衆議院

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第12号 令和7年5月9日(金曜日)

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令和七年五月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中村 裕之君

   理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君

   理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君

   理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君

   理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君

      遠藤 利明君    小渕 優子君

      木原  稔君    坂本竜太郎君

      柴山 昌彦君    島田 智明君

      鈴木 貴子君    高木  啓君

      渡海紀三朗君    丹羽 秀樹君

      萩生田光一君    平沼正二郎君

      松野 博一君    三谷 英弘君

      簗  和生君    山本 大地君

      若山 慎司君    阿部祐美子君

      安藤じゅん子君    五十嵐えり君

      川内 博史君    小山 千帆君

      佐々木ナオミ君    高橋  永君

      竹内 千春君    辻  英之君

      津村 啓介君    波多野 翼君

      眞野  哲君    吉川  元君

      うるま譲司君    前原 誠司君

      美延 映夫君    西岡 義高君

      浮島 智子君    金城 泰邦君

      大石あきこ君

    …………………………………

   議員           田村 貴昭君

   内閣総理大臣       石破  茂君

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   文部科学大臣政務官    金城 泰邦君

   文部科学大臣政務官    赤松  健君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大隈 俊弥君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     丹羽 秀樹君

  船田  元君     若山 慎司君

  松野 博一君     高木  啓君

  山本 大地君     坂本竜太郎君

  五十嵐えり君     津村 啓介君

  竹内 千春君     川内 博史君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本竜太郎君     山本 大地君

  高木  啓君     松野 博一君

  丹羽 秀樹君     平沼正二郎君

  若山 慎司君     島田 智明君

  川内 博史君     竹内 千春君

  津村 啓介君     五十嵐えり君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 智明君     船田  元君

  平沼正二郎君     遠藤 利明君

    ―――――――――――――

五月七日

 国の責任による二十人学級を展望した少人数学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(新垣邦男君紹介)(第一〇二二号)

 同(屋良朝博君紹介)(第一〇六七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一四六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一四八号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一一四九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一五〇号)

 同(田村智子君紹介)(第一一五一号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一一五二号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一五三号)

 設置基準を生かし特別支援学校の教室不足解消を求めることに関する請願(新垣邦男君紹介)(第一〇二三号)

 同(田中健君紹介)(第一〇四三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一一五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一一六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一一七号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一一一八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一一九号)

 同(田村智子君紹介)(第一一二〇号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一一二一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一二二号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一一九〇号)

 同(山登志浩君紹介)(第一一九一号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一二一一号)

 同(笠浩史君紹介)(第一二一二号)

 私立幼稚園を始めとした幼児教育の充実と発展に関する請願(大石あきこ君紹介)(第一〇五三号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第一〇六六号)

 同(石川香織君紹介)(第一〇八二号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一〇九号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一一一〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一一一号)

 同(田村智子君紹介)(第一一一二号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第一一一三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一一四号)

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(吉川元君紹介)(第一一五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

中村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁長官官房審議官竹林悟史君、総務省自治行政局公務員部長小池信之君、文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君、スポーツ庁次長寺門成真君、厚生労働省大臣官房審議官尾田進君、大臣官房審議官大隈俊弥君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。萩生田光一君。

萩生田委員 おはようございます。自民党の萩生田光一です。

 久しぶりに文部科学委員会で質問に立たせていただきました。

 我が党では、この問題について特命委員会をつくり、当時政調会長だった私自ら特命委員長になりまして、ここにいらっしゃる多くの我が党のメンバーと共に何度も議論を重ねてきました。

 我々は、教師という職業は尊い仕事だと思っています。私、よく申し上げるんですけれども、その先生との出会いは子供たちにとって一生を左右するほど重要な仕事である、そして誰もが一度は憧れる職業が教師である、こう申し上げてまいりました。

 では、そんな教師のあるべき姿はどういうものなのか、そしてその姿を実現する働き方、給与や働く時間の考え方も含め、そして、大学での養成問題、教員配置、マンパワーなど、学校全体のトータルパッケージの議論を積み上げてきた経緯があります。

 残念ながら、この議論が始まってから報道は、いわゆる給特法に焦点を当てて、これの是か非か、もっと言えば二項対立のような話になってきたんですけれども、これはあくまで令和の学校教育を変える大きな政策の一つのツールでありまして、この法案が通ったからといって全てバラ色になるわけじゃないです。もっと言えば、道半ばで、これだけで終わるわけじゃなくて、これからも現場の改革をしながら子供たちに最良の教育を提供していく、それが我々の使命だというふうに思っております。

 担任する子供のことを思って、例えば、同じ答案用紙でも、五分で丸つけが終わる先生もいれば、赤ペンでコメントを入れたり、あるいは大きな花丸を書いたりして励ます、激励をする、そういうメッセージを書く先生方もいらっしゃいます。じゃ、五分で終わることが十五分かかる先生は、これは無駄かといったら、そうじゃないんですね。やはり先生方の子供たちとの寄り添い方の一つの在り方でありまして、我々はそういう仕事の仕方を尊重していきたいというふうに思います。

 あるいは、教員の皆さんがいい授業をするために文献をしっかり読み込む。職員室で読んでいたら、これは仕事なんですか、あるいは自分の向上のためにやっている趣味ですか、なかなか区別がつきません。しかし、トータルでそういう力をつけていただくことが子供たちに還元をする教師力になるわけでありますから、私は、例えば学校現場で本を読むことも、ある意味では仕事時間内にあっていいんだと思っています。

 区別がつかないこういった時間の在り方をどうやって法律で担保していくのか、また給与で評価していくのかというのが今回の大きな問題だろうというふうに思います。私は、こういう職業だからこそ、教師という職業は、特別な法律、人材確保法で確保されて、そして特別な地方公務員という位置づけなんだと思います。そういった原点にもう一回戻ろうという問題意識で党内議論を進めてまいりました。

 私が文科大臣だった令和元年の頃は、給特法の一部改正を行いましたけれども、当時は、学校にはタイムカードもなければ、時間管理という概念がほとんどの自治体でなかったんです。時間外は今よりも多くて、そして、労働基準法の考え方とずれがあると答弁したのは、当時の給特法の仕組みそのものが時間管理の必要性を希薄化していたという認識の下での議論だった、そう思っております。特別法なんですから、考え方に違いがあるのは当然だと思います。

 前回の給特法改正後、業務時間の把握が徹底されるようになりました。上限指針の策定に加えて、四十年ぶりとなる小学校の三十五人学級の実現。それから、十年ごとに行っていた教員免許更新制の発展的な解消。小学校高学年では教科担任制を、配置をする強化。また、スクールサポートスタッフ、今では当たり前に使っていただいておりますけれども、当時はこれはまだ非常に人数が少なかったんですが、大幅拡充を進めてきて、その結果、時間外労働は減少してきたと思っています。

 しかし、先ほど申し上げたように、道まだ半ばです。今回、地方にも働き方改革のための計画策定などの義務をかけます。首長の総合教育会議にも状況を共有してもらって、地方の教育予算の拡充も考えてもらう。私は、これは、給特法が働き方改革を推進する法律となる抜本的な見直しの第一歩だと思います。

 仮に給特法を廃止をしてしまったら、勤務時間や勤務条件をめぐって校長と教師の間で混乱や対立のあるような学校に過ごす子供たちというのは、本当に幸せなんだろうか。時間外勤務命令を出すことができる市町村や校長の懐は全く痛まないのに、自分の権限のないところで給与負担が増えていく都道府県は黙っているのだろうか。あるいは、市町村が残業代を負担するとなりましたら、財政力のないところには教師が行かなくなります。だとしたら、その地域に生まれた子供たちはどうなるのか。親は、豊かな市町村に引っ越しをしよう、そういう決心をするのではないかと思います。

 時間外勤務手当ではなく、むしろ給特法の精神を尊重しながら、教師の職責にふさわしいベースアップとして教職調整額を一〇%以上にする、我が党はそういう結論に至りました。

 給特法は、命令された業務の時間だけ残業代を払うのではなくて、子供を育てるという教師の裁量を確保し、その職責に対して給料を上乗せして処遇する、まさに特別法です。

 そして、今の子供たちにとって、本当に多様化をしている学校。保護者の要求も、我々の子供のときとは比べ物になりません。昨日、ちょうど立川でちょっと残念な事件が起こりました。でも、先生たちは子供を守るのに必死で頑張っていただいたと思います。

 小学校では、今、十の教科がありますけれども、内容も高度化をして、子供たちの学び方も令和の時代に合わせて変えていこうという時代に、一人の先生が十教科全て教えられるマルチな人間というのは本当にいるんでしょうかね。鉄棒ができて、そしてオルガンが弾けて、そして英語をしゃべれて、こういう先生方というのは本当にいるのかというふうに考えます。それを考えたら、やはり専科を増やしていく、マンパワーを教育現場に入れていくことは、私は大げさじゃなくて必要なことだと思います。

 そうした対応が公立の学校に求められるようになってきている今、特に、様々な課題や障害を抱えている子供たちがとても増えている現状も見過ごせません。一人の先生が三十人を超える子供たちに本当に目配りできる環境ではないのではないかと思っています。それに、社会の側から見たときに、今の学校は昔の学校と違っていて、社会が変わっている中で、学校にみんなが依存し過ぎています。

 そんな中で、先生たちは、子供たちのため、歯を食いしばって頑張っていらっしゃいます。先生たちからは、頼むからもっと子供たちに関わらせてくれ、憧れたやりがいのある仕事に、姿にしてほしいという声を聞いてまいりました。だから、少人数学級も進めなくてはいけませんし、専科の教師も必要ですし、スクールサポートスタッフのような人も増やさなくてはならないと思っています。子供の数が減ったから教師を減らす、そんなことを続けていたら、公立学校が教育を支えている地方から真っ先に教師がいなくなってしまうと私は思います。そういうトータルな話が必要なので、何か一つやればいいという話ではありません。

 そこで、大臣にお伺いします。

 令和の日本型学校教育を実現していくには、トータルで学校を変えていかなくてはなりません。その際、我が党の特命委員会では、令和七年度中に義務標準法改正案を国会に提出をし、令和八年度から中学校の三十五人学級を実現するべきと提言していますが、改めてこの場で今年度中に義務標準法改正案を国会に提出すると大臣から確約をいただきたいと思いますが、いかがですか。

あべ国務大臣 委員のおっしゃるとおり、本当に総合的に教師を支えていく体制が必要でございまして、自民党の令和の教育人材確保に関する特命委員会からいただきました御提案も踏まえまして、令和八年度から、財源確保と併せまして、中学校における三十五人学級への定数改善を行うこととしておりまして、今年度中に義務標準法の改正案を国会に提出すべく、しっかりと準備を進めてまいります。

萩生田委員 お願いします。

 この改革で一番大切なのは、今頑張っている教師の皆さんが、もちろん健康に気をつけながらやりがいを持ってもらうこと、そして、その姿を見て、教師に憧れ、教師になりたいという人が増えていくことだと思っています。

 部活動の話が度々中学校で出ますけれども、教師のやりがいという意味では、やりたい教師には是非やってもらっていいと私は思っているんです。

 私、大臣のときにマーチングバンドの全国大会に参加しましたときに、休憩時間に控室に先生方が押しかけてきまして、そして、大臣は我々からマーチングバンドの顧問を取り上げるんですかと言って詰められたんです。私は、日曜日の大会だったので、いや、そうではなくて、こういった土日にも出勤をされて、その負担が大変だと思うので、それを軽減したい、今そういう中で外部委託というのを考えているんだ、こう申し上げましたら、その先生方は異口同音に、いや、我々、お休みをもらってどんな立派なコンサートを聞くより、自分たちの教え子の姿を見ることが月曜日からの仕事につながるので心配御無用ですと言われて、ちょっとびっくりしたんですね。

 だけれども、私も振り返って、やはり教員になろうという人たちは、中学校ではクラブの顧問をやりたいと思って教師を目指す人たちもいるわけです。残念ながら、ミスマッチで自分が望んだものになれない場合に負担感を感じるんだと思います。その辺をしっかり制度設計をしてさしあげれば、教員の皆さんは更にやる気を起こしてくれるんだと思います。

 ライフステージによっても働き方というのは変わってきます。例えば、新卒で若い方でまだ独身の方は夕方遅くまで子供たちと汗を流すことが次の日にもつながると思うんですけれども、だんだん年齢を重ねて、自分も家庭を持って親になったりすれば、その期間というのはなかなか今度は夜遅くとか土日なんというのは、とても出ることができません。また、子供たちが巣立った、最後、定年までの数年間というのは、早くうちに帰ってもやることはないわけですから、逆にクラブ活動を頑張りたい、そういう先生たちもいるので、ライフステージに合わせて人をきちんと補充していくということをしてさしあげたら、教員の魅力は維持することができるのではないかと思っています。多様な教職との向き合い方を認めてあげ、そして、何よりも、やりがいを大切にしてあげたいと思います。

 文科省の一番大事な仕事は、時には現場に厳しいことも言いますけれども、でも学校現場で頑張っている先生方を応援することです。そのためには、やはり必要な予算はしっかりと確保していく、これは大臣の仕事だと思います。

 この仕事をずっと長くやっていまして、財政当局といろいろ戦ってまいりました。財務省の役人の皆さん、主計官の皆さんは、子供のときからクラスで一番、学校で一番、もっと言えば町で一番、そういう人たちが今財務省で働いていますよ。だから、授業に遅れてしまって不安を持っている子供たちの気持ちというのは分からないんですね。そもそも質問の機会がなくたって全部授業を分かっている人たちがそれを査定しているわけです。ですから、この働き方改革を進めれば子供たちがよくなると説得しても、なかなか分かってもらえません。

 もっと言えば、児童生徒が減っているんだから教員を減らすのは当たり前じゃないか、こういう論法をされるので、外から見ればそのとおりかもしれないけれども、多様化した子供たちにどう向き合うかを考えたら逆ですよ。少子化の時代こそ教員をきちんと増やして、そして専門性を高めて、子供たちとの向き合う時間を増やしていくことが、今、私は現場に求められていることだというふうに思います。

 もっと言えば、現場をよく知らないんですね。遠藤先生とともに、学校の教室にエアコンをつけるという話、数年前に始まったときに大反対されましたよ。我々は何と言ったかといったら、じゃ、財務省の人に、夏の間、子供たちの教室の後ろに机を置くから、そこで仕事してみたらどうだ、暑かったら窓を開ければいいとおっしゃったので、そう申し上げたんです。今のこの状況を考えたら、そんな状況で仕事なんかできませんよ。大人が仕事ができない教室で子供が勉強できるわけないわけですから、だからエアコンをつけてきた。何もぜいたくを言ったわけじゃなくて、社会変化に合わせて環境を変えてきただけでありまして、こういったことをしっかり我々は声を上げていかなきゃいけないと思います。

 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。

 今日お話をした教師の働く環境は大切です。子供の学び自体も、例えばGIGAスクール構想で一人一台端末が配備をされました。これはあくまでツール、文房具でありまして、その中で学びの在り方を考えていく必要があると思います。そのためには一定の予算がかかります。でも、それは資源のない我が国にとって、子供こそが我が国の宝であって、そこに投資することは惜しむべきではないと思うんです。

 残念ながら、今までは現場任せで、何とか現場の御苦労でうまくいってきた。しかし、ここに限界が来ているわけですから、加藤財務大臣や総理とも渡り合って、必要な教育予算は絶対に確保する、制度改正はやる、こうした改革をしっかりとやっていく決意あるいは覚悟、これをこの場で表明してもらいたいと思います。

あべ国務大臣 委員のおっしゃるとおり、まさに教育は国家の根幹でございまして、人づくりこそ国づくりでございます。

 資源のない我が国にとって、未来を開く子供たちの質の高い公教育の創生、何よりも委員がおっしゃるように重要な政策であると私どもも考えておりまして、国、地方公共団体、学校など全ての関係者が一体となって、誰もが一度は憧れる教師にふさわしい勤務環境を実現する、そして、子供たちが自分らしさを十分に育みながら幸せを実感できる社会を実現することを目指しまして、私は、先輩方にも御指導いただきながら、文部科学大臣として、皆様と御一緒に、そのために必要な教育予算の確保、また今回の法案を始めとする制度改正に、不退転の決意でしっかり取り組んでまいります。

 今日も御指導ありがとうございます。

萩生田委員 時間の関係で意は尽くせませんけれども、とにかく、これで終わりじゃないです。これからもしっかり改革を進め、教師の皆さんが誇りを持って仕事をしていただける、そして子供たちと向き合う時間をしっかりつくっていく、このことに我々は努力することをお誓い申し上げて、前半の質問を終わりたいと思います。

中村委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。川内でございます。

 委員長、理事の先生方に御許可をいただいて、こうして大変重要な法案である給特法の質疑に立たせていただけますことをまず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 尊敬する萩生田先生の後を受けて、萩生田先生の御議論は大変高邁な御議論であったというふうに思うのですが、諸外国の事例を見ても、学校の先生方というのは大変特別なお仕事であるという位置づけの下に様々な制度があるんだなということを感じておりますけれども、さはさりながら、仕事として子供たちと向き合っていることに対する対価というものをどのようにしていくのかということについて、私どもは給特法というものが足かせになっているのではないかという思いを持ちながら、しかし、この法案に対してどのような態度を取るのかということをしっかりと考えながら議論を進めてきたというところでございまして。

 政権も、あるいは自民党や公明党の先生方も、子供たちが大事だねと、みんなそう思っているわけです。子供たちの成長というものが本当に大事だねと。それは、私どもは、国にとって大事だということではなくて、その子の人生にとって大事だというふうに思っているわけでございます。だからこそ、しっかりとサポートをしなければならないというふうに思っているわけでございます。

 今日は、私は幼児教育の観点から少し聞かせていただこうというふうに思っているんですけれども、これまで累次にわたって、平成二十五年ぐらいから、幼稚園あるいは保育園、認定こども園の先生方に対する処遇改善をしていかなければならないねということで、十数年間予算を積み増して様々な施策を講じてきているわけでございますけれども、これまで処遇改善のために、平成二十五年度から令和六年度までどのぐらいの予算を処遇改善のためにお使いになられたか、計上してきたかということをまず教えていただきたいというふうに思います。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士等の処遇改善につきましては、令和六年度補正予算では一〇・七%の大幅な改善を実施し、令和七年度予算でも財源を確保した上でこれを反映しており、平成二十五年度以降では累計で約三四%の改善を図ってきております。

 この保育士等の処遇改善につきましては、子どものための教育・保育給付交付金の中で実施しているところですが、令和六年人事院勧告対応分などの一部例外を除いて、この交付金のうち処遇改善に係る額のみを取り出す形での算出を行っているものではなく、平成二十五年度以降の正確な総額をお答えすることは困難でございます。

 ただし、令和六年人事院勧告に準拠した一〇・七%の処遇改善の国費所要額は約千六百億円でございますので、これを基に平成二十五年度からの累計約三四%の処遇改善の国費所要額を機械的に試算いたしますと、約五千百億円ということになります。

川内委員 二十分しか時間がないので、審議官、最後の五千百億円でございますというところだけ言えばよかったんですけれども。

 結果として、職種別の平均賃金はどうなったのかということを教えていただきたいというふうに思います。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の平均賃金の額ということでよろしいでしょうか。(川内委員「はい」と呼ぶ)はい。

 私どもが実施いたしました令和六年度の幼稚園、保育所、認定こども園等の経営実態調査の速報値ということになりますけれども、足下の六年度の平均値でございますが、保育所の保育士は、私立で三十四・八万円、公立で三十六・六万円、それから、私立の幼稚園の平均値が三十三・五万円、公立が四十・五万円というふうになっております。

川内委員 中央値は分かりますか。平均賃金ではなくて中央値。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの中央値につきましては、現在、この令和六年度の調査の確定値の結果等を内部で最終確認している段階であり、本日この場でお示しをすることは難しいですけれども、今後、調査結果が確定した段階で、中央値についても集計、精査をしてまいりたいというふうに思っております。

川内委員 平均が分かるということは中央値もすぐ分かるんですけれども、是非早急に出していただければというふうに思います。というのは、この平均賃金というのは、いろいろな、園長先生とかそういう方たちのものも含めてのもので、ちょっと高めに出ますから、中央値、真ん中の方の給与というものがどういうふうになっているのかというのは、情報として国民の皆様にもお示しすべき数字であろうというふうに思います。

 そこで、今こども家庭庁の方から教えていただいたのは、私立のものと公立のものと教えていただいたわけでございますけれども、公立の幼稚園、保育園というのは、認定こども園の先生方というのは、給特法の対象になる先生方もいらっしゃるわけでございますけれども、そもそも、給特法の対象に幼稚園の教員というのも入っているという理解でよろしいかというのを、まず基本的なところを確認させていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 給特法に基づきまして、条例に定めるところにより支給される教職調整額の範囲は、公立幼稚園の教員も対象となっているところでございます。

川内委員 公立幼稚園も給特法の対象になっているということでございますけれども、それぞれの自治体で、幼稚園教員に教職調整額が支払われていない、給特法の対象であるにもかかわらず教職調整額が支払われていないという実態があるということを聞いておりますけれども、文科省としてはその実態を認識されておるかということを教えていただきたいと思います。

望月政府参考人 全国的な調査は行っておりませんで、個別に聞いているものでございますけれども、一部の自治体におきましては、川内委員御指摘のとおり、公立幼稚園の教諭に対して教職調整額を支給していない実態があるところもあると承知しているところでございます。

 これに関しましては、文部科学省として、これまで、公立幼稚園の教諭等の給与につきましては、教職調整額が支給される制度になっているということを踏まえまして、適切な措置を講じるよう通知するなどの指導助言を行ってきているところでございます。

川内委員 まず、教職調整額を支払っていない自治体がある、それについて必要な通知などをしているということでございますけれども、文科省は網羅的に把握をしているということですか。

望月政府参考人 全国的な調査で網羅的な把握はしておるわけではございません。

川内委員 これは給特法という法律でございますから、それで幼稚園も、公立の幼稚園はその対象になっているということでございますので、教職調整額を上乗せしなければ、これは法律に違反しているということになるわけでございまして、文科省として、網羅的にしっかりと把握をし、そしてその教職調整額を上乗せしていない自治体に対しては、教職調整額、上乗せしないと法律違反ですよということで、しっかりとした指導も併せてすべきであると。

 網羅的に把握をすべきである、そしてきちんと対処をすべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

望月政府参考人 公立幼稚園の給与につきましては、これまで教育委員会に対して適切な措置を講じるよう指導を行ってまいりました。先ほど御答弁したとおりです。

 先ほどの、こども家庭庁さんの方から御説明あったとおり、それぞれの給与の状況については別途調査をしていて、公立幼稚園について給与がしっかり上がっているということは確認できているわけでございますけれども、御指摘を踏まえまして、今後、教職調整額を含めまして、公立幼稚園の教諭等の給与の状況について把握をしていきたいと考えておるところでございます。

川内委員 いえ、私が言っているのは、給与の状況について把握してくださいねということを申し上げているわけではなくて、給特法という法律をしっかりと各自治体が守らなければならないということを申し上げているわけでございまして。だって、最終的には条例で俸給表が定められるわけですけれども、文科省は全ての自治体の俸給表を把握しているわけではないでしょう。

望月政府参考人 教職調整額の支給の状況も含めまして、把握をしてまいりたいと考えているところでございます。

川内委員 しっかり把握して、しっかりとした対応をしていただきたいというふうに思うところでございます。

 もう一点、今回、教育公務員特例法の改正の方で担任手当なるものが新設をされるというふうに聞いておりますけれども、この教育公務員特例法の改正案の条文を読みますと、「義務教育等教員特別手当は、前項に規定する者のうち次に掲げるものを対象として、これらの者が分掌する校務類型に応じて支給するものとし、その額は、校務類型に係る業務の困難性その他の事情を考慮して、条例で定める。」というふうに書いてあるわけでございますが、法律は私素人で、めちゃめちゃ分かりにくいんですけれども、主語と述語だけ読むと、義務教育等教員特別手当は条例で定める、こう書いてあるわけですね。義務教育等教員特別手当は条例で定めると。いろいろ条件を、参考にしてもらうけれども、最後は条例で定めましょうねと書いてある。

 じゃ、この義務特手当については、最終的に条例で裁量的に決められる。要するに、自治体が、文部科学省からのいろいろなものを参考にして、でも、条例で最終的に定めるという理解でよろしいかということを教えてください。

望月政府参考人 公立の教員は地方公務員でございますので、地方公務員の給与につきましては、地方公務員法第二十四条などに基づきまして、職務の内容と責任に応じて、各地方公共団体の条例等において適切に定めるとなっているところでございます。

川内委員 そうすると、今までこの義務特手当というものは、自治体によっては一律で教員の先生方に支給をしていらっしゃったりとか、そういう実態があるわけでございますが、今後も、いろいろあるけれども、一律で支給するというこれまでの条例での定めなどをすることは本改正案に違反するものではないという理解でよろしいでしょうか。

望月政府参考人 公立学校の教師の給与につきましては、教育公務員特例法の第十三条におきまして、その職務と責任の特殊性に基づいて条例で定めるとなっているところでございます。

 今回、学級担任に関する手当というのを、全国、一つの類型として設けるという趣旨につきましては、担当する学級の児童生徒一人一人に学級担任の職務というものが日々及んでおりまして、そうした日々の学級における学習指導に加えて、児童生徒の抱える困難、多様化の複雑化を背景にして、不登校傾向にある児童生徒と授業終了後に個別面談をしたり、あるいは児童生徒の学校生活の様子を保護者に伝えるということなど、生徒指導、保護者へのきめ細かな対応を常日頃から学級担任が求められているという立場にあるわけでございます。

 令和四年の勤務実態調査におきましても、学級担任の教師の在校等時間は、それ以外の教師と比べて長いということが明らかになっているところでございます。

 こうしたことから、教育公務員特例法の改正案の中で、公立学校の教師に支給される義務教育等教員特別手当につきまして、学級担任への加算を想定しまして、これを都道府県・政令市が、文部科学省令を参酌して、教師が担う校務の類型の困難性等を考慮して、条例で定めるとなっているところでございます。

 仮に、学級担任への加算を行うか、一律に義務特手当を支給する、これは直ちに法令違反というものになるわけではないと考えているところでございますけれども、今御説明しましたように、学級担任の職務、あるいはそうした職責の困難度等を鑑みまして、全国の学校の教師の半数以上の方が、あるいは半数程度の方が学級担任を担っているということがございまして、今回、文部科学省令で学級担任というのを改めて置いて、これに対する職責に見合った加算を行うということにしたわけでございます。

 一律に義務特手当を支給しないことが直ちに法令違反とは言えないとは考えてございますけれども……(川内委員「支給することは。一律に支給する」と呼ぶ)失礼しました。支給することは直ちに法令違反ではないとは思っているところでございますが、今回の学級担任に関する手当を創設した趣旨もしっかりと自治体の方に周知をしまして、それを踏まえた対応を自治体の方にはしていきたいというふうに考えているところでございます。

川内委員 いや、文部科学省のお考えはよく分かりますし、それを参考にする自治体もあっていいだろうというふうに思いますが、他方で、学校の現場の中で、教員の先生方を一律に処遇する方がその学校現場がうまく回っていくのだというふうに考える自治体もあるでしょうから、世の中いろいろなことをみんな考えて、よかれと思っていろいろなことをするわけで、それを縛ってはならないというふうに私は思うんですね。

 ですから、これまでのように義務特手当を一律で支給するという条例を定めることも法律違反ではないよということも含めて、しっかりと各自治体に周知をすべきであるというふうに思うんです。これこれこういうことを参酌してねということも大事だ、だけれども、これまでどおりやることも法律違反ではないですからねということをしっかり周知すべきである、後段もしっかり周知すべきであるというふうに思うんですが、最後、文科大臣、しっかり周知するという御答弁をいただければありがたいです。

あべ国務大臣 文科省といたしましては、今般の法改正、また予算措置の趣旨を踏まえまして、学級担任への手当の加算を積極的に御検討いただきたいと考えておりまして、法案をお認めいただけましたら、その旨を丁寧に説明してまいります。

川内委員 いや、だから、ただし、その考えは分かった、だけれども、一律でこれまでどおり支給することも法律違反ではないですからねということも周知すべきであるということを申し上げているんですが、どうですか。

あべ国務大臣 しっかりと御意見は受け止めさせていただきます。

川内委員 もう質疑が終了しちゃったじゃないですか。ここで文科省が、それは法律違反とは言えない、それでもいいんですよと言ったんですから、それも周知しますとなぜ言わないんですか。それは、国会の議事録を持ち回られて、教育委員会にこうじゃないですかというようなことをされる方が恥ずかしいでしょう。

中村委員長 まとめてください。

川内委員 ちゃんと周知すると言ってくださいよ。

あべ国務大臣 法案の趣旨を踏まえまして、しっかりと説明してまいります。

川内委員 終わります。

中村委員長 次に、眞野哲君。

眞野委員 立憲民主党・無所属の眞野哲でございます。

 この給特法、実は、私も、教員になりたい息子がいまして、それを受けて私も実務家教員になったという経緯があります。今回のこの給特法、私の地元とか、いろいろな教員と今回お話しする機会がたくさんありまして、お話ししたメッセンジャーとして今日来ました。

 今、教員は何に怒っているか、何が不満かということを尋ねてきました。今回、四%から一〇%まで毎年一%ずつ、しょぼいアップをするところは、ないよりもあった方がいい。だけれども、元々賃金は不満なんだけれども、私たちは元々教員になりたい、教職者になりたいということで頑張ってきたと。ところが、教員になったら、平日はもう学校で一日、人生が終わってしまう。土日も作文を読んだり点数をつけたり部活があったり、教育に人生をささげないとできない仕事だということがとても不満で、今よくあるような働き方改革、ここの中で一番劣っているところがブラック企業化した教員ではないかという声が大変多くありました。

 大臣も私たちもそうですけれども、若いときというのは、将来学校の先生を目指す人たち、やはり、頭がよくてスポーツもできて、優秀な方が大学に行って学校の先生になるんですよ。私たちから見たら、学校の先生になった同級生は、ああ、やはりあの子は頭がいいからね、そんなような時代でした。

 ところが、今は、優秀な人たちは教員になりたくないというんですよね。やはり、これだけ長時間仕事をしなければならない、給料もそんなに高くない。今、民間企業に就職すると、例えば東京ですと、もう三十万、四十万、五十万という時代ですよね。ですから、今学校の先生をやっている人たちというのは、決してお金だけが目的で教員になった人というのはほとんどいないんですね。

 ところが、実際、教師になりたかったけれども、月曜日から金曜日までこれだけ仕事をして、夜も、しかも週末も、一日教育で忙殺される、この人生を定年までやれるかなと。中には、教師になって三か月で辞めてしまう学校の先生もいらっしゃいますし、やはり働き方改革、そこはしっかりと見直さなければならないと考えております。

 そこで、質疑に入りますけれども、教員の働き過ぎ、いわゆる過労死とつながるこの問題なんですけれども、委員会の質疑でも多く取り上げられましたが、教員の休職者数が過去最高に上っている。過労死とかはもうあってはならない状態だと思いますが、教育委員会として未然に防ぐ方策をしっかりと整えておく必要があると考えております。

 給特法の改正以降、時間外等在校時間が自主的、自発的な時間とされています。教員の健康福祉、これを守る意味から、安全配慮義務又は健康確保の措置を更に強化する必要があります。

 そこで、大臣、過去十年間で教員の過労死の認定件数はどれぐらいあったか、教えていただけますか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公務員災害補償基金の調査で把握、公表されております過去九年間の件数となりますけれども、公立の義務教育諸学校の職員のうち、脳、心臓疾患及び精神疾患等の公務災害認定事案のうち死亡事案は、平成二十七年度から令和五年度の九年間で合計三十八件でございました。

眞野委員 教員の公務の災害請求をする際は、時間外等在校時間が認定要件に含まれているかいないか、教えてください。

小池政府参考人 自治体等の職員が災害を受けた際、地方公務員災害補償基金によってそれが公務災害として認められるためには、任命権者の支配、管理下にある状況で災害が発生したかどうかの公務遂行性、公務と災害の間に相当因果関係があるかどうかの公務の起因性の両方を満たす必要がございます。

 教員の公務災害認定における公務遂行性の判断については、在校等時間であるか否かにかかわらず、個別具体の状況を精査し、必要な業務に従事していたと客観的に認められる時間は、これを満たすものとして評価しておるものと承知しております。

眞野委員 文科省は時間外等在校時間を自主的又は自発的な時間と整理していますが、これは残業時間としては考えていませんか、いるんですか。

望月政府参考人 公立の教員の勤務条件に関しましては、この給特法によりまして、労働基準法の特別法、労働基準法と地方公務員法の特別法として制定をされているところでございます。

 時間外在校等時間につきましては、労働基準法上の勤務時間を超えて教育活動で校務として教員が外形的に把握できる時間を、業務として職務を担っているという時間を捉えて、全体で在校等時間、そして、正規の勤務時間を超えるものを時間外在校等時間という整理をした上で、令和元年の給特法の改正でそれを指針に位置づけて、上限規制を設けたというところでございます。

 したがいまして、通常の時間外勤務手当を取る民間の場合のいわゆる残業時間と、そして、給特法の下での時間外在校等時間というところには、そうした制度のことから違いがあるというふうに考えているところでございます。

眞野委員 個別具体的にということですね。

 給特法の本来の趣旨は、教員の業務量の適切な管理と健康福祉を確保するために機能しなければなりません。今回の改正では、業務量管理、そして健康確保の措置の実施計画、この策定、計画の実施状況を公表することとなっております。働き過ぎによる過労死等を防ぐための措置はどういった措置を考えていますか。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 今回の法案におきましては、各教育委員会が自ら定めました計画の実施状況を毎年度公表すること、そして、首長が設置する総合教育会議への報告をすることを義務づけておるところでございます。また、校長が学校運営協議会の承認を得ることになっている学校運営に関する基本的な方針に、業務量の管理、また健康確保措置の実施に関する内容を含めることを規定しているところでございます。

 こうした仕組みを通じまして、保護者、地域を含めました社会に対して計画の実施状況を公表をしていきながら、教師を取り巻く環境整備等の状況の検証と改善、これを図っていくことを促進をしていき、教育委員会の取組の実効性を担保していきたいというふうに考えているところでございます。

眞野委員 大臣、御丁寧に御答弁ありがとうございます。

 公表自体はとても重要です。しかし、計画を守らなければ、守ってもらわなければ意味がありません。その計画がもし実施されなかった場合はどのような措置を取られますか。

あべ国務大臣 今回の法案におきましては、市町村教育委員会におきまして計画が着実に実施されない場合などにおきましては、都道府県教育委員会がその円滑かつ確実な実施に関しまして必要な指導助言を行うよう努めることと明記をしているところでございまして、文部科学省といたしましても、法案をお認めいただけましたら、教育委員会における計画の策定や実施状況等につきましてしっかりとフォローアップを行うとともに、この計画の実施等が不十分な市町村教育委員会に対しましては、都道府県教育委員会と連携を図りつつ、取組が進むような支援を積極的に働きかけを行ってまいります。

眞野委員 その場合、大臣、責任所在の明確化をした方がいいと思うんですけれども、どうでしょう。

望月政府参考人 先ほど大臣から御説明をさせていただきましたけれども、今回の法案におきましては、服務を監督する全ての教育委員会が、業務量管理・健康確保措置実施計画、これを作りまして、これを公表すると。そして、その教育委員会は、自ら定めた計画を首長部局や地域の方にも分かっていただいて、それをまた、どこかそれで足りないところがあれば、不十分な、十分じゃないところがあれば、あるいは適切でないところがあれば、それをまた改善していく。そういったPDCAサイクルを回していくということが大変大事だというふうに考えているところでございまして、働き方改革全体の実効性を高めていくということに関しては、各教育委員会はまさに責務を負っているというふうに考えているところでございます。

 こうした仕組みを通じまして、教育委員会の取組に実効性を持たせる、持ってもらうということに関して、文部科学省としてもそのフォローアップをしっかりしていきたいというふうに考えているところでございます。

眞野委員 PDCAサイクルはよく分かりましたが、私は責任所在を聞いております。もしもこれがなされなかった場合の責任所在は、誰の責任の下に置かれることでしょうか。

望月政府参考人 これは、国と地方と学校、それぞれの役割がありますので、必ずしも、一つの原因が一つの結果、そしてそれが責任という、なかなかそこは難しいところがあると思いますけれども、先ほどの計画に関しまして言えば、各教育委員会が策定をする、そうした義務があるわけでございまして、それをしっかりと実行に移していくということに関しましては、各教育委員会、服務監督権者の責任があるというふうに考えているところでございます。

眞野委員 もしものときは、またなすりつけ合いとか、そういうふうになってしまうのかなと考えております。

 最後の質問になりますが、二〇〇六年度の三位一体改革で、国が負担する割合を、これまで二分の一を三分の一に下げられました。私は、これが現在の教職員の処遇改善が進まない一つの大きな理由だと考えております。大きな要因です。これで地域格差が拡大する一因になったと考えておりますが、現在でも国庫負担を元に戻すべきだと私は考えていますし、そういった意見も大変多くあると思います。文部科学省として、この国庫負担率の引下げが教職員の待遇に、処遇に大きな影響を与え続けているという指摘もありますが、どのような見解をお持ちですか。お答えください。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 平成十八年度に、いわゆる委員の御指摘の三位一体の改革を踏まえまして、教員給与における国庫負担割合の引下げは、政府全体で国と地方の役割分担等の見直しなど地方の裁量の拡大ということを図るものでございまして、教師の処遇が引き下げられたものではございません。

 国の負担割合は二分の一から三分の一に変更されたところでございますが、地方負担分の三分の二につきましては所要の交付税措置が講じられているところでございまして、また、教員の非正規化につきましては、全国的に見れば、義務標準法に基づく教員定数に対する正規職員の割合は九割を超えているところでございまして、この割合は近年大きく変動しているところではございませんでして、御指摘は当たらないと私ども考えているところでございます。

眞野委員 大臣、ありがとうございます。

 狙いどおりの答弁をいただきました。地方交付税があるから大丈夫だというふうなお答えだと思います。これは、教師の国庫負担金、二分の一から三分の一に減らされた、そこに対して地方交付税があるからということだと思うんですが、地方交付税というのは、例えば図書館の本を購入したりとか、必ずしも教員の人件費に充てられるものではないんですよ。なので、地方交付税があるということをよくいろいろなところでおっしゃられますが、実際は個々の自治体で負担しなければならないケースもあって、なかなか、予算がないと、教員も採用が非常に厳しくなったりとか、場合によっては非正規雇用の教師をたくさん数をそろえるということの繰り返しだと思うんですね。

 時間がないので簡潔に言いたいんですが、ここにいる大人の人たちが今の日本を支えているんですよ。この私たちが教育をしっかりすることによって、その子供たちが将来の日本を担ってもらうんですね。これは我々大人たちの責任、いや、もっと言うと、私たち政治家の責任なんですよ。次の日本を担っていただく子供たちをしっかりと教育するためには、やはり教員の質も上げなければならない。そこには、働き方改革、これも非常に重要だと思います。私たち大人が将来に向けてすばらしい日本を築くためには、私たち、今この時代の我々政治家の責任として、何とか教員を、数も確保して、働き方改革、教員になってよかった、一生懸命勉強してきたんだ、そういうふうな教員を輩出する必要性があると思います。

 私、あべ文科大臣をとても高く評価させていただいております。先ほども少しお話しして、私、調理師の免許を持っていて、カレーライスが一番作るのが得意だ、あべ大臣、今度一緒に食べましょうねと言ったら、大臣、やったあと言っていただきました。いつか、給特法も乗り越えて、すばらしい日本にするために、築き上げたいと思っております。

 そして、もう一つ遅れている理由は、私は介護の仕事もやっているんですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんが一枚二万円のパーティー券を買えますか。又は、小さな子供たちが一枚二万円のパーティー券を買えますか。買えないんですよ。なので、御高齢者の問題とか少子化問題が非常に遅れていたと言わざるを得ないような声もたくさん聞いております。

 そこは、お金の問題云々ではなくて、私は、どこの家庭で生まれ育っても、両親がお金がある、ないは別として、しっかりと教育を受ける権利がひとしく平等である日本にしなければならないと考えております。それを担うのは、やはり教員なんですよ。教員の質を落とさないように、しっかりと、文科大臣、よろしくお願いしたいと思いまして、質疑を終わります。

 以上です。

中村委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。

 まず初めに、ゴールデンウィーク中のあべ大臣の海外出張についてお伺いをいたします。

 大臣は、参議院の議院運営委員会理事会から了承を得られない中で、TICADに向けたアフリカ諸国との連携強化のためにガーナとエジプトに行かれたとのことでございますけれども、私は、物価高騰やトランプ関税の問題もあり、国内情勢が不安定な中でも、その出張が本当に必要だったのか、そして、どのような成果が得られたのかということが重要であると考えています。

 今回の海外出張につきまして、大臣から御報告をお願いいたします。

あべ国務大臣 今回の私の出張でございますが、今後の世界の成長の源泉でもございますアフリカ諸国との人的、経済的な関係強化を図りまして、その活力を取り込むことは、文部科学省のみならず、政府全体で進めているTICAD9、これは横浜で今年の八月に行われるものでございますが、その、つながる重要なものだと考えております。

 今回の出張におきましては、ガーナにおきまして、イドリス教育大臣、また、エジプトにおきましては、ラティーフ教育・技術教育大臣及びアシュール高等教育・科学研究大臣とそれぞれ会談をさせていただきまして、実際の現場も視察することで、特にエジプトにおきましては、日本型教育の海外展開に対する新たな示唆を得るとともに、職業技術教育、また特別支援教育などのニーズを把握をさせていただきまして、TICADに向けて議論を進めていくことを合意をさせていただいたところでございます。

 文部科学省といたしましては、今回の出張の結果も踏まえまして、関係省庁、また世界銀行など国際機関とも連携させていただきながら、教育の国際化、特に日本型教育が大変評価を得ておりまして、そこをしっかりと進めていきながら、この取組を一層進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

坂本(祐)委員 ありがとうございます。

 次に、赤松政務官に伺います。赤松政務官は、ゴールデンウィーク中、ワールド・オーディオ・ビジュアル・アンド・エンターテインメント・サミット二〇二五というイベントに出席するためにインドに行かれたとのことですが、大臣にお伺いしたのと同じように、その出張が本当に必要だったのか、そして、どのような成果が得られたのか伺います。

 また、出張の事前説明資料には、そのイベントにモディ首相を含むインド政府ハイレベル等の出席が見込まれている、また、五月一日にはモディ首相とのランチミーティングとありました。モディ首相とはどのような話をされたのでしょうか。トランプ関税の話はされたのでしょうか。お伺いいたします。

赤松大臣政務官 お答えいたします。

 私は、四月三十日から五月三日までインド・ムンバイに出張しまして、インド政府が今般立ち上げたイニシアチブであるWAVES二〇二五に出席いたしました。

 このイニシアチブは、映画、アニメ、音楽等のメディアエンターテインメントの展開を官民で推進する取組でありまして、G20諸国やグローバルサウス等の国々から閣僚等が出席しました。インドからは、モディ首相を始めコンテンツ担当の情報通信大臣や外務大臣も出席されました。

 その中で、我が国においても、今後、コンテンツ産業が大きく成長することが期待されている中、今般の会合開催は、世界の国々や人材を結びつけて、グローバル市場に拡大させていく動きとして、大変時宜を得た取組だと認識しております。

 閣僚級会合においては、私の方から、コンテンツのグローバルな流通構造づくりや著作権保護の確実な担保などを強調しつつ、グローバル社会におけるクリエーションの促進とともに、各国政府による支援の重要性を提起いたしました。

 結果、各国からは強い賛意を得つつ、採択された宣言には、雇用創出等の観点から新たな機会の創出に向けた業界との協力、知的財産を保護する市場価値への支持等の内容が盛り込まれました。我が国はコンテンツ先進国であるとともに、コンテンツ成長国として大きなプレゼンスを示すことができたと考えております。

 文科省としては、今回の出張で得られた示唆も踏まえながら、引き続き、我が国のコンテンツのグローバルな展開を強力に推し進めてまいります。

 インド政府からモディ首相が参加されたんですけれども、御指摘のモディ首相とのランチミーティングは直前に開催がキャンセルされまして、直接対話する機会はありませんでした。ですけれども、閣僚級会合で、インド政府のヴァイシュナウ情報通信大臣、参加国の閣僚と、漫画とかアニメを始め、コンテンツのポテンシャルについてお話しする機会がありまして、私のスピーチ、プレゼンテーションに強い賛意をいただいて、日本文化の魅力について強力にアピールすることができました。今回の出張ではトランプ関税については話しておりません。

 以上です。

坂本(祐)委員 ありがとうございます。

 報告書は理事会への提出もお願いしておりますので、速やかな御提出をしていただきますようにお願いいたします。

 それでは、給特法改正案に関する質問に移ります。

 まず、教員の業務負担の軽減に関して、部活動の地域移行、地域展開について質問をいたします。

 部活動の地域移行につきましては、これまでもこの委員会で質問をしてまいりました。既に既定路線になっておりますので何を今更と思われるかもしれませんが、私としては、いまだに、本当に全国あまねく地域で地域移行ができるのか、中途半端に終わってしまうのではないか、そうなったときに教員の負担軽減はできるのか、子供たちのことはどうなるのか、我が国のスポーツの将来はどうなるのか、懸念が払拭できません。

 地域に移行する、展開するというのは、一見、分かりやすいフレーズではありますけれども、地方の首長をやっていた経験もある者として、それぞれの地域で事情が異なる中で、全国あまねく地域において中学の部活動を地域に移行していくというのは、想像するに非常に大変なことなのではないかと考えております。さらに、それを将来にわたって維持し続けていくということは、それ以上に大変なことであろうと思います。

 私は、地域移行せずに、学校の中に部活動は残しても教員が指導しなくていいように指導者だけ外部から来ていただく、そして、人数の少ない部活は今もやっておりますが、周辺の学校同士で合同チームをつくる、それだけで教員の部活の負担は減りますし、人数の少ない部活も、全てとは言えませんが、存続できるものもあろうかと思います。このような形であれば、地域の受入れ体制の整備、受皿づくりにエネルギーを費やす必要もなくなります。

 仕組みは極力シンプルにして、やるべきこと、エネルギーを注ぐべきことを明確にするべきだと考えます。部活動と地域とのつながりは、部活動を地域に移行するのではなく、部活動を地域に開放していく、そして地域との関係を深めていく、そのように進めていくべきだと私は考えております。

 私は以前に日本スポーツ少年団の本部長を務めておりましたが、遠藤先生もここにいらっしゃいますけれども、ドイツのスポーツ少年団の本部長が、日本の部活動はスポーツの普及振興や、あるいはトップアスリートの発掘などにおいて、世界的に見ても非常にすばらしい仕組みであるということをよくおっしゃっておられました。この仕組みを土台にして改革していくべきではないでしょうか。

 重要なのは、教員の部活動の負担を軽減することであって、受皿づくりにエネルギーを使うのではなくて、外部指導者をいかに確保するか、ここに知恵を絞り、重点的にエネルギーを注ぎ、そして部活動の指導を教員の手から外部指導者の手に移すことだと思います。そして、教員の負担軽減を確実に進めながら、子供たちのためになり、我が国のスポーツの普及発展にもつながるような、そのような部活動改革を進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 本当に、部活動に関しては、地域によって様々な取組が必要だと私ども考えております。そうした中で、やはり急激な少子化が進んでいる、学校単位での部活動の運営が困難になってきていることから、学校が行ってきたこれまでの部活動から地域全体で支えるという新たな仕組みに変えていく、部活動の地域展開を私ども進めているところでございますが、これは子供たちのための改革でございまして、学校における働き方改革、また、我が国のスポーツの発展にも資するものと私ども考えているところでございます。

 委員御指摘の指導者の確保を始め、また、部活動改革に関わる地方公共団体の課題は本当に様々でございまして、こうした地域の実情に応じた改革を進めていくために、文科省におきましては、部活動指導員の配置支援に加えまして、部活動の地域移行に向けた実証事業を実施させていただきながら、地方公共団体におきまして人材バンクの設置、運用も進めるなど、各地域における多様な取組を支援しているところでございます。

 令和八年度以降の部活動改革に関しましては、有識者会議で議論を現在進めているところでございまして、文科省としては、その議論も踏まえつつ、指導者の確保も含めまして、これを始め、地域の様々な課題に対応していく部活動の地域展開等を全国的に実施をしてまいりたいというふうに思っております。

坂本(祐)委員 私は地元でも、スポーツ少年団本部長、あるいはスポーツ協会の会長、埼玉県の体育協会の会長も務めさせていただきましたが、私の思いは、一人でも多くの教員の部活動の負担を確実に軽減をしていくこと、子供たちにもこれからも引き続いてスポーツを楽しむ機会を持ってもらう、そしてスポーツを通して多くの国民が健康になり幸せになる、そして世界平和にもつながる、これが私の望みでもあります。そのようになるように、私もこれからしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 それでは、学校給食について質問をいたします。

 米の価格高騰に伴い、学校給食米の価格も高騰しており、給食にも影響が出ています。現在、学校給食の無償化に向けた検討も進められていると思いますが、学校給食米の価格の高騰については、まさに喫緊の課題であります。

 先月二十四日火曜日の日本農業新聞の記事によりますと、学校給食会や自治体の担当者は取材に、米飯回数を減らすしかない、地場産農産物が使いづらくなる、おかずやデザートを減らしたり、安価な食材に変えたりしているなど、食事の質が低下するおそれを明らかにしていたとのことであります。

 今後もこのような状況が続けば、子供たちの学校での活動、さらには健康や成長に大きな影響が出てくる可能性が懸念をされます。また、子供たちの中には、家庭では満足に食事が取れず、学校給食が一日の中で唯一のしっかりとした食事という子供もおります。米価格の高騰だけでなく同時に物価上昇に伴い、米以外の食材費の価格も上昇しています。

 学校給食における学給米の価格高騰の影響については、現在では物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金が対応している唯一の交付金ということでありますので、まずは文科省が全国の自治体に向けて、この交付金の活用をしっかりと呼びかけていただきたいと思います。その上で、この交付金だけでは支援し切れないようであれば、速やかに新たな対策を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 また、米価格の高騰は高校生の日々のお弁当にも影響があるのではないかと心配をいたしております。高校生にもなると食べる量も増え、家計の食費負担も増加します。また、部活に塾、大学など高等教育機関への進学に向けた資金の積立てなどの教育費負担も増え、経済的に特に大変な時期であろうと思います。できる限り実態を把握をしていただいて、影響が出ているようであれば、高校生のいる家庭への支援も検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 委員御承知のとおりでございますが、学校給食法におきましては、学校給食の対象は義務教育諸学校とされているところでございまして、高等学校の取扱いにつきましては、義務教育諸学校とは異なるものというふうに私ども考えているところでございます。

 でも、非常に厳しい物価高騰が続く現在の状況を踏まえますと、学校給食等の保護者負担の軽減を図ることはまさに委員がおっしゃるように重要だというふうに私どもも考えております。

 令和六年の補正予算、特に委員が言及してくださいましたこの重点支援地方交付金推奨事業メニューの〇・六兆円の部分の計上の部分でございますが、小中学校における学校給食費の支援に活用することが可能となっているほか、一部自治体におきましては、高校生の昼食の支援にも活用されているというふうに私ども承知しているところでございまして、文科省といたしましては、学校給食の質の確保と保護者の負担の軽減の両立を図るために、昨年十二月に教育委員会等に対しましても本交付金の積極的な活用を通知したところでございまして、今後も引き続き重点支援地方交付金の活用について周知をしっかり図ってまいりたいというふうに思います。

坂本(祐)委員 周知を図っていただくということでございますので、これらをしっかりと進めていただきたいと思います。

 先ほど大臣がおっしゃったように、地方自治体に任せる分については、私は十六年間市長を務めた中で、市長こそは市民を守る最後のとりでだと言い続けてまいりました。国からいろいろな応援していただける政策や支援金も来ますけれども、しかし、それはいつか絶たれていって、最後には、自治体が市民のための支出をどう捻出するか、こういう問題が残ってしまいます。

 将来を担う、私たちの国を担う大切な青年たちが健やかに、伸びやかに、家庭の経済状況にとらわれずに私は成長していただきたい、そのためにもしっかりと国が支援をしていただくべきだと考えておりますので、変わらぬお力添えを賜りますようにお願いを申し上げます。

 それでは、質問をちょっと飛ばさせていただきます。時間もなくなってまいりましたので。

 次に、先日、日本教職員組合の梶原委員長と意見交換をした際、梶原委員長が学校は夢と希望を語る場であるとおっしゃっておられました。しかし、今は教員が忙し過ぎて、子供たちと夢と希望を語り合う時間がないのが残念という趣旨のことをおっしゃっていたのが非常に印象的であり、まさにそのとおりであると思いました。

 この話を聞いたとき、日本財団が行っている第六十二回十八歳意識調査では、自身の将来について夢を持っているは六〇%と、調査した六か国の中で最も低かったという調査を思い出しましたが、梶原委員長のおっしゃった、学校で夢や希望を語り合う場や時間がないという話と関連するところがあるのではないかと私は感じております。

 夢や希望を語り合い、夢や希望を持つことは、子供たちにとってとても大切なことではないでしょうか。しかし、教員の業務の多さと子供たちのカリキュラムオーバーロードによってそれができない状況に陥っているとしたら、子供たちにとって不幸なことであると同時に、我が国の将来にとっても大きな損失であることは誰が考えても明らかだと存じます。

 文部科学省の教育政策はどこに向かおうとしているのか、我が国の全ての学校を夢や希望を語り合える場に戻していかなければならないと考えますが、大臣、お考えをお伺いいたします。

あべ国務大臣 本当に委員のおっしゃるように夢を語り合える場をしっかりと私どもはつくっていかなければいけないと思っておりまして、学校は、本当に、無限の可能性を持つ子供たち、様々なことを学びながら成長していく場であって、その過程で自分の夢、希望を見出し、語り合い、その実現を目指して互いに高め合っていくような場であってほしいと委員のおっしゃるように私も思っております。

 そのためにも、子供たちのそうした成長を間近で支えてくださる教師たちが心身共に充実した状態で学びの専門職として日々生き生きと一人一人の子供たちに十分接することが欠かせないところでございます。

 今回の法案は、まさにこうした環境を実現することを目的といたしまして、教育委員会が働き方改革に関する計画を策定し、公表する仕組みを新たに設けることなどによりまして、働き方改革の更なる加速化を取り組むものでございます。

 また同時に、予算措置などを通じまして、教職員定数の改善なども含めた学校の指導、運営体制の充実も進めることにしておりまして、学校現場で子供たちのために日々尽力いただいている教師の皆様を取り巻く環境を整備しながら、学校教育の質の向上を通して全ての子供たちによりよい教育の実現に向け、しっかり取り組んでまいります。

坂本(祐)委員 そうであるならば、しっかりと教員の方たちがゆとりを持って子供たちに接することができるように支援を更にしていただきたいと思います。

 次に、参考人として御出席いただいた佐久間先生が、意見陳述の最後に、今現場に必要なのは希望の光ですとおっしゃられた。希望の光です。その上で、少しずつでも現場の人手が増えていくという明るい未来が示されれば、教員志願者を増やし、悪循環を好循環にする効果が期待できます、そのためにも、第八次の教員定数改善計画を再開していただきたく、ここに強く要望いたしますとおっしゃっておられました。

 この佐久間先生の御発言、御要望は、まさに現場の教員の思いであろうと存じます。この御要望、御発言について、大臣からお答えをいただきたいと思います。

あべ国務大臣 教職員定数につきましては、定数改善の計画という名称にかかわらず、義務標準法の改正によりまして、複数年度にわたる計画的な定数改善を行っているところでございまして、具体的には、平成二十九年から十年間で通級指導、また日本語指導の基礎定数化を行うとともに、また、令和三年からは五年間で小学校三十五人学級の計画整備、また、令和四年からは三年間で小学校高学年における教科担任制を推進するなど、計画的な改善をしてきたところでございまして、加えまして、今年度からは、小学校における教科担任制の四年生への拡充、新採用の教師の持ち時間の軽減、また中学校における生徒指導担当教師の拡充について、新たに四年間で計画的な定数改善を図ることとしておりまして、文科省としては、委員御指摘のように、今後とも計画的な教職員定数の改善にしっかり取り組んでまいります。

坂本(祐)委員 私からは、この第八次の教員定数改善計画を再開していただくことを強く要望させていただき、質疑を終了いたします。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、うるま譲司君。

うるま委員 日本維新の会のうるま譲司です。

 まずは、昨日、労働安全衛生法の改正が国会で可決をいたしました。これによって、五十人以下の事業所でもストレスチェックが義務づけられることとなりました。これを踏まえて、改めて産業医の活用についてお伺いしたいと思います。

 教職員の労務管理において、労働安全衛生法に基づく産業医の選任が求められておりますが、現状では、学校医がその役割を担っている場合が多く、責任の所在が不明確であります。

 学校医は産業医の資格を有していないことが多く、労働者である教職員の健康管理を適切に行うためには産業医の選任が必要ではないかと思います。また、学校保健安全法と労働安全衛生法の整合性を図るための制度的な見直しも必要だと思いますが、文科省の御認識をお伺いいたします。

望月政府参考人 今うるま委員御指摘の労働安全衛生法に基づきまして、常時使用する教職員の人数が五十人以上の場合には産業医の選任が義務となっているところでございますけれども、学校のように、五十人未満が多い、そうした事業場の場合には、医師や保健師の選任につきまして、教職員の健康管理を行っていて、でも、これは努力義務となっているところでございます。

 学校における選任率は、努力義務になっているところ、七割となっていまして、その七割のうち半数は産業医の資格を有しているところでございます。

 労働安全衛生法につきましては、全ての学校に対して他の事業場と同様に適用はされてございますので、学校保健安全法において特別に労働安全衛生法とのすり合わせを規定上行うということはなかなか難しいところではございますけれども、まさに、教職員の健康の保持増進の観点は大変大事でございます。

 このために、毎年の学校医等による教職員の健康診断とともに、五十人未満の今後のストレスチェックに関する実施、あるいは、今ほどうるま委員から御指摘があった、産業医の選任などにつきましても、引き続き、労働安全衛生管理の体制の整備充実を指導してまいりたいと考えているところでございます。

うるま委員 教員の所属というのは学校単位でなく教育委員会単位ということで見れば、五十人以上ということで優に超えるような形で、把握できると思いますので、是非、産業医の活用、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、二番目の過労死に関してはちょっと飛ばさせていただきまして、次、三番目の方で、学校運営協議会について質問させていただきます。

 四月二十五日の参考人質疑では、我が党の前原代表の質疑の中で、高橋参考人から、学校運営協議会の構成員に教員自身が加わることによって、信頼と理解の下で対等な議論が行われ、よりよい教員の働き方改革が実現されるとの発言がございました。

 これまでのこの委員会の議論でも、学校運営協議会の好事例には、教員自身が加わっているケースが多数ございました。

 これを踏まえて、学校運営協議会の設置を全国で推進すると同時に、教員の構成員参加を制度的に位置づけて、学校運営の支援機能を一層強化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、学校と地域関係者の連絡調整を行うコーディネーターの配置促進などを図りながら、学校運営協議会の全国での導入を進めているところでございます。現在、公立学校におけるその導入率でございますが、六割に達しており、その導入数も近年増加する傾向にあると認識してございます。

 今御指摘がありました点でございますが、教職員を学校運営協議会の構成員とすることについてでございます。

 学校の組織の外にある者の意見や知見を学校運営に反映させる、そういう制度の趣旨に照らせば、外部性を重視するという観点からは、教職員は委員とせず、協議会との連携協力を図ることが望ましいと考えております。

 他方、教職員が協議会の議論に加わることで、今ほどお話がありましたが、教職員と地域住民や保護者との信頼関係が構築され、相互理解につながると考えております。

 既に事例といたしましては、学校運営協議会の協議の場に教職員が参加し、役割分担や学校に必要な支援について熟議などが行われ、地域や保護者からのサポートを得て業務改善に取り組んでいる、そういった好事例もございます。そのような事例を示しながら、有効な取組を推奨してまいりたいと思います。

 引き続き、学校運営協議会の更なる導入促進とともに、これらの取組の一層の充実により、学校と地域の連携による働き方改革が進むよう取り組んでまいりたいと思います。

うるま委員 難しいことだと思いますけれども、好事例をどんどんと示していただきたいと思います。

 あわせて、中央教育審議会においても教員参画の必要性を参考人質疑で高橋参考人がおっしゃっておりました。中教審に労働者代表が一人もおらず、公労使が代表されるような仕組みにすべきという御指摘がございましたが、教育政策の立案において現場の教員の声が反映されるよう、中教審に教員代表を加える仕組みを導入すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 中教審の委員につきましては、中央教育審議会令に基づきまして、多角的な議論が可能となるよう、学識経験者等を総合的に考慮して選任を行っているところでございます。

 また、学校現場の御意見というものは、今御指摘があったとおり、非常に重要なものとして受け止めております。審議の内容に応じまして、分科会や部会等におきまして、教師の勤務経験を有する方や現職の学校長にも委員として参画いただくなど、その知見等を生かして審議いただいているところでございます。

 さらに、委員としての参画だけではなく、教職員から成る団体を含む関係団体などの意見、ヒアリングでございますが、これを通じまして、そういった様々な意見を審議に生かすなどの取組も行っているところでございます。

 加えまして、一定の改革方向性が固まった場合など、パブリックコメントをして多くの方々の意見を聴取し、それを取り入れているところでございます。

 引き続き、こういった様々な機会を捉えながら、幅広い意見を受け止めながら御審議いただきたいと考えております。

うるま委員 教員が常時関与して、しっかり議論に加わる仕組みが必要だと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。

 続きまして、教員定数について質問させていただきたいと思います。

 これは、二〇二四年の末に、大臣合意の中で、中学校三十五人学級の実現に向けた三年計画が明記されておりますけれども、これに関して、過去、先月、私の質問で、この三年で必要な教員数は、朝日新聞の報道によりますと、一万七千人という数字があったんですけれども、この人数規模に関しては、文科省もその認識であるかどうかというのをまずお伺いしたいと思います。

 これは、浮島委員の質疑では、六百人規模の学校で大体五、六人ぐらい増えることになるという議論がございましたが、仮にそうであれば、仮に一万七千人やるということであれば、都道府県・政令市が実際にその人数を期限内に新規採用、配置することが可能なのか、実現可能性をどう見ているかも併せてお伺いしたいと思います。

 これは先ほど坂本委員の質疑にもあったんですけれども、佐久間参考人が計画的な定数改善の必要性を指摘されておりましたが、これは同じ答えになると思いますけれども、教員数の段階的改善について、国として、財源措置の裏づけも含め、どのような具体的道筋を描いているのか、たくさん入っていますけれども、併せてお伺いさせていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の中学校における三十五人学級に必要な定数改善数でございますけれども、今うるま委員からも、浮島委員のところで私が御説明させていただいたことを挙げていただきましたけれども、まさにこれは、全体としては一万七千から一万八千人くらいの定数改善数であろうと考えてございます。

 ただ、これはより精緻な計算を行うわけでございまして、また、各自治体においてやはり準備も必要であると考えてございますので、中学校三十五人学級の円滑な実施が可能となりますように、各自治体における課題、あるいはそうした採用の動向、そうしたものを我々としても丁寧にコミュニケーションを取ってお聞きしながら進めてまいりたいと思っています。

 今回のこうした法案の審議、あるいは昨年の年末の大臣合意等によりまして、今後、中学校の三十五人学級を、小学校の三十五人学級の今年度の六年生、これに続いて行うという、こうした方向性、標準法の改正はまだですけれども、この方向性が自治体の方にも大きく示されています。

 それを踏まえて、自治体の方としては、計画的な採用、あるいは、教科によっては、非常に採用者数の、志願者数の多い教科とそうではない教科、これもありますので、これまでの県内でのそうした教員の志願の状況でありますとか、今こうした法案を通じて行っています教員の魅力向上、あるいは人材確保の状況、そうしたものを県としてもいろいろ計画の中で考えていただきまして、準備をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

 今後の定数改善につきまして、現段階で具体的な、中学校三十五人学級以外、検討の方向性を申し上げることはできませんけれども、計画的な整備という観点では、大臣からも何回か御説明をさせていただいていますけれども、今年度行いました小学校の中学年、四年生への教科担任制の拡充、あるいは中学校の生徒指導担当の教師、こうした学校の指導、運営体制を充実し、教員一人当たりの児童生徒の数ということを軽減していくという、そういう観点から、これは四年間で計画的に行うということを年末の大臣合意でも行ってございます。

 ですから、こうした新規採用教師の支援、小学校四年生への教科担任制の拡充、そして中学校、生徒指導担当教師の配置拡充に係る定数改善など、こうしたものを計画的に行うこと、これを通じまして、都道府県、自治体の方の採用の方にもしっかり道筋をつけていただきたいというふうに考えているところでございます。

うるま委員 この教員定数の改善というのが本当に肝だと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 同じく参考人質疑で、佐久間参考人が、二〇〇一年以降の正規教員の削減から始まる現在の教員不足や長時間労働の悪循環、これを指摘されておりましたが、これに関して、文科省として反省が必要じゃないかなと思っておるんですけれども、まず文科省として、その認識をお伺いしたいと思います。また同じ過ちを繰り返さないためにも仕組みを講じることが必要だと思うんですけれども、その点について、最後、お伺いさせていただきます。

望月政府参考人 御指摘のとおり、四月十八日の参考人質疑におきまして、佐久間参考人より、二〇〇六年度以降、定数改善計画が策定されなかったことによって教員の非正規化が進み、現在の教員不足へつながる悪循環が生じているのではないかというような御指摘があったと承知してございます。

 全国的に見ますと、義務標準法に基づく教員定数に対する正規教員といいますのは、これは実は、平成十八年後も、おおむね九割、正規教員は九割を超えていまして、これは近年、大きく変動するところはないところでございます。

 いずれにしましても、定数改善計画という名称にかかわらず、子供たち一人一人にきめ細かな教育をしっかり行っていくという観点から、義務標準法の改正など、計画的な定数改善につきましてしっかり検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

うるま委員 以上で私の質問を終わらせていただきます。

中村委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。

 今日は十五分しかありませんので、早速質疑に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、教職調整額の地域間格差について伺います。

 公立の教員の年収は、地方公務員であるがゆえに地域格差があり、特に基本給や地域手当にも差があるため、都道府県によっても年収が異なります。東京都が最も高く、大都市圏が上位に位置する傾向があります。

 そのような中で、教職調整額を一律に引き上げる場合、地域間の給差が拡大する可能性や、逆に、地域の実情に合わない場合があります。また、都市部と地方との間で教員の確保や定着に差が生じる可能性も考えられます。

 このような地域間格差の問題について、政府はどのように考えているか、まず教えていただけますか。

望月政府参考人 公立学校の教職員を含めまして、地方公務員の給与は、地方公務員法の第二十四条第二項及び第五項に基づきまして、均衡の原則等を踏まえまして、国及び他の地方公共団体の職員などの給与等を考慮して定めるという規定がございます。各地方公共団体は、この法律に基づきまして、条例において給与等を定め、適切に規定されているというふうに考えているところでございます。

 また、地方公共団体の財政力の差によって教育水準に格差が生じないようにする、これは大事でございまして、政令市を除く市町村立学校の教職員給与費は都道府県の負担とされるとともに、国は都道府県・政令市が負担する教職員給与費の三分の一を負担し、全国的な教職員の給与水準の確保を図っているところでございます。

 こうしたことから、自治体間の教師の本給の差は著しく大きくはならないとは考えてございますけれども、今回の給特法の改正によります教職調整額の引上げ、これに必要な財源につきましては、義務教育費国庫負担金や地方財政措置に計上をしっかりとしまして、地域間格差が生じないようにしながら教師の処遇改善に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 なお、地方公務員給与制度におきましては、本給のほかに、勤務地ごとの物価や生活費の格差を是正するために、これは国家公務員に準じまして地域手当というものは支給されてございますので、そういった面では、個人の所得、収入というのは、地域によってもやはりこれは差が生じてしまうのはあるかというふうに考えているところでございます。

美延委員 済みません、ちょっと局長さんの答弁が長かったので、先に大臣にちょっと聞かさせていただきます。ここは一番、今日の私の質問の肝なので。

 我々維新の会は、大阪で教育基本条例というのを制定いたしまして、私も市議の頃に関わった一人なんですけれども、頑張った先生が報われる体制をつくりました。人事評価についても、これを今日ちょっと資料配付させていただいておりますが、評価基準に照らして絶対評価をまず行い、その絶対評価を基として相対評価区分を決定するシステムとなっています。

 文科省としても、人事評価をしっかり行ってボーナス査定等に反映すべきだと思うんですけれども、大臣の御所見を伺えますでしょうか。

あべ国務大臣 委員の御指摘のとおり、頑張っている教師が適正に評価をされて、処遇にもしっかり反映されていくようにすることは、教師のモチベーションを向上させて、教師を応援していく上でも非常に重要だというふうに私どもも考えているところでございまして、公立学校の教師を含む地方公務員におきましては、地方公務員法を踏まえまして人事評価制度が導入されているところでございます。

 この人事評価制度におきましては、一人一人の教師の能力の評価と業績評価の結果、これを昇給などの給与面を含む人事管理の基礎に適切に活用することが求められているところでございます。

 文科省といたしましては、これまでも、機会を捉まえて、各教育委員会に対しまして人事評価の実施とその結果をいわゆるボーナス、委員のおっしゃるように、などに反映するように促してきたところでございます。

 こうした頑張っている教師を適正に評価するための基本的な制度である人事評価制度、しっかりと活用しながら、地方公務員法に基づきまして適切に運用いただくよう、引き続き、各教育委員会に対して指導を徹底してまいります。

美延委員 それは是非よろしくお願いいたします。

 それから、もう一つ大臣に伺いたいのが、管理職のいわゆるなり手で、最も今深刻な問題が、教頭先生のなり手がないという問題であります。これは、余りにも雑務が多いためというのが一番の原因かと考えられます。

 これは私、提案なんですけれども、各学校において副校長を置いて、今もうされているところがありますけれども、副校長がいわゆる学校協議会の事務局であるとか保護者対応であるとか、いわゆる教育と離れた面のことは副校長が担当してもらい、教頭先生というのは、もう本当に教育に係ることをしっかり担当して、分けて、学校によっての人数もあるでしょうけれども、それをしっかりやっていくべきであって、それで教頭先生の負担を減らすということが必要だと私は思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。

あべ国務大臣 学校におきましては、校長とともにマネジメントの中核を担う副校長、教頭、総務、教育指導、人事、渉外、苦情処理といった業務を一手に担っているなど、大変その業務が年々肥大化してきているということは、中教審の答申でも指摘されているところでございます。実際、令和四年度の勤務実態調査におきましても、その在校等時間が最も長時間となるなど、厳しい勤務実態にございます。

 委員御指摘のように、副校長及び教頭を一名ずつ配置することも含めまして、学校における組織的、機動的なマネジメント体制の構築に向けまして具体的にどのように取り組むかは、それぞれの地域や学校の実情も踏まえまして各教育委員会において判断をいただくものでございますが、教頭のみに業務が集中することにならないように、学校における教職員間の役割分担を適切に行っていくことが重要であると私ども考えておりまして、文科省といたしましても、こうした副校長、教頭の業務を支援する副校長・教頭マネジメント支援員の配置充実等も踏まえまして、引き続き、管理職も含む学校における働き方改革の加速に取り組んでまいります。

美延委員 大臣今御答弁いただいたと思うんですけれども、是非よろしくお願いいたします。

 それでは、順番を戻らせていただきます。

 次に、教育調整額、この間も私はちょっと質疑をさせていただきましたけれども、一〇%の水準にまで引き上げる根拠について伺います。

 本法案の教職調整額を一〇%まで引き上げる根拠として、人材確保法による処遇改善後の教師の優遇分の水準、つまり一般行政職と比較して七・四二%を確保するための水準としています。

 この七・四二%という数字は、一九八〇年度のものであり、当時と比べて学校を取り巻く環境の現状を鑑みれば、教員給与の優遇分はもっと高くするべきだと思いますが、人材確保法による処遇改善後の水準を基準とした理由について、文科省に教えていただけますでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 教師の処遇につきましては、御指摘のとおり、人材確保法に基づきまして、一般行政職の公務員の給与水準に比較して優遇措置が講じられなければならないとされているところでございます。

 今回、給特法の改正の中で、教職調整額を一〇%に引き上げるということは、この人材確保法に基づいて、公務員の給与水準に優遇分がどの程度であったか、その最高水準というものを我々としては学校の困難度が増す中では一つ念頭に置いて、予算要求等をしたところでございます。

 これは、一つには、やはり教員の職務のそうした重責から考えますと、過去最高だったその水準というものを一つ教師の処遇としては必要であろうと思ったことと、もう一つは、やはり教職志望の学生が結果として教師にならなかった理由の中には、処遇が不十分であったとか、あるいは職責に見合った処遇がないということとともに、やはり長時間勤務に関する懸念もあると承知していまして、今回の教職の魅力向上のためには、給与水準の優遇分を過去最高水準まで引き上げていくということと同時に、働き方改革による勤務環境の改善を同時に行っていくということを並行して行う必要があるという観点を踏まえまして、過去の人材確保法の制定に伴う給与改善の動向も見まして、それを達成できる形での教職調整額一〇%というものを措置をしているところでございます。

美延委員 次に、保護者それから地域住民とともに、スクールローヤー等の専門人材を活用することにより、教師は教育に専念すべきであると私は考えているんですけれども、特に、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づき業務の役割分担や適正化を進めるためには、保護者や地域の力が重要です。

 学校における働き改革のために、教育委員会や学校や保護者が地域住民の理解や協力を得ることが必要不可欠と思いますが、文科省としてはどのようにこれから取り組んでいくのか、御見解をお願いいたします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 文科省といたしましては、これまでも教育委員会及び学校において、学校運営協議会を活用するなどにより保護者や地域の理解や協力を得ながら働き方改革を進めるよう促してきたところでございます。

 また、今回の法案では、校長が学校運営協議会の承認を得ることとなっている学校運営の基本的な方針、これに働き方改革の内容を含めることとしておりまして、学校運営協議会の活用を通じまして働き方改革への協力が得られる体制が構築されるものと考えております。

 加えまして、文科省といたしましては、学校運営協議会の更なる導入を促進しつつ、形骸化することなく充実した取組につながるよう、例えば、専門家を自治体へ派遣するとともに、アドバイザーの配置あるいはコーディネーターの配置、こういった事業に係る経費の補助を行っているところでございます。

 引き続き、これらの取組を総合的に進めまして、学校と地域の連携による働き方改革が進むよう取り組んでまいりたいと思います。

美延委員 先日、参考人質疑で末冨先生からも御指摘ありましたけれども、保護者や地域住民からの過剰な苦情や不当な要求への対応です。

 実際に、教育職員の精神疾患による休職者の数が令和五年度で約七千人となっており、この数年間、過去最多を更新し続けている状態であります。こうしたことも踏まえれば、過剰な苦情や不当な要求を行うような保護者への対応に関する教師の負担軽減を進めていくことが、これは絶対重要だと思うんですけれども、先ほど言いましたスクールローヤーの活用も含めた保護者対応の負担軽減に向け、文科省はどのようにお考えなんでしょうか。

望月政府参考人 子供の状況を保護者と教師がちゃんとコミュニケーションを取る、そうした学習指導や生活、生徒指導の面では日頃からのコミュニケーションが大事だと思っておりますけれども、一方で、委員御指摘のような、過剰な苦情を行う、あるいはハラスメント的な形でのいろいろな要求、それには学校のみ、あるいは教師のみでは対応が難しい、そうしたケースも出てきているということは事実でございます。

 こうした学校のみでは対応が難しい事案が教師の負担となっているということに関しては、いろいろな調査からも出てきているところでございまして、行政がこうした事案の対応を支援する体制の構築が必要と考えているところでございます。

 今回の法案の中の一つでも、総合教育会議で、こうした教育委員会が作る計画について、しっかり首長部局も関わってその計画の実効性を高めていくという仕組みも入っています。まさに、自治体全体として御検討いただいて、教師の働く環境、あるいは学校に置かれている子供たちの状況というのをよく考えていただいて、行政全体で、そうした不当な、まさに過剰な苦情、要求を行うような保護者等に対して、あるいは、そうした地域学校協働活動、いわゆるコミュニティースクールの場などを通じまして、学校のいろいろな支援やあるいは助言、そうしたものを行う。多くの保護者ではない、そうした別の形で、いろいろな苦情等を行う保護者、そうしたものを、こういう仕組みも活用していただいて、行政全体、学校だけにはならない形で支援をしていきたいと思ってございます。

 そういった観点から、スクールローヤーを始めとして、文部科学省でも、教育委員会が活用できる、そうした支援というものは行ってございますけれども、これは都道府県格差、あるいは都道府県の中の市町村でもかなり、スクールローヤーについてはその配置あるいは実績は正直少のうございます。

 今後、こうした過剰な苦情や不当な要求を行う保護者等への対応に関しまして、スクールローヤーの更なる活用も含めて、自治体が考えることに対しまして、文部科学省としても、そうした助言や指導等、あるいは支援等を継続してまいりたいと考えているところでございます。

美延委員 時間が来たので終わります。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、日野紗里亜君。

日野委員 国民民主党の日野紗里亜です。

 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 長時間にわたる審議で、本当に大臣も局長も大変お疲れだと思います。大変お疲れだと思いますが、皆でいい改正案にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、早速、教員の働き方改革における自治体間格差について。

 格差に埋もれてしまう自治体の理由として、先日の参考人質疑において、参考人の方が主に二つのことを挙げておられました。一つ目は予算が足りないということ、そして二つ目が、業務を効率化するための仕組みを検討する時間も研修を受ける余裕もない、そういった切実な声でありました。

 私は、この言葉を聞いた瞬間、率直に申し上げますと、今回の法改正では働き方改革がやはり進まず、苦しい現場は結局変わらないのではないか、そんなふうに思ってしまったんです。というのも、今回の法改正で示されているのは、業務改善計画の策定、これを教育委員会に委ねるといった方針であり、その内容や実施に当たっての国の関与、財政的な裏づけというのは十分とは言えないというふうに思っております。結果として、改善の進め方や実効性は現場の裁量に大きく依存しているのが現状でございます。

 そして、参考人質疑を通じて、もう一つ明らかになったことがありました。働き方改革が進んでいる自治体には幾つかの共通点があるということです。それは、予算が確保されているだけではなくて、明確なリーダーシップを発揮する教育長や学校長の存在、そして、学校運営協議会のような仕組みがしっかりと機能している、そういったことでありました。つまり、これは制度としての保障ではなく、属人的な努力や地域の協力によってうまくいっているにすぎない、そういうことだと思っています。

 だからこそ、現場に全てを委ねていては、地域間格差や実行力の差が広がることの懸念というのは拭い切れないのではないでしょうか。法改正を行うのであれば、こうした属人性や地域性に頼るのではなく、どの地域でも一定の改善が見込める仕組みを構築するべきであって、そのために必要な財政措置を国が責任を持って講じなければなりません。

 今回の法改正で何がすぐに変わるのかといえば、正直なところ、教職調整額が一%上がる、すぐ変わるのはこれだけなんですよね。私、立法府で働く身として、この法改正によって、過労死レベルで子供たちのために頑張って働いている教員の皆さんに対して、私も頑張ってきたよと胸を張って言えるのかというと、到底それで納得してもらえるとは思っていません。やはり、これだけ多くの政府関係者の皆様、国会議員の皆様、そして有識者の皆様が今回の法改正に携わってくださいました。やはり、私たち立法府に身を置く者として、形だけで終わる法改正、これをよしとするわけにはいかないと思います。政治に携わる者として、この委員会に集う皆様のプライドを懸けて、本当にこれでよかったねといったものにしていきたいと思っています。それが、先生たちがこれで助かったと思えるように、子供たちのためにあしたからもまた頑張ろうと思えるように、そうしていきたいと思っています。

 そのために必要なのは、国が自治体に対して単に委ねるのではなく、明確に支えるといった姿勢、これを示すことが必要であると思います。私、以前の質疑でも、重点的な支援をしっかりと国が明示し、財政措置を含めた必要な支援を講ずるべきだというふうに申し上げました。

 ちょっと通告と順番は前後いたしますが、お伺いさせていただきたいと思います。

 文部科学省が令和四年度に実施した勤務実態調査の結果に照らして、重点的な支援が必要と判断される地域は具体的にどこなのか、お答えいただけたらと思います。お願いいたします。

望月政府参考人 勤務実態調査についてのお尋ねでございます。

 勤務実態調査につきましては、御承知のとおり、学校における負担にも配慮しまして、全国全ての学校で行っているわけではなく、まさに抽出調査でございます。抽出の上で、全国的な学校の勤務実態について、統計学的に有意な分析を行う上で必要なサンプル数を確保してやっているもの。ですから、そういう意味では、抽出校数となっていない地域の課題というものは、働き方の状況調査とは違って、分析をすることは難しいということになるわけでございます。

日野委員 例えば、その調査結果で、時間外在校等時間の上位層であったりとか、あとは、教員休職率の高い自治体というのは出ているかと思いますが、そちらをお答えいただけますでしょうか。

望月政府参考人 ちょっと通告が全くなかったもので、こちらとしてその細かい数字はちょっと今手元にはないわけでございますので、お答えするのは難しいと思っています。

日野委員 では、具体的な自治体名ではなくて、例えば、時間外在校等時間の上位層であったりとか教職休職率が高い自治体、そういった自治体に共通して見られる課題、これについての政府の見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

望月政府参考人 勤務実態調査の結果、全国的に見ますと、年齢が若い層でありますとか、あるいは学級担任である、それから、担任する学級の児童生徒数が多いといったところ、それから、持ち授業時数が多い教諭ほど、あとは教頭、副校長、そういった方々の属性が在校等時間が長い傾向があるという状況がございました。

日野委員 では、そういったところにどんな伴走支援を行うかといったことが私は非常に大事だと思っていまして、やはり、先日も申し上げましたが、平均値を示すことではなくて、時間外在校等時間でしたりとか持ちこま数、これは明確な上限を設定して、それを遵守できるように取り組んでいただければと思っております。

 続きまして、次の質問に入りたいと思います。

 教員の新たな任用区分として示された主務教諭についてお伺いさせていただきたいと思います。

 義務標準法では、主幹教諭と指導教諭は教諭等と同じくくりになっていますが、こちら、主務教諭についても同様という認識でよろしいでしょうか。また、主務教諭は必置ではなく、置くことができるとする、あくまで任意だと思いますが、その主務教諭への任用については誰がどのような基準で定めるのか、自治体や校長の裁量によるものなのか、明確な指針や基準が設けられている予定なのか、そして、どの程度の規模感での配置を想定しているのか、お答えいただければと思います。お願いします。

あべ国務大臣 委員にお答えいたします。

 主務教諭でございますが、校長等から命を受けまして、それで、当該学校の教育活動に関しまして、教職員間における総合的な調整を行うこととされておりまして、担当する教育活動に関して、核となって調整を行うことが想定されるところでございます。このため、一定の経験また知識等を有する、いわゆる中堅層の教諭のうち、こうした役割を担うことができる教諭が主務教諭として任用されることとなることと考えているところでございます。

 主務教諭は任意設置の職でございまして、具体的な選考基準また配置人数等につきましては、任命権者である各都道府県また政令市の判断によりまして決められるものではございますが、制度導入当初は、一校当たりに一人から二人程度が配置されるのではないかと考えられます。

日野委員 ありがとうございます。

 例えば、仮にその配置が異動や人事によって学校間で大きく偏りが生じた場合、現場では業務負担の不均衡でしたりとか処遇の格差の懸念が生じると考えられますが、そうした配置の濃淡、これが出ることに対して、政府の御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

望月政府参考人 まさに主務教諭は、今回の法改正の中で入っております一つの職でございます。ですから、主任とは違いまして、校長の職務命令によって発せられるものとは違いまして、あるいは、大規模な学校、小さな学校で、それぞれ職務分担あるいは職務分掌が違うといったものがございますけれども、主務教諭は、まさに任命権者が、ミドルリーダー的な存在として、この方にこの主務教諭としての職を、そうした職務を担っていただこうということでのものでございます。

 ですから、任命権者が、主務教諭の任命及び配置に当たっては、よく地域の状況、学校の状況を考えていただく、それが一番適切であり、その必要があるかというふうに考えているところでございます。

日野委員 では、任命権者が適切と判断した場合は、例えば養護教諭とか栄養教諭の中からも、業務の中心を担っている方は一定数いらっしゃると認識していますので、こうした方々も主務教諭として任用される可能性はあるという認識でよろしいでしょうか。

望月政府参考人 御指摘のとおりです。

 そうした学校の状況、あるいはそうした地域の状況によって、それぞれ考えていただく必要があろうかと思います。

日野委員 御答弁ありがとうございました。

 次の質問に入りたいと思います。

 やはり、どうしてもこれまでの政府の御答弁をお伺いしている中でも、国が教員の働き方改革、イニシアチブを取って行っていくというよりかは、あくまで自治体とか教育委員会とか学校に委ねていく、こういった印象を私は強く受け取っております。

 お伺いしたいのが、政府として、現在、公立の小中学校の学校長に特にどのような資質でしたりとか役割を求めているか、こちらについてお答えいただけたらと思います。お願いします。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 校長は、学校組織のリーダーといたしまして、マネジメント能力を身につけ、また、教師一人一人の業務状況を踏まえ、学校における業務改善を推進するとともに、働きやすい職場環境を構築する役割を果たしていくことが求められるというふうに思います。また、学校における働き方改革の実効性を向上させるためには、保護者、また地域住民等の理解、協力が不可欠でございまして、そうした関係者との連携、協働体制を構築していくことも求められるところでございます。

 働き方改革を進める校長の取組の評価という点につきましてでございますが、人事評価制度を有効に活用することが重要でございまして、校長の人事評価の評価項目におきましては学校の働き方改革に関わる観点をしっかりと位置づけ、また、管理職としての資質、能力の向上につなげていくよう教育委員会の取組を推進しているところでございまして、今後とも、マネジメント能力を身につけた校長が地域との連携などを進める中で、それが学校における働き方改革にも着実に結びついていくように引き続き取り組んでいきたいというふうに思っております。

日野委員 教員の働き方改革に対してしっかりと取り組んでいただける方、学校マネジメントでしたりとか地域との連携をしっかりと取り組んでいただける方、そういった方を校長になっていただけるように政府としてもバックアップしていくということで、認識をお伺いさせていただきました。

 ただ、やはり私は思うことがあるんです。今、結構、教職員の方々の労働環境というのはすごく過酷だと思うんですよね。そんな過酷な環境の中で校長先生まで上り詰めるというのは、相当メンタルがマッチョな方だと思うんですよね。そういった校長先生に心から敬意を表するとともに、やはり、自分が過酷な労働、過酷な環境にも耐えてきたから他者にもそれを求めるような価値観、こういった価値観がないように、初任教員を始めとする様々な、学校にいる全ての教員の先生方に対して相手の物差しでしっかりと向き合えるリーダー、要するに、共感力でしたりとか傾聴力、対話力、こういったものが私は校長先生に求められる資質だと思っております。

 よく鍋蓋と言われますけれども、校長先生がそういった資質を持った方であると、それというのは先生方みんなに伝染していって、それが学校の雰囲気となって、やはり子供たちの信頼とか安心につながる、そういったふうに思っておりますので、校長先生の資質でしたりとか役割というのは国がこれからもしっかりと見ていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、次の質問に入ります。

 共働きが当たり前となった今の社会においては、民間企業での女性の雇用というのが着実に増えてきていると思います。そうした民間企業とは対照的に、教員採用試験における女性の受験者数というのは減少傾向にあります。二〇〇〇年と二〇一九年を比較すると、公立小学校でマイナス二一・五%、公立中学校でマイナス三五・九%と大きく落ち込んでいます。

 やはり民間企業では制度を柔軟に見直しながら女性の就業率を着実に伸ばしてきた、そんなことがありますが、一方、教員の方は、制度の硬直性が改善されないまま、むしろ働きにくさを生んでしまっているのではないかと思っています。その典型とも言われるのがやはり給特法に内在する構造的な問題であり、女性の教員離れという形でその影響が如実に表れていると私は考えています。

 民間企業で女性雇用が進む一方で教員志望の女性が減っている現象について、何が主な要因であると分析しているのか、政府の御見解をお伺いしたいと思います。お願いします。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 直近五年分のデータで申し上げますと、公立学校教員採用選考試験の女性受験者の割合は、全校種の平均で約四〇%になっており、この五年間では大きな変化は見られていないということでございます。

 その一方、性別を問わず、教師を志す学生の声として、教師の、今ほど御指摘がありました勤務環境に対する不安、こういった声があるのも事実でございます。できるだけ多くの教師志願者を得るために、教職の魅力向上を図ることが文部科学省としても極めて重要だと考えております。このため、学校における働き方改革の更なる加速化、教師の処遇改善、そして学校の指導、運営体制の充実などを一体的に推進してまいりたいと思っております。

 また、御指摘ありました、女性が働きやすい環境を整えるという観点からは、産休や育休を取得する教員の代替者につきまして、給与費の国庫負担の対象を臨時講師に限定せず、正規教員である場合にもその対象とするという制度改正を行ったところでございます。

 引き続き、産休、育休を取りやすい計画的な人員配置、こういったことも含めながら、御指摘ありました、女性も志望する魅力的な教師の環境づくりについて引き続き取り組んでまいりたいと思います。

日野委員 御答弁ありがとうございました。

 五年間で変わっていないというお話だったんですけれども、やはり二十年前と変わっているということは大きな変化だと思います。これが民間企業と対照的であるというところはしっかりと目を向けていただきたいというのと、その五年の調査結果、私も拝見しましたが、やはり一部の自治体においては、男女別の受験者数や採用者数、これを把握していないというような実態もあったかと思います。今後、どの自治体においても男女別の調査を行って、しっかりと誰もが安心して長く働き続けられる職業となるために環境構築していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に入らせていただきます。

 今の学校現場では、かつてと比べ、教員の業務や精神的負担の質と量が大きく変化している。その中では、やはり、保護者対応、特別な配慮を必要とする児童への対応、不登校児の対応、これらが教員の業務における比重を大きく占めているのが今の実態でございます。

 こうした中で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの役割がますます重要になってきています。せっかく専門性の高い方々が学校現場に配置されていても、現在の体制ではその力が十分に生かされていないことに対して、私はこれは非常にもったいないというふうに思っています。

 財政力のある自治体では一定の配置が進んでいる一方で、財政力の乏しい自治体ではいまだに十分な配置が実現していません。これは以前の質疑でも私は申し上げたんですけれども、非常勤で週に数時間程度しか勤務できない現状であっては、やはり、何かあったら相談してねといった待ちの支援にとどまり、根本的な課題解決にはつながっていないという現状があると思います。

 本来であれば、授業中や休み時間に校内を巡回しながら、子供たちの様子を日常的に見守り、気になる子がいればプッシュ型で支援をしていく、そして、教員と保護者と連携して、チームとして子供に向き合っていく、そうした関わり方が求められると思っております。

 年々増加している不登校の問題も大変深刻です。現在、不登校の子供たちに継続的に関われている、これは基本的に担任の教員のみというふうになっています。だからこそ、学校の中に信頼できる第三者として継続的に伴走できるカウンセラーやソーシャルワーカーの存在が必要だと思っています。今、非常勤かつ複数校を兼務することが当たり前となっている体制では、こうした支援の在り方というのは物理的には実現できないものとなってしまっているので、本気で支援を機能させるのであれば、常勤での配置というのが不可欠であります。

 なぜかというと、現状では関わり方が中途半端にとどまってしまうので、つらかったら無理せず休もうねという声がけしかできないというケースも多いというふうに伺っています。本来であれば、その子にとって学校に戻る方がいいのか、しばらく休んだ方がいいのか、あるいは別の支援策につなげるべきなのかといった判断をして、継続的にケアを行わなければなりません。

 この支援体制がしっかりと機能すれば、子供の心を守るだけではなくて、その子と向き合っている担任の先生の心も守ることができる。やはり、我が子が不登校になるとすれば、親は大変なそれは大きな心の影響がありますから、保護者の心も守ることができると私は確信しています。

 スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの常勤配置の推進、そして自治体間格差を是正するための国の財政的支援について、私だけではなくほかの委員の皆様も繰り返し質疑されていますが、政府の方針と今後の見通しについてお伺いしたときも、やはり、自治体の裁量に委ねているですとか、補助はしている、今後も必要に応じて対応する、そういった答弁にとどまっているように見受けられてしまいます。それであると現場は変わることがないんですけれども、私がお話を聞いていくと、課題がこれは財政面に関わらないということだと思います。

 というのも、学校という場は、これまでずっと長らく教員だけの社会として成り立っていた、そういった背景があり、そこに福祉や心理の分野から専門職が新しく入ってきたことで、どう連携すればいいのか分からないといった戸惑いの声も各地で少なからず聞かれるようになっています。せっかく高い専門性を持つ方々が関わってくださっていても、その力を生かすことができない、誰がどのように役割をつなぐのかが分からない、連携の設計図がないままでは、支援の効果は限定的にならざるを得ないというふうに思っています。

 こうした現場での専門職との連携の難しさや役割分担の不明瞭さを、政府としてどのように課題感を感じているか。そういったことと併せて、うまくこういった支援体制が機能している自治体や学校の中での不登校の改善事例だったりとか、あとは保護者との連携、信頼構築につながった好事例があれば、是非御紹介いただきたいと思います。お願いします。

あべ国務大臣 委員にお答えします。

 複雑化、多様化する教育課題、この対応を図る上で、教員が、心理の専門家である特にスクールカウンセラー、また福祉の専門家でございますスクールソーシャルワーカーと連携協力をしていきながら、課題を抱える児童生徒に対してチームで支援をすること、委員がおっしゃるように、まさに重要でございます。

 このため、文科省といたしましては、専門家が関係者と連携し子供のための支援を行えるよう、例えばスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが教員と連携を図り不登校の生徒への対応を行った事例などを実は取りまとめておりまして、ウェブサイトに掲載をさせていただくとともに、様々な機会を通じていきながら、各教育委員会に周知をしているところでございます。

 引き続き、これらの取組に関しまして、子供たちの支援が適切に行われるように、学校における教育相談体制の充実にしっかりと努めてまいります。

日野委員 御答弁ありがとうございます。

 やはり、ウェブサイトに掲載してあるだけだと、そこまでなかなか、今学校の先生方もお忙しい中でたどり着けないと思いますので、そこも併せて、プッシュ型でロールモデルを政府の方からも展開いただけたらというふうに思っています。

 今すごく大臣が大事なことをおっしゃっていて、というのも、結局、まだこのカウンセラーもソーシャルワーカーも常勤でない現状において、すごく志がある専門職の方々、どうにか子供たちを救いたいからといって、学校現場に入れるように専門職の方からも交渉していくんですよね。今の段階だと学校現場に入ることが精いっぱい、せっかく入ったから、ちょっと表現は悪いですけれども、厄介者扱いされたくないわけなんです。だから、子供のためというよりかは、やはりどちらかというと学校長の方を向いて仕事をしているといったのも現場の声から聞かれることがあります。

 なので、しっかりとそこの方を、子供のためにどういった支援が適切なのかということを専門職の方と、あとは学校と連携して行える支援体制というのが一番求められてくる部分だと思いますので、併せてよろしくお願いします。

 時間になりましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございました。

中村委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。

 四月の十日の本会議登壇から始まりまして、参考人質疑を含めまして、本日は六回目の質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、学校の働き方改革の目的である子供たちの学びの充実、これについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 学校の働き方改革の目的は、我々がずっと提案してきました学校業務の三分類、これをしっかりと徹底し、教師が教師でなければできない業務に集中できるようにして、教材研究又は研修等に取り組む余白を確保することによって、子供たちの特性や関心に応じた教育の充実を図ることにあると私は思います。

 我々はかねてから、子供たちの集団の学び、そして実体験等の個別学習を行き来する中で、一人一人に光が当たり、子供が生きる喜びに輝いている、輝き教育というのを提唱してまいりました。既に各地においては、四月十日の本会議でも御紹介させていただきましたけれども、鳥取の青翔開智中学校、高等学校、また、午後は全て探求学習に充て、子供たちが地域の企業を巻き込んで探求的な学びや体験活動を行っている渋谷区のシブヤ未来科、そして、ビー・ザ・プレーヤーを合い言葉に自分の学びを自分で調整する力を育む石川県の加賀市といった新しい学びの充実、これが様々今生じているところであります。一人一人の子供たちの関心や特性に応じたこの輝き教育というものの実現のためにも、施策も一体的に進めなければならないと思っております。

 そこで、学習指導要領の次期改訂においては、現在、中教審で、一人一人の子供たちに焦点を当てた、これまでにない議論をしているということを承知しています。不登校の子供たちや日本語指導が必要な子供たちへのきめ細かい指導、子供たちの特性や関心に応じた探求的な学びの実現のためには、これまで以上に人、物、金といったリソースを公教育に投入することが必要であると思います。

 次の改訂において重視するきめ細やかな指導に必要な教職員定数や学校整備、学校運営費の充実を、改訂の議論、それと一緒に進めていかなければならないと思っておりますけれども、あべ大臣の決意をお伺いさせていただきたいと思います。

あべ国務大臣 子供たちの実態が多様化する中にございまして、御党からも御提案のございました、子供たち一人一人の可能性を最大限伸ばす輝き教育、これを実現していくために、新たな時代にふさわしい学びの構築、子供たちを指導する教師への対応、いわゆる次の世代の学びを支える学習基盤の整備等に一体的に取り組んでいく必要があると考えておりまして、こうした取組を一層推進しながら、質の高い、きめの細やかな教育を実現できるよう、学校の働き方改革に集中的に取り組んでいくなど、今般の改正法案に盛り込まれた施策の具体化に全力で取り組むとともに、中央教育審議会におきます次期学習指導要領の検討と併せまして、その趣旨が実現可能な環境整備も含めて総合的にしっかりと対応してまいります。

浮島委員 ありがとうございます。

 是非、一人一人に光を当てた教育が実現できるように、大臣の力を発揮していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 四月十日の本会議でも申し上げさせていただきましたけれども、一人一人の子供たちの特性、関心に応じた学びの実現のためには、教員集団の側に多様な専門性が求められております。デジタルやサイエンス、アート、スポーツ、発達支援といった多様な専門性を持った方々が教壇に立てるようにするための教員免許法の改正、これが不可欠だと思っております。

 子供たちの特性や関心に応じたきめ細やかな教育を実現するためには、そのような多様な学びを支える多様な専門家が、教育学部に入り直すことなく普通免許を取得することが必要であると思います。教師の役割が、教えるだけではなくて、支える、導く、伴走するへと大きく変化する中で、教師とは何か、普通免許とは何かの根本に遡った上で、教員免許法自体、これを大きく見直すことが求められていると思いますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

あべ国務大臣 子供たちの主体的な学びの実現におきまして、実社会と結びついた学習、また専門的、探求的な学習を実施していく上で、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成が委員御指摘のようにまさに重要でございまして、文科省としても、特別免許状や特別非常勤講師制度の積極的な活用を促進しているところでございます。

 さらに、現在、中央教育審議会におきましても、教師に求められる役割の転換も踏まえて、教師人材の質の向上と入職経路の拡幅の観点から、大学における教職課程や教員免許制度の在り方につきましても、制度の根本に立ち返って御議論をいただいているところでございまして、その結果も踏まえて、関係法令の見直しも含め、改革を進めてまいりたいというふうに思います。

浮島委員 是非改革を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、四月の二十五日の参考人で意見陳述をいただいた戸田市の戸ヶ崎教育長は、戸田の教育改革の柱の一つが、経験と勘と気合、いわゆる三Kから客観的な根拠への転換だとおっしゃっておられました。これは重要な御指摘だと私は思っております。

 一人一人の教師は、質の高い志と豊富な経験を持って効果的な教育実践を行っております。例えば、我が党ですけれども、中学校の体育の教師だった下野六太参議院議員は、教育者時代に、学年の全員の生徒が泳げるようにしようということで、水泳の千メートルの、それを完泳させるということでやってこられました。誰一人残さずに全員が完泳することになったということで、子供の可能性を引き出して成功体験を積ませる教育法が国内外から高く評価されておりました。

 しかし、これが個人芸にとどまっていては私はよくないと思っております。一部の関係者の間だけで共有していては、宝の持ち腐れになってしまうのではないかと思います。優れた教育実践があるにもかかわらず、それぞれの学校や教師がそれを参考にしなくて一から実践を積み上げていることは、学校の働き方にとっても大きなマイナスになってしまうことだと私は思います。

 そこで、学校の働き方改革をしっかりと進めつつ、令和の日本型学校教育を担う教職員の専門性の向上が、これからの教育政策には大きな課題であります。多様な子供たちへの教育の質の向上のためには、授業実践が共有されるプラットフォームの形成と教育データベースをしっかりと整備をして、多様な子供たちへの効果的な授業実践、そして支援、その効果を科学的に分析、共有する仕組みが必要であり、文部科学省や教育委員会、国立教育政策研究所あるいは教職員支援機構などが一体となって取り組むべきだと考えますけれども、あべ大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

あべ国務大臣 委員のおっしゃるように、多様な子供たち一人一人の個性が輝く教育を推進していくために教師の専門性向上が喫緊の課題でございまして、本当に、御指摘のように効果的な授業実践を共有して、一層高めていくための仕組みが重要だというふうに私どもも考えているところでございます。

 このことに関わっては、これまで、個別最適な学びと協働的な学び、またICTの利活用を始め様々な実践事例集、動画等を公表してきたほか、また、教職員支援機構におきましても、多種多様な研修動画を公開するとともに、全国の教育委員会、また大学が作成しました実践的な研修コンテンツを掲載する全国教員研修プラットフォームを運用しているところでございます。また、国立教育政策研究所におきましては、国の研究成果、また自治体の取組事例を集約する公教育データ・プラットフォームを構築させていただきました。

 今回は、中央教育審議会におきましての議論も受けまして、教職員支援機構や国立教育政策研究所とも一層緊密に連携をさせていただきながら、最先端の実践事例の積極的収集と公開、また、現場の実践にも活用できる優れた事例の分析と研究、研究コンテンツの刷新、一覧性の向上なども含め、必要な改善をしっかりと行ってまいりたいというふうに思います。

浮島委員 是非、しっかりと一体となって取り組むようにお願いをさせていただきたいと思います。

 今年は戦後八十年、昭和百年の年ですけれども、今改めて、私は二人の文部省関係の方の言葉を思い出しております。

 そのお一人は、研究者から文部官僚になった日高第四郎氏。七十八年前の衆議院教育基本法の委員会において、今日の日本を復興させるものは、現在戦争にも責任のある私どもの力というよりは、何も知らなかったこれから来る若い人たちの力によって、日本は再びこの情けない状態をと言ったところで、熱涙滂沱とおっしゃって、しばし答弁ができずに、涙を拭った後で、失礼いたしました、盛り返さなくてはならないと思っていますと言葉を続けました。

 そしてもう一人の方は、学校教育法法案の起草に当たった文部官僚、内藤誉三郎氏です。同じ七十八年前の内藤氏は、今後の学制改革において、食べることができないのに教育とは何事だろうという一部の非難がある。教育が食うこと以上に人生に崇高な意義を有することは論ずるまでもないが、食えないからこそ教育が必要だとも言い得るのである。教育は生きるための唯一の武器であり、唯一の財産であると述べられております。全くそのとおりで、生きるための唯一の武器、唯一の財産であるこの教育を担う教師の方々が、自ら尊厳を持って生き生きと次の時代をつくる子供たちと向き合って、子供たち一人一人に光が当たるような環境をつくるための大事な一歩がこの法案であると私は思っております。

 そこで、この法案は重要な一歩ですけれども、教育投資の充実による子供の学びの転換は、まさにこれからスタートするところであります。七十八年前、文部省だ、そして大蔵省だといった立場や与野党を超えて、明日の日本の未来を築く子供たちのために、公教育の再生に全力で取り組んでくださっておりました。今は、デジタル化や生成AIの飛躍的な進化、少子高齢化、世界での戦争や紛争、パンデミックなど先が見えない状況の中で、次の時代を担う子供たちの学びのために、今私たちが立場の違いを超えて公教育の再生に取り組むことが求められていると思います。

 そこで、あべ大臣に、公教育の再生に先頭に立ってリードする覚悟をお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 まさに教育は国家の礎でございまして、その根幹である公教育、この再生に向けまして、立場の違いを超えて取り組んでいくことが求められているというのは、まさに委員の御指摘のとおりでございます。

 公教育の再生に向けましては、御党からも様々な御提案をいただいているところでございますが、チーム学校の実現、いわゆる三分類の徹底等を通じた教師が子供一人一人に向き合うことができる環境の整備、また、誰一人取り残されない教育の実現などに取り組む必要がございます。

 御党の御意見を伺うなど、様々な方々の御理解と御協力をいただきながら、文部科学大臣である私自身が先頭に立たせていただき、これらに取り組んでいき、また、公教育の再生、一層の充実に全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。

浮島委員 ありがとうございます。全てはやはり子供たちのため、一人一人に光を当てた教育が私は必要だと思っております。

 私も様々な現場に行かせていただきましたけれども、いわゆる、前の不登校特例校、今の学びの多様化学校、ここにも様々行かせていただきました。いつも感じていたのは、そこに行かせていただくと、子供たちが生き生きとしています。なぜこれが公教育でできないのかというふうに自分でいろいろ考えてきましたけれども、できないのは、教師の皆様が忙し過ぎるから。学びの多様化学校に行くと、先生方は子供たちだけを見ていればいい、先生も楽しまれて一緒に授業をしている。

 言ってきたこの三分類を徹底し、そして、教師が教師でなければできないことにしっかりと、給与を上げるのももちろんです、でも、上げるだけでおしまいではなくて、質の向上、そして働き方改革、全てを一体としてやっていかなければならないと思いますので、どうか大臣、リーダーシップを発揮して、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

中村委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 給特法等の改正について。

 給特法というのは、公立の学校の先生のお給料に係る法律で、それを変えようというようなお話をしていて、この質疑は四月から始まって、終局に向かうと言われているんですけれども、ずっと問題になっていて解決していないのは、この国が、文科省が、給特法も守っていない、労基法も守っていない、この問題に集約されるんですね。

 現状、時間外在校等時間という、これは違法な概念なんですけれども、そのような概念で、本来であれば労基法三十二条が学校の先生にも適用されるから一日八時間以内労働を守らなければいけないのに、時間外在校等時間という、本来、労基法上あってはならない、労働時間、労働時間以外の時間以外の中間領域のような変なものをつくって、それでごまかそうとしているという問題。

 給特法そのものも違反しているんですよね。これはこれまでの質疑で確定させてきましたけれども、超勤四項目以外は超勤命令をしてはいけないんですよね。時間外にそういうことをやらせてはいけない。超勤四項目というのは、生徒の実習、修学旅行、職員会議、それから災害などでやむを得ない場合というこの四項目以外は超勤をやらせちゃいけないんですよね。

 だけれども、現状、教師の残業の九割は、その超勤四項目以外で成り立っている。だから、学校の先生は、時間外で超勤四項目以外、ほとんどの時間外の労働で埋め尽くされて、息も絶え絶えになって、一万人以上の学校の先生が精神疾患などで休まざるを得ないというような状況をもたらしていて、この罪は、元凶は文科省にあるのですから、しかるべき財源をつけて、早急にこの二つの法律の違反状態を解消するしかないのです。

 だから、この法改正の議論においても、それ以外にいわば焦点はないんです。なのに、そことずらしたような、よく分からない、子供の輝く未来がとか、学校の先生の夢と希望がとか、そういうポエムが飛び交うような委員会を何十時間も消化して、それ、国会の外の学校の先生に顔向けできるんですか。今日だって、この国会の外では学校の先生が一生懸命働いていますよ、休憩時間もなく。労基法違反で、休憩時間もなく。その先生の気持ちに少しでも立つならば、今日一日においても、やっている議論は相当おかしいですよ。

 死にかけになって子供たちと向き合ってやっているのに、一発目に自民党の萩生田元文科大臣が質疑に来て、五分で丸つけできる先生もいれば、十五分、花丸をつける先生もいる、それは両方尊いやないかと。でも、その花丸をつける十五分は、暗に、無駄やから、時間外でやらせていく、だけれども、それは尊いんや、ただ働きでやる限りにおいて尊いんやというような言い換えでしかなかったですよ。それを学校の先生を思いやっているかのようなポエムに乗せて、文科大臣はしっかりやってくれ、で、文科大臣が御指導ありがとうございますとか、言っちゃいけないんですよ、そういうことは。とんでもない発言をしているんですよ。

 質疑に入りますけれども、だから、給特法と労基法を遵守するということが達成できなければ、この法案、改正案自体があり得ないし、それを固定化するような修正案というのもあり得ないですよ。

 これまでの質疑で、厚労省のガイドラインによる労基法の労働時間の概念をちゃんと文科省は守ってくれ、守っていないよという指摘をしてきましたので、それの、労働時間じゃないと言うたらあかんと言っているのに、文科省、文科大臣が労働時間やと言ってという繰り返しだったんですけれども、これが最終日になるかもしれないので、論理的に詰めておきますね、詰めを行っておきます。

 文科大臣に伺います。

 資料は、パネル、この一ですね。厚労省のガイドラインによる労基法三十二条、労働時間の判断基準に基づいてお伺いしますね。

 これまでもさんざんお伺いしてきました部活動についてなんですけれども、前回言いましたのは、大阪府においては、土日の公式戦などは公務とみなして、振替休日だったり交通費が適用されていたりと、公務やと。それに対して、あべ大臣も公務やと言いました。それは公務ですと。その上で労働時間じゃないというふうにおっしゃっていたんですけれども。部活動というのは、交通費とか特勤手当も出ているんですよね、なのに、公務じゃないんですか。で、公務だ、だけれども、労働時間ではない、時間外で行われるそれは、いわゆる労基法の労働時間ではないというようなこと言っていて。

 もう確定させておきたいんですけれども、文科大臣、時間外に行われる部活動が、このガイドラインの労働時間の方、資料一の上の方ですね、労基法三十二条の労働時間になる可能性はゼロでよろしいですね。質問は問い四です。(発言する者あり)

中村委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

中村委員長 速記を起こしてください。

 厚生労働省尾田大臣官房審議官。(大石委員「文科省に聞きましたけれども。文科大臣に聞きましたけれども。厚労省には次に聞きます。だから文科大臣です。速記を止めてください、時計を」と呼ぶ)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

中村委員長 速記を起こしてください。

 あべ文部科学大臣。

あべ国務大臣 この部活動の指導、公立学校の教師が従事している場合におきまして、部活動の顧問の位置づけ等によりまして、教師が果たす任務として与えられると考えておりまして、このようなときには職務に当たるものと認識をしておりまして、公立学校の教師の職務につきましては、教師の判断によりまして所定の勤務時間外に行われる場合におきましては、給特法の仕組みにおいては、労働基準法上の労働時間とは言えませんが、学校教育活動に関する業務を行っている時間と整理されているものと考えておりまして、こうした点も踏まえまして、公立学校の教育職員の給与その他の勤務条件の特例を定めているものが給特法となっているところでございます。

大石委員 いいですか、もうほぼ言っていると思うので、確定させますね。

 これは労基法三十二条の労働時間の判断基準です。(パネルを示す)今、ちゃんと、時間外の部活動で労基法上の労働時間に当たらないとおっしゃったので、つまりは、時間外の部活動は労基法上の労働時間に該当する可能性はゼロだでよろしいですね。ゼロだとおっしゃってください。はっきりおっしゃってください。

あべ国務大臣 労働基準法上の労働時間でございますが、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいうものと認識をしておりまして、いわゆる超勤四項目に該当する、給特法が適用されるところの公立学校の教師が所定の勤務時間外にいわゆる超勤四項目に該当する時間外勤務命令に基づき業務を行う場合は労働基準法の労働時間に該当いたしますが、所定の勤務時間外に、この時間外勤務命令によらず、業務、例えば公務、校務を行う時間は労働基準法上の労働時間には当たらないものと考えています。

大石委員 ですから、ゼロだということですよね。可能性はゼロやですよね。ゼロなのかゼロではないのか、今のお話で。ゼロや言うているんでしょう。それ、確認なんですけれども、論理的にゼロだとおっしゃっているので、ゼロとおっしゃってください。

あべ国務大臣 学校教育の一環として行われる部活動の指導に公立学校の教師が従事している場合におきましては、それは公務に当たるものと認識をしておりますが、その上で、所定の勤務時間内に行われる部活動指導の時間におきましては、労働基準法上の労働時間に当たります。

 また、公立学校の教師につきましてでございますが、給特法の仕組みにおきましては、所定の勤務時間外に行われる部活動指導の時間におきましては労働基準法上の労働時間とは言えませんが、学校教育活動に関する業務を行っている時間と整理されるものと考えています。

大石委員 厚労省に聞きますね。

 今文科省は、時間外の部活動は、このガイドラインの、厚労省も確認済みのガイドラインの労働時間に当たる可能性はゼロやとおっしゃっているんですけれども、厚労省はゼロですか、可能性はゼロですか。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 先生に資料でお示しいただいたとおり、労働基準法における労働時間に該当するか、これは、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかを個別具体的に判断するものとなっております。

 この考え方は、公立学校の教育職員も含めて、労働基準法が適用される労働者には基本的に同じ考え方と認識しております。

大石委員 今おっしゃった厚労省の内容、これは公立学校の教員においても個別具体的に判断されるべきものだとおっしゃっていて、これは私は可能性がゼロではないという答えに思うんですけれども。

 つまりは、時間外の部活動が個別具体的に判断された場合に、三十二条の労働時間に該当する可能性がゼロではないとおっしゃっていると思うんですけれども、どっちですか。可能性ゼロではないんですか、可能性ゼロですか、厚労省。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 あくまでも個別具体的に判断されるものでございますので、一律にお答えすることは差し控えたいと思います。

大石委員 一律に聞いていないでしょう。一律にお答えできないじゃなくて、一律なことを聞いていないんですよ、可能性がゼロかどうかということだけ聞いているんです。可能性がゼロということは一律にゼロということなので、一律ではないんだったらゼロではないはずなんですけれども。

 だから、時間外の部活動が労働時間に当たる可能性がゼロなのかゼロではないのか、厚労省、ガイドラインを作った方ですからお答えください。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 一律にはお答えできない、個別具体的に判断でございますが、その上で、公立学校の教育職員の勤務時間の具体的な取扱いに関しましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

大石委員 だから、差し控えたら駄目じゃないですか、厚労省が。差し控えるということは、可能性がゼロじゃないということですよね。

尾田政府参考人 失礼いたしました。

 労働基準法における労働時間の考え方は、基本的に、労働基準法が適用される労働者には全て同じ考え方と認識しておりますが、その上で、給特法の運用に関する問題につきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

大石委員 もうあと二分ぐらいしかないので。

 可能性がゼロではないと、可能性がゼロやと言ったらもうこれは厚労省自体が労基法違反ですからね、だから言えないということでしょう。それは答えじゃないんですか。言えないとか許されませんからね。それは言っておきます。

 あと二分しかないので。

 資料二ですけれども、私の質疑のまとめですが、これはどうしていったらいいのというのは、もうこれしか解はないと思います。給特法と労基法を遵守し、公立学校の教員が定時に帰れるようにすることです。そのためには、今の違法状態を解消していく必要がある。

 その一つには、教員予算を国費で増やすしかありません。今日も質問でありましたけれども、各自治体の財政で、満額支給、満額、教員予算をつけられないような自治体もありますので、国費をつけるしかないんですよ。

 義務標準法改正で、確かに給特法だけでは駄目ですよ、今回の法改正は駄目ですけれども、給特法以外の改正でいえば、義務標準法改正で乗ずる数を改善して、教職員の人数を、自然減にならないように自動的に増やす必要があります。これは、このとき、多くを国費で賄う必要が必ずあります。

 速やかに時間外手当を払う。給特法上問題があるからなる理由で、労基法に違反してはいけません。この給特法と労基法を遵守するという観点は、人権を守ること、教員の労働者としての人権を守ることであり、また、教員の専門性、教師としての専門性を守ること、そのために、その観点から、給特法と労基法を速やかに守っていく必要があるんです。そのために、速やかに時間外手当を払わなきゃいけません。

 今の給特法に問題があるなら変えればいいんですよ。でも、変えなくて違法状態に、給特法違法状態になっていたとしても、時間外手当を払わなければいけないんです。労基法を守らなければいけないんです。

 三番目、給特法の改正例。そんなにこだわって、大の大人二人が、文科省と厚労省が、答えは差し控えるとか、可能性ゼロかどうかという簡単な答えも答えられないようなところに行き詰まっているんやったら、この改正をとっととやってください。

 給特法の改正例。給特法三条二項、ここに、行き詰まっているんやったら変えたらいいじゃないですか。国立大学附属学校の給与規則等を参考に改正すれば、条項を二つつけ加えればできるでしょう。つまりは、調整額ですね、調整額を四%から一〇%に増やす言うていますけれども、それでも足りないわけですから、足りない不払い残業の差額を支給できる項目に変えてください。それから、給特法の五条から労基法三十七条の適用除外を認める部分も削除した方がいいでしょう。

 ただ、これを待たずしても、労基法を守ってください。先生の人権を守ってください。先生の人生を返してください。変なポエムとかで茶を濁して、修正案で、何かいいことやりましたとか、そんなこと許されません。

中村委員長 時間が済んでいますので、まとめてください。

大石委員 ええ。

 質疑は続けますが、この質疑は終わります。

中村委員長 この際、議員田村貴昭君から委員外の発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 田村貴昭君。

田村(貴)議員 日本共産党の田村貴昭です。

 本日は、委員外議員の発言を認めていただき、ありがとうございます。

 中村委員長、そして理事、委員の皆さんに心から感謝を申し上げ、早速、給特法の質問に入らせていただきます。

 長時間労働によって、教員の精神的疾患、そして病休者は増加の一途であります。全日本教職員組合、全教の実態調査によれば、三十四都道府県十一政令市で、四千七百三十九人も先生が足りない状況。公立学校教員採用試験の採用倍率は小中高共に過去最低であることは、本会議質問で、私、指摘しました。

 教員の長時間労働の是正は待ったなしであります。そのために国がやるべきことは、教員数の定数を抜本的に増やすこと、そして、年間授業時間そのものを減らして業務量を削減することです。しかし、本法案は、教育委員会に業務量管理・健康確保措置実施計画の策定を義務づけるのみとなっています。これでは教員の長時間労働はなくせません。

 埼玉県の公立小学校の教員が、時間外労働に残業代が支払われなかったのは違法と訴えた裁判がありました。判決では、超勤四項目以外の理由による時間外労働として認定されました。しかし、給特法により、労基法に基づく残業代の請求権は認められなかったのであります。給特法がある限り、教員は超勤四項目以外の残業代は請求できないということなんですね。

 超勤四項目以外に時間外労働を命じないことが労働者の保護に必要と国は言います。しかし、現実問題、大臣、聞いてください、長時間の時間外労働が長期にわたって存在して、そして裁判でも認められたじゃありませんか。

 大臣、労働者として当然保障されるべき権利が給特法によって阻害されているのではありませんか。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 教育活動、日々子供たちと接している教師の創意工夫がまさに重要でございまして、給特法におきましては、労働基準法、また地方公務員法の特別法といたしまして、逐一管理職の職務命令によるのではなくて、教師が専門性を発揮して業務を遂行し、教師の裁量を確保する仕組みといたしまして、給与その他の勤務条件について特例を定めたものでございます。

 給特法におきましては、こうした職務の特殊性を踏まえた上で、時間外勤務手当ではなく勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給することになっておりまして、今回、中央教育審議会におきましては、一年以上にわたりまして給特法の法制的な枠組みを含めまして総合的に御審議をいただきまして、給特法の仕組みは現在においても合理性を有しているとされたものでございまして、こうしたことも踏まえまして、今回、給特法を維持した上で、処遇改善、働き方の改革の更なる加速化のための仕組みを構築することを盛り込んだ改正案を提出しているところでございます。

田村(貴)議員 裁判のシビアな判決のことについて聞いているんですよ。

 時間外労働として認定されたんです。しかし、対価、残業代が受けられないんです。それを請求することが認められないんです。こういう給特法の法制度は改めるべきじゃありませんか。

 この裁判で原告が終業後の業務として挙げたのは、教室の整理整頓、提出物の内容確認、教材研究、テストの採点業務です。教員として当然の業務です。しかし、校長の指揮命令下にあるとは言えないとか、教員の自主的な活動だとかされて、結果として労働時間として認められていないんです。

 テストの採点業務というのは教員の自主的な活動なんですか。違うでしょう。教員としての必須の仕事ではないんですか。四項目以外の時間外労働について労働時間を把握して、そして残業代を支給すべきではありませんか。

望月政府参考人 さいたま地裁の判決について御紹介いただきました。

 この地裁判決では、御承知のとおりかと思いますけれども、原告が自主的かつ自律的に行った業務については、本件校長の指揮命令に基づいて行ったとは言えず、これに従事した時間は労働時間に当たらないとし、原告が行った個々の業務について、指揮命令に基づく部分とそうでない部分を的確に切り分けることが困難であり、正確な労働時間を認定することができないということをした上で、個別具体に原告側が主張した時間外の業務について検討がなされ、その一部について、今御指摘があったものについて労働時間に当たるというべきと判断されたと承知してございますけれども、その上で、それに基づく判決としては、教員の労働時間が無定量になることを防止しようとした給特法の趣旨を没却するような事情があると認めることができないということで、国賠法上の違法性は認められない旨の判示をされたというふうに承知をしているところでございます。

田村(貴)議員 私が聞いているのは、残業代を支給すべきではないのかと聞いているんですよ。

 今度、業務量管理をやるというんでしょう。そして、在校時間等を把握していくということでしょう。

 では、お聞きしますけれども、自発的とされる時間外の先生方の勤務時間について、学校の管理者である校長は、その時間外勤務時間について把握して、そして縮減させる、この義務はあるんでしょうか。改正法では、校長に対してこの法律上の義務を課すことになっているんでしょうか。

望月政府参考人 使用者がその雇用する労働者の心身の健康を損なうことがないように注意をする、そうした義務を負うとされるいわゆる安全配慮義務につきましては、これまでの判例等におきましても、公立学校の校長も負うものとされていると承知しています。

 これは、今回の改正法の前後で変わるものではないのでございますけれども、文部科学省としては、こうした校長の安全配慮義務も踏まえまして、教育委員会に対しまして、校務をつかさどる校長は学校の管理運営一切において責任を有する者でありますので、教職員の勤務時間の管理及び健康管理についても責任を有していること、在校等時間の縮減に向けた努力を行わないまま、引き続き上限時間を大幅に超えるような場合には、校長はこうした学校の管理運営に係る責任を果たしているとは言えないといった旨を示してきてございまして、校長による在校等時間の管理と、それに基づく教職員の健康管理について適切に行われるよう指導をしてきたところでございます。

 各学校の校長は、教育委員会とともに、教育職員の在校等時間を把握、管理をして、その改善を図っていくことが求められるというふうに認識してございます。

田村(貴)議員 責務はあるけれども義務ではないということなんですよね。法律上、これは義務を課していないんですよ。今回の法改正によって、教員の自主的業務に従事する勤務時間を把握して、そして、その縮減をする義務というのはないんです、法律上。

 現場の校長先生が、責務はあるかも分からないけれども、時間外勤務時間を把握もしていなかったら、どうやってこれは超勤を減らしていこうとするんですか。どうやって減らすんですか。

望月政府参考人 在校等時間の把握につきましては、令和元年の給特法の改正のときに、確かに、この制度の下で勤務時間管理を十分にしなくてもいいんじゃないか、そういう誤解があったかもしれないということから、文科大臣の指針を作り、そして、各それぞれの自治体の方で、条例あるいは規則で、時間外在校等時間の上限の方針を定めている、やってきているところでございます。

 そうした経緯の中で、在校等時間の把握につきましては、令和六年度の末までに全国九九・八%の教育委員会において、さらに令和七年度中には残りの教育委員会も含めまして、全国全ての教育委員会で客観的な把握が行われる状況になってまいりました。

 こうした中で、校長も服務監督権者も、所属職員の時間外在校等時間をしっかりと把握できる状況になっているものと考えてございまして、こうした客観的な時間の把握をスタートラインとして、所属職員を監督する校長、そして教育委員会とともに、その実態を踏まえて、学校における業務改善を進めていく責任があると考えているところでございます。

田村(貴)議員 肝腎なことにお答えになっていないんですね。

 業務量を管理する、健康を管理すると。では、それによってどれだけの超勤が減っていくのか、そういう展望が全然示されていないじゃないですか。だからこれは問題があるんですよ。給特法の仕組みによって四項目以外は勤務時間管理の対象とならない、これは誤解があるんですよ。そういう誤解がずっとあるわけですよ。

 時間外労働を教員の自発的行為として労働として認めない教育委員会が存在したら、これは前に進みませんよね。そして、そもそも時間外労働すら正確に把握していない学校長がいたら、これは前に進まないじゃないですか。タイムカードを押して、そのまま持ち帰り残業が増えていく、こういう流れを変えていくためには、やはり残業代を支出して、そして持ちこま数を減らして、教員を増やす以外にないわけなんです。

 二〇二二年度の勤務実態調査があります。平均残業時間は、持ち帰り仕事も含めて小学校では約八十二時間、中学校では百時間、高校では約八十一時間。今回、教職調整額を四%から一〇%に引き上げると言いますけれども、仮にこれを六年間で達成されても、残業代にすると月二十時間程度なんですよね。本来もらえる額からはほど遠いわけです。教職調整額で換算すれば、三二%から四〇%まで引き上げることにもなるわけです。

 労働に見合った対価がもらえない職には、魅力は低いんです。今、教職を志そうとする学生さんでも、こういう状況だったらやはりためらってしまうわけですよね。給特法を廃止して、長時間労働を是正してほしいというのが、多くの教員や教員を志す学生の声です。この声に応えない限り、教員の確保どころか、今の教員数を維持することさえ無理ではないか、そういうふうに私は考えます。

 参考人質疑で大阪大学の高橋先生がおっしゃったように、教員の時間外勤務を労基法上の労働時間として認めることが必要です。私も賛成します。

 次に、伺います。

 全教、全日本教職員組合は、二〇二三年九月に、CEART、ILO・ユネスコ教員の地位勧告適用合同専門委員会に対して、日本における教員の長時間過密労働問題について申立てを行いました。CEARTは、今年二月十三日に、給与調整制度に長時間労働を組み込むと、十分な補償や時間管理が行われず過度の長時間労働につながる可能性があるとする見解を示しました。ILO理事会とユネスコ執行委員会が日本政府に勧告することを求めました。

 勧告では、教員の所定労働時間を超える労働の削減のための社会対話を通じつつ、戦略を構築し、教員の専門性とその仕事の自立的かつ創造的側面を認識しつつ、所定労働時間を超える労働について適切に報酬を支払う透明性のある制度を工夫することとしました。

 文科大臣にお伺いします。

 CEARTの指摘と勧告は、文部科学省としてどういうふうに受け止めておられますか。

あべ国務大臣 今回の御指摘の報告書、それ自体は法的な拘束力を有するものではございませんが、その精神を尊重しつつ、我が国の実情また法制に適合した方法で、必要な取組を進めてまいります。

 この報告書におきましては、教師の業務の縮減、また学校の人員配置の充実など、働き方改革を進めるための勧告が含まれているものと承知をしているところでございます。

 文科省といたしましても、学校、教師が担う業務に関わる三分類に基づきます業務の精選また見直し、教職員定数の改善など様々な取組を一体的、総合的に進めさせていただきながら、教師を取り巻く環境整備を全力で進めてまいります。

田村(貴)議員 CEARTの指摘と勧告というのは、非常に重たいものがありますよね。この全教の申立てに対して、文科省の意見もCEARTは聞きました。文科省の意見も聞いて、こういう厳しめの勧告が出たわけなんです。しっかりと受け止めて、対応していただきたいと思います。大臣、うなずかれているので、対応してくださいね。

 CEARTの勧告では、教員がより多くの時間を教育に関する活動に充てられるように、十分な学校職員数を確保するための措置を講じること、教員増も求めているのであります。

 四月十八日の参考人質疑で慶応大学の佐久間先生は、教員の長時間労働を是正するためには、国が教員一人当たりの仕事量を適正化するための根本的な対策を打っていただきたい、教員一人当たりの担当授業時数に上限を設ける必要があります、授業を担当できる教員を増やすこと、教員定数を改善することが必要というふうに述べられました。

 来年度から、中学校三十五人学級を行います。それに必要な教員数は一万七千人程度と伺いました。一方で、二〇二六年度以降の自然減は年間七千人ですから、三倍掛けて二万一千人、つまり、中学校三十五人学級を三年間で段階的に実施しても、実際には教員数は減るということになります。

 子供の数が減るからこそ、教員を雇い控えするのではなくて、子供の数が減る今の時期に当たっては、佐久間教授が述べたように、子供の一人当たりの教員数を増やすべきではないかと考えますが、いかがですか。

望月政府参考人 教職員定数につきましては、法律に基づきまして、主に児童生徒数や学級数に応じて算定される仕組みとなってございまして、児童生徒数が減少すれば教職員定数も減少する仕組みとなっているところでございます。

 一方、こうした学校の困難度が増している、あるいは一人一人のきめ細かな教育を実現するという観点から、文部科学省としましては、少子化の中にありましても教職員定数の改善は重要と考えてございまして、近年においては、義務標準法の改正によりまして、平成二十九年度から十年間で日本語指導あるいは通級指導の基礎定数化、あるいは令和三年度から五年間で小学校三十五人学級の計画的整備を図ることなどをしてきているところでございます。

 これらにより、例えば平成二十八年度と令和六年度の公立小中学校の教員一人当たりの児童生徒数を比較しますと、平成二十八年度が十五・六人だったところが、令和六年度には十四・三人となってございます。

 今、田村委員御指摘の児童生徒一人当たりの教員数ということの、教員一人当たりではなく、今度は児童生徒一人当たりの教員数ということで比較しましても、八年間では約九%改善しているということになるわけでございます。

 複雑化、多様化する児童生徒の個々の課題にきめ細かく対応するために、教職員定数の改善につきましては、指導体制の、運営充実とともに、検討してまいりたいと考えてございます。

田村(貴)議員 そこは本当に大事なところなんですよね。欧米では、学校クラスの標準は二十人から三十人です。ですから、日本は周回遅れもいいところなんですよね。

 大臣、三十五人学級を中学校で始めるんですけれども、小中学校とも三十五人学級でおしまいですか。そう考えておられますか。小学校は次なる目標に三十人以下学級を定めるべきではありませんか。中学校も前倒しで三十五人学級を達成して、目標年次を定めて、達成に向けての計画をやはり作るべきだと思います。いついつまでにこれだけの先生の数を達成して、そして業務量を減らす、こういう計画をちゃんと立てないといけないんじゃないですか。いかがですか。

あべ国務大臣 多様化、困難化する教育課題に対応を図る上で、まさに委員が御指摘のように、きめ細かな指導を可能とする指導体制を整備していくことは重要だというふうに私どもも考えているところでございます。

 このため、令和七年度で三十五人学級が完成する小学校に引き続きまして、財源確保と併せて、令和八年度から中学校における三十五人学級の整備を行うための定数改善を行うこととしておりまして、具体的な進め方に関しては、今後検討させていただいているところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、学校における教育環境また指導体制の在り方の検討を進め、学校の指導、運営体制の充実をしっかりと図ってまいりたいと思います。

田村(貴)議員 三十五人学級の次の高みを目指して、先生の数を増やしていかなければなりません。是非、その目標計画を立ててください。

 時間が迫ってまいりました。主務教諭を新設するといいます。人事評価や管理を更に強化して、その結果を職種の昇進や昇給に反映させる形で、学校現場の階層化を更に進めることになります。教員同士が対等な立場で協働することを困難にするおそれがあります。このことを指摘したいと思います。

 そして、教員の長時間労働を是正するためには、給特法を廃止して、教員に残業制度を適用し、そして時間外労働に対して適切に報酬を支払う、この整備をすることが何よりも大事です。また、過重な業務量に対して適切に人を配置して、教員定数の改善を図ること、これが喫緊の課題である、何回も言いますけれども、それが一番大事だということを申し上げて、私の質問を終わります。

 文科委員の皆さん、今日はありがとうございました。

中村委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時開議

中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。萩生田光一君。

萩生田委員 総理、文科委員会に御出席、御苦労さまでございます。

 私に与えられた時間はたったの五分でありますから、大事なことを一点だけ聞かなきゃなりません。

 もっとも、総理就任以来、所信表明演説二回、それから施政方針演説一回。施政方針演説は七行なんですけれども、所信表明における教育の分野は僅か二行、三行ですから、それに比べますと五分というのは結構な時間がありますので、しっかりお答えいただければと思います。

 今回の法案は、ここにいる我が党のほとんど全ての皆様が関わっていただいて、党の特命委員会がまとめた提言と重なる部分が多いのですが、特命委員会の議論では、給特法の話だけではなくて、世界に誇る我が国の教育全体をトータルで持続可能なものにしていくために、新しい学校のスタイルを全体パッケージで考えようと広く議論してきたものでありました。

 報道は、給特法がどうなるのか、是か非かということばかりにフォーカスが当たるんですけれども、給特法の改正だけではありません。例えば、学校のスタッフを増やしていくこと、あるいは小学校の高学年の単科、専科の先生を増やしていくこと、こういったことも十分議論をしていきたいと思いましたし、それから、中学校における三十五人学級も必要だと思っています。

 この特命委員会の結論は、当時の岸田政権に申入れをして、岸田総理はそれをしっかり受け止めていただいて、当時の骨太の方針に明記されました。政府として教育を重視していくという当然の姿勢だと思います。

 政府としてこれをしっかり実現しなくてはならないことは当然ですが、私から一つ確認しておきたいことがございます。

 昨今いわゆる高校無償化を含む教育の無償化の議論が進んでいますが、高校無償化で約四千億円、給食の無償化でも、小学校から始めても三千億ぐらいがかかります。同様に、数千億の制度設計を行っていかなくてはならない、予算が必要になってくると言われています。

 総理は二月二十一日の予算委員会で、教育無償化の財源に関する質問を受けた際、それによって教育の予算、これが減るということはあってはならぬ、それはそのとおりだと思っておりますと、あるいは、ほかの教育予算からこのお金を取ってくるということをせず、政府全体の中で検討した上で安定財源を見出すと明言をされました。

 今回、こうした無償化の議論は、今回の教員の話も含めて他の教育予算に影響を与えないと我々の前でもう一度明言をしていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 萩生田委員にお答えを申し上げます。

 教育無償化につきましては、与党と日本維新の会との三党の合意におきまして、各施策の実現に当たっては、政府全体で徹底した行財政改革を行うことなどにより安定財源を確保する、このようにされておるわけでございます。

 委員御指摘のように、予算委員会におきましても、教育無償化により教育の予算が減るということがあってはならないとお答えをしましたが、そのとおりだと思っております。同時に、お子さんたちに負担を先送りすることがあってはなりませんので、政府全体として歳出歳入の両面の措置によって安定的で恒久的な財源を確保する必要がある、このように考えておるところでございます。

 今後、三党間の協議を踏まえつつ、教育の質の確保を含む様々な論点について十分な検討を行い、意義あるものとなるよう制度設計に取り組んでまいりたいと考えております。

 繰り返しになりますが、教育無償化により教育の予算が減るということがあってはなりません。そのことは委員に明確に申し上げておきたいと存じます。

萩生田委員 ありがとうございます。

 ただ一方で、この無償化議論と並行して、その財源をどうするのかというのは様々な議論がございまして、その都度教育予算からこちらに移行するというのもありました。

 今回、我々が、この給特法の改正も、本来直ちに一〇%以上にしてさしあげたい。しかし、財政当局は、一%ずつ刻みで上げていくということを提案しています。私は、まさに資源が乏しい我が国で、この国を将来しっかりと立てていくためには、人に投資をしていくことというのは極めて大事だと思います。したがって、今回これが、きっと野党の皆さんも協力いただいて成立ができるんだと私は期待しています。

 そのときに、やはりスピード感を持って、令和の学校が変わってきたと体感をしてもらえるようなそういう政策にしていくためにも、この財政の在り方についてはしっかりと総理も目配りをしていただくことをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

中村委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 立憲民主党の津村啓介でございます。

 石破総理、昨日一部のメディアに、石破総理の政治資金パーティー代金の不記載問題、いわゆる裏金問題が報じられています。

 こちらに平成十九年十二月十七日の官報がございます。総務省告示第六百八十一号として、政治団体石破茂政経懇話会の代表を草場敏郎さんから下根貴弘さんに改めると記載されています。それからもう一枚、こちらは先ほど打ち出したものですが、石破総理の派閥、水月会の政策コラムでございます。二〇一六年十一月十一日の石破総理御自身が執筆されたコラムに、十三日日曜日は下根弘氏顕彰碑建立記念除幕式、午前十一時、鳥取市佐治町古市と週末日程が書かれています。

 総理、このお二人、下根貴弘さんと下根弘さんと総理はどういう御関係でいらっしゃいますか。また、お二人と最後に連絡を取られたのはいつですか。

石破内閣総理大臣 今御指摘のありました下根弘さん、下根貴弘さん、おつき合いは四十年ぐらい前に遡ることでございます。私がまだ当選一回の頃でございます。私も三十そこそこだったと思いますが、仲人を頼まれました。その仲人をしたというのが始まりでございます。

 この下根弘さんという方は、言うなれば立志伝中の人物でありまして、鳥取から上京していろいろなお仕事をされながら、池袋でしたかしら、中心にいろいろなお仕事をしてこられました。そういう方であって、ある意味、郷土の立志伝中の人物ということでございます。

 そういうことで、そういうような石碑も建立をされ、今委員御指摘のように、その式典に私も出たということがございました。私事にわたって恐縮でございますが、そういうことでございます。

津村委員 下根貴弘さんが石破総理の政治団体の代表であったことは間違いございませんね。

石破内閣総理大臣 短期間そういうようなことがあったかと存じます。

津村委員 報道の核心部分は次の証言でございます。多い年で六百万円、少ない年でも二百万円、それ以外に朝食セミナーの招待券を買うこともあった。百万円を少なくとも五回渡した分を合わせると、少なく見積もっても三千万円は優に超えている。今思えば、あんなお金の渡し方は闇献金以外の何物でもありませんとの証言でございます。

 昨日、総理はぶら下がり記者会見で、秘書にも確認したと丁寧な前置きをされた上で、そのような事実は全くないと述べられたと報じられています。

 石破総理、このお二人から過去に収支報告書に記載が必要な額以上の献金及びパーティー券を販売したことは一切なかったということでよろしいですか。

石破内閣総理大臣 週刊誌報道は承知をいたしておりますが、昨日お答えしたとおりでございます。そのような事実はございません。

津村委員 そのような事実というのは、パーティー券を買ってもらったこと、献金をもらったことはないという意味でよろしいですか。

石破内閣総理大臣 週刊誌報道にございますようなパーティー券の購入、寄附あるいは実態に反する事務所につきまして、私自身、全く身に覚えがございません。秘書にも確認をいたしましたが、そのようなことはございません。

津村委員 石破さん、私は週刊誌報道のこと全体を聞いているわけじゃなくて、パーティー券を下根弘さん、下根貴弘さんから買われたことはありますかという事実関係を聞いています。週刊誌はこの際関係ありません。

石破内閣総理大臣 出ておりますのがそのような報道ですので、そのように申し上げた次第でございます。そのようなことはございません。

津村委員 そのようなことというのは、パーティー券と献金を受け取ったことがないということですね。

石破内閣総理大臣 そのとおりでございます。

津村委員 本日の答弁と異なる事実が明らかになることはありませんか。もし、実は受け取っていた、実はパーティー券を買ってもらっていたということが明らかになった場合は、どのように責任を取られますか。

石破内閣総理大臣 そのようなことはございません。ございませんので、仮定のお話にはお答えはいたしかねます。

津村委員 来週以降、予算委員会や政治倫理審査会できちんと詳細を御報告いただきたいというふうに思います。是非、用意をしておいてください。

 それでは、本題の給特法の質疑に入らせていただきます。

 教職員の働き方改革を進め、子供たちの健全な学びの場を取り戻すためには、一つ、教職員の処遇改善、二つ、少人数学級の実現や乗ずる数の改善など教職員定数の改善、そして三つ目に業務削減、この三つのアプローチを同時並行的に、効果的に進めていくことが必要だと思います。

 今回の給特法改正、各委員が幅広に議論していただいたわけですけれども、教職員の処遇改善について大きな一歩を踏み出すものではございますが、教職員の定数改善、業務削減という、いわゆる教職員の働き方改革の部分への踏み込みはいま一歩だと感じております。

 私たち立憲民主党は、本日、国民民主党さん、日本維新の会さんと事前に協議を重ねた上で、与野党の皆さんと一緒に修正案を提出させていただいております。皆様のお手元に配付をしていただいておりますので、是非、委員各位の皆さん、今日初めて委員の全員の皆さんにシェアさせていただいていますので、お手元で確認いただければと思います。

 以下、この提案の内容に触れながら、総理の見解を確認してまいります。

 まず最初に取り上げさせていただきますのは、学校教職員にとっての事実上の残業時間と言わざるを得ない時間外在校等時間の削減についてでございます。修正案の一の項目を御覧いただきたいというふうに思います。

 私たちは、昨年十二月二十四日の財務大臣と文部科学大臣によるいわゆる大臣合意に示された、令和十一年度までに平均時間外在校等時間を月三十時間程度にまで縮減する旨の削減目標をこの給特法改正案の附則に明示をして、さらに、自治体が見通しを持って取組を進めることができるように、政府としての取組の工程を具体的に示していくことが必要と考えていますけれども、総理の御見解を伺います。

石破内閣総理大臣 今御提示いただきました法案の修正につきましては、これは政府として意見を申し上げることは差し控えます。

 その上で、時間外在校時間につきましては、将来的には、先生方の平均時間外在校時間を月二十時間程度に縮減することを目指しております。まずは、今後五年間で月三十時間程度に縮減するということを目標としておるところでございます。

 今回御審議中でございます法案をお認めいただければ、全ての教育委員会において、先生方の、教師の業務量の管理などに係る実施計画を策定することになりますので、国としての取組の工程を示していけるように、必要な取組を行ってまいる所存でございます。

津村委員 残業時間削減のための具体的な方策についても附則に明示するよう、私ども、提案をさせていただいております。この1から7を、委員の皆さん、御覧いただきたいというふうに思います。具体的な業務削減の提言でございます。修正案の一の1から7を御覧ください。

 まず、1と2に関連して伺わせていただきます。

 子供と教師の双方の負担を軽減するために、小中学校の年間の標準総授業時数の削減、教育職員一人当たりの担当授業時数の削減、そして、現在進行形で中教審で改訂の議論が進んでおります学習指導要領の記載のスリム化などをパッケージとして、教職員の働き方改革につながる学習指導要領の見直しにしていくべきと考えます。

 総理の見解はいかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 児童さん、生徒さんの授業時間につきましては、文科省の調査によれば、小中学生の六割がちょうどよい又は少ない、それ以外は多いというふうな回答を寄せていただいておるところでございます。必ずしも、全てのお子さんにとって過度な負担になっているというような認識はいたしておりません。

 主要先進国と比較をしました場合に、日本の小学校は一学年平均年七百七十八時間、ドイツは七百二十四時間、フランスが八百六十四時間、アメリカは九百七十四時間、このように相なっておりまして、日本が突出して多いわけではないというふうなことだと考えております。

 一方におきまして、先生方の負担軽減を図る観点からは、業務の仕分を行いました、学校、教師が担う業務に係る三分類、これに基づきます業務の更なる精選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化、これらを進めてまいりますとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を縮減するということが重要であると考えております。

 その上で、御指摘いただきました次期学習指導要領に向けた検討におきましては、学習指導要領の記載のスリム化、各教科の標準授業時数の柔軟な運用など、働き方改革にも資するような教育課程の改善の方策が議論されている、このように認識をしておるところでございます。

津村委員 総理、ちょっと冷たくないですか。子供の四割が、授業のボリュームが多いと言っているわけで、教職員の六割が、負担が大きいと言っているわけです。それを先ほど総理は、こういう言い方をされましたよ。全ての子供にとって負担が大きなわけではないと。それは、全ての子供だったら大変なことですけれども、現に四割の子供たちがそういう声を上げている、教職員の方に至っては六割の方がおっしゃっている。もっとひどいところがあるからましだろう、そういう御答弁じゃないですか。もうちょっと心ある答弁をしていただけないんですか。

石破内閣総理大臣 いや、その冷たいとか、心あるとか心ないとか、そういうことを御指摘でございますが、私はそのようなことを申し上げているわけではございません。時間数がそうだという事実を申し上げておるところでございます。

 どのようにして負担を減らしていくか、これは先生方もそうです、お子さんたちもそうです、と同時に、どれほど中身のある教育をしていくかということも重要だと思っております。

 時間を縮減していかねばならないのはそのとおりで、そういう方向で議論は進んでおるものと承知をいたしておりますが、同時に、先生方の情熱あるいは使命感、そういうものが最大限に生かされるように、そして子供たちの学びたい意欲というものを十分に引き出していくように、質も量も共に充実した教育を行っていくという観点から御議論がなされておるものと承知をいたしております。

 私どもは、冷たいとか心ないとか、そのようなことは全くございません。それは、子供たちが本当にどうすればいい教育を受けられるか、先生方に過度な御負担が行かないかということで、我が自由民主党の文教部会も、また先生方もそういう議論をされてきたというふうに承知をいたしておりますし、その認識は私ども政府も共有するものでございます。

津村委員 ちょっと聞き捨てならない部分があったんですけれども、質と量の充実という言い方をされましたが、量の充実というのはどういう意味でしょうか。授業時数を増やす議論もあるということですか。

石破内閣総理大臣 そういうことを申し上げているわけではございません。どの時間が一番適当なのかということなのであって、過剰な労働によって先生方の心身が傷つくというようなことがあってはならないのは当然のことでございます。

津村委員 修正案のことを委員の皆さんに共有していきたいと思いますので、質問を進めます。

 5を御覧いただきたいというふうに思いますが、不当な要求等を行う保護者等への対応支援ということでございます。

 この間、この文科委員会の審議におきまして立憲民主党の阿部祐美子議員を始めとする複数の同僚議員から、学校における保護者や地域また一部教員間の不当な要求や過剰な苦情も学校運営上の大きな課題になっているという議論が行われてきました。

 学校問題の解決のための支援策が必要と思いますが、政府としてどのように進めていくつもりか、石破総理にお尋ねします。

石破内閣総理大臣 保護者の方々からの不当な要求、これは、何をもって不当というかというのはいろいろな御議論がありますが、誰がどう見てもというのは必ずあるものだと思っております。

 保護者の方々からの不当な要求など、先生方、教師のみでは解決が難しい事案というものがございます。これが教師の方々の大きな御負担となっておりまして、教育委員会や首長、首長部局、警察、専門家などと連携した支援体制をつくっていくということが重要であると考えております。

 政府といたしましては、教育委員会や首長、首長部局などによる支援体制構築に向けたモデル事業の実施、そして好事例の普及、弁護士さんなど法曹の活用に向けた手引の作成、相談支援などを行っておるところでございまして、引き続き、そのような先生方の御負担というものを減らすべく、必要な取組は進めてまいるところでございます。

津村委員 修正案の一番最後、四を御覧いただきたいと思います。

 公立の義務教育学校の教育職員の勤務状況について、更なる改善を国民の皆様の理解も得ながら進めていかなければならない、そのためにも、勤務の状況を正確に把握をして、常にアップデートしていくことが前提になると思います。

 今後、勤務の状況を調査していくに当たっては、従前の調査の在り方にも留意をしながら、毎年度、継続的に調査をしていくべきと考えますが、総理の御見解を伺います。

石破内閣総理大臣 答えから先に申し上げれば、今後は毎年度、教育委員会を対象とする調査を通じて把握することといたしておるところでございます。

 先生方の勤務の状況につきましては、国において、昭和四十一年、平成十八年、ここが随分飛ぶんですが、昭和四十一年、平成十八年、平成二十八年、令和四年と実態調査を行ってきたところでございます。

 全国の教育委員会におきまして、ICTの活用などにより、先生方の在校等時間の状況を客観的に把握する取組も進んでおるところでございまして、冒頭申し上げましたように、今後は毎年度このような調査を通じて把握したいと考えております。

 従前の調査にももちろん留意をいたしてまいりますが、教師一人当たりの時間外在校時間を把握できる、そのような調査を行ってまいる所存でございます。

津村委員 問題は学校の中だけじゃないですね。持ち帰り業務というのが現に発生していると思います。国は、そういうものはないという前提に立って、ないものは調査する必要がないという全く実態と離れた姿勢でこの調査を考えているようですけれども、持ち帰り業務がどういう形になっていて、どういう実態があるかということは、やはり国がしっかりと責任を持ってウォッチしていかなければいけないというふうに考えております。

 そういう意味で、持ち帰り業務について、国として一義的に把握をすることが困難だったとしても、学校現場の校長や服務を監督する教育委員会は、その実態があれば把握をしていく必要があるというふうに考えます。国としてもそうした把握を促していくべきと考えますが、総理の御見解を伺います。

石破内閣総理大臣 本来、持ち帰り業務は行わないことが原則であるということが教育委員会に対して周知されてきたというふうに承知をいたしておりますが、その上で、業務の持ち帰りが行われている実態がある場合には、校長や服務を監督する教育委員会は、その把握に努め、改善に向けて取り組む必要がある、このように考えておるところでございます。

 このような取組が適切になされますように、私どもとして指導の徹底を図ってまいります。

津村委員 今、業務削減についてるる問うてきたわけですけれども、定数の改善というアプローチも大変重要なアプローチだと思います。

 修正案の一の3、それから二でございますが、是非御覧ください。

 昨年末の大臣合意では、公立中学校の学級編制の標準を令和八年度から三十五人に引き下げることが確認されておりますが、これを本法の附則において法律として法制化することを提案いたします。

 また、自治体が見通しを持って採用を進めることができるように、乗ずる数の変更を含めて、計画的な定数改善の見通しを示していくべきと考えますが、御所見を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 済みません、御提案についてあれこれ申し上げる立場にはございませんが、これまで義務標準法の改正によりまして、平成二十九年度からの十年間で通級指導などの基礎定数化、あるいは令和三年度からの五年間での小学校三十五人学級化など、計画的な定数の改善を行ってきたところでございます。

 昨年末、大臣合意がございまして、財源確保と併せまして、指導、運営体制の充実、これを四年間で実施する、令和八年度からの中学校三十五人学級への定数改善を行うということになっております。

 この御指摘も踏まえまして、引き続き、この問題、計画的な定数改善につきましては、計画的に取り組んでまいります。

津村委員 教育問題の難しさの一つは、都道府県と国の関係というところにもあるのではないかと思っています。国として指針を出しても、都道府県によって人口も違います、財政力も違います。なかなか、全国一律の、何といいますか、ルールを作っても、それが思ったように、工程表どおりにいかないというようなことを文科省の官僚の方々と議論したこともございます。

 そこで、総理に、私も岡山ですけれども、総理も鳥取で、地方の教育の現状もよく御覧になっていると思うんですけれども、財政力の弱い小規模な自治体においても本改正案の趣旨が実現できるように、様々な観点から、場合によっては財政的なことも含めてサポートを行うことが国の責務であると考えておりますけれども、総理の見解を伺いたいと思います。

石破内閣総理大臣 委員が岡山県津山の御出身かと承知をいたしております。私どもの鳥取県のお隣みたいなところでございますので、もう実態は、私も津山にはちょくちょく参りますので、ある程度承知はいたしておるつもりでございます。

 それは、美作だろうが西粟倉だろうが、規模が小さい自治体においては一体どうするんだという御指摘かと思います。

 これは、先ほど申し上げましたが、先生方の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定、これを今回の法案に盛り込んでおるところでございまして、全ての教育委員会において働き方改革を、更なる加速化を行うための仕組みを構築するということが今回の法案に盛り込まれておるところでございます。

 私ども政府といたしましては、業務の仕分を行いました、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく更なる業務の厳選、見直し、先ほど申し上げたところでございます、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化など、小さな自治体も含めまして、本改正案における措置が確実に実施されるように、助言、相談に丁寧に対応してまいります。

 実際、委員御指摘のように、小さい自治体がございます。日本全国千七百十八市町村もございますので、そのどんなに小さな、財政力が強くない自治体においてもきちんとこれが実行されますように、私ども、よく見てまいりたいと思っておりますし、また、足らざるところがあれば御指摘を賜りたいと存じます。

津村委員 時間が押してまいりましたので、最後の質問になるかもしれませんが、平成三十一年の給特法改正の際、前回の改正の際、そちらにいらっしゃる萩生田さん、当時の萩生田文科大臣が、給特法などの教師の処遇を定める法制的な枠組みについては見直しを行わなければなりませんが、今回の法改正においては、いわば応急措置として、月四十五時間、年三百六十時間という上限をターゲットに縮減する仕組みを御提案させていただいていると、その後よくしばしば引用される答弁をされています。

 給特法が制定された当初と比べまして、給特法ができたのは昭和四十六年、私の生まれた年ですけれども、もう五十三年前でございます。そのときに比べますと、労働市場は格段に流動化しています。残業時間に応じた残業代が出ない職場ということになれば、教職員を志望する学生はどんどん減っていくと思いますし、高知県ででしたでしょうか、大きな定員割れが起きているという報道もございました。大変危惧するべき事態だというふうに思います。

 私が、今、立憲民主党の、ネクスト文部科学大臣というんですけれども、文部科学の部門長をさせていただいているので、今回のこの修正の議論に関連して、たくさんのSNSで厳しい御意見も含めていただきました。学校教員を悪い意味で特別扱いするような給特法は要らない、とにかく人並みに扱ってほしい、普通に残業代を出してほしい、こういったリプライが日々多数寄せられているわけです。そうした声は今後も増え続けるのではないかと大変危惧しております。

 今回の給特法の仕組みは仕組みとして維持されるわけですけれども、将来的な給特法の在り方については、廃止や抜本的な見直しということも含めて、ゼロベースで再検討していくべきだと考えます。総理、いかがですか。

石破内閣総理大臣 御審議いただいております今回の法案は、計画の策定、公表、計画に基づく実施など、教育委員会や学校が教師の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定を盛り込んでおるところでございます。働き方改革の更なる加速化のための仕組みを構築するものだ、かように承知をいたしておるところでございますが、給特法について、今、津村さんが御指摘になったように、様々な議論があることはよく承知をいたしております。まずは、時間外在校などの時間が月二十時間、この程度に達するまでに、幅広い観点から諸課題の整理を行ってまいりたいと考えております。

 当時の萩生田大臣が、今回の法改正においては、いわば応急措置として月四十五時間、年三百六十時間という上限をターゲットに縮減する仕組みを提案させていただいている、このような答弁をされておることも承知をいたしております。ここで萩生田大臣が応急的なという言葉を使っておられますが、いずれにいたしましても様々な御議論がございます。この点はもうこれで事成れりということになるかどうか、それは私は承知をいたしておりませんが、現場を知悉しておられます皆様方が、本当に子供たちのために、そしてまた先生方のために更なる御議論を賜りまして、私どももよりよきを目指してまいりたいと考えております。

津村委員 もう一問だけ、時間がありますので、させていただきます。

 総理、今年は給特法改正という六年に一度の大きな、文科省として取組です、国会としても取組です。そして、学習指導要領の見直しということも同時並行で行われている。日本の教育の在り方を大きく整えていく、非常に、何年かに一度の大切な年で、教育政策というものを大きく動かしていく、いけるお立場にある石破総理、そしてあべ俊子文科大臣、今年総理をされている、今年文科大臣をされている、このことは、教育政策にとても大きな意味を持った立場にお二人は今いらっしゃるわけです。

 学習指導要領がこれから議論になりますけれども、中教審で。学習指導要領の中身、例えば道徳がどうとか、そういうことを政治家が介入をするべきではないと私は思うんですけれども、事授業時数については今回の議論と非常にリンクしているわけですので、是非、学習指導要領の議論が中教審で議論されていく中で、やはり文科省さん、文部科学大臣、そして総理大臣がリーダーシップを取って、今の学校現場で、先ほどの子供たちの四割の声、そして教職員の六割の声、こういったものはやはりこれからの学習指導要領の議論と深く関わりますので、給特法の議論が今週、来週で衆議院を通過しても、引き続き、そのテーマについて総理がリーダーシップを持って取り組んでいただきたい。

 一言いただけませんか。

石破内閣総理大臣 御指摘ありがとうございます。

 私は、昭和三十八年に鳥取の小学校に入りました。本当にありがたい先生方に恵まれたというふうに思っております。もう皆さん物故されましたが、本当にいい先生に恵まれたということ、やはり子供たちは先生を選べませんので、そのことはよく承知をいたしておるつもりでございます。

 したがいまして、子供たちの負担を減らす、先生の負担も減らす、ですけれども、どの子供たちも、どんなところでどんな教育を受けようとも、本当にいい先生に恵まれてよかったというふうに言えるような、そして先生も充実感、満足感を持っていただき、過度な労働にならないようにということは、また先生方の教えを賜りながら取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

 教育の重要さは、私自身よく承知をいたしておりますので、どうぞ今後とも御教導賜りますようお願い申し上げます。

津村委員 時間になりましたので、終わります。

中村委員長 次に、高橋英明君。

高橋(英)委員 日本維新の会の高橋英明でございます。

 総理、予算委員会以来ですね。細かい話はいたしませんので、よろしくお願いいたします。

 先ほども萩生田先生がおっしゃっていましたけれども、やはり教育現場全体の改善、これはもう急務だというふうに思っています。その一つが、この給特法もあるんですけれども、そして今、津村先生からも出ましたけれども、今年は学習指導要領改訂、これは十年ぶりの改訂ですから、非常に重要な年でもあり、また、先日、参考人質疑で参考人の方々が、やはり学習指導要領、これが非常に大切だというような話もしておりました。そして、学習指導要領、この上には教育基本法がございます。そして、この教育基本法の上には憲法がございます。やはり、憲法、これを考えていかないと、我が国の発展はないというように私は考えます。

 国家百年の大計は教育にありとよく言います。そして、今年は戦後八十年。まさに、私はいつも言っていますけれども、この八十年で本当の敗戦国にさせられてしまったのではないか。行き過ぎた個人主義とか、そういったものもございますし、やはり、憲法改正、これはもう歴代総理みんな言っているんですけれども、遅々として進んでいないのが現実でございます。

 私は、憲法改正、これはもとより、自主憲法を制定するぐらいの気持ちがあってしかるべきだというように思っています。総理のお考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 予算委員会でも高橋委員のいろいろな御見解、いつも拝聴させていただき、議論させていただき、ありがたいことだと思っております。

 私も議員になって四十年になりますが、どの国政報告会におきましても、あるいは、十三回選挙をやってまいりましたが、選挙の際にも、憲法改正に触れなかったことは一度もございません。やはりそれは、大言壮語とは言いませんが、やはり一日どれだけの方に御理解をいただくか、賛成でも反対でもいいのでありますが、この憲法についてどう考えるかということを有権者の方々にお伝えをする、自分の考えを申し述べるのは、私は、発議ができるのは衆参両院だけでございますので、それは我々の義務でもあるというふうに考えておるところでございます。

 いろいろな考え方がございますが、国民の皆様方は毎日忙しいので、朝から晩まで憲法のことを考えているわけにはまいりません。やはり、それについてなぜ必要なのか、立場はいろいろな立場がございますが、なぜ憲法改正が必要なのかということを、折に触れて有権者の方々、主権者の方々にお話をするのは我々国会議員の責務である、このように私は考えておるところでございます。

高橋(英)委員 今、総理に、賛成でも反対でもいいというようなお答えをいただきましたけれども、やはり、国民投票をまともに一回もやっていないというのは尋常じゃないと思うんですよね。一回もやっていないんですから。そして、我々議員は国民の皆さんに憲法を提案する、そして国民がこれを決めるんですから、これは、国民の権利を奪っているようなものだというふうに私はある意味思いますよ。

 やはり、こういった憲法改正とか国民投票まで持っていかないというのは、まさに国民の権利を奪っているんじゃないかなと、これは思わざるを得ないです、反対なさっている方々は。ですので、国民投票を一回やれば、ああ、やはり我々がこの国を動かしている、主権在民という意識が絶対芽生えますよ。

 だからこそ、国民投票、これはさっき、総理、賛成でも反対でもいいと言ったけれども、百歩譲って、今の憲法でいいですか、悪いか、反対ですかでもいいですよ、国民投票をとにかく一回やること、これが本当に重要だというふうに思っています。そして、一回やれば、二回、三回、これは可能になってくるというふうに思いますので、この国民投票について、ちょっとお考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 私は若い頃、竹下登先生からお教えをいただいたことがあって、それは、改正条項も含めて護憲だなということをおっしゃっておられたことを強烈に印象に残っております。それは主権者たる国民の権利なのであって、それを奪うようなことがあってはならないと。したがって、国民投票法というのは大変に意義があるものだったというふうに認識をいたしておるところでございます。

 今委員が御指摘のように、それでは今の日本国憲法、是か非かということを申しますと、例えば、何条には賛成だが何条には反対とかいう、幾通りでも考え方はございますので、全体として今の憲法の是非を問うということについては、それはもう技術的にどうなんだろうなという思いは私自身にはないわけではございませんが、いずれにいたしましても、憲法について国民に問うということ、そして国民の権利がきちんと行使されるということは、それは主権者の権利であり、それが行使できるようにすることは、我々立法府に籍を置く者のそれは義務である、このように考えておるところでございます。責任でございます。

高橋(英)委員 じゃ、是非、義務、これを果たしましょうよ。是非これは国民投票まで持っていくべきだというように思います。本当に、国民投票をやっていない国って尋常じゃないと思いますし、そして、やはり憲法は、今総理が言ったとおり、九条だけではなくて、ほかにもたくさんいろいろなことがあります。だから、国家百年の大計は教育なんです。

 私は、今、少子化ですけれども、少子化も、ある種、教育にも問題があるというように思っています、はっきり言って。やはり、家庭だとか家族だとか、やはりうちの家庭なんかはもう最高ですからね。でも、うちの息子と娘はまだ結婚していないんですけれども。

 いずれにしても、やはり、ちらっと言いましたけれども、新たな憲法を作るというのも並行して考えていくべきだというように思いますけれども、この自主憲法に関して、ちょっともう一回お願いします。

石破内閣総理大臣 それは、私も、内閣におりますとき以外は、衆議院の憲法調査会あるいは憲法審査会のメンバーでなかったことは一度もございません。

 私は、国会議員、もちろん地方議員の方も首長の方も立派な政治の仕事をしておられるんだけれども、国会議員でなきゃできないのは、憲法の発議、改正の発議をする一員であるということだと考えております。

 ですから、どういう問題について国民の方々が意識をお持ちなのかということ、やはり憲法全ての条文について、我々は自分なりの見解を持たねばならぬと思っております。それぞれの方々が、もちろん党の立場はございますが、この点どうなんでしょうねということを主権者たる国民の皆様方に問うていくということが憲法改正の機運を醸成することになると思っております。

 政府の立場として、どの条文がどうである、こうであるということは申し上げませんが、やはりこれは我々の努力に懸かっておるのであって、敗戦後というか終戦後初めての総選挙であったかと思いますが、憲法改正、まだ憲法改正案も出ていませんでしたが、だけれども、そのときに衆議院選挙があった。だけれども、そのときに国民の関心は憲法にはなかったと聞いております。それはやはり我々がどれだけ国民に向けて問いかけるかということが重要であり、日々そのことには心がけたい、私は一議員としてそのように思ってまいりましたし、今もそうでございます。

高橋(英)委員 ありがとうございます。

 是非、総理、やりましょう。

 次に行きますけれども、教職という職業についてちょっとお聞きしたいと思いますけれども、参考人質疑のときに参考人の方々も言っていましたけれども、やはり教師というのは誇り高い職業なんだ。まさに、私もそのとおりだというふうに思います。

 でも、今、何となく、社会的に見て、そういう価値観には至っていないというふうに思えてならないんですね。やはり、誇り高い職業、これは政府を挙げて、そういった社会の雰囲気づくりというのをしていった方が絶対にいいと思うんですよね。

 その点、総理、お聞かせください。

石破内閣総理大臣 それは、先生方は本当にそれぞれ一生懸命やっていらっしゃるんだというふうに考えておりますが、やはり指導力において多少足らざるところがあるという先生方がおられるということは、それは世の中の常としてあるものだと思っております。したがいまして、教育公務員特例法にもございますが、指導改善研修の実施等、適切な指導には努めてまいりたいと思っております。

 先ほど申し上げましたが、私は本当に、小学校、中学校、この先生に巡り合わなければ今の自分はないという先生方に何人も巡り合ってまいりました。そういう先生がもっともっと増えたらいいなというふうに思っております。

 そういう先生方に過度な御負担が行かないように、そして、ある意味、先生というのは教室では絶対権力者なのかもしれません。そうであるだけに、どうやって子供たちに接するかということ、指導力を持っていただけるかということ、もちろんこの場の御議論も踏まえまして、私ども、常に、更によりよきを期していかねばならないと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

高橋(英)委員 今回のこの給特法の質疑だと、ほとんど議員全員が教師側の味方みたいな質疑だったんですけれども、今総理から、足りない教師の方々もいる、しっかりと研修をやるということをおっしゃってくれたので、これは最後に聞きたかったんですけれども、先におっしゃってくれたので、しっかりとそういった方々の研修もお願いをいたします。

 時間になりましたので、本日は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

中村委員長 次に、西岡義高君。

西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高です。

 本日は、よろしくお願いいたします。

 先日、総理は、就職氷河期世代の支援に力を入れていくということをお示しになられました。そこで、就職氷河期世代への支援と教員の人手不足に対して、セットで取り組んでいただけないかということを思っております。

 数字だけ見ますと、就職氷河期世代、正社員、役員となった人数自体は改善しているように見えますけれども、この世代、望まない非正規採用になった人だけではなくて、正規採用となった人の中にも、非常に少ない求人の中で、本来目指していた業界とは違う企業であったり、ブラック企業と言われるところに、圧迫面接を受けながら、それに耐えながら、仕方なく生活のために就職した、そういった方も多くいます。いわゆる望まない正社員、そういう方も非常に多いという世代でございます。そのような状況の中で、なりたくてもなれなかった職業の一つが教員、学校の先生ということであります。

 私自身も就職氷河期世代なんですけれども、私が大学を卒業しました平成十二年、この頃の教員採用倍率は十三・三倍、過去最高というような状況でございました。倍率が高いだけではなくて、私は高校地歴の教師を目指していたわけですけれども、地元の神奈川県では、当時、この教科は採用数がゼロでした。そもそも採用自体がないというような教科であったり、自治体というのが多くあった、そういう時期でもございます。

 そういう状況で、教員採用試験そのものへの出願を諦めていたという、倍率に表れない教員を諦めた人、そういうのが多い世代でもあります。その結果、就職氷河期世代における採用に至っていない教員免許取得者が百万人以上いるというような推定もされております。

 自治体単位では既に様々な取組もされているところもあるかと思いますけれども、教師になりたくてもなれなかった、志を持ちながらも採用試験すら受けられずに諦めざるを得なかった就職氷河期世代に対して、教員への積極採用について、国がしっかりとリーダーシップを取って進めていっていただきたいと思うんですけれども、この点、総理、いかがでしょうか。

石破内閣総理大臣 委員がおっしゃいますように、採用ゼロだったみたいな年があるわけでございます。そうしますと、先生方の年齢構成が平準化されない、そこだけぼんと人がいないということが起こるわけでございまして、これを平準化していかなければなりませんので、御指摘のように、就職氷河期世代の皆様方に教職に就いていただくということは極めて意義があるものだと思っております。

 民間企業でお勤めになっておられた、そういうことを重視する選考も必要でございまして、各自治体によります社会人の方々の採用のための特別な選考を実施する、あるいは社会人が教職に関心を持っていただけるようなオンデマンド研修教材を開発する等々、そういうことに取り組んできたところでございます。

 文科大臣から答弁があったかもしれませんが、四月二十五日の関係閣僚会議におきまして、教師として就職氷河期世代の積極的な採用に向けた検討ということを関係閣僚には指示をしたところでございまして、御指摘を踏まえまして、引き続きその確保に取り組んでまいりたい、このように考えております。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 この年代、経験も非常に豊富で、タフな人材も多いかと思いますので、是非政府が引っ張っていっていただければと思います。

 では、ちょっと次の質問に移ります。

 まず、そもそも論になってしまうんですけれども、賃金、給与というものについて、これは、私は、勤務、労働、要は働きに対して適正に支払われるべきだと思いますけれども、賃金、給与について、総理はいかがお考えでしょうか。

石破内閣総理大臣 賃金とは、労基法第十一条におきまして、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのもの、これが賃金であるというふうに承知をいたしております。

西岡(義)委員 給与、まあ、賃金ですね、これは働きに対して、私はしっかりと、労働の対価、働いた、その働きに対して対価としてしっかり払わなければならない、今働いている分の給料、これをきちんと来月の給料日にはしっかりと支払わなければならないものだと私は考えております。中間段階で、働き方改革が進んだかどうかで引上げ方を変える、そういった性質のものではないと私は考えております。

 ただ、現実として、今の教職調整額又は今回の改正案での教職調整額では今の先生の働きに見合った対価を賄えていない、そう考えていらっしゃる方がたくさんいるので、この給特法改正案についての議論が白熱しているのではないかと私は思います。この働きに見合った対価がきちんと支払われていないので、たくさん教員の方も辞めてしまいますし、新しい人材もなかなか寄りついてこない、そのような状況になっているのではないかと思います。

 だからこそ、今回の法改正がゴールではなくて、働き方改革、これもしっかりと進めるのは当然のことなんですけれども、教員の方たちが、今日働いた、今日の働きに見合った給料をしっかりと翌月の給料日に手にできるように、不断の見直し、これをやはり続けていっていかないといけないと思うんですけれども、総理、この点、教員の方の賃金の現状と、今後、どのように引っ張っていくのか、お考えをお聞かせください。

石破内閣総理大臣 先ほどもお答えしましたが、給特法につきましてはいろいろな御議論がございます。まずは、時間外在校時間が月二十時間程度に達する、そこまで幅広い観点から諸課題の整理を行ってまいります。

 昔から、教師というのは労働者なのか、聖職者なのか、そういうお話がございました。もちろん、労働の対価、ふさわしい労働の対価が得られなければなりません。また、教師だけには限りませんが、心身共に疲弊される方々が出ておるというのは決して看過できる状況だとは思っておりません。同時に、先生方が本当にやりがいを持っていただける、きちんとした対価をお支払いをするんだけれども、お金さえもらえればいいというものじゃございませんので、本当に教師の喜び、生きがいみたいなものが実感していただけるということも大事な観点だというふうに承知をいたしております。

 ですので、もちろんきちんとした対価をお支払いすることもそう、そして疲弊されないようにするということもそう、先生の生きがいというものを持っていただけることもそう、そういうような幅広い観点から更に当委員会において議論が重ねられるものと承知をいたしておるところでございます。

西岡(義)委員 時間になりましたので、やりがい搾取にならないように不断の検討を進めていただければと思います。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。

 私は、いわゆるこの給特法案について、四月の十日、本会議にて石破総理に質問させていただき、その後、六回にわたって質問の機会をいただきました。本日は、総理に、中学校の三十五人学級の早期実現に絞ってお伺いをさせていただきたいと思います。

 母校である二田尋常小学校の恩師、草間道之輔先生を生涯尊敬していた田中角栄総理は、昭和四十九年に教員人材確保法の制定をリードいたしました。六回の質疑を通じて、私は、今回の法案は、教員人材確保法と同様に、教員の処遇改善にとって半世紀ぶりの画期的なものであり、田中総理に敬意を抱いておられる石破総理が総理として本法案について答弁なさっていることに、歴史的な意味を感じております。

 午前中の質疑でも申し上げましたが、終戦直後に文部官僚として学校教育法案の作成を取りまとめ、その後、参議院議員や文部大臣として活躍した内藤誉三郎氏は、田中総理とも近かったとお聞きをしております。また、内藤氏は、七十八年前に、今後の学制改革について、食べることができないのに教育とは何事だろうと一部の非難がある、教育が食うこと以上に人生に崇高な意義を有することは論ずるまでもないが、食えないからこそ教育が必要だとも言い得るのである、教育は生きるための唯一の武器であり、唯一の財産であると述べられております。

 そして、年末の予算編成の過程において、あべ文部科学大臣と加藤財務大臣は、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うと合意をし、文書を取り交わしました。

 中学校の四十人学級を実現するための第五次教職員定数改善計画がスタートしたのは昭和五十五年度、今から四十五年前です。その当時中学生だった方は還暦を迎えているぐらいの昔の話になります。その間、二〇一七年には、義務教育標準法改正による通級による指導、また外国人児童生徒等教育に関する教職員定数の基礎定数化、また二〇二一年の義務教育標準法改正による小学校三十五人学級の実現などに私は全力を尽くしてきたところでございます。

 その上での中学校三十五人学級の実現になります。本法案と同様に、半世紀ぶりの中学校のクラスサイズの改善がいかに画期的かということはお分かりいただけると思います。クラスサイズが小さくなることによって、きめの細かい指導ができるようになることはもちろんですけれども、学校全体の教職員数が増加し、学校マネジメントの機能強化にもつながります。

 そこで、総理にお伺いをさせていただきますけれども、教育界の悲願であった中学校三十五人学級は、来年度から速やかに速いテンポで完成させる必要があります。その計画的で迅速な整備を、田中総理と同様に、内閣総理大臣として力強いリーダーシップを取って実現していただきたいと思いますが、総理の決意をお伺いさせていただきたいと思います。

石破内閣総理大臣 少人数学級につきましては、令和三年の法改正によりまして、小学校における三十五人学級の計画的な整備に取り組んでまいりました。これは、令和七年度をもって完成をいたします。

 中学校につきましては、公明党さんからの御提言も踏まえまして、昨年末の大臣合意にもございますように、財源確保と併せまして、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うということにいたしております。委員の言葉をかりれば、速いテンポで完成させるということが必要でございまして、政府として取組を進めてまいります。

 御指摘いただきました田中角栄先生が、本当に教育について物すごい思いを持っておられました。「わたくしの少年時代」という本には、田中角栄先生が教師についてどのような思いを持っておられるかということが本当に克明に記されておるところでございます。

 私はとても田中角栄先生に及びもつかぬ者でございますが、やはり、御指摘も踏まえて、速いテンポでこれを実現するということで、政府として取り組ませていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

浮島委員 ありがとうございます。

 これは、財源確保もしっかりとしていかなければなりません。また、中学校の学級編制の標準を定めている義務標準法、この改正案、これもしっかりと提出に向けて総理の力強いリーダーシップを期待して質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 石破総理、石破内閣は、法律、守りますね。イエスかノーかでお答えください。

石破内閣総理大臣 それは、国民全て法律は守っていかねばなりません。法治国家というものはそういうもので、国会議員も閣僚も総理大臣も当然のことだと思っております。

大石委員 石破総理、もう少し具体的に、公立学校の先生に適用されている労基法と給特法、内閣は守りますね。イエスかノーかでお答えください。

石破内閣総理大臣 法律を守るのは当然のことでございます。

大石委員 そうですよね。

 しかしながら、今、石破内閣の下にある文科省、文科省では、これらの法律は守れていません。これまで何度も質疑を重ねてまいりました。その中で明らかにしてきたつもりです。労基法の三十二条、八時間以内労働が守れていない。そして、給特法、超勤四項目以外の時間外の残業をさせてはいけないけれども、それが九割になっている、給特法を守れていない現状、これを明らかにしてまいりました。

 そして、その残業が不払いになって、ただ働きになって、教師を追い詰め、過労死にまで至っているんです。

 過労死は、本日の質疑で出されましたけれども、過去九年で、小学校の先生で過労死認定が三十八件。夢だ、希望だとポエムを語る裏で、一年に四件以上の認定された過労死があるわけです。認定されない過労死は、それ以上あるのではないでしょうか。直ちに法律を守らなければならない。それは、ただ働きの解消のためにそうしなければならないと訴えてまいりました。

 そして、お手元に配付資料はあるんでしょうか。〇二なんですけれども、結局、この給特法と労基法を遵守し、公立学校の教員が定時に帰れるようにするためには、教員の人権を守れるためには、私のこの質疑のまとめ以外には論理的にはあり得ないと考えますので、総理には見ていただきたい。

 一つには、教員予算を国費で増やさなければなりません。二つ目には、速やかに時間外手当を支払わなければいけません。そして三つ目には、給特法の改正、これは必要でしょう。不払い残業を、給特法を守るために不払い残業するんだみたいなことを言っているのであれば、速やかにその部分の給特法の改正が必要であります。

 それを見て、法律を守る立場の石破総理として、法律を変えるように、そして公立学校の教員の人権を守るためのことを急いでください。

 そして、残りの時間で、私は、こちらを向かなければいけないと考えています。立法府です。

 本日、このような修正案が出されましたけれども、これは恐らく、私はれいわという会派ですが、れいわ以外は賛成すると言われていますが、皆さん、本当ですか。この修正案で、本日も訴えられていたような、立憲の方が訴えられていたような、ただ働きの解消、過労死の解消、するんですか。しないじゃないですか。

 皆さんのボトルネックになっているのが、財源がない論ですよね。これは幾らかというのは、二〇一八年に中教審の特別部会長自らが試算されたお金の額、必要な財源額というのが目安になるかもしれません。年間一兆円とされています。教員の不払いの額が一兆円。この方が、中教審特別部会長がこうおっしゃっています。私の試算によれば、教員の働きどおりに教職調整額を支払うとすると、一年間で九千億円から一兆数千億円が必要です、しかし、財源のめどはありません。

 このような言葉で、労基法違反を重ねていいんですか。財源は本当にないんですか。税収は過去最高の八十兆円ですね。国債発行もできますよね。だけれども、公立学校の先生に払うお給料は財源はないんですか。その考え自体が労基法違反ですよ。

 教師のためにここはみんなが教員の味方だって、どこがですか。労基法すら守っていないじゃないですか。守らぬままで修正案でお茶を濁そうとしているじゃないですか。それがどこが教員の味方。敵じゃないですか。野党は過半数ですよ。止められるでしょう、この状況を。何でこの修正案なんですか。

 国民民主党の方もすごいいい質問をされていますよね。でも、一人では何ともできない、一人では何とでもできない。今日、玉木さんに言ったらどうですか。これに賛成するの。

 みんなで労基法を守りましょう。労働者の人権を守りましょう。総理も法律を守ってください。今、守れていない状況ですから。

 時間が来たので、今日は終わります。

中村委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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