衆議院

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第7号 令和8年4月14日(火曜日)

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令和八年四月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古川  康君

   理事 上杉謙太郎君 理事 鈴木 英敬君

   理事 橘 慶一郎君 理事 福原 淳嗣君

   理事 渡辺 孝一君 理事 田嶋  要君

   理事 岩谷 良平君 理事 許斐亮太郎君

      浅田眞澄美君    伊藤  聡君

      今岡  植君    内山 こう君

      遠藤 寛明君    岡本 康宏君

      神田 潤一君    坂井  学君

      坂本竜太郎君    島尻安伊子君

      島田 智明君    谷  公一君

      中野 英幸君    新田 章文君

      古井 康介君    前川  恵君

      松下 英樹君    向山  淳君

      村上誠一郎君    森原紀代子君

      山田 基靖君    吉田 有理君

      米内 紘正君    神谷  裕君

      中川 宏昌君    平林  晃君

      福重 隆浩君    うるま譲司君

      高見  亮君    高沢 一基君

      青木ひとみ君    武藤かず子君

    …………………………………

   総務大臣         林  芳正君

   総務副大臣        堀内 詔子君

   総務大臣政務官      中野 英幸君

   総務大臣政務官      向山  淳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  三木 文平君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  布施田英生君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       牛山 智弘君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 渡辺 公徳君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局国際統括官補佐官)     飯塚 秋成君

   総務委員会専門員     山本 麻美君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  今岡  植君     島田 智明君

  神田 潤一君     内山 こう君

  谷  公一君     岡本 康宏君

  古井 康介君     坂本竜太郎君

  森原紀代子君     山田 基靖君

  中川 宏昌君     福重 隆浩君

同日

 辞任         補欠選任

  内山 こう君     神田 潤一君

  岡本 康宏君     谷  公一君

  坂本竜太郎君     古井 康介君

  島田 智明君     今岡  植君

  山田 基靖君     森原紀代子君

  福重 隆浩君     中川 宏昌君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣参事官三木文平君外五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福原淳嗣君。

福原委員 おはようございます。自由民主党の福原淳嗣でございます。

 まず何よりも、今回、質疑の機会を賜りましたこと、古川委員長、そして理事の皆さん、そして全ての委員の先生方に感謝を申し上げ、通告に従い質問に入らせていただきます。

 今回、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法、いわゆるJICT法、この質疑ということでまず一番最初に頭の中をよぎったのは、デジタル赤字であります。今、私はiPhoneを持っておりますけれども、こういった製品や財で三兆数千億、アプリケーションを含むサービスも含むと約七兆円もデジタル赤字が出ているというふうに言われています。

 よくテレビでは、情報通信市場は世界的に拡大していっているのに日本の企業の、奪うシェアは全然少ないですとか、そういうふうな、あたかも日本が負け組のような報道がたくさんされているのは皆さん御存じのとおりです。

 でも、私は、実はそうは捉えていません。ちょうど一年前、同じ総務委員会で改正NTT法の質疑をさせていただいたときに、改めて私が思いましたのは、これから日本は世界のICT市場においてゲームチェンジャーになる可能性が圧倒的に高いのだということを認識をいたしました。特に、これからAI社会と言われている中では、高速で、大量に、しかも消費電力が少ない、いわゆるAPN、オール光ネットワーク、そしてそれを、データセンターでつないでいく、これは絶対日本の勝ち筋だと考えています。でも、この形をつくっていったのは、私はやはりJICT、機構のこれまでの取組があればこそと考えています。

 まず、一番最初にお聞きしたいのは、激変し、かつ加速度的に進化をし続ける世界のICT市場あるいは分野においてJICTが果たしてきた役割あるいは実績についてお伺いをしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTは、海外で通信・放送・郵便事業を行う者に対するリスクマネー供給などを通じて、海外における需要を積極的に開拓し、収益性の向上などを図ることで、我が国経済の持続的な成長に寄与することを目的に、約十年前の二〇一五年に設立されました。

 この十年間のJICTの実績は、海底ケーブルやデータセンターなどデジタルインフラを中心に二十八件の支援決定を行っておりまして、二〇二四年度末までの累積投資額は約千百五十九億円、これに誘発された民間投資額は約七千百六十七億円となってございます。

 これらの支援は、今議員が申し上げられました、これから旺盛に増えていく海外需要、これを日本の企業が獲得していくことに着実に貢献し、また民間投資の呼び水としても十分に機能しており、JICTはその目的に照らして適切な役割を果たしてきているものと考えております。

福原委員 布施田局長、ありがとうございました。

 一番重要なのは、海外の需要をこれからも取りに行くという姿勢だと思います。

 そこで、二つ目の質問をさせていただきたいと思います。

 日本成長戦略とJICTとの在り方についてであります。

 私は、日本成長戦略における高市総理の発言の中で、次のこの一言に注目をしています。日本経済のパイを大きくしていくことが重要だ、そのためにも世界をリードする技術あるいはビジネスを創出していくんだ。これは実は、後段聞きますが、地域未来戦略の中での高市総理の発言なんです。

 今回、私の質問は、JICTは海外の展開と言っていますが、実は、いずれAI社会を迎えると、日本の国内の成長と、海外をどうやって捉えていくのか、この情報通信分野、一番重要だと考えています。特に、十七戦略分野のうちにおいてインフラの中のインフラと言われている情報通信分野、改めて、日本成長戦略とJICTの在り方について、向山政務官にその見解をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

向山大臣政務官 お答え申し上げます。

 JICTが支援対象としておりますデジタルインフラは、委員御指摘のとおり、AI社会を支える上で不可欠な基盤でございます。我が国の企業の国際競争力を強化するということが極めて重要であるというふうに考えております。

 総務省では、日本成長戦略会議の方針の下で、官民投資を優先的に支援していくことが必要な製品、技術といたしまして、オール光ネットワーク、海底ケーブル、次世代ワイヤレスの三つを位置づけまして、今後の戦略的投資促進策について検討を進めているところであります。

 JICTには、今後取りまとめる官民投資ロードマップの実行に当たって、我が国の企業の戦略的投資の呼び水として、情報通信分野の海外市場の開拓において一層重要な役割を果たすということを期待しているところであります。

福原委員 向山政務官、ありがとうございました。

 大切なのは、民間の投資を呼び起こす、その呼び水としての政府の投資だというふうに思います。

 その点につきまして、三点目、お聞きしたいと思います。

 日本成長戦略、これは、成長戦略だけでなく危機管理投資だと高市総理ははっきりとうたっています。情報通信分野において危機管理投資といえば、私は、はっきり言えば国産化されたものだというふうに思っています。

 これからAI社会を支えるオール光ネットワークの中で、例えば、関わる特許の件数は日本が一位です。そして、オール光ネットワークの上位サプライチェーンを占めているのも、やはり日本の部品です。ただ、それが下流になってくると海外のものが多い。

 そういう中において、危機管理投資という観点から、今後のJICTの調達の戦略、こういったものは非常に重要になってくるのではないかと考えていますが、この点に関しまして、中長期的な展開も含めて、政府の考え方をお聞かせください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の危機管理投資、また、これに関連しまして経済安全保障の確保、これは最重要課題の一つでございまして、我が国における戦略的な自律性、不可欠性の確保に向けて、デジタルインフラ事業の海外展開支援など、官民一体となって危機管理投資に取り組んでいくことが重要でございます。

 JICTの支援基準におきましても、支援対象事業について、我が国の外交政策及び対外経済政策との調和が取れているものであることを求めておりまして、経済安全保障、危機管理の観点は支援決定に当たっての重要な基準となってございます。

 例えば、日本、シンガポール、インドの間を接続する海底ケーブル事業を支援している案件につきましては、我が国のみならずインド太平洋地域のAI社会を支える基幹的なインフラの構築に寄与しているなど、経済安全保障の面においても貢献してきているところでございます。

 総務省としても、今後も引き続き、JICTによる支援が、官民一体となった危機管理投資の呼び水として機能し、我が国の経済安全保障の確保に大きく貢献していくことを期待しているところでございます。

福原委員 布施田局長、ありがとうございました。

 まさしく、経済安全保障上重要な分野において、連携国とのつながりというのは非常に私は大切になってくるだろうと思います。

 実は、投資先の実績を見ますと、着実にインド、アジア、それをきちんとフォローしている流れだと思います。そして、これから日本の企業が戦略的に市場を取りに行くとすれば、やはり北米市場だと思っています。そうすると、アジアの経済のダイナモを、日本がハブとして北米とつながっていくという考え方は非常に重要だというふうに捉えています。そうした意味でも、是非その方向性で進めていただきたいと思います。

 また、そういうことも含めまして、先ほど向山政務官の中に、これからの投資の対象として、次世代ワイヤレスというような文言がありました。ここが私は非常に重要だと思っております。

 どちらかというと、JICTのこれまでの投資の領域というのは海底ケーブルに、私はそれが大きかったんだろうなと思います。それが、いずれデータセンターというものが来るのは当然なんですが、むしろそれよりも、日本成長戦略や、最後に林大臣にお聞きするんですが、地域未来戦略との関わり合いにおいて、やはり次世代ワイヤレスあるいは非地上系ネットワークのつながりというのを実現することは、非常に日本にとって私は重要だというふうに思います。

 地理空間情報推進議連というのがあります。それから宇宙開発特別委員会というのは自民党の政務調査会にあります。先日、「みちびき」が失敗したんですが、自国だけで測位衛星システムを持っているのは世界中で六つだけだそうです。それが、今の七機から十一機体制になれば、日本はそれが可能になる。そうすると、あらゆる自動運転が行政区分を関係なく展開できると私は教えていただきました。そうすると、このJICTの投資領域、これは広く捉えていく、衛星も含めてと私は捉えておりますが、是非政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 衛星通信システムにつきましては、衛星が地球の上空に展開するため、多くの場合、グローバルなサービス提供が前提となりまして、御指摘のとおり海外展開が重要となります。

 他方で、グローバル市場への展開に当たって多額の投資に踏み切る必要がありまして、また、ユーザー側のニーズ変動による需要リスクも大きく、また、衛星地上局の無線局免許など当該国の政策的リスクもあり、投資回収に確たる見通しを立てにくいなどの課題があると承知してございます。

 まさに官民一体となった危機管理投資が必要な領域でございまして、今後、日本企業による海外展開の促進に向けて、JICTによる支援が呼び水として機能していくことを期待しているところでございます。

福原委員 布施田局長、ありがとうございました。是非、投資領域を広げていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 地域未来戦略とJICTの今後の在り方、関わり合い方についてであります。

 地域未来戦略本部での高市総理の発言の中で私が一番注目しているのは、その趣旨であります。地方が持つ伸び代を生かすんだ、国民の暮らしと安全を守るんだ、そのために地域ごとの産業クラスターを全国各地につくっていくんだ、ここからです、世界をリードする技術、ビジネスをつくっていく、地場産業の付加価値向上と販路開拓の強力な支援などを検討する。

 地域未来戦略は、やはり地域に、戦略クラスター、地域産業クラスター、そして地場産業成長プランと三層になるクラスターをつくっていくものでありますが、ここにある、世界をリードする技術あるいはビジネスの創出、集積をつくっていく、そこは地方から直接世界に打って出るということだと私は確信をしております。

 そうすると、これまでJICTは地方自治体と一緒に投資をしていくというような事業はなかったと思いますが、これから、地域未来戦略が二年、三年と続いていくその先にある、地方から直接世界に打って出る、そういうビジネスモデルやあるいは地方自治体、そういう技術が出てきます。そのときのことも踏まえて、是非これは、林総理大臣の今後のビジョンをお聞かせいただきたいと思います。(発言する者あり)

林国務大臣 総務大臣の林芳正でございます。

 地域未来戦略の推進による強い地域経済の構築、これは大変、委員がおっしゃったように重要な課題でございます。

 地域経済を支える事業者などの稼ぐ力、これを強化するためにその海外展開を支援するということは大変有効な手段であると考えておりまして、JICTでも、地域の企業の海外展開に向けた取組を行っておるわけでございます。

 沖縄県の中小企業を支援した事例がございますほか、例えば地方における投資人材、これを育成するというようなことなどの観点から、地銀から出向者の受入れを通じて地方人材の育成ということもやっております。

 総務省において、昨年十月から十二月まで有識者検討会を開催いたしましたが、ガバナンスが確保された事業者との共同出資、これを前提といたしまして、地方企業、それからスタートアップ企業、中小企業を一層支援すべき、こういう御検討の結果をいただいております。

 この報告書を踏まえまして、JICTには、地方銀行等との一層の連携を図ることを含めて、地域企業の海外展開に積極的に貢献するように促してまいりたいと考えております。

福原委員 林総務大臣、ありがとうございました。是非、地方の伸び代を生かし続けるJICTであってほしいというふうに思います。

 これは私のふるさとの事例なのでありますが、洋上風力発電が商業ベースで、今、日本で一番進んでいます。企業撤退の方もありましたけれども、むしろチーム秋田で頑張ろうという機運があふれています。まだ政府では検討段階のものだとお聞きをしておりますが、いずれ、オール光ネットワークにワット・ビット連携によるデータベースの分散、そこにAI社会を組み合わせていく、それを世界に広げていけることができると私は考えています。そういう意味においても、是非、地域未来戦略、日本成長戦略、あわせて、JICTを位置づけて、引っ張っていただきたいと思います。

 以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 中道改革連合・無所属の田嶋要でございます。

 質問の機会をいただき、私からも御礼申し上げます。ありがとうございます。

 今日はJICT法案に関しての質問でございますが、その前に一点、昨日、神奈川、埼玉、千葉の知事が林総務大臣にお目にかかっておると思います。三回目だということで、報道されておりましたが、私も所信に対する質疑で質問をさせていただきました。

 今の、東京独り勝ちと言っていいのか、偏在の問題は、非常に深刻だと思っております。その後も、役所の方にも、部屋にも来て、お願いをさせていただいておるところですが、改めて、林総務大臣、この問題に対する今後の政府としての取組の覚悟を伺いたい。

 私は、前回も申し上げました、東京都が反発をし、東京都が対立をするような中身の問題ではないと思っています。これは、自治体の間での、分断をし、対立するような問題ではなくて、ひとえに時代の変化のスピードに国の制度の設計が追いついていない、そういう問題だと思いますので、速やかに、法人二税のみならず、固定資産税、来年度以降と書いてありました、与党の大綱にですね、しかし、両方とも本当に時間待ったなしだと思います。改めて、覚悟をお願いしたいと思います。

林国務大臣 御通告はいただいておりませんが、この間の所信の質疑でも、委員からは、千葉県の御選出の議員でもあるということもあって、この御質疑をいただいたところでございます。

 昨日も、まさに同じような御趣旨の御要望をいただきました。まさに東京と境を接しておられる三つの県が、非常にいろいろな意味で、困ったというとちょっと言い過ぎかもしれませんが、いろいろな状況に置かれているということで、これについてしっかり対応する中で、例えば税の偏在是正とかそういうことをしっかりやっていってほしいと。前回来られたときと大宗それほど違った御要望ではなかったわけでございまして、私の方からは、まさに今委員が御指摘いただいたように、これは東京とほかの地方の対立ではなくて、東京も地方も同じように発展をしていくということが望ましい、そのためにもしっかりと偏在是正等の、これは与党で決めていただいてもおりますし、そういうことも含めてしっかりと進めていきたい、こういうようなやり取りをしたところでございます。それに従ってやっていきたいと思います。

田嶋委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃった、私は千葉県の選出の国会議員ですが、千葉県の選出の国会議員だからこういうことを申し上げているんじゃないです。これは国会議員として、どこの選挙区であれ、私がたとえ東京都の国会議員であっても、こういう状況で余りにも住民サービスに大きな差が出ているというのはあってはならないことだと思っておりますので。

 財源の偏在よりも、私が心配しているのは出口ですね、住民に対するサービスに大きな格差があるということですね。もはや千葉県、埼玉県、神奈川県は二流国民か、そんなふうな気持ちになってくるわけでありまして、おかしい、是非真剣に、そして早急に是正をしていただきたいということを、毎回お願いしたいと思いますが、改めてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、法案に入らせていただきます。

 このJICTの法案が成立をして、前回法律が作られまして十年ほどがたったわけでありますので、一番大事なことは、このJICTがなぜ必要かということをとうとうと説明した十年前、どういう国会でのやり取りがあったかということをきちんと振り返って、それができていたのか、できていなかったのか、そのときの大臣等の答弁はどうだったのか、そういうことを検証する責任が立法府にはあると私は思うんですね。そういう意味では、衆議院、参議院の十年前の議論の議事録を全部読ませていただきました。

 そこで、具体的にお伺いをしていきたいと思うんですが、少し時間を考えて、質問順序を逆にしまして、最初にまず機構の在り方、今日は内閣官房さんからも国交省さんからもお越しいただいておりますので、まずは全体としての機構の在り方に関してお伺いをしたいというふうに思っております。

 十年前、当時、総務大臣は誰だったか御存じですよね、林大臣。高市現総理大臣が当時の総務大臣でございました。こういう答弁があります。「既存の官民ファンドとは政策目的や支援の対象分野も異なっております」、これが、この新しいJICTという機構をつくる必要性があるんだという根拠になさっているわけでありますが、私がちょっと分からないのは、政策目的が異なるというのはどういうことなのか。

 政策目的や支援の対象分野が異なる、支援の対象分野が異なっているのは私は理解できます。政策目的が異なるとは、具体的にどういうことでしょうか。

林国務大臣 このJICTは、海外で通信・放送・郵便事業を行う者などに対する支援を通じて、我が国及び海外に共通する需要の拡大を通じまして、我が国事業者の収益性の向上などを図ることを政策目的として設立されております。

 他の官民ファンドの政策目的ですが、例えば、クールジャパン機構、これは、我が国の魅力ある商品などの海外需要の開拓を支援して、需要と供給と両方の拡大を図る。それから、JOINですが、例えば、海外での交通事業及び都市開発事業、これを支援して、我が国の事業者の当該市場への参入促進を図るということなど、それぞれJICTの政策目的とは異なるものと承知をしておるところでございます。

田嶋委員 今のお話を聞いていても、投資をする対象分野、それぞれの役所がそれぞれつくっているわけでありますから、このJICTは総務省の所管に応じた、名前からして、JICTというのは、通信、放送、郵便と、ちゃんと三つ平等に並べて入っているわけですから、この分野に対する投資を行うということで、それは違いますよね。

 しかし、今大臣の御答弁でも、政策目的というのは全て日本の国益のためでありますし、それから、日本の企業の海外進出という言葉、これからの産業を早くキャッチをしていく、それに対してリスクがあるときに国が補完的な役割を果たしていくという意味では、非常に共通的な政策目的もあるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。

 そこで、次の質問をさせていただくんですが、今回この法改正が行われようとしている理由というのは、そもそも最初にJICTをつくったときに二十年というお尻を切っておったからでございますが、その理由は何だったでしょうか。

林国務大臣 創設当時に、JICTの存続期間、これについては、海外における通信・放送・郵便事業、こうしたものが軌道に乗って投資の回収が見込まれる期間、これがおおむね十年から十五年である、こういうことをベースに、既存の官民ファンドの例も参考に二十年としたということでございます。

 この存続期間は、やはり民業補完ということでございますので、今委員もおっしゃっていただいたように、公的資金を呼び水として民間資金を誘発するための時限的な期間という観点で、期限を区切って設けた、こういうことでございます。

田嶋委員 今おっしゃっていただいたとおり、二十年に切った理由というのが、投資の回収が見込める期間がおおむね十年、十五年である、大臣、そういうことですよね。ということは、十年、十五年で投資したものに対するリターンが期待できるということであれば、その前にプロジェクトを仕込んでいく期間というのが数年、五年、かかってくると思うんですね。

 そうすると、それにもかかわらずというか、であるから二十年というふうに、このJICTの機構の存続期間を二十年と定めたということは、今、成立してから十年がたっているわけですね。そもそも、新規案件への出資というのは、どんなに遅くても最初の十年だと。ちょうど今終わる頃ですけれども、最初の十年で新規案件を、やめるという想定だったんじゃないんですか、これは。

林国務大臣 委員が御指摘したとおり、この法律を作った当時においては、先ほど申し上げましたように、投資回収の期間がおおむね十年から十五年ということで二十年といたしましたので、最初の十年間が新規案件への出資を行う主な期間となる、こう想定していたわけでございます。

 他方、昨年十月から有識者検討会を総務省で開催をいたしましたが、このJICTの今後の在り方について検討していただいたんです。JICTは、民業を補完する主体としての意義が大きいということで、引き続き我が国事業者の海外展開支援を推進すべきという報告書が取りまとめられたわけでございます。

 JICTの設置期限の延長については、運用実績や組織の運営状況などを十分に検証した上で判断するということが求められますので、設置から約十年が経過した時点で見直しを行うということは適切なタイミングである、こういうふうに考えております。

 この報告書の中でも、状況が当初想定していたよりも、当初は、十年たって終わって、その後二十年に向けて、民業補完ですから、民業の方がしっかり出てくるだろう、こういう想定をしていたわけですが、委員も御案内のように、まだそういう状況にもなっていないということは一つあるわけでございますし、また、JICTが非常に活躍をしてもらっている、こういうようなこともあり、この見直しを行った、こういうことでございます。

 当初の想定は、今委員がおっしゃったとおりでございます。

田嶋委員 ということは、当初の想定が異なってきた、状況が変わってきたということでございますよね。

 それで、こういうくだりがあるんですが、現在の設置期限が二〇三五年度末であるということで、新たなリスクマネーの供給が困難になりつつあるという政府からの説明をいただきました。具体事例をお願いしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 今般、民間企業よりJICTに対して、投資回収まで十年を超え十五年程度の長期間が見込まれる大規模データセンター事業や宇宙通信事業などへの支援に係る要望が寄せられております。

 他方、これらの案件については、JICTの設置期限まで十年を切った今般、設置期限までの投資回収が見込めず、支援が困難となっているところでございます。

 事例といたしましては、大規模データセンター事業、宇宙通信事業などがあるところでございます。

田嶋委員 お手元の配付資料に一応、いただいた資料をコピーしてつけさせていただきました、二でございますけれども。

 設置期限が新規投資の制約となっている事例ということで、最近増えてきているというか、データセンター事業や、宇宙光通信、サイバーセキュリティー、どれも非常にテーマ的には、これからますます大事になってくるであろう分野ばかりだと思うんですね。

 大臣、私の感想は、これはちょうど林さんと私がワシントンにいた頃なんですけれども、私は国際金融公社、IFCというところで同じような仕事をしていました、いわゆるリスクマネーを投じていく、案件に、途上国で。

 そもそも、何で二十年と切ったのかということが、私は問題だと思っているんですね。だって、これはもう、待ってもらっているんですかね、今。こんな状況で、やがて組織が、あと十年でなくなるような組織とこんな長期のリスクマネーのおつき合いをしてもらうというのは、相手方からすると非常に大きな不確定要素ですよ。

 だから、私の意見は、今回、十年たった頃にこういう話を持ってくるというのは遅過ぎると思っているんです。本来は、やはり遅くとも今から五年ぐらい前に、だって、先ほど言った、十年、十五年かかるわけでしょう、投資のリターン、回収に。その手前に、やはりいろいろな投資案件をデューデリジェンスしたりする時間が必要なわけですよね。

 そう考えてきますと、こんなふうに、危なくなってきた、ひょっとしたら、大事ないい案件なのに投資できないような案件が具体的に四件も顕在化してから法律改正したいというのは、私は順序としてはおかしいと思うんですね。

 本来、今より五年前ぐらいにこのJICTはもっと先に延ばしていかないと、これからニーズが増えるんじゃないか、そういうように考えるべきだったと私は思っておりますけれども、大臣、いかがですか、その点は。

林国務大臣 五年前は、私は外務大臣になる前ぐらいですので、そのときにこの職にいたらどう考えていたかというのはございますけれども、恐らくその当時、今のように宇宙光ですとかデータセンター、当時の電力の需要を考えたときに、まだデータセンターとか半導体とかというのがあるのでやはり電力需要は上がるというような議論は、五年前ぐらいから始まったのかな、こういうふうにも思い返しておりますので、これは、十年たって、今から新規案件の投資はもうなくなるだろうと思っていたこのタイミングで延長させていただくことによって、こうした新しい、今委員が資料でつけていただいたような案件にもしっかりと対応できるように改正をお願いしている、こういうことだと思います。

田嶋委員 後ほどやりますけれども、私は、また十年後にもう一回延長してくれという話を、林大臣ではないと思いますが、やるのではなくて、今回を限りとして、例えば、これから三年以内にオープンエンドにする、つまり、期限を設けない組織に切り替えるべきだということを今日この場で提案をしたいと思っています。後ほどそれに触れたいと思います。

 内閣官房にお尋ねします。

 官民ファンドというのはたくさんあるようでございますが、今、日本には幾つあるのか、ファンドを持たない、持っていない、一つも持っていない役所はどこか、全体としての累積損失は幾らあるのか、御答弁いただきたいと思います。また、日本企業の海外展開を支援する、今回のこのJICTのような、そういう機構は幾つあるのか、どこの所管の機構なのか、そして、その部分集合ですね、それらの累積損失は幾らあるのか。

 五つまとめてお願いします。

三木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、官民ファンドの数でございますけれども、官民ファンド、成長戦略などの政策目的の実現のため、民間投融資を誘発するようリスクマネーを供給し、民間主導の経済成長の実現を目的とするものでありますが、こうしたファンドを関係閣僚会議における検証の対象としており、その数は、令和七年三月末時点で十五となっております。

 また、官民ファンドを監督している官庁を申し上げますと、内閣府、金融庁、総務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省でありまして、それ以外の官庁が官民ファンドを所管していないということになります。

 続きまして、官民ファンド全体の累積損失ということでございますけれども、全体で見ると黒字となっておりまして、令和七年三月末時点で七千百二十三億円の累積黒字となっております。

 また、次に、海外展開に関する支援ということでございますけれども、主に海外展開に関する支援を行っている官民ファンドは、総務省所管の海外通信・放送・郵便事業支援機構、また、国土交通省所管の海外交通・都市開発事業支援機構、経済産業省所管の海外需要開拓支援機構と認識しております。

 これら三つのファンドの累積損失の合計ですけれども、令和七年三月末時点で千四百二十四億円の、こちらは累積損失となっております。

田嶋委員 順番に、役所ごとに新しいファンドがつくられた歴史がございますけれども、それ全体を横串で統括されているのが今御答弁いただいた内閣官房、そういう理解でございます。

 その内閣官房に更にお尋ねするのですが、省庁の官民ファンド、今十五ですかね、それぞれが別個の組織として存在し続ける必然性というのはあるのかということをお尋ねしたいと思います。

三木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたとおり、官民ファンドは、それぞれの政策目的に応じてそれぞれの法律に基づき設立されたものであります。支援の対象分野もそれぞれ異なっておりまして、それぞれの専門性に基づき、投資分野に即した目利き能力を発揮することが優良案件の発掘、組成のために効率的にもなるものと考えております。

田嶋委員 聞いていることを答えてほしいのですけれども、別個の組織として存在し続ける必然性はあるのかという質問です。

三木政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの法律に基づき設立されておりまして、支援対象の分野も異なりますから、それぞれの専門性を発揮していただくということが効率的になるものですから、そのため、別個の組織として存在する理由になると考えております。

田嶋委員 大臣、笑っていますけれども。

 資料三を御覧いただきたいと思います。

 これは十年前に、設立をするような議論のときに、やはり引き合いに出されたのが、JICAと、それからJBIC。この組織図は、JBIC、国際協力銀行の組織図でございますけれども、JBICは、言うまでもなく、エクイティーもあるんですが、主力は貸付けの方ですね。したがって、十年前にこの機構をつくるときに、何が違うんだ、重なっているんじゃないかという議論の中で、JICAは人材育成とかに対して、JBICは主に銀行と同じような貸付けがメインだ、こちらの新しいファンドはリスクマネーの供給だ、補完的なリスクマネーの供給だ、そういう説明であったわけでありますが、協力関係を密にしていきますという、そんな御答弁がなされておりました。

 今の御答弁からして、JBICというのは、これを御覧いただくと、あらゆる産業分野に、当然所管をしているわけでございまして、組織図を見ていただければ、この中に恐らくこの機構のような役割、つまり、通信や放送や郵便なども含まれるでしょうし、それから、国土交通所管のいろいろな海外インフラも、ここの真ん中からちょっと下のところに、インフラ・環境ファイナンス部門、産業ファイナンス部門、資源ファイナンス部門、様々ありますね、もう全部包括しているわけでございます。

 私は、こっちの方が自然な組織の在り方ではないのかなというふうに感じるわけでございますが、林大臣、総務省の機構としてはこれしかないわけです、これしかない。これは非常に大切にしたい気持ちもよく理解できるんですけれども、私は、それぞれの役所が立ち上げたことはよかったと、否定はしませんけれども、今、ちょっと見直しをするタイミングなのではないのかなというふうに感じるわけでございます。

 それで、もう少し話を聞いていていただきたいのですが、国土交通省さんも今日来ていただいていますので、JOIN、これは海外交通・都市開発事業支援機構、こういう長い名前でございます。今内閣官房から御説明いただいたとおり、JICTと同じように海外投資をやるという意味で共通性のある機構でございますが、これはJICTができるよりも一年か二年前にできたというふうに理解しております。

 このJOINに関してはどういう存続期間、先ほど、JICTは二十年ということでありますが、このJOINはどういう存続期間で、どういう見直し規定になっているのか、それを御説明いただきたいと思います。

飯塚政府参考人 海外交通・都市開発事業支援機構、JOINは、法律上、業務を完了したときには解散することとされていますが、あらかじめ具体的な存続の期限は設定されておりません。

 これは、JOINが二十年あるいは三十年以上にわたる長期のプロジェクトを対象とすること、その期間を通じ、相手国政府の信頼も確保しつつ、出資、事業参画を継続的に行うことを踏まえたものです。このため、存続の期限に代わる措置として、五年ごとに、機構の組織及び業務の在り方など法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされています。

 なお、令和六年にJOINの在り方等について検証、検討を行った有識者委員会では、JOINが存続期限を設定すべきかについても議論を行いました。JOINの支援対象となる海外インフラ事業は事業期間が長期にわたるものが多い状況に鑑み、引き続き法制度上はJOINの存続期限を設けず、五年ごとの見直しを実施することが適当であるとの結論に至っております。

田嶋委員 このJOINとの比較も、実は、JICTが誕生する十年前の国会議論で引き合いに出されておりまして、そのときも、今のような理由でJOINの方は出口が設けられていないということで、五年単位の見直し。

 私は、今回、十年の延長に際しまして、今回私はそれに反対するものではありませんが、しかし、JOINのようなやり方の方がいいのではないかというふうに感じております。

 なぜならば、先ほど大臣が、これはあくまで補完的な役割ですから役割を終えたら消えていくべきだと、それはそのとおりで、それは今のJOINの説明もそうですよね、そういうふうに書いてあるわけです。しかし、では、大臣、一体誰にとっての補完的か。

 例えば、JICTの今の投資のパートナーを見ますと、NTT、三菱商事、あるいは日本電気、そういうところが海外に出ていく、あるいは、アメリカのデータセンターのみならず、インドのデータセンター、リスクが高いだろう、そういうときには、そういうところと一緒にエクイティーを入れるのは最初で最後かもしれない、インドに関しては二回もやっているようでございますが。しかし、応援するのは別に一部上場企業ばかりではないわけでありまして、そうした企業以外の企業が後に続いて海外に出ていくこともやはり応援するわけですよね。

 それから、データセンターのように十年前は想定していなかったビジネスモデルがその途中で出てきて、今、十数件のうち、四件か何かがデータセンターなわけですよね。そんな十年や二十年で役割は終わらないというのが私の立場なんですね。

 先ほど申しました、二十年でおしまいにするとか、そもそも私は間違っていたと思うんですが、今回、十年延ばしてくれ、それも結構ですよ。しかし、私としては、今後三年間でもう一度法律改正して、JOINのようなオープンエンドにして、五年ごとの見直し体制にした方が、今後の、特に情報通信のような極めていろいろな可能性がこれから人工知能も含めて広がってくる世界に唯一リスクを取ってお金を出している、そういう組織でありますから、私は、先ほどの自民党の先生の御意見と立場は一緒ですけれども、非常に役割は大きいと思うんですよね。

 したがって、今回のような、遅ればせに十年延長しろ、そういう中身では駄目で、これから三年以内に、期限を設けない法改正をもう一度、もちろんそれはしっかりとリスクコントロールして、それがたがを緩めることになってはいけませんよ、しかし、これから三年間で、オープンエンド、五年ごとの見直しあるいは三年ごとの見直し、そういう仕組みに切り替えていった方がいいと思いますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 実は、JOINの有識者会議を立ち上げて、内閣官房で横串を刺していく中で、特にJOINについてはしっかり見直せと言った時の官房長官、これは私でございまして、今ちょっと説明がありましたように、ほかのところと比べても、実はJOIN、非常に累積の赤字が増えておりまして、もう全体の、JOINの赤字が物すごく大きな比率を占めている、こういう状況でありましたので、細かくヒアリングをしまして、やはりこれは何でこういうふうになっているんだということもしっかりやりながらというようなことで、有識者会議を立ち上げていただいて、こういう結果になったということがあります。

 また、政策金融、先ほどJBICの例も出していただきましたが、このJBICを含めた政策金融の見直しを小泉内閣でやったときの党側の事務局長もやっておりましたので、確かに委員がおっしゃるように、融資の方が投資よりは、政策金融ですから、多いわけですが、そういうところの議論もあるわけでございまして、今まさにおっしゃったように、期限を切って、サンセットですね、延ばしていくということと、それからローリングで考えていくというのは、両論当然あり得るのだろうというふうに思っております、実際JOINはそうなっておりますので。

 今回こういう御提案を、有識者会議の報告書もあって差し上げておりますが、今後どうするかということは、民間金融の状況ですとか我が国の経済、国際情勢を踏まえなきゃなりませんし、先ほど申し上げたように、仮に今JICTがやっているような機能を果たす民間のファンドみたいなものが育ってくれば、まさにこれは民業補完という立場からそろそろ卒業かということもありますが、逆に言うと、今委員がおっしゃったように、新しいものがどんどんどんどん次から出ていくということと、そういう分野が、例えば相手国政府の認可に係らしめる必要があるとか、そういう公的な部分でいろいろなものが必要だ、いろいろな状況が考えられますので、しっかり検討してまいりたいと考えております。

田嶋委員 この分野の大きなウェーブはこれから来ると私は確信しておりますので、是非、そんな十年や二十年なんて短い期間のことを考えずに、半永久的にやってほしいと私は提案をしておきたいというふうに思っております。

 そこで、赤字が大きい、そのとおりです。JOINはJICTの今の赤字の十倍ぐらいあるそうですね。特にアメリカのテキサス案件で大赤字ということで、相手は、パートナーはJR西だったそうでございますが。そもそも、話を昨日聞きましたが、もう最初から失敗する運命にあるような制度設計になっていたと私は思いますよ、はっきり言って。稚拙です。そういうことで、だんだんレベルも上がって、JICTも最初の四件は失敗した、だけれども、その後はそういうケースはないということで、両方ともだんだんよくなってくると信じたいですが。

 そこで、私はもう一個提案したいのは、オーバーヘッドがそれぞれかかっているんですね。先ほど申し上げたJBICは社員数七百四十人ですよ。JICTは三十一人、国交省のJOINは五十七人か六十人ぐらいですよ。そんな小さいのをそれぞれ丸の内や内幸町につくっているんですよ。それでそれぞれにオーバーヘッドがかかっているんですから、それはヘビーですよ。

 だから、せめていろいろな産業分野を全部まとめて、今、組織図をお見せしたこのJBICと一緒です。こういうふうにして一つの大きな組織にしていくという方向性を取らないと、赤字が続くと思いますね。

 その提案で一つ申し上げたいのは、類似のインフラを担っているということで、こっちは十年、十五年という言葉があり、そちらは二十年、三十年、どっちも長いですよね。どっちも長いところ同士まとめてもらって、類似のJOINとJICTの機構の一元化、そのことを是非大臣、総務大臣には、よく分かっていらっしゃる大臣として率先して検討を始められたらどうなのかなというふうに思っているんですが、その前に、内閣官房からも御答弁いただきたいと思います。

三木政府参考人 お答え申し上げます。

 官民ファンドは、それぞれの政策目的に応じてそれぞれの法律に基づき設立されておりますので、まずは、それぞれの所管省庁において適切な監督を行い、効率的、効果的な運営を図っていくべきものと思っております。

 ただ、その上で、委員御指摘のとおり、JOINやJICTも含めて官民ファンドの中には現在累積損失を計上しているものがございます。こうしたものは将来的に累積損失が解消されることが必要と考えております。

 そのために、各ファンド及び監督官庁が、累積損失解消のための数値目標、計画を策定、公表して、その進捗状況を毎年度検証する。改善が見られない場合は、組織の在り方を含め抜本的な見直しを行い、見直しによる成果が上がらないときには、ほかの機関との統合又は廃止を前提に具体的な道筋を検討することとしております。

 こうした方針に沿って、官民ファンドの経営改善を図っていきたいと考えております。

田嶋委員 何かペナルティーみたいに、成果が上がらなかったら合併だと言うから合併が後ろ向きなことに聞こえるんですよ、内閣官房さん。

 そうじゃなくて、私は攻めの気持ちのために、累積赤字は関係ない、累積赤字があるから合併しろなんて私は言っていませんから。そうじゃなくて、同じ長期インフラで、海外に日本の企業、一流、上場企業だけじゃないですよ、これから中小企業も応援していくようなことを考えたらどうですか。そういうことを考えたときに、ちょっと腰を据えて、そして、オーバーヘッドは、半分とは言わないけれども、多分七割ぐらいになるんじゃないですか、二つくっつけることで。

 私は、できれば、先ほど出た経産省のやつも含めて、更に広げていってもいいと思いますよ。最終的には日本のリスクマネーを扱うJBIC、JBIC2というふうにしてもいいと思います。

 最後に、資料四番を見てください。

 上がJICTで下がJOIN、国交省のJOINですよ、やっていることは一緒なんですから。フローチャート、私がやっていた仕事と一緒ですよ。新規案件をこうやってやるんですよ、デューデリジェンスして。当たり前です、そんなことは。国際金融機関だって同じことをやっているんです。JOINもJICTもやっていることは一緒。ひょっとしたら、ファイナンスの方だって余り変わらないですよ、あるところまでは。リスクマネーか返済を前提にしたファイナンスかということの違いぐらいですよね。

 だから、これは当たり前のことを申し上げているので、私は、赤字が大きいから一緒にしようという、後ろ向きの今の内閣官房の意見ではないんです。そうじゃなくて、攻めの気持ちを持って、もっとオーバーヘッドを軽くして、まずは最初の一歩としてJOINとくっつくことを考えたらどうなんだということを。

 そして最後に、時間がなくなりました、もう一つくっつけますけれども、大臣、最後、林大臣。

 二十八年度に大型投資案件の回収が見込まれるということで、これから累損が消えていくんですね、JICTは。そうすると、かなりな税金が、今、内幸町に本社ですから、東京都に税金が落ちることになります。私は、JICTとJOINを統合して、東京都の丸の内と内幸町から引っ越しをして、千葉と言うとちょっと問題がありますから、埼玉でもいいですよ。東京の外に引っ越すと、法人二税がそっちに落ちるんですよ。だから、一石三鳥じゃないですか。いいアイデアだと思いませんか、本当に。

 これは本筋の質問じゃないんですけれども、この間から、さっき、冒頭言った話と続くんですが、ここからでも、まず隗より始めよで、総務省所管のこの組織ぐらい、何で内幸町にいなきゃいけないの。いる理由が全く分からない。しかも赤字を抱えている。JOINとくっついて、埼玉県か神奈川県に引っ越してくださいよ。千葉でもいいけれども。

 ということを提案したいと思うんですが、総務大臣、いかがですか。

林国務大臣 特に前段の部分は、興味深い御提案だと思ってお聞かせいただきました。

 先ほど、政府系金融機関の見直しのときにちょっと携わったお話をしましたが、あのとき小泉総理が最初におっしゃっていたのは、全ての政府系金融機関を一つにしろ、こういうことでございました。さすがに、中小企業金融公庫とか、当時国民生活金融公庫というのがありましたけれども、これとJBICを一緒にしてもなという思いがあって、いろいろ検討の結果、大まかに言って三つぐらいかなというふうになりましたので。

 まさに委員がおっしゃっているように、これとこれを一つにしろ、その方がオーバーヘッドは下がるよね、これも当然そうですし、逆に目利きの部分で、どれぐらいその専門性が、それぞれ集積した方がいいのかと。やはり、海外インフラとこれから出てくるICTの分野では集積度が違ってきて、一緒にすると薄まるというところも両方あるので、これはトレードオフだ、こういうふうに思っております。

 やはり、そういうことをその分野で蓄積していくということがキーだと思いますので、リスクマネーを扱うということであれば、そういう考え方が基本的になければいけないと思っておりますが、先ほど答弁があったように、経済・財政新生計画進捗管理・点検・評価表、これに基づいて、官民ファンド統廃合に係る枠組みというのがございます。これも私が官房長官のときに、やはり余り、先ほど言っていただいたような、赤字がずっと続いて、それはファンドですから、エクイティーなので最初は当然出すわけですけれども、どこかでちゃんと収支が償って、収益が出てくるというところがないといけないわけですので、そういうことを検討した結果、そういう枠組みはつくりましたけれども。

 まさに委員がおっしゃったように、赤字だから一緒にしてではなくて、国として、エクイティーマネーをどうやって有効に、きちっとした目利きに基づいてやっていくか、これが大事なポイントでございますので、基本的にはそういう考え方で進めていきたいと考えております。

古川委員長 簡潔に願います。

田嶋委員 今のは、じゃ、検討していただけるということでいいですか。

 あと、数字ですね。どのぐらいの地方二税が、今の案件から将来的に、先ほど、大型案件の投資回収が見込まれるという話がありますね。その数字を政府からも言っていただければありがたいんですが、JICTね。

 それで、大臣からは、要するに、この二つの統合を私は提案しているんです。統合して、東京都から外に移すということを提案しているんです。そのことに関する御答弁をいただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTが東京都に納める地方税ということでございますが、JICTがこれまでに投資した案件について、投資回収が行われた場合を想定して、二〇二六年度から二〇三五年度までの十年度、十年間でJICTが東京都に対して地方税を支払う額についてJICTで大まかに試算しましたところ、おおよそ八十億円程度を支払う見込みとなってございます。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、経済・財政新生計画進捗管理・点検・評価表、これに基づいて官民ファンドの統廃合に係る枠組みがあると申し上げましたが、ここには、改善計画と実績に乖離が認められる場合には、速やかに組織の在り方を含め抜本的な見直しを行う、こうなっていまして、この見直しによる成果が上がらないときには、他の機関との統合又は廃止を前提に具体的な道筋を検討することとされている。今ある政府全体の枠組みはこういうことでございますので、それを踏まえながら検討することが必要だ、そういうふうに申し上げたところでございます。

田嶋委員 時間が来ました。

 是非、税金八十億という話ですが、今の投資からだけのリターンだからね。だから、これから十年延長して更に百件の案件をやったら、東京都に数百億の税収なんです。それを、大臣、是非、埼玉か神奈川か千葉か、移してくださいよ。まず総務省の所管からやるというのが、姿勢として示してほしいですよ。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 中道改革連合の中川宏昌でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、感謝を申し上げます。

 今回の改正案は、JICTの設置期限を現在の二〇三五年度末から十年間延長するものであります。

 デジタルインフラ事業、とりわけ光海底ケーブルの敷設やデータセンターの整備は、調査設計から建設、そして実際の運用開始を経て投資資金を回収するまでに十年、あるいはそれ以上の極めて長いスパンを要する息の長い事業であります。現在の設置期限が十年を切る中で、このままでは新規案件の組成自体が法的な制約で困難になりまして、日本企業の海外展開の芽を摘みかねないという事実上の課題はよく理解をしているところであります。

 しかし、一方で、このJICTの原資は産業投資、すなわち国民の貴重な財産でありまして、十年の期間延長をするに当たりまして、これまでの歩みを単に追認するものではなくて、過去の経験から何を学んで、そしてそれをいかに今後のガバナンス強化につなげていくか、これを明らかにしていくことが非常に大事だというふうに思っております。

 JICTが将来にわたりまして真に国益を資する成果を上げていけるのか、そのような視点から質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、JICTが設立初期に直面した経営課題についてお伺いをしたいと思います。

 JICTは、設立から約十年を迎えて、二〇二五年三月末時点で累計二十二件の支援を決定しておりますけれども、それらの歩みは決して平たんなものではありませんでした。特に、設立初期の三年間に決定をされました初期四案件、これがあるわけでございますけれども、これは合計約八十一億円もの損失を計上しているところであります。具体的には、MVNO事業、ミャンマーの放送事業、そして二件の海底ケーブル事業であります。

 例えば、MVNO事業案件では、スタートアップ投資の経験が不足する中で、パートナー企業からの情報を過度に重視して事業計画の実効性を自ら厳格に検証することを怠った結果、支援決定から僅か一年足らずで対象事業者が民事再生を申請するという、こういった事態を招きました。

 また、海底ケーブル事業におきましても、資金効率を優先しまして、負債比率を高め過ぎた脆弱な財務スキームによりまして、コロナ禍による販売不振の影響を増幅させまして、事業譲渡に至る大きな要因となったところであります。

 まずお尋ねしたいと思いますけれども、これらの初期案件における大きな痛手、JICTは、これをどのように総括をしまして、具体的にどのような、組織的、また制度的な改善を行ってきたのでしょうか。過去の反省が単なる精神論に終わらず、現在のガバナンスにどう仕組みとして定着させているのか、この点についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、JICTにおいては、設立後最初の三年間で支援決定いたしました四つの案件について損失を計上いたしました。

 JICTは、これらの損失計上案件に係る主な教訓といたしまして、地政学リスクに係るより深い分析の必要性、投資審査に係る多角的な確認の必要性、特に海底ケーブル事業におけるリスク耐性の高い投資スキームの必要性などが挙げられております。

 その後、JICTにおきましてはこれらの教訓を生かしまして、地政学リスクに関する情報収集、分析体制の強化、投資に係る意思決定を行う委員会について、社外取締役を中心とする委員構成への変更、その後の海底ケーブル事業における、民間投資を含む事業全体での出資比率の高い、耐性の強い投資スキームの採用など、投資リスク管理に継続的に取り組んでございます。その取組も定着いたしまして、令和五年度以降は二年連続で単年度黒字を計上するなど、損益の改善が進捗しているところでございます。

中川(宏)委員 今、体制、ガバナンス強化をされてきたということでございますが、ここで一つ確認をさせていただきたいんですけれども、様々刷新をしてきたわけでございますけれども、客観的な立場から、案件を却下したり、また厳しい条件変更、これを求めたりした具体的な実績があったかどうかということをお伺いしたいと思いますが、ありますでしょうか。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 現在のところ、申請をされて、認可申請をJICTや総務省が受け、それを却下した案件というものはなかったように記憶してございます。

中川(宏)委員 いろいろ対応してきたということでありますけれども、先ほど田嶋委員からもありましたけれども、現在のJICTの体制は三十人規模と伺っているところですけれども、やはり、案件の大型化ですとか、また多様化が進む中で、現在の体制で今後十年、しっかり本当に担い切れるのかというところが非常に懸念があるところであります。

 特定の企業、また行政の意向に引きずられることなく、先ほども私申し上げましたけれども、駄目なものについてはしっかりノーと言える、そういった体制、それから、単なる十年という延長ではなくて、今、体制を強化した中で、より今後も、今までの経験を基にして体制を強化していただきたい、このようにお願いをするところでございます。

 次に、先ほどの御答弁にもありましたけれども、地政学リスクの予見についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 初期案件の一つ、香港―グアム間の海底ケーブル事業がありましたけれども、米中対立の激化という投資時点で想定し切れなかった後発事象によりまして、米当局の許認可が得られず、結果的に事業停止、支援撤回、これを余儀なくされたところであります。

 また、ミャンマーの放送事業もありましたけれども、民主化支援という大きな政策目標を掲げておりましたが、突如発生したクーデターによりまして、その意義を断絶させられたところであります。

 今や通信インフラは、単なる経済基盤ではなくて、国家の安全保障に直結する戦略資産であります。それゆえに、地政学上のリスクは十年前とは比較にならないほど増大しているのが現状ではないかというふうに思っております。

 JICTは、現在、こうしたリスクをいかに定量化、また評価をして、投資判断に組み込んでいるのかという点であります。二〇二五年に招聘をされましたマクロ経済、地政学の専門家顧問ですとか、また情報通信研究機構の技術アドバイザーの知見、こういったものを具体的にどのように投資の現場へ反映させているのか、この点につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTにおきましては、委員御指摘のマクロ経済、地政学分野の専門家を顧問といたしまして招聘するなどの取組を通じて、地政学リスクに関する情報の収集、分析体制の強化を行ってございます。

 具体的には、地政学の専門家顧問が、JICTの投資に係る意思決定を行う委員会に参加いたしまして、その顧問から提供される外国政府の動向、またマクロ経済情勢の分析、これらを踏まえまして、当該委員会における投資判断の材料として活用しているところでございます。

 また、技術的な知見につきましても、国立研究開発法人情報通信研究機構の技術アドバイザーがJICTの全社員会議に週次で参加しておりまして、投資案件に係る技術関連情報が提供されるなど、定期的な勉強会を通じまして、投資判断の前提となる技術的理解の向上が図られていると認識しているところでございます。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 こういった専門家の知見を、カントリーリスクを可視化したヒートマップの作成ですとか、また、投資案件ごとのリスクエクスポージャーの算定に是非とも活用していただいて、多角的なモニタリングを是非実施していただきたいなというふうに思っております。

 その上で、情報の収集以上に重要なことは、私は、リスクが顕在した際にどう見切りもつけていくか、こういったことも大事な視点かというふうに思っております。

 ミャンマーのような事態が起きた際に、ずるずると支援を継続して損失させないための具体的な損切りの判断基準、こういったことも非常に大事じゃないかというふうに思っておりますので、今後の検討材料にしていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、クールジャパン機構等の失敗事例からの学びについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 官民ファンド全体の在り方は、現在、厳しい視線が注がれております。会計検査院の報告でも、一部のファンドで累積損失が拡大をして、ガバナンスの改善が必要だと指摘をされております。

 特に経済産業省所管のクールジャパン構想でありますが、度重なる投資計画の未達に直面をしまして、累計損失が三百八十億円規模まで膨らみまして、組織の廃止や統合すら検討されている存亡の機に立たされております。そしてまた、国交省所管のJOINも、テキサス高速鉄道事業やミャンマーの不動産開発等で巨額の損失を計上しているところであります。

 これらの背景には、民間企業のコミットメント不足ですとか、また、官民ファンド側が過大なリスクを丸抱えしてしまった構造的欠陥が指摘をされているところであります。

 JICTとして、これらの他山の石とも言うべきほかのファンドの失敗の本質をどのように分析をして、自らの規律に反映させているのかというところであります。呼び水としての役割に徹するため、民業補完の原則を、今後十年どのように守り抜いていくのか、この点につきましては大臣の見解をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 昨年の一月に、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議、第十六回目を開催しております。そのとき、官房長官から、これは先ほど申し上げたように私なんですが、官房長官から、総務大臣を含む関係大臣に対し、JOINの事例も参考にして、各官民ファンドのリスク管理等の取組が強化されるよう適切に監督することについて指示が行われたところでございます。

 この官房長官からの指示も踏まえまして、JICTでは、昨年四月に、先ほど申し上げましたように、地政学分野の顧問を招聘して、いわゆるカントリーリスクの管理体制を強化したほか、総務省で昨年十月から有識者検討会を開催して、JOINにおいて改善することとされましたリスク管理ですとか情報開示、それから組織体制、今委員からも御指摘がありましたけれども、そうした観点を含んだ更なるガバナンス強化策等について、この十二月に取りまとめをしていただいたということでございます。

 この取りまとめを踏まえた対応、これがJICTの経営に着実に反映されるように、定期的な対応状況を聴取をして、引き続き進捗を確認していきたいと思っております。

 委員から民業補完の原則というのがございましたが、これは極めて重要でございますので、JICTの支援基準においても、民業補完に徹すること、こう定めておるところでございまして、投資案件の支援決定時の認可の際に、同支援基準に基づいて、民業補完の観点から、JICTが事業者との間で原則として最大出資者にならない、これを審査しておりまして、こうした対応を通じまして、民業補完の原則が着実に守られているか、適切に監督を行っておりますし、これからも行ってまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 大臣、ありがとうございました。

 私、その上で大事だと思っていることが、単年度黒字の多くはインフラ事業からの配当収入などに支えられております。そして、官民ファンドの真価が問われるのはそこではなくて、数百億円規模を投じた案件の投資元本の確実な回収ができたかどうか、これが大事だというふうに思っております。

 そういった視点で見ますと、このクールジャパン構想、また、JOINのように、過大なリスクを丸抱えして、挙げ句に出口戦略を描けず組織の存廃等を問われる事態、これは絶対に避けていかなくてはいけないというふうに思っております。呼び水が民間のリスクの肩代わりに変質しないように、総務省には是非、投資決定後の厳格なお目付役として、しっかり監督責任を果たしていただきたいということを強く求めておきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、このJICTの支援実績を詳細に見てみますと、その大半は大手事業者との共同出資でありまして、地方企業、またスタートアップへの波及効果、これは依然として不十分ではないかというふうに思っております。

 二〇二二年の基準改正によりまして、ICTサービスですとかLP出資、これが追加をされたところでありますけれども、いまだに、地方、また中小が入り込む余地がないという声が聞かれているところであります。

 今日、質疑の中でもありましたけれども、現在、地方銀行からの出向者を受け入れて地域人材を育成している、このようにもお聞きをしているところでございますけれども、実際に研修を終えた皆さんが地域に戻って、そして、地方企業の海外展開案件を具体的にJICTの案件として動かした実績はあるのかということをお伺いするとともに、また、スタートアップ支援につきましても、単にファンドにお金を預けるということではなくて、日本のとがった技術、これはたくさんあるわけでございますけれども、それを世界につなげるJICTならではの専門性をどう発揮していくのかという点について、以上をお尋ねしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTにおきましては、地方における投資人材の育成などの観点から、二〇二二年度より地方銀行からの出向者を受け入れております。海外展開に係る投資業務の経験を積み、既に出向元に帰任した地方人材も出てきているところでございます。

 これまでのところ、育成した地方人材を通じましてJICTによる支援にまで至った案件はございませんが、当該人材は出向元の地方銀行におきまして、国際業務担当として、地方企業の海外展開などの支援をされていると承知しているところでございます。

 また、スタートアップの企業の支援についてでございますが、JICTによるファンドへのLP出資を通じまして、スタートアップ企業などとの人的関係が深まりまして、ネットワークの構築が進んでございまして、その成果といたしまして、気候変動に関連してCO2を正確に排出管理する高度な、いわゆるとがった技術を活用した我が国のスタートアップ企業の海外展開支援、JICTが支援をするというのにつながった事例も出てきているところでございます。

 この事例におきましては、JICTがこれまで培った海外でのMアンドAに係る専門性も生かしまして、このスタートアップ企業にとっては初めてとなるMアンドAを通じた海外展開支援まで至ったところでございます。

 総務省といたしましては、JICTにおいて地方企業やスタートアップ企業の海外展開に係る一層の取組が行われますよう、JICTと適切に連携しながら対応してまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 今のところ実績はないということでございますが、それぞれ地方銀行から出向してきた方が、地元の金融業界におきまして、様々な地元での海外展開について、これまでの勉強してきた知見を持って生かしていくという点、これは私、いいことだというふうに思っております。

 そうした中で、大手とのつき合いだけではなくて、地方の優れた技術、たくさんあります。これを、JICTという橋渡しを得て世界に羽ばたいていくという、そんな顔の見える成功事例といいますかね、そういったものを今後の十年の延長の中で是非一つでも多く積み上げていただきたいなというのが、やはり地方を元気にしていく大きな要素の一つかと思いますので、その点もよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、支援分野のバランスについてお伺いをさせていただきます。

 JICTの本来の設置目的は、通信、放送、郵便、この三分野でありますけれども、現在の実態を見てみますと、郵便分野の実績はなく、放送分野は、初期のミャンマー案件から撤退して以来、実質的に途絶えている状況であるかと思っております。これは、機構の名前を改名した方がいいんじゃないかというような感じもしますけれども、放送、郵便の案件が組成されない本当の原因をどう分析しているかということであります。

 日本の質の高い郵便、物流システム、また放送コンテンツのノウハウは、アジア等の新興国で大きな需要があるはずだと思料されるところでありますけれども、今後、これらの分野をどのように掘り起こして、特定の分野に偏ることなく、法の名に冠された通信、放送、郵便、この三本柱全てにおいて、本来の設立目的をいかに具現化していくのか、具体的な今後の戦略をお伺いさせていただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTによる支援決定案件の投資分野別の内訳でございますが、二〇二五年度末時点で、通信分野が二十七件、放送分野が一件、郵便分野がゼロ件となってございます。

 放送、郵便分野は、通信分野と比較いたしまして、やはり参入障壁の高い国が多いこと、また、市場の成長性に劣ることなど、十分な案件形成ができていないと認識しております。

 他方、委員の御指摘のとおり、我が国は、魅力的な放送コンテンツ、また質の高い郵便システムを有しております。これらの海外展開を推進していくことは、JICTの設立目的であります我が国経済の持続的な成長に寄与するものと考えてございます。

 JICTにおきましては、放送、郵便関係企業とも議論を重ねていると聞いてございまして、今後、これまでに培ってきた組織的、人的ネットワークなども生かしまして、放送、郵便分野における案件形成を加速させていくことを期待しているところでございます。

 郵政省といたしまして、在外公館と連携した各国のニーズに関する情報収集なども通じまして、JICTによる放送、郵便分野の案件形成を後押ししてまいりたいと考えてございます。

中川(宏)委員 通信は民間が強いというふうに思っております。放送、郵便というのは、公共性が高くて、より官民ファンドの政府の看板が必要な領域かもしれないと思っております。今回のこの改正を機に、改めて、名称に掲げたこの三分野につきまして、案件が是非充実するように、攻めの姿勢を貫いていただきたいというふうに思っております。

 次に、現在のJICTの投資ポートフォリオの隔たりについてお伺いをしたいというふうに思っております。

 二〇二五年三月末時点でJICTが支援しているデータセンター案件、三件でありますけれども、その支援決定額は合計で五百四十四億円に上りまして、ポートフォリオ全体の約四割を占める突出した状況になっているかと思っております。

 データセンター市場ですけれども、現在、AI需要を背景とした爆発的な成長期にあるというふうに思っておりますが、一方で、電力供給の制約ですとか価格高騰、また建設モラトリアム、さらには次世代冷却技術などの登場による設備の急速な陳腐化など、特有の下振れリスクが山積をしております。

 特定の分野や米国等の特定の地域にこれほど資金が集中している現状をJICTはどのように評価をしているのでしょうか。また、一件当たりの規模が二百五十億円を超える中で、仮に一件でも事業が失敗すれば累計損失は一気に拡大して、組織の存続に関わることであります。特定の業界動向に組織の命運を預け過ぎているのではないか、ちょっとこれは言い過ぎた表現かもしれませんけれども、いわゆるリスク分散の方針についてお伺いをさせていただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします前に、先ほどの答弁の中で、最後の部分で、総務省としてはと言いますところを郵政省としてはと言い間違えました。訂正させていただきます。

 データセンターの案件でございますが、委員御指摘のとおり、現在データセンター需要が急速に拡大するとともに、JICTに対しまして日本企業より多くの支援要望が寄せられております。データセンター事業は、土地の購入、大型の非常電源を備えた建物の建築費用など、一般的に総事業費が大きくなる性格もございまして、ポートフォリオに占めるデータセンター事業の割合が高まってきてございます。

 そのため、JICTにおきましては、データセンター事業に限らず、それ以外の事業についても積極的に支援を進めることで、データセンター事業のみに支援が集中しないように留意しているところでございます。

 また、支援するデータセンター事業の選定に当たりましては、一緒に共同出資するパートナーの事業戦略、また、そのデータセンターを長期的に利用するユーザーがいるのかというユーザー確保の状況、また、事業を行う国・地域などの分散を十分に考慮しながらリスク分散を図りつつ、累積損益が計画値を下回らないよう、収益が高い確度で見込まれる事業を慎重に見極めているところでございます。

 総務省としては、JICTにおいて、データセンター事業の海外展開を推進しつつも、適切な投資リスク管理が実施されるよう、引き続き監督を行ってまいります。

中川(宏)委員 次の質問に移ります。

 JICTの本来の役割は民業補完でありまして、公的資金の市場のゆがみは最小限にしなければなりません。しかし、最近の大型案件は、主に事業体への直接出資という、最もリスクの高い形で行われております。財政投融資分科会の資料におきましても、出資以外の融資手法等の検討が論点として示されているところであります。

 公的資金の安全性を考えれば、出資ばかりに偏るのではなくて、劣後ローンなど融資手法をもっと柔軟に活用して、民間金融機関との適切なリスク分担、これを明確にすべきではないかというふうに思います。また、資金調達につきましても、政府出資一辺倒ではなくて、社債発行ですとか民間借入れといった多様な手段を検討して、組織としての規律を高めるべきではないかと思いますが、この点につきまして見解をお伺いさせていただきます。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTは、海外において通信・放送・郵便事業を行う者に対して、特に民間金融機関からの供給が不十分であります出資を中心とした資金供給を行っております。

 他方、委員が御指摘のとおり、JICTは出資以外の劣後ローンなどの融資による資金供給も可能でございまして、これまでも民間事業者のニーズやJICTが取るべきリスクの程度などを勘案して、必要に応じて出資と融資を組み合わせて資金供給を行ってございます。

 JICTの資金調達の大半は政府からの財政投融資にて賄われておりますが、急な需要の増加に対処するために社債発行や民間借入れもいたしまして対応した実績もございます。

 総務省としては、資金供給については、民業補完の観点から、民間事業者との適切なリスク分担の下で行われるように、資金調達については、多様な手段の一層の検討や投資回収を進め、政府出資に過度に依存しない運営体制を構築していけるよう、適切に監督を行ってまいります。

中川(宏)委員 公的資金による市場のゆがみを最小限に抑えるという民業補完の原則、これは是非とも立ち返っていただきまして、資金供給と調達の両面において、民間ファンドとの市場規律を取り入れた事業運営を是非とも行っていただきたいというふうに思っております。

 最後の質問、簡潔にお願いしたいというふうに思っております。

 JICTは、本改正案による期限延長を前提に、二〇二九年度、累積損失を完全に解消するという新たな収支見通し、いわゆるJカーブを示しておりますけれども、この二〇二九年度解消が希望的観測ではなくて実効性のある必達目標だと言える根拠と、想定している投資回収の具体的手法をお伺いをさせていただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTの今後の累積損益見通しにつきましては、個別の投資案件の具体的な進捗などに係る足下の状況や、保守的な将来見通しを踏まえて策定されたものでございます。

 また、二〇二二年五月に策定された改善計画より三年前倒しとなる二〇二九年度に累積損失を解消する見通しとなってございます。また、単年度損益を見ましても、改善計画より三年前倒しとなる二〇二三年度に黒字に転じるなど損益の改善が進捗しておりまして、達成の蓋然性が高い見通しであると考えてございます。

 また、加えまして、二〇二八年度以降に大型案件の投資回収が見込まれておりますが、JICTが保有する株式の共同出資者への売却などによる投資回収が一般的方法と想定されているところでございます。

 総務省としては、累積損失の解消の前倒しに向けて、JICTにおいて円滑かつ適切に投資回収が進められるよう、適切に監督を行ってまいります。

中川(宏)委員 済みません、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、高見亮君。

高見(亮)委員 ありがとうございます。日本維新の会の高見亮でございます。

 まずは、質疑の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私の方からも、JICTに関して、期限延長ということでございまして、それに関する質疑をさせていただきます。

 まず前提条件、今の状況についてちょっとお聞きしたいんですが、財務状況でございますが、貸借対照表を拝見する限りでは、累損として約百二十億近く。ただ、この官民ファンドでございますが、純資産約一千億ぐらいのうちほとんどが営業投資有価証券ということでございまして、一千億今持っていらっしゃる営業投資有価証券、これが、現状、含み益になっているのか含み損になっているのか。

 これは今、会計上は原価評価になっておりますので、全て取得原価で計上されておりまして、その辺の状況がちょっとこれを見るだけでは分からない。その辺が出口評価にもつながってくると思いますので、その辺の、含み益か含み損か、分かる範囲で結構なので教えていただきたいのと、仮に含み損がいっぱいあって将来的に結構苦しい状況になったときに、今のリスク評価として、最終的に国の資金を毀損する可能性というのがあると思っているのか、それはほぼあり得ないと思っているのか、お聞かせください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 営業投資有価証券は、投資元本の原価評価を基本としてございます。ただ、評価損や減損を適切に反映したものとなってございます。これは、時価上昇を直ちに収益に織り込まないことで保守的に会計処理を行うためでございます。

 一方、その他有価証券評価差額金は、為替変動に伴う評価益部分の七〇%相当額を反映したものでございます。これは、市場性のある為替変動部分のみを評価したものでございまして、透明性があり、相応に実現の確度が高い評価益であると考えてございます。

高見(亮)委員 今の話でいうと、原価評価しかしていないので実際のところは分からないということです。

 有識者会議の中で、回収可能性があるというふうになっていたんですけれども、実際のところ、その対象物件に関してのある程度の時価評価というのは現場ではされているんですよね、もちろん。有識者会議において回収可能性があると言っている以上は。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTの支援案件の個々について、その時価評価を適切に把握しているかという御質問かと思いますけれども、JICTの中には、各支援案件をフォローアップをする委員会、会議体が定期的に開催してございまして、その中で各案件のその時々の評価というものを把握しているところでございます。

高見(亮)委員 もうそれを信じるしかないとは思ってはいるんですけれども、もうちょっと何か、有識者会議にもありましたとおり、リスク開示であったりとか、そういうのをした方がいいんじゃないのか、情報開示をしっかりした方がいいんじゃないのかというのもありましたので、その辺はお願いしたいかなと思っております。

 次に、このJICTの目的、ここまでいろいろな質疑がありましたけれども、いわゆる呼び水効果ということでされているということでございます。誘発された民間投資額が約七千百億となっております。ただ、質疑にもありましたが、投資先を見ますと、NECとかNTTとか割と大きいところでございまして、自力でも投資できたのではないのかと思えるところもあるわけでございます。

 そういうのも含めまして、実際の呼び水の効果というのをどのように測定、検証しているのか、教えてください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTは、誘発された民間投融資額、いわゆる呼び水効果の額といたしまして、JICTと協調して行われた民間企業等の投資額を算定してございます。その金額は、先ほど議員が御指摘いただきました民間投資額、約七千百六十七億円を誘発しているということでございます。

 JICTがなければ民間企業などによる投資が実現しなかったか否かにつきましては、明確なお答えをすることは非常に難しいところではございますが、JICTによる投資又はその見込みがあることは、民間企業などによる投資判断の材料として民間投資の誘発に寄与していると考えてございます。

 いずれにいたしましても、JICTにおいては、JICTの参画が民間投資の実現にどの程度貢献したかにつきましては、多角的な視点から適切に評価を行い、しっかり説明責任を果たしていくこと、公に説明していくということが重要であると考えてございます。

 また、御指摘いただきましたが、JICTによる支援は、特定の企業に偏ることなく、幅広い企業のニーズを酌み上げまして対応することが重要でございまして、また、民業補完に徹することが求められてございます。

 総務省としましても、JICTがこのような説明責任を果たしていくよう、適切に監督してまいります。

高見(亮)委員 お願いいたします。

 やはり、資金がないところとかが、微妙なところが投資しやすくすることによるのが、一番の呼び水効果かなと思っております。

 また、投資に関しても、本当に呼び水効果があるのかどうなのか、客観的な基準がある程度ないと、もう何でも何でも投資してしまうみたいになってしまいますので、また引き続きお願いいたします。

 次に、経済安全保障の話をさせていただきます。

 このJICTの投資案件、新案件を見ますと、海底ケーブルであったりとか、データセンターとか電子政府のICTとか、経済安全保障上極めて重要なインフラが含まれているところでございます。

 一方で、さっき投資案件の審査みたいな話もあったと思うんですけれども、経済安全保障上の観点から、では、例えば、この投資はいろいろ問題があってやらない方がいいですよというような案件がそもそもあったのかどうか。そしてまた、経済安全保障上、例えば、どこの国とは言いませんけれども、特定の国のリスクのある機器を使っているとか、そこに対して技術が流出する可能性があるとか、そういう経済安全保障上の観点で投資をちゃんと見ている、そういった部分があるのかどうか、お聞かせください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 総務省が策定いたしましたJICTの支援基準におきまして、支援対象事業者につきましては、我が国の外交政策及び対外経済政策との調和が取れているものであることを求めておりまして、経済安全保障の観点は支援決定に当たっての重要な基準となってございます。

 委員から御質問いただきました、これまでにおけるJICTの投資審査において、経済安全保障問題があるとして支援を断った事例につきましては、ないと承知しているところでございます。

 また、具体的な基準を定めているわけではございませんが、JICTの投資審査の過程におきまして、その事業で必要とする部品、資材などの調達元、また、関係する主体が関与する国・地域の状況などの確認、これらを踏まえた事業リスクの評価などを通じまして、経済安全保障の観点から、適切な対応が講じられていると承知しているところでございます。

高見(亮)委員 断った案件はないので、そこはちょっと気になるところではありますが、引き続き、しっかり経済安全保障上のフィルターをかけていただいて、管理をしていただくようお願いいたします。

 そしてもう一つ、今までの質疑でカントリーリスクみたいな話もあったかと思いますが、そういった投資案件に関するリスク評価において、もちろん専門家をつけてしっかり管理していく、それも重要ではあると思うんですが、今、国家としてインテリジェンス情報をしっかり管理していくという話が出ていると思います。そういった情報をしっかり横断的に国が管理して、こういった投資をするときにもしっかり生かしていくというような仕組みがあればいいのではないのかなと思っているんですが、その辺いかがでしょうか。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 現状、JICTの投資審査に当たりまして、政府機関が保有します非公開のインテリジェンス情報が活用されることはありません。

 他方、JICTでは、地政学の専門家を顧問として招聘するなど、カントリーリスクなどに関する情報の収集、分析体制の強化を行っているところでございます。

 具体的には、当該顧問がJICTの投資に係る意思決定を行う委員会に参加いたしまして、その顧問から提供される外国政府の動向やマクロ経済情勢の分析を踏まえて、カントリーリスクに係る情報を、当該委員会における投資判断の材料として活用しているところでございます。

高見(亮)委員 これも今後の議論になると思いますが、せっかく政府が集めた情報というのは、やはり有効に活用していくべきであろうかなと思っておりますので、また御検討のほどお願いいたします。

 最後に、このファンドの出口の話をさせていただきたいんですが、このJICTの設置期限が二〇四五年度末に延長されます。ただ、また二〇四五年が近づいた段階で、じゃ、延長するのか延長しないのかみたいな話、これも先ほど質疑もありましたが、やはりちょっと若干不毛な感じもありますので、何らかの基準が要るのかなとは思っています。

 実際のところ、これは十年延長したところで二〇四五年度末に仮に解消するとなったときに、どういった担保措置というか、どういった売却戦略があるのか、ある程度考えていらっしゃるのか。この十年でもう投資を打ち止めにしてしまうのか、まだ様子を見ていくのか、また、もし仮にこれが終了したとして、国への還元の仕組みとか、その辺をどう考えているのか、教えてください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、今後の民間投資市場の発展に向けて、JICTによる支援が呼び水となりまして、企業や金融機関による積極的な投資が促進され、また、JICTに蓄積された知見の還元、投資人材の育成について、JICTが貢献していくことを期待してございます。

 なお、将来的な再延長の要否につきましては、現時点で申し上げることは非常に困難でございますが、その時々の民間金融の状況、また我が国の経済や国際情勢などを踏まえつつ、適時適切に検討する必要があるかと考えているところでございます。

 また、まずは足下におきまして、引き続き経営改善の取組などを行いながら、累積損失を解消し、その後得られた収益につきましては、財務状況及び事業環境などを総合的に勘案し、再投資への活用、又は国を含む株主への還元などを検討しているところでございます。

高見(亮)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、早め早めの判断が必要になってくるかなと思います。結局、延長することによって更に損失が膨らむみたいな話になってしまうと、本当に何をしているか分からないので、その辺の管理はしっかりしてほしいと思います。

 そして、今、指摘もあったんですけれども、こういった金融ファンドというのを、さっき、千葉とかいろいろな話も出てきておりましたけれども、よかったら、副首都の制度も今検討中でございますので、そういった副首都に移していくというのも是非検討していただきたいということをお願いいたしまして、私からの質疑は終わります。

古川委員長 次に、許斐亮太郎君。

許斐委員 国民民主党の許斐亮太郎です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。会派を代表いたしまして、質問させていただきます。

 JICT法は、当初二十年の期間で成立いたしました。今回、半分を過ぎたところでの法改正です。そこで、過去、これまでの十年の歩み、そして現在の考え、さらにこれからの十年、期限を延長しますと二十年後の未来を見据えた質疑ができればと思っています。現在、過去、未来、未来のビジョンについてもお伺いいたしますので、仮定の質問もありますが、何とぞ前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 早速質問に移らせていただきます。

 JICTが設立されてから十年がたちました。直近の二年は単年度黒字を計上していますが、これまでの道のりは平たんではありませんでした。まず、これまでの十年の投資実績と収益推移の全体像をどう総括するのでしょうか。また、法改正で延長を目指す決断の理由と今後の支援の方向性について、林総務大臣にお伺いいたします。よろしくお願い申し上げます。

林国務大臣 JICTは、海外で通信・放送・郵便事業を行う者などに対するリスクマネー供給などを通じて、海外における需要、これを積極的に開拓をし、収益性の向上などを図ることで、よってもって我が国経済の持続的な成長に寄与する、これを目的に、約十年前の二〇一五年に設立をされました。

 この十年間ですが、実績として、海底ケーブルやデータセンターなどのデジタルインフラを中心に、二十八件の支援決定を行っております。二〇二四年度末までの累積投資額は約千百五十九億円、誘発された民間投資額は約七千百六十七億円、こういうことになっております。

 収益推移でございますが、二〇二三年度から単年度損益については黒字に転じております。二〇二二年五月に策定をいたしました改善計画、これを上回る実績で損益の改善が進捗をしておりまして、累積損益についても、計画より三年前倒しとなります二〇二九年度に累積損失を解消する見通しとなっております。

 また、投資分野ですが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現時点で民間金融が育っていないという中で、JICTが支援するデジタルインフラ事業などは、開発から投資回収までに十年程度要するということで、今の設置期限までに投資回収が見込めないので支援が困難となる事例が出てきておりますので、今般、設置期限の延長を目指す、こういうことでございます。

 成長戦略ですとか、御議論も賜っております経済安全保障の観点から、デジタルインフラの重要性というのはますます高まってきておるわけでございます。総務省といたしましても、関係省庁や関係機関、また在外公館とも連携をいたしまして、情報収集などを通じて、このJICTがより一層の役割を果たしていくように適切に監督してまいりたいと考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 今まさに、経済安全保障というワードが出てきました。これは、十年前のJICT法成立時とは、当然、国際状況、日本が置かれた状況も変わってきています。特に、経済安全保障という観点が、ここ最近の政府の重点政策だと私は認識しています。今回のJICT法改正案の概要資料にも、経済安全保障の観点から、デジタルインフラ等の海外展開の重要性が増してきているということが書き込まれました。

 そこで質問です。

 今後、JICTの投資案件の支援決定において、経済安全保障の観点をどの程度考慮するのかを政府にお伺いいたします。さきの高見委員からの質問にもありましたが、改めて答弁をよろしくお願い申し上げます。

堀内副大臣 許斐委員御指摘のとおり、JICTの設立以降、令和四年に経済安全保障推進法が成立するなど、経済安全保障の確保は、我が国の最重要課題の一つとなっております。この課題には、我が国における戦略的な自律性、不可欠性の確保に向けて、官民一体となって海外のデジタルインフラ事業の展開等に取り組んでいくことが重要です。

 そのため、総務省が策定したJICTの支援基準においても、支援対象事業について、我が国の外交政策及び対外経済政策との調和が取れているものであることを求めており、支援決定に当たって、経済安全保障の観点を考慮することとされております。

 総務省としては、JICTによる支援が我が国の経済安全保障の確保に大きく貢献していくことを期待しております。

許斐委員 堀内副大臣、どうもありがとうございます。

 そこで、やはり政策というワードも出てきました。経済安全保障という政策と投資による収益について質問したいと思います。

 政策的意義のある案件がそのまま収益性の向上につながれば、これは何も問題ないし、ハッピーなんですが、本来は別のベクトルだと私は思っています。時には相反することもあると思います。

 そこで、JICTの投資案件において、政府が進める経済安全保障の政策的意義と収益性、どのようにこれを両立していくのか、判断基準などの総務省のお考えをお聞かせください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 経済安全保障の確保は、我が国の最重要課題の一つでございまして、我が国における戦略的な自律性、不可欠性の確保に向けて、海外のデジタルインフラ事業の展開支援など、官民一体となって危機管理投資に取り組んでいくことが重要でございます。

 JICTでは、経済安全保障なども含みますが、政策的な意義を重視する案件と収益性をより重視する案件などを組み合わせることなど、ポートフォリオ全体での政策的意義と収益性のバランスの確保に努めているところでございます。

 総務省では、これまでも、JICTと緊密に連携をいたしまして、その活動に資する情報提供などに取り組んできたところでございまして、引き続き、経済安全保障の観点なども含めまして、また、政策的意義の案件と収益性の高いところの案件とのバランスなどに注意しながら、JICTとはしっかりと連携を、取り組んでいきたいと思ってございます。

許斐委員 ありがとうございます。

 単年度黒字を最近達成していって、実績が上がっている中で、これからより慎重に、国策としてどのような投資を行っていくのか、その見極めが重要だと思っています。バランスというお話もありましたが、今後どのような分野を重視しているのか、政府の考えを、これは具体的にお聞かせ願いたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたが、JICTは、政策的意義をより重視する案件と収益性をより重視する案件などの組合せによるポートフォリオ全体での政策的意義と収益性のバランスの確保に努めているところでございます。

 他方、投資リスクの管理に当たりましては、様々な地域、対象に分散して投資することが重要でございますので、JICTにおきまして、特定の分野、特定の領域など重視をするということはしてございませんで、個別案件ごとに政策的意義と収益性を総合的に勘案して支援決定を行っていると承知してございます。

許斐委員 ありがとうございます。

 それでは、角度を変えて具体的に質問したいと思います。

 特に通信分野においては、国を守るという観点からサイバーセキュリティーも重要になっています。そのような目的も考慮されているのでしょうか、お答えください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 サイバーセキュリティーに関しまして、我が国事業者の知見や技術を活用し、海外においてサイバーセキュリティー関連サービスを事業として展開する取組につきましては、民間金融から十分なリスクマネーの供給が見込まれない場合などには、JICTの支援対象となり得るものと考えてございます。

 サイバーセキュリティー分野につきましても、我が国の戦略的な自律性や不可欠性を確保していくことは重要でございます。政策的意義の観点から、JICTの支援決定に当たっての重要なテーマであると承知しているところでございます。

許斐委員 ありがとうございます。

 やはり、これまでの十年から今までで、世界の状況、日本の置かれた状況も変わっています。これから十年、二十年となると、更にこの状況は変わっていきますので、期間を延長するならば、今の時代にマッチするのはもちろんのこと、さらには将来を見据えた支援をお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 続いて、これまでの投資の教訓についてお伺いいたします。設立初期の四案件八十一億円の損失について伺いたいと思います。設立後三年間の実績です。

 この期間に支援決定した四つの案件、内容として、一つ目は、香港―グアム間光ケーブル事業、二つ目は、MVNO及び端末のパッケージ提供による海外モバイル通信事業、三つ目は、日本―グアム―オーストラリア間光海底ケーブル事業、そして四つ目、ミャンマーにおける放送設備整備、コンテンツ提供事業、この四件において合計約八十一億円もの多額の損失を計上しています。

 中川委員からも質問がありましたので、私からはちょっと細かく質問いたします。

 この初期案件における投資判断の何が問題であったのか。申し訳ないですが、各々の案件に対して政府の分析をお伺いしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTにおいては、設立後、当初三年間で投資した四つの案件につきまして、事業が計画どおり進まず、損失を計上いたしました。

 まず、一件目の香港―グアム間光海底ケーブル事業につきましては、米中間の政治的緊張が高まる中、米中を結ぶ海底ケーブルの敷設に関する許認可が取得できず、事業継続が困難となったところでございます。

 次に、二件目のMVNO及び端末パッケージ提供による海外モバイル通信事業につきましては、JICTの支援決定後、支援対象事業者の資金繰りが悪化いたしまして経営が破綻し、事業継続ができなくなったところでございます。

 次に、三件目の日本―豪州―グアム間光海底ケーブル事業については、一件目の香港―グアム間の海底ケーブルが敷設できず、当該海底ケーブルとの販売連携ができなくなったことにより売上げが低迷いたしまして、事業継続が困難となったところでございました。

 最後に、四件目のミャンマーにおける放送設備整備、コンテンツ提供事業については、ミャンマーにおいて軍事クーデターが発生し、軍事政権下に入り、事業継続が困難となったところでございます。

 JICTでは、これらの損失計上案件に係る主な教訓といたしまして、地政学リスクに係るより深い分析の必要性、あと、投資審査に係る多角的な確認の必要性、海外ケーブル事業におけるリスク耐性の高い投資スキームの必要性を挙げてございます。

 その後、JICTにおきましては、これらの教訓を生かした対策をいたしました投資リスク管理に継続的に取り組んでおりまして、この取組が定着したこともございまして、令和五年度、六年度と二年連続での単年度黒字を計上するなど、損益の改善は進捗しているところでございます。

許斐委員 ありがとうございます。

 更に確認なんですが、この一番目と三番目の光ケーブルの案件において、これは香港が、ちょっと問題があったという認識でよろしいでしょうか。お答えください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの海底ケーブルの案件につきましては、米中間の政治的緊張が高まる中、米中を結ぶ海底ケーブルの敷設に関する許認可が取得できないということを申し上げたところでございますが、その詳細、どこがどこで何についてということにつきましては、出資者と、JICTとJICTの共同出資者の秘密保持契約の対象となりますので、御質問の回答は控えさせていただきたいと思います。

許斐委員 ありがとうございます。

 ちょっともやもやするところがありますが、私としては、失敗を批判ではなくて教訓と捉えることが必要だと思いますので、できれば情報開示していただきたいなと思います。その質問で、質問いたしました。

 教訓という視点で申し上げると、今年三月三十一日に、政府系官民ファンドを期限前に廃止するという初のケースがありました。農林水産省の農林漁業成長産業化支援機構、通称A―FIVEの業務です。省庁が違うとか、国内とか海外とかで事情は違いますが、やはりあらゆる教訓を常に他山の石として考えなければならないと思います。

 先ほど、中川委員の官民ファンドのリスクについての質問で、大臣から丁寧な答弁がありましたので、私からは、様々な想定外を想定した支援、運用をお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。

 続きまして、官民の出資比率についてお伺いいたします。

 当初は、出資比率が一対一、つまり五〇%、五〇%でしたが、令和六年度では国の出資が九七%になっています。これでは、官官官官官民ファンドと呼ばれても仕方がないと思います。

 質問です。

 官民ファンドと言われつつ、民間からの出資比率がかなり低下していると思いますが、官民の出資比率について、現状認識と、政府が考える目標とすべき好ましい比率の考えを大臣にお伺いいたします。

林国務大臣 現状、官民ファンドの政府出資と民間出資の比率について、一対一でなければならないという横断的な規範、目標が存在するものではない、そういうふうに認識をしております。

 また、各官民ファンドの設置法上は、ファンドへの出資について、政策目的の達成に向けて安定的な経営が求められることなどの理由から、政府が発行株式の二分の一以上保有するというのが規定されているファンドもあるわけでございます。

 また、民間企業から見ますと、官民ファンド自体に対する出資、当初はそこからスタートするわけですが、個別の投資案件が出てきますと、JICTじゃなくてその案件に出資する、実際そういうことが増えてくるわけでございますので、民間から見ると、自分の会社が深く関与する案件に直接投資をするということの方がいいという判断もあり得るということでございますので、親元のファンドにだんだんだんだん出資が集まりにくくなる。官民ファンドの場合は、投資した分がだんだん減ってきますから、だんだんだんだん残った方がということがあるわけでございまして、官民ファンド自体に出資が集まりづらいという、これは、JICTのみならず、官民ファンド共通の課題、こういうものもあるのかな、こういうふうに思っております。

 今、委員からは、官官官官官民だ、こういうことですが、確かに限定的になっておるわけでございますけれども、我々としては、やはり幅広く民間による参画を得て、民間の知見を活用しながらファンド自体が運営される、このことは望ましいと考えておりますので、JICTにおいても継続的に民間出資を募る努力、これは行っていただいているところでございます。

 二〇二三年度から、先ほどから御議論いただいていますように、単年度黒字を計上するということで、計画を上回るペースで経営改善も進んでおりますので、こういうこと等を背景にして、民間企業から新たな出資の意向というのも寄せられ始めている、こういうふうに聞いております。

 総務省としても、JICTが経営改善を着実に進めて、累積損失の解消を実現して、安定的に収益を生み出すファンドとしての魅力を高めるということ、そして、政府出資に過度に依存しない運営体制を構築していけますように、総務省として適切に監督してまいりたいと考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 魅力を向上させて様々な民間からの参加を促していく、まさにそのとおりだと思います。

 そして、それに関連して、支援件数と事業者の選定についてお伺いしたいと思います。

 支援件数が増加するに従って徐々に事業者数も増えていますが、やはりまだ事業者が大手に偏っているのが現状だと思います。

 この状況について、総務省の認識と、今後の方針などについてお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

向山大臣政務官 お答えいたします。

 これまでのJICTによる支援先は、大手の企業が十七件、中小・スタートアップ企業が四件、国内外のICTスタートアップに投資をするファンドへの出資が七件というふうになっております。

 設立から数年間は大手企業が多かったところでありますけれども、令和四年にJICTの支援基準を改定をしておりまして、ICTサービス事業者への投資、ファンドへのLP投資、これが可能となりましたことから、近年は中小・スタートアップ企業への支援が増加をしているところであります。

 さらに、JICTでは、令和四年に、内外の産官学の関係団体、関係企業との組織的、人的ネットワークの強化を目的に、エコシステム推進グループというのを設置をいたしまして、全国各地で開催をされるセミナーの参加などを通じましてJICTに対する認知度の向上を図るなど、支援先の裾野の拡大に取り組んでいるところでございます。

 JICTにおいては、今後も、このような取組を通じまして幅広い企業のニーズを酌み上げていくことが重要であるというふうに考えております。

許斐委員 向山政務官、どうもありがとうございます。

 私も、人づくりこそ国づくり、物づくりこそ国づくりだと思っています。

 本日、福原委員から質問もありました、地域未来戦略の話もありました。日本企業の物づくりを支えていくためには、中小企業や地方企業、そしてスタートアップなどの支援が必要です。一方で、それは小口案件が増えるということですので、対応に当たるJICTの人材を増やす必要性があると思います。

 昨年十月にJICTの社員数は三十一名から三十三名体制へと増員されましたが、やはりこれも足りないと思います。将来的に人員を増やすお考えはありますでしょうか。お答えください。

向山大臣政務官 JICTにおきましては、我が国経済の持続的な成長に貢献をしていくために、支援先の裾野の拡大をして、海外市場の開拓を目指す幅広い企業のニーズに応えていくことが重要だというふうに考えております。

 中小企業や地方企業、スタートアップなどのニーズを的確に酌み上げていくためには、委員御指摘いただきましたように、体制の強化が必要でありまして、必要な定員要求を行ってきた結果として、直近二年間で七名の定員増になっております。

 総務省といたしましては、今後も、JICTと連携をいたしまして必要な職員の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

許斐委員 ありがとうございます。

 小口案件で、寄り添ってこれを支援していくとなると、やはり人材不足が顕著になってくると思いますので、人材の増員、よろしくお願い申し上げます。

 重ねて、その人材について質問です。

 JICTは、法律に基づき、将来解散の時期が来ます。その際、活躍してくれた職員はどのようになるのでしょうか。考えられる処遇など、解散後を見据えた人材育成の在り方についての政府のお考えをお伺いしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 人材育成はJICTの重要な役割の一つでございまして、支援基準に明記しているほか、JICTが定めた五つの戦略軸の一つにも位置づけられてございます。

 JICTでは、海外ICTと金融の双方の専門性を高め、投資に関わる目利きやリスクへの対応の高度化を図る観点から、技術的知見の獲得、また関係者間のネットワーク構築などを通じまして人材育成に努めているところでございます。

 総務省といたしましても、解散後を見据えつつ、JICTにおいて、将来民間企業で活躍できる人材の育成に貢献していくことを期待しているところでございます。

許斐委員 人材の育成と、そして増員、その他人員に関すること、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、次の質問に移りたいと思います。

 ほかの官民ファンドとの連携と峻別についてお伺いいたします。本日もこの委員会で様々議論になっております。

 これは、過去にも懸念事項として指摘されています。田嶋委員の指摘でもありましたが、平成二十七年五月十五日の衆議院本会議において、当時の武正公一議員が、「この新しい機構を動かすに当たり、既存の支援機構とはどのようにすみ分け、あるいは連携していくのか。」と問われました。その答弁として、当時の高市総務大臣が、「本機構は、既存の官民ファンドとは政策目的や支援の対象分野が異なるものですが、必要に応じ、情報共有、連携を行ってまいります。」と答弁しています。

 それから十年余り。現在では、どのような形で連携やすみ分けを行っているのでしょうか。その上で、相乗効果を発揮できているのか、改めて総務省にお伺いしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 政府系金融機関や官民ファンドは、それぞれ政策目的、支援対象などが異なっておりまして、それらに基づいて役割分担が行われているところでございます。

 これまで、JICTは、他の政府系金融機関や官民ファンドとお互いの強みを生かせる補完関係にある場合には、他機関と連携いたしまして効率的、効果的な支援を行ってまいりました。

 昨年総務省で開催いたしましたJICTの在り方に関する検討会におきましても、事業者のビジネスステージやニーズに応じた適切な支援が重要であり、そのためには、JICT単独での支援のみならず、他の政府系金融機関などとの適切な役割分担、効果的な連携による支援の有効性が指摘されているところでございます。

 情報通信は、経済社会のあらゆる領域に関わる横断的な分野でございますので、今後も、各機関の専門性を生かして相互協力に努めることで、支援の相乗効果を高めていくことが重要であると考えているところでございます。

許斐委員 ありがとうございます。

 それでは、引き続き具体例を申し上げて、ほかの制度とのすみ分けや戦略的な連携について伺っていきたいと思います。

 今国会では、内閣委員会で、経済安全保障推進法の改正や、国際協力銀行、JBIC法も改正される予定です。そこでも海底ケーブルの敷設やデジタルインフラ等への支援が考えられます。総務省だけでなく、内閣府、さらには財務省も絡んできます。

 そこで質問です。

 その場合、経済安全保障推進法に基づく支援とJICTによる出資は、どう役割を分担するのか。また、かつてJICTが海底ケーブルで損失を出した経験をどのように政府に還元していくのか、総務省にお伺いします。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTは、海外における通信、放送、郵便分野の事業支援に特化した官民ファンドでありまして、ハンズオン支援などをも兼ね備えた政策的支援を実施するための機関でございまして、JICTによる投資は政策的意義と収益性の両方を満たすことが求められてございます。

 一方、JBICは、国際金融の専門性を持ち、日本企業の海外展開などについて特定の分野に限らず広範な支援を行う政府系金融機関でございます。

 今国会に提出された経済安全保障推進法等の改正案に盛り込まれているJBICの劣後出資等に関する仕組みは、経済安全保障上重要であるが、採算性に不確実性があるため、既存の支援ツールだけでは民間企業から十分な投資が行われない海外事業を支援対象としてございまして、政策的意義をより重視しているものと承知してございます。

 このようなお互いの特徴を生かし、両者が連携して通信、放送、郵便分野における日本企業の海外展開を支援し、また、我が国の経済安全保障の確保に貢献していくことが重要であると考えてございます。

 また、JICTは、民間の投資ファンドなど様々な分野の経歴を持つ人材の方を採用、育成してございまして、情報通信分野の海外展開、あと投資の双方に高い専門性を有する人材を確保しているところでございます。

 そのような独自性をJICTは持っているところでございますが、JBICを始めとする他機関との連携におきましても、このようなJICTが持つ独自性や、また過去の教訓を生かしまして、日本の企業に対する支援の相乗効果を高めていくことを期待してございます。

許斐委員 ありがとうございます。

 そのように、JICTは優秀な人材を集めると言っていますし、さらに、失敗の教訓もありますので、やはり国としてどんどんどんどん国力を高めていくためにも、情報の共有、教訓の共有もよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、人口減少社会において、特に地方を今後支えていくのはICT。そのICTについてお伺いしたいと思います。

 ICTの技術力の向上のためにJICTでの海外展開は重要であり、意義のあることだと私は思っています。そこで、特に日本の地域を支えている防災ICTの海外展開について、売り込みから運用、そして将来の譲渡先に関してお伺いしたいと思います。

 まずは売り込みについてお伺いいたします。

 平成二十七年の総務委員会において、このJICT法の質疑の中で、当時の高市総務大臣は、タイにICTシステムをトップセールスで売り込みに行き、防災ICTに興味を持ってくれたとの答弁がありました。

 質問です。

 そのトップセールスのその後について、現時点で目に見えるJICTの成果としてあったのか。その課題についてお伺いいたします。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 多くの自然災害を経験している我が国には、ICTを活用した防災、減災に関する技術やノウハウが蓄積されておりまして、それらに対して海外から高い関心が寄せられているところ、各国政府に対するトップセールスが果たす役割が大きい分野であると考えてございます。

 例えば、インドネシアにおきましては、閣僚レベルのトップセールスの結果といたしまして、二〇二四年に我が国のLアラートをモデルとした災害情報共有システムの運用が開始されてございます。

 また、防災ICTにつきまして、例えばタイでございますが、各国の財政状況や政策、事業の優先度によってはなかなか導入が進まないということもございますので、ODAなどのファイナンス支援に含めたパッケージの提案が重要であると考えているところでございます。

 防災は、現在、高市政権の成長戦略分野の十七分野にも規定されているところでございまして、内閣府、外務省その他関係各省とも連携いたしまして取組を進めてまいります。

許斐委員 まさに今、防災分野というのは、成長戦略で大事だと思います。しかし、以前からやはりこれは大切な視点だったと私は思っています。

 防災という観点は、特に非常に東南アジアと親和性が高いと私は思っています。地震が多いことや台風の予測など、非常に日本と共通点が多いことが私はその理由だと思います。

 総務省も、JICTの設立の前からこれは考えていたと見受けられます。JICT法設立前の平成二十三年に、総務省において、日本ASEAN官民協議会の防災分科会の取りまとめで、防災ICTシステムのASEANへの提案がなされています。

 そこで質問いたします。

 その提案がJICTのスキームに乗った事例はあるのでしょうか。ASEAN各国において現在どのような状況にあるか、お伺いしたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、ASEAN各国におきましても、防災、減災に対する意識は非常に高まっていると感じてございます。

 この案件でございますが、JICTにおきまして支援の相談を受けるという案件はございますが、現時点において支援決定にまで至った案件はないということで承知してございます。

許斐委員 ありがとうございます。ないということでした。

 そこで、ICTシステムの運用面についてお伺いいたします。

 海外での展開にはいろいろなリスクがあります。昨今のイラン戦争もその一例だと思います。我が国のシステムが採用されても、その後の政権交代などで状況が一変するおそれがあります。まさにさきの答弁でもありました。

 そこで、日本企業が継続的なメンテナンスや更新事業を受注し続けられる仕組みの担保というのはなされていますでしょうか、お伺いいたします。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 支援案件として成立した案件につきましては、それが継続していくということは非常に重要でございます。

 一般的に、受注したシステムを継続的にしていくための、例えば保守のような契約を取っていくというためには、各国のニーズ、特に機能拡充など、ニーズに柔軟かつ迅速に対応することなどを通じて、また、その国の政府との協力関係を深めていくこと、こういうことが継続的なビジネスを確保していく上で重要であると考えてございます。

 今後も、引き続きこのICTシステムに関しまして、日本企業の継続的なビジネスを確保するために、関係省庁とともに、特に相手国政府側への働きかけとか、対応を進めてまいりたいと考えてございます。

許斐委員 関連各国との連携について引き続き質問したいと思います。

 今度は、保守に続いて、譲渡について質問です。

 他国勢へのシェア流出防止策についてお伺いいたします。

 これまで、日本―グアム―オーストラリア間の光ケーブル事業において、JICT支援撤退の際にアメリカ系の企業が事業継承を行っています。これまで、JICT出資案件には、そのアメリカ以外にも、アジアやヨーロッパ各国などの資本や現地関係会社が関わっているものがあります。

 そこで質問です。

 JICTが事業譲渡を行う場合、その選定基準に、経済安全保障、これはもっと言うと、安全保障全般の観点をどの程度考慮しているのか、政府の見解をお伺いいたします。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTが事業から撤退するために保有する株式などを他者に譲渡する際には、我が国の経済安全保障の確保に与える影響などを十分に考慮することが重要と考えてございます。

 過去にJICTが事業から撤退した事例におきましても、保有する株式などの譲渡先の選定などに当たっては、経済安全保障の確保に十分考慮して、保有する株式などが処分されたと認識しているところでございます。

 総務省といたしまして、JICTが保有する株式などの処分の認可に際しましては、その妥当性をしっかりと確認してまいります。

許斐委員 ありがとうございます。

 テーマを変えまして、次の質問に移ります。

 放送、郵便分野についてお伺いいたします。

 JICTの正式名称に、海外においての通信、放送、郵便と三つの柱がありますが、やはりその中で、放送と郵便の実績が上がっていないと正直思います。これまで、放送は一件、郵便はゼロです。原因は何だと考えているのか、また、今後どのように進めていくのか、政府のビジョンを改めてお聞かせください。

向山大臣政務官 許斐委員御指摘のとおり、JICTによる支援決定案件の投資分野別の内訳は、二〇二五年度末時点で、通信分野二十七件のほか、放送分野が一件、郵便分野がゼロ件というふうになっております。

 この要因といたしましては、放送、郵便分野は、データセンターを始めとする情報通信分野と比べまして、市場のプレーヤーが少なく、プロジェクトの組成機会も少なかったということが考えられます。

 JICTにおいては、案件形成に向けて、放送、郵便関係企業との議論を重ねているというふうに聞いておりまして、今後、これまで培ってきた組織的、人的ネットワークなども生かしまして、放送、郵便分野における取組を進めていくことを期待しているところであります。

 総務省といたしましても、在外公館と連携をいたしながら各国のニーズについて情報収集を行うなど、JICTによる放送、郵便分野の案件形成を後押しをしてまいります。

許斐委員 向山政務官、ありがとうございます。

 放送に関して、日本の放送の在り方も変わってきています。さきのNHK予算の質疑でも、放送設備、いわゆるミニ中継局などの民放とNHKの共有化などの議論もありました。

 日本では大きな変革の時代が到来しています。以前でしたら、日本の地デジ方式の売り込みという意義もあったと思いますが、現在、世界的に放送から配信に変わっていく中で、既存の放送システムを海外に売り込んでいく必要があるのかという疑問も私は持っています。また、郵便に関しても、物流の変化やデジタル化が進む中で、今までの日本の郵便システムを海外が求めていくのか、そのような疑問も私は持っています。収益性の観点でも、投資やJICT支援対象にするというのは難易度が高いと思います。

 前の質問で申し上げましたが、支援業務のポートフォリオにおいて、ある一定に偏らないというのが重要なので、放送や郵便も選択肢として残すのは理解しますが、一方で、選択と集中、収益という観点から、今後どのように推進していくのか。中川委員は推進してほしいという意見でしたが、私は逆に、慎重な検討をお願いしたいと申し上げまして、次の質問に移ってまいります。

 累積損失の解消についてお伺いします。

 令和七年十月から開催されているJICTの在り方に関する検討会について、その検討会で累積損失の解消について、二〇二九年度には累積損失を解消する、そしてそれからぐっと利益が出るとの見解が示されています。それが今回の期間の延長にも少なからずつながっていると思いますが、改めて現在の見通しを政府よりお示しください。よろしくお願いします。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTの今後の累積損益見通しにつきましては、個別の投資案件の具体的な進捗などに係る足下の状況や、保守的な未来見通しを踏まえまして策定したものでございます。

 また、二〇二二年五月に策定された改善計画、これよりも三年前倒しとなる二〇二九年度での累積損失を解消する見通しになっておりますが、例えば、単年度損益を見ましても、改善計画より三年前倒しとなります二〇二三年度に黒字に転じて計画を上回る実績で損益の改善が進捗しておりまして、この達成の蓋然性は高い見通しであると考えてございます。

 また、加えまして、二〇二八年度以降に大型案件の投資回収が見込まれておりますが、JICTが保有する株式の共同出資者への売却などによる投資回収が一般的方法として想定されているところでございます。

 総務省としては、累積損失の解消の前倒しに向けてJICTにおいて円滑かつ適切に投資回収が進められるよう監督を行ってまいります。

許斐委員 ありがとうございます。

 時間になりました。出口戦略について質問をお願いしていましたが、それは割愛させていただきます。

 今委員会でも、まさにその出口戦略について、延長するのか、そもそももう期限を設けない方がいいのではないかということがありましたので、その出口戦略についてもしっかりと御検討いただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、青木ひとみ君。

青木委員 参政党の青木ひとみです。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 では、早速、質問の方に移らせていただきます。

 現在、世界中でデジタル化が進む中、海底ケーブルやデータセンターといったネットワークのインフラは、私たちの暮らしや経済、そして国の安全を守る、なくてはならない存在です。日本企業が長年築いてきた高い技術力、国際的な信頼は、まさに日本の誇りであり、これらを生かして世界をリードしていくことは、未来を切り開くすばらしい国家戦略だと私は考えます。

 ただ、こうした大規模な事業には完成までに長い月日がかかり、相手国の情勢によるリスクなど、民間企業一社では背負い切れない難しい課題があるのも事実です。だからこそ、官民ファンドという国による支えが必要なのだと理解しております。

 一方で、そこで使われる資金源は国民の皆様の大切な税金です。今回、JICTの期限を十年間延長するという法改正が提案されていますが、長い期間を国が支える以上、事業が国民の利益につながっているのか、また、税金の使い道として適切かという点については丁寧な議論が必要ではないかと思います。期間が延びることで、かえって緊張感が薄れたり判断が甘くなったりすることはないか、そうした視点から質問させていただきます。

 初めに、案件の選定方法についてお伺いします。

 JICTの活動期間の延長は、成長戦略と経済安全保障の両面において大きな意義があると評価しておりますが、支援期間が延びて民間からの相談も増えていく中で、単に引き合いが多いからと手を広げるのではなく、国益に資する案件をどう厳選していくかという必要があると考えます。

 そこで、十年という新たな時間軸を踏まえてどのような基準で案件を選んでいくのか、お聞かせください。企業の競争力の強化、収益性の確保、経済安全保障という多面的な要素をどのように整理して選別していくのでしょうか。

 期間の延長が安易な投資の継続や損失の先送りにつながることがあってはなりません。より戦略的な国際展開へと結びつくために、適切な案件選定のルールをどう担保していくのか、お聞かせください。

布施田政府参考人 お答えをいたします。

 JICTは、総務大臣が定めた支援基準に基づきまして、支援を決定してございます。その支援基準のポイントといたしましては、政策的意義ですとか、民間事業者のイニシアチブによって運営されているのかですとか、その対象事業の長期収益性の確保、また他の公的機関との関係性など、こういうものを基準といたしまして案件選定を行っているところでございます。

 また、我が国の国際協力強化や経済安全保障の確保といった政策的意義と収益性の確保は、いずれも支援決定に当たっての重要な観点でございます。どちらか一つの観点のみを重視するというのではなくて、ポートフォリオ全体の中で政策的意義と収益性のバランスを確保することが重要と考えてございます。

 また、実績でございますけれども、JICTによる支援、例えば、成長著しいインドのデータセンター市場において、このJICTの支援によりまして、日本企業が、トップシェアの獲得に結びついているということに寄与していることなど、民間投資の呼び水として、情報通信産業における海外市場開拓などに貢献しております。

 総務省といたしましては、政策的意義と収益性のバランスの取れたポートフォリオの下で、JICTの支援が民間投資を誘発する呼び水としての役割をしっかり果たせるよう、適切に監督してまいります。

青木委員 御答弁ありがとうございました。

 聞くところによると、これまで千件ぐらいオファーがあったということでお伺いしております。これから延びるこの十年間でも、ますます案件が増えてくると思いますので、しっかり戦略的に何がいいかというところを見ていただいて、より利益のあるものを選んでいただきたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 次に、収支の状況と利益の還元についてお聞きします。

 JICTが直近三年連続で黒字を計上されていることは、投資案件の着実な成果と適切な経営管理の成果であり、その実績は評価されるべきものと存じております。しかし、官民ファンドの原資が国民の皆様の貴重な財産である以上、その成果が最終的にどう活用されてどのように国民に還元されるのかを明らかにすることは、私たち立法府の重要な責務です。

 そこで伺います。

 JICTが事業で得た利益、それが国庫へ納付される仕組み、また、納付後の資金の使い道はどのようになっているのでしょうか。分かりやすい形での運用ルールをお示しください。

 投資の回収期間が長期化するからこそ、利益の行方、投資の成果を、より国民の皆様に、不透明さを排除して示さなければならないと考えております。資金をどう回収して、いつどのように事業を終結させていくのか、その道筋についても御見解をお聞かせください。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 JICTは、通信・放送・郵便事業を行う日本企業の海外展開を支援し、我が国経済の持続的な成長に寄与することを目的とした官民ファンドでありますけれども、その事業の性質に鑑みまして、財政投融資特別会計投資勘定から、政策的必要性が高くリターンが期待できるものの、リスクが高く民間だけでは十分に資金が供給されない事業へのリスクマネー供給を行う産業投資として、同機構へ出資を行っております。御案内のとおりかと思います。

 他方、JICTにおきましては、現在、累積損失が生じている状況ではありますが、毎年度の予算編成におきまして政策性、収益性が認められる場合には、引き続き追加投資を行っているところです。財務省といたしましては、まずは、JICTにおいて引き続き累積損失の解消に向けた経営改善の取組等が行われることが重要と考えております。

 その上ででありますけれども、仮に累積損失が解消し、配当を行う場合、これにつきましては、一般論といたしまして、その配当は出資者である財投特会投資勘定の歳入となり、産業投資全体の財源として、民間資金の呼び水、補完としてのリスクマネー供給に再投資されることとなります。

 今、情報開示についてもお話がありました。JICTは国の資金が使われている以上、情報開示を充実させることは当然であると考えておりまして、従来から、各年度の財務諸表の公表など株式会社としての情報開示、投資決定ですとか株式処分の際にはホームページでプレスリリースを実施しているものと認識しております。

 また、政府全体では、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議におきまして、各ファンドにおける累積損益に係る状況等を共有し、定期的に検証が行われております。また、同会議に定められた官民ファンドの運営に係るガイドラインに基づきまして、官民ファンドにつきましては情報の秘匿性に留意しつつ、適時適切な情報開示を行うことが求められておりまして、いずれにいたしましても、総務省、JICTにおいては適切な情報開示に努めていただきたいというふうに思っております。

青木委員 御答弁ありがとうございました。

 今、情報公開はされているということでしたけれども、世界情勢がますます不安定化する中で、損失が今後見込まれるとなったらどの程度で早く切り上げるのか、そういったことも是非議論していただいて、国民の皆様に、先ほど許斐委員からもありましたけれども、失敗した例については秘密契約でお話しできないというところもありましたので、やはり、税金を使う以上、国民の皆様への透明性の確保をお願い申し上げたいと思います。

 続いて、次の質問です。

 先ほどの利益の面で踏み込んだ御質問になるんですけれども、国民への恩恵という観点から伺います。

 海外のインフラ支援は、ともすれば、よその国を助けるだけではないか、日本の大切な税金が外に出ていくだけではないかという疑念を招きかねません。特に、行き過ぎたグローバリズムの中で、日本の富が海外へ流出することを懸念する国民の声は日増しに強まっております。

 そこで、今回のJICTへの支援が、巡り巡ってどのように国内の産業を活性化させ、所得向上や雇用の安定として還元されるとお考えでしょうか。海外のインフラを整えることが、日本の国益、そして日本で暮らす国民一人一人の生活の安定や豊かさにどう結びついていくのかをお聞かせください。

堀内副大臣 情報通信分野は、デジタル化、AI化の進展を背景に、世界的に拡大が続く成長市場であるというふうに認識しております。

 このような成長市場の旺盛な需要を取り込み、我が国の強い経済の実現に貢献していくものとして、情報通信分野は、日本成長戦略会議の下、官民投資を優先的に支援すべき戦略分野の一つに位置づけられております。

 今後取りまとめる官民投資ロードマップの実行に当たって、JICTには、海外市場の開拓を目指す日本企業の戦略的投資の呼び水として、これまで以上の役割を果たしていくことが求められます。

 JICTによる支援が、我が国における情報通信産業の活性化、稼ぐ力の向上に寄与し、そして、国民の所得向上や雇用の安定に貢献していくことを期待しております。

青木委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 日本企業の技術が世界で活躍して、その経験と実績を国民の皆様が知るというのはとてもいい好循環を生み出すと思いますので、是非もっと国民の皆様に見える形でお示しいただければと思います。

 では、次の質問に移ります。

 JICTの在り方に関する有識者検討会についてお伺いいたします。

 昨年、二〇二五年十月から約二か月間、計六回という非常にスピーディーな議論を経て、今後十年という長期の延長を決定されました。そこで、評価の客観性についてお伺いいたします。

 検討会には評価を受ける立場であるJICT自身が立会人として同席して、議論の土台となるリスク評価や実績データの多くがJICT自身から提供されたものに基づいております。この構図を国民の皆様の目から見たときは、透明性への疑問を持たれかねません。第三者による客観的な視点や、技術面や安全保障面から厳格な検証はなされたのでしょうか。いかにして公平な評価をされたのか、その妥当性と今後の評価の在り方について御見解をお聞かせください。

布施田政府参考人 お答えをいたします。

 JICTの在り方に関する有識者検討会では、情報通信技術、海外事業、経済学、安全保障・セキュリティーなどの分野に高い見識を有する五名の外部有識者に御参画いただきまして、技術面、安全保障面を含め、多角的な視点から、JICTの経営状況の検証や今後の在り方について御議論をいただきました。

 外部有識者の方々からは、JICTの投資の実績、成果が見えにくい、JICTが投資する政策的意義を明確にすべきといった改善点を御指摘いただきつつ、これらの指摘に対してJICTが適切に対応していくことを前提にいたしまして、JICTによる支援は引き続き推進すべきであり、設置期限を延長することが適当との提言をいただいてございます。

 総務省といたしましては、JICTによる指摘事項への対応状況を注視いたしまして、外部有識者の御知見もおかりしつつ、適切にJICTの経営状況を監督してまいります。

青木委員 ありがとうございました。

 外部の方や有識者の方の御意見があったということですが、その有識者の五名の方の選定方法について、より深くお伺いさせていただきます。

 この五名の方の中に、デジタルの最前線を熟知する方、また、あるいは地政学リスクの専門家は議論に加わっておられたのでしょうか。

 初期の支援案件では、ミャンマーのクーデターとか中国の許認可が下りないことによって、八十一億円もの損失を出した前例がございます。リスクを未然に防いで国民の大切な資産を守るためには、国際情勢や最新技術に精通した専門家との議論が何より重要ではないでしょうか。もちろん経営とか金融の視点も大切ですが、過去の失敗を繰り返さないためにも多角的な評価が必要だったのではないかと懸念しております。

 そこで、構成員選定の考え方、そして議論の内容について、もう少しお聞かせください。

布施田政府参考人 お答えをいたします。

 JICTの在り方に関する有識者検討会では、先ほど申し上げました各分野の五名の外部有識者に参加いただきました。その中には、今委員御指摘の、デジタル技術に非常に精通している方ですとか、地政学リスクの変動に対する専門家、知識を有している方も入っているところでございます。

 これら有識者の方々にまとめていただきました報告書では、人材の量、質の強化を含め、カントリーリスク情報の収集、分析などを通じた投資リスク管理を推進する必要性などについて御指摘をいただいているところでございます。

 JICTでは、これまでにも、マクロ経済、地政学分野の専門家を顧問といたしまして招聘するなどの取組を通じまして、地政学リスクに関する情報の収集、分析体制の強化を行っておりますが、有識者検討会における御指摘を踏まえまして、今後、更なるリスクの管理強化に取り組んでいくものと承知してございます。

青木委員 ありがとうございます。

 海底ケーブル、今、破損事故が世界でも百件、二百件と、とても増えておりますので、やはり地政学に関する有識者の方の御意見とか、あと、つくったら終わりではなくて、それを、では今後どうやって守っていくのか、そういうところの現場をよく知る人の知見なんかも今後議論に加えていただいて、吟味していっていただければと思います。

 ちょっと時間が迫ってまいりましたので質問を一つ飛ばさせていただいて、最後の質問、中小企業の海外展開について、最後、林大臣にお伺いいたします。

 日本が世界に誇るインフラ輸出の現場を支えているのは、大企業だけではございません。地方で技術を磨き続ける中小企業の職人たちの力があってこそです。こうした方々の活躍を広く可視化することは、現場の士気を高めるだけではなくて、納税者である国民の皆様が、日本の技術が世界のどこかで誰かの暮らしを豊かにしていると自分事として誇りを持てる生きた物語になると考えます。

 また、多くの現場が後継者不足という深刻な課題を抱える中、世界という大きな舞台を若者に示すことができれば、それは未来への希望となります。若者が、自分もこの技術で世界をつなぎたいと憧れを抱き、確かな技術が次の世代へと受け継がれていく仕組みは、これからも重要な課題ではないでしょうか。

 そこで、JICTの支援が、大企業にとどまらず地方の中小企業や若い技術者たちまで届いて、日本のインフラ輸出を根底から支える存在となっていくために、JICTはどのような支援を考えておられるのか、お聞かせください。

林国務大臣 まさに委員がおっしゃるように、今は大企業でもスタートから大企業だったわけではございませんので、ソニーにしても京セラにしても中小企業から発展をしていった、こういうことでございまして、まさに雇用の七割、付加価値の五割を中小企業というのは占めておりますので、日本経済の屋台骨であります。また、地域経済を牽引していただいている中堅企業、今からどんどん大きくなっていこうという成長志向の中小企業、地域経済を支える小規模事業者、こうした皆さんの稼ぐ力を抜本的に強化する、これは非常に大事なことだと思っております。

 JICTに対しても、情報通信分野における中小企業の海外展開への支援、これが期待されておりまして、実際に、先ほども申し上げましたけれども、沖縄県の中小企業を支援する実例、こういうのも出てきております。

 昨年の十月から十二月まで行いました有識者検討会、ここでも、ガバナンスが確保された事業者との共同出資を前提といたしまして、地方企業ですとかスタートアップ企業、中小企業を一層支援すべきだ、こういうふうになっております。

 中小企業は、一般的に申し上げますと、やはり海外事業に関する情報、ノウハウが不足しておりまして、海外展開になかなか行き着けない一因となっているということに鑑みまして、JICTに蓄積されております海外展開に必要な知見やネットワークをそうした中小企業などに還元をする、これが有効であろうと考えております。

 総務省では、海外市場調査、また実証実験などを通じてこうした中小企業向けの海外展開支援に取り組んでおります。JICTにはこのような取組と連携を図りながら、中小企業の海外展開支援に取り組んでいくよう促してまいりたいと考えております。

青木委員 ありがとうございました。

 今回のこの十年という期間が地方の中小企業の成長や雇用の安定につながることを強く期待して、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、武藤かず子君。

武藤(か)委員 チームみらいの武藤かず子です。本日も、JICT法改正の審議のため、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今回の改正は設置期限を十年延長するというシンプルな内容ではございますが、それだけに、延長を認めるに当たって問われるべき点が多くあると考えております。順次お伺いしてまいります。

 初めに、JICTの支援対象の範囲についてお伺いをいたします。

 JICT法が定める支援対象は、海外において電気通信事業、放送事業、郵便事業を行う者であります。二〇二二年十二月に出資を決定したポケトーク社が展開する多言語翻訳サービスはICT関連であり、領域としてはJICTの支援対象の範囲内に収まり得ると理解をしております。

 一方で、確認したいのは、領域の適否よりも、JICTの設立趣旨は、規制分野ゆえの政治リスクへの対応や大規模インフラへの資本供給という、民間では対応が難しい場面に公的資金を投じることであったと理解をしております。

 ポケトーク社は、主に一般消費者、民間向けのサービスであり、株主としてJICTが参画することでJICT本来の政策的関与効果がどのように発揮されるのか、御説明いただきたいと思います。

 あわせて、スタートアップへの成長支援という性質に着目すれば、クールジャパン機構の方が支援スキームとして親和性が高かったとも考えられます。なぜJICTが支援主体となったのか、両機構の役割分担の観点からお示しいただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTにおきましては、世界的に拡大するICTサービスの需要を取り込むことなどを目的にいたしまして、委員御指摘のとおり、二〇二二年二月にJICTの支援基準を改正いたしまして、ハードインフラの整備などを伴わないICTサービス事業を新たに支援対象に追加いたしました。

 インフラのみならず、多言語翻訳サービスなどのICTサービスに関しましても、海外需要を積極的に取り込み我が国の事業者の成長につなげていくことが重要であると考えているところでございます。

 また、委員御指摘の多言語翻訳サービスは、総務省所管の情報通信研究機構、NICTが長年開発してきた我が国の技術につきましてライセンス供与を受けた企業の海外展開の事例でございまして、JICTにおいては、このNICTの技術アドバイザーの技術的見地の収集なども通じまして、ICT分野に係る専門性を高めてございます。

 このように、JICTのICT分野に係る専門性の観点から、また、我が国発の技術を由来としましたこの多言語翻訳サービスの海外展開支援はJICTとの親和性が高いものと考えているところでございます。

武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。

 既に許斐委員からの質問にもありましたとおり、私が懸念しておりますのは、審査する側のケーパビリティーの問題でございます。海底ケーブルやデータセンターといった大規模インフラ案件のリスク審査と、スタートアップへの出資を判断するのとでは、求められる専門知識は全く異なります。

 そもそもJICTにおいては、案件を審査する人材の確保自体も難しいと聞いております。支援対象を拡張していけば、適切なリスク審査が行われないまま案件が積み上がっていくことを懸念しております。設置期限の延長に当たり、設立目的と支援対象の整合性を改めて精査した上で、審査基準と体制の両方を見直すことを強く求めたいと思います。

 続きまして、累積損失解消見込みの妥当性についてお伺いをいたします。

 二〇二九年度累積損失解消見通しの根拠となる資産評価をJICT自ら実施をしており、独立した第三者による査定が一切行われておりません。政府出資率九〇%以上を占める機関が自らの評価のみでこの設置期間十年の延長を正当化することは、説明責任を果たしておらず、ガバナンスの観点でも問題であると考えております。

 ワーストケース、すなわち、為替の大幅変動や地政学的リスクが顕在化した場合における累損解消の見通しを公開すべきであり、独立した専門家による資産査定の実施を求めます。

 さらに、根本的な問題として、一般的なファンド運営においては、投資の専門知識を持つ立場から、投資方針、リターン目標、情報開示基準を能動的に監視する出資者ガバナンスの機能が置かれますが、JICTにはその仕組みが存在しません。また、JICTに対する政府の関与は、認可、予算承認、実績評価といった行政監督の形を取っており、その機能を政府が十分に果たせるとは言い難い状況です。

 設置期限の延長を機に、投資の専門知識を持つ独立した有識者による出資者ガバナンスの仕組みを整備することを提案したいと思いますが、政府のお考えをお示しいただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTにおきましては、現在、独立した第三者の専門家による資産査定は実施されておりませんが、JICT自ら出資資産の公正価値評価を実施し、その結果を公表しております。

 また、JICTは株式会社として、会社法に基づき、決算書について会計監査法人による監査を受けておりまして、二〇二三年度以降二年連続の単年度黒字の計上などの実績は第三者による監査を受けているものでございます。

 加えて、JICTでは、民間株主の意見を取り入れながら経営が行われ、また、社外取締役を中心とする委員構成となっている委員会において投資の意思決定が行われておりまして、外部の意見の積極的な反映が図られていると承知してございます。

 総務省といたしましては、他の官民ファンドの取組状況も参考にいたしまして、このJICTの経営に係る健全性の向上に向けて、外部の御意見などを積極的に取り入れて、経営が一層推進されるように、適切に監督を行ってまいります。

武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。積極的に外部の意見を取り入れられるということ、心強く感じております。

 続きまして、JICTの存在意義と回収目標についてお伺いをいたします。

 JICTの存在意義は、大きく二点あると考えております。一点目が政策性、二点目が収益性でのリターンであります。この両者の評価の枠組みが事前に明示されていなければ、将来にわたって客観的な検証を行うことが難しくなると懸念をしております。

 設置期限の延長に当たっては、政策性と収益性、この二つのタイプのリターンに対して、政策性においては指標、手法、タイミングを、収益性に関しては最終的な利益還流目標をお示しください。国民に対する説明責任を果たす上で重要と考えますので、林総務大臣の見解をお聞きしたいと思います。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、JICTによる投資、これは、政策性と収益性、この両方を満たすということが求められるわけでございます。

 政策性の観点ですが、JICTによる投資によりまして、日本企業の海外展開を支援し、我が国経済の持続的な成長に寄与する、これが目的ということでございます。

 収益性の観点では、投資リスク管理を徹底し着実に収益を確保するということで、最終的には産業投資の資本コストを上回る収益の達成を目指すということでございます。

 具体的に申し上げますと、政策性に係るKPIでございますが、日本企業が海外にて行うICT事業等への投資額、それから民間企業との連携数、そして民間投資の呼び水効果、この三つを政策性のKPIとしております。また、収益性に係るKPIは、累積損益、こういうことでございまして、これらのKPIの進捗状況は、およそ五年ごとに、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会において検証されるということになっております。

 収益性について、今委員からは国への収益還流目標というお言葉もありましたが、これは設定はしておりませんけれども、現在のKPIである累積損益の目標額、これは二〇三五年度末で百十六億円を設定しております。したがって、仮に当該目標額が、現在のJICTへの出資比率に応じて株主に還元された場合には、百十億円超の利益、これが国庫に納付されることになる、こういうことになるわけでございます。

 現状のJICTの政策性に係る評価の枠組みにつきましては、KPIの検証を通じて適切な評価が行われていると考えておりますが、JICTを取り巻く状況変化、これにも留意しながら、適時適切に見直しを検討してまいりたいと考えております。

武藤(か)委員 御答弁いただきありがとうございます。

 その政策性の代表的な指標として、呼び水効果という話がございました。この数値についても改めて確認したく、次の質問に移らせていただきます。

 政府は、JICTの政策的意義として、呼び水効果ということを繰り返し強調しておられます。最新の報告でも、融資合計で六・二倍、出資のみで五・七倍が実績であると説明がありました。これに対して、計算方法を総務省へ照会したところ、分子となる民間投資額七千百六十七億円は、JICTと協調して行われた民間投資額の合計であると認めております。つまり、この数値は、JICTがいなければ実現しなかった投資ではなく、JICTと一緒に投資した民間の金額の総計であるというところ、高見委員の質疑でも御答弁がございました。

 また、案件ごとに、追加性、すなわちJICTの参画が民間投資の実現にどの程度貢献したのかというところを文書化、検証する仕組みが現在存在しないというところも、総務省への照会で確認をさせていただいております。

 公的資金を民間投資に活用する開発金融の世界では、世界銀行グループの国際金融公社や、オランダ、ドイツの開発金融機関において、こうした追加性の評価、文書化が取り組まれております。日本の官民ファンド全体としても、追加性の評価をする仕組みは現在整備されていない状況でございますが、この設置期限の延長を機に、どのような案件をもってJICTの参画によって初めて実現した投資とみなすのか、その判断基準をあらかじめ明示することが必要と考えております。

 是非、この判断基準を明示すること、政府のお考えをお示しいただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTは、誘発された民間投融資額、いわゆる呼び水効果の額といたしまして、委員御指摘のとおり、JICTと協調して行われた民間企業等の投資額を算定してございます。

 JICTがいなければ民間企業などによる投資が実現しなかったか否かにつきましては、明確なお答えをすることは難しいのでございますが、JICTによる投資又はその見込みがあることは、民間企業などによる投資判断の材料として民間投資の誘発に寄与していると考えてございます。

 いずれにいたしましても、JICTにおいては、御指摘いただいたような他の事例も踏まえつつ、JICTの参画が民間投資の実現にどの程度貢献したのかにつきまして、多角的な視点から適切に評価を行い、しっかり説明責任を果たしていくことが重要であると考えてございます。

 総務省としても、JICTによる対応の状況を適切に監督してまいります。

武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。

 国民の税金を原資とする以上、JICTがいなければ実現しなかった投資がどう検証できるかという数値、これを根拠として用いることは、国民への説明責任を果たしているとはとても言い難いというふうに考えております。先ほどから申し上げている出資者ガバナンスの整備と併せて、追加性の判断の基準の明示、これも強く求めたいと思っております。

 続きまして、早期撤退の判断規律についてお伺いをいたします。

 設置期限を延長したとしても、運営コストや時間の経過を考慮した場合に、IRRの改善が見込めない案件については、延長を待つよりも早期に資産を売却する方が国民の損失を抑えられる観点から合理的な場合があると考えております。そうした判断を適切に行うためには、あらかじめ撤退基準を明示しておくことが重要と考えております。

 そこで、お伺いをいたしますが、収益性が著しく低下した案件については、早期売却を判断するための基準は現在定めておられますでしょうか。もし定めておられない場合は、どのようなプロセスで判断されているのかをお示しください。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTにおきましては、支援決定時に、基本的な投資回収方針の策定や、関係者との間で撤退に係る取決めを行ってございます。その上で、週次での全社会議や原則四半期ごとのモニタリング会議などを通じて投資案件のモニタリングを実施し、その中で事業継続や撤退などの判断を行ってございます。

 また、毎年度の決算書の作成過程においては、各投資案件について投資回収の見込みを精査いたしまして、一定程度回収が見込めないと判断される投資案件については損失計上を行ってございます。

 損失計上については、毎年度公表している決算書に反映されておりまして、その処理の妥当性につきましては、外部の会計監査法人による監査を受けているものでございます。

 JICTにおいて、引き続き、投資案件のモニタリングが適切に実施され、損失計上を行う場合には、適切な会計処理及び公表とともに、一層の説明責任が果たされるよう、適切にJICTを監督してまいります。

武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。

 是非、基準があっても検証できなければ、国民への説明責任を果たしているとはとても言い難い状況でございますので、情報開示の充実と併せて、独立した有識者による出資者ガバナンスの仕組みの整備を重ねて求めていきたいと思っております。

 続きまして、運営コストの管理体制についてお伺いをいたします。

 総務省への照会により、スリム化計画は策定されていない、延長後の人員規模の具体的見通しもない、また、現在、二〇二五年度末に向け、三十一名から三十六名への増員が進んでいることを確認をいたしました。同じ官民ファンドであるINCJが、投資回収フェーズで段階的に人員を縮小し組織を清算した経緯も踏まえ、JICTの組織規模の方向性についてどのようにお考えになっているか、お示しいただきたいと思います。

 こうした問題は、スリム化計画の有無にとどまらず、根本的なガバナンスの問題であると考えております。一般的なファンド運営においては、出資者が、コスト管理、組織規模の適正化を能動的に監視する機能が出資者ガバナンスを担いますが、JICTにはその仕組みがありません。資産回収の進捗に連動したスリム化の目標設定と達成状況の検証を独立した有識者による出資者ガバナンスの仕組みの中で担保することについて、政府のお考えをお示しいただきたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 JICTの職員数でございますが、設立当初の二〇一五年度末時点では十六名だったところ、その後の投資案件の増加などによる業務量の増加などを背景に、二〇二五年度末時点では三十三名となってございます。

 また、設置期限が延長された場合には、設置期限が制約となっていました案件への投資も見込まれますので、また更なる海外需要の獲得が期待されることなどを踏まえますと、引き続き経営改善への取組を着実に行っていくことを前提にいたしまして、JICTの体制を強化していく必要があると考えてございます。

 他方、将来的なことでございますが、設置期限に向けて投資回収が進み業務量が減少していく、いわゆる投資回収のフェーズに来る場合などにおいては、その体制を縮小することが考えられます。

 繰り返しになりますが、JICTでは、民間株主の意見を取り入れながら経営が行われ、また、社外取締役を中心とする委員構成となっている委員会において投資の意思決定が行われておりまして、外部の意見の積極的な反映が図られていると承知してございます。

 総務省としては、他の官民ファンドの取組状況も参考にしつつ、JICTの経営に係る健全性の向上に向けて、外部の意見なども積極的に取り入れた経営が一層推進されるよう、適切に監督を行ってまいります。

武藤(か)委員 御答弁ありがとうございます。

 本日の質疑を通して繰り返し申し上げてまいりましたが、JICTの原資は国民の税金を含む公的資金でございます。だからこそ、行政監督という形式的な関与にとどまらず、投資の専門知識を持つ独立した有識者が国民に代わって、出資者の立場からJICTの運営全体を能動的に評価、監視をする体制、すなわち出資者ガバナンスの仕組みを整備することが不可欠であるというふうに考えております。

 この設置期限の延長を認めるに当たり、この点を強く求めて、私の質問を終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

古川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木英敬君外四名から、自由民主党・無所属の会、中道改革連合・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、チームみらいの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。平林晃君。

平林委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 機構が海外における通信・放送・郵便事業の支援を行うに当たっては、民業を補完する存在として、民間資金の呼び水の役割を果たすことに徹するとともに、我が国の地方企業、スタートアップ企業、中小企業等の海外展開を推進するよう、機構における適切な運営を確保すること。

 二 機構が我が国経済の持続的な成長に寄与するとの目的に沿って運営されるよう、「官民ファンドの運営に係るガイドライン」に従って機構の活動の検証を適時的確に行うこと。

 三 官民ファンドの原資が国の資金であることに鑑み、機構が改善計画を達成し、早期に累積損失を解消できるよう、機構に対し適切な監督を行うこと。

 四 投資リスク管理の更なる推進、地方企業の海外展開への貢献等の観点を踏まえ、機構において海外事業、ICT事業、金融等の専門知識を有する民間の人材の更なる確保・育成が図られるよう、必要な取組の実施を求めること。

 五 機構に対し、関係者との秘密保持契約に留意しつつも、出融資決定時から出資金等の回収による損益の確定までの間における一層の情報開示を求めることを通して、国民に対する説明責任を果たすように努めること。

 六 機構が海外における通信・放送・郵便事業の支援を行うに当たっては、国際競争力の強化や経済安全保障の確保等のため、総務省との連携をより緊密に図るとともに、機構と我が国の政府系金融機関、海外の政府関係機関、民間株主、銀行等との間において、適切な役割分担がなされ、より密接な連携と協力が図られるよう、必要な取組の実施を促すこと。

 七 機構の運営に対する国会・国民の監視機能を実効的なものとする観点から、投資の専門知識を有する政府から独立した有識者が、機構の中期経営計画及び改善計画・収益性の確保の状況・情報開示の状況を能動的に評価し、その上で、累積損失解消の進捗状況や運営の効率化の達成状況、機構の存廃に関する評価等を定期的に国会に報告する仕組みを設けるための法改正について検討を行うこと。

 八 機構による対象事業支援が法の目的及び支援基準に沿って行われるよう、機構を適切に指導・監督するとともに、支援決定に係る認可に当たっては、検討過程の透明性確保に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林総務大臣。

林国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

古川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古川委員長 次回は、来る十六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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