衆議院

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第2号 令和8年4月10日(金曜日)

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令和八年四月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 工藤 彰三君

   理事 井原  巧君 理事 小林 史明君

   理事 新谷 正義君 理事 土田  慎君

   理事 中山 展宏君 理事 山岡 達丸君

   理事 東   徹君 理事 鈴木 義弘君

      石川 昭政君    伊藤信太郎君

      伊藤 達也君  こうらい啓一郎君

      小森 卓郎君    斉木 武志君

      鈴木 淳司君    世耕 弘成君

      園崎 弘道君    永田磨梨奈君

      古井 康介君    細野 豪志君

      松下 英樹君    丸川 珠代君

      水野よしひこ君    武藤 容治君

      山田 美樹君    山本 裕三君

      落合 貴之君    河野 義博君

      吉田 宣弘君    阿部  司君

      若狹 清史君    丹野みどり君

      石川  勝君    河合 道雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       赤澤 亮正君

   経済産業副大臣      山田 賢司君

   経済産業大臣政務官    小森 卓郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 茶谷 栄治君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       川上 敏寛君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       向井 康二君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        品川  武君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    井上 博雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河野 太志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           竹田  憲君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福本 拓也君

   政府参考人

   (経済産業省イノベーション・環境局長)      菊川 人吾君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            伊吹 英明君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江澤 正名君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            小林 大和君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    山本 和徳君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     石川 昭政君

  牧野 俊一君     石川  勝君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     山際大志郎君

  石川  勝君     牧野 俊一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

工藤委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官湯本啓市君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

工藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

工藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。土田慎君。

土田委員 おはようございます。自民党の土田慎でございます。

 今日は、経産委員会、本格的に始まって初めての質疑ということで、質問の機会をいただきまして、心から皆様に感謝を申し上げます。

 また、今日は赤澤大臣に答弁はお願いしておりませんけれども、引き続きよろしくお願いいたします。また、役所の皆さんもどうぞよろしくお願いいたします。

 今日は所信への質疑ということで、この間、赤澤大臣から所信をいただきましたけれども、私、今回の所信で、おっと思ったのは、経産分野の所信であったんですけれども、厚労分野、医療、介護についてもしっかり枠を取って触れられていたというのが大きく印象に残りました。それだけ、このイラン情勢に関係して、医療、介護の分野、人命の部分が非常に大事なんだというふうに認識をしているんだなというふうに改めて思いました。

 実際に、全ての委員の皆さんがそうだと思いますけれども、地元を回っていると、医療、介護分野で働いている皆さんから、例えば医療用の手袋が手に入らないであったりだとか、手には入るんだけれども価格が倍ぐらいになっちゃっている、けれども、これはないと仕事ができないし、まさに命に関わることなので何とかならないかというような、結構切実な要望もいただきます。

 まず、今日、ちょっとお伺いしたいのは、厚労省にではなくて、経産省の立場として、医療、介護分野の必需品の調達に対してどのようにコミットしていくのか、取り組んでいくのかということをお願いします。

赤澤国務大臣 おはようございます。

 何か、私に答弁させてくださらないという、新たないじめじゃないかということで、率先して手を挙げてですね。

 現在、石油化学各社がナフサの代替調達等に取り組んでいるところ、少なくとも化学品全体の国内需要の四か月分を確保しており、日本全体として必要となる量を確保できております。さらに、中東以外からのナフサ輸入量の増加により、川中製品の在庫使用期間を半年以上に延ばすことが可能です。

 他方、足下では、一部で供給の偏りや流通の目詰まりが生じているとの認識の下、私の下に設置したタスクフォースで関係省庁が連携をし、重要物資の供給状況の総点検を行っております。情報提供窓口も設け、サプライチェーンの情報を、医療、農業や物流を含め分野横断で集約し、きめ細かく対応しております。

 特に、国民の皆様の命に直結する医薬品、医療機器、医療物資等については、厚生労働大臣と経済産業大臣を本部長とする本部を立ち上げたのは委員御指摘のとおりでありまして、代替製品を世界全体から調達するとともに、石油製品の優先供給などを通じて医療関連物資の安定供給に取り組んでおります。

 これまでに、小児用カテーテルの滅菌用A重油とか病院向けの蒸気滅菌用A重油、医療用器具の滅菌に必要な酸化エチレンガスや医療現場向けの消毒液製造に用いるイソプロパノール原液といった物資について、不安の声が上がっておりましたが、供給事業者との調整の結果、当面の供給を確保できたという事例も積み上がってきております。

 引き続き、国民の皆様の命、そして暮らしを守るために、一つ一つ、一件一件丁寧に、供給の偏りや流通の目詰まりの解消に対応してまいりたいと思います。

土田委員 わざわざ大臣に御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 今大臣に御答弁いただいたとおり、やはり、経産省の立場としては、日本全体での供給量をしっかり確保していくんだということだというふうに思います。

 一方で、先ほど申し上げましたけれども、医療用手袋とか、そういう細かいものも非常に大事ですので、これも量だけじゃなくて価格の面でも、というのは、この医療、介護の分野は公的価格で決まっていますので、急に価格が上がったからといって価格転嫁できるものではないので、こういう側面でも、経産省にきめ細かい目配りをお願いしたいというふうに思っております。

 今は医療、介護の分野のお話をさせていただきましたけれども、いわゆる民生の産業の分野においても、出し惜しみであったりだとか、不当とは言わないですけれども、かなりの値上げが行われているというのが現実なところでございます。

 私がこの間聞いたのは、イランの戦争が始まってから一週間後ぐらいでしたけれども、早速、工事現場で使うペンキとか塗料の価格が一・八倍ぐらいに値上げされたと。多分この時点だと、恐らくもう製造されたのははるか前、イランの戦争が始まるはるか前であるはずにもかかわらず、物すごく卸値が、仕入れ値が上がったという話でございました。

 そういう観点に立つと、いわゆる産業分野で必要な物資に対して、出し惜しみ、不当というか極度な値上げに対して、これは経産省そして公取の立場でどういうふうにコミットできるのか、していくのかというところをお聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からお答え申し上げましたけれども、石油備蓄の放出や各国からの代替調達を通じて、原油や石油関連製品につきましては、日本全体として必要となる量は確保できております。

 他方、足下では、委員が今御指摘のとおり、一部で供給の偏りや流通の目詰まりが生じているとの認識の下、担当である赤澤大臣の下に設置したタスクフォースで関係省庁が連携いたしまして、重要物資の供給状況を総点検をしております。情報提供窓口も設けまして、サプライチェーンの情報を分野横断で集約し、融通支援をきめ細かく実施しております。

 これに加えまして、影響を受ける中小企業、小規模事業者への支援といたしまして、全国一千か所の特別相談窓口を設置しております。また、日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付けにおける金利の引下げ、官民金融機関に対するきめ細かな資金繰り支援の徹底の配慮の要請、さらには、約千八百の業界団体及び各省庁、地方自治体に対する適切な価格転嫁への配慮要請も行っているところでございます。

 引き続き、国民の皆様の命、そして暮らしを守るため、重要物資の安定供給と事業者の資金繰り支援について全力を尽くしてまいります。

品川政府参考人 お答え申し上げます。

 独占禁止法では、複数の事業者が相互に連絡を取り合って価格をつり上げるというような行為につきましては、いわゆるカルテルでございますけれども、不当な取引制限ということで禁止をしてございます。

 しかしながら、各事業者が、現在の需給の状況でありますとか、将来の需給の見通しみたいなものを踏まえまして、各々の経営判断で販売価格を設定をしているという場合、結果として市場価格が上昇をしたといたしましても、それ自体を独占禁止法上問題とするというのはできないということだと考えてございます。

土田委員 ありがとうございます。

 今、品川さんがおっしゃっていただいたのは、まさにそのとおりなんだというふうに思っています。

 ただ、今こういう状況において、やはりメッセージとして、しっかり物は確保しているんだ、ナフサも含めてしっかり資源を確保しているんだ、だから急に何か必要な資材が入ってこないということはない、その前提の上で、出し惜しみであったりだとか、不当な価格の、不当と言うとちょっと言葉遣いが難しいですが、極度な価格のつり上げなんかはしないようにというのを、やはり経産省ないし公取もセットになって、戦略的にメッセージとして発信していくことは非常に大事だというふうに思いますので、どうかそこの部分を丁寧にお願いしたいというふうに思います。

 次に、激変緩和措置、いわゆるガソリン補助金についてお伺いしたいというふうに思います。

 ガソリン補助金、多分あれは三月の十九日とかから始まって、ガソリンについては百七十円を超えたものに関しては十分の十しっかり補助をしますというもので、ガソリン以外の燃料油についても同様にしっかり措置しますという制度ですけれども、私、今日お伺いしたいのは、出口戦略についてです。

 そもそも、イランの情勢が起きる前から、ガソリンの価格というのは五年前とか十年前に比べると高くなっていた。国民の皆さんとしては、ガソリン補助金、できる限りずっと続けてもらいたいという思いはあるはずなんですけれども、財源の制約がある中で、当然、御承知のとおり、永遠に続けられるわけでもない。

 また、おとといだったと思いますけれども、イランと米国の二週間の停戦が成立しましたけれども、二週間後にどうなるか分からないというのもありますし、仮に停戦がある程度恒久的に成り立ったとしても、停戦が成り立って戦争が終わるということと、多分、ホルムズ海峡が安心して通過できる、通航できるというのは、またこれは別の話だというふうに思いますし、また、ホルムズ海峡をある程度、原油を積んだタンカーが通航できるようになったとしても、エネルギー市場における価格の安定というのはまた別の話なんだというふうに思っております。

 三月の十一日に高市総理は、この激変緩和措置に関するぶら下がり会見で、総理に就任される前までの一年間の平均は百七十八円でしたというような話をされました。その後に、暫定税率の廃止なんかもして、価格は下がりましたけれども、何を申し上げたいかというと、百七十八円を今後ずっと下回らない可能性もあるわけですよ、この暫定税率を抜いても、それでやっても。しかも、この百七十八円というのは、高市総理、おっしゃいましたけれども、定額補助も盛り込んでの多分百七十八円なんだというふうに思いますので、これを手放しにほっておくとというか、市場の原理に任せておいたら、小売価格が百七十円を下回らない可能性が大いにある。

 それだけではなくて、今、エネ庁さんが中心となって、調達先の多様化というのもしていただいております。今まで、多くがペルシャ湾、ホルムズ海峡を通ってきたものを、例えばアラビア半島の西側のアデン湾を通したとしても、調達にプラス五日かかる。米国の東海岸の方から持ってきたとしても、多分プラス一か月ぐらい輸送にかかって、南米から持ってきたとしても、十日から二十日、ホルムズ海峡を通るよりもかかるということは、輸送に時間がかかるということはコストが余計かかるということで、小売価格に多分転嫁されるわけなんですね。

 そういう中で、百七十円を下回らない可能性もある中で、どういうふうに出口戦略を設計していくのかというお考えをお聞かせください。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のとおりでございますけれども、三月十九日から激変緩和措置を開始をいたしまして、ガソリンについて、小売価格を全国平均で百七十円程度となるよう補助を行っているところでございます。現在の全国の平均小売価格は、三週連続で値下がりをしてございまして、百七十円程度の水準を維持をしてございます。

 それから、原油価格の高騰が継続する場合におきましても切れ目なく安定的な支援を行うために、令和七年度予備費を活用いたしまして、激変緩和基金に七千九百四十八億円を積み増しをしまして、元々の基金残高と合わせて一兆円超の規模を確保しているところでございます。

 今後ということでございますけれども、中東情勢の先行きは、原油価格の動向も含めまして、いまだに予断を許さない状況であるというふうに認識をしてございます。今後について予断を持ってお答えすることは困難でございますけれども、私どもといたしましては、引き続き、原油価格の動向、それから中東情勢が経済に与える影響、こういったものを注視をしながら、必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。

土田委員 ありがとうございました。

 事業者としては、石油製品以外の価格も全てが上がっている中で、このガソリン補助金をずっと続けてもらいたいという思いは皆さんお持ちなんでしょうけれども、多分それができない側面も、さっきの財政の制約の側面でありますと。

 やはり、今御答弁いただいたのは、中東情勢を鑑みてこれから考えていきますというような話で、そのとおりだというふうに思うんですけれども、一方で、事業者がしっかり事業計画を立てられるために予見可能性を与えてあげるということは非常に大事だというふうに思いますので、当然、総理がぶら下がりでそういう発言もされたので、役所としてはそういう答弁にとどまるんだというふうに思いますが、しっかり頭の中での体操というのはしておいていただきたいというふうに思っていますが、これは質問通告を出していないですけれども、その体操の話、何かコメントがあったらお願いします。

和久田政府参考人 お答えを申し上げます。

 燃料価格の激変緩和事業につきましては、先ほど答弁申し上げたとおりでございますけれども、これはやはり都道府県によってガソリン価格も異なりますし、やはり地域の実情に応じてこれからの対応を考えていく必要があるかなというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、原油価格も含めまして、今後相当不透明な状況が続きますので、よくそういった状況を注視しながら、委員の御指摘を踏まえて、よく対応を考えてまいりたいと考えてございます。

土田委員 ありがとうございました。

 次は、ちょっとこれは仮定の話になっちゃうので、なかなか答弁しづらいような質問になってくるんですが、今回のエネルギー市場の不安定化、エネルギーの価格高騰を受けて、与野党問わずいろいろな方が、一部の方ですけれども、いわゆる補助金であったりだとか金融支援を事業者に対してすべきでないかというような、特に小規模事業者に対して、という声もあります。

 この間、実は、我が党の中小企業政策調査会の中で有識者ヒアリングというのを行いました。その中で識者の方がおっしゃっていたのは、小規模事業者の基本法ができてから、ある意味日本は中小規模事業者に対する最も手厚い国になったんだという話をされていて、実は中小規模事業者が成長するために一番必要なのは、いわゆる我々が講じる施策じゃなくて、経営において当たり前のことをしっかりやることなんだということでした。これは例えば何かというと、しっかり帳簿をつけるとか価格転嫁の交渉をするとか、こういうような話でした。

 これはちょっと答えづらいとは思うんですが、仮に、今後、この不安定なエネルギー情勢が長引いたときに、補助金だ金融支援だという話が出てくる可能性もあるというふうに思いますが、私は、安易に出せばいいというものではなくて、今申し上げたような経営に対する取組、価格転嫁の交渉とかというのも審査基準にしっかり入れて、その上で必要なところにはお金を張っていく、補助をしていくということが大事だというふうに思いますが、ここはどうですか。コメントをお願いします。

赤澤国務大臣 問題意識を共有をいたします。

 御指摘のコロナ禍での事業者向け給付金は、政府が人流抑制等の要請を行うことで経済活動に制約を課し、地域、業種を超えて広範に需要が蒸発しちゃうというような極めて特異な事態であったために、使途に制限のない現金を給付するという、本当に臨時異例の支援策として実施をしたものです。

 また、実質無利子無担保の融資、これは私はコロナ副大臣として関わっていたんですが、いわゆるゼロゼロ融資についても、こうした特異な事態における臨時異例の支援策として実施したものです。コロナ禍という危機的な状況下で、事業者の皆様の資金繰りを支援するという役割を果たしたと認識をする一方で、借入れが過大になるとか、あるいは金融機関側からの経営支援に対する動機が弱くなるといった負の側面も指摘をされているところであります。

 コロナ禍を経て、経産省としては、現状維持ではなく、変化に挑む企業や人が報われる、そういう形に軸足を移して、筋肉質な強い中小企業への行動変容を促してまいりたいと考えているところです。

 そんな中で、今般の中東情勢が中小企業に与える影響は注視をしており、全国約一千か所の特別相談窓口の設置に加えて、日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付けの金利引下げなどを措置しているところです。引き続き、状況に応じて必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えています。

土田委員 ありがとうございました。

 仮定の話になってしまって大変恐縮でございましたが、今後どうなっていくか分からない中で、いずれにせよ、企業の成長につながる、ゆえに従業員の方の賃上げにつながるような制度設計、何をやるにしてもお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと質問の順番を変えて、中小企業のMアンドAの話をさせていただきます。

 実は、私は、初当選させていただいて、初めて質問をさせていただいたのが中小企業のMアンドA市場の適正化の質問でございました。それからかなり、中企庁の皆さんのおかげで、MアンドA市場の適正化というのが進んできたというふうに思っております。その取組としては、当然、MアンドAガイドラインの改定であったりだとか、支援機関登録制度をつくっていただいたりと、いろいろありました。

 ただ、皆さん努力していただいているんですけれども、その中にあっても、MアンドA市場におけるコンプラ違反というのは起きています。目に見えて大きなニュースになっているもの以外にも、細かいコンプラ違反というのは結構起きています。昨年には支援登録機関から除外される事業者も出てきましたけれども、不祥事が、ある意味、市場を成熟させている側面もあるというふうに思います。

 そんな中で、現状の中小企業のMアンドA市場における課題認識というのを、いろいろ具体的なコンプラ事例違反なんかも踏まえて、再度お聞かせいただきたいというふうに思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、中小企業庁、経済産業省では、様々なMアンドA市場の改革に向けての取組を進めてきておりますけれども、まだまだ御指摘のような課題があるものと存じます。

 そのため、これらの課題等の解決に向けまして、昨年の八月に、中小企業庁におきまして、今後具体化に向けた検討をする施策を含む中小MアンドA市場改革プランを取りまとめ、公表したところでございます。

 特に、MアンドA支援に携わる支援者個人の知識や倫理観の高さがMアンドAの成否に大きく影響することを踏まえまして、当該プランにおきましては、MアンドA支援者個人の知識、倫理観を担保するための資格制度の創設を盛り込んでいるところでございます。

 本資格制度につきましては、検討会等を開催し、有識者の御意見等もいただきながら、創設に向けた具体化を進めているところでありまして、本資格制度を含めた各施策を通じ、中小企業、小規模事業者が安心してMアンドAを実施できるよう、環境整備に引き続き取り組んでまいる所存でございます。

土田委員 ありがとうございました。

 この資格制度、私は本当にしっかり進めていただきたいなというふうに思います。というのは、やはり今まで支援登録機関制度という、会社を、ある意味、法律ではないかもしれないですけれども、世間の目にさらしてコンプラを守ってもらうというのはあったものの、現場を実際見てみると、会社ではある程度規律を持ってやっているんだけれども、営業マンの個人のインセンティブが高過ぎるがゆえにコンプラ違反というのが起きていた。その個人に資格を取ってもらうことで、しっかりと、ある意味、倫理規程遵守宣言みたいなものだというふうに思いますが、これをすることによって、売手、買手、MアンドAに関わる当事者の民間の方々もしっかりと安心できるという、この制度をしっかり進めていただきたいというふうに思います。

 やはり、中小企業のMアンドA市場がなぜ大事かというと、いろいろ理由はあるんですけれども、一つには後継者不足、後継者がいない会社をしっかりと、会社が持っている価値を別の会社に引き継ぐというだけではなくて、労働力の集約であったりだとか生産性向上、そして、今、中企庁が中心になって百億円企業を、地域、稼ぎ頭をしっかりつくっていこうという取組を進めていただいていますけれども、これは何をやるにしてもやはり市場の信頼がないと進まない、MアンドAをしようという気持ちにならないものですから、非常にMアンドA市場の適正化というのは大事です。

 ただ一方で、やはりMアンドA市場の難しさというのは、大企業がMアンドAをするときにやるFA型、要は、売手と買手両方にアドバイザーがついて、がちがち両者で交渉して価格決定もしていくというものと、御承知のとおり、中小企業における仲介型、要は両手取りですよね。

 この仲介型の場合は、情報の非対称性が非常に強い。要は、普通、会社を売る人というのは、自分の会社が幾らで売れるのかというのを日頃から価値評価をしているわけではないので、幾らで売れるのか適正価格が分からない。一方で、買い慣れている会社からすると、幾らぐらいでこの会社を買えばいいのかというのを分かっているというのもあるし、また、仲介事業者からすると、基本的に売手は、会社を売るのは一生に一回ですよね。だけれども、買手は永続的にお客さんになってくれる可能性があるので、どっちの方を見やすいんですかというと、人間ですから、買ってくれる方を見てしまうという、仲介には構造的なコンプラ違反が起きやすいものがあるんだというふうに思っています。

 先ほどから繰り返し申し上げていますが、中小企業におけるMアンドAというのは大事だからこそ、そしてコンプラ違反が起きやすい構図があるからこそ、将来的には何かしらの業法で縛って、違反した個人ないしは会社にしっかりと罰金なりを科していくということも大事なんだというふうに思いますが、ちょっとそこのコメントをいただきたい。当然、恐らく、いただくコメントとしては、資格制度を進めていって、その成り行き次第でという話になるとは思いますが、この業法の話も是非コメントを下さい。

赤澤国務大臣 不適切な買手の排除に向けた取組や、MアンドA支援機関登録制度からの取消し等の取組は、大変重要なものであると認識をしています。その上で、業界の規律確保に一定の効果を上げているとの認識です。

 まずは、資格制度を始めとした中小MアンドA市場改革プランに盛り込んだ施策の実現を通じて、中小MアンドAの支援に携わる個人、機関双方での適正な規律浸透を図り、市場環境整備を行ってまいりたいと思っています。

 その上で、委員もそういうことで受け止めていただいているのはありがたいんですが、御指摘の刑事罰については現時点では検討しておりませんが、引き続き、市場の動向を注視しつつ、支援機関の信頼性向上に向けた登録制度の見直しなども含め、実効性のある政策を講じてまいりたいと思っております。

土田委員 大臣、ありがとうございました。

 引き続き、MアンドA市場の適正化については取り組んでいきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと価格転嫁の話をしっかりやるつもりだったんですが、時間がなくなってしまったので、公取の皆さんにお伺いさせていただきます。

 ちょっと細かい説明も省いちゃいますが、いわゆる独禁法における特殊指定の話、この一月から取適法が始まって、カバーできない守備範囲をしっかり独禁法における特殊指定でカバーしていく、特に物流業界においてはという話になっていますが、ここについて、どうぞよろしくお願いします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 本年一月から施行されました取適法では、新たに特定運送委託というものが追加されまして、発荷主と運送事業者の取引が対象となっております。

 一方で、着荷主が運送事業者に対しまして、ここは契約関係がないわけでございますが、荷待ちとか荷役等を要請するというものがありまして、これは取適法の対象外となっておるところでございます。

 これに対してどのような対応をするのかということにつきまして、中小企業庁と公取で開催しております企業取引研究会、これは昨年の七月からやっておりますが、そこで検討したところでございます。

 その結果といたしまして、独禁法の不公正な取引方法につきまして、公正取引委員会が指定をします物流特殊指定というものがございまして、そちらを改正をしようということで、着荷主規制につきまして所要の改正をするという方向が示されたことでございます。

 それに対しまして、現在、改正案につきましてパブコメに付しておりまして、来週ではございますが、四月十四日に公聴会を開催いたしまして、広く一般の意見を聞くこととしておるところでございます。

 公取としては、まずパブコメ、公聴会で提出された意見も踏まえまして、最終版公表に向けた作業を進めてまいりたいと考えてございます。

土田委員 ありがとうございました。

 私は、この特殊指定をしっかり今後も活用していくべきだというふうに思っています。

 独禁法、特殊指定じゃなくてただの独禁法でいくと、時間はかかるけれども罰則も重い。けれども、特殊指定だと、罰則は軽くなっちゃうかもしれないけれども時間はかからないというふうになっています。

 今、この日本で、多分、物流業界以外にも不公正な商体系は幾らでもあるというふうに思いますけれども、これはしっかりとフットワーク軽く、不公正な取引を取り締まっていくことは大事だというふうに思いますので、引き続き取組を進めていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

工藤委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、いわゆるイラン情勢に伴う石油あるいは石油製品に関して質疑をさせていただくということで質問通告をさせていただいております。

 その中で、昨日と、そして今日、先ほどニュースとして報道されていますが、高市総理が新たに石油の追加放出ということ、このことをまず大臣にお伺いしたいと思いますが、国家備蓄を新たに二十日程度放出するということを報道もされていますし、総理も発表されたということでございます。

 その上で、大臣にお伺いしたいんですけれども、この備蓄を出していくということは、矢継ぎ早にいろいろな措置を行っていくということで前向きにも捉えられるところなんですが、他方で、国家備蓄は百四十九日が最初のスタートだったと思います。先月放出すると言ったのが三十日分、今回二十日分。この一か月ちょっとでおよそ三分の一以上が放出をされるということになります。このことについて、非常に、受ける印象の、見方によっては、やはりもう既に三分の一も国家備蓄を出してしまったのかということに捉えられるような懸念も感じるところでございます。新たに二十日国家備蓄を放出するというこの方針の意味するところというか、そこでどういう考えを持って今この措置を今回発表されたのか、ちょっと冒頭、このことをお伺いできますでしょうか。

赤澤国務大臣 大事な問題点について発信をする機会をいただいて、大変ありがたいと思います。

 今政府が考えていること、一番最優先は、国全体として、原油それから石油製品、必要な量を確保するということです。現時点においてできておりますし、その確保を全力で続けていくということになります。

 その中で、考え方としては、代替調達ですね、要は、ホルムズ海峡を通過しないで調達できる燃料の調達に全力を挙げる。四月の時点では、例えばUAEやサウジから調達できるものは例年ベースの二割強ぐらいだったんですけれども、これは総理がもう会見でおっしゃっていますが、五月については、その過半、五割を超えて六割前後確保できるということになったと。

 考え方としては、必要な全体量を確保するということでありますので、代替調達が済んだ部分を必要量から除いて放出すべき備蓄の量を決めていくということになります。なので、私どもからの説明とすれば、前回の放出は民間備蓄十五、国三十を合わせて四十五であったものが、代替調達が順調に進んだ結果、今回は民間はゼロ、国は二十日分を放出すれば足るようになったということであります。

 なので、メッセージとしては、代替調達が順調に進んでおります。今後とも必要な全体量は確保してまいります。その結果、年を越えるところまで確保の見通しが既に立っております。その上で、今日委員の御質問があると思いますが、供給の偏り、流通の目詰まりが生じておりますので、ありとあらゆるところから寄せられる御連絡とか私どもが手を伸ばして調べる、その結果出てきた偏りや目詰まりを一つ一つ必ず解消していくということをやってまいりたいと思っております。

山岡委員 今御答弁いただきました。全体量の確保はできているんだ、放出するのは、四十五日放出だったのが二十日放出になったのだから、その部分はむしろ減ったのだということでございますが、他方で、まだ二十日分を出さなきゃいけない、穴が空いているのだという受け止め方もできるということにもなろうかということも感じました。

 今、今回の質問に関わるんですけれども、やはり全体量が足りていながら様々な事象が起きていることは大臣も御存じだと思いますし、各委員の皆様も御存じだと思うんですけれども、この意味するところのメッセージの発され方が、捉え方によってはやはり事態の様々なまた悪化を招くということを危惧するところであります。

 ですので、是非、今回、放出をするわけでありますけれども、その発信の在り方というのはまたよく御検討いただきながら、不安をあおらないような形で対応していただきたい、このことをまずお願いをさせていただきたいと思います。

 その上で、私、三月に予算委員会も立たせていただいて、三月十一日、その日の夜にまさに放出の発表をされた日でありますが、私はその日、質問をさせていただきましたが、当時、国家備蓄、民間備蓄の放出の議論もその場でさせていただきました。

 私は、そのとき、強い懸念として申し上げたのは、備蓄はいわゆる国民の皆様の税金を使ってされている、そういうイメージがある中で、もちろん国家備蓄はまさにそうなんですが、その中で、ただ、この備蓄が放出された後の、結局その行き先は民間事業者に任されているので、あまねく各地に届かない、要は、民間企業の判断でここに出す出さない、様々なことが起こるのではないかということを申し上げたときに、そのような事態はないようにするということを大臣にははっきり答弁をいただいたというところであります。

 その後、有言実行ということで、翌日の三月十二日には、石油元売、輸入事業者に対して、国家備蓄の放出等の国内における石油の安定供給の活用についてエネ庁から要請をきちんとしていただく。十四日には、燃料の油や石油製品の供給の様々な相談窓口、いわゆる現場で手に入らないとか、そういうことがないかということを、ニュースリリースとともに相談窓口をつくっていただいて、それも対応していただいて。十九日には、新たに石油元売の、輸入事業者に対して直接、自社の系列か系列外かを問わず、これは新規の取引先も含めて供給を行うようと要請をしていただいております。これは本当に迅速な対応だと思いますし、このことに敬意とそして感謝を申し上げさせていただくところであります。

 しかし、今日も質疑の中でも出ていますけれども、現場ではやはり、話を聞くと、現実には、ガソリンスタンドのことでいえば、元売の直系ではない、プライベートブランドとも言われていますけれども、独立系のガソリンスタンドは、国家備蓄等の放出によって全体量はある、しかも、価格は、この後の質問にもつながりますが、それなりに安い水準で出されているものが、標準的な価格よりも相当高値で仕入れざるを得ない状況が続いている、赤字を背負いながら販売しているという切実な声を複数いただいているところでございます。

 ガソリンの業界は、商慣習としておおむね二週間以内の市場相場を基準にした価格で販売するというのが、事実上の取決めのようなものがあるということで、高値で仕入れても、価格転嫁をしてそれを出して回収する、もちろん、そうしたら、消費者の方に選ばれるかどうかは別にして、それはなかなか難しい、むしろ選ばれなくなるでしょうから難しい。ある程度、二週間の市場の中で価格が商慣習として決められてしまっている。仕入れが高い分、赤字を背負うという、この状況が生まれているわけであります。

 これはエネ庁にもまず伺いたいと思いますが、こうした取組があったとしても、現場でこのような状況が起こっているということでありますが、まず現状をどのように把握されているか、解説いただけますか。

和久田政府参考人 お答えを申し上げます。

 系列、非系列についてのお問合せ、御質問だったというふうに認識をしてございます。

 まず、元売系列のガソリンスタンドでございますけれども、これは元売との長期購入契約に基づきまして価格が決まります。それに対しまして、いわゆる独立系、系列外のガソリンスタンドにつきましては、流通段階で複数の卸売事業者がいる場合もございますし、原油価格の動向、それから購入量、運搬費用といった要素に応じまして、個別の相対交渉で価格が決まるものと承知をしてございます。

 一般的には、通常時には、系列外のガソリンスタンドの調達は元売系列よりも安いことが多いというふうに言われてございます。特に、一部の非系列のガソリンスタンドにおきましては、今流通の目詰まりや供給の偏りが発生しているという現状におきましては、一概にどちらが安いか論じることは困難というふうに考えてございます。

山岡委員 商社を経由して、具体的に言えば、一リットル二十円、三十円高い価格で入る。通常時であれば、自由取引の中でやっているわけであって、安いときも高いときもあるということでありますが、ただ、現状、有事で、国家備蓄が放出されている状況であります。感覚的に言えば、国家備蓄の活用というのは、どの消費者もあまねくだと思いますが、どのガソリンスタンドもあまねくその国家備蓄の価格をもって享受して、そのことで販売できるというのが自然な受け止めだというふうに思うところであります。

 赤字を出してまでやるのであれば休業すればよいじゃないかというような論点もあるんですが、全国展開しているような独立系のスタンドでは本当に休業しているところもありますが、しかし、地域に根づいている皆様というのは、取引先もある、常連のお客さんとか様々いる中で、やはり、特に個人事業主ですね、社長の労務費を削ってでも経営を続けざるを得ないという状況です。

 地方のガソリンスタンドというのは、自由なビジネスをやるということの論点以外に、大臣もどちらかといえば大都市の選出ではございませんけれども、むしろその地域の生活必需品であるガソリンの供給を守っていただいている、そういう支えとして、これをどう維持していくかということもいろいろな議論があるわけでありますが、今回の騒動の後、やはりガソリンスタンドを地域で日頃やっている方々が経営困難になるような事態というのは私は避けなければならないんじゃないかと、有事であるということも含めて思うわけであります。

 大臣に伺いたいんですけれども、全体量はあるということであれば、もちろん必要な量をまた欲しいときに手に入れるというのが通常のことでありますが、適正な価格でそれが届くということが妥当な在り方なのではないかということを思うわけであります。国家備蓄も放出して、そうした状況の中で、一部に非常に高騰した価格で手に入れざるを得ないという状況、これもいわゆる総じた対策の中で是正すべきことだということを思うところでありますが、大臣のお考えをいただけますでしょうか。

赤澤国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。問題意識を共有をいたします。

 委員の御地元が北海道で、私の地元は鳥取でありますので、本当に、自動車を使うということになりますし、当然ながらどこで給油するかもみんな決めてやっていると思いますし、地域のスタンドの重要さというのは委員と同じだけの認識を私は持っているつもりでございます。

 その上で申し上げますが、原油や石油製品については、備蓄の放出や代替調達により、これは繰り返させていただきますが、日本全体として必要な量は確保できている。特に、ただ、一部で流通の目詰まりや供給の偏りが発生している。

 こうした状況も踏まえ、ふだんの燃料販売店から必要量が確保できていないという声があったので、まずそれに対処するため、昨日、四月の九日になりますが、文書で二方面、一つは石油元売事業者に対して、系列事業者かどうかにかかわらず、前年同月比同量を基本として販売するよう要請をした、それとともに、独立系ガソリンスタンドに燃料を卸している大手卸売事業者に対しても、顧客である燃料販売店や需要家に対して、可能な限り前年同月比同量を基本として販売することを要請しました。これで、価格はともかく、まず量は何とかなるだろうと。

 その上でですけれども、やはり将来不安があると多めに確保しようとかいろいろな動きが出てきますので、その結果価格が動いてしまうことがあると認識をしておりまして、こうした流通の目詰まりや供給の偏り、あるいは需要側の不安心理とか、いろいろなことで価格は上がりますけれども、私どもから、全体量は確保されている、目詰まりは解消していくというメッセージを出し続け、実際に行動することで、市場の供給量が確保されることで、委員御指摘の独立系のガソリンスタンドの取引価格が格差ができちゃっている問題についても、しっかり低下していくことを現時点において期待をしています。

 引き続き、状況を注視しつつ、石油製品の安定供給に向けてきめ細かく対応していきたいと思います。

 ガソリンの価格自体も下げるということを申し上げ、全国で百七十円、期待をするといってきちっと下げてきていますので、何とか御期待に沿えるようにやってまいりたいと思います。

山岡委員 大臣から御答弁いただきまして、前年同月同量を出すようにと具体的な指示も出していただいたということであります。なので、同量はきっと理解して出していただけるんだろう。でも、その量の価格づけは、系列の基本的なところは、最初にも申し上げましたが、商慣習でおおむね二週間の市場価格で決めているという中で妥当な範囲に収まりますが、商社はこのときに自由価格を決められるということに対して、商社への理解を求めるということが必要なんだろうということを思います。

 この点、大臣から、理解を求めるということについて、一言御答弁いただけませんか。

赤澤国務大臣 原油それから石油製品の供給については、本当に全国津々浦々ということなので、なかなか我々が行動を起こしてからも時間がかかるところなのでありますが、委員の問題意識は当然受け止めますし、私も同じ問題意識を持っております。しっかり供給の目詰まりが解消されれば独立系のスタンドの取引価格も低下していくことを期待しておりますので、状況をちゃんと注視しながら、必要な対応を行っていきたいというふうに思います。

山岡委員 期待を持って対応していただくということでございますので、その中で大臣に様々な取組を私も期待をさせていただきたいという思いでございます。

 その上で、ナフサのことについて、少し同じような課題として伺いたいと思います。

 ナフサ、これも非常に足りていないということが今言われていますが、政府としては全体量は足りているという状況であります。ナフサは、先ほど申し上げたガソリンのような商慣習としての価格というのを抑えるというものがありませんから、その価格も非常に高い値で売買もされていますし、むしろ届いていないという状況も多数聞こえてくるわけであります。

 とある塗装屋さんのお話でありますけれども、その方は、この状況があと十日続いたら仕事ができなくなるんじゃないかということを強く懸念しています。四月一日に頼んだ塗料も、通常なら翌日に届くけれども、まだ届いていない、そもそも価格も五〇%値上げになっていてと。そうした商慣習もないと際限なく値上げもするし、届くはずのものも届かない。問屋さんとか事業者にある在庫で何とかもたせているという中で、仕事はこれから夏にかけて様々ある中で、材料がないから仕事ができない。恐らく大型連休になると本当に業界全体が大変なことになるんじゃないかということを私も切実な声として聞かされました。新たに作っても二か月はかかるんじゃないかとか、そういうお話もございます。

 これは、お言葉としては、正直コロナのときよりもひどいということを私は直接言われました。コロナのときはまだみんなが注目してくれていろいろな措置があったけれども、今回、業界としても注目もなかなかされにくいし、これはちょっとうがった見方なんですけれども、医療製品が非常に特出しして報道される中で、我々のものよりも医療製品の方に優先されるんじゃないかという疑心暗鬼です。これは疑心暗鬼なんですが、そういう情緒の不安も生んでいるということを感じました。

 小規模事業者だけじゃなくて、比較的規模の大きい企業でも手に入っていないということも、これは中小企業の集まる労働組合のJAMさんというところからお話も多数いただいて、まさに雇用への影響とか賃上げへの影響も懸念をしているところでございます。これは非常に深刻だということは是非改めて考え方を共有したいと思うんですけれども、価格も含めてナフサのこの状況、これは相当我々が想像しているよりも早く地域の経済に強い打撃を与えてしまうんじゃないかということを思うところであります。

 大臣、この件も早急な是正をやはりしていただきたい。全体量はあるんですと言っても、現場でこういうことが起こっているということを受け止めて、大臣として御見解をいただけますか。

赤澤国務大臣 ナフサは、これもちょっと繰り返させていただきますが、国全体として必要となる量を確保できている一方で、一部で供給の偏りや流通段階での目詰まりが発生しております。担当大臣の私の下に設置したタスクフォースで関係省庁が連携し、重要物資の供給状況を総点検するとともに、関係省庁に設置された情報提供窓口を通じて、中小企業を含めた需要家の調達状況や価格動向等のサプライチェーンの情報を集約した上で、きめ細かく対応していこうとしております。

 委員がおっしゃったことがまさにポイントでして、我々は全体量を確保できているから目詰まりや偏りだけ解消できれば需要家皆様に届くはずですということを申し上げているんですけれども、そこがやはり信用していただけないと、先ほどのように、全体量が足りなければきっと医療優先で自分たちには来ないんだというような、更に不安が強まってパニックに至りかねないということがあるので、とにかく全体量はあるんだということはメッセージをちゃんと出しながら、そして、シンナーの原料であるナフサの市場価格と同様に、今、石油関連製品の価格は上昇傾向にありますので、中小企業を含む日本経済全体への影響を今注視している状況です。

 先ほども申し上げたように、コロナは、もうこれは、外出はやめてくださいとか、需要がいきなり蒸発するような状況の下での本当に異例の事態でありますので、まだそれと並ぶような状況が生じているとは認識していないわけでありますけれども、注視をしている状況ということになります。

 石油製品価格も含めて、中東情勢の影響を受ける中小企業、小規模事業者の皆様を支援するためにこれまでやったことは、特別相談窓口の設置、それから、セーフティーネット貸付けですかね、金利を引き下げるといったような資金繰り支援の拡充とか、原材料やエネルギーコストの上昇を配慮した価格転嫁の要請などの支援措置ということになります。

 引き続き、委員と問題意識は共有しますので、経済の状況を注視しながら、国民の皆様の命と暮らしを守るべく、きめ細かく対応してまいりたいと思います。

山岡委員 コロナのときは社会全体でございました。社会全体で様々な問題が起こる中で、経産省も省を挙げて対応していただいたということを思います。今回、その業界は、必ずしも社会全体ということじゃなくて特定の業界になっているかもしれませんが、しかし、その中にいる人が本当に当時よりひどいと言っていることについては、私もすごく衝撃的な表現でございました。その思いも大臣にもお伝えしながら、是非危機感を持って、引き続き私も質疑をさせていただきたいと思いますが、その状況に取り組んでいただきたいということを強く求めるところでございます。

 国家備蓄のことについて伺いたいと思います。

 国民感情として、今本当に危機的な状況で業界も厳しい、そうした中で、この国家備蓄の価格をめぐる問題が後々いろいろな問題につながらないように、私は、そのことを、思いを持って大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 三月二十六日に石油の国家備蓄の放出を決めたわけでありますけれども、これは国家備蓄のルールというのが元々定められていて、いわゆる一か月前の平均価格で売り渡すということが、ずっとこれは以前から定められている備蓄のルールで決まっているわけであります。他方で、商慣習として、繰り返しになりますが、ガソリンの価格は直近二週間の、おおむね二週間の市場価格の平均的なところを反映する形で販売をするということで、価格が事実上決まって出しています。

 そうすると、今どういう現象が起きているかというと、国家備蓄の石油を手に入れる価格は二月水準の価格、つまりイラン情勢が起きる前の価格で買い受けて、そして販売価格は三月の水準ですから、イラン情勢が起こった後の価格で販売している。そうすると、この制度上の結果として、私もエネ庁に確認しましたが、二月の平均価格は一バレル六十五ドル程度ということで、今日皆様に原油先物価格の推移ということでペーパーもお配りさせていただいていますが、この一番端っこの二月はちょうど六十五ドル程度のときの価格だ、でも、そこからグラフはぐっと上がって、百ドル、あるいはもっともっと上がっていくような水準にもなっていくわけでありますけれども、この差額だけを見ても、非常にこれは利益が出ているというのが一面の事実でございます。

 これはエネ庁に事実関係として確認したいのでありますけれども、まずここの部分について御解説いただけますでしょうか。

和久田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、今般の国家備蓄放出における契約価格でございますけれども、法令で、取引の実例価格等を考慮して適正に定めなければならないとされているところでございます。それを踏まえまして、産油国が公表している公式販売価格に基づいて、適正な価格で譲渡をしてございます。

 その上で、石油製品の価格につきましては、これも委員御指摘のとおりでございますけれども、必ずしも調達価格によって決まるものではございませんで、週ごとの国際原油価格の変動に基づいて決められていると承知をしてございます。このため、平時から、国際原油価格が上昇する局面においては一時的に収益が出る一方で、価格が下落する局面においては一時的に損失が生じることになります。

 これは国際的にも共通の価格決定の仕組みとして行われておりまして、元売が何か不当に利益を得ているということは考えてございません。

山岡委員 端的にお答えいただきたいんですけれども、元売が不当に利益を得ているという聞き方はしておりません。ただ、この一時的な状況の中で利益が出ていますねということを確認したいと思います。御答弁いただけますか。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げましたが、原油価格が上昇する局面においては、これは一時的に収益が出るということでございます。(山岡委員「今の局面を聞いています」と呼ぶ)今の局面は、原油価格が高騰している局面だというふうに認識をしてございます。

山岡委員 一言で言えば、今のお話を総合すれば、利益は相当出ています。一面的な面ですね。

 これは、国家備蓄が、危機的な状況で国民の皆様の税金でためられたものが出されていることをもって、有事だという中で、結果として大手の元売が莫大な利益を上げていたということが明らかになっていくとしたら、これは単純に見たら国民の理解を私は得られないということを思うところであります。

 他方で、別の角度からエネ庁にもお伺いしたいと思うんですけれども、今、政府の事実上の要請で、先ほど、代替調達も進んでいます、ホルムズ以外のルートもやっていますということでございました。これは当然、正規ルートで確保するのが一番安い価格というか、適正な価格で手に入るわけであります。

 フジャイラ港、ヤンブー港、様々、代替ルートというのが言われているわけでありますが、安全航行が約束されていない中で、結局、外国の事業者が持ってくるところを後から買うというような、日本が直接入っていないという状況もある中で、当然、一般的に言われている価格よりも高い価格でこれは購入しているということになるわけでありますが、事実上政府が元売等に求めている代替調達等のコスト増はどなたが負担しているんでしょうか。お答えください。

和久田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、政府といたしましては、日本全体として必要となる量を確保するということでございまして、代替調達を進めることが極めて重要だと考えてございます。こうした観点から、政府としても資源国への働きかけを行うなど、官民連携して代替調達に取り組んでございます。

 一方、原油の調達を行う主体は民間事業者でございまして、調達に要するコストは当該事業者が石油製品の販売等を通じて回収するものでございますので、政府としてお答えする立場にはないと考えてございます。

 なお、卸価格でございますけれども、これは、補助金制度の趣旨等を踏まえまして、民間事業者が決定したというふうに承知をしてございます。

山岡委員 売出しの価格は、ガソリンの場合は、もう何度も繰り返しになっていますが、この二週間の市場値、平均的な市場平均で決まる。それはちゃんと正規に調達したルートで卸値というのを出しているわけであります。

 その中で、代替調達は、政府はこれは胸を張って進んでいます、進んでいますと言っていますが、そのコストは結局のところ元売の皆様がしょってやっている。では、なぜそれができるのかといえば、やはり国家備蓄による差益、利益、この部分が余力があるから、とにかく今は無我夢中で、いろいろなところからとにかく手に入れろ、コストをかけてでも手に入れろということをやっているというところが実態だというふうに私は仄聞をしております。

 これは、事態が有事だから会計がもうそういう状況になっていますが、国家備蓄で手に入った分の利益は、やはりきちんと、これは不当な利益を得るという状況に見られるような形になってはいけないし、他方で、代替調達をもって民間が事実上の政府の要請に応えてコストをしょっている部分についても、私はこれは放置してはいけない問題だと思います。そうじゃないと、民間事業者は、非常に頑張っていろいろ調達しているにもかかわらず、結果的に後々、国家備蓄で大きな利益を上げてどういうことになっているんじゃないかということも含めて、非常に偏った情報に基づいてこれは世間でバッシングを受ける可能性があると思っております。

 今のうちにこの部分はきちんと経産省、エネ庁としても整理をして、今後、この国家備蓄の放出と代替調達のコストの部分で、誰も不当な利益も得ていないし、だからといって誰も不当な損もしていない、この状況をきちんとつくっていくように、今から有事の状況であってもこれを整えていくべきだと思います。大臣、是非御答弁いただきたいと思います。

赤澤国務大臣 委員の問題意識はよく理解をいたします。

 その上で、この話が非常に難しいのは、調達価格と販売価格で、販売価格は当然私企業が自分の経営判断として決めていくということです。

 これは委員も御案内と思いますけれども、どこまで上がるかとか、その後いつどこまで下がるかとかさっぱり分からない中で、一応商慣習として認められているのは、調達価格とは関係なしに一、二週間前の価格で決めていくと。そうすると、当然ながら、上がるときにはもうけが出る。そういうことですね。上がるときには、安い価格で仕入れているけれども、すぐに高く値段をつけられるので。今度、下がるときは、高い頃に買ったやつがまだ残っているのに、高く売りたいのに、もう原油価格は下がっているじゃないかと世の中からの批判を猛烈に受けるので下げざるを得ないという。

 プラスマイナスで、全体としては不公平とは呼べないよねということでみんな理解をしてやっているところがあって、そのことは今委員御指摘の部分にもどうしても出てくるところなんですね。

 なので、なかなか公平かどうかという議論は最後まで私は決着しないと思うので、今までの考え方でやっていこうと思っているのは、民間事業者の会計の管理の在り方について、原則として個々の事業者が決めることなので、まず政府として申し上げる立場にはないということと、その上で、元売各社には、緊急的激変緩和措置の開始に当たり、卸価格について、補助金制度の趣旨を踏まえた適切な対応を取るように伝えたところであり、こうした点も踏まえ、元売各社には我が国のエネルギーの安定供給を担う事業者として需要家を始めステークホルダーに対する説明責任も果たしてもらいたいということで、政府としても、民間事業者が適切な説明をするかどうかを注視していきたいというのが現時点の立場でございます。

山岡委員 もう時間が来たので私の言いっ放しになりますが、通常時の価格の上下によるもうけあるいは損、それはあると思いますが、今回は国家備蓄を入れているわけであります。それは政府の判断で、任意でそのタイミングで入れているわけであります。そのタイミングが非常に大きな利益を得るというタイミングであり、そのことは、これは後々に問題になる可能性があるということを強く懸念して申し上げます。

 経産省、エネ庁も非常に取り組んでいただいていることに敬意を表しますが、いろいろ有事に走って後に別のことでたたかれるというケースを私も何度も見てまいりましたので、今のうちから正すべきは正していただきたいということを強く申し上げさせていただいて、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

工藤委員長 次に、河野義博君。

河野(義)委員 中道改革連合の河野義博です。どうぞよろしくお願いします。

 非常に複雑で、また難易度の高いこの局面で経済環境も激変していく、外交情勢も日々刻々と変わっていく中で、赤澤大臣が時宜を得た御判断をなされ、また力強く政策を進めていただいていること、心より敬意を表しますし、お支えいただいております二役、三役そして政府関係者にも心より敬意を表して質問に入らせていただきたいと思います。

 所信質疑でございますので、私は大きなテーマで、どうやって実感が持てる経済成長を国民に浸透させていくか、そういう観点で大臣の胸をおかりして質問させていただきたいと思います。

 企業収益は最高益です。税収も過去最高。一方で、私は九州選出ですが、地元に戻ると、その効果というのは残念ながら行き届いていないというのが実感だと思います。国民生活をより豊かにしていく、そういう観点がより求められているんだろうと私は考えています。

 私は、二〇〇二年に大学を卒業しまして、サラリーマンを十一年やりました。バブル経済はとうに終わった後でございまして、いわば、私はもうデフレしか知らない青春時代、デフレっ子でありました。十一年間のサラリーマン人生でベースアップというのは一度もありませんでした。ベースアップと定期昇給を勘違いしていた時代といいますか、そういう言葉すらなかった時代でありました。

 ようやく、長期のデフレ局面を経て、今物価と賃金が動き始めている大きな転換期にあると思っています。直近の春闘では賃上げ率五%、三十年ぶりの高水準となりまして、名目賃金の伸びが物価上昇率を上回る局面も見られるなど、いい変化の兆しが表れていますが、これを一過性にとどめるのか、持続的成長へとつなげていくのか、まさに正念場だと思っています。

 その上で、長期のデフレの要因をまずどのように政府として評価されておられるでしょうか。名目GDPは、九〇年代後半の約五百兆円から、今でも六百兆円前後にとどまっています。百兆円も増えているじゃないかという説もありますけれども、アメリカでは九〇年代半ばから直近にかけてGDPは三倍に増えています。イギリスも三倍、ドイツ、フランスでも二倍に拡大している中で、残念ながら低成長、ほぼ横ばいと言わざるを得ない。国際的に見て成長力を欠いてきたことは明らかであります。実質賃金指数も長期的には低下傾向にありまして、購買力の低下も続いています。

 需要の不足に加えまして、企業は現預金を二十年余りで倍増して、今では三百兆円を上回る水準で企業がため込んでいる。内部留保が悪いという方がいらっしゃいますが、内部留保が悪いわけじゃなくて、内部留保は企業の結果ですから、成果ですから、内部留保で投資をしないことが悪いわけで、内部留保を賃金で吐き出したり投資をしないことが悪いわけであって、内部留保そのものが悪いわけじゃないと私は思いますが、現預金が三百兆円にも積み上がっていること、投資に回っていない、賃金が抑制的である、そしてさらには人口減少による期待成長率の低下、こういったことが指摘をされています。

 私は、第二次安倍政権以降、経済をよくしていくためにはこの道しかなかったと思いますけれども、金融経済が余りにも優先されて、実体経済が置き去りにしてこられたんじゃないかという印象を持っています。企業が投資をしない、そして、利益を配当に回していく短期的な視座に立った企業経営からこういった状況になってしまったのではないかなと私は分析しておりますが、政府としてどのように総括をされておられますでしょうか。

赤澤国務大臣 政府として総括ということになると、実は、私の前職であります経済再生担当大臣が総括すべき所管だと思うので、政府の見解というより、私がこう思うということでお許しをいただきたいと思います。

 ある意味では所管外のことになるんですけれども、一九九〇年代のバブル崩壊以降の長期化したデフレの背景は、私自身は、企業が投資をしてリターンを拡大するという成長を志向するのではなく、まさに委員御指摘のとおりです、足下の利益の確保のためにコストカットを選び、さらに、その上に、雇用を維持する代わりに賃金を低く抑えてくる、あるいは伸ばさないという決断を、政治も企業も、国全体としてしてきたということが消費の停滞を招き、結果として長引く物価の低迷を招いたものと認識しています。

 誰も首にならないためにワークシェアリングしようという、一言で言うと。それをやってきた結果、賃金が上がらずデフレに陥っていくことはもう当然だったということだと私は理解をしています。

河野(義)委員 一人の給料を百万円上げるのと、百人の給料を一万円上げるのと、数字で見れば一緒なんですけれども、はるかに後者の方が難しい、そういったことをしやすくする仕組みというのをしっかりつくっていかなければいけないなというふうに思っています。

 第二次安倍政権以降の経済評価について、アベノミクス、スガノミクス、キシダノミクス、イシバノミクス、そしてサナエノミクスと、読むだけでも大変でありまして、やや斬新性には事欠いているわけでありますけれども、第二次安倍政権以来、大胆な金融緩和、金利を下げて財政出動させる、私はこの道しかなかったと思うし、これが成果を上げてきたということは非常に評価されるべきだと思います。

 円安、株高、日経平均株価は、二〇一二年一万円台でしたけれども、五万円台です。企業収益も過去最高。実質賃金は、一方で、長期にわたって伸び悩んで、実体経済への波及には課題が残りました。コロナ対策を含めた財政出動は累計で百兆円規模に達していますけれども、潜在成長率はゼロ%台後半、残念ながらそういう状況にあります。

 この第二次安倍政権以降の経済政策がどのように成長力の強化に寄与したのか、評価を伺いたいと思います。

山田副大臣 お答え申し上げます。

 まず、いわゆるアベノミクスの期間におきましては、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という経済政策の三本の矢が掲げられたところであり、新型コロナウイルス感染症の流行前までの期間で申し上げましたら、まず、名目GDPは二〇一二年十―十二月期五百二・四兆円から二〇一九年十―十二月期五百六十四・五兆円と増加、就業者は二〇一二年六千二百八十万人から二〇一九年六千七百五十万人と増加、有効求人倍率は二〇一二年十二月〇・八三倍から二〇一九年十二月一・五六倍と増加、企業の経常利益は二〇一二年度四十八・五兆円から二〇一八年度八十三・九兆円と増加し、当時の過去最高額を更新するなど、政策の効果が発現したものと認識しております。

 他方で、新型コロナウイルス感染症の影響で雇用状況が悪化したこと、あるいは、いわゆる第三の矢としての民間投資を促す成長戦略の成果について様々な御意見があること等も含めまして、政策の評価を考えていく必要があるものと認識しております。

 その上で、第二次安倍政権以降の各政権においても、それぞれの経済政策の成果もあり、足下では、民間企業設備投資額が二〇二五年度に百二十四・六兆円と過去最高値を更新する見込みであり、賃金についても近年の春季労使交渉の賃上げ率が高い水準を維持するなど、日本経済は着実に成長軌道に乗りつつあるものと認識しております。

河野(義)委員 二〇一〇年、一一年、一二年、ロンドンで仕事をさせていただいていました。当時、ロンドンのピカデリーサーカス、渋谷のスクランブル交差点みたいなところだと思いますが、当時は一番いいところの電光の広告塔がパナソニックとトヨタだったんですね。これが二〇一一年ぐらいだったと思いますけれども、サムスンとLGに替わるんですね。ショックでした。株価は八千円台、ドル・円も百円を割る、ユーロも百円ぐらいでした。その中で、太平洋に浮かぶササ舟のように日本が見えていた状況。そこからすれば、やはり金融緩和と財政出動で一定の成果を上げてきた。じゃ、今これからというところであると私は思っています。

 金利環境は、今変わっております。ゼロ金利だったからこそ、財政出動の効果というのが、それを享受できたんだと私は思っています。仮に金利水準が三%になれば、国債残高が一千百兆円ですから、三十兆円。あっという間に消費税収が吹っ飛んでしまうような財政、債務残高であります。もはや、低金利を前提とした従来型の財政運営を続けていくというのは果たして正しいんだろうか、立ち止まって考えるべきだと私は思っています。

 少子高齢化、人口減少、エネルギーの制約、産業競争力強化、構造的な課題を踏まえれば、必要な分野への投資まで萎縮させるべきではありません。緊縮を求めるものでもありませんが、今転換期にあって、このままでいいのかというのはしっかり考えていかなければならないと思います。成長力の強化へつながる分野へ重点的に投資する、責任ある積極財政という意味だろうと私は捉えていますけれども、金利上昇局面を見据えて、どのような考えの下で経済産業政策を再設計していくのか、大臣の御所見を伺います。

赤澤国務大臣 経済産業大臣として、繰り返しになりますが、財政政策について直接コメントする立場にはありませんが、お尋ねでありますので。

 これは委員と問題意識を共有いたします。

 金利上昇局面に入りましたので、いわゆる金利、rと、それから成長率のgでいえば、gの方が大きくないと財政の持続可能性が失われていくということは当然念頭に置いて、高市総理の御発言としては、成長のボタンを押して押して押して、そのために閣僚は働いて働いて働いてということなのでありますが、しっかりやっていかなきゃいけないと思っています。

 高市内閣では、責任ある積極財政の考え方の下で、戦略的な財政出動を通じて雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、デフレマインドと言っていいと思いますけれども改善をし、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう強い経済の構築を目指しております。とにかく、gを高めるということを全力でやっていくということになります。

 経済産業省としては、高市内閣の成長戦略の肝である危機管理投資、成長投資の重要な戦略分野であるAI・半導体、量子などを中心に、大胆な設備投資や研究開発の促進などを通じて官民の積極的な投資を引き出し、強い経済の実現に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

河野(義)委員 低金利で財政出動を行ってきたにもかかわらず、我が国の対GDP比の設備投資というのは一五%程度、アメリカは二〇%程度、大きな開きがあるわけであります。先ほども申し上げたとおり、企業収益が増大、一方で現預金は三百兆円、投資よりも資金の滞留が優先されてきた側面がここに見られるんだと私は思います。

 本来、投資こそが、生産性向上と賃上げを通じて経済成長を牽引する原動力でもあります。にもかかわらず、投資が十分に拡大していない、低金利にもかかわらず投資しない。金融政策のみでは実現しなかったということを私は表しているんだと思います。

 これはいろいろな理由がありますが、やはり企業経営者が短期的な収益をより優先せざるを得ないような環境というのが一つあるんじゃないかなというふうに思っていますが、投資停滞の理由を伺います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、低金利であったにもかかわらず企業による投資が伸びてこなかった背景といたしましては、一部繰り返しになると思いますが、やはり、長らく続いたデフレの中で、企業が足下の短期的な利益の確保のためにまずはコストカットに注力をして、その成長の源泉となる投資を抑制してきたということが挙げられると考えてございます。

 具体的には、一九九〇年代のバブル崩壊以降の長期化したデフレ経済環境の下で、日本企業は時間をかけながら不良債権の処理を進め、また人口減少による将来悲観を背景として、企業の認識する我が国の期待成長率も低下をしていた。そういった中で、日本の企業は、やはりコストカット中心の企業経営を進め、思い切った国内投資を抑制してきたというふうに考えているところでございます。

 その上ででございますけれども、デフレを脱却していく経済環境の中で、企業の投資意欲をどう高めていくのか、経営資源を成長投資に活用できる事業環境整備を進めること、これが重要でございまして、今、高市内閣では、投資促進に徹底的なてこ入れをすべく、危機管理投資、成長投資を軸とする成長戦略を進めていく方針としていると認識しているところでございます。

河野(義)委員 投資よりも還元が優先されるという傾向がより顕著になっていると思うんですね。背景には、企業経営者が短期的なROE、株価を強く意識せざるを得ないアメリカ型の経営を押しつけられているというのは、私は非常に危惧をしているところであります。日本は、企業、従業員、取引先、長期的な関係の中で皆がよくなっていこう、現代流の三方よしだと私は思っているんですけれども、そうやって発展をしてきた。その基盤が近年揺らいでいます。

 日本はエコシステムが確立されていないと言われることに私は非常に違和感を持っていて、日本型の企業のエコシステムというのは、我々農耕民族的に、畑を耕して、種をまいて、水をやって、大事に育てて収穫をする、翌年に少し蓄えておいてどんどんどんどん広げていく、少しずつ少しずつ経営を広げていく、台風が来ても備えを置いておきながら広げてきた。そういう日本型のエコシステムは既に確立しているんだけれども、急にアメリカ型のエコシステムが来て、まあ、欧米と言っていいかもしれませんけれども、彼らは最初に投資する、最初に大きく投資してリターンを早く回収する、回収し終わったら倍で売れればそれでいい、そういうエコシステムのように私は理解しておりますけれども。

 やはり、考え方が根本的に違う中で、中途半端な成長の果実を根こそぎ持っていかれているような気が私はしています。ある日突然、市場で、マーケットで株を買ってきて、おまえらキャッシュがあるから配当しろ、不動産を売れと言われてすかすかになって、あとは売却をさせられて、誰のために企業があるんだということすら私は揺らいでいるんじゃないかなという危惧を持っています。

 企業が短期的指標に過度に左右されることなく、中長期的な成長投資を行える環境整備が不可欠であります。設備投資、研究開発、人材投資に十分に循環していない現状をどのように認識しておられるか、その対応策としてどのようなことをお考えでしょうか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいたとおり、日本企業の業績、株価は改善傾向にあります。他方で、株主還元ですね、この十年で大幅に増えているという状況でありまして、他方で、企業の売上高に占める設備投資ですとか研究開発投資、それから人材に対する投資といった成長投資は、やはり欧米と比べてもなお低い水準にあるというふうに我々も認識しているところでございます。

 やはり、短期的な指標に左右されることなく、中長期的に企業価値を高めていく、これが大事だというふうに思っておりまして、このためには、単なる資本効率の改善というだけにとどまらず、例えば、事業ポートフォリオの不断の見直しですとか、御指摘があったような成長事業への戦略的な投資の拡大をやはり進めていくことが非常に重要になるというふうに考えてございます。

 経済産業省といたしましては、現在、金融庁において改定が進められているコーポレートガバナンス・コード、これと一体的に、現預金も含めた企業の資源配分戦略を成長志向型に変容させる、成長志向型のコーポレートガバナンスの実現に向けた検討を進めてございます。

 現在、審議会におきまして、成長投資の拡大に向けて企業と投資家が共有すべき事柄、こういったものについて御議論を頂戴しているところでございまして、そういったものを踏まえながら、例えば実務で使えるガイダンスのようなものも含めて、具体策の検討を進めてまいりたいと考えています。

 また、それに加えまして、やはり、企業の予見可能性を確保することで研究開発それから設備投資を促していくということ、これも大事な課題だと思ってございます。このため、令和八年度の税制改正におきまして、大胆な投資促進税制ですとか、研究開発税制の強化などを措置したところでございまして、今後、成長戦略の検討が進む中で、企業の成長投資を強力に促進するための施策をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。

河野(義)委員 産業競争力強化法のときに触れるので今回触れませんけれども、大企業に対して設備投資に対する税制優遇措置を今回盛り込みましたので、この点、一つ投資を促進する材料にはなり得ると思っています。

 ちょっと関連を、先ほどの中長期的な経営という観点からもう一問、大臣と論議させていただけたらと思いますが、政策保有株に関しましてです。

 これまでは政策保有株悪玉論がばっこしていまして、銀行もどんどんどんどん売ってきた。その一つの要因は、やはり時価評価させられるということであろうと思います。株価が下がってきますと、その分時価評価させられて銀行の体力も減っていく、だから売らされるという側面もあったんですけれども、単なる資本効率を阻害する存在として捉えられがちではありますが、本来は、安定株主の形成を通じて中期的な経営を可能とし、企業間の取引関係や情報共有、さらにはリスクシェアリングを支える制度的機能を担ってきたものだと私は思っています。

 一方で、近年、その縮減が進み、企業の資本構成は大きく変化しておりますが、重要なのは、その代替となる中長期的な資本供給の仕組みが十分に構築されているのかという点であります。

 持ち合い株式に対して長所、短所両方ありますので、いいですか悪いですかということを論議するつもりはないんですけれども、長期的投資を支える資本の在り方を私は再構築していくべきだというふうに思います。そのためのガバナンスコードも経済産業省としてしっかり考えていかなきゃいけないというふうに思いますが、大臣の御所見をお聞かせください。

赤澤国務大臣 政策保有株式については、委員御指摘のように、いい面も悪い面も指摘されていますし、安定株主を確保しやすい一方で、経営への規律が緩み、資本効率も低下するとの指摘もあります。一般的に言って、投資先企業の中長期的な成長につながるとはなかなか言い難いのかなという気もいたします。

 株主が経営者へ規律を及ぼし、緊張感ある経営を促すために、政策保有株式について、保有元企業が保有先企業の経営パフォーマンスをしっかり監督をするとともに、保有元企業の自社の資産を有効活用する観点から、政策保有の必要性を投資家にきちっと説明をしていくことも重要だと思います。

 その上で、政策保有株式に限らず、企業と投資家が中長期的な観点から企業価値向上についての共通認識を形成をし、建設的な対話を行っていくことが重要であると考えています。

 そのため、スチュワードシップ・コードを通じて企業と投資家の建設的な対話を促しているほか、産業革新投資機構の出資を通じてエンゲージメントファンドの育成にも取り組んでいるところであります。

 関係省庁とも連携し、企業の中長期的な企業価値向上に向けた環境整備に引き続き取り組んでまいりたいと思います。

河野(義)委員 私が一人で騒いでいたら嫌だなと思って論文を検索してみたんですけれども、直近の、二〇二六年三月、これは東北大学の論考ですが、短い論文ではありますけれども、持ち合い株式はコーポレートガバナンスの旧弊なのかという論文がありまして、その中で、短い論文ですので結論はそんなに長くないんですけれども、やはり研究開発をやっている会社、物づくりの会社、具体例は挙げませんけれども、A社、B社のように、研究開発プロジェクトのように、短期利益では測れない長期投資の環境整備としての持ち合い、戦略的事業提携の意義は、現代のステークホルダー志向のガバナンスとも親和性を持つ、そういった観点もあります。

 日本企業は、やはり研究開発でもってきた側面はあると思います。NTTなんて、毎年一兆円、設備投資をやっています。だけれども、それをやめて配当しろというのは簡単なんですけれども、じゃ、この一兆円をずっとやり続けるというのはやはりNTTの体力があるからできるわけで、そういったところを応援していかなければなりませんので。

 官民ファンドは、ちょっとこれはまた別の回に譲りたいと思いますが、官民ファンドは大変私は問題が多いと思っています。官民ファンドで支えるというのも一つの点だとは思いますけれども、長期的にどうやって企業経営をならしめるのかということはこれからも是非一緒に議論させていただきたいというふうに思います。

 時間の関係で最後になるかもしれませんが、脱炭素化社会の構築といった観点でお伺いをいたします。

 今こそ脱炭素であります。時間がかかりますが、今こそ再エネ政策をより力強く推進していくべきだと私は思っています。大変残念だったのは、総理大臣の所信の中で、毎回再エネのくだりはこれまで洋上風力とペロブスカイトというのがセットで、セット物として扱われてきたんですが、今回、残念ながら、ペロブスカイトと地熱発電になってしまいました。地熱の重要性を否定するものではありませんが、地熱発電をかき集めても原子力発電所三基分から四基分でしかありませんので、やはり、これまで政府は洋上風力発電を再エネ政策の切り札だと訴えてきたわけであります。

 また、様々批判がありますが、太陽光発電もFIT制度、FIP制度でしっかり支えることによって、今回FIP制度からも卒業して、自立した電源として太陽光発電所も、市場、マーケットに競争力のある電源として世の中に出ていく。最初はしっかりと補助をしながら、だんだん補助率を下げていって、今は競争環境にさらされた太陽光発電という環境もできてきた。やはりこれは政策の下支えが必要だと思います。洋上風力発電も、最初はヨーロッパでは非常に手厚く買い支えてきた。その中で、どんどんどんどん減らしていって、今は普通の火力発電所よりも風力発電所の方が安いというような状況もできている中で、今こそ私は再エネだというふうに思っています。

 また、エネルギー自給率は直近、原子力発電所の再稼働が進んだ二〇二四年にあっても自給率一六・四%、極めて低い水準、化石燃料の輸入額は毎年二十兆円から三十兆円国富を流出させている、こういった現状を踏まえれば、エネルギー自給率の向上は経済成長と安全保障の双方に関わる国家的な課題であります。

 再生可能エネルギーを主軸としつつ、安定供給との両立をいかに図るのか、自給率をどのようにどこまで引き上げていくのか、明確な戦略を是非ともお示しいただきたいというふうに思います。我が国の成長と安全保障の双方に関わる課題であります。政府としてどのように戦略を描かれているでしょうか。

赤澤国務大臣 我が国は、すぐに使える資源に乏しく、国土を山と深い海に囲まれる地理的制約を抱え、化石燃料の大部分を輸入に頼るなど、エネルギー供給面で多くの課題を抱えております。

 政府としては、再生可能エネルギー、原子力など、エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することにより、エネルギー自給率の向上を図っていく方針に変わりはありません。

 このうち、委員御指摘の洋上風力については、何か所信で地熱に変わっていたという話もありましたけれども、第七次エネルギー基本計画において、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札としておりまして、この点にも一切変わりがありません。案件形成を着実に進めていきたいと思っています。

 エネルギーは国民生活や経済活動の基盤であり、引き続き、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合のいわゆるSプラススリーEのバランスを取りつつ、エネルギー安全保障の強化に向けた取組を進めてまいりたいと思います。

河野(義)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。ありがとうございました。

工藤委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。中道の吉田宣弘でございます。

 質問の機会をいただき、心から感謝を申し上げます。

 得難い質問の機会でございます、早速質問に入らせていただきます。

 日本の科学技術を世界に社会実装するためにとても重要なテーマが、私は国際標準化であるというふうに思っております。この点、まず質問させていただきたいと思います。

 総理は、昨年の総理就任時の所信表明演説、そして今国会における所信表明演説において、国際標準化に触れていただきました。赤澤大臣も先日の所信表明で触れていただきました。私はライフワークとしてこの国際標準化に取り組んでまいりましたので、非常にうれしく、感謝を申し上げたいと思います。

 日本は人口減少の時代に入っております。これは、内需による経済成長がこれまでのように期待できないことを意味しているんだろうと私は思っております。人口減少社会において高齢化に対応する国力を維持するための鍵が、私は日本の有している技術であろうというふうに思っております。

 しかし、日本の優れた技術もだんだん世界で実装されなくなってきたのがここ三十年間ではないかというふうに感じています。例えば、日本の携帯電話はよくガラパゴス化して、世界では実装されませんでした。また、日本のデータ保存、再生技術は世界最高峰でございましたけれども、今やストリーミング技術に取って代わられ、世界で社会実装をされているようには見えません。

 市場を取るということはコストやマーケティングなど様々な条件がありますけれども、日本において余り重視されてこなかったことがこの国際標準化の取組でなかったかというふうに感じております。優れた技術ならば放っておいても使われるであろうという期待は、もはや幻想になったと思い改めなければならないと思っております。

 国際社会は、研究開発の段階からその技術の社会実装を想定し、自国技術を国際規格としてルール化し、優位性を保つことを目的に国際標準化に取り組んでおります。まさに国策として取り組んでいるということでございます。国際標準化も厳しい国際競争の渦中にあります。日本が立ち遅れてはならないというふうに思います。

 そこで、まず、質問の皮切りとして、先日成立をした令和八年度予算において国際標準化がどのように取り扱われているかについて、経産省と内閣府、それぞれから答弁をいただきたく存じます。

菊川政府参考人 ただいま委員の方から御指摘がありましたとおり、日本に強みがある技術の社会実装、そして勝ち筋となる産業分野の育成に向けては、国際標準化は極めて重要な観点と認識をしております。

 今御質問ございました予算の関係でございますが、経済産業省といたしましては、令和八年度予算におきまして、国際標準やJIS規格、これの開発提案としての予算として三十四億円、そして、そのほか、人材育成のための研修、広報等の予算も合わせまして、合計で約五十億円を確保しております。

 これら予算措置によりまして、国際標準化をしっかりと進めてまいりたいと思います。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府では、国際標準化について、政府全体を総括する立場から、令和七年度補正予算それから令和八年度予算を合計いたしまして三十二・一億円を計上してございます。

 これを活用いたしまして、各省庁を通じて分野横断的な国際標準化活動を支援するとともに、また、国際標準化に係る官民司令塔の運営などを進めることとしてございます。

吉田(宣)委員 しっかりその予算の活用を効率的に行っていただきたいと思います。

 次に、国際標準化は、技術を規格化してオープンにして、品質の担保、そして技術の普及、もって国際貢献に役立つ重要な機能がございます。しかし、技術は厳しい国際競争にさらされていることも現実でありまして、そこで、日本の技術を特許化し、知的財産として保護する必要があるのは、これは言うまでもないことかというふうに思っております。

 ただ、特許化することは技術をオープンにすることですから、技術を普及させることには役立ちますが、これで市場が広がるというふうなことでもないのかというふうに思っております。市場を取れるかどうかは不明瞭です。

 そこで、技術を特許化せずにクローズにすること、あえてクローズにすることも、私は、戦略の中に非常に必要、技術の独占性を保つことに重要であるというふうに思っております。

 企業が、自社製品、サービスに含まれる技術について、オープン域、普及させたい技術と、クローズ領域、独占したい技術等を適切に使い分けることで、市場の獲得の最大化を目指すことへの理解、これを広げていくことが私は非常に大切だと思うんです。

 日本人というのは非常に性善説で生きておりますから、いい技術は、ちゃんと特許を取れば対価を払っていただいて、そして使っていただけるというふうに思っておりますけれども、もう今はそんなに甘い時代じゃないと思っているんですね。

 今私が申し上げたのは、私の拙いオープン・アンド・クローズ戦略でございますけれども、これをしっかり企業戦略の中に位置づけていただきたいなと思っております。

 今、私の理解は非常に拙く聞こえたかと思いますので、経済産業省から、オープン・クローズ戦略の概要とポイントについてお聞かせをいただければと思います。

菊川政府参考人 今委員の方から、オープン・クローズ戦略についての御所見がございました。適切に使い分けをしていくというお見立てもございました。こういう点も踏まえまして、今委員から御指摘のあった内容につきましては、御理解のとおりだというふうに認識をしております。

 一方で、国際的に確立された厳密な定義があるわけではございません。例えば、特許であれば、情報が公開されるという意味ではオープンですけれども、独占排他権を与えているという意味ではクローズというふうに使われる場合もございまして、様々な捉え方がございます。

 ただ、経済産業省といたしましては、オープン・クローズ戦略とは、規制対応、標準化活動、知財管理、ノウハウ秘匿など様々な要素を組み合わせて適切に使い分ける、こういうことで市場を創出する戦略というふうに整理をしておりまして、この点は、経済産業省の審議会レポートでありましたり、政府全体の知財本部の決定でもそういう整理をしているところと承知をしております。

吉田(宣)委員 今御説明いただきましたけれども、私、この戦略は非常に重要だというふうに思っておりますが、ただ、繰り返しですけれども、なかなかこの戦略も、企業様、また国民の皆様に理解が十分得られていないような受け止めをしております。政府におかれましては、この戦略への国民の皆様のコミットメントを図っていただければというふうに思います。

 そこで、経産省にお聞きいたしますけれども、このオープン・アンド・クローズ戦略の国民の皆様への理解醸成に向けて、どのように取り組んできて、これからどのように取り組んでいくおつもりなのか、説明をいただきたく存じます。

菊川政府参考人 今御指摘がございましたとおり、民間事業者のみならず、例えば弁理士様でありましたり研究者の皆様のような、事業戦略に関わる様々な方々が、オープン・クローズ戦略、こういうものを理解していただきまして、知財管理、そして標準化活動を適切に組み合わせ、事業戦略を立案、実行していくことが重要だというふうに思っております。

 経済産業省といたしましては、企業や大学、研究機関に対して、知財と標準を有効に組み合わせた事業戦略の策定をすること、それに対する御支援、そして、そこで得られた知見を情報発信していくということを考えてございます。また、進めてございます。

 引き続き、先ほど述べました令和八年度予算による人材育成等々も活用させていただきながら、これらの取組を進めることで、今委員から御指摘のあった理解醸成、そして国際標準の戦略的活用につなげてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 是非取組を進めていただき、企業様のみならず国民の皆様も、こういった戦略で今日本の企業は戦っているということ、企業の皆様を応援をしていただけるような、そういった雰囲気づくりも非常に大切なのかと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 そこで、赤澤大臣にお聞きをさせていただきますけれども、今までの議論をお聞きいただいた上で、この国際標準化の重要性と、政府としてどのように取組を進めていくのかについて、御所見をいただきたく存じます。

赤澤国務大臣 グローバル競争が激化する中で、国際標準化は、市場の創出、拡大を実現するために非常に重要なツールであります。委員と問題意識を完全に共有をいたします。

 現在、技術で勝ってビジネスでも勝つ、新技術立国の実現に向けて施策の検討を進めておりますが、その中で、戦略的な国際標準化による需要創出は重要なテーマとして議論をしているところでございます。

 具体的には、国際標準を日本企業に有利になるように策定をし、国内外市場の開拓、確保を後押しするため、勝ち筋を見据えた特定の分野について国主導の戦略的標準化を進めていきたいと思っています。

 まずは、量子、それから水素・アンモニア、バイオ物づくり、データ連携基盤、ペロブスカイト太陽電池という五つの分野をパイロット分野に定めて、国際標準戦略の策定を進めているところです。ここで得られた知見を一連の取組のフレームとして整理をし、ひな形として更に他の戦略分野にも展開をして、我が国の産業の勝ち筋を創出してまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 今大臣からも触れていただきましたけれども、私も、成長戦略の中で、十七分野ということでお聞きをしておりますけれども、その中で、全て大切ではあるのですけれども、今も御紹介いただきましたが、ペロブスカイト太陽光電池については、これは是非日本で市場を取っていただきたいというふうに思いを強くしております。これはそもそも日本の研究者が発明をした技術でございますから、これを他国の製品で市場を取られるというのは非常に私としては悔しいというか、そういうふうな気持ちになってしまうのです。

 そこで、このペロブスカイト太陽光発電についても国際標準に取り組んでいただきたいんですけれども、でも、ここはやはり競争になっているようです。激しい競争がこの標準化の世界で起きていることをお聞きをしておりますし、あえて国名を挙げると失礼にも当たるのかもしれませんけれども、あえて申し上げますと、やはり中国勢というのはかなり強力にこの国際標準に取り組んでいるというふうにお聞きをしております。彼らも必死だと思います。でも、やはりオリジナルの技術を是非とも日本で獲得していただきたいというふうな思いを強く大臣にもお願いをしたいと思っております。

 残念なことに、これまでの日本の太陽光発電の政策というのは、あちこちに太陽光のパネルがあります。私も田舎の出身ですから、地元に帰ると、大抵、太陽光のパネルをどこかで見かける、規模は別、大小様々ですけれども。でも、そのパネルのほとんどが中国製であるというふうにお聞きをしておりまして、とある識者の方のお話では、今回、日本のこれまでの太陽光政策というのは何か中国企業をもうけさせているだけではないかというふうな、厳しいお叱りというか御批判をいただくようなこともありました。次の世代の再生可能エネルギー、特にペロブスカイトについては、そういうことがないようにお願いをしたいと思います。

 そこで、日本のペロブスカイト太陽光発電は、国内企業でも厳しい競争を展開をしていると思っております。潰し合ったら元も子もないというふうに私は思っておりますし、これは官民一致団結をして、世界の社会に実装を実現するために、ペロブスカイト太陽光発電における国際標準化を是非とも力強く推進をしていただきたいと思っております。是非赤澤大臣にその旗振り役を担っていただきたいと思うのですけれども、受け止めをお聞かせいただければと思います。

赤澤国務大臣 先生が今お話しになった熱い思いも悔しい思いも共有をいたしておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 政府としては、過去のシリコン太陽電池の反省も踏まえ、国内外の市場を獲得すべく、世界に引けを取らない投資の規模とスピードで、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出に三位一体で取り組んでいくこととしております。

 このペロブスカイト太陽電池は、国内、海外共に製品の品質等を確認する試験条件等が確立していないために、今後の海外市場への展開を見据え、国際標準の策定を進めることが非常に有効でございます。

 経済産業省としては、二〇二四年三月より、産総研を中心に国際標準化に関する委員会、国際標準化等検討委員会を立ち上げ、世界に先駆けて性能評価に関する標準規格案の提案をしているところでございます。

 引き続き、官民一体となってこうした国際標準の策定を進めてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 是非、全力で応援しますので、よろしくお願いしたく存じます。

 国際標準の話はこれまででございますけれども、私の今回の質問の思いというのは、やはり日本がこれから人口を減らしていく、もうこれは徹底的に抵抗してまいりますけれども、それでも減っていく、そして、私もいずれやってまいりますけれども、現役世代の皆様にお世話いただくような時代が来る、すなわち、人口減少、高齢化、そういった時代にどのように備えるかというふうなことが私の思いの根底にあります。

 日本が内需というものだけで御飯を食べていければ、それはそれでいいのかもしれませんけれども、そういうわけにもなかなかいかない、それが高齢化だというふうに思います。であるならば、これから日本の先の将来というのは、いかに国の力をつけていく、高市総理もおっしゃっている経済力、強い日本、そういったものをいかに経済としてつくっていくのかに私は懸かっているのではないかなという思いから、日本がしっかり外からも稼いでいく力を持つために、今、国際標準の話をさせていただきました。技術で勝つしかない、そういうふうなことの思いをさせていただきました。

 今度は、マクロ経済政策の上で、このような厳しい人口構成の時代に備えるべく、今、経産省で取り組んでいる新機軸部会というふうな取組がございまして、この観点からお話を少しさせていただければというふうに思います。

 岸田政権からスタートした取組というものは、産業構造審議会の一部、新機軸部会ですね、一部でございまして、私が今申し上げた人口減少が続く日本においていかに国力を維持し増強していくのかという重要なテーマを、専門家の方々にも多く御参集をいただき、御意見をいただき、政策の中に昇華させていこうという部会でございます。

 岸田政権の後、石破政権、そして現在の高市政権でも継続しているのは、政府としてこの取組が非常に重要であるという認識が継続をしているということのあかしなのかなというふうに推察をいたします。私は、この取組を日本の未来をつくる重要な取組であるというふうに高く評価をしております。

 そして、この新機軸部会が令和四年の六月十三日に取りまとめた中間整理の冒頭、「検討の背景」というところの記載、これをちょっと少し読み上げさせていただきますが、一九九〇年代以降の日本の経済は、少子高齢化、人口減少という構造的な問題に加えて、成長投資の低迷により、潜在成長率が三%台から一%未満に低迷し、国際的にも低い状況が続いている、かつて世界一位であったIMD世界競争力ランキングも今では三十一位まで下落するなど国際競争力も低下し、失われた三十年という状況が継続しているというふうに書き始められております。

 厳しい認識の下、この新機軸部会がスタートをしたというふうに思っております。それから時は流れまして、今では第四次中間整理が行われ、間もなく第五次中間整理に向けて、まだ議論も継続をしているかと思っております。

 そこで、客観的なファクトだけまず確認させていただきますが、今、令和四年から四年間がたとうとしておりますけれども、先ほど申し上げた「検討の背景」にありました日本の潜在成長率とIMD世界競争力ランキング、これを説明するのを忘れておりました。ちょっと補足させてください。

 潜在成長率、これは、大体分かっている人はもうみんな分かっているんですけれども、国民の皆様への御説明を兼ねておりますので申し上げれば、国内の労働力や設備、技術、これを最大限に活用したときに実現する国内総生産、GDPの伸び率のことを言っております。それから、IMD世界競争力ランキング、これは、企業が持続的な価値創造を行う環境を各国がどの程度提供できているかということを測定する指標でございます。

 その上で、令和四年の六月十三日の中間整理では、潜在成長率は一%未満に低迷し、IMD世界競争力ランキングも三十一位ということでございますが、それでは、現在はどのようになっているのか、客観的なファクトだけお教えいただければと思います。

竹田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の潜在成長率でございますが、二〇二五年におきまして〇・四%であると承知してございます。

 IMDの方でございますけれども、スイスの国際経営開発研究所でございますけれども、そちらが公表しております世界競争力ランキングにおきまして、日本の総合順位でございますが、二〇二五年において三十五位であると承知してございます。

吉田(宣)委員 新機軸部会が厳しい背景の下、頑張り始めて、現時点で残念ながら、潜在成長率〇・四、当時は〇・七だったんですね、IMD世界競争力ランキングも三十一位から更に落ちている。実は、もうちょっと言うと、三十八位まで落ちたことがあるとお聞きをしておりますが、何とか近年三十五位までちょっと上がってきたというふうなこともお聞きをしております。

 何か、新機軸部会の議論の深化、完成を待っているんじゃないかというぐらい、この指標が今厳しいわけでございますけれども、私は、この決定的な要因が何にあるか。これは高市総理がこの特別国会の施政方針演説で述べられたとおりだと思っております。それは、資本投入量、すなわち国内投資が圧倒的に足りないからであろうというふうに私は思っております。そのとおりだろうと思います。

 ただ、岸田政権以降、国内投資が伸びていないのかといえば、そうではないというふうに承知をしておりまして、そのことを改めてファクトでお示しいただきたいのですけれども、新機軸部会が始まった二〇二一年から現在まで国内投資はどのようになっているのか、その推移と本年の見込みを教えていただければと思います。

竹田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の民間企業の設備投資額でございますが、内閣府の国民経済計算それから政府経済見通しによりますと、名目値ですけれども、二〇二一年度には百二・二兆円でありました。二〇二五年には百二十四・六兆円まで増大する見込みとなってございます。さらに、二〇二六年度には百三十・五兆円まで増大する見通しであると承知してございます。

吉田(宣)委員 着実に伸びてきているんです。

 これをいかに継続をしていくのかというのが、先ほどの潜在成長率の向上とIMD世界競争力ランキングの上昇に私はつながっていくという、粘り強くやっていかなければいけないんだと思います。タイムラグがやはり正直ありますものですから、そういったことも考えながら、とにかく、繰り返しですけれども、粘り強く進めていきたい。

 では、そこで、粘り強い国内投資を続けることが重要なことはもう今言いましたけれども、経産省として国内投資策をどのように講じようとしているのかについて、これまでの取組と今後の取組について教えていただければと思います。

竹田政府参考人 お答え申し上げます。

 民間では取り切れないリスクも存在する中で、積極的な国内投資を促すためには、投資の予見可能性を高めることが重要と考えてございます。そのため、重要な社会課題の解決を官民連携で目指す、大規模、長期、計画的な産業政策を展開しているところでございます。

 これまでも、例えば、GX分野におきまして、十年間で二十兆円規模の先行投資支援、それから、段階的なカーボンプライシングの導入などの制度的措置を一体で講じております。それから、二〇三〇年度までに十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを策定するなどしておりまして、社会課題解決分野におきます官民の積極的な投資を引き出す取組を進めてまいりました。

 さらに、国内の高付加価値な事業活動を後押しします大胆な投資促進税制を令和八年度税制改正において創設したところでございます。

 今後も、こうした考え方に基づきまして、高市内閣の成長戦略の肝でございます危機管理投資、成長投資を始めとする国内投資を力強く後押しするため、大胆な投資促進や国際展開支援、人材育成、国際標準化などの総合支援策を講じてまいります。

吉田(宣)委員 よろしくお願いします。新機軸部会の議論を是非政府の政策にこれからも生かし切っていただきたいと思います。

 その上で、この新機軸部会は、第五次中間整理を経て、これを高市総理肝煎りの日本成長戦略及び令和八年度骨太方針に反映していくんだろうと推察をしております。

 その後、新機軸部会はどのようになっていくのか。新機軸部会は二〇四〇年の未来を照らしているんですね。なので、まだ今後も継続されるべきだと私は考えておりますけれども、今後の新機軸部会について、赤澤大臣から答弁をいただければと思います。

赤澤国務大臣 これも委員と問題意識をもう完全に共有をいたします。

 御指摘のとおり、今後の、新機軸部会では、日本成長戦略における分野横断課題の一つである新技術立国・競争力強化の実現に向けて、産業競争力の強化や日本に強みのある技術の社会実装、AIトランスフォーメーションなど、勝ち筋となる産業分野の育成に向けた政策の方向性について議論をしております。ここでの議論を、今後、日本成長戦略や骨太方針につなげてまいります。

 その上で、新機軸部会は経済産業政策の大きな方向性を議論する場であり、今回で第五期目となっていることからもお分かりになるとおり、単年度の議論で終わるものではございません。

 今、地政学リスクの高まりを受けて、安全保障、経済安全保障を確保するために、産業政策がまさに求められている時代であります。この流れに対して腰を据えて取り組む必要がございます。したがって、今般の成長戦略、骨太方針の取りまとめ後も、日本経済の成長に向けた戦略の実現を目指して、継続的に、しかも精力的に議論してまいりたいと思っております。

吉田(宣)委員 大臣、ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 ちょっと少し質問の角度を変えさせていただきますけれども、この新機軸部会が政府方針の中で重要な役割を果たすことを私は確信しておりますが、同時に重要なことは、その恩恵を国民の皆様がしっかり享受することだと思っております。この享受の在り方を具体的に申し上げれば、高市総理が言うように、物価上昇に負けない賃金上昇だというふうに思っております。

 この点、さきの衆議院予算委員会において、我が党の岡本三成政調会長の質疑の中で、今世紀に入り四半世紀、日本の企業の経常利益は五倍になっている、株主への還元は八倍になっている、にもかかわらず、この二十五年間の投資は僅か三〇%増にすぎず、ここ二十年間の賃金は八%しか増えていないということが指摘をされました。非常にアンバランスであると言わざるを得ません。

 そこで、この新機軸部会においてこのアンバランス感な状況というのは議論をされたことがあるのかどうか、教えていただければと思います。

竹田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月にお示ししました新機軸部会第四次中間整理におきまして、過去三十年間の大企業の財務を分析しまして、経常利益や配当金は増加している一方、従業員報酬はそれらの増加分ほどは増えず、設備投資は微減していることを提示したところでございます。

 こうした問題意識に基づきまして、設備投資、研究開発投資、人材投資を始めとした企業の成長投資を拡大していく必要があるとの議論を行いまして、設備投資や研究開発を促進する税制などのインセンティブ施策の強化や、人的資本経営を通じた人事制度改革、人的資本投資の促進などの政策の方向性をお示ししてきたところでございます。

吉田(宣)委員 問題意識を共有していただいていることを非常に感謝を申し上げたく存じますけれども、やはり、今、この取組というのは、繰り返しですけれども、国民の皆様にどのように享受されるかということでございます。

 これは企業の存在意義にも関わることかもしれませんけれども、やはり人間のために存在していると思うんですよ、企業であっても、経済であっても。企業がもうかるだけであったら、株主がもうかるだけであったら、株主も人間でございますけれども、だけであったら、やはりこれは非常にアンバランスなんだ、ステークホルダー全体でいかに利益を享受していくかということが私は非常に重要だと思いますので、その観点から最後の質問に入らせていただきますけれども、私、このアンバランス感は是非とも改善をされなければいけないというふうに思っております。この改善について、赤澤大臣に、賃上げ上昇に向けた企業経営改革の機運、これをしっかり盛り上げるような活躍を是非お願いしたいんですけれども、赤澤大臣の受け止めをお聞かせいただければと思います。

赤澤国務大臣 物価高を乗り越えて強い経済を実現するためには、物価上昇を上回る賃上げを実現することが不可欠でございます。今後、本格的な労働供給制約が到来することも踏まえると、企業の成長を牽引する、賃上げを含めた質の高い戦略的な人的資本投資を促進することが極めて重要になってまいります。

 経済産業省では、人材を資本と捉え、その価値を最大限に引き出すために、人的資本経営コンソーシアムを立ち上げ、先進事例の共有を通じて人的資本経営の実践と開示を推進してまいりました。また、人的資本可視化指針を策定し、賃上げも含めた人材戦略や人的資本投資の検討や、企業と投資家の建設的な対話に有用な人的資本開示を促してきたところでございます。

 今後も、委員の問題意識も踏まえながら、こうした取組の周知、普及に努めることにより、賃上げの機運を醸成をし、企業の成長につながる人的資本投資の拡大を促してまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 大臣、是非よろしくお願いします。

 まさにこの人的資本の投資ということは、非常に極めて重要だ、いろいろな意味で重要です。少しだけ申し上げれば、日本の経済というものの、いい数字もたくさん私もお聞きをしているんですけれども、余りよくない数字といいますか、要因の一つに、消費力、消費の冷え込みというふうなものが言われて久しいです。この消費を活性化するためには、やはり一生懸命頑張っている従業員の皆様、国民全体がお給料が上がること、これは私は非常に重要なことだというふうに思っておりますので、そこにたどり着くための政策というものをまた新機軸部会にも期待をして、私の質問を終わらせていただければと思います。

 ありがとうございました。

工藤委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 中道改革連合の落合貴之でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑を行わせていただきます。

 一昨日、所信を伺いまして、賛同できるところはたくさんございました。一つ、もうちょっと足りないかなと思った分野がございまして、これが小規模事業者向けの施策への言及でございます。

 小規模事業者につきまして、大臣所信では、強い地域経済を構築するための主役とは言及されていますが、この小規模事業者についての施策、どのような施策を打っていこうと考えていらっしゃるかが一つ。

 それからもう一つ、分かりやすく言うと、中小企業淘汰論というのが数年前にはやりました。世界各国がそうですが、日本は、事業規模が小さくなればなるほど生産性が低くなる、利益率が低くなるという傾向が数字でも見て取れます。なので、事業者を、小さいものはなくしていって大きいものに集約していけば、日本全体の生産性が上がるんだというような意見がありました。

 そういった意見について端的にどのようにお考えか、お聞かせをいただければと思います。

赤澤国務大臣 まず、最初の、小規模事業者の役割とどのような施策かということですが、政府としては、全国約二百八十五万者の小規模事業者を、地域を支える重要な存在として位置づけ、経営環境の急速かつ大規模な変化に応じて、経営力を向上させ、これまで以上に稼ぐ力を高める必要があるとしております。

 一方で、小規模事業者は経営資源に制約があることから、商工会、商工会議所といった支援機関による伴走支援の充実や、価格転嫁につながる原価計算といった経営者のリテラシー向上に取り組むことが重要でございます。

 そのため、小規模事業者支援法に基づく商工会、商工会議所の経営指導員による伴走支援や、地域の複数の支援機関や金融機関が連携したプッシュ型の伴走支援体制の拡充を図ることで、各地域の支援体制の整備を進めております。

 さらに、価格転嫁、取引適正化の徹底、生産性向上、省力化投資や、事業承継、MアンドAの支援など、あらゆる支援を総動員し、強い中小企業、小規模事業者を目指す小規模事業者を全力で応援してまいりたいと思っております。

 淘汰論についてですが、やはりそれはもう企業それぞれでありまして、意欲を持って、努力をして、強い中小企業、小規模事業者を目指し、成長を一生懸命実現しようとしているそういう企業と、やはりなかなかそういう努力が足りずに、もっともっとやることはあるんじゃないかなと思う企業では、おのずとやはり業績に差が出てきて、それがそれぞれ結果につながってということで、何か十把一からげに、小規模事業者あるいは中小企業者が淘汰されてしかるべきというようなものではないということを申し上げておきたいと思います。

落合委員 価格転嫁につきましては、後半で取り上げさせていただければと思います。

 そもそも日本の商慣行は価格転嫁がしにくいということで、小規模事業者の生産性の数字を見ると、やはり上がりにくいという日本独特の商慣行があるというふうに思います。

 そもそも淘汰させなくてもどんどん小規模事業者は減ってきているということで、経済活動で見ても、例えば、一人親方、建設業の下請、孫請がどんどん減ってきていることで、都会でも工事ができないというようなことがもう既に生まれています。それから、全国的に運送業は、一軒一軒まで運ぶのは割と下請の小さい事業者が請け負っているわけで、その運送業も成り立たないという問題も起きてきました。

 先ほど、経産大臣なので、経済的な観点からの御発言もありましたが、よく考えてみると、日本の社会自体が小規模事業者に支えられている。経済活動だけではなくて、例えば、日本の、大臣のライフワークでもある防災は、消防団のなり手がいなければ成り立たない。それを担っているのは各地域の自営業者の方々が中心でございます。各地でやっているおみこし、お祭り、これも地元で働いて根づいている方々が中心になって、現役世代は自営業者の方々、中小企業で働いている方々が中心になっているわけでございます。町の電灯、これは商店街が一部負担をしている。商店街の会費を払っているのは個人商店の方々でございます。

 こういった経済的な生産性に表れない、むしろ地元の地域を支えているからこそ、そのコストを負担している方々がいてこそ日本社会が成り立っている。これは、やはり生産性だけでは小規模事業者の施策は図れない重要な問題、役割があるというふうに思っています。是非、その観点も忘れずに、大臣に、特に地方の選挙区の選出ですから、より都会よりも個人事業主の役割というのは大きいと思います、是非、その観点から施策を打っていただければというふうに思います。

 価格転嫁に行く前に、インボイスの部分を切り出して、まず大臣に伺えればと思います。

 インボイス制度は二〇二三年の十月に始まりました。国税庁の数字を見てみますと、二〇二二年と二三年を比べて、消費税の申告件数は八六・九%も増えています。要は、新たに納税事業者になった事業者がたくさんある。免税事業者から新たにインボイスの発行事業者に転換した者が、この一年間で、二二年から二三年の間で八十七万五千者も増えています。二倍までは行っていないですけれども、二倍近く増えているわけでございます。

 それだけ膨大な事業者が、今まで払っていなかった消費税を二三年に納めた。消費税を新たに払うことになったんですから、消費税を新たに負担する分は、本当は価格に転嫁して、もらわなきゃいけないわけです。

 しかし、いろいろな集計を見ましたけれども、例えば、建設業の一人親方や中小企業が加盟しています全建総連のアンケートでは、課税事業者になっても価格据置きだったと答えた人が六五%という数字が出ています。

 それから、東京商工会議所が二〇二四年に実施したアンケートでも、インボイス導入後に取引相手と価格交渉ができたという事業者は、これはびっくりなんですけれども、一四・四%しかありません。このうち値上げを実現できたのは、その一四・四%の中の六割しかありません。

 それから、フリーランスの方々が結成しているインボイス制度を考えるフリーランスの会は、フリーランスを対象に、昨年、一万人調査を行っています。この調査の結果は中小企業庁にも届けられていますが、インボイスに関する価格転嫁は七七%ができていないという結果になっています。プラス、このインボイスにまつわる問題は、消費税分の価格転嫁だけではなくて、事務負担がかなり重いというふうなことも多数、中小企業庁にも行っているはずです。

 これは、小規模事業者、中小企業が生産性が低いという指摘をしておきながら、政府の政策は、中小企業者、小規模事業者の利益が出ないような施策を打ってしまっていて、しかも事務負担も増やしている。コストを増やして利益を減らしている政策を、大規模に全国的に行っているわけです。

 こういった施策が行われてしまっていて、小規模事業者がかなりきつい状況だということは、認識はしっかりされておりますでしょうか。

赤澤国務大臣 インボイス制度を契機に免税事業者から課税事業者に転換をされた小規模事業者の皆様やフリーランスなどの方々から、消費税分や事務コスト費用を価格転嫁できないという声が寄せられております。また、事務作業に対する負担感の声があることも承知をしております。

落合委員 そういった状況で、元々生産性が低い、小さい事業者の経営の足かせになってしまっているわけでございます。

 価格転嫁全体のことはこの後お伺いするとして、インボイス導入から起こる問題について、経産省として、中小企業庁が小規模事業者を管轄しておりますので、どういった対策を打ってきたのか。それから、今後、特例もだんだん段階的に廃止をされていきます。そういったことも受けて、更に手を打っていく予定があるのか、改めて伺えればと思います。

    〔委員長退席、小林(史)委員長代理着席〕

赤澤国務大臣 インボイス制度の導入に当たっては、負担感の声があると認識している一方で、中小企業庁の調査では、インボイスを契機に、電子化、ソフトウェアの導入が進み、経理業務を含む業務効率化を達成したという声もあることが事実であります。

 経済産業省としては、これまで、インボイス制度の中小企業、小規模事業者支援として、デジタル化・AI導入補助金を通じたインボイス対応に必要なITツールの導入支援ですとか、あるいはオンラインを通じた税理士による相談対応、全国四十七都道府県の取引かけこみ寺による取引上のトラブル解決に向けた相談対応といった支援を実施しております。

 これらの取組を着実に実施するとともに、事業者の皆様の声を丁寧に伺いながら、必要な対応を引き続き行ってまいりたいというふうに考えます。

落合委員 施策を打ってこられていることは確かなんですけれども、これを取り上げようと思ったのは、先ほどのフリーランスの方々の一万人アンケートを見てみると、価格転嫁できないことで相談窓口を使いましたかとか、IT導入補助金を使いましたかというアンケートも入っていまして、そうしたら、九割の方が使っていないというふうに残念ながら答えています。これは、私を始め、政治家は各地元がありますので、そういった事業者の方々に我々も周知の手伝いをしなきゃいけないと思いますが、残念ながら、窓口を知らなかったり、IT導入補助金はそこまでニーズに合っていないという方々が多いわけでございます。

 問題なのは、だんだん、働き方改革の中で、フリーランスをいわば増やそうとしているような政策を全体では打っているにもかかわらず、目の前ではフリーランスの人たちが厳しい、こういった政策が打たれていることで、フリーランスになったけれども、やはりやめようかなというような方々も、各アンケートで、かなり廃業を考えているということが増えてしまっていることが、やはり経済全体としては問題だというふうに思います。これは、抜本的に、しっかりここに目を向けていく。

 八割特例、二割特例は導入されましたが、今年からだんだんと縮小されていきます。したがって、今廃業を考えている方々が更に厳しくなっていくことはほぼ確実です。施策がないのであれば、インボイスの廃止も選択肢として考えなきゃいけない状況になることもあり得るんじゃないかなと私は思いますので、ここはしっかりと目を向けていただければというふうに思います。

 それでは、価格転嫁全体のことについて入らせていただきます。

 資料を配付をいたしました。自民党に政権が復帰した以降、株価は上がりました。今言われている実質賃金の問題、どういうふうに推移してきたかなというようなことをグラフにさせていただいています。

 特に、二〇二二年からウクライナの問題が起こりましたので、そこからもう物価が急にきゅっと上がってしまっているので、幾ら名目賃金を上げても、実質賃金は大きく見ると下がり続けてしまっています。ここで問題なのは、やはり実質賃金が下がって、しかも天引きの負担も下がっていないので、世帯消費が、これは実質世帯消費ですが、かなり下がってしまっている。二〇一二年と比べると、二割近く下がっているというのはかなり問題である。

 先ほどGDPが三十年で五百兆から六百兆になったというお話がありましたが、ほかの先進国はその三十年で三倍ぐらいになっている。GDPの占める割合で一番多いのは個人消費額です。三十年前は個人消費額がGDPの中で六割を占めていましたが、今五割ちょっと。要は、個人消費がGDPの伸びの足を引っ張ってしまっているのが現状です。

 それを考えると、やはり賃金を上げなきゃいけないわけですけれども、大企業は労働分配率がまだ余裕があります。経産省の施策なので、大企業はもっと賃金を払えという政策をやることで、大企業で働いている人たちの賃金は上がっていくと思います。しかし、小規模事業者ですとか中小企業の労働分配率を見てみると、結構それなりに高いんですよね。

 ですから、労働分配率はそこまで上げることができないと思いますので、やはり売上げ、利益率を上げていかなきゃいけない。こういった施策を打っていかなければ、日本全体の個人消費も上がらない、実質賃金も上がらないということになってしまいます。やはり価格転嫁は重要であるというふうに思います。

 いろいろな数字を見てみても、やはり問題になっているのは労務費に対する価格転嫁。今までは原材料費に対して転嫁しましょうと。ただ、原材料費も急激に上がっているので、その転嫁さえも大変なんですが、労務費、人件費を上げていくために、というか平均賃金が上がっていくので、そのための価格転嫁もしたいということについては、原材料費に対する価格転嫁よりも、もっと上げることができない、そういった数字が出ています。

 これらに対して、大臣所信の中でも価格転嫁は重要だというふうに大臣はおっしゃっていますが、経産省として具体的にどうやって価格転嫁を実現しようとしているのか、御説明をいただければと思います。

赤澤国務大臣 中小企業、小規模事業者が正当な対価を得て賃上げや成長への投資の原資を確保するためには、価格転嫁、取引適正化の徹底が重要でございます。他方、人材が限られる小規模事業者においては、原価計算や価格交渉の方法、相談相手が分からないといった課題もあるものと承知をしています。

 このため、経済産業省として、全国四十七都道府県に設置した価格転嫁サポート窓口における原価計算や価格交渉の支援、あるいは価格転嫁講習会やセミナーの開催を通じた価格交渉の実践的なノウハウの紹介、取引かけこみ寺における年間一万件以上の相談対応といった取組を進めております。

 引き続き、こうした取組を粘り強く進めるとともに、取適法、中小受託取引適正化法、あるいは振興法、受託中小企業振興法を着実に執行し、価格転嫁、取引適正化を推進してまいりたいと考えております。

    〔小林(史)委員長代理退席、委員長着席〕

落合委員 かけこみ寺の利用件数が一万件もあるというのは、かなり中小企業庁も頑張って広めてきたと思います。ただ、事業者数が物すごく多くて、先ほどもインボイスだけでも九割が相談していないというような状況でして、商慣行自体、歴史的な習慣を変えるわけですから、かなり力を入れていかなきゃいけない、政府全体で力を入れていかなきゃいけない問題であるというふうに思います。

 今日は、お忙しいところ、公取の委員長にもお越しをいただいております。

 まず、国際情勢がこの数年不安定化しているのと、あと、何だかんだ円安もかなり原材料費の高騰につながっています。それから、人手不足からどんどん人件費も高騰している、これから人手不足が解消することは残念ながら見込まれませんので、もっともっとこの労務費の価格転嫁の問題は出ていくと思います。

 こういったものについて、公正取引委員会のトップとしてどのような御認識をお持ちか、伺えればと思います。

茶谷政府特別補佐人 公正取引委員会といたしましても、今委員御指摘のとおり、近年の急激な労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を受け、物価上昇を上回る賃金を実現するためには、事業者において賃上げの原資の確保が必要であり、そのためには価格転嫁及び取引の適正化を図ることが重要であると考えております。

 こうした観点から、本年一月一日に施行された改正下請法、いわゆる取適法では、新たに特定運送委託が適用対象取引に追加されたほか、協議に応じない一方的な代金決定や手形払いの禁止等が盛り込まれました。

 公正取引委員会としては、引き続き、取適法を始めとする所管法令に違反する行為には厳正に対処するとともに、周知、広報の取組を進めることで、適切な価格転嫁や取引の適正化が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

落合委員 今までもずっと、公取の重要な仕事として価格転嫁のことは掲げられてまいりました。ですから、これまでもやってきたということですけれども、先ほど御紹介したフリーランスの方々の一万人調査、これは公正取引委員会の方にも渡しているようですけれども、値下げや取引排除に遭った事業者の中で、はっきりとそういう目に遭ったと分かっているのに、じゃ、公取に申立てしたんですかというアンケートの項目もありまして、九七%の方が認識しているのに公取に申立てをしていません。

 これは、やはり小規模事業者ほど取引先が限られているので、その取引先から仕事を切られたら困るなとか、次にそっと違うところに仕事を頼まれたら困るなというようなこともあるというふうに思いますが、せっかく窓口がある。この前の公取からの御報告を見ても、すごい件数を処理しているんですよね。それでも九七%の方が相談もしていないというような現状でして、これは何らかの形でもう少し相談の割合を増やしていかないといけないというふうに思うんですが、こういったことについてはどのようにお考えでしょうか。

茶谷政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 取適法が適用されるような継続な取引では、中小受託事業者が委託事業者に不当な不利益を与えられる行為があったとしても、委員御指摘のとおり、自ら公正取引委員会等に情報提供することが期待しにくい面もあるものですから、公正取引委員会及び中小企業庁においては、以前から、違反行為に係る情報収集のため、定期的に大規模な書面調査を実施しているほか、匿名でも利用できる公正取引委員会の申告窓口やオンライン申告フォームを設けているところでございまして、違反行為を積極的に探知し、勧告、指導を行うこととしております。

 これに加えまして、公正取引委員会では、労務費転嫁指針の遵守状況等の価格転嫁の状況を把握するための大規模な書面調査を毎年実施し、同調査に基づき、違反行為の未然防止の観点から、注意喚起文書の送付等を行っているところでございます。今後もこのような特別調査を継続していきたいと考えております。

 加えて、取適法の執行強化に当たっては、その体制強化も重要でございまして、公正取引委員会では、先日成立した令和八年度予算において、全国で違反事件調査等の実務を担う職員の大幅な増員がなされたところでございます。

 公正取引委員会としては、引き続き、違反行為には厳正に対処するとともに、周知、広報の取組を進めることで、適切な価格転嫁や取引の適正化が図られるよう取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

落合委員 オンラインでの受付等を始めたというのは、かなりいいことじゃないかなと。学校の悩みの相談とかもそういうのが始まっていますけれども、やはりハードルを下げるという意味ではいい取組ではないかなというふうに思います。

 やはり根本的に、公取の方々、頑張っているんですが、キャパが、やるべき仕事に対して組織の大きさが小さ過ぎるんじゃないかというような問題もあると思います。今後議論になるかもしれませんが、これから巨大なプラットフォーマー企業とも戦っていかなきゃいけない、そういう大きな課題も持ちながら、一方で、数をこなしていかなきゃいけない価格転嫁の問題がある。

 我々も、やはり、公正取引委員会の仕事がどんどん増えてしまっているので、キャパを増やさなきゃいけない、大きくしなきゃいけないということは申し上げていきたいというふうに思っています。同様の価格転嫁の相談窓口は中小企業庁もたくさんつくっていまして、そこもオンラインでの相談とかも行っていますので、我々もその周知をやっていきたいなというふうに考えております。

 では、経産大臣、私、いろいろこの分野を調べていて、あれっと思った数字がありまして、これは中小企業庁が自ら調べているんですが、三十万社を対象に、去年の九月に、価格転嫁率、官公需と民民に分けて調査をしています。民民の価格転嫁率、残念ながら五三%。しかし、官公需の価格転嫁率も、民民よりか更に低くて五二・一%しかありません。

 せっかく役所が価格転嫁をやりましょうと旗を振っているにもかかわらず、民民の価格転嫁率より官公需の価格転嫁率の方が低くなってしまっている。これは、価格転嫁の問題を改善する上で、かなりすぐに改善できる部分だと思います。しかも、GDPの中で官公需は四分の一も占めています。

 これは重要な問題と思いますが、大臣、この点はいかがですか。

赤澤国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。地域経済に大きな影響がある官公需で、国や地方自治体が率先して物価上昇を適切に反映した価格交渉、転嫁に取り組むことが非常に重要であります。

 経済産業省としては、官公需法に基づき毎年度閣議決定しております国等の契約の基本方針において、実勢価格を踏まえた予定価格の作成や、適切な契約変更の実施といった発注を行う機関が取るべき措置を盛り込み、各府省庁や地方自治体に対して実施を促してきております。

 加えて、今週六日には、政府として官公需における価格転嫁・取引適正化加速化プランを公表をし、国や地方自治体が令和九年度末までに一〇〇%実施する措置を特定し、集中的に取組を進めていくこととしております。

 総務省を始め関係省庁と連携し、官公需における価格転嫁、取引適正化を全力で推進してまいりたいと思います。

落合委員 官公需による価格転嫁の問題の改善というのは大臣所信にもありましたので、これはやろうと思えばすぐにできることだと思いますので、是非リーダーシップを発揮をいただければと思います。

 これは大変重要な問題で、この価格転嫁の問題が改善しなければ、日本経済は自律的に好循環が生まれないというふうに思いますので、是非力を入れていただければというふうに思います。

 では、あと五分ちょっとありますので、原油高の問題に対する対応について取り上げさせていただければというふうに思います。

 先ほども何回か同じような議論がありましたが、原油高、この原油価格について大臣はどのような見通しを持たれているか、すぐ下がると考えているか、ある程度高い状況が続いてしまうと考えているか、そこら辺の御認識を伺えればと思います。

赤澤国務大臣 委員のお尋ねであっても、なかなかこれは難しいところでありまして、原油の価格については、中東情勢のみならず、世界経済やエネルギーの需給動向など様々な要因を踏まえ、市場で決まるものと承知しております。ということで、米国とイランの間で二週間の停戦というような話もある中ですけれども、今後の原油価格の見通しについてコメントすることは困難でもあり、差し控えさせていただきたいと思います。

 政府としては、状況を注視しつつ、引き続き我が国のエネルギー安定供給確保に万全を期して対応してまいります。

落合委員 不確実性が高いことは確かです。しかし、普通に考えて、一年以内に元に戻るというのはなかなか難しいのではないか、数か月以内でも難しいのではないかというのは、誰が考えても可能性がかなり高いというふうに思います。

 この度、政府は、原油価格のこの状況を踏まえてガソリン代の補助をまたやりましょうということになりました。問題なのは、基金にまた余っているお金を、去年の予備費の余りとかを積んでいるわけですが、これはいろいろな方々が計算していますけれども、このペースだとあと二か月ぐらいでなくなっちゃうんじゃないかと。二か月後に完全にホルムズ海峡が収まっているとは思えませんし、しかも石油精製設備もかなり攻撃されたりしまして、港の設備もかなりダメージを食らっているわけです。二か月後にはもう基金が枯渇しちゃうわけですけれども、足りなくないですかね。

赤澤国務大臣 燃料油への支援については、原油価格高騰が継続する場合にも切れ目なく安定的な支援を行うため、令和七年度予備費を活用し、燃料油価格激変緩和基金に七千九百四十八億円を積み増し、元々の基金残高と合わせて一兆円超の規模を確保しているということは委員御指摘のとおりであります。

 その上で、八年度予算についても成立をしたので、予備費が一兆円ということがあります。今後の事態の推移次第でありますけれども、そこの予備費を使うことも否定はされないということだろうと思います。

 現時点で、中東情勢の先行きは、原油価格の動向を含めいまだに予断を許さず、今後について予断を持ってお答えすることは困難でありますけれども、引き続き、原油価格の動向や中東情勢が経済に与える影響を注視しながら、必要な対応を行ってまいりたいと思います。

落合委員 いろいろ金額的な動きがありますから正確性はあれですけれども、約一兆円あります、今の価格だと五千億ぐらい一か月で使いますと。そうなると、二か月でなくなってしまうわけです。さらに、本年度予算は一兆円予備費があります、全部つぎ込んでもプラス二か月しかもたない。予算の組み方というのは、もし補正予算を組まなかったら来年の四月まで予算が組めない、新しい予算は執行できないわけですから、来年の三月末までに、今の仕組みだと四か月分の予算しか最大でも確保ができていないわけです。ですから、これを考えると、どう考えても補正予算を組まざるを得ない、この補助を続けるなら。

 それから、電気代、ガス代につきましては、三、四か月後になって価格が上乗せされる、そういう仕組みだというふうに言われています。そうなると、六月ぐらい、ちょうどエアコンをみんなが使い始める頃から電気代、ガス代が上がっていく。昨年も何千億もそういった補助に使っているわけでございます。

 これは、どう考えても補正予算を念のためも含めて組まざるを得ない、今国会中に、そういう状況だと思いますが、大臣、いかがですか。

赤澤国務大臣 もう委員がまさにおっしゃったことなので、はしょりながら参りますけれども、補正予算の措置の必要性については、現在まだ、現在というか、そもそも私は財務大臣ではありませんので申し上げる立場ではございませんけれども、先ほどから申し上げているとおり、まず基金の一兆円、それから、まだ決まっておりませんけれども、令和八年度予算の予備費一兆円というのがございます。

 その上で、確かに委員御指摘のとおり、電気・ガス料金については、二から四か月前の燃料輸入価格を参照して価格が決定されるのが一般的であるため、中東情勢を受けて、電気・ガス料金は直ちに上昇することはないという認識でございます。

 七日、火曜日の会見にて高市総理がおっしゃったように、現時点で中東情勢の影響などについて予断することは困難でございますし、必要があれば、申し上げたとおり、令和八年度予算の予備費も活用可能なので、政府として現時点で今すぐに補正予算の編成が必要な状況とは考えておりません。

 引き続き、中東情勢が経済に与える影響をしっかり注視しつつ、状況に応じて必要な対応を行ってまいります。

落合委員 今の仕組みを維持するだけでも予算があと四か月しかもたないということで、秋の国会での補正予算でも遅い。もうそのときに枯渇しちゃっているわけです。今国会中に何らかの措置を取らなきゃいけないということは大臣からもいろいろな方面に発信をいただければと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

工藤委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会の阿部司です。

 まず、エネルギー、物価高騰対策に関連してお伺いをしてまいりたいと思います。

 一昨日、停戦のニュースも入ってきましたが、ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続き、原油の高騰も続いております。国家備蓄の放出やホルムズ海峡を迂回する代替ルートからの原油調達など、大臣始め政府の皆様が日夜御尽力されていることに心から敬意を表したいと思います。しかし、これはあくまで応急処置でありまして、今回の事態は我が国のエネルギー供給構造の脆弱さを改めて突きつけていると思います。

 こうした中、先月、EUのフォン・デア・ライエン委員長がIAEAの会議で、欧州が原子力の比率を下げたのは戦略的な誤りだったと明言をいたしました。IAEAは五年連続で原子力発電量の予測を上方修正しまして、今年は世界で約十五基が商業運転を開始、過去三十年で最高水準に達しております。中国は新規原発の設備容量で世界の半分を占め、小型モジュールの商用化にも着手をしております。我が国も、昨年の第七次エネルギー基本計画において原子力を最大限活用する方針を掲げておりますけれども、まさに今回のホルムズ危機を経て、その重要性は一層高まったものと思っております。

 大臣、お伺いします。

 EUが自ら戦略的な誤りと認めたこの世界的な原発復活の潮流をどのように受け止めていらっしゃいますか。

赤澤国務大臣 エネルギー安全保障の観点や電力需要の増加を背景に、世界的に原子力の必要性に対する認識が高まっております。委員御指摘のとおり、IAEAを始めとした国際機関も、今後原子力利用が拡大する見通しを示しているものと承知をしています。

 我が国としても、低いエネルギー自給率や火力発電の高い依存といった課題を克服するためには、原子力を始めとするエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが不可欠でございます。そのために、安全性の確保と地域の御理解を大前提として、原子力を活用していく方針としております。

 特に安全性については、高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合に、その判断を尊重し、地域の理解を得ながら原子力の活用を進めていくことになります。

 国も前面に立って、立地自治体等関係者の理解と協力を得るように、原子力の必要性について丁寧に説明を行うとともに、地域の実情を踏まえつつ、原子力防災の充実強化といった必要な対応もしっかり行ってまいりたいと思います。

阿部(司)委員 安全性を確保しながら原子力をしっかり活用していくという御答弁、ありがとうございます。

 その上で、もう一点、エネルギーについてお伺いします。

 備蓄の放出にも、この補助金にもいずれ限界が来ます、先ほど委員も御指摘でしたけれども。

 かつて日本は、第一次オイルショックを機に世界一の省エネ大国になりました。あのときの危機が日本を変えました。今回のエネルギー危機も、ある意味ピンチをチャンスに変える、そんなタイミングだと思っております。しかし、現在、例えば住宅、建物の断熱性能はヨーロッパに大きく後れを取っております。窓の二重化ですとか断熱改修は、この夏の電力逼迫への即効性のある対策でもありまして、将来のエネルギー安全保障にも資すると思います。

 当初予算が先日成立したばかりでありますけれども、現下の情勢において、今後もホルムズ海峡封鎖が続くようでしたら緊急策も必要になってくると思います。その際、省エネ投資の促進策を緊急的に拡大していくお考えはあるか、大臣の意気込みをお伺いしたいと思います。

赤澤国務大臣 我が国では、石油危機を契機として、徹底した省エネルギーの取組を一貫して推進してきた結果、エネルギー効率は現時点においても世界的にも高い水準にあると思います。

 昨年閣議決定した第七次エネルギー基本計画においても徹底した省エネの重要性は不変であるとしており、我が国が強みとしてきた省エネを更に加速、徹底してまいります。

 こうした中で、令和七年度補正予算と令和八年度当初予算においても関連の措置を講じてきております。具体的には、例えば、事業者の省エネ設備への投資に対して、新規採択分の予算として約二千五百億円、それから家庭向けには、省エネ効果の高い断熱窓への改修や高効率給湯器の導入といった住宅の省エネ化に向けた支援として約四千二百億円を措置しております。

 こうした支援策も活用しながら、引き続き、関係省庁とも連携し、徹底した省エネに向けた投資を促してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 ありがとうございます。当初予算の着実な執行ももちろんですけれども、状況に応じて機動的な対応をいただけるようにお願いを申し上げます。

 次に、AI時代のエネルギー戦略についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 エネルギー需要を押し上げているもう一つの大きな要因が、AI、データセンターです。この爆発的な新規需要にどう備えていくかというのは国家戦略そのものになってくると思います。

 三月、中国では算電協同という国家戦略を打ち出したと報じられておりますけれども、これは、再エネとAIデータセンターの立地を国家レベルで一体設計して、AIの学習タイミングを電力需給に合わせることで、AIそのものを電力の調整弁にしていくという構想だそうです。実際に、もうゴビ砂漠で実装が始まっております。これは単なるエネルギー政策にとどまらず、このやり方がデファクトスタンダードになれば、半導体ですとか製造業、様々な産業のサプライチェーンまで中国に引き寄せられていってしまうリスクがあると思います。エネルギー安全保障であると同時に、経済安全保障の問題でもあると思います。

 我が国も、GX二〇四〇ビジョンでワット・ビット連携というものを掲げて閣議決定をされているとお伺いしておりますけれども、中国のこの規模感ですとかスピードに対して十分と言えるのか、ここを非常に疑問に思っておりまして、大臣の危機認識と、AI時代のエネルギー安全保障に関する我が国のビジョンについてお聞かせをいただきたいと思います。

赤澤国務大臣 本年三月の中国全国人民代表大会における政府活動報告で言及のあった、委員御指摘の算電協同は、需要が拡大するデータセンターの電力消費と電力供給の連携を図る取組と承知をしております。中国に限らず、世界的に、電力消費量の大きいデータセンターの立地と電力インフラの整備の連携が課題となっております。

 我が国においても、昨年二月に閣議決定したGX二〇四〇ビジョンに基づき、データセンターを脱炭素電源や電力インフラの観点で適した地域へ誘導し、通信インフラも総合的に整備するワット・ビット連携、これも委員御指摘のとおり既に進めております。

 前後関係からいうと、ちょっとかの国にぱくられたかなという感じもありますけれども、ただ、危機意識は委員と共通していると思います。かの国が後からやってきて大体マーケットを取っていくみたいなことは繰り返されておりますし、我が国について言うと技術で勝ってビジネスで負けるみたいなことがあるので、今日この委員会でも御議論いただいた新機軸部会を始め、新技術立国、私が担当閣僚ですので、技術でも勝ってビジネスでも勝つ、そのために、敗因は今まで何だったんだ、それを一つ一つ解明した上で全部潰す、勝つぞということできちっとやっていきたいと思っています。

 具体的には、短期的には、早期に電力供給を開始できる場所を示すウェルカムゾーンマップを活用したデータセンター立地の促進とか、中長期的には、GX戦略地域制度の枠組みを活用し、電力インフラの先行整備を通じたデータセンター集積地の形成、そして、今言ったようなことを通じて電力インフラとデータセンターの一体的整備に取り組んでいき、諸外国に後れを取ることのないようにやってまいりたいと思います。

阿部(司)委員 技術でも勝ってビジネスでも勝つという強い決意、ありがとうございます。やはり、中国ですとか海外のスピード感ですよね。このスピードと実行力が非常に重要になってくると思いますので、この点、是非加速をお願いできればと思います。

 その上で、具体的な数字についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 IEAの試算では、世界のデータセンターの電力消費量が二〇三〇年に我が国の年間総電力消費量に匹敵する規模になるとお伺いをしております。国内でも電力需要が増加に転じていくことは間違いないわけです。

 そこで、お伺いします。

 AI、データセンターによる電力需要は今後どの程度伸びていくんでしょうか。この見通しですね。その上で、現在の電源計画でAI時代の電力需要増に対応できるとお考えか、お伺いをいたします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、電力広域的運営推進機関におきまして、一般送配電事業者が提出する電力需要の想定を取りまとめまして、今後十年間の全国大での電力の需要見通しを毎年度公表してございます。

 二〇二六年一月に公表された最新の需要想定によりますと、データセンター等の需要増加の影響を受けまして、我が国の電力需要は増加する見通しでございます。具体的には、二〇二五年度が約八千三十四億キロワットアワー、これが二〇三五年度が約八千四百六十一億キロワットアワーとなってございまして、約四百二十八億キロワットアワー、五%程度の増加ということを想定しております。

 このうち、データセンター等に関する需要でございますが、こちらが約五百六十八億キロワットアワー増加する見通しということでございまして、人口減少とか省エネなどの進展による需要減少をデータセンター等の需要増加が上回るということを想定してございます。

 電力需要見通しは、中長期のエネルギー政策を立案する上で非常に重要な要素でございますので、こういったAIやデータセンターの影響を含めまして、今後とも、毎年度公表するこういった需要想定におきまして、しっかりと把握に努めてまいり、対応してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 電力需要が増加に転じていくという認識について確認ができました。ありがとうございます。まさに、新しい時代の電力需要にどう応えていくかというのが非常に重要になってくると思います。

 AIサーバーは、従来のサーバーよりもはるかに発熱が大きくて、データセンターの電力消費の大きな部分を冷却が占めていると言われております。裏を返せば、冷却技術の革新が電力需要そのものを抑制する攻めの省エネになります。ドイツでは、データセンターのエネルギー効率基準というものを義務化したと聞いております。我が国におきましても、こうした民間の優れた技術を国として更に後押しをして、日本の強みとして冷却技術も伸ばしていくべきと考えます。このデータセンター向け冷却技術の支援につきまして、現在の取組状況、今後の方針についてお伺いをいたします。

野原政府参考人 委員御指摘のとおり、電力需要を抑制する観点から、冷却技術を革新することは重要でございます。このため、経済産業省では、サーバーの冷却効率を大幅に高める液浸技術を始め、最先端の省エネ技術の開発支援を行っているところでございます。

 また、省エネ法に基づきまして、データセンターに高い電力使用効率の達成を求める規制も導入しております。今年の四月一日から施行していまして、二〇二九年度以降に新設するデータセンターについて適用するということになっております。

 引き続き、官民で連携しながらデータセンターの省エネに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

阿部(司)委員 冷却技術の開発支援を進めていただいておりまして、ありがとうございます。心強く思います。

 一点申し上げておきたいのが、日本はこの分野で勝てるポジションにいるということです。国内企業によるこの液浸冷却の実証では、空冷比で電力消費を九割以上削減できる、そうした成果も出ていると聞いております。大手だけでなく、新興企業による革新的な取組も生まれておりますので、要素技術は世界の最前線にいるということで、引き続き、この強みをもっともっと成果を出せるように、後押しをお願いできればと思います。

 次に、今後の日本経済の成長を牽引するコンテンツ産業についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 先月、経産省からものがたり大国五か年計画が公表されました。二〇三三年までに日本発コンテンツの海外売上高二十兆円という目標を掲げて、予算は三倍超の三百五十五億円に拡大、公募要領は六百五十七ページから四十一ページに圧縮、事務局経費は一四%から三%に削減ということで、大変野心的な計画であるということで評価をしております。

 しかし、二十兆円を稼ぎ出すのは誰かというと、クリエーターの皆さんですね。このクリエーターの皆さんに正当な報酬が払われなければ、人が離れて、このコンテンツ産業の土台というものが崩れていってしまいます。計画がどんなに立派であっても、作り手がいなくなったら終わりということです。

 そこで、KPIについて確認をさせていただきたいと思います。

 本計画では、コンテンツ産業の平均年収一千万という目標が掲げられていますが、この数字は、御省の三月二十七日の資料にも記載がありますとおり、上場企業の販管費に含まれる人件費を従業員数で割った代理変数であります。コンテンツ五分野のうち、売上げも従業員もゲーム業界が大半を占めておりまして、このゲーム大手は上場企業も多いため、平均を取れば当然この水準になってきます。これでは、現場で絵を描いたり、音楽を作ったり、アニメーションを動かすというクリエーターの実態というものが見えてきません。

 一千万円という看板だけが躍って現場に届かないというのは、これは本末転倒になってしまいますから、政府参考人にお伺いしたいんですが、このKPIは本当にクリエーターの実態を表したものなのかどうか、定義と算出方法を明確にお示しください。

江澤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月から、産業界から九十名以上が集まるエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会、こちらを開催しておりまして、官民でコンテンツ産業の賃金目標も議論をしているところでございます。

 その中で、クリエーターの賃金は職種によって大きく異なり、かつフリーランスが多いということから、正確な実態を示すデータの取得は難しいと考えました。

 このため、把握可能な指標として、コンテンツ分野の上場企業の販売費及び一般管理費に含まれる人件費相当額を期末の従業員数で割った数値を業界平均年収の代理変数として示したところでございます。

 御指摘のとおり、この指標については、販売費及び一般管理費に入らない売上原価の人件費、こちらを反映しておりません。また、非上場企業やフリーランスの人件費も、把握が難しいため、含まれておりません。

 このように、今回提示した平均年収というKPIは、御指摘のとおり、あくまで全体の傾向を測るために把握可能なデータを基に算出した数値を代理変数としてお示ししたものでございます。

阿部(司)委員 率直に、代理変数であるということをお認めいただいたと思います。

 問題は、この年収一千万という数字が独り歩きすると、コンテンツ産業全体、あとは現場の方々が潤っているという誤ったメッセージを発しかねないということですね。なので、ゲーム業界の上場企業とクリエーターの皆さんの現実、音楽クリエーターの皆さん、フリーランスで働く皆さん、この現実は全く違いますので、本当に支援が必要なのはそうした現場のクリエーターさんですので、報酬が実際に改善していることが分かるように測る指標がなければ、計画の実効性というのは担保できないと思うんですよね、ちょっと難しいかもしれないですけれども。

 大臣にそこでお伺いをしたいと思うんですが、フリーランスや個人クリエーターの報酬改善を別の指標で追跡していくお考えはありますでしょうか。クリエーターへの利益還元につきまして、大臣、意気込みをお聞かせください。

赤澤国務大臣 日本発のコンテンツの海外売上げ二十兆円の達成には、コンテンツの作り手であるフリーランスを含むクリエーターの賃金上昇が極めて重要だと思います。

 まず、フリーランスを含むクリエーターの報酬水準については、ゲーム、アニメといった分野別で計測することが重要であるとの認識の下、今後、より実態に即した計測指標を検討していきたいと思います。

 その上で、クリエーターへの利益還元については、価格転嫁を推進する観点から、例えば、アニメの業界特性を踏まえた取適法等のガイドラインを本年一月に改定をし、周知徹底に努めているところでございます。

 一方で、作品を制作しても収入は固定報酬が中心であり、作り手側への対価還元が十分に行われないことも課題となっています。

 このため、経済産業省が実施する海外向け大規模作品の制作や開発を支援する事業では、制作会社への成果報酬率を一〇%以上に設定することを要件にしており、こうした取組を通じて、成果に応じて作り手に適切な対価が還元される産業構造への変革を進めていきたいというふうに思っています。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 事業で成果報酬率一〇%に要件設定するなど、取組が進んでいることは承知をしておりますけれども、これは補助金の要件でありまして、業界全体の構造自体を変えるまでにまだまだ道半ばかなと思います。

 アニメーターの平均年収二百六十万、動画マンは百二十五万、一方でKPIは一千万。この乖離を放置したままこの計画を進めていくというのは無理があると思いますので、ゲームはゲーム、アニメやアニメ、実写は実写と、分野ごとの指標づくりを是非進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 最後に、越境ECと改正製品安全四法の執行についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 昨年十二月に施行されました改正製品安全四法ですけれども、海外の越境EC事業者にも国内管理の選任を義務づけた重要な法改正であります。海外から直接消費者に届く製品についても安全確保の責任体制を求めるものであって、その趣旨は高く評価をいたします。

 しかし、御省の公式サイトには、既に、特定輸入事業者の承諾を得ないまま、国内管理人が事業開始届出を行う事例というものが確認されていますと記載をされています。施行から僅か数か月で不正な届出が発生しておりまして、さらに、ネット上では、国内管理人代行サービスが月五千円で提供されているということも確認できます。月五千円で消費者の安全がしっかり担保できるのか、責任を持てるのかという話です。

 国内管理人からの定期報告の仕組みがあることは承知をしておりますけれども、届出のあった国内管理人について、事業所の実在、日本語での対応能力、責任体制の実態調査を行っているか、政府参考人にお伺いをいたします。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、国内管理人制度につきましては、昨年末に施行した改正製品安全四法におきまして海外事業者を規制対象とした際、その実効的な執行を確保するため導入した制度でございます。

 具体的には、海外事業者である特定輸入事業者に対しまして、日本に住所を有すること、特定輸入事業者と検査記録の保存等に関する契約関係を有することといった要件を満たす国内管理人を選任することを求めております。

 特定輸入事業者から届出がなされた際には、届出に記載された国内管理人に対しまして我々の方で一件一件電話連絡を行いまして、実際に連絡が取れるか、日本語による会話能力があるかといった点を確認しております。

 特定輸入事業者による法令上の義務の履行状況については、引き続き、国内管理人の実態を含めましてその把握に努めまして、法令に基づき適切に対応してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 電話でも一件一件確認いただいているということで、是非継続的な監視をお願いできればと思います。

 その上で、もう一歩ちょっとお願いをしてまいりたいと思うんですけれども、製品安全の一義的な責任が特定輸入事業者にあることは承知をしておりますが、この特定輸入事業者は海外にいらっしゃいますね。事故が起きたら消費者が接触できるのは日本にいる国内管理人になってくるわけなんですが、国内管理人がペーパーカンパニーだったら、消費者は誰にも連絡が取れないということになります。

 なので、我々維新も外国人の政策の調査会等でビザ取得目的のペーパーカンパニー乱立を指摘してきましたが、こうした法人が国内管理人に利用されるリスクは否定できませんので、新設された外国人政策の推進室ですとか入管庁とともに連携して実態調査を行っていただきたいと思うんですけれども、大臣、御見解をお伺いいたします。

赤澤国務大臣 改正製品安全四法で措置された海外事業者に対する規制の実効性を確保するため、事業者に代わって政府とのやり取りを担う国内管理人の制度を適切に執行していくことが重要でございます。

 このため、海外事業者が選任する国内管理人に検査記録の写しの保存を義務づけるとともに、国内管理人を報告徴収、立入検査及び製品提出命令の対象にしております。

 個別の国内管理人に関する情報の収集やこれらの制度の運用を適切に行うことにより、海外事業者や国内管理人の実態をしっかりと把握をし、製品の安全性を確保してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 是非消費者の安全が守られるように引き続きお取組を進めていただけるようお願い申し上げまして、私の質疑を終わりとさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

工藤委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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