衆議院

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第16号 令和7年6月19日(木曜日)

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令和七年六月十九日(木曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 渡辺  周君

   理事 井出 庸生君 理事 齋藤  健君

   理事 長谷川淳二君 理事 落合 貴之君

   理事 後藤 祐一君 理事 櫻井  周君

   理事 池下  卓君 理事 長友 慎治君

      石田 真敏君    国光あやの君

      小林 茂樹君    坂本竜太郎君

      塩崎 彰久君    島田 智明君

      高見 康裕君    田所 嘉徳君

      中曽根康隆君    広瀬  建君

      福田かおる君    向山  淳君

      山本 大地君    今井 雅人君

      江田 憲司君    大串 博志君

      鎌田さゆり君    黒岩 宇洋君

      源馬謙太郎君    篠原  孝君

      馬淵 澄夫君    矢崎堅太郎君

      青柳 仁士君  斎藤アレックス君

      仙田 晃宏君    福田  玄君

      中川 康洋君    山口 良治君

      高井 崇志君    塩川 鉄也君

      福島 伸享君

    …………………………………

   衆議院調査局第二特別調査室長           森  源二君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     田所 嘉徳君

六月十九日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     高見 康裕君

  手塚 仁雄君     大串 博志君

  森ようすけ君     仙田 晃宏君

同日

 辞任         補欠選任

  高見 康裕君     平口  洋君

  大串 博志君     手塚 仁雄君

  仙田 晃宏君     森ようすけ君

同日

 理事小泉進次郎君五月二十一日委員辞任につき、その補欠として井出庸生君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

六月十九日

 公職選挙法及び地方自治法の一部を改正する法律案(落合貴之君外五名提出、衆法第五〇号)

 政治団体における複式簿記の導入に関する法律案(池下卓君外二名提出、衆法第五五号)

は本委員会に付託された。

五月二十一日

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(衆法第四号)の提出者「小泉進次郎君外五名」は「大野敬太郎君外四名」に訂正された。

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(衆法第五号)の提出者「小泉進次郎君外五名」は「大野敬太郎君外四名」に訂正された。

六月五日

 金権腐敗政治を一掃することに関する請願(志位和夫君紹介)(第一九二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九二七号)

同月十六日

 金権腐敗政治を一掃することに関する請願(志位和夫君紹介)(第三三二三号)

 政党助成法の廃止を求めることに関する請願(田村貴昭君紹介)(第三三二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(大野敬太郎君外四名提出、衆法第四号)

 政治資金規正法の一部を改正する法律案(大野敬太郎君外四名提出、衆法第五号)

 政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(大串博志君外十名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に井出庸生君を指名いたします。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 大野敬太郎君外四名提出、衆法第四号、政治資金規正法の一部を改正する法律案、大野敬太郎君外四名提出、衆法第五号、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び大串博志君外十名提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、議題となっております各案につきまして、各会派を代表して一名ずつ五分以内で発言していただきたいと存じます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。長谷川淳二君。

長谷川(淳)委員 自由民主党の長谷川淳二です。

 まず冒頭、当委員会における審議の経緯について申し上げます。

 令和六年十二月十七日の理事会申合せを踏まえ、企業・団体献金禁止法案につきましては、我が党提出の公開強化法案等とともに、各会派からの意見表明を始め、参考人からの意見聴取、二度にわたる自由討議を含め、精力的に議論を行ってまいりました。にもかかわらず申合せの期限であった三月三十一日に結論を得ることができなかったのは、立憲民主党が採決の動議を出さないことを約束しない限り委員会を開催しないと主張されて審議を拒否したことにあります。このことをまず事実として指摘させていただきたいと思います。

 我が党は、これまでの審議において、企業・団体献金の廃止が平成の政治改革の宿題との事実認識は誤りであること、旧派閥における収支報告書の不記載の問題は企業・団体献金とは関係ないものであること、憲法二十一条の政治活動の自由の一環として認められる企業・団体献金を全面禁止するのは行き過ぎであることを強く訴えてまいりました。

 第一に、平成の政治改革に関する誤った事実認識であります。平成六年一月の、当時の細川護熙総理と河野洋平自民党総裁による政治改革に関する合意、いわゆる総総合意に企業・団体献金の禁止は含まれていません。参考人質疑において、中北、谷口両参考人から、平成の政治改革当時に企業・団体献金を禁止するとの合意が与野党間に成立していた事実はないと明確に証言されました。政党助成金の導入とセットで廃止が約束だったとの議論は国会の意思に反します。

 第二に、企業・団体献金について、我が党はそもそも個人献金は善で企業・団体献金は悪であるという考え方には立っていません。

 政党が国民の多様な意見を集約し政策に反映させていくためには、政党助成金だけでなく、個人や企業、団体など経済社会の構成員に政治資金の支え手として幅広く参画をしていただくことが重要です。その上で、企業・団体献金については、憲法二十一条に基づく政治活動の自由の一環として国民の不断の監視と批判の下に行われるよう、禁止よりも公開との考え方に基づき、その透明性、公開性を一層強化することが重要であります。また、献金によって政策がゆがめられることがあってはならないという点においては個人献金も企業・団体献金も違いはありません。

 ところが、企業・団体献金は政策をゆがめるから全面禁止すべきと主張しておられる立憲民主党の中に企業・団体献金を今現に受け入れておられる議員がなぜおられるのか、また、受入れをなぜやめないのか、到底理解できません。企業・団体献金については、最近の世論調査でも、禁止よりも透明性を高めるべきが六割を超えているものもあります。企業・団体献金の在り方については、冷静な分析の下に建設的な議論を行うことが必要です。

 第三に、野党共同提出法案は、企業・団体献金を禁止としながら政治団体を経由した献金を温存していることが最大の問題点です。報道されているとおり、労働組合が母体となった政治団体が既に複数存在しており、野党の国会議員の後援会に多額の献金をしています。政党への献金を禁止する一方、様々な政治団体を経由した献金を温存することは政党本位の政治資金制度の趣旨に逆行し、かつ政治資金の流れをかえって不透明にするものです。

 第四に、今国会に提出した公開強化法案については、当委員会での議論を踏まえ、我が党は、禁止よりも公開を更に一歩推し進めるため、公明党、国民民主党との間で実務者合意を行いました。引き続き、より幅広い合意に向けて真摯に議論を行ってまいります。

 最後に、政党はそれぞれ、固有の成り立ち、歴史を持っております。その成り立ちに応じて、政党の組織形態についても地方組織を含めて多岐にわたっております。そして、政党の活動を支える政治資金についても党費、会費、献金、機関紙販売収入など様々であります。だからこそ、政治資金の在り方については、それぞれの政党の成り立ちに由来する収支構造の違いをお互いに十分に尊重した上で、各党各会派間で議論を重ね、一致点を見出すべく努力することが何より重要であります。そして、我が党は、企業・団体献金は禁止よりも公開であることについてより幅広い合意が得られるよう引き続き真摯に議論に臨む決意であることを重ねて申し上げ、意見表明を終わります。

渡辺委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 立憲民主党の大串博志です。

 自民党の裏金問題を受けて、政治への信頼は地に落ちました。今こそ、三十年来の政治改革の宿題である企業・団体献金の禁止を成し遂げることで、政治への信頼を回復させることが我々の責務です。繰り返し申し上げてまいりました。しかし、三月末まではおろか、今に至るまで何ら結論を出すことができなかった現状は痛恨の極みと言わざるを得ません。

 私たち野党五党派は企業・団体献金禁止法案をまとめました。国民民主党の玉木代表からは野党がまとまれば企業・団体献金禁止に乗ると繰り返し発言のあった中で、結果として国民民主党の皆さんの賛同を得ることができず、大変残念です。

 しかし、もっと残念だったのは、裏金問題を起こし政治不信の根源となった自民党が、政治への信頼を取り戻すために企業・団体献金禁止に踏み込むという責任のある態度を全く示さなかったことです。自民党の公開を強化するとした法案は全く効果のあるものではありません。三月末以降の対応も全く後ろ向きでした。私の方からは今国会末までに採決を行って誰がどのような考えであったかを明らかにすべしと主張してきましたが、これにも後ろ向きでした。

 先週には、各党本部長レベルで与野党協議を行い、今国会で成案を得られなかった場合に来国会以降の取組を示す合意文書を結ぼうという方向性を確認しました。これを受けて、私の方から自民党には、改正政治資金規正法の施行日である令和九年一月一日までに実施が間に合うように結論を得ていこうという現実的な提案の合意文書案を示しているにもかかわらず、これについても現時点では後ろ向きです。自民党の態度は企業・団体献金禁止に関して全く何も決まらない方がいいという信じられないほど無責任なものであり、この点は厳しく指摘せざるを得ません。

 また、公明党、国民民主党にも苦言を呈します。

 確かに、自民党と野党五党派の企業・団体献金禁止法案との間には大きな隔たりがありました。しかし、この隔たりを埋めるには、キャスチングボートを握る両党が具体的な法案の形で自らの考えを示すことで、自民党、野党五党派による歩み寄りを促すことが鍵だったと思います。しかし、残念ながら両党から法案が示されることはありませんでした。私たちがいわゆる公国案のうちの企業・団体献金の受け手を党本部と県連に限るという考え方にあえて国会内で強く関心を示し、柔軟性を示し、仮に野党がそれを提出したら賛成するのかと問いまでもしました。しかし、自民党に気を使ったのか、それを具体化することはしませんでした。極めて他人任せの姿勢であったと言わざるを得ません。

 今、この委員会そして与野党協議においては、今後どのような議論がいつまでに進められるのかすら、期限をつけた合意が、自民党さんの後ろ向きな姿勢、そして国民民主党さんも同様の考えと聞いていますが、そのためになされていない状況であって、極めて残念です。

 我が党としては、引き続き企業・団体献金禁止の必要性を訴えます。その思いを国民の皆さんに問いたいと思います。その上で、自民党には、裏金問題を起こしたその責任を重く鑑みて、いつまでにこの議論に決着をつけるのか、明確な期限をつけて議論に臨むことを強く求めて、意見表明といたします。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 日本維新の会は、結党以来、あらゆる企業、団体からの献金を受け取らないという原則を貫いてまいりました。それは、企業・団体献金は本質的に見返りを期待した関係性にほかならないためであります。営利団体の目的からして、企業が善意で巨額の資金を差し出すことは考え難く、実質的に便宜供与の対価としての賄賂と紙一重だとみなさざるを得ません。国民の政治への信頼を回復するため、企業・団体献金の禁止は避けて通れない道だと確信しております。

 自民党は禁止より公開を掲げて法案を提出しましたが、肝腎の職域支部の透明性が著しく欠けており、名ばかりの公開と言わざるを得ません。また、透明化を掲げるならば、租税特別措置など便宜が図られていないことも証明するべきであります。この点には一切触れず、公開という言葉のみを盾に企業・団体献金の温存をたくらむ自民党の政治姿勢には誠実さを見出せません。

 また、公明党及び国民民主党も、受け手規制を掲げて企業・団体献金に上限を設けるなど一定の規制強化を打ち出してきましたが、企業・団体献金を禁止するには至っておりません。とりわけ看過し難いのは、独自案を打ち出しながらも法案すら提出せず、挙げ句の果てには自民、公明、国民民主の三党で収支報告書のオンライン公開を条件として政党支部への企業・団体献金を容認するという合意を交わした点であります。この合意は、公明、国民案の根幹である受け手規制を棚上げしたものであると言わざるを得ません。

 受け手規制の根幹である政党法の制定に関しましては我が党も必要性を認識していますが、実務上は会社法を一から制定するような作業であり、時間をかけた丁寧な議論を要します。結局、その構想すら放棄し、自民党の案に毛が生えたどころか毛すら生えない中途半端な案に賛同し、自民党の逃げ切りに手を貸す姿には大変失望させられました。企業・団体献金の議論をこのような形でうやむやにして本当によいのでしょうか。正々堂々と議論をし、結論を得るべきです。維新は、しがらみのない政治の実現を諦めません。

 また、政治資金監視委員会に関しましては、議論の進め方には根本的な問題があることを指摘せざるを得ません。第三者委員会の設置は少なくともプログラム法に賛成した全政党の協力を得て進めるべきですが、現状は野党第一党である立憲民主党が不参加であり、協議体制が機能不全に陥っています。

 また、国民、公明両党が示したたたき台に対して様々な意見が寄せられております。我々も、複式簿記を導入すべき、開始当初から監視機能を持たせるべき、監査内容を先に議論すべき等の意見を示してまいりました。

 しかし、両党の姿勢は、いかに早く第三者委員会を立ち上げ形式的に政治から切り離すかという点に傾いているように見受けられます。プログラム法に賛同した各党には、第三者委員会の調査内容や成果について意図するところを明確にした上で、第三者委員会が軌道に乗るまで伴走する責任があります。今からでも協議体制を再構築し、腰を据えて制度設計を行い、国民の信頼を得られる体制を築いていくことが肝要であります。

 最後に、インターネットと選挙に関する問題に触れておきます。

 SNS事業者に対する規制は、もはや喫緊の課題です。選挙期間中、一人の人物が複数のSNSアカウントを作成し大量の情報を拡散することにより情報空間を操作する行為が見受けられるばかりか、アカウントやコメント、いいねなどが売買されている実態も既に明らかです。適正な選挙の執行は公共の福祉の一つであり、実効性のある形で対策を打つべきです。

 以上、企業・団体献金、政治資金監視委員会、そしてSNSと選挙の問題に関して述べてまいりました。これらはいずれも我が国の民主主義の根幹を成す極めて重要な問題であり、議論を継続する必要があることは言をまちません。我が党も引き続き議論に貢献してまいります。

 以上、我が党の見解を申し上げます。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、長友慎治君。

長友(慎)委員 国民民主党の長友慎治です。

 私たちは、企業・団体献金の課題は、それ単体で考えるのではなく、政治改革全体の中でどうするかを検討すべきだと考えております。

 まず確認しておかなければならないのは、政治活動の自由についてであります。

 政治活動の自由は、憲法において表現の自由及び結社の自由にその根拠を持つと言われています。しかし、憲法上の自由は、公共の福祉のために制約を受けることも同時に憲法上の要請です。社会活動や、その一つである政治活動も、国会で定められた法律の下で一定の制約を受けることは当然と言えます。現に、我々の政治活動は公職選挙法や政治資金規正法を始めとする法律の制約の下にあります。これらの法律化された合意がなければ、政治活動にルールを欠いた野方図な行為を許すことになってしまいます。もちろん、合意の内容については、国民の意思を踏まえながら、常によりよいものを目指して改良を加えていくべきであるのは言うまでもありません。

 さて、政治資金は政治活動を経済的に支えるものであります。当然のことながら、あらゆる社会的な活動は資金的な基盤の上に成り立っており、この点については社会的な活動の一つである政治活動も同じです。ですから、政治資金の問題を考えるに当たっては、政治活動は一定の資金の確保を前提にして成り立っていることを前提にする必要があります。そして、一般的には、資金的な基盤のしっかりしている組織は、そうでない組織に比べてよりよい条件の下でより活発な活動が展開できると言えます。人材を始めとする活動のための資源についても同様のことが言えます。もちろん、政治資金の在り方についても国民の意思を踏まえながら常に改良していくべきだと考えます。

 では、対象を政党に限って見た場合、一部の政党を除き、政治資金の主要な部分を税金を原資とする政党交付金に頼っているのが現状です。この点について、政党が国からの交付金に依存することによって独立性が損なわれるという危惧を持つ人もおられます。もちろん、平成の政治改革、いわゆる細川政治改革の時代に政治の質を高めるために導入された政党助成法による政党活動への支援制度には大きな意義があると考えます。

 しかし、政党が政党交付金の枠を超えて活動しようとする場合には、他の政治資金獲得の方法が必要です。ここで、現在行われており、また考えられる資金獲得の方法としては、政党が党員から徴収する党費等、政党の事業活動による収入、政治団体の主催するパーティーによる収入、そして個人や団体からの寄附があります。

 まず、党員の所得から支払われる党費は極めて貴重なものでありますが、その金額を増加するには極めて厳しい限界があることは、ここにおられる皆さんには骨身にしみておられることと思います。

 次に、事業収入については、政治活動の自由の下に行われることに問題はないと考えますが、全ての政党が事業活動を主要な収入源にできるとはとても考えられません。

 さらに、パーティー券の販売による収入ですが、これも政治活動の自由の下に行われることに問題はないと考えます。ただし、個人献金又は企業・団体献金との実質上の区別が困難な面があることは否定できません。

 そして、寄附ですが、個人からのものと、企業、団体からのものと、政治団体からのものに分類できます。私たちは、一定の制限の下にこれら全ての種類の寄附が存在しても問題はないと考えております。

 個人からの寄附については他党の方も提案しておられますが、これを奨励するための税制上の優遇措置をつける必要があると考えております。しかし、個人からの寄附については、厳格な会計監査の対象でない企業においては様々な方法による企業所得から個人所得への移転が可能である現実があり、実質上の企業献金となる可能性も否定できません。更に言えば、日本においては英米諸国と異なり個人の寄附の文化が定着していないことが実質上の問題として存在しています。

 企業、団体からの寄附については、全面禁止をうたった法案が提出されていることを承知しています。しかし、最高裁判所の判決例を引くまでもなく、企業や団体にも政治活動の自由があり、その結果としての寄附の自由があることは憲法が当然に認めているところであると考えます。また、企業・団体献金を全面禁止した場合、例えば市民団体等が自らの主張を政党に託すための献金も禁止されることになりますが、これは政治活動の自由を著しく狭めるものだと考えます。

 政治団体からの寄附についても政治活動の自由の原則の下に否定されるべきではないと考えますが、当然のこととしても、ある程度の制限は必要だと考えます。

 私たちは、政治活動の自由を尊重しつつ、政治資金の規制の在り方については一定の制限と幅広い公開を原則とすべきだと考えております。公開によって有権者や有識者からの監視にさらされることが政治資金の適正化につながると考えるからです。したがって、企業・団体献金についても全面禁止の立場は取ることができません。既に当委員会での議論の中から、政策活動費の禁止やインターネットによる届出等、制限と公開の方法での成果が実現しています。

 私たちは、政治資金の規制の問題を、政治活動の自由の下での政治活動のためのルールを決める問題であると考えています。そこに絶対の原則を持ち込むのではなく、合理的な規制と積極的な公開について熟議を尽くすべきだと考えております。皆さんとともに積極的な議論を重ねていきたいと思います。

 御清聴どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 公明党は、今回の政治と金の問題については終始一貫して清潔な政治を実現するという強い信念の下、政治家の監督責任と罰則の強化を明記したいわゆる連座制の適用を始め、政治資金パーティー券の公開基準の引下げや政策活動費の廃止など、数多くの改革案を提案し、その議論をリードしてきました。また、我が党が当初より主張してきた第三者機関の設置についても、昨年の臨時国会で国民民主党とともにプログラム法を提出、成立させるのとともに、現在は、本年二月にまとめた骨子案を基に、各会派の皆様とともに法案作成のための議論を進めているところでございます。

 昨年の臨時国会より議論が継続をしております企業・団体献金の在り方については、企業・団体献金が政治をゆがめることのないよう不断の監視と改革を進めていくことは当然のことであると考えます。その上で、我が党は、企業・団体献金の透明性を更に高めていくため、量的規制の強化や受け手の制限など、規制の強化こそが重要との考えであります。

 仮に、一部野党が主張するように企業・団体献金をいきなり禁止しても、結局はその資金の流れが裏に潜ってしまい、かえって透明性を低下させるおそれがあるため、結果的には、政治資金規正法第一条の目的にある国民の不断の監視と批判に支障を生じさせる結果になりかねません。

 そのため、我が党としては国民民主党とともに第三の案として、規制の強化を軸とした素案を発表。この素案は、当時、自民党案も野党案もどちらも過半数を得る見込みがない中、自民党や立憲民主党など各党と協議するためのたたき台として提案したものであり、今後は自民党も野党も乗れるような新たな案を出していくということが重要であるとの考えから発表したものでありました。そこで、我が党としてはこれまで様々なチャンネルで精力的に議論を進め、その議論の途中には自公国三党での合意を得るなどの成果もありましたが、結果的に本日に至るまで各党合意の成果を得ることができなかったことは非常に残念であります。

 また、今国会においては、昨年十二月の、企業・団体献金禁止法案については令和六年度末までに結論を得るとの理事会申合せを受け精力的な議論が行われてきたにもかかわらず、さらには、三月三十一日の理事会において公明党として、この申合せは重く委員会として採決すべきと強く提案したにもかかわらず、一部野党の強い抵抗により委員会が流会し、採決に至らなかったことについても大変に残念でなりません。私は、今でも三月三十一日の委員会では、申合せに従い、一定の結論を得るため採決すべきであったと感じております。

 最後に、企業・団体献金における今後の議論について申し上げます。

 この問題は今後も全ての議員に関わるテーマであり、間違ってもそのときの政局や党利党略で議論を進めるものであってはなりません。また、企業・団体献金の在り方を始め、政治と金の問題に関して引き続きの改革を進めていくことはここにいる私たち議員の共通した思いでもあるため、今後とも各党各会派間における粘り強い協議を重ね、遅くとも改正政治資金規正法等が施行される令和九年一月一日までには新たな結論を得るよう最大限努力していくことが重要と考えます。あわせて、政治資金を外部からチェックし政治資金の透明性を高める政治資金監視委員会が設置されることを念頭に今後の議論を進めていくことも重要な視点であると考えます。

 以上、我が党の企業・団体献金の在り方についての考え方を述べましたが、公明党はこれからも、国民の皆様の政治に対する信頼を取り戻すため、また清潔な政治の実現、不正を許さない政治の実現に向け果敢に取り組んでいくことをお約束申し上げ、私の意見表明を終わります。ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 れいわ新選組の高井崇志です。

 今国会、本委員会の最大のテーマは政治と金問題でした。れいわ新選組は一貫して自民党裏金議員の自首若しくは議員辞職が先と言い続けてきましたが、いまだ裏金問題の真相究明は何一つ進んでおらず、本委員会でもこの問題が議論されることはありませんでした。委員長には再三求めていますが、改めて本委員会での裏金議員や裏金関係者の参考人招致及び証人喚問を求めます。

 このほかにも、本委員会でやらなければならない課題はたくさんあります。昨今問題になっているSNSの偽・誤情報対策や二馬力選挙の対策、公営掲示板ポスターや選挙ビラの証紙貼り、選挙人名簿書き写しなどの厳し過ぎる公職選挙法の改正、高過ぎる供託金の引下げなど、議論すべき課題は山積しています。四月以降、企業・団体献金禁止の議論が全く進まなかったことにより委員会が全く開かれず、全てたなざらしになったことは誠に遺憾です。

 そもそも、三十年前、政党交付金が導入されたのは企業・団体献金禁止とセットであったことは世間の常識です。私は当時大学生でしたが、誰もがそう理解し、コーヒー一杯分の税金を払うことに納得しました。何より、当時自民党総裁だった河野洋平元衆議院議長が、政党交付金が実現したら企業献金は廃止しなければおかしい、企業献金が政策のゆがみを起こしているからやめようとのことだったと語っていることが何よりの証左です。

 自民党議員から、有権者の声を聞くための費用、事務所の維持や秘書の確保にはお金がかかるとの趣旨の発言がありましたが、だから不公平なのです。私も過去何度か政治資金パーティーを開催しましたが、与党と野党ではパーティー券の売れ方は全く違います。献金しようとする企業は自らが望む政策の実現のために資金を提供するのであり、政権与党に献金が集中するのは当たり前です。

 野党も、労働組合、連合から多額の献金を受けています。これも、産別と呼ばれる産業別労働組合が望む政策に合致する行動を取るか否か、そして党内で政策決定に影響力のある地位にいるか否かで献金額は異なります。

 そのような中、国民民主党の玉木代表は昨年末に、私が知るだけではテレビ番組で少なくとも二回、全ての野党が一致するならば企業・団体献金禁止に賛成すると発言しています。どうせ連合の支援を受ける立憲民主党にはできっこないと、たかをくくったのでしょう。これは明らかに約束違反です。

 確かに、立憲、維新、有志、参政の案は大きな抜け穴が残っており、百点満点中五十点程度のしょぼい案です。れいわ新選組は、憲法上許される最も厳しい案として、企業・団体献金の上限を三百万円、個人献金の倍まで引き下げる修正案を提出しましたが、国民民主党も立憲、維新、有志、参政案が不十分というならば、なぜ自らの案を提案しないのでしょうか。

 本委員会に籍を置く政党の中で、国民民主党と公明党以外は企業・団体献金に関する法案を提出しています。国民民主党と公明党は、法案どころか、考え方を示したメモすら提示していません。余りにも不誠実な態度と言わざるを得ません。両党には秋の臨時国会が開かれるまでに必ず法案を提出していただき、今度こそ本委員会として秋の臨時国会で企業・団体献金禁止について結論を得ることを申し合わせるべきです。

 この場に籍を置く皆様に秋の臨時国会では必ず裏金問題の真相究明と企業・団体献金の禁止を実現することを強く求め、れいわ新選組を代表しての意見表明といたします。

渡辺委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、意見表明を行います。

 企業・団体献金の禁止が焦眉の課題となったのは、自民党の裏金問題が発端です。裏金の原資は企業、団体からのパーティー収入であり、形を変えた企業・団体献金です。金権腐敗政治一掃のため、企業・団体献金の禁止に踏み出すときです。しかし、自民党は真相解明を棚上げし、企業・団体献金禁止が自民党の弱体化を狙うものだと述べる議員もいます。全く反省がありません。

 政治資金は、主権者である国民の浄財で支えられるものです。国民一人一人が自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのもの、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と結びついた国民固有の権利です。

 一方、企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。営利を目的とする企業が、個人をはるかに超える巨額の金の力で政治に影響を与え、自己の利益を図れば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。選挙権を持たない企業の献金は国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものです。

 戦後、黒い霧事件やロッキード事件、リクルート事件など、自民党は企業との癒着による汚職事件を繰り返してきました。国会では、特別な関係を維持、強固にすることを目的とする寄附を防止するため、巨額の政治資金が政治の腐敗、癒着に結びつきやすいためなどの理由から、企業・団体献金を制限する法改正を重ねてきました。政府の審議会も繰り返し、企業・団体献金の禁止、資金は個人に限ると答申してきました。しかし、自民党は抜け道をつくり、金権腐敗事件が途絶えることはありません。

 一九七〇年の最高裁判決は、企業・団体献金の弊害を認め、その対策は立法政策にまつべきと述べており、企業・団体献金を禁止する立法を否定していません。今必要なのは、企業・団体献金の部分的な制限ではなく、企業・団体献金の全面禁止です。

 企業・団体献金に固執している自民党に助け船を出しているのが国民民主、公明両党です。三月三十一日、自民、公明、国民民主の三党は企業・団体献金は禁止しないと合意をしています。

 看過できないのは、あたかも野党の法案に穴があるようなことを言って企業・団体献金を温存しようとしていることです。政治団体が抜け道になる、個人献金に形を変えた迂回が発生する、形式的には個人献金でも企業・団体献金である可能性を一切排除することは不可能などと言います。

 現行法においても迂回献金、虚偽記載は違法行為であり、構成員の強制加入や強制カンパは思想、信条の自由の侵害です。我が党案においては、企業、団体からの献金禁止、あっせん禁止により、抜け道となり得ないものです。

 また、国民民主党は、政党のガバナンスが利いていないから問題が起きているとして、政党法制定を提案しています。政党の組織運営とは政党の在り方そのものです。政党の政治活動の自由をないがしろにし、国家による政党に対する内部問題への介入、関与となり得ます。政党法を持ち出すのは、企業・団体献金と政党助成金の二重取りを温存しようとするものです。

 この三十年間、政党助成金に依存した官営政党、税金丸抱え政党や、政党助成金目当ての新党の設立と解散が繰り返されてきました。極めて深刻な形で政党の堕落を招いています。民主主義を壊す極めて有害な税金の使い方である政党助成金は廃止しかありません。企業・団体献金の禁止と政党助成金の廃止が金権腐敗政治の一掃となります。我が党は一貫してこの法案を国会に提出し、実践してきました。

 政治資金は国民の不断の監視と批判の下に置くものです。要旨廃止の撤回、収支報告書は公的に永久に残し、そのまま速やかに国民に公開することこそ徹底すべきであり、国民の監視を保障する仕組みこそ必要です。

 企業・団体献金の禁止を実現するため、次期国会以降も徹底して審議を行うべきだと申し述べ、意見表明とします。

渡辺委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享です。

 昨年の通常国会以来、本委員会で企業・団体献金の在り方についての議論が精力的に行われ、今国会では、私たち有志の会と立憲民主党、日本維新の会、参政党、社会民主党が共同して企業・団体献金禁止法案を提出しました。

 昨年の臨時国会で企業・団体献金禁止法案については令和六年度末までに結論を得ると申合せをしながら、今に至るまで結論を得ることができなかったことにじくじたる思いです。国民の皆さんから見れば、全ての党派についてゼロ点でしょう。結果を出せなかったことについて、国民の皆様方におわびを申し上げます。

 三月三十一日に採決が見送られて以降、自民党と立憲民主党の間で協議が行われてきたということですが、どこでどのような話が行われていたのか、私にも国民にもさっぱり分かりません。果たして企業・団体献金廃止法案と公開強化法案の間で一歩でも前に進むための共通の土俵を設定しようと努力していたのか、お互いが絶対廃止と絶対維持を主張し合うことで接点を見出さず、両案とも廃案になった方が両党にとって都合がよいとしたのではないかと疑心暗鬼にもなってしまいます。

 私は、これまで委員会の場において、企業・団体献金の禁止を目指しながらちょっとずつ段階的に進めるというアプローチもあるのではないかと提案してきました。そうした意味では、公明党と国民民主党が三月末に取りまとめた規制強化案は検討に値するものであると一定の評価もいたしました。しかし、公国両党はこれらを法案にして提出することはなく、委員会や理事会の場において法案ベースでの協議が行われなかったのは残念でなりません。委員長も、せっかく野党第一党から出ているのですから、優しい性格もあるのでしょうけれども、もっとリーダーシップを発揮されてもよかったのではないかとも思っております。

 私は、昨年来何度も、なぜ企業・団体献金の廃止が令和の政治改革の一丁目一番地なのかということを本委員会で訴えてまいりました。この国会では、企業・団体献金の政策現場での影響力の実態を知っていただくために、話していいことを超えていたかもしれませんけれども、私の官僚時代の個人的な経験までお話をいたしました。

 この問題は、派閥パーティーの裏金問題を起こした自民党を懲らしめてやれとか、政治改革に前向きの姿勢を示して格好をつけたいといった次元の問題ではありません。何度も申し上げてきたように、平成の三十年間の停滞と日本の国際的地位の低下を招いた、自民党を中心とする日本の政治の構造的な問題なのです。そのような観点からの熱のある議論が果たして行われたでありましょうか。そうであるならば、自民党の皆さんも、企業・団体献金がなければ政治活動ができないとか、地方の政党支部の企業・団体献金をなくしたら党がもたないなどといった、天下国家とは関係のない内向きの論理を恥ずかしげもなく言っていないで、せめて政党ガバナンスの観点から、政党支部の企業・団体献金の在り方ぐらいは真摯に議論すればよかったのではないでしょうか。先ほどの意見表明を聞いても、これまで長く日本を率いてきた自民党のものとは思えないような、余りにも志が低いものであったように感じました。

 六月六日の予算委員会で、企業・団体献金に関する私の質問に対し石破首相は、自民党は企業、団体というものの声を聞いているんじゃないかというふうに多くの方が思っておられるとするならば、そこは変えていかなければならない、また、政党支部も物すごく激増しておりますが、このことにつきましても党としてガバナンスの観点から更に精査が必要だと思っています、また御意見を賜りながら少しずつ前進をすべく努力をいたしますと答弁をされました。私は、この総理の答弁は重いと考えています。

 平成の政治改革の真っただ中で政治家としてのキャリアをスタートさせ、その後、自民党を離党までされた石破首相や、今お休みになっている渡海紀三朗自民党政治改革本部長の政治改革にかける思いは本物であると私は信じております。同じ時期に政治家となった立憲民主党の野田代表も同じ思いでありましょう。そうだからこそ、私たち現場の政治改革特別委員会の委員は、党利党略やパフォーマンスと一線を画して、今、何のために企業・団体献金の在り方を中心とする令和の政治改革をやらなければならないのか、理念に立ち返って胸襟を開いて議論しなければならないと確信いたします。

 最後に、通常国会でも紹介した、平成の政治改革関連法案が成立した後の平成七年六月に出された民間政治臨調の「政治の現状を憂うるすべての国民と政治家へ」という文書をもう一度紹介いたします。

 政治改革は、政治と金をめぐる国民の根強い批判から出発したが、同時に、既成政治の限界に対する多くの政治家の深刻な危機感に根差すものであった。それは制度の改革を目指すものであったが、運動を絶えず支えてきたのは、紛れもなく、時代の閉塞を打ち破ろうとする政治家同士のきずなであり、党派を超えた連帯意識であった。そして、この政治家同士の精神のきずなこそが、政治改革が残した最大の遺産であり、古い政治の殻を打ち破り、新しい政党政治をつくり上げていくために必要な条件であった。

 是非このような熱さを持った歴史に恥じない議論を今後行う場に本委員会がなることを心から願って、意見表明といたします。

 以上です。

渡辺委員長 これにて発言は終わりました。

 次回は、明二十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十一分散会


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