衆議院

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第10号 令和7年4月23日(水曜日)

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令和七年四月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 貴博君

   理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君

   理事 中谷 真一君 理事 梅谷  守君

   理事 城井  崇君 理事 神津たけし君

   理事 奥下 剛光君 理事 臼木 秀剛君

      石橋林太郎君    上田 英俊君

      大西 洋平君    梶山 弘志君

      加藤 竜祥君    金子 恭之君

      工藤 彰三君    国定 勇人君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      高見 康裕君    田所 嘉徳君

      谷  公一君    土田  慎君

      土屋 品子君    西田 昭二君

      三反園 訓君    阿久津幸彦君

      岡田  悟君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    白石 洋一君

      津村 啓介君   長友よしひろ君

      伴野  豊君    松田  功君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      阿部 弘樹君    井上 英孝君

      徳安 淳子君    鳩山紀一郎君

      古川 元久君    赤羽 一嘉君

      中川 康洋君    たがや 亮君

      堀川あきこ君    福島 伸享君

    …………………………………

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室審議官)        河合 宏一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 貫名 功二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        望月 明雄君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       福原 申子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  修君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江澤 正名君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         沓掛 敏夫君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  内田 欽也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        藤巻 浩之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  山本  巧君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  宮武 宜史君

   政府参考人

   (気象庁長官)      野村 竜一君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     上田 英俊君

  尾辻かな子君     岡田  悟君

  森山 浩行君     梅谷  守君

  西岡 秀子君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     土田  慎君

  梅谷  守君     森山 浩行君

  岡田  悟君     尾辻かな子君

  臼木 秀剛君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     小森 卓郎君

同日

 理事森山浩行君及び西岡秀子君同日委員辞任につき、その補欠として梅谷守君及び臼木秀剛君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月二十二日

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      梅谷  守君 及び 臼木 秀剛君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

井上委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房長村田茂樹君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。工藤彰三君。

工藤委員 おはようございます。自由民主党の工藤彰三でございます。

 質問の機会をいただきましたことを、井上委員長、理事、そして委員の皆様方に感謝を申し上げます。

 質問するのは、令和四年の十一月以来の国土交通委員会であります。よろしくお願い申し上げます。

 まずは、踏切法改正後の検証についてであります。

 過去に、平成二十八年三月十五日の委員会にて、私は踏切法改正のことについて質問させていただきました。

 内容は、昭和三十六年、踏切法が施行後、非常に人身事故、そして死亡事故等が多かったので、その踏切の数を全国で七万から三万に半減させ、事故数を、二日に一件だったのが、それでも四日に一件と、事故が多かった。特に高齢者の事故が多いということでありますので、強化が必要であったということであります。

 ちなみに、昭和三十六年は、事故件数が五千四百八十三件の件数、死傷者が三千九百十八名、死亡者は、何と千五百六十名でありました。

 これに対して、状況に応じた改良、そして機動的な指定を可能にする、また、いわゆるバーがない、踏切の棒がない、そういう四種踏切に対する改良、そして拡充、公表して見える化をするなどがその当時の質問であり、それから改正されてきました。

 あれから年数がたちましたが、まず、踏切法改正後、どのように変わったのか、お尋ねいたします。

五十嵐政府参考人 お答えいたします。

 踏切道改良促進法を改正いたしまして、五か年の計画が、期限がないものに変わってございます。それで、それぞれ、踏切道改良促進計画を事業者も含めて組み立て、整備を、最初から言いますと、踏切道の除却でありますとか、それから、議員から御指摘もありました四種踏切の極力の廃止という形で、今日は済みません、数の方は、通告のときにお尋ねの話をちょっと正確に理解しておりませんので、手元に持っておりませんけれども、確実に減少傾向にあるというふうには承知しているところでございます。

 引き続き、踏切の除却とか、それから四種踏切の極力の廃止につきましては、鉄道事業者のみならず、地域の自治体の御協力も必要だと思っております。

 特に、委員も御記憶があるかと思いますけれども、群馬県で四種踏切での事故があったことによりまして、群馬県では県庁も中心になっていただきまして、踏切、四種の廃止に向けて鋭意取り組んでいただいているところでございまして、こういった自治体等の取組も併せて、踏切道の改良をしっかりとやってまいりたいと存じます。

 以上でございます。

工藤委員 局長、答弁ありがとうございました。

 改良していただいて、地域の皆さんが話し合って、もっと分かりやすい踏切に改良しようとか、車道と歩道が明確になるか、そういうことについて、当時から今まで変わったと思うんですが、昨今、非常に危惧しておるのが、踏切を改良しましたけれども、実際、踏切から線路に入っていき、いわゆる、余り言いたくありませんけれども、自殺が増えております。後で数を申し上げますけれども、踏切を変えても、どうしても、踏切が遮断されていないときに入っていき、車線、要は、電車が来る前に、飛び込みじゃなくても、そこで待っていてひかれるとか、そういう考えられない自殺が多くありますので、その辺のことも考えたい、そのように考えております。

 次に、それに対応しまして、踏切に入るのを止めるのはちょっと厳しいかもしれませんけれども、ホームドア、いわゆるバリアフリーについて、どれだけ進んできたのか、そのことを尋ねたいと思います。

 高齢者や弱者に対して、平滑化、要はフラットにする。そして、ホームドア、今、当たり前で地下鉄にはあるんですけれども、まだまだやはり、地方に行くとない。そして、このホームドアは、乗客数が十万人以上の駅について、これをつけるという義務がありますから、それについて、どこまで進んだのか、そのことをしっかりと尋ねたいと思います。

 一例ですが、自殺防止の話を今しましたけれども、余り地元のことでは言いたくありませんけれども、十万人以上で、例えばホームドア設置が、JR北海道だと十か所、十万人以上のところがあって、十か所がありますけれども、ゼロ。JR東日本、四百四十二の駅が十万人以上あって、百二十八。JR東海は四十のうち二十一。西日本は百八のうち三十三。ホームドア、JR九州は、十万人以上、九か所の駅があって、ゼロ。各交通局、北海道から福岡まで、全線整備、ほぼされている。

 また、私鉄においては、私の暮らしております名古屋鉄道、最近、一つ、つきましたけれども、いわゆる名鉄が八のゼロ。近鉄は十七のうち二。南海は十六のうち一。阪急、十八の二。阪神はきちっとされておりまして、十の十。東京では、東急電鉄、五十五のうち四十六、しっかりされている。こういう状況であります。

 なぜ今回この質問に移ったかというと、余りにも死亡事故者、自殺が多いということでありますので、バリアフリー化をうたっているなら、ホームドアは当然ながらつけていただきたい。これは鉄道事業者が設置することであり、その利益、そして営業形態によって違うかと思いますけれども、これはやはり国として促していただきたいな、そんなふうに思っております。

 昨年、名古屋鉄道は、県の中で、当然、名鉄ですから、県で人身事故が四十七。そのうち、死亡者数は四十一名。名古屋市内の名鉄では、人身事故十二回、死亡者は十一名。そして、私の選挙区にある駅では飛び込み、ホームドアがないから飛び込んだとか、踏切を歩いて自殺を図った、これが人身事故とみなされて、四。当然、四人の方もお亡くなりになっております。

 踏切、ホームドアの設置を国として更に推進すべきと考えますが、中野大臣はどのようなお考えなのか、お尋ね申し上げます。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 ホームからの転落による痛ましい事故を防ぐというためには、国土交通省としては、ホームドアの整備が非常に重要であるというふうに考えております。現在検討中の、令和八年度以降の新たな整備目標というものは、現在議論を進めているところでございますが、引き続き、ホームドア整備を強力に推進をしていくという方向で、当然議論は進めてまいりたいというふうに思っております。

 そして、委員からも、自殺抑止というふうなことも御指摘をいただきました。そのため、啓発活動等の対策ということも重要であろうかと思います。鉄道の安全、安定的な輸送の確保という観点からも、取り組んでいっていただきたいと思っております。引き続き、これは厚生労働省とも連携をいたしまして、しっかりと適切に対応していきたい、こういうふうに決意をしております。

 国土交通省としましては、この自殺抑止も含めましたホームからの転落の防止ということで、先ほど述べたホームドアというハードのところ、そしてソフト、両面から、厚生労働省等の関係機関ともしっかり連携しながら取り組んでまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。

工藤委員 大臣、答弁ありがとうございました。やはり、大臣を筆頭に、事故防止、自殺防止、これは各省庁で行っていただきたいと思います。

 なぜ今回自殺の話をしたかというと、当然あってはならないんですけれども、私、自民党の仲間の議員の方はよく知っていると思うんですけれども、実はこの二年半、大病を患いまして、実際、生死に向き合う病気と闘ってまいりまして、過去に、健康なときは余り考えたことがなかったんですけれども、やはり命の大切さというものを考えて、そして、自分の貴い命を、いろいろな方が、悩み、考えがあったりして、でも、踏切やホームから飛び込むようなことがあってはならない、やはり思いとどまっていただきたいし、その抑止力を、やはり国を挙げて、行政を挙げて、そして地方自治体がしっかり頑張っていただく、そんなふうでありますので、これを指導していただきたいと思います。

 続いての質問になります。

 お手元に、資料を一枚、お配りさせていただきました。地元ネタで申し訳ございませんが、名古屋高速道路についての質問をさせていただきます。

 昨今、名古屋高速道路、いろいろなところで高速道路が、第二東名、名神で、高速道の規制速度、速度制限が八十キロから百キロに上がった。名古屋高速道路の場合は、高速道路じゃなくて自動車道でありますから、すぐに規制速度を上げるというのはなかなか厳しかったんですが、ようやく六十キロから八十キロ区間というのができ上がってまいりました。

 そしてまた、二〇二四年問題、ホワイト物流の問題がありますし、トラックのドライバーの問題もあります。

 やはり、時間を短縮する、そして、別に、スピードを出して、飛ばしていただいて稼働してもらいたいと言っているわけではなくて、直線のところは、わざわざ、今は、エンジンというか、モーターもバッテリーもしっかりしておりますし、ブレーキもしっかりしておりますから、トラックでも、制動距離、ブレーキを踏んでから止まるまでも安全が確保されているので、六十から八十に変えてもいいんじゃなかろうかというのが自分の考えであります。

 見ていただいて、上の方の青い部分が八十キロであります。これは、距離数、右と左が八・二キロ、そして左側、一宮から下が八・九キロであります。そして、真ん中に、左右、東西でありますけれども、右側が二号線といいまして、十・三キロあります。左側が六・八キロあります。そして、下がっていただいて、真っすぐ下りて右側の高速三号線が十二・一キロ。そして、左側が十二・〇あるわけであります。

 これは私もしょっちゅう使いますから、真っすぐ、本当に直線でありますので、曲がった、くねくねした道じゃありませんので、トラックが走っても何ら問題はないと思いますけれども、もうそろそろ、時短の問題や物流のことを考えたら、この区間、六十から規制を八十に緩和してもよかろうと思うんですけれども、そのことについてお尋ねいたしますので、御答弁願います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 御質問の名古屋高速道路でございますが、法定の最高速度が時速六十キロメートルである自動車専用道路に該当しまして、一部の区間を除き、現在、時速六十キロメートルの最高速度規制を行っているところでございます。

 名古屋高速道路の最高速度の引上げにつきましては、これまでも愛知県警察と道路管理者との間で協議を行うなどし、令和七年四月一日には、高速二号東山線の一部区間におきまして、最高速度規制を時速五十キロメートルから時速六十キロメートルに変更したところでございます。

 お尋ねの、直進箇所の最高速度の引上げにつきましては、道路の構造や交通事故などの実態を踏まえつつ、直線とカーブとが混在する名古屋高速道路の線形を考慮した直進箇所の最高速度の見直しが可能かについて検討する必要がございます。

 いずれにしましても、愛知県警察におきまして、道路管理者とも連携し、地域住民を含む様々な御意見も踏まえつつ、交通実態等に応じた適正かつ合理的な最高速度規制となるよう、引き続き検討を行っていくものと承知しているところでございます。

工藤委員 ありがとうございました。

 いち早く六十から八十にしていただきたい。高速道路が、スピードが上がると路面が傷むとか騒音が増えるとか、様々な問題が出てくると思うんですけれども、名古屋高速はかなり変わった高速道路でありまして、早くから、住民から騒音問題に対して対処せよということでありますので、防音壁がしっかりついておりますから、防音の問題はまずクリアできると思います。そして、道路も、今、カーブも、ある程度あるんですけれども、段差がそんなになければ、そんなにトラック、大型車が走っても路面がすぐに傷んでしまうということもないと思いますので、地元の愛知県警を始め、考慮していただいて、物流網をしっかり支えるための一助にしていただきたい、そんなふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問時間が来てしまって、終わるんですけれども、バリアフリーの問題、東京オリパラでもありましたし、今、どこの世界でも当たり前であります。地元で来年、大抵、この委員会の皆様方で、まず存じ上げないかもしれませんけれども、来年はアジア陸上競技会第二十回大会がありまして、パラもあるわけであります。当然ながら、車椅子の皆さん、そして弱者の皆さんに対して優しいまちづくりを今行っているんですけれども、まだまだそういうところが足らないと考えておりますので、鋭意こちらもしっかり地元の方々と協議しながら努力させていただきますし、また、名古屋でそういう大会があるのだというのを周知していただいて、にぎわいをつくっていただくことを切にお願い申し上げまして、質問を終わらさせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、石橋林太郎君。

石橋委員 おはようございます。自由民主党の石橋林太郎でございます。本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 先日、道路法の改正の件でも質問させていただきまして、続いて質問の機会をいただきましたこと、委員長、理事の皆様、そして委員の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。

 本日、少し公共事業のことにつきまして疑問に思っていることがありますので、お伺いをしたいというふうに思います。何とぞよろしくお願いいたします。

 私が申し上げるまでもなく、公共事業というのは、非常に我が国にとって大切でございます。私たち国民の生命を守るため、財産を守るための安全性の向上でありますとか、生活の質を向上させること、また、経済的に生産性を向上させること等も公共事業の効果としてあるというふうに私は考えておりまして、いわゆるストック効果という、防災・減災や医療安全等に対する面での効果、また、フロー効果という、雇用、所得、税収の向上等の経済波及効果というものもあるんだというふうに思っているところであります。

 また、しかしながら、皆様御承知のとおり、残念ながら、公共事業関係費予算というのは、だんだん、年々減少をしてまいったのが、ここ三十年余りの出来事だったというふうに思います。

 先般、国交省さんからいただいた資料でございますと、当初予算ベースで申し上げますと、九・八兆円のピークを迎えたのが平成九年でありました。九・八兆円が平成九年、そこからぐうっと減少してまいりまして、平成二十四年にはピーク時の九・八兆円の半分以下、四・六兆円にまで当初予算では公共事業関係費は減少してきた。平成二十四年の四・八兆円から少し盛り返しまして、平成二十七年には六・〇兆円、六兆円まで戻しました。そして、そこから、平成二十七年から四年間、六兆円で継続して、直近では、令和元年から六・一兆円ということで、当初予算の公共事業関係費は推移をしてきているわけであります。

 本来であれば、公共事業の重要性が以前に比べて減ったというわけでもありませんし、まして、これからますます、老朽化インフラ等の対策も含めて、当初予算ベースでの予算の確保というのが重要ではないかというふうにも思うわけでありますけれども、率直な質問で恐縮なんですが、なぜこのように公共予算が減少し続けてきてしまったのか。そして、今、少し盛り返したとはいえ、ピーク時から比べると、まだまだ三分の二余りでありまして、なぜこのように減ってきてしまったのかということについて、国交省の見解をお伺いしたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 当初予算におけます政府全体の公共事業関係費でございますが、委員御指摘のとおり、平成九年度予算をピークといたしまして、平成二十四年度予算まで減少が続きました。しかしながら、この間も、国民の安全、安心の確保、持続的な経済成長、地域活性化などに資する公共事業の必要性は変わっていなかったものと考えております。

 その上で、この間の公共事業関係費につきましては、人口減少や厳しい財政事情等を踏まえ、効果が最大限発揮できる事業への重点化、効率化が行われた結果、さきに申し上げた公共事業関係費の推移となったものと認識をしております。

 なお、その後、委員御指摘のとおり、平成二十五年度予算より増加に転じまして、平成二十六年度予算以降、約六兆円程度の水準が続いておりますが、直近の例で申し上げると、令和六年度や七年度の予算編成の基本方針におきましては、前年度の補正予算と一体で当初予算を編成することとされております。

 そして、この補正予算におきましては、資材価格や労務費の上昇等を考慮しながら、二年連続で前年度を上回る予算を確保し、当初予算と補正予算一体で、必要な公共事業を実施できるだけの予算を確保していると考えておりまして、引き続き、国土交通省といたしましては、必要な公共事業予算の確保に努めてまいります。

石橋委員 御回答、ありがとうございました。

 今おっしゃっていただきましたとおり、大臣の所信にもありました三本柱の、国民の安全、安心の確保、持続的な経済成長の実現等は、予算が減少してきた間も変わらないというのは全くそのとおりだというふうに思うところでありますし、直近、補正予算と合わせて必要な事業を確保できるようにというお答えもありましたけれども、補正予算というのは、私の理解では、のるか、のらないかというのは、その年その年で違うわけでありまして、やはり、当初予算でしっかりとした規模を積み上げるということが、業界のためにも、そしてまた私たちの安心、安全につながるという意味でも、そこを積んでいただきたいなという思いはずっとあるわけであります。

 先ほど少し紹介もしましたが、大臣の所信の中にも、持続的な経済成長、それから国内投資の拡大、生産性向上、そして、災害対応力の強化等に資する社会資本整備が我が国にとって不可欠だということも表明をしていただいておりますし、「ストック効果の高い社会資本整備を戦略的、計画的に推進してまいります。」と、力強い決意表明も所信の中でしていただいているところでございますけれども。

 公共事業の役割で、先ほど申し上げた経済波及効果の方ですね。もちろん、国土交通省が公共事業をするときに、常に経済効果を考えてやるわけではないというふうには思うわけでありますけれども、しかしながら、私、出身が広島ですけれども、中山間も選挙区にありまして、地方にとっては公共事業が非常に経済的な意味もインパクトが大きくて、そうした観点からも、公共事業は是非必要なものをやっていただきたいなとも思っているわけであります。

 そこで、所管では、経済そのものは所管をしていらっしゃらないと思うんですけれども、経済成長、ないし経済、ないしは経済成長と公共事業予算の関係性について、どのように日頃から捉えていらっしゃるか、国交省の見解をお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生の方から、ストック効果とフロー効果という御指摘をいただきました。道路とか河川、港湾、こういった公共投資によりまして社会資本整備をいたしますと、これら施設の本来的な機能として、経済に大きく貢献する効果ということが期待されるところでございます。

 例で申し上げますと、道路を整備すれば、物資の輸送時間が短縮をされまして、事業活動の生産性が上がり、賃金や利益の拡大に貢献といった効果が期待できます。

 それから、半導体のような国家プロジェクトである産業立地とセットで、機動的に周辺インフラを重点的に整備するということにいたしますと、大規模な製造工場等の国内投資が促進される、こういう効果が期待できるところであります。

 また、治水対策を行いますと、災害リスクが下がり、新しい設備投資を引き出すことにつながって、あるいは、浸水被害に伴います生産活動の低下、これを食い止める効果といったことも期待できるところでございます。

 こういったインフラ本来の効果、ストック効果に加えまして、公共投資が拡大をすることで、いわゆる乗数効果とこれまで言われてきていますけれども、GDPの公的固定資本形成が拡大する、こういう直接的な経済への寄与という効果も、フロー効果という形で期待をされるところでございます。

 このように、公共事業の予算は、先生御指摘のとおり、ストックとフロー、両面から経済成長に大きく寄与するというふうに認識をしてございます。

石橋委員 大変御丁寧に答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 ちょっと、通達はしていないんですけれども、一点。

 乗数効果を今言っていただきましたけれども、大体、乗数効果はどれぐらいで考えていらっしゃるのか。今分かれば、ちょっと参考までに教えてください。済みません。

塩見政府参考人 お答えします。

 ちょっと、手元に正確な数字がございませんし、また最近、余り乗数効果で御説明をしておらないんですけれども、私の記憶によりますと、三年間で二・〇ぐらいの効果がたしかあったというふうに記憶をしております。

石橋委員 突然の質問で済みません。御回答、ありがとうございました。また詳しく教えていただければありがたいなというふうに思います。

 今おっしゃっていただいたとおり、経済効果は非常にあるわけでありまして、これからも、それは国交省の大きな、日本経済に対するインパクト、それから、今、賃上げ等々が必要な中での、国交省の大きな役割の一つかなというふうにも思わせていただきます。

 もちろん、公共事業ですけれども、経済の成長が本来というよりも、やはり、特にこれだけ災害の多い私たちの国でありますので、事前防災による被害の低減ということも肝腎要ではないかなというふうに思うところでもあります。

 ちょっと今、数字は、もう時間がないので、余り言いませんけれども、首都直下型地震や南海トラフ等の大規模地震が想定をされている中で、以前、内閣府さんは、首都直下の地震等で経済的な被害の想定額を出していらっしゃるというふうに教えていただきました。

 その他の災害等でも被害額を算出をしていらっしゃったりするかと思うんですけれども、併せてお伺いをしたいのは、事前の災害対策をしたならば、していなかったときに比べて、これだけの被害を減らすことができるのではないかという想定、試算をしていらっしゃるのかということと、もう一つは、対策をせずに被災をしてしまって、そうすれば、その後、復旧復興費が莫大にかかるわけであります。仮に被災をするにしても、事前に対策をした上での被災であれば、恐らく復旧復興費というのは、何もせずに被災をしてしまったときよりも安く抑えることができるだろうと思うわけでありますけれども、そうした点につきまして、国交省さんの中で、何か、試算でありますとか、していらっしゃるかということを教えていただければと思います。

貫名政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員の御指摘のように、大規模な地震の被害想定をいたしまして、被害軽減効果をお示しすることは、取組を進める上で非常に重要だと思っております。

 先ほどもありましたけれども、首都直下地震において、平成二十五年に取りまとめた被害額を見てみますと、約九十五兆円というふうに推計をしております。一方、事前の防災対策といたしまして、建物の耐震化、出火防止の感震ブレーカーの設置、また、企業活動のBCP策定等を推進することで、経済被害額を約五割、約四十五兆円の被害に軽減する効果が見込まれております。

 このように、事前の防災対策は極めて重要と考えておりまして、引き続き、防災・減災対策の推進に取り組んでまいりたいと思います。

石橋委員 お答え、ありがとうございました。

 おっしゃるとおり、平成二十五年の試算では、何も対策しないで首都直下が起きたら九十五兆の被害が出る、もろもろ対策をすると最大で四十五兆まで被害を減らせるであろうという試算が出ていたというふうに資料を頂戴しております。

 これに、対策をするのに幾らぐらいの予算が必要かということまでは、たしか試算をしていらっしゃらないというふうに承知をしておりますけれども、いずれにしても、九十五兆の被害が四十五兆に減るのであれば、事前に、やはり先にお金をかけた方が、変な言い方ですけれども、経済的にも理があるのかなと思いますし、同時に、被害を抑えることができるというのは、失ったら取り戻すことのできない人命を救うことにも大きく寄与すると思いますので、今、国交省さんも事前防災に非常に力を入れていただいていますけれども、引き続きその方針で、しっかりと予算をつけながら頑張っていただきたいなというところでございます。

 私、一年間、国交省政務官をさせていただいた折に、様々な地方の首長さん、また議会の皆さん、そして民間の方からも御要望をたくさんいただきました。その中で、ほとんどの方がおっしゃったのが、今やっている五か年加速化計画の次の計画が一体どうなるのか早く示してほしい、この五か年加速化以上の予算をしっかりとつけて次の実施中期計画を早く策定していただきたいというお声、本当にたくさんいただきました。

 先般、この実施中期計画素案というものも取りまとめがされたというふうに承知をしておりますけれども、中野大臣にお伺いをしたいわけでありますけれども、中野大臣のところにも、たくさんの方からいろいろな思いで、地域をよくしたいんだ、また命の道路を造ってほしいんだ、様々な思いで、御要望、御要請あるかというふうに思います。

 その中で、大変なお仕事、この中期計画の策定に当たられたんだというふうに思うわけでありますけれども、今般の国土強靱化実施中期計画策定に当たりましての、大臣の思いの一端を御披露いただければと思います。よろしくお願いします。

中野国務大臣 石橋委員にお答え申し上げます。

 様々、公共事業の有する効果等々も含めて、大事なお訴え、いただいたと思っております。ありがとうございます。

 四月一日、国土強靱化の推進本部におきまして、国土強靱化実施中期計画の素案が公表されました。今後の国土強靱化の施策や目標、そしてその裏づけとなる事業規模、これは、資材価格や人件費の高騰、能登半島地震での教訓等を踏まえて、今後五年間でおおむね二十兆円強程度を目途とするということが示されたわけであります。

 今後の物価高騰等への影響もございます。これは、今後の資材価格や人件費高騰等の影響については予算編成過程で適切に反映をする、こういうこともしっかりその中に入っているわけでございます。

 委員御指摘のとおり、切迫する南海トラフ地震を始めとして巨大地震等から国民の命と財産を守るためには、やはり中長期的かつ明確な見通しが必要だというふうに思っております。そして、事前防災を含むこの国土強靱化の取組を着実に進めることが必要だ、こういうふうに思っておりますので、インフラ老朽化への対応も含めて、この国土強靱化実施中期計画の策定に向けて私も全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。

石橋委員 力強い御答弁、誠にありがとうございました。

 特に、物価高に対しても予算編成過程で適切に対応していただけるということでありまして、期待を申し上げながら、そして、共に国民の生命財産を守るべく、国土交通行政を前に進めるべく力を合わせたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、松田功君。

松田委員 おはようございます。また、本日誕生日を迎えられた皆さん、おめでとうございます。立憲民主党の松田功でございます。

 本日は、物流二〇二四年問題を質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 本日は、この二〇二四年問題を中心に質問させていただきます。言うまでもありませんが、私たちの生活や経済活動を支えている大変重要な社会インフラでありまして、その中心的な役割を担っていただいているトラックドライバーの方々であります。一方で、近年、ドライバー不足が深刻化しておりまして、人材不足の解消に向けては、労働時間の短縮、賃金の引上げといった労働条件の改善が不可欠です。

 昨年の四月から、トラックドライバーについては、時間外労働の年九百六十時間の上限規制と令和四年に改正された改善基準告示が適用され、長時間労働の是正に向けた取組が強化をされました。トラック業界を更に魅力ある業界にしていくためにも必要な取組ではありますが、反面、トラックドライバーの労働時間が短くなることで、輸送能力が不足し、何も対策を講じなければ物流が停滞してしまうという、いわゆる物流二〇二四年問題が懸念をされております。

 そこで、まずお聞きをいたします。

 この物流の二〇二四年問題について、何も対策を講じなかった場合、輸送能力が二〇二四年には一四・二%、二〇三〇年には三四・一%不足することが試算をされておりましたが、一年を経て、この懸念されていた輸送力不足について、大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。お願いします。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 松田委員御指摘の、物流の二〇二四年問題でございます。昨年四月のトラックドライバーへの時間外労働の上限規制の適用から約一年がたったところであります。

 当初は、物流の深刻な停滞が懸念をされておりましたけれども、これまでのところ、政策パッケージに基づく官民での取組の成果などにより、何とか物流の機能を維持できている状況ではないか、こういう認識でございます。

 一方で、二〇三〇年度には三四%の輸送力が不足をする見込みでございます。先月開催をされた我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議では、この二〇三〇年度までの期間を物流革新の集中改革期間と位置づけまして、次期総合物流施策大綱の策定の検討を早急に開始をするように、こういう総理からの指示があったところでございます。

 国土交通省としては、この次期物流大綱の策定の検討の中で、二〇三〇年度の輸送力不足の解消に向けた更なる施策についてもしっかり具体化を図ってまいりたい、このように考えております。

松田委員 今の時点では、懸念されていた物流の深刻な停滞は起きていないというような御認識かと思われます。

 今ありました、三月十四日に開催された我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議における資料によりますと、掲載効率の向上やモーダルシフトの推進については試算よりも成果を上げています。しかし、肝腎のトラックドライバーの荷待ち、荷役時間は三時間から削減されておりません。また、現場からは、物流の現場が停滞しないように努力している結果という声もお聞きをいたしております。

 このような、時間外労働規制などのルールをしっかり守りながら日々国民生活の基盤を支えるために頑張ってくださっている事業者の方々がいる一方で、時間外労働の上限規制や改正された改善基準告示を遵守していない事業者がまだまだ多くいるとの指摘もあります。

 時間外労働の上限規制などを遵守していない事業者に対しては厳しい対応が必要だと考えますが、現在、このような事業者について、どのように把握をし、また、どのような対応を行っているのでしょうか。対策を強化していくお考えはございますでしょうか。

鶴田政府参考人 トラック事業におけます輸送の安全の確保のためには、トラック事業者において、厚生労働省が定めた改善基準告示にのっとって適切な労働環境を確保していただくことが重要であると考えております。

 国土交通省におきましては、厚生労働省の労働基準監督署とも連携しながら、この改善基準告示に違反している可能性のあるトラック事業者に対して監査を実施しているところであります。違反が事実である場合には行政処分を実施し、厳正に対処しております。

 加えて、昨年十月には、トラック事業における改善基準告示違反について、トラック法に基づく行政処分基準を強化して、違反件数に応じて処分の内容を重くすることができるよう措置をしたところでございます。

 引き続き、厚生労働省などの関係機関と連携しつつ、強化された行政処分基準に基づいて厳正な監査と処分を進めるなど、必要な対策を行ってまいります。

松田委員 令和六年二月十六日に開催された物流革新・賃上げに関する意見交換会において、岸田前総理は、政府として、来月、トラック運送業の標準的運賃を八%引き上げるとともに、荷役対価や下請手数料などの各種経費も新たに加算できるように措置をいたしました、これにより、一〇パー前後の賃上げが期待できます、これに関して、先ほど、国土交通大臣から説明がありましたように、本日、公共事業の積算に活用する労務単価を平均五・九%引き上げ、来月から適用いたします、その中で、一般運転手は最も高い水準となる七・二%の引上げを行います、これに、荷待ち、荷役の対価などが適切に加算されると、事実上一〇パーを上回る引上げとなりますと発言し、同日決定された二〇二三年度に向けた政府の中長期計画においても、大幅な賃上げを目指すとして、初年度賃上げ効果に推計として一〇パー前後と記載をされました。

 本年三月十四日に開催された関係閣僚会議において示された中長期計画の進捗状況では標準的運賃の引上げによる賃上げ効果は示されませんでしたが、検証は行われたのでしょうか。また、目標とされた一〇%の賃上げは実現をできたのでしょうか。お伺いをいたします。

鶴田政府参考人 国土交通省が実施をしております実態調査では、標準的な運賃をおおむね収受できている運送契約数は、令和三年度は三五%でしたけれども、令和五年度には五〇%に増加するなど、この標準的運賃は徐々にではありますけれども浸透してきているところでございます。

 御指摘のありました一〇%の賃上げにつきましては、昨年三月に行いました標準的運賃の引上げと荷役料金の収受、これらが実現をして、また、標準的運賃そのものが更に普及をすれば一〇%の賃上げにつながるという見込みの下に、中長期計画においてこれを目標としたところです。

 他方で、トラック運送事業における令和六年一月までの現金給与総額は、厚生労働省の毎月労働統計調査によりますと、前年度と比較して一・二四%の上昇にとどまっております。したがいまして、標準的運賃の更なる浸透が重要な課題であると考えております。

 現在、政府全体で賃上げ支援と価格転嫁の実現に鋭意取り組んでおり、今月には国土交通大臣からも直接トラック業界に対して価格転嫁や賃上げについて要請を行いました。

 また、昨年三月に改定した標準的運賃につきまして、今年の三月からトラック運送事業者等に対しまして効果検証に向けた実態調査を始めております。

 この結果も踏まえまして、物流全体の取引適正化に向けて、今後も継続的に必要な見直しを講じてまいりたいと考えております。

松田委員 近年、賃上げに当たって、他産業では大幅な賃上げが報道されていますが、トラックドライバーの春闘の実態は、ゼロ回答や低額妥協を余儀なくされている労使も多く、本当の意味で底上げがされていないなというふうな実感をいたしております。

 さらに、現在多くの企業では、ドライバーだけでなく、営業職や後方支援の事務系社員の人材流出が続いております。四月に発表された全職種平均の令和七年二月の有効求人倍率は一・二四倍で、前月に比べて〇・〇二ポイント低下、新規求人倍率は二・三〇倍で、前月に比べて〇・〇二ポイント低下となっております。

 それに対し、自動車運転従事者の新規求人倍率は三・六七倍、有効求人倍率は二・七一倍、運輸・郵便事務従事者に至っては、新規求人倍率は五・八三倍、有効求人倍率は三・二四倍と大変高い倍率となっており、人材確保に苦しんでいる事業者が多いということがうかがえます。

 このような状況を放置すれば、物流の危機は本当に来てしまいます。国として危機感を持って物流に従事する者の賃金などの労働条件を改善する必要があると考えますが、大臣の見解をお伺いします。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 トラックドライバーは、全産業平均に比べて労働時間が二割長い、そして年間賃金が一割低いという状況であります。委員御指摘の、大変な人手不足を解消して物流を持続可能なものとするためにも、私も、この労働条件の改善というのが喫緊の課題である、そういう強い意識を持っております。

 トラックドライバーの労働条件を改善をするためには、やはり、ドライバーの賃上げの原資となります適正な運賃の収受、そしてドライバーへの負荷の軽減につながる物流の効率化、これが必要でございます。

 先ほど来、自動車局長からも答弁していただいています標準的運賃、これについて周知、浸透をさせる、また、荷主等に対しては、トラック・物流Gメンの是正指導、こうしたことを行い、適正運賃を収受できる環境の整備、そして、本年四月に施行されました改正物流法、あるいは先月閣議決定されました下請法の改正法案、こういうものを契機としまして、トラックドライバーの運送、荷役等の効率化に向けた取組を更に進めてまいりたい、このように考えております。

 引き続き、国土交通省として、ドライバーの労働環境の改善に取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

松田委員 そこで、トラックドライバーの賃金の原資となる運賃についてお伺いをいたします。

 二〇二四年九月、中小企業庁の調査によると、トラック運送業は、価格交渉の実施状況の業種別ランキングで三十業種中最下位の三十位、また、価格転嫁の状況の業種別ランキングでも同じく最下位の三十位となっております。価格交渉、価格転嫁とともに最下位というのは、一企業、一産業だけでは解決できる領域を超えております。

 トラック運送業においては、運賃交渉力の弱いトラック事業者の適正な運賃収受を支援するため、平成三十年、貨物自動車運送事業法の改正により、標準的な運賃の告示制度が導入をされました。これは、トラック事業者が自社の適正な運賃を算出し、荷主と運賃交渉に挑むに当たっての参考指針となるものであります。

 国土交通省が行った令和五年度の実態調査の結果を見ますと、約二千社からの回答にはなりますが、標準的運賃以上に収受できている事業者は二〇・一%ということで、適正な運賃を収受できている事業者はまだまだ少ない状況であると思います。

 このような状況を改善するにも、やはり標準的運賃について法的根拠の付与を検討すべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いします。

中野国務大臣 委員御指摘の標準的運賃は、トラック運送事業者が法令を遵守しながら持続的に運営を行っていく際の参考指標として示しているものでございます。平成三十年の法改正で制度が導入されました。御指摘のとおりであります。

 令和五年の十一月には、内閣官房と公正取引委員会が連名で発出をしました労務費の転嫁指針におきまして、標準的運賃が、トラック運賃の価格交渉で使用すべき根拠資料の例として明記をされたところであります。

 こうした流れをより一層強化するためにも、引き続き標準的運賃の周知啓発に取り組んでいきたいと思っております。

 さらに、昨年八月から、多重取引構造の是正に関する検討会、これを開始をさせていただきました。この構造が改善されない背景としましては、安価で、安く条件の悪い仕事を引き受ける事業者の存在というのも指摘をされているというところでもございます。

 こうした状況を改善をするためにどのような方策を講じるべきかにつきましては、関係者の意見も踏まえまして、引き続き検討を深めてまいりたいというふうに思います。

松田委員 法的根拠などいろいろあると思いますけれども、例えば標準的運賃を著しく下回る金額での契約とかは無効にするとか、そういったことをいろいろ、やはり対策を是非考えていただければというふうに思っております。

 次に、荷主、消費者の行動変容のための取組の柱である再配達削減についてお伺いをいたします。

 配達の再配達率につきましては、一二%から六%に半減することが目標とされております。

 令和五年度補正予算では、再配達削減に向け四十四億五千万円が計上され、宅配便やEコマースの注文時にコンビニ受取など物流負荷が低い選択を消費者に促す仕組みを、社会実装を目指し、令和六年十月からポイント還元実証事業が実施をされました。

 一方、令和六年十月時点で再配達率は一〇・二%で、ポイント還元実証事業の効果を踏まえることはできませんが、半減実現に向けた道のりは厳しいのではないかと感じております。

 三月十四日開催の関係閣僚会議における資料でも、再配達削減については試算よりも実績が大きく下回っております。再配達半減に向けたポイント還元実証事業について巨費が投じられましたが、必ずしも効果が出ていないのではないかと感じております。

 改めて、荷主、消費者の行動変容、意識改革に向けた国の施策が必要だと考えますが、この事業の結果についてどのように評価をいたしておりますでしょうか。また、現状認識と再配達削減に向けた今後の施策の展開について、お伺いをいたします。

鶴田政府参考人 御指摘のありましたポイント還元実証事業の結果におきましては、当初から置き配を選択した人にポイント還元した場合には、最大三・一%ポイント再配達率が低下、また、一回で確実に受け取った人にポイント還元した場合には、再配達率が最大一・二%ポイント低下したところでございます。

 この結果を踏まえまして、国土交通省では、今年四月を再配達削減PR月間と位置づけまして、約百七十団体の自治体、事業者等と連携しながら、消費者への呼びかけを行っております。

 具体的には、先ほどの結果も踏まえまして、今回の再配達削減PR月間では、一つには、置き配や宅配ロッカー、コンビニなど対面以外での受取方法を選択すること、またもう一点は、宅配事業者が無料で提供している会員サービスを活用して、確実に受け取れる日時、場所を指定すること、この二点を重点的に呼びかけております。

 引き続き、自治体や事業者、関係省庁と連携しまして、消費者の意識改革、行動変容を促して、再配達削減に取り組んでまいります。

松田委員 続きまして、物流の二〇二四年問題、二〇三〇年問題が指摘されていますが、その根源は、一九九九年の、物流二法、貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事業法の施行にまで遡ります。

 物流二法の制定による規制緩和の結果、トラック事業者数が大きく増加したことなどによって競争が激しくなり、事業運営が厳しくなりました。これにより、トラックドライバーの方々の労働環境が大変厳しいものになり、今の現状を招いていると言えます。トラックドライバーの方々の労働時間は全産業に比べて二割多い反面、所得額は約一割近く低い状況であります。

 昨年成立しました改正物流法の附帯決議では、「トラックドライバー賃金の全産業平均並みの引上げができるよう、必要な措置を講じること。」とされました。

 トラックドライバーの賃上げ、引上げを実現するために必要な施策を国として早急に講じなければ、日本の物流は維持できないと考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 先ほど来とちょっと重複する答弁もあって大変恐縮でございますが、運送業は、やはり他の産業と比較して賃金が低い、労働条件の改善は課題であります。やはり適正運賃の収受の環境整備が重要でございます。

 政府全体で賃上げ支援を強力に今推進をしておりますが、構造的な価格転嫁の実現ということに鋭意取り組んでおります。

 先ほど来申し上げております標準的運賃の周知啓発、あるいはトラック・物流Gメンによる荷主等への是正指導、そして多重取引構造の是正等、また、今月から施行となりました改正物流法の活用、物流の効率化、ドライバーの負担軽減を進めていきたいと思います。

 先月、総理の下でトラックドライバー等との車座対話というのが開催をされまして、私自身も、ドライバーや事業者の方々から、例えば、賃上げを進めているけれども価格転嫁は引き続き厳しい状況であるという現状、また、荷待ちや荷降ろし等の負担軽減には更なる商慣行の是正も必要である、こうした現場の声も直接お伺いをしたところであります。

 こうした声も踏まえまして、トラックドライバーが魅力のある職業となるように、物流の持続性が向上するようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。

松田委員 本当に、労働条件の改善等々、関係閣僚会議でしっかりと議論を行っていただいて、賃金底上げに是非お力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 日本人の男性の平均寿命が七十九・六四歳、女性の平均寿命は八十六・三九歳となっておりますが、国民の皆様に人生の最後まで元気に楽しみながら健康な毎日を送っていただけるように、平均寿命だけではなく健康寿命を延ばしていくことが重要だと考えます。特に、高齢者の方々が健康でいただくためには、家に引きこもるのではなく、外出を促していく必要があると考えます。

 中野大臣、国土交通省として、高齢者の方たちが進んで外出ができる環境づくりはどのようなことをされておりますでしょうか、お伺いをいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 高齢者の方々が安心をして外出をする、社会生活を送ることができる、これは、共生社会の実現の上でも大変重要であるというふうに考えております。そういう意味では、国交省は、バスやタクシーなど公共交通を所管をしておるところもありまして、バリアフリー化、こうしたところを推進をしているところであります。

 他方で、自家用車等もございまして、これは今、車椅子等の昇降装置などを装備した乗用自動車については消費税の非課税措置というのもあると聞いておりますし、自治体によっては、自家用車を福祉車両に改造するときの助成というのも講じられているところもあるというふうに承知をしております。

 現在、地域の足を確保するということで、交通空白の解消に取り組んでおります。高齢者も含めた、こうした足をしっかり確保する。自家用車についても、国土交通省としても、こうした福祉車両に関する……

井上委員長 既に時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願い申し上げます。

中野国務大臣 様々な支援策を広く周知をして、活用を促進できないか考えてまいりたいというふうに考えております。

松田委員 実際、住宅とかは介護保険やいろいろな形でなるんですけれども、自家用車に対してはそういった補助や支援がないということもございますので、是非そういったものを自家用車に対しても進めていくことのお考えはあるかどうかだけお伺いして、最後にさせていただきたいと思います。

中野国務大臣 ちょっと簡潔に。

 先ほど、自家用車についての支援措置等については紹介をさせていただいたようなところもございます。こうした、各省庁、様々な支援措置等もございますので、これは広く周知をさせていただいたり、活用を促進できないかということについては国土交通省としても考えてまいりたいというふうに思っております。

松田委員 ありがとうございました。終わります。

井上委員長 次に、神津たけし君。

神津委員 立憲民主党の神津たけしです。

 私は、本日、NEXCO中日本で起きたETC障害について、ちょっと伺っていきたいと思っております。

 四月六日の未明にNEXCO中日本のETCシステム障害が起きて、ETC料金の徴収ができないという事態が発生いたしました。対応として、ETCレーンを封鎖して現金払いのレーンで支払いを受け付けた、ただ、その後また渋滞が発生してしまったので、その後でETCのレーンを開いて手配りで料金後払いの説明を行って、大渋滞が発生したということがございました。

 遠方に日帰りで旅行に行っていたのに大渋滞に巻き込まれてしまって、せっかくの旅行が台無しになってしまったという方ですとか、それから生鮮食品が時間どおりに届けられずにランチで提供するのに間に合わなかったとか、物流関係の方々については人件費が増したとか、それから、もしかしたらばですけれども、これは私、事実に基づいていないところではあるんですが、もしかしたら、救急車においても高速が利用できずに、助かった命が失われてしまったかもしれないということもあったのではないかというふうに思うところでもございます。

 やはりこういうことがあってはならないというところでちょっとお伺いしますが、まず、何万台の車が影響を受けて、最長で何時間ほど通過に時間がかかったのか、システム障害による渋滞に起因する事故は何件発生したのか、何万台が通過して後日払いがなされたか、教えてください。

    〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、渋滞の件からでございますけれども、今回のETC通信障害によりまして最大の渋滞が発生した箇所は、東名高速上り線の音羽蒲郡インターチェンジの出口の渋滞でございます。約六キロの渋滞が発生をいたしまして、通過に約三時間かかったというふうに聞いております。

 あと、渋滞に関連した事故でございますけれども、NEXCO中日本で把握しているもので、計九件あったというふうに承知をしております。

 また、影響を受けた台数、支払いの状況でございますけれども、まず、影響を受けた台数ということで申し上げますと、応急復旧がなされました七日の月曜日十四時までの間でございますけれども、ETC障害が発生した全ての料金所を通過した車両の台数は約九十六万台と推計されております。このうち、三万六千人の方に後日の支払いの申請をこれまでに行っていただいているというふうに聞いております。

神津委員 御回答ありがとうございました。

 一都六県、百六か所、最長六キロの渋滞ということで、三時間というふうにおっしゃられたんですが、報道上ですとか、それからネット上で言及されている方は、もっと長く待った方もいらっしゃるのかなと思います。距離的には六キロが一番最長だったのかもしれないんですが、もっとやはり長かったという方もいらっしゃるので、やはりこういうところは気をつけていかないといけないのかというふうに思っております。

 今回、NEXCO中日本は後払いを求めていて、三万六千台、約三・何%の方が恐らく支払ったというところだと思うんですが、まだ数%の人のみの支払いがあったというところでございます。

 今回、九十六万台の大きな影響を受けて、自分たちの不手際で料金収受ができなかったのにもかかわらず、利用者にまた負担をかけて支払えという考え方自体が私はちょっとおかしいのではないかというふうに思っています。

 このNEXCO中日本のシステム障害によって料金徴収の説明のために大渋滞を発生させたのは、ETC障害が起きたときの対応の不備に起因するものであり、利用者の落ち度でも何でもない、今回、ETC障害によって渋滞に遭った人には高速道路の料金を徴収すべきではないと考えますが、国交省のお考えはいかに。そもそも、ETC障害によって高速道路の利用料金の徴収ができない事態を想定した対応は決まっていたのか、教えてください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 質問は二つあると思いますので、少し答弁が長くなりますが、お答えさせていただきます。

 道路局長から答弁がありましたとおり、四月六日の午前ゼロ時半頃から、NEXCO中日本が管理する一部料金所においてETCの通信障害が発生をいたしました。ETCレーンの通行ができない、渋滞が発生するなどの事態が発生をし、利用者に御迷惑をおかけをしたということは、私も大変に遺憾に思っているということであります。

 私から、NEXCO中日本に対して、四月中には今回の事案の原因と当面の対策を、六月中をめどに再発防止策や広域的なシステム障害への危機管理対応マニュアルなどをそれぞれまとめ、報告するように指示しておりました。昨日、NEXCOにおける第二回の検討委員会が開催をされ、原因の究明の結果や当面の対策等については取りまとめがなされたところでございます。

 料金を徴収すべきではないのではないかという点についてお答えをさせていただきます。

 今回、システム障害が発生をした料金所において、今回のケースについては、現金車の方はお支払いをずっとしていただいて通っていただいていたという状況、そして、ETC車の方はウェブによる払いに変更をするという運用、これをNEXCO中日本において行ったというふうに承知をしております。

 NEXCO中日本からは、中日本高速道路株式会社の供用約款第十条第四項に基づいて、渋滞による所要時間の遅れについては会社が損失を補償する対象にはならない、そしてまた、これは、高速道路が通行したことの対価として料金をお支払いいただいているものであることから、高速道路の通行料金には所要時間の保証という性格を含んでいないという考え方に基づくものであるというふうに、NEXCO中日本からは聞いているところでございます。

 今回、高速道路自体は通行いただいており、また、当日、料金所において現金等でお支払いいただいた方との公平性の観点もございます。通常の料金をお支払いいただきたいという、NEXCO中日本、こういう考えを持っているということは承知をしております。

 いずれにしても、高速道路料金の事後支払いについて、大変多くの御批判があるということは私も承知をしております。これは、利用者の御理解を得ながら引き続き丁寧に対応していくように、NEXCO中日本には指導してまいりたいというふうに考えております。

 そして、システム障害時の対応は決まっていたのかという御質問でございます。

 今回、ETCレーンのバーを開放する措置が遅れたために料金所での渋滞や事故を招いたという批判があることもよく承知をしております。

 ETCシステムは、道路管理者である高速道路会社で管理をされておりまして、高速道路会社においては、料金所の運用、災害時の対応に係るマニュアルはありますが、今回のような広域的なシステム障害は想定されておらず、そうした事態に応じたマニュアルも整備をされていなかった、こういう現状であります。

 今回の事案を踏まえまして、NEXCO中日本からは、今後、今回と同様の事案が発生をした場合、速やかにバーを開放する措置を取るというように料金所の運用を改善をするという報告があったところでございます。

 この際の料金徴収につきましては、今回のように、ETCレーンのバーの開閉に不具合が生じていたものの、課金機能自体は正常に保たれている場合もございまして、そのときは、速やかにETCレーンのバーを開放すれば、渋滞を発生させず、通常時と同様にETCによる料金徴収が可能であるというふうにも聞いております。

 他方で、今回を超えるような、ETC通信が全くできなくなる、あるいは課金機能が正常に機能しなくなる、こうした場合も想定がされます。こうした場合の料金徴収については、引き続きNEXCOの検討委員会において今議論をしていただいている、こういう状況でございます。

 いずれにしても、今回取りまとめた当面の対策に基づき、しっかりと対策をしていただくとともに、六月中をめどに危機管理対応マニュアルをまとめていただくように、引き続き高速道路会社に対してしっかり指導してまいりたいと思います。

神津委員 御答弁ありがとうございました。

 広域マニュアルの設定がなかったということなんです。これまで広域での障害がなかったということなんですが、私が調べた限りでも、二〇〇六年、二〇一七年、二〇一八年、二〇一八年にもう一回目、二〇二〇年と、そのほかにも、二〇一五年にもあったのではないかなというふうに思うんですよね、ETC障害については。だから、本来であれば、やはりもっとマニュアルというものは事前に整備すべきであったというふうに思います。というところは、ちゃんとやっておいていただきたいと思います。

 今回の料金の支払い、まだ九六%ぐらいの方々が支払っていないというところなんですが、これは、支払いの手続を怠ると不正走行の扱いを受けるのでしょうか。

山本政府参考人 お答えを申し上げます。

 道路整備特別措置法の第二十四条三項におきまして、高速道路会社は車両の通行方法を定めるということになってございます。これに違反をして自動車を通行させた者は、三十万円以下の罰金に処するというふうになっております。

 今回のケースにつきましては、高速道路を利用された方は、高速道路会社の指示に基づき、ウェブでの後日払いという通行方法に従ったものでございますので、同法の二十四条第三項の違反、いわゆる不正通行に問われることはないというふうに考えてございます。

神津委員 ちょっと不鮮明であったので、もう一回伺いますが、ウェブでの支払いというものを求めていらっしゃいますが、今回、このウェブでの支払い手続を行わなかった場合、不正通行の扱いを受けるんでしょうか。イエスかノーでお答えください。

山本政府参考人 ウェブでのお支払いに対して、それを支払わなかった場合、不正通行の対象にはならないということでございます。

神津委員 ということは、これから、じゃ、請求は行っていかないというふうに私は受けたんですが、もし支払わなかった場合、道路特別措置法第二十六条に基づいて、通行料金と割増金、免れた通行料金の二倍に相当する額というのがこの割増金というものになりますが、これを請求しない、その後、もし、それでも支払いがない場合には、督促状を送って、督促納入期限までに支払いがなかった場合には、中日本高速道路株式会社営業規則第十九条第五項に基づいて、免れた通行料金と割増金の合算額に年一〇・七五%を乗じた額を延滞金として併せて徴収するというふうになっております。

 これは、先ほどの答弁の中で、支払いがなかった場合でも不正通行にならないというところにおいては、そうしたら、支払わないでも大丈夫だということですか。何も請求は、督促状も送られてこないということでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 道路整備特別措置法第二十六条におきまして、会社等は、料金を不法に免れた者から、料金の二倍の額を割増し額として徴収することができるというふうにされております。

 NEXCO中日本からは、今回は、利用者の申出によりお支払いをいただくという徴収方法に変更したものであり、料金を不法に逃れているものではないことから、割増金を徴収する考えはないと聞いております。

 また、督促状に定める納入期限までに支払わない場合、一〇・七五%の遅滞金を徴収するという規則がございますけれども、NEXCO中日本からは、今回は、利用者のお申出によりお支払いいただくことにしており、督促状の発出をする予定はないということから、遅滞金を徴収する考えはないというふうに聞いております。

神津委員 そうしたら、今の答弁だと、支払わなくても何も請求は来ないということで理解してよろしいでしょうか。

山本政府参考人 支払いがなかった場合についても、こうした遅滞金等の徴収の考えはないというふうに聞いております。

神津委員 立場的に明確に答弁するのが非常に難しいというところは、分かるところでもございますが。

 今回、この支払いのところについて、私は、やはり渋滞を発生してしまったというところについては、中日本高速道路株式会社供用約款第十条、先ほど大臣がおっしゃられたように、高速道路の設置又は管理に瑕疵があったために利用者に損害が生じたときは、会社はこれを賠償するというふうにございます。

 管理に、今回、瑕疵があったということを踏まえて、NEXCO中日本は損害賠償を支払うべき立場だと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。先ほど、渋滞については除外するというふうに言っていたんですが、今回の場合には、自然発生的な渋滞でもなく、それから事故による渋滞でもなく、NEXCO中日本自体が起こした渋滞だと思うんですよね。だから、今回、瑕疵の対象になると思うので、お答えください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 NEXCO中日本からは、同社の供用約款第十条四項に基づきまして、渋滞による所要時間の遅れについては、瑕疵があったかどうかにかかわらず、会社が損失を補償する対象とはならないとされておりまして、このため、損害賠償の対象にはならないと聞いております。

 これは、高速道路は、建設、管理に要する費用を利用者から料金収入で償う仕組みとなっておりまして、通行したことの対価として料金をお支払いいただいているものであることに加えまして、高速道路の所要時間は、交通量のみならず、事故、あるいは工事による通行止め、様々な要因によって大きく左右されることから、高速道路の通行料金には所要時間の保証という性格は含んでいないという考え方に基づくものであるというふうに承知をしております。

神津委員 今のは、本当に答えていないと思うんですよね。実際に、やはり物流企業とかは人件費が増したりとか、本当に、お休みを取ってわざわざ日帰りの旅行に行っていらっしゃったとか、行きたいところに行けなかったとか、そういう被害が生じているというところにおいて、私は、やはり今回の場合にはきちんと瑕疵を認めて損害賠償もしっかりと検討するべきだというふうに思います。

 余り時間がないので、次に参りますが、そもそも高速道路というのはどんな定義か、教えてください。

山本政府参考人 高速道路の定義については、高速道路株式会社法におきまして、高速自動車国道、自動車専用道路並びにこれと同等の規格及び機能を有する道路と規定をされております。

 このうち、高速自動車国道の定義につきましては、高速自動車国道法におきまして、自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治、経済、文化上特に重要な地域を連絡するもので、その他国の利害に特に重大な関係を有するもので、政令で路線を指定したものと規定をされております。

    〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕

神津委員 先ほどおっしゃられた定義の中で、高速自動車国道法第四条の中では、「高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で、」というふうにございます。今回は、今回だけじゃなくて、高速として時間を皆さんはやはり買っていらっしゃるような性質があると思うんですよね。だから、高速で走ることができなかった場合というのは、私はやはり割り引いて請求すべきじゃないかなというふうに思います。

 例えば、質問通告させていただいている部分についていきますけれども、高速道路を高速で利用できなかったのは、本来のサービスを提供することができなかったことと私は同じだというふうに思っております。繁忙期には利用車両が増して、高速道路の会社の売上げが上がることになります。他方で、渋滞が起きることになる。

 渋滞が起きたら、高速道路で、最低の速度として走行することができる五十キロ以下で結局走行することになってしまうような状態になってしまう。言ってしまえば、警察がそこにいらっしゃったら、みんなが捕まってしまうような速度で走っているような状態にあるというところがあるというふうに思っています。

 高速自動車国道が普通の国道と変わらないような状態、それならば高速道路料金の徴収を割り引いて請求すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 これは一般論としての考え方という質問だというふうに理解して答弁させていただきます。

 中日本の例でいいますと、中日本高速道路株式会社供用約款第十条第四項、これは、渋滞による所要時間の遅れは会社が損失を補償する対象にならないというのが約款でございます。

 これも先ほど答弁申し上げましたが、高速道路の料金というのは、通行したことの対価としてお支払いをしていただいているということで、高速道路の通行料金自体に所要時間の保証という性格を含んでいないという考え方に基づいてこうしている。その具体的なところは、先ほど道路局長からも答弁していただいたとおりでございます。

 今回のケースということで申し上げれば、高速道路自体を通行いただいている、また、当日、料金所において現金等でお支払いいただいた方との公平性の観点ということもありまして、NEXCO中日本が通常の料金をお支払いいただきたいという考えであるというふうに承知をしております。

 いずれにしても、利用者の御理解を得ながら引き続き丁寧に対応していくようにということで、NEXCO中日本には指導してまいりたいと考えております。

神津委員 高速自動車、何で高速自動車国道とわざわざ私は言うかというと、やはり高速で走行できるからというところだと思います。

 大臣は、高速自動車国道と言っているのに、高速で走行ができない場合でも請求すべきだというふうにお考えなんでしょうか。

中野国務大臣 先ほど道路局長からも答弁をさせていただきましたとおり、高速道路の所要時間というのが、それは、交通量が繁忙している時期には当然渋滞というのは発生をいたしますし、あるいは工事等を行って通行止めをすることもございまして、天候等、様々な要因に大きく左右をされるというのが高速道路の所要時間ということでありますので、通行料金そのものが、建設、管理に要する費用をそこから料金収入で償うという仕組みであるというふうに理解をしております。

神津委員 高速道路としての高速のサービスを提供できないということであれば、私はやはり割り引いて請求すべきだというふうに思います。

 ちょっと時間がないので、最後の質問に行きたいと思いますが、道路整備特別措置法第六条の話をさせていただきます。

 これは、料金を徴収することを、済みません、ちょっと質問時間が終わってしまったみたいなので、ここで終わらせていただきます。

 本日も、どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 立憲民主党の下条みつでございます。

 限られた時間の範囲内で、国交省、いろいろ頑張っていると思いますけれども、要請をしていきたいというふうに思います。

 まずは、気象の問題であります。

 これだけいろいろなところで、水害、災害、そして火事等があるということは、気象庁をつかさどる国交省、また、降水量を測っていく総括の大臣としても、いろいろな意味で、責任、そしてやりがいがあるんじゃないかと思っています。

 そこで、今、日本は、皆さんが発表されている気象庁の数字、降水量というのは、簡単に言うと五十一か所でやられています。一方で、これは私の提言ですけれども、アメダスという無人観測の気象所が日本全国で千三百か所あるということであります。となると、一般的に考えたときに、五十一か所が正確なのか、それとも千三百か所のデータを集積していった方が正確な数字が出るのかというのは、簡単に分かる話であると思います。

 そこで、私は、雨が降る、降らないだけがポイントじゃないと思うんですよ、大臣。御存じのとおりで、いろいろなところで、岡山とか今治とか、いろいろあった、大船渡もあった。ああいう火事が起きるというのは山で起きています。山で起きるということは乾燥しているからですよね。だから、乾燥している地域も把握して、それを事前にいろいろな地域で継承していくということが僕は皆さんの責任じゃないかというふうに思いますし、現実にアメダスという機械があるわけですから。

 そこで、私は、何でアメダスの数字を使っていないのかなというふうな話をちょっと私どもの事務所が出したら、簡単に答えは、今までのデータと比べて新しいから、また無人観測所が壊れてしまうから、そういう話があったんですけれども、それはちょっと、じゃ、アメダスだって、大臣も御存じのとおり、四十五年前からやっているわけですから。そして、これだけ上下している雨、風、乾燥の中で、これはもうアメダスをどんどん使っていって、推計数値、乾燥した地域、そしてもう一度申し上げますけれども、今までの気象庁の五十一か所というのは、沿岸地域の都市部ですよ、僕に言わせてもらうと。僕は全部データを集積してチェックしました、自分で見てみないと気が済まないタイプなのでね。大臣はそこまでできないと思いますけれども、部下がいらっしゃるから。

 ただ、問題は、正確な数字をその地域にどれだけ早く渡していけるかだということだと思うんですけれども、僕の提案は、もう一回言います、五十一か所じゃなくて、無人観測を含めたアメダスを使った正確な数字、乾燥、雨量、降水量等を含めたそのデータを大きく、国民また地域の行政府を含めて皆さんに指示また提案していくべきじゃないかと思います。最初に質問させていただきます。気象庁、どうですか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 簡単に申し上げますと、評価の目的に応じてデータを活用させていただいております。

 気象庁では、日本における降水量の百年以上の長期変化傾向を評価する際には、一八九八年以降の百年以上の長期間にわたって観測を継続している全国の五十一か所、この地点を対象とした分析を行っているところでございます。

 加えまして、気象庁では、現在約千三百地点あるアメダスのデータを用いて大雨の変化傾向について分析を行っておりまして、これによりますと、例えば、近年の一時間降水量八十ミリ以上の猛烈な雨が降る年間発生回数に増加傾向が確認できているというような結果も出ております。

 これらの結果は、この三月に公表された日本の気候変動二〇二五に取りまとめて公表するなどしているということで、きちんと公表させていただいております。

 今後も、気象庁といたしましては、気候変動の監視に必要となる観測データの収集やその分析を通しまして、地球温暖化の対策に資する情報の発信に努めてまいりたいというふうに思っております。

下条委員 気象庁の今の御発言も分かりますけれども、実際にホームページを見ると、年間降水量偏差だけになっていて、なかなか一般の方は見ていないというところもあるので、これをきちっとアメダスを使っていますよということをもっと前面に出してやらないと、今言ったように、乾燥した地域、五十一か所だけだと、申し訳ないんですけれども、都市部だけですよ。ですから、実際にいろいろ、乾燥したり大災害が起きるのは、そうでない、せっかく持っている無人観測地域ですから、そこをもっと大々的に前面に出していただければというのが御要請でございます。

 次に、今言った観測するものと同時に、世界では、実を言うと、御存じのとおり、AIを使って、全面的に気象観測の活用をしています。NHKのニュースもAIが途中からしゃべったり、だんだんそういう時代になってきたし、それがまた正確なんですね。

 例えば、グーグルの開発した最新の天気予報AI、グラフトチャットというのがあるんですけれども、これは、欧州中期予報センター、ヨーロッパが使っている最高水準の予報センターのENSよりも正確であるという結果が出ています。スピードも速く、正確に出る、九七%において正確に出ているということでございます。そしてまた、アメリカの海洋大気局もマイクロソフトと組んでAIの気象予報をやっているということでございます。

 そこで、私は何を言いたいかというと、この時代に、やはり、私は分かるんですよ、昔からやってきたからこうだという言い方はすごく分かるんだけれども、でも、我々民間から選ばれた議員というのは、昔からやってきたんじゃないと思うんですね、現在生きている方々の声を拾って、それぞれこの委員会の席に座っているわけですよ。ということは、今、眼前で行われている、欧州もアメリカも行われているAIとのタッグマッチを僕は早急に進めるべきじゃないかと思うんですよ。これは、大臣、非常にいい話ですよ。もう人の手も使わない、スーパーコンピューターで、何時間もかかるのが七分ぐらいでできちゃうわけですよ。

 だから、これはやはり、今アメリカといろいろやっていますけれども、アメリカに頭を下げていっても、いいものはいいでどんどん取り入れてやっていくべきじゃないかと僕は思う。AIを使った予報、そして安く上がる、かつ早い、かつ正確である。

 もう一回言います。欧州中期予報センターの数字を比べた場合、九七%勝っているわけですから、グラフトチャットの方はですね。ということは、安くて正確であれば、国交省、気象庁としてどんどん入れていくべきじゃないか。いかがでございますか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、近年、最新のAI技術を活用した天気予報の例が海外で聞かれているところでございます。このAI技術を用いた気象予測には、予報精度や計算効率の向上などのメリットがあると考えておりまして、気象庁といたしましても、今後強化すべき施策としてAI技術を用いた気象予測システムの技術開発等に着手したところでございます。

 一方、AI技術の活用に当たりましては、例えば、過去に例の少なかったまれな現象の予測が難しかったり、それから事前学習に多大な計算、仕込みの計算が必要でございます。そういう課題があることに留意する必要もございます。現在、AI技術の活用が始まったヨーロッパ中期予報センターにおきましても、従来の手法による予報も併用することで課題解決を図っておりまして、気象庁においても同様に進める必要があると考えております。

 気象庁といたしましては、これらに留意しつつ、AI技術の活用に向けて引き続き取り組んでまいります。

下条委員 ありがとうございます。

 大臣、気象庁長官がおっしゃっていただいたけれども、結局は大臣が一番先頭に立って、歴代国交大臣がいろいろなものを残していっていますけれども、是非、あと何年もやってもらいたいと僕は思いますけれども、でも、いずれにしても、大臣が旗を振ってやっていただきたいと思うんです、僕は。

 気象というのは、そのときやっても、後で災害が起きちゃったら何百億、何千億かかるわけですよ。下手したら何兆かかっちゃう。これを国交省が旗を振って早急にその地域がこうだと割り出していくということは、僕は大事だと。

 大臣からも一言いただきたいと思います。

中野国務大臣 技術的なところにつきましては、先ほど長官の方からも答弁をさせていただいたところでございますが、いずれにしても、やはり、気象予測の予測精度の向上というのは、国民生活のいろいろなことに影響もし、また大変に、災害対応等も含めて非常に大事な分野だというふうに思っております。

 最新のAI技術の活用というところも、今後強化をしていくべき施策ということで私も考えておりますので、しっかり技術の開発等々含めて、この活用、私もこれは取り組んでいきたいということで改めて答弁をさせていただきます。

下条委員 ありがとうございます。

 社長ですから、是非頑張って、建設省出身として頑張っていただきたいと思います。

 次に移りたいと思います。

 上水道というのは、私もちょっとおりましたけれども、厚生省の管轄だったものが国交に変わってきた。国交に変わるちょっと前の二〇一六年に、厚労省が、水道施設などへの小水力発電の導入ポテンシャルという調査をしたんですね。僕も資料を見させていただきました。そうしましたら、発電ポテンシャルという、導入候補地というのは全国で五百六十三か所、これは厚労の調査です。それで、適当に出力ができる地域は何と二百七十四か所も上水道で発覚した。

 僕は何を言いたいかというと、これだけ物が高くなって、円安で百四十円になっていますけれども、いろいろなものが高くなって、エネルギー問題というのは、やはりこの島国日本で一番大きいわけですよ。そのときに、既にあるものを使っていくというのは、僕は頭のいいやり方だし、効率性もよく、税金もかからないやり方じゃないかなと思っています。

 この二百何十か所の地点であることが分かってから、現在、小水力発電を実際に行っているところは、今から約九年前に調査が出ていますけれども、今お幾つぐらいなんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 今議員御指摘の五百六十三か所のポテンシャル調査を行ったもののうち、令和三年度末時点で実際に導入された地点は十五か所でございます。それ以外も含めますと、水道事業者全体における小水力発電の導入状況は、令和三年度末時点で百二十九か所でございます。

下条委員 大臣、九年間かかって今の数字です。

 私は何を言いたいかというと、やはりあるものを使って、できるだけ国民が納めた税金を少なくしていこうと。徴収をですね。だから、それだったら、あるもののデータがあるのであれば、そのときはリーダーシップを振っていただいて、これは急いでもらいたいんです。もちろん、上水道が来たのは最近、これは僕もこの委員会にいたときに来ましたけれども、それも分かるけれども、来た以上はもう皆さんの責任なんだから。

 これはやはり、あるものを使いましょうよというのが僕の発想です。新しいものをどこかから買ってきた方がというのは高くかかり過ぎる。だから、これをやったら本当にあれですよ、大臣、またいい評価が残りますよ。どうですか、大臣。これはもうちょっと急いでやるべきじゃないかと。

 だって、五百何か所あって、二百七十何か所あって、今現在十数か所ということは、やはりこれは、まあ、知らない人は僕は多いと思うんです。はっきり言って、引っ張り出してきたのは私ですから。だから、これは知らないことでいいんじゃなくて、いいものを今までやっていて、もうちょっと金をかけていけばどんどん発展するじゃないですか。国交省が少しずつどんどん進めていった、誰にとってもマイナスがない、皆さんの成果だ。どうですか、大臣。

中野国務大臣 下条委員にお答えを申し上げます。

 水道施設における小水力発電ということで御指摘を頂戴をいたしました。

 現状については上下水道審議官から答弁をさせていただきましたが、やはりこの小水力、電力が安定をして得られることが特徴であり、脱炭素社会の構築の観点からもその導入を進めていくことは私も重要であるというふうに認識をいたしております。

 今、国土交通省としまして、環境省と連携をして、全国の水道事業者等を対象とした会議やセミナーで、小水力発電の先進的な導入事例を紹介をしたり環境省の補助事業を周知をしたり、こういうことをやっておりますけれども、今年度から、小水力発電の導入検討に関する、先生も先ほど余り知らないんじゃないかという御指摘もございましたので、こういう知見が不足をしている水道事業者等に対しまして、温室効果ガスの削減量ですとか費用対効果の分析ですとか、あるいは必要な工程をどう作成するか、こういう伴走支援を行っていくということ、今年度からこういうこととしております。

 国土交通省としても、環境省と連携をしながら、こうした技術的支援も着実に実施をしまして、水道施設における小水力発電の更なる導入というのは推進をしてまいりたいというふうに考えております。

下条委員 いい話だ。

 大臣、あるものを使いましょうよ。僕、この後、時間の範囲内で幾つか言いますけれども、本当に、あるものを使えばいい成果が出るんですよ。行政さんは、やはり今までどおり、アズ・ビフォーですよ。でも、そうじゃないですから、僕らは。あるものをどんどん使って、刷新感を持ってやれば、もっともっと皆さんが注目して、これはよくやったなというふうになると思うんですね。

 是非、リーダーシップを取って、さっき言った数字で、もうそれ以上は言いませんけれども、スピードアップをしていっていただきたい。また、リーダーシップを、今年度からとおっしゃっていたけれども、更にスピードアップしていただきたいとお願い申し上げます。

 次に移ります。

 次は、これまた発電等々の部分ですけれども、ダムのバックアロケーションであります。

 これは、多目的ダム法によって、ダムを建設をしたときに、後からそのダムの一部を発電等で使用する場合は、ダムの建設費用の一部を支払わなきゃいけない。ダムを県じゃなくて国の方でやった場合は、国の方のダム多目的法があって、何か小水力発電でやろうとした事業者がいても、それは、いや、ちょっと待て、おまえ、それだったら約束があれじゃない、金を返せという方法ですよ。

 僕は、これはまさに、今言った、前の話にも直結する話ですけれども、おかしいと思うんですよ。これは、しいんとしていますけれども、各行政はみんな苦しんでいますよ。これがあるから、おらたちできないと。

 じゃ、県だけで負担したところでダムを造っていく、これは国のダムに関してのダムアロケーションですから。県の方は、そうすると、いや、それだったらいいと、自分たちの負担になっているわけですよ。これが声なき声で、北から南まで出ている。

 現在、国のダムというのは約百七とか八とか、そのレベルですよね。三つぐらいのダムについて、試験的に少し前向きに進めても、やらせてもいいんじゃねという話がちょっと出だしている。これは僕は、省も頑張っているし、三役も頑張っているからかなと思いながらも、今現在、この百七のうち三%以下じゃないですか。

 私は何を言いたいかというと、これだけ言われていて、ガソリンだ何だ高くて、ほうだはあだと、税金も高い、物価も高いときに、わざわざあるんだったら、これはもう僕は国交省がリーダーシップを取っていただいていいじゃないかと。

 県の方でやっているダムの方は、もう全然、事業者と組んで、まあ、後で金を取るというところもあるのは、それは、金を取るところは言いません、県の名前は、先生方へも影響しちゃうから。国がやっているから、君たちが県の関係のダムをやったときに、国がやっているダムアロケーションシステムがあるから、小力発電するならあんたからも金を取るよという県があるわけですよ。

 私は何を言いたいか。それじゃ、この四十七都道府県を含めた部分がばらばらになっていく、かつ目的が違ってきているということですよ。せっかく事業者が入って、小水力発電でそれを賄っていこうということで事業者が手を挙げているところの手を挙げる意欲を失わせている。これは僕は大きな問題だと思っています。

 どうでしょうか。御意見いただきたいと思います、国交省から。どうぞ。

中野国務大臣 バックアロケーションについて御指摘を頂戴をいたしました。

 まず、国直轄ダムでの水力発電の状況ということで簡単に御紹介させていただきますと、もちろん水力発電、これは、第七次のエネルギー基本計画でも、安定した出力を長期的に維持することが可能な脱炭素電源として重要という位置づけであります。

 現在、国土交通省が所管し管理しているのは百七のダムでございます。このうち既に電力会社等が参画し発電をしているダムが七十九あります。残り二十八ダムのうち十九ダムでは、国がダムの管理に用いる電気を発電をしているという、これが現状であります。

 そして、委員にも御紹介をいただきました、カーボンニュートラルの推進を支援することを目的として、国土交通省が管理をして、そして電力会社などが参加をしていない三つの多目的ダムで、発電施設の新設や増設を担う民間事業者の公募の手続というのを今まさに進めさせていただいているというところが今の現状でございます。

 御指摘のいわゆるバックアロケーション、これは特定多目的ダム法で定められた納付金でございまして、国や多目的ダムの建設中の段階から長く参画されている今までの既存の利水者の方々がいらっしゃいまして、そこからダム完成後に新規に参画をしようとする新しい利水者との間の費用負担の公平性を保つためのルールということではございます。

 ただ、今後とも、国土交通省としては、既存の利水者との公平性というのはもちろんございますので、これは留意をしながらも、おっしゃるように、新規の利水者の方のお考えもやはりしっかりと聞きながら水力発電の促進をやらないといけない、こういうことで、しっかりと新しい利水者の方のお考えも聞きながら、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指す上で水力発電は大変重要な役割がございますので、この促進というのを支援をできるように考えていきたい、このように考えております。

下条委員 いいお答えをいただきました。

 あるものを使いましょうよ。今、道路をどんどん造っていくことも大事かもしれませんが、そのバックとしていろいろな問題が出てきているのと同じで、前に進まなくて、足下にいろいろなものが、もしかすると宝物が落ちているわけですよ。三つしか今やっていないと。それは努力は認めます、ゼロから三だから。でも、三から八、十五とやっていけば、そこで発電ができるわけですよ。落ちてくる水の引力を使った発電ですよ。それを是非、管轄として進めていくことをスピードアップしていただきたいというのを、最後にもう一度申し上げておきます。

 時間がございますので、次に移りたいと思います。

 次は、これもまた、僕らもちょっといろいろ調べている中で出てきた話であります。あと五分ですね。

 これは、下水処理に藻を使うということです、下水処理に藻を使う。これは藻類バイオマスエネルギーといいますけれども、実を言うと、私ども、どんどん調べていったら、えらいえらい潜在物があるんですね。これはトウモロコシによる穀物エネルギーに比べて、藻、藻類というのは三百倍から八百倍のオイル生産能力がある。これは私も入り込んで調べるまで分からなかった。何じゃ、それはという話がいろいろ来ていたので、本当かといって調べていったら、それだけ、三百倍、八百倍ですよ、大臣。石油を作る能力が、下水と藻類をくっつける中で生まれている。それに対して、実を言うと、私は皆さんに感謝したいのは、保全局がもう既に金を出しているんですよね、研究で。でも、ちょっとしか、まあ、ちょっとというのは、偉いんだけれども、出したと。それは僕は認めます。

 だけれども、問題は、これだけの潜在能力があるものに、もっともっと本格的に入っていくべきじゃないか。確かに、一年間で、どうでしょうか、三千万とか、そのぐらい出しているんですよね。これは感謝しますよ。新しいものに取りかかっていくというのはお金がなかなか大変なんです。

 でも、この藻類が作るものは、日本に点在する下水処理場の三分の一で藻類がもし育てられた場合は、原油生産を始めたとしたら、日本の年間の原油輸入量の一億三千六百万トンと同じ量の原油が生産できるということなんです。これが出てきた。これはもう皆さんの方が知っています。皆さんの方の情報と、僕が研究所をあさった情報の結果ですよ。だから、三分の一やったら、全原油輸入量の同等の部分が藻類の原油生産として下水処理から出ることができる。これは僕は画期的だと。ただ、これは皆さん、気づいているから金をちょっと一、二年出してきたんだと思うんですけれども。

 私は、これはびっくりしましたね。こんなものが、言いにくいですけれども、人間の生活の負の部分ですよ、下水というのは。その部分からこういうものが日本の国内で、身近で下水がつながっているからですよ。アメリカなんか大変だ。ほかの国はそのまま垂れ流しになっちゃう。だけれども、これができるというのは物すごい潜在能力だと僕は思っているんです。

 そこで、時間もありますのであれですけれども、この藻類を変えていく部分について、これは実は今日言った中で一番僕は腰が入っているんですよ、最終質問になっちゃったけれども。本当にこれは大きな話だし、これは大臣、私は何で委員会で言うかというと、大臣室に行って言わないかというと、議事録を残すためですよ。僕らの方からこうやって全議員の前で、委員の前で、こういうものが実際にあるんだぞ、研究所も研究されて結果が出ている、日本の三分の一の下水処理の量で、日本の輸入原油にほぼ匹敵するものを生産できるということは、これは私は大きな話だと思っているんですね。

 どうでしょうか、これ。どちらか分からないけれども、まず、大臣からお答えいただきたい。是非進めていただきたいです。予算は三千万がこの一、二年ついてますけれども、そんなもんじゃないと僕は思っている。

 大臣、もう一回言います。これをやったら、大臣、勲章になるよ、本当に。これは輸入しなくていいんだから。百四十円、百五十円になろうが百三十円になろうが、輸入しなくてよくなって、下水、負の部分を使うことができるんです。いかがでございますか、大臣。

中野国務大臣 支援の具体のところで関係の事務方でもし答弁があれば、補足していただければと思いますが。

 下水を活用して藻類由来のバイオマスエネルギーを生産する技術の研究開発ということで御指摘をいただきました。これは、国土交通省も、令和四年度から二年間、脱炭素化の推進あるいは資源循環型社会の構築、こういう観点から支援を行ってきたところでございます。

 委員も御指摘のとおり、やはり下水道というのは、エネルギー利用の観点から多くの活用可能性があるのではないか、これは私も考えております。これらを有効活用するために、やはりいろいろな技術を研究開発をしていく、こうしたことは非常に重要であるというふうにも考えておりますし、また、引き続き、下水道分野におけるこうした研究開発をしっかりと支援をすることにより、持続可能な社会の構築というところで、下水道分野からもしっかり貢献ができるようにしていきたい、このように考えております。

下条委員 ちょっと時間が来ちゃっていますけれども、もう一つだけ。

 大臣、もうちょっと予算を増やしてやってください。それを答えてください。それで最後にします。どうぞ。

中野国務大臣 予算ということで御要望もいただきました。これは当然、財政当局とのお話もございますし、また関係省庁等々、様々な連携した支援も今させていただいております。必要な予算をしっかり確保して、こうした対策を進めていきたいというふうに考えております。

下条委員 ありがとうございます。

 これは本当に大事ですからね、議事録に残っているし。これからも私、これは進めていきたいと思います。是非前向きに検討していただきたい。

 時間が参りましたので、以上にします。ありがとうございました。

井上委員長 次に、徳安淳子君。

徳安委員 日本維新の会の徳安淳子でございます。

 本日四月二十三日に質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 初めに、皆様方に配付の資料もございますが、おととしの二月と昨年二月に浸水事案が発生したことを隠蔽していたJR九州の子会社、JR九州高速船株式会社、その会社は、二度の行政処分の後、JR九州高速船の、その会社の前の社長を懲戒解雇、その後、日韓航路事業から撤退、会社自体も清算、船も売却したと先週の四月十七日に報道をされています。この事案についてまずお聞きをいたします。

 お手元の資料のとおり、JR九州高速船は、事業開始から三十二年間、福岡市と韓国・釜山を結ぶ航路で、二〇二二年から使用する旅客船、クイーンビートル号、QB号と略して申し上げますが、QB号の船体に、二〇二三年二月十二日にクラックを確認したにもかかわらず、監督官庁へ報告せずに、応急処置をして三日間運航を継続したという事実がございます。言語道断だと思っております。

 経緯の記載にあります、運航して三日後の二月十四日にようやく報告してから六月二十三日の一回目の行政処分まで少し時間がかかっているように思うんですが、その経緯をお聞きしたいと思います。

宮武政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねは、応急措置を施した上で三日間運航を継続したという、そのタイムラグといいましょうか、時間のかかったのはなぜかというお問合せと理解いたしましたが、よろしゅうございますでしょうか。(徳安委員「三日間運航して、それから一回目の行政処分」と呼ぶ)

井上委員長 指名されてから。

宮武政府参考人 私ども、処分を行う際には監査を行うことになっております。監査といいましても、立ち入って、すぐに事故の状況が全部分かるわけではございませんので、詳細な書類の検査、あるいは実際の聞き取りなんかを行った結果、時間を十分にかけて、その事案がどういうことであったのか、つまびらかにした上で、どういう違反があったのかを確定させることとしております。

 その部分の監査に時間を要したというふうに御理解いただければと思います。

徳安委員 失礼しました。

 それから一年後の、昨年の二月十二日にまた浸水を確認しましたが、航海日誌の偽装などにより運航を継続、その後、国土交通省に事案を報告するなど、この記載のとおりでございます。

 そして、五月三十日にようやく国土交通省に事案を報告して、このQB号が運休、そして、その後、八月六日に国交省の抜き打ち検査により、この浸水の確認の後も未報告のまま運航を継続していた事実が発覚とございます。

 その間についての調査内容も教えていただきたいと思います。

宮武政府参考人 お答えいたします。

 配付されております資料に概要ということで記載されておりますけれども、この際、この二回目の亀裂が入った浸水の事案につきまして、私どもはやはり同じように監査で、この際は抜き打ち監査でございましたけれども、監査に入って状況を確認しましたところ、浸水を察知して警報する装置、これの位置をずらしたりしていること、事案を確認しました。位置をずらすということ自体が言語道断でありますけれども、その位置をずらすという行為をするのであれば、やはり私どもの検査を受けていなければならないということがありましたので、こういう検査を未受検で航行していたということ、事案が確認されまして、この際の処分に至った次第でございます。

徳安委員 今御答弁にもありましたとおり、浸水を察知する、その作動する機械を移動して上の方に上げて、浸水が察知しないようにやっていたという、本当に信じられないことを行っていたというのがこのQB号でありまして、余りの、事故の可能性とか人命を軽く考えて、利益しか考えていない会社の姿勢に、もう愕然としております。三十年以上にわたる運航で、よく何も起きなかったなというのも実感しているところです。

 そして、八月六日、今おっしゃった抜き打ち検査とありますけれども、初めに二〇二三年の二月に発覚した後、そのような抜き打ち検査というのは何回ぐらいされているんでしょうか。もっと頻繁に行うべきだというふうに感じておりますし、ほかの旅客船より多く検査をしていたのかどうかもお尋ねしたいと思います。

宮武政府参考人 JR九州高速船に対します監査につきましては、この抜き打ち監査が最初の抜き打ち監査でございました。

 御指摘がありました二〇二三年の事案で監査を行った以降、改善されたことは、立入検査、確認しておりましたけれども、抜き打ちで改めてどういう問題があるのかという確認はこれが初めてでございました。

徳安委員 大きな事故につながっていないからいいようなものの、やはり抜き打ち検査は、一回目にあったときから、もっともっとやるべきではないのかなというふうに思うところです。

 私も、調査結果を拝見しまして、船員の中でもおかしいと気づいている人もおられて、でも、会社の方針だから、船長も何も言わずにそのまま運航を続けていたという、本当に会社自体が非常に悪質を感じますし、さらには、この親会社のJR九州の監督責任、そしてまた、それを指導する国土交通省の指導内容について、どのように指導されてきたのか、お尋ねしたいと思います。

宮武政府参考人 お答え申し上げます。

 JR九州高速船に対しましては、当事者として、私ども、監査を通じて、あるいは直接私が社長と面談するなりして、この事案を正すように強く指導申し上げました。

 一方で、JR九州本社に対しましては、私ども、海上運送法の規定では直接処分を行うことはできませんけれども、やはり親会社として相当の責任持った対応をしていただくために、当時、斉藤大臣から直接JR九州の社長に対しまして、また、私の方からもJR九州の社長に対しましても指導を行ったところでございます。

徳安委員 指導を行っていただいたということですけれども、先ほどお配りした資料の一番最後の中点に、JR九州のコメントが出ているんです。それを読んでみますと、非常に他人事のような、人ごとのような、本当に申し訳なかったというところが全く伝わってこないというところが、本当に親会社としてしっかりと監督責任を果たしていたのか、そう思っていたのかどうかというのを本当に痛感するところです。ですので、しっかりとこれからも、もっともっと指導をしていただきたいと思っております。

 それからまた、くしくも、先ほども申し上げましたとおり、本日、四月二十三日は、北海道の知床半島沖で観光船が、カズワンが沈没し、乗客と乗員二十人の方が亡くなられ、六人が行方不明となっている事故から三年目であります。

 改めて、御冥福と、行方が早くお分かりになりますように、お祈りを申し上げたく存じます。

 この事故では、観光船を運航していました知床遊覧船の社長が、運航管理者などとして事故を未然に防ぐ義務を怠ったために発生した事故であり、まさに今回の浸水事案と同じパターンじゃないかと思います。このQB号が浸水の隠蔽を行っていたのは、その事故があった翌年です。まだそのような大事故につながるような隠蔽があるのか、信じられないことです。

 そこで、中野大臣にお聞きしたいと思います。

 今日で事故から三年となるところでございますが、昨日、二十二日にたしか記者会見をされておられて、その中で安全確保に向けた強い決意を述べられておられます。三年前の事故を受けて進められている六十六項目に上る旅客船の安全対策の大部分が実施され、監査体制や検査体制を強化しているとして、安全確保を進めていくとおっしゃっておられます。

 本当にこれまで、三年間で六十六項目の旅客船の安全対策は実施されていたのかどうか、どうしてその中でこのような事案が発生したのか、ほかの旅客船についても一体どのようにチェックしているのか、安全性に本当に問題はないのか、お尋ねしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 二十三日、知床遊覧船事故の発生から丸三年ということであります。改めて、お亡くなりになられた方に対し、心よりお悔やみを申し上げます。御家族の皆様に対しても、心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 徳安委員から御指摘がありました、今回、この事故を受けまして、こうした痛ましい事故を二度と起こしてはならない、二度と起こることがないよう、こういう思いで旅客船の安全、安心対策に取り組ませていただいております。その中で、様々な分野で六十六項目の対策ということで再発防止策を取りまとめておりますが、今その大部分が実施中やあるいは実施済み、そういう状況であります。

 特に、先ほど来、JR九州高速船の事案のお話が続いております。監査について、これは監査能力の向上をしないといけない、監査体制の強化をしないといけない。加えて、抜き打ち監査の実施、そして通報窓口の設置、こうした一連の対応を進めております。JR九州高速船の違反の事案についても、こうした対策の一環である抜き打ち監査というのを通じて確認をされたものということであります。また、検査の体制についても充実をさせよう、小型船舶の検査体制も充実をさせよう、こういうことも引き続きやっているところでございます。

 いろいろな海上運送法の対策内容については、説明会の開催等も通じて全国の事業者へしっかりと周知も図らせていただいているところであります。

 船舶の安全運航というのがやはり運航事業者にとっては最も基本的でありますし、そして最も重要なことであるというふうに思っておりますので、委員の御指摘もしっかりとまた踏まえながら、しっかり関係職員が一丸となって旅客船の安全確保に向けて強い決意で取組を進めてまいりたい、このように考えております。

徳安委員 今、大臣の方から通報窓口の設置というお話もございました。いろいろなところで今、公益通報の問題が出ておりますし、法案の整備も今進んでいるかと思うんですが、先ほど触れましたように、船員の方が一言、早くこの通報窓口に通報できていれば、また違った形で物事は進んでいったんじゃないのか。事故が発生しなかったからよかったものの、しっかりと公益通報の窓口を設置していただきたいと思っております。

 そして、このQB号は去年十二月二十三日に日韓航路事業からの撤退を決定しておりますが、それから半年もたたないうちに、このJR九州が韓国企業に売却をするということが先週の四月の十七日に発表をされました。三年前に、QB号の購入金額、約六十億ということですので、早く売却したかったんでしょう。そして、韓国の釜山に本社を置く旅客船運航会社パンスターラインドットコムへ売却したという発表です。

 引渡しは来月の予定で、売却金額は明らかにされておりませんが、この会社は、釜山を拠点にクルーズや外航旅客運航の事業を行っており、グループ内では釜山―対馬や釜山―大阪航路も持っております。JR九州が仲介業者を通じて売却先を探す中で条件が一致したということですが、この売却先での用途につきまして、JR九州は、福岡―釜山間では船体の補強を行っても運航の安全を確保できないと売却先に説明した上で、購入しているということです。日韓航路の運航に使用することはないと聞いているという説明でありました。

 このQB号の定員というのは五百二名です。大勢の人命が懸かっています。日韓の事業で使わないからよいということで、本当にそれでいいんでしょうか。修理できないという判断で運航をやめた船、ハード対策を施してもなお船体へのクラック発生のリスクを完全に払拭できず、運航再開に向けた確実な安全が担保できないと判断したJR九州が、その船を売却し、そしてまた運航させるということは、日韓では運航しないということであれば、一体どこで運航するんでしょうか。名前を変えて運航するとなれば、全く分からず、私たちが乗るかもしれません。

 失礼ながら、韓国で二〇一四年、十一年前に発生したセウォル号では、乗船者四百七十六人のうち三百四人が死者・行方不明者となっております。ようやく十一年を経て、これも先週の四月十四日に原因究明が終了し、船体に問題があったと結論が出たところです。

 万一、また大事故を起こし、結局、元日本の船だとか騒がれて、賠償責任を負わされるようなことにならないように、後に日韓で亀裂が走るような禍根を残さないように、あらゆる方面から熟慮、熟考をお願いしたい。必要と思いますが、最後、大臣に見解をお聞きしたいと思います。

井上委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 速記を起こしてください。

 では、宮武海事局長。

宮武政府参考人 クイーンビートル号、確かに、JR九州が売船して、韓国に売却したという事実は我々も承知しております。

 この場合、例えば、クイーンビートル号が玄界灘を走らずに、穏やかな海で走る分においては、また船体に発生するクラックの状況も変わってくるとは思います。ただ、船の安全を確保する点においては、やはり船のチェックを必ずやらなければならないというのは重要だと思っております。

 例えば、私どもの権限において、釜山から対馬に入るようなことがあれば、我々として、船の状態を確認する権限がありますので、そこにおいて、やはり異常がないかどうか、これを立入りで確認することになろうかと思います。これによって船の安全は確保できると思います。

 仮に、韓国の国内で運航するということであれば、我々が持っている情報を韓国当局に提供することで、韓国当局において安全を確保する等も可能だと思っております。今後の船の就航の状況に応じて、対応を考えてまいりたいと思っております。

徳安委員 しっかりと注視していただきたいと思っております。二度と同じような事故が起こらないように指導を強化していただきたいと思っております。

 三年前の事故発生の日にこのような質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げまして、二度と同じ事故が起きないように、官民全てが一緒になって全力を尽くすということをお誓い申し上げ、最悪の事態が起こらないことを願って、次の質問に移ります。

 次は、ちょっと質問の順番を変えて、市街化調整区域での地域経済活性化についてお尋ねをいたします。

 市街化調整区域は、都市計画区域のうち市街化を抑制すべき区域のことで、都市や町などの成長や開発を管理するために設定された地域です。目的は、都市計画や土地利用の観点から、まだ開発が進んでいない自然環境を保護し、バランスの取れた発展を目的としております。宅地造成などの開発は原則として制限され、建築は禁止。ただし、都市計画法四十三条に当てはまるものと都道府県知事の許可を受けたものは制限なしで造成できるということになっております。

 この区域のメリットとしては、自然環境との調和とか、健康への配慮、建築制限の保護などがあり、デメリットとして、建築制限の制約、都市へのアクセスが悪い、生活インフラの不足等々、自然災害のリスクなども挙げられているところです。

 このデメリットから考えますと、都市部から一定の距離があるために、商業や産業の発展が制約されることから、自然環境が保護されつつも、雇用機会が少ないなどによる人口流出が止まらず、今後は市街化調整区域内の人口定着は余り見込めないのではないでしょうか。将来的に、それ以上に人口減が進み、空き家が増え、手入れもできない土地へと取り残されていく想定が十分つきます。地方創生二・〇と逆行するのではないかと思います。

 市街化調整区域内での建築等の許可は都道府県が行いますが、国としての今後の考え方をお尋ねいたします。

内田政府参考人 お答えいたします。

 市街化調整区域は、委員御指摘のとおり、市街化を抑制すべき区域であり、都市計画法に列挙されている開発行為に限って開発許可がなされることとなっております。

 市街化調整区域において、既存集落の維持を図ることが必要な場合、この場合には、診療所ですとか食料品店など、周辺居住者の生活に必要な建物のほか、地区計画を策定いたしましたり、あるいは、条例を定めることで周辺の市街化を促進しない区域、用途を定めることによりまして、開発許可をすることが可能になっております。また、大規模既存集落内の住宅などについては、原則、許可をして差し支えない旨、技術的助言を発出しております。

 また、平成二十八年には、市街化調整区域における既存建築物の用途変更許可の運用を弾力化いたしまして、既存集落の維持や観光振興などに活用する場合、許可をしても差し支えない旨、技術的助言を発出しております。

 開発許可は地方自治体の自治事務であるところ、開発許可権者である地方自治体において、地域の実情に応じて適切に運用していただきたいと考えております。

徳安委員 今の御答弁で、診療所とか食料品店があれば、市街化調整区域に住んでいる人たちは安心して住めるんじゃないかというようなお話だったのかなと思うんですけれども、しかしながら、もう既に人口減少が始まっていて、そこではスーパーも商売ができないというところで、撤退しているところが多いと聞いています。

 私の知り合いの、町田市内の市街化調整区域在住の自治会長から御相談がありました。市街化調整区域だから、新居を構える新しい人が入ってこられない。賃貸住宅はあるけれども、学生ばかりで、卒業したら引っ越して出ていってしまう。商店もなく、高齢化が本当に進んでしまったということで、自治会長は、調整区域を何とか外してほしいという思いでありました。そこで、私も町田市に確認しますと、東京都の方針であるために、都が変えなければ、なかなか市の方で変えられないというようなお話もお聞きしました。

 国の政策だからこそ変えられないというのが、一般的に皆さんに浸透しているようでありまして、今ちょっと規制を緩和しているというようなお話もありましたが、それであれば、昭和四十三年に制定された、半世紀以上前の、この都市計画法四十三条が現実と合致しているのか、改めて見直しをする時期に来ているんじゃないのかなと思うんですが、御見解をお聞きします。

内田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども答弁申し上げましたとおり、まちづくりというのは、基本、地元の市町村が中心になって、都道府県とよく連携を図りながら実現をしていくものだと思っております。

 その中で、開発許可の在り方につきましても、大枠のルールというのは法律上で決めておりますし、昭和四十三年の法律、新都市計画法制定以降、その時々の実情に応じた見直しというのは累次行ってきているところでございます。

 そのような中で、地元自治体の判断によって、先ほど御答弁したように、少し緩和できる部分、あるいは強化できる部分等、様々な選択肢を用意するというのが我々国の役割だと思っておりまして、各自治体においては、用意されている枠組みをうまく使ってまちづくりを実現していただきたいと思っておりますし、我々、しっかりと各自治体に対して助言等は引き続き行ってまいりたいと考えております。

徳安委員 昨年の八月十八日の朝日新聞によりますと、防災の観点から市街化区域を市街化調整区域に戻すという、逆の線引きが各地で少しずつ始まっているというような記事もございました。

 確かに、地元の市町村がするというのはそうなんですけれども、なかなか思い切ったことができない、それにはやはり資金がかかる、いろいろなものが費用がかかるということで、ちゅうちょしている市もあるかもしれませんので、そこはしっかりと国としてフォローしていただきたいと思っております。

 最後の質問に入ります。

 最後の質問ですけれども、防災庁の設置についてお聞きしたいと思います。

 防災庁の設置につきましては、昨年から準備室を前に進めていただいているというのもお聞きしているところですが、私ども地元兵庫県からも実は要望が出ております、防災庁の誘致、設置を是非兵庫県内にしてほしいと。なぜなら、やはり、神戸市の方には人と防災センターがあり、そして、三木にはE―ディフェンスという研究施設もあります。そういう意味では非常に集積された兵庫県ですので、そこに防災庁を設置してほしいということの要望でございました。

 その進捗状況につきまして、設置に関する進捗状況をお聞きします。

河合政府参考人 お答えします。

 令和八年度中の設置に向け準備を進めております防災庁については、強化すべき防災施策の方向性や、そのために必要な組織体制の在り方等について、専門家から御意見をいただくため、防災庁設置準備アドバイザー会議を開催しております。

 防災庁の設置に関しては、今委員から御指摘ありましたとおり、兵庫県を含めまして、自治体から様々な御要望が寄せられておりまして、しっかりと受け止めていきたいと考えております。

 防災庁の機能の一部について、その拠点をどこに置くべきか、また、防災庁本庁自体が被災した場合のバックアップや地域の防災力の強化をどのようにすべきかなどについては、これから様々な御意見、御提案を賜りながら、災害対策を一層効果的、効率的に実施できる体制はどのようなものかという観点から、適切に検討を進めてまいります。

徳安委員 最後に、地元ですので、中野大臣の決意のほどをお聞きしたいと思います。

中野国務大臣 長く兵庫県議会で御活躍もされてきた徳安委員からの御要望で、私も、御要望自体は大変によく承知をしておりますので、それはよく承知をしております。

 そして、防災庁の設置につきましては、先ほど答弁ありましたとおり、赤澤大臣の下、検討が進められているという状況であるということは、そういう役割で今検討しているということでございますけれども、しかし、国土交通省というのは、防災・減災、国土強靱化、非常に重要な災害の役割を担っております。こうした検討されている防災庁ともよく連携しながら、しっかり対策を進めてまいりたいということは、私からも改めて、決意ということで答弁をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

井上委員長 徳安淳子君、時間が経過しておりますので、終了してください。

徳安委員 終わります。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、鳩山紀一郎君。

鳩山(紀)委員 国民民主党・無所属クラブの鳩山紀一郎でございます。

 本日も、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速、質問に移らせていただきます。

 まず、四月の六日から七日にかけて発生いたしました、NEXCO中日本の大規模なETCシステム障害についてお伺いします。

 先ほど、神津議員からも、かなり詳細な質問がございましたけれども、私からも幾つか確認をさせていただきたいというふうに思っています。内容がやや重複することを御容赦ください。

 今回の障害ですけれども、四月六日の未明に発生しまして、応急復旧までに実に三十八時間を要しました。そのきっかけというのは、七月に予定されているETCの深夜割引制度の見直しに向けたサービス改修作業だったというふうに承知をしておりますけれども、障害の原因というのは既に判明しているのでしょうか。

 七日の午前ゼロ時に広域管理システムから自動配信されたというデータが破損をしていたということでしたけれども、その破損の原因は特定できていないというような報道もございましたが、改めて、現時点での見解をお聞かせいただければと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、四月二十二日ですけれども、NEXCOにおけます有識者の検討委員会が開催をされまして、原因究明、あるいは当面の対策等について取りまとめがなされております。

 その中で、今回のETCのシステム障害については、クレジット機能が利用不能なETCカードを特定するためのデータが破損してしまっていたことによりまして、正常なETCカードの一部について、ETCレーンで通行不可というふうな判定が出てしまったということでございます。

 どうしてそういうことが起こったかということでございますけれども、こうしたデータについては、料金所にデータが送信をされます。このデータの領域が二つありまして、一つは、どこの料金所に送られるかという宛先のデータの領域、それと、利用不能なETCカードがどれなのかというデータの領域、二つあります。二つあるわけですけれども、この宛先のデータ、これはデータを送ればそのたびごとに消去していけばいいわけですけれども、それが消去される機能が装備されておらず、この宛先データがどんどん蓄積をしていってしまって、利用不能なETCカードを特定するデータの領域に侵食をしてしまって、それでETCカードのデータが破損が発生をしたというふうに聞いております。

 以上でございます。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 私としては、当初、サイバー攻撃の可能性なども懸念をしておりましたので、確認をさせていただいた次第です。原因は特定をされてきたということですので、再発防止策の具体化を進めていただきたいと思いますし、今後の安定運用に向けて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 その上で、今回の障害による高速道路利用者への影響についての質問も考えておったんですが、先ほど、約九十六万台に影響、待ち時間最大約三時間とのお話もありましたので、こちらは割愛をさせていただきまして、今回のNEXCO中日本の対応について、これは適切であったというふうに政府はお考えかだけ、お伺いしたいと思います。

山本政府参考人 お答えをいたします。

 応急復旧がされるまでの間、四月六日の十三時半頃から、ETCレーンのバーを開放いたしまして、速やかに車両を通過させるという措置を取ったわけですけれども、この措置が遅れたということで料金所での渋滞あるいは事故を招いたとの御批判があるということは承知をしております。

 これは、広域的なETCのシステム障害時の対応を定めたマニュアルが整備をされていなかったということもございます。一連の対応、不適切なものであったというふうに認識をしております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 私としては、やはり今回のように、利用者側には全く過失がないような状態で、高速道路会社側の問題でサービスが利用できないという状況が生じたにもかかわらず、利用者を何時間も待たせてしまったということは明らかに対応としては誤った対応であったというふうに考えております。

 一部には公平性の観点から無料にはできないというようなお話も聞いたことがあるんですけれども、実際には、後日精算用の通行券を配付した料金所がある一方で、ETC専用ではない一般レーンも事実上無料開放していた、そういう料金所もあったようでありまして、結果として公平性は保たれていなかったのではないかと思うわけであります。

 であるならば、先ほどもございましたけれども、障害が発生したときには一律で、システム障害につき無料開放中というような感じでした方が、かえって公平性が担保されたはずでありますし、渋滞の発生も避けられたのではないかというふうに思っておるところでございます。

 中野大臣、今回のようなETCシステム障害というのは今後も発生し得るというふうに考えられます。その意味で、障害の発生時には直ちに高速道路を無料開放するということを基本的なルールとするのが合理的ではないかと私は考えておりますが、御見解を伺いたいと思います。昨日の有識者委員会でゲート開放までは決定したようですけれども、無料にすべきというところでお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 先ほど道路局長からも答弁させていただいておりますけれども、今回、多くの利用者の方に御迷惑をおかけをしたということは私も大変に遺憾に思っているということでございます。

 そして、委員御指摘のように、ETCレーンのバーを開放する措置が遅れた、料金所の渋滞や事故を招いた、こういう御批判がやはりあるということも承知をしております。

 NEXCO中日本に対しまして、私から、四月中に事案の原因、当面の対策、そして六月中には、再発防止あるいは広域的なシステム障害への危機管理対応マニュアルをまとめ、報告するように、こういう指示をいたしました。委員も御指摘の、昨日、第二回のNEXCOの検討委員会で、原因究明結果、当面の対策等を取りまとめをしたところでございます。

 今回の事案を踏まえまして、NEXCO中日本からは、今後、今回と同様の事案が発生した場合は、速やかにバーを開放する、これはまさに委員御指摘の、速やかにバーを開放するんだという措置を取る、料金所の運用を改善する、こういう御報告がありました。

 料金の徴収をどうするかという問題であります。

 確かに、御指摘のとおりでありまして、今回はETCレーンのバーの開閉に不具合が生じたケースでありますが、課金の機能自体は正常に保たれている場合もあります。そのときは、バーを開放すれば、渋滞を発生させず、通常時と同様にETCによる料金徴収も可能、こういうケースもあろうかと思います。

 そして、そうではないケースというのもやはりある。それは、ETC通信が全くできなくなった場合ですとか、課金機能が正常に機能しなくなった場合ということであります。この料金徴収をどういう在り方でどうするかということについて、今、引き続き、NEXCOの検討委員会で議論をしていただいている、こういう状況でございます。

 いずれにしても、今回、多くの方に御迷惑をおかけするに至ったことは大変重く受け止めておりますし、再びこのような事態が起きないよう、今回取りまとめた当面の対策に基づき、しっかりと対策をしていただく、そして六月中には危機管理対応マニュアルもまとめていただくという形で、引き続き、高速道路会社に対してしっかり指導してまいりたいと考えております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 是非、無料も含めて御検討はいただきたいなと思っているところです。

 今回のようなことが再び起こらないよう再発防止をするということは当然ですけれども、今回の被害の規模を定量的に把握するということも重要だと思っておりまして、それこそ、ETC二・〇でデータが使用可能ならば、それを活用して、渋滞による利用者の時間損失額を推定して公表するようなことも検討していただけないかななんていうふうに思ったりもしておるところでございます。

 次の質問に移らせていただきます。次は、流域治水に関する質問でございます。

 二〇二〇年に国土交通省が提唱いたしました流域治水は、都市計画と治水対策の連携を図るということが重要な柱であります。この課題意識自体は実は二十年ほど前から存在しまして、私もかつて多摩川流域で都市計画と治水対策の連携について研究したような、そんな経験もございます。

 どういうことかといいますと、治水の観点からは、本来、災害ハザードのエリアには居住は避けてほしいところなんですが、縦割り行政の影響で都市計画との連携が不十分なまま市街化が進んでしまったというケースが多いわけでして、そして、一たび市街化が進めば、当然ながら治水対策が求められますけれども、そのコストは大きくなりがちだというわけであります。こうした課題の解決に向けて研究が重ねられて、流域治水という考え方に結実したのかなというふうに理解をしているところです。

 そこでお伺いですが、流域治水の考え方の下で、都市計画と治水対策の連携がうまく機能したという好事例はどのようなものがあるのか、また、それらの事例に共通する成功要因はあるのかというところをお伺いしたいと思います。

藤巻政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、流域治水の取組によりまして水災害等のリスクを軽減させるには、リスクが高い区域から低い区域への居住や都市機能の誘導など、まちづくりと一体となった取組が有効でございます。

 これらに貢献するために、河川管理者といたしましては、治水計画の目標とする規模に加えて、それよりも高い頻度で発生する規模などの浸水の範囲や深さ、並びに、それらが河川整備等によりどのように変化するかなど、様々な浸水に関する情報の作成や周知を進めております。

 こうした浸水に関する情報を利用したまちづくりを行っているいい事例、好事例といたしましては、新潟県長岡市でございますとか岐阜県の各務原市などが挙げられます。

 これらの市におきましては、立地適正化計画を策定や改定する際、河川管理者が提供いたしました水災害等に関する情報と、人口や建物、避難路、そういった都市の情報などを重ね合わせまして、都市機能や居住を誘導する区域を設定するとともに、それでもなお残る水災害等のリスクに対しましては、ハード対策だけではなくて、避難体制の強化を含めた、リスクを軽減、回避するための取組方針を定めております。

 両市における取組が好事例になった共通の理由というのが、今御指摘ございましたけれども、まちづくりに加えまして、治水や防災に関する専門家、有識者、そういった方々の御意見も伺いながら、水災害等のリスクの分析及び防災・減災の取組方針について検討されたことが考えられるのではないかと思います。

 引き続き、水災害等のリスク情報を充実しつつ、治水、防災部局とまちづくり部局がより一層連携強化をいたしまして、安全、安心なまちづくりを推進してまいりたいと思っております。

 以上です。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。新潟の長岡や岐阜の各務原などで好事例があるということで、まちづくりと治水の専門家が両方関わって進めていくということが成功の要因ではないかということで承りました。このような好事例を是非全国にも広げていっていただきたいと思いますし、まだ十分に連携ができていないところも多いかと思いますので、是非、そこについては改めていっていただきたいなと思っておるところでございます。

 ところで、連携の一つの方法として、災害ハザードエリアから立地適正化計画、いわゆる立適上の居住誘導区域などへの住居や施設の移転を支援する防災移転支援事業という制度があるというふうに承知をしております。ここで、立適上の居住誘導区域などの指定というのは、一定の合理性に基づきつつも、基本的には自治体により恣意的に決められる側面がございます。一方で、指定区域において防災移転が見込まれる場合、土地価格や家賃が上昇するという可能性がございます。

 これは政府参考人にお伺いをしたいというふうに思っておりましたが、ちょっと時間の関係上、パスをさせていただきますけれども、今申し上げたようなことが起こり得るということで、もちろん、純粋な需要と供給のバランスに基づく市場原理で価格が変動するということは、これは健全です。しかし、仮に国の補助を見越した値上げというのがあるのであるとすると、それは官製値上げに近くて、結果として国民の税金が特定の地主や大家に流れてしまうというような形になりまして、市場の健全性を損なうものと考えられます。

 したがって、土地価格や家賃が不自然に上昇するといった事態は未然に防ぐ必要があろうかというふうに考えておりますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 居住誘導区域等の設定と併せて各種誘導策を実施をした場合には、確かに人口の集積ですとか利便性の向上というのも図られますので、そういう意味では、中長期的に地価が維持、上昇するということも確かに想定はされる事態ではあります。ただ、その影響がどこまで明確かというのは、少しまだ、ちょっとはっきりしないところもあるのかなというふうにも考えております。

 確かに、全国の都市においては、人口減少や少子高齢化なども、しかし他方で大きな課題でもございますので、やはり、これらに対応したまちづくりも他方で進めていかないといけないというところもございます。

 そうした様々な災害リスク等を総合的に勘案しながら、医療や福祉、商業などの機能を中心部や拠点に集約するとともに、交通ネットワーク、コンパクト・プラス・ネットワークというのは他方で進めているという政策でもございますので、そうしたところも考えながら、やはりそれぞれの自治体において政策も検討されると思いますし、いずれにしても、安全、安心で持続性の高いまちづくりというのはやはり必要なのではないかなというふうに私自身は考えております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 一般的に補助金が市場をゆがめるという事例というのは、これに限らず、しばしば見られますので、制度設計の段階から十分留意しておくべきだなというふうに思っておることを申し添えさせていただきます。

 最後に、クルーズ船の災害時活用についてお伺いをいたします。

 能登半島地震のとき、お配りしている資料にお示ししておりますけれども、防衛省がPFI方式で契約をしている民間フェリーが被災地に派遣されて、避難者の受入れというのを行いました。これらは、民間所有の船舶を防衛省が必要に応じてチャーターするという仕組みでありまして、災害対応において一定の成果を上げております。

 ただ、客室数には限りがございまして、プライバシー保護などの面で限界もあるということで、そこで注目すべきが、この裏の面にお示ししておるようなクルーズ船の活用であります。客室、シャワー、トイレなど完備されたクルーズ船というのは、スフィア基準も満たした避難施設として十分機能を果たすのではないかという可能性があるわけであります。

 現在、国内にクルーズ船は、こちらにお示しする三、四隻しかないわけなんですが、例えば、国土交通省がクルーズ船を新たに保有をして、平常時はPFI方式で民間会社が観光クルーズに活用する、災害時には優先的に災害支援に転用するというような運用方式もあり得るかと思いますけれども、これは避難所環境の抜本改善にもつながるというふうに考えておりますが、政府の御所見をお伺いしたいと思います。

宮武政府参考人 クルーズ船を災害支援に優先的に利用することを前提として保有するという御提案と承りました。

 ハイスペックでありますクルーズ船の建造と保有には、まず、多額の費用が見込まれております。また、災害が発生した場合に、クルーズを途中で中断して、あるいは予定されたクルーズがキャンセルされて催行できないということになろうかと思いますけれども、そのような条件付の商品を設定することは一般的にはなかなか難しいのではないかなというふうに思っております。

 こういった課題もございますので、慎重に検討する必要があるのではないかなと考えているところでございます。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 やり方次第だとは思っております。もちろんコストの面で課題は大きいと思いますが、必要な設備を、それが全て調った状態で各地に支援に赴けるという点は大きなメリットかなというふうに思っておりますので、是非前向きな御検討もお願いしたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 自動車のリコール制度と日産リーフの不具合について質問をしたいと思います。

 この間、私の事務所に日産リーフの不具合について、ある相談が寄せられました。

 資料の一を御覧いただきたいんですけれども、自動車のアッパーマウントという部分、これは車体の前輪部分にあり、タイヤの振動を吸収する緩衝装置をボルトで車体に固定をしています。このアッパーマウントに雨水などがたまる構造になっているため、この部分がさびてしまってボルトが外れてしまい、緩衝装置が脱落したというふうなことでした。

 ある日、車の走行中に車体からドンという音がして、その後、カタカタとかゴトゴトという異音が続いた、ディーラーさんが休みのため、タイヤ量販店で見てもらうと、アッパーマウントがさびて抜け落ちている、これ以上の走行は危険だというふうに言われたそうです。このユーザーさんが困っているのは、その後の日産の対応で、なぜその車のアッパーマウントが抜け落ちたのかという原因が究明されないまま、修理もできないような状況にあるということです。

 国交省は、自動車のリコール、不具合情報を集めておられます。その中で、寄せられている情報のうち、日産リーフに関して、このアッパーマウントにさびが発生し、腐食により緩衝装置が脱落したなどの不具合情報、何件寄せられているでしょうか。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、自動車のリコール制度の適切な運用を図るために、自動車の不具合情報を一般のユーザーの方々から提供いただけるよう、不具合情報ホットラインを開設しています。

 このうち、日産リーフの車両においてアッパーマウントにさびが発生、腐食したことによりフロントストラットが外れたという不具合情報の件数は、二〇一五年からの十年間で計十四件となっております。

堀川委員 ありがとうございます。

 資料二を御覧いただきたいんですけれども、今質問した件数、国交省のリコール、不具合情報に寄せられた情報のサイトから一覧にしたものです。私の事務所の調べでも十四件というふうになっています。

 続いて、資料三を見ていただきたいんですけれども、リコール制度の概要を示した資料になっています。この右上の図にもあるように、この楕円で囲んでいる部分、不具合情報が寄せられると、国交省はメーカーに対して調査、報告の指示を出して、メーカーは調査、検討をし、報告することになっています。

 この仕組みの法的根拠を伺いたいということと、また、例示で結構なんですけれども、メーカーから報告が上げられている件数、何件あるでしょうか。

鶴田政府参考人 国土交通省では、リコール制度における適切かつ迅速な改善措置の実施や不正行為の防止を図るために、道路運送車両法第六十三条の四第一項に基づきまして、自動車メーカーに対して、市場での車両の不具合情報を収集、分析して、その結果を国土交通省に報告するよう指示を行っております。

 もう一点、御質問のありました、これに基づく不具合情報の件数ですけれども、令和五年度では一年間で九千四百三十八件になります。

堀川委員 この緩衝装置の締結部分の不具合によってリコールされた例が過去にあります。二〇一七年の一月にSUBARUがリコールを出したレガシィという車種です。

 このレガシィがリコールを出された理由、国交省はどう把握されているでしょうか。

鶴田政府参考人 リコール制度は、設計、製造過程に問題があったために、安全・環境基準に適合していない又は適合しなくなるおそれがある、こういった自動車につきまして、メーカーが国土交通省に届出を行った上で改修を行うという制度でございます。国土交通省では、この制度を確実に運用することで、自動車の安全確保を図っております。

 今御指摘のありましたSUBARUレガシィに関しましては、走行安全性に影響はないものの、三百件以上不具合が発生したということから、ユーザーの不安を解消するために自動車メーカーが自主的にリコールを届け出たものでございます。

堀川委員 今、はっきり答弁がなかったように思うんですけれども、このレガシィがリコールに至った理由です。

 資料四でそのことをお示ししているんですけれども、この赤線を引いている部分です。「フロントストラットにおいて、」緩衝装置のところですね、「ストラット上端取付け部の締結緩み評価が不充分なため、縁石乗り上げなどの衝撃で取付けナットが弛むことがある。そのため、そのまま使用を続けると、当該取付け部にガタが生じて損傷し、異音が発生するおそれがある。」ということでリコールに至ったということです。

 最初にも紹介したんですけれども、日産リーフは、雨水がフロント部分のこのアッパーマウントに流れて、水がたまるというふうな構造になっているんですね。日産は、水がたまる構造であることは認めているんですけれども、蒸発によって常に水がたまっているわけではないと説明をしています。ただ、日産リーフの場合は、かなり奥まったところにこのアッパーマウントがあるというふうな状況です。

 ただ、いずれにせよ、この構造によってアッパーマウントにさびが発生し、緩衝装置であるフロントストラットの脱落に結びついている可能性は否定できないというふうに思います。

 資料二で示した不具合情報に基づいて、国交省は、その構造、装置又は性能が保安基準に適合していないおそれがあるか否かの確認、これをやるべきだと思うんですけれども、日産に対して調査、報告を指示することを検討していただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 堀川委員にお答えを申し上げます。

 国土交通省は、適切なリコール制度の運用のために、自動車ユーザーから寄せられる不具合情報などを基に、自動車メーカーに対して必要な調査、報告を指示するなどの対応を行っているところでございます。

 委員御指摘の事案につきましても、ほかの事案と同様に、道路運送車両法に基づきまして、日産自動車に対して必要な調査、報告を求めるとともに、技術的な検証を行うなどの対応を取ってきたところでございます。

 その結果、アッパーマウントが腐食して分離をしても、がたつきは生じるものの走行することは可能であり、急加速、急旋回等を行っても不安全な挙動がないことから、現時点において直ちにリコールを行う緊急性はないと考えていますが、引き続き、同種事案による不具合情報等を収集し、必要に応じ適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

 国土交通省としましては、本件を含め、リコール制度を適切に運用し、道路運送車両の安全な運行の確保に努めてまいりたいと考えております。

堀川委員 その同じような説明をユーザーさんも受けているわけなんですけれども、走行することは可能だという日産の説明なんですが、走行することができなくなっているという不具合情報がたくさん、十四件、国交省に寄せられているわけなんですよね。

 車の量販店からは、これ以上走行することは危険ですというふうにも言われているわけです。一般的な対応でいいのかということが問われているというふうに思うんです。さらに、相談者のユーザーさんがSNSで発信すると、同様の経験をしたというふうな情報が数件寄せられているそうなんです。

 改めて日産に対して、調査、報告の指示、御検討いただきたいですし、適切に指導をしていただきたいんですけれども、大臣、改めて答弁をお願いします。

中野国務大臣 先ほどSUBARUレガシィの件について自動車局長からも答弁をさせていただきましたが、レガシィのときは走行安定性に影響はないけれども、三百件以上不具合が発生をして、ユーザーの不安を解消するために自動車メーカーが自主的にリコールを届け出たということがございました。

 今回の日産リーフの件については、先ほど私、技術的な検証については説明をさせていただきましたが、いずれにしても、自動車ユーザーから寄せられる不具合情報などを注視をさせていただきます。その内容の確認を通して、日産自動車に対して必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

堀川委員 この不具合の件で、もう既に新車に買い換えたというふうな方もいらっしゃいます。適切に指導をしていただきたいことを改めて申し上げまして、質問を終わります。

井上委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、二地域居住の促進について、昨年の通常国会で二地域居住の促進のための広域的地域活性化法改正法案を審議し、成立させ、昨年の十一月一日に施行されております。今年の石破首相の施政方針演説でも、二地域を拠点とする活動を支援しますとおっしゃっておりますし、中野大臣の本委員会の所信表明演説でも、二地域居住等の促進というものを言っております。

 私は、前回の法案審議のときに、「森と蔵」という、私の地元に桜川市という市がありまして、ここは平成の合併で合併して二十年になるんですけれども、過疎地域に指定されてしまいまして、その地域で民間の事業者が取り組む「森と蔵」というのを紹介させていただきました。

 この資料一、美しい山に包まれたところに新しく八軒の家をやって、ここはすぐ埋まる人気のところとなっております。

 その法案審議のときに、幾つかの問題点を指摘したんですけれども、例えば、広域的地域活性化法では、都道府県が二地域居住に関する広域的地域活性化基盤整備計画を作ったときにしか市町村は二地域居住の促進に関する特定居住促進計画を作成することができないなど、幾つかの法案の欠陥を指摘させていただきました。

 法案策定時のKPIは、施行後五年間で、特定居住促進計画の作成数、累計六百件というものでありますけれども、この施行後、現状、成果というのはいかなるもので、どう評価するか、答弁をお願いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の二地域居住を促進するための改正広域的地域活性化法は、昨年の十一月に施行されたところでございます。

 二地域居住の促進のためには、住まい、なりわい、コミュニティーに関するハードルがあるということを踏まえまして、市町村が特定居住促進計画を策定し、空き家の改修やコワーキングスペースの整備等の記載を行った場合や、県がインフラ整備に関する計画を策定した場合に国の重点的な支援を受けることができること、また、市町村が二地域居住の推進に係る法人指定、こうした場合にはいろいろな支援をするという仕組みを整備しております。

 法施行後、先月末の時点で、私どもが把握している限り、市町村計画が、鳥取県の江府町や長野県の塩尻市など五件、支援法人につきましては、北海道厚真町や山形県の新庄市など延べ五者が指定をされております。

 また、二地域居住の更なる促進に向けました中長期的な課題検討のためのモデル事業、これも公募をしております。補正予算をいただいて公募をしたところ、北海道、九州まで御提案をいただきまして、例えば、高知県、鳥取県と就航している航空事業者の二地域居住との連携、移動費の負担軽減であるとか、新潟県の三条市、鉄道事業者が、イノベーション人材の二地域居住を図るための移動費の負担軽減、こうした二十六件を採択をしているところでございます。

福島委員 通告していないんですけれども、大臣、今の施行後の、半年ちょっとたっていますけれども、その状況をどう評価いたしますか。

中野国務大臣 法施行後の半年という状況であります。今の数ということで、まだまだこれからなんだろうというふうには思っておりますが、いずれにしても、こういう先行計画やモデル事業の地域というのがどんどん広がってくるということで、市町村にもしっかりとこうした説明会の開催等、後押しをさせていただき、しっかりと増加をさせていきたい、こういうふうに思っております。

福島委員 私は、この二地域居住というのは、これからの地域にとって、ある意味、活性化の切り札じゃないかと思っておりまして、総理も力を入れているので、私はこれは重点的に進めた方がいいと思っているんですね。

 それで、私は、今年、新年会、各市町村で新年互礼会の挨拶をするんですけれども、全部の市町村の挨拶で二地域居住のことを紹介させていただきましたし、いろいろな団体の挨拶でも、観光関係などでは二地域居住の話もさせていただいたんですけれども、正直、関心が盛り上がっていないんですね。私の地元の茨城県は、この計画を作ったところもゼロですし、モデル事業、応募もゼロということで、梶山先生、頑張らなきゃならないんですけれども、ゼロなんですよ。

 理由の一つは、やはり、これは県が作って、それで市町村がやるというと、どうしても上から落ちてくるのを待っちゃって、なかなか地元の盛り上がりがないというものもあるんじゃないかなと思っているんですね。あともう一つは、やはりまだまだ知られていないということもあるんだと思います。

 二地域居住ということをインターネットで検索すると、大体出てくるのは国交省の資料が出てきて、これはもうお堅くて、ちょっと見る気になりません、申し訳ないですけれども。あと、全国二地域居住等促進官民連携プラットフォームというのがホームページで出てくるんですけれども、ここに、優良事業の横展開とか官民のマッチングといいますけれども、余り魅力的じゃないんですね。この「森と蔵」のページに比べるとまだまだ魅力的じゃないと思っていて、やはり、お客さんとなるような一般の国民とか、あるいは、これからこれの事業に取り組もうとする人に魅力的に見えるような、そうしたホームページを作った方がいいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二地域居住の施策の紹介につきましては、今委員御紹介いただきました国交省のホームページ、また、昨年の秋に全国二地域居住促進官民連携プラットフォーム、これが立ち上がりまして、今、官民、千の団体が組織をして活動していただいております。その中で、国や自治体の施策であるとか二地域居住を進めようとしている民間事業者の情報を紹介させていただいております。

 委員御指摘がありましたけれども、この二地域居住に関心のある一般の方であるとか、また、特に若い方々をターゲットにした施策の展開を今回試みておるところでございますけれども、二地域居住をしたいと感じられる内容となっているかどうかという点につきましては、御指摘のとおり、改善の余地があるかなというふうに思っております。

 法施行の準備をしていただくための計画の策定のマニュアルであるとか、計画の内容、重点支援の中身とかのPRをかなり全面に出しておるところでございますので、そうしたビジュアル化も含めて、プラットフォームのホームページのデザイン、これにつきましては、利用者が活用しやすい機能を有したものとなるよう、実務者の視点、よりよいものになるように考えていきたいというふうに考えております。

福島委員 黒田局長御自身、かなり思い入れがあって力を入れているというのをお伺いしておりますので、是非、国民の皆さんとか事業者が取り組んでみたいと思うようなものを作っていただければと思います。

 先ほど紹介した「森と蔵」のその後なんですけれども、高知県出身の地域おこし協力隊の小林直城さんという方がここにお住まいになって、この方はマウンテンバイクとかをやっておりまして、低い山というのはマウンテンバイクのコースにぴったりなんですね。それとか、ツリークライミング、木登りですね、そうした拠点のことをやるOsotomanという事業を展開をしております。裏にOsotomanとありますけれども、ただ外遊びをするだけなんですけれども、ただ、こういったことをやることによって、交流人口は確実に増えて、結構盛り上がって、私が見に行ったときも十五人ぐらいの人が、よそから来た人が、ちょうど木登りから帰ってきたところで、非常にみんな喜んでいて、リピーターも増えているということで、やはり一人の人が二地域居住をやって、その人から更に輪が広がっていくという効果があるんですね。

 前回も指摘したんですけれども、今、空き家に住もうというんですけれども、空き家にぽつんと住むのは、これはなかなかできません。空き家に来る人だって、よそから一人来て、この人が本当に集落のいろいろな草刈りとか協力してくれるのかなとか、ごみ捨てをちゃんとしてくれるんだろうかなとか、いろいろなのがあってできないんですね。結局、二地域居住の人は、やはり何人かグループにならないとなかなか暮らしづらいということがあって、この「森と蔵」の方も、不動産事業の経験を生かして、八棟の新規の建物、しかもそれなりのおしゃれな建物を造って、やったんですね。そのために、ある程度はやはり設備投資も必要になってくると思います。

 今回、先ほど局長から紹介があったモデル事業でも、先進的な事例が、下条委員の隣の方の塩尻市が結構熱心に取り組んでおりまして、今回もこの先導的プロジェクトで、空き家を改修して、お試し住宅と、まず、いきなり移住するんじゃなくてお試しで住んでみて、それで合ってみたら本格的に二地域居住を始めましょうというステップを実施をしようとしているんですね。空き家だけでは駄目で、それをそれなりに改修しなきゃならなくて、お金がかかるので、ここには先ほどの補正予算でお金がつくようですけれども、ただ、六年度の補正予算は総額三億円、今年度の当初予算は僅か一千万円、一千万円ですよ。これは本当にスズメの涙だったと思うんですよね。

 全国的に展開するとしたら、こうした新たな民間事業者による設備投資などに対しても支援を重点化するべきだと思うんですけれども、その点、ちょっと気合のほどを黒田局長から聞かせていただけないでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 国交省といたしましては、この二地域居住促進のための先導的プロジェクト実装事業、これは官民一体となったモデル的な取組への支援をしておるところでございます。

 計画の策定を進めるべく、インセンティブとなるように、計画の策定も一応要件の一つというふうにさせていただいております。

 今御指摘がございましたけれども、分野横断的に地域の様々な取組が支援できるということが重要だと思っておりまして、予算面の支援、これにつきましては、引き続きしっかり充実を図っていきたいというふうに考えております。

 いろいろな課題がありますので、そうした課題を一括、ハード整備だけじゃなくて、ソフト整備の点におきましてもまだまだ課題がありますので、そうした課題の解決も併せて、先進的な取組を支援していきたいというふうに考えております。

福島委員 私の出身の経済産業省などは、補正になると、ぼんと大きくぼったくりみたいな要求をするんですよ。これは総理も言っていることですから、是非、補正の機会などで、どかんと二桁ぐらい違う要求をしていただけないかなというふうに思っております。

 実際に二地域居住を主導すべきところは市町村だと思うんですけれども、なかなかこれをやる気にならないのは、メリットがないんですね。例えば、二地域居住で住民が増えても、そのために下水道を整備する、あるいはごみ処理などをやる、そんなことをやっても、その居住者からは税収が入ってきません。令和六年一月の移住・二地域居住等促進専門委員会の中間とりまとめでは、二地域居住者等による納税等の負担や住民票等の地域との関わり方については、更なる議論が必要としております。

 ちょうど一昨日の経済財政諮問会議においても、ふるさと住民登録制度の創設を議論しているというふうに伺っております。誰もが簡単、簡便に登録でき、自治体の既存の取組を緩やかに包含できる、柔軟かつ間口の広い仕組みの構築を目指すとしておりますが、何をやろうとしているのか、実際全然よく分かりません。

 総理も施政方針演説の中で、地域に継続的に関わる方々が登録でき、地域づくり活動に参加する担い手となっていただけるふるさと住民登録制度等の有効性について検討を行い、結論を得てまいりますというふうに、総理も施政方針演説で行っております。

 そこで、総務省にお伺いするんですけれども、今後、このふるさと住民登録制度、どのように検討が進められ、そのことは二地域居住の納税とか住民票制度に関連するものとして議論されるのか、どのような結論を出そうとしているのか、今後の検討の見込みについてお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと住民登録制度でございますけれども、現在、本年夏に策定します地方創生二・〇の基本構想に向けまして、住所地以外の地域に継続的に関わる方々を登録し、地域の担い手確保等につながる仕組みとして検討を進めているというものでございます。

 地域との継続的な関わり方でございますけれども、これには様々なパターンがありまして、地元の地域産品の購入とか観光リピーターといった形で地域経済の活性化に貢献する方とか、また副業とかボランティア等による地域への定期的な訪問によりまして地域の担い手となる方々、また二地域居住の方々と、様々な関わり方があるというふうに認識しております。そのため、誰もがアプリで簡単、簡便に登録できて、自治体の既存の取組を緩やかに包含できるような形で柔軟かつ間口の広い仕組みの構築を目指すというふうにしているところでございます。

 今御指摘がありましたように、先日の経済財政諮問会議の中で村上総務大臣の方からこういった基本的な検討の方向性を表明していただいたところでございます。

 具体的な制度の詳細、またその活用の仕方、そういったものにつきましては、自治体の既存の取組が進んでおりますので、そういったものの中で、登録者と地域の関わり方、これにつきまして、関係を踏まえまして、関係省庁と連携しながら、今後、引き続き検討していくというふうな段階というふうに承知しております。

福島委員 望月審議官は高校の先輩でもあるし、私の仲のいい同級生のお兄様でもあるんですけれども、結局、納税とか住民票制度とか、そうした根幹に関わるところまでもアプローチし得るものなのかどうか、簡潔に御答弁をお願いいたします。

望月政府参考人 様々な御要望があるというふうには認識しておりますけれども、まず現在のところは、現在どうなっているかというのを洗い直しをして、それをいかに広く登録ができるようにするかということに主眼を置いて検討しているところでございます。

福島委員 望月審議官の地元の茨城町にも大変生きるプロジェクトでありますので、是非御協力をお願いしたいと思っております。

 それで、税というのは、やはりなかなか役所だけではいじれないものだと思うんですね。これまでも総務省は、住所地以外の地方団体に個人住民税の課税権を法的に根拠づけることはできないとか、強制性を伴う課税の根拠となる居住実態をどのように正確に把握するのかとか、複数の住所を認定することとした場合に、税のみならず、住民票や選挙など様々な制度との関係についても慎重な議論が必要とか、やらないための理由、ネガティブな議論にずっと終始しているんですよ。

 でも、それは、現状の制度を前提とするとそうならざるを得ないんですね。仮に、ふるさと住民登録制度がそうした住民票とかの問題も解決し得るものになれば、そこは変わるんですけれども、やはり税は政治なんですね。ふるさと納税も総務省の中では当時様々な議論があったと承知しておりますけれども、やはり菅元総理の政治的なリーダーシップでふるさと納税制度というのができたわけでありまして、私は、ここはやはり中野大臣、政治的なリーダーシップ。二地域居住というのは、単なる地域おこしじゃないと思うんですね。制度的な、ある意味、日本の国土政策そのものを大きく変え得る政策なわけですから、そのための制度というのは、私は政治的な決断も必要だと思っております。

 そうした大きな話だけじゃなくて、先ほどの「森と蔵」では、写真を見ると裏の山林がありますけれども、この美しい山林は所有者不明なんですよ。所有していた会社が倒産しちゃって、ここを競売にかけてくれといろいろ私も国税庁の方にお願いしたんですけれども、なかなかかけてくれなくて。

 本来、ここに入ってマウンテンバイクのコースを造ったりとか、木を一回切って広葉樹を植えたりとか、いろいろやりたいことがあるんですけれども、それができないから、そうした特例措置を法律で決めるというのもあるでしょうし、大体こういう二地域居住をやる人は農業もやりたいんですね。そうなると、様々な農地法上の特例措置が必要になるかもしれない。あるいは、建物自体を造るときに、二地域居住用の簡素な建物を造ると、防火水槽の設置義務とかが過剰になるという話も伺っておりまして、法律上はきちんと詰めなきゃならないと思いますけれども、様々な規制の特例措置というのが必要なんだと思うんですね。

 私は、何よりもこうしたところに入ってほしいのは、民間の地場の工務店とか不動産屋さんとかそういったところが、大手が、ディベロッパーが入るんじゃなくて、民間のこれまでの人たちが自治体と取り組むという仕組みが必要だと思うんですよ。

 私がかつてやった構造改革特区制度、それはまさにそうしたことを目指していて、国が計画を作って、その下に県が計画を作って、市町村が計画するという上意下達じゃなくて、むしろ民間の発意に基づいて、この「森と蔵」も民間の人が始めているんです。自治体は残念ながら余り関心がないんですね、今のところは。でも、民間の人が自治体を動かして、それは基礎自治体ですね、市町村の人たちが提案を競い合って、二地域居住の人を都会の人から集めるのを競争するという環境をつくった方が私はいいと思いますし、それに必要な財政的な支援も是非パッケージで必要だと思うんです。

 それをやるとしたら、やはり、前回の法律は、広域的地域活性化法という従来の別目的の法律を一部改正することによって取り組んでいるんですね。やはりここは新法が必要なんじゃないかと私は思います。

 先ほどの住民票や住民税などの話もそうですし、市町村独自に計画を立てるという従来の広域的地域活性化法の枠組みを離れた枠組みの話とか、様々な、他省庁分野も含む規制の特例措置を入れるという、そうした新法を作ったらどうかと思うんですけれども、中野大臣の政治的な思いというのを是非お聞かせください。

中野国務大臣 福島委員におかれましては、二地域居住に大変に御熱心に御意見も賜り、また、「森と蔵」、御地元の御紹介もしていただき、敬意を表する次第でございます。

 委員の御指摘のとおり、二地域居住の促進、やはり、では、地元の市町村の取組をどう支援するのか、あるいは民間の事業の支援をどうするのか、様々な省庁をまたがる連携をどうするのか、こういうことをしっかりやっていくということが大事であるというふうに思います。

 具体的な政策については先ほど局長の方からるる述べさせていただきましたので、改めてそれを繰り返すことはいたしませんけれども、今、市町村や民間事業への支援、具体的な中身を議論していただき、また、モデル的な取組を通じていろいろな課題もしっかり洗い出していこう、こういう状況であります。

 そして何より、地方創生二・〇ということで総理が掲げている政策の中でも、二地域居住の推進、大変に大事だというふうにも思っておりますので、今、法改正して施行してちょっと間もない状況ということもございまして、しっかり様々な方の御意見もお伺いしながら、これは関係府省庁としっかり連携して、この推進はしっかりと強力に行ってまいりたい、このように思っておりますので、よろしくお願いします。

福島委員 中野大臣の看板事業になるように、今後しっかりと検証いただいて骨太な政策をつくっていただきますことを期待して、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

井上委員長 次に、内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣中野洋昌君。

    ―――――――――――――

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中野国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明を申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮籍の全ての船舶に対する本邦の港への入港を禁止しているほか、平成二十八年二月十九日以後に北朝鮮の港に寄港したことが我が国の法令に基づく手続等によって確認された第三国籍船舶、国際連合安全保障理事会の決定等に基づき凍結又はその他の関連する措置の対象とされた船舶であって、その国際海事機関船舶識別番号が明示されるもの及び同年十二月九日以後に北朝鮮の港に寄港したことが我が国の法令に基づく手続等によって確認された日本国籍船舶の本邦の港への入港を禁止しております。

 関連する国際連合安全保障理事会決議は、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めておりますが、いまだにその実現には至っておりません。また、拉致問題については、現時点においても解決に至っておりません。

 政府においては、こうした北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、令和七年四月八日の閣議において、引き続き令和九年四月十三日までの間、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づき、これらの船舶の本邦の港への入港を禁止することを決定いたしました。本件は、これに基づく入港禁止の実施について、同法第五条第一項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。

 以上が、本件の提案理由であります。

 本件につき、速やかに御承認いただきますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

井上委員長 本件につきましては、質疑、討論共に申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

井上委員長 次回は、来る二十五日金曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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