衆議院

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第9号 令和3年3月17日(水曜日)

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令和三年三月十七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    岩田 和親君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      西田 昭二君    本田 太郎君

      牧島かれん君    牧原 秀樹君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      簗  和生君    吉川  赳君

      和田 義明君    阿部 知子君

      大河原雅子君    大西 健介君

      玄葉光一郎君    松尾 明弘君

      森田 俊和君    森山 浩行君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      江田 康幸君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    足立 康史君

      岸本 周平君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル改革担当)

   (マイナンバー制度担当) 平井 卓也君

   内閣府副大臣       藤井比早之君

   総務副大臣        新谷 正義君

   防衛副大臣        中山 泰秀君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   総務大臣政務官      古川  康君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          森野 泰成君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       池田 克史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       堀江 宏之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室長)        三上 明輝君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          福浦 裕介君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            田原 泰雅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       阪本 克彦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岩井 勝弘君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房公文書監理官)          齋藤 雅一君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     岩田 和親君

  大河原雅子君     松尾 明弘君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     簗  和生君

  松尾 明弘君     大河原雅子君

同日

 辞任         補欠選任

  簗  和生君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

三月十五日

 特定秘密保護法を即時廃止することに関する請願(笠井亮君紹介)(第三〇一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 デジタル社会形成基本法案(内閣提出第二六号)

 デジタル庁設置法案(内閣提出第二七号)

 デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二八号)

 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(内閣提出第二九号)

 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官時澤忠君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自民党・無所属の会の牧原秀樹でございます。

 今日は、貴重な機会をいただきまして、木原委員長、松本、今井両筆頭理事を始め理事各位の皆様、委員の皆様に感謝を申し上げます。

 平井大臣にまずお聞きしたいんですが、先日、私、予算委員会でも、今、大河ドラマ、今年は埼玉県、我ら埼玉県の渋沢栄一が主人公の「青天を衝け」をやっています。この渋沢栄一という人は、日本のまさに金融資本主義の父と言われているような方でございますが、その九十を超える人生の中で、天命を非常に意識された方だというふうに思っております。

 私、平井大臣を、一期目の頃からだと、もう十六年ぐらい存じ上げておりますけれども、本当に、多分誰もまだインターネットをそこまで使いこなしていない、そういう段階からいち早く様々なことに取り組まれた、まさにエキスパート中のエキスパートだというふうに尊敬も申し上げております。

 例えば、インスタグラムとか、ティックトックだとか、バインだとか、そういうツールというのを、私、一番最初に教えていただいたのが平井大臣だったような気がしますし、そうしたことを、とにかくありとあらゆるそういうアプリケーションを試すというところから、デジタルの関係でいうと、様々なITのベンチャーの方も、まさにいろいろな人の流れの中心に平井大臣がいらっしゃっているのを見てきましたし、私も、エルテスという会社を含め、いろいろなこと、ITの企業の方の相談を持ち込まれるたびに、それは平井大臣にといって、御紹介した経緯もあります。

 今、このデジタル庁という、さっきも話していたんですけれども、分量でいうと、私は郵政民営化のときに物すごい分量だったというのを覚えているんですけれども、それ以来じゃないかと思うような大変な法案、これを、まさにデジタルの社会で、私は、国会議員でも最もエキスパートじゃないかと思っている平井大臣がこうして担当大臣として就かれているということに大変な感慨を覚えますが、平井大臣の、まさにこの法案にかける天命というか、そうした思いをお聞かせ願いたいと思います。

平井国務大臣 委員ともいろいろな形で一緒に仕事をさせていただいておりますが、私、二〇〇〇年で初当選で、たまたま、二〇〇一年、IT基本法が施行されたときにe―Japan重点計画特命委員会というのがあって、当時は、麻生政調会長が自ら委員長を務めて、一気にやるんだぞといったときに当選したばかりで、駆り出されて、それからの縁なんですね。

 個人的に、ウィンドウズ95が出て、それから自分でいろいろなことをしたりとかしていましたけれども、特段、ITの専門家でも何でもなかったんですが、たまたまそういうことで、また、やはり議員の関心が低かったですよね、二〇〇〇年以降。

 IT政策というのは、どの政権も口にはしますが、はっきり言って政策の優先順位は低かったと思います。そして、自民党政権も民主党政権もそうなんですけれども、IT担当大臣というのが、無任所大臣なんですが、いたりいなかったり、科学技術にくっついたり、いろいろな形だったと思います。つまり、ずっと過去を振り返っても、IT政策というのがその政権の一丁目一番地になったことはないんですよ。

 そのことイコール、デジタル化が遅れた原因の一つは、やはり国民のデジタル化に対する期待も大きくなかった。それは、なぜなら、各政権がデジタルに対していろいろなコミットメントをやっているんです、世界最先端のIT国家を目指す創造宣言とか作ったんだけれども、どれも達成されていないのに責められもしない、そういうような状況が、私はやはり停滞させた大きな理由だと思います。

 ただ、やはり昨年のこの新型コロナでその潮目が大きく変わったと思います。日本が遅れていたということが本当に明らかになったことと、今まで、高度情報通信ネットワークを中心とする投資、日本の国のインフラというのは私は遅れているとは思わないんです、インターネット、光ファイバーにしても、例えば携帯電話のカバレッジやスピードにしても。そういうものを使いこなせなかったのはなぜかというところが一番大きな私自身の問題意識で、長く関わってきたことによる、私も、これは運命の巡り合わせみたいな形で、今回のデジタル改革担当大臣という役目をいただいたんだと思います。

 今求められているのは何かというと、遅れているということを逆にアドバンテージとして最大化する、それしかもう方法がないと思います。アメリカや中国やその他の国々のデジタル化のスピードというのは、我々が考えているよりもはるかに速いです。そして、社会に対する実装のスピードが、もうおよそ我々が想像するレベルではない。

 ただ、日本というのは、やはり社会の、例えば、現金の流通であったり、いろいろな情報通信ネットワークであったり、いろいろな行政サービスであったり、今まで長く使ってきたものがある程度のレベル以上には達成されているんです。ですからデジタル化にすぐ飛びつくということでもなかったんだと思うんですが、明らかに、今回、人が動けない、人、物、金という経営資源の上で人がロックされることでこれだけ経済がおかしくなる、これはもうリーマン以上のインパクトですよね。このことに初めて気がついた。

 そのことのタイミングで、このデジタル庁をつくって、一気にデジタル化戦略というものを国家の主な重要な政策として進めるというのは、まさにタイミングなんだろうと思います。そういう意味で、スピード、スピード・アンド・スピードということで、半年間いろいろ用意をさせていただいて、今、法律の御審議をお願いしているということだと思います。

 ただし、これはこれから先が更にもっと大変で、デジタル庁というのは、法律的にはいろいろな権能もいただき、予算もコントロールする権限もいただくんですけれども、果たしてそれで国民が望むようなシステムにすぐつくり替えられるかというと、次のミッションは更にハードルが高いなというふうに思います。

 いずれにしろ、こういうことでございまして、どこまで準備ができているかというと、はっきり言って、まだまだ、人材の確保も含めて準備万端ということではないんですが、私が今言えることは、覚悟を決めてやり切る、つまり、覚悟に勝る備えなしというような気持ちでやり切るしかないなと思っています。

 そういうことで、先生にも是非また御協力をいただきますようお願いを申し上げます。

牧原委員 大変率直な御意見だと思いますし、逆に、我々からすると、こういうときに、一番の専門家で、一番本当に覚悟がある平井大臣でありがたいなと思う次第でございます。

 特に、私もそうですけれども、小選挙区制度になって、ある政策だけをすごく一生懸命やるのが難しいなというのは、正直感じるんですよね。やはり、ありとあらゆる要望を受け、ありとあらゆる政策に知識を巡らし、そしてありとあらゆる人に会って、幅広いことをやらなきゃいけない。その分、平井大臣のように、本当にデジタルに邁進されてきた方が大臣なのはありがたいと思う次第でございます。

 今日は、これまでに、IT戦略以来どれだけ多くの政府が世界一のIT国家にするんだとかいう戦略を立てたかと紹介しようと思ったんですけれども、そういうことは紹介せず、改めて平井大臣の今の決意にきちんと我々も期待をしたい、こう思っている次第でございます。

 今もちょっと話がありましたが、国民側からすると、このデジタル化、私も今、党で千人の意見を聞いてこいというふうなものがありまして、いろいろ聞く中で、デジタル化についての意見を聞くと、一番の期待はやはりワンストップ、ワンスオンリーという利便性の向上にあるというふうに思います。このワンスオンリー、一回で、例えば、結婚したら、一回届ければいろいろな手続が全部済んでしまうということですけれども、これをやっていくためには、やはりベースレジストリーが非常に重要になります。

 このことは、昨年の十二月の二十五日に政府の方で閣議決定をされたデジタル・ガバメント実行計画とか、こういうようなところでも意識をされておりまして、まさにそのとき、一月から人も募集しているんですけれども、そういうときに、データの同一性や真正性、あるいはデータ品質の確保、そして適切なアクセスコントロールというのが非常にワンストップやワンスオンリーの利便性にはまさに命綱になるところで、そのためにベースレジストリーというのは非常に重要であるというふうに政府側も意識をされているし、このこと自体は、二〇一七年ぐらいの、デジタル・ガバメント分科会とか様々なところ、特にデータ戦略において、非常に政府側でも理解をされ、意識をされているというところだと思います。

 現在、このベースレジストリーをどのような範囲というふうに考えているのか、あるいは、例えば年金なんというのはどうなのか、ここについてお伺いをしたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ベースレジストリーはワンスオンリーを実現するために大変重要なものだというふうに考えてございます。

 昨年末、データ戦略タスクフォース第一次とりまとめにおきまして、社会の基盤となるベースレジストリーの整備につきまして、その整備方針となるロードマップの策定をしたところでございます。そのロードマップにおきまして、ベースレジストリーの定義づけを行うとともに、重点整備対象候補を示してございます。具体的に申し上げますと、個人とか法人、土地、地図、公共施設等々でございます。そういったものを示した上で、二〇三〇年を目標に整備をすることといたしまして、そのための仕組みづくりを五年以内に行うということとしているところでございます。

 その整備に当たりましては、まずは社会的インパクトが大きいところから段階的に整備を行っていくということが重要だというふうに考えてございます。

 今後は、ベースレジストリーの整備におけるそれぞれの課題につきまして、関係省庁とも確認をし合いながら明確にして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えてございます。

牧原委員 今言った基盤となるデータ、ちょっと年金の言及がなかったので外れていると理解をしているんですけれども、例えば、私は弁護士なので、トラブルで一番多いのは境界紛争だったりするんですけれども、そういう一番の基となる登記簿謄本みたいなものですら昔の時代とずれていたりして、やはりここのデータの真正性というのは相当大変だ、こう思いますが、これを機に、是非、日本はそうした面で、一気にきちんとしたデータの真正性や同一性、品質を確保しなければいかぬ、こう思っているところでございます。

 今ちょっと年金のことを申し上げたのは、年金は、平井大臣も御記憶があると思いますが、我々が一期目のとき、政権交代の一つの大きな原因となったのが年金の問題でございました。そんなところで、消えた年金の問題だとか、そういう問題が出てきたら、また昭和の本当に初期の頃のものがマイクロデータにされていなかったとか、いろいろな問題が出たわけでございまして、そもそもの基盤となるデータがちゃんとしていないという分野だったわけですね。私は、このときに自民党にできたシステム改革のプロジェクトチームのメンバーになりまして、当時、宇野治先生が座長だったんですけれども、そのときに、いかに年金のデータが難しいというか、ちゃんとしていないのかというのを見ました。

 例えば、小谷という漢字を書いても、これをコタニさんという人もいれば、オタニさんという人もいれば、コヤさんという人もいるかもしれないし、日本の漢字の読み方はいろいろあるんですけれども、そういうのをデータにするときにちゃんと確認しないで打ち込んでいたりすると、後で合わなかったりする。それから、人を雇うときに、例えば何らかの事情で偽名があったりしてという場合があると思うんですけれども、その場合に、一々我々も、私が雇うときもそうかもしれませんが、例えば戸籍を取ったり、いろいろな形で確認することなく、履歴書とその人のことを信じて雇っていて、実は、本当は全然違う名前だったという場合があったり。あるいは、中小企業の方で、ずるして保険料をもらっていたけれども、保険料をそっちは納めていなかったという例があって、いろいろな形でデータがきちんとしていなかったということがございます。

 そういうこともあって、年金をいわゆる一回は公的機関にして、そのときいろいろな問題が、不正の免除の問題があったりして、結局、日本年金機構として民営化をしていこうという動きがあって、この後記録問題が起きてという中で、この年金のシステム、特に記録管理システムをちゃんと刷新をしてやっていこうということが平成十八年から始まっておりますが、いまだにこれを完成したという話はお聞きしません。

 改めて、これまでにどのぐらいの期間そして予算をかけて、現在、これはどういう段階にあるのか、お答えください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険オンラインシステムのうち、記録管理システム及び基礎年金番号管理システムの刷新につきましては、平成十八年度から基本設計を始めておりまして、平成二十九年一月から、フェーズ1といたしまして、番号制度への対応を含め、各種届け書の事務処理機能の電子化につきまして、段階的に稼働させております。

 さらに、フェーズ2といたしまして、業務の一層の改善、それからシステム全般の見直しや移行などを図ることとしておりまして、現在、業務プロセスの点検やプロトタイプ開発の実施、事業者との技術的な対話などによりまして、実施計画の策定に向けた検討を進めてございます。

 これらに係るシステム開発などのプロジェクトにかかった費用といたしましては、平成十八年度からこれまでに約三百億円となってございます。

牧原委員 御努力は分かるんですけれども、三百億かけて、これは平成十八年からですから二〇〇六年、十五年ぐらいかけて、ようやくこれからどう進もうかという検討をされているような段階になるわけですね。もちろん、これは途中に、今言った民営化の問題があったり、年金記録の問題があったり、様々、あと制度改正があったりして、システムをつくっている側からすれば、こんなにしょっちゅう制度が変わると、もう一回やり直しかよというところがあります。これは、聞きますと、やはり発注者側の、どんどん人事異動で替わったりして、またオーダーが違ったり理解が違ったりするということがこれまではあったという話も聞きます。

 改めて、システムについては誰が責任者なんでしょうか。国あるいは厚労省、あるいは日本年金機構、このことについてまず明確にしたいと思います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 年金に係るシステム開発に係る役割につきましては、日本年金機構発足に際しまして平成二十年に閣議決定をされました、日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画などに定められてございまして、御指摘の刷新プロジェクトにおきましても、これに基づく役割分担を行ってございます。

 具体的に申し上げますと、日本年金機構におきまして、実際のシステムの開発と運用、業務刷新の企画立案、その他一連の実務につきまして責任を持って行うということでございまして、他方、国におきましては、刷新プロジェクトの管理監督や関係省庁との調整など、システム保有者としての責任を負うとともに、管理運営責任を果たすために必要な管理、指導等を行うこととしてございます。

牧原委員 今お聞きになったように、ちょっと曖昧なんですよね。だから、こっちに聞けばこっちがうまくいかないと言うし、こっちに聞けばこっちがうまくないと答えるという状況にあって、そして、私が厚労副大臣をやっていたときなんて、今かなり前向きに進んでいますと言いましたが、あれから三年、今またみんなが集まって、ようやく業務の見直しから見えていますみたいな雰囲気なんです。これは永遠に終わらないんじゃないかという気もちょっとしてしまうんですよね。

 これは今、年金の記録管理システムの方が動いていて、実は給付の方もその先にあるわけです。これは、年金では、高井戸と三鷹といって、年金の記録の管理と給付が分かれていて、受けているところも会社も違うんですけれども、このいわゆる年金の給付のシステム側の刷新、これはどうなっているんでしょうか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険オンラインシステムを構成するシステムの中には、記録管理システム、基礎年金番号管理システムと併せまして、今御指摘ございました年金給付システムがございまして、いずれも政府最大級の基幹システムでございまして、まずは記録管理システム及び基礎年金番号管理システムの刷新に取り組んでいるところでございます。

 年金給付システムについてでございますけれども、現在、業務とシステムの両面から調査と分析を行ってございまして、一層の効率化を進めるための課題の把握と、また、その改善策を策定するという作業を行っているところでございます。

 今後でございますけれども、この作業に基づきまして、現行の業務の改善ですとかシステム改修、この検討を進めてまいりたいと考えておりますほか、まずは、従来から御答弁申し上げております記録管理システム等につきまして着実に刷新を進めました後に、年金給付システムにつきましても、業務、システムの改善につきまして更に本格的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

牧原委員 年金は、過去どこまで記録を遡るかという、さっき申し上げたように、非常に難しい問題がある上に、これは毎日毎日いろいろなことが現実に発生しているわけですね。これを時間をかけてゆっくりと刷新していくというのは結構大変で、給付のシステムになると、私が生きている間に本当にできるんだろうかと感じるようなことでございます。

 今、大臣、大臣なのか参考人なのかですが、やはりこういうのを聞いていると、デジタル庁ができたのを機に、こういう、何というか、仕掛かっていて、これはできますかというようなものもデジタル庁の方できちんと主軸にして進めていった方がいいんじゃないかという気がしますし、少なくとも、デジタル庁を主軸にした、厚生労働省とかと相当緊密に連携をして、一体としてやらないといけないんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

平井国務大臣 この年金の問題は本当に、過去から、党の方でもしょっちゅういろいろな問題提起を受けて議論をしているんですけれども、なかなか進まない。

 その前にまず、年金が消えたという、政権交代の引き金になった頃、考えてみると、年金が消えるってあり得ないですよね。保険料を納めていて、それで何でそれが消えるという。ここにさっきのベースレジストリーの話が出てくるんです。

 つまり、マイナンバーとひもづけていればまず消えることはなかったんですけれども、当時はなかった。そして、名前の場合は、日本の場合は致命傷なのは、戸籍の名前の読み方が確定していないので、名前の読み方だけでは、いつでも自由に変えられるということで、名前の読み方では個人が判別できないという特殊事情があった。

 いろいろなものが重なってきたので、今後はやはり、当然、ベースレジストリーという意味でいえば、これは年金にも関係してくるというふうに思います。

 そして、特別会計のシステムというのは、これとか登記とか幾つかありますよね。これはもう、全部大型システムで、全部古いシステムです。これの刷新というのは大変で、実は年金のシステムに関しては、対厚労省ということでいえば、前政府CIOの遠藤CIOが徹底的に見ていて、私も報告を受けていましたが、これは大変なんですよ。大変なというのは、累次の改修というのがどんどんどんどん積み上がって、サグラダ・ファミリアみたいな感じになっているんですね。そういうことで、一気に刷新というのがはっきり言って物すごいリスクになるというふうに思います。

 そこで、デジタル庁では、年金システムは、デジタル庁と各府省共同プロジェクト型システムというのに位置づけて、デジタル庁と厚生労働省が一体となってプロジェクトを組成し、共同で整備、運用を実施するという形に持っていこうと今考えていることでありまして、これはとても困難なプロジェクトなんですが、デジタル庁が民間人材を幅広く登用して、やはり情報システムの設計とか発注の能力を更に上げて、そして、いずれはやはり完全なクラウドに持っていった方が絶対いいんですけれども、そこまでたどり着くまでにやらなきゃいけないことが山積しているんですね。業務フローの見直しもやはり当然していかなきゃいけないし、大変難易度の高いプロジェクトですけれども、デジタル庁は厚生労働省と協力して取りかかる予定でございます。

牧原委員 年金は、やはり全ての皆さんの老後の安心を与えるという意味で極めて大切なシステム、制度でございますので、そこに安心できるシステムをやはりつくるという歴史的な使命を、そのレールを敷くということに、是非、平井大臣にはお願いをしたい、こう思う次第でございます。

 このように、新しいシステム構築をこれからいろいろしていくとかいうようなことをやっていくに当たって、今の、登記とかありましたけれども、既存のものが使えなくなるという場合があるんじゃないかというふうに思います。あるとすれば、それをどうしていくのか。そして、場合によっては、そこにもう既に業者の方が仕掛かっていたり、あるいは、もう何らかそこに契約があったりして、それが損害賠償や違約金の対象になり得ると思うんですけれども、それを私は非常に危惧をしています。

 そういう意味で、きちんと法務チームをデジタル庁とかにもつくって、これは、システムを進めるに当たっての契約書とかの確認もきちんとしながら進めなきゃいけないと思うんですが、藤井副大臣、いかがでしょうか。

藤井副大臣 牧原委員にお答えいたします。

 情報システムにつきましては、通常は、契約更改のタイミングを見ながら、計画的に検討を行い、システム刷新を行っているところでございます。

 その際、コストの削減や安定性の確保のため、既存の情報システム資産を可能な限り活用しつつ、情報システム資産に係る損害賠償等のトラブル防止にも取り組んでいるところでございます。

 また、情報システムの更改に当たっては、新しい事業者への引継ぎや整備の責任体制、損害賠償の取扱いなどをしっかりと検討し、契約や調達仕様書などに反映させることが重要であると認識しております。

 デジタル庁では、自らも情報システムを整備することとなりますけれども、牧原委員御指摘のとおり、法務、大切でございます。法務関係者も含め、IT調達の専門的知見を持った民間人材に参画していただきまして、しっかりとした契約の審査体制をつくってまいりたいと考えております。

牧原委員 これは実は極めて大切でございます。ワクチンのことなんかも、契約書を見たら、えっというようなことがあったなかったという話を聞いていますので、是非、ここは思わぬトラブル、法的トラブルがないようにしていただきたい、こう思います。

 これは、この間の本会議ですけれども、システムをつくっていくのを、これだけ膨大なものをどうやってつくっていくんだろうか、あるいは、地方自治体もありますし、それから、日々アップデートをしなきゃいけないという話もございます。そういうときに、平井大臣の方から、ガバメントクラウドという考え方が示されております。これは、政府がガバメントクラウドを統一的に使って、それを地方自治体の方が使うというような形を考えているそうなんですが、これを構築するというのは、言うは簡単、やるのは相当大変だ、こう思います。しかも、国内業者で本当にやり切れるのかという不安も感じなくもありません。

 これについて、複数の国内事業者が共同で行うのか、あるいは、そうすると、場合によっては、一者で受けた場合にベンダーロックインの危険性があるんじゃないかとも思いますが、この辺についてどうお考えか、藤井副大臣にお伺いします。

藤井副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のガバメントクラウドは、複数のクラウドサービス事業者が提供する複数のサービスモデルを業務要件に合わせて選択し、相互に接続して構築する予定でございます。

 その選定基準は、最新かつ最高レベルの情報セキュリティーが確保できること、技術仕様等が公開され客観的に評価可能であること、現在策定中の技術要件等を満たすこと、システムライフサイクルを通じた費用対効果が見込まれること、国によってしっかりと統制ができることでありまして、これらを満たすものであれば排除をしないという考え方でございます。

 上記の基準を満たすものであれば、複数事業者が共同で行うことであってもこれを妨げるものではございません。

 なお、クラウドサービスの技術仕様は公開されていることが一般的でございまして、その結果、クラウドサービス間でシステムを移行させることは可能であるというふうに承知しております。

 以上のことから、クラウドサービスの活用において、ベンダーロックインにはなりにくいと承知はしておりますが、最新の技術動向などを注視しながら取り組んでまいりたいと存じます。

牧原委員 ありがとうございます。

 この間、自民党で、LINEさんとNECさんを含めて、こういう民間の業者をかなり頻繁にお呼びしてお話を伺っております。その中でLINEさんがおっしゃったのが、LINEも含めて民間事業者というのはいつなくなるかもしれない、政府にしては、やはりそういう前提も常に頭に入れておいてほしいという話をされておりました。

 なかなか、年金のシステムなんかを見ていると、一度業者がはまるとそこが変えるというのは難しいというこのベンダーロックインの問題はやはり起こると思うので、ただ、それをどう起こさないで適切な競争を起こしていくのか、こういうことはしっかり考えていただきたいと思います。

 次に、マイナンバーカードについてお聞きをします。

 これは、昨年、私、経済産業副大臣をやっていたので、景気対策を、去年の三月ぐらい、今ぐらいですね、これを一生懸命考えていたときに、マイナンバーカードを普及させるような景気対策がいいんじゃないかということを実は言いに行ったことがございます。

 これはちょうど二〇〇九年の、二〇〇八年にリーマン・ショックが起きて、二〇〇九年に我々大型の補正予算を組んだんですけれども、あのときに、どこまで行っても千円という高速道路の景気対策をつくって、それはETCをつけていないと使えないということで、実はETC普及策でもあったわけですね。結果、みんな千円でどこまでも行ける、それで寝泊まりする人とかよくテレビに映って、ETCの普及率は一気に上がりました。そういうことをイメージしていたんですが、残念ながらこのマイナンバーカード普及の政策はできないと言われたんですね。

 なぜかというと、マイナンバーカードの発行に限界があるからというふうに返ってきたんです。一つは窓口面接です。つまり、今、窓口に行って面接しなきゃいけないので、いきなり、この景気対策を受ける、例えばどこまで行っても千円みたいなのを受けるためにマイナンバーカードをもらわなきゃいけないと窓口に人が殺到したら、とてもじゃないけれども事務的に処理できない。それともう一つは、カードの製造ですね。この製造の発行枚数というのもやはり物理的な限界があるという話を受けました。

 その後、このことが打開されたのかどうかを含めて、こういう物理的限界について、マイナンバー発行のこれからも増加を目指さなきゃいけないんですけれども、打開策についてお伺いをします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの申請受付、発行についてでございますけれども、市町村長から地方公共団体情報システム機構、J―LISが委任を受けて行っております。現在、月間三百三十万枚程度の発行能力に増強してきているところでございます。

 昨今の申請受付状況を踏まえまして、申請受付要員の増員、発行に必要なシステムや印刷機の更なる増強などについて、J―LISとも連携して検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、市町村の交付体制の強化についてでございます。

 昨年十月、総務大臣から交付円滑化計画の改定、強化をお願いする書簡を発出し、昨年十二月までに全ての市町村に改定後の計画を提出いただいたところでございます。改定後の計画におきましては、多くの団体で交付窓口や人員の増強、土日交付の更なる実施について盛り込んでいただいております。また、これに対応するため、令和二年度第三次補正予算におきまして、臨時交付窓口の開設や交付事務効率化に資する機器の導入経費など、国費による必要な財政措置も行っているところでございます。

 総務省としましては、毎月、交付円滑化計画のフォローアップをしておりますので、その機会を通じ、必要な助言を行うなど、市町村の取組を後押ししてまいりたいと思っております。

牧原委員 市町村に行くと、このマイナンバーカードの窓口はやはりすごく混んでいるという話なので、確かに難しいんですけれども、是非ここがボトルネックにならないようにしていただきたい。

 マイナンバーカード取得を促すという意味でのマイナポイント、五千ポイントつくというのをやっているんですけれども、これは議場の議員の皆様がどれだけやられたか分からないんですけれども、多分余りやっていないんですよね。

 私なんか、子供が三人いるんですけれども、そうすると、妻も含めて五つのマイナポイントをもらえるんですが、同じ、例えばペイペイだったら一つしかできないので、いろいろなところに口座をつくらないと、つまり五つ口座をつくらないとこの五千ポイントはもらえない。それで更にチャージをしたり、二万円チャージしたり、使わないともらえないという仕組みになるので、年配の方がこれを使って、マイナポイントだからカードを作ってとやるのは結構しんどいんじゃないか、こう思うんです。

 このマイナポイント、延期をされるという話ですけれども、改めてこの発行状況をお聞きするとともに、これをどう促進をしていくのか、お考えをお聞かせください。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナポイントの申込状況の現状でございますけれども、三月十四日の日曜日の時点で約千四百三十八万人の方からお申し込みをいただいております。同日時点のマイナンバーカードの交付の実施済みの件数が三千四百三十八万件でございますので、その割合から申し上げますと四二%程度という状況になってございます。

 マイナポイントの促進策でございますけれども、まずはできる限り簡素な仕組みとしようということに努めておりまして、具体的には、カードを読み取った上で数字四桁のパスワードと決済サービス情報の入力のみで申し込めるような仕組みにしているというところではございます。

 その上で、対応するスマートフォンの拡大、テレビCMやウェブ広告等の広報、それから、全国千七百の市区町村における申込窓口の設置、郵便局やコンビニなどへの申込端末の設置、決済事業者と連携した市区町村の申込支援の促進等々に取り組んできたところでございます。

 また、この度、委員からも御指摘ございましたけれども、事業期間を本年三月末から九月末まで延長するとともに、キャッシュレス決済事業者の追加公募も行っておりまして、新たに大手クレジットカード会社にも御参画いただけることとなったところでございます。

 本事業はマイナンバーカードの普及促進のほか、キャッシュレス決済の拡大ですとか、個人消費の下支えも目的とした事業でございます。今後もこうした取組を通じて一人でも多くの方々にマイナポイントを御利用いただけるように努めてまいりたいと考えております。

牧原委員 お気持ちは分かりますが、千四百三十八万人ですから国民の十分の一以下ということになりますよね。しかも、マイナンバーカードを持っている人の半分以下ということですから、相当に浸透していないと思った方が私はいいと思うんですよ。だって、これは五千ポイントもらえるんだから、すごくお得な制度なわけなんです。

 実は去年、持続化給付金をオンラインで申込みをできるというふうにしたときに、やはり年配の商売をやられている方とかはなかなかオンラインで申込みといってもできないと。実際には写メを撮って送るだけなんですけれども。ということで、窓口を全国に結構つくったり、最終的には商工会議所や商工会の皆様にもお願いをするような形でも一緒にやってもらうというふうにやった結果、相当にそういう皆様も含めて申請が進んだということがありますので、これは、銀行とか郵便局とか、どこがいいのか分かりませんけれども、市町村の窓口だけにやると結構今大変なので、いろいろなところで是非、お年寄りやこういうのが苦手な人も含めて、五千ポイントもらえるんだよといって、窓口に行って一緒にやってもらってというような、手続を促進するような形で進めていただければな、こう思う次第でございます。

 最後に、デジタル化が進んでかなりいいことが多いと思いますけれども、例えば今オンラインで私もほとんど会議をしておりますが、あるとき、目の御不自由な方が、オンラインでZoomとかで会議をやっていると、じゃ、資料を共有するといって資料がぱっと出てきて、我々から見ると顔がいっぱい映っていたり映らなくさせたりということができて、その資料を見ながら議論ができるんですけれども、目の不自由な方からすると全然分からないと。もちろん、ふだんでも分からないこともあるんですけれども、オンラインの場合の見えなさというのは、ほかに感知するものがないので、より孤立感、孤独感があるんだ、ここを是非配慮してくれという話を伺いました。

 そういう、やはり、我々がふだん気づかないような、障害をお持ちだったりする方がデジタル化の中で孤立感あるいは孤独感を深める危険性があるなと、そのときすごく感じた次第でございます。

 デジタル化を推進するに当たっては、誰も取り残さないということを一番の柱に掲げられているというのは存じ上げておりますけれども、改めて、平井大臣に、ここはすごく重要なので、御決意を述べていただきたいと思います。

平井国務大臣 委員の御指摘のとおり、アクセシビリティーの確保というのは、もう一丁目一番地、日本流のデジタル化の一番重要なポイントだと思っています。

 今回のデジタル社会形成基本法案では、地理的、年齢的、身体的、経済的な状況その他による機会の格差是正を挙げて、その格差が生じないように必要な処置が講じられるべき旨を定めています。ここはまさにデジタル技術によってカバーしなきゃいけないということだと思っていまして、今回、UI、UXを改善するということを大目標に掲げているのは、そのことも含めて、アクセシビリティーの確保も含めてということだと思います。

 特別定額給付金のときに、ネットを通じて一部の方は申し込んで、早くもらえた人がいらっしゃるんですね。めったに褒められることはないんですが、一部、視覚障害者の方が物すごく感謝しているというメールをいただきました。役所に行ったら紙しかないんですが、ネットでいち早く申し込んでお金を早くもらうことができたと。その人はITリテラシーが高いのでそれができたんだと思うんですが、非常にありがたいということを言っていただきました。

 あと、視覚障害、聴覚障害、いろいろな障害もあると思いますし、ここはUI、UXの改善で相当部分はカバーできるんだろうというふうに思っています。

木原委員長 大臣、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

平井国務大臣 はい、分かりました。

 ということで、誰一人残さないデジタル社会の実現に向けた政策をきめ細やかにやっていきたいと考えております。

牧原委員 終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 早速質疑に入りたいと思いますが、まず、ガバメントクラウドに関連して質問いたします。

 地方自治体にはガバメントクラウドとして提供するということでございますが、まず十七の基幹業務について共通化していくということで、段階的にやっていこうということだと思っておりますが、そんな中で、SaaS、PaaS、IaaS、ソフトウェア・アズ・ア・サービス、プラットフォーム・アズ・ア・サービスというようなことで、なかなかよく分からぬなと。実際問題、私もやったことがないので。IaaSはインフラストラクチャー・アズ・ア・サービスですが。

 私は、これは使い分けが重要だと思っております。どういう場合であればSaaSで、どういう場合であればPaaSで、IaaSでということの使い分けについては具体的にどのようにイメージされておられるのか、教えていただければと思います。

平井国務大臣 このSaaS、PaaS、IaaSの問題は、これは我々の中でもしょっちゅう議論している話で、自治体のサイズにも関係しますし、今までどのようなシステムをつくってきたかということにも左右されますし、地元にいるベンダーの能力やビジネスモデルにも左右されるし、いろいろな状況があるんだと思います。

 基本は、いわゆる十七基幹業務について、国が今後整備するガバメントクラウド上で事業者が開発したアプリケーションを利用する形を想定しているので、ガバメントクラウドというのはSaaSモデルが私は基本だろうというふうに思っています。

 地方自治体は、これまでのように自らサーバー等のハードウェアやOS、ミドルウェアやアプリケーション等のソフトウェアを所有する必要はなくなって、基幹業務等はオンラインで利用することが可能になる。他方、アプリケーション事業者にとっては、ガバメントクラウドが提供する共通機能を活用する範囲によって、先ほど先生がおっしゃったとおり、IaaS、PaaS、SaaS、それぞれの形態で活用するということが考えられます。

 具体的には、サーバーやネットワークのインフラを利用するのであれば当然IaaS、OSやミドルウェアまでを共通機能として利用する場合であればPaaS、認証基盤などの一定のアプリケーションを共通機能として利用する場合ではSaaSということになるんですけれども、これもケース・バイ・ケースだろうというふうに考えています。

 今、共創プラットフォームの中でもこの話は一番大きなテーマとしていろいろ議論されていますが、今後、ガバメントクラウドに関する先行事業の状況や地方自治体の意見を踏まえて検討をしていくというふうに考えていますが、いずれにしろ、地方自治体が安心して参加できるような仕組みを構築していきたいと考えております。

濱村委員 今、ケース・バイ・ケースではあるということでお話があったんですが、確かに基本的にはそうなんですけれども、そうはいっても、まず、IaaSであれば、インフラは共有できるものということなので、例えばネットワークとかストレージとか物理サーバーとか仮想化しているところとか、こうした辺りについては基本的にはガバメントクラウドで提供いたします、その上のレイヤーについては各自治体で調達しても結構ですよというようなことになるのかなというイメージを持ちました。プラットフォーム、PaaSであれば、アプリとかについても自治体で自由に組んでくださいよというようなイメージに近くなってくるのかなと。そうなってくると、SaaSってどこからなんでしたっけというようなところにもなってくるんですが、認証アプリというような話も今大臣からございました。

 基本的には、データについては地方自治体の皆様が保有しているという考え方でいいのかなと思っているんですが、そうした中での共通できる機能、共通機能として考えることと全体のシステムとしてのレイヤーとして考えるところとをそれぞれ整理して、自治体において調達していただかなければいけないんじゃないかと私は思っております。

 その上でお伺いしたいのが、地方自治体の独自施策についてでございます。

 もう皆さん御案内のとおり、各自治体、独自施策を提供されているわけでございます。これは、地方議会でいろいろな御意見が出て、我が町、我が地域はこういう世帯が多いのでこういう施策が重要だとか、いろいろな施策があるわけでございます。それで、首長が、そうだな、それをやらなきゃいけないなとか、あるいは首長主導で、こうしたことをやらなきゃいけないんだ、我が市はこういうことをやるんだということで、各般、政府の足らないところを地域において独自でやっていただいているということでございますので、こうした取組は今後も地域の発展のために非常に重要だと考えております。

 その上でお伺いしたいのが、これをどのように提供していくのかということでございます。例えば、十七業務の中でも、子ども・子育て支援とか児童手当とか児童扶養手当とか、こうした業務は市が独自で、所得基準を変更したり、あるいは上乗せ給付を行ったり、そういうことをやっております。これは自治体はどういう形で実装していけばいいのか。

 APIを開放してくれているので、そのAPIでつなげれば実装できますよというふうに考えてもいいのかどうか。この辺り、先日の質疑でもなかなかイメージが湧かなかったものですので、確認的にお伺いできればと思います。

平井国務大臣 先生の問題意識はよく分かりました。

 基本的に、地方自治体が独自にやっているような政策に関して、それを制約するというようなことは全く考えていません。

 例えば、標準準拠の情報システムにおいて、さっき言ったような、給付の上乗せとか範囲とかという話ですが、該当するサービスの設定を変更できる、いわゆるパラメーターの変更という処理がまず考えられると思います。あるいは、標準準拠システムとは別にシステムを構築する、これはほかにはないような給付をするというような形ですね。その場合も、必要に応じて、API連携等によって標準準拠システムとの情報連携が可能となる標準仕様としたりすることによって、標準準拠システムを活用して実施することが可能である。

 要するに、標準準拠システムがあって、パラメーターとかアドオンというやり方でできる。さりとて、ほとんどのものは標準準拠システムでできるというのも事実です。その基本のところはやはり共通の部分が非常に多い。

 そういうことで、今、独自サービスを提供する場合のシステムの在り方について、技術的な観点も含めて、これは各制度の所管府省の話もあるので、一緒になって今議論を進めているというところでございます。

濱村委員 標準準拠と、全く標準準拠から外れるような独自施策とという話がございました。ここで難しくなってくるのが、じゃ、どこまで標準準拠でやれるんでしょうかねと。

 今言ったような、所得の基準を変更するとか上乗せ給付するとか、その程度であれば、パラメーターの変更でできますねということで、ガバメントクラウドを提供しているベンダーさんの開発の範疇に入るのかなというようなイメージを持ちました。一方で、パラメーター変更ではあるんだけれども、それをアドオン的に自治体でベンダーに調達をかけてもいいのかなというところも、必ずしも判然とはしないんですが、それは両方あってもいいのかなとは思うんです。ただ、この辺りの責任分界点を明確にしていくことは重要かなということを感じたところでございます。

 全然標準準拠ではないようなシステムについては、全然別物として、ほかにないサービスとして提供することが妥当であろうということなので、そこはそれで別途自治体で調達をかけるんだというふうに思いましたので、この辺りの整理は、今後また深めていかれることと思っておりますので、是非整理をお願いしたいというふうに思っております。

 それで、十七業務の話でちょっとお伺いしたいのが、政府が今想定しているわけなので、当面、先行的にやったりするわけでございますが、各自治体は既にサービス提供されておられます。今日、総務省、お越しいただいていますが、現行の自治体の業務を支えている業務システムの開発費用、これは、地方交付税で措置されているのかなとか思ったり、あるいは算定基準とかあるのかなとか思ったりするんですが、この辺り、今現状どのようになっているのか、教えていただければと思います。

宮路大臣政務官 現状についてお尋ねがありました。

 地方自治体の情報システムに要する経費については、十七業務のための情報システムも含めまして、普通交付税の基準財政需要額における戸籍住民基本台帳費、あるいは徴税費、包括算定経費等の関係費目において、例えば包括算定経費であれば人口とするなど、それぞれの測定単位に応じて算定しているところでございます。

濱村委員 じゃ、ちょっと更に伺いますが、独自施策の実装のための費用については、この財源措置というものはどのように支給されるべきであって、どのように検討されるべきと考えるのか。

 これは、現行ではなくて、新たに十七業務がガバメントクラウドで提供された後の話でございますが、簡単に言えば、これから、独自施策、ガバメントクラウドに乗っかったらつくれないのとかというようなことがあってはいけない。それをちゃんと、ガバメントクラウドを推進してもできるんですよ、そしてまた、その財源措置についてはどう考えたらいいのというところが多分自治体の皆さんの気になるところだと思うので、その点を明らかにしていただきたいと思います。

宮路大臣政務官 今後のことについてのお尋ねでございます。

 独自施策のための情報システムについては、標準準拠システムを活用できる場合もあると考えております。

 今後進められるガバメントクラウドの活用や標準準拠システムへの移行に伴う影響を踏まえ、関係省庁としっかり連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

濱村委員 もうちょっと言えた方がいいよということで私は政務三役に来ていただいたつもりでございますが、政務官として、責任を持った立場で軽々には発言できないと思うのは、重々理解はいたします。

 ただ、ガバメントクラウドを推進して、標準準拠システムの中でやれみたいなことを言われていると感じているというのが今の現状です、自治体の皆さんは。

 そうじゃないんですよ、これからもいろいろな独自施策をやっていただいていいですし、それは普通交付税の中でやっていただくように算定基準なども見直していかなければいけませんねということなんだと思いますし、ちゃんと独自施策がより活発にできるように、当然、標準準拠システムに乗っかることによって費用が浮いてくるというのは、全体で言えばそうなんです。じゃ、その全体で浮いてきた費用をどこに仕向けるのかというと、やはり独自施策で地方自治の充実化に充てていくべきなんだろうというふうに思いますので、その辺り、しっかりと総務省においては意識をしていただきたいというふうに思いますし、もっと総務省の中で整理して、言えるところまで、安心していただけるところまでの答弁をちゃんとつくっていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 次に、ISMAPについて伺います。

 ガバメントクラウドは別に否定するものでもないですし、クラウド・バイ・デフォルトで、二〇一八年でしたかね、ずっと政府調達においてはクラウドが原則でありますので、それ自体は否定しません。

 その上で、大事なのは、シングルクラウドなのかマルチクラウドなのかとかといったところの話なんですね。これは先行事業で評価すると認識しております。

 そうはいっても、シングルであってもマルチであっても、クラウドサービスを提供できる事業者というのは、ISMAPの評価、登録を受けなければいけないと認識しております。

 実は、三月十二日にこのISMAPのクラウドサービスリストが公表されておりますが、実質的にこれらのプロバイダーに限定されるんじゃないんですかと。クラウドサービスプロバイダーなのでCSPというふうに言われておりますが、今現状、私が認識している三月十二日は七社でございます。この七社しか入れないんじゃないのということなんですね、今現状では。簡単に言えば、CSPロックインですよ。

 というようなことを考えれば、いや、それは確かに、セキュリティーガイドラインなので、ある一定のレベルを超えていただかないと困りますねということなんですが、この辺り、どのように整理をすればよろしいか、IT室に伺います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、情報システムの調達で、クラウドサービスの導入を第一に検討するクラウド・バイ・デフォルトの原則というのを踏まえまして、安全で利便性の高いクラウドサービスの導入を加速するため、政府情報システムのためのセキュリティー評価、先ほど先生がおっしゃいましたISMAPを立ち上げております。

 このISMAPでは、国際レベルの管理基準に基づきまして、第三者による監査のプロセスを経まして安全性が評価されたクラウドサービスをリストに登録、公表して、政府機関がクラウドサービスの調達を行う際には、リストに登録されたサービスから調達することを原則としております。

 ガバメントクラウドにつきましても、このリストに登録されたサービスから調達することが原則と考えております。

 このISMAP制度につきましては、三月十二日に初回登録リストが公表されたばかりということもありまして、今後、関係機関等への周知を図るなどいたしまして、登録されますクラウドサービスの拡大というものに努めてまいりたいと考えているところでございます。

濱村委員 ISMAP、必要性はよく分かります。

 一方で、大きな監査法人にちゃんと認証、登録の手続をサポートしていただかなきゃいけないというようなこともあったりします。ですので、なかなか、クラウドサービスを提供しているベンダーからすれば、これは経営判断に大きく影響してきます。

 重ねて、最後に伺いますが、ISMAPの評価、登録を受けていないような場合であっても、自治体がCSPと契約してガバメントクラウドに接続するようなシステム開発はできるかできないか、お答えいただければと思います。

時澤政府参考人 先ほども申し上げましたように、ガバメントクラウドにつきましては、ISMAPの評価、登録を受けたクラウドサービスを活用するということでございますが、委員御指摘のような、地方公共団体がISMAPに対応していないクラウドサービス事業提供者により提供されるクラウドを利用して構築を希望するシステム、これがどのようなものであるかということを、まずは自治体と対話をして見極めていく必要があると考えております。

 仮に必要である場合には、一般論といたしまして、ガバメントクラウドに接続するシステムを開発する場合には、当該システムとガバメントクラウドのそれぞれの安全性が確保されるということが必要と考えられます。

 いずれにしましても、現在、全国の自治体職員との議論の場でありますデジタル改革共創プラットフォーム等において、ガバメントクラウドに移行すべきシステムの在り方につきまして対話を行っているところであります。また、自治体の協力を得て、ガバメントクラウド先行事業ということも実施をする予定ですので、その先行事業におきまして、運用等に関する具体的な検証を行う中で、御指摘の点につきましても、自治体の意見も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

濱村委員 終わりますけれども、恐らくどういうシステム構成によるかの話になってこようかと思います。そうなってくると、インターフェースごと、あるいはデータ、あるいは物理、論理で分離していますとかというような個々の、個別のところを見ながら判断していくというようなところもございましょうが、その辺りも分かりやすくガイドライン等で周知していただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。

 今回の法案、デジタル庁をつくってデジタル社会をつくっていくのだ、形成をしていくのだということでありますけれども、今回のデジタル庁の予定される体制、また民間登用はどのぐらいの割合なのか、そして民間人材に期待するものについて御説明をください。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁には、デジタル監、デジタル審議官、統括官、審議官、参事官、企画官等を設置することといたしまして、人員規模は五百名程度で発足することといたしております。

 デジタル庁におきましては、デジタル監を含めまして、システムに詳しいエンジニア等民間人を百名程度で採用いたしまして、行政と民間人の人材が効果的に連携する体制を構築して、デジタル改革を牽引していくこととしているところでございます。

 優秀な民間人材の確保に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 民間から百人以上の方に来ていただいて一緒にやる、全部合わせると五百名規模ということでありますけれども、この体制をつくっていくのとともに、役所の文化として、人間はミスをするものだという意識が低いのではないかということは、この間の動きによって非常に危惧をしています。

 事務の面では、法案提出時の四十五か所のミス、これは、ミスそのものよりも、その後約一か月にわたって隠蔽をされてきたということ、さらに、技術面においては、昨日もCOCOAの問題が出てきましたけれども、COCOAの度重なる不具合、そして、一々それが出てくるたびに、どうしようもなくなるまで発表はされないというようなこと。これから行政のデジタル化に取り組んでいくというような担当者がこれでは、先が思いやられるのではないかと危惧をしています。

 民間でも、LINE社の利用者の個人情報が中国の関連会社からアクセス可能となっており、流出の可能性がある、いわゆる個人情報保護法違反の状態にあったのではないかと報じられています。

 行政の無謬性というものを克服をしていく、そして違法状態や失敗を明らかにするための方策及び速やかなリカバリーのための改善策はありますか。

時澤政府参考人 まず、デジタル改革関連法案につきまして、参考資料に誤りがあったこと、国会への説明が遅くなったこと、提出した正誤表が最終版でない途中のものを配付したこと、この三点につきまして、おわび申し上げたいと思います。

 昨年末に、デジタル社会の実現に向けました改革の基本方針というものを策定をいたしております。デジタル社会を形成するための十原則というのを掲げておりまして、真っ先にオープン・透明ということを掲げたところでございます。

 デジタル社会形成基本法では、行政運営の透明性の向上のための環境整備を国及び地方公共団体の役割として規定をしているところでございます。また、デジタル庁におきましては、既存の組織文化にとらわれない柔軟かつ魅力的な職務環境の整備に取り組むことといたしておりまして、その際には、プロジェクトの進捗やトラブル等も含めまして、十分な透明性を確保した組織運営を行うものとなるように取り組んでまいりたいと考えております。

 また、今回の改革法案の参考資料の誤り、国会への報告等の不手際等を受けまして、事案を検証する再発防止チームも設置をしております。その検討結果も踏まえまして、デジタル庁でそれを生かしていきたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 大臣、この間、デジタル化が遅れた、あるいは、役所と幾らやっても、あるいは政権がどんなことであっても、なかなか進まないというようなことを答弁で繰り返しおっしゃっていますけれども、今のやり方、役所が頑張っていただくのはそれはそうなんですが、大臣のリーダーシップが必要だと思いますが。

平井国務大臣 まさにそうだと思います。

 そして、今までの当たり前をやはり自分たちで疑う、今までの仕事のやり方は変えられない前提で何事も進めるということから改めたいというふうに思っています。そうでなければ霞が関の働き方改革にもならないと思いますし、今の霞が関の働き方の状況、組織文化の中に、民間人材が本当に能力を発揮できる環境であるかどうかと考えると、今のままではこれは潰れてしまうと私自身思うんですね。ですから、そうではなくて、それぞれやりがいをちゃんと感じて能力を発揮してもらえるような職場環境をどうやってつくっていくかというのは、これは本当に重要なポイントだと思います。

 ですから、今までの霞が関のやり方を全部踏襲してしまったのではデジタル庁をつくる意味がないというふうに思っているので、さりとて、法案のさっきのミスの話等々は、これは、現行の法案の審議におけるプロセスというのは変わらないわけで、そこの要因もやはり抱えていかなきゃいけないということで、いろいろな意味でのハイブリッドになるんだろう、そのように思っています。

森山(浩)委員 行政の無謬性を越えるという部分については特に大臣の指導は大事だと考えますし、また、この間の報道などを見ていますと、民間の活力を入れれば、民間の考え方を入れればうまくいくんだというような報じられ方がよくされていますが、先ほどのLINEの話も含めて、民間とて万能ではないということを心して取り組んでいただきたいと思います。

 さらに、今回の法改正により、これも議論が出ていますが、自治体独自のシステム、これの自由度が減るのではないかということで、どうしてもプラスアルファの事業をしたい、あるいは現在もう既に進行中であるというような自治体と国の意見が分かれることがあるのではないかと考えます。その際の紛争解決の枠組みについてどうお考えでしょうか。

時澤政府参考人 まず、先ほど私、再犯防止チームを設置したというふうに申し上げましたけれども、これからということでございますので、今検討中でございますので、訂正しておわび申し上げたいと思います。

 そして、御質問でございますが、国も地方公共団体も、デジタル社会の形成に関する施策を策定する主体としてデジタル社会の一翼を担う重要な主体でございまして、相互の連携というのが非常に重要だと認識しております。

 デジタル社会形成基本法案におきましては、十三条、十四条で国、地方公共団体の責務をそれぞれ規定した上で、十五条におきまして「国及び地方公共団体は、デジタル社会の形成に関する施策が迅速かつ重点的に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。」というふうに規定をしているところでございまして、国と地方公共団体が相互に連携するために最も必要なのは相互のコミュニケーションだと思っておりますので、お互い対話を重ねながら課題に対応していくことが重要だと考えております。

 そのため、自治体の職員との議論の場でありますデジタル改革共創プラットフォームというのも設けまして、自治体システムの在り方について対話を現在重ねてきているところでございますので、引き続き、自治体の意見を丁寧に伺いながら、地方自治体と一緒にデジタル改革を進めていきたいと考えているところでございます。

森山(浩)委員 早速間違いを正していただきまして、ありがとうございます。こういうのが大事だと思います。

 今の答弁ですけれども、一緒にやっていきたいというのは分かるんです。でも、どうしても対立をしてしまった場合の仕組みというのを説明がなかったと思うんですが、いかがですか。

時澤政府参考人 基本法におきまして、デジタル庁の任務を書いておりますけれども、重点施策をつくることになっております。その際に、地方のシステムに関することというのも当然取り上げていくということなんですけれども、その際にはあらかじめ地方六団体の意見を聞くという規定も設けております。

 事前にいろいろな意見調整をする場も正式に法案に位置づけておりますので、単なる事実上の対話ということだけではなく、制度的にもそういう意見の場ということを担保しながら進めていくこととしているものでございます。

森山(浩)委員 全体の制度としてはそういうこともあるんでしょうが、個別にやりたいことというのも出てくることがあるでしょうから、どうしてもというときに、国と自治体一つで戦うということになると、とても勝ち目がありませんので、どうやって意見をやっていくかというシステムを入れていただきたいという要望をしておきます。

 さて、あるべきデジタル社会についてということで、今回の法案を読んでいましても、あるべきデジタル社会、これをつくるといっても十分に描かれていないままではないかと感じています。国民の共感を得てデジタル化が進展するというためには重視する価値の部分がまだ曖昧なのではないかということで、以下三つの観点を踏まえて大臣にお答えをいただきたいと思います。

 一つ目は、分権か集権かという話で、情報管理については、マザーコンピューター型だと、工数の多いシステムの稼働がコンピューターの能力により制限をされたり、一つのミスが致命的に大きな悪影響を社会に及ぼす、あるいは、乗っ取られるとか暴走するとかいうような、許容限度を軽く超えるミスを起こすというリスクを抱えているために、二十世紀の終わりからは、ネットワーク型でそれぞれ進めていくというような形で進展をしてまいりました。基本はネットワークで分散管理、分権型で進めることには違いがなく、改めて歴史の流れに逆行するべきではないという部分は認識を同じゅうされておりますでしょうか。

 また、全国一律でシステムを共有したり標準化することが望ましい部分があるという部分、この場合は、どの段階、レイヤーを共通化をするのかということこそ国会で議論すべきなんですけれども、今回の法案ではそこが曖昧になっているのではないかという問題意識を持っています。

 二つ目に、民主的かどうかという部分。オードリー・タン・デジタル担当大臣の台湾では、一万人の市民とともにシステム開発に取り組んでいるというお話でした。先ほどの確認によると、五百人のデジタル庁ということであります。これでは限界があるのではないか。システムを構築をするのは、ITの専門家だけではなくて、それぞれの分野の現場の知恵が必要です。

 先日の委員会でも、中小企業に専門家を紹介をするという中小企業一一九番というシステムにおいて旧姓の登録ができない、でも、弁護士さんや行政書士さんなど専門家の方は旧姓のまま本来の登録をされているという方も多かったというようなことも議論をさせていただきましたけれども、オープンに構築をしつつ、センシティブな個人情報の扱いを別にして取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 そして、三つ目。個人情報を自分でコントロールできるかということで、これについても、何をセンシティブとするかという基本の部分は国会で議論すべきですが、今後考えますというような状況になっているのではないかというふうに読み取れます。

 以上、三つの観点を踏まえて、大臣の答弁を求めます。

平井国務大臣 今、委員のお話を聞いていて、同じ感覚だなというふうに思いました。

 分権か集権かというか、分散しても発展するモデルを求めてデジタル化を進めていく。デジタル化の一番いいところは、時間と距離の問題をなくすというところだと思います。そういう意味で、あとは、民主的で透明であるかということもそうだし、勝手に自分の情報が使われるようなことがないようにするということだと思います。

 結局、今回の改革法案の中に描いている社会像、これは言葉で言うとイメージがちょっといろいろ広がり過ぎちゃうんですけれども、デジタルの活用によって、国民一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができて、多様な幸せが実現できる社会。どのように働くか、どこに住むかというようなこともここに含んでいるわけです。そして、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化というのは、アクセシビリティーとかそういうことを保障した上で、あくまでも今の我々が住んでいる空間に貢献できるデジタル化を進めていこうということで、そういうものはやはり常に民主的に発展するべきものだというふうに考えています。

 地方自治体との連携で、今回のガバメントクラウドとかいろいろな話をさせていただいていますが、これは、国全体としてのシステムのレジリエンスとか、国民側から見ての利便性であるとか、地方自治体のいろいろな地域、住民に対する政策の選択肢を狭めるようなことは全く考えていません。ただ、共通なものに関して言えば、絶対共通化した方が、国民は一か所の自治体に永久にとどまるわけでもないし、移動もしますし、そういうことを考えると、できるだけ標準システムに関しては共通化していこうと。これは自治体の皆さんも反対しているものではありません。

 あと、個人情報保護の重要性を踏まえて、個人の権利利益が害されることのないようにされなければならない旨を定めています。これは個人情報の保護が図られるべきということなんですが、自己情報コントロール権というのは何か定義がちょっといま一つよく分からない概念なんですが、例えば情報のポータビリティーであるとか、情報銀行に自分の情報を信託するとか、例えば会津若松市のように、オプトインで自分の情報を出す代わりに、災害とかそういうときに自分に返してねというようなこととか、自分が主体的に自分の情報に関わるという選択肢はたくさんできてきたというふうに思います。

 その意味で、委員と同じ理解だなというふうに私は理解をさせていただきました。

森山(浩)委員 方向性は同じということなんですが、先ほどの、オープンにシステム開発をしていくという、これも、民間から人が入ってくるということは、自分のところの会社に仕事を回そうとするとか、あるいはベンダーに丸投げしてしまうとか、こういう危険性もどうしても伴うものでありますので、いかにオープンにつくっていくかというようなところも気をつけていただきたいというふうに思います。

 それでは、条文の中身を幾つか確認をしていきたいと思いますが、情報公開法を官民統一するに当たって、公的部門においては、照合可能性はあるが容易照合可能性がないという範囲が個人情報から外れることになります。照合可能性はあるが容易照合可能性がない情報というのはどんなものがありますか。

時澤政府参考人 現行の行政機関個人情報保護法の個人情報の定義が、御指摘のとおり、いわゆる照合可能性を要件としているところ、今回の法改正におきまして、官民の個人情報の定義を、現行の個人情報保護法の定義、いわゆる容易照合可能性を要件とするものに統一することとしております。

 その容易照合可能性と照合可能性との差分に該当する情報といたしましては、匿名加工情報、そして、外部から取得しました仮名加工情報、そして、提供元では個人を識別できませんけれども提供先で個人を識別可能となる情報、この三つが想定されるところでございます。

 これらの情報につきましては、改正後は個人情報に該当しないというふうになるわけでございますが、本人を識別するために他の情報と照合してはならない義務等の規律を設けることによりまして、個人の権利保護の水準が低下することはない、こういうことの措置によりまして、低下することはないというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 匿名加工情報など三つということなんですが、このカテゴリーに今後新しく入るというようなことはないですよね。

時澤政府参考人 私どもでいろいろ考えてこの差分ということを考えていったところ、先ほど申し上げた三つというのが想定されるということでございます。

森山(浩)委員 今回によって個人情報保護が緩むんじゃないかというような危険性、これをないようにしていただきたいということと、個人情報保護法の改正案六十九条の二の二というところで、行政機関等が法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該個人情報を利用することについて相当の理由があるときとあります。これを使えるということなんですけれども、地方自治体も法律あるいは条例によって行われるわけですから、相当の理由がないときの業務というのはあるんでしょうか。

時澤政府参考人 改正後の個人情報保護法では、行政機関等は、法令の定める所掌事務又は業務の遂行に必要な限度で相当の理由があるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を当該機関内部で利用可能であるということを規定しております。

 例えば、国民負担の軽減でありますとか、行政サービスの向上、行政運営の効率化を図るという観点から、その保有する個人情報を行政機関内部において利用目的以外で利用することが必要となる場合はあると考えております。その場合でも、個人の権利利益の保護の必要性、そして個人情報の有用性を考量しまして、個人の権利利益の保護の必要性が上回るというふうに考えられる場合には、相当の理由がないというふうに判断されることになるものでございます。

 改正後は、国の行政機関、地方公共団体も個人情報保護委員会による監視を受けることになるものでございます。相当の理由の有無につきましても、最終的には、委員会が中立、客観的な立場で判断することになりまして、行政機関等が恣意的に判断することはないというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 じゃ、市町村長や知事が相当な理由があると思ってやりました、その後、委員会から注意をされる、あるいは取消しされるということがあるということですか。

時澤政府参考人 そういうケースもあるというふうに考えられるところでございます。

森山(浩)委員 国際的にどう見られているかという部分で、EUの一般データ保護規則、GDPR、これと我が国の個人情報保護の制度の関係ということで、補完的ルールを含めて御説明ください。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護の制度につきましては、文化、歴史の違いなどを背景に、国や地域によって様々でございまして、制度の比較は容易ではございませんけれども、その上で、グローバルスタンダードの観点からは、OECDプライバシーガイドラインが共通の考え方となってございまして、日本の個人情報保護法は、EUのGDPRと同様に、このガイドラインに準拠したものでございます。

 また、我が国の個人情報保護法の規律は、GDPRの規律に照らして十分なレベルの保護を保障しているということで、二〇一九年一月に欧州委員会によりまして、個人データの越境移転に関する十分性認定の決定が行われております。これを踏まえますと、個人情報保護法とGDPRとは実質的に同等の保護水準になるというふうに考えてございます。

 その上で、両者は全く同一の規定が設けられているというわけでもなく、幾つかの関連する相違点が存在するという事実に照らしまして、EU域内から十分性認定に基づいて移転される個人データに対しましては、一般的な規律に加えまして、補完的ルールというのを設けてございます。

 この中では、要配慮個人情報の範囲、保有個人データの範囲、利用目的の確認、記録、日本から第三国への個人データの再移転、匿名加工情報の範囲に関する規定を設けてございまして、例えば要配慮個人情報の範囲につきましては、EUから十分性認定に基づいて移転されたデータの中の性生活、性的指向、労働組合に関する情報につきまして、要配慮個人情報と同様の扱いとするというふうな規律になってございます。

森山(浩)委員 基本的には同じ方向だけれども、補完的ルールとして、性生活、性的指向、労働組合の情報というのが要配慮の個人情報として入っていると。ここまで追いついていないという部分だと思いますので、これについては、改めて、日本の個人情報保護法の制度の中でもどうするかという部分は議論をしていきたいというふうに思います。

 さらに、今回、個人情報保護という部分でいきますと、先ほど自己情報コントロール権の話もありました。デジタル権利憲章というような形で、総合的にどういうふうにやっていくのかというような部分についてはしっかりまた議論をしていかなきゃいけないんじゃないかという問題意識を持っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それで、国と自治体の関係です。

 災害時の個人情報で、自治体の対応の違いから支援が遅れるなどというような報道も、この法案の審議に当たって報じられていたりしますけれども、どのようなものがありますか。

時澤政府参考人 災害時におけます行方不明者情報の公表につきまして、かつて地方公共団体によって対応が分かれた事例があったこと、こういったことを踏まえまして、全国知事会から、国において、あるいは地方と協力して、統一的な基準の作成に取り組むよう求める提言がなされてきたところでございます。

 しかしながら、地方公共団体の個人情報保護制度は、これまで条例によりまちまちに定められておりましたので、どのような制度を前提として統一的な基準の検討を進めるべきか判断し難いといった課題もございました。

 今回の個人情報保護法の改正によりまして、地方公共団体につきましても、法律で共通ルールを定めまして、これを適用する仕組みに移行することになりますので、行方不明者情報の公表の判断に資するガイドラインを策定する環境が整うものと期待をしているところでございます。

森山(浩)委員 支援そのものというよりも、遺体がどこで見つかったかということによって、公表されるかどうかというのが、住民票の位置によって分からないというようなことで、自治体も困っておられるというようなことでございました。

 自治体の条例でオンライン結合の禁止の規定があるというところがほとんどですけれども、この場合、条例というのは生きるんでしょうか。

時澤政府参考人 現在、地方公共団体が制定している多くの条例でオンライン結合による個人情報の提供を原則禁止しつつ、公益上必要があると認められる場合にはオンライン結合を可能としているというものがあるというのは承知しております。

 改正後の個人情報保護法では、オンライン結合につきましては特段の制限は設けず、地方公共団体を含む行政機関等に対しまして個人情報の安全管理措置義務を規定することによって、オンライン、オフラインを問わず、個人情報の提供の適正性や安全性の確保、こういったものを図ることといたしております。

 このため、改正後は条例におけますオンライン結合禁止規定は廃止されることとなると考えておりますが、その趣旨等につきましては地方公共団体に対しても丁寧に説明してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 オンライン結合をしませんという条例があっても、廃止をせよということになるということですか。

時澤政府参考人 法令によりまして統一的な運用をしていただくということになりますので、条例によるオンライン結合の禁止につきましては、これは条例を改正をしていただくという必要があると思います。

森山(浩)委員 上乗せあるいは横出しというようなこともあり得ますよというのは全体としての説明はあったと思うんですが、この部分については結合しませんということについても駄目なんですか。

時澤政府参考人 条例によります上乗せ、横出しにつきましては、地域の特性による部分につきまして、要配慮個人情報、条例で要配慮個人情報というような呼び方もしておりますが、そういったものは地方でも条例によって定めていただくということなんですが、オンラインの結合の禁止につきましては、そういう地域的な特性ということではありませんので、これは法の規定に従って、オンライン結合につきましては基本的には禁止はできないということになろうかと思います。

森山(浩)委員 というようなことで、自治体の自由度について、自治体側もかなり不安があると思うんですね。しっかりと議論をしていきたいと思いますし、また、自治体とのやり取りというのもしていただきたいと思います。

 具体例の中で、どうしてもこれは駄目だというような話もあるかもしれません。それに対して、一律的に駄目だと言い切ってしまうというのは問題ではないかなというふうにも感じております。

 時間になりましたので、今日はここまでにいたします。ありがとうございました。

木原委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党・無所属の柚木道義でございます。

 質疑機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭、平井大臣、それから個人情報保護委員会の事務局長さん、追加通告をちょっとさせていただいておりまして、この本法案の私の通告にも非常に密接に絡む部分でございますので、可能な範囲で是非御答弁をいただければと思います。

 今朝の朝刊の一面に、LINE社、皆さんよく御承知の、国内の月間利用者は八千六百万人に上る無料通信アプリを運営されておられます、このLINE社における個人情報の保護に不備があったと。つまり、中国の委託先、再委託ということだと思いますが、閲覧可能な状況になっておりまして、政府の個人情報保護委員会に報告する一方で、近く調査のために第三者委員会を立ち上げ、運用見直しに着手ということでございます。

 まず、こういう情報、報道もある中で、LINE社というのは、もう多くの方が御承知のように、政府あるいは多くの自治体とも連携をして、いわば日本の公共的な基盤になりつつある。コロナ対策でも、発熱の報告、病院の予約、そういった部分を担っておられたり、厚労省の自殺対策の相談業務なども担っておられる。

 そういう中で、ちょっとまず冒頭、これは可能な範囲でお考えをお聞かせいただければと思うんですが、現状のこのLINE社が担っておられる、政府、もちろん自治体もなんですね、今回この法案を審議するに当たっては、統合していくわけですから、様々な個人情報を。政府や自治体が、このLINE社と、まさにどういった連携といいますか、あるいは業務の委託等を行っているかについて是非確認を至急いただきまして、そして、その確認をいただいた内容について、是非可能な限り公表いただきたいと思うんです。

 ちょっとまず冒頭、その点について、是非大臣、これからそういうことも検討する、至急対応するということでも結構ですので、御答弁をお願いします。

平井国務大臣 委員御指摘のLINE社の報道について、私も今朝新聞で確認をさせていただいたので、報道については承知しているんですが、まだ詳細を知っているわけではございません。

 現時点で、個情委を中心としていろいろと調べているんだとは思うんですけれども、まず、私は個人情報保護法の担当大臣ですけれども、個人情報保護委員会は三条委員会で、独立した組織です。だからこそ、そこでしっかりと個人情報の保護ができるんだろうというふうに思います。

 現時点で、ある程度事務方の方もその内容について調べたと思いますので、まずは政府参考人の意見を聞いていただければと思うんですが、よろしいですか。

柚木委員 個人情報保護委員会事務局長さん、今日お越しいただいておりますので、追加通告もしていますので、まさに今の、大臣、後ほどもう一度伺いますが、現状の、政府、もちろん今後、これは自治体も一元化していくわけですから、LINE社が業務委託を受けている、あるいは自治体と様々連携してやっている部分も含めて、現状把握しておられる部分、まずその点について、あったらここで御答弁いただいて、もし現状分からなければ、やはり、まさに今、法案審議に関わってくる部分で、この後の質疑もそうですが、是非至急お調べをいただいて、公表をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

福浦政府参考人 LINE社についてのお尋ねがございました。

 私ども、まだ詳細は把握できてございません。

 その上で、現時点で事務的に考えていることを申し上げますと、個人情報保護法上、外国の第三者への個人データの提供に当たりましては、本人の同意、又は、日本の事業者が講じる措置に相当する体制を提供先が整備しているという確認をすることが求められています。その規律に対してどうかということと、委託が絡んでまいりますと、委託元においてちゃんと委託先を安全管理について監督できているかといった点あたりが今後議論になってくるのかというふうに思います。

柚木委員 是非、この後もあと一、二確認しますが、現状を調査いただいて、必要な情報についてやはり公表いただくことが、まさにこの法案審議も、個人情報保護法の部分、この後の通告どおりいきますけれども、国民の信頼を得ずしては、そもそもマイナンバー等への登録率も非常に低い中で、それが進まなければデジタル庁も絵に描いた餅になりかねませんから、そこはしっかり調査、公表いただきたいのがまず一つです。

 それから、この個人情報保護関連、今後、まさにデジタル庁創設に向けて、このLINE社さんが、別に悪いことじゃないんですが、業務の委託を既に受けている、この個人情報関連でですね、あるいは今後委託する予定がある、そういった点についても、やはりこういう流出等が起こってくると、確認をいただいて、場合によっては必要な対応を公表していただかなきゃならないと思うんですね。そのことをもう一つ。

 あともう一点も併せて聞きます。

 これは事務局長にお聞きしますが、これは今ちょっと触れていただいたんですが、今後、まさにデジタル庁、デジタル監、次官級ですね、民間から登用して、百人ぐらいの方が民間の事業者の中から、ひょっとしたらLINE社関係の方もおられるかもしれない、それは結構ですよ、ただ、入ってこられる。

 そういうことが進んでいく中で、デジタル庁のいろいろな個人情報の扱いを委託する、あるいは場合によっては再委託をする。とりわけ、その再委託先が国内企業から国外企業にされる場合、まさに今回の場合、その中でのまさに情報の、ともすれば流出、閲覧がそういう状況で可能になっていたというケースですから、やはり国内から国外企業に再委託などをされる場合のルールの明確化、そういったものがなければ、このデジタル庁関連でも同様の個人情報の流出が起こりかねませんので、その辺りについてのルール化の部分についても可能な範囲で御答弁をお願いします。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 海外の第三者への委託についてのお尋ねでございましたけれども、先ほど申し上げたとおり、外国の第三者へのデータの提供に当たりましては、本人の同意を取得するか、日本の事業者が講じることとされている措置に相当する体制をちゃんと取っているかということを確認するという規律がございますし、昨年の令和二年改正法におきましても、外国の第三者への個人データの提供に当たりましては、そのリスクを本人が認識することができるように、移転先事業者やその事業者が置かれている外国の状況について、本人への情報提供をすることを求めてございます。

 これらの規律を念頭に置きながら、事実関係を更に確認の上、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

柚木委員 平井大臣、今の個人情報保護委員会事務局長の御答弁を踏まえて、ちょっと是非、今後のこともありますので。

 これは報道の中でも、今回は中国再委託先から閲覧ができる状況にもあって、情報が流出するそういった状況が、今後、どのような人がどのようなデータにどういう形でアクセスできたのか、あるいは、実際にどれだけのアクセスがあったのか、どういう内容が閲覧されたのか、そういったことの確認も必要だと思いますし、そういうことがやはりしっかりと、これは政府においても、個人情報保護委員会が報告はもう受けているわけですから、連携をして取り組んでいただかなければ、これはLINE社だけの問題ではないということにもなりかねませんので、改めてやはり今回の件、今申し上げたようなプロセスをしっかりと調査、確認をして、必要な事実については公表いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

平井国務大臣 まず、今回の事案については個人情報保護委員会で十分に調査をしていただいた上で、報告を受け、不適切と判断した場合には、それをやはり訂正していくということが必要かと思います。まずは保護委員会にその報告を求めたい、そのように思います。

柚木委員 是非その報告を受けて、必要な対応をお願いして、通告の質疑に入りたいと思います。

 まさに今のと多少は関連するんですけれども、今般、総務省を始めとするいわゆる接待問題で、国民から政府あるいは政治家自身も非常に不信を招き、また深めている状況があると思うんですね。そういった中で、今般、デジタル関連法案におけるデジタル庁創設に向けて、当然様々な、民間の事業者あるいは個人、有識者等とのやり取りはあって当然なんですが、まさに今問題となっているような、政府、つまりは、大臣や、あるいは、今日、総務副大臣、政務官にもお越しいただいていますが、そういう皆さんと、まさに、このデジタル庁に関係する業者、個人との適正な関係性というものがしっかりと担保されていなければ、百人規模で登用されて、その人たちの会社が何らかの予算上の恩恵も得るとか情報も得られるとか、そういったことであっても困りますし。

 まず、そういった前提の中で、平井大臣御自身は、今回、このデジタル法案、今審議中ですが、そういった業者さんあるいは有識者の方等と、いわゆる接待あるいは会食、こういったことがあるかないか。これは解釈はいろいろあると思いますが、会食の事実があるかどうか。これは通告しておりますので、お答えいただけますでしょうか。

平井国務大臣 まずは、これはどの大臣も同じような答弁になってしまうんですけれども、国民の皆さんから疑念をいただくような会食や会合などに応じたことはない、そう思います。

 私が昨年の九月十六日に大臣に就任して、これはずっとコロナ禍なんですよね、基本的に。そして、昨日もそうでしたが、もう全てオンラインで民間の方々と議論をしています。企業のトップの方々とも、もう何十回、何百回。オンラインによる意見交換ということは必要だというふうに考えておりまして、国民の皆さんから疑念を招くようなことはないよう、自らを律して職務に精励してまいりたい、そのように思います。

柚木委員 余りここだけで時間を取るつもりはないんですが、この後、国家公務員倫理規程の部分との、政治家の大臣規範との部分の、ある意味不公平な部分についても指摘をいたしますが、国民から見て疑念がないかどうかというのは、大臣が決められることではないんですよね。やはり、ちゃんとしたルールに基づいて、そしてまた、国民が判断するものです。ですから、そういった視点について、是非きっちりとやはり報告をいただくことで、国民からの疑念を受けないということを求めたいと思います。

 ちなみに、今日は総務副大臣、政務官にもお越しいただいていますが、同様の視点から、今般、このデジタル庁に関係する業者あるいは有識者個人等とのいわゆる接待、会食等々の事実、有無について御答弁お願いいたします。

新谷副大臣 お答え申し上げます。

 秋に設置する方向で関連法案が提出されているこのデジタル庁につきまして、委員が企業の方々というふうにおっしゃられておりましたが、実際、予定されている業務委託の内容や契約、これに関しては承知しておりませんで、お答えする立場にはございません。

 ただ、個別の事案一つ一つにお答えするのはやはり控えさせていただきたいと存じますけれども、私は、国民の皆様からやはり疑念を抱かれるような、それを招くような会食には応じたことはございません。

 引き続き、これはもう委員おっしゃるように、国民の皆様から疑念を招くことがないように、自らを律して職務に精励してまいりたいと考えております。

柚木委員 恐縮ですが、総務大臣政務官もお願いいたします。

古川大臣政務官 秋に設置する方向で関連法案が提出されておりますデジタル庁について、予定されております業務委託の内容また契約などを承知しておりませんで、お答えする立場にはないと考えております。

 個別の事案お一つお一つに答えさせていただくのは控えますが、私は、国民の皆様から疑念を招くような会食に応じたことはございません。

 引き続き、国民からの疑念を招くことのないように、自らを律し職務に精励してまいります。

柚木委員 この点は、ちょっと後ほど、国家公務員法、倫理規程との、私は若干、若干といいますか、国家公務員の皆さんには、その規程に違反すれば処分も受けて、場合によっては退職金にまで影響を及ぼされる中で、政治家の方については非常に、大臣規範の中身も甘い、罰則もありませんし、ルールも曖昧です。

 そういった点をやはり正していかずして、逆に官僚の皆さんも政治家を見てそういう行動に及ぶということもあろうかと思いますから、そこはしっかりと本当に、私どもも含めて、しっかり襟を正していかなければならないと思います。

 今日、内閣府と総務省にそれぞれお願いしていますが、特に総務省は、本日、検証……(発言する者あり)いや、通告していますから。検証委員会を立ち上げるということで、これは調査チームも立ち上がっていますが、今申し上げたようなデジタル庁と関係する企業との視点で、会食、接待も含めて、場合によっては行政がゆがめられることも含めて、やはり調査をしっかりして、そして報告をいただきたいと思いますが、まず、これは総務省の方、いかがでしょうか。御答弁お願いいたします。

新谷副大臣 お答え申し上げます。

 総務省におきまして現在行っている倫理法違反の疑いのある事案についての調査、これは、民間の事業者等との接点が多い情報通信を担当する部署の、本省の課長級相当以上のポスト及び官房幹部ポスト経験者百四十四名を対象に行うこととしてございます。

 デジタル庁に関連する企業の詳細は、先ほど申し上げましたけれども、これは承知をしていないところでございますけれども、調査の対象職員については、可能な限り広く、事案の端緒をつかむために、まず、倫理法違反の、法令違反の会食には限定をせず、全ての事業者等との会食について報告を求めることにしてございます。また、NTTグループはもとより、NTTグループ以外の事業者でも、数多くの会食が確認された事業者等があれば、調査協力を求めることとしているところでございます。

 いずれにしましても、正確に、徹底的に真相究明を進めていくこととしてございます。

 以上の方針に基づきまして、事実関係の確認を正確に、徹底的に行う必要がある、そのように考えております。

柚木委員 時間がないので、内閣府においても、同様にしっかりと調査をお願いしておきたいと思います。

 通告している、まさにこの法案審議の中で非常に私は重要なポイントだと思いますが、これは本会議で、塩川委員からこういう質問、首相の答弁もありますね。特定企業に都合のよいルールづくりや予算執行が行われるのではないかという問いに対して、菅首相は、透明性を確保するとともに、利害関係が相反する場合には当該業務から隔離するなど、厳正な予算執行を行っていく、こういう御答弁なんですが、ただ、じゃ、実際に、その総理答弁の内容を具体的に誰がどうチェックし、そのチェックした内容をどのように国民の皆様に公表、共有をしていくのか、その過程について御答弁をお願いいたします。

平井国務大臣 デジタル庁においてということだというふうに思うんですけれども、民間企業との契約などにおいて、公正な予算執行を確保することが重要だと思っています。民間企業と利害関係が相反する際には、その人材を当該業務から隔離する、そして厳正な予算執行を図る仕組みが必要。現在の、今のIT戦略室も、そのように運用されています。

 このため、民間出身の職員がシステム調達に関わる場合の所属企業の入札制限、これもあるんですけれども、その具体的な運用方法等について、更に有識者を含めた検討の場を設けて検討していきたいというふうに思っておりまして、いずれにしろ、デジタル庁は、調達における透明性の確保ということを最重視していきたいというふうに思います。そうでなければ、出身企業にとらわれずに民間人材が能力を発揮する環境にならないと考えるからであります。

柚木委員 そういったことをしっかりやっていただく中で、それでもなお情報の流出、漏えい、目的外使用等が起こった場合の様々な条文の規定、この後細かくやりますけれども、ただ、そもそも、まさに今答弁の中で、業者とのやり取りの中で、それこそ国家公務員倫理規程法違反のような接待、会食等の中で情報が漏れるとか、あるいは、それに行政がゆがめられるとか、そういうことがあった場合、どうなるんでしょうか。

 ちなみに、昨日、辞職を認められた谷脇元総務審議官、退職金の扱い、何か減額、据置きというような、まだ、調査結果が今後出た場合に備えてということで、どうなるのか。これは非常に、コロナ禍において、仕事もない、給料ももらえない、そうやって本当にみんな困っている中、違法行為を働いても退職金は満額受給なのか。これは、地元に帰るとそのことを本当に聞かれますよ。

 今日、内閣人事局、今日の今の答弁のケースもそうですけれども、国家公務員の倫理規程に違反したとき、今調査していますよ、その後何かあっても退職金は満額受給される、それで法律に意味があるんでしょうか。そもそも、退職後も減額をされるケース、過去にもありますね。今回の谷脇さんはそういうケースにも該当し得るのかどうなのか、これは、国家公務員退職手当法に基づいてちょっと御説明をいただけますか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 個別の件についてお答えする立場にはございませんが、一般論として、制度の御説明をさせていただきます。

 国家公務員退職手当法は、第十五条におきまして、退職手当の支給後に、退職した職員が、一つには、在職中の行為で禁錮刑以上の刑に処せられた場合、二つには、在職中に懲戒免職処分を受けるべき行為をしたと認められた場合には、退職手当の返納を命ずる処分を行うことができる旨規定しているところでございます。

柚木委員 そうすると、これは、谷脇さん、今後の調査によっては、停職三か月の懲戒処分ですが、ほかの、まさに前に辞められた山田真貴子さん、退職金満額五千万円受給されていますよ。あるいは、検察審査会で強制起訴になった黒川さん、五千九百万円満額受給されていますよ。しかし、退職後も、今の説明、つまり、国家公務員退職手当法十五条によれば返納を命ずる処分を行うことはできるわけですから、可能性としては、今後も、例えば山田真貴子さんであっても黒川さんであっても、これは過去には退職金全額返納している事例もありますよ、調べましたけれども、不祥事で。そういうことは法律上もできるし、可能性としてもあるということで、理解でよろしいですか。

堀江政府参考人 繰り返しになりますが、個別の案件につきましてお答えする立場にはございません。制度につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

柚木委員 ですから、制度上は退職金返還の可能性があるということですから、平井大臣、是非、本当に、今、国家公務員倫理規程法のこういう状況もあるのに、御自分は、別に答えなくてもいい、処分も受けない、これはちょっとおかしいと思いませんか、大臣規範自体も。これは是非、そういう国民目線で……(発言する者あり)質疑しているのに、もう。委員長。やめてください、やじで妨害するのは。

 これは、大臣規範自体もしっかりと見直す、あるいは、しっかりと率先して守っていく、そういう視点がなければ、公務員の皆さんだけは処罰される、退職金も減額される、政治家や大臣は何のおとがめもなし、これは不公平だと思われませんか、いかがですか。

平井国務大臣 大臣等規範は、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、大臣等が自ら律すべき規律として閣議決定によって定められているものであって、私もこれを当然遵守するものだと考えております。

柚木委員 これは是非、そういう何か政治家と官僚の皆さんとで差をつけるようなことをやっていたら、いつまでたっても、本当に、こういう違法接待、過剰接待はなくならないと思いますので、これは、与野党を問わず、我々しっかりと襟元を正していくということが必要だと思います。強く求めておきます。

 それから、個人情報保護法の関係で、通告どおり質疑に参りますが、今なぜこういうことを言うかというと、今後、先ほどの質疑もありましたが、要は、捜査機関が、本人の同意を得ずとも、これは六十九条の話、先ほどありましたが、相当の理由、特別の理由があれば、様々な形で個人情報、しかも統合した形で、例えば街頭の監視カメラとかあるいはGPSとか、あるいは、個人情報をそういった形で全部プロファイルして、政府に対して、正直、不都合な方に対してはそういう情報をもって様々なことができるとかいうことがまさに可能になってしまう懸念があって、今日、資料にもつけておりますし、今日、市民集会が開かれるようですが、まさにこのデジタル関連法案がデジタル監視法案になってしまっては、便利になることは、それは、この後、最後、十万円給付の点もやりますけれども、それは望ましいですよ。しかし、そうじゃないところに使われてしまうのであれば到底賛同できないという法律家の皆さん、日弁連の指摘も含めて、こういうことをチェックするために、個人情報保護委員会、体制がまだ非常に、今、令和二年度、百三十九名の体制です。この個人情報保護委員会の権限、体制強化、これが是非必要だというのが一点。

 それからもう一点、併せて聞きますが、これは個人情報保護委員会は、公的機関に対しては、百五十三条です、不服申立てがあった場合に対して、不適切な個人情報の扱いについて勧告はできる。しかし、民間の事業者は、百四十三条、民間の事業者に対してはそういう命令を行うことができるという意味で、差があるんですね。これは諸外国なんかでいくと逆ですよね。まさに今、政府こそ信頼されていないんですよ、民間の事業者じゃなくて。政府、行政機関に対してこそしっかりと命令することができる、こういう形にしないと信頼が得られないんじゃないでしょうか。

 是非、個人情報保護委員会の体制強化、監督権限の強化並びに百五十三条、百四十三条の部分については、行政機関に対してもしっかりと、勧告だけじゃなくて命令等ができる、こういった形に是非検討をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

平井国務大臣 今回の法律の制度の一元化に伴いまして個人情報保護委員会において新たに担うことになる業務や必要な人員を精査の上、必要な体制強化について検討されるものと承知をしております。

 そして、今、改正後の個人情報保護法では、今回の一元化を機に、法の目的の実現を更に確実に担保する観点から、個人情報保護委員会に対して行政機関の長に対する勧告権を新たにこれは付与したことになっています。そしてまた、改正前と同様、個人情報保護委員会は、個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるとき等は、個人情報取扱事業者に対して勧告に係る措置を取るべきことを命令することができる。

 そこの違いの話ですが、行政機関は互いに指揮命令関係にないために、個人情報保護委員会に対して他の行政機関の長に対する命令権限を付与することは、我が国の行政組織の基本的な体系と整合しないということによるものであります。

 なお、例えば、故意に個人情報の漏えい等を行った場合の罰則に関しては、行政機関の職員に対して民間事業者よりも重い罰則が科されることとなっており、行政機関に対する規制の方が民間よりも弱いという御指摘は、改正法案全体を見た場合は当たらないと考えます。

柚木委員 これは是非、あしたの参考人の先生方とのやり取りで触れられるかもしれませんが、確かにそれぞれの罰則規定があるわけですよね、公的機関は百七十一条、行政機関、民間企業は百七十七条。ただ、やはり、私は、そこはしっかりリンクさせた形で、これは例えば諸外国の事例なんかも参考にいただきながら、この後お尋ねするわけですが、やはり行政機関に対しても、その処分、罰則のところがそうであっても、その勧告から命令へという部分についても同様に御検討いただきたいと思います。

 その理由の近い部分でもあるんですが、これは、更なる第三者的なチェック機能が、例えばデジタル庁に対してもそうだし、デジタル庁自体が、それこそ、あした、三宅弘さん、来られるみたいですけれども、元公文書管理委員会の委員長代理ですよね、諸外国の様々な事例を紹介されていました。例えば、私は、日本の中で、情報監視審査会ですね、昨日も開かれたようですが、そういった機関に、例えば特定秘密に対する監視機能、どれだけ果たせているか等の検証もしつつ、しっかりとやはりその検証、アクセスできるような第三者機関を、権限も持たせて、つくる必要があるというふうに思います。今日の資料の中にも、そういった提言もおつけをしております。

 そして、今日、内閣情報室にもお越しいただいておりますが、そういった情報機関の活動に対する、これはまさに情報が一元化されて、場合によっては目的外使用だって、適用除外、相当な理由、特別な理由、場合によっては恣意的にそういうこともできてしまうわけですから、そういった情報機関の活動に対する監視、監督というのもしっかりと行える第三者機関が必要だと思うんです。

 是非、これは国会法との絡みで大臣がそこをなかなか明確な見解がお述べにくい部分はあろうかと思いますが、政府から独立した、情報機関等の様々なそういう活動に対するチェック機能も持たせた第三者機関というものを、例えば情報監視審査会にそういった権限を持たせる、そういったことも含めて、これはちょっと担当大臣としてなかなか答弁しづらい部分かもしれませんが、場合によっては委員会としても、委員長、今後そういった議論を是非この法案審議の中で深めていただきたいとも思うんですが、これは大臣、可能な範囲で御所見をお願いいたします。

平井国務大臣 それは大変答弁しづらいお問いだと思います。

柚木委員 済みません、時間が来て、ちょっと、十万円給付の部分についても、この制度の導入でどれだけ本当に迅速化されるのかについての点を御指摘しようと思いましたが、次回に譲りまして、先ほどの点について、是非、委員長、委員会の中でも、今後の質疑も踏まえて、御検討をお願いして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党、大西健介です。

 まず、法案の中身に入る前に、法案要綱等の誤りがあった件について一言申し上げなければならないというふうに思います。

 菅総理肝煎りの法案で四十五か所もの誤りがあったということについては、これはゆゆしき問題です。ただ、誤りというのは誰しもありますので、問題はその後の対応だったというふうに私は思います。調査室にミスを指摘された時点で、その他の間違いがないかということで精査をするということになった、そこでやはり関係者に私は一報すべきだったというふうに思います。このことを改めて申し上げておきたいと思います。

 今日確認したいのは、その上で、先週の委員会で、大臣は、再発防止チームを来週中に立ち上げて、そして検証を行い、今月末までに防止策を取りまとめるというふうに、これは今井議員の質問に対する答弁だったと思いますけれども、おっしゃいました。

 そこで、確認ですけれども、先ほどちょっと話も出たかと思いますが、再発防止チームはもう立ち上がったのか、いつ立ち上がるのか、そして、今月までにと言っていましたけれども、衆議院でのこの法案の審議が終わるまでに、検証の結果それから再発防止について一定この委員会にちゃんと報告をしていただけるということで間違いないか、御答弁いただきたいと思います。

平井国務大臣 まず、議員の御指摘どおり、デジタル改革関連法案については、参考資料に誤りがあったこと、国会への説明が遅くなったこと、提出した正誤表が最終版でない途中のものを配付したこと、この三点については本当に心からおわびを申し上げます。

 再発防止の徹底を図るために、週内に、私と藤井副大臣の関与の下で、今回の事案を検証する再発防止チームを設けまして、業務の在り方、国会への御報告の在り方、具体的な改善策について早急に検討して、改善すべきところは速やかに取り組むとともに、再発防止策を今月末めどに取りまとめたい、そのように思っております。

大西(健)委員 いや、私が聞きたかったのは、今の答弁は全く今井さんにした答弁そのとおりであって、もちろん採決時期は分かりません、ただ、これは採決までにしっかり報告をしていただけるのか。それから、週内と言っていますけれども、今日はもう水曜日、真ん中ですけれども、いつ立ち上がるんですか。もう準備は整っているんですか。今日でもあしたでも立ち上がるんでしょうか。それから、法案が採決されるまでにやってもらわないと、やはり我々採決には応じられないというふうに思いますけれども、しっかり報告していただけるということをお約束いただきたいと思います。

平井国務大臣 週内ということで、もう準備もできておりまして、スタートをさせていただこうというふうに思っています。

 採決に関しては、委員会でお決めになることなので、いつかは私は存じ上げませんが、私としては、できるだけ早く、しかしながら、やはり再発防止策については十分な検討をしたいと思っていますので、今月末までには公表したい、そのように思っております。

大西(健)委員 改めて、我々もいろいろな思いはありましたけれども審議にはしっかり入っていったわけですけれども、ちゃんと報告をいただきたいと思います。

 それでは、中身について質問していきたいと思いますが、まず、デジタル関連法案、これが成立すると何がどう変わるのか、ちょっといま一つ私自身はイメージできない部分があるなというふうにも思いますので、具体的な事例に即して聞いていきたいと思うんです。

 例えば、現在、新型コロナウイルスのワクチンの接種が始まっています。これについては、V―SYSがあって、そして、そこに新たなワクチン接種記録システムというのが今度加わって、さらには、自治体においてはSNS等を活用したような予約システムなんかも使っているところもあります。そういうところはデジタル化されているんですけれども、真ん中にある予診票というのが極めてアナログになっています。

 もちろん、手書きの予診票をOCRに読ませるとか、そういうことはあるんでしょうけれども、この予診票から必要な事項をデータベースに手作業で入力するという作業が発生するというふうに思います。また、二回分、つまり接種する人数の倍の数の紙の予診票というのを段ボール箱に入れて保管するということが生じるというふうに思いますけれども、平井大臣、これをどう感じられているのか。また、例えばこういうことがデジタル庁ができればどう変わっていくのかについて教えていただきたいと思います。

平井国務大臣 デジタル化を進めるためには、やはりエンド・ツー・エンドで進めるということが最大の効果を発揮するものだと思います。

 今回の予防接種業務においては、接種券とか予診票が紙ベースであるということから、自治体の接種台帳システムへの入力までは、これは河野大臣がよく言われていますが、二、三か月かかってしまうということ、これも事実です。

 今、厚労省は、ひな形というものを各自治体に示しているということですが、今回のワクチン接種記録システムの構築は、河野ワクチン担当大臣の着任後に、我々、内閣官房、IT総合戦略として協力体制を取りまして、その時点で地方自治体において準備が進められていた接種券等の準備作業を止めることはせずに、最善の策として進めているということだと思います。

 委員御指摘の紙の予診票であっても、国が接種会場に配付するタブレット端末で簡易にデジタルデータ化する仕組みを準備しているところであって、個人単位の接種状況等を自治体において把握することができる、そして、そのシステムを今急いで開発しているということですが、本音で申し上げますと、業務のやり方を根本的に変えずのデジタル化の例だと思うんですね。本来であれば、もっと早くに全体の業務フローを見直すということがもしできたのであれば、デジタル化の効果はもっと大きくできたと思います。

 ただし、やはり、それぞれ地方自治体、これは全てのことに言えることなんですけれども、独自のやり方でおやりになっていたものを一気に同じようなやり方でやるというようなことがなかなか難しい。そういう中で、苦肉の策として今回のようなシステムをつくるということになったと思います。

 ただ、デジタル庁として、国家的に何かを今後進めていくとなったときには、全体の仕事のやり方の見直しというものも提案させていただいた上でデジタル化を進めたい、そのようにも思います。

大西(健)委員 よく分かる答弁です。

 確かに、先行して走っているというか、今のやり方を前提にして、次善の策としてやったと。そういう意味では、やり方を変えていかなきゃいけないということだと思うんですが、その点において、ワクチンについては厚労省の予防接種規則というのがあって、被接種者又は保護者に安全性や副反応について適切な説明を行って、そして、「文書により同意を得なければならない。」というふうに規則に書いてある。

 厚労省は、まず、この文書による同意というのを、こういうデジタル化に合わせて変えていくということはできるんでしょうか。あるいはそういうつもりはあるんでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の該当条文ですが、予防接種実施規則第五条の二の第一項で、予防接種を行うに当たっては云々とありまして、文書による同意を得なければならないという規定がされているところでございます。

 その上で、デジタル化との関連で、法令上の手当てはどうなるのかということであろうかと思いますけれども、実は、法令上の手当てといたしましては、この規定そのものなわけではありませんけれども、一般的に、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律というものが既にございまして、その中で、申請の中で書面等により行うこととされているものについては、主務省令で定めるところにより、電子的なやり方を使用する方法により行うことができるという規定がございます。

 これを受けまして、厚生労働省令で、行政機関等に対する手続で、この予防接種なども概念としては含み得るもので、このような手続については電子的な手続によって代えることもできるということを手当てをしておりますので、法令上の手当てとしては手当てがされているということでございます。

大西(健)委員 今の答弁では、法律上はできるんだという話ですけれども、それならなおのことですけれども、平井大臣、さっきも、仕事のやり方を変えることもこれからはやっていくんだ、あるいは、先日は河野大臣と2プラス1で各省庁と規制緩和の交渉みたいなこともやっていくんだみたいな答弁もあったかと思うんですけれども、例えば今、じゃ、実施規則の文書による同意というのは、これは法令上は大丈夫だという話ですから、これは規制緩和をしてくださいということを、今後こういうふうにお願いしていくなんということも考えられるのかということについてお聞きしたいと思います。

平井国務大臣 まさに規制改革担当の河野大臣のお仕事であって、今、河野大臣と定期的に2プラス1をやっているのは、規制改革とデジタル化はやはりセットじゃないと本当に大きな効果が出ないということなんです。

 そういう意味で、今回の予診票のデジタル化まで進められたら、予約から接種記録まで一気通貫にデジタルで情報管理ができるということになります。それは私が望む世界なんですけれども、ただ、今回の国によるシステム整備については、河野ワクチン担当大臣が着任後に我々と協力して進めることになったということで、一部の地方自治体において準備が進められた予約システムまで対象に含められなかったんですね。そんなこともあって、もっとやりたいんですが、今回はここが限界かな、そのように思います。

大西(健)委員 もっとやりたいという思いがにじみ出ているのがよく分かりました。

 もう一つ、コロナに関連して。昨日、さっきもちょっと話が出ていましたけれども、接触確認アプリのCOCOA、十五日時点で、グーグルやアップルの基本ソフト、OSの最新仕様に対応していなかったということが分かったわけですけれども、最新仕様のOSに対応させなければならないということはいつから認識していたのか、そしてなぜすぐにやらなかったのかについて簡潔に厚労省から説明してください。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 接触確認アプリに関して、グーグル、アップルから提供されるAPI、これが新しいバージョンが提供されているわけですけれども、それに対応していないという御指摘でございますが、APIにつきましては、古いバージョンといいますか、そのものと新しいバージョン、両方併存する形になっていて、それぞれについてサポートをいただいているということでございまして、現在は、このサポートに基づきまして、いずれの機種をお使いの方も正常に御利用いただけるという形になっております。

 新しいバージョンについての対応につきましては、厚労省、業者、共に従前よりこの課題を承知をしておりましたところでございますけれども、その他の課題との相対的な優先順位など、かなり大がかりな変更を要するということもございますので、検討そのものについては着手をしているところでございましたけれども、まだ修正までに至っていないという状況でございます。

大西(健)委員 何か余りよく分からない説明ですけれども、本当はすぐやらなきゃいけなかったし、やっても時間がかかるわけですから。

 昨日も閣議後の記者会見で平井大臣はこのことについて問われて、まさにバージョンアップの前の話でつまずいていたからという話で答えられています。全くそのとおりだと思いますけれども、バージョンアップの作業に万全を期していきたいということも答えられていますが、これについても、今回デジタル庁ができるとこういうことはもう起こらなくなるというような話なんでしょうか。いかがでしょうか。

平井国務大臣 今回のCOCOAの不具合を受けて、二月二十五日に発足した内閣官房のIT総合戦略室と厚生労働省の連携チームが今後COCOAの開発、運用を担うことになりますが、当然そのAPIのバージョンアップ対応は重要なテーマだと思っています。

 ですから、これから先、何か起きたら我々の責任も発生するということなんですが、こういうのは、APIのバージョンアップに伴って起きる、これは必ず起きるんですけれども、不具合が生じることのないように、徹底的にやはりテスト、検証をやるということだと思うんです。

 デジタル庁が今後、発注者側に同等程度の技術的な知見を持った人間を置きますので、一方的に発注をしてそれで終わりということには今後ならないようにしたい、また、デジタル庁が自ら開発するような、例えばこのようなCOCOAみたいなものは、デジタル庁ができた後だと、恐らくデジタル庁が自らつくるということになるんだと思うんですが、その場合には、このようなことは、まあ起きないとは言い切れませんが、起きづらい体制をつくりたい、そのように思います。

大西(健)委員 次に、デジタル社会の交通システムについて聞きたいんですけれども。

 資料をお配りしましたけれども、私、ITSの推進議連の事務局長というのをずっとやっているんですが、ITSの分野で、災害時に、民間の通行実績データと国交省のETC二・〇の通行実績データ、これを集約をして、そして、通れるマップ、どこの道が通れるのかというマップを作成した事例があります。

 これはプローブの情報を活用した成功事例と言われているんですけれども、私は、こういう災害時だけじゃなくて、一歩踏み込んで、基礎自治体や中小の運輸事業者などの民間事業者が、官が保有している道路交通情報、公共交通運行情報などデジタルデータを有効活用できる、オープンな情報基盤を国が主導して整備をする必要があるというふうに思っています。

 これは、従来は国交省が一定程度旗振りしてきたわけですけれども、例えばデジタル庁ができるとこれがどう変わるのか、このことについて平井大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

平井国務大臣 デジタル庁ができたらどう変わるのかということでお答えしますと、国土交通省とこういうプロジェクトを一緒になって進めていくということになるんだと思います。

 データ連携、活用することによって利便性が高いサービスが創出できるという世界観は、やはりきっちりしたデータの戦略そして情報連携をやらなきゃいけないというふうに思いますので、日本流のMaaSを実現するために、例えば高精度の三次元地図情報の整備等々、これは国土交通省と一緒になって進めていければ、そのように思います。

大西(健)委員 是非、そういうところで、デジタル庁ができてやはり進んだなということにしていただきたいと思います。

 次に、今国会に、デジタル化に併せて、事業者が交付しなければならない契約書面等について電子メール等の電磁的方法で行うことを可能とする特商法改正というのが提出されています。

 これについては消費者特でしっかり消費者大臣とは議論したいと思いますが、資料の二ページ目を御覧いただきたいんですけれども、これは、既にこういう電子交付が可能になっている電気通信事業法でのトラブル事例ですけれども、例えば、一にあるように、メールで書面を送ってきても多くのメールに紛れ込んでしまうとか、あるいは迷惑メールフォルダに入っちゃうとか、あるいは、電子書面というのは一覧できないので、量が多いとページ数がすごく多くて、その中からなかなか必要なところを見つけるのが難しいとか、あるいは、そもそも高齢者の場合は、こういう電子書面の保存方法が分からないとか、スマホの設定で電子データが受け取れないようになっているとか、そういう事例も考えられます。

 消費生活相談の場では、家族やヘルパーなどが不審な契約書、紙の契約書を見つけて、これは何かトラブルに巻き込まれているなと気づく、こういうケースが多いんです。こういうふうに、二のように、電磁的交付では家族も気づけないというおそれがあるという指摘があります。

 平井大臣、こうした具体例を見ていただいて、書面のデジタル化が消費者被害を拡大させる危険があるというふうには思われないかどうか、お聞きをしたいと思います。

平井国務大臣 今回の整備法案において、書面の交付等を求める手続についてデジタル化して行うことを可能とする等の改正を行うとなっていますが、デジタル化の要件として相手方の承諾を必要とするなど、先生の御指摘も考慮した内容になっていると思います。相手方の承諾というのも、形式的なものではなくて、実質的に消費者の承諾が得られるものとすることが非常に重要だというふうに考えております。

 整備法案では、それぞれの手続や現場を所管する各省庁においても、デジタル化しても支障がないと判断したものを盛り込んでおり、消費者の安全性の観点からも特に問題はないと今は考えております。

大西(健)委員 もちろん、承諾については、ちゃんと実質的承諾を取ってもらうのは、これは大前提だと私は思っています。ただ、じゃ、デジタルで電子的に交付しますからいいですねと承諾をちゃんと取ったとしても、今言ったように、迷惑フォルダに入っちゃうとか、紛れちゃって分からないとか、そういう話になっちゃう可能性は十分あると思います。

 そういう中で、本当にこれは慎重に私はやっていただきたいと思うんですけれども、デジタル社会形成基本法の第七条には、「国民が安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与するものでなければならない。」こううたってあるわけですから、もしこの契約書面の電子化みたいなものが消費者の安全を脅かすということになれば、私はこの七条に違反することになるというふうに思いますが、この点を含めて慎重にやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

平井国務大臣 先生の問題意識は我々も共有しておりますので、十分に対応していきたいと思っております。

大西(健)委員 次に、デジタル社会形成基本法の第三条の基本理念、ここには全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現というふうにありますけれども、そこで確認ですけれども、この全ての国民というのは在外邦人が含まれるのかどうなのか、このことについてお答えいただきたいと思います。

平井国務大臣 全ての国民というのは、日本国籍を持つ国民ということですから、在外邦人も当然含まれるものであります。

大西(健)委員 在外邦人、私も含まれると思いますけれども、そうすると、例えば、昨年の一律十万円の特別定額給付金、これを今後例えばマイナンバーを使って支給していこうという場合に、この間は在外邦人は支給対象になりませんでした。そうすると、今度、マイナンバーを使ってこれをみんなに支給していこうというときに在外邦人を支給対象にしないと、これは第三条の基本理念に反するということになるんでしょうか。

平井国務大臣 支給対象をどのようにするかというのは、私の所管ではないので、それは決まった段階でということだと思いますが、全ての国民というものに関して言えば、在外邦人を対象とした施策を実施することは当然可能です。

 例えば、国外転出者によるマイナンバーカード、公的個人認証の利用を実現するための制度改正を、これは一昨年やっているんですね。こうした取組がありますので、やるということになれば、当然できると考えています。

大西(健)委員 まさにデジタルというのは国境も越えることができるということは利点だと思いますから、今お話があったような、今までは、海外に転出届を出すと、マイナンバーは生きるみたいですけれども、マイナンバーカードは返納するような仕組みになっていたというふうに聞いていますけれども、これも、私、海外でも利用できるようにして、様々な在外邦人向けのサービスにも使えるようにしていくべきじゃないかなというふうに思っています。

 時間もあれなので、次に移りたいと思います。

 次に、以前、平井大臣がデジタル庁に中国のファーウェイ社の機器を導入しているんじゃないかみたいな、ネット上にそういう情報が拡散されて、平井大臣も自らの公式ツイッターでこれはデマだと昨年末に明確に否定をされていますが、改めて確認ですけれども、デジタル庁ではセキュリティーに懸念のあるファーウェイ社の機器は採用しないということで間違いありませんでしょうか。

平井国務大臣 私もツイッターとかいろいろなところでこの問題をしつこくやられて大変困っているんですけれども、政府機関等において特に防護すべき情報システム、機器、役務等に関する調達の基本的な方針及び手続について講ずべき必要な措置について明確化したIT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せに基づいて調達を行う、これは、申合せで特定の事業者や機器を名指しで排除するような記載はしていないので、私は大変ここが、何といいますか、責められている理由だと思いますが、委員の御推察のとおり、安全なものを調達をするという発言の真意を酌み取っていただきたい、そのように思います。

大西(健)委員 その今の答弁の中にあった調達方針について聞こうかと思ったんですが、内閣官房の方にも確認しようかと思ったんですが、今大臣の答弁の中でありましたので、資料の次のページを御覧いただきたいんですけれども、これはファーウェイのホームページのQアンドAですけれども、ファーウェイは日本の5Gネットワーク構築から排除されているのですかという問いに、答えとして、「日本政府が発表した調達ガイドラインは、特定の国や会社について詳細を述べたものではありません。」まさにこう書いているんですね。大臣言われたとおり、名指しはしていないんです。ですから、名指しされていませんとファーウェイは言っているんですけれども。

 そこで、先ほどお答えの中に酌み取っていただきたいという話がありましたからあれですけれども、改めて、じゃ、デジタル庁設置法の第四条の所掌事務には、二項で、サイバーセキュリティ基本法第二十六条第一項に掲げる事務のうちサイバーセキュリティーに関する施策で重要なものの実施の推進に関するものは除くというふうに書かれているんですけれども、こういうセキュリティー上懸念のある機器を調達から排除する権限というのは、これは、デジタル庁ではなくて、このサイバーセキュリティ基本法の所管省庁にあるということなんでしょうか。いかがですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘の部分につきましては、デジタル庁において、今後の情報システムの調達に当たっての整備方針というものをつくることとなっているところでございます。

 その整備方針をつくるに当たっては、NISCとも連携をしながら、NISCで定めたもろもろのルールをそこに取り込むような形で統一的に進めてまいりたいと考えてございます。

大西(健)委員 ちょっと時間がなくなってきたので、通告しているものと違いますが、先ほどの森山委員の質問の部分で、オンライン結合の禁止について、地方特有の事情がある場合以外にはそういうことはできないんだということを答弁されていましたけれども、じゃ、逆に言うと、地方の特有の事情があってオンライン結合の禁止ができる場合というのはどういう場合なのか、ちょっと具体的に教えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

平井国務大臣 ほとんどの場合は、今回、オンライン結合の禁止というものを除外しても問題がないんだと思います。

 除外を自治体が決めるといったものは、私が保護委員会ではありませんが、非常にセンシティブなものというふうに理解をしていただければと思います。

大西(健)委員 センシティブなものというのは、例えば、我々、いろいろなところで聞くと、被差別部落に関する情報だとか、今までもネット上でいろいろなそういうものが問題になった件はありますけれども、そういうものについて、何か支障があるとか、そういうようなことをイメージしているんでしょうか。

平井国務大臣 例えば、LGBT等々のことだというふうに想像しております。

大西(健)委員 この点については、また後日しっかり詰めていきたいと思います。

 最後に、時間がありませんので、プログラミング教育というのについて聞きたいと思うんです。

 第十一条の情報通信技術の進展に対応するためにも、また二十五条の人材育成という面でも、プログラミング教育というのは重要になってくると思います。

 この点、既に二〇二〇年より小学校でのプログラミング教育の必修化が始まっております。私は、大切なのは、プログラムを実際に組むということよりも、プログラミング的思考力を身につけることだというふうに思っています。

 資料の最後のページを御覧いただきたいんですけれども、写真を見ていただくと、皆さん御覧になったことがあるかどうか分かりませんけれども、こういうおもちゃがありまして、溝や穴が彫られた木製の立方体を組み合わせてビー玉が通る道をつくる、これはスイスの玩具でキュボロといいます。将棋の藤井聡太二冠が三歳の頃からこれで遊んでいたということで非常に注目されているんですけれども、スイスとかドイツ、ロシアでは、このキュボロを使ってプログラミング教育をやっているそうです。ロシアでは大規模な大会も開かれているということですけれども。

 デジタル社会で求められるのは、まさに、プログラムを組んだことがある、ないとかではなくて、このキュボロ遊びに含まれているような予測、検証、修正という、そういう問題解決のプロセスであったりプログラミング的思考だと思いますけれども、この点、今日、文部省の政務官に来ていただいていますので、どういうものを、どういう能力を求めているのかということと併せてお答えいただければと思います。

木原委員長 文部科学大臣政務官鰐淵洋子君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

鰐淵大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 今委員の方からも御紹介いただきましたけれども、ソサエティー五・〇の到来など、予測困難な変化の激しい社会におきまして、情報や情報技術を主体的に選択し、適切に活用していく力が求められていると認識をしております。

 文部科学省では、学習指導要領におきまして、情報活用能力を学習の基盤となる資質、能力と位置づけ、とりわけ小学校段階において新たにプログラミング教育を必修としたところでございます。

 このプログラミング教育では、コンピューターに関する知識、技能を習得するのみならず、物事を論理的に考えていく力を育成するという観点から、プログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力、すなわちプログラミング的思考を身につけさせることを狙いとしております。

大西(健)委員 時間が過ぎておりますので、終わります。

木原委員長 次に、松尾明弘君。

松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。

 早速ですが、質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、デジタル時代における公文書の管理についてお伺いをします。

 今回のデジタル改革関連法案、そしてその核となるデジタル社会形成基本法案ですが、ここに書かれている理念をきちんと実現してデジタルガバメントを実現するために一番肝要なことは何でしょうか。私は、やはり、これは行政が透明性をきちんと有していること、そして公正であること、これが非常に重要だというふうに考えています。すなわち、政府に対して国民がきちんと信頼を置いて、デジタル手続を通じて自分の情報を提供すること、これをよしとする、そしてオンラインの手続を積極的に行おうと思っていかないと、やはりデジタルガバメントを実現できていかないと思っています。

 しかし、その観点からこのデジタル社会形成基本法を見ていても、この透明性、公正性というところについては、ちょっと一歩下がっているんじゃないのかなというふうに感じざるを得ません。

 このデジタル社会形成基本法、これにおいて、第九条で、確かに、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上のための環境整備を行うと規定されておりまして、これを受けて、同二十九条において、施策の策定に当たっては、行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上に資するため、必要な措置が講じられなければならないと規定されています。

 しかし、その先、その透明性を充実させるために具体的にどのようなアクションを行うのか、デジタル庁はどのようなことを行うのか、これは明確には規定されておりません。

 一方、デジタル化された社会においては、当然、公文書の管理についても変わってきます。行政文書については、作成から保管まで一〇〇%デジタルで完結させる、これを前提とした業務フローの見直しは図っていかなければなりませんし、アナログの文書、紙の文書とは異なり、デジタルのデータはほとんど場所も取らないわけですから、行政の意思決定プロセスに関する文書、これも含めて、きちんと後日検索、閲覧、これも想定した形で保存することも十分に可能となります。

 当然、この公文書に対する国民からのアクセスも変わってくると思われます。

 平井大臣も常々おっしゃっているように、上からのデジタル化ではなくて、下から、利用者側から、国民からのデジタル化を考えたときには、やはり、この公文書がきちんとデジタルで保存、管理され、公開されることによって行政の透明性、公正性が図られること、これが何よりも大切だと考えております。

 そこで、お伺いしますけれども、このデジタル社会、デジタルガバメント、これを前提としたときに、公文書管理の在り方、これが政府において今どのような検討がされており、どのような方針が決められているのか、教えてください。

三上政府参考人 お答えいたします。

 行政文書のデジタル化は、文書管理を確実かつ効率的に行い、行政の説明責任を全うしていく上でも、また、政府全体のデジタル化を進めていく上でも重要な課題であると考えております。

 政府におきましては、平成三十一年三月に、行政文書の電子的管理についての基本的な方針というものを内閣総理大臣決定で策定いたしました。その中では、今後作成する行政文書は紙媒体ではなく電子媒体を正本、原本とすることを原則とすること、将来的には、行政文書の作成から移管、廃棄までを一貫してシステム上で処理することを可能とする本格的な電子的管理の実現を目指す、こういうことになっております。

 また、デジタル庁設立の方針が打ち出されるなど、行政や社会全体のデジタル化が急速に進められる中、本年一月には、公文書管理委員会を開催いたしまして、デジタル時代の行政文書管理の在り方について議論を開始したところでございます。

 今後、公文書管理委員会におきまして本格的に議論を行っていただくことになりますけれども、例えば、日々の行政文書を作成、保存するための政府の基幹的な情報システムをデジタル庁が整備するに当たりまして、行政文書の適正かつ効率的な管理を行うためにどのような仕組みを求めていくか。あるいは、各省ではデジタルを活用した業務システムが構築されることになるわけですけれども、行政文書の管理の観点からどのような仕組みが必要か。さらには、紙媒体でありますと物理的に一つの行政文書ファイルが存在することになるわけですけれども、クラウド上の電子情報になりますと関係機関が共有することになりますので、こういった場合に行政文書の管理としてどのように行えばよいか。あるいは、技術の進歩の速い電子媒体をどのように長期保存するか。デジタル化を更に進めるために、紙媒体による文書が基本であった時代にその根幹が形成された現在の公文書管理の運用を見直すべき点がないかといった点につきまして議論いただきまして、夏頃を目途といたしまして一定の取りまとめを行うことを予定してございます。

 デジタル社会にふさわしい行政文書管理の実現に向けて、関係機関とも連携をして、制度と情報システム、両面でしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

松尾委員 今お話のありました行政文書の内閣総理大臣の決定、平成三十一年に決められた電子的管理についてですけれども、その中でも、この電子的管理の進捗について、年限を区切って決められているんですけれども、二年たってどのぐらい進捗されているのか、今の状況を教えてもらえますか。

三上政府参考人 年限を区切って取り組むべきとされている部分につきまして、フォローアップもしておりますけれども、おおむね進んでおりますけれども、一部、その後の電子的な管理をめぐるいろいろな状況の変化等々で必ずしも予定したとおりに進んでいない部分はございますが、おおむね各省庁の協力を得て進めているところでございます。

松尾委員 先ほども述べたとおり、透明性、公正性をきちんと確保するということがデジタル社会形成のための肝にもなりますので、是非きちんと遂行してもらいたいなと思っております。

 近年も、財務省による組織的な公文書の改ざんであったりとか自衛隊による日報の隠蔽がなされて、行政とか公文書管理に対する信頼が損なわれたということも皆さんの記憶にも新しいところだと思います。是非、これを機会に、きちんと、改ざんや隠蔽が行われないような、新しい技術も積極的に取り入れた公文書管理体制を構築していただきたいと思っております。

 次に、オープンデータ、この具体的な取扱いについてお伺いしたいと思っております。

 いわゆるオープンデータの提供について、基本法の第三十条において、国及び地方公共団体が保有する情報のうち国民生活に有用なものについて、書面等に記載された情報の電磁的記録としての記録、行政が保有する情報の活用、これがうたわれております。

 ただ、現在でも、官民データ活用推進基本法、これに基づいて、オープンデータの基本指針というものが既に定められていて、その中には、国民参加・官民協働の推進を通じた諸課題の解決、経済活性化、行政の高度化、透明性・信頼性の向上というのはもう既にうたわれています。

 しかし、そのオープンデータを提供するためのポータルサイトとして設けられているデータ・ジーオー・ジェーピーというサイトがありますけれども、現時点では単なるリンク集にとどまっていて、サイトの更新も不定期、人力による入力ということでデータ形式も統一されていない、少し残念な状況となっております。

 今後、デジタル社会を形成する中で、原則として全ての公共データ、これが生のデータでオープンデータとして提供されるべきであって、地方公共団体のデータもオープンデータとして提供されるべきと考えております。さらに、これらがきちんと利用される、活用されるためには、機械でアクセスできる、そのような形式になっていなければいけないと思っております。

 その一方で、公務員の皆様は、やはり通常業務が忙しい中で、オープンデータの提供そればかりやっているわけにはいかないということもあって、今、なかなかオープンデータの活用がされていないのではないかなというふうに思っております。

 今後、そのオープンデータの活用ということを目指すのであれば、きちんとデータ形式、メタデータ、これをそろえて、業務フローの中で自動化されて、リンク集ではなくてきちんとシステムでつないで取得ができる、そのようにしていく必要があると考えますが、今後、このデジタル社会形成基本法に基づくオープンデータの提供について、どのような大きな方針を持って、いつまでに具体的に何をするのか、教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、オープンデータにつきましては、内閣官房といたしましてこれまで様々な取組を行ってきてございます。IT戦略に基づきまして、公共データの公開、活用のためのオープンデータ基本指針の策定、これは御指摘ございましたが、さらには、地方公共団体のオープンデータの取組を支援するためのガイドライン、手引等の支援ツールの作成、さらには、オープンデータの専門家の派遣など、人的支援の実施などもオープンデータの推進のために図ってきたところでございます。

 他方におきまして、今般、コロナ禍におきまして、公開されたデータが構造化されていないとか標準化が進んでいないというような問題が現出してまいりまして、そういった質の問題から、データ活用が進まないで、サービス提供が進んでいないというような状況が出てきているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、昨年十二月のデータ戦略タスクフォース第一次とりまとめにおきまして、希少性、有用性、信頼性、リアルタイム性を有するデータ公開をしっかりと推奨していく、さらには、オープンデータの機械判読性、これをより高めていくということなど、オープンデータの質の強化に向けましてオープンデータ基本方針の見直しをしっかりと図ってまいりたいと考えてございます。

 データは、幅広く活用されることでその価値が最大限発揮されるということでございますので、データの活用の起点となるオープンデータについて、今後もその量及び質の更なる向上に努めてまいりたいと考えてございます。

松尾委員 今の指針の改定そのものは非常に私も賛同するところではあるんですが、結局、今までも指針があってもできていなかったということを踏まえると、今お話ししたようなことは、いつまでに何をするとかという具体的なアクションプランとかスケジュール感というのは決まっているんでしょうか。

平井国務大臣 先生と私も問題意識は一緒で、この官民データ活用推進基本法は、二〇一六年に与野党協力して作った議員立法なんですね。それでオープンデータを進めましょうというようなことですが、実際はなかなか進まないし、実際、流通して新しい価値を生むようなデータもなかなかないというような状況で、私も大変ここは問題意識を持っています。

 今後は、デジタル庁はデータのオーソリティーにならなきゃいけないというふうに思っていて、そのまず最初がベースレジストリーの整備。あとは、データの戦略もつくりますけれども、やはりデータカタログとかそういうものを整備していくというのが基本的な流れだと思います。

 なかなか今まで進まなかったものを一気に加速するために、その機能をデジタル庁の中に持たせたいというふうに思っております。

松尾委員 ありがとうございます。

 今の答弁、全く私もそのとおりだと思っていて、ちょっと次の質問と関連して、まとめてお伺いしたいと思うんですけれども。

 結局、データの提供について今は人力でやっている、そこがやはり、通常業務と離れたところにオープンデータの提供というものがあるので、なかなか進んでいかないのではないかなというふうに思っています。

 デジタル庁が各官庁の業務フローの改善というところまで含めてデジタライゼーションをしていかなければいけないんだというようなお話、繰り返しされているんだと思うんですけれども、この業務フローの改善のときに、きちっと、業務の過程でつくられるデータ、これがオープンデータとして決まった形で提供される、そういったところまで見据えた上での業務フローの改善というものに取り組んでいっていただきたいなというふうに考えております。

 その一方で、この業務フローの変更について、デジタル庁がデジタルの目線からそれを指導するというか言っていくというのはいいことだとは思うんですけれども、ただ、業務といっても、やはり各官庁、何千何万と業務があって、その一つ一つについて、具体的に何をしているのかということ、どうするのが最適かというのをデジタル庁が把握するというのは、これまた現実的ではないかなというふうに考えているんです。

 それも踏まえて、業務フローの改善まで含めたデジタライゼーションということについて、言うのは簡単だけれどもやるのは非常に難しいと思うのですが、具体的にどういう取り組み方をデジタル庁として行っていって、こういうやり方をするから実現ができるんだというようなお考えがあるとしたら教えてください。

平井国務大臣 成果の上がるところから手をつけていこうというふうに思います。

 今回、デジタル庁そしてデジタル大臣には強い権限が与えられるようになっておりまして、今までの、要するに単なる総合調整ではないんですね。

 今は、私、IT担当大臣ですけれども、何にもないんですよ、基本的には総合調整しかない。勧告権も何もないという状況で、予算はそれぞれ各省ばらばらに要求して、ほっておいたら勝手に全部やっちゃう。幾つかのものに関してはグリップが利いたものもありますけれども、ほとんどグリップができていないという現状があったと思います。

 ただ、ここをはっきり、これからはちゃんと全体を管理していく上で、一番効果が出やすいもの、国民のニーズが高いものからプライオリティーをつけて取り組んでいかないと、何せ五百人の体制で、全て一気に進められないと思っているんです。

 そして、デジタル庁は、やはり、出だしでつまずいてしまいますと、各省庁に負けてしまうという言い方が正しいかどうか分かりませんが、そうなると思います。

 したがいまして、効果が出るものから、国民的なニーズの高いものから、そういうものを進めていきたい、そのように考えております。

松尾委員 優先順位をつけてというのはそのとおりだと思うのですが、それが、実現可能性というか、どうやって実現をするのかというところをもう少しお伺いしたいなと思っていて、デジタル庁ができると、そこに勧告権というものが生まれて、勧告していくことができるという話も聞いておりますが、今でもIT本部長は勧告権を一応形式上は有していて、それがどこまで機能しているのかというのと、どう考えるんだろうというのもありますし、予算の一元管理ということで、予算の管理さえできればそれで進むのかというところも、なかなか具体的なイメージが湧かないところではあるのですが。

 先ほど、うまくいくところもあるしうまくいかないところもあるようなお話をされていましたけれども、今大臣が考えている、そのうまくいくための肝というか、ここを押さえていったら今までもうまくいっていたしみたいな、そういったところがあるんだったら教えてください。

平井国務大臣 確かに、今の政府CIOにも、総理に対して進言して勧告するという権能はあるんですが、これは抜かずの宝刀で、一度もそういうことはありませんでした。

 今後、デジタル庁というのは、総合調整だけではなくて、十分に尊重すべき義務を課した勧告権を付与されることになります。そして、関係予算の一括計上と配分権限を持たせることで、これは合わせ技で強い実効性を確保するということで、私は、まず、勧告という前に、システムに関して不適当と思われるものに関しては予算を止めるということをやらなきゃいかぬなというふうに思っています。それができる権能を持っているのが今度のデジタル庁だと考えます。

松尾委員 ありがとうございます。

 じゃ、その権能を使ってどんどん進めていただきたいと思います。

 その上で、デジタル庁が主導的にデジタル化を進めていく中で、それがきちんと進んでいるということを、進捗を管理をしてきちんと実現されるように進んでいっていただきたいというふうに思います。ただ、残念ながら、これまでもデジタル社会を目指すんだということで二十年やってきましたけれども、なかなか芳しい結果にはなっていかないことを考えると、今度はきちんとその進捗を管理をして実現していただきたいというふうに思っております。

 その観点からこの基本法を見ていくと、どうなっているかなと思うと、恐らく基本法の三十七条、重点計画というところで計画を立て進捗管理をしていくのかなというふうに思います。同条の七項で重点計画については適時に目標の達成状況を調査して公表するとされており、八項でその変更についても予定がされているところです。

 ただ、一方で、重点計画という考え方自体はこれまでのIT基本法にもあったものでありますが、今回のデジタル社会形成基本法、これにおける重点計画、この適時の調査であり開示、これと計画の変更、これを通じることでこれまではできなかったデジタル社会の形成というものがきちんと進捗するんだということが言える根拠、あるようでしたら教えてください。

藤井副大臣 お答えいたします。

 基本法の第三十七条七項におきまして、三項に定める目標の達成状況を調査し、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならないという形になっております。

 先ほど大臣から答弁させていただきましたけれども、今までは内閣官房に政府CIOがいて総合調整権限のみということでございましたけれども、今回は、総合調整を担保するための十分に尊重すべき義務を課した勧告権を付与する、また関係予算の一括計上、配分権限を持たせるということで、強い実効性を確保することとしております。

 このデジタル庁は内閣に直接置き、長を内閣総理大臣として、長を助けるデジタル大臣、副大臣、大臣政務官に加え、デジタル監等を置くとともに、百名規模の優秀な民間人材を含めた五百人規模の組織として発足させるということでございますので、こうしたデジタル庁の設置後は、このような強力な権限と体制によりまして、委員御指摘のような体制づくり、そしてまた、国民に利便性の高い行政サービスの実現が図られるよう、努めてまいりたいと思っております。

松尾委員 ごめんなさい、私が聞きたかったのは、強力な体制もそうなんですけれども、きちんとそれが進んでいるということをどうやってチェックをするんですかということなんですね。

 じゃ、もう少しちょっと具体的に伺うと、今の三十七条の七項で公表するというふうにありますけれども、これは、やはりデジタルの社会というのはすごく移り変わりが激しくて進歩も激しい中で、どのくらいの頻度でこれをチェックして状況について公表していくということを想定されているんでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 どれぐらいの頻度でというお問合せでございますけれども、私どもといたしましては、重点計画がしっかりと意味のある形で進捗をしていること、これを把握をする上で必要な周期でということで思っておりまして、基本的には年に一度は最低限フォローしてまいりたいと考えてございます。

松尾委員 年に一度はそれを検討するということですので、是非進めていただきたいなと思います。

 そして、ちょっと話は変わりまして、地方自治体のシステム標準化の件についてお話をお伺いします。

 地方団体の標準システムについては、同法の七条においてその基準を定めるものとされています。この基準については、当然、一旦定めたらもうそれっきりというわけではなくて、随時見直していくことが必要だというふうに思います。この見直しの頻度ですとかその方法についてはどうお考えなのかをお伺いしたいと思っております。

 標準システムを実際に導入して運用していくと、当然、いろいろな面が見えてくるんだろうなというふうには考えられます。標準化法の第八条二項で、必要最小限、まあ、最小限であるべきかどうかはまた議論があるところではあるんですが、各自治体が追加開発を行えば、それが非常に効果的だったねということもあると思いますし、逆に、標準化したことによって行政サービスが低下をしたのではないかというふうなこともあり得るというふうに思っております。これらのうち、行った追加開発が非常に効果的なものであれば、それは他の自治体に対しても当然横展開をしていく、そして標準化の基準に入れ込んでいくということは行ってしかるべきだというふうに考えております。

 同法の七条二項においては、標準化システムの基準の変更について定められております。この基準の変更に際しては、今申し上げたような、先進的な取組について横展開ができるような、そのような制度を定めておいてきちんとシステム化しておくことが、日本の地方自治体におけるデジタル化を促進をして、住民サービスの向上に資するものではないかというふうに考えておりますが、ここで言う基準変更の意義、そして、各地方自治体における運用状況であったり意見の集約体制、この基準の見直しの頻度、これについて教えてください。

宮路大臣政務官 お答え申し上げます。

 今国会に提出しております標準化法案では、標準仕様を定める基準の策定に当たっては、地方公共団体その他の関係者の意見を聞くこと、情報通信技術の進展その他の情報システムを取り巻く環境の変化を勘案し、必要に応じてこれを変更しなければならないことを規定しております。

 現在関係府省において進められている標準仕様の検討に当たっては、関係府省間で共有された作業方針を踏まえ、地方公共団体の職員を検討会の構成員とするほか、広く全国の地方公共団体への意見照会を行うなどして、地方公共団体の情報システムの状況の把握に努めております。

 この検討においては、地方公共団体において既に情報システムに実装されている先進的な取組を標準として採用することも考えられるところでございまして、今後も、地方公共団体の御意見をよく伺いながら進めてまいりたいと思います。

 なお、基準の変更の頻度については、政府参考人から答弁させたいと思います。

阿部政府参考人 お答え申し上げます。

 補足的に御説明させていただきます。

 御質問ありました、基準の見直しの頻度ということだと思います、これにつきましては、それぞれの業務分野の制度改正のタイミング等もございますので、なかなか、一概にこのタイミングというのもちょっと申し上げることは困難でございますけれども、先ほどもございました、様々な地方団体とのやり取りの中で、こういうものを入れたらいいんじゃないかというのは随時出てくると思いますので、基準が陳腐化、時代遅れのものにならないように、適切なタイミングで見直していく必要があるというふうに考えてございます。

松尾委員 ありがとうございます。

 ちょっと質問通告からそれるんですけれども、いろいろな取組、知恵を横展開していくという観点からすると、標準化のシステムであったりとか追加の開発について、全てオープンソース化していって、ほかの自治体であったりとか技術者が見ていってより改善をしていくというようなやり方をしていくということは、ベンダーロックというものも避けられますし、長い目で見ればコストダウンにもつながっていくのではないかなというふうに思われるのですが、オープンソース化について何か検討されていることとか議論とかがあるようでしたら教えてもらえますか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 オープンソース化について具体的に今の段階で、今からそれぞれ基準を定めていくというか標準を定めていこうというところですので、一概に、これはオープンソース化できるとかできないとかということまでちょっと申し上げることはできませんけれども、その視点が必要であるということは、重要な視点であるということは御指摘のとおりだと思いますので、その辺りも踏まえて検討してまいりたいというふうに思います。

松尾委員 今の質問、ちょっと確認なんですけれども、オープンソース化するということも選択肢としてあり得るというか、可能性としては念頭に置いた上で、できるできないも含めて今検討中だという趣旨でよろしいんですか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 標準自体は当然オープンになりますので、そのときにどういうシステムを採用するかということだと思いますので、それぞれの標準をつくるときに、その辺りも当然前提に含みながら、地方団体ともお話ししながら、どういう形がいいかということを考えていきたいというふうに思っております。

松尾委員 そろそろ時間ですかね。

 私も、デジタル社会を目指すという基本的な考えはもちろん否定するものではありませんし、今日の答弁を通じて大臣ともかなり認識が一致しているところはあるのではないかなというふうに思っております。しかし、私が質疑の中で繰り返し述べたとおり、二十一世紀に入ってからもう二十年間、ずっとこの国はデジタル化の社会を目指すということを目指し続けてきて、うまくいっていないというような残念な現状がやはりあります。平井大臣も、今回のコロナ対応のまずさはデジタル敗戦だというふうにもおっしゃっているとおりで、今度こそは必ず実現をしてほしい、デジタル改革をしてほしいというふうに私も思っております。

 ただ、やはり、今回出てきているメニューを見ていても、これまでの焼き直しなんじゃないかなと思われるものも多々あるということも事実ですので、デジタル庁ができる、デジタル改革法案、一連の法案ができるということを契機に、スローガン倒れで税金を無駄にするということではなくて、本当に、国民の権利を守って利便性が向上する、そんなデジタル社会が実現されてほしいなと思っております。それに向けて、私としても、これからも審議を重ねていきたいと思いますし、進捗自体、きちんと監視をしていきたいと思います。

 これを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属の会の阿部知子です。

 本日は、最もこれからの社会に大切な、いわゆるデジタル社会、私たちがどのように組み立てて暮らしていくのかという大変重要な審議に質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 そして、にもかかわらずと申し上げた方がいいと思いますが、この法案は、当初から、多数の法案上の誤り、あるいは不足したる部分、正誤表等々がそのまま出されて、本会議も開催され、また委員会審議も始まるという、極めて急がれる審議のように思いますが、そのことがかえって大きなマイナスにならねばいいなと懸念をいたしております。

 冒頭、平井担当大臣にお伺いいたしますが、私は、平井大臣に質疑させていただくのは初めてですので、そもそも論でお伺いいたしますが、大臣も二〇〇〇年の当選、そのときIT基本法ができました。そして、二十年たって今回のデジタル社会の基本法ができるということですが、果たして、このデジタル社会基本法の、あるいはデジタル社会の肝は何でしょう。

平井国務大臣 まず、これは人間の幸せが一番やはり重要だと思います。

 先生、我々は結局アナログな生き物なんですよね。デジタルだけでおなかがいっぱいになるわけでもないし、デジタル空間に生きることもできないし。つまり、今あるリアルの生活の質をどうやって上げて、そしていろいろな選択肢を増やしてというところだと思います。

 そのことに対して、この二十年間を振り返ってみて、やはり何かが欠けていたから、多くの国民がデジタルっていいねと思ってくれなかったんだと思います。ここで、そういう国民目線でデジタルを組み立てるとどうなるのかというのがデジタル庁のやはり一番重要なミッションで、国民が真に望むサービス、国民の生活をよくするためのサービスを実現するというところが重要だと思います。

 それと、国も地方自治体もそうなんですけれども、サービスを提供しているという感覚が今まで余りにもなさ過ぎたと思うんです。要するに、そうなると、もっと使い勝手のいいものにしよう、もっと簡素な手続にしようというふうな改善が常に行われていくという社会が、私はデジタル社会の一つのいいところではないかと思っています。

阿部委員 ただいま御答弁いただきました認識は共有をさせていただいております。

 大臣には、例えば、私たちが慣れ親しんだ憲法の十三条、「すべて国民は、個人として尊重される。」という憲法の十三条がございますが、この個人として尊重されるというときに、個人に関わる情報の一部を私以外の者が知り得たり管理したり、ある意味で手渡すということで、ここにやはり大きな不安、そごが起こり、そのことがなかなか国民に、デジタル社会ということに本当に自分も参加できているのかどうかというところが確信が持てないんだと思います。

 言葉を換えれば、私は、デジタル社会の成功の肝は、鍵は、国民参加にあると思います。先ほど大臣はそれを、国民目線で、地方自治体や国がサービスを提供しているんだ、国民のために提供しているんだというふうなことが行き渡ることが大事であるとおっしゃいましたので、是非そのようになってほしいですが、しかし、やはり、現状を見ると、今回の提出法案も含めて、その点が十分に国民に伝わっていない。

 その大きな理由の一つが、こういう国会審議の持ち方なんだと思います。これは大臣に云々ではなくて、そもそも、この審議は特別委員会として行われ、そして、あらゆる省庁の大臣を含めてここに御参加いただいて、もちろん、平井さんが担当の肝でありますから、そこを担っていただきながら、国民挙げてデジタル社会に向かうんだという絵姿を見せる必要が私はあるんだと思うんです。

 今は、一方で、参議院が、本会議を含めて予算審議が行われております。国民の意識もそちらにどうしても、テレビ報道もありますし、傾きがちで、また、そこでももちろん取り上げられないわけではないですが、私は、今本当に、コロナを経験して、国民が自らの情報を自ら管理して自らがそれを役立てるという大きな転換期にあっては、この審議の在り方というのは極めて残念であります。

 そのことを委員長にも申し上げた上で、委員長も長い時間そこで頑張っていただいているので、これは委員長に申し上げるべきことでもないことは存じておりますが、国会の在り方として、間違った法文そのままに、そして特別委員会ではなく内閣委員会で、そして参議院では予算委員会というのは、やはり余りにも軽んじられたのではないかということを、これは平井大臣も心外と思っておられるでしょうから、あえて私が代弁をいたしまして、お伝えをさせていただきます。

 一問目ですが、私は長年、小児科医をしておりまして、日本の母子手帳というものについてまず取り上げさせていただきます。

 平井大臣も御存じかもしれませんが、母子手帳と言われるものが我が国で導入されたのは、一九四八年、昭和の二十三年、戦後の混乱期でありました。実は、お母さんと赤ちゃんの情報というのは、終戦に向かう末期、一九四二年に、妊産婦側の情報、それから子供たちの情報、ばらばらに管理され、しかし、これが、当時は富国強兵や子供の数も増やそうという中で、一定の成果を上げておりました。

 戦後は、これを逆に、本格的にお母さんたちの子育てをサポートして、そして何よりも、お母さんが子供に関する情報を自ら得て、自らがそれを子育てに役立てていくということを考えたのが、そもそも母子保健の根本であり、いわゆる母子手帳の誕生の背景でございます。

 今のデジタル社会と、手法は違えども、そこにある考え方は同じだと思います。情報の主は誰で、誰がコントロールして、そのために利便性のよいスキームをどう与えていくかということで、日本の母子保健のための母子手帳は始まっております。

 このスキームが世界各国に評価をされまして、現状では、五十か国が母子保健のためのいわゆる母子手帳を使っております。

 この母子手帳の普及というのは、我が国の世界に誇るべき、乳幼児死亡率を下げ、お母さんの育児を助け、子供たちの健やかな成長を支え、本当に宝とするものですが、例えば、アジアだけを見ても、一九八〇年にタイ、九〇年にインドネシア、九八年にベトナム等々で普及し、今も使われております。また、二〇〇八年にはパレスチナで始まっております。

 そして、パレスチナや、あるいはオランダもそうです、もう既にそこに、アプリと統合して、お母さんたちが情報を得られる。あるいは、パレスチナなどでは、手帳を持っていても、空から空爆を受けて手帳を紛失したときにもなお、お母さんたちがその情報を得ることができるという意味で、命のパスポートと呼ばれております。私は、こうしたことこそ、本当に今、私たちが国民に伝えて、デジタル化ということは、あなたがあなたの情報を生かしてよりよく生きられるということを見せていかねばならないんだと思います。

 前置きが長くなって恐縮です。そして、この母子手帳については、厚生労働省が二〇一八年の一月から、データヘルス時代の母子保健情報の利活用に関する検討会を設置して、今順次、例えば、体重、身長などをデータベースにして、お母さんがマイナポータルで見られる、こういう施行をいたしております。ただ、この場合に一番大事なことは、どの情報を行政が利用してよいかというところにマイナンバー法で歯止めがかかっていて、こういう情報を取りたいから、行政はこのことに関してその子の情報を得ることができる、すなわち、何を目的に何の利用が可能かということがタグづけをされております。

 大臣にここで伺います。母子保健で、母子手帳のデータをデジタル化してお母さんたちがアプリで使えるようにするというのは今回の法案より前に始まったことでありますが、私は、極めて優れたいいモデルだと思います、考え方においても。大臣には、まず、このことについて、私がるる申し上げましたが、印象をお聞かせください。

平井国務大臣 先生と全く同じ問題意識です。

 やはりデジタル社会の形成においては、デジタルの活用によって、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことを可能とすることで多様な幸せを実現する、この観点から、自らのデータを適切かつ効果的に活用していくというのが非常に重要だと思っています。

 特に子育ての場合は、例えばワクチンの接種にしてもそうですし、はっきり言って、ステージによっていろいろ悩みも違うでしょうし、そういう意味で、今、マイナポータルを中心に、厚生労働省がうまく連携を考えて進めてくれているというのは非常にいいことだと思うんですね。

 これは、プッシュ型のサービスというのは今まで日本はなかったんですけれども、本人が希望すればそういうこともできるようになるのがマイナポータルの機能だと思っています。それぞれが自分でカスタマイズできる、そこも私は非常にいいのではないかというふうに思っています。

 ですから、いろいろ制約のある中で、今までマイナンバー法の制約の中でいろいろな情報連携をやっていますが、行政機関がそういう情報にアクセスをする、連携する場合には、そのログがちゃんと残って、本人が望む以上のことはやらないということもちゃんと担保できるようにしなきゃいけない。

 先生が大変この分野で御理解があるということが分かりました。またいろいろとアドバイスをいただければ、これは利用者目線でどうつくればいいかという段階に来たな、そのように今思っています。

阿部委員 私が申し上げたかったのは、厚生労働省の取組は極めて慎重であり、どの情報を開いてよいか、それをいわゆる相互対話しながら決めていくという、これが私が申し上げる、デジタル社会の基本は国民参加であると。利便性があって安心ができる、勝手にはされないというところが大事であると私は思っております。

 ところが、これから取り上げます二つのケースは、これとはちょっと違いまして、大変懸念されるケースであります。

 今回の個人情報の保護制度の改正において、これまで、行政機関、独立行政法人あるいは民間事業者の、各々別途の対象とした法施行がございました。民間事業者は個人情報保護にのっとりますが、行政機関、独立行政法人等々は別途、それぞれを律する法律がございましたが、これを、三つを束ねるというのが今回のことであります。

 束ねる中で、私が本日取り上げたいのは、いろいろな研究に供するために、その被験者となる人が同意しているのかいないのかという扱いが、大変残念なことに、我が国で十分であるのかどうかということです。すなわち、独立行政法人などにおける個人情報保護もEUの個人情報保護制度に合致するように、これは三つを一つにしてやっていくのだという趣旨でありますが、果たしてそうなっているだろうかということであります。

 大臣のお手元、私の資料の一枚目を見ていただきたいですが、ここでは、「学術研究に係る適用除外規定の見直し」、長ったらしく書いてありますが、これまでは、学術研究に関わっては、個人情報保護のいわゆる普通のルールではないルールだ、適用除外だとしておりましたのが、これも踏み込む、包み込む、入れ込むということになり、その場合に、安全管理措置や保有個人データの開示等については様々な緻密化したいわゆる規制を設けていきますが、果たして御本人の同意ということについては、今回の改正において変わるところ、あるいは向上するところありや否や、大臣に伺います。

平井国務大臣 現行の個人情報保護法では、学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合には、包括的に各種義務の適用を除外しております。

 改正案では、学術研究分野を含めたGDPR十分性認定への対応を目指し、これは先生のおっしゃるとおり、三本あるということ自体が非常に問題であったわけで、安全管理措置や保有個人データの開示等の義務については、学術研究機関にも当然適用することになります。

 加えて、改正案では、学術研究機関が学術研究目的で行う個人データの第三者提供についても、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合には本人の同意を要するということにしております。

 このため、委員御指摘の、医学研究等のいろいろな例えば論文発表等についても、それが本人に対する差別を引き起こすなど個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合には、当然、本人の同意を要するということになります。

阿部委員 明確な御答弁、ありがとうございます。

 私がなぜこれをお尋ねしたかというと、実は、これも大臣のお手元に、開いて二ページ目がございますが、これは、二〇一六年と二〇一七年に、福島県の伊達市において、原発事故後の被曝線量について研究論文を発表されたものについて、実はこのとき、対象は伊達市民でありますが、この研究者は伊達市民に、あなたの被曝情報、例えば外部被曝あるいは自分が線量計をつけてやった被曝などについて、そのデータを使わせていただきますということを何も伝えずに研究論文をまとめて、国際的なジャーナルに発表をされました。

 その結果、見ていただきますと、この論文に赤く書いてあるのは、これは採用されずという意味で、一回受け止められた論文が突き返されたということであって、二人の研究者のうち宮崎さんという方は、これを学位論文にしましたが取消しになり、いま一人の早野さん、東大の先生ですが、彼についても、この論文の取消しということになりました。

 かほどに厳しい、すなわち、私に関わる情報を私が知らないところで勝手に発表してはいけませんということがEUを含めたスタンダードになっておりますが、ところが、日本の中でこういうことが起きて、リジェクト、拒否されたという事案があります。私は、これを見ると、日本における同意の問題はまだまだ道遠しなんだと思います。

 今度、大臣は、国際スタンダードに持っていくとおっしゃいましたから、この間、いわゆる同意をめぐる倫理指針、これは、ヘルシンキ宣言以来、人間を相手にした実験の同意の在り方についてはインフォームド・コンセントの手続を厳しく定めております。この倫理指針というものがございますが、これも今回の法改正で改正がされるのでしょうか。それとも、文科省と厚労省に関わりますから、大臣が御相談されるのか。

 私の真意は、やはり個人情報というのはその人の情報であり、その人の知らないところで勝手にされないという安心がなければデジタル社会も進みません。情報を入れ込むことは盗まれることと思ってしまいます。

 この倫理指針の改定については、どうでしょう。

平井国務大臣 委員の問題意識もよく分かりました。ちゃんとデータ等々を使えば個人に大きなメリットがあるんですが、こういうふうに同意がなくこういう論文になった場合には、やはり本人にとってこれは大変好ましくないことだと思います。ですから、学術研究目的で個人情報を取り扱う場合であっても、プライバシーとか名誉等の個人の権利利益が不当に侵害されることのないように、これは特段の配慮が必要だと私も思っています。

 今回の、研究倫理指針も改正されるということですが、委員の御懸念のような保護水準の後退は私自身生じないと考えておりますが、ここはちょっと正確を期すために、政府参考人の答弁、よろしいですか。(阿部委員「はい」と呼ぶ)

時澤政府参考人 お答えいたします。

 現行の個人情報保護法は、第七十六条一項で、学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合について、各種義務の適用を包括的に除外をしている、これは議員御指摘のとおりです。

 その一方で、同条三項で、学術研究機関に対しまして、個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を自ら講じ、公表する努力義務を課してございます。研究倫理指針に基づきます個人情報保護のための取組は、個人情報保護法のこの努力義務に基づくものと位置づけられているところでございます。

 改正後の個人情報保護法第五十九条では、学術研究機関がこれまで研究倫理指針に基づき実施してきました個人情報保護のための取組が後退することのないよう、現行の個人情報保護法に引き続き学術研究機関に対する努力義務を明記し、安全管理措置等の法律上の義務を遵守するだけでなくて、個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を自ら講じ、公表することを求めているものでございます。

 したがいまして、御指摘のような保護水準の後退というのは生じないというふうに考えております。

阿部委員 是非そうあってほしいと思います。そうでなければ、我が国から出た論文が海外でリジェクトされる、拒絶されるというのは決して好ましいことではございません。

 引き続いて、予定しました質問、もう一つありますが、時間の関係で、いま一つの質問に行かせていただきます。

 私が今日取り上げるのは、現行の行政機関における個人情報保護、先ほどのは独立行政法人ですが、今度は行政機関における個人情報保護の扱いの問題でございます。

 お手元の参考資料の、一枚飛ばしまして次に、海上自衛隊におきまして、十七日付の毎日新聞報道ですが、海上自衛隊の二等海佐が、二〇一六年に勤務していた職場のパソコンの共有サーバーにアクセスして、女性たち二千七百人の個人情報、年齢、住所、親御さん等々、それを全て抜き出して個人のパソコンにダウンロードをいたしました。

 二〇一六年、この事案が起きましたが、このことについて防衛省から処分が下されたのは一体いつでありましょうか。報道は今年の三月の十七日でありますが、防衛省が、この勝手に情報を抜き出したことについて下した処分というのはいつでしょうか。防衛省副大臣、お願いします。

中山副大臣 まず、防衛省・自衛隊といたしまして、個人情報の取扱いにつきましてこのような事案が発生したことは、誠に申し訳なく考えておる次第でございます。

 本件は、平成二十八年三月、海上幕僚部の二等海曹が、女性隊員約二千七百名の個人情報ファイルを私的に使用する目的で業務用パソコンに保存し、平成三十年三月、海上自衛隊補給本部に転出する際に、同僚に依頼して個人情報を異動先の業務用パソコンへ送信させ、許可を得ずに個人情報ファイルを持ち出したというものであります。そして、平成三十年八月以降、子供の状況などの個人情報の内容を女性隊員との会話の話題として私的目的で使用したということであります。

 調査の結果、電磁的記録媒体へのファイル抜き出しや部外ネットワークへのファイル移動等による情報の流出は確認はされておりません。

 また、当該ファイルに記載された個人情報の流出被害に関する報告、通報がないことから、部外流出はないという形で判断をしたところでございます。

 また、当該二等海曹の私的目的で個人情報を収集した行為や、個人情報ファイルを無許可で持ち出し女性隊員との会話で個人情報を使用したことは、職務上の注意義務違反及び情報保全義務違反に当たるものであり、極めて不適切であったと考えております。

 本件につきましては、当該二等海曹について、過去の事例との均衡も考慮し、停職五日の処分とするとともに、職務上の注意義務を怠るなどした関係者七名に対しても注意等の処分を行い、厳正に対応したところでございます。

阿部委員 とても厳正ではありませんよね。だって、五日間の停職。それも、二〇一六年に起きて、二〇一九年の四月に発覚して、自衛隊法に基づく処分、停職五日はいつですか、一体。五年間近くそのまま放置して、五日間の停職。その間に情報がほかに出ていないからいいというものでもありません。

 これは、行政機関における個人情報保護の扱いからすれば、中山防衛副大臣、どうなるのですか。行政機関における個人情報保護の扱いから見ればどのような処分が下されるべきですか。お願いいたします。

川崎政府参考人 事実関係になりますので、私の方からお答え申し上げます。

 先ほどの事実関係の経緯につきましては、副大臣が答弁申し上げたとおりでございますが、若干補足いたしますと、平成三十年三月に、この問題の二等海曹は補給本部へ異動してまいりました。その後、その年の八月以降に、この補給本部において、この当該二等海曹が女性隊員と会話をして、その際、本来知るはずのない家族構成等を把握していたため不審に思った女性隊員が、その後、平成三十一年の四月に先輩隊員に相談するというようなことがございまして本件が発覚したということでございます。

 その年の五月以降、したがいまして、本件の調査を進めてまいりまして、種々多数の関係者から調査をした結果、確認作業を行って時間を要しましたけれども、今年の三月の十五日に懲戒処分をいたしたものということでございます。

 それから、委員の御質問にございました個人情報保護法、いわゆる行政機関個人情報保護法における違反の罰則につきましては、五十五条で、職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密が記録された文書、図画又は電磁的記録を収集する行為につきましては、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金というふうにされておりまして、私どもの部内で懲戒処分について検討する場合には、この条文、規定に抵触することがあるという判断に基づいて、過去の事例等も踏まえながら検討した結果、処分を今回下したということでございます。

阿部委員 丁寧にお答えいただきましたが、私の質問にはお答えではないです。

 これは、今、自衛隊法によれば停職五日でありますが、明らかに行政機関における個人情報保護違反であります。五十五条にのっとって一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金ということですが、事が起きてから五年間も何の処理もされない。あるいは、発覚してからでもいいです。もう丸二年です。個人情報保護はそんなに緩いものですか。

 五年も放置し、発覚してから二年も放置し、何も守られていない。女性隊員がどんなに気持ち悪いかと思います。全部の情報を抜き出して、個人が持っていたからいいというものでは到底ありません。人権意識が余りにもなさ過ぎます。

 なぜ、こんなに処分が遅いのですか。個人情報保護にのっとった処分がなぜ遅いのか、お答えください。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって大変恐縮でございますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、平成三十一年あるいは令和元年の四月に、この女性隊員の方から訴えがありまして本件は発覚いたしまして、その後、関係者に聴取を行ってきた結果、これに時間がかかったということでございます。恐れ入ります。

阿部委員 ごめんね、それも答弁になっていないじゃないですか。だって、まだ個人情報保護に基づく行政の処分はされていないでしょう。さっきの自衛隊法に基づく五日間を二年かかってやったんですよ。じゃ、この個人情報を漏らした、勝手に盗んだ、そして利用した、このことになぜ行政機関としての個人情報の保護違反の処罰がないんですか。

 副大臣、どうですか。これでいいんですか。こんなことで、自衛隊の規律とか秘密情報保持に関わるんですよ。なぜ、行政処分も何もないんですか。いかがですか、副大臣。

中山副大臣 改めまして、今般、こういった個人情報の取扱いについて事案が発生しておることは、本当に申し訳ない次第であります。

 今般の事案を受けまして、海上幕僚監部及び海上自衛隊補給本部におきまして、個人情報の保護に関する教育を改めて実施をしております。また、再発防止のための措置を講じたところであります。

 防衛省としては、これまでも、関連法令に基づく適切な管理の実施のために、職員に対して各種教育を実施してきたところでありますが、先生御指摘の今般の事案も踏まえまして、改めて、個人情報の保護に関する意識の更なる向上に向けた様々な取組や各種教育を通じて、保有個人情報の適切な管理により一層努めてまいりたい、かように考えてございます。

阿部委員 委員長にお願いがあります。私は、なぜ個人情報保護に基づく処分がなされていないのかと。再発防止教育はやらなきゃいけないんです。当然です。なぜ、処分がなされていないのか。

 それから、今度は、これらの行政とか独立行政法人を扱う、全部一緒くたにして個人情報保護委員会が管理するとおっしゃいますが、平井大臣、伺います。

 処分もされていないんです、五年間も。これだけの情報を盗み取って。その現状と、私は、現状を言葉で言いくるめて、これからは頑張りますというのは到底認められない。まず、これを徹底していただきたい。

 こんなことが、今、女性の情報だからと軽んじられるなら、それ自身、いわゆる女性の人権侵害ですよ。本当にこういうことが、副大臣の御答弁も、答弁に失礼ながらなっていない。だって、処分されていないんでしょう。

 私が昨日聞いた限りでは、これは、実刑になる場合は警務隊が決めるんだと。警務隊は五年間も調べ続けているんですか。

 それから、もし今度、この三つの法案が一つになって個人情報保護委員会がなさる場合に、警務隊の取調べと個人情報保護委員会の取調べは、どう二つが成り立っていくんですか。これを平井大臣にお願いいたします。

平井国務大臣 先ほど、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処すという規定はお話がありました。

 改正後の個人情報保護法でも同じような内容の規定を第百八十一条に置いています。現行法の下で、委員お尋ねの海上自衛隊における事案に対して行政機関個人情報保護法第五十五条の規定が適用されるかどうかは、私ではなくて、防衛省において検討されるべきことなんですね。

 今後、この規定に関して、個人情報保護委員会というのは独立した機関でもありますし、どのような運用になるのかということでございますが、正確を期すために政府参考人に答弁させてよろしいですか、そこは。(阿部委員「じゃ、質問を繰り返させてください」と呼ぶ)

阿部委員 私が伺いたいのは、今、自衛隊であれば警務隊がこれを調べます。今度、個人情報保護委員会となったときに、警務隊もそれを調べ、個人情報保護委員会もそれを調べるのか、この点について明確にしてください。

 それから、防衛副大臣にはもう一点。なぜ処分がされないんですか、五年間も。今、平井大臣だって不思議がっていますよ。なぜ、行政機関における個人情報保護、きちんと対応されないのかについて、副大臣にはお願いいたします。

川崎政府参考人 度々恐れ入ります。

 自衛隊における懲戒処分は、自衛隊法で、こういう場合に懲戒処分を行うことができると決められておりまして、これは職務上の義務に違反した場合ということでございます。

 自衛隊員は法令に従って職務を誠実に遂行するという義務を負っておりますので、この場合、先ほども申し上げました行政機関保有個人情報保護法五十五条にきちんと従わなかったという義務違反があった、そういうことで今回懲戒処分を下したということでございます。

時澤政府参考人 今回、一元化することによりまして、監督機関としての中立性、客観性が向上することになるわけでございますが、改正法案におきましては、個人情報保護委員会による監視、監督の実効性を確保するために、個人情報保護委員会によります行政機関等に対する報告要求、実地調査、勧告等の権限を明記するとともに、行政機関等におきまして個人情報の漏えい等が生じた場合の個人情報保護委員会に対する報告義務等を創設する、こういうことになっております。

阿部委員 済みませんが、答えてくださいな。

 私は、警務隊が調査するのと個人情報保護委員会が調査するのと両方やるんですか、この法改正の後はと。

 委員長、私は明確に聞いています。それをちゃんと答えて。そして、もう一つ、なぜ個人情報保護違反なのに、五年ですよ、五年、何もされていないんですか。発覚してから二年と言ってもいいでしょう、まあ五年が無理ならば。でも、こんなことはあり得ない。自衛隊の規律の問題ですよ。到底認められない。いかがですか、中山副大臣、これは。

木原委員長 まず、前半の部分について、時澤内閣審議官、明確にお答えをください。

時澤政府参考人 個人情報保護委員会の監視、監督につきましては先ほど申し上げました。それと同時に、司法手続については別途あるということで、両方が行われることになるんだというふうに理解をしております。

中山副大臣 ありがとうございます。

 御指摘の点は、正直、先生のおっしゃるとおりだと思います。時間がかかったということは事実であります。この点、不信感を抱かせておりますことは、まずおわびを申し上げたいと思います。

 他方で、警務隊の捜査というものにつきましては、事柄の性質上、お答えは差し控えさせていただきたい、かように思います。

 いずれにしても、防衛省内で処分すべきは五日間の停職処分という形で、処分は行っているということでございます。

阿部委員 到底、国民的感情として信じられないです。普通の会社で、女性の職員の名簿を全部取り出して自分が連絡するために使った、その人は首ですよ。あり得ないじゃないですか。

 それから、大臣、伺いますが、警務隊は警務隊で調べると。二年も出していないんです、結果は。個人情報保護委員会は、これに勧告とか命令とか、だって個人情報保護違反ですよ。警務隊は、それは秘密だから言えないとずっと言って隠して、言わないで、何もしないで。

 じゃ、個人情報保護委員会ができたら、何らかの命令、勧告、指導権限は持つんですか、警務隊に対して。どうでしょう。

時澤政府参考人 個人情報保護委員会の権限ですが、警務隊ということではなくて、関係機関に対しての権限ということになるかと思います。

阿部委員 明確に答えてください。警務隊に対しても勧告できるんですか。そこが大事なんですよ。こんなに放置されて、国民の不安が絶えないんですから、これじゃ。自衛隊は、昨今、すごくセクハラ、パワハラが多いんです。これもセクハラ事案ですよ。こんなものが五年も放置なんて、ない。

 そして、明確に答えてくださいな。警務隊に対して個人情報保護委員会は勧告あるいは監督権を持つんですか。そうでなければ意味がない。一つにして権限はないんだったら意味がない。お願いします。

木原委員長 内閣官房時澤内閣審議官、時間が来ておりますので、明確に、端的に答えるようにしてください。

時澤政府参考人 行政機関の一部という位置づけがあるかと、警務隊につきましては。行政機関の一部ですので、個人情報保護委員会の勧告等の対象にはなります。

木原委員長 阿部知子君、お取りまとめください。

阿部委員 じゃ、さっさとやってください。大臣、お願いします。

 終わります。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 デジタル関連法案について、二回目の質問を行います。

 平井大臣にお尋ねをいたします。

 本会議におきまして、私、行政サービスの向上のためには、迅速、簡便な手続としてデジタル化を生かすとともに、住民の多様で多面的な行政ニーズに応える対面サービスの拡充を図ることこそ、住民の選択肢を増やし、住民の利便性向上につながるのではないかと質問しましたが、菅総理は、デジタル化による業務効率化を図ることにより、真に必要な窓口業務等に職員を振り向けることで、住民の利便性を高めていくことが可能になると答弁しましたが、この、真に必要な窓口業務等に職員を振り向ける云々というのはどういうことなのか、御説明をいただけますか。

平井国務大臣 デジタル改革の目的は、業務の効率化だけではなくて、国民生活の利便性の向上に資するものである必要があるというのは当然です。

 総理の発言は、デジタル化で業務が効率化したことにより行政機関内で業務の負担が軽くなった職員に、よりサポートを要する方々への対応を担ってもらうことなどによって、行政サービスの質の向上につないでいきたいという趣旨であったと思います。

 この話は、二十四時間スマートフォンで手続ができる人たちがある一定以上増えますと、窓口というのはその分だけやはり少し仕事は減っていくと思います。デジタル化が進めば進むほど、人が人を助ける仕組みというのは重要だと思っているんです。ですから、そういうところに人を回すことができる。これはエストニアでも、あそこまで進んでいても、そういうところは非常に重要なポイントというふうに思っていまして、その意味で、職員の皆さんを、マンツーマン、ハイタッチな行政サービスの方にリソースを移動できるのではないかという趣旨だと思います。

塩川委員 人を助ける仕組みというのは重要だ、そういうのに対応できるような対面での窓口の業務というのも、その重要性というのを大臣としても強調されておられるわけです。

 ただ、現実はどうなのかというのがありまして、例えば、窓口業務に関する具体の事例として、前橋市で行っていますマイタク制度の問題があります。移動困難者に対してタクシー運賃を補助するでまんど相乗りタクシー、マイタク制度というのがあります。二万人が登録をして、年間一万四千人が利用している。高齢者の方にとって本当に助かっております。

 しかしながら、これまで紙の利用券とマイナンバーカード、二種類の利用方法がありましたが、今後、利用方法をマイナンバーカードに限定していくといいます。今年四月からマイタクの新規登録者はマイナンバーカード利用のみとなり、利用券での登録は不可となる。来年四月からはマイナンバーカードでの利用に限定されると。

 マイナンバーカードの利用促進を理由に窓口の手続をなくすというのは住民の皆さんにとって利便性の後退になるんじゃないかと思うんですが、大臣、率直に、どのように受け止めておられますか。

平井国務大臣 先ほど申し上げたとおり、今般のデジタル改革では、やはり人に優しいデジタル化ということですから、デジタルを押しつけたり、無理やりデジタル化というようなことは考えていません。国民の側からいきなり全てデジタル化をして、その結果、多くの人が利便性の低下を感じるようなことがあってはならぬというふうに考えておりまして、当面はデジタル手続と紙の手続を併用しながらも、デジタル化による利便性の向上を国民に実感していただきつつ、紙からデジタルへの転換を図っていくということだと思います。

 同じような例でいいますと、例えば高速道路のETC等々も、最初は両方でしたけれども、今はもうほとんどETCになっている。しかし、どうしても現金だという人もいらっしゃることは事実です。そういうこともあるというふうに思います。

塩川委員 高速道路も、ETCもありますけれども現金の窓口もある、そういうのが現状でありますから、両方あるということが利用者にとって利便性の向上になるという点で、大臣がおっしゃるように、デジタルを押しつけたりすることは考えていないということですが、しかし、率直なところ、前橋市の事例のように押しつけるようなことになっている。これも、総務省がICT地域活性化ポータル事業で前橋市に八百万円の運用支援を行っているという点では、国が支援する事業でこんなことが起こっているというのはいかがかと率直に言わざるを得ません。

 それで、おととし、二〇一九年のデジタル手続法の審議の際に、平井大臣は、紙を一気になくすというようなことは現実には非常に難しいと言い、政府参考人は、この法律は、原則オンラインを義務づけてはいるが、紙をなくせとは一言も書いていないと答弁をしていました。

 実際には、前橋市のように紙の手続をなくすという事態が起こっているのは、これはおかしいんじゃないでしょうか。

時澤政府参考人 前橋市の事例は詳細に承知しているわけではございませんけれども、デジタル手続法の審議の際には、法律の趣旨として、デジタルの手続を進めていく、決して紙をなくすものではないというふうに答弁したのは確かでございまして、なるべくデジタル化が進むようにということで、国としても地方を支援していきたいというふうなことを考えていたところでございます。

塩川委員 でも、現実にはそうなっているわけですから、大臣がおっしゃるようにデジタルを押しつけたりすることは考えていないということと違う事態が起こっているということは、現場の状況としてリアルに把握するということ、これは当然必要なことじゃないですか。

平井国務大臣 私もその前橋市の事例というのをよく知りませんので、これからちゃんと話を聞こうと思いますが、なぜそういうことになったのかということ、恐らく何らかの理由があっての判断ではないかと想像いたしますが、いずれにしましても、私の方からも委員御指摘の案件に関してはヒアリングをしたい、そのように思います。

塩川委員 もちろん、現場では、事務の効率化とかそういう観点は当然あるんでしょうけれども、それによって紙の手続をなくすという選択はないだろうということが問われているわけで、そうすると、二五%しかないマイナンバーカードの普及率を上げたいがためにこんなことをやっているんじゃないかとか、そういう疑念にも当然つながってくるわけで、是非現場の状況も把握をいただきたいということです。

 それで、デジタルデバイドの話、基本法でも書かれております。第八条にあるこの規定は、率直に言って、デジタル社会形成の阻害要因となる格差の是正を図るというものであり、デジタル化を前提としているものです。

 そうなりますと、国民への多様な行政サービスの提供を保障するのではなくて、国民にいわばデジタルに習熟せよと求めるようなものになりはしませんか。

平井国務大臣 デジタル社会の形成は、デジタルの活用によって、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことを可能とすることで、多様な幸せを実現するために行うものであって、こういう趣旨を踏まえますと、個人がデジタル機器を利用しない生活様式や選択も当然尊重されるものと考えています。

 また、基本法案において形成を目指すデジタル社会は、デジタルはあくまでも手段であって、「あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会」と規定しており、国民にデジタル化を迫るものではないんです。

 同時に、基本法案においては、政府は、デジタル社会の形成に関する国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるものとされていることを踏まえまして、政府としては、デジタル社会における活動に参画することによるメリット等について国民に分かりやすく説明するとともに、情報の取得及びその利用の機会を確保するための施策の推進を図ってまいりたい。

 先ほどの紙の話にしても、紙をなくすのではなくて、最終的な結果として紙がなくなるというものは、いずれかの時代必ず来るだろうと私は思っています。

塩川委員 しかし、現実に進んでいる点でいえば、デジタルに習熟せよと国民に迫るような仕組みとなっているという点も、この基本法との関係でも問われているところであります。

 デジタル手続法のときには、自治体の行政手続のオンライン化については、オンラインの実施というのは努力義務でありました。しかし、基本法の第十四条では、自治体に対して公共サービスのデジタル化の施策の策定、実施を責務としております。

 そうなりますと、自治体が住民にデジタル化を押しつける、こういうものになりはしないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

平井国務大臣 先ほどの話なんですけれども、国民の理解を深めているということは、デジタルに習熟せよと迫っているものでは基本的にはないですね。参画を迫るものではなく、情報の取得及び利用の機会を確保するための施策を推進を図っていくということだと思います。

 その次の質問は、何でしたっけ。ごめんなさい、もう一度。

木原委員長 では、事務方からお願いします。

時澤政府参考人 十四条に規定しておりますのは、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。」というふうに規定しているものでございます。

塩川委員 だから、自治体に対して公共サービスのデジタル化の施策の策定、実施を責務としているという点でいうと、デジタル手続法のときには、自治体の行政手続はオンライン実施が努力義務だった。それが、基本法第十四条では、デジタル化、これが責務となっているという点で、自治体が住民にデジタル化を押しつけるものになりはしないのかということです。

木原委員長 内閣官房時澤内閣審議官、質問に的確に答えるようにしてください。

時澤政府参考人 これは、責務を書いているということでございまして、具体的な義務づけをしているものではございません。

塩川委員 デジタル手続法よりも踏み込んだ措置になっているんじゃないのかということですけれども、どうですか。

時澤政府参考人 デジタル手続法は、具体的な措置に関して、努力義務ということで書いておりまして、今回は、基本的なデジタル社会の形成の責務ということで、場面というか、想定している状況が異なるというふうに理解をしておるところでございます。

塩川委員 ですから、基本理念にのっとりデジタル社会の形成にとなりますと、これ自身が、重点計画などを踏まえて自治体の行うことというのに当然責務としてかかってくるとなれば、より踏み込んだ対応を行うことになるということじゃありませんか。

時澤政府参考人 この点は、地方公共団体が重要な施策の担い手であるということを踏まえて、そういった責務を有するという規定にしているところでございます。

塩川委員 デジタル手続法との関係についての説明がないままであります。この点、非常に踏み込んだ中身となっているという懸念は拭えないということを申し上げておきます。

 それで、対面の行政手続の重要性について何点か指摘をしたいんですが、例えば妊娠届出の受付業務の話があります。母子保健法に基づいて、妊娠した方は市町村に妊娠の届出をすることとなっています。例えば大阪の堺市では、妊娠届出書に厚労省が定めている事項以外にも設問を設けて、出産する医療機関は決まっていますかとか、援助してくれる人がいますか、経済的な不安はありますかなど、答えられる範囲で聞き取りをしているそうです。この窓口での妊娠届出の手続が、妊産婦の方や乳幼児の状況を把握をして、経済的困難やDVなどの早期発見など、サポートをする機会となっています。

 こういった重要な対面の行政手続、デジタル手続だけではこのような支援、できないですよね。

時澤政府参考人 窓口での相談業務というのは非常に重要だと考えております。住民からの相談には丁寧に対応していく環境をつくることが大事だと考えておりますが、一方で、デジタル手続が進むことで必ずしも相談業務がおろそかになることではないというふうに考えていることでございまして、デジタル手続を進めながら、相談業務ということにも力を入れていくことが必要になってくるのではないかと考えております。

塩川委員 窓口の相談業務は重要だ、デジタル化でそれがおろそかになるわけではないという話がありました。その点、本当にそうかというところを問うていかなければなりません。

 ほかの事例でも、市町村の納税窓口の話などもあります。滞納されている方に対して納税を求めるような際にも、まずは、その生活実態を聞き取って、減免申請の手続の案内ですとか生活保護の紹介とか、その税、公共料金の滞納の実態も把握をして、やはり国保料をしっかり払うことによって、保険証の取上げがないような、そういう丁寧な対応なども行われている自治体の例も多く紹介されているところです。

 このように、窓口での申請届出の受付業務は、住民が抱えている生活の悩みや相談事に応じる場となります。窓口での申請届出の受付業務と相談業務は一体の業務であります。デジタル手続のみとなれば、その相談業務が排除される懸念がある。

 今、答弁があったように、デジタル化で窓口の相談業務がおろそかになるわけではないということですけれども、ただ、自治体に対応する総務省で、自治体のデジタル化の担当者の発言を例えば月刊「地方自治」といった雑誌などで拝見をすると、職員が介在しなくても完結するサービスを目指すとか、AIやマイナンバーカード等を活用した無人窓口も実現可能ではないかとか。

 この間、国は、地方行政のデジタル化でデジタル手続を推進し、結果として、対面手続を縮小、廃止する、そういう方向につながっているんじゃないのか。その点については、国としてはどうお考えですか。

時澤政府参考人 窓口の在り方につきましては、紙のみならず、例えば、電話、ビデオ会議、チャットなど、様々な方法が多面的に行われているというふうに理解をしています。

 先ほど申し上げましたが、住民からの相談に丁寧に対応できる環境というのが必要でございます。そのためには、デジタルという手法もございますし、様々な手法もあるということで、先ほど申し上げましたように、デジタル手続を進めて、それで相談業務をおろそかにするという方向で考えているものではございません。

塩川委員 そうなっていないじゃないかというのが前橋市の話にも当然なるわけです。

 基本法の第九条は、国、自治体は、公共サービスにおける国民の利便性の向上並びに行政運営の簡素化、効率化、透明性の向上のための環境整備を中心とした施策を行うものとするとあります。行政運営の簡素化、効率化、透明性の部分というのは、IT基本法にはなかった部分であります。今回の基本法は、デジタル化による行政運営の簡素化が優先をされて、利便性の向上はデジタル手続に特化をされて、対面窓口手続が後景に追いやられる、デジタル化を口実にした窓口手続の縮小、廃止というのは住民の利便性を後退させるだけだということを指摘せざるを得ません。

 次に、自治体に係る個人情報保護条例について、一元化との関係で、何点か伺います。

 今回、自治体の個人情報保護制度について全国的な共通ルールを法律で規定しておりますが、その理由は何でしょうか。

時澤政府参考人 地方公共団体の個人情報保護制度につきましては、保護あるいはその利用の面からも、二千個問題という形でも取り上げられまして、それぞれ自治体ごとにばらばら、あるいは自治体で定めていないところもあるということがありました。

 そういった観点から、統一を求めるという声もありましたので、今回、地方公共団体の声も聞きながら、このような法案を作成した次第でございます。

塩川委員 社会全体のデジタル化に対応した個人情報保護とデータの利活用の両立に必要なルールを求めるという声があった、そういうことでよろしいですか。

時澤政府参考人 その両方の面からの検討をしたところでございます。

塩川委員 政府資料などを拝見しても、自治体ごとの個人情報保護条例の規定、運用の相違がデータ流通の支障となり得るということで、データ流通の障害を除くことが目的の一つになっている。

 法律の範囲内で必要最小限の自治体独自の保護措置を条例で定めることができるとしております。この法改正後は、自治体独自の上乗せ、横出し規制が制約をされるということですね。

時澤政府参考人 今回の法律案につきましては、地方公共団体が自ら保有します情報につきましては一般的な管理権を保有するということもございますので、地域の特性に配慮した要配慮個人情報の内容は自治体が条例で定めることができるというふうにしているところでございまして、全てが画一的な制度というふうになっているものではございません。

塩川委員 ですから、上乗せ、横出しができるというのは、その今言った要配慮個人情報の話ですとか、審議会からの意見聴取手続の規定ですとか、非常に限定をされていて、それ以外のところは、基本、上乗せ、横出しは遠慮してくださいということですよね。

時澤政府参考人 基本的には、条例で法律上のルールよりも保護の水準を弱めたりとか、そういったことは許されないということでございまして、地方公共団体の独自性というのは、先ほど申し上げました条例、要配慮個人情報、あるいは議員御指摘のとおり審議会等の、あるいは手数料とか、そういったものが条例で定めることができることになるものでございます。

塩川委員 低いものを上げるといいますか、全体の水準を高めるというのは、それはもっともなところですけれども、さらに、上乗せや範囲を広げる横出しということについて、自治体独自の要望というのは当然あるわけですから、それをできるのはごくごく限定するということになれば、これは自治体の独自の役割、地方自治に対して口を挟むものになるということも指摘せざるを得ません。

 それから、自治体が、匿名加工情報、こういうオープンデータを行わないということは認められるんでしょうか。

時澤政府参考人 今回の改正案につきましては、匿名加工情報につきましては、都道府県と指定都市についてはこれはやっていただく、それ以外のところにつきましては、義務ではなく任意で提案募集を実施していただきたいというふうな制度設計になっております。

塩川委員 都道府県、政令指定都市については国と同じ規律を適用するということで、それ以外についても、国の重点計画の下でデータの利活用を推進するという立場の下に置かれる市区町村等といった場合に、基本は国が求める方向での対応、オープンデータ化ということを強いられることになる。

 それから、あと、個人情報保護委員会は自治体にどのような関与を行えるんでしょうか。個人情報保護委員会の自治体への関与はどうなるのかについて、お示しください。

時澤政府参考人 改正後の個人情報保護法におきましては、個人情報保護委員会は、法律の円滑な運用を確保するため、必要がある場合には、地方公共団体を含む行政機関等に対しまして、資料の提出等を求める権限や、指導、助言、勧告を行う権限を有することになります。

 また、地方公共団体が、改正後の個人情報保護法の規定に基づきまして個人情報の保護に関する条例を定めたときには、個人情報保護委員会に届け出なければならないこととしております。

塩川委員 個人情報保護委員会は、自治体に対して指導、助言、勧告などの権限や、条例で独自の保護措置を定めたときは、その旨、その内容を個人情報保護委員会に届出をするという意味で、自治体に対して強く関与するという仕組みになってまいります。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。

 こういった仕組みの中で、自治体が独自に作ってきたこの個人情報保護条例、自治体の個人情報保護の制度について、より住民の要望にも応えたような上乗せ、横出し措置をやるような場合に、今回の法案では、逆に自治体の独自の取組を縛るものになるのではないのか。結果として、個人情報保護よりもデータの利活用を優先する仕組みとなっているのではないのか。この点についてお答えください。

平井国務大臣 長年言われていた二千個問題というのは、やはり顕在化していたと思います。いろいろな問題が顕在化したと思います。

 そして、今後のデジタル社会、社会全体のデジタル化に対応した個人情報と、委員もお話しのデータ利活用の両立には、全国的に統一した個人情報保護の共通ルールの設定というのはやはり必要だと考えています。

 一方で、今回の改正後において、個人情報保護委員会による地方公共団体に対する関与は、地方自治法上の一般原則にのっとったものであります。

 また、地域の特性等に照らし、特に必要のある場合は、地方公共団体は、法律の範囲内で、条例により必要最小限の独自の保護措置を講じることは当然可能であります。

 また、今回の改正に至る過程においては、地方三団体からヒアリングを実施するなど、地方公共団体の御意見を丁寧にお聞きした上で検討しており、今回の改正によって地方自治に対して過度の干渉をするものではないと考えています。

塩川委員 実際には、法律の範囲内でという話もありましたが、今回の法案というのが自治体の独自のこういう個人情報保護の取組について枠をはめるというものになっているというところがやはり問われているわけで、それ自身が地方自治の侵害ではないのか。そういうことについてはどうお考えですか。

平井国務大臣 我々は今回、十分に地方自治体とも意見交換をしていただきましたし、今回の改正が地方自治に対しての侵害になるとは思っておりません。

塩川委員 自治体の向こうに住民、国民の皆さんがいらっしゃいます。まさに、個人情報保護を求める、そういった住民の皆さんの要望に応えた自治体独自の取組の積み重ねをこういう形で掘り崩すような法改正でいいのかということを問わなければなりません。

 結果として個人情報保護よりもデータの利活用を優先をするという仕組みになっていく、まさにこの法案全体がデータの利活用を目的としている中に、それを推進するのにかみ合うような範囲での個人情報保護という扱いになっている、この問題というのがまさに問われているんじゃないかということを言わざるを得ません。改めてこういった問題についてしっかりと明らかにしていくことが必要です。

 じゃ、もう一問、自治体に対するデジタル庁の権限について、重点計画はデジタル庁が作成しますが、自治体の情報システムに強く関与するものになるのではないかと思うんですが、この点について。

時澤政府参考人 お尋ねのありました重点計画でございますが、これはデジタル社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策、当該施策に関する目標や達成時期を定めるというものでございます。したがいまして、重点計画で定められる施策やその目標等は政府が主体となって取り組むことになるものでありまして、地方公共団体に対して直接に対応を求めるものではございません。

 また、重点計画の案におきまして、地方自治に重大な影響を及ぼすと考えられる施策について定めようとするときには、政府が地方六団体の意見を聞かなければならないというふうなことも規定を盛り込んでおります。

 地方団体を始め関係者の意見を丁寧に伺いながら進めてまいりたいと考えております。

塩川委員 デジタル化におけるデジタルガバメントの最上位の計画が重点計画ですから、自治体への関与の問題等々を含めて、引き続き質問したいと思います。

 終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 まず、今日、昨日から今朝方にかけて様々な報道が出ておりますLINEの問題です。

 今日、個人情報保護委員会の福浦事務局長においでをいただいています。

 まず、報道の内容についてどう受け止めていらっしゃるか、簡潔で結構ですから、どうぞ御答弁ください。

福浦政府参考人 LINE社の親会社のZホールディングスから当委員会に対しまして一報がございました。詳細は同社において調査中というふうに承知をいたしております。

 今後、当委員会におきまして、事実関係の報告を受け、確認の上、適切に対応してまいりたいというふうに考えてございますけれども、現行の個人情報保護法上、現時点の報道の範囲で考えられるチェックポイントといたしましては、外国の第三者への個人データの提供に関する規律と委託先の監督責任に関する規律が考えられるんじゃないかというふうに現在把握しております。

足立委員 今も触れていただきましたが、そもそも中国は、中国に所在している事業者に対して機密やあるいはソースコード等の開示を政府が求めるというか命令するというか、そういうことができるような法律があったような気もします。

 その中で、果たして、そもそも中国に拠点を置くことについて、日本の法律、法令がしっかりそれを、日本の国民の利用に当たっての個人情報の保護、安心、安全を守れるのか、その辺、御見解があれば教えてください。

福浦政府参考人 現行の個人情報保護法上、外国の第三者への個人データの提供に当たりましては、本人の同意を取得するか、また、日本の事業者が講じていることとされている措置に相当する体制を整備しているかということを確認することを求めてございます。

 また、昨年お認めいただきました令和二年の改正法におきましては、外国の第三者への個人データの提供に当たりまして、そのリスクを本人が認識できるように、移転先事業者やその事業者が置かれている外国の状況について本人へ情報提供することを義務づけてございます。

足立委員 今御紹介をいただいた、本人に同意を得る、これが、何か報道ぶりを拝見する限り、Zホールディングスは説明が不十分だったとおっしゃっているような報道をお見受けをします。

 十分な説明、例えば、いわゆる利用規約に、我々、よくアプリを使っていると、時々、これは同意できるかといってボタンが出てきます。私は、読まずに、いいよということを押しています。使っているアプリももう何十にも及びますから、それは生活をする上ではもう仕方ありません。しかし、その利用規約は、さっきも改めて読んでみたんですけれども、やはり規約というのは素人には無理だと思うんですね。

 要は、元々規約というのは、それぞれの会社が消費者に読んでもらって分かりやすくするために書いているんじゃありません。要は、弁護士がいっぱいついて、法的な観点から作られているものですね。それを個々のおじいちゃん、おばあちゃん、お兄ちゃん、お姉さんに、読んでそれで判断しろという枠組み自体が私はナンセンスだと思うのでありますが、じゃ、説明をしっかりとするということは一体何をすることなのか、その辺が今後焦点になってくるのかなと思いますが、何かもしコメントがあれば、ありますか、お願いします。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関しまして、利用目的を特定の上、通知、公表し、また、第三者への提供に当たっては、必要な内容を明示した上で本人の同意を取得する必要があります。この必要な内容を明示というところが、議員おっしゃる点、問題の御指摘かなというふうに思います。

 この義務に対応すべく、いわゆるプライバシーポリシーで本人への情報提供を行っているケースが多うございますけれども、その内容が長文で分かりにくいという御指摘があることは、今議員も御指摘のとおりだと思います。その点に関しまして、規制の趣旨からすれば、言うまでもなく、本人が内容、できることが重要でございます。

 私どもが策定しているガイドラインにおきまして、利用目的につきまして、本人にとって一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に特定することが望ましいということを申し述べておりまして、事業者の適切な対応を引き続き求めてまいりたいと考えてございます。

足立委員 このLINEの問題は、私も、平先生が政府の中にいらっしゃったときに、副大臣でいらっしゃったかな、国会で質問させていただいて、LINEって大丈夫ですかみたいなことを国会で聞いたことがあります。平先生はお詳しいので、それをあえて議事録に残る形で聞いたんですけれども、私はそうやって国会で平さんが横にいるから聞けるけれども、国民は分からないので、これはどうしていったらいいか。

 平井大臣、余り平井大臣は関係ないかもしれないんですけれども、そういえば、平井大臣に一個あれしていたのは、どこかの文書で、ちょっと今持ってくるのを忘れましたけれども。LINEというのはもうみんな使っています。私たちも、日頃地元で活動していると、みんなに連絡をするときに一番便利なのはやはり今はLINEです。だから、私、LINEを使っています。そういう現実を捉えて、平井大臣も、もうLINEはインフラだよねということをおっしゃったことがあると思う。

 デジタル大臣がインフラになりつつあると認識されているLINEでこういうことが起こっているわけですから、これは、別に大臣としてか何か分からないんですけれども、何とかせなあかんなと私は思うんですけれども、大臣もちょっと、いつもの歯切れのいい、俺がやるみたいな御答弁をいただけるとうれしいんですが。

平井国務大臣 LINEは一つのインフラと感じているというのは委員と一緒ですし、防災のとき、AI防災にも一生懸命取り組んでいますし、今回のワクチン接種の予約システムでも随分活躍をしているし、やはり便利なので、いろいろな自治体もそうですし、やはり使っているということです。

 今回の事案は、今日、朝の新聞で読む限りなんですけれども、恐らく、個人情報保護委員会がこれからいろいろヒアリングもし、そして、事業者の方から我々が納得できる説明をしていただけるものだと私自身は今感じております。

足立委員 ありがとうございます。

 今日の今日でありますが、福浦事務局長、それから平井大臣に御答弁をいただきました。国民の関心も大変強いテーマであると思いますので、引き続き、私も、国会議員の一人として、利用者の安心、安全のために、また国の安全保障のためにもしっかり取り組んでいきたいと思います。

 さて、直近の報道で、もう一つ、ちょっと通告の何番目か分からないですけれども、社会福祉協議会の話に先に取り組ませていただきたいと思います。

 厚労省の岩井審議官、今日お越しをいただいています。今回のデジタル改革関連法案の中で、社会福祉協議会が特別な扱いになっています。ちょっとその内容と経緯を簡単に御紹介をいただければと思います。

岩井政府参考人 ただいまお尋ねの件でございますが、現在審議されています公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案の附則の第五条におきまして、社会福祉協議会につきまして、特定個人情報の提供の求めをすることにより国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図るためには、社会福祉協議会、ちょっと中略いたしますが、ための情報システムが必要であることに鑑み、その意見を聞きながら、当該情報システムの整備の支援その他必要な措置を講ずるとともに、当該情報システムの整備の状況を踏まえるものとするという検討規定が置かれている状況でございます。

足立委員 これは、ちょっと事務方に伺うと、何でこういう特別の配慮規定があるかというと、社会福祉協議会がパンクしているからです。違うかな。多分、ざくっと言うと、一言で言うとパンクしているんです。だから、このデジタル改革になかなかすぐ対応できないからちょっと待ってくれという趣旨もあるとちょっと仄聞をしました。

 確かに、社会福祉協議会のいわゆる生活福祉資金貸付け、緊急小口資金等、これも大変今や有名な制度で、国民民主党の玉木雄一郎代表なんか、これを叫んで、もっと拡大しろ、もっと増やせ、これが増えたのは俺のおかげだとか言いまくっていますけれども、国会議員の仕事ってそういうことじゃないと思うんですね。

 社会福祉協議会が、この制度、コロナ対応じゃない形で元々持っていたわけです、似たような制度を。元々、それは年間一万件だったんです。それが、このコロナで百七十万件に増えているんですよ。回るわけないですよね。

 だから、私は当初から、木原委員長とも夜な夜な、余り夜な夜な私と語り合っているなんて言うと出世に響くと思うのでやめますが、大変国民の生活を心配する国会議員の仲間と夜な夜な、夜じゃないですね、昼昼議論をしたテーマでありまして、私は当時、社会福祉協議会では絶対駄目だ、しっかりと別の何かもっと合理的な制度をつくるべきだということを国会でも議論しましたが、かき消され、とにかく今ある仕組みを使うことばかりみんなやるんですね。雇調金もそうだし、この緊急小口もそうです。

 厚労省、こういう厚労省の岩井審議官の御担当のところで受け取るべきではないような、根本的なこういう生活資金、要は、福祉は御担当しているわけですね、福祉は御担当しているけれども、もっと広い意味での、何百万件と動くような生活資金を融通する制度を社会福祉協議会で僕は受けるべきじゃないと思う。

 今後これは見直していく、要は、誰かが受けないといけないんだけれども、私は、岩井審議官は、これはもう俺はやれない、社会福祉協議会がかわいそうだと。社会福祉協議会の現場でも、貸し渋りとか、何か、要するに、借りたい人たちからすれば、何だこの窓口はと言われるような摩擦が今増えています。今日の新聞でも、現場から悲鳴が上がっている。悲鳴ってどういう悲鳴かといったら、貸してくれない、待たされると。それはそうですよ、一万件が百七十万件になっているんだから。

 だから、今日はデジタル法案の関連で、今波及して、なぜこの配慮規定があるのか聞いてみたら、社会福祉協議会が機能していないから。

 審議官、もうこの仕事は早晩別の役所に譲りたいとおっしゃってください。

岩井政府参考人 社会福祉協議会は、先生御指摘のとおり、全国で平時から地域に密着して、お困りの方々に対して相談支援と一体として生活に必要な資金を低利でお貸ししている事業を行っております。

 経緯から申し上げますと、昨年、新型コロナウイルス感染症が拡大した際に、生活資金にお困りの方に対して、厚生労働省といたしましては、迅速かつ確実な対応が必要となったことから、全国の社会福祉協議会におきまして、既存の貸付けのスキームを活用する形で、緊急小口資金等の特例貸付けを実施していただくことといたしました。

 先ほど先生からも御指摘ございましたとおり、平時の百七十倍の貸付けを行うという非常に重要な役割を果たしていただいておりますが、一方で、現場、社会福祉協議会の現場からは、従来の相談支援や地域活動に影響が出るなどの声を聞いているところでございます。

 将来、今回のコロナのような大規模かつ長期間の支援が必要になった際にどのような対応が適切かということにつきましては、今回の経験も踏まえつつ考えていく必要があると認識しております。

足立委員 ありがとうございます。

 木原委員長と私の議論がやはり的を得た議論だったということが確認できました。

 今日、金融庁にもお越しをいただいています。

 金融庁、ちょっと関係ないというか申し訳ないんですが、私が金融庁に申し上げたいのは、金融庁で何か制度をつくってくれということではありません。それは、財務省がつくったり、あるいは厚労省がつくったり、あるいは経産省がつくったり、まあ、生活資金だから厚労省なのかな。ちょっとよく分からないんですが。

 ただ、そういうものをつくったときに、例えば、今回コロナで、事業資金については、公的金融機関だけでは足りないから、民間の金融機関を使って、そこに政府が保証等をかけることによって、民間のインフラ、民間の金融機関の、銀行等のインフラを使って事業資金の融通を全力で支援をしてきた。これはまさに政府・与党がしっかり取り組んでいただいて、いろいろな意味で感謝をしているところでありますが、問題は生活資金です。

 当時、私は、消費者金融を使ったらどうか、消費者金融に保証をつけたらどうかと。そして、機械的にばんばん貸して、最終的には、これは政府が関与しているわけですから、どれをちゃんと回収して、あるいはどれを免除するか、マイナンバーで資産や所得も把握しながら、二年後でも三年後でもいいから、本当にそれを免除すべき方かどうかということを政府がゆっくりと審査をして、免除すべきは免除してさしあげる、そんな制度を、もうスキーム図までつくってやってきました。

 そうすると、大体よくある反応は、消費者金融とおっしゃられるわけですね。

 確かに、今ちょうど、どこかの新書版でサラ金の本が今年二月か何かに出ていますし、今、私、読ませていただいて、大変面白い本だから、是非皆さんにお勧めをしますが。

 確かに、いろいろ課題はあるんだけれども、消費者金融の健全な業界育成だって必要なんだから、私は、この際、緊急時のために、消費者金融に政府が関与する形での生活資金融通の公的な仕組み、これを議論しておくべきだと思うんですが、金融庁にお聞きをしたいのは、何か問題がありますかということですよね。消費者金融のことをよく御存じの田原総合政策局参事官に、金融庁として、いや、それだけはやめてくれというような何かやましい話があるかどうか。ネガチェックの意味でお聞きをしたいと思います。

田原政府参考人 お尋ねの生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付けでございますけれども、これまでも労働金庫におきまして貸付申請書の受付、社会福祉協議会への送付といった取次業務を実施したほか、社会福祉協議会による依頼に基づきまして送金事務を行っている金融機関に対しましては送金事務手続の迅速化に向けた協力依頼を行うなど、民間金融機関においても協力を行ってきているところでございます。

 今後、今回のコロナのような大規模かつ長期間の支援につきまして、生活福祉資金制度の所管官庁である厚生労働省において検討が行われるということがありましたときに、そういった委員御指摘のような点についても検討が行われるというふうに考えますけれども、仮にそういった検討ということがございましたら、民間インフラの活用という観点から、金融庁として必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 精いっぱいの御答弁だと思いますが、しっかりつかさつかさで、そういう社会福祉協議会に押しつけた今回の対策をしっかりと持つべき部署が新制度を構想したときには、しっかり金融庁も消費者金融を所管している観点から相談に乗っていただけるということが確認をできました。ありがとうございます。

 それでは、先日の質疑でも取り上げた口座付番の話に戻りたいと思います。

 平井大臣、もう同じような御答弁で結構ですが、ちょっと確認的に、義務化の話、預貯金口座の付番、マイナンバー付番義務化の議論を私がしてきていますが、それはいろいろまた、まだ誤解も多いのでなかなかできないということは承知していますが、将来はやはりそういう姿になるだろうと私は思っているんですが、デジタル大臣として、将来について一定の御見解をいただけないでしょうか。

平井国務大臣 まずはこの法律を成立させて、円滑に実施していく中で、実質的に付番が進むということがやはり望ましいというふうに思います。

 将来どうなるかということですけれども、休眠口座みたいなものが出るというような社会はもうなくなると思います。そうじゃないとやはりおかしいですよ、幾ら何でも。

 やはり、かつてこの国は年金が消えたりした、それももっとおかしい話で、マイナンバーを振るということは、その人のものである、間違いなくその人ということがはっきりするわけですから、それは公正で公平な社会をつくっていく上で非常によいことだと思います。あとは、国民の理解を得ながら実質的に進んでいくということを大いに期待をしています。

足立委員 ありがとうございます。

 僭越でありますが、平井大臣が、今回、菅政権の一丁目一番地、デジタル担当大臣になられて、私は本当によかったと思っているんですね。実行力といい、答弁の簡潔明瞭なところも大変ありがたく思っております。ユ党として御支援申し上げますので、これからも頑張っていただきたいと思います。真の野党として御支援申し上げたいと思います。

 その口座付番でありますが、付番すると個人資産等が把握されるみたいな不安がよく指摘をされます。今日、国税庁にお越しをいただいています、重藤課税部長さん。資産を当局に把握される、何が不安なのか私には分からないですね、私は余り資産がないからかもしれませんが。だって、資産というのは、課税ベースに入っている資産と入っていない資産があるから、課税ベースに入らないものは入らないようにそこを取っておきたいとかいうことは多分あるんでしょうが。

 日本維新の会は、実は、あらゆる資産に薄く広く一%の課税をする、資産課税をする、それを経済政策、社会保障政策、安全保障政策の原資にしていったらどうか。もちろん、税全体としては、ネットでは、要は、フロー課税、所得税、法人税云々、そういったものと資産課税と、全部ネットで考えれば減税になる。ネット減税ではありますが、フロー課税からストック課税、フロー課税というのは経済活動への罰ですから、そういう経済活動罰、子育て罰じゃなくて経済活動罰のような税制を見直して、もっと眠っている資産を起こすためにも広く薄く資産課税をしていこうと思っている。仮にあまねく資産に一%課税するとすれば、これは中を当局が拝見するのはもう当たり前。

 したがって、そこに何かプライバシーみたいな、いや、これは私のプライバシーだから見ないでというようなことは、資産については私は考えなくていいという見解を持っていますが、国税庁の観点から何か御見解があれば御教示をいただきたいと思います。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 税制の在り方に関しましては私の方から答弁は差し控えたいと思いますが、ただ、国税庁におきましては、例えば、今、資産を課税ベースとするような税制、例えば相続税といったようなものもございますが、そうした場合には、相続税の申告がございましたら、法定調書を始めとしてあらゆる資料情報を活用し、また、その上で必要があると認められる場合には、御本人あるいは金融機関等に税務調査を行うなどして相続財産を確認して、適正、公平な課税の実現に努めているといったところでございます。

足立委員 ですよね、当たり前です。だから、不安とか、いや、隠している人、よこしまなことをしている人が不安なんだから、私はそれはしっかり説得をしていきたい、こう思います。

 もう時間が来ましたので、終わります。もう一問、デジタル社会における自治の在り方、ちょっと時間が足りなくなりましたが、また別の機会に譲りたいと思います。総務省、失礼しました。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平です。

 今日は、質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 平井大臣とは、思い返しますと、マイナンバー法、あるいは政府CIO設置のための内閣法の改正などの修正協議を御一緒にさせていただきました。党を代表して、実務責任者として。公明党は高木代議士でしたけれども。それから、その後も、幾つかの議員立法、これも議員連盟で一緒にやってまいりました。今回、デジタル庁設置を含む数本の改正あるいは新しい法律の審議をさせていただきます。感慨深いものがございます。どうかよろしくお願いしたいと思います。

 それで、今日は、最初の私の質問なので、総論の御質問をさせていただきたいと思っておりますので、平井大臣におかれましては、答弁書なしでもお答えいただけるものばかりであります。

 先般、衆議院の予算委員会で自民党の齋藤健代議士が言っておられましたが、日本の産業競争力はこの二十年で本当に落ちたという御指摘をされて論陣を張っておられました。

 電子政府という観点からも、この二十年間、相当私どもは劣後してしまったのではないかと思っております。特に、東アジアへ行けば、韓国とか台湾の政府は本当に見習うべき点がたくさんあるなと思って、もう虚心坦懐に学べばいいんだろうと思います。

 台湾が、特にコロナの封じ込めにおいて、デジタルを使って非常に上手になさった。担当大臣があのオードリー・タン・デジタル担当大臣ということでしたけれども、例えば、最初、マスクが足りないということで、マスクをまずは一人三つということでやるわけですけれども、最初は、台湾も国民健康保険制度がありますものですから、国民保険カードを持って買いに行く、あるいは、Suicaみたいなカードがあるものですから、そういうものでやる、あるいはもちろんクレジットカードで決済をするというようなことですけれども、最初、在庫がどこにあるか分かりませんということで、マスクマップというものが、ある意味、最初は政府が提案したんですけれども、いわゆるシビックハッカーという方が八千人ぐらいおられまして、全く民間の方々がまさに勝手にそのアプリを変えていって、みんなで協力して、あっという間に、どこのお店に何枚マスクが在庫であるかということが分かるようなマップまでできてしまう。

 あるいは、まさに我が国がなかなかうまくいかなかったことですけれども、スマートフォンを使った感染経路の確認と感染者に接触した可能性がある人への警告、メールを行うようなアプリも、官民連携して、あっという間にできてしまったというようなことがありました。本当にすばらしいことだと思っています。

 そこで、オードリー・タンさんの、最近、Zoomでの講演がございまして、これは超党派の議員連盟で開催していただいたんですが、一時間ぐらいオードリー・タンさんの講演を聞きました。このときに、要するに、コロナの対策として三つの原則があったと。素早く、ファスト、公平に、フェア、楽しく、ファン、この三つの原則で今のような官民連携をしていったということを説明していただいたんですけれども、まず、平井大臣、台湾がデジタルを使ったコロナの封じ込めがうまくいったその原因をどのように分析されていますでしょうか。

平井国務大臣 オードリー・タンさんの言葉、今のスリーFですね、ファスト、フェア、ファン、これは、今の私の立場だと、そうしたいなと本当に心から思いますし、ITは機械と機械をつなぐけれども、デジタルは人と人をつなぐという言葉もまさに名言だと思うんですよね。

 今回、やはりオードリー・タンさんの、担当大臣ですか、このリーダーシップはやはり相当大きかったと思います。ただ、私と立場が違うというのは、政府のシステムを全部見るということでもないんですよね。

 そういう意味で、国民が望むようなプロジェクトを一気に進められるようなことを、今度は、デジタル庁ができたら是非やりたいと思います。フラッグシップみたいなものを、一気にやるというのが非常に重要だと思っています。

 ITを効果的に使うということは、マスクの国家の買取りを背景とする在庫状況のオープンデータ化、あとは、我々のマイナンバーに相当する国民番号を活用した配給、それの導入、この辺りがやはり非常によかったと思います。

 一方で、大変厳しい罰金も科しているんですね。入国者に対して十四日間の在宅検疫期間を設けて、違反した場合には三十九万円以上三百八十七万円の罰金が科される。

 ですから、そういうこともあるんですけれども、規制のかけ方とか社会的な背景が国によっていろいろ違うとは思うんですけれども、台湾の取組というのは、やはり司令塔がリーダーシップを発揮したというところが一番大きいところだと私は思っています。是非参考にしたいなと思います。

岸本委員 そうなんです。オードリー・タンさんというのは、無任所で、職員も彼の著書によれば二十人ぐらいしかいなくて、総合調整をしていく、ある意味、デジタルプラットフォームを中心に、そのプラットフォームの管理をしているんだというようなことをおっしゃっていました。

 いろいろ台湾の制度を勉強しますと、驚きましたのは、例えば、まさにこういう法案の審議、私たちは国会でやっています。この法案についての議論をデジタル上でやるプラットフォームを台湾政府は持っています。これをオードリー・タン大臣が所管して主宰しているということなんですけれども、vTaiwanということで、これは誰でもそこで法案についてディスカッションできる。

 それから、Joinというプラットフォームがありまして、これが面白くて、誰でもそこに参加できる、そこで政策提言ができる、しかもハンドルネームでもいい。実名でなくてもいいんです。ハンドルネームで提案をすることができて、何と二か月の間にその提案に対して五千人の方が賛同すれば政府は対応しなきゃいけないというたてつけになっているんだそうです。

 それで、びっくりしたのは、例えばということでオードリー・タンさんがおっしゃっていたのは、今プラごみの話が出ていますけれども、何と二年前、二〇一九年に台湾の国内で飲食店内ではプラスチックのストローは使用禁止になっているんです。そういう法律がもう二年前にできているんですね。それは、何とこのJoinというプラットフォームに提案があって、二か月以内に五千人の人が賛同した結果、法案化されたということなんだそうです。

 オードリー・タンさんは主宰者ですので、ハンドルネームですが、調べてみたら、何とその提案をした人は十六歳の女子高生だったと。十六歳の女子高生が提案した政策が法案になって、できてしまうという国が台湾なんですね。本当に羨ましい限りであります。

 それとは別にパブリック・デジタル・イノベーション・スペースというところがあって、もうちょっと専門的に官民連携しながらディスカッションするプラットフォームもあるということなんですけれども。

 平井大臣は、まさにデジタル庁をつくって、政府全体の司令塔になりますので、かなり仕事の量が多いですし、責任も重いかもしれませんが、どうですか、こういうJoinとかvTaiwanとか、これはリーダーシップを振るってつくっていただけないでしょうか。

平井国務大臣 やりたいですね、もう是非。

 デジタル技術を活用すれば、広く多様な国民の意見を効果的に把握するというのができるんですね。今回、法律を作る前に、デジタル社会を形成するための十原則の中で真っ先にオープンと透明というのを、これを掲げたんです。やはりデジタル化というのは、いろいろな社会の意思決定のプロセスを透明化していくのに物すごく寄与すると。

 これはぱくったわけではないんですけれども、大臣に就任して最初に設けたのがデジタル改革アイデアボックスです。これはハンドルネームでオーケーで、随分いろいろなものを投稿していただきまして、いいね、悪いねでランクがつくんです。それで、上位から実現しようというふうに考えて、ただ、ここはデジタルに関する政策だけのアイデアボックスですが、PPAPをやめたのもここで上位に、一番上に来たので一気にやめたと。

 その他いろいろ御提案をいただいていて、このアイデアボックスをデジタル庁の機能として更に充実させていきたいというふうに思っています。

 それと、デジタル改革共創プラットフォームというのをまずフェイスブック上で立ち上げて、やったのも、自治体職員と政府のスタッフがフラットに意見交換できる場をつくりたいという思いでつくりました。

 これもよく似た発想で、是非そういうことを更に、またいろいろなアドバイスも先生にもいただきながら、もっと使えるものに変えていきたいなというふうに思っています。

 そして、現在取り組んでいるものが政府統一ウェブサイトの構築。これはデジタル庁にとって非常に重要なプロジェクトの一つになると思うんですね。この統一の窓口をつくっていこうということをまず考えています。

 何せ、インターネット上の技術者とのコミュニティーも大事にしていかなきゃいけないし、そういう意味では、広く多くの皆さんと常に意見交換できるようにしたいというふうに思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 まさに、実はオードリー・タンさんが著書の中で、これは最近出た本なので、平井大臣がやる後なんですけれども、日本政府、デジタル庁をつくるらしいですね、アドバイスするとしたら、そういうメールボックスみたいなものをつくったらどうかというんですけれども、それは既にその前につくられていますので、そこは評価をさせていただきたいと思います。

 デジタルを使えば、本当にフラットに、誰とでも、別に未成年の人であろうと、本来、我々地元で、例えば後援会の人だったらいろいろ頼めるじゃないですか。平井さん、これをやってよとか、岸本さん、こういう問題があるので何とか法律を変えてよとかと。そういう接触点がない方も全てそういうプラットフォームで意見が言えるということもありますので、是非工夫をしながら、一遍に、二か月後に法律化というわけにはいかないにしても、そういうものをどんどんつくっていただければと思います。

 その上でですけれども、オードリー・タンさん、名言がたくさんあるわけですけれども、彼が言っている中で、デジタル政府を成功させるために二つ大事なことがありますと。

 一つはインクルージョンだとおっしゃるわけですね。これはいろいろな、汎用的な考え方ができて、さっきこの委員会でも議論されていましたけれども、デジタルデバイドの話ですよね。デジタルデバイドなんかもインクルージョンで考えていけばいいんだと。高齢者の方がなかなかデジタルを使えないねというのであれば、使えるようにそれはプログラムを変えればいいんだし、使えるように端末を便利にすればいいんだし。

 そして、この間の、さっきのマスクじゃありませんけれども、いや、もう使えない人は紙でいいですね、健康保険カードを持っていってキャッシュで払えばいいですねと。元々、マスクのやつは、できるだけクレジット決済、キャッシュレスでやるという発想で始めて、なかなかうまくいかなくて、やはり高齢の方はみんなキャッシュしか、いいという、まだ台湾では。そうすると、いや、それはキャッシュでもいいですよねと。そういう、インクルージョンという、まさに大臣がさっきお答えになっていたような考えでいいと思うんです。

 もう一つは説明責任だと言うんですね。政府が説明責任をきちんと果たすということがとても大事だと。というのは、デジタルというのは国民が政府を信頼するから成り立つんだというのがタンさんの考え方で、彼は、台湾のコロナ対策がうまくいったのは、ひとえに、国民が、台湾の市民が台湾政府を信じていたからだ、だから平気でクレジットカードの決済をして、素性が分かってもいい、いわゆるマイナンバー的なものをどんどん使いますと。

 それでいうと、マイナンバーカードを一緒につくったわけですけれども、まだ四人に一人しか持っていない。この原因としては、やはり大事な個人の情報を、あれはキーなので、マイナンバーカードを持ったからといってそう簡単に抜けないんですけれども、そういう誤解がある。しかし、マイナンバーカードを持って、自分の大事な個人情報が、まあ言葉は選ばなきゃいけませんけれども、改ざんしたり、書類を捨てたり、ごまかしたりする政府には渡したくないよねという信頼感のなさがマイナンバーカードの普及を妨げているのではないかという気もいたします。

 まさにインクルージョンと政府の説明責任、デジタル政府をつくっていく中でとても大事だと思うんですが、大臣、いかがですか。

平井国務大臣 インクルージョンもアカウンタビリティーもやはり賛同します。そのとおりだと思います。

 全ての皆さんにデジタル化の恩恵を届けるというのがやはり非常に重要なことだと思う一方、オードリー・タンさんも要するにアナログの世界を全く否定していないんですよね。それは我々全く同じ感覚で、こうじゃなきゃいかぬといって押しつけるものではなく、便利なものは国民は使うんだということだと思います。

 最後はやはり人間が人間を助けるということも非常に重要だというふうに思うんですが、マイナンバーカードに関して言えば、申請者数が急激に増え始めました。与党、野党を交代しながらこれは一緒にやってきたプロジェクトなので、今にして思うと、申請ベースで四千万を超えたというのは、ある意味、非常に、よくここまで来たなと。ただ、まだまだ全然ペースとしては足りないんですが。

 誤解があるということをちゃんと伝えられないのは、やはり政府に対する信頼がまだ足りないというふうにも率直に思います。ですから、あとは、我々がどこまでちゃんと説明責任を果たしていくのか、そして、丁寧に、誤解を解きながら、相手が納得するまで説明をし尽くすことができるのかということがこれから問われる。ですから、デジタル化を進めるに当たっては、そういうような地道な説明責任を果たすということが非常に重要だと思っています。

岸本委員 ありがとうございます。

 ちょうどマイナンバー法を作るときに平井大臣と話したのは、スマホに載せりゃいいんだよねという話をあのときやっていまして、ようやくそこにたどり着いたというのは、本当にありがたいと思います。時間がかかりましたね、少し。すぐにでもスマホに載るということ。

 あとは、チップの空き容量の民間利用が、あの当時はもっと早く進むだろうという議論を平井大臣としていましたけれども、これからですね。もちろん、証明書とか、図書館の貸出カードじゃ駄目なので、まさに民間のビジネスがチップの空き容量をどんどん使っていただくということで、便利になればみんな持つわけです、誤解を解くと同時に。

 今、やはり、私もマイナンバーカードはもう一巡して、二枚目の更新をしましたけれども、恥ずかしながら、何に使っているかというと、特別給付金は申し込みました、カードで。私は和歌山なものですから、何かあるときの住民票を、議員会館のコンビニで、いつもマイナンバーカードで住民票を出していますけれども、目に見えた利便はそれぐらいで、これではなかなか普及しないということだろうと思うので、まさに、もちろん健康保険証も大事です、それから、パスポート、運転免許証も大事ですけれども、むしろ民間の利用をその空き容量でやっていってもらいたいなと思っています。

 今、もう既にかなりの部分、大臣に答弁していただいてしまったんですけれども、今のを裏返しますと、この間、二〇〇〇年ぐらいから始まった電子政府、そして、マイナンバーだってもう数年前にできている。政府CIOもできましたけれども、なかなか調達の方も進まない。これは、日本のデジタル化が進まなかったこれまでの理由といいますか、そこをきちんと分析しないといけないと思うんですけれども、その辺についての御見識を問いたいと思います。

平井国務大臣 先生とこのデジタル化の議論をしているといつも感じるのは、デジタル化というのは、もうこれは与党とか野党とかというのは関係なく、時代の要請にどうやって応えていくかという我々全体の責任の話だなと思います。

 進まなかった理由というのは、今日の委員会でも幾つかお話しさせていただきましたが、各政権の中で、デジタル化政策、かつてのIT政策というのは、政策の優先順位が高くなかった。それは、やはり国民の期待も高くなかった。デジタルというものが本当にどうやって社会の中で国民にメリットをちゃんと与えることができるかというのは、今回の海外の事例を多く日本で紹介されるまで、日本国民は不便さに慣れ過ぎていたんです。行政手続というのは不便なものだけれども、しようがないねと。そういうものが徐々に分かってきて、そういうものが遅れていたということだと思います。

 そして、民間企業も、海外の企業がこれだけトランスフォーメーションをやり続けていたということに対してやはり危機感が足りなかったし、今までのビジネスモデルを変える勇気がなかったということ、その辺りがやはりいろいろな低迷につながっていると思います。

岸本委員 ありがとうございます。

 本当にデジタル化には与党も野党もありません。まあ、ほとんどの政策が本当は与党も野党もないのでありますけれども、是非、建設的な議論をこの立法府で皆さんとともにやっていきたいと思っています。

 それで、少し、今度、副大臣にお聞きしたいんですけれども、まさに今回、平井大臣がおっしゃるように、新しいいろいろな局面に我々国民、政治家も出くわして、その結果として、やはり遅れていたね、不便だねということが分かってきたわけですけれども、特に、このコロナの問題あるいは自然災害の問題、三・一一は十年前ですけれども、その後のいろいろな台風被害などもあります。

 自然災害や感染症の流行など、こういう不測の事態に対して、残念ながら、IT基本法を含めて、私たちはきちんとした備えをしていなかったように思うんですけれども、今回の法律改正でどのような対応ができるのか、お答えいただければと思います。

藤井副大臣 岸本委員御指摘のとおり、近年、大規模な地震、台風、豪雨等の災害の発生や新たな感染症の蔓延など、国民の日常生活や社会経済の在り方に影響を与える重大な事象が発生しておりまして、国民の安全と安心を確保する上で、ネットワークやデータを迅速かつ効果的に利活用することができる環境を整備すること、これは非常に重要だと考えております。

 このため、基本法案の第七条におきまして、「デジタル社会の形成は、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用により、大規模な災害の発生、感染症のまん延その他の国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生ずるおそれがある事態に迅速かつ適確に対応することにより、被害の発生の防止又は軽減が図られ、もって国民が安全で安心して暮らせる社会の実現に寄与するものでなければならない。」と規定させていただいております。

 これは、委員御指摘のとおり、IT基本法では十分に規定されていなかった規定でございまして、災害や感染症にあっても国民の生命と安全を守り抜くことができるデジタル社会の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

岸本委員 それで、今日は総論ということですが、引き続き、質問の機会もいただけると思いますので、まさに民間がチップの空き容量をどう使うか、それから民間人材の活用の仕方等について、次回以降、御質問したいと思います。

 今日はこれで終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次回は、明十八日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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