衆議院

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第13号 令和7年5月14日(水曜日)

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令和七年五月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中村 裕之君

   理事 今枝宗一郎君 理事 小林 茂樹君

   理事 永岡 桂子君 理事 青山 大人君

   理事 亀井亜紀子君 理事 坂本祐之輔君

   理事 高橋 英明君 理事 日野紗里亜君

      遠藤 利明君    小渕 優子君

      木原  稔君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    渡海紀三朗君

      萩生田光一君    船田  元君

      松野 博一君    三反園 訓君

      三谷 英弘君    簗  和生君

      山本 大地君    阿部祐美子君

      安藤じゅん子君    五十嵐えり君

      小山 千帆君   佐々木ナオミ君

      高橋  永君    竹内 千春君

      辻  英之君    津村 啓介君

      眞野  哲君    吉川  元君

      うるま譲司君    中司  宏君

      美延 映夫君    西岡 義高君

      浮島 智子君    山崎 正恭君

      大石あきこ君

    …………………………………

   文部科学大臣       あべ 俊子君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          望月  禎君

   文部科学委員会専門員   藤井  晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     三反園 訓君

  波多野 翼君     津村 啓介君

  前原 誠司君     中司  宏君

  金城 泰邦君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  三反園 訓君     古屋 圭司君

  津村 啓介君     波多野 翼君

  中司  宏君     前原 誠司君

  山崎 正恭君     金城 泰邦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

中村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、今枝宗一郎君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。高橋英明君。

    ―――――――――――――

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高橋(英)委員 おはようございます。日本維新の会の高橋英明でございます。

 早速説明をさせていただきます。

 ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明いたします。

 本修正案は、令和六年十二月の財務大臣と文部科学大臣による「教師を取り巻く環境整備に関する合意」において掲げられた目標とその実現に向けて必要な措置等を法律上明らかにすることにより、本法律案の実効性を高め、教員の勤務環境をより計画的に改善するものであります。

 次に、修正案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、政府は、公立の義務教育諸学校等の教員の一か月の時間外在校等時間について、令和十一年度までに平均三十時間程度に削減することを目標とし、教員一人当たりの担当授業時数の削減、教育課程の編成の在り方についての検討、教職員定数の標準の改定、教員以外の学校の教育活動を支援する人材の増員、不当な要求等を行う保護者等への対応支援、部活動の地域展開等を円滑に進めるための財政的な援助等の措置を講ずることとしております。

 第二に、政府は、公立の中学校の学級編制の標準について、令和八年度から三十五人に引き下げるよう、法制上の措置等を講ずることとしております。

 第三に、政府は、公立の義務教育諸学校等において、学校全体の教員の仕事と生活の調和を実現する上で、校長等の管理職員が重要な役割を果たすことに鑑み、管理職員及び教育委員会による教員の業務の管理の実効性の向上のための措置について検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。

 第四に、公立の義務教育諸学校等の教員の勤務条件の更なる改善のための措置に関する検討条項について、その教員の勤務の状況について調査を行う旨を規定することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及びその内容の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

中村委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省総合教育政策局長茂里毅君、初等中等教育局長望月禎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 給特法の審議、先月の半ばから連休を挟んで一か月行われてきました。そして、今日ようやく修正案が提出をされました。

 この間、修正案の協議がずっと続いておりまして、私を始めとして我が党のみんなも、修正案に触れたいところを我慢して、協議がまとまるまで質問できずにおりました。私も、ストレートを投げたいところをカーブばかり投げてちょっと消化不良のところがありましたので、今日修正案について質問できること、その時間をいただけたことを大変ありがたく思います。

 この修正案について、立憲民主党が達成しようとしたことを簡単に御説明しますと、今、二枚資料をお配りしております。二枚目の方が去年十二月の財務大臣と文科大臣の合意内容ですけれども、私たちは、この大臣合意の内容を法案として文書化したい、それをこの法律に入れる努力をいたしました。

 これまで委員の質問で、仮に大臣が替わったとして、この大臣合意というのは維持されるのですかという質問があって、それは維持されますということでしたけれども、であるならば、やはりそれは文書にしておきたいということで、その努力をこの一か月、与党の皆様とも相談しながら進めてまいりました。

 余りそう簡単ではなかったようでして、我が党は津村委員と、あと坂本委員、本日提出者ですけれども、前面で交渉しまして、どこが難しかったかというと、今日お配りしている幾つかの修正点、項目の中の一番なんですね。一か月時間外在校等時間の削減に関する措置の新設、この時間外在校等時間について、今まで、これは一体何なのか、労働時間なのか、そうじゃないのか、いろいろ審議がされてきた中で、これが今まで法律には入っていなかったんですね。

 これを文書化するに当たってどう表現するのかということで、私たちも努力をしまして、この一の2のところですね、一か月時間外在校等時間とは、1の時間から2の時間を除いた時間として公立義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第七条第一項に規定する指針で定める時間をいうこと、この後いろいろ説明があるんですけれども、ここまで書き込んで何とかその時間外在校等時間を今回の修正案に入れたわけですけれども、このことについて津村委員も相当粘られましたし、この修正案に対する思いと、あと、特に強調したい点についてお伺いしたいと思います。

津村委員 今回私たちが給特法の修正案を出した趣旨につきましては、今、亀井委員が御指摘のとおりでございます。御紹介ありがとうございます。

 特に強調したい点ということですので、あえて付言させていただきますと、教職員の働き方改革を子供たちの学びの場を健全な形にしていくという観点で進めていくには、おおむね三つのアプローチがあると思っております。一つは教職員の処遇改善、二つは少人数学級の実現など教職員の定数の改善、そして三つ目は、これは大変大事ですけれども、業務量の削減ということであります。

 今回の給特法の本則は、そのうちの一番、教職員の処遇改善については一定の前進がございますが、二つ目、三つ目については更に踏み込んだ内容が必要かな、そういう観点に立ちまして、私たちは、先ほど委員も御紹介ありました、昨年十二月の加藤財務大臣、そして、あべ文科大臣の大臣合意において掲げられましたいわゆる一か月時間外在校等時間の平均を三十時間程度に縮減していくという目標と、その実現のために必要な措置を、法的に、法的拘束力のある形で明文化するということを大きな主眼として今回の修正案を提出し、与野党合意を見たところでございます。この二つ目のアプローチ、三つ目のアプローチを法的に拘束力のあるものにしたということが主眼でございます。

亀井委員 ありがとうございます。

 それでは次に、文科省に伺います。

 この度、時間外在校等時間という語が初めて法律に書き込まれ、令和十一年度までに平均三十時間程度に削減することを目標としております。そのための措置として、1の2、教育課程の編成の在り方についての検討とありますが、これは学習指導要領の縮減も含めて検討と理解してよいでしょうか。

 また、縮減しない場合は、1の方、教育職員一人当たりの担当授業時数の削減というのは、すなわち、これは増員しないとできないと思うんですけれども、そのように理解してよろしいでしょうか。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、中教審で検討を始めてございます次期学習指導要領の検討に当たりましては、多様な背景あるいは多様な才能を有する子供たち一人一人がこれからの時代に必要な資質や能力を育成していくということを目指しながら、過度な負担が生じにくい在り方を検討することが大事だと考えてございます。

 このため、中教審の検討におきましては、標準授業時数について、現在以上に増加させないということを前提とした上で、教育課程全体の柔軟化の仕組みとして、教師と子供に余白を生み出す観点も含めた標準授業時数の弾力化、学習指導要領を分かりやすく、使いやすくするため、学習指導要領の複雑で冗長な記載のスリム化などについて丁寧に議論を行っているところでございます。

 今後、更に検討を続けてまいりますけれども、教師と子供の双方に余白を生み出し、全体として教育の質の向上につながるように審議を進めていきたいと考えているところでございます。

 また、同時に、教育の質の向上と教師の持ち授業時数の軽減による業務負担軽減の両立にも資するよう、引き続き、学校の指導、運営体制の充実強化を図るため、教職員定数の改善にも取り組んでまいります。

亀井委員 是非、教職員定数の改善を進めていただきたくお願いをいたします。

 では、最後に財務省に伺います。

 今回のこの教育現場の疲弊が財政上の問題であることは、これまでの審議でも明らかです。例えば、教員が担うべきではない仕事を教員以外の誰かに託すためには財政的な援助が不可欠で、加えて、公立の中学校における三十五人学級の実現もやはり増員が欠かせません。ですので、財務省に御認識を伺いたいと思います。

斎藤副大臣 亀井委員の御質問にお答え申し上げます。

 昨年末の文部科学大臣との大臣合意におきまして、財源確保と併せて、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うとともに、働き方改革に資する外部人材の拡充など、実効的な人員拡充策を講じるなどとしているところです。

 他方で、勤務実態調査を実施しました平成十八年度以降、外部人材や児童生徒当たりの教員数は増加している一方で、教員の時間外在校等時間は減少していないと承知をしております。

 財務省といたしましては、大臣合意に基づきまして、学校業務の縮減等による働き方改革を徹底し、勤務環境の改善を図りつつ、必要な人材を確保していくことが必要であると考えております。

亀井委員 財務省は、文科省が教員の仕事を三分類して、それで教員が担うべきではない仕事というのもはっきりさせたけれども、それが縮減されていないじゃないかということをかねてから指摘しておりましたが、参考人質疑などでもありましたとおり、その仕事を担う人が手当てされていなければ結局その仕事は残ってしまうので、どうしてもやはり人員増が必要であるということでありました。

 今回の修正案で、財源についての表現が少し足りないように私は思いますので、今ここで確認をしたところです。是非、財源確保をよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。あとは阿部委員に託したいと思います。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、阿部祐美子君。

阿部(祐)委員 立憲民主党の阿部祐美子です。

 初めに、今回の給特法の審議において、長時間にわたる議論並びに各党間の皆様方の御努力によって修正案の共同提出に至ったこと、多くの皆様方、関係の皆様方に敬意を表したいと思います。

 また、本日は短い時間ですので、修正案の内容を中心に質疑を行ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 今回まとまった修正案においては、附則第三条として政府の措置を盛り込み、令和十一年度までに月の時間外在校等時間を平均三十時間程度にする、削減するという目標を明記されました。これは極めて大きな成果であり、また、改正案が通れば学校の風景を変える可能性もある、その一歩になると期待をしているところです。

 改めて、修正案の取りまとめに当たられた皆様方に感謝すると同時に、条文に恥じない、実効性のある取組が必要であると考えます。

 実効性の確保のためには、具体的な方法と時間軸が必要であろうかと思います。早急に国としての工程表を作り、また、各自治体が実行できる、それだけの予算を確保することが必要です。

 工程表の作成、予算の確保、この二点について、文科大臣、あべ大臣に思いをお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 委員にお答えさせていただきます。

 教師の時間外在校等の時間を確実に縮減をするためには、国と教育委員会、さらには学校が一体となって取り組むことが、まさに委員御指摘のように重要でございます。

 今回の法案におきましては、全ての教育委員会が、文部科学大臣が定める指針に即しまして、働き方改革を更に進めるための計画を策定し、総合的な取組を実施していただくことになります。

 そのため、各教育委員会におきましてこうした法改正に基づく対応を速やかに進めていただけるよう、今後、今回の法案に関連した国における制度改正、また予算措置、この全体像を、その時期も含めてお示しして、それとともに、国の取組を踏まえまして各教育委員会が実施すべき取組等につきまして分かりやすくお示しできるよう検討してまいります。

阿部(祐)委員 予算も含めた全体像をお示しいただけるということで、大変心強い御答弁だったと思います。ありがとうございます。

 これは、場合によっては、一年に一%という調整額の上がり幅を前倒しする可能性もあるというふうに受け止めてよろしいでしょうか。

望月政府参考人 法案の附則にございますように、この法案をお認めいただいた後に、二年たちましてから、人材確保の状況、あるいは教員の勤務の状況等を勘案しまして、しっかりと検討、検証を行いまして、また次のステップはどうするかということにつきましては、検討すべき課題であるというふうに考えているところでございます。

阿部(祐)委員 その可能性というものに是非期待をしたいと思います。

 次に、附則の内容を解像度を上げて考えたいと思います。

 第三条一項に書かれた、教員一人当たりの授業時数削減の方策ですが、一人当たり時数を減らすためには、教員数という分母を増やすか、それとも総授業時数という分子を減らすかしかありません。

 修正案では、第四条を新設し、中学校の三十五人学級実現に関する措置を講ずるとしておりますが、これにより、中学校で約一万七千人の定数改善が見込めるということです。それに見合った人件費の裏づけも見込めるということで、大きなインパクトを期待します。

 一方で、分子を減らすためには、標準時数の削減又は自治体独自で現在上乗せをしている時数の抑制も必要になってこようかと思います。

 どういった方策によって一人当たり時数軽減を進めることと考えているのか、修正案提出者並びに文科大臣にお伺いをいたします。

津村委員 御質問ありがとうございます。

 今、阿部委員がおっしゃった、分母を増やすアプローチ、分子を減らすアプローチ、どちらのアプローチも取っていくというのが今回の修正案の趣旨でございます。

 委員の皆さんのお手元に今回の修正案があると思いますけれども、三ページを見ていただきますと、附則第三条の「一 公立の義務教育諸学校等の教育職員一人当たりの担当する授業時数を削減すること。」、これは分子でございますね。それから、「三 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に規定する教職員定数の標準を改定すること。」、これは分母を増やすことになると思いますけれども、どちらのアプローチも必要だというふうに思っております。

 とりわけ、標準授業時数については、例えば標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成されている学校もありますし、そのような学校について、指導体制に見合っているかどうかということを、標準授業時数を上回る時数が適切なものかどうか検討し、改善を図るということが必要かと思います。また、標準時数そのものの精査も検討していく必要があると思っています。

 今、学習指導要領の改訂について中教審で議論が行われているところでございますが、私たち自身も議論を深めながら、注意深く見守っていきたいと思っています。

あべ国務大臣 まず、学校における授業時間数でございますが、標準授業の時数を大幅に上回って教育課程を編成している場合におきましては、点検を行いまして、指導体制に見合った計画とするよう引き続き促してまいりたいというふうに思います。

 その上で、次期の学習指導要領に向けました中教審の検討におきましては、標準授業時間数を現在以上に増加させないということを前提としつつ、教育課程全体の柔軟化の仕組みといたしまして、標準授業時数の弾力化と、また、学習指導要領を分かりやすく、使いやすくするために、複雑で冗長な記載のスリム化などにつきましても、教師と子供の双方に余白を生み出し、教育の質の向上につながるものとして議論を行ってまいりたいと思っております。

 また、一人当たりの持ち授業時間数に関しましても、この縮減に関しましては、教育課程の改善とともに、小学校教科担任制のための定数改善を始めといたしまして、学校の指導、運営体制の充実に総合的に取り組んでまいります。

阿部(祐)委員 それぞれ、ありがとうございます。

 今後、学習指導要領がどうあるべきかということも、これからの学習観に沿ってしっかりと議論していただければと思います。

 次に、附則第三条第五項、「不当な要求等を行う保護者等への対応について支援」という文言が入りました。これは、私自身が四月の委員会で指摘をした内容に沿ったものであり、また、今月八日には、東京都で小学校教員が保護者らから暴行を受けるという許し難い事件も起こりましたが、改めて教職員を守る必要性の認識を新たにしたところです。給特法に、部分的とはいえ、教職員の健康と安全を守る、そうした観点が入った意義は私は大きいと思っております。

 ところで、学校現場では、保護者から教員というだけではなく、保護者以外の第三者であったり、あるいは教師間など、様々な形で不当な要求あるいは不当な行為といったことが起こり得る。その意味では、誰からという主体の定義ではなく、教職員に対するという意義づけ、定義づけが妥当ではないかというふうにも感じているところです。

 この文言の中で、どのような範囲を考えていらっしゃるのか、提出者にお伺いをいたします。

津村委員 御質問ありがとうございます。

 委員がおっしゃったように、教職員に対する不当な要求等を幅広くカバーしようということで考えた修正でございます。

 一種の霞が関文学で、この「保護者等」という言い方に思いを込めているわけですけれども、元々の趣旨といたしましては、改正法の、今回、修正の元々の趣旨が、先ほど亀井先生がおっしゃったように、昨年十二月の大臣合意を法文化して法的拘束力を持たそうというところから来ていますので、大臣合意の中でいいますと、ちょっと途中、一部中略いたしますけれども、「学校における働き方改革を強力に進めるため、」中略「保護者からの電話対応を含む外部対応」中略「等の更なる縮減」中略「による本来業務以外の時間の抜本的縮減」「を行う。」というふうにされているものを受けまして、これを今回、不当な要求等を行う保護者等への対応支援という表現といたしました。幅広く読み取っていただいて結構かと思います。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 なかなか「等」というのがどこまでを指すのかというのは一般には分かりにくいものですが、御解説いただきまして、ありがとうございました。

 あわせて、不当な要求から教職員を守ることが喫緊の課題ということは文科省の方でも認識をされていて、既に様々な支援策を模索していることは承知をしております。一方で、保護者等からの苦情への対応という、二項対立になるのでは信頼関係が築きにくいとの指摘もあります。

 どのような体制をイメージしているのか、お答えください。提出者、お願いします。

津村委員 既に、文科省においては、一定の、何といいますか、支援策を講じているところでありますけれども、更に、趣旨を共有しながら、深掘りしていくということでございます。

 不当な要求等を行う保護者等への対応につきましては、まずは、やはり保護者等との信頼関係の構築、初動の対応というのが非常に重要かと思っています。いわば予防的なアプローチというのが大切であるという認識がございます。

 それから、不当な要求等があった場合、やはり、事案の内容に応じて、専門性を持った専門家も加わった体制に委ねていくというのが一つの方策かと考えています。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 できるだけ第三者機関的な、双方から信頼できる形での相談に応じていくという方向に向かっていくことを期待しております。

 次に、勤務実態調査です。

 今回の審議の中でも勤務実態調査の在り方というのはかなり議論になったところでありますが、二〇二二年の勤務実態調査はなかなか煩雑であったということではありますけれども、今後も継続的に比較可能な形での調査が必要かと考えます。

 基礎データの収集について、大臣指針に明記することも含めて、文科大臣に今後の取組についてお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 給特法におけます、基づきます文部科学大臣の指針におきましては、各教育委員会が教師の在校等時間を客観的な方法で計測することを定めているところでございまして、近年、こうした客観的な把握が徹底されてきているところではございます。

 こうした状況、過去に実施した教員勤務実態調査が学校現場にとって大きな負担であったことを踏まえまして、今後は、毎年度、教育委員会に対しまして実施する調査を通じまして、全国の教師の時間外在校等の時間の状況を把握してまいります。

 具体的な調査内容につきましては今後検討をしてまいりますが、御指摘の従前の調査にも留意をしつつ、教師の時間外在校等時間を把握、その縮減に関わる目標の達成状況を確認することができるよう、適切な調査方法を検討してまいります。

阿部(祐)委員 できるだけ現場の声が直接、数字が直接反映できるような調査にしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、附則三条では、財源の確保の状況を勘案しながらという文言が入っておりますが、これは財源がないとやらないというふうにも読み取られがちであります。だからこそ、ここの文言をどのように考えるのか、また、財源について、そうした議論はなかったのか、提出者にお伺いをしたいと思います。

津村委員 大変大事な議論だと思います。

 財源の確保につきましては、附則の第三条におきまして、「財源の確保の状況その他の事情を勘案し、」というふうに文言がございます。これは果たして必要なのかという貴重な御議論もいただきました。

 ただ、今回の修正の趣旨として、まずは、昨年の十二月の財務大臣と文科大臣の大臣合意というものを一旦大きく捉まえて、これを法文化し法的拘束力を持たせるというところにまずは大きな第一歩、大きな意義を見出しましたので、この文言を削るということはいたしませんでした。

 ただ、本修正案が、教育職員の働き方改革について、具体的な数値目標を法律に明記するものであること、そして、そのための措置を義務づけるために十分な実効性を担保しようとしているものであることを鑑みれば、政府によって教育職員の働き方改革に向けた措置がより一層講じられる内容になっていると思っています。

 大臣合意というものは決して軽いものではございませんし、本修正という、附則というものも決して軽いものではございませんので、財源の問題を乗り越えて、しっかりと教職員の働き方改革が進んでいくことを修正案提出者としては強く望んでいるところでございます。

阿部(祐)委員 御説明をありがとうございました。

 冒頭にも財源のお話を伺いましたけれども、やはり、附則の中でも数値目標を示している、こうした一つ一つの数字は非常に重たいもので、受け止めましたので、是非それに沿って施策を進めていただきたいと思います。

 さて、今回の改正に関する審議の、その先のお話も少しさせていただきたいと思います。

 一つには、臨時採用講師の問題です。

 長年、教員人事は、臨時採用講師を雇用の調整弁にしてまいりました。そして、現在では、教師不足の中、臨時採用講師が担任を担うことも常態化しておりますが、給与表上は高卒程度、一級のままで、必ずしも職務に合っていない待遇になっているということも散見をされます。全国の都道府県の中でも二級格付を行っている自治体は二十四にすぎない、多くの自治体では一級のままとなっております。

 こうした現状について、文科大臣、疑問に思わないでしょうか。こうした状況について、文科大臣の思いと今後について教えていただければと思います。お答えいただけますか。

あべ国務大臣 公立学校の教職員を含めまして、地方公務員の給与に関しては、地方公務員法に基づきまして、職務給の原則等を踏まえました上での各地方公共団体の条例において適切に規定されるべきものと私も認識しているところでございます。

 この中で、臨時的任用職員の給与に関しましては、総務省の方から、常勤職員と同等の職務の内容また責任を有する場合に、下位の級に格付を行ったり、各級の最高号給未満の水準を上限として設定したりする取扱いは改める必要があることに留意すべきと示されるなど、周知が図られてきたところでございまして、こうした制度の趣旨を踏まえまして、任命権者においての適切な給与決定を行っていただきたいと私どもも考えております。

 文部科学省におきましても、自治体の実態を把握するとともに、引き続きこの制度の趣旨の徹底について教育委員会に周知をしてまいりたいというふうに思います。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。

 これは繰り返し総務省からも通知が来ているということは、なかなか実態が改まっていないということです。ですので、文科省としても、任命権者がということではなくて、より現実の実態を把握した上で是正を図るように、是非強力に推し進めていただきたいと思います。

 と同時に、講師を調整弁とする人事システムそのものについても、もう見直しの時期に来ているのではないかと思いますので、その点については文科省自身で改善の方策を図っていただきたいと思います。

 最後に、給特法と労基法のずれについて伺います。

 給特法と労基法、ずれという表現がされておりましたけれども、むしろ溝、若しくは乖離であります。この問題は今回の改正でも解決をされません。

 一方で、環境が整わないまま給特法の廃止を先行してしまうことは教員にとっても学校現場にとってもマイナスが大きいことは、さきの参考人質疑でも明らかになったことであり、今後、何を目指して、どう整えていくのかということが大変重要であると思います。

 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するという労基法の目的に照らして、今後どのようなステップを目指していくのか、スケジュール感も含めて、まずは文科大臣に、そして次に提出者にお伺いしたいと思います。

あべ国務大臣 給特法は、教師の職務の特殊性等を踏まえまして、勤務時間の内外を包括的に評価するものといたしまして教職調整額を支給することとしているところでございます。

 今回、中央教育審議会におきましても、給特法の法制的な枠組みも含め、一年以上にわたって議論を行った結果、今般の法案では、給特法を維持した上で、学校における働き方改革に関わる実施計画の策定、公表など、取組の実効性を向上させるための仕組みを盛り込ませていただいたところでございまして、文科省としては、法案をお認めいただきましたら、指針の改定等に速やかに着手をさせていただきまして、本法案の内容の実現に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 教師の健康及び福祉を確保し、教師が子供たちに生き生きと向き合えるようにするため、まずは、令和十一年度までに教師の月当たりの平均の時間外在校等時間を月三十時間程度に縮減することを目標として、取組を進めてまいります。

津村委員 ありがとうございます。

 一つ御紹介をさせていただきたいんですが、立憲民主党は、令和五年六月二日に衆議院に、公立学校働き方改革の推進に関する法律案というものを提出しております。給特法について、廃止を含めた抜本的な見直しを行うという内容でございました。

 私たち政治家の仕事は、やはり理想を見詰めつつ現実から一歩ずつ丁寧に踏み出していくことだというふうに思っています。そういった意味で、先ほど申し上げた立憲民主党のNC大臣、文部科学部門長として、理想を持ちながらも、今回、喫緊の課題であります、火急の課題であります教職員の働き方改革について、与野党の皆さんとの幅広い合意を得ながら、確実な一歩を進めていくためにどうあるべきかという観点から、今回の修正案においては、教育職員の働き方改革が緊急の課題でありますことから、法律案の実効性を高め、教育職員の勤務環境をより計画的に改善することを念頭に、なるべく多くの会派に賛同いただけるような内容を提案し、皆様から御了解いただいた、そういうプロセスでございます。

阿部(祐)委員 ありがとうございます。終わります。

中村委員長 次に、うるま譲司君。

うるま委員 日本維新の会のうるまと申します。

 まずは、学校現場に労務管理の意識を根づかせるためには、人事評価に、仕事と生活の調和、ライフ・ワーク・バランスの視点を盛り込むことが重要だと考えておりますが、文科省の認識をお伺いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 教師が働く上で、健康と福祉をしっかり確保しながら子供たちに当たっていただくということは大変大事なことでございまして、学校における働き方改革、これを更に進めていくためには、各教職員のワーク・ライフ・バランスに資するための取組を行った際に、そのような取組を人事評価の対象にしていくことは一つの方法であると考えてございます。

 これに関連しましては、校長等の管理職の人事評価におきまして、働き方改革に資する組織マネジメントに係る観点がその評価の項目に入っているということが重要でございまして、文部科学省においても、これまでその導入を各教育委員会に対して促してきたところでございます。

 今回お示しいただきました修正案も踏まえつつ、学校における働き方改革がより一層進むよう、御指摘いただきました人事評価という観点も視野に入れながら、取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

うるま委員 修正案の附則第五条の検討条項によりまして、我々、人事評価表にライフ・ワーク・バランス欄が設けられることを考えておりますが、文科省の見解をお伺いいたします。

望月政府参考人 学校における働き方改革を更に進めていくために人事評価をもっと活用すべきだという御提言と、そして私の方からも先ほど御答弁させていただきました。そのときに、具体的な地方公共団体が作る人事評価シート、そうした人事評価のそうした基準的なものだと思いますけれども、これの中に、ワーク・ライフ・バランスに資する取組を行った際に記載のような欄も設けるのは、一つの方法であると考えます。

 ただ一方で、御承知のように、人事評価につきましては、地方公務員法第二十三条の二第二項におきまして、人事評価の基準及び方法などは任命権者が定めると法定化されているところでございます。

 この上で、いわゆる県費負担教職員につきましては、任命権者である都道府県教育委員会の計画の下に、服務監督を行う市町村教育委員会が評価を具体的には行うことになるわけでございます。

 例えば、人事評価に係る具体の人事評価シートの様式など、その方法などは各教育委員会にお任せすることになるわけでございます。そうしたことを前提にしつつではありますけれども、御指摘いただきました人事評価という観点もしっかり視野に入れながら、学校における働き方改革が進むよう取組を進めてまいります。

うるま委員 文科省が率先してガイドライン等で示していただければと思います。

 次に、修正案の附則第五条によりまして、管理職が、学校全体の労務管理の責任者として、補教であったり、保護者対応、持ち帰り残業なども人事評価表に記載することで、業務の定量評価を進めるようになると想定しておりますが、文科省の見解をお伺いいたします。

望月政府参考人 所属職員を監督する校長を始め各学校の管理職は、教育委員会とともに、一人一人の教師の業務の状況をしっかりと把握をした上で、その実態等を踏まえて学校全体の業務改善、まさにマネジメントを行っていただく、そうした責任があるわけでございます。

 人事評価につきましては、先ほども申し上げましたけれども、個別の具体的な評価項目や内容というのは、これは権限を持っているのは教育委員会でございますので、国で一律に定めるということは難しいわけでございますけれども、人事評価を実施するに当たりまして、年度途中の急な欠員への対応あるいは保護者への対応など、学校でも様々な業務が発生いたします、急な業務もございます。それにも対応するような頑張っている教師、これは、日常から頑張っている教師と急な場合のときに頑張る、そうした頑張っていただくような教師、こういった教師の様々な活動やあるいは能力、業績というものを適正に評価されるようにしていくということは大切なことであるというふうに考えているところでございます。

 業務が定量的に評価をされるということについては、これは、必ずしもそうした頑張る教師への評価というのは量だけで捉えられるというものだけでもないと思っていまして、一定期間子供たちの生徒指導あるいは教育相談とか学力とか、そうした子供たちの変化を捉えて評価を、どのぐらい寄り添って、どのくらい関わっているかということについて評価をする場合もありますし、まさにうるま委員御指摘の、回数や時間といった定量的なもので測れるもの、これはあると思ってございます。

 そうしたことを、教師の評価というものが、この人は本当に頑張って、みんな、いっぱい評価されてしかるべきだな、あるいは、それが昇格、昇給というものにつながっていくということでまたモチベーションの向上につながる。学校としての大きな意味での、みんなで、チームで学校の役割を果たしていく、そういった職務分担がしっかり行われていくということによって学校の働き方も進む。そうした人事評価、それにも人事評価のこうした実装というのが役に立つ部分があるのではないかと考えているところでございます。

うるま委員 おっしゃるとおり、なかなか量で評価するというのは難しいものだというのは理解しておりますが、頑張った先生がしっかり報われる仕組みというのを是非示していただきたいと思います。

 これが、例えば補教などの働きがしっかりボーナスに反映されるようにしていただきたいと思っておるんですけれども、この附則第五条で。文科省の見解をお伺いいたします。

望月政府参考人 教師は、授業のみならず、教育相談、進路指導、生徒指導、そうした学校の運営に関する業務も含めまして、多岐にわたるそれぞれの業務を分担しながら行っているところでございます。頑張っている教師が適正に評価され、処遇上もしっかりとこれが反映されていくということは、モチベーションを向上させ、教師を応援していく上でも非常に大事であると考えてございます。

 地方公務員の人事評価制度の運用としても、評価の結果を給与面を含めて人事管理の基礎として適切に活用するということは、法令上も求められているところでございます。

 文部科学省としましては、これまでも、機会を捉えて、各教育委員会に対しまして、人事評価の実施とその結果をいわゆる期末手当、ボーナスなどへ反映するよう促してまいりましたけれども、今回お示しいただきました修正案も踏まえまして、各教育委員会に対して指導を行ってまいりたいと思っているところでございます。

うるま委員 これまでも促してまいりましたということでありますけれども、この附則によって更にそれが強まるように期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中村委員長 次に、西岡義高君。

西岡(義)委員 おはようございます。国民民主党、西岡義高です。よろしくお願いいたします。

 一か月に及ぶ長い審議でございましたけれども、いよいよ終局に向かっているというところでして、修正案においても具体的な処遇改善、ここに切り込めなかったのは、皆さんの中でも悔しい思いを持たれている方もいらっしゃるのではないかと拝察しております。

 しかしながら、今回の改正案につきましては、処遇改善の内容はしょぼいといいながらも、たとえ一%であっても給料が上がるということに前向きな気持ちを持たれている方もいらっしゃるという中で、全面的に反対というわけにはいかないと考えております。教員の方々の処遇につきましては、引き続き不断の見直しをしていただくことを政府にはお願い申し上げまして、修正案の質問に入りたいと思います。

 まず、修正案の附則新第三条、一か月の時間外在校等時間を平均三十時間程度に削減するため、この措置として一番目に掲げられております教育職員一人当たりの担当する授業時間数を削減すること、持ちこま数の削減について伺いたいと思います。

 一人当たりの授業時間、この項目を設定するに当たりまして、どの程度が理想であると想定して、その削減によって現場にどのような効果が表れると考えているのか、修正案提出者の方の見解を伺いたいと思います。

日野委員 お答えいたします。

 今回の修正案につきまして特に重視していますのが、教員一人一人が授業だけでなく子供たちへの対応や教材研究、学級運営といった教育活動全体にしっかりと向き合えるよう、授業時間の適正化、すなわち持ちこま数の縮減を制度的に後押しすることであります。

 令和四年度の勤務実態調査において、教員一人当たりの一週間の授業数は、小学校で二十四・一こま、中学校十七・九こまという、これは平均値が示されておりますが、その平均値に隠れて、毎日ほぼ六こま、連続授業で授業準備時間ゼロといった現状があることも事実でございます。特に、小学校では担任業務と相まって過重な負担が常態化しています。

 こうした状況を踏まえ、今国会の審議においても、義務標準法に基づく教職員定数の算定に当たっては、教員の業務時間のうち半分を授業時間に、残りの半分を授業準備や校務に充てることを前提としていると文部科学省から答弁がなされています。

 よって、御質問の教員一人当たりの理想的な授業時間数につきましては、小学校四年以上で標準授業時数が週二十九時間程度とされる中、勤務時間七時間四十五分の半分を授業に充てることとすれば、教員一人が担当する授業は週二十時間程度まで削減すべきだと考えております。もちろん、校種や学校の規模、進路指導や生徒指導といった校務の内容、教員の経験年数などによって授業準備に必要な時間や業務負担は異なるため、担当する授業時数を変えることは検討する必要があると思っております。

 この見直しによって得られる効果は多岐にわたりますが、第一に、教員が教材準備や個別指導に時間を割けることで、授業の質の向上が期待されます。第二に、過労による心身の不調を未然に防ぐという観点からも、長時間労働の是正と健康保持に寄与します。第三に、教職の魅力を回復し、新たな志願者の増加や人材確保にもつながるものと考えております。そして、何よりも、授業の時間を削減することによって教員の心にゆとりが生まれることによって、子供の小さな変化やつぶやきに気づき、子供の心に寄り添うことができる、ここに教育の本質の価値があると私は思っております。

 以上です。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 時間外在校等時間を減らすため、正規の勤務時間内で大半を占める授業こま数、これを減らすということが重要だと思いますし、その減らしたこまを引き受ける教員というのも必要になってきますので、増員と併せてしっかりと進めていっていただきたいと思います。

 次に、同じく附則新第三条の七にあります、前各号に掲げるもののほかの業務削減のために必要な措置とございますけれども、具体的にその他の措置というのはどのような措置を想定されて、その具体策によって現場にどのような効果があると考えていらっしゃるのかを教えてください。

日野委員 お答えいたします。

 教員の業務負担の抜本的な見直しを図るに当たっては、学校の外、すなわち保護者や地域、関係機関との役割の再整備と合意形成が不可欠であると考えております。

 今回の修正案におきましても、教員の長時間労働を是正するためには、単に学校内部の努力に委ねるのではなく、学校や教師が担うべき業務の範囲を社会全体で明確に共有することを重視しています。

 文部科学省では二〇一九年に、学校、教師が担う業務について、一つ目に、基本的には学校以外が担うべき業務、二つ目に、学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、三つ目に、教師の業務だが負担軽減が必要な業務という三分類を示しており、以降の通知や指針においても、繰り返し整理がされてまいりました。

 しかしながら、現場では、分類は示されたものの、保護者や地域の理解が十分に得られていない、やらなければ怠慢、やったら過労というジレンマが依然として残っているといった声が強くあります。

 したがいまして、御質問の教員の業務量を削減するために必要な措置としましては、この三分類を保護者や地域にも明確に周知、共有することで、何となく学校が担ってしまうことになっている業務や頼まれたら断れない業務、これを、現場に残り続けてしまう構造そのものを見直していくことが重要であると考えています。

 そういった意味では、学校では担わない業務という分類の明確化が必要だと考えます。この措置によって期待される効果といたしましては、教員のやらなければならないという心理的負担の軽減、本来の教育活動に専念できる時間の確保、持続可能な学校運営体制の構築などが挙げられます。

 何より、こうした業務の明確化を通じて、教員が本来果たすべき子供に向き合う仕事に集中できる環境を整えていくことが、教職のやりがいや誇りを取り戻すことにつながり、将来の担い手を確保していくためにも不可欠であると考えます。

 以上です。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 では、次の質問です。

 附則新五条、こちらの教育職員の管理の実効性の向上のための措置に関する検討条項について、こちらの中に公立学校の管理職という言葉がありますけれども、これは校長、副校長を想定しているかと思われます。現状の校長等マネジメント層への管理職研修、マネジメント研修、どのような形で行われているのか、文科省に伺います。

茂里政府参考人 お答え申し上げます。

 校長、副校長等の管理職につきましては、学校組織のリーダーとして、学校の業務改善に大きな役割を果たすものであり、その管理職のマネジメント力を向上させるということは極めて重要なテーマと認識してございます。

 このため、国といたしましては、指針を策定いたしまして、各教育委員会が校長の資質に関する指標を定める際に踏まえるべき点として、今御指摘ありましたマネジメント能力を位置づけております。各教育委員会において、このマネジメント能力も含めた管理職の研修が行われるよう促しているところでございます。

 また、各教育委員会が実施します管理職研修におきまして、学校における働き方改革を含む高度なマネジメント能力が一層高まるよう、本年度より予算事業を、モデル事業でございますが、これを文科省として実施しているところでございます。

 さらに、独立行政法人教職員支援機構におきましては、校長、副校長、教頭等の中で、特に各地域で学校教育において中心的な役割を担う者を対象といたしまして、各種マネジメント能力を育成する職階別中央研修を実施しているところでございます。

 文科省といたしましては、学校の管理職が一層のマネジメント能力を身につけ、かつ、それが御指摘ありました学校の業務改善に着実に結びついていくよう、引き続きしっかりと取組を進めてまいりたいと思います。

西岡(義)委員 ありがとうございます。

 修正案では、この面におきましても政府がしっかりとPDCAを回していきましょうという内容になっておりますので、しっかり、P投げっ放しにならないように、指導助言を含め、伴走支援をお願いしたいと思います。

 最後に、不当な要求を行う保護者への対応について伺いたいと思います。

 これまで、教員が直接対応せずに、スクールローヤー等の活用が様々議論されてきましたけれども、これはあくまでも対症療法であると考えております。根本的な解決のためには、保護者側がモンスターペアレント等にならないよう、しっかりとした倫理観、規範意識を持つことが必要だと思いますし、これはカスタマーハラスメントでも同じようなことが言えると思います。

 新たなモンスターペアレントであったり、カスタマーハラスメントの加害者、こういったものを生み出さないためにも、戦後教育の中で失われてしまった日本人としての倫理観、道徳観、モラル観、新渡戸稲造の言葉をかりれば、武士道という言葉を使っておりましたけれども、こういった日本人としての道徳を学校教育の中でしっかりと教えていく必要があると思います。

 行き過ぎた個人主義、これから脱却して、人と人との関わりの中で生きていく上で必要な正しい振る舞い、これを教えていく必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

あべ国務大臣 保護者からの不当な要求への対応が学校の負担につながっていることは、私どもも課題というふうに受け止めています。

 その上で、学校教育を通じまして、自立した人間として他者とともによりよく生きる基盤、この道徳性を養うことは、委員がおっしゃるように、大変重要なことでございまして、このため、学校教育活動全体を通じて行います道徳教育におきまして、善悪の判断、礼儀、相互理解などについて学び、人との関わりの中におきまして自己の生き方について考えを深めることとしているところでございまして、カスタマーハラスメントなどが社会的な課題となっている中でございまして、他者を思いやり、お互いを尊重しながら、共によりよい社会をつくっていくことができるよう、道徳教育の充実にしっかりと取り組んでまいります。

西岡(義)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、終わります。

中村委員長 次に、山崎正恭君。

山崎(正)委員 公明党の山崎正恭です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 貴重なお時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 今日、テーマになっています教員の働き方改革につきましては、公明党も度々、直近でも四回、二〇二三年一月提言、二〇二四年五月、七月、十二月と、四度提言を行ってきました。そういった内容も含めまして、今日は御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の修正案の肝とも言える部分であります一か月時間外在校等時間を平均三十時間程度に削減するということについてお伺いしたいと思います。

 まず、このことについて現状はどうなのか、少し調べてきました。私の地元高知県では、令和五年の時間外勤務が、小学校が大体三十六・五時間、中学校が四十二・五時間。昨年の四月から十一月までの途中数字ですが、小学校が三十七・二三時間、中学校が四十三・一一時間。十二月から三月は一般的に減少傾向となるため、令和六年も五年と同じ程度になるんじゃないかという見込みを示されていました。

 その上で、三十時間の目標、これについて規定していくということについてどうだろうかといいますと、これはあくまで個人的な意見ですけれども、高知県なんかは特に小規模校が多いので、学校規模にも左右されると思うんですけれども、比較的、時間外勤務が抑えられやすい傾向にあるので、可能なのではないかというふうな見解がありました。ただ、やはり中学校は部活動がネックになっていくということで、そういったところの地域展開が進めば時間外勤務は必ず下がっていくだろうというふうなことも、そういった声も聞かれました。

 修正案による新附則第三条では、一か月時間外在校等時間を平均三十時間程度に削減することを目標とすることとされています。この三十時間という数字は、先ほど来出ておりますけれども、年末の文部科学大臣、財務大臣間の合意で、今後五年間で平均の時間外在校等時間を月三十時間程度までに縮減することを目標とするとされたと承知しています。しっかり、公明党としましても、教員の働き方、緊急改革期間を設けて、教員の業務の削減へ向けた取組を進めていくことを求めていますが、この三十時間の根拠というか考え方について、どうして三十時間なのかということについて、改めてお伺いいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 教師の時間外在校等時間の縮減目標につきましては、昨年十二月の文部科学大臣、財務大臣の合意におきまして、教師の全国の平均時間外在校等時間を、まずは今後五年間で月三十時間程度に縮減することを目標としたところです。御党からの御指摘のとおり、今後五年間を集中的に働き方改革を進める改革期間として、今後の働き方改革に取り組んでまいります。

 その上で、目標を三十時間程度とした根拠につきましては、昨年八月の中央教育審議会答申におきまして、国の上限指針において原則として一か月の時間外在校等時間の上限が四十五時間以内となっていることを踏まえまして、全ての教師が月四十五時間以内となることを目標とすべきとされたところでございます。このため、文部科学省におきましては、令和四年度の教員勤務実態調査の結果を基に、全ての教師の時間外在校等時間が四十五時間以内となった場合を想定した試算を行いましたところ、一か月の時間外在校等時間は、小中学校の加重平均で約三十時間となることでありますことから、全国平均で月三十時間程度に縮減することを直近の目標に設定したところでございます。

 こうした考え方を踏まえますと、各教育委員会、各学校現場において状況はいろいろでございますけれども、全ての教師の時間外在校等時間が国の上限指針における原則である月四十五時間以内となるよう取り組んでいただくことが重要であると考えてございまして、文部科学省として、教育委員会、学校と一体となって取組を進めてまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 平たく言えば、全体で四十五時間を超えないというか、全員抑えていくために三十時間目標を設定するということかなというふうに承知しました。

 今回、この三十時間という数字が出たときに、現場の先生にもお声を聞いたんですけれども、法律に書き込むとなると、学校、いわゆる国としてもあるべき姿、目標になると思うので、この三十時間の根拠が非常に重要だと思う、逆に取れば、三十時間まではいいんだという解釈、メッセージにも取れるので、そこでの議論、根拠が必要だというふうなお声がありました。

 そこで、すごく重要なのは、先ほどの答弁の中では、まず直近の目標としてということだったと思いますので、まず現状を変えていくために月三十時間以内を目標としたというところであり、ここはゴールではなく、まず目指すということだと理解いたしましたので、しっかりと現状からできるだけ早い段階でこの三十時間目標を達成していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 三十時間の根拠は分かりましたが、今回の修正案の件で現場の先生からお声を伺ったときに、校長先生から真っ先に言われたのが、三十時間にするということも大切だが、より本質的には仕事のスクラップの方が重要で、それなしに三十時間という数字だけが先行すると、いわゆる時短ハラスメント、管理職が早く帰れ早く帰れと言わなくならなければなる可能性があると言われました。

 この点については、公明党も二〇二四年の五月提言、七月提言、十二月提言の三回にわたり、学校、教師が担う業務に関する三分類、本当に教師しかできない仕事は何なのか、教員の仕事のスクラップを訴えてきたところでありまして、最も重要な指摘だと思います。

 そこで、月三十時間の目標の達成のためには様々な施策を総動員することが必要であり、修正案による新附則第三条でも、教員の働き方改革を進めるために様々な措置を講じることが盛り込まれていると承知していますが、今後、政府として、どのように働き方改革を進めていくのか、先ほど御指摘させていただいた部活動の地域展開等も含めて、どのように進められるか、お伺いいたします。

あべ国務大臣 学校における働き方改革でございますが、国と教育委員会、学校が一体となりまして、教師の業務の縮減、効率化のほか、標準を大きく上回る授業時間数の見直し、さらには学校の指導、運営体制の充実、保護者対応に関わる行政による支援体制の構築など、様々な施策を総動員して取り組むことが必要であるというふうに考えております。また、委員御指摘の部活動の地域展開に関しましても、スピード感を持ちまして、全国的な実施を推進してまいります。

 文科省といたしましては、今回の給特法の改正をお認めいただいた後、この文部科学大臣が認める指針を改正をいたしまして、御党から御提案をいただいております学校、教師が担う業務に関わる三分類の内容を位置づけるなど、働き方改革推進に関わる国としての方針を明確にお示ししてまいります。

 各教育委員会におきましては、この指針に即して計画を策定し、設置者として働き改革を更に進めるための総合的な取組を実施していただきたいと考えておりまして、国としても必要な支援に努めてまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 先ほどの答弁にもありました授業時数の削減、これは、今日たくさんの委員の皆様方からも先ほど来御質問があるところでございます。私の自らの経験からも、教員の働き方を進めていく上において、非常に重要なことであるというふうに思います。

 そこで、修正案による新附則第三条第一項第一号に規定される公立の義務教育諸学校等の教職員一人当たりの担当する授業時数を削減することについては、教師の負担軽減と子供たちの学びの充実の観点から、教師一人当たりの持ち時間数を縮減することを目指すという趣旨であると承知していますが、この改正案が成立した際には、政府はどのように教師の持ち時間数の縮減に取り組んでいくつもりなのか、見解をお伺いします。

あべ国務大臣 教師の持ち授業時間数に関しましては、特に持ち授業時間が多い小学校におきましては、その軽減を図る必要があると考えております。

 そのため、文部科学省といたしましては、小学校における教科担任制の拡充に係る定数改善を計画的に推進をしておりまして、令和七年度予算におきましては、小学校高学年に加えまして、四年生への教科担任制の拡充などのため九百九十人の定数改善を計上するなど、今後四年間で三千九百六十人の改善総数を予定しているところでございます。

 また、国が一律に教師の持ち時間数に上限を設けることに関しましては、持ち授業時間数のみで教師の勤務負担を捉えることは十分ではないという課題があるなど、慎重な検討が必要であるというふうに認識しているところでございますが、標準授業時間数を大幅に上回って教育課程を編成している場合には、点検を行いまして、指導体制に見合った計画とするよう、引き続き促してまいります。

 これらの取組を通じまして、教師の持ち授業時間数の縮減に取り組んでまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 先ほどの大臣の答弁では、国が一律に教師の持ち時間数に上限を設けることは、持ち時間数のみで教師の勤務負担を捉えることは十分ではない、慎重な検討が必要というふうなことだったと思いますけれども、それも現場にいた人間としてよく分かります。

 私も、荒れている学校で、三年生の学級担任と生徒指導主事を兼ねてやってほしいと校長先生に言われまして、そのときは持ち時間数を削減してもらいましたが、実質的には、それ以上にしんどいなと感じることがありましたので、授業の持ち時間数だけで教師の勤務負担を捉えることは十分ではないというふうな考え方も分かりますが、しかし、先ほどの時間外在校等時間を三十時間以内に目標を設定するということとの関係性というか、バランスでいえば、本当は、一人当たりの授業時数の上限を定めていくということも重要だというふうに思います。

 ただ一方で、前回の質問でも言いましたけれども、教員不足の深刻な今すぐに超厳密に一人当たりの授業時数の上限を設定した場合には、その上限を超える、例えば中学校の音楽などで上限時間数を超えた時間が一時間、例えば二時間あったとしても、そのために時間講師の先生等を配置しなければならないといったケースも出てくると思いますので、現段階ではそこまでの厳密な個人の上限設定はしない、けれども、先ほど大臣からもありましたように、しっかり今回の法案の趣旨、教師の負担軽減と子供たちの学びの充実の観点からは、厳密ではなくても、極端に持ち時間が多いケースをつくらないということはしっかり見ていただいて、教師一人当たりの持ち時間数の縮減に取り組んでもらいたいと思います。

 そうやってやっていかないと今回こうやって出していく法案の意味がないと思いますので、何とぞ、持ち時間数につきましては、将来的なことも含めてしっかりと取り組んでもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、済みません、質問の順番を入れ替えてお伺いします。

 教員の働き方改革の中で、持ち時間数の削減とともに議論されているのが、これも先ほど来出ております、教職員の定数改善です。修正案による新附則第三条第一項第三号に規定される「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に規定する教職員定数の標準を改定すること。」については、一人一人の子供たちにきめ細やかな教育を行うための学校の望ましい指導体制の構築へ向けて、義務標準法の改正案を次期通常国会に提出することを立法府の意思として明確化している趣旨であると考えます。

 公明党としても、直近の四度の提言全てで、定数改善と、今まで我が党が長きにわたり取り組んできた少人数学級の実現を政府に対して求めてきたところでありますが、そこで、この改正案が成立した際には、政府はどのように教職員定数の改善に取り組んでいくのか、改めて見解をお伺いします。

あべ国務大臣 委員がおっしゃるように、本当に、複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、誰一人取り残されることなく、子供たち一人一人に応じたきめ細かい指導を可能とする指導体制を整備していくことは大変重要だと私どもも考えております。

 このため、小学校における教科担任制の拡充、また、中学校における生徒指導担当教師の配置拡充など、今後四年間で計画的に改善を進めていくこととしておりまして、令和七年度予算も含めまして、改善総数は六千六百人を予定しているところでございます。

 加えまして、令和七年度で三十五人学級が完成する小学校に続きまして、御党からの御提案も踏まえまして、財源確保と併せまして、令和八年度から中学校における三十五人学級への定数改善を行うこととしておりまして、義務標準法の改正案の提出に向けまして、準備をしっかりと加速してまいります。

山崎(正)委員 ありがとうございます。

 一か月の時間外在校等時間の三十時間目標の設定というところに踏み込んだのは大きな第一歩だと思うんですけれども、それに対して、今、こういったことに対して、表面上減らしても中身が変わらないと絶対に無理だというふうな厳しい見方もあります。

 やはり、定数改善と持ち時間数の削減と教員の仕事の三分類等をしっかり、一体的に、先ほどありましたけれども計画的に進めていただきながら、教員の働き方改革が、本法案の趣旨でもある子供たちの学びの充実に直結するようにしっかり取り組んでもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、教育課程の編成についてお伺いします。

 修正案による新附則第三条第一項第二号に規定される「教育課程の編成の在り方について検討を行うこと。」については、標準授業数を削減することを念頭に置いたものではなく、例えば、我々公明党が、子供たちが集団の学びと実体験等の個別学習を行き来する中で、一人一人に光が当たり、子供たちが生き生きと輝いていける輝き教育を推奨していますが、今後、そういった時代の変化に即した新たな子供たちの学びの方法を表現していくことも含め、学習指導要領の改訂に係る検討を進めていくという趣旨であると考えていますが、この改正案が成立した際には、政府はどのように教育課程の編成の在り方の検討を進めていくつもりなのか、見解をお伺いします。

あべ国務大臣 次期の学習指導要領の検討に当たりましては、これからの時代に必要な資質、能力、育成を目指しながら、多様な子供たちを包摂し、子供一人一人の可能性が輝く柔軟な教育課程を実現することが重要でございまして、その上でも、過度な負担が生じにくい在り方を検討することが私ども重要だというふうに考えております。

 標準授業時数を含めました教育課程の在り方につきましては引き続き検討させていただきますが、これまで、例えば、一定の要件の下で、各教科の標準授業時数を裁量的な時間に充てることの適否、また、学習指導要領の複雑で冗長な記載のスリム化に関しましても、教師と子供の双方に余白を生み出し、教育の質の向上につながるものとして、中教審の部会で議論を行っているところでございまして、方向性についてはおおむね御賛同いただいているところでございます。

 詳細は今後更に検討していきますが、教育課程の改善と働き方改革を両立させ、全体として教育の質の向上につながるよう、引き続き中教審で審議を進めていきます。

山崎(正)委員 ありがとうございました。

 答弁の中に幾つか重要なキーワードがあったと思います。多様な子供たちを包摂し、子供一人一人の可能性が輝く柔軟な教育課程の実現、この柔軟なというところが非常に重要かなというふうに思います。

 柔軟で弾力ということで、例えば、私の地元四国で、FC今治といいまして、サッカーの岡田監督がこの四月から開校しましたけれども、非常に柔軟な教育課程の中で、多様な講師を呼んで、非常に子供たちが生き生きと勉強を始めているといったところがございますので、しっかりと新しい時代に即した教育課程の編成をお願いしたいと思います。

 最後の質問になります。

 最後は少し、最後のところになるんですけれども、最近、現場を歩いていまして、現場の校長先生に頼まれました。それは教員の働き方に直結するところで、実は、現場の方では、定期テスト等の自動採点補助システムが今非常に進んでいるということで、これが先生方の働き方改革に非常に貢献していると。教科にもよりますけれども、作業量が大体三分の一ぐらいに削除されるということがありまして、そこで、学校現場におけるテストの自動採点補助システムの現状と今後の展開についてお伺いいたします。

望月政府参考人 文部科学省としまして、今先生御指摘の定期テストのデジタル化によりまして、採点時間の短縮に加えまして、成績処理に関わる教員の負担の軽減につながっている、そうした自治体の例もあると承知しているところでございます。

 これらの取組は、教職員の働き方改革にも資すると考えられることから、引き続き、自治体に対してこのような好事例を紹介してまいりたいと思っております。

 また、文部科学省では、校務DXを推進する際に取り組むことが望ましい項目を整理した、GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリストを公表してございますけれども、この中でも、小テストなどへCBTを取り入れることについても推奨してございます。

 この取組によりまして、テストの配付、集計、採点等にかかる時間を短縮することも可能となることから、まさに教職員の負担軽減も期待されるところでございます。

 いわゆる先生御指摘の自動採点補助のそうしたシステムのようなものの活用、あるいは小テストなどのCBT化を含めまして、引き続き、教職員の働き方改革の改善に対して効果的な校務DXを推進してまいります。

山崎(正)委員 先ほどの校長先生が、やはり産休や育休教員が出てもなかなか代わりの先生が来なかったり、見つけられなかったり、加配もされない中、唯一教員にやってあげられることなので、国も働き方改革の中で是非何か支援してもらえないか、現場の教員も、もう今やなくてはならないと。実は、市の予算が切られる中、自分たちで出し合ってでも続けていきたいと言われています。

 そんな中で、今までもあったと思うんですけれども、市町村ごとに規格が違ったりして、異動したら全く使えないとかということもあるので、是非そういった一体的なことも考えて、何らか支援ができないか等も検討していただけたらなというふうに思います。

 時間が来ましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中村委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 給特法の改正の修正案について。

 給特法というのは、公立学校の先生のお給料に関する法律です。これまでたくさんの時間をかけて質疑を行ってまいりまして、本日は、その修正案について審議が行われています。

 まず、この修正案に関してなんですけれども、分かりにくいという方が外部にもいらっしゃるので、どういうものかという整理ですが、まず、この今回の修正案というのは、附則という、法律には本則と附則があって、本則は一切変えずに附則をつけ加えるというものです。附則というのは法律の一部ですけれども、本則に付随して必要になる事項を補うためにつけ加えられる規定というものが附則です。今回の法律、元々の給特法の改正案、これは自公政権が出したものですけれども、それは変えず、それは前提として、附則というものを足し込むんだというのが今回の修正案となります。

 これでは、問題が全く解決しないんですね。元々、給特法の改正の背景として、現在のすさまじい学校の教育現場の人手不足と過労死問題、これが全く解決しないのが、政府の出してきた原案、修正案であります。

 現在の学校の状況でいいますと、質疑で出されましたけれども、過労死の認定件数、小学校の先生でいえば、過去九年で三十八件、これは氷山の一角ですから、このような学校現場の地獄を解決しなければならない、それが、政府そして国会の使命なのです。

 しかしながら、政府の改正案、修正案では、それが全く解決しないどころか、教職調整額、四%から一〇%に引き上げる、これは一%当たりたったの月三千円ですので、一〇%になっても、全くこの過労死レベルの残業問題は解決しない。

 そして、労基法に基づいて、労基法で労働時間、業務であるにもかかわらず、それは業務だから労働時間であるにもかかわらず、労働時間としてカウントせずに、ただ働きさせられているという、この不法な問題、違法問題を解決しない、そのようなことを質疑で申し上げてまいりました。

 今回の修正案というのが、どの会派が出してきたかというと、立憲と維新が提出者であったと報道されていますが、現在、結局、共同提出者として、自民党、公明党、立憲、維新、国民民主党と。つまり、この文科委員会で所属している政党の、れいわ、私の所属するれいわ以外、全ての政党がこの修正案に賛成しているという構図の中で、本日、給特法の改正案と修正案が数の力で採決されようとしている、そういう状況です。

 御質問したいのは、共同提出者のどなたでもいいんですけれども、一旦立憲の委員の方に御質問します。

 パネルなんですけれども、お配りしました資料一、今回修正案で出されている附則の中で、時間外在校等時間について記述があります。給特法の改正案の修正案に関して、附則の中で、政府は令和十一年度までに一か月の時間外在校等時間を平均三十時間程度に削減することを目標とするということが書かれています。これは、今、令和七年ですから、向こう五年間、時間外在校等時間を平均で三十時間程度になることを認めることを書き込むものでありますので、私はこれはすごく問題だと感じているんですね。

 お伺いしますけれども、その新設項の中で、この修正案自体もこのように書いていますね、時間外在校等時間の定義としては、一か月の学校の教育活動に関する業務を行っている時間から代休日とか正規の勤務時間を引くものを時間外在校等時間だと定義しますよというふうに書かれています。

 そこでお伺いしますが、時間外在校等時間、このような定義された時間外在校等時間というのは、この定義のとおり、教育活動に関する業務ですから、この配付資料、これは何度も見せました、厚労省のガイドラインによる三十二条の労働時間の定義ですが、その労基法三十二条で言うところの労働時間にこの修正案で記載されているところの時間外在校等時間、つまり教育活動に関する業務、これは労働時間に該当するのではないですか。お答えください。

津村委員 御通告と少し内容が違うように思うんですけれども、私の理解の範囲でお答えさせていただきます。

 時間外在校等時間のうち、時間外勤務命令に基づき、いわゆる超勤四項目に該当する業務を行う時間は、労働基準法上の労働時間に該当するものと認識しております。公立の義務教育諸学校等の教育職員に関する給与その他の勤務条件についての特別法である給特法でございますが、その仕組みの下では、教育職員がいわゆる超勤四項目以外の業務を所定の勤務時間外に行った時間は時間外勤務命令に基づくものではないと整理され、管理職による指揮命令下に置かれているとは言えず、労働基準法上の労働時間には当たらない、こういう認識でございます。

大石委員 つまりは、今お答えになった立憲の委員は、今のお答えは、あべ文科大臣と一緒のお答えなんですよね。すなわち、今、現状、公立学校の先生は、例えば、土日の部活動、公式戦、これは業務ですし公務ですと文科省も認めていますけれども、これは労基法上の労働時間には当てはまらない、当てはまる可能性はゼロである、そうおっしゃっているんですね。確認いたします。

津村委員 当てはまる可能性はゼロであるという表現を私は取らなかったと思いますが、現在ある実定法の解釈について、与党と野党でそんなに見解が違うことの方がおかしいと思います。法律の理解を述べたまででございます。

大石委員 この質疑の中でも、立憲の委員御自身が、これは法律違反でないか、訴訟リスクもあるのではないかというふうにおっしゃっていましたけれども、それらは、整理した結果、労基法違反には当たらないということでよろしいですか。

津村委員 労基法違反になるようなケースがあってはならないというのはそのとおりだと思いますし、個別の事案について、これはどうかという議論は、是非是非建設的に交わされればいいと思いますが、御質問がちょっと抽象的過ぎて、どうお答えしたらいいのか戸惑っております。

大石委員 超具体的に聞いております。

 大阪府においては、土日の部活動の公式戦は公務とみなされております。そのような公務とみなされているもの、文科省も公務とみなしているものについては、労基法三十二条が適用されている公立学校の先生において、これは労基法で定める労働時間ではないですかというふうに申し上げているんです。でも、文科省が、それはいわゆる労基法上の労働時間ではないと言っているので、それは労基法違反の答えではないかということをずっと言っていたんですよ。だから、超具体的に聞いております。

 もう一回聞きますね。

 大阪府において、土日の部活動、公式戦、これは公務とされているんですけれども、公務ではないんですか。(発言する者あり)いや、済みません、やめていただけますか、立憲の方、こうやってやじを入れるのは。何か都合の悪いことでもあるんですか。

 労基法違反ではないですか、労基法の労働時間ではないですかと聞いているんです。

津村委員 私の不勉強でございますが、通告外の大阪府の事例について、私はよく承知しておりません。申し訳ございません。

大石委員 先ほど、抽象的に言われても答えられないとおっしゃったので具体的に申し上げたんですけれども、どっちみち答えられないというお答えだったかと思います。

 立憲の津村委員がおっしゃったんですよね、今回の質疑の中で。私たち政治家は理想を見詰めつつ現実に一歩ずつ近づくことというふうにおっしゃったんですよ。それが、ここにいる多くの皆さんの認識なんじゃないかなと思うんですよ。

 どこがですか。現実に一歩ずつ近づく。現実に一歩ずつ近づくって、現実を知っているんですか。過労死に……(発言する者あり)何をやじっているんですか。

 過労死認定の件数を考えても、今、教育現場が地獄でしょう。なのに、私の言っていることというのは理想ですか。私は、せめて労基法ぐらい守ってくださいということをずっと申し上げているんですけれども、これは理想で、五年かけても達成されないものなんですか。達成されなかったら、教育現場はどうなりますか。私は、そのことをずっと申し上げているんです。

 学校の先生の味方だと前回も皆さんがおっしゃっていたじゃないですか。味方ですか。私以外の皆さんが、この修正案を合意しているんですよね。でも、この修正案は、時間外在校等時間という労基法違反の、先生をただ働きにしている部分を固定化して、だから、先生方が一番困っていて、過労死につながっていて、子供たちの目の前で倒れて亡くなるということ、これを続けるということを皆さんがやろうとしているんですよ。

中村委員長 大石君、質問時間が過ぎております。

大石委員 そこは駄目だと言っている私が理想主義者ですか。せめて労基法を守ってください。

中村委員長 まとめてください。

大石委員 修正案はそうなっていない、固定化するものです。

 時間が来たので終わります。

中村委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 先ほども申し上げましたが、今回の給特法の改正案そして修正案、これは今、れいわ以外の全ての会派が賛成するという状況です。すなわち、自民党、公明党、立憲民主党、維新、国民民主党が賛成し、れいわのみが反対するというような異常な状況の中で行われるということで、これは私は反対しなければならない。反対の討論を行います。

 先ほども申し上げましたけれども、先ほどの質疑で立憲民主党の委員が、私たち政治家は理想を見詰めつつ現実に一歩近づくことなんだとおっしゃいました。これは、余りにも教育現場、これは教育現場だけではないかもしれません、国会の外の現場が地獄になっているということへの、そのギャップを表すものだと考えます。少なくとも、この給特法、そしてほかの法案においても、れいわ新選組は理想を掲げているわけではなくて、国会の外の窮状、今すぐ何とかしなければならない問題を、せめてこうするべきだと言っているだけです。

 給特法に関しては、何度も申し上げましたけれども、理想ではなくて、学校の先生をこれ以上殺さないために必要なものとして申し上げてきました、教員予算を国費で増やす。学校の先生を増やさなければいけません。これは財源にして、れいわが見積もれば、年間二兆から三兆円になります。これは、現在、不払い残業、公立学校の先生の不払い残業が年間一兆円ということが中央教育審議会の特別部会長も二〇一八年に言っていましたので、恐らくその一部、一兆円というのは本来必要な額の一部を成すものであろうと考えます。

 こういった教員予算を増やすということなしに出口はない、地獄の出口はないと考えております。そして、速やかに、先生の数を増やすまでの間、現実に行われている時間外手当を払う、労基法違反の解消ですね、これを行わなければなりません。

 このことは、立憲民主党が、修正案を出すと四月初旬にはおっしゃっていたので、私も修正案に乗りたいんだ、だから、まずこの不払い残業の解消、労基法違反を解消することが絶対であり、そういう修正案にしてほしい、一緒に考えたいと申し上げましたが、全く違うものになって大変残念です。

 そして、給特法の改正ですが、本来であれば廃止というのも一案あるでしょうけれども、やはり、国立大学附属学校で既に適用されている給与規則等で、教職調整額の差額部分の残業部分、これを支払えるような体系になっていますので、そのような法改正をすれば済んだものを、このような政府の労基法違反、給特法違反を塗り固めるような、固定化するような修正案になっているということは大変残念で許し難いものです。

 そして、このことをどう考えたらいいのかなというのが、やはり国会全体を見渡す必要があるなと思いました。

 本日、国交省でも似たようなことをやっているんですね。これはマンションの住民が被害者に当たるわけなんですけれども、欠陥住宅のマンションの住民が被害者なんですけれども、似たような構図になっているんですよ。弁護士が、結局は附則を加えて元々の原案の政府の悪い修正案、法改正を通してしまおうという流れに対して警鐘を鳴らしています。このように弁護士がおっしゃっているんですよ。

 大変難しい理論上の理論を含む問題ですが、まずは現実に被害や困難に直面している住人の救済を考えて、それをいかにして政策的に立法に反映するかを策定するのが国会の責務であると考えます。先生方には、是非改正案の問題性を御理解いただきたくお願いします。理論上の理屈を優先させ、国民はそれに合わせて生活実態を変えろというのは順序が逆です。まず立法事実があって、それを救うのが法律です。法は国民を守り、国民の健全な常識と秩序を維持するためにあると私は信じております。被害者は心身共に苦しんでおります。彼らに追い打ちをかけるような法令は容認できません。失礼ながら、与党も野党も、議員の先生方の間でこの問題についてしっかり議論が尽くされているとは思えません。性急に結論を出すことなく、もし議論が煮詰まっていないならば、せめて決議を延期し、更に十分な議論を尽くした上で結論を出していただきたくお願い申し上げます。

 これは、マンションの区分……

中村委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

大石委員 ええ、そうですね。

 マンションの区分所有者の被害者の救済の観点から立法府の在り方を弁護士さんが外から叫んでくださっているものですけれども、これを給特法に置き換えれば、被害者は誰なのか。学校の先生であり、生徒であり、保護者であり、ひいては国民全体です。国会の外の今起きている被害の救済のために立法府があるのですし、国があるのですし、今回、文科省で、この文科委員会で、ほど遠い結論が今下されようとしていることに私は警鐘を鳴らします。皆さん、そんなことでいいんですか。いいはずがないんですよ。

中村委員長 御協力お願いします。

大石委員 これは文科委員会だけではない、今、国会全体で行われようとしていることです。

 特に野党ですね。野党が、過半数であるにもかかわらず、このような附則で茶を濁す在り方。今まで、附帯決議で茶を濁していた。附帯決議は法的拘束力がない。でも、野党は、過半数割れをした、だったら、やったあ、附則という法的拘束力のあるものに今まで附帯決議で書いていたようなものを書き込めるではないか。そのようなことをゴールにして、問題は解決しません。

 理想論を言っているのではない。

中村委員長 御協力お願いします。御協力お願いします。

大石委員 分かりました、まとめますね。

 国民民主党も対決よりも解決と言っているじゃないですか。別に対決のためにやっているわけではありません。

中村委員長 御協力お願いします。

大石委員 対決のためにではなく、解決のためにこそ私たちは戦わなければならないんです。私は、戦います。

 終わります。

中村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、今枝宗一郎君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中村委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、今枝宗一郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。日野紗里亜君。

日野委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明に代えさせていただきます。

    公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 教育職員の時間外在校等時間を令和十一年度までに一箇月当たり平均三十時間程度に縮減するという本改正法附則第三条第一項に規定する目標を達成するため、地方公共団体の裁量にも留意しつつ、その実現に向けた工程表の策定を行うこと。

 二 教育職員の勤務条件の更なる改善のための措置について検討するため、本改正法附則第六条に規定する教育職員の勤務の状況を調査するに当たっては、これまで教育職員に対して行われた勤務実態調査にも留意し、その方法について十分に検討すること。また、教育職員の勤務条件の更なる改善のための措置を講ずるに当たっては、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法における教育職員の健康及び福祉の確保という理念と教育職員の勤務の状況との差を埋めることができるよう必要な措置を講ずること。

 三 教育委員会は、時間外在校等時間が上限時間を超える学校に対して、当該学校の業務や環境整備等の状況を十分に検証し、在校等時間の長時間化を防ぐための取組に万全を期すこと。

 四 時間外在校等時間を形式的に上限の範囲内とするために、週休日・休日を含めて、実際の時間外在校等時間より短い時間を記録することのないよう周知徹底すること。また、校長等が虚偽の時間外在校等時間を記録させることがあった場合には、信用失墜行為として懲戒処分等の対象となり得ることについても周知すること。

 五 時間外在校等時間の上限時間を遵守することのみを目的として、自宅等への持ち帰り業務を増加させることがあってはならないことについて、周知徹底すること。また、本来、業務の持ち帰りは行わないことが原則であることから、持ち帰りが行われている実態がある場合には、校長及び教育委員会は、その状況を適切に把握するとともに、国はフォローアップを行うこと。

 六 学校における働き方改革の目的は、子供一人一人の特性や関心に応じた学びの実現であり、その目的のため、教育課程の編成の在り方について専門的な議論を深めるとともに、教職員定数の改善などの教育条件の整備も一体として同時に進めること。

 七 学校における働き方改革については、単に教育委員会や学校のみの責務とするのではなく、地方公共団体の関係部署が一体となって、取組を強力に推進すること。また、教育委員会は「教師不足」の解消を図るための対策に万全を期すこと。

 八 労働基準監督機関の権限を行使する人事委員会及び人事委員会を置かない場合の地方公共団体の長は、教育委員会が教育職員の業務量を適切に管理し、健康と福祉の確保を図るよう、その役割を十全に果たすこと。その際、社会保険労務士や法律家など外部の専門家の知見も活用し、教育職員が働き方について相談できる体制の構築に努めること。

 九 教育職員の過労死等の公務災害が疑われる事案が発生した際には、服務監督権者である教育委員会及び校長は速やかに調査を行い、再発防止に向けた取組を講ずること。

 十 国及び地方公共団体は、学校における働き方改革を円滑に推進できるよう、いわゆる「学校・教師が担う業務に係る三分類」に基づく取組が確実に実施されるよう、必要な財政措置等の条件整備を講ずること。また、国は、「教員が担うべきではない業務」を明確に示すとともに、教育委員会及び学校段階において、教育課程上の工夫を含めた業務改善の取組を整理・共有すること。さらに、こうした改革の趣旨について、国が主体的に保護者や地域に対して理解を促す広報や発信に取り組むこと。

 十一 主務教諭の配置による教諭の職務内容・職責の変化がないことを踏まえ、主務教諭の配置のために、教諭の給与を引き下げることのないよう、地方公共団体に周知徹底すること。また、主務教諭の配置によって、学校内外で円滑に協力・協働体制が構築できるよう、周知すること。併せて、主務教諭の配置が地方公共団体による任意設置となっていることから、その配置人数分の義務教育費国庫負担金を確実に措置すること。

 十二 義務教育等教員特別手当を校務類型に応じて支給するに当たっては、現在行われている一律支給部分について、その支給ができないとの誤解が生じないよう周知すること。併せて、学級担任に義務教育等教員特別手当の支給を加算することについて、複数担任制を採っている場合にも支給が可能であることを周知すること。

 十三 子ども・子育て支援制度の枠組みにおいて措置されている幼稚園教員の処遇改善に資する財政措置とその効果について、継続的にフォローアップを行うこと。

 十四 国は、教育職員の業務の縮減のため、教育職員の担当授業時数を軽減するための教育課程の実施と抜本的な教職員定数の改善に努めること。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教員業務支援員等の学校における専門スタッフの配置の一層の拡充及び処遇改善に努め、地方公共団体の財政力に起因した配置の格差が生ずることのないよう、必要な財政措置を講ずること。併せて、国及び地方公共団体は、部活動の地域展開等を確実に進めるための措置を講ずるとともに、全国規模の「学校人材バンク」の構築などを講ずること。

 十五 令和の日本型学校教育を担う専門職としての教育職員の専門性の向上・キャリア形成のため、研修や教員養成段階への支援に加え、授業実践が共有できるプラットフォームの形成と教育データベースを整備し、多様な子供への効果的な授業実践や支援とその成果を科学的に分析・共有する仕組みを構築すること。その際、現場の教育職員の負担とならないよう配慮すること。

 十六 教育職員のメンタルヘルスを良好なものとする前提として、学校における労働安全衛生管理体制の整備が不可欠であることを踏まえ、産業医や健康管理医等の選任等、教員の健康確保措置の環境整備に際し、地方公共団体間で格差が生ずることのないよう、国が必要な支援を行うこと。また、学校における勤務間インターバルの取組を進めるため、国は必要な支援を行うこと。

 十七 教育職員の安定的な確保及び質の向上のため、教育職員の免許制度及び養成・採用の在り方について検討を行い、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。また、教育職員の専門性・多様性の確保のため、教育職員の採用選考の実施時期及び回数等について、教育委員会による工夫改善の取組を促進すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。あべ文部科学大臣。

あべ国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

中村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十五分散会


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