衆議院

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第17号 令和7年4月25日(金曜日)

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令和七年四月二十五日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 大岡 敏孝君

   理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君

   理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君

   理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君

   理事 伊東 信久君 理事 田中  健君

      石橋林太郎君    石原 宏高君

      井野 俊郎君    江渡 聡徳君

      英利アルフィヤ君    大空 幸星君

      尾崎 正直君    加藤 竜祥君

      岸 信千世君    栗原  渉君

      小池 正昭君    島田 智明君

      田中 良生君    土田  慎君

      西野 太亮君    平井 卓也君

      平沼正二郎君    広瀬  建君

      福原 淳嗣君    宮下 一郎君

      山際大志郎君    山口  壯君

      若山 慎司君    市來 伴子君

      梅谷  守君   おおたけりえ君

      下野 幸助君    高松 智之君

      橋本 慧悟君    福田 淳太君

      藤岡たかお君    馬淵 澄夫君

      水沼 秀幸君    山 登志浩君

      猪口 幸子君    三木 圭恵君

      石井 智恵君    菊池大二郎君

      河西 宏一君    西園 勝秀君

      山崎 正恭君    上村 英明君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

    …………………………………

   国務大臣         坂井  学君

   内閣府大臣政務官     西野 太亮君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   松田 浩樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総合政策推進室室長)       笹川  武君

   政府参考人

   (内閣府日本学術会議事務局長)          相川 哲也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       中原 裕彦君

   参考人

   (日本学術会議会長)   光石  衛君

   内閣委員会専門員     田中  仁君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  石原 宏高君     大空 幸星君

  栗原  渉君     島田 智明君

  西野 太亮君     加藤 竜祥君

  山際大志郎君     福原 淳嗣君

  山口  壯君     小池 正昭君

  藤岡たかお君     高松 智之君

  山 登志浩君     福田 淳太君

  市村浩一郎君     猪口 幸子君

  河西 宏一君     西園 勝秀君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     土田  慎君

  加藤 竜祥君     西野 太亮君

  小池 正昭君     英利アルフィヤ君

  島田 智明君     若山 慎司君

  福原 淳嗣君     山際大志郎君

  高松 智之君     藤岡たかお君

  福田 淳太君     山 登志浩君

  猪口 幸子君     市村浩一郎君

  西園 勝秀君     河西 宏一君

同日

 辞任         補欠選任

  英利アルフィヤ君   山口  壯君

  土田  慎君     石原 宏高君

  若山 慎司君     広瀬  建君

同日

 辞任         補欠選任

  広瀬  建君     石橋林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     栗原  渉君

同日

 理事市村浩一郎君同日委員辞任につき、その補欠として伊東信久君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本学術会議法案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

大岡委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に伊東信久君を指名いたします。

     ――――◇―――――

大岡委員長 次に、内閣提出、日本学術会議法案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る五月七日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本学術会議会長光石衛君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房長松田浩樹君外三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大岡委員長 この際、坂井国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂井国務大臣。

坂井国務大臣 先日、四月の十八日の衆議院本会議の私の答弁におきまして、候補者選考委員会と申し上げるべきところを候補者選定委員会と間違えて御答弁申し上げていたということでございます。御迷惑をおかけいたしまして、申し訳ございませんでした。訂正いたします。

大岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。市來伴子君。

市來委員 立憲民主党の市來伴子です。

 先週の金曜日に、私、本会議でこの日本学術会議法案について質問をさせていただきまして、答弁を聞きまして、やはりこの学術会議法、立法の根拠、そしてプロセス、そして内容、全てが問題があると言わざるを得ないと思います。

 まず、立法の根拠について、私は本法案の立法事実があるのかと申し上げました。菅義偉政権時の六名の任命拒否問題が法人化のきっかけになっていることは、これは客観的に見て明らかでありまして、その説明責任を果たさないまま、既に一連の手続は終了しているという答弁しか出てこないことは非常に残念に思います。

 そしてまた、驚きましたのが、学術会議は社会の役に立っていないという批判がございました。その際、坂井大臣からも答弁がありましたけれども、学術会議は社会の役に立っていないのか、もう一度お答えいただけますか。この七十六年にわたる学術会議の活動をどう評価しているのか。学術会議は社会の役に立っていないから法人化するんでしょうか。伺います。

坂井国務大臣 まず、ナショナルアカデミーは、主要先進国、G7加盟国を始めとする海外諸国に置かれており、各国アカデミーや国際学術団体と連携をして学術の発展のためにグローバルな活動を行うとともに、政府から独立した立場で中長期的、俯瞰的な見地から政府や社会に対して学術的なエビデンスを提供することなどを重要な役割としているものと承知しております。

 学術会議は、先日の学術会議会長の声明にも書かれているように、例えば南極地域観測などのほか、数多くの共同利用研究所や研究機関の創設に関与したと承知しております。また、科学的助言等を行うとともに、G7の科学アカデミーの一員として、あるいは四十二に及ぶ国際学術団体に加盟して、世界の学界と連携して学術の進歩に貢献してきたと承知しております。

 しかしながら、有識者懇談会の最終報告書においては、設立以来七十五年余りの学術の進歩と社会の変化を踏まえると、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められており、国の機関のままの改革では限界があることから、機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めるため、よりよい役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として、学術会議を法人化することが提言されたところでございます。

 この法案は、以上のような報告書の内容を踏まえ、学術会議とコミュニケーションを取りながら取りまとめたものでございます。その上で、このような機能強化のための法人化には学術会議も反対していないと承知しており、また、この法案は、学術に関する高い識見と幅広い経験を有する方々に懇談会の委員として議論していただいた報告を踏まえて取りまとめたものであります。

 学術会議が、国が設立し国の財政的……(市來委員「短く」と呼ぶ)済みません、最初だけ申し上げます。財政的支援を受けて運営される法人となる以上は、その活動、運営が法律の定める目的に沿って適切に行われることを担保するための仕組みは法律で定めるのが当然でありますが、最低限必要なルールは法律で定めているが、詳細については学術会議が自律的に定めることができるようにしているところでございまして、御理解をいただくために、私や政府参考人共々、丁寧に御理解をいただくために答弁をさせていただきたいと思います。

市來委員 質問している以外のことは答弁なさらなくて結構ですので。

 学術会議は社会の役に立っているかという話と、あと、坂井大臣自らがどのように評価しているかということなんです。端的にお願いします。

坂井国務大臣 今までの流れの中で、実績として、今まで学術会議が関与してきた、重要な役割を果たしていると承知をしておりますが、これから先、より一層の機能強化を求められている状況にあるという認識をしております。

市來委員 今日皆さんにお配りしています、学術会議が設立当初以来出してきた、表出されてきた文書の一覧でございます。二〇一七年からの第二十四期では、政府からの審議依頼に対する回答が三件、提言が八十五件、報告二十三件、その他二十三件、計百三十四件も出されています。これは設立当初より多くなっているんですね。

 そこで、今日は、光石会長、学術会議現会長に来ていただいておりますけれども、こういうような実績を積んでいらっしゃる学術会議、そして、学術会議が社会の役に立っていないという批判、この批判を会長はどのように受け止めていらっしゃるんでしょうか。

光石参考人 お答えします。

 日本学術会議は、科学者としての意見を政府や社会に対し提示する役割として、これまで多くの提言等を政府、社会に対して発信してきたほか、世界各国のアカデミーや国際学術団体と連携、交流を行う国際活動、学協会との連携や地域における活動など科学者間のネットワークを構築する活動など、内外に対する科学者の代表機関として使命を果たすため、様々な活動を行っております。

 例えば、令和五年九月に公表した提言、未来の学術振興構想は、今後二十から三十年頃先までを見据え、学術の中長期研究戦略を示すものとなっております。また、令和六年十一月に公表した、第七期科学技術・イノベーション基本計画に向けた提言は、政府における基本計画の策定に向けて、社会課題の解決に学術的知見が最大限活用されるようにするとともに、それを可能とする学術の更なる発展を促すものとなっております。

 日本学術会議は社会のお役に立っていないとの批判があるとすれば、活動を真摯に見直すことも必要ですが、同時に、国民に分かりやすく私たちの活動を知っていただくための情報発信につきましても、更に工夫して取り組んでいかなければならないと考えております。

 日本学術会議は、前期に、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」、そして今期に、日本学術会議第二十六期アクションプランを公表し、自ら改革に向けて歩みを進め、タイムリー、スピーディーな意思の表出や学術の進むべき方向性の提示、国際活動の強化、国民や経済界とのコミュニケーションなど様々な取組を実現してまいりました。今後も、世界及び国内の社会課題の解決に寄与しつつ、学術の更なる発展のために自ら行動し、更なる改革を進めてまいりたいと考えております。

市來委員 私は、学術会議の名誉のためにも、この七十六年の歩みをあたかも全て否定するような批判はあってはならないと思っております。

 私が確認した限りですけれども、震災関係、三・一一の関係では三十五件も提言を出されている。そして、新型コロナウイルス感染症が広がり始めた二〇二〇年には、感染症対策、その年に二件提言をされています。

 むしろ、学術会議は諮問会議なわけですから、時事的な問題があれば、政府がしっかりと諮問や審議依頼をすればいいわけでございまして、政府がもっと積極的に活用するべきだと思います。これから新法人をつくろうとしているんですが、積極的に活用していくんですか、政府は。伺います。

坂井国務大臣 まず、学術会議に対しましては、令和四年、三件の審議の依頼をしていると承知をいたしております。

 設立当初、七十五年以前は、科学技術庁もまだなくて、学術会議に、唯一の、ある意味機関であったということであります。

 今後は、今は、科学技術会議等を経て、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIができ、政府にテーマごとに置かれる審議会も含め、いろいろな形がある中で、学術会議にも大いに役割を果たしていただきたいと思っております。

市來委員 先ほど光石会長から、自主的な改革をされていることを伺いましたけれども、自己改革についてどういうふうに取り組んでこられたか、伺います。

光石参考人 お答えします。

 日本学術会議は、前期、第二十五期において、令和三年四月の総会で、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を承認し、公表いたしました。

 「より良い役割発揮」の具体的な内容としては、まず、政府から提起された日本学術会議の設置形態をめぐる検討の結果について記しております。さらに、日本学術会議自身が改革課題と考えて検討してきた、国際活動の強化、日本学術会議の意思の表出と科学的助言機能の強化、対話を通じた情報発信力の強化、会員選考プロセスの透明性の向上、事務局機能の強化の五点について改革の内容を記載しております。

 さらに、令和五年十月から開始した第二十六期においては、私自ら日本学術会議第二十六期アクションプランを掲げ、「より良い役割発揮に向けて」により進めてきた改革の取組を更に加速しているところでございます。

 具体的には、アクションプランに、タイムリー、スピーディーな意思の表出と助言機能の強化、学術の発展のための各種学術関係機関との密接なコミュニケーションとハブとしての活動強化、ナショナルアカデミーとしての国際プレゼンスの向上、産業界、NGO、NPOを始めとする多様な団体、国民とのコミュニケーションの促進、学術を核とした地方活性化の促進、情報発信機能の強化、事務局機能の拡充を含む企画、執行体制の強化の七つの項目を挙げ、例えば、第七期科学技術・イノベーション基本計画に向けての提言や、生成AIに関する提言の発出、それから、海外のナショナルアカデミーとの連携の場として国際アドバイザリーボードの創設、学術を核とした地方活性化の促進に関する検討委員会の設置と、学術の観点から地方活性化をより広範囲で促進するための効果的な政策についての検討の開始など、日本学術会議の会員、連携会員が協力して様々な改革の取組を進めているところであります。

 「より良い役割発揮」及びアクションプランに基づき、今後も更なる改革に向けて取り組んでいく予定です。

市來委員 このように改革をされてきた中で、坂井大臣が言われる、現学術会議の限界があるという根拠がよく分からないんですね。

 次に、法案作成のプロセスについて確認していきたいと思います。

 二〇二三年八月に、学術会議を国から独立した法人とする案を俎上にのせて議論し、早期に結論を得るとして、日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会を立ち上げました。有識者懇談会は、二〇二三年の十二月二十一日に中間報告を出すんですけれども、その中間報告が出される前の十二月九日、第百九十回学術会議総会が開かれます。その総会の場で、笹川武政策統括官が法人化について説明をしております。

 今日は、笹川さんの発言の一部を抜粋してきたものを皆さんにお配りをしておりますけれども、これは、これから法人化をすることに当たっての笹川さんからの発言です。

 この法人化について、主務大臣の監督認可というようなことは書いてございません。独法などとは別のオリジナルな唯一の法人をつくります。そしてまた、国立大学法人のイメージで進めていくのかということであれば、そういうことでは必ずしもなかろう。特別の唯一の法律を作る。恐らく唯一のオリジナルな法律を作っていく。そして、もし独法、独立行政法人の計画とか評価が、何かすごい、皆さんのお話を聞いていると、えらいネガティブな感じで捉えられていて、そこはそうじゃないものにしていきたいと思っています。こういうふうに述べられているんですね。

 こういう発言があったことを政府は認識をされているか。そして、光石会長、この場にいらっしゃったと思いますが、これを実際に聞かれたと思います。どう受け止めたか、お願いいたします。

坂井国務大臣 この発言があったということは承知をしております。

光石参考人 令和五年十二月に開催された日本学術会議第百九十回総会において、内閣府の担当室長から御指摘のような発言があったことは記憶をしております。

 日本学術会議としては、令和三年四月の総会で承認した「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」において、仮に国の機関以外の設置形態を採用するとすれば、個別の法律を制定して、ナショナルアカデミーが満たすべき五要件全てを満たす特殊法人を考える余地ではないとしているところでございます。

 日本学術会議の任務は、政府の定める中期目標の達成に向けて、政府が任命する法人の長の下で計画的に業務を遂行するという独立行政法人の性格とは異なるものでありますので、独立行政法人の制度をそのまま適用することは困難であります。

 内閣府の有識者懇談会の場では、中期計画など独立行政法人類似の制度を導入することへの懸念を表明することを行ったところであります。

市來委員 今会長がおっしゃったように、学術会議は、二〇二三年の十二月時点で、独立性を担保すべく、独立行政法人とは違う、特別な法の下に法人化すると説明を受けていました。しかし、実際に出された法案は、独立行政法人の法律を準用した特殊法人であったということでございます。

 このような経緯によって、更に学術会議の皆さんが今異議を、いろいろな方が唱えていらっしゃいます。こういう経緯があったからこそ、今まさに遺憾であるというような声明が出されたと思いますが、坂井大臣、いかがですか。

大岡委員長 先に光石会長から訂正をお願いします。

光石参考人 済みません。

 先ほど、特殊法人を考える余地がないわけのところなんですが、正確には、特殊法人を考える余地がないわけではないというのが正しいので、訂正いたします。

 申し訳ございません。

坂井国務大臣 いろいろな経緯があったということでございますが、その後もいろいろコミュニケーションを取って、そして丁寧に御説明をいただく中で、今現在は、法人化に学術会議も反対をしていないと承知をしているところでございます。

市來委員 このプロセスについて、笹川さんはこのときに、具体的な制度や設計については、もちろん学術会議の御意見、あるいは懇談会の議論を踏まえながら、今後進めていく、考えていくということでございますと発言しているんですけれども、では、お聞きしますが、光石会長、この日本学術会議法案、閣議決定前に法案を御覧になりましたか。

光石参考人 法案の全体像ということであれば、二月十三日に開催いたしました幹事会において、内閣府総合政策推進室から法案の検討状況について説明を受け、質疑を行いました。

市來委員 法案そのものは、閣議決定前に見られましたか。そして、法案を見たのはいつですか。

光石参考人 先ほど申し上げました二月十三日ですけれども、法案の全体像は見てはおりますが、法案そのものではございません。

市來委員 それでは、法案そのものは、閣議決定前には見ていないということでよろしいですか。もう一度お願いします。

光石参考人 先ほど申し上げましたように、二月十三日には、全体像は説明は受けておりますということです。

市來委員 コミュニケーションを図ると言いながら、法案を出す閣議決定をする前に、学術会議の現会長は法案そのものを見ていないんですよ。これは非常に、こういったプロセス、おかしいと私は思いますし、こういう、閣議決定前に法案を見せなかった、その理由についてはどういうふうにお考えになっていますか。これは、坂井大臣と、あと笹川政策統括官、今日いらしていますので伺います。

坂井国務大臣 一応、法案は、閣議決定をして正式に決定をするということになっておりまして、通常、法案決定後に公表されるということでございますので、そのプロセスだったと思います。ましてや、それまでに、当然、学術会議側とそれぞれの中身についてはやり取りがあったものと思いますが、それは政府参考人から答弁をさせます。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 光石会長が先ほどおっしゃったとおり、法案そのものを御覧いただいたのは閣議決定の後ということになります。ただ、今大臣から申し上げましたとおり、それまでもいろいろな情報交換、情報提供、意見交換をさせていただいておりまして、先ほど会長がおっしゃった、二月に法案の概要というか検討状況の説明を聞いた、その場でも、ほぼ法案と言っていいものを御提供し、御説明させていただいたところでございます。

 それから、済みません、先ほど私の名前を出していただいて、令和五年の話がございましたが、私といたしましては、あのときの発言そのとおりにこの法案はなっていると思っていまして、この法人にふさわしい、ユニーク、オリジナルな固有の設計をするために特殊法人にしたということでございます。

 ありがとうございました。

市來委員 法人化をすることは、学術会議は否定しないとおっしゃっているんですが、法人化の内容については、やはり批判されているわけですよ。独立性が担保されないと皆さんおっしゃっているわけですから、政府はしっかりコミュニケーションをしてきたと言いますが、私は、このプロセスは全くおかしなものだと思いますし、学術会議の理解なしにこういった法案を押し通すのは間違っている、そして、禍根を残すものでしかないと申し上げておきたいと思います。

 そして、先ほど、独立行政法人、唯一の法律であると笹川さんはおっしゃっていましたけれども、元々学術会議のような組織は、ボトムアップなわけですよね。この独立行政法人というトップダウン的なたてつけ、これはなじまないと私は思いますし、答弁でも、例えば、監事の代表権について、これは独立行政法人を準用しているような答弁がありましたけれども、こういったこと、なぜ独立行政法人の準用をしなければいけないんですか。伺います。

坂井国務大臣 この法案は、懇談会の報告書を踏まえて作成させていただいているものでございますが、学術会議を特別な法律により設立される法人、特殊法人とし、学術会議の独立性及び自主性、自律性を尊重し、学術会議にふさわしい固有の制度設計を行うこととしたものであります。

 法技術的に、準用するということは、直接適用されない別の仕組みを当てはめるということを意味しており、準用という規定を設けていることは、まさに新法人が独法通則法に基づく独立行政法人とは別の法人類型であるということでありますが、しかし、国のお金が入るわけで、財政的支援を受けて運営される法人でありますので、その活動、運営が法律の定める目的に沿って適切に行われることを担保するための仕組みは必要だということでございますので、先ほど申し上げた準用をさせていただいたということでございます。

市來委員 国が財政を投入するから、監事は非常に権限が強いというたてつけなんですよね。(坂井国務大臣「いや、違います」と呼ぶ)

 じゃ、もう一度お願いします。

坂井国務大臣 いや、監事は、基本的にはほかの法人と全く同じ扱いになっておりますので、特別、監事が、今回、学術会議の法人の監事が権限が強いというものではございません。

市來委員 権限が強くないとおっしゃるので、では、監事の件に行きますね、ちょっと間は飛ばしますが。

 監事は権限が強くないとおっしゃられているんですが、私は比較しました、ほかの特殊法人と。そうしましたら、まず、監事は役員でございます、法律では。役員になっているんですが、総会の議決は必要としておりません。しかし、ほかの特殊法人、例えば沖縄科学技術大学院大学では、監事は評議員会の決議によって選任するとされています。

 ほかの法人と比べて同じであるという理屈は成り立たないと思いますし、なぜこういうたてつけになっているのか、伺います。

坂井国務大臣 監事は、その職務の性質上、法人の業務執行機関に対して独立の地位を保持する必要がございます。その選任は、業務執行機関の選任とは別個に行われ、業務執行機関の長により選ばれることはないと承知をいたしております。

 新法人においては、総会が業務全般及び経営に関する重要な意思決定を行います。業務及び経営に責任を負う総会が監事を選任することはできないと考えるものでございます。

 国が学術会議の監事を任命するのは、国が設置し国の財政的支援を受けて運営される法人が適法、適正に運営されることを設置者として担保するためでございます。

 なお、監事は、御指摘のとおり役員の一人でございますが、ほかの役員とは圧倒的に異なっておりまして、法人の運営に職務として直接携わることはできません。会長を補佐し、学術会議の意思決定に関与する役員会の構成員となることはできないものとされているところでございます。

市來委員 監事が、今回の法案は非常に権限が強くなっているんですよ。それはほかの役職とのバランスもあります。

 例えば、再任の問題。これも、ほかの法人と同様だとの答弁でございましたけれども、ほかの法人、同じ特殊法人である沖縄振興開発金融公庫、これは監事だけでなくて、理事長や副理事長、ほかの役員も再任制限はないんです。しかし、学術会議は、会長や副会長に再任制限がある一方、監事には再任制限がないと。

 これはバランスがおかしくないですか。伺います。

坂井国務大臣 監事は、法人の業務が適法に行われることを監査することを職務とするものであり、法案における監事の所掌事務に関する規定も、他の法人における監事と同じく一般的なものであることから、任期についても他の法人と同様に制限を設けていないものでありますが、特殊法人の役員の再任や任期に関しては様々な運用上のルールがあると承知しており、これらのルールも念頭に運用をしていく予定としております。

 例えば、特殊法人の役員の選考についてにおいては、役員の長期留任は、これを避けることとし、原則として、その在職期間はおおむね六年を限度とすることとなっております。

市來委員 ほかの法人と同様にでは、まだ駄目なんですよ。学術会議は独立性を担保すべき法人であると政府は言っている一方で、ほかの法人と同様であると一方では言っているわけです。そこにまず矛盾がありますし、先ほどの笹川さんの、オリジナルな唯一の法人をつくる、これは同様じゃないですか、監事の権限。監事の権限、同様ではなくて、更に強い権限を持っているわけですから、これはやはり見直す必要が私はあると思います。

 そしてまた、監事が施行日前に内閣総理大臣に指名されるとされているんですよね。この学術会議の法律の施行日前に監事が指名される。しかし、その監事の役割が明記されておりませんが、この監事は、施行日前に指名されて、どんな業務を行うんでしょうか。

笹川政府参考人 先ほどの再任制限のところでございます。

 今回の機能の見直しについては、有識者懇談会それからその下のワーキングで合計三十三回やってきたわけですけれども、その中で、会員の定年とか任期、再任の話もいたしました。我々からは、再任の回数は二回でも三回でもいいのではないかということも一つのオプションとして提案されましたが、やはり余り長くなるといかがなものかというお声は懇談会の委員からもありましたし、学術会議からもそういう話をいただいたので、結果的に再任一回でいいんじゃないかということは、会員の話ですけれども、したわけです。監事については、先ほど大臣から申し上げたとおり、ほかの独法や何かとのバランスということでございます。

 それから、ついでですので、施行日前の話をよろしいですか。(市來委員「はい」と呼ぶ)

 おっしゃるとおり、施行前に施行日に監事となるべき者を指名するということになっていますけれども、これは要するに、施行日に必ず監事がいないといけないからあらかじめ指名しておくという趣旨でございまして、先生お尋ねのとおり、施行前に、じゃ、どういう仕事があるのかということについては、一切そういうことは想定しておりません。仕事はないけれども、当日いないのは困るからあらかじめ任命しておく、そこはそういう趣旨でございます。

市來委員 今、有識者懇談会のことを言われましたので言いますが、有識者懇談会最終報告書では、法人に自律的な運営を求めるのであれば、総会もまた監事の任命に関与する仕組みが必要ではないかという意見があったと書かれているんです。にもかかわらず、役員会や総会で監事を任命しないということになっているんです。矛盾するじゃないですか。有識者懇談会で出されている意見、それを全て踏襲するんだったら、これは役員会で確認すべきじゃないですか。

笹川政府参考人 監事を何で学術会議あるいは総会が任命してはいけないかという話につきましては、先ほど大臣からもお話があったかと思いますけれども、学術会議の総会というのは、意思決定機関であり、執行機関でもあります。(市來委員「役員会でもいいです」と呼ぶ)役員会でも一緒です。執行機関でございますので、執行機関を監督するための監事を執行機関が任命するということにはできないということで、そういう仕組みは避けております。

市來委員 監事は、業務を監査するというふうにあります。答弁では、適法性に限定されると言っているんですが、内閣総理大臣が任命するという非常に強い監事が、本当に、業務を監査するということが適法性を確認するだけなのかどうか、これを確認します。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、監事の所掌事務について、むしろ会計だけに絞った方がいいとか、そういう御指摘もいただきました。その中で現在のような提案をさせていただいているわけですが、監事の所掌事務は、国立大学法人とか独立行政法人などと同じ書きぶりでございます。そして、そこはあくまでも、適法性あるいは適正性、ルールに従っているかということをチェックするというものでございまして、例えば大学でも、教育内容とか研究内容に立ち入るものではないというふうに承知しております。

市來委員 内閣総理大臣が任命する監事は、天下りを含めて、内閣府の役人が就くべきではないと思います。できるだけ中立公正な者に監事になっていただくべきだと思いますけれども、坂井大臣、いかがですか。

大岡委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

大岡委員長 速記を起こしてください。

 坂井国務大臣。

坂井国務大臣 監事は法人の役員であることから、政府又は地方公共団体の職員は、欠格条項の中で就任できないようになっておりますが、ですので、具体的な人選については法案の成立後に内閣総理大臣が適切に判断するものと考えているところでございまして、一概に頭からの決めつけで外すというものは、ここの場で申し上げない方がいいのではないかと私個人は思います。適切な方がいいと思います。

市來委員 今の答弁は、天下りもあり得るという話ですか。

笹川政府参考人 済みません、細かい事務的な話でございますので御説明させていただきます。

 監事が公務員OBじゃいけないかということについては、それを禁じる規定はございません。あくまでも総理が適材適所で選ばれるということでございます。

 ただし、一般的な公務員の再就職規制はかかってきますので、その中で、それも含めて適切に判断していただくのかなというふうに思っております。よろしくお願いします。

市來委員 いや、そういうルールはないけれども、今回の学術会議は独立性を担保することが最重要ですよねということが言われているわけじゃないですか。それなのに、内閣府に関わっている、しかも内閣総理大臣の指名する者が監事に就けば、独立性が毀損されますよねということなんです。だから聞いているんです。もう一度聞きます。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 監事は元々、公正中立、公正中立というか、学術会議なり法人が法令に沿って適切に活動しているかというのを見る役割でございまして、個別に総理から指揮を受けるということではございません。

 それから、さっき独法通則法の話がございまして、確かにたくさん準用しているのはそのとおりなんですけれども、その中の一つで、監事の法人に対する忠実義務というものも準用されて、かかっております。したがって、監事は法人のために働く、そういう人間になっております。よろしくお願いします。

市來委員 この点については、もう少し私たちも、監事の権限が強過ぎるということについては追及していきたいと思います。

 そしてまた、成立時総会というのが行われますけれども、この成立時総会の議案、これは誰が作るのかが明記されておりません。

 そして、附則二十二条三では「役員会の議を経ること及び運営助言委員会の意見を聴くことを要しない。」と、最初のこの成立時総会の議案について。

 予算、給与、規則、こういう議案がどのような過程で作成されるのか。そして、会長職務代行者は現会員以外となりますけれども、この議案作成は現学術会議と協議の上作成されるんですか。伺います。

坂井国務大臣 新法人の会長は新法人成立後に会員が互選することとされており、法人成立前の時点では会長が選任されておらず、役員会が構成されていないことから、業務方法書等の法人として必要となる規則についての案を会長職務代行者が作成し、提出することとしているものでございます。

 同じく、運営助言委員会は、会長が任命するものであることから、成立時総会の議案の作成を行うに当たってその意見を聞くことは不可能でありますから、「運営助言委員会の意見を聴くことを要しない。」としているものでございます。

 なお、かかる議案は、成立時に開かれる総会において決議することとなります。新法人の議案であり、新法人の会員となる者において必要な協議、検討をされるべきものと考えております。

市來委員 そうしましたら、学術会議の会長職務代行者が議案を作る、これは一人で作るという意味ですか。

大岡委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

大岡委員長 速記を起こしてください。

 坂井国務大臣。

坂井国務大臣 作るのはこの会長一人ということになりますが、会長の職務代行者が作るということになりますが、必要な協議、相談等は、御本人が判断をして相談いただくことは、そこは妨げるものではないということでございます。

市來委員 この大きな新法人の学術会議の議案をお一人で作るということですか。ちょっとにわかに信じ難い話ですね。

 先ほど、監事が施行日前に指名されると。監事は、この議案作成には関わらないという理解でいいですか。

坂井国務大臣 関わるものではありません。

市來委員 それでは、設立委員という者もいますけれども、設立委員は何をするんですか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 設立委員は、御存じのとおり、独法とか特殊法人をつくるときに通常任命する者で、まさに設立の準備をするということでございます。したがって、例えば、施行までに準備しておかないといけない事務的な書類の準備なんかもするということは十分あり得ます。

 今大臣が申し上げているのは、責任者というか、議案を用意するのは会長を予定している方ですけれども、それまでの間に、例えば、今の会員の方、半数の方は継続して新法人の会員になるわけですから、例えばそういった方と相談することもそれはあり得るでしょうし、場合によっては設立委員や何かとも相談することはあるかもしれません。そこは会長予定者が責任を持ってやるということでございます。

市來委員 会長職務代行者は、現学術会議の会員以外から選ばれるということになっているんです。その、以外の方が次の新法人の議案を全て一人で作成すると。これは明らかに、今までの学術会議の経緯はどうなるんですか。これは、学術会議ときっちり協議して議案を作るべきではないですか。

大岡委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

大岡委員長 速記を起こしてください。

 笹川室長。

笹川政府参考人 御答弁申し上げます。

 済みません。作っていて、自分でも非常にこんがらがっている難しい仕組みになっていますので、申し訳ございません。

 会長の予定者は、新会員の予定者の中から選ばれますので、新会員の予定者ということは、いわゆる特別な選考というか、新法人発足時の方法で選ばれて、総会の議決を得た人の中から選ばれるということでございますので、全然関係ない人を連れてくるということではないということを申し上げさせていただきました。

市來委員 それは新会長の話であって、今言っているのは会長職務代行者の話です。会長職務代行者が議案を一人で作ると言うから聞いているんですよ。

 会長職務代行者は、じゃ、会員以外ですよね。確認します。

笹川政府参考人 はい。それですので、新会員の予定者百二十五名の中から会長の代行者も選ばれるということでございます。

大岡委員長 市來伴子君、申合せの時間が来ております。

市來委員 済みません。だから、新会員百二十五人は、今の、現学術会議の会員ではないですよね。

笹川政府参考人 今の会員ではございませんが、新法人の会員でございますので、新法人の準備をするには適しているというふうに考えて、このように設計しております。

市來委員 だから、それがおかしいと言っているから聞いているんです。

 もう時間が来ていますから、引き続き追及していきますけれども、成立時総会のこういう経緯も本当に不明瞭なところがありますので、今の学術会議をしっかりと引き継いで、そして独立性を担保する、これは非常に重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

大岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 まず大臣、冒頭申し上げたいんですが、午前中の質疑に対する御答弁、ああいう形の、聞いていないことに答えたり、また長々とお話しされるその答弁はこの後ちょっと控えていただくように、僭越ですけれどもお願いをさせていただきたいと思います。

 その上で、本法案の提案理由、日本学術会議が、機能の強化を目指して、そして、そのために国の特別な機関であるものから特殊法人に移行する、そういうふうに説明されています。ただ、事の発端は、これは言うまでもなく、二〇二〇年十月の、当時の菅内閣総理大臣による、日本学術会議の候補者六名を任命を拒否した、あの問題からだと思います。

 時代の変化に合わせて日本学術会議が常に変化をしていかなければならないというのは当然です。ですが、今、組織論を持ち出すのは問題のすり替えではないかと私は考えています。特に、科学者の国会とも言われる、世界に誇る我が国のナショナルアカデミー、これを解体してつくり直す正当性、必然性が本当にあるのかどうか、この問題意識に基づいて、以下質問いたします。

 まずは、今申し上げた任命拒否についてです。

 政府は、総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断を行ったと説明をされ、そして、一連の手続は終了したと繰り返し答弁して、具体的な説明を拒み続けています。また、政府は、拒否の理由についても、人事に関することだから答えられないというふうにしています。ですが、任命を拒否された当事者本人や推薦を行った日本学術会議に対してですら何ら説明していないことは重大だと私は考えています。

 必要であれば守秘義務を課すこともできるはずなのに、なぜ、本人又は日本学術会議に対して説明を行わないのか、改めて説明を求めます。お願いします。

坂井国務大臣 これまでも答弁しているとおりでございますが、内閣総理大臣が、当時の内閣総理大臣が、俯瞰的な活動を確保する観点から判断を行ったものでございまして、憲法十五条第一項の規定に明らかにされているとおり、公務員の選定、罷免権が国民固有の権利であるという考え方に照らせば、国家公務員である日本学術会議の会員の任命に当たって、任命権者である内閣総理大臣が学術会議の推薦どおりに任命しなければならないというわけではないと考えており、このことは、これまでも答弁しているとおり、選挙制から推薦、任命という形に変わったその段階から、まさに一貫した考えであると認識をしております。

 なお、個々の任命理由、手続などについては、日本学術会議の会員も政府の機関に所属する公務員であるので、通常の公務員の任命と同様に、その詳細については、人事に関することであり、お答えを差し控えたいと思います。

梅谷委員 判断基準は示さないんですか、任命を拒否したという判断基準。そして、それは、文書など何らかの考え方を示したものが存在してしかるべきだと私は思っています。

 例えば、公文書管理法では第四条にこうあります。当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事務の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。次に掲げるのが五つあって、その四には「個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯」、五に「職員の人事に関する事項」とあるんですよ。

 そして、今回の件は考えが違う話じゃないですか、日本学術会議と政府の方で、受け止めが。そういった場合に、やはり軽微なものであると私はとても思えません。

 ですので、伺いたいですが、これは法律違反に当たるんじゃないんですか、今のこの御対応は、公文書管理法に。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと別の法律の名前で申し上げますが、いわゆる情報公開法等におきまして、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報は不開示情報とされておりまして、私ども、情報公開・個人情報保護審査会からの答申も踏まえてこれまでの対応をしておりまして、適切な対応をさせていただいておるものと受け止めております。

梅谷委員 適切な対応をされていると言いますが、公文書管理法上の、第一条にもあります。同法が、国の諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とすると。今のは判断基準の話ですけれども、文書を残す、文書があるなしの話で、ないという答弁をずっと一貫されているんですが、ないことに対して、法律違反なのではないかという指摘をさせていただいているんです。

 この点、改めてもう一回、端的にお願いします。

松田政府参考人 お答えいたします。

 私ども、公文書管理法にも基づいて対応をしっかりさせていただいておるものと承知をしております。

梅谷委員 もう一度繰り返しますよ。公文書管理法の目的には、「将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的」と書いてあるんですよ。その意味では、この文書を何ら残していないというのは私はゆゆしき問題だ、違法の疑いがあると強く指摘をさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、法の趣旨に基づいて、任命拒否という意思決定に至る過程、判断基準、根拠とした資料などを当委員会に御提出をいただきたいんですが、いかがでしょうか。

 じゃ、お答えできなかったらいいです。

大岡委員長 松田官房長。(梅谷委員「大臣、大臣」と呼ぶ)松田官房長、まず。(梅谷委員「いやいや、大臣にお願いします」と呼ぶ)

梅谷委員 じゃ、後刻、理事会で是非協議をしていただきたいんですが、その際、関連する全ての文書、仮に廃棄されたものがあれば、それも復旧の上、提出するよう強く求めます。お願いいたします。

大岡委員長 御指摘の点も含めて、後刻理事会で協議をいたします。

梅谷委員 次は、本法案の立法事実についてお尋ねをしたいと思います。

 午前の質疑では、市來委員の、学術会議が社会の役に立っていない、こういった主張についての根拠、立法事実の御説明はなかったと思います。このように、日本学術会議の組織運営や活動内容に関する様々な問題を政府も有識者懇談会もあちこちで言っているんですが、具体的な根拠が示されていないと私は思います。すなわち立法事実が示されていないと思います。この観点から、幾つかお尋ねをしていきたいと思います。確認させていただきたいと思います。

 そもそも、政府は、国の機関としての位置づけについて、二〇一五年に、これを変える積極的な理由は見出しにくいという検証結果を取りまとめたばかりです。しかし、任命拒否問題を経て、総合科学技術・イノベーション会議で再検討を開始したのは二〇二一年。僅か六年。この僅かな間にどのような事情の変更があったのか、お伺いしたいと思います。

 この短期で百八十度方針をひっくり返すためによほど重大かつ明白な理由が必要だと思いますが、大臣、お答えください。

坂井国務大臣 有識者懇談会の最終報告書においては、設立以来七十五年の学術の進歩と社会の変化を踏まえると、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められており、国の機関のままの改革では限界があると法人化が提言されたところであります。

 具体的には、海外アカデミーのように、国民や社会と向き合い社会的な役割を主体的に引き受けていこうとすると現在の組織形態のままではいろいろと制約があること、学術会議の設立時に比べて財政民主主義の要請は高まっており、国の財政的支援を受けて運営される組織として国民に対する説明責任を果たす必要があることなどが指摘をされております。

 この法案は以上のような報告書の内容を踏まえて取りまとめたものでありまして、なお、先日発表された学術会議の外部評価有識者による評価書においても、例えば、「国民のアカデミアへの期待に応えるためには、喫緊の社会課題をしっかり取り上げて検討していくべきである。」「東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故が起きたとき、放射線の生体影響に関する科学的知見が国民に正しく伝わらなかったのではないかという反省もある。」などと指摘されているものと承知しており、よりよい役割、機能の発揮に向けて改革を進めていく必要があると考えております。

梅谷委員 今るるおっしゃっていただきましたが、そもそも、学術会議との完全な合意形成というのはコンセンサスを得たものなのか。私は、それはないというふうに考えていますし、また、行政の継続性、安定性という観点でも、これはこの後また指摘をさせていただきますが、異なると思います。

 そして、今ほど原発事故の話がありましたが、これもいろいろな関係者からお話も伺わせていただきましたが、そもそも日本学術会議法四条に基づく諮問すらしなかった政府に、学術会議が意見を示していないとあげつらう権利があるんでしょうか。また、学術会議の役割は主に長期的な課題への対応であり、短期的政策課題への対応は、内閣府や各省がやたら設置する審議会とか有識者懇談会などの役割なんじゃないんですか。

 学術会議が、もちろん、自身のアクションプランの中で、タイムリー、先ほど会長もおっしゃっていましたが、第二十六期のアクションプラン、これに掲げながら、自己改革を進めていこうということがありました。こういったふうにしているのに、まさに学術会議自身が努力されているのに、何だか、根拠も薄弱な中で、今の組織では駄目だというふうに言うのが、私は強い違和感を覚えるんですね。

 そこで確認をさせていただきますが、私、今おっしゃったいろいろな事例に基づいての、説明になっているとはとても思えませんが、私は、学術会議の発信は、海外アカデミーと比べても決して劣るものではないと思っています。

 そこで、お尋ねしますが、学術会議の発信が海外アカデミーと比べて著しく遅いとか少ないという客観的事実はありますでしょうか。お答えください。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 客観的な事実という意味合い、なかなか、データ云々ということは、そういう議論はしておりませんでしたけれども、懇談会では、やはり発信が遅い、あるいは十分ではないという議論がございましたし、学術会議も、そこはそういう思いで改善するということを取り組んでいらっしゃるというふうに思っております。

梅谷委員 今、結局、根拠は示されませんでした、具体的には。根拠がこれには示されない、なかったということを指摘をします。

 そして、次、有識者懇談会の最終報告書の四ページに、「そもそも政府の機関であることは矛盾を内在している」と示されているんですね。この矛盾って何ですか。

 学術会議創設以来、さっき七十五年と言いましたが七十六年、ずっと日本学術会議は矛盾を内在していたんですか。そして、政府はそれを見過ごしてきたということなんですか。また、それによって学術会議が萎縮し、あるいは、大臣、聞いてくださいよ、あるいは、国や省庁からの抵抗に遭い、解決できない支障が生じた具体的事例はありますか。お答えください。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 そこは、懇談会の中では、政府に対して政府と異なる意見を言うという機能を果たすためには、外にいる方がやりやすいだろう、そういう議論でございました。

 実際、元会長の方々が記者会見、外部で話されている中でも、政府と一元化されない立場で意見を言うのがいいんだとか、あるいは、政府の中にいるとやりにくさを感じたとか、それから、外でほかのアカデミーと話すときに、日本は政府組織だ、行政組織じゃないか、それで独立性が保たれるのかというふうに聞かれることがあるわけですというふうにおっしゃっていたので、そういうことを勘案して、こういうことを懇談会、言われたのかなというふうに思っております。(梅谷委員「大臣、矛盾について、まだ答えていない。大臣、矛盾に対する、長年の」と呼ぶ)

坂井国務大臣 今政府参考人からお話がありましたように、政府に対して独立をする立場で客観的に意見を申し述べるという役割があるにもかかわらず、つまり、政府の一組織であるということが矛盾だということで指摘をされているものであり、それは七十五年続いてきているものと考えております。

梅谷委員 今のはすごい答弁だと思いますよ。日本学術会議がこれまで積み重ねてきたことを、私は、今のはちょっとひどい答弁だなと思いました。七十六年間ずっと、政府の、国の特別の機関だったから、矛盾があり続けて。いや、それは、会長、後で怒るべきだと思いますけれども、会長、この点、どうですか。お答えください。お願いします。

光石参考人 これまでも、勧告権とかそういうものについてはございましたので、特段の矛盾があるというふうには思ってはおりません。

梅谷委員 大臣、聞いていただけましたか。そういうことだと思いますよ。

 では、もうちょっと、また確認させていただきます。

 この有識者懇談会で、同じく、この最終報告書の四ページ、国の組織でなくなることから生じる具体的な制度上のデメリットは、懇談会では確認されていないというふうに記載されているんですね。

 ここも会長にお伺いしますが、デメリットはないと懇談会でお話しされた、あるいは政府に対し回答された事実はありますか。お願いします。

光石参考人 これまで日本学術会議は、法人化について賛成とも反対とも申し上げておらず、よりよい役割を発揮できるのであれば形態は特には問わないという回答をしております。(梅谷委員「じゃ、デメリットについてはどうなんですか」と呼ぶ)デメリットについては、特には申し上げておりません。

梅谷委員 学術会議はデメリットについて話されていないというふうに今御答弁いただきました。これも、この点も、うそとまでは申し上げたくないですけれども、少なくとも正確でないことは改めて確認をさせていただきました。

 次に、会員選考についても、これも同じく報告書P十二で、会員が仲間内だけで選ばれる組織であると思われないためとありますが、何か調査をした客観的事実がありますか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 調査をしたということではございませんが、コオプテーションが狭い範囲で行われる場合などにおいて、そういった信頼性が失われるというようなお話は懇談会でございました。

 それから、学術会議がかつて出された報告書の中にも、そういった記述は、そのとおりではないですけれども、それに近い記述はございました。

梅谷委員 あくまでも客観的事実はない、客観的根拠がないということですね。これが、例えば日本学術会議の印象に関する国民世論調査などあれば別ですけれども、これもないということが確認をされました。

 最終報告書には、このほかにも、内輪の論理で独りよがりなど、今にも通ずる話ですけれども、学術会議には課題山積と言わんばかりの指摘が並んでいます。エビデンスに裏打ちされた記述はあるんでしょうか。そう感じるねとか、感じられる、こういう声がある程度の曖昧な根拠で、学問の自由を土足で踏み荒らすようなことはしてはならないと私は思います。

 本法案の改正に当たり改善すべき課題として挙げた点の中で、現行制度に欠陥があり、日本学術会議の自律的解決が期待できないという具体的、客観的事例がありますか。あるなら、ここでお答えください。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの勧告権を始めとして、国の外にいる方がより効果的、自由にできるだろう、自由度が高まるだろうという議論はたくさんございました。

 それから、会員選考についても、総理の任命権が外れる、公務員でなくなるということで、完全に自分たちだけで選考できるようになる。これは海外のアカデミーと同じ形、フランス以外ですが、海外のアカデミーと同じ形になります。

 そういったそもそものメリットに加えて、国の機関でなくなることによって、外部から資金を獲得することができるとか、国の中では採用できないような形態、あるいはお給料で優秀な人材を雇う、そういったこともできるということでございました。

梅谷委員 いずれにしても、今御答弁いただきましたが、立法化に当たっての、いわゆる立法事実、法人化に向けての立法事実は、具体的な証拠、客観的事実はないものだというふうに受け止めました。

 なので、ここでお願いしたいんですが、本法案、とりわけ特殊法人への移行について、立法事実たり得る十分な客観的事実、エビデンスを資料として提出することを求めます。理事会で協議のほど、お願いします。

大岡委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。

梅谷委員 続きまして、日本学術会議の継続性についてお尋ねをしたいと思います。

 本法案は、現在の日本学術会議を廃止して、同じ名前の法人、新法人を設置することを内容とする法案です。会員についても、承継会員の名前で、会員の半数は受け入れるけれども、それもある意味完全な会員と認めずに、再任を認めない。そして、三年後、承継会員の方々が全て外れたところで初めて新しい日本学術会議は完全な形となる、そういう内容だと思いますが、これは、組織形態のみならず、構成員の総入替えという面でも、現在の学術会議との連続性を遮断するものだと理解しますが、この理解で間違いないでしょうか。

坂井国務大臣 有識者懇談会の最終報告書におきましては、新法人発足時の会員の選定方法について、新分野、融合分野への対応などの観点から、現会員だけによる候補者の精査では必要十分な選考を行うことは難しく、大幅な見直しを行った平成十七年制度改正時を参考に、現会員だけによるコオプテーションではなく、多様な視点からよりオープンに慎重かつ幅広く選考する方法により行うことが適当であるとされております。

 このため、本法案では、平成十七年制度改正時と同様に、新たに会員となる二百五十人の選考、選任はオープンに、慎重かつ幅広い方法で行うことといたしました。その上で、学術会議の意見にも十分に配慮して、コオプテーションの要請を尊重し、平成十七年制度改正時とは異なり、現会員が候補者選考委員会の委員になることが可能であり、総会による承認、推薦の手続も追加していることから、新会員の選定に現会員の意向が反映されることになっていると考えております。

 懇談会での議論は、新会員には改革意欲の高い人がアカデミア全体から選ばれるようにしてほしい、国や社会を背負っているという意識を持った人たちが厳正な審査を経て選ばれて、国や世界のために働くような使命感を持ったアカデミーになってほしいなどという意見で一致していたと聞いており、学術会議が我が国の科学者を内外に代表する機関である以上、新法人発足時の会員を現在の会員だけではなく現会員も含む科学者コミュニティー全体で選ぶということは、国民の理解を得やすい方法だと考えております。

梅谷委員 大臣、今、平成十七年改革を引き合いに出されて御答弁されました。これは、そのときも外部を入れた選考だった、同じことをするだけだといったような趣旨だと思うんですけれども、これももちろん御存じだと思いますが、選出方法自体を変える改革であって、今回と全く状況が違うんですよ。総理の関与する仕組みを入れて、会員を全て入れ替えるための私は方便にしか聞こえません。

 それと、今ほど、残っているからその方々で継続性が担保されるような趣旨のことをおっしゃっていましたけれども、現行のこの学術会議の枠組みで選考された会員が残っている限り新たな日本学術会議は完全じゃないというような考え方をしていること自体が、私は、継続性がないというよりも、対外的には継続性があるよという看板を掲げつつ、実質的には意図的に継続性を切断することが政府の真意だと、私は、そういうことすら疑われると思います。

 次、断絶の一つの象徴たる前文の存置について伺いたいと思います。

 これも、日本学術会議が七十六年前の発足以来掲げている前文、その理念や成り立ちを反映する極めて極めて重要な価値を持つものですよね、会長。そこでうなずいていただければいいと思います。しかし、本法案では、その前文が置かれておりません。この点でも、新旧の日本学術会議はその継続性を断ち切られようとしていると言わざるを得ません。

 政府は、前文を置かない理由として、事務方の方から聞いたら、近年の立法例では基本法以外は前文を置かないこと、他の条文に引き継いでいることを挙げています。

 ですが、学術会議の独立性と機能をいかに高めるかという議論をしているんですから、理念をどう法律に反映するかを考えるべきじゃないですか、大臣。特殊法人の枠に入れるから大事な理念も削除しますというのは、物事の軽重を私は測り間違えていると思いますが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 この法案における学術会議の目的及び基本理念は、学術会議の拡大、深化する使命、目的を現代の視点から捉え直し、法制的な観点から適切な用語を用いて記述したものであります。現行法の基本理念は拡大、深化した形で新法に引き継がれていき、学術会議の継続性が失われることはないと考えております。

 「科学が文化国家の基礎」「わが国の平和的復興」という理念は、「学術に関する知見が人類共有の知的資源」「経済社会の健全な発展」という表現に包含されております。

 国が設立する法人に対して国民が負託する使命、目的を表現する用語は、より恒久的、普遍的なものとすることが適切であり、法制的な観点からこのような表現としたところでございます。

梅谷委員 大臣、そうおっしゃいますけれども、前文をなくすべきではないというのは、日本学術会議が修正を求めているんですよ。今の御答弁のように、現行法の理念は受け継がれる、引き継がれるとか、継続性は失われないような趣旨のことをおっしゃいましたけれども、この前文は、七十六年前の発足に当たって、科学者の総意を受けて設けられたものなんです。学術会議が前文を削るべきではないと言っているのに、政府が勝手に、変わらないから大丈夫といって断定できるものじゃないと私は思いますよ。

 日本学術会議は、この点について、もう一回言いますよ、前文を維持する法案修正を求めています。今ほど、適切な用語を用いてというお話をされていましたが、平和的復興などの文言を、例えば平和的発展などに置き換える、時代に合わせた修正など、基本的にこの意向を尊重して、時代に合わせ、一字一句変えてはならないとまでは言いませんけれども、前文を残すよう強く求めますが、大臣、いかがですか。

坂井国務大臣 私どもは、この今提出をさせていただいている法案がベストのものだと考え、信じ、そして知恵を出し合って出したもので、作ったものでございますので、私どもは、この今の法案に対して誠心誠意御説明をさせていただきたいと思っております。

梅谷委員 その私どもの中に日本学術会議が本当に入っていますかという話なんですよ。きちんとした意見、そして、これまでボトムアップでやってきた、さっき市來委員も言っていましたけれども、それが今度はトップダウンの組織になる、なりかねない、こういう懸念を、現場からは非常に強い危機意識を持って訴えていらっしゃるわけですね。そういった声を、特に、理念にまつわる前文を私は必ず残すべきだと。そもそも、もう一回、一度きちんと膝詰めで話されたらいいんじゃないんですか、本当にみんなで話し合ってやるというんだったら。私はそう思いますよ。是非、大臣、そのことを御検討いただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、次に移らせていただきます。

 次に、有識者懇談会の位置づけについてお尋ねします。

 この前文の問題を始め、政府は、学術会議が決議として表明した深刻な懸念を受け止めて、双方が納得するものとする努力をしていません。政府の決定を結論として押しつけるやり方そのものが学術会議の独立性を無視するものと言わざるを得ません。

 そもそも、有識者懇談会は内閣府に設置された一諮問機関にすぎません。大臣、聞いてください。これに対して、日本学術会議は、我が国の科学者コミュニティーの最高権威であり、法的にも、日本学術会議法第三条に基づいて、独立的、自律的に、科学に関する重要事項を審議する法的権限も有しています。

 失礼な言い方かもしれませんが、一諮問機関たる有識者懇談会に、学術会議の頭越しに改革案を決める、そんな法的権限、法的な権威があるんですか。大臣、お答えください。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 在り方を決める法的な権限はございません。幅広く、学術会議会長にも入っていただいて御検討いただいた結果を報告書として政府にいただき、政府が学術会議その他の方々の意見も伺いながら、政府の責任で決めた。さっき大臣からお答えがありましたとおり、我々としてはこれがベストなものだと考えていますので、引き続き御説明させていただきたいと思います。

梅谷委員 今ほど、政府の責任で決めたというお話ですけれども、確かに法案提出の責任は政府にあるにせよ、法案の基礎となっているのは懇談会の報告書です。そして、学術会議は我が国の科学者の代表機関です。それは本法案によっても変わらないんですよね。法律によって明確に確認された位置づけなんですよ、つまり。

 有識者懇談会が、法案策定に向けて政府の意思を受け設置したことは理解しますが、政府が選んだ限られた方々で構成した懇談会の報告には、科学者全体の代表機関であり当事者でもある学術会議の見解、意思を超えて解体、再編を根拠づける権威も権限もないと私は思っているんです。そのことを明確に申し上げたいと思います。

 そこで、日本学術会議会長に伺います。

 法案提出に当たり、政府は、学術会議に議論への参加の機会をきちんと確保した、学術会議の意見を法案にきちんと反映したとお考えですか。

光石参考人 プロセスについて申し上げます。

 まず、任命責任問題がある中でこの在り方の議論が始まり、先ほど有識者懇談会が置かれたというふうに説明がありましたけれども、日本学術会議は、正規のメンバーとしてではなく、発言は許されましたし、毎回出席もいたしましたけれども、陪席者という形でございましたので、対等の立場ではなかったというふうに申し上げたいと思います。

梅谷委員 対等な立場ではなかった。あくまでもオブザーバー的な、私なりの理解でいえば、オブザーバー的な立場であった。

 会長を含めて学術会議は、これも御案内のとおり、最終報告、そして法案に対して異議を唱え、先週、修正を求める決議もしているんですよ。

 政府は学術会議を差しおいて立法を進めようとしていますが、手続に瑕疵があると思いませんか、大臣。お答えください。

坂井国務大臣 有識者懇談会の報告書に基づいてこの法案が作られ、そして、この法案について学術会議に対して丁寧に説明しながら取りまとめてきた、また、学術会議には、法案に関して示された懸念事項に対して内閣府から詳細な見解を示すなど丁寧に説明してきたものと考えておりまして、私としては、学術会議の皆さんも、法人化に関しては、今、反対はないという認識でおります。

 ただ、その中身に関して、様々議論を国会でしていただきたいということは我々のところにも来ているということかと認識をいたしております。

梅谷委員 いや、だから、学術会議の方の意見が、中身についても、含めてまだ合意形成ができていないじゃないですか。ある意味、生煮えのような状況でここに出されたと言ってもおかしくないと私は思っています。

 学術会議の理解を得ずに、一方的に解体出直しというか解体を決める、こんなやり方自体が、日本学術会議法の保障する独立性を脅かす行為であって、先ほど申し上げた日本学術会議法三条違反の疑いすらある、私はこのことを指摘をしておきます。強く指摘をしておきます。

 次に、会員選考について端的にお伺いしたいと思います。

 本法案は、機能強化と称して、それこそ運営助言委員会、選定助言委員会、監事、評価委員会と、多段階かつ複雑に外部、とりわけ政府の影響力を及ぼす仕組みが組み込まれています。特に会員の、大臣、お笑いになっていますけれども、ほほ笑まれたけれども、そこがちょっと大きな違いだというふうに後で確認させていただきますが、特に、会員の選定に当たって、外部者で構成する選定助言委員会の助言が必須とされている点は、私は問題だと思います。あくまで助言であり、従うも従わないも候補者選定委員会の判断だと大臣は説明されていますけれども、でも、学術会議としては、この多段階に組み込まれた政府の関与、特に予算査定への影響を考えたら、大臣もその立場になればそう思うでしょう、基本的に無視することはできなくなるんじゃないんですか。

 学術会議は、御自身が、この選定助言委員会の規定を削除する修正を求めていますが、大臣、削除しませんか。

坂井国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、我々も、様々な方々の御意見をお伺いをし、そして検討を重ねた上、今回の法案がベストなものだという信念を持って提出をさせていただいておりますので、この法案について説明をしっかりさせていただきたい。学術会議の方々も法人化には反対をされていないところでございますから、その中身に関してしっかり質疑の中で説明を尽くしてまいりたいと思っております。

梅谷委員 いや、だから、完全なやつを提出しているとおっしゃいますけれども、今いみじくも認めたじゃないですか。法人化は反対はされていない、でも、中身については議論すべき余地があるようなことをおっしゃったじゃないですか。つまり、そういう状況なんですよ。だから、こうやって国会で議論するんでしょう。

 何か、我々のは完璧なんだから、もうあとはこれでやらせてくれというのは、私は、もっともっと当事者の日本学術会議、当事者の方々の話を本当にそれこそ聞いた上で、そのお言葉を述べていただきたいなと思います。

 次に、質問ですが、日本学術会議が、ある意味、最終報告書では、学術の進歩と社会の変化を会員構成に反映する、現会員だけでは十分な選考ができないと述べていますが、これも、さっきちょっと触れた話です、コオプテーションをどうするかという話ですね。

 これは、でも、私は余りに失礼な主張だなと思ったんですね。新たな基準を選考に取り入れるにしても、選考方法は日本学術会議に考えてもらう、それこそが独立性、自律性あるアカデミーの姿じゃないですか。日本学術会議が社会的要請を反映しようとするたびに政府が人事に手を突っ込む、そのようなことが繰り返される組織が、世界最高のアカデミーとして世界から尊重されると私は思えません。せっかく定着したコオプテーションの原則を崩し、学術会議の継続性を損なう新法人移行時の特別な会員選考は撤回すべきと考えますし、学術会議も当該部分の附則の規定を削除する修正を求めています。

 大臣、削除しませんか。ここで議論することが大事なんですよ。

坂井国務大臣 学術会議が我が国の科学者を内外に代表する機関でありますから、新法人発足時の会員を現在の会員だけでなく現会員も含む科学者コミュニティー全体で選ぶということは、国民の理解を得やすい方法だと考えておりますし、科学者コミュニティー全体で選ぶということになると、今のコオプテーションのやり方だけでは不十分ではないかという議論の中で、しかも、その上、公正公平に選考が行われるというやり方を考えて今回の方法になっているということでございます。

梅谷委員 先ほどの議論だと、それの客観的事実とか根拠が具体的にないんですよ。あくまでも、そうなんじゃないかとか、そう感じたとか、そういう話の下で有識者懇談会で示されて、その上で成り立っていると私は思っています。なので、この削除は絶対、私は必ずすべきだと思います。

 そして、恐らく最後になるんでしょうが、本法案は、財政措置について、「必要と認める金額を補助することができる。」とし、現行法の「国庫の負担とする。」を変更をしています。また、現行法第一条にこれが規定されているのに、本法案では四十八条の規定。すなわち、これまでの国庫負担から補助に転換され、扱いの優先順位が下げられ、財源の保障への言及もなく、他の法人と同様に政府の裁量が大きいように読める規定ぶりなんですね。

 そこで、お伺いしますが、学術会議は独法の交付金に劣らない財源の保障をする修正を求めています。この修正を是非行いませんか。お願いします。

坂井国務大臣 学術会議に対する国の財政的支援については、有識者懇談会の最終報告書を踏まえ、学術会議の業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができることとしております。

 学術会議に関する経費については、これまでも予算編成過程のプロセスを経て必要な金額が措置されてきたところであり、今後も必要な財政的支援は行っていくことになります。

 いずれにせよ、必要な金額が支援されるためには、予算要求の前提として、活動、運営についての考え方が明確に示されていること等を求められるわけでありますが、国民に説明できるという形の中でこの財源の支援は行っていくということを考えております。

梅谷委員 これで最後にしますが、今、変わりはないとおっしゃいましたけれども、そうじゃないんですよ。本法案の規定は、独立行政法人の必要な金額の全部又は一部を交付できるとする財源規定よりも更に保障の程度が劣るんですよ。だから私は申し上げているんです。

 なので、この後、山岸委員にバトンタッチをしますが、やはり、国民への説明と言っていますけれども、判断するのは内閣府と財政当局、これでは、予算措置を通じた独立性への干渉の懸念は全く払拭できないと思います。必要な財源の確保を、必ず確保することを強くお願い申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、山岸一生君。

山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。

 坂井大臣、よろしくお願いいたします。また、光石会長、ありがとうございます。

 人類が積み重ねてきた学術への敬意を持って質疑をしていきたいと思います。

 さて、まず一点、坂井大臣、冒頭、確認でお伺いしたいことがあるんですけれども、今朝のこの委員会の冒頭で、大臣から、先週金曜日の本会議での答弁について、訂正の御発言がありました。選考委員会と言うべきところを選定委員会と間違えましたと。

 大臣のお話を聞いていましたら、何かちょっと、読み違えちゃったみたいな感じで僕は受け止めたんだけれども、これは一文字違いでえらい違いでございまして、選考委員会と選定委員会は全く別物ですよね。端的に、役割、何が違うのか、大臣はどう認識されていますか。

坂井国務大臣 選考委員会は、法人が発足するときに会員を選考する委員会であり、選定委員会は、三年後に残りの会員をいわば選考するときの名称として想定をしているものでございます。

山岸委員 ありがとうございます。

 まさに、単に言葉を間違えたという話じゃなくて、違うものを大臣が本会議でしゃべっているということですので、この点はしっかり注意いただきたいと思いますし、この論点、後でまた伺いたいと思いますので、是非御留意をお願いしたいと思います。

 そこで、私は今日四十分いただいていますので、法案の個別の運用上の論点を聞いていこうかなと思っていたんですけれども、やはり、ここまでの市來議員と梅谷議員の質問の中で、ここに至るまでのプロセスをまず検証していくというところから始めないと議論がおかしな方向に行ってしまうのではないかなということを強く感じましたので、ちょっとこのプロセスの部分を手厚くお伺いしていきたいというふうに考えております。

 まず、なぜ今この法案審議をしているか。そもそも遡れば、二〇二〇年に任命拒否問題が起こって、そこから、政府がいわば論点をすり替える形で、学術会議に問題があるから変えるんだ、こういう議論で今に至っているわけでございます。

 資料の1をお配りをしておりますけれども、じゃ、この任命拒否問題というのは何だったんだろうかということをまず確認をさせていただきたいと思います。1と申しましても、黒塗りでございます。

 これは学術会議の事務局から情報開示をいただいたものでございます。右上に一個だけ出ている情報があって、「R二・六・一二」、これは日付でございますね、令和二年六月十二日付で、説明によれば、学術会議側と任命権者側、すなわち総理官邸側とでやり取りしたものだというふうに言われておりますけれども、大臣、このメモの中にはどういったやり取りが記されているのか、御説明願います。

坂井国務大臣 御指摘の六月十二日の日付が付された文書については、これまで、これを保有する日本学術会議事務局において、情報公開に係る審査請求等の過程で、令和二年任命に向けた会員候補者の推薦に係る意思決定過程において、任命権者側から日本学術会議事務局に、令和二年任命に向けた会員候補者の推薦に係る事項として伝達された内容を記録したものである旨を説明していると承知しております。

 その中身に関しましては、お答えを差し控えさせていただきます。

山岸委員 お答えいただきたい。簡単に控えないでほしいんです。

 これが文書に残っている、先ほど梅谷議員から、文書がないんじゃないかという指摘があって、ほとんどないんだけれども、一点これだけは出てきているわけで、ここに、既に当事者の方が発言されていますから、これは申し上げていいと思うんですが、その後任命拒否をされることになる六人のお名前と肩書が記してあって、大きくバッテンがしてある、非常に失礼な話だなと思いますけれども、そういった内容だというふうに当事者が御指摘をされています。

 これは、我々には開示されていませんけれども、当然、大臣、所管でいらっしゃいますから、この黒塗りじゃないものを大臣は御覧になっている、御説明を受けているんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、御覧になって、御所見、御感想を伺えますか。

坂井国務大臣 人事のプロセスに関することでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

山岸委員 それは手続を明かせということを言っているんじゃなくて、大臣、この中身を御覧になっていますよね。

 御覧になっていますよねとお聞きしています。いかがですか。

坂井国務大臣 委員会に提出をされたものに関して、ほかの方がですね、見たことはございますが、本物を見たことはございません。

山岸委員 それは、大臣は主務大臣でいらっしゃるので、大臣が一言言えば出てきますからね。我々には開示してもらえないかもしれませんけれども、担当大臣として、今回の議論の原点になっている任命拒否のときにどういうことがあったのか、資料を持ってきてくれ、大臣、一言言えばすぐ出てきますよ。やってくれませんか。

坂井国務大臣 今回の、今御指摘の人事に関しましては、一連の手続は終了しているものと承知をしておりますので、この法案の審議を進めさせていただく中で、そこは今は考えておりません。

山岸委員 大臣、今の、手続終了していますという御答弁は、六名を追加任命してくれませんかという要望に対してそういう答弁をされているのは僕は承知していますけれども、今申し上げているのはそういう話ではございません。追加任命のこととは切り分けて申し上げております。

 今回のこの法案の審議をするに当たって、出発点、原点となっている任命拒否の経緯はきちんと検証する必要がある。これまで紙がないということをさんざん言ってきたんだけれども、一枚既に紙は存在している。しかも、これは日付が六月十二日になっているわけです。これまで、任命拒否問題というのは、十月一日の任命のときにあらわになって、その前の八月末の段階で任命拒否が起こったのではないかというふうに言われているわけですけれども、実は、更にその前の、六月の段階で、ということは、すなわち、菅政権ではなくて安倍政権ですね、安倍政権の段階で任命拒否が実質的には決まっていたのではないか、政府が介入していたのではないかということが指摘をされているから、今回の本法案の審議に際して、どういうことがあったのかということをもう一度よくお確かめいただきたいという趣旨で申し上げています。

 だから、手続が終わっているから、そういう理屈ではなくて、この法案の審議を進めて国民の皆さんに御理解いただくために、もう一度大臣の権限で、少なくともこういった文書をしっかり大臣御自身は御覧になって、説明できるものは説明をしてもらえませんかとお願いしています。いかがでしょうか、大臣。

坂井国務大臣 何度も申し上げておりますが、この一連の人事は終了しているものでございます。

 そこで、今議論をお願いして審議をしていただいておりますのは、この学術会議に関しての法人化の法案ということになるわけでございますので、この法案化に関して、今回御指摘の資料が私個人としては大きな関係があるとは思えないということから、そこまでのことを考えてはいないということでございます。

山岸委員 いや、関係大ありですよ、これが出発点になって今の議論をこれだけのエネルギーをかけてやっているわけですから。それを、自分は関係あると思えないと。それは、大臣個人の認識はそうかもしれませんが、私は、学術会議の当事者の皆さん、あるいは国民には通用しないと指摘をしたいと思います。

 参考人にお伺いしたいんですけれども、この資料は現時点でも学術会議事務局においては保管をされているというのは、どなたかお答えいただくことは可能ですか。難しければ構いませんが。ちょっと厳しい。じゃ、結構です。

 でしたら、これは是非、大臣と学術会議事務局双方にお願いしたいんですけれども、こうした資料があるならば、やはり我々国会での議論に資するために、開示をお願いしたいと思います。

 大臣、御答弁いただけたようなので、委員長、これは是非、我々委員会の総意としてこういったことを御提案できるように、今後お取り計らいをお願いできませんか。いかがでしょうか。

大岡委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。

山岸委員 ありがとうございます。

 私、このことをこだわっていますのは、やはりきちんと検証しないと、新しい制度になったときにまた同じことを繰り返すのではないかということを強く危惧しているからでございます。

 先ほど選考委員と選定委員の話を申し上げましたけれども、新しく学術会議が立ち上がるというときに、初回の選考に関しては、選考委員会が推薦をして設立委員会が決める、こういう中身になっていまして、設立委員会は総理大臣が選ぶ、こういう形になっているわけです。なので、初回の、令和八年の選考に関しては、総理が物を言えちゃうんじゃないの、選べちゃうんじゃないの、こういう疑問があるわけですよね。

 そのことに対して、大臣は、これも先週金曜日の本会議での御答弁は、いや、これは、総理は設立委員に事務を委任していますのでと、委任していますから、総理が指示をすることはできませんと、こういうふうに御答弁をいただきました。確かに、それはそのとおりなんだろう、指示はできないんだろう、命令はできないんだろうということですけれども、指示はしなくてもコメントはできるでしょうし、命令しなくても報告を求めることはできるでしょうし、いろいろな相談を受けることはできるでしょうし、様々な形でやり取りをするということは、総理と設立委員との間でやり取りすることは排除されていないんじゃないかと思いますが、この理解でよろしいのか、大臣、お願いします。

坂井国務大臣 設立委員は設立に関する事務を行うものであるが、この法案においては、新法人設立時に会員となる者の指名、新法人設立時に会員となる者の候補者について現行学術会議から推薦を受けること、会長の職務を行う者の指名の権限について、内閣総理大臣から、設立委員のうち、学術会議の会員と同じ優れた研究又は業績を有する科学者であるものに委任しているところでございます。

 このような事務を法人の設立者である国が行う代わりにこのように委任する形を取っているのは、法人化後の学術会議の会員の選任に国が関与しないことを踏まえたものであります。

 そもそも、一般に委任とは、一定の事務の処理を他に委任することを言い、行政庁がその事務の一部を他の行政庁に委任する場合は権限の委任であって、委任を受けた行政庁はその事務を自己の職権として行うことになるものであり、裁量のある事務は委任ができないということになっています。したがって、委任元である内閣総理大臣は、設立委員に対して命令等を行うことはできないことから、これらの権限行使について、これが命令ではなく、コメントだったり相談だったり報告だったり、こういった名称にかかわらず、内閣総理大臣が指示をすることはできない構造となっております。

山岸委員 相談もコメントも何もできない。

 例えば、じゃ、検討状況の中間報告をもらうとか、そういうふうなことというのも、何もできない、ある意味、連絡を取ってすらいけない、それぐらいの厳しい規制があるということなんでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 そこも、若干言葉の問題の部分もあるんですけれども、それから、連絡なり会話なりが、どの程度、どういう意味合いでということはあると思います。

 ただ、今大臣が申し上げたのは、意思決定に向かうような、そういう意味での相談だとかいうことはやらないということを申し上げているというふうに思っております。

山岸委員 まさに言葉が大事でございまして、募集はしないけれども募っていますなんということも、政治の世界でもございました。

 委任だから中身の命令はできないんだということは、制度上そうなんだと思いますけれども、結局そういったところにいろいろな裏口ができてしまうんじゃないかということが問題なわけであって、いろいろなグラデーションの中で、総理大臣が設立委員と何らか接触をするということは排除されていない。そこで何を言うか、どこまで強いことで言うかということは、それはいろいろあると思うんですけれども、今どうなっていますか、どんな検討状況ですか、こういったことについて総理が設立委員とやり取りするということは可能という理解でよろしいんですね。

笹川政府参考人 お答えいたします。

 可能という意味合いがまた、望ましいかとか、いろいろ意味合いが難しいところでございますが、事実上、一言も総理とその間会話しないということは、そこは必ずしも禁じられているということではないと思います。(山岸委員「はい、分かりました」と呼ぶ)済みません、もう一言だけ。

 ただ、委任というのは二通り意味合いがあって、権限を一方的に渡してしまうという部分と、それから、渡された人、今回でいうと委任された者ですが、この人は裁量を持った行為ができないので、山岸先生おっしゃっているような、例えば総理から無言のプレッシャーを感じたときに、その方向に行くということもできない、今回でいうと、もらった名簿はそのまま伝える、そういうことになっております。

山岸委員 今御説明いただきましたけれども、やはりはっきりしないところがあるわけですよね。はっきりしない、グレーゾーンがあると、どんどん拡大解釈をされていって運用されてしまうんじゃないかということが危惧をされるわけです。

 大臣に明快にお答えいただきたいと思うんですけれども、今、無言のプレッシャーという表現がありましたけれども、設立委員が、時の政権の意向であったり、総理大臣のまさに無言のプレッシャーであったり、こういったことを忖度をして、政治に配慮をした恣意的な任命を行うという可能性はないと断言できるのか、御説明をお願いいたします。

坂井国務大臣 元々、今の制度をつくって、取っておりますのも、法人化後の学術会議の会員の選任に国が関与しないということを考えて、今の仕組みをつくっております。

 ですから、先ほどおっしゃっておりました設立委員でございますが、推薦の名簿を受け取る権限があり、指名する権限はありますが、その受取と指名に関して何一つ変えることを許される権限がない。つまり、推薦で来たものをそのまま指名で出すことしかできないということだということは、私も何度も確認をさせていただいたところでございます。

山岸委員 この点、引き続き確認をしていきたいと思います。

 次の論点に移らせていただきます。

 学術会議と政府との間で、この法案の提出に至るまでどのようなやり取りがあったのかということでございます。

 市來さん、梅谷さんと重ならない範囲でお伺いしていきたいと思うんですけれども、先ほど大臣からは、いろいろとコミュニケーションを取って丁寧にやってきましたよというお話があったんですけれども、ちょっとそれを、いろいろでは分からないので具体的にお聞きしたいんですけれども、有識者懇談会が終わった後、具体的な法案の作成に入ってくる、この過程において、つまり昨年から今年にかけて、政府が学術会議から意見を聞いたということはあったんでしょうか。いかがでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 学術会議に限らず、いろいろな方から、学術会議がメインですが、いろいろな形でお話を伺っております。

 光石会長からも、先ほど、二月にというようなお話がございました。もちろん、それだけではなく、いろいろやってはおります。なかなか、一つ一つ申し上げるのは、申し訳ございません、勘弁していただきたいと思います。

山岸委員 大臣にお伺いしているんですが。

 大臣は、ちなみに、光石会長とは法案作成をめぐって意見交換というのはされたんでしょうか。

坂井国務大臣 一時間、二時間という時間を取って意見交換というものはしておりませんが、私も、学術会議の建物にお邪魔をいたしまして、会長とお会いをしたことはございますので、そのときには多少のやり取りはさせていただきました。

山岸委員 それは、ちなみに、いつのことでございますか。いつ頃でも結構ですけれども。

坂井国務大臣 昨年でございます。

山岸委員 つまり、十二月の総会の前後の時期ということかなと思うんですけれども。非常に大事な時期でございまして、そういうところでどういったふうな御要望があったかということを、差し支えなければ、お答えいただけますか。

坂井国務大臣 よもや委員会で聞かれると思っておりませんでしたので、確かなことはちょっと覚えておらないので、ちょっと、申し訳ありません。

山岸委員 それは、急なお話ですからあれですけれども、でも、大事なことでございまして。

 やはり、大臣が当事者である学術会議の皆さんとどういうふうな意見交換をしてきたのか、あるいはしてこなかったのかというところは、やはり今回の法案の中身のいわば成熟度を考える上で非常に大きなポイントだというふうに思います。

 大臣、これは、後日何らかの形で、そのやり取りの詳細に関しては、委員会に御説明願うことは可能でしょうか。

坂井国務大臣 法案の審議中でもございますし、何より、はっきり覚えておりませんので、光石会長とどんな話をしたかというのを、例えば、じゃ、今日お話をさせていただいて、どこまで思い出せるか分かりませんので、不確かなことは差し控えさせていただきたいなと思います。

山岸委員 委員長、これも、どこまで出せるかどうか、御協議いただけるよう、お願いいたします。

大岡委員長 では、これにつきましても、後刻理事会で協議をいたします。

山岸委員 では、光石会長にお伺いしたいと思うんですけれども、今の、十二月の件は、記憶になければ、それは無理を申しませんが、この法案作成の過程において、学術会議として、政府あるいは与党に対して、何か会議とかに招かれて意見を述べるという機会はあったのかなかったのか、お答えいただけますか。

光石参考人 多少詳細に申し上げますけれども、法案の全体像につきましては、二月十三日に開催した幹事会において、内閣府総合政策推進室から、法案の検討状況について説明を受け、これに対し、日本学術会議から質問を行っております。

 その後、二月二十七日に会長談話を公表し、その中では、内閣府に対して、日本学術会議総会における議論の前提として、法案全体を早急に公開することを求めるとしておりました。

 しかしながら、三月七日に法案の閣議決定がなされたために、同日に会長談話を公表し、これまで指摘してきた懸念が払拭されていない中で法案の閣議決定が行われたことについては遺憾であること、内閣府に対して、法案に関する日本学術会議の懸念に対しての見解を明らかにされることを強く望むことを表明しております。

 その後、幹事会で整理した懸念事項を内閣府に送付し、見解を明らかにするように求めたところでございます。

 以上です。

山岸委員 二月十三日が最初だったわけなんですね。そこから、累次の提言に対しても政府は応えてこなかった。

 今、政府のことをお答えいただきましたけれども、与党の会議とかというのは、これはつまり、実際、政府が法案作成する前に、当然、与党さんの政調部門であったり様々なPTとかで、有識者を呼んでいろいろなことを詰めていくわけで、これは与党も野党も同じでございますので。そうした、与党の会議というところに招かれて、学術会議が意見表明したり問題提起をするという機会というのは、この間、あったんでしょうか。

光石参考人 お答えいたします。

 私自身は、この間、与党の会議に呼ばれたことはございません。

山岸委員 いや、これは驚きましたね。

 当事者の声を聞かずに当事者のことを決めるな、これは元々障害者福祉のところから広がった言葉でありますけれども、あらゆる政策分野に関して言えるのだろうと思います。

 これほど大きな政策変更を行うというときに、政府は、二月の、いわば直前に、簡単にポンチ絵を渡すということしかしていないし、与党の皆さんも学術会議の方を招いて御意見を聞いていない、こういう姿勢で作られた法案、私は、これは学術への基本的なリスペクトを欠いているものではないだろうかということを強く危惧をいたします。

 大臣、今会長からお話があったように、こういう姿勢で、いわば学術会議当事者を排除する形で作られてきたこの法案には大きな瑕疵があるのではありませんか。大臣の見解を求めます。

坂井国務大臣 今御質問の与党のPTには、会長は御出席をされていないということでしたが、日本学術会議の事務局長は出席をされて、お話をされているということでございます。

 また、政府も、担当者も聞いていないのではないか、こういう御質問でございますが、有識者懇談会には学術会議の会長等にも毎回参加をしていただいております。それは先ほど会長御自身がおっしゃっていたことでございますが、そういう中で、当然会長も御発言をされますし、そういったお話を伺う中でやり取りもしてきました。

 その上で、この法案を作ろうとする段階になってから、学術会議に対しても丁寧に説明しながら取りまとめ、そして、先ほど会長が、閣議決定したときに、会長が遺憾だという、いわば声明ですか、決議ですか、出されたということがありましたが、それに関しましては、法案に関して示された懸念事項に関しては、内閣府からも詳細な見解を文書でお示しをさせていただいておりまして、そういうやり取りを丁寧にし、説明をしてきたものと考えてはおります。

山岸委員 とても丁寧なプロセスとは言えないということは、先ほどの光石会長のお話を聞いても明らかではないだろうかと思います。やはりそういう姿勢で作られてきた法案なので、内容面で非常に不安な点、疑問の多い点が多々あると思います。

 一個一個お伺いしていきたい、もう時間もないんですけれども。

 まず一つ、今回、独立性ということが焦点になっているわけですけれども、前文がなくなった、そういったこともありまして、独立性に関する表現が弱くなっているのではないかということが論点としてございます。

 一問飛ばしまして、法案の中では、自主性、自律性という言葉がございますけれども、この重要性に関して、いろいろな表現ぶりはあると思うんですけれども、今回は「配慮」と、自主性、自律性に配慮すると書いてあるんですよね。尊重するとか守るとかではなくて、配慮するという非常に弱い表現になっているんですけれども、大臣、これはなぜこのような弱い表現にしたのか、教えてもらえますか。

坂井国務大臣 国を主語として法律の運用上の全般的な留意事項として記す場合には、配慮しなければならないと規定することが通例であって、尊重しなければならないとの用例は基本ないと承知をいたしております。

 教育基本法第七条第二項には、大学については、自主性、自律性その他の大学における研究及び研究の特性が尊重されなければならないとの規定がありますが、これは国に限らず、広く一般にこれらの性質が認知され、肯定に捉えられるべきとの趣旨で定められているものである一方、国の責務を定めた国立大学法人法第三条においては、国は、この法律の運用に当たっては、国立大学及び大学共同利用機関における教育研究の特性に常に配慮しなければならないということになっておりまして、国を主語として法律運用上の全般的な留意事項として記す場合には、「配慮」の文字を使うのが通例であると認識をしております。

山岸委員 一般的に使っているからということなんだけれども、やはり現行法に比べたら、はっきり申し上げて、格下げされている感が否めないわけでございまして、この配慮ということが空文にならないように徹底していただきたいということを要望したいと思います。

 次、大きなテーマ、三問目ですけれども、これは時間がないのでまとめて参考人にお伺いしたいと思うんです。

 各国との比較で、この新しい学術会議が十分ナショナルアカデミーとして胸張れるものなんだろうかということをお聞きしたいと思っております。三つの点で六つの国と比べて御説明いただきたいと思うんですけれども、これは参考人にお願いいたします。

 一つは、ナショナルアカデミーの会員選考に政府が関わっているかどうか。二つ目が、ナショナルアカデミーの活動における政府からの独立性が担保されているのかどうか。そして三つ目が、ナショナルアカデミーの業務評価を政府が行っているかどうか。この業務評価というのは、財務監査は除いてお伺いをいたします。

 この三点について、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、中国、ロシア、それぞれの国との比較でお答えをお願いいたします。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、会員選考でございます。

 海外アカデミーの状況につきましては、有識者懇談会の検討に資するために、内閣府において四か国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスについて行いました。学術会議の協力も得て行いました。

 それで、会員選考ですけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス四か国は、いずれも国とは別の法人格を有する組織ということで、会員の選考に国の関与はございません。ただ、フランスだけは、アカデミー・デ・シアンスですけれども、会員による投票で選出された者を大統領が承認する、アプロバシオンということになっているというふうに承知しています。

 中国、ロシアについては、我々は調べていません。学術会議が懇談会に提出した資料によると、どちらも、会長はロシアとか中国の政府が任命するという形でございます。会員については、余り資料がなくてよく分からないんですけれども、中国については、会員候補者のリストは、中国科学院党組に提出して、その承認を得るというふうになっていると承知しています。

 それから、次に独立性でございます。

 これも、独立性の意味合いはいろいろあるかと思いますけれども、基本的には繰り返しです、四か国いずれもアカデミーが国とは別の法人で、国の組織である日本とは違うかなと思っています。日本のように独立して職務を行うという趣旨の法律の規定がある国というのはございません。中国、ロシアについては、学術会議の資料からは分かりません。

 ちなみに、アメリカの全米アカデミーは、法律はあるんですけれども、どう書いてあるかというと、全米アカデミーは、政府のいかなる部局の要請に対していつでも、科学的又は学術的課題に対する調査、検討、実験、報告を行わなければならないという、どっちかというと逆向きといいますか、ミッションをかける規定ということになっています。

 最後に、業績評価でございます。

 これも、会計検査はもちろん普通あるわけですけれども、助成金による活動については、必要な報告とか報告書を出しているという国はございます。それから、役所の会計検査は通常ございます。我々が普通の日常用語的な意味合いで言う業務評価、行政評価とか、国が設立する法人の評価、こういったものは行われていないというふうに承知しています。中国、ロシアについては分かりません。

山岸委員 中ロは必ずしも調べられていないということなんですけれども、先進民主主義国、今四か国を挙げてもらいましたけれども、基本的にはみんな、さっきの話、三点ともバツなわけですよね。中国、ロシアは、三角だったり関与があったりするというものがあるという状況なわけです。

 ここは大きな分かれ目でして、先進民主主義国としてのナショナルアカデミーなのか権威主義国の体制なのかという、ここにやはり大きな違いがある中で、今回の改正によって日本は、実は前者から後者の方に近づいてしまうのではないか、はっきり申し上げれば、民主主義国体制から権威主義国家のナショナルアカデミーのような仕組みに近づいてしまうのではないかという懸念を私は持っております。

 僕は余り使う言葉じゃありませんが、保守系の方なんかはよく、国家の品格とかおっしゃいますよね。そういった方々こそ、いや、これは民主主義国家のナショナルアカデミーとして、そっちの体制に近づいていくようなものにしてしまっていいのかということを強く疑問を持つんですけれども、大臣、今回の改正によって、米英独仏のような体制より、むしろ中ロに近づくというふうなことになってしまうおそれはありませんか。いかがですか。

坂井国務大臣 中国、ロシアの在り方がはっきり分からないということでございますが、ですから、そちらに近づくというのが、ちょっと具体的にどういうものかなかなか明確にお示しできないわけでありますが、ただ、普通に考えれば、国の組織であったものが、先進四か国の国のように、国から独立をする、会員選考に国は関与しないという状況になって、独立という文言を法律に書かずとも、もう機能、組織そのものが明らかに独立している状況になるとなれば、普通に考えれば、先進四か国の在り方に近づくと考えるのが普通ではないかなと思っております。

 逆に、委員が何で、独立をし、そして会員選考に国が関与をしない制度の中で、中ロ側に寄る、近づくとお考えになるのかというのをお聞かせいただければと思います。

山岸委員 今、笹川政府参考人から御説明があったように、中ロは会員選考に関わってくるという仕組みになっているわけであって、そちらに日本が、こういった形で今回の新制度においても、先ほど来説明しているように、政府の関与が排除できないということをこの間指摘をしてきたわけであって、やはりそういう体制になってもらっては困るので、是非とも、中ロは特に調べていないということがありましたので、政府においてもそこはきちんと外国の体制を調べていただいて、日本が先進民主主義諸国と比べて遜色ないナショナルアカデミーをつくっていただくということを、これは是非お願いをしたいと思います。

 そこで、もう最後の論点だと思いますけれども、資料の2でございます。

 運営経費の推移をグラフにしてお示しいたしました。学術会議の予算というのは、この二十年間ぐらいでおおむね三分の二ぐらいに減っているわけです。何が減っているかというと、見れば分かるとおり、赤線で示した、端的に言えば、活動の中身はどんどん減ってきている、半分以下に減っている。一方で、余り減っていないのが青いところ、運営経費、事務局経費なんですね。ずっと学術会議は、活動は痩せ細っていくんだけれども、事務局を含めたいわば固定費というんでしょうか、そういうところがなかなか減らなくて今に至っているという状況でございます。

 今回、新制度になったときに、私は、これが改善されるのかなというと、実はかえって逆になるんじゃないかという懸念を持っております。なぜならば、先ほど梅谷議員も言っていましたけれども、いろいろな、外部チェック機関というんでしょうか、諮問機関というんでしょうか、そういったものが増えるわけですよね。

 質問を一つ飛ばしますけれども、監事、選定助言委員会、運営助言委員会、評価委員会、少なくともこれだけあるわけであって、この四つの役職、各委員会のメンバーというのを合わせると、大臣、何人ぐらいになるんですか。

笹川政府参考人 済みません、事務方から。

 監事が二人、選定助言委員会が五人から七人、運営助言委員会が十人以上十五人以内、それから評価委員会が五人以上七人以内ということで、小さい方と大きい方を足しますと、二十二人以上三十一人以内ということです。

山岸委員 マックス三十一人ですよ、大臣。二百五十人の組織ですよね。そこで外部のお目付役が三十人以上もいるという、なかなか普通は考えられない仕組みでございまして、余りにお目付役の多過ぎるいびつな組織だと私は考えております。せめて、今、ミニマムとマックスというのがありましたので、今後の運営に際しては最小限にするぐらいの、こういう努力というものはすべきではないかと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 この法案によって、国が設立し国の財政的支援を受けて運営される法人になるということでございますので、国民に対する説明責任を担保するところが重要であると提言されております。これは懇談会からですね。

 この独立性、自律性を抜本的に高めることによる学術会議の機能強化と説明責任の担保を図るために、これだけの、ある意味、組織というか仕組みが必要だということは考えておりますが、様々、今御指摘いただいた費用の面も含めて、十分に配慮して、必要最小限のものとしていきたいとは考えております。

山岸委員 もう終わりますけれども、機能強化どころか、様々な外部組織でがんじがらめになってしまうんじゃないかということを私は強く危惧していることを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。よろしくお願いいたします。

 日本学術会議法案に関してなんですけれども、まず、これまでの実績評価についてなんですけれども、国民の皆さんの信頼とか社会的影響とかという観点では、やはり、この会議の実効性や貢献度がどのように具体的に評価されていたのかが依然として不明確でした。法案の審議に当たって、この学術会議の過去の実績を通じて、その役割、存在意義が法的位置づけにふさわしいものであったかどうか、より明確な説明を求めたいわけなんです。

 コロナ禍、福島原発、ALPS処理水、旧優生保護法において学術会議の見解が社会的にどう受け止められたかというところで、たくさんありますので、まずは、コロナ禍において、政府がどの程度学術会議の知見を政策形成に活用したのか、その知見が国民に広く届き、コロナの収束とか正確な情報提供に資したのか。これは政府参考人に御説明いただければと思います。

相川政府参考人 お答えいたします。

 日本学術会議の取組でございますが、日本学術会議では、コロナ禍に関連する課題について、早い段階から、関連する学協会と連携して公開シンポジウム等を行うなど、科学者コミュニティーや市民との対話を進めてきております。

 また、Gサイエンス学術会議二〇二二共同声明を始めといたしまして、多くの提言や見解、報告等を公表しております。例えば、二〇二〇年七月に公表した提言では、感染症の予防と制御を目指した常設の組織の設置や、平時から必要な法律、体制の整備などを提言をしております。

 これらの取組を学術会議のホームページに、新型コロナウイルス感染症に対する取組としてまとめておりますところでございます。

伊東(信)委員 公開シンポジウムや提言の公表などを通じて取組を行ったと御答弁がありました。

 それ以外に、原子力関係とかのことを今あえて質問はしないんですけれども、ただ、私の方から御紹介させていただきますと、二〇一九年にも原子力の総合シンポジウムというのを行っておりまして、実は、そのときのパネリストの先生方と私はずっと仕事をしておりまして、そのときの提言の中に、提言というかコメントの中に、政策的視点や社会による意思決定もやはり期待する、リスクだけでなく日本の高い技術を発信していくべきだということも発信して、私、自分がやっていましたので、そのことはよく存じ上げているんですけれども、なかなかそれが社会に浸透していないというのは、学術会議の発信というよりも、やはり政府のそういった広報もちょっと足らないんじゃないかなという気もしているんですね。

 おとつい、この委員会の一般の中で、そのときは城内大臣がお答えいただいたんですけれども、我が党の三木議員が、いわゆるアニマルウェルフェアの話をしまして、つまり、新薬の臨床試験前に安全性を確認するための動物実験を、アメリカ、米国のFDAがそれをやめて人工知能とかに代替していく方針を発表したとあるんです。

 資料一にお示している、何かよく分からぬ、英語が書いてあるやつなんですけれども、これはテクニカルなので難しくなっちゃうから簡単に言うと、メラノソームというメラニン色素を出すところにレーザー光線を当てて、そのメラノソームがどれだけ体の中に吸収されるかということなんです。これを今まで動物実験でやっていたのをコンピューターの中のデータでやるようになって、赤で囲んでいるインシリコという、このシリコというのはシリコンの略の造語なんですけれども、インシリコというところで、データによって動物実験に代えていくという話なんですね。

 それを今度、アメリカはAIで更に計算を速くしようということにすぎないんですけれども、これは、先ほど申し上げた原子力のシンポジウムの先生と僕が二〇一九年ぐらいからずっとやっていたんですよ。今アメリカがこうやって新聞で出ていて、いやいや、日本もやっているやないかということです。それが学術会議の先生なんですね。つまり、それぞれの先生方は頑張っているのに、なぜこのような発信がされていないのかというのが非常に疑問に感じまして。

 政府として、日本学術会議のこれまでの活動が、その目的に照らしてどのように評価されて、そしてこの法案によっていかなる変化をもたらし得ると見込んでいるのか、大臣から国民に分かりやすく説明をお願いいたします。

坂井国務大臣 まず、ナショナルアカデミーは、主要先進国等を始めとする海外諸国に置かれており、各国アカデミーや国際学術会議と連携してグローバルな活動を行うとともに、政府から独立した立場で中長期的、俯瞰的な見地から政府、社会に対して学術的なエビデンスを提供することなどの役割を果たすものであります。

 学術会議は、例えば南極地域の観測など、今までも多くの共同利用研究所、研究機関の創設に関与したと承知をしてきておりますし、また、科学的助言等を行うとともに、G7の科学アカデミーの一員として、あるいは四十二に及ぶ国際学術団体に加盟して、世界の学界と連携して学術の進歩に貢献してきたと承知をいたしております。

 しかし、いわゆる政策のための科学が強く求められるようになっているのが世界の潮流であり、政策のための科学であって、実際に科学が政策として活用されて我々の生活の中で生かされるようになれば、科学の存在感というかも多くの方々が身にしみて実感をするような形になるんじゃないかなと思っておりますが。

 例えば、気候変動、人口減少、新興感染症対策、AI等の新技術への対応など、今、社会課題の複雑化や深刻化が進んで、国民生活や政策立案に学術的な知見を取り入れていく必要性がこれ以上に高まっていると認識をしておりますので、学術会議にもそういった新たな複雑化、深刻化した課題にしっかり取り組んでいただいて、同様にそういった取組が国民にも理解をしていただけるような、こんな状況になっていただきたいし、またそのための今回の法案、改正ということでお願いをしているところでございます。

伊東(信)委員 何かちょっと、別にいじわるする気はないんですけれども、テクニカルなことにお答えいただけてありがたく思っているんですけれども。

 ナショナルアカデミーの話をされましたけれども、例えば、資料二なんですけれども、海外のナショナルアカデミーというのは、新たな日本学術会議と比較した際に、政府からの独立性の確保という観点では、制度的な位置づけにおける相違点というのはどのようになっているでしょうか。これは参考人の方で。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、先ほどもちょっと話に出ましたけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは、いずれも政府から独立した別の組織でございます。今回、新法によって特殊法人になることによって、それらの国と同じように、政府とは外の形で活動できるようになるということで、海外アカデミーと同様の高い独立性を有する組織になることができるというふうに考えております。

伊東(信)委員 これは大臣にも通告していたんですが、この独立性が具体的にどのようにこの制度では担保されているのか、追加があれば説明してください。

坂井国務大臣 法人化によって、学術会議の独立性が組織面でも明確になりますので、海外アカデミーと同様に、政府とは完全に別の立場で活動できるようになりますし、また、条文にも、日本学術会議の自主性、自律性に常に配慮しなければならない旨も明記しておりますし、また、会員選考も、政府が関与しない仕組みをつくって、今回用意をしているところでございまして、独立性を担保できるようにしているところでございます。

伊東(信)委員 会員選考への政治的介入の排除というところが、やはり独立性のところで大事になってくるということなんでしょうけれども。

 それでは、選定助言委員会ですね。選定助言委員会の委員は、どのような手続、基準で任命されることが想定されているか。選定助言委員の任命において、政府が関与する余地はないという理解でよいのか。これは参考人にお願いいたします。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 第二十六条第三項だったと思いますけれども、選定助言委員会は、条文です、優れた研究又は業績を有する科学者であって、学術に関する研究の動向及びこれを取り巻く内外の社会経済情勢又は産業若しくは国民生活における学術に関する研究成果の活用状況に関し広い経験と高い識見を有するもの、分かりにくいですけれども、のうちから、そういった要件の中から総会が選任するということでございます。

 したがって、この選任に内閣総理大臣は一切関与していないということでございます。

伊東(信)委員 選定助言委員会も、当たり前ですけれども、委員会ですから、そういったところの今までの御答弁、お話の議事録があると思うんですけれども、じゃ、同委員会の議事録の公開の率、公開期間の目安をどのように想定されていますか。また同時に、市民や学術界からの意見聴取の制度設計がされているか。これも政府参考人にお聞きします。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 そういうわけで、選任自体は学術会議自身が行います。そして、選任のプロセスについても、法律で大枠をはめて透明性、客観性を担保するということでございます。その上でなんですけれども、会員の選任の過程については、法律に基づいて、国民に明らかにするよう努めるというふうな義務を課しております。

 それから、そもそも、学術会議が法人になった場合には、独立行政法人等情報公開法ですとか公文書管理法にのっとって、必要な文書の作成、保存、公開が適切に行われることになります。ただ、どういうふうに議事録を作るかとか、どういった頻度で公開するかとか、そういったことは法人において適切に考えていただきたいというふうに思っております。

伊東(信)委員 これから決めるということですよね。だから、議事録自体、こういった学術会議の内容自体はしっかりと公開して、速やかに公開する方がかえって疑念を生まなくていいのではないかなと思いますので、よろしくお願いします。

 では、その選定の助言委員会も、会員選考後ということで、そこの会員選考のプロセスに果たして自律性はあるのかどうかということなんですけれども。

 自律性及び政府関与の可能性について具体的にお伺いする中で、この選定助言委員会、この委員会は、五人以上七人以下の委員で構成されることとなりますけれども、そんなに多くない委員になりますけれども、この委員、例えば男女比とか専門分野の内訳とか、そういったことの基準は何か想定されていますでしょうか。これも参考人で。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 厳密にどの分野が一人とかそういうことではございませんが、先ほど御紹介した条文の中で、例えば、学術に関する研究の動向に詳しい人とか、産業若しくは国民生活における学術に関する研究成果の状況に詳しい人、そういった幾つかのカテゴリーを列挙しております。これも含めてなんですけれども、会員選考、選任のプロセスは、法定は大枠のみにして、学術会議の希望に沿って、詳細は学術会議に委ねるという形にしております。

 ただ、懇談会の議論の中でも、いわゆるダイバーシティー、男女もそうですし、先生おっしゃるとおり、研究の分野だとか、例えば所属機関、大学なのか経済界なのかとか、そういったこととか、あるいは活動地域、いろいろなダイバーシティーがございます、そういったことを配慮してほしいといったことは法律上も要請しております。

 いずれにしても、最後、決めるのは学術会議ということです。

伊東(信)委員 ちょっと、こだわるわけじゃないんですけれども、本当に研究といってもいろいろありまして、私は外科医なんですね。レーザーを使うとか、かなり最新のことをやっているんですけれども、研究の分野では、はしかウイルスを使ってウイルス学をやった、医学博士を持っているんですよ。ただ、それ自体は今の臨床に生きているかどうかというと、私自身は生きていると思うけれども、そのこと自体を説明するのは非常に難しくて、ただ、それに対しての知見はあると。

 こういったことで、何が言いたいかといいますと、つまり、研究の動向及びこれを取り巻く内外の社会情勢、そして産業、国民生活、学術に関する研究成果の活用の状況に関し広い経験と高い識見というのを、論文とか研究発表だけでその人のバックグラウンドというのを見ることはなかなか難しいんですけれども、これは具体的に、このような方というのは、どのような者が委員になるんですか。やはり教授陣とかアカデミアばっかしになるんでしょうか。具体的に何か決まっていることがあればお答えください。

笹川政府参考人 御質問ありがとうございます。実は、その御説明を、どこかでしたいなと思っていた話でございます。

 有識者懇談会の中でこの選定助言委員会というのが必要だという議論をしたときに、確かに、外部の人が入ってきて助言をするというシステムです。それなので、懸念、心配されている方もいらっしゃいます。ただ、何で外部の人が来ないといけないのかという話をしたときに、まず第一点、外部といっても、例えば企業でも、営業一筋みたいな人が当然来るわけじゃなくて、企業のやはり研究所だとか工場だとか、そういう話です。そういう前提なんです。だから、科学者、ドクターという例えば前提なんですが。

 一番分かりやすかった例は、産業界からの会員をもうちょっと増やしたいという話があって、それは学術会議もほかの人たちも気持ちとしては一緒。先生おっしゃるとおり、産業界から来てもらうときに、どういう基準で来てもらうんだろうかと。研究所で論文をいっぱい書いている人だと、論文はすごい大事なんですけれども、結局、大学の研究室でやっている方とダイバーシティー的には一緒で、たまたま、どこで書いているかが違うだけということになっちゃいます。

 それで、じゃ、企業だったら何だというと、やはり発明をしたとか、何か実装を考えたとか、論文とは別な形の、知というか知識、付加価値をつけた。だから、そういう人に入ってきてもらって学術会議に貢献してほしいということなんですけれども、まさにその選考基準、どういう網で来てもらうかというのを言語化して基準にするときに、恐らくこれが、悪い意味じゃないんですけれども、大学の研究者が多い学術会議だと難しいだろうと。

 だから、むしろ、異質とまで言いませんが、いろいろな視点の方の意見を聞いて、じゃ、さっきの、臨床の方に来てもらうんだったらどういう基準で来てもらったらいいか、そういうのを基準を作ってほしい、そういう議論をしていました。

 したがって、答えとしては、そのとき考えてもらうというか、学術会議で最後考えてもらうということなんですけれども、今みたいな議論をしてほしいということが選定助言委員会の趣旨でございます。

伊東(信)委員 そのお話自体は非常に分かるんですけれども、結局、総会が選任するということですね。その場合、要は、どのような手続で、どのような基準でというのは、今のは希望というか、それをどう反映していくか。そのプロセスで政府が介入する可能性というのは全くないと理解していいんでしょうかね。

 例えば、過去三年以内ということだったら、三年以内に政府の審議会等で委員を務めた人物とか、政府関係者と利害関係を有するという人も、もしかしたら、さっき、ちょっと自分のバックグラウンドの話をしましたけれども、やはりこういった、政府に関与しているという可能性というのは排除されるのでしょうか。排除基準を明確化するような方針があるのかどうか、その有無も、これも参考人、お答えください。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 排除基準と申しますか、法律で書いてあるプロセスに乗ると、政府は一切関与することができません。政府とか総理という言葉は一切そこには出てきません。後、具体的にどう選ぶかは、学術会議の中でということでございます。

伊東(信)委員 一つの案というか、正しいかどうかも分からないんですけれども、政治的中立性の確保とか、今後、多様性の確保をしていくことが必要であるということを踏まえたら、こういった委員も公募によって選ぶ方法も考えられるんですけれども、政府としてはどのように考えておられるでしょうか。

笹川政府参考人 選定助言委員会の委員の公募ということでございますね。

 選定助言委員会は、学術会議の総会が選任するということでございますので、あとは、やり方は学術会議次第です。なので、何か私が余りここで言うのもなんなんですけれども、例えば何らかの形で公募的なものを導入するということもあり得るかと思います。

伊東(信)委員 あり得るということですけれども。

 先ほども議事録の公表という話をしたんですけれども、やはりこの委員会の活動の透明性を高めるということは重要だと思うんです。選定助言委員会に対する懸念を払拭するためには、やはり今申し上げた議事録の公表、委員会の活動の透明性を高めるために、有識者懇談会を含めて、政府ではどのような議論が行われましたでしょうか。

笹川政府参考人 透明性ということでは、一番議論があったのがやはり選考でございまして、今おっしゃったとおり、議事録の公開も含めて透明化を図っていこうということでございます。

 それから、ちょっと細かくなるので余りぐずぐず申し上げませんけれども、選考のプロセスの中で、やはり投票制を、複数回やっていった方がいいんじゃないか、ちょっと口で言うと分かりにくいんですが、という議論が出て、ここは大筋でコンセンサスだったと思います。

 それで、ただ、問題なのは、投票といったときに、例えば候補者がぴったり定数だと、それは実質的に選んで選考しているのかということですので、やはり、例えばですけれども、多めに選んだところから選ぶとか、何か実質的な選考が入るような方法を考えてもらった方がいいだろう。そして、そこでどういう方法を取ったかというのを後々公開していただいて、ちゃんと選んでいるなというのを国民に納得していただきたいということでございます。

伊東(信)委員 現在も、学術会議というのは、会員選考に当たっては学術会議のホームページで公開していますけれども、現在の選考方針と、今回の法案による選定方針、相違点というのは、どこが違うわけでしょうか。

 さらに、じゃ、学術会議の会員自体は総会が選任するんですけれども、その選考結果に対する異議申立ての手続とか、外部監査の制度とか、透明性の確保をするための制度的担保というのはなされているでしょうか。政府にお答え願います。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 今の制度との違い、なかなか政府の立場から申し上げるのは難しい部分がございますが、手続もいろいろ違っています。法律ではっきり、そういうのをそもそもつくれと言っていること、法律の中で、こういったことは選考方針に入れてくださいということで、さっき申し上げたように、こういう投票の方法でやるとか、あるいは外部から候補者を募るときにこういうふうにしますとか、そういったことはしっかりと選定方針に入れて公表していくというのは、ある意味、義務づけというと変ですが、お願いするような形を取っています。あとは、具体的な中身、あるいはプラスアルファでどういったことをやっていくかというのは、三年ごとの学術会議でお考えいただくということかなと思います。

 それからもう一点、異議申立て等々の件については、特段そういったことは、一般的に、何か外部から、そういう受付窓口とか、そういったことは法律上書いてございません。あとは、学術会議において、何かそういった取組なりルートをつくるというのはあり得るかもしれませんけれども、我々としては、会員の選考、選任はやはり学術会議だけで完結するものというふうに考えておりますので、外から何か異議が入るという形は、制度としては考えておりません。

伊東(信)委員 その上で、今回の質疑の中で懸念として言われているのは、やはり、二〇二〇年に発生した任命拒否問題ということですね。これで日本学術会議の在り方に関する議論が行われ、今回の法案も提出されたと承知しているんですけれども。

 果たして、この二〇二〇年の十月、推薦された百五名のうち六名について任命を拒否した件に関して、明らかにしたい点なんですけれども、まず、当該任命拒否の法的根拠及びその根拠となる文書というのは存在するのでしょうか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大前提といたしまして、憲法第十五条第一項の規定に明らかにされておりますとおり、公務員の選定、罷免権が国民固有の権利である、こういう考え方に照らせば、国家公務員である日本学術会議の会員の任命に当たりまして、任命権者である内閣総理大臣が学術会議の推薦どおりに必ずしも任命しなければならないということではないと私どもは承知しております。

 その上で、お尋ねのございました二〇二〇年、令和二年の日本学術会議の会員任命につきましては、こうした考え方を踏まえつつ、日本学術会議法第七条第二項の規定に基づきまして、任命権者であります当時の内閣総理大臣が九十九名を任命する、こういう判断を行ったものと承知しておりまして、これに至る決裁文書等はもちろん保存させていただいております。

伊東(信)委員 ないということですね、ないんですね。

大岡委員長 もう一回確認してください。

伊東(信)委員 ちょっと、最後、聞き取りづらかったんですけれども、存在しないということですね。存在すれば、具体的な日付、文書の作成機関を明示してくださいと聞くんですけれども、存在しないということですか。

松田政府参考人 済みません。ちょっとお答えがはっきりなっていなくて申し訳ありません。

 繰り返しになりますけれども、お尋ねのございました二〇二〇年、令和二年の日本学術会議の会員任命につきましては、日本学術会議法第七条第二項の規定に基づきまして、任命権者であります当時の内閣総理大臣が、学術会議側からの推薦に基づいて最終的には九十九名任命を行うという判断を行ったものでございまして、この決裁文書はしっかりと保存をさせていただいております。

伊東(信)委員 その決裁文書は存在していると。

 政府は、今回の法案において、制度的な透明性を図るために選定助言委員会を設置するということなんですけれども、これは大臣にお聞きしたいんですけれども、学術会議側は、選定助言委員会が会員候補者選定委員会からの諮問に応じて個別の会員選考に意見を述べる可能性や、会員候補者選定委員会が全く諮問しないことで内閣府に置かれる日本学術会議評価委員会からの指摘を受ける、そういった可能性も指摘されるというような懸念を持っているんですけれども、大臣、こういった懸念というのはいかがでしょうか。

坂井国務大臣 選定助言委員会でありますが、個別の選考につきましては選定助言委員会は意見を言わないということも条文上明らかにしているところでございますので、その前に、大体その委員自体も総会が選任をするという形になっておりまして、意見に法的な拘束力はないということになっておりますから、ここは、そういった意味での影響力はないということを担保しているということでございます。

伊東(信)委員 なかなか制度自体もちょっと複雑な感じもするんですけれども、果たして本当に透明性が担保されるかということなんです。

 今回の法案では、選任された会員のいわゆる業績等、会員選任の過程を国民に明らかにするように努めなければならないと規定していますね。しています。いわゆる業績や選任した理由だけでなく、選定方針に関して選定助言委員会から聞いた意見、分野別の業績審査委員会、会員候補者選定委員会における選定の過程、総会において選任されなかった会員候補者がいた場合その理由なども、政府にお聞きしたいんですけれども、公表されるようになるのでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 選任についての情報というか、文書の公開でございます。

 会員の選任についての法律の規定は、こういうふうになっています。学術会議は、選任された会員の研究又は業績の内容及び選任した理由、それが二つ目です、の公表その他を講ずることにより、会員の選定の過程を国民に明らかにするよう努めなければならないということで、義務的に言っているのはこの二つですけれども、その他と相まって、過程が国民に分かるようにという要請をしています。要するに、何を公開するか、一つ一つを決めるのは学術会議だけれども、実際にきちんと説明できるようなものを公表してくれということでございます。

 それから、もう一点は、これも実は懇談会で議論があったんですけれども、何でも公開すればいいのかというと、結構やはりプライバシーとか出てくるので、あと、投票の順位どうしたとかあるので、そこはやはり、学者さん同士の世界であっても、それが誰かのデメリットになっちゃいけないから、出し方は慎重にしようねという議論も大分していました。

 そういったことも含めて、実際にどう出すかは学術会議で考えていただきたいというふうに思っています。

伊東(信)委員 最終的には、本当に、会員の選考過程において、どのように透明性があり、そして会員選考に政治的判断と学術的な判断をどのように分離するかということです。

 しかしながら、社会的に実効性があるのかどうかという、いわゆる実学の考えもありまして、社会的なところをやはり考えていくのが政治の世界であるという、いろいろなジレンマがあるとは思うんですけれども、ただ、やはり、一つの基準として、会員選考に政治的判断と学術的判断を制度的に分離する、この工夫は要る。

 今回、制度で、欧米諸国における学術団体の会員選考制度に比べて、透明性、独立性、劣らないと、どのような点で考えておられるか、これも政府にお聞きします。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 会員の選任については、総理による任命というのを外して、政府が一切タッチしない形になりましたので、海外アカデミーと同じように、学術会議だけで自律的に選任することができるということになります。選任プロセスも、あるいはその基準も、さっき申し上げたとおり、大枠は決めていますが、詳細は学術会議ということでございます。

 ただ、選定助言委員会はそもそも個別の人事にはタッチしませんけれども、委員を選ぶのも学術会議でございますし、そもそも選定委員会自体、学術会議の会員でございますので、少なくとも外部から何か政治的あるいは社会的な圧力が及ぶということはございません。内部でも何かそういう判断がないことを、ないと思っていますけれども、そこは公正にやっていただきたいですが、どういった選考、選定基準を作るかというのも学術会議に委ねられている。ただ、それは公表していただくということだと思います。

伊東(信)委員 それも、あれですか、欧米諸国に比べて劣らないとお答えになっているということでいいですか。ちょっと時間がないので、そこはさらっとします。

 ここで、学術会議の役割を軽視しているか否かというところがやはり大事になってきます。もちろん、国家予算がかなり莫大にあるので、そのことはしっかりと、要るのか要らないかというよりも、役割ということに関してなんですけれども。

 今回の法案は、単なる組織形態の変更にとどまらず、学術の在り方、法案の根幹に捉えているのは学術会議の在り方の見直しというところなんですけれども、この見直しの方向性について、目的の規定がありますね。社会課題の解決に寄与するとか、学術の向上発達を図るということなんですけれども、この目的規定のほかに、具体的にどの条文や制度設計の中にその方向性が示されているか、これは政府参考人にお聞きします。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 目的という条文がございまして、ちょっと長いので、さっと読みますけれども、学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、学術に関する重要事項に係る審議云々という業務を進めることにより、ここからです、「学術の向上発達を図るとともに、学術に関する知見を活用して社会の課題の解決に寄与することを目的とする」、そういうふうに書かせていただきました。

伊東(信)委員 それでは、近年、五年間、二〇一八年から二〇二〇年あたりでいいんですけれども、学術会議が発出した提言等のうち、政府の政策決定に反対する、こんな内容を含むものは何件かありましたか。また、政府が正式に内容を採用、参照した学術会議の提言数及び採用率、このパーセンテージというのを示すことはできますでしょうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 日本学術会議の提言等は、個別的政策課題に具体的な意見や選択肢を提示するものもありますが、日本学術会議に期待される役割として、より広い視野に立った社会課題の発見や中長期的に未来社会を展望した対応の在り方を提案するものがありまして、政府の政策決定に対し反対の内容を含むものであるかを区分することは難しいため、お尋ねの質問に一概にお答えすることは困難と考えております。

 また、引用、活用についての御質問でもございましたが、これについても、日本学術会議の提言は多数ございますが、政府においても非常に多くの政策が作成されておりますので、悉皆的に調べるのが困難であるので、お尋ねの質問に一概にお答えすることは困難であるということです。

伊東(信)委員 そうだろうと思って、先ほど、私が最初の冒頭に聞いたAIのやつでも、これはシンポジウムの中の、その先生と僕が共同して書いたやつで、ここにもう最初に示されているやないかという、そこまで深掘りするのはどだい無理な話なんです、それは分かって聞いているんですけれども。

 では、二〇二〇年以降、日本学術会議が発出した提言等のうち、政府から回答依頼があったテーマと学術会議側が自主的に設定したテーマの件数、つまり、政府機関に対する研究テーマの割合に上昇傾向があるかどうか、それをお聞きします。

相川政府参考人 二〇二〇年以降で日本学術会議が政府からの依頼を受けて行った回答でございますが、スポーツ庁からの審議依頼による科学的エビデンスに基づくスポーツの価値の普及の在り方、また、内閣府からの審議依頼によります研究力強化に関するものと研究DXの推進に関するもの、文部科学省からの審議依頼による論文の査読に関するもの、こういった四件がございます。

伊東(信)委員 実際に件数がある。これが本当に、多いか少ないかということの判断なんですよね。日本学術会議の予算が全額国費によって賄われている状況でして、政府からの財政的、人事的に独立を担保する仕組みというのが存在するかというのをお聞きしようかなと思ったんですけれども、それはよろしいです。

 それよりも、では、政府に対して批判的な提言や研究活動を行った会員に不利益が及ばないような、そういった制度というのは担保されているのでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 法人化した後という前提でお答えさせていただきます。

 法人化によって、内閣総理大臣による任命は行わなくなって、海外と同じように、政府が関与しない、学術会議だけで自律的に会員を選ぶようになるということです。したがって、政府に対して批判的な提言を行ったからといって、会員に不利益が及ぶということはないだろうと思っております。

 そもそもアカデミーというのは、学術的知見に基づいて助言をしたり見解を述べたりすることを期待されている。その際に、政治的、社会的、あるいは宗教的諸勢力からの影響を受けないで、学術的見地からのみによって行われるべきということでございます。これは当然かなと思っています。

 それで、何を言おうとしているかというと、アカデミーにおけるそういった学術的な見地に立脚した検討を経て提示された結果である見解とか助言が、結果的に何らかの政治的とか社会的な何か主張に沿ったものであるとか、あるいは、場合によったら政府から見て余りうれしくないものであるとか、そういった場合であっても、アカデミーにおけるそういった中立的というか、学術的な検討を、そういう見地のみからの検討を経て出たものであれば、アカデミーとしての使命、目的にかなっているものじゃないかというふうに思っております。

伊東(信)委員 学者というのは、概して日本国内での利益を考えるんですけれども、やはり世界に発信していくわけですね。いわゆる学術会議の在り方というのは、海外もやはり注視しております。

 問い六の国際信用ということに関してお聞きしたいんです。

 任命拒否問題が二〇二〇年にあったときに、例えばアメリカの物理学会、APSというんですけれども、それとか、英国の王立協会、ロイヤルソサエティーを始めとして、十を超える海外学術団体が懸念表明を行ったんですね。これが国際的な信用に影響があるのではないかということなんです。

 四年経過しています。政府として、これまで、こういった個別の学会ですけれども、それでもやはり国際的な信頼回復に何か政府として講じた具体策というのはあるのでしょうか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、二〇二〇年の会員任命に関しまして海外の学会等から懸念が表明されておる、こういうことは私どもも承知しております。

 これまでも政府といたしましては、二〇二〇年の任命権の行使が、会員等が個人として有している学問の自由、こういったものに影響を与え、これを侵害すること、あるいは学術会議の職務の独立性を侵害すること、こういうことになるとは考えていない、こういう旨の発言を、例えばこの国会等の場で、要はこういう公の場で繰り返し説明を申し上げておりまして、こういうことを通じて理解を求めてきたものと私どもは受け止めております。

伊東(信)委員 学問の世界だけじゃなくて、いいことをしていても余り広がらなくて、悪いことだとすぐ広がるんですよね。そういったところで、政府として信頼回復に更に努めていただければと思うんですけれども。

 もう一つ、最後に、懸念となっているのは、やはり国民的な議論の不足があるんじゃないかなということなんです。

 二三年から二四年にかけて行われた日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会などで、有識者から意見聴取を受けられた。有識者懇談会は有識者十二名で構成されてということなんですけれども、今回の法案の検討に当たり、それ以外に何名かの学術界関係者も、そして幾つかの関連学会からも意見聴取をしたんですけれども、何名ぐらいの学術界関係者、幾つぐらいの関連学会から意見を聞いて、当事者である日本学術会議との協議も、どのぐらいの頻度で行ったでしょうか。

笹川政府参考人 済みません。手元に、団体が幾つとすぐ申し上げられませんけれども、それほど少なくない団体、それから学者の方々ですとか、いろいろな方々からお話を伺いました。

 それから、学術会議とは、これも余り何でもかんでもお話しできるというあれでもないんですけれども、割とそこは頻繁に、いろいろな御意見を伺ったりしておりました。

 それから、さっき、懇談会の中で学術会議の会長は正規メンバーじゃないというようなお話がありました。確かにそうなんですけれども、実際としては、我々はほとんど対等な感じで、しゃべる時間もそんなに変わらず学術会議側とやっていたつもりでございますので、学術会議の方がどう思われているかあれですけれども、一緒に検討してきたというつもりではおります。

 以上です。

伊東(信)委員 その当事者の学術会議の皆さんのお話ですけれども、やはり懸念の声があるのは事実なんですよ。私自身は、この法案を審議するに当たり大事なことは、そういった懸念をやはり払拭する、しっかりとした政府の説明ができるかどうかということが非常に大事になってくると思っております。

 本当に、ここでリーダーシップを取っていただきたい大臣に、日本学術会議からも修正を求める決議が採択されておるんですね、このことを踏まえて、現時点で、その修正を含む柔軟な対応を検討することを考えておられるでしょうか。それとも、既に検討過程で、いろいろな学術会議の声、市民の声が十分反映されている、そういった判断なのか、大臣の御見解をお聞きします。

坂井国務大臣 今回の法案策定に関しましては、今までも御説明させていただいてまいりましたが、室長を始め、様々なところとやり取りを行った上で、懇談会からの提言を受けて法案作成をさせていただいてまいりました。

 また、学術会議からの懸念事項も、会長がお示しをいただく中で、それに対して文書で御回答もさせていただいている、やり取りもさせていただいておりますので、こういった中身を、国会審議において、法案の趣旨、内容をしっかりと説明してまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 柔軟な見直しも含めて、ただ、本当に、日本学術会議を始めとして、学術界とコミュニケーションを図りまして、国民の、日本国の利益になるようにリーダーシップを取っていってください。

 時間になりましたので、終わります。

    〔委員長退席、國場委員長代理着席〕

國場委員長代理 次に、石井智恵君。

石井委員 ありがとうございます。国民民主党・無所属クラブの石井智恵です。

 私からは、日本学術会議法案について、海外のアカデミーとの比較や、本法案が、学術会議のナショナルアカデミーとしての役割を果たすための要件が担保されているのかという観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、世界におけるナショナルアカデミーの歴史について述べさせていただきます。

 アカデミーという語源は、古代ギリシャの哲学者プラトンがアテネに開いたアカデメイアを由来としているということでありまして、その後、ルネサンス時代には、アカデミーは、学術団体、学会を意味する言葉になったということであります。

 一人の研究者が研究するだけではなく、組織的に活動する機関が古くから存在をしておりました。最も古い歴史を持つものは、四百年以上前、一六〇三年、イタリアのリンチェイ国立アカデミーが設立をされました。日本では徳川家康が征夷大将軍に任じられた年と同じ年であります。既にこの頃からナショナルアカデミーが誕生しています。

 フランスでは、一六六六年、ルイ十四世の時代、これはベルサイユ宮殿を建設した年でありますが、その頃から政治への助言を目的とするアカデミーが設立をされています。

 今では世界的にも百四十を超えるナショナルアカデミーがありますが、常に政治との距離を模索しながら、そして、その独立性をいかに担保していくのかといったことが歴史的にも長年の共通の課題として掲げられています。

 午前中から審議をしておりますこの法案について、独立性の確保がずっと議論されておりますが、長い歴史の中で、世界中のナショナルアカデミーがこの独立性を保つために、時に政治と協力しながら、そして時に戦っていきながら維持していたというふうに思っております。

 人間がいかにして、平和で、そして心豊かな生活を送ることができるのか。それは、科学技術の開発などによって知恵を働かせ、技術を高めるだけではなく、それに伴う環境保護、また倫理、そして人権と、多岐にわたる課題を解決していくためのものであり、総合的に、また横断的に議論することができる国の代表機関、科学者のコミュニティーが必要であるということで、ナショナルアカデミーが存在しているということであります。

 日本においても、海外ナショナルアカデミーには三百年以上後れを取りながら、ナショナルアカデミーとして一九四九年に日本学術会議が創設をされました。そこから七十六年たった今、まさにナショナルアカデミーが今後も独立性を確保しながら活動ができるのか、そして、日本学術会議が国民にとってどのような存在になるのかということを改めて問われていると思います。その岐路に立っているというふうに考えています。

 そこで、大臣にお伺いをいたします。

 日本学術会議の存在意義について、大臣の御見解をお伺いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。

坂井国務大臣 日本学術会議は、政府から独立した立場で中長期的、俯瞰的な見地から政府や社会に対して学術的なエビデンスを提供することなどを重要な役割としておりまして、先日の学術会議会長の声明にも書かれているように、例えば南極地域観測などのほか、数多くの共同利用研究所や研究機関の創設に関与してきたと承知をいたしております。

石井委員 ありがとうございます。

 日本学術会議は、戦争の後、科学者の関与を反省し、一九五〇年に、戦争を目的とする科学研究は絶対に行わないという声明を出されました。この日本学術会議も国を代表するナショナルアカデミーとして世界のリーダー的な存在となってほしいという思いから、今後の日本学術会議には期待をしているところであります。

 では、日本学術会議が今後どのようにあるべきかということについて述べさせていただきます。

 日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の最終報告書において、ナショナルアカデミーのあるべき姿として、将来的、最終的には、活動の拡大はもとより財政面を含めて自律性を高め、海外アカデミーに見られる公益法人のような形に落ち着いていくことが、ナショナルアカデミーとしての学術会議の在り方ではないかと述べられています。独立性を保ちながら、やはり変革していくべきでもあるというふうに思っております。

 日本においては、主なアカデミーとして五つの組織があります。日本学術会議が提言をしていく機能として存在し、顕彰機能及び助成機能は、日本学士院、科学技術振興機構及び日本振興会が担っており、科学技術の振興を図るための基本政策については、総合科学・イノベーション会議が担当をしています。今後の日本アカデミーとしての理想は、この五つの組織が融合していくことが最終あるべきアカデミーの姿ではないかというふうに私も考えております。歴史的な経緯や役割も検討していかなければならないと思いますが、世界最高のアカデミーを目指して、日本でも、今後の中長期ビジョンも踏まえて議論していくときが来ているのではないかというふうに思っています。

 そこで、本題に入ります。

 本法案において、日本学術会議が、これまでの形態から大きく形態を変え、特殊法人になっていくわけでありますが、そもそも学術会議は、ほかの特殊法人や独立行政法人には存在しない、科学者が会員になっている機関であり、政府の事業を実施する組織でもありません。業務の性質も企業的経営や能率的経営にはなじまないものであり、この特殊法人化については懸念をされている声もあります。

 国を代表する機関としてのナショナルアカデミーがなぜ今回特殊法人化するのか疑問が呈されている中で、これまでもずっと議論をされておりますけれども、独立性を強化するためなのか、それとも財政的なことで法人化するのか、どちらなのか、その目的をはっきりとするべきではないかというふうに思っております。

 改めて大臣にお伺いしますが、この特殊法人化する理由について教えていただけますでしょうか。

坂井国務大臣 設立以来七十五年余りの学術の進歩、社会の変化、こういった情勢の変化を踏まえると、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められており、国の機関のままの改革では限界があることから、機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めるため、よりよい役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として、今回の法人化が、法人化することが懇談会でも提言され、今回法律として提出をさせていただいているところでございます。

 つまり、社会が大きく変化していく中で、今までの在り方では限界がある。例えば、外国人の会員さんが無理だとか、先ほども触れましたけれども、海外では寄附みたいなものをいただきながら運営しているところもございますが、今のままでは無理だというようなお話もある中で、新しく、社会に対してしっかり働きかけができる、こういった状況をつくるために法案化したものでございます。

石井委員 ありがとうございます。それでは、独立性を強化するための特殊法人ということで間違いないということでございますね。ありがとうございます。

 日本学術会議は、役割を終えている、何をやっているのか国民から見えてこないとの声が上がっている中で、世界のナショナルアカデミーとしての先導役として、また国の代表機関としての役割をどう果たすのか、日本学術会議の存在意義を示していく必要があると思います。

 現在、日本学術会議は、よい役割発揮に向けて、第二十六期のアクションプランを計画されていると思います。午前中、会長からも御発言がありました。私もホームページでこのアクションプランの取組を拝見させていただきました。

 その中で、タイムリー、スピーディーな意思の表出と助言機能の強化ということが掲げられております。

 例えば、生成AIについても、今年、二〇二五年の二月二十七日付で、日本学術会議が、「提言 生成AIを受容・活用する社会の実現に向けて」というテーマで、生成AIの現状と動向、脅威と課題、活用による波及効果について、学術の立場から洞察し、生成AIを受容、活用する社会の実現に向けてどのような施策を取るべきかについてまとめたものが公開をされております。この内容は多くの方に知っていただく必要があるというふうに思います。

 また、国際会議においては、令和六年の十月七日、英国王立協会及びフランス科学アカデミーの会長に参加をいただき、国際アドバイザリーボードを京都国際会館にて開催をされたということであります。日本学術会議と各国のアカデミーとの連携強化が、日本学術会議アクションプランの方策について意見交換されたということであります。

 世界のリーディングアカデミーとの連携や、アジア学術会議を軸としたアジア地域におけるリーダーシップを発揮されているということでありまして、このような成果を是非国においても生かしていくようにすべきというふうに思っております。

 国民、社会を意識したウェブページの充実という取組も掲げてあるということでありまして、アクションプランの取組、これについては、先ほど光石会長もおられましたが、ユーチューブで紹介をしている動画も私も拝見させていただきました。

 特に、これから若者に向けた情報発信も必要だというふうに思っております。現在のアクションプランについて、特に若者に対しての情報発信に向けた取組について教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。

相川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学術会議第二十六期アクションプランにおきましては、情報発信やコミュニケーションが課題となっております。特に、若い世代へのアプローチは非常に重要な課題でございまして、全国の各地域で実施しております学術講演会、これに地元の高校生に参加を呼びかけましたり、また、市民が気楽に参加できるサイエンスカフェといったものを様々な地域で開催をしたり、また、昨年八月には、研究者になって世界を駆け巡ろうというテーマで公開シンポジウムを開いて、広く全国から学生の参加を募って、気候問題などのテーマで会員と学生のパネルディスカッションを開催するなど、そういった様々な取組を進めているところでございます。

石井委員 ありがとうございます。やはりこれから若い人たちが研究者になりたいというふうに希望を持っていただくためにも、日本学術会議が積極的に若者に向けても情報発信をしていただきたいというふうに思っております。今後更に情報発信を高めていただけたらというふうに思っております。

 このアクションプランの実行によって、より多くの国民がナショナルアカデミーの存在価値を見出して、例えば危機的な状況に陥ったときも、国の方向性を決めていく機関として是非活躍していただきたいというふうに思っております。

 今後の日本学術会議の国民への理解促進について、大臣にお伺いしたいと思います。

 今国会においても、内閣委員会で、能動的サイバー防御法や、またAI推進法などについても審議をしておりました。その中で、日本のサイバーセキュリティー対策や、またAIについても諸外国から遅れているということが日本の課題であったわけであります。まさにここは日本学術会議の出番でもあり、科学的な見地から、日本の科学技術や、またイノベーションの発展に対して提言をしていくべき存在であるというふうに思っております。

 また、特にこれから、海外との連携も非常に重要だというふうに思います。海外のナショナルアカデミーとの連携も求められるというふうに思います。

 日本学術会議がいかにして国民に理解そして納得してもらえるようにしていくのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

坂井国務大臣 学術会議の情報発信、そして、国民が理解をしていただくことが重要だということは、委員御指摘のとおりだと思っております。

 懇談会報告書におきましても、「基礎科学を含めたあらゆる学術は究極的には社会の役に立つものであり、学術には応用や実装の観点も含まれるということから、国民や社会と適切にコミュニケーションをとりながら活動していける組織であることも求められる。」とか、御指摘のような、「学術会議には、海外アカデミーが果たしている役割、すなわち社会の関心及び状況等を踏まえつつ科学的エビデンスや学術的な知見を適切に整理し、政府等と丁寧にコミュニケーションをとりながら適時適切に提供していく役割に果敢に挑戦し、積極的に引き受けていくことも期待されている。」と述べられていると承知しております。

 また、懇談会では、先進諸国は国から独立したアカデミーであり、学術会議が伸びやかに発展していくための形を考えると、国の一組織ではなく、アカデミーとしての本来的な活動の在り方を考えるべきではないかというような議論だったと聞いております。

 やはり、今、サイエンス・フォー・ポリシーというような潮流が世界にあるということでございますが、実際に、そこで研究をしていただいた成果が、実際に社会に反映をされて、我々の生活に影響を及ぼすというような形で、我々が実際にそれで生活がよくなる、変わっていくということを実感していただくような、そういった状況をつくっていただきたいな、こう思っております。そうなれば、多くの国民がその存在意義を理解をしていただけるものと考えているところでございます。

石井委員 ありがとうございました。

 日本学術会議が、本当に国民にとって非常に大事なものだ、長い歴史をかけてここまでやってきて、世界も、それぞれの国で代表的なナショナルアカデミーがあるということでありますので、日本のナショナルアカデミー、世界のリーダー的な存在としてあってほしいと思いますし、長年ずっと研究者の方が、この独立性をいかに保っていくかということを本当に大事にしてきたという思いから、やはりこの法案に関して、独立性をいかに保っていけるのかということが非常に重要なことだと思います。

 是非、研究者の方の思い、そういった思いを酌んで、この法案に関して、独立性を強化していくための法案であるということを私も願っております。何とぞよろしくお願いいたします。

 大臣、ありがとうございました。

 次に、じゃ、独立性をいかに確保していくかという議論に移らせていただきます。

 日本学術会議は、ナショナルアカデミーの役割を果たすために五要件というものを示しております。この五要件を満たすということが非常に重要な点であるということであります。

 この五要件とは、要件一として、学術的に国を代表する機関としての地位、要件二として、公的資格の付与、要件三として、国家財政支出による安定した財政基盤、要件四として、活動面からの政府からの独立、要件五として、会員選考における自主性、独立性であります。

 その上で、海外のナショナルアカデミーとこの五要件との比較でありますが、G7のナショナルアカデミーは、アメリカの全米科学アカデミー、イギリスの英国王立協会、ドイツのレオポルディーナ、フランスのフランス科学アカデミーなどがありますが、G7のナショナルアカデミーはこの五要件を充足しているということを、令和三年の四月、日本学術会議で調査結果が出ております。

 これまでの、現行の日本学術会議も当然この五要件を満たしており、世界と共通したナショナルアカデミーとして存在をしておりました。しかしながら、今回の法案によって五要件が充足できない懸念が日本学術会議の会員の方からも示されているということに、今回の法案を審議をしていく中で大きな論点になっているというふうに考えております。

 まずは、独立性を確保できるのかということについて。

 今回の法案のように、内閣総理大臣が任命する監事が日本学術会議全般の業務を監査するというように、政府や外部が関与する仕組みをつくっている国はロシアや中国などであり、このような国では、政府が関与するナショナルアカデミーになっているということであります。

 中国では中国科学院があり、国家直属の科学研究機関として存在しています。ロシアにおいてはロシア科学アカデミーがあり、非営利の独立した組織ではあったものの、約十年前に政府が所有する公開組織となり、内外の会員からの反対意見が出されたものの、その後、政府の科学高等教育省に属する機関となっております。

 先ほど山岸委員の質問にもありましたけれども、日本においても、本法案が成立した後、中国やロシアのように政府の関与が強くなるのではないか、独立性を確保できないのではないか、学術会議の存亡の危機というふうに言われておりまして、この法案について懸念されているわけでありますが、本法案は、ナショナルアカデミーとしてこの五要件を満たしているのかどうか、改めて政府の見解をお聞かせいただけますでしょうか。

    〔國場委員長代理退席、委員長着席〕

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 ナショナルアカデミーの五要件は、各国のナショナルアカデミーの組織原則について、学術会議がそういうふうに見ているということでございます。

 それで、有識者懇談会では、各国のナショナルアカデミーは、歴史、役割からほかの機関との役割分担などを背景に、それぞれの国にふさわしい形態が取られております。先ほど、学士院とかいろいろ言及いただきましたし、例えば、アメリカ、イギリス、同じ形ではもちろんございません、日本も違います。そういった中で懇談会がやろうとしたのは、我が国に適した形でのナショナルアカデミーとしての理想的な在り方を考えていきたい、そういうことでございました。

 そういったことなので、学術会議を、同じ法人にするにも特殊法人ということにいたしました。要するに、独法とかそういうものじゃなくて、特別な法律により設立される法人ということにして、学術会議の独立性なり自主性、自律性を尊重しながら、それにふさわしい固有の制度設計をしたい、そういうことでやってきました。

 それで、要するに五要件はどうなるかということなんですけれども、我々としては、五要件、五つのポイントというのは確かに重要なポイントだなと思っています。そして、結果的にそれを押さえた設計になっているというつもりでおります。

 具体的に申し上げますと、まず、そもそもなんですけれども、法人化によって、さっき大臣も申し上げていました、学術会議の独立性が組織面でも明確になって、海外アカデミーと同様に、政府とは完全に別な立場で活動できるようになる、これはそもそも独立性が高まっているということです。

 それで、要件との関係ですが、まず最初の話については、我が国の科学者は、内外に代表する地位、それから、学術に関する国際団体への加入、こういったことは引き続き法律で書いていますので、ここは満たされていると思っています。それから、政府に勧告する権限なども法律で明確に残しておりますので、ここも満たされていると思います。

 それから、政府による財政的支援、これもさっき大臣から答弁ありました。法人化後も法律に明記しております。引き続き財政的支援を行うということでございます。

 残りの二つですけれども、会員の総理による任命を行わないで、学術会議だけで会員を選考、選定できるようになるということ、それからもう一つは、広範な内部規則を制定、改廃する権限も維持して、法律事項は最低限にとどめ、内部規則に委ねるべきであるということでございました。

 具体的に言うと、例えばですけれども、この最後の点については、組織の自由度を高めるべきだという学術会議の話を懇談会の中でいただきましたので、今、法律で定めている連携会員とか部、部会とか、あるいは事務局、そういったものも学術会議の判断で弾力的に対応していただけるようにいたしました。

 いずれにしても、あと、自主性、自律性への配慮ということも書いております。

 長くなりましたけれども、以上です。

石井委員 御丁寧な答弁、ありがとうございました。日本の学術会議が、やはり、ロシアとか中国などとは違って、ナショナルアカデミーとして独立性を確保して、時に政府に対してもしっかりと科学的な観点から勧告を行うことができるよう、しっかりと独立性を担保していただけたらというふうに思っています。

 この五要件をしっかりと満たしているかどうかということが非常に重要なことだということで日本学術会議の会員の方もおっしゃっておりましたので、是非、その辺りは丁寧に説明をしていただいて、実施していただけたらというふうに思います。

 先ほど、本法案はナショナルアカデミーとして五要件を満たしているとの御答弁をいただきましたが、その上で、少し詳細な部分についてお伺いいたします。

 財政基盤が確保できるのか、また、独立性についての規定に関してお伺いしたいと思います。

 まず、資金についてですが、アメリカ、イギリスのアカデミーは、国の予算が入るものの、全額は依存はしておらず、必要な資金は企業や個人からの寄附などを通じて補っているほか、共同や受託研究のような産官学の連携で外部資金を確保しているケースもありまして、財政面でも政府からの独立性が比較的高いというふうにされております。

 一方、独自財源への依存を求め過ぎれば、やはり本来の目的を実現ができずに、組織が弱体化をしたり、また、本末転倒になりかねないとの指摘もされております。この金銭を受け取る委託業務が主流になってしまえば、中立性やまた公平性が失われるおそれもあります。

 国からの財政支援と外部資金の割合など、日本学術会議にとって望ましい財源確保の在り方について政府はどのように考えているのか、教えていただけますでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 一言で言うと一概には言えないということになりますけれども、先生おっしゃったとおり、アメリカ、イギリス、大分、外部資金が入ってきています。それから、国からの資金といったときも、アメリカは、御存じのとおり、プロジェクト型というか、ミッションごとに、こういう提言をやってくれたら幾ら上げます、そんなような話で、それをたくさんやって、かなりの額になっている。イギリスは、どっちかというとまとめて出すというような感じになっています。フランスも交付金型ということで、交付金だけれども三割ぐらいというか、本当にばらばらです。

 それで、我々といたしましては、大臣も答弁していましたけれども、業務の財源に充てるために必要と認める金額を補助するという条文を今回、立てました。これは、全部又は一部と書いていないので大丈夫かとか、それから、交付することじゃなくて補助することになっているから、補助金、大丈夫かといろいろ御心配をいただいていますけれども、ここは、我々からは大丈夫だというふうに申し上げています。

 まず一つ、引き続き必要な支援はしていくということは大臣から申し上げたとおり、ただ、頑張って仕事してくださいということではありますけれども、申し上げています。

 制度的なお話をいたしますと、補助金になっている理由というのは、独立行政法人にしなかったこととの裏腹の関係です。細かく言い出すとちょっと長くなるので簡単に言いますと、独立行政法人は、大学もそうかもしれません、中期計画というのを作って、六年間でこういう業務をやりますというような計画を作ります。それを大臣が認可します。それで、その業務をやるためにこれを使ってくださいといってお金を渡します。要するに、何をやるかがある意味決まっている、枠がはまっているので、言葉は悪いですけれども、何でも使われちゃうという可能性がないので、ざくっと使途を定めないで渡すということになっています。

 今回、今設計している学術会議の中期的な活動方針は、そういったリジッドなものでもないし、総理の認可という仕組みも取っていません。あくまでも、アカデミーとして、こういった分野で頑張りたいとか、そういうのを書いてもらいたいというものでございます。

 逆に言うと、ルーズと言うと変なんですけれども、それで大枠が定まってこないので、やはり毎年きちっと査定させていただかないと国民に責任を持つ支出ができないということで、大臣もさっき申し上げていました、ちゃんと来年これをやるというのをどんどん言って、逆に言うと、どんどん要求してくれということですが、というような仕組みになっています。

 したがって、ちょっと脇道にそれましたけれども、補助するというのは大丈夫ですということを今申し上げようとしました。

 あと、懇談会もそうなんですが、学術会議にいきなりたくさん稼いでこいというのは、そんなに言っているわけではございません。そんなにというのは微妙なんですけれども。大事なのは、やはり外部資金を獲得する努力、もっと言うと、アメリカみたいなものですけれども、こういう提言があるからどうですかとか、社会のニーズも拾って、自分から売り込むじゃないですけれども、積極的に活動するような努力、そういった、インセンティブと言うべきかどうかもあるので、外からお金をもらおうとするのが大事で、全部国の予算だけだと、なかなかそうなりにくいんじゃないかということでございます。

 したがって、理想的な額が、例えば九対一なのか七対三なのか、ちょっとそれは現時点で一概に言えません。学術会議がどういうふうに頑張っていくかにもよりますけれども。

 いずれにしても、申し上げたいのは、必要な国費はしっかり出していく、頑張ってくれている限り出していくということだと思いますし、そうはいっても、一定の外部資金獲得の努力をやっていただくことが活動の向上につながっていくということだと思っています。

 済みません、長くなりました。ごめんなさい。

石井委員 ありがとうございました。やはり、科学者の方、研究者の方がしっかりと公平に研究をしていくための予算というのが必要だというふうに思います。国を代表する機関でありますので、その予算についてはしっかりと出していただけるようにしていただきたいというふうに思います。

 また、次に、第四の要件にあります活動面での政府からの独立について。

 現行法では、三条に明確に、日本学術会議は独立して職務を行うというふうに明記をされております。しかしながら、本法律案においては、日本学術会議の独立性の確保に関する規定を置いておりません。この理由についてお聞かせいただけますでしょうか。

笹川政府参考人 済みません、短めに御答弁するようにいたします。

 現行法で、独立して職務を行うというふうに書いてある元々の意味合い、法制的な意味合いは、行政機関である学術会議が、関係省庁との調整などによって、自由な意思表出、意見を言えなくなることを避けるためでございます。過去の国会答弁でも、独立して職務を行うという規定の意味は、政府各省の制肘を受けないことというふうに答弁されています。制肘というのは分かりにくいんですが、肘で邪魔するというような言葉です。

 法人化によって、学術会議の独立性が組織面でも明らかになって、海外アカデミーと同様に独立するわけですから、独立して職務を行うという規定を置く法制的な必要性がなくなった、要するに、独立しているものにあえて独立してというふうに書かないということは、法制局とも相談した結果、このようにさせていただきました。

 何か、独立性を下げるためとか、そういう意味ではございません。

石井委員 ありがとうございます。やはり法律の中で、独立性をしっかりと確保していく、そういった文言が、しっかりと明記していないと、やはり見た側は、本当にそれが大丈夫かというふうに思われると思います。そういった点で、この法案についても、しっかりと独立していけるような組織として機能していただけたらなというふうには思っております。

 現行法にも連携会員が、二千人というふうにあるんですけれども、今回の法律案について、連携会員についても記述がありません。今現在、連携会員の方はたくさんいらっしゃいまして、この連携会員についてなぜ記述がないのか、そしてまた、政府としてどのように連携会員の方の評価をされているのか、教えていただけますでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 連携会員については、何をやっているんですか、どういう趣旨ですかということは、懇談会でもいろいろ議論になって、非常にいろいろなことをやられているということなので、なかなか一概に評価というのは難しいかと思います。ただ、皆さんいろいろなことで頑張られているということだと思います。

 それで、法律で書いていない理由ですけれども、ここは、さっきおっしゃっていた五要件にあるとおり、組織面での独立、活動面での独立とありました。したがって、法律で書く事項は最小限にとどめて内部規則に委ねてほしいということが学術会議からの意見として出されておりましたので、連携会員、あと、さっきの部とか、そういうのも含めてですが、については法定しないということにしました。

 結果として、あとはもう学術会議の御判断ですが、例えば、内部規則で同じようなものを置いて活躍していただくということはもちろん可能でございます。

石井委員 ありがとうございます。

 あと、現行法では、会員は、国家公務員の特別職の身分を持つために、日本国籍を持たない方は会員になることができておりません。なので、外国人アドバイザーという形で関わっているということでありますが、新しい法律ができて、特殊法人という形になるんですけれども、それ以降、学術会員の会員の選考について、日本に国籍を持たない方、また、外国の方が会員として入ることは可能なのか。また、世界の国際アカデミーの場合は、様々な国の研究者が会員になるという場合もありますけれども、海外の研究者の方の会員採用についてなど、どのようにお考えになっているのか、教えていただけますでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 外国人会員についてです。ここも懇談会でかなり議論がありました。先生が最後におっしゃったとおり、海外はどうなのかというと、基本的には外国会員はいます、入っています。いないのは日本だけとは言いませんが、かなり少数派でございます。

 この点について、御質問のとおり、公務員でなくなりますので、法人化に伴って、外国人の会員への選任というのは制度的に可能になります。

 あとは、例えば、どういう段取りでとか、どういう選び方をするかとか、そういったことは学術会議においてお考えいただきたいというふうに思っています。

石井委員 ありがとうございます。

 学術会議のコオプテーション方式というものがあると思いますけれども、このコオプテーション方式は、海外のアカデミーでは基本として取り入れられております。また、ほかに、海外は投票のプロセスも組み合わせてやっているということでありますけれども。

 答弁もありましたけれども、もう一回、コオプテーション方式と、また投票制をどのように組み合わせてやっていくのか、お考えを教えていただけますでしょうか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおり、コオプテーションは、海外で基本的に取られているということで、我々も原則維持しているつもりでございます。

 その中で、先ほどもどこかで指摘がありましたけれども、そうはいっても、うまくやらないと、やはり決まった集団だけで再生産されるというようなことになりかねないという指摘もいろいろございましたので、投票という仕組みを通じて、かつ、できれば、多くの人から一定の人を選ぶという形で、実質的な選考が働くような形にしていきたい。それによって、今の会員、あるいはアカデミー全体で次の人を選ぶという原則を維持しつつ、実質的に選考が行えるようにしたいということでございます。

 したがって、コオプテーションの改善とか補強、そういうことです。

石井委員 ありがとうございました。是非、日本学術会議が国民との対話もしっかりと充実できるように、国民の方に理解できるような学術会議にしていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

大岡委員長 次に、上村英明君。

上村委員 れいわ新選組の上村英明です。

 今日は、済みません、坂井大臣がいらっしゃるんですけれども、ちょっと失礼な出だしで始まることをおわびしたいと思います。

 私は、二十年間、大学で研究者をしておりました。今回、その立場でこの法案を見せてもらったんですけれども、残念ながら、問題があるというレベルを超えて、日本の政府というのは、学術とか科学ということについて余りよく分かっていないなということを考えざるを得なかったということがございます。

 先ほど石井委員の方から、アカデミーというのは昔は学会という意味で使われたというふうにお話があったんですけれども、研究者の集まりというと、学会という組織があることは皆さん御存じだと思います。

 坂井大臣にお尋ねしますけれども、これまで、こういう学術的な組織である学会の会員になられたことはありますでしょうか。また、学会はどういう組織だというふうにお考えかというのを、ちょっと最初にお伺いしたいと思います。

坂井国務大臣 私は、学会に入ったことも、触れたこともございません。ですので、学会がどんなものかというものを実は肌身で感じて分かるというところとはほど遠いと思っておりますが、同じ分野の研究者の皆様が集まって、それぞれの研究を高めていく場所ではなかろうかと思って、推測しております。

上村委員 正直にお答えいただきまして、大変ありがとうございます。

 私自身は、現在、国際人権法学会という学会の会員でありまして、二〇一二年から二〇一八年には理事という役職を務めてまいりました。

 学会の目的はというと、目的というのが規約に入っているんですけれども、この学会は、人権をめぐる国際的及び国内的諸問題を関連学問領域の協力によって研究し、もって人権の伸長に資することを目的とするというふうに書かれています。

 実は、この中には国際人権法という言葉は入っていないんです。どうしてかといいますと、関連する学会が近くにいろいろありまして、例えば国際法学会とか公法学会、それから国際政治学会などの学会がございまして、むしろ、私の入っている学会は、こうした分野を横断的にあるいは学際的に結ぶということを研究の目的にし、その成果を人権の伸長に結びつけるということが目的で集まった研究者の集団であります。やや視野の広い学会なんですけれども、それでも、国際人権法という特定の学術専門分野を想定し、これに関わる研究者の交流を図るということを存在意義としています。

 会員にはどうやってなるかといいますと、会員二名の推薦状が必要です。そのうち一名の分は理事が推薦しないといけないという、これだけで実はこの学会に入ることができます。

 これに対して、政府参考人にお尋ねしたいと思いますけれども、ここで議論しているナショナルアカデミーという組織は、こういう視点からすると、学会とどう違う組織上の特徴を持っているとお考えでしょうか。御意見を伺えればと思います。

笹川政府参考人 済みません、どういうふうに申し上げたらよろしいか難しいところなんですけれども、私どもといたしまして、まず、やはり、我が国の科学者全体を内外に代表する機関だというふうに思っております。もちろん一つ一つの学会も大事だと思いますけれども、ということでございます。

 それから、学会の方々が政府あるいはいろいろな団体等々に御意見をおっしゃる、それももちろん自由でございますけれども、法律にオーソライズされた代表者として学術会議の場合は意見を言えるということも大きいかと思っております。

 その他、科学者を代表する地位ということに付随してですけれども、国際活動も国を代表してやられていますので非常に大事だと思っていまして、したがって、そういう学術会議に頑張ってもらおうというつもりでの改革というつもりでございます。よろしくお願いします。

上村委員 貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。

 一つは、非常にそうだな、そうだなというか、私が言いたいなと思っていたことなんですけれども、先ほど、学会は特定の学術専門分野を想定しているというお話をしましたけれども、日本学術会議は、基本的に全ての学問分野を総括する組織である。これは、日本学術会議の中に、三部制を取っていらっしゃるんですけれども、第一部が人文・社会科学系の部会があり、第二部が生命科学系の部会があり、第三部に理学・工学系の研究者も参加していらっしゃるということになります。光石会長はこの理学・工学系の研究者の出身だというふうに思いますけれども。

 さらに、二点目は、ちょっとずれたかなという部分だったんですけれども、優れた研究や業績がある人が会員としてこの組織に加盟できるということがございます。

 先ほどの国際人権法学会のように、人権に関心があるから、誰か理事を一人探してきて、二枚推薦状をもらえれば入れるということではなくて、本当に、括弧つきなんですけれども、優れた研究や業績を持った方という基準をクリアしないと入れない。その意味では、今回皆さん余り議論されませんでしたけれども、それなりの御年齢の方しかこの学術会議のメンバーに私はいないというふうに理解をしております。

 では、なぜこういうことになるかというと、先ほど、この法案は、ちょっと科学や学術に対して基本的に分かっていないんじゃないのという話をしたんですけれども、日本の中で、科学的な研究や業績、つまり真理の追求という、これはほかの人は余りやりません、先ほど実学とかという話もありましたけれども、実学をやっている方は真理の追求は余りやらないんです。つまり、どう役に立つかということで物を考えるために、そうした真理の追求をやらない。この真理の追求を、ある程度年齢を経て培ってきた方たちの知恵を集めようというのが、この日本学術会議の社会的な意味だというふうに私は思っています。

 つまり、例えば、日本学術会議の初期の段階では湯川秀樹先生がいらっしゃいました。湯川先生は何を専門にされていたかというと、核物理学です。核物理学を専攻し、実は、戦前は日本の陸軍と一緒に原爆開発をやろうとした方でした。その方が日本学術会議の中に入って到達した知見が何だったかというと、核軍縮です。核兵器をどうやってこの世界からなくすかということに到達した知見を持って、この学術会議の中でいろいろな活動をされてきたというふうに思っています。

 こういうものの価値を生かすことが学術会議の意味だとすれば、先ほどから議論がある、外部評価が必要だとか、外部の人たちがどう入るか、入らないと学術会議が広い意味での社会的貢献ができないんじゃないかという議論は筋違いだというふうに思います。

 ということをまずは指摘したいと思うんですけれども、この辺に関して、大臣はいかがお考えでしょうか。

坂井国務大臣 今回のこの法案による法人化でございますが、今日も何度か御説明させていただきましたが、法人化した後のこの学術会議の運営費に関しましては、国からお金を補助することができるというか、必要なものを提供する形になっております。つまり、財政民主主義の立場から、税金を、公のお金を使うわけでございますから、どのように使ったか、ちゃんと使われているかということを説明する責任が発生をするわけでありまして、そのために、ちゃんと使ってもらっているかということのためだけに、必要最小限の仕組みを入れさせていただいているということでございます。

上村委員 組織ですので、最小限のそうした透明性の問題というのは分からなくはないんですけれども、今私が申したように、日本学術会議の仕事というのは、科学者が真理を追求してきた経歴の中で到達する知恵を社会に向けて生かすという視点に関して、光石会長はどういうふうにお考えでしょうか。

光石参考人 科学的助言の対象やその設定、内容等は日本学術会議の独立性、自主性によるべきものと考えておりますが、内閣総理大臣の任命による評価委員が、これらについて評価し、意見を述べることとなると、科学的根拠に基づく助言の中立性に疑義を生じさせかねないのではないかという懸念があります。

 法案において、評価委員会が意見を言う対象が自己点検評価書に記載された自己点検評価の方法及び結果に限定されているとの説明は理解するところですが、評価委員会は、また、中期的な活動計画や年度計画、実際の運用において科学的根拠に基づく助言の中立性に疑義を生じさせない運用がされるかどうかについて、多くの会員が懸念を有しております。

 本国会におかれましても、内閣府に置かれる評価委員会の活動が日本学術会議の活動の独立性を損なうおそれがないか、慎重に審議をしていただければと思います。

 以上です。

上村委員 ありがとうございました。

 第二点目に移りたいと思うんですけれども、二点目は、日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会の正当性が本当に大丈夫なのかという議論を一度しておきたいなというふうに思っています。

 日本という国は、政府が科学や学術に介入しようとする際には、一般的に、理系を重視して文系を軽視するという傾向にあるのではないかなというふうに思っています。

 例えば日本政府は、戦前ですけれども、当時、徴兵猶予のあった旧制大学、高等学校、専門学校の学生に対する学徒動員をいたしました。これは一九四三年十月なんですけれども、皆さん御存じの、同じ月に出陣学徒壮行会が明治神宮外苑で開催されたという記憶は、御存じだというふうに思います。

 しかし、このとき徴兵された学徒兵は、文科系の学生と農学部生だったんです。つまり、戦争に役立つだろうという、兵隊さんにならないと役に立たないということでありまして、当時の理科系の学生は、兵器の開発や戦争継続に役立つとして兵役猶予が延長され、陸軍、海軍の研究所で勤労動員をされたということがございます。つまり、こうしたある種の分断を用いることがあるんですけれども。

 例えば、類推でいくと、新しい日本学術会議法の構成の基礎となった有識者懇談会は、東大の岸輝雄先生を座長に全体で十二名の有識者で構成されているんですけれども、そのうち十名は理科系の先生たちです。

 先ほど、日本学術会議は三分の一が人文・社会科学系だというふうにあったんですけれども、この組織の在り方を検討する会議が、十二名中二名しか文科系の先生はいらっしゃらない。皆さんが理科系であって、これは、政府が今やっておりますようなイノベーション会議みたいな、理科系を中心に日本の学術政策を発展させたいというある種の意向かもしれませんが、文科系のお二人は行政法と社会言語学の研究者でありました。

 私から言わせれば、何で憲法学とか国際法学とか歴史学の先生がこれに加わらなかったのかということは大変不思議なことでありまして、この有識者懇談会の人員の選定がどう行われたかというのは、是非資料を出していただきたいというふうに思いますので、委員長の方にお願いいたします。

大岡委員長 この件に関しましては、後刻理事会で協議をいたします。

上村委員 その裏返しが、二〇二〇年十月の菅首相による六名の日本学術会議会員候補の任命拒否だったと思いますけれども、加藤陽子さん歴史学、それから、宇野重規さん政治学、芦名さんキリスト教学、岡田さん法学、小沢さん憲法学、松宮さん法学、全て文科系の先生方であります。

 つまり、どう考えても、文科系の先生たちをこういうところに入れると、これは私なんかもそうなんですけれども、いろいろな批判的なことを言うのではないかということが見え見えではないかなと思います。

 法学の先生を入れなかったので若干言っておきますと、法学の考え方の中には推定ということがございます。推定というのは、「推定無罪」とかという映画があったので御記憶だと思いますけれども、反証が示されない限り、状況から考えてこういうふうに考えるしかないというのが推定という考え方であります。

 それでいけば、この任命拒否の問題は、先ほどからいろいろな理屈はおっしゃっておりますけれども、推定で考えれば、どうしても政府に批判的な、特に文科系の研究者を排除したかったというふうなことを考えざるを得ないんですけれども。

 何が原因だったかではなくて、この私の推定という考え方が正しいかどうか。つまり、これが正しくないと言うんだったら反証を示していただきたいと思います。もしいただけないのであれば、これは事実だったというふうなことをこの委員会である種明確にするということになると思います。

 政府委員の方、いかがでしょうか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の推定という形でお話を申し上げるのはなかなか難しいところがございますが、繰り返し申し上げておりますとおり、令和二年十月の日本学術会議の会員任命につきましては、日本学術会議法に沿って、任命権者である当時の内閣総理大臣が総合的、俯瞰的な活動を確保する観点、この観点から判断を行ったものと繰り返しお答えを申し上げておるところでございます。

 その上で、個々人の任命の理由につきましては、これは公務員の人事に関することであって、お答えを差し控えるべきものということでこれまでも申し上げておるとおりでございますので、御理解賜りたいと思います。

上村委員 法学者の方がいないと、何か基本的な論理がまかり通らないというのが今よく分かったなという感じなんですけれども。

 時間がないので最後の点をお伺いしたいと思います。

 今回、日本学術会議は、多様な財源という、選択肢を広げるべきだということをある種書かれています。この議論を見たときに、例えば安定的な政府財源ということがどうして日本で起こるのかというと、これは、日本ではこうした分野にきちんとしたお金がなかなか集まらないからです。

 アメリカの場合は確かにいろいろな財源があるというふうに言われますけれども、これは、アメリカの場合は財団法人がしっかりしていて、しかも、企業の財団であっても中立性が担保されている場合がしっかりあります。それに対して日本では、政府がきちんとこうした面倒を見なければ安定的に話をすることができないということがございます。

 先ほど、こうした例は少ないんだとおっしゃったんですけれども、これは私の質疑で今まで述べたと思いますけれども、人権の分野は国内人権機関というものをつくるように運動がずっと続いていたんですけれども、国内人権機関というのは、政府の機関でありながら、なぜ大事かというと、これは学術会議が言っている、こうした公的な地位というものが学術会議には必要だからです。この公的な地位を担保しながら安定的に意見を中立、独立で言っていくためには、そういう、政府の機関でありながら政府に物を言えるという組織が必要であります。

 これを、今のような多様な財源という話になると、私が思い出すのは、私は大学にいたものですから、どんどんどんどん大学は、外部資金の導入、もっと別の言葉で言うと競争的資金というふうに言われました。その挙げ句は何かというと、二〇二二年に、先ほどの理科系ですよね、理科系の、科学技術立国を考え国際卓越研究大学法というのができ上がりまして、今何と言われているか、皆さん御存じだと思いますが、大学は稼げる大学にならないといけない。何というかな、申し訳ないけれども、大学にいた研究者としては、本当にふざけるなという感じですよね。

 そういうふうなことが、競争的資金とか外部資金という中で高等教育がやはり解体されているということに対しては、日本学術会議がしっかりした国家の財政基盤の上に成り立つというのはとても大事だというふうに思っています。

 光石会長、この点に対して、もう一度御感想をいただければ。

光石参考人 法案では、いわゆる補助金という具体的な予算執行の手続の面も含め、自由度の低い財政措置となることが想定されており、ナショナルアカデミーとしての安定かつ自律した活動をすることが非常に困難になるのではないかとの懸念がございます。

 財政措置に関して内閣府から示された見解については、法律上の交付金を交付されるためには、計画の認可や評価等の国によるガバナンスを規定する必要がある等とされたところについては理解もするところではあります。

 しかしながら、現状においては、具体的な補助金のイメージが示されているものではなく、ナショナルアカデミーとして安定かつ自律した活動をすることが可能な財政基盤となるかどうかは明確ではないため、懸念が完全に払拭されたとは考えておりません。この件につきましても慎重に審議されることを望むものでございます。

上村委員 最後ですけれども、日本も、こうした外部資金の導入ということで、企業の冠講座みたいな授業が増えています。こうしたことがやはり学術の質を落としているということでいけば、ひょっとして、稼げる日本学術会議みたいなことになったら本当に世界の笑い物というか、そういうことになるという懸念を表明して、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大岡委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 日本学術会議法案について質問をいたします。

 最初に、今日の委員会の冒頭で、大臣の方から答弁の訂正がありました。四月十八日の衆議院本会議の答弁において、候補者選考委員会と申し上げるべきところを候補者選定委員会と間違えたという点、それぞれの機能、役割が違うものを間違えているという点は極めて重大であります。

 ただ、大臣の答弁で、候補者選定委員会と言っている場所が全部で四か所あるんですよ。市來議員のところで二か所と、三木議員のところで一か所と、私のところで一か所なんですけれども、これを全部訂正するということなのか。

坂井国務大臣 申し訳ありません。まだそこを全部当たっておりませんので。御指摘をいただいたところだけ。

塩川委員 要するに、そういう格好で、精査していないという話だと思いますよ。

 ということについて、私は、改めて、理事会でしっかり対応を議論する必要があると思いますので、この件について、理事会での協議を求めたいと思います。

大岡委員長 この件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

塩川委員 そういう点でも、この法案の準備が本当にいいのか、こういうことも、こういった一つの事例でも極めて問われていると思っております。

 その上で、今日の質疑を聞いておりまして、やはり、現行の日本学術会議法が廃止をされるというような今回の法案のたてつけになっているわけであります。附則の第二十八条で、日本学術会議法を廃止をすると。

 率直に思うんですけれども、なぜ現行の学術会議法を廃止をし、現行の学術会議を廃止しなければならないのか、この点についてお答えいただけますか。

笹川政府参考人 済みません、法制的な話になりますので、お答えさせていただきます。

 独立行政法人とか特殊法人、国の組織を外の法人にするときには、元々国の中にあった組織について書いている法律を廃止して新法でやるという形、国立大学もそうでございました、それに倣ったところでございます。

 全く、学術会議をここで断ち切ってということではなくて、理念が拡大、深化しているということは我々も申し上げておりますので、そういうつもりはございません。法制的な理由です。

塩川委員 外の組織にするときには新法で行うというだけの話であって、だったら、現行の組織の下で独立性や自律性を高めればいいんじゃありませんか。大臣、いかがですか。

坂井国務大臣 懇談会の報告書でもありましたように、今、時代の流れ等の中で、学術会議に対していろいろな役割を求められているという状況の中で、今の組織ではそれに十分に応えることができないということを受けて、今回は特殊法人化ということで法案を作成をして、提出をさせていただいたということでございます。

塩川委員 現行の組織の下で独立性、自律性を高める措置を取ればいいんじゃないのかと聞いているんですが、もう一度。

笹川政府参考人 いろいろな理由がございましたけれども、分かりやすく二つ申し上げますと、法人になることによって、国の外、国とは別の組織になるということでございます。二つ目は、これによって、会員の選考、選任が完全に自由になって、国の関与がなくなる。

 この二つで、海外のアカデミーと同様な自律性の高い組織になるというふうに思っております。

塩川委員 いや、それは説明になっていません。

 元々、だって、二〇一五年の有識者の報告の中で、「国の機関でありつつ法律上独立性が担保されており、かつ、政府に対して勧告を行う権限を有している現在の制度は、日本学術会議に期待される機能に照らして相応しいものであり、これを変える積極的な理由は見出しにくい。」と言っていた。それを覆すような説明にまるでなっていないわけでありますよ。

 これは、科学者の総意として、科学者自身によって立法された学術会議の七十六年の歴史を否定する、そういうものじゃありませんか、大臣。

坂井国務大臣 設立以来七十六年余りの学術の進歩と社会の変化を踏まえると、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められるという懇談会の報告書を踏まえて今回の法案が作成されたものでありますが、この拡大、深化する使命、目的を現代の視点から捉え直し、法制的な観点から適切な用語を用いて記述して作ったのがこの新法でありまして、学術会議の継続性が失われることはないと考えております。ですから、否定をするものでもないということかと思います。

 「科学が文化国家の基礎」「わが国の平和的復興」という理念は、「学術に関する知見が人類共有の知的資源」「経済社会の健全な発展」という表現に包含されているものと考えております。

塩川委員 学術会議の廃止は、やはり学術会議の原点を否定するものだと言わなければなりません。

 是非、この問題についてしっかりと議論を深めていく上でも、大臣も、学術会議の継続性が失われるものではない、継続するんだと言うわけですけれども、法律上は新法なんですよ。だから、現行法と新法との対比をしっかり行っていくことがこの委員会での議論を深めることになる。そういう意味では、新旧対照表のようなものが必要なんですよ。

 これは要望したんだけれども、作っていないと言うんだけれども、それを作ってもらえませんか。現行法と新法との対照表、どこが変わってどこが同じなのかと異同が分かるような。そういうことによって当委員会での審議を深めていく。こういう、現行法と新法の対照表、是非作って、委員会に出してもらえませんか。

坂井国務大臣 新法において、新旧というのが、今まで、新法の場合はやはり作ってこなかったということがあろうかと思います。旧はないということで、新旧、なかなかこれは難しいかと思います。

塩川委員 だから、比較対照表でいいんですよ。別に新旧でなくていいから。比較対照表、作ってもらえませんか。

坂井国務大臣 いや、申し訳ありませんが、今ここで拙速にちょっと私が決められる話ではないと思いますので。

 今の法案は、とにかく新法ではございます。おっしゃるような、学術会議を継続をするという意味合いで我々臨んではおりますが、新法は新法でございますので、そういった立場を考えながら、ちょっとこれは考えさせていただきたいと思います。

塩川委員 是非作っていただきたい。過去に例もあるんですよ。この委員会でも議論した、経済安保情報保護法。これは特定秘密保護法を念頭に置いて作っているわけですよ。私が要望しましたら、特定秘密保護法と経済安保情報保護法の比較対照表を作って持ってきましたよ。ちゃんと仕事していますよね。

 議論を深めるのであれば、経済安保情報保護法と特定秘密保護法の対照表を作ったのと同様に現行法と新法の比較対照表を出すというのは、議論を本当に深めていく、政府が本当にいいと思うのであれば、そういう比較対照表を出すということが審議の大前提として必要じゃありませんか。

坂井国務大臣 私も、法制局的にはなかなか難しいということですが、今御指摘をされた案件も含めて検討させてもらいたいと思います。

塩川委員 是非、連休明けには出していただきたいと思います。理事会としても要望するということについて、是非求めたいと思いますが。

大岡委員長 この件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

塩川委員 是非、こういった対応で審議を深めていくことをお願いしたいと思っております。

 大臣にお尋ねします。

 現行の日本学術会議法は、その前文で、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と協力して技術の進歩に寄与することを使命とするという設立趣旨をうたっております。

 これは、戦前の日本が学術を政治に従属させ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省の上に、学問の自由を保障する日本国憲法を具体化した日本学術会議法の歴史的な出発点を記したものであります。

 ところが、本法案は、この前文を削除し、文化、平和の文言は消え、社会課題の解決に寄与することを目的とし、学術を経済社会の健全な発展の基礎と置き換えております。これは、憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するものではありませんか。

坂井国務大臣 この法案における学術会議の目的及び基本理念は、学術会議の拡大、深化する使命、目的を現代の視点から捉え直し、適切な用語を用いて記述したものであり、この現行法の基本理念は新法に引き継がれていき、学術会議の継続性が失われることではないと思います。

 国が設立する法人に対して国民が負託する使命、目的を表現する用語は、より恒久的、普遍的なものとすることが適切であり、法制的な観点からこのような表現としたと考えております。

塩川委員 学術会議の使命というのが削除されているということが極めて重大だということであります。

 一九四九年一月の日本学術会議第一回総会において、発足に当たっての決意表明ということが行われております。「われわれは、これまでわが国の科学者がとりきたつた態度について強く反省し、今後は、科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。」と述べております。

 このように、戦前、戦中に科学者が戦争に協力した、その反省に立っての決意が、日本国憲法に基づく日本学術会議の原点であります。前文の削除によってこの原点を投げ捨てることになるんじゃありませんか。

坂井国務大臣 繰り返しになりますが、この理念は、用語を変えてはございますが、引き継いでいるということをまずは認識をしております。

 学術会議の在り方については、まず、令和三年四月に、学術会議において、検討すべき課題があるという認識の下、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を取りまとめ、改革に向けての取組を開始したと承知しております。

 これを受けて、政府としても、学術会議を国から独立した法人とする案と国の機関のままとする案の両方を俎上にのせて議論することとし、令和五年八月から有識者懇談会を開催し、学術会議に求められる機能及びそれにふさわしい組織形態の在り方について検討を重ねたものでございます。この有識者懇談会も三十三回真剣な議論をいただいて、現在の出した報告書が取りまとめられております。

 先ほども申し上げましたが、国の機関のままの改革では限界があるということから今回の法案につながっているということでございますが、学術会議からの意見も踏まえて修正を行ったり、配慮してこの法案を作成したものと考えております。

 学術会議に対しては、この法案に関して示された懸念事項に対して内閣府から詳細な見解を示すなど、丁寧な説明をしてきたものと承知しており、また学術会議も、この法案や法人化をすること自体に反対するものではない旨表明されていると承知しております。

 学術会議においては、会員選考の透明性の向上に努めるとともに、アクションプランを作成し、社会の課題の解決に向けての取組などに努めていただいているものと承知しており、独立性、自律性の強化や会員選考の透明性向上などの改革の方向性はこの法案と同じであると考えております。そういうことです。

塩川委員 いや、学術会議の原点の話をしているわけで、やはり戦前、戦中に戦争に協力した、そういう科学者が取り来った態度について強く反省する、これが前文に盛り込まれている、科学者の総意の下における決意であった。ここのところが削除しているということに、その原点を投げ捨てることになる、このことについて、まともにお答えすることがありませんでした。

 現行の学術会議法の審議における政府答弁においては、「科学者の総意の下に、我が国科学者の代表機関として、このような組織が確立されて、初めて科学による我が国の再建と、科学による世界文化への寄与とが期し得られるのであります。この法案制定の理由は、右のような役割を果し得る新組織、即ち科学者みずからの自主的団体たる日本学術会議を設立するにあるのであります。」と述べています。科学者自らの自主的団体として、科学者の総意の下に設立されたのが日本学術会議でした。

 しかし、今回、日本学術会議の意見も聞かず、押し切るように提出をされた本法案というのは、科学者の総意による設立を否定をして、国の都合による新法人の設立を図る、こういうものになっているというのが実態ではありませんか。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、繰り返しですけれども、学術会議の連続性について、継続性、大切なことだと思います。それが拡大、深化していくものに合わせて、時代にフィットした組織になっていただきたいということで、設立時の思い、理念、それは大事なものだと我々も思っておりますけれども、それを更に我が国のよい未来、歴史につなげていく、それは多分共通の思いだろうと思います。

 私どもは、前文が基本理念、第二条に移ったことによって、そういった思いの重さが軽くなるというふうには思っておりません。あくまでも法制的な理由でそうなりましたけれども、きちんと今後も独立性、自律性を尊重しながら対応していきたいと思います。

塩川委員 今の答弁はその前の質問の答弁で、それ自身もなっていませんけれども、科学者の総意の下にということが立脚点としてある、そのことが問われているということで、一九四九年の日本学術会議の発会式におきまして、吉田茂総理は、本会議の組織運営の構想は、全国科学者の総意に基づいたものであると祝辞を述べておりましたように、科学者の総意による設立というのが学術会議の立脚点であります。今回の法案は、この立脚点を否定するものと言わなければなりません。

 さらに、吉田総理のこの祝辞では、日本学術会議はもちろん国の機関ではありますが、その使命達成のためには、時々の政治的便宜のための制肘を受けることのないよう、高度の自主性が与えられていると述べていました。第三条の、日本学術会議は独立して職務を行うという独立性の保障を指すものであります。

 しかしながら、本法案ではこの規定を削除しました。大臣、独立性の保障という学術会議の根幹を否定するものではありませんか。

坂井国務大臣 この法案は、独立性、自律性を抜本的に高めることによる学術会議の機能強化と説明責任の担保を図るものであり、独立を阻害をするというか、そういったものではないと考えております。

 現行法では、行政機関で学術会議がございますから、関係府省庁との調整等によって自由な意思表出等ができなくなることを避けるために、独立して職務を行うという規定が置いてございますが、既にこの法案によって法人化ということをすれば、当然、組織的な面からも独立性が明確になるということでございますので、もう分かり切って、見たからに分かる独立しているという状況に際して、独立といった文言が、これは必要がなくなっているということかと思っております。

塩川委員 独立性という言葉がなくなる。その一方で、いろいろな仕組みで新法人の独立性や自律性を侵害するような仕組みがある。これから議論していくわけですけれども、監事や評価委員会や中期的な計画、また、コオプテーションの考え方の逸脱や選定助言委員会の問題などがあるわけであります。

 だから、新法ではなく、よりよくするのであれば、現行法でしっかりやればいいだけの話であって、しっかりとした独立性の保障ということを掲げた学術会議の活動のより発展につながる、そういう議論こそ行うことが求められていると思います。

 日本学術会議は、二〇一七年三月に、軍事的安全保障研究に関する声明を発表しました。学術会議が一九五〇年に発した、戦争を目的とする研究はこれを行わないとする声明と、六七年発表の、軍事目的のための研究を行わない声明を継承すると明記をし、学問の公開性と軍事的安全保障研究の秘密性との緊張関係について注意喚起をし、二〇一五年に発足した防衛装備庁の軍事研究である安全保障技術研究推進制度に対して、適切な審査による自主的な対応を求めておりました。

 そのことなどを受けて、二〇一七年十一月末の日本防衛研究大会では、元三菱重工航空宇宙事業本部顧問の西山氏が、学術会議の議論は全然論理的じゃないと批判を行いました。防衛装備庁の初代長官だった渡辺秀明氏が若干時間がかかると述べていたと、しんぶん赤旗が取材をしております。

 その一年後の一八年十一月、内閣府が、学術会議の推薦と内閣総理大臣の任命との関係について、これまでの形式的な任命という立場を投げ捨て、推薦のとおりに任命すべき義務があるとまで言えないという内部文書を取りまとめました。これが二〇二〇年の任命拒否につながっているわけであります。

 学問研究の軍事利用を推進する、そういう立場から、学問の自由を掲げ、科学者の自主性、自律性を尊重してきた学術会議に干渉、介入しようとする、これがこの法案の中身ということではありませんか。

坂井国務大臣 この法案は、国の機関から学術会議を独立をさせ特殊法人化をし、そして独立性も機能も強化をする中で、様々社会の期待に応えられる、そして世界のナショナルアカデミーとして冠たる地位をまた築くといったことを期待をして、また求めて、独立をするということで特殊法人化、そして、その後も国からお金を入れるという、補助として入れるということから、最低限の説明責任等々に関する仕組みを入れて、できる限り独立をした、いわば学術会議自らが決める、運営をしていく、こういった組織に変えることを目指してこの法案化をしたものであり、委員御指摘の点を考えてというのは違っております。

塩川委員 歴史的経緯を考えれば私が申し上げたとおりで、防衛省の軍事研究の推進の背景には、安倍政権の下での集団的自衛権行使容認の安保法制があるわけであります。軍学共同を進める安倍官邸が学術会議の会員選考に介入をしたというのが出発点です。

 この六人の任命拒否、そして本法案の撤回を求めて、質問を終わります。

大岡委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後二十五分、よろしくお願いいたします。

 まず、この背景に何があるんだというので、デュアルユース研究の話をする方がよくおられます。私自身は、デュアルユースの研究についてはどんどんやればいいと思っています。ここに科学技術の発展があると思っています。したがって、その意味で、デュアルユース研究批判をする方の意見に一切私は同意いたしません。まずこの点を申し上げたいと思います。

 しかしながら、同時に、私は、フランスの哲学者、ボルテールが言った、私はあなたの言うことに同意しない、しかし、私はあなたがそれを言う権利を持てるよう死ぬまで闘うと。フランスのボルテールはそういうふうに言ったんですね。

 私自身、このフレーズをとても大事にしています。先ほど私はデュアルユース研究に反対する方に全く同意しないと言いましたが、それを言うことができる権利をしっかりと保障することというのは自由主義そして民主主義に不可欠な原則であろう、そう思って、国政に立つ政治家として今歩んでおります。

 さらに、私は、今回の質疑に臨むに当たって、ちょっと古いんですけれども、有名なドイツの神学者、マルチン・ニーメラーという人間の詩をかみしめました。そのまま読み上げます。

 ナチスが共産主義者を連れ去ったとき、私は声を上げなかった。私は共産主義者でなかったから。彼らが社会民主主義者を牢獄に入れたとき、私は声を上げなかった。社会民主主義者ではなかったから。彼らが労働組合員らを連れ去ったとき、私は声を上げなかった。労働組合員ではなかったから。彼らが私を連れ去ったとき、私のために声を上げる者は誰一人残っていなかった。

 そういう詩であります。

 私は、学術の独立性というのはとても大事なことだと思っています。仮に、今回の法律が、例えばデュアルユース研究とかで、ちょっと厄介なことを言っているな、うるさいなと、自粛効果が働くように、ちょっと締めつけてやれというような思いがあり、その独立性が損なわれるとき、もしかしたら次は自分かもしれないという危機感は大切にしたい、そう思っています。

 その上で、質疑に入っていきたいと思っております。

 まず、任命拒否について。

 昭和五十八年五月十二日の参議院文教委員会において、中曽根康弘総理大臣は、これは、学会やら学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません、したがって、実態は各学会なり学術集団が推薦権を握っているようなもので、政府の行為は形式的行為であるとお考えくだされば、学問の自由独立というものはあくまで保障されるものと考えておりますと、中曽根総理大臣が日本学術会議の任命について、そう答弁しておられます。

 一方、政府は、平成三十年十一月十三日、この件がわあっと盛り上がったときですね、「日本学術会議法第十七条による推薦と内閣総理大臣による会員の任命との関係について」、当時出したペーパーにおいて何と言っているかというと、「内閣総理大臣に、日学法第十七条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられる。」そう言っています。

 これは実は、政府が言っている、推薦のとおりに任命する義務があるとまでは言えないと考えられるというのは、当たり前のことを言っているだけなんですね。当時も例示に上がりましたけれども、定員より多い推薦が上がった場合とかは、推薦どおりにならないわけですよね。その当たり前のことを言っているだけであって、法的義務として、そんなものを、推薦どおりに任命しなきゃいけない義務なんて、どこにも今の日学法に書いてないし、ないんです。

 しかし、中曽根答弁によって、行政として、法的義務を補完する形で任命するべき、義務と呼ぶかどうかは分かりませんけれども、そういう責務を負ったのではないかと思いますが、内閣府官房長、いかがでしょう。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘になりましたとおり、これまでも私どもも繰り返し答弁しておりますけれども、公務員の選定、罷免権が国民固有の権利であるという考え方に照らせば、国家公務員である日本学術会議の会員任命に当たって、任命権者たる内閣総理大臣が学術会議の推薦どおりに必ずしも任命しなければならないというわけではないと、まず考えております。

 この点、中曽根総理答弁との関係につきましては、御参考までに、これまでも国会の場で、内閣法制局長官が、例えばですが、総理答弁のございました昭和五十八年の日本学術会議法の立案以前から、個別の法律において、ある行政機関における公務員の人事について、当該行政機関の職務の独立性等に鑑みて、何らかの申出や推薦に基づいて任命するものと規定しているとしても、憲法第十五条第一項の規定で明らかにされているところの公務員の終局的任命権が国民にあるという国民主権の原理との調整が必要であると政府として理解してきたところである、こういうことでありますとか、あるいは、推薦のとおりに必ず任命するという義務があるという考え方に基づいて一連の答弁がされていたとは考え難い、さらには、これは中曽根総理の答弁をそのまま引いてなんですけれども、あくまでも基本は、選挙制度から推薦制度に変わり、推薦制がきちっとされてくればそれに基づいて通常は単に任命をしていく、そういう形のものを形式的行為という、任命というふうにおっしゃったというふうに理解していると答弁しているものと承知しております。

 いずれにいたしましても、私ども、令和二年十月の日本学術会議の会員任命、これにつきましては、こういった考え方、一貫した考え方を踏まえつつ、日本学術会議法に沿って、任命権者たる当時の内閣総理大臣が責任を持って任命の判断を行ったものであると受け止めておりまして、行政庁の責任もしっかり果たしておるものというふうに考えております。

緒方委員 いや、正直何を言っているか分からないんですよね。多分、聞いている人の中で分かった人、いないですよ。

 法的義務としてそんなものがないというのは、私、分かったと言っているんです、分かったと言っている。それは、日学法にそんなことは書いてないし、先ほど言ったように、定員を超えて推薦が来たときにそれを受ける必要がない。そこに穴が空いているわけですよね。

 しかも、政府が出しているペーパーは、よく読んでみると、「任命すべき義務があるとまでは言えない」と言っているんですね。義務がないとは一言も言っていないんです。あるとまでは言えないというのは、霞が関文学において、義務に近いところまで来ているんだけれども、ちょっと例外があるので義務があるとまでは言えないということで、まさに、法的義務とまで言えないんだけれども、それに近いところまで来ていて、それは何かというと、中曽根総理大臣が言った形式的任命なんじゃないか、そういうふうに思うと聞いているんです。

 先ほどから言っていること、訳が分からなかったです。もう一回、官房長。

松田政府参考人 失礼いたします。

 繰り返しになるところをお許しいただければと思いますが、先ほど私が申し上げましたのは中曽根総理答弁との関係でございます。推薦のとおりに必ず任命するという義務があるという考え方に基づいてそういった一連の答弁がされていたとは考え難いというのが法制局長官の答弁であるということを、先ほど私は紹介いたしました。

 したがって、底流にある一連の考え方は、先ほど来申し上げておりますような、公務員の終局的任命権が国民にある、こういう国民主権の原理との調整が必要であると政府として理解してきたところと。これは、いろいろな議論がありました、昭和五十八年の議論のその前、立案以前から一貫した考えであるということを当時の法制局長官が申し上げたのだということを申し上げたところでございます。

緒方委員 では、聞きたいと思います。形式的任命とは何ですか。官房長。

松田政府参考人 これも先ほど申し上げたところでございますが、当時の法制局長官の答弁でございます。あくまでも基本は、選挙制度から推薦制度に変わり、推薦制がきちっとされてくればそれに基づいて通常は単に任命をしていく。要すれば、推薦制が機能を正しくしておるのであればそれに基づいて単に任命をしていく、こういうことを形式的な任命というふうにおっしゃったんだと理解している、こういう答弁をされておるというふうに理解しております。

緒方委員 推薦制度がしっかりしてくれば単に任命するだけだということなんですけれども、しっかりしていないんですか。官房長。

松田政府参考人 繰り返しになりますけれども、総合的、俯瞰的な活動の観点から任命をするということもこれまで申し上げております。

 そういった形で、本来の在り方に沿った推薦がなされるということであればそれに基づいて通常は単に任命をしていく、そういう形のものを形式的行為という、任命というふうにおっしゃったというふうに理解している、これは、その当時の内閣法制局長官の答弁でございますので、御紹介申し上げたところでございます。

緒方委員 全然答えになっていないんですよね、何かさっきからごにょごにょ言っているんですけれども。形式的任命って何ですかと聞いたら、何か経緯をわあっと話された。

 もう一回。形式的任命と、そしてそれは、推薦がしっかりやれるようになっていけばそういうふうに形式的任命になるはずだということだったと理解している、そういうふうに言いましたけれども、では、今は、推薦がその後何十年と続いていったわけですよね、それは、しっかりしていなかったということですか。この二点、お答えください。

大岡委員長 松田官房長、分かりやすく答弁してください。

松田政府参考人 失礼いたします。

 ちょっと私の説明の仕方が悪いのかもしれませんが、もう一度申し上げます。

 推薦のとおりに必ず任命するという義務があるという考え方に基づいて、中曽根総理答弁も含めたその一連の答弁が当時されていたとは考え難いということを法制局の長官は答弁をさせていただいておるということをまず申し上げております。ベースのところはよろしいでしょうか。

 その上で、あくまでも、当時、制度改正がございましたから、選挙制度から推薦制度、推薦、まあ任命制度という形でございますけれども、そういった形で推薦、それに基づいて任命するというこのサイクルがきちっとされてくれば、それに基づいて通常は単に任命をしていくという形になるんだろう、そういう期待感も持って形式的任命というふうな表現をお使いになったのではないかと理解しておるというふうに答弁をさせていただいている、法制局長官答弁も、そういうような答弁をさせていただいているということでございまして、紹介をさせていただいたところでございます。

緒方委員 いや、だから、さっきから何回も聞いているじゃないですか。推薦して任命するというそのサイクルが回るようになればそのまま任命するようになる、そういうふうに言っているわけですけれども、今は、そうじゃないんですかというふうに聞いているということをさっき言ったじゃないですか。

 説明になっていないんですよ、官房長、さっきから。もう一回。

松田政府参考人 失礼いたします。

 これはその他の答弁でもまた申し上げておるところでございますが、従来から、日本学術会議から推薦という形で推薦名簿を提出する前に、事務局を介して、学術会議の会長と任命権者との間で意見交換が行われていた、こういう話もこれまで答弁をしておると思います。

 令和二年十月の任命に当たっても、これまで同様に、推薦名簿が提出される前に意見交換が日本学術会議の会長との間で行われたものの、その中で任命の考え方の当時はすり合わせまで至らなかったものと承知しておる、これも繰り返し答弁をしておるところでございます。

 こういうような状況の中での令和二年の十月の任命であったというふうに御理解をいただければと思います。

緒方委員 では、確認ですけれども、先ほどあなたが言われた、推薦と任命のサイクルが回らなかったということですね。回らなかったということですよ。回らなかったから形式的任命ができなかった。回らなかった理由は何ですか。

松田政府参考人 失礼いたします。

 それは、今お尋ねになったことは、人事のプロセス、詳細に関わることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、繰り返し申し上げておりますとおり、そういった意見交換の中で、任命の考え方のすり合わせまで至らなかったものだというふうに承知をいたしております。

緒方委員 確認ですけれども、それまではずっときれいに回っていたんだけれども、そのときだけ回らなかった、サイクルが回らなかったということですか。官房長。

松田政府参考人 失礼いたします。

 少なくとも、推薦名簿で出された人数そのまま、あるまま任命をしておるということが続いておったわけでございますので、この令和二年はそういう状態ではなかったというふうに認識しております。

緒方委員 余り時間がないから、では、次、質問を移りたいと思います。全然納得していないんですけれども、まあいいや。

 続きまして、日本学術会議に伴う価値観についてお伺いしたいと思います。

 よく皆さん、こういうときに中立という言葉を使われるんですけれども、中立って、言葉の意味は何かというと、対立する見解の中で誰も応援しないことというのを指します。なので、かなり消極的な言葉なんですね。中立というのは、誰とも関わらないです、誰も応援しないですと。公務員の政治的中立というのは、そういうことですね。公平というのは、全ての人を平等に扱うこと。全く言葉の意味が違うんです。

 なので、日本学術会議のような組織が中立であるということは絶対にないんですね。もちろん学術的に何らかの意見を表明するわけですから、中立であるということは絶対にあり得ないです、言葉の定義からして。

 それを踏まえて、お伺いしたいと思います。

 今の日本学術会議、そして本法によって成立する日本学術会議は、公平な組織でしょうか。大臣。

坂井国務大臣 なかなか、委員の中立、公平の定義が十分理解しているかどうか分かりませんが、少なくとも、公平ということでいうと、いわば受け身ではなくて何かをやっていく、何かを発言をしていくということであるとするならば、行動を起こしていく、そういうわけではないんでしょうか。

 であれば、とにかく私は公平な組織になってもらいたいと思っておりますし、そして、何よりも、学術オリエンテッドというか、学術、それぞれの研究分野に正真正銘、本当に研究に力を入れていただいて、そこにあくまでも正直になっていただいた上で、そこで本当に必要になり、研究の成果として出てきたものを、是非ともそれを、何というんですかね、社会に発表していただく、提言として出していただく、こういった組織にはなってもらいたいと思っております。

緒方委員 これはちゃんと通告のときに言ったんです。法哲学者か誰かに聞けばいいという話もしたんです。

 もう一度言います。中立というのは、何か意見が対立するときにどちらも応援しないこと、これが中立です。公平というのは、全ての人を平等に扱うこと。そういう全く意味合いが違うものでして、世間でしょっちゅう間違って使われているんですけれども、放送法とかでもそうなんですけれども、公平であるというのは、そういうことなんですね。

 もう一度聞きます。

 日本学術会議は、今の学術会議は公平な組織か、そして、これからつくられていく日本学術会議は公平な組織であるべきか、いかがお考えでしょうか。大臣。

坂井国務大臣 平等に扱うことというのが公平ということであるならば、そういった組織になってもらいたいと思っております。

緒方委員 そうすると、公平である場合というのは、何に基づいて公平なのかという基本的な価値観が必要になるんですね。公平であるとするのであれば、日本学術会議が基礎として置かなくてはいけない価値観、ミッション、それは何でしょうか。大臣。

坂井国務大臣 研究、それぞれの科学者なり研究者が研究をした、そのある種の研究成果でありエビデンスでありということかなと思います。

緒方委員 その価値観の範囲内において、日本学術会議は、政権を賛美したりとか、逆に批判をすること、これは可能でしょうか。大臣。

坂井国務大臣 当然あり得る話だと思います。

緒方委員 そうなんですね。その答弁は結構重要なんですね。政権批判をすることをもって、けしからぬとかそういうふうになることは、私、先ほど言いました、冒頭言ったように、私はデュアルユース研究を反対している人に対して何ら同意するものではないんですけれども、ただ、学術とか言論の世界というのは、賛美する、批判する、そういうものを受け入れるものでない限りは、しっかりとした組織とはなっていかないと思うんですね。

 その上で、日本学術会議の内部マネジメントについてお伺いしたいと思います。

 監事の権限がとても強いんですね。第十九条で、監事は、会議の業務を調査した上で、会長を飛ばして直接総理に意見提出ができます。監事が総理の意を忖度して、会議の在り方がけしからぬと御注進できることになるんじゃないですかね。

 先ほど答弁では、たしか笹川さんの答弁でしたけれども、適法性のみならず適正性まで判断するというふうに言っておりました。相当広いですね。これが自粛効果につながらないということを分かりやすく説明ください。大臣。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 監事の権限は、おっしゃるとおり、業務を監査することということで、これは国立大学あるいは独法と同じ規定、したがって、同じようなものを考えております。

 実際やることは、まさに適法性、それからルールに合っているという意味での適正性でございまして、必要なルールを定めているかとか、そういったものが実施されているか、そういったことを判断するんだというのが注釈書やなんかに述べられております。

 それから、会長を飛ばしてという話ですけれども、これもほかの法人の運用などを見て、そういう解釈だということですが、基本的には監事は、この場合でいうと会長に対して意見を言います。それは、なぜならば、学術会議の中で何かあったときに是正する権限は会長が持っているからであって、総理は持っていないからでございます。そして、どうしても会長が言うことを聞かない場合、あるいは、監事が見つけたんじゃなくて、何か外に変なことがあったような場合、そういった場合にはそれはあり得るのかもしれません。

緒方委員 そんなことは一言も書いてないですよ、「会長又は内閣総理大臣に意見を提出することができる。」と書いてあるだけであって。

 監査をして、そして、こいつ、けしからぬよねと、会長も飛ばして、しかも任命権者は総理ですから、この仕組みでいうと監事の忠誠心はどこに向かうかというと、総理に向かうんです。絶対に向かうんです。ましてや再任されるわけですから、再任を妨げないわけですから、自分を任命してくれて再任してくれるかもしれないという総理にひとえに忠誠心が向くんです。そうすると、総理の意向を体して、けしからぬよねと。

 今、基本的には会長に最初に言うんですと言っていますけれども、それならそう法律に書くべきなんですよ。書いてないじゃないですか。書いてなくて、「会長又は内閣総理大臣」だから、会長を飛ばしたれということは法律上可能なんです。我々は法律を審議しているんです。法律を審議しているので、法律に書いてないことを言うのはやめていただきたいと思います。

 内閣総理大臣に直接御注進に上がることができる規定、これは萎縮効果を招くんじゃないですか。これはもう笹川室長は結構です。大臣。

坂井国務大臣 まず、監事は役員ではありますけれども、ほかの役員とは異なって、法人の運営に職務として直接携わることはできません。これも委員は御承知の上で総理への注進のことをお話をされているんだと思いますが。しかし同時に、監事には法令や規則を遵守し、法人、つまり今回、学術会議のため忠実に職務を遂行する義務が課されているところでございまして、監事は任命権者のために業務を行うものではありません。

 ということでございますので、任命権者のためではなく、学術会議のために忠実に職務を遂行する義務が課されているということでございます。

緒方委員 組織に忠実であり、この組織の将来のためには、まさに主任の大臣である内閣総理大臣の意向を踏まえて動くことが一番ベストであると監事が判断することは大いにあり得るわけですよね。そうなったときに、今、十九条での意見を上げるというのとか、あと、二十条での、不正の行為等々に対して、これまた内閣総理大臣に御注進に上がれる規定があり、そして、さらに、それを踏まえて、内閣総理大臣が直接権限を行使できるわけじゃないと言っていますが、四十九条では報告、検査が入っているわけですよね。そうですよね。

 そういった様々な、これを言うと総理のところに話が行って、ずどんと来るよねという仕組みがある、そういうふうに見える、そう思ってしまうと、やはり余計なことは言うもんじゃないよねと。余計なことを言うもんじゃないよね、唇寒くなるよねと、そう学者の方が思わないという、何でそれを思わないと言えるのかなと思うんですよ。

 論理的に、これだけの仕組みが整っていて、総理に御注進に上がれるルートが複数あって、そして総理から報告要求がずどんとやってくる可能性があると思うときに、学者の方々が、それを踏まえて自粛をしようと思わなくなる、その根拠は何ですか。大臣。

笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃった、報告、検査ですとか違法行為の是正、この辺りも、例えば国立大学等も同じ規定でございますので、例えば大学の研究者の方、是非、同じものだということを私は御説明したいと思います。

緒方委員 いや、ほかの人と同じだからいいんですではないんです。

 もう質問を終わりますけれども、大臣にもう一回お伺いしたい。

 この仕組みの中で萎縮効果が働かないというのを論理的に説明いただければと思います。大臣。

大岡委員長 坂井国務大臣、簡潔に答弁をお願いします。

坂井国務大臣 例えば不正であるとか、ルールに沿わない若しくは多くの人たちから批判を受けるような、そういう運営であったりとか、様々なことがあるのであれば、それは萎縮をすることもあろうかと思いますけれども、そうでないということであれば、それこそ、総理にといっても、総理は直接的になかなか、なかなかというよりも、今、会員の選考にも手を出せない状況になってまいりますから、であれば、何一つそこに気兼ねをすることもなく、独立してこれを運営ができるものと考えます。

緒方委員 かつてありましたよね、総理の意向ペーパー、官房副長官の御意向ペーパー。ああいうものが回らないことを保証する仕組みになっていないような気がしますけれども、そろそろ、質疑が終わりましたので、終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

大岡委員長 次回は、来る五月七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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