第24号 令和7年5月30日(金曜日)
令和七年五月三十日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井林 辰憲君
理事 大野敬太郎君 理事 国光あやの君
理事 小林 鷹之君 理事 阿久津幸彦君
理事 稲富 修二君 理事 櫻井 周君
理事 長谷川嘉一君 理事 斎藤アレックス君
理事 田中 健君
東 国幹君 石田 真敏君
伊藤 達也君 上田 英俊君
大西 洋平君 田中 和徳君
土田 慎君 長島 昭久君
中西 健治君 根本 幸典君
福原 淳嗣君 古川 禎久君
牧島かれん君 松本 剛明君
向山 淳君 江田 憲司君
岡田 悟君 海江田万里君
川内 博史君 階 猛君
末松 義規君 原口 一博君
水沼 秀幸君 三角 創太君
矢崎堅太郎君 萩原 佳君
村上 智信君 岸田 光広君
角田 秀穂君 中川 宏昌君
福重 隆浩君 山口 良治君
高井 崇志君 田村 智子君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 加藤 勝信君
内閣府副大臣 瀬戸 隆一君
財務副大臣 斎藤 洋明君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
財務大臣政務官 東 国幹君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 伊藤 拓君
政府参考人
(内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長) 廣瀬 健司君
政府参考人
(金融庁監督局長) 伊藤 豊君
政府参考人
(総務省統計局統計調査部長) 永島 勝利君
政府参考人
(法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 中村 功一君
政府参考人
(財務省大臣官房総括審議官) 寺岡 光博君
政府参考人
(財務省主計局次長) 吉野維一郎君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省理財局長) 窪田 修君
政府参考人
(国税庁次長) 小宮 敦史君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 青山 桂子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 修君
政府参考人
(農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長) 小林 大樹君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 堤 洋介君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
参考人
(日本銀行理事) 諏訪園健司君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
―――――――――――――
委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
牧島かれん君 向山 淳君
中川 宏昌君 福重 隆浩君
同日
辞任 補欠選任
向山 淳君 大西 洋平君
福重 隆浩君 角田 秀穂君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 牧島かれん君
角田 秀穂君 中川 宏昌君
同日
理事長谷川嘉一君同日理事辞任につき、その補欠として櫻井周君が理事に当選した。
―――――――――――――
五月二十九日
信託業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
信託業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
財政及び金融に関する件
――――◇―――――
○井林委員長 これより会議を開きます。
この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事長谷川嘉一君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に櫻井周君を指名いたします。
――――◇―――――
○井林委員長 財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、理事諏訪園健司君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣参事官伊藤拓君外十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。階猛君。
○階委員 おはようございます。立憲民主党の階猛です。
本日は、米を含めた物価の情勢と日銀の金融政策の在り方、金融機関の相次ぐ不祥事に対する当局の責任、そして、採算を度外視した運営を続けている官民ファンドの扱いなどについて議論をさせていただければと思っております。
最初に、米の問題ですが、足下、生鮮食品を除く物価上昇率は三・五%となっています。そのうち約〇・六%分は米の値上がりによるものだと言われています。ですので、物価高対策として米価を下げる必要性は理解いたしますけれども、一方で、生産者への影響や緊急時の備蓄への影響もよく考えるべきだと我々は思っております。今日は、こうした観点はひとまずおいておいて、今回の随意契約による政府備蓄米の売渡しということが物価高対策として有効なのかどうか、これを政府に確認したいと思います。
まず、今回の政府売渡価格と小売見込み価格の妥当性についてです。
一ページ目を御覧になっていただきたいんですが、私の資料の一ページ目の下の方ですが、今回、売渡価格の加重平均が六十キロ当たり一万七百円ということが書いてあります。これは五キロ当たりに直すと八百九十一円とか二円です。これを、直接買った小売業者には二千円程度で売ってほしいということですから、こうしたことを前提にしますと、マージンは千百八円とか九円とか、率にして五五%ということですから、小売業としては異常に高いわけです。
ところで、このマージンの割合というのは、今御覧になっている一ページ目の下の方に米印五というのがありますが、昨年同時期の相対取引の価格と小売価格の比率を基に算出というふうに書いてあります。
ただ、私はこれは疑問です。というのも、この米印五で言っている比率というのは、中間の卸売業者の利益とか米の輸送費を織り込んだものですから、こうしたものが含まれない今回の随意契約の価格には当てはまらないのではないかと思っております。つまり、何が言いたいかといいますと、マージンをもっと抑えることができて、小売価格はもっと低くできるのではないかと考えております。
今回のマージンの妥当性について、農水省の答弁を求めます。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
今般お示しいただいている五キログラム当たり二千円という数字でございますが、今回は、国がモデル的な価格の試算を示すことによりまして、売渡価格で販売した場合のスーパー等での精米の価格……(階委員「マージンの妥当性だけ述べてください」と呼ぶ)はい。このイメージを国民の皆様にお示しするために行ったものでございます。
計算方法については、今回、小売業者に直接販売するという異例なケースでございますので、コストについても通常に異なる部分があるということは確かでございます。
国が輸送費を持つという点がございますので、コストがかからない部分があるという御指摘、これがある一方で、日頃つき合いのない精米工場に搗精を委託するといったこと、あるいは、より離れた搗精工場から物流センターへの輸送をするといったようなことなど、通常ではないコストもかかるというふうに考えていますので、従来の流通と同じ場合のコストとかかることを前提として今回は計算したというものでございます。
○階委員 普通は、小売業界でマージン五五%というのはあり得ないわけですよ。本当にこれでいいのかどうか、農水省、ちゃんと考えてくださいね。
それで、今の二千円が妥当かどうかということは別として、実勢価格の半額程度の米が、三十万トン、店頭で売られることになるわけですね。これによって全体の米価はどの程度下がると考えているのか、農水省、答弁をお願いします。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
今後の米価についてでございますが、これを具体的に見通すことは困難でありますけれども、国民の主食である米の価格、こちらは生産者と消費者が双方納得のいく価格であることが重要と考えてございます。生産者であっても消費者であっても、特定の一方にしわ寄せが行くという仕組みでは、米の安定的な生産に支障が生じまして、最終的には国民の主食である米の安定供給の確保が果たせなくなるという事態にもなりかねないと認識しています。
ただ、一方で、現在の昨年の二倍にもなっている米価、こちらは引き下げなければならないというふうに認識してございます。このため、今回、八月までの緊急的な措置として、随意契約による売渡しを行っているというところでございます。
○階委員 結局、今回の随意契約による売渡しによって将来米価がどうなるかというのは分からないわけですよね。そのことを指摘したいのと、もう一つ、今、先物価格の二倍とおっしゃいましたかね、今の価格が。
ちょっと、私、誤解していたかもしれないので教えていただければと思うんですが、私の理解では、二ページ目につけておりますが、米の先物価格の推移というところを見ますと、これは六十キロ当たりと理解しておりますが、もしそれで正しければ、今回の随意契約の発表によって先物価格は少し、このグラフで見ると下がりました。だけれども、この右側の方に価格が各限月ごとに書かれております。先物の一番近い限月、六月限で見ますと、二万七千二百五十円ということですから、今とそんなに変わらないわけですよね。それで、例えば十二月限になりますと、二万八千八百円ということで今より高くなるとか、一年近くたって来年の四月ぐらいになると、三万一千八百円だからもっと高くなるとか、こういう理解なんですけれども、そうじゃないですか。教えてください。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
まず最初に、二倍という点でございますけれども、済みません、私の滑舌が悪くてあれですが、昨年の二倍になっている、昨年の一般の価格の二倍となっている……(階委員「先物価格の話じゃなかったんですね。分かりました」と呼ぶ)ええ、先物とは申し上げておりませんでした。
○階委員 ということは、私の理解は、先物価格が先々高くなっているわけですよ。だから、さっき、随意契約によって米全体の価格がどうなるか分からないとおっしゃいましたけれども、市場ではこういう予想になっている。つまり、先々も米の値段は、下がるどころか上がるという予想になっていますよ。どうなんですか、これは。それで、この予想が正しいか、あるいは、もし正しくないと考えるのであればその理由を述べてください。
それから、この米の先物価格、先物取引が上場されたのは昨年の八月なんですよね。実は、ちょうどその頃から米価が急に上がり出しているわけですよ。ということは、先物を売っておけば将来の米価の下落リスクをヘッジできるわけですね。その結果、卸売業者などは仕入れた米を急いで売りさばく必要がなくなっているわけですよ。そのことが米の需給のバランスを崩して米価の値上がりにつながっているというふうに私は推認するんですが、この点、いかがでしょうか。
二点、お答えください。
○小林政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど山口農産政策部長から答弁があったとおり、今後の米価について具体的に見通すというのは困難なんですけれども、一般に、現物の価格形成に当たりましては、需給事情とか品質評価を始めまして、様々な事情が反映されます。したがいまして、先物取引が現物に影響を与えることが一切ないということまでは言い切れないと考えております。
しかしながら、現在行われております米の先物取引につきましては、昨年八月に開始したばかりでございまして、まだまだ取引量も非常に少ないという状況でございますし、また、仕組みの上でも、百を超える産地品種銘柄の相対取引価格を基にした平均価格がどう推移するのかというのが取引対象であって、現物の受渡しは想定していない、こういったものでございますので、米の小売価格などに大きな影響を与えるということは難しいんじゃないかというふうに考えております。
これまでの米の推移を見ましても、現時点では、先物取引が今回の米の価格高騰を招いたという認識は持っておりませんけれども、私ども、先物市場につきましては、引き続き、安定的な市場運営が行われるように、市場の監視、監督はしっかりやっていきたいと考えております。
○階委員 前段の質問に答えていないと思うんですが。
米の先物価格を見ると、これからも米の値上がりが続いていくように思えるんですが、それは違いますか。どちらの参考人でもいいですので、お答えください。
○山口政府参考人 お答え申し上げます。
価格の見通しは、私ども具体的に申し上げることはできませんが、私ども、現在、備蓄米の随意契約による売渡しを行っております。こうした動きが出る中で、先物価格についても下落するような傾向も出ているというふうに見ております。
こういったものが今後どういうふうに動いていくか、この辺は推移を見守っていきたいというふうに考えております。
○階委員 その下落傾向というのを織り込んだ価格ですよ、これは。それを示しているわけですよ。下落してもなお、先高感は消えていないわけですよ。これをどう考えるかということですよ。
本当に随意契約をやることで全体の価格が下がるかということは甚だ疑問です。これはちゃんと分析して、この委員会に報告していただけますか。
委員長、お取り計らいをお願いします。
○井林委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○階委員 日銀総裁に伺いたいと思います。
三ページ目を御覧になってください。こちらは、私がこれまでも何回も示したものの直近版なんですが、日銀政策委員の物価見通しの推移ということです。
一番下の行を横に見ていただくと、これが直近、今年四月時点のものでして、そのすぐ上の行と比べますと下方修正されているわけです。前回は見通し期間が二〇二六年度まででしたが、その最終年度には二%に達するという見通しでした。今回、見通しの期間が一年延びまして、見通し期間の最終年度は一・九%と、二%に達しない予想。そして、その手前、二〇二六年度は、二%が一・七%というふうに下がっているわけですね。
総裁にお聞きしたいんですが、昨今の米の価格が象徴しているように、私は、企業の行動様式が変わってきているというふうに思っています。人手不足や働き方改革によって供給量が伸ばせなくなったので、量を増やすのではなくて価格を上げることによって収益を稼ぐ、そんなビジネスモデルが広まりつつあるのではないかと考えています。
総裁は、これまで、物価の押し上げ要因として、コストプッシュを第一の力、賃上げを第二の力というふうに呼んできたと理解しておりますが、私はここで、第三の力として、量より価格を重視するビジネスモデルの広がりということも考えるべきだと思います。その観点からしますと、先ほど申し上げました今回の物価見通しは余りにも低過ぎるのではないかと考えますが、総裁の見解をお願いします。
○植田参考人 委員御指摘の第三の力ですか、量より価格を重視するようなビジネスモデル、これは、どういうふうに名前をつけるかという論点はありますが、私どもでは、以前よりも積極的な価格、賃金設定行動というふうに呼んだりもしていますが、それが続いていることは、私どもも認識しております。
その上ででございますが、今回の物価見通しの下方修正でございますが、これは幾つかの要因の結果でございます。
一つは、二月以降の各国の通商政策の緊張の高まりの影響を受けまして世界経済の見通しをやや下方修正する、その影響で我が国の成長ペースも鈍化するという見通しをつくり、それが先行きの物価にある程度の押し下げ圧力になるということを織り込んだものであります。
それから、ここのところ、大まかには昨年の秋以降くらいからのインフレ率の上昇の中に、委員もおっしゃいました様々なコストプッシュ要因、特に食料価格の上昇の影響は大きく含まれております。これが、今年の秋口以降、水準として下がっていくかどうかという点については非常な不確実性がありますが、インフレ率、つまり物価の上昇率という意味では、落ち着くあるいは低下していくというような姿を織り込んでおります。さらに、ここ数か月、原油価格がかなりはっきりと下落しております。これらを織り込んで、先ほど御指摘のインフレ見通しの下方修正の姿となったところでございます。
○階委員 トランプ関税の影響であるとか、第一のコストプッシュの力が弱まっていく、これはある程度、私もあると思いますよ。ただ、私が言うところの第三の力、この力もあるわけで、価格、物価を引き下げる要因と物価を引き上げる要因、これが両方ある中で、今、足下三・五%なんですよ。三・五%が、この見通しだと、だんだん下がっていって、一・七とかまで下がるのかということなんですよ。そこまではさすがにいかないでしょう。私は、どんなに下がっても、やはり二%は優に上回るんじゃないかと思っていますが、それは違いますか。総裁、お答えください。
○植田参考人 そこは、インフレ率を上げようとする力と、先ほど申し上げたような下げる力とのバランスをどこに見るかというところになりますが、私どものバランスでは、見通しの数字に、お示ししたような姿になるというのが一応、中心的な見通しで、その両側にリスク、それよりも高いインフレ率になったり、更に低めになったりというリスクがあるというふうに考えてございます。
○階委員 総裁、是非、この第三の力、よくよく考えていただきたいと思うんですが、物、財の価格について、価格を引き上げる、量でなく価格で収益を上げるという動きだけではなくて、サービス価格についても、量ではなくて価格で引き上げる動きが私は広まってきていると思います。
実は、ちょっと余談になりますけれども、先日、夜、時間があったので、土曜日でしたけれども、神宮球場にプロ野球のナイターを見に行こうと思ったんですよ。一番安い席を、息子と一緒に入ろうと思って、窓口で、一番安い席は幾らですかと聞いたら、何と、一人五千八百円ですよ。私の感覚だと、一番安い外野の端っこで見るんだったら二千円ぐらいかなと思ったら、ダイナミックプライシングということで、土曜日の夜は高いんですと言われました。五千八百円、二人で一万円以上も出して、特にファンのチームでもない試合を見に行くのもどうかなと思いまして、結局やめました、私は。
でも、何が言いたいかというと、それぐらい、サービス産業でも価格を引き上げる動きが広まっているということなんですよ。私は、この第三の力で物価は高止まりするということは、これから物価の見通しを考えるときに是非考慮に入れていただきたいと思っております。
その上で、金融政策に与える影響、今の物価見通しだけではなくて、ほかにもあると思っています。一つは、この間、櫻井さんが取り上げていました超長期金利の上昇です。これが、実体経済への影響について先日は議論されていましたけれども、私は、日銀が昨年来進めている、保有国債のいわゆる満期落ち、このオペレーションにも影響があるのではないかと思っております。
この六月に中間評価を行うということなんですが、現在の超長期金利の上昇は、このオペレーションの中間評価でどのように考慮するんでしょうか。教えてください。
○植田参考人 国債市場、超長期の部分を含めまして、現在、どういう状況、動向にあるか、あるいは機能度についてどういう動きがあるかという辺り、様々な市場参加者の今御意見を伺っているところでもありまして、これまでの、私どもの昨年七月以降の経験も踏まえてしっかり点検し、六月の中間評価につなげていきたいと思っております。
○階委員 具体的なことはおっしゃれないということですか。うなずかれたので、これ以上は突っ込みませんけれども、時間がないので先に進みます。
もう一つ金融政策に影響を及ぼすと思うのが、先日発表された日銀の決算です。
私の資料の四ページを御覧になっていただければと思うんですが、こちらは損益の状況ということで、私の方で手書きで丸をつけた部分に御注目いただければと思います。
私どもは、かねがね、ETFの分配金を子供、子育て支援の代替財源として国民に還元すべきだと主張してきたわけですが、これが前年よりプラス一千五百億円程度で、一兆四千億弱というふうになっています。他方で、日銀が当座預金を預けている金融機関に払う利息、これが何と前年より一兆円も増えて一兆二千五百十七億ということで、ほぼ分配金収入と利息支払いが見合うぐらいになってきていますね。これが一つあります。
そしてもう一つは、バランスシートの方、五ページ目を見てください。これも非常に特徴的でして、保有国債の評価損益、これはニュースにもなっていましたが、過去最大で二十八兆六千億の評価損。他方で、ETFの方は含み益で、これは前年より少し下がりましたけれども、三十二兆八千億、含み益です。これは相殺するとまだプラスではありますけれども、いわば金融政策を正常化してきた副作用によって、損益やバランスシートが悪化傾向にあるわけですね。
こうした金融正常化の副作用が金融政策に何らかの影響があるのではないかと思いますが、この点についてどう考えるか。それともう一点、この悪影響を緩和しているのが、まさに我々が国民に還元すべきだと言っている保有ETFです。このETFは本来処分すべきだというふうに思うわけですが、この処分の先送りという可能性もあり得るのか、高まっているのかということを教えてください。二点質問します。
○植田参考人 まず、財務の悪化が政策に影響するかどうかという御質問でございますけれども、私ども、政策の主なポイントであります短期金利、政策金利の上下、これは、日銀の財務の状態とは関わりなく、物価の安定という目標達成のために適切に行っていきたいというふうに考えてございます。
その上で、財務の、委員御指摘のような変化、場合によっては悪化のところをどう考えるかというところでございますが、まず、保有債券の評価が金利の上昇で低下しているというところでございますが、ここは、いつも申し上げていますように、評価において償却原価法を採用しておりますので、期間収益には影響を与えないということがございますし、債券については、基本、満期まで持ち切るということですので、評価損になったものが損として実現するということはないということでございます。
それから、後半の方で御指摘がありましたETFの分配金収入の役割でございますけれども、これはもちろん、向こう数年間、仮に金利が今以上に上がっていくとかいう状態が続いたとしますと、私どものバランスシートで、利払いをする際の利子率と保有債券に入ってくる利子の方の利子率、ここに逆ざやがしばらく続きますので、そこからくるマイナスの力を打ち消す一つの要素になるということは確かでございます。したがって、ETFの分配金収入が仮になかったとしますと、私どもの収益は、向こう数年、あるいはその後もですが、下押しされますという要素はございます。
ただ、債券取引損失引当金、その他自己資本もございますので、こういうことによって私どもの政策が左右されるということはないというふうに見ております。
○階委員 では、保有ETFの処分を先送りする理由にはならないということでいいですか。先ほど言った、収益の悪化とかバランスシートの悪化があることによって保有ETFの処分を先送りする理由にはならないというふうに伺っていいでしょうか。端的にお答えください。
○植田参考人 ETFの処分につきましては、いつも申し上げています、複数の原則を達成するような処分方法を見つけるということで、時間をかけて検討している状態が続いております。
○階委員 質問は、損益の悪化やバランスシートの悪化が保有ETF処分の先送り理由にならないかということを聞いております。端的に、イエスかノーかでお答えください。
○植田参考人 そこは、ならないと思っております。
○階委員 ありがとうございます。
時間も限られていますので、次に行きたいんですが、昨日、いわき信用組合というところに対して金融庁が、正確には東北財務局ですか、業務改善命令を出しました。
私も被災地の議員ですので、被災地の金融機関に対して、東日本大震災の直後、経営が大変であろうということで公的資金が注入されたわけですね。これによって被災地の経済を底支えしていこうという趣旨だったにもかかわらず、何と、あろうことか、架空融資の償却の原資に使われていたということで、とんでもないことだと考えております。
今日の朝日新聞には、この事件について、元会計検査院の方のコメントが載っていました。特殊詐欺と同じだという大変強烈な批判です。やったいわき信組もとんでもないんですけれども、金融庁についても厳しいことを言っています。金融庁は定期的なモニタリング以外にも抜き打ちの特別監査をするべきだった、公的資金の投入後に小口債権の償却が相次いでいれば異常事態であり、金融庁も不正に気づけた可能性はあるといったコメントです。
今日は、政府参考人、伊藤さんが来ていますけれども、伺いたいのは、これを見抜けなかった責任をどう考えるのかということと、この貴重な公的資金、詐欺被害に遭ったようなものですから、即刻取り戻すべきだと思っていますが、その点についてお答えください。
○伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のように、私ども、昨日、業務改善命令を発出しておりまして、本件についての是正また責任追及を求めているところでございますけれども、今までの私どもの監督、モニタリングにおいて本件を見つけることができなかったという点につきましては、大いに反省すべきことだというふうに考えております。私どもの監督体制がこういうことに対して適当であったのかということは、よくよく検証する必要があるというふうに考えております。
それから、公的資金でございますけれども、もちろん、この不正問題は非常に重大な、悪質な問題でございますけれども、他方で、この金融機関が地域の事業者の皆さんに融資をしていて経済を支えているという面があることも事実でございますので、経営をしっかり立て直すことが非常に重要である、経営体制も含めてですね、というふうに思っておりまして、私どもの業務改善命令若しくはその後のいろいろな行政対応によって立て直すことができれば、私どもは優先出資の形でここの信用組合に資本参加をしておりますので、しっかりと業務を立て直して収益を蓄積してもらって出資を返済をしていただくということが必要であるというふうに考えているところでございます。
○階委員 生ぬるいと思いますよ。詐欺被害に遭っているわけですから、普通の金融機関と同じように平常業務を回転させながら回収をしていくなんということは生ぬるいと思っていまして、金融機能強化法の延長ということも金融庁では検討されていると思いますが、公的資金を注入して、こんなずさんな監督であるとか、あるいは、いざ問題が起きたときに回収もままならないということであれば、こんなところに公的資金を入れることを続けていいんだろうかという話になりますよ。
大臣、ちゃんと、ここはしっかり金融庁の体制を見直すということを端的にお答えいただけますか。
○加藤国務大臣 まず、今回の事態が起きたこと、そもそも、こういう信用組合、金融機関においてこうした不正が行われてきたこと自体が大変遺憾でありますけれども、さらに、国からの資本参加、まさに国民の皆さんの税金を活用しながら、それを奇貨として架空融資の償却を行っていたことは極めて遺憾でありますし、また、金融庁としても、こうした事態、今御指摘いただきましたように、事前に察知もできなかったということを含めて、非常に重く受け止めておるところでございます。
今後の金融の在り方あるいはこの公的資金の運用の在り方については、今回のこうした事態が発生したこと、これらもしっかり踏まえながら、いかにそうしたモニタリングを含めて実効性を確保していくのか、しっかり配意をしていきたいと考えています。
○階委員 時間が来たので終わりますが、ちょっと今日は時間がなくて取り上げられなかったんですが、これ以外にも、農林中金の巨額損失を見抜けなかったのかという問題であるとか、スルガ銀行については今も被害救済が進んでいないという問題もあります。そして、官民ファンドの問題も、時間がなくて取り上げられませんでしたが、これも公金が無駄遣いになっていると私は考えております。また時間があるときに取り上げたいと思います。
今日はありがとうございました。
○井林委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 おはようございます。川内でございます。
二十分しかございませんので、早速質疑に早口で入らせていただきたいと思います。
今、階先生から最後の方で官民ファンドについても触れていただきましたけれども、私から、まず冒頭、官民ファンドの情報公開についてお尋ねをしたいというふうに思います。
今国会では、政策投資銀行の特定投資業務について、これも官民ファンドですけれども、情報公開について議論がありました。守秘義務契約が壁となって具体の議論がなかなかできないという状況でございます。その後、特定投資業務の情報公開、政策投資銀行のトップの方も、前向きに検討するという趣旨の発言を参議院ではしていたということでございますが、いかが相なったかどうかというのを教えていただきたいと思います。
○寺岡政府参考人 お答え申し上げます。
日本政策投資銀行の特定投資業務に関しましては、法律上の政策目的を踏まえた業務の取組状況についてきちんと御理解いただけるようにしていくことが大事でありますから、関連する情報を可能な限り開示し、透明性を確保することは重要と考えてございます。
一方、政策投資銀行は、他の官民ファンドとは異なりまして、金融機関として特定投資業務以外の出融資業務も併せて行っておりまして、顧客の信用に関わる情報には一定の配慮が必要であると聞いてございます。
お尋ねの今後の業務につきましては、こうした中でどういった対応が可能であるのか、出融資を必要としている事業者等の意向や事業者等との信頼関係に与える影響を踏まえながら、工夫の仕方を考えていく必要があると認識しておりまして、まずは、政策投資銀行において、より透明性を高めるための開示方法について御検討いただきまして、その状況をきちんと注視してまいりたいと考えてございます。
○川内委員 官民ファンド全体については、今般、会計検査院の検査結果も公表されました。特定のファンドについてはその存続さえ危ぶまれるような状況、そしてまた、国費が毀損するという状況も報告をされておりますが、これも、守秘義務契約が壁となって具体の中身については見えてこないという状況であります。
国費を投入する以上、国民への説明責任はしっかりと果たされなければならないという観点から、官民ファンドについては官民ファンドの運営に係るガイドラインというのがあって、これは関係閣僚会議決定の文書ですけれども、このガイドラインの最後に、守秘義務契約により上記の運用報告が妨げられる場合において、要するに、守秘義務契約でなかなか情報が公開できない場合は、当該守秘義務契約の存在及びその理由についての事前の説明も含め適切に報告しているかというガイドラインの一文があるんですけれども、私はここに、事前の説明という言葉の真ん中に、事前の内容の説明というふうに、内容のという言葉を入れて、国会から求められたりした場合はこういうふうにしますよという取決めをファンドと出資を受ける側との間の契約の中に入れておくべきというふうに思うんですけれども。
その辺のガイドラインの改正というものをしっかり検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤(拓)政府参考人 お答え申し上げます。
官民ファンドにつきましては、国の資金を原資の一部としておりますところ、適切な情報開示が重要であると考えてございます。
官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会の事務局といたしましては、今いただきました先生の御指摘をしっかり受け止めまして、その上で、情報開示の一層の充実を図ることができるよう、どういったことができるのか、そういった点を踏まえまして検討してまいりたいと考えてございます。
○川内委員 しっかりと受け止めると言ったので、ちょっと期待をしたいというふうに思います。とにかく、やはりきちんと説明されることが大事だと思いますのでね。
次に、これまでの、所得税、法人税の減税が、累次、平成元年からずっと行われてきているわけですが、最近、財源があるとか財源がないとかいう議論が、大臣、あるじゃないですか。何か私はちょっとそれに違和感を覚えていて、財源なく政策を打ち出すのは無責任だとかいうことをおっしゃる方もいらっしゃるんですが、基本的に、政策というのは、国民生活のために必要である、日本の経済のために必要である、そのために政策を打つ、もちろん財政規律とか財政再建目標も大事だけれども、基本的にはみんなのために大事な政策をやっていくということが大事だろうというふうに私は思っていて、そこで、過去、どうであったのかということを教えていただきたいんです。
平成元年以降の法人税率の引下げ、所得税の最高税率の引下げに関して財源確保がなされているのか否か、もし財源確保がなされていない税制改革の引下げの年度があったとすればその年度と、財源確保がなされていなかった財源について、カバーされていない金額を教えていただきたいというふうに思います。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
御質問いただきました、平成元年度以降の法人税率及び所得税の最高税率の引下げの際、減収額に見合う財源を確保している年度もあれば確保していない年度もございます。
具体的に申し上げます。
確保していない年度につきましては、昭和六十二年、昭和六十三年の抜本的税制改正により、法人税率は四二から四〇、三七・五へと、所得税の最高税率は六〇から五〇に引き下げられております。この改革によりまして、国、地方合わせまして、法人税の減税額は一・八兆円、所得税の最高税率の引下げを含みます税率構造全体の見直しによる減税額は一・七兆円、相続税等も含めました全体の減税額は九・二兆円でございますが、増収額を勘案した差引きの純減税額は二・六兆円となります。
平成十年度の改正でございます。法人税率が三七・五から三四・五へと引き下げられ、減税額は一・四兆円でございます。増収額は逆に一・一兆円でございますので、差引きの純減税額は〇・三兆円となります。
平成十一年度でございますが、法人税率が三四・五から三〇へと引き下げられ、その際の減税額は一・七兆円。所得税の最高税率が五〇から三七へと引き下げられまして、その際の減税額は〇・三兆円でございました。これらを合わせた差引きの純減税額は二兆円でございます。
平成二十三年度の改正でございますが、法人税率が三〇から二五・五へと引き下げられ、減税額は一・三五兆円。課税ベースの見直し等によります増収額は〇・六五兆円でございますので、差引きの純減税額は〇・七兆円でございます。
他方、平成二十七、二十八年度の税制改正では、法人税率が二五・五から二三・二へと引き下げられておりますが、減収額に見合う財源を確保しております。
以上でございます。
○川内委員 主税局長、今、純減税額ということで御説明があった二・六兆円、〇・三兆円、二兆円、〇・七兆円という、純減税額というお言葉で説明があったのは、この金額については財源を確保しておりませんよという意味ですね。
○青木政府参考人 お答えします。
例えば六十二年、六十三年の抜本的税制改正でございますが、こちらは、所得、消費、資産などの間でバランスの取れた税体系を構築する趣旨で改革が行われておりまして、税目ごとに見合いの財源を確保するという考え方を取っておらないわけでございますが、全体として、減税額そして増収額合わせた差引きが、結果として二・六兆円になっている、そういうようなことでございます。
○川内委員 ちょっともう、ここで議論するとほかができなくなる。
要するに、財源を求めなかったということでよろしいかということを聞いているんです。結果として。
○青木政府参考人 お答えします。
先ほどるる申し上げてきましたが、全体として、確保している年度もございますが、確保していない年度もございます。
○川内委員 私が財務省にお作りいただいた資料をお配りしているので、例えば、一枚目の一番下などを見ていただくと、減収額一・七兆円については財源の確保は実施していないとか、要するに、説明していただいたものについては財源の確保をしていないということを自らおっしゃっていらっしゃるので、そのように説明すればいいのに、何で言葉をたがえるのかよく分からぬのですが。
そういうこともある、財源があるとかないとかではなくて、大事な政策をそのときそのときに実行することが大事なんだ、もちろん財政規律や財政再建目標も大事だ、それを両立させていくのが政治の役目だと私は思っているんですね。
ここで大臣に見解を求めるともう時間がなくなっちゃうので、ちょっと一番最後にします。もし時間が余ったら。
次に、森友問題に行きますが、四月に開示された文書に欠落がございました。欠落している文書の一部が別な方の開示請求では開示されていたという報道がありました。これはどういうことなのかということを説明を求めたいというふうに思います。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
四月に開示いたしました文書は、検察に任意提出した文書のうち、特定のファイルについて、そのファイルにとじられていた個別の文書の中には御指摘のように欠落しているものもございましたが、それも含めて、これまでに公表した文書や、あるいは別途の情報公開請求で開示した文書と重複するものもございます。具体的には、四月に開示した文書において、番号が付されていたと思われる三百八十二件の文書のうち七十四件が欠落しているものの、七十四件のうち二十二件については、既に平成三十年五月に財務省ホームページで公表しているものであります。
他の情報公開請求について、具体的にどこまで述べるべきか、いろいろ議論があるところかと思いますけれども、少なくとも十七件については財務省において保有し、別途の情報公開請求において開示しているものもございます。
御遺族からの開示請求につきましては、現在開示の作業を進めている段階であり、相当量の中に何が含まれているか、現時点で確定的なことは申し上げられませんが、今後とも誠意を持って対応してまいりたいと考えております。
○川内委員 改ざんの報告書には、理財局長が改ざんの方向性を決定づけたとあります。理財局長が方向性を決定づけるためには、組織として意思決定をする、すなわち組織として方向性を決定づける意思決定が必要だったろうというふうに思います。なぜなら、政府も組織であり、財務省も組織だから、組織として方向性を決定づけたということだろうと思うんですが。
資料の一番最後のページに、組織として、財務省として、政府として、文書修正しようね、応接録を廃棄していこうねということを、恐らく方向性を決定づけたであろう会合、二〇一七年、平成二十九年二月二十二日に資料のような人々が会合をし、昼、夜、二回にわたって打合せをし、相談をしたということが、これはもう事実として確定しているんですけれども。
私は、この会合では問題ないということが報告されたというふうになっているんですけれども、結局、問題ないようにするという方向性がこの会合で確認をされたのではないかというふうに思いますが、理財局長、いかがでしょうか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の平成二十九年二月二十二日の内閣官房長官への説明につきましては、説明者側からは、森友学園案件の経緯のほか、取引価格の算定は適正に行われていることや、総理夫人付や政治家関係者からの照会に対して回答をしたことはあるが特段問題となるものではないこと等説明したというふうに調査報告書において報告されておるとおりかと思います。
○川内委員 それは調査報告書に記載されているんですけれども、要するに、ここで理財局長が問題ないですということを言っちゃったから、決裁文書の改ざんをしなければならなかったし、応接録も廃棄していかなければならないことになったということになるのではないかということなんですよ、大臣。問題ないって言っちゃったら、決裁文書に政治家関係者の名前がいっぱい載っています、応接録にもいっぱいありますということだったのではないかと思うんですが。
ここで、実はこの会合には、当時、官房長官の秘書官、そして今、官房総括審議官、官房総括審議官も官房総括審議官としてこの会合に参加をしているわけでございまして、寺岡さんがたまたまこの場にいるので、この会合で、私は、問題ないようにしますからということが報告されたのではないかというふうに思うんですよ。ここがやはり出発点だろうというふうに思うんですけれども、この会合の状況をちょっと寺岡さんに御説明をいただきたいというふうに思います。
いや、違う。官房総括審議官も出ているんだから、この会合に。官房総括審議官として答えてもらいたい。
○井林委員長 まずは窪田理財局長。
○窪田政府参考人 二月二十二日の御説明の様子については先ほど申し上げたとおりでございますが、それにつきましては、これまでの答弁でも申し上げているように、面会に同席していた当時の理財局総務課長にも確認をしているということで、改めて、それ以上のことを確認したり申し上げることはないというふうに考えております。
○川内委員 私ね、委員長、やはり佐川さんの証人喚問を求めたいというふうに思います。
本人に聞いたら、いや、そんなことはしていませんよと言うに決まっているじゃないですか。だから、うそをつけない場で証言していただく必要があるというふうに思います。
○井林委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○川内委員 更に加えて、要するに、偉い人たちが無理なことをして部下が自死するとか、最近いろいろなところで見聞きするわけですけれども、やはりこれは、真実を明らかにするということはどうしても必要だというふうに思うんですよ。
御本人たちは、これがいけないことだというふうには多分思っていない。だから、改ざんと言わずに、多分、修正しましょうね、決裁文書を修正しましょうねという言葉を使っただろうし、応接録は用済み後廃棄だから廃棄を進めようねということを言っただろうし、特に悪いと思わずにやっていた。しかし、それがこんなことになったということに関しては、どこが端緒だったのかということは絶対に明らかにしなければならない。
だから、これは財務省の改ざん報告書ですけれども、やはり第三者委員会がしっかりと調査をし、ヒアリングをし、報告書をまとめるべきというふうに私は思います。大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 まず、本事案については、今委員からもありましたように、赤木俊夫さんが、高い志、倫理観を持って真面目に職務に精励をされておられた、にもかかわらず、公務に起因して自死をされる、こういった結果に至ったこと、これは心から財務大臣としてもおわびを申し上げ、また、そういった意味において、我々、この問題には真摯に対応していくということで、今情報公開等を進めさせていただいているところでございます。
再調査の話等々ございました。これまでも答弁させていただいておりますけれども、本件については、説明責任を果たす観点から、検察当局の協力も得て調査を進めた上で、平成三十年六月に調査報告を取りまとめ、関与する職員に対する厳正な処分を行ったところでございますし、また、現在開示作業を進めておりますが、その状況を踏まえても、調査報告書の内容を覆す新たな事実が明らかになっていないものと承知をしており、再調査が必要になるという状況にはないと考えております。
引き続き、しっかりと開示作業を進めることで、少しでも御遺族の気持ちに寄り添えるよう、今後とも、誠意を持って、丁寧な説明また開示作業を進めていきたいと考えています。
○川内委員 大臣、お言葉を返すようで恐縮なんですけれども、検察は、嫌疑不十分ですからね、嫌疑不十分。要するに、白、全く何の問題もないとは言っていないんです。我々は中身を知ることができないから、ちゃんと調査すべきであるということを申し上げております。また議論させてください。
以上です。ありがとうございました。
○井林委員長 次に、江田憲司君。
○江田委員 おはようございます。
まず、財政の基本認識からスタートをしたいと思いますが、この国会でもあちこちで取り上げられている先般の石破首相の発言、日本の財政はギリシャよりよろしくない、悪いという発言については、早速あちらこちらで物議を醸しておりまして、例えばブルームバーグなんかは、江藤発言よりも石破発言こそ舌禍だ、極めて危険だと。これは、国債市場に影響するようなことを軽々に一国のトップリーダーがおっしゃる危険性を指摘したものですけれども。
私は、それよりも、本当に、日本の財政はギリシャより悪いというのは、僕はちょっとびっくりしたんですけれども、ゆめゆめ、事実上破綻した当時のギリシャ財政と比較してはいないと思いますから。それは、加藤大臣、いいですよね。だから、今のギリシャ財政と比べて、ちょっと事実関係をただしたいと思うんですけれども、端的に事務方からお答えいただきたいんですけれども。
その前に、基本的に、ギリシャというのはユーロ建ての国債ですから、自国通貨じゃない。日本は円建ての自国通貨建て国債を発行している。だから、今財務省のホームページにもあるように、日米などの先進国の自国通貨建ての国債はデフォルトしない。この基本は、根本的に違うということを押さえた上で、事務方から、今のギリシャの対外純負債額、ちょっとお答えいただけませんか。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
ギリシャの対外純負債につきましては、IMFが公表しておりますドル建ての値を当該期間の年末の為替レートで換算いたしますと、二〇一二年は二十五兆円、直近二〇二三年は四十九兆円となっております。
○江田委員 だから、ギリシャは対外純負債国なんですね。一方で、日本は、ちょっとこの前、直近でドイツに抜かれたんですが、ずっと世界一の資産大国。昨年末では何と五百三十三兆円。前年から比べて六十兆円以上も伸びているということですね。
次に、ギリシャの経常収支を教えてください。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
ギリシャの直近二〇二四年の経常収支は、IMFが公表しておりますドル建ての値を二〇二四年末の為替レートで換算いたしますと、二・八兆円の赤字となっております。
○江田委員 恒常的な経常赤字国であると。一方で、日本は、史上最大、直近でいうと三十兆円の経常黒字国であるということですね。
じゃ、ギリシャ国債の海外保有比率、これは、ちなみに、参考のために、破綻時の、まず海外保有比率は何%ですか。
○吉野政府参考人 IMFのデータによりますれば、ギリシャの二〇一二年第一・四半期当時の国債などの海外保有比率につきましては、七一%となっております。
○江田委員 七割以上が海外保有。ヘッジファンドにしてみれば、いざギリシャが破綻寸前だとなれば、投売りをして、価格が急落して、金利が急上昇する、それで破綻を導いた。当時の例えばCDSスプレッドについて言えば、三七〇%という考えられない数字まで行っていたわけで、現在は、ギリシャは、奇跡の回復と言われていますけれども、それでも、CDSスプレッドは〇・五七%、日本の二倍以上の保険料を払わないとギリシャ国債は買えないという状況になっているわけですね。
ですから、申し上げたいことは、確かに、一点のみ、要は、政府債務対GDP比は日本は二四〇%、ギリシャは一六五・二%。これは二〇二三年の数字ですけれども。この一点のみであれば悪いとは言えるんですけれども、その他の指標は全て日本がはるかに凌駕している。どこが日本の財政がギリシャ財政より悪いのか。基本的な認識をやはり改めていただかないと、本当に、私は、一国のトップリーダーですから、しかも、市場に及ぼすようなことを平気でおっしゃるという感覚、是非改めていただきたいと思います。
次に、最近、与野党とも消費減税論議が高まってきて、途端に、減税反対派からはあのトラス政権の二の舞になるという言葉がにわかに出てきて、私も、えっと思っているんですね。これは誰かが振りつけているんじゃないかと。
御承知のように、トラス政権というのは、大減税をして、一月半でトリプル安を来して退陣をした政権なんですけれども、消費減税をすれば日本でもトラス政権の二の舞になる、これはまさか財務省が振りつけているんじゃないでしょうね、大臣。
○加藤国務大臣 振りつけるという意味性が、しかも、誰にというのがないとお答えのしようがないのでありますが。
我々、一般的には、いろいろ、野党の先生方含めて、お求めがあればそれに応じた御説明はさせていただいているものと承知しています。
○江田委員 トラス政権やイギリスに関心のなかったような政治家までが、トラス政権だ、トラス政権だ、メディアも含めて一部言ってきているというのは私は怪しいと思っていますが、まあ、そこはいいです。
じゃ、トラス政権との比較もしましょう。これは事務方からお答えいただきたいんですが、当時、トラス政権時代の対外純負債額は幾らですか。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
トラス・ショック当時の二〇二二年のイギリスの対外純負債につきましては、IMFが公表しているドル建ての値を二〇二二年末の為替レートで換算いたしますと、四十七兆円となっております。
○江田委員 四十七兆円の純負債国。日本は、当時は世界一の資産大国。
じゃ、次に、英国の当時の経常収支はどうですか。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二二年当時の英国の経常収支を二〇二二年末の為替レートで換算いたしますと、八・七兆円の赤字となっております。
○江田委員 そうですね。当時のイギリスも恒常的な経常赤字国なんですね。しかし、日本は、さっき言いましたね、三十兆円、史上最大の経常黒字がある。
次に、じゃ、英国債、当時の海外保有比率は幾らですか。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
IMFのデータによれば、英国の二〇二二年第三・四半期当時の国債などの海外保有比率は三一%となっております。
○江田委員 そうですね。イギリスも、三割以上の国債を海外が保有している。ヘッジファンドのつけ入る隙は大いにあった状況にある。日本は今、長期国債の海外保有比率は六・四%ですからね。
CDSスプレッドでも、私が調べたら、当時、トラス政権は〇・五〇二一%。日本は、当時は〇・二四%、二分の一以下ということで、まさに、このトラス政権と今の日本の財政を比べて、減税をすればトラス政権の二の舞になるんだということがいかに本当に間違っていることを言っているかということは、自重していただかないと、ちょっと恥ずかしいですからね。申し訳ないですけれども、森山幹事長までがそう言い出しているということですからね。是非、この中にはそういう方はいらっしゃらないと思いますけれども、余りトラス政権、政権と言わない方がいいですよ。財務省が言っているのかもしれませんが、分かりませんけれども。そこは指摘しておきたいと思います。
私は、言っておきますけれども、やはり財政規律、財政再建も重要だと思うんですね。しかし、やはり、トップリーダー、これは民間でも政府でも、時々の四囲の状況を見極めた上で政策の優先順位をつけるのが役目だと思っているわけです。だから、今、財政規律や財政再建を叫ぶときなのかという意味で、ちょっと指標をまた挙げていただきたいんですけれども。
ちょっと今日、日銀の事務方、来られていますけれども、先日発表した資金循環統計で、一般政府、この余剰が出たという話ですけれども、どのくらい余剰が出ましたか。
○諏訪園参考人 お答えします。
資金循環統計の令和六年十―十二月期結果におきまして、一般政府の資金過不足は、参考計数として作成しております、季節的なアップダウンをならした季節調整値で見れば、約一・三兆円の資金余剰となっております。
○江田委員 二〇〇五年、統計創設以来初めて一般政府に資金余剰が出たということは、財政黒字が出たということなんですよね。
財務省の事務方でいいですが、今、長期金利は、去年、今年ぐらいは大体何%ですか。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
長期金利につきましては、二〇二三年度末は〇・七二五%、二〇二四年度末は一・四八五%と承知しております。
○江田委員 これはなぜ聞いたかというと、ドーマー条件ですね、皆さん御承知のように。要は、名目成長率が長期金利を上回っている場合は基本的に借金は収束する方向だ、発散せず収束する方向だ、そういうことを意味するわけですが、日本の名目成長率は二三年度は五・三%、二四年度は三%、いずれも長期金利をはるかに上回っていまして、申し上げたいことは、要はドーマー条件を満たしている。それに伴いまして、政府債務対GDP比率もこの三、四年はどんどん縮小していっているわけですよ。ですから、言いたいことは、やはり今は財政規律や財政再建を叫ぶよりも、物価高に苦しむ国民生活を救うための消費減税、財政出動が必要だということを、指標に基づいて、私、お話をしたかったわけでございます。
さて、ちょっともう時間がだんだんなくなってきたんですけれども、我々はやっと、食料品の消費税ゼロ%を時限的ですけれども公約にするということを決定をいたしました。これは何も選挙目当てでやっているわけではなくて、私は、昨年十二月、党内に勉強会を立ち上げて、数回の真摯な議論を経て提言をしたことをうちの党の公約に入れていただいたということであってね。もっと言うと、去年の九月の代表選の頃から私は訴えているので、何も参院選目当てでやっているわけじゃないので、そこは真摯な議論の結果だということを申し上げた上でですね。
ただ、消費減税の話をすると、これも石破発言ですけれども、要は、POSシステムとかレジの改修に一年かかるんだという発言があって僕は驚いたんですけれども、今日、経産省の事務方が来られていますけれども、レジというのは、いわゆるガチャレジというキャッシュレジスターですね、個人商店が持っている。それから、デジタル化しているPOSレジですね。おおよそ二つあるんですけれども、これに、例えば食料品の八をゼロにするとか税率を変えるときに一年もかかるんですか。
私の理解では、八から一〇に消費税を上げたときに、複数税率を導入したときに、いずれのレジもそういう複数税率に対応するような改修が行われていると思っておりますので、その点、ちょっと経産省の事務方からお答えいただきたいと思います。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
店舗システムについては、例えば販売情報を一元管理するPOSシステムでは、売上情報を登録するレジ端末に加えまして、販売情報の管理や分析を行うシステムが会計システムなどと連携を行っているということがございます。
レジ端末の設定変更の設定は短時間で作業が完了する場合もございますが、レジ端末と連動するシステムなどの改修が必要となれば、設定変更に相当の期間を要する場合もあるため、一概に申し上げることは難しいです。
○江田委員 まず、個人商店のガチャレジ、あれは一晩でできます。これはいろいろなところで店主がおっしゃっているとおりですね。POSレジの方は、連動しているというのは分かりますけれども、ただ、基本的に、八から一〇に直している部分、設定を変更するだけなんですよ、システムとして。だから、ゆめゆめ、一年もかかるというのはあり得ないということを、今日はもう時間がないのでこれは指摘しておきたいというふうに思います。
さて、ちょっと飲食店への影響を指摘する声が一部にあるんですね、食料品をゼロにすると。
ちょっと今日は総務省さんの事務方が来ていますけれども、飲食店、一千万円未満それから三千万円未満の、合わせた飲食店数のうちの割合をちょっと答えていただけますか。
○永島政府参考人 お答えいたします。
直近の令和三年経済センサス活動調査の結果からお答えいたしますと、主な事業として飲食店を営む企業等でございますが、売上規模三千万円未満では、数が三十万二千八十七、比率が八七・一%となってございます。
○江田委員 五千万円以下を聞きたかったんですが、統計がないというので、要は、三千万円未満でも八七%。五千万未満というのは簡易課税業者のことを私は念頭に置いているんですが、五千万円未満になると九割超なんですよ。要は、飲食店というのは大半は中小零細、町中のラーメン屋さん、定食屋さん、これが多いので九割以上は中小零細。すなわち、消費税について言えば、免税業者か、あるいは簡易課税業者かなんですよ。
ですから、そもそも、一部、飲食店への影響があると言う方は、八%をゼロに下げても食材納入業者が下げないんだ、八%丸々下げないんだと言うんですけれども、この免税事業者は全く関係ないですよ、仕入れ税額控除方式を取っていませんからね。簡易課税業者、これも、売上げの六〇%をみなし仕入れで自動的に引きますから、これも仕入れ税額控除方式じゃないので。ですから、その誤解は是非解いていただきたいと思います。
いずれにせよ、大部分の飲食店は要は売上げ五千万円未満の業者であって、食材が八%であろうが、ゼロ%であろうが、ゼロにしたときに実際に価格が下がろうが下がるまいが、全く関係ないということなので、その一点だけ、ちょっと主税局長に確認したいと思います。
○青木政府参考人 お答えします。
食料品の消費税率を引き下げても税込みの仕入価格が下がらなかった場合の免税事業者、簡易課税事業者への影響の点でございます。
まず、政府としては消費税率を引き下げることは適当でないと考えておりますが、委員の御指摘の前提でお答え申し上げます。
そもそも、消費税を申告しない免税事業者の方につきましては、仕入れ税額控除が理由となって最終的に手元に残る利益が減るということは起き得ないものと考えております。また、売上げ時に受け取った消費税額にみなし仕入れ率を掛けて仕入れ税額控除の金額を計算する簡易課税事業者につきましても、みなし仕入れ率が変わらない前提でございますれば、仕入れ時に支払う消費税額が減っても、仕入れ税額控除の額自体は変わりませんので、仕入れ税額控除の関係で手元に残る最終的な利益が減るということはございません。
○江田委員 ありがとうございます。
質疑時間は終わりました。明確な答弁でしたね。
最後に一言だけ。
食料品をゼロにすると、今、農家さんとか……
○井林委員長 申合せの時間が来ていますので、御協力お願いします。
○江田委員 はい。
これは、仕入れ税額控除って、還付金が出ますから、多少、今、米の問題でいろいろお米農家の窮状も訴えられていますけれども、ゼロ%にすると逆に消費税が還付されるという、多少の恵みの雨もあるということを指摘して、私の質疑を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○井林委員長 加藤財務大臣は御退席ください。
次に、田中和徳君。
○田中(和)委員 自民党の田中和徳であります。
再犯防止推進法に基づく重要なポイント、再犯防止対策のゲートウェーは、金融機関における口座開設であります。今般は、刑務所出所者などの口座開設と、その課題について伺います。
私は、昭和五十八年、一九八三年の十二月五日に、秦野章法務大臣のとき、保護司に委嘱され、今日まで長きにわたって保護司を務めてまいりました。私の上着の右襟についている黄色い羽根が、更生保護、保護司のシンボルでございます。
その後、平成八年、一九九六年に衆議院に初当選をしたときに、仲間の議員とともに更生保護を考える議員の会をつくって、会長に就任し、今日に至っている。その関係で、自民党の再犯防止推進特別委員会の委員長を務め、超党派で再犯防止を進める議員連盟の会長も務めております。また、地元川崎では、出所者の支援をしております更生保護施設川崎自立会の副理事長も長年務めております。
特にエポックとなったのは、平成二十八年、二〇一六年十二月七日に議員立法で成立をさせた再犯防止推進法でございまして、この法律は、同年十二月十四日に公布、同日施行されました。この法律に基づいて、全ての都道府県と政令指定都市、自治体が自ら策定した、再犯防止推進計画が既に定められ、一般の基礎自治体でも大変なスピードで策定が今日進められ、再犯防止政策の推進の主役は地方に移ってまいりました。
我が国の一般刑法犯の認知件数は、平成十四年、二〇〇二年に二百八十五万三千七百三十九件とピークを迎えましたが、その後、急速に減少に転じ、再犯防止推進計画の効果もあって、令和三年、二〇二一年には、何と五十六万八千百四件まで激減をして、過去最低を記録したのでございます。しかし、残念ながら、その後、再び増加傾向となって、令和四年は六十万一千三百三十一件、令和五年は七十万三千三百五十一件となっております。そして、犯罪の半分を占めるのが再犯でございまして、効果的な再犯対策こそが一番重要な肝だ、こういうことでございます。
また、試算によれば、矯正施設の受刑者一人当たりおよそ一千万円の公費がかかっていると言われておりまして、当然、犯罪を減らすことは、分かりやすい国民負担の軽減ということにもなるわけであります。
昨今、矯正施設の入所者の数は減り続けておりますが、令和七年三月末時点で刑務所及び拘置所に収容されておられる被収容者の人員は四万七百四十三人と伺っておりますが、再犯防止の中で最も大切なことは、一度犯罪をした人たちが、刑を終えた後は一般の社会人として生活ができるように、二度と犯罪に手を染めないようにする環境の整備と支援をみんなですることであります。
今、我が国もそうでありますけれども、世界中でキャッシュレス化が急速に進みまして、就職をして働く、社会生活を営む上で、金融機関の口座なくしては生活上極めて不便を来すことになっております。口座が開設できなければ会社からの給料の振り込みもできませんし、それが理由で就職を断られるという理由がしばしばございます。また、クレジットカードの発行もできない、携帯電話の契約も難しい、家賃や電気、ガス、上下水道の引き落としも難しい、あらゆる場面で生活に支障を来しているのであります。
しかし、対象者、すなわち満期出所者、仮出所者、判決で執行猶予を受けた方、また、その中でも保護観察を受けている人と受けていない人がいるわけでありますが、また、さらに、刑期を完全に終わった人などもいますが、今日、それぞれの口座開設の有無についての統計が全く分かっておりません。
金融機関にはブラックリストというようなものがあると仄聞をするわけですが、それによって口座開設ができなくなって困っている人たちが大勢おります。私が役を務めている更生保護施設でも、しばしばその実態がございます。口座が開設できないことによって、就職ができない、生活ができづらい、その結果、再び犯罪者になるという負のスパイラルに陥ることの大きな要因になっておるわけでございます。
再犯を誘発することは絶対にあってはなりませんし、対象者の、新しい、始まった生活を支えることは、再犯防止に絶対重要なことであります。金融庁は、この重大な問題をどのように思っておられるのか、金融機関に対してどのような働きかけをしておられるのか。法務省との協議などもしておられるはずでありますが、承っておきたいと思います。
○西野大臣政務官 まず、田中委員におかれましては、長年にわたって保護司として元受刑者の皆様方の社会復帰、さらには再犯防止に向けて御尽力いただいておりますこと、私の立場からも敬意を申し上げたいと思います。
その上で、御質問にお答えいたします。
金融機関は社会的責任を負っておりますので、当然のことながら、反社会的勢力が犯罪を犯すことに利することがあってはいけないということでございますので、反社会的勢力の排除、これはしっかりやっていかなくちゃいけないということだと思います。
一方で、暴力団から完全に離脱された方、あるいは刑務所から出所された方で真の意味で社会復帰を目指す方、こういった方々が、過去に暴力団員であったこと、犯罪を犯したこと等のみをもって社会の基盤となる預貯金口座の開設の対象から排除されることになれば、就職や生活の維持に支障が生じ、結果として社会復帰が果たされず、再犯の要因にもなるというふうに考えております。
そのため、金融庁といたしましては、各金融業界団体に対しまして、口座開設に関して、警察庁や法務省が策定しております支援策の内容や趣旨を傘下の金融機関に周知するように、繰り返し文書で要請しております。また、意見交換の機会を捉えて、口頭でもお願いしているところでございます。
金融庁といたしましては、引き続き、暴力団離脱者や刑務所出所者等の社会復帰に必要な支援の充実に向けて、警察庁や法務省と緊密に連携して対応してまいりたいと思います。
○田中(和)委員 法務省にも伺います。
先ほど申し上げましたとおり、対象者の人たちの金融機関での口座開設についてはしっかりとした調査が必要なんですけれども、どうも、伺うと、数字が出てまいりません。さらに、口座の有無と再犯率の関係についても明確な資料が当然ないわけであります。
法務省は、きめ細かい調査をして、金融庁と連携をして口座開設をもっともっと徹底するように、実態の調査と、断られている状況を把握して対処していかなければ、再犯率の防止、低減を図っていくことができなくなっておるわけでございまして、このことをどう考えているのか伺いたいと思います。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
保護観察所において実施しております口座開設支援策は、保護観察対象者及び満期釈放者等を含む更生緊急保護対象者を対象とするものでありまして、これらの者の口座開設の支援のニーズなどにつきましては、調査を実施するなどしてその把握に努めているところでございます。
口座開設支援の必要性につきまして、保護観察等の対象とならない者を含めて全般的に把握することには難しい面がございますけれども、今後も、可能な範囲で状況を把握して、口座開設支援のニーズがある保護観察対象者等が必要な支援を受けることができるよう、金融庁とも連携しつつ、本支援策の積極的な活用に取り組んでまいりたいと考えております。
○田中(和)委員 確かに、なかなか統計を取ったり調査をするのは難しいかもしれない、満期で出所する人たちはなかなかひもをつけることもできないし、また、過去に犯罪をした方たちも、もう普通の社会人ですからなかなか難しいかもしれないけれども、数字で見る限り、満期出所者の再犯率、口座のない人たちの再犯率はべらぼうに高くなっています。この現実をもう一回深掘りしていかなきゃいけない。どういうふうに調査したら一番いいのか、考えていかなきゃいけないんですよ。
それで、金融庁に、最後、お尋ねをしておかなければいけないんですが、本当は対象者には全員口座を与えなきゃいけない。一定の間、試用期間というものを定めて、与えて、利用する、そして社会人としての生活を行う、しかし、何か問題を起こした、その場合は、しようがないですね、取り上げざるを得ない。だけれども、一定の期間以上ずっとうまく口座が利用され、生活をしている人たちには、その後、普通の人と同じように口座開設を認めてあげる、こういうふうな、ひとつ知恵を絞って工夫をするということが大事なんです。
私も、実は、地元の金融機関の理事長にお願いしたことがあるんですよ、断られたから。そうしたら、やはりリストがあって駄目なんですよ。それは、過去に暴力団の関係者だったからという理由でした。その方は、今、極めて真面目に更生されてお仕事をしているんですけれども、それでも口座の開設がかなわなかった。
私は、本当に、金融庁が努力していると言っても現実にできていない、我々が法律まで作って、再犯防止に国を挙げて取り組んでいる、地方自治体を挙げて取り組んでいるこの時代に、口座開設によって、これがまさしく水を差したような形になっているということは、何としてもこれは防いでいかなきゃいけない、このことを、是非ひとつ民間の金融機関の皆さんにも御理解をいただく、お互いに知恵を絞って努力をして、ひとつ再犯防止にお力をいただきたいと思います。どうしてもうまくいかなかったら、再犯防止推進法は議員立法ですから、法律改正をしなきゃいけない。でも、そこまでやらなくても何とかできるのではないかと期待をして、本日の質問といたしました。どうぞよろしくお願いを申し上げ、終わります。(発言する者あり)ああ、そうだね。
答弁を求めて、終わります。
○井林委員長 済みません、時間が参りましたので、御協力いただければ。
次に、山口良治君。
○山口(良)委員 公明党の山口良治です。
本日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。
四月の二十五日、石破総理を議長とし、就職氷河期世代等の支援に関する閣僚会議が開催をされ、これまで五年間の取組の成果等を踏まえ、今後の更なる支援についての検討が始まったと承知をしております。
この就職氷河期世代については、その定義は様々ございますが、三十五歳から五十代までの広い世代を指すともされております。特に、一九七〇年代前半生まれのいわゆる団塊ジュニアと言われるボリュームゾーンを含んでおりまして、社会経済上、非常に重要な影響を持っております。大変大きい、私もその一人でございます。この世代の方々が安定した就労、収入を得る効果というのは、現在はもちろん、今後数十年にわたって、日本の社会保障を始めとする社会経済基盤の健全化に大いにつながるという点からも、この世代への支援は極めて重要な政策でございます。
こうした実情につきまして、財政を担う当局としての認識、どのように認識されているのか。また、就職氷河期世代を支える施策については政府一丸となって取り組んでいかれるに当たって、それを支える財政当局としての財務省の御決意をお伺いしたいというふうに思います。お願いいたします。
○斎藤副大臣 山口委員の御質問にお答えいたします。
山口委員からお話がありましたが、私も就職氷河期世代でございます。
就職氷河期世代につきましては、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行い、現在も様々な課題に直面している方々もおられるものと認識をしておりますが、こうした方々が高齢となった際に生活困窮に陥らないようにしていくことは重要であり、それが、ひいては社会経済基盤の安定につながるものと考えております。
こうした方々の就労や社会参加等を促す観点から、政府といたしましては、令和元年から就職氷河期支援に集中的に取り組んでおりまして、ハローワークの専門の窓口における就職から職場定着までの一貫した支援、非正規雇用労働者を正社員化した企業に対する助成、引きこもり状態の方々への相談対応など、きめ細かい支援を実施してきております。
また、足下では、就職氷河期世代を含む様々な困難を抱えた方々を支援するため、本年四月に設置された、総理を議長とする就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議の下、就労、処遇改善に向けた支援、社会参加に向けた段階的支援、高齢期を見据えた支援という三本柱に沿って議論が行われているものと承知しており、引き続き、個々のニーズに応じて適切かつ効果的な支援を行ってまいりたいと考えております。
○山口(良)委員 次に、関連して、就職氷河期世代へのリスキリング支援についてお伺いしたいと思います。
この世代の方々は、厳しい経済、雇用環境の中で、希望する職にも就けず、今なお非正規、不安定な就労状況にある方も少なくございません。長期にわたったキャリア形成が困難であったこの世代に対して、学び直し、リスキリングを通じた再挑戦の機会を保障していくことは、先ほど副大臣からもありましたように、社会全体の活力を高める上でも極めて重要であります。
ただ、政府は、現在、このリスキリング支援として、教育訓練給付制度、職業訓練の充実を進めていると承知をしておりますが、様々同世代の方々から聞く話としましては、相談、訓練、就労の接続がつながっておらず、断絶しており、スキルを得てもなかなか生かせない、キャリア設計や訓練の内容の選択について相談できる体制がなかなか、ハローワークに行けばいいんですけれども、一歩踏み出せないとか、所得につながる、正規雇用につながる、リターン、どういった自分のキャリアアップにつながるか、見えづらいということで、そういった声も聞きます。
就労、処遇改善に向けた支援の入口となるこの相談体制をいかに整備、強化をしていくかということは大変重要だというふうに考えておりますが、先ほどもありました専門の窓口についても、現在、全国で九十二か所、人員としては約三百六十名程度ということで、本年度の予算が二十億円というふうにお聞きをしておりますが、氷河期世代をしっかりと支援していくまず第一歩となるこの相談体制、まだまだ私は不十分ではないかというふうに考えております。
二〇一九年からスタートしたこの支援のプログラムを通じて、この五年間で、不本意非正規雇用労働者は十一万人減少し、正規雇用者も十一万人増えるという成果を上げているかとは思いますが、まだまだ、三十五万人、不本意非正規雇用労働者はおります。
キャリア相談、リスキリング、就職といった各段階でしっかりと成果が上がっているかどうか詳細に把握をして、具体的な施策の、機動的な、更に強化を進めていくためにも、私は、訓練メニューの設計、キャリアの設計支援の拡充、企業とのマッチング強化、そういった支援の質とつながりを更に高めていく上では、改めて、この五年間の成果を総括した上で、KPIを明確に定めて戦略的に取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えておりますが、政府の御見解をお伺いいたします。
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
先ほど副大臣から御答弁があったところでございますが、去る四月二十五日、就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議が開催されたところでございます。
関係閣僚会議におきましては、総理から、御指摘の相談体制、それから、リスキリングの支援も含む就労、処遇改善に向けた支援、それから社会参加に向けた段階的支援、そして高齢期を見据えた支援という三本柱に沿って、関連施策の充実強化に向けた検討を行い、その結果を本年六月を目途に取りまとめるよう指示があったところでございます。
現在、総理指示を踏まえ、六月を目途に施策の方向性を取りまとめるべく検討を進めているところでございますが、政府といたしましては、今いただきました御指摘を踏まえまして、データに基づき適切なKPIを設定できるよう、六月の取りまとめの後も更に検討を継続してまいりたいと考えてございます。
○山口(良)委員 これからの五年間、また更にその先というのは、この世代がやはり五十代後半に入り、高齢化が進んでくる大事な時期でございまして、着実に進めるための目標設定、しっかり検討していただければと思います。
続きまして、日本においてはリスキリングに向けた制度は整いつつありますが、スキルの可視化や評価の仕組みが定着しているとはまだまだ言えないというふうに考えております。一方で、海外では既に、個人に支援が届き、制度とキャリア相談が連動し、スキルの獲得が職業の選択につながる仕組みを構築している国もございます。
例えば、シンガポールでは、スキルズフューチャークレジットという制度として、全ての成人に学習予算が与えられて、国のポータルサイトの中で、スキル、適職、講座、求人といったものを一元的に管理をして、相談体制も充実しております。また、キャリアコンサルタントなどが公的機関などにも常駐し、常に個人個人がキャリア設計の支援を受けられる、そういう体制が取られており、企業の従業員訓練に対しても最大九割の補助が制度化されております。
そこで、日本においても、リスキリング支援、キャリア相談体制について、個人が自発的に使えるそういった支援制度の自由度、アクセス性の向上、またキャリアコンサルタントの配置、相談機能の強化、またオンラインの活用など、スキルの可視化、職業選択への連動性の強化が必要不可欠だと考えますが、厚労省の見解をいただきたいと思います。
○青山政府参考人 お答え申し上げます。
働く方を取り巻く環境が急速に変化して、また職業人生が長期化、多様化する中で、働く方が労働需要の変化に対応して主体的にキャリア形成を図るための支援は重要であると我々も認識しております。
このため、厚生労働省におきましては、一定の受給要件を満たす方が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し、修了した場合に受講費用の一部を支給する教育訓練給付金制度につきまして、改正雇用保険法に基づき、受講費用の給付率の最大八割への引上げを令和六年十月に施行するとともに、全国のハローワークにおきまして、キャリア設計や、今申したり、委員もお話しになりましたように、教育訓練の受講に関することも含めまして、きめ細かな相談支援を実施しているところでございます。
その上で、今申し上げました教育訓練給付金につきましては、指定講座をインターネット上で分かりやすく検索できるシステムの整備や対象講座の拡大、申請手続などのオンライン化、また、ハローワークにおきましては、キャリアコンサルティングの研修を受けた職員の配置による職業相談、オンラインを活用した職業相談など、利便性の向上や相談体制の強化を図っているところでございます。
こうした取組と併せまして、職業の情報を総合的に提供するジョブタグというサイトがございますが、そのジョブタグにおきまして、職業情報やスキル情報などを可視化して、ハローワークにおいて個々人の状況を踏まえたきめ細かな職業相談、職業紹介に活用するなどして、適切な職業選択を支援しているところでございます。
引き続き、こうした施策の利便性の向上などを図りながら、働く方の主体的な能力開発やキャリア形成を支援してまいりたいと考えております。
○山口(良)委員 丁寧な御説明、ありがとうございます。
ハローワークを中心としたキャリア支援というのは当然重要だというふうに思いますが、先ほどございましたジョブタグ等を使ったオンラインでの支援というのが、やはり若い世代にとってはより安心してステップを踏める、そういう仕組みだというふうに私も考えておりますので、オンラインが全てではなく、やはり対面の相談というのは非常に重要だとは思いますが、そうした制度が、仕組みが更に活用できるよう、また一人一人が生涯にわたってキャリアを支援してもらえる体制を、国としてつくっていっていただきたいというふうに思います。
最後になりますが、今後、日本は人生百年時代を迎え、働く人が、必要なときに学び直し、成長分野に挑戦できる社会の実現が求められております。特に、このリスキリングは、個人のキャリア形成、産業構造の転換を同時に支えていく、最も重要な人的資本の一つであるというふうに思います。
しかし、現実には、学び直しには時間的、経済的な負担が伴い、特に、現役世代は子育てや様々な、忙しい中で、学びたいけれども踏み出せない、こういった状況もあります。
こうした中で、リスキリングに係る費用を社会全体で支えていくという視点も必要ではないかと思いますが、ここは財務金融委員会でございますので、当然、税制については与党税調の議論となりますが、税制による後押しも私は必要ではないかというふうに思っております。
今、現時点では特定支出控除という制度があり、こういったものも活用されておりますが、かつて、経済財政諮問会議でも、経済界から、労働者の自発的な投資を引き出すため、例えば、個人の教育訓練投資を人的資産とみなし、その費用を複数年にわたって所得税から控除する、そうした税制上の措置などあらゆる施策を選択肢から排除せず、必要な施策を講ずべきとの意見も出ておったかと承知をしております。
社会全体で学び直しを応援する社会の実現に向け、個人や企業のリスキリング投資に対する税制支援という視点も是非御検討いただきたいというふうに思いますが、その拡充について、政府の認識、また今後の検討状況など、お聞かせいただきたいというふうに思います。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましても、個人や企業のリスキリング投資が重要であるというふうに考えております。
その上で、税制措置につきましては、まず、所得税におきまして、労働者が職務の遂行に直接必要な研修や資格取得に要した費用について特定支出控除として計上することができるところでございまして、最近でございますと、令和五年度の税制改正におきまして適用要件を緩和するなど、適時対応を行ってきているところでございます。
企業に関しましては、賃上げ促進税制におきまして、人的投資が、生産性の向上や、さらには持続的な賃上げの実現につながるという考え方の下で、従業員のために支出した教育訓練費が増加した場合に税額控除率を上乗せする措置を導入し、適宜見直しを行っておるところでございます。
まず、こうした制度をしっかり十分活用していただき、見直しを進めていくことが重要だというふうに考えております。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
あらゆる面からこのリスキリングを支援していく、そういう社会を実現していきたいということを、決意を申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井林委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十時四十二分休憩
――――◇―――――
午前十一時四十八分開議
○井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。萩原佳君。
○萩原委員 日本維新の会、萩原佳でございます。
早速ですけれども、質問をさせていただきます。
まず一問目として、減価償却資産の十万円、二十万円、三十万円の各基準金額についてお伺いいたします。
十万円未満の支出は少額減価償却資産として一時の損金処理が可能であり、二十万円未満の場合はその資産ごとの耐用年数によらず三年償却が可能、そして三十万円未満の場合には、青色申告、事業年度内三百万円という条件はあるものの、一時の損金処理が可能となって、事業者の企業活動に非常に大きな影響を与えている数字であると言えます。
ただ、これらの規定については、物価変動に応じて適時に見直されてきたとは言い難い側面があって、十万円及び二十万円の規定は一九九八年度において、三十万円については二〇〇三年度ということで、最終改定から二十七年若しくは二十二年が経過していることが分かります。消費者物価指数の推移を見ても、そして皆さんの肌感覚的にも、最終年度の二〇〇三年度と比べて、非常に今、インフレ局面にあると言えます。そして、インフレ局面においては適時の金額修正が必要であると考えます。
ここで大臣にお伺いいたしますが、これらの金額基準の引上げに関してはどのように考えられているのか、御見解をお示しください。
○加藤国務大臣 今お話ありましたように、減価償却の例外として、全法人を対象に、十万円未満の資産は全額の損金算入を認めるなどとしており、これらに加えて、中小企業など向けには、租税特別措置として、三十万円未満の資産についての全額の損金算入を認めております。
基準金額の見直しに当たっては、物価水準のみならず、中小企業における資産管理の事務負担の軽減といった措置のニーズが実際に高まっているのか、また、法人税の負担軽減手段として利用され、課税ベースが狭められ得るという課題をどのように考慮するのかといった点を踏まえて検討していく必要があると考えております。
○萩原委員 おっしゃるとおり、法人税、これを広く認めると減収するというところで、予算ベースをどう考えていくのかというのは非常に重要な問題ではあると思いますけれども、インフレ局面においては、この基準をキープする限り、実質増税に近いかなと思っておりますので、是非、局面に合わせた金額基準の改定をよろしくお願いいたします。
続きまして、二問目として、配偶者控除制度の在り方、これに関してお伺いいたします。
配偶者控除及び配偶者特別控除については、二〇一六年から二〇一七年にかけて様々議論が行われ、二〇一七年度改正において、百三万円の壁の心理的障壁への対応から、控除が満額適用される給与収入額を百五十万円にすることを所得制限とセットで行う改正が行われたと思います。当時の配偶者控除制度の改正は、働き控えの抑制という点に主眼を置いていたと思いますが、当時、既にフルタイムで働かれている方々のこと、これに対する配慮が欠けていたのではないかと考えています。
二〇二三年六月の税制調査会の答申、我が国の税制の現状と課題、これを拝見させていただくと、今後とも、家族や働き方などをめぐる様々な議論を踏まえ、公平中立な税制を構築する観点から、配偶者控除、配偶者特別控除の在り方についても検討する必要がありますと記載がありますので、引き続き、これらに関しては検討する必要があるという点に関しては御理解されていると思います。
ここでお伺いいたします。配偶者控除制度改正後、政府としては具体的な検討など行われているのでしょうか。お答えください。
○青木政府参考人 お答えいたします。
配偶者控除そして配偶者特別控除を含みます今後の諸控除の在り方に関しましては、令和七年度税制改正法の附則第八十一条におきましても、政府は、我が国の経済社会の構造変化を踏まえ、各種所得の課税の在り方及び人的控除を始めとする各種控除の在り方の見直しを含む所得税の抜本的な改革について検討を加え、その結果に基づき、必要な法制上の措置を講ずるものとされておるところでございます。
石破総理も、政府税調に対しまして、各種控除を含めた所得税の在り方の議論をお願いされたところでございます。
今後、関連分野の学者、そしてエコノミストなどの専門家、中小事業者、労働関係者などが参加いたします政府税制調査会におきまして、幅広く、専門的な見地から、公平、中立、簡素な税制の在り方について御議論をいただけるものというふうに考えておりまして、政府といたしましては、こうした経緯も踏まえながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○萩原委員 今お答えいただきましたけれども、結論的には、まだ何もしていない、これから検討しようかな、そういう段階かと思います。ただ、人的控除の在り方を含め、抜本的に所得税、控除関係を確認していくというところで、是非これも議論に加えていただきたいなと思っております。
資料一、お配りしているやつですね、これを御確認ください。独立行政法人労働政策研究・研修機構のデータです。
このデータによると、妻の就業時間が週三十五時間以上のいわゆるフルタイムで働いている方は、二〇二三年度以降、専業主婦の世帯を上回っていて、二〇二三年以降はフルタイムで働いている妻の方が専業主婦よりも多いこと、これを客観的に示しているデータと言えます。そして、二〇二四年にはその差がますます広がっている状況でありますので、この流れは今後も変わることはないのかなというふうに感じております。
つまり、各家庭の働き方、これの公平性、これを考えるのであれば、配偶者控除に関しても新たな仕組みを本当に考えるべき時期に来ていると考えておりますが、大臣はどのようにお考えになられるのか、お答えください。
○加藤国務大臣 共働き世帯の増加を含めて、経済社会の構造変化が進む中で、これに対応した税制の在り方を検討していくことは重要と考えております。
一方で、日本の所得税体系は個人単位課税を基本としており、共働き世帯も含めた夫婦を対象とする新たな控除の導入については、世帯単位で税負担を捉える考え方を部分的に導入することをどう考えるのか、世帯単位での所得把握をどのように行うのか、合計所得金額が一定金額以下の配偶者を有する場合に当該納税者本人の税負担能力の減殺を調整する趣旨から設けられた現行の配偶者控除との関係をどう考えるのかなど、様々な論点がございますので、そうした点において慎重な検討が必要であるというふうに考えておりますが、税制全体については、先ほど申し上げたように、令和七年度税制改正法の附則にも書かれておりますように、各種控除の在り方の見直しを含む所得税の抜本的な改革について検討を加え、その結果に基づき、必要な法制上の措置を講ずる、こうした姿勢で取り組んでいきたいと考えております。
○萩原委員 今大臣おっしゃったとおり、我が国の課税というのは世帯単位課税ではなくて個人単位課税になっているということはよく理解はしておりますが、やはり、共働き世帯の方が多いという状態、また、少子化対策という意味もありますけれども、各自治体において、婚姻してもらえるような施策というのを様々取っているということを考えると、結婚をしていただく、そして、結婚した方はもう働いている、共に働いているような時代になっているというところに関して、適宜、税制の面からサポート、反映していくべきじゃないのかなと考えております。
イギリスの場合、配偶者の一方が自らの基礎控除を全額使い切れなかった場合、その残額を他方の基礎控除に移転することができる婚姻控除という制度がございます。これを参考に、夫婦で、配偶者控除、配偶者特別控除制度をある意味発展的に解消して、所得制限なしで夫婦が与えられた控除額を分け合う日本版婚姻控除制度、控除額シェア制度というのを導入したらいいのかと考えております。
控除額を夫が全額使い切るのもいいと思いますし、妻が使い切るのもいい、若しくは両者で半々に分けるという形で、世帯での控除額は一定としつつも、夫婦であれば配偶者の働き方や所得に左右されることなく、個人の選択に対して非常に中立的な制度であり、この制度であれば共働き世帯の声にも応えられると思いますし、専業主婦世帯の声にも応えられると思っておりますので、抜本的な検討をされるという中で、是非考慮いただきたいなと考えておりますので、答弁は求めませんけれども、よろしく御検討願えればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
では、続きまして、食品消費税のゼロ%課税についてお伺いいたします。
現在、日本維新の会は、物価高騰、米国関税対策として、二年間、食料品消費税ゼロ、より正確には、食料品に関する消費税をゼロ%若しくは免税とすることを提案させていただいております。ただ、とはいえ、かかる食品消費税ゼロを実行する場合に課題というのはあると考えておりますが、一般的に想定される課題、消費税の軽減税率品目をゼロ%課税にする場合の一般的な課題、これをお示しいただければなと思います。お願いいたします。
○青木政府参考人 お答えいたします。
まず、全世代型社会保障制度を支える重要な財源でございますので、政府としては引下げは適当でないと考えておりますが、委員御指摘の前提でお答えをさせていただきたいと思います。
まず、消費税率の引下げ一般でございます。実務上の課題として考えられますものは、まず、全国の事業者におきまして、新たな値段設定の検討が必要でございます。また、新たな税率に対応するためのレジ、システムの改修など様々な影響が生じるため、相当の準備期間が必要になることなどに留意する必要があろうかと考えております。
また、軽減税率のみを引き下げる場合でございますが、軽減税率が適用されますテイクアウトや総菜、弁当などの割安感が増すことから、標準税率が適用されます外食の売上げに影響する可能性があるほか、農家のように、標準税率で例えば肥料とか苗とかそういったものを仕入れる一方で、軽減税率で農作物を販売する事業者がございますが、こういった事業者の方につきましては、仕入れ時に支払う消費税分は変わらない一方で、売上げ時に受け取る消費税分が減るということになりますので、最終的に還付を確定申告で受けるまでの間の資金繰りの影響が生ずる可能性がございます。
さらに、一時的、短期間の税率引下げにつきましては、値段設定の検討、システム改修などといった影響が、引下げ時だけではなくて税率を戻す際にも生じ得ることや、引下げ前の買い控えなど、それから税率を元に戻す際の買いだめなどによる経済取引への影響が生じることにも留意する必要があるというふうに考えております。
○萩原委員 ありがとうございます。
まず、引下げ時の値段設定、事業者側がどうなるかというところ、そこは、大手の会社というのは、基本的に税抜きで値段を決めて、その後、税額を乗せているというところで、そこまで影響するのかなという疑問はございます。
また、テイクアウトのところの値段差があるというところはございますが、コロナのとき非常に、外食をメインにしているところがテイクアウト事業を始めてという状況はありましたけれども、実際、今はほとんどそういうところは少なくなっていて、やはり外食とテイクアウトの目的というのがおのずと分かれていくという意味では、特段問題ないんじゃないのかなと考えています。
また、一〇パーで仕入れて、そしてゼロパーでもらうというような場合の仕入れ税額控除の話をされていたと思いますけれども、計算的にはフラットですし、その間の資金繰りをどうするのかというところに関しては、そもそも、今の消費税の税額ですね、徴収するところというのはかなり遅延が起こっていて、中間納付をもっと増やすべきじゃないのかという議論があると思うんですけれども、それと裏表の関係なので、余り理由にならないのかなという気はしております。
るるおっしゃっていただきましたが、これらの課題、戻すときの買いだめ等々の話はありますけれども、全て実務的にはクリアできるんじゃないのかなというのが、種々事業者を見させていただいた経験がある、若しくは税理士側からの意見としては、全部クリアできるんじゃないのかなと思っております。
というところで、それは前提として、今おっしゃった中にもありますけれども、食品消費税ゼロの場合、飲食店が価格転嫁できなくなる、どう設定するのかというので大変になるという話があったと思いますが、この話というのは、仮に五%での一律減税の場合であっても、食品ゼロの場合であっても、価格転嫁の問題というのは生じると考えているのですけれども、この理解でよいのか、御見解をお願いいたします。
○青木政府参考人 お答えします。
軽減税率のみを引き下げる場合であっても、一般的に税率を引き下げる場合であっても、いずれにしても、税率を引き下げたものの対象になります品目につきましては、新たな価格設定という問題が生ずると思います。
その上で、仮に消費税を引き下げる場合には、例えば、税率が引き下げられましても、原材料費の高騰への対応それから賃上げ原資の確保が必要、そういう課題が現在あるわけですけれども、そういった必要性の観点で、経営上の御判断で、税率引下げ相当分を小売価格に反映せずに据え置く場合ということも、現在のような状況では考え得るわけでございます。こうした売手による行為を規制して価格転嫁を義務づけることができるのかどうかというのもまた、御指摘のような前提のケースでは課題として考えられるものではないかというふうに思います。
○萩原委員 ありがとうございます。
ここでちょっと私が言いたかったのは、食品消費税ゼロか若しくは消費税一律五%かの是非ではなくて、どちらの政策を取ったとしても、価格転嫁の問題であるとかインフレに対する懸念というのは生じ得ると考えています。ただ、我が党としては、今回の物価高騰対策としては一律減税ではなくて食品消費税ゼロ、これを主張させていただいております。これは、財政上の問題、若しくは、高級車や高級時計等々についても減税されることへの、必要性への疑問からでございますので、どういう立場に立つのかというところの違いかなというように考えております。
少し、ちょっと話がずれたので話を戻します。
価格転嫁については、二〇二三年一月に経済産業省の方で、消費税の価格転嫁について調査が公表されています。当時の調査は事業間取引の調査ではあるものの、九三・一%の事業者が全て転嫁できていると回答していて、全く転嫁できていないとの回答をした事業者は約一・六%で、ほとんどの事業者が消費税の価格転嫁ができていることを示している資料かなと思います。もちろん、その中で一・六%できていないところがあるというところに関しては、より必要な手当てというのは取る必要はあると思っていますが、現状、そういう状態になっています。
ここでお伺いいたしますが、価格転嫁、今までは結果として商品価格の値上げができているのかという形での対応になると思いますが、消費税を仮に減税する局面に入ると、値下げができているのかという観点に変わって、値上げの場合とは別の課題が生じるのではないかと考えておりますが、消費税減税局面において想定される価格転嫁の課題、現状想定されているものがあればお示しください。お願いいたします。
○青木政府参考人 失礼いたしました。先ほどちょっと申し上げたことではございますが、繰り返させていただきます。
御質問いただいた件につきまして、仮に消費税率を引き下げる場合には、税率が引き下げられても、原材料費の高騰への対応や賃上げ原資の確保が必要といった経営上の判断から、税率引下げ相当分を小売価格に反映せずに据え置く場合があると考えられます。売手によるこうした行為を規制して価格転嫁を義務づけることができるのかといった課題があろうかというふうに考えております。
○萩原委員 特にインフレ局面であるからこそ、値下げが本当にできているかというのは分かりづらいということかなという形で理解いたしました。おっしゃる課題は生じるかなとは思いますが、少なくとも、今どんどん右肩上がりに上がっているコストというのは一定下げる効果、これはあるんじゃないのかと考えております。
今回、今るる、食品消費税ゼロについて質疑させていただいておりますけれども、食品、より正確に言うと飲食料品は軽減税率の対象商品となっております。これは、端的に申しますと、消費税引上げに際して、日々の生活の中でほぼ全ての人が毎日購入する飲食品に軽減税率を導入して、低所得者ほど税負担が重くなる逆進性を緩和するためであったと理解しておりますが、まず、この理解でいいのか、お答えいただけますか。お願いします。
○青木政府参考人 お答えします。
軽減税率の対象品目を議論しておりました際の御議論として、今委員からも御指摘がありましたけれども、日々の消費、利活用の状況や、消費税の逆進性を緩和する効果、合理的、明確な線引きの必要性、社会保障財源である消費税への影響などの事情を総合勘案して判断されたものと承知しておりまして、御指摘の逆進性の問題もその中の一つの項目でございました。
○萩原委員 逆進性、どちらかというと聞きたかったのは対象の方なんですけれども、軽減税率としたものに対しては、重要なのは、日々の生活でほぼ全ての人が毎日使うということかなと。そういう枕言葉、キーワードが重要じゃないのかと考えています。飲食料品などはもちろんですけれども、日々の生活でほぼ全ての人が毎日消費するもの、飲食品はそうですけれども。ただ、軽減税率に関しては、飲食料品のみではなく、定期購読契約に基づいて週二回以上発行される新聞も軽減税率の対象となっています。
ここで確認させていただきますが、定期購読の新聞も軽減税率の対象となっている理由をお示しください。お願いします。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、酒、外食を除く飲食料品については、ほとんど全ての人が毎日何らかの飲食料品を購入し、日常の消費支出において相当大きな割合を占めていること、そして、食品表示法などに基づきまして合理的、明確な線引きが可能であることなどの事情を総合勘案し、対象品目とされたものと承知しております。
一方、定期購読契約が締結された週二回以上発行される新聞につきましては、日常生活における情報媒体として、全国あまねく均質に情報を提供し、幅広い層に日々読まれていることなどの事情を総合勘案し、対象品目とされたものと承知をしております。
○萩原委員 ありがとうございます。
今おっしゃった、日常生活における情報媒体として、全国あまねく均質に情報を提供し、幅広い層に日々読まれているというところで、先ほど私が申した、日々の生活、ほぼ全ての人、毎日というキーワードに当てはめるのであれば、日常生活における情報媒体は日々の生活、幅広い層はほぼ全ての人、日々読まれているは毎日、こういう形で三つのキーワードに結びついているのではないかと考えております。
資料の二番、これをちょっと御確認ください。
これは一般社団法人日本新聞協会のデータではございますが、二〇二四年段階で、この資料によると、一世帯当たりの発行部数というのが、一番上の行にありますが、〇・四五となっていて、スポーツ新聞、これを除くと、割り算すると〇・四二となって、世帯の過半数見合いも発行していないという状況になっています。
また、これは世帯で割っていますけれども、当然、新聞は会社で読む方、定期購読されて、財務省もされていると思いますけれども、されているところを考えますと、世帯の数以上に日々の生活に入っているのかどうなのかということもありますし、あくまで発行部数ですので、発行部数に関しては、いわゆる押し紙問題とかそういうのもありますので、実際の購入数は不明となっていると思いますが、実際家庭に届いている数というのは、より少ない数であることは明らかかと思います。
資料の三ですね。これも同じデータからなんですけれども、月ぎめ新聞の購読状況はという資料です。
上の方にいろいろ書いていますけれども、分かりやすいのが図二十四の一、月ぎめで取っている新聞の割合というところで、取っているという御家庭は五三・八%となっています。
釈迦に説法ですけれども、新聞は全てが八%ではなくて、キオスクとかで買うものは一〇%で、あくまで定期購読している部分だけが八%となっていることを考えますと、月ぎめの新聞の購読状況が五三・八で、添付資料二の世帯当たり発行部数に掛けると、一世帯当たりの発行部数というのは〇・二四になって、月ぎめの新聞を取っている人はかなりの少数派に今はなってしまっているのではないかなと感じてしまいます。
そして、資料四ですね。資料四の下の方、図二十四の五で、月ぎめで新聞を取っている人の割合、年齢別、時系列でいうと、結果として、七十代が七六・七%、六十代が六五・三%、そして五十代以下になると、四七・五%という形で、ある意味、五十代以下の方は五〇%も月ぎめで新聞を購読していないという状況にあろうかと思います。
このように考えますと、新聞は日常生活における情報媒体ではなく、そして、幅広い層に読まれているわけでもなく、また、日々読まれているということでもないというふうにしか、資料を見ると感じられないのですけれども、ある意味、軽減税率対象にしている根拠、これを失っているんじゃないのかなと考えていますが、大臣の御見解、どのように考えられているのか、お願いいたします。
○加藤国務大臣 先ほど、何で新聞が軽減税率の対象になっているかということで、日常生活における情報媒体として、全国あまねく均質に情報を提供し、幅広い層に日々読まれていること等の事情を総合勘案しということでございます。
全国あまねく均質に情報を引き続き提供していただいているんだろうと思いますが、その上で、幅広い層、日々、ここをどういうふうに解釈するかということが今の御論点だというふうに思いますけれども、幅広い層というのは、別に、全員という意味では多分ないんだろうというふうに思っておりますので、だんだんだんだん新聞を取る方が減ってきているという御指摘はそのとおりだというふうには思いますけれども、現時点において、これまで新聞を軽減税率の対象としてきたといった判断について、これを見直すということは考えておりません。
○萩原委員 全員じゃないという話をされていましたけれども、やはり、税は理屈とよくおっしゃっておりますけれども、全然理屈に合っていないんじゃないのかなと思います。食料品と新聞を同一視して軽減税率の対象としていること、これに関しては、国民の皆様、何でなんだという声が非常に大きいと思いますので、消費税軽減税率導入当時はまだ根拠があったのかもしれませんが、少なくとも今の時点ではもうないと考えておりますので、是非、今回、我々、食品消費税ゼロ、これを含めた減税の議論をさせていただいておりますが、新聞に関しても併せて、標準税率に戻すことも御検討いただくことを要望させていただいて、私からの質疑とさせていただきます。
ありがとうございました。
○井林委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。
私からは、まず、金融庁がこの度、保険代理店のマネードクターを展開するFPパートナーに対して保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で調整しているという報道を受けました。
マネードクターは、複数の生保会社の商品を販売するいわゆる乗り合い代理店と呼ばれるもので、同社に多額の広告料を支払うなどした生命保険会社の商品を優先して顧客に勧めていた疑いがあり、昨年立入検査に入っていたところであります。顧客のニーズに沿って提案する商品を選ぶ、いわゆる比較推奨が確保されていないとして金融庁が改善命令を出すとすれば、初めての事案となります。
この比較推奨義務は、法的には定められておりますが、実際には広告料や営業のインセンティブによって推奨がゆがめられるリスクがあると言われていました。
まず、現行制度で本当にこの顧客本位の販売が担保できる構造になっているのか、伺います。
○伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。
今委員御紹介のありました報道につきましては、私ども報道がありましたことは承知をしておりますけれども、その個社に対する、何か私どもとして発表をしたということは何もございませんので、まず、その点、申し上げておきたいと思います。
今、比較推奨義務の件でございますけれども、保険会社から保険代理店に支払われる広告料や営業インセンティブといった便宜供与等が過度なものとなれば、比較推奨販売がゆがめられ、ひいては顧客本位の業務運営が阻害されるおそれがあるということは、私どもとしてもそう考えております。
こうした観点から、先般、五月十二日に保険会社向けの総合的な監督指針の改正案を公表しておりまして、保険会社に対して、過度の便宜供与の判断基準に係る社内規則等の策定、保険代理店等への便宜供与に関する内部監査の実施を求めるなど、保険代理店等に対する過度な便宜供与を防止するための留意事項を示したところでございます。
パブリックコメントを今しておりますけれども、今後、最終化をした上で、社内規則の内容を含む保険会社における内部管理体制の整備の状況や内部監査の実施状況、便宜供与の実態等をしっかりとモニタリングしてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 過度なということを強調してもらいましたが、それに対して今対策を練っているということですが、やはり、比較推奨義務というのがしっかりと制度で定められておりますので、この実効性を高めるために、制度面の改善、監査強化というのは今おっしゃってもらいましたが、独立性の明確化など様々な対策が必要と考えますが、更なる検討をされているかどうかをお聞きします。
○伊藤(豊)政府参考人 お答え申し上げます。
まず、制度面でございますけれども、施行規則の改正を考えておりまして、比較推奨販売に係る現行の施行規則におきましては、特定の保険商品を代理店が推奨をする場合、その理由が特定の保険会社との資本関係など代理店都合のものであっても、当該理由を顧客に説明しさえすれば許容されるという制度になっております。
これにつきましては、昨年十二月に取りまとめがございました損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループの報告書で、比較推奨販売のうち、こうした単なる代理店都合の商品提案の適切性につきまして、顧客の意向にかかわらず、乗り合い代理店の利益のみを優先して特定の保険会社の商品を推奨することは、顧客の適切な商品選択を阻害し得る、本来は便宜供与等を推奨理由としているにもかかわらず、経営方針であるなどと保険代理店独自の理由であるかのように装ったとしても、それが露呈しづらいといった課題が指摘されたところでございます。
こうした御議論を踏まえまして、金融庁では、今後、乗り合い代理店の都合による推奨販売を可能とする先ほど申し上げました施行規則の規定を廃止し、乗り合い代理店が特定の商品を推奨して販売する場合には、顧客の意向を丁寧に把握し、意向に基づき、提案する商品を絞り込んだ上で、絞り込んだ商品の概要を説明することを求めていく方針でございます。
また、監督上の対応につきましてでございますけれども、乗り合い代理店において真に適切な推奨販売が行われるよう、実効性をしっかりと確保することも重要であると考えておりまして、金融庁では、施行規則の改正に合わせて監督指針も改正し、乗り合い代理店に対して、顧客に対して商品を提案、推奨する基準や理由を社内規則等に定めることや、比較推奨販売の実施状況の適切性を確認、検証し、必要に応じて改善に取り組むことなど、乗り合い代理店の規模や業務特性に応じてでございますけれども、体制整備を求めていくことを検討しているところでございます。
○田中(健)委員 今、制度面の件で、施行規則の改正ということに取り組んでいただいておるということであります。
一方、保険会社の方でありますけれども、報道では、相場を超える広告料で多くの誘導をしたり、ないしは、契約の見込み客の紹介が行われていたとも言われています。これが事実上のインセンティブとなって、この比較推奨をゆがめたという疑いがあるということです。
金融庁としては、こういう便宜供与とも取られるような実態把握、また、こちらの規制の在り方ということについてはどう考えているのか、伺います。
○伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。
今委員御指摘の、保険会社から保険代理店への便宜供与の実態でございますけれども、昨年九月に生命保険協会を通じて協会会員の会社の調査を行いまして、その類型を確認しましたところでございまして、例えば、実際に保険会社から代理店に行われていた便宜供与の例として、広告費や業務委託費用の支払いなどが確認をされたところでございます。
こうしたことを受けまして、先ほども申し上げましたが、先般公表いたしました監督指針の改正案におきましては、保険会社に対して、過度の便宜供与の判断基準に係る社内規則の策定、保険代理店等への便宜供与に関する内部監査の実施を求めるなど、顧客の適切な商品選択の機会を確保する観点から、保険代理店等に対する過度な便宜供与を防止するための留意事項を示したところでございます。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
まさに、その過度な便宜供与がどれだけ行われているかということを明らかにし、また問題を明らかにしていくことが大切だと思うんですけれども、やはり、この保険会社と代理店の間の経済的関係がなかなか透明化でない。例えば、証券会社でしたら手数料はどのくらい払うとかそういう形が示されていますけれども、保険業界においてはなかなかその中身が分からないということでありますので、この透明化に向けて、ガイドライン整備や法制度上の見直しというのを是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。
今般の保険金不正請求事案、ビッグモーターの関係でございますけれども、をめぐっては、保険会社と保険代理店の間にゆがんだ関係性や、そうした構造を生じさせる要因として様々な課題が指摘されたところでございます。先ほど申し上げました保険会社による便宜供与もそうした課題の一つでございます。
手数料をめぐる課題につきましては、損害保険会社が保険代理店に支払う手数料水準を算出する枠組みが、保険代理店の規模、増収に偏重し、顧客に提供する業務品質が必ずしも適切かつ十分に評価されていない傾向があるとの指摘がございました。
こうした御指摘も踏まえまして、先ほど来申し上げております監督指針の改正案におきまして、保険代理店におけるコンプライアンス疑義事案の発生状況などを踏まえていること、また、保険代理店の規模、増収に偏ることなく業務品質を重視することに加え、さらに、その業務品質の具体的な指標について、損害保険会社の事務効率化などではなく、顧客にとってのサービス向上に資するものとすることを求めているところでございまして、こうした監督指針、これから最終化でございますけれども、を踏まえながら、損害保険会社における代理店手数料水準を算出する枠組みの見直しの状況や、当該見直しが保険代理店の営業活動に与える影響等をしっかりとモニタリングしてまいりたいと考えております。
また、委員御指摘の手数料の透明化につきましてですけれども、これは、昨年の金融審のワーキンググループの報告書におきまして、その過程でいろいろ御議論がございまして、現時点においては、募集手数料の多寡が比較推奨販売にどのように影響するか、また、募集手数料の開示が顧客の合理的な意思決定にどの程度資するかについて様々な意見があるというふうにされたところでございます。
今後、乗り合い代理店における比較推奨販売の実態に関するモニタリングを行い、その結果、募集手数料の多寡を原因とした不適切な比較推奨販売が行われている実態が認められた場合や、募集手数料の開示が顧客の合理的な意思決定に有効であるとの結論が得られた場合には、募集手数料の開示を求めることも考えられるといった提言を頂戴しているところでございまして、金融庁といたしましては、こうした点も踏まえて、様々な観点から必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 是非、顧客を守るという立場で、この透明化という課題にも取り組んでいただきたいと思います。
今、ビッグモーターの話がありましたけれども、今国会で保険業法の改正案が提出をされまして、法令上は、自動車ディーラーなどの複数の損保商品を扱う大規模な乗り合い代理店に対して上乗せ規制を課すことになっています。
今回の事案を踏まえて、この改正案の中で、比較推奨義務や販売中立性の確保に資するような内容が位置づけられていたかどうか、また、今回、生命保険ということを取り上げましたが、生命保険の商品に関しても、乗り合い代理店による、顧客の利益よりも販売店の事情が優先されるような構造が根本にあるとすれば、より抜本的な販売構造の見直しというのが必要になってくるかと思いますが、最後に大臣の決意を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 今通常国会で御議論いただいている保険業法改正法案においては、特定大規模乗り合い損害保険代理店に関して、保険募集の業務を適切に実施するために必要な助言や指導を行う法令等遵守責任者等の設置を義務づけるなど、内部管理体制の強化等を求める規定を盛り込んでいるところでございます。
比較推奨販売に関しても、改正法案が施行されれば、新たに設置される法令等遵守責任者等の下で比較推奨販売の適切性の確保が図られることになると考えております。
また、全ての乗り合い代理店に対する規制である比較推奨販売の規制、先ほど監督局長からも御答弁させていただきましたが、現行は、その理由を顧客に説明すれば規制上は許容されるという形になっているわけでございますけれども、代理店都合での販売を許容する現行の施行規則の規定は廃止をし、乗り合い代理店が特定の保険商品を推奨して販売する場合には、顧客の意向を丁寧に把握し、意向に基づき、提案する商品を絞り込んだ上で、絞り込んだ商品の概要を説明することを求めていく方針であります。今後、監督指針の改正も進めることとしております。
金融庁としては、こうした一連の措置によって、顧客本位の業務運営の観点から、販売中立性の確保も含め、適正な比較推奨販売の確立を図っていきたいと考えています。
○田中(健)委員 どうしても、生命保険というのはたくさんの商品がありまして、そして、保険の何々という、たくさんこういった推奨、代理店があるわけですけれども、自分にとって一番合った商品を選んでくれたと思いきや、逆にそれが販売側の都合で選ばれていたとするならば、大変顧客の損失が大きいわけでありまして、保険業界全体の信頼を失うこととなります。
是非これは、金融庁の厳格な姿勢と対応が、業界の健全化も進めるのみならず、顧客全体の保護の後押しになるかと思いますので、しっかりとした取組を求めていきたいと思います。
次に、先ほど階委員からもありました、福島県のいわき市のいわき信用組合であります。こちらはちょっと金融庁に厳しくお話をしなければなりませんが。
九十もの偽装された口座を用いた架空の融資や迂回融資、さらには横領の隠蔽まで行われていたということがこれまで明らかになっています。この信用組合は、東日本大震災後の二〇一二年、復興のために、金融庁から公的資金として百七十五億円、全国信用協同組合連合会の資金支援として二十五億円、合わせて二百億円もの資金注入を受けています。これは、単なる一金融機関の不祥事ではないと思っています。公的資金を預かる側としての、政府、金融庁の責任が問われる、極めて重大な問題かと思っています。
昨日、東北財務局は業務改善命令を出したということでありますが、まず確認します。
金融庁は、二〇一二年、公的資金を注入する際に、当該の金融機関に対してどのような調査や審査を行ったのか。具体的に不正の兆候がなかったのか。この時点ではもう不正が行われていたということも明らかになっていますが、監査や検査でも問題点は何も把握ができなかったのかを伺います。
○伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、いわき信用組合は、二〇一二年一月に、国から百七十五億円、全信組連から二十五億円、合計二百億円の資本参加を受けております。東日本大震災という未曽有の災害に直面する中、甚大な被害を受けた地域経済の復興を進めていくためには、地域に根差した金融機関が被災者の事業や生活の再建に向けた支援に積極的かつ継続的に貢献できるよう、国の資本参加を通じて金融仲介機能の強化を図る必要があるという考え方で資本参加をしたものでございますけれども、いわき信用組合への資本参加に際しても、こうした観点から、同信用組合による地域への信用供与を始めとする復興に向けた取組方針などを審査の上で資本参加の決定がなされたものでございます。
しかしながら、委員御指摘のように、被災地域の復興を支えることが期待されている金融機関において本件の不祥事案が発生しておりまして、私どもとしては、この監督、モニタリングの責任を負っているわけでございますけれども、その事実を、注入前も、それから注入した後も、先般まで長らくの間、把握することができていなかったということでございまして、これはもちろん大変遺憾でありまして、非常に重く受け止める必要があるというふうに認識しております。
金融庁といたしましては、先ほど御指摘のありました業務改善命令を発出したところでございますけれども、同組合の業務改善を強く指導するとともに、改善に向けた取組を厳しく確認、検証してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 金融庁が、遺憾と言ったり、ないしは、昨日の発表では、ガバナンス的に極めて重大な問題があった等、何か人ごとのような、また、ないしは、信用組合にもちろん問題があったわけですけれども、それを責任転嫁しているような発言は、やはり私は適切ではないと思っています。
今言った、復興を支えるのは当然ですし、皆さんそれで納得して公的資金を入れました。そういう方針もそのとおりだと思いますが、しかし、やはり、注入する際にしっかりとデューデリジェンスを行って、中身を見てどうだったかというのが今の話ではされていないとしか思えません。形式的な審査で済まされていたと言われても仕方がないと思っています。
そこで、不正は二〇〇四年頃からもう始まっていたとされて、公的資金注入の時点では既に内部に深刻なガバナンスの欠陥があったわけであります。公的資金の注入先の健全性を担保するというのは、政府として、金融庁としても最低限の責任だと思います。そして、不正から二十年、注入してから十二年ですね、昨年の段階でようやく第三者委員会が設置をされたりして、今は調査が進み、今日の午後にも発表があるということですが、これほど長期間、誰も不正に気づかずに、また、監督当局も指摘できなかったというのは本当に不思議でなりません。
注入の際には、今聞きましたけれども、そもそも注入後、モニタリングを金融庁は半年に一度、聞き取り調査と題して経営状況を監視をしているはずでありますが、この監視については、この十二年間、どのような内容だったんでしょうか。伺います。
○伊藤(豊)政府参考人 お答えを申し上げます。
金融庁におきましては、金融機関の規模、特性に応じてでございますが、必要に応じて立入検査も活用しながら、経営管理体制や財務の健全性、法令等遵守の業務運営など、様々な観点でモニタリングを行っているところでございます。
特に、金融機能強化法に基づく資本参加先につきましては、他の金融機関と同等の監督に加えまして、資本参加の趣旨を踏まえて、地域の事業者に対する円滑な信用供与を始め、地域経済の活性化に貢献できているかといった観点からも、監督、ヒアリングを行っているところでございます。
しかしながら、御指摘のように、いわき信用組合につきましては、経営陣による迂回融資という金融機関の経営管理上の重大な問題を、私ども長期間にわたって把握できていなかったということは事実でございまして、監督当局として非常に重く受け止める必要があるというふうに考えております。
金融庁といたしましては、金融機関における不正の端緒をどうすればより早期に検知し、そして次の監督対応に迅速につなげられるのかといった観点から、モニタリングの実効性を高めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○田中(健)委員 公的資金のチェックが進まなかったのは今回だけでなく、じもとホールディングスも、三度の注入を受けながら、再び今も返済の困難に陥っています。
そんな中、今、政府は、今回の地域金融機関への公的資金の注入制度の延長も検討しています。やはり、この問題で問われているのは国民の信頼でありますから、公的資金は最終的には国民の負担になりかねない資金であり、政府が預かる公共財であります。金融庁として、今回、重大な事案であるということを、再発させないということも言っていただきましたが、制度設計の根本的な見直しが不可欠だと考えますが、大臣の覚悟をお示しいただきたいと思います。
○井林委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は極めて簡潔にお願いいたします。
○加藤国務大臣 まず、今回、経営陣による迂回融資が行われた上で長期間にわたり隠蔽が図られていたこと自体、大変遺憾でありますが、さらに、国民の税金を元とする国からの資本参加を受けながら、それを奇貨として架空融資の償却を行っていたこと、極めて遺憾であり、金融庁として非常に重く受け止めるとともに、しっかりとこれを今後につなげていかなければならないというふうに考えております。
こうした問題は、まさに国による資本参加制度の信頼を大きく傷つけるものであり、再発防止は非常に重要な課題と認識をしており、資本参加の趣旨にたがうことに使われないように、そして、国の資本参加した公的資金に損失が生じることがないように、万全を期す必要があります。
資本参加先には、これまでも、半期ごとに計画の履行状況の報告を求めるなどなど、進捗や成果の確認を行ってきたところではありますけれども、今回の事案を踏まえ、資本参加制度の見直しに当たっては、国の資本参加が資本参加先の地域金融機関の地域金融力向上に確実につながるよう、そして、今回のような不祥事件が再び起こることがないよう、対象地域金融機関の適切な経営管理と業務運営をいかに確保していくかについてもしっかりと検討して、具体的な措置を講じていきたいと考えております。
○田中(健)委員 終わります。ありがとうございました。
○井林委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
――――◇―――――
午後一時五十三分開議
○井林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。
先ほど本会議でちょっと、ほぼ全ての党を攻撃してしまったのでちょっとやりにくいんですけれども、気を取り直していきたいと思います。
今日、厚生労働副大臣、仁木さん、来ていただきまして、ありがとうございます。実は、私は厚労委員会にも度々質問に立つんですけれども、年金のことで手いっぱいで質問できなかったので、ちょっと一問、お願いします。
私、前、厚生労働委員会に、四年前、二〇二一年、ちょうどコロナがあって一年ぐらいたった頃に所属していました。実はそのときにめちゃくちゃしつこく取り上げた、まあ当時、田村厚労大臣だったんですけれども、コロナの特例貸付け、総合支援金という制度なんですけれども、二百万円まで無利子で生活困窮者の方に貸し付けるというですね。しかも、当時、社協がかなり御苦労された、都道府県の社会福祉協議会が窓口になって、審査をかなり簡便化して、まあ私が、こんなのは簡便化しないと駄目だと、そんな通常どおりの審査なんかやっていたら本当に多くの人の命が失われるということで。しかも、期間を、六か月だったのを九か月まで延長したりして、随分、厚生労働省と戦いました。
その結果、先般、報道によれば、この特例貸付けの六割が滞納になっていると。一千四百六十六億円です。確かに額も大きいし、あと、会計検査院なんか、社会福祉協議会がしっかり支援を、もっと、返済してもらえるような活動をしろと言うけれども、本当に無理ですよ。
社会福祉協議会も本当に手いっぱいで、一生懸命やっていて、その中にこのコロナの特例貸付けという制度が突然来て、そこで、審査は緩めたわけですよ。それを、今これをちゃんと返してと言ったって、もう本当にみんな生きるか死ぬかの瀬戸際でお金を借りた方々が、そして、コロナが収まったとはいえ、今度は物価高が来て、本当に経済は全然回復していませんし、元々、本当に生活困窮者、もう生活保護に一歩手前ぐらいの方が、生活保護にはなりたくないけれども何とかこのコロナの貸付けをということでわらをもすがる思いで借りた方なので、私はここは是非、厚生労働省の大英断で返済を免除するということをね。
もちろん、公平感の問題とかもあると思いますけれども、だけれども、返していない人はみんな困窮している人ですよ。そういったことをちゃんと判断した上で、これは私は返済免除をするべきだと考えますが、厚労副大臣、いかがですか。
○仁木副大臣 高井委員にお答えします。
先ほどお話があったように、緊急小口資金等の特例貸付け、これは、コロナ禍において緊急一時的な生計維持のための支援として実施しまして、延べ三百八十二万人、総額で一兆四千四百億円を超える状況になってまいりまして、多くの方々の生活を下支えてきたものと考えております。
この特例貸付けにおいては、住民税非課税の方などを償還免除の対象としているほか、免除の対象とはならないものの償還が困難な方々に対しましては償還猶予や少額返済を認めるなどの対応をした上で、就労支援、家計改善支援など、借受人の状況に応じた必要な支援をつなぎとして行ってきているところでございまして、償還が可能な方については適切に償還していただく必要があるとは考えております。
いずれにしましても、個々の借受人の状況に応じた支援につながるよう、丁寧に対応していくことが重要と考えております。
引き続き、償還が進んでいない方々を含め、現在の生活状況を個別に把握しながら、適切な支援が実施されるように取り組んでまいります。
○高井委員 確かに個別の事情がそれぞれありますから。ただ、それを余り求め過ぎると、本当に社協が、社会福祉協議会がまたパンクをしてしまう、大変なことになってしまいます。
これは、四年前、私、何度も厚労委員会で取り上げて、厚生労働省も随分前向きに対応してくださいました。緊急小口資金と総合支援資金という、緊急小口は最初だけなんですね、そこから数か月は総合支援資金という制度なんですけれども、これを何とか延長してくれということを私は求め、実際、延長になったんですけれども、しかし、何度も厚労省と私、直接、当時の係長さんと物すごくやり取りしましたよ。やはり、本音は財務省なんですよ。やはり厚労省としては、やってあげたいけれども財務省を説得できない、財務省からきつく言われていますということが、国会の答弁ではそう言わないけれども、本音というか、実情は間違いなくそうですよ。
そういう意味では、大臣、私はこの財務金融委員会でこれをやりたかったんですよ。厚労委員会で幾ら言っても、財務省、来ても、しかも全く木で鼻をくくったような答弁なので。本当に困っている方々の切実な、そして、救済してあげたら物すごく自民党の支持率も上がりますよ。加藤大臣の株、爆上がりですから、是非、返済免除、厚生労働省とちょっと前向きに進めていただけませんか。
○加藤国務大臣 私も、厚労大臣をやっておりましたし、まさにそれに関しても、スタートのときは田村大臣だったと思いますけれども、その後、延長、延長もさせていただきました。特に社会福祉協議会の皆さんには、本当に御苦労いただいているところでございます。
今のお話ありましたけれども、要するに、返済できる方に関してはやはりしっかりと返済を求めていくということが、元々のお金が国民の税金でありますから、国民の中の公平感といった意味においても、それはやはりしっかり果たしていかなきゃいけない。他方で、もう返済できないという方に関しては、先ほど説明があったような対応をさせていただいているところでありますし、それから、もう一つ言わせていただくと、社会福祉協議会としては、実は、返済できない方について支援するということが本当は逆に必要になってくるだろうと思っております。
そういったことを含めて、現場においてしっかりと現状に合った対応をしていただくということが大事だと思っておりますけれども、ただ、あくまでも貸付けということでありますから、返済できる方に関してはしっかり返済していただく。一方で、できない方に関して、あるいは現状においてできなくなってしまった方に関して、これについては今、厚労省においても適宜判断していただいているものというふうに認識をしています。
○高井委員 通告せずに答えていただいてよかったです。財務省が答弁を書いたら、絶対、今みたいな前向きな答弁にならない。やはり厚労大臣を経験しているから分かるんですよね。社協がどれだけあのとき苦労したか、そして、これを厳密に取り立てようと思ったらここから社協がまたどれだけ苦労するか、そのことを、やはり厚労大臣を経験して財務大臣になっている方というのは、私はすごくいいパターンだと思うので。多分、財務省の事務方、吉野次長あたりは絶対駄目ですと言うと思いますけれども、これを是非ちゃんと説得していただいて。やはり、厚労省の現場は、本当に何とかしてほしいんですよ。財務省が、吉野次長がうんと言わないからなので、そこは大臣のリーダーシップで是非やっていただきたい、そのことをお願いいたします。
それでは、次に、おとといのこの場で、国債発行の是非について、まあさっき本会議でも私、取り上げましたが、大臣はこういう答弁をしています。総合的に判断しながら、市場における財政運営に対する信認を失うことがないよう引き続き努力すると。これは何度も聞いた答弁なんですけれども。最近のキーワードは、市場における信認なんですよ、財務省は。とにかくこれを失わない。だけれども、極めて曖昧な、市場の信認というのは、じゃ、誰がどうやって判断するのと。
格付会社の話をよくしますけれども、そんなのは一つの指標で、私が示している、あるいは江田委員が示しているクレジット・デフォルト・スワップは、極めて日本はいいわけですから。やはり、まさに市場の信認というのは、クレジット・デフォルト・スワップがその大きなメルクマールだし、だから、それを、総合的に判断すると言うんですけれども、どうやって判断するんですか。総合的に、どういう指標に基づいて、誰がどういう方法で、どういう指標に基づいて判断するのか、ちょっと具体的に教えてください。
○加藤国務大臣 今の委員の引用された部分は、私が、市場参加者が、様々な要因を総合的に勘案し、財政の持続可能性に対する判断を下すことによって決定されるという部分を多分、引用されたんだと思います。
したがって、誰がといえば、市場参加者の方々ということになるわけであります。
じゃ、その市場参加者の方々がどういう点にということに関して申し上げれば、これはもう従前、前も予算委員会で申し上げたところでありますけれども、現在の経済、財政の状況に加え、GDP、金利、物価を含む経済状況の今後の見通し、人口減少、少子高齢化、気候変動といった構造的な変化の動向、これまでの財政運営に対する評価や今後の財政運営に対する政府の姿勢、これを支える制度面の枠組みなども踏まえた今後の財政運営に対する見通しなどをまさに総合的に勘案した結果として、市場参加者の方々が判断される、そして財政の持続可能性に対する評価が下される、こういうふうに認識をしています。
○高井委員 市場参加者の方が判断するといっても、それは結果が出てきませんよね。実際に国債を発行するかしないか決めるのは財務省ですから、財務大臣ですから。そこをどうやって、どういう指標に基づいて、あと、そういう議論をする場があるのか。
これはちょっと吉野次長で結構ですが、国債をどの程度まで発行できるのかというのは財政審議会でちゃんと議論しているんですか。どのくらいの時間、何時間、それから、どういう中身で、どういう主張でそういう議論をやっているのか、ちょっと教えてください。
○吉野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からも御答弁がありましたとおり、国債をどの程度まで発行できるのかにつきましては、あくまで、市場参加者が、様々な要因を総合的に勘案いたしまして、財政の持続可能性に対する判断を下すということによって決定されるものであると考えておりまして、政府自身がコントロールできるものではないと考えております。
その上で、財政制度等審議会におきまして、こうした国債発行も念頭に置きまして、財政の持続可能性に関する議論について網羅的にどのような議論が行われたかをお答えするのはなかなか難しいですけれども、例えば、昨年十月十六日、九時から十一時まで審議会が開かれておりましたり、本年四月九日、十四時から十六時まで財政制度分科会が行われておりましたが、そのような場におきまして、国債の安定消化などに向けた市場の信認を維持するための財政規律の必要性について、国債の保有者別割合の推移や、利払い費と金利の推移などの資料を用いて議論を行っております。
その際、委員の方々からは、例えば、これまで国内で国債が安定的に消化されてきたけれども、短期国債を中心とした海外の国債保有割合の増加などの状況変化も踏まえ、今後、金利がどのように変化し、財政にどのような影響を与えるのか注視する必要、若しくは、世界的に財政規律を緩める動きがあり、トランプ政権による相互関税の発動などを受けて国内でも歳出拡大、減税圧力が高まっており、現下の日本の厳しい財政状況を踏まえても、中長期的な財政の持続可能性が損なわれないように対応すべきといった趣旨の御発言があったところでございます。
○高井委員 何か、市場が判断するというのが多いんですけれども、国債を発行するかどうかというのは市場が決めるわけじゃないですよね。市場は、何かの指標に判断を示すけれども、それをやはり最終的に決めるのは財務省だし、それを議論する場が財政審議会。私は財政審議会だけじゃ足りないと思っていますが、こういうプロセスが何か今の答弁では全く分かりませんでしたので。ちょっともう、今日、二度、監督局長に来ていただいて空振りになっているので、これは次回に送りますが。
そこを本当にやはり、私は全然議論されていないと思うんですよ。とにかく、何か、財政が悪化しているから国債はびた一文発行できないんだみたいな、その一点張りで、本当に何かやろうと思ったら、川内委員も午前中言っていましたけれども、政策、必要なことをやろうとしても財源が必ず先に来ると。だけれども、都合のいい、法人税減税のときは財源の議論はなかったし、防衛費を増やすときだって財源の議論はほとんどない。これはやはりおかしいですから、どういう経過で、国債をどこまで発行できるのかという審議をしっかり示していただきたいと思います。
それでは、伊藤局長、スルガ銀行の話、最後に聞きたいと思いますが、業務改善命令が出ている中で、先日、報告徴求命令を出した。これは一定評価しますよ。我々、国会でこれだけ取り上げたからね。まさに業務改善命令中に報告徴求命令を出すというのは異例だと新聞にも書いてましたが、なぜ命令を出したのか、理由を教えてください。
○伊藤(豊)政府参考人 お答え申し上げます。
スルガ銀行の不正融資問題に関しましては、二〇一八年十月の業務改善命令の発出から六年以上が経過しているにもかかわらず、いまだに最終的な解決に至っていない債務者の方が多数おられます。このような状況は大変問題であると金融庁として考えておりまして、スルガ銀行に対しまして問題の早期解決に向けた対応を強く促していくため、五月十三日、同行に対して、改めて、銀行法に基づく報告徴求命令を発出したところでございます。
この報告徴求命令の中では、アパマン向けの融資に関して全ての債務者の個別解決に至っていないということにつきまして、解決に向けた取組が長期化している理由、期限等を示した上で、今後、早期解決を図っていくための具体的な改善策について報告を求めておりますけれども、金融庁といたしましては、この報告徴求命令を通じて、スルガ銀行に対して早期解決に向けた具体的な追加対応を強く求めつつ、必要十分な対応が取られるかどうかについてしっかりと確認してまいりたいというふうに考えておりまして、金融庁といたしましては、こうした対応を通じて、債務者の方々にとって可能な限り早期に問題解決が図られるように促してまいりたいと考えております。
○高井委員 もっと聞きたかったんですけれども、時間になってしまいましたので終わりますが、これは、自民党、公明党、それから立憲民主、国民民主、それから共産党、れいわ、これだけの党が国会で聞いているんですよ、質問しているんですよ。これは本当に局長の任期中に解決してほしいと、決意を聞きたかったんですけれども、時間になってしまったので、また質問します。
どうもありがとうございました。
○井林委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
消費税の税率を一律に五%へと緊急に減税すべきだ、これは、私たちの党は、コロナ危機以降、とりわけ緊急政策として繰り返し求めてまいりました。今国会では、年収別の税負担割合という新しい資料を私も提出し、財務省にも提出していただいた。世帯年収九百万円まで、最も重い税負担が消費税であるということも明らかにしてきたところです。五%への減税は、このように、全ての国民に対する減税として重要な政策だと思います。そして、複数税率を解消することで、インボイスの廃止を確かなものにできます。
今日は、インボイス廃止もまた緊急の課題だということで、改めて取り上げます。
まず、事実確認です。二〇二四年分の消費税の確定申告の状況について、三点確認します。
一つに、個人の消費税の確定申告件数、二つに、二〇二四年中に免税事業者からインボイス発行事業者になった件数、そして三つ、そのうち期限内申告者数を、分かりましたら示してください。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
少し順序を変えてお答え申し上げますが、まず、令和六年、二〇二四年中に免税事業者からインボイス発行事業者になった個人事業者でございますが、これは、新たに事業を開始された方も含めまして約二十三万者となっております。
また、個人事業者の消費税確定申告の状況につきましては、例年五月末を目途に公表しているところでございまして、令和六年分の個人事業者の消費税確定申告の状況は本日十六時に公表予定でございまして、現時点で確たる数字を申し上げることができないわけでございますが、現場からの報告なども踏まえた、申告状況という形で申し上げますと、令和六年分の個人事業者の消費税の期限内申告件数は令和五年分の申告件数を上回る見込みということでございます。
○田村(智)委員 今日の四時だったら、もう二時間切っているから、マスコミには言えて国会には言えないというのはちょっと私はおかしいと思うんですけれども。
まず、昨年、新たにインボイス、つまり課税事業者になったのが百四・八万人。そこに更に二十三万人が加わるということだと思いますね。廃業した方もいらっしゃるかもしれませんけれども。
今年は、インボイス制度が始まって二回目の確定申告で、初めて十二か月分の納税となります。昨年は三か月分でしたので、売上げなどが同じでも消費税の納税額は四倍になるということです。
今年の確定申告で、滞納者数及び新規発生滞納額、これは増えているのかどうか。暫定値でも傾向でもいいので、分かりましたらお答えください。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年度の消費税の滞納状況ということになりますけれども、これにつきましては、今後集計を予定しているところでございまして、現時点ではお示しできないことを御理解いただきたいと考えております。
○田村(智)委員 こちらは例年八月ということですから、しっかり見ていきたいと思うんですが。
二月十二日のこの委員会でも指摘しましたけれども、二〇〇九年以降、新規発生滞納額のうち、消費税が半分以上を占めています。そして、二〇二三年分では消費税だけが対前年比で二割増しになってしまった。加藤大臣も財務省も、このときの答弁では、いろいろな原因によるものだということだったんです。
しかし、免税業者が百万人を超えて新たに消費税の納税を求められるという激変が起きたのですから、インボイスによる影響がどうなのかということは、むしろ積極的に調査してしかるべきだと思います。まして、今年は、売上げは同じでも、四倍の消費税の納税が求められるということですから、新規発生滞納額で消費税に更に増加傾向が見られた場合、これは積極的にインボイスの影響調査を行うべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
消費税の新規発生滞納額が、新規発生滞納額の五〇%以上を占めているということでございます。国税全体の新規発生滞納額は、近年、平成四年のピーク時の四割ということで減少しているわけでございますが、その中で消費税が五〇%以上を占めているという現状でございます。
他方、滞納の原因ということでございますが、これは、個々の納税者の事業の状態、資金繰りなど様々な事情により発生するため、その多寡や増減等の要因について、確たることは申し上げられないということでございます。
消費税ということでございますけれども、これは、申告等で消費税として課税された額が、これは徴収決定済額と申しておりますが、これがそもそも他の税目に比べて多いということによる影響が全体として見ればあるというふうに考えているところでございます。
○田村(智)委員 是非、インボイスの影響、これは額としては小さいかもしれないんですよ、大きな額の取引ではない方々が免税業者だったわけですから。しかし、件数等々を含めて、私は積極的な調査を改めて求めたいと思います。
そして、インボイス制度を考えるフリーランスの会、いわゆるストップインボイスという運動を繰り広げている皆さんが、一万人のインボイス実態調査を行い、十八日間で一万人を超える回答が実際に寄せられました。僅か十八日間です。おととい二十八日、この実態調査のまとめを財務省にも手渡して、改めてインボイスの廃止ということを要請しました。
これはおとといのことですから、まだ渡っていないかもしれないんですが、加藤大臣、この実態調査、まだお手元に届いていないですかね。
○加藤国務大臣 済みません、まだ目にしておりません。
○田村(智)委員 私も資料で配ればよかったんですけれども、是非、財務省、届けてくださいね、受け取っているはずですから。
この実態調査のまとめでは、インボイス登録事業者の約八割が消費税等の負担を価格転嫁できていない、これは直近、最近の資料ですからね、そう答えています。それで、新たに生じた消費税納税額や事務コスト費用をどのように捻出したか。最も多い回答が、所得や貯蓄から捻出した、四割超に上ります。借金をして支払ったという回答も一割を超えています。例えば、東京都、六十代、建設、土木の個人事業主です。住民税が非課税なのにインボイス消費税を一か月分の生活費相当くらい払わなければならない、どう考えても単なる増税としか思えない。また、京都市、五十代、この方も建設、土木、電気等のインフラ整備の個人事業主です。今年は消費税払うために消費者金融で借金しました、借金重ねて税金払って自己破産するしかありません。
財務大臣、これは消費税納税の在り方として適切なものだと思われますか。住民税非課税という方が、一か月分の生活費相当の消費税を、まさに生活費を食い潰して支払っている、消費者金融から借りて消費税を納税している。適切な在り方ですか。
○加藤国務大臣 住民税と消費税、そもそも違うことは委員御承知のとおりでありますから、消費税は、あくまで売上げに関して受け取る消費税額の一部から納税をしていただくという仕組みになっているわけでございます。
その上で、納税者からそうした一括納付が困難というような御相談を受けた場合には、納税者の実情などを十分に把握した上で丁寧に対応することとしておりまして、必要な場合には法令に基づく猶予制度の適切な適用もされていると承知をしております。
今後とも、それぞれの事業者の抱える課題等をしっかり把握をし、また、きめ細かい対応をしていかなければならないというふうには考えております。
○田村(智)委員 そうなんですよ。だから、利益とか所得じゃなくて売上げにかけられてしまうから、今紹介した声というのは建設なんですけれども、建設は一回の売上額が大きいですよ。本当に払うのが大変になっているわけですよ。
今日、国土交通省にも来ていただいていまして、私は二月のときにもお聞きしたんですけれども、一人親方や職人、これは高齢化で人手不足が既に深刻な状況ですが、インボイスによる廃業ということの声が、この一万人のインボイス実態調査の中でも次々と表れてきているわけですね。仕事を発注する側もそうなんですよ。例えばこういう方がいますね。私たち職人の世界は、手伝ってもらう職人や作業員がインボイス登録事業者か否かで人を選んだりはしていない、その分を発注元がかぶっていると。これでは受ける側も発注する側も共倒れになってしまう。
特に、今の二割特例のような、まだ減額で消費税の納税ができている状態ですよ。これがなくなったらもう廃業するしかないと、切実な声があふれています。建設業の危機を迎えると思います。いかがですか。
○堤政府参考人 お答えいたします。
インボイス制度による一人親方等への影響につきましては、業界団体等が行った調査において、収入が減るなら廃業を検討するとの声や、経過措置終了後の廃業、転職を視野に入れているなどの声が一定割合あると承知しております。
国土交通省といたしましては、インボイス制度の導入を契機に一方的な形で受注者の収入が減ることのないようにすることが重要であると認識しておりまして、消費税相当額の取引価格への反映について、注文者と受注者の間で十分に協議を行うことが必要だと考えております。そのため、令和六年四月に、各建設業団体に対して、当事者間で十分に協議し、適切な価格交渉と価格転嫁を行うよう改めて求めたところでございます。また、駆け込みホットラインにおいて、建設業法違反が疑われる不適正な取引情報を随時受け付けておりますので、必要に応じて建設Gメンが調査を行い、改善を強く求めてまいります。
加えまして、インボイス制度に限らない話として申し上げますが、一人親方など現場を担う方々の離職、廃業を防ぐには、取引の中で十分な労務費が確保されることが重要でございます。このため、昨年、建設業法を改正し、労務費の確保と行き渡りを図るための標準労務費制度を創設したところでございます。こうした制度も活用しながら、一人親方など現場を担う方々にまで適正な水準の労務費が行き渡ることとなるよう、しっかり取り組んでまいります。
○田村(智)委員 そうなんです。労務費の単価を引き上げると、また取引価格が上がって、消費税の納入額も増えていくと。もう八方塞がりという声が出てきているんですよ、八方塞がりと。
これは、一万人のインボイス実態調査だけではありません。日本商工会議所と東京商工会議所の実態調査、これは昨年九月に公表されているものですけれども、制度導入を契機とする収益の変化はどうかと。これは、免税業者からインボイス登録にした業者の中の約六割、五四・九%が減収したと回答しているんですよ。価格交渉をしていないは八五・六%と、圧倒的なんですよ。
価格の上乗せができるようにということばかりが答弁されますが、そういうのを机上の空論というんじゃないでしょうか。現に価格の転嫁ができていないのに、インボイスだといって消費税の納税だけは求められる。
これは是非、加藤大臣、受け取っていただいて、これは二冊あるんです、統計的にして円グラフとかを示したものと、声、怨嗟の声です。国に殺される。まさに、さっき言った八方塞がり。これをまず受け取ってお読みいただいて、インボイスがどれほどの影響を与えているか、よく吟味していただきたい。それをお約束いただきたい。いかがですか。
○加藤国務大臣 まず、何しろ目を通させていただきたいというふうに思います。
○田村(智)委員 この怨嗟の声は、選挙を戦う皆さんには非常に響いているようで、六月から東京都議会議員選挙が始まりますけれども、自民党のある予定候補者は、自らのビラに消費税減税と記す事態ですよ。もう、そう言わなきゃ選挙に勝てない、それぐらいの怨嗟の声が、今、町じゅうにあふれているということです。
消費税の五%への減税、そして複数税率を解消してインボイスの廃止、まさに緊急に求められている、このことを強調いたしまして、質問を終わります。
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○井林委員長 次に、内閣提出、信託業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣加藤勝信君。
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信託業法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○加藤国務大臣 ただいま議題となりました信託業法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
昨年の通常国会において成立いたしました公益信託に関する法律により、公益信託に係る内閣総理大臣又は都道府県知事による認可制度及び受託者規制等が設けられたことを踏まえ、公益信託の円滑な活用を図るため、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
公益信託の引受け又は公益信託に係る信託契約の締結の代理若しくは媒介について、信託業の免許又は信託契約代理業の登録等に係る信託業法の規定の適用を除外することといたします。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○井林委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る六月三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十五分散会