第33号 令和6年6月6日(木曜日)
令和六年六月六日(木曜日)―――――――――――――
議事日程 第二十六号
令和六年六月六日
午後一時開議
第一 漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(第二百八回国会、落合貴之君外四名提出)
第三 政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案(落合貴之君外七名提出)
第四 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(落合貴之君外十名提出)
第五 政治資金規正法の一部を改正する法律案(鈴木馨祐君外五名提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(第二百八回国会、落合貴之君外四名提出)
日程第三 政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案(落合貴之君外七名提出)
日程第四 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(落合貴之君外十名提出)
日程第五 政治資金規正法の一部を改正する法律案(鈴木馨祐君外五名提出)
午後一時二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(額賀福志郎君) 日程第一、漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。農林水産委員長野中厚君。
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漁業法及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔野中厚君登壇〕
○野中厚君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、漁獲量等の報告義務の確実な履行を図り、水産資源の持続的な利用を確保するため、特に厳格に漁獲量の管理を行うべき水産資源について、個体の数等の報告並びに船舶等の名称等の記録の作成及び保存を義務づけるとともに、水産物の販売等の事業を行う者による情報の伝達を義務づける事項の拡充等の措置を講ずるものであります。
本案は、去る五月二十八日本委員会に付託され、翌二十九日坂本農林水産大臣から趣旨の説明を聴取し、昨六月五日質疑を行いました。質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(第二百八回国会、落合貴之君外四名提出)
日程第三 政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案(落合貴之君外七名提出)
日程第四 政治資金規正法等の一部を改正する法律案(落合貴之君外十名提出)
日程第五 政治資金規正法の一部を改正する法律案(鈴木馨祐君外五名提出)
○議長(額賀福志郎君) 日程第二、第二百八回国会、落合貴之君外四名提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、日程第三、落合貴之君外七名提出、政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案、日程第四、落合貴之君外十名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案、日程第五、鈴木馨祐君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。政治改革に関する特別委員長石田真敏君。
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政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案及び同報告書
政治資金規正法等の一部を改正する法律案及び同報告書
政治資金規正法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔石田真敏君登壇〕
○石田真敏君 ただいま議題となりました各法律案につきまして、政治改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、鈴木馨祐君外五名提出の法律案は、国会議員関係政治団体の代表者の責任の強化、政治資金監査の強化、政治資金の透明性の向上のためのデジタル化の推進、政治資金パーティーの対価支払い者の氏名等の公開基準の引下げ、いわゆる政策活動費の使途の明細の公開の導入等の措置を講ずるものであります。
次に、落合貴之君外十名提出の法律案は、収支報告書の不記載等に関する政治団体の代表者に対する罰則の強化、政治資金監査の対象となる政治団体及び事項の拡大、収支報告書のデジタル化の一層の推進、いわゆる政策活動費の禁止等の措置を講ずるものであります。
次に、落合貴之君外四名提出の法律案は、企業、団体の政治活動に関する寄附及び政治資金パーティーの対価の支払いの全面禁止並びに個人のする政治活動に関する寄附に係る税額控除の拡充等の措置を講ずるものであります。
次に、落合貴之君外七名提出の法律案は、政治資金パーティーの開催の禁止について定めるものであります。
落合貴之君外四名提出の法律案は、第二百八回国会に提出され、継続審査に付されていたものであり、また、鈴木馨祐君外五名提出の法律案、落合貴之君外十名提出の法律案及び落合貴之君外七名提出の法律案は、去る五月二十一日にそれぞれ本委員会に付託されました。
翌二十二日提出者鈴木馨祐君、落合貴之君及び本庄知史君からそれぞれ趣旨の説明を聴取し、二十三日から質疑に入り、二十七日には参考人から意見を聴取しました。
六月三日、鈴木馨祐君外五名提出の法律案に対し、自由民主党・無所属の会から修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、各法律案及び修正案を一括して質疑を行いました。
さらに、五日には、自由民主党・無所属の会提出の修正案について撤回を許可した後、鈴木馨祐君外五名提出の法律案に対し、自由民主党・無所属の会から、政治資金パーティーの対価支払い者の氏名等の公開基準額を五万円超に引き下げるほか、政策活動費の支出に係る使途の収支報告書への記載対象の拡大等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、各法律案及び修正案を一括して質疑を行い、同日、岸田内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど慎重に審査を重ね、質疑を終局しました。
質疑終局後、落合貴之君外十名提出の法律案及び落合貴之君外四名提出の法律案について内閣の意見を聴取した後、各法律案及び修正案を一括して討論を行い、順次採決を行った結果、落合貴之君提出の三法律案はいずれも賛成少数をもって否決すべきものと決しました。次に、鈴木馨祐君外五名提出の法律案については、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、修正議決すべきものと決しました。
なお、鈴木馨祐君外五名提出の法律案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。西村智奈美君。
〔西村智奈美君登壇〕
○西村智奈美君 立憲民主党の西村智奈美です。
私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました立憲民主党、国民民主党、有志の会提出の政治資金規正法等の一部を改正する法律案、立憲民主党提出の企業・団体献金禁止法案、パーティー開催禁止法案に賛成、自民党が提出し、公明党と日本維新の会が賛成して修正された政治資金規正法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。(拍手)
討論に先立ちまして、あえて申し上げます。
岸田総理、どちらにいらっしゃるのでしょうか。裏金問題が発覚した当時、火の玉になって国民の信頼を回復すると高らかに宣言をされた岸田総理が、今、この議場にお姿が見えないようであります。採決の際にはいらっしゃるのかも分かりませんが、やはり、しっかりと討論を聞いていただいた上で採決に臨むべきだったのではないでしょうか。あえて申し上げます。
まず、今回、法改正の議論のきっかけとなりました自民党議員の裏金問題は、全貌がいまだ明らかになっておりません。実態を明らかにした上で、再発を防ぐための法改正を考えるというのが本来の道筋です。
衆議院政治倫理審査会は、五月十四日、自民党の裏金問題を受け立憲民主党など野党が八日に申し立てた、二階俊博元幹事長、萩生田光一前政調会長を含む自民党議員四十四人の政倫審での審査を自民党を含む全会一致で議決したにもかかわらず、いまだ音沙汰がありません。裏金問題の説明責任が全く果たされていないのです。さらに、裏金を自分の政党支部に寄附して税控除を受けるなど、新たに悪質な事実が明らかになりました。こうした実態の調査も説明も行われないまま、本日、本法案の採決が行われることに、強く抗議をいたします。
改めて、国民を代弁して自民党に申し上げたい。裏金議員は、洗いざらい裏金の使い道を明らかにしてほしい、領収書がないのなら税務署に行って税金を払ってほしい。それが世間の常識です。
自民党案の欠陥を改めて指摘します。
第一の欠陥は、政治をゆがめる企業・団体献金について、野党がそろって禁止を求めたにもかかわらず、全くのゼロ回答であった点です。
企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っている、これは、三十年前、政治改革議論をリードしていた民間政治臨調会長の亀井正夫住友電工会長の言葉です。
これまでも、多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきました。国民のための政策を実行するためには、特定の企業、団体によって政治、政策決定がゆがめられることのないようにすべきです。
リクルート事件後の一九九三年、細川連立政権が誕生しましたが、連立政権樹立に関して、公費助成等と一体となった企業・団体献金の廃止等の抜本的政治改革関連法案を本年中に成立させると合意し、その後、一九九四年の関連法案の改正で政党助成制度が導入されるとともに、まず政治家個人に対する企業・団体献金が禁止され、二〇〇〇年には政治家の資金管理団体に対するものも禁止されました。
しかし、政党への企業・団体献金の五年後の見直し規定が盛り込まれましたが、手つかずのままどころか、今も政党支部経由の献金がまかり通っています。政党助成金と引換えに企業・団体献金を禁止するとの約束はほごにされ、いまだ、二重取りだとの批判が絶えません。時間がたてば国民の関心も薄れると思っているのではないでしょうか。
企業などによるパーティー券の購入も規制せず、政治家個人や政治団体に献金する抜け道を残すのが自民党案です。
政権与党に多額の献金をした企業や団体に有利な政策が決まり、与党は金の力を駆使し、また選挙に勝利するという悪循環。事実上賄賂のような役目を果たしてきた企業・団体献金こそが、政策をゆがめ、政治献金をすることが難しい多くの中間層の皆さん、さらに、弱い立場の皆さんの声や思いを封殺してきたのではありませんか。少子化対策がこんなに遅れたのも、教育予算、研究予算がこんなに低く抑えられてきたのも、非正規雇用や男女賃金の格差是正が軽視されてきたのも、パーティー券も買えず、政治献金もできない方々の声や思いが後回しにされてきたからではありませんか。
私たちは、今度こそ、圧倒的な資金力のある企業・団体献金を禁止することが重要であると考えます。私たちが目指すのは、真に必要なところに予算や法律の手当てがなされる政治です。それが、真っ当な政治であります。
第二の欠陥は、政策活動費の公開が全く不十分な点です。
政策活動費は使途を明確にしないお金であることから、野党一致して、廃止するか領収書を全面公開することを求めてまいりましたが、迷走に次ぐ迷走の挙げ句、十年後に領収書を公開することとなりました。
十年後に問題のある支出が判明したとしても、十年後に議員でなくなってしまったら、どう責任を問うのでしょうか。また、不記載や虚偽記載も、また所得税法違反も、公訴時効は五年であり、十年後に公開されたところで罪には問われません。十年後に公開された領収書が黒塗りされる可能性について、自民党の提出者は否定しませんでした。これのどこが領収書公開と言えるのでしょうか。
また、政策活動費の年間上限額については検討規定が置かれましたが、いつまでに検討するかすら明らかにされておりません。第三者機関の設置について検討する規定は置かれましたが、その具体的な権限については何ら明らかにならず、歯止めになっていません。具体的な制度設計が本当に検討され、本当に導入されるかすらも分からないのです。
第三の欠陥は、連座制など、政治家本人の責任の取り方が徹底されていない点です。
自民党案は確認書方式を導入していますが、会計責任者の説明に問題があった、確認したが気づかなかったなどと、これまで同様、言い逃れの余地を残しています。
自民党案の欠陥、第四は、裏金づくりの原点となっていた政治資金パーティーについての規制が全く不十分で、裏金づくりの再発防止策に全くなっていない点です。
パーティー券購入者の公開基準を五万円に引き下げても、五万円以下なら政治資金収支報告書に明記する必要がなく、裏金に回る余地が残ります。また、パーティー券の公開対象は、寄附のように年間の合計でなく、一回ごとの購入額です。年間のパーティー開催回数を増やすことで、従来どおりの額を非公開のまま集める道は残ります。公開基準額を下げても、同じ社内で複数人で購入するなどすれば、結局同じことになってしまいます。
これらの抜け道を防ぐ方法がない以上、我々立憲民主党は、パーティー券収入の全面公開若しくはパーティー開催自体の禁止が不可欠だと考えます。抜け道だらけの自民党案では、政治資金パーティーを温床とした裏金づくりの根絶には全くつながりません。
議場の皆さん、是非、こうした欠陥のない立憲民主党の法案に賛同していただきたい。今度こそ、本当に、政治と金をめぐる問題を解決しましょう。
政治改革に関する議論は全議員に関わるものであるがゆえに、前例では、党首会談などを経て決定するべきものです。しかし、自民党は、野党四党一会派の要求にも全くのゼロ回答でした。なぜ今回の法改正議論が起こったのか、自覚しているとは思えません。
政治にとって最もかけがえのないものは何か。それは、国民からの信頼です。そして、今、その信頼は地に落ちたままです。国会の多数派がいいかげんな法案を採決するのなら、本当に多数派が正しいのか、国民に聞いてみようではありませんか。永田町の常識が国民の非常識ならば、永田町を変えなければなりません。その力は、国民の皆様一人一人にあります。
私たちは、決して諦めることなく闘い続けます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 山下貴司君。
〔山下貴司君登壇〕
○山下貴司君 自由民主党・無所属の会の山下貴司です。
私は、会派を代表し、自民提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
まず冒頭、今般の自民党の派閥や所属議員をめぐる政治資金問題について、党所属議員の一人として、深くおわびを申し上げます。
二度とこのような政治と金をめぐる問題は起こさない。我が党は、このような決意の下、本年一月、岸田総裁を本部長とする政治刷新本部を立ち上げ、党則等の見直し、党機能のガバナンス強化を行うとともに、政治資金規正法の改正案について、今般の問題についての深い反省の下、国民の皆様から我が党と政治に対する信頼を回復できるよう、政治資金規正法の基本理念を踏まえつつ、検討を行ってまいりました。
政治資金は、政治資金規正法が基本理念として掲げるように、民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財です。
私たちは知っています。あなたなら日本とふるさとをよくしてくれると、大切なお金で政治資金パーティーに駆けつけて激励してくださる支援者を。公的な立場などがあるために名前は公にできないけれども、政治資金パーティーに御家族や友人まで誘ってくださる支援者を。従業員にも政策を知ってもらいたいと、自ら従業員の方々とともにセミナーなどに参加してくださる企業の経営者を。働く方々の声を届ける議員を生み出すために、組合員から集めた資金などから政治資金パーティーなどに拠出している労働組合などの団体があることを。
与野党を通じて、私たちの政治活動は、このような方々によって大きく支えられています。この本会議場にいる多くの議員が、そうした方々が拠出してくださる浄財に託された日本の政治への思いに触れ、単なる金額では表せない感謝の念とともに、政治の原動力とした経験があるはずです。もちろん、私もその一人であります。
そのような浄財であるからこそ、政治資金規正法は、基本理念として、収支を明らかにし、これに対する判断は国民に委ね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないようにすると掲げているのです。
私たち自民党が本国会に提出した法律案は、今回の事態のような政治と金をめぐる問題に対する真摯な反省とともに、このような政治資金規正法の基本理念に立ち返り、政治家本人の責任強化、外部監査の強化、デジタル化の推進を柱にして、実効的な再発防止策の検討を進めて取りまとめたものであります。
まず、政治家本人の責任強化については、与野党通じて過去の政治資金規正法違反事件で見られたような、会計責任者任せにして、知らなかったなどといった言い訳を許さないため、国会議員関係政治団体の代表者による収支報告書の確認義務を伴う確認書制度を設けるとともに、代表者に対する罰則強化、収支報告書の不記載等があった場合の国庫納付制度を設けています。
また、外部監査の強化については、いわゆる派閥とも言われた政策研究団体を国会議員関係政治団体とするとともに、収入に関し、翌年への繰越しの状況を外部監査の対象とすることで、政治資金監査を強化するものとなっています。
そして、収支の透明性を持たせるためのデジタル化については、収支報告書のオンライン提出、インターネット公表に関する規定を強化して、これを推進するものとなっています。
加えて、政策活動費の使途を公開する新たな制度を設けるとともに、国会議員関係政治団体から寄附を受けたその他政治団体の政治資金の透明性確保に関する規定を設けるものとなっています。
さらに、我が党提出の法律案については、政治改革特別委員会等において熱心な議論が行われ、各党各会派から様々な御提案をいただきました。
自民党では、その提案を真摯に受け止め、修正案として、政治資金パーティーに係る公開基準額の更なる引下げ、政策活動費の使途公開の更なる拡充に関する改正規定を追加するとともに、附則において、早期に検討して必要な措置を講ずべき施策として、政策活動費の上限額や使途の公開、第三者機関の設置、政党交付金の交付停止などの規定を明記するなど、十項目にわたる大幅な修正を行いました。
このように、我が党提出の法律案及び修正案は、各党各会派からの御提案をも真摯に受け止め、今回のような事態の再発を防止するとともに、民主主義を支える政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないようにしつつ、政治活動の自由と政治資金の透明性を確保する内容となっています。
なお、野党各党提出の三法案については、まず、政治資金パーティーの禁止については、収益を政治活動に充てるために行う対価を伴う催物を何人にも禁止する過剰なものである一方、法案の提出会派の幹部議員らが政治資金パーティーによる収益を継続的に得ており、さらに同法案提出前後にも開催あるいは開催予定をしていたことなど、提出会派自ら遵守することが困難であること。企業・団体献金は、最高裁判決でも憲法上の権利として認められ、厳格な制約の下、与野党問わず政治資金として活用してきたことや、他の民主主義国でも直接間接に拠出が認められている一方で、平成六年改正法附則に言う政治資金の個人による拠出の状況については、野党の幹部の皆様の収支にも見られるように、少数の多額拠出者に依存するなど、与野党通じた実情を踏まえれば、全面的な禁止は過剰な規制であること。政治家本人の責任強化についても、全ての政治団体の代表者に形式的に収支報告書等の記載、提出義務を課したところで、実際に会計実務を担わない代表者が具体的な虚偽記載等の認識はないまま了承したなどのおなじみの犯意の否認により刑事責任を免れ得るなど、形骸化のおそれが大いにあることなど、いずれも、過剰であるか、提出会派においても全く実効性が期待できない提案であることは明らかであるので、反対いたします。
最後に、改めて、国民の皆様に大きな政治不信をもたらしたことについて深い反省の念とともにおわびを申し上げ、我が党提出の法律案及びこれに対する修正案に対し、議員各位の幅広い御賛同をお願い申し上げまして、私の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 塩川鉄也君。
〔塩川鉄也君登壇〕
○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表し、自民党提出の政治資金規正法改正案と修正案に反対の討論を行います。(拍手)
まず、法案及び修正案について、条文を吟味する時間も与えず、僅かな質疑時間、拙速な審議で採決をしたことは重大であります。民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする政治資金規正法の審議でこのような暴挙を行ったことに、強く抗議をするものであります。
裏金事件の真相を徹底解明し、再発防止の抜本改革を実現することは、今国会に課せられた重要な責務であります。ところが、当事者である自民党が真相究明に背を向けたまま提出した法案は、肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止がすっぽり抜け落ちているではありませんか。到底、国民の要求に応えるものではありません。
裏金事件は、自民党派閥のパーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為です。企業・団体献金を禁止し、その抜け道である企業、団体によるパーティー券購入を禁止することが再発防止に不可欠です。修正案は、パーティー券購入の公開基準を五万円超にしたと言いますが、一回当たりにすぎず、複数回に分ければ、これまでと何ら変わるものではありません。抜け道を温存するものです。
営利を目的とする企業は、金を出せば必ず見返りを期待するものであり、企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治に影響力を行使し、金の力で政治をゆがめることは、国民一人一人の権利である参政権を侵害するものです。金権腐敗政治根絶の核心は、企業・団体献金の全面禁止です。企業・団体献金を聖域とする自民党案は、国民の願いを裏切るものであり、断じて認められません。
第二に、政策活動費を合法化し、温存することは、重大な改悪であります。
自民党は、政策活動費と称して、政党本部から政治家個人に巨額の資金を支出してきました。政策活動費は政党のために使う支出だと言いますが、政党の支出であれば、そのまま収支報告書に支出を記載すればよいのであります。現行法に規定がないにもかかわらず、政治家を迂回させることで支出の実態を隠そうとするものであり、収支を全て公開するという規正法の趣旨に反する脱法行為であります。
しかも、岸田総理は、政策活動費は法律に基づいて認められていると強弁する一方で、現行法に定めがないことも認め、だから今回法定化すると述べ、脱法行為を合法化する法案であることを認めざるを得ませんでした。
さらに、維新の会との合意による修正案で政策活動費の上限を定め、十年後には支出状況を公開するかのように言っていますが、提案者は、上限額も公開内容も、今後の検討で結論を得ると繰り返すだけでした。政策活動費に固執している自民党と維新で、都合のいい制度をつくろうというものであります。政策活動費はきっぱり廃止すべきです。
第三に、自民党案が収支報告書の要旨の作成、公開義務を削除したことは、規正法の柱である収支公開に逆行するものです。
収支報告書の根幹部分が記載されている要旨すらなくなれば、収支報告書の公開三年後には、政治資金の流れが全く見えなくなります。裏金事件が起きても、過去に遡って金の流れを検証し、政治的、道義的責任を明らかにすることができなくなるのであります。不祥事を隠蔽するものと言わざるを得ません。国民の不断の監視と批判の下に置くとした規正法の基本理念を貫き、収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要です。国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきです。
日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案をこの三十年間、国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 浦野靖人君。
〔浦野靖人君登壇〕
○浦野靖人君 日本維新の会の浦野靖人です。
教育無償化を実現する会との共同会派を代表して、自由民主党提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案の修正案に賛成、立憲民主党、国民民主党、有志の会提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案に賛成、立憲民主党提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に賛成、立憲民主党提出、政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案に反対の立場から討論いたします。(拍手)
委員会において、参考人より、今回の裏金事件は、自民党の国会議員の八十人以上の人が関わった集団犯罪の疑いがあるものをうやむやにしている、自由民主党という政党の存在そのものに関わる問題だとの指摘がありました。しかしながら、当の自民党から、今もってなお、そのような危機感は全く感じられません。自民党は、裏金事件が発覚してからこれまで、実態解明と責任者の処分をうやむやにし、何ら反省のないまま、国民の期待とはかけ離れた法案を国会に提出してきました。
当初の自民党案の最大の問題点は、裏金事件に端を発する政治と金の問題を意図的に小さく見せようとしていることです。国民が求めているのは、裏金事件を引き起こした根本的な原因、すなわち、脈々と受け継がれてきた政治と金の汚い関係を一掃することです。しかしながら、自民党は、問題の範囲を派閥の政治資金パーティーに限定し、さらに、その中の収支報告書の不記載という点に絞り込み、その再発防止策だけを問題にしています。そのため、解決策には、政治資金パーティー券購入の際の銀行振り込み、収支報告のオンライン提出、政治家個人へのコンプライアンス研修といった的外れな対策が並ぶことになりました。
世論の強い圧力を受け、今回の事件とは直接関係ないがとの言い訳つきで追加された議員の責任強化についても、抜け道が用意されています。いわゆる連座制に近い方法ではなく、確認書をかませることで、議員が責任逃れをする余地をつくった内容となりました。そもそも、不正な資金使用があったときに、トップが責任を取らないなどということは民間ではあり得ません。当たり前のことを実行するのに、ちゅうちょし過ぎなのです。
その一方で、企業・団体献金の禁止、政策活動費の透明化、調査研究広報滞在費の使途公開といった本丸の改革は、たなざらしにされました。そこで、我が党は、一歩でも二歩でも改革を前に進めるため、自民党に対し、これら本丸の三項目のうち、少なくとも二つの改革を今国会で実現することを求めました。具体的な条文化の段階で何度も頓挫をしかかりましたが、最終的に一定の納得できる修正が達成されたことから、修正案には賛成の立場を取ることとしました。
他方で、修正案の全てを是としたわけではありません。今の法案は、本来変えなければならないことから考えれば、極めて小さな変化であり、今回の裏金事件で失ってしまった国民の信頼を取り戻すには、全く不十分であるとの認識は変わりません。
特に、残る要求項目である企業・団体献金廃止に、今回、一切手がつけられていないことは、身を切る改革を党是に掲げ、実際に、結党以来、企業・団体献金を受け取らず、今月からは企業、団体へのパーティー券販売も内規で禁じた我が党としては、無念の極みです。
企業・団体献金が政策をゆがめている証拠となる事実は、枚挙にいとまがありません。医師会からの診療報酬に関する要望と献金、経団連による通信簿方式の献金、租税特別措置や補助金を求める各業界からの献金など、もはや政治献金は合法的な賄賂のように扱われているケースも増えており、本来の趣旨である浄財とは言えない現実について、国会質疑の中では各党各会派から具体的な例とともに何度も指摘されてきました。いかに自民党が詭弁を弄しても、正当化できるものではありません。
企業・団体献金の廃止がこの案の中に入らない理由を自民党は度々説明してきましたが、いずれも説得力を欠くものばかりです。企業との癒着によって政策がゆがめられた事実はないとの反論は、リクルート事件や佐川急便事件のときに、まさに企業との癒着によって政策がゆがめられたとの指摘があったことから国会での政治資金規正法改正につながったという歴史的な事実と矛盾するものです。裏金の温床となった政治資金パーティーが企業・団体献金の抜け道になっている現実を踏まえれば、今回改正すべき項目のど真ん中に企業・団体献金があるべきです。
加えて、自民党は、昭和四十五年の八幡製鉄事件における最高裁判決に示された、憲法上は、公共の福祉に反しない限り、会社といえども政治資金の寄附の自由を有するという一文をもって、企業・団体献金の禁止が憲法違反であるかのような主張を展開してきました。しかし、そもそも、この判決文は、前提として、巨額の寄附は金権政治を生む、有力株主が外国人であれば外国による政治干渉の危険がある、豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成するといった企業・団体献金の弊害を認めた上で、それらには立法政策で対処することを求めており、企業・団体献金を禁止してはならないとは全く言っていません。
立憲民主党、国民民主党、有志の会提出の法案には、この企業・団体献金の禁止が盛り込まれています。その点を含め、我が会派の主張と重なる二法案について賛成することといたしました。
今回、我が党の要求を発端として、自民党にとって受け入れ難かったであろう法案修正が実現した背景には、公明党が政治的理念を重視し、自民党の政治的圧力に屈しない粘り強さを見せたこと、そして、立憲民主党、国民民主党、有志の会が踏み込んだ法案を提出し、他の野党とともに厳しい姿勢で自民党と対峙し続けたことも、大きく影響しているものと認識しています。
他方、その意味では、立憲民主党が政治資金パーティーの禁止を法案提出しながら政治資金パーティー開催を実施し続けたことにより、二回目の委員会以降、世論のバッシングを受けたことは、自民党に改革を迫る上でマイナスであり、我が会派の立場からは、立憲民主党の言行不一致を批判するというよりも、信条は違えど共に改革を進める立場として、残念に感じたのが正直なところです。
また、公明党や国民民主党を始め、自らは実現できなかった政策活動費の透明化がどう見ても前進している修正案について、誰の手柄であるかなどにこだわり、至らない点のみを取り上げていたずらに批判をし、後退であるかのような印象操作を行ったりし、野党間で批判合戦を繰り広げるのは、立法府として生産的なことでもなければ、今、我々国会議員に対して国民が期待していることでもないと思います。
本法案が衆議院を通過したとしても、参議院で修正すべき余地や明確化すべき事項は多々残されています。また、法律が成立したとしても、早期に検討が行われ、結論を得るとされている項目を詰める際に抜け道ができないように、各党各会派で引き続き強力に自民党に迫っていく必要があります。改革を実現するための政治闘争は、まさにこれからなのです。
今回の政治改革は、三十年に一度の大きな変化の機会です。この機を逃せば、改革はまた三十年先送りされます。真に国民の信頼を回復するに足る政治改革を成し遂げるための党派を超えた努力を求め、討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 田中健君。
〔田中健君登壇〕
○田中健君 国民民主党の田中健です。
私は、立憲民主党・無所属、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会共同の政治資金規正法等改正案について賛成、自由民主党提出の修正案、また、各野党提出のいずれの案についても反対の立場から討論を行います。(拍手)
今回の政治資金規正法改正の議論は、自民党派閥の裏金問題に端を発するものです。しかし、この間、問題の真相は何も明らかにされておらず、これでは、再発防止や法整備として十分な内容かどうかの判断がつきません。火の玉になって取り組むと言った総理はどこへ行ったのでしょうか。国民は納得していません。
修正された中身については、我が党の訴えた政党交付金の交付停止等の制度の創設は入ったものの、パーティー券の外国人購入規制は検討、その他も検討、検討のオンパレードです。信頼回復からはほど遠い内容と言わざるを得ません。実際にやるのかどうかも担保されない規定が並び、多くの事項が先送りされています。
特に政策活動費は、あちらこちらに穴があり、ざる法のままです。
まず、領収証の公開までになぜ十年もかけるのか、最後まで合理的な説明がなされませんでした。本来、政策活動費は、使い残しがあった場合、雑所得として課税対象になりますが、十年後に発覚しても、所得税の時効は五年のため、逃げ切ることができます。十年後に、領収証がなかった、不記載が発覚した、こういうことが起こっても、政治資金規正法は時効五年のため、罪にも問われません。総理は、罰則の要否についても、今後検討すると言うだけです。罰せられるかも分からないルールを作っても意味がありません。
さらに、改正案では、領収証の提出、保存義務が明記されていません。十年後公開の制度を検討することが附則で定められただけで、その制度がいつ始まるのか、時期も全く決まっていません。せめて法案に、現在使われている政策活動費の領収証等の提出、保存義務をかけるべきです。それがなければ、ブラックボックスがそのまま続くことになります。
領収証の全面公開にも至りませんでした。人件費や事務所費等が公開対象から除外されているので、これらの項目として政党から支出をすれば、金額すら公開しなくていい仕組みになっています。抜け穴が空いています。
そもそも、政治活動に関連した支出のみが公開対象になっているため、選挙活動に関連してなされた支出は公開対象から外れます。政治資金規正法では、政治活動に選挙運動を含む場合はその旨が明記をされていますが、修正案にはありません。明記しない場合は、選挙運動を含まない、つまり公開対象外との解釈が可能です。しっかり明記すべきです。政策活動費の多くが不透明な形で選挙に使われている疑惑が最大の課題であったのにもかかわらず、このままでは抜け穴が合法化されることになりかねません。
国民民主党は、複雑な仕組みにすればするほど抜け穴はできるため、政策活動費はシンプルに廃止としており、実際に昨年から支出をやめています。非課税かつ非公開の資金はなくす。これが我が党の基本姿勢であり、非課税の恩恵を受けたいならば、使途を完全公開すべきです。
第三者機関についても、具体的な中身については全く分かりません。我々は、国会の自律権に基づき、国会の中に、制度の提案、監視、監督、そして勧告まで行える第三者機関の姿を具体的に提案しています。どこに置くのか、どのような役割を担っていただくのか、しっかりと国民に示すことができなければ、お手盛りの批判は免れ得ません。
また、自らが代表を務める政党選挙区支部への寄附金控除の適用除外についても、今まさに問題になっているにもかかわらず、検討でお茶を濁しました。特別控除の対象とならないことを明確にすべきです。
速やかな法整備ももちろん必要でありますが、大切なのは中身です。このような中途半端な制度改正では、形は変われども、また政治と金の問題が起こり、なぜあのとき、きちんと改正をしなかったのかと後世の批判にさらされることでしょう。
我々国民民主党は、次の世代にまで貫くことができる、正直で偏らない現実的な政治の実現に向け、全力で取り組むことをお誓い申し上げまして、討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 中川康洋君。
〔中川康洋君登壇〕
○中川康洋君 公明党の中川康洋でございます。
私は、公明党を代表して、自由民主党提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案に賛成、立憲民主党、国民民主党、有志の会提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案及び立憲民主党提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、同じく、政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案に反対の立場で討論いたします。(拍手)
昨年末より明らかになった、自民党の派閥の政治資金パーティーにおいて、多額のキックバックを受けながら収支報告書に記載せず裏金化していた問題は、国民の生活感覚から大きくかけ離れたものであり、断じて許されるものではありません。
総理は、今回の一連の議論の中で、信なくば立たずとの言葉を幾度となく口にされておりますが、政治は国民の信頼があって初めて成り立つものであり、仮に国民の信頼を失えば、目下の最重要課題である能登半島地震の復旧復興や物価高対策を始め、我が国の政策を前に進めることはできません。
公明党は、本年を令和の政治改革元年と銘打ち、今回の政治と金の問題に対しては、終始一貫して、国民の信頼を取り戻す、また、清潔な政治を実現するという強い信念で、一月には、各党に先駆けて、公明党政治改革ビジョンを発表するとともに、四月には政治資金規正法改正案の要綱を発表いたしました。また、与党による十回にわたる実務者協議においても、毎回、けんけんがくがくの議論を交わし、五月九日には、七項目の一致点と二項目の方向性における実効性ある改革案を取りまとめたところです。
この取りまとめを基に提出された自民党案の具体的特徴は、一つには、公明党も改革の一丁目一番地と捉える政治家の監督責任と罰則の強化の明記であり、確認書の提出義務であります。この確認書については、我が党がどの党にも先駆けて提案したものであり、内容は公明党案そのものであります。
また、この政治家の監督責任と罰則の強化による不正に対する抑止力の向上により、これまで何回も繰り返されてきた、私は知らなかったという言い逃れはできなくなると考えるとともに、過去、幾度となく許されてきたトカゲの尻尾切りなど、政治家に甘い状況は一掃されるものと考えます。
また、二つには、政治資金の透明性向上の具体的手法として、政治資金パーティーの入金方法を口座振り込みに限定することや、預貯金による政治資金の保管も明記されました。
これら二点の特徴も含め、今回の自民党案では、収入も含めた外部監査の強化や収支報告書のオンライン提出及びデジタル化による透明性の向上、寄附の移動における厳格な規制の適用や個人情報及びプライバシーの保護、さらには、政治資金の透明性の確保を目的とした第三者機関の活用など、これまで公明党が示した政治改革ビジョン及び四月に発表した政治資金規正法改正案要綱のほぼ全ての内容が含まれております。
また、自公の取りまとめでは、その方向性を示しながら議論の最終盤まで一致を見ることができなかった政治資金パーティー券の公開基準の引下げや政策活動費の使途公開及びその監査機能を有する第三者機関の設置についても、党首会談における総理の英断により、その内容が決定され、今回提出された修正案において実効性ある改革案が示されたものと考えます。
ここで、立憲民主党に一言申し上げたいと思います。
立憲民主党は、今回、いわゆる政治と金の問題を議論する政治改革特別委員会に政治資金パーティーの開催を全面禁止する法案を提出しておりますが、その委員会での審議の最中において、大串選対委員長は都内での政治資金パーティーを、また、あろうことか、岡田幹事長は大阪での政治資金パーティーの開催を計画していることが明らかとなりました。
この件に関しては、先月二十四日の特別委員会で答弁に立った立憲民主党の法案提出者は、違法に行っているかのような印象を与えかねない発言はお控えいただきたいとくぎを刺した上で、法案の成立、施行前に党所属議員にパーティー開催の自粛を求めることはしないと答弁し、問題ないとの認識を示しておりましたが、常識的に考えて、今回、パーティーの全面禁止法案を提出し、その法案を議論している中での党幹部による政治資金パーティーの開催計画は、余りにも整合性が取れないのではないか、また、言行不一致と言われても仕方ないのではないかと考えます。
また、五月三十日掲載の朝日新聞デジタルでは、当初は同じく問題ないとの認識を示していた泉代表の発言録として、この岡田幹事長や大串選対委員長のパーティー開催について、想定していなかった、ひっくり返って、のけぞって、おい、それは今この時期に幹部がやっちゃだめでしょというのはあったとの泉代表自らの発言が報道されておりますが、泉代表は、今回の岡田幹事長の大阪でのパーティーについて、本当に問題ないと思っていたのか、実はのけぞるほどびっくりしたのか、その真意を是非聞いてみたいと思います。
公明党は、こんな、幹部自ら範を示さない、また党内不一致で、かつ、党のガバナンスが機能していない政党が提出した法案を信用することはできないし、そのような政党に、この国の政治を、また日本の未来を任せるわけにはまいりません。
以上、自民党案に賛成する理由及び立憲民主党案を信用できない理由を述べましたが、公明党は、これからも、国民の皆様の政治に対する信頼を取り戻せるよう、また、清潔な政治の実現、不正を許さない政治の実現に向け、果敢に挑戦してまいります。さらには、国民の皆様の小さな声に耳を傾け、生活者の側に立った政治を実現することをお約束し、私の討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第二、第二百八回国会、落合貴之君外四名提出、政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、日程第三、落合貴之君外七名提出、政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、日程第四、落合貴之君外十名提出、政治資金規正法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、日程第五、鈴木馨祐君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決いたしました。
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○議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時一分散会
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出席国務大臣
総務大臣 松本 剛明君
農林水産大臣 坂本 哲志君