第15号 令和7年4月9日(水曜日)
令和七年四月九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 斎藤アレックス君 理事 田中 健君
東 国幹君 石田 真敏君
伊藤 達也君 上田 英俊君
島尻安伊子君 鈴木 貴子君
田中 和徳君 土田 慎君
長島 昭久君 中西 健治君
福原 淳嗣君 古川 禎久君
牧島かれん君 松本 剛明君
江田 憲司君 岡田 悟君
海江田万里君 川内 博史君
階 猛君 末松 義規君
長谷川嘉一君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 萩原 佳君
村上 智信君 岸田 光広君
中川 宏昌君 山口 良治君
高井 崇志君 田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
内閣府副大臣 瀬戸 隆一君
財務副大臣 斎藤 洋明君
国土交通副大臣 古川 康君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
総務大臣政務官 古川 直季君
外務大臣政務官 英利アルフィヤ君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
環境大臣政務官 勝目 康君
政府参考人
(内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長) 寺岡 光博君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 松家 新治君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房デジタル・国際総括審議官) 佐久間正哉君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(カジノ管理委員会事務局監督調査部長) 原田 義久君
政府参考人
(金融庁総合政策局長) 屋敷 利紀君
政府参考人
(金融庁総合政策局政策立案総括審議官) 堀本 善雄君
政府参考人
(金融庁企画市場局長) 油布 志行君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 藤本 武士君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 伊藤 正志君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大村 真一君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 小林 出君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(財務省国際局長) 土谷 晃浩君
政府参考人
(国税庁次長) 小宮 敦史君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
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委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
根本 幸典君 鈴木 貴子君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 貴子君 島尻安伊子君
同日
辞任 補欠選任
島尻安伊子君 根本 幸典君
―――――――――――――
四月八日
株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
金融に関する件(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)
財政及び金融に関する件
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○井林委員長 これより会議を開きます。
金融に関する件について調査を進めます。
去る令和五年十二月八日、令和六年六月二十五日及び十二月十三日、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づき、それぞれ国会に提出されました破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告につきまして、概要の説明を求めます。金融担当大臣加藤勝信君。
○加藤国務大臣 令和五年十二月八日、令和六年六月二十五日及び令和六年十二月十三日に、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を国会に提出いたしました。
報告対象期間は、通算して、令和五年四月一日以降令和六年九月三十日までとなっております。
御審議に先立ちまして、その概要を御説明させていただきます。
まず、今回の報告対象期間中に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分は行われておりません。
次に、預金保険機構による資金援助のうち、救済金融機関等に対する金銭の贈与は、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で十九兆三百十九億円となっております。
また、預金保険機構による破綻金融機関等からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中にはなく、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。
なお、預金保険機構の政府保証付借入れ等の残高は、令和六年九月三十日現在、各勘定合計で五千九十億円となっております。
ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理等に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講じることに努めてきたところであります。
金融庁といたしましては、今後とも、各金融機関の健全性にも配慮しつつ、金融システムの安定確保に向けて万全を期してまいる所存でございます。
御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて概要の説明は終わりました。
――――◇―――――
○井林委員長 次に、財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長寺岡光博君外二十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中西健治君。
○中西委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の中西健治でございます。
世界中、そして日本も含めて大変な状況になっております。今日は日銀総裁にお出ましいただいておりますけれども、いま一度、この局面において、日本銀行の金融政策について整理を少し試みたいというふうに思っております。日銀総裁には分かりやすい答弁をお願いしたいと思います。
まず、これまでの金融調節、引締めについて、その理由をお伺いしたいと思っています。
三月の政策決定会合の主な意見では、物価に関して、ほぼ全員がインフレ目標達成への自信の高まりを示しており、そのうち約半数がインフレの上振れリスクを指摘しておりました。さらに、総裁自身、先月、三月二十六日の当委員会で、現在の実質金利は極めて低い水準にあるとの認識を示しておられます。
実質金利が極めて低く、インフレに上振れリスクがあるのであれば、当然、利上げを急がないといけない、こういうことになるかと思いますが、今の日銀にはその気配は感じられません。
さらに、政策決定会合の要旨を見ても、記者会見などでの発言を聞いても、総裁は、インフレを退治するために利上げをしたとか、インフレ退治のために利上げを続けるなどとは一言もおっしゃっていません。むしろ、データがオントラックに推移すれば利上げする、こういう物の言い方をされております。
したがって、今の利上げ局面は、あくまで金融政策の正常化を目的としたものではないかと思われますけれども、この点について総裁に伺いたいと思います。
○植田参考人 お答えいたします。
私ども、基本的には、二%の物価安定目標を持続的、安定的に実現するという観点から政策を運営してまいります。長期的な物価の動向に関係が深い基調的な物価上昇率というものを注意して見ておりますが、これは二%に向けて徐々に高まってきているということを確認する中で、昨年三月以来、何回かの政策金利の引上げを実行してきたところでございます。これは、繰り返しになりますが、物価安定目標を持続的、安定的に実現するという観点で行ってきた政策変更でございます。
○中西委員 正常化というようなことについて今全くお答えをいただいていないわけでありますけれども。
普通、多くの中央銀行というのは、金融政策を使って経済に働きかける、こういうことをするわけですけれども、総裁の、経済がオントラックであれば利上げするというのは、やはり金融調節を目的としているというふうに思わざるを得ないというふうに私自身は考えております。
ただ、私は、この金融の正常化ということ、これ自体は否定されるべきものではないだろう、いざという事態が生じたときに金融調節ができる柔軟性、これを確保するということは極めて重要だというふうに思っております。
総裁は就任以来、私は、順序立てて非伝統的金融政策を排して利上げを行ってきている、こういうふうに考えておりますので、これは私は、政策をいざというときに発動できる柔軟性を確保するということも、日銀のこれまでの政策決定の中で大きな理由になっているのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○植田参考人 やや繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、私どもは、ここまで金利を少しずつ引き上げてきた背景といたしましては、経済、物価情勢が改善する下で低金利を継続しますと、金融緩和の度合いが過大なものとなるおそれがありまして、場合によっては物価上昇率が加速する、後になって急速な金利の引上げを迫られてしまう、こういうリスクもある。こうした状態を回避しつつ、経済、物価情勢に応じて適切に政策を運営していくことが、物価の安定を通じて息の長い成長を実現していくことにつながり、国民経済全体にメリットを及ぼすというふうに考えてきたところでございます。
○中西委員 物価が思わぬ上昇を将来するのかもしれない、それを予防的に、ないようにする、そうしたことも一つの重要な政策目的だろうというふうに思いますが、やはり金融の正常化ということも大変大きな目的ではないかというふうに思います。
FRBの元議長、バーナンキさんが、量的緩和政策については、理論的には効果がないが実際には利いた、こういうふうなことを言っております。それは、異次元の政策を取ったわけですから、この異次元の政策というのは理論的に説明できるものでもない、こんなようなことを言っていらっしゃるわけですけれども、今もまだ日銀は、量的緩和は縮小しつつありますけれども、やはり異次元にいるのだろうというふうに思いますので、そこから普通の正常な世界に戻るために、私は金融政策を今まで引き締めてきているんだろうというふうに思います。
それで、今回のトランプ・ショックであります。新たな事態が起きたということではないかと思います。
多くの方が、大恐慌のさなかに、一九三〇年、アメリカではスムート・ホーリー法というのが制定されましたけれども、平均関税率が四〇%に引き上げられたということがございました。そして、大恐慌は更に長引くということになりました。今のトランプ関税というのは、この一九三〇年のことを考えると、先祖返りしたにすぎないのではないか、こういうふうに思えるところがございます。ということは、トランプの数年間、四年間かもしれません、まあ四年間だと思いますけれども、経ても、アメリカはこの政策を取り続ける、先祖返りしているわけですから、可能性は否定できないだろうというふうに思います。ですので、大地殻変動が起きている、そして影響が長く続く可能性があるということなんじゃないかと思います。
これだけのショックが起きてきているので、私は新たな対処すべき事態が日本銀行にとっても生じているのではないかと思いますが、その認識はいかがでしょうか。
○植田参考人 今般の自動車関税あるいは相互関税の導入によって内外の経済、物価をめぐる不確実性は高まったというふうに、もちろん見ております。
それがどういう経路を通じて我が国経済、物価に影響を及ぼすかという点については、複数の可能性がございますので、現在、注意深く分析を続けているところであります。
また、関税政策が今後どういう展開をたどるかという点についても、ある程度不確実性がまだ残っているというところでございます。
こうした動向を十分に注視しながら、適切に政策運営を進めてまいりたいと思っております。
○中西委員 注意深くですとか注視するということをおっしゃいましたけれども、やはり、もっとはっきりしたメッセージを送らないといけないんじゃないかというふうに私は思っております。
これだけの事態ですから、大変大きな不安心理が人々を覆っている、世界を覆っている、日本を覆っているということなんじゃないかと思います。総裁は金融の正常化ということをおっしゃいませんでしたけれども、私は、これまで金融正常化、まだ続けたかったんだろうけれども、これだけのことが起こってしまったので、これにはしっかり対処していくべきだというふうに考えております。
はっきりしたメッセージということでいうと、大変参考になるのが、ギリシャ・ショック、ユーロの通貨危機、ギリシャ通貨危機、そのときのECBの総裁であったドラギさんの言い方であります。ドラギさんはそのときに極めてシンプルなメッセージを発しました。それは、我々の権限の範囲内でユーロを守るためには何でもやる用意がある、そうして信じてほしい、それで十分だ、こういうシンプルで強いメッセージを発しました。そして、これがドラギ・マジックと言われましたけれども、ユーロ危機というのは、通貨危機というのは収束に向かっていったということであります。
やはり、これまで日銀というのは、世界初の、白川さんのとき、黒田さんのとき、いろいろな政策を打ったことは間違いありませんけれども、それが響いたかというと、なかなか響かず時間がかかったということなんじゃないかと思います。やはり、強いメッセージ、クリアなメッセージを日本銀行には出してもらいたい、こういうふうに思います。
こういう危機を、もう危機と呼んでいいと思いますが、迎えて、注視する、注意深くではなくて、あらゆる手段を動員する、そうした用意はございますか。
○植田参考人 関税政策につきましては、先ほど申し上げましたとおり、今後の動向はどうなのか、どう変わっていくのかという点も含めて、残っている不確実性がございます。これを丁寧に見極めつつ、私ども、経済、物価情勢、あるいは市場動向も確認し、見通しをしっかりと持ち、それに応じて適切に政策を判断するという姿勢でございます。
○中西委員 総裁、適時適切を繰り返されています、注意深く見守るということもおっしゃっていますけれども、これだけは言いませんか、政府と日銀は歩調を合わせてしっかりと対処していく。日銀総裁、お願いします。
○植田参考人 もとより、私ども日本銀行としましては、政府と緊密に連携しつつ、引き続き、市場動向あるいは経済、物価への影響を十分注視してまいりたいと考えております。
○中西委員 政府は切迫感を持って対処しようとしていますので、きっちりと歩調を合わせて対処していってもらいたいと思います。
日銀総裁への質問はこれで終わります。御退席いただいて結構でございます。
○井林委員長 日銀総裁、御退席ください。
○中西委員 続きまして、株式市場は大変なことになっていますが、ちょっとNISAについて、金融庁並びに金融担当大臣にお伺いしたいと思います。
今、日経平均で昨日は三万三千円ちょっとというところでしたけれども、新しいNISA、去年の一月、新NISAが始まったときの株価は三万三千百九十円でありました。ということは、ちょうどそのレベルに昨日の終わり値あたりではいたということになります。これからまた一段下がっていくということになると、ああ痛いということになる人も出てきますけれども、実は、一旦は上に上がったのが返ってきている、こういう水準であるということは知っておいていただきたいというふうに思います。
その上で、やはり、長期、分散がNISAの制度の意味合いですから、しっかりと長期、分散でまた投資を続けていってほしいなというふうに私自身は思っているところであります。
その中で、このNISAですけれども、長期の運用ですので、元本を取り崩すようなことはしない、利息は、配当はすぐそのまま再投資に向ける、こういう商品が対象となっております。それは意味のあることだろうというふうに思いますが、このNISA、一年終わってみて、やはり若い人の利用率が非常に高いんです。二十代、三十代、四十代、五十代ぐらいまで、三十代、四十代がピークなんですね。そこからだんだん下がってきて、年齢が上に上がると余り関心がなくなっていく、使っていないということになります。
それはどういうことかというと、やはり、お年を召してから、積み立ててくれと言ってもなかなかということなんじゃないかと思います。
そんな中で、今、御高齢の方々、年齢が高い方々に限って、元本を取り崩してもいい毎月分配型の商品というのは、年金は隔月ですからそれの補完をするものとしても大きなニーズがあると思いますが、こうした商品を年齢を限って認めていくというのは、金融担当大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 御指摘のように、高齢者においても口座数は増加はしているものの、二十代、三十代と比べるとその伸びは小さいと認識をしております。
また、これまでも、今おっしゃるような取崩し型というんでしょうかね、分配型に対する御要望というのも頂戴はしていると思いますが、他方で、そうしたものが、これまでもそういった商品があって、それがどうだったのか、特に手数料等々含めていろいろな課題があったということも委員御承知のとおりだろうと思っております。
私どもとしては、まず、そうした商品構成を云々する前に、高齢者においても、長期、積立て、分散なんですけれども、高齢者からいうと長期、積立てはちょっとあれかもしれませんが、分散というのはまだまだありますし、高齢者においても、預貯金の形でかなり高い割合を持っておられますから、そういった意味においても、それぞれの御本人が、これからの人生の中でどういうライフイベントがあって、それに向けてどういう現金が必要だ、どういう流動性を確保しなきゃいけないというようなこともしっかりプランニングしていただいた上で、そうでない部分についてはよりうまく運用していただく、こういったこともしっかりお願い申し上げていくことが必要だ。
そういった意味において、NISAの活用も含めて、金融経済教育、これを通じて、これは若い方だけではなくて高齢者の方も含めて全般的な展開、これをしっかり努めていきたいと考えています。
○中西委員 質問を終わりますけれども、私は、高齢者向けに、年齢を区切った上で、プラチナNISAみたいなものをつくったらいいだろうというふうに思っております。
どうもありがとうございました。
○井林委員長 次に、末松義規君。
○末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。
今日は、質問の機会をお与えいただき、ありがとうございます。
今日は、メインに、トランプの高関税政策に対して日本の対応をどうするかということについて議論をさせていただきたいと思います。
トランプ大統領が示した、日本が米国に課しているという関税四六%、とんでもない数字だと思うんですけれども、後で大臣の御認識も伺いたいと思います。大体、日本の関税は平均で三%と言われていますから、全く言いがかりとしか言えない、でたらめな主張じゃないかと思うんですね。この主張に従って日本に対してトランプ大統領が二四%の高関税をかけていくというのは、まともな大人の主張ではないと思うわけです。大臣も、トランプが世界に対して大げんかを売っているんじゃないか、こういう気もしておられると思いますが、これも大臣の感想もお聞きします。
世界の自由貿易体制を破壊しようとしているのはトランプの方じゃないかと私は思いますし、もっとはっきり言えば、米国内で米国製品が売れないからといって世界から来る安い優秀な人気商品を輸入して、そして、その結果、米国は大赤字になったら世界に対して責任を取れというのは、これは単なる駄々っ子のわがまま論理じゃないかと思うんですね。もっと言えば、歴史的に見て、このような極端な保護主義がブロック経済化を生んで第二次世界大戦を引き起こしたというのが歴史的な常識だと思っております。
このため、最も歴史の常識を踏まえた対応をしているのが、報復関税を唱える中国や欧州などの勇気のある国だと思います。中国は、米国と同等の三四%の関税を米国製品に課しました。トランプが、報復関税をかけた国々に対して更なる五〇%の報復関税をかけると脅してきたことにびくともせず、中国は報復関税合戦にとことんつき合うと主張しています。私が思うには、これがまともな国の対応だと思うんですね。
要は、今のゲームはチキンゲームなんですね。だから、びびった方が負け、私はそういう感じがあるわけですね。要は、トランプお得意のディールの一環ですし、トランプ大統領はその脅しのディールを楽しんでいるだけだなという感じもするわけです。このディールの脅しに屈した者がこのゲームの敗者になるという感触を私は持っています。
そこで聞きますけれども、大臣、日本はどうされますか。交渉担当役の赤澤大臣が、あらゆる手だてを検討していると言いますけれども、どうも報復関税の手段は取らないようですし、日本政府は、我慢に我慢を重ねて、多分屈辱的にトランプの提案を受け入れるのではないかなというように考えていますけれども、大臣の御認識をお伺いします。
○加藤国務大臣 これまで総理始め政府からもいろいろ発信をさせていただいていますけれども、まず、これまで様々なレベルで懸念を米国に対し説明をし、一方的な関税措置を取るべきでない旨を申し入れてまいりました。にもかかわらず、今般こういった措置が発表され、まさに実施に移されようとしていること、これは極めて遺憾でありますし、WTO協定及び日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しているということも申し上げてきたところであります。
まずは、今般の措置が極めて遺憾である旨を米国政府に伝えるとともに、措置の見直しを強く申し入れていくということが基本的な私どものスタンスであり、それに当たって、国内において、資金繰り支援など必要な支援にも万全を期していきたい。その旨、総理からも指示が出されており、財務省あるいは金融担当省としても、関係省庁と協力、連携の上、政府挙げて対応していきたい、このように考えております。
○末松委員 私が例えば交渉担当の大臣に仮になったとしたら、第一段階として、やはり中国とか欧州と連携をして、トランプ大統領への対抗策を、そこは合従連衡していく、こういう動きも重要だなと思うんですけれども、その点については、まだそういうふうな対応そのものも考えておられないということではあるんですね。
○加藤国務大臣 まず、今回のということにかかわらず、日頃からも、EU始め、それぞれといろいろな意味での意見交換、連携をさせていただいているところでございます。
さらに、今般の対応について、一番大事なことは、いかに日本の国益を守っていくのか、そのためにどういう道筋があるのか、ここに尽きるんだろうというふうに思っておりますし、総理も、そうしたお考えに立った上で、あらゆる選択肢を排除しないという中において、どういう形で対応していくことが、今申し上げた我が国の国益の維持また増大につながるか、こういった観点から対応されていくものと承知しています。
○末松委員 今の段階では、そこは対応策は決まっていないかなということだと思います。
次に進みますけれども、今年三月で、一・二七兆ドル、つまり百八十五兆円も積み上げた日本の外貨準備額、これは世界に例を見ないほど高額なんですね。この外貨準備のほとんどが米国債で占められています。私から言わせれば、常軌を逸するほどの不必要な外貨準備額と言わざるを得ません。
今まで日本は、米国に気を遣い過ぎて、米国債を買い続け、米国債を自由に売ったことがないと思います。中国を始めとする世界の大半の国は米国債を自国の判断で売ることをやってきましたけれども、私も、必要なときに自国の判断で米国債を売るべきだ、そう思うんですね。
何か、米国債を減らしちゃいけない、そういう隠された合意とかあるいは協定というのが日本と米国との間にあるんでしょうか。
○加藤国務大臣 今、外貨準備の一・二七兆ドルというお話もありました。
基本的に、外貨準備は、どれだけが適正かということに別に基準があるわけではございませんし、市場に急激かつ過度な変動が生じた場合に機動的な対応を取ることができるよう、十分な額の規模を確保するということが重要だと考えております。
近年のこうした状況というのは、円の取引高で捉えた為替市場の規模の増加などを鑑みると、我が国の外貨準備、現状、過大という認識を有しているわけではありません。
その上で、お尋ねの外為特会が保有する外貨資産について、将来の為替介入等に備えて十分な流動性を確保するとの目的に基づいて運用しているのでありまして、米国債について、その目的の中で対応しており、米国との関係で売却できないとかこうしなきゃいけないとか、こういったものはないということであります。
○末松委員 米国との間で、政治的思惑で売らなかった、別にそういった制約は全くないんだということを聞いて、表面的には安心するわけですけれども。
今回のトランプの高関税政策について、国内で自動車業界始め輸出産業界がえらい困り果てていて、株価も大暴落をしている状況ですから、今後、輸出業界への対応策、あるいは支援とか、あるいは様々な対応策にお金もかかると思うんですね。そうなれば、私が思うには、満期が来た米国債を売って、それで得た円貨をトランプの高関税政策で悪影響を受ける業界対策に用いるということは米国側も文句をつける筋ではないなと思うんですが、いかがですかというのと、そして、トランプのこの高関税政策が続く限りにおいて、今、直近に満期が来る米国債というのは大体三十兆円程度に上ると思いますけれども、これを、日本として、売らざるを得ない、その一部を売らざるを得ないということを堂々と表明しても問題はないんじゃないでしょうか。
○加藤国務大臣 まずは、今回の関税措置を含めたいろいろな対応が、我が国の経済、企業、あるいは国民の暮らしに影響を与えてくる、これを先ほど申し上げたようにしっかり分析をし、そして対応に万全を期していくということで、そのためにはできることは全てやるということで臨んでいかなきゃならないというふうに思っています。
その上で、財源ということでありますけれども、今回の外為の積立金については、先ほど申し上げたように、為替介入に向けての資金ということもございます。また、その都度取り崩して円転していく場合にあっては、外貨準備を取り崩して円貨に替えるということは、円買い・外貨売りの為替介入と実質的に変わらない。やはりそこを管理されている中国とは同様には多分論じられないのではないかと私は思いますけれども、そういった意味において、規模の大小にかかわらず慎重に考える必要があるということは、これまでも申し上げてきているところでございます。
いずれにしても、こうした広範な貿易制限措置については、政府として、その見直しを強く求めていくとともに、資金繰り等の支援など万全な対策、これをしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
○末松委員 その論理でいくと、要は、そういった、円貨に替えていきますねと、満期が来た米国債、そうしたら売れないじゃないですか。要は、そこは市場を見ながらも少しずつ売っていくとか、いろいろな売り方はあると思うんですけれども、そういう、だから、円高にやっている、操作をしているというようなことばかり気にしていたら、本当の意味で、また借金をして対応するのか、財源がないという中で、こういう日本に財産があるんだから、しっかりとそこは、それも含めて米国債の売りも考えていくということを、私は非常にそこは価値があると思いますけれども、もう一度答弁いただけますか。
○加藤国務大臣 一つは、先ほど申し上げた、国債で運用しているというよりも、あくまでも為替介入等の必要性に流動的に備えるということで米国債で運用しているわけでありますから、満期が来たからどうということではなくて、元々それだけの規模の資金を持っているということ、この必要性といいますか、そういったところで、我々は今、運用させていただいているということであります。
それから、この外為の積み立てたお金、為替の、今、若干プラスが出ていることは事実でありますが、根底においては、外為証券を発行して、いわば借入れをしたそのお金をベースに為替介入をした結果として今のドルが積み立っているわけでありますから、ドルの今の積立ての対向として、為券発行、これが別途あるということ、そういったこともしっかり踏まえて対応していく必要があると思います。
○末松委員 幾つかのそういった手続があるということについても私も承知はしておりますけれども、これを議論すると時間がなくなるので、更に一歩踏み込んでいきますが。
日本政府は、そういう、財源に困ってくるということも踏まえて、日本政府の収入を拡大する秘策ということを提案したいと思うんですね。
これは、このようなトランプの高関税に対して、今、米国債売りといった対抗策をやっていくときに、この米国債売りを日常化していくという過程において、百八十五兆円の外貨準備の中から、例えば、ちょっと大胆にいって百兆円くらいを使って、資料の一、資料の一というのはフォーブスがやっている資料なんですけれども、これは、公的なファンドというか、SWF、ソブリン・ウェルス・ファンドという政府系の投資ファンドをつくって高利回りで運用していくということが私は極めて有益だと思っているんですね。
例えば、日本の公的資金も運用しているGPIF、これだって、巨額の国民の皆さんの年金基金を資金運用して、かなりの成果を上げています。これと同様に、ノルウェーとかシンガポール、ここに書いていますけれども、こういった政府系の投資ファンドも、年平均で利回りが四%から六%ぐらいの利率で運用しているんですね。GPIFも、この十年間、調べてみたら、大体四・四%で運用して、百二十一兆円のリターンを稼いでいるわけですね。
ちなみに、財務省によって管理がなされている外貨準備額の米国債運用をこの十年間見ていますと、資料二にありますように、これは財務省からいただいた資料なんですけれども、大体十年間で三十兆円を稼ぎ出しているんですね。これは、年平均で見ると大体二・一四%しかリターンを稼ぎ出していないんです。GPIFがこの十年間四・四%稼ぎ出しているということに比べると、外貨準備関係の運用はたったの半分しか稼ぎ出していないということですから、これでは国として損しているのと同じなんですね。
ちなみに、AIに計算させたら、百兆円の政府系投資ファンドをつくると、GPIFレベルで十年間で五十三兆円のリターンを稼ぐことができるという結果も得ているわけですけれども。しかも、百八十五兆円から百兆円を引いた額、つまり八十五兆円は外貨準備としてキープされるわけですから、外貨準備対策としては私は申し分ないと。これは、どのレベルが外貨準備として適正なのかというのは大臣の方とのちょっと認識の差はあるかと思いますけれども、世界の標準を見てみると、そんなに、八十五兆円もあって外貨準備が足りないと言っている国はないと思うわけですね。
これらの運用益を使ったら、年金財源の補充とか、社会保障費の財源とか、世界への日本企業進出への支援とか、科学技術協力の強化とか、あるいは国内インフラ整備、減税対策や財政再建などにも充てることができる。
こういうふうにして、いろいろなところから引っ張ってきて、様々な、トランプの高関税に対して困っている業界、輸出業界なんかを助けていくということが私は必要になるし有益になると思うんですね。
要は、ディールを得意とするトランプ大統領が日本や世界に対してむちゃぶりをしているという今こそ、日本が米国債を自由に売れないという枠組み、これを外していく、日本型ディールとして主張してもいいのかなと思うんですけれども、この点について、大臣の御認識をお願いします。
○加藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、外為特会の外貨資産は将来の為替介入等に備えて保有をしているわけでありまして、運用の原則に当たっては、安全性及び流動性に最大限留意した運用を行うこととし、その制約の範囲内で可能な限り収益性を追求するということでありますから、その範囲の中で可能な限り収益を追求するということは私は必要な姿勢だというふうには思っております。
その上で、今おっしゃられたGPIF等と比べて明らかに違うのは、例えば、GPIFでいえば、年金の積立金でありますから、将来どれだけ年度年度必要なのかというのはある程度見通しができるだけの長期運用に対して、これはいつ何どき為替介入が必要か分からないという意味では、流動性を一定程度確保しなきゃならない。それぞれ事情が違うので、そうしたことも背景に、当然利回り等は、あるいは運用利回り等は変わってきてもこれはある程度仕方がないことではないかとは思っておりますが、ただ、先ほど、その中においてもできるだけ収益性を追求するというこの姿勢は非常に大事だというふうに思っております。
今委員おっしゃったように、これからの対応については、これは先ほどから申し上げておりますように、政府としては、今回の影響等をしっかり踏まえて万全の体制を期してまいりたいというふうに考えております。
○末松委員 為替介入とおっしゃいますけれども、私もウォッチしてきて、この前、神田財務官を中心にやっていた為替介入だって、行って二十兆円以下ですよね。それで、その前というと、数年前近くにまたやったと。そう簡単に為替介入なんてやっているわけじゃないんですよ。だから、そこのために、今までの、本当は得るべき利益があった、そういったものの資金を活用していくという発想も必要じゃないでしょうか。
ちょっと話題をまた変えますけれども、今度はスルガ銀行問題というので、この前、スルガ銀行の被害者の方々と話をしたときに、スルガ銀行というのは、業務停止命令が明けた一九年五月以降で不正融資は一件もないと言っているんですけれども、業務停止命令以前の融資には不正融資が数多く存在しています。この不正融資の金利をいまだに得ているんですね。莫大な利益を上げているんですよ。
これは、金融大臣として、過去の不正融資からスルガ銀行は利益を得ていることに対して、これを是として認めるんでしょうか。ちょっとお答えください。
そして、この不正融資から得ている利益を本来の債務者に返還すべきではないかと思います。スルガ銀行の不正融資被害弁護団の試算によったら、七百九十三億円もの不正利益を得ているということなんですね。スルガ銀行の報告はこれとは違った数字になっているわけなんですけれども、こういう数字の違いというのは、やはり金融当局としてしっかり調査をするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、スルガ銀行問題でありますけれども、スルガ銀行の不正融資の借り手となっていた顧客に対して、一人一人の状況を踏まえ、可能な限り顧客の理解、納得を得られるよう尽くす必要があるというふうに考えており、金融庁としては、スルガ銀行に二〇一八年十月に発出した業務改善命令に基づき、融資関連資料の改ざん、偽装等による不正な融資を受けた借り手に対しては、金利引下げ、返済条件見直し、金融ADR等を活用した元本の一部カットなど、適切な対応を図ることを求めてきているところであります。
御承知のように、シェアハウスについては問題の解決が図られたと認識をしておりますが、一方、アパマン向け融資については、銀行と債務者の間で、現在、民事調停の協議、交渉と並行して、保有する物件の任意売却による債務の返済を実行するなど、具体的な解決方法について調整が行われていると承知をしております。
債務者にとって、可能な限り早期に問題が図られることが重要であり、従来より、様々な機会を通じて、債務者との協議に真摯に応ずるよう金融庁としても求めてきたところであります。
引き続き、適切に対応することを経営陣に対して直接求めていくとともに、その進捗をしっかり管理していきたいと思っております。
ちょっと数字の関係を今突然言われたので、また後で御説明させていただきたいと思います。
○末松委員 その弁護団によったら、七百九十三億円ぐらい、要するに不法な融資によって利息等をスルガ銀行が得ている、債務者が本当に困っているという情報を私は得ているわけですよ。どうもそれと、スルガ銀行の報告によると、誤差があるんですね、かなりの違いが。
それについて、金融大臣として、今すぐどうせいという話にはならないかもしれません、少なくとも、そういった数字の違いを調査して、二者からの言い分を聞いて、そこで、金融庁がきちんと被害者に対して真っ当に向かい合うということが必要じゃないですかと言っているんです。
○加藤国務大臣 済みません、どういう誤差があるかまでちょっと私も今承知しておりませんで、ちょっと今、事務局がおりませんので、また改めてそこは精査させていただく必要があるのかもしれません。
ただ一方で、私どもとして、別に被害者の方々からもお話は聞かせていただいておりますので、引き続きそうしたことをしながら、ただ、基本は、銀行と被害者との間のやり取りでありますから、そうしたものが今申し上げたようにしっかりと前に進んでいくように、更にスルガ銀行に対して働きかけをしていきたいと考えております。
○末松委員 時間が来たのでそろそろ終わりますけれども、ただ、そういった被害者の弁護団が計算したものとスルガ銀行が報告したもの、これは質問レクチャーのときに私も申し上げたんですよ、だから、それについて、ちょっと、違うんだったら違うということは、そこは大臣として把握してもらわないと困るんです。
そういった中で、両者が違うから、そこは金融庁として両者の言い分を聞いて、やってくれと言っていることで、私は無理なことを言っているわけじゃないんです。是非そこはもうちょっと答弁をお願いします。
○加藤国務大臣 そこは、まず、数字がどう違うかというのを把握をさせていただきたいと思います。
その上で、それがどういうところによっているのか、そこも見ないと、どういう対応ができるかについて、今の段階で予断を持って申し上げるのはちょっと難しいということは是非御理解いただきたいと思います。
○末松委員 よろしくお願いします。
終わります。
○井林委員長 次に、長谷川嘉一君。
○長谷川(嘉)委員 おはようございます。私は立憲民主党の長谷川嘉一です。
通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
では、本題に入らせていただきます。
最初に、アメリカ合衆国の関税政策についてお尋ねいたします。
今年の三月十二日にアメリカ合衆国は鉄鋼等とアルミニウムに二五%の関税をかけましたが、その影響を政府としてどのように試算しているか、お教えください。
○加藤国務大臣 基本的には経産省にお聞きをいただいた方が正確であろうかと思いますけれども、今般の米国政府による鉄鋼、アルミに関する関税措置についてでありますが、鉄鋼、アルミは、多岐にわたる製品の基礎材料を提供するなど、日本経済の屋台骨となる産業と言えるものであり、米国による追加関税措置による影響については、経済産業省において、鉄鋼、アルミ業界との意見交換会を実施するなど、今、精査を進めているところと承知をしております。
○長谷川(嘉)委員 今ということでありますけれども、早急なる、先手を打った、三手先ぐらいまでの検討が恐らくは担当部署ではされているということを期待して、次の質問項目に移ります。
四月三日にアメリカ合衆国は我が国の自動車に二五%の追加関税をかけ、自動車二七・五%、トラックは五〇%となりましたが、その影響を政府としてどのように試算しているか、お教えください。
○加藤国務大臣 今の件に関しては、自動車産業は、製造業の出荷額で全体の約二割を占め、中小企業や小規模事業者を多数含んだサプライチェーンを有するなど、日本の基幹産業であります。
米国による追加関税措置の影響についても、経済産業省が実施したヒアリングにおいて、自動車会社、部品メーカーを含めた広範なサプライチェーンへの影響を懸念する声があったものと承知をしております。
経産省においては、米国による関税措置の内容、我が国への影響について精査を進めているところと承知をしております。
政府としては、こうした影響の把握に努めつつも、その対応に対して連携して取り組んでいきたいと考えております。
○長谷川(嘉)委員 我々はこの専門ではありませんけれども、思いは一緒であります。これについては大変な打撃が全国に広がり、震撼をしているというふうな状況でありますので、この辺についての、先取った、先ほどと同じような対応を御期待申し上げます。
次に、四月五日に一〇%、また本日九日午後から二四%の相互関税がかけられますが、その影響を政府としてどのように試算しているか、お答えください。
○加藤国務大臣 今般の米国政府による相互関税措置は、あらゆる産業に対して大きな関税負担をかけるものであります。様々なルートを通じて、日本経済のみならず、世界経済にも影響を及ぼすものと認識をしております。
具体的な影響については、今般の関税措置に対する各国政府、企業による対応等によって大きく変わってくるというところもございますので、一概に申し上げることは困難でありますが、例えば、米国の関税措置の導入がグローバルな貿易活動に与える直接的な影響、また、不確実性の高まりが各国の企業の投資行動や家計の信頼感の低下に与える影響、国際金融市場の変動を通じた影響などを踏まえますと、我が国経済を全体として下押しする方向で働く要因と考えております。
○長谷川(嘉)委員 これの影響に対する精度の高い試算をまず行っていただきたいことを御要望いたします。それを持ってアメリカ合衆国との関税交渉を行うとともに、国内産業、国内経済への的確な対応、手当てを遅滞なく行っていただきたいと私は要望いたします。
次に、就任直後より、アメリカ合衆国のトランプ大統領は相互関税の開始を明言しておりました。その日を、アメリカの解放の日となると発言しております。
国として相互関税をどのように考えているのか、お教えください。
○青木政府参考人 お答えします。
政府として米国の相互関税措置の根拠やその税率の根拠について申し上げる立場にございませんが、米国通商代表部、USTRは、ホームページ上で、計算上の大胆な仮定を置いた上で、米国から見ての貿易赤字額と輸出額などを用いて、二国間の貿易収支がバランスするように算出されたのが相互関税率であるという趣旨の説明がなされておるというふうに考えております。
○長谷川(嘉)委員 それでは、相互関税でありますけれども、関税負担が相手国と対等とするのが目的でありますが、アメリカ合衆国が我が国に関税負担が対等ではないとする根拠についてどのように考えているか、お聞かせください。
○加藤国務大臣 おっしゃる趣旨は、今御説明させていただいたように、相互関税、日本に対して二四%について、これはたしか、どういう根拠であるかは、我が国政府がそれを説明するというのはなかなか難しいわけでありますが、商務省のホームページ等を見ると、一つの大胆な前提に立った上で計算をされているということでございますので、その中身は、まさにその計算上でありますので、その中身にどういう要因が入っているかということは、そこからはうかがい知れないということであります。
○長谷川(嘉)委員 大臣から御答弁いただきましたけれども、ありがとうございます。
まず、トランプ大統領の施政方針演説やその後の発言に、我が国では消費税と呼ばれている付加価値税も関税とみなすとあります。相手国の関税だけでなく、他の税制や規制、為替レートなども考慮の対象にして、各国の状況を精査し、非関税障壁を数値化するとしていますが、この点についてどのように考えているか、お聞かせください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどUSTRのホームページの御説明をさせていただいたところで、米国から見ての貿易赤字額と輸出額を用いと申し上げましたが、正確には輸入額を用いということでございました。申し訳ございません。
その上で、相互関税率については、ただいま申し上げましたような考え方で説明がなされていると承知しておりますが、そうした説明に基づきますと、日本の消費税や輸出還付金が今回の相互関税率の直接的な算出の要因になったというふうには考えておりません。
○長谷川(嘉)委員 日本政府としてはそういうお立場かもしれませんが、その懸念は、私は払拭できていないというふうに考えます。消費税の、特に輸出大企業の大きな恩恵となっています輸出戻し税が輸出補助金と考えられ、不公平な非関税障壁に当たると考えられているというふうに私は懸念をしております。
消費税収入のうち、輸出企業に対する輸出戻し税として還付された金額の総額をお教えください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、輸出還付金の制度、輸出免税の制度でございますが、我が国の消費税を含む付加価値税におきましては、国産品と輸入品との間で税負担に差を設けない観点から輸出取引を免税としている結果、輸出企業が控除し切れなかった仕入れ時に支払った税額の還付を受けることがありますが、このような取扱いは国際的にも共通の取扱いとなっておりまして、WTOの補助金協定におきましても、輸出補助金には当たらないこととされております。
その上で、輸出戻し税の還付の額が幾らかという御質問でございますが、消費税の還付につきましては、法令上、輸出取引を行っているか国内で事業を行っているかにかかわらず、売上げに関して受け取る消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた結果がマイナスとなれば還付することとなっております。輸出取引を行った場合のほか、大規模な設備投資を行った場合などにも還付を受けるというケースがございます。
そうした中で、輸出を原因とする還付を切り出して計算して申告することを納税者には求めておりませんので、輸出免税に係る還付金額を切り分けて公表することはできないという点を御理解賜りたいと思います。
○長谷川(嘉)委員 理解してくださいと言われても、私の知識が足らないのか、理解できない分野であります。
その中で、少し前の記事でありますけれども、二〇二四年、全国商工新聞などでは、二〇二三年度の輸出大企業上位十七社に対する輸出戻し税による還付金の合計は、推算で二兆一千六十九億円となっております。
コロナ禍による影響に加え、ウクライナ戦争に起因する原材料や飼料の高騰を含めた輸入品の高騰や、円安に起因する物価高、物価高騰で、中小企業は消費税が払えないと悲鳴を上げております。そのような中で、輸出大企業は円安による恩恵を受け、さらに、消費税の輸出戻し税による還付金が増大している実態が明らかです。この現状をどのように考えているのか、お教えください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、輸出に係る還付金の数字は、先ほど申し上げましたように、そこだけを切り出して計算することは難しいということでございますが、消費税のそもそもの還付金額、先ほど申し上げました、大規模な設備投資を行っているようなケースもそういうことになる場合がございますが、全体の金額としては、例えば令和五年度の決算で、全体の消費税の税収約二十三兆円に対して、還付金は八兆八千億ほどございます。
ただ、こちらについては、先ほど、繰り返しになりますが、輸出の部分に関するものだけを切り分けて申告をお願いしているわけではございませんので、私どもとして、そこについて計算することができないということで御理解を賜りたいというふうに考えております。
○長谷川(嘉)委員 なかなか理解しにくい分野で、壁が大きいのかなと思いますが、壁を取っ払ってこの辺の議論が深まることを期待しているところでございます。
もっとも、物価が上がれば消費税が、税収が自動的に上がる、政府としては都合がよいのかもしれませんが、昨年の中小企業の倒産件数は一万件、二〇一三年度以来の高水準となり、二〇二五年度の倒産件数は更に増えると予測されております。消費税は事業体の粗利益にかかる税金であり、事業体は、純利益が出れば、更に法人税などの納税負担がかかります。粗利益にかかる税金ですので、赤字企業に対しても納税義務が生じます。中小企業者にとりまして非常に過酷な税金です。中小企業の割合は我が国の企業の九九・七%、雇用されている人の七割が中小企業で働いております。少し前の調査ですが、二〇二三年度の厚生労働省の調査でも、生活が苦しいと感じている世帯が五九・六%となっていたことを考えますと、その当時より更に一層厳しくなっているものと考えます。
雇用を守り、実質賃金を上げるためにも、このことは大きな問題であります。このことを申し添えさせていただき、次の質問に移ります。
我が国の法人税率の推移についてお尋ねします。法人税率の推移についてお教えください。
○青木政府参考人 お答えいたします。
我が国の法人税率は、昭和五十九年から六十一年度の間に四三・三%と、これがピークになっておりました。それ以降、昭和六十二年、六十三年の抜本的税制改正におきまして、直間比率の見直しの一環として、四二%、四〇%、三七・五%へと引下げが行われました。その後、アジア通貨危機後の厳しい経済情勢の中、景気対策などの観点から、平成十、十一年度には税率を三〇%まで引き下げております。さらに、二〇一〇年代には、世界的な法人税率の引下げ競争が展開する中で、我が国においても、投資や雇用、賃上げの促進などを図るため、税率を二三・二%まで引き下げたところでございます。
○長谷川(嘉)委員 法人税は順次引き下げられてきております。当時、四二%台だったものが、現在においては実に二三・二〇%まで引き下げられている。財源が厳しいという政府の常々の御発言の割には、大きな引下げ率です。税率を引き下げることも可能ということで認識してよろしいでしょうか。答弁は結構です。
令和七年度租税及び印紙収入予算の修正後案を見ますと、源泉所得税、申告所得税の合計の所得税が二十兆一千九十億円、法人税収十八兆五百四十億円、消費税二十四兆三千四百三十億円であり、税収七十三兆四千三百五十億円の三三・一五%が消費税となっております。所得税は二七・三八%、法人税は二四・五九%で、累進課税ではない逆進性の高い消費税が最も多い状況です。国の成長と国民の暮らしのためにも、税制そのものの運用の見直しが早急に必要であります。
消費税についてお尋ねします。
消費税は、直接税ですか、間接税ですか。
○青木政府参考人 お答えいたします。
一般的に、直接税とは、納税義務者と税を負担する者が一致するということを予定している税である一方、間接税とは、税負担の転嫁が行われまして、納税義務者と税を負担する者が一致しないことを予定している税でございます。
その上で、消費税につきましては、消費税法でございますとか創設時の税制改革の基本理念等を示した税制改革法の規定を踏まえますと、事業者が納税義務者である一方、価格への転嫁を通じまして最終的には消費者が負担することを予定しているものでございまして、間接税に該当するというふうに考えております。
最高裁判所も、平成五年九月十日の判決におきまして、消費税は間接税であるとの判断も示しているというふうに承知しております。
○長谷川(嘉)委員 この点については間接税ということですけれども、消費税の間接税は、これは預かり税ですか。
○青木政府参考人 お答えします。
消費税は、価格への転嫁を通じて最終的に消費者が負担することを予定しているものでございまして、事業者が納税者でございますが、そういう意味では預り金的な性格を有するものであるというふうに考えております。
○長谷川(嘉)委員 ということだと思います。預り金ではないというふうに考えても不思議ではない。消費税は、消費者が消費税分として支払ったことになっているお金をそのまま事業者が納税する預かり税ではない。
事業者が納税すべき金額の計算方法を教えてください。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡や役務の提供等を課税対象とするものでございます。
消費税の納税額は、事業者において、課税対象となる商品販売やサービスの提供等に係る消費税額から、課税対象となる商品仕入れや費用に係る消費税額を控除して計算する仕組みとなっております。
○長谷川(嘉)委員 かつて行われました消費税の益税訴訟における判決で、消費税法第五条に、事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、この法律により消費税を納める義務があるとし、消費税法等が事業者に徴税義務を、消費者に納税義務を課したものではないとしております。間接税であるとすれば、すなわち、納税義務者と異なる徴税義務者が存在していない極めて不思議な間接税と言わざるを得ません。
税理士さんなどから、消費税を削減するために正規雇用職員を派遣労働者などの非正規雇用職員に変えてはどうかとの提案がありますが、これはどうしたことだとお考えですか。
○青木政府参考人 お答えします。
正規と非正規のことでございますが、まず、正規、非正規を問わない直接雇用と派遣労働との選択に対しまして消費税が及ぼす影響について、御指摘のような見解があることは承知しておりますが、直接雇用を例えば派遣労働に切り替えた企業は、人材派遣会社に対して、労働者の給与などに相当する料金だけではなくて、少なくとも消費税の相当分は上乗せして支払い、その消費税相当分を今度は自分の消費税の申告において仕入れ税額控除するということになるわけでございまして、直接雇用で給与として支払う場合と比べまして、その事業者にとりまして損得は生じないことから、消費税の納税額の多寡のみに着目した、必ずしも正確ではない見解ではないかというふうに考えております。
○長谷川(嘉)委員 一般に、消費税は、課税売上げから課税仕入れを引いたものに税率を掛けて算出します。派遣労働者などの非正規労働者への支払いは課税仕入れに入りますので、人件費などの非課税仕入れに入る正規雇用を減らし、課税仕入れに入る派遣労働者などの非正規労働者を増やせば、消費税の納税額を減少させることはできるんです。つまり、消費税は、派遣労働者などの非正規労働者促進装置、このような働きをしています。
正規労働者と非正規労働者の賃金格差が大きな問題となっています。非正規労働者の増加が、賃金格差をもたらす大きな要因です。一概には言えないとはいえ、非正規労働者ほど貧困を理由に結婚率が低いということを考慮しますと、非正規労働者の貧困層の拡大は少子化の大きな原因であるということが考えられます。消費税は、少子化促進装置のような働きもしています。
いかなる理由があっても、アメリカ合衆国から非関税障壁として相互関税の一因とされ、国の成長を止め、非正規労働者を増やし、賃金格差を拡大させ、少子化の一因ともなり、国民の五九・六%の世帯が生活が苦しいと言っていることは尋常ではありません。税制及びその運用の早急な見直しが必要であることを再度申し上げ、質問を終わります。
○井林委員長 次に、三角創太君。
○三角委員 立憲民主党の三角創太です。
まず、本日、初めに、森友学園の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。先週、財務省より書類の一部が開示をされたということで、その点について確認をさせてください。
今般、長年開示をされてこなかった財務省内の文書が一部でも開示をされたということは重要な前進だというふうに思います。今後も、可能な限り迅速に追加の資料の開示をして、全容解明が進んでいくことを望みます。
一方で、今般の開示において、二〇一四年四月二十八日に、当時の籠池理事長が近畿財務局に対して、安倍昭恵氏との写真を示して、前に進めてくださいという言葉が昭恵さんからあったという、この日の議事録が含まれていないということのようでございますけれども、まず、今回の二千ページの中にこの日の記録が入っていないのかという点については、間違いございませんでしょうか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
今回開示した文書の中に御指摘のような文書は存在しておりません。
○三角委員 分かりました。
今後出てくる資料の中に、この日の籠池理事長との面談記録が含まれているというふうに思ってよろしいでしょうか。また、もしあるのであれば、売却の意思決定において非常に重要なポイントになるというふうに考えられますので、極力早めの開示をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
今回開示した文書以外においても、御指摘の応接録は現在のところ確認されておらないところでありますが、引き続き、速やかな開示に向けて作業を進めてまいりたいと考えております。
○三角委員 まだ見つかっていないということだと思うんですけれども、念のための確認なんですけれども、この日に面談があったことは間違いないのか、また、当時、面談記録の作成自体は行われているのか、お伺いしたいと思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の応接録につきましては、近畿財務局に、作成した記憶はあることを確認している一方、発見には至らなかった旨をこれまでの国会で私どもより答弁申し上げているところでございます。
○三角委員 じゃ、間違いなく面談はされて、作成もされたということだと思います。
そうすると、財務省では日常的に、作成した書類を、何か気軽にというか、カジュアルに破棄するみたいなことをやっているということでよろしいんですか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
書類の管理に関しましては、管理規則に基づいて適切に処理することが当然でございます。
御指摘の応接録につきましては、財務省の森友事案に関する調査報告書の中におきましても、国会審議等において各種応接録の存否が問題となった後に廃棄を進め、存在しない旨を回答したことは不適切であると整理させていただいているところでございます。
○三角委員 分かりました。一日も早く実態解明が進むことを望みます。
次に、食料品の消費税の引下げについてお伺いをさせていただきたいと思います。
昨今の物価高騰の中におきまして、生活者の負担を軽減するための食料品の消費減税が今、話題となっております。先日、石破総理も、参議院予算委員会におきまして、一概に否定をするものではなくて、諸外国の事例などを検討したいというお話、答弁があったというふうに思います。
私は、この議論を進める上で、適切な財源の確保というのが将来世代への責任として大前提になるというふうに考えますけれども、まず、食料品の消費税、現状八%が適用されているものについて仮にゼロ%に引き下げる場合の減収見込額について幾らぐらいになるのか、答弁をお願いいたします。
○青木政府参考人 お答えします。
消費税の申告におきまして、食料品に係る消費税額などの内訳までを申告いただく仕組みとはなっておりませんので、食料品に限定して税率をゼロ%にした場合の具体的な減収見込額についてお答えすることは難しい面もございますが、軽減税率八%をゼロ%とした場合の減収見込額を機械的に計算いたしますと、国、地方合計で五兆円程度となるものでございます。
○三角委員 五兆円という数字を出していただきまして、ありがとうございます。
一方で、この五兆円を超える大きな財源の穴埋めというのはなかなか容易ではないというふうにも考えられますけれども、そこで、幾つかの切り分けのパターンを考えていく必要があるのかなというふうに思いますが、仮に、食料品のうちで、加工品を除いて生鮮食品のみをゼロ%にする場合、これは例えばどのぐらいの減収になるのかということを御答弁願います。
○青木政府参考人 お答えします。
生鮮食品でございますが、その消費税額というものを申告していただいて私どもで把握しているわけではございませんので、生鮮食品に限った食料品の軽減税率をゼロ%に引き下げた場合の減収見込額についてお答えすることは困難でございます。
○三角委員 質問のレクでも、私もちょっとお伺いして、答えられないという話だったんですけれども、私がちょっと調べたら、すぐに資料が出てきまして。
農水省の農業・食料関連産業の経済計算という資料によりますと、加工品と生鮮品のそれぞれの売上げの国内での金額というのが出ているんですね。縦割りだからこういう農水省の数字が出てこないのかなというふうに若干不信感を覚えるんですけれども。それによりますと、大体、加工品と生鮮品の売上げの国内での比率は四対一ぐらいというような数字が出ておりまして、大体二割ぐらいが生鮮食品ということになっております。この二割ということを、仮に、先ほど答弁いただいた五兆円に掛けると、大体一兆円ぐらいの減収見込額ということが恐らく計算をされるのであろうというふうに思います。
もう一つ切り分けのパターンを考えていきたいんですが、仮に、低所得の方、例えば住民税非課税世帯の方のみを食料品の消費税分をゼロ%に減額する場合、どれくらいの減収になるのか。これをお示しするのが難しければ、住民税非課税の世帯数と人口を数値で御答弁願えればと思います。
○青木政府参考人 お答えします。
まず、減収見込額の方のお答えですが、住民税非課税の世帯の方々が負担している消費税額を私ども税当局の方で把握しているわけではございませんので、そこを推計してお答えすることは難しいということを御理解賜りたいと思います。
○松家政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの住民税非課税世帯の世帯数でございますけれども、統計的には把握していないものと承知をしてございますけれども、例えば、直近で実施している令和六年度補正予算における低所得世帯向け給付におきまして、住民税非課税世帯を対象としてございまして、その数は約一千四百万世帯と想定してございます。
○三角委員 ありがとうございます。
一千四百万世帯ということで、それを仮に前提といたしますと、健康に生活をする上での最低限の食費というものを私の方で調べたところ、例えば、生活保護世帯における月間の食費や光熱費、日用品に充てる生活扶助費が、地域によって異なりますけれども、月間七、八万円ということになっており、食費が仮にこの半分程度とすれば、最低で月三万円程度が食費として、全ての方にとって必要になる費用だというふうに想定をされます。これに対して、先ほどいただいた住民税非課税世帯数が一千四百万件、人口で表すと、大体二倍ちょっとということなので、三千万人。そして、これに三万円の食費掛ける十二か月分ということだと、十・八兆円。税率八%を掛けると、大体九千億円ぐらいの財源が必要だというふうに計算をされます。
今申し上げたように、生鮮食品のみの減税だったり、低所得世帯のみの減税ということであれば、一兆円程度の減収で実現可能というふうに考えられます。
例えば、我が党が今国会で提示をした歳出改革案のうちのごく一部を使えば、十分にその穴を埋め得るというふうにも考えられます。具体的に申し上げますと、効果の検証が十分でないというふうに指摘をされております大企業向けの研究開発減税、また同じく大企業向けの賃上げ促進税制などを削減するだけでも、一・五兆から二兆ぐらいの税収増というのが恒久財源として確保することが可能です。
我々は、研究開発や、もちろん、賃上げ、この重要性は理解をしておりますけれども、効果の乏しい大企業向けの部分については削減の余地が十分にあると考えております。物価高に苦しむ国民に対して、こうした財源確保を前提とした減税は十分に可能であるというふうに考えておりますので、是非検討を願いたいというふうに思います。
そして、最後にこの食料品の件について大臣にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、石破総理がこれから打ち出す強力な物価高対策の中にこの食料品の消費減税が含まれる可能性があるのかどうかというのを、答弁をお願いをいたします。
○加藤国務大臣 これまで国会で答弁されておりますように、総理からは、消費税の引下げは適当ではないということは再三再四お話をされているというふうに思います。それから、物価高対策についても、これまでの施策、これをしっかり遂行していくことにまず専念をしていくというふうにおっしゃっておられるというふうに認識をしておりますが、ただ一方で、今回のトランプの米国における関税措置等、これが国内の企業また国民の皆さんの生活にどういう影響を及ぼしていくのか、これはしっかり我々としても分析をし、そして、万全な対策は講じていかなければならないというふうに考えております。
○三角委員 そうすると、じゃ、物価高対策の中で強力な対策をやるというふうにおっしゃっていて、取り得る選択肢はそんなにすごい多くはないと思うんですけれども、企業向けの部分は別として、一般の個人向けの部分でいうと、例えば現金給付をするか所得減税をするか消費減税をするか、それぐらいしか選択肢は多分ないと思うんですけれども、その中で消費減税は絶対に取り得ない、そういう理解でよろしいですか。
○加藤国務大臣 これまで総理がおっしゃってこられたのは、これまで既に予算等で皆さんにお認めいただいたこうした範囲の中で、まずこれをしっかり執行していくということを申し上げておられるというふうに承知をしております。
今後については、先ほど申し上げたように、様々な不確実な要因もございますから、そうしたものがどういう形で国民生活あるいは企業の活動に影響していくのか、これをしっかり見極めた上で万全な対策は講じていく。これも総理がおっしゃっていることであります。
○三角委員 今後の、トランプ関税の影響で今、株価も大幅に下落しているということでございますので、是非検討の一つの課題には入れていただきたいなというふうに思います。
我々としても、様々な、食料品の消費税減税というのは課題があるというふうには認識をしておりますので、しっかりと整理をしつつ、また、財源についてもきちんと確保した上で現実的な提案を行って、物価高における国民生活の改善につなげてまいりたいというふうに思います。
次に、防衛増税についてお伺いをいたします。
前回の大臣所信への質疑の中で時間の関係で聞けなかった部分がございましたので、お伺いをさせていただきたいのですが、政府は、防衛力強化資金によって九千億円程度の財源を確保するということをしております。しかしながら、その中には国有財産の処分というものが含まれていると思います。
まず、具体的にはどんな資産の売却を検討しているのか、御提示を願います。大口のところ、具体的な事例だけで結構でございます。
○加藤国務大臣 今お話がありました、防衛力整備計画において、防衛力を抜本的に強化し、安定的に維持するための財源は、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設、税制措置等により確保するとされております。
このうち、国有財産の売却収入は税外収入の一部となりますけれども、令和五年度予算において、大手町プレイスの売却収入〇・四兆円が計上されているところであります。
現時点でこのほかに防衛財源として活用を予定している国有財産の売却収入が具体的にあるわけではありませんが、引き続き、歳出歳入両面において所要の措置を講ずることにより、必要な財源を確保できるよう努めていきたいと考えております。
○三角委員 分かりました。
大手町プレイス、四千億円程度ということみたいですけれども、それで、それ以外の資産の売却については今具体的にめどが立っていないというふうにおっしゃられました。それで果たして毎年九千億円の財源をきちんと確保していけるのか、大変疑問であります。
保有資産の売却というのは、当然のことながら、一時的な収入にすぎず、恒久的な財源というふうにはなり得ないと思われます。売却できる資産が今後なくなったらその後はどうやって財源を維持をするお考えなのか、いま一度御答弁をお願いいたします。
○加藤国務大臣 防衛財源の確保に当たって、先ほど申し上げた、いわゆる安定財源として、防衛力の強化、維持を安定的に支えるための財源、この確保を図っていくことは必要であります。
税外収入については、国有財産の売却収入だけではございませんので、それ以外も含め、年度によって変動が生じるものもあり、一年一年を個別に見れば安定的とは言いにくい面もありますが、これまでの税外収入の過去の実績などを踏まえますと、複数年度の期間で見れば必要な財源はしっかり確保できると考えております。
また、防衛力強化資金という仕組みがございます。これによって税外収入の確保と歳出のタイミングのずれを年度を越えて調整し、毎年度活用しているところでもあります。
こうしたことを考えますと、防衛力の強化、維持を安定的に支えるための財源というふうに考えているところでございますし、この間、令和六年度、令和七年度においても税外収入はそれぞれ一・〇兆円の計上を行っているところであります。
○三角委員 複数年度での平準化というようなお話がありました。
あと、防衛力強化資金の中には外為特会からの受入金とかというのも含まれていらっしゃるんでしたっけ。そこをちょっと御確認願います。
○加藤国務大臣 外為特会からの繰入金、これも計上されているところでございます。
○三角委員 分かりました。
じゃ、防衛力強化資金九千億円というのは、資産売却とかあるいは外為特会とかということでつくっていくんだということだと思いますけれども、為替についても当然、円高に振れれば運用益とかは一瞬で吹き飛びますし、資産売却も当然ずっと続けられるものでありませんし、先ほど御説明があった複数年度で基金化をして平準化するという説明でありますけれども、このようにそもそも不安定な財源頼みでは、早晩、資金が枯渇して赤字国債に頼ることになるというのが容易に想像ができるわけでありますけれども、その結果、今以上に財政が悪化をする懸念というのがあるのではないかという点、この点はいかがでしょうか。赤字国債の追加の発行が防衛財源に対してあるのではないかという懸念について、お伺いさせていただければと思います。
○加藤国務大臣 先ほど、税外収入については単年度単年度で見れば確かに増減がございますけれども、複数年度で見れば、また、先ほど申し上げた防衛力強化資金の活用、こういったことも行うことによって安定的に防衛力の強化、維持を支える財源ということになるというふうに私どもは考えているところでございます。
それから、赤字国債については、これは、従前からもありますように、安定的に確保していくという意味においては、安定財源を確保していく必要があり、防衛力強化は将来世代に先送りすることなく今を生きる我々の将来世代への責任として対応すべき課題であると考えていることから、将来世代への負担の先送りとなる赤字国債については、防衛力を安定的に支えるための財源と位置づけることは考えていないということはこれまでも申し上げてきているとおりであります。
○三角委員 分かりました。
防衛費に関しては、是非、赤字国債に頼るようなことなく、財源をきちんと確保して進めるのが大前提になるというふうに思います。
そして、当然、そのほかの税収とかも、見込みではありますけれども、特にやはり資産売却だったり運用益というところは変動リスクが非常に高いというところだし、将来性が期待をできない部分だと思いますので、なかなか難しいのではないかなということは指摘をさせていただいて、私の質問を終わります。
幾つかちょっと質問、時間が足りず、届かず申し訳ございませんでした。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、斎藤アレックス君。
○斎藤(ア)委員 日本維新の会の斎藤アレックスでございます。
本日は、まず、トランプ関税に関して私の方からも質問させていただきたいと思います。
大変世界で混乱を招いていますけれども、日本時間の本日の午後一時一分に発動されるということになります。日本に対しては二四%の相互関税、自動車に関しては二五%の関税と。
相互関税というのは本来、同じ関税をお互いにかけ合うという意味でございます。例えば、日本がアメリカから輸入している車にかけている関税はゼロ%ですから、相互関税というのであれば、アメリカも日本車の輸入に関しては同じゼロ%を課すというのであれば相互関税ということになると思いますけれども、このトランプ関税というのは、相互関税と言っているけれども別に相互関税にはなっていないわけでございます。
計算方法が大変話題になっていますけれども、相手国との貿易赤字額を米国への輸出額全体、輸入額全体で割っている、そしてそれを更に数字で割っているだけという極めて単純な計算方法になっていて、相手国の関税や非関税障壁を加味して関税率を計算をするとトランプ政権はおっしゃっていたんですけれども、蓋を開けてみればとてつもない単純な計算式を使っていて、極めてこれは不適切な数字であるということは世界中が認識を一致をしているところだと思います。
そもそも、このトランプ関税の計算というのは、貿易赤字の額というのは関税や非関税障壁によって生み出されているんだという前提に立ってしまっているわけですけれども、関税や非関税障壁の存在だけで貿易赤字額が決まるわけでは当然ありませんよね。国際的な資本の流れとかで、アメリカに投資のチャンスがあるからたくさん投資をしようということになると、アメリカのドルが買われてドル高になって、貿易赤字の額というのは膨らむ方向になると思いますし、また、サプライチェーンで、どこにサプライチェーンを設けるのかという中で、アメリカに貿易赤字が増える、どこかの国に貿易黒字が増えるということも当然ありますし、また、何よりも、比較優位で、日本は自動車産業が強いから自動車の輸出が多いけれども、例えばアメリカではデジタル関連の輸出が多いということで、比較優位があるところには人材が集まり、投資が集まって、更に強くなるということになりますので、そういったことでも貿易赤字の額というのは変わってきますので。
今これだけ貿易赤字があるから、これは日本が不当なことをしているんだ、非関税障壁を設けているんだ、そういったことではないということは、改めて申し上げるまでもなく、トランプ政権以外の各国は、そういったことで今回のトランプ関税には反発をしているということでありますけれども、そうは言っていても始まらないというか、非関税障壁だとか関税の部分の説明をするのかしないのかも含めてしっかりと交渉を行って、このディールを実現をしていくことがまず重要だと考えております。
本日も議題に上っていますけれども、石破総理からは、対抗措置は考えていないという旨の発言がありました。我々日本維新の会も、現状ではそういった方針を取ることが必要だと認識を一致をさせていただいているところでありますけれども、まず政府が対抗措置を取るべきではないと考えている理由というのを、財務大臣の方から御説明をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 今言われたのは、新聞のインタビュー等において、あらゆる選択肢はあるがとした中で、売り言葉、買い言葉のようなことはやるつもりはない、国会答弁でもそのようなことをおっしゃっているものと承知をしております。
その上で、日本政府としては、今回の米国の関税措置に関して、先般、総合対策本部も立ち上げ、石破総理から、米国による関税措置の内容を精査するとともに我が国への影響を十分に分析すること、米国に対して措置の見直しを強く求めるなど外交面の取組を進めること、資金繰り支援など必要な支援に万全を期していくといった指示がございました。
政府においては、具体的な検討、今いろいろな検討がされておりますけれども、それをこの段階で申し上げるのは必ずしも適切ではないと思っておりますが、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのか、こういったことを考えながら取組を進めていきたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 御回答ありがとうございます。
中国とアメリカの間では報復関税をかけ合うような状態になっていて、当然、日本としては、そのような対応をしてしまうと解決が遠のくと思われますので、報復関税といったものをかけない中で、どのようにこのトランプ関税というのを引き下げてもらうのか、撤廃をしてもらうのかという交渉を行っていくことが重要だと思います。
日本からアメリカへの投資を更にしてくれという話も当然出てくると思います。アラスカのLNG開発に投資をしてくれという話もされるでしょうし、既に日本からは巨額の対米の投資を行っていますので、そういったことを説明をされるんだとも思いますけれども、とはいっても、それでもアメリカはこれだけ貿易赤字があるんだからということで、トランプ大統領の御理解というのはなかなか得られないのではないかなとも思います。やはり、最も分かりやすい交渉のテーマは私は為替になるのではないかなというふうに感じています。
これはちょっと通告をさせていただいていませんけれども、アメリカ側の交渉担当者はアメリカの財務長官になる、ベッセント財務長官になるということで、非関税障壁と並んで通貨問題を議論するとも発言をされているようでございます。これは通告をしていませんけれども、通貨も交渉の対象だということに関しては、政府はどのように、財務大臣はどのように認識をされているのか。また、通貨、為替の交渉をするということであれば、当然日本側の交渉担当は加藤財務大臣になると思うんですけれども、当委員会はそういった認識でいたらいいのか。その点、お答えをいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 一つは、これから交渉していくということでございますから、向こうから具体にどういったものが挙げられてくるのか、今おっしゃった為替も含めて、いろいろなことが向こうからは発信されていますので、そういったこともテーマになり得るであろうとは承知はしていますけれども、ただ、具体な話はこれからだと思います。
それから、他方で、前の首脳会談等においても、為替に関してはそれぞれ専門家の中で議論しましょう、要するに、財務省、あるいは財務長官と財務大臣という話、これについては米国とは従前からそういう認識は共有しているものと思っております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
為替に関してはまだこれからということですので、これ以上本日は質問はしませんけれども、今、日本国民は大変物価高で苦しんでいるわけですが、その相当分は円安によってもたらされているということだと思います。円の水準を円高方向に、適正な水準に戻すということであれば、私は、日本も十分にその交渉のテーブルに着けるし、着くべきではないのかなというふうに思っています。
そんなにうまいこと調整できないだとか、そんな単純な話ではないということは重々承知をしていますけれども、日本の通貨安、物価高を是正できれば、日銀が利上げを急ぐ必要性も低下をして、経済の不確実性が高まっている中で金融政策の手段も選択肢も広がってくると思いますので、どのような交渉が行われるか、これからまだ分からないし、通貨を操作することが国際的に本当に許容されるのかということもあると思いますけれども、通貨が交渉材料になるということは、もしかしたら日本にとってはチャンスになるかもしれないと思っていますので、そういったことを是非引き続き当委員会にも報告をいただきながら、議論をさせていただきたいというふうに考えております。
最後に、トランプ関税については英利政務官にお伺いをしたいと思いますけれども。
本日からトランプ関税が発動されると。実体経済への影響が広がる前に、できるだけ早くこの関税措置を撤回をしていただくということが目標というか前提であるということはありますけれども、一方で、頼み込むようなことを繰り返していては足下を見られてしまうと思いますし、まさに外交交渉がこれから始まると思いますけれども、日本政府としてどのようにこの関税措置の撤廃に向けて取り組んでいくのか、現状の方針をお答えいただきたいと思います。
○英利大臣政務官 斎藤委員、御質問ありがとうございます。お答えいたします。
まず、米国による関税措置につきましては、我が国からこれまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置を取るべきでない旨などを申し入れてきたにもかかわらず、米国政府が今般の相互関税措置を発動したことは極めて遺憾であります。WTO協定及び日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しております。米国政府に対しては、今般の措置が極めて遺憾である旨伝えるとともに、措置の見直しを強く申し入れている次第であります。
今般の措置を始め米国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねないと考えております。政府の対応としましては、トランプ大統領の発表を含め、米国による関税措置の内容を精査するとともに、我が国への影響を十分に分析しつつ、引き続き米国に対して措置の見直しを強く求めていく次第であります。
七日に行われた日米首脳電話会談におきましては、石破総理から、日本が五年連続で最大の対米投資国であると述べつつ、米国の関税措置により日本企業の投資余力が減退することを強く懸念するとの考えを伝えた上で、一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべきである旨述べまして、措置の見直しを求めました。両首脳は、引き続き率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認しました。今回の首脳間のやり取りを踏まえ、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくこととなりました。
ありがとうございます。
○斎藤(ア)委員 この交渉、スピード感が重要だと思いますし、要は、これまでこれだけやっているんだというお話をしても、これはトランプ大統領も拳を振り下ろせないということになると思いますので、どのようなディールを行っていくのか、更なる対米投資であったり、そして通貨、為替の部分、また、非関税障壁というのは何を指しているのかよく分かりませんけれども、そういったところの交渉も速やかに、スピーディーに是非行っていただきたいと外務省を始め各担当者の方にお願いを申し上げまして、英利政務官におかれましては、これで退席いただいて結構でございます。
○井林委員長 英利外務大臣政務官、御退席ください。
○斎藤(ア)委員 次に、ちょっとかなり話を変えまして、地方財政についてお伺いをしていきたいというふうに考えております。
今般の国会で、日本維新の会としまして、自民党そして公明党と、教育無償化に関する内容も含めた三党合意を結んで、予算に賛成をするという決断をいたしました。
この教育無償化を国で進めていかなければならないという背景には、日本維新の会としても、地方財政のばらつきがかなり大きくて、こういった子育て支援を拡充したり子供向けの施策をできる自治体とそうでない自治体の間の差が広がってしまって、さらに、都市部に、特に東京に人口が集中してしまう影響はどんどん膨らんでいって、日本にとって好ましくない状態になってしまうという思いもあって、やはり、子育て、教育に関してはナショナルミニマムをしっかり設定をして、そして、地域によっての格差というか一極集中というのを防いでいかなければならないという思いで、今回、この教育無償化に関する合意をさせていただいたという面もありまして、大変、財源が都市部に、特に東京に集中することに関しては、我々も懸念をしているところでございます。
こういった財源の一極集中に関しては、国土の均一な発展というのも阻害してしまいますし、また、都市部に人口が集中して地方部で人口が減少するということを加速をさせて、日本の国として望ましくない状態を生み出していると思いますけれども、この財源の東京一極集中に関する財務大臣の御認識を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 財源、特に地方税の財源の偏在については、これまでも税収の大都市部への過度な集中を是正するための対応が行われてきたところでありますし、依然として、地方公共団体間の税収、財政力の格差の問題が指摘をされておりますし、令和七年度の与党の税制改正大綱では、むしろそうした格差が拡大しつつある、こうした指摘もなされているものと承知をしています。
骨太方針二〇二四においても、東京一極集中が続く中、行政サービスの地域間格差が過度に生じないよう、財源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組むと示されたところであります。
今後とも、こうした考えを踏まえて適切に検討していくことが重要と考えております。
○斎藤(ア)委員 この御認識は政府でも当然共有をいただいていると思います。
さらに、懸念をされるのが、インターネットの取引が経済に占める割合が増えていくと、特に東京に財源が更に集中をしてしまうという影響でございます。
EC取引の企業は東京に本店を置くことがほとんどでありまして、地方税の収入が都市部にどんどん集中をしていくという結果を招いてしまっています。大法人も、日本全国で見れば東京以外では減っているのに、大法人は東京では増えているという状況が生み出されてしまっていますし、こういったインターネット経済の進展というのも大変税収の偏在に悪影響を与えているところでございます。
これは総務省さんにお伺いをさせていただきますけれども、インターネット経済の拡大がどのように地方財政に影響を与えていると認識をされているのか、その点、お答えをいただきたいと思います。
○古川大臣政務官 お答えさせていただきます。
近年、経済社会構造の変化に伴い、インターネット取引が増加するとともに、ICTなどを活用した無人の店舗や倉庫、工場等も事業活動における重要な拠点となっていることが指摘されております。
このようなインターネット取引の拡大や大都市部への企業の本店等の集中などを背景として、大都市部では企業の事業活動の実態以上に税収が集中しているとの課題が以前より指摘されておりました。こうしたことから、令和元年度税制改正において、法人事業税の一部を分離して、特別法人事業税・譲与税制度を創設したところです。
経済社会構造の変化は今後も進展していくと指摘されていることから、引き続き、その状況等を踏まえつつ、税源の偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて取り組んでまいります。
○斎藤(ア)委員 おっしゃっていただいたとおり、どんどんと、インターネット経済の進展によって、特に東京、都市部というよりかは東京に集中をしているということだと思いますので、それにどう対応していくのかというところは、東京の先生方には怒られるかもしれませんけれども、そのことは日本全国としては大変重要な問題だということだと思いますし、それはそのとおりだということでございますので。
これまでも、地方財政、地方の財源の偏在の是正の取組というのは行われてきて、平成二十一年以降は、地方法人税の偏在是正の取組で、一時的に地方法人税に占める東京都のシェアというのが、一五・後半、一五・七%程度あったものが低下をして、一時的に偏在が行われたわけでございますけれども、インターネット経済の問題とか、人口とか経済の更なる東京への一極集中によって、また再び東京への、地方財政の財源の法人税の集中が高まっていって、また、平成二十一年に高いといって問題になって取組を行ったときよりも、更に今、東京都の地方法人税の、財源の偏在が高まってしまっているという状況でございますので。
今、偏在が少ないような税体系をつくっていくというお話を紹介いただきましたけれども、これは、じゃ、どうやってやっていくのかということが大変重要になると思います。
早くしなければ、これは東京に住んでいる私の同世代の方の話を聞いていても、やはり、東京都区部に住みたいという思い、特に、更にその中でも、品川区とか港区とか極めて手厚い子育て支援をしているところに無理をしてでも住もうという感覚がすごく強まっているのを私も感じています。江東区よりも港区、品川区に無理してでも住もうとか、やはり、周辺の千葉、埼玉、神奈川よりも断然東京都区に住みたいということになって、住宅価格はめちゃめちゃ高いけれども無理してもそっちに住んだ方が得なんだという感じで、更に現役世代でばりばり働いている人たちの集中がこの東京都心部に進んでしまうということになりますので、早くこれは対応していく必要があると思いますけれども、どういった方針で対策をしていくのか、タイムスパンなども含めて、現状をちょっと総務省からお答えいただきたいと思います。
○古川大臣政務官 お答えいたします。
東京一極集中が続く中、既に地方に居住している人の流出を防止するとともに、都市部から地方への移住を拡大する観点から、若者、女性にも選ばれる地方をつくることが重要であると考えております。
加えて、様々な自治体からも、行政サービスの地域間格差が過度に生じないよう、地方税の偏在の是正について御意見をいただいております。また、近年、好調な経済動向を反映して地方税収が増加傾向にありますが、税収増加が地域間の財政力格差の拡大につながるのではないかと懸念する声もございます。
総務省としては、拡大しつつある自治体間の税収の偏在や財政力格差の状況について、まずは原因、課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組んでまいります。
〔委員長退席、国光委員長代理着席〕
○斎藤(ア)委員 財源が偏在をしている原因は分かっていると思いますので、早く、どのような対策を講じていくのか、今の偏在是正の取組を更に拡充をするということも一つだと思いますし、インターネット経済であったり、あるいはネットバンキングが増えているということに対してどのような税制をかけていくのかという検討も必要だと思いますので、是非その点は速やかに行っていただきたいですし、我々日本維新の会としましても、国土全体の均一な発展に向けて、また、地域によって子供たちに対する支援、サービスが変わってしまうような、そういった不公平な事態が生じないためにも積極的に提言を行っていきたいと思いますので、また引き続き議論させていただければと思います。
それでは、古川総務大臣政務官におかれましては、これで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
○国光委員長代理 古川総務大臣政務官、御退席ください。
○斎藤(ア)委員 次に、また話を変えまして、自動車関係の諸税についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今、これも、自民党さん、公明党さん、そして我々日本維新の会で、ガソリン減税に関する協議というものを行わせていただいております。私と、あと萩原委員も、担当者として、また今週金曜日も自公さんと三党交渉させていただくわけでございますけれども、自動車関係諸税に関して、やはり、これから電気自動車が普及拡大をしていくという中で、本当に今の自動車関係諸税が適切な形になっているのかという検討を速やかに行っていく必要があるというふうにも考えております。
これは皆様御承知のように、電気自動車というのはガソリン車に比べて大変重量が重いわけでございまして、重量が重いと一つどうなるかということは、道路が大変損傷していくわけでございます。道路の舗装だけではなくて、その躯体であったり様々な構造物が損傷していく度合いが高まっていって、それに関わる財政負担というのが当然増えていくということになりますので、そういったところをしっかりと把握した上で、じゃ、それを自動車関係諸税にどう反映させるかということが大変重要だと思っておりますけれども。
また国土交通副大臣に来ていただいておりますけれども、お伺いをさせていただきたいと思います。
この電気自動車の普及によって、車体重量が重いことによってどのような形で財政負担が生じることになると想定をされているのか、そういった部分の御見解をお伺いしたいというふうに思います。
○古川副大臣 お答えいたします。
議員御指摘のように、電気自動車、EVは、ガソリン車に比べて車体が重うございまして、重量の大きな車両が多く走行することで、道路の損傷の進行が始まるおそれがある、事実でございます。
例えば、規格の近い電気自動車とガソリン車の重量を比較した調査によりますと、電気自動車はガソリン車に比べて重量が約二〇%から三〇%大きいという結果が示されております。仮に車両が二〇%重くなった場合、道路構造物への負担は、舗装で約二倍、橋梁のコンクリート製の床板、コンクリート床版と言っておりますが、これで約九倍大きくなります。
御指摘の車体重量の増加によります今後の財政負担への影響について、現時点におきましては、各道路におけます電気自動車の運行状況や、実際に道路構造物に与える劣化や損傷などの知見の蓄積が十分ではございません。こうしたことから、現在においては定量的に算定をしているものがないというところでございます。
いずれにしましても、御指摘いただきましたように、道路の老朽化対策は大変に重要な課題でございまして、既に老朽化が進行しております道路構造物に更に重量の大きな車両が多く走行することが想定されるということになりますので、この老朽化対策を進めるための予算確保、このことが何より重要と考えているところでございます。
以上であります。
〔国光委員長代理退席、委員長着席〕
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
これから、基本的にやはり道路のユーザーさんに一定程度御負担をいただくという考え方は必要だと思いますので、それをどう電気自動車のユーザーさんにも適切に御負担をいただくのかという議論を進めていく上でも、どのような金銭的な、財政的な負担が電気自動車の増加によってもたらされるのかということは、やはり数字が今後必要になってくるかと思いますので、是非その点は国土交通省に更なる調査をお願いをさせていただきたいというふうに考えております。
関連してなんですけれども、勝目政務官、大変お待たせいたしました。大変暇そうにされていたので、今から質問しますので、どうぞ聞いてください。
車体重量が重いと、道路が傷むということプラス、タイヤが傷む。タイヤが削れていって、タイヤが削れると、何かお金がかかるだけじゃなくて、そこから大気汚染物質が放出をされるということで、環境面でも重量が重いことによって負荷がかかってしまうということでございます。専門家の間からは、排ガスよりもこのタイヤの摩耗による大気汚染の方が現在では既に重大になっているんだ、問題になっているんだという意見もあって、電気自動車、当然エコで、クリーンでということで皆さん乗っていますけれども、タイヤの摩耗を含めたら逆にエコじゃないということになってしまえば、それはいけないことだということで、対策が必要ですし、また、そういった環境負荷があるのであれば、その点に対してもしっかりと適切な負担をいただくということが必要だと思います。
この車体重量が重いことによる環境負荷、粒子状物質が、大気汚染物質が増えることへの環境負荷についても、環境省さんでどのように認識をされているのか、お伺いしたいと思います。
○勝目大臣政務官 お答え申し上げます。
斎藤委員の質問に、真剣に拝聴しておったわけでございますけれども、引き続き真剣に答えたいと思います。
御指摘の自動車から排出される粒子状物質でありますけれども、排ガスのほかに、今ブレーキですとか、あるいは御指摘のタイヤ、この摩耗に伴って発生する粉じんがございます。後者の粉じんの方の排出割合が相対的に高まってきているということは、これは私どもの中央環境審議会の答申においても指摘をされているところであります。
また、これはOECDの調査でありますけれども、同じ程度のサイズの車であれば、電気自動車の方が内燃機関車よりもタイヤの摩耗によって生じる粒子状物質の量が多い、こういう調査結果もございます。
今、国連の中に自動車基準調和世界フォーラムというのがありまして、ここの分科会で、自動車のタイヤについては、税というよりは、摩耗を抑止する規制の在り方について検討が進められております。環境省といたしましても、関係省庁と連携しながら、しっかりこの場に参画をさせていただいて、技術的な動向も踏まえて、国内の対応について検討していきたいと思います。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございます。
この摩耗を防いでいくということが一番重要だということはおっしゃるとおりでございますので、その技術開発であったり取組が必要だと思いますけれども、一方で、今の重量のお話で、道路に対する負荷であったりインフラに対する負荷、そして環境に対する負荷なども勘案をして、自動車の関係諸税を構築していくことがやはり重要だというふうに考えています。
こちら、今ガソリン減税の議論をさせていただいているわけですけれども、ガソリンの部分だけではなくて、例えば、電気自動車は燃費がいいというか、排ガスを出さないから燃費割についてはゼロになるとか、しかし環境負荷はやはりあるわけでございますから、それをどう考えるのであったりとか、あるいは、重量がもうちょっとダイレクトに車体税に反映をされて、そもそも電気自動車というのは高級車でございますので、今の税制だと、高級車の電気自動車ほど税制が安くて、普通に皆様が一般使いするガソリン車とかハイブリッドの方が税金は高いということで、国内の納税者の御理解もなかなか現状では得られない税制体系になってしまっているのではないかという懸念も持っています。
自動車関係諸税含めて税金を低くしていくというのが根本的な原則というか方向性でなければならないと思っていますけれども、今、財源が必要な中で、適切に、どのようにこの自動車関係諸税をつくり変えていくのかということは、これも喫緊の課題だというふうに考えておりますけれども、最後に、その点に関して財務大臣から御見解をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 電気自動車に係る税の負担について、取得段階、保有段階については一律大幅な減免が行われているということ、また、利用段階においてはガソリン車が負担する揮発油税等に該当する課税の執行枠組みがないということ、また、今重量の、重たいということも御指摘もございました。ガソリン車との税負担の公平性について、様々な御指摘をいただいております。
今後、電気自動車を含めて、多様な動力源による自動車というのでしょうか、これがだんだん出てくる、あるいは併存していくということが見込まれるわけであります。令和七年度与党税制改正大綱においては、受益者負担、原因者負担といった課税の考え方を踏まえ、異なる動力源の間の税負担の公平性や将来に向けた安定的な財源確保等の観点から、利用に応じた負担の適正化に向けた課税の枠組みについて令和八年度税制改正において結論を得るとされております。
今後、与党において八年度改正に向けて議論が進むものと承知をしておりますが、政府としては、そうした議論あるいは結論に対して適切に対応していきたいと考えております。
○斎藤(ア)委員 ありがとうございました。
今の自動車関係諸税の形も、議論も引き続きお願いしたいと思いますし、何をおいてもやはりトランプ関税に対する対応が極めて重要だと思っております。これは、日本維新の会としても、野党であるからということではなくて、しっかりと連携協力をしていきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。
本日は、デジタル産業の政策及び関税の関係についてをまず伺いたいと思います。
デジタル産業については、エネルギー産業とともに日本の貿易・サービス収支の重荷になっておりまして、今やデジタル赤字そしてエネルギー赤字は双子の赤字状態で、日本の国富流出を招いています。
改めて、この双子の赤字の現状と対策について、まず財務大臣の見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 今おっしゃったデジタル赤字とエネルギー赤字についてでありますが、まず、デジタル赤字については、国際収支統計におけるサービス収支のうち、デジタル関連の取引を多く含む項目につきその収支を合計した、いわゆるデジタル関連収支について見ますと、二〇二四年は六・七兆円の赤字となっており、年々増加しているというふうに認識をしております。
このデジタル関連収支は、日本のデジタル分野の競争力を反映しているとも考えられることから、日本国内に事業基盤を持つ事業者によってデジタルサービスが提供されるよう、この分野の競争力の強化を図っていくことが重要と考えております。こうした観点から、DX分野におけるイノベーションの支援、新技術の社会実装の促進等に取り組んでいるところであります。
また、エネルギー赤字でありますけれども、貿易統計における鉱物性燃料の収支で申し上げますと、燃料価格の一時的な急騰による影響のピークは過ぎたものの、二〇二四年はなお二十四・二兆円の赤字となっております。日本の化石燃料等の海外依存度の高さに伴うこうした脆弱性を克服するためにも、省エネの促進、脱炭素効果の高い電源の活用などを通じ、エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現に努めていきたいと考えております。
○田中(健)委員 今説明いただきましたが、特にデジタル赤字について議論を深めていきたいと思いますが。
財務省も、大変これについては問題意識を持っておりまして、昨年の七月には、当時の神田財務官の下で行われた「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」懇談会においても同様の指摘がなされていました。
報告書では、新陳代謝の促進や人的資本への投資を行っていく必要がある旨の処方箋が示されておりますが、政府として、こういった専門家の様々な指摘、意見に対して、今回予算は通りましたけれども、その中に、どのようにして予算措置や、また税制措置を通じて対応が図られているのか、伺います。
○加藤国務大臣 今御指摘のありました国際収支に関する懇談会において、参加された様々な分野の有識者から、新陳代謝の促進、人的資本への投資を含む提言が行われたものと承知をしております。
そして、それらを踏まえて、令和七年度予算及び税制改正においては、新陳代謝の促進に関連しては、成長分野における労働移動の円滑化促進等の予算措置を盛り込むほか、中小企業経営強化税制の拡充を通じ成長意欲の高い中小企業の設備投資を後押しをするとともに、人的資本への投資に関連しては、全世代を対象としたリスキリングによる能力向上支援や優秀な若手研究者への支援強化に取り組むなど、様々な取組を行うこととしております。
政府としては、これらを含む各種政策を通じて、日本経済の生産性を高め、賃上げと投資が牽引する成長型経済、これへの移行を確実なものにしていくことが重要と考えております。
○田中(健)委員 政府としては様々な取組はしているんですね。しかしながら、毎年毎年のようにデジタル赤字は積み上がっていくわけです。やはり、具体的に更なる産業政策としての方針を示していかなきゃならないと思うんですけれども。
経産省にも来ていただいておりますので、具体的に伺いたいと思いますが、デジタル収支に関しては、他国では実は黒字の国は多いです。イギリス、アメリカは当たり前でありますけれども、先進国はもとより、インドとか中国とかといった国も大幅なデジタルの黒字国になっています。また、サイバーセキュリティー、能動的サイバー防御、議論がありましたけれども、イスラエルなどもデジタル黒字になっています。
つまり、企業の努力プラス政策的な振興策を組み合わせることでデジタル赤字は収支の改善が可能なものであろうかと思っていますが、海外との差がどうして生じてしまっているのか、まずしっかり分析して、また、政府として、この差をどうやって取り戻すかという今大変重要な時期にあるかと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○西村政府参考人 お答えいたします。
デジタル分野の競争力で日本が後れを取った背景としては、ユーザー企業が変化に対応するための積極的なデジタル投資を行わない一方、ベンダー企業はユーザー企業から個別システムの構築を長期的に受託するビジネスモデルを志向していたこと、両者とも十分な人材投資を行わなかったこと、こうした構造的な課題があったと認識をしております。
こうした過去の反省を踏まえ、経済産業省では、人材育成等を通じて、ユーザー企業による新たな付加価値を生み出すデジタル投資を促進するとともに、幅広い利用者のニーズを踏まえて、高い目標に挑戦するAI開発者の研究開発支援や人材育成等、こうした施策を実施しているところでございます。
国内におけるソフトウェア産業基盤を強化し、さらに、デジタルサービスの海外市場展開を促進することで、デジタル収支の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 まさに国際デジタルの基盤の育成が今大変重要になってきておりますので、大きく進めていかなければなりませんし、また、独自技術で開発をすると大変高コストになりますので、オープンソースの技術を使ったりして、その標準化に努めていただければと思っています。
その中で、昨年国会で成立したスマホソフトウェア競争促進法、いわゆるスマホ新法が、三月三十一日、年内に施行の対象企業をアメリカのアップルと子会社のアイチューンズ、またアメリカ・グーグルの三社にすると発表がなされました。三社はスマホアプリの配信や決済で他社の参入を妨害することなどが禁じられることとなります。よく、アマゾンでキンドル版の電子書籍が買えないといったことが話題になりましたけれども、この問題であります。
アプリストアベンダーであるアップル及びグーグル社の独占を許さないという強い意思を示したことは評価をしたいと思いますし、公正取引委員会が満を持して法案を作って、大変に私はその意義、また意思を感じておりますが、本年中の完全の施行となります。政府としての今の準備状況及び法施行の効果についてを伺いたいと思います。
○佐久間政府参考人 お答えいたします。
公正取引委員会では、本年十二月に予定されているスマホソフトウェア競争促進法の全面的な施行に向けまして、詳細なルールを定める下位法令や、規制対象事業者が適切に対処するために必要な指針について、その内容の検討を行うための有識者検討会を開催するとともに、規制対象事業者を始めとした関係事業者や関係省庁、海外当局とも緊密にコミュニケーションを図りながら整備を進めているところです。
また、同法の運用においては、デジタル分野やセキュリティー等の問題も含めて専門的な知見を要することから、公正取引委員会の体制や職員の能力の更なる強化が必要であるとして、同法の運用を担う局長級ポストの新設や所要の定員を含めた体制の整備をしたところであり、引き続き専門人材の登用等を進めてまいります。
法律の全面施行後は、新たなアプリストアの参入等を通じて、多様な主体によるイノベーションの活性化とともに、消費者にとっての選択肢の拡大や良質で低廉なサービスの享受といったメリットが提供されることが期待されるところです。そのためには、公正取引委員会といたしましても、同法を実効的に運用していくことが重要であると考えており、引き続き円滑な施行に向けて準備を着実に進めていく所存であります。
○田中(健)委員 今回のこの規制法案がしっかりと施行されることによりまして、アプリ内でもコンテンツ購入に制限がなくなるということで、一般ユーザーにも大変大きなメリットがあるわけですが、なぜここで取り上げたかといいますと、これはトランプ関税に関わってくるんですけれども、アメリカの議論において、非関税障壁の一つとして、今、議論となっています。デジタル産業分野については、相互の関税がないので相互関税の話は出ていないものの、規制の在り方が議論の対象になっており、日本のスマホ新法も問題視されているとも一部報じられています。
政府は、現状のアメリカの議論をどの程度把握をされ、また、アメリカ側がどういうスタンスで来るというふうに考えているのか、伺いたいと思います。
今回の相互関税を出すまでもなく、関税の議論においてもトランプ政権の打ち手というのは想像を超えるものであり、早めに議論をして、準備、対処していく必要があると思いますが、まさに、完全施行に向けた今、取組を進めている中の戦略を伺いたいと思います。
○佐久間政府参考人 お答えいたします。
一点、確認なんですけれども、米国通商代表部、USTRが三月三十一日に公表した二〇二五年外国貿易障壁報告書、NTEレポートでは、我が国のデジタルプラットフォーム事業者に対する規制について記載はありましたが、スマホソフトウェア競争促進法に関する明示的な言及や懸念の表明はなかったものと承知しております。
いずれにいたしましても、公正取引委員会としては、本年十二月に予定される全面的な法施行に向けまして、引き続き、事業者とは密接にコミュニケーションを取り、建設的な対話を行いながら、下位法令や指針の作成等を進めてまいる所存でございます。
以上です。
○田中(健)委員 まず、USTRの、日本の言及はなかったということなんですが、それで安心をしていては私はまずいと思っております。やはり、トランプさんの、大統領の思い一つで、この非関税障壁も議論の対象になると思っています。
といいますのも、トランプ大統領は、各種環境規制や個人情報保護規制について、大変大きな課題として述べておりまして、EUのデジタルサービス法やデジタル市場法による巨額の制裁金や、フランス、イタリアが導入したデジタルサービス課税は、GAFAを始めとした米テック企業を不当に狙い撃ちしたものだということも言っています。
そして、このスマホ新法は、EUのデジタル市場法の日本版とも言える内容であると理解しておりますので、デジタル市場法が問題視となりますれば、スマホ新法もやり玉に上げられる可能性は私は否定できないと思っておりますので、是非、注視をしながら完全施行に向けて取り組んでいただきたいと思いますし、また、直ちに輸入関税をかける、そういった強固な報復措置に出る可能性は低いとしても、例えば、日本政府は、この法の正当性とか、ないしは特定の外国企業を狙ったものではないということを、しっかりとアメリカ側に説明を続けるべきであろうとも思っていますので、そこは徹底してお願いをしたいと思います。
もう一つ、話は変わりますけれども、今度はオンラインカジノについて聞きたいと思います。
いろいろな海外オンラインカジノにおいては、スポーツ選手、著名人も検挙される事態になっており、国民の間でも、特に若者を中心に広がっています。先日警察庁が公表した調査、初めて正式な調査でありますが、利用者は約二百万人、利用額も一兆円を超えているという広がりを見せています。
私、二年ほど前からですが、前々から取り上げてきまして、この委員会に関することであれば、決済事業者の関わりも指摘してきたところであります。私、金融庁の対応は、極めて、ずさんと言うと言い過ぎかもしれませんが、遅いと言わざるを得ないと思っています。やはり、この決済事業者の対策はオンラインカジノ問題の根っこでありますから、資金の流れを止めることが私はこのサービスの拡大を防ぐ上で極めて効果的であると思い、提案をしてきました。
まずは、金融担当大臣として、今回のオンラインカジノ、決済を行う事業者は断固許さないという姿勢を示してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 そもそもそうしたカジノを開くこと自体しっかり規制をしていかなきゃなりませんけれども、その上に当たって、オンラインカジノへの送金について、金融庁としても、警察庁と連携して対応していきたいと考えております。
具体的には、警察庁から、オンラインカジノに関し、無免許、無登録で為替取引を行っていると疑われる者について金融庁が情報提供などを受けた場合には、当該事業者への照会書や警告書の発出等を行うこととしております。
また、マネーロンダリング等防止の観点から、金融機関に対して、外部からの情報提供や取引モニタリングを通じて預貯金口座が不正に利用されていることを検知した場合には、入出金の停止や口座凍結等のリスクの低減措置を講じること等求めております。
さらに、オンラインカジノに対して、送金の面からも必要な対応を講じる観点から、今国会に提出した資金決済法の改正法案において、商品、サービスの取引成立に関与しない者が国境をまたぐ収納代行を行う場合には、基本的に資金移動業の規制を適用する旨を盛り込んでおります。一般的には、オンラインカジノの場合には、国内で全てが完結するというよりは、国内から国外とのこうした動きがあるわけでありますから、そこをしっかり規制していく必要があるという認識の下で、こうした改正法案を提出することにしております。
金融庁としては、引き続き、警察庁と連携をするとともに、このような制度の見直しも通じて、オンラインカジノの送金問題に対して厳正に対処していきたいと考えております。
○田中(健)委員 お金の流れを止めればそもそもこのビジネスは成り立たないわけですから、是非進めていただきたいと思うんですが、今説明があったとおり、警察との連携で今進めているということなんですが、このオンラインカジノに係る決済事業者に関して、金融庁から警察当局に通報する仕組みになっていますが、現在まで何件の通報を金融庁としては行ってきたのか、伺います。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
金融庁では、これまで、オンラインカジノに関して、無免許、無登録で為替取引を営んでいると疑われる者について、警察庁より三件の情報提供を受けております。
先ほど大臣が御答弁されたとおり、警察庁から、オンラインカジノに関し、無免許、無登録で為替取引を営んでいると疑われる者について金融庁が情報提供等を受けた場合には、事務ガイドラインに基づき、当該事業者への照会書や警告書の発出等を行うこととしております。これまで警告書を発出した実績はありませんが、警察庁より情報を受けた三件のうち二件については、金融庁の対応状況を警察庁と共有しております。
また、預金口座の不正利用に関する情報が含まれる場合には、当該口座が開設されている金融機関に情報を提供し、当該金融機関に対して、犯罪収益移転防止法に基づく各種義務の履行や、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドラインに基づくリスク低減措置等を求めております。
金融庁では、引き続き、警察庁と連携して厳正に対応してまいります。
○田中(健)委員 昨年聞いたとき二件ということで、今回三件ということで、一件増えたんですけれども、とてもそんな数ではなく、今回、警察庁の調査では、日本語で利用可能、つまり日本専用のオンラインカジノは四十確認をされておりまして、その中で銀行振り込みは三十六サイト確認されています。その三十六は完全に違反ですから、まずそこをしっかりと金融庁としてはモニタリングをすべきだと思っています。警察庁からの情報ではなく、金融庁としてモニタリングができるはずですし、その利用目的や送金先が違法であるならば、それをしっかりと警察庁にこちらから情報提供するという仕組みも整っていますので、是非徹底していただきたいと思います。
さらに、この決済には、振り込みだけではなく仮想通貨を使うサービスが増えておりまして、四十の、警察庁の調査の中の、三十八サイトが仮想通貨での取引ができるようになっています。これについては、今、金融庁はどのような取組をしていますでしょうか。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
金融庁では、国内の暗号資産交換業者に対し、不正送金を防止する観点から、ガイドラインに基づき、預金取扱等金融機関と同様に、顧客の属性、取引の内容等を踏まえた顧客リスク評価に応じて取引謝絶等を含めたリスク低減措置を講じることや、自らの顧客や口座が犯罪に関連する疑いがあれば、犯罪収益移転防止法に基づく疑わしい取引の届出を適切に行う体制を整備することを求めております。
また、暗号資産交換業者における対応をより実効的なものとする観点から、事業者に、送付人、受取人の情報を暗号資産の受け手となる暗号資産交換業者へ通知することを義務づける制度、いわゆるトラベルルールを令和五年に導入しております。
金融庁では、暗号資産がオンラインカジノを含む犯罪行為に利用されることを抑止するため、暗号資産交換業者における対応状況をしっかりとモニタリングしてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 しっかりモニタリングするというか、もう実際に目の前に、ネットを開けばあるわけですから、対応をもっと強化してほしいと思います。
最後に、この入金方法、クレジットカードも実は対応されておりまして、警察庁の四十サイトでは三十三のサイトがカード決済可能です。これは経産省の管轄ですけれども、これは把握しているのか、どんな対応を取っているのか。
さらには、割賦販売法の三十条の五の三では、クレカの事業者が適正に事業を行っていない場合は経産大臣は業務改善命令を出すことができますが、それらの対応もされているんでしょうか。伺います。
○井林委員長 申合せの時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省では、警察と連名で、日本クレジット協会を通じまして、クレジットカード会社に対して、クレジットカード会員に対する注意喚起を行うとともに、クレジットカードの利用者がオンラインカジノで決済を行おうとしていることを把握した場合には決済の停止をするよう要請しているところでございます。
加えて、クレジットカードの国際ブランドに対しましては、オンラインカジノの運営事業者の情報把握に努めるとともに、当該情報を把握した場合にはクレジットカードの決済網から排除することを要請しています。
また、経済産業省として、警察から提供されたオンラインカジノに関する情報について、クレジット会社との共有も行っているところでございます。
今後は、御指摘の点もございますけれども、ギャンブル等依存対策推進基本計画に基づき、警察庁等から情報提供を受けた場合には、クレジットカード会社や国際ブランド会社に対して当該情報を提供して決済の停止などを求めていきたいと思っております。
御指摘いただいた点を踏まえて、しっかり対応してまいりたいと考えております。
以上です。
○田中(健)委員 終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、山口良治君。
○山口(良)委員 公明党の山口良治です。
私からは、トランプ関税に絞って質問をさせていただきます。
本日、米国による相互関税が発動されました。トランプ大統領による相互関税及び追加関税の発表は、世界中にトランプ・ショックを巻き起こし、週明け四月七日の各国の株式市場は波乱の展開となり、東京株式市場の日経平均株価は、下落幅、過去三番目の大きさを記録をし、NISAなど個人にも大きな不安が今広がっております。
トランプ政権が発表しました相互関税、追加関税による日本経済への影響について、実質GDPに対し、短期的に本年については〇・六%、中期的には二〇二九年までに一・八%程度下押しされるとの大和総研による試算も出ております。
そこで、まず、財務大臣にお伺いをいたします。
政府においては、これらトランプ関税による影響をどのように評価、試算をしているのでしょうか。また、特に、自動車産業を始めとする製造業への直接的影響及び地域経済や雇用への影響をどのように分析しているのでしょうか。政府としての包括的な影響評価があれば、明確にお答えをいただければと思います。
○加藤国務大臣 今般の相互関税措置を含め米国政府による広範な貿易制限措置が、日米間の貿易、あるいは経済、ひいては多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねないと強く懸念をしているところであります。
具体的な数字というのは今、具体的に明示できる状況ではありませんけれども、経産省においてそれぞれ業界からもヒアリングをされていると承知をしておりますし、また、そうした中においては、様々な不安、懸念の声が生じているということも聞いているところでございます。
そうしたことを受けて、先日、八日の米国の関税措置に関する総合経済対策本部で、総理から、米国による関税措置の内容を精査するとともに我が国への影響を十分に分析すること、米国に対して措置の見直しを強く求めるなど外交面の取組を進めること、資金繰り支援など必要な支援に万全を期すことといった指示がございました。
これを受けて、政府全体として連携をしながら、今回の米国の関税措置への対応に万全を期していきたいと考えております。
○山口(良)委員 今回のトランプ関税は、とりわけ対米輸出企業にとって影響は甚大であります。我が国としても、そうした企業のみならず、サプライチェーンを始めとしたパートナー企業を含め、影響をしっかりと注視をしつつ、サプライチェーン関係が崩壊することがないよう、国内需要を下支えし、雇用を守るために、機動力を持って対処していくべきだと考えます。
そのために、財務大臣におかれましては、日本銀行とも連携を密に取りながら、為替相場の動きも注視し、企業また家計部門への影響を的確、丁寧に分析をしていただき、実態把握を図って、支援を今必要としているところはどこなのか、大ざっぱな分析ではなく、きめ細かな分析をしていただき、支援を必要としているところに十分な支援が迅速に、遅れがないよう、早め早めに行き届くよう、そうしたことを支援していただくよう強くお願いしてまいります。
次に、一昨日の石破総理とトランプ大統領との電話会談につきましては、他国に比べても早期に開催をしていただいたことは大変評価できると思います。ここをスタートラインとして、更にスピード感を持って米国との二国間交渉を進めていくべきであると考えます。
そこで、政府にお伺いいたします。
今後の米国との二国間交渉において、どのような方針の下で協議を継続をしていくことになるのでしょうか。例えば対米投資計画や特定分野での協力強化など、交渉を前進させていくための建設的な提案について、現在お持ちの、具体的に検討しているものがあれば、説明をお願いいたします。また、首脳間の直接交渉に向けた準備状況など、なかなかお答えしにくいところもあるかと存じますが、どうなっているのか、御答弁をお願いできればと思います。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
米国の関税措置につきましては、我が国からこれまで様々なレベルで我が国の懸念を説明するとともに、一方的な関税措置を取るべきではない旨などを申し入れてきたにもかかわらず、米国政府が今般の相互関税措置を発動したことは極めて遺憾でございます。WTO協定及び日米貿易協定との整合性に深刻な懸念を有しているところでございます。
七日に行われました、御指摘の日米首脳電話会談におきましては、石破総理から、日本が五年連続で最大の対米投資国であるということを指摘した上で、米国の関税措置により日本企業の投資余力が減退することを強く懸念するという考え方をお伝えしております。その上で、一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め、日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべきであるという旨を述べて、措置の見直しを改めて求めたところでございます。この結果、両首脳は、引き続き率直かつ建設的な協議を続けていくことを確認しておりまして、今回の首脳間のやり取りを踏まえ、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくこととなった次第でございます。
さらに、八日、全閣僚出席の下、米国の関税措置に関する総合対策本部が設置され、第一回会合を開催されたわけでございます。総理の指示を踏まえ、関係省庁全体が協力、連携の上で、引き続き政府を挙げて対応してまいります。
今後の対応についてでございますが、具体的な検討状況をつまびらかにすることは、恐縮でございますが、差し控えさせていただきますが、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○山口(良)委員 ただいま、二国間交渉についてお伺いいたしました。赤澤大臣を担当に、これからしっかり政府一丸となって交渉に当たっていただきたいと思いますが、今回のこの関税引上げの構図というのは、二国間だけでなく、米国対世界という構図にもなっております。日本は、これまで、日・EU・EPAやTPPなど自由貿易協定を締結しているパートナー国、国々とも情報を共有し、米国に対しては是非戦略的に、各国と協調しながら進めていく必要がございます。その際は、外務省は当然、もちろんのこととしまして、経済産業省、財務省、そして内閣府等の各府省庁が緊密な連携を取り、情報共有、また強固な協力の下で、事実に基づいた交渉を進めていく必要があります。総理を中心に、政府一丸となってのお取組を強くお願いを申し上げます。
次の質問に移ります。
今回のトランプ関税によって、国内の自動車産業を始め、裾野の広い産業への影響は甚大であります。そこで、政府の国内産業支援並びに産業競争力強化に向けた中長期的な戦略について伺います。
トランプ関税の影響を受ける中小・小規模事業者の資金繰り支援、雇用調整助成金の活用など、緊急の対策を講じることは当然必要であることは言うまでもありませんが、打撃を受ける国内産業、特に中小企業に対する支援策について、具体的に、緊急的な流動性支援から中長期的な事業転換支援まで、体系的な支援策があればお伺いしたいと思います。
さらには、今回のこの関税、トランプ関税を契機に、日本の産業力強化を高め、特定の国に依存するといったそうした貿易体制ではなく、サプライチェーンの多元化、また、第三国市場の開拓など、政府としてどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
○浦田政府参考人 お答えいたします。
まず、日本が一連の米国政府による関税措置の対象とされたことは極めて遺憾でございまして、引き続き、米国に対して措置の見直しを強く求めてまいります。
同時に、国内産業や雇用を守るために必要な支援に万全を期すことが重要でございまして、四月三日、省内に米国関税対策本部を立ち上げ、国内産業への影響の精査や、必要な対応の検討を至急進めているところでございます。
まずは、短期の支援策といたしまして、特別相談窓口の設置、資金繰りや資金調達への支援、そして、今般の関税措置の影響を受ける中堅・中小企業の事業強化のための支援を着実に実施することで、中小・小規模事業者の不安にきめ細かく対応してまいりたいと考えております。また、関税措置が契機となりまして適切な価格転嫁が進まなくなることがないよう、経済産業省としてもしっかり業界に要請をしてまいります。
政府一丸となりまして、今回の関税措置から国内産業や雇用を守っていきたいと考えてございます。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
公明党として最も重視するのは、この関税で、自動車産業を始めとした輸出産業、中小企業の皆様の被雇用者、また景気の停滞の影響による小規模事業者の皆様のなりわいと生活を守っていくことであります。
私の地元栃木県も、日産自動車の国内最大の工場があり、本田技研の関連工場など、自動車産業が基幹産業であります。下請企業の皆様からも不安の声が上がっております。
需要急減などで資金ショートを起こし、黒字倒産をするという不幸な事態を可能な限り回避できるよう、十分な資金供給をしていくべきだというふうに考えております。
しかし、一千件に上る相談窓口、中小企業庁、経産省のホームページを開きましても、なかなか出てこない、ちょっと分かりづらいというところがあります。中小企業の社長の皆様、経営者の皆様が分かりやすいよう、より丁寧な対応をお願いしたいというふうに思います。
最後に三点申し上げます。
昨日、我が党の西田幹事長は、定例記者会見にて、トランプ関税への今後の対応策として、国内需要の安定化、また交渉進展に向けて、賃上げと減税が有効であるということを述べました。
トランプ大統領は、日本の賃金抑圧を非関税障壁の一つとして挙げております。日本は、これまで進めてきた賃上げを加速をし、欧米並みを目指していくことが米国との交渉に資すると考えます。
また、減税についても、現在、与党内で消費税の見直しなどお声も出ておりますが、消費税が社会保障の財源であり、新たな財源が必要とされることから、簡単なことではありません。例えば、外貨準備高、日本が保有する約一兆二千億ドルとされている米国国債の存在など、工夫することも検討すべきではないでしょうか。今回の問題に対して、中小企業の時限的な低利融資のための活用という点でも、外貨準備高を活用する、このことも幅広い検討の一つに加えていくべきではないかというふうにも考えます。
今回のトランプ関税、総理がおっしゃるとおり、我が国にとっては国難であります。東日本大震災、コロナ禍のときと同様に、今、日本の国民は、情報が乏しく、不安が広がっております。例えば、政府から官房長官などが連日、国民に対してリアルタイムの情報を基にメッセージを発信していくなど、的確な情報発信が必要であると考えます。これが国民に対する不安の除去につながり、希望につながっていくと考えます。是非とも、このリアルタイムでの的確な情報発信、総理また官房長官等も記者会見等でされてはおりますが、重要閣僚のお一人として、加藤財務大臣にも、閣僚会議等におきまして石破総理への進言を是非ともお願いいたしまして、私からの質問を終わります。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井でございます。
財務省って本当に不思議な役所だなと思うんですけれども。先ほど末松委員の質問のときに大臣が、ちょっと細かい数字は事務方がいないので答えられませんと。普通、ほかの省庁だったら、念のため参考人登録させてくださいと言って、局長とかが陪席するんですけれども、財務省は、私も言われたことがないんですよ。大臣と指定したら大臣が一人で答えるという、本当に、ある意味すごい役所。あるべきなのかもしれませんけれどもね。ほかの委員会で私が財務省に質問したときも、局長とか次長を私が要求すると、いや、是非、副大臣か政務官で、政治家に答弁させてくださいと言われたことも何度もあって、こういうのもほかの省庁ではないですね。普通は事務方で答えさせてくださいというのが多いのに、財務省だけはね、非常に不思議な役所でありますが。
是非、私は主計局長に来てくださいと再三言って、応じていただいていません。嫌がらせのように毎回呼ぶのは今やめていますけれども、次の次ぐらいの法案で主計局が所管する法案が出ると聞いていますので、そのときはさすがに主計局長に出ていただきたいということを強くお願いをしておきます。
では、質問に入ります。
今日は、先ほど末松委員も取り上げたスルガ銀行の不正融資の問題を取り上げます。
これは実は、スルガ銀行の被害者の方、そして、その団体をつくって中心になって活動されている方がれいわ新選組からさきの衆議院選挙に立候補してくださいまして、残念ながら惜敗だったんですが、そういう意味からも、この問題はれいわ新選組としてしっかり解決しなきゃいけないと力を入れて取り組んでいますので、是非、今日は大臣それから監督局長に来ていただいていますが、答弁をよろしくお願いします。
まず、このスルガ銀行の話は、シェアハウス融資、かぼちゃの馬車事件、かぼちゃの馬車というシェアハウスの融資と、それからアパート、マンションの融資、二つあって、シェアハウスの方は、実は二〇一八年九月に第三者委員会の報告書が出て、そこで組織的不正があったということを報告書にも書いてあるわけでありますが、ところが、アパート、マンション融資については全く解決が図られていないわけです。
是非、金融庁にはっきりお答えいただきたいんですが、二つとも、シェアハウス融資、それからアパート、マンション融資、両者において組織的に不正が行われていた、報告書にそう書いていますから、そういう認識が金融庁としてちゃんとあるのか、イエスかノーかでお答えください。そして、そのお答えの根拠も併せてお答えください。
○伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。
第三者委員会の報告書も当然私ども拝見しておりますけれども、金融庁といたしましても、一八年当時、検査に入りまして、その結果も踏まえて業務改善命令を打っておりますけれども、その中でも述べておりますけれども、シェアハウス向け融資に加えてアパマン向け融資につきましても、スルガ銀行の組織的な不正行為というものを確認をしているところでございます。
○高井委員 しかし、シェアハウスの方はもう解決しているのに、アパート、マンションの方は解決していないじゃないですか、先ほど大臣もそう言っていましたけれども。
スルガ銀行の言い分は、もう我々も何度も聞かされました。でも、スルガ銀行の言い分じゃなくて、金融庁は、シェアハウスとアパート、マンション融資の件、何が違うんですか、それをはっきり、金融庁の見解を、これは質問通告にちゃんと書いて通告していますから、お答えください。そして、もし異なるのであれば、アパート、マンション融資においても第三者委員会を設置させるべきではないですか。金融庁、いかがですか。
○伊藤(豊)政府参考人 私どもの業務改善命令におきましては、シェアハウス向け融資、アパマン向け融資を区別することなく、先ほど申し上げましたように、組織的な不正を確認をいたしまして、業務改善命令を打ち、債務者の方は一刻も早く解決に至るということを銀行側に求めているところでございますけれども、シェアハウス向け融資につきまして、アパマン向け融資と異なる、解決に至っているという理由として私どもが認識をしておりますのは、シェアハウス向け融資は、物件の賃貸状況が長期的に生み出すキャッシュフローの水準が債務の返済可能性を大きく左右するなど、顧客の債務額が大きくなる傾向にあるなどという一群の特徴があったことによって、これは一律な解決が行われたというふうに認識しております。
アパマン向け融資については、銀行の職員の不正の関与の度合いにつきまして、銀行側と被害者側、債務者側との間で認識の相違がある物件があり、これについていまだに解決に至っていないというふうに認識をしておりますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、一刻も早い解決に至ることを求めておりまして、引き続きこういうスタンスで銀行に要求をしていきたいというふうに考えております。
○高井委員 第三者委員会を設置すべきじゃないかという提案に対してお答えになっていません。お答えください。
○伊藤(豊)政府参考人 失礼をいたしました。
第三者委員会につきましては、一八年当時の第三者委員会は、アパマン向け融資につきましてもシェアハウスと区別することなく調査をしておりまして、これで第三者委員会の考え方は出ておりますので、改めて第三者委員会を設置する必要については、私どもとしては認識をしていないところでございます。
○高井委員 ちょっと、今そういう答弁が返ってくると思いませんでした。ちょっともう一回読み直してみますけれども、委員会の報告書を。
あと、さっき言った理由は、相変わらずやはりスルガ銀行の言い分をそのまま言っているだけですよね。私は金融庁としての見解を聞きたかったわけです。是非、これはしっかり、また今度聞きますので、整理をして答えていただきたいと思います。
私は金融庁に大きな責任があると思うのは、スルガ銀行の件はもう二〇一四年から金融庁に苦情が入っていたんですよ。二〇一七年にシェアハウスのかぼちゃの馬車事件というのが発覚するんです。ところが、ちょうどその二〇一七年に、当時の金融庁長官の森長官はこう言っているんですね。スルガ銀行は特異なビジネスモデルで高い収益を上げている地銀のモデルケースだ、こんなふうに称賛しているんですよ。こんなことを記者会見かどこかで言って、それが広まったら、融資を受ける被害者の方々は信用するじゃないですか。
これは非常に責任は重いと思いますけれども、大臣、森元長官からこの件で釈明とかおわびとかそういうのを聞いたことはありますか。
○加藤国務大臣 スルガ銀行の不正融資問題について、私が森元長官から、今お話があった、直接説明を受けたということはございません。
○高井委員 今言ったように、私は金融庁の責任は大きいと思いますけれども、大臣、どう責任を取りますか。
○加藤国務大臣 まずは、金融庁の、今おっしゃった森長官の御発言とスルガの不正融資問題との関係、これはなかなかお答えすることは難しいということをこれまでも申し上げているところであります。
他方、この不正融資問題に関連して、スルガ銀行の経営管理体制や内部管理体制に、一部業務停止命令や業務改善命令を行うに至った重大な問題があった、にもかかわらずこれを事前に察知することはできなかった、このことは事実として受け止めなければならないと考えております。
金融庁としては、そうした認識の下、債務者にとって可能な限り早期に問題解決が図られることが重要であり、引き続き、スルガ銀行の経営陣に対して、様々な機会を通じて、債務者との協議に真摯に応じるなど適切な対応を求めるとともに、その進捗を確認していきたいと考えております。
今後こうした問題が生じないよう、金融庁のモニタリング能力の向上を図ることも含めて、金融担当大臣としての職責を果たしていきたいと考えております。
○高井委員 今、責任を認める、感じるという趣旨の発言がありました。であればこそ、やはりちゃんと、モニタリングするだけじゃなくて、解決に向けて具体的な指導をしてくださいよ。もう業務改善命令から六年半たっているんですよ。いまだに何も解消していないんです。こんな長い業務改善命令が続いているのは珍しいですよ。例にないんじゃないですか。これは行政指導の実効性がないからですよ。
大臣、もう一回お聞きしますけれども、具体的にどのような監視体制、それから評価手法の下で管理をして、そして、現在の改善の進捗に対して具体的にどのような追加措置を講ずる考えか。そのまま通告で出していますので、大臣、ちゃんと答えてください。
○伊藤(豊)政府参考人 スルガ銀行に対する業務改善命令のその後の私どもの対応でございますけれども、スルガ銀行からは、四半期ごとに、この業務改善命令に基づきまして、投資用不動産融資の個々の債務者に対する対応状況などに係る定期報告を受けておりますほか、民事調停の状況など、債務者対応の進捗状況について随時聴取をしているところでございますし、被害弁護団とも何度かお話を伺っているということでございまして、引き続き、業務改善命令に基づく報告、随時の状況確認をいたしました上で、スルガ銀行の経営陣に対し、様々な機会を通じて、債務者との解決を図るよう、その進捗を確認してまいりたいと考えております。
○高井委員 大臣が出てこないで局長が出てくる辺りに金融庁の体質が表れているじゃないですか。責任を感じていないんじゃないですか。本当に、やはり、やる気を持ってやれば、私は今のような抽象的な答弁にならないと思いますよ。
これは、我が党だけじゃなくて、立憲民主党もさっきやりました。この間、公明党さんもやっていましたね。それから、参議院では共産党さんもやっていますよ。いろいろな党がやっても、全然動いていないんですよ、解決していないんですよ。本当に、金融庁、しっかりしていただきたい。大臣は強く指導を発揮していただきたいと思いますが、もう時間が余りないので、ちょっと、今日は警察にも来てもらっているので、警察にも聞きたいと思います。
第三者委員会の報告書では、明らかに複数の行員による書類の改ざん、それから不正融資が明確に指摘されているんですよ。私も被害者から直接通帳の写しを見せてもらいましたけれども、明らかに、入社五年目ぐらいの人が三千万円ぼんとお金が入っていて、こんなのおかしい、偽造だとすぐ分かりますよ。少なくともそれは疑わなきゃおかしいし。共産党の小池さんが参議院の財務金融委員会でも、具体的に、三千三百四十九万の通帳、それから二千五百八十万円の領収書の偽造があったと。
そういう具体的なものが、誰が見ても明らかなものがあるのに、何で警察は、スルガ銀行の行員、明らかな書類、通帳の改ざんなんて典型的な犯罪じゃないですか、これはなぜ捕まえられないんですか。警察庁、お願いします。
○松田政府参考人 お答えいたします。
個別の案件につきまして、警察の対応につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。
なお、一般論として申し上げれば、警察は、個別事案の事実関係に即して、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているところであります。
○高井委員 もうそういう緩いことを言っている事態じゃないんですよ。今回、通告に当たって課長補佐の方にいろいろ聞き取りをしましたけれども、結局、所轄署であったり県警が対応する話だと。確かに警察はそういう組織なんですけれども、しかし、事ここに至って全く解決していないわけですよ。そして、これだけの党派を超えた国会議員が繰り返し数年にわたって、四、五年にわたって、多分この委員会で、委員会じゃなくても国会で取り上げているのに。これは警察で、やはり警察庁にプロジェクトチーム、捜査二課につくって、その対象となる所轄とか都道府県警を集めてプロジェクトチームをつくってやるくらいのことでやらないと。
現場の所轄に申し出てくださいとか、そこの判断ですなんという、そんなぬるいレベルじゃない。国会でこれだけ取り上げられているということですから、今からでも遅くないですから、警察庁の捜査二課にこういうプロジェクトチームをつくると是非はっきり言ってください。
○松田政府参考人 お答えいたします。
一般論として申し上げれば、警察庁には、知能犯罪捜査を担当する捜査第二課に、都道府県警察に対し全国的な見地等から必要な指導を行うため、この種の金融関係犯罪を担当する係が置かれているところであります。また、重大で複雑な事案が発生し、この係のみで対応することが困難な場合には、必要に応じて柔軟に体制を増強するなどしているところであります。
引き続き、都道府県警察において法と証拠に基づき適切な対応が取られるよう、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
○高井委員 必要に応じてと。これだけ国会で取り上げていて、必要性を感じないんですか。相当国会もなめられていますね。超党派ですよ。さっきも言った、自民党以外、ほぼ全ての党がやっているんじゃないですか。こういうことを取締りできないというのは、本当に、これは金融庁とよく連携体制をつくって取り組んでいただきたい。
大臣に最後に聞こうと思って、もう時間がないんですけれども、日本は、世界の機関からも、マネーロンダリングに一番甘い国だと、G7で最下位のレッテルを貼られているんですよ。こういうことを放置したらこういう結果になるのは当たり前だと思いますので、金融担当大臣として、しっかり部下を指導して、警察とも連携して、この件、一刻も早い解決をお願いして、質問を終わります。
ありがとうございます。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
今日は、オンラインカジノについて質問いたします。
そもそも、オンラインカジノは、海外のサイトであろうとも、日本では刑法の賭博罪に当たる犯罪です。警察庁が今年二月に公表した調査報告では、先ほどもありましたけれども、オンラインカジノ経験者、国内で三百三十七万人、年間の賭け金総額は推計で一兆二千四百億円にも上るとされています。違法なギャンブルの蔓延、ギャンブル依存症の拡大、借金を返すために闇バイトにもつながっていく、そして経済的にも一兆円規模で国内の富が海外に流出していくという極めて深刻な状況です。
オンラインカジノは、ポケットにカジノがあると言われています。携帯一つあれば誰でも違法なオンラインカジノにアクセスできてしまう。若者が、ゲームではなく賭博罪に当たるのだということを知るよりも早くオンラインカジノにアクセスしてしまうという状態が蔓延しているということです。
このアクセスし放題という状況をどうやって規制していくのか、どのような議論があるのか、まず総務省、お願いいたします。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
オンラインカジノへの対策は重要な課題であると認識しておりまして、総務省としても実効性のある対応が必要であると考えております。
オンラインカジノに関しましては、サイトブロッキングの議論がございまして、このサイトブロッキングにつきましては、通信の秘密の侵害に該当すること、国民の知る権利の制約になるおそれがあることなど憲法上の課題が指摘されていると認識をしておりまして、こうした点も踏まえた検討が必要になるものと考えているところでございます。
総務省といたしましては、オンラインカジノサイトにつきまして、このサイトブロッキングを含むアクセス抑止の在り方について検討の場を設けて、諸外国の取組状況などの調査も踏まえ、事業者を始めとする関係者の意見を聴取して、法的、技術的な課題や論点を整理しながら検討していきたいと考えているところでございます。
○田村(智)委員 賭博罪を促す、犯罪を幇助するサイトへのアクセスですから、これは何らかの規制、抑制、やっていかなければならないと思います。
海外でブロッキング、確かに行われているんですね。その影響も含め、情報収集したり専門家からの意見も聞くなど、早期に検討することが必要だと思います。また、児童ポルノについては民間事業者の自主規制が行われていまして、これはオンラインカジノについてもすぐに要請ができるものではないかというふうにも思います。
同時に、現状ではオンラインカジノを違法としていながら規制がないために、日本がオンラインカジノの草刈り場になっているという指摘もあるんです。政府の中で対策を検討しているというだけでは後手に回っているのはもう明らかなんですね。
オンラインカジノは賭博罪、犯罪だということの周知徹底、これは、パチンコなどでポスターが貼られているということなんですけれども、やはりネット上でも大規模に繰り返し行うということや、どのようなサイトが蔓延しているのか、広告はどうかなど国民にも情報提供を求めるなど、国民的な議論にしていくことがアクセスを抑制する力にもなっていくと思います。早急な国民への周知徹底や、国民の中の議論が行われる状況、これをつくってほしい、このことは要望しておきたいと思います。
次に、オンラインカジノへの入金、これをどう止めていくか。
この入金手段というのは、銀行振り込み、クレジットカード、電子決済、そして仮想通貨、暗号資産、これが一般的です。多くのサイトで、あなたにぴったりの入金方法、オンカジサイトが見つかります、こういう紹介もされています。
銀行法などの現行法でも、オンラインカジノの賭け金など違法な送金あるいは入金は禁止されているのではないでしょうか。これまでに、送金を停止した件数、行政処分を行った件数、これが何件か、お答えください。
○屋敷政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、資金移動業者や暗号資産交換業者については、各業者に関する内閣府令において、その行う取引について、犯罪行為が行われた疑いがあると認める場合には当該取引の停止等の措置を講じなければならないこととされております。また、銀行等については、銀行法施行規則等において、犯罪を防止するための措置を含む社内規則等を定めるとともに、当該社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制を整備しなければならないとされております。
これらを踏まえて、各事業者においては、オンラインカジノについても取引モニタリング等を通じて必要な措置を講じることが求められておりますが、金融庁は、お尋ねのオンラインカジノへの送金を停止した件数を把握しておりません。また、金融庁がオンラインカジノを理由とした行政処分を行った事例はありません。
○田村(智)委員 これは、だから、実態が非常に深刻な中で、それでいいのかということを問われていると思います。
一般社団法人全国銀行協会が毎年行っている口座不正利用に関するアンケートでは、口座不正利用に伴う口座の利用停止、強制解約等の件数が示されています。この中にオンラインカジノによる口座不正利用というのは含まれているのでしょうか。
○伊藤(豊)政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、全銀協が会員行向けに行っている口座不正利用に関するアンケートでございますけれども、この中にオンラインカジノに係る事案も含まれているというふうに聞いております。
○田村(智)委員 それが含まれているということであれば、これは金融庁としても把握ができるということだと思うんですね。早急に把握をして進めていただきたいというふうに思うんです。
これは大臣にもお聞きしたいんですが、冒頭指摘したように、一・二兆円もの賭け金が違法に海外に流出しているという事態なんですね。これは、全国銀行協会に対して、オンラインカジノによる口座不正利用の件数、これは本当に、把握をしたら、金融庁からも、しっかり把握もしていただいて、規制が強力に行われていくような対策を取っていくことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今の数字でありますけれども、協会から出している資料の中では、委員御指摘のところまで、要するに、オンラインカジノに係るということについての件数については出されていないというものと承知をして、表示はされていないというふうに認識をしています。
その上で、金融機関からは、外部からの情報提供や取引モニタリングを通じて預貯金口座が不正に利用されていることを検知した場合には入出金の停止や口座凍結等のリスク低減措置を講じることとしているわけでありますので、金融庁としては、こうした金融機関における預貯金口座の不正利用対策に係る取組状況、これをしっかりフォローアップしていきたいと考えております。
○田村(智)委員 報告書の中では確かに件数として出てこないんですよね。ですから、件数としてしっかりと把握して、そういうことが行われるように、金融庁からの要請も行ってほしいというふうに思います。
今国会では、資金決済法を改正し、オンラインカジノへの違法な送金を行う収納代行業者を無登録業者として取締りの対象にしようという法改正が予定されているわけですね。これは法案審議で詳しく質問をしていくつもりですけれども、一点確認しておきたいと思います。
オンラインカジノのお金の流れというのは、銀行やクレジット会社、電子決済事業者から収納代行者を通じてオンラインカジノの元締めへというものです。収納代行者というのはオンラインカジノだけ扱っているわけではないでしょう。この下で、オンラインカジノへの送金が一回でも確認されれば、これはもう違法送金を行った無登録事業者として収納代行の業務の全体をできなくするということになるんでしょうか。
○油布政府参考人 お答えいたします。
今般の法改正によりまして、資金移動業の登録を受けたクロスボーダー収納代行業者が仮に海外オンラインカジノへの送金を行った場合につきましては、当該事業者に対しましては資金決済法第五十五条等に規定がございます。このうち、業務改善命令や業務停止命令につきましては、資金移動業の適正かつ確実な遂行のために必要があると認めるときは、その必要の限度において、資金移動業者に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置その他監督上必要な措置を取るべきことを命ずることができると規定されておりますことから、これに基づき検討が行われることとなります。
具体的にどのような対応を取るかにつきましては、もちろん個別具体的な事案に応じて、また、これは公表されているものでございますけれども、事務ガイドラインにも照らしつつ判断されることになるということでございます。
○田村(智)委員 これは、何が違法な送金かということの認定など、本当に実効力を持ったものになるのかどうかということも問われてきますので、現行法でできることをしっかりやるということと、本当に実効性のある法改正をやっていかなければならないというふうに思います。これは法案審議の中でまた続けていきたいと思います。
警察庁の調査では、オンラインカジノをした人の四三%が違法性を認識していなかった。その理由として一番多かったのは、パチンコ、公営ギャンブルなどがあるからというのが三五・九%に上ります。
私は、パチンコ、パチスロについても、二〇一九年、参議院内閣委員会で取り上げまして、三店方式によって事実上民間ギャンブルになっている、特殊景品や三店方式について何らかの規制が必要というふうに求めてまいりました。
しかし、警察庁は全くやる気がないんです。それどころか、自公政権は民間賭博であるカジノまで解禁をしました。大阪・関西万博が、ごみの最終処分場でメタンガスが発生し続ける夢洲を会場としたのも、IR、カジノのためのインフラ整備に巨額の公費を入れるための、そういうものです。
さらに、大阪のIRでは、カジノ事業者が期待する利益が上がらなければ撤退するという契約にもなっています。利益を上げるために、カジノを楽しもうという宣伝がインターネットも通じて大量に行われることになったら、オンラインカジノが違法だという意識がますます薄れてしまうのではないかと大変危惧します。
しかも、二〇一六年、一八年にカジノを解禁したときと今では、カジノをめぐる状況が激変しています。コロナショックによって、対面のカジノ、これはもう集客能力が落ちているんですね。オンラインカジノの収益が急増しているわけです。現行法ではカジノが解禁されてもオンラインカジノは禁止されていますが、カジノ事業者が、それでは利益が上がらない、IRの事業者についてはオンラインカジノの解禁をと求めてくる可能性は杞憂とは言えないというふうに思います。
アリの一穴になりかねない事態だと思いますが、これはいかがでしょうか。認識をお聞きします。
○原田政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年の特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめにおきまして、依存症予防等の観点からカジノ施設への厳格な入場管理を行うことから、カジノ事業において実施を認めるカジノ行為はカジノ施設内で実施されるものに限定すべきであるとした上で、例えば、カジノ施設外から参加できるオンラインゲームは不可と示されているものと承知しております。
その後制定されましたIR整備法におきましては、カジノ行為を、同一の施設において、その場所に設置された器具又は用具を用いて行うものとしておりますので、IR整備法上、カジノ行為としていわゆるオンラインカジノを実施することはできないと承知しております。
現時点におきまして、いわゆるオンラインカジノをカジノ行為に含めることは検討しておりませんし、また、そのような検討を行う予定もございません。
○田村(智)委員 現行法ではオンラインカジノはできない、今後も考えてはいないということなんですが。
最後に加藤大臣にちょっと一言いただきたいんですけれども、IR、カジノを経済成長の起爆剤と位置づけたんですよ。だけれども、そのときとは、先ほども言ったように、コロナショックを経て状況が変わってきている。まさにオンラインのカジノが急増するという下でカジノが解禁されていく、この影響をしっかりと考えなければならないと思うんです。
そうすると、IR、カジノを経済成長の起爆剤などと位置づけて、カジノ事業者に大量にお金が動いていく、こういう事態をそのままにしていくことが日本の経済にとってどうなのか、これは改めて検証が求められてきていると思います。そのことについての認識、お伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 今回のオンラインカジノ、これは明らかに非合法でありますから、これは法律にのっとってきちんと対応していく。そして、今おっしゃるIR、これについては法律の中で対応されているというふうに承知をしておりますから、それは、そのときの議論として、ちょっと私もつまびらかに承知しているわけではありませんけれども、議論がなされた結果として、今、今日の姿になっているものと承知をしておりますので、今の前段の話と後段の話、これは別のものではないかなというふうに考えております。
○田村(智)委員 国民の中では、その違法と合法化されたものとが、もしかしたらごっちゃになってきているわけですよ。その下でカジノが本当に始まったらどうなるかという。これは、是非規制を強化して、特にオンラインカジノ、徹底した規制を求めていきたいと思います。
以上で終わります。
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○井林委員長 次に、内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。財務大臣加藤勝信君。
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株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○加藤国務大臣 ただいま議題となりました株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、地域活性化や我が国の企業競争力の強化等に資する成長資金の供給を一層促進するため、日本政策投資銀行の特定投資業務について、投資決定期限等を延長することとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、日本政策投資銀行の特定投資業務について、投資決定期限及び政府による出資期限を令和八年三月三十一日から令和十三年三月三十一日まで延長することとしております。
第二に、特定投資業務の完了期限を令和十三年三月三十一日から令和二十三年三月三十一日まで延長することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会