衆議院

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第16号 令和7年4月23日(水曜日)

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令和七年四月二十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大岡 敏孝君

   理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君

   理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君

   理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君

   理事 市村浩一郎君 理事 田中  健君

      五十嵐 清君    石原 宏高君

      井野 俊郎君    江渡 聡徳君

      尾崎 正直君    岸 信千世君

      草間  剛君    栗原  渉君

      田中 良生君    土田  慎君

      西野 太亮君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    福原 淳嗣君

      古川 直季君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    山口  壯君

      市來 伴子君   おおたけりえ君

      齋藤 裕喜君    下野 幸助君

      橋本 慧悟君    藤岡たかお君

      馬淵 澄夫君    水沼 秀幸君

      山 登志浩君    伊東 信久君

      三木 圭恵君    石井 智恵君

      菊池大二郎君    河西 宏一君

      山崎 正恭君    上村 英明君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     林  芳正君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 坂井  学君

   国務大臣

   (経済再生担当)     赤澤 亮正君

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (経済安全保障担当)   城内  実君

   国務大臣

   (アイヌ施策担当)

   (国際博覧会担当)    伊東 良孝君

   内閣府副大臣       鳩山 二郎君

   財務副大臣        斎藤 洋明君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      大串 正樹君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   内閣府大臣政務官     国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  溝口  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  市川 道夫君

   政府参考人

   (内閣官房アイヌ総合政策室長)          松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)          江浪 武志君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局長代理)    茂木  正君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  佐藤 則夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山野  徹君

   政府参考人

   (内閣府広域避難・計画推進室次長)        松林 高樹君

   政府参考人

   (内閣府健康・医療戦略推進事務局次長)      仙波 秀志君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      黒田武一郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  檜垣 重臣君

   政府参考人

   (カジノ管理委員会事務局次長)          嶋田 俊之君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          源河真規子君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局次長) 野村 栄悟君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     大村 真一君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山本 文土君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          細田 修一君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   渡部 康人君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  魚谷 敏紀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           浦田 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           奥家 敏和君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原 英憲君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局次長)         久保田秀暢君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     秋田 未樹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           北澤  歩君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 中西 礎之君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  栗原  渉君     草間  剛君

  平沼正二郎君     土田  慎君

  梅谷  守君     齋藤 裕喜君

同日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     福原 淳嗣君

  土田  慎君     五十嵐 清君

  齋藤 裕喜君     梅谷  守君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     古川 直季君

  福原 淳嗣君     栗原  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     平沼正二郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本学術会議法案(内閣提出第三六号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

大岡委員長 これより会議を開きます。

 この際、大串内閣府副大臣及び国定内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。大串内閣府副大臣。

大串副大臣 内閣府副大臣の大串正樹でございます。

 米国の関税措置に関する協議・国内産業への支援に関する総合調整を担当いたします。

 赤澤大臣を支え、力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、大岡委員長を始め理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

大岡委員長 次に、国定内閣府大臣政務官。

国定大臣政務官 おはようございます。内閣府大臣政務官の国定勇人でございます。

 米国の関税措置に関する協議・国内産業への支援に関する総合調整を担当いたします。

 大岡委員長を始め理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

大岡委員長 大串内閣府副大臣及び国定内閣府大臣政務官は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

大岡委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官溝口洋君外三十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山登志浩君。

山委員 おはようございます。立憲民主党の山登志浩です。

 質疑の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 大臣、よろしくお願いいたします。

 今回は、違法オンラインカジノ問題について質問させていただきます。

 去る四月二十日、NHKのNHKスペシャルで、「オンラインカジノ“人間操作”の正体」というテーマで、違法オンラインカジノの闇の部分がつまびらかにされました。私も番組を拝見しました。

 地中海のマルタ共和国のオンラインカジノ関連企業についての取材から、オンラインカジノによって人間がコントロールされているという実態が浮かび上がってきました。

 最初は大きく勝たせ、ビギナーズラックというんですかね、のめり込ませる。そして、いい気分にさせて、また更にカジノを続けさせる。でも、実際は勝てないように仕組んである。ある意味、チート、詐欺だということで、その実態は、カジノサイトにアクセスした日本人の利用者の個人データの収集を目的とする組織が存在をし、利用者の給料日、位置情報、家族構成、サイトにアクセスする頻度、プレーする時間など、ありとあらゆる個人情報を収集し、日々の行動をリアルタイムで監視をしている。それで、巧妙な手口によって、自分の意思ではやめられない状況へ追い込んでいくという内容でありました。とんでもないことであります。

 元オンラインカジノの経営者は、次のように表現しました。人間が依存症になるようにデザインされています、ハッピーピル、幸せの薬を脳に与えるのだ、このサイトは私を好きみたいだと思い込ませるために、人間操作なんですよという証言でありまして、いわばつくられた依存症であり、確実に依存させるようにシステム化されている。

 もちろん、オンラインカジノの利用自体は、国内からアクセスすれば、これは違法であり、犯罪ということは言うまでもありませんが、それ以上に、ほかのギャンブルと大きく異なる点というのは、運営会社だとかこういった関連企業から利用者に対して積極的な働きかけを行っていることだと私は考えます。そして、利用者を精神的にコントロールする、マインドコントロールさせて、もう抜けられない、こういう状況に追い込んでいくわけであります。

 警察庁が三月に、オンラインカジノに関しての実態調査を発表されておりますけれども、そこから明らかになった点としては、違法のオンカジを利用した人の多くが、ギャンブル自体がそもそも好きだとかカジノに興味がある、こんなふうに回答しています。ほかのギャンブルの経験者が、そのギャンブル性の高さですとか手軽さに魅了されて違法のオンカジに手を出している、手を染めているという実態が浮き彫りになっています。そういった実態がここ数年で違法オンカジが爆発的に広がった根幹にあるのではないでしょうか。

 そこで、まず、基本的な認識を伊東大臣にお尋ねしたいんですが、我が国は、合法か違法かということは問わず、いわゆるギャンブル大国であるという認識をお持ちですか。

伊東国務大臣 おはようございます。山議員の御質問にお答えしてまいります。

 日本がギャンブル大国かどうか一概にお答えすることは困難でありますが、例えば、日本のギャンブル等の市場規模につきましては、パチンコ等の遊技が約十五兆七千億、十五・七兆円であり、競馬等の公営競技の規模が八・一兆円であると承知をしているところであります。

 また、昨年八月に厚生労働省から公表されました実態調査によりますと、ギャンブル等依存症が疑われる者の割合は七十五歳未満の成人の約一・七%となっているところであります。統計的には有意な差は前回調査と比べてもないところであります。

 政府といたしましては、引き続き、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保を実現するため、先日閣議決定をいたしました基本計画に基づく取組を、各省庁が密に連携しながら着実に実行してまいりたいと思っております。

 私もあのNHKスペシャルをしっかり見させていただいたところであり、大きな問題だ、このように改めて認識をしたところであります。

山委員 大臣とも問題意識を共有できるかと思うんですが、合法ですけれども、パチンコだけでも十五兆円ということで、十兆円を超える産業というのはそうそうないですよね。これはやはり、この問題を考えるとき、ギャンブル大国だ、そして百万人以上の方がギャンブル依存症を抱えているんだという、この基本認識を持った上で議論を進めないといけないと思うんです。

 それで、もう少し基本的な認識を伊東大臣にお尋ねしますが、NHKスペシャルにもありました、巧妙に今人間が操作をされて、日本が違法オンラインカジノのターゲットにされている、言い方は悪いですが、カモにされているわけであります。このことに私は非常に驚いていますし、強い憤りを覚えております。

 違法オンラインカジノが我が国で蔓延している原因、これはどういったところにあるとお考えでしょうか。

伊東国務大臣 基本的な認識は山議員と私は一緒であります。また、海外の業者あるいは関係者によって日本人がコントロールされている、そしてまた、中には働かされているところもたくさん映し出されておりました。ただ、これをどういうふうにガードして、そうさせないようにすることができるのかという問題になりますと、また別な問題もたくさん含まれているところであります。

 国内におけるオンラインカジノサイトの経験者、これもテレビで発表されておりましたけれども、約三百三十七万人ということでありまして、国内における年間賭博の推計は約一兆二千四百二十三億円といった結果が示されているところであります。カジノサイトにアクセスしてくる人の数の多さ、あるいはまた、それによる賭け金、また被害、損害額、それが、それぞれの家庭や職場にまで大きな影響を与えて、これを破壊しているということでありますので、深刻に受け止めて対策を講じていかなければと。

 自分の想像していた以上に、このオンラインカジノのサイトの広がりや、あるいはその深さというものを知ったところでありまして、改めて、しっかりした対策を各省庁合わせて講じていかなければと思っているところであります。

山委員 大臣と問題意識は共有できましたが、まず、完全に違法ですので、これを絶対に排除しなきゃいけないわけで、難しい問題があるとおっしゃいましたけれども、そこをどう乗り越えていくのかというのが今日の議論だと思いますし、今まで諸先輩方も各委員会ですとかで質疑を重ねられてきたわけであります。

 それで、今大臣が言及されました三百三十七万人という結果、三月十三日に坂井大臣が公表されました警察庁の委託調査研究の報告書を指していると思いますが、二万七千百四十五人からネットで回答をもらっていて、そのうち九百四十二人がオンラインカジノの経験者、更にそのうち五百五十人が今もプレーしていますよ、全体の二%、そういう方がいましたということで。

 こうしたオンカジの経験者の投資額については、約五百人を抽出して分析したところ、一か月当たり合計の賭け金が二千六百万円、一人換算ですと五万二千円となります。月当たりの賭け金が十万円未満の方が九割を占めているということで、逆に言うと、一割の人が相当なお金を賭けてのめり込んでいるということで、極めてギャンブル性が高いということが分かります。

 一方で、この調査がまとめられる以前から、ギャンブル依存症などに取り組む民間団体などが様々な調査や報告を行っております。実態としては、短期間で爆発的に利用者が増加をしていること、そして、若い世代の利用が多い、違法性の認識が希薄ということが分かっております。また、違法性を認識しながらも、駄目だということを分かっていながらも利用している人もその反面多いわけですし、金額もかなり高額で、依存の問題ですとか、借金、闇金の問題、決済代行、そして広告やアフィリエイターなどの協力者の問題がありまして、この間いろいろ議論されてきました。

 そこで、坂井国家公安委員長にお尋ねしますが、今私が実態調査の結果、概要を申し上げましたが、何かこの調査によって新しい発見といいますか、新たに何か知見というものは得られたんでしょうか。お尋ねいたします。

坂井国務大臣 令和六年度の警察庁委託調査で実施しました、オンラインカジノの実態把握のための調査研究でございますが、先ほど伊東大臣が指摘した三百三十七万人という数字や一兆二千四百二十三億円という数字などが推計で出ておりまして、その上、大変深刻だなと思っておりますのは、カジノサイトにアクセスをしたことがある人の七五%が実際にお金を賭けてプレーをしているということが明らかになったところでございます。

 オンラインカジノはスマホでできてしまいます。スマホは今、全国民ほぼ持っていて、日常生活に、我々に欠かすことができない基幹インフラのような状況になっているところでございまして、そこからアクセスができてしまうということ。ですから、アクセスをいかに抑えていくかというようなことが対策の大きな一つの柱になるのではないかと認識をしているところでございます。

山委員 伊東大臣が冒頭に申し上げた難しい問題というのは、アクセスについていかに制限をかけていくかということだと思います。

 それで、アクセスに制限をかけていくことがこれから肝要な取組の一つになってくるかと思うんですけれども、そのアクセスに関連しまして、これからどういった取締りを行っていくのかということですけれども、大臣、御答弁いただけますか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノにつきましては、海外において適法に運営されているものでございましても、日本国内からこれに接続して賭博を行うことは犯罪でございます。引き続きこのことを様々な広報媒体を通じてしっかりと周知を図ってまいりたいと考えております。

 また、今後とも、オンライン上で行われる賭博事犯につきましては、賭客のみならず、決済代行業者や宣伝することで報酬を得ているアフィリエイター等、運営に関与する者を検挙するなど、厳正な取締りを推進していくこととしております。

 また、今般の調査で、カジノサイトにアクセスした者の七五%がお金を賭けているという実態がございました。これらも踏まえまして、今後、日本語でオンラインカジノの情報を発信しているリーチサイトやアフィリエイターの実態把握を更に進め、オンラインカジノの利用を勧誘するなどしている者に対しましては、賭博の幇助に当たる可能性もありますことから、その種行為を行わないよう働きかけを行ってまいりたいと考えております。

山委員 アクセスをどう制限をかけていくか。アクセスしたら七五%が、言い方は悪いですけれどもひっかかってしまって、そちらにのめり込んでいってしまうわけですので、そこはやはりポイントだと思いますので、アクセスをどう制限をするか、させないようにするかということ、ここを私たちはこだわっていきたいと思います。

 関連して幾つかお尋ねしますが、昨年の内閣委員会の質疑でも、警察庁は、こうした調査結果を踏まえて、オンライン上で行われる賭博事犯について、厳正かつ戦略的な取組を推進するというふうに答弁されています。

 そして、今回のこの実態調査結果を踏まえて、現在どういった戦略的な取組、何か事件を認知してそれを捜査するということだけでは不十分だと思います、戦略的取締りということは一体どういうことなのか、御答弁いただけますでしょうか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 まず、捜査手法という点に関しましてですが、例えば、昨年十一月には、暗号資産を利用したオンラインカジノによる賭博事件が検挙されているところでございますが、オンライン上でやり取りされる賭け金等の流れを把握するためにも、サイバー空間における捜査能力を更に向上させる必要があるものと認識しております。

 また、賭客の検挙のみならず、全国警察の緊密な連携の下、積極的な突き上げ捜査や徹底的な情報分析を行い、運営に関与し、不正な利益を得ている者を検挙することが重要だと認識しておりまして、厳正な取締りを推進してまいりたいと考えております。

 オンラインカジノにつきましては、地域性がなく、全国どこでも行われるものでございますので、都道府県警察、それぞれ必要に応じまして、合同、共同捜査等、適切な対応を取りながら、しっかりと取締りを行ってまいりたいと考えております。

山委員 お客さん、利用者だけ捕まえていても、これは解決になりません。やはり、運営側だとか、それに協力する者を取り締まらないと話が解決に向かわないわけで、ここが難しいんですよね、何度も申し上げていますが。

 関連してお尋ねしますが、この調査結果が出る前の取締りの手法と、今回の結果を踏まえた上での取締りの手法で、異なる部分とか強化した部分というのはあるんですか。今の答弁と重ならない形で答弁をいただきたいと思います。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 今回の調査自体も、今後の取締りに活用するために行ったものでございます。現在、これらを踏まえまして、全国警察の方に取締りについて指示はしておりますが、具体的な内容とか着目点につきましては、これをお答えいたしますと、捜査に関する事項もございますので、今後の捜査にも支障がございますので、この点につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。

山委員 よく、こういう話をすると、個別の案件にはちょっとお答えしかねますとかいう話になりますし、法と証拠に基づいてということがよく出てくるんですが、ちょっと今の答弁では物足りないと思います。一般論としてお答えいただくことはできませんか。差し控えるということではなくて。いかがですか。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 一般論でお答えしますと先ほどの答弁のようになってしまいますが、我々としては、賭け客のみならず、やはり運営側の方が大事だと考えております。当然、運営側の方を発見するためにサイバーパトロール等いろいろやっておりますけれども、そういったことを通じまして、できるだけ運営側の方を検挙できるように取り組んでまいりたいと考えております。

坂井国務大臣 委員の問題意識から考えますと、捜査という点に絞られますと今局長が申し上げたような形になりますが、我々警察としては、オンラインカジノの対策として、一つは、委員がもう十二分に分かっていらっしゃるアクセスの問題、ここは通信事業者であったりとか様々ございますので、そこの問題に対処していくという大きな一つの柱があります。

 もう一つの柱が、今答弁申し上げたような、捜査でございまして、これも、とにかくサイバー空間における事象ですから、サイバー空間における捜査能力をどう向上させていくか、これは日々努力をさせていただいておりまして、予算などもいただきまして新たな機材なども用意しておりますが、その中身に関しては先ほど申し上げたように明らかにはできませんけれども、ここをしていく。捜査の対象も、おっしゃるように、お金を賭ける、使っている客側と、それから運営側というか、又はアフィリエイターのような人たち、ここまで広げてターゲットにして考えていくという、捜査が二つ目、取締りが二つ目。

 三つ目が、もう一つは、これが違法であるということであったりとか、はまると大変だということであったりとか、そういったことを国民に幅広くお知らせをして気づいていただく、こういった広報であったり啓発活動であったり。

 この三つを大きな柱として対策を取っていきたいと考えております。

山委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 一点目と三点目というのはほとんど同じことだと思うんですよね。気づきを、国民の皆さんに気づいていただく、御理解いただいて、違法なものにアクセスしない、手を出さない。それと、もう一つは捜査ということで、私は大きく二点だと理解しますが。

 今、大臣御答弁いただいたように、オンラインカジノ、カジノは日本国内で完全に違法であるということを多くの皆さんにまず知っていただいて、周知を徹底しなきゃいけないわけであります。

 次の質問に移りますが、これまでも、やはり違法性の周知徹底ということでは、警察庁を始め全省庁的に、横断的に取り組んでいただいております。そのことは存じておりますが、やはり周知徹底を図るに当たって、マスコミへの情報提供ですとか情報発信を強化していくべきだと思います。

 今回の警察庁の調査結果を拝見しましたが、新たに、私が分かったこととして、違法オンラインカジノを知ったきっかけは、六四・五%がテレビということで、テレビのニュースですとかワイドショーだとか、そういったものを通じて知ることが圧倒的に多いわけで、これは若い世代でも当てはまります。十代でも約四六%、二十代で約四七%、三十代で約五六%、それだけの方がテレビで知ったというふうに答えています。テレビから若者が離れているよというようなことがずっと言われていますが、結果は意外でありました。やはりメディアの力は大きいなということで。

 違法オンラインカジノの違法性の認識については、カジノをやったことある人ない人を含めて、全体の四三・五%が認識をしておらなかったというふうにしています、これは今までの調査でも分かっていたことでありますが。一方で、違法オンラインカジノが違法と認識したきっかけというのは、ニュースで見たという回答が八七%と非常に高い割合でございました。

 ということで、オンラインカジノが違法であることを認識してもらうためには、テレビなどのメディアからの発信が有効でありますので、周知徹底のためにメディアを意識した情報提供だとか情報発信に大臣が先頭に立って取り組んでいただきたいと思いますが、見解をお尋ねいたします。

坂井国務大臣 警察ではこれまでも、オンラインカジノが犯罪であることを端的に示したポスターや動画の作成、掲示、また、オンラインカジノに関心が高いと見られる年齢層を対象とするSNS上へのターゲット広告、また、SNS上のオンラインカジノに関する投稿に対して、警察庁公式アカウントによる直接リプライ、警告、これは違法ですという直接的な警告といった取組を行ってまいりました。

 しかし、これで十分だということではなくて、いろいろな方法が適切であれば、当然考えて行っていくべきと思っておりますし、先日NHKで特集をされたオンラインカジノの現状の番組等も大変な影響力がやはりあるものと考えておりますので、私からも、日本国内では違法だということをいろいろな形でやはりお伝えをしていく使命があると思っておりますので、今委員が御指摘をされたテレビの番組とかで扱っていただくという形で多くの方にアプローチをしていくという方法も、私自身もそれへ向けて努力をしていきたいと思いました。

山委員 参考までに、大臣の記者会見の資料というのはホームページに掲載されていますので、ちょっと確認しましたが、坂井大臣は、三月、四月と二回この件で発言されていますが、過去一年間振り返ると、ほとんど大臣の側から言葉を発するということがありませんでしたので、意識的に情報発信、やはり大臣ですから影響力は大きいですので、その点、是非自ら先頭に立って進めていただきたい、このことを強く要望いたします。

 続いて、オンラインカジノに関しての情報の発信行為、これを規制する、禁止するべきではないかという趣旨で質問をいたします。

 ある民間団体の調査によれば、違法オンカジ経験者の約四三%がユーチューブや配信サイト、ネット広告、SNSが違法オンカジに接するきっかけになったという回答をしています。これまで議論してきたとおりでありますけれども、ネット上での規制強化が若者の違法オンカジへの接触を防ぐことにつながります、役立ちます。

 ということで、ネット、SNSを通じて違法オンカジサイトなどを提示したり、そのサイトに誘導したりするような情報を発信する行為、具体的には、御答弁もありましたアフィリエイターへの取締りの強化ですとか、カジノ広告そのものの規制あるいは禁止といったことについても検討していく必要があります。その過程においては、インターネットの関係の接続業者ですとか、電気通信事業者などにも御協力をお願いしなければならないわけであります。

 この間、アフィリエイターに対する取締りや賭博幇助となる可能性の周知でありますとか、カジノ広告への規制についていろいろ議論が交わされてきましたが、改めて、こういったものについて政府としてどうお考えなのか、お尋ねいたします。

檜垣政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノへのアクセスを防ぐには、オンラインカジノに関する情報を提供している者への対策を強化することが重要でございます。

 オンラインカジノを宣伝することによって獲得したユーザー数に応じて報酬を受け取っているアフィリエイター等の運営に関与する者に対しては、厳正な取締りを推進していくこととしております。

 また、先ほど答弁いたしましたけれども、日本語でオンラインカジノの情報を発信しているリーチサイトやアフィリエイターの実態を把握し、オンラインカジノの利用を勧誘するような行為は賭博の幇助に当たる可能性もあることから、決して行わないよう働きかけを行っていきたいと考えております。

 また、オンラインカジノの広告のようなものが目につかなくなれば、サイトにアクセスする人の数が減少し、オンラインカジノサイトで賭博を行うことの未然防止につながるというふうに考えております。取締りや違法性の周知といった取組と併せてオンラインカジノの問題の解決に大きく資するものと考えております。

山委員 アフィリエイターというのは、私たち個人が情報発信するのとは違って、運営会社だとかそういう関連会社と結託をして、そういったオンカジサイトにアクセスをさせたり、あるいは利用客が負けた金額によってお金が入ってきたりということで、悪質です。犯罪を通じてお金もうけをしているということで、絶対にこれは許してはならないし、厳正な取締りを進めていただきたい、いかなければならないというふうに申し上げておきます。

 それで、いろいろ問題、多々ございますけれども、今回、警察庁の実態調査では四十のサイトを調べておりますが、最大手のサイト、ベラジョンですが、日本には、現在、オンカジに対して明確に定められた法律は存在しませんが、通常オンカジは、会社を登録している国の公式ライセンスにのっとって運営されていますというふうに記載をされています。ライセンスはオランダ領のキュラソーで合法的に取得をされているわけでありますけれども、我が国からの利用は禁止だとか違法だということは全く言及をしておりません。

 この状況を看過することはできないわけでありまして、サイトの運営会社のライセンス国、この場合はオランダですよね、あるいはマルタだとかイギリスだとか、こういったところに外交ルートを通じてしっかりと要請をしていくべきではありませんか。いかがですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 警察庁報告書で判明した実態を踏まえ、外務省としても、日本での違法行為を誘発する問題として本件を深刻に受け止めております。

 外務省としては、警察庁を始めとする関係省庁と連携しつつ、例えば、在外公館を通じた現地の関連制度についての更なる調査や、当該調査結果を踏まえ、外交ルートを通じて関係国政府に対し働きかけを行うなど、適切に対応していく所存であります。

山委員 調査は大至急取りかかっていただかなきゃいけないと思うんですよ。

 毎日被害者が出ていて、一兆円規模で国富が流出して、国民が苦しめられているわけです。利用者も、犯罪者ですけれども、ある意味犠牲者です。アクセスを断てば問題はおおよそ解決するかもしれないけれども、今できることとして、やはりヨーロッパ諸国の外交ルートはあるわけですから、しっかりと外務省は進めていただきたいし、大臣からも促していただきたいと思います。

 それで、難しい問題ですけれども、あと時間も僅かですので、サイトブロッキングについてお尋ねをいたします。

 先日の四月九日の内閣委員会でもサイトブロッキングについての質疑がありまして、国民の権利を制約するというおそれ、通信の秘密の問題もありますが、総務省としては、ブロッキングを含むアクセス抑止の在り方について早急に検討の場を設け、という答弁でありました。

 今、現在進行形で被害者もたくさん出ていますし、なかなかこれが止まっていない状況でありますので、早急にということですが、いつまでにやっていただけますか。検討して結果を出していただけますか。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 オンラインカジノへの対策は重要な課題であると認識しており、総務省としても実効性のある対応が必要であると考えております。

 サイトブロッキングについては、御指摘のとおり、通信の秘密の侵害に該当することや国民の知る権利の制約になるおそれがあるなど、指摘があるものと承知をしております。

 総務省といたしましては、本日、オンラインカジノに係るアクセス抑止の在り方に関する検討会を立ち上げる予定でございまして、本年夏頃をめどに中間論点整理ができるよう、事業者を始めとする関係者の意見を聴取し、法的、技術的な課題や論点を整理しながら、スピード感を持って検討してまいりたいと考えてございます。

山委員 スピード感ということで、まさにこれは現在進行形の問題であります。人権と公共の福祉とのバランスというのは非常に大切ですし、基本的人権の中でも特に大切な部分ですけれども、現状は放置できませんので、私たちも協力できる点は最大限協力しますので、是非スピーディーに進めていただきたい、このことを重ねてお願いを申し上げます。

 サイトブロッキングに関連しまして、特定の地域からサイトへのアクセスを制限すること、これはジオブロッキングというふうにいいますが、なかなかこれは難しいのは承知しておりますが、オンカジの運営会社に対し、日本からのアクセスを拒否するよう、そういう措置を取るよう、ジオブロッキングを要請すべきではありませんか。いかがですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような方法も含めて、外務省として、警察庁始め関係省庁と連携しつつ、適切に対応していきたいと思っております。

山委員 過去の議事録を調べましたけれども、ジオブロッキングについては今日初めて取り上げさせていただきましたので、私もしっかりとこの件は深めてまいりたいと思います。

 最後に、もう時間も押していますので、今、違法オンカジとは直接関係ありませんし、所管外ですが、カジノ管理委員会というのがございます。これはIRに関連して、外局として設けられているわけです。

 当然、今、大阪を念頭にIRについて進めていると思うんですけれども、初めてのことですからいろいろ皆さん大変だと思うんですけれども、外国当局にもやはりこういう規制当局はあるわけですね、カジノ管理委員会に対して。そういったところともやはり連携したり協力したりすることが必要ではないでしょうか。

 多分、所管外とおっしゃるかもしれませんけれども、やはり周辺情報として、いろいろ情報収集、当たっていく必要があるんじゃないですか。そういうこともやはり求められていると思うんですよ。いかがですか。

嶋田政府参考人 委員のお尋ねは、オンラインカジノ対策について、カジノ管理委員会からオンラインカジノが合法とされている国のオンラインカジノ規制当局に協力要請なりができないかということだと思います。

 御案内のとおり、カジノ管理委員会は、特定複合観光施設区域整備法に基づいて、IR施設内におけるカジノ施設におけるカジノ行為に係るカジノ業務、つまり、ランドベースカジノの監督を所掌しております。他方で、カジノ施設の外から参加できるいわゆるオンラインカジノに係る対応については当委員会の所掌外となっております。

 その上で、カジノ管理委員会の国際協力は、その所掌事務の範囲に限るというふうに法定されております。このため、カジノ管理委員会から海外の当局に対してオンラインカジノ対策に係る協力依頼を行うことは難しい点があるということを御理解いただきたいと思います。

山委員 時間がないのでまとめますけれども、今、海外のカジノについてきちっと把握している一番の担当は、やはりカジノ管理委員会なんですよ。この状況を放置したままでIRをオープンさせるなんてことはあり得ないですし、また同じ問題が起きますよ。ここを厳しく指摘をして、質疑を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大岡委員長 次に、國場幸之助君。

國場委員 自由民主党の國場幸之助です。

 質問の機会をありがとうございます。

 まず冒頭に、林官房長官にお聞きしたいと思います。

 今、衆参両院正副議長の下で安定的皇位継承に関する立法府の全体会議が開催され、政府の有識者会議報告書で示された皇族数確保の具体的な方策が話し合われております。

 立法府の対応に関する全体会議における議論の状況、衆参両院正副議長の下で取りまとめ案の作成が行われている状況につきまして、官房長官としての受け止めについての見解を伺いたいと思います。

林国務大臣 安定的な皇位継承の確保等につきましては、政府といたしましては、令和三年十二月に取りまとめられました有識者会議の報告書を尊重することといたしまして、令和四年一月に国会に報告を行い、現在、今、國場委員からお話がありましたように、衆参両院正副議長の下で全体会議を開催して検討が行われているもの、そういうふうに承知をしております。

 四月十七日に、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持すること及び皇統に属する男系男子を養子に迎えることについて議論が行われまして、今後、衆参両院正副議長において取りまとめ案を作成されるということになった、こういうふうに承知をしております。

 国会における具体的な議論の進め方について、政府の立場から申し上げることは差し控えますけれども、国会の議論を注視しておりまして、この衆参両院正副議長が行われる取りまとめに期待をしているところでございます。

 政府といたしましては、立法府の総意が得られた場合には、速やかに法案の提出など必要な対応を行ってまいりたい、そういうふうに考えております。

國場委員 ありがとうございます。

 それでは、官房長官、御退席ください。

大岡委員長 では、官房長官、御退席ください。

國場委員 安定的皇位継承に関する有識者報告書、正式名称は、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議の報告ですが、私は、大切な内容が二点あると考えております。

 まず、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王と続く皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない、つまり、男系男子による皇統の維持を確認したということ、そして、皇族数の確保をするということが最大の主眼でありますが、具体的手法として、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を維持する、旧十一宮家からの養子を可能とするという内容です。

 言うまでもなく、歴代の天皇と皇統、皇室は、我が国の歴史、伝統、文化の礎であり、先人たちが連綿と守り続けてきた国柄を受け継ぎ、責任を持って次世代へ引き渡していくということは今を生きる我々の使命です。

 しかし、今、我が国の皇室は、非常な危機的状況にあると言わざるを得ません。今、皇統に属する男系の男子という皇位継承資格を有する皇族は、秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下及び常陸宮正仁親王殿下の三方がいらっしゃいますが、天皇陛下の次の世代の皇位継承資格者は、悠仁親王殿下お一人しかいらっしゃいません。

 平成、令和の約四十年間、そして秋篠宮皇嗣殿下から皇室男子の悠仁親王殿下の誕生まで四十一年もの歳月がたっておりました。そして、悠仁親王殿下以外の未婚の皇族は、五方全員が女性皇族であり、かつ、婚姻可能な年齢に達していることから、皇室典範十二条に定められておりますように、皇族女子は天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは皇室の身分を離れるとされております。つまり、現行制度の下では、悠仁親王殿下のほかには、将来、皇族がいらっしゃらなくなることもあり得ます。

 そこで、衆参両院正副議長の下で立法府の対応に関する全体会議が開催され、先ほど官房長官からも御答弁がありましたけれども、政府の有識者会議報告書で示された皇族数確保の三つの具体的な方策のうち、内親王、女王の婚姻後の身分の保持案、そして、皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族にする案を中心に議論されておりますが、政府に二点質問したいと思います。

 まず、内親王、女王の婚姻後の身分保持案については、これまでの全体会議における議論では、喫緊の課題として認める方向でおおむね共通認識が得られていると思いますが、内親王、女王が婚姻された際の配偶者や子の身分について、皇族としない考え方と、皇族とする考え方が出されていると認識しております。

 そこで、質問します。

 政府の有識者会議においては、内親王、女王の配偶者や子の身分について、どのような整理がなされているのか、説明をお願いします。

溝口政府参考人 お答え申し上げます。

 内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持する案につきましては、その配偶者や子を皇族とするか皇族としないかの両案があり得るわけでございますけれども、政府の有識者会議における検討におきましては、皇族方は基本的人権の制約を受けており、内親王、女王の配偶者が皇族になるということは配偶者本人にとって困難を伴う面もあるということも念頭に置いて考えていく必要があるという点も踏まえて議論が行われたところでございます。

 様々な分野の方々からの有識者ヒアリングやその後の会議での議論における意見を整理して御紹介いたしますと、まず、配偶者の実生活という面では、今までの生活を大きく変えることがないようにするため、配偶者を皇族としないことが穏やかな解決方法であるという考え方は理解を得られやすいのではないか、配偶者が皇族とならないということは、女性皇族の御結婚のハードルを下げることにつながり、お相手の職業選択の自由が守られるなどプライベートの部分を守ることにもつながるのではないかといった御意見がありました。

 二点目として、歴史や伝統、そして国民感情という点につきましては、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持した歴史的前例はあるが、配偶者、子を皇族とすることは前例がない、配偶者や子を皇族とするかどうかについては様々な意見が考えられ、皇族とすることについては国民感情の点でハードルが高いのではないかといった御意見がありました。

 三点目に、家族法制の観点でございますが、配偶者に皇族の身分を認めなくても、夫婦の同居協力扶助義務を履行することは可能である、あるいは、配偶者と子を皇族としなくとも、夫婦は子に対して共同親権を行使することができ、子に対する監護、養育をする権利と義務を有するので子育てにも法的な支障はないといった御意見がありました。

 最後に、諸外国の事例からは、イギリス王室では、アン王女は王族でありますが御家族は王族ではない、それによって問題が生じているわけではない、このような海外の例を見ても、御本人は皇族であるが御家族はそうではないという形もそれほど無理なく成立するのではないかといった御意見があったところでございます。

 以上のような御意見、議論を踏まえまして、有識者会議の報告書におきましては、内親王、女王の婚姻後の配偶者と子については、皇族という特別の身分を有しないこととする考え方が示されたものでございます。

國場委員 次に、皇統に属する男系男子を養子とする案についてです。

 養子となる対象者を、かつて現行の日本国憲法においても二十六名の皇位継承資格を持たれていた旧十一宮家の男系男子孫の方とすることが全体会議において議論されております。

 政府としては、国会における内閣法制局の答弁でも、これまで、養子案には憲法上の問題はないという説明をされていると承知していますが、改めてその考えを確認しておきたいと思います。

 養子の対象者を皇統に属する旧十一宮家の男系男子に限ることは、憲法十四条との関係で問題ないということでよろしいのでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 皇族が養子縁組をすることにより養子を皇族とすることを可能とした上で、養子となる方を皇統に属する一定の方に限定することが憲法第十四条に適合するかどうか、この点は、現時点でその具体的な仕組みが明らかでないことから、一概に申し上げることはまず困難でございます。

 その上で、一般論として申し上げれば、憲法は、第十四条において法の下の平等を定めつつ、第二条において皇位は世襲のものとし、また、第五条及び第四条第二項において摂政や国事行為の委任の制度を設けていることから、これらの制度を円滑に運用することは憲法の要請するところであり、このため、皇統に属する方を新たに皇族とすることは、憲法自体が許容していると解されます。

 養子の対象者については、憲法第二条等の要請により皇統に属する方であることが必要であるところ、皇統に属する方のうちいずれの方を養子の対象者として皇族とするかについては、憲法第一章の規定を踏まえ、皇室典範、すなわち法律において適切に定めるよう委ねられた事項であると考えられます。

 憲法第二条は、皇統に属する男系の男子が皇位を継承するとの伝統を背景として、皇位継承者を男系の男子に限る制度を許容していると考えられること、また、旧十一宮家に属する方については、従前の伝統等を背景に、日本国憲法及び現行の皇室典範の施行時に皇位継承権を有していた方々の子孫であることを踏まえ、養子の対象者を旧十一宮家に属する男系の男子に限ったとしても、憲法第十四条に反するものとは認識をしていないところでございます。

國場委員 ありがとうございます。

 私も党内で有志の勉強会をしておりますけれども、百地章先生のお話では、旧宮家のうち、久邇家、賀陽家、東久邇家、竹田家の四家系には未婚の男系男子がいらっしゃるとお聞きしております。養子案についても、養子の対象となる方も実際に存在すると考えられているところであり、是非速やかな制度化を進めていただきたく思います。

 立法府の対応に関する全体会議においては、これまで述べてきたような点も加えて、まとめの議論が引き続き行われていると思いますが、今国会中にも立法府の総意を取りまとめるべく、今後、衆参両院正副議長の下で取りまとめ案の作成を進められていると承知しております。是非前に進めていただきたいと考えております。

 次に、宮内庁に質問したいと思います。

 本年は戦後八十年の歴史的節目です。天皇皇后両陛下は慰霊鎮魂の行幸啓を予定されており、既に、激戦地でもあり遺骨収集がまだ進んでいない硫黄島へ今月、東京都の要請もあったと伺っておりますが、行幸啓されました。

 「思はざる病となりぬ沖縄をたづねて果さむつとめありしを」、これは昭和天皇の御製です。北海道から鹿児島まで昭和天皇は巡幸されましたが、沖縄県だけは、計画はありましたが、直前に御体調を崩され、行幸できませんでした。その無念を詠まれた昭和六十二年の御製です。

 上皇陛下は、皇太子時代の昭和五十年から沖縄県に十一回の行幸啓をされました。また、沖縄の言葉や文化、歴史を深く学ばれ、沖縄の和歌、これは琉歌といって、琉球の琉と歌と書きますが、自らお作りになられておりました。

 今上陛下も、上皇陛下、昭和天皇同様、沖縄にも厚い御心をお持ちであると察します。今年の二月の誕生日を迎えられた記者会見の席でも、戦争を知らない世代に悲惨な体験や歴史が伝えられていくことが大切であると述べられておりました。是非、慰霊巡幸の訪問先に沖縄県も加えてほしいと思います。

 そこで、質問をします。

 戦後八十年の本年、慰霊の巡幸等をどのように臨まれていくのか、宮内庁に伺います。

黒田政府参考人 戦後八十年となる本年の行幸啓についての御質問でございます。

 天皇陛下には、御指摘いただいたお誕生日に際しての記者会見で、これまでの広島、長崎、沖縄などへの御訪問について触れられ、戦後八十年という節目の年に、亡くなられた方々や苦難の道を歩まれた方々に改めて心を寄せていきたい、また、日本の発展の礎を築いた人々の苦難に深く思いを致し、平和の尊さを心に刻み、平和への思いを新たにする機会になればとのお考えをお述べになりました。東京都からの願い出を受けての四月七日の硫黄島御訪問につきましても、そのお考えに沿ったものと考えております。

 本年の地方行幸啓につきましては、戦後八十年の節目の年でありますとともに、既に行われました阪神・淡路大震災三十年追悼式典、大阪・関西万博開会式なども含めまして、通常の年に比べて多くの行事が見込まれております。願い出を受けてお出ましになることが基本であることから、現段階において今年の全体像についてお示しするには至っておりませんが、宮内庁といたしましては、今後につきましても、先ほど申し上げましたような陛下のお考えに沿って検討し、一つ一つ対応していくこととしております。

國場委員 是非よろしくお願いします。

 続きまして、海底ケーブルの現状と課題についてお尋ねをしたいと思います。

 山際委員も座長を務めております、また尾崎委員も事務局長を務めて、また大岡委員長も党の中で大変リーダーシップを取られておりますけれども、この情報通信成長戦略検討特命チームが、海底ケーブルを含む情報通信産業の提言書を取りまとめました。

 国家安全保障上、極めて重要なDX、AIの分野の我が国の現状は、海外事業者への過度な依存が深刻なデジタル赤字を拡大させ、デュアルユース等の産官学連携にも著しい遅れが生じ、十分に成長戦略、国家戦略に活用することができておりません。

 この提言を具現化し、予算措置も当然行い、国力、経済発展の強靱化に努めることは喫緊の課題です。幅広い、密度の濃い内容の分野でありましたので、まずは海底ケーブルに絞って質問をしたいと思います。

 国際通信の九九%は、我が国に敷設されている二十六本の海底ケーブル経由で来ております。我が国は島国です。ケーブル陸揚げ拠点の強靱化、そして、志摩半島、房総半島へ集中している現状を地方分散化することなど、取り組むべき内容は山積をしております。

 そこで、質問をします。

 自民党の情報通信成長戦略検討特命チームがまとめた提言書の海底ケーブルに関する部分について、政府としての受け止めと今後の取組に関してお尋ねをしたいと思います。

 同時に、岸田総理の時期に、時代に、デジタル田園都市国家インフラ整備計画の中で、二〇二六年度中に日本周回ケーブルを運用開始し、陸揚げ局を分散立地し、防護、敷設、保守体制を強化し、国際海底ケーブルの多ルート化、デジタルインフラ整備基金等の活用がなされるとうたわれておりますけれども、その進捗状況についてもお尋ねしたいと思います。

野村政府参考人 自民党特命チームの提言書の関係について、まずお答え申し上げます。

 海洋に四方を囲まれた我が国においては、御指摘がございましたとおり、国際通信の九九%が海底ケーブルを経由しており、経済安全保障の観点から関連産業の自律性を確保することは極めて重要であると認識をしております。

 委員から御指摘がございました自民党の特命チームにおいては、市場ニーズに合わせた技術力の強化や、生産、敷設、保守能力の強化を通じて安定的な需要を確保し、自律的な供給体制を確立すべきなどの御議論が行われており、近く正式に提言書をまとめていただく予定と承知をしております。

 総務省としては、自民党の御提言を踏まえ、経済産業省などの関係府省とも緊密に連携をしながら、海底ケーブル関連の産業の自律性の確保に向けてしっかりと取り組んでまいります。

大村政府参考人 我が国を周回する海底ケーブルに関してお答えを申し上げます。

 我が国は自然災害が多く、海底ケーブルが地震等により切断に至る場合も想定されますので、途切れない通信ネットワークの実現という観点から海底ケーブルの多ルート化が必要と考えております。このため、総務省としては、我が国を海底ケーブルで周回するネットワークを構築することを目指しておりまして、日本海側のルートの整備などを補助する事業を行うこととしております。

 現在、通信事業者等において事業の具体化を検討しているところと承知をしてございます。この事業は、日本海側ルートを構築することで、災害の多い我が国において国土の強靱化に資するものであることから、引き続き事業の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。

國場委員 続きまして、G7やクアッド等の枠組みでも海底ケーブルの重要性が指摘されております。先日、黄川田理事のお誘いでオーストラリアのインフラ省の方々と意見交換をしましたが、同盟国、同志国での海底ケーブルの取組とビジョンに関して、我が国はどのような方針で臨んでいるのかという点についてお尋ねをしたいと思います。

 太平洋諸島に関しては、オーストラリアとの連携も含め、支援状況を聞きましたけれども、例えば東南アジア諸国の取組等はどうなっているのでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 最近の海底ケーブル損傷事案を含め、海底ケーブルを取り巻く状況については引き続き注視していく考えであります。また、同盟国、同志国との間でも海底ケーブルの安全性や強靱化の確保に係る連携を進めています。

 例えば、本年三月の海洋安全保障及び繁栄に関するG7外相宣言や、昨年九月の国際法の遵守を含む有志国との対話など、海底ケーブルの強靱化に関して様々な形での意思疎通や共同声明の発出を行っているところであります。

 政府としては、引き続き、国際的な連携も図りながら、海底ケーブルの安全確保に向け必要な対策に取り組んでまいりたいと考えております。

國場委員 今、米国が、大統領令に伴う関税というのが世界の最大の問題となっております。しかし、アメリカも非常に複雑な国家でありますから、ホワイトハウスの外交と国務省の外交という二つの柱があると思いますが、マルコ・ルビオ国務長官が最初にやった外相会談がクアッドでありました。やはりこの枠組みというものは大変重要に考えていかなければいけないと思います。

 また、昨年の九月に岸田総理が、クアッドの首脳会議を開催をしまして、そのときの共同声明の中にも、質の高いインフラ、そして海底ケーブルの重要性がうたわれておりました。単なるこれは重要インフラという観点だけではなく、今後の世界の秩序を構築していく上でも非常に重要なツールであるという認識を持って、国策として推進していただきたいと思います。

 その際に、多ルート化というものの中で、私は沖縄県なんですけれども、今沖縄は、東京ドーム二百二十個分の返還跡地が進んでまいります。もちろん、ケーブルというものは、様々な需要であるとかデータセンターであるとか電力の問題、いろいろな要素も絡んでくると思いますが、沖縄の地理的な優位性というものを、防衛の観点だけではなく、まだ国際ケーブルが陸揚げされているとは認識していないんですけれども、やはり沖縄から、私は沖縄県というのは東南アジアの最北端だと思っておりますので、沖縄から、台湾、バシー海峡、フィリピン、東南アジアの国々を結ぶとか、様々なルートを今後模索していただきたいと思いますので、この点は要望させていただきたいと思います。

 続きまして、この海底ケーブル、いろいろな課題がありますが、老朽化や自然災害や情報漏えい、また、バルト海や台湾近海での切断等の課題への取組状況についてお尋ねをしたいと思います。

 例えば、アメリカやイギリスやフランスは、海底ケーブルの防護策として、これは軍とか海上警備機関、コーストガードや民間が、机上訓練や演習や監視や水中ドローンやロボットで対応しております。また、今年一月のNATOの共同声明でも、バルト海におけるAIを用いた不審船の位置情報を監視する内容が盛り込まれておりますけれども、我が国の取組についてお聞かせください。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 海底ケーブルには、御指摘のとおり、老朽化、自然災害、人為的行為などによる切断リスクが考えられますが、総務省といたしましては、こうしたリスクへの対応として、通信事業者と連携をして、先ほど御答弁申し上げました海底ケーブルの多ルート化の促進、また障害発生時の連絡体制や事業者の連絡体制の確立などに取り組んでいるところでございます。

 また、情報漏えいに関しましては、日本に陸揚げされている海底ケーブルについて情報漏えいや盗聴が行われた事例は承知してございません。通信事業者からも、海底ケーブルからの情報漏えい、盗聴は技術的に難しいものと聞いているところでございます。

 海底ケーブルは、御指摘のとおり、我が国の国際通信の九九%を担う重要な社会インフラでございますので、総務省といたしましては、関係省庁や関係事業者と連携をしながら、引き続き、その安全、信頼性の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

國場委員 総務省は一生懸命頑張っていると思いますが、国土交通省、海上保安庁や防衛省も含めて、関係する機関とも今後の連携も要望したいと思います。

 続きまして、国民保護について質問をします。

 一月三十日に、国、沖縄県、先島、西銘筆頭の選挙区でございますけれども、先島諸島五市町村による国民保護の共同訓練が行われました。関係者には心から敬意を表したいと思います。いかなる事態でも国民の生命を守るという国家の最も根源的な使命を果たす重要な取組です。

 四点、質問をしたいと思います。

 まず、七千六百六十三名の要配慮者への対応を始め現状の課題を、沖縄戦の教訓と照らし合わせて、どのように整理しておりますでしょうか。

小谷政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の先島諸島から九州、山口各県への住民避難訓練につきましては、令和四年度以降、消防庁を含む国の関係省庁、沖縄県、先島諸島の五市町村などが協力し、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施してまいりました。

 令和六年度までの訓練においては、委員御指摘の先島諸島の五市町村の計七千六百六十三名の要配慮者の属性に応じた避難ルート、搬送手段及び付添体制の整理、自衛隊や海上保安庁等のアセットを含む航空機や船舶の確保に係る検討、先島諸島の五市町村内での避難誘導に伴う個別の諸課題の掘り下げなどに取り組んでまいりました。

 令和七年度以降の訓練においては、医療従事者等の応援確保に関する検討、避難先都道府県との連携、調整に係る検討など、これまでの検討内容を踏まえ、更なる深化を図ってまいります。

 こうした訓練、検討を通じて練度の向上や課題の改善を図るなど、引き続き、離島避難の更なる実効性の向上に努めてまいります。

 また、これらの取組において、住民の方々の理解を得るということは重要だと考えております。住民の方々の国民保護訓練に対する理解醸成について、消防庁は内閣官房とともに、市町村が開催する住民の方々との意見交換会に参加するなど、積極的な支援を行ってまいりました。

 引き続き、内閣官房、沖縄県、先島諸島の五市町村等と連携して、住民の方々の国民保護訓練に対する理解醸成に努めてまいります。

國場委員 国民保護をうまく機能させていくためには、受入先である九州各県、山口県等の課題をどのように認識するのかが大切だと思います。それらの県の理解と協力がなければ国民保護は機能しません。予算措置等も含めてどこまで詰められているのでしょうか。

松林政府参考人 お答え申し上げます。

 国民保護に関する沖縄県の離島からの避難住民等の受入れにつきましては、総合調整を担当する内閣官房を中心として、関係省庁、自治体等が連携して検討を行っており、本年三月に、沖縄県の訓練上の想定で避難住民の受入先としている九州、山口各県において、避難住民の受入れに係る初期的な計画について公表を行ったところでございます。

 避難住民等の受入れに当たりましては、要配慮者の受入れ調整や、避難の中長期化を見据えて、児童の受入れや就学再開、就労支援、長期避難住宅の提供などの課題があることも認識しております。そのため、今年度以降は、これらの課題について、災害時の対応も参考にしつつ、関係省庁や沖縄、九州、山口各県、有識者などで構成する作業部会などにおいて検討してまいります。

 このほか、これまでの議論において、各県から宿泊施設の借り上げ料などについて意見をいただいており、こうした課題につきましても、引き続き、九州、山口各県と意見交換をしながら検討を進めてまいります。

 令和八年度の受入れ基本要領の策定に向けましては、内閣官房の総合調整の下、九州、山口各県等とも連携して、より包括的で実効的内容となるよう努めてまいります。

 なお、予算の点でございますが、避難住民等の受入れに関しましては、令和八年度までに策定する受入れ基本要領において具体的な受入れに係る取組について検討することとしておりますので、現時点で受入れに関する確定的な予算はございませんが、一方で、的確かつ迅速に国民保護のための措置を実施するための予算として、内閣府におきましては、国民保護の救援に関する訓練のための予算を計上しているところでございます。

國場委員 続きまして、国民保護の必要性を地元と国内外にどのように説明していくのかについてお尋ねをしたいと思います。

 避難をためらう方や、特に武力攻撃予測事態の認定のタイミング、私は早期にこれは認定すべきだと思いますが、そのためには、この武力攻撃予測事態というものがどのような法的な位置にあるのかということをしっかりと国内外に説明することが大事だと思います。この点についての答弁をお願いします。

市川政府参考人 お答え申し上げます。

 武力攻撃予測事態などの一連の事態認定を果断に行うことは、我が国の安全を確保し、国民の生命、身体を守り抜くための政府としての最大の責務の遂行であるというふうに考えてございます。

 事態が緊迫し時間的な制約がある状況におきまして、我が国として法律に定められた手続に従いつつ国民保護を的確に実施するためには、武力攻撃予測事態を極力早期に認定し、国民保護法の下で、国、地方公共団体、指定公共機関等が連携して対応することが重要であると考えております。

 武力攻撃予測事態の認定は、我が国として、抑止態勢を構築し、もって武力攻撃の発生という最悪の事態を阻止しようという意思決定にほかならず、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府として、その持ち得る全ての情報を総合し、ちゅうちょなく認定すべきものであるというふうに考えてございます。

國場委員 ゲートウェー二〇五〇と沖縄の社会資本の未来、特に那覇空港の未来について答弁をいただきたいと思います。

 今回の国民保護案件は、避難元空港から福岡空港、鹿児島空港への移動という初期計画ですが、特定利用空港でもある那覇空港の今後の役割をどのように構想していくのでしょうか。

秋田政府参考人 お答えを申し上げます。

 沖縄県の経済団体等から構成されます協議会が公表されましたゲートウェー二〇五〇プロジェクトにおきまして、那覇空港の機能強化などの将来像が示されたということにつきましては承知をしているところでございます。

 那覇空港におきましては、令和二年の三月に二本目の滑走路の供用が開始されたというところでございますとともに、令和六年四月には特定利用空港に追加されたというところでございまして、現在、エプロン、駐機場でございますが、この整備等の事業を我々どもの方で着実に進めさせていただいているところでございます。

 また、空港の利用促進につきましては、地元の自治体の方におかれましてトップセールス等に取り組んでおられるほか、国土交通省におきましても、日本政府観光局を通じた沖縄の観光プロモーションを実施している、こういうところでございます。

 こうした取組もありまして、那覇空港の最新の国際旅客定期便数につきましてはコロナ前の水準を超えている、このように承知しているところでございます。

 御指摘の避難計画につきましては、担当の内閣官房を中心に、関係省庁全体で議論してまいりたいと考えておりますし、引き続き国土交通省としても、地元の関係者と連携をいたしまして、利用の促進や受入れ環境の整備にしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

國場委員 千三百十メートル離れている平行滑走路への誘導路の構想や、またターミナルを滑走路の間に持ってくる案であるとか、引き続き、機動力、稼働力を高めるような措置もお願いしたいと思います。

 最後の質問ですけれども、就職氷河期世代、これも政府が一丸となって今対策に取り組もうとしておりますが、今までの取組と比べて今回は何がどう変わるのか、その点について最後に答弁をお願いしたいと思います。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 就職氷河期世代の方に対しては、政府では令和元年から集中的な支援に取り組んでおり、これまでは就労支援、社会参加支援を中心に支援を実施してまいりました。こうした取組により、正社員化等、処遇改善に一定の成果があったものと認識をしております。

 他方で、氷河期世代の方々におかれては、新卒時に正規雇用に就けなかったことなどから、上の世代に比べまして賃金上昇が緩やか、保有する金融資産が少ないなどといった更なる課題もあると認識をしてございます。

 新たに設置を予定しております閣僚会議におきましては、そうした課題も念頭に、政府一丸となって支援の取組の強化充実を図ってまいりたい、このように考えてございます。

國場委員 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、藤岡たかお君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡たかおでございます。

 まず、本日も、地元の栃木県第四区の皆様に心から感謝を申し上げ、また、質問の機会をいただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 関税やいろいろな経済の話に入る前に、一問だけ、ちょっと地元の、先日、塩川先生も取り上げていただいておりましたけれども、高橋国土交通副大臣にお伺いしたいと思っております。

 PFAS、例の検出を受けて、いわゆる水質改善に向けた取組の支援に関わることでございますが、高橋副大臣に、本当に、同じ栃木県で、地元の行事などでいつも短く分かりやすい御挨拶で、大変勉強させていただいていることに敬意を表した上で質問させていただきたいと思いますが、下野市で、二か所の井戸でPFASが検出され、今、御存じのとおり、懸命な対応がなされているところであります。

 ところが、いわゆる補助金交付要綱において、例えばPFAS対応が十分措置されていないという課題があると思います。実際に、水質改善や浄水施設の整備に当たって国の支援を十分に受けられないという課題だと思っております。

 国交省の現場の担当者の方も問題意識は持ってくださっていると私は思っておりますけれども、例えば、給水人口の要件だけじゃなくて、何かあったときに、補助金の要件に、「施設整備後三十年以上経過した浄水場の全面改築に併せて整備する」とか、こういう要件があったら、全面改築のときしか補助金が出ないということですので、実質はほとんど使えないという話になると思うんですよね。

 そうすると、例えば、本当に何か利用が補助金は難しいんですけれども、PFASが検出された、当然、市民の皆さんは不安だ、緊急的に対応しなくちゃいけない。でも、そういうふうに補助金は使えない。しかも、二月に公募して、じゃ、一年間どうするんだと。ところが、補助金の枠がもうありません、翌年までありませんとなったら、緊急対応も難しい。こういう要件や緊急対応が非常に難しいという問題があると思っています。

 やはり水道事業の経営というのは、もちろん水道料金収入で賄うことが原則とは思っておりますけれども、しかし、PFASによって汚染されたというのは、これはやはり国が支援をするべきだと私は思います。

 PFASが検出をされた下野市はもちろんのこと、全国の自治体や事業者において国の支援が可能になるように、この補助金の交付要件の見直しを是非進めませんか。いかがですか。

高橋副大臣 藤岡先生からは、御質問ありがとうございます。

 先生も御存じのように、水道施設の整備や水質検査等を含めた水道事業の経営に関する経費は水道料金収入により賄うということが原則、それはもう、先生もその原則を踏まえて御質問されていると思います。

 その上で、経営条件を判断する指標である資本単価に関する要件や給水人口に関する要件等を満たす水道事業者等を対象に、PFAS対策として行う施設整備への財政支援を行っているところなんですが、先生御指摘のような要件があります。この要件について、先生の御質問は、端的に言えば、その要件を変えて運用したらいいんじゃないか、こういうPFASというような新たな事態という趣旨だと受け取りました。

 実は、このPFASに関しましては、環境省において、水道水中のPFOS及びPFOAの水道水質基準への引上げ等について、今春を目途に方向性を取りまとめて、水道法に基づく省令を改正する、そして、それを令和八年四月一日に施行する予定というふうに我々は聞いておるところでございます。

 国土交通省としては、このようなPFASに関する環境省の基準引上げ等というような状況も踏まえつつ、引き続き、先生が御質問いただいたようなことも踏まえまして、必要な対応の検討を進めてまいりたいと思っていますが、大変、スピーディーでなくて、分かりにくくて申し訳ないんですけれども、そういう、今、我々は、考えで進めているということを御理解賜りたいと思います。

 以上です。

藤岡委員 ありがとうございます。

 質問も踏まえて対応を検討していただけるということでございますので、要件の見直しか、新たな制度、補助金の枠組みをつくるかでも結構でございますので、是非これはお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 御多忙で、どうぞ、御退席していただいて結構でございます。ありがとうございます。

大岡委員長 高橋副大臣は退席していただいて結構です。

藤岡委員 では、次に、エコカー補助金、クリーンエネルギー自動車購入補助金について、済みません、私、本当は他委員会でも取り上げたかったんですが、積み残してしまって、本当におわびを申し上げたいと思うんですが、ちょっと取り上げさせてもらいたいと思っております。

 トランプ大統領の関税のお話を踏まえたときに、報道などで、このEVのいわゆる補助金を拡充するという報道なども出ておりましたけれども、まず、経産副大臣、これは事実なんでしょうか。

大串副大臣 御指摘の報道は承知しておりますけれども、現時点におきまして、EV等への購入補助金の拡充を具体的に検討している事実はございません。

藤岡委員 報道が出たということでありますけれども、この補助金につきましては、本当に国内の産業振興にきちんと資するようになっているのかというふうな指摘もあるわけでございます、このGXの補助金に絡んだエコカーの補助金。

 それは、例えば中国のBYDの電気自動車、これに対しても補助金が結果として相当流れているのではないかというふうな指摘がされているところでもあります。昨日来、日本経済新聞の報道などにも、更に軽自動車の電気自動車の日本への参入等々、連日BYDの日本参入の話も出ているところでございます。

 実際に、いわゆるエコカー補助金は、BYDの車などに対しても流れているということであるんでしょうか。

大串副大臣 クリーンエネルギー自動車導入促進補助金につきましては、自動車メーカーに対する補助金ではなく、EV、PHEV等を購入するユーザーに対してその購入費用の一部を補助するものでございます。国内だけではなく、海外メーカーが生産する車両も含めて、日本国内で登録又は届出がされた車両について、申請者の国籍を問わず補助金の対象としております。

 お尋ねのBYDの車両を購入したユーザーへの補助実績につきましては、二〇二四年度では約千五百件、全体の約一・七%になります。二〇二三年度、おととしでございますけれども、約千三百件で、〇・九%でございます。

藤岡委員 今御答弁いただきましたけれども、要するに、千三百、千五百と年々増えているという結果になっていると思います。

 私は、日本国民の税金を、それは日本国内の、きちんと産業振興に充てられるように、やはり補助金の仕組みを徹底していくべきだというふうに思います。

 私は個人的には信じられませんけれども、このタイミングで中国からの観光客のビザ緩和ということが進められて、十年間ということですね、また滞在したりで、その間に、じゃ、BYDの車を購入されてということも当然想定されるというふうにも思います。そうなると、ますます、いや、何か日本の補助金が更にBYDの振興につながってしまうんじゃないかというふうな懸念ですら私はあると思いますね。

 私は、きちんとこれを、大串副大臣、日本国内の、きちんと自動車メーカーの支援になるように徹底していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

大串副大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、ユーザーに対しての補助金ということでございますので、なかなか、そういう制度的なたてつけにはなっておりませんけれども、冒頭申し上げましたとおり、それを、国内産業に資する制度というふうにお伺いでございますけれども、今のところ、国内自動車産業の産業競争力を図るものでありますが、その補助金の拡充を具体的に検討している事実はございません。

 その上で、今回の米国の関税措置に関しましては、自動車分野からは、直接的な影響はまだ大きくありませんけれども、米国市場では競合他社が多く、値上げが困難、かつ、値上げをした場合には売上減少のリスクがあると感じているといった声をいただいております。

 短期の支援策といたしましては、中小企業の資金繰り支援等を実施しているところでもございますが、引き続き、現場の声を踏まえながら、実態に即した形での追加の対応を検討してまいりたいと考えております。

藤岡委員 済みません、いい指摘と、ありがとうございます。

 本当にこれはきちんと、大串副大臣、もっとしっかり、BYDの車はこれから日本に参入が行われるわけですよ。このまま補助金を出して、また拡充するときに今の制度を維持したら、今、千三百台、千五百台、日本国民の血税がこのBYDの車に対して流れているということでございますが、これは、本当にもっとしっかり補助金の枠組みも考えていただかないと、日本の自動車メーカーが逆に低迷してしまうという可能性だってあると思うんです。

 ちょっと今の答弁、私は、気合が感じられないと思います。むしろこれはトランプ大統領を見習うぐらいに、もっと、国内の自動車メーカーをちゃんと守るんだと、その意思をちゃんと表明していただけませんか。

大串副大臣 なかなか特定のメーカーということでやると難しいのでございますが、ただ、今、制度といたしましては、クリーンエネルギーの自動車導入促進補助金、これにつきましては、昨年度実施しました令和五年度の補正予算の事業執行からは新たな補助額の算定方式を導入することとしました。

 具体的には、車両の性能だけではなくて、インフラ整備であったり、アフターサービス環境の構築、あるいは災害時の地域との連携など、こういったメーカーの取組を総合的に評価することといたしまして、各車両に対する補助金交付額を決定し、これらに積極的に取り組むメーカーの車両を重点的に支援するという方針に変えております。

 メーカーの取組を総合的に評価した結果、BYDの車両につきましては、一台当たりの補助金額が低下しております。このため、BYDの車両に対する補助については、台数は先ほどお話ししたとおりでございますが、二〇二三年度と比べまして二〇二四年度は補助金交付総額としては減少をしているという実態でございます。

藤岡委員 僕は排斥的な言い方をするつもりはないんですが、あくまで日本の自動車メーカーがプラスになるように、千三百台から千五百台と増えてきているわけですから、金額はということでございますが、これはよく、きちんと対応をお願いしておきたいということを思いますので、よろしくお願いいたします。

 大串副大臣、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。

大岡委員長 では、大串副大臣は御退席いただいて結構です。

藤岡委員 続きまして、いわゆるトランプ大統領から非関税障壁、赤澤大臣始め、国土交通省にお伺いしていきたいと思います。

 もちろん日米同盟はかけがえのない同盟であり、もちろん最重要だと思います。同盟国であるからこそ、やはり言うべきことを逆にしっかり言っていくということも必要だと思います。

 トランプ大統領からSNS等で、いわゆる非関税障壁八項目ということが示されておりますけれども、その中で、いわゆる自動車のボウリング検査といって、日本を名指しでこのボウリング検査ということが出ていたところでございます。これは昨日国土交通大臣も記者会見で言っておられるようでございますが、このボウリング検査というのは一体、事実なんでしょうか。

久保田政府参考人 お答えさせていただきます。

 ボウリングボール試験が何を指しているか明らかではございませんが、日本が採用している国連で策定された基準の中に、歩行者が自動車にはねられる状態を想定いたしまして、歩行者の頭部を保護するための基準がございます。具体的には、頭部を模擬したダミーをボンネットにぶつける試験がございまして、これによりボンネットが衝撃を吸収する性能を満たしているかどうか確認してございます。

藤岡委員 そうすると、恐らく、あれですけれども、大統領がおっしゃっているところの事実関係は違うということでよろしいですね。

久保田政府参考人 繰り返しになりますが、ボウリングボール試験、何を指しているかどうかは明らかでございませんが、今申し上げた国連基準というものはございます。

藤岡委員 赤澤大臣、これは、先日訪米、お疲れさまでございますが、このときにこの話はあったんでしょうか。

赤澤国務大臣 具体的な話はちょっとお話ししづらいですけれども、特に今のボウリングテストというような話があったという記憶は私にはありません。

藤岡委員 記憶にはないということでありますけれども。そうすると、この話は今後、どういうふうにまたアメリカに対してお話をしていかれますか。

赤澤国務大臣 どういう話をしていくかというのは、ちょっと交渉の中身なので、それについてはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。

藤岡委員 事実関係がやはりこれは異なっているということで説明をされていくというようなことも記者団に語っておったようですけれども、それはそういう方向ではいいんですか、せめて。

赤澤国務大臣 まず、御指摘のトランプ大統領のSNSにおける発信は承知をしておりますが、発信の逐一について政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 加えて、逆に、交渉の場でもし先方から何か出てきた話は、これは交渉事ですから、相手が持ち出した話を何も受け止めず無視するということはあり得ないんですけれども、しかしながら、実際にどんな交渉になるか、今後まだ分かりません、相手がこれから何を言うか分かりませんので、そういう点も含めて差し控えさせていただきたいのと。

 あと、政府としては、先週の米国の関税措置に関する日米協議も踏まえつつ、次回の協議に向けて、引き続き政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいくというのが申し上げられる最大限かなというふうに思います。

藤岡委員 何か、記者団に語っておられることと随分、国会になると非常に弱い方向になっているというふうなことがあるので、やはり言うべきことはきちんと主張していただきたいなということは強く申し上げておきたいというふうに思います。

 その次に、この後はデジタル赤字の問題を取り上げさせていただきたいというふうに思っております。

 先般も、AIの関係のときに、いろいろな参考人の方からもあり、赤澤大臣には財務副大臣のときに、一年数か月前にこのデジタル赤字の問題についてもお話をさせていただきましたけれども、まず、財務副大臣にお伺いしたいと思います。今日はありがとうございます。

 デジタル赤字の現在の直近の規模と、それから、国別ではやはり今アメリカが一番になっているのかということについてお伺いしたいと思います。

斎藤副大臣 お答えいたします。

 国際収支統計には、委員御案内のとおり、デジタル関連取引の項目そのものがございませんので、近似値といたしまして、そのデジタル関連の取引を多く含む項目でありますコンピューターサービス、著作権等使用料、専門、経営コンサルティングサービスの収支を合計いたしますと、近年赤字が拡大しておりまして、令和六年は六・七兆円の赤字となっております。

 次に、御質問の国別の計数でございますが、先ほど近似値として申し上げました三項目のうち、コンピューターサービスを含む通信、コンピューター、情報サービスの国別の収支を見ますと、米国やシンガポールへの赤字が大きいとの傾向が見られ、最新の令和六年一月から九月までの計数で、対米国では〇・七兆円、対シンガポールでは〇・三兆円の赤字となっております。

藤岡委員 このデジタル赤字につきまして、拠点をいろいろなところに置かれるので、主にアメリカのいわゆる巨大ITの関係が多いと言われていますけれども、拠点を散らしてというのがあるので明確にはあれですけれども、アメリカが一応一番だということで。

 その中で、このデジタル赤字の今後の推移ですね。経産省の方で試算をされていると思いますけれども、その試算には二〇二四年の直近のデータが入っていなかったので、直近のデータを加味すると、二〇三〇年ぐらいには一体デジタル赤字はどのぐらいに膨らむのかということについて、経産省の方からお答えをお願いしたいと思います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 AIを始めデジタル技術を取り巻く環境変化が非常に激しいということがございますので、今後のデジタル赤字を見通すことはなかなか難しいということを断らせていただいた上で、昨年十二月に行った経済産業省の半導体・デジタル産業戦略検討会議では、二〇二〇年度から二〇二三年度までの赤字の増加幅がそのまま継続した場合に、二〇三〇年度には約十兆円までデジタル赤字が拡大すると試算していますが、仮に同じ方法で、最新である二〇二四年の数字を用いて単純に機械的に計算すると、その数字は約十二兆円となります。

藤岡委員 デジタル赤字が、いわゆるスマホなどの利用に当たってということで、分かりやすくちょっと申し上げますと、これが、今の六・七兆円から、更に二〇三〇年には十二兆に膨らむ可能性があるというふうな御答弁だったというふうに思います。

 自動車に関して、日本とアメリカの関係で、関税局にお聞きすると、約六兆円ぐらい直近では自動車の関係で黒字になっているということでございますけれども、もちろんこれはアメリカ一国のデジタル赤字ということじゃないですけれども、拠点のということがあるので。これが実際に六・七兆円から十二兆円までということになると五・三兆円、自動車の実質黒字が本当に吹っ飛ぶようなことになっていると思います。

 赤澤大臣には、是非こういうことも含んでこれからの交渉に臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 今回の協議で私から米国側に申し上げているのは、今回の米国の関税措置が極めて遺憾であるということ、加えて、我が国の産業や日米両国における投資、雇用の拡大に与える影響等について私どもの考えを説明した上で、米国による一連の関税措置の見直しを強く申し入れたということであります。

 委員の御指摘でありますが、交渉のやり方にはいろいろあるわけでありまして、戦略とか手のうちとか、そういう類いのことに当たるものだと思いますので、今の御質問についても答弁を差し控えますが、米国の関税措置に関する今後の対応については、今回の協議も踏まえつつ、委員の御指摘ももちろんいろいろ考えさせていただきながら、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考え抜いて取り組んでまいりたいと思います。

藤岡委員 ありがとうございます。

 デジタル赤字の課題について、それで、何とかこれを解消していかなければいけないというのは、今日、恐らく委員の皆さんも同じような思いを持ってくださっていると思います。

 その中で、特に今後必要なのは、やはり今の国際課税の枠組みの中で、いわゆる第一の柱、第二の柱といって、一つは、アメリカの巨大ITなどの、いわゆるGAFAMなどを始めとして、拠点がやはり日本にないというふうな整理という中で、オンライン取引などによって、日本で消費をされたものを含めた、結局課税が十分にされていないというふうな課題があって、これは、IT業界の方からは、いや、一国二制度じゃないかと。日本に所在している企業はちゃんと税金を納めるけれども、結局、巨大ITのところでは課税されないので、事実上、日本のIT産業が競争上不利になるんじゃないかというふうな指摘もあるところであって、ここに対して、国際課税の中で、いわゆる第一の柱で何とか対応するというふうな感じの、デジタル課税の枠組みが進みそうだというところがあったと思います。

 もう一方、セットで、法人税の引下げ競争、拠点を法人税の低いところに移して、それで、結局また巨大ITも更に課税をというところの問題があって、第一の柱、第二の柱と。第二の柱は法人税の引下げ競争に対応するということでありますけれども、いわゆるデジタル赤字解消には、一つこういうふうな国際課税の枠組みをちゃんと機能させていくということも私は新たな取組として必要だというふうに思っております。

 ところが、やはりトランプ大統領の方から、各種の覚書で、これについて、例えば第一の柱の枠組みから脱退するような示唆をするようなことや、あるいは、いろいろな、様々なそうした対応に、第二の柱は、令和七年度の税制改正でも我が国も対応されておりますけれども、報復を示唆するかのような雰囲気のことも覚書で出ていることでございます。

 この国際課税に対するトランプ政権の主張につきまして、財務省にまずお伺いしたいと思います。

細田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、本年四月十一日に公表されました国際課税を議論するBEPS包摂的枠組み、IFと呼んでおりますけれども、その総会後の声明におきまして、アメリカを含むIFの参加国は、二本の柱の解決策等について積極的かつ建設的に議論を行ったこと、及び、特に第二の柱の実施と進行中の第一の柱の交渉に関し、国際課税システムにおける確実性と安定性の確保が決定的に重要であることを認識し、この目的の推進のために議論を継続することに合意したことを公表したところでございます。

 このため、日本としては、アメリカもIFにおける国際課税の議論に引き続き参加するものと考えております。

藤岡委員 そうすると、一月や二月に累次にわたっていろいろな厳しい覚書が出ておりますけれども、これは明らかに変わったという認識なんでしょうか。

細田政府参考人 御質問にお答えいたします。

 私どもとしては、アメリカもIFにおける国際課税の議論に引き続き参加するというふうに認識しておるところでございます。

藤岡委員 なかなか変わったか変わったかというは明言しづらいのかなというふうに思いましたけれども。

 そういう中で、一部報道で、日経の報道などでも、いわゆるパージ法案と言われるものだと思いますけれども、何かそういう措置を取った国に対しては、対象国出身の富裕層の投資家とか企業が米国内で得た利益に対して、いわゆる最長四年間にわたって毎年五ポイントずつ税率を上げていくというような法案が下院の共和党の議員さんから提案をされているというふうにも報道で出ているんですけれども、この法案は成立はしていないんですね。

細田政府参考人 お答え申し上げます。

 他国におけます議員立法につきましてお答えできる立場にはございませんが、アメリカの共和党の一部議員から、外国政府による域外税や差別税に関し一定の関与を行う法案が提出されているものの、成立はしていないものと承知しております。

藤岡委員 ありがとうございます。

 そうしますと、今、その協議に参加すると、アメリカも。是非、第一の柱、第二の柱を確実に、できれば実施していただきたいと私は思っています。

 その中で、第二の柱の法人税の話のところについては、これは当然デジタル赤字の解消に私は資するものだと思っておりますけれども、令和七年度の税制改正で我が国も措置をしました。

 問題なのは、政府の答弁は、これまで、制度の導入は行うべきだということで、導入は行うんだけれども、その後、それを予定どおり施行するのか、運用するのかということが非常に曖昧な答弁に私はなっているというふうに思っております。そう言わざるを得ないのかなということも、ある一定の理解はいたしますけれども。

 これは、第二の柱の対応については令和八年度から予定どおり実施をするということでよろしいでしょうか。財務副大臣にお伺いしたいと思います。

斎藤副大臣 御指摘のグローバルミニマム課税につきましては、世界各国における税制面での公平な競争条件を確保し、グローバルに活躍する日本企業を後押しする観点から、日本にとって意義のある制度であり、日本政府としては予定どおり実施すべきと考えております。

 したがいまして、議員御指摘の軽課税所得ルールにつきましては、令和八年四月一日以降に開始する事業年度からその適用を開始することとしております。

藤岡委員 はっきり明言をしていただいたと思っています。

 赤澤大臣、これは訪米のときに、この国際課税の話は出なかったですか。

赤澤国務大臣 具体的な中身については差し控えさせていただきたいと思います。

藤岡委員 その次に、第二の柱については予定どおり実施すべきだということでお話をいただきましたけれども、では、第一の柱につきまして、今後どういうふうに実施をしていくかというところが日本のIT産業にとっても大変重要なことだと私は思っております。

 その中で、まず財務省に確認したいんですけれども、副大臣に確認したいんですけれども、米国のいわゆる巨大IT企業などと日本国内の居住者との取引について、やはり課税が十分なされていないという認識だとか、あるいは競争上やはり不利になっているんじゃないかとか、ちなみに課税されていない金額はどのぐらいなのかとかということを含めて、今の認識を御答弁をお願いしたいと思います。

斎藤副大臣 個別の企業の課税状況に関してお答えすることは差し控えますが、一般論として申し上げますれば、現行の国際課税原則では、物理的拠点が存在する国が、その物理的拠点に帰属する事業所得に対して課税できることとされております。

 しかしながら、経済のデジタル化に伴いまして、市場国に物理的拠点を置かずにビジネスを行う企業が増加する中で、現在の国際課税原則では、こうしたビジネスから得られた所得に対して市場国で適切に課税が行えない問題が、我が国も含めて顕在化してきているものと承知をしております。

 また、このような問題に対して、欧州を中心に、各国独自のデジタルサービス税等が導入され、デジタル企業を多数有する米国との対立が深刻化しかねず、また、グローバルに活躍する企業にとっても、必ずしも好ましくない状況となっておりました。

 このような状況に対して、国際課税システムを安定化させるために、まさに委員御指摘になっておられるBEPS包摂的枠組みにおいて、第一の柱の多数国間条約の交渉が行われてきているところと認識をしております。

藤岡委員 課税が十分なされていないという認識はやはり持っているんだというふうに思っております。これは本当に大事なことだと思うんですよね。競争上不利とかなんとかということはなかなか言いづらいのかもしれませんけれども、やはりこれは日本のIT産業にとっては、私は競争上不利になっているというふうに思います。

 その中で、今、実際課税されていない金額というのはどのぐらいになるというふうに見積もられますか。

斎藤副大臣 先ほど、冒頭申し上げましたとおり、個別の課税状況についてはお答えしないこととなっておりますので、その金額という資料もございませんので、ちょっと御答弁は難しいということを御理解いただきたいと思います。

藤岡委員 是非これは調べておいた方がいいと思うんですよね。実際日本がどのぐらい不利になっているのかということを含めて、いわゆるGAFAMを始めとして、巨大ITに対してどのぐらい課税がされていないのか、本来すべきものだというところが漏れていないかというのは、やはりこれは調べた方がいいと思うんですよね。いかがですか、副大臣。

斎藤副大臣 国際収支の統計につきましては、我が国では、IMFの国際ルールにのっとって集計をし公表しているところでございますが、そういうところにデジタル取引の項目がないということも含めて、技術的な課題が様々ありますことは御理解いただきたいと思います。

藤岡委員 どうですか。技術的な課題はありますが、やりませんか、これ、ちゃんと。いかがですか。

斎藤副大臣 IMFのルールと異なる集計ということになりますと、どのように集計をしていくのかという技術的な課題でありますとか、これまでの統計との一体性でございますとか、様々課題もございますので、委員の御指摘として、まずは承りたいと思います。

藤岡委員 是非これはやっていただきたいなということを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、この第一の柱が、この割合からして、米国の賛成がなければなかなか実現できないということだと思うんですけれども、これはそれでいいのかということと、じゃ、それを今後はどういうふうに進めていくのかということを、これは是非しっかり進めていく必要があると思うんですけれども、斎藤副大臣の見解をお伺いします。

斎藤副大臣 今後の交渉の動向につきまして予断を持ってコメントすることは差し控えますが、経済のデジタル化に伴う課税上の課題に対応するために、BEPS包摂的枠組みにおいて、第一の柱の多数国間交渉が行われてきたものでありまして、具体的には、一部の欧州諸国が導入しているような各国独自の一方的な税制措置を廃止するとともに、市場国に新たな課税権を配分するということが議論されてきております。

 我が国といたしましては、第一の柱の多数国間条約が国際課税システムに安定性と確実性をもたらし、世界経済への悪影響を防ぐものであることを主張するなど、引き続き各国政府とよく議論いたしまして、早期の交渉妥結に向けた議論に貢献していきたいと考えております。

藤岡委員 是非これは行っていただく必要があると思うので、本当にしっかり頑張っていただければなということを申し上げたいと思うんですが、ちなみに、第一の柱がもし暗礁に乗り上げたら、ヨーロッパみたいな独自の課税というのを実施する考えはあったりするんでしょうか。

斎藤副大臣 今御指摘の独自の課税ということでございますが、一部の欧州諸国が独自の税制を一方的に導入したことにつきましては、様々な課題がある、米国の反発等あり、様々な課題があると認識しております。我が国としては、その点は慎重に検討すべきだと考えております。

藤岡委員 まず第一の柱をきちっと本当に機能するようにお願いしたいということを思います。

 もう一点デジタル赤字でお聞きしたいことがあるんですが、ちょっと先に、赤澤大臣に最後お伺いをしていきたいと思います。

 訪米の際の、参議院の予算委員会等でもるる議論になっていると思いますけれども、いわゆる安倍元総理とトランプ大統領との約束に関連した話でございます。

 いわゆる追加関税はしないというふうなことで確認をされているというふうに思うんですけれども、こうしたことについて、予算委員会で後藤祐一議員からも、きちんと、これは違反じゃないかということも含めて、やはり訪米時にも言ってきてほしいということも話をさせていただいております。

 赤澤大臣、貿易協定について触れたということは語っておられるんですけれども、これはどういうふうに、米側の反応でなくていいです、あくまで日本側としては、これはどういうふうに触れたんでしょうか。

赤澤国務大臣 今般の協議の中における議論の詳細については控えたいと思いますが、今般の米国政府による一連の関税措置について、日米貿易協定等との整合性に深刻な懸念を有している、こうした我が国の立場については、米国政府に繰り返し伝えてきているところであります。

 繰り返しになりますけれども、議論の更なる詳細、外交上のやり取りなので、つまびらかにすることは差し控えますが、我が国としては、引き続き、米国政府に対し、措置の見直しを強く求めていく、同時に、米国政府と緊密に協議を進めるなど、必要な対応を粘り強く行っていく所存でございます。

藤岡委員 訪米時にトランプ大統領には、その深刻な懸念等はお伝えになられたんですか。

赤澤国務大臣 やり取りの中身についてはちょっと我々触れたくないので、差し控えさせていただきますけれども、きちんと米側に、これについて、日米貿易協定等との整合性に深刻な懸念を有しているということについては繰り返し伝えてきておりますので、当然伝わっているというふうに理解をしております。

藤岡委員 時間が来ましたので終わりますが、本当に私は約束に違反していると思うんですね。これはやはり、きちんと伝えることは伝えていただきたいと思いますし、それが、伝えることが何かできているのかどうかよく分からない状況では、本当にちゃんとした約束が結ばれていたのかなということはやはり思わざるを得ないなということで、しっかり外交をやっていただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、大阪・関西万博についてお伺いをいたします。

 大阪・関西万博に関してのSNSの中では、非常に明るい、行ってよかったとか、行くだけで楽しいとか、そういった投稿もたくさんあるんですけれども、また、誹謗中傷やデマ情報などが日々後を絶たない状況になっております。

 最近のデマで一番大きかったのは、大屋根のリングが、はりがゆがんでいると指摘がされて、Xなんかに投稿をされました。一気に壊れて大惨事になるとか、崩落するのではといった反応がXの中で見られたわけでございますけれども、やはりこれはデマであって、夢洲は埋立地なので、それが地盤沈下しないように、建物が地盤沈下しないように、はりをあらかじめゆがめて造っているという構造だったわけでございます。

 ほかにもいろいろとデマが飛んでおりまして、例えば、二億円のトイレが初日で全部詰まって使えなくなるとか、あと、万博の使用権を今後六十年間中国に売って金にしたとか、いろいろとデマ情報が飛び交って、万博に行きたいなと思っている人が不安になったりとか、この大屋根のリングに関しては、一気に不安が広がって、もしも危険な人流が起きたらやはり大変だと思うので、こういったことは即座に万博協会の方で、SNSでデマを否定するということが大切だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

伊東国務大臣 三木委員には何かと本当に御支援をいただいておりまして、感謝を申し上げます。

 開幕をいたしましてからこれまでに八十万人を超える多くの皆様に会場にお越しいただいており、賛否両論、様々な御意見をいただいておりますが、その中に事実と異なる情報もあることは承知をしておりますし、ただいま御例示いただいたところでもございます。

 先日、リングのゆがみなど、一部安全性に関わる内容につきまして、事実と異なる情報発信がされた件につきましては、博覧会協会におきまして、来場者の皆様の御不安を払拭するよう、報道各社に対し、ゆがみではなく高さ調節のため斜めに設置されている部材である旨の説明を速やかに行ったものと承知をいたしているところであります。

 引き続き、このような事実と異なる情報に対しましては、博覧会協会におきまして、公式ホームページやSNS、メディアなど、様々な媒体を適切に活用して、正確かつタイムリーな情報発信を行うよう促してまいりたいと考えております。

三木委員 ありがとうございます。

 今、万博協会の方でされているのは、プレスリリースをして、その後にマスコミに書いてもらって、それを万博協会のホームページで発表するということだと思いますので、是非ともSNSでの発信というものも検討していただきたいと思います。

 それで、今日でちょうど万博開幕から十日がたったわけでございますけれども、問題点や課題も指摘されているところでございます。既に改善されている点や今後改善していく点などがございましたら、教えてください。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 開幕してから日々たくさんの方をお迎えしておりまして、その中で生じた様々な課題がございますので、博覧会協会とともに一つ一つ課題を解決していきたいと思っております。

 例えば、ゲートの入退場時の混雑という話がございました。例えば案内、誘導、これがうまくいっていないという指摘もございましたが、これは日々改善をしております。それから、ゲート前でチケットのQRコードがなかなか開きづらい、これも、通信がしづらいなんということもございましたので、これは移動基地局の増強ですとかWiFiの設置といった、こういった対策を取りまして、円滑に入場できるように取組を進めておるところであります。それから、事前にQRコードをスクリーンショットを撮っていただいて用意していただくとか、こういった呼びかけもしておるところです。

 それから、会場内の案内、これがなかなか分かりづらいというお声もございましたので、例えば、トイレの場所が分かるように、案内板を会場内に約七十か所ぐらい設置をして分かりやすくしているとか、それから、やはり今はスマホが必須でございますので、こういった中で携帯の充電切れが発生しているということで、充電ポイントを増やしたり、それからモバイルバッテリーの貸出数を六倍ぐらいに増やす、こういった対策を取っております。

 いずれにせよ、会期中に発生する課題、様々ございますので、博覧会協会と緊密に連携しながら、会期を通じて継続的に改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

三木委員 様々改善点を改善していっていただいているということで、ありがとうございます。

 様々な御意見が寄せられておりまして、それが、できるもの、できないものといろいろとあると思うんですけれども、例えば、三日前の予約、こういったものが先着順になっているのでなかなかサイトに行き着けないであるとか、当日の予約も、十万人ぐらいの方が入場していれば、当日予約をしようと思ってもなかなか、バツが続いていて、三角のところをやっと押したら、もう既に埋まっていますという表示が出て、じゃ、取り直そうと思ったら、また、あいうえお順でアラブ首長国連邦から来てしまうというようなことが指摘をされておりますので、アプリのことだと思いますけれども、そういったところを是非改善していただきたいなというふうに思います。これは要望で、お願いをしておきたいと思います。

 次に、万博のチケットの売行きについて、この十日間での実績をお伺いしたいのと、また、今後の見通しについてお伺いします。

伊東国務大臣 入場チケットの販売実績につきましては、累計販売枚数でありますけれども、四月二十一日現在、一千十三万枚であり、ようやく一千万枚を超えたということで、ほっとはしております。団体旅行など販売見込みを加えた総数は千二百四十三万枚相当になると承知をいたしております。

 開幕日以降、メディアでの露出も格段に多くなってきており、また、来場者の万博の中身への反応もポジティブなものが多く、実際に訪れた方々の声が広まっていくことで更にチケットの売上枚数が増加していくと期待をいたしております。

 政府といたしましても、開幕後も引き続き、博覧会協会と連携し、国内外のメディアやSNS等を通じた万博の魅力発信を継続し、万博の機運醸成を進めていきたいと考えているところであります。

三木委員 ありがとうございます。

 私も万博の方に行ってまいりました。各国のパビリオンは、日本にいながらにして様々な海外の知見を広められる、そういった貴重な経験ができます。子供たちにも是非安全にこの貴重な体験をしてもらい、未来に夢が描ける万博となりますように、私の方でも、日本維新の会でも努力をしていきますし、政府の方でも是非御努力をしていただくようにお願いを申し上げます。

 それでは、次の質問に入らせていただきます。今審議されている公益通報者保護法改正案についてお伺いをいたします。

 まず、この改正案の立法事実について御説明ください。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 近年の事業者の不祥事や実態調査結果等から、常時使用する労働者数が三百人超の義務事業者であっても、公益通報に適切に対応するための体制の不徹底や実効性の課題が明らかとなっております。また、近年の裁判例においても、労働者に対する不利益な取扱いが通報を理由とするものと認定された事案がありまして、依然として、労働者が通報をちゅうちょする大きな要因となっております。

 一方、多くの主要先進国では、人権意識の高まり等を背景に、例えば、通報を理由とする不利益な取扱いをした事業者や個人に対する制裁や不利益な取扱いをした理由の立証責任の転換について法律上の措置がなされる等、通報者の保護の強化が進んでおります。

 今回の法改正は、こうした国内外の動向を立法事実として必要な法整備を行うものであります。

三木委員 伊東大臣、もしよろしかったら御退席の方していただいて、所管外ということですので、大丈夫でございます。伊東大臣が御答弁していただけないというところでお伺いをしておりますので、内閣委員会でも違うというふうにお伺いしていますので、もしよろしかったら御退席ください。

 次に、今回の法改正について、法改正の原因となったのが兵庫県の齋藤知事だという報道やSNSでの投稿が見受けられますが、事実はいかがなのか。また、司法の場で結果が出ていない事案に対して、法案作成の際、参考にするのかどうかも併せてお伺いします。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正は、令和二年改正法の附則第五条の検討の規定に基づきまして、公益通報者保護制度をめぐる国内外の動向を踏まえて、公益通報を理由とする解雇又は懲戒に刑事罰や立証責任の転換を導入する等、必要な法整備を行うものであります。御指摘の兵庫県の事案を踏まえて対応するものではございません。

 我々としては、先ほど申しましたとおり、過去に起こった裁判例については立法事実として参考とするということでございます。

三木委員 私も、兵庫県が選挙区でございまして、兵庫県民でございますので、まるで齋藤知事が原因でこの法改正が行われ刑事罰が加えられるのだというようなSNSの誹謗中傷であるとか、そういったことはやはりきっちりと打ち返しをして、否定をしていきたいなというふうに考えておりますし、そういった、裁判で結果が出ていないことに対して、有識者会議の中で齋藤知事の名前も出たようでございますけれども、今回の法改正については齋藤知事は無関係ということを今おっしゃっていただきましたので、是非ともそういった認識を広めていきたいなというふうには思っております。

 次に、先日、兵庫県の第三者委員会の結果をもって、知事は納得をするべきとの答弁が伊東大臣からなされたことがございました。公益通報であったかどうかの最終的判断は司法に委ねられるべきものであることを考えれば、大臣の御発言というのは一定司法ののりを越える発言ではなかったかなというふうに私の方では感じております。

 このことに関しまして、大臣、いらっしゃいますけれども、所管外ということで御答弁いただけないということで、副大臣に御答弁いただきたいと思います。

鳩山副大臣 御質問にお答えをさせていただきます。

 去る四月十七日、衆議院消費者問題に関する特別委員会において、伊東大臣から、報告書について、一定の納得をしなければならないと申し上げましたが、これは、県議会及び県の第三者委員会においてかなり長時間にわたり審議されてきているものであって、事実関係について一定程度明らかになったことを踏まえて申し上げたものと承知をいたしております。

 御指摘のとおり、消費者庁としては、個別の通報への対応や、個別の通報が公益通報に該当するか等についてのコメントをする立場にはないと考えております。

三木委員 それでは、長時間審議されてきたので、その結果については納得できるものであるのではないかという一般論を申し述べられたということで、その第三者委員会の結果が正しいか正しくないかということは言及されていないということでよろしいでしょうか。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、一定の納得をしなければならないと申し上げましたのは、長時間にわたって審議なされたことを踏まえてでありまして、消費者庁としましては、御指摘のとおり、個別の通報への対応ですとか、あるいは個別の通報が公益通報に該当するか等についてはコメントする立場にないと考えております。

三木委員 ということで、こちらの方も、やはり結果というものは司法の場で判断されるということを今お伺いしましたので、そのように、併せて消費者庁の方も対応の方、お願いをいたします。

 それから、次に、消費者特で御質問が出ていると思いますので簡単にお伺いをしたいと思いますが、濫用的通報についてなんですけれども、濫用的通報と判断するに至るには、真実相当性がないと明らかなものや同一人物が何度も種類の違う文書を作ってばらまくなどが考えられますけれども、今後、どのような基準でもって濫用的通報と判断し、事業者の負担やそこに書かれている方々の名誉などを守ろうとするのか、お伺いをします。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 昨年、消費者庁に設置をしました有識者検討会におきまして、民間事業者から、自己の利益を図る目的ではないかと考えられるような通報が少なからずあるといった指摘をいただきました。

 事業者の公益通報への適切な対応を阻害したり、あるいは風評被害などの損害を生じさせたりするいわゆる濫用的通報につきましては、まずは事例を幅広く集め実態を調査する必要があると考えております。

 その上で、実態調査の結果も踏まえまして、公益通報者保護制度の健全な運営を確保する観点から、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

三木委員 非常に大切な視点だと思いますので、今回の法改正に関しましては、やはり事業者に対する負担の方が何か大きくなっているような気がしますので、これを濫用した人物に対してもやはりきっちりと処罰をしていくような、そういった法改正も次の法改正の中で盛り込んでいただきたいなというふうに思っております。

 次に、二号通報、三号通報についてお伺いをします。

 二号通報、三号通報で公益通報された側、つまり、その情報をもらった方、行政機関であるとか、議会もここに入ってくるのかなと思います。行政機関やマスコミ、そして、それらについて、通報を受けた側が、是正をするということで事業者にその情報を渡すというのは正式なルートであると思うんですけれども、悪意を持って情報漏えいをした場合であるとか、不注意でそれが外に漏れてしまったというような場合に、情報をちゃんと管理していなかったということで、二号通報先、三号通報先にも何か注意喚起や罰則などを設けるべきではないかと思いますが、いかがですか。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 まず、二号通報先につきましては、国の行政機関や地方公共団体の職員には、国家公務員法又は地方公務員法上、業務上知り得たことについての守秘義務がございます。違反した場合には刑事罰も規定をされております。これにつきましては、各行政機関等において職員に対する研修が実施されているものと考えております。

 また、消費者庁におきましても、外部の労働者等からの通報対応のガイドラインを作成しまして、国の行政機関及び地方公共団体に対して通報に関する秘密保持及び個人情報保護の徹底を求めております。引き続き、ガイドラインの周知に努めてまいりたいと考えております。

 一方、三号通報先につきましては、法律上規定されておりますのは、その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者とされております。

 これにつきましては、一般には、報道機関あるいは消費者団体、労働組合などがこれに該当すると考えられますが、これら以外にどのような先が三号通報先に該当するかについては、通報対象事実の内容によって異なり、全ての事業者や国民が三号通報先になる可能性があるということだと認識しています。

 このため、事業者及び労働者等に対する制度についての広報活動の中で、仮に労働者等から公益通報を受けた場合には公益通報者の個人情報等に十分配慮することが求められる点について、引き続き周知してまいりたいと考えております。

三木委員 今、行政機関の中には、公務員には守秘義務があって、それを破れば罰則もありますよというお話だったんですけれども、議会に対してはどうですか。例えば地方議会議員さんとか国会議員の事務所とか、そういったところに対してはどうですか。

藤本政府参考人 済みません。そこについては、ごめんなさい、ちょっと正確な情報が手元にありませんので、確認させていただければと思います。

三木委員 私も、いろいろな、通報であるのか怪文書なのかちょっと分からないんですけれども、そういったものが郵便ポストに入っていたりとか、そういったこともございました。事実かどうか分からないので、これはどうしたものかと警察に一応相談して、こういった事実はありませんとなると、シュレッダーにかけて処分をしたようなこともございます。

 そういったことが、やはり議員のところにも様々情報が入ってきますので、是非、公務員の方だけではなくて、地方議員それから国会議員、そういった事務所に対しても、やはりこういったことをきっちりと伝えていっていただきたいなというふうに思います。これは要望で結構でございます。また後ほど、そういったことに対する対処が何かあれば教えていただきたいと思います。

 この質問を終わらせていただきまして、関係大臣、関係副大臣の方々、御退席いただいて結構でございます。

大岡委員長 では、退席していただいて結構でございます。

三木委員 次に、AIで薬の体内分布や副作用を予測する技術ということで、アメリカのFDAが、新薬の臨床試験前に安全性確認のための動物実験を求めるのをやめて、人工知能、AIや、人の培養細胞を利用した代替技術に置き換えていく方針を発表しました。

 動物愛護の観点からも、やはり新薬に係る動物実験ということは非常に問題にもなっておりますし、また、新薬開発にかかる時間やコストも低減できるというふうに米FDAは発表しているんですけれども、こういったことを、やはり日本でも先進的に取り組んでいくべきではないかと思いますが、城内大臣の御見解をお伺いします。

城内国務大臣 三木委員御指摘のとおり、今月、四月十日ですか、米国食品医薬品局、FDAが、抗体医薬やその他の医薬品を開発する際に実施する動物実験の段階的な廃止に向けまして、AIやオルガノイドと呼ばれる細胞培養した組織等を利用した、動物実験を代替するような取組を進める旨の発表を行ったことを、私も、FDAのニュースリリースを拝見させていただきまして、そのことについては承知しております。

 こうした新しい代替試験法の活用に当たりましては、人での安全性を確認する手段として十分なものかどうか科学的見地から確認することが重要となりますが、御指摘のとおり、アニマルウェルフェア、動物福祉の観点からの動物実験の削減や、研究開発コストの削減、研究開発の迅速化に資するものでありまして、我が国としてもしっかりと取り組んでいくことが重要と考えております。

 このため、現在、日本医療研究開発機構、いわゆるAMEDでありますが、ここにおきまして、関連する研究開発課題を進めているところでありまして、今年二月に閣議決定いたしました第三期の健康・医療戦略におきましても、AI技術の活用による創薬の効率化、加速化や、ヒト予測性、これは新薬や治療法が人に対してどのように作用するかを予測する科学技術でありますが、このヒト予測性の高い動物実験代替法等の研究を推進していくこととなっております。

 引き続き、三木委員の御指摘も踏まえまして、医療分野におけるAI技術の活用や動物実験の代替試験法の研究を、アニマルウェルフェアの向上の観点からしっかりと後押ししてまいります。

三木委員 ありがとうございます。是非進めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まだ少し時間がありますので、お答えいただけるかどうか、ちょっと時間があれかもしれませんけれども、トランプ関税の問題について。中国が対抗措置で、レアアースを輸出しないという対抗策に出ておりますが、これにより日本はどのような影響を受けるのか、お伺いします。

大串副大臣 今月四日に中国が輸出管理の対象といたしましたレアアースは、磁石や電子部品などの幅広い産業分野で用いられる重要なものであるということでございます。

 今般の輸出管理措置によりまして実際に我が国に影響が及ぶかについては現状では不透明でありますけれども、中国政府や国内の関係企業との対話を通じて、状況をしっかりと注視してまいりたいというふうに思います。

 経済産業省といたしましても、中国の輸出管理措置が、我が国を含む世界中のサプライチェーンに影響を及ぼすことのないように、日中輸出管理対話などを通じて、中国と引き続き積極的に意思疎通を図り、適正な輸出管理が行われるように求めてまいります。

 また同時に、レアアースを始めとする重要鉱物の安定供給の観点から、補正予算等で計上いたしました出資金や経済安保助成金など、様々な支援策を通じて、供給源の多角化等の取組を進めてまいりたいと考えております。

三木委員 報道によりますと、ライセンスを申請して、それが、審査は不透明で、認可までに六週間、七週間から数か月もの期間を要することがあるというふうに報道されております。やはりレアアース、日本にとっても大切な重要物資でございますので、是非ともそれの確保に向けて御努力いただきますようよろしくお願いを申し上げまして、時間ですので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、菊池大二郎君。

菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎です。

 冒頭、城内大臣、先日、四月十九日がお誕生日だったとお伺いしまして、人生の節目に当たる御年齢になられたということで、心から祝意を表したいというふうに思います。私も、大臣のXでの昼御飯の投稿をたまにのぞき見しているんですけれども、御健康に留意をされて、ますます御活躍いただきたいというふうに思います。

 祝意と敬意を表しながらも、ちょっとナーバスな質疑をさせていただきたいというふうに思います。外国人土地等取得規制についてでございます。

 外国人による土地等の取得状況については実際に増えているような感覚がありますけれども、これは、実際、断定はできないと思います。我が国においては、正確な情報を知るすべが、厳密に言ってないという認識であります。例えば、法務省で管轄している登記制度においても、国籍は要件ではありません。政府としても、状況を把握する司令塔もない。部局が断片的に展開しており、骨太な方針がない以上、実効的な横展開ができていないというような印象でございます。

 昨今の我が国の情勢を見ておりますと、為替相場で円安が続いております。そしてまた、いい意味でインバウンドが好調だというところで、国内に訪問する方も、そしてまた居住する方、この不動産に対しても、いわゆる円安、為替相場の影響等もあって、そしてまた、各国で様々な、取得に関する規制、法整備というのは異なりますので、そういった意味では、我が国の法整備というのが非常に緩いという評価もできるんだと思いますけれども、国内に対して、訪問する、居住する、そういった外国人の方が増えている傾向にあるだろう。そしてまた、光と影という表現が合っているか分かりませんけれども、実際に来られる、居住する方が増えるということに伴って、比例して、それに対するサービスというのもきっと、我々が分からないところで、いろいろなネットワークを通じて顕在化しているんだろうと。

 本通常国会も、いわゆる外国免許切替え制度、外免制度と言われておりますけれども、こちらの議論もされております。他国と比べると、外国人が国内で運転しやすい環境にあると言っていいかもしれませんけれども、そういったところで、実際に白タクの違法行為も見られる。警察庁の方で、事前のレクでお伺いしたところ、白タク違法行為による検挙数は八十件、うち外国人によるものが十八件、十八名に及ぶということでございました。また、具体的に検挙はされておりませんけれども、一部報道によれば、緑ナンバーのいわゆる名板貸しを受けて違法営業する行為も危惧されるのではないかなというところでございます。

 いずれにしても、我が党でも、維新の皆さんと共同で、昨年末、外国人土地取得規制法案を提出しておりますけれども、計画をしっかり策定して、そしてまた、内閣に推進本部を設置して、総合的な対策が必要だろうというところで今回は議論をしていきたいというふうに思います。

 まず、重要土地等調査法でいう重要施設周辺等における土地建物の取得状況についてお伺いします。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 重要土地等調査法につきましては、これまで、重要施設の周辺等を注視区域又は特別注視区域に指定をし、現在、区域の土地等の所有、利用状況の調査を行い、その実態把握に努めているところでございます。

 昨年十二月には、令和五年度の注視区域内における土地建物の取得状況について取りまとめ、公表を行ったところでございます。

 今般の公表におきましては、令和五年度の区域内における土地建物の取得総数は一万六千八百六十二筆個であり、そのうち外国人、外国系法人による取得は三百七十一筆個、全体の二・二%でございました。

 なお、勧告それから命令の対象となります重要施設等に対する機能阻害行為は確認をされていないというところでございます。

 以上でございます。

菊池委員 視点を変えていきたいと思います。

 森林、これは水源地と言い換えることもできると思いますけれども、外国資本による森林取得の状況について、あと、実際、その取得後、トラブルはないのか、そしてまたトラブルへの対応等についてお伺いをしたいと思います。

長崎屋政府参考人 お答えいたします。

 林野庁では、外国資本による森林取得につきまして調査を行っており、平成十八年から令和五年までの累計で、居住地が海外にある外国法人又は外国人と思われる方による取得が三百五十八件、二千八百六十八ヘクタール、国内の外資系企業と思われる者による取得が三百三十四件、七千二百十一ヘクタール確認されております。

 違法な開発といったトラブルでございますけれども、外国資本が取得した森林について、取得後も市町村を通じて継続的に状況確認を行っておりますけれども、これまで違法な開発等が行われたという事例は報告されておりません。

 森林法では、外国資本であるか否かにかかわらず、所有者が取得した林地につきまして、一定規模を超えて普通林を開発する場合は都道府県知事の許可を要するほか、保安林を開発する場合は農林水産大臣等による保安林の指定の解除を要するといった措置を講じているところでございます。

 仮に違法な開発が行われた場合は、都道府県による監督処分が規定されているところでございまして、農林水産省といたしましては、これらの制度が適切に運用されるように、都道府県や市町村と連携しながら森林の保全管理に努めてまいります。

菊池委員 首都圏で言ういわゆるタワマンだったり、平場の土地の取得に対するいろいろな思いもあります。そしてまた、私は地方の出身でありますので、やはり背にする山林に対する地元住民の、例えばエネルギー開発、太陽光なんというところでよくいろいろと議論になりますけれども。

 そしてまた、つい先日、おととい私は岩手県大船渡市の林野火災の現地を見てきました。三千ヘクタール以上に及ぶ焼失であったわけでありますけれども、これはほぼ、ほとんどが民有林です。ということは地権者がいらっしゃる。これを地元の自治体が、災害復旧に向けて、厳密に言えば、地権者の意思表示を確認しながら災害復旧の計画を作っていくわけでありますけれども、じゃ、本当に、背にしている、地元と思っているこの山林、特に水源地が、外国人の方が購入されて、知らず知らずそういった実態になっていたという場合の作業とかというのを想像するに、仮定をするに、非常に、更に難儀な部分になってくるんだろうなというふうな部分も現場を回って感じました。

 一度こういった、エネルギーの開発行為だったり、今御答弁の中ではしっかり、都道府県知事そしてまた大臣の許可を得ながら、そういった開発行為によって違法行為が確認されれば監督処分をするということでありましたけれども、一たび開発行為に及んで、はっと気づいたときには時既に遅し。

 山林というのは回復するのも大変苦労がかかりますので、そういった、災害対策とかも含め、幅広の視点を持って、新たな抑止的な対応というところも可能にするような視点を是非持っていただきたいなというふうに思います。

 次の質問、視点を変えたいと思います。

 外国人が所有する不動産に係る相続が発生した場合、日本国民における相続手続以上の煩雑さや、登記情報、いわゆる公示されている部分と権利実態が合致しない状況を放置し、問題が出てくるのではないかなという私なりの問題意識がございます。

 現状の登記制度においてどう対応していくのか。申請主義でありますけれども、実際に申請してもらえないということも想定していく必要があるのではないかなと思いますが、現状の考え方をお伺いします。

内野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月から相続登記が義務化をされておりまして、相続により不動産を取得したことを知った日から三年以内に相続登記をすることが法律上の義務となってございます。この義務は、我が国の不動産を相続により取得した外国人、これにも及んでいる、こういう制度上の対応になっております。

 このため、相続登記の義務が適切に履行されるよう、国民各層に十分な周知を図ること、これはもちろん、外国人にも必要な情報を届ける、これは重要だと考えております。

 法務省といたしましては、全国の自治体、そして、やはりこういった場面では専門の資格者、この方々の御尽力というのも重要でございますので、専門資格者団体と連携をいたしまして、周知や広報の取組を進めておりますところ、外国人に向けても、法務省ホームページにおけます外国語での情報発信の充実や、各法務局、ここで、多言語電話通訳サービス、こういったものを用いた手続案内の活用、こういったものに取り組んでいるところでございます。

 引き続き、やはり関係省庁や日本司法書士会連合会などの関係団体と連携して、こういった丁寧な周知、広報、こういうものに努めてまいりたいと考えているところでございます。

菊池委員 丁寧な周知、広報だけではひょっとしたら済まないような、時間軸が後ろにずれたことを想定すると、出てくるのではないかなということを危惧しております。今はある意味取得の段階、そしてまた、そこから代が替わっていったときにどうなるんだいというところが、私は危惧をしております。

 私は、行政書士として遺産分割協議とかを、立ち会ったことがあります。相続登記が三年以内に義務化されたというのは大いに結構だと思います。空き地、空き家対策、所有者不明土地も九州ぐらいの面積があるというところが一つの立法事実だと思いますけれども、一代飛ばすだけで、本当に、地方、地域に散在してしまう相続人を確定して、そしてまた判こをもらって、年配の方であれば認知能力がどうなのかというところも遡って手当てをして相続をしていくわけであります。

 これが実際に、外国人に及んだ場合は、例えば売買というのは、基本的に物であっても土地であっても債権的には有効ですから、他人物売買も有効ですから、変な話、実態にそぐわない公示の情報を残しておいて、いつの間にか実態は違うというような悪用され方というのも、私は、これからこの登記制度そのものも含めて検討していく段階ではないかなということを御提案したいというふうに思います。

 続いて、更に視点を移しまして、国際的な枠組みの質問をさせていただきたいというふうに思います。

 外国人が土地等を取得することについて、国際的な枠組みの中で留意すべきことはないのでしょうか。いわゆるサービスの貿易に関する一般協定、GATSの加入時、このGATS十七条で言う内国民待遇を我が国は留保していないというところが、外国人にのみ土地の取得等を規制することが国際法上の関係で問題となる可能性があるのかどうか、現状の考え方をお聞かせください。

林政府参考人 お答えいたします。

 外国人によりますサービス貿易や投資に関する土地取得について内外差別的な規制を設けること、すなわち、外国人だけを対象とした規制を取る場合、我が国が締結しております、今委員からもお話がありました、サービス貿易に関する一般協定、GATS、また、投資関連の協定といった国際約束が規定いたします内国民待遇との関係におきまして問題が生ずる可能性があるということに留意する必要があると考えております。

 一方で、外国人によりますサービス貿易や投資に関連する土地取得に対する規制措置でありましても、内外無差別な形で導入、実施される場合には、我が国が締結しております国際約束との関係で基本的に問題が生ずるものではないと考えられるところでございます。

菊池委員 最後に、城内大臣に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 いろいろと、冒頭申し上げたように、司令塔が、私が申し上げるような趣旨でいう司令塔というのは今はないわけでありますので、大変厳しい質問になるかもしれませんが、大臣とは恐らく思いは一にするところが大変多いのではないかなというふうに思っております。

 防衛上のみならず、経済安全保障及び災害対策や水資源、生態系等の確保といった、真に国民の安全、安心に資する制度を構築するために、総合的な安全保障の観点から、外国人土地等取得規制について、より網羅的に、より実効的に、国際法や関連法も踏まえた体系的な対応を可能とする環境を整備していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

城内国務大臣 お答えします。

 冒頭、菊池委員から、誕生日に対する祝意を思いがけなくもいただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げます。

 お答えいたしますが、この外国人による土地取得に関する問題というのは、今日も、林野庁の方と、法務省と、また外務省からも答弁があるように、非常に省庁をまたがって多岐にわたるということですが、私はあくまでも重要土地等調査法を担当する大臣でございまして、その観点から御答弁申し上げたいと思います。

 重要土地等調査法は、国会や地方議会等での長年の議論を踏まえまして、我が国の安全保障等の観点から、重要施設周辺と国境離島等を対象として成立したものでございます。まずは、これらの地域における土地等の所有、利用状況につきまして、外国人によるものも含めて実態把握を進めているところであります。

 その上で、令和四年に施行されました重要土地等調査法には、施行後五年を経過した時点での見直しの規定も置かれていることから、政府といたしましては、法の執行状況や安全保障をめぐる国内外の情勢などを見極めた上で、更なる対応の在り方について検討してまいりたいと考えておりますが、ここは書いていませんけれども、一個人としては、菊池委員の御懸念については、一衆議院議員としては共有しておりますが、ただ、私は重要土地等調査法担当ということで、こうした答弁に限定させていただきたいというふうに思います。

菊池委員 ありがとうございました。

 冒頭申し上げましたけれども、リアルタイムのこの国土の状況を知るすべが果たして備わっているのかどうなのかというところの視点を持って、実態把握を可能とする対策を是非講じていただきたいというふうに思います。

 続いて、最後、こども若者シェルター事業について一点だけ、二つに分けて質問する予定でしたが、一括して質問いたします。

 こちらは、いわゆる親からの暴力だったりネグレクトによって、本来親から受けられるはずの支援が受けられない、そういった子供たちの居場所をつくって、そしてまたきめ細かな対応をしていくというような、昨年度から始まった事業なんですけれども、令和六年度の実績が残念ながら積み上がらなかったというふうに認識をしております。

 今春策定されたガイドラインを基に、いかに実効性のある制度として確立、運用していくか。これは、事業主体は都道府県等になります。自治体の理解を得ながら、そしてまた、関心のある事業者を後押ししていく取組が必要となると思いますが、いかがでしょうか。

源河政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御紹介がございましたとおり、令和六年度に事業を創設したところでございますが、令和六年度は残念ながら活用実績がございませんでした。

 ただ、自治体の方からは、ガイドラインを見て、スマートフォンの利用など生活上のルールの設定に係る留意事項が示されたことが参考になるとか、ガイドラインを基に事業実施要項を作成する予定といった声を聞いているところでございます。

 一方、問題点として、事業を実際に実施するに当たって、管内の子供、若者のニーズ、事業の担い手に関する情報の収集や整理、児童相談所を始めとする関係機関との調整など、一定の準備期間が必要との声も伺っております。

 こうした声も踏まえまして、引き続き、ガイドラインの周知を行うほか、事業実施を検討している自治体が抱えている課題に寄り添い、必要な助言や情報収集を丁寧に行っていくことで、本事業の展開をしっかり図ってまいりたいというふうに考えております。

菊池委員 この事業について私が最初に知ったのは、地元の、いわゆる関連の事業所さんでした。なので、現場のニーズはきっとあるんだろうなと。ただ、いろいろな、保護者との民法上の絡み、いわゆる監護権の問題だったりとか、そういったところに対して国がしっかりガイドラインを示してというのを都道府県は待っているんだろうというふうに思いますので、是非、有意義な制度運営になるように御尽力いただきたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 今日は、アイヌ民族の特別採捕に関して大臣にお伺いしたいと思います。

 早速ですが、現在、北海道の内水面においては、基本的にはサケ類は、これはマスも含みますけれども、禁漁となっています。一方、アイヌ民族の伝統的行事のためであれば、一定のサケの捕獲が可能です。これを特別採捕という言い方をしているんですけれども、サケの禁漁についての法令及び特別採捕を認めた法令の名前を、簡潔で構いませんので、大臣からお答えいただければと思います。

伊東国務大臣 内水面におけますサケの採捕につきましては、サケ資源の保護培養のため、水産資源保護法により原則として禁止されており、例外として、ただいま御例示ありました、農林水産大臣若しくは都道府県知事の許可を受けた特別採捕ができることとなっていると承知をしております。

 いずれにいたしましても、制度の詳細につきましては、所管官庁であります農水省にお尋ねをいただきたいと思います。

上村委員 ありがとうございます。

 前者は一九五一年に制定された水産資源保護法でありまして、具体的には、その第二十五条で禁止をされております。一方で、特別採捕を認める文書は、これは多分北海道の管轄になると思うんですけれども、北海道内水面漁業調整規則で、その五十二条で特別採捕を認めるということになっています。

 もう一回大臣にお尋ねしたいんですけれども、一九三〇年代ぐらいに、かつてアイヌ民族で国会議員をされていた萱野茂さんがいらっしゃいまして、萱野茂さんのお父様が、近くの沙流川でサケを捕ったら密漁として逮捕されたというお話があります。これについては御存じでしょうか。

伊東国務大臣 詳しくは存じ上げませんが、そのお話は聞かされたことがございます。

上村委員 知っていらっしゃる方が目の前にいると大変心強いんですけれども。

 四月九日の質疑で、私の方から、一八六九年に現在の北海道が日本に編入されたという指摘をいたしました。御存じのように、すぐに開拓使が設置をされ、間もなく北海道の内水面管理とサケの資源化が図られます。

 当時、政府は、北海道の開拓をお金にしようと思って、鹿猟とサケ漁、これで実は缶詰を作って海外に輸出をするということをやったんですけれども、その中で、北海道のサケの資源管理は支庁ごと、あるいは河川ごとにかなり複雑な管理が進められておりましたので、一概には言えないんですけれども、大体、一八七八年の開拓使乙第三〇号布達というのがございまして、これで、千歳川、豊平川などでのアイヌの自家消費のサケ漁も禁止するという規定が設けられました。同時に、違反した者は、先ほどの密漁者という形になるということであります。こうした禁止が様々な河川に広がり、あるいは行政区が広がっていく中で、先ほどの一九五一年の水産資源保護法で完成という形になるわけです。

 政府委員にお伺いいたします。こうして禁止されたサケ漁が、先ほどのアイヌ民族の文化伝承の名目で一定解禁されたのはいつの頃でしょうか。よろしくお願いします。

魚谷政府参考人 お答えいたします。

 昭和二十六年に制定をされました水産資源保護法によりまして、産卵するために河川に遡上したサケの親魚が産卵前に採捕され資源が枯渇することのないよう、河川等の内水面におけるサケの採捕を原則として禁止をしておりますが、各都道府県知事の許可を受けた場合にはサケを採捕できるということとなっております。

 その上で、平成十七年に、伝統的な儀式若しくは漁法の伝承及び保存並びにこれらに関する知識の普及啓発のために行うサケの採捕について、北海道知事の許可を受けて行うことができるよう、北海道漁業調整規則が改正をされたということでございます。

 さらに、令和元年に制定をされましたアイヌ施策推進法におきまして、農林水産大臣又は都道府県知事は、アイヌの人々が伝統的儀式等のために行う内水面におけるサケの採捕が円滑に行われるよう適切な配慮をする旨が規定されたことを受けまして、北海道において許可に係る手続の運用を改善する措置を講じたものと承知をしております。

上村委員 今、先のところまで御説明いただきましたので感謝申し上げたいんですけれども、今おっしゃられた北海道内水面漁業調整規則が改正されたのは二〇〇五年のことです。今お話しいただいたんですが大事なところなので繰り返しますが、第五十二条に、伝統的な儀式や漁法の伝承、これらに関する知識や普及啓発という目的が書き込まれ、この中で特別採捕というものがアイヌ民族に公開されたということがございます。

 実は、この背景のところは今説明されなかったんですけれども、先ほどのように、アイヌのサケ漁を禁止した状態の中で、一九八二年に、先ほどの豊平川で、新しいサケを迎える儀式、アシリチェップノミが多くのアイヌ民族の努力で復活いたしました。復活したんですけれども、このときは漁業権がアイヌに認められておりませんでしたので、主催者は何をしたかというと、河原に生けすを掘って、その生けすの中に市場で買ってきたサケを入れて、それを捕ったふりをして伝統行事をやったということがございます。これは、民族の文化や伝承を守るという意味では大変失礼な状況を生み出したということを行政の方で反省する中から、二〇〇五年の調整規則の改正があったという事実がございます。

 今日は、その問題ではなくて、その結果出た特別採捕がどういう問題を含んでいるかということを御指摘したいと思うんです。

 二〇〇五年にアイヌ民族に対する特別採捕が認められたという話をしたんですが、じゃ、元々この特別採捕は誰のためにつくられたのかということに関して、ほとんど政治の世界でも議論されていません。誰のためにつくられたかというと、北海道さけ・ます増殖事業協会という公益社団法人がございまして、この事業協会は、秋に川で捕獲したサケを全道百二十五か所のふ化場に送り、採卵して稚魚になるまで育て、春に放流しています。先ほども回答があったと思いますが、いわゆる資源管理をする団体であります。

 二〇二二年度の特別採捕許可の実績によれば、アイヌ民族の団体は、この許可が下りたところが十一団体、河川の数が十二本、そして、捕獲実績が全道で七百七十五匹という数字が上がっているんですけれども、これに対して、増殖事業協会の特別採捕の件数はどういう数字になっているかといいますと、許可を受けた団体は、これは地区団体なので九団体、そして河川数が百十四本、そして、捕獲したサケの数ですけれども、四百七万五千二百四十三匹という数字がございます。

 先ほどもお話ししましたけれども、この捕獲されたサケが、先ほどのふ化場は百二十五か所なんですけれども、この百二十五か所のふ化場で受け入れられるサケの量は百二十二万匹ということになっています。じゃ、その差額はどうなっているかというと、この協会が市場に卸して、その資金は協会の財源に充てられているということになります。

 もう一度申しますけれども、アイヌに対しては全道で七百七十五匹に対して、この事業協会は四百七万匹捕り、本当に必要な部分の百二十二万匹との差額は、自らがある意味では商業利用している。

 御存じのように、この前、四月九日に、ラポロアイヌネイションの方たちが、伝統的な行事のためにサケを捕りたいということで札幌地裁に訴えましたけれども、札幌地裁は、みんなの川なので、アイヌ民族だけの商業利用は認められないといって、これを敗訴にいたしました。

 では、もう一つの特別採捕をやっている団体のこうした数字というのは商業利用に当たらないのかということがこれまで議論をされてこなかったというのが大変大きな問題ではないかと思います。

 水産庁がいらっしゃるので、こうした実態に関しては把握をされていたでしょうか。

魚谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 北海道知事による特別採捕許可につきましては、先ほど申し上げた北海道漁業調整規則に基づきまして、試験研究、教育実習、増殖用の種苗の供給を目的としたもの、あるいは、内水面における伝統的な儀式、漁法の伝承、保存、これらに関する知識の普及啓発を目的としたものに許可を受けることができるという制度となっております。

 サケの人工ふ化放流事業を行う団体でございます北海道の増殖協会に対する許可につきましては、サケの増殖用の種苗を供給することを目的としている一方、アイヌ関連団体に対する許可につきましては、伝統的な儀式、漁法の保存、伝承等を目的としており、許可の内容については、それぞれの目的に応じて北海道知事が判断して発給しているということと認識をしております。

上村委員 伊東大臣がいらっしゃるので、今のように、はっきり言うと、水産庁では把握していない、北海道でやっているからということなんですけれども、こういう格差があり、ある意味ではその是正を求めてラポロアイヌネイションの方たちがこうした裁判を、裁判所に訴えるということもあったということを御理解いただきたいと思います。

 こういう意味で、今日はもう時間がないので最後になりますけれども、こういうお話を聞かれて、伊東大臣の感想を最後にお伺いできればと思います。

伊東国務大臣 今のお話、我々もこれまでも聞いております。

 根本的にちょっと違うんですけれども、アイヌ民族がサケを、昔から自分たちの食べる分について川で捕っていたということと、増殖事業協会が今、増殖を目的として、卵を取ることを目的として捕っているのとは、ちょっと性格が違うと思うんです。

 僕は、アイヌ民族の長老に、サケのお祭りがあったときに、伝統的なアイヌのお祭りがあったときに、今年も大漁であることをお祈り申し上げますという締めの言葉を使ったら、伊東さん、それは違うぞ、我々は自分たちが必要とする分を得ればいい話であって、他に売るとか出すとか、そういう部分では、たくさん捕ればいいという話ではないんだと。これは、シシャモについても言えますし、サケについても言えることだと思っています。

 ですから、元々、アイヌ民族は、自分たちが自分たちで消費する分についてのみ、その権利というか、それを認めてくれというお話をされているのだと思いますし、さけ・ます増殖事業協会が、採卵のためサケを捕獲して稚魚を放流している事業とは全く、ちょっと違う次元のお話だ、こう思っております。

上村委員 認識の違いを最後に伺ったので、ちょっと残念なんですけれども。

 文化を実行するための、お祭りのための採捕もありますけれども、元々その地域に生活をしていた方たちなので、生活のための採捕も含めて、実はアイヌ民族に権利があるということを確認して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、自衛隊観閲式、また自衛隊基地の航空祭における自衛隊機の低空飛行問題について質問いたします。

 昨年十一月の九日、陸自の朝霞駐屯地におきまして、石破総理出席の下、防衛省・自衛隊七十周年自衛隊観閲式が行われました。その際、朝霞駐屯地周辺において自衛隊機の観閲飛行が実施をされ、航空法で禁止をされている集団飛行及び最低安全高度以下の高度での飛行が行われました。人口密集地域における最低安全高度三百メートルを下回る低空飛行、編隊飛行が行われたわけであります。

 資料をお配りさせていただきました。

 一枚目にありますとおり、自衛隊から国交省に対して、最低安全高度以下の高度の飛行許可申請書が出されております。赤い線を引いてあるところですけれども、「低空飛行実施経路周辺の障害物等及び回転翼航空機における不時着地点 付図第三のとおり。」となっておりますが、その一枚を資料の二枚目につけておきました。

 国交省にお聞きします。

 航空法において、最低安全高度以下の飛行についてどのように規定をされているか、許可に当たって、緊急時の不時着陸地点を定めることが要件となっているのはなぜか、お答えください。

北澤政府参考人 お答え申し上げます。

 航空法第八十一条の規定により、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を確保するため、離陸又は着陸を行う場合を除いて、最低安全高度以下での航空機の低空飛行を原則として禁止しており、最低安全高度以下での飛行を行う場合は国土交通大臣の許可を受ける必要があります。

 最低安全高度以下の飛行の許可に当たっては、通常よりも低い高度で飛行するため、万一の際に不時着陸が可能となる地点を探す時間的猶予が短いことから、申請の際に、あらかじめ不時着陸地点を定めることを求めているものでございます。

塩川委員 基本、禁止をされている措置ですけれども、しかし、それを認めるような場合については、あらかじめ不時着陸地点を定めておくということが必要だということであります。

 最低安全高度以下の飛行許可基準には、緊急時の不時着陸を確保することが要件となっております。

 防衛省にお尋ねいたします。

 朝霞駐屯地の観閲式観閲飛行において、配付資料の二枚目にありますように、黄色い線で囲っているところが、回転翼航空機、ヘリコプターの不時着地点となっております。吹き出しをつけたのは、うちの事務所の方ですけれども。

 改めて、この黄色い枠で囲まれた不時着地点となっている場所がどのような施設なのかについて御説明ください。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度に実施した観閲式の観閲飛行においては、国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行する必要があったことから、航空法第八十一条ただし書の規定による許可を得るため、陸上自衛隊から国土交通省に申請をいたしました。

 委員御指摘の資料は、当該申請におきまして添付した、緊急の際に利用可能な不時着陸地点を図示した書面であり、当該申請の十四ページ目、配付資料の二枚目になりますけれども、こちらの黄色い線で囲った場所は、朝霞中央公園の競技場及び野球場、また、埼玉県立朝霞西高校など、各学校のグラウンドになるというところと認識しております。

塩川委員 小中学校のグラウンドですとか、朝霞中央公園にあります野球場や陸上競技場というのが対象で。

 今答弁にもありましたけれども、緊急時に利用可能な場所ということでヘリの不時着地点としているわけですけれども、この不時着地点となっている施設の管理者に、ここを不時着地点にしますよということを事前に連絡をし、またその了解を取ったということなんですか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 航空法第八十一条ただし書の規定による許可を得るために必要な申請におきまして、緊急の際に利用可能な不時着陸地点を図示した書面を添付することとされておりますが、当該地点について施設管理者の了解を得る必要があるとは承知しておりません。

 したがって、不時着地点となっている施設の管理者に事前に連絡し了解を取っていることはいたしておりませんけれども、航空法第八十一条ただし書の規定にのっとって適切な手続を行っており、手続に問題があったとは考えておりません。

塩川委員 緊急の際に利用可能な場所ということで、何かあったときにはそこに不時着するというふうに決めている場所だということです。ただ、その施設の管理者には事前に連絡もしていないし、了解も取っていないということです。

 この観閲式の当日に、これらのグラウンドや校庭というのが、様々な行事が行われていたんですけれども、それは御存じでしたか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 観閲式を実施するに当たりまして、観閲式当日の十一月九日のみならず、十月下旬から訓練及び予行等を開始するため航空機の飛行等を行うことを埼玉県や朝霞市などの周辺自治体に対して事前に周知を行っております。また、朝霞訓練場周辺の学校に対しても同様に、飛行訓練実施予定日など飛行予定をお知らせをしているところであります。

 観閲式の当日に御指摘の場所においてどのような行事が行われていたのか、具体的に承知はしておりませんが、観閲式当日を含め、航空機の飛行等、周辺自治体に事前に幅広く周知を行った上で飛行しているというところでございます。

塩川委員 航空機の飛行については事前に案内をしていますよ、学校関係にもその旨の通知とかがあったという話ですけれども、この学校の校庭やグラウンドを何かあったときのヘリの不時着の場所にしますよ、そういう連絡はしていないし、当然、了解も取っていなかったという話であります。

 去年の十一月の九日、自衛隊の観閲式の当日は土曜日であります。学校はお休みかと思いましたら、例えば、第八小学校では学校公開の日になっておりまして、全児童の引渡訓練を行う日だったんですよ。ですから、グラウンドに広く児童だけじゃなくて保護者も集まるような、そういう場所だったんですよね。また、第九小学校では、学校開放で団体による野球とサッカーの活動も行われておりました。野球場では中学生の野球大会が行われておりましたし、陸上競技場ではサッカー大会が行われていたわけであります。

 こういうように、ヘリの何かあったときの緊急の着陸場所にしているところに、多くの児童生徒や市民の方々が利用されておられる。そういった方々に何の事前の周知もしないで、何か危ないときにはヘリが行きますよと。こんなの、通る話じゃないじゃないですか。おかしいと思いませんか。

中西政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、御指摘の場所においての行事が行われたか、具体的に承知をしておりませんが、観閲式当日を含め、航空機の飛行については周辺自治体に事前に幅広く周知を行った上で飛行しておりまして、いずれにしましても、航空機の安全、飛行の安全については万全の留意をいたしまして飛行を行っているところでございます。

塩川委員 何かあったときに航空機の安全を確保するための不時着地点があるわけですけれども、しかし、そこを利用している市民の安全ということについて、事前に何らの配慮もしていないということじゃありませんか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 予定された離着陸場所というところがございまして、こちらはあくまでも緊急時において緊急着陸をする際の地点というところを、最低高度で飛行する場合においては時間が十分にないという観点から指定しているところでございます。

 その観点から申しますと、実際に緊急時におきましては、当然、地上の状況というところも確認しながら緊急着陸というところを行っているところでありまして、そういう万全の配慮を行って飛行を行っているというところでございます。

塩川委員 グラウンドを市民や子供たちが利用しているようなところに、行きますよなんというのをどうやって伝わるのか。そういう点でも、こういう対応は極めておかしい。

 官房長官にお尋ねします。

 総理が出席をした観閲式で、緊急時の自衛隊機の不時着場所を管理者の了解もなく勝手に指定するようなやり方を容認するんですか。

林国務大臣 今事務方からも答弁がありましたように、お尋ねいただいておりますこの観閲飛行につきましては、航空法第八十一条ただし書の規定に基づきまして、陸上自衛隊が国土交通省に対し申請するなど適切に手続を実施したもの、そういうふうに承知をいたしております。

 政府といたしましては、引き続き、関係法令等を遵守して安全に万全を期してまいりたいと考えております。

塩川委員 航空機が不時着をするような場所を市民が利用している、こういった事態を放置したままこんな観閲式を続けるのかということが問われているわけで、こういうことに対して、市民の安全を担保できないようなやり方であれば、観閲式を、こういう形で観閲飛行をやるというのは、これはもうきっぱりと中止すべきじゃありませんか。安全対策の対応を含めて、改めてお答えください。

林国務大臣 自衛隊が航空機を運航するに当たっては、関係法令等を遵守いたしまして安全に万全を期していく、これは当然のことであろうというふうに思っております。

 今後とも、引き続き、国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行する場合には国土交通大臣の許可を受けるなど、関係法令等を遵守いたしまして安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

塩川委員 今までどおりこんな市民の安全に配慮しないようなことを続けるということは認められない、こんな観閲飛行は中止をすべきだと強く申し上げます。

 自衛隊機の低空飛行は観閲式だけではありません。各地の自衛隊基地の航空祭でも、ブルーインパルスなどの展示飛行が行われております。

 資料の三枚目、四枚目ですけれども、三枚目が百里基地の航空祭、四枚目が入間基地の航空祭における航空機の不時着場所の地図であります。

 三ページの方の百里基地の航空祭の場合の不時着場所というのは、ピンクになっていますけれども、霞ケ浦や北浦や涸沼、そして太平洋と、大きな湖沼と海が示されております。しかし、内陸の入間基地の不時着区域は、入間基地の滑走路だけなんです。

 安全面で、入間基地の航空祭は大丈夫なのか。人口密集地域でのブルーインパルスの飛行、中止こそするべきなんじゃありませんか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 ブルーインパルスの飛行は広報活動の一環として行っているものでございます。我が国の平和と安全を守る自衛隊の活動は国民一人一人の理解と支持があって始めて成立するものだという観点で、広報活動を積極的に行い、国民の信頼と協力を得ることが重要と考えております。

 このような取組の一環として、ブルーインパルスは、ただいま御指摘のありました航空祭などで展示飛行を行っておりまして、多くの皆様に当該飛行を御覧いただくことは、自衛隊に対する認識と理解を深めていただく重要な機会と認識しております。

 国民の理解を深める上では、安全な飛行というところは当然の前提でございまして、関係法令を遵守して航空機の安全な運航に十分に配慮しながら、ブルーインパルスの展示飛行、今後も続けてまいりたいと考えております。

塩川委員 不時着の場所が滑走路だけでいいのか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 ブルーインパルスの展示飛行の実施に当たりましては、あらかじめ指定した不時着陸地点に緊急の際に安全に着陸できるように飛行の高度及び範囲を設定しているというところでございます。このようなことから、防衛省・自衛隊としては、不時着地点の数によって危険性が変化するとは考えておりません。

 いずれにしましても、ブルーインパルスの展示飛行に当たっては、安全な運航に十分配慮しながら行ってまいりたいと考えております。

塩川委員 この百里基地との対比を見てほしいんですよ。要するに、水面が一定確保できるといったところと、内陸の場合についてはそういう場所がないということですから、万が一何かあったときに本当に安全に対応できるのかというのが問われているわけであります。

 かつて、一九九九年に入間基地の航空機が墜落事故を起こして二人の隊員が亡くなるという痛ましい事故がありました。あの際にも、やはり人口密集地域でのこういった訓練飛行というのはなかなか大きな障害を持っているということが、その事故を取っても改めて問われているところであります。

 ブルーインパルスも、過去、訓練中に僚機が接触をすることによって水平尾翼の大半が欠損するようなことなどもありましたし、こういった実態も踏まえて、少なくとも首都圏など陸上部分での自衛隊機の低空飛行というのは、これはやはり中止をすべきだということを改めて求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

大岡委員長 次に、内閣提出、日本学術会議法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。坂井国務大臣。

    ―――――――――――――

 日本学術会議法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

坂井国務大臣 日本学術会議法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、日本学術会議の機能強化に向けて、その独立性、自律性を抜本的に高めるため、学術に関する重要事項に係る審議、大学、研究機関、学会その他の学術に関係する者の間における連携の確保及び強化、学術に関する研究を円滑に進めるための社会環境の整備、学術に関する外国の団体及び国際団体との交流等を行うことにより、学術の向上発達を図るとともに、学術に関する知見を活用して社会の課題の解決に寄与することを目的とする法人として、日本学術会議を設立し、その目的、業務の範囲等に関する事項を定めるものです。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、日本学術会議について、特別の法律により設立する法人とするほか、日本学術会議の目的等に関する事項を定めることとしています。

 第二に、日本学術会議の機関として、日本学術会議会員、総会、会長、監事、会員候補者選定委員会、選定助言委員会等を置き、それらの職務等を定めることとしています。

 第三に、日本学術会議会員は、優れた研究又は業績がある科学者のうちから、総会が選任することとし、日本学術会議は、客観性及び透明性を確保する方法でこれを行い、会員の選任の過程を国民に明らかにするよう努めなければならないこととしています。また、会長は、特に優れた研究又は業績があり、人格が高潔で、かつ、日本学術会議の業務を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する会員のうちから、総会が、その決議により選任することとし、日本学術会議は、会長が選任されたときは、会長の選任の理由等を公表しなければならないこととしています。

 第四に、日本学術会議の業務の範囲等について定めるほか、日本学術会議が、その適正な業務運営を確保し、また、国民に対する説明責任を果たすため、中期的な活動計画及び年度計画を作成し、毎事業年度の終了後における業務の実績等に関し、自ら点検及び評価を行うこと等を定めるとともに、内閣府に日本学術会議評価委員会を設置し、日本学術会議の自己点検評価の方法及び結果について、調査審議し、意見を述べることができることとしています。

 第五に、政府は、予算の範囲内において、日本学術会議に対し、その業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができることとしています。

 第六に、日本学術会議の設立準備に係る規定を設けるほか、現行日本学術会議法の廃止など、所要の規定の整備を行うこととしています。

 なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和八年十月一日としています。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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