衆議院

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第30号 令和3年6月4日(金曜日)

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令和三年六月四日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      高木  啓君    永岡 桂子君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    吉川  赳君

      和田 義明君    阿部 知子君

      青柳陽一郎君    池田 真紀君

      大西 健介君    玄葉光一郎君

      森田 俊和君    森山 浩行君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      江田 康幸君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    足立 康史君

      浦野 靖人君    岸本 周平君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 小此木八郎君

   法務副大臣        田所 嘉徳君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   財務大臣政務官      船橋 利実君

   農林水産大臣政務官    池田 道孝君

   政府参考人

   (内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室長)           中尾  睦君

   政府参考人

   (内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室次長)          天河 宏文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 難波 健太君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  小田部耕治君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    高木 勇人君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          金子  修君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小宮 義之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森田 正信君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岩井 勝弘君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月四日

 辞任         補欠選任

  長尾  敬君     工藤 彰三君

  大河原雅子君     池田 真紀君

  玄葉光一郎君     青柳陽一郎君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     長尾  敬君

  青柳陽一郎君     玄葉光一郎君

  池田 真紀君     大河原雅子君

  浦野 靖人君     足立 康史君

    ―――――――――――――

六月三日

 慰安婦問題の解決に関する請願(大河原雅子君紹介)(第一四〇四号)

 新型コロナ禍に鑑みカジノIR二法の廃止を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一四〇五号)

 公務・公共サービス拡充に関する請願(長谷川嘉一君紹介)(第一四八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室長中尾睦君外十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子俊平君。

金子(俊)委員 ありがとうございます。自由民主党の金子俊平でございます。

 本日は、銃刀法改正の審議の機会をいただきました。委員長また与党理事、それぞれ各位の皆様方に感謝を申し上げます。

 さて、この法案はそもそも参議院先議でありまして、参議院においては全会一致で可決されたところであります。メインテーマでありますクロスボウ、ふだんなかなか接しない方、言葉をそもそも知らない方も多いのではないかというふうに推察をいたします。私もインターネットで拝見をしていますと、実際にネットショップで簡単に買えてしまう。値段は、数千円のものから十万円を超えるようなものまでピンキリでありました。また、動画サイトではボウガンの作り方を紹介するようなサイトもございました。

 改めて、この法案に賛成することを前提で、なぜ今改正なのかということをまずお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほど、大臣と話をしておりました。いみじくも、実は去年、悲劇の事件がありました。宝塚の事件から、ちょうど今日で一年目を迎えた日にちであります。

 なぜクロスボウが社会的に注目を浴びたのか。一番最初は多分一九九三年の矢ガモ事件、多分、私、計算が間違っていなければ中学生だったというふうに思いますけれども。かなり前の事件ですけれども、インパクトは相当あって、その事件に関しては記憶が多い方がいらっしゃるんだろうというふうに思います。

 二十八年後の今、なぜ法改正をするのか。参議院でも相当聞かれたことだろうというふうに思いますけれども、衆議院の審議を始めるに当たって、まずは御説明をいただきたいというふうに思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、クロスボウを使用した犯罪の発生状況を踏まえつつ、必要な対応を行っていくこととしていたところでございますが、クロスボウを使用した犯罪の発生状況について見ますと、確認できる範囲で申し上げれば、平成十四年から平成十八年の五年間の刑法犯事件の検挙件数は六件となっており、その罪種は傷害や器物損壊等でございました。

 これに対しまして、平成二十二年一月から令和二年六月までの間のクロスボウが使用された刑法犯事件の検挙件数は二十三件と多数の事件が発生しており、しかも、殺人や殺人未遂等の故意に人の生命身体を害する罪の事件が半数を超えていたところでございます。

 そして、令和二年に入りまして、六月に兵庫県宝塚市において、クロスボウを使用して三人を死亡させ一人に重傷を負わせる大変痛ましい事件が発生し、その後も七月、八月と殺人未遂事件が相次いで発生したところでございます。

 また、クロスボウの威力につきまして、警察庁科学警察研究所におきまして実験を行ったところ、銃刀法上規制されている空気銃等の威力に匹敵することが確認されたところでございます。

 このように、クロスボウが使用された凶悪事件が相次いで発生したこと等を踏まえまして、今回法案を提出させていただいたところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございました。

 国民の多くの皆さんが危険性を感じている事案であると思います。速やかな成立を期待をするところであります。

 今の話をお伺いをしていて思うのは、正論をおっしゃっていただいていると思うんですけれども、一方で、ちょっと言葉尻が間違っていたらお許しいただきたいと思いますけれども、クロスボウの事件が増えてきて殺人や殺人未遂に使われるようになってきたから、今回法改正をし、そして、それに伴う事前の実証実験をされたというふうにも聞こえてしまうような気がいたします。

 そもそも実証実験は、事前のレクで、二〇二〇年に行っていただいたというふうにお伺いをしております。二〇二〇年の以前に実証実験をしようとしなかったのか。一九九三年に矢ガモ事件があって、これは鳥じゃなくていつかは人間に向けられるということを想定をされなかったのか。今後も多分、何らかの事件が発生して、このボウガンではありませんけれども、いろいろな、日進月歩で進んでいる、銃刀法で本来規制するべきような武器が新たに出てきたときに、事件を待ってから銃刀法規制をするのかしないのかって、私はちょっと違うんだろうというふうに思います。

 今回の法案、反対ということではなくて、やはり順序が、出てきたタイミングで、事件が起きる前にしっかりと実証実験をしていただいて、危険性を認識した上で、事故が起きる前にさっさと規制をしていただく、本来の流れはそうなのではないんだろうかというふうに思いますけれども、もし何か御答弁があれば、局長、よろしくお願いをいたします。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたように、犯罪に利用される危険性の高い、人の殺傷に使用される器具、こういったことが出てくることというのは、常に、当然想定されるところでございます。

 銃刀法におきましては、新たに規制対象とする場合には、一般に、規制の必要性、凶悪犯罪の発生状況等、また殺傷能力、社会的有用性、規制対象の明確性、銃砲刀剣類との類似性、こういったことを総合的に判断して検討しているところでございます。

 銃刀法におきまして新たに規制対象とするに当たっては、こういった点を個別具体的に検討する必要があると考えておりますけれども、御指摘のとおり、様々な新たな器具が出現した場合には、そういったものが、その発生状況だけではなくて、犯罪に悪用される危険性、こういったことについても注視しながら対応していけるようにしていきたいと思います。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 ある程度、方向を今度転換していただくというか、やはり、捜査をしていただく現場の警察官の皆様方も怖い思いをしちゃうんだろうというふうに思います。国民の安全を守る観点から、またそういうふうな速やかな対応をしていただきたいというふうに思います。

 次に、流通の現場を把握をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げましたとおり、インターネットを見ると簡単に買えてしまう。中には、免許証や何かもろもろ身分証明を出せと言っているようなお店もありましたけれども、一方で、何もなしで買えているところも幾つかあったんだろうというふうに思います。

 なかなか、どのぐらい、今、市中で流通をしているのかという数を出せというのは難しいというふうに思いますけれども、想定で結構でありますけれども、通告させていただいていますので、どのぐらいのクロスボウの数が出回っているというふうに今想定をされているのか。

 そして、この法案が可決をされた場合は、今度は回収業務が発生してくると思いますけれども、どのぐらいのめどでどのぐらいの量を回収できる見込みなのか、若しくは回収しようという思いがあるのか、あれば教えていただきたいというふうに思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 現在、国内におきましてクロスボウを製造している事業者、これは把握してございませんで、国内で販売されるクロスボウのほとんどは海外から輸入されたものでございまして、これを国内の販売事業者が販売しているといった状況を把握しているところでございます。

 現在、クロスボウの販売に関しまして法律上の規制は特段ございません。ですので、国内に流通しているクロスボウの正確な数量、これにつきましては明らかではございませんけれども、まず、関係団体によりますと、射撃競技のためにクロスボウを所持している者につきましては約百名程度であり、競技以外で用いられるクロスボウにつきましては、事業者等から聴取したところ、年間千数百本を販売している業者が一社認められたところでございますけれども、その他確認した業者につきましては年間数十本を販売しているといったような状況でございました。

 そして、回収の関係でございますけれども、こちらにつきましても、なかなか、先ほども申しましたように、国内で流通しているクロスボウの正確な流通の数量につきましては明らかでないので、回収の見込みについてお示しすることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、現在、改正法の施行の時点で現にクロスボウを所持している方、こういった方が想定されるところでございます。

 施行日から六か月の間の経過措置期間に、所持許可を申請するか、適法に所持することができる方に譲り渡すか、廃棄するか、こういった措置を取っていただくことにしておりまして、警察におきましては、改正法の公布後速やかに、広く国民に対しまして、ホームページ、SNS、ポスター等により、今回の法改正によってクロスボウの所持が原則禁止され許可制となること等を周知するとともに、現にクロスボウを所持している方に対しまして、業界団体等からも協力を得て、施行日から六か月の経過措置の期間に許可の申請や廃棄等の処分をすることについて呼びかけることについて取り組んでまいりたいと考えてございます。

 また、警察に、処分につきましては、持ち込んでいただければ無償で廃棄を行うといった点についても周知をしてまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 次の質問の答えも多分今おっしゃっていただいたんだろうというふうに思うんですけれども、ちょっと順番を変えます。

 銃刀法規制関係で、この直前にあったのは、いわゆる秋葉原事件であったダガーナイフであると思うんです。

 ダガーナイフは今もう持っていただくことはできない、違反になるという中で、ダガーナイフを規制した後にどのぐらい事件が減ったと思われるのか、若しくは具体的な数字があるのか、もしあればお示しをいただきたいというふうに思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 ダガーナイフにつきましては、もろ刃の刃物として銃刀法上の剣に当たるものでございますけれども、こちらにつきまして、平成二十年の銃刀法改正によりまして、規制対象となる剣を刃渡り十五センチ以上から五・五センチ以上に改正したところでございまして、この改正は平成二十一年一月五日から施行されているところでございます。

 改正前の平成十九年から平成二十年六月末までの一年半におきまして、刃体の長さが六センチを超える、こういったもろ刃の刃物を使用した事件として、殺人二件、傷害四件を把握しておりましたのに対しまして、改正後の平成二十九年から令和元年までの三年間におきまして、当該改正によって新たに所持禁止となった剣を使用した刑法犯の検挙事件としては、殺人一件を把握しているところでございます。

 なお、当該改正法の施行の際に現に所持されていたダガーナイフにつきましては、施行後六か月の間の経過措置期間中に、警察におきまして一万一千七百四十四振りを回収したところでございます。

 こういったことから、平成二十年の銃刀法改正によりまして、ダガーナイフ等を使用した犯罪の防止に一定の効果があると考えているところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 ダガーナイフの場合、両方に刃物がついていて、基本的に、殺傷する以外に多分何か業務的に使うことがないんだろうというふうに想像しますけれども、是非、今回のクロスボウに関しても、また速やかな回収、事件の抑止、防止につなげていただきたいと思います。

 今回、所有者が許可制になることに伴って、その周知に関してどういうふうにされるのかということをまずお伺いをしたいというふうに思います。

 この法律が実行されると、施行されるまで九か月、そして施行された後六か月間の猶予期間があられるわけであります。いつ施行されるかというタイミングもありますけれども、最大で十五か月。

 レクのとき、そしてその前の部会もそうでありましたけれども、説明を聞いておりまして、今回のこのクロスボウに関して、競技者の皆さんは普通に使っていただける、そして、では業務的にどういうものがあるのか、動物の麻酔用、それから鯨の関係に関してレクをいただいたと思っております。

 一方で、警察の皆様方がなかなか把握をされていないような形で業務的に使用されている方も相当、多分、私はいるんだろうというふうに思います。そういう皆様に対してどうやって周知をしていくのか、もしお考えがあればお示しをいただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正の検討に当たりまして、クロスボウの使用実態、これを把握するために広く情報収集に努めまして、林業や漁業といった産業目的でクロスボウを使用されている方とも連絡を取ってきたところでございます。

 御指摘のとおり、幅広い範囲に法改正の内容を周知することが必要であると認識しておりまして、改正法の公布後速やかに、広く国民に対して、ホームページ、SNS、ポスター等により規制内容の周知を図ること、また、産業目的でクロスボウを使用している団体やクロスボウの販売事業者の方の協力も得ながら、そういったネットワークも通じまして、施行日から六か月の経過措置期間内に必要な措置を取っていただくよう呼びかけること、こういったことについて取り組んでまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 今、局長から御説明いただいた森林関係、実は私がこの法案をやらせていただく一番の動機になったのが、この法案が出てきたときに地元から非常に強い要望がありまして、その要望というのが、まさに森林組合の皆さん方が日々業務としてお使いになっていただいている。

 私の地元は、山岳救助隊も、民間の山岳救助の方々ですけれども、今回この法案に非常に強い御関心を示していただいております。彼らに対してどうやって周知をしていただくんだろうか。いろいろ警察のお考えを今お伺いをしていただきましたので、しっかりと周知していただけるような、また対策をしていただきたいというふうに思います。

 林業の場合に関しては、高い危険なところの枝を切るのに、クロスボウで矢を飛ばして、ロープで結んでから切る、根元で操作をする、そんなような切り方に使っているそうであります。先般も、ある地元の森林組合主催で、この講習会というものをやられたそうであります。またしっかりと、どこで使っていただいているのか、現状の把握をしていただきたいと思います。

 森林組合の場合は、これはほかの団体もあるところはあると思いますけれども、個人で所有しているというよりは、むしろ、森林組合で所有しているクロスボウを、複数の職員が、若しくは複数の業務に携わる皆さん方で、一緒になって使っていただいているケースがあろうかと思います。

 銃刀法の場合、銃の場合は、団体が持っている場合、一人の責任者を決めていただいた上で使用することになっていると思いますけれども、今回のクロスボウに関してはどういう扱いになるのか、教えていただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 法人が業務のために従業者等にクロスボウを所持させようとする場合につきましては、今回の改正法第四条第五項によりまして、法人が許可を受けるのではなく、現にクロスボウを所持しようとする従業者等が許可を受けなければならないこととされています。

 そして、当該従業者等が産業の用途でクロスボウの所持許可を受けた場合、こういった場合には、その監督の下に作業に従事する者については、都道府県公安委員会への届出、これを行った上で、当該従業者等の指示に基づいて当該クロスボウを業務上使用するため所持することができることとされております。

 この場合の所持許可証につきましては、所持許可を受けた従業者等が携帯し、その監督の下で、その届出をした方が作業に従事する、そういった中でクロスボウを所持することができるという形になります。

 以上です。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 続きまして、所持していただく上での講習の方に関してお伺いをしたいというふうに思います。

 猟銃等々、私の選挙区は本当に広大な地域でありますけれども、つい最近、実は、銃の方の講習する場所を、農林省の御了解をいただいて、つくっていただきました。今回は、クロスボウに関しては座学が中心になろうかというふうに思いますけれども、その座学する場所は一体どこなのか。田舎が多い地域でありますので、講習するたびに都会に出ていく、何時間もかけて都会に出ていくというのは非常につらい場所もあろうかというふうに思います。

 県警マターでの判断になろうかというふうに思いますけれども、是非そこは、しっかりと地元で使っていただける、こんなに面倒くさいんだったらもう使わないという判断をしないような場所でしっかりと講習ができることを県警に指導していただきたいと思いますけれども、何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 クロスボウの取扱いに関する講習の実施場所につきましては、改正法に特段の規定はございませんで、各都道府県の実情に応じて実施場所の選定が行われることになりますけれども、基本的には警察署等の警察施設を想定しておるところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 またしっかりと県警の方にも、この法改正が成った暁には、また御指導していただきたいというふうに思います。

 今回のクロスボウに関しては、国が指定する前に相当、地方公共団体、特に県で、独自に条例で、十八歳未満は駄目よとか、そういう規制を設けたところが多かったというふうに思います。

 あわせて、海外では、このクロスボウの状況というのはどうなっているのか、お分かりになる範囲で教えていただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきまして調査を実施した十四か国、この状況について見ますと、クロスボウにつきましては五か国、ノルウェー、韓国等の五か国につきましては、所持する場合に原則として許可が必要とされているところでございました。また、フランス、イタリア等の九か国につきましては、携帯や使用が規制されているといったようなことを把握したところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 このクロスボウに関しても、そしてクロスボウ以後、今後新たに生まれるであろう新しい武器に関しても、諸外国に先駆けて、危険性を認知するのであれば、やはり我が国が率先して規制をするということも私は大事なんだろうなというふうに思います。

 どちらにしろ、このクロスボウの法案に関しては、規制後、警察の皆さん、是非頑張っていただいて、もう二度と悲惨な事件がないようにしていただきたいというふうに思います。

 残り時間も数分でありますので、最後に大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 社会に様々な危険があって、国民を守るというのは非常に難しい、ある意味では一つの挑戦なんだろうというふうに思います。次から次へと新しい武器が出てきて、今回の銃刀法改正に関しても、クロスボウを許可制にするものでありますけれども、冒頭に申し上げたとおり、やはり一九九三年の矢ガモ事件から見ると、いかんせん、ちょっと遅いのではないんだろうか。もしその前に法律を規制していれば、これはたられば論ですから、決して一〇〇%の断定はできませんけれども、やはり事件性は、少なくとも少しは、少なくなっていたのではないのかなという一抹の思いはあります。

 しかしながら、このクロスボウの規制に関しては、そもそも、小此木大臣が大臣に御着任される前の、自民党のテロ・治安対策調査会長で、危険性をずっと提起していただいていた問題であります。国家公安委員長に御就任されて、早速この法案をやっていただいたんだろうというふうに思いますけれども、小此木大臣の今の意気込みを最後にお伺いをしたいと思います。

小此木国務大臣 お世話になります。

 私、現職に就きましたのが昨年の九月でございますが、その直前に、おっしゃいましたように、自民党の治安・テロ対策調査会に所属しておりまして、冒頭におっしゃいましたように、本当に一年前の六月四日、クロスボウを使った、自分の母親、おばあ様、兄弟、そして家族を殺傷した事件が起こりまして、今日に至っております。

 そのときに、その所属のメンバーたちと、あるいは警察の皆さんと、これはやはり取締りをしなければならないという議論を深めていきまして、その後、今の立場になったわけであります。

 委員の御心配の点、様々な時代の変遷によって、かつては武器ではないと言われていたようなものが、あるいは思っていたものが、殺傷する能力が実はあったとか、あるいは過って使ってしまったということはあります。そういう自覚もございますけれども、常に、我々政治家、そして警察内部、そういったところを自覚を持ちまして、そういったことは間違った行為である、そういう武器になるようなものを使ってはいけないという気持ちも改めながら、しっかりと確認をし、真剣に考え、このクロスボウの悲惨な事故があってはならない、起こしてはならないという思いで、決意を固めてまいりたいと思います。

金子(俊)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。

木原委員長 次に、古屋範子さん。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 今日は、銃刀法改正案について質問をしてまいりますので、よろしくお願いいたします。

 ただいまの議論と重なる部分もございますけれども、基本的な質問をさせていただきたいと思います。

 クロスボウをめぐりましては、兵庫県の宝塚市で、昨年六月四日、ちょうど一年前でありますけれども、家族ら四人が殺傷される事件が発生をいたしました。三人死亡、一人が重傷という、大変凶悪な事件でありました。

 この十五年間で、クロスボウによる殺傷事件や、猫とか鹿、鳥など動物に対する虐待という形での事件が起きております。

 警察庁によりますと、二〇一〇年一月から昨年六月までの間で、クロスボウが使用された刑法犯事件の検挙件数は二十三件であります。そのうち、殺人、殺人未遂など故意に人の生命身体を害する事件は十三件でありまして、半数を占めております。さらに、昨年七月以降も、クロスボウが使用された殺人未遂事件、暴行事件、器物破損事件等が相次いで発生をしております。クロスボウに関する相談は百三十五件に上りました。

 都道府県の条例によって青少年への販売などを規制するなど、各自治体の裁量で一定の規制をしくにとどまっているのが現状です。必ずしも十分な規制とは言えないと考えます。事件が起きた兵庫県の井戸知事は、銃刀法など国の法整備でクロスボウの規制を訴えていらっしゃいます。

 人の生命に危険を及ぼすクロスボウにつきまして早急な対応が必要であると考えます。一刻も早い本法律案の成立、施行が求められております。本法案は、クロスボウの所持等について初めて規制をするものでありまして、私は、その意義は大きいと思います。実効性のある対策を早急に講じていただきたいと思います。

 まず初めに、クロスボウが犯罪に使用される背景、規制の必要について、大臣にお伺いいたします。

小此木国務大臣 警察庁が調査したところによれば、平成二十二年一月から令和二年六月までの間に検挙したクロスボウ使用事件について見ますと、射程距離が長い、威力が強い、発射時の音が静か、操作が簡単、入手が容易といった特徴、実態が被疑者に認識されており、こうしたことがクロスボウが犯罪に使用される背景として考えられるところでございます。

 また、被疑者のクロスボウの入手動機としては、犯行目的、興味本位、鑑賞目的等、様々でありますが、現在はクロスボウの所持等について規制する法律がありませんので、どのような目的であっても入手できるのが現状であります。

 このような実態も踏まえ、クロスボウによる危害を防ぐため、クロスボウを原則所持禁止とした上で所持許可制を導入し、適正な取扱いを期待できない者には所持させないこととしつつ、標的射撃等の一定の用途に供するため適正な取扱いを期待できる者にのみ所持許可を与えることとしたものであります。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 このクロスボウ、大変殺傷能力が高いものである。様々な事件を背景として本改正案が提出をされたということだと思います。この改正案の中では、クロスボウを所持禁止の対象としていく、また、クロスボウの所持許可制に関する規定を整備していく、罰則規定も整備をしていく、このような銃刀法の改正案が提出された立法の趣旨を今理解をいたしました。

 次に、銃砲刀剣類の利用目的というのは多様だと思うんですが、狩猟とか有害鳥獣駆除など、こうした社会生活上有用に使われている面がございます。しかしながら、いずれも殺傷の機能がありまして、犯罪に利用される危険性も有しているということです。

 本法律案におきまして、改正後の第三条では、所持の規制の対象となるクロスボウについては、「内閣府令で定めるところにより測定した矢の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上となるもの」とされております。この内閣府令で定める値については、どのように決定をされるのか、規制対象とするクロスボウの要件についてお伺いをいたします。

 加えまして、本法案では、過去十年余り、洋弓とか和弓により人の生命身体を害する事件が確認をされていない、このことから、これは規制対象となっていません。今回の改正で、クロスボウは規制の対象となったわけです。

 今後、科学技術の進展に伴って、レーザーガンなどの強力な威力のあるものが開発されるなど、犯罪に利用される危険性の高い器具が出てきた場合に、都度都度法改正をするのではなく、即時規制できる体制をつくっておくべきではないかと考えますが、この辺についての見解を求めます。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 まず、一点目のお尋ねの関係でございますけれども、クロスボウにつきましては、改正法におきまして、先ほどもお話がございましたが、引いた弦を固定し、これを解放することによって矢を発射する機構を有する弓のうち、内閣府令で定めるところにより測定した矢の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府令で定める値以上のものと定義しているところでございます。

 そして、内閣府令で定めるもののうち、まず、矢の運動エネルギーの測定方法、これにつきまして、内容の詳細は検討中でございますけれども、空気銃の場合と同様、発射する矢の先端から〇・七五メートルの点と一・二五メートルの点との間を移動する矢の速さと質量からその運動エネルギーを測定することを想定しているところであります。

 次に、人の生命に危険を及ぼし得る程度の矢の運動エネルギーにつきましても、これもやはり詳細は検討中でございますけれども、空気銃における人の生命に危険を及ぼし得る威力の下限値、これが平方センチメートル当たり二十ジュールでございます。この下限値で弾丸を発射した場合の侵徹量、例えば弾丸等をゼラチンに対して発射した場合に、そのゼラチンに貫通した距離、これと同等の侵徹量となる場合の矢の運動エネルギーを定めることを予定しているところでございます。

 それから、二点目の、犯罪に利用される危険性の高い器具が出てきた場合に即時規制できる体制をというお尋ねの点でございますけれども、御指摘のように、今後、犯罪に利用される危険性の高い、人の殺傷に使用される器具が出てくること、こういったことが想定されるわけでございます。

 銃刀法におきましては、新たに規制対象とする場合には、一般に、規制の必要性、凶悪犯罪の発生等、殺傷能力、社会的有用性、規制対象の明確性、銃砲刀剣類との類似性を総合的に判断することとしておりますけれども、銃刀法におきまして新たに規制対象とするに当たっては、こういった点を踏まえて、個別具体的に検討する必要があるわけですけれども、御指摘のとおり、科学技術の進展に伴い新たな器具が出現して、それが犯罪に悪用される危険性、こういった危険性等も注視しながら、迅速かつ適切な対応が取れるようにしてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 理解をいたしました。

 しかし、どうしてもこういう規制というものは後追いになってくると思います。どんどんとこうした武器に関する威力が高まってくる中で、即時規制、機動的に対応できる体制を検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、本法律案におきまして、クロスボウの販売、また引渡しの際に、販売事業者、運送事業者に購入者の所持許可証等の確認が義務づけられております。

 この所持許可証につきましては、偽造をされるということも考えられます。こうした不正を見抜くことができるように、厳格な審査、的確な判断で不適格者を排除していくということが重要であります。特に、クロスボウはインターネットで購入するということが大半でありまして、この場合、所持許可証等の確認が困難ではないかと思います。そこで、この所持許可証が本物であるのか、本人確認の実効性の担保が必要になってまいります。

 このクロスボウの所持許可について、厳格な審査、的確な行政処分により不適格者を排除していく、このことが確実に行われるためにどのような対応を考えているのか、クロスボウの購入時における所持許可証等の確認について、その真正性や本人確認の実効性を担保するための取組について伺います。

 さらに、インターネット上の違法な個人間の売買を防ぐために、監視と取締りを一層強化する必要があると考えますけれども、これについての御見解を伺います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目の厳格な審査、的確な行政処分により不適格者を排除していくという点でございますけれども、クロスボウによる犯罪防止のためには、改正法で定められた欠格事由に関する調査、審査を厳正に実施して、不適格者を確実に排除することが重要であると認識してございます。

 そこで、警察におきましては、銃刀法に定める欠格事由があるかどうかについて申請者本人への面接調査や周辺調査等を実施した上で審査を行い、欠格事由に該当する場合には不許可、取消し等を行うこととしてございます。今後、各都道府県警察におきまして所持許可に関する的確な判断が行われるよう、指導をしっかり行ってまいりたいと考えてございます。

 続きまして、クロスボウの購入時における所持許可証の真正性、本人確認の実効性担保の取組といった点でございます。

 銃砲の所持許可証につきましては、内閣府令におきましてその様式が定められているところでございますけれども、例えば、標的射撃等の用途に供するための銃砲の所持許可証、これにつきましては、当該許可証、許可を受けた写真に押し出しスタンプで割り印を押す形式としておりまして、また、表紙については、青色の皮、レザー、ビニール製とし、金文字入りとすることとしているなど、容易な偽造が困難なものとするべく努めているところでございます。

 また、所持許可証につきましては手帳の形式になってございまして、検査欄等が設けられております。毎年実施している銃砲の一斉検査におきまして、確認の上押印するなど、警察におきまして恒常的に所持許可証を確認することとしている上、販売事業者におきましても、譲渡しの際に所持許可証等の確認を行い、偽造等の疑義がある場合には、県警察に対しまして許可番号等による照会を受けることも可能になってございます。

 クロスボウの所持許可証につきましてもこういったものと同様の様式とすることを検討してございまして、今後、所持許可者に対する譲渡しや販売事業者における確認が適切に行われるよう、業界団体等を通じて販売事業者に周知するとともに、販売事業者から都道府県公安委員会への届出の機会、こういった機会も活用して周知を図ってまいりたいと思います。

 それから、三点目のインターネット上の売買の監視、取締りについてでございます。

 改正法におきましては、クロスボウを譲り渡す場合には、相手方からその者の所持許可証の提示を受けた場合でなければクロスボウを譲り渡してはならないとされておりまして、その具体的な方法は内閣府令で定めることとしているところでありますが、これらはインターネット上の個人間売買にも適用されるところでございます。

 この内閣府令におきましては、現行の銃砲のインターネット販売時の手続同様、適法に所持できる者以外の者に譲り渡されることを防止するため、販売者はクロスボウを購入しようとする者の所持許可証の原本を確認した上で配送し、引渡時には運送事業者に運転免許証等による本人確認を確実に行わせなければならないこととすることを予定してございます。

 インターネット上の違法な個人間売買を防ぐためには、警察による取締りのほか、関係方面と協力した対策が必要と認識しておりまして、今後、インターネットオークションやフリーマーケットアプリの運営事業者に対しまして、改正法の内容を周知の上、出品の禁止についても協力を働きかける、あるいはサイバーパトロール等を通じまして、インターネット上で違法な取引が行われないか状況把握を行うなどして、違法な取引の防止に努めてまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 時間ですので、最後の質問になります。

 このクロスボウの所持禁止、許可制の導入につきまして、販売・輸入事業者また国民に対しても広報、啓蒙が必要であると考えます。本法案におきましては、クロスボウを既に所持している者について、施行期日から六か月間は所持禁止の規定を適用しないこととしています。この期間中に許可申請や譲渡し、廃棄手続が適正に行われるよう経過措置の周知徹底を行う必要があると思います。

 この十分な周知、広報を行うためにどのような措置を講じられるのか、お伺いをいたします。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 まず、改正法につきましては、国民への十分な周知等に要する期間として、公布の日から起算して九月を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。

 その上で、改正法の施行時に現にクロスボウを所持している方につきましては、施行日から六か月の経過措置期間は例外的に所持を認めまして、その間に所持許可を申請するか、適法に所持することができる者に譲り渡すか、廃棄するかの措置を取っていただくこととしております。

 そこで、改正法が可決、成立されれば、警察におきましては、公布後速やかに、国民に広く、ホームページ、SNS、ポスター等によりまして、今回の法改正によってクロスボウの所持が原則禁止となり許可制となることを周知するとともに、現にクロスボウを所持している方に対しましては、業界団体等からも協力を得まして、この経過措置期間に許可の申請や廃棄等の処分をすることについて呼びかけることにつきまして、取り組んでまいりたいと考えております。

 また、クロスボウの廃棄に当たっては、警察に持ち込んでいただければ無償で廃棄を行うことにつきましても、周知を図ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 大臣、今日はよろしくお願い申し上げます。

 早速、始めさせていただきたいと思います。

 今回審議されている銃刀法改正案、クロスボウを対象に含めるということですが、私は、遅過ぎるぐらいであって、国民の安全のためにはすべからくしっかりと進めていただくべきだと考えます。ただ、法案を拝見すると、幾つか懸念されることもありますので、その点だけ確認させていただきたいと思います。

 最初にお聞きしますが、クロスボウ、いわゆるボウガンによる人の殺傷事件等は、以前から報道で耳にする機会がございました。

 昨年九月十日の朝日新聞の報道によりますと、二〇一〇年から今年六月までの十年半に全国の警察が三十二件を摘発していた。うち刑法犯は二十三件。うち十三件は殺人、殺人未遂、強盗致傷など人を傷つける事件で、ほかに脅迫や器物損壊などを適用した。特別法犯は九件で、猫を殺した動物愛護法違反や、人に害を加えるのに使う器具を隠し持つ軽犯罪法違反などであったとのことです。特に、ボウガンによる動物虐待の報道はよく見聞きした記憶がございます。

 今回の法改正は、直接的には昨年の宝塚での四人の殺傷事件が契機になっていると思いますが、それ以前に銃刀法の対象とする検討をしていなかったのか。また、先ほど申し上げた例でも、軽犯罪法第一条第二号、凶器携帯の罪による取締りが可能であったと思いますが、これによる規制にもかかわらず宝塚などの事件が発生したのか。この辺、委員長の御見解を伺いたいと思います。

小此木国務大臣 軽犯罪法において、人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を正当な理由なく隠して携帯することですとか、相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼすおそれのある場所に物を発射することが禁止されておりまして、これに該当する行為に対しては、同法、これは軽犯罪法についてですけれども、この違反として取締りを行っておりますが、現在、クロスボウの所持等についての規制する法律がございませんで、今議論していただいております。

 どのような者が、どのような目的であってもクロスボウを入手し、所持することができるため、例えば、犯行目的でクロスボウを購入して実際に犯行に使用する事例が確認されているなど、クロスボウを使用した犯罪の被害を未然に防ぐことが厳しい状況にございます。そして、今回の改正案を提出させていただいて、今御議論いただき、一刻も早く成立をさせていただきたいと願っているところでございます。

吉田(統)委員 委員長、そのとおりですよね。ただ、本当は軽犯罪法でもうちょっとしっかり摘発をしていた方がよかったんじゃないかということも、昨日、おとといですかね、レクの方でお伝えした。いずれにせよ、今回、法案をしっかりと提出いただいたわけですから、しっかり議論して、早く成立をしていただきたいと思います。

 今回の法改正では、現在対象となるクロスボウを所持している人は、施行後六か月のうちに許可の申請をしなければならないですね、大臣。私もそれは承知しております。

 銃刀法では対象となる鉄砲の種類ごとに許可事由を定めていますが、例えば、改正法により、国内でクロスボウを用いた競技を行う方は、銃刀法第四条第一項第一号の標的射撃を事由とする許可を取る必要があると思います。ただ、クロスボウの許可事由の中には、芸能の公演、博覧会における展示、博物館における展示について許可事由と認めていますね。これは既存の拳銃等、拳銃、小銃、機関銃又は砲では認められていないにもかかわらず、今回の改正法でクロスボウについては認めるということで、どうしてか、その必要性を教えてください。

木原委員長 小田部生活安全局長。(吉田(統)委員「ちゃんと細かく、紙も渡してあるんですよ。何でそれ、ちょっと、レクに来た人、大丈夫ですか。紙も上げたじゃないですか」と呼ぶ)どちらが御答弁されますか。(吉田(統)委員「大臣ですよ、全部。全部大臣と言ってある」と呼ぶ)じゃ、まず局長、御答弁いただいて、その後、大臣に。

 小此木国家公安委員長。

小此木国務大臣 ごめんなさい。

 銃刀法において、一定の用途に供するため銃砲を所持しようとする者については、銃砲ごとにその所持について都道府県公安委員会の許可を受けなければならないとされているところ、このうち、演劇、舞踊その他の芸能の公演で銃砲を所持することがやむを得ないと認められるものの用途に供するため、博覧会その他これに類する催しにおいて展示の用途に供するため、博物館その他これに類する施設において展示物として公衆の観覧に供するため銃砲を所持しようとする場合、銃砲のうち、拳銃等については所持許可の対象から除かれているところであります。

 これは、銃刀法において、拳銃等については銃砲の中でも人の殺傷を目的として作られた極めて危険性が高いものであることから、その所持許可が最小限度にとどめられていることによるものであります。

 この点、クロスボウについては、科学警察研究所における実験の結果、空気銃と同程度の威力を有することが確認されているところ、改正法においては、空気銃と同様に、これらの用途でもクロスボウを所持許可の対象としたところであります。

吉田(統)委員 そうですね、後段のところをお答えいただきたかったので。だから、空気銃と同等のリスクと考えているということ、ここを確認したかったんです。

 ちょっと苦言を呈しますが、大臣、私、文書までお渡しして、こういう質問をしますと紙を渡しているので。それはなぜかというと、大臣に的確な御答弁をいただいて国民の皆さんに広く知っていただきたいからですので、ちょっと、問取りに来られた方や御対応された方は、そこまで私が、もう文書、ほぼ一語一句書き起こしたものを渡しているので、もう少ししっかりとした御答弁を大臣にしていただかないとその意味がなくなってしまいますし、やはり大臣のお言葉は重いので、しっかりとそれを国民に聞いていただきたいと。決して今回の質問は私はけちをつけるつもりは全くなくて、大事な部分を確認する質問でございますので、そこはしっかりと御対応ください。

 それでは、こういった事由も含めて、今回の法改正でどれくらいの人の許可申請が必要と見込んでおられるのか、お答えください。

小此木国務大臣 現在、クロスボウの販売に関し、法律上の規制が特段ございませんことは申し上げました。

 国内でクロスボウを所持している者の正確な人数や年齢等の個人の属性が明らかではないため、お尋ねの許可対象の見込み人数や欠格事由の適用の見通しについて申し上げることは困難であります。

 銃砲については、毎年百名程度の者に対して不許可、取消し等を行っておりますが、クロスボウについても、改正法の施行後、所持許可の申請者に対しては、銃刀法に定める欠格事由があるかどうかについて申請者本人への面接調査や周辺調査等を実施して厳正な審査を行うこととしており、不適格者が確実に排除されるよう警察を指導してまいりたいと存じます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。まあ、分からないということですね、現在、だから、どれくらいの方が持っているかということ。大体目安でも分かると、国民の皆さんに聞いていただくといいかなと思ったんですけれども、まあ、データがないということですね。

 大臣、今、一部をお答えいただいたんですが、今回のクロスボウに関しても銃と同様の欠格事由が厳格に使われると、大臣、おっしゃっていましたよね。

 この中で、今だと年間百件ぐらい不許可、取消しが発生していますよね、ここは繰り返しになりますが。そうすると、クロスボウが加わることによってどの程度の不許可、取消しが発生するかもこれからということで、大臣、分からないでしょうかね。目安として、そんな感じということがあれば教えていただきたいんですが。分からなければ分からないで結構です。

小此木国務大臣 今現在、ちょっと困難でございます。

吉田(統)委員 また、おいおいめどがついてくるという理解でよろしいですよね。しっかりとその辺はやはりやっていただきたいと思います。厳正な審査が行われることを特に委員長にはお願いを申し上げます。

 さて、それでは、今回の法改正は、本当に、小此木委員長、頑張ってください。基本的には私も大賛成をしております。

 ただ、一つ大きな懸念がありまして、ネット通販、特に海外のサイトを通じた個人輸入の問題があります。法改正後、施行までの間に、これらを通じてクロスボウが取得される危険性も十分にありますね、大臣。また、私が以前から消費者委員会などで指摘しているネットオークション等による流通についても非常に懸念がされます。

 そこで、これらについてどのように指導、監視をしていくのか。また、最も大事な部分として、デジタルプラットフォーム、取引の場に対してどのような指導、要請をしていくのかをお答えください。

小此木国務大臣 インターネット販売によりクロスボウの売買が容易となっているところでありますが、施行日までに新たに所持しようとする方については、施行後には原則所持禁止となり許可制となること等を踏まえた適切な対応が取られるように、改正法の施行前から御理解と御協力をいただくことが必要と認識しています。

 このため、警察において、改正法の公布後速やかに、国民一般に対して、改正法施行後に原則所持禁止となり許可制となることを周知することのほか、個人間取引に利用されることが想定されるフリーマーケットアプリ等の関係団体に対し、クロスボウの出品禁止について協力を働きかけるということ、インターネット販売を行う事業者に対して、購入しようとする者に対する規制内容の説明や本人確認等を行うよう働きかけること、外国から個人輸入を行う者に対しては、税関の協力を得て、改正法施行後には原則所持禁止となり許可制となることについて周知することなどを実施し、不正な流通の防止を図ることとしております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。是非頑張っていただきたいんです。

 大臣、そこで、もう少しお伺いしたいんですが、もちろん取引した方は罰せられますよね、不法な所持をした場合。しかし、働きかけをして指導されたデジタルプラットフォームや取引の場に関しては罰則はないんでしょうかね。

小此木国務大臣 それはございません。

吉田(統)委員 なので、委員長、ないと分かって聞いているんですが、それがやはり問題になってくると思いますので、今後、そういった危ないものが散見されてきた場合に関しては、そこも改めて御検討ください。やはり、デジタルプラットフォームに対してしっかりと啓発を大臣や役所の皆さんがしていただくのも大事なんですが、結局、そこは罰則を伴わないと実効性が出ない可能性もありますので、そこはまたおいおい御検討ください、大事な点ですので。

 次に、クロスボウに関してはもう理解できました、同じような危険性を持つ凶器で、スリングショット、いわゆるパチンコはいまだ規制されていません。

 二〇一六年、報道によると、八王子市で実際に、六十メートル先を走行していたバスの厚さ四ミリの強化ガラスを金属玉が貫通して粉々になった。付近でガッツポーズをしていた十八歳、十九歳の少年二人が防犯カメラに映っていたので、この少年らを威力業務妨害と器物損壊の疑いで逮捕した。少年らは、何かに当てる実感が欲しかったと容疑を認めています。

 この事件の報道内容を見ると、威力は十分であり、また、対象が人に向けられても全くおかしくないと感じます。警察として、この事件を受けて、いわゆるパチンコ、スリングショットについてどのような評価をされているのか、教えてください。

小此木国務大臣 今のお話につきましては、平成二十八年十月、東京都八王子市内において、十八歳と十九歳の被疑者が、バス二台に向けて、いわゆるスリングショットで金属の玉を発射した、窓ガラスを破損させバスの運行業務を妨害した事件であり、同年十二月、警視庁において被疑者二名を器物損壊と威力業務妨害の容疑で逮捕したということでございます。

 スリングショットについては、この他にも、民家や店舗等の窓ガラスを割った事案が発生しており、一定の威力を有しているものと認識しております。

吉田(統)委員 おっしゃるとおり、いろいろ被害は出ています。

 そこで、今回なぜスリングショットが規制の対象にならなかったのか、ないしは、検討はしたけれども今回は見送られたのか、その辺を簡潔にお答えいただけますか。

小此木国務大臣 昨年九月から警察庁において開催された有識者検討会におきまして、クロスボウの所持等の在り方を検討するに際して、クロスボウに類似するものとしてスリングショット等も規制対象とすべきか議論がなされたところでありますが、その結果、クロスボウが使用された刑法犯事件の検挙件数は、平成二十二年一月から令和二年六月までの約十年余りの期間に二十三件と多数に上って、しかも、殺人や殺人未遂等の故意に人の生命身体を害する罪の事件が半数を超えておりました。これに対し、スリングショットが使用された刑法犯事件の検挙件数は、同じ期間で十七件でありました。このうち、故意に人の生命身体を害する罪の事件はゼロ件でありました。

 よって、スリングショットについては、クロスボウのような人を故意に殺傷する犯罪の実態が認められないなどの現状から、規制対象とはしないことが適当であると、方向性がその検討会では提示されたということでございます。

吉田(統)委員 大臣、よく分かりました。

 また今後もしっかりとそういったことを、やはり、様々な御意見をいただいて、今後、犯罪の形態が変われば、また多分、委員長、御検討されるんだと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 非常に明確な答弁をずっとしていただきまして、感謝を申し上げます。よく私の懸念点は分かりましたので、これでもう銃刀法に関する懸念はなくなりましたので、ここからは、以前、内閣委員会、厚生労働委員会等で行った質疑の補完的な質疑をさせていただきます。

 委員長は、ずっと法案審議なので、退席は無理ですね。

木原委員長 はい。

吉田(統)委員 じゃ、済みません、大臣、ちょっとそのまま御着席で。本当に恐縮です。

 じゃ、聞いてまいります。

 女性医師の増加というのは、私は大変望ましいことだと思います。女性医師の増加と今まで私が質問してきた医師の診療科偏在には、ある程度の相関関係があると考えられています。その中で、現在、医大で学ぶ女子学生が大きく増加しています。近い将来、男女比が完全に逆転する可能性もあると思います。

 ちなみに、祖父と父、そして私は全く同じ名古屋大学の医学部で学んだわけでありますが、祖父の頃は後藤新平先生が校長をされていた愛知医学校時代ですが、私が学んだときで医学部の男女比は八対二ぐらいでした。父の頃は女子学生は十人以下、祖父の頃はほとんどいなかったという状況だったので、本当に隔世の感があります。

 そこで、東京女子医大というのが現に存在する状況を前提にすると、一校程度の男子医大の必要性が生じる可能性も将来的にあって、男子医大の設置について質問をいたします。

 LGBTQに対する理解が進んで、ジェンダーフリーとなっている現在において、今までとは逆に、男性受験者への公平性の担保に加えて、男性医師を確保する必要性が高まる現実的な可能性があるわけです。

 そこで、まず前提として、現在、お茶の水女子大学や、医学部にも東京女子医大などの女子大が存在しますが、これらが、決して性差別ではなく、設置、存続が可能な要件がありますか。端的にお答えください。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 女子大学の設置の要件についてでございますが、法令上、その要件は共学の大学と同様でございまして、大学設置基準等で一般的に求められている要件、これが課されているということでございまして、法令上、女子大学だからということで定められている要件があるわけではございません。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 そうすると、男子医大などの設置、存続に特段の要件はないと伺ったわけであります。

 そこで、教育理念や方針などで説得的なものがあれば、男子医大を設置することも可能性としてはあるということでいいですね。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 男子のみを対象とする大学につきましても、法令上、共学の大学と同様、大学設置基準等で一般的に求められている要件を満たすことで設置が可能でございます。

吉田(統)委員 そうすると、実際に大学設置や学部の新設の申請だった場合は、どの機関がどのくらいの期間で行うのか、現行の制度でお答えください。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 大学の設置認可の申請がありました場合は、文部科学大臣の諮問機関であります大学設置・学校法人審議会で審査を行うことになっております。その期間は、大学の設置の場合は約十か月、学部の設置の場合は約五か月の期間で審査を行うということになっているところでございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 引き続きお伺いしますけれども、田村厚生労働大臣は、明確に、予算委員会だったと思いますが、医学部定員を削減するとおっしゃいました。そうすると、これから、仮に男子医科大学というものを考えた場合、新設するということは非常に困難であると考えます。実際やるとすれば、現在共学の医学部を男子のみ入学可能な医学部に変更することが現実的だと思いますが、ある年から男子のみの医学部に変更しようとすると考えた場合、そういった場合はどのような手続がいつまでに必要ですか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の、男子のみあるいは女子のみに入学者を限定している大学がそれを変更するという場合につきまして、何か必要な申請などの手続が定められているというものではございません。

 ただし、例えば、入学者を女子あるいは男子に限定している大学の場合、大学の目的を規定した学則において、例えば、女子への教育を行うという旨を記載している例がございますので、その場合には、その学則の変更を文部科学大臣に届出をしていただくということが必要になっております。

 学則の届出の期限につきましては、私立大学の場合、学則を変更しようとする年度の前々年度の三月一日から十二月三十一日までの間にしていただくというふうに定まっているところでございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 文部科学省から大変明確な、明快な御答弁をいただきました。

 私は、そういったことをせよと言っているわけではなくて、やはり、男女平等、ジェンダーフリー、完全なそういった公平な社会というものがある中で、余り男子の単体の大学って聞いたことがなくて、そういったところも中にはあるのかもしれませんが。医学部に関しては、女子医大というものが一校あるので、ある意味、男性から見たら、女子医大は一校あるのに男子医大がないと不公平じゃないかという声がそれなりにあることはあったり、そう考えるのは当然といえば当然。今、特に医学部は狭き門になっていますので、そういった意味で、ちょっと問題提起をさせていただいた。

 その中で、女子医大が一校ある以上、男子医大が一校ぐらいあることも別に文部科学省としては問題ないと考えているし、そういった中で、申請も、今おっしゃっていただいた、申請を満たせば特に問題なく男子医科大学に変更できる、そういった理解をいたしました。特に、これはまとめているだけで、お答えは要らないので。

 非常に明快でしたし、本当にこれからいろいろ、LGBTの法案は今国会提出がなされないということでありますが、こういった社会において、男女平等、全ての性差別、そういったものがない、そういった社会が大事だと思いますので、今回、そういった提起をさせていただいたところでございます。ありがとうございました。

 それでは、まだ、本当に小此木大臣がすごく速やかな御答弁をいただいたので、時間ができたので、済みません、ちょっともう少し別のテーマで行かせていただきます。

 田所副大臣にお伺いします。

 副大臣、前回、貸与制導入の経緯として、司法制度改革のときのお話をされましたね。覚えていらっしゃると思います。貸与制が実際に始まる前から既に、三千人合格が不可能だというのが明らかな状況でしたね、田所副大臣。

 平成十六年の司法試験合格者数は千四百八十三人で、司法修習期間は一年半です。他方、貸与制が導入された平成二十三年の合格者数は二千六十三人で、司法修習は一年に短縮されています。

 前者の給費額と後者の給費の必要額ですね。前回は給費額ですから。今回は給費の必要額という意味です。にもかかわらず、そのとき、現状認識と将来像の評価を怠って、貸与制度を導入した。結果、法曹志願者は激減し、本当に歯止めがかかっていません。

 国の財政負担が増えるという理由は、この今のお話、数字上のことを申し上げると、もう田所副大臣はお分かりだと思いますが、既に当時全く説得力がなかったんですよね。だって、一年半を一年にして、掛け算すれば分かるじゃないですか。この点、副大臣はどのような御認識をされていますか。

田所副大臣 お答えいたします。

 給費制から貸与制への移行は、司法制度改革の一環として行われたものであります。司法制度改革を実現するためにかなりの財政負担を伴うことを前提に法案が提出をされました。そういう中で、国会で審議をされまして、できたということでございます。

 また、貸与制への移行に当たっては、公務員でもなく、公務に従事しない者に給与を支給することは現行法上異例の制度であるということなども考慮されたわけでございます。

 貸与制が開始された平成二十三年当時においても、司法制度改革に伴う財政負担が増加していたという状況に変わりはありませんので、貸与制への移行は合理的であったというふうに考えているわけでございます。

吉田(統)委員 それは全体的なパッケージの問題であって、私が申し上げているのはそういう問題じゃないんですよね。

 じゃ、何でまた今度給費制、額は不足ですけれども、復活させたのか。それと矛盾しますね、副大臣の御答弁は。完全に矛盾をしてしまいます。だから、それは詭弁ですよ。やはり、既にそれは意味がないことは分かっていたのに、もう既に決まってしまっていたからやってしまったというのが実際のところなんだと思います。ですから、それは改めればいいんだと思いますよ、副大臣。おっしゃっていることは、副大臣のお立場では分かりますが、全く矛盾しちゃっていますし、議論にならないですよ。だって、前提が崩れているという話を私がした上での御答弁ですから、それではいけないんですが。

 じゃ、次に行きます。

 前回の答弁で、給費制を維持することについては国民の理解を得ることが難しいということで貸与制が採用されたとおっしゃっています。しかし、誰がどれだけの数の国民に司法修習生の給費制の維持について話をして、意見を聞いたのか。司法制度改革検討時、パブリックコメントは実施したのか、しなかったのか。したかしなかったかだけお答えください。

田所副大臣 平成十六年当時のいわゆるパブリックコメントの手続につきましては、規制の設定又は改廃に係る意見提出手続の閣議決定に基づき実施されていたところ、国会において審議を経る法律案は当手続の対象ではありませんので、ないというふうに明記されておりますので、パブリックコメントは行っておりません。

吉田(統)委員 したかしなかったかだけで結構です、大事なことを聞いていきたいので。

 一律給付等の事後的救済措置について伺ったときにも、国民の理解が得られないと聞きましたが、この点も国民の皆様に何か聞いたことがあるのか。聞いたか聞いていないのかだけお答えください。

田所副大臣 平成二十三年五月に、法曹の養成に関するフォーラムが開催されまして、裁判所法改正においても、法曹関係者等も加わった検討会及び国会で十分な議論を経た上で貸与制が導入されたということでございます。

吉田(統)委員 聞いたか聞いていないかだけ答えてくださいと言っているんです。議論になりませんのでお願いします。役所の方は本当にお願いしますね。

 ビギナーズ・ネットの調査では、多くの国民は、司法修習生そのもの、そのことすら何か、そもそも知らないことが多いと。司法修習と貸与制についてそういった方が説明すると、司法試験に受かった人の研修が無給はおかしい、平日フルタイム拘束で借金で生活はひどい、自分の子が法曹になることにちゅうちょする等、貸与制に批判的で給費制に好意的な意見が多いと聞いています。

 二〇一二年に設置された法曹養成制度検討会議が二〇一三年に取りまとめた法曹養成制度検討会議中間取りまとめに対するパブコメでも、その大多数が、一部給費制を求めるものも含めて、給費制の復活を求めるものだったと議事録に記載がありますね。

 貸与制の影響で活動が制限されている谷間世代の法曹人材がいるという現状があります。しかし、コロナ禍で法曹の支援を必要とする国民も多数おります。国がきちんと国民の皆様の利益に資するという説明をすれば十分理解が得られると思うんですが、副大臣、いかがですか。

田所副大臣 先ほどの中間取りまとめにつきましては、委員御指摘のとおりでございます。

 もっとも、給費を行ってもらいたいということと、従前の貸与制下で司法修習を終えたいわゆる谷間世代に対して事後的に金銭給付をするなどの救済措置を講ずるべきかどうかはまた別の次元のものであるというふうに考えております。

 既に修習を終えている者に対して国による相当の財政負担を伴う事後的な救済措置を実施することは困難であるというふうに考えているわけでございます。

吉田(統)委員 副大臣にもう何かそんな御答弁をしていただくのはちょっと気の毒な気もします。本音は多分違うんじゃないかと思います。

 最後に、もう時間がないので、まとめながら質問していきます。

 前回触れた名古屋高裁の判決の付言で、もう一度これを読みます、副大臣、覚えていらっしゃると思いますが。谷間世代の者に対しても一律に何かの給付をするなどの事後的救済措置を行うことは、立法政策として十分考慮に値するとしていますね。

 この高等裁判所の判決の後、事後的救済措置としての一律給付等について、政府としては何か検討だけでもされたことはあるんでしょうか、それとも検討すらしていないのか、それだけ最後に確認させてください。

田所副大臣 今述べられましたものにつきましては、主文ではなく付言として出されたものでありまして、その判決については、給費制は憲法上保障された制度ではなく、給費を受ける権利が憲法上保障されていると解することはできないということで、救済措置を講じなかったという立法不作為が、憲法に違反するとか、国家賠償法上の違法性を帯びるとかいうことができるものではないと判示して、結論として国の主張を認めておりますので、御指摘の判決のとおり、これに応えるかどうかは、どうぞ、立法府の政策判断であるというふうに考えているわけでございます。

吉田(統)委員 じゃ、行政府としては、この付言、もうまとめて終わります、付言を無視するということに、今の副大臣のお答えだと聞こえます。

 立法政策というのは、別に立法府だけじゃありませんよ。立法政策をせよと裁判所が言っているのは、これは行政そして立法、立法府そして行政府、両方に言っているんだと思いますよ。

 もう終わりますが、この付言を無視したと副大臣がこの場でおっしゃってしまったのは大変に大きな問題だと指摘をして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田俊和でございます。

 小此木大臣、よろしくお願いいたします。

 私の方からは、主に三つの分野についてお伺いをしていきたいなと思っております。まず一つ目が、インターネットの取引の関係。それから、税関での対応、財務の方から船橋政務官にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。それからあと、猟銃を使った鳥獣の駆除の関係で、農業被害との関係で、池田政務官、農水の方からもお越しいただいております。よろしくお願いをいたします。

 まず、私、今回銃刀法の改正案を取り扱うに当たって、私の選挙区でいろいろと調べてみたら、銃砲店が唯一、私の住まいは熊谷というところなんですけれども、そのお隣の行田市というところに相原さんというお宅がありまして、保護司なんかをおかみさんがされていたので、私もいろいろと今までもおつき合いをさせていただいておったんですが、お話を聞きました。今は娘さんの御主人が後を継がれて、今、お仕事自体は、銃砲店自体はされていらっしゃるんですけれども、クロスボウの話をしたら、危ないから余りうちじゃ扱っていないんだよねというお話をしました。かつては扱っていたこともあったけれども、余り扱っていないんだよねという、そんな話をされていたんです。

 いろいろと先ほどの先生方のお話にも出てきましたけれども、クロスボウについては、主な取引というのはインターネット上で行われることが多いよというお話がありましたので、ちょっとその辺りとの関係で、まずは、拳銃等のインターネットの取引について、今の状況はどういうことになっているのか、教えていただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 インターネットのオークションサイトや掲示板等を端緒といたしました拳銃の押収丁数につきましては、令和元年は五十四丁、令和二年は四十一丁となっております。

 例えば、警察におきましては、銃器や薬物の違法な取引等を把握するため、サイバーパトロールを行っているところでございますけれども、これによりましてオークションサイトに出品されていた拳銃を発見し、当該拳銃を押収の上、関係被疑者を検挙したといったような事例がございます。

森田委員 ありがとうございます。

 令和元年度で五十四件、二年で四十一件、そんなお話がございました。

 それで、大きく違うのは、拳銃ですと武器で、取引そのもの、所持そのものが禁止をされているということですけれども、クロスボウについては許可を取れば所持ができるということの大きな違いがあるかなと思います。

 先ほどもいろいろと、かなりインターネット上で取引がされているという話がございましたけれども、この改正案が通った後、クロスボウの規制を行っていくに当たって、そのインターネット上の取引をどのように規制をしていくのかな、摘発をしていくのかなという辺りで、今の段階で課題として考えられる点を教えていただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 国内におけるクロスボウの販売につきましては、主にインターネットを通じて行われているため、適正な使用を期待できない者の手に渡らないようにしてクロスボウによる危害を防止するためには、インターネット上の違法な取引を防止することが重要であると認識しております。

 改正法におきましては、クロスボウを譲り渡す場合には、相手方からその所持許可証の提示を受けた場合でなければクロスボウを譲り渡してはならないとされておりまして、その具体的な方法は内閣府令で定めることとしておりますけれども、これはインターネット上の取引にも適用されるものでございます。

 この内閣府令におきましては、現行の銃砲のインターネット販売時の手続と同様、適法に所持できる者以外の者に譲り渡されることを防止するため、販売者は、クロスボウを購入しようとする者の所持許可証の原本を確認した上で配送し、引渡時には、運送事業者に運転免許証等による本人確認を確実に行わせなければならないとすることを予定しております。

 インターネット上の違法な取引を防止するためには、警察による取締りのほか、関係方面とも協力した対策が必要と認識しておりまして、今後、インターネットオークションやフリーマーケットアプリの運営事業者に対しまして、クロスボウが銃刀法の規制対象になったことを説明の上、出品の禁止について協力を働きかける、サイバーパトロール等を通じまして、インターネット上で違法な取引が行われていないか状況把握を行うなどいたしまして、インターネット上の違法な取引の防止に努めてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 まずは購入をするときそのもので所持許可証の原本を販売の事業者が確認しなければいけないということと、それから配送するとき、玄関先で受渡しをするときに、これは免許証等の本人確認というようなお話でございました。

 法律の入れ替わりのところを考えますと、その辺のやり取りが適切に行われるかどうか、この辺のところはかなりの気を遣って見ていかないと、いや、そんなことを知らなかったというわけでは、いろいろな事業者の方がいらっしゃると思いますので、その辺りのところを是非注意をしていただきたいなというふうに思っております。

 続いて、税関の対応についてということでお伺いしていきたいなと思っております。

 税関の対応ということで、今回、銃刀法の改正、まあ今回だけじゃないですけれども、規制の対象になっているものが、輸入をするときに制限がかかっているということでございまして、これをどうやって食い止めていくか、適切に管理をしていくかということになっているんだろうと思います。

 私も、昨年の三月に財金の委員会にいたときに、関税法の改正があった関係でいろいろと、あの頃はまだ、ダイヤモンド・プリンセスが港に着いて、これからコロナウイルスの関係が何か大変になりそうだなというぐらいの二月末とか三月ぐらいだったと思うんですけれども、ちょうど羽田空港の税関の現場を見せていただいて、いろいろと皆様が、税関の職員さんが大きな機材なんかを使って、エックス線のことであったりだとか、あるいは金属探知機であったりだとか、そういった機器を駆使するということと、あとは職業的なプロとしての勘を働かせながら、ちょっとこの人は怪しいなとかという人は止めながら見ていくとか、そういったお話を伺って、本当に、当時というか去年の段階でも、もう既にコロナウイルスの関係のことが入ってきておりましたので、そういった元々の業務に加えて、今度はコロナウイルスの対応をどうやってやっていくかという辺りの状況の中で私は見せていただいたんです。

 いずれにしても、そうやって日々いろいろな方が通る中で、いろいろな貨物が通っていく中で、神経をすり減らして現場の職員さんたちが頑張っておられるなというのをそのとき見せていただいて、本当に頑張っておられるなということで、敬意と感謝の気持ちを持ったということをよく覚えております。

 空港はそうやってかなりの体制で見られるというふうに思っておりますけれども、もちろん、出発する空港から厳重な警戒の中でいろいろな検査をやっていかなければいけないので、なかなか空港をくぐり抜けてというのは難しいと思うんですが、やはり日本列島は全域が、どこでも海岸線が国境線になっておりまして、もちろん主要な港においては、例えばコンテナを丸ごとエックス線の大型の検査機の中に通して、中を透視して違法なものがないかとかというのをチェックしていただいているんだと思いますし、お客さんで、客船で入ってくるような方は同じようにやっていると思うんですけれども、やはり、やろうと思えば、小さな漁港みたいなところであったりだとか、あるいは、瀬取りであればもうどこでも、別に港がなくても船同士が示し合わせればできちゃうわけで、そういったことも含めて考えると、非常にいろいろな困難が予想されるわけなんです。

 まずは、先ほどと同じように、拳銃等の摘発の状況について、税関での状況について教えていただければと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 税関によります拳銃等の摘発実績でございますけれども、過去五年におきましては、摘発件数は二十二件、押収量は三十六丁となっておりまして、また、直近の令和二年におきましては、摘発件数は三件、押収量は三丁となっております。

 なお、密輸の形態といたしましては、海上貨物や国際郵便物によるものが多く、令和二年の摘発につきましては、全て海上貨物によるものであったと承知をしております。

森田委員 ありがとうございます。

 令和二年の数字でいうと三件、三丁というお話がございました。かなり少ない数字だと思いますが。

 今回の対象になっておりますクロスボウですけれども、これは、先ほどのインターネットの取引と同じように、持てる方は持てる、許可を取った上で所持はできるということになるんですが、拳銃の扱いとは違うと思いますが、このクロスボウの密輸だとか不適切な持込みを防ぐに当たっての現状考えられる課題というのはどういうふうに捉えていらっしゃるでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 まず、現行の銃刀法におきまして所持等が禁止されている銃砲刀剣類が輸入される際には、輸入しようとする者が銃刀法の規定に基づき適法に所持することができる者であることを確認の上、輸入を許可することとしております。また、これが確認できない場合は輸入を許可しないとなってございます。

 また、不正に銃砲刀剣類が輸入されることがないよう、国内外の関係機関から得た情報やエックス線検査装置等の最新の取締り検査機器などを活用しつつ、関係機関とも連携することで、厳格な取締りに努めているところでございます。

 銃刀法の改正が行われまして、クロスボウについて所持の禁止と所持の許可制が導入された場合には、銃砲刀剣類と同様に、銃刀法の規定に基づき適法に所持することができる者であるかどうかを確認し、適法に所持することができる者であることが確認できない場合には輸入を許可しないということになります。

 また、取締りに当たりましても、銃砲刀剣類と同様に、国内外の関係機関から得た情報、エックス線検査装置等の最新の取締り検査機器などを活用しつつ、警察等の関係機関とも連携の上、厳格な水際取締りに万全を期してまいりたいと考えてございます。

森田委員 ありがとうございます。

 先ほどのインターネットの話も同様なことだと思うんですけれども、やはり海外の事業者とのやり取りというのが出てきますと、本当に、日本の法律に精通している人がいるのかいないのかということも含めて、かなりの注意が必要かなと思っておりますので、是非、その辺りの対応もしっかりしていただきたいなと思っております。

 それで、船橋政務官に伺いたいと思っておりますが、今、こういった新型コロナウイルスの状況の中なので、海外とのやり取りというのも非常に制限された状況でございますけれども、一旦これが取り払われた、この制約がなくなった状況になれば、またインバウンドの、海外からの、いろいろな国からのお客様、あるいはお客様だとは余り思えないような方も含めて、いろいろな人の流れが出てくるだろうということが予想されます。

 今年はオリンピック・パラリンピックの開催ということもありますし、海外からのお客様は制限をするということがありながらも、オリンピックの関係者だとか選手団の関係者、マスコミの関係者、いろいろな方が出入りをするという中で、水際の対策というものをきちんとやっていくというのは相当やはり骨の折れる作業なんだろうというふうに思っております。

 といったことで、人の確保であったりだとか、あるいは、いろいろなあの手この手を使ってよくない所持をやろうとするような人に対しての抑止力もあると思いますし、いろいろな機材にも相当なお金がかかると思いますけれども、この辺りの対策というものをしっかりとやっていきたいというふうに考えておるんですけれども、財務省として、是非、その辺りの御決意を含めて、今後の方向性をお聞かせいただきたいなと思っております。

船橋大臣政務官 森田委員におかれましては、税関業務に対しまして関心をお持ちをいただくのと同時に、先ほどお話を伺っておりますと、現場にも足をお運びをいただきまして、税関業務全体に御理解をいただいておりますことに感謝を申し上げる次第であります。

 その上でお答えいたしますが、税関におきましては、今ほど委員のお話にもございましたとおり、このコロナ禍におきましては特に個人輸入なども急増いたしておりまして、それが航空貨物などの輸入申告件数の急増にもつながってございます。また、覚醒剤などの不正薬物押収量、これも増えている傾向であります。さらには、国際的なテロの高まりというものもございますし、金地金の密輸入、これは非常に巧妙化している。こうした多くの課題に私どもは直面をいたしております。

 これらの課題に対応するために、税関の定員におきましては、令和三年度予算におきまして七年連続で三桁の純増とさせていただきました。これで、この七年間でおよそ一千名以上、定員の増加というものを図らせていただいております。また、取締り検査機器の整備に関しましては、総額一千一億円の予算を計上させていただきまして、現行の配備機器の更新のほか、エックス線検査装置、不正薬物・爆発物探知装置、TDSと言われるものでございます、それから、AIを活用したエックス線検査画像審査支援機能などを追加整備させていただくこととしてございます。

 今後とも、水際取締りを着実に進めていくため、国内外の関係機関との連携や情報を基にした、密輸リスクに応じためり張りある検査等の一層の充実を図らせていただきながら、必要な体制整備に努めてまいりたいと存じます。

森田委員 ありがとうございました。

 今お話にもありましたとおり、オンラインの取引の増加もあって、貨物が相当増加をしているということもございました。現場の職員さんに過度な負担がかかり過ぎることのないよう、そのお気持ちにも是非お応えいただきながら、適切な業務に努めていただきたいというふうに考えております。

 大臣にお伺いしたいと思いますけれども、今いろいろと、海外の事業者を含めたインターネットのことであったり、それを不適切な取引で持ち込もうとしたり所持しようとしたり、こういうよからぬ方たちも出てくるということも大いに予想されるわけでございまして、こういったことを踏まえて、いろいろな摘発、取締り等をより適切に行っていくためにどのような御決意で臨まれるかということでお伺いできればなというふうに考えております。大臣、よろしくお願いします。

小此木国務大臣 銃砲等に対する厳正な規制は我が国の治安の根幹を支えるものである、これはもう基本的な認識であります。

 警察において、拳銃等の密輸あるいは違法取引等の検挙に重点を置いた取締りをまさに推進をしていかなきゃならないということ、税関等の関係機関とも連携して密輸の防止を図っておりますところでありますが、今回の銃刀法改正で新たに規制されるクロスボウについても、改正法や関税法を適切に運用して、税関等の関係機関と緊密に連携を図りながら取締りを行ってまいりたいと思っております。

 なお、この改正をさせていただいて、一刻も早く周知を図って、更に取締りの強化に努めてまいりたいと存じます。

森田委員 是非、国民の皆様の安心、安全のために、引き続きの努力を重ねていただけるとありがたいなと思っております。

 それから、先ほど申し上げましたが、農業被害との関係でお尋ねをしていきたいなというふうに思っております。

 うちの近所は二毛作の地帯でございまして、冬場は小麦を作って、そろそろ小麦を刈って、今度は六月の中下旬ぐらいに田植をしてという今のところは流れになる、ちょうどそういう時期なんですけれども、私は自転車で行き来したりすることがあるんですけれども、そうすると、あぜにカラスがばあっと並んでいて、バリバリバリバリ、音を立てながら、刈取りを待っている小麦を食べているような様子をここのところも何回か見ておりまして、もちろん、野菜の苗なんかを植えれば、柔らかい芽を、葉っぱを食べたりなんというのは日常茶飯事でございます。うちの方なんかは、埼玉県の北部ですけれども、山間部ではないので、利根川と荒川に挟まれた平地なものですから、イノシシだとか鹿だとかというのは余り出てこないんですけれども、そういった、鳥が非常に悪さをするということもございます。

 そういうことも含めて、鳥獣を含めた農業被害でありますけれども、この鳥獣の駆除、捕獲を進めるに当たって、銃による捕獲の位置づけというものをどのように捉えていらっしゃるか、御説明いただきたいと思います。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 鳥獣対策において、銃は主要な捕獲方法でございまして、捕獲のまさに基幹として重要な位置づけにあるというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございます。主要な手段であるということでお伺いさせていただきました。

 私が、自分の地域の中の四市、まあ一部あるので正確に言うと五市なんですけれども、四市の農業被害の関係で鳥獣の駆除のことをお伺いして調べて、二市、熊谷と羽生については、猟友会の方と連携をした中で駆除を進めているというようなお話がございました。

 例えば熊谷ですと、二月、三月あたりに、百八十七羽と百七十九羽で合計三百六十六羽、二月、三月で捕獲をしましたと。羽生であれば、この前、四月、五月で百三十二羽捕獲したと。これは、主にはカラスだとかハトだとか、こういうことになるらしいですけれども。

 非常に今、猟友会の会員さんが減っているということでございまして、先ほど申し上げた相原さんという銃砲店のおかみさんに聞いたら、一時期のいいときに比べれば売上げが十分の一ぐらいになっちゃったんだよね、コロナウイルスの対策どころじゃないんだよという話を聞いて、そんなものなのかなというふうに驚いたんですけれども、確かに、会員数の減少のことを聞いたら、やはり会員さんが大体十分の一ぐらいになっていまして、熊谷ですと今六十八名、羽生ですと二十三名。そのうち駆除に参加をされている方が、熊谷ですと四十名、羽生ですと六名で、鳥獣の駆除、まあ、うちの方は獣はないので、鳥の駆除に参加をされているということでした。

 何でやっているかといえば、農業をされていらっしゃる方から、もうとにかく被害がすごいので何とかしてもらいたいという悲痛な叫びに応えてのそういった駆除の取組なんですけれども、例えば、熊谷市ですと五十七万八千円という予算を使っているということなんですけれども、これがほとんど弾代で消えてしまう。あと、若干、届けを出さなくちゃいけないので、そういう手数料なんかは、市が代行してやっているので、その手続の手数料は負担していますという話だったんですけれども、この五十七万八千円という金額で、それに使う弾を出してもう終わりで、どういうことかというと、いわゆる手間代みたいなものが全く出ていないということでした。これは羽生も同じで、そんなお話をされていらっしゃいました。

 こういうふうに、いろいろ難しい状況が猟友会さんのことにあるわけなんですけれども、恐らく、うちの地区ではそういう状況だったんですけれども、いろいろな地域でやはりそういう状況って出ているんじゃないかなと思っておりまして、この猟友会の会員さんが減少していることの影響を農水省の方でどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思っております。お願いします。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、銃の免許を所持している方々は、全国的に見ても減少傾向にございます。

 鳥獣被害対策の推進のためには、猟友会の皆様を始めとする銃による捕獲の担い手をしっかり確保することが重要であるというふうに認識しております。

 昨日、衆議院の本会議で鳥獣被害対策特別措置法の改正案が可決いたしましたが、その中でも人材の育成の充実強化ということを盛り込まれているというふうに承知をしております。

 私ども農水省といたしましても、その趣旨をよく踏まえながら、猟友会の皆様とも十分連携して人材育成対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森田委員 これは、さっきの取引の話と有効活用の話と、ちょっと相矛盾するようなところもあるので、非常に難しい点もあろうかなと思うんですけれども。

 池田政務官にお伺いをしたいと思うんですが、私がいろいろと猟友会の方からお話を聞いていると、これは、いろいろな凶悪犯罪に銃が使われているというような経緯がありますので当然そうなると思うんですが、非常に手続が複雑というか、平たく言えば面倒だというような状況があるということで、それは別に、いろいろな今までの事件だとか社会の背景がありますので、それ自体を否定するものではないんですが。

 例えば何が面倒かというと、まず所持許可証ですね。さっきは、取引のときにはそれがないと駄目ですよ、原本がないと駄目ですよというお話がありましたけれども、まず所持許可証。あとは、県のやり取りで、狩猟免許、これは三年に一回更新をしなければいけない。それから、銃そのものの登録、これはやはり三年ごとに更新をする。

 熊谷ですと、ちょうど今、熊谷署に皆さんが銃を持ってこられて、一斉に毎年定期的な検査をするらしいんですが、そういう時期になっているということで、最近というか今年はコロナウイルスの関係もあるので、出張サービスで署から係の方が来ていただいて、銃を複数持っている方なんかのところには検査は出向いてやっていただいたりしているらしいんですけれども。

 そういった所持許可証であったり狩猟免許であったり、さらに、銃の登録をするときに、猟銃だとか鳥獣駆除用の登録というものをするためには、今度、市の方で、この方は鳥獣駆除をやりますというところの届けというか指定の紙がないと、登録の項目に駆除用の文言が入ってこない、そういうこともあるらしいので。

 いずれにしても、役所との行き来、役所というのは、市役所との行き来だとか県との行き来だとか、それから当然警察署との行き来だとか、こういったものが非常に手間暇がかかるということで、もう年を取ったから、俺は面倒くさいからいいやといって手放す人もいるし、そもそも若い人が全然入ってこないということがある。

 私も、どこの団体もそうなんですけれども、お年寄りが増えちゃってなんというぼやきを聞くことがあって、じゃ、何で皆さんが若い頃はそんなに猟友会の会員さんって多かったんですかと言ったら、やはり、おやじがやっていたとか、ふだんからそういう風景を目にしていて、鳥を撃ったりなんだりしているというところを目にしていたので、大きくなったらそういうことをやりたいなというふうに接していた面もあったらしいんですけれども、今、みんな勤めをしていますし、そういうふうに地元で農業をやっていたり商売をやっていたりという方も少ないので、なかなか、いろいろな意味で難しいんだろうということもおっしゃっておりました。

 ということもいろいろあって、せめていろいろ御貢献をしていただいている方には幾らかの手間でも渡るように、聞くところによると、鹿だとかイノシシを撃てばそれなりのものが出るという話も聞いておりますけれども、是非、鳥の方についても積極的にお考えいただきたいと思うんですが、政務官、お考えをお聞かせいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

池田大臣政務官 御指摘のように、野生鳥獣によります農作物被害を低減するために、銃による駆除を適切に進めることは重要な取組であるというふうに考えております。

 このため、地域の有害捕獲活動に従事する者に対しましては、負担を軽減するために、鳥獣被害防止特措法に基づいて、狩猟税の減免、あるいは猟銃所持許可の更新時における技能講習の免除等の措置が講じられているところでございます。

 また、先ほど御質問の中にありましたが、鳥に関しても、捕獲活動に係る経費の支援に当たりましては、一羽当たりの経費、これはイノシシ、鹿に比べてちょっと少ないんでございますが、経費の支援、そしてまた、市町村が一斉捕獲を実施部隊へ委託する際の賃金も支援が可能というふうになっております。

 どちらにいたしましても、被害対策が進むように、現場の御要望もお伺いしながら、しっかりと支援をしてまいります。

森田委員 適切な使用をしながら、そういった後継者の方の育成もできるように、是非お考えをいただきたいなというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 本日審議にかかっておりますこの銃刀法というのは、アメリカなどで大量殺人事件とか銃の乱射事件とかというのを時々見ますと、日本は何ていい国だということを支えている大切な法案だということを改めて認識をさせていただいて、質疑に入りたいと思います。

 まず、小此木委員長にお伺いさせていただきたいと思いますが、日本ではクロスボウの製造事業者はほとんどいないということで、ほとんど輸入だということですが、個人でクロスボウを輸入する場合に、手続としてはどういう手続になってくるんでしょうか。まず所持許可証を先に各都道府県の公安委員会で取って、個人が輸入する場合は税関まで行ってその許可証を見せながら受け取るとか、何かそんな手続になるようなお話を伺っておりますが、これを正確に、委員長、流れを説明いただけますでしょうか。

小此木国務大臣 個人による海外からの輸入について、改正法の施行後、クロスボウを輸入しようとする者は、関税法により、税関に対して輸入申告を行う際、所持許可証等、クロスボウを適法に所持することができる者であることを証明する書類を提示しなければならず、こうしたものを提示しなければ輸入が許可されないこととなります。輸入申告に際しては、輸入申告書に所持許可証が添付され、税関において輸入申告書と所持許可証の名義人が同一であることを確認の上、輸入が許可されることとなります。

 なお、今述べたとおり、クロスボウの所持許可を受けた者は、税関に対し、自分の所持許可証を添付の上、輸入許可を受けることから、保税地域での受取時には、改めて運転免許証等による本人確認は行われていないということでございます。

後藤(祐)委員 つまり、買う人本人が税関まで行って、直接、本人確認をそこでするということですね。

小此木国務大臣 そういうことでございます。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 もう一つのケースが、輸入代理店的なところが輸入をして、その輸入代理店が個人に何らかの形で運送をしてというようなケースもあると思うんですが、この場合の流れを御説明いただけますか。

 これは小田部局長で結構です。運送事業者がどう確認するのかといったところも含めて、正確にお願いします。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 まず、輸入代理店が国内でクロスボウを販売するためには、都道府県公安委員会にクロスボウの販売に係る届出書を提出することによりまして、販売目的の所持が可能となります。

 次に、輸入代理店がクロスボウを輸入するに当たっては、関税法によりまして、税関に対して、クロスボウを適法に所持することができる者であることを証明する書類として、クロスボウの販売に係る都道府県公安委員会に届け出た届出書に当該都道府県公安委員会が届出を受理した旨を記載したもの、これを提示することによりまして、輸入の許可を得ることとなります。

 続きまして、輸入代理店が海外から輸入したクロスボウを国内で販売するに当たっては、改正法によりまして、購入者から、その者の所持許可証の提示を受けた場合でなければ譲り渡してはならないこととされておりまして、その具体的な方法は内閣府令で定めることとしておるところでございますけれども、内閣府令で定める予定の内容に即しまして具体的な流れの例を挙げますれば、まず、輸入代理店がクロスボウの購入者を募りまして、続きまして、購入しようとする者は、当該クロスボウを所持するため、都道府県公安委員会から所持許可を受けて所持許可証の交付を受けます。購入しようとする者は、輸入代理店に対して所持許可証の原本を送りまして、輸入代理店はこれを確認した後、運送事業者に委託いたしまして、所持許可証とともに当該クロスボウを配送いたします。輸入代理店は、運送事業者が購入者に引き渡す際に運転免許証等による本人確認を行わせる、こういった流れが想定されるということでございます。

後藤(祐)委員 非常に正確にお答えいただきました。かなり確実な本人確認をしていただくということだと思います。

 不法所持に当たってしまう場合というのがあり得るんですね。四月十五日の参議院の内閣委員会で、例えば、親が所持をしていたけれども、亡くなって、押し入れを開けてみたらありました、で、その所有権は子供に移っていますとか、いろいろなケースがあり得ると思うんですけれども、所持の認識がない場合には不法所持に当たらないこともあり得るという答弁を参議院内閣委員会でされているんですけれども、これは、過失の場合というか、知らなかったという場合は、あり得るだと困るんですよね。

 本当は所持の認識があるのに所持の認識がないふりをしていたとかいうのは駄目だと思うんですよ、もちろん。ですが、相続をして、所有権は実はあるんだけれども、奥の方を見てみたら発見されましたみたいな場合に不法所持で有罪になるというのは、ちょっとひどいわけでありまして、真に所持の認識がない場合には不法所持の構成要件に該当しないということを明確にしていただけますでしょうか。

小此木国務大臣 銃刀法に言う所持に当たるためには、物を自己の支配し得べき状態に置くという外形的要素に加えて、所持の認識という内面的要素がなければならない、こう解されます。

 不法所持罪が成立するか否かについては、個別具体的な事実関係に即して判断されるものでありますが、所持の認識がないことが本当である、真実である場合には、不法所持罪は成立しないものと解されます。

後藤(祐)委員 明確にありがとうございます。

 やはり構成要件の一つとして所持の認識が必要だということで、その所持の認識があるかないかということは個別事案ごとに裁判で判断されるということでいいと思うんですけれども、今明確な答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 それと、この法律の施行日までの間に、既にクロスボウを所持されてしまっている方、されてしまっているというか、所持していても何の問題もないんですが、何らかの対応をしなきゃいけないわけですね。るる答弁がありましたけれども、しっかり周知を図ってまいりますという答弁は何度もされているんですが、どうやって具体的に周知するんでしょうか。

 特に、先ほど来の答弁の中で、千数百本販売している業者さんがいらっしゃるとかいう話がありましたけれども、こういう具体的に販売している業者さんなんかは、それを持っていらっしゃる方が誰であるか知っていたりすると思うんですよね。さっきもちょっとネットで見ていたら、会員制度を取っているような業者さんもあるみたいですし。こういった業者さんに、既に販売しているところは分かっているでしょうから、それを公安委員会側に教えろとはなかなか言えないにしても、その業者さんに、販売した先に対しては、何年何月何日からこういうことになるから、それまでにこういう措置が必要だということを伝えてくれというお願いをすることが最大の周知の方法だと思うんですが、こういったことも含めて、頑張りますではなくて、具体的にどう周知していくのか、御説明ください。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 まず、改正法につきましては、国民の皆様方への十分な周知等に要する期間として、公布の日から起算して九月を超えない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。

 その上で、改正法の施行時に現にクロスボウを所持している方につきましては、施行日から六か月間の経過期間は例外的に所持を認めて、その間に、所持許可を申請するか、適法に所持することができる方に譲り渡すか、廃棄するかの措置を取っていただくこととしております。

 具体的には、改正法が可決、成立されますれば、警察におきましては、公布後速やかに、広く国民に対しまして、ホームページやSNS、ポスター等により、今回の改正内容等を周知することに加えまして、御指摘のように、販売事業者の方に対しましても、改正法の周知についての協力とともに、以前にクロスボウを販売した方等に対しまして、施行日から六か月間の経過措置期間に許可の申請や廃棄等の措置が必要となることを周知していただくように、協力を依頼することにつきまして取り組んでまいりたいと考えてございます。

 クロスボウの廃棄に当たっては、警察に持ち込んでいただければ無償で廃棄を行うといった予定もございます。この点も周知してまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 ちょっと最後の、前半は要らないから、後半の大事なところで、実際に売った具体的な名前が分かっている人に対して、その販売事業者から、こうなりますよということを伝えていただくようお願いするんですか、それとも、広くホームページに書くというだけですか。多分、前者の御答弁だったと思うんですが。

小田部政府参考人 お答えします。

 前者の趣旨でございます。

後藤(祐)委員 そこがやはり一番大事な周知だと思いますので、徹底いただければと思います。

 さっき、クロスボウを売っているホームページ、いろいろなのを見たら、やがてこういう法案が出るようですよと書いてあるページもありますが、ほとんどのところは書いていません。ただいま人気により売り切れておりますみたいなことが書いてあるようなページもあったりして、是非うまく周知いただきたいと思います。

 それと、このクロスボウがこれまでの拳銃、猟銃などと一番違うところは、発射できる場所についての規定なんですね。

 猟銃なんかでいうと、狩猟だとか有害鳥獣駆除の場合、あと、競技だとか博覧会の場合、四条で規定されている件ですね。あと、射撃場で撃つ場合。例外的ないろいろなのはあるんですけれども、基本的には、動物を撃つためか、射撃場で撃つ場合、競技と限定されていて、自分の裏庭が広いから、そこで試しに撃ってみるかというのは、銃はできないわけです。

 ところが、クロスボウは、ここは新しい規定を置いておりまして、十条二項の二号の二というところで、危害予防上必要な措置がとられている場所として内閣府令で定めるものにおいては射撃することができます。

 この条件を満たす場合は、例えば、非常に広いような、山一個持っているような人だったら、その中で撃つとか、もしかしたらできるかもしれないんですね。ここの部分が今回すごく新しい部分なんです。クロスボウゆえにできた規定なんですが。

 なので、内閣府令へ丸投げというのは、ちょっとこれは質疑で確認をさせていただきたいと思います。

 これは既に事務方からも御説明をいただいているんですが、二つあると思うんですね。

 一つは、実際クロスボウがどのぐらいの距離まで届くかとか、その距離以上空いていればいいんじゃないかとか、あるいはそれ以上の距離がなくても、何らか頑丈なもので囲まれているような形になって外に飛んでいかないようなとか、そういうような構造的な基準というのが一つあると思うんです。

 もう一つは、大学の部活ですとか、実際、競技の練習をされている方なんかが現実に練習している場所というのがあるわけですよね。余り厳しい規制にしちゃうと、現実に練習している場所が練習できなくなっちゃうということは配慮してさしあげる必要があると思うんですね。

 なので、一般則としては、相当厳しいというか、相当広いとか相当頑丈なとかいう物理的な基準が必要だと思うんですが、練習する場合とか競技の団体の場合とかというのは、そういう場合はこういうのでいいですよとか、そのぐらいのイメージを内閣府令でどう定めるのかということについて、御説明いただきたいと思います。

小此木国務大臣 お尋ねの標的射撃の発射場所に関する内閣府令を定めるに当たっては、クロスボウの標的射撃の実態を踏まえつつ、クロスボウの標的射撃に伴い、人の生命、身体、財産に危害を及ぼすことのないよう、基準を定める必要があると存じます。

 具体的には、正当な権限に基づき、一定の範囲内につき第三者の立入りが禁止される場所等を定めることを想定していますが、この場合の一定の範囲については、暴発等があっても第三者に危害を及ぼすことのないよう、クロスボウの矢の最大到達距離等を考慮して、その具体的な内容を検討してまいりたいと存じます。

 他方で、クロスボウの競技団体や大学の射撃部の活動等においては、関係団体によれば、指導者が取扱いに係る指導に当たることとした上、場所は弓道場の設備を使用するなどしており、これまでクロスボウ射撃競技の練習、試合中の事故は発生していないということであります。

 そのため、この場合の一定の範囲の具体的内容については、例えば、改正法第九条の三の二に規定するクロスボウ射撃指導員が指導に当たっているか否かを考慮したものとすることを検討してまいりたいと存じます。

 以上のような検討に当たっては、実情をよく知るクロスボウ関係団体からもその知見を聞くこととしており、健全に射撃競技を行っている大学での部活動等に支障を生じさせることがないように配慮しつつ、クロスボウによる被害予防上の問題が生じることのないようにしてまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 明確にありがとうございました。

 この内閣府令は、こういう競技団体なんかの場合とそれ以外で分けて書くということだと思いますので、両方に配慮した内閣府令を定めていただきたいと思います。

 続きまして、今回の法改正そのものではないんですが、銃刀法に関わる話、幾つか私の地元でもお伺いしておりますので、国家公安委員長に伺いたいと思います。

 まずは、弾丸の譲受け許可証というものを所轄の警察署で取得しないと弾が買えないわけですけれども、東京都では即日に発行されるらしいんですね。ところが、神奈川県だと即日発行されないんですね。というように、運用が結構ばらばらになっていて、基本的には平日だったりするものですから、ここは是非、何か東京都は現金払いでいいのに対して、神奈川県は県の証紙を買わなきゃいけないとか、何かその辺が関係しているらしいんですが、こういうのは、きちっと許可を取ってきちっとやっている方々、特に有害鳥獣のために頑張っていただいている方もたくさんおられるので、即日発行が全ての都道府県でできるようにしていただきたいと思いますが、神奈川県の小此木国家公安委員長、よろしくお願いします。

小此木国務大臣 必ずしもそうでないということもございまして、猟銃用火薬類の譲受けについては、火薬類による災害を防止し公共の安全を確保する観点から原則として許可制とされており、その許可申請に際しては、各都道府県の条例で定める所定の手数料、東京、神奈川、共に二千四百円を徴収しているところでございます。

 手数料、納入方法については各都道府県の条例によって定められており、例えば東京都のように収入証紙を廃止し現金払いとしているところもあれば、神奈川県のように収入証紙による支払いとしているところもあるというふうに承知をしています。

 また、この許可申請に係る標準処理期間について、警視庁及び神奈川県警のいずれにおいても三日以内と定められておりますが、個々の申請については、その具体的な状況により、許可証を交付するまでの所要日数が変わることがあると承知しております。

 なお、現金払いか収入証紙かによって許可証を交付するまでの所要日数が変わることはないと承知いたしております。

 引き続き、法令にのっとり適切な行政運営を図るよう、警察を指導してまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 別に、払い方がどうというのはどうでもいいです。即日払いを可能にしてあげてくださいよ。有害鳥獣のために、私、この前もお伺いしたんですけれども、何十人の方が本当に地域のために頑張っていただいているので、平日二回潰して行くというのはちょっと勘弁してほしいというのは、非常にそうだと思うので。

 しかも、そういう方って、もう何度も何度も、慣れている方ですから、特に、一回目の方が少し時間かかるとかというのはあっていいかもしれませんけれども、何度も来るような方は即日オーケーにしてあげていただけないですか、大臣。

小此木国務大臣 現金、証紙はやり方があると思いますけれども、神奈川県でも即日交付される場合がございますので、そういったことがよい例ということで認識されて実務上問題がなければ、そのように指導してまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 指導してまいりたいと思いますということですので、是非、神奈川の各警察署に対して指導いただきたいと思います。神奈川だけでなく全国的にちょっと、是非、委員長、調べてみていただいて、これは即日交付で問題ないと思いますので、是非御指示いただきたいと思います。

 それともう一つ、現場で銃を扱っている方からお伺いした話としては、これも有害鳥獣をやられている方からお伺いした話なんですけれども、ライフルは、弾六発、充填できるんですね。ところが、散弾銃は三発しか充填できないということが、銃砲刀剣類所持等取締法施行規則第十九条を調べたところ、そういうふうに確かに書いてあるんですね。正確に言うと、ライフルは六発でライフル以外の銃は三発となっているんですが、ライフルの方が強力なんですよね。

 所持年数とかいろいろな理由があるのかもしれませんけれども、特に、川でカワウ対策とかで撃つような場合というのは、なかなか当たらなかったりして、連続して撃つ場合というのはあるんですけれども、是非ここは、余り理由がない気がしますので、ライフル以外の銃も六発、弾を込められるようにしてはいかがと思いますが、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 銃刀法においては、その構造、機能が規則で定める基準に適合しない銃砲については許可をしてはならないとしているところでありまして、昭和四十年七月に発生した渋谷における少年によるライフル銃乱射事件等を踏まえて、昭和四十一年に規則が改正され、ライフル銃と散弾銃の双方とも、六発以上の実包を充填できる弾倉は禁止されたということでございます。

 その後の昭和五十二年、鳥獣保護法の施行規則が改正され、三発以上の実包が充填できる弾倉のある散弾銃を使用する猟法が禁止されたことを踏まえ、銃刀法上の基準としても、散弾銃については三発以上の実包を充填できる弾倉は禁止されたものであります。

 銃砲の規制は我が国の治安の根幹をなすものであり、猟銃の構造、機能の要件を緩和する改正は慎重であるべきであり、現時点で改正する予定はございません。

後藤(祐)委員 ライフルの方が強力ですから、ちょっと理由がよく分からないんですよね。これ以上言っても多分変わらないんでしょうから、ちょっと残念ですよね。あるいは、所持している年数とかで変えるとかというのだったら分からなくはないんですけれども、ちょっと残念な答弁だなと思いますね。

 もう一つ、これは北海道の議員から是非聞いてくれと言われたのでお伺いしたいと思いますが、熊です。

 住宅地なんかで熊が発見された場合に、猟銃の使用許可を持っているハンターが駆けつけても、ハンター本人が熊を発見してからでないと銃を容器から取り出せない。要は、構えて待っているというわけにいかなくて、実際に出たという形にならないと容器から出せない、あるいは弾を装填できないというようなことになっていたそうでございます。

 去年の秋、どうも、十月三十日ですか、通達が出て、可能になったやにも伺っておるんですが、その確認と、あと、実際、現場の警察官ですとか猟友会の方なんかはまだそれを知らない方もいらっしゃるそうなので、猟友会なんかに周知されているのか、この辺も併せてお伺いしたいと思います。

小此木国務大臣 銃刀法において、銃砲の所持許可を受けた者は、銃砲を携帯、運搬する場合には、銃砲を発射できる場合を除いて、銃砲に覆いをかぶせ、又は銃砲を容器に入れなければならない、また、銃砲に実包を装填しておいてはならないとされております。

 鳥獣保護管理法によって住居集合地域等において銃器を使用した鳥獣の捕獲等が禁止されているため、一般的には住宅街で銃砲を容器から取り出すことなどは認められません。しかし、住宅街に現れた熊を駆除するために出動要請を受けたハンターは、熊と出会い頭に遭遇するなど、刑法第三十七条第一項の緊急避難の措置として猟銃を使用して熊を駆除することも想定されます。したがって、そのような事態への対処のために必要であると合理的に認められる範囲で、当該猟銃の覆いを外し、実包を装填することは可能であります。

 この問題は御指摘のとおり人命に関わる問題であり、日頃から具体的事案をシミュレーションして、自治体、ハンター、警察の間で打合せをしていくことが重要であり、今後とも警察を指導してまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 猟友会なんかで伝わっていないところもあるようなので、その周知を徹底していただきたいと思います。実際、リスクはありますから、是非、周りの人命を守るために命を懸けて退治してくれているわけですから、そこは周知を徹底いただきたいと思います。

 続きまして、ちょっと毛色が違う質問なんですが、配付資料を一枚だけ配付させていただきました。警察に関連する質問として、電動キックボードの規制緩和ということをちょっと取り上げたいと思います。

 私、ある委員会の視察でスウェーデンに行ったときに、ストックホルムで実際に乗ってみて、何て便利なものだろうと。非常に軽快なんですね。この電動キックボード、ヨーロッパなどでは広く認められておるんですが、日本ではこれは原チャリになってしまう、原付になってしまう。非常に面倒くさいことになってしまうんですが、これを認めようということで、警察庁の有識者検討会が四月十五日に、新たなモビリティーについての中間報告をまとめられました。

 非常に前向きな取組だと評価したいと思いますが、ちょっと残念なのが、この電動キックボードが小型低速車というカテゴリーに属して、最高時速十五キロの方向で検討されているようなんです。配付資料にあるように、イギリス、フランス、イタリア、韓国とも二十五キロ、まあマイルの表示もありますが、二十五キロ、ドイツは二十キロだそうなんですが、ちょっと十五キロだと遅過ぎるんですね。実際、私、走ってみましたけれども。

 自転車とほぼ同じようなルールなので、自転車のスピードを考えれば是非二十五キロでやるべきじゃないかと思いますので、ちょっとまとめて質問しますが、ルール設計するときに是非二十五キロにしてはどうかということと、あと、年齢についても、十六歳以上という方向らしいのですが、諸外国を見ますと十四歳とか十二歳のところなんかもあったりしますので、中学生ぐらいから可能としてはどうかと思いますが、小此木大臣、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 最近、走りはするんですけれども、自転車に乗る機会が少なくなってしまって、実際の速度が余り実感としてはないんですが、委員御指摘の有識者検討会においては、電動キックボード等の新たなモビリティーについて、車体の大きさと最高速度に応じて車両区分を定めるべきであるなどを内容とする中間報告書が作成、公表されたところであります。

 この中間報告書において、自転車道や普通自転車専用通行帯等を通行する電動キックボード等の最高速度は、一般的な自転車利用者の速度と同程度のものとして、時速十五キロメートルとする方向で検討すべきとされたものであります。

 最高速度の在り方については、他の交通主体との安全、円滑な共存が図られるものとすることが必要と考えております。

 今後行う自転車の実勢速度に関する調査の結果等を踏まえ、時速十五キロメートルを超える速度とすることについても引き続き検討してまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 超えるところについてもということですので、是非お願いしたいと思います。

 これは歩道ではなくて車道を走るので、そこを配慮いただきたいのと、自転車も平均、速いのは物すごい速いですからね、自転車は。しかも、これは最高速度のルールを定めるものですから、自転車の平均速度を配慮して、これの最高速度が車道なのに十五キロというのはちょっと遅過ぎると思いますので、是非今の、最後、含みがある答弁だと思いますので、御配慮いただきたいと思います。

 あと、年齢のところは。

小此木国務大臣 失礼しました。

 最高速度を一定以下に制限した電動キックボード等の運転者の要件については、有識者検討会の中間報告において、運転免許を受けていることは要しないものの、原付免許等と同様に、十六歳程度に達していなければならないこととすることが適当とされたものであります。

 電動キックボードの運転者の要件については、諸外国の例を見ても、運転免許を必要とする国や、年齢制限のみを設けている国の中でも、その年齢の基準は各国ごとにばらつきがあるものと承知します。いずれにせよ、今後、電動キックボード等の適切な運転者の要件の在り方等について検討し、結論を得たいと考えております。

後藤(祐)委員 大臣、一回乗ってみてください。これは物すごい快適ですから。楽しいです、これ。ヨーロッパのいろいろな国では、そこら中に置いてあって、どこから乗ってどこで乗り捨ててもよくなっているという、非常にいい乗り物だと思いますので、一回乗ってみることをお勧めします。

 最後に、重要土地法案、少し残っているところをお伺いしたいと思いますが、特別注視区域の法律の要件を満たしている区域の不動産の仕事をされている方に、不動産取引や不動産価格への影響を聞いてみてくださいということをお願いしていますが、聞いてみたでしょうか。そして、その結果はどうだったでしょうか。

天河政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘は、特別注視区域に関する法律上の要件を満たす区域につきまして不動産業者からヒアリングをすべきということでございますが、具体の区域の指定につきましては、法律の要件はもとより、基本方針の内容にも照らして評価し、土地等利用状況審議会の意見聴取等、所定の手続を経て行われることとされております。

 具体の区域については、こうした慎重な検討、慎重な手続を経て定まっていくということでございますので、たとえ正式な区域の指定でないとしましても、現段階におきまして、私どもといたしまして、具体の区域を念頭に置きまして、そこの方々からヒアリングをするといったことはしておりません。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 私は特別注視区域でと言っていないですよ。特別注視区域の法律の要件を満たしている区域と言っているんですよ。少なくとも例示されているじゃないですか、幾つか。厚木とか横須賀とか、皆さん示しているのがあるじゃないですか。横須賀の周りを聞けばいいじゃないですか、皆さん示しているんですから。何でそれをやらないんですか。それをやらないで、経済的、社会的観点からという話をするのはおかしいと思いますよ。

 もう一つ。六条の報告徴収は、戸別訪問、郵送、電話、どの方法でやるんでしょうか。

 戸別訪問すると、御近所から、何か国から疑われているらしいわ、あそこのお宅はと言われてしまうのは本当に困るというのが、私が地元を歩いてみて、この法律が施行されたときの心配事として挙がってまいりました。

 戸別訪問による報告徴収はできるだけ避けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 報告徴収については、本法案の執行体制や対象者の御負担を勘案し、主として、報告を求める事項を記載した書面を郵送する方法によることを想定しているところでございます。

 なお、本法案の第三条においては必要最小限度の原則が規定されておりますが、報告徴収の手法についても、必要最小限の原則を踏まえて運用してまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 郵送でやる方がいいと思います。コンコンと来ると、都会に住んでいる皆さんは知らないかもしれませんけれども、田舎だと大体分かっちゃうんですよ、どこのうちに誰が来たかって。そこを配慮して運用していただきたいと思います。

 終わります。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 銃刀法改正案について質問します。

 法令改正に基づくクロスボウの所持禁止や許可制の導入、経過期間における措置等については、是非積極的な広報啓発に努めていただきたいと思いますし、国民の皆さんに十分に周知することが非常に重要だと考えております。どのように取り組むお考えか、この点についてお聞かせください。

小此木国務大臣 改めまして、改正法において、クロスボウによる危害の防止を図るため、クロスボウの所持許可制の導入等の措置を講ずることとしておりますが、改正法の円滑な施行を図るためには、まずもって国民の方々への改正内容の周知を図ることが必要と認識しております。

 警察においては、改正法の公布後速やかに、広く国民に対し、ホームページ、SNS、ポスター等により、今回の法改正によってクロスボウの所持が原則禁止され許可制となること等を周知すること、現にクロスボウを所持している方に対し、業界団体等からも協力を得て、施行日から六か月以内に許可の申請や廃棄等の処分をするよう呼びかけることとしており、円滑な施行に向け警察を指導してまいりたいと存じます。

 また、クロスボウの廃棄に当たっては、警察に持ち込んでいただければ無償で廃棄を行うこととする予定であり、この点もしっかり周知するよう警察を指導してまいります。

塩川委員 クロスボウを実際に入手する経路というのは、多くはインターネット上とされております。このインターネット上の取引の取締り、監視をどうしていくのか、クロスボウの輸入に係る審査、検査体制の強化が必要ではないか、この点について御説明をいただきたい。

小此木国務大臣 インターネットを通じたクロスボウの入手が多い中、インターネット上の不正流通をいかに防ぐかは重要な点であると考えています。

 まず、今回の改正においては、クロスボウの不正な流通を防止するため、クロスボウを販売する者は、クロスボウを購入しようとする者から所持許可証の提示を受けた後でなければクロスボウを譲り渡してはならないとしております。警察としては、このような規制の実効性を確保するため、サイバーパトロールあるいは一般の方々からの情報提供を通じ、インターネット上で違法な取引が行われていないか、不断の状況把握に努め、違法な取引が認められれば厳正な取締りを行うこととしております。

 また、クロスボウの輸入に関しては、改正法の施行後、クロスボウを輸入しようとする者は、関税法により、税関に対し所持許可証等クロスボウを適法に所持することができる者であることを証明する書類を提示しなければ輸入が許可されないこととなります。

 クロスボウの違法な流通の阻止を図るため、税関等の関係機関との連携を一層強化するよう警察を指導してまいります。

塩川委員 しっかりとした対応を求めたいと思います。

 関連して、警察行政の信頼性の問題についてお尋ねをいたします。道路交通の人身事故統計の負傷者数が実態と大きく乖離しているのではないかという問題であります。

 資料をお配りいたしました。警察と自賠責の交通事故統計ということで、死亡の場合と負傷の場合とのグラフを出してあります。

 交通事故統計について見た場合に、青が自賠責で、赤が警察庁の統計ですけれども、左側の死亡の方を御覧いただきますように、ほぼ一致しています。左下に注記があるように、警察庁と損害保険料率算出機構のそれぞれの数字というのは、暦年、会計年度の違いも含めて若干の差異は当然ありますけれども、死亡の例を見ていただきますように、ほぼ対応しているわけです。ですから、同じようなカウントをされているということはここで見ていただけると思うんです。

 一方、右側の負傷の事例を見ますと、二〇〇六年ぐらいまでは大体同じような傾向であったわけです。二〇〇六年では、自賠責の百十九万に対して警察の方は百十万、九万の開きだったのが、二〇〇七年以降大きく乖離をして、二〇一三年ぐらいですと、自賠責が百二十六万に対して警察が七十八万、四十八万の開きがあります。さらに、直近の二〇一九年で見ると、自賠責が百六万で警察の方が四十六万、その差が六十万にも開いております。

 このように、交通事故統計の負傷者数は大幅に減少し五十万人以下にもなっておりますが、一方で自賠責の数字は百十万前後ということで、このような統計数値の大きな乖離が生じているのはなぜなのかについて御説明いただきたい。

高木政府参考人 警察庁の交通事故統計では、令和元年度中の自動車等による交通事故負傷者数は四十三万一千四十六人でありました。

 一方、自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責保険は、自動車等の運行によって人の生命又は身体が害された場合に交通事故の被害者等に支払われる保険であると承知しておりますけれども、令和元年度中の傷害による損害への自賠責保険支払い件数は、損害保険料率算出機構が公表している統計によれば、百一万八千二百七十四件となっております。

 警察の交通事故統計におきましては、交通事故によって被害者が負傷したことが認定できたものを負傷者数として計上しているのに対し、自賠責保険の支払い件数については、損害保険料率算出機構の資料によれば、人身事故だけでなく物件事故として警察に届出がなされたものなどを含め、保険金を支払った件数が集計されているものと承知をしております。

 また、同資料によれば、交通事故が発生した場合、基本的には、人身事故又は物件事故として警察に届出がなされるところ、自賠責保険では、人身事故として警察に届出がなされなかったものであっても、実際に負傷が確認された場合には支払いを行うことが必要であり、近年、このような支払いの占める割合が増加しているとのことでありまして、このような統計数値の集計上の違い及び自賠責保険の支払いの動向のため、統計数値の差が大きくなっているものと考えております。

塩川委員 ですから、自賠責の場合であれば、実際に負傷していればこういった形での請求も行う、それで支払いが出るわけですから、実質的にはこちらの方が負傷者に対応する数字として見て取る数字だろうと思うんです。それが警察の場合には、人身事故として届け出られればそうだけれども、物件事故のところは含まないとなっていますから、今の答弁にあったように、自賠責の場合には、物件事故の場合であっても、負傷している場合については支払いを行うわけですから、負傷者数をカウントするのであれば、その実態は自賠責の支払い件数で見るのが実態に近い、実態を反映をしているということが言えると思います。

 こういうのは、政府の第十一次交通安全基本計画の策定に当たってのパブリックコメントでも、加藤久道氏の著作なども紹介をして、政府統計が、二〇〇七年以降、実際の人身事故の一部を統計に加えず、隠れ人身事故をもたらしているのではないかと指摘をしております。

 今回の、四月からスタートしています新しい基本計画についての専門委員会議が昨年も行われておりますけれども、その資料でも、「軽傷者数について、自動車損害賠償責任保険審議会において、人身事故として警察に届出がなされなかったものであっても、実際負傷したことが確認された場合、自賠責の保険金支払いを行っており、近年、このような支払いが増加している、との指摘がある。」今答弁した中身と同じですけれども、という指摘であります。

 つまり、負傷者数については、自賠責保険の支払い件数の方が実態を反映しており、警察の交通事故統計は実態を反映していないのではないのか。ですから、本当は負傷者数はこんなに大きく減っていないんじゃないのか。この点についてはどうですか。

高木政府参考人 警察におきましては、交通事故発生時に負傷が認められず物件事故として届出があったものにつきましても、事故当事者に対して、後日負傷が判明した場合には警察に届け出るよう必要に応じて教示するなど、適正な交通事故の取扱いに努めているところでございます。

 また、人身事故として認定するに当たっては、医師の診断に基づいて傷害の程度を判断するなど、正確性の確保に努めているところでございます。

塩川委員 診断書のあるなしという話をするんですけれども、実際に、自賠責での支払いというのは、そういう実態を反映して、負傷しているということで行われているわけですから、こんなに開きがあるのはどう考えてもおかしいんですよ。大臣はそれをおかしいと思いませんか。こういったことについて大きな乖離がある。

 現状は、この警察の統計を使って、基本計画に基づく死傷者数の減少とかの目標をカウントしているわけです。そうしますと、こういう乖離を承知しながら政府の目標が達成していると本当に言えるのか、こういったことも問われるわけで、率直にこういったことについて何らの検証もしないでいいのかということが問われるんですが。

 この点、じゃ、内閣府、まずどうですか。

難波政府参考人 お答えします。

 人身事故として警察に届出がなされなかったものであっても、実際に負傷したことが確認された場合、自賠責の保険金が支払われている、近年このような支払い件数が増加しているという御指摘については承知をしております。

 交通安全基本計画を策定するに当たりまして、内閣府では、道路交通分野の統計としては、これまで警察庁のものを用いております。

 本年三月に決定した第十一次計画における目標値の設定におきましては、従来用いておりました死傷者数に代えまして、命に関わり優先度が高いと考えられます重傷者数に関する目標値を設定することとしたところでございます。

 新しい交通安全基本計画の下で、関係省庁と緊密に連携を図りながらしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

塩川委員 人身事故でなくても、実際に負傷している場合については自賠責の支払いをしているということですから、負傷者数のカウントは自賠責の方が実態に合っているということを認めているということですよね。そういう延長線上で、今度の計画は目標そのものを変えちゃったわけですよ。死者と負傷者を足した死傷者数はもうやめちゃって、重傷者数ということに置き換えるということなんです。

 これはこれで、もちろん障害を残すような場合も当然ありますから、こういうのを少なくしていくというのを目標で掲げるというのは道理のあることだと思いますけれども、これまでのこの死傷者数の削減という政府の目標の基礎的な統計となっている警察の負傷者数が余りにも実態と乖離しているのでないかという問題については、これはしっかりと検証することが必要だと思います。

 その点で、警察庁として、警察官が被害者に診断書を提出しないように勧め、人身事故扱いしないケースが増えているんじゃないのか、こういう指摘もあるんですが、この点についてはどうですか。

高木政府参考人 警察におきましては、交通事故発生時において、交通事故当事者の身体に交通事故に起因する明らかな負傷が認められた場合はもとよりでありますけれども、明らかな負傷はないものの、事故の状況や当事者の言動等から負傷のおそれがあると認められる場合には、人身事故としての捜査を行うべく、当事者に対して負傷の有無を確認を行い、診断書の提出の協力を求めるなど、適正な捜査による事案の解明に努めているところでございます。

塩川委員 実態をお聞きすると、交通犯罪に詳しい弁護士の青野渉氏によりますと、警察署の交通事故対応として、被害者から警察に診断書が提出されると人身事故の扱いになるが、診断書が提出されなければ物件事故として扱われるということで、最近は、警察官が診断書を提出しないように被害者に促すことが多いという。負傷した被害者に対し、診断書を出すなら事情聴取があるので、警察署に来て事情聴取に対応してもらいますとか、警察で人身事故扱いしなくても交通事故証明書は出ますし、自動車保険は出ますよとか、相手を処罰したいわけではないでしょうとか、診断書を出すとデメリットがあり、診断書を出さなくてもデメリットがないかのような説明をしているということであります。

 小此木国家公安委員長にお尋ねします。

 被害者は、軽傷であれば、わざわざ仕事を休んで警察署まで出向きたいと思う被害者は少ないし、自動車保険も支払われることが通常ですから、あえて人身事故扱いしなくてもデメリットはないことが多い。その結果、警察統計上の人身事故の負傷者数が激減している。しかし、こういう数字をもって政府の計画の政策目標の基本的な統計に使っているということは大きな問題があったということではありませんか。

小此木国務大臣 警察において適正な捜査による事案の解明に努めているところでありまして、交通安全基本計画における死傷者数の削減目標に合わせるために人身事故としての取扱いを回避するなどということはありません。

 もとより、交通事故を認知した場合には、適切に捜査を行って事案を解明し、その結果を交通事故統計に正確に反映させるべきことは当然であると考えています。

 一方で、自賠責保険の支払いに当たっては、例えば、軽微な負傷が後日判明したような場合には、保険会社等において、交通事故に遭われた方の手続的な負担にも配慮して、警察への人身事故の届出がなされていなくても保険の支払いが行われるケースが増えているとも聞いております。警察の交通事故統計と自賠責保険の支払い件数に差が生じてきた理由については、このような自賠責保険の支払いの動向によるものと考えられますが、具体的にはどのような背景があるのか、関係省庁とも連携して把握に努めるよう警察には指導してまいります。

 いずれにしても、交通事故捜査を適正に行うとともに、交通事故の実態をしっかりと把握、分析し、交通事故のない社会を目指してまいりたいと存じます。

塩川委員 是非検証してもらいたいと思います。

 そういう点で、何で人身事故扱いを警察が回避しようとするのかという点について、青野弁護士は、一つは、人身事故に係る膨大な書類作成事務を軽減したいんじゃないか、二つ目には、検察庁が軽傷の事案は不起訴にするため、わざわざ労力をかけて捜査する手間を省きたいとか、三つ目には、統計上の数値を下げることが政府目標達成につながるからではないかと指摘をしております。

 これまで交通安全基本計画では、以前から死者数削減の目標を立ててきましたが、二〇〇六年の第八次交通安全基本計画で初めて死傷者数の削減目標を立てました。死傷者数を百万人以下にするということだった。その目標の立て方自身は必要なことだと思いますけれども、この死傷者数の目標を立てたのが二〇〇六年で、そのため、二〇〇七年以降、目標に合わせるように負傷者数が減少していき、自賠責の傷害件数と大きく乖離するようになったのは、冒頭で紹介したグラフで見ていただいたとおりであります。

 つまり、警察が、このような政府の基本計画の死傷者数の削減目標に合わせて人身事故を回避する、こういう対応を取るようになっていたのではないのか。この点について、内閣府、警察庁の認識をただしたい。

難波政府参考人 目標設定の考え方について御説明を申し上げます。

 第八次の計画の策定当時、交通事故の発生件数、負傷者数は増加の一途をたどっておりまして、平成十六年には、発生件数が九十五万二千七百二十件、負傷者数は百十八万三千六百十七人と過去最悪を記録したところでございます。

 そういった状況に鑑みまして、交通事故そのものの減少、また死傷者数の減少にも一層積極的に取り組むといった観点から、死傷者数について目標値を設定するということにしたところでございます。

高木政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、警察におきましては、適正な捜査による事案の解明に努めているところでありまして、御指摘のような、交通安全基本計画における死傷者数の削減目標に合わせるために交通事故事件捜査において人身事故としての取扱いを回避するというような対応は行っていないところでございます。

塩川委員 まあ、やっていないからやっていませんという話だけでは納得いかないわけで、大臣、検証するとおっしゃいましたので、是非やっていただきたい。

 この交通事故統計を意図的に操作したんじゃないかという疑念が湧く話ですので、警察庁の対応は法律違反のおそれがある。事故の捜査結果に納得できない被害者にとって大きな不利益となる問題であり、誤った統計に基づいて作成された政府の交通安全政策の信頼性を損なうものだ。徹底した検証、総括を求めて、質問を終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今日は、銃刀法の改正案ということで、法案審議でございます。私もたくさん警察庁に通告をしてまいりましたが、もうほとんど全部終わりました。もう全部同じ問いが。だから、小さい政党は後ですから終わっちゃうんですね。ついては、全部割愛をしまして、大臣の分も終わりましたので。あっ、寂しい、大丈夫。

 ということですので、大臣には大変失礼ですが、大丈夫ですので、もう。大丈夫というか、御自由にしていただいて、見ておいていただいて。お手洗いに行っていただいても大丈夫ですので。ありがとうございます。

 さて、そういうことで、ただ、銃刀法ですから、銃刀法の質問は終わりましたが、警察にいろいろ伺いたいことが日頃からありますので、できれば警察に通告をということで昨日も調整をしておりましたが、やはり、何といいますかね、取締りの実態。テーマは背乗りについてですね、背乗り。

 警察の方とも大分議論しましたが、やはり警察は、現場を、現場というか捜査をされたりしていますから、大変機微な取扱いをたくさんされています。それを私がここであれしても、余り価値的、価値的というかな、お答えいただけることが必ずしも多くないので、今日は関連の制度について、背乗りに係る制度について、法務省、厚生労働省においでをいただきましたので、ちょっと二、三、確認をさせていただきたい、そう思います。

 背乗りというのは、御存じのとおり、いろいろな諸外国の人間が日本人に成り代わって、スパイとか、そういう形で日本に入ってきたりするわけであります。特に混乱期にはそういうことは論理的にもあり得ると私も思っていますので、これは一つの大きなテーマであると思っています。それは、警察もそう思ってくれているし、当然、各省もそういう観点での精査をしてこられているわけです。

 今日取り上げるのは、プライバシーのこともありますので余り固有名詞は避けますが、中国残留邦人三世の方が、この方は、いわゆる中国残留日本兵がおじい様でいらっしゃって、その中国残留日本兵の方、祖父、おじい様が、中国内陸部で終戦を迎え、戦後も中国内陸部に残留し、現地で御結婚をされ家庭を築かれた方がいらっしゃいます。

 その後、一九七二年に日中国交正常化の後に、日本サイドから見ても残留日本兵の方が少なからず生存しておられるということが確認されましたので、厚労省の援護対象として、帰国とか一時帰国とか、そういうことの支援を厚生労働省としてしてこられているということでございます。

 そのお孫さん、残留日本兵の方がおじい様ですから、中国の方と御結婚されて、そのお子様のお子様という方が、今、私も実はひょんなことでメールのやり取りをさせていただいたことがございますが、その方を、ある、保守系か何か分からないけれども、月刊誌で「WiLL」というのがありますよね、それに関連する動画とか、あるいは御自分のチャンネルとかで、いや、この人間こそ背乗りをしているのであって、これはどこかのスパイだみたいなことで言っています。

 私は、一人の国会議員として、いや、それは客観的に見てちょっとひどいデマじゃないのということで、ちょっとやったことがあります。それで、去年かおととしにもうそれは解決して、これはもう当時も厚労省とかに聞いて、これは明らかにデマだという判断をして、ツイッターにも、こうこうこうだから、これはちょっとひどいデマだよねということで終わっていたんですが、今年になってまだ、「WiLL」とかに出ているある女性のユーチューバーか何か分かりませんが、また、足立は中国のために何かしているとか、LINEの質問とかもここでしましたので、いや、足立は韓国だとか、とにかくそういうことになっています。ちょっと、余り一人で話していたら時間が終わるな。

 厚労省に確認をしますが、中国残留邦人は、私を批判したりしているその人間は、彼女は残留孤児と言っているんですが、残留邦人なんです、孤児も含めた残留邦人が認められているのは旧満州だけなんだと各所に書いているわけです、そのデマを流している人間が。明らかにこれは間違っているというふうに思いますが、いかがですか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 少し長くなりますが、正確に御答弁申し上げます。

 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律において、中国残留邦人等とは、同法第二条第一項第一号において、「中国の地域における昭和二十年八月九日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年九月二日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの及びこれらの者を両親として同月三日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者並びにこれらの者に準ずる事情にあるものとして厚生労働省令で定める者」としております。

 また、第二号において、「中国の地域以外の地域において前号に規定する者と同様の事情にあるものとして厚生労働省令で定める者」としております。

 ただいま申し上げました第一号の「中国の地域」には、お尋ねの満州以外も含まれます。

足立委員 ありがとうございます。

 中国全体それから樺太、そういうところが対象になっていますので、何か満州じゃなければ残留邦人ではないというようなデマが広く、人気のあるユーチューバーですから、広がることはよくないということで確認をしました。

 それから、そのユーチューバーの彼女は、中国残留孤児名鑑というのを引っ張り出して、私が擁護しているその方が中国残留孤児名鑑に名前がないことをもって、これは背乗りだ、こう言っているわけですけれども、これは、今議論しているのは残留邦人でありまして、少なくとも身元がはっきりしていて、実際に日本に戻ってきていらっしゃるわけですね。身元ははっきりしています。

 だから、残留孤児というのは、これは通告をちゃんとしていませんが、残留孤児というのは、要は、孤児名鑑にあるのはあくまでも孤児であって、身元が未判明の方々ですね。身元が未判明の方です。残留邦人、孤児でない、身元が判明されている方は、この名鑑には、孤児名鑑には当然孤児じゃないんだから出ていない。当たり前のことだと思いますが、それだけ、確認だけ。済みません、通告がちゃんとできていなくて。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生申し上げられたとおり、載っておりません。

足立委員 だから、本当に、繰り返しになりますが、日本のために戦った残留日本兵の御子息、お孫さんですよ。

 だから、私は、ユーチューブもいいけれども、委員長とか平さんが出ているユーチューブは立派なユーチューブでありますが、あっ、もうやめておいた方がいいですね。ユーチューブにもいろいろあるのでね。あと、私のあだチャンというのもなかなか立派なチャンネルですから、ちょっと今、更新が忙しくて滞っていますが、是非また御覧いただきたいと思いますが。もう最悪ね、「WiLL」。

 もう一つ確認をさせていただきたいと思いますが、今申し上げたように、その残留日本兵の方は、中国に残り、中国人の女性と御結婚をされ、中国でですね。だから、当然中国の、何といいますかね、公民というか、として生活していたから、だから、その子供、そのお孫さん、日本に戻ってくるときは、中国の当然身分があって、中国名もあるわけですね。だって、中国で生活しているんだから。中国の名前もあり、中国の戸籍か何か知らぬけれども身分もあり、当然中国のパスポートで日本に戻ってこられているわけですね。それは当然、中国名の何かもあるわけです。それを、何か、プライバシーだと思うんだけれども、その「WiLL」の関係者が画面にそれを載せて、プライバシーですよ、ほら見て、中国人だ、中国人が背乗りしていると言うんです。そんなことはない。

 残留邦人は、中国では中国の身分を持ち、中国名もあり、中国のパスポートで日本に御帰国された。それは十分あり得るケースであると思いますが、いかがですか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 中国における旅券に関する事情については、当省はお答えできる立場にはございません。

 当省は、中国残留邦人等の一時帰国事業、永住帰国事業を実施しておりますが、日本への帰国の際は、中国籍をお持ちの方は中国旅券により帰国するなど、御本人の国籍の状況に応じ帰国されているものと承知しております。

足立委員 今あったように、本来これは外務省なんだけれども、ちょっと私、昨日忙しくて、外務省にまた改めていろいろな観点で確認しますが、今日は厚労省においでいただいているので、援護している立場として、中国の旅券で御帰国された方々も当然いるという御答弁でありました。

 最後にもう一問だけ。法務省にもお越しをいただいています。

 要は、残留日本兵の方が中国で亡くなられた、平成になってからだと思いますが、お年で亡くなられたんだと思います。その後、中国人の女性、要は御結婚された配偶者の方の子供、だから、今私が存じ上げているお孫さんからするとお父様は、多分、四十歳ぐらいで日本に帰ってきたんですね。そのときに、中国の結婚届、届けか知らぬけれども、結婚は中国でしているわけです。だから、日本に御帰国された後、日本で、中国で結婚していたんですよということで日本に婚姻届を提出し、もう夫は亡くなっているんだけれども、夫の死後、日本で、私たちは結婚していたのよということで婚姻届、また、その息子さんについては出生届を役所に提出をして受理されているという事実があると承知していますが、その「WiLL」の関係の女性ユーチューバーは、ほら見ろ、死後に結婚している、これは背乗りだと言うんだけれども、外国との関係で、そういう、死後に婚姻届、出生届というのは十分にあり得るということでいいですね。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、日本人と外国人との間で外国の方式により婚姻が成立した、要件等を満たしてその婚姻が日本でも効力を有するという場合につきましては、その日本人が亡くなられた後に他方の配偶者の方が報告的な婚姻届というのを日本の方に届けるということはあり得るというものと承知しております。

足立委員 もう時間が来ましたが、ごめん、あと、出生届も同じでいいですか。

木原委員長 堂薗大臣官房審議官、簡潔に御答弁ください。

堂薗政府参考人 子供の場合には、お子さんが国外で出生した場合にも三か月以内に出生届をしなければならないというふうにされておりますが、そのお子さんが日本国籍を有している場合には、その期間が経過した後であっても出生届を受理することとされているということでございますので、父親が死亡したというだけで不受理になることはないというふうに認識しております。

足立委員 一人の日本人として、国のために戦われた残留日本兵の御子息、御家族の名誉を回復したいという思いで今日は質問させていただきました。

 以上で終わります。ありがとうございます。

木原委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平でございます。

 質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 今日の審議が行われる中で、かなり論点は整理されたと思います。

 それで、まずは所持を許可制にするということで、今後、法律が施行された後、クロスボウの所持を取り締まるという体制ができていくわけでありますから、これは一つの進展であるし、私どもは支持をしたいと思っております。

 さらに、その際の問題なんですけれども、所持する方を、警察庁の方が都道府県の公安委員会を使って監督するというか、コントロールしていく。一方で、これは購入をする、あるいは譲渡しを受けるといういろいろな商行為が入ってくるわけですから、販売と流通。製造については、先ほどの答弁で、日本では今現在製造している業者はいないということでしたから、取りあえずは販売と流通をどうやって押さえていくのか。

 これも局長の御答弁がありましたけれども、現在取り締まっていないものですから、どれだけ国内にクロスボウが流通しているかとか、その辺の把握はしていないということでありました。それはそうだと思います。ただ、大きな業者は千数百本を年間に売り上げられている、その他の業者は数十本ということですと、しかし、ざっくり千本単位で年間販売されてきたということで、これも大ざっぱに計算すれば、仮に十年とすれば、一年に二千本として二万本売れていたというようなことですから、かなり国内には流通をしている。

 競技の人口が百人ぐらいということでありました。大学の運動部が二つぐらい。あるいは、競技会もやっていらっしゃいますよね。団体もおありです。そういうことで百人ですけれども、かなりクロスボウの愛好家が国内にはおられて、相当たまっているというか、あるということだろうと思いますので、ここをどうするのか。

 大臣にお聞きしたいのは、まず確認なんですけれども、法改正後は、法律を改正した後は、販売事業者は都道府県公安委員会に届出が必要になりますし、所持のための許可も要るわけですから、今後、そういう意味で、販売、流通をきちんと警察庁として把握していくということでよろしいか、確認をさせていただきたいと思います。

小此木国務大臣 改正法の施行後ですが、クロスボウを販売する事業者について都道府県公安委員会への届出が必要となることから、その全体像を把握しながら一層適切な対応を取ってまいります。

岸本委員 その上ですけれども、現在、販売については、これも答弁の中にありましたが、インターネット中心だということであります。

 私も、後藤委員と一緒で、しばらくネットサーフィンをして調べてみたんですが、かなりの業者がインターネットで販売をしていて、しかも、結構、後藤さん、品切れですよ。多分これは、今の法律改正が行われると許可が要るということなのか、知りません、そんな宣伝はしていませんけれども、びっくりしますね、品切れがめっちゃ多いんですよ。すごく売れているんですね。まあ、これは表の話ですからいいんですけれども。

 今、サイバーパトロールということができます。このサイバーパトロールというのは、かなり精度が高いと思います。

 実は私、二十年前に経済産業省でメディアコンテンツ課長をやっておりましたときに、JASRACさんと一緒にいろいろ仕事をしていたんですが、JASRACさんが、JASRACさんの網の目を通り抜けるための悪質な業者、個人を取り締まるためのサイバーパトロールを、当時、二十年前ですから、本当に初期的なことでやっていましたけれども、相当精度が高かったです。それがもう今ですから、相当精度が高いと思うんですけれども。

 これまでも議論がありましたが、プラットフォーマーに対する出品の禁止、あるいは個人間取引やネットオークションに対する働きかけも、大臣はきっちりなさる、こういうふうにおっしゃっておられましたので、そこはお願いしたいと思います。

 その上で、国内の場合は、ある程度販売業者も分かりますからあれなんですけれども、個人輸入ですね、個人輸入の場合は、これはなかなか難しいものがたくさんあると思います。もちろん、表面だけいけば、今回の法律改正で関税法七十条が適用されるということですから、先ほど来議論がありましたように、通関の段階できちんと把握できるということが一つありますけれども、実は、猟銃なんかにつきましては、これは経済産業省が所管しております外国為替及び外国貿易法第五十二条の適用もあるわけであります。

 猟銃についてはダブルでチェックしているということなんですが、今回、クロスボウについては、外国為替及び外国貿易法第五十二条の適用対象にはならないように伺っているんですが、それでよろしいんでしょうか。

小此木国務大臣 改正法の施行後、クロスボウを輸入しようとする者は、関税法第七十条の適用対象となり、税関に対し、所持許可証等クロスボウを適法に所持することができる者であることを証明する書類を提示しなければならなくて、こうしたものを提示しなければ輸入が許可されないこととなります。

 また、外国から到着した貨物は、保税地域等において税関により厳格に管理されるものと承知しております。

 なお、外為法に関しては、経産省によれば、クロスボウが銃刀法の規制対象となることをもって、外為法第五十二条の適用対象となるものではないとのことでありますが、より厳格な水際対策を図る観点から、今後とも、警察庁に、経済産業省との間で必要な対応を検討するように指導してまいりたいと存じます。

 また、警察においては、税関等の関係機関と緊密に連携し、関税法や銃刀法に基づく実効性ある措置を取るとともに、サイバーパトロールや一般の方々からの情報提供を通じ、インターネット上で違法な取引が行われていないか、不断の状況把握に努め、厳正な取締りを行うよう指導してまいります。

岸本委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと思うんですが。

 実は、国際的な取決めの中で、クロスボウというのは少し劣後するんですね。今回、日本はきちんと取締りをするようになりましたけれども。

 HS条約でいろいろな分類があるんですけれども、例えば、銃などの武器は、HS条約で九十三類なんですね。これはかなり、いろいろな意味で厳しい取締りの対象になるんですが、HS条約ではクロスボウは九十五類なんです。九十五類というのは、何と遊戯具、運動用具のくくりなんですね。ですから、国際的には、クロスボウの扱いが銃に比べると少し劣後するというか、甘くなりがちということであります。

 したがって、経産省も、そういう理由もあって外国為替の管理法には対象にしないということになっているようでありますが、是非、連絡を密にしていただいて、実効性を担保していただきたいと思います。お願いいたします。

 さらに、そういう意味でいう取締りは、北風と太陽でいうと北風に当たると思います。これはしっかりと厳しくしていただきたいと思うわけですけれども、一方で、太陽政策みたいなものもお考えいただけないかと思うわけであります。

 先ほど申し上げましたように、大学の運動部、体育会系、二つ、こういうボウガン、クロスボウのクラブもあるようでありますから、しかも、百人ぐらいの競技者が今おられて、日本ボウガン射撃協会という団体があって、ここが射撃競技の普及を目的として活動されています。国際大会は、二年に一度、選手を派遣されていますし、国内も、今はコロナで別でしょうけれども、これまでは年に六回も大会を開かれる、あるいは練習会も月に一回程度開かれております。ちなみに、大学の運動部は、北里大学とか東海大学にあるそうです。

 ここでは、安全講習会とかもやっていて非常に安全にされていて、これは警察庁に聞きましたけれども、これまで事故とか全くなかったそうです。当然、ちゃんとした射撃の団体ですから。

 そうだとすると、是非今後、講習会も開かれるということでありますが、今きちんとしたスポーツマンシップにのっとってやっている日本ボウガン射撃協会の皆さんとコラボレーションをして、安全講習とか、そういう太陽政策で、きちんとした使用をしていくんだというような方向は考えられないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

小此木国務大臣 それは大変ありがたい話だと思います。

 昨年のあの宝塚の事故のインパクトは、非常に残念なもの、悲惨なものとして伝わっておりますけれども、一方で、スポーツとしての意味合いも非常に重要なものであり、改正法の円滑な施行のためには、御指摘の日本ボウガン射撃協会を始め、クロスボウに関する造詣の深い方々の知見を得て各種対策を講じることが重要であると認識しています。

 警察庁で開催されたクロスボウの所持等の在り方に関する有識者検討会、この検討会では、クロスボウの関係団体の方々に委員として参画いただき、競技者等の観点から貴重な意見をいただいたと聞いております。

 今後とも、関係団体と適時適切にコミュニケーションを取り、施行後に予定している講習会の検討や準備、規則で定める細目に関する検討などにおいて必要な協力を得ながら、実効性のある対策が講じられるよう、警察を指導してまいります。

岸本委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと思います。

 論点としては、所持と販売、流通、そして射撃の団体であるクロスボウの日本ボウガン射撃協会の協力、さらに、最後、やはり経過措置の問題だと思います。

 これもこの三時間の審議の中で十分議論がされましたので、細かいことは省きますけれども、六か月間の経過措置の間にどれだけ実効性を上げることができるのかということがとても重要になってくると思います。

 当然ですけれども、世の中には悪い人もいるわけですから、経過措置があっても、それをかいくぐって脱法行為を行おうとするようなことが起きると思います。それに対しては厳罰で処するということだろうと思いますけれども。

 経過措置の六か月間、ここが集中してなさるということだと思うんですけれども、経過措置が過ぎた後、一体、急にどのようなことになるのかということ、経過措置が終わったからもう一網打尽ですよというようなことになると、ますます裏に隠れていくようなこともあるかと思うんですけれども、経過措置の六か月間にどのように対応していくのがいいか、大臣の決意をお伺いして最後にしたいと思います。

小此木国務大臣 改正法の施行時に現にクロスボウを所持している人たちについては、施行日から六か月の経過期間の間に、所持許可を申請するか、適法に所持することができる人に譲り渡すか、廃棄するかの措置を取らずに経過期間経過後も所持し続ける場合、不法所持としての取締りの対象となり得ます。こうした不法所持については、サイバーパトロールや関係事業者を始め様々な方からの情報提供の協力を得て、不法所持の把握に努めていくこととなります。

 しかし、今なすべきことは、不法所持とならぬよう法の周知等を図ることであり、警察においては、改正法の公布後速やかに、広く国民に対し、ホームページ、SNS、ポスター等により、今回の法改正によってクロスボウの所持が原則禁止され許可制となることを周知すること、現にクロスボウを所持している方に対し、業界団体からも協力を得て、施行日から六か月以内に許可の申請や廃棄等の処分をするよう呼びかけることとしておりますが、円滑な施行に向け、警察を指導してまいります。

岸本委員 大臣、是非よろしくお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会、国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。森田俊和君。

森田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 本法に基づく政令及び内閣府令等を早期に制定するとともに、具体的かつ明確な運用基準を都道府県警察に周知徹底すること。特に、クロスボウの所持を許可するに当たっては、厳格な審査を行うとともに、不適格者が確実に排除されるようにすること。

 二 法令改正に基づくクロスボウの所持禁止、許可制の導入、経過期間における措置等について、積極的な広報啓発等により国民に対して十分に周知すること。特に、クロスボウ販売事業者に対しては、都道府県公安委員会の許可を受けていない者に販売することのないようにするとともに、現にクロスボウを所持している者に対しては、経過措置期間において許可申請や廃棄等が適切に行われるようにすること。

 三 クロスボウの入手経路の大半がインターネット上の取引であることに鑑み、インターネット上の取引の監視及び取締りを強化すること。また、関係機関と連携し、クロスボウの輸入に係る審査・検査体制を強化すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小此木国家公安委員会委員長。

小此木国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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