第2号 令和7年11月21日(金曜日)
令和七年十一月二十一日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 阿久津幸彦君
理事 高村 正大君 理事 中西 健治君
理事 牧島かれん君 理事 大串 博志君
理事 藤岡たかお君 理事 水沼 秀幸君
理事 萩原 佳君 理事 田中 健君
安藤たかお君 井上 貴博君
井林 辰憲君 大空 幸星君
加藤 勝信君 神田 潤一君
後藤 茂之君 坂井 学君
島田 智明君 高見 康裕君
橘 慶一郎君 田中 和徳君
土田 慎君 長島 昭久君
平沼正二郎君 福原 淳嗣君
藤丸 敏君 古川 禎久君
三反園 訓君 稲富 修二君
江田 憲司君 海江田万里君
川内 博史君 後藤 祐一君
柴田 勝之君 西村智奈美君
長谷川嘉一君 松尾 明弘君
三角 創太君 矢崎堅太郎君
池畑浩太朗君 市村浩一郎君
梅村 聡君 岸田 光広君
赤羽 一嘉君 竹内 譲君
中川 宏昌君 高井 崇志君
田村 智子君
…………………………………
議員 重徳 和彦君
議員 大西 健介君
議員 青柳 仁士君
議員 田中 健君
議員 岸田 光広君
議員 辰巳孝太郎君
議員 鈴木 敦君
議員 島田 洋一君
議員 新垣 邦男君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 片山さつき君
総務副大臣 高橋 克法君
財務副大臣 中谷 真一君
内閣府大臣政務官 金子 容三君
総務大臣政務官 梶原 大介君
財務大臣政務官 三反園 訓君
国土交通大臣政務官 加藤 竜祥君
国土交通大臣政務官 上田 英俊君
政府参考人
(金融庁監督局長) 石田 晋也君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 福田 毅君
政府参考人
(財務省大臣官房総括審議官) 前田 努君
政府参考人
(財務省主計局次長) 一松 旬君
政府参考人
(財務省主税局長) 青木 孝徳君
政府参考人
(財務省国際局長) 緒方健太郎君
政府参考人
(国税庁次長) 田原 芳幸君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 木村 大君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 長崎 敏志君
参考人
(日本銀行総裁) 植田 和男君
参考人
(日本銀行理事) 中村 康治君
参考人
(日本銀行決済機構局長) 武田 直己君
財務金融委員会専門員 二階堂 豊君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十一日
辞任 補欠選任
土田 慎君 島田 智明君
長島 昭久君 平沼正二郎君
福原 淳嗣君 高見 康裕君
藤丸 敏君 後藤 茂之君
鈴木 庸介君 柴田 勝之君
矢崎堅太郎君 川内 博史君
梅村 聡君 池畑浩太朗君
中川 宏昌君 赤羽 一嘉君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 大空 幸星君
高見 康裕君 福原 淳嗣君
平沼正二郎君 長島 昭久君
川内 博史君 矢崎堅太郎君
柴田 勝之君 鈴木 庸介君
池畑浩太朗君 梅村 聡君
赤羽 一嘉君 中川 宏昌君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 土田 慎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案(重徳和彦君外十名提出、第二百十八回国会衆法第一号)
財政及び金融に関する件
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○阿久津委員長 これより会議を開きます。
財政及び金融に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁植田和男君、日本銀行理事中村康治君、日本銀行決済機構局長武田直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、金融庁監督局長石田晋也君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○阿久津委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。神田潤一君。
○神田委員 皆さん、おはようございます。自由民主党・無所属の会の神田潤一です。
まずは、片山財務大臣、女性初の財務大臣に御就任いただいたこと、おめでとうございます。本日はよろしくお願いいたします。
片山大臣には、私が当選してから自民党の金融調査会などで大変お世話になっておりました。また、政界に入られる前は大蔵省で主計官まで務められた。こういう経歴で財務大臣になられた方は余り今までいらっしゃらないと思います。そういう中で、高市政権のまさに力強い経済を実現していく上で大変重要な責任ある積極財政を担われる、非常に大事なポストに就かれたということになります。まさに、高市総理大臣との関係性なども含めて、最適任の片山大臣が最重要のポストに就かれたというふうに考えております。
まずは、財務大臣に就かれた御感想や意気込みをお聞かせいただければと思います。
○片山国務大臣 御質問ありがとうございます。
委員におかれては、金融調査会長としても大変お世話になりまして、ありがとうございます。
大蔵大臣時代から財務大臣、今回私は金融担当大臣も兼ねておりますが、に至って、この国では女性はいなかったというのは事実でございます。それは大変、今回、任をいただいて身の引き締まる思いでございますが、今までも、女性だからこの仕事をしてきたわけではありませんから、そこで余り気張ることなく、いただいた担務が大変重いですし、責任ある積極財政というのは、本当に細き、間違ってはいけない道を行く、それが完遂しないと達成できないものでございますから、今委員会の皆様のお力もおかりして何とか達成してまいりたい、その責任感でいっぱいでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○神田委員 今、大変重い責任感というお言葉がありました。我々も、その責任感を共有しながら、しっかりと進んでいきたいというふうに思います。
それでは、最初の質問に参ります。まず、今回の高市内閣の経済対策あるいは補正予算が現在まとめられようとしているところでありますが、その目玉政策の一つでありますガソリンの暫定税率の廃止についてであります。
高市政権が成立してから非常に迅速なスピードで与野党六党で協議が進められ、財源確保の諸課題を含めて十一月五日に合意に至ることができたということで、これについては、非常に、高市政権のスピード感、そして国民の皆さんが感じている物価高の痛みに直接働きかける解決策という点で、高く評価できるというふうに考えております。
これに関しまして片山大臣の受け止めをお聞かせいただきたいと思いますし、また、合意を踏まえた安定財源の確保につきまして、大臣の今後の意気込みについてもお聞かせいただきたいと思います。
○片山国務大臣 今年八月以降の与野党六党の実務者間で、財源確保、流通への影響、地方財政への配慮などの諸課題について本当に精力的に議論を続けてこられ、十一月五日に、安定財源確保の方針を含めて、六党で年内の暫定税率廃止の合意に至ったことは大変意義深いことと考えておりまして、関係者の皆様の御尽力に対し、改めて心から敬意を表させていただきます。
この合意におきましては、財源確保の具体的な内容を含め、合意の実現に必要な野党提出法案修正案、予算案及び税制改正法案などについて引き続き各党が御協力されて誠意を持って取り組むということにされておりまして、政府といたしましては、この合意を踏まえ、真摯に、適切に対応をさせていただきたいと思っております。
○神田委員 ありがとうございます。
ガソリンの暫定税率の廃止の合意と同時に、来年四月には軽油引取税の暫定税率についても廃止に合意が至っているところであります。
総務省さんからの資料を皆さんのお手元に配付しておりますが、ガソリンの暫定税率と軽油引取税の暫定税率の廃止を合わせまして、一番下のところにありますように、約五千億円の財源が都道府県や市町村などの地方の財源として減少するという試算も出ております。地方の首長さんたちからは、この減少分に対して非常に心配する声も上がっているところであります。
政府としてどのような方針で臨むのか、是非、この首長さんたちの心配を払拭するような力強い御答弁を総務省の政務からいただきたいと思います。
○梶原大臣政務官 お答え申し上げます。
まず、令和七年度の影響額についてでございますが、軽油引取税の暫定税率は維持をされますので減収は生じないこと、そして、地方揮発油譲与税は、十二月三十一日に暫定税率が廃止をされますが、今年度の影響額について影響はほぼないと承知をしているところであります。
そして、令和八年度以降については、今後精査が必要でございますが、軽油引取税について、先ほどおっしゃられましたように、約四千八百億円の減収、そして地方揮発油譲与税については約三百億円の減収を見込んでおり、約五千億円の減収に対する安定財源の確保が重要な課題となってまいります。
今般の与野党六党間の合意におきましては、地方の安定財源については、税制措置による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、速やかに結論を得る、安定財源確保が完成するまでの間、地方の財政運営に支障が生じないよう、地方財政措置において適切に対応をすることとされております。
また、先ほど委員からもおっしゃられましたけれども、地方からは、地方の恒久的な減収に対する代替となる恒久財源の確保について検討してほしいとの強い御要請も伺っておるところでございます。
総務省といたしましては、与野党六党間の合意を踏まえつつ、今後の税制改正及び地方財政対策において地方の安定財源の確保に向けて努力をしてまいります。
○神田委員 ありがとうございます。
是非とも、地方の税収の減収に配慮をしっかりした上で進めていただきたいというふうに思います。
それでは、金融、経済の情勢について伺いたいと思います。
私は現在、この経済、金融情勢につきましては二つのリスクを感じております。一つ目は景気動向についてで、もう一つは為替レートなど市場の動きについてです。
一つ目の景気動向については、直近の七月から九月のGDP速報で実質成長率が年率換算で前年比マイナス一・八%と、六四半期ぶりにマイナスになりました。ただ、これにつきましては、今週、城内大臣の方から、これは一時的なものである、自動車などの輸出、あるいは住宅ローンの駆け込み需要の剥落といったようなことが原因であって、個人消費は根強い、また設備投資も非常に力強いということで、景気は引き続き拡大しているという声明も出ております。ですので、これについては質問は省略させていただきます。
一方で、二つ目のリスクである為替レートや市場の動きにつきましては、高市総理が自民党総裁に就任する前は一ドル百四十七円程度でしたが、現在は百五十七円の後半まで円安が進むという状況となっています。こうした中で、十九日の夕方には、片山大臣と城内大臣、そして日銀の植田総裁との三者の会談が行われたという報道もなされております。この会談の中で、為替レートの急激な変動についてどのような話があったのか。あわせまして、日銀の利上げについても報道が増えてきているところであります。この日銀の利上げについても、どのような対話が行われたのか。もし大臣のお考えも含めて伺えれば、お話しいただける範囲で御紹介いただければというふうに思います。
○片山国務大臣 この十九日に、植田日銀総裁それから城内経済財政政策担当大臣をお呼びして会合というか面会を行いまして、その場では、政府と日銀は緊密に連携し、賃金上昇を伴った持続的、安定的な物価上昇と持続的な経済成長の実現に向け、政策運営に万全を期すことで、三者で再確認を行ったということでございます。
この金融政策の運営につきましては、従来から植田総裁がおっしゃっているように、経済、物価情勢の改善に応じて金融緩和の度合いを徐々に調整していくことになる旨の説明がございまして、これ以上具体的な内容についてはコメントを差し控えますが、いずれにしても、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきものと考えております。
また、金融市場の動向については、市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていくということを確認をいたしました。
その上でさらに為替の動向について申し上げますが、具体的にコメントすることは、不測の影響が市場に及ぶので、いつものように差し控えておりますが、足下で一方向な、また急激な動きが見られて憂慮をしております。
そもそも、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、政府としては、投機的な動向を含め、為替市場における過度な変動や無秩序な動きについては、九月に発出した日米財務大臣共同声明、この考え方を踏まえ、必要に応じて適切な対応を取ってまいります。
○神田委員 ありがとうございます。
財政の運営につきましては中長期的な持続性ということも非常に大事でありますが、一方で、英国のトラス・ショックなどもありましたので、短期的な動き、特に金利の上昇なども含めて非常に注視していかなければならない。まさに大臣のおっしゃるとおりだと思います。是非とも、毅然とした対応を取ることも含めて、政府としてしっかり御対応いただければと思います。
それでは、ここからは金融担当大臣として伺いたいと思います。
まず、資産運用立国についてです。
私は、自民党の資産運用立国議連の事務局などを務めておりますし、また、二〇二四年一月のNISAの抜本的な拡充と恒久化のスタートの際には、金融庁の担当の大臣政務官を務めておりました。当時は、私のことをミスターNISAというように言う方が日本で五人ぐらいはいたのではないかというふうに思っております。
このように岸田政権や石破政権と取組を継続してきた資産運用立国については、我が国における長年の課題であった貯蓄から投資への動きを実現し、成長資金の供給を通じて我が国経済を新たな成長軌道に導く、まさに力強い経済をつくるという、高市政権でも大変重要な政策だというふうに考えております。
今後、子供支援NISAなどの多様な世代の資産形成手段の拡充、あるいは地域金融力の強化など、更に資産運用立国を進めていくことを我々としては求めたいと思っておりますが、片山大臣の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○片山国務大臣 委員におかれましては、ミスターNISAと、五人ではなくてたくさんの方がおっしゃっていると思いますが、非常に御尽力をいただいて、資産所得倍増プランや資産運用立国実現プランの牽引に御貢献をいただき、ありがとうございます。
NISAは、本当に十八歳以上の国民の四人に一人が口座を保有する計算になっておりまして、累計の買い付け額の政府の目標が五十六兆円だったんですが、大分前倒しで達成できているというような一定の成果はございますが、今期、更なる拡張ということで、昨日始まりました党税調の方でももう検討が始まっておりますので、こういったことも通じまして、金融を通じて成長戦略を加速させる資産運用立国に向けて、貯蓄から投資の実現を更に発展させてまいりたいと思っております。
具体的に、コーポレートガバナンス改革、それから企業への成長資金、リスクマネーの供給の強化、また、今申し上げたNISAの一層の拡充、これは家計の安定的な資産形成の支援という意味でございますが、資産運用サービスの高度化、アセットオーナーの機能拡充等の取組をしっかりと推進してまいります。是非、応援をいただきたいと思います。
○神田委員 質問の時間が終わりましたので、最後、暗号資産法制の見直しについても伺いたいと思っておりましたが、またの機会にいたします。是非とも投資家保護あるいはセキュリティーも含めてしっかりと御検討いただければということを申し添えたいと思います。
ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、稲富修二君。
○稲富委員 どうもおはようございます。立憲民主党の稲富でございます。
片山大臣、御就任、まずはおめでとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど、神田先生からもガソリン暫定税率の廃止について御質問がありました。私も、この点について幾つか確認をさせていただければと思います。
まず、運輸事業振興助成交付金についてお伺いします。
与野党六党の合意では、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応した上で、軽油引取税の暫定税率を廃止することとされております。
この運輸事業振興助成交付金は、アルコール検知器やドライブレコーダーなど、安全機器の導入助成などの安全運行対策、低公害車やアイドリングストップ機器の導入助成などの環境対策など、社会の要請に応える使途に使われており、その重要性は暫定税率廃止後も変わりません。与野党六党協議で、当初、合意文書案に入っていなかった運輸事業振興助成交付金という文言を追記したのも、交付金制度の維持を前提にしたものと受け止めております。
与野党合意を踏まえた軽油引取税の暫定税率廃止後も、是非とも現行の交付金制度を維持していただきたいと考えますが、大臣の見解を伺います。
○片山国務大臣 御指摘の運輸事業振興助成交付金につきましては、先日の暫定税率廃止に関する与野党六党の合意において、当該交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応ということにされたと承知しております。
その取扱いにつきましては、この交付金を所管している総務省及び国土交通省において、与野党合意も踏まえて、この交付金を維持する上での課題を含めて適切な検討がなされ、しっかり必要な対応が取られるものと考えております。
○稲富委員 続きまして、沖縄県のガソリン税について伺います。
現在、沖縄県のガソリン税については、政令で、本土よりも七円、割合にして一三%の減額が行われております。暫定税率廃止後、この負担軽減措置について、七円という額を維持するのか、一三%という割合を維持して額にして三・八円引きとするか、議論があると承知しております。
ただし、多くの離島を抱えていること、県民所得が依然として全国最低水準にあることなどに鑑みれば、沖縄に対しては引き続き手厚い支援が必要であると考えます。
本件については、与野党六党協議の枠組みで結論を出すことになっていると承知しております。引き続き、沖縄県への負担軽減措置として七円の減額を維持すべきと考えますが、大臣の見解を伺います。
○片山国務大臣 いわゆるガソリンの暫定税率廃止後の沖縄県の軽減措置の取扱いについては、今般の与野党六党の合意においては、沖縄県については、これまでの経緯や地域の実情を踏まえ、本則税率の軽減措置を講ずるとされているものと承知しております。
沖縄の軽減措置の具体的な内容については、今後、これまでの経緯や地域の実情を踏まえた検討が必要となりますが、政府としても、沖縄復帰特措法の趣旨を踏まえ、軽減措置を継続してまいりたいと考えております。
○稲富委員 軽減してまいるという言葉がありました。ありがとうございます。
続きまして、ガソリンスタンド現場の混乱について伺います。
先週十一月十三日にガソリン補助金が五円増額をされました。非常に短期間の中、関係者の御努力によって、石油製品価格調査の結果によれば、十一月十七日時点のレギュラーガソリン店頭小売価格は、その前の週と比べて一リットル当たり三・七円下がりました。十一月七日に通知し、十一月十三日からの補助金引上げという非常に短期間の措置となりましたが、関係者の皆様の御努力に心から感謝申し上げます。
そこで、お尋ねします。このような短期間の対応になることに伴って、ガソリンスタンド現場での混乱は生じていないのか、その点についてお伺いします。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
十一月十三日より補助金の拡充を行っておりますけれども、その実施に当たっては、消費者による買い控え、反動増や、繁忙期である冬期での燃料の配送の逼迫といった流通の混乱を極力抑える観点から、元売に対しまして配送体制の確保等への協力要請を行うとともに、政府広報を始め様々な媒体を通じまして、消費者に対して十分な周知、広報を行っているところでございます。
石油元売やガソリンスタンドの業界団体に確認したところ、現時点におきましては、流通や販売の現場において品切れ等の大きな混乱は発生していないと聞いているところでございます。
今後も、段階的に補助金を拡充してまいりますので、現場への影響についてはしっかり注視してまいりたいと考えてございます。
○稲富委員 ありがとうございます。特段の混乱はないということで、引き続きお取組をよろしくお願いいたします。
続きまして、ガソリンスタンドへの財政支援についてお伺いします。
地方や離島地域のガソリンスタンドなどでは、在庫の回転に一か月以上あるいはそれ以上要するところも少なくありません。今回、自民党総裁選という党内事情によって補助金の拡充や暫定税率廃止への切替え期間を短くせざるを得なかったということについて、自民党側からは率直におわびもありました。その上で、与野党協議においては、政治側の事情でガソリンスタンドの皆様に御負担をおかけすることがないよう、必要な対応を行うことを確認しております。
中小ガソリンスタンドなどを中心として、高値在庫を安く売らざるを得ないことによってガソリンスタンドが被る損失等について、政府として財政支援をすべきではないかと思いますが、大臣の見解を伺います。
○片山国務大臣 いわゆる暫定税率の廃止に当たりましては、流通の混乱を極力抑えるために、経済産業省におきましても、元売各社やガソリンスタンド業界とも連携し、配送体制の確保や消費者への広報などの対応を行っていると承知しております。
あわせて、いわゆる廃止によって影響を受ける、受けやすい、委員御指摘の地域あるいは中小・小規模ガソリンスタンドに対しては、様々な支援、これは資金繰り等の支援も含めて、これを経済対策の中でしっかり検討し、詳細におきましては、昼の閣議後に総理の方から大枠が発表された後、私どもの方でも御説明をしていくことになると思うので、現在は詳細には申し上げられないんですが、しっかりと、きちっと委員の御質問の趣旨を踏まえて、確保されたものになっているというふうには申し上げられると思います。
○稲富委員 しっかり対応するという御趣旨かと思います。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、税制について、今後、これから年内に取りまとめに入られると思いますので、その点について幾つか御質問いたします。
まず、基礎控除の引上げについてであります。
大臣所信において、物価上昇局面での所得税の対応を検討する旨、大臣から御発言がありました。これは基礎控除のことを指しているのだろうと思います。基礎控除は、今年の税制改正によって、収入によって五段階という大変複雑な制度になってしまいました。
そこで、三つ続けてお尋ねしますので、お答えいただければと思います。
一つ目は、そもそも、基礎控除は最低限の生活費には課税しないという趣旨であると思われますので、そこに段階、格差を設けるのはおかしいのではないか、結果として複雑過ぎるのではないかということが一点。
二点目は、基礎控除を物価に連動して引き上げる税制措置を検討するということでありますけれども、それは恐らく減税になるということで、その財源はどこから持ってくるのか、これが二点目。
三点目は、現在、所得税は五%から四五%まで七段階の税率が設けられておりますが、もし物価に連動させるのであれば、七段階それぞれの税率が適用される所得水準も引き上げるべきではないかと思いますが、この三点について、大臣の答弁を求めます。
○片山国務大臣 三点の御質問につきまして、順次お答えを申し上げます。
まず、基礎控除の仕組みが複雑という最初のお話でございますが、御指摘の基礎控除の上乗せ特例は、議員修正により設けられたものですが、中低所得者に控除額の上乗せを行って課税最低限を百六十万円まで引き上げるとともに、高所得者への過度な優遇とならないよう上乗せ額を調整しつつ、給与収入八百五十万円まで税負担の軽減が及ぶように工夫されたものと承知しております。これにより、単身世帯の場合、対象となる全ての収入階層において、税負担の軽減は二万円から四万円の範囲で平準化されております。
次に、財源の考え方でございますが、基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置につきましては、令和七年度の税制改正法の附則を踏まえ、本年末までの令和八年度の税制改正プロセスにおいて具体化を図るということで検討がされるわけですが、その財源につきましては、七年度の与党税制改正大綱において、所得税については、デフレからの脱却局面に鑑み、基礎控除等の額が定額であることにより物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという制度的な課題があり、こうした課題に対応するために物価調整を行うものについては特段の財源確保措置を要しないものというふうに整理をされておりまして、こうした点も踏まえ、今後、与党の税制調査会などで議論が行われるものと承知をしております。
三つ目でございますが、ブラケットの在り方を含む税率構造や負担の在り方については、先日の政府税制調査会の専門家会合においても議論されておりまして、この中では、納税者の中でも八割弱の方が低税率のブラケットに分布しているという現状は諸外国と比較しても税率構造の在り方として正しいのか、中長期的には保険料、住民税、消費税も合わせて負担の在り方を見直すべきではないかといった指摘もあったと承知しております。委員の御指摘の観点も踏まえまして、引き続き中長期的な課題として検討していく部分もあり、また、先ほどおっしゃったようなことも含めて、物価調整もありということで検討を行っていくということであると承知しております。
○稲富委員 今のところなんですけれども、最後のブラケットのところも、物価で基礎控除を上げるということと、これから物価が上がっているということで、それもやはり上げるのが普通ではないかと思うんですよね。そうじゃなければ、さっきの理屈が合わないと思います。
あと、基礎控除の、まあこれはまたどこかで議論できればと思いますけれども、やはり、理屈は分かるんですけれども、あの五段階に分かれているというのは、いかにも分かりにくいと思います。納税者の理解が、あれだけ複雑になるとよく分からなくなるというのが現状かと思いますので、この点はまた議論させていただければと思います。
次に、出国税について伺います。
国際観光旅客税についてでありますが、この税だけは、増税をすると言っても大きな反対の声が少ないという非常に珍しい状況かなと想像しております。二〇二四年の税収は、過去最高で五百二十四億円。新聞報道にあったように、仮に、千円から例えば三倍の三千円になるとすれば、税収は一千五百億円。仮に、政府インバウンドの目標の二〇三〇年六千万人となれば、今から一・五倍になりますので、税収も二千億円超えということになります。非常に大きな財源になるわけです。
そこで、三つ伺います。
まず一つ目は、総理指示によって実際増税をするのかということが一点目。
それと、観光立国推進基本法の附帯決議においては、本法施行後三年を目途にその在り方について検討を加え、結果を公表するとともに国会に報告することとありますが、二〇一九年、出国税が導入されて以来、国会に報告をしてきたのかということ、次はいつ報告するのかということについて、二点目、お伺いします。
三点目は、その使途についてでありますけれども、空港分野への配分は全体の二割程度で、少な過ぎると私は感じております。財源規模がこれから、先ほど申し上げたように三倍に仮になるとすれば、大きな財源になります。やはり、この使い道について、真に観光に資する使い方、あるいは空港の利便性が高まる使い方、あるいはそこで働く方々のためになるような使い方というふうに変えなければならないというふうに思いますが、この三点について御答弁をお願いします。
○上田大臣政務官 質問にお答えいたします。
今月四日に開催された外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議において、総理から国土交通大臣に対し、国際観光旅客税の拡充やオーバーツーリズム対策強化等について検討を進めるように御指示がありました。
近年、旅行需要の増加や特定の都市、地域への集中に伴い、過度な混雑やマナー違反等が生じております。これらの課題に対処するため、空港を始め公共交通機関や観光地での混雑対策や地方誘客、需要分散の取組が必要であり、こうした施策の充実のため、国際観光旅客税の拡充による財源の確保が必要であるというふうに考えております。
また、国際観光旅客税の使途については法律等において使途が定められており、具体的な使途については、法律との関係や観光振興上の必要性を十分踏まえながら、関係省庁間で検討を進めてまいりたいと考えております。
また、委員御指摘の国会報告については、国際観光旅客税の創設時に、外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議がなされ、法律施行後三年を目途にその在り方について検討を加え、結果を公表するということを承知をしております。
しかしながら、令和二年、二〇二〇年に当たりますが、令和二年以降は、コロナ禍のためインバウンド需要が低迷、旅客税収入の減少により、予算計上を見送る事業や規模を縮小する事業が多数発生し、旅客税の在り方についての検討が大変困難な状況が続いておりました。
今般、コロナ禍における水際対策が令和五年に終了してから二年が経過し、また、令和六年度の実績を把握することが可能になったことから、しかるべき時期に報告を行うべく、必要な準備を進めてまいります。
以上でございます。
○稲富委員 しかるべきときとおっしゃいましたけれども、申し上げましたように、コロナ禍は理解できるんですよね、その後について報告していないというのは私は問題だと思います。これは、新税、新しくできた税金ですので、早く報告してもらいたいと思いますが、もう一回答弁いただけないでしょうか。是非、国会に早く報告ください。
○上田大臣政務官 繰り返しになりますけれども、委員の方からも今御指摘がありましたように、コロナ禍の状態においてはなかなか実態把握が困難であったということであります。
令和六年度の実績を把握するということが可能になりましたので、委員御指摘のように、早く、しかるべき時期に報告を行うべく、必要な準備を進めてまいりたいというふうに思います。
○稲富委員 是非これは、次の国会中には少なくとも、やはり報告をいただきたいというふうに思います。
時間となりましたので、以上、質問を終わります。ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、大串博志君。
○大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党の大串でございます。どうぞよろしくお願いします。
片山大臣、御就任おめでとうございます。三役の皆さんも、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
久々に財務金融委員会に戻ってまいりまして、本当に久しぶりでございます。私はホームグラウンドと思っているんですけれども、大変久しぶりになりました。
片山大臣とは財務省勤務時代に一緒に様々な仕事をさせていただきまして、本当にありがとうございました。国際金融の仕事などでも、海外出張も一緒にデリゲーションの一員として行かせていただいて、かなり各国とも激しい交渉を片山大先輩がやられているのを横で見ながら、私もああならないかぬなというふうに思ったのを覚えております。是非お体にお気をつけいただきながら御精勤いただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
さて、今日の所信質疑に対して、この後ガソリン暫定税率をなくしていく法案の審議があるわけですけれども、その中で今、稲富さんから幾つかの指摘がありました。
その中で、私たちが非常に気にしていた運輸事業振興助成交付金、これがどうなるだろうか、そして沖縄に対して特別に行われている措置、税負担軽減措置がどうなるだろうかと非常に気にしておったわけでございますけれども、先ほど片山大臣の方から、運輸事業交付金に関しては維持するという方向を示していただいて、維持する上での課題を検討して適切に対応するというふうに方向性を示していただきました。是非迅速にお願いしたいというふうに思いますし、沖縄に対する税負担軽減措置についても、これは継続するというふうに言っていただきました。これも是非その方向で諸措置を取っていただけたらというふうに思いますので、是非よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
その上で質疑に入らせていただきますけれども、まず私、今日は、様々報道も出ています経済対策に関して少々議論させていただきたいと思うんですね。
今日にも閣議決定というふうに言われております。何せこれだけ物価高が国民の生活に大きく影響している中でございますので、しっかりとした対応を、私たちも先般、官房長官の方に私たちの案としての九兆円を提言させていただきました。
今、様々な報道を見ていると、規模について、昨年度の規模十三・九兆円に匹敵する、あるいは超えるという報道が出たかと思うと、一時期は十七兆円とか出ましたかね、それから二十兆円というのが短期間のうちに出てきて、二十兆円かと思っていたら今度は二十一兆円超えか、こういった報道もあって、十三、二十、二十一というように非常に短期間のうちに額がどんどんどんどんと数兆円単位で積み増されるというのは、ちょっと私、過去の対策に関する検討の中でもなかったような感じがします。
一体どのような思想を持って規模感に関して考えていらっしゃるのかというところを、まずお聞かせいただけたらなというふうに思います。
○片山国務大臣 大串委員におかれましては、本当にお互い若い頃から長きにわたって大変お世話になっております。今日は大変感慨深いものがございますが。
御質問の方は、大変的を得たというか鋭い御質問ですが、まず、既に各委員の先生方からお話が出ていますが、経済対策が行われるということは、経済の現状認識ということでございまして、先ほど、成長率が前期比でマイナス〇・四になったけれども、基調としては、反動、駆け込みなどがあったこともあり、個人消費はプラス〇・一だし設備投資も一なので、緩やかに回復はしているんだけれども、委員が御指摘になった、物価高に国民が、庶民が苦しんでいるという点も含めて、リスク要因にしっかり対応する、この理念については恐らく御党がおっしゃっていることと同じような路線だと思うんですが。
総理がこれから閣議後におっしゃると思うんですけれども、我々としては、特に各国民の暮らしを守って強い経済をつくるための戦略的な財政出動ということで、予算、財投、それから税制や規制・制度改革などあらゆる政策手段を三百六十度から見て総動員した結果出てくる数字と思っておりまして、確かに規模についてはいろいろ報道はあったと思いますが、委員もよく御存じのように、予算は編成していく過程で情報が出ることがありますが、途中経過は大体低いので。それから、最も積極的な提言をされる方の数字も出ておりました、私が承知している限りは。結果的にどのぐらいになったのかということはこれから総理が発表されますが。
そういうことであったのと、この期間が非常に短かったために、委員がちょっと数字がふらふらしているんじゃないかというふうに思われたのかなと今のお話を伺っていて思いましたが、プロセスとしては、もうちょっと長い期間でこういうことがあることはよくあるんですけれども、それがそうなったのかと思っております。
責任ある積極財政についてこれからもたくさん議論、質問が出てくると思うんですが、明らかに私どもが申し上げておりますのは、財政規律を外すわけではない、プロアクティブという意味で積極なのであって、いたずらに拡張的に規模を追求するエクスパンショナリーではないと。あくまでもワイズスペンディングの考え方をベースにした上で、今、国民の暮らしを守り強い経済をつくるために必要なものを積み上げたらこうなったというものを、総理の方から、昼過ぎですかね、閣議後にしっかりと御説明させていただくことになるかとは思いますが、現時点では、そういうことで、決定しておりませんので、私はここまでしか申し上げられませんが、ということでございます。
○大串(博)委員 責任ある積極財政ということで、ワイズスペンディングで積み上げた、過度にエクスパンショナリーなことではなくて、積み上げた結果こうなったというふうにおっしゃっていますが、そこには一定のやはり思想があるべきだと思うんですね、現在の経済動向を踏まえての思想。マクロ経済政策というのはまさにそういうことだと思うんですね。
過度に財政出動を行うと、これは過度に景気を過熱させてしまうというおそれがあって、それが更にインフレ圧力につながっていくということは、経済のセオリーからするとあり得る。
特に、今、経済の現状をおっしゃいましたけれども、マイナス一・八という数字が先般のQEで出ていましたけれども、しかし、これは、城内大臣も言われているように、一時的な押し下げ要因によるものであるということは言われていて、ベースとしては緩やかに回復しているということは変わりないということなんですね。GDPデフレーターもプラスです。需給ギャップは、もうすぐすると計算されるんだと思いますけれども、少し下がると思いますが、それでも多分〇・幾つか、ちょっと水面上を切るぐらいだと思うんですよね。そうすると、仮に需給ギャップがマイナス〇・二だとすると、一兆円分の需要不足です、一兆円分。それに対して、対となる数字ではないですけれども、二十一兆円ということになると、比較して物すごく大きな感じがするんですね。景気を過熱させてしまわないかという懸念が一つございます。
この点に関しては、景気を過熱させると更にインフレ圧力を強めるわけですけれども、大臣はその懸念は考えられていないんですか。
○片山国務大臣 現時点ではまだきちっと肝となる数字を御発表できないものですから、なかなか委員の御質問に精密にお答えすることは難しいんですけれども、先ほど申し上げましたように、まさに、物価高対策ですとか潜在成長率が依然として低い中で国際競争にさらされている日本の強い経済をつくるという意味も含めますと、そこに手を当てるべきだというところを積み重ねておりますし、また、今回の経済対策がどのぐらい財政悪化になるかということについても、今現在で概算決定がされていないので精密な数字が出ておりませんが、あらあら申し上げられるとすれば、補正後の国債残高ということについては、昨年に比べて悪化していない、むしろ若干改善しているということが言える確率が高い、そういう状況になっております。
そういうところにも目配りをしておりますので、決して委員がおっしゃっているような、過度ないわゆる圧力を与えるような内容とは、中身を御覧いただければ、全部それが今言えないのが残念なんですが、とてもそうではないということを是非私どもも説明をさせていただいて、これから国会のいろいろな場で議論をさせていただいて、御意見を賜ればと思います。
○大串(博)委員 潜在成長率を上げるために様々必要な政策を積み上げていった結果ということも言われていましたけれども、それにしても、先ほど申しましたように、仮に需給ギャップが、今回計算し直されて、マイナス〇・二ぐらいじゃないかというふうな声も結構エコノミストの間で多いんですけれども、それでも一兆円のマイナス。それと二十兆円は対を成すわけではないですけれども、正確な比較にはなりませんけれども、それでも、ざくっといった目線でいうと相当大きい。私は正直申し上げて、インフレ圧力になってしまうことを懸念します。このことは申し上げておきたいというふうに思います。
さらに、今、財政のことにも触れていただきました。やはり、財源をどこから持ってくるのかということが、二十兆円規模の歳出になってくると、気になります。財源はどういうふうに調達されるのでしょうか。
○片山国務大臣 これは、補正予算についてはいつも申し上げておりますように、当然、税収の上振れが本年においても、まだ確定しておりませんが、一定ございますし、不用になったものもございますし、その他、合理化とかも合わせて、確保できるものを全て確保した上で、足りなければ国債を発行する。いつもそうなんですけれども、数字が今言えないものですから、何とも言えないところはあるんですが、このような原理原則でさせていただくということかと思います。
○大串(博)委員 その際に、昨年が十三・六兆円という真水規模、財政支出規模だと言われていて、今回は十八兆円近くになるんですかね、相当な大きさを持つわけですね。増加分を持つわけです。だから、その分、財政にも相当な圧力がかかっていくんじゃないかなというふうな気がします。この点をマーケットも懸念しているのか、債券市場においては懸念が広がっているように私には見えます。
これまで超長期国債の金利が大分上がってきていました。ここに来て、いわゆる指標物国債、十年債の金利も上がってきています。超長期国債がなかなか売れないものだから、国債発行計画を途中で見直すという異例な動きにも財務省はならざるを得なくなっていて、短期国債をたくさん発行するというような流れになっている。
片山先輩も私も国際金融を長くやっていて、ラテンアメリカを含めていろいろな、インフレによって財政破綻していく、あるいは経済破綻していく国のケースを見てこられたと思うんですけれども、多くの国は、財政破綻の流れというのは、基本的に、長期で資金調達できなくなって、国債調達できなくなって、短期でしかお金を借りられなくなる。これは財政が厳しくなる国の端的な特徴ですよね。日本もその経路に入っているなというのを私は感じるんですよ。まさに、超長期でお金が取れない、なおかつ、今、指標物の十年債でも金利が上がってきているということが一つ。
もう一つは、やはり円安ですよね。マーケットの方も、円に対する信認が落ちるのではないかということから、円安が、高市内閣就任当時からすると、もう十円近く一気に進んでいる、この現状。やはり、円安が進むと物価高になってしまうというような状況があるものですから。
私は、財政当局を預かられている大臣として、今まさに経済対策をつくらんとしている中において、既にマーケットが、国債市場、債券市場そして為替市場共に、日本にとってはよくない方向に反応しているという事実はかなり重く受け止めなければならないというふうに思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○片山国務大臣 国債の金利というものは、今いろいろと御懸念をおっしゃっていただきましたけれども、こういった国内の経済、物価情勢や金融政策の動向に加えまして、財政の状況、国債の需給、海外も含めた金融市場の動向など、非常に多様な要因を背景としてマーケットにおいて決まるものでございますので、財務大臣はいつもその動向については具体的に申し上げることはしておりませんが、市場参加者との丁寧な対話を行って、国債管理政策に努めて、国債を消化してきているという状況は、現実、今でも同じでございますので、市場の信認が失われることのないように、更に丁寧な対話を行いながら、適切な国債管理政策に努めていくということに尽きると思います。
また、委員とは本当に、当時、例えばロシアであったり、例えばアルゼンチンであったりという国の財務大臣とよくちょうちょうはっしと交渉いたしましたが、当時、ルーブルの減価というのは三千分の一でございまして、アルゼンチンも、三千分の一ではないんですがその規模でございまして、当然、外準を云々するレベルにもないという状況でございまして、それを一律に考えられるということではないんだろうなと。
委員におかれましては、その分野の専門家でいらっしゃいましたからとは思いますが、もちろん、最悪の最悪を考えながらしっかりとした国債管理政策に努めてまいりますが、ちょっと、日本とは余りにも違う状況の重債務国と並べるのは逆に市場の誤解を生じるので、その辺りはしっかりと現実的な議論をしてまいりたいと思います。
○大串(博)委員 大臣の発言をマーケットの皆さんは逐一お聞きになっていらっしゃいます。マーケットに関わる話をしておりますので、当然ですよね。
今、アルゼンチンやロシアのケースを引き出されて、そこと比較するのはどうか、三千分の一の為替減価のような状況と比較するのはどうかというふうに言われましたが、お気をつけいただいた方が私はいいんじゃないかと思うんですね、そういう発言は。というのは、逆にマーケットの人は読みますよ。ロシアやアルゼンチンの減価のレベルではないからいいんだというふうに思われているやにも私は今聞こえました、正直申し上げて。
最近の、いわゆる日本のような経済大国が財政破綻するのかどうかというのは、いろいろな論考があります。確かに、アルゼンチンとかロシアみたいに国際収支が弱くて外準の少ない国とは違う、経済大国である、対外収支、国際収支も強い、そういった国では財政破綻がまた違った要因になるんじゃないかというふうな論考もかなりあります。単に国債が売られて国債が投売りになるというような破綻の方式ではなく、破綻の流れではなくて、このような大国においては、為替からいわゆる財政破綻の兆候が表れてくるのではないかというふうに言われているという論もあるんですね。
日本の場合はまさにそういった状況が表れつつあるんじゃないかと私は見ているんですよ、この非常に一貫した円安基調は。これまでアベノミクスで金融を拡張し続けてきた、その結果、円の信認が落ちた、財政がそれを取り込んできた、こういったことがいわゆる流れとしても定着しているんじゃないかというふうに私は思うんですね。その中の発言なので、私は非常に慎重にやっていただければなというふうに思います。
日銀総裁にもちょっと、今日はお忙しい中おいでいただきありがとうございます、お尋ねさせていただきたいんですけれども、日銀は政策の割当てというのを厳密に考えていらっしゃいますね。金融政策は、基本的には金融政策の本来の目的に使うということで、為替のためには金融政策を割当てしないということでいらっしゃると私は思うんですけれども、今のようないわゆる円安の状況、短期じゃなくてトレンドとしての円安状況を見ると、やはりそれが物価高にも跳ね返ってきているということも考えると、私は、金融政策を考えていただく上においても、やはり為替の動向というのはかなり認識していただいた方がいいのではないかなというふうに思いますが、日銀総裁の御見解をお伺いします。
○植田参考人 お答えいたします。
為替の動きと物価の関係ということでございますけれども、申し上げるまでもなく、為替の円安の進行は輸入物価を押し上げまして、それが国内物価に転嫁されていくということにより、消費者物価の押し上げ要因になります。過去と比べますと、最近、企業の賃金、価格設定行動が積極化するという動きが目立っておりますので、為替の変動が物価に及ぼす影響が大きくなる可能性がある点には留意が必要であると考えております。
更に申し上げれば、こうした経路を通じた物価上昇が、予想物価上昇率への影響を通じて、物価の基調、基調的な物価上昇率に影響する可能性についても私どもは留意していかないといけないと思っております。
こういう点を含めまして、為替レート変動の物価への影響については注意深く見ていきたいと思っております。
○大串(博)委員 私、今、マクロ経済政策運営という観点からすると、相当慎重さを要する状況になっているんじゃないかと思うんですよね。金融をこれまで拡張してきた結果、それをしかも財政が受け付けてきた結果、相当なインバランスが日本の経済の中にあってしまっていると思っているんですよ。それが円の価値を下げてしまっていて円安になっている、物価高になってしまっている、物価高が更に経済を押し下げて、押し下げてはいるんだけれども、物価高が逆に税収を上げることによってインフレ税の状況になっていて、財政は改善してしまっているというような状況にあると思うんですね。
その中で財政政策はどうあるべきかということを考えると、吹かし過ぎてもいけない、吹かし過ぎてもいけないけれども、でも、インフレ税でもあるので、一定の国民の皆さんへの還元は必要になってきている、こういう状況であって、極めて私はバランスの難しい財政運営をしていかなきゃならないというふうに思うんですね。そういった意味で、財政政策を行っていくにおいて、基準を、視座を置いてやっていくというのは非常に大切だと思うんですよ。
その上で、今回補正予算、経済対策二十一兆円規模となるときに、この間、プライマリーバランスの達成目標に関しては、単年度ではなくて複数年度で行うというふうに言われていました、考えると言われていましたけれども、ただ一方で、高市総理は、今の目標、二五年から二六年度の早い時期にかけて黒字化するという目標は取り下げてはいませんというふうに言われていました。
どうなんですか。二十一兆も財政を出すと、二五年から二六年の早期に黒字化目標達成というのはほぼ無理なんじゃないかというふうに私は見るんですよ。そうすると、高市総理が予算委員会で言われた、目標は維持しますということと、今回経済対策を策定するということは、大いに矛盾するんじゃないか、言っていることがやっていることと違うんじゃないかというふうに私は見るんですけれども、財務大臣、いかがですか。
○片山国務大臣 御指摘のプライマリーバランス目標、PB目標につきましては、先般、高市総理は、中期的に債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現する中、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度についても再確認を行う、今後の課題として、単年度ごとのPB黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討しているという旨を申し上げているわけでございます。
いずれにしても、プロセスがこれから必要でございますので、今後の予算編成、八年度のものも含めて、それから一月には毎年内閣府が中長期試算の状況を出しますので、この数字がある程度必要でございますから、これを見極めながら、これをどのように明確化していくかについて私どもに対して指示をすると。そうしていかないと、市場の、ある程度、スペキュレーションを招いても困るので、きちっとしていくということになっております。
前体制におけるいわゆる骨太の方針に何が書いてあったかというと、二〇二五年度から二〇二六年度を通じて、可能な限り早期の国、地方を合わせたPB黒字化を目指すというふうにされて、その三行後に、必要に応じ目標年度の再確認を行うと。その上で、最後に、債務残高の対GDP比を、まずはコロナ禍前の水準に向けて安定的に引き下げるということが書いてありまして、この目指すということにおいて、その方向を完全に下げたわけではないと申し上げているのは、委員の御心配になるほど、真っ向から対立するとか矛盾するとかいうものではなくて、確かに方針の転換ではございます、それは確かでございますが、何とかこのようにして安定的に運営のできる目標を作っていくということではないかと我々は確信しておりますので、またよろしく御指導をお願いいたします。
○大串(博)委員 これからPBの目標に関しては指示を出すということを予算委員会で言われていましたね、これからと。だから、今、かちっとした目標がない中で、しかも、二十一兆を超える大きな財政支出になるというのは、かなりしるべなき航海に出ているような感じが私はしていて、多分、マーケットもそこを心配しているんだと思うんですよ。一体責任ある積極財政というのはどこまで何が行っちゃうんだろうか、二十一兆円か、こういうふうな感じになっていると思うので、私は、マーケットとの対話は本当にセンシティブに行っていただきたいと思うし、かつ、ワイズスペンディングと言われましたけれども、本当にそこはしっかり議論していただきたいと思うんですね。
というのは、物価高は今対応しなきゃなりません。しかも、インフレタックス、インフレ課税状況ですから、国民生活が傷んでいます。よって、生活を直接支えるところに税を還元していくということが大切だと思うので、私たちは、食卓応援給付金をまず支給し、かつ、食料品の消費税ゼロ%を達成し、そして、それを給付つき税額控除につなげて中低所得者を支えていくという連続した案を今示しているわけですね。
ところが、今回のは本当にどうなるのか。これから決まるんでしょうけれども、今見ている報道を見ると、どうも家計を直接支えるというところに関しては何となく地方に丸投げみたいな感じで、これは本当に大丈夫なんだろうかと。地方の重点支援交付金で食卓応援するぐらいなら、私たちが言っている食卓応援給付金を出した方がまだいいんじゃないか、給付金の方がまだいいんじゃないかと私は思いますよ。
一方で、成長、危機管理投資だというふうに言われて、言葉はいいんですけれども、本当に実のあるところに巨大な財政が使われていくのかというところが私は非常に心配なんですよ。
今回、積極財政というふうに言われていますけれども、結果として積極財政が国民の生活を温めるために使われなくて、いわゆる大企業の、本当に実になるのかどうかよく分からないような大企業支援の補助金だけに使われてしまうんじゃないかという危惧は私はあります。
資料をお届けしていますけれども、一枚目を見ていただくと、これは財務省の資料なんですけれども、産業政策関連補助金等の推移というふうにあります。令和二年度から、この黄色、緑ですけれども、産業政策関連補助金が急増している。それまでは融資とか出資とかで政府は支えていたんですけれども、令和二年度以降は、コロナあるいはGX、こういったこともあって、直接的に補助金で兆円単位のお金を連発して、大企業に対してこういう補助金を出しているというような顕著な違いが、財政政策で行われてきているんですね。
これを今回もまた踏襲、更に加速化しようとしているところが心配なんです。すなわち、税収は上がった、インフレ税になった、国民は傷んだ、しかしそれが国民には還元されない。企業、産業関連、またこれは業界縦割りの補助金ですよね。旧態依然としています。
私は企業・団体献金を禁止をすべきだというふうにずっと言ってきましたけれども、なぜ自民党の皆さんは企業・団体献金を禁止しないのか。こういうふうなつながりがあるからこうなってしまっているんじゃないかとやはり見ざるを得ない。
本当に今回の経済対策が、旧来型の業界縦割り補助金に、そして、それが成長力を促進しない形に、家計を温めない方向に使われてしまうのではないかという危惧がありますけれども、財務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○片山国務大臣 高市内閣の経済成長戦略、成長力の強化ということの肝の一つが官民の投資でございまして、やはりアベノミクスの三本の矢では、三本目の規制改革だけでは民間の投資がはっきり言ってそんなに出てこなかったということはもう顕著でございまして、そのことについては既に国会で総理も何回か答弁をさせていただいておりまして、諸外国を見ても、ある程度国や公的分野が引っ張らないと、特に、こうやって最先端分野で、時間を置いたらもう負けるというようなことで競争する場合はそうだというのは信念でございますので、そういった分野の投資は確かに積んでおりますが。
非常に今回、予算委員会の質疑でも、例えば公明党さんとか立憲さんとか、多くの党が給付金的な移転支出のようなものに対して強い御要望を出されました。率直に言って、そのことをお聞きになっていて、総理も、何らかの直接的なメッセージが要るということで、この昼の発表で正式になりますが、皆様が御提言いただいたような趣旨のものも踏まえて、まさに今、大串委員がおっしゃったような、直接届く、そういう分かりやすい、地方を介していないという意味での移転ですよね、といったものも入ってくる。
これ以上私は申し上げられないので、総理が記者会見で細かく申し上げると思いますが、その辺は是非御理解をいただきたいと思います。
○大串(博)委員 今日のでき上がりの姿を見ますが、くれぐれも、旧態依然とした産業政策関連補助金、業界縦割りの補助金で財政を浪費することがないようにお願い申し上げて、質疑を終わります。ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、江田憲司君。
○江田委員 おはようございます。
片山大臣、御就任おめでとうございます。
まず、通告していませんけれども、財務省といえば、昨年来からデモをかけられるとか。私の官邸時代の経験からいえば、当時は、過剰接待スキャンダル、大蔵改革なくして行革なしと言われて、財政と金融の分離をして金融庁を設立をし、名前も大蔵省から財務省に変えるということもございました。久々に古巣にお帰りになって、いかがですか。ちょっと感想めいたものもお伺いしたいと思いますけれども。
○片山国務大臣 今日は江田委員に御質問をいただいて大変光栄でございまして。私が大変尊敬する故橋本龍太郎総理の側近中の側近で、懐刀でいらっしゃって、橋本官邸政策をほとんどおつくりになった方ですから、今日もそういった観点から様々、大変鋭い御示唆、御意見を賜れると思っておるんですけれども。
私も、就任会見で申し上げさせていただいたのは、毎週金曜日にデモがある、これは本当に、職員にとってはどういう思いでその前を通って出勤するのかということは当然、思いを致すところでございまして、マインドをリセットしてほしいということを申し上げました。まだ、事務次官が私の五年下ですから、今の主要な幹部は私はほとんど分かりますので、どれほど職務に専念する、そういった意味で大変真面目で優秀でということが分かっているだけに、マインドをリセットして。
百二十兆円以上の国家予算を結果的につけて認めておるわけですよ、これが財務省の設置法にある私どもの仕事でございますから。なのに、なぜそんなに、何か切り刻んだ鬼代官のように思われてこういうことになるのか、何かそのプロセスに問題はないのかということを考えれば、同じ結果を出すにおいてもやり方はあろうということも踏まえて申し上げてまいりましたのは、まず、特定のデータとか特定の方向の理論に思い入れをしない。三百六十度ということをよく申し上げておりますが、例えば、債務残高を取るときにも、OECDとIMFでは違いますし、また、マーケットの方がどういうふうに使われるかというのも違いますし。
要は、客観データは何種類もあるわけですよ。それを全部並べて冷静に分析して、理論的に。そういうことを積極的にやるようにして、そういうことをホームページ等でもはっきりと見せるようにしてと言ったら、十月から変えてくれましたので、大変そういう柔軟な面も持っているのかなと思いますが。
大分政策は変わりました、総理の方針で。私たちもそれをしっかりと支持し、また、同じ志を持った者がつかさつかさに座っておりますので、できれば財務省もその方向で職務に精励していただきたいということで、申し上げていることはおおむね、大体そういった方向にこの一か月でなってきたとは思いますが、また江田委員からもいろいろ御指導をいただきたいと思います。
○江田委員 そういう意味では、片山大臣には私も期待をしております。
私は、誤解なきように申し上げると、財務省は財政規律を訴えるのは当たり前のことだと思うんです、職責として。しかし、政府には、景気回復、経済成長の論理もあるし、社会保障の論理もあるし、教育の論理もある、外交、安全保障の論理もある。それぞれの部署がしっかり職責に基づく訴えをして、最終的にはトップリーダーたる総理大臣がその政策の優先順位を決めていくということだと思っているんですね。民間だってそうですよ。経理部の言うこと、営業部の言うこと、企画部の言うこと、技術開発部の言うこと、そういうものを総合的に勘案して、社長がプロジェクトの優先順位なり社の方針を決めているわけで。
私は、そういう意味では、今、財政規律を叫ぶときかということなんですね。これだけ物価高で国民の皆さんが苦しんでおられる。そういう姿を目の当たりにして、私も財政規律を重んじる方ですけれども、財政規律よりも積極的な財政出動ではないかという意味での、私は積極財政派といえば積極財政派なんですよね。
だから、そういう意味では、私は余り自民党内のことは存じ上げませんけれども、片山大臣は西田昌司先生が本部長を務める財政政策検討本部というところの枢要なお一人として提言もされてきましたから、自民党の中でも積極財政派と規律派があるんでしょうし、我が党でもありますよね、そういう意味では片山大臣は積極財政派ということでよろしいですか。
○片山国務大臣 なかなか申し上げにくいんですけれども、分類上はきっとそうなんだと思いますが。ただ、党の政調会の様々な会長とか部会長とか特別委員長とかその立場と、内閣に入ってまさに設置法の下で様々業務を行っていくのとはやはり全く同じではございませんで、政府・与党の打合せを緊密にしても、そこはそういう関係がありますので、前よりは厳しいことを言うこともあるかとは思いますが、分類上はそうだと思います。
○江田委員 財政一般を所管するのが財務省ですから、積極財政も財政規律も両方、職責だと思いますけれども。
そこで、ちょっと御確認を何点かしたいんですね。
昨年六月には、財政政策検討本部というところが骨太方針に向けた提言というのを出しておりまして、ちょっとこれについて何点か片山大臣に確認をしたいんですけれども、まず一つ、「国債発行は孫子の借金ではない。孫子への貯蓄である。」というふうにその提言には書いてあるんですが、この意味内容について、ちょっと教えていただけますか。
○片山国務大臣 意味内容はまさに読んだとおりだと思うんですけれども。
特に建設国債の発行はちゅうちょすべきではない等、いろいろ書いてございますが、公共事業について重要性が非常に今の状況で高いということは私もそのように思っておりますし、深く理解もそのようにしておりますが、やはり財政状況が財政状況でございますから、様々な指標から多角的に評価をする必要があるというふうには思っておりまして。この意味合いといっても、今、政府に来てからこれ以上のことを申し上げるのはなかなか難しいんですけれども、借金が身になるという意味は、別にどの社会でもそういった部分がなければお金を借りて未来へ投資することはないわけですから、その意味で、国家ということになれば、その使われ方が、先ほどから議論に出ておりますように、プロアクティブな未来への投資であれば、そしてきちっと将来につながるものであれば有用なものであるという理論は常にあるものだというふうに思っております。
○江田委員 ちょっと今の答弁は、多少失望したというか。
普通は、財務省は、国債発行、借金は子や孫たちへのツケ回しと言っているんですよ、負担の先送りと言っているんですよ。真逆のことを言っているわけですよね。「国債発行は孫子の借金ではない。孫子への貯蓄である。」真逆のことを言っているので、それを片山大臣が所属する財政政策検討本部で提言をされているんだから、この点についてはお考えは変わっていないんじゃないですか。
○片山国務大臣 ちょっと、詳しく申し上げていなかったんですけれども、一般論として、国債は、国民の中でもこれを保有している方、そう多いわけじゃないですけれども、あるいはそれを包含する民間部門、これは金融セクターがたくさん持っていますから、というところにとって資産になるんですけれども、政府にとっては、元金償還し、利払いの必要があるからそれは負債というのは、これは平たく、四角四面に言うとそういうふうになってしまうので、財務省を預かる者としてはそういう部分がございまして。
将来、国債の償還や利払いを行う際には、国民の皆様に対して、国債の保有の有無に全くかかわらず、追加的に税金等の負担とか歳出改革とか、国債の償還などのために財源をつくっていくということが出てきますので、そういう意味で、必ずしも、貯蓄的な面だから幾らでもいいという考えを私が持っているわけではないということは財務大臣としては申し上げなければならないし、恐らく、本部の方が書かれた趣旨はそうでない面に主に重きを置いているということだと理解をしております。
○江田委員 余り私に言い訳されなくていいですから。
私は、同じような、国債、借金はむしろ子や孫たちへの仕送りだと言っているんですよ。簡単なことですよ。ここでもやったんですね。財務当局も認めましたけれども。要は、例えば、百万円、私が国債を買いますよね。子が相続しますよね。それで国債が満期になりますよね。そうすると百万円が戻ってくるわけですよ、私の子供に。だから仕送りだと言っているんですよ。しかし、国から見れば、それは借金なんですよ、負債なんですよ、百万円は。しかし、国民の側から見れば資産なんですね、それが。差引きはゼロなんですよ。
ただ、ここで一つ例外があるのは、私が外国人であれば、百万円の日本国債を買って、相続して、百万円が外国人の子供に戻れば、それは国外に日本のお金が流出するから、そこの部分はツケ回しと言ってもいいんですね。
だから、本当に、財政の議論でも常に間違っているのは、バランスシート的な発想を本来はしなきゃ。
会社で、トヨタさんだって六十兆の負債があるんですよ。それで大変だと言っていますか。ただ、百兆の資産があるから超優良企業なんでしょう。国は千三百兆の借金がありますよ、確かに。しかし、六百兆、七百兆の資産があるから。私は、それでも、純負債があるから財政再建もせにゃいかぬと思っていますよ。しかし、私は、国民に対する情報提供というのは、もっと正確に、公正にやらにゃいかぬと思うんですよ。バランンスシートの片方だけ見て大変だ大変だと言うのは、本当に改めさせていただきたいと思いますし。一部、片山さんが大臣になられて、その公表の仕方も変えられたというので、是非そこは頭に置いてやっていただきたいと思うんですけれども。
私は、この本部の、孫子の借金ではない、孫子の貯蓄であるというのは、私はそういうふうに思っているんですけれども、そういうことですよね。大臣という立場で、いろいろな、あるかもしれないけれども、そんな、大臣になったら財政観が変わると言ったらまた信用が落ちますけれども。
それから、もう一つ言うと、いろいろ書いてあって、「国債を発行して、予算執行すれば、その分だけ民間の預貯金が増える。」これも当たり前の話でしょう。大臣、うなずいておられるからあれですね。「国債の償還は税金ではなく、借換債の発行により行われている。」いいですか、「国債の償還は税金ではなく、借換債の発行により行われている。」これは事実ですから、イエスかノーで答えてください。
○片山国務大臣 六十年償還ルールが現行でございますので、そういうことになれば、全部、借り換えたものをそのまま返しているということはしていないわけですから、その意味では委員のおっしゃるとおりでございます。
○江田委員 それから、「日銀保有の国債の利払い費は日銀法に基づき国庫納付される。」これはそうですよね。「従って、日銀保有の国債については、その利払いも償還も財政に全く負担を与えていない。事実上政府の借金ではない。」と書いてあるんですけれども、片山大臣の見解いかん。
○片山国務大臣 その部分を差し引くというような形で比べるという考え方は、私ども財務省は取っていないんですけれども。
確かにそれは、収入が立って、それが日銀の納付金の中に混じって入ってくる部分があるのは当然で、この場でもそういう議論を多分ずっと何回もされていたと思いますが、そちらに書いてあることが、先ほどからも申し上げているように、一面から見ればその仕組みは確かに存在するんですけれども、それとは別に、もちろん、先ほど大串委員から厳しい御指摘があったようなマーケット問題という部分がありますから、江田委員も御指摘されていらっしゃるように、左手ではそちらに記入をし、右手ではそういった部分もあって、今やるべきことは、まさに責任ある積極財政、それもプロアクティブな積極財政、単純にエクスパンショナリーなのではない、そういうのが我々のスタンスで、ある意味細き道を行くんですけれども、それが、今の日本については、非常に、これしかないソリューションではないかと思って、高市内閣としては進んでいるわけでございます。
○江田委員 それで、この本部の提言、最後にしますけれども、最後はしっかり、ちゃんと、国債発行も無制限ではないんだ、インフレ率が極端に高くならないように機動的に国債管理をしていかないかぬということで締めくくっているので、それなりにしっかりインフレや財政規律にも配慮したような報告書になっているので。
そういう意味で、今どんな状況だと思っていますか。ここに書いてあるように、「供給力を大幅に上回る需要が生ずれば物価は高騰する。」当たり前ですよね。「国債の発行はインフレ率が極端に高くならない様に機動的に管理をする必要がある。」これは私、賛成ですよ。国債発行に量的な制限はないが、生産力や供給力には限界があるので、とにかくそれを上回るような大幅な需要が生じるようなことをやれば物価は高騰するんだというんだけれども、今現在の状況をどう分析されていますか。
○片山国務大臣 今現在の状況と申しますが、ちょうど私が橋本政権のときに官邸に通っていた頃に金融危機が起きまして、今に至るまでの三十年ぐらいに、本当に民間が、資金循環でいきますと、ずっと、投資をするよりも、どちらかというと、まずは、いざというときに備えてためてしまうという環境が続いている、その状況がある日本において、成長力、潜在成長力が本来の日本の実力を下回っている、日本はこんなものじゃないというのが我々の政権のベースラインの核心でございますから、それを出していくためには、供給力、特に実物資源の供給力に、はっきり言ってボトルネックが生じているのが今のこの国の状態なので、それを押すためには、まさに責任ある積極財政で、投資、投資、投資に重きを置く。その部分として危機管理投資もあるし成長の投資もあるんですけれども、ここに対策を打っていく。それをやらなかったら今までの繰り返しなので。今までは伸びなかったんですよ。だったら局面を変えるしかない。そういう状況ではないかと思っております。
○江田委員 よく言われるように、今の物価上昇というのはコストプッシュなんですよね。決してディマンドプルではない。それから、需給ギャップは二十一期連続マイナスだ。潜在成長率は〇・六とか、一%を超えることはないというような中で、要は、今、減税したり財政出動すればインフレになって逆に国民が困るんだという考え方が結構あることも事実なんですけれども、私は、今の時点で、それを心配するよりも、まさに減税、積極財政で需要を喚起し、しかも、おっしゃったような供給力強化もしていき、需給のバランスというのを慎重に見極めながらやっていくのが政府の責任だと思いますけれども、片山大臣、どうですか。
○片山国務大臣 全くおっしゃるとおりでございまして、今の経済状況において、私どもが申し上げているような程度の責任ある積極財政をもって、これでインフレが加速して、まあ、今日、日銀総裁はもうお帰りになりましたけれども、まだ二%のインフレが安定的に定着した状況にないということをずっとおっしゃり続けておりまして、今日も聞かれたらそうおっしゃったと思いますが、という状況が、じゃ、これにおいてなるのかといったら、私はならないと思っておりますので、これは、まさに注意深く、機動的な財政出動ということを申し上げて、そこに注意を払い、きちっと配意をしているということを前提にすれば、まさに江田委員のおっしゃったとおりに、そういう懸念が強いとは思われないと私は思います。
○江田委員 私もそれは、円を刷っていろいろ市場に出せば円安になっていくから、今、もう百六十円をうかがうような情勢になっていることには懸念をしていますよ。しかし、それはやはり財政政策というよりも金融政策で対応すべきなんですよ。
年内あるかどうか、アメリカも基本的には利下げの方向で、年明け早々にまたFRBは利下げをする可能性も高いし、日銀は、これはセンシティブですけれども、十二月に最終的な会合があって、サプライズで上げる上げない、あるかもしれませんけれども、高市政権の方針にもあるんでしょうけれども、いずれにせよ、私は、今の円安、過度な円安は私も懸念を持っておりますので、そういうのは財政政策というよりも金利というか金融政策で対応すべきだということははっきり申し上げておきます。
そして、本題にやっと入りますけれども、責任ある積極財政の責任あるというのは、その意味内容をちょっと私は問うていきたいんですけれども、その責任あるというのは、定性的ではなくて、いろいろ角度を持ってお聞きしますけれども、例えば、財源の裏打ちのある財政出動ということを意味しているんじゃないですか。意味しているのかどうか。
私の考えは、恒久的な政策には恒久財源が必要だ、しかし、緊急、臨時的な対応、今、特に物価高対策等はいろいろな状況を見ながら国債発行も許されるというのが私の基本的考えなんですけれども、片山大臣、いかがですか。
○片山国務大臣 責任あるの部分について、それが誰への責任なのかという問いを幾つかいただいております。そこにつきましては、まず、強い経済を構築すると同時に、財政の持続可能性を実現していく、日本の未来を切り開く責任ということから見ると、今の、今を生きている全ての日本国民と将来の日本国民、そのようにお答えをしているわけでございます。
また、必要な財源の確保ということは、私ども政府も申し上げておりますが、様々な各党間の調整で文書が作られるときに、全く財源の確保にお触れにならないものが、私が承知している限り、ほとんどないので、やはり、財源のめどについて全くその取っかかりがないということは、今までのこの国の政治、財政、在り方としてはないと思うんですが。
それが、先ほどお答えしたように、物価上昇調整のような形で所得税の減税を行ったときには、当然、これは調整でございますから財源の手当てはしなかったというお答えをしておりますので、そういった部分と江田委員がおっしゃったような部分で明らかに性格の違いはありますし、これから、様々なことを高市政権でもお約束をして、その言葉はどういう意味だというものを、具体化を早急にしていかなければならない中でも、我々は、今おっしゃったような部分も踏まえながら、何に対する歳出の増加なのか、あるいは歳入の減なのかということも考えながら対応してまいりたいと思います。
○江田委員 そこで、高市政権の肝というか、財政管理というか、財政規律、財政の将来的な健全性の確保という意味からは、重要なものが、所信表明でも述べられた、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高対GDP比を引き下げていくと明確におっしゃられたわけですよね。この引き下げていくというのは、毎年毎年引き下げていくという意味ですか。
○片山国務大臣 債務残高の対GDP比を引き下げていくということは総理がいつもおっしゃっていることですが、成長率の範囲内に債務残高の伸び率が抑えられる、こういうことが、発散が起きないということになりますから。
ただ、毎年毎年下げられていけるような状況になるかどうかは、まさにその年の経済状況を見据えた機動的な財政出動、この機動的な財政出動をやると言っている政権ですから、それにもよるんですけれども、まさに先ほど、中期的な管理をやっていくとか、こういった一つの目標について来年の一月に総理から更に具体的な方向の指示があるということになっていますので、そこにもかかってくると思いますが、毎年毎年の目標が設定できるのかどうか、それに、PBが中期的に見直されるとか、PBにも中期的な配意を行うということとどう関連づけていくかについてはまだ具体化されておりませんので、早急にこれはしていきたいと思いますが、そこについてはちょっと確たるお答えは申し上げられないということでお許しいただきたいと思います。
○江田委員 ちょっと、PBはともかく、債務残高比率を下げていくというのは、基本的には横ばいかそれ以下に抑えていくということが私は必要だと思いますけれども、ただ、今年の場合は守らなきゃ駄目ですよ。いきなり、言って、今年は守れなかったというわけにはいかないから。今日お決めになるような新規国債発行額、どのくらいなのか知りませんけれども、それを加えたGDP比率、まあ昨年、ちなみに言うと、二三六・七ですね、債務残高対GDP比が。だから、今年、補正後でやってみて、この二三六・七は当然、下回らない、いきなり初年度から破りましたじゃ面目丸潰れですからね。その点、大臣、いいんでしょうね。
○片山国務大臣 責任ある積極財政をしっかりと路線として定着させていくという意味で、おっしゃったようなことは非常に理解するところでございまして。
何回か申し上げさせていただいておりますように、今回の補正のフレームの数字がこの時点では確実に決まっておりませんので、総理がこれから昼の会見で申し上げられる時点でも確定はしておりませんが、来週以降そういったものを見据えて考えていくわけですが、恐らくは、私が知る限りは、若干下がるのではないかということで我々は運営をしております。
○江田委員 私もそう想定しています。
ドーマー条件ですよね、簡単に言うと。名目成長率が長期金利を上回っている限りは、将来的には借金は収束するわけですから。幸いなことにこの数年間は上回っていますからね、名目成長率が。だから、債務残高比率はどんどん、二〇年以降下がっているわけですよ。高市政権が発足する前から下がっているわけですよね。ですから、こういうトレンドを維持していけば批判はかわせるんですよ、ある程度の積極財政出動、新規国債の発行をしたって。それに対して、長期金利が上昇しているじゃないか、インフレになって逆に困るんじゃないかという批判をかわすためにも、私はこれは重要な財政健全化の一つの大きな指標だというふうに思っているので、是非その辺は、中長期的にどうこうこうと、また、PBはともかく、全体のこのマクロ管理のところはしっかり踏まえながらやっていただければ、いずれにせよ借金は将来的には収束する方向だということで、市場の信認も受けるというふうに私は思っているわけであります。
それで、ちょっともう時間が、ちょっといろいろやりたかったのにできませんので、あれですけれども、だから、結局、政府債務残高対GDP比一点勝負でやってきたんですよ、財務省は。しかし、高市総理がおっしゃられるように、財政というのは複合的な、総合的な視点で見にゃいかぬ。
ということで、今日は時間ももう迫ってきたので言いますが、私は、常に言ってきたのは、黒田財務官が例の国債格付に対する反論文書で書いたように、それを今に引き写すと、個人金融資産は二千二百三十九兆円もあるんですよ。プラス、国と企業を合わせると九千九百二十九兆円、一京円あるんですね。企業の内部留保は、二、三十兆去年から増えて六百三十兆。対外純資産は、世界一、二位の五百三十三兆。外貨準備は百九十兆。経常収支は三十兆の黒字、世界一位。こういう全体の指標を見て、今財政が破綻するなんて思っている投資家は一人もいないんですよ。だから、CDSという、クレジット・デフォルト・スワップ、保険料は〇・二で、あの財政健全化で評価をされているドイツに次いで低い。こういう指標で、是非、片山大臣、これから財政を論じていただきたい。それを最後、お願いします。
○片山国務大臣 経済財政諮問会議の委員をしていらっしゃる方のお一人が、今、報道ベースで語られているベースで、全く江田委員と同じようなことをおっしゃっていて、その方が、その比率の計算をして、緩やかに下がるだろうということもおっしゃっているし、CDSが、微動だに動かないどころか、非常によい数字のところでとどまっておりますので、私も全くその江田委員と同じような認識をしておりますし。
それから、更にそれに加えて、財務省が載っけ始めたデータとしては、単年度の財政収支、これの名目GDPの比率が、今は、G7で比較すると日本は上から二番目なんですよ。下から二番目じゃなくて上から二番目ですから、明らかに改善している部分がかなりあるということは申し上げて、委員のおっしゃったようなことも参考にしつつ、しっかりと日本の信認を守ってまいりたいと思います。ありがとうございます。
○江田委員 終わります。
○阿久津委員長 次に、松尾明弘君。
○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。よろしくお願いします。
片山大臣とは様々な、地域のイベント等々で顔を合わせておりまして、こうやって質疑できることをうれしく思っております。特に、私、選挙区は港区と渋谷区なんですけれども、東京なんですけれども、今年の夏も麻布十番祭りのときとかもいらっしゃっておりまして、お話ししていて。片山大臣が、やはり、そういったイベント、イベント、町に出てきていろいろな方とお話をして耳を傾けている姿というのは私も非常に印象に残っておりますし、財務大臣として様々お仕事される中でも、そういった町の人の声、国民の声、こういったものに寄り添った政策をやっていただくことを非常に期待をしております。
今日、私の方から幾つか質問させていただきたいと思っておりますが、先ほど江田委員の方からも、立憲民主党の中にも積極財政派と財政規律を重んじる派が幅広くいるというようなお話がありまして、私は比較的、財政規律派というよりは、物価が上がって多くの人が大変な思いをするのを心配をする、そういったスタンスでおりますので、そういった方向から、また違った角度で質問させていただきたいと思っております。
まず、片山大臣にちょっと認識をお伺いしたいんですけれども、様々、経済政策、財政を行うに当たって、消費者物価指数、CPIというものが重要な指標になるというふうに理解をしております。令和四年の前半以降、ちょうどロシアがウクライナに侵攻した辺りから、我が国においてもインフレの状態、CPIが非常にプラスになっている状態が続いております。二〇二五年の十月、今日の朝に総務省の方、統計局が発表した数字におきましても、生鮮食料品とエネルギーを抜いたCPIがプラスの三・一%ですかね、それになっております。円安もじわじわと進んでおりまして、先ほど日銀の総裁からも、円安が物価高につながる、そういったメカニズムについては懸念を示されていたところです。高市総理も、国民が直面する物価高への対応が最優先課題だというふうに述べております。
そこで、片山大臣にお伺いしたいんですけれども、この現在の物価高の状況というものについてどのような認識を持っているのか、これをまず教えてください。
○片山国務大臣 麻布十番祭りは十五年ほど行っておりまして、御迷惑がかからなければまた行きたいなと思っておりますが、委員におかれても、商店街の声を大変大事にしていただいているということは、私は全国商店街政治連盟の顧問でございますので、非常に共感するところでございます。
令和四年からの物価上昇ということでちょっとお答えしたいんですが、コロナ禍を経た世界的な需要の回復ですとか、ロシアのウクライナ侵略による資源、食料価格の高騰に加えまして、円安の進行も相まって、輸入物価の上昇を起点としたということで、この令和四年からということにしているんですが、令和五年一月のピーク時には、消費者物価の総合で前年比四・三%まで達しておりまして、その後、電気・ガス代の激変緩和措置等の政策効果や資源、食料価格の落ち着きなどにより、輸入物価を起点としたコストプッシュ型の財価格上昇は一旦は落ち着きを見せましたが、昨年秋以降、夏の天候不順による野菜の生育不良ですとか米価格の高止まり、物流費の転嫁等を背景に食料品など身近な物の価格が上昇してきていると認識しており、足下では消費者物価が前年比で三%程度の上昇と、先ほどおっしゃったとおりでございます。
賃金上昇を伴った持続的な、安定的な物価上昇の実現なのかというと、それはまだ道半ばであるというふうに考えております。
○松尾委員 まだ道半ばだということで、それが、先ほどからお話に出ている積極財政、責任ある積極財政、そして大規模な経済政策といったものにつながっているんだろうなというふうに思っております。
ただ一方で、今お話もありましたけれども、やはり、エネルギーとか、あと食料品とか、あと人々の暮らしに直接影響がある、こういったものについて特に、物価高、価格の上昇といったものが続いております。こういった状況が続いていて、多くの方が物価高が大変だと感じている。様々な世論調査とか、例えば、選挙のときに、投票をするときに何を重視するかというときでも、物価高にどう対応するのかというものを多くの方が感じているにもかかわらず、積極財政という、物価高については加速をしていく性格を持っている、また、政策を吹かしていくということは、やはり私は慎重になるべきではないかというふうに考えております。
先ほどから二%の物価上昇目標という話も出ていますけれども、政府と日本銀行が二〇一三年に出している共同声明、こういったものが、やはりこの二%という大きな目安、指標になっていて、そこを追い求める余り、世の中が、多くの人が物価高で大変だと思っているけれども、まだまだ物価を上昇する政策を続けなければいけないのかという方向性につながっているのではないかというふうに考えてもいます。
この政府と日本銀行との間の共同声明、こういったものを今見直す時期に来ているのではないかと考えていますけれども、これについて大臣のお考えを教えてください。
○片山国務大臣 いわゆる二十五年のアコードでございますが、「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」というのが、この共同声明というのが正式な名前なんですけれども、足下の消費者物価が米ですとか食料品価格の上昇などを要因として前年比で三%程度上昇を続けているというのは、確かに委員の御指摘のとおりでございまして、物価高の状況にあるとは認識しておりますが、繰り返しになりますが、賃金上昇を伴った持続的、安定的な物価上昇の実現ということにはいまだ道半ばであると考えておりまして、これは日銀総裁も繰り返し申し上げているとおりでございまして、その認識は一致しております。
こうした認識に基づいて、デフレからの脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現のために、引き続き、この共同声明の下、政府と日銀が連携を続けていくということは私どもの内閣としては重要と考えておりまして、十九日に私自身も、植田総裁、それから経済財政担当大臣と御一緒にお会いしたときにも共同声明の内容は再確認をいたしております。
なお、非常に形式的なところで、中で言及されております本部の名前が内閣が替わったことによって変わったので、そこの書換えだけは早急に行うということで一致して、ですから、内容は変わらないということでございます。
○松尾委員 この共同声明に基づいて様々な政策を行っているのだと思うんですよ。元々が、目標が、二年間で達成するというのが、もう十二年以上、十三年近くたっていて、先ほども、同じことを繰り返していても同じことが続くだけだという別の側面、おっしゃっていましたけれども、やはり、同じことを繰り返すのではなくて、当然次の、二〇一三年と二〇二五年の現在ではやはり大きく経済状況が違いますので、今の現状にふさわしいような、そういった目標というものをきちんと立てていただきますよう改めてお願いをいたします。
その上で、やはり、今の物価高の内訳を見てみると、何度も言及しております食料品とエネルギー、特にエネルギーの中でも電気代とか灯油代、こういったものが非常に今、物価の上昇が見られているんですけれども、これらに対して、個別に物価高の対策、それも、補助金を出しますというのではなくて、価格をきちんと抑えていくといった方向での対策をするべきだと考えていますが、それについて大臣のお考えを教えてください。
○片山国務大臣 委員とも認識が一致しております点は、国民の皆様が直面している問題の最大のものの一つが物価高でございますから、これは高市内閣の最優先事項でございまして、具体的なやり方は確かにあるんですけれども、今細かい内容まで全部申し上げられないですけれども、電力、ガスの非常に消費の多いときに、過去もやったような形の対策を今回も踏み込んでやるということを既に予算委員会で御党に対して総理から答弁をしておりますので、そういったものが含まれるということはもう申し上げていいと思いますし。
深掘りということの最終内容について、まだ数字が詰まる間は少しでも増やしていただきたいという我々の連立を組んでいらっしゃる政党からの御要望もあるものですから、最終調整の状況にあるわけですが、このやり方につきましては、現状、ロジスティクスに、今のやり方以外がちょっとなかなか考えられないので、そういうことで、キロワットアワー幾らになるかとか、そういう表示がなされる形になるとは思いますが、やり方として委員がおっしゃっているような方法があり得るのであれば、我々はそういった議論をオープンに伺わせていただきたいとは思っております。
生鮮食品につきましては、個別のそういった方式が成り立たないものですから、過去行ってきた方法としては、消費をある程度下支えするような形で重点支援交付金から支出をいただく、それも、できるだけ、今が物価が高いわけですから、早く配れる、早くお手元に届くという形を考えておりまして、これも具体的には昼過ぎに総理の方から御説明ができればと思いますので、また、それを受けて更に前向きな議論をさせていただければと思います。
○松尾委員 ありがとうございます。
繰り返しになってしまいますけれども、対症療法で、高いからそれを補助するというわけじゃなくて、きちんと、やはり特にエネルギー、食料品のインフレ、物価の高騰そのものを抑えるというようなことも取り組んでいただきたいと思います。ただ、これは産業政策になってくる部分も大きくあると思いますので財務大臣と余り話してもあれですけれども、様々な食料の自給率を上げていくとか、エネルギーの自給率を上げていって為替の影響を受けにくくする、こういった施策も是非やっていただきたいというふうに思っております。
さらにあわせて、やはり、物価高に対応するために給付であったりとか減税とかいうのは、いつまでもいつまでも続けていても、イタチごっこになってしまう部分もあります。物価高の影響を強く受けると言われている中低所得者向けにピンポイントで効果的に支援をしていくことができる給付つき税額控除という制度について、今、広く議論がされようとしております。
立憲民主党としましても、二〇二三年に消費税還付法案という略称で法案を提出しておりますけれども、なかなかこれは議論が進まないまま今に至り、高市政権になりまして、給付つき税額控除を検討するということが、総理も言っているので、にわかに注目を集めているのではないかなというふうに思っております。それ自体は私自身も非常に歓迎をしているのですけれども、給付つき税額控除の制度設計に着手をすると言ったきり、具体的な内容がなかなか見えてこないというところもありますので、まずは外縁だけでもお伺いしたいというふうに思っております。
そもそも、給付つき税額控除という制度は世界各国で取り入れられております。ただ、一口に給付つき税額控除といっても様々な目的というものがあって、勤労税額控除であったりとか、児童税額控除、社会保険料負担軽減の税額控除、消費税逆進性の緩和税額控除などなどがあるのですが、それぞれの政策目的によって具体的な内容というのは異なってくるんですね。
今般、政府の方が制度設計をすると言っている給付つき税額控除のそもそもの政策目的というものはどういったものかというのを教えてください。
○片山国務大臣 申し上げます。
高市総理が再三発言をされておりますが、今回の給付つき税額控除につきましては早急に着手するということで、私も、組閣のときの十項目の項目の中の一つとして御指示をいただいております。これは財政マターだから、当然、私もその中に中心として入るわけですが。
総理のおっしゃっている目的としては、中低所得者の負担を集中的に軽減して、所得に応じて手取りが増えるようにする姿をつくるにはこの給付つき税額控除である、そういうお考えでありまして、税、社会保険料負担で苦しむ中低所得者の負担を、毎年毎年何かをするんじゃなくて、構造的に、かつ継続的に支援ができる仕組みではないかということで、これを目的としているということであります。
○松尾委員 総理の就任のときなのでもうそろそろ一か月たとうとしていて、そこで早急にというお話だったんですけれども、具体的な制度は、少なくとも私は寡聞にして余り現時点では分からないんですけれども、一方で、実現までに時間が非常にかかるといったことも高市総理も述べているわけです。
多くの方が、給付つき税額控除はいいものだけれども時間がかかる、いいものだけれども時間がかかると繰り返しているんですが、一体何に時間がかかるのか、何をやっていくために時間がかかると思っているのか、それをまず教えてください。
○片山国務大臣 これも総理が予算委員会等でもお答えをしておりますが、制度設計に着手をするということはもう申し上げて、そのための国民会議の組織づくりから今始めているところなんですが、検討に当たって、まず、納税の有無や資産性の所得の多寡によって実質的な不公平が生じないようにという工夫をどこでもするわけですが、その制度の執行やシステムの整備ということが今現在我が国では全部できておりませんので、その実務面の課題が非常にあるということ。また、先ほどもお話が出た、財源の確保の中で安定財源の確保でございますね。それから、生活保護等ほかの社会的扶助や社会保障政策がありますから、どこからどこまでそれをつなげるのかといった整理も当然行われるという意味で、これらの課題が整理される必要がありますので、最善の努力をいたしますけれども、それでもやはり実現までには一定の期間はかかるということを御理解いただきたいという答弁を私の方でも予算委員会でさせていただいているところでございます。
○松尾委員 様々な乗り越えなければいけないハードルというか、決めなければいけないことがあるというのはもちろん承知はしておりますけれども、繰り返しになりますけれども、いい制度で、やはり早急に進めるべきだ、そこまでの認識の一致というものはあるのではないかなと思っておりますので、是非、総力を挙げてというか、全力を挙げてやっていただきたいというふうに思っております。
その中で、幾つか挙げられた中で所得の把握といったものが非常にキーになるのかなというふうには思っているんですけれども、今、当然多くの国民が所得税といったことで収入に応じて、所得に応じて納税をしているわけです。その所得税の種別にも給与所得とか事業所得とかいろいろあるんですけれども、どのような給付つき税額控除の制度設計をするにしても、所得を把握をして、所得に応じて税額を必要であれば控除して、それで引き切れなければ給付をする、そういった基本設計は必要だと、基本的なところは一致をしていると思うんですが、誰に幾ら控除して幾ら給付をするのかという判断をするために、所得の把握というものは必要だと思います。
今、国税庁が把握をしている課税所得といったものについてはどんなものがあって、そして、それを、誰が幾らなのかというのを把握するためにはマイナンバーを用いると思うんですけれども、マイナンバーにひもづけられていない所得というものが存在するのか、これについて教えてください。
○田原政府参考人 お答えいたします。
国税当局におきましては、個人の所得情報を把握する手段といたしまして、事業所得者でありますとか不動産所得者などから提出されます所得税の確定申告書でありますとか、給与の支払い者から国税当局に提出されます給与所得の源泉徴収票を始めといたしました法定調書、これらを活用しておりますが、全ての所得情報を把握できているわけではございません。
具体的に申しますと、個人が支払いを受ける利子で、源泉分離課税の対象となっているようなものにつきましては、確定申告をする必要もなく、また法定調書の提出も不要となってございます。
こうした国税当局に提出される申告書や法定調書などにつきましては、法令の規定によりまして、提出に際してマイナンバーを記載することが求められております。
○松尾委員 今の答弁を整理すると、全ての所得について把握ができているわけではない、しかし、把握をしている、提出がされているものについては、全てマイナンバーとひもづいている、マイナンバーが記載がされているものであるという理解でよろしいでしょうか。念のため確認させてください。
○田原政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたように、提出されております申告書あるいは法定調書につきましては、法令上、提出に際してマイナンバーを記載することが求められているということでございます。
○松尾委員 ありがとうございます。
そのマイナンバーが記載をされている様々な、国税庁が有している所得情報、課税情報について、マイナンバーをキーにして、それを一元的に管理をして、個々人の所得を総合して算出をする、算定をする、こういったことは今行うことができるのでしょうか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
国税当局におきましては、提出された申告書や法定調書等の税務関係書類に記載されましたマイナンバーを活用いたしまして、個人ごとに法定調書の名寄せでありますとか申告書との突合を行っておるところでございます。
ただし、法定調書がカバーする所得の範囲は網羅的ではございませんで、また、申告義務につきましても、課税所得が生じない方などにつきましては申告義務がないわけでございまして、こうした方々の所得につきましては、国税当局において把握を行っているわけではないということでございます。
○松尾委員 状況については承知をしました。
その後、所得を把握をしました、それで、給付額、控除額を算出しましたとき、最後、給付をするというプロセスが必要だと思うんですけれども、それもこれから設計しますよというのは当然承知をしております。
一方で、これまで行われてきた、コロナのときの特別給付金とか、また昨年行われた定額減税、こういったときには、自治体を経由して広い国民に対して給付を行うということが行われております。それをサポートする、補助するために、デジタル庁の方で給付支援サービスといったシステムを提供していると思います。
このサービスをそのまま給付つき税額控除に使えるかといえば、そんなことはないというふうに当然私は理解はしておりますけれども、そういった自治体が給付をする仕組み、システムとしてどういったものかというものをデジタル庁の方から教えてください。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
デジタル庁が提供している給付支援サービスは、自治体の給付事務における申請から振り込みまでのプロセスをデジタル化し、迅速かつ効率的な給付の実現に資するものでございます。
どういった給付を行うかによって異なりますことから一概には申し上げられませんが、例えば、非課税世帯向けの単発の給付金の支給などでは、一般に、給付事務を行う自治体は、まず、給付対象者リストを作成した上で、給付対象者へ給付申請受付の周知、案内を行う。その次に、給付対象者からの申請を受け付ける。そして、給付対象者からの申請状況の確認や審査を行う。さらに、登録された銀行口座への振り込みなどの事務作業が必要となっているところでございます。
この給付支援サービスの利用によりまして、例えば、審査事務における対象者リストと申請情報の自動マッチング、また、振り込み事務における振り込みリスト作成やマイナポータル上での申請ステータス確認などによりまして、給付事務の負担軽減が可能となるところでございます。
昨年二月にサービス提供を開始して以来、これまで累計百八の自治体において重点支援地方交付金における給付金等の給付事務で御活用いただいているというところでございます。
○松尾委員 ありがとうございます。
時間が来ましたので、そろそろ終わりたいと思います。今日は、触りだけお話しさせていただきました。これから国民会議等々の議論を踏まえて、またこの場でも意見交換をさせてもらえればというふうに思っております。先ほども申し上げましたけれども、やはり今の日本にとって必要な仕組みであって、早急に進めるべきだと思っておりますので、是非頑張って進めていただきますよう改めてお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、矢崎堅太郎君。
○矢崎委員 おはようございます。立憲民主党、千葉県第五区、浦安市、市川市が選挙区の矢崎堅太郎です。
片山大臣、大臣就任おめでとうございます。
私も、昨年十月当選させていただいて、二年目を迎えました。この財務金融委員会、今年も党内で希望いたしまして、倍率がどのぐらいだったか分かりませんけれども、無事に所属をさせていただきました。本当に党の国対の皆さんには感謝申し上げたいというふうに思います。そして、片山大臣を始め副大臣、政務官、財務省、金融庁の皆さん、そして阿久津委員長始め委員の皆さんには、どうぞこの一年もよろしくお願いをいたします。
さて、今回、大臣と初めて議論させていただくということで、ちょっと欲張りまして、質問項目が六問、そして小項目が十八問ということで、限られた時間の中ですので、途中でまとめたり、もしかしたら飛ばしたりすることがあるかもしれませんけれども、どうか御容赦いただければというふうに思います。
それでは、早速質問させていただきたいというふうに思います。
今日、この後政府の経済対策が発表されるということでありますけれども、立憲民主党もこれに先立ちまして緊急経済対策を発表させていただいております。まず大臣に、この立憲民主党の経済対策についての率直な御感想を聞かせていただければというふうに思います。
○片山国務大臣 立憲民主党が御提案されている緊急経済対策で、暮らし、命を守り賃上げを加速するということを掲げられていると承知をしておりますが、私ども政府の経済対策の策定に当たりましても、生活の安全保障、物価高への対応というのがまず正面に来まして、さらに、危機管理投資、成長投資による経済の実現、防衛力と外交力の強化、この三本柱でございまして、具体的な政策手段にはいろいろと異なる部分もあるのではないかと思いますが、目指す方向のナンバーワンのところでは非常に共通点が多いのではないかというふうに考えております。
政府といたしましては、国民の皆様が直面していらっしゃる物価高への対応が最優先ということで、これを進めるとともに、責任ある積極財政の考え方の下、戦略的に財政出動を行って、今の暮らしや未来への不安を希望に変える強い経済をつくってまいりたいと考えておりますので、是非前向きな御議論をいただければと存じます。
○矢崎委員 ありがとうございます。御理解をいただいたというふうに認識をさせていただきました。
そこで、ちょっとこの物価高対策について質問させていただきたいんですけれども。
まず、今回の私どもの党の政策、物価高対策のやはり柱は、食料品の消費税をゼロということであります。このことについては、高市総理も以前前向きな発言をされていたときもありましたし、先日行われた予算委員会でも、たしか公明党の岡本委員の質問だったと思いますけれども、五億円自由に使えるお金があったら何に使いたいかという質問に対して、総理は、党には怒られるかもしれないけれども個人的には消費税をゼロにしたいという発言をされたというふうに記憶をしておりますけれども。
そうしたことを考えますと、私どものこの消費税ゼロについて、是非政府も協議をしていただきたい、一緒に協議をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○片山国務大臣 私ども自民党と日本維新の会の連立合意書では、飲食料品については、二年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行うと明記をされておりまして、総理も、消費税率の引下げについて、選択肢として排除するものではないと説明されております。
私も、予算委員会でお隣に毎回座っておりますので、私の隣で手を挙げて、今委員がおっしゃったような御発言も、仮定の問題で、こうであったらということで御発言されているのは聞いております。
ただ、そのときに並行して総理がおっしゃっていたのは、消費税率の引下げは、大手事業者の関連システム改修などに一年以上かかるとの課題があり、物価高対策として、今回、迅速性を欠く面があることに留意が必要だということも申し上げております。
消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、現役世代など特定の層に負担が集中することがないという特徴もありまして、社会保障の財源として活用され、社会保障給付という形で家庭に還元されている部分があるということも一つの要素であるのではないかと思います。
いずれにしても、政府といたしましては、今回、速やかに対応できる物価高対策などに優先して取り組むということで、これらをできる限り早期に実施に移してまいりたいということで、この昼以降、説明を申し上げ、そのことについてもまた是非御議論をいただきたいと思います。
○矢崎委員 ありがとうございます。
消費税について、以前は私がこの場で質問しても全くゼロ回答だったんですけれども、今の大臣のお話ですと、協議する用意はあるということだというふうには思うんです。
ただ、時期が問題でして、今、これだけ物価高で国民の皆さんが困っている中でありますので、私どもとしては、何としても来年の十月一日から始めさせていただきたいというふうに思っております。是非その点を御考慮いただいて進めさせていただければなというふうに思います。
そして、もう一つは、私どもは最終的に、この消費税ゼロの後、先ほど松尾委員からもお話がありましたけれども、給付つき税額控除を導入したいということで考えております。そして、消費税の税率ゼロも十月からということで考えますと、その間をどうするのか。
その間、今の、即効性のある国民の皆さんへの経済対策ということで、今回のこの緊急経済対策の中でも御提案をさせていただいておりますけれども、物価高・食卓緊急支援金ということで、中低所得者の方々に対して一人三万円、そしてお子さんに対しては所得制限なしで一人二万円ということで提案をさせていただいております。このことについて、大臣、是非ともこれも協議していただきたいというか盛り込んでいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○片山国務大臣 この現金給付問題については大変議論になりまして、我々自民党が夏の参議院議員選挙で公約として掲げておりました、この掲げた給付金については、結果を見れば国民の皆様の御理解が得られなかったということであろうということから、維新の会と自民党との連立合意も経て、低所得者世帯向けの給付金も含め実施しないということとしておりました。
他方、高市総理が所信表明演説で述べられたとおり、経済対策の策定に当たっては、野党の皆様との真摯な対話と合意も積み重ねるということを申し上げてきたところでございまして、御党を含めまして各党の提言や政党間の意見交換などを踏まえて、先日、我が党の小林政調会長の方から申し上げさせていただいたように、食料品の価格を含めて物価が上がってきている中では、やはり子育て世帯は物入りでございます、ですから、その子育て世帯をしっかりと支援していくという観点から、子供さん一人当たり二万円を児童手当に上乗せしていくというような形、まさに子育て応援手当という形で盛り込んでいく方向で政府と調整ということで、私どもが政府でございますが、これから時間を置かずに発表があるわけで、そういう方向でございます。
その意味では、御党も含めて各党の御意見を踏まえさせていただいて経済対策を取りまとめたということがこの時間ではほぼほぼ言えるのかなと思って、多少は今伺ったところにお答えできたのではないかと思います。
いずれにしても、既に前々から申し上げている重点支援地方交付金の拡充も、この物価高対策と併せて、暮らしの安心を確実に早くできる方法としてお届けするという方針でも我々は対策をつくっておりますので、その辺も一緒に吟味していただければと思います。
○矢崎委員 児童手当に二万円上乗せということですから、実質的には私どもが言っていることと同じだというふうには思います。
ですので、それプラス、即効性という意味でいうと、中低所得者に対して是非一人三万円を支給するということ、これをやると、四人家族ということで考えますと、子供手当とそれから一人三万円ということを合わせると、一世帯十六万円の給付ということになるというふうに思います。ですので、確かに、いろいろな交付金で、お米券とかそういうことも考えられるかもしれませんけれども、しかし、困っている方に早く出すということでいえば、この方が即効性があるのではないかなということを是非お伝えをしたいというふうに思います。
そして、我が党の案については、本庄政調会長から木原官房長官に申入れもされたということであります。そのときに、官房長官からも、政調会長の記者会見の言葉で言えば、方向性や思いは共有しているということでありますから、是非、国民が今困っている中でありますから、消費税食料品ゼロと、そして今の給付の部分について、前向きな御検討、協議をしていただければというふうに思います。
それでは、次なんですけれども、政府の経済対策なんですが、先ほど来大臣からもお話ありました、皆さん、ほかの委員の方からもお話ありましたので、ちょっとまとめて三問で聞こうと思っていたんですけれども、まとめてなんですが、まず、この経済対策のポイント、これを簡潔に教えていただきたいのと、あと、物価高対策の柱、さらには防衛費の増額、このことについてはどのようなお考えでまとめられているのか、そのことについて教えていただければと思います。
○片山国務大臣 三つまとめてでございますが。
まず、今回の柱でございますが、まず第一に、申し上げましたように、物価高から暮らしと職場を守ることでございまして、加えて、大胆な危機管理投資と成長投資で暮らしの安心、安全を確保し強い経済を実現すること、そして三つ目が防衛力と外交力の強化で日本の平和を守ることという三本柱で今ほぼつくり上げたという形でございます。
その中で、委員御関心の物価高対策の柱になりますのは、まず、地域のニーズに対応する重点支援地方交付金につきましては、これは大幅に増額をしておりまして、特に、生活者目線ということで、ある程度ミシン目を入れた形で食料品に充てていただく部分を例示させていただこうと思っております。加えまして、厳冬期の間の電気・ガス代の支援、それから、六党で御成立した合意によりますガソリン税の当分の間税率の廃止に向けた対応、さらに、今追加で申し上げましたように、お子さん一人、子供一人当たり二万円の上乗せの形での手当の支給などが盛り込まれる方向で調整がなされているということが、今回の物価高の柱ではないかと考える次第でございます。
GDP比二%水準の防衛費の前倒しにつきましては、二〇二二年の十二月の国家安全保障戦略を始めとするいわゆる三文書の策定以降、新しい戦い方の顕在化など一層急速に厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要という認識でございます。そのために、政府としては、まず現在の取組を加速すべく、現行の国家安全保障戦略に定めております対GDP比二%水準につきまして、補正予算と併せて今年度中に前倒しで措置を講ずるということにいたしました。これが今回の趣旨でございまして、この前倒しに必要となる財源については補正予算の中で適切に対応するとともに、もちろん国民の皆様の御理解をいただけるということが一番重要でございますから、更に丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
○矢崎委員 大臣、まとめて答弁いただいてありがとうございました。
今お話ありましたけれども、やはり、規模について、この後明らかになると思うんですけれども、報道ベースによれば二十兆を超えるということ、それだけのことをやろうとすればそれぐらいかかると思うんです。
ただ、この財源、これから補正予算でということでありますけれども、そこの部分で考えたときに、やはり財源を考えたら、今回の補正予算というものは、責任ある財政運営そして的確な経済対策ということで、さっきお話しした規模でいうと、私たちは八・九兆円です、全部入れて。政府の方は約二十兆円を超えるんではないかと言われておりますけれども。そう考えますと、やはり財源面とかを考えますと、お金があればそれは幾らでもやっていきたいということは理解はできますけれども、しかし、絞って、財政も考えながら、そして有効な経済対策を打つということを考えると、私どもとしては、これは出てきてからになると思いますけれども、やはりもう少し規模も考えていただくのがいいのかなというふうに思っております。
それでは、続いて、責任ある積極財政ということでお聞きをしたいんですけれども、これもちょっと、時間があと五分ということなので、大分はしょってお聞きをしたいというふうに思います。
一問目と二問目はプライマリーバランス等についてお聞きをしたかったんですけれども、これについてはもう皆さんから出ておりますので省略をしまして、まず、アベノミクス、これについて大臣のお考えをお聞きしたいんですけれども。
私は、やはり、第一の矢の金融政策、第二の矢の財政政策、そして第三の矢の成長戦略、この成長戦略がうまくいかなかったことによってトリクルダウンがうまく起こらず、そして格差が拡大をして今現状に至っているというふうに思いますけれども、大臣のアベノミクスについての評価というものを教えていただければと思います。
○片山国務大臣 お答えさせていただきます。
アベノミクスは、もはやデフレではないという状況をつくり出して、GDPを高め、雇用を拡大して、企業収益の増加傾向にもつながったという点では非常に効果があったものと認識をしておりますが、他方、その後、新型コロナウイルスの感染症の影響で雇用状況がやや悪化したこと、それから、いわゆる第三の矢としての民間投資を促す成長戦略の成果が十分でなかったことというのは感じられると思います。
私自身も、二〇一八年から二〇一九年まで内閣府特命担当大臣として拝命していた担務の中に、国家戦略特区関係それから規制改革関係がありまして、生前の安倍総理から、この三本目の矢がなかなか飛ばないから、規制改革について、もう少し民間からインセンティブが感じられるようなものができないかということで、急遽、法改正で、スーパーシティほか、その他の特区改正を企画するに至ったという経緯で、その辺のことは非常に強く認識しておりますので、これをやっていくために、今回、投資に非常に大きな重きを置いた高市政権での経済政策になっているものと考えております。
○矢崎委員 やはり、成長戦略、うまくいっていなかったということですから、今回の経済対策、さらに今後の経済政策については、そこの成長戦略についてはしっかりやっていただきたい。我々も、やはりそこについても御提案をしていきたいなというふうに思っております。
済みません、ちょっともう時間もないので、三問目はこれぐらいにして、次なんですけれども。
日中関係、今非常に厳しくなってきて、そして経済にも影響が出始めておりますけれども、この日中関係の悪化について、日本経済に与える影響がどのようになるかということについて、大臣のお考えを教えていただければと思います。
○片山国務大臣 中国との間では、戦略的互恵関係の包括的な推進と建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性は確認してきているわけで、こうした大きな方向性の下で、あらゆるレベルで幅広い分野において意思疎通をより一層強化し、課題や懸案を減らして理解と協力を増やしていくというこの方針自体には変わりはないということだと思うんですが、中国側が一連の措置を取ってきているということで、政府としては、日本経済への影響を含めて状況は注視しているところでございますが、引き続き、そういう状況でどのぐらいのマイナスが出るのかとかいうことについては、現状を、私どもも、総合的に数値的に把握しているものはこの時点ではないんですけれども、注視して、きちっと、必要なことがあれば、それへの対応が取れるようにしてまいりたいと思っております。
○矢崎委員 是非、この中国との関係、経済、大変重要だと思いますので、その点についてはしっかり対応していただきたいということをお願いしたいというふうに思います。
もうちょっと時間がなくなってしまって、次の、金融庁の組織の在り方についてお聞きしたかったんですけれども、申し訳ありません、ちょっとそれは今回は飛ばさせていただいて、最後、スルガ銀行のことを一問お聞きしたいというふうに思います。
このスルガ銀行の不正融資の問題については、これまで多くの委員の皆さんが質問してきましたけれども、しかし、結果としてなかなか進んでいない。この問題について、この十二月十五日には調停が終わってしまうということを考えますと、スルガ銀行の対応が余りにも被害者に対してひどいということだというふうに私は思っております。
金融庁として、是非、改めて、業務停止を含めて厳しい行政処分をしていただきたいというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○阿久津委員長 金融庁石田監督局長、簡潔におまとめください。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
個別の行政対応につきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、当庁といたしましては、二〇一八年に業務改善命令を発出しまして、三か月ごとにフォローアップしてきまして、本年五月にも、問題の早期解決に向けた対応を強く促していくために、報告徴求命令も発出しているところでございます。これを受けましてスルガ銀行から提出された報告書には、これまでの取組が長期化している理由、新たな支援策等が上げられているところでございます。
こうした支援策は、調停外においても個別対応を通じた解決へ加速すべく実施するものでありまして、金融庁といたしましては、スルガ銀行が調停に誠実に対応していくことはもちろんのこと、同行におきまして当該支援策が着実に実施されていくことについてもしっかりと確認を行っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
○矢崎委員 今までの対応が非常に甘いということで、この質問をさせていただいています。またこれからも引き続き質問していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、三角創太君。
○三角委員 立憲民主党の三角創太です。
まずは、片山大臣、就任、誠におめでとうございます。さいたま市浦和出身ということで、私も、埼玉十六区ということで、隣の春日部、岩槻から国会に送り出していただいております。財務省の御出身ということで、是非、深い知見と専門的な経験を踏まえて、前向きな答弁をいただければ幸いです。
と申し上げたんですけれども、ちょっと順番的に最初に日銀の方からお伺いをさせていただきたいと思います。まずは、日銀の利上げの対応についてお伺いをさせていただきます。
高市総理の就任以来、円安が更に進行しておりまして、物価高が今後更に加速をする懸念がございます。
まず、植田総裁にお尋ねをいたしますけれども、更なる物価高が進行する前に、前回十月の金融政策決定会合において利上げを行うべきだったというふうに私は考えておりますけれども、前回の会合ではなぜ利上げを判断をされなかったのか、答弁願います。
○植田参考人 お答えいたします。
私どもの金融政策運営については、現在実質金利が極めて低い水準にあるということを踏まえますと、経済、物価の中心的な見通しが実現していくとすれば、私どもの見通しですが、経済、物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくというのが基本的な考え方でございます。
この点、最近の米国経済や関税政策をめぐる不確実性の低下などを踏まえますと、中心的な見通しが実現する確度は少しずつ高まっていると判断しております。
その上で、十月の私どもの会合で政策金利の据置きを決定いたしましたのは、関税政策による収益の下押し圧力が作用する下でも、我が国企業の積極的な賃金設定行動が途切れることがないかどうかについて、もう少しだけ確認したいと考えたためでございます。今はこうした点を見極めていく段階にあり、特に、来年の春季労使交渉に向けた初動のモメンタムを確認していくことが重要と考えております。現在、様々な一般情報に加えて、本支店のネットワークを通じて情報収集をしているところでございまして、そうした情報を次回以降の決定会合で生かしていきたいと考えております。
日本銀行としては、今後の利上げの是非やタイミングについて、様々なデータや情報を丹念に点検した上で、決定会合において議論し、適切に判断してまいります。
○三角委員 日米関税交渉についての不確実性ということも御指摘がありましたけれども、既に日米関税交渉については御案内のとおり妥結しておりますので、その後の賃上げ等の不確実性というのは確かに一定あるかもしれませんけれども、この間も、例えば自動車メーカー、大手などの中間の決算の発表などもあったというふうに思いますので、ある程度はもうこれは見えてきているんじゃないかなというふうに個人的には考えております。
また、賃上げの動向についてということですけれども、必ずしも来年の春闘まで待たなきゃいけないということでもなくて、例えば冬のボーナスとかということで一定の情報は得られるというふうに思いますので、是非前倒しでその検証を行っていただいて、十二月の会合にもしっかりと間に合うように検証していただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。それぐらい国民生活は非常に今物価高で追い込まれているというふうに私は認識をしております。
そして、次に、直近で、高市政権が発足をしてから円安が非常に進行しております。今週は一ドル百五十七円台につける水準ということでありますけれども、日銀また財務省、どちらからも御答弁いただければと思うんですが、この直近の円安の要因というのはどのように分析をされていらっしゃるのか、御答弁願います。
まず、日銀の方から。
○植田参考人 為替相場の水準や評価について、私どもから具体的にコメントすることは差し控えさせていただきます。
為替レートは、経済、金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要と考えております。
その上で、日本銀行としましては、引き続き、二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現するという観点から、適切に金融政策を運営してまいります。
金融・為替市場の動向については、今後ともしっかりと注視してまいりたいと思っております。
○片山国務大臣 申し上げます。
御承知のように、為替相場は非常に多様な要因を背景に市場において決まるものでありますので、何か特定の理由のみにおいてどうこうということがあるというのではないと。そして、為替相場に与える影響がどうだということを一概に申し上げることも非常に困難でございまして、また、そのコメントによっては更にそれが市場に不測の影響を及ぼすので、控えさせていただきますが、足下の動きとしては一方向な、また急激な動きが見られることを憂慮しております。
為替相場は、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要でありまして、政府としては、投機的な動向も含め、為替市場における過度な変動や無秩序な動きについては、九月に発出した日米財務大臣共同声明の考え方を踏まえまして、必要に応じて適切な対応を取ってまいります。
○三角委員 多様な要因があるということだと御回答ありましたけれども、やはり直近は、いろいろ、当然アメリカの金融政策とかそういった要因もあるとは思いますけれども、明らかに今回の円安というのはこの高市政権が発足をしてからというのが一つ大きな要因であるというふうに市場からも見られているというふうに思いますけれども。
逆の聞き方をしますけれども、高市政権の誕生は為替にどういう影響を及ぼしたというふうにお考えになっているか。これは、財務大臣、御答弁願います。
○片山国務大臣 まさに市場にいろいろな材料をもたらすような形で情報が出てまいりますが、私が財務大臣、金融担当大臣という立場でこれに言及すること自体がその新たな動きを複雑化させてしまいますから、最初に申し上げましたように、この影響を一概に申し上げるということもしておりませんし、水準にコメントすることもしておりませんが、以前から、一方向な、急激な動きが見られることを憂慮しておりまして、政府としては、投機的な動向も含めて、過度な変動や無秩序な動きについては、九月に発出した具体策を含んでいる日米財務大臣共同声明の考え方を踏まえて、必要に応じて適切な対応を取るということを今朝から申し上げております。
○三角委員 分かりました。
たしか今朝の閣議後の会見で、片山大臣から為替介入の可能性についても触れられたということで、先ほどニュースも拝見をいたしました。是非、高市政権による政策運営が今のこの円安にも大きな影響を与えている、また物価高にも大きな影響を与えているという自覚を持って、相場の状況にも一段と留意をしていただきたいというふうに思います。
もう一点だけ、これは日銀総裁の方にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、物価安定の目標の達成時期の見通し、これをいつというふうに認識をされていらっしゃるのか。総裁の認識を答弁願います。
○植田参考人 私ども、物価の先行きを展望してみますと、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響がだんだん減衰していくと考えておりますので、来年度前半にかけて、一旦二%を下回る水準までプラス幅を縮小していくというふうに考えております。
もっとも、その後は、成長率が高まる下で人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と生鮮食品を除く消費者物価の上昇率は共に徐々に高まっていき、私どもの展望レポートの見通し期間後半、すなわち来年度後半から二〇二七年度にかけて、二%物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移すると考えております。
○三角委員 分かりました。
来年度後半以降は二%というところになってくるという御答弁だと思いますけれども、以前、この財務金融委員会で、たしか米山議員の質問で指摘をされていたんですが、直近の物価安定の目標というのが、基調的なという言葉がついているということで、展望レポートで私も拝見しておりますが、直接的な消費者物価指数の見通しの数字じゃなくて基調的な物価上昇率が二%に達しているかどうか、これがゴールの判断だという御答弁が以前あったのかなというふうに思います。
基調的な物価上昇率が二%を超えるかどうかということですが、基調的な物価上昇率というのは今現在は何%というふうに認識をされているのか、御答弁願います。
○中村参考人 お答えいたします。
基調的な物価上昇率の評価に当たりましては、各種の物価指標や人々の物価観を示します中長期的な予想物価上昇率、さらには物価変動の背後にあるマクロ的な需給ギャップや労働需給、賃金上昇率など、経済、物価に関する様々な情報を見た上で総合的に判断していく必要があると考えております。
最近におけるこれらの指標の動きを踏まえますと、基調的な物価上昇率は全体として緩やかな上昇傾向をたどっておりまして、二%に向けて緩やかに上昇していると判断をしております。
○三角委員 数値は幾つですか、今。
○中村参考人 これはという数値で示すことは難しく、これは展望レポートでも様々な指標をお示ししているところでございます。
○三角委員 数値が分からないと、いつ二%というゴールが達成されるのか全く分からないわけですね。そうなりますと、いつまでたっても金融緩和、やり続けることもできるし、主観的に二%を上回ったなと言い始めれば金融緩和をやめるとか、こういうことになるので、これはやはり明確化をするべきだということは申し上げておきたいと思います。そして、そうじゃなければ、去年の八月の市場の混乱のようなことが起きかねないということもありますので、是非明確な数値でお示しをいただいて、市場参加者の方の予見可能性を高めていただきたいなということを申し上げたいと思います。
それでは、日銀総裁と理事の皆様におかれましては、ここで御退席いただければと思います。ありがとうございました。
それでは、次に、証券会社の口座乗っ取り被害の問題について質問させていただきたいと思います。
私の地元の有権者の方からも、この被害に遭われた方からの御相談をいただいておりまして、退職金を投資に回していたところ、数千万円単位で被害を被ったという非常に悲痛な声をいただいております。今回の被害救済対応において、これまで金融庁が、一定の努力を重ねて、本来の監督範囲をある意味超えてでも被害補償を証券会社に求めたということは評価をさせていただきたいと思います。
そこで、まずお尋ねをさせていただきたいのは、これまで不正アクセスによる被害の総額また被害の件数の推移を御説明いただけますでしょうか。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
二〇二五年一月から十月の十か月間で、不正売買金額は累計約七千億円、ピークは本年四月の約三千億円、十月は約百九十億円でございました。
また、不正取引件数は累計約九千三百件、ピークは本年四月の約三千件、十月は約三百件となっておりまして、不正売買金額、不正取引件数とも減少傾向にはございますけれども、被害の終息には至っていない状況でございます。
○三角委員 分かりました。
売買金額で七千億円ということで、非常に大きな金額だというふうに思いますが、私も手元に資料があるんですけれども、これは売買金額しか書いていないんですよね。金融庁の方にお伺いしたら、被害額は分からないということだったので、是非これは証券会社に問い合わせて、被害金額もきちんと算出をされないと私はまずいんじゃないかなというふうに思いますというのは、これはただの御意見です。
その上で、証券会社ごとの補償割合というのは把握をされているのか、現状の実態を説明をお願いいたします。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
今般の不正アクセス事案で生じました顧客被害の補償につきましては、本年五月、日本証券業協会及び各証券会社が、各社の約款等の定めにかかわらず一定の被害補償を行う方針を公表しておりまして、これに基づきまして、各証券会社において補償の対応が進められていると承知しております。
各証券会社の補償の割合についてでございますけれども、大手対面証券会社は原則として原状回復、大手ネット証券会社は原則として二分の一の金銭補償としている社が多いと承知しているところでございます。
○三角委員 分かりました。大手の会社は全額、ネット証券は二分の一が一般的であるという御答弁でした。
そうすると、証券会社によって補償の姿勢に非常に大きな違いがあるということでありますけれども、こうした半額しか補償しないよという会社があることは、金融庁としてはこれを認めているのか、是認をするというか、よしとしているのか、御答弁願います。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
今般の不正アクセス事案の被害急増を受けまして、金融庁といたしましては、各証券会社に対しまして、顧客被害の回復に向けまして、従来の立場にとらわれない誠実な対応を行うよう求めてきたところでございます。そして、本年五月に、今申し上げました、証券業協会及び各証券会社が、約款の定めにかかわらず一定の補償割合を行う方針を公表しておりまして、これに基づきまして、各証券会社において補償方針を決定したものと承知しております。
この補償の割合やその方法につきましては、各証券会社が、自社における顧客のログイン情報の管理状況や顧客に提供していたセキュリティー環境の事情等も踏まえながら、各社の経営判断により決定したものと承知しております。
その上で、金融庁といたしましては、証券会社に対しまして、補償の手続を進めるに当たっては、顧客への説明や顧客ごとの事情の把握を丁寧に行った上で、顧客に対する公平な取扱いをするように求めてまいりました。
引き続き、当庁といたしましては、各証券会社が、被害に遭われました顧客と丁寧なコミュニケーションを図りながら、安心して投資が行える環境の再構築に向けて誠意ある対応を取っていくか、私どもとしてしっかり確認していきたいというふうに思っております。
○三角委員 各社の判断、あるいは顧客のログインの設定状況次第で個別に判断するというようなお話でありましたけれども、まさにスルガ銀行の個別判断の話と似ていて、非常にちょっと不安を覚えるところでありますけれども。
証券会社の方は、確かに二段階認証の、ワンタイムパスワードとか、こういった登録の要請を始めておりますけれども、私が調べた限りにおいては、多くの証券会社は今年に入ってからこの二段階認証をやっているんですよね。私も口座を持っていますけれども、二段階認証が始まったのは今年からでした。被害が増えてきてから二段階認証をやってくれということを言い出しても、周知期間も短過ぎますし、それで、二段階認証をやっていないから、いやいや、個別の、自分の登録状況が悪いんじゃないか、だから補償しないよ、これは余りにも酷じゃないのというふうに私は思いますし、それは証券会社の責任回避であるというふうに言わざるを得ないと思っております。
それでも一〇〇%補償しない会社があるというのであれば、是非具体的に個別の指導を行うべきだというふうに思いますけれども、金融庁としてどのように対応するのか、答弁願います。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
恐縮でございますけれども、この被害の補償の割合につきましては、先ほど申し上げたとおり、各社の経営判断により決定されたものと承知しておりますが、私どもといたしましては、各証券会社が、補償の実施のみならず、補償内容の公表やセキュリティー強化策の早期の実施等顧客の不安解消につながる取組を積極的に行い、顧客の立場に立った丁寧な対応を取りながら、顧客の理解を更に深めていただけるよう、私どもとしてもしっかりと確認、指導していかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
○三角委員 丁寧な対応、お願いいたします。
質問を終わります。
○阿久津委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 川内でございます。
委員長、理事の先生方の御高配を賜り、発言の時間をいただきましたことに心から感謝を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございます。
片山大臣、よろしくお願いを申し上げます。
スルガ銀行の問題を取り上げさせていただきます。
昨日の参議院の財政金融委員会でも、スルガ銀行の問題を取り上げる先生方が多くいらっしゃいました。業務改善命令が出て七年が経過をし、まだなかなか解決の道筋が見えておらないということで、決着を早くつけなければならない、早期解決をしなければならないということで、報告徴求命令も金融庁は発出をしているわけでございますが、早期解決というのは被害者の方々のために早期解決をしなければならないわけで、そこで、改めてお尋ねいたしますが、このスルガ銀行の不正融資問題というのは、シェアハウスローン、アパマンローン等の不正融資があったということなんですけれども、これはスルガ銀行の組織的な不正に起因する融資であったということでよろしいですよね。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一八年の九月の第三者委員会の報告書、それから私どもの立入検査の結果、スルガ銀行におきまして、法令等遵守態勢や業務運営態勢などにおける組織的な問題を背景に、いわゆるこのアパマン問題向け融資を含む投資用不動産向け融資について多数の不正行為が行われていたということを確認いたしまして、私どもが二〇一八年十月に業務改善命令を発出しているということでございます。
○川内委員 大臣、この第三者委員会報告書に書いてあることをちょっと聞いていただきたいんですけれども、書類の偽装が収益不動産ローンの全般に蔓延していた事実が認められる、こう第三者委員会報告書に書いてございます。
ごく一部に偽装に気づかなかったと証言する行員がいるが、それらの者については、フォレンジック調査において、業者に対する偽装の指示や取扱停止となった業者のダミー会社の設立に関与するメールが検出されており、偽装を了知していたと認められるから、その証言の信用性は乏しい、以上のように、当委員会が直接インタビューをした行員の中で、偽装に何らかの形で関与したことがある証拠が全く見つからなかった行員は一人も存在しなかった。
もうみんなでやっていた、こう書いてあります。時間がないので焦っちゃいますけれども。
不正行為が疑われる件数は、当委員会が調査したもので約八百件、会社が調査したもので千件超などとなっており、スルガ銀行では不正行為が蔓延していた。
これはもう組織で不正行為をしていた、不正な融資をしておった。だから業務改善命令が出たわけですけれども、その業務改善命令には、顧客保護及び顧客本位の業務運営態勢の確立をせよという業務改善命令が出ておる。
じゃ、この顧客本位、顧客保護という、顧客という言葉には、当然、不正融資で苦しんでいる顧客、被害者も入るということでよろしいですよね。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
業務改善命令を発出した際に、顧客保護、顧客本位の業務運営態勢の確立ということをうたっておりますけれども、ただいま議員から御指摘のように、被害者の方、債務者の方、融資先であった方がこの顧客という中に入っていることは当然のことだというふうに承知しております。
○川内委員 そこで、片山大臣、御答弁をいただきたいんですけれども。
昨日、参議院の財政金融委員会での御答弁では、片山大臣から、銀行が債務者に寄り添った対応をするよう、銀行を指導するようにするからねという御答弁がありました。
債務者という言葉を大臣お使いになられたんですけれども、銀行が組織として不正を働き、その不正融資によって苦しんでいらっしゃる債務者ですから、被害者たる債務者というふうにおっしゃっていただきたいということと、それから、業務改善命令の中にある顧客保護、顧客本位、本位という言葉を使うとするならば、スルガ銀行が被害者たる債務者本位の解決に向かうよう金融庁としてしっかり指導していくからねということを御答弁をいただきたいのでございます。いかがでございましょうか。
○片山国務大臣 本件につきましては、業務改善命令から七年以上経過しているにもかかわらず、いまだに最終的な解決に至っていない債務者の方々が存在することが大変遺憾だということは私も強く感じておりまして、今委員から呼び方につきまして御指導がいろいろあったわけですが、今、まだ、ADRというか、話合いというか協議が行われているところなので、私どもとしては、金融サービス、金融業にとってはいずれにしてもお客様ですから、顧客でございますから、顧客本位の寄り添いが必要なのは当然でございまして、いかなる呼び方をするかは別として、とにかく、こちらの案件について、非常に深刻な課題でございますから、スルガ銀行として寄り添った対応を取るということは当然のことでございますので、先生のおっしゃったようにしっかりと対応をしてまいります。
○川内委員 まだもうちょっと、二分ぐらいあるので。
大臣、スルガ銀行は債務者と言うわけですよね。なぜなら、判こを押しているじゃねえかと。債務者と呼ぶ限り、銀行は取立てのプロですから、取立てのプロですからね、それは何でもやる。無理な支払い督促も、まあ銀行は無理だとは言わないけれども、それを受ける側からしたら、こんな支払い督促が来た、法的手続に入るぞと言われたと、もうびびり上がるわけですね。
だから、少なくとも金融庁として、業務改善命令を、銀行として不正があった、組織として不正をしていた、第三者委員会の報告書も踏まえるというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですから、その上で業務改善命令を出されていらっしゃるわけですから、被害者たる債務者という言い方を私は少なくとも金融庁はすべきではないかと。債務者という銀行側の呼び方をすると、これは銀行側のペースになってしまうと思うんですよね。被害者たる債務者という、それこそ被害者に寄り添った言い方をまず金融庁にしていただく必要があるというふうに思うんですけれども、大臣、お願いします。被害者たる債務者に寄り添うというふうに御答弁ください。お願いします。
○片山国務大臣 川内委員のこういった問題に対するあらゆる分野での大変真摯な姿勢を、私、もう私も国会に二十年目ですから、よく存じ上げておりますが、ADRとか協議とか様々な状況の場になってくると、今、私の立場が政府でございますし、省庁、監督省庁でございますから、そのスタンスを取るということがなかなか難しゅうございます。
いずれにしても、結果にコミットというか、きちっとした対応を、まさかよもや過酷な状況に置かれている方に対して督促をかけるということはしていないだろうねということを今きちっと確認をしておりますので、その辺も含めてきっちりと寄り添ってまいりたいと思います。申し訳ありません。
○川内委員 時間が来たので。
大臣は、政府見解としては被害者たる債務者とは呼べない。政府見解、大臣としては言えない。だけれども、事務方としては、被害者たる債務者という意識で臨むということぐらいは、最後、では、事務方でいいですから言ってくださいよ。
○阿久津委員長 金融庁石田監督局長、明確にお答えください。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
一連のこれまでの経緯、この問題の本質、こういったことを踏まえまして、ただいまの先生の御指摘も踏まえまして、そういった言い方も含めまして、よく留意して対応していきたいというふうに思っております。
○川内委員 大臣が発言すると政府見解になっちゃうので、それはなかなか大変ですよ。でも、事務方は説明員だから、事務方として被害者たる債務者という言葉を使うよというふうに、委員長、ちょっと指示してくださいよ、使いなさいと。
○阿久津委員長 金融庁石田監督局長、いかがでございますか。明確にお答えください。
○石田政府参考人 私どもといたしまして、どうしても事務的ないろいろなものがございますので、文書とかのあれではいろいろ考えなきゃいけないところがありますけれども、そういった、ただいまの御指摘の御趣旨ということを踏まえて、我々としては仕事をしっかりやっていきたいというふうに思っております。
○川内委員 終わります。
ありがとうございました。
○阿久津委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○阿久津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村浩一郎でございます。
この度、私にとりまして松下政経塾の先輩であります高市早苗総理の下で私も与党の一員としてこうした質疑ができること、そして今日は片山大臣と質疑ができること、本当によろしくお願いいたします。感謝申し上げます。私にとっても十三年ぶりの与党なんですが、そのときはこうして与党議員として質問することは一回もなかったと思います。初めての与党議員としての質問で、よろしくお願いいたします。
それで、今日は、私ども日本維新の会は今回与党ということになっておりますが、私たちの政党は、改革を志す政党、改革を志向する政党でございます。そして、それは、次世代のために改革を、よりよい日本を引き渡す、そういう思いで今政治に取り組んでおるというところでございまして、是々非々でやってまいりました。ですから、与党と言っていますが、これまでも与党でもなく野党でもなく本当に是々非々でやってきた政党だというふうに思っておりますし、私もその一員としてこれまで質疑をさせていただいてきたと思っております。そこで、せっかく、今、改革の扉が開いたと思っています。この改革の扉がまた閉じてしまうと、またこれを開くのに何十年とかかる可能性もありますので、この改革の扉、特に構造改革の扉が開いている間に、今、第四次産業革命の時代とも言われていますが、この時代に合わせた法制度に持っていくような、そんな質疑をさせていただきたい、討議をさせていただきたいと思っております。
そこで、私は、今日は、種目としては、公平、簡素、中立といった税の三原則に基づくような税制度をやはり希求すべきだという思いの中で、後ほど、決済税というものがありますので、その議論を片山大臣とさせていただきたいんですが、その決済税を入れるためには、何といっても、私はやはり、CBDCと呼ばれていますが、中央銀行デジタル通貨というものを発行していく必要があると。発行するためには、技術的にどうしても暗号技術が欠かせない。そして、その暗号技術も、今、量子コンピューターの時代になってきますと、耐量子の時代にも耐え得る、そうした暗号でなければならないというふうに考えております。
そして、じゃ、その条件が、かつてはなかったんですが、今、そういう耐量子時代にも耐え得る、これは完全暗号という言い方をされている場合もありますけれども、そういった技術がもう確立され実装されているという現状があるということを、私は、国会、衆議院のほかの委員会、経産委員会、予算委員会等々で話をさせていただいてきました。そして、いよいよ、この財政金融委員会でもCBDCの議論を、本格的議論をスタートさせる、今日は第一回目とさせていただきたいと思っています。
まず、大臣、このCBDCにまつわる今の政府の状況について大臣の方から御答弁お願いします。
○片山国務大臣 CBDC、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーにつきましては、骨太の方針二〇二五におきまして、制度設計の大枠の整理として、主要論点の基本的な考え方や選択肢などを明らかにするとされております。
財務省といたしましては、二〇二三年四月にCBDCに関する有識者会議を既に立ち上げ、主要論点に関する議論を行い、取りまとめも行いました。また、二〇二四年一月以降、政府、日本銀行として制度設計の大枠の整理を行うため、関係府省庁・日本銀行連絡会議で議論を進め、これまでに中間整理及び第二次中間整理を公表してきたところです。
唯一、少し留意点があるといたしましたら、今年成立したトランプ政権で、アメリカにおいて、二〇二五年七月に反CBDC監視国家法案というのが下院の方では可決されておりまして。
これがなぜ要注意かというと、まさに委員の御質問の中にありましたように、暗号資産が持っているような非常に強い匿名性、こういったものがない段階でのCBDCについて、共和党及び現アメリカ政府においては、ブロックチェーン型の暗号資産タイプのような完全な秘匿性と分散性がないので非常に社会主義的な情報集約が行われるんじゃないかということが忌避されておりまして、そういった議員立法が出て、まあ向こうの法律はみんな議員立法ですけれども、そういった法案が出て、かなりの数を集めているということで、私も一月にトランプ政権の発足の就任式に伺いましたところ、かなりの政府高官やそういった立場の方からそういう質問を受けましたが、そのたびに、こういう点もちゃんと整理した上で、アメリカの持っているような懸念は我々もちゃんと分かっていますので、それとは別にきちっと整理を行って研究をやっているだけですということをお答えをしているわけです。
今、技術面については、日銀が、概念実証、パイロット実験を通じて、別途検討も始めていらっしゃるということを承知しております。
○市村委員 今、大臣の方から秘匿性という言葉がありまして、技術面では日銀ということでありましたが、今、日銀、今日いらっしゃっていると思いますが、その技術面の議論というのはどこまで進んでいるんでしょうか。
○武田参考人 お答えいたします。
中央銀行デジタル通貨における匿名性の在り方につきましては、日本銀行としましても、プライバシーの保護とマネーロンダリング対策等への適切な対応が両立されることを踏まえつつ、関係当局や民間事業者など、幅広い関係者と協力しながら検討をしております。
技術面につきましては、暗号技術に関して、政府におけるCRYPTRECの検討動向の確認などをしておりますほか、プライバシー保護を支える技術について、最新動向を含め、様々な技術の調査研究を続けているところであります。
日本銀行といたしましては、引き続き、幅広い観点から、こうした調査研究も行いながら、中央銀行デジタル通貨に求められる技術面での検討を進めてまいりたいと考えております。
○市村委員 今、そこで、暗号ということに関しまして、CRYPTRECさんの、またお名前が出ましたが、CRYPTRECさん、今、CBDCという観点での議論というのはどうなっていますでしょうか。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
CRYPTRECは、国民が安心して利用できる電子政府の構築を目指し、国民が広くアクセス可能なシステムとして今後活用が推奨され得る暗号技術の安全性や実装性を確認した上で、暗号技術を選定するものです。
CBDCなど特定の用途についてどのような暗号技術が適用されるべきかを個別に検討する立場にはないと考えております。
○市村委員 今お聞きいただいたように、結局、CBDCの技術的なところで、みんな何となくたらい回しになっているような気がしてならないんですね。うちはそこは見ていません、日銀さんは、いや、CRYPTRECさんでというような話でですね。これはしかし、大変、この暗号技術というものをしっかりと見ていかなくちゃいけない。
大分CRYPTRECさんとも議論をしていますけれども、その個別具体的なところでは動きませんというところでありまして。しかし、これは、政策目的で、CBDCのために、耐量子の時代にも耐え得る暗号をとにかく日本は用いる、しかもそれは、日本人の手によって完成されて実装までされていると私はずっと紹介してきていますので、そこをやはり政府としてしっかりと政策目的を持って暗号を見るという発想で、CRYPTRECさんに丸投げされるのもCRYPTRECさんは困ると思うんですね、今まさに御答弁があったように。だから、政府としてこれはやるんだという方向で私は取り組まないといけないと思うんですが、大臣、いかがでございますか。
○片山国務大臣 決済のデジタル化ということはもう流れでございますし、世界全体で膨大なレベルの効率化が行われ得るということは明確でございまして、あとは、技術の流れに幾つかの太い木の幹が、違いがあるということを、ある意味、共通項が寄せ集まって、木と木が一緒になったり、そういう形になりつつあるのかなという印象なんですよ。
私も、ここに拝命を政府としてされる前は金融調査会長を四年やっておりまして、両方の道を行けばいいということで両方ともすごく後押しをしたんですけれども、どうも、米国における先ほど私が御紹介した忌避感は、一部、デジタルカレンシーの中央銀行による実証実験というか、一部、実用化が、デジタル人民元が一番早かったんですよね、率直に言って余り広がっていないんですけれども。ただ、これに対する非常に強い警戒感が現政権、現与党、アメリカにはございますね。
ただ、それが秘匿性とかいろいろな工夫によってできるのであれば、アメリカにおいても、いわゆるブロックチェーン型のクリプト、それからクリプトタイプのカレンシー、通貨、決済通貨についてどんどん推奨されているのと同様に、主要な金融機関が、主に米国で、JPモルガンとかそういうところですが、トークン預金の形での決済を実用化しておりまして、こちらの開発もアメリカ政府は特に抑えていないというか、それはそれで走らせているので、これはCBDCの前のタイプとは相互乗り入れが可能ですから、当然、決済機構、世界的な決済機構等とも話をしているんでしょうし、我々の金融界の方も、当然そういう情報を了知した上で、日本においても、三メガが実験をするとかいうときに金融庁の方もそのベースをお助けするとかそういう話にもなっておりますので、これは今まさに激変、激進歩をしつつあるところでございますから、決して逃げずに、こういう諸外国の動向ですとか技術面の飛躍的な進化を見ながら、我が国がこの面で乗り遅れることがないようにきっちりとしていきたいと思っております。
○市村委員 まさに今大臣が最後おっしゃっていただいたように、乗り遅れることがないということもありますが、これを先導するというのも日本のやるべきことではないかというふうに私は思っています。
そして、この技術的なことがクリアされるのであれば、決済税が導入されると思います。決済税だけでも、試算によると、今の税収の二倍ぐらいは見込めるという試算もあるぐらいなんですが、そこまで決済税だけでやるという話でもなくて、例えば、消費税代替として決済税を用いることによって、今、消費税率で八%、一〇%ですけれども、それを〇・二%ぐらいに、消費税率を五十分の一とか四十分の一にしても、今の税収の倍は決済税だけであるというような試算もあるぐらいであります。だから、もちろん、そのほかの税収と合わせていけばいいわけでありまして。そうしますと、消費税代替ということも見込まれるということでございます。
私としては、そういう決済税の導入というのを、やはり、税の抜本改革とは大臣はおっしゃっていませんが、今の社会経済構造に適するような税制を包括的に考える、検討するとおっしゃっているわけでございますから、是非とも決済税の導入をという提案をさせていただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。
○片山国務大臣 委員御指摘の決済税については、まさに未来技術ではあるんですけれども、そこに見えている未来技術の先進的な実用化を前提に、様々な決済に対して一定割合の課税を行うことで、確かに、仮定の仮定でいけば大変な税収が確保されるかもしれませんけれども、まず、この技術がどのぐらい本当に広く受け入れられて実用化されるかが見えない段階では、財政収入等の見積りをするのはちょっと現実的ではないので、その辺も見えてきた段階で恐らく検討がされるのなら検討がされるのかなということで、今我々が考えているその抜本的な中にはちょっと入ってこないんですけれども。
公平、中立、簡素という基本原則からして、全ての経済活動に広く、ひとしくかかるんだったら、ある意味いいかもしれないし、余りにも包括的で、余りにも捕捉され過ぎるという問題もあるかもしれないし、その辺は多分、アメリカがCBDCではなくてブロックチェーン型の分散型を望んでいる理由というのはその辺なのかなと思いますけれども、そういったことも含めて、様々な観点を踏まえながら、当然、検討を未来社会においてしていく必要があるものとはしっかり考えております。
○市村委員 時間になりましたので、また是非ともこの議論はさせてください。質疑を終わります。感謝いたします。ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
片山大臣、御就任おめでとうございます。
私、選挙区は静岡でございまして、よく静岡では様々な会合でお見かけをしていました。まさに現場主義ということで、多くの皆さんの声を政策に生かしていただければと思っております。
それでは、今日は、名目GDP一千兆円計画から伺います。
図の表二を御覧ください。こちらは世界における日本のGDPシェアの一覧でございますが、一九九四年は一七・八%、世界第二位でありましたが、二〇二三年は僅か四%と低下をしてしまっております。これは、小さくなったのではなく、日本だけが御覧のように横線で成長ができなかった。世界では平均三・七五%の成長を実現しています。
国民民主党は、名目GDPを約十年で一千兆円に引き上げる成長戦略、新三本の矢を訴えてきました。手取りを増やす、また投資を増やす、また教育、科学技術予算を増やすというこの三本であります。
その中で、まず、片山大臣も、著書も読ませていただきました、GDP一千兆円計画を発表されて訴えてこられたかと思いますが、今でもその目標に変わりはないか、その認識を伺いたいと思います。
○片山国務大臣 私としては、日本国民が自信を取り戻し、もう一度高い経済成長を実現するために、そして、もはやデフレではないという状態になりつつあった二三年の暮れから二四年の初めの時点に、その意識をしっかりと永田町、霞が関にも持っていただきたいという意味であえて一千兆円の本を書いて出したんですが、そのときは非常にとっぴ感がありまして、その意味ですごく注目されたんですけれども、よく考えてみたら、政府の中期財政試算、まあ今度一月にも、年に二回出てきますが、あれで、幾つかのシナリオのうち一つで延ばしていくと、中間ペースぐらいで二〇四一年ぐらいには一千兆円になるんですよ。それは、中期財政試算は向こうに延ばす年限がもうちょっと手前で終わっていますので、そこまでの年数やらないのでそうならないんですけれども。
これを使いまして、その後、選挙がございましたときに、御党におきまして、玉木党首が一生懸命こうやって御説明されているのを見たら、その後テレビでも御一緒したんですけれども、ペースがのろいと怒られまして。そんな中間試算ぐらいのペースでしか成長しないのか、しかも、政府が普通に出しているものだったら、ちょっとのろいんじゃないかと言われて。そちら様のは、たしか、それにかなり上乗せしてハイペースで成長されているから一千兆円になるのが早いんですよ。というところで、この間の参議院選もたしか党首討論等が行われていたと思いますが。
ただ、御党様と思いが同じなのは、やはり、名目で伸びていくGDPという頭に日本中が切り替わっていないところは大きな問題があるので、それを切り替えるためには、多少、それは、一千兆円になったって生活はどう変わるのと言われるかもしれませんけれども、その意味はあるなと思って、その思いは今でも変わっておりませんが、現在、高市内閣で財務大臣の責を負っておりまして、責任ある積極財政という考えの下、たった今、閣議が終わりまして、経済対策を決定いたしましたけれども、まさに日本の供給構造を強化して成長率を高める、しっかりと高い成長率を名目で目指していく、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がるような好循環を実現するということが、強い経済という今回の経済対策のタイトルにもなっていくわけでございますから、その意味では当然、GDP一千兆円になっていく流れは同じ流れでございますので、その意味では変わっていないということでございます。
○田中(健)委員 大変心強く聞かせていただきました。内閣府の試算、成長率三%よりも、更に四パー、五パーと行けば、確実に一千兆円に行きますし、何よりも、今大臣に言ってもらいましたように、やはり目標が必要だと思っています。私たちはやはり、GDP一千兆円をジャパン・ビジョンとして掲げて、そこに向けて何ができるかということを是非一緒に考えていきたいと思いますし、成長を成し遂げていきたいと思っています。
そんな中で、先日発表のあった二五年の七―九月期のGDP六百三十五・八兆円、大変に想定以上に大きかったとも言われています。この中身は、しかしながら、インフレや円安の要因も大きいとも言われています。それに関連して、円安についてお聞きをしたいと思います。
午前中の議論の中でも、足下の円安については、御発表がありました、非常に一方的である、また急激であると大変憂慮しているということでありました。必要に応じて適切な対応もしていくというお言葉もありました。
円安は、確かに大企業にとっては輸出によるメリットを享受できますし、これまでも日本経済の好材料として取り上げられてきましたが、一方で、中小企業においては、行き過ぎた円安は負担になっているという声も上がっております。
図の表九にあるように、これは日本商工会議所の調査でありますが、ドル・円で百十円から百三十五円が望ましいという意見が多くを占めています。
片山大臣も今年三月に、ドル・円は百二十円台が実力との見解を示されていました。中小企業の実態をよく分かっておられるからこそ、この額が出たんだと思っていますが。
大変、この円安、コントロールは難しいですけれども、為替はですね。しかしながら、今この円安によって中小企業が大変厳しいという現状をどのようにお考えになっているのか、御見識があればお願いします。
○片山国務大臣 田中委員におかれましては、元々、中小企業、それもきらりと光る中小企業の大変多い大田区で御活動で、そちらでもよく本当にお話を伺うんですが、また、選挙区で今出られている静岡、そちらの地域も中小の非常に質のいい工場が多いので、私もそういうところを両方ともよく歩いておりまして、日本商工会議所の調査でこうなっているというふうにあるように、そういう声があるので三月にはそういう発言はしたわけですが、この立場になったら突然、一切申し上げないので大変申し訳ないと思っておりますが。
今朝申し上げましたように、足下の一方的な、また急激な動きを憂慮している上に、政府としては、投機的な動向も含め、為替市場における過度な変動や無秩序な動きについて、九月に発出した日米財務大臣共同声明の考え方を踏まえ、必要に応じて適切な対応を取ってまいりますというスタンスになっておりますので、そこの辺は是非御理解をいただいた上で、私どももきっちりと対応をしていこうと思っている次第でございます。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
この著書の中でも、自国通貨が下がって喜んでいるわけではないということも書かれておりました。日本経済は長年にわたり為替によって振り回されてきたという感がありますけれども、何といっても、資源、また市場ですね、海外に依存している日本経済にとっては、為替レートの安定というのは、私が言うまでもなく、極めて重要であると思っています。長期的には為替の動きに一喜一憂しない強い日本経済をつくることが大事だと思っておりますので、是非こちらも注視をしていきたいと思っています。
そして、更に話を進めます。
名目GDP、これが伸びるのは、先ほど、二三年、二四年から伸び始めてきたと大臣からありましたが、物価と賃金と金利、これがずっとゼロでありましたが、これが動き出したからだというふうに理解をしております。その中で、動き出した金利ではありますけれども、長期金利、この上昇が懸念がされています。債券安が続いている中で、長期金利が足下では一・七%を超えておりまして、昨日の国債市場では、長期金利の指標でもある十年債の利回りが一時、一・八%にまで上昇しました。
財務省としては、二〇二六年度の予算の想定金利というのを二・六%として予算編成をしていますが、足下の長期金利の上昇は、大臣からすれば、想定内の範囲という理解でよろしいでしょうか。
○片山国務大臣 ありがとうございます。
御指摘の想定金利というのは、令和八年度の方の概算要求における要求金利でございまして、実際の国債金利は、委員も御指摘のように、様々な動向で、国内の経済、物価情勢ですとか、金融政策の動向、あるいはそれに対する読みですね、それから財政の状況、国債の需給、海外も含めた金融市場自体の動向など、これらが複雑に絡み合って、これを背景にしているマーケットで決まるものでございまして、その動向の予測が非常に困難なのは御承知のとおりでございまして、概算要求時点ではその後の金利変動に十分に対応できるように要求金利を設定しておりまして、具体的には、要求時の直近三か月の長期金利の動向、それから過去の金利上昇の変動幅一・一というのを加えて大体設定する、こういうことになっております。
○田中(健)委員 今年の想定金利は二%でしたから、一・八まで上がってちょっと大丈夫かなという懸念があって、来年度のお話をさせていただきました。私たちも、積極財政ということで訴えてはおりますが、やはり、長期金利の上昇は利払い費が大幅に膨らむということにもつながりますし、これについては私たちもしっかり見ていかなくてはならないと思っておりますので、来年度の動きもしっかりウォッチをしていきたいと思っております。
そして、やっと三本の矢に入れるわけでございますが、百三万の壁について伺いたいと思います。
手取りを増やすということでありますが、この間、自民党さん、公明党さんにも協力をいただいて、百二十三万円までということの一段の引上げがあり、先ほども、午前中にありましたが、五段階において百六十万ということも実現をしました。しかしながら、私たちは、やはり一律百七十八万円ということに注力をしております。
大臣は、ユーチューブの中でも、やるなら早く、新年度からできるだけ早く始めた方がいいと言われていましたが、まず、その考えに変わりはないかということをお聞きしたいのと、物価連動ということを政府は言っていますが、物価連動ですと、どこを基準にするかにもよりますが、百三万円ですと百二十万から百三十万円ほどしか上がらないということになりまして、対策としては不十分ではないかと思っています。ですから、賃金がこれだけ毎年上がり続ける中、賃金への連動というのも考えるべきだと私たちは言い続けてきましたが、この二点について、まず大臣に伺います。
○片山国務大臣 所得税のいわゆる百三万円の壁につきましては、令和七年度税制改正で百六十万円まで引き上げられたということで、今年の十二月の年末調整から引上げ後の控除額が適用され、今後、納税者の皆様にその効果が具体的に及んでいく、そういう状況でございますが。
当時、今年の一月なんですけれども、私の、自民党の方の役員でございますが、まだこの立場にはなっておりませんが、その発言の趣旨についてちょっと補足させていただきますと、その末のですね、三党合意というのがありまして、いわゆる年収の壁を引き上げていくという基本的な方向性は、御党、国民民主党の考え方と同じでございまして、ただ、おっしゃるように、最低賃金の上昇に合わせて物価上昇を超えた控除額の引上げを行うということであると、財源の方も、それは当然考えなくてはいけないということは申し上げたところでございまして、その上で、所得税の控除が定額であるために物価上昇局面に実質的な負担増が生じるという所得税の課題については、国民民主党、公明党、自民党の三党の幹事長間で結んだ公党間の約束である三党合意も踏まえつつ、本年末までの令和八年度税制改正プロセスにおいて、基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置の具体化を図るということにしたところでございます。
我が党の方では、昨日、税制調査会の今シーズンの総会スタートが行われたところでございまして、今、各党そういう状況にあるんだと思いますが、与党の税制調査会等で御議論が行われるところをしっかりと踏まえながら適切に対応してまいるというのが私の今の立場でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○田中(健)委員 是非、与党の税制の会議が始まったということで、ここにいらっしゃる与党の皆さんにも、百七十八万円に向けて引き上げる努力をするという三党合意をしておりますので、お力添えをいただければと思いますし、やはりこの百七十八万円、手取りが増えるだけではなくて、これも何度も議論してきましたけれども、人手不足、人材不足に対しても大きな役目を果たすと思っております。働き控えをなくし、働きたい人が働ける環境をつくっていくというのも私たちの役目だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後に一問、教育国債についてお伺いします。
国民民主党は、教育、科学技術など人的資本形成に資する予算には教育国債という新たな国債を充てることを提案をしています。今日の話の中でも、大臣の国債に関する考え方で、使われ方や未来への投資であれば有用だというような発言もあったと思います。私たちは、是非、取りやすい社会保険料から少しずつ取るだとか、そういった現役世代から取るのではなくて、やはり子育てや教育、科学技術というのは未来への投資だということで、建設国債のように使い道を限定して発行されるような教育国債、これを議論すべきだ、また充てるべきだと思っておりますが、大臣のお考えを伺います。
○片山国務大臣 まさに、先日、五日ですね、本会議におきまして、御党の玉木代表から総理に対して、教育国債というふうに具体的な言葉をお使いになって質疑を行ったわけでございますけれども、高市総裁からは、教育国債とするか否かは未定とした上で、リスクを最小化し、未来を創造するための投資に係る新しい財源調達の在り方については前向きに検討しているという答弁がございました。
政府といたしましては、これまでも、例えば防衛、それから子供、GX、AI、半導体などといった重要施策の推進に当たっては、歳入歳出両面の取組を通じて必要な財源の確保に努めてきたところであります。
現時点でまだこのリスク云々の具体的な方針や取組やあるいはスキームについて何かが決まっているということは全くありませんが、今回の総理の答弁を踏まえて、このような例と同様、新しい財源調達の在り方の検討を含めて、努力を一層進めてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。前向きな答弁として捉えさせていただきます。
ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、岸田光広君。
○岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広です。
片山大臣、大臣就任、誠におめでとうございます。
片山大臣には、私が大変お世話になった故泉原保二先生のところで何回かお目にかからせていただきました。両手でしっかりと、がっちりと握手をしていただいたことを今でも覚えております。泉原先生は昨年十一月十五日に御逝去され、ちょうど一周期を迎えるこの時期にこのように大臣に質疑をさせていただくことになり、大変感慨深いものがございます。
それでは質問に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、午前中、稲富委員からもありましたけれども、基礎控除の考え方についてお伺いしたいと思います。
まず、ガソリン暫定税率の廃止に向けて大臣が果たされた御尽力に敬意を表し、改めて感謝を申し上げたいと思います。
さて、百三万円の壁を百七十八万円へと引き上げていくという三党合意は、ガソリン暫定税率廃止と並ぶ重要項目であります。国民民主党としても、十一月十二日に高市総理へ申入れを行い、物価高対策とともに、働き控えを解消するための基礎控除等の百七十八万円への引上げを訴えさせていただきました。
基礎控除は、税法学において、最低限の生活費への課税を排除する人的控除として位置づけられ、その本質は一律性にあります。しかし、現行制度では、所得に応じて控除額が段階的に変動する仕組みとなり、本来の理念である一律性そして簡素性が損なわれ、制度全体が複雑化しています。
大臣にお伺いいたします。
税制の公平、中立、簡素という原則に立ち返り、所得階層ごとに段差を設けない形で基礎控除等を百七十八万円へと引き上げるべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○片山国務大臣 御指摘の所得税の基礎控除の特例につきましては、一律の控除額引上げでは限界税率が高い高所得者ほど減税額が大きくなるということが生じますので、給与収入八百五十万円相当までの方々を対象に、所得に応じた控除額の設定を行うことで、中所得者層までのそれぞれの階層で減税額を平準化するということができる形のスキームでございます。
これは、公平、中立、簡素という税制の基本原則が時にお互い相反する関係にあるということが起きるわけですが、その中で、高所得者への過度な優遇とならないよう税負担の軽減効果を平準化するという観点から、国会での法案修正を経て取りまとめられたものと承知をしておりまして、税負担の公平性の確保に資する仕組みであると考えております。
御指摘の生存権の観点について申し上げれば、二十五条の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講じるかについては、立法府の広い裁量に委ねられており、ある施策単独のみで健康で文化的な最低限の生活を保障しなければならないという要請ではないのではないかというふうに理解をしております。
○岸田(光)委員 現場からは、現行制度の複雑さについての声も多くお聞きしております。分かりやすく公平な税制の実現のため、是非とも一本化による百七十八万円への引上げを御検討いただきますようお願いいたします。
次に、単身赴任者の帰省費用の課税の問題について伺ってまいります。
これまでも委員会で何回も取り上げさせていただいているんですけれども、単身赴任者が家族の元へ帰省する際、会社から費用弁償として支給される交通費は、本来、生活維持に必要な実費だと考えています。しかし、現行制度では、こうした費用弁償まで所得とみなされ課税されるため、手取りが全く増えないにもかかわらず課税負担だけが生じるという不合理が生まれております。さらに、所得が増えるほど基礎控除や各種控除の所得制限による不利益も生じ、負担が二重にのしかかります。
単身赴任の皆さんは、生活費の二重負担など大きな御苦労を抱えておられます。特に、ダム、洋上風力など電力、公共インフラの建設、防衛産業といった高市政権の成長戦略を支える分野では単身赴任が避けられず、その負担はより重いものとなっています。
ここで大臣にお伺いします。
こうした不合理な課税の在り方を改め、家族を支えながら働く方々に公平な税制へと見直すべきだと考えます。いかがお考えでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。
○片山国務大臣 御指摘のように、出張のための旅費が非課税ではございますが、帰省旅費が通勤手当等と同じく実費精算の場合が確かにあるかもしれませんが、いろいろと調べをいたしますと、単身赴任者の帰省旅費については実費弁償の場合がなくはないんですが、特別な配慮の手当として給与に一定額を上乗せする方式を取っている企業の方がかなりあるということと、仮に帰省旅費が実費弁済されていたとしても、出張のための旅費等とは異なり、必ずしも職務の遂行に直接必要な経費にそれがそのまま充てられるということまでは言えないということ、それから、あくまでも単身赴任者に支払われるものですから、通勤手当は幅広くほとんどの方に支給されるので、こういうことを踏まえますと、帰省旅費自体をそのまま非課税というふうにすることについては、そういうことがあるので、今までその扱いがされていないのかなと。つまり、こういった手当を受けられない方々との公平性の観点から、従来において慎重に判断してきたものと考えております。
○岸田(光)委員 これまでも、通勤手当はあまねく皆さんが受けるけれども単身赴任は一部の方だけだという点で、公平性の面からというお答えをいただいているんですけれども、サラリーマンである以上、単身赴任の可能性は常にありますし、この実費弁償については、やはりこういう不都合が起きているわけですから、是非ともその点についてお考えいただきたいことと、やはり、生活費、住居費の二重負担、これに加えて、家庭内の心理的不安とか夫婦間のコミュニケーション不足とか、多岐にわたる精神的な負担も生じています。こうした実態に是非とも寄り添った法改正を、是非片山大臣にお願いいたしたいと思います。
次に、二問飛ばさせていただきまして、NISAについてお伺いしていきたいと思います。
午前中にも議論があったかと思いますが、高市政権の成長戦略、特に重点十七分野の成長を実現するには、国内の成長産業に民間資金がしっかり循環する仕組みが不可欠だと考えます。
資産運用においては、確かに分散投資が基本であることは重々承知しておりますが、国家戦略として、国内成長産業を後押しする制度設計も必要ではないでしょうか。その一案として、日本株に限定したNISA枠を新設すべきだと考えておりますが、大臣、こうした戦略的観点からのNISA制度の拡充について、お考えをお聞かせください。
○片山国務大臣 おかげさまで、貯蓄から投資への流れがようやく緒について、NISAの登録者、登録数は二千五百万ということになったわけで、これは、従来を思えば、おかげさまで大変大きな進展でございますが、まだその中で株式投資が十分に行われていない口座も率直に言ってございます。
この在り方については、今も税制改正についての要望が出てきておりますように、幅広い御意見をいただいて、どんどんどんどん進化させていただきたいという思いは非常に強く持っておりますが、抜本的な拡充、恒久化が行われてからまだ余り時間がたっていないので、その活用状況がどうなのかという今申し上げたような点があるのと、やはり、先ほど委員自身もおっしゃっていたように、分散投資だから、極めて、従来考えられていたものに比べてそれほど大きなリスクを課すものではないと。
つまり、初心者にとっても安心なところから入っていただくような思想で設計されておりますので、その意味では、よく言われているように、S&Pとかオルカンを選択されている方が多いからといって、そのことがあながち、全く悪いということを言うことは否定になってしまうので、国内の方だけを優遇するとか国内投資枠を設定するということには、ちょっとそこまでの議論が熟していないというか、最初の趣旨がどのぐらい生きたかというところまでまだ実績が行っておりませんので、難しいのかなと思っておりますし。
本来、なぜ、より知識が少ないかもしれない、日本も含めた全市場の株式の動向を反映する投資信託、あるいはSP等の海外の銘柄を広く集めた投資信託の方がですよ、より近くにあって情報が入手しやすいはずである日本の投資信託よりも、選択されないのかというこの根本的な大問題がありまして、ですから、コーポレートガバナンス改革もまだ道半ばなので、本当の意味での企業価値の向上を後押しできるようにして、また、我々の内閣は、やはり強い経済をつくっていく、強い日本をつくっていく内閣なので、そうなればおのずと国内に選好が返ってくるはずなんですが、なかなかそこまで行かないというのが問題なので、そちらの方が本質的なソリューションではないのかなと考えております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
制度導入時の思想も十分分かりますし、今の大臣のおっしゃられた本質的な問題もあろうかと思います。ただ、国内成長産業へ資金循環を強化するためにこういった制度も有効ではないかと思いますので、是非とも御検討の方、よろしくお願いいたします。
次に、これも午前中、三角委員より指摘がありましたけれども、証券口座不正取得による被害補償の格差についてお伺いしてまいりたいと思います。
この問題につきましては、さきの国会で、私、複数回取り上げさせていただいていまして、私も証券界出身ですので、金融インフラをしっかりしたものにするために、不正取得は本当にそれを揺るがしかねないということで、何回も質問をさせていただきました。
この証券口座の不正取得をめぐって、証券会社ごとに、午前中御説明いただいたように、補償の扱いが大きく異なる現状がございます。補償の差は、被害者の救済に不平等を生むだけではなく、金融インフラ全体への信頼を揺るがしかねないと考えています。先週、私のミニ集会にも、実際、被害者の方が来られて、その方はネット証券をやられていたんですけれども、同じ被害なのに会社によって補償が違うのはおかしいのではないかという、これも切実な訴えを直接お聞きいたしました。
ここで大臣に再び伺わせていただきます。
被害補償の公平性を確保する観点から、片山大臣のお考えを是非お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○片山国務大臣 委員御指摘の、今般の不正アクセス事案に関する顧客被害の補償割合やその方法は、各証券会社における顧客のログイン情報の管理状況や顧客に提供していたセキュリティー環境などの事情が異なりますため、一律の補償基準を設定するのではなくて、これらの事情を踏まえながら各社の経営判断により決定するもの、そういうような考えで対応をしているとのことです。
その上で、金融庁で、各証券会社が決定した補償方針について、被害をお受けになった顧客様への丁寧なコミュニケーションを取るよう指示するとともに、投資家が各証券会社の補償方針を知ることができるよう補償内容の公表をするように促してきております。
いずれにしても、委員御指摘のように、このことが与えたネガティブなインパクトというのは非常に大きいし、非常に深刻だということは十分承知しておりますので、証券会社に対して、投資家が安心して株式等の取引を行うことができるような、顧客本位の、顧客の立場に立った対応というのをより一層求めていこうというふうに考えております。
○岸田(光)委員 丁寧な対応をしていただけるとのこと、是非ともよろしくお願いいたします。
時間となりましたので終わりたいと思いますが、本日伺ったテーマについては引き続き本委員会で議論を深めさせていただきたいと考えております。是非ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、中川宏昌君。
○中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。
大臣、御就任おめでとうございます。今日、私は、所信質疑ということで、主に地方の金融機関のことについてお伺いをしてまいりたいと思っております。
まず、地方金融機関の課題についてお伺いしたいと思います。
御承知のとおり、地方におきましては、人口減少、企業数の減少、さらには事業承継の難しさなどもあり、地域の経済基盤そのものが細ってきており、地方銀行また信用金庫、信用組合といった地域金融機関は、伝統的な貸出業務だけでは十分な収益を確保しにくい構造的に厳しい状況に置かれていると認識をしております。今、金利の正常化が徐々に進んでいるとはいえ、直ちに利ざやが大きく改善するわけではなくて、地域経済が弱いところほどむしろ先行きの不透明感が強いのが実情ではないかと考えております。こうした中で、手数料ビジネスとか、また投資信託販売など、いわゆる本業外の収益に頼らざるを得ない構図が強まっているとの指摘もあるところであります。
そこで、まずお伺いさせていただきますが、地域金融行政を所管する金融庁として、地方金融機関の収益環境、そしてその背景にある構造的な課題をどのように認識しておられるのか。現状評価と併せまして、今後のモニタリングの方向性、これについてまずお伺いをさせていただきたいと思います。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、現状でございますが、地域金融機関の足下の状況につきましては、国内金利の上昇を受けた貸出利息の増加等によりまして収益は改善傾向にあるほか、総じて充実した資本基盤を有しておりまして、金融システム全体として見ますと安定しているというふうに認識しておりますが、しかしながら、ただいま御指摘のあったとおり、人口減少、少子高齢化や事業者の趨勢的な減少といった構造的な課題がございまして、特に地方に所在する地域金融機関を取り巻く経営環境は厳しさを増していることは事実だと思っております。また、個人預金も減少している地域金融機関も徐々に増加しているものと認識しているところでございます。
金融庁といたしましては、地域金融機関が、厳しい経営環境で様々な課題に直面する中にあっても、地域から求められる金融仲介機能を継続的に発揮し、持続可能なビジネスモデルを構築できるよう、各金融機関が直面している経営環境や、そうした経営環境を踏まえた各金融機関における経営方針の検討状況、リスクテイク、リスク管理体制の状況等につきまして、引き続きしっかりモニタリングしていく必要があると考えております。
○中川(宏)委員 今、金利正常化の中で収益改善の傾向も見られる、こういった御説明だったというふうに思っております。しかし、地方の現場では、収益悪化の懸念が高まっているという声が結構多くあるところであります。
重要なのは、平均値ではなくて、地域の脆弱性が高い金融機関ほどリスクが集中しやすい、こういう構造だと思っております。貸出需要の縮小、また手数料収益への依存、不動産偏重の融資姿勢、こうした動きは、不祥事また審査の形骸化につながってきた典型的な兆候であるというふうに思っております。
こうした視点を踏まえますと、金融庁におきましては、今後、財務指標だけではなくて、手数料依存度の急上昇ですとか、また高リスク資産の増加、また経営目標と現場行動の乖離、こういった行動ベースの兆候に注目したモニタリングを是非とも行っていただきたいと思いますが、この点につきましてお伺いさせていただきます。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘ございましたとおり、金融機関の収益環境、収益の見通しというのは厳しいものがございまして、今お話のありましたようなそういった行動様式、あるいは、それを管理する体制、チェックする体制、牽制する体制、さらにはそのビジネスモデル、ガバナンスの体制、こういったものを総合的に、私どもといたしましては、いろいろな角度からモニタリングをして、健全性の確保ということを図っていかなければいけないというふうに思っております。
○中川(宏)委員 是非よろしくお願いいたします。
収益環境が厳しいときこそ、経営トップが現場に対しまして、無理な営業はするなとか、また、ルールから外れることは絶対に許さないというメッセージを明確に発して、内部監査またコンプライアンス機能が実効的に機能することが私は重要ではないかと思っております。
そこで、もう一つお伺いをさせていただきますが、金融庁といたしまして、地方金融機関のガバナンスや内部管理体制について、近年、どのような点を評価して、またどのような点に引き続き課題があると見ておられるのか、監督上の対話を通じましてどのような改善を実際に促しているのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○石田政府参考人 地域金融機関が質の高い金融仲介機能等を継続的に発揮するためには、財務の健全性と業務の適切性はもちろんのこと、今お話ございましたガバナンス機能の適切な発揮、構築、こういったことが重要であると考えてございます。
こうした観点から、金融庁では、地域金融機関に対しますヒアリング、立入検査等を通じまして、例えば、取締役会の牽制機能が有効に機能しているのか、経営陣等の役割が適切に果たされているのか等、こういった観点からガバナンスが適切なものになっているかといった点を確認するようにしております。加えて、このガバナンスを支える内部監査体制の適切性についてもモニタリングが重点的に行われるようにしてきているところでございます。
足下では、多くの地域金融機関で、内部監査の高度化について経営陣等と内部監査部門が議論して、自らの規模、特性に応じた取組を進めている状況も見られますが、他方で、一部の金融機関におきましては、内部監査が従来の事務不備監査に終始しているといったところもまだございまして、改善の余地があると思っております。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、こうした内部監査の重要性、有用性を強く認識しまして、更に高度化の取組を進めていくようにモニタリングの方も進めていきたいというふうに思っております。
○中川(宏)委員 現場では、書類上はガバナンスが整っているように見えましても、実際には不正や審査の形骸化が生じる事例があります。
これまでの不正事案を振り返ってみますと、経営層のメッセージの曖昧さですとか内部監査の独立性の不足、また、問題を指摘しづらい組織風土、これらが重なったときに不正が顕在化するという傾向が出ているというふうに思っております。こうした組織文化の実態に踏み込んだ評価が不可欠だと思っておりますので、お願いしたいというふうに思っております。
地方金融機関の現場におきましては、こうした収益環境の厳しさの中で、特に不動産融資やスキーム型の案件をめぐって審査の形骸化やガバナンス不足といった問題が顕在化してきたことは過去の事例が示しているところでありますが、その典型が、かつて、そして今も大きな社会問題となったのは、スルガ銀行のシェアハウス問題またアパマン問題であるというふうに思っております。
このスルガ銀行のアパマン問題につきまして、前回の委員会でも取り上げさせていただきましたが、改めて現状と対策を確認してまいりたいというふうに思っております。
この問題は、単なる過去の不祥事ではなくて、現在進行形の社会問題であると思っております。とりわけ、この十月に入り、重大な動きが明らかになりました。報道によれば、スルガ銀行は、東京地方裁判所に対しまして、調停成立の見込みが低い案件を調停不成立とするよう上申書を提出したとされております。これは、長年にわたりまして調停手続を信頼して待ってきた被害者の方にとって、突然土俵から降ろされるような衝撃であるというふうに思っております。被害者の生活と尊厳に深く関わる重大な問題であります。
そこで、まず事実関係から整理をさせていただきたいと思います。
スルガ銀行のアパマン向け不正融資では、第三者委員会報告書におきまして、行員の証言として、不正のない案件は一%あるかないか、また、偽装が一切ない案件は百件中一件から二件とまで記されております。審査資料は、通帳改ざん、自己資金偽装、レントロール偽装、入居実態の偽装だの、複数の行員が役割を分担して作り上げた、完成された不正スキームであって、個人の逸脱ではなく、明快な組織的不正と指摘があるところであります。
まず、金融庁はアパマン不正融資を一部の行員の逸脱ではなく組織的不正と認定しているのか、この点につきまして片山金融担当大臣にお伺いしたいと思います。
○片山国務大臣 このスルガ銀行の不正融資問題につきましては、二〇一八年一月頃に社会問題化したことを踏まえまして、金融庁は、同行に対する立入検査等を実施したところでございます。その結果、スルガ銀行におきましては、法令等遵守態勢や業務運営態勢等における組織的な問題を背景に、今御指摘のありました、いわゆるシェアハウス向け融資やアパマン向け融資を含む投資用不動産向け融資につきまして多数の不正行為が行われていたことが確認され、また、同年九月に公表された第三者委員会報告書も踏まえて、金融庁が二〇一八年十月に業務改善命令を発出しております。
金融庁として、債務者にとって可能な限り早期に問題解決が図られることが重要であると考えておりまして、スルガ銀行が債務者たるお客様に寄り添った対応を取るように、しっかりと指導してまいります。
○中川(宏)委員 そこで、監督行政の初動体制について伺いたいと思います。
スルガ銀行では、二〇一五年から複数の通報や苦情が金融庁の窓口に寄せられたと報じられております。しかし、実効的な行政介入が行われたのは、二〇一八年のシェアハウス問題以降でありました。二〇一五年の段階で金融庁が検査に入れば被害は半減していたかもしれない。また、明確な兆候があったにもかかわらず行政が迅速に動けなかったのは問題ではないか。こうしたことを行政にも検証すべき点があるかと思っております。
そこで、お聞きさせていただきますが、二つお聞きします。
まず、金融庁は二〇一五年前後の通報件数、内容をどのように把握していたのかという点。そして二つ目には、重大な不正の兆候を早期につかめなかった理由はどこにあるのか。この二点についてお伺いをさせていただきます。
○石田政府参考人 まず、二〇一五年頃から通報、苦情が寄せられていたということで、その通報件数、内容をどのように把握していたのかという点につきましてですが、当庁の相談室というところがございますが、そこにスルガ銀行に関する苦情が入り始めたのは、アパマン問題の関係につきましては遅くとも二〇一一年頃から、また、シェアハウスの問題に関しましては二〇一五年くらいからということが確認されているところでございます。
このシェアハウスを販売していた不動産業者の経営不安や賃料の支払い停止等が大きく報道されましたのが二〇一八年の一月でございまして、当庁といたしましては、このシェアハウス問題が深刻な問題であるということを強く認識したのは二〇一八年の一月のこの報道以降のことでございました。
それから、当行の重大な不正の兆候を早期につかめなかった理由についてのお尋ねでございますけれども、今申し上げましたように、二〇一八年一月の報道以前に当庁のサービス員に寄せられました苦情、相談があったわけでございますけれども、これを私どもが当行の深刻な問題だということで活用できなかったということは、我々として大いに反省すべき点だというふうに認識しております。
金融庁では、従前から、金融機関の規模や特性、その時々の状況を踏まえまして、確認すべきテーマに優先順位をつけながら、立入検査も活用してモニタリングを行ってきたところでございますけれども、結果といたしまして、当行におけるコンプライアンスをめぐる問題を早期に察知できなかったということは事実でございまして、当庁の行うモニタリングに課題があったというふうに認識しております。
○中川(宏)委員 今、反省しているという答弁もありましたけれども、結果的に、振り返りますと、二〇一五年から通報が寄せられているにもかかわらず、実質的な対応は二〇一八年からだった。当時、情報分析、情報の連携、異常検知の仕組みの課題、これがあったことは否めないというふうに思っております。
その上で、こうした状況の中から、現在の通報検知体制、これはこの反省を踏まえて今強化されていると言えるかどうか、この点につきましてお伺いをさせていただきます。
○石田政府参考人 スルガ銀行の問題の反省を踏まえました改善につきましてですが、二〇一八年の十月に私どもの方でコンプライアンス・リスク管理基本方針というものを作りまして、そこには、金融庁に寄せられた苦情、相談等の情報を分析する際に、個別の内容にとどまらず、類似の情報と合わせた傾向をしっかりと考慮すること、また、事業の急速な拡大、変化等を察知しまして情報収集、リスク分析を行う体制を整備すること、検査周期が長い先を相対的にリスクが高い先と捉え、検査の実施を優先的に検査することなどを盛り込んで、これに沿ったモニタリングを強化してきているところでございます。
○中川(宏)委員 では、次の質問に移りたいと思います。
シェアハウス問題では、元本カットや包括的救済の枠組み、これが構築をされました。ところが、アパマン問題におきましては、構造がほぼ同じであるにもかかわらず、包括的な救済対策、これはいまだ示されていないと思っております。不正の構造は同じで被害の深刻さも同じであるにもかかわらず、救済の水準だけが大きく異なるのは、これは法の下の公平性の観点から見ても私は疑問に思っております。
そこで、なぜシェアハウスとアパマンで救済水準にこれほどの格差が生じているのかという点、また、アパマン被害者の生活破綻また破産件数を金融庁は掌握しているのか、お伺いをします。
○石田政府参考人 お答えいたします。
まず最初の点でございますが、シェアハウスとアパマンでの救済水準の違いについての点でございますけれども、シェアハウス向けの融資につきましては、こちらは民事調停で行われてきたわけでございますけれども、その当時、裁判所から、シェアハウス特有のリスクについて十分に検討しないまま融資が実行され、債務者に対して高値づかみの損害を与えたことなどを理由に、スルガ銀行に、これはいわば案件の個別性ということを問わないで、定型的な不法行為に基づく損害賠償債務が生じるというふうに認定が行われまして、この認定を踏まえた追加的な解決が行われたという経緯と承知してございます。
一方、アパマン向けの融資につきましては、この調停案の内容につきまして今の段階でコメントすることはできませんけれども、現在までのところ、シェアハウス向けの融資について認定されました、先ほど申し上げました、同行に定型的な不法行為に基づく損害賠償債務が生じるといった考え方が示されていると承知しておりません。こういったこともございまして、ほかの要因もいろいろあると思いますけれども、この対策の違いということにもつながってきているのではないかというふうに考えてございます。
二点目の点でございますけれども、生活破綻、破産件数についてでございますけれども、金融庁は、これまで、債務者の状況につきましては、銀行側のみならず被害者団体の方々からも再三いろいろな形でお話をお伺いしてきておるところでございますけれども、少なくとも、このアパマン問題が直接の原因となった形で破産というふうになられたということで、具体的な案件でございますとかあるいはその件数といったことについてはお聞きしていないところでございますが、もちろん、そのほかの、生活面で非常に厳しい状況に置かれている方、あるいは将来に不安を感じられている方がいろいろな形でいらっしゃるということは、いろいろな形でお話としてはお伺いしてきているところでございます。
○中川(宏)委員 今、シェアハウス、アパマンも、多分、構造が異なるというふうに言っているかというふうに思っておりますけれども、実際のデータとか事案の内容から見れば、両者の構造に本質的な違いはほとんどありません。具体的には、どの案件も、収支が成り立たない物件への過剰融資であったり、レントロールの虚偽記載、物件価値の過大評価、申込者の所得、資産の偽装、銀行と販売業者の一体的な関与、審査書類の改ざんといった要素が驚くほど一致しているわけですね。
つまり、被害の発生メカニズム、これは私は同じだというふうに思っております。融資判断がゆがめられた仕組みも同じでありまして、被害者の負う過重債務の構造も同じだと思っております。唯一、表層的な形式としてシェアハウスかアパート物件かという違いがあるだけで、不正の核となる部分、この部分に違いはほぼないというふうに思っております。にもかかわらず、シェアハウスだけ包括救済が整備をされていくということは私はどうかなというふうに思っているところであります。
今年の五月ですけれども、金融庁はスルガ銀行に対しまして報告徴求命令を出し、解決の遅れを問題視しました。にもかかわらず、その僅か数か月後の九月に、銀行は、裁判所に対し調停不成立の申立てを行っております。これは、金融庁が被害者救済の加速を求めているときに銀行が被害者を切り捨てたという動き、こういう見方をされても仕方はないのではないかというふうに思っております。
そこで、まず一つ目といたしまして、金融庁はこの調停不成立の上申を事前に把握していたかどうか。次に、この行為は報告徴求命令の趣旨に反していると認識しているのかどうか。三つ目には、指導、行政処分を含む追加的措置、これを検討しているかどうか。以上三点についてお伺いします。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
まず最初の点でございますけれども、調停不成立の上申を金融庁で事前に把握していたのか、このお話でございますけれども、スルガ銀行からは、今年の九月までに裁判所から示された調停成立に向けた和解案や見解といったものを尊重した結果、裁判所によってスルガ銀行の不法行為が認められる可能性が低く、調停が成立する見通しが極めて乏しいと考えざるを得ない案件のうち、一部については裁判所に調停不成立の上申書を提出する意向があるという話は、私ども事前に聞いていたところでございます。
二点目の、調停不成立を申し立てたことが報告徴求命令の趣旨に反するという認識かという点でございますけれども、これまでこの問題が非常に長期化してきていることから、スルガ銀行に対しまして、私どもも、アパマン問題の早期解決を図る必要があることから、今年の春、報告徴求命令を出したところでございますが、問題の早期解決を図る観点からは、調停自体が非常に長い時間がかかっているということもございまして、調停成立の見通しが極めて乏しいと考えられる今申し上げたような案件につきましては、調停外での個別の対話、相談というものを通じた解決も進める、こういうことで調停の不成立を上申して、あわせてまた、個別の対話を進めるための支援策といったものを公表して進めていく、こういう意向だということで承知しているところでございまして、私どもといたしましては、必ずしも、この問題の早期解決を図るということで出しました報告徴求命令の趣旨に反しているというふうには理解していないところでございます。
それから三点目の、私どもが今後、指導、行政処分を含む追加的な措置を検討しているのかといった最後の点でございますけれども、恐縮でございますけれども、個別の行政対応については予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、私どもといたしましては、先般、当行に対しまして報告徴求命令を発出したところでございまして、こうした報告徴求を受けて出されております今申し上げました支援策、こういったものが着実に実施されていくのか、また調停に対して誠実に対応していくのか、こういったことで、この問題の早期解決に向けて当行がしっかりと進んでいくのか、必要な対策を取っているのかということをしっかり確認して監督していかなきゃいけないというふうに思っております。
○中川(宏)委員 時間が来ておりますので、次に進めさせていただきます。最後の質問になるかと思いますけれども。
ここからが本質だとは思いますけれども、調停が進まない最大の理由、これは二つの実質的要件だというふうに思っております。
まず一つは、銀行と業者の共謀を被害者自身が証拠で立証しなければなりませんけれども、証拠の多くは銀行にありまして、被害者はアクセスできません。そしてもう一つが、不正融資の客観資料を被害者側が提示しなければ損害が認定されないということでありまして、レントロール偽装等の核心資料は銀行側にあります。この二つにつきましては、調停委員会が明文化した基準ではありませんけれども、調停実務で事実上の入口規制として運用されているのではないかというふうに思っております。
結果としまして、調停に進める被害者はごく一部でありまして、多くが証拠不足とされ、門前払いとなりまして、調停を信じて待つ一方で、裏側の強制処分が進む、こういう構造が続いているかというふうに思っております。
そこで、最後に四点お聞きしますが、金融庁は、この二要件につきまして、救済の門戸を著しく狭めている実態を把握しているかどうか。二つ目といたしまして、証拠を握る銀行側にこそ立証責任を負わせるべきではないか。そして三つ目には、金融庁として、最高裁、法務省と協議をして、調停実務の改善を検討する考えはあるのか。そして最後の四点目には、スルガ銀行に包括的救済スキームの提示を求める意思があるのか。以上四点につきまして、最後にお伺いさせていただきます。
○石田政府参考人 お答え申し上げます。
調停の実務、進め方、やり方、そもそものそういったことにつきましては、ただいま御質問いただいたところでございますけれども、そういった全体のそもそもの在り方につきましては、私どもとしてちょっとこの場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、本件に関しましては、私どもといたしましては、当行に対しまして調停の中で裁判所から示された判断等に対しましては、当行が、アパマン問題の早期解決の観点から、調停への協力、誠実な対応が取られているかについて確認の上、必要な対応を行ってきているところでございます。
一方で、裁判所の判断が示されていない事柄に対しましては、私どもといたしまして、裁判所における調停プロセスにある事案に直接介入するようなこと、直接に指導するということが難しいということについては御理解いただければというふうに思っております。
また、調停のプロセス全体、調停の在り方、こういったこと全体につきまして、法務省等との協議ということにつきましては、これまで私どもとしてはそういうお話ということはしてきてはおりません。
それから、包括的なスキームの提示を求めるかどうかというところでございますけれども、御案内のように、既に今、本件につきましては調停プロセスが進められておりまして、この具体的な調停案、どういったことになっていくのかということにつきましては、私どもの方から今の時点でコメントするということは差し控えたいと思っていますけれども、いずれにいたしましても、調停の中で裁判所から示された判断等に対しましては、同行が誠実に対応しているのかということについては引き続きしっかり求めていきたいと思っておりますし、また、調停外でも、同行から支援策というものを公表しておりますけれども、こういった支援策が着実に実施されていくのかということを含めてしっかり確認し、様々な債務者の事情を十分配慮して、寄り添った形でのよい解決になっていくように、私どもといたしまして、引き続き監督していきたいというふうに思っております。
○中川(宏)委員 これで終わりにしますが、いまだ多くの被害者がいらっしゃいます。金融行政といたしまして銀行に一定の姿勢や取組をしっかり促して、金融庁としてしっかり関与していただきたい、このことを最後に申し上げまして、以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。
片山大臣とはテレビの番組「朝まで生テレビ!」などで何度か御一緒していますが、質問は初めてでございますので。私は、片山大臣あるいは高市総理の積極財政という考えは党としても大変賛同するものですので、是非前向きな答弁をお願いしたいと思います。
十一月五日の衆議院本会議で私は同じようなことを聞いたんですが、この質問には実は、自民党の組織からの提案とれいわは同じ考えなんだけれども、総理、どう考えますかと言ったら、党の提言の個々の内容には触れませんがみたいな答弁をされたんですが、別に、これから聞く質問は、自民党さんが言っていることを聞いているんじゃなくて、我々も全く同じ意見なので、その考え方について、大臣、賛同いただけるかどうかということを問いたいと思いますので、お願いいたします。
二つあって、まずは、自民党の政務調査会の財政政策検討本部、先ほど江田委員からも質問がありましたが、これが去年の六月七日に岸田総理に、西田本部長が提言書を持っている写真まで出ているんですけれども、その両脇には片山大臣と城内大臣がいらっしゃいます。ですから、当然、合計で五名ぐらいで行っている中の二人が閣内にいるということですから、考えは一緒だと思いますが。
その財政政策検討本部の中で、先ほど江田委員からもありましたが、ほぼ全部同感なんですけれども、特に取り上げると、例えば、「建設国債の発行を躊躇すべきではない。」それから、「国債発行は孫子の借金ではない。孫子への貯蓄である。」という話、それから、「国債発行に量的制限はないが、実物資源の供給力には限界がある。」と。これは、よくれいわも勘違いされるんですけれども、国債を無限に発行できるわけないだろうとよく怒られるんですが、そんなことは我々は一言も言っていませんので。実物資源の供給力、まさに生産力、ここに限界がある、しかし、今はそこに達していないだろうということを我々は主張をしています。
それからもう一つは、責任ある積極財政を推進する議員連盟、これは自民党の七十名が現在参加を、いっとき百名以上いたと思うんですけれども、七十名が参加をしていて、しかも、この七十名の中には大臣が四人います、松本大臣、城内大臣、黄川田大臣、小野田大臣。片山大臣は入っておられないようですけれども。あと、副大臣、何と十四名ですよ。七十人中十四名。ここから選んでいるんですね。あと、官房副長官二名も入っていますからね。まさに高市内閣の中核中の中核。
その議員連盟が何を言っているかというと、ちょっと紹介しますと、マクロ経済学の世界的専門家オリビエ・ブランシャール氏が著書、二十一世紀の財政で述べているように、債務を活用して成長を促すことがむしろ財政を健全化させる、そもそも日本は他国とは比較にならない資産を保有しており、クレジット・デフォルト・スワップは〇・二%と、ドイツに次ぐ高い信用力がある、一定のプライマリーバランス赤字を許容する方が、むしろ経済成長により財政の信認は高まるとか、それから、国債六十年償還ルールを撤廃し、無用の現金償還をやめ、歳出から債務償還費を除外する等々。
ほかにもたくさんあるんですけれども、ほぼれいわとしては賛同できる。そして、私が何度もこの委員会やあるいは予算委員会や本会議で主張してきたけれども、実は財務省にはことごとく否定されてきた、そういう考え方なんですが、財務大臣は、今私が申し上げた、あるいは自民党さんが提案してきて、そしてれいわも賛同しているこうした考え方に対して、どのような見解をお持ちですか。
○片山国務大臣 まさに本日、先ほどの閣議で、「強い経済」を実現する総合経済対策ということで決定させていただいたわけでございまして、責任ある積極財政の要素としては、いろいろな分野があるんですけれども、この財政政策検討本部の中で触れられてきたような部分もございます。それは、ですから、一面の真理として賛同するということは賛同しますし。
ただ、時々誤解というかすれ違いが出るとすると、まさに今委員がおっしゃったように、御党におかれましても、無制限に国債、建設国債でも赤字国債でもですね、が発行できるとは一言も言っていないと。我々も、この検討本部でも多分一言も言っていないと思います。供給能力等々、それからマーケットの問題もあります、限界はありますといったことも含めて、先に規模ありきではないと。恐らく、その点に関しても御党とは同じなのかなと思っておりますが。
つまり、あくまでも、様々な観点から必要な施策を積み上げていく上で、一定のものが非常に制約になるのかならないのかということについては多分違いがあるんですね。その部分については同じような部分があるなと思いまして、私は、この提言にある幾つかの、いとわないという部分について、現在においても、その一面の真理という意味では同じ考えでございます。
○高井委員 ありがとうございます。
ただ、ちょっと具体的に今幾つか挙げましたけれども、それについてのコメントはなかったわけですが、一個一個通告すれば、恐らく財務省が自分の考え方を書いてきて、もちろん片山大臣なりには答えてくれるでしょうけれども、やはり私は片山大臣がどう考えているかということをお聞きしたいので、少し具体的なことを、この提言、自民党の提言の中からピックアップして聞かせていただきます。
まず、先ほど、国債償還六十年ルールを撤廃すべきと。
これは今、私、何度も言っていますけれども、日本だけなんですよ、国債償還費というものを計上しているのは。国債費は今、二四%ありますけれども、実に一五・四%は、世界中一か国も計上していない国債償還費という本来計上しなくていいものが乗っている。本来なら、世界各国の基準と一緒にするのなら、八・六%の利払い費だけ計上すればいいのに、国債費をあえて大きく、四分の一も国債費なんだから、だから国債はこれ以上発行できないんだというふうに誘導するためのものだと私は思いますけれども、片山大臣、いかがですか。
○片山国務大臣 この話をすると長くなるんですけれども、六十年償還ルールを設定したときの経緯とか、私も一九八二年に旧大蔵省に入っておりますから、もっと赤字国債について非常に厳しい見方がされていた時代もございます。建設国債については財政法上根拠がございますが、ただ、その後、様々な財政規律のルールを設定するにおいて、その過程で六十年償還というルールができてきたわけですが、今現在、私どもが、ある程度、「強い経済」を実現する総合経済対策をもって責任ある積極財政に転換しているわけです。
委員の御賛同も一部においては得られるかなと今お話を聞いていて非常に心強く思ったんですが、転換して、危機管理投資や成長投資による強い経済の実現、それから、まず一丁目一番地で、生活の安全保障、物価高への対応、防衛力と外交力の強化の三本柱で、恐らくは、財源についてこの時点で総理から、まだ数字が固まっておりませんので正確に発表できておりませんで、そのまま外遊に立ちましたけれども、概算閣議に至るまでの間で数字が出てくる、こういう状況の中で、先ほどから再三御指摘をいただいているように、国債金利市場について非常に慎重な物言いが要求されるわけでございまして、そういったことを考えると、今私がこれ以上申し上げるのは大変難しいということを御理解いただければと思います。
○高井委員 今すぐ前向きなというか答弁をもらおうとは思いませんでした。しかし、本当に世界で日本だけなんです。私が何度も質疑して確認しても、最初、財務省は言わなかった。先進国ではやっていませんと。だけれども、しつこくしつこく聞いたら、明らかに世界で日本だけですよ。もしないのなら、財務省、早く調べて私に言ってください。ないんですよ。世界で一個もやっていないルールをやるというのは、やはりおかしいですよ。経緯があるとおっしゃいましたけれども、経緯があっても変えればいいんですから、大臣は、この点、在任中に是非やっていただきたいと思います。
それから、もう一つ重要なのがクレジット・デフォルト・スワップ。
これは高市総理も何度も、総裁になる、総理になる前からもう発言されています。日本は、もう江田委員が何度も言っているように、極めて安定をしている。これはマーケットのまさに数字ですから。でも、これを何度も私が取り上げても、財務省は何か、いや、一つの指標にすぎないとか、何か母数がどうたらとか言って余り取り上げません。
これは、しかし、日本の財政が健全であるということをマーケットが信認しているわけですよ。その理由は、債務残高だけ見れば確かにG7で七位だけれども、純利払い費で見れば二位だし、対外純資産で見れば一位だし、経常収支は二位、それから一般政府、外債の比率も一位です。そして、さっき江田議員が言ったように、一千三百兆、債務があるといったって、国の金融資産は九千八百兆ですよ。そして、個人の金融資産は二千二百兆ですよ。だから、マーケットが、極めて安全だ、ドイツに次いで二番目に安全だと言っている、やはりこのクレジット・デフォルト・スワップの指標をもっとちゃんと重視をして、これがやはりマーケットの信認を測る指標なんだということを財務大臣としてはっきりもっとPRしてほしいと思いますけれども、いかがですか。
○片山国務大臣 委員おっしゃるとおり、CDS、これは、今回の様々な日本の財政をめぐる議論、これは内外ですね、そういったものを受けてもぴくりとも動いておりませんので、悪化もしておりませんから、ドイツに次いで二位でございますので、そういう意味も含めてCDSについては、私は信頼を寄せられる一つの要素だと思っておりますし、それは過去の各歴代の財務大臣も、別にそういった意味を否定しておられるということは全くないと思っておりますので。
これからまさに、昨日、今日ですか、経済財政諮問会議議員にこの度なられた永浜先生ほか何人の方々が、恐らく、まだ概算の決定がないから正確な数字は分からないけれども、総理がいつもおっしゃっている名目のGDPに対する債務残高の比率、これが今回大型の対策を行っても恐らく上がることはないというか、若干下がるんじゃないかみたいな見通しもありますし、補正後の国債ということについても、これは総理が会見で申し上げたと承知しておりますが、これは昨年に比べても悪化しておらず、かえって改善しているというようなこともあって、そもそも全く規律についてめどがないような対策ではないので、どちらかというと、その辺をきっちりと御理解いただかなければいけないかなというふうには思っております。
○高井委員 加藤前財務大臣がちょっとうつむいておられますけれども。まあ、いいです、もうそれは今問いませんが、次の観点から行きます。
十一月十三日に参議院予算委員会で、国民民主党の浜野委員から非常に重要な質問の答弁がありました。我々もずっと言ってきた、財務省は二〇〇二年に外国の格付会社に対して意見書を出しています、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルト、債務不履行は考えられないと。これを何度聞いても財務省は、加藤財務大臣も、いや、当時はそうだったけれども今は違うというような、大枠で言えばそういう答弁。ですが、片山大臣は、理論的には正しいというふうに認めていただきました。そうなんですよ、理論的に間違っているわけがないんですね。
当時、大臣は文書課にいて室長をしていて、この意見書を持っていろいろなところに回っていましたと。これは今こそやるべきなんじゃないですか。日本の国債に対して何か格付会社が、何の根拠か分からないけれども下げたりしているわけですよ。こういうのに対して、財務省がこの文書を持って反論して回らないと今こそいけないんじゃないですか。
むしろ、何か逆に、財務省の財政審議会の資料なんか見ると、格付会社の格付が下がっています、大変です、国債はこれ以上発行できませんみたいな。全然変わっちゃっているんですよ。
理論的に正しいとおっしゃるのであれば、大臣が、あるいは大臣が部下に命じてそれをやるべきじゃないですか。いかがですか。
○片山国務大臣 委員の御指摘どおり、二〇〇二年にIMFと国際機関が当時の日本の債務残高というか、財政状況について非常に危機感を持って御指摘をされてきて、我々もコンサルテーションを受けておりますので、そういった意味もあって格付機関からも、極めて厳しい、しかもせっぱ詰まった御指摘をいただいておりましたので、私どもみんなで、二〇〇二年にホームページで発表いたしましたような要旨や説明を持って要路を回っていたというのは、これは全く別に何ら恥ずべきことではない、端的に事実でございます。
格付の理由についてより客観的な説明を、下げたいというんだったら求めなきゃいけないという中で、その当時の財務省も財政構造改革などにきちっと取り組んでいるし、当時の強固なマクロ経済の中では自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない、これを申し述べたというわけでございまして。
確かに、当時に比べて今、債務残高が非常に積み上がっているというのは事実でございますが、この意見書は、財政運営に対する市場からの信認が損なわれた場合のようなちょっと違う経路のケースについて、金利の上昇が極端な形で行われて、その償還にいろいろ影響が生じて非常に国債管理政策が難しくなるという可能性まで全否定しているわけではないです。恐らくそれは、御党においてもそこは否定はしておられないと思うんですよね。だから、その辺の、全くゼロか一かの議論ではない部分で最近議論が非常に行われているなと思いまして。
デフォルトというのが自国通貨建て国債で絶対ないのかというと、通常は先進国では考えられないということは私も申し上げましたけれども、通貨発行権があればどういう状況の国でも絶対にないのかというと、先ほど申し上げたような極端なインフレとか、三千分の一の通貨の激減とか、これは実際に見てきたわけですよ。それは、今おっしゃったような日本の様々な要素の状況からいったら極めて生じにくいというか、普通、考えられないのでCDSが非常に評価が高いんですが、そういうことまで全部理論的に閉じたわけではないという意味で、どちらが正しい、どちらが正しくないというのがある話じゃないんですけれども。
私がこの一連の議論を数年聞いておりまして大変残念なのは、極端と極端が議論しているところがあって、それは、マーケットが非常に大きな力を持っている金利や通貨の世界でいいのかなと。G7なんというのは、それが余りよくないということでいつもああいうふうにコミュニケを出しているわけですが、でも、実際には実需の十倍のマーケットが通貨には、あるいは金利市場には動いておりますから、そういうものに左右されるというのは非常に残念だなといつも思っております。
○高井委員 おっしゃるとおりだと思いますよ。極端な、別に私は、合っているか間違っているかとか、一かゼロかという話をしているのではなくて、やはり今の、大臣もよくおっしゃるように、生産能力、供給力が日本はそんなに毀損しているんですかと、戦争中のように。そんな状況じゃないのに、ハイパーインフレとか起こらないでしょうということなんですよ。それはマーケットも分かっているからだし。それを、やはり、よく勉強していない人たちは、単に債務残高をGDPで割って、その比率が世界で一番高いからみたいな、そういう単純化して。これは財務省に私は責任があると思いますよ。あえて単純化した議論をして、自分たちに都合のいいように、国債をこれ以上発行させないように仕向けている、それをマスコミもうのみにして信じているということだと思いますので、是非、これは大臣のときに変えるようにしていっていただきたいと思います。
消費税も実は聞きたかった。参政党の安藤さんがいい質問をされました。私もそれに賛成で、更に今日質問したかったのですが、もう時間がありません。
最後にどうしても聞きたいのは、スルガ銀行です。
今日も何人もの、出たじゃないですか。大臣、本当に全党やっているんですよ、質問。自民党も、公明党さんだって与党時代もがんがんやっていました。そのくらい、本当に今、国民の皆さんが大変なんです。
スルガ銀行の被害者の方のアンケート、三百十名の八月にやったアンケートです。被害者の半数以上が、自死を考えたことありと答えているんですよ。これは本当に、ほっておいたら大変なことになりますよ。
大臣、ちょっと二問、最後にもう時間がないからまとめて聞きます。
スルガ銀行に対して、十月三十一日に静岡地裁が判決を出しているんですよ。それは、シェアハウスだけではなくて、アパートローンを含む一連の不正が組織的不正だったと認定しているんです。やはりもう、これまでみたいに個別事案がどうのこうのとかじゃなくて、ちゃんと行政として再検証して、再度、報告徴求命令とか業務停止命令を出すべきじゃないですか。
それから、もう一問。報告徴求命令下で、通常国会閉会後に、スルガ銀行は被害者に支払い催促を加速しているんですよ。八割の被害者に実施と聞いています。こんな法的に追い込む行為を、大臣、容認するんですか。これはもう民民の話だけじゃ済まされませんよ。報告徴求命令との整合性は取れませんよ。是非、大臣、明確にお答えください。
○片山国務大臣 何点か重要な論点がございましたので、ちょっと長くなりますが。
金融庁では、一八年の一月頃にスルガ銀行の不正融資が社会問題化したことを踏まえ、立入検査等を実施して、組織的な問題を背景とした投資用不動産向け融資に係る多数の不正行為を確認し、十月には業務改善命令を発出いたしました。
一方、スルガ銀行によれば、委員が御指摘の先月の静岡地裁の判決は、シェアハウスに係る融資問題に関し、旧取締役の職務執行について善管注意義務違反等により同行に対して旧取締役が損害賠償責任を負うとの司法判断が下されたものであり、新たにスルガ銀行の組織的な不正を認定したものではないというふうに主張をされている、そのようなことを承知しておりまして。
いずれにせよ、個別の行政対応につきましては予断を持ってお答えすることは差し控えますが、金融庁としては、当該業務改善命令に基づくスルガ銀行の改善対応の確認は継続しております。そして、本年五月には、同行に対し、問題の早期解決に向けた対応を強く促すための報告徴求命令も発出したところでございます。
金融庁としては、可能な限り早期に問題解決が図られることが非常に重要、それはもう全く同じように考えておりまして、引き続き、スルガ銀行の経営陣に対し、様々な機会を通じて、調停に誠実に対応することや、先ほど、債務者さんのことをどう呼ぶかというお話もいろいろありましたけれども、この一連の協議にはいずれにしても最大の誠意を持って真摯に応じること等、適切な対応を求めてまいります。
○阿久津委員長 高井崇志君、簡潔にまとめてください。
○高井委員 大臣、本当にこれは大臣のときに解決してください。あと、監督局長のときにやってください。
終わります。
○阿久津委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 日本共産党の田村智子です。
本日昼に政府の総合経済対策が閣議決定されましたが、給付金を取り下げたかと思ったら、子供を対象に復活させるなど、一体何がやりたいんだろうかとちょっと首をかしげざるを得ないような、あるいはこれまでの施策を寄せ集めたような、そんな経済対策になっています。その中で、今までと全く異なるのは、経済対策として防衛予算、軍事費を盛り込んだということなんですね。こんなこと、過去に例がありません。これは、予算委員会はもちろんなんですけれども、是非、本委員会でも時間を取って質疑することをまず求めておきたいと思います。
今日は、まず消費税の減税についてお聞きします。
物価高騰の下で、消費者にも中小企業にも最大の支援となるのが、消費税の減税です。予算委員会で高市首相は、消費税率については、自民党と日本維新の会の合意文書にも検討が入っているので選択肢として排除しないと答弁されました。
片山大臣、財務省として消費税減税の検討を行うのかどうか、お答えください。
○片山国務大臣 高市総理よりお答えしたとおり、自民党と日本維新の会の連立合意書では、飲食料品については、二年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行うとされておりまして、高市総理は、消費税率の引下げについて、選択肢として排除するものではないと御説明をされております。
ただ、同時に、消費税率の引下げは、大手事業者の関連システム改修などに一年以上かかるとの課題があり、物価高対策として迅速性を欠く面があるということも御説明されており、この点にも留意が必要でございます。
また、消費税は、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく、安定している、現役世代などの特定の層に負担が集中することがないなどの特徴を有しており、我が国においては社会保障の財源として活用され、社会保障給付という形で家計に還元されているということにも留意する必要があると考えております。
消費税につきましては、社会保障全体の受益と負担を含め、幅広い観点からの在り方を考えていくべきものというのが私どもの立場でございます。
○田村(智)委員 それでは従来と全く変わらなくて、参議院選挙で出された審判は何なのかということが問われると思います。これはちょっと、自民党と維新の与党協議というのに任せるわけにはいきませんので、本当に、与野党協議ということで、ガソリン減税の問題と同じように前に進めていかなければならないということを表明しておきたいと思います。
消費税減税とともに喫緊の課題がインボイス制度の廃止です。
インボイスに反対するフリーランスの会の一万人アンケート、これは通常国会で取り上げまして、当時の加藤財務大臣にこの声を是非読んでくれと言って、読むとお約束いただいて、その後質問する機会がなかったのがとても残念なんですけれども、引き継いでいただいて、片山大臣にも是非読んでいただきたいんですよ。賃上げが必要だと言われているときに、消費税を納入するためにフリーランスの収入が十万円以上減ってしまう、取引額の大きい建設業などでは、消費者金融から借金して消費税を納入したなど、まさに怨嗟の声が渦巻いているわけです。
このインボイスの影響について、まず片山大臣の認識をお聞きします。
○片山国務大臣 インボイスについて議論がされている前夜、私がまだ政府の方に入っていなかった頃に、私の議員会館にも様々なフリーランスの団体の方がたくさんお見えになりまして、その後、導入後にも、御指摘のような報道があるということは承知をしております。
他方、例えば、免税事業者のままでいる事業者との取引については、日本商工会議所が直近二年で会員企業に実施したアンケート調査によれば、発注側の四分の三が取引自体をほぼ全て継続していることや、取引価格についても発注側の九割近くが維持していることが示されており、全体としては、非常に大きな混乱が生じているということではなくて、制度は次第に定着に向かっている状況にあるのではと認識をしております。
その上で、インボイス制度に関して悩みや問題を抱える事業者がいらっしゃることは認識しておりますので、できるだけきめ細かく対応していきたいと考えております。
引き続き、財務省、国税庁のみならず関係省庁が、それぞれの所管業界における施行状況を日頃からモニタリングし、必要に応じて丁寧に相談に対応するとともに、インボイス制度に関連して小規模事業者が不当な扱いを受けることがないよう、関係省庁が連名で作成したQアンドAなどを用いて、各省庁からそれぞれの所管業界に対して注意喚起や監視などを行うなど、政府全体としても適切に対応してまいりたいと考えております。
○田村(智)委員 片山大臣、これまでの答弁、結構自由にしゃべっておられたのに、何だか官僚答弁になっちゃっているんですよね。ちょっともう少し御自分の言葉で答弁していただきたいなと思うんですが。
免税業者から課税業者になった百万の事業者、今、経過措置の二割特例があっても消費税納入に苦しんで、二割特例がなくなれば廃業するしかないという切実な声が上がっています。インボイス登録しなかった免税業者にも大打撃が襲いかかります。
資料を御覧ください。商工会議所が九月に公表したアンケート結果です。免税業者との取引がある本則課税業者の四二・三%が、今後、免税業者との取引の見直し、つまりは取引価格の見直し、仕入れの打切り、これを検討していると。価格を維持したまま取引を継続すると答えたのは、二一・五%にとどまります。
課税業者は、免税業者からの仕入れ分を税額控除できない。これまでその分も負担してきたけれども、来年十月に経過措置である八割控除が変更されたら限界点を超えてしまうと。仕入価格を下げるか、免税業者からの仕入れをやめるか、その検討に入っているということです。これでは、免税業者は潰れます。
インボイス登録をすれば、消費税納入で潰される。免税業者にとどまっても、収入減か仕事の打切りとなってしまう。過去に例のないような危機が今、フリーランスや小規模事業者に迫っています。インボイス廃止ということが私たちの確固たる立場ですが、少なくとも、八割控除、そして二割特例、この延長を表明すべきだと思います。いかがですか。
○片山国務大臣 まさに、私どもの自民党の方でも、昨日、党税調の総会がキックオフとして始まったわけでございまして、委員御指摘の問題が大きな課題の一つとなるのは当然のことでございますが、その中で、委員御指摘の日本商工会議所、東京商工会議所の実態調査を踏まえた要望というのは、まさに委員がおっしゃっているのと同じように、絶対に八割控除、二割特例を維持してほしいというものでございまして、私どももそれをしっかり受け取っております。
売上げ時に受け取った消費税分の二割を納税すればよい、これがいわゆる二割特例で、仕入れについて支払った税額の八割が控除できるのが八割控除ですが、それがいわゆる簡易的な取扱いということで、ある程度円滑化の役割を果たしているということについては全く異論はございませんので、非常に強い声で延長を求めているということは承知をしております。
本来の特例の在り方の原理原則というのはもちろん、当然いろいろありまして、こういった期限の間にもう少し慣れて、溶け込んでいただくのではないかという話もあるわけでございますし、それから、いわゆる消費税分として消費者が支払われたものが、特例によれば、計算上はですよ、全て納税されず事業者の手元に残る場合があり得るということを、頭の中の計算ではそういう部分があるということが理由になってこうなってきたということもあるんですが、他方、このような切実な声もありますので、多分、与党の税制調査会においてもそのような指摘が非常に広範に検討されるのではないかと想像するところですが、現時点で私どもは党税調における議論を見守っております。
○田村(智)委員 私、片山さつきチャンネルを拝見いたしました。ユーチューブの御自身のチャンネルの中で、二割特例を恒久化すべきというふうに発言されていましたよ。それを多くのフリーランスは見ていますよ。見守っているじゃ駄目ですよ。財務大臣として、二割特例、八割控除、これはやはり続けなければならないという立場で臨んでいただきたい。
そして、やはり、埼玉県議会や佐賀県議会など各地の自治体で、地元中小企業に甚大な影響がある、インボイス制度の廃止等の意見書、これは自民党の地方議員も賛成して採択されているわけです。今配った商工会議所の声のところも、技術も信頼関係もある免税事業者を守るためにと。これは二割特例などを延長してほしいという声ですよね。やはりこの声に何としても応えていただきたい。
是非、私たちも、インボイスの廃止を求めて、これもこの国会の中でも大いに議論をしていきたいと思います。ちょっと時間がないので次に行きますけれども、是非、片山さつきチャンネルも、登録者を増やしてほしいというふうに御自身が言われて、いっぱいの方が見ているわけですから、二割特例を恒久化と言われたわけですから、責任を取っていただきたいと思います。
次に、冒頭指摘したように、経済対策に軍事費、防衛予算が盛り込まれるという前代未聞の事態が高市内閣の下で起きています。安保三文書の見直しの議論も、昨日から自民党内で始まりました。軍事費のGDP比二%達成を今年度中にということですが、一体その財源をどうするのかなんです。
片山大臣は、十月二十六日のNHKの番組で、このGDP比二%の財源確保について、できることは何でもやる、赤字国債発行の可能性についても、財源は、これはいけない、これでなければということはないというふうに述べられました。ということは、軍事費は赤字国債でということもあるということなんでしょうか。
○片山国務大臣 田村委員にお答えいたします。
委員とは、国会の場だけではなくていろいろな場で大変光栄なことに御議論をさせていただいて、非常にいい意見をいただいているんですが、今般閣議決定をされました「強い経済」を実現する総合経済対策につきまして、防衛力という言葉はございますが、軍事費という言葉はありませんで、その辺りはやはり根本的に違う部分があるかもしれませんが。
まず、私がNHKの討論で申し上げたこと、ちょっと言葉足らずだったことはございますが、いわゆる最近の国家安全保障戦略、三文書等によって、対GDP比二%までに積み上げていく、台形ですね、台形の図になる、四十三兆円等につきましては、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入、税制上の措置による財源確保の取組ということでできておりますので、これに関する部分については、委員御指摘のように赤字国債等々という記述はございませんが、元々、我が国は、歳出の大半の部分について、それでは国債が充たらなかったかというと、毎年毎年一定以上の赤字国債を出しておりまして、特定財源になっている割合は非常に少ないものでございますから、これを考えますと、充たっていないというのが、毎年防衛費はかなり大きいですから、それはどうだったのかということについては、お金に色はないというお答えでございまして、そういった意味でございます。
今回の「強い経済」を実現する総合経済対策につきましては、先ほどから申し上げておりますように、まだ概算決定の閣議前でございますので、この積み上げていく部分について、二%の達成前倒しに伴う四十三兆円の台形の部分がどのぐらいで、元々の根っこの部分がどれくらいで、一部については、可能性としては、既に建設国債が充てられることになって、充てられてきているものも入るかもしれませんので、その精査は現時点で完全にできておりませんので、そこもきちっと見た上でお答えをしなければいけないなと思っております。
○田村(智)委員 これは否定をされないということなんですよね。この間、本当に、歴代自民党政権ができないとされてきたことがどんどん乗り越えられていて、非常に恐ろしいものを感じるんですね。今日付の東京新聞は、防衛国債、財源に浮上と報じています。
GDP比二%の達成は元々、二七年度とされてきました。二七年度までの五年間で四十三兆円、これを前提として財源確保法が制定されて、たばこ税、法人税、所得税の増税も財源とすることになりました。しかし、所得税の増税は先送りされている。その上、二%達成の前倒しによって、二七年度に十一兆円規模となると見込まれていた軍事費が、今年度の補正予算で十一兆円規模になる。来年度、再来年度、十一兆円維持どころか更に増えることが、強化ですからね、強く危惧されますよね。
七日の予算委員会では、高市首相は、新たな財源調達の手法を考えていると答弁されました。一体、財源として新たに何を検討されるんですか。
○片山国務大臣 まず、本日閣議決定をされました「強い経済」を実現する総合経済対策におきまして、三本柱の三本目が防衛力と外交力の強化でございまして、これにつきましては、厳しさを増す国際情勢を踏まえて防衛力の抜本的強化を進める趣旨でございまして、こういったことについて必要なものをしっかりと積み上げて今から概算閣議に向けてつくっていく、経済対策を実行するための補正予算にきちっと当てはめていくということになりますが、先ほど、教育国債のところでも総理が同じ言葉をおっしゃっていますけれども、新しいスキームについて、現時点で、先ほどもお答えいたしましたが、確定的などういう仕組みの幾らのスキームということがまだできておりませんが、これは今後議論を進めていく上でできるだけ早期に皆様にもお示しをしなければいけないということかと考えておりますが、今日現在ではまだできておりません。
○田村(智)委員 財務金融委員会でなぜ質問しているかといえば、やはりこれは、財務省として、歯止めなき、まあ防衛予算でもいいですよ、私たちは軍事費と考えますが、そこに突き進んではいけないと思うんですよ。
一九六五年度、戦後初の赤字国債を発行したとき、当時の福田赳夫大蔵大臣は、「公債を軍事目的に活用するということは絶対にいたしません。公債を財源として行なう事業は、軍事費を除いた」、軍事費というのは私たちが使っているだけじゃないんですよ、当時使っているんですよ。「軍事費を除いた公共的投資だけにこれを使う。」とはっきり答弁しています。その後の政権も、軍事費、防衛予算、この財源に直接赤字国債を充てるということはなかったわけです。
一九九一年二月の衆議院本会議、橋本龍太郎首相は、国債発行を原則禁止している財政法第四条について次のような見解を示しています。戦前戦中の我が国における巨額の公債の発行による軍事費調達を許したことが戦争の遂行、拡大を支える一環となったという反省の上に立ち、無原則かつ歯止めのない借金財政を戒めるために設けられたという御意見は決して否定するものではありませんと。八四年に竹下登首相も同様の答弁をしています。
片山大臣、これらの歴代総理の認識というのはどのように受け止められておられますか。
○片山国務大臣 今御指摘になったような答弁もございましたし、法理として、これが防衛の分野に特定財源として何々を充てるとか充てないとか、そういう部分を決めたものではないというふうに、私はこういう解釈を書く課の管理職をやっておりまして、主計局の法規課というんですが、それには、そうではないという今私が申し上げたような答弁というか過去からの解釈もあれば、今委員が御指摘になったような、橋本元総理あるいは竹下元総理、当時蔵相ですかね、蔵相としてかもしれませんが、そういう過去の戒めに対する反省、そういうお言葉もありました。それは両方私は了知しておりますが、私自身が防衛予算と防衛中期防と防衛大綱を全部取りまとめる責任者でございまして、そのときに、それでは、財源が今年度については幾ら幾ら、あるいは向こう五年では、向こう十年ではというときに、その財源についてどういうものを充てる、充ててはいけないという確定的な見込みをつくったということはないので。
それは二〇〇三年、四年、五年ぐらいの議論でございますから、その時点では余りはっきりしなかったことで、今に至るまでで変化が起きましたのは、海上保安庁の船につきましては建設国債を従来から充てておりまして、一昨年だったと思いますが、それと似たような、延長線上の目的があり得ると考えられる海上自衛隊の船につきましても充てられることになって、若干ずつですが、もう既に充てております。建設国債を充当している海上自衛隊の装備品がございます。
以上であります。
○田村(智)委員 そうなんですよ。もう二兆円充てているんですよ、建設国債で。
私が先ほど紹介した政治家の皆さんの発言というのは、例えば、ベトナム戦争のただ中、あるいはソ連のアフガン侵略、アメリカの中南米への軍事介入、米ソ対決の下での核軍拡競争、九〇年代も湾岸戦争で日本が初めて自衛隊を海外に送る、こういう情勢の下でも、自民党政権であっても、越えてはならないのりがあったんですよ。
今、GDP比三・五%という、年間二十一兆円という、こういう要望がトランプ政権からも出されている下で、本当に軍事のための国債発行なのかと、あるいは大増税なのかと、こういうことが問われる局面なんですよ。
私は、この間の歴史的な自民党政権の下でもなされてきたこの答弁の意味というのを、この財務金融委員会ではしっかりと確認しながら、今回の経済対策も大いに今後、議論していきたいと思います。
以上で質問を終わります。
――――◇―――――
○阿久津委員長 次に、第二百十八回国会、重徳和彦君外十名提出、租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。提出者重徳和彦君。
―――――――――――――
租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○重徳議員 立憲民主党の重徳和彦です。
ただいま議題となりました、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、日本共産党、参政党、日本保守党、社会民主党の七党で共同提出をいたしました租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるガソリン暫定税率廃止法案につきまして、提出者を代表し、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
そもそも、ガソリンの暫定税率というのは、一九七四年、道路財源を確保するため、まさに暫定的に上乗せをされたものであります。その後、二〇〇九年には一般財源化され、課税根拠を喪失したにもかかわらず、今日に至るまで、実に五十年以上にわたり、国民はその負担を求められてきました。物価高により国民生活が逼迫する中、このような不合理な税負担を放置し続けることは、政治の不作為にほかなりません。
昨年十二月十一日には、自民、公明、国民の三党の間で、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止すると明記された合意文書が交わされました。しかしながら、どれだけ質疑を繰り返しても、具体的な廃止時期は一切示されることなく、ただただ時間が過ぎていくばかりでした。
こうした状況を打開すべく、本年六月十一日には、今回と同じく、七党でガソリン暫定税率廃止法案を提出し、衆議院では可決に至ることができました。しかしながら、当時与党多数の参議院では、与党側から強い抵抗を受け、廃案に追い込まれる結果となりました。
その後行われた参議院選挙によって、参議院においても与党が少数に転じるという異例の状況の中で、七月三十日には、与野党六党の国対委員長間で合意がなされ、今年中のできるだけ早い時期に暫定税率を廃止することが確認されました。本法案は、この合意を確実なものとするために提出をしたものであります。
次に、本法案の概要を御説明申し上げます。
第一に、ガソリンの暫定税率について、関連する規定を削除し、廃止いたします。
第二に、政府は、ガソリンの暫定税率の廃止が円滑に実施されるようにするため、暫定税率廃止時におけるガソリンの手持ち在庫については、暫定税率と本則税率との差額について、必要な補助金の交付を行うこと等により、販売業者等の負担を軽減すること等の措置を講ずることとしています。
第三に、政府は、本法律の施行後直ちに、ガソリンの暫定税率の廃止により、地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことがないよう、地方公共団体の減収の全額を補填するために必要な措置を講ずることとしています。
以上が、本法案の趣旨及び概要であります。
この後審議に付される修正案と併せて、本法案の成立に向け、真摯な御議論を賜りますよう心からお願いを申し上げ、私の趣旨説明といたします。
○阿久津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○阿久津委員長 この際、本案に対し、後藤茂之君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。田中健君。
―――――――――――――
租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
ただいま議題となりました租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるガソリン暫定税率廃止法案に対する修正案につきまして、提出者を代表し、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
ガソリンの暫定税率廃止につきましては、七月三十日に交わされた与野党六党の国対委員長合意に基づき、この間、与野党各会派で協議を重ねてまいりました。今般、その協議が調いましたので、その結果に基づき、法案の施行期日を修正するとともに、暫定税率廃止の際のガソリンの円滑な流通の確保等を図るため、本修正案を提出することといたしました。
以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、施行期日を令和七年十二月三十一日とすることとしております。
第二に、揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例の廃止に伴う経過措置として、一定の揮発油の製造者等が揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例の廃止時に所持する一定の揮発油について、所定の手続に基づき、税率の差額分を控除し又は還付する経過措置を講ずることとしております。
第三に、国は、揮発油税及び地方揮発油税の当分の間税率の廃止を踏まえ、軽油引取税の当分の間税率について、財源の確保、流通への影響、地方財政への配慮等に加え、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応した上で、軽油の卸売価格の抑制を目的として国が交付する補助金に代えて、令和八年四月一日に廃止するものとし、このために必要な措置を講ずるものとすることとしております。
第四に、国は、揮発油税及び地方揮発油税の当分の間税率の廃止並びに軽油引取税の当分の間税率の廃止のための安定財源の確保については、次の方針に基づき検討を行い、結論を得るものとすることとしております。
その方針とは、まず、徹底した歳出の見直し等の努力による財源の確保を前提としつつ、国際競争力の確保、実質賃金の動向等を見極めながら、法人税関係特別措置の見直し、極めて高い所得に対する負担の見直し等の税制措置を検討し、令和七年末までに結論を得ることであります。
そして、道路及びこれに関連する社会資本の保全の重要性、物価の動向等並びに温室効果ガスの排出の量の削減等に関する目標との関係にも留意しつつ、安定財源を確保するための具体的な方策を引き続き検討し、この法律の公布後おおむね一年を目途に結論を得ることであります。
また、地方の安定財源の確保については、これらの税制措置による地方の増収額を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、速やかに結論を得ることであり、その際、安定財源の確保の完成までの間において、地方の財政運営に支障が生じないよう、地方財政措置において適切に対応することであります。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○阿久津委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○阿久津委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官福田毅君、財務省主税局長青木孝徳君、資源エネルギー庁資源・燃料部長和久田肇君、国土交通省大臣官房審議官木村大君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○阿久津委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。高村正大君。
○高村委員 自由民主党の高村正大です。
短い時間ですので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
今回、ガソリンの暫定税率の廃止により国民負担を大きく軽減することができたことは、足下の物価高対策として大きな意味があると思います。
一方で、日本の財政状況を踏まえれば、安定財源の確保を抜きに減税を行う余裕はありません。与野党で様々な意見もある中、安定財源確保の方針について今回の合意に盛り込まれたこと、また、その合意の実現のため、引き続き各党が協力し、誠意を持って取り組むとされていることの意義をどのように考えているのか、簡潔に伺いたいと思います。
○後藤(茂)委員 委員御指摘のとおり、この合意におきましては、安定財源の確保に向けて歳出改革や各種の税制措置について検討し、結論を得ることになっております。これは簡単なことではございませんけれども、今後始まる税制調査会においても、様々な税制等につきまして議論を行いながら、その中で生まれてきた安定財源を活用していくこととしたいと考えております。
その上で、今回の合意において、引き続き各党が協力し、誠意を持って取り組むと確認できたことには大きな意義があると考えております。暫定税率廃止のための財源確保については、どうしても受益と負担の議論から逃げることはできないわけでございますけれども、少数与党である中で、各党の御協力をいただけることが確認できたことについて、大変心強く思っておりますし、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○高村委員 ありがとうございます。
軽油引取税に関しても、令和八年四月一日に廃止されるとしています。そこで、運輸事業振興助成交付金制度について伺います。
公共性の高い営業用のトラック、バス等による輸送力の確保、輸送コストの上昇の抑制等を図るため、制度ができてから約五十年にわたり、トラック等の運輸業界の安全対策、緊急輸送対策、適正化事業などに有効に活用され、トラック等輸送が安全で安定的なサービスを提供するためには欠かせない制度であります。もし交付金がなくなるようであれば、トラック等のドライバーの労働環境は悪化し、国民生活と産業活動、地方創生を支える社会インフラである物流を維持することは不可能になりかねません。
そのような中で、附則新第五条関係の軽油引取税の税率の特例に関する措置について、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応するとあります。これは、運輸事業振興助成交付金制度を引き続き維持していくという認識で間違いないでしょうか。よろしくお願いします。
○後藤(茂)委員 運輸事業振興助成交付金制度は、今、高村議員から御指摘のあったとおりで、創設以来約五十年にわたりまして、トラック、バス業界が、安全な輸送の確保、運送事業の適正化、労働環境の改善等に取り組むために不可欠な制度でございまして、極めて重要なものでございます。
今回の六党合意において、運輸事業振興助成金の取扱いを軽油引取税に特有の実務上の課題の一つとして特に例示で記載した趣旨は、御指摘のとおり、暫定税率廃止後もこの交付金を維持する上での課題に適切に対応することが必要という認識に立って書かれたものでございます。
○高村委員 重ねて伺います。
交付金制度を維持するというだけでなく、交付金制度が実効性を持つには、財源の確保も極めて重要な課題であります。附則新第六条関係の安定財源の確保の方針について、この中に運輸事業振興助成交付金の財源の確保も含まれているという認識で間違いないでしょうか。お願いします。
○後藤(茂)委員 現行の運輸事業振興助成交付金は、運輸事業の振興の助成に関する法律第一条の趣旨規定にあるとおり、軽油引取税の税率について特例が設けられていることを根拠に、各都道府県が軽油引取税の暫定税率に関わる税収を財源にトラック協会等に交付しているものでございます。
軽油引取税の暫定税率廃止に係る地方の安定財源の方針については御指摘の法案の附則第六条に規定されておりますけれども、軽油引取税の暫定税率廃止に係る財源措置が確実に講じられれば、現行の運輸事業振興助成交付金も含めた水準で措置が講じられることになるというふうに理解しております。おっしゃるとおりでございます。
○高村委員 御答弁を聞いて安心いたしました。今の答弁を受けて、政府としてもしっかりと対応していくことをお願いしたいと思います。
次に、沖縄について伺いたいと思います。
沖縄においては、揮発油税及び地方揮発油税において本土の税率よりも軽減された税率が適用されており、合意においては、暫定税率廃止後の沖縄の軽減措置について、沖縄については、これまでの経緯や地域の実情を踏まえ、本則税率の軽減措置を講ずるとされています。
沖縄県の現行の軽減措置の内容やこれまでの経緯について、政府から説明をお願いいたします。
○青木政府参考人 お答えいたします。
沖縄県は、復帰特措法に基づきまして、本土の税率から現在一三%軽減された税率が適用をされております。
これまで、本土の税率が改定された際に、沖縄県の軽減措置は、本土の税率からの軽減割合を維持しつつ軽減額が定められてきたという経緯がございます。例えば平成二十二年にトリガー条項が導入された際も、そのときの軽減率を勘案してトリガー条項の発動時の沖縄県の税率が定められております。
いずれにいたしましても、沖縄県の軽減措置の取扱いにつきましては、先般与野党六党で取りまとめていただいた合意におきまして、沖縄県については、これまでの経緯や地域の実情を踏まえ、本則税率の軽減措置を講ずるとされているところでございますので、政府としては、この与野党合意を踏まえまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○高村委員 ありがとうございます。しっかりと対応していただきたいと思います。
今回のガソリン暫定税率の廃止、国民負担を大きく軽減するというすばらしい点もございますが、一方において、環境についても目くばせをしないわけにはならない、このように思っております。
ガソリン暫定税率がなくなり、ガソリン価格が下がることにより、燃費の悪い車から燃費のよい車への買換えが遅れたり、あるいは、無駄なアイドリングが増えたりする等ガソリンの無駄遣いへの抵抗感が減り、結果としてCO2の排出が増え、地球温暖化や環境への悪影響が出るのではとの懸念の声もあります。ガソリン価格が安くなることは、もちろん、私自身もそうですが、うれしいことでありますが、環境面については一定の影響があることも確かであります。ガソリンが安くなる中でもCO2削減目標を達成していくためには、今後更なる努力が必要となってまいります。
また、車に乗る方といっても、比較的安価な車に乗っている方から、高価な、高級な車に乗っている方まで様々であります。例えばハイオクガソリンについてまで暫定税率を下げるということは、生活に余裕のある層への優遇措置となってしまうという面もあります。そうした点も踏まえながら、先ほど申し上げた環境への影響と併せて総合的に検討していただくことも必要になってくると考えております。
今回法案を提出された各党や政府においては、是非そうした面についても多面的に検討いただき、今後の税制や環境政策を考えていただきたいというお願いをして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、松尾明弘君。
○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。
私の方からも、ガソリンの暫定税率廃止法について質問させていただきます。時間がないので、早速質問の方に移らせていただきます。
この間のガソリン暫定税率の廃止をめぐる取組を振り返りますと、物価高対策の実行が急がれる中で、なかなか状況が進まない状況が続いておりました。そんな中、六月と八月に当時の野党七党が法案を提出し、政府・与党に対応を求めたことが、事態を動かすきっかけになったと考えられます。これは、少数与党の下で国会で政策を実現していく一つのモデルケースになったとも言えます。
そこで、野党第一党として中心的な役割を担った重徳議員に、この間のガソリン暫定税率廃止法案をめぐる取組の意義と成果について伺います。併せて、与野党協議で最大の論点の一つとなった財源についてのお考えも伺います。特に、議論の過程で取り上げられた自動車関連の諸税を財源とする考え方については採用しないと整理をされたと理解をしておりますが、この点について改めて明確にお答えください。
○重徳議員 国会は少数与党というふうに言われてまいりましたけれども、一方で、野党ばらばらのままでは多数野党ではないんですね。野党がそれぞれの違いを乗り越えて一致結束すれば、多数野党を形成すれば、本当に政治が動いて大きな政策が実現するんだということを実際の結果として証明することができたモデルケース、委員のおっしゃるとおりであります。非常に意義のあることだと考えております。
特に、ガソリンの暫定税率は、暫定といいながら半世紀以上にわたって維持されてきたものであり、これを廃止に持ち込むことができた。この大きな政策転換は、野党主導でなければ、野党七党が法案を共同提出しなければできなかったんじゃないかと思っております。最後は与党の皆さんとも足並みがそろいました。まさに歴史的、画期的な成果でありまして、この場をおかりしまして、改めて与野党の関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
最大の論点であった財源についても野党の主張が盛り込まれまして、減税した分をそのまま増税で取り返すということではなくて、まずは歳出改革や税外収入の活用に取り組むことも確認され、それに伴う合意文書、そして今回の条文が作成されました。
特に、自動車関係諸税の見直しについては、同じ自動車ユーザーの中で、ガソリン、軽油を減税する一方で車体課税を増税するなどということでは、負担をつけ替えるだけのことになりかねませんので、野党の総意としてそのようなことには反対をし、その文言自体、合意文書に盛り込まれないこととなった経緯がございます。
したがって、この自動車関係諸税については財源の選択肢とはなり得ないものと理解をしております。
○松尾委員 ありがとうございます。
修正案についてもお伺いさせてください。
修正案の中では、運輸事業振興助成交付金の取扱いなど軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応した上で、軽油引取税の暫定税率を廃止することとされています。この点について、まず、軽油引取税の暫定税率が来年の四月一日から確実に廃止されるという理解でよいのか、改めて確認をいたします。
その上で、運輸事業振興助成交付金については、今回、暫定税率の負担はなくなるものの、運輸業界を取り巻く環境が厳しさを増していること等々に鑑み、安全運行のために使われている運輸事業振興助成交付金制度については引き続き維持をするという方向で与野党間の合意を図るべきだと考えておりますが、修正案提出者の稲富議員、御見解を聞かせてください。
○稲富委員 先ほど御指摘あったように、本修正案においては、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応した上で、軽油引取税の暫定税率を廃止することとしております。
まず、軽油引取税の暫定税率廃止については、来年四月一日という具体的な日付まで確認しており、補助金の拡充など廃止に至るまでの具体的なスケジュールを含めて合意をしております。したがって、確実に廃止されるものと御理解いただいて問題ないと存じます。
また、この修正案の条文は、運輸事業振興助成交付金の継続を前提としたものであると理解しております。したがって、軽油引取税の暫定税率が廃止された後も同交付金は維持されるものと御理解いただけるものと思います。
以上です。
○松尾委員 ありがとうございます。
この運輸事業振興助成交付金は議員立法による制度がそもそもの根拠となっておりますが、この財源の確保について、国の税制を所管する立場として、片山財務大臣にもお話を伺いたいと思っております。
先ほどの稲富議員とのやり取りの中で、この交付金を所管している総務省や国土交通省において様々な検討がなされるものと考えておりますというふうな答弁をされておりましたけれども、是非、財務省としても、この安定財源の確保という方針に従って、交付金の維持に向けた財源の確保に取り組んでいただきたいというふうに考えておりますが、大臣の考えを聞かせてください。
○片山国務大臣 御指摘の運輸事業振興助成交付金につきましては、先日の暫定税率廃止に関する与野党六党の合意において、当該交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応することとされたと承知をしております。
この取扱いにつきましては、この交付金を所管している総務省及び国土交通省において、与野党合意も踏まえ、この交付金を維持する上での課題を含めて適切に検討がなされ、必要な対応が取られるものと考えております。
○松尾委員 是非、財務大臣の立場からも、維持に向けてよろしくお願いいたします。
少し話は変わりまして、今回のこの暫定税率の廃止によって、地方では、地方揮発油税でおよそ三百億円、軽油引取税でおよそ四千八百億円、合わせて約五千百億円の大きな減収が見込まれております。この点につきましては、地方六団体を始め様々な地方公共団体から強い懸念が示されております。
与野党間の合意文書におきましては地方の安定した財源の確保についても触れられておりますが、この地方の皆さんの不安を払拭するためにも、与野党合意の当事者である重徳議員の方から、地方の財政に悪影響を及ぼすことはないんだという点を改めて明言をしていただきたいというふうに思っております。御見解を伺います。
○重徳議員 今回の暫定税率廃止によって、地方の行政サービス、財政運営に悪影響が生じないようにする必要があるという点については、協議の当初から与野党の共通認識でございました。
ですから、例えば、軽油引取税の暫定税率廃止の時期についても、ガソリン税と違って、地方税財源確保に関する検討とか地方との調整に期間を要することも想定しまして、来年四月一日から暫定税率を廃止するという施行日を定めたところでございます。
委員おっしゃるとおり、地方への財源の影響、ございます、五千億円余りございます。そして、地方六団体からも、繰り返し財源確保についての御要望もございました。このため、今回の合意文書並びに修正案におきまして、地方の安定財源確保と地方の財政運営に支障が生じないよう地方財政措置を講じる旨、明記しているところでございます。
したがって、暫定税率廃止により生じる地方の減収については、与野党合意にのっとって代替となる安定財源が確保されるものと御理解いただきたいと思います。
○松尾委員 ありがとうございます。
先ほどの重徳議員のお話にもあったとおり、これは物価高対策として非常に大きな意義を有しているというのと併せまして、これからの国会運営についても重要なモデルケースになるというふうに考えております。この間、この法案の提出に向けて御尽力いただきました各議員に対して敬意を表しまして、私からの質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。
○阿久津委員長 次に、萩原佳君。
○萩原委員 日本維新の会の萩原佳でございます。
今回のガソリン暫定税率の廃止に関しては、日本維新の会と自民党さんとの連立政権合意書の一番最初に書かれている合意事項、ガソリン税の暫定税率廃止法案を令和七年臨時国会中に成立させると書かれているとおり、まず最初に手をつけ、成立させるべき法案であり、また、高市政権のスタートは、ちょうど一か月前の十月二十一日です。維新が政権に入り、政権の意思決定のスピード、政策実現のスピードが上がったことを国民の皆様に実感していただく意味でも、非常に大きな意味のある法案であると考えております。
修正法案提出者の梅村議員に質問させていただきます。
廃止の期日についてですが、政府は当初、二月頭で検討しているとの報道がありました。しかし、御存じのとおり、年内廃止として十二月三十一日に施行日が設定されています。これは、自民党、立憲民主党、日本維新の会、公明党、国民民主党、共産党の六党で合意した施行日になっています。
現在、補助金の拡大によりガソリンの価格が若干下がってきています。しかし、物価高で苦しむ方が多い中で、早めのガソリンの暫定税率廃止は大きな意義があると考えておりますが、法案提出者として、この年内廃止の意義、どのように考えられているか、捉えられているのか、御見解をお示しください。
○梅村委員 今般の合意では、ガソリン、軽油共に十一月十三日から二週間ごとに五円ずつ補助金を拡大していきまして、ガソリンは十二月十一日に、軽油は十一月二十七日に、暫定税率廃止と同等の水準まで価格を抑制することができることになっております。補助金によって、年内にガソリン、軽油とも価格を引き下げることができ、加えて、本法案が成立すれば、ガソリンについては暫定税率廃止も年内に実施することができることとなります。
物価高は国民の皆様が直面する喫緊の課題であり、こうした成果を年内に国民の皆様にお届けすることに大きな意義があると考えております。
○萩原委員 確かに大きな意義があると思っておりますが、ガソリンの暫定税率の廃止、早期に行われることが望ましいとしても、早急な廃止は、事業所に大きな負担、これをかけることになります。システムを変更しなければならない事業所、大きな在庫を抱えることになる油槽所にとっては負担が大きいと言えます。当初は、そうした懸念があったからこそ、年明けの廃止、これを検討していたことだと認識しております。
事業所の理解を得ることは年内廃止にとって非常に欠かせないことであり、この年内廃止に向けての負担をかける事業所の理解、これをどのように得たのでしょうか。これも梅村議員にお伺いいたします。
○梅村委員 ただいま御指摘ありましたように、与野党協議におきましては、全国石油商業組合連合会より、現場の流通の混乱を回避するためには補助金の引上げに十分な間隔を確保することが必要だという御要望をいただいておりました。
一方で、国民の皆様からの物価高に早期に対応してほしいという切実な声があることを踏まえまして、年内にガソリンの暫定税率廃止の実現をするために、この間隔を二週間ごとにと若干縮めまして補助金を引き上げた上で、暫定税率を年内に廃止すると合意したところでございます。
御質問にありますように、この調整に当たりましては、資源エネルギー庁より業界団体に御相談いただき、業界団体からは、今回の要請を踏まえ年内の暫定税率廃止に向けて対応していくこととしたい、なお、事前の周知や、あるいは中小・小規模事業者が経営するSSへの支援についても併せてお願いしたいとの回答を得ました。
資源エネルギー庁には、こうした経緯も踏まえ、中小そして小規模のガソリンスタンドに悪影響がないよう、消費者への周知や支援策の拡充にしっかり対応してもらいたいと考えております。
○萩原委員 そうですよね。業者の方、本当に、在庫を抱えている中、また、一つの在庫、少しずつ入れるということはなかなか実務上難しいというところで、一定在庫を持たないといけない中で、二週間への短縮をお願いして、そしてそれを引き受けていただいたということに対しては、しっかりと事業所に対してケアしていく必要があると考えておりますので、これはエネルギー庁に対してもしっかりと対応を整えていただくことをお願いしたいと思っております。
三つ目、質問をさせていただきます。
ガソリンの暫定税率廃止法案、修正、これによって約一・五兆円の税収減が見込まれています。また、教育の無償化の財源、これについても併せて必要とされている状況です。附則六条によれば、安定財源の確保の方針、これを規定しており、大前提としての歳出削減や租税特別措置法の見直しは行っていくとあります。
このような中、安易な国債発行に頼らず、ペイ・アズ・ゴー原則に従い、税制中立、これを保つことも非常に重要だと考えます。しかし、成長による税収増という考え方も一定考慮すべきであると考えます。
成長による税収増を財源とすることについては、法案提出者としてはどのようにお考えでしょうか。梅村議員、いかがでしょうか。
○梅村委員 歳出増又は歳入減を伴う施策の新たな導入、拡充を行う際は、原則として恒久的な歳出削減又は恒久的な歳入確保措置によりそれに見合う安定的な財源を確保するものという、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー原則は、財政の持続可能性を実現するに当たっての一つの重要な考え方である、そのように認識しております。日本におきましても、例えば、防衛、子供、GX、AI、半導体といった重要施策の推進に当たっては、歳入歳出両面の取組を通じて必要な財源の確保に努めてきたと認識をしております。
今御指摘いただきましたように、日本社会全体では、高い成長を実現することで税収増を目指すことは重要な視点であると考えていますが、個々の施策においては、しっかりと安定的な財源を確保し、財政の持続可能性を維持する中で、マーケットの信認を確かなものにすることも重要である、このように考えております。
○萩原委員 今おっしゃった、両にらみでしっかりと税収を確保していった上で対応を取っていくということでございます。当然、この国の財政を継続させていくためには、理想を語るだけではなく、しっかりとそういう対応を取っていくということが必要だと考えております。
日本維新の会、次世代のために何ができるのか、こういう視点で目の前の課題を一つずつ着実に解決していくプラクティカルな政党ですし、今、物価高に苦しみ、閉塞感が漂うこの日本の現状を変えていくことを重視している政党です。
今回の五十一年間にもわたる暫定税率の廃止、これを廃止できること、これに関しては非常に大きな意義があると考えています。このガソリンの暫定税率の廃止、日本が大きく変わる大きな一歩になり得る、そのように考えておりますが、当然、財源論、これを避けて通ることはできませんので、これに関しては、しっかりと、使用者負担、応益負担の観点から、社会的費用の負担の在り方、これも含めて議論して、しっかりと財源確保した上で、党を超えて進めていきたい、そのように考えておりますので、このことだけ申し添えて、私からの質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、岸田光広君。
○岸田(光)委員 国民民主党の岸田光広でございます。
本日は、ガソリン暫定税率廃止法案修正案に対する質疑をさせていただきます。
これまで非常に長い時間がかかりましたが、ようやくここまで来ることができました。これまで粘り強く協議を積み重ねてくださった全ての皆様の御尽力に敬意を表しまして、質問をさせていただきたいと思います。
私からは、三点質問させていただきます。
まず、沖縄県における特別措置について伺ってまいります。
沖縄県では、昭和四十七年の本土復帰に際して、沖縄復帰特別措置法に基づく軽減措置が講じられ、県内で流通するガソリンに課税する揮発油税等について、リッター七円の軽減措置が実施されてきました。沖縄の燃料価格は他地域に比べて高く、七円の減税には大きな意義があると認識しております。
今回の法改正に当たり、沖縄県への影響について、地域の特性を踏まえた丁寧な議論が必要と考えております。与野党合意においても、これまでの経緯や地域の実情を踏まえ、本則税率の軽減措置を講ずると明記されておりますが、これまでの協議の経緯をお聞かせください。
また、沖縄の産業競争力を下支えする意味でも、軽減措置は必要と強く考えます。引き続き、リッター七円、この軽減措置を講ずるべきだと考えますが、修正案の提出者のお考え、田中委員のお考えをお聞かせください。
○田中(健)委員 お答えします。
御指摘のとおり、沖縄県におけるガソリン税の軽減措置は、昭和四十七年の本土復帰に際して、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づいて実施されてきたものであります。この軽減措置は時限的な措置ではありましたけれども、累次の改正を経て、五十年以上にわたって継続がされてまいりました。
今般の与野党合意文書においては、揮発油税、地方揮発油税の暫定税率を令和七年十二月三十一日に廃止する、その際、沖縄県については、これまでの経緯や地域の実情を踏まえ、本則の税率の軽減措置を講ずるということとされたところであります。
こうした沖縄の特有の事情また経緯を十分に踏まえた上で軽減措置が講じられるものと理解をしております。
○岸田(光)委員 次に、運輸事業振興助成交付金制度の取扱いについて伺ってまいります。
この制度は、創設以来約五十年にわたり運用され、トラック事業者、バス事業者にとって欠かすことのできない制度となっております。トラック事業では、緊急物資の輸送対応、交通安全対策に資する安全装置の導入のほか、ドライバーの皆さんの健康管理、労働環境の適正化事業に活用され、バス事業におきましても、健康診断、二種免許の取得促進等にも活用されていると承知しております。安全性に直結するのみならず、ドライバーの処遇改善を通じた人材確保にも有効であります。経営基盤の弱いトラック、バス事業者にとって、交付金の恩恵は計り知れないものがあります。物流、公共交通は、国民生活と産業を支える基盤であり、確実な下支えが不可欠です。
この度、軽油引取税の暫定税率が令和八年四月一日で廃止されるに当たり、附則第五条では、実務上の課題に適切に対応した上で、必要な措置を講ずるものとすると明記されております。私も、政策的な意義を鑑み、制度を持続するべきだと考えますが、修正案提出者田中委員の見解をお伺いいたします。
○田中(健)委員 お答えします。
運輸事業の振興助成交付金制度は、昭和五十一年に軽油引取税の税率が引き上げられた際に、お話がありましたように、営業用のトラックやバスの輸送力の確保、また輸送コストの上昇の抑制などを図ることを目的として、通達により創設をされました。その後、平成二十三年に議員立法となりまして、運輸事業の振興の助成に関する法律が制定をされて法制化となりました。
本修正案においては、附則第五条において、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応した上で、軽油引取税の暫定税率を廃止することとしております。この条文は、運輸事業の振興助成交付金の継続を前提としたものであると理解をしております。したがって、軽油引取税の暫定税率が廃止された後もこの交付金は維持されるものと考えております。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
それでは、三点目、燃料油価格定額引下げ措置について聞いてまいります。灯油、重油、航空機燃料に適用されている軽減措置、こちらを政府に伺ってまいります。
激変緩和措置として、重油、灯油については五円、航空機燃料については四円の引下げ措置がございます。重油や航空機燃料は産業、地域交通の基盤を支えておりますし、灯油は特に寒冷地の生活に直結し、灯油価格の高騰は高齢者世帯や生活困窮者に直接的な影響を与えます。これらの燃料は、生活、産業、交通のそれぞれに大きな影響を及ぼすため、激変緩和措置、対策としての意義は大きいと考えております。
二点お伺いいたします。
灯油、重油、航空機燃料の引下げについては、ガソリン暫定税率の廃止に伴い、もしかしたら来年一月一日でなくなるのではないかと心配する意見を聞いております。この引下げ措置の対象期間はいつまでなのか、お答えください。また、当分の間税率の取扱いについて結論を得て実施するまでの間、定額の価格引下げ措置を実施するとは、自然に読めば年度内のことを指していると受け取れますが、では、来年、令和八年の四月一日以降はどのような対策を講ずる予定か、お伺いいたします。
○和久田政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、燃料油の価格高騰対策としての定額引下げ措置でございますけれども、委員からも御指摘ございましたように、重油、灯油についてはリッターで五円、航空機燃料についてはリッター当たり四円の支援を行っているところでございます。これらの支援につきましては、いわゆる暫定税率について結論を得て実施するまでの間、行うこととしております。
いわゆる暫定税率につきましては、与野党六党の合意におきまして、ガソリンは令和七年十二月三十一日、軽油は令和八年四月一日に廃止することとされておりまして、それに従えば、灯油、重油、航空機燃料の定額引下げ措置につきましては、令和八年の三月三十一日までで終了するというものと考えているところでございます。
それから、二点目の四月一日以降の取扱いでございますけれども、本日閣議決定をされた新たな総合経済対策におきまして、暫定税率廃止に伴う燃料油価格激変緩和対策補助金の終了により影響を受ける方々への支援につきましては、自治体向けの重点支援地方交付金やその他業種向けの施策を活用して行うものとしておるところでございます。
経済産業省といたしましては、重点支援地方交付金におきまして灯油使用世帯への給付等の支援メニューが示されていることを踏まえまして、自治体に対して、既存の支援事業例の情報を提供することなどを通じて、その事業化を促してまいりたいと考えてございます。
○岸田(光)委員 ありがとうございます。
十一月十三日より段階的に補助金が積み増しされ、ガソリン価格が下がったことを肌で感じることができるようになってまいりました。私の地元埼玉県でも、車は地域住民の足でもありますので、歓迎のお声をいただいております。
これまで協議を積み重ねてくださった皆様に改めて感謝を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○阿久津委員長 次に、竹内譲君。
○竹内(譲)委員 公明党の竹内譲です。
この度、様々な議論を経まして、ようやく本法案で、揮発油税が本年の十二月三十一日に、また軽油引取税が明年の四月一日に廃止が明記されたわけでございます。これは、国民負担を減らして、物価高騰対策にも資するものであると思います。大変意義のあることだと改めて申し上げておきたいと思います。
その上で、私からは、軽油引取税廃止と運輸事業振興助成交付金について伺いたいと思います。
修正案の第五条では、国は、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応した上で、このために必要な措置を講ずるものとすると規定をしておるわけでありますけれども、軽油は、御承知のように物流を支える基幹燃料でありまして、燃料価格が上昇しても運賃転嫁が容易ではないという構造的課題がございます。したがいまして、本交付金は、中小の運送事業者を支え、地域物流を守るために極めて重要な役割を果たしていると認識をしております。
まず、政府におかれましては、本交付金の重要性をどのように認識していますか。
○加藤大臣政務官 お答え申し上げます。
運輸事業振興助成交付金制度は、創設以来約五十年にわたり、トラック、バス業界が輸送の安全確保、運送事業の適正化、労働環境の改善等に取り組むために必要不可欠な制度であり、極めて重要なものであると考えております。
今後の本制度の在り方については、暫定税率との関係のみならず、これまで長年にわたってトラック、バス業界が本制度を活用して自ら安全対策や法令遵守に取り組んできた経緯や、持続可能な物流や公共交通を将来にわたって維持していく観点も踏まえた議論が必要と考えております。
○竹内(譲)委員 そこで、軽油引取税が廃止された後でも、これまでと同水準の交付金が確実に維持され、運送事業者に新たな負担が生じないようにする仕組みが必要であると私どもも考えております。
今回の法案で、財源を確保した上で本交付金を維持、継続していくことが読み取れるのか、この点につきまして、法案提出者赤羽委員に確認をしたいと思います。
○赤羽委員 まず、質問にお答えする前に、公明党の税制調査会の一人として発言をさせていただきたいと思いますが、今回の廃止の、今日に至りますまでに、旧七野党の皆さん方が本法案を提出していただいたこと、また、廃止に至るまでの激変緩和措置を具体的に提案をしていただいたことに、大変心から感謝を申し上げたいと思います。他方で、私たち公明党も、昨年十二月の自民党、公明党、国民民主党の三党合意で本年年内に暫定税率を廃止するという約束の下に、我々も粛々とこれまで取り組んできたということもまず申し添えたいと思っております。
そして、御質問ですが、運輸事業振興助成交付金につきましては、国民生活や経済活動、災害対応時には本当に大変な対応をしていただいておるエッセンシャルワーカーであるトラック事業、また、疲弊化する地方において公共交通を支えていただいているバス事業の維持にとって不可欠な交付金であるということは、これまでの国交省の御答弁のとおりでございます。
私は、六党協議に参加をする中で、軽油引取税の当分の間税率の廃止によってそれぞれの地方自治体がこの重要な運輸事業振興助成交付金の交付ができなくなることがないようにすることを、国会の意思、六党の意思として明確に表すべきだということを主張させていただいて、当初、六党合意案の原案にはなかった、軽油引取税に特有の実務上の課題の具体策として運輸事業振興助成交付金の文言を挿入することを提案し、そして六党の合意に至ったわけでございます。
政府は、本日、六党合意に基づいて提出された本法案が成立し次第、国会の意思を受けて、運輸事業振興助成交付金を継続するべく対応を取ることは当然であると考え、そしてまた、附則六条は安定財源の確保方針を規定したものでございますが、総務省が、地方の安定財源、約五千億円分の財源を確保する際に、運輸事業振興助成交付金二百億円の財源も含めて措置されるものと当然のように認識をしているところでございます。
○竹内(譲)委員 ただいまの答弁を踏まえて、現在の運輸事業振興助成交付金については、今お話がありましたように、安全運行や地球温暖化など社会の要請に応える使途に充当されているわけでございまして、こういったことを踏まえて、私どもも、軽油引取税の当分の間税率廃止後も維持されるよう必要な措置を講ずるべきだと考えているところであります。
最後に、政府としては今後どのような措置を講ずる必要があると考えているか、総務副大臣と国土交通大臣政務官にお伺いしたいと思います。
○高橋副大臣 竹内委員にお答え申し上げます。
御指摘の運輸事業振興助成交付金につきましては、与野党六党間の合意におきまして、運輸事業振興助成交付金の取扱い等の軽油引取税に特有の実務上の課題に適切に対応とされていることを踏まえまして、この交付金を維持する上での課題等につきまして、トラック協会、バス協会の所管省庁であります国土交通省の対応方針等もお聞きしつつ、適切に対応してまいりたいと思っております。
総務省といたしましては、与野党六党間の合意を踏まえつつ、今後の税制改正及び地方財政対策におきましても、地方の安定財源の確保に向けて努力をしてまいりますので、竹内先生の御協力、御指導もよろしくお願い申し上げます。
以上です。
○加藤大臣政務官 お答え申し上げます。
繰り返しになりますが、運輸事業振興助成交付金制度は、創設以来約五十年にわたり、バス、トラック業界が輸送の安全確保、輸送事業の適正化、労働環境の改善に取り組むために欠かせない制度となっております。
今後の本制度の在り方については、暫定税率との関係のみならず、これまで長年にわたってトラック、バス業界が本制度を活用して自ら安全対策や法令遵守に取り組んできた経緯や、持続可能な物流や公共交通を将来にわたって維持していく観点も踏まえた議論が必要と考えております。
国土交通省としては、本委員会を始めとする国会での議論を踏まえ、この交付金を維持する上での課題等について、総務省等の関係省庁とも連携しながら、適切に対応してまいります。
○竹内(譲)委員 これで終わりますけれども、両省連携していただいて、法改正も含めて、また財政対応も含めてしっかりとお願いしたいと思います。我々も協力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
以上で終わります。
○阿久津委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。
この委員会でガソリン暫定税率廃止法案が一票差で成立してから、ちょうど五か月がたちました。随分すったもんだあったなという気がします。
誤解なきように申し上げたいのは、我々は、一日も早くこのガソリン暫定税率を廃止したいという立場でこの質疑も行ってまいりました。そういう観点から、私が非常に腹立たしいのは、今年の八月一日に今の法案が出たのに、なぜ国会を五日間で閉じてしまったのかということです。すぐ閉じずにやっていれば十一月一日にも施行できたわけだし、もっと言えば、そのとき、衆参共に野党多数だったわけですから、できたわけですよ。それをなぜやらなかったのか。
これは、野党第一党の立憲民主党の提出者にお聞きします。
○重徳議員 高井委員と全く同じ思いを我々も持っているつもりでございます。
それで、もとより、様々な政策は、法案の提出、そして法の成立ということはもちろん重要なことなんですけれども、その執行段階はもちろんですけれども、企画立案、準備、そういう段階から政府が担う役割も割と多いと思っております。ですから、そういう意味で、私どもは、政府・与党との協議というものをしっかり踏まえて、その上で立法する、つまり法案を成立させる必要があるという考えに立っておりました。現に今、ガソリン、軽油に補助金が執行され、少しずつ段階的に増額されております。今日の法案の審議の前から、政府が執行しているわけです。そういう意味で、やはり与党・政府としっかりと協議をした上で法案を成立させる必要がある、こういう認識を持っておりました。
そういう意味で、法案の審議の前に与野党協議を進めて速やかに合意した上で、そして、八月の時点では、我々は、九月にも臨時国会が召集されるという前提でこのような協議を始めたところでございます。
それからもう一つ、八月の臨時国会が短い期間で終わったというのは、物価高対策を本来そこで速やかに議論するつもりでありましたけれども、政府・与党側はその段階では準備が整っていなかったということで、これでは、ただただ八月の臨時国会を延長するというだけではなかなか審議も深まらないであろう、こういう考えもございまして延長を求めなかった、このように私は理解をしております。
結果として、自民党内の政局もありまして、この臨時国会が十月二十一日開会までずれ込んだということは非常に遺憾でございますが、何とか十二月三十一日、年内廃止にこぎ着けることができてきているということは、当初の、七月三十日の与野党の六党合意で、今年中のできるだけ早い時期に実施するということを何とか守ることができているのではないかなと思っております。
○高井委員 物価高対策は関係ないですよね。ガソリン暫定税率だけで、私は一週間も延長すれば通せたと思いますからね。
前段の経緯がなければ今ので納得したかもしれませんけれども、御承知のとおり、六月に、六月十一日に一回出して、七月一日にできると皆さんは豪語していたんですよ。当時は、自民党の皆さんは、本当にできるかといって随分質問していましたけれども、できると言っていたわけですから。それを証明するかのごとく、七月二十六日の読売テレビのインタビューで国民民主党の玉木代表は、通っちゃうんで、本当にと。つまり、次に出した法案は本当に通っちゃうから、だからやはり期間を空けなきゃいけないんだと。では、やはり、六月の二十日の日にやった委員会での質疑で、皆さんが七月一日でも大丈夫だというのは、あれはうそだったんじゃないんですか。
これはそれぞれお聞きしたいです。立憲、維新、国民民主、それぞれ簡潔にお答えください。
○重徳議員 玉木代表の御発言についてコメントする立場にはありませんが、私どもは、やはり、法案を提出する以上は、当然、成立をさせ実現するということを前提に提出をいたしておりますし、現に、衆議院は少なくとも六月の時点で可決することができておりますので、そのような考え方、すなわち、十分成立させる可能性はあった、実現する可能性も十分にあって、そうせねばならないという思いで当時からこのように提案をさせていただいているという次第でございます。
○青柳(仁)議員 原案の提出者なので、私の方からお答えさせていただきます。
六月の時点で、衆議院と同じ日程で参議院で採決を行えば技術的に可決可能であったということを考えれば、通らない前提という御指摘は当たらないというふうに思っております。
提出者としては、衆議院を通過した後は、当時の与党に対して、ガソリン暫定税率廃止という民意を受け止めて翻意をするか、又は、その後の選挙で審判を受けるかということを問うたわけでありまして、結果として、当時の与党として後者を選び、過半数割れという形で民意が確認された後に今般の与野党合意に至ったというふうに理解しております。
当時提出した七野党全員の非常に強い熱意と協力が状況を変えたというふうに私としては考えておりまして、本当に通らない前提でやっていたのであれば、そこまでの改革の熱量は出てこなかったというふうに考えております。
○田中(健)議員 私も、通らない前提だったと言われると、まず大変に残念ですし、悲しいですけれども、そんなことはあり得ないと思っています。
そもそも、私たち国民民主党も、このガソリンの暫定税率に関しては、四年間、当初はトリガー条項の凍結解除でありましたけれども、訴え続けてきました。一日でも早く実現したいというのは高井委員とも同じ考えでありますし、今回の通常国会では、他の野党とも協力をして、連携して法案を出しましたし、残念ながら成立には至りませんでしたが、共同提案できなかった皆様にも協力を仰ぎましたし、また、私自身も答弁に立たせていただいて、全力でこの成立に向けて取り組んできたという思いがあります。
今、重徳議員の答弁にもありましたけれども、衆議院で可決もしましたし、私は十分に成立する可能性はあったと思っております。
○高井委員 あのときの、参議院で何か半日だけ土曜日やったどたばたを思い出せば、本気だったとはとても思えませんが、もうこれ以上、時間がないので言いません。
もう一つ、修正案について伺いますが、これは暫定といいながら五十一年間も取り続けてきた税ですよね。何で、これをやめるのに安定財源を求めなきゃいけないんですか。しかも、走行距離課税みたいな話まで何か聞こえてきますけれども、安定財源と附則第六条に入れた、それぞれ、ここは、では、自民、立憲、国民、簡潔にお答えください。
○後藤(茂)委員 ガソリンの暫定税率でございますけれども、昭和四十九年に道路財源の充実等の観点と、それから資源の節約といった観点も踏まえて設けられたものであります。
平成二十一年度に一般財源化された後も、民主党政権下の二十二年度税制改正において、地球温暖化対策の観点、厳しい財政事情等を踏まえて、期限のない当分の間税率として税率水準を維持することが決定されまして、その後、現在に至っております。
道路インフラの維持管理と国民生活のために必要な政策を実施するために今後も費用が必要になっていくことを踏まえれば、暫定税率の廃止によりまして税収が減収することに対しては、代替となる財源を安定的に確保することが必要不可欠であると考えたわけでございます。
先般、与野党六党での合意に至るまで、七月の国対委員長合意において財源確保が課題に掲げられていることも踏まえつつ協議を行いまして、安定財源確保について検討し、結論を得ていくことについて合意されたものと考えております。
○稲富委員 安定財源について、本法案では、徹底した歳出の見直しを前提とした上で各種税制の見直しなどによって確保することとしており、それでも不十分な場合は具体的な方策をおおむね一年を目途に結論を得ることとしております。
国政の円滑な運営、将来世代の負担の軽減などを踏まえ、また、地方からは安定的な財源確保に強い要請があることを踏まえれば、適切な措置が講じられていると考えております。
以上です。
○田中(健)委員 七月の六党の国対委員長会議の中で年内の暫定税率廃止の合意が交わされてからも、予算また安定財源という議論が続いてきたということを承知をしております。その中で皆さんでまとめたものが修正案に盛り込まれていた方針のとおりだと思っておりますので、先ほどお話がありましたが、徹底した歳出の見直しの努力をする中で財源の確保を前提として、法人税の見直しや、高い所得税に対してですね、負担の見直し等の税制措置を検討する、これは令和七年末までに結論を得るということですから速やかな対応が必要だと思いますし、さらに、具体的な方策については一年をめどに検討していくということでありますから、私は、この方針のとおり検討していくのが筋であろうと思っています。
○高井委員 納得いきませんが、時間なので、終わります。ありがとうございます。
○阿久津委員長 次に、田村智子君。
○田村(智)委員 与野党協議で法案を取りまとめた皆様に本当に心から敬意を表します。
協議の中では、ガソリン、軽油の減税に当たり、その財源をどうするのか、各党に考え方の違いがある下で、野党は財源の方向性を提案してきたと聞いています。私は、財源というのはやはり大切だと思います。税収をどうしていくかということを考えていく上でも大切な論点だと思います。
どのような提案があったのか、原案提出者にお聞きします。
○辰巳議員 御質問ありがとうございます。
財源案については、野党から、早期から具体的に提案を行ってまいりました。
与野党六党の実務者協議において、私は、安易な国債発行に頼らずに歳出歳入の総合的な改革により恒久的な財源を確保することが必要だと主張をしてまいりました。それは、多額の国債増発は、金利の急上昇をもたらしたり激しいインフレを引き起こしたりする危険があり、放漫財政によって住宅ローンなどの金利急騰や過酷な物価高騰で暮らしが破壊されるような事態を引き起こしてはならないからです。
具体的な財源としては、大企業優遇税制の見直し、一億円の壁と言われる金融所得課税の見直しといった税制改革を提起してまいりました。
これらの提案内容は、先般の、私もサインをいたしました、与野党六党の実務者による合意、「ガソリン税及び軽油引取税の暫定税率の廃止について」におきまして、法人税関係租税特別措置の見直し、極めて高い所得の負担の見直し等の税制措置を検討し、令和七年末までに結論を得ると明記されたことからも、与野党の一致した認識となったものと理解をしております。
以上です。
○田村(智)委員 ありがとうございました。
次に、今議論になっています沖縄への特例に関わって、一点、財務大臣に確認いたします。
現在、沖縄では一リットル当たり七円の減税措置が取られていますが、この措置による減収額というのはどの程度でしょうか。
○片山国務大臣 お答えいたします。
御指摘の沖縄県の揮発油税等の軽減措置については、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づいて、沖縄県の本土復帰に伴い、その税負担を調整する激変緩和措置として設けられたものと承知しておりますが、これによる減収額は、令和七年度予算を基に機械的に試算いたしますと約四十億円程度であると承知をしております。
○田村(智)委員 沖縄県は全国でも物価高騰の影響が大きく、県民所得は低い水準です。経済や県民の暮らしの困難には歴史的な経緯もあります。緊急の物価高騰対策として法案が取りまとめられたことを踏まえれば、今回の減税では、全国と同じ額の引下げを実現すべきと考えますし、今、年間四十億程度ということでしたから、これはできると思います。法案提出者の見解をお聞きします。
○辰巳議員 ありがとうございます。
沖縄におけるガソリン税については、現在、沖縄復帰特別措置法に基づく政令において、二〇二七年五月十四日まで、他県より七円低い、一リットル当たり四十六・八円と軽減する措置が定められております。この措置は、一人当たり県民所得が依然として全国一低いことや、沖縄戦による県営鉄道の壊滅や広大な米軍基地の存在等により公共交通機関が不十分な状態となり、そのため、県民の移動手段は専ら自動車に依存せざるを得ない状況となっていることなどの沖縄の現状に鑑みた措置であるものと理解をしております。
また、先ほど田村委員からも御指摘のとおり、今回の暫定税率の廃止は、緊急にできる物価高騰対策として実施をするものであります。与野党六党実務者の合意のとおり、沖縄県については、こうしたこれまでの経緯や地域の実情を踏まえ、本則税率の軽減措置を講じるべきものと考えております。講じられるべきものと理解もしております。
以上です。
○田村(智)委員 午前中にも、これは片山大臣への質問があって、これはちゃんと国が措置を取るものというふうに私も理解をしたいと思います。
最後になんですけれども、今回のこの法案は、地方の移動手段、物流コストに大きく影響するガソリンと軽油の小売価格を引き下げるために暫定税率の廃止をするというものです。一方で、先ほど自民党の議員から意見としても表明がありましたけれども、気候変動対策としてカーボンニュートラルの追求ということは、これはやはり必要なことだと思います。
今後のガソリン税の水準を考える上で考慮すべきことについて与野党協議ではどのような議論があったのか、お聞きをしたいと思います。
○辰巳議員 ありがとうございます。
今回の暫定税率廃止は、委員御指摘のとおり、地方の移動手段の負担感や物流コストへの影響など、現下の物価高騰への対応として行うものでございます。他方、気候危機への対策としてガソリン等の化石燃料の使用量を減らしていくことは重要なことと考えております。
御指摘の与野党六党の実務者協議においては、合意文書に、物価動向等やCO2削減目標との関係にも留意しつつと盛り込まれました。将来的なガソリン税の水準については、この点も踏まえて決められるべきものと認識をしております。
ガソリンの使用量削減について付言をすれば、鉄道、路線バスなどの公共交通を重視する交通政策への転換や、ガソリン車から電気自動車などのゼロエミッション車への全面的な切替えを、自動車メーカーに下請、関連企業に対する社会的責任を果たさせつつ行うなど、交通政策の全面的見直しが必要と考えております。
以上です。
○田村(智)委員 どうもありがとうございました。
今回、ガソリンの暫定税率の廃止ということで与野党が精力的な協議を行ってまとめられたこと、とても大切だったと思います。同時に、参議院選挙への審判というのは、物価高騰対策での消費税の減税を求めるというのが国民多数の意思としても示されました。与野党協議で奮闘された皆様には、ここで終わりではなく、是非とも、消費税の減税の取りまとめに向かっても協議を引き続き行っていただきますことを心からお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
○阿久津委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○阿久津委員長 この際、第二百十八回国会、重徳和彦君外十名提出、租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。財務大臣片山さつき君。
○片山国務大臣 ただいまの法律案につきましては、複数会派共同の修正案が提出されていることに鑑み、政府といたしましては意見を申し述べることは差し控えたく存じます。
―――――――――――――
○阿久津委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組はかつてよりガソリン税ゼロを公約に掲げ、消費税廃止とともにポスターに明記してきた看板政策です。暫定税率廃止は、不十分ながらも大きな一歩であり、賛成するものでありますが、我々が六月十一日及び八月一日の野党七党による法案提出に加わらなかったのは、野党七党が本気だと思えなかったからです。
六月十一日提出の法案は、どう考えても国会会期を延長しなければ通らない時期の提出であり、かつ、野党は、衆議院で多数を占めていたにもかかわらず、国会の会期延長を行いませんでした。翌月に行われる参議院選対策のパフォーマンスにすぎず、本気で通す気がなかったことは、国民民主党の玉木代表が七月二十六日の読売テレビのインタビューに、通っちゃうんで、本当にと発言していることからも明らかです。
八月一日に提出した法案は、参議院選の結果、衆参共に野党多数となったにもかかわらず、五日間で国会を閉じてしまいました。あのとき、国会を一週間延長していれば、九月一日にはガソリンを値下げすることは可能でした。国民は四か月間損をしたことになります。九月からではガソリンスタンドが混乱する等々いろいろ言われますが、六月二十日の委員会の質疑で、法案提出者は、ガソリンスタンド経営者とも意見交換したが、七月一日、すなわち十日後の法施行は問題ないと、自信を持って答弁していました。あの答弁は何だったのでしょうか。
加えて、今回の修正案には、附則第六条に、おおむね一年を目途に安定財源の具体的方策の結論とあります。五十一年間も暫定といって国民から税を取っておきながら、この上、更に税を取るつもりでしょうか。走行距離課税などゆめゆめ考えていないと信じたいですが、これまでの与野党の茶番劇を見ていると、疑いたくもなります。元々、暫定的という約束で国民から徴収してきた税であり、代わりの財源を探す必要など全くありません。
以上、原案にも修正案にも問題は山積しておりますが、ガソリン暫定税率廃止は国民が大いに求めているものであり、原案及び修正案共に賛成いたします。
○阿久津委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○阿久津委員長 これより採決に入ります。
第二百十八回国会、重徳和彦君外十名提出、租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、後藤茂之君外五名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○阿久津委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。(拍手)
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○阿久津委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。(拍手)
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○阿久津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○阿久津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十五分散会

