衆議院

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第11号 令和8年6月25日(木曜日)

会議録本文へ
令和八年六月二十五日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   会長 古屋 圭司君

   幹事 鬼木  誠君 幹事 北神 圭朗君

   幹事 新藤 義孝君 幹事 鈴木 英敬君

   幹事 高階恵美子君 幹事 和田 義明君

   幹事 國重  徹君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 浅野  哲君

      秋葉 賢也君    石井  拓君

      石川 昭政君    石橋林太郎君

      伊藤信太郎君    稲田 朋美君

      稲葉 大輔君    岩崎 比菜君

      大野敬太郎君    加藤 勝信君

      上川 陽子君    木村 次郎君

      白坂 亜紀君    高木 宏壽君

      田野瀬太道君    辻  秀樹君

      寺田  稔君    中川 貴元君

      中山 泰秀君    葉梨 康弘君

      東田 淳平君    藤田 洋司君

      星野 剛士君    細野 豪志君

      本田 太郎君    丸川 珠代君

      盛山 正仁君    保岡 宏武君

      山田 基靖君    若林 健太君

      有田 芳生君    泉  健太君

      河西 宏一君    西村智奈美君

      阿部 圭史君    池畑浩太朗君

      西田  薫君    飯泉 嘉門君

      玉木雄一郎君    伊藤 恵介君

      和田 政宗君    古川あおい君

      畑野 君枝君

    …………………………………

   衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十三日

 辞任         補欠選任

  古川あおい君     峰島 侑也君

同日

 辞任         補欠選任

  峰島 侑也君     古川あおい君

同月二十五日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     白坂 亜紀君

  井出 庸生君     山田 基靖君

  下村 博文君     岩崎 比菜君

  棚橋 泰文君     東田 淳平君

  土田  慎君     辻  秀樹君

  若林 健太君     稲葉 大輔君

  川 裕一郎君     伊藤 恵介君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 基靖君     藤田 洋司君

同日

 辞任         補欠選任

  稲葉 大輔君     若林 健太君

  岩崎 比菜君     下村 博文君

  白坂 亜紀君     石井  拓君

  辻  秀樹君     土田  慎君

  東田 淳平君     棚橋 泰文君

  藤田 洋司君     井出 庸生君

  伊藤 恵介君     川 裕一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(合区・地方公共団体に関する集中的な討議)


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     ――――◇―――――

古屋会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、合区・地方公共団体に関する集中的な討議を行います。

 この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。

 それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。

 発言時間は七分以内といたします。

 質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて七分以内といたしますので、御留意願います。

 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。

 本日は、合区解消、地方公共団体について私の意見を申し上げます。

 そもそも、我が国の国家運営の基本は、国民主権とそれに基づく議会制民主主義です。その議会制民主主義を担保するものとして、憲法は、十四条一項で法の下の平等、四十四条で衆参両院の議員及び選挙人資格の平等を定めております。議会制民主主義の基礎を支える選挙区の設定は、この憲法の規定の精神に基づいて行わなければなりません。選挙区を構成するのは有権者です。その有権者が持つ投票の価値をできるだけ平等にするために、一票の格差はなるべく小さくする必要があります。

 このような考えに基づき、最高裁は、各選挙区の一票の格差について度々、違憲判決や違憲状態判決を出してきています。従来、最高裁は、数字的なものは明言しておりませんけれども、衆議院についてはおよそ格差二倍、参議院については格差三倍を目安にしているのではないかと言われています。全国各地より国民の民意を代表する国会議員を選ぶといった観点から見れば、このような人口数に基づいた投票価値の平等が基準になってまいります。

 ところが、我が国が直面しております少子高齢化、人口減少社会、そして地方の過疎化の急激な進展と都市部への人口集中という現象が進むことにより、投票価値の平等のみを徹底すれば、人口減少が進む地域ほど選挙区がどんどん広がり、結果として、地域の民意や実情を把握し切れない議員を選ぶ、そうした選挙になってしまうおそれがあるわけであります。これらは、日本国憲法が制定された八十年前には全く想定されておりませんでした。

 参議院選挙においては、一票の格差を均衡させるための工夫として、複数の県を一つの選挙区とする合区という手段が取られています。しかし、合区については様々な意見があり、合区となった県においては、候補者を出していない県で有権者が候補者との間に距離を感じ、投票率の低下や無効票の増加といった弊害が表れているとも指摘されています。

 先月、五月二十九日、昨年の国勢調査の速報値が発表されました。この速報値によると、参議院選挙区では、議員一人当たりの人口が最も多いのは東京都、最も少ないのは福井県であって、その格差は三倍を超えることになりました。仮に今回の速報値に基づいて福井県と合区する県を設定しなければならないとすると、有権者だけを基準に考えた場合、理論上においては、福井県と関東や九州といった離れた地域の県が合区する、飛び地合区ということが考えられるわけであります。仮にこのような選挙区ができた場合、果たしてそれは地域の民意が適切に反映された選挙区と言えるのでしょうか。

 そもそも、議会制民主主義の基礎となる選挙区の設定は、一票の格差の是正による投票価値の平等と、有権者によって構成される地域の民意の反映、このバランスされたものであるべきだと私は考えています。単に有権者数に基づいた投票価値の平等のみを基準とするのではなく、全国を通じて社会的、経済的な一体性を持つ地域から代表が選ばれること、これこそが議会制民主主義にとって望ましいことではないか、このように思うわけであります。

 選挙における一票の格差の是正による投票価値の平等については憲法十四条に規定されていますが、バランスを取るべき有権者によって構成される地域の民意の反映のエリアについては、その基礎となるエリアに関する根拠は、憲法上どこにその規定があるのかということになります。

 憲法における地域に関する概念は、地方自治の章である第八章に地方公共団体として規定されています。ところが、憲法にはそれ以上の定めがなく、現状では、千四百万人を超える東京都も数百人の村も一くくりに憲法においては地方公共団体とされているのみなのであります。また、第八章の冒頭の九十二条は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とするのみで、地方公共団体にはどのようなものがあるかは全て解釈と一般法律に委ねられています。

 これを受けて、一般法である地方自治法においては、二条の三項で基礎的な地方公共団体として市町村が、二条五項で広域の地方公共団体として都道府県が位置づけられています。この基礎的自治体と広域的自治体は、国民の日常生活に密接に関わり、福利、公衆衛生、災害対応などにおいて重要な役割を果たしています。

 国民の代表を務める国政選挙の選挙区について、民意の適正な反映を行うことができる地域として、この地方自治法の広域的な自治体そして基礎的な自治体を活用してはどうかと私たちは考えているわけであります。

 すなわち、一票の価値の平等については憲法十四条に規定がありますが、地域の民意の適正な反映のエリア設定については憲法に規定がありません。そこで、憲法の地方自治の章に地域の民意の反映のエリアの根拠を位置づけるべきではないかと考えております。参議院選挙については、憲法に明記された広域的な自治体から少なくとも一人の議員を選ぶということを規定することにより合区を解消し、この国の議会制民主主義の根幹を整えるべきです。これが、合区解消と地方自治体に関する憲法改正案についての自民党の考え方でございます。

 憲法制定から八十年がたち、少子高齢化、人口減少の進展とともに、地方の過疎化、都市部の人口集中という格差が生まれている状況において、日本の地方自治を持続可能なものにするためにも、未完の憲法第八章を完成させることは極めて重要ではないでしょうか。同時に、議会制民主主義を支える選挙区の問題は、国民が不断に行使をしている選挙権に直接関わるものであり、これを解決することも喫緊の課題です。

 合区解消、地方公共団体というテーマは、国の運営の根幹を成す議会制民主主義と、その基礎を成す選挙区に関するものであります。参議院において合区に関する議論が熱心に行われていることは承知をしております。今後、これらも踏まえながら論点を整理し、各会派の皆さんとの議論を深めるためにも、次回の審査会においてもこの合区と地方自治に関し更なる集中的な討議を行ってはどうかと私は考えております。是非、皆様と御相談しながら、また協議させていただきたい、このように思います。

 以上で私の発言とさせていただきます。ありがとうございました。

古屋会長 次に、國重徹君。

國重委員 中道改革連合の國重徹です。

 本日は、参議院の選挙制度における合区問題への対応について意見を申し上げます。

 二〇一五年の公職選挙法改正により、翌二〇一六年の参議院選挙から、鳥取、島根の合区と徳島、高知の合区が導入されました。この合区制度については、対象県の方々から自分たちの県から直接代表を送り出せないことへの不満や懸念の声が上がってきたことなどを背景に、特に参議院において熱心な議論がなされてきました。

 こうした中で、多様な民意、とりわけ地方の声を国政に反映させるべきといった観点から、多くの会派が合区は解消すべきと主張されていると承知しています。また、全国的な一票の格差解消を行うに当たり、特定の一部人口少数県にそのしわ寄せをもたらしている点を重大な問題とする指摘もあります。

 選挙権は極めて重要な憲法上の権利であり、その実効的な行使は国民主権の核心です。このような観点から、合区解消に向けた議論は必要です。

 しかし、合区解消に向け直ちに憲法改正の議論をすべきかといえば、そうではありません。現在の選挙制度を前提とするのではなく、まずは、参議院の選挙制度についてどのような制度が望ましいのか、そのあるべき姿についての議論の積み重ねが合区解消に向けた出発点になります。その検討を踏まえた上で、あるべき姿を実現するための手段として、法律改正で対応できるのか、それとも憲法改正が必要なのかが次に検討されることになります。

 そして、参議院の選挙制度の在り方を検討するに当たって重要になるのは、投票価値の平等の実現をいかに図るかということです。もっとも、最高裁は、令和五年十月十八日の大法廷判決において、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一、絶対の基準となるものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものと述べています。このように、投票価値の平等は、他の考慮要素との調和の中で実現していくべきものであります。

 そのような考慮要素の一つが二院制です。

 同じ令和五年十月十八日の大法廷判決において、最高裁も、憲法が二院制を採用し衆議院と参議院の権限及び議員の任期等に差異を設けている趣旨は、それぞれの議院に特色のある機能を発揮させることによって、国会を公正かつ効果的に国民を代表する機関たらしめようとするところにあると解されると指摘しています。二院制を採用した趣旨に鑑みて、衆議院と参議院の役割分担をどのように考えるか、また、その役割分担を踏まえて、それぞれの院に期待されている役割を最大化するためにはどのような選挙制度が望ましいのかという議論が必要です。

 この検討における重要な論点として、上智大学の上田健介教授の、権限と組織の相関関係についての指摘を紹介したいと思います。

 上田教授は、本年四月二十二日の参議院憲法審査会において、大石眞教授がつとに指摘されるとおり、権限と組織は相関関係にあると考えられますと述べられた上で、二院制を取る欧州諸国、イタリアの元老院やイギリスの貴族院、さらにフランスの元老院などの例を取り上げ、両院の権限が対等であれば、第二院の民主的正統性、すなわち投票価値の平等は強く求められ、非対等であるならば、この要請はかなり弱まるということです、この論理は普遍的なものであり、日本でも妥当すると考えますと発言されています。

 その上で、上田教授は、我が国においても、参議院が今後法案等の決定案件に際し衆議院の判断に譲歩するような運用を取るならば、自制を取るならば、投票価値の平等の要請は弱まるのではないかと指摘されています。

 さらに、地域代表という要素を持ち込めば、権限を弱めなくても投票価値の平等の要請は弱まるという考えについて一言申し上げますと切り出された上で、日本における現状の都道府県の権限、国との関係を前提にする限り、投票価値の平等の要請が弱まるというのは難しいと考えますとも述べられています。

 こうした問題意識は、東京大学の宍戸常寿教授が論文「「憲法改革」としての立法プロセスへの地方の参画」において、参議院を地方の府として位置づけることは、両院制の改革として一つの合理性ある提案である、ただし、都道府県選挙区制を維持しさえすればよいというものではなくて、参議院の権限や意思決定手続の見直しとセットでなければ首尾一貫したものとは言えず、投票価値の平等を後退させるだけの合理性もないと述べられていることと軌を一にします。

 また、最高裁判決では、参議院の役割が増大していること、衆議院と参議院が同質的な選挙制度となっていることが指摘されています。

 こうした最高裁の指摘も踏まえると、権限と組織の相関関係は、今後の議論において十分に考慮しなければならない重要な論点であると私は考えます。

 さらに、参議院の選挙制度の在り方は、参議院の緊急集会とも関わります。衆議院が解散されている間、国に緊急の必要があるときに参議院の緊急集会が開かれるのは、参議院が暫定的に国会機能を補完するためです。その権限行使の正当性は、参議院議員もまた、特定地域の意思や利益に法的に拘束された代表ではなく、全国民を代表する国会議員として選ばれているという憲法上の理解によって基礎づけられていると考えます。仮に、参議院を憲法上、都道府県代表としての性格をより強く帯びる院として再構成するのであれば、統治機構の根幹に関わる緊急集会における権限などについても併せて検討しなければなりません。

 以上述べたとおり、合区の解消は重要な課題ですが、その前提として、まずは参議院の選挙制度を検討する必要があります。その上で、その検討に当たっては、投票価値の平等や二院制、両院の役割分担に加え、参議院の権限と組織の相関関係、さらには緊急集会の在り方といった憲法上の重要な論点について体系的に議論を深める必要があることを申し上げ、本日の私の発言といたします。

古屋会長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 日本維新の会の馬場伸幸です。

 昨今、合区の解消を憲法改正の優先テーマにすべしとの声が広がりつつありますが、我が党は大きな疑問を感じています。その理由、背景については、今月四日の本審査会において国民民主党の飯泉委員からの御質問にお答えをする形で述べましたが、本日はそれに肉づけをさせていただきたいと存じます。

 一票の格差是正のために合区が導入されて十年を経ましたが、五月二十九日に発表された令和七年国勢調査の速報値では、参議院選挙区の一票の格差は最大で三・一八九倍となりました。このままで二年後の参議院選挙を行えば違憲状態が濃厚になることは重々認識をしています。とはいえ、更に合区の対象を増やせば、遠隔県同士による飛び地選挙区が生まれるなどの懸念は拭えません。ならばと、この際手っ取り早く合区を解消して議員定数を増やし一票の格差を解消するという流れになるのは、火を見るより明らかです。全都道府県民の声を一様に反映させるという美名の下、お手盛りの選挙制度にすり替えられるわけであります。

 人口の減少、偏在が加速を上げて進み、財政状況も厳しい日本において、議員定数を増やすことはもちろん、維持し続けることも、国民の理解は得られないと考えます。

 一票の格差をめぐって司法が違憲判断を下すたびに右往左往し、議員定数を増やしてしのぐという対処療法的な手法に頼り続けることは、立法府の怠慢、不作為にほかなりません。今現在、東京を中心とした都市部に人口が集中し、地方の人口がどんどん減っている状況下では、これからも同じようなことが繰り返されるだけです。国会が、一票の格差の解消にかこつけて、肝腎の身は切らず身を太らすようでは、火事場泥棒同然であります。今こそ、こうした木を見て森を見ないような議論から脱却すべきであります。

 我が党はかねてから、参議院の選挙制度について、現行二百四十八の議員定数をおよそ一割削減して二百十八にした上で、比例代表と選挙区の選挙に替えて、全国を十一ブロックに分けてブロック単位の個人選挙に移行すべきであると訴えてまいりました。かつて参議院選挙制度改革法案を国会に提出をいたしましたが、提出当時の試算では、地域ブロック間の一票の格差は一・二倍以内に収まりました。

 急がば回れであります。重大かつ火急な憲法改正テーマである緊急事態条項創設と九条改正を脇に置いて、補欠候補と言える合区の解消で道草を食うようなことを我が党は了としません。改憲の優先項目として合区の解消を声高に叫ぶ前に、我が党が主張する参議院選挙の大ブロック制導入など衆参両院の選挙制度の抜本的な改革を急ぎ、実現をさせることが立法府の責任であると強く申し上げます。

 もとより、合区を始めとする選挙制度の問題は、単に選挙制度をいじればいいという次元のものではなく、中央集権の限界を突破するための統治機構改革と併せて検討されるべきです。明治維新に伴う廃藩置県を経て、明治二十三年に原型の府県制が導入されてから百四十年近く変わらない都道府県制度、地方自治の在り方を見詰め直し、抜本的に再構築することが不可欠です。

 日本維新の会は、これまでに発表した憲法改正原案五項目の一つに統治機構改革を掲げています。趣旨は、地域主権の本旨を明確にするとともに、地方自治体の権限を強化すべく、道州と基礎自治体で構成される道州制を導入するものであります。連立合意書に基づき、昨日、自民党とともに実現に向けた法案を提出した副首都構想はその一里塚であります。

 振り返れば、平成十八年二月に、内閣総理大臣の諮問機関、地方制度調査会が「道州制のあり方に関する答申について」を公表してちょうど二十年。この答申では、県を越える広域課題の増大や地方分権の推進の必要性などを踏まえ、国と地方の関係を再構築するために道州制の導入が提言をされました。それに前後して、内閣官房の道州制ビジョン懇談会や、自民党道州制推進本部、日本経団連、関西経済同友会始め官民双方から様々な提言がなされるなど議論が活発化し、第一次安倍内閣では道州制担当大臣が置かれたほどでした。ところが、その後、民主党政権誕生などを経て、道州制導入をめぐる熱は冷め切り、今に至っています。

 現実を見れば、近代以降の交通網、情報網の目覚ましい発展や生活圏の飛躍的な拡大によって、北海道を例外とすれば、広域自治体であるはずの都道府県が広域性を喪失して久しいという事実に変わりはありません。

 都道府県制度は、二重行政、二重投資をもたらす非効率な資源配分の温床になっており、ドイツやフランス、イタリアなど国際比較の視座からも、日本の広域自治体ははるかに狭隘です。欧州主要国の広域自治体制度が国情に応じて柔軟に変化してきたことに対し、日本の都道府県制度は極めて硬直的です。国力の強化にも大きく資する道州制の導入は紛れもなく時代の要請であると考えています。

 今後、本審査会において、緊急事態条項創設と九条改正の次なる主要テーマの一つとして統治機構改革についての議論も深めていただくことを皆さんに切に求め、私の発言を終わります。

古屋会長 次に、飯泉嘉門君。

飯泉委員 国民民主党の飯泉嘉門でございます。

 国民民主党としては、改憲項目として二つ、衆議院で議論の積み上げのある選挙困難時における議員任期の延長と、そして参議院で議論の進む合区解消、いずれも選挙制度、つまり民主主義の基盤整備に関するテーマについて、まずは優先的に取り組むべきもの、このように考えているところであります。

 そこで、今日は、五月二十八日に引き続き、合区解消につきまして発言をさせていただきます。

 まずは、先ほどもお話が出ましたが、二十八日の翌日、二十九日、令和七年の国勢調査の速報値が出ました。ここでは、福井県、合区の対象の基準となる三倍をはるかに超える三・一八九倍となりました。しかも、その相手が、東京都、宮城県、神奈川県、三つあるところでありました。このまま参議院選挙がもし行われるとすると、違憲訴訟が多発することはまず免れないもの、このように思うところであります。

 そこで、前回申し上げましたこの合区、参議院の選挙制度に関わる最高裁の判決、昭和五十八年四月、平成二十四年十月、そして今回新たに、先ほどお話がありました、令和五年十月に新たな最高裁の判決が出たところであります。

 そのポイントは二つであります。

 まず一つ。政治的に一つの取りまとめの単位である都道府県の意義あるいは実体を考慮することが参議院制度の仕組みを決定するに当たって否定されるものではないということ。また、投票価値の平等の要請との調和が保たれる限り、都道府県単位での選挙制度を構築することは国会の合理的な裁量を超えるものではない。

 そして二番目。合区導入後、対象四県におきましては投票率の低下あるいは無効票の増加が続けて見られることであり、有権者において、都道府県ごとに国会議員を選出をする、こうした考え方が今なお強く、選挙に対する関心あるいは投票行動に大きな影響を与える、このように指摘がなされております。

 その背景につきましては、徳島県の投票率が、合区スタートの平成二十八年七月では四十六位、その後は全て最下位。さらに、鳥取県でありますが、合区対象前の平成二十五年七月では三位だったものが、昨年の参議院選挙では何と四十一位になる。

 最高裁におきましても、参議院選挙が合区のままでは対象県の有権者の参議院選挙に対する関心がどんどん低くなることを大変危惧をする、そこで、一票の格差至上主義から、投票価値の平等の要請と調和が取れた都道府県単位の選挙制度の構築を国会、立法府に求めているところであります。

 次に、合区制度が導入をされた平成二十八年、二〇一六年七月の参議院選挙から、当時、緊急避難措置となされたことにつきまして、改正公職選挙法の附則にも実はその旨が書かれているところでありました。この緊急避難措置、何と十年続いているところでありまして、今なお改善がなされておりません。

 しかも、地方部における急速な人口減少を受けまして、合区の対象が、福井県に続き、先ほども出ました、山梨県、佐賀県、そして和歌山県と、五年に一度の国勢調査のたびに増えようとする。しかも、飛び地が難しいということであれば隣接地、しかしそれは、人口の圧倒的に多い隣接県との合区となる。その対象県におきましては、有権者の皆様方の参議院選挙への関心はますます薄れてくるものとなります。憲法三大原則の筆頭と言われる国民主権のためには、有権者の皆様方に積極的に参議院選挙に加わっていただく。それが逆に、選挙に参加しづらい制度となっているところであります。

 確かに、法律改正によるその場しのぎ、これも可能ではありますが、必ず違憲訴訟が起きます。そこで、今こそ正面から、憲法改正による合区制度の解消を図るべきであります。

 平成二十八年十一月、そして二十九年十一月、全国知事会で、合区解消の処方箋、憲法改正草案を取りまとめさせていただきました。

 ポイントは二つ。憲法における第八章地方自治、先ほども新藤幹事から御紹介がありましたが、その総則的な規定である九十二条に都道府県をしっかりと明記をするということ、そして、民主主義の学校とも言われる地方自治発展のために、例えば憲法前文あるいは第八章地方自治、未完を完成させるんだという意見も先ほどございました。また二つ目は、衆参両院の選挙制度を定める憲法第四十七条に、参議院選挙の選挙区に都道府県単位の選挙区を含むことを明記することであります。

 緊急避難措置として制定をされてから十年経過をした合区の参議院選挙は、投票率の減少から、対象県の国民の参政権に大きく今支障を招いているところであり、まさに国民主権にもとることとなっております。しかも、国政選挙の周知期間は一年であります。再来年七月に予定をされる参議院選挙は、来年の七月までに憲法を改正をし、そして合区解消を正面から成し遂げなければ、再び合区の選挙がどんどん広がることとなるところであります。

 皆様方、このままでよいのでしょうか。まさに今立法府に求められているのは、十年間、緊急避難措置、このように置いてきた、立法府におけるいわば怠慢とのそしりを免れ得ない、これを今こそ解消すべきではないかと思います。御賛同方、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 以上でございます。

古屋会長 次に、和田政宗君。

和田(政)委員 参政党の和田政宗です。

 合区と地方公共団体に関する集中的な討議に当たり、参政党の意見を申し述べます。

 合区の問題は、地方の人口減少が最大の要因となっています。参政党は、根本的な子育て支援策など、地方の人口減少を食い止め、少子化対策ではなく多子化につながる、子を望まれる方が経済環境や社会情勢に左右されることなく安心して出産、子育てができる政策を掲げています。子供一人当たり月十万円の教育給付金に加え、地方の基幹産業である一次産業の根本強化、自給率の向上による食料安全保障の確立、地方における物づくり等の産業強化といった、地方がよみがえり、発展する政策の実現を目指しています。

 しかしながら、現状においては、既に参議院で選挙区の合区が生じています。そして、先月発表された令和七年国勢調査の速報値からは、現行の選挙制度のままでは更なる合区が生じると見られます。

 これら合区の問題は、地方の人口減少に加え、都市への人口集中から生じていますが、現行憲法の条文からは一票の格差はほとんど許容されず、都市部への国会議員数の集中が生まれています。都市部の国会議員が地方に対する政策もしっかり行えばよいとの意見もありますが、国会は多数決の民主主義であり、結局、人口の多い都市部の声が優先され、地方の声が取り入れられないことも考えられます。

 地方の活力が更に失われ、集落がなくなり、国土が廃れることは、国土保全の観点からも国の将来に影響を及ぼしますし、豊かな里山と豊かな海とともに生きてきた日本人の文化を失うことにもつながりかねません。やはり地方からしっかりと国会議員が選出される形を取ることが重要であると考えます。

 また、合区は現状、参議院における問題ですが、衆議院の選挙制度改革でどのような選挙制度を取るかによっては、将来、衆議院においても、人口減少による都道府県をまたいだ選挙区、合区が生じる可能性があります。衆議院と参議院、両院併せた抜本的な選挙制度改革で一票の格差問題を解決する方法を考えるとともに、憲法上、地方の声がしっかり反映されるよう担保することが必要と考えます。

 ですから、参政党は、合区解消のための憲法改正には賛意を示します。

 一方、現在、当憲法審査会や、衆議院議長が設置した各会派参加の衆議院選挙制度協議会で、衆議院の選挙制度の在り方、参議院を含めた両院の役割と選挙制度の在り方が議論になっています。特に、衆議院議長設置の衆議院選挙制度協議会では、令和七年国勢調査の確定値が発表される秋までに選挙制度の抜本改革の結論を得るとの前提で各会派の協議が行われています。

 そうした中、衆議院の比例定数の削減法案が与党から提出されましたが、これでは小手先の党利党略の改革にしかならず、抜本的に一票の格差問題を解消し、国民が選挙ごとに所属する選挙区が変わる不便を解消し、選挙への民意のより正確な反映と地方の声が切り捨てられないことを重視する憲法改正論議にも影響を及ぼしかねません。当憲法審査会の場においても強い懸念を表明します。

 このように、合区解消の憲法改正議論の際には、衆議院と参議院の位置づけと役割分担をもう一度整理しなくてはならないと考えます。

 例えば、参議院を主に地域代表をもって組織される良識の府として憲法上位置づけ、参議院の選挙区選挙においては、それぞれの地方の代表との位置づけで、一票の格差については問題視しないという憲法改正が考えられます。その際、参議院には、主に地方の代表から成る院である、かつ六年という任期の安定性から、条約承認、決算承認など特定の案件に関する先議権、優先議決権を付与するなど、良識の府にふさわしい役割を割り当てることが議論され得ると考えます。

 こうした合区解消の議論に併せ、憲法上、地方自治の規定を充実させ、広域自治体、都道府県と、基礎自治体、市町村を規定する必要があるとの議論が当憲法審査会でもなされてきました。

 地方自治は統治機構の問題であり、国全体の統治機構をどうするかの観点で議論することが重要と考えます。

 基礎自治体において、まず地域の自立と住民生活の安定と発展のための施策を担う役割を明確にし、広域にわたる事務や基礎自治体の対応になじまないものは広域自治体に委ねる、中央依存や他人任せではなく、地域住民の意思により自らの力で経営する自立した行政と地域づくりを進めることが必要です。かつて地域特性を生かして自立経営を営んでいた二百を超える江戸時代の藩を参考に、それぞれがオンリーワンの魅力をつくることができる経営単位となるべく、地方行政制度の在り方を検討する必要性があります。

 現在の何でも国がやらなければならない現状を正すとともに、地方公共団体の権限拡大によって国益が損なわれる事態が生じるのを防ぐために、外交、安全保障、財政、社会保障、教育の基幹的部分など国の排他的権限に属する事項を明示し、それ以外は基本的に地方公共団体に移管することも議論がなされるべきです。

 いずれにせよ、合区の解消、地方公共団体の在り方については、衆参両院に関わることであるとともに、我が国の統治機構全体を憲法上どう位置づけていくかということでありますので、衆議院、参議院の憲法審査会それぞれの議論とともに、衆議院、参議院での合同の議論の場が必要であると考えます。

 合区の解消については、内容をどうするか更に議論が必要ですが、地方の声がしっかりと国会に反映される憲法とすることが重要であり、参政党として賛意を示します。

 以上です。

古屋会長 次に、古川あおい君。

古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいでございます。

 本日の討議につきまして、私どもの考えを申し上げます。

 第一に、参議院議員選挙における合区について申し上げます。

 合区を解消し、地方の代表性を確保すべきだという問題意識は大変重要なものだと受け止めております。現に、鳥取県と島根県、徳島県と高知県では合区が導入されており、全国知事会も解消を求める決議を重ねてこられました。地方の声が国政に届きにくくなっているのではないかという懸念には真摯に向き合うべきだと考えております。

 同時に、一票の価値の平等もまた憲法上の要請でございます。最高裁判所は、二〇一〇年の参議院議員選挙について、最大格差五倍に達した定数配分規定を、投票価値の平等に反する、いわゆる違憲状態にあったと判断しました。続いて、二〇一三年の参議院議員選挙についても、最大格差四・七七倍に達した定数配分規定を、同じく違憲状態にあったと判断しております。合区は、こうした司法判断を受けて、一票の格差を是正するため二〇一五年に導入されたという経緯がございます。

 地方の声と一票の価値の平等、私どもは、このどちらか一方を切り捨てる議論にしてはならず、その両方に同時に配慮する制度の在り方を探っていくべきではないかと考えております。

 両立を追求しようといたしますと、論理的には、参議院の定数を一定程度増やすという選択肢も考えられます。一人の議員が代表する人口で見れば、我が国にはなお定数を増やす余地があるという指摘もあり、これにより、合区を解消しつつ一票の格差を縮小していくことも可能になってまいります。これは決して容易に受け入れていただける選択肢ではないと承知をしておりますが、両立を実現しようとすればこうした選択肢もあるのだという前提をまずは国民の皆様と丁寧に分かち合うことから議論を始めるべきだと考えております。

 その上で、都道府県という単位での代表の在り方を憲法そのものに書き込むという点につきましては、慎重な検討が必要だと考えております。日本国憲法第四十三条第一項には、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と記されております。国会議員は全国民の代表であるという憲法の原則との関係に加え、一旦書き込めば、その先の制度を時代に合わせて柔軟に見直していく余地が狭まりかねないという懸念がございます。

 選挙制度は、時代や人口構成、暮らしの実態に合わせて見直していくべき領域であり、まずは、現行憲法の下で、定数の見直しや比例代表の活用も含めて、どのような選択肢があり得るのかを議論し尽くすことが先ではないかと考えております。

 第二に、地方における投票環境の実情について申し上げます。

 地方の声を国政に届けるためには、その声を託す一票が確実に投じられる環境がなければなりません。ですが、現実には、一票を投じることそのものが年々難しくなっている現実がございます。自治体の職員数の減少や立会人の負担軽減などを背景に、投票終了時間の繰上げや投票所の減少が各地で進んでおります。

 二〇二六年二月の衆議院議員選挙では、投票日当日、全国に設けられた投票所の数は四万四千六百四十二か所と、前回から七百八十七か所減少しました。二〇〇〇年の五万三千四百三十四か所から比べると、八千七百九十二か所もの投票所が姿を消したことになります。

 このうち、投票終了時間を午後八時から繰り上げた投票所は一万八千か所以上ございました。全国で四割以上の投票所では午後八時まで投票することができず、福島県では、県内の投票所千百五十八か所のうち、午後八時まで投票が行われた投票所は一か所もございませんでした。福島県では、県内の全ての投票所が投票終了時間を繰り上げ、午後四時に投票が締め切られた投票所もございました。

 このように、投票環境が制限されているような実情が現に存在する中、果たして地方の声が本当に国政に届いていると言えるのでしょうか。

 こうした課題については、チームみらいは、電子投票やインターネット投票などテクノロジーの活用も含めて議論を進めていくべきだと考えております。我々のマニフェストには、電子投票やインターネット投票の推進を掲げております。選挙運動に関する各党協議会においても、インターネット投票の早期実現を訴えてまいりました。昨日衆議院に提出された公職選挙法の改正案には、インターネット投票の実現に向けた検討事項が附則に盛り込まれております。

 地方において一票を投じやすい環境を整えることは、地方の声を国政へ確かに届けるという点で、本日の合区の議論とも根を同じくするものでございます。合区の問題も地方公共団体の在り方も、突き詰めれば、人口が減少していく時代にあっても地方の声を国政に反映し続けるにはどうすればよいかという問いに行き着くものでございます。

 私どもは、地方の声と一票の価値の平等という、いずれも欠かすことのできない二つの価値をどう両立させていくのか、その立法事実に立ち返り、国民の皆様の理解と納得を重ねながら議論を積み重ねてまいりたいと考えております。

 以上です。

古屋会長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 いわゆる合区の問題について述べます。

 まず指摘しておきたいのは、合区は自民党の党利党略によって持ち込まれたものだということです。

 この問題の出発点となったのは、参議院選挙区間の一票の格差に関する二〇〇九年の最高裁判決です。判決は、国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であると指摘し、一票の格差是正のために、選挙制度の仕組み自体の見直しを提起しました。

 我が党は、議員総数の削減は行わずに格差是正を実現すること、民意を議席に正確に反映させることといった基本的な見地から、得票数が議席に正確に反映される比例代表を中心とした制度にすべきだと主張しました。

 さらに、二〇一二年に再度出された最高裁判決は、二〇一〇年の参議院選挙を違憲状態とし、都道府県を参議院選挙の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はないとして、再び、仕組み自体を見直すことが必要と国会に要請しました。

 こうした中で、二〇一〇年に参議院に選挙制度の改革に関する検討会が設置され、当時の西岡武夫議長は、総定数を維持し、九つのブロックによる比例代表制にする案を提示しました。我が党は西岡議長案をたたき台にして議論することを提起し、各党が合意に向けた努力をしてきました。

 ところが、自民党は、自らの改革案を提示しないまま先延ばしにし、二〇一五年に協議を打ち切り、突如として二つの合区を含む十増十減の改定案を提出したのです。これに対し、合区対象となる四県を中心に、地方切捨て、地方軽視という反発の声が上がりました。私たちは、一部の県だけが対象となる合区制度は不公平だと反対しました。ところが、自民党などは、参議院では委員会審議を省略し、衆議院でも僅か一時間の審議だけで採決を強行したのです。

 さらに、二〇一八年には、合区によって選挙区から立候補できない自民党の候補者を救済するために、比例代表選挙に特定枠制度を強引に導入しました。徹頭徹尾、党利党略の御都合主義と言わなければなりません。

 自分勝手な都合により合区制度を強行してきた責任を棚に上げ、合区の解消のために改憲を主張するなど、言語道断です。改憲の理由として、地方の声が反映されないことをしきりに強調しますが、実際に自民党が推し進めようとしているのは、衆議院の定数を削減し、地方など少数の意見を切り捨てることです。民意の反映という主張がいかに空虚なものかということを如実に表しています。

 日本国憲法前文は、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しから始まり、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意し、主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定するとしています。

 選挙制度について求められるのは、この憲法の原則に基づき、民意が正確に反映される選挙制度にすることです。そのためには、都道府県を参議院選挙の選挙区の単位とすることをやめ、比例代表を中心とした制度への抜本的な改革こそ必要です。

 この点に関わって指摘しておきたいのは、衆議院選挙での小選挙区制度の問題です。

 一九九四年に政治改革と称して現行の小選挙区比例代表並立制が導入された下で、民意の反映が著しくゆがめられてきました。この三十年間、小選挙区制の下で十一回の総選挙が行われました。いずれの選挙でも、小選挙区において第一党は、四割台の得票率にもかかわらず、七割から八割もの議席を獲得しています。一方で、少数政党は、得票率に見合った議席配分を得られず、獲得議席を大幅に切り縮められております。議席に反映しない死に票は、各小選挙区の投票の半数に上っています。

 さきの総選挙で自民党は三百以上の議席を獲得しましたが、絶対有権者比で見れば二八%の投票にすぎません。まさに、民意を反映しない小選挙区制の根本的欠陥を浮き彫りにしています。この下で、殺傷兵器の輸出や長射程ミサイルの配備など、平和と民主主義を破壊する強権政治が横行していることは重大です。

 小選挙区制度を廃止し、国民主権の趣旨に沿う、民意を公正に反映する選挙制度へと抜本的に改革する議論を予算委員会や各常任委員会、特別委員会で大いに行うべきだということを述べて、発言を終わります。

    ―――――――――――――

古屋会長 次に、委員各位による発言に入ります。

 発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。

 また、幹事会の協議に基づき、発言時間は五分以内といたします。質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて五分以内といたしますので、御留意願います。

 発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。

細野委員 自民党の細野豪志でございます。

 今日、こういう形で衆議院で参議院の合区について議論ができるということを心より歓迎したいというふうに思いますし、幹事の皆さんの御努力に心より敬意を表します。

 私は、地方の声を大切にする立場から、この問題について意見を述べたいと思います。

 まず、最高裁の判決を振り返りたいと思います。

 昭和の時代までは、都道府県代表の性格を重視をし、一票の格差が五倍を超えていたとしても合憲判決が出ておりました。大きな転換点になったのは平成二十四年の判決でございます。この判決を一つの大きな契機として、投票価値の平等をより重く置く議論が裁判所でも国会でも非常になされてきたという経緯がございます。その判決ではこういう指摘があります。都道府県を選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はなく、こう言い切ったわけですね。これを受けて合区に国会はかじを切るということになりました。

 この最高裁の判決なんですけれども、憲法論、法律論としては極めて正しいということなのかもしれないけれども、私は、大きな問題が二つあるというふうに考えています。

 一つは、国民の意識との大きな乖離です。

 私は、この問題は、やや話が違いますが、甲子園の各県代表と似ているのではないかと思っているんですね。といいますのも、今、四十七都道府県、全部代表を出していますが、一九七八年までは各県代表じゃなかったんです。私は滋賀県出身だったんですが、滋賀県は長く京都と京滋大会というのをやっておりまして、平安高校がむちゃくちゃ強くて甲子園に出られなかった。その後、福井県と合併したんですが、そこでもなかなか甲子園に出られなくて、私が小学校に入るまでしばらく、甲子園で一回も勝っていないのは滋賀県だけという状態が続いたわけですね。じゃ、滋賀県民が京都代表を応援するか。応援しないですよね。こういう心理が働く。

 実際に数字でもはっきり出ております。例えば二〇二五年の参議院選挙、私は高知に応援に入りましたが、高知県では非常に関心が高かった。なぜなら、自民党の候補も野党の候補も高知出身でございましたので、大変盛り上がっておりました。ただ、一歩徳島に入ると、候補者がいないものですから、何党支持というよりは選挙そのものに関心がない、自分たちの選挙とみなしていないという、甲子園で代表校がいないと応援しないのと同じような現象が起こっているわけですね。実際に投票率で見ますと、高知県の投票率は五六・九%だったのに対して徳島県の投票率は五〇・五%と、六・四%もの差があるわけですね。

 すなわち、各県は県民性というのを極めて強く持っていて、その代表が出ないことに対して非常に大きな温度差が出てきているという国民の実態をこの最高裁判所の判決は反映をしていないというのが一つ。

 もう一つは、行政の実態との乖離です。

 政令指定都市以外は、様々な行政を都道府県単位で行います。道路などのインフラの整備、教育、福祉、また補助事業も全て都道府県を通します。一人の参議院議員が二つの県の行政事務に的確に対応し得るかどうか、ここは極めて怪しいと考えなければなりません。また、多くの皆さんが指摘をされているように、過疎地というのは行政需要が多いですから、その様々な行政の需要、さらには様々な住民の要望というものにとても対応し切れていないという実情もあるわけですね。そういう行政の実態、政治の実態と裁判所の判決というのは残念ながらずれているというふうに思います。

 先ほど中道の國重幹事の方から非常に大事な御発言があったと思います。私もそれは理解します。参議院の役割を変えることによって、この合区の問題にじかに対応しなくても様々柔軟な対応があるのではないか。御発言は分かります。ただ、少なくとも、最高裁のこれまでの判決の経緯を見ていると、投票の価値の平等というのを非常に重視をする傾向というのはより強くなっていますね。その中で、仮に参議院の役割を衆議院と相対的に変えたとしても、都道府県に各一基数を与えるという考え方に転換するのは現行憲法上は極めて難しいのではないかというふうに思います。

 自民党は、この考え方の下で四十七条と九十二条の改正案を提案をしています。率直に言って、九十二条は、地方自治の現状から考えると条文の密度が余りに低過ぎる。本来あるべき地方自治の考え方をきちっと書き込むのが本来の姿だと思います。

 私は、最後に、こういう国民の感情、国民の認識とのずれも含めて、しっかりと衆議院でこの議論を集中的に行っていくべきだということを申し上げて、発言を終わりたいと思います。

西村(智)委員 中道改革連合の西村智奈美です。

 本日の議題とされている合区についてですが、参議院選挙区の合区により、当該の県の皆さんの率直な思い、生じている不都合について、例えば全体の定数を増やすなど何らかの措置を講じていくことは必要と考えますが、全て国民は法の下に平等とする憲法第十四条を乗り越えて一票の格差を広げることには賛成できません。

 更に言わせていただければ、衆議院の話ではありますが、比例の定数を大幅に削減し、民意、特に少数政党を支持する国民の声を届きにくくする論外の案を提案している自民党に、参議院の合区解消の議論を提起する資格はないと申し上げたいと思います。

 また、地方公共団体について、日本維新の会と自民党は首都法がない中で法体系上もおかしな副首都法を制定しようとしていますが、第三十四次地方制度調査会で大都市制度について議論が始まっているところ、その議論をまずは踏まえるべきと考えます。

 ところで、先週の憲法審査会で国民投票法改正案が採決されました。中身はあくまで手続法ですから、採決に付された以上、苦渋の思いで賛成しましたが、私個人は、憲法改正議論をほかの重要な政策に優先して進めようという気持ちは全くありません。特に、憲法九条に関しては改正の必要がないという立場は全く変わりませんし、さらに、今回の改正が成立したとして、国民投票をすぐにでも行えるということでは全くないということを改めて申し上げたいと思います。

 そのことは附則の第四条に明確に示されています。改めて読み上げます。

 附則四条、「国は、この法律の施行後三年を目途に、次に掲げる事項について検討を加え、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」「二 国民投票の公平及び公正を確保するための次に掲げる事項その他必要な事項」「イ 国民投票運動等(国民投票法第百条の二に規定する国民投票運動又は国民投票法第十四条第一項第一号に規定する憲法改正案に対する賛成若しくは反対の意見の表明をいう。ロにおいて同じ。)のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限」「ロ 国民投票運動等の資金に係る規制」「ハ 国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策」。

 この趣旨を改めて確認するためにも、同様の内容が、「国は、速やかに、」と文言を変え、今回、附帯決議で改めて決議されました。

 もしどうしても憲法改正発議をしたいのであれば、この附則第四条、附帯決議の措置をきちんと講じることが当然の法的前提です。

 さらに、法的観点のみならず、インターネットが選挙に及ぼす影響を心配する国民の実感、例えば兵庫県知事選挙、更に言えば、現在国会で追及が続いている、高市総理の秘書が他党候補などの誹謗中傷動画の作成に関与していたとされる疑惑など、ここ数年、国内外の選挙でのインターネットの影響の大きさを見れば、こうした点について検討を加え、必要な法的措置を講じた上でなければ、日本の未来を左右する憲法改正の国民投票を到底行うべきではないと考える国民は、決して改憲に消極的な方々に限らないと考えます。

 また、私も取り組んでまいりました在外投票ですが、選挙人登録者数が増えていません。在外公館が居住地や勤務地から遠方にある方も多く、投票期間は短く、総選挙では四日という在外公館が最多、郵便投票では締切り後に届いた投票用紙が毎回二割前後と、投票権が行使しにくい、いえ、行使できないという深刻な課題があります。一般選挙はもちろん、こうした課題を解決することなくして国民投票を行うことはできないと考えます。

 以上です。

阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史です。

 前回の憲法九条に関する集中討議では、現在の自民党の自衛隊明記案と、現在の我が党の案であり、かつ十年前の自民党も掲げていた憲法九条二項削除と国防軍創設案に関する違いについて、特にその作用法及び組織法上の違いについて説明をいたしました。

 現在の自衛隊は、国内的には実力組織として、国際的には軍として更に強化すべき点が多いことに鑑み、我が党の憲法九条二項削除と国防軍創設案は、作用法と組織法の双方を大きく変更します。

 その際、玉木委員より、我が党が自衛隊明記案ではなく憲法九条二項削除と国防軍創設案へと発展させた理由についてお尋ねがございました。恐らくこの後も御質問されるのだと思いますので、先取りしてお答えをいたしたいと思います。

 我が党は、昨年九月に公表した「提言 二十一世紀の国防構想と憲法改正」において、九条二項削除による集団的自衛権行使の全面容認及び国防軍の創設をうたい、リアリズムの視座に立ち、正面から国際安全保障環境を見据えています。

 安全保障を考える上でまず真っ先に直視すべきなのは脅威認識であります。結論から申し上げれば、我が党が自衛隊明記案ではなく九条二項削除と国防軍創設案へと発展させたのは、脅威認識が高まったからというシンプルな理由であります。

 中国は昨今、我が国への領海侵入及び領空侵犯を繰り返し、軍事活動を活発化させており、我が国の安全に深刻な影響を及ぼし得る状況にあります。このような中国の活動は、東シナ海のみならず、南シナ海、太平洋、インド洋にわたって拡大しており、自由で開かれた国際秩序を志向する国々への深刻な脅威となっています。

 北朝鮮は、核兵器及び大陸間弾道ミサイルの開発を拡大していることに加え、日本海に向けて弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、我が国の安全保障に深刻な脅威を及ぼし続けています。

 加えて、二〇二二年以来継続しているロシアによるウクライナ侵略に際し、ロシア及び北朝鮮は、二〇〇〇年締結のロ朝友好善隣協力条約を深化させたロ朝戦略的パートナーシップ条約を二〇二四年に締結し、相互防衛義務を有する軍事同盟となりました。その後、北朝鮮は、軍を派遣し、ロシアによるウクライナ侵略に参戦しています。

 また、二〇二四年五月、中国及びロシアは、首脳会談において、新時代のための中ロ包括的戦略パートナーシップの深化に関する共同声明を採択し、激動し変化する世界秩序に直面する中、中ロ関係は国際情勢の変遷という試練に耐え、安定性と強靱性を示し、現在、歴史上最高のレベルにあるとうたい、軍事的連携も深めています。このような状況は中ロ協商とも評されています。

 さらに、中国及び北朝鮮は、一九六一年に締結した中朝友好協力相互援助条約において自動参戦条項、相互防衛義務を定めている軍事同盟の関係にあります。

 このように、我が国は、中朝ロという三つの正面から通常戦力及び核の脅威にさらされています。このような三方向の軍事圧力に直面する事態は、歴史上我が国が経験したことのない事態です。二十一世紀における我が国の国防は、軍事的に拡張する中朝ロに対して抑止力及び対処力をいかに高めることができるかが焦点です。

 二十一世紀の国防は、これらの脅威がせり出してくる東シナ海、南シナ海、太平洋、インド洋の四つの海をいかに守るかの戦いです。そのためには、我が国の自律的な防衛力の増強に加え、日米同盟の深化及び新時代における軍事同盟の拡大を行う必要があります。それによって、二十一世紀の勢力均衡、バランス・オブ・パワーを構築し、四つの海にわたる国際秩序の安定を図ることが可能になると考えます。我が国一か国だけでは守れず、日米同盟だけでも不十分であります。同じ海洋国家であり、準同盟国でもある豪州、フィリピン、英国等との関係を同盟レベルにまで引き上げ、これらの海をいかに守れるかが問われています。

 そのためには、憲法九条二項削除による集団的自衛権行使の全面容認が必要であり、米国とも対称的双務性に基づく相互防衛義務が必要となるのではないでしょうか。

 玉木委員には是非、我が党の「提言 二十一世紀の国防構想と憲法改正」をお読みいただければと存じます。そこに全て記載されております。

 連立政権合意書の前文には、自民党と我が党は国家観、国際政治観、安全保障観を共有していることを明記しています。すなわち、脅威認識を共有していると言えると思います。

 自民党は、二〇一二年憲法改正草案の九条二項削除と国防軍創設案から、自衛隊明記案へと考えが変わられました。しかし、決して、戦後最も複雑で厳しい安全保障環境と言われている中において、脅威認識が低下しているということではないと思います。むしろ現下の脅威認識の高まりを感じておられ、それを共有していると思いますので、自民党の皆様もまた、九条二項削除と国防軍創設案へと再度発展していただけると信じております。

 我々与党両党は、共に憲法九条改正を果たすべく、連立合意書に基づき、与党憲法改正条文起草協議会において九条の議論を行っており、共に条文を起草していく所存であります。

 私からは以上です。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 今国会もあと三週間となりました。この審査会でどこまで何をまとめるのかということをそろそろ考えていかないと、また言いっ放し大会で今国会の審査会も終わってしまうことを大変危惧をしております。

 繰り返しになりますけれども、我が党としては、先ほど飯泉委員からもありましたが、衆議院である程度議論が進んできた大規模災害時等における国会議員の任期の延長等、国会機能の維持に関する改憲案と、そして、今日も議論になっている、参議院で議論の進んでいる合区の解消、この二つに絞って条文化作業を具体化させることが必要であるということを改めて申し上げておきたいと思います。それ以外の項目については、その二つができればやればいいと思って、結局あれもこれも手をつけて何もできなくなるということを今国会でも恐れます。

 その意味で、九条について改めて伺いたいと思います。今、阿部委員から丁寧な御説明をいただいたので、今日は両党に二問ずつ、事前通告しておりますので、伺いたいと思います。

 前回も聞きましたが、まず基本認識を伺います。

 現在の自衛隊は国家と国民を守るための必要かつ十分な実力組織であるのか、それとも不足しているところがあるのか。自衛隊のできることに関する憲法上の制約についての両党の基本認識をまず確認したいと思います。これがまず両党に対する一問ずつです。

 次に自民党に対して伺います。

 自衛隊は国内法上戦力でも軍隊でもないというのが、高市総理からも私は答弁いただきました、政府見解だと認識をしております。新藤幹事は六月十一日の本審査会で、国際法上も国内法上も軍隊と位置づけられると自衛隊の立場を述べられましたけれども、これは自民党としての公式見解なのか、それとも新藤幹事としての個人的見解なのか、自民党にお答えいただきたいと思います。

 加えて自民党に伺いたいと思います。

 今、阿部委員からもありましたけれども、二〇一二年の憲法改正草案では、まさに今の維新案とほぼ同じ、国防軍の創設と九条二項削除案ということだったのが、後に、まさに今議論されている自衛隊明記案に維新とは逆の方向で変わりました。その変わった理由について伺いたいと思います。

 最後に両党に伺います。

 与党の自民党、維新は、高市総理の目指す来春の発議に九条の改正も含めて考えているのか。そうであるなら、今日も伺いました九条の改正についての見解の違いをいつまでにどのように埋めて、与党としての共通条文案を起草するつもりなのか。この方針について最後に両党に伺います。

 以上です。

古屋会長 今、玉木委員から具体的な質問がございましたので、これについてお答えをいただきたいと思います。

阿部(圭)委員 玉木委員、御質問ありがとうございました。

 先ほどの私の論述でもお答えさせていただいた部分もあると思いますけれども、改めてお答えいたしたいと思います。

 二十一世紀の国防を考えれば、現下の脅威認識に即して、今の自衛隊は国内的にも国際的にもまだまだ強化すべき点が多いというふうに思っております。それは作用法の観点からも組織法の観点からも同様でございます。ですので、まだ不十分、やることは多いというふうに考えております。

 二問目にいただきました、与党としてどのように今後考えていくかということでございますけれども、最後に私からも述べさせていただきましたとおり、現在、与党憲法改正条文起草協議会で緊急事態条項、九条を連立合意に即して議論をさせていただいております。我が党として、いついつまでの期限でということで考えているわけではございませんけれども、早急に結論を出していくべく、与党での議論を進めていきたいと考えております。

 以上です。

古屋会長 新藤幹事、決められた時間以内にお願いします。

新藤委員 あと三十五秒ということでございますから、少し御容赦いただきたいと思います。

 今、重要な論点を御指摘いただきました。まさにこういうことこそ、しっかりとした議論をして、論点を詰めていかなきゃならないと思います。

 今日は総括的なことだけ申しますけれども、まず、自衛隊について、国民を守るための十分な実力組織なのかという御質問でございます。

 私とすれば、自分たちの国を守るための、自国防衛のための活動は必要かつ十分に行える状態だと思っております。しかし、自衛隊のその必要な機能は相対的に変化し、また判断していかなければいけない。今、防衛三文書の見直しを行っていることも同様ではありますけれども、常に私たちの国を守る、これは維新の皆さんとも同じ思いを持っています。この国を守り抜くための機能というものは相対的であって、その検討は常に進めていかなければいけない、憲法上の位置づけは変えないけれども自衛隊の機能は変わっていく、こういうことだと思います。

 そして、憲法改正をいつまでにというのは、私たちは、そのためにも、結党以来、可及的速やかにやろうと思っているわけでありまして、具体的な議論を進めていく、その中から見えてくるものだと思いますし、そのための作業をこの国会でもずっとやっているつもりだと思います。引き続いて努力していきたいと思います。詳細はまた次の機会にお願いいたします。

上川委員 自由民主党の上川陽子です。

 私からは、統治機構の一環として規定されている地方自治に関する憲法改正につきまして、意見を述べたいと思います。

 地方自治に関する規定がなかった明治憲法と異なりまして、現行日本国憲法は、地方自治に関する章として第八章を設けております。その中では、九十二条が「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」との基本原則を定めた上で、九十三条では議会の設置と首長、議員の直接公選を、九十四条では行政執行権や条例制定権を定めております。また、九十五条では、一の地方公共団体のみに適用される特別法に関する住民投票について規定しているところであります。

 一九四六年の日本国憲法制定以来、この四か条に基づきまして我が国の地方自治は運営をされてきました。二〇〇〇年には機関委任事務が廃止され、国と地方が上意下達の関係から対等、協力の関係に大転換されるという第一次地方分権改革が行われております。

 しかし、日本国憲法制定から八十年、地方分権改革から二十六年がたち、現在、自治体は分権疲れともいうべき状態にあると言われております。財政面を始めとして自治体間の格差が広がり、住民自治、団体自治を十分に発揮している自治体とそうでない自治体の差がますます大きくなっています。

 一部には、潤沢な財政力の下、行政執行権や条例制定権を十二分に活用し自治力を発揮する自治体がある一方、多くの地方では、急激な少子高齢化、人口減少、過疎化の進展、財政力の衰亡という深刻な状況に陥り、各政策分野における国の制度を受け止め切れなくなっている自治体も現れているほか、中には、首長や地方議員のなり手不足から無投票当選になったり、議会を維持できるかどうかの瀬戸際に追い込まれている自治体すら出始めています。統治機構の基本単位である自治体が回らなくなっている厳しい現実であります。

 改めて憲法第八章を見ますと、四か条と条文が少ないだけでなく、総則的な条文であります九十二条は極めて抽象的であります。この条文は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は法律で定めるものであること、そして、これらを法律で定めるに当たっては地方自治の本旨に基づくべきであること、これら二点を要請するものであって、地方自治の基本原則を定める特に重要な規定と見られております。しかし、肝腎の地方自治の本旨の内容や、地方公共団体にはどのようなものがあるのか、都道府県、市町村は憲法上どのように位置づけられるのかは明確ではありません。これらの基本的事項は全て解釈と法律に委ねられてしまっているのです。

 地方自治が置かれている現状を踏まえれば、次の時代を形作っていくためには、国の形について、地方自治の法体系全体を、憲法典と憲法附属法規や一連の基本法などの総体から成る生きた憲法、いわゆるリビングコンスティチューションとして捉え、憲法自体については地方自治の章の規律密度をもう少し上げるとともに、地方自治法を始めとして、時代の変化に向き合うための法制度の見直しや新規制定も必要となるのではないでしょうか。

 このような問題意識を背景として、私たち自民党の改正案では、九十二条を改正し、基礎自治体たる市町村と広域自治体たる都道府県に憲法上の位置づけを与え、これにより、地方公共団体の基盤の安定化、ひいては地方自治の充実強化に資することを期待しています。その上で、一票の価値の平等と議会制民主主義の基礎となる地域の民意の反映のバランスを取ることを目指すものであります。

 以上、憲法上の地方自治に関する規定の在り方に関して意見を申し上げましたが、参議院における合区の議論を踏まえつつ、地方自治の問題につきましても本審査会で更に議論を深めていく必要があります。更に集中的な討議が必要であるということを申し上げ、私からの発言といたします。

 ありがとうございます。

稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。

 私からは、合区の問題点や、この問題に関する我が党の憲法改正案について申し上げます。

 都道府県は、昭和五十八年の最高裁判決でも言及されているように、歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有し、政治的に一つのまとまりを有する単位として捉えられるものであり、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出すべきとの考えは、有権者に根強いものがございます。

 しかし、一票の格差を是正するために参議院選挙に合区が導入されたことで、対象県では様々な問題が生じています。

 まず、有権者と国会議員の距離が遠くなってしまうことです。

 投票価値の平等は、憲法の要請に基づく重要なものであり、当然、可能な限り追求すべきものです。しかし、都市部への人口集中や地方の過疎化が進む中、一票の格差を縮小しようとして導入された合区制度の下では、対象県において身近な議員を出すことが難しくなっております。候補者が隣の県のよく知らない人ということにもなりかねません。

 さらに、新幹線のように県をまたぐような重大政治課題に関して隣接県同士で意見を異にするような場合、非常に深刻です。双方の声が国政に届かなくなってしまいます。選挙区の地域の課題や利害、地域の意見を離れての国政はあり得ません。

 議員及び国民の認識として、議員が選挙区と結びついていること、有権者と結びついていることは民主主義の大前提であり、そのためにも議員と有権者のきずなが大切です。このことは衆議院においても同様だと思います。有権者にとって候補者がなじみのない人になってしまえば、選挙への関心も薄れてしまいかねず、実際、合区対象県において投票率の低下が指摘されております。

 本日複数の委員から指摘された、五月二十九日に発表された令和七年国勢調査の速報値によれば、参議院の最大格差は、東京と私の地元福井県とでは約三・二倍と拡大をしております。

 現在実施されている合区は隣の県同士の合区ですけれども、そういたしますと、半世紀にわたる県民悲願の問題について意見が異なる隣接県との合区、さらに飛び地の合区が誕生する可能性があることも指摘されていますが、そうなれば、地域の課題、悲願を理解していない、遠くのところの全然知らない人になってしまいかねません。一票の格差という数字だけでなく、政治家と有権者との距離や地域の一体性という定性的な要素も考慮することが重要です。

 このような観点から、自民党は、一票の価値の平等と議会制民主主義の基礎となる地域の民意の反映のバランスを図るため、憲法の改正案を提案しております。

 まず、四十七条を、人口を基本としつつも、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案する旨明記し、地域の民意を適切に反映する選挙制度が構築できるように改めることとしております。特に、参議院の選挙においては、都道府県を選挙区とする場合、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができると規定し、合区を解消できるよう憲法上担保しております。

 あわせて、九十二条において、基礎自治体、広域自治体を明記することで、地域の民意反映のエリアの基本的単位となる基礎自治体を憲法に位置づけるとともに、現行法において参議院の選挙区の単位となっている広域自治体をも憲法に位置づけております。

 以上、参議院の合区解消のための憲法改正に関して申し上げました。

 この問題に関しては、参議院において選挙制度の議論や憲法審査会における熱心な議論が行われていることを承知しております。私たちも引き続き本審査会でしっかりと議論を行っていく必要があると考えます。この問題に関し本審査会において集中的な討議を行うことを提案し、私の発言といたします。

 ありがとうございました。

古屋会長 予定していた時間が経過いたしました。

 これにて討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十一分散会


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