衆議院

メインへスキップ



第5号 令和6年3月27日(水曜日)

会議録本文へ
令和六年三月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 星野 剛士君

   理事 上野賢一郎君 理事 高木  啓君

   理事 冨樫 博之君 理事 中山 展宏君

   理事 鳩山 二郎君 理事 太  栄志君

   理事 森山 浩行君 理事 堀場 幸子君

   理事 庄子 賢一君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      泉田 裕彦君    大西 英男君

      大野敬太郎君    神田 潤一君

      木村 次郎君    小森 卓郎君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      土田  慎君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    簗  和生君

      柳本  顕君   山本ともひろ君

      後藤 祐一君    櫻井  周君

      篠原  豪君    中谷 一馬君

      本庄 知史君    山岸 一生君

      山崎  誠君    阿部  司君

      金村 龍那君    住吉 寛紀君

      前原 誠司君    河西 宏一君

      吉田久美子君    塩川 鉄也君

      浅野  哲君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済安全保障担当)   高市 早苗君

   内閣官房副長官      村井 英樹君

   内閣府副大臣       石川 昭政君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   内閣府大臣政務官     土田  慎君

   衆議院情報監視審査会事務局長           大場 誉之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  須藤 明夫君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室長)

   (内閣府政策統括官)   飯田 陽一君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室次長)

   (内閣府大臣官房審議官) 彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室次長)

   (内閣府大臣官房審議官) 品川 高浩君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡  素彦君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           稲熊 克紀君

   政府参考人

   (公安調査庁総務部長)  霜田  仁君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木俊一君

   内閣委員会専門員     尾本 高広君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     木村 次郎君

  鈴木 英敬君     柳本  顕君

  逢坂 誠二君     後藤 祐一君

  中谷 一馬君     篠原  豪君

  山崎  誠君     櫻井  周君

  金村 龍那君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     泉田 裕彦君

  柳本  顕君     鈴木 英敬君

  後藤 祐一君     逢坂 誠二君

  櫻井  周君     山崎  誠君

  篠原  豪君     中谷 一馬君

  前原 誠司君     金村 龍那君

同日

 理事鳩山二郎君同日理事辞任につき、その補欠として高木啓君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(内閣提出第二四号)

 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

星野委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事鳩山二郎君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に高木啓君を指名いたします。

     ――――◇―――――

星野委員長 内閣提出、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官須藤明夫君外八名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

星野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 今日は、質問の機会をいただいてありがとうございます。

 ちょっと質問の順番を、二ポツ、国会との関係から行きたいと思います。私は、議院運営委員会の筆頭理事を務めておりまして、国会法との関係をまずやりたいと思います。

 高市大臣に伺いたいと思いますが、国会職員の適性評価について伺いたいと思います。

 本法案の九条一項に基づいて重要経済安保情報を国会に提供する場合、これを取り扱う国会職員は、現行の国会職員法二十四条の四、配付資料の六ページ目ですけれども、これによりますと、国会法百二条の十八に規定する適性評価を受けた国会職員しかできないということになっているわけです。現行法のまま、つまりこの国会職員法二十四条の四はこのままでいいかもしれないけれども、これを引く国会法百二条の十八というのが、八ページ目にございますけれども、この八ページ目の方の国会法百二条の十八を見ると、適性評価の定義が特定秘密に限定されているんですね。情報監視審査会の事務を行った場合に特定秘密を漏らすおそれがないことについての職員に係る評価をいうとなっているので、このままだと、重要経済安保情報を国会職員は扱えないのではないかと思われるんですね。

 これについては、政府の職員の場合は、この法案の十一条二項で、特定秘密を扱える適性評価を受けた人は今回の重要経済安保情報も扱えるという規定があるんですが、これは国会職員には当てはまらないということでいいですか。

 つまり、九条一項に基づいて国会に重要経済安保情報を提供する場合は、これを取り扱う国会職員は、今の法律のまま、国会職員法も国会法も変えないで本当に扱うことができるんでしょうか。

高市国務大臣 本法案の第九条一項一号では、国会において重要経済安保情報を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、国会における審査、調査以外の業務にその情報が利用されないようにすることその他の国会において定める措置を講じと規定しております。

 国会における情報保護措置の内容は国会でお定めいただくこととしておりまして、後藤委員御指摘のような国会職員法や国会法を改正するかを含めて国会において御議論いただくことになります。

 法案上は、先ほど申し上げた内容を担保する国会において定める措置等が講じられていれば、九条一項に基づいて重要経済安保情報を国会に提供することになります。

後藤(祐)委員 議運の委員の方もいらっしゃいますけれども、皆さん、条文を見ると明らかですよね。国会職員法二十四条の四では国会法百二条の十八を引いていて、国会法百二条の十八では適性評価の定義で特定秘密しか該当していないんです。

 大臣、もう一回伺いますが、閣法の方の、今回の法案の十一条二項で、政府の職員については、特定秘密の適性評価を受けていれば重要経済安保情報の適性評価を別途受ける必要はないという規定がありますが、これは国会職員には適用されないということでいいですね。

高市国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございます。

 この法案の中の重要経済安保情報の取扱いの在り方につきましては、今後国会で御議論いただくことになると認識しております。先ほど例示させていただいた措置を含めて特定秘密と同じような措置を講じていただける場合には、重要経済安保情報を提供することになります。

後藤(祐)委員 これはちゃんと答えていただきたいんです。閣法の、提案している法案の解釈なんですから。

 政府委員に聞きますが、本法案の十一条二項で、政府の職員は、特定秘密を扱える適性評価を受けている方は重要安保情報を扱えるということになっていますが、これは、国会職員にはこの十一条二項は適用されないということでいいですね。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の十一条二項は、同条一項と同様に、重要経済安保情報の取扱いの業務を行う者、つまり、情報指定をした行政機関の職員や、その行政機関から六条一項により提供を受けた行政機関の職員、そして、十条により提供を受け、又は保有することとなった適合事業者の従業者について規定しているものでございます。このため、公益上の必要から、御指摘のございました九条一項に基づき提供を受けることとなる国会の職員には適用されません。

後藤(祐)委員 大臣、これはもう明確に、閣法の解釈なんだから答えてくださいよ。つまり、国会法百二条の十八を改正しないと、国会職員の適性評価の解釈が、今、特定秘密しか扱えないわけですから、この法案が通っても、重要経済安保情報は国会職員は扱えないんです、今の答弁にあったように。

 そうすると、政府から国会に対して重要安保情報を提供されても国会職員は触ることができないということが今明らかになったわけでございますから、これは、国会法を改正して国会職員が対応できるようにしないとこの法案は施行できないということでよろしいですか。大臣。

高市国務大臣 法案の九条一項一号では、国会において重要経済安保情報を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、国会における審査、調査以外の業務にその情報が利用されないようにすることその他の国会において定める措置を講じと規定いたしております。

 国会における情報保護措置の内容は国会で定めていただくこととしておりまして、国会職員法や国会法を改正するかを含めて国会において御議論をいただくことになるということでございます。

後藤(祐)委員 大臣がお答えできないので参考人に伺いたいと思いますが、国会側の体制、先ほど、この法案の十一条二項では国会職員は対象にならないと明確な答弁があったわけですから、九条に基づいて政府から国会に対して重要経済安保情報を提供する場合には、国会法なり国会職員法なり、どういう改正をするかは国会の方で考えますけれども、何らかの法改正がない限りはこの法案が施行できない、つまり九条が施行できないということでよろしいですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣が御答弁申し上げたとおり、法案九条第一項第一号におきまして、国会に重要経済安保情報を提供する場合には、国会において定める措置を講じということで、規定を置かせていただいているところでございます。

 したがいまして、法案上は、先ほど大臣が申し上げた、利用者の範囲の制限あるいは業務目的以外での利用をさせないようにするという措置が取られているのであれば、その内容が担保されているのであれば、この法案に基づきまして、九条一項に基づく重要経済安保情報の国会への提供を行うことになるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 大臣、このぐらいの答弁はしないと。

 担保されているのであればということは、担保されていないんですよ、今の状態では。担保されている状態まで国会法なりを改正しないとこの法案は施行できないということを、今、正直な答弁だと思いますよ。大臣、このぐらい答弁していただかないと困りますよ。国会との関係なんですから、国会議員が大臣をやっておられるわけですから。

 私は、議運委員会の筆頭理事として、国会法を所管する立場として聞いているんです。これは立法府と行政府の関係についての真面目な議論ですから、適当にすり抜けようというのはやめてください。

 私は、特定秘密保護法の十一年前の審議のときに対案を作って、答弁側にも立って、中谷議員とのやり取り、この配付資料の最後の二枚ぐらいに加えてありますけれども、それをやって、そのとき、やはり政府だけには任せておけない、国会によるチェックが必要だということに与党もなって、情報監視審査会をつくろうということに与党もなって、国会法改正、これは私、まさに携わって、決めた人間なんですよ。これは、与野党が、まさに立法府の一員として、合意に達して情監審ができたんですから、そこを踏まえて今議論しているんですから、もう少し真面目に答弁をいただきたいなと思います。

 次に、情監審の対象拡大について行きたいと思います。

 その情監審をつくるときに、諸外国ではどうなっているのかというのは当然調べに行きました。何度か行っているんですけれども、十ページ目から十一ページ目、これは情監審ができた後に行ったやつですけれども、額賀議長と岩屋先生と井出庸生先生と私でイギリス、ドイツ、アメリカに行ったときの調査報告書の一部なんですが、アメリカの上院、下院両方に情報特別委員会があって、イギリスは情報保安委員会、これは治安じゃなくて保安委員会、ドイツは議会統制委員会。大体あるんですね。

 これらの委員会においては、必要な場合には、トップシークレット、シークレットレベルだけじゃなくて、コンフィデンシャルレベルも含めて、各レベルの情報を監視できるということになっているんじゃないでしょうか。つまり、日本みたいにコンフィデンシャルレベルだけは対象外というふうになっているような国があるんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今委員がお示しになった資料につきましては、情報機関に対する議会の統制ということでお示しになった資料だというふうに考えておりますけれども、今御質問のありました、政府が保有するトップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルの各レベルについてどのような扱いになっているかにつきましては、他国の制度でもございますので、政府として責任を持ってお答えすることはなかなか難しいところでございますけれども、一般論といたしまして、政府が保有する機微な情報というのは、国によって呼び方は異なりますけれども、今御指摘のあったようなトップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルまでを含むものとして対応されているものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 正直な答弁だと思います。

 これに行ったときも、ちゃんと政府の方が一緒に行っていただいているんですよ、内閣官房、調査室の方。

 そのときに、例えばイギリスだと、ISCというんですけれども、この委員会へ情報機関は情報提供を拒否できない、つまり、コンフィデンシャルだからといって拒否するということはないと言っていますし、アメリカの方の上下院の情報特別委員会に対しては、完全かつ最新の情報を報告しなければならない、行政府は。現在継続中の活動に関する情報も含むとまで、ちゃんと調査しているんですよ。

 相当これは調べてやってきていますから、真面目にやっていただきたいと思いますが、つまり、コンフィデンシャルだけ対象外なんという国はないんですよ。

 そうすると、情報監視審査会が、トップシークレット、シークレット、特定秘密は対象とするけれども今回の重要経済安保情報は含まないというのは、これは諸外国と比べてもおかしいですし、特定秘密の方がより機微に触れる情報なわけですから、コンフィデンシャルレベルのものを提供できないというのは理由がないと思うんですね。

 これは大臣にお答えいただきたいと思いますけれども、重要経済安保情報を特定秘密と同様に情報監視審査会の対象とすることに、政府として何か不都合がありますでしょうか。

高市国務大臣 不都合はございません。

 先ほど来御指摘ございましたけれども、私も情報監視審査会のメンバーでしたし、議院運営委員長も務めさせていただきました。

 国会法に係ることですので、やはり国会でお決めいただくことだと思いまして、政府の方からこうしてほしい、ああしてほしいというお願いはしにくいという意味で先ほどの答弁になりました。

 特定秘密の提供を受ける場合は、国会における措置で、国会法で、衆参両院に設置される情報監視審査会の各委員、各議院の議決により定める者及びその事務を取り扱う職員だけが必要な範囲で特定秘密を利用又は知ることができること、情報監視審査会の事務は、その議院の議長が別に法律で定めるところにより実施する適性評価において特定秘密を漏らすおそれがないと認められた者に限定されることなどの措置が講じられております。

 ですから、重要経済安保情報の取扱いの在り方については、やはり今後国会で御議論いただくことになると認識をしておりますけれども、特定秘密と同様の措置を講じていただける場合には、重要経済安保情報を提供することになると考えております。

後藤(祐)委員 大臣、ありがとうございます。不都合はございませんと明確な答弁をいただいたことは重要な御答弁だと思います。

 当然、特定秘密を提供いただく場合の保護措置、私も情監審の委員でしたけれども、講じて今やっているわけですから、重要経済安保情報を提供していただく場合にも、当然それと同等の措置を講じることになるかと思います。

 参考資料の十五ページを御覧いただくと、特定秘密保護法を審議したときの中谷先生の質疑、まさにこれで情監審をつくることが決まった質疑なんですけれども、質問者の方ですよ、中谷委員が、「私は、最高の第三者のチェック機関としては、国民の代表者である国会そして国会議員だと考えます。」「国会が特定秘密の提供を求めた場合には、政府は国会の要求を十分に尊重し、これを国会に提供するというのが本筋であります。」と。次のページに行って、「以上の基本認識を持っておりますけれども、森大臣もこの認識を共有していると思いますが、いかがでしょうか。」と聞いて、森大臣は、「はい、そのとおりでございます。」と。これで情監審ができることが決まったんです。ここに至るまでには、当然、今日のような長い議論があった上でここに至っているわけです。ちなみに、その下の方で、私は提出者として答弁はしているんですけれども。

 もう一つ、この法案との関係でいいますと、資料の十三ページを御覧いただきたいんですが、新旧対照のようになっていますが、下が特定秘密保護法で上が今回の法案なんですけれども、特定秘密保護法には、十九条に国会への報告というのが法律で義務づけられていますが、今回の法案には義務づけられていません。

 逆に言うと、数ページ見てもらうと分かるんですけれども、今回の法案というのは特定秘密保護法をそのままコピーした部分がかなり多くて、当然そうなりますよね、ですが、巧妙にというか、見え見えに抜けているわけですね、この十九条が。この十九条で、特定秘密の指定、解除、適性評価の実施の状況について国会に報告するとされているんですが、国会に報告しないつもりですか。

 まず、それをするんでしょうかということと、するつもりであればこれと同じ規定を置くことができると思うんですけれども、なぜ置かなかったんでしょうか。

高市国務大臣 情報監視審査会を設置していただくか否か、また設置するとして提供される重要経済安保情報の保護のためにどういった措置を定めるかについては、先ほど申し上げましたとおり、今後国会で御議論いただくことになります。

 いずれにしましても、本法案に基づく重要経済安保情報の指定、解除の状況などにつきましては、必要な情報の公表を行っていくということとともに、国会からお求めがあれば国会への報告をさせていただきます。

後藤(祐)委員 求めないと報告しないんですかね。それはこの法律と違ってくるわけです。そうすると、やはり法律で報告を義務づけて、法律に基づいて報告をいただいて、本来は情報監視審査会でそれをチェックしてという形にすべきだと思いますが。

 今日、衆議院の情報監視審査会の事務局長にお越しいただいておりますけれども、特定秘密については特定秘密保護法十九条において報告規定がありますね。この国会報告規定に基づいて必要な特定秘密の監視業務を現在行っているということでよろしいでしょうか。

大場参事 お答えいたします。

 情報監視審査会は、行政における特定秘密保護制度の運用を常時監視するため特定秘密の指定及び解除並びに適性評価の実施状況について調査を行っております。

 情報監視審査会の活動内容は毎年報告書として公表されているところですが、まず、政府からの国会報告について特定秘密保護制度担当大臣から説明を聴取した後、特定秘密保護法に基づき特定秘密の指定権限を有する行政機関及び適性評価実施行政機関に対して順次調査を行っているところであります。

後藤(祐)委員 特定秘密保護法十九条に基づく国会報告に基づいて情報監視審査会が仕事をしているということが今の答弁で明らかになりましたし、高市大臣も情報監視審査会の委員だったというふうにおっしゃっておられますから、そこはよくお考えいただいて、これはむしろ与党の先生方、この特定秘密保護法十九条と同等の国会への報告規定を加えるべきではないか、こういうふうに思います。

 それと、もう一個欠けているのが、十二ページを御覧いただくと、特定秘密保護法の十八条三項というのも今回の法案は抜けているんですね。これは何かというと、同じ十八条の一項に、統一運用基準に基づいて、特定秘密は、指定、解除、適性評価の実施の状況を有識者に報告して意見を聞かなきゃならない、そういう規定なんですけれども、これはそういうふうにしないつもりなんでしょうか。するつもりであれば、これと同じ、特定秘密保護法十八条三項と同等の規定を今回置くべきではないでしょうか。大臣。

高市国務大臣 特定秘密保護法の規定は、今委員御指摘のとおりでございます。

 本法案を検討するに当たりましては、御指摘のような規定は置いていないのですが、規定がなくても、本法案に基づく重要経済安保情報の指定、解除などの状況については、有識者の意見をお聞きした上でその内容を定期的に公表するということと、国会からもお求めがあれば御報告するということを予定しております。

 また、この法律案で、公益上の必要により国会に重要経済安保情報を提供することということも規定いたしております。

 いずれにしましても、第三者の御意見をちゃんとお聞きする機会を設けること、その結果を公表することはお約束いたします。

後藤(祐)委員 やることはやると言っているわけですから、何で条文に入れないんですか。現行では法律事項になっているんですから、それをあえて法律事項から外すのはおかしいと思いますので、是非これも条文修正の協議をお願いしたいと思います。

 時間がちょっと少なくなりましたが、一ポツ戻りまして、重要経済基盤保護情報と特定秘密の関係へ行きたいと思いますが、配付資料の二ページ目、御覧ください。

 重要経済基盤保護情報であってコンフィデンシャルなもの、ここで言うところのAに当たるものが主にこの法案の対象であるかのような説明がされているんですが、重要経済基盤保護情報であってトップシークレット、シークレットに該当するもの、Cは存在するんでしょうか。Dは特定秘密だから対象外かもしれませんが、Cに該当するもの、つまり、重要経済基盤保護情報であってトップシークレット、シークレットに該当する特定秘密以外の情報というのは存在するのでしょうか、現在。大臣。

高市国務大臣 経済安全保障政策で中心的な役割を果たす内閣府や経済産業省を含めて、全省庁分の特定秘密の指定状況について、許される範囲で確認をさせていただきました。

 内閣府や経済産業省は、この経済安保関連の特定秘密は指定しておりません。

 他方で、他の省庁において、例えば外国情報機関から得た経済安保関連の重要情報が記された文書を特定秘密文書として厳重に保管している例はあるのですが、経済安全保障やサプライチェーン、重要インフラといった文言を用いて重要経済基盤保護情報に該当し得る情報を直接的に特定秘密に指定した例はなかったということでございます。

 この法律案をお認めいただいた後ですけれども、この重要経済基盤保護情報に該当するかどうかは、各行政機関の長において精査をした上で御判断いただく必要があるということについては御理解をいただきたいと存じます。

後藤(祐)委員 今の答弁は、この表で言うところのDが存在しなかった、今の現時点ではそういう情報はないという答弁ですよね。つまり、重要経済基盤保護情報であってトップシークレット、シークレットに該当する特定秘密に該当するものは、今持っているものはないという答弁であったと思いますが、それ以外の、重要経済基盤保護情報であってトップシークレット、シークレットに該当するものであって特定秘密に該当しないもの、つまり、この表で言うCに該当するものは、概念上でもいいんですけれども、この法案の対象となり得るんでしょうか。

高市国務大臣 本法案で指定の対象となる重要経済安保情報ですが、重要経済基盤保護情報に該当すること、公になっていないこと、漏えいした場合に安全保障に支障を与えるおそれのあるものの三要件に限定した上で、さらに、特別防衛秘密と特定秘密に該当するものを除くといたしております。このうち、漏えいした場合に安全保障に支障を与えるおそれがあるものの中には、著しい支障を与えるおそれがあるものも含まれます。

 ですから、特定秘密等と重複する可能性もありますが、その場合には、特定秘密保護制度等の下で保全するということを明確にするために、重要経済基盤保護情報から特定秘密を除外する規定を設けております。

 委員が御指摘くださったように、関係行政機関の所掌事務に係る特定秘密保護法の別表に掲げる事項に関する情報には該当しないものの重要経済基盤保護情報に該当する情報は理論的には存在するということを否定はいたしませんが、政府においてこれまで検討した結果、漏えいした場合に我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある重要経済基盤情報であって特定秘密保護法における別表に該当しないものが実際にある又は今後直ちに想定されるということはないという判断に至りました。

 すなわち、御指摘のような、トップシークレット又はシークレット級であって特定秘密に該当しない重要経済基盤保護情報は想定されないという認識でございます。

後藤(祐)委員 想定されないけれども理論上は存在する、つまり、この法案の対象にはなり得るということですね。もう一回お願いします。

高市国務大臣 トップシークレット、シークレット級で特定秘密に該当しない重要経済基盤保護情報というのは想定されないということでございます。あえて特定秘密そしてまた防衛秘密などを外しておりますので、重複することはございません。

 トップシークレットに当たるようなものは特定秘密でちゃんと保全をしていただくということを前提にいたしております。

後藤(祐)委員 このCに該当する、重要経済基盤保護情報であってトップシークレット、シークレットであって特定秘密でないものは、この法案の適用対象外ですか、理論上のものも含めて。実際に想定されるかされないかは関係ないです。発生した場合には、この法案の適用対象になるんですか、ならないんですか。

高市国務大臣 トップシークレット、シークレットに相当するものが対象になるかということでございますが、それはなりません。

 これは、今回、コンフィデンシャル級と申し上げておりますけれども、例えば、国際情勢が非常に変わったとか、コンフィデンシャル級ではあるけれども、技術革新によって、様々な、政府と民間事業者の研究開発によって、それが例えばいきなり軍事転用されるようなレベルのものに上がったような場合には特定秘密保護法で保全をしていただくということでございます。

後藤(祐)委員 これは政府から事前に聞いている説明と違いますよ。飯田室長、このCに該当するところは、理論上はあり得て、法案の対象になり得るんじゃないんですか。事前に私はそうやって聞いていますよ。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 まず一つ、トップシークレット、シークレットということをどういう形で定義するかということについて、様々なケースがございますので、今御答弁をさせていただいたような形になっている部分がまずございます。

 例えば、外国から提供されたような場合に、先方からトップシークレット、シークレットとしての保護を求められた場合には、特定秘密保護法の外交のまさに特定秘密に該当するということで、特定秘密に指定することも間々あるわけでございます。

 その上で、今委員が御指摘なさいました、理論的には存在する、あるいは、法文をそのまま読めばその部分があるのではないかということについては、私どももそのように思っておりますけれども、実際にそういったことは想定されず、また、直ちに指定するようなことは考えていないということで申し上げている次第でございます。

後藤(祐)委員 今、室長の答弁は、大臣の答弁を修正していますよね。大臣、もう一回答弁し直していただけますか。

 実際に発生するかは想定していないはいいんですよ。だけれども、概念上はあり得るわけだから、その場合には、このCに該当するところ、つまり、重要経済基盤保護情報であってトップシークレット、シークレットのもので特定秘密でないものは、この法案の対象に概念上、理論上なり得るということでいいですね。今の室長の答弁はそういう答弁ですよ。

高市国務大臣 それは、先ほど私が答弁した中で、委員の御指摘のように、理論的には存在することは否定しない、ただ、それに、実際にあるとか今後直ちにあると想定されるものはないという判断に至ったということでございます。(後藤(祐)委員「法律の適用対象になるかどうか、法案の対象になるかどうかです、答えていないです」と呼ぶ)

 先ほどお答えしたとおりでございます。(後藤(祐)委員「法案の対象になるかどうか、この法律の対象になるんですか、Cは」と呼ぶ)

 理論的にはなります。

後藤(祐)委員 先ほど違う答弁をしていましたよ。

星野委員長 後藤祐一君、時間が経過しておりますので、まとめてください。

後藤(祐)委員 はい。終わります。

 Cに該当するのは理論上はあり得て、この法案の対象になるということが明らかになりました。つまり、この法案はトップシークレットを対象にするということなんです。そうすると、罰則の問題とかいろいろ出てくると思いますが、それは後続の皆様の審議に委ねたいと思います。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。篠原豪でございます。

 引き続き質問させていただきます。

 経済安保の基本的な考え方ですけれども、市場経済では、民間の自由な経済活動を保障することが経済発展の基本であり、国の過度な介入を避けることが求められているというのはまず原則だというふうに思います。

 したがって、そこはしっかりと守っていかなければいけないんですが、一方で、今、経済的手段によって自国の意向を他国に押しつけたり、サイバー攻撃などによって他国の先端技術を盗み取るような国家の不正行為、今回の経済安保推進法、本法律案の言葉の中では、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為に対処することが不可欠となり、そうした役割が国に求められていることを立憲民主党としてもこれまで認めており、むしろ市場経済を守るという観点から経済安全保障の考え方に賛同をし、前回の政府の提出した経済安保推進法に賛成をしてまいっております。

 その際、今回のセキュリティークリアランス制度についても、同法案の附帯決議に、「国際共同研究の円滑な推進も念頭に、我が国の技術的優位性を確保、維持するため、情報を取り扱う者の適性について、民間人も含め認証を行う制度の構築を検討した上で、法制上の措置を含めて、必要な措置を講ずる」との趣旨を明記をし、その必要性についても認めてきているということでございます。

 その中で、まずちょっと、いろいろと問題になっていることが法案が出てきて分かってきていますので、確認をさせていただきたいと思いますが、この附帯決議では、セキュリティークリアランス制度の制定理由を「国際共同研究の円滑な推進」とここには明記をしています。ここでは、他国の民間の事業者が持つ最先端の重要情報を、我が国にセキュリティークリアランス制度がないために我が国の事業者が開示してもらえないなどの不利益を解消することがあるということで、これは法律として必要だろうというふうに政府も出してきたということでございます。

 この附帯決議で必要としたセキュリティークリアランス制度は、民間の事業者が持つ最先端の技術情報が盗取されるのを防止することが主たる目的であると考えておりますけれども、その中で本法案に明記されている重要経済安保情報は、本来政府保有の情報であり、民間の事業者が持つ最先端の技術情報とはほぼ重なる情報がないと考えられます。

 ちなみに、政府は、サイバー攻撃の脅威、サプライチェーン上の脆弱性、貿易管理制度などの検討、分析、そして先端技術の国際的な共同開発研究といった四分野に関する情報を候補に挙げていますので、今申し上げたように、民間事業者が持つ最先端の技術情報とは別物であるということは明白なんだと思います。

 したがって、質問させていただきますけれども、国際共同研究の円滑な推進を希望する民間事業者は、重要経済安保情報とは実は関係なくて、セキュリティークリアランスに関する適性評価を受ける動機、インセンティブを持つことになるのか、それが本法で想定されているのかどうかということをまず政府に伺います。

高市国務大臣 国際共同研究を推進していく観点、これは附帯決議にありました。この観点では、諸外国にも通用する制度としていくことが必要でございます。その観点も念頭に、昨年二月以来、有識者会議において、産業界の皆様のニーズも聴取し、外国の制度分析を行ってまいりました。

 諸外国におけるセキュリティークリアランス制度は、我が国における既存の制度である特定秘密保護制度も含めて、第一義的には自国政府が保有する安全保障上重要な情報の保全制度として存在しております。ですから、適性評価を行うのは、自国の秘密情報を提供する前提で、それを漏らすおそれがないかどうかを確認するためでございます。

 ですから、この法案では、望めば誰でも適性評価を受けることができることとはしておらず、諸外国の制度と同様に、重要経済安保情報として指定された情報の取扱いの業務を行うことが見込まれる者についてのみ適性評価の対象といたしました。

 国際共同研究に関しまして、本法案では、それが重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究等に該当する場合には、本法案の目的にある事業者による我が国の安全保障の確保に資する活動と位置づけられることとなりますので、この法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られると考えております。

篠原(豪)委員 今のお話ですと、重要経済安保情報は、本来政府保有の情報であって、民間事業者が持つ最先端の情報と重ならないということになりますと、本来民間の方々が何を求めているかというと、適性評価がないことで国際競争で不利になっているという意見が企業側から出てきたので、このSC制度を整備してくださいということなんですよね。だから、これがかなわないとなると、適性評価を受けたい民間事業者があまねく重要経済安保情報をもらわないということになれば、その必然性がこの法案で満たされるのかという新しい議論が生まれてくるんだと思います。

 そもそも、民間の方々は自分たちが不利にならないように受けたい、政府の情報とは関係ない、だけれども海外はそれを求めているということになると、セキュリティークリアランスを受けられないということになるとそれは問題だというふうに思いますし、もしそれも含めてやるということになると、他方で、民間事業者と共有する意味、意図というのは重要経済安保情報ではどういうふうになるのかということも考えていかなければいけない問題であります。

 さらに、重要経済安保情報と無関係に適性評価を受けるということになるのかならないのかということはやはり議論になりますけれども、そうなった場合に、残されたのは、日本人だけを対象にしていくのか、あるいは、そうじゃないと実際には国際競争の中で日本の企業がやっていくことができないんじゃないかということになれば、これも外国人を含めた方が先端技術情報の保護に実際には役立つんじゃないかということが議論としてこれから出てくるんだと思いますが、今日は審議が始まった初日でございますので、問題だけ提起させていただきます。あ、二日目ですね。野党としての初日でございますので、我々からの指摘は今日これからですので、よろしくお願いします。

 次に、重要経済安保情報について伺います。

 重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障を確保するために特に秘匿することが必要であるものと書かれていまして、これを我が国の安保の確保に資する活動を行う事業者へ提供することが本法の目的で、その情報漏えいを防止するためにセキュリティークリアランス制度を整備するということは先ほど申し上げましたけれども、重要経済安全情報の内容を民間の方はあらかじめ知る余地もない、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者というものが一体どのようにして情報提供を受けたいとするインセンティブを得るのかということも考えなければいけないわけです。分からないわけですから。

 そういった中で、政府はどういうふうに想定をしているのかということ、このことについて具体的に説明をお願いしたいのと、もう一つ、重要経済安保情報は民間との共有を目的とした情報であるので、特定秘密とは明らかに異なるわけですけれども、一方で、先ほど後藤先生の話にもありましたけれども、特定秘密とされた情報であっても、場合によっては、民間と共有することで我が国の安保に資すると判断された場合には重要経済安全保障情報として、聞き方を変えますと、重要経済安全情報として民間事業者に提供されるということはあり得るのかどうか、政府の認識を改めて伺います。

高市国務大臣 二件のお尋ねがございました。

 御指摘のとおりなんですが、重要経済安保情報として指定された情報は当然に公にされることはありませんので、事業者にとっては、まずは行政機関側から重要経済安保情報を提供したいという打診を待つようなことになります。

 他方、適合事業者への情報の提供につきましては、重要経済安保情報を提供する前提となる契約関係に入る前に、当該行政機関と民間事業者とのやり取りの過程におきまして、提供される可能性がある重要経済安保情報の概略や当該情報の活用方法などについて可能な範囲でお伝えするということになると考えております。そのやり取りの中で、事業者としては、重要経済安保情報の提供を受ける事業上の動機が生まれて、その情報の提供を受けるかどうかについて御判断をいただくことになると考えております。

 二点目でございますけれども、本法案では、重要経済安保情報の指定対象から特定秘密に該当するものは除くこととしております。ですから、特定秘密として指定された情報は重要経済安保情報から除かれますので、重要経済安保情報が、適合事業者に提供されることはございません。

 他方で、例えば、情勢の変化によって漏えいした場合の安全保障に与える支障の程度が低下したというような、特定秘密の指定要件を満たさなくなって、特定秘密の指定が解除された上で重要経済安保情報として指定されましたら、当該情報を我が国の安全保障の確保に資する活動を行う適合事業者に提供するということはあり得ます。

篠原(豪)委員 次に、民間事業者が持つ最先端の技術情報の保護と法案の関係についてお伺いいたします。

 国際共同研究の円滑な推進のためにセキュリティークリアランス制度が国際的に整備されてきたのは、半導体や量子技術といった最先端の技術をめぐってサプライチェーンが分断される状況、いわゆるデカップリングが世界的に進んでいることが背景にあるからだということでございますけれども、同志国や同盟国と友好国と、それに対峙する諸国とを明確に区別することで情報の流出を防ごうというふうに今回考えているんだと思いますが、ちなみに、セキュリティークリアランスをG7で持っていないのは日本だけですから。

 したがって、最も大事なのは官民の研究機関や民間の事業者が持つ最先端の技術情報の保護であって、そのためにSC制度の整備が急がれているということで、法案では、重要経済安保情報を我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者に提供し、その秘密保護のために制度を整備をするということでありますので、民間が保有する最先端技術の保護と政府が持つ重要経済安全保障情報の保護は一見別物ではないかと思われますが、これが一体どこで交わるのか、あるいは、そもそも交わることを今回政府は法案で想定をしていないのかということを、これはなかなか明らかになってきていないので、ここはやはりしっかりと議論をする必要がありますので、政府の認識を教えていただければと思います。

高市国務大臣 本法案は、政府が保有する経済安全保障分野における機微度の高い情報を保護するということとともに、必要に応じて民間に活用してもらうための制度を整備するものでございます。ですから、基本的には民間事業者の保有する情報はこの制度の対象とはなりません。

 ただし、交わる場合と篠原委員おっしゃいました。本法案の第十条第二項に規定しているとおり、政府が適合事業者の同意を得て行わせる調査研究等により当該適合事業者が保有することが見込まれるものについては、重要経済安保情報として指定して保全の対象とするようなことはございます。ただ、当該事業者が元々保有していた情報には本法案の効果は及ばないということでございます。

篠原(豪)委員 そうなりますと、重要経済安保情報の明確化ということで、一つ、よく、今ニュースでも、これまでもそうなんですけれども、議論になってきた問題の中で、政府が指定した重要経済安保情報を民間事業者に提供する、そして、当該の民間事業者が秘密保持契約に違反して漏えいした場合には罰則が適用されるということに今回なっています。

 多くの人は、何が重要経済安保情報であるかというのが明白でなく、人によって解釈に幅がある、そうすると、大川原化工機のような事件が起こりかねないのではないかと心配しているという声がありますので、こうした懸念がないのかどうなのかということを、懸念がないのであればその理由は何かを、政府に認識を聞かせていただきたいと思います。

高市国務大臣 今回の法律案では、政府が保有する重要情報の共有を受ける意思を自ら示される事業者との間で政府が秘密保持契約を結び、しかも、何が対象情報であるかを明確にした上で事業者に共有して、共有を受けた事業者の方々にも公務員と同様に守秘義務を負っていただくということを定めております。ですから、政府と民間企業との間で重要経済安保情報の範囲については明確でございますので、御指摘のような懸念は当たらないと存じます。

 更に申し上げれば、本法案の規定に基づいて、政府との契約を締結することなくこの法律案の法的義務や罰則の対象になることはなく、この点は法律案でも明確に規定をいたしております。

篠原(豪)委員 今日から野党側の議論が始まりますので、これからしっかりと質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

星野委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いいたします。

 後藤議員の問題意識と重なるところがありますので、重複に気をつけながら質問していきたいと思います。

 まず初めに、ちょっと、そもそも論みたいな話になるんですけれども、当委員会での議論では余りに大前提過ぎて質問になっていないので、一度しっかりお聞きしておきたいと思うんです。我々が議論している本法案は、特定秘密保護法をベースにして、いわば作り変えたもの、作ったものだ、こういうふうにまず言えるかどうか確認したいと思うんです。

 というのが、私、この対照表、政府に出していただいて、これを拝見して非常に分かりやすいなと。特定秘密保護法と今回の重要経済安保情報保護法との対比表を見ると、基本的にほとんど同じ、コピペで、名前が特定秘密が重要経済安保情報に変わっているぐらい、あと、国会の関与がないとかそういうことがあるんだけれども、基本的には特定秘密保護法をベースに作成をした法案である、この認識を共有できるかどうか。大臣、お願いいたします。

高市国務大臣 特定秘密保護法の条文を参考にしていることは認めさせていただきます。

 この法律案は、安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中で、経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏えいのリスクに万全を期すためにも、我が国の経済安全保障上重要な情報を適確に保護、活用するためのものです。

 特定秘密保護法は、政府が保有する機微な情報の漏えい防止という目的を共有する制度として先行しております。また、諸外国との関係においても、こうした情報保全の枠組みとして通用するものとなっております。よって、参考にはいたしております。

山岸委員 明快な御答弁ありがとうございます。

 特定秘密保護法を参考にして、つまり先行事例として参考にしているということなので、我々がやはり議論しなきゃいけないのは、大臣もおっしゃったとおり、特定秘密保護法が先行しているということなので、じゃ、その運用であったり、あるいは課題ということに対してしっかり目配りをした上で今回の法案が立案されているのかというところをきちんとチェックをしなければいけないということになるんだと思います。今日は、この問題意識でもって以後伺っていきたいというふうに思います。

 まず、早速、この特定秘密と本法案の違いということの中で、大臣が、これはせんだっての本会議で御答弁されていますけれども、特定秘密保護法は著しい支障についてそれを防ぐ、本法案は支障について防ぐんだということで、じゃ、この著しい支障と支障の違いって何ですかという議論をしたときに、大臣はこういうふうに御答弁されているんですね。安全保障に著しい支障を与えるおそれとは、中略、我が国に対する攻撃が著しく容易となるような場合や、外国の政府などからの信用が著しく損なわれる場合だと。一方、著しくない場合、安全保障に支障を与えるおそれとは、そのような著しいとまでは言えない程度の支障も含め、安全保障の確保に支障が生じ得る場合を指しますと。

 これは、御自分でも説明になっていないと、多分皆さん、トートロジーだと思われると思うんですね。著しい問題とは著しい問題のことで、そうでない問題とはそこまでじゃない問題のことですというふうにこれはおっしゃっているにすぎないわけでありまして、ここはもう少し具体的かつ明確な線引きがやはり必要ではないかと思います。

 大臣、御説明を求めたいと思います。

高市国務大臣 私が説明しようと思っていたことは、今先に委員がおっしゃってくださいました。答弁したとおりでございます。

 著しいがつくかつかないかという支障の程度の判断も含めた重要経済安保情報の指定につきましては、その指定を行う各行政機関の長が、その所掌事務に係る専門的な知見に基づいて適切に判断をするということになります。

 その指定に関して政府全体として統一的な運用を図っていくことは重要ですから、今後、関係する行政機関の間で共通する事項について調整を進めます。さらに、有識者の御意見を聞いた上で、運用基準の案を作成し、閣議決定をすることといたします。

 そのような取組を通じて、御指摘の点についても一層の明確化に努めて、予見性の確保を図ってまいります。

山岸委員 大臣の御答弁でも、現状では不十分だ、不明確だというふうに言われるおそれがあるから、これから線引きをはっきりしますということだと思うので、そういった状態のまま国会に法案が出されてくるということ自体が私はいかがなものかなというふうに率直に思います。やはり、現時点できちんと線引きを明確に示す必要があるのではないか、そうしないと拡大解釈されたりということの懸念にもつながってくるのではないかと思うんです。

 なぜこの線引きが曖昧なのかということを考えたときに、私、先ほど来議論になっている、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルという、ちょっとこのことが関係をしているのではないかというふうに思うんです。つまり、著しい支障なら特定秘で、支障なら経済安保情報です、その線引きはこれから考えますという話なんだけれども、もう少しシンプルに、外国政府から提供される情報が主なターゲットであって、外国から、これはトップシークレット、シークレットと言われたら特定秘で、これはコンフィデンシャル級ですと言われたら今回の経済安保情報になるという、実はそういう線引きを基本的に想定しているのではないのか。

 これは参考人にお伺いしたいんですけれども、何か、著しい支障なら特定秘です、そうでない支障は重要経済安保情報ですという説明になっていない説明をするよりは、はっきりと、外国政府から何級だというふうに言われるかによって決まってくるんですという説明の方が僕はシンプルじゃないかなと思いますけれども、室長、こういう理解でいいのかどうか、ちょっと教えてもらえませんか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 諸外国におきましても、こういった、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルといった区分があるわけでございますけれども、その定義につきましては、先ほど大臣御答弁あったとおり、外国の制度を分析する中でも、必ずしも一つ一つの区分について定量的あるいは詳細な定性的な定義はございませんで、先ほどのトップシークレットでいえば例外的に著しい支障を与えるもの、あるいはシークレットであれば深刻な支障を与えるもの、そして、コンフィデンシャルについては支障を与えるものというような形で定義をされているのが例えば米国のベースでございまして、その他の国については更に曖昧な形というのが実態としてあろうかと思います。

 そういうことの中で、日本においても、あるいは諸外国におきましても、担当する行政機関がその専門知識の中で安全保障の観点からどのような区分とすべきかということを判断をしているということでございますが、その中で、委員御指摘がございましたとおり、外国から来るものについては、当然、先方が自国の国内と同様の措置を求めてくるという意味で、トップシークレット、シークレット、あるいはコンフィデンシャルということを明示して同様の措置を求めてくるということでございますので、それは、外国から提供される情報については、その区分に基本的には従って日本国内でも管理をするということになります。

山岸委員 ですから、外国から来るものについて、先方の求めに合わせるためにこういう新しい枠をつくるんだということだったらその説明でいいわけなんだけれども、そうはっきり言い切らずに、著しいものは特定秘密で、著しくないものは経済安保情報ですという線引きは非常にやはり不明確だと思いますので、今後の審議の中でより具体的な線引きというものを求めていきたいというふうに思います。

 次のテーマに行かせていただきます。

 国会との関係、先ほども質疑がございましたけれども、これもちょっと答弁の確認から入らせていただきたいんです。

 先日の当委員会でございますね、政府参考人の御答弁が、これは公明党の吉田議員とのやり取りの中であった話なんですけれども、説明があって、以上のとおり、本制度の運用におきまして、国会の監視や第三者による検証、監察を想定しているところでございます、こういう御答弁をいただいているんですけれども、私ちょっと分からないのが、国会の監視という規定というのは本法案のどこに書かれているのか。私が見た限り見つからないんだけれども、国会の監視というのはどこに書いてありますか。教えてください。

品川政府参考人 お答えいたします。

 先日の答弁におきまして、本制度の運用におきまして、国会の監視を想定しておりますというふうに答弁を申し上げております。その前提となる説明といたしましては、本法案第九条第一項第一号に規定しているとおり、国会におかれまして、国会法等により非公開とされた審査、調査であること、この審査、調査において重要経済安保情報を利用する場合には、この情報を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、こうした審査、調査以外の業務にその情報が利用されないようにすることその他の重要経済安保情報の保護のために必要な措置を講じていただくことが必要であると考えておりますと答弁しております。

 これに続きまして、これら、この必要な措置を指しまして、具体的な方策につきましては、国会において御議論いただくことと考えておりますところ、これらの方策、今申し上げました必要な措置ですけれども、国会において本法律案の運用状況について御確認いただくことができると認識しておりますと。

 かかる認識に基づきまして、国会の監視を想定しておりますというふうに答弁をさせていただいております。

山岸委員 今次長御答弁いただいたように、皆さんがおっしゃっているのは基本的に九条の話をおっしゃっていて、これは重要経済安保情報の利用方法の話ですよね。活用方法、利用方法、提供方法として、国会に出すこともあり得ますよということをおっしゃっているわけであって、それと監視というのは直接的には関係がないはずなわけであります。

 むしろ、監視のくだりは、先ほど冒頭申し上げたように、特定秘密保護法にはあるんだけれども、あえて今回、皆さん、そこを落とされたわけですよね。先ほど後藤議員との議論もありましたけれども、十八条の三項と十九条に規定されている国会への報告、それを背景とした国会による監視という規定は、あえて今回落とされているわけです。

 先ほど、高市大臣、御答弁があって、お求めがあれば提供しますということがあったんだけれども、じゃ、御答弁があったのであえてお聞きしますけれども、お求めとはどういうことを指すのか。私がお願いしたら出してもらえるのか。それとも、情報監視審査会の会としての決め事があれば提供してもらえるのか。どういうお求めがあれば提供してもらえるのか。これは大臣の御答弁ですから、教えてください。

高市国務大臣 この法律案第九条第一項第一号イによって、行政機関の長は、国会において保護のために必要な措置が講じられ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときは、国会の秘密会に対して重要経済安保情報を提供することとしています。ですから、そのような環境を整えていただければ、そもそも提供できることとなっております。

 それから、国会のお求めがあれば報告をするということでございますが、国会法に係ることでございますので、あえて政府の方から国会法をこう改正してくださいというようなことを申し上げるのは適切でないと思いました。例えば、情報監視審査会のような場で御報告ができるような、そういった対応がなされる場合には、積極的に、しっかりと情報を提供させていただきます。

山岸委員 大臣、先ほど来、お求めがあれば提供しますとか、意見は聞きます、お約束しますとか、非常に見えを切っていらっしゃるんだけれども、その見えの根拠がこの法案には書いていないということが問題なわけですから、我々は、とりわけ特定秘密法の十九条の規定に関しては、是非修正が行われるように、引き続き提案をしていきたいというふうに思います。

 次のテーマに移らせていただきます。これも特定秘密との関係でございます。

 先ほど申し上げたように、特定秘密保護法のこの十年間にわたる運用ということの中で、どういう課題があるのか、課題があるのであれば、それを今回の法案にも生かしていかなければいけないということの中で、この十年間の運用を少し検証させていただきたいと思います。

 具体的には、適性評価に関してでございます。

 特定秘密を扱えるかどうかという適性評価は、実はこれは拒否をすることができる、こういう仕組みになっておりまして、同意をしない方が、ほぼ毎年、数名ずついらっしゃるわけです。私が手元で計算した限りでいうと、昨年までで計六十七名おられたというふうに承知をしておりますけれども、この方々が何か不利益な処分を受けることがなかったかということを確認したいと思います。

 といいますのが、今回のセキュリティークリアランスでは民間の企業の従業員の方々が対象になるわけで、その方々が、えっ、何でこんなの受けなきゃいけないのというふうになることは、場合によったら想定されるわけで、そういった方々に不利益な取扱いがないようにしていく。

 一応、条文上は担保されています。でも、それが実際にワークしているかどうかということを、特定秘密の運用をベースに検証する必要があるんだろうということで、これは政府参考人にお伺いいたしますけれども、この適性評価の実施に同意しなかった皆さんについて、具体的に三つお聞きいたしました。何か処分を受けた方はいますか。二つ目、翌年度末までに配置転換を受けた方はいらっしゃいましたか。三、同じく翌年度末までに退職した方々はいらっしゃいましたか。それぞれ何件あったか、お答えいただきたいと思います。

岡政府参考人 お答えいたします。

 法律の施行後、令和四年末までに適性評価の実施に同意しなかった方は、全省庁分合わせて、おっしゃるとおり六十七名おられました。ただ、このうち二十三人につきましては、その関連文書が破棄されておりまして、状況が確認できませんでしたので、残り四十四人の内訳についてお答えいたします。

 まず、処分を受けられた方は、当然のことでありますけれども、一人もいらっしゃいません。

 その上で、次年度末までに異動があった方が二十二人おられます。そのうち二人がその理由について記録がないので不明なのですが、残り二十人につきましては、いずれも通常の人事サイクルの中での異動でございました。

 さらに、異動せずに、特定秘密を扱わない業務を続けていらっしゃった方が十七人おります。

 さらに、次年度末までに退職した方が五人いらっしゃったわけですが、これらを確認しましたところ、定年などの理由によりまして、いずれも適性評価の実施とは関係なく退職を予定していたということを確認しております。

山岸委員 詳細な御答弁ありがとうございます。

 その上で、破棄されていた方が二十三名いらっしゃる、つまり検証できないということですよね。私、それでいいんだろうかと。

 つまり、皆さん、提出者の側は、今回の経済安保法制の中で、いや、不利益処分はありませんよということをさんざんおっしゃっているわけですよね。そうした中に、やはり、先行事例である、大臣も先ほど先行とおっしゃいました、先行事例であるこの特定秘密の運用の中で本当にそういうことがないのかどうかということは、皆さん方が積極的に調査をして、説明をして、情報開示をしていくのが私は筋だと思うんだけれども、これは私が先週お伺いして調べてもらったわけですね。

 調べてもらったら、六十七分の二十三、三分の一は記録がないから分かりませんと。こういうことですと、私はこれは非常に心もとないというか、しかも、記録があった四十四名のうちも異動された方が二十二名いて、そのうち二人は理由はもう分からないということだった。だから、非常に検証として不十分なんじゃないかというふうに率直に思うわけなんです。

 大臣の認識をお聞きしたいんですけれども、やはり、大臣もこの間、ちゃんと従業員の方に配慮して不利益処分とかがないようにしますとおっしゃっているんだけれども、そのベースとなっている特定秘密保護法のこの十年間の運用がきちんと検証されているのかどうか、生かされているのかどうか。今の御答弁ですと、若干、僕は疑問なしとはしないと思うんですけれども、大臣の認識をお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 文書の管理なんですが、評価対象者から不同意だという書類が提出された場合には、この適性評価関連文書の保存期間が三年となっていることから、これは廃棄済みということでございました。

 これまでの検証ということなんですが、例えば、今御審議いただいている法案では、適性評価を受けることに同意しなかったことや、適性評価の結果を重要経済安保情報の保護以外の目的で利用することを第十六条によって明確に禁止をしております。特定秘密保護法におきましても同様の規定はありますけれども、これまで不利益取扱いを受けた旨も含めて苦情を受けたことはないと聞いております。

 他方、本法案では、民間事業者との共有による重要経済安保情報の活用を図るということにしておりますので、不利益取扱い防止のための措置をより徹底しなければなりません。

 この禁止措置の実効性を担保する観点から、今後、有識者の御意見を聞いた上で作成し、そしてまた閣議決定もする運用基準におきまして、どういったものが禁止行為に当たるのかということを明示して、不利益取扱いに関する相談窓口を設けるということを検討いたします。

山岸委員 ここは非常に大事なポイントなので徹底していただきたいと思うんです。

 特定秘密保護法は、当然これはいまだに賛否のある議論ですけれども、曲がりなりにも十年間運用してきたという実績といいましょうか、経緯があって、その間、様々な知見の積み重ねもありますし、私も情報監視審査会の一員として今仕事をさせてもらっていますけれども、そういった国会による監視の蓄積もあるわけです。ここの知見というものを今回の法案の施行までに私はもう一回レビューしてもらってはどうかなと。

 これはちょっと、大臣、御提案なんですけれども、つまり、この十年間の運用実績、とりわけ不利益取扱いが、今、記録もないという話で、分からないということもあるんだけれども、やはり、大臣もおっしゃったように、これから民間の企業の従業員の方を対象にするわけだから、あらかじめ覚悟している公務員に比べても当然そこは慎重でなければいけないという中にあって、過去十年間の特定秘の実績と課題、とりわけ不利益処分、取扱いの有無という部分に関しては、もう一回これはレビューをして、研究をして、今後の施行に向けて反映をするべきじゃないかなと思いますけれども、大臣の問題意識をお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 委員が御通告いただきましたおかげで、先ほど参考人が答弁したようなかなり細かい状況というものをしっかりお示しすることができました。その中で、不利益取扱いを受けた旨も含め、苦情を受けたことはないと聞いておりますので、そこは安心をいたしました。

 ただ、今回の法案は、先ほども申し上げましたが、民間事業者の従業者の方々も対象になるものですから、更にここを徹底しないと、例えば、適性評価を受けることを拒否したとか適性評価の結果によってその方が例えば人事上の問題などで不合理な不利益な扱いを受けてはなりませんので、ここは更に分かりやすいものをつくり、そして、目的外利用をするということも禁止されておりますので、適合事業者に対してもそこは厳しく対応をさせていただきます。

山岸委員 次のテーマに移ります。同じく適性評価に関連して、これを行う政府側の体制について確認をさせていただきたいと思います。

 内閣府の下に一元的な調査機関をつくるという説明なんだけれども、この間ずっと国会答弁では、その規模については厳密にお示しすることは困難ですということで、一切中身を明らかにしていただけておりません。これでは困ります。

 厳密に示すことができないのは分かりましたので、参考人にお伺いしますけれども、およその規模で構いませんから、大体どれぐらい、年間、適性評価を行うことを想定しているのか。具体的に、特定秘密の方は、毎年、職員が二万人から三万人、プラス事業者が一千人程度で推移をしておりますので、これとの比較において多いか少ないかぐらいは明らかにしていただきたいと思いますけれども、参考人、いかがでしょうか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 現時点で厳密に示すことは困難というふうにお答えをしているところでございますけれども、今お尋ねにありました、およその規模、比較につきましても、現時点では難しゅうございます。

 理由といたしましては、評価対象者の数は、各行政機関においてどのような情報が重要経済安保情報として指定されることとなるか、指定された重要経済安保情報のうち、どの情報を民間事業者に提供することになるか、さらに、各行政機関と契約を締結する民間事業者がどれくらいの数になるのか、行政機関や民間事業者において当該情報を取り扱う必要のある者が何人程度になるか、さらに、こうした者のうち現在特定秘密の適性評価を受けている者がどの程度いるかといった見積りを立てていくことが必要でございまして、現時点においてお答えすることは難しゅうございます。

山岸委員 およその規模すら出せないという、そんなので法律を運用できるんですか。大丈夫ですか、これ。

 それと裏表の関係になるんですけれども、じゃ、一元的な組織の側の規模。調査対象者の数はおよそも分かりません、アバウトでも分かりませんと。じゃ、調査する側の組織の陣容、規模、これは分かりますか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案をお認めいただいた暁には、内閣府において、適性評価のための調査のほか、法制度を所管する立場から、制度の政府統一的な運用の確保などを担当することとなります。令和六年度の政府予算案におきまして、内閣府として、一元的な調査を含め、セキュリティークリアランス制度の施行のための準備作業への対応として、合計二十名の増員を計上しているところでございます。

 その上で、調査業務に関する施行後の体制につきましては、法施行までの間に、制度の詳細設計を踏まえ、各行政機関が指定する重要経済安保情報の件数の見込み、適性評価の調査件数の見込みなどを精査し、必要な体制の整備の検討を進めてまいりたいと考えてございます。

山岸委員 この組織の規模も分からないということで、分からない尽くしなんですけれども、なので、これ以上伺っても中身は出てこないかもしれませんけれども、確認をしたいと思うんです。

 この調査組織の構成といいましょうか、どういうふうな陣容になるのかなと。具体的には、出身官庁、当然いろいろなところから混成部隊になると思うんですけれども、どういう組織のイメージをお持ちなのかということをお聞きしたいと思うんです。

 というのが、具体的には、公安調査庁、二年前に経済安全保障専門の調査部門を設置をされて、経済安保の分野に乗り出してこられました。恐らく、決して私の推測ではないと私は理解していますけれども、新しくできる調査組織において、公安調査庁の経済安保部門が参画することも一定想定をされているんじゃないかなというふうに考えるわけなんですけれども、この点について現時点での説明できることがあれば、参考人、お願いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 具体的な構成につきましては、今後、関係省庁とも調整しつつ、検討していくこととしております。

 いずれにいたしましても、実務経験を有している人に来ていただくことも含めまして、教育や研修を行うなど、必要な体制が整うように準備をしてまいりたいと考えております。

山岸委員 排除されないということですよね。実務経験を有する方に来てもらうということで、実務経験となれば、公安調査庁のような調査機関の参画ということが当然想定をされるわけで、内閣府の方とか経済産業省の方とか外務省の方ということじゃなくて、いわゆるインテリジェンスコミュニティーの所属の方々が入ってきて調査をするということが十分想定をされるわけです。

 もちろん、それは想定されるんだけれども、非常に私は注意点が必要だろうと思っています。やはり、国民の皆さんの不安の声の中には、いわゆる素行調査みたいな、あるいは思想調査のような広範な監視が行われて、その情報が政府、行政府に集中をする、しかも、それが公務員の情報ではなくて民間企業の従業員の情報が大量に集中をする。このことに対する懸念があって、しかも、その担い手が、公安調査庁のようないわゆる監視を主務とする組織から来た方々によって担われるということになると、それはまた新たな不安材料にもなるんじゃないかと思いますけれども。

 これは最後、大臣から御答弁いただきたいんですけれども、やはり、こういった、どういう組織になるのか、どういうところが担い手になるのかということについては、この法案の審議の過程の中でできる限り説明すべきではないかと思いますけれども、大臣の見解を求めたいと思います。

高市国務大臣 その適性評価をする組織は内閣府に設置する予定でございますが、仮に他省庁から内閣府への出向や派遣の人事があったとしても、内閣府の職員となられる以上は、国会でお認めいただく法律、それから閣議決定される政令ですとか運用基準の規定、それからまた、それらに基づく内閣府の上司の職務上の命令の下で業務を遂行していただくことになります。

 出身省庁の構成によって調査組織の性格が変わるものではないです。特定の省庁の出身者がいることで組織の性格が左右されたり、あと、調査の内容、項目は法定されておりますので、これが変わることもございません。

星野委員長 山岸一生君、時間が経過しております。

山岸委員 時間ですから終わりますけれども、まだ疑問点が非常に多い。引き続き伺ってまいります。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も、質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 法案の審議の前に、ちょっと一点だけ、せっかく高市大臣に来ていただいていますので、お尋ねいたします。

 大阪万博についてなんですが、一月に、大臣、長野県内で講演されたときに、能登半島地震の復興を優先すべきだとして二〇二五年大阪万博の延期を総理に進言したというふうに発言をされております。

 私自身、兵庫県ということで、建築業界、土木業界の大変厳しい現状を聞いておりますので、大臣の勇気ある発言というのを大変高く評価させていただいているところなんです。なかなか、物言えば唇寒しというようなところで、権力に、ともすれば官邸の意向におもねてしまう、そういう風潮もある中で、しっかり現実を直視して、天下国家、国民のために発言いただいたということだというふうに受け止めております。

 ただ、延期をした場合どうなるのかということで、一つ、国土交通省に今日来ていただいていますので、お尋ねをいたします。一般論としてお尋ねをいたします。

 建築基準法の仮設建築物に対する許可の期間後にも継続して使用する必要がある場合、建築許可の取扱いはどのようになるのか。再度建築許可を申請する必要があるのかどうか。この点について教えていただけますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論でございますけれども、また、制度上、建築基準法上、カテゴリーごとで扱いが異なるところではございますが、博覧会建築物等の仮設建築物につきましては、建築基準法第八十五条第六項の規定に基づき、特定行政庁は、一年以内の期間を定めてその建築を許可することができます。また、一年を超えて使用する特別の必要がある場合には、同条七項の規定に基づきまして、特定行政庁は、建築審査会の同意を得た上で、一年を超えて許可することができます。

 途中で、事情が変わったのでもう少し長く使いたい、許可された期間を超えて博覧会建築物等の仮設建築物を使用したい、そういう場合には、今申し上げたような規定に基づきまして許可を取り直すことが必要となります。

櫻井委員 大臣、こういうことで、許可を取り直したり、手続をし直さなきゃいけないというようなことで、その結果、認可されない、許可されないということだってあり得るわけですから、これはなかなか厳しい状況もあるということで、こうしたことを踏まえれば、延期のみならず中止というのも選択肢にあり得るのではないのかというふうに考えるんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

高市国務大臣 その建築許可の取り直しも含めて、総理とお話しする前に経済産業省にも万博準備の現状を確認し、また、仮に延期をするようなことがあったらどういった作業が必要なのかということを私も確認をいたしました。

 私は、能登半島地震に加えまして、熊本地震の復旧もまだ終わっているわけではございません。複数の被災地の復旧、これはもう最優先だと思っています。ただ、私も関西人ですから、この大阪・関西万博を、やるんだったら完璧にやり切るというのが日本の名誉のためには大事だと思っておりました。

 そういう中で、地震の発生直後だったんですけれども、既に万博の工事を受注しておられる企業の方から、資材不足、それから資材の高騰、また人手不足、こういった不安があって、万博を少し延期できないかという御相談もありました。また、能登半島の復旧に関わっている方からも、なかなか今、資材や人繰りが難しいというお話も伺いましたので、あくまでも所管外ですから、総理のところには一議員としてアポイントメントを取って伺いました。もちろん最終的には、これは所管外ですから、総理の御判断に従う旨もお伝えした上で、私の懸念事項をお伝えしました。

 その後、総理が経済産業大臣に対して、資材の需給は丁寧に把握して、能登半島の復旧に支障のないように、万博関連の調達を計画的に進めるようにと指示を出してくださいました。総理からも、被災地復旧には支障が出ないように配慮するというお話もいただきました。ですから、総理から明確な指示を経済産業大臣に出していただいたことについては感謝をいたしております。

 万博も所管外でございますので、能登半島の復旧には支障が出ないように万博の準備に取り組んでいただくということを期待いたしております。

櫻井委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。大臣の思いも私も共有させていただいたところでございます。

 今日は法案審査ですので、法案の方に移らせていただきます。

 まず、三月十九日、衆議院本会議で森山議員から、指定はあくまで政府が保有する情報に限定していますか、こういう質問をさせていただいたところです。岸田総理からは、政府が現に保有する情報、こういう答弁をいただいております。

 ただ、条文を見ますと、政府が現に保有する情報というふうにはなかなか書いていない、明文規定がない。特にこういったことを書くのであれば、一条、二条、三条のどこかに書いておくべきものだというふうにも思うんですが、見当たらないということで、これでちょっとお尋ねをいたします。

 この重要経済安保情報として指定される情報は、政府が現に保有する情報、これは条文のどこで規定されているのか、どこを読めばこのように解釈できるのか、教えていただけますでしょうか。

高市国務大臣 この法案における重要経済安保情報でございますが、行政機関の長が、重要経済基盤保護情報であって、公になっておらず、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三つの要件に該当するかどうかを情報の内容から判断して指定を行うこととされています。これは第三条一項です。かつ、指定をした場合には、その旨表示の措置を取る。そして、取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定める等の保護措置を講じる。これは第五条でございます。こういった仕組みになっておりますので、当該行政機関の保有が当然の前提となっております。

 それから、適性評価や、漏えいした場合の最高五年の拘禁刑の罰則の対象も、あくまで重要経済安保情報の取扱いの業務を行う者、つまり、情報を指定をした行政機関の職員のほか、当該行政機関から六条一項により提供を受けた他の行政機関や、秘密保持契約に基づき十条一項により提供を受けた適合事業者等において取扱いの業務に従事する者に限られております。たとえ行政機関の長が民間事業者から受け取って保有するに至った情報を指定したとしても、罰則の効果は元々これを保有していた民間事業者には及ばないということになります。

 ですから、これは当該行政機関が保有するという情報、これを前提にしているということは条文から読めると考えております。

櫻井委員 いろいろ丁寧に御説明いただいたんですが、それだけ説明をいただくと、なぜはっきり、当該行政機関が保有しというような文言を入れないんだろうかというふうに不思議に思うわけですね。

 例えば、そもそも指定の範囲がどこまで広がっていくのかということで、現状、政府が現に保有しという総理の答弁もあったので、その範囲であればということで、なるほど、何かいろいろなところに勝手に政府が指定されるということはないんだということが一つの安心材料になっているわけなんです。ただ、明確には書いていないから、法案審査のときには答弁でそう言っていても、この後、実際に法律の運用が始まったときに、あちこちにだんだん広げられてしまうんじゃないのか、何かそういう心配をする向きもあるものですから、だったら、最初からちゃんと条文に書いておいたらどうでしょうか、このように考えるわけなんです。

 具体的には、三条の一項で、「行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る」云々ということで規定されているんですけれども、その「行政機関の長は、」の後に、当該行政機関が保有しというふうに一言入れて、その後「当該行政機関の所掌事務に係る」というふうにつなげれば明らかですし、何の疑問の余地もなくなるというふうにも思うわけなんです。

 これはちょっと、やはり皆さんの安心のためにも、単に答弁だけでなく、条文に明確にしておくべきだと考えるんですが、いかがでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣がお答えいたしましたとおり、この法律の規律は、仮に指定があったとしても、その指定を受けた情報を元々持っていた民間事業者には適用されない、らち外であるということを御説明しているわけでございますけれども、そういう中で、ただいま御指摘いただいたような形だけでは、例えば政府が保有するということだけをもって、元々の保有者もいらっしゃるということも含めて様々な考慮が必要ではないかということを考えて、私どもとしては、法律に規定することとはせず、政府の方針としてしっかりとその方針を表明をする、あるいは、今後の運用の中でそれを確実に実施していくことで足りるのではないかというふうに判断をして、このような条文とさせていただいております。

櫻井委員 今の答弁を聞くと、やはりだんだん心配になってくるわけなんですね。

 民間が持っている場合、それは政府とは無関係に持っている場合もあれば、政府との関係において、政府が一旦それを、ある種、買い受けるなり契約をして政府が保有するに至るという場合もあろうかと思います。いずれの場合にしても、政府が持っているということが一つ要件として明確になっていれば何の疑いもなくなるわけなんですけれども、条文上そこが曖昧で、何か運用で云々とか、ガイドラインとか、基準とかいうふうに、政府がある程度恣意的に変えられるものでやってしまうというのは、やはり心配の種が残ってしまうんですね。

 やはり条文上明確にしておくことを提案申し上げるんですが、条文の修正とか、是非お考えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 もう一度、その点についていかがですか。入れたら何か不都合があるんですか。さっき申し上げたように、三条の冒頭のところに、当該行政機関が保有しということを文言で入れたら、何か不都合があるんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたことに加えまして、もう一つ、この法案の中で、例外的な場合ももちろん、政府が現に保有していない場合も含めた例外的な事例に対応するための条文も設けておりまして、十条二項におきましては、行政機関が現在保有する、いまだ保有するに至ってはおりませんけれども、当該行政機関がその事業者との同意の上でその事業者に行わせる調査研究等によって生じることが見込まれる情報、こういったものをあらかじめ指定し、これを重要経済安保情報として生じた後に指定するということも規定をさせていただいているところでございます。

櫻井委員 そうすると、本会議で総理は、現に政府が保有する情報というふうに答弁されているわけなんですが、それと何か話が違ってきますよね。まだ持っていない情報は、総理の言う現に保有する情報には含まれないじゃないですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 総理の御答弁は、そもそも民間がお持ちである情報について触れられたものであるというふうに認識をしております。

櫻井委員 ちょっとおかしいですよね。総理の答弁と違います。総理は、政府が現に保有する情報と御答弁いただいているわけですから、これは政府委員と総理との答弁がずれていると思いますので、この点も含めて、やはりそこは曖昧にせずに条文に明記することを提案申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

星野委員長 次に、本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。本日はよろしくお願いいたします。

 まず、今日は官房副長官に来ていただいておりますので、先に適性評価の話から始めたいと思います。

 国務大臣等に対する適性評価についてです。

 岸田総理は、三月十九日の本会議で、現行の特定秘密保護法において、国務大臣等は特定秘密の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされていることから、その任命の際に必要な考慮がなされる、本法案においても、特定秘密保護法と同様に、国務大臣等については、その任命の際に必要な考慮がなされるとの考えに基づき、適性評価の対象外としているというのが総理の答弁です。

 そこで、官房副長官にお伺いしたいんですが、特定秘密や重要経済安保情報を取り扱うために国務大臣等が任命の際になされる必要な考慮というのはどういうものなんでしょうか。例示で結構ですので、具体的に御説明ください。

村井内閣官房副長官 先日の衆議院本会議で岸田総理から答弁したとおり、国務大臣等については、その職責の重大性に鑑み、内閣総理大臣がその任命を行うに当たり必要な考慮がなされることとなりますが、具体的な考慮の内容については、国務大臣等の人事に関することであるため、お答えを差し控えさせていただきます。

本庄委員 それはおかしな答弁ですね。私は、人事の評価の全般についてお伺いしているわけではありません。特定秘密や重要経済安保情報に携わるために必要とされている考慮とは何ですかと、私は限定してお伺いをしています。

 一般職の公務員であれば、具体的に七項目、適性評価を受けるわけですよね。政務は、国務大臣等はこれに相当する調査を受けているんですか。調べを受けているんですか。お答えください。

村井内閣官房副長官 改めて、必要な考慮の具体的な内容についてお尋ねをいただきました。

 あえて申し上げれば、国務大臣等の任命に当たっては、その職務の特性から、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされているというふうに承知をしております。そのため、その任命に際しては、重要経済安保情報を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認を含めて必要な考慮がなされるものと考えております。

 それ以上の具体的な考慮の内容については、繰り返しで大変恐縮ですけれども、国務大臣等の人事に関することであるため、お答えを差し控えさせていただきます。

本庄委員 では、教えていただきたいんですが、一般の職員であれば、七項目ということで、家族の個人情報、借金などの経済状況、飲酒の節度、こういったことも具体的に調べられるわけですが、こういうことも含まれているということでよろしいですか。

村井内閣官房副長官 改めて、七項目に相当する事項を調査しているのかといったような御質問をいただきました。

 まず、やや繰り返しでありますけれども、国務大臣等の任命に当たっては、その職務の特性から、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされていることと承知をしております。そのため、その任命に際しては、重要経済安保情報を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認を含めて必要な考慮がなされるものと考えております。

 それ以上の具体的な考慮の内容については、御指摘の七項目に相当する事項を調査しているかどうかも含めて、繰り返しになりますけれども、国務大臣等の人事に関することであるため、大変恐縮ですけれども、お答えを差し控えさせていただきます。

本庄委員 岸田内閣で逮捕されました柿沢未途前法務副大臣やあるいは秋本真利元外務大臣政務官も、この必要な考慮ということを経て任命されているという理解でいいですか。

村井内閣官房副長官 個別具体的な人事について私の立場から何か申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、国務大臣等の任命に当たっては、その職務の特性から、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされており、その任命に際しては、重要経済安保情報を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認も含めて必要な考慮がなされているというふうに承知をしているところでございます。

本庄委員 法務副大臣も外務政務官も、特定秘密にも深く関わるような立場、役職ですよ。現職で逮捕されている。本当に必要な考慮は機能しているんですかね、官房副長官。私は、閣僚も含めて適性評価の対象にしていくべきだというふうに思っております。

 そこで、政府参考人にお伺いをしたいんですが、政府の有識者会議の中でも、出席者の中から、一人から、アメリカにあって日本にない制度として、日本には大臣、副大臣、大臣政務官等に対するセキュリティークリアランスがないことが挙げられる、こういう発言があったと、これは議事要旨に載っております。米国のセキュリティークリアランス制度では閣僚の扱いはどうなっていますか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 まず、他国の状況ということでございますけれども、他国の制度あるいはその運用でございますので、責任を持って詳細をお答えするというのはなかなか難しいことではございますけれども、私どもが入手可能な情報に基づいて把握している限りで申し上げますと、例えばということでございますけれども、公表されている資料のベースでは、米国では、大統領、副大統領はいわゆるクリアランスの対象外とされているというふうに認識をしておりまして、他方で、ヨーロッパのイギリスやフランスやドイツにつきましては、閣僚などまで含めてクリアランスの対象外とされているというふうに承知をしております。

本庄委員 我が国として最も重要な機微情報の共有可能性のある国である米国では、私の知る限り、今話もありましたが、大統領、副大統領は対象外、ただ、閣僚はセキュリティークリアランスを受けているというふうに私は理解しているんですね。そうなると、例えば、ブリンケン国務長官はセキュリティークリアランスを受けている、我が国の上川外務大臣は受けていない、こういう状況になるわけです。私、望ましくないと思うんですね、機微情報を共有するに当たって。

 やはり、我が国の国務大臣等も、しっかりとクリアランスを受けた人が機微情報に、特定秘密あるいは重要経済安保情報に接するべきだというふうに思いますが、高市大臣、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 閣僚の人事権は総理にございます。その中で、現行法でしたら、特定秘密を取り扱うということを前提に、それも含めて、どういう方がふさわしいかということを考えて任命をされていると思います。閣僚にしても、副大臣にしても、政務官にしても、今回の法律案でも、重要安保情報を漏えいした場合には五年以下の拘禁刑ということで罰則の適用はございます。

 実際、私も、自分が閣僚になる前にどういう内容の身体検査をされているのかは承知をいたしておりません。どこまで内閣で調べられているのかということは、むしろ知りたいなと思っているぐらいで、承知はいたしておりません。

 が、総理の人事権でございますので、以上のお答えになります。

本庄委員 今ほどの大臣の御答弁で罰則があるからというお話なんですが、そうであれば、一般の職員も国家公務員法を強化して罰則を重くすればいい、こういう話にもなりかねないわけですよね。公務員は入口の段階でクリアランスを受けさせるわけじゃないですか。私は、政治家だけが別だという理由は、少なくとも今の御説明の中ではよく分かりませんでした。

 今回の法案に入っていないことは私も承知をしておりますが、是非、国務大臣もセキュリティークリアランスの対象にするということについて政府の中で検討していただきたいというふうに思います。

 副長官は以上です。ありがとうございました。

 続きまして、適性評価の二つ目として、クリアランスを取得した人の証明、あるいは成り済ましの防止についてお伺いをしたいと思うんです。

 これは二十二日の委員会でも大臣の御答弁がありまして、私もこだわっていて、まだ役所内で議論をしている、現在、特定秘密保護法に基づく適性評価の結果というのは公印を押した紙を一枚もらうという話を聞いた、証明方法は物すごく大事だと。おっしゃるとおりで、通知書一枚だというふうに思います、今現状。私、ちょっとこれじゃおぼつかないとは思うんです。大臣はこういうふうにもおっしゃっているんですね。顔写真つきで、英語表記もあって証明できるようなものがあった方がいい、これは自分の意見だ、どうなるかは法律を認めていただいた後検討する約束になっているということなんです。

 この法案が通った後に、セキュリティークリアランスホルダーの証明、あるいは成り済ましの防止について、どこかで検討して結論を得る、そういうお考えなんでしょうか。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

高市国務大臣 国際的な協力枠組みの中でどうなるのかということを私は考えました。そういう国際的な協力枠組みの中で必要な場面におきまして、評価対象者がどうしてもクリアランスを保有しているということを外国政府などに示すような場合に、それが本当に真正なものなのかということ、正しい証明なのかということをどう確認するかというのは必要だと思いますので、これは法律案をお認めいただいた後に検討しなければならないと思っております。

 現在の紙一枚というのは日本語で書かれておりますので、日本が英語圏でないということもございますし、そこは検討したいと思っております。

本庄委員 対外的なものもありますが、日本の政府として、どこの誰が有資格者、ホルダーなのかということの正確な把握も必要だと思うんです。

 これはちょっと通告はしていませんが、今、特定秘密はどうやって個人を特定しているんですか、成り済ましなどができないように。これは事務方で結構ですが、分かったら教えてください。

岡政府参考人 お答えいたします。

 そもそも行政機関内部で確認するための書類でございますので、特段の成り済ましの防止措置、例えばホログラムとかそういうものは講じておらず、通常のコピー用紙に印字をして必要な印を押すなりの措置を講じた書類を用いているというところでございます。

本庄委員 行政職員は身分証明のためにマイナンバーを登録していると思うんですね、基本的に。なので、紙一枚でも成り済ましが防げるのかもしれません。

 ただ、重要経済安保情報ということで民間の方々を広く対象にしていくとなると、私は紙一枚で本人特定というのは難しくなってくると思いますが、今後、クリアランスホルダーの証明や成り済ましの防止のためにマイナンバーあるいはマイナンバーカード、これを使っていくということは政府として想定されていますか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも申し上げましたとおり、国際的な協力枠組みの中などの必要な場面において、クリアランスを保有していることを外国政府などに示すことができるような仕組みの在り方については考えていく必要があると認識しております。

 現時点におきましては、御指摘のマイナンバーカードのデータとひもづけるということは検討しておりませんけれども、いずれにせよ、今後、対外証明の方法等について詳細を検討してまいりたいと考えております。

本庄委員 何万人という民間の方を対象にしていくとなれば、今のやり方以外の別の方法を多分考えていかなきゃいけなくなるというふうに思います。今、想定していないということでしたけれども、否定もありませんでしたので、これも含めて恐らく今後政府は検討していくんじゃないかと私は思いますが、またその際には様々な議論をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、じゃ、ちょっとテーマを変えますが、重要経済安保情報と特定秘密の定義、範囲、そして両者の整合性ということでお伺いをしていきたいと思います。

 先ほど後藤委員が図表を使って質疑をされましたが、その中で高市大臣のお答えは、重要経済基盤保護情報、その前に、私がちょっと配付している図表も御覧いただきたいと思います。特定秘密と重要経済安保情報の比較ということで、後藤委員と同じような四角のマトリックスの表をお配りしております。

 この右上の、経済安全保障分野であってトップシークレット級あるいはシークレット級のものというここの中の話ですけれども、大臣は、重要経済基盤保護情報に該当しトップシークレットあるいはシークレットに該当する、ただし特定秘密に該当しないもの、これについて、今政府の中にはまずない、今はないということ、それから、理論上あり得るが想定されないというふうにもおっしゃいました。

 なぜ想定されないんですか。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの議論にもありましたように、委員御指摘の右上の部分でございますか、その部分については、理論的に存在することを否定するものではございません。

 ただし、政府部内におきまして、関係省庁にいろいろと聞き取り等を行いました。その結果、特定秘密保護法の要件への当てはめ等を検討した結果、実際には現時点においては想定されないという判断に至ったところでございます。

本庄委員 これは特定秘密に該当するから想定されないというお考えですか。仮に、重要経済基盤保護情報であっても、そしてトップシークレットやシークレット級の、要は著しい支障が生じるような情報であっても、それは特定秘密の方でカバーできるから今回の法案では想定されない、こういう考えですか。お答えください。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点において想定される情報、そういったものを念頭に検討した結果でございます。そういった情報の中で、いわゆる著しい支障を与えるおそれのある、そういったトップシークレット、シークレットに当たるもの、重要経済基盤保護情報の関係でございますけれども、そういうものについては特定秘密保護法の要件に該当する可能性が高いのではないか、そういうことでございます。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

本庄委員 それは、今政府が、運用基準を変えて特定秘密の範囲を広げていこう、こういうふうな方針をおっしゃっているからカバーできるということじゃないんですか。

 特定秘密保護法は、まず安全保障四分野に限定されていますよね。防衛、外交、スパイ防止、そしてテロ防止、分野はこの四つに法律で明記をされている。そこでまず読めるものに限定をされるということです。今でも貨物だとかサイバー攻撃だとか経済安全保障的なものはカバーされていますが、ここの運用基準を幾ら広げても経済安全保障全てまで広げられると私には思えないんですね。

 更にもう一つ網がかかっていまして、国の存立に関わるというのも条件になっていますね。相当重大な、重要なものでなければ特定秘密とは読めないというわけです。

 政府はシームレスだというふうに胸を張っていらっしゃいますけれども、私はここに隙間があるんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 特定秘密保護法、いわゆる諸外国でいうトップシークレットやシークレットに対応するものですが、これに次ぐコンフィデンシャル相当の情報類型がカバーされていないという課題がやはりございました。安全保障という言葉も今回御審議いただいている法律案の中に入っておりますが、この安全保障の裾野が防衛や外交といった伝統的領域から経済、技術分野に拡大してきている、こういったことの中で、経済安全保障分野でも情報管理に万全を期す必要が高まっているという認識から、この法律案を提案させていただいております。

 シームレスといいますのは、今後、法律案をお認めいただきました後に、政令で指定するものもありますが、運用基準、これも閣議決定で定めてまいります。この法律案についても、何が対象情報かというのをより皆様に分かっていただく、理解しやすくするために明確にしてまいりますし、また、特定秘密保護法の運用基準に関しても、本当に必要なものが迷うことによって指定されないということでは困りますので、何かつけ加える、補強する部分はないのか、分かりにくいところはないのかといったところももう一度見直して、二つの法律を用いて、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルの情報をしっかりと保全する体制をつくっていくということで、運用基準の見直しについては、法律案をお認めいただきましたらほぼ同時にスタートしてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

本庄委員 ですから、本来であれば、特定秘密保護法の四分野を拡大するのか、あるいは、今回の法律の中でトップシークレットやシークレットまでカバーをする、いずれかを選択すれば、本当の意味でシームレスで、全てを、このマトリックスでいう一番右の上のところがカバーできるということになるわけですけれども、今、私は、そういう体制になっていない、もしそれをやろうとすれば、運用基準をどんどん広げてそれで読めるようにしていくしかない、こういうことになっていくというふうに思うんですね。私は、これはやり方として非常に、正攻法じゃないやり方を今政府は取られているというふうに認識をしています。

 そのことを申し上げた上で、今大臣からちょっと言及がありましたコンフィデンシャル級のお話なんですが、今回、経済安全保障分野については重要経済安保情報ということでカバーをされることになりました。他方で、従来、特定秘密保護法がカバーしていたような安全保障四分野については、トップシークレットやシークレット級は特定秘密となりますが、その下にあるコンフィデンシャル級、これは一般的な国家公務員法でしかカバーされていない、今もこれからもということで、非常にここの分野、部分が保秘という意味では弱くなっているわけですね。

 一方で、経済安全保障の方は、今回、拘禁刑が最長で五年というかなり重い罪になるわけですが、コンフィデンシャル級で、防衛や外交やスパイ、テロという従来の特定秘密保護法がカバーしていた分野について非常に手がついていないことについて、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

高市国務大臣 今回の法律案と特定秘密保護法、いずれも情報保全を目的とするものでございますから、両方の、お認めいただいたらですが、二つの法律の運用基準を見直してシームレスにしていくことによって御懸念のような点は解消していくと思っております。

 また、今回、罰則を検討するに当たりましても、自衛隊法ですとか国家公務員法、これはもし知り得たことを漏らしても一年以下の懲役、特定秘密保護法、これは十年以下となっておりますので、それらとのバランスも考えながら、五年以下の拘禁刑ということを考えました。

 運用についてシームレスにしていくということで、できるだけ漏れがない形、日本にとって真に守るべき情報というものの保全に漏れがない形をつくってまいります。

本庄委員 漏れがないとおっしゃっているけれども、漏れがあるから私は申し上げているんですね。

 もう一回配付した資料を見ていただきたいんですが、一ページの一番上です。安全保障四分野、防衛、外交、スパイ、テロの分野でコンフィデンシャル級、漏えいすれば支障というところについては、今回法的な手当ては何もなされていません。ここは、仮に情報漏えいをしたとしても懲役一年、これが最長刑ですね。他方で、今回できる経済安保情報については、同じコンフィデンシャル級ですけれども拘禁刑五年ということで、一年と五年という差があるわけですね、分野が違うことで。

 私は、ここがアンバランスではないですか、シームレスと言えるんですかということをお伺いしております。事務方でも結構です、お答えください。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、委員御配付の資料にありますように、左下の部分でございますけれども、その部分については各省庁において対応が行われているということで、例えば防衛省でございましたら省秘という形での秘密の保全等が図られているというふうに承知しておるところでございます。

 今回の法案におきましては、経済安全保障分野における情報保全の必要性が高まっている、そういう背景を基に、経済安全保障分野における情報保全、いわゆるコンフィデンシャル級に相当する情報保全を行うという制度を新法として提案させていただいているところでございます。

本庄委員 全く答弁になっていないですね。

 いいですか。何で、経済安全保障分野であれば拘禁刑五年で、防衛、外交、スパイ、テロ分野であれば懲役一年なんですか。経済安全保障分野が重要だから、これも懲罰、罰則の対象にすることにしましたというところまでは理解できますよ。なぜこっちの方が重いんですか。その説明になっていないんです。お答えください。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の罰則につきましては、本案の対象としております情報がコンフィデンシャル級であるということに鑑みまして、特定秘密保護法における罰則等との関係を考慮した上で、五年以下の罰則としたところでございます。

 繰り返し申し上げますけれども、本法案は、経済安全保障分野における情報保全の必要性というものが高まっているということを背景に提案したものでございまして、それ以外の分野につきましては、これまでと同様、各省庁においてしっかりと対応していくということかと思います。

本庄委員 ちゃんと答えていただきたいんですね。

 特定秘密はトップシークレット、シークレット級、漏えいすれば著しい支障、重い、だから十年、重要経済安保情報はコンフィデンシャル級、それよりも軽いから五年、これは分かりますよ。だけれども、同じコンフィデンシャル級なのに、防衛、外交、スパイ、テロであれば一年なんですね。この差は何ですかと聞いているんです。ちゃんと答えてください。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、罰則に差があるということについては御指摘のとおりかと思います。

 その上で、御指摘の安全保障分野以外の分野についての罰則をどうするかということにつきましては、引き続き今後検討していくべき課題かというふうに思っております。

本庄委員 これは、法の下の平等というか、法治国家としておかしいと思いますよ。経済安保情報であれば五年、防衛、外交、スパイ、テロであれば一年、同じレベルの情報であっても。これは完全に法律の不備だと私は思うんですね。

 いずれにそろえるのがいいかどうかは別として、やはり同じレベルであればきちっとそろえていった方がいいんじゃないですか。大臣、どう思いますか。

高市国務大臣 今回、法律の目的として、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障を確保するために特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立するということで、あと、収集、整理、活用するということの重要性に鑑みて、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とするということ、これを目的として、我が国の国益を守る、また国民の皆様の安全を守るために非常に急ぐべきこととして、この新しい法律案を提案させていただきました。

 そして、本当に、身体に危険が及ぶ、また国家の存立に関わるような、著しい、安全保障に関わるものについては、これは特定秘密保護法で対応されるべきだと私は思っております。

 ですから、特定秘密保護法と今回の重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案、これをシームレスに運用していくということで、私は一定の情報保全の体系というのはできていくと思っております。

 その他、コンフィデンシャル級の、外交ですとか、防衛ですとか、テロですとか、スパイですとか、国家公務員法の規定で十分なのかどうかということにつきましては、改めて今後検討する、その余地はあると思います。

本庄委員 シームレスじゃなくて、凸凹じゃないんですか。

 お答えになっていませんので、理事会に政府の見解をきちっと紙で出してください。

 私の問いは、同じコンフィデンシャル級なのに、なぜ、経済安全保障分野は拘禁刑五年で、防衛、外交、スパイ、テロ分野については懲役一年なのか、この差は、理由は何かということと、ここに問題があるのではないか、法的にですね。これについてきちっと答えていただきたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。

星野委員長 理事会で協議します。

本庄委員 もう一つ、このアンバランスについて指摘をさせていただきたいんですが、法人に対する罰則ですね。

 今回、重要経済安保情報、これを漏えいすると法人にも罰則の適用があります、コンフィデンシャル級ですけれども。他方で、トップシークレット級、シークレット級である特定秘密であれば、法人には罰則がないんですね。

 より重要な情報について法人の罰則がないにもかかわらず、今回の経済安保については法人にも罰則がある。この差異、違いについて理由をお聞かせください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におきまして法人を罰する規定を設けましたのは、今回の法律が、特定秘密保護法とは異なりまして、重要経済安保情報を民間と共有し、そして活用していくということを前提とした法案として提案をさせていただいておりまして、その結果として、適合事業者に対して重要経済安保情報を提供することになるわけでございます。

 その際、重要経済安保情報といいますのは、いわゆる企業の事業活動にも関わるものが多くなる、あるいは、適合事業者も、特定秘密保護法では極めて限定された範囲で、そもそも、政府の業務の遂行のためにやむを得ない状況で非代替性が認められたときに民間企業に共有するものとは違って、広範囲な事業者への提供も想定されるということで、その事業活動の中で法人がその従業者に事業活動の一環として重要経済安保情報を漏えいさせるといったようなことが想定されるために、その抑止として法人両罰規定を設けたものでございます。

 その上で、そもそも、重要経済安保情報を取り扱っている業務の中でこれを漏えいした従業員については五年間の拘禁刑と五百万円の罰金ということでございますので、その従業者を雇用している、まさに業務上の指示をした法人についても罰金刑五百万円を科するということで整理をさせていただいたところでございます。

本庄委員 今、重要経済安保情報の漏えいについて法人にも罰則を科すという理由の説明がありましたが、私は特定秘密の方に科されていない理由はなかったと思うんですね。

 なぜ特定秘密の方は法人の罰則はないんですか。情報漏えい、しかも、これはより重い、より重度な情報じゃないんですか。いかがですか。

高市国務大臣 先ほどの説明の中に、特定秘密保護法に関しましては、やはり非代替性、つまり、行政機関の所掌事務の中でどうしても適合事業者に頼まなければ成り立たない、立ち行かないような、非代替性ということは非常に限定的になっておりますので、しかし、今回の法律案というのはかなり幅広い民間事業者を対象にしているのでということで、差異がございます。

本庄委員 防衛、外交、スパイ、テロの特定秘密に関わる民間の事業者が法人として罰則がないというのは、私、これは穴になっていると思いますよ。経済安保情報の方だけに罰則があるというのは、私はバランスを失しているというふうに思います。

 時間も限られております。最後に、基幹インフラの港湾の追加について、ちょっと私、大臣にお伺いしておきたいと思うんですね。

 今回、改正案ということで経済安保推進法は出てきておりますが、法律が成立したのは二年前、二〇二二年の五月ですね。今回の法改正の端緒となった名古屋港のサイバー攻撃は、法律の成立から僅か一年後ですよね。法案審議でも港湾については指摘を受けていましたが、その必要はないということでそのままの法律が通った。一年後に事件が起きた。そして、二年後に法改正ですと。私、ちょっと見立てが甘過ぎたんじゃないかと思うんですね。いかがお考えですか、大臣。

高市国務大臣 私もそう思います。

 当時の検討が必ずしも十分でなかったため、御指摘のような事案が発生したものと思っております。

本庄委員 私もそう思うんです。

 でも、大臣、国会の答弁で、当時は、港湾というのは紙でいろいろやり取りをしているから大丈夫だ、でも、だんだんシステム化が進んできて、今回のような事態が起きた、こういうふうに答弁されているんですが、金曜日の内閣委員会で。

 私は、今の一年、二年という時間を考えれば、だんだんとシステム化が進んできて見落としたというようなものじゃなくて、完全な見落とし、ミスだったと思うんです。私、このことをやはりまず政府として率直に認めてから、この法案の中身について議論してもらいたいというふうに思います。そういった真摯な御答弁がこれまでなかったので、あえて最後に言わせていただきました。是非、同じようなことがまた起きないように、よろしくお願いします。

 私からは以上です。ありがとうございました。

星野委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の前原でございます。

 まず、副大臣がお二人来られている間に質問を大きな観点からさせていただきたいと思います。

 今、日本を取り巻く戦略環境というのは非常に厳しくて、ロシア、北朝鮮、そして中国に周りを囲まれているというのが日本の状況であります。ロシアはウクライナに侵攻し、また、北朝鮮はミサイル発射を繰り返しているという状況でありますし、中国は海洋進出を強め、そして、台湾併合というものを、武力併合というものも辞さずということを習近平国家主席自らがおっしゃっている、こういう状況であります。まさに日本の置かれている状況というのは極めて厳しい。

 そして、日本を守っていくためには、やはりインテリジェンスというのはすごく大事だというふうに思います。もちろん、ハードな防衛体制ということも極めて大事でありますけれども、ロシアとウクライナの戦争を見ていると、ハイブリッド戦ということで、まさにハードな戦争が起きる前にもう戦争は始まっていた。新たな、サイバー空間とか、そして、無人機、AIとかドローンとか、こういったものが多様化される新たな戦いというものが今行われていて、その意味においては、非常に、情報、インテリジェンスの扱いということはより重要になってきているというふうに私は思います。

 その上で、皆様方に御質問いたしますけれども、まず高市大臣に質問をさせていただきますが、この法律をしっかりと成立させれば、例えば同盟国アメリカとの間での情報交換に全くそごがなくなるというふうに考えるのか。つまりは、情報のセキュリティークリアランスということをしっかりと位置づけることによって、同盟間での情報の保全、意思疎通には全く問題がないというふうに言えるのかどうか。その点について確認をさせていただきたいと思います。

高市国務大臣 特定秘密保護法も今回の法律案も同じだと思うのですが、互いに、相手国において同等の情報保全制度が整っているという信頼感に基づいて、いろいろな重要な情報のやり取りがなされるものだと思っております。

 ですから、この法律案をお認めいただいて、様々、政令、運用基準、これから閣議決定で決めていくものもございますけれども、運用がきっちりとなされて、そして、やはり、同盟国、同志国から我が国と同等だなとお認めいただくことが大事だと思っております。

 ですから、しっかりとこれは、今までも情報交換は続けてまいりましたけれども、お認めいただけましたら、しっかりと各国に説明もしてまいりたいと思っております。

前原委員 いや、私の質問は、これがしっかり運用されれば、同盟国との間での情報のやり取りというものについては漏れがなくなり、そして信頼性というものがしっかりと担保されるのかという話を伺っております。これから説明するということではなくて。つまり、これができた場合においては同等のしっかりとした情報保全ができるんですかという質問をしております。

高市国務大臣 同等の情報保全だと考えていただけるように、様々な国の情報保全制度も調べ、そして、直接の情報交換も行いながら法律案を組み立ててまいりました。

 ただ、現在、情報保護協定がございます。現在は、九か国・機関との間で締結をしております。こういった情報保護協定の締結というもの、それから、国内法が変わった場合に相手に通告もしなければなりませんので、その後の様々なやり取りもありましょうから、そういったものとも相まって、しっかりと通用するものにしてまいりたいと思っております。

前原委員 本会議で我が会派の堀場幸子議員が、ファイブアイズに入れるものにしなくてはいけないということで、それを目標にすべきだということでありました。私はそれは大賛成でありまして、そういった高い目標を持ってやることが大事だとは思いますけれども。

 仮に今回のセキュリティークリアランスというものがうまくいっても、私は二つの大きな穴があると思っているんです。それは情報保全ということじゃなくて、一つは、アクティブサイバーディフェンスの穴です。つまり、今の、これはおととしの暮れにまとめられました国家安全保障文書でも明らかになったように、アクティブサイバーディフェンスというものがしっかり整っていない限り、報道ベースでありますけれども、中国の言ってみればハッキングが外務省や防衛省になされていて、それが長年にわたって放置されている、気づかないうちに、そういった、言ってみればハッキングがされていた、情報漏えいがされていた可能性があるということをアメリカから通知をされているという意味においては、その穴という意味においては、アクティブサイバーディフェンスだと思います。

 そして、もう一つは、日本にはヒューミント組織がないんですね。つまり、ファイブアイズに入ろうと思ったら、お互いの、まさにそういった対外情報機関で集めたものを持ち寄って、そしてお互いが情報交換をするという対等なものに、先ほど高市大臣がおっしゃった、対等なものにしようと思えば、自らが集めたいわゆる人的対外情報、機密情報、こういったものをしっかりと我々も提供できる組織をつくらなきゃいけないということであります。

 このアクティブサイバーディフェンスについてはまだ法律が出ておりませんが、これについての今後の計画と、そして、これが仮にできた場合においては、しっかりと、言ってみれば、他国から侵入されるということがなくて、そして、他国の同盟国あるいはファイブアイズ等々の国々からすると日本は信頼性が高まるというものになるかどうなのか。まず、その点、御答弁をいただきたいと思います。

石川副大臣 前原委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、アクティブサイバーディフェンス、令和四年十二月に閣議決定いたしました国家安全保障戦略に、このように明記をされております。「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる。」、こういう目標を立てまして、今、立法化に向けて作業を進めているところでございます。

 その上で、この能動的サイバーディフェンス、アクティブサイバーディフェンスの実現に向けた整備につきましては、昨年一月三十一日に内閣官房におきましてサイバー安全保障体制整備準備室を設置して、今その立法作業に向けて鋭意検討を進めているところでございます。現行の法令との関係性あるいは憲法の関係、いろいろ論点がございますので、様々な角度から今検討を要しているという状況でございます。可能な限り早期に法案をお示しできるように、今検討を加速しているところでございます。

前原委員 このアクティブサイバーディフェンスというものがなければ、セキュリティークリアランスで情報を、言ってみれば保全するようにしても、盗み取られる可能性があるということでありまして、この点をしっかりやはりやらなきゃいけないということがまず一つで、是非早期にそれについては成立をお願いしたいと思います。

 そしてまた同時に、お互いが情報の融通、保持だけでなくて、情報を与える側になっていくためには、しっかりとやはりヒューミント組織というのは私は必要だというふうに思いますが、日本政府としてはその点についてはどのように考えているのか。その点についてお答えをいただきたいと思います。

村井内閣官房副長官 前原委員から、日本でもヒューミントを行う組織を創設すべきではないかといった御質問をいただきました。

 我が国を取り巻く国際情勢が一層厳しさを増す中、国家の安全保障や国民の安全に直接関わる情報の収集は極めて重要であると認識をしております。

 令和四年十二月に閣議決定をされました国家安全保障戦略においては、「国際社会の動向について、外交・軍事・経済にまたがり幅広く、正確かつ多角的に分析する能力を強化するため、」「多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化する。特に、人的情報については、その収集のための体制の充実・強化を図る。」などと記載をされたところであります。

 こうしたことも踏まえ、人的情報の収集を始め、情報機能の強化に向けた具体的方策を検討しつつ、その一層の充実強化に取り組んでまいりたいと存じます。

前原委員 その中身については私も存じ上げておりまして、今副長官がおっしゃったように、体制の整備も入っているんですね。つまりは、検討ではなくて、では、いつ具体的にそういった体制整備というものに、情報収集能力の強化、対外情報収集能力の強化のために乗り出すのか。

 つまりは、検討だけではいけないわけですね。アクティブサイバーディフェンスも法律を作るということを先ほど副大臣が御答弁された。この体制整備についても必要だということが書かれているけれども、じゃ、いつ、どのタイミングまでにそういったものを作るのかということがないと、ずっと検討、検討で終わっていては私は前に進まないと思いますが、いかがですか。

村井内閣官房副長官 前原議員の御指摘のとおり、まさに国家安全保障戦略においては、繰り返しですけれども、「人的情報については、その収集のための体制の充実・強化を図る。」としたところでございますので、いつ、どのような形でそれを実現していくのかといったようなことも含めて、しっかり検討してまいりたいというふうに存じます。

前原委員 それも含めて検討したらずっと検討になっちゃうので、それは早く実現をするようにしていただきたいと思います。

 お二人はここで結構でございますので、ありがとうございました。

 それでは、個別の問題についてお話を聞いていきたいというふうに思いますけれども、まず、高市大臣は当初、セキュリティークリアランスについては、経済安全保障推進法を改正して経済安全保障分野における制度をとおっしゃっておられたと思いますが、なぜそうならなかったのか。その点について御説明いただきたいと思います。

高市国務大臣 私も当初、経済安全保障推進法を何度も読みながら、ここに一章追加できないかという検討を行っていた時期もございました。ただ、やはり経済安全保障推進法は、事業者の活動を安全保障の観点から支援し、また規制することによって、安全保障の確保に関する経済施策を効果的に推進することを目的としております。

 今回の法律案の目的というのは、経済施策には該当しない、情報保全になりますので、やはり無理があると、そこは断念いたしました。

前原委員 私は、経済安全保障推進法の改正ではなくて、むしろ特定秘密保護法の改正でこれを行った方がいいのではないかと今でも実は思っています。

 四つですね、外交、防衛、特定有害活動の防止、テロリズムの防止、これに例えば経済安全保障を加える。そして、今まではトップシークレット、シークレットという、機密、秘密というカテゴリーにコンフィデンシャルをつくるといった方が、トータルの、言ってみれば、シームレスというのは、まさに別の法律でシームレスにするよりは、一つの法律でシームレスにした方がより実効性が上がるんだというふうに私は今でも思っていますけれども、なぜ今回は特定秘密保護法の改正としなかったのか。その点について御答弁をいただきたいと思います。

高市国務大臣 やはり、経済活動の担い手というのは民間事業者でございます。政府との協働、連携が重要となります経済安全保障という分野の特色を踏まえますと、重要な情報を政府内で秘匿するということだけじゃなくて、情報保全に関して信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用するということも重要だと考えました。

 特定秘密保護法におきましては、特定秘密を適合事業者に保有させなければ行政機関の所掌事務の遂行が成り立たないような、いわば非代替性が認められるときに情報提供が可能とされております。この法律案は、むしろ各行政機関の長が、安全保障の確保に資する活動の促進を図るために必要があると認めたときに、事業者への情報提供を行うことができるとしております。

 そういったことから、今回は、特定秘密保護法の改正ではなくて、やはり経済安全保障というものの特色を考えて、新たな法律によって経済安全保障上重要な情報の保全制度を立案させていただきました。

前原委員 また議事録を精査させていただきますけれども、今伺っただけでは、なかなか、ああそうですかというふうに、すとんと落ちるような御説明ではなかったというふうに思います。

 特定秘密保護法でも、言ってみれば、政府関係者が九七、割合が。しかし、民間も三あるわけですよね。そういう意味では、民間人もこれに関わっているし、そしてまた、重要経済情報でも、トップシークレット、シークレットに分類されるものも生まれますよね。その点、お答えください。

高市国務大臣 重要経済安全保障にトップシークレット級とシークレット級の情報を入れると。

 重要経済基盤保護情報であって漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるおそれのある、いわゆるトップシークレットやシークレット級の情報であれば、特定秘密の指定の要件を満たせば、特定秘密保護法によって必要な保護措置を講じていただくということになります。

 だから、経済安全保障に係る個々の重要情報が特定秘密に該当するかどうかということを的確に判断できるように、この法律案をお認めいただきましたら、この法律に係る運用基準とともに、特定秘密保護法の運用基準につきましても、より明確にすべき箇所がないか、補足すべき箇所がないか検討していく、その予定にいたしております。

前原委員 この特定秘密保護法というのは、外交、防衛、特定有害活動の防止、スパイですね、スパイ活動の防止、テロリズムの防止、この四項目でありますけれども、経済安全保障に関わるものでも、コンフィデンシャルだけではなくて、トップシークレット、シークレットに分類されるケースというのはあり得るわけですよね。

 それを、今の御説明だと、言ってみれば、特定秘密保護法で対応するということでありますけれども、ということは、この四項目というものに経済安全保障のテーマというものを読み取るということですか。

高市国務大臣 まず申し上げたいのは、重要経済基盤保護情報で、政府が現在保有しているもの、又は近い将来保有が想定されるもので、トップシークレットやシークレット級の情報であるが特定秘密保護法の別表に該当しないというものは、具体的には想定されておりません。ただ、外国政府などから提供される情報は、特定秘密保護法別表の外交分野に該当するものも多くなると思っております。

 関係行政機関の所掌事務に係る特定秘密保護法別表に掲げる事項に関する情報には該当しないものの重要経済基盤保護情報に該当する情報ということでのお尋ねかと思うんですが、それは理論的には存在するということは否定はしないんですけれども、実際にそういうことがあるとかまた今後直ちに想定されることはないという判断を政府としてはいたしました。ここは十分に検討した結果、そういう判断をいたしました。

前原委員 また議事録を精査して、議論の機会があればさせていただきたいと思いますけれども。

 では、ちょっと違う角度から質問いたします。

 今年の一月に、岸田総理は高市大臣に対して、セキュリティークリアランスの新制度が我が国の既存の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め必要な措置を講じるように指示をされたと伺っておりますけれども、では、特定秘密保護法の運用基準の見直しについては、今どのようなことを検討されているんですか。

高市国務大臣 総理から御指示をいただいたのは、シームレスに運用するために運用基準の見直しということだったんですけれども。

 経済安全保障に関する個々の重要情報が特定秘密に該当するかどうかということを的確に判断できるように、特定秘密保護法の運用基準について、より明確にすべき箇所がないか、あと、補足すべき箇所がないかということを検討していくことといたしております。

前原委員 ということは、四つにプラスするということも含めて検討されているということですか。

高市国務大臣 特定秘密保護法そのものを改正するものではございませんので、法定されている分野が広がるという話ではございません。

前原委員 ということは、その運用基準の見直しというのをもう一度答えていただけますか。見直しを検討されている運用基準、これは指示を受けたんでしょう、総理から。その問いについて、もう一度お答えいただけますか。

高市国務大臣 総理から指示を受けました。

 経済安全保障に関する個々の重要情報が特定秘密に該当するかどうかを的確に判断することができるように、特定秘密保護法の運用基準について、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないか検討していくという答弁を申し上げました。

 それは、分野を外交、防衛、テロ防止、スパイ防止から広げるということではなくて、それらの四分野に該当するものであっても機微度が違うといったことで、なかなか、これを特定秘密に指定していいのかとか、これはコンフィデンシャル級で読むのかとか、こういったことがより明確になることが必要だと考えております。

前原委員 では、次に行かせていただきます。

 重要なインフラや物資のサプライチェーンに関する重要情報が漏えいした過去の事案について具体的に列挙していただきたいわけでありますけれども、まず、その前提として、この重要なインフラや物資のサプライチェーンに関する重要情報というのはどのように管理されてきたのか。そして、漏えいした過去の事例についてどの程度把握をしているか。その二点についてお答えをください。

高市国務大臣 まず、重要なインフラ、この法律案の対象となる重要経済基盤保護情報に当たるような情報、すなわち重要なインフラや重要物資のサプライチェーンの保護に関する行政機関が保有する重要情報が漏えいしたという事実は把握しておりません。

 漏えいにまで至らなくとも、政府機関などや、あと、重要インフラ、サプライチェーンに対するサイバー攻撃、これは脅威が増しておりますし、実際にも確認されているということであると思っております。

前原委員 管理については、具体的な御質問、ありませんでしたけれども、漏えいはないということで言い切られたということでよろしいですね。

 では、経済安全保障分野においてセキュリティークリアランス制度がなかったことで不利益を被った、つまりは、立法事実も含めて、経済安全保障分野においてこの制度がないことで、日本企業が諸外国との共同事業に参画できないとか、あるいは入札参加や会議出席の前提条件だったから出られなかったとか、そういう話はよく言われますけれども、そういうものを、具体的にどういった事例があったのかということをもう少し、一般論ではなくて、どういう具体的事例があったかということをお示しをいただきたいと思います。

高市国務大臣 私どもは、有識者会議を昨年の二月から開いて、その中で事業者にも来ていただき、有識者の皆様とともに聞き取った事例、それから、私若しくは職員が個別に聞き取った事例もございますが、有識者会議の最終取りまとめに入れても大丈夫なものについては申し上げます。

 ある海外企業から協力依頼があったが、機微に触れるということで相手から十分な情報が得られなかった、政府間の枠組みの下で、お互いにセキュリティークリアランスを保有している者同士での共同開発などができれば、もう少し踏み込んだものになったのではないか。自衛隊の装備品とは関係のない国際共同開発において、セキュリティークリアランス保有者がいなかったために、秘密指定されていないが管理が必要な情報の開示を受けるまでに長い時間を要したにもかかわらず契約に至らなかった。また、デュアルユース技術に関する会議に参加する際に、クリアランスホルダーオンリーであるということから参加できず、最新のデュアルユース技術に触れることができなかった。また、海外政府からの入札に際して、セキュリティークリアランスを保有していることがその説明会の参加要件になっていたといったお話を伺いました。

前原委員 それでは、残りの時間は適性評価についての質問をしていきたいというふうに思います。

 適性評価を受けるかどうかは、会社側の指示に基づくケースが大半であるということは想定されるわけでありますが、事実上の強制になる懸念が指摘をされております。

 特定秘密保護法に基づく適性評価というのは、この実施に当たって告知書を交付し、同意書の提出を受けることにより同意を得るということにされておりますけれども、本法律案も同様の手続を行うのかどうかということが一点。それから、適性評価の調査事項のうち、重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項については、評価対象者の家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍、住所なども調査することになっておりますけれども、家族などの同意はどのように取るのか。この二点についてお伺いします。

高市国務大臣 まず、後者からお答えします。

 御家族様に直接同意を取るのではなくて、適性評価を受けられる方御本人に、家族の方々についてもこういった事項について調査票に書いていただく旨、これは事前にもちろん、お答えをいたします。

 それから、この法律案で、適性評価のための調査に関して、対象者に対して調査内容などを告知した上で、事前に同意を得るということにしております。

 あと、適性評価に当たって収集される個人情報は、適性評価の実施に同意しなかったことも含めて、重要経済安保情報の保護以外の目的での利用、提供を禁止するということにしております。

 今後、法律をお認めいただいて、政令や運用基準に定めるものもございますけれども、現在の特定秘密保護法の運用と同じように、きちっとした書面を発行して必要なことを告知して、どういう調査が行われるのか、場合によって公私の団体に照会をすることもございます。それに対する同意を書面をもっていただく、そういった手続を考えさせていただいております。

前原委員 適性評価の調査事項というのは幾つかあるわけでありますが、重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項とか、犯罪及び懲戒の経歴、情報の取扱いに対する非違の経歴、薬物の乱用及び影響に関する事項、精神疾患に関する事項、飲酒についての節度に関する事項、信用状態その他経済的な状況に関する事項、こういうものがあるわけでありますが、思想信条に関する調査、例えば、支持する政党とか、あるいは入信している宗教団体とか、そういったものについては調査をするのかしないのか。いかがですか。

高市国務大臣 それは法定されていない事項でございます。調査の対象にはなりません。

前原委員 例えば、昔、オウム真理教のような宗教団体があったわけでありますけれども、これはまさに破壊活動をし、サリンなどのテロ行為を行うというようなこともあったわけでありますけれども、そういった特定の宗教団体に属しているということを調査しなくていいということになれば、本当に、言ってみれば、今調査をしているだけでちゃんとしたセキュリティークリアランスになるのかどうなのかというところが、心配な面が出てくるわけでありますが、しっかり漏れのないようなものにしようと思えば、そういった点についてもしっかりと適性評価の調査事項とすべきではないかと思いますが、いかがですか。

高市国務大臣 特定秘密保護法では、特定有害活動及びテロリズムとの関係、いわゆるスパイ活動全般、テロ活動全般との関係を調査するということになっていますが、本法案では、重要経済基盤毀損活動との関係を調査するということになっております。これは、この法律案が、安全保障一般についてではなくて、経済安全保障分野における重要な情報の保全を行う制度であることを踏まえまして、スパイ活動やテロ活動のうち、重要インフラや重要物資のサプライチェーンを狙ったものとの関係については調査をすることとなっております。

 ですから、法定した事項をきっちりと調べさせていただく。何か疑問点が生じた場合、この中では、重要経済基盤毀損活動との関係が何かあるんじゃないかという疑問点が生じた場合には、周囲の方に聞いたり、御本人と面談したり、必要があれば公務所や公私の団体に照会をする。それも含めて事前に御本人の同意を取りますが、疑問点が生じた場合には、そういった照会はいたします。

 ただ、今信じている宗教が何ですかとか、内心に関わることを調査票に書いてくださいとか、そういった事項はございません。

前原委員 一番初めに申し上げたように、今の戦いというのは、戦争というのは、ハイブリッド戦になっていまして、ドンパチが可視化される前に戦いは行われている。サイバー空間もそうでありますし、様々な形での変化というのが起きているわけであります。

 その意味においては、一番初めに私が特定秘密保護法の改正の方がいいんじゃないかと申し上げたことの一つは、今御答弁されたことについては、経済の安全保障なので、特定秘密保護法よりも、その調査内容について、ダウングレードとは言いませんけれども、そういったことになっていないということについては、いささか私は疑問が残るということについてはテイクノートをさせていただきたいと思います。

 そして、あわせて、先ほど申し上げた方がよかったのかもしれませんけれども、私も安全保障に長らく関わらせていただいて、コロナ前は、ほぼ年に一回はワシントンに行き、いろいろな意見交換をしてまいりまして、情報交換をしてまいりました。高市大臣も聞かれたことがあるかもしれませんけれども、アメリカのそういった有識者の間では、一番口が軽くてしゃべるのは政治家だと言われているんですね。つまりは、我々が話を聞いてきて、そしてそれをぺらぺらぺらぺらしゃべるということの中で、政治家が一番情報漏えいを行う可能性が高いんだというようなことを、これはかなり昔から言われ続けているというふうに私は思いますが、政務三役について適性評価の例外扱いにした理由についてお答えをいただきたいというふうに思います。

高市国務大臣 そこは様々御議論があることは承知をいたしております。

 ただ、政務三役については、これは内閣総理大臣によって任命に当たり必要な考慮がなされるということから適性評価の対象外としております。この点については、この法律案よりも機微度が高い情報を対象としている特定秘密保護法でも同様の取扱いをしているということを踏まえました。

 それから、先ほど政府参考人から別の委員に対して答弁がありましたけれども、例えばイギリス、フランス、ドイツなどは、閣僚は適性評価の対象外となっている。国によって様々であるということ。それから、適性評価を免除されたとしても、漏えいした場合には、適性評価を受けた職員と同じく、最大五年の拘禁刑などの罰則の対象になるということ。

 以上でございます。

前原委員 私は、政務三役の適性評価の適用はした方がいいということは改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、適性評価についての最後になろうかと思いますけれども、個人情報の目的外利用の禁止ということであります。

 本法律案においては、評価対象者が適性評価の実施に同意しなかったことや、適性評価の結果及び調査で取得する個人情報は、重要経済安保情報の保護以外の目的のために利用したり、提供してはならないとしているわけでありますけれども、どのようにこの実効性を担保するのかということが一点。それから、個人情報の目的外利用により、従業者が不合理な配置転換などの不利益を受けた場合、どのように救済を求めることができるか。この二点についてお答えをいただきたいと思います。

高市国務大臣 それでは、本法案の第十六条については委員の方から今御紹介をいただきましたので割愛をいたしますが、この規定の実効性を担保するための方策としまして、今後、有識者会議の意見を聞いた上で案を作成して閣議決定によって策定する運用基準におきまして、具体的な禁止行為を明示するということとともに、各行政機関がこの規定の遵守を適合事業者との契約などでも求めるということにしたいと存じます。

 それから、適性評価のためにした調査によって取得した個人情報でございますが、これは事業者に提供されることもございません。

 それから、こうした措置を講じてもなお禁止行為が行われたという場合には、これは十六条二項に違反する違法な行為と位置づけられるということになります。ですから、例えば、従業者の方が事業者に対して、これは民法になりますが、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起するということも考えられます。

 そして、これもまた、法律案をお認めいただきましたら定める、これは政令にも運用基準にも定めたいと思うのですが、契約に関する事項、ここにもそのような不利益な取扱いをしないといったこと、これがちゃんと担保されるようにしてまいりたいと思っております。

前原委員 時間が来ましたのでこれで終わりにいたしますけれども、有識者会議の最終報告書でも、例えば、適性評価の再実施まで期間が十年あって、その間に事情が生じる可能性はあるとか、様々なものについて今後検討を要することというのが書かれているんですね。だから、これについて、私はこの議論を行うに当たって、そういった、後でそれについては更にしっかりと、有識者の中の、検討するというよりは、できるだけこの議論の中で具体化をするということが必要だと思いますので、それについては是非真摯に、前向きに御答弁をいただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

星野委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の両案に対し、経済産業委員会から連合審査会開会の申入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

星野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、来る四月二日火曜日午前九時から開会いたしますので、御了承願います。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

星野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会・教育無償化を実現する会の住吉寛紀でございます。

 本法案の立法事実、これは、セキュリティークリアランス制度の民間からの要望と、一昨年成立した経済安保推進法の附帯決議における法案化の要請とのことですが、我が会派としては、我が国の諜報活動を制限する法制度が脆弱であることであったり、情報管理体制の脆弱さを理由に同盟国、同志国からの情報共有が制限される場合についても課題と思っております、立法事実として思っております。

 我が党としては、セキュリティークリアランス制度自体は、G7の中で唯一未整備であり、早急に整備していく、対応していく必要があると考えております。

 この法案が、我が国の機密情報の流出を防ぐというリスク回避について役割を果たす必要があるということは言うまでもございませんが、同盟国、同志国との間で機密情報を流通させ、外交、安全保障上のインテリジェンスや同盟を強化するということも必要であると考え、他国に通用する制度でなければ意味がないと考えております。

 そういった観点から、午前中からも質疑がありました、重複する部分も幾つかありますが、質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 同様に情報を管理する特定秘密保護法がございます。この特定秘密保護法で指定される情報を経済、技術分野に拡大して、そして、トップシークレット、シークレット、コンフィデンシャルとカテゴリー分けするように特定秘密保護法を法改正することで、シームレスに運用でき、より海外からの信頼性も高いものになると考えておりますが、そのようなことは検討されなかったのでしょうか。改めて御所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 やはり、政府と民間事業者との協働、連携が重要になる経済安全保障という分野の特色を踏まえますと、重要な情報を政府内で秘匿するのみならず、情報保全に関し信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用することが重要だと考えております。

 そのため、特定秘密保護法の改正ではなく、新たな法律によって経済安全保障上重要な情報の保全制度を立案いたしました。

住吉委員 手段ですので、どういう手段を選んでいくかというのは、いろいろ検討された結果だと思っています。

 先ほど申し上げたように、やはり他国に対して通用する制度でなければ意味がないと思っております。有識者会議の最終取りまとめでも、仮に、特定秘密制度とは別の制度として整備することになるのであれば、諸外国ではCIは一つの制度で管理されているということとの関係にも十分に留意し、シームレスな運用を目指していくべきである、このように指摘されております。これは先ほど来の議論でもありましたが、エアポケットが存在するのではないか。

 また、科学技術開発と安全保障、これは一体であり、最先端の科学技術は全て安全保障に結びつくというのが世界のスタンダードな考え方です。

 また、場合によっては、特定秘密保護法で指定された情報が陳腐化してコンフィデンシャル級になる場合も考えられますし、逆に、今回の本法案で指定されていた情報が、時代とともに変わって、非常に国家を脅かす重要な情報になる、そういう、何か法律の行ったり来たりの情報というのも、理論上というか、考え得ることだと思っております。

 そこで、よりシームレスな運用の具体例及びどのようにシームレスにしていくのかについて、政府の見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 本法律案も特定秘密保護法も、指定要件を満たす情報を行政機関の長が指定した上で保護措置を講じ、厳重に管理する仕組みになっております。

 特定秘密保護法は、同法の別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるものを特定秘密としており、トップシークレット級及びシークレット級の情報を対象としております。

 本法案では、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、漏えい時に安全保障に支障を与えるおそれがあるものを保護の対象にしていますが、概念上は漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるものも含まれると考えますため、重要経済安保情報の指定対象から特定秘密に該当するものを除くこととしております。

 政府としては、本法案で規定する重要経済基盤保護情報について、本法案の制度による情報保全を図るということとともに、委員もおっしゃいましたが、時の経過によって機微度が上がってくるなど指定要件を満たせば特定秘密保護法の制度による保全措置を講ずるということにしております。

 また、シームレスの例ですけれども、適性評価という観点からは特定秘密保護法の方がより機微度が高い情報の保護を念頭に置いたものでありますので、特定秘密保護法の適性評価で漏えいのおそれがないと認められた者であれば、特定秘密の取扱いの業務を行える期間、つまり五年間に限り、本法案の適性評価を受けなくても、同じ行政機関において重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができるということにいたしております。

住吉委員 非常にややこしい説明で、また議事録等も確認しながら詳細については詰めていきたいと思いますが、シームレスに運用していく中で、特定秘密保護法の所管は内閣情報調査室である一方、本法案の所管というのが内閣府政策統括官(経済安全保障担当)というふうになっております。扱う部署も異なるということで、確認すると、建物自体も異なっているというような話でした。

 特定秘密保護法と非常に緊密に連携してシームレスを目指していくということなんですが、部署が異なると、当然、物理的な、ホウレンソウであったり、先ほど言ったように、特定秘密保護法で指定されていたものがこっちに移る、こっちから指定されていたものがまた別の法律に移る、こういう移動もあり得ると思っております。

 そういった意味で、担当部署、これをわざわざ別にした理由というのを教えていただけますか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、経済安全保障分野の情報保全に関するものでございます。経済安全保障推進法を所管している内閣府において、その知見を活用しながら施行事務に当たることが効率的かつ適切と考えたことから、法所管部局は内閣府政策統括官(経済安全保障担当)とする予定でございます。

 一方、本法案による制度が我が国の既存の情報保全制度と整合的に運用されることは重要でございまして、特定秘密保護法を所管する内閣情報調査室とは緊密に連携してまいりたいと考えております。

住吉委員 緊密に連携していくということなので、しっかりとやってくださいよとしか言いようがないんですが、最先端の科学技術、これは、もう今、世界では、全て安全保障に結びつく、そういう前提に立っております。

 そういった意味で、この二つの、物理的に異なる部署があるというのは、非常にそこでミスコミュニケーションとかも生じるのではないかなという懸念がございます。緊密に連携しながらシームレスにやってくださいよとしか私の立場からは言えないわけですが、しっかりとお願いいたします。

 次に、本法案、これは、国家が扱う機密情報のカテゴリーについて、重要経済安保情報として、コンフィデンシャル、これを加えるものです。

 そして、特定秘密保護法におけるトップシークレット及びシークレットの対象は、外交、安保、テロ、スパイの四分野のみであり、経済安保情報は含まれておりません。

 そうであるならば、先ほど来から議論されておりますが、この経済安保情報のトップシークレット及びシークレット級の情報というのは、先ほど立憲民主党の後藤さんのあのマトリックスのやつで言うとCの部分ですが、いろいろな解釈があるかもしれませんが、両法案の対象にならずにエアポケットに入ってしまうんじゃないかなというふうに思っております。

 本法案、法案説明を聞いた限りでは、特定秘密保護法の解釈拡大で対応するというような話もあったように思いますが、このように情報秘匿にとっても知る権利にとっても重要な課題を、解釈拡大で対応することに問題ないのでしょうか。

 特定秘密保護法で指定されている情報を経済、技術分野に広げたり、先ほど、法人の罰則がこっちはなくてという話もありました。運用基準の見直しでは対応できない、むしろ特定秘密保護法においても法改正というのは必要だと感じるんですが、政府の見解をお伺いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 今回、特定秘密保護法の改正は行わないこととしております。したがいまして、特定秘密の範囲が拡大されることはございません。

 その上で、特定秘密保護法において、経済安全保障に関する個々の重要情報について特定秘密に該当するかどうかを各行政機関が的確に判断できますよう、現行の特定秘密保護法の運用基準につきまして、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないか検討していくこととしておりまして、御指摘がありましたような拡大解釈といったことではございません。

住吉委員 拡大解釈がないということなんですけれども、何度も言っておりますが、最先端の科学技術と安全保障というのは結構切り分けて議論しているので、かなりひずみが出てきているのではないかなというふうに思っております。

 冒頭申し上げたように、一つの法案でまとめてした方が、シームレスで、しかも様々なエアポケットを埋めていける、そういうふうになるのではないかなというふうに思っております。

 さらに、本法案ですが、具体的なところ、いろいろな重要なところは、閣議や政令また運用基準等に任される部分が多いというのも懸念しております。

 例えば、有識者会議の最終取りまとめでも、指定の対象となる情報の範囲については、法令等によりあらかじめ明確にしておくべきであると指摘されておりますが、条文上の重要経済安保情報の指定の要件というのは三つ書かれております。当該行政機関の所掌事務に係る重要経済基盤保護情報であること、公になっていないものであること、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものと定められているのみです。

 企業にとっても、どの情報が指定されるのか、事細かに書く必要はないかもしれないですが、予見可能性を示す必要があると考えます。

 法律の性格上、ある程度幅を持たせるということは必要ですが、抽象過ぎて行政の恣意的な運用につながらないか懸念しております。同じことは適性評価の具体的な内容、調査方法にも言えます。

 このように重要な事項はもう少し具体的に法律に書き込むべきではないでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘ございました、指定される情報等につきまして法律でどのように定めているかということでございますが、本法案第三条第一項におきまして、先ほど御指摘にありました三要件に該当するものに限ることとするということが規定されておりまして、また、重要経済基盤保護情報につきましては、本法案第二条第四項において、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示し、対象を法律上絞り込んでいるところでございます。

 適性評価の調査につきましては、本法案第十二条第二項におきまして、重要経済基盤毀損活動との関係など七つの事項に限定して調査を行うこととしております。また、同条第三項におきましては、適性評価に当たって、評価対象者に対して調査事項をあらかじめ告知した上で同意を得る旨を法律上明記して規定しているところでございます。

 内閣総理大臣が行います一元的な調査につきましても内閣府の所掌事務とすることを本法案附則第八条による内閣府設置法の改正によって規定しているところでございますが、調査のための体制や具体的な人数等につきましては、他の所掌事務と同様に、法律に規定することではなく、政令以下で整備していくということでございます。

住吉委員 適性評価については後ほど少し詳しく聞いていきたいと思います。

 次に、罰則についてもお尋ねしたいと思います。

 本法律案の罰則は、最高で五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金であり、両罰規定で法人に対しては五百万円以下の罰金が定められております。しかし、昨今、情報というのは非常に重要になっておりまして、重要経済基盤保護情報ともなれば、ひょっとしたら、人によっては経済的価値は高く、五百万円以上の、例えば数億円払ってもその情報を得たい、そういったケースも考えられると思います。そういった意味で、この抑止効果は期待できるのでしょうか。

 また、諸外国によってこの罰則はかなり幅がございますが、もっと厳しいところもございます。そのような国から見たら、日本の罰則は緩いから情報秘匿の効果に信用が置けないともなりかねません。また、法人からすると、この五百万円以下というのは、特に大企業からすれば本当に微々たる額かもしれません。

 このような観点から、罰則の程度というのは妥当であると言えるのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案の罰則の法定刑につきましては、特定秘密保護法における同種の罪の最高刑が懲役十年であること、一般的な国家公務員法上の秘密漏えいの罪の最高刑が懲役一年であることを踏まえまして、両者とのバランスや行為の悪質性及び結果の重大性の程度等を考慮して定めたものでございます。

 具体的には、例えば業務取扱者による漏えい罪の法定刑、これにつきましては、本法案では、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとしておりまして、罰金刑のみの選択も可能となっているところでございます。

 その上で、例えば、不正競争防止法における営業秘密侵害の罪、同法二十一条一項でございますけれども、罰金刑の上限が二千万円とされておりまして、これにつきましては、公正な競争秩序のみならず事業者の営業上の利益も保護法益としておりまして、財産犯的な性質を有しているため、そもそも本法案の罪とは罪質が異なることから、単純に刑の軽重を比較することは難しいと考えております。

 これに対しまして、本法案における漏えいや不正取得の罪につきましては、あくまで国が安全保障の観点から策定する情報管理ルールの実効性を担保するための制裁措置と考えておりまして、その法定刑は安全保障を損なうという点における重大性、悪質性、抑止効果を踏まえて定めるものでございます。

 さらに、お尋ねでありました諸外国との関係につきましては、各国の刑事法制が異なりますところ、量刑の長短だけで比較することはできませんため、本制度の罰則については、特定秘密保護法と国家公務員法の罰則を参照しながら定めているところでございます。

住吉委員 五年以下というのが、特定秘密保護法が十年なのでそれに合わせたという説明でした。確かにそれを考えるとそうなのかもしれませんが、先ほど御答弁ありました特定秘密保護法、いろいろなところでシームレスにしていく中で、運用基準の見直しだけではなかなか対応できないようなこともあるのではないか、そういうふうに考えております。そういった中で、特定秘密保護法自体が、罰則十年がいいのかどうかも含めて見直していかなければならないのではないかなというふうに答弁を聞いて感じました。これはまた別の機会で議論していきたいと思います。

 続きまして、適性評価の方をお尋ねしたいと思いますが、その前に、前提として、日本における他国の諜報活動の認識についてお尋ねしたいと思います。

 先日も、再エネタスクフォースの資料に、電子透かし、中国企業のロゴが入っていたという事件が明るみになりました。この件は現在調査中でありますが、エネルギー安全保障は、我が国の国民の生活や我々の経済活動にも大きな影響を及ぼす安全保障の中核的な課題の一つであって、このような重要な意思決定に対して他国の干渉というのはあってはならないというふうに考えます。

 このような状況での本法案の審議ですので、改めて確認しますが、外国政府等の工作員が現実に存在するということを前提としている、その認識であるのか、それで間違いないのか、政府の見解をお伺いいたします。

七澤政府参考人 お答えいたします。

 政府としましては、我が国において外国情報機関による情報収集活動等が行われているとの認識に立ちまして、カウンターインテリジェンスに関する取組を強化するなど、必要な対策を講じているところでございます。

 国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要でございまして、引き続き、必要な取組の充実強化に努めてまいりたいと考えております。

住吉委員 その前提に立って、ちょっと質問を続けていきます。

 最初に、評価する部署の体制や審査の仕方、また想定される審査期間の目安といった全体像、これはなかなか、先ほど来より明確に答弁ができないというようなことだと思っております。多くの委員が指摘しているように、例えばアメリカでは、セキュリティークリアランスの保有者は四百万人以上と言われております。一方、我が国では、特定秘密の取扱いの業務を行うことができる者は約十三万人で、官民比率九七対三とされております。

 そういった意味で、本法案におけるセキュリティークリアランス保有者、これを何人程度にしようと考えているのか。そして、その人数によって評価の具体的な全体像というのが変わってきます。人数、予算、また年間調査可能人数などは、聞いてもなかなか答えられないということでしたが、実際どのようなスケジュールで検討していくのか、また、この調査においては外部委託の有無等あるのか、御答弁お願いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案をお認めいただいた暁には、先ほど答弁申し上げましたが、推進法所管の内閣府が本件につきましても制度所管となりまして担当してまいると申し上げましたけれども、その現在の体制を中心に準備作業を進めていくこととしております。

 令和六年度の政府予算案におきましては、内閣府として、一元的な調査を含め、セキュリティークリアランス制度の施行のための準備作業への対応として、合計二十名の増員を計上しているところでございまして、一年を超えない範囲内で施行をしていくわけですけれども、施行までの間、これらの増員を活用しながら、今後、関係省庁とも調整し、施行に向けた体制を構築してまいりたいと考えております。

住吉委員 どのようなスケジュールでやっていくのか、また、これから検討するならそれでいいんですけれども、外部委託等の有無はあるのか、この二点、もう一度お願いできますか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 法案をお認めいただいた後、一年を超えない範囲内で施行をさせていただきたいと考えております。そのために準備を進めてまいるということでございまして、外部委託については念頭に置いていないところでございます。

住吉委員 一年を超えない範囲でもう法律がスタートするわけですから、当然その中でやっていくんだと思います。

 適性評価でクリアしたら、その人は重要な情報にアクセスできるわけですから、簡単に言えば、そこをしっかりしていないと、そこの網をくぐればもう情報が取り放題というようなことも、うがった見方をすればそういったことも言えると思います。

 先ほど、外国政府の工作員等の有無についても、当然あるという前提でいろいろされていると思います。そういった情報にアクセスするために、そこだけすっとくぐれば後は取り放題なので、そういうことを考えている人もひょっとしたらいるかもしれない。そういった意味で、この適性評価のやり方とか、また、どういう体制でやっていくのかというのは非常に重要ですし、この法案を審議する上でも非常に重要なポイントだと思っております。

 これから検討するということですので、なるべく早く検討していただきたいですし、どういった検討がなされたというのは、是非我々にも報告していただきたいと思っております。

 また、評価方法として、内閣府が一元的に評価して、そして、最終的には各行政機関が判断するとされております。そうであるならば、例えば、内閣府がこの人は適性ありと評価した人物でも、各行政機関が適性なしと判断する、又はその逆もあり得る。つまり、内閣府の調査結果と各行政機関の判断がずれることもあるのでしょうか。また、そういった場合に、内閣府が評価し、各行政機関が最終決定するということですが、その責任の所在というのはどこになるんでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、適性評価と適性評価調査とを分けて考えておりまして、適性評価調査を受ける者の負担軽減等の観点から、内閣府による調査機能の一元化を図るとともに、適性評価につきましては、各行政機関が自ら保有する重要経済安保情報の取扱いを行う者の信頼性を確認するための手続であることから、最終的な判断イコール評価につきましては、あくまでその情報を管理する各行政機関において行うこととしております。

 また、本法案におきましては、内閣府による調査結果は、結果とともに意見を付して行政機関に通知することとしておりまして、各行政機関におきましては、これらを踏まえて適性評価を実施するため、その判断が内閣府による意見や調査結果から乖離したものとはなりにくいというふうに基本的には考えております。

住吉委員 乖離することはないということでいいんですか。内閣府が実際に聞き取りして調査する、それが行政機関に行って、その判断が異なるという可能性はもうないと思っていいんでしょうか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきまして、内閣府による一元的な調査の後に評価を行いますのは各行政機関の長というふうに規定しておりまして、法律上、内閣府の調査結果に各行政機関の最終的な判断、評価が拘束されるというものにはなっておりませんが、やはり一元的に調査を行うという仕組みをつくっておりますので、意見を付されて調査結果が内閣府から伝達されたものに対して各行政機関における判断が乖離したものとなることは、基本的には考えていないところでございます。

 なお、各行政機関の適性評価の結果につきましては、内閣府の長である内閣総理大臣にも通知されるということになっておりまして、もし行政機関の長が行いました適性評価の実施に何らかの問題がある場合には、本法案の第十八条に基づきまして、内閣総理大臣が当該行政機関の長に説明等を求めたり、必要な勧告を行うことも考えられるところでございます。

住吉委員 乖離があるというのは、確かに余り考えにくいことだと思っていますが、ないこともないとは思っています。だから、最終的な責任というのは各行政機関の長が持つという理解ですね。それでいいですね。

品川政府参考人 お答えいたします。

 適性評価につきましては、各行政機関の長が責任を持って行うこととなっております。

住吉委員 では、そこで何かあれば各行政機関の長が責任を持つということで理解しました。

 そして、この適性評価なんですが、幾つかの事項について適性評価調査が行われる旨等を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施することとなっております。内容は、事前に書面に記入してもらって、それを基にヒアリングするということを聞いておりますが、例えばですが、悪意の対象者が虚偽の事項を記入した場合、どのように対応するのでしょうか。諸外国では虚偽申告に罰則を設けているところもあります。

 先ほど言いましたように、付与されれば情報に、扱うことができるので、非常にここはしっかりと、厳しくしていかないといけないところだと思いますが、本法案での虚偽申告の罰則等はあるのでしょうか。また、付与されれば十年間あるわけですから、その間にいろいろ変わったときに申告をする、例えばそれをわざとしなかったとき、そういう場合はどうなるのでしょうか。

品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきます適性評価において調査する事項につきましては、本法案十二条二項に定める七項目でございます。これにつきまして、評価対象者が質問票に記入をして提出をするということになっておりますけれども、適性評価における自己申告につきましては、あくまでも調査における手段の一つでございまして、ほかに、本人との面接、上司等への質問や公務所照会等を行うことにより、先ほどの自己申告の内容を確認することが可能と考えております。

 適性評価後の虚偽申告に対しまして、罰則こそ設けていないところではございますが、虚偽申告が判明した場合には、本法案の第十二条第一項第三号の、引き続き重要経済安保情報を漏らすおそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの、これに該当するものとして、その虚偽申告の経緯、内容等に応じまして、適性評価をやり直すことや、その結果として情報を漏らすおそれがないとは認められないといった結論になる可能性も考えられるところでございます。

住吉委員 罰則はない、しっかりとした調査をしてもらうものだと認識しておりますが、ある意味、抑止力も含めて、罰則も検討すべきじゃないかなというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。

 対象者が中国籍の場合についてお尋ねいたします。

 中国には、中国国家情報法や中国国防動員法といったかなり特異な法律が存在します。この国家情報法は、中国国内だけでなく中国国外でも適用され、第七条で、いかなる組織及び個人も、法律に従って国家の情報活動に協力し、国の情報活動の秘密を守らなければならない、国はそのような国民、組織を保護すると定められております。つまり、中国国民、企業は、政府の指示があれば情報を提出する義務があるということです。

 そのような人物にクリアランスを付与すると、本法案では当然情報を漏えいしては駄目、また、国家情報法では情報を提供しないと駄目というふうになり、対象者はどちらに転んでも法律違反になり得るということでございます。

 この評価の対象に国籍もありますが、このような事態を招くおそれがある中国籍の対象者にはクリアランスを付与しないという理解でよろしいでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 この重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないか否かは、第十二条二項各号に掲げる事項の調査結果によって判断されます。

 この適性評価は、重要経済安保情報を漏らすおそれがないことについて行う評価でございますから、適性評価の対象者が外国籍の者であるという事実は、同項一号の重要経済基盤毀損活動との関係に関わる事情として考慮要素の一つとなります。

 委員御指摘の中国の国家情報法でございますが、もう条文については御紹介をいただきましたけれども、やはり、自国民に対して国家の情報活動に対する指示や協力を義務づけている制度がある、そう指摘されている制度があるということになりますと、適性評価に際しましては、こうしたことも考慮して情報漏えいのおそれの有無を判断することは必要だと考えております。

 最終的には調査結果に基づく総合評価によって判断をされます。

住吉委員 最終的には総合評価するということなので、国籍だから除外するということではないとは思うんですけれども、こういったことも私の懸念点ですので、この場でお伝えさせていただきました。

 次に、先ほど来より質問もありますが、政務三役等の適性評価を外している理由についてお伺いしたいと思います。

 任命の際に必要な考慮がなされているとの考えに基づき、行政機関の長、国務大臣、副大臣、大臣政務官といったいわゆる政務三役は、適性評価の対象外とされております。

 立派な方々がそういった役に就くというのは私も否定はしませんが、昨今の日本の現状を見ると、やはり国民の皆様は、それは国会議員も政務三役に就く人も適性評価にすべきだという意見が多分多いと思うんですね。

 そのしない理由とかは先ほどるる述べられたと思いますが、逆に、これは別に、して何かデメリットとかはあるんでしょうか。

 最後、それだけお聞かせください。

高市国務大臣 デメリットはあるかと聞かれましたら、特にデメリットはないかと思います。

 ただ、閣僚などを任命するときのタイミング、その前にどの機関がどの程度の調査をできるのか。そして、総理がそれを基に、しっかりと、どういう業務をするのかということを考慮の上で判断されているものと考えております。

住吉委員 デメリットがないのであれば、それは入れたらいいと思います。

 もう時間ですので終わりますが、また質問の機会はあると思いますので、議論していきたいと思います。ありがとうございます。

星野委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 重要経済安保情報保護活用法案、すなわち秘密保護法拡大法案について質問をいたします。

 岸田総理は、新制度が我が国の既存の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め、必要な措置を講じることを指示しております。経済安保分野の秘密について、秘密保護法の特定秘密の範囲を、法改正せずに運用基準の見直しで拡大するというものであります。

 お尋ねしますが、特定秘密において、経済安保分野の重要経済基盤保護情報に相当するものを指定したことというのはなかったと午前中の答弁でもありましたが、そのとおりでしょうか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 まず、経済安全保障政策で中心的な役割を果たします内閣府それから経済産業省におきましては、これまで経済安全保障に関する特定秘密を指定した例はございません。これがまず第一です。

 次に、その他の行政機関につきましても、私どもが許される範囲で確認をいたしましたが、指定された特定秘密の概要に、経済安全保障やサプライチェーン、それから重要インフラ、その他これらに類する関連の文言が用いられている例はございませんでした。この限りにおいて、重要経済基盤の保護に関する情報を直接的に特定秘密に指定した例はないというふうに申し上げられます。

 ただ、一方で、例えば、内閣情報調査室が外国の政府等と行う安全保障に関する協力業務を通じて提供された情報といった情報が特定秘密にまた指定されております。これによりまして、例えば、我が国の先端技術を狙ったスパイ活動やサイバー攻撃の重要情報が友好国からシークレットの保全表記がなされた文書でもたらされた場合には、当該文書を特定秘密文書として厳重に管理しております。

 いずれにしましても、新法の重要経済基盤保護情報への該当、非該当は、新法の運用基準がまだ策定されておらず、個別具体の当てはめを判断できない現段階において、確定的なお答えをすることは困難でありますが、関連する特定秘密保護法の運用状況は以上のとおりでございます。

塩川委員 過去指定したものはないという答弁です。

 十年前の秘密保護法審議の際に、特定秘密の四分野に経済安保が入っている、そういう政府の答弁というのはあるんですか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の法案審議の際には、経済安全保障という言葉、表現を用いた答弁は、政府としては行っておりません。

 他方で、当時の法案審議におきましては、例えば、防衛装備品の開発における民生技術の活用や、エネルギーに係る安全保障、食料に係る安全保障などにつきまして様々な議論がなされていたものと承知をしております。

塩川委員 議論がないということであります。

 内閣官房作成の逐条解説では、本法の別表は、その裁量の幅を狭めるために、類型的に秘匿の必要性が高いと認められる事項を限定列挙したものと説明しておりますけれども、限定列挙、裁量の幅を狭める、そうですね。

岡政府参考人 お答えします。

 御指摘の記載は特定秘密保護法の別表について解説したものでございまして、その意味するところは、特定秘密に指定できる範囲を別表に列挙された事項に限定することによりまして、指定対象を明確化するとともに、行政機関による恣意的な指定を防止する趣旨であることを示したものでございます。

塩川委員 裁量の幅を狭めるとうたっているところであります。

 十年前の秘密保護法審議の際に、当時森大臣は、特定秘密に指定される範囲は必要最小限に限定されなければならぬことは当然のことと述べていたわけであります。今回、それを運用で広げるという話ですから、この秘密保護法の議論のときと大きく変わる、そういった今回の中身となっているということで、大臣にお尋ねいたします。

 今回、法改正でなく運用基準の見直しで経済安保分野を特定秘密に指定しようというのは、結果として、法律によらず罰則の対象を広げるものになるのではありませんか。こういうことは認めることができないと思いますが、いかがですか。

高市国務大臣 今回、特定秘密保護法の改正は行いませんので、特定秘密の範囲が拡大されることはございません。

 特定秘密保護法の運用基準の見直しにつきましては、経済安全保障に関する個々の重要情報について、特定秘密に該当するかどうかを各行政機関が的確に判断できるよう、現行の運用基準について、法の別表に定める範囲内で、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないかを検討するものでございますので、何も行政の裁量で特定秘密の範囲を拡大するようなことではございません。

塩川委員 でも、実際、運用の見直しでやると言っているわけですから、秘密保護法の特定秘密の範囲を、法改正をせずに運用の見直しで拡大するということになれば、政府の裁量で勝手に秘密の範囲を広げると言われても仕方がない。まさに、何が秘密かも秘密という、秘密保護法の危険性をはっきりと示すものではありませんか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣の方から答弁させていただいたとおり、今回、特定秘密保護法、そしてその範囲を定めるものとして別表があるわけでございますけれども、それを改正するわけではございませんので、運用基準につきましては、あくまでも法の授権の範囲での検討ということだと認識しております。

塩川委員 法律によらず罰則の範囲を広げるという点では罪刑法定主義にも反する重大な問題だ、こういった秘密保護法はそもそも廃止しかないということを申し上げておきます。

 次に、重要経済安保情報の範囲についてお尋ねいたします。

 重要経済安保情報指定の三要件は、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもののうち、特別防衛秘密、特定秘密は除くということです。その重要経済基盤保護情報とは、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義をしております。

 そこで、この重要経済基盤ですけれども、重要経済基盤である我が国にとって重要なインフラとは何なのか、また重要な物資のサプライチェーンとは何なのか、このことについて説明してください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、今委員の方から御紹介ございましたが、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為が及び得る対象範囲として、我が国の国民生活や経済活動を支える重要なインフラと、我が国の国民生活や経済活動が依拠する重要物資のサプライチェーンを重要経済基盤と定義をしているところでございます。

 具体的には、本法案第二条第三項におきまして、インフラにつきましては、我が国の国民生活又は経済活動の基盤となる公共的な役務であってその安定的な提供に支障が生じた場合に我が国及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものの提供体制、サプライチェーンにつきましては、国民の生存に必要不可欠な又は広く我が国の国民生活若しくは経済活動が依拠し、若しくは依拠することが見込まれる重要な物資、これはプログラムも含みますけれども、その供給網と定義しております。

塩川委員 重要経済基盤は、経済安保推進法にあります基幹インフラ十四分野、プラス今回の港湾、この経済安保推進法で挙げている基幹インフラよりも広い概念ということでよろしいですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 本法案における重要経済基盤のうち、いわゆる重要インフラにつきましてはただいま答弁させていただいたとおりでございます。

 一方、経済安保推進法の基幹インフラ制度の対象となるインフラ、すなわち特定社会基盤事業者につきましては、国民生活及び経済活動の基盤となる役務であって、その安定的な供給に支障が生じた場合に国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものということとしておりまして、この点については本法案と共通しておりますけれども、実際には、この制度においては、特定重要設備の導入計画等の届出義務を課すという観点から更に法律の中で対象を絞り込んでおりまして、そのような事業の中で一定の事業を政令で定め、その事業を行う事業者を、省令において設備を特定することによって制度を運用しておりまして、最終的には、主務省令で定める基準に該当する事業者を、先ほど申し上げました義務の対象として絞り込んでいるところでございます。

塩川委員 絞り込んでいるということですから、基幹インフラよりも重要経済基盤の概念の方が広いということになります。

 そこで、政府は、多数の民間事業者から提供された情報を政府の側で集約、分析するなどして作成した情報については、重要経済安保情報として指定することは考えられると答弁をしています。

 そこで、経済安保推進法に基づき多数の民間事業者から提供された、民間事業者による供給確保計画及び重要設備の導入、維持管理等の委託に関する計画書の情報を政府の側で集約、分析して作成した情報は、重要経済安保情報として指定するということはあり得るんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 重要経済安保情報として指定することとなりますのは、先ほど来、三つの要件がございますけれども、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿する必要があるものというものでございます。

 お尋ねの、経済安全保障推進法の下で民間事業者から申請されることになります特定重要物資の供給確保計画、あるいは基幹インフラ制度の中で提出されます特定重要設備の導入等計画が、そのまま本法案の重要経済安保情報の要件に該当するとは私ども考えにくいというふうに考えております。

 他方で、御指摘の計画などに限らず、政府が、多数の民間事業者から提供されたインフラやサプライチェーンに関する様々な情報を政府の側で集約し分析することなどによりまして、重要経済基盤の重大な脆弱性に関する情報や、これを解消し、重要経済基盤を保護するために政府が取るべき措置等に関する資料を作成した場合には、その内容が先ほど申し上げた三つの要件に該当する可能性もあり得るというふうに考えております。

塩川委員 もう一回確認ですけれども、経済安保推進法で二つの計画があります、二つの計画について政府の側で集約、分析するなどして作成した情報については、三つの要件に当たれば重要経済安保情報として指定することはあり得るということですね。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 サプライチェーンの関連で提出されます供給確保計画につきましては、この法律の中で支援対象としております設備投資の計画であったり、あるいは備蓄の計画だったりというような内容でございます。

 他方で、インフラ制度の中で提出される導入等計画というのは、このインフラを運営するに当たって非常に重要な設備について、あるいはそれを構成する設備について、どのようなスケジュールでどのようなサプライヤーから調達をするのかといったような導入に関する計画でございまして、その一つ一つが、もちろん、元々、民間が承知している、あるいは民間のサプライチェーンの中で様々な事業者が承知している情報ですので、それがそのまま直ちにこの重要経済安保情報の要件を満たすものとは考えておりません。

塩川委員 いや、答えていないんですけれども。

 個々の事業者が出した計画が重要経済安保情報に指定されるかと聞いているんじゃなくて、そもそも、政府が言っているように、政府の側で集約、分析するなどして作成した情報について言っているんです。その場合の集約、分析する対象となる計画として、経済安保推進法による二つの計画を集約、分析して作成した情報というのは重要経済安保情報に指定し得るのか。そこをもう一回。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げました様々なデータを収集をして、それを政府の側で、様々な分析手法や、あるいは政府として独自に収集した情報、データも加味して、そして最終的に作成をいたしました、先ほど申し上げました脆弱性に関する情報やそれを解消するための政府の措置につきましては、重要経済安保情報として指定することもあり得るというふうに考えております。

塩川委員 否定しませんでしたので、そういう意味では、民間事業者が経済安保推進法に基づいて出した計画をベースに集約、分析したものが重要経済安保情報の指定の対象となり得るということであります。

 そういうときに、民間事業者が提供した情報を基に政府が作成した重要経済安保情報について、その民間事業者は、適合事業者にならないとその重要経済安保情報は受け取れないということですね。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の重要経済安保情報を受け取ることができる事業者と申しますのは、今、提供した事業者という御指摘があったわけですが、それも含めまして、この法律の十条一項により提供を受ける場合でございまして、それは、適合事業者の認定を受け、さらに政府との間で、あるいは関係する行政機関との間で契約を結んだ上で提供を受けるということになります。

塩川委員 経済安保推進法で計画を出しました、こういうところが弱点です、政府の方が集約、分析をしたものが重要経済安保情報になりますといったときに、当然、事業者側にその穴を埋めてくださいねという話というのは出てくるわけですよ。そうなりますと、政府は民間事業者に、秘密保持契約を結ぶ適合事業者になることを求めることになるんじゃないでしょうか。そこはどうですか。

飯田政府参考人 今御指摘のございました経済安保推進法の計画でございますけれども、これはあくまでも民間事業者の御判断により策定された計画でございますので、それを、私ども、申請を受けて、審査をして認定をするというわけでございますが、そのプロセスの中で、相手先であります企業に対して重要経済安保情報を一律に提供するということは想定しておりませんし、そのために先方の事業者に適合事業者となるということを求めるものではございません。

塩川委員 でも、こういうインフラやサプライチェーンで、ここが弱点です、脆弱性です、こういうところをきちっとカバーしてくださいというアドバイスというのはされるわけですよね。その一つとして、穴を埋めるためにはこの重要経済安保情報が必要です、適合事業者になってください、そういうことは言わないということですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 経済安保推進法におきましては、まず、安定供給に支障を生ずるおそれがある物資を特定重要物資として指定をいたします。その上で、取組方針というものを定めまして、こういった取組に貢献するということであれば、その計画を申請していた企業に対して財政的な支援も含めて支援をするという制度でございます。

 したがいまして、この計画認定のプロセスにおいて適合事業者であるということは必ずしも関係がございませんし、むしろ、事業者が提出してきた計画の内容そのものが、私ども政府の側でそれぞれの物資所管官庁が示した取組方針に合致しているかどうかを審査をするということでございますので、その点において、重要経済安保情報に指定されている情報をお渡しするということは必ずしも想定しているものではございません。

塩川委員 ただ、政府の説明として、多数の民間事業者から提供された情報を政府の側で集約、分析するなどして作成した情報については、重要経済安保情報として指定することが考えられるということですから、経済安保推進法に別に限らなくてもいいわけですよ。多数の事業者からいろいろな情報が寄せられました、それを分析しました、これは重要経済安保情報に指定し得るよねと。

 そういった場合に、そういった元々の計画なり情報を出してきた事業者に対して、やはり問題点があればアドバイスをするということはやるんですよね。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 本法案の規定にございますとおり、先ほど申し上げました重要経済基盤の脆弱性の解消を含めた安全保障の確保に資する活動のために必要である場合にあって、その活動にまさに従事する民間事業者、こちらに重要経済安保情報を提供することでその事業活動などを推進していく、あるいは促していくということがございます。その場合においては、まさに適合事業者に該当するかどうか、政令で定められた基準を満たしているかどうかを認定した上で、さらにその上で契約を結んで、その事業者に対して重要経済安保情報を提供することがあるということでございます。

塩川委員 やはり、政府として重要経済安保情報をつくりましたといったものを有効に利用してもらうとしたら、適合事業者になってくださいということを求める、迫るというスキームにならざるを得ないという点でいっても、民間事業者に対して、これはちゃんと管理するためにクリアランスを受けてくれということを迫るようなスキームになってくると言わざるを得ません。

 あと、重要経済基盤の範囲についてですけれども、例えば医療分野というのは重要経済基盤には入り得るんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 医療基盤と言われるものが何を指しているかについては様々な御見解があろうかというふうに思いますけれども、医療につきましては、我が国の国民生活又は経済活動の基盤となる公共的な役務であってその安定的な提供に支障が生じた場合に我が国及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものに該当する可能性があるものもあるというふうに考えております。

塩川委員 該当するものもあるということです。

 厚生労働省は、二〇二四年度には、オンライン資格確認システムを基盤に構築する電子カルテ情報共有サービスについて、標準規格に準拠した電子カルテを使用する医療機関等から接続を順次開始するとのことであります。

 医療DXに係るセキュリティー対策に関わって、医療分野が重要インフラの対象となるのではないのか。そうなると、医療機関が重要経済安保情報を取り扱う適合事業者になり得るのか。この点はどうでしょうか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど来申しております一般論と同様でございまして、重要経済基盤に関する脆弱性、あるいはその脆弱性を解消するための活動に関連して、民間の事業者と情報を共有するということは想定しております。

 ただし、一つだけ補足させていただきますと、民間とのやり取り、それは全て重要経済安保情報だけでは当然なくて、そういったものに指定されていない情報も含めて、私ども、関係事業者と情報交換を進め、そしてその事業活動を促していきたいというふうに考えております。

塩川委員 インフラやサプライチェーンの維持に必要な秘密情報の保全対策として、民間事業者に適合事業者となることを迫るものになるのではないのか、民間事業者の営業の自由や従業者のプライバシーの侵害などが強く危惧されるものだということを申し上げておきます。

 次に、午前中の質疑でもありましたけれども、政府は、重要経済安保情報について、政府が保有する情報に限ると説明しておりますが、条文上どこに規定しているのかという質問に対して、条文にはないと答弁しておりましたが、それでよろしいでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 午前中の質疑でも答弁がございましたけれども、重要経済安保情報は、行政機関の長が三つの要件に該当するかどうかということを所掌事務に係る専門的知見から判断をして指定するということになるわけでございますけれども、この三つの要件に該当するか否かは、当然その情報が手元になければ判断のしようがないという意味で、政府が当然のことながら保有している情報を吟味した上で指定の要否を判断をするという意味で、政府保有ということで御説明をしたところでございます。

 その中に、仮に元々民間が保有していた情報があったとしても、元々民間が保有している情報でございますので、これにはこの法律の規律は及ばないということも併せて御説明させていただいた上で、そのような観点から、そういったものをすべからく指定するようなことは基本的には考えていないということで答弁差し上げたところでございます。

塩川委員 午前中の答弁の中で、政府保有とした場合に、元々の保有者もいる、条文ではなく、政府の方針として表明することで足りるのではないかという説明をしていたんですが、政府保有とした場合に、元々の保有者もいるというのは、これは何を言っていたんですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど塩川委員の方から御指摘がございました推進法の関連で、民間から提供された情報についての言及がございました。

 そういったものを分析、あるいは収集して分析した上で、重要経済安保情報に指定することがあるということを申し上げたわけでございますけれども、私自身がまず申し上げましたのは、政府の手元にある情報の中にはこうした民間が提供した情報もあるということでございますし、そういったものをそのまま指定するということは基本的には考えてございませんが、論理的には指定はできますけれども、その場合であっても、この法案の条文の罰則の条項などを見ていただきますと、全て、罰則等の規律が発生をいたしますのは、行政機関の長から、適合事業者を介して、適性評価を受けられて漏えいのおそれがないと認められた方に情報が提供された場合に限って罰則などが適用するという規定になっておりまして、全て、行政機関を起点として、行政機関から提供された情報について規律が発生するということで御説明をしております。

塩川委員 先ほどの説明では、十条二項で、政府が現に保有していない情報もあるのでと言ったんですけれども、それもそういうことなんですか。

飯田政府参考人 十条二項の規定につきましては、これは、そもそも政府が保有する情報の概念の中の一つとして、十条二項で特別な規定を設けているものでございます。

 これにつきましても、まさに政府が、まずは指定をしなければなりませんが、重要経済安保情報の三要件に該当するかどうか、これを判断するのはあくまでも行政機関の側でございまして、これを現時点で保有せずとも、行政機関が先方との同意の上で行わせることとなる調査研究の結果生成した情報については、政府保有の情報として指定をし、また、その指定に伴う規律を、それを取り扱う民間事業者の方にもその規律を適用するということでございまして、あくまでも政府保有の情報の一類型として御紹介をしております。

塩川委員 であれば、政府保有と書くのでいいんじゃないですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような考え方もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、この条文の規定によりまして御指摘の趣旨については手当てできるというふうに考えまして、このような条文とさせていただいております。

塩川委員 何だか大分いいかげんな話になってまいりましたけれども。

 秘密保護法の運用基準には、「行政機関又は都道府県警察の職員は、特定秘密に指定すべきと考えられる情報を知ったときには、直ちに当該情報が特定秘密に指定されるよう関係職員に通報するなどの措置を講ずるものとする。」とあります。特定秘密を指定する権限を持たない者がその指定を要する情報を知ったときに講ずる措置を規定をしております。これは特定秘密保護法の運用基準ですけれども、今回、民間分野に大きく秘密指定の範囲を広げることになります。

 その際に、アメリカがどうなっているのか。米国の大統領令の一三五二六には、これは機密を扱う大統領令ですけれども、民間事業者が指定を要する秘密を知ったときに関係職員に通報することが規定をされています。

 同様のことを日本でも行うんでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 民間事業者との関係については、この法律の条文にあるとおりでございまして、御指摘のようなことは法定されておりません。

塩川委員 運用基準で入れようとか、そういうのはないということですか。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 この法律の範囲内で、あるいは授権された範囲内で運用基準というものは定めてまいります。

塩川委員 運用基準には入れないということですね。

飯田政府参考人 法令で規定されないまま、運用基準で通報を義務づけるようなことはできないのではないかというふうに考えております。

塩川委員 政府が保有するというところが非常に曖昧だという点で、政府保有の情報に限りと条文上規定していないのが、このように政府保有だけではなくて民間保有の情報も指定され得る余地を残すためじゃないのかという懸念も浮かぶところであります。そういう点でも、非常に曖昧な、秘密の範囲がどんどん広がっていく、そういう中身ということが強く危惧されるところであります。

 大臣にお尋ねします。

 有識者会議の議論の中で、永野委員から、秘密保護法は別表形式です、このような別表等の形式により、今回の法案についても可能な限り明確に対象となる情報類型を列挙すべきと指摘をしていましたけれども、そういった限定列挙についてどのような検討を行ったのか。今回、限定列挙しなかったのはなぜなんでしょうか。

高市国務大臣 永野委員から、別表等の形式によりということで、可能な限り明確に対象となる情報類型を列挙すべきといった御指摘はございました。

 特定秘密保護法では、特定秘密に該当する情報を明確化するため、別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件を充足することを要しています。

 この点について、本法案におきましては、先ほど来申し上げていますように、重要経済安保情報に該当する情報を明確化するために、特定秘密保護法と同様、一つ目は重要経済基盤保護情報であってということになりますけれども、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件を充足することを要することとしています。

 さらに、重要経済基盤保護情報について、我が国にとって重要なインフラとサプライチェーン、すなわち重要経済基盤に関する情報のうち、外部から行われる行為に対する保護措置やこれに関する計画又は研究、重要経済基盤の脆弱性や革新的な技術、これらに関して収集した外国からの情報や、我が国の情報収集能力に関する情報であることを法文上明確にいたしております。

 これらの要素というのは、特定秘密保護法別表の類型を参考といたしました。ですから、限定列挙していないわけではございません。

塩川委員 全然そんなふうに読めない中身であります。

 限定列挙の秘密保護法ですらその範囲が曖昧だということが厳しく批判をされているわけですから、更に曖昧で、秘密の範囲がどんどん広がりかねないという点では認めることができないということを申し上げ、質問を終わります。

星野委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、重要経済安保情報の保護に関する法律案の質疑ということで、よろしくお願いいたします。

 今日は、午前中から聞いておりますと、やはり適性評価についての質問が多くほかの委員からも出ているように思えておりますが、私もこの論点で今日は質問をさせていただければと思います。

 まず、参考人に伺いたいと思います。

 適性評価における調査事項というのが今回法案の中でも示されております。具体的には、法案の第六、適性評価という項目の中で規定されておりますが、一から七まで、幾つか調査事項というのが示されました。

 まず、この議論に入っていくに当たりまして、やはり、調査事項の項目というのは、海外との情報のやり取りも想定して立法がされるものですので、海外とある程度同じような調査項目についてしっかり調査をして、その信頼性、評価結果においても海外と同等なものを確保する必要性はあるのではないかというふうに思っております。

 この日本の適性評価における調査事項、例としてアメリカと比較をしたいと思うんですけれども、日本とアメリカの調査事項の差異について、どのような違いがあるのか、説明を求めたいと思います。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案における適性評価のための調査事項は、第一号の重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項以外は特定秘密保護法における調査事項と同様であり、犯罪、懲戒歴、情報の取扱いに関する非違歴、薬物の乱用及び影響、精神疾患、飲酒についての節度、信用状態を含む経済的な状況に関する事項を調査することとしております。

 アメリカにおきましては、当方の承知している限りでございますが、本人に関する事項として、暴力的な政府転覆活動、テロ等への関与、外国との関係、犯罪歴、民事訴訟歴、情報通信関係の非違歴、薬物の乱用、精神の健康状態、アルコールの影響、信用状態などを調査するものと承知しております。これらは、特定秘密保護法や本法案における調査事項と大きな差異はないものと考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 我が党では、従来から、玉木代表を筆頭に、いわゆるハニートラップについてちゃんと手当てができているのかということを懸念をしております。

 ちょっと参考人に更問いで恐縮ですけれども、いわゆるハニートラップ、アメリカでは性行動ということでセクシュアルビヘービアという項目があるそうなんでありますけれども、日本の今回の法案の中で、こうしたセクシュアルビヘービア、性行動の部分について担保されているのかどうか、その点について教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカにおきましては、委員御指摘のとおり、性行動、セクシュアルビヘービアという項目が一つの項目とされているというふうに承知しております。

 我が国におけるいわゆるハニートラップの関係でございますが、一般的に、ハニートラップとは、性的関係を利用して対象者から情報、利益、弱みを引き出すスパイ活動のことを指すと考えられているところでございます。

 現在又は過去に性的な交友関係を契機に外国の情報機関等から重要経済安保情報の漏えいの働きかけを受けているか否かは、まさに重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項に該当し得るので、調査の対象であるというふうに考えております。このため、いわゆるハニートラップの疑いが認められた場合には、当該事項に関連する事実として、適性評価において考慮され得るということかと思います。

 それからまた、そういったものにひっかかりやすい、耐性といいますか、そういったものについてでございますけれども、現在又は過去にそのような兆候がなくとも将来ハニートラップにひっかかるか否かを指すと考えられますけれども、これは将来の可能性の判断となるところでございまして、これを独立の調査項目とすることには、漏えいするおそれの有無の判断が余りにも漠然としたものとなりかねないというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 調査事項の範疇には含まれるという理解をさせていただきましたけれども。

 アメリカの方では、あらかじめ定められた調査項目について調査を行った後、その調査によって集められた情報を基に、国が、政府がそれをどう判断するかという裁定ガイドラインというのがあるそうであります。この中には、幾つかの項目があるわけでありますが、幾つか御紹介すると、例えば、国家への忠誠心とか、外国からの影響を受けているかどうか、あるいは、外国への偏向というふうに書いてありますね、外国への関与ですね、あるいは性行動といったことが、判断をするときの判断基準として、あらかじめガイドラインが定められているということであります。

 この法案では、調査事項については定めていますけれども、その調査事項に基づいて収集された情報をどう判断をしていくのか、この判断基準については余り論じられていないように思うんです。

 我が国においては、この判断基準というものはしっかりと定められているのかどうか、若しくはこれから定める意思があるのかどうか、これについても是非教えていただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど挙げていただきました事項については、それを調査項目あるいは確認する項目としていながら、他方で、それが何のために行われるかということも米国のガイドラインなどにも記述がございますし、あるいは、特定秘密保護法においても、その運用基準の中で、評価の際には、例えば情報を自ら漏らすような活動に関わるかどうか、これは先ほどの重要経済基盤毀損活動の調査項目との関係で考慮される項目ということになりますし、あるいは、情報を漏らすような働きかけを受けるような、そういう弱みを持っているかというのは、例えば飲酒の節度など、あるいは信用状態などの調査との関連で考慮することになろうかと思います。

 また、御自身を制御できなくて情報を漏らしてしまうというようなことも考慮されることだというふうに考えておりまして、それが、例えばこれも飲酒の節度みたいなものとしてチェックをされるということでございまして、特定秘密保護法の例も参照しながら、今後、具体的にどのような形で評価を行っていくのかということについて、運用基準の検討の中でも検討をさせていただきたいというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 次の質問に移りたいと思います。これからは、個人のクリアランスについて伺っていきたいと思います。

 大臣にお伺いします。

 適性評価の結果を事業者において重要経済安保情報の保護以外の目的に利用することを禁止するという法律のこの意図には賛同しておるんですけれども、いかにその実効性を担保するかというのがやはり重要だと思っております。

 適性評価の結果に基づく従業員の不合理な不利益取扱いを禁止するというふうに大臣もおっしゃっているんですが、この不合理な不利益取扱いというのは一体全体何なんだというところであります。

 私も、同僚議員ですとか、あるいは産業界の方々といろいろお話をしておりますと、この不合理な不利益取扱いかどうかというものは、ある行為がハラスメント行為なのかどうか、その判断が難しいのと非常に似た特性を持っているんじゃないかというふうに思います、いわゆる主観的な判断が入ってくるという点で。

 ですので、この不合理な不利益取扱いの定義というものをもう少し具体的にイメージを持ちたいんですけれども、大臣が考えるこの不利益取扱いとは具体的にどのようなケースを想定しているのか、教えていただきたいと思います。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

高市国務大臣 まず、前提として、適性評価を受けることに同意しなかったことや適性評価の結果を重要経済安保情報の保護以外の目的で利用することは、明確に第十六条で禁止しております。

 今委員お尋ねの、不合理でかつ不利益な取扱いといった表現は、禁止される目的外利用の代表例として挙げたのですが、具体的に申し上げますと、不合理な解雇ですとか降格ですとか減給、それから自宅待機命令、配置転換などが考えられます。

 ただ、これを明確に判断していかなければなりませんので、従業者に対するどのような対応が禁止行為に当たるのかということについて、有識者の御意見を聞いた上で、閣議決定も行う運用基準で明確に示してまいります。

浅野委員 ありがとうございます。

 是非、そういったことを明確に示していただく中でお願いしたいことは、今大臣が例示をされたいわゆる解雇ですとか自宅待機ですとか、こういったことは、働く意思があるんだけれども、その本人の意思に反して業務に従事させなかったり従事する機会を失わせるような行為のような表現もできると思うんですね。

 つまるところ、各職場において使用者側が従業員をしっかり、クリアランスを取得できたかできないかという問題はあるにせよ、働く意思のある人にきっちり仕事を与えて職場参画をしてもらう、従業員のことをしっかりマネジメントしていく、その責務を使用者側に果たしてもらうことが大事だと思いますので、これは禁止という書き方もあるのかもしれませんけれども、大前提として、使用者は従業員を、しっかりと活躍の場を与えて、本人のエンゲージメントを高めるような処遇をすることというのが大前提になっていると思いますので、その部分を、改めて、忘れないように、ガイドラインを策定し、現場に対して周知をしていただきたいという要望をお伝えをさせていただきたいと思っております。

 次の質問です。

 今ありました目的外利用の禁止ということの実効性を担保するために、先ほど、大臣、答弁の中でも、不利益取扱いについての通報、相談窓口を設けるということをおっしゃっていたかと思いますけれども、これは具体的にどこに設ける予定なのか、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。

高市国務大臣 相談窓口ですけれども、まずは各行政機関に設けるということを考えておりますが、適合事業者の契約先である行政機関に相談するということに抵抗がある場合も想定いたしまして、制度所管である内閣府にも相談窓口を設けることを考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 ここはこれから詳細な設計だと思いますけれども、是非、そういった当事者の方がアクセスしやすい環境にしていただけるようにお願いをいたします。

 続いての質問です。

 個人でクリアランスを取得した方について、それ以降、特定の行動を制約するというようなことは想定されるのか。例えば、このSNSを利用しちゃいけないとか、この国には行ってはいけない、海外旅行のときには事前の許可制だとか。

 私も、特定秘密保護法に基づいて情報の取扱いをしている職場、幾つかヒアリングをさせていただいたところ、幾つかの職場では、やはりそういったところも含めて配慮をした運営をしているという情報も聞きました。本人たちの自主的な取組なのかもしれませんけれども、政府としてこういった行動制限を求める可能性があるのかどうか、その点について教えていただけますでしょうか。

高市国務大臣 適性評価を受けて情報を取り扱うことになった方に対して、SNSの安全な利用方法ですとか、海外渡航に関しての注意事項についてお伝えすることは考えられますが、この法案の制度によって私生活上の自由を制限するということはございません。

浅野委員 ありがとうございます。

 続いて、組織を対象としたクリアランスについて伺っていきたいと思います。

 先日の本会議の中では、株主や取締役会などの組織的要件について、主要国の例や、我が国の企業の実情、関係法令との整合性を踏まえながら、現実的な制度を整備していくという答弁がありました。

 諸外国の例であったり、我が国の企業の歴史的な成り立ちであったり、こういったものを踏まえるということは、それはそのとおりなんだと思うんですけれども、じゃ、実際にどういった要件になっていくのかという具体的なイメージを持てる答弁ではありませんでしたので、今日の法案審議の中でもう少し具体的なイメージを持てたらというふうに思っております。

高市国務大臣 適合事業者の認定のための基準の具体的な内容は、今後検討することになります。

 有識者会議でもここは議論になりました。米国では、組織的要件として、社長や取締役会議長に個人のクリアランス取得を位置づけているんですが、こうしたことを日本にそのまま求めるのは相場観としては難しい、現在の防衛産業が置かれた実態などを踏まえるべきといった御議論もあり、結局、最終取りまとめでは、実効的かつ現実的な制度を整備するべきという記載になりました。

 産業界から先日公表された提言でも、日本企業の実情においても留意しつつ、諸外国に通用する制度設計のためにも、官民での議論の継続を期待するということですので、引き続き検討しなければなりません。

 具体的には、事業ポートフォリオが日本と外国企業では違うということ、日本の方が大きいということですとか、あと、やはり会社法で、アメリカのようにクリアランスホルダーのみで構成される特別な委員会を取締役会の下に設置してクラシファイドインフォメーションを管理しているというようなことは、日本の会社法で考えますと、取締役会が経営の最高意思決定機関と位置づけられているので、何かほかの委員会が取締役会の権限を越えるような感じで事業について意思決定することはできませんから、そうすると会社法を改正しなきゃいけないということになりますので、やはり日本の企業の特性とか実態も見ながら、しかも実効性のあるものということで、いましばらく検討をさせてください。

浅野委員 現状の課題意識も含め答弁いただき、ありがとうございます。引き続き、委員会の中でも議論を深めていきたいと思います。

 続いては、中小企業に対する支援の在り方について少し伺いたいと思います。

 有識者会議の中でも、組織クリアランスを求めた場合には、その中小企業に対する支援も必要じゃないか、そんな指摘もあったやに聞いています。私が現場にヒアリングした中で伺ったのは、もちろん、これから重要経済安保情報を取り扱って事業を始める中小企業に対する支援というのは、それを希望する声は多いんですが、既に特定秘密保護法あるいは防衛関係の事業に携わっている中小企業がありまして、この企業がこれから更に重要経済安保情報も取り扱うようになっていくことも想定されるという中で、既存のいわゆるセキュリティーがかかったスペースというのを拡張しなければいけなかったりだとか、取り扱う従業員の対象範囲が広がるので、人数が増える分、これまで一部屋で済んでいたものが、二部屋、三部屋に増やさなきゃいけない。そういったときに、そういった部分の支援を求める声もあるというふうに私は認識をいたしました。

 今回、中小企業に対する支援というのは、どういった条件を満たした中小企業に対して行われていくのか。現状、政府の考え方について伺いたいと思っております。

高市国務大臣 やはり、施設設備の設置ですとか、あと、従業員の方々への教育に関することも考えますと、これらを政令でまた定めることを考えておりますので、事業者の規模を問わずに、少なからぬ負担になるという御指摘もあります。ですから、必ずしも中小企業とか小規模事業者とかいう限定をつけるかどうかも含めて、しっかりと検討させていただきます。

浅野委員 是非お願いいたします。

 これまでの議論の中では、初めてこれからこういったクラシファイドインフォメーションだったりとかに触れる企業に対する支援というものに主眼が置かれているように思えたんですけれども、実は、これまで特定秘密に関する業務をしてきた企業の中にも、更なる拡張、設備関係の、施設設備の強化をしなきゃいけない企業もありますので、そういったところにも目を向けていただきたい、これが現場の声であります。

 次、最後の質問をさせていただきます。適性評価の結果通知について伺います。

 これは参考人の方に伺いますが、現行の特定秘密保護法において、適性評価の調査中であることを旨として長期間にわたり通知されないままとなっている事例があるやに聞いております。

 適性評価結果の通知は、特定秘密保護法第十三条で行政機関の長に義務づけられておりますけれども、調査に時間がかかるのは分かるんですが、必ずいつかは結果を通知しなければいけないわけであります。じゃ、どういう条件になった場合にこの十三条違反となるのか、その法的な解釈を教えていただきたいと思うのと、あとは、今後このクラシファイドインフォメーションの適性評価については、それなりに、特定秘密保護法の対象者以上の規模の方々への適性評価も想定されるわけであります。やはり、適性評価に要する標準処理期間のようなものを設けて、しっかりと、ある程度予見可能性がある中で評価をすべきと思うんですが、これらについて答弁を求めたいと思います。

彦谷政府参考人 お答え申し上げます。

 特定秘密保護法第十三条でございますが、こちらは、適性評価の結果が出た際に、その結果を通知する義務を規定したものでございます。適性評価に要する期間について規定したものではないというふうに承知しております。

 特定秘密保護法におきましては、国の安全を守る目的とプライバシーの保護を図るという要請を両立させる必要のある適性評価及びそのための調査の性格上、慎重かつ丁寧に取り組むことが望ましいと考えられ、時には適性評価の完了までに長期間を要するケースもあると聞いているところでございます。

 本法案について申し上げますと、適性評価及びそのための調査は、評価対象者の個々の事情に応じて方法や要する時間も異なるものと考えられ、あらかじめ一律に期間を定めることは困難であることは御理解いただきたいと思います。

 他方で、調査機能の一元化により手続の効率化を図ることとしております。これにより、適性評価に要する期間の短縮化に努めてまいりたいと考えております。

浅野委員 私も、適性評価を受ける方々それぞれに、いろいろな事情を抱えていると思いますので、全員が同じ期間でというのは余り現実的ではないと思います。

 ただ、やはり、産業界から見ると、この人にこの業務をやってほしいから申請を出すわけですよね。その人がいつまでたっても結果が出ないとなると、どうしたらいいか分からないというのが現場での実際の声でありまして、せめて、評価開始から一定期間が過ぎたら、今まだ調査中で、まだ時間がかかりますよだとか、そういった情報提供も含めて、しっかり現場が判断をしやすいような情報提供の在り方も含めて、是非、今後御検討いただきたいと思います。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

星野委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、よろしくお願いいたします。

 重要経済安保情報の定義についてまずお伺いをしたいと思います。

 先ほどから多くの議員の方々が、政府が保有する書類の情報だということを午前からずっと質問されておられるんですけれども、私は、高市大臣の答弁を聞いても、全然、だから当然のように行政機関が保有する情報に限定されるというふうに思えなかったんですね。

 大臣が挙げたのが、第三条の一項の定義規定のところ、三要件が当てはまるということ、そして第三条の二項で、表示をすること、そして第五条の、取扱いをする職員の範囲を定める保護措置、この三つを挙げられたわけですが、これをあえて全部聞いたとしても、それでも行政機関の保有の書類に限定されるというふうに思わなかったんですね。

 ただ、そうですよねと聞いてもまた同じ答弁が返ってくると思いますので、少し聞き方を変えたいと思いますが、行政機関保有の書類であるということを法文に書き込んだら、何か問題が生じるというふうに思われますか。大臣。

高市国務大臣 この条文で、法文で十分に、これは行政機関保有の情報であると読めると私は考えております。

 今委員がおっしゃっていただいたことに加えて、罰則の対象についても、行政機関の職員のほか、当該行政機関から六条一項によって提供を受けた他の行政機関ですとか、それから十条一項により提供を受けた適合事業者等において取扱いの業務に従事する者に限られ、たとえ行政機関の長が民間事業者から受け取って保有するに至った情報を指定したとしても、罰則等の効果は元々これを保有していた民間事業者には及ばないということでございますので、行政機関が保有している情報ということが読めると考えております。

緒方委員 それでも、あえて確認のために、誤解を与えないために、行政機関保有であるということを法文に書き込むことは何か問題が生じるというふうに思われますか。大臣。

高市国務大臣 行政機関の所掌事務に係ることであることは書いてございます。ですから、現在の条文で問題はないと思っております。

緒方委員 そういうことを聞いているんじゃないんです。

 それでもやはり不安が残るという方、これだけ質問が出ているわけですから、行政機関が保有の情報であるということをあえて法文に書き込むことは、何かこの法律全体のストラクチャーとの関係で問題が生じ得ますかということを聞いております。大臣。

高市国務大臣 この法律案自体、情報保全という同じ目的を持つ特定秘密保護法、これも参考にしながら作らせていただきました。

緒方委員 書いたら何かまずいですかということを聞いております。

 大臣、四回目です。答弁ください。

高市国務大臣 書いたらまずいということはないですが、書かなくてもしっかりと読めるということでございます。

 ただ、行政機関が元々持っていない情報であっても結果的に指定される可能性がある事例については、先ほど来政府参考人が申し上げたとおりでございます。

 ただ、元々保有していた民間事業者にこの罰則等の規定がかかることはない、その法的効果が及ぶことはないということも申し上げております。

緒方委員 問題ないのであれば、是非、法案修正を含めて、野党の皆さん、頑張ってください。

 質問を続けたいと思います。

 先日の鈴木英敬議員への、質疑の答弁で、私、前々から問題意識として持っているものの中で、これは絶対おかしいと思っているものがあるんですね。それは、さきの経済安全保障法で、特定重要技術、NEDOとJSTでファンドをつくって、そして研究をしていくというものですが、これの研究成果については、独立行政法人の持っている情報ですのでこの重要経済安保情報に当てはまらないという答弁がありました。

 しかし、元々、特定重要技術の定義は、将来の国民生活及び経済活動の維持にとって重要なものとなり得る先端的な技術であります。これが漏えいする際に、今の法律のままだと、国家公務員法第百条における、一番軽いやつですね、一年以下、五十万円未満だったと思いますが、これの規制しかかからないというのは、私、前回審議のときから、これはおかしいと言っているんですね、ずっと。

 経済安全保障法の枠組みの中で今回の重要経済安保情報というのは位置づけられると思うんですけれども、特定重要技術の情報が重要経済安保情報にならないというのは、私、これはどう考えても語義矛盾だというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 先ほど委員は、これは国が持つ情報であるということを明確にするようにという問題意識でいらしたと思います。

 独立行政法人に関しましては、これは、政府が保有する経済安全保障上重要情報を保護、活用することを目的とする本法案の対象にはならないというふうにお答えをいたしております。

 では、その情報を保護する必要がないのかといったら、決してそうではなくて、どちらかといえば、独立行政法人が適合事業者として政府と契約を結んで、当該情報を重要経済安保情報として保有させる、一緒に研究活動を行うというような場合には、むしろ適合事業者側と考えております。

 そして、独立行政法人が元々持っていた独自の情報、これを保護するということになりますと、やはり不正競争防止法、これは刑罰も十年以下の懲役というのもありますし、それから、それぞれの独立行政法人の設置法、これも設置法の中に、職員、若しくは退職した後もそうなんですが、知り得た秘密を漏らした場合に一年以下の懲役というものもあります。それから外為法もございます。

 ですから、そういったもので情報の、我が国の機微な技術の流出というものを抑えていくということとともに、現在、研究インテグリティーの確保に向けてかなり厳しく国立研究開発法人には依頼を申し上げており、着実に対応が進んでおります。

 そのような形で守っていくべきだと考えております。

緒方委員 いや、それだと、ほかのものもそういうふうにやればいいわけでして、やはり罰則の高さというのは、どれだけの情報の機微さかというのとそれなりに比例していると思うんですね。

 しかも、特定重要技術というのは、前回の経済安保法を審議したときも、防衛研究も含まれると明確に答弁しているわけですよね。重要度は高いわけですよね。

 二年前に、私、小林大臣に聞いたときに、何でこれは罰則が低いんですかと聞いたら、研究者の方々がちゅうちょなく入ってきていただける、そういう環境をつくっていくことが重要だというふうに答弁されたんです。つまり、罰則を高めることと、研究者が入ってきやすい環境を整えるという相反する要請の中で、後者を取られたということでいいんですか。大臣。

高市国務大臣 後者を取られたというのを、ちょっともう一度教えてください。

緒方委員 小林大臣に、何でこんなに罰則が低いんですかと聞いたら、研究者がちゅうちょなく入ってきやすい環境を整えるということを利益として言われたんですね。罰則を高めるという行為と、研究者が入ってきやすくするというのは、どちらかというと少し逆を向いている話だと思うんですけれども、あえて、どちらを取るかというと、罰則を高めることよりも研究者が入ってきやすい方を現在でも取っておられるということでよろしいですかと聞いております。大臣。

高市国務大臣 緒方委員の御質問ですが、小林大臣が答弁されたのはKプログラムのお話でございましょうかね。Kプログラムについては、研究成果が、公開することが基本とされていますので、その研究成果が重要経済安保情報として指定されることはございません。

緒方委員 余りかみ合いませんでしたが、次の質問に移りたいと思います。

 適性評価についてお伺いしたいんですが、今日誰か聞くかなと思ったら聞かなかったんですけれども、内閣府の再エネタスクフォースにおいて中国企業が関与したと思われるロゴが入った文書が配付されたというのは、私はセキュリティークリアランスとの関係でも結構問題が多いんじゃないかと思うんですけれども、内閣府にお伺いしたいと思います。

 日本のエネルギー政策に影響を与える場にこういう人物を置くことの問題、課題についていかがお考えでしょうか。内閣府。

稲熊政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、中国企業のロゴの記載が入った資料を内閣府の再エネタスクフォースの資料として提出した大林構成員に対しまして内閣府から確認を行いましたところ、個人として中国政府、企業と人的、資本的関係は全くないとのことでございました。また、大林構成員が所属しております自然エネルギー財団の常務理事によりますと、自然エネルギー財団としても、中国政府、企業と人的、資本的関係は全くないとのことでございました。

 このため、現時点におきましては再生可能エネルギー等に関する政策に不当な影響を与えるような関与は把握しておりませんが、引き続き、内閣府において速やかに詳細な事実関係の確認などを行っていくこととしております。

緒方委員 事実関係を確認しなきゃいけないという段階で、こういう方々はセキュリティークリアランスの対象にしなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点、内閣府はいかがお考えですか。

稲熊政府参考人 お答えいたします。

 内閣府の再エネタスクフォースの関係では、今御指摘のような対象には入っていないというふうに考えております。

緒方委員 高市大臣にお伺いしたいと思いますが、例えば大臣の所掌であります重要土地法とか、こういうものの検討に際して、こういった感じの中国企業のロゴが入っている書類が検討会、審議会等で出てきたら、大臣はどう反応されますでしょうか。高市大臣。

高市国務大臣 そもそも審議会のメンバーを選ぶときにしっかりと留意をするということだと思います。そういった書類が出てきたら、私の場合は切れます。

緒方委員 明確な答弁、ありがとうございました。その答弁を期待していたんです。

 仮に、配付される文書が各省のクリアランスを経ていますということで、今回、内閣府は言っているんですけれども、文書自体がクリアランスを経ていたとしても、内閣府で検討に際して、中国の再エネ政策の課題を知り得る可能性というのは結構あると思うんですね。文書化されていない情報だって経済安保情報になり得るわけですよね。

 私は、思うんですけれども、知り得る可能性がある段階でセキュリティークリアランスの網をかけることを検討すべきなんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。

高市国務大臣 政府が主催する会議のメンバーについてということでしたら、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うような場合でない限りは、適性評価を受けていただくことはございません。

緒方委員 しかし、よくある、私は外務省出身ですので、こういう情報提供を、どんどん引き出していくスタートというのは何かというと、非常に簡単な情報からスタートするんですね。過去のケースでも、例えば、大使館の中のゴルフのコンペの資料をちょっと見せてくださいとか、そこら辺からスタートして、徐々に徐々に秘密の度合いが上がっていって、気がついたときにはもう首が回らなくなっているというのが、これが大体籠絡されるときのパターンなんですね。なので私は言っているんです。

 可能性がある方の段階で私はセキュリティークリアランスをかける可能性を少し残しておいた方がいいのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 仮に、有識者会議で重要経済安保情報を取り扱うということになりましたら、それは適性評価の対象になります。

緒方委員 重要経済安保情報を扱う、具体化された情報ではないけれども、この議論を進めた結果、扱う可能性があるところでかける可能性を、私は、これは別に何かあげつらって、大臣をいじめたいとか、そういうのではなくて、本当に日本の国益の観点から、可能性がある段階からセキュリティークリアランスをかけることも可能性として残してはいかがですかというふうに聞いております。大臣。

飯田政府参考人 本法案についての技術的な説明となりますけれども、この法案の第十二条に適性評価の規定がございまして、どのような方について適性評価を行うのかということが書いてございます。

 例えば、第十二条の第一項の第一号でございますけれども、ここにございますのは、先ほど来大臣がお答えしているとおり、重要経済安保情報を取り扱うかどうかということなんですが、それが、取り扱うことが見込まれることとなった、取扱いの業務を新たに行うことが見込まれる方について適性評価を行うという形でございまして、ちょっと先生の御趣旨とは少し違うところがあるかもしれませんけれども、今、現に扱う者だけではなくて、取り扱うことが見込まれる方についても適性評価を行うこととしております。

緒方委員 そこが明確になったことは、少し前進かなというふうに思います。

 質問を少し変えたいと思います。

 適性評価について、第一項から第七項までいろいろなことが書いてあるんですけれども、ちょっとイメージを持つために、大臣に、すごく極端なケースについて少しお伺いしたいんです。

 第七項に、信用状態その他の経済的な状況に関する事項という規定があります。こういうところに問題がある方についてはやはり適性評価の対象にしていこうと。

 例えばなんですけれども、意図的に高額の税金を滞納する方とか、こういう方というのは、この信用状態その他の経済的な状況に関する事項に当たるというふうに、大臣、思われますでしょうか。意図的に高額の税金を滞納する方、いかがでしょうか。

高市国務大臣 それは、脱税行為ということになってまいりますと、調査項目の中に犯罪歴、懲戒歴なども入ってまいりますので、そちらの方にひっかかる可能性はございます。それから、秘密を漏らすおそれがないことということを判断する場合に、信用できない人物という判断もあるかと思います。

緒方委員 となると、意図的に税を滞納した財務副大臣というのは、当然セキュリティークリアランスの対象になるべきだというふうに思われませんか。高市大臣。

高市国務大臣 それが、意図的に税金を滞納したということが事実かどうか、私には分かりません。個別具体の案件についても申し上げられません。

緒方委員 昨今、数か月前ですけれども、高額の税の滞納をしていたことが、かなり意図的に行ったのではないかということをうかがわせる財務副大臣が、そのことを理由として辞任をいたしております。もう名前は出しませんけれども。そういう方がセキュリティークリアランスの対象にならないというのは、私、結構問題が多いと思うんですよね。

 政務三役が外れることは、閣僚そして政務三役の任命において、そこで判断されると言うんですが、任命された後に、結局、高額の税を滞納していたことが判明した方が出ているわけですよね。

 そういうふうに考えると、やはりセキュリティークリアランス、適性評価を、政務三役をその対象から外すというのは、私はよくないのではないかというふうに思いますが、高市大臣、いかがお考えですか。

高市国務大臣 本日何度もお答えしている件でございますけれども、やはり、今回の法律案よりも機微度の高い情報を扱う特定秘密保護法よりも更に厳しい内容を盛り込むということについては考えておりません。

緒方委員 私は、その理屈を聞いて、全然ポイントがずれていると思うんですよ。特定秘密というのは、基本的に、一部例外はありますけれども、それを見る人がお役所の中とかだけで収まる、もちろん、民間の方で見る方もいますが、安全保障とかに関わるものなので、そんなに広く民間の方にかかる規制にならないというふうに思うんですけれども、今回は違うんですね。民間の方に幅広くかかるんですね。そこの違いがあるので、私は、特定秘密保護法と今回のこの法律の間のこの件に関するアナロジーは成立しないというふうに思っています。一切成立しないと思っています。

 これは、政民格差をつくっているんですね。特定秘密保護法であれば、それほど民間の方が広く見ることは、一定の条件を除けばないわけでありまして、それとこれとを一緒にする議論というのは極めて雑な議論だと私は思うんですけれども、こういう政民格差をつくることというのは私はよろしくないのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

高市国務大臣 政民格差ということには当たらないと思っております。

 全員が、今回、特定秘密保護法及び本法案によって適性評価の対象外になっているのは、政務三役ももちろん入りますが、その他に、等とついている方々も入ってまいります。合議制の機関の長であったり、そういった方々も入ってまいります。

 これは、考え方は一貫していて、例えば政務三役については、もうこれは、総理が任命のときに、そういった情報を扱うことも前提にしながらしっかりと判断をされるということ。それから、漏えいした場合には同様の罰則がかかるということ。他国におきましても、例えば大臣や政務三役級については除外する、つまり適性評価の対象にならない、そういう国々もあるということなど、総合的に判断をいたしました。

 政治家だから大丈夫、民間の方だからかけるということではなく、そしてまた……(緒方委員「そうですよ」と呼ぶ)いえ、そのような考えの下でこの規定を置いているわけではございません。

緒方委員 いや、考えがそうでなくても、政務三役、政治家さんで政権に入る方々とかが必要なくて、民間の方に幅広くかかるというのは、それは格差があるわけですよね。

 この格差は仕方がないというふうに思われますか。大臣。

高市国務大臣 格差を設けるという意味でこのような規定になっているのではないということを何度も説明していると思います。なぜこうなっているかという理由については説明をいたしております。

緒方委員 質問を移したいと思います。

 重要経済安保情報をベースに、当該情報を一切漏らすことなく、ただ、その重要経済安保情報をベースに株式取引とかそういうことを行うことは、この法令上、何らかの問題がございますでしょうか。これは政府参考人でお願いいたします。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘がございました、まさに取扱いの業務、業務上知り得た重要経済安保情報を、あえて申し上げましたら悪用したとしても、漏えいに当たる行為を行っていなければ、少なくともこの法案の二十二条から二十七条までの罰則の規定の対象にならないということになりまして、本法案では罰則の対象にはなりません。

緒方委員 そうなんですね。この情報に基づいて、情報を漏らすことなく株式取引とかそういうことを行うことは、この法律上何らの問題が生じないというのは、私、結構これは問題なのかなというふうに思っているんですけれども。

 ただ、例えば、日銀とか財務省とか金融庁に勤めている方とか、あと民間企業に勤めている方には、インサイダー取引の規制がかかっているので、別の法令で、恐らくそんなことを行う方はいないと思うんですけれども、最後に残るのがまさに政務三役ですよ。

 これは、今日、内閣官房に来ていただいております。大臣等規範での、これらの規定についてどうなっておりますでしょうか。

須藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣等規範は、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、国務大臣等が自ら律すべき規範として定められたものであります。

 大臣等規範における株等の取引自粛に関する定めにつきましては、国務大臣等としての在任期間中は、株式等の有価証券、不動産、ゴルフ会員権等の取引を自粛することとするとされているとおりでありまして、在任期間中の自粛あるいは国務大臣等本人の自粛について定められているものであります。

緒方委員 そうですね。今話がありましたが、在任中なんですよね。

 もう一つお伺いしたいと思います。

 退任したその次の日に株式取引をすることについて、何か問題が生じますか。

須藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、大臣規範等における株等の取引自粛に関する定めにつきましては、国務大臣等としての在任期間中は、株式等の有価証券、不動産、ゴルフ会員権等の取引を自粛することとするとされておりまして、在任期間中の自粛が定められているということであります。

緒方委員 そうすると、合法だからといって、そういうことをする人が出てこないとも限らないわけですよね。そうでないことを信じたいと思いますけれども、あの得られた情報、確かにこの企業は伸びると思うよと思って、退任した次の日に株式を買ったりすることだってあり得るわけでありまして、そういう方々にきちっと問題意識を持たせるためにも、適性評価を就任のときに入れておくというのは、私、必要なんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 インサイダー取引をした場合には、金融商品取引法違反で処罰をされると考えております。

緒方委員 いや、私、それではなくて、政務三役がという話をしております。

 政務三役については、退任後のそういうことが、特に何か問題がなさそうですので、そういうことに問題意識を持たせる必要があるんじゃないかと思うので、適性評価されてはいかがですかというふうに聞いております。大臣。

高市国務大臣 政務三役に限らず、インサイダー取引は禁止される、法によって規制されているものでございますので、国会議員も皆様も同じだと考えております。

 政務三役に限ってという話になりますと、先ほど来、今回の規定について説明をしたとおりでございます。

緒方委員 終わります。

星野委員長 次回は、明二十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.