第11号 令和7年4月25日(金曜日)
令和七年四月二十五日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 中村 裕之君
理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君
理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君
理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君
理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君
五十嵐 清君 遠藤 利明君
大空 幸星君 大西 洋平君
小渕 優子君 木原 稔君
国光あやの君 柴山 昌彦君
鈴木 貴子君 渡海紀三朗君
萩生田光一君 平沼正二郎君
船田 元君 古川 直季君
松野 博一君 三谷 英弘君
森下 千里君 簗 和生君
山本 大地君 阿部祐美子君
安藤じゅん子君 五十嵐えり君
小山 千帆君 佐々木ナオミ君
高橋 永君 竹内 千春君
辻 英之君 波多野 翼君
眞野 哲君 吉川 元君
うるま譲司君 黒田 征樹君
前原 誠司君 美延 映夫君
西岡 義高君 浮島 智子君
金城 泰邦君 大石あきこ君
…………………………………
文部科学大臣 あべ 俊子君
財務大臣政務官 東 国幹君
文部科学大臣政務官 金城 泰邦君
政府参考人
(文部科学省総合教育政策局長) 茂里 毅君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 望月 禎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 真弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 尾田 進君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦上健一朗君
参考人
(戸田市教育委員会教育長) 戸ヶ崎 勤君
参考人
(日本教職員組合中央執行委員長) 梶原 貴君
参考人
(全日本教職員連盟委員長) 渡辺 陽平君
参考人
(大阪大学大学院人間科学研究科准教授) 高橋 哲君
文部科学委員会専門員 藤井 晃君
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
遠藤 利明君 古川 直季君
鈴木 貴子君 大空 幸星君
三谷 英弘君 平沼正二郎君
山本 大地君 国光あやの君
前原 誠司君 黒田 征樹君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 大西 洋平君
国光あやの君 山本 大地君
平沼正二郎君 三谷 英弘君
古川 直季君 森下 千里君
黒田 征樹君 前原 誠司君
同日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 五十嵐 清君
森下 千里君 遠藤 利明君
同日
辞任 補欠選任
五十嵐 清君 鈴木 貴子君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)
――――◇―――――
○中村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、戸田市教育委員会教育長戸ヶ崎勤君、日本教職員組合中央執行委員長梶原貴君、全日本教職員連盟委員長渡辺陽平君、大阪大学大学院人間科学研究科准教授高橋哲君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜り、誠にありがとうございます。本案につきましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず戸ヶ崎参考人にお願いをいたします。
○戸ヶ崎参考人 戸田市教育委員会の戸ヶ崎と申します。
本日は、このような機会をいただきまして、大変光栄に存じておるところでございます。
私からは、教員また学校の管理職の勤務に加えて、教育行政で学校とともに伴走してかれこれもう半世紀が過ぎたわけですけれども、学校に関わってきた立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
お手元の資料に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、一ページ目でございますけれども、中教審において、令和の日本型学校教育を担う質の高い教師、これを確保するための環境整備の在り方、これを長期間議論をしてまいりました。その答申を踏まえて、本改正案については、主に働き方改革と処遇改善の要素が制度化されているところでございます。
本法案を確実に成立させていただいて、小学校教科担任制の推進などを盛り込んだ令和七年度の予算、これの着実な実施と併せて、全国の教師に改革の成果を届けることが大切と強く思っているところでございます。
二ページです。
さて、給特法へのよくある批判として、定額働かせ放題というようなことでしばしば言われております。この言い方ですけれども、学校現場で日々全力で子供たちに向き合っている教師への姿を踏まえれば、制度の趣旨や教師の努力を適切に評価したものとは言えないのではないかと思っております。
本来、給特法は、管理職が時間外勤務を命ずることができる場合を限定することで、教師の健康と福祉を守りつつ、教師の職務の特殊性を踏まえて、一人一人の教師の裁量を確保する仕組みである、このように理解をしているところであります。
続いて三ページですが、まずは、教師の職務の特殊性について簡単に御説明申し上げます。
そもそも、教職の性質は、全人格的なものであって、日々変化する目の前の子供の状況に応じて臨機応変に対応する、応対する教育的なタクトと呼ばれているものの能力が求められております。
教師の仕事は、一般の行政職などとは異なり、教師自身の自発性や創造性に委ねる部分が大きいと思っております。このため、日々の教師の業務が、どこまでが職務で、どこからが職務ではないというような、精緻に切り分けて考えることは極めて難しいのではないかと考えております。
四ページです。
こうした中、管理職が、教師の個別具体の職務について、一人一人の教師にどのような業務をどの程度まで行うか命令するということはなじまないというふうに考えております。もちろん、管理職のタイムマネジメントというものも極めて重要ですけれども、個別具体の職務について事細かに把握したり時間調整したりすることは、およそなじみません。
例えば、生徒指導においても、悩み相談、いじめ問題、突発的な問題行動等への対応は、時間で区切るわけにもいきません。一人一人の教師の裁量と創意工夫があってこそ、効果的な教育活動が可能になります。教師の裁量を大切にする給特法の精神は維持すべきというふうに考えております。
なお、教育の成果が勤務時間の長さのみに基づくものではないことは、言うまでもありません。
こうした職務の特殊性の下、誇りを持って生き生きと働く姿にこそ、学生たちが魅力を感じ、教職を志す大きな動機づけになるものと考えております。
また、私立や国立の学校は、入学者選抜等により、その学校を希望した子供たちが入学をしてきます。特に私学には建学の精神があり、子供たちも教師もその前提の下、選択をして所属をしてきます。
一方で、全ての子供たちを受け入れるという公立の小中学校等の果たす役割は極めて大きいものがあると考えます。学力はもちろんですが、多様な子供たちがおり、臨機応変に応対していく必要があります。私立や国立と同じ勤務制度を適用することは、その性質上、なじまないのではないかと思っております。
五ページです。
こうした職務の特殊性に対応し、教師の裁量を担保する仕組みこそが、教職調整額、給特法の制度であり、今後も維持されるべきと考えております。
なお、給特法を廃止し、勤務時間外の業務に対しては時間外勤務手当を支給するようにすべきという御意見も伺います。
時間外勤務手当の支給では、管理職が具体的に命令し、その命令に基づいて業務に従事した時間を正確に把握することが前提というふうになります。しかし、現場の立場から申し上げますと、時間外勤務手当の支給は、学校運営上の混乱を招くことを懸念しているところであります。
時間外勤務の管理等を管理職が事細かに指示することになれば、違和感や抵抗感を覚える教師も少なくないと思います。その混乱を見ていれば、今大変深刻となっている、管理職のなり手もますます減少することも明らかであろうと思います。また、その手当に国庫負担の上限が設けられた場合には、自治体の財政力の差によって教育の取組や教師の確保に更なる格差を招くおそれもございます。
時間外勤務の多寡と給与との関係の議論のみならず、教師の裁量性や創造性をどう生かし、どのように教育の質を担保するかという点からの御議論も是非お願いをしたいと考えているところでございます。
六ページです。
今般の教職調整額の引上げについては、教職をリスペクトすると、国からのメッセージとして、僭越ながら、高く評価させていただきたいと思います。
七ページです。
また、一律のベースアップに加えて、真に頑張っている教師が給与上適切に報われる必要もあります。
かつては、学級担任は取り合いが起きておりました。しかし、昨今は、学級担任を避ける教師も増えつつあるように感じています。学級担任は、教科指導以外にも、道徳、特活等の授業があり、様々な事務処理も多くございます。加えて保護者対応などもあり、担任を持っていない教師と比べて負担が重く、在校等時間が長くなっていることから、処遇改善が必要だと思います。
改正案では、学級担任への加算を念頭として、教師の固有の手当である義務教育等教員特別手当、これを校務類型に応じて支給するという規定が盛り込まれておりますけれども、適切であろうというふうに考えております。
八ページです。
次に、働き方改革ですけれども、本法案で、学校における働き方改革に関して、大きく二点挙げられております。教育委員会は、業務改善の計画及び実施状況等を総合教育会議に報告すること、学校は、業務改善の計画について学校運営協議会で承認を得ることであります。
学校の改革は内側から本来は起こるべきですけれども、働き方改革は内側からだけでは変えられません。法律で義務づけることで、働き方改革が社会に開かれた取組となり、保護者、地域、行政など社会全体で支える仕組みとなることが期待できます。
また、働き方改革は、教師や学校の裁量を大切にし、計画的に成果を可視化しながら進めていく必要があり、その点で、今回の改正事項、つまり、市町村教委ごとの計画の策定等の仕組みは極めて重要であろうと考えております。まさに、国、都道府県、市町村共に汗をかくということを求めていると感じております。
九ページです。
本市では、働き方改革なくして教育改革なしと、この十年近く、働き方改革に力を注いでまいりました。その取組について、簡単に御紹介申し上げます。
九ページの資料は、これまでの実施状況や成果と課題を踏まえ、令和四年に改定した本市教育委員会の基本方針であります。この方針に基づき、現在でも様々な取組を行っております。
十ページです。
働き方改革は、計画的に可視化しながら進めていくことが大切であります。そこで、PDCAサイクル、これを回して、成果や課題の見える化に努めてまいりました。具体的には、平成二十八年にチーム学校運営委員会を設置して、その下に、可視化、共有化、効率化、これは頭文字が全てKということで、三Kワーキングをつくって、業務の徹底した見直しをこれまで進めてまいりました。
例えば、可視化のワーキングでは、年間の各学校での収受文書の件数を調査しました。平均二千件以上の文書を収受しており、一日に換算すると、約四時間文書処理に費やしているということ等を可視化いたしました。重さも可視化しました。
また、会議や研修の際、交通に要する時間を計算したところ、これも相当な時間を費やしているということから、当時からオンライン会議の導入も提言したところであります。
さらには、民間企業に一定期間学校に入ってもらって、業務の検証も行いました。その結果、学校の意識として、どうしても時間短縮のインセンティブが働いていない、また、優先順位が低いものを見える化して徹底的に排除する、こういうような意識に課題があるなど、厳しい指摘をいただきました。
これらを受けて、優先順位を分析しつつ、教育委員会、学校で様々な取組にトライアルをしてきました。加えて、お手元にもありますけれども、総合データベースの構築、校務支援システム強化、ゼロトラスト導入、ネットワーク統合などによってテレワークも可能にするなど、教育DXも推進してきました。その一つの成果として、時間外の在校等の時間の少なさは埼玉県内でもトップクラスとなりました。
一方で、登校時刻の見直しですとか、また見守り、学校行事など、市教育委員会や学校だけではこれ以上進めることが難しいこと、つまり、保護者や地域の理解を得て進めていくべき課題は依然として残っているところでございます。
十一ページです。
これらの課題解決には、学校や教育関係者だけではなく、社会全体の理解が必要と考えております。
本市では、働き方改革について、定例の教育委員会で何度も熟議をいたしました。さらに、総合教育会議でも議題といたしました。その中で、地域住民や市議会に、学校、教師が担う業務に係る三分類、これを周知すること、また、人的、物的支援に係る予算措置を行うこと、様々な要望等に対してチーム戸田市として対応することなどの必要性を確認をいたしました。
また、市議会においても、学校における働き方改革について、一般質問もしていただきました。本市の成果や課題、社会的理解の必要性について、その場で答弁もいたしました。
最後、十二ページになります。
また、先ほども申し上げましたけれども、登校時刻の見直しや見守り、学校行事など、保護者や地域の理解が必要な課題への対応として、学校運営協議会を課題解決のプラットフォームとして重要視してまいりました。特に、先ほどの三分類については、学校や教育委員会では重視していても、学校関係者以外への周知、理解がほとんどされていないといった現実がございました。
そこで、この三分類の熟議の進め方を示した熟議パッケージ、これを独自に作成して、各学校の学校運営協議会の場で取組も開始しました。
その熟議の場では、このような意見が出ました。そもそも先生方にこんな苦労があるとは知らなかった、一刻も早く私たちにできることを支援していきたい、また、学校の働き方改革は、先生方だけではなくて、子供たちのためにといったメッセージが伝わっていないのではないか、このような意見も出されました。
働き方改革は地域の子供のよりよい成長のためであるということを共有しつつ、業務改善の計画を学校運営協議会で示して進めていくことは極めて重要であろうと思っております。
いずれにしても、学校の働き方改革の実動には、国、教育委員会、また学校等の各アクターが同心円状につながって、それぞれがオーナーシップを持って、何をすべきなのかということを正しく理解して、計画的に行動するために共に汗をかく必要があります。また、学校の働き方改革への社会的な理解も深まるように切にお願いを申し上げまして、私の発表とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。
次に、梶原参考人にお願いいたします。
○梶原参考人 おはようございます。日本教職員組合で中央執行委員長を務めております梶原貴と申します。
本日は、このような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
私からは、今回の改正法案や学校の働き方改革に関して、学校現場が求めていることについて意見を述べさせていただきたいと思います。
こちらの資料を御用意ください。
私は、三十四年前に山梨県で中学校の教員として採用され、二十一年間全て、学級担任、理科の授業、運動部顧問を務め、時に生徒会担当を仰せつかり、運動部では、幸いに子供たちの頑張りで全国大会も引率をさせていただきました。三十代前半には、文科省の派遣で香港日本人学校に派遣され、現地校やインターナショナルスクールとも交流し、クラスサイズの違い、そして業務量の違いも実感してまいりました。二十一年間、学校は最高の職場だと思って勤務してまいりましたけれども、このままでは日本の学校教育は崩壊するのではないかと危機感を覚え、何としても学校の長時間労働を是正したい、そういう思いで組合に移り、今に至っております。
まず冒頭、これまでいかに教職員の業務が増え、いかに人が増えてこなかったか、その結果として、定時に退勤できないことが当たり前、教職員の長時間労働がいかに放置されてきたかをお伝えしたいと思います。
二ページを御覧ください。
まず、業務量ですけれども、この間、学校現場は、校内暴力、貧困、虐待、不登校等、社会の課題を全て引き受けてまいりました。授業についても、学習指導要領が改訂されるたびに内容は付加され、部活動に関わっては、子供のサポートにとどまらず、競技力の強化や大会運営までも担ってまいりました。
三ページ、四ページを御覧ください。
一方、人員増でいえば、国の定数改善計画が二〇〇五年の第七次で止まったまま、人がなかなか増えず、加配教員が配置されたとしても、子供の数や課題の数に比較して余りにも少数しか配置されてきませんでした。詳細は、先週の佐久間参考人の陳述のとおりでございます。
五ページを御覧ください。
そうした業務削減も定数改善も進まない中、文科省も、二〇一六年に勤務実態調査を行い、それを受けて、二〇一九年に給特法を改正して、労基法適用者と同様に、月四十五時間、年間三百六十時間に時間外勤務を抑えようとしました。しかし、三年後に実施した二〇二二年の勤務実態調査では、在校等時間は三十分程度しか減っていませんでした。
つまり、告示されて三年がたっても、公立学校の教員の約三分の二が上限指針を超える中、実質労働規制がかからないまま放置されている数少ない職種となっているのが実態です。いつまで我慢すればいいんでしょうか。
七、八、九ページを御覧ください。
一方、日本の子供たちの置かれている近年の状況は、不登校数、児童虐待数、いじめの認知件数が過去最多を更新し続け、子供の自死の増加も歯止めがかかっていません。それが子供の数が減少している中で起こっている極めて深刻な事態で、早期に解消されなければなりません。
しかし、その子供たちに寄り添うべき教員不足が深刻です。二〇二一年の文科省の調査では、二千五百五十八人が不足。それ以降、公の調査は行われていませんが、全国では深刻さが増しております。
十ページを御覧ください。
そんなぎりぎりの状態で何とか回っている学校ですから、様々な要因で精神疾患を患い、病気休職に追い込まれる教員が、二〇二三年度で七千百十九人と、過去最多を毎年更新し続けています。
本日のネットニュースにも流れていますが、昨年度の東京都の新採用の教員が、既に六%近くが退職をしている。非常に深刻な状況です。
事務職員に至っては、教員よりも出現率が高いのが実態で、学校全体が厳しい状態です。
十一ページを御覧ください。
現在、日教組では、学校の働き方改革に関する意見投稿フォームを設け、現場の声を集め、現在、三千五百件を超えております。その中には、しんどい子供に寄り添いたくて教員になった、丁寧に関わりたいができておらず、何のために教員になったのか心が痛い。全体に関わる業務を優先し、一番やりたい、やらなければならない授業準備が間に合っていない、子供たちに申し訳ない。どうせ社会は変えられない、こんなメッセージを子供たちに伝えているようなものです、高学年になると、先生は働き過ぎなんでしょうと言われ、苦笑いで返すのみ、私たち教員が毎日毎日そういった思いを子供たちに塗りつけているようなものです、五十年以上前の給特法を廃止するしかないと現場は声を上げても、検討、検討で何も変わりません、小学生も、身近にいる教員の働き方が変わらないことに疑問を持っています。このような意見が寄せられております。
十二ページを御覧ください。
また、子供たちの自律的に学ぶ自信が低いのも大きな課題です。学校の勉強の予定を立てる、言われなくても学校の勉強にじっくり取り組むなどに自信がないと回答した割合が、OECD加盟三十四か国の中で最も高い結果となっております。
子供たちのやる気を引き出すには準備が必要で、やる気をなくさせてしまうのは、準備不足の授業を続けてしまうことが要因の一つと考えられます。理解の深まりは、目の前の子供の実態に合わせて、いかにオーダーメイドの授業づくりができるかであります。授業準備を勤務時間内にできる体制整備をし、子供たちの知的好奇心を高めることが今求められています。どうかお力をかしていただきたいと思います。
十三ページを御覧ください。
では、現場は何を欲しているのか。私どもの三本柱、業務削減、定数改善、給特法の廃止又はそれと同等の抜本的見直しです。
まず、業務削減についてです。十四ページを御覧ください。
三分類の移行のために、予算がまず必要です。そのほかは、そこに記載のとおりであります。
二番目、定数改善であります。十五ページを御覧ください。
教材研究や授業準備が勤務時間内にできるよう、授業の持ちこま数に上限を設けて、それができるだけの定数改善が必要です。そのほか、そこの記載にあるとおりです。
十八ページを御覧ください。給特法の廃止又は同等の抜本的見直しについてです。
現在審議されている給特法の改正案は、教職調整額を段階的に一〇%に引き上げるということですが、これは早期に引き上げるべきだと考えております。
しかも、今回の法改正は応急処置であって、教員の処遇改善としても、長時間労働是正としても、不十分であります。割増し賃金や罰則規定のないこのままでは、今回も業務削減や定数改善は大きく進まないのではないか。今回も、二、三年経過して三十分程度しか是正されない可能性は大であります。
十九ページを御覧ください。
これは石破総理も課題を認識されております。三月二十八日の参議院予算委員会において、学校現場出身の水岡俊一議員の質疑に答えております。
水岡議員、学校は働き過ぎて過労死がいまだに絶えない、これは何とかしなきゃいけないと総理思われませんか。
それに石破総理が答えて、何とかしなければなりません、抜粋ですけれども、子供たちにそういうようなしわ寄せが行くことは、もう我々としてはもう取り返しのつかないことをやることになりますので、子供たちの問題であり、そしてまた教師の人権の問題であることをよく認識しているというふうに答えていらっしゃいます。
二十ページ、二十一ページを御覧ください。
既に、長時間労働是正は、二〇一九年の時点で文科省も危機感を持っており、今回の答申でも触れております。一九年の中教審答申において次のように記載されております。
子供のためであればどんな長時間勤務もよしとするという働き方は、教師という職の崇高な使命感から生まれるものであるが、その中で教師が疲弊していくのであれば、それは子供のためにはならないものである、これまで我々の社会はこの教師たちの熱意に頼り過ぎてきたのではないだろうか、今回の学校における働き方改革は、自らの時間を犠牲にして長時間勤務を続けていくことを望むのか、質の高い授業や教育活動を担っていくことを望むのか、その選択が問われているのであると記載されております。
二十二ページを御覧ください。
また、課題については二〇一九年十二月三日、参議院文教科学委員会での当時の萩生田文科大臣の答弁で整理されております。これも抜粋ですけれども、給特法などの法的な枠組みについて根本から見直しをします、労働基準法の考え方とのずれがあるとの認識は見直しの基本となる課題であるとお答えになっております。
課題の根本は給特法にあることは明白であります。何回同じ議論を繰り返すのでしょうか。今回の法改正で学校の働き方改革の議論を終わりにしてはいけません。教員の働き方に影響を与える給特法の廃止に向けて速やかに議論をするべきです。
これまで私たちは、長時間労働是正を求めてきましたが、六年かかって三十分短縮のような進捗状況で、学校はもう崩壊しかけています。給特法を廃止して長時間労働が是正されれば、既卒の免許保有者が公立の学校を選び、教員不足も改善してくるはずです。今回の議論で、大胆な業務削減と大幅な定数改善を実施した上で、一、二年後、正面から労基法への移行を議論するとの立法府としての意思表示が必要で、国民に約束していただきたいのです。
二十三ページを御覧ください。
私たちは、労基法一条にあるように、全国の教職員の、人たるに値する生活を保障し、子供たちに向き合う時間を確保できれば、分かる授業、楽しい学校につながる、本来の生き生きとした学校の姿を取り戻せるのではないかと考えております。総理の言う、取り返しのつかないことになりつつあることを御認識いただいた上で、議員の皆様の真摯な議論をお願いし、意見陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。
次に、渡辺参考人にお願いいたします。
○渡辺参考人 皆様、おはようございます。全日本教職員連盟委員長の渡辺でございます。
中村委員長を始め衆議院文部科学委員会の皆様には、このような意見陳述の機会を設けていただき、誠にありがとうございます。
私たち全日本教職員連盟は、日本全国の教職員が参加する、創立四十二年目を迎えた教職員団体です。教育専門職としての矜持を胸に、日々、子供たちのために教育活動に励んでおります。
私は、現在、休職専従という立場にはございますが、これまでの約二十五年間にわたり、公立の小中学校で教諭として勤務し、学年主任や児童指導主任等の様々な役割を担ってまいりました。今回の給特法改正法案について、実際の学校現場の教師の立場から意見を述べさせていただきます。
初めに、現在の公立の学校現場の状況を御紹介します。
学校現場では、不登校や特別な支援、日本語指導などが必要な児童生徒が増加し、学校や教師が対応する課題が複雑化、困難化しています。また、地域や保護者が学校や教師に求める役割や期待が肥大化し続けています。そして、日本全体の人手不足もある中、教員採用試験の倍率は過去最低を更新しています。さらには、産育休代替者の確保が困難化し、教頭が学級担任をせざるを得ないような教師不足が続いております。
このような学校現場の状況は、持続可能ではありません。教師が生き生きとしていなければ、子供たちも学校が楽しいはずがありません。そのためには、学校における働き方改革と、指導、運営体制の充実、教師の処遇改善を一体的に進める必要があります。
今回の抜本改革について、報道では処遇改善ばかりが取り上げられましたが、この三つの大きな柱で全体として考えていただきたいと思います。
まず、一つ目の柱は、働き方改革についてです。
令和元年の給特法改正により、学校での時間管理が始まりました。それまで、学校にはタイムカードがありませんでした。あれから六年、現在では、日本全国の学校に、タイムカードやICTによる時間管理が当たり前になりました。令和元年の給特法改正につきまして、本当にありがとうございました。
その後、課題も明らかになりました。各教育委員会の取組に大きな差があることです。我々教職員としては、全ての教育委員会に、本気で学校における働き方改革に取り組んでいただきたいと思っております。
今回の法案では、全ての教育委員会に、働き方改革に関する計画の策定、公表と、その実施状況の公表が義務づけられています。これにより、教育委員会は自分事として働き方改革を進めることになります。さらに、これまでの、教育委員会によっては学校、教師が担う三分類が進捗しないことも課題でしたが、教育委員会の計画に三分類が位置づけられれば、現在よりも必ず前進するものと期待しております。
例えば、三分類において、学校徴収金の徴収、管理は学校以外が担うべき業務とされていますが、いまだに半数以上の教育委員会で取組がなされていません。今回の改正により、教師が教師でなければできないことに専念できるよう、このような教育委員会が実施すべき取組について、教育委員会が自ら計画の中に位置づけ、設置者としての方針を示し、実行に移していくことが期待できますので、学校現場としては大変歓迎しているところです。
加えて、働き方改革に向けて、これまで子供たちのために学校、教師が行ってきたことを見直す際に、登下校の子供たちの安全確保を家庭にお願いしたり、学校行事を簡素化したりしようとすると、学校だけでは保護者や地域の方々の十分な御理解をいただくことが難しい場合がございますが、設置者である教育委員会の方針があらかじめ地域に示されていると、学校現場でも関係者との相談が格段にやりやすくなると期待しています。
また、本法案の内容には、予算編成権を持つ首長が参加する総合教育会議や、保護者や地域の方々が参加する学校運営協議会との連携なども含まれています。これにより、地方の教育予算の拡充や、地域の方々の学校における働き方改革への理解増進、協働が期待できます。
次に、二つ目の柱の指導、運営体制の充実についてです。
昨年の財務、文部科学両大臣合意と令和七年度予算の成立に心から感謝を申し上げます。今後四年間での小学校教科担任制の四年生への導入や、中学校の生徒指導担当教師の拡充などの計画的な教職員定数の改善、特に中学校三十五人学級の実現は、我々が長年要望してきたものであり、学校現場は元気をいただきました。
その上で、複雑化、困難化する課題に対応するためには、教師がチームで対応する組織的な学校運営とそのための体制が不可欠です。
現在の学校現場では、不登校支援や特別支援教育などについて、会議を開き、学校全体で対応するようになってきているとはいえ、それぞれの教職員が業務を抱えているため、どうしても担任教師の負担が大きくなります。
しかし、担任教師の中には新卒の教師もおり、そのような対応には不慣れです。そのため、実際に子供たちと向き合う担任を支えるためには、多様な強みを有する教師が学校全体として組織で対応しなければ、これらの課題に適切に対応することはもはや困難になっています。
そのような状況において、本法案に含まれている主務教諭の創設が必要だと考えます。
主務教諭がチームの核として、特定の担当する教育活動について学校内外との連携、調整役となり、学校現場では、不登校支援や特別支援教育などが効果的にチームで実施されるようになります。職として明確化されることにより、担当する教師も、不登校支援や特別支援教育などの取りまとめ役としての業務を円滑に進めることができるようになります。
なお、職の創設により新たな負担が加わるのではないかとの指摘があると伺いますが、新たに学校が担う校務が追加されるわけではありませんので、その指摘は当たらないと思いますし、むしろ、学校の業務をより効率的に行うことが可能になると思います。
また、主務教諭は、給料表上、新たな職として教諭より高い本給になると文部科学省は発表しています。主務教諭の創設により教諭の基本給が下がるおそれがあるという声も一部ありますが、既に昨年の十月には記者会見で文部科学大臣が、新たな職の創設に当たって教諭の給与の引下げは考えていないと明確に表明されています。六級制の実現は、学校で経験を積みながら子供たちへの指導に尽力し続ける教師への社会的評価の表れであり、我々も要望してまいりました。
次に、三つ目の柱は、教師の処遇改善です。
教師の処遇を考える際、まず、教師という仕事について考える必要があります。
我々全日本教職員連盟が考える理想の教師とは、子供、保護者、社会から信頼される教師です。
私の考えでは、信頼される教師とは、三つの要素から成り立っています。
一つ目は、教師であるという矜持を持っている教師です。教師は、子供たちの前で指導する者としてふさわしい人間でありたいと思っております。
二つ目は、学び続ける教師です。子供たちの学びを支えるとともに、自らも高みを目指して学び続け、子供たちのロールモデルになりたいと思っています。
三つ目は、全ての子供たちのためと考えられる教師です。目の前の子供たちのことを第一に考え、深く理解し、その子にとって、その瞬間、最善の支援や指導ができる教師でありたいと願っております。
これらの点は、法的には、教育基本法第九条、「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」、また、地方公務員法第三十条、「すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」に表れています。
このような教師の仕事を考えると、教師は、目の前の子供たちを少しでも伸ばすために全力を尽くすという使命を帯びています。そして、生徒指導や授業研究等、時間により完成するという性格の業務が少なく、残業かどうかの線引きが非常に難しいです。さらには、子供は一人として同じ存在ではないため、経験は生かしつつも、常に新しい対応を臨機応変に行わなければなりません。
我々現場の教師は、管理職から、あと一時間あれをしなさい、これは今日やらなくてよいから帰りなさいと一つ一つ命令、つまり時間外勤務命令を受ける仕事ではなく、教育専門職として一人一人が裁量の中で、目の前の子供たちのために、教材研究や保護者との面談など、今日どんな仕事をどこまでやるべきかを判断したいと考えています。このような教師の裁量を確保する仕組みこそが給特法の精神であり、教職調整額の仕組みだと考えています。
多くの教師は、子供の成長に関わるすばらしい仕事であることに対し、矜持を持ち、仕事に前向きに取り組んでいます。しかし、矜持だけでは限界が来ており、処遇改善も必要です。先ほどのような教師の仕事の本質を捉えれば、時間外勤務手当化は取るべきではありません。勤務時間の内と外をまとめて捉え、教育専門職としての教師の責任と職務に対して一括して教職調整額を払うという制度が望ましいのです。
我々全日本教職員連盟は、教職調整額の引上げを要望してまいりました。現在、人材確保法の趣旨が形骸化しており、人材確保法の優遇分を回復する必要があります。教師の処遇改善は約五十年ぶりで、是非とも教職調整額の引上げをお願いいたします。
さらに、本法案には、学級担任を想定して、義務教育等教員特別手当を加算する制度改正も含まれています。学校では、学級担任を担うかどうかで業務負担が大きく異なります。保護者からの連絡、相談を始め、学級に関する業務を担うからです。頑張っている教師が報われる処遇改善のために、学級担任への手当の加算が必要です。
このように、本法案は、働き方改革、組織的な学校運営、処遇改善を一体的に進めるために不可欠なものです。本法案の成立は、我々全日本教職員連盟の悲願であり、日本全国の日々子供たちのために全力で頑張っている教師の願いです。国会議員の先生方、学校現場の教職員の声を聞いていただきたいと思います。
結びになりますが、本法案の可決を強く強くお願いいたしまして、私の意見陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。
次に、高橋参考人にお願いいたします。
○高橋参考人 おはようございます。大阪大学の高橋哲と申します。
本日は、このような意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私は教育法学が専門でして、近時、給特法に特化した単著を出版しております。本日は、この観点から、この度の法改正案の最大の懸念事項であると思われる教員の労働時間の捉え方をめぐる問題、こちらを中心にお話をさせていただきたいと考えております。
さて、釈迦に説法かとは存じますが、給特法の趣旨を改めて確認するならば、この法律は、給料月額四%の教職調整額を支給する代わりに、労働基準法三十七条所定の超勤手当を支給しないという特殊ルールを公立学校教員に適用しています。これが、給特法をして定額働かせ放題法と呼ばれるゆえんとなっております。
しかしながら、給特法にはもう一つ重要なルールが存在しています。それが、教員の時間外勤務の対象業務をいわゆる超勤四項目に限定するというルールです。
このルールにつきまして、昭和四十六年の給特法制定時の国会審議においては、量ではなく内容によって、教員の時間外勤務が無定量にならないように歯止めをかけるのだという立法趣旨が示されておりました。すなわち、給特法は、同じく携帯電話に例えるならば、定額基本料金以外の従量課金はないものの、使用できるアプリを四つに限定するという、そういうルールを定めるものだと見ることができます。
行政府にとって不都合な真実は、教員の時間外勤務の大半が超勤四項目以外の業務であふれているということです。本来であれば、超勤四項目以外の時間外勤務が発生した時点で、それは一日八時間、週四十時間を上限と定める労働基準法三十二条違反に当たり、課金が必要なはずなのです。
では、なぜ、その違法性が問われず、働かせ放題状態となってきたのでしょうか。それこそが、文部科学省の所業によるものなのです。
お手元の配付資料一を御覧ください。
現在、文部科学省は、教員の時間外在校等時間を原則として月四十五時間、年間三百六十時間以内とする上限指針を告示として定めております。この上限指針の公式のQアンドAにおいて、教員が行った超勤四項目以外の時間外勤務がなぜ労働時間に該当しないのかを以下のように説明しております。
すなわち、厚労省のガイドラインに依拠しながら、校務であったとしても、使用者からの指示に基づかず、所定の勤務時間外にいわゆる超勤四項目に該当する以外の業務を教師の自発的な判断により行った時間は、労働基準法上の労働時間には含まれないと公言しています。つまり、文部科学省は、使用者の指示がなければ、教員の自発的行為であり、労働時間には該当しないとしているのです。
しかし、ここで注意されるべきことは、大本の厚労省ガイドラインは、このような使用者の指示のみを根拠とする定義を取っていないことです。
資料二を御覧ください。
確かに、厚労省ガイドラインによると、労働時間とは、「使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」と記載されています。しかし、そこにはすぐただし書が付されているのです。上記の定義に続けて、「客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断される」としているのです。
この厚労省ガイドラインの前提となっているのは、平成十二年の最高裁三菱重工長崎造船所事件判決です。この判決では、造船所の作業服に着替える時間が労働時間に該当するかが争われ、使用者からの指示がなくとも、準備行為等が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされた場合は労働時間に該当すると認められています。その後、最高裁は、実作業のない夜間仮眠時間、住み込みマンション管理人の時間外業務についても、時間外勤務命令がなくとも、労働からの解放が保障されていない場合には労働時間に該当すると判断してきました。
また、近年の労働法学の学説においても、これらの最高裁判決の労働時間認定を受けて、使用者の指揮命令があったかという判断要素のみではなく、当該業務が労働の対象である業務に当たるのかという業務性の基準を含めて労働時間の該当性を判断するという考え方が有力になっています。
この厚労省ガイドライン、最高裁、学説が示す定義に見るならば、近年問題となっている学校における強制部活動と言われるものや、授業準備、校務資料の作成などは、いずれも労働時間に該当する蓋然性が高いと思われます。
実際に、埼玉教員超勤訴訟の令和三年地裁判決、令和四年高裁判決の双方においては、授業準備、掲示物の管理、学年便りの作成、業者テストの採点など、合計三百七十七時間以上の時間外業務が労基法上の労働時間に該当すると判断されています。
この判決は、原告の損害が軽微であるとして原告請求を棄却しましたが、他方で、教員の時間外労働が常態化し、放置されていたならば、労働基準法三十二条に違反し損害賠償責任の発生する可能性も認めています。それゆえ、文部科学省が原則とする月四十五時間もの時間外労働、あるいは例外的に月百時間を認めるとしておりますが、これほどの時間外労働が常態化されていたならば、違法な労働時間を放置したものとして損害賠償請求の対象になり得るのです。その意味で、この度の改正法案は、依然として訴訟リスクを内包しているというのが私の見解です。
このような判例の蓄積から見るならば、文部科学省が在校等時間なる概念を持ち出して、超勤四項目以外の業務は労働時間に該当しないとすることは、給特法の運用と言われるものの範疇を超えているように思われます。なぜなら、これらの業務を労働時間に該当しないとすることは、労働基準法三十二条自体の改正か、少なくとも特別法による法律上の適用除外がなければできないはずだからです。また、適用除外するに当たっても、日本国憲法二十七条に定められた勤務条件基準立法たる労基法の基本原則を著しく潜脱するような適用除外が特別法によって可能なのかという立法裁量上の問題が生じ得ます。
在校等時間という概念は、給特法も含め、どの法律にも明記されておらず、ひたすら文部科学省の行政行為によって生み出されている概念です。これは、法律に基づく行政の範囲を超えた、行政府による労働基準法の書換えであり、立法権の侵害に当たるというのが私の見解です。
しかも、この行政府の越権行為が教師の窮状を救済するものではなく、むしろ教師をして過労死直前の状態で働く労働環境を生み出し、全国的な教員不足を招く要因をもつくり出しているのです。それゆえ、この文部科学省による労働基準法の潜脱行為を止めなければ、いかなる法改正も実効力を有しないものとなってしまうというのが私の抱く本改正法案への最大の懸念です。実際に発生している教員の時間外勤務を労働基準法上の労働時間として認めること、これが働き方改革の一丁目一番地であることを研究者の立場から強く指摘させていただきたいと思います。
なお、付言として、この度の改革のもう一つの目玉とされている主務教諭の導入についても陳述させていただきたいと思います。
この度の改革案では、教員の職務によって業務量が異なることから、給与のめり張りが強調され、その目玉として主務教諭の新設が予定されています。確かに、学校組織の中心となる教員や新人教員をフォローする教員、多数の授業こま数を担当する教員などに、その労働への対価を払うことは重要かもしれません。しかしながら、この度の主務教諭の導入に当たり、先行モデルとされた東京都の経験を見ると、このような新しい職の導入が、必ずしも教員の待遇改善につながらないことが示されております。
東京都では、二〇〇四年に全国に先駆けて主幹教諭が導入され、その後、二〇〇九年より主任教諭が導入されています。
お手元の資料三を御覧ください。
図に示されておりますように、二〇〇四年に東京都で主幹教諭が導入された際には、特二級が新設され、従来の二級教諭職給料表に上乗せされたことから、この度の主務教諭の新設も、教員全体の待遇改善となることが期待されています。しかしながら、東京都では、二〇〇九年の主任教諭の導入後、教育職給料表が全面改定され、主幹教諭導入時とは比べ物にならないインパクトがもたらされています。
この図では更に、二〇二四年度の給料表を基に、四年制大学新卒者が三十八年間在職し、教諭、二級のまま在職期間を終えた場合と、十年目に主任教諭に昇格した場合、そして、その後、二十年目に主幹教諭に昇格した場合を比較しております。二〇〇四年当時の教諭職と現在の生涯教諭モデルとの生涯給料額の差は千八百二万円に及び、これは一〇・三%の減額に相当します。教諭、主任教諭、主幹教諭の間の給与格差も、御覧のように決定的なものとなり、生涯教諭を選ぶ者、このような先生にとっては、甚大な待遇の引下げが遂行されたことが明らかにされています。
この度の法改正では、主務教諭の導入により、給与のめり張りを構築することが目指されていますが、東京都の経験を見る限り、それはめり張りのある給与体系というよりも、めり、減りしかないという、めりめりの給与体系と呼んだ方がふさわしい状況が示されているかというふうに思います。同様の改革が他の自治体でも行われたならば、たとえこの度の法改正により教職調整額を一〇%まで増額していただいたとしても、基本給の引下げにより教員の待遇改善には至らない、格差だけつくって待遇改善なしという状況が生まれる可能性のあることをここでは申し述べたいと思います。
以上のように、本国会において給特法等の法改正案を御審議いただいているにもかかわらず、それは教員の長時間労働の是正にも教員の待遇改善にも結びつかない可能性があるというのが、専門家としての私の懸念です。特に、労基法上の労働時間の定義をめぐる文科省の越権行為は、教員のただ働きを容認する点で甚大だと、私の立場から申し上げざるを得ません。察するに、現役の文部科学官僚の方々もまた、同省の先輩方がつくられた負の遺産に苦慮しているのではないかと思われます。しかしながら、もはや省内でこの所業を止めることはできず、立法府によるストップが必要となっているというのが私の見解です。
それゆえ、この度の給特法改正案をめぐる争点は、単に教員の労働環境を改善できるかを問うにとどまらず、このような行政府の越権とも言える行為を立法府自らお墨つきを与えてしまうのかが問われています。これは、三権分立という日本国の国家体制に関わる問題であり、国民主権の根本を揺るがす問題であると考えます。
立法府をじゅうりんする行政府の越権行為を征伐するためにも、そして、日本国憲法の下、立法府が守り育ててきた労働基準法という法律の権威を損なわないためにも、そして何よりも、教師の過酷な労働環境を改善し、子供たちの教育を受ける権利を守るためにも、本委員会の先生方、国民の意思をより反映されているとされている衆議院議員の皆さんには、立法府の担い手として、国権の最高機関が持つ権威と矜持をお示しいただきたいと考えております。
もはや、教師不足の問題に象徴されるように、教師の労働条件をめぐる問題が子供の教育条件に直結する問題であることは火を見るよりも明らかになっております。そのため、少なくとも、教員のただ働きを放置することをストップし、より労働基準法に適合的な修正を当委員会で御審議いただくことを求め、私の意見陳述に代えさせていただきたいと思います。
御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
○中村委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○中村委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。
○鈴木(貴)委員 皆さん、改めまして、おはようございます。
四月十八日に続きましての参考人質疑ということであります。国民の多くも、もちろん学校の現場の皆さんのみならず、私も含めた保護者、そして国民の皆さんにも関心の高い法案の一つであると思っております。丁寧な審議を尽くしていただいていることに感謝をさせていただきます。
十五分と限られた時間でありますので、早速質問に入らせていただきます。
まず、最初の質問は、参考人の四名の方皆さんに、それぞれにお答えをいただきたいと思います。
前回の十八日の参考人質疑の際にも、複数の参考人の方が、教員の業務量の適切な管理や処遇改善には国のリーダーシップが求められるという趣旨の御発言があったところであります。私自身も大きくうなずきながら参考人の皆さんのお声を聞いておりました。
一方で、私はこの文科委員会に所属をしまして、質問をしながら驚いたことがありまして、何か例えば、私はライフワークとして、子供の自殺の問題であるとか、孤独対策、取組をさせていただいているんですけれども、何か提案をしても、なかなかこの政府は、それは教育委員会が、それは自治体が、おいおい、国のリーダーシップはどこに行ったんだという思いを何度となくしてきたところであります。
もちろん、教育行政の地方自治の原則というものは非常に重要であります。尊重しながらも、やはり、立法をする我々としては、その立法をした後、まさに、生むだけじゃなく、生んで育てるという意味では、運用の実態というものは国がしっかりと注視をすることが必要だと思っております。
そこで、伺わせていただきたいんですけれども、いわゆる三分類でありますが、進展もあるということを参考人の皆さん方からも御意見を頂戴をしていると思います。しかしながら、学校ごとに、若しくは地域ごとに、進捗状況が異なる、成果の出方が異なるといった声も度々聞かれるところでもあります。是非、この四人の参考人の皆さん方には、その進捗の差が生まれている背景、どのようにお考えかを伺いたいと思っております。
といいますのも、今回の法律案は、業務量管理などの計画策定といった、いわゆる可視化、見える化というものが盛り込まれていますが、私、個人的に、分類のまさに明文化というものも必要だと思います。まずは、なぜ分かっているのに進まないのかという根本的な背景を押さえなくては善処できないのではないか、反省の上での善処ではないかというような考えを持っております。
是非とも、その取組が進まない理由、可視化が進まない理由、それぞれの先生方、どのようにお考えか、教えてください。
○戸ヶ崎参考人 現場というか教育委員会の立場としてお答えいたしますけれども、もうこの差があるということは恐らく事実のことだろうというふうに思いますけれども、これは、私は、この働き方改革というのは、もうまさにそれぞれが、先ほど来申し上げているように、オーナーシップを持って真剣に自分事としてきちっと取り組まなければならないんだというような気持ちがあれば間違いなく前進はすることだろうというふうに思うんですけれども、一つには、その熱量の差といったものが挙げられるのかなということが一つであります。
それから、もう一つは、いかにその熱量があったとしても、やはり教育というのは、常々、私、申し上げているのが、経験と勘と気合というこの、ここも三Kなんですけれども、この三Kだけで進めていこうと思ってもなかなか進められるものではなくて、大事なことは、EBPMということで言われていますけれども、いかにその進捗状況とかを見える化しながら定量化をして、今現在の進捗状況はこの程度である、だから、ここが課題なので、一歩このように次は進めていかなくちゃいけないということが見える化されていないと、なかなか、その経験、勘、気合だけで進めていこうと思っても、やはり無理があるのではないかなというふうに思っています。
そういった意味で、この度、教育委員会が総合教育会議の席上できちっとそれを示していくということは極めて重要なことであって、間違いなくこのことによって前進するであろうということは、私からも期待を申し上げたいなというふうに思っております。
以上です。
○梶原参考人 御質問ありがとうございます。
まずは、三分類に取り組むときに、予算がついていないので、お金のある自治体は進みやすい。例えば公会計化を進めるにしても、やはり行政が担うといったときに、行政にお金があればやりやすいわけですけれども、脆弱な自治体については、それが予算がつけられないから進まないということがありますので、是非国として予算をつけていただきたい。
私どもの意見投稿フォームにも、三分類の、特に基本的に学校以外が担う業務については、国が社会に広く宣言して予算をつけることが大事だという意見が来ております。ですから、予算の裏づけがないのに、ただやれ、やれと言われても、自治体も困るんじゃないかなというふうに思っております。是非予算をつけていただきたいと思います。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
令和元年度の給特法改正以降、教師の時間外在校等時間は減少しているものの、依然として時間外在校等時間が長い教師も多い状況だと認識をしております。
学校現場の話をすると、例えばですが、コロナ禍において、学校現場では運動会が半日開催というふうになりました。そうなると、運動会当日であるとか準備にかける時間などがかなり削減されます。
しかしながら、コロナ禍以降、この半日開催を続けている学校と、一日開催に戻している学校とがあります。一日開催に戻した学校は、当然業務も増えてくるわけですけれども、理由としては、地域の期待に応えるであるとか、子供たちの活躍の場を確保してあげたい、そのような教師の思いであったりします。
これらはあくまでも例ですが、ほかにも、不登校児童生徒、いじめ重大事態の発生件数、通級による指導を受けている児童生徒の数の急激な増加など、学校の教師が支援する子供たちが抱える課題の複雑化、多様化はより一層進んでいる、こうした課題に教師が献身的に対応していることもあると思います。
さらには、教育委員会ごとにも働き方改革の取組状況に非常に差が大きいというふうにあります。そして何より、昨今の教師不足、これも非常に大きいのかなというふうに感じております。
そのような中で学校の働き方改革を進めるためには、私たち教師の意識改革も当然必要ですし、何より地域の理解を得ることが大切だというふうに考えています。
このような前提の下、今回の法改正により、国、教育委員会の計画の下、学校における働き方改革が進んでいくものというふうに私自身も期待しております。
以上でございます。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
私も国による教員の処遇改善のためのリーダーシップは必要だというふうに考えますが、そこで国に求められているのは、十分な人員と、やはり教育費というものを支給することであるというふうに私は考えております。
議員御質問がありました、なぜこれだけ働き方の格差が出てくるのかということですけれども、私の見解では、この格差というのは、それぞれの地方自治体の財政格差というものを反映しているというふうに思っております。
どこの自治体も本当に人手不足、資源不足という中で、どの自治体もサボっているわけではございません。そうした中で、たまたま、先ほど御発言のあった戸ヶ崎参考人のようなスーパー教育長、熱量のある方がいらっしゃって、そこで運用が行われているというところがあると思うんですけれども、今必要なことは、そのようなスーパー教育長とかスーパー校長でなくとも、この働き方というものが十分に遂行できるような教育条件を整えることだというふうに思っております。
更に申し上げますと、国の方で示していただいている三分類、これは学校現場とはずれがあるということを多くのところでいただいております。
といいますのは、この三分類というものをお示しいただいた中央教育審議会、ここに関わっている方々は、教育長の方々や校長の方々などの、いわば労働法でいえば使用者に当たる方々と、大学教員等の公益委員の方々です。そこに労働者の代表という方々が一人も入っていないというのが、現在の中央教育審議会の構造となっております。
その意味で、労働政策審議会のように、公労使というものがちゃんと代表されるような仕組みというのをつくった上で三分類を検討すべきだというのが私の見解です。
以上でございます。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございます。
まさにこれは、今回の法律案、業務量管理の計画策定が目的なのではなくて、それに伴っての業務量の削減というところが追求しなくてはいけないところだということを改めて確認をさせていただきました。
あわせて、やはりこの予算、立つものがないと、よって立つところがないとというところもそうだよなと思いながら聞いていたんですけれども、今日の皆さんのお話を伺っていたら、意外と校務DXのお話が少なかったなと思って伺っておりました。
私自身、今、子供を二人育てておりまして、上の子が小学校二年生なんですけれども、いまだに連絡帳が手書きでありまして、各行事の終わった後の保護者からの声みたいなのも手書きだったりして、お互いに、DXで、アプリとかだったら、どれほど楽に先生も集計で刈り取れるのかななんて想像しながら、頑張って手書きで書いているんですね。
校務DXの加速化という観点で是非お伺いしたいんですが、今まさに、梶原参考人、高橋参考人から、いやいや、予算が大事だと。それは私も否定もしません。
ただ、一方で、例えばDXが進まない理由で、学校の回答の一番の理由が、検討する時間がないだったんです、予算的な理由ではなくて。これが非常に、今のお話を聞いていて、面白いなと思いながら、もしかしたら、まさに裁量権者のDXに寄せる関心であるとか知識、こういったものにも大きくぶれてしまうのではないのかなと思ったときに、まさにこういった校務DXなどは、それぞれの自治体であるとか、それぞれの学校の裁量権者に委ねるのではなくて、国としてDXを進めるんだということで、一つの大きなひな形的アプリなのかモジュールを作って、これを全国一斉に共有をするという方が、コストもかからないし、汎用性も高いし、どこかに転勤、転校したときにも同じものを使っていくという方が、よほど、まさに負担軽減にもなるのではないのかなと思ったんですが、その点について、最後、伺わせていただければと思います。特に、今の、まさに、梶原参考人そして高橋参考人にお伺いできればと思います。
○梶原参考人 ありがとうございます。
まさに、考える時間がないというところでいくと、思いはあっても、やはりそこを、現場の声を吸い上げたアプリの開発だったりとか基盤整備というところが、そこにもやはり予算が必要で、学校現場の声を聞いて、それをシステムに落とし込んでくれるような人が配置されれば、非常に進むと思っております。
意見投稿フォームの中では、こんな意見があります。ICTを使って効率化したいが、県でシステムが統一されておらず、データの移行ができず大変苦労しております、異動しても使える統一したICT環境の基盤整備を望みますと。まさにおっしゃるとおりですので、やはりここにも予算が必要で、対話をしながら、現場に即したシステム作りが必要だというふうに思っております。
以上です。
○高橋参考人 御質問いただきまして、ありがとうございます。
今、鈴木議員御指摘のように、検討する時間がないというのが、本当に現場の率直な気持ちなんだろうと思っています。これは気概の問題ではなくて、これもやはり人員不足と資源不足によるものと言うことができるかと思います。
このような校務DXをちゃんと加速させるためにも、それに必要な先生方の研修の時間であったりとか、どのようなアプリがふさわしいのかということを検討する時間、そういうものも必要になってきます。
その意味で、校務DXがあれば働き方改革が推進されるということではなくて、校務DXを推進するためにも十分な人と予算が必要だということを強調させていただきたいと思います。
以上でございます。
○鈴木(貴)委員 ありがとうございました。
子供の安心と笑顔のためには大人の笑顔と安心が必要だと思っておりますので、引き続きの御指導、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、坂本祐之輔君。
○坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔です。
参考人の皆様におかれましては、御多用の中、御出席をいただき、貴重な御意見を賜りますことに心から感謝を申し上げます。
時間も限られておりますので、早速質問をさせていただきますが、参考人の皆様の御意見を少しでも多くお伺いをいたしたいと考えておりますので、質問は端的にさせていただきたいと存じます。
まず、梶原参考人にお伺いいたします。
先ほどの意見陳述の中で、香港日本人学校に勤務していたとのことですが、現地校やインターナショナルスクールと日本の学校とは具体的にクラスサイズや業務量はどのように違ったのでしょうか、お伺いいたします。
○梶原参考人 御質問ありがとうございます。
もう二十五年も前の話ですから、今現在はどうかはちょっと承知しておらないところがあるんですけれども、まず、クラスサイズは、どのインターナショナルスクールも一クラス二十人から二十五人、本国も同じだというふうに言っていました。
業務については、教員はやはり授業が中心で、例えば、子供の相談はカウンセラーが担い、それから、様々な子供の課題についてはソーシャルワーカーが必ず一校に一人配置されていて、分業が進んでいるんだと。ですから、部活動も基本的にはなくて、地域のスポーツクラブ等で子供たちは活動するんだと。
ですから、教員は定時で来て、定時で帰るのが当たり前だということで、それは本国も同じだというふうにインターナショナルスクールでは言っておりました。
以上です。
○坂本(祐)委員 ありがとうございます。
次に、全ての参考人の皆様にお伺いをいたします。
私たち立憲民主党は、給特法は廃止するべきであるとの立場でありますけれども、給特法を廃止して、教員が労働基準法の下で働くとなった場合、学校はどのようになると予想するでしょうか。
戸ヶ崎参考人から順次お願いいたします。
○戸ヶ崎参考人 率直に申し上げますと、先ほども私の意見の中でも申し上げましたけれども、まずは学校の中が正直かなり混乱をするのではないかなというふうに考えております。基本的に、時間外勤務を命じるということは、現状でも学校長の承認を得るということになっていますので、そこのところが、給特法が廃止されて時間外勤務がごく当たり前のようになるということになると、一つは、そういったどこまで認めるのかということに対する線引きがなかなか難しいという現象も起きるのかなと。
あわせて、そういうことに加えて、本来的に、先ほどは触れませんでしたけれども、服務監督権者と任命権者の問題もあって、正直、残業代というのは、基礎自治体である市町村の教育委員会は正直余り痛まないんですけれども、任命権者であるところの県教育委員会にとってみると、そこの支払いというところでギャップが出てきて、ねじれ構造が出てくる、そういうところでもまた様々な問題が起きてくるのかなと。
さらに、もう一つ加えて申し上げますと、一生懸命、効率的に仕事をして、できるだけ早くに切り上げて帰ってくつろいでというか、時間管理を、タイムマネジメントをしっかりやろうという教員と、そうではなくて、のんびりと時間をやろう、勤務すればいいんじゃないかというふうに考える教員が、実は給与面での差が開いてくる、こういう現象も起きてくることも懸念をしているところでございます。
以上です。
○梶原参考人 御質問ありがとうございます。
私は給特法と労基法の両方を経験をしておりますので申し上げますけれども、労基法に学校現場が移行したからといって、直ちに長時間労働が是正されるわけではないと思っております。ただ、割増し賃金が払われることで、労使双方で時間を意識した勤務がなされることは確実で、今よりも長時間労働が縮減できると考えております。
他方、教員が労基法で働くことには誤解が生じているとも思っております。例えば、子供と対応していて、定時になったら、はい、じゃ、もうそこで終わりと言って帰るようなイメージがありますけれども、そんなことは全然なくて。そのために三六協定を結ぶわけですから、例えば月四十五時間の三六協定を結んでいるとすれば、子供の対応などで、又は採点業務等々で一日三時間オーバーした、それが十日間あった、月の半分ぐらいでもう三十時間を超えている、リミットまであと十五時間といったときには、そこは今かなり精緻に管理して、それから便利で、例えば決められた十五時間を過ぎる、又は二十時間を過ぎるとアラートが飛んでくるようなシステム、私どもの職場でも採用していますけれども、その時点で管理職と教員が対話をして、例えば、後半ちょっともう四十五時間まで危ないから、では月末にある事務処理はこの先生に代わりにやってもらいましょうとか、そういうマネジメントがコミュニケーションをしながら労使でできるというところが非常に必要なことだと思っております。
それから、勤務時間が縮減されるということですけれども、労基法に移行すればそういうわけで完全にキャップがかかりますので、そのキャップの中で仕事ができるような、人を増やすとか、又は業務量を削減するとか、そういうインセンティブが働きますので、確実に学校の長時間労働は是正されると考えております。
今もありましたけれども、学校や管理職によって、隣の学校と、この業務はこの学校では超勤命令になる、この学校ではならないと、差が生じて混乱が生じるという論がありますけれども、学校によって課題も違いますし、それから目指す学校像も違いますから、それは差が出て当然だというふうに思っております。
最後に、給特法下では、高度専門職として、指揮命令ではなく、裁量を発揮する、又は創造性を発揮すると言われていますけれども、今回のこちらの議論でも盛んにおっしゃっていますけれども、現在の学校は、こなす業務が多過ぎて、裁量とか創造性をなかなか発揮できていないというのが実情であります。学校現場とここの議論の乖離がかなりあるんじゃないのかなというふうに思っております。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
様々な意見がありますが、まず、私としましては、前提として、教師の仕事は、教師の自発性、創造性に基づく面が非常に大きいというふうに考えています。
例えば、緊急を要する保護者からの相談を受けるために、保護者の帰宅時間を待って学校で相談を受けたりとか、様々な学年や教科で多様な子供たちに対応する授業を行うためには、当然、そのときそのときで授業準備にかける時間も違ってきたりします。
また、これもお話が出ておりますけれども、最近、様々な自治体で管理職不足が叫ばれている中、ますますそういった切り分けをしなくてはいけない管理職の負担が増え、管理職のなり手が不足してくるのではないかというふうに思います。
これもお話が出ていましたけれども、各学校において管理職が業務を切り分けをするということが、やはり管理職の判断によって様々差が生まれてくるのではと。なので、こちらの学校ではこれは残業だけれども、こちらの学校ではこれは残業にならないといったことが起きた場合には、やはり教職員間の不平等につながるのではないかということも懸念されます。
このように、非常に難しい職である教職に対しましては、やはり教職調整額がふさわしいのではないかというふうに考えています。ですので、給特法を維持しながら、働き方改革も、今般の法改正に伴ってしっかりと進めていただきたいというふうに考えております。
以上です。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
私も、給特法廃止というのは一つの選択肢かと思っておりますが、そこには懸念もございます。
といいますのは、私は、給特法にかかわらず、現在の給特法の下でも、超勤四項目以外の業務には超勤手当を支給し、また、三六協定を締結することで超勤四項目以外の時間外勤務に関する労使合意を取るということが必要だと思っております。
これを明確にしておかないと、先ほど申し上げましたように、現在の教員の時間外勤務がただ働きとなっているのは、これは給特法の問題ではなく、文部科学省による労働基準法三十二条の解釈によってもたらされているからです。そうしないと、仮に給特法が廃止されたとしましても、その時間外勤務が労働時間じゃないと言われてしまって、超勤手当の支給対象にもならないということがあります。
なおかつ、教員の給与に関する基準立法というものでもないと、超勤手当の支給義務だけが現在の自治体に課せられて、今あるパイで超勤手当を出すということになると、これもやはり基本給が削られることになります。
ですので、給特法の廃止をするだけではなくて、あらゆる立法措置が必要がある、そうでないと、そもそも基本給が削られ、教職調整額も廃止され、なおかつ超勤手当も支給されないという最悪のディストピアがあり得るということを申し述べたいと思います。
以上でございます。
○坂本(祐)委員 ありがとうございます。
それでは、次に、学習指導要領について梶原参考人と渡辺参考人にお伺いいたします。
学習指導要領については様々な問題が指摘されているところでございますけれども、内容、量については、現場としてはどのように感じているのでしょうか。現在の内容、量は適切であるとお考えでしょうか。お伺いいたします。
○梶原参考人 ありがとうございます。
ちょうど私どもの中でも話し合っている内容でございます。私どもの資料の二十九ページにありますように、これまで、学習指導要領が改訂されるたびに、子供たちにも教員にも過重な負担になってきている、いわゆるカリキュラムオーバーロードの状態にあると申しておきたいと思います。
ある子供は、ただ、単元の終盤に、ちょうど面白くなってきたというところで、実はもうカリキュラムはぱんぱんですから、もう次の単元に移らなきゃいけない、もっと整理すれば面白いんだけれどもな。私も、現場の頃は、NHKスペシャルの一時間番組なんかを例えばまとめに使うことがあるんですけれども、そういうものをちょっとプラスアルファで使っちゃうと、次の単元がもうもうぱんぱんになっちゃって、駆け足で行かなきゃいけないということもありますので、余裕がない状態であります。
ある子供にとっては、理解が追いついていない状態で、駆け足でもう次の単元に行ってしまう、特に中学校では、放課後は部活動があって補習等ができなくて、なかなか理解ができないままに、もう次々と進んでいってしまっているというのが実情です。そういうことが続くと、十二ページにありますように、自主的に学習しているというよりも、やらされている感が強くなってしまっていると考えております。
次期改訂の際には、総時間数の削減とともに、内容の縮減がセットで行われることを期待しております。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
先ほどもおっしゃっていたとおり、内容、量につきましては、確かに、例えばプログラミング教育であるとか何々教育であるとか、様々なものが組み込まれていて、非常に量が増えているというふうに私も実感をしています。
今、中教審の会議でも話し合っていただいているところかと認識しておりますが、その中でも、弾力的な運用という形で話し合われているのかなというふうに認識をしています。
その中で、弾力的な運用、これを行うことで、子供たちのためによりよい授業を行う、実際には授業準備の時間に使えるような、そういった運用がなされるのであれば、それは現場にとっては大変ありがたいというふうに感じています。
ただ、懸念点としましては、弾力的な運用を行うことで、こちらの学校では子供たちが五時間、六時間までやってくるんだけれども、こちらの学校では早く帰るんだなんということがもしあると、やはり今、保護者同士のネットワークも非常に発達しているというか充実していまして、そのような情報が行き来して、何となく学校の中でその運用がやりづらいなんということが起きないように、しっかりと国の方で情報を保護者に発信していただき、しっかりと制度をつくっていただけることが大変ありがたいのかなというふうに考えております。
以上でございます。
○坂本(祐)委員 貴重な御意見をありがとうございました。これからの審議に生かしてまいりたいと存じます。
終わります。
○中村委員長 次に、前原誠司君。
○前原委員 日本維新の会の前原誠司でございます。
まずは、四名の参考人の方々、御多用のところ、わざわざ国会まで足を運んでいただき、貴重な御意見を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
まずは、教員の負担の軽減について幾つかお話を伺っていきたいというふうに思っております。
子供の数が減っているにもかかわらず、業務が増えている。様々な問題が多様化し、それを先生が対応しなくてはいけないような状況になっている。先ほど、不登校、いじめ、自死、虐待、こういったお話もございました。
その中で、先ほど鈴木委員もおっしゃったことの中で、私も、これからの社会というものは、デジタル化、AI化、オンライン化というものをできるだけ取り入れていき、そして本当に必要なところにしっかりと時間をかけていく、力を尽くしていくということが大事なことではないかと思います。
先ほど梶原参考人でありましたでしょうか、授業の準備不足のままに先生が授業に臨まなければいけないというようなお話をされておられました。私も、大学の四年間で塾のアルバイトをしていまして、自分で教材を作らなきゃいけないということで、今でも夢に出てくるんですね、準備ができていないということで。もうとっくに昔のことなのに、そういう夢を今でも見るようなことでありまして。
そういうものに対して、例えば共通のプラットフォームというかデータベースみたいなものをちゃんと作って、先生の負担軽減というものが、もうそろそろこのDX化、AI化の時代ではやるべきではないかというふうに思いますし、また、様々な業務報告とか提出資料なんかも、もっともっとそういったものについては私は簡素化できるのではないかというふうに思います。
先ほど、それを考える時間がないとか予算がないとか、それから、まだそういうものについて県で統一されていないというようなことでありまして、これは文科省とか各教育委員会にしっかりと我々が指摘をしていかなくてはいけないことだと思いますが。
生徒と向き合うというのが一番大事な先生方の仕事だと思いますが、それ以外に、こういうものについてはもっとデジタル化やAI化、オンライン化を進められるということをどのような分野で感じておられるか、それぞれの参考人からお話を伺いたいと思います。
○戸ヶ崎参考人 ありがとうございます。
校務DXのことについては、先ほどの三分類と全く同じように、今それぞれがオーナーシップを持ってやる気になればできることというのはたくさんあって、私は、くれない族という言葉なんかを使っているんですけれども、誰々がやってくれないからできない、こういうことでは、くれない族ではなくて、やはり自分事として取り組んでいくということが非常に重要であろうというふうに考えています。
今、DXのことについては、GIGAスクール構想が始まってかなり経過している中で、様々、ベストプラクティスというか、こういうやり方をやればどんどんどんどん授業準備も効率化できるのではないかというようなことも進んでいますし、文科省の方でもそういうサイトを立ち上げて、様々、それを参考にしながら、教材研究等も効率化するというような取組も進んでいるところであります。
先ほど、どういった業務がDX化というか効率化できるかということでありましたけれども、結論から言いますと、現状に満足していたらやはり駄目であって、相変わらず学校現場というのはデジタルかアナログかというような二項対立論というのがあって、やはりこれは紙でなくちゃ駄目なんじゃないかというような考え方というのも結構根強く、これは学校現場だけではなくて、教育委員会もそういうようなマインドというのがあって。私は、一番大事なことというのは、今回の中教審の諮問等にもありましたけれども、デジタルの力でやはりアナログの部分についても補完していこうということで、そういうような、デジタルの力をマストとして、様々できることはどんどんどんどん改革していこうという考え方を持つということが大事なのではないかなというふうに思っています。
様々、本市でも、先ほどもお話ししましたけれども、データを使いながら、国でも、文科省の方でもそういうような会議も立ち上がっていますし、これまでとは違う、データによって教員の気づきだとか様々業務を推進して、さらには、今はやりの生成AI、こういうものも、私自身も使わないことはないですし、ほぼ、様々な検索のサイト以上に、生成AIはもうマストアイテムとして活用することによって、いろいろな新たな、効率化もできるし、自分の気づかないこともどんどんどんどん入っていくということで、やはり、そういう自分自身のマインドセットをどういうふうに変えていくかという、考え方が非常に重要になってくるのかなというふうに思っています。
以上です。
○梶原参考人 ありがとうございます。
先ほども申し上げましたように、やはり、プラットフォーム作りを進めるのに、現場の声を聞いてもらってプラットフォームを作ることが大事だと思っておりますので、そこは、例えば文科省ができる部分は文科省、自治体ができるところは自治体に是非お願いしたいところだと思っております。
その上で、調査、統計が学校に下りてくることがあるんですけれども、そのときに、エクセルに打ち込んで、それを事務職員が集約して、それで提出みたいなことがあるんですけれども、落とすときに、例えば集計のフォームと一緒にグーグルフォームみたいな、ああいうのと一緒に落としてくれれば事務職員の負担も軽減できます。教員の調査、統計にかかる時間を減らすためには、そういうDXを進めるとともに、事務職員の増員も必要だなというふうに思っております。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
教育DXということで様々進めていただいているところは承知しております。また、まず授業においてなんですが、様々なコンテンツを国においても整備していただいて、授業の中で活用できるように、また、若い先生方がどのように授業を進めていっていいか分からない、そういったところも様々対応していただいているところでございます。こういったところをまず拡充していただけると、授業においてはより効率的になるのではないかというふうに考えております。
また、校務の中では、やはり校務のシステムの共通化というのが非常に重要かなというふうに考えております。
例えば、政府で今、デジタル行財政の方の会議で様々検討していただいていると承知をしておりますが、例えば指導要録であっても、そういったものを、ほかの県外であるとかそういったところに子供が異動するときに、様式が違うということになると、紙ベースで送らなきゃいけないなんということもございます。また、こちらも行財政の方でしていただいているかと思いますけれども、保健分野ですね、感染症の報告なんというのも、学校内で、まず担任が受けて、それを養護教諭がまとめて各自治体に報告をするなんというシステムが一元化されていないなんというところも、非常に、そういったところが整備されることが働き方改革につながるのかなというふうに考えております。
それ以外にも、データ連携というところで、私たち、就学前の子供たち、学校現場ではそういった子供たちの健康診断を行っているんですけれども、その場で、子供たちの様々な特性について学校の教師がそこで初めて気づくことがあります。その前に三歳児健診であったりそういったものが行われているわけで、そういったものと学校で行われている就学時の健診が結びついていくと、よりそういった子供たちに早い段階で私たちは対応することができる。
ですので、そういったデータ連携をよりしっかり進めていただくことで、働き方改革ということよりも、子供たちによりよい教育を施すことができるのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
前原委員の御質問は、デジタル化をどこに入れることができるかということだったと思うんですが、私は、まさに勤務時間管理こそ、教職員の勤務時間管理こそ、よりデジタル化を進めていくべきだと思っております。
といいますのは、この度の中教審の審議会の方でも、教員の時間外勤務を計測するというのは、管理職にとって負担になるということでそれができないんだということでしたけれども、まさに、そういう負担というものを軽減するために、こここそデジタル化というものを進めていくということが必要じゃないかと思っております。
他方、データベースを活用するということ、これは、もちろん先生方の教育活動に利するところもあると思いますけれども、一方で、子供のプライバシーの問題や個人情報の問題というのが相当あります。
私が研究対象としているアメリカでは、学校で取得された学習データというものが営利企業に売り渡されていたということが問題となり、保護者の同意や十八歳を過ぎた子供たちの自身からの同意、あるいは、営利企業目的によるデータ利活用というものを禁止するという法律等が作られております。このようなデータベースを活用していく前には、そのような規制というものを、アメリカやヨーロッパ並みの規制というものを考えていくということがまず必要になってくるのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
○前原委員 ありがとうございました。
メリット、デメリットをしっかりと把握した上で、また、現場に即した、まだまだ取り入れる余地というのは多大にあるのではないかということを感じました。貴重な御意見、ありがとうございました。
次に、学校運営協議会についてお話を伺いたいというふうに思います。これも、先生方の負担軽減という意味で御質問させていただきたいと思います。
私、京都市の出身でありまして、京都市教育委員会は、全国に先駆けて学校運営協議会を広げていったという経緯がございます。これは、子供に何かが起きたときには、先生だけがその責任を負うのではなくて、あるいは親だけが責任を負うのではなくて、親、そして先生、そして地域の皆様方が子供をみんなで一緒に支えていく、こういうことの中で、哲学で生まれてきたのが学校運営協議会、コミュニティースクールでございまして、これをしっかり進めていくということは大事なことだというふうに思っております。
その中で、学校の先生方の負担軽減ということの中で、学校運営協議会、今、かなり定着をし、広がっていっておりますけれども、改善点がもしあるとすれば、どういった点を改善点としてお考えになっておられるか、それぞれの参考人からお伺いできればと思います。
○戸ヶ崎参考人 御質問ありがとうございます。
これも先ほどの私のスライドの中でも示しましたけれども、本市の働き方改革、学校の働き方改革が大きく進んできた一つの要因というのが、まさに御指摘の学校運営協議会だろうというふうに思っています。
学校運営協議会の果たす役割というのは非常に大きいんだということを、それぞれの運営協議会の委員長を始め、中の方々がしっかりと自覚してもらう。単なる名誉職のような形で関わっていただいてはやはり困るわけですね。いかにしてこれもオーナーシップ、自分事としてしっかり関わっていくか、学校に対してしっかりとサポートするんだ、物も言うんだというようなことの自覚を持ってもらうというのが非常に重要かなというふうに思っています。
改善すべきということなんですけれども、そもそもが、先ほどもお話ししたその三分類ということ自体に対してどのぐらいの学校運営協議会の方々が理解しているのかというデータがないものですから分からないんですが、相当これは危機的な数字なのではないかなというふうに私は思っています。もし全国で、学校運営協議会にこの三分類、しっかり理解しているかと聞くと、恐らく相当な低い数字なのではないかなというふうに思うぐらいに自分事になっていないというか。
本市でも、それを提示したときに、先ほども申し上げましたけれども、何でこれを早く知らせてくれなかったんだ、もっと分かっていれば自分たちにだって手伝えることがあったのに、それをそのままにしてあったというのはまずいんじゃないかというようなことをお叱りを受けたという、これは複数の学校運営協議会の中でも受けました。
あとは、大きなこれも今後の課題かなというふうに思っているのは、自治体間格差もそうなんですけれども、学校間格差で、様々、運営協議会の運営自体も格差がかなり生じてくるので、定期的にそれを平準化するというか、本市の場合には全体、市全体で運営協議会の方々に一堂に会してもらって研修会をやったりだとか、こういう進捗状況をお互いに報告したりだとかというようなことの取組もやっているわけですけれども、それをやっていかないと、そのまま、よろしくお願いしますねだけではなかなか進まないというふうに思いますので、教育委員会のイニシアチブだとか、そういったことも非常に重要になってくるのかなと。
あとは、議会、議員の方々の関わりですよね。そういったところでも支援してもらうということも非常に重要なのかなというふうに考えております。
以上です。
○梶原参考人 ありがとうございます。
御指摘のように、もう課題が多岐にわたっていますので、学校だけで全てが解決できる時代ではなくなりましたので、地域との連携、まあ保護者はもちろんですけれども、地域にはかなり幅広な方々がいらっしゃいますので、そことの連携は大変重要だと思っております。
ただ、改善点とすれば、よく、事務局を教頭なり教務主任なりが担った場合に、かなり準備に苦労する割にはいろいろなことが外出しできないということがありまして、地域の方もすごく、こういうことをやってあげたい、ああいうこともできるよとおっしゃっていただくんですけれども、それをコーディネートする人材がなかなかうまくいっていない。
ですから、例えば、学校側の代表は教頭なり教務主任が事務局を務める、地域の側からも責任者というか事務局を担うような方がいらっしゃると、事務局同士で話し合って、じゃ、ここは地域で是非お願いしますというふうに、学校が全部お膳立てをしなくても、地域の方が中心でやっていただけるようになる。もうそういうところもあるんですけれども、地域によってかなり温度差があるということを感じております。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
もう先ほどからおっしゃっていただいているとおり、私たちの働き方改革を進めるためには、三分類の徹底というのが一つ重要であり、これを学校運営協議会においても御理解いただくというところが非常に重要というふうに認識をしております。
学校運営協議会なんですけれども、ただ、また、これをどこが中心になって担うのかというところが非常に大きな問題になるのかなというふうに思います。
私も様々な形で学校運営協議会に関わらせていただいて、うまくいっている例というのは、非常に、地域の方で、例えば元PTAの役員であったりとかそういった方が本当にすごい熱意を持って、学校を何とかしようということでコーディネートしてくださる。そのような方がいると、様々、学校と地域をつなぎつつ、学校運営協議会の中心となって役目を果たしていただいているなんということがありまして、そういった学校では、例えば、子供一人一人のことを、地域の方が授業に入り込んですごく理解をした上で子供たちをサポートしていただけるなんという例も非常に見ています。
ここで難しいのは、やはり熱意というところなんですね。学校側が支えるときに非常に問題になるのは、ただぽんと担当をつけてしまうと、業務の負担として非常に大きくなってしまうというところがありますので、こういったところも、できればなんですけれども、保護者の方の協力、地域の方の協力というのは非常に重要なんですが、そこにも手当をつけていただくような形でコーディネーターをしていただき、より学校を地域で見守る、子供たちを地域で育てるといった形をつくっていただくことがよいのかなというふうに考えております。
以上でございます。
○高橋参考人 この度の給特法改正案の新八条でも、この学校運営協議会というものを活用して、業務量の管理等を行うということが明記されておりまして、これは中教審の特別議会でも議論されていましたように、学校運営協議会が、教職員と保護者が何が本当に学校で必要な業務なのかというものを考えていく、そういう場所になり得る可能性というのはあるかなというふうに考えております。
ただし、現在の学校運営協議会の法令上のたてつけですと、校長が業務量管理や計画の措置といったものを保護者に報告して承認を得るという形になっております。これだと、学校で行われていることの監視機関として学校運営協議会が機能してしまう。そうなってくると、トップダウンによって、場合によっては時短ハラスメントといったものも起こってきてしまう可能性があるのかなと思っております。
というのは、教員は、実は、学校運営協議会の必置の構成員とされていないんですね。それゆえ、働き手の当事者であります教員自身がこの構成員となり、信頼と理解の下で対等な議論をする、そういう形をつくれるならば、この学校運営協議会というものが、学校の中でよりよい、保護者と教職員との理解の下での働き方を推進していく、そういう機関になり得る可能性はあるのではないかと考えております。
以上でございます。
○前原委員 貴重な御意見ありがとうございました。
終わらせていただきます。
○中村委員長 次に、西岡義高君。
○西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高でございます。
本日は、貴重な御意見、ありがとうございます。
では、早速、参考人の皆様にお伺いしたいと思います。
今の学校制度なんですけれども、小中高といいますと、六・三・三の単線型と言われるものになっているわけですけれども、戦後に決められたこの学校制度、現在は、教員の方も子供たちも、学校現場を見ると非常に疲弊しているなという状況で、戦後八十年たった現在、この学校制度自体、もう制度疲労を起こしているのではないかと考えております。
例えば、小中高一貫の私立学校では四・四・四で区切っている学校があったりですとか、小学校四年生まで教科担任制が導入されるんですけれども、であれば、三・六・三という区切りも考えられるのではないかと思います。
また、不登校の児童生徒が増え続けておりますけれども、この不登校という言葉自体、決められた学校に登校しなければならないという前提があるから生まれる言葉だという考え方もできます。なので、フリースクールであったり越境通学、あと通信制、こういったものも、様々な学びの中を、制度の中に取り入れて、単線ではなくて複線型というのも検討していくべき時期に来ているのではないかと考えております。
そこで、皆様それぞれ、現在の六・三・三の単線型の学校制度についてのお考え、御意見を伺いたいと思います。
○戸ヶ崎参考人 御質問ありがとうございます。
この制度自体についての私の感想というのは、具体的にこういうことだというのはなかなか申し上げられないんですけれども、今の御質問の中でもありましたように、様々、区切りの問題というか、六・三・三で区切るのか、別な区切り方をするのかということになると、いわゆる連携、教育の接続というか、子供にとってみると、教育の質がうまく接続されているのか、そういうような問題意識なのかなというふうに勝手に解釈をさせていただいたんですけれども。
そういうことでいえば、全国の学校で、幼保小の連携だとか、小中の連携だとか、中高の連携とか、いろいろなところに苦心して様々今取組を行っているので、その制度自体がいいのか悪いのかという答えには全然なっていないんですけれども、そういう、制度を変えなくてもいろいろな努力はしているということと、あとは、不登校等の問題、今非常に大きな問題になっておりますけれども、これも、まさにいろいろな、多様な、不登校に限らず様々な、発達障害の問題だとか、日本語指導の問題だとか、いろいろな多様な子供たちに対する支援ということについても、国の方でも今ちょうど特別部会等でも議論をされているところなので、まずは様々、新たな、柔軟な教育課程の在り方とか、教員の余白をいかに持ってやっていくかとかという、いろいろな、様々、多角的な方面から今議論されていますので、是非そこは期待を持ってみてもいいのかなというふうには思っております。
以上です。
○梶原参考人 御質問ありがとうございます。
六・三・三とか、四・四・四とか、様々な議論があることは承知しておりますけれども、これこそかなり時間をかけて議論するべきものだなと思っておりますが、いずれにしても、発達段階だったりとか、それから、余り小中の垣根を高くし過ぎない方がいいと思っていますし、中高もそうなんですけれども、子供たちがもっと交流する機会が必要なのかなということも思っています。
そう考えると、今回の部活動の地域移行、地域展開なんという言い方もありますけれども、地域の中で子供たちが様々な年齢で交流していく機会というのはそういうところで図れますので、やはり、今回の部活動の地域移行については、そういう、地域の中の子供たちが一つの活動を通していろいろ交流していくという、いわゆる六・三・三とか四・四・四、何がいいかの前に、そういう機会をしっかり確保していくことが大事なんじゃないかなというふうに思っております。そこが議論のスタートになるかなと思っています。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
私も、これは非常に難しい問題だなというふうに思っております。
中一ギャップなんという言葉もあり、中学一年生に非常に不登校等が増えるなんというデータもございまして、今、そういったところの取組も様々進めているのかなというふうに思います。例えば、中高の一貫教育なんというのも様々な地域で行われております。そういったところ、今、実証研究というか、様々積んでいるところかと思います。
六・三・三なのか、四・四・四なのか、三・六・三なのか、どういった形がより子供たちにとってよい効果を与えるのかというのも、そういったものを見ていきまして、私もしっかりと考えていきたいなというふうに考えております。
以上です。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
六・三・三制の単線型学校制度をどう考えるかという御質問でしたが、端的に、私の認識は、全ての子供の可能性というものを保障する制度が単線型学校制度だというふうに考えております。
このように、全ての子供が大学まで接続するというルートが保障されているということがこの仕組みの特徴でして、アメリカでの仕組みというものを日本は戦後採用していったわけですけれども、この仕組みがあるから、アメリカでは、例えば、ドロップアウトした子供たちが学び直しをして、そこから頑張って大学に進むということで、社会人生活を送っていくということなどの、そういう学び直しというもののルートが保障されるということになっているのかなというふうに考えております。
今御指摘いただきました戦前のような複線型の学校制度というのは、子供の能力というものを早期に選抜してしまって、それゆえ、上位の学校へ接続するというものを一部の人々に限ってしまう、そういうデメリットが大きいというふうに思っております。
そうなると、まさに今御指摘いただきました、不登校の子供たちというのがもう一度学校に戻って学び直しをしようとしたときに、大学に行くルートというのが遮断されてしまう、そういう可能性を逆につくってしまう可能性があるのもこの複線型ではないかと思っております。
それから、不登校に関しましては、もちろん、学校の外にそのような子供たちの学びの場をつくることも大切かと思いますが、不登校を出すような学校の仕組み、学校の本体の方が反省しなければいけない点がたくさんあるだろうと。本来であれば、このような不登校の子供たちを出さないような条件というのを整える必要があるのではないかということを申し述べて、私の見解にさせていただきたいと思います。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。非常に参考になりました。
次に、高橋参考人にお伺いしたいと思います。
令和五年二月十三日の日本教育新聞に高橋参考人のお話が載っておりましたけれども、法人化後の国立学校で労働基準監督署から是正勧告が出されたことについてのお話だったんですけれども、法人化後の給特法対象から外れた国立学校がどのような状況だったのか、御存じの範囲でお伺いできればと思います。
○高橋参考人 大変貴重な御質問、ありがとうございます。
御存じのとおり、国立大学は二〇〇四年に国立大学法人法によりまして法人化されて、それまで国家公務員扱いであった附属学校の小学校、中学校、高校、特別支援学校、幼稚園等の学校の先生方が国家公務員身分を外れました。これに伴いまして給特法の範囲から外れたわけなんですけれども、実態としましては、給特法が適用除外されてからも教職調整額四%が払われて、その代わり超勤手当というものが保障されないというような慣行が継続されてきました。
この結果、実態として存在している時間外勤務、超勤四項目以外の時間外勤務が問題となり、労働基準監督署に相談をしたところ、これは労働基準法違反だということで、実は全国の国立大学附属学校で同様のことが起こっていたということで、私の前職も実は同じような附属学校の労働基準法違反があって、数億円の未払い賃金を払ったということが行われました。
その後、国立大学附属学校で、多くのところで就業規則が改正されまして、教職調整額は払ったまま、これは時間外残業のみなし残業代としての前払いだという扱いをして、これを超えるものについては超過勤務手当を払い、なおかつ、その前提として三六協定を結ぶということも行われています。
それゆえ、私は、現在の給特法の修正の在り方としましては、この国立大学附属学校の仕組みというのが大いに参考になるのではないかというふうに考えている次第です。
以上でございます。
○西岡(義)委員 ありがとうございました。本当に貴重なお話、ありがとうございます。
最後に、それぞれ皆様にお伺いしたいと思います。
採用から一年未満で辞めた新任教諭が過去最多の七百八十八人、そのうちの約三四%、二百六十九人が精神疾患ということでした。全体の精神疾患による休職者数も三年連続で過去最多という状況なんですけれども、特に、採用されて間もない段階で精神疾患まで追い詰められてしまう、その原因と、この課題に対してどのように解決していくべきか、お考えをお聞かせいただければと思います。
○戸ヶ崎参考人 ありがとうございます。
大変難しい問題で、なかなか考え方はまとまらないんですけれども、いろいろ自分自身が行政の立場、学校のときの立場で見ていた状況でありますと、大学を出てすぐに教壇に立つということのプレッシャーというのは相当なものがあるんだろうなということを、いかにして学校の側がチームとなってそれぞれの学校で受け止めてあげるかということができる場合とできていない場合で大分変わってくるんだろうなというふうには思っています。
以前であれば、大学出たてで、もう一人前の教員なんだからということで、すぐに担任をさせたりだとか普通の校務分掌を持たせたりというようなことがあったわけですけれども、最近は、そういうような、御指摘のような課題が出てきているということもあって、多くの学校では、何かサポートをしていかなくちゃいけないんだろうということで、一つには、本市でもついていますけれども、初任者の拠点校指導教員ということでサポートをしたりだとか、又は、できるだけ担任はいきなりは持たせないような形で、副担任として一年間働いてもらうとか、さらには、校務分掌の方を減らすとか、場合によっては、研修で、初任者研修の負担といったものもちょっと考えていってやらなくちゃいけないとかということで、いろいろ多角的に、今、様々な取組は間違いなく進んでいるとは思っています。
ただ、そうはいっても、そういうような数字に表れてきているというのは、必ずしも学校だけの問題ではなくて、やはり、その養成課程でどのような、現場と大学で学んできたこととのギャップがかなり激しかったとかということもあるのではないかなというふうに思いますし、相当、要因については複合的に考えていかないと、何か抜本的な特効薬みたいなものがあるわけではないのではないかなというふうに、今後も引き続きそれぞれが、その課題に向けて、出せる知恵は全力で出していかなくちゃいけないのかなというふうに思っているところでございます。
以上です。
○梶原参考人 御質問ありがとうございます。
二点触れさせていただきますけれども、一点目は、昨年度私どもが中教審や文科省に提出させていただいた七万筆の署名の中に、いわゆる若年層の教職員への負担軽減という項目が含まれております。今もありましたけれども、新採用の者には学級担任を持たせないとか、又はサポート体制をしっかりするとか、新採用の人が、長く、いわゆる定年までしっかり勤めてもらえるような、そういう仕組みが大切だというふうに思っています。
そのためには、やはり、辞めていく方の中には、長時間労働で、一年、二年だったら我慢できるけれども、これが一生続くとなると、とてもじゃないけれども、転職して、今のうちに早く転職した方がいいなんということもあって。ですから、先ほど来申し上げているように、長時間労働是正はもう絶対であります。ですから、そういう若い方々を守る仕組みをしっかりつくった上で、誰もが働きやすい職場づくり、そういったものが必要だというふうに思っております。
もう一点。私が採用された三十年以上も前は、例えば、保護者対応ももちろんその当時もありました。ですけれども、自分なんかが困っていると、先輩が、おい、どうした、どうしたと言って、すぐに声をかけていただいて、本当に育ててもらいました。私どもの言葉で言うところの同僚性ですね。教職員が横に手をつないで、チームとして子供たちをしっかりサポートしていくという、そういう同僚性をしっかり取り戻す。
今、個々は本当に頑張っていると思います。ところが、同僚性が失われつつある中で、本当に、忙しいがゆえに目の前のことで精いっぱいになってしまって、隣又は近いところになかなか気配りができにくくなっているというのが実態ですので、やはり、長時間労働を是正することによってその同僚性を取り戻して、点ではなくて線でつながれる、横につながっていける、私どもよく呼びかけますけれども、一人が百歩進むんじゃないんだ、百人で一歩前に進んでいくんだ、学校全体で前に進んでいくんだ、そういう体制づくりが必要だというふうに思っております。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
先ほど戸ヶ崎参考人がおっしゃっていたように、これは非常に複数の要因が混在しているのだろうというふうに考えております。
これはあくまでも私が現場で経験して、一つの要因だと思いますけれども、新卒で様々な社会経験を積まずに例えば学校に入って担任になった場合、非常に大きな課題となるのは、一つは、保護者との関係づくりなのかなというふうに思います。もう一つは、児童生徒との関係づくり、その中で、例えば授業がうまくいかないなんということも非常に大きな要因になっているのではないかというふうに考えております。
私が、約三十年前なんですけれども、教員になったときは、中学校の教員として採用されました。そのときには、一年間、副担任として学年に所属し、学年の様々な仕事をサポートしながら教科担任を行うというような仕事をさせていただきました。その中で、私は、先輩方にお願いをして、様々なクラスに入れていただいて、その先輩方の授業を見せていただく、子供たちへの接し方を見せていただく、時には、集まって先輩方が保護者に対応していた話なんかを聞かせていただく、そういった期間が一年間ございました。ですので、その中で、私の中で担任像というのが何となくでき上がってくる、自分でこうやっていきたいというものができ上がってきたように記憶をしています。
ですから、やはり、今、私の地元でも、学校で二人ほど若い先生が辞めたなんという話も聞いて非常に心を痛めています。そういった、特に新卒の若い教師の方には、今回行われているような教科担任制の拡大なんというふうに定数を増やしていただいて、できれば担任を外していただくなんということも一つ必要なのかなというふうに考えております。
また、先ほども話が出ましたけれども、学校間の同僚同士のつながりというのも非常に重要だというふうに私も思っておりますので、ここに、文部科学省の方で進めていただいている主務教諭の設置をすることにより、この主務教諭が核となってリーダー性を発揮して、そういったサポートをできるのではないかというふうに考えております。
以上です。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
新任教員が、一年たって、あるいは一年待たずに辞めていくという状況、本当に私は深刻だというふうに思っております。私自身、前職が教員養成学部で勤めていたこともあって、同様の新任教員の苦境というのをいろいろなところで聞いております。
その上で、同じようにアメリカでも教員不足があって、新任教員が得られないというときに、待遇を上げるだけではなくて、これをどう支えるかということが議論されてきました。必ず教員の指導教員というのをメンター教員としてつけるという形や、あるいは、すごくベテランの教員とともに一年間を過ごして教職を学ぶというレジデンシープログラムなど、いろいろな仕組みができております。
こういうことから学ぶならば、例えば、今お話がありました新任教員の副担任制ということであったりですとか、あるいは、新任教員がゆっくり授業準備ができるように新任教員のこま数の制限ということですとか、研修時間の確保、教材研究時間の確保、これを、空き時間としてではなくて、校長やほかの教員が人手が足りないということで仕事を入れられない時間として確保していくということなどが支援につながるというふうに思っております。
しかしながら、これは、新任教員だけをどういうふうに優遇するかではなくて、新任教員を支える教員をやはり支えていかなければいけない、それには教員のゆとりというのがないと、なかなか周りの先生方が新任教員を育てようという意識になってこないというところで、やはり十分な人員というものが必要になってくるというところかなと思っております。
○西岡(義)委員 ありがとうございました。
時間になりましたので終わります。本日はありがとうございました。
○中村委員長 次に、浮島智子君。
○浮島委員 公明党の浮島智子です。
本日は、四人の参考人の皆様におかれましては、貴重なお時間をいただき、御意見を賜り、大変にありがとうございます。心から感謝を申し上げさせていただきたいと思います。
我々公明党は、この法案につきまして、昨年の秋から、有識者の方々から四回にわたるヒアリング、そして戸田市立の新曽北小学校の視察にも行かせていただき、党内で相当の議論をさせていただき、十二月の二十三日にあべ大臣に申入れを、提言をさせていただきました。
新曽北小学校の視察の際には、戸ヶ崎教育長から様々御教示をいただきましたこと、改めて御礼を申し上げさせていただきたいと思います。
また、公明党があべ大臣に提出したこの提言においては、本法案が定めるとおり、教職調整額の引上げは必要不可欠であることを前提とした上で、働き方改革に、めり張りの、応じた給与体系の構築、これを提唱させていただきました。また、新たな職ということで今回言わせていただいたんですけれども、学級担任や特別支援教育担当といった職責を正しく評価してほしいということで新たな役職、級の創設、そして、勤務時間内で業務を終えられる環境整備を前提として、やむを得ず勤務時間外に行う業務について新たな手当の創設というのを提案させていただきました。
また、国や地方自治体、地域社会を挙げて取り組む緊急改革期間の設定、それと勤務間インターバルの導入、そして支援人材の更なる配置、教科担任制の拡大、教職員定数の改善というのを求めさせていただいたところでございます。
また、現場の各学校のマネジメントを支えているやる気のある中堅の方々、若手の教師と直接意見交換もさせていただきました。そしてたくさんのお声をいただいたんですけれども、今回の法案のとおり、教職調整額を引き上げ、教職員全体の処遇改善、これを図ることは賛成である、でも一方で、中核としてフル回転している中堅そして若手教師としては、自分たちの頑張りや取組についても適正に評価してほしいというお声をたくさんいただきました。
そこで、戸ヶ崎参考人と渡辺参考人と梶原参考人にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、今回の法案においても主務教諭、これが創設が盛り込まれましたけれども、今後、検討課題として、学校の働き方改革は徹底的に進めつつ、これは当たり前、やっていかなければなりません、それと同時に、学校のマネジメントの中核として頑張っている中堅、若手の教師について、更に新たな役職、級や新たな手当により適正な評価がなされるように知恵を絞るべきだと私は思いますけれども、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○戸ヶ崎参考人 御質問ありがとうございます。
本当に、うなずきながらというか、ごもっともだなということでお伺いをしておりました。
まずは、主務教諭のことについては、やはり学校というのは従来から鍋蓋組織というふうに言われていて、管理職は校長と教頭だけの鍋の蓋で、あとは平らであるようなことが、必ずしもデメリットばかりではなくて、メリットとしては、一般の組織よりもスピード感を持って運営ができる、そういうメリットもあるわけですけれども、やはり、様々な今教育課題等が複雑化されている中で、浮島先生が今言われたように、組織マネジメントということをもっともっと学校は重視していかないとなかなか回らない時代になってきている。
そういう中にあって、従来の鍋蓋組織だけで、管理職がただリーダーシップを取って取り組んでいって、あとの教員に任せたよというだけではなかなかうまく回らない。そこに、主務教諭という立場で、中間に、中にいて、保護者との連携だとか、様々学校の中のマネジメントを強化していくという役割というのは、極めて重要な役を果たしていくのではないかなというふうに思っています。
また、それぞれ頑張っている教員が報われるようにということでは、今、人事評価システムのようなものも導入されているわけですけれども、ここが本当に機能しているのかというと、正直、本市の教育委員会としても、たくさんの課題があるなというふうには思っています。そこまで自分の頑張りが、きちっと正しく評価して、次へのモチベーションにつながっていることができているのかというと、ここに大きな課題がある。
そのためには、先ほど来出ているように、そこに校務DXを取り入れたりだとか、又は、そのマネジメントということに対してもっともっと一般の教員も学んでいかないと、先ほど来申し上げている経験と勘と気合という、これに支配されている学校現場を変えていかないと、やはり、一定のエビデンスなり、私は二Kというふうに呼んでいるんですけれども、科学と検証という、こういう視点からも、マネジメント、学校の課題を見ていかないと、なかなかそういった課題の解決にまで向かわないのではないかなと。非常に、御指摘いただいたことは大事な課題として受け止めて、今後も推進していきたいなというふうに考えております。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
様々な、教職員にやる気をということで御意見いただいたかと思います。
現在、今もお話がありましたが、今回の主務教諭につきましては様々な主任が想定されている、例えば、特別支援のコーディネーターであるとか、その他、各職種によっても様々負担の大きい業務、そういったものにこの主務教諭が想定されているのかなというふうに感じております。一つは、そこでしっかりと手当をつけるというのが大事かなと思います。
あともう一つは、先ほど戸ヶ崎参考人の方からもお話がございましたが、ただいまの人事評価制度、教職員評価の制度、これも行われているところであります。こちらにつきましても、これを基に手当の拡充がされているのかなというふうに承知をしております。
ただ、先ほどもおっしゃったとおり、この評価のシステムについても様々御意見があるのかなというふうなことも聞いているところです。ですから、この評価のシステムがしっかりと機能するようになれば、これで若手の教員、そういった人たちにも手当てができるのかなというふうに期待をしています。
様々な面で、教員勤務実態調査を基に今回教職調整額の引上げを行っていただいたわけですけれども、今後も引き続き調査を行っていただいて、負担の大きい職にはしっかりと手当を引き続きつけていっていただきたいなというふうに考えております。
以上です。
○梶原参考人 御質問ありがとうございます。
主務教諭については、私どもの中では評価が分かれております。ただ、一つ言えるのは、主幹教諭が導入されたときと同様に、経験豊かな教員の専門性発揮のものであり管理職ではないという確認、そして、導入に当たっては職員組合との十分な協議をすることが重要だというふうに思っております。さらに、自治体の任意配置であること、そして、民主的な職場であり続けられるような制度設計が必要だなというふうに思っております。
新たな職の、めり張りをつけてということでも質問がありましたけれども、私も、現場の頃に生徒会の担当を担ったとき、本当に負荷がかかって、もう叫びたくなるぐらいの負荷がかかったことがありますけれども、先ほど申し上げたように、やはり同僚性が確保できていれば、先輩が助言をくれたり、後輩が何かやりますよと助けてくれたり、そういう同僚性が発揮されることが一番重要だと思っておりますので、学校現場に余り格差を持ち込むべきではないというふうに考えております。
学校現場に評価制度が持ち込まれたときに、幾つかのメーカーの方に聞きました。その幾つかのメーカーは既に評価制度が入っているところですけれども、どんなですかと聞いたら、がちがちにやればやるほどみんなの守備範囲が狭くなって、野球に例えると、二遊間とか三遊間が、今までは飛びついてゴロで処理できていたものが、抜けてしまってヒットになる、いわゆる製品の歩留りが改善されなくなってしまう。そこで、そこの職場、会社については、評価制度はもっと緩くして、余り差をつけないようにしたというふうなことを聞いております。
ですから、学校現場とすれば、処遇改善を図るのであれば、同僚性の確保の観点から、義務特手当で一律に上げていく、それから本給の改善をして全体として上げていって、余り差をつけるべきではないというのが私どもの立場であります。
以上です。
○浮島委員 ありがとうございます。
また、私が思っているのは、大切なのは、教師の目線に立って、過重な負担を特定の教師に課すような状況を改善する具体的な枠組みが必要であると思っております。
教師の方々は、余りの過重な負担で倒れそうになっても、子供のため、学校のためということで頑張ってしまうということが多くあると思うんですけれども、制度的には、都道府県の人事委員会が企業における労働基準監督署のような役割を果たすということになっておりますけれども、現実には十分に機能しているとは私は思っておりません。そこで、学校や教育委員会のみの閉じた仕組みだけではなくて、社会保険労務士や法律家など外部の専門家の目を活用することが適切な人事管理を行う上で効果的だとも思っております。
そこで、地元の社会保険労務士会などと連携して、教師が自ら勤務状態について相談できる窓口を設けるといった取組をモデル的に実施してはどうかと思うんですけれども、四人の参考人の御見解をお伺いしたいと思います。
○戸ヶ崎参考人 ありがとうございます。
今の浮島先生のお話は、これから本市も取り入れていかなくちゃいけないなという段階の状態ですので、まだ実践をしているわけではないので何とも言えないんですけれども、確かに、おっしゃるように、内部だけの閉じた目線で考えてもなかなか解決できていないというものを、やはり外側からの目でもしっかりと一定のエビデンスに基づいて見て、助言してもらうという制度は、非常に重要であろうというふうに思っています。可能な限り導入に向けて努力をしていきたいなということとともに、あわせて、私は、いろいろ教員とか校長も含めて学校に申し上げているのは、大事なことというのは、助けてが言えるということじゃないかなと私は思っているんですね。
最近、ヘルプシーキングなんという言葉でも言われていますけれども、自分一人で抱え込んでしまって、なかなか教員というのは、自分が守らないといけないんだという思いで抱え込むということがあるわけですけれども、しっかりと、校長も含めてですけれども、教育委員会にしっかり助けてくれという、そういうヘルプシーキングができるということをやらないといけない。
この力というのは、昔からよく有名な桃太郎の話で、犬、猿、キジ、これを桃太郎が連れて鬼退治に行くわけですけれども、それぞれ桃太郎にはない、犬にある機動性、さらには猿にある知恵、またキジにある俯瞰力というんですかね、そういった総合的な、自分にはない力をかりながら、そういう力、自分のモチベーションも上げながら、ほかの力を遠慮なく存分にかりて運営していくということが重要なんだろうと。
ですから、先ほど来あるその労務士の話も、外側の力を含めて、これからもできるだけ外の目を入れながら考えていかなくちゃいけないなという思いを強くいたしました。
ありがとうございました。
○梶原参考人 御質問ありがとうございます。
私どもも、この労働基準監督機能は大変重要だと思っておりまして、今おっしゃられた外部の目を入れるというのは本当に重要なことだなと思っております。
現在は、御承知のように、地公法四十六条で措置要求を自治体の人事委員会にできることになっておりますけれども、浮島委員御指摘のように、なかなか機能できていないのが実情であります。
私どもは、やはり、地公法五十八条で、地方公務員に労基法の百二条の適用が除外されております。ですから、実際には先ほどの人事委員会が労働基準監督機能を担うことになっておりますけれども、そうではなくて、労基法百二条を適用して、学校現場にもしっかりと労働基準監督署の指導監督が行き届くような、そういう機能を付与することが必要だというふうに思っております。もう大賛成であります。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
様々、学校現場にはスクールローヤーであるとかそういったところも配置していただいているところです。そういったところも含めて、外部の目で学校を見ていくというのは非常に重要ではないかというふうに私も考えます。
学校の先生というのは、先ほどから申し上げているとおり、やはり子供たちのためには非常に頑張り過ぎてしまうというところもありますから、そういったところを冷静に見ていただくというのは重要かなと。その相談する機関がどこかというのはまたいろいろ検討する余地はあるかと思いますが、現在でもメンタルヘルス等をやっていただいていて、そういった受皿をしていただいているところかと思いますので、私も相談機関については余り詳しくはないんですけれども、そういったところも検討していただければというふうに思います。
今回、法改正に伴って、地域運営協議会への学校の計画の公表なんということも位置づけられていますが、そういったところで、学校が地域運営協議会に対して計画を公表して、その進捗状況を必ず説明しなくてはいけないというところも今回ありますので、そういったところも一つしっかりとやっていただけると、働き方改革が進んで教職員の業務負担も減っていくのではないかというふうに考えます。
以上でございます。
○高橋参考人 浮島委員御指摘のように、人事委員会が労働基準監督機能を果たしていないという点については、教員だけではなくて、公務員全般で労働法、公務員法の観点から指摘されてきたところであります。
その意味で、社労士ですとか労働弁護士、さらに、場合によっては労働基準監督署というのを第三者の目としてかませるというのは非常に重要なアイデアだと思っております。
ただし、その前提として、やはり、今日私が陳述させていただいたところですけれども、労働基準法を超えた労働時間が労基法違反だということを明確にしなければ、給特法上の運用だと言われてしまうと、社労士や労働基準監督署も機能することができないんじゃないかというふうに思っております。
このため、そのアイデアを有効にするためにも、まずは教員の時間外労働が労働時間であるということを明確にしておく、そのような立法措置が必要になってくるのではないかと思っております。
以上でございます。
○浮島委員 時間になりましたので、終わります。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
参考人の皆様、よろしくお願いします。
自己紹介がてら、この文科委員会で給特法改正の議論をしていますけれども、そのときの私の専らのスタンスというのは、あらかじめ申し上げておきたいと思いますが、とにかく残業代を払ってください、そういうことなんです。お願いだから残業代を払ってということばかり、専らそういう質問を重ねてまいりましたので、ちょっと一問目は違うことをお聞きしておきたいなと思います。
まず、高橋参考人にお伺いします。
今回、主務教諭の新設というのが法律で、法改正で提案されておりまして、高橋参考人が資料三などで、東京の主任教諭の経験からして、これが思わしくないといいますか、逆に賃金が下がる、そういうめりめりのものになる可能性があるというふうにお示しになりました。
これは、文科省が義務教育費国庫負担金の算出根拠を維持することから、教諭の基本給を引き下げることは想定していないとこれまで答弁しているんですけれども、その可能性は本当にないのかなというところに非常に疑問があります。
先週の文科委員会でも、五十嵐委員と記憶していますけれども、東京都の例なども念頭に置かれているのかなと思いますが、自治体次第じゃないのかと。自治体の方がお金を下げてきたら、やはり賃下げにならないか、それを担保できるのかというような趣旨の御質問をしていたと思うんですけれども、高橋参考人は、その点、何か御教示いただけるとありがたいです。
○高橋参考人 貴重な御質問、ありがとうございます。
今御質問がありました義務教育費国庫負担金の算出根拠というのは、あくまで、その名のとおり、各自治体に国庫負担金を支出する際の算定根拠、一人当たりの教員の給与の算定根拠を示しているものにすぎません。ですので、これが算出されて各自治体に配分されたとしても、それを使わなければいけない義務というのは自治体にございません。
なおかつ、この算出根拠というのは、国が支給する三分の一のみを算出しているものです。残りの三分の二は各自治体が負担しなければならないものとなっておりますので、この自治体負担が非常に苦しくて、過去にはこの義務教育費国庫負担金の返納というものが実際に行われてまいりました。その意味で、現在、給与負担が厳しいという自治体においては、この一人当たりで送られたお金というのを、正規雇用の教員一人を雇うのではなくて、数名の非常勤を雇うことで、時間給にして安上がりにして、それで人件費を節約するということが行われてきました。
しかしながら、先週の参考人質疑で佐久間参考人がおっしゃっていたように、そのような非常勤というものをもう使い切ってしまった、枯渇してしまっているという状態になっている中で、もはや、自治体にとっては、この人件費というのを節約するすべがなくなっている状態であるということです。
この中で、主務教諭というのが導入され、給与格差をつけろと言われたならば、むしろ、教諭の基本給というものを下げるという絶好のインセンティブが与えられることになるというふうに思っています。なおかつ、その場合、給与を引き下げた自治体に対して、文科大臣から引き下げないようにというような御意見等が出ているということがありましたが、それはあくまで意見です。それに拘束力は全くありません。現在、文科省は、このような給与引下げを仮に自治体がした場合に、それを食い止めるすべは全く持っていないということをここで強調したいと思っております。
○大石委員 高橋参考人にその流れでお聞きしたいんですけれども。
確かに、このことも多くの方は御存じないかもしれませんね。国が三分の一で、自治体が三分の二だと。本来ならば、国から満額もらえるものはもらいたいものだと思うんですけれども、しかし、三分の二を賄うことが難しいことからもう返納までしないといけないというのはかなりのものであり、このようなことが実際に起きている以上、その可能性が高いのではないかと思います。
そうしますと、やはり、国庫負担の国負担分というのも、やはり国がもっと負担していくべきではないかと私は考えますが、高橋参考人は御意見ありますでしょうか。
○高橋参考人 御質問ありがとうございます。
私は、まず、この国庫負担金の負担率というのを元々の二分の一に戻していくということが最低限必要だろうというふうに考えております。
なおかつ、この負担金というものが、ちゃんと各教員、正規雇用教員というのをちゃんと採用できるように、非常勤で分割するというような仕組みというのをやめて、しっかりと定数配置された教員に満額が支給されるような仕組みというのが必要ではないかというふうに考えております。
○大石委員 ありがとうございます。
高橋参考人に二問聞いてしまいましたので、次は、それ以外の戸ヶ崎参考人、梶原参考人、渡辺参考人にお伺いしたいと思います。時間が余れば、また高橋参考人にそのことも聞きたいと思います。
お聞きしたいのが、残業代、お願いだから払ってください絡みなんですけれども。先週も参考人質疑が行われまして、そのときに、中教審のメンバーの方も参考人に来てくださったんですね。そのときに、私、時間外在校等時間、これは労働ではないですかと言ったときに、その参考人のメンバーの方も労働時間ですというふうにはおっしゃっていただいたんですね。何というか、だけれども、聖職者論だったりとか、自発性の問題だというふうにもおっしゃっていて、私は、それは全否定はいたしませんが、そこはおいてでも、やはり労働者ですから、何らかの、時間外在校等時間、労働時間というところにお金が措置されるべきだと思っているんですよね。そういった自治体の実例もありますので、そういうふうに幅広く公務として認めてお金を出していくという仕組みは、これは認められたり、普及していくべきではないかと考えるんですけれども。
一つの例として、大阪府。私、大阪府の元々職員だったんですよね。大阪府の教育委員会が二〇一二年から既にこうしているんですけれども、部活動なんですけれども、特に公式戦。公式戦に出るとなれば、先生方が連れていかなきゃいけないし、事前の先生方の会議とかもかなりみっちりあるらしくて、それを、二〇一二年から公務とみなして、既に導入されているんですよね。
例えば、これ、午後からの質疑の資料にはしているんですけれども、今回は配付できなくて残念なんですが、例えば、生徒引率を伴う公式戦への参加だったら旅費の支出は可とする、公務災害の適用、これも適用だ、週休日等の振替等も可ということで、時間外に、公式戦とか、土日にあるわけですけれども、それを、振替休日も可だということなので、日中、平日の労働と振り替えるわけですよね、そこまで可という形で、公務とみなしてやっているという制度は、これはもうやっていった方がいいんじゃないかなと考えるんですけれども、その考え、公務として広げていくということ、いいんじゃないか、それはどう思いますかということと、このような例、私は大阪の例を出しましたけれども、全国でそのような事例があれば教えてください。
○戸ヶ崎参考人 ありがとうございます。
私の立場はあくまでも服務監督権者という立場ですので、給料の支払いをやっているわけではないので、任命権者としての回答というのはできないんですけれども、様々、手当等について充実していくということに対しての反論というのは当然ないと思いますけれども。
そこが、先ほど来申し上げているように、時間外勤務手当ということになってきた場合に、現行の給特法の中では、御存じのとおり超勤四項目、昔から歯止め四項目というふうに言われていたことですけれども、それ以外には時間外勤務を命じることができないということについては、ここは遵守していかなくてはいけないんだろうなというふうに思っていますし。
だからといって、やはり大事なことというのは、先ほど来お話も出てきていますけれども、学校のマネジメントという、いかにして時間外をなくすか、そういうマネジメントは並行してしっかりと進めていかなくちゃいけないんじゃないかな、それを両立をしていくということが重要だろうというふうに考えています。
この給特法の問題というのは、私、これは本当に個人的な考え方ですけれども、教員というのが、私は三つの立場があるというふうに思っていて、それは、一つは学びの高度専門職としての立場、それからもう一つは労働者としての立場、さらには教育基本法にある崇高な使命というか、それを担うための専門職業人としての立場、この三つの立場を処遇しているのがこの給特法なのではないかなというふうに思っています。
ただ、これは正直、表現が正しいかどうか分かりませんけれども、ガラス細工のような、ガラス細工をするような非常にセンシティブで難しいところがあって、さらには、いわゆる給特法だけではなくて、先ほど来出ている労基法だとか、さらには、今、先ほど話は出ていませんでしたけれども、様々なそれ以外の法律なんかとも絡み合わせて、それぞれのずれというんですかね、法律の中にある微妙なずれみたいなものというのがなかなか、過去の方々も、それから現在もそうですけれども、知恵を出しながら、どこでうまく合わせたらいいかということに苦慮しているんだろうなというふうに思っています。
ただ、目的は、ここは強調しておきたいのは、教師という人が様々リスペクトされて、しっかりと正しい処遇をされて、働きやすい職場で働きがいを持って仕事をしてもらいたいという思いはみんな同じなんじゃないかなというふうに思いますので、ちょっとそのことだけ強調させていただいて、全然答弁になっていないんですけれども、終わりにしたいと思います。
ありがとうございます。
○梶原参考人 ありがとうございます。
労働か否かというところでいくと、この給特法の仕組みが本当におかしなことになっている一つの例として、子供たちの評価に関わるテストの採点、中間テストが終わって、例えば四時から採点を始めました、定時の五時までの採点はいわゆる業務で、それを過ぎると、五時を過ぎると、今の給特法では自主的、自発的勤務。生徒の、子供の評価に関わるこんな重要な業務にもかかわらず、自主的、自発的と整理されてしまう、これはおかしいと私ども思っております。ですから、そういう、もう合わなくなっているというのが一つ。
それから、先ほど部活動のことが出ましたけれども、これもやはりおかしなことになっていて、平日の五時以降の部活動については何ら手当は払われません。先ほどの自主的、自発的勤務で整理されています。ところが、公式戦もそうなんですけれども、土日の勤務に関しては、これも自主的、自発的勤務とはいいながら、特勤手当、業務手当が支払われていて、これは校長が判こを押していますから、校長の、ある意味、指揮命令があるものと思っておりますけれども、そこが労基法と給特法のずれが明らかになっているところであります。
ですから、私どもの立場とすれば、限定四項目というのはもう合わないものですから、給特法の六条の削除が必要。学校でやっているものは全て業務。学校の中にいて、例えば時間外、また時間内もそうですけれども、本当に高度な学術書を読んでいる教員はなかなかいないと思いますね。それは家に帰って読めばいいわけであって、学校の中で行っていることは子供に関わることですから、全て業務だと思っております。
以上です。
○渡辺参考人 御質問ありがとうございます。
私も超勤四項目につきましては、やはり遵守すべきだというふうに思っております。
様々な業務、教職調整額の仕組みをしっかりと維持して、その中で私たちの業務を行っていくというのがやはりいいのかなというふうに先ほどから申しているとおり考えております。
その中で、部活動については、私も携わっていまして、やはり土日の児童引率であったりとか、土日の部活動、平日のちょっと長い時間の部活動なんかもそうなんですけれども、そういったこともありますが、部活動も、現場に聞くと、様々意見が分かれるところです。部活動が大変負担になっている、部活動をしっかりやっていきたい、これは子供たちの成長のためにも非常に大きなものだという意見もあります。
その中で、私が是非お願いしたいのは、部活動の改革をしっかりと進めていただいて、部活動の地域への移行、それを行った上で、それで教職員の中でも部活動を担当したいという者にはしっかり兼職、兼業の仕組みを整えていただくことが一番いいのかなというふうに考えております。
以上です。
○大石委員 せっかくですので、高橋先生もこの件に関して、何か一言、労基法との整理などでも御回答いただけたらと思います。
○高橋参考人 手短にお答えさせていただきます。
私も、部活動を含めて公務にすることには賛成です。そこで、公務として認め、旅費が支給され、特殊勤務手当というのが支給されるのであれば、それは紛れもなく労働時間に該当します。それゆえ、これは超勤手当を支給すべき対象業務として明確にすべきだというのが私の見解です。
以上でございます。
○大石委員 参考人の皆様、ありがとうございました。
終わります。
○中村委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。(拍手)
午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き、内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、厚生労働省大臣官房審議官森真弘君、大臣官房審議官尾田進君、経済産業省大臣官房審議官浦上健一朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。木原稔君。
○木原(稔)委員 自由民主党の木原稔です。
給特法の在り方については、午前中も参考人の方々から様々な意見陳述をいただきましたが、自由民主党の中でも令和の教育人材確保に関する特命委員会というのが設置されておりまして、歴代防衛大臣の方々を中心として、多くの議員で、この問題について根本から、しかも長い時間をかけて議論を行っております。その結果、令和五年五月に取りまとめた提言では、教師の処遇について、教師は崇高な使命を有する高度な専門性と裁量性を有する専門職であるということを踏まえ、教師の職務の特殊性等に基づいた処遇とする必要があるというふうにいたしました。その上で、複雑化、多様化する教育課題への対応の必要性などを踏まえ、教職調整額を少なくとも一〇%以上に増額する必要があるということを提言としてまとめたところです。
教職調整額の仕組みを維持した上で、その率、ここがポイントです、率を引き上げることによって教師の処遇改善を行う意義について、本日の質疑を通じて明確化していきたいと思っています。
それではまず、教職調整額の仕組みが設けられた経緯と、今回、教職調整額の引上げにより処遇改善を行う目的について、文科省から端的にお願いします。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
教職調整額につきましては、昭和四十六年に人事院から、教育が特に教員の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなどを考慮すると、その勤務の全てにわたって一般の行政事務に従事する職員と同等な時間管理を行うことは必ずしも適当ではなく、とりわけ超過勤務手当制度は教員になじまない旨の説明とともに、新たに教職調整額を支給する制度を設け、超過勤務手当制度は適用しないこととする等の必要がある旨の意見の申出が行われたことを受けまして、教師の職務の特殊性等に基づき、勤務時間の内外を包括的に評価し、給料月額の四%を、単なる手当ではなく、期末・勤勉手当や退職手当、年金の算定の基礎ともなる本給相当の支給とするものとしてその率が法律上明記をされる形で導入された仕組みであると承知してございます。
今般の教師の処遇改善におきましても、専門職である教師にふさわしい処遇を実現するため、この本給相当である教職調整額の率の引上げを中心に処遇を改善することとしているところでございます。
○木原(稔)委員 局長から答弁をいただいたとおり、教職調整額は、教師の職務等の特殊性を踏まえて勤務時間の内外を包括的に評価するものとして給与月額の四%に相当する額が支給される、そういう仕組みです。この率を一〇%まで引き上げていくというものです。
この際、教職調整額の率の引上げという手段によって処遇改善を講じる意義を確認するため、再度政府に確認をいたします。
人材確保法、人確法に基づき創設された義務教育等教員特別手当、いわゆる義務特手当ですが、その支給根拠と支給水準の変遷について簡潔にお答えください。資料はもう皆さん方にお配りをさせていただいております。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
義務教育等教員特別手当は、教育公務員特例法第十三条第二項に基づきまして、教師が担っている業務全般を評価する手当として支給されてございますけれども、支給水準は法律上明記をされておらず、支給水準は予算で決定されており、最終的には各自治体の条例で定められることになるわけでございます。
義務教育等教員特別手当の支給水準につきましては、昭和五十年一月に創設をされましたが、その際は本給の四%に相当する額として措置され、その後、昭和五十二年度に本給の六%に相当する額へ改善されましたが、定額の手当でございますため、本給改善が進む中で相対的には水準が低下しまして、平成十九年度には本給の三・八%程度の水準となったところでございます。さらに、平成二十年度以降、政府全体の歳入歳出一体改革を踏まえまして、順次の引下げが行われ、平成二十二年度以降は本給の一・五%程度の水準となっているところでございます。
○木原(稔)委員 ポイントは、この教育公務員特例法に規定される義務特手当というものは、その支給水準は予算で決まるということですね。予算は単年度ですから、最終的に各自治体の条例で定められることになります。その結果、財政事情等によって支給水準が引き下げられる可能性があります。これまでもそうなっています。
一方で、教職調整額は、その率が法律に規定されています。このため、その率の変更というのは、これは法改正が必要です。それは国民の代表である我々が国会での審議をし、それを経なければ引き下げられることがありません。また、給料月額に対する率が規定されていることから、人事委員会勧告等によって本給が改善された場合には、連動して教職調整額の額も増えることもあります。
まさにこれは、大きな意義のあるベースアップであり、知徳体を一体的に育み、子供たちの全人格的な完成を目指す日本型学校教育の担い手である教師に対する敬意をその処遇として表すことにつながるというふうに自民党としては考えたわけであります。
ちなみに、自衛官ですけれども、自衛官についても、これは時間外手当ではなくて、その職務内容を踏まえて、ほかの公的な職種に比べて本給が優遇をされているという、近い制度になります。
また、自民党の特命委員会の提言に戻りますけれども、時間外勤務手当化の危険性についても指摘をいたしました。
仮に時間外勤務手当化する場合には、今日、朝の参考人からもありましたけれども、各学校で三六協定を締結する必要があり、それは管理コストが増大するということ、また、教育の成果は必ずしも勤務時間の長さのみに基づくものではなく、外形的な時間外勤務の状況のみならず、真に頑張っている教師が報われる仕組みとする必要があること、そして、県費負担の教職員制度の下で、自治体間の格差や業務の持ち帰りを誘発するおそれがあること、そういったことから、時間外勤務手当化は取るべき選択肢とは言えないというふうに自民党の特命委員会では結論づけました。
ところが、ところがです、十一月二十九日、昨年ですが、そこで取りまとめられた財政審の建議では、時間外在校等時間が月二十時間、まあ一〇%相当に達する際に教員ごとの所定外の勤務時間に見合う手当に移行することを検討することが考えられるというふうに、あたかも時間外勤務手当化を検討するような表現が盛り込まれたところであります。これはちょっと驚きました。
最終的には、年末の財務大臣と文科大臣との合意を経て、今回、教職調整額を一〇%に引き上げることを含む給特法改正案が国会に提出されることにはなりました。
こうした経緯を踏まえて、今日、財務省にも来てもらいましたから、確認します。
あくまでもこれは財政審の建議ですので、財政審ではありますけれども、仮に時間外勤務手当化するとした場合に、時間外勤務手当を支給するために必要な国費負担分は、これはキャップをかけずに、上限を設定せずに、国の責任において負担することになるというふうに、当然そう考えられますけれども、財務省ではその覚悟があるのかどうか、見解をお示しください。
○東大臣政務官 お答えをいたします。
委員が先ほど触れていただきました、まさしくこれは十二月二十四日であったと思いますけれども、財務大臣そして文部科学大臣との折衝、そして大臣合意の中で、教師を取り巻く環境整備に関する合意においては、将来の給特法及び教職調整額の在り方については、文部科学省において、時間外在校等時間が月二十時間程度に到達するまでに、幅広い観点から諸課題の整理を行うというふうにされているところでございます。
国庫負担の在り方についてもこの過程において検討を行っていくものというふうに考えておりますけれども、今し方、現時点では、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。
以上です。
○木原(稔)委員 全ての時間外勤務手当の支給に要する国費負担分の経費を支給するというような明確な答弁は得られないわけであります。
すなわち、仮に時間外勤務手当化したとしても、財政審で示唆されているように、時間外勤務手当二十時間分までしか国費負担はなされずに、それを超えた時間外勤務手当の支給に要する経費は、給与負担者であるのは、都道府県・指定都市教育委員会又は服務を監督する市町村の教育委員会が負担するということになるわけであります。つまり、自治体の財政力によって、どれだけ時間外勤務を行うことができるかは変わってくる。すなわち、教育活動の量が自治体の財政力の違いによって規定されてしまうということになるわけです。
ある意味、地方自治体によって、色はあっていいと思うんですね、経済政策とか子育て支援策とかは首長さんの判断によって。そういうのはめり張りが出てくることは仕方ないと思うんですが、事この教育については、教育基本法に定められる教育の機会均等というのがありますから、これをやはり阻害するということはできないというふうに思います。
そうした考え方で今回の政府提出法案を見たときに、一点、最後に大臣に明確に確認をしなきゃいけないことがございます。
附則第三条において、法施行後二年を目途として、必要があると認めるときには、その結果に基づいて、教職調整額に係る率の変更を行うことを含め、必要な措置を講ずることが規定をされておりますが、この附則第三条の検討規定における必要な措置は、勤務条件の更なる改善のために、教職調整額の率の引上げの前倒しを含む必要な措置であるというふうに私は考えます。
間違っても、給特法を廃止し、時間外勤務手当化を行うといったことは含まれていないということを明確に確認をさせていただきたいと思います。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
本法案の附則第三条でございますが、昨年十二月の財務大臣との合意事項を踏まえまして、施行後二年、令和十年一月一日以降でございますが、これを目途といたしまして、教員の勤務の状況、また人材確保の動向、教員の給与に関する経費についての財源の確保の状況等を勘案しながら、教員の勤務条件の更なる改善のための措置について検討を行う旨規定をしているところでございます。
本法案におきましては、令和十二年度までに教職調整額を一〇%まで確実に引き上げることが担保されているところでございまして、当該規定に基づき講じられている必要な措置といたしましては、給特法を廃止し、時間外勤務手当化することは想定をしておりません。
以上でございます。
○木原(稔)委員 附則第三条の検討規定で見込まれる必要な措置の説明がございましたが、時間外勤務手当化は、これは決して含まれていないということを確認いたしました。ピン留めをいたしました。
まさにこれは、自民党が提言をした方向性に沿って、国家百年の大計である教育を支える教師に優れた人材を確保するための仕組みづくりを行うものだと私は理解をいたしました。一部批判であるような、決して定額働かせ放題などではない。教育に関する専門職である教師の裁量性を確保しつつ、子供たちに質の高い教育を届けることができる。
我々は、これからも前倒しを求めていきますし、率の引上げもまた求めてまいります。そして、教師の環境整備のために資する法律案であることを信じ、私の質疑を終了させていただきます。
以上です。
○中村委員長 次に、吉川元君。
○吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。
前回に引き続いて、附則三条に基づく教員の勤務条件改善のための検討に際し、令和四年度の勤務実態調査と同様の調査をすべきということを中心に、最初に質問させていただきたいというふうに思います。
十六日の委員会では、局長の方から、現時点ではという限定つきでしたが、教育委員会を通じた取組状況調査を通じて把握していくことが望ましいのではないか、こういう答弁がされております。
前回も出させていただいた資料を今日も出させていただきました。これは、表一が令和四年度の勤務実態調査。これは、当時の局長の弁によりますと、精緻に調査をしたものであるという答弁がたしか委員会の中であったというふうに思いますけれども、以前。これが勤務実態調査です。前回、表二の話をしましたが、今日は表三の方も見ていただければと思います。
これは、先ほどから述べております、教育委員会が行う調査で、学校の働き方改革の取組状況調査。まさに、前回の局長答弁では、この取組調査を通じて把握をしていくことが望ましい、このような答弁があったわけです。これは、前回も申し上げましたが、余りにもずれているんですよね。
例えば、前回は、表二の話をした際には、ここには校長だとか事務職員が入っているというような答弁がございましたが、だとすれば、表三の方、こちらの方は教諭のみの調査となっております。令和五年度です。
令和四年度の勤務実態調査を見ますと、四十五時間未満が三五・六%。ところが、令和五年度の取組状況調査によると、七五・二%が四十五時間以下になっている。いわゆる過労死ラインと言われる八十時間を超えるもの、勤務実態調査の方は八十時間でうまく計算できないので八十五時間以上ということで示しておりますが、こちらだと、小学校一四・二。ですから、七人に一人が過労死ラインで働いている。それから、中学校教諭については三六・五ですから、三人に一人以上が過労死ラインで働いている。これが、教育委員会の調査によると、表三ですけれども、小学校では、八十時間を超える人は僅か一・六%。中学校については、多いですけれども、それでも八・一%。
これは、本当に実態に即したものだというふうに依然としてお考えなんでしょうか。
なおかつ、取組状況調査に基づいて実態把握をするとすれば、ほぼほぼ、完全ではないですけれども、働き方改革が大きく進展をしたというふうに数字上は見えてしまいます。そういう認識を文科省はお持ちなのか。
ですから、私としては、教育委員会における学校の働き方改革の取組状況調査を基にして勤務実態の把握をするというのは、やはり無理筋といいますか、ではないのかということを指摘させていただきたいと思いますし、その点について、どのようにお考えなのか。
なぜこれほどずれるのか。これが、多少違っていても、ほぼ同じ数字であれば、取組状況調査でも私は代替できると思いますが、ここまでずれていると、これは代替できない調査だ、実態と乖離した調査だと私は言わざるを得ないと思いますが、この点、どう考えておられるのかということ。
それから、前回も指摘いたしましたけれども、やはり、持ち帰りの残業時間というのはきちんと、何を持ち帰ったのかということも含めて調査を私はすべきだというふうに思います。前々回、一般質疑の際にも、令和四年度の調査を基にお話しさせていただいたところ、成績処理あるいは授業準備が少し減っている、合わせると八分、九分ぐらい減っているんですけれども、持ち帰りがまた八分、九分増えている、同じ割合で増えているわけです。
とするならば、これから先、先ほど、何か、残業代を支給するようになると持ち帰りが増えるというようなお話がありましたけれども、今のこの状況の中でも持ち帰りが増えているわけです。とするならば、何を持ち帰っているのか、どのぐらい持ち帰ってどのぐらいの時間をやっているのかというのも、これも調査をすべきですし、それからあと、休憩時間、これについても令和四年度はきちんと調査をしています。これについても、きちんと休憩が取れているのか、この点についても調査項目の中に加えるべきだ。
もちろん、令和四年度の調査は非常に精緻な調査ですし、回答するのが非常に大きな負担だということは再三にわたって答弁されておりますから、全く同じスペックでやれとは言いません。しかし、少なくとも、教育委員会が行う取組状況調査、これでは代替できないし、かえって、これをやると実態が見えなくなる。その点についてどのようにお考えなのか、答弁を求めます。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
今、吉川先生からいただいた資料、令和四年度の勤務実態調査とともに、いわゆる教育委員会調査、我々の取組状況調査の四年度と五年度の状況をお示しいただきました。
この数字の違いでございますけれども、勤務実態調査につきましては、月四十五時間以上の時間外在校等時間がある者、これは、十月、十一月の週当たりの総在校等時間から推計をしたものでございます。そこに留意をする必要がございます。
他方で、教育委員会調査では、令和五年度でいきますと、一年間を通じた月四十五時間を超える教員の割合を、教育委員会が計測、把握できるものを全て、教員から正確に記録したものをいわば平均したものでございます。
また、調査の対象時期についても、令和六年度の教育委員会調査、一番下のものですけれども、これは八月などの休業日を含んでいる令和五年度の一年間を通じて把握された時間外在校等時間が基になっているものでありまして、これに対して、八月分を除いている教員勤務実態調査の推計方法では時間外在校等時間が多くなる傾向があるのではないかというのは、一つ、分析としてございます。
その上で、休憩時間の確保のこと、あるいは持ち帰り時間のことというのもしっかり把握すべきではないかという御質問をいただきました。
休憩時間の確保につきましては、これは、労働基準法で定められた休憩時間を、これはもう確実に確保するということが前提で、必要でございます。業務の持ち帰りにつきましても、これは本来行わないことが原則でございまして、指針においてこれを明記をしているところでございます。
こうした、休憩時間の確保、あるいは業務の持ち帰りをしないということにつきましては、服務監督権者である教育委員会や校長などの管理職が責任を持って取り組むことが必要だとは考えてございます。
休憩時間や持ち帰り時間に対する調査につきましては、そうした勤務実態調査について、三十分刻みで全て一日の業務を事細かく記録をプロットしていかなきゃいけないという、そうした作業が発生し、それをインターネットを経由して送ってもらうということになっておりますけれども、かなり学校現場に負担が大きかったということは、この間も申し上げたとおりでございます。
特に、持ち帰り時間につきましては、自己申告によらずに実際に業務を行っていた時間を正確に把握することが難しいという面もあるわけでございまして、慎重な検討が必要であるとは思ってございます。
今後、どのような形で御指摘のような時間というのを把握できるかは検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○吉川(元)委員 教育委員会との違いが生まれる理由というので、八月が入っているだとか云々かんかんと言われます。
傾向が同じであれば、それはそれで構わないと思うんですよ。だけれども、ここまでずれているということは、それでもって、この教育委員会の調査は、ここまでずれているということは、実態を正確に反映をしていない可能性がある。これに基づいていわゆる働き方改革が進んでいるとかいうような話をされると、結局、実態が変わらないのに、数字の上だけで改善が進んだ、それだと働き方改革にならないんですよ。
先ほど、この間もそういう答弁をされましたけれども、持ち帰りは駄目だとか、休憩時間は取るのが当たり前だとか言いますけれども、それが取れていない、あるいは持ち帰らざるを得ないという実態が存在するから働き方改革をやらなきゃいけないという話をしているんでしょう。とすれば、現状がどうなっているのかというのはきちんと調査しなきゃいけないと思いますよ。
これは通告していないので答弁は要りませんけれども、過去、例えば二〇一九年の三月十八日に文科省が通知を出しています。通知名は、学校における働き方改革に関する取組の徹底について、こういう通知を出しているんですよ、当然御存じだと思いますけれども。その中に、適正な勤務時間の設定というのがあります。その中の二番目にこういうことを書いてあるんですよ、文科省が。超勤四項目以外の業務について、早朝や夜間等、通常の勤務時間外にやむを得ず命じざるを得ない場合には。これは命じたらいけないんじゃないんですか、そもそも。だけれども、通知では、命じる場合にはと言っているわけですよ、文科省自身が認めているわけですよ、そういうことが起こっていると。
とすれば、持ち帰りだとか、あるいは休憩時間というもの、それは、持ち帰っちゃ駄目だと前も大臣もそういうふうにおっしゃっていましたけれども、そうじゃない実態があるんだったら、それをきちんと把握をする調査をすべきだ。
なおかつ、フルスペックは難しいのは私も理解します。だから、少なくとも、それをもう少し簡易にしたもの。それで、今言ったような項目を入れて、実態を正確に把握をする努力を文科省はしなきゃいけないんじゃないんですか。間違っても教育委員会の調査で代替するようなことはないということでよろしいですか。
○望月政府参考人 御承知のとおり、勤務実態調査はかなり負担が大きいという観点もございますので、今後、全国の教師の時間外在校等時間の状況を把握していく際には、数年に一度ではなくて、やはり毎年、毎年度、全ての教育委員会を対象として、しかも、一部の教師の一部の期間のデータのみからではなくて、調査を継続して行っていくということが必要だと思っています。時間外在校等時間の状況をできる限り正確に集計する可能な方法につきまして、継続的に推移を把握していくことが望ましいというふうに考えてございまして、調査の在り方については検討してまいりたいと考えてございます。
○吉川(元)委員 目的は、働き方改革をきちんと進めていく、そのための実態調査だということで、しっかり検討をしていただきたいというふうに思います。
次に、大臣合意について何点か聞こうと思ったんですが、これはもう要望だけさせていただきます。
先ほど、木原委員からも質問があって、ピン留めしたというふうにお話ししていましたけれども、私、働き方改革の進捗状況も含めて見たときに、給特法の在り方について、やはり、そこら辺も含めて検討をしなきゃいけない。もし仮に働き方改革が進んでいくのであれば、きちんと、時間外在校等時間が大幅に縮減をされるだとか、そういう事態にでもならない限り、やはり、給特法というのはどうしていくのか、見直しの検討の対象に私はすべきだということを指摘をさせていただきたいと思います。
次に、少し飛ばしまして、授業時数について伺いたいというふうに思います。
先日の参考人の質疑の際にも、参考人から、教員一人当たりの持ち授業数の削減、標準授業時数の大胆な運用改善、さらには、教員の定数改善の必要性というのが指摘をされております。私も、どれもそのとおりだというふうに思います。
そこで、授業時数について伺います。
昨年末の、令和五年度の授業時数、調査結果が公表されて、小学校五年生で、標準授業時数千十五単位のところを、平均で千四十九・一、中二も同じく千十五単位が標準ですけれども、平均は千五十・九ということで、二年前の調査よりは平均値が減少はしているんですけれども、依然、標準を大きく上回っております。
ところが、十二月二十五日に出された文科省の事務連絡では、標準授業時数を大幅に上回っている授業時数を千八十六単位に設定をして、それで留意を促しております。教員の長時間労働が問題になっている今のこのときに、なぜ標準授業時数に収まるように助言をしなかったのか、この点について尋ねます。
○望月政府参考人 御指摘の千八十六単位時間というか、千十五時間が現在の小学校四年生以上の標準授業時数ですが、我々としては、少なくとも千八十六単位時間以上のカリキュラム、教育課程を編成しているところにつきましては、自らの学校での運営体制というのを考えて、見直していただきたいということを申し上げてございます。
この千八十六単位時間というのは、週当たり約二単位時間、まあ、千十五時間だから、千八十六は約二単位時間多い場合を想定した数字でございます。この場合、仮に年間の授業週数を最低限の三十五週といたしますと、一週当たり三十一単位時間の授業が必要になります。要すれば、平日五日間のうち七時限目まで授業があるという曜日が一日は生ずる計算になるわけでございます。
こうしたことを踏まえまして、年間の総授業時数が二こま以上、つまり千八十六単位時間を上回る学校に対しては、指導体制に見合った計画をするよう強く求めているところでございまして、こうした大幅に標準授業時数を上回る教育課程を編成する学校は、吉川先生今御指摘のとおり、二割弱というのが実態になってございます。
依然、学校の方でもいろいろな検討はしていると思いますけれども、こうしたことをあらゆる機会を通じて改善を促してまいりたいというふうに考えてございます。
○吉川(元)委員 私が言っているのは、千八十六にすると七時限目が入ってくるからそれ以上は駄目だよというお話の答弁でしたけれども、では、週五日六時限、全部やれという話なんですか。違うと思いますよ。それは、やはり教える側も大変ですけれども、子供たちにとっても非常に負担が大きい、そういう時数になっている。
千十五というのは、学校が土曜日もやっていた時代の時数になるわけです。ですから、土曜日半ドンといいますか午前中だけ授業がある、その時代と同じ授業時数を、今、週五日でこなさなければいけない。
そういう点でいうと、もう既に千十五でもぱんぱんなわけですよ。千八十六なんというのは問題外ですけれども、例えば千四十とか千五十でもかなり負担が大きくなっている。そういう点も踏まえれば、そもそも、標準授業時数の千十五にするように、そこまでになるようにということを求めるのが私は筋だというふうに思います。
年間標準授業時数、小学校の場合は学校教育法の施行規則で規定をされていて、つまり法的な拘束力を持っているということになると思いますが、この千十五というのは最低限の授業時数ということなんでしょうか。
○望月政府参考人 標準授業時数についてのお尋ねでございます。
標準授業時数につきましては、教育課程の基準である学習指導要領に定めた内容を指導するために必要な時間として示してございまして、年度が始まる前の計画の段階からこれを下回って教育課程を編成することは適当でないと考えているところでございます。
その意味におきましては、これが最低の基準かどうかということになりますけれども、計画の段階ではこれを下回って教育課程を編成することは、繰り返しますが、適切ではないという考えでございます。
○吉川(元)委員 では、もう一点関連して伺いますけれども、これはいわゆる下限だというお話ですけれども、では、上限というのはあるんでしょうか。この点については、上限を設定をするということはされないんでしょうか。あるいは、弾力的な教育課程の編成、これは可能にできないんでしょうか。
○望月政府参考人 地域や児童生徒の実態を踏まえまして、指導体制を十分に確保した上で、標準授業時数を上回る教育課程を編成し、児童生徒の豊かな学びのために指導の充実を図るということは否定されるものではないわけでございまして、授業時数の上限の設定は行ってございません。
例えば、その地域によって、あるいは学校が例えば公立の中高一貫などを設けているときには、その学校の体制にももちろんよりますけれども、必ずしも標準授業時数ということではなく、若干それを上回る授業時数も学校の体制によってはそれはあるんじゃないかと思ってございます。
弾力的運用のお尋ねがございましたけれども、現在、教育課程の特例校制度などを活用しまして、全国の一割の学校、大体約、小学校、中学校で二万校の一万校で、ちょっと学校数が減っていますけれども、大体二千校、約一割弱が既に教育課程の特例を受けてございまして、かなり弾力的な授業時数の運用をしているところでございます。
こうした取組は、国への申請が非常に手続が煩雑であるとか大変であるということ、これはなるべく簡素化して見直してまいりましたけれども、国への申請の手間とか範囲等の制約によって学校が常に利用可能な選択肢とはなっていないといった、そうした指摘もあったことから、より柔軟に教育課程の編成をできる形での特例校制度というものを、これまでも進めてきたり、見直してきたところでございます。
教育課程の全体の柔軟な仕組みとして、今、中央教育審議会でも審議を進めているところでございます。
○吉川(元)委員 特例校、私の地元にもありまして、これは非常に人気が高いんですよね。是非この特例校に入りたいという希望者がかなり多い。つまり、どういうことかというと、いわゆる教育課程の、今の教育課程は千十五時間という、これは子供たちにとっても非常に大きな負担になっている、その証左だと私は思います。
そういう意味でいうと、今の学習指導要領をこなすために最低千十五は要るんだというのであれば、私は、学習指導要領そのものをもう手をつけないと、結局、先生方の負担あるいは子供たちの負担、これは一向に軽減をされない、そういう状況になっていくのではないかというふうに思います。
現在の小学校の学習指導要領を見ますと、総則では、週当たりの授業時数が児童の過重負担にならないようにするものとする、このような文言があります。過重負担になる授業時数とは誰がどのように判断をされるんですか。
○望月政府参考人 学習指導要領では、各学校における教育課程の編成に当たりまして、週当たりの授業時数が児童生徒の負担過重にならないようにする旨を御指摘のとおり定めているところでございます。
具体的には、どの程度の週当たり授業時数が児童生徒の負担過重になるかは、まさにこれは、児童生徒の状況でありますとかその地域の状況によっても違います。その判断は、一義的には学校が行うものと考えてございます。
○吉川(元)委員 今ちょっと授業時数の話をしまして、その後、学習指導要領の話も少しさせていただきました。
ちょっと今から少し学習指導要領の話を中心にしていきたいと思いますけれども、小学校一年生の総授業時数、これは八百五十時間、これを三十四週で割ると、小学校一年生がいきなり一日五時間の授業を受けることになります。これは非常に過重な負担になっているんじゃないのかというふうに思います。
関連して、今日お配りした資料の二枚目を出していただくと、これは以前にも同僚議員から同じような資料が出されておりましたが、学習指導要領とそれから不登校児童数の推移、これを示したものです。近年、急激に不登校児童数の増加が顕著になっております。
前回、局長が、これは教職員組合の調査で、詳細は把握していないというような答弁をされておられましたけれども、これの基の数字は文科省調査なんですよ。文科省の、児童生徒の問題行動・不登校児童生徒の調査、その調査をグラフにしているだけのものであって、詳しく、詳細に把握していないというのは、私は、初中局長としてはちょっといかがなものかというふうに思いますし、しっかりとこの詳細について把握をしていただきたいというふうに思います。
小学校も中学校も不登校児童数、二〇二〇年あたりから急増しております。取りあえず、グラフ一の小学校のもので質問しますけれども、九八年の指導要領の改訂、二〇〇二年度から実施されておりますが、総授業数は小学校五年生で年間九百四十五時間、二〇〇八年の改訂、実際にやったのは一一年ですけれども、このときには総授業数が九百八十時間、三十五時間増えました。この頃からじわじわと不登校児童数が増え始めていて、決定的なのは、今の千十五時間になった二〇一七年の改訂、実施は二〇二〇年ですが、ここからは一気にグラフが伸びております。
学習指導要領の改訂に伴う総授業時数の増加と不登校児童数の増加とは、私は、やはり何らかの関係があるというふうに思いますけれども、この点についてどのようにお考えですか。
○望月政府参考人 先ほど吉川委員から、局長として把握していないのはおかしいのではないかという、これは我々としては、当然、我々が行っている調査でございますので、その数字は把握してございますけれども、この間、急に見せていただいたあの組合からの、不登校とそれから授業時数の関係みたいなのを示したのを急に見て、それは分からない、そういう意味でございますけれども、数字は把握してございます。
その上で、近年の不登校の児童生徒の増加、これは、お示しいただいたとおり、非常に増えているところでございます。ただ、これも先生御承知のとおり、不登校児童生徒の不登校になった要因というのは、必ずしも、一概に学習の状況ということだけをやはり捉まえて説明するのはなかなか難しい部分もあるのではないかと思ってございます。
令和元年以降のコロナ禍の影響による登校意欲の問題でありますとか、あるいは、増加している特別な配慮を必要とする児童生徒に対する早期からの適切な指導や必要な支援に課題があったこととか、あるいは、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会、いわゆる教育機会確保法、こうした様々な近年の学校、社会を取り巻く状況の変化や社会の変化などもあって、不登校生が増加しているということを、一概に教育課程ということだけを取ることは難しいんじゃないかというふうに考えているところでございます。
その上で、文部科学省といたしましては、こうした調査も我々はしているところでございますので、そうした調査の分析を幅広く参考にしながら、学習指導要領の在り方についての検討を丁寧に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○吉川(元)委員 確かに、これだけではないかも分かりません。だけれども、これも関係をしている可能性というのは、見ていると非常に分かりやすいんですよ。九八年の学習指導要領、つまり、これはゆとり教育の時代ですよね。そこから急激に、その時代は不登校の数というのは微減しているわけですよ、そこから後が急増を始めている、グラフが立ち始めた。
それは非常に、学習指導要領の改訂、ゆとり教育から再び授業時数を大幅に増やしていく学習指導要領に変わったところで変化が起こっているということは、何らかの相関関係というのは少なくとも私はあるというふうに見るのが自然な見方だ。それを無理やり、それ以外にも原因があるからと言って、関係はありませんみたいな態度は、私は取るべきではないというふうに思います。
あともう一点、本会議で総理も答弁しているんですけれども、六割の生徒が、これは局長もたしか前回そういう答弁をされたと思いますけれども、六割の生徒が授業時数をちょうどいいと言っている、そういう調査を持ち出してきて、そんなに負担になっていない、こういうことを言われるわけです。私はこれは、子供たちのアンケート調査で、そういう六割ぐらいが、このぐらいですよ、いいんですよというような話をしているから大丈夫なんだ。
そもそも、六割じゃ駄目なんですよ。九割ぐらい行っていなきゃいけないんですよ。残りの四割ぐらいの人は、やはり多いと思っている。
これは、別に平均すればこのぐらいですという話をしちゃいけない。義務教育ですから、全ての子供たちがきちんと授業についていける、そういうカリキュラムを組まなきゃいけないというのがまず一つ。
それともう一点は、これは生徒に聞いたって駄目なんですよ。生徒は、一年生の生徒は初めて一年生を経験するわけですよ。二年生は初めて二年生を経験するわけですよ。過去に一年生を十回やりましたという人がいるんだったら、その人に今の授業時数はどうですかと聞いたら、ある程度は信憑性はあるかも分かりませんけれども、いずれも全て初めての経験なわけです。だから、これが多いのか少ないのかなんて子供たちに聞いても分からない。正直こんなものかなと、みんな子供たちは思うわけです。
それよりも聞くべきは、それを何年も何年もやってきた人たち、つまり教員に聞かなきゃいけないんですよ。教員は何と答えているかというと、教師に対する調査では、小学校で授業時数が多過ぎる、やや多いが約六割です。つまり、長年にわたって教壇に立ってきた先生方は、生徒の感覚、生徒がまあこのぐらいかなと思っているのが、実はそれは物すごく多いんだよということを先生方は気づいているわけであって。あと、生徒向けの調査でも、三〇%、これが、授業の内容が難し過ぎる、こういうふうに答えております。
ですから、以前局長が答弁し、また、総理も本会議場で答弁をしましたけれども、今の授業時数を決して肯定的に捉えられる、そういう私は調査結果ではないというふうに言わせていただきたいと思います。
関連して、不登校の要因として、不登校にはいろいろな要因があるというお話がありました。ですから、それについて少し私の方も指摘をさせていただきたいと思いますけれども。
資料の三ページの表四、これを見てください。
これは文科省の調査です。不登校の要因が何だったんですかといって、これを尋ねられているわけです。そうすると、学業の不振という理由を挙げている生徒、これは年によって調査の質問項目が違うので、きちんと全く同じ質問をしているわけではないんですが、その中で、学業の不振、つまり勉強についていけない、勉強が分からない、それが不登校の原因になっていると答えた人の数です。
小学校では、小五の総授業時間数が九百四十五時間だった二〇〇二年度、学業の不振を理由に挙げた不登校になった小学校の生徒の割合は三・一%でした。ところが、二〇一七年の改訂で大幅に増えた、二〇二一年度以降の、取りあえずこの二〇二三年度を見ますと、学業不振を不登校の理由に挙げた生徒の割合は一四・七%、ですから約五倍に増えています。
学業についていけないというのは、まさに学習指導要領の問題であり、また、私は、授業時数の問題だというふうに思いますけれども、先ほど、学習指導要領の総則で、児童の過重負担にならないようにという言葉があるということを指摘しましたけれども、まさにこれは過重負担が今起きているんじゃないんですか。この点、いかがですか。
○望月政府参考人 様々な観点から吉川先生から御指摘いただきました。
まず、先ほど、義務教育に関する意識調査、令和五年に行った調査では、本会議の確かに総理答弁で、子供たちに対する行った調査では、学校での学習量について、約七割弱がちょうどよい、又はやや少ない、少な過ぎる、約三割強がやや多い、多過ぎると感じているデータがございます。ただ、これを我々としてはこれでよしとしている、そういうわけではございません。ただ、みんながみんな多いというような気持ちを持っているわけではないということをお示ししたかったというわけです。
また、その同じ調査の中で、教員に対して聞いている数字も先ほどいろいろ御披露いただきましたけれども、学校での学習量や週当たりの授業時間について、教員の約五割がちょうどよい、又はやや少ない、少な過ぎる、四割弱がやや多い、一割強が多過ぎると感じているデータがございます。先ほどの数字とちょっと、六割強とおっしゃりましたので申し上げました。
その上で、教師が生き生きと子供たちと接することができる環境の整備を進めることも大事でございますし、また、学業の不振をした不登校が増えているのではないかという御指摘もございましたけれども、これは、御指摘の調査結果は、調査結果や回答方法が異なっているので一概に比較するのは難しいのですが、令和元年から四年の同じ形式の調査で比較したところ、学業不振を主たる要因とする不登校の割合は七・二%から四・九%、減少はしている。ただ、この割合の多寡にかかわらず、やはり勉強についていくのが難しい、自分たちの主体的な学びというのをもう少ししたい、そういうようなお声は当然あると思っていますし、子供たちが、自分の好き、あるいはこういうところが得意、あるいはこういうところを自信をつけて身につけた、あるいは分かった、そういうようなことを授業の中で、また、生徒間、児童間でも学び合い、そして教師と児童生徒間のそうした信頼関係の中での授業づくりをしていく中で、子供たちが学びを更に自分たちで継続していく、そういうことをしっかり学校のカリキュラムというか全体の教育課程の中でも考えていかなきゃいけないというふうに考えてございます。
そういう視点も持ちながら、今後の学習指導要領につきまして、教育内容の改善を含めましてございまして、豊かな学びにつながる教師と子供たちの双方の余白というのを大事にすることを我々としても旨として今検討をしている、してもらっているというところでございます。
○吉川(元)委員 私の持っている資料と、これは文部科学省の「義務教育に関する意識に係る調査 概要・集計結果」というのを、これを私は見てしゃべっているんですよ。そのときに、今お手元にお持ちですか。十五ページを開けてみてください。
その中に、学校における子供たちの学習量、授業時間、回答者教師、その部分の学習量について、小学校、多過ぎるが一四・六、やや多いが三八・七です。それから、週当たりの授業時数、小学校、多過ぎるが一九・一、やや多いが三八・九なんですよ。ちょっと、これはどういうことですか。何を見ているんですか。
○望月政府参考人 吉川先生と私が手元に持っている数字がちょっと違うのでと思いますけれども、令和五年度の義務教育に関する意識に関する調査で、学習量と週当たりの授業時間を聞いてございまして、学習量について、教員に対する結果を申し上げますと、学習量は、多過ぎるというのが、教員は一二%、やや多いというのが三六・〇%、児童生徒は、多過ぎるというのが六・八%、やや多いが二六・二%。
ですから、学習量としては、教員も児童生徒も、要すれば、半分以下と、多過ぎる、やや多いというのが、多過ぎるというふうになっていまして、もう一つ、週当たりの授業時間が多いかどうかというデータとしては、教員が、多過ぎるが一四・九%、そして、やや多いが三五・四%、児童生徒は、多過ぎるが九・八%、やや多いが二七・六%でございまして、週当たりの授業時間が多いとやや多いというのを、教員が一四・九%と三五・四%、大体これで半分ぐらい、そういう数字になってございます。
○吉川(元)委員 もう時間がないので、余りこれをやっても、事実はここに書いていますから。後でちょっと、もう一回確認させてもらいます。
次に、三ページのグラフの三です。これは、精神疾患を理由にした病休取得者の推移で、やはりこれも、今の学習指導要領になって、過去最高を更新を続けております。これは教員の負担も大幅に高まっているというふうに思うのですが、この点についてはいかがですか。
○望月政府参考人 近年、教師の精神疾患による病気休職者が増えているということは我々も重く受け止めてございまして、この委員会でも、この点もいろいろと、メンタルヘルス的なことをしっかりやるべきだという御質問をいただいて、それはそのとおりだと思ってございます。
ただ、この精神疾患が、やはり学習指導要領そのものが、直接それが作用したということではないのではないかと思ってございます。例えば、多分お手元にあると思いますけれども、吉川先生お持ちかと、平成二十六年度から令和三年度ぐらいというのは、ここ七、八年間ずっと精神疾患の休職者数は同じぐらいであった。つまり、学習指導要領の改訂とは直接は連動するものでなく、ある一定の数字で要は推移をしている。これは、我々としても大変心配してございますけれども、学習指導要領の量の多さと必ずしも連動してではないと思ってございます。
教師の病気休職者の増加につきましては、こうした重い課題、重く受け止める課題でございますので、教師が生き生きと子供たちと接することができなければ、まさに子供たちの活動が生き生きとならないということはもう当然のことでございますので、そのために、教師のそうした働く環境というのを今回の法案を通じて整備しようというものでございます。
○吉川(元)委員 増えていない時期もあると言いますけれども、その時期も、二十代、三十代は増え続けているんですよ。四十代、五十代が減って、二十代、三十代が増えて、それが相殺して全体としてはそんなに増えていない時期がありますけれども、二十代、三十代、若手教員というのは確実に増えているんですよ。
四十代、五十代というのはやはりベテランですから、例えば学習指導要領が増えたとしても、対応できるスキルが私はあるんだろうと、一定。だけれども、二十代、三十代の若手の教員にとってみれば、これは非常に、学習指導要領が増えて、やらなければいけない授業が増えていくと、これはやはり、私は負担になっているんだと。
だから、全体の数はもちろん大切ですけれども、併せて、どういう世代が増えているのかというのはきちんと分析をしていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間がないので飛ばしますけれども、持ちこま数の縮減についてなんですけれども、文科省は、この間、小学校の教科担任を増やしてきました。二二年度から三年間、加配によって三千八百人の定数改善、既存分を合わせて九千四百人。これを、小学校の高学年、五年生、六年生の担任とすれば、授業時数は週当たり三・五こま減るという話をされました。
分からないのは、これは本当なんですかと。例えば、今、全国には、公立の小学校の五年生、六年生の単式の学級数というのは、約七万クラスがあります。七万クラスが、週三・五のこま数をいわゆる教科担任の先生が入ったことで減らすとすると、これは実に、教科担任が一週間当たり二十六こま持たないと三・五こま減らないんですよ。だけれども、体育の先生が、体育の専科として週二十六こま、つまり、ほぼ毎日、朝一時限目から五時限目までずっと体育をやり続けるというのは、さすがにこれは不可能なんじゃないか。
この三・五こま減っているというのは、どういう数字でこれを言われているのか、これを教えていただきたいということ。
もう一点は、これはたしか前回か前々回だったと思いますけれども、質疑の際に、過去は、教科担任制を進める前は二十七こまぐらいあったのが、大体三こまから三・五こま減って、今二十四こまぐらいと、これは局長が答弁していますよね。この二十七というのは、どこの数字なんですか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
まず、先ほど吉川先生の方から、四月十六日の佐々木先生への御答弁の中で、私が答弁の中で、私が、教師一人当たりの授業時数については、小学校の教科担任制を進める前は二十七こまぐらいであったところ、大体三こまから三・五こまぐらい、地域によっては状況は違いますけれども、減ってきて、今二十四こまになっているところでございますと答弁させていただきましたが、御指摘ありがとうございます、これは私の誤りでございました。訂正させていただきます。大変失礼いたしました。
令和元年度時点の持ち授業時数は二十四・六こまでございまして、そこから加配定数の改善等によりまして三・五こま程度の時数の減が見込まれるとなりますので、先ほどの二十七こまというのは訂正をさせていただきます。済みませんでした。
その上で、御指摘の小学校教科担任制の推進についてでございますが、平成三十年度から三年間で、御承知のとおり、小学校の英語教育の早期化、教科化のための三千人の教員定数の改善、そして、令和四年度からの三年間で、高学年教科担任制の分として三千八百人の教員定数を改善したことに加えまして、そして、令和七年度からの四年間で、四年生と新規採用教員の持ち授業時数の軽減のために三千九百六十人の定数改善を行うこととしてございまして、その他の既存の加配と合わせますと、週三・五こま程度の持ち授業時数が減少し、週二十一こま程度になると見込んでございます。
小学校の授業担任の週当たりの平均持ちこま数につきましては、令和元年度の教員統計調査でが先ほどの二十四・六こまでございますけれども、これは、令和四年度の、つまり、教科担任制を今ぐっと進めているところの、まだ初期の段階で二十四・一こまになって、二十四・六こまが令和元年度、令和四年度が二十四・一こまになっていますので、先ほど申し上げました、四年からの三年間、そして七年度からの四年間の分、こうして進めていくことによりまして、自治体の取組と相まって、持ち授業時数の減が、効果が少しずつ見えているから更にこれがもっと進む、そういうことになろうかと思います。
○吉川(元)委員 ちょっと時間がないので、もうちょっと深めたいんですけれども、最後、これだけちょっと聞いておかなきゃいけないので聞きます。
法令上の健康確保措置、これは法律で義務づけられているもの、例えば、衛生管理者や産業医の選任、さらには衛生委員会の設置、これらは法令で義務づけられています、五十人以上の職場では。これが、以前に比べると改善はしていますけれども、一〇〇%に達していません。これについてどのように考えているのか。
それから、健康管理医等の配置率、小中とも七割程度にとどまっておりますが、その要因。私は、これは財政の問題だ、財源の問題が結構あるんじゃないかと思いますから、財政的な措置、これについて併せてお答えください。
○望月政府参考人 学校におきましては、労働安全衛生法に基づきまして、常時五十人以上の学校につきましては衛生管理者、十人以上五十人未満、こちらの方が学校は多いわけですけれども、これは衛生推進者の選任など、労働安全衛生管理体制の整備が義務づけられてございますけれども、御指摘のとおり、令和五年度におきまして、衛生管理者の選任率が九八・二%で、衛生推進者が九五・五%と、必ずしも全ての学校で遵守できているわけではございません。
文部科学省では、これはやはり法令に基づく措置をしていただかなきゃいけませんので、これは、各種会議を通じて法令の趣旨、具体的には、来月の五月にも健康教育・食育行政担当者向けの連絡協議会、ここにおきまして、ここら辺はしっかり、法令が遵守されていないということを含めまして、周知をしたいと思ってございます。
また、健康管理医の配置率、これは小中学校共に五十人未満の教職員を使用している学校の率が七割程度にとどまっているということでございます。
これは、五十人未満の教職員を使用する学校においては、医師や保健師を選任し、教職員の健康管理を行うことが労働安全衛生法の努力義務ではございます。その医師や保健師の選任が進まない要因として、例えば、地域における担い手の不足などが挙げられているものと承知してございます。また、やはり関係法令の認識不足というのもあるかと思ってございます。
教育委員会で産業医等を確保し、複数の教師の健康管理を担当させるといった、教育委員会でしっかりと、学校任せにしないで確保する、医師の確保をする、健康管理医を確保するといったことも進めてございますけれども、常時五十人未満の学校におきましても、教職員の健康管理等を行っていただくために医師や保健師が選任されるよう、教育委員会を促してまいりたいと考えてございます。
○吉川(元)委員 財政措置もしっかりしてあげないと、小さな自治体、置きたくてもお金がないというところはあると思いますので、その点、是非よろしくお願いします。
質問を終わります。
○中村委員長 次に、亀井亜紀子君。
○亀井委員 立憲民主党の亀井亜紀子でございます。
先週、一回目の参考人質疑で質問させていただきました。政府に対する質疑は今日が初めてです。
これまで、各委員の質問、それから今日、二回目の参考人質疑も終えて、私が聞きたかったことの答えが参考人の陳述の中から出てきたり、大分論点が整理をされてきました。これまでのいろいろな方の質問とその御答弁を積み上げた上で、質問をさせていただきます。
まず、この給特法の質疑が始まる直前の一般質疑のときだったと思いますけれども、先ほどの吉川委員が、今回の給特法の改正について、その論議のスタート地点はどこかという確認をされました。そのときに、前回の、令和元年の改正のときの萩生田大臣、当時の大臣の答弁に触れられまして、それが、「給特法の仕組みは、労働基準法の考え方とはずれがあると認識されていることも御指摘のとおりだと思います。」と、ここから始まっていますねということで、この改正案の審議が今まで続いております。
そして、中教審で多くの方が意見を述べられたわけですけれども、吉川委員は、初めから結論ありきで、給特法の仕組みは維持したままでどうするかという議論であったのではないかと指摘をし、それに対して、先週参加されていた中教審のメンバーお二人に伺ったところ、それでもかなり多様な意見がありました、その結果として、給特法という仕組みを今回維持するという意見が大勢であったという御答弁でした。
その理由をお二人とも述べられていて、私もなるほどなと思ったことがあります。
それは、貞広参考人の御意見で、結局、残業代が払われる仕組みにしたときに確実に払ってもらえるのかどうか不安がある、自治体の財政力によってきちんと支払われるところと支払われないところが出てくるというのは予想されるので、それであれば、言い方はよくないけれども、何%と決めて、国を予算で縛ってしまった方が安心できるという、そこは私も納得したんですね。
もう一つは、青木参考人の、これは資料の中にあったんですけれども、給特法の仕組みというのが、労務管理をする人、校長先生と、給与の支払いをする人、自治体が、ずれているので、普通の、私立であれば、残業代がかさんで人件費が増えれば経営負担になるので残業を減らそうというインセンティブが働くんだけれども、公立の場合は、校長先生の労務管理とは関係なく給与の支払いが行われるので、懐が痛まない分、制度を変えても仕事量が減らないんじゃないかという指摘があって、それもそのとおりだなと思ったんですね。
ですので、こういったちょっと視点に基づいて質問したいんですけれども、それでも私がどうも釈然としないのは、教師の業務の特殊性という部分なんですね。様々な子供に日々対応して、そういう特殊性がある、専門性があるといっても、それは私立の先生だって同じですから、どうして公立の小中学校の先生だけ教師という職務の特殊性が特別言われるのかということだけはどうしても納得がいかないので、これは政府参考人にお伺いしますけれども、公立学校の教師のみが背負っている特殊性というのはあるんでしょうか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
まさに教師は、子供たちの抱える課題、あるいは、社会の状況の変化も踏まえながら、教育課題が複雑化、多様化する中で、必要となる知識や技能の変化に応じて学び続け、そして日々変化する子供たちに向き合っていく、臨機応変に対応することが求められる、その意味で、自発性、創造性、裁量性によるところが非常に大きい、そういう特殊性がございます。
こうした教師の職務のいわゆる特殊性という、私ども考えていますけれども、これは私立学校の教師であっても、公立学校の教師であっても、共通的な性質はあるというふうに考えているところでございます。
一方で、学校の状況を見ますと、やはり公立学校につきましては、地域の多様な子供たちをすべからく受け入れて教育の機会を保障するという役割を担ってございます。
以前にも御説明をしたことがございますけれども、公立学校の教員につきまして、特別支援学級に在籍する生徒数でいきますと、千人当たり、私立は〇・四人であるのに対しまして公立は三十四人でありますとか、あるいは不登校生徒数についてもかなり、私立は二十九人に対して公立は六十二・七人、外国人の生徒数についても私立五・八人に対して公立は九・八人といった、多様な子供たちに対しての日々変化する状況の中での裁量性というのは、より臨機応変に対応するような観点からは裁量性をしっかり確保することが必要になるというふうに考えているところでございます。
また、公立学校と私立学校の教師の異なる点としましては、私立学校の教師は、やはり民間労働法制、これは保護者と学校の契約に成り立っている、労働条件が私的契約によって決定されておりますけれども、やはり公立学校の教師は地方公務員でございまして、その勤務条件は法律及び条例によって決定されるという違いもあるわけでございます。
更に申し上げれば、私立学校の教師の場合、服務監督権者と給与負担者は同一ですけれども、公立学校の県費負担教職員につきましては、服務監督は市町村教育委員会、給与負担は任命権者である都道府県教育委員会が行うといったこと、そうした違いもある中で、私立学校と同様の形で時間外勤務命令を発しないようにするというインセンティブは十分には機能しない点もあるんじゃないかということもあるわけでございます。
教師の職務の特殊性ということは、実際の学校の現場でのその発現の仕方というのは、もちろん特殊性はあると思ってございますけれども、公立学校としての域内の多様な子供たちを受け入れて教育の機会を保障する役割を担っているということについて大きな違いがあるというふうに考えているところでございます。
○亀井委員 かなり長い御答弁をいただいて、だんだん分からなくなってきたんですけれども。
今朝の戸ヶ崎参考人が、公立学校の教員の特殊性についてはちょっと触れられておりまして、私立や国立と異なり、公立の小中学校等は全ての子供たちを受け入れる、学力はもちろん、多様な子供たちがおり、一人一人に臨機応変に対応していく必要、ここは該当するのかなとは思います。確かに、例えば外国人が多い地域などもありますし、そういうところの子供が非常に多く入っている公立学校というのは、ほかの、入学試験を経て生徒を集めている学校とは条件が違うでしょうから、そういう特殊性というのはあるのかもしれないと思います。
ただ、そうであるならば、より大変なわけですよね。全ての多様な生徒を受け入れて教育をしている、公立の先生の方がより大変だと思われるので、その状況に対して今の給与の支払い方、実質的な残業手当が支払われないということは余りにも問題があるので今教員不足が起きているということは明らかだと思います。
この給特法の議論をするときに必ず出てくる言葉、そして法律用語ではない言葉、これが時間外在校等時間です。法律にはないこの言葉を文科省が作り出して、これの解釈がどうなのだという質疑、答弁がさんざん行われてきたわけですけれども、一体、この時間外在校等時間という言葉は、公には、いつから、どういう状況で使われ始めたのでしょうか、お伺いいたします。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
時間外在校等時間、いつからどういうふうに使われ始めたのかという御質問でございます。
経緯を申し上げますと、平成二十九年からの中教審におきまして、学校における働き方改革についての審議が行われました。その中で、公立学校の教師につきましては、時間外に超勤、いわゆる超勤四項目以外の業務が行われ、長時間化しているという状況もあるということで、業務の総量を削減するに当たりまして、そうした職務の特殊性にも留意しながら、上限の目安を含むガイドラインを作成したところでございます。
政府全体で、いわゆる働き方改革推進法におきまして、民間企業に法定の労働時間を超える時間外労働の規制が新たに規定されるという動きがございまして、そうした動向も踏まえつつ、中教審での審議や、多くの方からのパブリックコメントの御意見も経まして、平成三十一年一月に、学校における働き方改革の総合的な方策としての一環として、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを策定しまして、時間外勤務命令に基づくもの以外の業務を行う時間も含めて在校等時間というのを定義しまして、そして、在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間について、その上限を定めたものでございます。
そして、令和元年の給特法改正では、そうした上限のガイドラインを、まさに法律事項として、全ての都道府県の方で、これは条例とか規則というのを整備しなきゃいけませんけれども、それをしていただいて、この在校等時間というものを一つ捉えて、指針の中では、在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間として時間外在校等時間ということを規定したところでございます。
○亀井委員 では、実態調査というんでしょうか、教職員の時間、総量を把握する中で生まれてきた言葉というふうに理解すればいいんでしょうか。
先に行きたいと思います。
今日、厚労省の参考人の方にもおいでいただいております。といいますのは、この間の議論を聞いてきて私が感じたことというのは、ちょっと医師不足問題との共通性を感じました。
私は、初当選が二〇〇七年、参議院なんですけれども、最初に医師不足問題に取り組みました。それはなぜかというと、私の地元、津和野町というところで、地元の病院が救急をやめてしまって、隣の市、車で五十分ぐらいかかりますけれども、そこに搬送するということになって。その原因は何かと思って調べていきましたら、臨床研修医の制度が二〇〇四年に変わったことが大きかった、そのようにいろいろなところから指摘を受けました。
それで、なぜこの研修医の制度を変えたのかということで、当時、厚労省と話をした中で、別に議事録などには残っていませんけれども、医師の働き方改革の一面もあったということを言われたんですね。あの頃、大学病院の研修医の働き方が過酷で、非常に低賃金で、大学病院の外でアルバイトをしないと生計が成り立たないぐらいかなり過酷な状況にあったことが問題視をされていました。それからあと、厚労省は総合診療医を育てるために研修医制度を変えたというのが本筋らしいんですけれども、ここでとにかく研修医の制度が変わったことで、大学病院の研修医に関しては以前のような問題、残業の問題というのは聞こえなくなってきたなと思うんですけれども。
それで、質問です。
まず、医師というのは労働者でしょうか。それから、この研修医の制度が変わったことで、どのように研修医の働き方が変わってきたのか、お伺いいたします。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
医師は労働者かという点につきまして、まず、労働基準法第九条におきまして、「「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」とされております。医師がこれに該当する場合には労働者となりまして、労働時間や賃金などの労働条件に関する最低基準を定めた労働基準法の適用を受けることとなります。
○森政府参考人 臨床研修必修化後の処遇がどういうふうに変わってきたかという部分についてでございます。
委員御指摘のとおり、平成十六年の臨床研修の必修化以前については、研修医の働き方は大変厳しくて、例えば処遇が不十分でアルバイトをせざるを得ない、研修に専念できないのではないかといった指摘を多くされてきたところでございます。
このため、必修化後の新たな医師臨床研修制度においては、研修医がアルバイトをせずに研修に専念できる環境を整備するため、臨床研修病院の指定の基準として、研修医に対する適切な処遇の確保というのを定めるとともに、臨床研修病院が研修を実施するために必要な財政支援を行ってきているところでございます。
また、研修医を含めた医師の働き方改革を推進しているところでございまして、具体的には、長時間労働となる臨床研修医の勤務間インターバル確保を義務化するとともに、臨床研修医に対して、労働関係のルールと健康管理の基礎知識についてまとめたリーフレットを配付するといった取組をしているところでございます。
○亀井委員 もう一問、厚労省にお伺いいたします。
奈良県で産婦人科医による訴訟があって、これは医師の残業代に関する訴訟だったと思いますけれども、この内容と、この判決が与えた医師への残業代の支払い方についてお伺いいたします。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
御指摘の訴訟は、奈良県の県立病院に勤める産科医二名の方が、夜間、休日の宿日直勤務等につきまして、時間外・休日労働の割増し賃金を支払うよう求めて提訴した事案であると承知しております。
この裁判におきまして、病院側は労働基準法の宿日直許可を受けたことを理由として夜間、休日勤務のうち緊急対応をした時間のみ賃金を払えば足りると主張しましたが、大阪高等裁判所では、当該病院における夜間、休日勤務の実態が軽度又は短時間の業務のみとは言えないため、夜間、休日の勤務時間全てについて時間外・休日労働の割増し賃金を支払うように判示しております。
厚生労働省におきましては、従前から、宿日直勤務中に通常勤務と同等の勤務を行った場合には通常の賃金を支払うよう指導するなど、適正な制度運用に努めてきたところでございます。また、医療機関に対する宿日直許可の基準につきましては、医師の働き方改革の検討を進める中で、令和元年に基準明確化の観点から見直しを行ったところでありまして、見直しに当たりましては本事案も参照させていただいたところでございます。
○亀井委員 ありがとうございます。
では、次に文科省に伺います。
今、教員の時間外労働に関して訴訟はどの程度起きているんでしょうか、事例なども含めてお答えください。
○望月政府参考人 過去の公立学校の教師の時間外労働に関する訴訟につきまして、網羅的に文部科学省が把握しているわけではございませんが、我々が把握してる限りにおきましては、給特法制定以降、公立学校の教員に労働基準法第三十七条による時間外勤務手当の支払い又は同法を超えた時間外勤務に対する国家賠償が命じられた判決はないと理解してございます。
裁判の具体の一例としては、令和三年のさいたま地方裁判所での判決がございます。なお、令和四年にはこの控訴審として東京高等裁判所での判決があり、その後、令和五年に最高裁において上告を棄却になっているものがございます。
そのほかにも、京都市の小中学校の教諭に係る平成二十三年の最高裁判決や、北海道の義務教育諸学校等の教諭等に係る平成十九年の札幌高裁判決等があると承知してございますけれども、この二つの判決におきましても、冒頭申し上げましたように、原告が主張する公立学校の教員に労働基準法第三十七条による時間外勤務手当支払いの請求は認められなかったものと承知をしているところでございます。
○亀井委員 まず、網羅的に把握をしていただきたいなと思います。
それから、次の質問は大臣になんですけれども、今のこの状況、給特法の制定当時からの趣旨とはずれがある勤務状況ですね、これを放置しておくと、私は、これからやはり訴訟が積み上がって、どこかでこの給特法というのは労働基準法違反ですよと裁判所から言われて、それがきっかけで制度を変えるようなことになりかねないと思っているんです。
そうなったとしたら、今回のこの議論は何だったのか、立法府の不作為とも言われかねないので、今の状況を放置しておくというのは大変問題だと思いますけれども、大臣は今後も、今回の中教審では今すぐこの給特法を廃止するのは慎重であるべきという意見が多かったようですけれども、今後もこの時間外在校等時間という仕組みを維持したまま、このままの仕組みで続けていくことが妥当だと考えられるのか、将来的には検討すべきだと考えるのか、お答えください。
○あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。
こうして法律案を御審議いただいている中にございまして、仮定のお話にお答えするのはなかなか困難な質問でございますが、今回の私どもの案に関しましては、中央教育審議会におきましても一年以上にわたりまして、給特法等の法制的な枠組みを含めまして、総合的な議論が行われました。教師の裁量性を尊重するというこの仕組みは現在でも合理性を有しているというふうにされたものでございます。
このため、給特法の仕組みを維持をした上で、教師を取り巻く環境整備を図る様々な方策を盛り込んだ改正案を御提出しているということを御理解いただきたく存じます。
○亀井委員 審議中で、答えられるというのは難しいということですけれども、でも、このままこの状態が続くと、いつか裁判所に言われるということが十分に想定できると私は感じております。
時間がなくなってきましたので、質問をまとめて行きます。
次、政府参考人にお伺いをいたします。
厚労省の方は、質問は終わりましたので、ありがとうございました、御退席いただいて結構です。
○中村委員長 どうぞ、厚労省参考人、御退席ください。
○亀井委員 それでは、文科省に伺います。
給特法の成立時、超勤四項目ですけれども、元々、九項目試案があって、それが議論の末に四項目までなったというふうに、こちら調べて分かったんですけれども、当時から想定された四項目以外の仕事というのは、では、誰が担うという想定だったんでしょうか。また、教師が担うべきじゃない仕事、三分類ありますけれども、担うべきではない仕事を具体的にどのように減らしていくのか、誰が担っていくのか、お答えください。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
当時の経緯を調べてみましたところ、まず、文部省側が教師に対して時間外勤務を命ずる場合の基準といたしまして、試案という形で、時間外勤務命令を出せるもの九項目を提示をいたしまして、関係団体との数次の協議の中で、その項目数を減らすべきとの意見も踏まえる形で、給特法制定時に超勤いわゆる五項目を決めたわけです。その後、国立大学の法人化後の現状において、超勤四項目に決定されたという経緯がございます。
もう少し具体的に申し上げますと、この超勤四項目の決定に係る協議は、給特法が昭和四十六年に成立してから、五月に成立していましたから二か月以上かかっているわけでございますけれども、例えば、当初の文部省の試案に盛り込まれていました、学校が計画し実施するクラブ活動に関する業務につきまして、関係団体による、教師の自発的活動に関わる問題であり、超勤基準に入れなくても支障が起こらないといった意見を受けて、基準から取り下げることとなったなどの経緯があったと承知しているところでございます。
あわせまして、教師が担うべきでない仕事についてどのように減らしていくのかというお尋ねでございます。
これはまさに、学校における働き方改革につきましては、学校全体がチームとして支援スタッフや保護者、地域との役割分担も進めていくことが大事でございます。このため、学校や教師が担ってきた業務を保護者や地域の方々にお願いすることが必要な、学校以外が担うべき業務や、事務職員や支援スタッフとの間で役割分担が可能な、学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務などに分類した、学校、教師が担う業務に係る三分類を踏まえた取組を更に徹底して進めていく必要があるのではないかと思ってございます。
今回の法改正の中では、文部科学大臣が定める指針には、先般大臣からも御答弁させていただきましたけれども、この三分類の内容というものを明確にする形で位置づけをする中で、全ての教育委員会が指針に即した実施計画の策定、そして、それを地域や首長との連携の下、また、PDCAサイクルを回すことのできるような、そうした公表の義務づけといった制度化も行っているところでございまして、このような仕組み、あるいは地域の御協力とかもいただいて、教師が教師でなければできないことにできる限り専念できる環境の実現に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○亀井委員 教師の職務を、どれだけ負担を減らしていくかというのは、どういう仕組みであってもすぐやらなければいけないことだと思うんですけれども、先週の参考人質疑のときにも、まず、教師がやらなければいけない中核的な仕事がとても増えているので、ここを減らさないことにはどうにもならない、だけれども、やはり教師が担うべきじゃない仕事もあって、ここは、ほかの人に振っていくためには、そこに人が手当てされなければいけないということがありました。
この給特法の審議が始まる前、私たちも、党内で、財務省を呼び、そして文科省を呼んで議論してきました。財務省の言い分というのも聞かせていただきましたし、その中で私が感じたことは、先週も申し上げましたが、教師の職務を三分類して、教師が担うべきじゃない仕事という分類もしておきながら、何も起こっていない、そこが削減できていない、だから、文科省は仕事を減らすという努力をしていないじゃないかと。
ですので、今回、教職調整額を上げることが必要だというのは分かっているけれども、上げるけれども、でも、例えば一気に一〇%にしました、それで文科省が、ああ、よかったよかったと。それで仕事量を減らすということは何もやらないで、サボったら困るよねというような雰囲気は感じたんですね。
なので、私たちは、どこまで、一三%を要求していて、どこで決まるのか、仮に一〇であったとしても、四から一〇になるのかと思ったら、毎年一%ずつということにかなりがっかりしましたし、それじゃ現場の教師の気持ちが切れてしまうと思っているんです、今でも。
だけれども、財務省からしてみれば、徐々に上げながら文科省の取り組み方をちゃんと見ていますよと。だから、二年たったところで見直しのときがあって、改正の附則の三条の教職調整額に係る率の変更、ほかの議員も質問しましたけれども、これがあり得ると。それは下げる方向ではなくて上げる方向ではあるということですので、文科省の取組によっては上げるペースを速めるということは、私は、可能性は残っている、読めると思うんですけれども、その点について、財務省にお伺いいたします。
○東大臣政務官 教職調整額については、骨太方針二〇二四等を踏まえ、学校の働き方改革と一体的に、かつ、財源確保と併せて進めていくため、昨年末の文部科学大臣との大臣合意において、令和十二年度までに一〇%へ段階的に引き上げるとしたところでございます。
その大臣合意を踏まえ、本法案においては、教職調整額を毎年一%ずつ引き上げるとともに、附則第三条において、令和十年一月以降を目途として、働き方改革や財源確保の状況等を勘案し、教員の勤務条件の更なる改善のための措置について検討を行って、教職調整額に係る率の変更を行うことを含め、必要な措置を講ずる旨を規定しているというふうに承知をしているところでございます。
そういったことに基づき、財政当局としては、こうした合意、規定に基づき、適切に対応してまいりたいと思います。
以上です。
○亀井委員 もう少し踏み込んだ発言が欲しかったなと思うんですけれども。
財務省と文科省の双方の話を聞きますと、財務省は教職調整額を上げていく、文科省は仕事量を下げていくと、どこかでちょうどいい、線が交わるポイントがあるはずだというような説明を財務省から聞いたんですね。
ですので、文科省の方はとにかく業務を削減することを急いでやらなければいけないと思うんですけれども、その中で、私たちは、学習指導要領についてもカリキュラムオーバーロードだという指摘もしてきました。授業の総時間数を減らすべきだということも申し上げてきましたけれども、一人一人の教員の持ちこま数を減らすことならできますよというようなニュアンスで御答弁いただいているんですけれども、どのように、総時間数を減らさずに、教員の負担、持ちこま数を減らす、減らしていく、その工程について大臣にお答えいただきたいと思います。
○あべ国務大臣 学校におきます授業時間につきましては、標準の授業時間数を大幅に上回って教育課程を編成している場合には、私ども、点検を行いまして、指導体制に見合った計画とするように求めてきておりまして、改善が見られているものの、改善状況に大きな地域差があることも踏まえまして、引き続き、あらゆる機会を捉まえて教育委員会に改善を促してまいります。
その上で、次の、次期の学習指導要領に向けた諮問におきましては、年間の総授業時間数は現在以上に増やさないということを前提にしつつ、学習指導要領またその解説、教科書、入試、教師用の指導書などの影響も含めた授業づくりの実態を全体として捉えながら、教育課程の実施に伴う学校現場の過度な負担、また、負担感が生じにくい在り方の検討をお願いしているところでございまして、引き続き、学校の指導、運営体制の充実強化を図るため、教職員定数の改善にも取り組んでまいります。
○亀井委員 時間がなくなりそうですけれども、最後一問、文科省に伺います。
今休職している七千百十九人、令和五年度の数字ですけれども、精神疾患の先生方の復職について、私は、少なくとも同じ県の違う学校、そして、他県に派遣をするというような制度も入れるべきだと思っておりますけれども、御意見を伺いたいと思います。
○中村委員長 望月初等中等教育局長、短くまとめてください。
○望月政府参考人 復職の際の勤務場所につきましては、元の職場に復職させ、慣れた仕事に就いていただいて、徐々に負荷を上げていくように対応していくことが基本かと思いますけれども、一方で、特定の人間関係が原因で発症する場合につきましては、他の職場での復職を検討した方がよいというふうに考えられるところでございまして、この点も含めまして、復職の際の勤務場所等については任命権者である各教育委員会において判断いただきたいと考えてございます。
○亀井委員 時間ですので、終わります。
ありがとうございました。
○中村委員長 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。望月初等中等教育局長。
○望月政府参考人 吉川委員の先ほどの質疑におきまして、小学校の学習量、授業時間についての教員の回答に関する御質問の答弁におきまして、私の方から、小学校のと言うところを誤って小中学校合わせた数字でと申し上げましたが、正しくは、小学校について、学習量の多過ぎるが一四・六%、やや多いが三八・七%、授業時間の多過ぎるが一九・一%、やや多いが三八・九%でございます。
おわびの上、訂正いたします。失礼いたしました。
○中村委員長 次に、高橋英明君。
○高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。
大臣、本日もよろしくお願いいたします。よくお会いしますね。
午前中、参考人質疑、非常によかったなというふうに思いました。いろいろな、様々な意見が聞けましたけれども、共通しているのは、やっぱり働き方改革待ったなしということなんだろうなというふうに思います。
そして、渡辺参考人でしたか、たしか言っていたのが、もう一年以内に辞める方が非常に多いというようなことを言っていました。そして、今日の朝日新聞にも、一年以内に五・七%の新任の教員が辞めているという記事がありました。
先ほどまで若い方々も傍聴にいらっしゃっていましたけれども、本当に、早急にこれは改正をして、若い方々に夢ある未来を示した方がいいんだろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
まず、今回教育委員会が策定する計画書についてちょっとお聞きしますけれども、この公表の仕方、誰に向けての発信か、そして具体的な内容、これをお教えください。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
給特法改正案の第八条第四項におきましては、全ての教育委員会が、文部科学省令で定めるところにより、業務量管理・健康確保措置実施計画の実施状況を公表することとしてございます。
この省令には実施状況の公表の内容や方法等について定めることを予定しているところでございますが、例えば公表の方法としましては、地域や保護者の方、多くの方に、広く地域の方々の皆様にもその取組の内容などにつきまして御理解や御協力をいただけるように、ホームページに掲載するなどインターネットの利用その他の適切な方法によりまして行っていただくことを考えているところでございます。
また、公表の内容としましては、給特法改正案第八条第二項の規定によりまして、計画に定められる目標の達成状況や措置の実施状況が考えられるところでございます。
具体的な内容は今後検討してまいりますが、計画の目標には、時間外在校等時間に関する内容を掲げていただくことも含めまして検討していきたいと考えてございます。
○高橋(英)委員 確認ですけれども、これは各自治体の教育委員会に基本的には任せるということなんでしょうか。
○望月政府参考人 具体的な公表の方法等につきましては、文部科学省令でしっかりと定めまして、自治体の方にそれを踏まえて対応をしていただくということになろうかと考えてございます。
○高橋(英)委員 午前中の渡辺参考人が、教育委員会によって非常に差があるということを言っていたので、これはやはりしっかりと文科省でも教育委員会、ある程度しっかりグリップをした方がいいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
そして、これは何でこういったことを聞くかというと、戸ヶ崎参考人が、学校運営協議会に対して、三分類ですか、の話をしたら、何でもっと早くこれを知らせてくれなかったのか、もっと早く知らせてくれたらもっと対応ができるんだということを言っていたので、これはやはりオープンに、しっかりと可視化をすれば、学校以外の、行政また地域の方々が、ああ、学校の現状というのはこうなんだ、教員の方々というのは今こういう現状なんだというのが把握できるということは非常に大きいというように思いますので、とにかくしっかり可視化をすることをお願いをしたいというように思いますので、是非これは早急に、スピード感を持ってやっていただきたいというように思います。
そして、これはいろいろな方々が見ると思うんですけれども、どんどん可視化していくと。そうするとまた、クレーマーじゃないけれども、そういった保護者なんかもどんどんどんどん出てくるんだというふうに思いますけれども、こういった場合、対応するのは教育委員会が対応するんでしょうか。
○望月政府参考人 高橋委員御指摘のとおり、保護者などから無理な要求あるいは過剰な苦情など、学校のみでは対応が難しい事案が、こちらも聞いているところでございまして、それが教師の負担にもつながるということでございます。
昨年度より、そのために、行政が学校任せにしないで学校支援体制を組むという、行政によってそれを解決していく、そうしたモデル事業を今展開しているところでございます。
具体的には、学校のみでは解決が難しい事案での対応に当たりまして、教育委員会に直接相談できる窓口、あるいは保護者から相談できる体制をしいて、学校関係者が専門家に相談できる体制の構築を支援をしているところでございます。
そのモデル事業に取り組む自治体の中には、保護者に対して行政の相談窓口を案内するリーフレットを配付するなど体制の活用を促している例などがございまして、窓口として、学校だけではない、教育委員会、あるいはこれを首長も協力した形でのそうした窓口、これは自治体によって様々だと思いますけれども、そうした対応も考えられるところでございまして、私どもとしても、そうした事例の創出とその普及に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○高橋(英)委員 ありがとうございます。
教育委員会、行政等々という話でありましたけれども、これはやはり絶対に学校にも直接行く保護者というのはあまた出てくるんだろうというふうに思いますけれども。
やはり、教員の非常に負担の一つが保護者対応だというのが、これまでの議論でもさんざん分かりましたので、これはある程度、もう学校で保護者に対する対応の専任者みたいなのを設けた方がいいんじゃないですかね。いかがですか。
○望月政府参考人 学校全体でチームとして対応していくという中におきまして、文部科学省の方でも、副校長・教頭マネジメント支援員、ある程度ベテランの教壇に立たれて退職された方々とかが、管理職を支援するために、そういったマネジメントを支援するために当たる、そうしたケースについて補助をして、それを活用してもらう、そうした仕組みを整えていったり、あるいは、教員業務支援員というものを国の支援に加えて更に自治体の方でも加えて、そういった方にまず一義的に受けていただいたり、いろいろなそうした窓口の方法もあるかというふうに考えてございますので、一人で、その専任のというのは、誰をということでなく、学校全体の状況、あるいは教育委員会がしっかりその学校の状況を見ていただいて考えていただくことが必要かなと思ってございます。
そういった中で、我々、支援ができるところは、そういうところは支援をしたり、あるいは御相談にも、御助言もしていきたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(英)委員 今、学校全体という話がありましたけれども、やはり保護者も、いい保護者もいるんだろうから、そういった方々とはどんどんどんどん接触をするのはいいんでしょうけれども、やはりモンスターペアレンツみたいな方もいますから。
ちなみに、私の恩師で、サッカー部の先生をやっていたから強靱な方だったんですけれども、校長先生になって、ある学校に赴任したら、ちょっと精神的に病んじゃって、やはりそういう方でも病んでしまうんだなぐらいのモンスターペアレンツと言われる方がいるんだろうなというふうに思いますので。そういった方が、やはり、特に新任の教師なんか、これはもたぬですよね、多分、そういった人たちが言ってくれば。私みたいなのが文句を言いに行っても多分もたないというふうにも思いますし。
だから、そういう、ケース・バイ・ケースで、そういう人が来たらやはりベテランの人がしっかりと対応して、教師の仕事からやはりそういったものは外した方がいいと思いますので、その点は特にしっかりとお願いをしたいというように思います。
次に、人事管理の実効性についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
教育委員会とか校長、管理職ですよね、向上のためにどんな必要な措置を施していくのか、お聞かせください。
○あべ国務大臣 学校における働き方改革を確実に進めていくためには、服務を監督する教育委員会、また、所属職員を監督する校長、このそれぞれが、それぞれの教師の業務の状況を把握した上で、また、教師の在校等時間を管理することを含めた人事管理をしっかり行うことが必要だというふうに思っております。在校等時間につきましては、令和七年度には全ての教育委員会が客観的な方法で把握をする予定となっております。
こうしたことを前提にさせていただきながら、今回の法案におきましては、教育委員会に対する計画の策定の義務づけということを通じまして、教師の業務量の適正化を促進してまいりたいというふうに思っております。
また、人事管理等を行う校長のマネジメント力の向上も重要でございまして、学校の業務改善に大きな役割を果たす校長の人事評価について、学校の働き方改革に関わる観点の導入を推進をしているところでございまして、文科省といたしましても、教師の時間管理を含む適切な人事管理が行われるよう、引き続き各教育委員会に対して指導を徹底してまいります。
○高橋(英)委員 いつも、何回も言っていますけれども、しっかり業務量をまず可視化をしていかなければいけない。そのために、持ち帰りの業務内容もしっかり把握すべきだという話をさんざんさせていただきました。
やはり、一度しっかり把握をしないと管理は絶対できないんですけれども。そして、しっかり把握をした後には、午前中の参考人の方々が言っていましたけれども、教師というのは自主性、創造性、これが不可欠なんだ、そのためには余り縛らない方がいいということも言っていましたので、まさにそのとおりなんだろうなというふうに思います。何度も言っているとおり、やはり余幅をしっかりと持たせるような管理をやっていただきたいと思います。
ただし、その前にしっかり把握しなきゃ駄目ですよ。把握しなけりゃそんなことできないので。是非お願いをしたいと思います。
そして、それができるようになれば、いわゆるライフ・ワーク・バランスというんですか、そういうのも個々人の先生もできるようになるというふうに思うんですけれども。このライフ・ワーク・バランスについて、教育委員会、校長、管理職がなすべきことについて、ちょっとお聞かせください。
○あべ国務大臣 教師が心身共に健康な状態で子供たちの教育に邁進できるように、教師のワーク・ライフ・バランスが尊重される環境を整備することがまさに重要でございます。そのためには、教育委員会、学校で行われる教師の在校等時間の客観的な把握、スタートラインにさせていただきながら、時間外等の時間の縮減を図り、まず教師が早く帰宅できる環境を整えることが重要であるというふうに私ども考えております。
今回、こうした取組の実効性を担保するため、先ほども申し上げたところでございますが、教育委員会に対する計画の策定と実施と義務づけなどを通じまして、教育委員会、また校長等の管理職が、それぞれの教師の業務の状況を把握しながら、教師の健康、福祉を確保し、また、学校における働き方改革が進むよう、取り組んでまいりたいと思います。
また、いわゆる勤務間インターバルの方策も、教師のワーク・ライフ・バランスに資する点があると考えておりまして、教育委員会、学校における取組を促進してまいります。
○高橋(英)委員 そこまでできるようになれば、きっちり把握をして、頑張っている先生がきちんと分かるようになると思いますので。
何度も言っていますけれども、本当にしっかりと、頑張っている先生、これは結局のところ校長先生が評価をするんだろうなというふうに思いますけれども、その仕事量、内容に関して評価をして、ボーナス等々に反映させてくれというのはさんざん言いましたけれども、難しいかもしれませんが、評価方法じゃないですけれども、その辺はどのようにお考えですか。
○あべ国務大臣 人事評価のところでございますが、やはり、一人一人の教師の能力評価、また業績評価の結果を、昇給などの給与面を含む人事管理、この基礎に適切に活用することが求められているところでございまして、文科省といたしましても、この人事評価の実施と、その結果をいわゆるボーナスなどに反映するということを促してまいりました。
引き続き、各教育委員会に対しまして指導を徹底してまいります。
○高橋(英)委員 何か、やっとボーナスという言葉が口に出てきたのかなという気がまあまあしますけれども、是非お願いをしたいと思います。
この給特法の審議も大分煮詰まってきているのかなと思いますので、これまでさんざん言ってきましたけれども、様々な意見が出ておりますので、しっかりと耳を傾けていただいて、よりよい法案にしていただきたいというように思います。
今日は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、うるま譲司君。
○うるま委員 日本維新の会のうるまと申します。
前回の私の質疑では、特別支援学級を担当する教員の調整額の加算分三%について、この答弁として、共に学び、共に育つ教育が普及してきていて、通常学級の教員も特別支援教員的になりつつあるからということで、今回、特別支援学級加算を半減するという趣旨の答弁をいただいたところであります。
でも、であるなら、これは立憲民主党の小山委員も指摘されておりましたけれども、全ての先生が特別支援的になるということであれば、まず、全ての先生の特別支援加算相当の三%を引き上げた上で今回の調整額の引上げ、つまり、四%から一〇%ではなくて、七%から一三%の引上げを行うべきではないかというふうに思うんですけれども、あべ大臣、いかがでしょうか。
○あべ国務大臣 うるま委員にお答えさせていただきます。
給与のこの調整額に関してでございますが、公務員の給与制度の中におきまして、同じ給与表、給料表の同じ職務の級の職員の中にも、ほかの職員と比較して著しい特殊性を有する場合には、給与表に定められた給与月額を調整するものとして設けられているものでございまして、そのため、給与の調整額は、全ての教師に支給するというものではございません。
特別支援教育に関わる教師に支給されている給与の調整額の見直しに関しましては、この特別支援教育について、近年では、通常の学級でも特別な教育的支援を必要とする児童生徒が増加しているということを背景といたしまして、学校全体で全ての教職員によるいわゆる組織的な対応が求められているところでございまして、一般教師との特殊性の差が相対的に縮まったということを勘案したものでございまして、言うまでもなく特別支援教育の重要性が低下しているということではございません。全ての教師が特別支援教育に関わることなども含めて、教師の職務の重要性を踏まえた処遇とするため、全ての教師を対象として教職調整額の引上げを図るなどの処遇改善を行うことというふうにしているところでございます。
○うるま委員 大臣、やはり重要性が低下していないということをおっしゃっていただきました。重要性は、通常学級の教員にとってはむしろ増加しているということで考えてもいいかと思います。であるなら、やはり三%引上げを行った上で、七%から一三%の引上げをやるべきだということをちょっと意見として申し上げさせていただきます。
次の質疑に移ります。
本法案で定められている、教育委員会が行う業務量管理・健康確保措置の計画策定や実施状況の評価に際して、全ての教育委員会に共通で適用される業務量の把握と管理、改善のための基準整備を国が行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○望月政府参考人 今回の法案では、教育委員会に対しまして、業務量管理・健康確保措置実施計画の策定等を義務づけることとしてございますけれども、この際には、国が定める指針に即しまして教育委員会がその内容を定めていくことになってございまして、各教育委員会の実効性ある内容を計画に定めることができるように、国の指針を改定いたしまして、目標や内容に関わる具体的な観点などをしっかり示していきたいというふうに考えてございます。
また、計画については、小規模自治体がそれだけでは負担になるんじゃないかということも一方でお声もあるかもしれませんので、計画のひな形みたいなものに関しては文部科学省においてお示しをしたいというふうに思ってございます。
なお、学校や地域の状況に応じた働き方改革が進められる中で、全て国が画一的にこうでなければいけないといった基準、もう同一の基準ということを定めることに関しては、逆にその地域や学校の主体性、自主性というのを狭めてしまったり、その地域の実情を無視してしまうということになりかねないということもございますので、やはり個別具体の取組内容においては、一定の、それは当然、自治体ごとの裁量があってしかるべきだと思ってございまして、その中でも業務量の把握におきましては、各教師の担当業務や置かれている学校の状況等が様々であることから、統一的には在校等時間で把握していくことがその教師の業務量の把握においては適切であるというふうに考えているところでございます。
○うるま委員 小規模自治体は大変だからというのはもうそのとおりでありまして、これも前回の質疑で申し上げましたけれども、小規模自治体にとって、もし例えば教育委員会の統合だったり、そういった広域化が有効であるのであれば、是非そういったところも国として指導助言いただきたいと思います。
指針の中で、例えば具体的な対応例をこれから定めていく、在校等時間ということもおっしゃられましたけれども、その具体的な対応例として、例えば、テレワーク時の勤怠管理の在り方だったり部活動の位置づけだったり、あと初任者の業務負担軽減ですね、初任者がいきなり担任の先生になってしまうということでかなり負担があるということも聞いておりますので、そういった現場で、どの現場でも実践可能な内容をその指針にしっかりと明記すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○望月政府参考人 実施計画は、指針に即して、達成しようとする目標、措置の内容、その他実施に関し必要な事項を定めることとされてございまして、その指針の具体的内容は今後検討をいたしますが、これまでも、今うるま委員の方からテレワークの状況とかをしっかり把握できるようにというようなお声もいただいて、実はこれまでも指針におきましては、在校等時間の把握に当たりましてはICTの活用等による客観的な把握を求めてきている中で、テレワークの時間、そして教師が部活動に従事する時間、これも含めまして在校等時間として管理、把握すべき対象としてお示しをしているところでございます。
また、初任者の配置あるいは主務教諭がいる場合、そうしたいろいろな教員の配置の状況についての学校が取るべき措置の状況について、何かお示しした方がいいんじゃないかという御意見でございますけれども、これは、それぞれの都道府県、市町村が話していただいて、学校の状況に応じてそうした主務教諭の配置等をしていただくことになると存じますけれども、その教職員の配置につきましては、各教育委員会の判断によりまして、地域の状況に応じてなされるとともに、学校経営の在り方について、学校の状況や教師の配置状況を踏まえまして校長が判断するというものでございまして、そこは余り、一律に国で指針に定めるということになりますと、先ほど申し上げましたように、学校の柔軟性や自律性を阻害することにもなりかねないということでございます。
いずれにしましても、指針の改定の中で、地域や学校の取組の充実、あるいはその実施が円滑に進むよう検討してまいりたいと思っておりますし、必要な学校の指導、運営体制の充実に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○うるま委員 続きまして、教育委員会による勤務管理の信頼性や妥当性ですね。
これは、これまでも様々に議論がありました。教育委員会による勤務管理が国が行う勤務実態調査とすごく差がある、ずれがあるのような議論はこれまでもたくさんあるんですけれども、教育委員会による勤務管理の信頼性、妥当性を検証するために、この法案が施行されてしばらくしてから勤務実態調査を国が行って、その差をしっかり検証して、その信頼性、妥当性を検証することが必要なんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○望月政府参考人 教育委員会、学校による客観的な勤務管理は、働き方改革を進めるスタートラインであること、先ほど大臣も申し上げました。もう、そのとおりでございます。
文科大臣が定める指針におきまして、ICTの活用等による客観的な勤務実態の把握を服務監督教育委員会に対して求めるとともに、まさに虚偽の記録を残すことがあってはならないことを示してございまして、万一、校長等が虚偽の記録を残させるようなことがあった場合には信用失墜行為として懲戒処分等の対象になることに関しましても、改めて指針においてお示しをしたいと考えてございます。
勤務実態調査とこれまでの、先ほども吉川先生にもるる御指摘いただきましたけれども、教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査については、対象職種や調査の時期、方法などについて差異があるということで、単純にこれを比較することは難しいところがありますけれども、勤務実態調査とそれから働き方状況調査ということにつきまして、その調査の内容を、できる限り教員の状況を正確に、客観的に把握をすることを旨として、教師のそうした負担ができる限り生じないようにするということも考え合わせまして検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○うるま委員 じゃ、先ほどの答弁だと、法の施行後しばらくしてから国は勤務実態調査を行って、各教育委員会の勤務管理の信頼性、妥当性を検証することを検討するということでよろしいんですかね。確認です。
○望月政府参考人 勤務実態調査につきましては、これまで行ってきた調査の中では、非常に負担が重い、それから、一日一日、毎日、日々子供たちと関わっている先生方に三十分ずつの記録を毎日取っていただいて、何でこんな時間を取らなきゃいけないかという声とか、それぞれの項目についてのことについても、この項目に答える必要性がというようなお答えもありました。
そういう意味では、勤務実態調査そのものを行うというよりも、状況調査を、こちらもまた改めて検討をいたしまして、負担のできる限りかからない、そして、毎年やはり定例的に行って自治体の取組をフォローアップできるような、そういった調査を検討してまいりたいと思っています。
ですから、勤務実態調査そのものをまた同じように行うということを申し上げたものではございませんでした。私の説明が不十分であれば、失礼いたしました。
○うるま委員 勤務実態調査ほどのものはちょっとできるかどうか分からないけれども、実情に応じてしっかり国が見ていくという御回答だと思います。これは例えば、教育委員会の持つ一人一人の個票データであったり、教育委員会のデータ、これがしっかり合っているかとか、そういったことを是非国の方で調べて、その検証をしていただきたいと思います。
続きまして、業務管理、健康管理措置実施計画の計画策定や実施状況に際して、教育委員会が任命、監督する教職員の意思表明、意見表明の措置を講ずる仕組みが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
校務DXなどを進めるという、参考人のお話でもありましたけれども、そういったことを例えば現場の教員がベンダーに意見が言えるような仕組みを自治体がしっかりつくれるように国が指導していくとか、そういったことが必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。
○望月政府参考人 教師の厳しい勤務実態を踏まえまして、時間外在校等時間の縮減を確実に進めるために、全ての教育委員会においてPDCAサイクルを構築していただく必要がございます。
具体的な業務量管理・健康確保措置実施計画の内容につきましては、文部科学大臣が定める指針に即しまして各教育委員会において検討されることになりますけれども、当該計画が実効性を有するものとするためにも、教師の意見も含めまして、現場の実態に応じて策定、公表することが必要であるというふうに考えているところでございます。
業務を削減していく中においては、若手の教員、教師を始めとしていろいろなアイデアが出てくる部分もあるかと思います。校長等の管理職が学校現場の実情を踏まえましてリーダーシップを発揮することが大事でございますけれども、その際には、若手を含む教師によるアイデアも実践も取り入れることなども有効であると思ってございまして、そうした取組も進めてまいりたいと思っております。
○うるま委員 是非よろしくお願いします。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、西岡義高君。
○西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高でございます。本日もよろしくお願いいたします。
まず、午前中の参考人の方に伺った件につきまして、一つ、大臣にも御意見を伺いたいと思います。
学校制度についてなんですけれども、戦後に、小中高、六・三・三の単線型となったんですけれども、今現在、教員の方の精神疾患者数が過去最高を更新し続けている、子供たちを見ても、不登校、いじめの認知件数、そして児童生徒の自殺者数、これも増え続けて、過去最多を更新し続けているという状況で、子供も教員の方も非常に疲弊している。そういったところを見ると、やはりこの学校制度自体も制度疲労を起こしているのではないかという感じもいたします。
例えば、小中高一貫の私立校では四・四・四で区切っている学校があったりですとか、小学校四年生までの教科担任制が導入されますので、それであれば三・六・三という区切りも考えることができるかと思います。
また、不登校という言葉も、決められた学校に登校しなければいけないという前提があるということも考えられます。なので、フリースクールであったり、越境通学、通信制、様々な学びの場をしっかりと制度の中に取り入れて、単線型ではなく複線型にしていく、そういった検討もできるかと思っています。
大臣の単線型、六・三・三、今の学校制度に対するお考え、御意見がございましたら、伺いたいと思います。
○あべ国務大臣 委員御指摘のとおり、不登校児童生徒等を含めまして、やはり多様な児童生徒の実態に応じまして、一人一人のよさ、可能性を伸ばしていくことができる教育環境を整えていくことが重要だというふうに私どもも考えております。
文科省といたしましても、広く国民に今定着をしている小学校、中学校、高等学校の制度は維持をしながらも、地域の教育課題また児童生徒の実態を踏まえていきながら、義務教育学校、中等教育学校等を設置することで、六・三・三の区切りにとらわれずに柔軟な教育活動を行うことも可能としているところでございます。
その上で、不登校児童生徒につきましては、学びの多様化学校におきまして、子供の実態に配慮した特別の教育課程の編成を可能とするほか、また、教育委員会が主体となりまして、学校内外の学習の場を整備しながら、子供の状況によっては、フリースクール等の民間団体と連携した相談支援が行われているところでございまして、文科省としては、引き続き、この不登校児童生徒も含めた多様な児童生徒が安心して学びを継続することができるように取り組んでまいります。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
この件に関しましては、今後、幅広い議論をしていくべきだと思います。今後、取り組んでいけたらと思います。
それでは、法案の中身に具体的に入ってまいります。
先日も質疑させていただいた国立大学の附属校と公立学校との違いについて、御答弁いただいた中で、地域の様々な子供たちを全て受け入れて、多様な子供たちの状況に応じて、地域の特性も踏まえながら臨機応変に対応する必要が公立学校は非常に高いことを挙げられておりました。
国立学校が平成十六年に給特法の対象外となった際もこのことが理由とされたのでしょうか。また、この点について議論があったのでしょうか。お聞かせください。
○望月政府参考人 国立大学の法人化以前は、国立学校の教師は国家公務員でございまして、国立学校の教師の給与は、他の一般の国家公務員と同様に法律で定められてございました。
その後、国立大学の法人化によりまして、国立学校の教師につきましては、公務員法制から外れ、給特法の対象ではなくなりまして、民間の労働法制の下、給与等の労働条件は法人ごとの契約に基づき決定されることになったわけでございます。このように、国立学校の教員が給特法対象外となりましたのは、国立大学の法人化によるものでございます。
この辺は議論があったかということでございますけれども、これは、国立大学、学校の教員が、いわゆる私的契約に基づくその身分の変更になったということでございまして、この辺の、他の、教員のいわゆる、私が何度も御説明させていただいております、教師のそうした職務の特殊性という観点からの、そうした議論ではなかったというふうに存じております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
もう一つお伺いいたします。
令和六年八月二十七日に出されております中教審答申には、「必要となる知識や技能等も変化し続ける教師には、学び続けることが求められるが、例えば、授業準備や教材研究等の教師の業務が、どこまでが職務で、どこからが職務ではないのかを精緻に切り分けて考えることは困難である。」「こうした一般の労働者や行政職とは異なる教師の職務の特殊性は、現在においても変わるものではないため、勤務時間外についてのみ、一般行政職等と同様の時間外勤務命令を前提とした勤務時間管理を行うことは適当ではないと考えられる。」と記載されておりまして、これが給特法を維持する理由とされております。
国立学校では、平成十六年三月三十一日までは給特法適用だったんですけれども、翌日の四月一日から時間外勤務での取扱いとなりました。今述べたような職務や勤務態様の特殊性、これは一日で変わったのでしょうか。
○望月政府参考人 先ほども御説明しましたとおりでございますけれども、国立大学の法人化によりまして、国立学校の教員が給特法の対象外となったものでございます。
ですから、国立学校の法人化によるときのタイミングで変わったということでございます。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
今まで伺ってきたことを踏まえますと、国立学校が給特法の対象外とされたことについて、地域の特性も踏まえながら臨機応変に対応する必要性があるということは後づけであって、独立行政法人改革の一環で国立大学が法人化されたから給特法の対象外になっただけというのが実態だということを私は考えております。
職務や勤務態様の特殊性は共通するにもかかわらず、国立学校の教員については労働基準法が適用できている。一方、公立学校の教員だけは給特法を適用し、教職調整額という仕組みで、時間外勤務を支払えない、これには、今述べたようなことから、やはり合理性がないと私は考えております。
それでは、この国立学校が給特法から外れた後、労務管理上の問題が現場で起こったり、こういった労務管理上の混乱というのは起きなかったのでしょうか。状況をお聞かせください。
○茂里政府参考人 お答え申し上げます。
令和十六年の国立大学の法人化により、国立学校の教師は公務員法制から外れまして、給与等の労働条件は、労働基準法等の関係法令に基づき、法人ごとの就業規則により、これは定められることになりました。
その際、一部の附属学校におきましては、教師の時間外勤務を含めました勤務実態の管理、把握等に課題があり、労働基準監督署の指導等を受けるなどの例も生じたため、文部科学省といたしては、適切な対応を取るよう指導した、そういった経緯がございます。
○西岡(義)委員 今、国立学校の先生の給料体系が、給特法の教職調整額部分がみなし残業として払われていて、さらに、その超過した分は時間外勤務手当が払われている状況ということも伺いました。労働基準監督署で是正勧告等も出るということは、労働基準法から見るとやはりアウトというような状況ではないかなと考えております。
それでは、高等専門学校、専修学校、こちらの教員の方は給特法対象外となっておりますけれども、この理由はなぜでしょうか。
○望月政府参考人 お答えいたします。
給特法制定時の経緯といたしまして、給特法の対象につきましては、人事院の意見の申出に従って法律の中身を決めていったところでございますけれども、人事院の意見の申出におきましては、高等専門学校や専修学校は対象となっておりません。これらの学校については、そのため給特法の対象になっていないところでございます。
○西岡(義)委員 そのまま今に至っているわけですけれども、公立の高校の先生と、今実態として働いている中で、その違いというのか、片や公立高校の先生は給特法対象ですので、そこの相違点というのをお聞かせいただければと思います。
○望月政府参考人 給特法の対象でございます公立の義務教育諸学校等とは、学校教育法第一条に定めるいわゆる一条校と言われるもののうち、初等中等教育段階から中等教育段階までの学校種でございます。
高等専門学校は、普通教育を施すことを目的とする小学校や中学校、あるいは普通教育及び専門教育を施すことを目的とする高等学校等と異なり、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とするいわゆる高等教育機関でございます。専修学校につきましては、いわゆる一条校以外の、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的として、組織的な教育を行う教育施設でございます。
給特法制定時の人事院の意見の申出におきましては高等専門学校や専修学校が対象とされなかった具体的な経緯を遡って確認することは、人事院等にはなかなか難しいところでございますけれども、高等専門学校につきましては、高等教育機関であることと、給特法の対象である義務教育諸学校とは目的や性質が異なるものであり、法制上の扱いが異なっているものと考えております。
○西岡(義)委員 ちょっと法律のその適用が違うということで、職務的な内容が、余り、どこが違うのかというのがちょっと今のお話の中で分からなかったんですけれども、いずれにしても、公立の学校の先生だけ給特法の対象で、ほかの給特法の対象にならない先生もいるということに対して、この部分では、ちょっと根拠としては不十分ではないかなと思います。
私、教職調整額でも時間外勤務手当でも、教員の労働に見合った対価がきちんと支払われるのであれば、どっちでもいいとは思っています。給与というのは労働の対価ですので、中間段階で働き方改革が進んだかどうかで引上げ方を変えるとか、そういうものではないと思っております。今働いている分の給与が適切に来月の給料日に支払われなければならない。でも、現実的に教職調整額では今働いている先生方の労働に見合った対価を賄えていないからこの議論が続いているんだと思っております。きちんと労働に見合った対価が支払われないから、たくさん辞めるし、新しい人材もやってこないと考えております。
これは私の意見になってしまうんですけれども、教職調整額なら二〇%程度つけるべきだと考えますし、それができないなら時間外勤務手当にするべきだと思います。又は、国立学校のように、みなし残業として教職調整額を支払いながら、それを超えた分は時間外手当を支給するというのでもいいと思います。まずはしっかりと、働いている先生方の労働に見合った対価を支払っていただきたいと思っております。
では、テーマを変えて質問いたします。
コミュニティースクールについてですけれども、今回の改正で、学校運営協議会で校長が承認を得る学校運営に関する基本的な方針に、業務量管理・健康確保措置の実施に関する内容が含まれました。より一層の権限と責任を持って保護者や地域が学校運営に参画できるようにという意図だと解釈しております。
大臣も本会議の御答弁で、教職員の負担軽減のためには、地域と学校との連携、協働が重要であるとされて、コミュニティースクールと地域学校協働活動の一体的な取組を推進すると御発言がございました。今、約六割の学校で導入が進んでいるようですけれども、実際、学校運営協議会自体がちゃんと機能しているのかという疑問もございます。
私自身、PTAの関係で、いろいろなほかのPTAの会長さんとかとのお話も聞いていますけれども、よく聞くのが、決められた回数を開催すること自体が目的となっていて、定型的な報告、校長先生から報告があって、それが中心になっていくパターン、そして授業参観をみんなでして、町内会長さんなどと感想を言い合って終わる、そういう感じがやはり多いというのを耳にします。
あとは、意見自体はすごい活発に出るんですけれども、いざ決定となると学校側が難色を示して、結果的に情報共有で終わってしまうというような意見もいただきました。
あと、逆に踏み込んだ議論がされていて、小学校の学校運営協議会に近隣の中学校や高校の先生も参加してくださって、テーマごとに様々な意見を出し合って運営しているというような話も聞きました。
あと、そもそも参加者の間で、学校運営協議会にある権限と責任、これがみんなきちんと理解されていない、そういった声がやはり多いかなというのを感じました。
あと、結局のところ、校長先生の考え方ですとか会議の回し方、そういったものに左右されているのが今の学校運営協議会ではないかなと思います。
ですので、学校運営協議会を中心とするコミュニティースクール、これを推進していくというのであれば、きちんと機能させるためにも、教育委員会が会議の中にしっかり入って、適切な議題設定をしてあげるとか、共に伴走して支援していく、こういった姿勢が必要なのではないかなと思います。
そこで、文部科学省として、コミュニティースクール、学校運営協議会の運営について、今現在適切に運営できているのかどうか、現状をどのように把握しているのか、また適切に運営していくためにどのように伴走支援をしていくのか、現状の取組と今後の取組、ちょっとまとめての質問になってしまうんですけれども、教えていただければと思います。
○茂里政府参考人 お答え申します。
まず初めに、先ほどの私の答弁で、国立大学法人化につきまして、令和十六年と申し上げましたが、平成十六年と訂正いたします。大変失礼いたしました。
その上でお答えさせていただきます。
公立学校におけますコミュニティースクールの導入率は、今お話がありましたけれども、現在約六割に達しており、その導入数も近年増加傾向にございます。
コミュニティースクールの導入によりまして、学校と保護者、地域住民等の相互理解が進んだこと、あるいは、学校安全、地域防災が推進されたこと、また、学校を核とした地域コミュニティーづくりが進んだことなどの成果が挙げられているところでございます。
その一方で、導入率の地域間格差であったり学校種間格差とともに、地域人材との連絡調整を学校以外の主体が中心的に行う取組を行っている教育委員会は全体の半分にとどまるといった、活動の質に関する課題もあると認識しています。御指摘ありました、形骸化しているというような御指摘も受けているところでございます。
文科省では、コミュニティースクールを基盤とした学校と地域の連携を推進するために、伴走支援の取組として、まさに人が大事だと思っておりまして、豊富な知見を有する専門家の自治体への派遣であったり、教育委員会や学校を支援するためのアドバイザーの配置、さらには、コミュニティースクールと多様な地域関係者をつなぐコーディネーターの配置、こういったことに必要な経費を補助しているところでございます。
今ほど御指摘ありました、学校任せにするのではなく、地元の教育委員会がしっかりサポートする、それをまた国もしっかりサポートする、そういった伴走型の取組を進めてまいりたいと思います。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
コミュニティースクール、しっかりと機能していけば、三分類の業務分担、これは着実に進んでいくと思いますので、この点はしっかり今後も支援していっていただければと思います。
では、次、校務のDX化についてお伺いいたします。
今現在、徐々に進んできているという状況かと思いますけれども、学校間であったり自治体の間で取組の進捗にばらつきがある、差があるかと思います。校務DXが取組が進まない、その理由の一位が、取組の実施について学校内で検討する時間がないということでございました。
時間がないからDX化できない、結果、業務の効率化ができない、そしてまた時間ができない、こういうような、放っておいたら無限ループに陥るような状態です。ここにもやはり伴走的な支援、これは積極的に入っていくべきなんじゃないかなと考えております。
このような校務DXの状況について、どのように捉えて、今後どのような支援をされていくのか、こちらも教えていただければと思います。
○望月政府参考人 西岡委員御指摘のとおり、今、校務DXを進めているところでございます。
毎年調査を行っておりますけれども、例えば、校務DXによりまして、児童生徒の欠席、遅刻、早退連絡について、クラウドサービスを用いて、パソコン、モバイル端末等から受け付け、学校内で集計しているかどうかということとか、あるいは、学校から保護者へ発信するお便りや配布物をクラウドサービスを用いて一斉配信している、あるいは、職員会議等の資料をクラウド上で共有しペーパーレス化する、この辺はかなり進んできているという状況もございますが、一方で、取組がまだ、児童生徒等への調査、アンケートや、教職員間でのそうした共有など、まだ校務DXが進んでいないという学校に聞きますと、その理由として一番多いのが、御指摘いただきましたように、取組の実施について学校内で検討する時間がない、二つ目に、教育委員会によりツールやセキュリティー等が整備されていないといった、そうした課題が出てきているのが実際でございます。
校務DXの取組が教職員の負担軽減につながるということがまだまだ実感し切れていない、あるいは学校現場にも浸透していない自治体もあるというのは事実でございます。
このため、文部科学省におきましては、どの学校におきましても、こうした教員の一人一台端末というのが進んできている中におきまして、全ての学校や学校設置者が校務DXを推進する際に取り組むことが望ましい項目を整理したチェックリストを分かりやすくお示しをしておりまして、ここは自己点検をしっかりしていただきながら、そしてそれをフォローアップするための結果を公表しているところでございます。その結果を踏まえまして、さらに、今年三月に、取り組むべきポイントを、動画を作成、公表しまして、これはいろいろな、多くの教員の方に見ていただいて、あるいは各種研修会の場で、効果が高い項目から優先的に取り組むよう働きかけを行うなど、校務DXが効果的に実施されるよう、そうした周知を行っているところでございます。
校長あるいは学校設置者のリーダーシップの下でこうした校務DXの取組が更に進んでいって、それが働き方改革にもつながるといったことが大事だと考えてございまして、文部科学省としても、そうした支援をいろいろ考えながら行ってまいりたいと思っております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
DX化が目的化、DX化による業務負担ということにならないように、しっかりと国がリーダーシップを取って引っ張っていっていただければと思います。伴走支援していただければと思います。
PDCAサイクルを回すことが重要だと総理も本会議でおっしゃっておりました。しっかり回していくにも、Pを投げっ放しじゃなくて、C、A、せめてCぐらいまではしっかり伴走して、支援して現場を支えていっていただければと思います。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○中村委員長 次に、浮島智子君。
○浮島委員 公明党の浮島智子です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
本日は、働き方改革に応じためり張りのある給与体系、そして、中学校三十五人学級などについて質問させていただきたいと思いますけれども、その前に、前回取り残しの最後の一問がありましたので、そこから入らせていただきたいと思います。
教師の方というのは、余りに過重負担で倒れそうになったとしても、やはり学校のため、そして子供たちのためといって本当に頑張ってしまいます。制度的には、都道府県の人事委員会が企業における労働監督署のような役割を果たすことになっておりますけれども、現実には十分機能しているとは言えません。そこで、学校や教育委員会のみの閉じた仕組みだけではなくて、社会保険労務士や法律家など外部の専門家の目を活用することが適切な人事管理を行う上で効果的だと私は思っております。
地元の社会保険労務士会などと連携をしっかりして、教師が自らの勤務状態について相談できる窓口を設けるといった取組をモデル的に実施していただきたいと思いますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○あべ国務大臣 委員御指摘の点につきましては、まさに重要な御指摘であるというふうに考えております。
文部科学省におきましては、令和二年より、公立学校の教師等のいわゆる勤務条件等に関する相談窓口を設置するように、各都道府県また指定都市教育委員会に対して、通知などにより促しているところでございます。
引き続き、学校の働き方改革に集中的に取り組むため、こうした窓口の設置を促進してまいります。その際、御指摘の外部専門家を活用すること、相談機能の強化を図る上で有意義な側面もあるというふうに考えております。
御指摘を踏まえまして、そうした取組をモデル的に実施することも検討させていただきながら、教育委員会による適切な人事管理に必要な取組を進めてまいります。
○浮島委員 ありがとうございます。
午前中の参考人の方々にも同じ質問をさせていただきました。その質問をさせていただいたところ、非常に重要と考える、また、大賛成、そして、外部の目を入れること、助けてと言えることが大切であるということもおっしゃっておりましたので、是非取組をモデル的に実施していただきますよう、再度お願いをさせていただきたいと思います。
また、子供たちを取り巻く環境は複雑化、そして困難化、特別支援教育における児童生徒や外国人の児童生徒等の増加、そして、貧困、いじめの重大事態や不登校児童生徒の数の増加といった多様な子供たちへの教育のケアは、学校や教職員の使命感だけでは対応できない状況にあります。
一方、うつ病など精神疾患で休職する教員は増加の一途をたどっておりまして、人間教育の専門職として教職員の働き方の持続可能性が問われているのが今の現状であります。
そんな中でも、各学校のマネジメントを支えているやる気のある中核、若手教師、率直な意見を交換をしておりますと、今回の法案のとおり教職調整額の引上げ、教職員全体の処遇の改善を図ることは大賛成である、でも一方で、中核としてフル回転している中堅、若手教師としては、自分たちの頑張りや取組についても適正に評価してほしいという声をたくさんいただいております。
そこで、初中局長にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、二〇二二年の勤務実態調査において、統計上、教諭の中で時間外在校等時間が長い傾向にあるのは、年齢、性別、現勤務地における勤務年数、主任、主事や学級担任などの校務分担など、どのような属性を持った先生方なのか。また、時間外在校等時間が長い傾向にある属性を持った先生方の勤務実態の中で、教師の業務類型のうち、どのような業務が長時間にわたる時間外在校等時間の大きな原因になっていると分析しているか、教えてください。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年度の教員勤務実態調査では、統計的な分析の結果、小中学校共に、年齢が若い教師、担任する学級の児童生徒数が多い教師、持ち授業時数が多い教師、教務主任や学年主任を担っている教師、校務分掌の数が多い教師の在校等時間が長い傾向が見られるところでございます。
例えば年齢が三十歳以下である教師の平日の在校等時間は、教師全体の平日の在校等時間の平均と比較しますと、小学校で月六時間、中学校で月九時間二十分長い傾向にあるとの分析結果もあるところでございます。
また、在校等時間が長い教師の業務内容を見ますと、在校等時間が比較的短い教師に比べまして、小学校では授業準備や学校行事、中学校では部活動・クラブ活動、授業準備、学年・学級経営など、業務の時間が長い傾向が見られるところでございます。
こうした分析結果を踏まえまして、御支援いただきまして、令和七年度から四年間の計画的な教職員定数の改善によりまして、小学校における教科担任制を拡充することで、若手教師を含む小学校教諭の持ち授業時数を軽減するとともに、中学校における生徒指導担当教師の配置を拡充することとしているほか、授業準備等の業務を補助する教員業務支援員や部活動指導員などの支援スタッフの配置充実など、必要な予算を措置しているところでございます。
さらに、今回の法案におきましては、若手教師の支援を充実させていく観点から、御党の御提言に基づきまして、主務教諭の職を創設し、若手教師が一人で課題を抱え込むことにならないよう、学校が組織として、チームとして若手教師を支える体制の充実も図ることとしているところでございます。
これらにより学校の指導、運営体制の充実を図りまして、教師の在校等時間の縮減につなげてまいりたいと考えてございます。
○浮島委員 この給特法は、教員に対し教職調整額を支給する代わりに、時間外勤務手当と休日の勤務手当を支給しないとしており、教職の専門性や特性に着目したこの仕組みは妥当だと私は考えております。
でも、同時に、学校現場では、若手や中核の先生方が様々な主任、主事や学級担任など負荷の高い業務に従事していることが多くて、当該教職員の役割分担の勤務する学校の状況を踏まえた処遇とすることも必要だと思います。
公明党が昨年の十二月にあべ大臣にお渡しした提言においては、新たな役職、級の創設を含めた、めり張りのある給与体系の構築を提案しておりました。
また、今回の法案において、義務教育等教育特別手当の学級担任への加算、また主務教諭の職の創設が盛り込まれたことは、頑張っている先生方が報われる、めり張りのある給与体系の構築へ向けた重要な一歩であると受け止めております。
まずは、これらの仕組みを確実に進めていくことが重要でありますけれども、その上で、学校現場の状況等も踏まえて、より一層めり張りのある給与体系の構築に向け、更なる検討を進めていくべきだと思いますけれども、大臣の見解を求めます。
○あべ国務大臣 今般の処遇改善におきましては、御党からの御提案も踏まえまして、教職調整額の引上げに加えまして、職務や勤務状況に応じた処遇を実現するために、今回の改正案におきまして新たな措置を講じることとしております。
具体的には、義務教育等教員特別手当につきまして、教師が担う校務の類型ごとに困難性等を考慮した加算を可能とするため、校務類型の基準を省令で定めまして、学級担任に手当を加算することとしているところでございます。
また、若手教師のサポート等を行う主務教諭の職を新たに設置をいたしまして、その職務と責任に見合った処遇とするため、新たな級を設けまして、本給の改善をすることによりまして処遇することとしております。
その上で、法案をお認めいただければ、今回の改善の措置を着実に実施するとともに、学校現場の状況等も踏まえつつ、校務の類型の基準を始め、めり張りのある給与体系について更なる検討を進めてまいります。
○浮島委員 まずこれが第一歩ですので、しっかりとめり張りのある処遇をしていくよう、また検討していくよう、よろしくお願い申し上げます。
昨年末の予算編成過程において文科、財務の両大臣が交わした合意文書においては、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うと明記されております。
私は、二〇一七年の義務教育標準法改正による通級による指導や外国人児童生徒等の教育に関する教職員定数の基礎定数化、また、二〇二一年の義務教育標準法の改正による小学校三十五人学級の実現などに、公明党の文部科学部会長として全力を尽くしてまいりました。
特に、二〇一七年の義務教育標準法改正につきましては、これは文科省と財務省とずっと話合いをしてきましたけれども、これはもう絶対にできないということで、十二月、諦めてくれということに話がありました。私の方は、絶対に諦められない、なぜかといいますと、現場に行かせていただき、現場のお声をたくさんいただいておりました。
なので、ボストンバッグを持って、財務省に一人で行かせていただきました。そして、皆さんに話を聞いてもらいたいということで、現場の話ですということで、約一時間、話をさせていただきました。その話をさせていただいた後に、申し訳ございませんけれども、今この改正をしていただかなければ、私は今日からここに泊まり込みます、このボストンバッグを持ってきたのはそれが理由ですと。もう命懸けでした。というのは、本当に現場の声を伝えていかなければならないんです。
そうしたところ、ちょっとお待ちくださいということで、皆さん出ていかれました。出ていって、約二時間ほど一人にされたんですけれども、お水も何も出てこない部屋で、一人で約二時間待っておりました。自分としては、ちょっとどきどきしまして、ボストンバッグの中には何も入っていないので、事務所に電話をして本当に何かを持ってきてもらわないと、この部屋からはもう出られなくなると思ったんですけれども。
約二時間弱したときに皆さん戻ってこられまして、分かりました、お帰りくださいと言っていただいたんです。お帰りくださいということは、私はやらなければ帰らないと申し上げましたと申し上げたところ、だからお帰りくださいということで、やっていただくんですねということで、部屋に帰った後に、文科省が皆さん入られてこられて、何かよく訳が分からないけれども、ボストンバッグがどうのこうのということになって、そして何か変えることになったということで。
このボストンバッグ、今、ボストンバッグストーリーと言われておりますけれども、そこで十六年ぶりの法改正、義務標準法につながりまして、それが、二〇二一年の、四十年ぶりの小学校の三十五人学級につながったということでございます。なので、この両大臣の合意は、大変重要なことだと私は思っております。
中学校四十人の学級を実現するために、第五次の教職員定数改善の計画がスタートしたのは、昭和五十五年度、一九八〇年度、今から四十五年前です。その当時中学生だった人は還暦を迎えているくらいの昔の話になっています。来年度、二〇二六年度から、四十六年ぶりに中学校三十五人に向けた教職員定数の改善がスタートすることがいかに画期的なことかということが分かると思います。
そこでお伺いさせていただきますけれども、中学校三十五人学級になると、例えば、全校十五学級、生徒数六百人の中学校においては、教職員は何人増えることになるか、お答えいただきたいと思います。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
義務標準法に規定される中学校の学級編制の標準につきまして、現行の四十人から三十五人に引き下げられた場合、委員より例示がございました、例えば生徒数六百人の中学校を仮定しますと、各学年に均等に生徒が在籍しているとした場合、義務標準法の基礎定数を試算しますと、学級編制の標準が四十人では十五学級となり、これにより算定される教職員の基礎定数の総数は二十七・二人ですが、学級編制の標準が三十五人では十八学級となりますので、三学級増えまして、これによって算定される教職員の基礎定数の総数は三十二・八人となります。差引き五・六人分の教員の基礎定数が六百人の中学校では増えることになるわけでございます。
○浮島委員 この三十五人学級が実現すれば、クラスサイズが小さくなることによって、きめの細かい指導ができるようになることはもちろんでありますけれども、学校全体の教職員の数が増加して、学校マネジメントの強化につながると私は思います。
そこで、教育界の悲願であった中学校三十五人学級、これは、来年度から速やかに、速いテンポで完成させる必要があると思いますけれども、あべ大臣の姿勢、そして決意をお伺いさせていただきたいと思います。
○あべ国務大臣 不登校を始めといたしました複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、誰一人置き去りにされず、子供たち一人一人に応じたきめの細かい指導を可能とする指導体制を整備することはまさに大変重要と考えておりまして、そのため、令和七年度で三十五人学級が完成する小学校に続きまして、御党からの御提言も踏まえまして、財源確保と併せて、令和八年度から中学校における三十五人学級の定数改善を行うこととしているところでございまして、中学校の学級編制の標準を定めている義務標準法の改正案の提出に向けまして、委員の御指摘も踏まえまして、準備をしっかりと加速してまいります。
また、学校の指導、運営体制の充実強化を図るため、引き続き、少人数学級の推進を始めとした教職員定数の改善に向け、全力で取り組んでまいります。
○浮島委員 人づくりは国づくり、我々公明党も命懸けでしっかりと対応してまいりますので、大臣におかれましても命を懸けてしっかりと対応していただきたいとお願いをさせていただき、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○中村委員長 次に、大石あきこ君。
○大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。
給特法改正のことで質問なんですけれども、その前に、万博のことについて一問御質問いたします。
これまでも、子供たちを学校の遠足とか修学旅行に行かすのは危険であるということを申し上げてきましたが、メタンガス、高濃度のメタンガスの問題について経産省にお伺いしますね。
この問題につきましては、ちょうど一年前の三月二十八日に、実際に工事中にメタンガス爆発が起きまして、そのときも、メタンガスの爆発下限界を超えていたわけですが、それと同濃度の、五vol%を超えるという高濃度のメタンガスがこの四月にも出たところです。
そういうことが一年前からずっと問題になっていまして、それも受けて、このように万博協会が去年の九月十三日に言っているんですよ。今も理事会の資料として掲載されています。これを読み上げますね。
「会期中、ガス濃度測定を継続的に実施し、博覧会協会HPにて、測定値を毎日お知らせする。来場者等がわかりやすい公表内容を検討。」ということで、「測定値を毎日お知らせする。」と書いてあるんですけれども、どこを見てもないんですけれども、どうなっているんでしょうか、経産省。
○浦上政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、博覧会協会におきましては、二〇二四年の六月二十四日に公表いたしました会期中の安全対策というものに基づきまして、会期中、毎日、メタンガスの計測結果を公表するということとしております。
開催日である四月十三日以降は、会場内でのガス濃度測定結果を、ガス安全確認情報として、まさに委員御指摘のとおり、博覧会協会のホームページで、毎日、前日の夕方、それから当日の朝に掲載をしているところでございます。
○大石委員 今おっしゃったやつ、濃度は全然載っていないんですね。分かりやすいところといって、むちゃ分かりにくいところにそのガス安全確認情報というのが載せられていて、これは全く濃度ではなくて、ガス安全確認情報、「安全にご来場いただけます」とだけ書いてあるんですよ。その根拠となる濃度は全く掲載されていないんです。
先ほど、何か、ごまかした、六月にそんなようなことを出すみたいなのおっしゃったけれども、そうじゃなくて、去年の九月に、先ほど言いましたように、万博協会のホームページを見てくださいね、九月十三日の理事会資料、まだ載っていますから。測定値を毎日お知らせすると言っていて、たまたま、これは誤植じゃないですよ、七月二日にも、「大阪万博、爆発事故の現場公開 ガス濃度を毎日公表へ」と日経新聞も報道していますし、万博協会がそう言っているはずなんです。
もう時間がないのでいいんですけれども、外形的に見ても、毎日ガス濃度公表へと言ったんですから、それを今のように、言っていないかのようにごまかさずに、早く、毎日ガス濃度を公表してください。経産省は以上です。
そして、給特法の改正について……
○中村委員長 経産省、退席していいですよ。
○大石委員 ええ、経産省、終わりです。
それで、この給特法改正の議論につきましては、何度も重要広範ということで行われています。そして、ゴールデンウィーク明けまでこの議論が続くのはよいことだと私は申し上げましたが、何か、終局に向かおうとしているなと。
かつ、この給特法改正自体は、私がずっと申し上げているような労基法三十二条の労働時間に該当する労働にもかかわらず、そうではない、労働時間ではないかのようなすり抜けをしていることが根本問題で、それが学校の先生、公立学校の教師を一番苦しめている要因だと言っていましたが、そこを解決しないような修正案で茶を濁して終わろうとしていませんか。それは許されませんよ。
ちょっとパネルを掲示します。皆さんのお手元にも配付している資料でもあります。このパネルは前回にも出しました。厚労省に確認済みの厚労省の労基法三十二条のガイドライン、公立学校の先生も労働者であるということ、労基法、基本的適用であり、三十二条適用だということはもうさんざん確認してきました。それは厚労省も文科省も異論はありません。このガイドラインも基本的に適用されているということは、あべ大臣も否定しておりません。
このガイドラインでは、労働者の生活、二十四時間ある、そこが労働時間なのか労働時間でないのか、その二つの概念の中で、労働時間の方、こちらを一日八時間以内労働、週四十時間以内労働というのが公立学校の先生にも適用されていて、なのに、労働時間なのに、こちらの側の労働時間ではないと称して不払い残業が発生し、先生方を追い詰めているのではないのかという話をしていました。
先ほど、文科省が、立憲の亀井委員の質問への答弁でおかしなことを言っていると思いますので、それについてただしたいと思います。
二〇二一年の埼玉教員超勤訴訟で、それを、原告請求棄却とされたということが残業代を払わなくていいという判決だったという話に持っていっておられますけれども、この裁判、この訴訟については、私も先週も質疑で出していますし、今日、午前中に高橋参考人も言及されたと記憶していますけれども。
この埼玉教員超勤訴訟は、地裁、高裁、一審、二審、いずれも超勤四項目以外の時間外労働の一部が労基法上の労働時間に当たるということを認めているんですよ。最後に、損害賠償責任について、損害賠償請求は認められない、それは損害が軽微であることからというふうに判決されているんですね。
文科省に聞きたいんですけれども、その訴訟は、労基法に定める労働時間に当たることを、超勤四項目以外の時間外労働の一部が労基法上の労働時間に当たることを認めた判決ではないのですか。文科省はどう考えているんですか。
○望月政府参考人 大石委員御指摘の裁判につきましては、埼玉県の小学校教諭である原告が、時間外労働を行ったとして、原告を労働基準法第三十二条に定める労働時間を超えて労働させたことが、国家賠償法上違法であることを主張されたものと認識してございます。
一審の地裁判決では、原告が自主的かつ自律的に行った業務につきましては、本件校長の指揮命令に基づいて行ったとは言えず、これに従事した時間は労働時間に当たらないとし、原告が行った個々の業務について、指揮命令に基づく部分とそうでない部分を明確に切り分けることが困難とした上で、個別具体に原告が主張した時間外の業務について検討がなされ、その一部については労働時間に当たると言うべきと示された上で、国賠法上の違法性を検討した結果、日常的に長時間にわたり、そのような時間外勤務をしなければ事務処理ができない状況が常態化しているとは必ずしも言えない状況にあり、教員の労働時間が無定量になることを防止しようとした給特法の趣旨を没却するような事情があると認めることができないとして、国賠法上の違法性は認められない旨判示されたと承知しているところでございます。
○大石委員 その労基法上の労働時間に当たることを一部認めているわけじゃないですか。論点になっているのが労基法とのずれというところで、当然、労基法三十二条も含まれるわけじゃないですか。
だから、訴訟リスクもあるから変えた方がいいんじゃないの、逆に言ったら、委員の側ですね、立法府の側だって、このままだったらこれは作為、不作為を問われるんじゃないんですかという質問だったんですよ。
何でその文脈で、今までの判決では問題がなかったかのように言うんですか。今の答えの中には、労基法上の労働時間として一部認められているじゃないですか。そこも言うべきではなかったのですか。お願いします。言うべきだったと答えてください。
○望月政府参考人 亀井委員の御質問につきましては、文部科学省の方でそうした時間外勤務手当に関する裁判の例を網羅的に把握をしているかどうか、どういう例があるかという、どのくらいのケースでどのくらいあるかということについて御質問がありましたので、お答えを申し上げたところでございます。
○大石委員 問題がないかのような答弁をしていたので、そういう印象操作みたいなのが駄目なんでしょうということを申し上げたいんですよ。三十二条の労働時間に認められるんだと、超勤四項目以外の業務がね。そういう裁判だったと今答弁でもおっしゃったので、まあ、いいですけれども。そのことは終わります。
次、文科大臣にお伺いしたいんですけれども、お手元配付資料ですね。二〇一二年から大阪府の教育委員会においては、部活動の特に公式戦とかについて公務やという扱いをしているという資料が、お手元配付資料の〇二から〇六なんですよ。〇五の一覧表なんか分かりやすいと思いますけれども、これは労働でしょうという。旅費の公費支出、「可」となっているんですね、公式戦への参加。公務災害の適用、「適用」と。週休日等の振替等、「可」ということで、公務とみなすと書いてあるんですね。
文科大臣、この〇一の資料、先週も見せたじゃないですか。労働時間か労働時間じゃないかという二つしかないんですよね、労基法三十二条で。それ、公立の教員もその状況に置かれているので。これ、大阪府、公式戦、部活動、土日行ったら、学校の先生、これは労働時間じゃないんですか、この、こっちの、これの。お願いします。
○あべ国務大臣 学校教育の一環として行われます部活動の指導におきまして、公立学校の教師が従事している場合におきまして、それは公務に当たるものと認識をしております。
その上で、所定の勤務時間内に行われる部活動指導の時間におきましては、労働基準法上の労働時間に当たります。
また、公立学校の教師について、給特法の仕組みにおきましては、所定の勤務時間外に行われる部活動指導の時間は、労働基準法上の労働時間とは言えませんが、学校教育活動に関する業務を行っている時間と整理されているものと考えています。
○大石委員 厚労省にお伺いしたいんですけれども、先ほど文科大臣が公務であるとおっしゃいました。この大阪府の土日の部活を例に、公務だとおっしゃいました。公務だったら、労基法の三十二条上、こちら側の労働時間ではないんですか。厚労省。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
労働基準法における労働時間は、客観的に個別具体的に判断されるものでございまして、この考え方は、労働基準法が適用される労働者についてはひとしく同じように考え方は適用されると考えております。
○大石委員 それを適用したときに、先ほど文科大臣が部活動を公務やと言ったところの、公務であるところの部活動は、さすがに労働時間ですよね、厚労省さん。それは例外はあるんですかね、逆に。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
労働時間は個別具体的に客観的に判断されるものでございますので、御指摘のものについて一般的にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○大石委員 もう大分無理があるというのは、ここの会場全体を包んでいると思うんですよね。
やはり、最後にいつもいつも出てくるのは財源問題でしょう。財源がない論でしょう。
これは、二〇一八年の朝日新聞の、配付していませんけれども、そのときの中央教育審議会特別部会長、小川さんという放送大教授の方ですけれども、財源がないということを書いているんですね。私の試算によれば、教員の働きどおりに教職調整額を支払うとすると、一年間で九千億円から一兆数千億円が必要です、しかし、財源のめどはありません。この発言自体が、もう労基法違反じゃないですか。労基法とのずれ。
今日も、自民党の偉い人というか幹部の木原さんという方が来て、財務省は財源に腹くくってへんやろという、なのに中教審で曖昧な時間外勤務に払うかのようなことを言っているのは曖昧やからあかんのや、しっかりと時間外手当やないということで運用しろみたいな、たがはめに来て、それで文科大臣が、そのように運用しますみたいなこと、あったじゃないですか。それがボトルネックでしょう。
もう皆さんも他人事じゃないですよ。その財源がないという論に縛られて、逆に言えば、公立学校の先生、年間一兆円の不払い残業をさせられているんでしょう。それが、財源がない、確かに財源がないなみたいなので行っちゃうんですか。一兆円のお仕事をしているんでしょう。本当に、財源、ないんですか。
過去最高の税収、八十兆円なんでしょう。国債発行もできるでしょう。だけれども、公立学校の先生に払う財源はないわけ。おかしくないですか、そういうの。そうやって先生に、これは不払いですよね、明らかに。裁判の判決でも、労働時間だって認定されてきているわけじゃないですか。
○中村委員長 まとめてください。
○大石委員 はい。
そういう中で、何か、先生を解放しようみたいな、鎖をはめておいて、解放しようみたいな話って、気持ち悪いですよ。皆さん、気持ち悪くないんですか。このまま終局するんですか。それは許されない。引き続き、質疑を行います。
終わります。
○中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時一分散会