、ガソリン税の暫定税率は廃止すると明記されております。そして、私どもは、現下の物価高を背景に、令和七年度の実施を再三求めてきました。したがいまして、租税法定主義に沿いまして、法律が決まればその税率での実施には支障ないものと認識しております。

 政府は、この軽油引取税の当分の間税率の廃止も、国民の声に真摯に向き合い、早期に実施すべきです。

 以上、委員各位の御賛同をお願いし、討論といたします。(拍手)

竹内委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。

 ただいま議題となりました地方税法等並びに地方交付税法等の改正案に反対の立場から討論いたします。

 地方税と地方交付税等を合わせた令和七年度一般財源総額は、交付団体ベースで約六十三兆八千億円。今年度よりも約一兆五百三十五億円増となっていますが、これは物価高の影響による消費税や所得税などの税収が増えたことによる自然増です。いわゆる所得税の百三万円の壁の引上げに伴う地方の減収は補償されず、交付税特別会計については、これまで償還を繰り延べてきたもののうち、令和六年度までの繰延べ分二兆二千億円を含む二兆八千億円を令和七年度に償還することになっています。本来であれば税収増を反映して地方に配分できるはずの地方交付税を減額して借金返済に使っており、物価高騰に苦しむ地方自治体を更に苦しめているのではありませんか。

 令和七年度分の税制改正の影響は、令和八年度の住民税に影響します。その際に住民税非課税世帯がどの程度増えるのか、先ほどもありましたけれども、国はシミュレーションしているのかという議論となりましたが、十分に把握していないことが判明いたしました。

 仮に非課税世帯が増加するのであれば、各自治体における補助金等の非課税世帯に対して講じている様々な住民サービスに影響が出る可能性はありませんか。自治体によっては、そのシミュレーションをして、多額の負担が生じるとする場合もあります。

 政府は、非課税世帯向けの支援の住民サービスをしっかりと継続できるように、そのための財源措置を十分に行っていく考えが必要だというふうに思います。

 この点、全国市長会も昨年十二月九日、アンケートを発表し、全国知事会でも一部の知事が懸念を表明していますが、今回、それらについての国の支援なりは明確に表明されませんでした。

 税制改革が地方の足を引っ張るようになってはいけません。

 お分かりだと思いますが、地方が元気でこそ日本全体が活性化されるのではないかと思います。今回の税制改革は、国レベルの一方的な税制改革が地方に悪影響を及ぼし、国はその責任を取っていないと思います。

 以上の理由から、この法案改正に反対といたします。

竹内委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法等改正案並びに地方交付税法等改正案に対する反対の討論を行います。

 まず、地方税法についてです。

 個人住民税の課税最低限の引上げは給与所得控除のみにとどまり、基礎控除の引上げを見送っています。減税の恩恵は年収百十万円から百九十万円の給与所得者に限られ、年金生活者、給与所得ではないフリーランス、個人事業主、非課税世帯、年収百九十万円超の方は取り残されることになります。

 企業版ふるさと納税の導入に当たり、我が党は、自治体間での事実上の税源移譲となって地方自治の公平性を損ない、自治体と企業の癒着を助長するとして反対しました。実際、関連子会社への寄附金の還流、自治体と企業との癒着の実態が明らかになっています。制度の抜本的な見直しを行わず、省令改正による改善策だけで延長を図ることは認められません。

 現在、日豪部隊間協力円滑化協定によって、オーストラリア国防軍に対して軽油引取税と自動車税環境性能割の免税がされています。その対象国をオーストラリア国防軍から締約国の軍隊に拡大して、省令改正によって対象国を追加できるようにします。米国軍と連携する軍事的同志国への税制面での支援拡大が含まれており、反対であります。

 次に、地方交付税法等改正案についてです。

 本法案は、地方の一般財源総額を昨年度と実質的に同水準にするルールに従ったものであります。物価上昇は税収増にも大きな影響を与え、地方税、地方交付税の増額となっていますが、臨財債の新規発行ゼロを優先させれば必要な一般財源は抑制され、更に物価高騰が地方の各支出経費にも重くのしかかります。地方財政計画では、一般行政経費単独は僅かな増額にとどまるなど、住民福祉の向上を図るという自治体の役割を果たせる額は確保されておらず、反対です。地方の一般財源総額を抑制するやり方は根本から見直すべきです。

 また、本法案には、公共施設等の集約化、複合化を更に後押しするため複数自治体において公共施設を集約する際の除却費用を地方債の起債で可能とする措置や、デジタル実装や自治体DXを進める経費としてシステム導入や情報通信機器等の整備財源に活用する新たな地方債の創設など、政府の国策を推進するために地方財政措置を利用する内容が含まれており、反対です。

 なお、政府予算案の修正合意には社会保障費の四兆円削減など重大な内容が含まれており、反対するものです。この修正合意に伴う自民党、公明党提出の地方交付税法改正案に対する修正案にも反対です。また、立憲民主党、国民民主党の当分の間税率の廃止については賛成であるということを述べて、討論といたします。

竹内委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより採決に入ります。

 初めに、地方税法及び地方税法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山花郁夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、島尻安伊子君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、あかま二郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による持続可能な地方税財政基盤の確立等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。おおたけりえ君。

おおたけ委員 立憲民主党、おおたけりえでございます。

 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    持続可能な地方税財政基盤の確立等に関する件(案)

  地方公共団体が住民生活に必要な行政サービスを持続的かつ安定的に提供していくためには、持続可能な地方税財政基盤の確立が不可欠であること等に鑑み、政府は、次の諸点について措置すべきである。

 一 交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額については、前年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、予見可能性を持って安定的に確保するとともに、社会保障関係費その他の拡大する行政需要を正確に見積もり、実態に合わせた拡充を図ること。併せて、各地方公共団体が、地域の実情に応じた独自の施策を円滑に実施できるよう、地方単独事業の財源の充実を図ること。

 二 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続的な制度の確立を目指すこと。

 三 地方交付税の原資となる税収の見積りに当たっては、特に減額による混乱を回避するため、正確を期すよう、万全の努力を払うこと。また、年度途中に税収の見込額が減額される場合には、地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう、国の責任において十分な補填措置を講ずること。

 四 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、税負担軽減措置等の創設や拡充など減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重に対処するとともに、代替の税源の確保等の措置を講ずること。とりわけ固定資産税は、市町村の基幹税目であることを踏まえ、納税者の税負担にも配慮しつつ安定的税収の確保に努めること。

 五 いわゆる「百三万円の壁」の更なる引上げによる恒久的な減税を行う場合には、地方公共団体の財政運営に影響が生じないよう、国の責任において恒久財源を適切に確保すること。

 六 軽油引取税の「当分の間税率」については、自動車関係諸税全体の見直しの議論と併せて検討を行い、地方公共団体の財政に悪影響を及ぼさないよう、恒久的な財源を確保すること。

 七 ふるさと納税制度に関しては、寄附の募集や返礼品等に係る情報を掲載するポータルサイトの運営事業者に対して地方公共団体が支払う手数料等の募集に要する費用が増加していることに鑑み、制度の趣旨をゆがめる不適切な運用などがないか注視すること。

 八 企業版ふるさと納税については、地域再生計画の認定が取り消される不適切事案が発生したことを踏まえ、制度の趣旨に沿った運用がなされているか注視し、必要に応じて更なる見直しを検討すること。

 九 地方債については、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うこと。

 十 臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう、万全の財源措置を講ずること。

 十一 昨今の金利上昇の影響にも留意しつつ、引き続き、臨時財政対策債の発行抑制や交付税特別会計借入金の残高の着実な縮減に努め、地方財政の健全化を進めること。

 十二 会計年度任用職員を含む地方公務員の人件費については、民間給与の上昇等の動向を踏まえ、その増加に要する財源を確実に措置するとともに、会計年度任用職員の給与改定の遡及等が確実に行われるよう徹底すること。また、専門人材を始め、地方公共団体における人員確保が困難となっている状況を踏まえ、地方公務員の人員確保や専門性向上のために必要な財政措置その他の支援に万全を期すこと。

 十三 公立病院については、物価高騰や人件費の増加等によって経営状況が著しく悪化していることを踏まえ、引き続き、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、十分な財政措置を講ずること。

 十四 物価高騰に伴う地方公共団体の行政経費の増加については、各団体の財政運営に与える影響の把握に努め、必要がある場合には、迅速に追加的な財政措置を講ずること。

 十五 地方公共団体が維持管理する施設・インフラについては、今後とも老朽化に伴う更新需要の増大が見込まれることを踏まえ、更新・老朽化対策に要する経費に関し、確実かつ安定的に財源を確保すること。

 十六 地方公共団体情報システムの標準化については、標準準拠システムへの移行が完了するまでに要する経費を全額国費で支援するとともに、移行完了後の運用経費等についても、その増加分を含め適切に財政措置を講ずること。また、地方公共団体のデジタル人材が不足している現状に鑑み、地方公共団体におけるデジタル人材の確保・育成が計画的に行われるよう必要な支援を行うこと。

 十七 東日本大震災からの復旧・復興事業が着実に実施できるよう、復旧・復興事業が完了するまでの間、震災復興特別交付税を始め、必要な財源を確実に確保すること。また、令和六年能登半島地震の被災地方公共団体に対しては、被災者支援や復旧・復興事業が迅速かつ確実に実施できるよう、必要な人的支援及び十分な財政措置を講ずること。

 十八 近年、自然災害が頻発化・激甚化し、全国各地で住民生活の安全・安心を脅かす甚大な被害が発生していることを踏まえ、地方公共団体において、更なる防災・減災対策に予防保全の視点を含めて取り組むことができるよう、十分な財政措置等を講ずること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹内委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、持続可能な地方税財政基盤の確立等に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村上総務大臣。

村上国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。本日はありがとうございます。

竹内委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五分散会


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