第9号 令和7年6月5日(木曜日)
令和七年六月五日(木曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 浦野 靖人君
理事 勝俣 孝明君 理事 中野 英幸君
理事 松島みどり君 理事 青山 大人君
理事 大西 健介君 理事 尾辻かな子君
理事 伊東 信久君 理事 丹野みどり君
理事 西岡 義高君
今枝宗一郎君 上野賢一郎君
加藤 鮎子君 草間 剛君
小池 正昭君 高木 啓君
武村 展英君 永岡 桂子君
中西 健治君 野田 聖子君
福原 淳嗣君 三反園 訓君
若山 慎司君 池田 真紀君
井坂 信彦君 石川 香織君
大河原まさこ君 大島 敦君
おおつき紅葉君 篠田奈保子君
杉村 慎治君 橋本 慧悟君
松田 功君 山田 勝彦君
梅村 聡君 角田 秀穂君
西園 勝秀君 沼崎 満子君
たがや 亮君 本村 伸子君
…………………………………
国務大臣
(消費者及び食品安全担当) 伊東 良孝君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
国土交通大臣政務官 吉井 章君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 藤本 武士君
政府参考人
(消費者庁食品衛生・技術審議官) 中山 智紀君
政府参考人
(消費者庁審議官) 尾原 知明君
政府参考人
(消費者庁審議官) 田中久美子君
政府参考人
(消費者庁審議官) 井上 計君
政府参考人
(消費者庁審議官) 黒木 理恵君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 大村 真一君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 野村 知司君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 坂 勝浩君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 堤 洋介君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局次長) 久保田秀暢君
政府参考人
(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) 秋田 未樹君
衆議院調査局第一特別調査室長 松本 邦義君
―――――――――――――
委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
福原 淳嗣君 草間 剛君
井坂 信彦君 橋本 慧悟君
石川 香織君 篠田奈保子君
大島 敦君 杉村 慎治君
山井 和則君 池田 真紀君
角田 秀穂君 西園 勝秀君
同日
辞任 補欠選任
草間 剛君 福原 淳嗣君
池田 真紀君 山井 和則君
篠田奈保子君 石川 香織君
杉村 慎治君 大島 敦君
橋本 慧悟君 井坂 信彦君
西園 勝秀君 角田 秀穂君
同日
理事丹野みどり君同日理事辞任につき、その補欠として西岡義高君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件
地方消費者行政の充実・強化に関する件
――――◇―――――
○浦野委員長 これより会議を開きます。
理事の辞任についてお諮りいたします。
理事丹野みどり君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に西岡義高君を指名いたします。
――――◇―――――
○浦野委員長 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、去る二日、消費者問題に関する実情調査のため、委員十五名が参加し、千葉県の八千代市消費生活センターの視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
まず、消費者被害等に関する様々な相談が寄せられる消費生活センターの施設を視察し、相談員の方々が相談業務等に従事されている現場を拝見いたしました。
次いで、八千代市消費生活センターにおける取組について説明を聴取した後、服部八千代市長並びに八千代市の消費者行政担当職員及び消費生活相談員の方々と、地方消費者行政強化交付金の活用状況、相談員の方々の任用形態及び処遇、消費生活相談のデジタル化やPIO―NETシステムの更新による相談業務等への影響、相談情報の関係機関との情報共有、連携等について意見交換を行いました。
以上が視察の概要であります。
最後に、今回の視察に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。
―――――――――――――
○浦野委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、警察庁長官官房審議官松田哲也君外十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○浦野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。
○松島委員 自民党の松島みどりです。
大臣にお伺いしたいと思います。
消費者庁とは一体何なんだろうかと考えてしまうことが時々あります。全ての国民が消費者であり、毎日消費活動を行っているわけですが、消費者問題といえば、昔から定番なのは、例えば、化粧品で皮膚の状態が悪くなったとか、強引な訪問販売やキャッチセールスに捕まって消費者センターに訴えが相次いだとか、そうやって社会問題化したことがございます。しかし、最近の詐欺事件などは直接警察が対応することが多いようでございます。
二〇〇八年、福田康夫総理が、これまで自治事務に委ねられていた消費者相談を国のレベルに引き上げるなど、各省庁縦割りになっていた消費者行政を統一的、一元的に推進すること、そのために消費者庁の創設を指示し、翌年設置されました。
消費者庁は三十八の法律を所管していますが、例えば消費者安全法や消費者の財産的被害を集団で回復するための民事裁判手続の法律、こういったものは、もちろん、ずばり消費者問題であります。一方、食品ロス削減推進法とか、他省庁と共管ですがチケット不正転売禁止法、あるいは法人等による寄附の不当な勧誘の防止といったものは、消費者問題と言えば言えなくもないですが、これほどどんどんと守備範囲を広げ過ぎては切りがなくなっていくのではないか、そんな気持ちがしてまいります。
さらに、今国会で法改正を実現させました公益通報者保護法は、非常に重要な法律であり、改正はとても大事なものだったと思いますが、これは基本的に、従業員が所属する組織の不正を告発した際に解雇などの不利益を被らないようにするのが目的です。消費者問題というよりは労働問題なのではないでしょうか。
そういったふうなことを考えますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○伊東国務大臣 おはようございます。
松島委員の御質問にお答えしてまいります。
消費者庁は、生活者あるいは消費者が主役となる社会へ向けまして、あらゆる制度を見直し、消費者行政を統一的、一元的に推進するための消費者行政の司令塔になるという理念に基づきまして、平成二十一年九月に設立をされました。それ以来、消費者庁では、関係省庁と連携をいたしまして、消費者の権利を守り、安心、安全な社会を実現すべく邁進してきたところであります。
デジタル化やあるいは高齢化の進展等により、消費者を取り巻く環境は急速に変化をいたしておりまして、消費者問題も複雑化、多様化している、そのような中で、消費者庁設立以降、様々な課題に対応するため、御指摘のとおり、所管法令も増えてきているところでもあります。
消費者庁といたしましては、消費者庁のみで課題に取り組むのではなく、関係省庁と密接に連携しつつ、消費者行政の司令塔としての役割を果たし、生活者や消費者が主役となる社会の実現を図ることが重要であると考えております。
また、公益通報者保護法は、事業者による食品偽装やあるいはリコール隠しなど、国民生活の安全、安心を損なう事業者の不祥事が相次いだことを受けまして、平成十六年に制定された法律であります。
この法律は、不正を通報した公益通報者を不利益な取扱いから保護するとともに、事業者による国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、消費者被害の発生や拡大を未然に防止することを目的としております。このため、労働問題への対応という側面のみならず、消費者問題への対応という側面が大きいと考えております。
○松島委員 もう一つ、大臣に質問です。
消費者問題の解決の糸口、最前線は、自治体に設けられた消費生活センターであると思います。先日、八千代市消費生活センターを視察させていただきましたが、そこの視察経験を基に質問させていただきます。
まず一点は、消費者相談員はどの自治体でも一年ごとの会計年度任用職員が一般的である、これが問題だと思っております。
先日お会いした消費生活相談員お二人に、男性、女性、それぞれ一人ずつにお話をお伺いすることができました。
女性の方がおっしゃったのは、企業や団体の消費者相談窓口を経てここに来た、相談員歴二十年を超し、還暦も過ぎている、月に十三日勤務している、そのようにおっしゃっていました。もう一人の男性の方は、会社を定年退職してから資格を取って、三年前から二つの市で、週三、週二の割合で仕事をしている、年金も受給していらっしゃる方でした。
消費者庁も相談体制の強化を訴えていらっしゃいますが、現場は非正規職員で、しかも自治体のセンターは週三日程度しか実際には勤務できない、そういうことを考えますと、相談体制の強化というのは非常に難しいと思われます。
お会いした女性相談員からは、二十年ほど前、つまり御自分が仕事を始められた頃は、子育てを終えた女性が社会復帰する手段として勉強して資格を取るケースが多かったけれども、今はそんな時代じゃない、そうおっしゃっていました。男性の方は、たとえフルタイムで働けたとしても年収四百万円程度だから、若い人が相談員の報酬で生計を立てるのは難しい、そのように伺いました。
相談員の高齢化、なり手不足が問題となっています。どのような対応をお考えでしょうか。
○伊東国務大臣 ただいま、相談員の高齢化、なり手不足ということの問題点についてのお尋ねでありました。
地方消費者行政は自治事務でありまして、消費生活相談員の任用は、地方公務員法に基づき、各地方公共団体で検討、実行されているものでありますが、相談員の高齢化が進んでおり、全国的な人手不足の中、消費者庁としても、相談員の担い手確保は重要な課題と認識をいたしております。
このため、消費者庁では、相談員養成講座等を実施し、資格保有者の拡充を進めてきたところでもあります。今年度からは、若年層を含め担い手の掘り起こしやあるいは就業支援について都道府県と連携して実施するなど、更なる充実を図り、相談員の担い手の多様化を図ってまいります。
また、相談員の担い手確保のためには待遇改善が重要であります。消費者庁では、地方消費者行政強化交付金により指定消費者生活相談員等の報酬の増額分を支援してきたところでありますが、今後進める交付金の見直しにおきましても、引き続き相談員の待遇改善に資するよう検討してまいりたいと考えております。
さらには、相談員の専門性は一朝一夕に身につくものではありません。中長期的な視点に立って育成を行っていくことが重要と考えております。こうした専門性の確保、向上、専門的知識経験に鑑みた任用、処遇を図っていただくよう、引き続き地方公共団体に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
以上であります。
○松島委員 是非、交付金の維持拡大、私たちも一丸となって図っていきたいと思います。そして、自治体が自分たちで採用した人にそういう養成講座を経て資格を持ってもらって正規の職員として勤め続けられる、そういったことを消費者庁はバックアップしていただきたいと思っております。
ところで、ちょっと質問の順番をいろいろ変えて申し訳ございません、消費者センターに寄せられた美容機器についての苦情を基に厚生労働省に改善させること、これに成功した事例があると伺っております。非常にいいケースだと思うのですが、これについて教えていただきたいと思います。
その前提として、消費生活センターから話を聞くだけじゃなくて、それ以外に医療機関からも医療事故の情報を集めていると聞きますが、それはどういう形というか、どういう範囲のものでしょうか。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
消費者安全調査委員会では、令和五年三月にエステサロン等でのハイフによる事故についての報告書を公表し、この中で、エステサロン等で行われているようなハイフ施術の現状を踏まえ、厚生労働大臣に対し、ハイフ施術の医師法上の取扱いを整理するよう意見をしております。
これを踏まえ、厚生労働省から令和六年六月七日付で、ハイフを人体に照射し、細胞に熱凝固を起こさせ得る行為は、医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生じるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第十七条に違反するとの通知が出されたものと承知しております。
また、お尋ねの医療機関からの情報収集についてですが、消費者庁と国民生活センターの共同により医療機関ネットワーク事業を実施しており、全国約三十の参画医療機関からの御協力により、消費者が消費生活上の事故に遭い病院を受診した際の情報を収集しております。
引き続き、こうした多様な情報収集の枠組みを活用し、得られた事故情報を消費者への注意喚起や制度等の見直し等につなげてまいります。
○松島委員 消費者庁と他省庁とのネットワークというか、非常にいい例だと思っております。
大臣に最後にもう一つ伺いたいと思います。
いろいろな場面で政府の行政DXということがよく言われるのですが、相談者の訴えというのは実に多様で、しかも、ポイントをついて五分でお話しする方もいらっしゃれば、四十分、五十分かけて、どこが焦点か聞き出すのが非常に難しい場合もあるようでございます。複数回にわたる継続案件もたくさんあります。果たしてAI利用というのはうまくいくのでしょうか。つまり、私は、安直に、人手不足を解消するのにAIを使えばというのはおかしいと思っているんですが、いかがでございましょうか。
○伊東国務大臣 消費生活相談は、相談者に寄り添って詳細な聞き取りを行い、粘り強い双方向のやり取りを通じて相談者が抱える問題を解きほぐす、あるいは把握、整理した上で、適切な助言や、あるいは事業者との間に立ってあっせんを行うなど、複雑な作業であり、現状ではAIで代替することはなかなか難しいと考えております。
他方、相談員の担い手確保が重要な課題となっており、また、消費生活相談の内容が複雑化、高度化する中でありまして、可能な限り最新のデジタル技術を活用し、業務の在り方や効率性を高めていくことは極めて重要であります。
このため、今回のPIO―NET刷新におきましても、デジタル技術を活用して、消費者の利便性向上の観点から、様々な分野の消費者トラブルの解決方法を辞書的に提示し、消費者の解決を支援する、よくある質問回答集、FAQでありますけれども、この充実を図り、相談員の負担軽減を図り、より複雑困難な相談への対応に尽力いただけるよう、相談支援機能の導入を図ることにいたしております。
今回のPIO―NETの刷新はスタートラインでありまして、デジタル技術の更なる進展や現場の御要望等を踏まえまして、今後とも不断にデジタル技術を取り入れ、消費者の利便性向上あるいは相談員の負担軽減に取り組んでまいりたいと考えております。
○松島委員 どうもありがとうございました。
○浦野委員長 次に、大西健介君。
○大西(健)委員 おはようございます。立憲民主党の大西健介です。
時間がありませんので、早速質問に入りたいと思います。
まず、月曜日の八千代市の視察で現場の声を直接聞かせていただきました。現場の皆様の御努力でこれまで築いてきたものを後退させてはならないという思いを改めて強くさせていただきました。
また、待ちの相談体制だけではなくて、見守り活動や出前講座などを行うには相談員の増員というのが必要であって、そのためにも、人件費に活用できる継続的な国の財政支援、これが不可欠だというふうに思います。与党を始め各会派の皆様にも御理解と御協力を得て、本日、質疑の後に地方消費者行政の充実強化を求める決議を行う予定でありますけれども、これが実現すれば、消費者特別委員会としては二十六年ぶりと聞いております。立法府として我々は全力で応援をしてまいりますので、伊東大臣には、財政当局と闘って、予算を是非かち取ってきていただきたいというふうに思います。
そこで、大臣にお願いしたいのは、財政当局は、自治事務なんだから自主財源に移行すべき、こういう理屈を言ってくると思うんですけれども、この理屈に是非屈しないでいただきたいと思います。
配付資料を御覧いただきたいんですけれども、これは消費者庁の資料ですけれども、ちょうど真ん中ぐらいに、赤で囲んでおきましたけれども、消費者庁は地方支分局を持たず、自治体とのネットワークを通じ消費者問題の実情把握を行い、政策を企画立案し執行していますと。そして、相談員が聞き取った情報というのはPIO―NETに入力をされて消費者行政の源泉となっていると。まさに私はここがポイントだと思うんですね。
大臣、是非この点を財政当局に強く言っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○伊東国務大臣 大西委員の御質問にお答えしてまいります。
私も認識は一緒であります。地方消費者行政の中核を成す消費生活相談員につきましては、地域住民の消費生活の安心、安全の基盤となっているものであります。同時に、相談対応で聞き取った情報がPIO―NETを通じて国、地方で共有され、国の消費者政策の企画立案、執行に活用されておりまして、国の消費者行政を支える基盤、すなわち、消費者全体の安心、安全の基盤となっているものでもあります。
地方消費者行政の充実強化は、地方支分部局を持たない消費者庁にとりまして行政の適切な実行のために不可欠な要素であり、消費者行政の最重要政策課題の一つとして骨太の方針にしっかり盛り込まれているところでもあります。
また、このような地方消費者行政の位置づけや重要性がしっかりと伝わるよう、引き続き丁寧な説明を当局にしてまいりたいと考えております。
○大西(健)委員 今、大臣の答弁の中で骨太の話がありましたけれども、私は以前、質問で、これを骨太に是非入れていただきたいという話をしました。私も原案を拝見しましたけれども、地方消費者行政の強化、それから相談員の人材確保、育成に資する交付金の見直しという文言がしっかり入っているのを確認をさせていただきました。来週にも閣議決定というふうに聞いていますけれども、是非しっかりとこの方針で進めていただきたいと思います。
次の資料を御覧をいただきたいんですけれども、現在交付金を活用している自治体の状況を見ますと、小規模な自治体ほど交付金依存度が高い、人口一万人未満の自治体では五四・五%ということになっています。小規模自治体ほど財政基盤が弱い、それは当然だと思うんですけれども、そこに対して自主財源を用意しろということ自体が私は理不尽だと思います。
市町村単位の、住民に寄り添った、きめ細やかな、顔の見える対応がなくなってしまえば、結果として住民の安全、安心が守れないことになると思いますが、大臣はどう思われますでしょうか。
○伊東国務大臣 消費生活の安全、安心を確保するためには、住民と身近に接する基礎自治体におきまして、きめ細やかな情報提供や相談対応を行うことが重要であります。また、消費者トラブルの背景には生活上の問題や健康上の問題など様々な要因が絡んでいることがあり、保健、福祉、教育、地域自治などの分野で住民と接する機会の多い基礎自治体の総合力も重要であります。
消費者庁では、地方消費者行政強化交付金等により基礎自治体の消費者行政の強化を推進し、市町村の消費生活センターが倍増、特に、人口十五万人未満の市町村の消費生活センターが二百か所から五百七十九か所へと、約三倍増加をいたしました。
他方、こうした小規模な自治体では、元々、消費者行政に関する一般財源の規模が小さく、地方消費者行政強化交付金推進事業の活用期限の到来に際し、相談窓口を維持できるかなどの大変困難な状況に直面されている、このように承知いたしております。
私自身、地方公共団体の消費者行政担当者等との意見交換をさせていただきましたけれども、この中で、小規模な自治体で交付金を活用して消費生活センターを立ち上げられ、これからも何としても続けていきたいというお話をお伺いいたしました。その努力を無駄にしてはならないという思いを強くいたしているところであります。
このため、推進事業の活用期限を迎える地方公共団体が引き続き消費生活センターの運営等を継続でき、地方消費者行政の充実強化が図られるよう、しっかりと対策を練ってまいりたいと考えております。
先ほど骨太の方針のお話をしましたけれども、消費者庁にとりましては、行政の適切な実行のため不可欠な要素としてこの地方消費者行政の充実強化がありまして、消費者行政の最重要政策課題の一つとして骨太の方針にしっかりと盛り込んでまいりたいと考えております。
○大西(健)委員 先ほど答弁の中で、これは四月二十四日、各自治体の担当者と大臣で懇談もしていただいた。これも、私も是非直接聞いてくださいという話を委員会でして、実行していただいてありがとうございます。
ちょっと時間がないので次に行きたいんですが、相談が急増している、いわゆるリースバックをめぐるトラブルなんですが、参考に新聞記事を配付しました。
私は、老後の生活資金を得る道として、リースバック制度そのものは有効な手段だと思っています。一方で、理解力や判断力が低下した独居の高齢者を狙って不動産事業者が訪問して自宅を廉価で売却させる押し買い被害が大きな問題になっています。高齢者が自宅を失うことは生活の基盤を失うことになり、被害は深刻であります。
このケースでは、これは媒介契約ではなくて直接買い取って転売するということなので、宅建業法の規制が及ばない。また、不動産の訪問購入には特商法の規制が及ばないので、クーリングオフも適用されないということであります。契約を解除するには、手付金の倍返しであったりとか違約金の支払いが必要になります。
これに対して、国交省の対応は、住宅のリースバックに関するガイドブックを作成していますよと言うんですけれども、失礼ですが、そんなものはほとんど誰も見ていないと思います。不動産業者からすれば、廉価での買取りを内容とする売買契約が解除されたとしても、手付金あるいは違約金を回収できるので何らリスクはないということであります。
不動産の押し買いには私はクーリングオフ規制を導入すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○伊東国務大臣 高齢者等を狙いまして不動産業者による悪質な押し買いによる消費者トラブルが発生していることは承知をしております。重要な課題と認識しておりまして、国民生活センターにおきましても、強引に勧められるリースバック契約への注意喚起が行われているところであります。
他方で、不動産取引は宅地建物取引業法等により規制されておりまして、免許制度の実施等により、宅建業の健全な発達や購入者の利益の保護等の観点から措置が講じられているところでもあります。
不動産に係るクーリングオフ規制は、宅地建物取引業法を始めとする土地の使用や宅地の供給等に関する法律や、あるいは、登記制度による公示等、特有の権利関係を有するという不動産の特性を十分に踏まえて、それらの制度等と一体的に検討されるべきものと考えております。
消費者庁といたしましても、国土交通省など関係省庁とも連携を密にし、消費者への注意喚起等による消費者被害の拡大防止に取り組んでまいりたいと考えております。
○大西(健)委員 是非国交省とよく連携していただきたいと思います。
次に、特商法の実効性について質問したいんですが、近年、消費者被害が大規模化、極悪化をしており、指導監督といった行政処分など最初から意に介さない、そういうケースが出てきています。行政指導に従わないだけではなくて、罰則も軽いので、そういう人たちはいわゆるやり得になってしまっています。
この点、特商法違反の罰則は懲役三年以下となっていますが、これを引き上げて四年以上にすれば、組織犯罪処罰法に基づき犯罪収益を没収できる可能性があります。この点、無登録マルチ商法の金商法違反は五年以下の懲役なので、組織犯罪処罰法の適用が可能になります。
資料を御覧いただきたいんですけれども、これまた新聞記事ですが、二〇二三年に、がんに効く飲料を開発したとして、健康食品販売会社ウィンメディックスが、国への届出や金商法の取引業の登録がないのに、未公開株計約八億七千万円を販売した疑いで社長らが逮捕されました。この事件では、金商法違反とともに組織犯罪処罰法が適用されて、計六億九千二百万円の犯罪収益が没収になっています。この犯罪収益の没収は、行政処分よりも詐欺集団にはこたえると思います。
極悪化する消費者被害に対応するために特商法の罰則を引き上げることを検討すべきだと思いますが、消費者庁、いかがでしょうか。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
罰則につきましては、各法律における目的や規制の仕組みなどによって差異がありまして、罰則の重さは一概に比較することは難しいかと認識をしています。
消費者庁としましては、悪質なマルチ商法を営む事業者に対しては法と証拠に基づいた厳正な処分を行うとともに、消費者に対する注意喚起や相談体制等の強化など様々な取組を併せて実施をすることで、被害の拡大防止、深刻化を阻止し、消費者の保護の徹底に努めてまいりたいと考えております。
○大西(健)委員 ちょっと残念ですね。金商法は四年以上なんですよ。これは別に、その均衡を考えてもそんなに難しいことじゃないと思いますし、さっき言ったように、行政処分に初めから従うような気がない人たちにはこういうことが大きな手だてになると私は思っています。
時間がありませんので、最後に、成田空港に隣接する土地開発に絡む投資をめぐっては、ポンジ・スキームの疑いがあるとして、有志の会の緒方さんや我が党の尾辻さんが国会でも繰り返し問題にしてきました。ところが、四月二日の国土交通委員会に出席した成田国際空港株式会社の田村社長は、共生バンクの成田プロジェクトに関する借地契約を更新して、今年十一月末までに延長したことを明らかにしました。
ファンド「シリーズ成田」では、一口百万円、想定利回り七%で勧誘して約一千五百億円を集めていますが、当初の工事完了予定から約四年八か月遅れていて、今後、配当金の支払いが遅れて最終的に経営危機に陥るようなことがあれば、これは大規模な消費者被害になるおそれがあります。
そうした中で、先月二十七日、田村社長の後任として藤井元国土交通次官を充てる人事が発表されたのには、私は絶句をしました。田村社長は責任を取らないまま退任し、仮に、度重なる国会での指摘にもかかわらず問題が起きた場合には、誰がどう責任を取るつもりなのか。本日は国交省吉井政務官に来ていただいていますので、明確な答弁をいただきたいと思います。
○吉井大臣政務官 大西委員の御質問にお答えをいたします。
成田空港では、過去の様々な経緯を踏まえて、空港づくりは地域づくりという考え方に基づいて、地域との共生、共栄の理念の下、空港会社においては、成田空港周辺の生活環境の改善に資するプロジェクトに協力する立場から、本件土地の貸付けを行ったものと承知をしております。
本件土地の貸付けに際しましては、都市計画法に基づく開発許可などの必要となる許認可を取得していることなどを確認した上で行われており、また、成田空港会社は賃借人の事業に参画しているわけではありません。しかしながら、委員御指摘のように、貸付け土地に係る造成事業のスケジュールには変更が生じているものと承知しております。
今後、成田空港において、当該賃借人や土地造成事業の状況を継続的に見定めながら、成田市等と相談の上、適切に判断されるものと承知しております。国土交通省といたしましても、その状況を注視してまいりたいというふうに思っております。
以上であります。
○大西(健)委員 これだけ何度も指摘されているのに問題が起きたら、私は大変な責任だと思います。この問題については、この後、尾辻委員が詳しくやると思いますので、私の質問を終わります。
○浦野委員長 次に、尾辻かな子君。
○尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。
先ほどの大西委員に引き続き、私も不動産特定共同事業法についてお聞きをしてまいりたいと思います。
私、この問題は、今国会、予算委員会の分科会、国土交通委員会でも質問し、今回三回目となります。そして、やっと国交省の方では検討会が始まりました。この検討会のゴールについてもお聞きしたいと思いますが、まずは、一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会、この内容についてお聞きをしてまいりたいと思います。
四月二十二日に行われた第一回の検討会の議事概要を見ますと、「総論」として、「一般投資家の参画が増える中、いわゆる「破綻必至商法」をどのように防ぐのかという観点も重要である。」と記されています。僅か二ページの議事概要に破綻必至商法という言葉が二度も出てくる。
そこで、お聞きいたします。
破綻必至商法とは、国交省は何を指しているんでしょうか。
○堤政府参考人 お答えいたします。
御指摘の破綻必至商法とは、令和五年八月に消費者委員会から提出された多数消費者被害に係る消費者問題に関する意見における破綻必至商法を指すものと理解しております。
この消費者委員会の意見におきまして、破綻必至商法とは、事業の実体がないにもかかわらず、金銭出資等をすれば事業の収益により一定期間経過後に金銭その他の経済的利益の配当等を行う旨を示して消費者を勧誘し、多数の消費者に金銭出資等をさせ、そのため、新たな消費者を勧誘して金銭出資等をさせ、当該金銭出資等を原資として先行の出資者への配当等を継続的に行わざるを得ないスキームとされているものと承知しております。
○尾辻委員 ポンジ・スキームということですよね。要は、実体がなくて、出資者からお金を募って、それを配当金として配っているというようなことを、結局どこかで行き詰まるので破綻必至だと言っているわけです。
そこで、お聞きします。
この議事概要にこの言葉が出てくるということは、国交省は、不動産特定共同事業において破綻必至商法があるという認識があるのかどうか。もうこれは私は何度も質問して、分別管理の在り方とかさんざん聞いておりますので、あるかないかということを簡潔にお答えいただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。
○浦野委員長 堤大臣官房審議官、簡潔にお願いします。
○堤政府参考人 お答えいたします。
先ほど破綻必至商法のスキームについてお答えする中で、事業の実体がないという点について触れましたが、これまで、不動産特定共同事業において、事業の実体がない場合についての処分事例は承知しておりません。
なお、仮に事業の実体がないことなどが疑われる商品がある場合には、報告徴収や立入検査などを行うことになるものと考えておりまして、実際にそのような対応を行ったことはございます。
○尾辻委員 今、ちょっと何かすれ違いになっていて、事業の実体がないというところはないんだと言っているんですけれども、類似のやり方というのはあるわけですね。
じゃ、ちょっとこれはまた聞いていきますので、次の質問の方に移りたいと思います。
実は、一般社団法人不動産クラウドファンディング協会の理事のお一人であるシーラテクノロジーズ代表取締役会長の杉本宏之氏が、ダイヤモンド・オンラインでインタビューに答えておられるのがあるんですね。今年の五月十五日付の記事です。
ここで、杉本氏は、例えば原野商法、原野などの価値のない土地をだまして売りつける悪徳商法のようなことをやっている業者やガバナンスに問題を抱える業者とおっしゃっておられますし、さらに、その中で、余りにもおかしい計画は審査にかけ、必要に応じて勧告するなどの措置が取れれば、あからさまなポンジ・スキーム案件はなくなっていくと思いますと。
これは、クラウドファンディング協会の理事の方が、ポンジ・スキーム案件はなくなっていく、つまり、今あるんだということを自らおっしゃっているわけです。事業者側がこのような認識でいるのに、国交省側は、何か、今の形でいうと、実体がないというのはないんじゃないですかみたいなことを言っているというのは、私はこれはちょっとおかしいんじゃないですかというんですね。私は、やはり、国交省がポンジ・スキームができる制度をつくってしまった、それを何とか今ごまかそうとしているというふうにしか見えません。
聞きますけれども、複数の不特法の事業者で、先ほど言った、明らかに実体がないように見えるもの、あるんですよ。緒方委員も、バナナの生産がないということもおっしゃっていましたし、私も確認しましたけれども、本当にここにデータセンターがあるんですかということとか、海外のホテル事業、海外のデータセンター事業、住宅事業、いろいろあるんです。
これは、確認するすべが実は都道府県などにはありません。そんな海外に誰が行くんですかというところで、見えないわけです。国交省は、いつも都道府県です都道府県ですと言って逃げていたり、今回の検討会でも都道府県のことばかり言っているわけですが、本当は国交省として確認する手段を持っておかなきゃいけないんじゃないでしょうか。いかがですか。
○堤政府参考人 お答えいたします。
個別の商品を念頭に置いてということではなく、あくまで一般論になりますけれども、国土交通省としては、自ら許可した事業者については、監督権者として報告徴収や立入検査を実施して事実関係の把握を行うことになります。
都道府県が許可した事業者につきましても、同様に、都道府県が報告徴収や立入検査を通じて事実関係の把握を行うことになりますが、その際、国から能動的に情報提供や助言を行うなどの対応を積極的に行うこととしております。
○尾辻委員 じゃ、私は大阪府庁でも話を聞きましたけれども、大阪府庁の宅建の職員が海外に行くんですか、成田空港に行くんですか、カザフスタンのホテルとかどうやって見に行くんですか。
国交省、本当にこれは無責任なんですよ。無責任な制度をつくったのは国交省で、ポンジ・スキームを許しているのも国交省なんですよ。これを私は国交大臣に問うたときに、投資は自己責任だとおっしゃったんです。これも本当にあり得ない言葉だということを申し上げておきたいと思います。
じゃ、この検討会、今二回までされたわけですけれども、大体いつ頃をめどに取りまとめるのか。そして、ちょっと質問をまとめますが、この検討会は不動産特定共同事業法の法改正も視野に入れるのか、お聞かせください。
○堤政府参考人 お答えいたします。
検討会の取りまとめにつきましては、今後、夏頃をめどに中間整理を取りまとめられるよう進めていきたいと考えております。
それから、現在検討会で議論されております契約締結前書面の説明項目の充実ですとか業界団体との連携などについては法律改正を要する事項ではないというふうに理解しておりますが、いずれにせよ、関係法令の見直しを含めて、どのような形で制度の充実を図るかについては、中間整理の内容を踏まえて適切に検討してまいります。
○尾辻委員 私は、法改正しなきゃ、これは防げないと思いますよ。例えば業界団体の自主規制とか、そういうことではこれはどうにもなりません。しっかりと責任を持って法改正をしていただきたいと思います。
ちょっと質問の順番を変えまして、成田空港の土地問題のことをお聞かせいただきたいと思います。
今、成田空港の隣のところで、不動産特定共同事業によるスキームで開発がされていますけれども、私が前回、工事の進捗状況を聞いたときに、ちょっとごまかされてしまいまして、それなのでもう一度お聞かせいただきたいと思います。
土木工事ですね、土木工事が終わって建築工事が始まる、この土木工事の進捗状況、過去三年間、数字だけで結構です、お聞かせください。
○秋田政府参考人 お答えをさせていただきます。
令和七年一月時点におけます土木工事の進捗率は七八%、それから令和六年一月の進捗率につきましては六九%、一昨年になりますが、令和五年一月の進捗率につきましては六〇%との報告を成田空港会社が賃借人より受けているということを承知しております。
○尾辻委員 これは、聞くとちょっと進んでいる感じがすると思いますよ。九%ずつ進んでいてと思うでしょう。ただ、建築工事を含めた全体の進捗状況でいうと、実は、一年に九%土木工事が進んだら、全体でいうと〇・二六%進むんです。土木工事が九%ずついくとしたら、来年、再来年ぐらいに何とかいくのかもしれません。じゃ、来年、再来年に土木工事が一〇〇%になったときに、全体の工事計画に対する進捗度は何%になるのかというと、私が計算しましたら、二・八九です。土木工事を全部やっても三%いかないんですよ。一年間に〇・二六%しか進まないということになると、これは自動的に計算すると三百七十三年かかるんです。
三百七十三年かかるその事業に、国交省は土地を貸しているんですよ。これは四月で終わりというのを十一月まで半年だけ延長しましたと言っていますけれども、半年延長した上で、どうにもできるようなものじゃないんですよ。
だから、こういうことに土地を貸している、これは騒特法で国が元々買った土地ですから、そこを貸しているというのは一体どういうことなのか。建築工事に向けて今契約はどういうふうになっているのか、お聞かせください。
○秋田政府参考人 お答えをさせていただきます。
現時点におきましては、賃借人の方から成田空港株式会社に対しまして建築工事に係る申出というものはなされておられないということでございまして、交渉は実施されていない、このように承知しているところでございます。
○尾辻委員 今日は消費者特ですから、皆さん、お聞きください。土木工事の賃貸借契約はしているけれども、建築の賃貸借工事は私たち知りませんという、そんな土地の貸し方がありますか。むちゃくちゃだと思います。ということをちゃんと指摘をして、そして、私は、これはやはり法改正が必要だということを何度も申し上げておきたいと思います。
不特法は、更にいろいろな問題もあります。これは不特法でないこともあるんですけれども、障害者グループホーム事業、これを、小口出資を募って、一〇%以上の配当がありますよ、国の補助金が出ますよ、不労所得になるとインターネット上で宣伝している事業が見受けられます。
障害者グループホームを投資として広く募って配当を約束するかのように扱う事業は、私は問題があるのではないかと思いますが、厚労省、いかがでしょうか。
○野村政府参考人 お答え申し上げます。
なかなか不動産事業関係であるとか出資あるいは預り金などの金融関係法規の立場からお答えできる立場ではありませんので、あくまで福祉関係という立場からでございますけれども、障害者グループホームに関しまして、一部の企業、その一部の企業の中には自らグループホームをやるわけではない企業、そういったところにおいて、委員御指摘のように、障害福祉サービス報酬による収入があるということを理由として、利益率が高いということをうたって広告をしているところがあるということは承知をしております。
障害者総合支援法におきまして、グループホームの設置者以外の者がそうした広告を行うことについて規制があるわけではございませんが、ただ、障害者グループホームといいますものは、障害のある方の希望に応じて、地域で安心した暮らしができるように必要な支援を行うことが目的でございますし、障害福祉サービス報酬というものは、障害者へのサービス提供に対する対価として、事業者に対して、つまりそのグループホームの設置者に対して支払われているものでございます。
これまでも、社会保障審議会の障害者部会の中でも、障害者グループホームにつきまして、障害福祉サービスの実績や経験が余りない事業者が参入してきて支援の質の低下が懸念される旨の指摘などもなされておりまして、障害者グループホームの質の確保に取り組む必要があると考えてございます。
このようなことから、障害者グループホームに関しましては、先般の障害福祉報酬改定の中で、事業者による地域連携推進会議というものを設置をして外部の目を入れて中身の透明性を確保するということ、あるいは、サービスの質を評価するガイドラインの策定であるとか、管理者、従事者などに対する資格要件とか研修の導入について、今検討しているところでございます。
厚労省といたしましては、議員御指摘のような事業の動向についても注視しながら、障害者グループホームの質の確保に取り組んでいかねばならないと考えております。
○尾辻委員 ありがとうございます。
実は、私は後で調べて、不特法でもやはりグループホーム物件への投資がありました。国交省、これも注視していただきたいと思います。
ちょっと大臣に質問できませんでしたが、破綻必至商法、しっかりと見ていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございます。
○浦野委員長 次に、松田功君。
○松田委員 本日六月五日、世界環境デー、環境の日であります。誕生日を迎えられた皆さん、おめでとうございます。
立憲民主党、松田功でございます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
特殊詐欺について、また新たな手口が出てきたので質問させていただきたいと思います。
特殊詐欺とは、被害者に電話やSNSなどを利用して接触し、実際に対面することなく信用させ、不特定多数の者から現金などをだまし取る犯罪の総称でありまして、現在、深刻な社会問題となっております。
この特殊詐欺に関しまして、最近、警察官に成り済まし、あなたの銀行口座が犯罪に利用されているとか、あなたの名義の携帯電話が犯罪に使われたなどといった電話をかけ、このままでは逮捕されるという脅しとも取れるやり方によって現金を振り込ませる手口が発生しているということです。
そして、この偽警官詐欺においては、驚くべきことに、実在する警察署などの電話番号を被害者の電話に表示をさせる手口が発生しています。これはスプーフィングと呼ばれる手口だそうで、海外の通信事業者が提供するIP電話が悪用されていると見られており、今年三月には、実際の新宿警察署の代表番号が着信画面に表示される詐欺と思わしき電話が各所で急増し、不審に思った住民からの新宿署への問合せの電話は一週間で六百件を超えたということであります。
そこで、伊東大臣にお伺いいたします。
このように警察の社会的信用を悪用するような詐欺事件が発生していることに対して、消費者を守るお立場にある伊東大臣の所感をお聞かせいただきたいと思います。
○伊東国務大臣 松田委員の御質問にお答えしてまいります。
全国各地の消費生活センターには警察を名のる不審な電話に関する相談が多く寄せられているところでありまして、国民生活センターからも注意喚起を行っているところであります。
このような警察への信頼を逆手に取った詐欺は極めて悪質であり、重大な問題である、このように認識をいたしております。
デジタル化の進展に伴い手口が複雑化、巧妙化している中で、消費者庁としては、引き続き、関係省庁と連携しつつ、注意喚起等を行い、消費者被害の未然防止、拡大防止に向け取り組んでまいりたいと考えております。
○松田委員 大臣の方も認識はいたしていただいていると思いますが。
引き続き、総務省にお伺いをしたいと思います。
さきに述べた、相手の着信画面に任意の番号を表示させることができるスプーフィングについて、これまでは、着信画面の電話番号表示の情報、例えば国際電話を使用した発信であるなどを基に詐欺や迷惑電話の判別がある程度可能だったかと思いますが、このスプーフィングが詐欺などの犯罪に悪用されると、着信番号からの判別が困難となり、被害が今後どんどん拡大していってしまうのではないかという懸念を持っております。
このスプーフィングの規制、悪用防止について、総務省の認識と現在の取組をお聞かせいただきたいと思います。
○大村政府参考人 お答え申し上げます。
電話番号の偽装表示は、電話番号の信頼性を損なうものでございまして、非常に悪質であって遺憾なものと認識をしているところでございます。
発信者の番号を偽装した電話、これにつきましては、御指摘のとおり、海外から発信されるものが多いということから、国内の電話事業者は、発信者の番号偽装が疑われる国際電話につきまして、着信時に番号を表示させないなど自主的な対策を講じているところでございます。
また、固定電話番号の指定を受けた事業者は、法令上、利用者に付与した電話番号以外の電話番号が発信されないよう必要な措置を講ずることが求められているというところでございます。
総務省におきましては、事業者団体とも協力をしながら、関係事業者に対してこれらの取組の徹底を求めてまいります。
○松田委員 次に、警察庁にお伺いしますが、お手元の資料も是非見ながら、お伺いさせていただきたいと思います。
警察官をかたる詐欺が急増することによって、本物の警察官の方々が実際の捜査を行う際に、偽物ではないかと疑われたり、不安を感じる住民の方々から必要な情報が得られなくなるなど、犯罪捜査に支障を来すおそれも出てくるのではないかと危惧をしております。また、実際の警察署の電話番号が詐欺に悪用され、警察署への問合せの電話が急増することによって、本来の警察業務に支障が出るおそれも懸念されます。
この警察をかたる詐欺事案に関して、警察の犯罪捜査に与える影響についてどのように考えられておりますでしょうか。
○松田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、昨年下半期以降、警察官等をかたり捜査名目で現金等をだまし取る手口の被害が増加しておりまして、本年一月から四月末までの特殊詐欺の被害額のうち六割強を占めております。
こうした警察官等をかたる特殊詐欺においては、SNSのビデオ通話等で偽物の警察手帳や逮捕状の画像を送信したりするほか、これも委員御指摘のとおり、実在する警察署等の電話番号を被害者の携帯電話の画面に表示させるなどして警察官であることを誤信させる巧妙な手口も確認されているところです。
お尋ねの点についてですが、実在する警察署等の電話番号が悪用された事例においては、当該警察署等への問合せの電話が急増するなど、警察業務に影響が生じたところであります。
警察においては、国民の皆様に対し、決してこのような卑劣な手口にだまされないよう注意喚起を行っているほか、発信者番号偽装への対策を含め、関係事業者等と連携し、各種対策を推進しているところであり、引き続き、取締りはもとより、関係省庁や関係事業者と連携し、取組を強化してまいりたいと考えております。
○松田委員 せんだっても八千代市の方で消費者相談センターの方に行って、対応をすると、やはりそういうものが、少しずつ詐欺が減っているということもおっしゃっていました。ですから、注意喚起はするということはもちろん非常に重要であります。
そんな中で、資料の方を見ていただくと、警察官の画面まで出ております。ここまでされると本当に消費者の方たちが迷う、また、そういった問題が大きくなってきますので、より具体的な動きを是非していただきたいと思います。
最後に、消費者庁にお伺いをいたします。
消費者庁では、様々な手法の詐欺などの情報について消費者に注意喚起を行っていると承知いたしております。実際に存在する機関、しかも公的機関の電話番号を相手の着信画面に表示させ、あたかも本物であると思い込ませるという詐欺の手口は、これまでにない新しい手法と思われ、早急に消費者に対して注意を促す必要があると考えますが、消費者庁の認識と対応の方針をお聞かせいただきます。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
消費者庁及び国民生活センターでは、御指摘の警察をかたる詐欺を始め、様々な消費者トラブルに対し、その状況に応じて注意喚起を実施してきたところでございます。また、各地域におきましては、消費者向けのイベントや出前講座等で消費者に対する直接的な普及啓発活動にも取り組んでいると承知しております。
消費者被害の未然防止、拡大防止のためには、新たな手法に対応した注意喚起等の取組が重要であり、御指摘の詐欺手法も含め、消費生活相談情報等を踏まえながら、引き続き注意喚起等に取り組んでまいります。
○松田委員 是非スピード感を上げてやっていただきますよう、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○浦野委員長 次に、山田勝彦君。
○山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。
食品表示についてです。
資料一を御覧ください。消費者庁が行ったアンケートでも明らかなように、多くの消費者は原料が国産の食品を求めています。にもかかわらず、現状の食品表示は、消費者の知る権利、選択する権利に応えていません。
資料二に示しているとおり、パンなどの加工食品において、小麦の生産地ではなく小麦粉の製造地を表示するルールになっています。
この国内製造という表示が誤解を与えている懸念があることから、日本消費者連盟が独自に街頭調査を行いました。結果は、資料三にあるとおり、約三割もの消費者が国産と勘違いしていることが分かりました。ちなみに正解は、「生産地はわからない」です。そして実態は、そのほとんどが外国産小麦のパンである、輸入小麦である。つまり、多くの消費者は、国産と期待しながら実際は外国産小麦のパンを食べているのです。
極めて不適切なこの食品表示、全く消費者の声を無視して一向に改善しようとしません。理由は、事業者の実行不可能性です。
資料四、これは製粉協会の資料です。この事業者の声に忠実に従い、今の製造地表示が採用されています。ただ、この情報は消費者庁のホームページにも記載されているので、伊東大臣に是非確認させていただきたいんですが、この製粉協会さん、国内産小麦の需要が激減する可能性があると指摘されています。
私は、これは逆だと思います。むしろ、国産小麦か外国産小麦か、消費者の側が選択できるようになれば、間違いなく国産小麦を積極的に選ぶはずです。つまり、国産小麦の需要が高まるので、国内で小麦を生産されている方々にとっても生産拡大が期待されるのです。
私は、加工食品の原材料の生産地表示が徹底されれば、日本の食料自給率が上がる効果があると確信していますが、伊東大臣、いかがでしょうか。
○伊東国務大臣 山田委員の御質問にお答えいたします。
加工食品の原材料の生産地表示が徹底されれば自給率が上がると思うか、こういうお話であります。
河野元大臣が、原料原産地表示に当たりましては、消費者が自主的かつ合理的な商品選択を行う際に活用されており、国産原料の利用拡大、ひいては食料自給率増加に貢献するものと考えられると思いますとの答弁をされたことは承知をいたしております。
食料自給率の向上につきましては、原料原産地表示が貢献する側面もあると考えますが、様々な施策が必要であり、政府全体で取り組むことが必要だと考えております。
以上であります。
○山田(勝)委員 当然、食料自給率が上がる効果があるんですね。
また、JA全農も、消費者庁に対し、次のように主張されています。現在の原料原産地表示は、消費者に正確な情報を提供していない、国内の生産者に対してフェアではない、生産者団体としては、このような表示実態を是正し公平公正な競争と秩序ある流通を確立するためにも、原料原産地表示の拡大を強く求めると。
さらに、資料五にあるとおり、お隣の韓国では、加工食品の原料原産地表示が徹底されているわけです。
なぜ、こうやってできるのにやらないのか、消費者も生産者も求めているのに消費者庁はやらないのか、大変疑問に思って、私、いろいろ調べてみました。そして、驚いたことがあったんですが、実行不可能だと主張している製粉業界から、消費者庁の食品表示課に出向者がいらっしゃることが分かりました。
大臣、これは問題だと思うんですよね。官民人事交流法において、出身企業に対する処分などの事務をその職務とする官職その他の出身企業と密接な関係にあるものとして人事院規則で定める官職に就けてはならない、さらに、民間から交流目的で採用された職員は、その任期中、いかなる場合においても、出身企業の事業又は事務に従事してはならないと定められています。
製粉業界は、消費者庁に対し、小麦粉の原料原産地表示は実行不可能だと主張しているんです。これは明確な法律違反ではないでしょうか。
○伊東国務大臣 消費者庁では、民間企業の実務経験を行政の運営に効果的に生かすために民間企業から職員を受け入れておりまして、令和七年四月時点で、官民人事交流法に基づき、消費者庁食品表示課において、製粉業界から一名の職員を受入れをいたしております。
官民人事交流法におきましては、所管関係にある企業との交流は制限され、出身企業に対する許認可などの処分等の事務を担当するポストには当該企業からの出向者を配置できない仕組みとなっております。
御指摘の職員は、国際基準のコーデックス規格やEUの規則等に関する調査業務等を担当しておりまして、官民人事交流法に基づき適切に配置をされている、このように認識をいたしているところであります。
○山田(勝)委員 大臣、そうおっしゃっても、国内製造にしたい製粉業界から消費者庁に入っていることが分かったんです。これは消費者庁の信頼に関わるようなことですので、こういった人事、是非、今後こういうことがないように、消費者に疑念を持たれることがないように、改めていくべきだと思います。
そして、議員立法で何とか、本当に誤っている食品表示を正せないかと、法制局さんと打合せをしたんです。そうしたら、分かったことがありました。法律を変えなくても、内閣府令を変えれば正すことができるんです。内閣府令なので、大臣の決断でいけます。
資料六を御覧ください。加工食品の表示ルールとして、まずは製造地表示をしましょう、そして、可能なら原産地表示をしてもいいですよというルールになっています。原則と例外が逆なんですよね。なので、これを正しく変えていくべきだと。
まずは、加工食品の主な原料の原産地表示を徹底しましょう、どうしてもやむを得ない場合は、事業者の実行可能性に配慮して、一部、製造地表示を認める、こういう内容に府令を改めるべきではないでしょうか。
○伊東国務大臣 お答えいたします。
加工食品につきましては、義務表示の対象となる原材料が加工食品である場合について、制度検討時の有識者検討会におきまして、加工食品の製造方法は多種多様であり、原材料の加工食品について、生鮮原材料まで遡って原産国を特定することは困難であるとの御意見があったところであります。また、原材料となっている加工食品につきましても、それがどの地域、どこの国で製造されたかの情報は、消費者の選択にとって有用な情報であると考えられるとの意見もありました。委員御指摘の府令は、こうした意見を踏まえまして制度化したものであります。
原料原産地表示制度は、輸入品を除く全ての加工食品を対象とした制度でありますことから、中間加工原材料につきまして、実施可能な内容を原則としつつ、産地を特定できる場合は原産国表示も可能としており、現在の仕組みは妥当である、このように考えております。
○山田(勝)委員 時間が来ました。
全く妥当じゃないですよね。事業者の声より消費者の声を聞いてください、大臣。
以上で終わります。ありがとうございました。
○浦野委員長 次に、伊東信久君。
○伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。
本日は、テナントであったりとかオフィス退去時における原状回復、その場合の高額請求などに対する、これは事業者間契約に関するんですけれども、そのトラブル相談について御質問したいと思うんです。
二〇二〇年から新型コロナウイルスの感染が拡大する中、店舗の閉鎖が相次いで、テナント退去時に支払う原状回復費用が過剰請求されるケースが多発しておりました。特に、事業間ではなく、個人の事業者に対するオーナーの施工業者指定によって、テナントの原状回復に必要以上の工事費が請求されているのではないか、そう疑うほどの、別業者の見積金額と比較しても何倍もの高額請求が求められたという声もございました。
まずお伺いしたいのは、国民生活センターによりますと、二〇二一年度から二三年度まで、全国の消費者生活センターに寄せられている賃貸住宅の原状回復トラブルに関する相談件数は毎年度約一万三千件に上るとされているんですけれども、他方で、飲食店や個人事業者などのテナント退去時の原状回復に関する相談件数は全国の消費者センター等にどれだけ寄せられているんでしょうか。資料一にもこの資料は示していますけれども、消費者庁、お答えください。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
消費生活相談は、消費者と事業者との間の消費者トラブルを受け付けるものではございますけれども、全国各地の消費生活センターには、テナント退去時におけるトラブルに関する相談が寄せられることもあります。相談事例としては、例えば、五年間営業した店舗の解約を申し出たところ、高額な原状回復費用がかかると言われ納得できないなどが寄せられております。
原状回復トラブルにつきましては、賃貸住宅を対象とするものとして国土交通省が策定したガイドラインにおいて、契約自由の原則の下、退去時の原状回復のトラブルを入居時の問題と捉え、原状回復に関する十分な説明と、賃貸人と賃借人双方が正しい認識を共有することにより、トラブルの未然防止が効果的になされることが期待されるとの考え方が示されていると承知しております。
また、国民生活センターにおきましても、契約前に契約書類の記載内容をよく確認すること、入居時には賃貸物件の状況をよく確認し、記録を残すこと、入居時にトラブルが起きたら、すぐに貸主側と相談すること、退去時には精算内容をよく確認し、納得できない点は貸主側に説明を求めることを消費者に向けて注意喚起をしているところでございます。
関係省庁とも連携し、引き続き周知に努めてまいります。
○伊東(信)委員 冒頭、賃貸住宅においては国土交通省からガイドラインがあるとおっしゃっていただきましたけれども、やはり、テナントを借りている個人事業主というのは本当に、例えば、町のラーメン屋さんであったり、シングルマザーで頑張っている美容師さんであったり、鍼灸整骨院の方であったり、若い女性の方で、働ける場を求めてネイルサロンを開業したりとか、個人でやっている方がたくさんおられるんですね。
八千代市の消費者センターに行きまして、ぱっと中をのぞいたところ、これで分かる原状回復のポイントというのがあったんですけれども、でも、やはりこれは賃貸住宅を退去するときのというところで、ぽこっとやはり抜け出ているんです。
くしくも、今日の委員会が始まったときに隣の松島みどり筆頭が、全ての国民が消費者であると。もう本当にこの言葉に尽きるんじゃないかなと思うんですね。国民目線で考えますと、地域に根差して事業を全力で頑張っている事業者や、特に個人の規模の小さな事業者であれば、トラブルに巻き込まれたら、じゃ、どうしたらいいんだという話になるんですね。
この原状回復のトラブルに関する相談は、賃貸住宅の原状回復に関する相談を含めて、二〇二三年度一万三千二百七十三件、二四年度一万三千二百五件と資料に書いておりますけれども、実際に、本当にこの個人事業主の相談に関して抜け落ちている気がするんですけれども、関係省庁、自治体、法テラス、民間窓口など、連携を密にして適切に他の専門家への橋渡しをされるべきだと思うんですけれども、これを所管されている伊東大臣、御見解をお伺いいたします。
○伊東国務大臣 伊東信久委員にお答えをいたします。
消費生活センターに事業者からテナント退去のときの相談が寄せられた場合には、通常、消費生活センターの役割が消費者と事業者との間のトラブルに関する相談窓口であることを伝えた上で、内容に応じて適切な相談先を紹介している、このように承知をいたしております。その紹介先は、中小企業向け法律相談窓口や、あるいは宅地建物取引業協会、また自治体が設置する賃貸相談窓口など、様々な分野が含まれているところであります。
このように、テナント退去時の問題には様々な相談窓口が存在しており、相談対応に当たりましては、関係省庁や自治体、弁護士、これは司法書士等でありますけれども、士業の専門家や、あるいは業界団体等の協力、連携が必要だと考えるところであります。
○伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。
実際問題、先ほど消費者庁の話にありましたように、賃貸住宅の中に、やはりそういった窓口があって、そういう意味では、一八八番のあの番号があることによって、取りあえず、迷いはするけれども電話してくれている方もおられるということなんですね。
資料三、資料四にありますように、原状回復をめぐるトラブルのガイドラインであったり、ホームページにもありまして、トラブルの未然防止と迅速な解決のための方策として一般的な基準があるんですけれども、やはり、テナント退去時における原状回復のトラブルについては、このような基準を示すガイドラインがないというのも事実なんですね。
テナント側にとっては、見積りが高過ぎる気がするけれども、どうしたらいいんだ、どこに相談したらいいんだ、何を基準にして考えたらいいのか、そこから始まっているんですね。ですので、国において、新たな、事業者間契約におけるテナント原状回復に対してもやはりガイドラインなどを示す必要があるのではないかと考えております。実際に、私も診療所、クリニックを開業していますけれども、歯科医であったりとか医師であったりとか、本当にこういったトラブルは非常によく聞くんですね。
これまでの消費者トラブルに対応してきた見地から、何とか消費者政策の中にできないのか。所管は正確に言うと違うかもしれないですけれども、ここはちょっと伊東大臣に甘えて、お聞きしたいと思います。
○伊東国務大臣 御指摘の事業用テナントの賃貸借契約のような事業者間のトラブルにつきましては、消費者庁としては所掌外でございます。
一般論として申し上げますれば、不動産の賃貸借契約は、先ほど政府参考人からお答えしたとおり、契約自由の原則の下、入居時において、賃貸人が原状回復に関する内容の説明を十分に行うこと、また、賃貸人と賃借人の双方が原状回復に対する正しい認識を共有することが大事なことでありまして、関係省庁が連携して広くこの周知を図ることが重要である、このように考えているところであります。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。なかなか、所管の違いもある中、よく答弁していただきまして感謝いたします。
けれども、やはり、民法第六百二十一条で、テナントもやはり住宅用と区別なく賃貸借の原状回復義務があったり、原状回復といっても、通常の使用で生じる消耗や経年劣化にとっての、賃借人の負担ではないとされていますけれども、やはり、賃貸住宅のように通常使用による消耗とか経年劣化を示したガイドラインというのはないんですよね。
ここでやはり、高額な原状復帰、町のラーメン屋さんが一千万とかそういった原状回復費用を請求されるケースというのは本当にあるんですね。その工事費というのが、そこのテナントの指定業者なんですね。契約書に書いてあるじゃないかという話なんですけれども、そもそも、この工事費が、市場であったりとか、ほかの見積りであったりとかと著しく違えば、やはり公序良俗違反であるのではないか。契約そのものも公序良俗違反ではないのか。実際、問取りのときに公正取引委員会にも来てもらったんですけれども、やはり独占禁止法違反の可能性も指摘はされていました。
ですので、例えば、それが十年前、二十年前の契約になると、大手の企業であれば、大概、オフィスビルだったら、結構大きなビルなんですね。そもそも、原状回復に対しての賃貸のガイドラインというのは、弱者である消費者を守るためというんですけれども、個人事業主と大手の、ゼネコンとは言いませんけれども、大手企業だったら、やはりかなりの弱者だと思うんですけれども、そこを解決していく法律を作るのが我々の仕事だと思っています。これも答弁は結構でございますので。
次のテーマ、時間もないので、最後のテーマに移らせていただきたいんですけれども。
今、全国の消費者センターには消費者から日々様々な相談が寄せられると思いますけれども、一番よく聞くのは、通販とかネット販売も含めたものに、解約したいのにできないと。解約に関する相談というのは、どの程度の数があるんでしょうか。これは消費者庁にお伺いします。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
全国の消費生活センター等に寄せられた相談のうち、定期購入に係る契約の解約に関する相談件数は、二〇二二年度は約八万四千件、二〇二三年度は約六万六千件、二〇二四年度は、本年六月一日現在の件数ですけれども、約七万一千件であります。二〇二四年度は、ピーク時の二〇二二年度と比較して約一五%は減少しているという状況かと認識しております。
○伊東(信)委員 かなりの数があると思うんですけれども。
ちょっと時間もないので、最後、私の経験を述べさせていただきます。
私は今、大阪第十九区というところで二回当選させていただきまして、その前は、大阪十一区というところで二回当選をさせていただきました。大阪以外の方に言いますと、大阪の一番北で、京都と隣接しているところから、和歌山に隣接しているところに国替えしたんですね。その間、四年間落選していましたので、浪人生活を送っています。
それで、引っ越しをしました。引っ越しをして、新しい十九区で活動しているときに、通帳を見たときに、二か月に一遍、四千円が引かれているんですね。これは何かと思いましたら、前のマンションのネット契約だったんですね。大手ですね、相手は。解約しようと思ったら、前のマンションでちょっとたっているので、一年か二年かたっているので、お客様番号というのが分からないんです。そこのホームページに入りまして、それで、入れようとやりましたら、お客様番号が入らぬかったら個人の特定ができないんです。
それで、電話をする。電話番号がないんですよ。申し込むところの電話番号はあるんですけれども、解約の電話番号がない。
それで、電話しました。ほんなら担当に代わりますといって、待たされること一時間。これがずっと続いています。二〇二〇年ぐらいからの話なんですが、五年間、二か月に一遍、僕は四千円払いっ放しです。
これを弁護士に相談しました。結構有名な弁護士さんです。だけれども、まだ電話が通じていません。その番号が分からない。僕だということが分かっていても、電話ができないんです。
コールセンターにつながっていて、コールセンターは女の人がずっと話を聞いた後、担当に代わりますと。それで、ずっとティンティティーンと音楽が流れて、三十分、四十分たちます。これは多分、サラリーマンの方だったら、休み時間に電話したら絶対つながらないと思います。
だから、なぜあれだけの大手が解約できないのか。(発言する者あり)Nがつきます。だから、つながるようにしてくれたらそれで済むんですけれども、この番号が……。
それで、銀行に行ったんですよ。銀行に行ったら、そこのそれだけを止めようと思ったら、NTT全部、あっ、言うてもうた、NTTのやつを全部解約しなかったら無理なんですよ。ほんなら、今の電話番号から全てなくなっちゃうわけでして、今のネットも全部解約せないけなくなっちゃうんですね。
だから、こういった、解約したいのに電話がつながらない状態というのは、別に悪徳企業だけじゃないんですよ。こういったところを何とかできないでしょうか。最後に参考人の方にお聞きしまして、僕の質問を終わります。
○浦野委員長 藤本総括審議官、時間が過ぎていますので、簡潔にお願いします。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
特定商取引法では、例えば、通信販売の申込段階において解約を受け付ける電話番号として表示していたとしても、つながらないような場合には表示義務に違反するおそれがあるとしております。
消費者トラブルに巻き込まれた場合には、まず消費生活センター等に御相談いただくことが重要だと思っています。こうした相談も活用しまして、悪質な事業者に対しては、消費者庁としても、法律にのっとり適切に対処してまいります。具体的には、電話がつながらないなどの特定商取引法に違反する事業者に対しては、令和三年改正後、計十六案件の行政処分及び行政指導を行っておりまして、今後とも、取引の公正化と消費者の保護に努めてまいります。
また、ガイドラインにおきましては、電話で解約を受け付ける場合には確実につながる電話番号を掲載する必要があることを示しており、引き続きこうした周知にも努めてまいりたいと考えています。
○伊東(信)委員 一八八番に電話します。
終わります。
○浦野委員長 次に、西岡義高君。
○西岡(義)委員 国民民主党の西岡義高でございます。本日はよろしくお願いいたします。
今日は、自動車につけますチャイルドシートについて幾つかお聞きしたいと思います。
道路交通法では、自動車に六歳未満の子供を乗せる際には、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合、要するに、国の定めた安全基準に適合したチャイルドシートを使用することが義務づけられていると思います。
ところが、大手インターネット通販サイトなどでも度々出品されているようなんですけれども、安全基準に適合していない商品が販売されているという事例がございます。そして、より悪質なものになりますと、国交省の安全基準を満たしていることを示すEマーク、これを基準を満たしていないのに、あたかも基準を満たしているかのように偽装して販売している事業者も存在しております。二〇一七年には、国土交通省の方でこれらの商品の衝突試験などを行って、その危険性というのは確認しているかと承知しております。
こういった偽装認証のチャイルドシート、これらについては、国交省さんの方でも度々発見しては販売中止を求めるというようなことを行っているようですけれども、一旦販売が取り下げられても、ほとぼりが冷めるとまた再販されている、こういったイタチごっこの状況が何年も繰り広げられているということでございます。
同じような、安全基準を満たしていない偽の適合マークの事例といたしまして、偽の適合マークをつけて自転車用のヘルメットを販売していた事業者に対しまして景品表示法に基づく行政処分を行ったという事例があると認識しております。
偽の適合マークをつけたチャイルドシートについても消費者庁として何らかの行政処分を行えるのかどうか、見解を伺いたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
消費者庁は、ただいま御指摘いただきました景品表示法のほか、特定商取引法という法律も所管をしております。
まず、景品表示法でございますけれども、事業者が、自己の供給する商品又は役務、その内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示、こういったものを禁止をしているということでございまして、特定商取引法の方も、商品の性能等について、著しく事実に相違する表示や、著しく優良であると誤認させるような表示、こういうものを禁止をしております。
消費者庁といたしましては、引き続き、所管法令に違反するおそれのある具体的な事実、こういうものに接した場合には、法と証拠に基づきまして適切に対処してまいりたいと考えております。
○西岡(義)委員 著しく誤認、いわゆる優良誤認というところについては是正を求められるということでしたけれども、結局、偽のEマークというのは、偽の表示で、偽の認証が取れているということを示しているので、著しく誤認を与えていると私は思いますので、ここは適切に処置を進めていっていただきたいと思います。
ただ、これも結局、イタチごっこの構図は、ほとぼりが冷めたらまた別の形で再販されてしまうというおそれもあります。子供の命に直結するチャイルドシートですので、こういった偽装認証には、より重い罰則であったりとか、もっと踏み込んだ規制についても今後検討していっていただきたいと思います。
また、それと同時に、安全基準のことであったり、偽装認証の商品も存在しているんだということを消費者側もやはり正しく知っていくという必要があると思います。
現在のチャイルドシートの装着率は七〇%台ということで、まだまだ二割以上の人がチャイルドシートを装着していないという状況であります。
今年もニュースの中にありました。お母さんが、ちっちゃい子供、二歳と五歳ぐらいだと思いますけれども、先に車に乗っていなさいと言って、後からお母さんが乗って、子供が乗っているつもりで車を発進させたら実は子供が乗っていなくて、その二歳の子供をお母さんがひいてしまったという事故がありました。これも、きちんとチャイルドシートに座らせてベルトをつけるという作業をやっていれば、乗ったつもりで発進するというような、こういった事故は起こらないわけですね。
また、チャイルドシートをつけていても、正しく装着されていないという事例もあります。赤ちゃん、子供が締めつけられてかわいそうだからといってベルトをゆるゆるにつけて、結局、衝撃でベルトの隙間から赤ちゃんが抜け落ちて床にたたきつけられて亡くなってしまう、そういった不幸な事故も起こっております。
ですので、チャイルドシートの正しい使用について、啓発、情報発信、これをより積極的に行っていく必要があるかと思います。これについて、国土交通省さん、消費者庁さん、共にどういうような取組をされているのか、また今後どうしていくのか、見解をお伺いしたいと思います。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
チャイルドシートを使用していても、シートの固定や子供の体格などの面で適正に使用していない場合、本来の機能が発揮できないことがございます。
消費者庁には、交通事故等が起きた際にチャイルドシートを適正に使用しておらずけがをしたという事故情報が複数寄せられており、これまで累次の注意喚起を行ってきたところでございます。具体的には、小さい子供には必ずチャイルドシートを使用する、シートは取付け可能な座席に確実に固定する、購入に際しては使用する車への適合や保安基準に適合したマークがついているかを確認する、シートベルト固定方式よりも誤使用の少ないISOFIX固定方式のチャイルドシートを選択するなどの注意喚起を行ってきておるところでございます。
関係省庁とも連携しつつ、広く効果的な注意喚起となるよう引き続き取り組んでまいります。
○久保田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のチャイルドシートについてでございますが、乗車する子供の安全確保のため、自動車ユーザーに対してチャイルドシートの適正使用を促すとともに、より安全性の高いチャイルドシートを選択できる環境を整備することは非常に重要だと考えております。
このため、国交省では、チャイルドシートの取付けなど適正使用を促すためのホームページを使った情報発信、あるいは、未認証チャイルドシートの危険性を啓発するビデオを作成、公表するなどの活動を行っております。また、毎年、チャイルドシートの安全性や使用方法について評価試験を行いまして、これを点数化いたしまして公表するチャイルドシートアセスメントという事業も実施しておりますとともに、その結果をまとめたパンフレットあるいはホームページでの公表等を行っております。
国交省といたしましては、今後ともこのような取組を継続いたしまして、ユーザーに対する啓発あるいは情報発信を引き続き行ってまいりたいと考えております。
○西岡(義)委員 ありがとうございます。
より確実に当事者に届く形で情報発信をしていただきたいと思います。例えば、乳幼児健診の場でリーフレットを配付したりとか、ベビー用品店に啓発ポスターを掲示したりとか、アナログな手法ではありますけれども、当事者がしっかりと目にしやすいような広報も取り入れていっていただきたいと思います。
最後の質問になります。
現在、チャイルドシートの着用義務は六歳未満となっております。法律的には、六歳以上であれば車のシートベルトでも構わないということではございます。
しかし、シートベルトは大人用に設計されているため、小学生であっても、骨盤でベルトを支えられず内臓圧迫で亡くなってしまったりですとか、シートベルトが首の位置にかかっていることによって、衝撃で動いたときにシートベルトによって頸動脈を切ってしまって亡くなってしまった、そういった事例も聞いております。
我が国のチャイルドシートの安全基準というのは、国連欧州経済委員会のR129という基準を採択しているかと思います。国連欧州経済委員会のチャイルドシートの着用義務、これは身長百五十センチ以下又は年齢十二歳未満となっております。
子供の命を守るという観点で考えますと、着用義務の対象、これも安全基準同様、国連欧州経済委員会の基準を参考にして拡大していく必要があると考えておりますけれども、政府の見解をお聞かせください。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
道路交通法におきましては、今委員御指摘のとおり、六歳未満の幼児につきまして、チャイルドシートを使用しなければならないこととされております。
また、身長といった体格の事情によりシートベルトを適切に着用できない六歳以上の児童について、シートベルトの着用義務の対象から除外し、チャイルドシートを使用するよう呼びかけているところでございます。
交通事故の被害を軽減するため、チャイルドシートやシートベルトを児童の成長に合わせて適切に使用することが重要であるというふうに認識しておるところでございます。六歳以上の児童につきましてもチャイルドシートを使用することが必要な場合があることについて、このことの広報啓発を強化してまいりたいと考えております。
また、六歳以上の児童のチャイルドシートの使用状況等を踏まえつつ、チャイルドシート使用の年齢等の要件につきまして、制度的な検討を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○西岡(義)委員 二〇〇〇年にチャイルドシートの義務化というのが始まっているかと思います。二十五年たって、ずっと変わらない状況で、様々な事故の事例とかが上がってきていると思います。何よりも、子供の命を守るためには何が必要なのかという観点で、啓発ももちろんです、法改正含めてしっかりと検証して前に進めていっていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○浦野委員長 次に、沼崎満子君。
○沼崎委員 公明党の沼崎満子です。
本日は、質問の機会をいただき、大変にありがとうございます。
質問に移らせていただきます。
最初に、外食、中食における食物アレルギーに関する情報提供に関してお尋ねいたします。
外食や中食における食物アレルギー情報の提供は、消費者の安全確保の観点から重要な課題です。しかし、現状では、飲食店にアレルギー表示の義務がなく、各店舗の対応に委ねられているため、対応がまちまちで、誤食事故が発生するリスクが高まっています。
公明党はこの問題にいち早く取り組んでおりまして、二〇一四年から、外食、中食のアレルギー表示の課題に取り組んでまいりました。
このような状況を受けて、消費者庁は、外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会を設置し、中間報告を公表しています。報告では、外食、中食におけるアレルゲン情報の提供に関するルール作りが求められています。
外食事業者における食物アレルギー対応の実態調査によると、八一%の事業者が何らかのアレルギー対策を実施しているものの、特定原材料七品目の表示率は五五%にとどまっており、誤食事故は二九%の事業者が経験しています。その中で、四九%の業者が、業界内の標準作りがアレルギー対応推進に必要と挙げています。
以上の点を踏まえまして、外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会中間報告の今後の見直しとガイドライン作成に向けた検討状況についてお伺いいたします。
○井上政府参考人 お答えいたします。
外食や中食における食物アレルギーの情報提供に関するルール作りにつきましては、外食、中食のような食事の提供事業は規模や営業形態が非常に幅広く、原材料の調達経路や調理器具が多様であること、また、提供される商品の種類が多岐にわたり、その原材料が頻繁に変わることや、厨房等でのコンタミネーション、意図せざる混入の防止には専用の調理スペースが必要となることなどを踏まえますと、外食事業者等が守るべきルールを統一的に作ることは大変難しい課題と認識しているところでございます。
そのような中で、消費者庁としましては、これまで、事業者向けには食物アレルギー表示の基礎や実際に取り組む際のポイント、食物アレルギーの患者さん向けには店舗利用の際に気をつけるポイントなどを幅広く学べるように、パンフレットや動画を作成して、事業者団体への講習会等を通じ普及啓発を行っているところでございます。
御指摘の、外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会中間報告につきましては、今後の検討に向け、まずは患者にとって有益な情報提供がどのようなものかを把握することが重要でありますので、そのための調査等を今年度行ってまいる予定としてございます。
○沼崎委員 利用される患者さんとしては、この店舗がどこまで何ができているのかということが分かることによって対応が取りやすくなるということもございますので、検討会、引き続き前に進めていただき、できれば、更に歩を進めていただいて、標準作りというところにも歩みを進めていただきたいと御要望いたします。
次の質問に移ります。
次は、健康食品被害に関する御質問をさせていただきます。
高齢化が今非常に進む中で、消費者の健康への意識の高まりは非常に高くなっておりまして、そういう中で、健康食品というのも非常に利用が広がっています。
消費者がその安全性や有効性を十分に認識していない現状というのも懸念されます。特に、私自身、医師として働いているときにも経験しておりましたけれども、医薬品との相互作用や、あるいは、表示成分を含まない製品の存在などもあり、信頼性の問題も指摘されています。医薬品と健康食品の相互作用によって、例えば、私は麻酔科の医師として働いていたんですが、出血しやすくなってしまう、そういうことで手術が中止になる、そういったことも経験しましたし、お薬の作用が減弱してしまって脳梗塞を起こしてしまう、そのようなケースも耳にしております。
私の元上司であります筑波大学の麻酔科の名誉教授である内藤医師は、健康食品の調査において、特定機能食品を含む健康食品による健康被害であったり、あるいは、表示成分を全く含まない製品が存在する、そういったことも指摘しておりまして、今後の製品の信頼性の担保も課題となっています。
そこに、近年では、紅こうじ製品に起因する健康被害が大変大きな被害となりまして、健康食品による健康被害の問題は一層浮き彫りになっている状況と思います。健康になるためにお金を使って使用した健康食品で健康を害することがあっては、元も子もありません。消費者の健康と安全を守ることは責務であり、周知や情報提供も重要と考えます。
紅こうじ製品問題を始めとした健康食品に起因する健康被害問題の対策と現状の取組についてお伺いいたします。
○井上政府参考人 お答えいたします。
昨年五月三十一日の紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合において取りまとめられました、紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度に関する今後の対応に沿った制度の見直しとしまして、食品表示基準の一部を改正する内閣府令が昨年の九月一日より施行されてございます。
制度の見直しでは、健康被害の情報提供の義務化としまして、機能性表示食品について届出者が健康被害に関する情報等を得た場合には、当該情報を都道府県知事等に速やかに提供するとともに、消費者庁長官に提供することを内閣府令に位置づけて、義務化をしたところでございます。
また、機能性表示食品制度に対する消費者の信頼性を高めるための措置として、錠剤、カプセル剤等食品の製造等施設におけるGMPに基づく製造管理基準の適用、表示方法の見直し、また、表示を慎重に確認する手続を含む、届出に関する事項の見直しを行ったところでございます。
例えば、表示方法の見直しにおいては、機能性表示食品の容器包装上に、医薬品及び他の機能性関与成分との相互作用、過剰摂取等に係る注意喚起等について、当該機能性関与成分の安全性に関する科学的根拠を踏まえて具体的に表示することを内閣府令に位置づけて、義務化をいたしました。
なお、委員御指摘の健康食品と医薬品との相互作用については、重要な課題と認識しており、国の関係機関で運営する健康食品に関する情報提供サイトにおいても、内容の充実に努めつつ、消費者向けのリスクコミュニケーションにも努めてまいります。
さらに、機能性表示食品の届出後の事後チェックとしまして、販売されている機能性表示食品等の成分含有量を分析、検証する買上げ調査について、令和七年度は、昨年の健康被害事案もあったことから、対象件数を拡充して実施することとしておりまして、引き続き、機能性食品制度に対する消費者の信頼性を高めるため、制度の適切な運営に努めてまいりたいと考えております。
○沼崎委員 健康被害、もう一問追加でさせていただきますけれども、恐らく病院等で情報が、健康被害の状況というのが把握される場合もあると認識しておりますけれども、そういった場合の情報収集に関してお聞かせいただけますでしょうか。
○井上政府参考人 お答えいたします。
病院等で把握された健康被害情報というのもあると思っております。消費者庁は、その分野については厚生労働省としっかり連携する部分だと考えております。それぞれのルートで情報が確実に伝わるようにということで今回制度見直しをしておりますので、その運営についてしっかりと取り組んでまいります。
○沼崎委員 ありがとうございます。
紅こうじ製品も、腎機能障害など、そういった疾患につながるような状況にもなっておりますので、しっかり連携して情報共有をしていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
本日の委員会決議にも上がっておりますけれども、地方消費者行政の推進に関して御質問をさせていただきます。
五月二十二日に、私も同席いたしましたけれども、公明党は、地方消費者行政の充実に向けた提言を伊東大臣の方に提出させていただきました。地方消費者行政強化交付金推進事業の活用期限の到来が迫る中で、市町村の消費生活センターが倍増して相談員も大幅に増加した成果は非常に評価をされるものだと認識しています。
しかし、これまでも度々御指摘もありましたけれども、小規模市町村では依然として厳しい財政状況にあること、支援が突然なくなれば、消費生活センターの閉鎖や相談員の削減、相談窓口の開設日数の減少などが懸念され、国全体の消費者行政の基盤が揺らぐおそれがあります。そのため、引き続き消費生活センターの運営が継続できるよう必要な対策を講じることが必須だというふうに認識しております。
また、現在は、認知症や特別な配慮を要する消費者が増加する中で、見守り活動や出前講座、消費者教育の充実を図ることが求められています。
先日の委員会で私も質問しましたけれども、SNSを通じた投資詐欺など複雑かつ多様な消費者トラブルに迅速に対応するため、相談員の専門性の向上や確保、処遇改善も、国と地方が連携して進めていく必要性があります。
これらの課題に対しまして、政府として、今後どのような対策又は推進、地方消費者行政の強化に取り組んでいくのか、御回答をお願いいたします。
○伊東国務大臣 沼崎委員の御質問にお答えしてまいります。
地方消費者行政強化交付金推進事業につきましては、これまで、地方公共団体や消費者団体からその継続等につきましてたくさんの切実な御要望をいただき、公明党の皆さんからも御提言をいただいたところでございます。また、本特別委員会におきましても、先般、八千代市消費生活センターを御視察いただくなど、熱心に御議論をいただいてきたところでございます。
消費者庁としては、こうした提言や御議論を踏まえ、推進事業の利用期限到来による地方消費者行政の後退を回避するための対策をしっかりと講ずること、また、単に推進事業の活用期限到来への対応にとどまらず、高齢化の加速、単身世帯の増加、デジタル化の促進など、地方消費者行政を取り巻く環境の変化や、高度化、複雑化、広域化する消費者問題の性質の変化に適切に対応できるよう交付金の仕組みを見直すことが必要である、このように考えております。こうした方向性に沿って、地方消費者行政の強化を今後図ってまいりたいと考えております。
○沼崎委員 交付金の見直しで更に地方消費者行政が強化されて、推進されることを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○浦野委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組で唯一相談窓口だと思います、たがや亮と申します。れいわのことでお困り事がありましたら、私に御相談いただければと思います。
今日は政府参考人に全て質問ですので、大臣、よろしかったらゆっくりお休みいただければと思います。
さて、先日の千葉県八千代市への視察を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。
地方自治体の消費生活センターでは、消費者から寄せられる様々な相談に迅速に対応しつつ、全国的な情報収集を行い、消費者被害の防止等に大きく貢献をしております。まさに、地方の消費生活センターの相談業務は消費者行政の宝と言えると思います。
また、各地の消費生活センターで消費者から受け付けた相談についての情報はPIO―NETへ登録され、集められた情報は、消費者トラブルを解決するための相談業務だけでなく、法の執行のきっかけとなったり、消費者政策の企画立案に活用されているとのことです。
つまり、各自治体の消費生活センターなくしては国の消費者行政は成り立たず、ましてや、昔のような地域的なアナログ押売が主流の時代から、インターネットや海外からの拠点による世界的な詐欺、いわゆるロマンス詐欺や特殊詐欺を筆頭に、自治体レベルではなく国のレベルの対応が求められる昨今、本来ならば国が直轄で運営しても何ら違和感のない機関ではないかとも思います。それを各自治体に担わせているのですから、消費生活センターの運営費を国が補助するのは当たり前だと思うのと、これは負担金としての性格が強い交付金であり、仮にこれを削減するというのは、無責任の極みであるとさえ思ってしまいます。
消費者行政は、国と地方自治体との車の両輪といいます。国による強化交付金の推進事業が終了した場合、地方自治体の相談体制が脆弱になるのではないかと懸念していますが、今後の国の方向性を端的にお聞かせください。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
地方消費者行政に係る交付金等の活用により、市町村の消費生活センターが倍増するなど身近な相談窓口が充実したことは大きな成果であると考えております。他方、現場からは、交付金推進事業の終了により相談員を削減せざるを得ず、相談の質の低下を招く、相談窓口の開設日の縮小を検討せざるを得ないなどの切実な声をいただいております。
消費者庁としては、地方公共団体の努力によって築き上げられた行政サービスの水準が推進事業の終了によって低下することがあってはならないと考えております。このため、推進事業の活用期限を終えた地方公共団体が引き続き消費生活センターの運営等を継続できるよう、しっかりと対策を講じてまいります。
○たがや委員 ありがとうございます。
本日、決議書も出されますけれども、推進事業をしっかりと継続できるようによろしくお願いをいたします。
視察の際、相談員の方に伺ったんですが、相談者の中には、相談よりも、話し相手が欲しくて関係ない話をする人や、同じ話を繰り返す人、暴言を吐く人もおり、相談員へのカスタマーズハラスメント対策や、消費生活相談員の人手不足や負担軽減が急務だと思いました。
それらの解決策として、電話相談の際の初期段階、これをAIによる音声案内で対応するという考えはいかがでしょうか。お伺いします。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
相談員の担い手確保が重要な課題となっております。また、消費生活相談の内容が複雑化、高度化する中で、可能な限り最新のデジタル技術を活用し業務の在り方や効率性を高めていくことは、極めて重要であると考えております。
このため、今回のPIO―NET刷新においても、デジタル技術を活用して、消費者の利便性向上の観点から、トラブル解決方法を辞書的に提示し、消費者の自己解決を支援するFAQの充実や、相談員の負担軽減を図り、より複雑困難な相談への対応に尽力いただけるよう、相談支援機能の導入を図ることとしております。
今回のPIO―NETの刷新はスタートラインであり、デジタル技術の更なる進展や現場の御要望等を踏まえて、中長期的な課題として、AIの活用も含め、今後とも不断に検討を行い、消費者の利便性向上や相談員の負担軽減等に取り組んでまいります。
○たがや委員 ありがとうございます。
先ほど大臣の方は、AIではなかなか対応し切れないんじゃないか、まだ早いんじゃないかという考えでしたが、今、生成AIとかは非常に技術も優れて精度も高くなっていますから、是非検討していただいて、相談員の負担等々を軽くしていただければなと思います。
最後の質問ですが、インターネットによる詐欺被害について質問いたします。
ネット上には、有名人の名をかたる投資詐欺などが蔓延しています。これらの詐欺被害に対して、消費者庁は、詐欺事業者と思われる事業者名やURLを公開し消費者への注意喚起を行っているということですが、詐欺事業者と思われる事業者への直接の警告やプラットフォーム事業者への注意喚起は行っていないとのことでした。
消費者への注意喚起と併せて、より直接的に、積極的に、ダイレクトに、詐欺事業者への警告、プラットフォーム事業者への注意喚起、これらを行って被害の撲滅を図っていくべきだと思いますが、御見解をお願いいたします。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
消費者庁においては、これまでも、SNSなどを通じたもうけ話に関する消費者トラブルについて注意喚起をするとともに、SNS事業者とも連携して、投資詐欺等への注意喚起を実施してまいりました。また、消費者安全法に基づき、いわゆる偽サイトに関する消費者被害の注意喚起を行う際に、必要に応じて、インターネット広告事業者等に対しても当該注意喚起情報を通知しておるところでございます。
引き続き、関係省庁やSNS事業者とも連携しつつ、多様な手法を用いて注意喚起を行ってまいります。
○たがや委員 ありがとうございます。
是非、詐欺事業者に対する直接の警告、そしてプラットフォーマーに対しても注意喚起、消費者と、三者に対してしっかりとした周知をお願いしたいと思います。
質問を終わります。ありがとうございます。
○浦野委員長 次に、本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
消費生活相談員の大幅賃上げと、安定して働ける常勤化について質問をさせていただきたいというふうに思います。
詐欺的な投資あるいは副業の消費者トラブル、困ったら一八八に連絡をしてほしいと大臣も答弁をされております。一八八に電話をいたしますと、各自治体の消費生活センターにかかることが大半で、大臣の答弁の根拠となっているのが、やはり自治体の消費生活相談員の方々の存在だというふうに思います。
先日、私はある自治体の消費生活相談員の方々からお話をお伺いをいたしました。国家資格を持って二十六年間活動してくださっているんですけれども、それでも会計年度任用職員ということで、手取りが二十万円にも届かないという状況でございました。毎日八時半から十六時十五分まで働いて、水曜日の午後は休みということです。フルタイムで本当は働きたいけれども、パート扱いになってしまう。仕事が大変な割に二十万円も手取りがないというふうになりますと、やはり人が集まらないのは当然のことだというふうに思います。二十六年間働いても、俸給表、給料表は、一番賃金が安い一級ということになるそうです。
この俸給表、給料表の職務の級の一級、二級とはどのような職務なのか、まず伺いたいと思います。
○小池政府参考人 各自治体の職員に適用される給料表、及び、個々の職務を給料表の各等級へ分類する際の具体的な基準となります等級別基準職務表につきましては、各自治体が条例において規定をしております。
このため、自治体におけるそれぞれの級に応じた職務については一概に申し上げることはできませんが、総務省から自治体にお示ししている等級別基準職務表の例においては、一級は定型的な業務を行う職務、二級は、主任の職務、又は、特に高度の知識又は経験を必要とする業務を行う職務としております。
○本村委員 先ほども大臣、答弁で、消費生活相談員の方々の業務というのは複雑な業務なのだという御答弁もございました。そのようにおっしゃっていただいているんですけれども、消費生活相談員の方々の多くが国家資格を持っております。消費者問題の専門家です。消費者トラブルに関する最新の情報の収集ですとか、消費者関係の法律の最新の知識を習得しなければいけないということや、消費者からの事情聴取の能力も必要ですし、法の解釈ですとか法的な判断の能力、事業者とのあっせん交渉能力、こういうものも必要でございます。また、出前講座の担当者でもありますし、地域の消費者のリーダーでもあります。教育や啓発を実践する役割も求められております。
この業務は、先ほど総務省からお話がありましたように、定型的な、そういう一級の業務なのか。高度な知識経験が必要な、やはり専門性のある業務だというふうに思います。私は二級以上が妥当だというふうに考えますけれども、総務省、御見解を伺いたいと思います。
○小池政府参考人 個々の職に対する具体の等級の決定につきましては、各自治体においてそれぞれ判断して決定されるものですので、総務省としてその妥当性について申し上げることはございませんが、会計年度任用職員を含む職員の給与については、地方公務員法に定める職務給の原則及び均衡の原則等の給与決定原則にのっとり、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等を踏まえ適切に決定される必要があるものと考えております。
○本村委員 大臣、とても一級という業務ではないというふうに思うんですね。消費生活相談員の方々の育成、定着のためには、この低賃金、雇い止め、これをなくさなければならないと思います。大幅賃上げ、常勤化、正規化、そのための財政措置をもっとやるべきだというふうに思います。
今、予算の関係で、リアルな研修もなかなか行けない。リアルな研修に行きますと、各地域の相談員の方々と意見交換もでき、研修効果も上がるというふうにお伺いをしております。また、弁護士を呼んで相談会をやったり、啓発の物品でしたり、お断りのシール、訪問販売お断りのシールも、ニーズが高いんだけれども、予算がなかなかない。
そういう中で、やはり、国が十分の十出す交付金などの予算措置を来年度以降も拡充して行うべきだというふうに考えます。デジタル化、機器の導入、人の配置、管理運営費、こういうことも必要でございます。是非、十分の十の交付金、拡充して予算措置をお願いしたいと思います。
○伊東国務大臣 本村委員の御質問にお答えいたします。
消費生活相談員の任用、処遇は、地方公務員法等に基づき各地方公共団体で検討、実行されるものでありますが、全国的な人手不足やあるいは相談員の高齢化が進む中で、担い手確保と定着は重要な課題になっていると私も考えております。専門性や経験を踏まえた適切な任用、処遇を図っていただくことが重要である、このように考えます。
また、デジタル技術の活用により消費者の利便性向上や相談員の負担軽減を図るため、PIO―NET刷新を着実に進めてまいりたいと考えております。
消費者庁としては、地方公共団体が消費生活相談員の処遇改善や新しいPIO―NETシステムへの移行を円滑に進められるよう、交付金や地方交付税措置等を含め、財源確保に努めていきたいと考えております。
また、消費生活相談員は、日々の相談業務から得られる知識等の積み重ねにより専門性を高めており、こうした相談員の専門性に配慮した任用そして処遇が必要となると思いますし、引き続き、様々な機会を通じて地方公共団体に働きかけを行ってまいりたいと考えております。
○本村委員 質問を終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――
○浦野委員長 この際、地方消費者行政の充実・強化に関する件について決議をいたしたいと存じます。
本件につきましては、理事会等におきまして、各会派間において御協議願っておりましたが、協議が調い、案文がまとまりました。
便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明に代えたいと存じます。
地方消費者行政の充実・強化に関する件(案)
地域における消費者行政は、住民の消費生活における安全・安心確保の根幹であり、質の高い相談・救済が受けられる体制を全国的に維持・拡充することは、被害の防止を含め消費者全体の利益に資するものであり、消費者政策の最重要課題の一つである。政府は、このような認識のもと、地方消費者行政の充実・強化に向け、次の事項について適切な措置を講じるべきである。
一 地方消費者行政強化交付金推進事業の活用期限を終えた地方公共団体が、引き続き消費生活センターの運営等を継続できるよう必要な対策を講じること。
二 消費生活相談員による日々の相談対応の成果が、情報集約・共有システム(PIO―NET)を通じて国の消費者行政の企画・立案・執行に不可欠な基盤となっていることに鑑み、消費生活相談員がその能力を十全に発揮できる環境整備とともに、地方公共団体において消費生活相談員の専門性に見合った処遇が促進されるよう、必要な対策を講じること。
三 高齢化の加速、単身世帯の増加等の環境変化に対応するため、見守り活動や出前講座の充実など、積極的に地域に出向くことができるよう消費生活センターの体制整備を促進するために必要な対策を講じること。
四 全国的な人手不足の中、消費生活相談員の担い手確保や計画的な人材育成、専門性のさらなる向上など人材強化のために、地方公共団体が地域の実情に応じた取組を展開できるよう必要な対策を講じること。
五 上記の対策を講じるに際しては、人口減少・高齢化の加速、単身世帯の増加、デジタル化等地方消費者行政を取り巻く環境変化に地方公共団体が適切かつ安定的に対応できるよう、地方消費者行政強化交付金の仕組みを見直すこと。
六 現在進められている新しいPIO―NETへの移行を円滑かつ着実に実現し、消費者の利便性向上及び消費生活相談員の負担軽減、業務効率化を図ること。
右決議する。
以上であります。
お諮りいたします。
ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○浦野委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。伊東国務大臣。
○伊東国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。
○浦野委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十一分散会