第4号 令和7年2月13日(木曜日)
令和七年二月十三日(木曜日)―――――――――――――
議事日程 第四号
令和七年二月十三日
午後一時開議
一 国務大臣の演説(米国訪問に関する報告について)
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○本日の会議に付した案件
石破内閣総理大臣の米国訪問に関する報告についての演説及び質疑
午後一時二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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○議長(額賀福志郎君) 御報告することがあります。
永年在職議員として表彰された元議員太田誠一君は、昨年十二月四日逝去されました。痛惜の念に堪えません。謹んで御冥福をお祈りいたします。
太田誠一君に対する弔詞は、議長において去る三日既に贈呈いたしております。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに大蔵委員長 土地問題等に関する特別委員長の要職につき また再度国務大臣の重任にあたられた従三位旭日大綬章 太田誠一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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国務大臣の演説(米国訪問に関する報告について)
○議長(額賀福志郎君) 内閣総理大臣から、米国訪問に関する報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣石破茂君。
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 私は、二月六日から八日まで米国ワシントンを訪問し、トランプ米国大統領と日米首脳会談を行いました。その概要を報告いたします。
日米同盟は、我が国の外交、安全保障の基軸です。今回、トランプ大統領との初めてとなる対面での日米首脳会談では、安全保障や経済の諸課題、現下の国際情勢について、幅広く、率直な意見交換を行いました。
トランプ大統領とは、厳しく複雑な安全保障環境に関する情勢認識を共有し、日米同盟を新たな高みに引き上げていくことを確認しました。トランプ大統領に対しては、日米豪印、日米韓、日米比といった同志国連携を更に強化していくことの重要性を確認し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に協力していくことを確認しました。
その上で、日米同盟の抑止力、対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携の上、対処していくことで一致いたしました。私から、我が国の防衛力を今後とも抜本的に強化する旨を表明し、トランプ大統領はこれを歓迎しました。我が国の防衛力の在り方については、今後とも、我が国周辺の厳しい安全保障環境等も踏まえ、主体的に判断をいたしてまいります。
トランプ大統領は、米国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを明確に表明しました。トランプ大統領との間で、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認いたしました。私から沖縄の負担軽減の必要性を説明し、トランプ大統領との間で、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設及び普天間飛行場の返還を含む沖縄統合計画に従った在日米軍再編を着実に実施していく旨を確認しました。
経済分野については、私から、我が国が五年連続で最大の対米投資国であることを述べ、トランプ大統領との間で、経済面でも両国が緊密なパートナーであることを確認しました。私から、対米投資額を一兆ドルという未だかつてない規模まで引き上げたい、そのために共に取り組んでいきたいとの意思を伝え、トランプ大統領から、日本企業による対米投資に対する強い歓迎の言葉がありました。
その上で、両国におけるビジネス環境を整備して投資、雇用を拡大していくこと、互いの産業を強化するとともに、AIや先端半導体等の技術分野における開発で世界をリードすること、また、成長するインド太平洋の活力を取り込む取組を力強く推進していくことを通じて、日米のパートナーシップを更に高い次元に引き上げていくとの認識で一致しました。また、双方に利益のある形で、日本へのLNG輸出増加も含め、両国間でエネルギー安全保障の強化に向けて協力していくことを確認いたしました。
日米は互いの国において最大規模の海外直接投資と質の高い雇用を創出していること、両国の産業は相互のサプライチェーンにおいて極めて重要な役割を果たし続けることを確認しました。こうした関係は、我が国の経済、産業にも大きく寄与するものです。
中国、北朝鮮等の地域情勢についても意見交換を行いました。中国をめぐる諸課題については、東シナ海や南シナ海等におけるあらゆる力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対することを確認いたしました。また、トランプ大統領との間で、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調いたしました。
また、北朝鮮については、情勢について認識を共有し、核、ミサイル問題に共に対処する必要性や、北朝鮮の完全な非核化に向けた確固たるコミットメントを確認しました。また、拉致問題の即時解決について、私から引き続きの理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得ました。
日米首脳会談の成果として、今後の日米協力のいわば羅針盤となる文書として、日米首脳共同声明を発出しました。また、率直な意見交換を通じて、トランプ大統領との信頼関係構築に向けた一歩とすることができたことは、今後に向けた大きな成果でありました。
今回、発足したばかりのトランプ政権との間で、日米同盟の揺るぎない結束を国際社会に力強く示すことができたと考えております。今回の成果を踏まえつつ、日米同盟を新たな高みに引き上げるとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、米国と更に連携協力を深めていく考えでございます。
以上でございます。(拍手)
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国務大臣の演説(米国訪問に関する報告について)に対する質疑
○議長(額賀福志郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。星野剛士君。
〔星野剛士君登壇〕
○星野剛士君 自由民主党の星野剛士です。
私は、自由民主党・無所属の会を代表して、石破総理の訪米帰朝報告について、全て総理に質問をいたします。(拍手)
まず、今般、第二期トランプ政権の発足から間もないタイミングで日本の総理として訪米し、トランプ大統領との初めてとなる対面での日米首脳会談を実施したことは、大変意義深かったと考えております。今次訪問により、日米で、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に協力する決意、そして、一層盤石な日米関係を対外的に示すことができたと考えております。今回の訪米の意義と成果をお聞かせください。
今回の日米首脳会談で、少人数での会合及びワーキングランチの合わせて約一時間五十分の意見交換を通じ、幅広いテーマを扱われたと承知しております。取り上げられた中で大きなテーマの一つが、日米両国の安全保障協力の更なる強化であったと思います。
総理とトランプ大統領は、中国による力による一方的な現状変更の試み、北朝鮮の核・ミサイル開発を含む厳しく複雑化する安全保障環境に関する情勢を認識した上で、今後の日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化について意見交換されたのだと思います。会談を通じて達成された日米安全保障協力に関する具体的な成果をお聞かせください。
経済面においても、大きな成果があったと考えます。
総理は、対米投資額を一兆ドルといういまだかつてない規模まで引き上げたいとの意向を示されました。両国における投資、雇用の更なる拡大、そのためのビジネス環境の整備、AIや先端半導体などの先端技術開発、エネルギー安全保障の強化といった幅広い分野での協力を推進していくことを確認されたと承知しております。会談を通じて達成された日米経済協力に関する具体的な成果をお聞かせください。
また、日本製鉄によるUSスチール買収について、トランプ大統領は、買収ではなく投資で合意したと述べておりますが、本件について、会談ではどのようなやり取りが行われたのでしょうか。
国際情勢のうち、中国に関して、東シナ海や南シナ海等における同国による力又は威圧による一方的な現状変更の試みは継続しております。このような中国情勢に対して米新政権とどのように対応していくのか、お考えをお聞かせください。今回の首脳会談でトランプ大統領とどのような議論が交わされたのかも、併せてお聞かせ願いたいと思います。
北朝鮮情勢に関して、核、ミサイル問題や拉致問題を含め、日本との間では未解決の問題も多いですが、今回の首脳会談ではトランプ大統領との間でどのような議論が交わされたのか、お聞かせください。トランプ大統領は、北朝鮮についての発言で、核保有国との表現を使ったり、金正恩委員長との会談の実施に意欲を示していると承知しておりますが、今回の米国訪問の成果も踏まえ、北朝鮮情勢に米新政権とどのように対応していくお考えでしょうか。
今回の首脳会談は、トランプ大統領と総理との間で行われたものとしては初めてでありました。今回の訪米で、総理はトランプ大統領と個人的な信頼関係を築かれたことと思いますが、トランプ大統領との間でどのような個人的なやり取りを行われたのか、可能な範囲でお聞かせください。
また、短い米国での滞在時間の中で、アーリントン国立墓地を訪問され、無名戦士の墓への献花を行われました。米国の各軍等が整列し、日米両国の国歌が演奏される中、献花を行ったことは、意義深いものだったと評価をしております。総理自身が訪問に込めた思いと、振り返っての所感をお聞かせください。
今回の首脳会談の成果として、日米首脳共同声明を発出されたと承知しております。トランプ大統領との初の会談で成果文書を発出することができたことは、高く評価されるべきものと考えていますが、日米首脳共同声明を発出した意義と、この共同声明を今後の日米協力にどのように生かしていきたいかをお聞かせください。
最後に、今回の訪米で改めて確認された、日米間の重層的な友好関係とかつてなく強固な日米関係の下、引き続き、日米両国が自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に協力し、より一層連携を深めていくことで、日米関係の更なる発展への期待を申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 星野剛士議員の御質問にお答えをいたします。
今回の訪米の意義と成果についてお尋ねをいただきました。
今回の日米首脳会談では、トランプ大統領との間で、安全保障や経済の諸課題、現下の国際情勢について、幅広く、率直な意見交換を行いました。
その中で、厳しく複雑な安全保障環境に関する情勢認識を共有し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に協力し、日米同盟を新たな高みに引き上げていくことを確認をいたしました。
率直な意見交換を通じて、大統領との信頼関係構築に向けた一歩とすることができましたことは、今後に向けて大きな成果であったと考えております。
日米安全保障協力についてでございますが、今般の会談において、同盟の抑止力、対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携の上、対処していくことで一致いたしました。私からは、日本の防衛力の抜本的強化への揺るぎないコミットメントを表明し、トランプ大統領はこれを歓迎いたしました。
トランプ大統領は、合衆国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する合衆国の揺るぎないコミットメントを強調しました。また、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認をいたしました。
これらを踏まえ、私と大統領から関係閣僚に対し、日米2プラス2の早期開催を指示いたしたところでございます。
経済分野での成果及びUSスチールについてお尋ねをいただきました。
日米首脳会談では、私から、対米投資額を一兆ドル規模まで引き上げたい、そのために共に取り組みたいとの意思を伝え、トランプ大統領から強い歓迎の言葉がありました。
今般の会談では、両国におけるビジネス環境を整備して投資、雇用を拡大していくこと、互いに産業を強化するとともに、AIや先端半導体等の技術分野における開発で世界をリードすること等を通じ、日米のパートナーシップを更に高い次元に引き上げていくとの認識で一致いたしました。
双方に利益のある形で、日本へのLNG輸出増加も含め、エネルギー安全保障の強化に向けて協力していくことを確認いたしました。
USスチールへの投資計画につきましては、どちらかが一方的な利益を得るというような単なる買収ではなく、日本の技術と資金を活用して米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求める優れた製品を共に生み出し、日米が共に利益を得る、いわばウィン・ウィンになるものにしよう、このような認識を共有したところであります。
対中関係についてのお尋ねをいただきました。
今回の日米首脳会談では、東シナ海や南シナ海等における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対することを、トランプ大統領との間で確認をいたしました。
地域における法の支配、平和と安定を日米の協力の下で堅持していくことは、日米のみならず、国際社会全体にとっても極めて重要であります。引き続き、同盟国である合衆国との強固な信頼関係の下、中国に対して、その立場にふさわしい責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
北朝鮮問題についてのお尋ねを頂戴しております。
今般の会談では、北朝鮮情勢について認識を共有し、核、ミサイル問題に共に対処する必要性や、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを確認をいたしました。
拉致問題に関しましては、その即時解決について、私から引き続きの理解と協力を求め、トランプ大統領から全面的な支持を得ました。
今般の会談を踏まえ、首脳間を始めとする強固な信頼、協力関係の下、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮への対応において、日米間で緊密に連携をいたしてまいります。
トランプ大統領との信頼関係構築についてお尋ねがございました。
トランプ大統領との個人的なやり取りについて一例を申し上げれば、私から、会談の場で、昨年七月の銃撃事件に関する私なりの受け止めを述べました際、また、メイク・アメリカ・グレート・アゲインは、フォーガットンピープル、忘れられた人々に対する思いやりではないかと私なりの解釈をお伝えした際、大統領との間で人間味の感じられるやり取りができたのではないかと考えております。
もちろん、信頼関係の構築は一朝一夕にできることではありませんが、今回の会談は、トランプ大統領との信頼関係構築に向けた貴重な一歩となったと受け止めておるところでございます。
アーリントン国立墓地における献花についてでございます。
アーリントン国立墓地は、米国バージニア州に所在する米陸軍省管理の国立墓地、戦没者の慰霊施設であります。
今般、私は、同墓地におきまして、米国の各軍が整列し、日米両国の国歌が演奏される中、献花を行いました。
荘厳な雰囲気の中、自国のために戦い、命を失った兵士らに敬意を表する貴重な機会となったと考えております。
首脳共同声明の意義等についてお尋ねをいただきました。
今回の日米首脳会談では、会談の成果として首脳声明を発出いたしましたが、これは、今後の日米協力のいわば羅針盤となる文書であります。
首脳声明を含む今回の成果を踏まえつつ、日米同盟を新たな高みに引き上げるとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、米国と更に連携協力を深めていく考えでございます。
以上であります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 武正公一君。
〔武正公一君登壇〕
○武正公一君 立憲民主党、武正公一です。
石破総理の米国訪問に関する報告に対して、会派を代表して、立憲民主党・無所属を代表して、以下御質問いたします。(拍手)
冒頭、インフラ災害と言われる八潮市の下水道管破裂による道路陥没事故については、運転手の方の一日も早い救出とともに、深度深き大口径管路の検査方法の見直し、経年劣化は自治体のみの責任とせず、国としての責任からの取組についても規模等に応じて検討すること、以上、御所見をお聞きします。
石破総理、日米首脳会談、お疲れさまでした。会談は、おおむね良好に進んだと受け止めます。準備に当たられた関係者の皆様に敬意と感謝を申し上げます。
特に安全保障面で、日米同盟を開かれたインド太平洋の礎として、クアッド、日米韓、日米豪、日米比の連携、尖閣諸島への日米安保条約第五条の適用、中国の現状変更の試みへの反対の意、北朝鮮の完全な非核化、拉致問題即時解決の支持などが明記されました。これらを評価します。
なお、米ロ首脳による電話会談が行われ、ウクライナ停戦に向けて交渉開始合意と報じられています。ゼレンスキー大統領は米国ベッセント財務長官と面談しています。国連総会に、日本を含め、ウクライナ停戦決議案の提出が検討されています。領土割譲がウクライナ抜きに米ロの取引材料とならないよう求めます。
伺います。日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることを確認するに当たって、尖閣諸島が日本の領土であることについて、改めて説明しましたか。我が国の領土であることについて、米国の立場は変更ないままでしょうか。
我が国は、自由で開かれたインド太平洋の中身として、法の支配を非常に重視しています。これまでの日米間の文書にも明記されております。なぜ、共同声明では法の支配という文言が抜け落ちているのですか。トランプ大統領の、ガザ住民の強制移動やグリーンランドの所有などの発言を意識してのことですか。トランプ大統領が来日された際の首脳会談、共同声明では、必ず法の支配という文言を明記することを約束していただけますか。今月、ミュンヘン安全保障会議でG7外相会合があります。岩屋外務大臣から、我が国政府として法の支配を重視することが明確に示されるでしょうか。そして、G7外相会合声明などの文書に明記されるでしょうか。伺います。
石破総理は、二〇二七年度以降の防衛費増額を首脳会談で言及したのではないでしょうか。共同声明には、「米国は、日本の防衛予算増加の好ましい傾向により下支えされた、二〇二七年度までに日本を防衛する主たる責任を確固たるものとする能力を構築すること、そして、この重要な基盤の上に、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくことに対する日本のコミットメントを歓迎した。」と書かれています。
要は、日本の防衛予算増加の重要な基盤の上に、二〇二七年度より後も防衛力を強化していく日本のコミットメントとは、明確な次期五か年計画防衛予算の増額を意味するのではないでしょうか。言われてやるのではなく、日本が自ら決めるとして、対GDP比三%への増額を約束したのではないでしょうか。
加えて、トランプ大統領が十億ドルの装備品売却を承認したと発言した内容、具体的に何に当たりますか。追加で、承認される装備品の言及はありましたか。いかがでしょうか。
また、トランプ大統領は、自動車への関税について、現地十日、自動車は大きなテーマだと、医薬品、半導体とともに関税化を示唆しましたが、これについて今回の会談で何か言及はあったのでしょうか。
加えて、我が国政府は、第一期トランプ政権時、TPPを離脱した米国との間で日米貿易協定を締結し、我が国が米国産の牛肉、豚肉について関税引下げを約束した一方、TPP協定で約束されていた我が国からの自動車・自動車部品の関税撤廃については、関税の撤廃に関して更に交渉するとされるにとどまり、その後、日米間では交渉開始に向けて動きが見られません。我が国政府は、日米貿易協定の自動車関税に関する交渉を今後どうしていくつもりなのでしょうか。伺います。
アラスカのLNG開発については、要する経費は四百四十億ドルとされています。サハリン1、2はそれぞれ、百二十億ドル以上、二百億ドル以上とされています。アラスカでの開発が進んでこなかったのは、サハリンに比べ環境問題に懸念があるためとされています。
民間企業任せでなく、政府としてより積極的な対応が求められると考えますが、そのときは、巨額な資金拠出並びに政府の支援や保証を想定していますか。伺います。
為替については、共同記者会見で、日米の財務相間で緊密な議論を継続させていくと石破総理は述べ、早速、ベッセント米国財務長官の表敬を受けました。
首脳会談で為替についてのやり取りはありましたか。また、現下の物価高騰の原因が行き過ぎた円安にあると考えますが、物価目標二%まで金融緩和を続けるとした、政府が日本銀行と交わしたアコード、共同声明の見直しが必要と考えますが、いかがでしょうか。伺います。
外務省の国際機関への拠出金、分担金については、円安時の令和四年度で千九百億円、令和五年度で千三百億円の貨幣交換差減金が支出されました。また、防衛装備品のFMSでの購入の影響を、昨年十一月、会計検査院は、令和五年度の防衛支出が円安により千二百三十九億円増えたことを明らかにしました。令和五年度、外務、防衛両省で、円安の影響による支出増額は二千五百億円に上ります。
円安による支出増額を回避するため、拠出金、分担金は補正予算でなく当初予算に計上すべきであり、FMS支出は後年度負担による複数年度の支払いを避けること、あわせて、外為特会の外国為替及び外国通貨の活用を図ってはいかがでしょうか。お尋ねいたします。
気候変動対策の国際ルール、パリ協定及びWHOからの離脱について、石破総理はトランプ大統領に意見を述べられたのか、国際協調の重要性についてどのような議論を行ったのか、お答えください。石破総理が考える日米関係の黄金時代とはどのような日米関係なのか、そして、米国を自由貿易、国際協調につなぎ止めるため、どう取り組んでいくおつもりなのか、総理のお考えを伺います。
会談後、米国が輸入する鉄鋼、アルミニウムの二五%関税を例外なくかけることがトランプ大統領から発表されました。首脳会談で大統領から発言があったのでしょうか。また、日本にも適用されたときの経済的な影響をどう試算しますか。林官房長官は、十二日の記者会見で、我が国を除外するよう申入れを行ったとされましたが、いつ、誰に、どのように、どんな申入れを行ったのでしょうか。総理から、豪州のアルバニージー首相のように、直接トランプ大統領に伝える考えはありますか。お答えください。
日本製鉄によるUSスチールへの対応は、会談後の記者会見でトランプ大統領は、買収ではなく多額の投資を行うことで合意したと述べましたが、その後、トランプ大統領は、日本製鉄がUSスチールに対し過半数を出資することはないと発言しました。
このことは、総理は事前に知らされていたのですか。会談でトランプ大統領と議論された内容と一致しますか。林官房長官は、二月十日、記者会見で、大胆な投資を検討していると発言しましたが、具体的に何を意味するのか。首脳会談で、日本製鉄によるUSスチールの株式取得について、過半数株式取得も含め、何らかのやり取りがあったのでしょうか。以上、伺います。
共同声明には、「北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを改めて確認した。」と明記され、石破総理は、トランプ大統領との間で北朝鮮の非核化方針を共有したと述べています。
一方、トランプ大統領は、就任後、北朝鮮を核保有国と発言しました。非核化の道筋なども含め、トランプ大統領の、北朝鮮は核保有国という発言の真意は確認したのでしょうか。北朝鮮を核保有国と認めることはないとの方針も共有できたのでしょうか。御質問いたします。
首脳会談では、トランプ大統領から、拉致問題の即時解決の協力への支持も表明されました。首脳会談において、石破総理は、我が国として何ができると説明したのでしょうか。米国の協力を得て、拉致問題の解決に向け、どのように取り組んでいくおつもりなのでしょうか。御質問いたします。
トランプ大統領は、パレスチナ自治政府のガザ地区を米国が引き継ぎ、所有する旨を発言し、さらに、報道によれば、十五日までにハマスが人質を解放しなければ地獄を見ることになると、発言はエスカレートしています。
首脳会談において、石破総理からトランプ大統領に対して、イスラエルとパレスチナ自治政府による二国家解決を日本は支持することを伝えたのでしょうか。そして、ガザを米国が所有するとの発言の真意について確認はされたのでしょうか。総理の後にトランプ大統領と面談したヨルダン国王は、面談時にガザ所有に異を唱えたことを明らかにしています。また、我が国として、このような方針を支持できないことを表明するべきではないでしょうか。伺います。
さらに、共同声明では、核を含む拡大抑止の更なる強化について言及していますが、核兵器禁止条約や核軍縮については言及がありません。首脳会談において、核兵器禁止条約又は我が国のオブザーバー参加について、石破総理から何か説明はされたんでしょうか。トランプ大統領の訪日が実現した際には、被爆地を訪問いただき、被爆の実相に触れていただくべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
今回、石破総理の持論である日米地位協定の改定や米軍関係者による犯罪の防止策については言及がありませんでした。石破総理は、沖縄国際大学に米軍ヘリコプターが墜落する事故が発生した際の防衛庁長官であり、総理就任前から日米地位協定の改定に意欲を示してきました。しかし、総理就任後はトーンダウンをしています。今回の首脳会談では、この改定に向けた議論を提起したのでしょうか。
また、両政府の合意がなければ公開しないとされる日米合同委員会の議事録を、三十年経過のものは原則公開すべきと考えますが、御所見を伺います。
また、米軍関係者による犯罪について、首脳会談では、在日アメリカ兵による性犯罪が頻発している実態を伝え、綱紀粛正や、パトロールについて未実施のものは速やかに実施することや、新たな再発防止策を講ずるよう求めたのですか。お尋ねいたします。
トランプ大統領による中国への追加関税に対して中国が報復関税を発表するなど、今後も米中対立は更に厳しさを増すことが予想されます。
一方、昨年十一月の日中首脳会談、十二月の日中外相会談と、石破政権は中国との会談を重ねています。中国との対話を重ねることは評価します。とはいえ、石破政権は、トランプ政権下の米中関係にどのように関与し、地域の平和と安定にどのように寄与していこうと考えているのでしょうか。お尋ねいたします。
外交は、首脳同士の信頼関係の構築と考えます。また会いたいと言ってもらえる関係をと、帰国後、総理は述べているようですが、言うべきことを言わずに終わったことで、今後の首脳会談で突如言い出せば、手のひら返しと受け取られかねません。表向き、日米首脳会談は円満に終わったと言われますが、正直、課題が残ったと言わざるを得ません。
日米関係は、時間をかけて、政治家、経済界、民間を通して重層的に信頼関係を築いてきました。日米関係をウィン・ウィンのものとして、両国の国民が良好な関係を求めることで、関係は深化し安定し、連携は強固になり、安全保障面での抑止力も強化されます。
日米間の重層的な関係の継続的な構築、ミニラテラルやG7、EU、ASEANなどの枠組みの効果的な活用、国際社会での日本の求められる役割を自覚しながら、短期的な日米関係のみならず、長期的、国際的な国益を鑑みて、戦略的に外交を展開することの重要性を指摘して、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 武正公一議員の御質問にお答えをいたします。
埼玉県八潮市の道路陥没事故についてのお尋ねを頂戴いたしております。
一昨日、埼玉県知事から表明がありましたように、トラックの運転席の中に取り残されている可能性があり、救助活動のため、バイパスとなる下水管を設置し、汚水を迂回させる等の方針と承知をいたしております。政府といたしましても、一刻も早く救助活動や応急復旧が進みますよう、引き続き、専門家の派遣など最大限の協力を行ってまいります。
全国の下水道において同様の事故の再発防止のため、政府として、二月中に国土交通省に有識者委員会を設置し、点検手法の見直しなど、大規模な道路陥没を引き起こすおそれのある地下管路の管理の在り方などについて検討を進め、早期に結論を得て、これに基づき迅速かつ着実に対応をいたしてまいります。
その上で、本年六月目途に策定することといたしております国土強靱化実施中期計画の中で、今回の事故も踏まえた下水道の老朽化対策を含め、インフラの強靱化に必要な対策を盛り込むべく、検討を加速いたしてまいります。
尖閣諸島についてでございます。
尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土であり、解決すべき領有権の問題はそもそも存在をいたしておりません。
その上で、合衆国政府は、尖閣諸島に関する日本の立場を十分理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って緊密に連携していくとの立場であると理解をいたしており、今回も、私とトランプ大統領との間で、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることを含め、こうした合衆国の立場につきまして改めて確認をしたところでございます。
我が国としては、引き続き、領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、合衆国とも連携しつつ、尖閣諸島をめぐる情勢に対して冷静かつ毅然と対応をいたしてまいります。
成果文書における法の支配の文言についてお尋ねをいただきました。
法の支配につきましては、自由で開かれたインド太平洋の中核的な理念であり、今回の共同声明でも、自由で開かれたインド太平洋を堅持することを確認をいたしております。
また、会談の場で、私から、力又は威圧によるあらゆる現状変更への試みに強く反対する旨申し述べ、これを共同声明でも確認をいたしましたが、これはまさに法の支配の重要な要素であります。
今回の共同声明の交渉の詳細に関しましては、米側との関係もあり差し控えますが、いずれにせよ、我が国として、法の支配を重視する立場に全く変わりはなく、今回の会談では、この立場を踏まえて、様々な課題についてトランプ大統領と議論を行いました。
なお、今後の日米やG7を始めとする外交上のやり取りを受け発出される成果文書の具体的内容について、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。
二〇二七年度より後の防衛費と米国からの装備品売却についてお尋ねがありました。
現行の国家防衛戦略におきまして、防衛力の抜本的強化は将来にわたり維持強化していく必要があるとされており、今般の日米共同声明における、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくこととは、現行の国家安全保障戦略等に基づく既存のコミットメントを再確認したものでございます。
その上で、二〇二七年度より後の防衛力整備の具体的な内容につきましては、その時点での安全保障環境等を踏まえ、今後、何が必要かを検討し、実施すべき事項を積み上げるものでありまして、今般の共同声明は、二〇二七年度より後の防衛力の規模について約束したものではございません。
また、一月三十一日に、米国防省から米国議会に対して、米国政府が我が国へのSM6の売却を承認した旨通知をいたしており、トランプ大統領から具体的な装備品名について言及はなかったものの、言及のあった装備品の売却はこのことを指すものと承知をいたしております。
日米首脳会談での関税に関するやり取り及び日米貿易協定の自動車関税に関する交渉についてお尋ねをいただきました。
御指摘の今後の関税措置に関するトランプ大統領の発言については承知をいたしておりますが、今般の会談の時点ではこれらの関税措置について正式には発表されておらず、会談でも議論はなかったところでございます。
我が国としては、まずは今後明らかになる措置の具体的な内容及び我が国への影響を十分に精査しつつ、適切に対応いたしてまいります。
日米貿易協定の自動車関税に関する交渉につきましては、二〇一九年九月の日米貿易協定交渉妥結の際の共同声明で、今後の交渉については、どの分野を交渉するのか、まず、その対象を日米間で協議することとなっております。
我が国といたしましては、この共同声明等を踏まえまして、米国政府と適切な機会を捉えながら、我が国の国益が確保されますよう、引き続き真摯に取り組んでまいります。
アラスカのLNG事業についてのお尋ねをいただきました。
今般の日米首脳会談では、相互に利益のある形で、日本へのLNG輸出増加も含め、両国間でエネルギー安全保障の強化に向けて協力していくことを確認いたしました。
米国からは、既に年間五百万トンを超えるLNGを輸入しております。今後、更なる購入について、経済性、供給開始時期、供給量等を踏まえまして、官民で検討していくことを想定しておるところでございます。
アラスカLNGプロジェクトにつきましては、パイプラインの建設動向など、本プロジェクトの詳細について米国関係者からよく状況を伺う必要がございます。今後の進め方につきましては、日米相互の利益をどう実現するかなどの論点を、まずは日米の民間事業者間で議論する必要があるものと考えておりまして、経済産業省を中心に議論を促してまいります。
会談における為替のやり取りと、政府、日銀の共同声明についてでございますが、今般の首脳会談では、日米経済関係について様々な議論を行いましたが、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから、為替に関するやり取りについて申し上げることは差し控えさせていただきます。その上で、会談後のトランプ大統領との共同記者会見において、私から、為替については、第一次トランプ政権時と同様に、専門家である日米の財務大臣の間で緊密な議論を継続させていくこととする旨を申し上げたところでございます。
日本経済については、円安などに伴う輸入物価の上昇もありまして、賃金上昇を通じた持続的な物価上昇へ移行する途上にございます。日本銀行は、こうした認識を政府と共有しつつ、二%の物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて金融政策運営を行っているものと承知をしております。政府と日銀が共同声明に沿って引き続き連携を続けていくことは重要と考えており、現時点におきまして共同声明を見直すことは考えておりません。
為替変動による支出増額を回避するための方策についてお尋ねをいただきました。
当初予算作成時に見込んだ為替レートと支払い時の実際の為替レートとの差額は常に生じますことから、国際機関への分担金、拠出金を御指摘のように当初予算に計上したとしても、必ずしも為替レートの影響による支出増が小さくなるわけではありませんが、国際情勢等を総合的に勘案した適切な額を当初予算に計上し、財政法第二十九条に基づき、概算要求後に生じた事態に適時的確に対応するために必要な経費を補正予算に計上してきております。
同様に、米国が防衛装備品等を有償で提供する制度、FMSにつきましては、御指摘のように、複数年度にわたる支払いを避けたとしても、必ずしも為替レートの影響による支出増が小さくなるわけではありませんが、装備品の中には、完成までに複数年度を要するため、後年度負担を伴う予算により調達するものもあり、製造の進捗等に応じた支出すべきタイミングで適切に支払いを行ってきておるところでございます。
外為特会は、為替介入等に備えて保有する外貨資産を管理するためのものでありますことから、直接的に外貨建ての支出を行うことは特別会計法上認められておりません。しかしながら、政府が外貨建てで送金する際に、外為特会の保有外貨を市場レートで両替することで手数料を節減するといった工夫に努めておるところでございます。
パリ協定、WHOの扱い、国際協調についての議論、日米関係の黄金時代の趣旨についてでございます。
日米両国、そして国際社会が直面する課題は多岐にわたり、当然のことながら、今回の首脳会談でそれら全てを取り上げることはできませんでしたが、自由で開かれたインド太平洋を堅持し、世界に平和と繁栄をもたらすとの首脳間の共通認識を踏まえ、今後、両国政府間で話し合っていきたいと考えております。
首脳会談の共同声明でうたいました黄金時代とは、インド太平洋地域の平和と安定の基盤であります日米同盟を一層強化し、日米関係を新たな高みに引き上げていくことを通じまして世界の平和と繁栄に貢献していく、そうした日米首脳の決意を示した表現でございます。
米国が国際社会において果たし得る役割は、引き続き重要であります。我が国といたしましては、自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けた米国との緊密な連携を確保すべく、引き続き様々なレベルで意思疎通を重ねてまいります。
米国による鉄鋼、アルミニウムへの関税措置についてでございます。
御指摘の米国による鉄鋼、アルミニウム製品に対する関税措置につきましては、先般の首脳会談の時点では正式に発表されておらず、会談では議論はなかったところでございます。
その上で、米国政府には、米国時間二月十一日以降、在米国日本大使館や外務本省を始め様々なレベルで措置の対象から我が国を除外するよう申入れを行ってきております。
御指摘の経済的影響を予断することは差し控えますが、我が国といたしましては、これらの措置の内容や我が国への影響を十分に精査しつつ、引き続き必要な対応を行ってまいります。
日本製鉄によるUSスチールへの投資計画についてのお尋ねをいただきました。
首脳会談では、本件について、具体的な出資割合に関する議論はございませんでした。本件は、どちらかが一方的な利益を得るというような単なる買収ではなく、日本の技術と資金を活用して米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求める優れた製品を共に生み出し、日米が共に利益を得る、いわばウィン・ウィンの関係になるものにしよう、このような認識を共有したところでございます。
具体的な計画につきましては、民間の関係者において検討、調整が進められていくものと考えており、政府といたしましては、必要に応じて、関係者間の意思疎通の促進に努めてまいります。
北朝鮮問題についてのお尋ねをいただきました。
今般の日米首脳会談では、北朝鮮情勢について認識を共有し、核、ミサイル問題に共に対処する必要性、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを確認をいたしました。
今般の会談を踏まえ、首脳間を始めとする強固な信頼、協力関係の下、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き、日米間の様々なレベルで意思疎通を行い、緊密に連携をいたしてまいります。
拉致問題についてでございますが、今般の日米首脳会談では、私から、いまだに肉親と再会することができない拉致被害者御家族の苦しみ、切実な思いを大統領に直接伝達をいたしました上で、一日も早くこの問題を解決したいという決意を伝え、大統領に対しまして、米朝間の交渉の可能性も念頭に、改めて理解と協力を求めたところでございます。
これに対しまして、トランプ大統領から拉致問題の即時解決に向けた全面的な支持を得たことは大きな成果であり、このことは、拉致問題の解決に向けた我が国の主体的取組に寄与するものであったと考えております。
首脳会談でのやり取りについてこれ以上の詳細をお答えすることは差し控えますが、日米の強固な信頼、協力関係の下、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現いたしますとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、私自身の強い決意の下、政府として総力を挙げ、最も有効な手だてを講じてまいります。
トランプ大統領のパレスチナに関する発言等についてでございますが、日米両国、そして国際社会が直面する課題は多岐にわたり、今回の首脳会談で、ガザ情勢、中東和平について取り上げることはできませんでした。しかしながら、自由で開かれたインド太平洋を堅持し、世界に平和と繁栄をもたらすとの首脳間の共通認識を踏まえ、今後、両国政府間で話し合ってまいりたいと考えておるところでございます。
その上で、御指摘のトランプ大統領の一連の発言については承知をいたしておりますが、これは米国内におきましても様々な議論がある現段階におきまして、大統領による発言の逐一について日本政府として見解を述べることは適切ではないと考えております。その推移を注意深く見極めてまいります。
なお、我が国として、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する二国家解決を支持する立場に全く変わりはございません。関係国、機関とも緊密に意思疎通をしながら、喫緊の人道支援に加え、中長期的な復旧復興支援においても積極的に役割を果たしてまいります。
核軍縮等に係るやり取り及びトランプ大統領の被爆地訪問についてお尋ねをいただきました。
先般の日米首脳会談では、核兵器禁止条約及び締約国会合へのオブザーバー参加については特段のやり取りを行ってはおりません。
そもそも、核兵器禁止条約締約国会合へのオブザーバー参加の是非は、日本政府として主体的に判断すべきものでございます。
従来から申し上げておりますとおり、核兵器禁止条約締約国会合に関する対応につきましては、これまでオブザーバー参加をした国々の状況等に関する検証を行った上で、政府として適切に判断をいたします。
また、首脳会談の際、私はトランプ大統領に早期の訪日を招請しましたが、国内での訪問先を含め、それ以上の詳細について現時点では決まっておりません。
日米地位協定、日米合同委員会の議事録の公開及び在日米軍による性犯罪についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
さきのトランプ大統領との首脳会談におきましては、まずは強固な信頼関係を築くことを重視し、安全保障分野を含む日米関係全般について意見交換を行い、日米同盟の抑止力、対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携して向き合っていくことで一致をいたしました。私から、沖縄の負担軽減の必要性を説明をいたしたところでございます。
日米合同委員会の合意事項や議事録は、日米双方の同意がなければ公表されないこととなっておりますが、国民の皆様への説明責任を果たしていくことは重要である、このように考えておりまして、公表できるものは公表いたしますよう努めてまいります。
米軍関係者による事件、事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものでございます。米側に対しましては、在日米軍の綱紀粛正と再発防止の徹底を働きかけており、引き続き、こうした働きかけを行うとともに、日米間で協力をいたしてまいります。
米中関係についてでございます。
米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要であると考えております。また、地域における法の支配、平和と安定を日米の協力の下で適切に維持していくことは、日米のみならず国際社会全体にとっても極めて重要であります。
引き続き、同盟国である合衆国との強固な信頼関係の下、中国に対しまして、地域の平和と安定のために、その立場にふさわしい責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
以上でございます。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 和田有一朗君。
〔和田有一朗君登壇〕
○和田有一朗君 日本維新の会の和田有一朗です。
党を代表し、石破総理による米国訪問の帰朝報告について、全て総理に質問をいたします。(拍手)
自由で開かれた国際秩序が大きく揺らぐ中、初顔合わせの日米両国首脳が結束し、日米関係の新たな黄金時代に向けて、安全保障や経済、エネルギーなど、多面的に協働していくとともに、世界の平和と安定のために堅固な日米同盟を一層深化させると宣言した意義は大きいと思います。安倍元総理が第一次政権時代のトランプ大統領との間で築き上げた遺産もありましょうが、成果を収めたと率直に評価をいたします。私個人といたしましては、オール・ジャパンの総力戦を支えた外務省を始めとする官民全ての皆さんに敬意を表したいと思います。
とはいえ、米国第一主義を掲げ、安全保障問題すらディールの対象とし、予測不能の言動で混乱をもたらす大統領の基本姿勢は変わりません。今後、日本に厳しい要求を突きつけてくることは想像に難くなく、心して向き合っていかねばなりません。
共同声明では、自由で開かれたインド太平洋の堅持や、台湾海峡の平和と安定維持の重要性、米国の核兵器を含む戦力で日本を守る拡大抑止の更なる強化や、日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用などが改めてうたわれました。トランプ大統領は、共同記者会見で、米国の抑止力、能力を使って友好国、同盟国を一〇〇%守るとも表明しました。表層的に、安全保障については満額回答と言える内容だと思います。
ただ、政府は、殊更、日米安保条約第五条の尖閣適用を米国に確約してもらうことを重視しますが、尖閣は一義的に日本が独自で守ることが求められているのは言うまでもありません。
二〇一五年に改定された日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインにおいて、日本の国民及び領域の防衛は我が国が主体的責任を持つとはっきり書かれています。拡大抑止の前提となる打撃力の使用も、米軍は、自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦を実施できるとしていますが、厳密に言えば、米国が打撃力の使用をフルに約束したわけではありません。
ゆえに、日米両国が実質的な信頼関係を高めていくことが死活的に重要かと考えますが、見解を求めます。
一方、今回の首脳会談では、拡大抑止の強化に関して具体的に議論されましたか。日本がロシア、中国など専制主義国家の核の脅威にさらされている中、米国の拡大抑止の信頼性を制度的に担保すべきではないでしょうか。
トランプ政権は、同盟国との協調より同盟国自身の努力を一層強く促す戦略が際立っています。トランプ大統領が、二〇二七年度に防衛費をGDP比二%規模とする日本の方針を評価し、日本の更なる取組に期待感を示したのも当然です。コルビー国防次官は日本の防衛費についてGDP比三%を主張しており、米国からの増額要求は不可避と見られます。
日本の安全保障環境は、新たな悪の枢軸というべき中国、ロシア、北朝鮮、イランが結束を強めるなど、岸田前政権が二二年末に国家安全保障戦略など戦略三文書を決定した時点より明らかに悪化し、局面が変わったと考えますが、認識をお伺いします。
共同声明では、日本が二七年度以降も抜本的に防衛力を強化していく方針が示されましたが、現状、二七年度以降の防衛費について、GDP二%を維持するのかも含めて白紙ということが政府の立場でしょうか。米国に言われるまでもなく、防衛のために日本が主体的かつ適切に判断し、必要なら最優先に予算配分をして万全な抑止力を整備していくことは当然ではないですか。
トランプ氏の根源に流れる価値観、行動原理をつぶさに分析した上で、いかなる理不尽な恫喝があろうとも、その要求を巧みに活用しつつ、日米が共に強い防衛体制を構築できるよう、上手を行く対応が求められていると考えますが、見解を求めます。
共同声明では、日米豪印の安全保障枠組み、クアッドや、日米韓、日米豪、日米比といった多層的で共同歩調の取れた協力を推進するとされました。第一列島線防衛における台湾の戦略的重要性を踏まえれば、日台、日本と台湾を非政府間の実務関係にとどめておくのは極めて不合理です。
日本のリーダーシップによる政治的決断で日米台の連携メカニズムを早急に構築し、日本から韓国、台湾、フィリピン、豪州へと連なるアジア太平洋地域の同盟国、友好国による切れ目のない強靱な集団防衛体制を整えるべきではありませんか。
首脳会談では中国と北朝鮮への脅威が共有されましたが、トランプ大統領は敵対国とも右手にこん棒を持ちながら左手で握手をする、そういうふうに言われています。
中国との間では、二月以降、互いに高関税をかけ合う様相を呈していますが、トランプ政権の対中外交の方向性や台湾問題への立場は不透明です。現状をどのように認識されておられますか。
北朝鮮との間では、トランプ大統領が再び金正恩総書記と直接交渉を行い、日韓両国に断りなく北朝鮮の核保有を事実上認める形で関係改善を進めてしまうと、北朝鮮の非核化が後退し、東アジアの安全保障に深い影を落とします。
首脳会談でトランプ大統領に核保有国発言の真意を問うなり、撤回を求めるなりされたのですか。米朝が直接ディールに動く前に、最重要課題である拉致問題の解決を含めて、日本の立場を改めてトランプ政権とすり合わせておくべきだと考えますが、認識を伺います。
トランプ政権は、北米、南米大陸、つまり、南北での不法移民対策などの安全保障に最大の重きを置き、東西では中国との大国間競争に傾斜をしています。
日本にとって、アジア太平洋地域の平和と安定のために、いかにトランプ大統領を最大限巻き込み、日米同盟が大きな得となるかを理解、行動させていくことが重要な課題だと考えますが、御所見を求めます。
トランプ大統領は、パリ協定やWHOからの離脱方針、グリーンランド買収、パレスチナ・ガザ地区の所有発言など、国際法や国際ルールに背を向ける振る舞いを続けています。しかし、トランプ大統領の再登板により、より不確実性を増す国際情勢や国際協調の必要性について、首脳会談で踏み込んだ議論がなされた形跡はありません。
これらについて、総理はトランプ大統領に遠慮して話さなかったんですか。また、御自身は問題意識を持たれているんでしょうか。
総理は、今回の首脳会談前に、民主主義陣営の普遍的価値である法の支配の重要性をトランプ大統領と確認する意向を示していました。
ところが、共同声明では、菅、岸田両政権時代の共同声明には明記されていた法の支配という文言が抜け落ちてしまいました。それはなぜですか。首脳会談で総理は法の支配に全く触れなかったんですか。それならば、理由を説明してください。
トランプ大統領は、日本など百二十五の国、地域が加盟するICC、国際刑事裁判所職員らに制裁を科す大統領令に署名しました。ICC加盟国のうちフランスやドイツなど七十九か国・地域も、ICCを支持する共同声明を出しました。しかし、最大の分担金拠出国の日本はこれに加わっていません。法に基づく国際秩序の重要性を主張してきた日本の対応としては、理解に苦しみます。
我が国はなぜ声明に加わらなかったのですか。直後に控えていた日米首脳会談への影響を懸念したのですか。制裁の撤回に向けて日本が何らかの外交的アクションを起こす考えはありませんか。
日本製鉄のUSスチール買収計画については、買収ではなく投資とすることで合意に至りました。最終決着は見通せませんが、日鉄への門戸を閉ざしていた前政権の判断を覆す上で、ひとまず前進であると受け止めます。
買収ではなく投資とすることについては、総理が日鉄側との調整の上でトランプ大統領に提案したと伝えられていますが、事実関係をお伺いいたします。
投資が示す意味は明確になっていません。日鉄の出資比率が過半数に至らなければ、USスチールの経営権を完全に握れず、日鉄の意に沿う投資ができなかったり、日鉄が持つ高い技術が流出したりする事態も想定されますが、いかに認識をされておられますか。
このまま日鉄の買収計画が撤回され、バイデン前大統領らへの提訴も取り下げられた場合、日本企業による米国企業の買収は今後も阻まれるおそれがあるとして、日本企業の米国での企業買収の動きが萎縮しかねないのではありませんでしょうか。日本の企業、経済、国益にとって、それでいいんでしょうか。
総理は、トランプ大統領に対し、日本企業の対米投資を約二五%増の一兆ドル、すなわち約百五十一兆円規模にまで引き上げると約束しました。
具体的に何を根拠にその数字を示したんですか。単なる努力目標なんでしょうか。この対米公約の実現見通しについて、総理は九日のテレビ番組で、民間がやること、政府がどうのこうの言うことじゃないと述べましたが、このような他人事の姿勢で、一体どのようになし得るおつもりでしょうか。
同盟国にも振りかざすトランプ大統領の高関税政策は、国際協調と自由貿易という戦後秩序の二大原則を揺るがしつつあります。トランプ大統領は、対日貿易赤字が削減されなければ日本に対して関税措置を取ることを検討する考えを示しました。既に、米国に輸入されている鉄鋼、アルミ製品に二五%の関税を課すことを決め、高関税の貿易相手国に同水準の税率を適用する相互関税の措置も導入する方針です。日本が相互関税の対象になるか不明ですが、日本は、工業製品では化学分野などごく一部を除いてほぼ関税を撤廃済みです。
ただ、農業分野では関税が残されており、米国から圧力を受ける可能性は否定できません。特に、牛肉と自動車の関税をバーターして取引される懸念があり、自動車関税が牛肉関税と同等に引き上げられた場合、日本経済への影響は計り知れません。トランプ大統領は、日本が輸入車の安全性や環境性能を厳しく評価していることを批判し、相互関税ではこうした非関税障壁の緩和を求めてくる可能性があります。
総理は、現状をいかに認識し、日本がそれを回避するためにどのような対策を講じていくお考えでしょうか。
トランプ大統領は、第一次政権時代、米軍駐留経費の大幅な負担額引上げを当時の安倍総理に要求した経緯があり、在日米軍駐留経費などをめぐるディールで関税圧力をかけてくる可能性は排除できません。
大統領の最優先課題は米国の利益拡大であり、日本は、あらゆる事態を想定し、トランプ氏とのディールに対する戦略を入念に準備すべきだと考えますが、総理の認識と覚悟を伺います。
最後に、共同声明にうたわれた、国際機関への台湾の意味ある参加への支持についてお尋ねをいたします。
台湾は、米国がトランプ第一次政権時に脱退したCPTPPと、トランプ第二次政権の発足とともに離脱したWHOへの加入を強く求めており、いずれもボールは日本にあると言えると思います。日本は台湾の双方への参加に対して真剣に向き合う必要がありますが、総理の決意をお伺いしたいと思います。
私は、長年、日本と台湾の友好交流活動に力を注いできました。石破総理に対する台湾の皆さんの期待は大変大きいと私は実感してきました。しかし、信頼を得るのには時間がかかりますが、失望され信頼を失うのは一瞬です。台湾の人たちは日本の対応をしっかりと見ています。我が国日本と台湾の両国が共に未来永劫、発展、繁栄するためには、世界の中で最も身近で、隣人である台湾の人たちの期待を裏切らないことが大切です。
そのことをお願いして、私からの質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 和田有一朗議員の御質問にお答えを申し上げます。
日米間の信頼関係と拡大抑止についてでございます。
今般の日米首脳会談では、同盟の抑止力及び対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携の上、対処していくことで一致をいたしました。
拡大抑止に関しましても、トランプ大統領から、米国による核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントが強調されました。
我が国が、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面し、現実に核兵器などの日本に対する安全保障上の脅威が存在する中で、こうした脅威に対応するためには、我が国自身による防衛努力に加えて、米国が提供する核を含む拡大抑止が不可欠であります。
今後とも、米側との信頼関係の維持強化に向けた取組を進めますとともに、昨年十二月に日米で作成した拡大抑止に関するガイドラインも含め、日米拡大抑止協議を含む様々なレベルでの協議を通じ、拡大抑止の強化に向けた取組を引き続き進めてまいります。
安全保障環境への認識、二〇二七年度以降の防衛費についての立場、日米の防衛体制構築についてであります。
国際秩序に大きな挑戦がもたらされ、国際社会におきましては分断と対立が続いております。
我が国の周辺国、地域におきましても、核・ミサイル能力の強化、急速な軍備増強、力による一方的な現状変更の試み、ロ朝協力の進展などの動きが一層顕著になっており、我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると認識をいたしております。
その上で、二〇二七年度より後の防衛力整備の具体的内容及び防衛費の規模につきましては、その時点での安全保障環境等を踏まえまして、今後、何が必要かを検討し、実施すべき事項を積み上げてまいりますが、これはあくまで我が国自身の判断で決定していくことは言うまでもございません。
その際、米国には米国、日本には日本の国益があり、これをお互いに追求することは当然のことであります。だからこそ、率直に意見を交わし、両者の国益を相乗的に高め合うことが最善と考えておりまして、防衛体制の構築につきましても、このようなアプローチで臨んでまいります。
台湾との関係、同盟国、友好国との防衛体制整備についてのお尋ねをいただきました。
我が国の台湾に関する基本的立場は、一九七二年の日中共同声明を踏まえ、日台関係を非政府間の実務関係として維持していくということで一貫をいたしております。政府といたしましては、この基本的立場を踏まえながら、引き続き、日台間の協力、交流の更なる深化を図ってまいります。
具体的には、安全保障に関するものも含めまして、台湾をめぐる状況に関し情報収集などを行う等、幅広い分野で台湾との実務的な情報共有や協力関係を積極的に推進をいたします。
また、切れ目のない安全保障体制を実現していく観点からは、同盟の抑止力と対処力の維持強化や、同盟国、同志国との連携を一層進めていくことが重要でございます。
今般の共同声明におきましても、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた絶え間ない協力の決意を表明し、その一環として、日米豪印、日米韓、日米豪、日米比といった多層的で共同歩調の取れた協力を推進していくことを確認いたしたところでございます。
こうした姿勢を貫き、日米同盟を基軸に、友好国、同志国の輪を広げますとともに、各国との対話を進め、地域及び国際社会の平和と安定に貢献すべく、外交努力を続けてまいります。
米国の対中外交、台湾に関する立場についてでございます。
米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要であると考えております。
先般の首脳会談におきましても、トランプ大統領との間で、東シナ海や南シナ海等における力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対すること、台湾海峡の平和と安定が重要であることを確認をいたしました。
我が国といたしましては、引き続き、同盟国である合衆国との強固な信頼関係の下、中国に対して、その立場にふさわしい責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
北朝鮮問題についてでございますが、今般の会談では、北朝鮮情勢について認識を共有し、核、ミサイル問題に共に対処する必要性や、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを確認したところでございます。
今般の会談を踏まえ、首脳間を始めとする強固な信頼、協力関係の下、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き、日米間の様々なレベルで意思疎通を行い、緊密に連携をいたしてまいります。
アジア太平洋地域への米国の関与及び日米同盟の意義についてでございます。
日米同盟は、インド太平洋地域の平和と繁栄の基盤であります。地域におけるパワーバランスが歴史的変化を遂げる中にありまして、日米の協力を更に具体的に深化させ、合衆国の地域へのコミットメントを引き続き確保していかなければなりません。
こうした考えを踏まえ、トランプ大統領との間で、率直な意見交換を行い、厳しく複雑な安全保障環境に関する情勢認識を共有いたしますとともに、日米同盟を新たな高みに引き上げていくこと、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて緊密に協力していくことが、日米双方の国益にとって重要であるとの認識を共有いたしたものでございます。
パリ協定、WHO、グリーンランド、ガザ情勢などについての扱い及び法の支配の文言についてお尋ねを頂戴いたしております。
日米両国、そして国際社会が直面する課題は多岐にわたっておりまして、当然のことながら、今回の首脳会談でそれらの全てを取り上げることはできませんでしたが、自由で開かれたインド太平洋を堅持し、世界に平和と繁栄をもたらすとの首脳間の共通認識を踏まえ、今後、両国政府間で話し合ってまいりたいと考えております。
法の支配につきましては、自由で開かれたインド太平洋の中核的な概念でありまして、今回の共同声明でも、自由で開かれたインド太平洋を堅持することを確認をいたしております。
会談の場で、私から、力又は威圧によるあらゆる現状変更への試みに強く反対する旨を申し述べ、これを共同声明でも確認いたしたところでございますが、これはまさに法の支配の重要な要素であります。
共同声明の交渉の詳細に関しましては、米側との関係もあり差し控えますが、我が国として、法の支配を重視する立場に一切変わりはなく、この立場を踏まえて、様々な課題についてトランプ大統領と議論を行ったところでございます。
アメリカによりますICCへの制裁への対応等についてでございます。
御指摘の共同声明に関する我が国の対応につきましては、様々な要素を総合的に勘案した上で決定したものでありますが、我が国は、重大な犯罪行為の撲滅と予防、法の支配の徹底のため、世界初の常設国際刑事法廷であり、元最高検検事で我が国出身の赤根智子氏を所長とする国際刑事裁判所、ICCを一貫して支持しておるところでございます。
そのICCが独立性を維持し、安全を確保しながらその活動が全うできますよう、今後の関連の動向を重大な関心を持って引き続き注視をいたしてまいります。
合衆国とは様々なレベルで意思疎通を行っておるところであり、引き続き、合衆国、ICC、ほかの締約国とも意思疎通を行いながら、適切に対応いたしてまいります。
日本製鉄によるUSスチールへの投資計画についてでございます。
今回の首脳会談では、事前の関係者間での議論も踏まえ、本件は、どちらかが一方的に利益を得るというような単なる買収ではなく、日本の技術と資金を活用して米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求める優れた製品を共に生み出し、日米が共に利益を得る、いわばウィン・ウィンの関係になるものにしようとの認識を共有したところでございます。
具体的な計画につきましては、民間の関係者において検討、調整が進められていくものであり、政府といたしましては、必要に応じて、関係者間の意思疎通の促進に努めてまいります。
揺るぎない日米関係の下で、日米両国の企業が安心して両国に投資を行うことができるよう、今後とも取り組んでまいります。
対米投資についてでございますが、今回の会談におきまして、トランプ大統領に対し、日本企業による対米投資額を現在の七千八百三十億ドルから一兆ドルへといういまだかつてない規模まで引き上げたい、そのために共に取り組んでいきたいとの意思をお伝えしたところでございます。
日米の緊密な経済関係を更に拡大、発展させる余地は大きく広がっておると考えておりまして、今後、良好なビジネス環境が維持強化されれば、自動車分野に加えまして、AIや先端半導体、あるいはエネルギーなどの分野におきまして対米投資が進んでいくものと想定をいたしております。
期限を切ってはおりませんが、こうした民間の投資を政府において適切に把握し、必要に応じて、両国における環境整備を進めてまいります。
関税措置についてでございます。
トランプ大統領の関連の発言については、当然、承知をしております。
我が国といたしましては、まずは今後明らかになる措置の具体的な内容及び我が国への影響を十分に精査しつつ、適切に対応いたしてまいります。
トランプ大統領の外交姿勢と我が国の対応についてでございます。
トランプ大統領の外交手法、我が国のあり得べき対応について、現時点で予断をすることは差し控えたいと思いますが、その上で、合衆国には合衆国の国益があり、日本には日本の国益がある、当然のことでございます。これをお互いに追求するのは極めて当然のことでございます。だからこそ、率直に意見を交わし、両者の国益を相乗的に高め合うことが最善であり、そうした議論を通じて同盟を更なる高みに引き上げたい、このように考えております。
台湾のCPTPP及びWHO加入についてのお尋ねをいただきました。
CPTPPの新規加入に当たりましては、台湾を含め、加入要請エコノミーが協定の高い水準を完全に満たすことができ、加入後の履行においても満たし続けていく意図と能力があるかについて、まず適切に見極める必要があるものと考えております。
我が国といたしまして、台湾による加入要請を歓迎しておりますが、加入要請を提出したエコノミーの扱いにつきましては、ほかの締約国ともよく相談をしつつ、戦略的観点、国民の理解も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。
我が国は、台湾のWHO総会へのオブザーバー参加を一貫して支持をいたしております。今般の日米首脳共同声明におきましても、国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明いたしました。引き続き、台湾のオブザーバー参加の実現に向け、関係国と連携をし、WHOに働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
―――――――――――――
○副議長(玄葉光一郎君) 深作ヘスス君。
〔深作ヘスス君登壇〕
○深作ヘスス君 国民民主党・無所属クラブ、深作ヘススです。
会派を代表して、石破総理大臣の帰朝報告に対して御質問をいたします。全て総理に御質問をいたします。(拍手)
まず冒頭、日本時間未明に行われました米ロ首脳会談におきまして、報道では、トランプ氏がロシアのプーチン大統領と一時間半にわたって会談をし、その直後にウクライナのゼレンスキー大統領とも会談、両国の戦闘を停止し、平和的手段による解決を目指すと語ったことを明かしています。昨日十二日にはベッセント財務長官、明日十四日にはバンス副大統領、ルビオ国務長官がゼレンスキー大統領と会談予定で、約三年間にわたって続いた戦いが新たな局面を迎えています。トランプ氏は大統領就任前に、自分ならば二十四時間以内に戦いを止めることができると話していましたが、実際に、アメリカの仲介により停戦の可能性が出てきました。
日米首脳会談の中でロシアについても議論をされたことと思いますが、日本政府は、今回の停戦、仲介に向けたアメリカの動きを事前に承知をされていたのでしょうか。また、平和的解決の前進に向け、我が国はどのような立場で、どのような役割を担うとお考えでしょうか。
事態が急転をする中で、現状の把握に努め、分析、評価の過程であると推察をいたしますが、積極的に和平プロセスに関与し、平和国家として平和を希求するその思いを総理には行動でお示しをいただきたいと思います。
今回の日米首脳会談は、不変で強固な日米同盟を再確認し、両国間の関係深化は当然のことながら、マルチの枠組みを重要視しないと言われてきたトランプ大統領が多国間の連携に言及をし、二国間関係のみならず、日米を軸とする多国間連携が今後も安定して継続することを内外に示すことで、日米間や両国を軸とした枠組みに綻びを見出そうとする国々に明確なメッセージを示すことができたとも前向きに捉えています。
隣国や周辺諸国との歴史的な関係性よりもディールを優先するトランプ氏の政治手法に、我が国も高い要求を突きつけられるのではないかといった不安は杞憂に終わり、両首脳間の関係構築の第一歩として、まずは順調な船出を見届けることができたと評価をしています。また、共同声明には当局間の積み重ねてきた努力の成果がかいま見え、首脳間のみならず、日米両国の国家間の連携が強固であることが明らかになった点も今回の成果であったと考えます。
今回の会談はおおむねこれまでの外交方針を確認をする形となりましたが、新たな懸案事項、かつ、今回の会談でも持ち帰りとなったUSスチール買収問題についてお伺いをいたします。
昨年のバイデン政権の買収阻止命令から、トランプ氏の就任後、大幅に米国の態度が軟化し、日本製鉄とUSスチール連携の可能性が見えてきたことは評価ができますが、今後行われるとされるトランプ氏と日本製鉄幹部との面会に日本政府はどのように関与するのか、お答えください。
政府はこれまで民間のことは民間に委ねるという趣旨の発言をされていますが、本件に関して、アメリカ側は政権が積極的に意思決定に関与しており、既に民間同士の対話というレベルを超えています。対等な交渉ができるよう側面支援をすることが重要であると考えますが、政府の具体的な取組をお示しください。
自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値の共有が、日米間の揺るぎない関係を構築する礎となっています。
令和三年に米国主催で行われた民主主義のためのサミットで、当時の岸田首相は、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観を損なう行動に対して、有志国が一致してワンボイスで臨んでいかなければならないと発言をされています。この方針は石破政権においても維持をされているのでしょうか。
日米首脳会談直後に、トランプ大統領は、メキシコ湾をアメリカ湾と呼称変更をする大統領令に署名をいたしました。この名称変更は一方的な現状変更を試みるものと考えられますが、本事案に対し、政府はどのような立場を取るのでしょうか。
我が国では、国際的に確立をされた呼称、そして表記である日本海の呼称を変更しようとする試みに直面をしており、一方的な現状変更には断固たる姿勢で臨まなければなりません。そして、この原則は、同盟国であるアメリカに対しても徹底をすることが必要であると考えます。同盟国のこのような現状変更の試みを黙認をすれば、我が国が直面をする課題に対して向き合う際の正当性が問われることとなります。
メキシコ湾の呼称問題だけではなく、トランプ氏は、カナダを五十一番目の州にすることを考えていると発言し、就任前の一月七日の記者会見では、グリーンランドの購入に向け軍事力や経済的な手段の行使も排除しないと表明をしています。パレスチナのガザ地区についても、平和のための手段としてアメリカが長期的に所有をし再建をすると発言をしています。
どれも法の支配や自由の尊重といった基本原則から逸脱をするもので、民主プロセスを経ずに現状変更を進めようとしていると国際社会は捉えています。これら基本的価値に対する挑戦とも取れる行動に、我が国はどのように向き合い、どのような具体的行動を取るのか、総理にお聞きしたいと思います。
トランプ氏は、首脳会談後の記者会見で、日本が今後記録的な量のLNGを輸入すると発言し、アラスカにおける日米の共同事業についての言及がありました。これは、日米間の経済的連携を更に強めることはもちろん、アラスカからの輸入となれば、地理的側面から運搬にかかる時間やコストを抑えることができる可能性があり、何よりも地政学リスクの回避ができること、そして同盟国からエネルギーを輸入することとなり、安全保障の観点からも歓迎をしたいと思います。
他方で、一千三百キロ以上にわたるパイプラインの敷設や港湾の整備、LNG基地建設など、莫大なインフラへの投資が必要となり、それら費用の価格が転嫁をされ割高になる可能性もあります。購入する際の価格やその量など、今後の契約が大変重要となります。
今回の首脳会談では大まかな方向性が示されましたが、今後、我が国はこの共同事業に対しどのように参画をしていくのか、現在の見込みと今後の輸入が開始をされるまでのロードマップをお示しいただくとともに、日本にどのような負担が求められるとお考えか、総理にお伺いいたします。
今回、総理は、米国と経済的な連携を強めるために、日本が米国への投資を拡大することをトランプ大統領に約束をしてこられました。総理御自身も、会談の端々で、交渉はウィン・ウィンであるべきだと発言をされていました。私もそのとおりだと思います。今回、日本の民間投資がアメリカのウィンとなったのであれば、今回のこの首脳会談における日本のウィンは何だったのでしょうか。
日米首脳会談冒頭、記者を交えた会談の中で、総理は、忘れ去られた人々、フォーガットンピープルに光を当て、夢と希望を見出せる社会をつくろうとしていることが両首脳の共通点であると語られました。私も、その総理のお考えに賛同し、忘れ去られたと感じている人々の光となるためにも政策実現に全力を尽くしていきたいと考えています。
総理は、地方の過疎化が進み、そこに取り残された人というコンテクストでお話しになりましたが、忘れ去られた人は過疎化が進む地域だけにいるわけではありません。
私は、川崎市の宮前区で育ち、現在は横浜市の都筑区に在住をしています。今回立候補した神奈川十九区は、日本で唯一、政令指定都市をまたぐ小選挙区であり、私が育った川崎市宮前区、そして子供たちの故郷となる横浜市都筑区、これらを包含した、私にとって国家の原風景です。令和に入ってからも微増ではあるものの人口増が続く地域ではありますが、この地域にも、忘れられている、私たちは忘れられていると感じている人たちがいます。
就職氷河期時代に生まれ、時の経済状況によって正規雇用という選択肢が取れなかった現役世代。生まれたときから失われた時代の中だけで暮らし、経済の成長、発展という言葉を実感したことがない世代。人口ピラミッドで圧倒的マイノリティーとして、声を上げたって私たちの声は届かない、政治は私たちの方を向いていない、そう感じながらも、日々の当たり前の生活を、その生活の中にあるささやかな幸せを紡いでいきたいと懸命に生きる多くの人々にも私は光を当てたいと考えています。
今、国民民主党に現役世代を中心に支持が集まっていることを実感をいたします。それは、純粋に私たちの政党を支持しているということではなく、忘れ去られた多くの現役世代の悲痛な叫びです。政局のはざまで駆け引きにされるような政策ではなく、真に私たちが求める政策実現をしてほしい、そんな悲痛な叫びが多くの皆さんからの支持となり、今、私はここに立っていると考えています。
日本は、実質消費が二年連続でマイナスに陥り、物価高は三年以上にわたって続いています。
現在、米国が貿易相手国にしかけている関税により輸入物価が上昇をし、今後、米国のインフレが加速することが考えられます。そして、そのインフレの対応として金利が引き上げられ、それが更なるドル高を誘発すると、金利の高いアメリカに世界中からお金が集まることになります。
その結果、円安は加速し、今度は日本の輸入物価が上昇することでアメリカのインフレが日本に輸出される形となると考えますが、総理は、現在アメリカが進めようとしている政策の余波をどのように認識し、どのように対応されるのか、お答えください。
円が安くなれば、現在もウナギ登りに増えているインバウンドは加速するかもしれません。これまで政府もインバウンド促進のための施策を実施し、これは成功していると評価をします。ただし、インバウンド消費がGDPに占める割合は一%程度です。我が国においてGDPの約六割を個人消費が占めており、仮にインバウンド消費が倍増しようとも、個人消費の微増の方がはるかに大きなインパクトをもたらします。GDPの六割を個人消費が占める我が国は、主要国の中でも極めて内需主導型の国であり、国民の手取りを増やすことが国内産業の生産力を高めることにつながり、それが経済の発展につながります。
この個人消費の原資となる手取りを増やす方法として、昨年十二月、自公国三党間の幹事長合意で、百三万円の壁を百七十八万円を目指して引き上げることが合意をされました。基礎控除を引き上げ、手取りを増やすことは、家計に対する支援でもありますが、内需主導型の経済の我が国においては同時に生産能力を高めることにもつながります。もし仮に、今後、米国主導の保護主義が台頭する時代が来ても、それに対応できる体力をつけることにもつながります。昨日、この百七十八万円を目指すとした三党合意に関し新たな報道がありました。国民の皆さんも固唾をのんでこの進展を見守っています。
総理は、今回の訪米で防衛力の抜本的強化を表明をされ、トランプ氏からも歓迎されたと共同声明にも記されています。
防衛と経済という両輪を強化していくことが、我が国の国力、そして外交力を高めると考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
また、現在、百二十三万円まで広げられた壁を三党合意で合意された百七十八万円まで広げていくことが手取りを増やすことにつながり、ひいては、内需主導型の我が国の経済、産業政策を後押しし、国力を上げることにつながると考えますが、総理は、どのように考え、忘れ去られたと感じる多くの人たちの声に応えていただけるのでしょうか。
今回の日米首脳会談は、当初の様々な不安を解消し、まずはこれまでどおりの日米関係が維持をされることが明らかになった点においては評価ができますが、新たな懸案事項に対してどのように我が国が向き合うのか、特に、我が国の根幹にある普遍的価値に対する向き合い方など、今後、日本の出方、我が国の一挙手一投足が国際社会からの評価につながり、我が国の価値を定義していきます。
共同声明にも記されているように、武力や威圧による現状変更を認めないとする我が国の確固たる姿勢、プリンシプルに忠実な主権国家としての矜持を是非お示しいただきたいと思います。
本日未明、米ロ首脳会談とほぼ同じタイミングで、米国国家情報長官に指名されていたギャバード氏の任命が承認をされました。私は、ギャバード長官が米国下院時代に、彼女の外交政策担当として連邦議会で勤務をし、現在も友人として交流をしています。
私たち国民民主党は、政争は水際までの精神で、主張すべきは主張しつつも、殊に外交、安全保障においては、与野党関係なく、国は一枚岩での姿勢で、国益最大化のために、オール・ジャパンでリソースと知恵を最大活用して取り組んでまいりますことをお約束を申し上げまして、総理の日米首脳会談帰朝報告に対する質疑とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 深作ヘスス議員の御質問にお答えを申し上げます。
ロシアによりますウクライナ侵略をめぐる動きにつきましてでございます。
日米両国、そして国際社会が直面する課題は多岐にわたっておりまして、今回の首脳会談でウクライナ情勢について取り上げることはできませんでしたが、日米両政府の間では、本件につき、平素から様々なレベルで緊密に意思疎通を行っておるところでございます。
我が国といたしましては、ウクライナにおきます公正かつ永続的な平和の一日も早い実現に向けて、引き続き、合衆国を始めとした国際社会と緊密に連携をして取り組んでまいります。
日本製鉄によるUSスチールへの投資計画についてでございますが、今回のトランプ大統領との首脳会談では、本件は、どちらかが一方的に利益を得るというような単なる買収ではなく、日本の技術と資金を活用して米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求めている優れた製品を共に生み出し、日米が共に利益を得る、いわばウィン・ウィンの関係になる、このような認識を共有したところでございます。
具体的な計画につきましては、民間の関係者において検討、調整が進められていくものと考えておりまして、政府といたしまして、必要に応じ、関係者間の意思疎通の促進に努めてまいります。
基本的価値に関する政権の方針についてでございます。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中におきましても、成熟し安定した先進民主主義国の一つとして、各国と協力しつつ、普遍的価値、原則の維持、擁護に努めること、国際社会が目指すべき範を示すこと、これが我が国の基本的な方針であります。
このような方針を踏まえまして、御指摘いただきました、岸田総理から民主主義のためのサミットにおいて表明がありました考え方は、私どもの内閣でも引き継いでおるところでございます。
地理的呼称、グリーンランド及びガザ地区に係るトランプ大統領の発言等についてでございますが、これらの一連の発言などにつきましては承知をいたしておりますが、これはアメリカ国内におきましても様々な議論がございます。そのような段階におきまして、大統領によります発言などの逐一について、日本政府として見解を述べることは適切ではないと考えております。
引き続き、その推移を注意深く見極めてまいりますが、必要に応じまして両政府間で意思疎通を図るなど、適切に対応いたしてまいります。
アラスカのLNG事業についてであります。
今般の日米首脳会談では、相互に利益のある形で、日本へのLNG輸出増加も含めまして、両国間でエネルギー安全保障の強化に向けて協力していくことを確認したところでございます。
米国からは既に年間五百万トンを超えるLNGを輸出いたしておりまして、今後、更なる購入について、経済性、供給開始時期、供給量などを踏まえまして、官民で検討していくことを想定しておるところでございます。
アラスカLNGプロジェクトにつきましては、パイプラインの建設動向など、このプロジェクトの詳細について関係者からよく状況を伺う必要がございます。今後の進め方につきましては、日米相互の利益をどう実現するか、このような論点をまずは日米の民間事業者間で議論する必要があるものと考えておりまして、経済産業省を中心に議論を促してまいります。
日本の対米投資がもたらす利益について、日本のウィンは何だったと考えるかとお尋ねを頂戴をいたしております。
今般の会談におきまして、トランプ大統領に対しまして、日本企業によります対米投資額を、現在の七千八百三十億ドルから一兆ドルへといういまだかつてない規模まで引き上げたい、そのために共に取り組んでいきたい、このような意思をお伝えをいたしました。
日本にとりまして、米国は対日直接投資の約四分の一を占めます最大の対日投資国でございます。日米の緊密な経済関係を更に拡大、発展させる余地は大きく広がっているもの、このように理解をいたしておるところでございます。こうした中で、日米首脳会談の結果も踏まえまして、ビジネス環境が維持、改善されれば、両国間の投資の拡大を通じまして日本企業のビジネスも拡大され、日本国内におきましても新たなイノベーションの喚起、国内雇用の拡大が実現する等々、我が国の国益にも資することになると考えております。
現在米国が進めようとしている政策の余波につきましてでございますが、御指摘のように、物価や金利などの様々なルートを通じた我が国経済への直接的な影響や世界経済経由の間接的な影響などが複雑に絡み合っておりますことから、一概に申し上げることは当然困難なのでございますけれども、米国によります関税措置につきましては、我が国としては、まずこれらの措置の内容や我が国への影響を十分に精査しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
我が国の国力についてのお尋ねをいただきました。
忘れられた人々というのが地方の過疎地に住む人たちだけではないということは、よく承知をいたしております。
我が国は、国家安全保障戦略におきまして、外交力、防衛力、経済力、技術力及び情報力、これらを安全保障に関わる総合的な国力の主な要素として挙げておりまして、これらを総合的に結集し強化をしますことが国力の強化につながる、このように考えております。
国民の皆様方の所得と経済全体の生産性を向上し、国力を高めてまいりますためには、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現が基本であると考えておるのは従来から申し上げているとおりでございます。いわゆる百三万円の壁につきましては、昨年十二月二十日、三党の幹事長間で、十二月十一日に合意した内容、すなわち百七十八万円を目指して引き上げること等につきまして、引き続き関係者の間で誠実に協議を進めていくということが確認をされております。合意を踏まえた対応につきましては、政党間で、鋭意、誠実に協議が進められているもの、このように承知をいたしておるところでございます。
以上であります。(拍手)
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○副議長(玄葉光一郎君) 浜地雅一君。
〔浜地雅一君登壇〕
○浜地雅一君 公明党の浜地雅一です。
公明党を代表し、石破総理の米国帰朝報告について質問をいたします。(拍手)
石破総理は、世界の首脳で二番目に早い段階でトランプ大統領との首脳会談を実現されました。総理は、トランプ大統領の当選前から、来るべき首脳会談に備え周到な準備を重ねられたと伺っております。会談前は、トランプさんから関税や防衛費の大幅な引上げなど多くの要求を求められるのではないか、国益に深く関わる会談であっただけに国民も固唾をのんで見守っておりました。会談では、視覚に訴える分かりやすい資料を基に日本の米国への貢献度をシンプルに示し、トランプ大統領に対して日本がいかに重要なパートナーであるかを理解させ会談を終えたことで、経済界のみならず、多くの国民に安心材料を与えたと思います。
特に安全保障面では、安倍政権時代に日米でコミットしてきた、自由で開かれたインド太平洋戦略を引き続き継続することが確認されました。また、経済面では、エネルギー分野を始めAI、半導体など幅広く協力関係を進めることで合意がなされたところであります。共同会見ではお二人のケミストリーの合った様子が日本で報道されましたが、米国国内でもタフガイが来たと報道されるなど、総理の印象を米国民にも強く印象づけた会談となりました。
以下、具体的にお聞きをいたします。
今回の首脳会談において安全保障分野で注目されたのが、昨年四月に我が国がバイデン政権との間で結んだ新たな戦略的イニシアティブをトランプ政権においても踏襲されるのかという点でありました。
具体的には、日米それぞれの指揮統制の枠組みを向上させるため、日本に陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設の組織としての統合作戦司令部を創設し、米国はそのカウンターパートとして在日米軍を再編成し統合軍司令部を設置すること、また、日米防衛産業の協力によって装備品の取得や維持整備を円滑化するため、定期的な協議をする場となるDICASの設置などです。トランプ政権が、尖閣諸島において日米安全保障条約の第五条が適用されることに言及するかも注目でありました。
共同声明では、自衛隊及び米国の指揮統制枠組みの向上、南西諸島における日米二国間のプレゼンスの向上、日米の防衛産業力を強化するための共同生産、共同開発や維持整備を含む防衛装備、技術協力の推進などがコミットされました。安全保障条約五条の尖閣諸島適用も明記され、安全保障面での当初の懸念は払拭された形となりました。
今回の首脳会談で確認された安全保障面の協力を今後どのように具体化していくおつもりなのか、総理の答弁を求めます。
今回の会談では、トランプ大統領からは、我が国の防衛費をGDP比の何%まで引き上げるべきといったような発言はなく、むしろ、安保三文書で示された我が国の防衛力強化の姿勢が高く評価されたと承知をしております。今後も、防衛力の強化は単にGDP比何%といった乱暴な議論ではなく、我が国が主体的に我が国防衛にとって必要な防衛力を着実に整備することが大事であると思いますし、この姿勢を米国側に丁寧に伝えていくことが大切だと思います。今回の会談では、在日米軍駐留経費については話題となりませんでしたが、今後、負担増を求められる可能性もあります。
トランプ政権下における我が国の防衛力の強化について、今後、具体的にどのような検討をしていくのか、総理の見解を伺います。
共同声明では、中国による東シナ海による力や威圧によるあらゆる現状変更の試みに強く反対する姿勢も示されました。トランプ大統領との間でいわゆる法の支配の重要性を共有できたことは大きな成果と言えます。
一方、今回のトランプ政権の閣僚ポストを見ると、いわゆる対中強硬派が多く起用をされています。共同声明では台湾海峡の平和と安定の重要性が強調されましたが、早速、中国政府は内政干渉と反応してきました。台湾有事は我が国有事に直結する重要な懸念であり、今後のトランプ政権の対中政策が注目されます。
では、我が国はどのように対中政策を進めるべきか。単に米国追随の政策を取るのではなく、我が国独自の対中政策を模索し、米中対立を緩和する役目を我が国が果たすこと。つまり、米中、日中で異なるアプローチがあることが我が国の国益を守る上で重要であると考えます。
総理は訪中を計画中との報道もありますが、トランプ政権下において我が国が取るべき対中政策について、総理がどのようにお考えか、答弁を求めます。
第一次トランプ政権では、史上初となる米朝首脳会談が実現し、安倍元総理の強い意志を受け、大統領は拉致被害者家族と面会しました。第二次政権発足後、トランプ大統領は、私は金正恩ととても友好的だった、会うつもりがあるなどと発言されているところですが、現在、北朝鮮は歩み寄りの動きを示しておりません。
今回、首脳会談で拉致問題解決の必要性が表明され、米国の支持を得られたことは大きな成果ですが、今後は目に見える形で拉致問題の即時解決に向け協力を具体化すべきと考えます。
拉致問題の解決を含め、今後の北朝鮮問題について日米でどのように連携を図るおつもりか、総理の答弁を求めます。
経済協力についてお伺いします。
貿易赤字削減を掲げるトランプ政権に対し、我が国から米国に対する自動車分野などの投資額を具体的に提示したことが会談成功の一つの要因でありました。加えて、半導体やAI、量子コンピューターなどの先端科学技術や次世代エネルギー分野について日米で世界を牽引する目標を掲げたことは、我が国が、今後、先端分野でイニシアチブを握る重要な契機となります。
これらの分野への投資に当たっては経済安全保障の観点を強く意識し、新たな分野で日米を核として、インド太平洋地域で我が国と価値を共有する国々との間で強力なサプライチェーンを構築することが、今後、世界情勢に左右されない経済秩序を実現する上で重要と考えます。
今後の米国との経済協力を経済安保の視点を持って戦略的に行っていくべきと思いますが、総理の答弁を求めます。
会談では、トランプ大統領は相互関税を何度も口にしました。一番の関心事は、自動車を始めとする基幹産業への関税強化が行われるか否かです。現在、日本の米国産自動車への関税はゼロ、米国の日本車への関税は二・五%と、日本の方が低い状態ですが、日本が米国よりも高い関税をかける農産品などを理由に自動車へ関税を課すのではないかとの懸念もあるところでございます。投資に関しましては米国にメリットがあることをトランプ大統領に理解させることに成功いたしましたが、今後は、関税に関しても、高額な関税は米国経済にとってデメリットであることなど、粘り強く交渉すべきことは言うまでもありません。
最後に、我が国に不利益となる関税引上げの阻止に向けて、今後どのような対策を取るべきか、総理に答弁を求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 浜地雅一議員の御質問にお答え申し上げます。
安全保障協力の今後の具体化についてでございます。
今般の会談におきましては、同盟の抑止力、対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携の上、対処していくことで一致をいたしました。私からは、日本の防衛力の抜本的強化への揺るぎないコミットメントを表明し、トランプ大統領はこれを歓迎したところでございます。
トランプ大統領は、合衆国によります核を含みますあらゆる能力を用いた、日本の防衛に対する合衆国の揺るぎないコミットメントを強調いたしました。また、日米安全保障条約第五条が尖閣諸島に適用されることも改めて確認をいたしました。
首脳会談におきましては、私と大統領から関係閣僚に対し日米2プラス2の早期開催を指示いたしましたが、こうした枠組みも通じまして、安全保障協力の更なる具体化に努めてまいる所存でございます。
我が国の防衛力強化についてでございますが、共同声明では、我が国の防衛力について、二〇二七年度までに日本を防衛する主たる責任を確固たるものとする能力を構築し、この重要な基盤の上に、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくことといたしております。これは、現行の安全保障戦略などに基づく我が国の取組を再確認したものであり、アメリカもこれを歓迎しておるところでございます。
我が国としては、引き続き、国家安全保障戦略等に基づきまして、我が国の抑止力、対処力強化のため、防衛力の抜本的強化の取組を着実に進めてまいります。
その際、在日米軍の駐留につきましては、今回の首脳会談において、我が国のみならず合衆国の国益にも意義を有する旨、私からトランプ大統領に伝えたところでございます。引き続き、米国と意思疎通をいたしてまいります。
二〇二七年度より後の防衛力整備の具体的内容につきましては、その時点での安全保障環境などを踏まえ、今後、何が必要かを検討し、実施すべき事項を積み上げてまいります。
対中政策についてでございます。
日中両国間には様々な可能性とともに数多くの課題や懸案がございますが、両国は地域と国際社会の平和と繁栄にとりまして共に重要な責任を有しております。
価値を共有します同盟国、同志国との連携を前提としつつ、中国との間では、習近平国家主席とも確認をいたしました戦略的互恵関係を包括的に推進いたしますとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていく、これが日本政府の方針でございます。
その上で、米中両国の関係の安定は国際社会にとりましても極めて重要でございます。日本といたしましては、引き続き、同盟国であります米国との強固な信頼関係の下、中国に対しまして、その立場にふさわしい責任を果たしていくよう働きかけてまいりたいと考えております。
御指摘いただきました私の訪中時期につきましては、現時点では何ら決まっておりません。今後、適切に判断をいたしてまいります。
拉致問題を含む北朝鮮問題についてでございますが、今般の首脳会談では、私から、いまだに肉親と再会することができない拉致被害者御家族の苦しみ、切実な思いを大統領に直接伝達をいたしました上で、一日も早くこの問題を解決したいという決意を伝え、トランプ大統領に対し、米朝間の交渉の可能性も念頭に、改めて理解と協力を求めたところでございます。
これに対し、トランプ大統領から拉致問題の即時解決に向けた全面的な支持を得たことは大きな成果であると考えておりまして、このことは、拉致問題の解決に向けた我が国の主体的な取組に寄与するものであったと考えております。
北朝鮮の核、ミサイル問題に共に対処する必要性、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントも確認をいたしました。
今般の会談を踏まえまして、首脳間を始めといたします強固な信頼、協力関係の下、拉致、核、ミサイル問題を含む北朝鮮への対応におきまして、日米間で緊密に連携をいたしてまいります。
今後の米国との経済協力についてでございますが、今回の会談では、共同声明にありますとおり、経済安全保障を含みます二国間の経済協力が同盟協力の不可欠な一部を成すことを確認をいたしました。また、日米両国がAI、量子コンピューティング、先端半導体などの技術分野における開発で世界をリードすることや、重要機微技術の一層の促進、保護、及びサプライチェーンの強靱化で協力することで一致をいたしました。
御指摘をいただきましたとおり、今回の会談も踏まえまして、米国との経済面での協力を、経済安全保障の視点を持ちまして一層強化してまいりたいと考えております。
関税措置についてのお尋ねをいただきました。
トランプ大統領の関連の発言については、当然承知をいたしております。
我が国といたしましては、まずは今後明らかになる措置の具体的な内容及び我が国への影響を十分に精査しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
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○副議長(玄葉光一郎君) 八幡愛君。
〔八幡愛君登壇〕
○八幡愛君 れいわ新選組、八幡愛です。(拍手)
れいわ新選組には、国連や日本政府の代表として、国際紛争の現場で武装解除など交渉をやってきた伊勢崎賢治さんが在籍しております。防衛省の統合幕僚学校では十八年間教鞭を執り、全ての自衛隊員は自分の子供だと思っている方です。その伊勢崎さんいわく、間違った政治判断で自衛隊員の一人たりとも犠牲にはしたくない、でも、今回の日米会談でその可能性がより濃くなったと考えています。れいわ新選組は、この状況を変えるためにも、まずは総理の認識を確認いたします。
日本の対米外交は、実質、植民地外交であり、アーミテージ報告などを始めとする米国シンクタンクの提言書の要求事項を忠実に実行するお仕事です。今回の日米共同宣言を見ても同じ。親分の意向を忖度すれば米国がひいきにしてくれるという希望的観測を捨てて、平常心による自主外交を行うことを求めます。
日米の貿易赤字を削減したいトランプ氏の要望に対し、日本企業の更なる対米投資を総理はお約束されました。一方、米国側から日本国内企業への投資について、トランプ大統領は、会談後の記者会見で、雇用を生み出す対日投資について触れていません。これ、また差し上げるだけでしょうか。
日本企業が米国内で現地生産するやり方は、貿易摩擦を解消するために、一九八五年の円高以降行われてきました。他方、国内投資が冷え込み、失われた三十年となりました。今、米国内への投資に必死になるのではなく、それを日本国内で行うよう、方向転換、誘導しませんか。雇用創出、国内生産の向上は国民の利益。米国ではなく、まず日本国内で取り組むべき案件です。
今回の日米共同宣言には、自衛隊及び米軍のそれぞれの指揮統制枠組みの向上、日本の南西諸島における二国間のプレゼンスの向上、より実践的な訓練及び演習を通じた即応性の向上、拡大抑止の更なる強化と、実質的には米軍の指揮下に入りながら、南西諸島の軍事要塞化が進む内容です。そんなことは許されません。
日米共同宣言にある南西諸島におけるプレゼンスとは何ですか。ミサイル部隊を配置し、中国を想定し、南西諸島を戦場とする訓練などが行われ、沖縄を戦場にすると懸念が広がっています。これを止めることが、日本の総理の責任ではないのでしょうか。
というか、石破総理は本当に沖縄の基地負担軽減、必要だと思っておられますか。もしそう思っているんだったら、米兵による少女への暴行など、相次ぐ米兵犯罪に実効性のある対応をしていただきたい。また、そのためにも、日米地位協定の改定は必須です。
トランプ大統領に、相次ぐ沖縄での米兵の性犯罪について謝罪は求めましたか。これに関連して、今回、日米地位協定の改定を求めましたか。
辺野古の軟弱地盤については、トランプ大統領と情報共有されましたか。
二月七日、政府は能動的サイバー防御法案を閣議決定しました。これは、警察や自衛隊が、サイバー空間において攻撃をしかけようとしたとみなした相手に、先手を打ってアクセスし無害化するものと説明されています。法制化の経緯、その背景には、米国からのサイバー防御の連携の要請があるとされますが、台湾有事を見据えた政策ではないかとの指摘もあります。
能動的サイバー防御について、国際慣習法における開戦法規に抵触する可能性はないのでしょうか。
サイバー版先制攻撃能力というべき能動的サイバー防御の整備、これがいわゆる安全保障のジレンマを加速させると考えます。総理、いかがでしょうか。
共同宣言には、米国は、核を含むあらゆる能力を用いた、日本の防御に対する米国の揺るぎないコミットメントを強調したとあります。また、両首脳は、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを改めて確認したともあります。
朝鮮半島の非核化はとても重要。他方、肝腎の総理が米国と、核を含むあらゆる能力を用いた日本の防衛という立場で核抑止力を強化し、日本や韓国を核の傘の下に置いて、北朝鮮を脅しているようでは非核化に逆行します。
ここから、どのように北東アジアの非核化を進めるおつもりでしょうか。核抑止力は常に有効だという考えは非常に危険であり、失敗した場合のリスクを考えなければなりません。
今回の会談で、日米豪印のクアッドなど、多国間の対中包囲の軍事枠組みの継続を確認。これでは緊張が高まる一方です。日米韓だけではなく、中国、北朝鮮、ロシアも含んだ、全ての当事者を巻き込んだ対話と信頼醸成の多国間の枠組みこそが安全保障のジレンマを脱却する安心供与の仕組みです。日本がそれを主導しませんか。
力による現状変更への試みは許さないと日米で確認する一方、トランプ政権は、パナマ運河、グリーンランドの獲得に武力を使う可能性を否定せず、パレスチナ・ガザには、中東のリゾート地に再開発するために住民を他国に移住させるなどと表明。
これらの発言は、力による現状変更そのものと考えます。石破総理も同じ認識でしょうか。米国がその発言を実現するため何かしら動き出したときには、同盟国として、やめておけとくぎを刺せますか。それとも、やはり仮定の御質問にはお答えしかねるのでしょうか。
国際法では、集団としてのパレスチナ人に自決権があるとされ、個々のパレスチナ人には国際人権法が定める居住の自由もあります。武力紛争のルールを定めたジュネーブ諸条約の追加議定書では、占領地の住民の追放や移送も禁じられています。
石破総理には、駄目なものを駄目と言える日本初の総理大臣になっていただきたいんですよ。このままでは国民も国も守れません。それができないとおっしゃるのなら、やはりさっさと辞めてもらわないといけないです。
以上、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 八幡愛議員の御質問にお答えを申し上げます。
対米投資と国内投資の促進についてでございます。
日本にとりまして、米国は、対日直接投資の約四分の一を占めます最大の対日投資国でございます。日米の緊密な経済関係を更に拡大、発展させる余地は大きく広がっているものと考えております。こうした中で、首脳会談の結果も踏まえまして、ビジネス環境が維持、そして改善されますと、両国間の投資の拡大を通じまして日本企業のビジネスが拡大され、日本国内におきましても新たなイノベーションの喚起、国内雇用の拡大が実現するなど、我が国の国益に資することになる、このように考えております。
国内における投資の更なる拡大は、私どもの内閣が進めております賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現に向けましても、極めて重要と考えております。二〇三〇年度百三十五兆円、二〇四〇年度二百兆円という新たな官民目標の実現に向け、企業の成長投資を後押しする規制・制度改革や、DX、GXなど成長分野における設備投資を促進するためのインセンティブ措置等を通じまして、国内投資を積極的に促進してまいりたいと考えております。
南西諸島における日米二国間のプレゼンス、沖縄の基地負担軽減についてお答えを申し上げます。
共同声明におきます日本の南西諸島における二国間のプレゼンスの向上は、南西地域における自衛隊の部隊配備など、我が国としての努力と同時に、同盟の抑止力、対処力を強化しますため、南西地域における共同訓練を増加させるなど、日米協力の強化につきましても不断に取り組んでまいることを確認したものでございます。その際、自衛隊と米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動することが前提でございます。
また、南西地域の防衛強化を含みます防衛力の抜本的強化、日米同盟の対処力の強化は、抑止力を向上させ、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させることにつながります。地元の皆様の御理解を得られますよう努めつつ、着実に取組を進めてまいります。
同時に、沖縄の基地負担軽減の観点から、沖縄統合計画に基づきます米軍施設・区域の整理縮小等の取組についても着実に進めてまいります。
在日米軍によります性犯罪、日米地位協定及び普天間飛行場代替施設の建設についてでございます。
首脳会談におきましては、まずは強固な信頼関係を築くことを重視し、安全保障分野を含みます日米関係全般につきまして意見交換を行い、同盟の抑止力、対処力を高め、日米が直面する地域の戦略的課題に緊密に連携して向き合っていくことで一致をいたしました。また、私から沖縄の負担軽減の必要性を説明したところでございます。
米軍関係者によります事件、事故は、地元の皆様方に大きな不安を与えるものであり、あってはならない、このように考えております。米側に対しましては、在日米軍の綱紀粛正、再発防止の徹底を働きかけており、引き続き、こうした働きかけを行うとともに、日米間で緊密に協力をいたしてまいります。
普天間飛行場代替施設建設事業の地盤改良工事につきましては、沖縄防衛局におきまして、有識者の助言を得つつ検討を行いました結果、十分に安定した護岸などの施工が可能であることが確認されております。米側との間でも、埋立工事前に地盤改良工事を実施することについて既に合意をいたしておるところでございます。
首脳会談におきましても、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設及び同飛行場の返還を含みます沖縄統合計画に従った在日米軍再編を着実に実施してまいる旨、確認をいたしたところでございます。
能動的サイバー防御についてでございますが、御指摘の国際慣習法における開戦法規や安全保障のジレンマについて確たる定義はない、このように承知をいたしております。
この度、法整備を目指しております能動的サイバー防御は、そもそも、国連憲章や日本国憲法第九条に規定する武力の行使と評価されるものではございません。
能動的サイバー防御につきましては、国や重要インフラなどに対します重大なサイバー攻撃を認知し、人の生命、身体、財産への重大な危害を防止する緊急な必要がありますときに、攻撃サーバーなどにアクセスして不正プログラムを無害化する措置などを想定しているところでございます。これは、公共秩序の維持の観点から、警察権の範囲内で必要最小限度の措置として行うものでございます。
外国に所在する攻撃サーバーなどの無害化措置を行います際にも、そもそも国際法上禁止されていない合法的な行為に当たる場合や、仮にサーバー所在国の領域主権の侵害に当たり得るとしても、その違法性を阻却できるような措置に限って実施することとなります。
このように、能動的サイバー防御は国際法上許容されている範囲内で行うものでございまして、他国における安全保障上の脅威認識をいたずらに増大させるものでもないことから、御指摘は当たらないものでございます。
北東アジアの非核化についてでございますが、我が国が、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面し、現実に核兵器などの日本に対する安全保障上の脅威が存在いたします中で、こうした脅威に対応するためには、我が国自身によります防衛努力に加えまして、米国が提供する核を含みます拡大抑止が不可欠である、このように考えております。
このような考えに基づきまして、今般の日米首脳共同声明におきましては、核を含むあらゆる能力による米国の拡大抑止について再確認をいたしました。
北朝鮮情勢について認識を共有し、核、ミサイル問題に共に対処する必要性、北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントも確認をいたしたところであります。
国民の生命財産を守り抜くために、現実を直視し、我が国にとって不可欠である米国の拡大抑止を含め国の安全保障を確保しつつ、同時に現実を核兵器のない世界という理想に近づけていくべく取り組むことは決して矛盾するものではなく、共に取り組んでまいります。
対話と信頼醸成の多国間枠組みについてでございますが、国際秩序に挑戦がもたらされ、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面いたします中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持は、ますますその重要性を増しておると考えております。
こうした中、ともすれば抑止力か外交力かの二択の議論になりがちでございますが、この二つはどちらも適切に備えていかなければ意味がございません。
すなわち、我が国といたしまして、積極的な外交を展開し、各国との対話を重ね、信頼醸成を図っていく努力は間違いなく必要であります。
同時に、同盟の抑止力及び対処力の維持強化や、同盟国、同志国との連携により、我が国にとって望ましい安全保障環境をつくり出していかなければなりません。今般の共同声明におきましても、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた絶え間ない協力の決意を表明し、その一環として、日米豪印、日米韓、日米豪、日米比といった多層的で共同歩調の取れた協力を推進することを確認したところでございます。
こうした姿勢を貫き、日米同盟を基軸に、友好国、同志国の輪を広げますとともに、各国との対話を重ね、地域及び国際社会の平和と安定に寄与すべく、外交努力を重ねてまいります。
パナマ運河、グリーンランド及びガザ地区に係るトランプ大統領の発言についてでございますが、一連の発言については承知をいたしておりますが、これはアメリカ国内におきましても様々な議論がある現段階におきまして、大統領によります発言の逐一について、日本政府として見解を述べることは適切ではございません。
引き続き、その推移を見極めてまいりますとともに、必要に応じて両政府間で意思疎通を図るなど、適切に対応してまいりたい、このように考えておるところであります。
以上でございます。(拍手)
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○副議長(玄葉光一郎君) 志位和夫君。
〔志位和夫君登壇〕
○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、日米首脳会談について総理に質問します。(拍手)
まず問いたいのは、パレスチナ・ガザ地区の住民を強制移住させ、米国が土地を長期的に所有するというトランプ大統領の発言に対する態度です。国連事務総長、ドイツ、フランスなど米国の同盟国も批判の声を上げる中で、総理が日米首脳会談でなぜ批判的言及を一切しなかったのか、お答えください。
イスラエルのジェノサイドによって深く傷ついたガザの人々への人道支援を強化し、停戦を恒久化するために国際社会が力を尽くすべきときに、住み慣れた土地から追放し、観光地にするというのは、余りにおぞましい構想です。総理は、首脳会談後の会見で、トランプ氏について、世界に対する強い使命感を持つ方と持ち上げましたが、余りに卑屈なおもねりと言うほかないではありませんか。
戦時の文民保護を定めたジュネーブ条約は、占領地域から住民を強制移送することを固く禁止しています。国連憲章は、力ずくで領土を取得することを禁止しています。トランプ氏の主張が国連憲章と国際法を深刻にじゅうりんするものであることは、余りにも明瞭ではありませんか。総理にはその認識はありますか。
日米共同声明では、中国などを念頭に、力による現状変更の試みへの強い反対を明記しましたが、最悪の力による現状変更の試みであるトランプ氏の発言を黙認するならば、ダブルスタンダードそのものになるではありませんか。
日本政府を含む国際社会の大半は、パレスチナ国家の樹立を支持し、イスラエルとの二国家共存を求めています。トランプ氏の主張は、二国家共存を根本から否定するものであり、日本政府の方針に照らしても許容できないものではありませんか。事は法の支配に基づく国際秩序を根底から揺るがす大問題です。今からでもトランプ氏に撤回を求めるべきです。答弁を求めます。
総理は、日米首脳会談で、トランプ大統領が気候変動対策のパリ協定から離脱したことに対しても、一切言及しませんでした。なぜですか。世界各地で洪水や山火事などが相次ぎ、日本でも猛暑、豪雨、豪雪、農漁業の被害が起こり、気候危機対策は文字どおり待ったなしです。地球温暖化はでっち上げだと語り、掘って掘って掘りまくれと石油や天然ガスの増産に突き進むトランプ氏の暴走に対して、国際協調の重要性を説き、翻意を促すことが必要だと考えませんか。
ところが、総理は、米国の貿易赤字の穴埋めのために、液化天然ガスを新たに購入する約束までしてきました。これでは、気候危機打開に逆行するトランプ大統領の暴走にあからさまに加担することになるのではありませんか。お答えいただきたい。
総理が、日米共同声明で、日米同盟の抑止力、対処力の更なる強化を宣言した上で、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくことを約束したことは極めて重大です。
政府が二二年十二月に閣議決定した安保三文書の防衛力整備計画では、二三年度から二七年度までの五年間で軍事費を四十三兆円増額した上で、二七年度以降は防衛力を安定的に維持するとされています。ところが、共同声明では、二七年度以降も抜本的に防衛力を強化していくと明記されています。
総理、維持から抜本的強化に変わったのはなぜですか。その理由を明確にお答えいただきたい。これは、軍事費をGDP比二%より更に増やすという誓約ではありませんか。こんな重大なことを、国会に諮ることもなく、閣議決定すら行わずに、アメリカに約束してきたのですか。
総理は、大軍拡の理由として、日本を取り巻く安全保障環境が戦後最も厳しいと繰り返しています。
それでは、伺います。政府が今進めている空前の大軍拡計画を実行すれば、日本を取り巻く安全保障環境が改善するというのですか。日本が大軍拡を進めれば、相手も軍拡を加速させ、軍事対軍事の悪循環に陥り、かえって戦争のリスクを高める、いわゆる安全保障のジレンマに陥ってしまう。総理は、その危険をどう考えますか。
大軍拡によって暮らしの予算が圧迫されています。来年度政府予算案は、軍事費だけが前年度比九・五%増と異常突出し、社会保障予算、文教科学予算、中小企業予算など暮らしの予算は、どれも物価上昇に追いつかない、実質マイナスの予算となっています。高額医療費の上限引上げ、大学学費の値上げラッシュなど、暮らしの予算を削りに削りながら、軍事費だけは異常突出を続ける。
総理、戦後最も厳しいレベルにあるのは国民の暮らしですよ。それを無視した予算案ではありませんか。
平和も暮らしも壊す大軍拡を中止し、現にASEANが実践しているように、対話の徹底した積み重ねで東アジアに平和をつくる外交にこそ心血を注ぐことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 志位和夫議員の御質問にお答え申し上げます。
ガザ情勢の扱いを含みますトランプ大統領とのやり取りについてお尋ねを頂戴をいたしました。
ガザ情勢の扱いを含むトランプ大統領とのやり取りでございますが、対話相手のいかんにかかわりませず、各国首脳と国際社会の諸課題について率直に意見を交わしますためには、まずは先方と信頼関係を構築し、諸課題に係る認識を一致させなければなりません。
それが重要でございまして、さきの会談におきまして、率直な意見交換を行い、信頼構築に向けた一歩とすることができたことは、今後、より率直な議論に向けて意味のある成果であった、このように考えております。
その上で、ガザ情勢につきましては、日米両国、国際社会が直面する課題は多岐にわたっておりまして、今回の首脳会談では取り上げなかったのでありますが、自由で開かれたインド太平洋を堅持し、世界に平和と繁栄をもたらすとの首脳間の共通認識を踏まえまして、今後、両国政府で話し合っていきたい、このように考えております。
国連憲章との関係及び我が国の対応についてでございますが、一連の発言については承知をいたしております。この問題につきましては、合衆国内におきましても様々な議論がございます。そのような現段階におきまして、大統領の発言の逐一につきまして、我が国政府として見解や法的解釈を述べることは適切ではないと考えておりますが、この推移を注意深く見極めてまいりますとともに、必要に応じまして両国の政府間で意思疎通を図るなど適切に対応をしてまいらなければならないのは、これまた当然のことでございます。
トランプ大統領のパレスチナに関する発言についてでありますが、この問題につきましても、米国内において様々な議論がございます。そのような現段階におきまして、大統領によります発言の逐一について、政府として見解を述べることは必ずしも適切ではございません。その推移を注意深く見極めてまいります。
その上で、我が国といたしまして、二国家解決を支持する立場には全く変わりはございません。関係国、機関とも緊密に意思疎通をしながら、喫緊の人道支援に加えまして、中長期的な復旧復興支援におきましても積極的に役割を果たしてまいります。
パリ協定の扱い、LNGの位置づけについてであります。
日米両国、そして国際社会が直面する課題は極めて多いのでございまして、全てを取り上げることはできなかったわけでございますが、その上で、世界の気候変動対策へのアメリカの関与は、引き続き重要であると認識をいたしております。州政府あるいは産業界を含めましたアメリカと協力していく方法を探求しつつ、欧州やアジア諸国と連携をし、気候変動問題に積極的に取り組んでまいります。
LNGは、化石燃料の中で温室効果ガスの排出が最も少ないものでございます。再生可能エネルギーの調整電源の中心的な役割を果たすものであります。日本へのLNG輸出増加を含む日米エネルギー協力の強化は気候変動対応に完全に逆行する動きに加担することになる、このような議員の御指摘は当たりません。
日米首脳共同声明における防衛力の抜本的強化についてでございます。
現行の国家防衛戦略におきまして、防衛力の抜本的強化は将来にわたり維持強化していく必要があるとされておりまして、今般の日米共同声明におきます、二〇二七年度より後も抜本的に防衛力を強化していくこととは、現行の国家安全保障戦略などに基づく既存のコミットメントを再確認したものでございます。
その上で、二〇二七年度より後の防衛力整備の具体的な内容につきましては、その時点での安全保障環境などを踏まえまして、何が必要かを検討し、実施すべき事項を積み上げていくものでございまして、今般の共同声明は、二〇二七年度より後の防衛費の規模について約束したものでは全くございません。
防衛力の抜本的強化と安全保障のジレンマとの関係についてでございますが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、防衛力の抜本的強化は、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守るために不可欠なものでございます。
その上で、安全保障のジレンマを防ぎますため、諸外国に対しまして、自国の安全保障政策の具体的な考え方を明確にし、透明性を確保いたしますとともに、諸外国との間で信頼を醸成することは重要でございます。言うまでもございません。
我が国の安全保障政策は、これまでも透明性を持って進めてまいりますとともに信頼醸成に取り組んできたところでございまして、これらの取組を積極的に進めてまいります。
防衛予算と国民の暮らし、東アジア外交についてでございますが、令和七年度の防衛予算につきましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境におきまして、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な予算を計上しておるところでございます。
その際、防衛力の強化とともに、社会保障や教育を含めまして、各種の施策に必要な予算についても計上しておるものでございまして、国民の暮らしを無視した予算案との御指摘は全く当たるものではございません。
加えまして、東アジア外交につきましては、国益に基づく現実的な外交を進め、日米同盟を基軸に、友好国、同志国を増やしますとともに、各国との対話を重ねますことで、分断と対立を乗り越え、法の支配に基づく国際秩序を断固として堅持をいたしてまいります。
以上でございます。(拍手)
○副議長(玄葉光一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(玄葉光一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十五分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 石破 茂君
出席内閣官房副長官
内閣官房副長官 橘 慶一郎君