第19号 令和7年5月9日(金曜日)
令和七年五月九日(金曜日)午前九時六分開議
出席委員
委員長 大岡 敏孝君
理事 黄川田仁志君 理事 國場幸之助君
理事 西銘恒三郎君 理事 今井 雅人君
理事 本庄 知史君 理事 山岸 一生君
理事 市村浩一郎君 理事 田中 健君
石原 宏高君 井野 俊郎君
江渡 聡徳君 尾崎 正直君
金子 容三君 岸 信千世君
栗原 渉君 田中 良生君
西野 太亮君 平井 卓也君
平沼正二郎君 福原 淳嗣君
宮下 一郎君 山際大志郎君
山口 壯君 若山 慎司君
市來 伴子君 梅谷 守君
おおたけりえ君 大塚小百合君
下野 幸助君 長友よしひろ君
橋本 慧悟君 藤岡たかお君
馬淵 澄夫君 水沼 秀幸君
山 登志浩君 伊東 信久君
三木 圭恵君 石井 智恵君
菊池大二郎君 河西 宏一君
山崎 正恭君 上村 英明君
塩川 鉄也君 緒方林太郎君
…………………………………
国務大臣 坂井 学君
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
内閣府大臣政務官 西野 太亮君
内閣府大臣政務官 今井絵理子君
内閣府大臣政務官 岸 信千世君
政府参考人
(内閣府大臣官房長) 松田 浩樹君
政府参考人
(内閣府大臣官房総合政策推進室室長) 笹川 武君
政府参考人
(内閣府公益法人行政担当室長) 高角 健志君
政府参考人
(内閣府日本学術会議事務局長) 相川 哲也君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森友 浩史君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 浅野 敦行君
政府参考人
(防衛装備庁技術戦略部長) 松本 恭典君
参考人
(日本学術会議会長) 光石 衛君
内閣委員会専門員 田中 仁君
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
石原 宏高君 金子 容三君
山口 壯君 若山 慎司君
橋本 慧悟君 大塚小百合君
同日
辞任 補欠選任
金子 容三君 石原 宏高君
若山 慎司君 福原 淳嗣君
大塚小百合君 長友よしひろ君
同日
辞任 補欠選任
福原 淳嗣君 山口 壯君
長友よしひろ君 橋本 慧悟君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
日本学術会議法案(内閣提出第三六号)
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○大岡委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、日本学術会議法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本学術会議会長光石衛君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房長松田浩樹君外六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。
○黄川田委員 自民党の黄川田仁志です。
先日の参考人質疑の中で、学術会議の自主性と独立性、そして学術会議の集団としての学問の自由という話が頻繁に出ておりました。
学術会議の組織としての自主性と独立性が大切であるということは理解いたしておりますが、集団としての学問の自由が必要であるということが余り私にはよく分かりませんでした。それよりも、別の思いが私には湧いてまいりました。それは、学術会議が圧力団体のようになって、個々の研究者の学問の自由に何らかの影響を直接的また間接的に与えているのではないかという懸念でございます。
日本学術会議は、戦前、科学者が国の戦争遂行に協力したことへの反省に立ち、一九五〇年及び一九六七年に、軍事目的の科学研究を行わない旨の声明を発出しております。そして、二〇一七年には、その過去の二つの声明を継承し、防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度に対し、政府による研究の活動への介入が強まる等の懸念を示しました。そして、軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究については、その適切性を審査する制度を設けるべきとする声明を発出しております。
そこで、防衛装備庁にお尋ねいたします。
防衛装備庁が募集しています安全保障技術研究推進制度の募集状況について教えてください。また、その状況について、防衛装備庁はどのような評価をしているのか、日本学術会議が二〇一七年に発出した軍事的安全保障研究制度に関する声明が募集状況にどのような影響を与えたと考えているのか、お答えください。
○松本政府参考人 安全保障技術研究推進制度につきましては、二〇一五年に制度を創設し、初年度は大学等から五十八件の応募がありましたが、翌年度以降は大学等による応募が減少し、十件前後で推移していたところです。
その後、我々の方でも制度を御理解いただくための様々な努力を重ね、また、二〇二二年には、小林内閣府特命担当大臣宛てに日本学術会議会長から「先端科学技術と「研究インテグリティ」の関係について(回答)」が示されたことを踏まえ、二〇二三年度以降、件数自体は増加し、昨年度は四十四件の応募があったところです。
他方、依然として安全保障に関する研究に対して慎重な姿勢を取り続ける主要大学が存在しており、必ずしも御指摘の日本学術会議による二〇一七年の声明の影響だけではないと考えますが、防衛省としても、引き続き、学術界における御理解を賜れるよう、様々な努力を重ねてまいりたいと考えます。
○黄川田委員 ありがとうございます。
この学術会議の声明が防衛装備庁の募集にネガティブに影響しているということは、私が持っている資料では、今詳しく説明はございませんが、やはり一七年の声明発出以降、十二件、九件、九件、その後十二件ということで、非常に、当初出発した募集件数、これは大学に対する件数でございますが、大学からの募集でございますが、減っているということで、私はこれはネガティブに影響したというふうに考えております。そして、この声明が研究者の萎縮を招いたと思っております。
日本学術会議は、安全保障技術研究推進制度に応募した研究者に対し、直接的又は間接的に圧力をかけた疑いがございます。例えば、二〇一六年に行われた安全保障技術研究制度において、北海道大学のある研究が採択されております。しかし、二〇一七年に発出された学術会議の声明によりまして、その採択された研究は二〇一八年に辞退することになってしまったということでありました。そのような事案の記事を私は読みました。
もしそのような事態があるとしましたら、日本学術会議は個人の研究者の学問の自由を侵害したことになると私は考えますが、光石会長はどのようにお考えでしょうか。お答えください。
○光石参考人 お答えいたします。
平成二十九年の声明、軍事的安全保障研究に関する声明は、大学等の各研究機関に、軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的、倫理的に審査する制度を設けるべきであることを求めるものでありますが、いわゆるデュアルユースに係る研究のような安全保障に資する研究を一律に禁止するという趣旨のものではございません。また、本声明に関連し、日本学術会議として、個別の研究者の研究活動に対し、何らかの働きかけを行ったという事実はなく、また行うべきでもないとも考えております。
以上です。
○黄川田委員 ありがとうございます。
今の御説明で、デュアルユースなるものの研究については否定するものではないということでございましたが、これは確かに、令和四年に、デュアルユースとそうでないものと単純に二分するのはもはや困難であるということで、一律に判断するのは現実的ではないということを回答されております。そういうかいもありまして、また大学からの応募の件数が増えているということでございますが、やはりそれ以前は少ない、少なくなったと言わざるを得ないというふうに私は思います。
この二〇一七年の声明によって、日本学術会議は、大学等の各研究機関に対して、軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究については、技術的、倫理的に審査する制度を設けることを求めております。今御説明があったとおりでございます。また、学協会等に対して、ガイドライン等を設定することを同様に求めております。そして、先ほど防衛装備庁からもありますように、今もなお、このことが大学等における防衛関係の研究活動に対する障害となっております。個人の学問の自由には介入する一方で、学術会議の集団の学問の自由は守れという、これは私は矛盾していると思います。
戦後間もなく、アメリカの占領下で、日本学術会議がアメリカの手でつくられたときと時代は大きく変わりました。今、日本が戦争をしかけることはございません。今回、特殊法人になることを機にして、日本学術会議には、現在の日本の置かれている状況に合った研究をすることを尊重してほしいと思います。そして、研究者個人の学問の自由を侵さない組織になることを期待しております。
このことについて、会長、いかがコメントされますか。
○光石参考人 お答えします。
令和五年の九月に出しました方針以降、特段の変更はございません。
○黄川田委員 とにかく、新法によって新しく特殊法人になり、そして、政府と学術会議とお互い信頼関係を持って進んでいくという姿を望んでおります。
次の質問に移りたいと思います。
日本学術会議と中国科学技術協会との連携についてお尋ねします。
日本学術会議は、二〇一五年に、中国科学技術協会と相互協力の覚書を交わしています。覚書には、学術活動の情報交換、アイデアや情報の交換のための研究者の間の交流、科学情報の共有などの協力を行うこととなっております。
実際に、日本学術会議と中国科学技術協会との間で、どれくらいの頻度でどのような協力活動を行っているのか、具体的に教えていただければと思います。
○相川政府参考人 お答えいたします。
御指摘の覚書につきましては、日本学術会議と中国科学技術協会の間で二〇一五年に結ばれておるものでございます。内容は、出版物の交換やセミナー等の学術活動の情報交換、研究者間の交流等、一般的な学術交流を促進するものとなっております。
実際には、会談を行うなどの学術交流等を数回行っているものでございます。
○黄川田委員 ありがとうございます。
今の御説明ですと、覚書には先ほど私が話したとおり書かれているものの、交流頻度また内容等についてはそれほど深く進んでいるものではないというふうに理解しました。
私は、この両団体で交わした覚書のとおりの科学技術の情報交換、情報共有を行っていたとすれば、安全保障上ゆゆしき事態だと思ったのでありますが、実際は今答弁があった程度の交流ということなので、少し安心しております。なぜならば、学術会議が中国科学技術協会と連携しているのであれば、間接的に中国の人民解放軍の関係団体ともつながっていることになるからであります。
二〇一三年に、中国政府は、中国科学技術協会と中国工程院との提携を正式に発表しております。そして、中国工程院は、中国人民解放軍の軍事科学院の傘下にあります国防工程研究院と頻繁に人的交流をしていることが確認されております。つまり、日本学術会議は、日本国内では研究者に対して防衛関係の研究を行うことへの一種の圧力をかけているにもかかわらず、一方で、間接的ではありますが、中国の人民解放軍の関係団体とつながりがあるということになります。
これは非常に矛盾していると思うのですが、光石会長の見解をお伺いいたします。
○光石参考人 お答えいたします。
日本学術会議と中国科学技術協会との間で結ばれました覚書は、出版物の交換やセミナー等の学術活動の情報交換、研究者間の交流等、一般的な学術交流を促進するものでありまして、御懸念には当たらないと考えております。
しかしながら、今後とも、ナショナルアカデミーとしてふさわしい適切な学術交流を行ってまいりたいと考えております。
以上です。
○黄川田委員 私は、この覚書の締結については、やはりもう少し慎重に考えるべきだと思っております。中国製造二〇二五が発表された時期とも重なっておりますので、是非、今後とも、この覚書は新法人に移ってからも有効ということでありますので、これは慎重に慎重を期したおつき合いをするということ、しなくてもいいんですけれども、するということでお願いをします。そのことを強く会長に要望いたします。
次に、本法案における日本学術会議の外国人会員の在り方について御質問させていただきたいと思います。
現行の学術会議は国の機関でありますので、会員の身分は非常勤の特別職公務員となります。日本の国家公務員法では、国家公務員の採用には日本国籍が要件となっております。したがいまして、外国人が今の学術会議の会員になることはできません。
ですので、現在は、外国人の研究者の方が日本学術会議の活動に参加する際には、会員としてではなく、外国人アドバイザーという資格で参加できるようになっています。私が確認した資料によりますと、外国人アドバイザーは九名程度採用できることになっていました。
そこで、質問でありますが、実際に今何人いらっしゃるのでしょうか。また、どのような活動をしているのでしょうか。
○相川政府参考人 お答えいたします。
日本学術会議では、日本学術会議の審議に協力する者として、優れた研究又は業績を有する外国人を日本学術会議外国人アドバイザーとして委嘱しているところでございます。
現在、国際活動の発信強化のための支援、助言等のため、一名の外国人アドバイザーを委嘱しておりまして、日本学術会議の国際的プレゼンスの向上に御協力いただいているところでございます。
○黄川田委員 ありがとうございます。
今の御説明ですと、外国人アドバイザー一名、その役割は、正会員としての活動というよりも、今言ったように、広報等のアドバイスをしていくというような形の仕事ということと理解いたしました。
そして、質問を続けていきますが、現在審議している新しい法律の下では、日本学術会議は特殊法人となり、国の機関でなくなります。よって、外国人を、単なる今のようなアドバイザーではなく、直接正会員にすることが可能となります。
現在の外国人アドバイザー制度と比較すると、具体的に何が変わるのでしょうか。特に、活動の範囲が現在と比べてどれくらい広がることが想定されるのでしょうか。具体的に教えてください。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
有識者懇談会においても、学術会議が俯瞰的な議論を行うためには会員のダイバーシティーを確保することが何よりも重要である、外国人を会員に登用することができるようになることも法人化の大きなメリットだというふうに、おっしゃるとおり指摘されておりました。それから、同じく懇談会で、外国人会員について、お客さんというんじゃなくて、学術会議の一員として扱うことが重要だという指摘もございました。
外国人会員の活動について、特段の制約は法律上ございません。したがって、他の会員と同様に、幅広く活動していただくことが可能です。実際にどのように対応していくかは、学術会議において適切に御判断いただくものというふうに思っております。
○黄川田委員 ありがとうございます。
今の御説明では、今度の、外国人が正会員になることに対して大きな期待がある、今の正会員と同様な活動をしてほしいというような期待があるということでございました。
これについては、先日の参考人質疑で、有本建男参考人が、アカデミー間の国際連携の重要性やアカデミーを取り巻く世界のダイナミズムから、新しい日本学術会議には多様な背景を持つ会員として外国人会員が必要であると言及されました。アカデミアの世界的視点から見ると、有本参考人の御意見は正しいと言えると思います。
では、視点を変えて、国の安全保障のことを考えた場合はいかがでしょうか。外国人会員が増えることで、本来何らかの機密として守らなければならない研究情報や技術情報が海外に流出してしまうおそれはないのでしょうか。特に、国家情報法なる法律を作り、国内外にいる国民全員をスパイにできる国の研究者に対しては、様々な面で慎重にならざるを得ません。外国人会員制度を導入するのであれば、研究や技術に関わる情報の秘密保持の対策も同時に考える必要があると私は思います。
そこで、質問でございます。
どのようにして秘密保持を担保するのか、教えていただければと思います。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
おっしゃるとおり、外国人会員は大事なんですけれども、一方で、学術会議が、特定の政治勢力や社会勢力、外国勢力から独立して活動するということが大事なのも言うまでもございません。
政府全体としても、各大学、研究機関等において、採用とか競争的研究費の申請に関して、研究者自身による適切な情報開示を所属機関に対して報告することを求めたり、あるいは、各大学、研究機関等において、こうした研究者からの報告等も踏まえた上でマネジメントを行っているというところです。
学術会議なんですけれども、我が国を代表する機関ということですから、こういった我が国の科学者コミュニティー全体としての取組も当然踏まえながら、例えば、外国から不透明な資金提供を受ける、そういう公正性に問題があるような人物が会員とならないように、是非、十分留意して、必要な対応をしていただきたいというふうに思っております。
最後、秘密の話ですけれども、学術会議においては、法人化後も政府に対して、資料の提出、意見開陳その他協力を求めることができる条文が残っています。したがって、逆に、国が法人に対して円滑に重要な情報を提供するためには当然守秘義務が必要だと思いますので、そういった規定も置こうとしておるところです。
○黄川田委員 ありがとうございます。
何かと、日本の大学を含めて、学術界は情報管理が甘いと私は思っておりますので、秘密保持についてはしっかりと対策を取るようお願いをいたします。
次に、坂井大臣にお聞きいたします。
坂井大臣は前の委員会で、任命拒否が学術会議改革のきっかけになったのではなく、それ以前から議論していたと説明しております。また、学術会議自体も自主的に改革を始めていたなどと答弁しております。事実関係はそうだと私も思います。
しかし、私は、この任命拒否がきっかけとなって、それまでほとんどの国民が知らなかった学術会議の活動が世に知られることになったのだと思っています。同時に、日本学術会議の多くの課題も国民に明らかになりました。任命拒否が今回の制度改革に弾みをつけたという一面も重要であると考えております。
そこで、坂井大臣は、この任命拒否についてどのような受け止めをしているのでしょうか。
○坂井国務大臣 今、黄川田委員が御発言をされたような見方、議論も聞いたこともございますし、主張する方にもお会いをしたことはありますが、政府といたしましては、まず、令和二年十月の会員任命については、一連の手続は終了しているものと認識をしており、その上で、我が国の研究力の向上や国際競争力の強化などの観点から、喫緊の課題である学術会議の機能強化のための改革を行おうとしているものでございます。
学術会議がこれまで南極地点観測などの実績を上げてきたことは承知しておりますが、梶田前会長自らが令和三年四月に、提言機能や情報発信力、国際活動などにおいて検討すべき課題があると表明されたところでございます。
有識者懇談会におきましても、学術会議に社会課題の解決やサイエンス・フォー・ポリシーなどの現代的な役割が求められていることが指摘をされており、現在のような行政組織の一部という形では制約が多く、また、このことは先日の参考人質疑でも御指摘いただいていたかと思いますが、海外アカデミーのような柔軟な活動ができる組織にステップアップしていくことが必要だと私は考えております。
先日の委員会で何人かの委員が、学術会議の一部で会員選考が特定の思想の人たちを排除するような運用がされてきた懸念を取り上げており、そのような懸念や誤解が生じないようにするためにも、会員選考の透明化や説明責任の担保を図るこの法案が必要だと思います。
学術会議にも、法人化と、そしてこの法案自身には反対ではないというところまで御理解をいただいたところであり、引き続き説明を尽くしてまいりたいと思います。
○黄川田委員 坂井大臣、ありがとうございました。
あと数分残っておりますので、光石会長、日本学術会議に対して、私から少し、最後に要望をさせていただきたいと思っておりますので、答弁は結構でございますから、よく聞いていただければと思います。
現行法の前文に、日本学術会議は、科学者の総意の下に、ここに設立されると書いてあります。日本学術会議の方々はよく引用されております。
しかし、アメリカ占領下でありますが、日本学術会議を設立したのは国会であり、すなわち国民であります。日本学術会議は、究極的には国民のためのものでなくてはなりません。
参考人質疑で、私は、福島第一原発の処理水に関する科学的な知見を日本学術会議に出してほしかったとお話をしました。梶田前会長からは、争点は政治的なものであるとして、IAEAが安全性に問題がないと指摘しているとおっしゃいまして、科学的には決着しているという答弁でありました。
私は、科学的な知見を政府に提言する立場である日本学術会議こそ、日本のアカデミアとしてこの問題に対して科学的な発言をすべきであったと思っております。日本国内で困っている人が多くいるわけでありますので、日本学術会議の国民に対する姿勢が問われていたんだと私は思います。
また、中国科学技術協会と交流があるというのであれば、その関係を通じて科学的に問題がないということを中国に伝える努力をしたのでしょうか。先ほどの説明では、していないということになります。
日本学術会議は、国の財政で支えられております。言い換えれば、国民の税金で支えられているのです。このことは、新法で特殊法人に移行しても変わりはありません。そのことも日本学術会議にはよく分かってほしい、そういうことを光石会長に訴えたいと思います。
まだ若干時間がありますので、今度は政府に対しても一言申し上げます。あっ、もう終わりですね。
時間が参りましたので、政府に対しては個別にお話しさせていただきます。
これで質問を終了いたします。どうもありがとうございました。
○大岡委員長 次に、山登志浩君。
○山委員 立憲民主党の山登志浩です。四十分間、よろしくお願いします。
光石会長、今日はありがとうございます。よろしくお願いいたします。
今、坂井大臣が、日本学術会議はこの法案には反対ではないというふうに答弁されたと思うんですけれども、ちょっと私の聞き間違いだったら申し訳ないんですけれども、それは、いつ、どこで、どなたから聞きましたか。
○坂井国務大臣 私の認識では、総会の決議や総会の中での議論、そしてその後の会長の記者会見等でそう判断をしているところでございます。
○山委員 法人化にはということだと思います、失礼いたしました。済みません。
それで、四月二十五日の質疑の中で、笹川政府参考人が、済みません、作っていて、自分でも非常にこんがらがっている難しい仕組みになっているので、申し訳ございませんという答弁がありました。市來委員に対しての答弁でありますが。
もちろん、政府の方、学術会議の方、皆さん頑張っておられるんですけれども、政府は、やはりこうした難しい仕組みというものを学術会議に何か押しつけるような私は印象を持ちましたが、この点について参考人から改めて答弁いただきたい。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
ちょっと、説明というか、言葉が適切じゃなかったかもしれません。もしそうであればおわび申し上げます。
私が申し上げようと思ったのは、法人設立の経過措置について、今回は一般的な法人の設立とは違う仕組みになっている、そういうことを申し上げようとしたところでございます。
具体的には、新法人の会員それから会長の選任を国が行わない、普通、独法や何かだと、独法の長は国が任命するわけですが、行わないので、そのための規定が必要になってきていて、会員予定者の候補者の推薦を受ける権限、会員予定者を指名する権限、会員予定者の中から会長職務代行者を指名する権限を、設立委員のうち優れた研究又は業績がある科学者に委任していること、総理から委任です、それから、新法人の会長を会員による互選で選出する、要は大臣任命じゃないということですけれども、ためには、設立前にはもちろん会長の候補者は決まらないわけですから、こういった仕組みになっております。
それで、まとめると、要するに、こういった仕組みになっているのは、私どもといたしましては、学術会議の懸念、意見も受け止めて、そういった必要な配慮、修正を行った結果である。だから悪いということじゃないですが、それでこういう仕組みになっているということを私は申し上げようといたしました。言葉が適切でなかったら申し訳ございません。
○山委員 謝ってくださいということを申し上げているわけではなくて、学術会議の皆さんもそうですし、国会もそうですし、国民の皆さんもこの法案の行方を注視しているわけですので、なお一層の丁寧な答弁、御説明をまずもってお願いしたい。
その上で、次の質問に入りますが、学術会議は四月十五日の総会において声明と決議を採択をし、法案に対しての様々な懸念を具体的に指摘をし、抜本的な修正を求めるような決議も採択をされたと伺っています。
この懸念に対し、四月十八日の衆議院本会議の質疑において、坂井大臣は、国会審議においては、学術会議を法人化するこの法案の趣旨、内容をしっかり説明してまいりますという答弁をされました。学術会議からの懸念に対して、国会のこの委員会などでの質疑を通じてしっかり説明をしていくということでありましたが、四月二十五日にも光石会長にこちらにお出ましいただいております。今日も答弁いただくことになるわけですけれども、この間のこの法案の審議を通じて、いわゆる五要件、学術会議の皆さんが表明されているこの五要件についての懸念が、全てとは言いませんけれども、おおむね払拭されたというふうにお考えでしょうか。光石会長、お願いいたします。
○光石参考人 お答えいたします。
この法案が日本学術会議の独立性を高めるものであって外部からの不当な介入を許容するものではないという点につきましては政府からもお答えがあったものと思いますが、やはり日本学術会議総会における会員の意思は、条文の修正という形でそれを明らかにしていただきたいというものでありまして、この間の法案の審議により、これまで示してきた懸念が完全に払拭されたと申し上げることはできないというふうに考えております。
以上です。
○山委員 ありがとうございます。
条文の修正ということで元々決議をされているわけでありますので、なかなか、法案の審議で、答弁でそれを補うというのは難しいなということは指摘をしておかなければなりません。
それで、懸念ということですけれども、学術会議の皆さんや市民の皆さんだけでなく、海外からも注目されています。
五月七日の参考人質疑で、梶田参考人、梶田先生から意見開陳がありました。各国のアカデミーの連合体と言える国際学術会議から、日本政府は、日本学術会議の運営と会員選考の手続に干渉しようとする度重なる試みに対し深い懸念を表明するとのメッセージが出されているということを梶田先生が紹介されました。
政府においては、この国際学術会議の懸念のメッセージを把握をしていますか。また、海外の学術団体等の懸念、こうしたものについて、どのように払拭していこうとお考えですか。大臣に伺いたいと思います。
○坂井国務大臣 まず、梶田参考人が五月七日の参考人質疑において言及をされた国際学術会議からのメッセージでございますが、一応、日本学術会議においても、政府においても、受け取ってはいないと承知をいたしております。
それを前提に申し上げますが、この法案そのものが、独立性、自律性を抜本的に高めることによる学術会議の機能強化と説明責任の担保を目的とするものであります。
法人化によって学術会議の独立性が組織面でも明確になり、政府とは別の法人である海外アカデミーと同様の高い独立性を有する組織になるものと考えております。
会員の選任においても、何度も御説明をさせていただいておりますが、内閣総理大臣による任命は行わず、海外アカデミーと同じように学術会議だけで自律的に選任ができるようになるということでございます。
海外のアカデミーの状況は様々であるということはこの委員会でも今までも御議論いただいておりますが、我が国のような、国がつくり国の財政的支援を受けて運営される法人であり、特別な地位、権限が法律で明記されているような国は先進国の中ではないと認識をしておりまして、国が設立する法人が適正、適切に運営されるための必要最小限の仕組みを置くことは、アカデミーの性質や海外アカデミーとの比較においても決してそごを来すものではないと考えておりますので。
一番大切なのは、どちらにしても、こういった事実をしっかり海外にも説明をして御理解をいただくことであると思いますし、実際に法案が通り、具体的な動きが見えれば、明らかに政府とは明確に独立した組織ということになり、より、海外アカデミーの皆様方には、自分たちのものに近しい組織となっていくと認識いただけるものと思っております。
○山委員 形式的には国の機関から離れて特殊法人になるわけですけれども、会長ですとか会員の選考だとか、そういったところで、いろいろ、政府が介入すると言ったら失礼かもしれないけれども、介入する、あるいは関与するような仕組みが残っているというふうに私たちも指摘をしています。ここはやはり一番の懸念点であります。
まず、この五月七日の梶田参考人の発言についても、やはり政府として、学術会議としても、国際学術会議のメッセージ、きちっと把握をしていただきたいということを要望しておきます。
世界最高のナショナルアカデミーを目指すというふうに言っておられるんですけれども、やはり国内外で懸念の声が相次いで表明されております。なかなか、答弁も、失礼ながら同じような答弁がずっと続いておりまして、この懸念とか不安が払拭されるには至っていないと私は認識をしています。懸念点を払拭する責任は、やはり十分な意思疎通を怠ったままで政府が法案を提出したからではないでしょうか。政府が、この法案を提出するに至るまで、学術会議との信頼関係を本当に重要視してきたのか、甚だ疑問に思うところであります。
政府は、なぜここまで急いで法案を成立させたいのでしょうか。もっとコミュニケーションを取るべきじゃないでしょうか。いかがですか、大臣。
○坂井国務大臣 これも何度か御指摘させていただいておりますが、我が国の研究力の向上や国際競争力の強化などの観点から、学術会議の機能強化は先延ばしできない喫緊の課題であると我々は認識をしております。
政府としては、学術会議の機能強化という共通の目標に向けて、学術会議と可能な限りコミュニケーションを取りながら、丁寧な説明と意見の反映に努めてきたところであり、つまりは、最初、懇談会の段階から、そして法案を具体的に詰めていく段階、そして閣議決定をした後も、コミュニケーションを取り続け、結果として、学術会議も、法案や法人化自身に反対するものではないというところまでは御理解をいただいた、このように認識をいたしております。
○山委員 それにしたって、なぜ急ぐのか、やはり私は不明確であると言わざるを得ないですし、完全にやはり疑念が払拭されていないし、条文をやはり修正してほしいという強い御要望があったわけですので、もっとそこに真摯に私は向き合うべきだというふうに思います。
話を進めますが、これまで、今答弁にもありましたが、学術会議の会長さんの数度にわたる声明でありますとか、五月七日の参考人質疑でも重ねて強調されておりましたが、学術会議にとっては、現行法、今の法律の前文でありますとか独立性という文言は非常に重く捉えておられると思います。
そこで、光石会長にお伺いいたします。
現在の学術会議法の前文でありますとか独立性という文言、これは学術会議にとってどういった意味を持つものなのか、どういう受け止め方なのか、御答弁いただきたいと思います。
○光石参考人 お答えいたします。
多少長くなるかもしれないんですが。
現行の日本学術会議法は、前文に、「日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立される。」との記述が置かれ、日本学術会議は、一九四九年の設立以来、このような理念の下で国民から負託された使命を果たすための活動を行ってまいりました。
「科学が文化国家の基礎」「わが国の平和的復興」といった理念は、日本学術会議の成り立ちからしても不可欠の要素であると考えております。また、日本学術会議がナショナルアカデミーとして活動するためには、政治的、社会的に独立性を保ちながら、科学的な見地から問題の発見と解決法の提示、社会の未来像の提言、国際的な連携活動を通じた科学の共通認識の形成等に努めなければなりません。
日本学術会議といたしましては、ナショナルアカデミーが満たすべき五要件として、活動面での政府からの独立及び会員選考における自主性、独立性を挙げているところでございます。
以上です。
○山委員 やはり現行法の条文ですとか独立性という文言が非常に大切であるというふうに今答弁いただいたと私は認識をいたしました。
現行法の前文をあえて本法案に明記してもいいのではないでしょうか。先日の参考人質疑でもありましたけれども、やはり独立性ですとか自律性、こういったものは非常に重いわけでありますから、自主性、自律性といったことは言われていますけれども、更にやはり踏み込んで、独立性、この文言の明記について大臣にお尋ねいたします。
○坂井国務大臣 元々この法案は、独立性、自律性を抜本的に高めるということを目的とするものでありまして、ましてや全く別の法人になっていくという法案でございまして、明らかに、独立していることが外形的にも明らかになるものでございます。
ですから、ここは、法制局とも調整をしたところ、明らかに独立をしている中で独立という言葉を使うのはふさわしくないという、調整の中で今回は明記をされていないということであるので、今の状況で私は適切だと思っております。
○山委員 外形的にはということで、形の上ではということですけれども、中身ですよね。
先ほど申し上げたように、場合によっては政府が介入する、関与する余地があるということに対しての懸念がある、そこに対してきちっと条文で明記することというのは非常に重いと思うんです。なかなか話をしてもかみ合わないんですけれども、やはり条文に明記をする、法定化をするということは非常に重いことでありますので、そこをもっと、形だけでなく中身が伴うようにしていかなきゃいけない。そのためにも、やはり、繰り返しになりますけれども、明記をしていただきたい、このことを強く私から申し上げておきます。
それで、いろいろと懸念、問題点はありますが、評価委員会と監事については内閣総理大臣が任命をするというふうに明記をされております。
それで、まとめて伺いたいんですけれども、監事は、学術会議の人事等の評価について介入したりあるいは関与しない、中身には立ち入らないという理解でよろしいのか。もう一点、仮に学術会議が、先ほどの御質問にもありましたが、科学的見地から、政府と異なるような方針ですとか意見を表明された場合であっても、今までもそういうことはありましたけれども、人事や補助金、財政面について影響しない、させないということをきちっと断言していただけますでしょうか。大臣、いかがですか。
○坂井国務大臣 評価委員会の名前も出ましたけれども、お尋ねは主に監事の件だと思います。
監事は、一般に、法人の業務執行を監査することを職務とする機関であり、この法案における所掌事務の条文も、他の法人の監事と同様のものでございまして、つまり、監事は、しかも業務そのものに対しての権限はございませんから、今御指摘をいただきましたような人事その他に対して、ある意味、口出しをする、影響力を及ぼすということはないということかと思います。予算に関しましても、予算にも関与しないということでございます。
○山委員 介入しない、させないという大臣答弁でありますけれども、やはり総理が任命しているので、先日の質疑にもありましたけれども、どうしても総理の顔を向いてしまう、総理の意向をうかがってしまうんじゃないのか。忖度というような言葉もありますけれども、そこはやはり懸念をされておりますので、誰が監事に選ばれるのかというようなことを、これから一つの争点にはなりますけれども、政府のやはりコントロール、恣意的なコントロールが働かないように、私たちも監事の選任についてはきちっと動向を注視していきたいと思っております。
それで、いろいろお尋ねしたいことがあるんですけれども、財政的なお話というのはこの間余り議論が出てきておりませんので、財政問題について、財政基盤ですが、お尋ねいたしたいと思います。
学術会議については、例えば二〇二四年度は九億五千万円だったと思いますが、二〇〇三年度は十五億円ありました。今年度は、先日の答弁にありましたように、二億円、いろいろ事情があって増額をされているということは承知をしておりますが、予算がずっと下降傾向なんですけれども、これはなぜこういう状況になっているのか、御説明いただきたいと思います。
○相川政府参考人 お答えいたします。
日本学術会議の予算につきましては、御指摘のとおり、政府や社会に対する提言等を行う審議活動及び国際学術団体への代表派遣や共同主催国際会議などの国際活動の経費について漸減してきております。この背景には、会議開催のオンライン化など、事務の効率化を進めてきたことなどがございます。
なお、令和七年度予算については、社会課題の解決に寄与しつつ、組織の法人化に向けた準備を含む予算として、対前年度比約二億円、二億二千万円増額の合計約十二億円を計上しているところでございます。
○山委員 オンライン化ですとか社会情勢の変化ということで、会議の持ち方が変わる、これは理解できますが、ただ、やはり三分の二まで減っているわけであります。過剰な予算要求は当然ないですし、むしろ皆さん、調査ですとか会議の出張費なども削っているというようなことも伺っていますし、予算のかなりの割合が義務的経費ということになっております。
光石会長も、様々、会長という立場で、また学者という立場で、国際連携の活動ですとか委員会審議などにもたくさん臨んでおられると思いますけれども、現在の予算額では不十分ではないか、こういった意見も伺っていますけれども、会長として、今、この予算額についてどう受け止めておられますでしょうか。お聞かせください。
○光石参考人 お答えいたします。
現在の予算で、いわゆる固定費というものが大体七億ぐらい必要とされておりまして、いわゆる自由に使えるお金というのは大体二億円ぐらいでございます。
当然ながら、海外に行くとか、やはり膝を突き合わせて議論するということが大切かと思いますけれども、そういう活動を行うですとか、それから、会員が、オンラインももちろん可能ではあるんですけれども、やはり対面でコミュニケーションした方がいいに決まっているわけでございまして、そういう意味からすると、旅費などは全然足りていないというのが現状でございます。
いずれにしましても、安定した財源というのが非常に重要であるというふうに私どもとしては思っているところでございます。
以上でございます。
○山委員 ありがとうございます。
今、政府の直属の特別の機関ということで予算措置をされています。それが、先ほど大臣の答弁がありましたように、完全に政府の外に出る、国の機関から出るということですので、また、国立大学の法人化は失敗ではなかったかというような御指摘もありますけれども、そういう二の舞にならないのか、本当にやらなきゃいけないことができるのか、今の会長の答弁を聞いておりまして、大変に私は懸念をするところであります。
オンラインでもできるかもしれませんけれども、やはり対面でというようなことで、これは私たち政治家ですとか、会社に勤める方もそうかもしれませんけれども、その本来の在り方、会議の持ち方、これもやはりしっかりと考慮して、必要な予算措置を政府にはお願いしたいということを強く申し上げておきます。
それで、四十八条一項に、学術会議に対し、「その業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができる。」という規定がございます。「必要と認める」という表現が曖昧ではないのかということです。必要と認めるということはどういった財政支援を想定しているのか、必要と認める金額というのはどのように査定するのか、ここをお聞かせください。
○坂井国務大臣 学術会議に関する経費、予算につきましては、基本的には今までと全く変わらないことを想定をいたしておりますが、今までも、余計な、ある種余分な無駄な経費を予算化していたものではありませんで、それぞれ通常の予算編成プロセスを経て、当然、ですから、これだけの事業をやるのでこれだけの金額が必要だということを財政当局とやり取りをしてやり合って、財政当局を説得をして予算化をしているというプロセスを取っているわけでございまして、この法案が成立した後もそれは同じということでございますから。
懇談会の報告書で、経常的な活動、運営、学術自身の価値を目的とする活動など、国からの財政的支援の内容で四類型、実は挙げられているということでございますが、こういったことも参考にしながら、学術会議において、活動、運営について、この計画によると年度計画を立てていただくことにもなりますので、その中で、こういう形で活用するんだということを明確に示し、予算を要求していただくということの中で、適切な、必要と認める予算を確保していきたいと思っております。
○山委員 「必要と認める」と書いてあったので、政府がちょっと、さじ加減と言ったら失礼かもしれませんけれども、そういう余地もあるのではないか。財政難というのはあるかもしれないけれども、本当に、少なくとも同程度は措置されなきゃいけないと思いますし、政府が関与する仕組みができるわけですね、四つの機関。事務的な仕事も特殊法人になれば当然増えるわけですので、経費が、固定費といいますか人件費というものが今よりも少なくなる、下がるということはちょっと想定できませんので、しっかりと予算措置をしていただきたい、このことを強く申し上げておきます。
それで、会員が二百五十人ということですけれども、会員だけではなくて連携会員の方も当然必要な構成員だと私は思いますが、連携会員については、伸び伸びと自由に活動していただくのでわざわざ法文化しないというような答弁がございました。内規で定めてもらえばいいというような趣旨の答弁だったと思うんですけれども、仮に内規でこの連携会員の制度を定めた場合、手当ですとか旅費、こういったものは当然支給しなければいけません。
法的な根拠は厳密にないんですけれども、こうしたものは少なくとも従来どおりほぼ同水準で認めていくべきだと思いますが、この点、確認したいです。いかがですか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
学術会議に関する経費は、連携会員も込みですけれども、これまでも予算編成過程のプロセスを経て必要な金額が措置されてきたということでございます。大臣からも、今後も必要な財政支援は行うというような御答弁があったところです。
話は戻りますけれども、おっしゃるとおり、連携会員については、学術会議の方から、なるべく法定しないで弾力的にということで、法定しないで、内規などでできるようにしたということです。
学術会議の経費につきましても、同じように、予算編成過程のプロセスを経て必要な金額が措置されていくということでございます。これに限らずですけれども、来年度やるプロジェクト、企画等々をしっかり政府に説明していただいて、我々も、そこは、必要なものはというふうな気持ちでおります。
それから、先ほど来お話はなかったんですけれども、今年度の予算は、そういった御説明もいただいたので、少し、国会にお願いして増やさせていただいたところでございますので、是非そこは、学術会議にも頑張っていただきたいし、我々ももちろん、必要なものはという気持ちでおります。よろしくお願いします。
○山委員 連携会員についてもきちっと、予算査定の中に含めて財政当局に要求をしていただく、こういうふうに受け取りました。
先ほど答弁にもありましたが、第四十八条第一項は「その業務の財源に充てるため、」と規定をしており、学術会議の業務については三十七条で規定をされているわけでありますが、この三十七条は一号から五号までありますが、立法府の関わり、我々国会との関わりについての明記はありません。
なぜこういうお話をするかといいますと、五月七日に参考人質疑の中で梶田前会長、参考人が、新しい学術会議に立法府へ助言機能を持たすべきだ、こういう発言をされました。立法府、国会に対しての助言機能を持つことは、学術会議にとって新たな活動の幅を広げることになろうかと思いますし、国民の皆様への学術会議の存在意義を示すことにもつながるかと思いますが、立法府との関わり、立法府への助言機能ということについて、光石会長はどうお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。
○光石参考人 お答えいたします。
御指摘の立法府への助言機能につきましては、有識者懇談会におきましても、私から、立法府への助言機能を持つべきではないかとの問題提起を行い、議論がされたところでございます。
海外のナショナルアカデミーにおいて、議会への説明等の機会を恒常的に持つところもあると承知しており、このような機能も重要ではないかというふうに考えております。
○山委員 ありがとうございます。
先ほどの質問にもありましたけれども、コロナ禍での科学的な助言ですとか原発問題に対しての助言だとか、今ですと気候変動の問題ですとかAIとか、いろいろな新しい技術も出てきておりますので、国会議員も当然頑張るんですけれども、省庁も頑張っていますけれども、やはり専門家の助言もいただきたいなというふうに私は思っております。
この法律の規定の中には立法府との関係ですとか助言機能ということは明記をされておりませんが、新しくできる学術会議にそういう機能を持たせることはできると思います。この点、大臣の所見をお伺いいたします。
○坂井国務大臣 御承知のように、政府に関しては勧告権が明記をされているということから、立法府に関しての御指摘をいただいているものかと思いますが、有識者懇談会等におきましても、学術会議が提案している立法府への科学的助言は是非やっていただきたい、こんな意見が出ておりまして、そのためには、日常的な議員と会員との間のコミュニケーションが必要で、イギリス王立協会やフランス科学アカデミーでもこんな仕組みがあるということを承知しているという意見が出ておったり、立法府がどう考えるかは分からず推測だが、立法府との関係は、行政府の中にいるよりは、外に出て行った方が自由にできるのではないかといったような意見があったと聞いております。
諸外国におきましても、今申し上げたように、勧告機能に限らず幅広くアカデミーと立法府が連携する例もありますことから、このような事例も参考にしながら、新法人の学術会議におきましても、適切にお考えをいただいて、適切に行動いただく。そして、これは立法府の皆さんのお考えということで、いい形での連携というものは当然可能ではないかと思っておりますし、この助言機能ができないというか、こういう連携ができないということは、法案で禁じているものではございませんし、今申し上げたように、懇談会におきますと、やっていただきたいという思いの意見があったということをつけさせていただきます。
○山委員 やはり政策を立案するに当たっても、科学的な根拠ですとか証拠だとか、具体的に科学的に裏づけられたものでなければいけない。私たちは、どちらかというと、感情的に、自分の思いで意見表明することも政治家は多いですよ、やはり。それも正しいんだけれども、国民の意見ですから、これを私たちは国会で伝えているわけで。ただ、やはり、この時代、財政も厳しいですし、いろいろな資源、人的資源の制約もあるわけですから、きちっと科学的な根拠に裏打ちされた政策というものも出していきたい。これは超党派でやりたいですから、是非、専門家の皆さん、学術会議の皆さんとのコミュニケーション、私も一国会議員として、そうしたことを前向きに進めていきたいなというふうに感じました。
それで、時間も限られておりますので、確認でお尋ねしたいんですけれども、学術会議が国際学術団体に新たに加入しようとするときは、内閣総理大臣の承認が必要だというふうに四十一条で規定をされていまして、年間一億円ぐらいの予算が投じられているかと思いますが、この加入というのは、法文上こういうふうに書いてあるけれども、形式的なものなんでしょうか。形式的に承認してもらえるんでしょうか。簡潔に御答弁ください。
○笹川政府参考人 御説明申し上げます。
これは業務とも関連していまして、法案の三十七条第四号で、学術会議の業務として「学術に関する外国の団体及び国際団体との交流に関する業務」というふうに規定していて、このような業務の一環として、先生がおっしゃる、国際団体に加入する分担金を払うということになっています。
四十一条に内閣総理大臣の承認が必要というふうに書いてあるわけですけれども、形式的なという意味合い、必ずしもあれですけれども、現行法の六条の二と同じ趣旨でございます、それは変わるものではございません。これまで同様、予算編成過程のプロセスを経て必要な金額が措置されるということでございます。
○山委員 やはり外国との関係は重要ですので、これはそのとおり進めていただきたいと思います。
それで、先日の参考人質疑でもそうですし、有識者懇談会の報告書でもそうですけれども、財政基盤を多様化しろ、要するに自主財源ですね、競争的な資金だとか、稼げる大学という話もありましたけれども、公費ではない部分についても努力をしてほしいというような話がありました。
光石会長にお尋ねします。
外部資金の獲得ということも求められておりますが、海外のアカデミーと同様に、政府が言う、先日、笹川参考人からインセンティブという言葉も使われましたけれども、そういうインセンティブにつながると思われますでしょうか。
○光石参考人 お答えいたします。
外部資金が獲得できるようになることが法人化のメリットとして捉えることもできますが、いずれにしましても、資金を得ることが日本学術会議の目的ではなく、ナショナルアカデミーとしての機能を十分に発揮するために安定的な財源を確保することが必要であることには変わりがないというふうに考えております。
以上です。
○山委員 そうですね。金をもらうために活動しているわけではないし、研究しているわけではありません。やはり、世のため社会のため、学問を追求されているわけであります。
その点でちょっと指摘をさせていただきたいんですが、答弁は求めませんけれども、先日、笹川参考人の方から、外部から資金をもらうことは積極的に活動するインセンティブになる旨の答弁がありました。しかし、お金がもらえるかどうか、資金が獲得できるかどうかにかかわらず、公共的な活動のために、皆さん、今日も光石会長もそうですけれども、手弁当で活動されているわけですし、学生さんに対しての授業だとか進路指導だとか研究室での卒論の指導だとか、そういったことも幅広くやっておられるわけですので、やはり学問ですとか会員の皆さんに対する敬意が足りないというか、敬意を欠いているんじゃないかなというふうに私は思いますが、時間がありませんので、もし何かコメントがあれば答弁いただけますか。
○笹川政府参考人 じゃ、手短に申し上げます。
確かに、そういったことを申し上げました。
その趣旨は、今出てきたこととも関係するんですけれども、まず、懇談会報告書で、予算増額のための可能性、選択肢を拡大するとともに、活動の活性化、クオリティーの向上という観点からも、そういった財政基盤の多様化が必要だという話がございました。それから、少し前の学術会議の報告書でも、これは先生も御承知だと思いますけれども、重要なのは、収益性、幾ら稼ぐという話ではなくて、そういう厳しい評価の中でアカデミーの能力が試されと書いていましたが、存在感、信頼感を高め、更なるコントラクトを生み出すことにつながる、緊張感によって高い活動水準が維持されるということを言いたかったんですけれども、手元に紙もなく、ちょっと言葉が軽かったかもしれません。
以上です。
○山委員 意図的ではないにせよ、やはり、もっと学術会議の皆さんときちっと意思疎通を図って、コミュニケーションを取って、よりよい、ナショナルアカデミーは何なのかとか、これからの学問たるものどうあるべきかとかということを本当はもっと真摯に議論してほしかったし、すべきだったというふうに思います。
やはり、私たちを始め、これだけ懸念点ですとか疑問点がまだ山積をしているわけでありますので、きちっと、政府においては、こうした私たちの指摘を重く受け止めていただきたい、このことを申し上げて、私の質疑を終了いたします。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、市來伴子君。
○市來委員 立憲民主党の市來伴子です。
早速質疑に入りますが、先日私が質問いたしました会長職務代行者の役割について、少し中途半端に終わってしまいましたので、再度問いたいと思います。また、時間が限られておりますので、いずれも端的に御答弁いただくようにお願いいたします。
先日、私の質問で、笹川政府参考人は、総理大臣が指名する会長職務代行者を、会長を予定している方や会長予定者として答弁されました。そのことについて、先日訂正されましたけれども、改めて確認します。
会長職務代行者は新法人の会長に選出されることはないという意味で訂正されたということでよろしいでしょうか。
○笹川政府参考人 そういうことではございませんで、そういう単語というか固有名詞をきちっと使わずに、日常用語的な言葉遣いをしてしまった、そこを申し訳ないと申し上げました。
○市來委員 それでは、会長予定者と答弁したのは、笹川参考人は、この会長職務代行者は会長予定者となり得ると考えていて答弁されたということですか。
○笹川政府参考人 そうです。
あのとき、済みません、御説明したのは、最初の一定のタイミングをこの人が代行ということですけれども務めるので、会長になる人みたいな言い方をしちゃって失礼しました、そういうことを申し上げました。
今の問いについては、新会長は新しくできた総会によって互選されます。したがって、あらかじめ決まっているわけではございません。なので、会長代行者が、これは新会員の予定者でもございますので、互選の結果、会長になることはあり得ます。逆に、必ずなるとか、なっちゃいけない、そういう規定はございません。
以上でございます。
○市來委員 それでは、会長職務代行者は内閣総理大臣が指名するわけですけれども、この方が会長にも、新会長にもなり得るということですか。
○笹川政府参考人 会長職務代行者は新会員の予定者から出ます。したがって、新会員になります。
○市來委員 私、これはとても大事なポイントだと思うんですよ。会長職務代行者は、総会の議案そして規約等々を一人で作るという答弁が先日ありました。そうしますと、会長選任の方法についてもこの方が一人で作るということになるんですか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
二つありまして、一つは、議案を一人で作るのかという話、その議案の中に含まれるというような意味合いで恐らく、新会長になる人の案を作るのか、そういうことかと思いました。
まず、議案については、法律上は確かに、それは一人、この方が責任者ですので作ります。ただ、前回も申し上げたとおり、必要なサポートというか、方々と一緒にやることはあり得て、たしか前回申し上げたのは、承継会員というんでしょうか、今会員の方で半分ぐらいの方は新会員になります。それから、あとは、新しく入ってくる百二十五名のところも、元会員とか、それから、今回任期が切れる方が選ばれて入るということはあります。
それから、もう一つ、確かにあのとき言わなきゃいけなかったなと思ったんですが……(市來委員「いや、会長の選任方法を決められるのかどうかを聞いています」と呼ぶ)
○大岡委員長 指されてから言ってください。
○笹川政府参考人 それはある意味、選任方法ですね、そこはあり得ます。ただ、最終的には総会の承認を得て決めることでございますので。
○市來委員 そうしますと、会長職務代行者が、自分で会長の選任方法を決めて、自ら会長に就くということもあり得るということですよね。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、互選でございますので、自分が必ず選ばれるようなルールを作るということは、まあ、分かりませんが、できないんじゃないかと思っています。
ということでよろしゅうございましょうか。
○市來委員 ちょっと答弁が、分かりませんがというのは。ここは大事なポイントなんですよ。内閣総理大臣が指名する会長職務代行者、この方が自分でルールを作って、そして自分が作ってなったら、これはまた批判されますよ。いかがですか。
○笹川政府参考人 分かりませんがというか、自分が必ずなれるようなルールというのは、互選なので、私はあり得ないと思っております。
○市來委員 私は、だからこそ、会長職務代行者が一人で決定できるという法のたてつけ自体がおかしいと思っているんですよ。また更に、学術会議の連続性といいながら、そこで遮断されるというようなことがあり得るんじゃないか、これは問題だと思いますよ。
ここは、やはり会長職務代行者と現学術会議がしっかりと協議して、次の議案、そして規則、そして会長選任の方法、事務局体制、こういったことをしっかりと協議しないと、また同じような批判、そして新法人の最初の部分で私はつまずくと思いますけれども、いかがでしょうか。
○笹川政府参考人 法律上の責任者といいますか、やるのは確かに会長職務代行者でございます。ただ、通常の場合も、議案を整えて総会に出すのは基本的に会長ですので、そこは同じ仕組みです。それも、会長が誰かに相談してというようなことではございません。一部、役員会と諮ったはありますけれども。
○市來委員 先日、笹川政府参考人の答弁で、会長の選任方法について、会長選考委員会みたいなものをつくる可能性があるというようなお話がありました。そうしたら、今回、会長選考委員会をつくるんですか。
○笹川政府参考人 それは、新しい学術会議の総会の判断だと思います。
私があのとき申し上げたのは、懇談会で、新会長の選び方、例えばそういうものをつくって候補者を絞り込む、そんな議論があったということを御紹介いたしました。
○市來委員 いや、それは総会が設立された後の話の会長選考委員会ですね。新会長を選ぶための会長選考委員会はつくるんですか。
○笹川政府参考人 そこは、準備の過程で、なるべく透明、かつ優秀な方を選ぶという前提ですから、同じような仕組みを取るということは十分あり得ると思っています。
○市來委員 私は、会長職務代行者が一人で全ての今回の新法人のものを判断できるということ自体をやはり変えていかなきゃいけないと思います。少なくとも、やはり議論の過程をしっかりと公開すべきだと思うんですよ。ちゃんと文書で公開してもらえますか。
○笹川政府参考人 まず、会長職務代行者、それからもちろん会長もそうなんですけれども、密室でじゃないですけれども、誰かが勝手に決めるということは絶対にいけないと我々も思っていますので、そこは先生と同じ気持ちだと思います。慎重に、公正というか公平に。
それから、議事録については、議事録を作れという規定はございません。あれはたしか総会だけでございますが、前も申し上げたかもしれませんけれども、公文書管理法とか、それから独法の情報公開法は適用することになります。附則で改正して、なります。
なので、通常、任命拒否とかという話がありますが、ちゃんと書類を残して出せという規定はかかってきますので、そこは我々もちゃんとやってくれという気持ちですので、しっかりお願いしていきたいと思っております。
○市來委員 更に言えば、内閣総理大臣が会長職務代行者を指名します、その議論の過程についてもちゃんと公開できますか。
○笹川政府参考人 まず、内閣総理大臣は、自分で指名するわけじゃなくて、設立委員の一名に委任します。ちょっとそこは一応留保しておきますけれども。
その過程を残すかということについては、その過程についても公文書管理法なり情報公開法は当然かかってきますので、またいろいろ言うとあれなんですけれども、どういう文書を残すかというのは適切に判断という世界ではございますが、逃げられるようになっているということではございません。
○市來委員 会長職務代行者の成立時総会の議案、そして規則の策定、そしてまた会長選任方法、事務局体制の決定について、どのような経緯で決めたかをしっかりと私は文書に残すべきだと思いますし、そしてまた、今の段階で、ある程度、その決定に至るまでの過程、これは文書で出していただけますでしょうか。
○笹川政府参考人 おっしゃっているのは、会長職務代行者が議案を作る過程が、例えばこんな感じだろうということをということですね。
そこは、まさに会長職務代行者が考えることでございますので、逆に言うと、我々が学術会議の、会長になる人と言うとまたあれですね、会長的な方がこういう手順で仕事をしろというルールを示すというのはちょっと難しいかなと思います。
ただ、国会の答弁の場で申し上げるのであれば、そこは市來先生と気持ちは一緒だと思いますので、きちんとしたプロセスでやってほしいし、どこまで公開というのはありますけれども、しっかり公開していっていただきたい、そこははっきり申し上げます。
○市來委員 私が心配しているのは、会長職務代行者が善意を持って決めたとしても、学術会議の方々が理解されないと、また同じ批判がありますよということなんです。だからこそ、学術会議の皆さんとしっかりとそこを協議して進めていくべきではないかと。
だからこそ、例えば、議案とか規則を内閣府の職員が一方的に作って、それを会長職務代行者が決めるみたいなことではないですよね。確認します。
○笹川政府参考人 一方的に作って押しつけるということはないと思います。
それから、一言だけ言わせていただきますと、さっきちょっと言いかけたんですけれども、半分の人は今の人がそのまま承継してやってくるということです。もう半分も、確定的に数字は申し上げられないんですが、通常の、今の三年ごとの選考のプロセスだと、二か月ぐらい前には総会で候補者が決まって、それが総理任命の手続を経て任命されるということです。
ぴったり一緒かどうかは別として、例えば、二か月ぐらい前に内定しているんだとすると、普通の会長職務代行者であれば、承継会員と内定者に相談なりなんなりするのが普通の仕事の仕方だと思っていますということも申し添えておきます。
○市來委員 この会長職務代行者の選定方法、総理大臣が任命するんですけれども、その指名も含めてしっかりと情報を公開し、そして、学術会議の皆さんと成立時総会に至るまでの文書等々については協議をしていくようにお願いをしたいと思いますが、これは大臣、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 委員のお感じになられていることは、政府がそこまで分かっていなくて曖昧じゃないかというところもあろうかと思いますが、ここは極めて、我々も苦労というか苦心をしたところでもございまして。
つまり、どういうことかというと、あくまで、やはり内部の、そういった会長を決めるとか議案を決めるということは、学術会議の独立性、自主性を考えたときに、やはり会員の皆さんの中でお決めをいただきたいという思いがございます。
ですから、そこまで政府が、ああやれこうやれ、公開しろ、何しろといったことは、個別にまではなかなか申し上げられないけれども、しかし、今、政府参考人の方から御答弁申し上げましたように、つまりは、会長の職務代行者がいる、そしてメンバー、次の新会員となるメンバーが内定をする、そして当然、いろいろな、現在、今までの会員の方も半分いる。そういう中で、当然、いろいろな方々から、ああやれこうやれという話があったり、そして相談をしたり、そして事務局も残っているわけでありますから、そういった中で、多くの人と御相談をする中で、学術会議の会員の皆さんが内々に話を決めて議案を作るだろう、また作っていただきたいということから、政府があれやれこれやれそれやれと言うことは、今お任せをしているということでございますので、御理解をいただければと思います。
○市來委員 今の大臣の答弁は、そうしましたら、現学術会議の皆さんも、今回の議案策定やそして規則等々については一緒に話し合うことが前提だということですか。
○坂井国務大臣 厳密に申し上げますと、会長職務代行者の御判断ということになりますが、普通に考えれば、お一人で決めて総会にかけるというのは、例えば、私が会長職務代行者になったことを考えれば、誰にも見せずにいきなり総会に出して、何だこれはと言われて蹴られるのはやはり怖いので、事前に何人かには根回しをして、こんなことでどうかと意見を聞くのが普通だなと思っておりますので、そういうことを申し上げているところでございます。
○市來委員 それは当然そうなんですけれども、政府があれしろこれしろと指定することではなく、現学術会議の皆さんとちゃんと相談してくださいねというたてつけであれば、やはり多くの現会員の皆さんも御納得できると思うんですよ。
だからこそ、大臣、今回、成立時総会が開かれる前にはしっかりと会長職務代行者が現学術会議の皆さんとコミュニケーションを取ってくださいねと、その一言でいいと思うんですが、いかがですか。
○坂井国務大臣 これもあくまで私どもの立場で申し上げると、会長職務代行者の御判断ということになりますが、継続性を確保するためもあり、現在の学術会議の会員や設立委員等々と相談することは当然あり得るものと考えております。
○市來委員 なぜこういう、内閣総理大臣が指名する会長職務代行者ということにしたのかということが、結局、また新法人が設立されるときにいろいろな声が周りから出てくるのではないかということを懸念をしております。
では、次に行きます。
会員選定の在り方についてです。
参考人質疑で指摘されましたけれども、発足時と三年後の会員更新時のみ、従来のコオプテーション方式ではなくて、特別な選考を行う、これが、現学術会議の継続ではなく遮断がされることではないかと問題視がされておりました。
日本学術会議は、四月十五日に総会を開きまして、会員選考の独立性などを確保するため、修正を求める決議を賛成多数で承認いたしました。
そこで伺いますが、附則五条二項では、会員の選定について、現学術会議の幹事会の議を経て、そして総会の承認を受けるとされておりますけれども、現学術会議は今、発足時の会員選考については修正をしてほしいと求める決議が出ているわけです。この現学術会議の総会に、新会員のリストが承認されると思いますか。そして、この間、政府は学術会議との真摯な協議を欠いているわけでして、この総会において仮に承認されなかったら、これはどうなるんですか。伺います。
○笹川政府参考人 この候補者たちの選考、選任に総理が関わるわけではございません。それで、それが総会の承認にかかってということをおっしゃっているんだと思いますけれども、そこで通らなかったらということだと思います。
そこは、幅広い、慎重にやる方法で選ばれた人たちですので、それは総会でも承認されるような立派な方々が選ばれるものだというふうに思っております。
○市來委員 今、日本学術会議、現学術会議は、コオプテーション方式ではない発足時の特別な選考については反対されているわけです。それで選ばれた新会員のリストを現学術会議の総会にかけると。これは必ず、それこそ幹事会を経て総会にかけるとされているわけですから、総会承認されない可能性があるんじゃないですか。
○笹川政府参考人 まず、反対されているといいますか、法案自体には反対しないということと、論点についても、やり方次第でとか、そういった形で少しずつ御理解をいただいてきている、大分御理解は近づいてきたなというふうに思っているところでございます。
その上で、繰り返しになりますけれども……(発言する者あり)言い過ぎですか、いやいや、ように努めてきたところでございますけれども。
それで、繰り返しになりますけれども、選任して、総会に承認を求めるリストは、アカデミーを代表する三人の方々で相談といいますか、協議の末選んだ委員会のメンバーが選んだ方々でございますので、我々としては、きっと立派な人が入っていると思います。必ず承認されるものと思っております。必ずというのはあれですね、承認されると思っています。
○市來委員 それでは、光石会長に伺います。
この発足時の特別な選定リスト、新会員の予定者の選定のリスト、これは学術会議の総会で承認されるということが言えますでしょうか。承認されない事態が絶対にないと言い切れますでしょうか。
○光石参考人 お答えいたします。
御指摘のように、現会員による総会の関与など、継続性の観点からの規定は法案には盛り込まれておりますが、そうなるとは限らず、国会において慎重に審議されることを望むものであります。
○市來委員 そうなんです。そうなるとは限らないんですね。だから、必ず承認されると言い切れないんですよ。そうなると、ここでもうこの法案は止まってしまうんですね。これが、私は、この法案の非常に欠点、欠陥しているところだと思います。従来のコオプテーションを否定して、わざわざ新しい特別な選定方法を持ってくるからこういう矛盾が生まれるわけですよね。法律の矛盾だと私は思っています。
これは、仮に承認されなかった場合、新会員は決まらないわけですね。大臣、どういたしますか、もし決まらなかったら。
○坂井国務大臣 今までの議論であったり、また、学術会議の方々からの御意見であったり、そしてまた、今回、選考委員会の中にも学術会議の会員の方も入っていらっしゃるということでございますから、基本的には総会で承認をされないということは想定をしていないということですが、理論からいって、御指摘のように否定をされるということは、現実上は私は極めてないと思っておりますが、可能性は一〇〇%否定をするわけではないということを考えれば、当然、そこでまた、現行の学術会議の会員の皆さんと選考委員会の皆さんと御相談をして、解決策を模索をしていくということになっていくんだろうと思います、想定をいたします。
○市來委員 これはそういう流れで作られている法律ですから、だからこそ、学術会議の皆さんとしっかりと協議をして、多くの方々から御承認をいただく、御理解をいただく、そういう政府としての努力が必要だったんじゃないでしょうか。
先日の総会で、もう修正を求める決議は採択されているわけです、学術会議は。これはどうやって溝を埋めるんですか、これから。
○坂井国務大臣 会員の選定に関して、総会での承認という事項を今回入れたということも、学術会議側からの様々な御希望に沿った形で今回入れているということもございますので、そこは現行の会員の皆さんの御意向を受けてという形でございますから、当然そこは建設的にお考えいただけるものと考えております。
○市來委員 それは私は希望的観測だと思います。
いろいろな学術会議の方とお話をしましたけれども、かなり本法案に対する、特に、選考方法とか独立性の問題で異論を唱えられている方もたくさんいらっしゃいますし、今、Xでは、学術会議の連携会員の方が発信されたものが、もう七百万、八百万再生されているわけですよね。そういう意味では、今多くの方が異議を唱えている中で、私はそれはすごく甘い認識だと思いますよ。
これからこの法律が進んでいく中で、私はここで一回止まるんじゃないかと思うんです。その止まらないために、私は、だからこそ、選定方法の修正とか、あるいは、独立しての文言を入れたりとか、そういう皆さんの意見を聞きながら修正をすべきだと思いますが、いかがですか。
○坂井国務大臣 元々、学術会議は、今回もそうですけれども、我々も独立性、自主性、自律性というものを大変大事にして法案も作ってまいりましたし、今、総会の関与という形で会員選考にそういったものも取り入れてきたのも、そういったものを尊重した形で進めてきているところでございますから、そこはお話をさせていただく中で御理解がいただけて、先ほど申し上げたように、決して学術会議が立ち止まるというようなことにはならない、建設的な御判断がいただけるものと考えております。
○市來委員 これ以上申し上げませんけれども、私は、不十分なたてつけによって、この法案が通った際にでも、また同じような批判が巻き起こるのではないかと懸念をしております。
では、次に行きます。
学問の自由との関連で、七日の参考人質疑で、日弁連の福田弁護士より、学問の自由は科学者の集団でも適用されるべきだと考えが示されました。政府は、学術会議に憲法二十三条の学問の自由が適用されると考えているか、イエス・オア・ノー、明確に答えてください。
○坂井国務大臣 憲法第二十三条に定められた学問の自由については、政府としてこれまで繰り返し御答弁申し上げてまいりましたが、広く全ての国民に保障されたものであり、特に、大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したものであると承知をいたしております。
その上で、この法案は、学術会議の会長等にも毎回参加していただいた有識者懇談会の最終報告書を踏まえ、独立性、自律性を抜本的に高めることによる学術会議の機能強化と説明責任の担保を図るものであって、アカデミーとしての自由な活動を阻害するようなものではないと考えております。
○市來委員 答弁に、答えていただいていません。憲法二十三条の学問の自由がこの学術会議に適用されると考えているか、イエス・オア・ノー、よろしくお願いします。
○坂井国務大臣 学術会議の会員である者が個人として有している学問の自由に影響を及ぼすものではないと認識をしているということでございます。
○市來委員 質問に是非真摯に答えていただきたいんですが。集団としての学問の自由が認められるかどうかという話をしているんです。お願いします。
○坂井国務大臣 政府としてこれまで繰り返し答弁をしてきたのが、国民に保障された、特に、大学における学問研究の自由、その成果の発表の自由、教授の自由を保障したものであり、そして、学術会議会員である者が個人として有している学問の自由に影響を及ぼすものではないと認識をしているというのが、歴代お答えをさせていただいてきた内容でございます。
○市來委員 もう平行線ですので、次に行きますけれども、監事についてです。
先日の参考人質疑では、与党の皆様が呼ばれた永田参考人からも、監事は独立性が担保される必要があり、利害関係のない全く別の者が必要だとの御意見がございました。先日、委員会質問で、総理大臣の部下である政府役人が監事に就く可能性は大臣は否定されませんでしたが、私は政府の役人が天下りをするべきではないと考えています。
大臣、監事については政府役人は就かないと言っていただけますか。いかがですか。
○坂井国務大臣 現職の公務員は、欠格条項にかかっているということでございます。
○市來委員 天下りをするかどうかと聞いています。
○坂井国務大臣 そこは一概に禁止をするものではないと考えております。
○市來委員 内閣総理大臣が監事を選考する過程は文書に残りますか。
○笹川政府参考人 意思決定の過程を何らかの形でということはそのとおりかもしれませんけれども、恐らく、人事の過程ですので、どういった形になるか、そこは私からは控えます。内閣総理大臣がお決めになるときに適切に考えられるものと思います。
○市來委員 ここまで監事の権限が強いといって批判されているわけですから、ちゃんと内閣総理大臣が監事を選ぶときは文書を残すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○坂井国務大臣 監事の権限が強いとおっしゃいますが、通常の他の法人の監事と基本的には同様の中身となっているということを我々は申し上げております。
通常の職務には発言権はございませんし、また、科学的助言の価値、内容などは監事の権限外ということでございますから、このことによって学術会議の皆さんの活動に不必要なプレッシャーを与えるというような仕組みにはなっていないと考えております。
○市來委員 是非文書で残していただきたいと思いますので、引き続き、我々もそこは訴えていきたいと思います。
それで、この監事が総理大臣に意見提出、何らかした場合、補助金の交付に影響することはないのか、確認します。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、補助金の金額の査定は、学術的な内容とか価値を査定するものではないということでございます。今までどおり、予算編成過程において必要な財政的支援を行っていくということだと思っております。
○市來委員 学術会議が仮に政府と異なる姿勢を示した場合、人事あるいは補助金の交付に影響はしないのか、伺います。
○笹川政府参考人 繰り返しになりますけれども、監事は、学術的な活動の価値、内容、そういったものに立ち入るものではございません。あくまでも、活動、運営の適法性、適正性について監査する者ということでございます。
その上で、監事が出した意見等々が補助金の金額に関わるかということについては、あくまでも、金額の査定等については予算編成過程で適切にやっていくということを申し上げるところです。
○市來委員 それでは、仮に学術会議が政府と異なる姿勢を示した場合、監事や評価委員会が内閣総理大臣に意見書を提出するなど、学術会議の活動を制限することはないか、確認します。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
どういった場合を想定されているのか、ちょっと私、分かりにくいんですけれども、例えば、監事は、一定の場合には、総理に意見を言う、報告するということでございます。それ以外の場合に意見書を出すということは、法律上、当然想定しておりません。事実上渡したらどうか、そこまで行くと何ともですけれども、いずれにしても、そういうことは想定されてございません。職務権限に入っていないということを申し上げます。
○市來委員 政府は、監事や、特に評価委員会を置くことの理由に、財政民主主義という言葉をよく使います。ただ、私は、財政民主主義ということがこの評価委員会を置く理由にされるということには少し違和感があるんですね。
憲法八十三条では、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」とされているものが財政民主主義と言われておりまして、この財政民主主義というのは、政府と、そして国会との関係を持つものが財政民主主義と言われているわけです。
学術会議と国民の説明責任ということを財政民主主義と言うことは、私はおかしいと思うんですよ。政府と学術会議の独立性を、評価委員会を通した独立性を聞いているのに、学術会議と国民の関係を、するために財政民主主義が必要だ、これは矛盾していると思いませんか。
○笹川政府参考人 お答えいたします。
評価に限らないのかもしれませんけれども、御質問の趣旨は承りました。
それで、お答えといたしましては、財政民主主義、国が国民に対してきちんと説明しないといけないということです。
懇談会でも議論があったんですけれども、学術会議は、国が設立して国の財政的支援で運営される法人ということでございますので、かつ、法律でいろいろな権限が与えられているということなので、おっしゃるとおり、国民に対する説明責任は果たせないといけません。そしてそれは、国が設立する法人である以上は、広い意味での監督下にあるというか、国がつくった法人がきちんと説明責任を果たすようにしなければならない義務、責務を政府が負っているという形で懇談会で整理されています。(市來委員「政府が負っているんですよ」と呼ぶ)国が負っている、そのための仕組みの一つとして評価委員会をつくったということでございます。
○市來委員 だから、評価委員会を置く理由に財政民主主義を持ち出すのはおかしいということなんです。国、政府と、そして学術会議の関係の評価委員会という制度において財政民主主義を持ち出すということは、これはおかしいと私は思います。もう答弁は結構です。
それで、最後なんですけれども、今アメリカでは、トランプ政権がハーバード大学への助成金拠出を中断し、大問題になっております。こういった独裁的なリーダーが仮に生まれると、同じようなことが私は起きかねないと思います。だからこそ、学問の自由を脅かされることがないよう、法律で歯止めをつくらなければいけない。そして、学術会議については、新法人については、財政的に学術会議をコントロールすることはない、これを大臣、明言してください。
○坂井国務大臣 学術会議については、独立行政法人などの国が設立する他の法人とは異なり、内閣総理大臣の人事や業務への直接的な関与を通じて監督権限を行使することはせず、ですから、内閣総理大臣による会員及び会長の任命は行わない、内閣総理大臣による中期目標の指示、中期的な活動計画の認可も行わない、評価についても、内閣総理大臣が業務の実績全般について行うのではなく、専門家が学術会議の自己点検評価についてだけ意見を述べるなど、国による関与といったものは必要最小限の仕組みにとどめているわけでございますので、御指摘の御懸念は当たらないと思っております。
○市來委員 大臣、とてもシンプルな問いです。財政的に学術会議をコントロールすることはないですか。イエス・オア・ノーでお願いいたします。
○坂井国務大臣 先ほども、今日どなたか、お答えをいたしましたが、今までと予算獲得のシステムは変更がありません。ですから、予算編成プロセスを経て、今まで同様予算措置を行っていくということは明言をさせていただきたいと思います。
○市來委員 終わります。
○大岡委員長 次に、梅谷守君。
○梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。
この日本学術会議における質疑については二度目にさせていただきます。まず冒頭、大臣に通告していないんですけれども、お尋ねしたいと思います。
今ほど市來委員からも話がありました。今、アメリカではトランプ政権が、政権の意に沿わない大学に対して連邦資金の凍結をちらつかせて政策変更を迫る、こんな動きが起きています。とりわけ象徴的なのが、アメリカ最古の四百年の歴史を誇るハーバード大学、ここに対して、ここが政権の要求を拒んだことから助成金数千億円を凍結させました。そして、この連休中には税制優遇の凍結も表明されています。
そこで、お尋ねしたいんですが、権力者によるこういった学問の自由に対する介入について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○坂井国務大臣 許すべきではないというか、あってはならないことだと思っております。
○梅谷委員 そのとおりですね。そのとおりです。まさに認識を共有できてうれしく思います。
今回この日本学術会議をめぐる議論の発端となった任命拒否問題、ここでもいわば権力による学問の自由への干渉が問われていると私は思っています。本法案は、世界最高のナショナルアカデミー、学術会議の機能強化を掲げていますけれども、法案提出に至る背景、すなわち時の権力者が独立性の壁を乗り越えて人事に介入する、こういった懸念を考えると、うたい文句をうのみにはできない国民も多くいるのではないかと私は考えています。
本法案を議論するに当たっては、残念ですが、政府による制度の濫用にも耐え得る制度になっているのか、そこまで考慮に入れる必要があると私は考えています。そうした視点から改めて政府の見解を伺いますので、明確な御答弁をいただきたいと思います。
まず、任命拒否問題について、前回と同様、伺わせていただきます。
前回の質疑で私は、任命拒否という意思決定に至る過程や判断基準、根拠とした資料の提出を求めたところ、これは掲げちゃ駄目なんですよね、おととい、政府から資料の提出を受けて御説明いただきました。関係各位には心から感謝を申し上げます。
この大量のペーパーを全て見させていただきましたが、これまで、情報公開請求だったり、また国会で出されてきたものばかり。提出していただいた資料の中には、いわば私が要求した意思決定の過程を示すものはなかったと私は思っています。
そこで、まず確認なんですが、おとといいただいたこの分厚い資料のうち、総理に提出されたのは学術会議からの推薦書だけということで間違いないのかどうか。判断のために総理に提出された資料がどれか、正確に御答弁お願いします。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
理事会協議事項として御指摘があって私どもが提出させていただきましたものは、任命に関する資料として内閣府が現在、作成、保存しておる資料全てでございます。
少し詳しく申し上げますと……(梅谷委員「詳しくはいいですよ。これで全てですよね」と呼ぶ)はい、全てでございます。
それぞれがどういう形でどういうところに提出をされたものであるかとか、そういった意思決定の過程に伴うようなことにつきまして事細かにお答えするのは、これは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、繰り返しになりますが、私どもとして持っておるもの全てを提供させていただいたというところでございます。
○梅谷委員 これは過去の議事録全て読ませていただきましたが、初めての話ですね。これ全部総理に、一旦、見ている可能性があるということですね、杉田さんだけじゃなくて。この資料全部が総理に提供されたという話でよろしいんですね。
○松田政府参考人 お答え申し上げます。
私が申し上げましたのは、どういった形で、誰にどういう形で届けられたかとか、そういったことにつきましても事細かにお答えするのは差し控えたいというふうに申し上げたところでございます。
○梅谷委員 総理も大変な御多忙でしょうから、この資料全部を目を通してというのはなかなか考えづらい、常識的に考えてもそういうふうに私は思うんですが、いずれにしても、この中から、どうやって任命拒否の方々を選ばれたのかということが問題になるわけなんです。その選考過程については、人事の件だから、総合的、俯瞰的という言葉が連発されて、お答えできないということですけれども。
ここで、資料一を御覧ください。公文書の管理法です。
前回も指摘をさせていただきましたが、そこに加えて、この四条では、前回も御説明申し上げましたが、行政文書の管理に関するガイドライン、第三、そして、内閣官房文書管理規則において、御覧いただければ分かりますが、経緯も含めた意思決定に至る過程、事務、事業の実績を合理的に跡づけ又は検証できるよう、軽微な場合を除き、文書を作成しなければならないと明確に定められています。その趣旨は、この一条を御覧ください、国の活動を現在及び将来の国民に説明する責任を全うすること、これも前回申し上げました。
大臣にお尋ねします、任命拒否に係るこの意思決定過程、後づけも含めて、文書が存在するのかしないのか、お答えください。
○松田政府参考人 失礼いたします、私の方からお答え申し上げます。
私ども、九十九名の任命に当たっての決裁文書等の一連の文書は適切に保存をいたしております。
これは参考までに申しますと、直近の令和五年あるいはこの一つ前の平成二十九年の任命に当たっての資料の保存の仕方、こういったものと照らしてもおおむね同様でございまして、私どもとしましては、今委員御指摘の公文書管理法にのっとった対応を心がけておるものというふうに認識しております。
○梅谷委員 ただ、ここでも提出されていますが、ここでは黒塗りですけれども、六人の方の名前が実は記されたメモ書きがあるわけなんですね。これは後ほど山岸委員が恐らく触れるかと思うので残しておきますけれども。
いずれにしても、私が問題視しているのは、例えばですよ、アメリカでは、大統領の個人的な走り書きでも、全て公文書として保存されるなど、意思決定過程を公文書として残す仕組みが制度として確立されています。そして、我が国における今の公文書管理法においても、その趣旨、そして四条、そして様々なガイドライン、規則、これを踏まえても、やはり、なぜ、どういう判断でこういう人事に至ったのか、これは文書として残さなければ私は違法の疑いが濃いというふうに考えているんです。
そこで、大臣、これは大臣にお願いしますよ、文書がないということに対して、後づけも含めて、これに対する違法性の認識、これは大臣、お答えください。
○坂井国務大臣 御意見は御意見として受け止めますが、私どもといたしましては、九十九名の任命に当たって作成、取得し管理すべき文書は決裁文書等の一連の文書であると認識しており、公文書管理法にのっとった対応がなされているものと認識をいたしております。
○梅谷委員 ここはもう平行線なので、時間も限られるのでやめにしますが、私は、この意思決定過程、これで全てだというふうにおっしゃいますけれども、いずれにしても、先ほどは、これ以外にも、判断の部分は分からないというところでお答えされないわけですよね。
私は、この様々な総理の判断決定、どうしてそこに至ったのか、それが明らかになっていない、このことも、きちんと、後づけでも文書化する必要がある。これが、内閣官房が、文書化する、法律の定めだというふうに私は考えていますので。
是非これは、先ほどの市來委員は法人化された後の文書化をおっしゃっていましたが、私は、これは、国の機関の一部である今、いま一度、この公文書管理法の趣旨にのっとって、定めにのっとって文書化をやるべきだというふうに思いますので、是非、委員長、これは理事会で協議していただいてもいいですか。
○大岡委員長 では、これは理事会協議をいたします。
○梅谷委員 次は、立法事実についてお尋ねをします。
これも前回、四月二十三日の委員会で、立法事実が示されていないんじゃないんですかというやり取りの中で、これも資料をいただきました、ありがとうございます。二枚目。法人化の立法事実についての資料がこちらですね。
大臣、改めて確認しますが、内閣府からは、報告書に書いてあるこの文言自体が立法事実であるとおととい説明いただいたんですね、この資料をいただいたときに。これで間違いないですね。
○坂井国務大臣 はい、そういうことでございます。
○梅谷委員 次に、大臣にまたお伺いします。
このペーパーの一番下を御覧ください。一番下のところに、線を引いたんですけれども、この資料の一番下、いみじくもこう書いてあります。法律の必要性を根拠づける社会的、経済的な事実であると。
大臣、この最終報告書は社会的事実に当たりますか。
○大岡委員長 まず笹川室長に答えさせます。
○笹川政府参考人 じゃ、一言だけ。
例えばですけれども、二番目、会員選考のところ、これは、こういった条文があることによって、会員は内閣総理大臣が任命するということになっています。仮に法律が改正されてなくなれば、総理任命はなくなります。これは、私はやはり社会的な事実だというふうに思っております。
○坂井国務大臣 社会的な事実、ある意味明らかな事実というものも中にはございますし、また、事実に基づいて議論がなされて、その結果出されているものと承知をいたしております。
○梅谷委員 今の御答弁だと、社会的な事実のものもあると。ということは、社会的事実じゃないものもあるという認識でよろしいんですか、立法事実が。
○坂井国務大臣 経済的な事実ということも書いてありますので、そういったものもあろうかと思っております。
○梅谷委員 先ほど笹川氏の方からお話があった会員選考の項目ですけれども、これは当然ですよね、もちろん。
ただ、例えば日本学士院というのがあるじゃないですか。学術会議同様に国の特別の機関であり、また、会員は特別職国家公務員で、別に総理の任命なしに会員の投票で決まる。私は、何なら学術会議もそうするのがいいのかなというふうにも考えているんですが、それを、学術会議については政府が総理の形式的任命が必要だとしたから、今のこの形になって、それでこれまで何も支障がなかったはずなんだけれども、これを乗り越えてまで法人化する立法事実が、私は、審議を通じてこの間明確に示されたことはないというふうに考えています。
そこで、前回もちょっと聞きましたが、答弁がなかったんです。もう一回聞きます。
この立法事実の中で、一番上の、矛盾ですね。大臣、改めて伺います。矛盾によって支障が生じたという事実があるんですか。あったら教えてください、具体的に。これは大臣にお願いします。
○坂井国務大臣 それは、内包しているということで申し上げたところでございますが、それが表になって問題になったということを、私は、あるかもしれませんが、私は認識をしておりません。
○梅谷委員 内包的とか、そう感じるとか、そういうような話じゃないんですよ。具体的に支障があるという、それをお示ししていただきたい。それが立法事実、それが社会的事実なんじゃないんですか、私はそのことを申し上げているんですよ。前回もそうですし、今回のも、私はそこの部分が足りないな、ないなというふうに受け止めざるを得ません。
そして、この法案質疑に当たって、私、省庁の幹部経験者にもお話を伺いました。閣法にとって立法事実というものはすごく厳格で重く、こういうことがあるかもしれないとか、可能性があるとか、そういった程度では認められない、こういう状況が現実にある、こういう問題が実際に発生している、これをきっちり積み上げないと閣法は駄目だと。
ですが、この学術会議法案、現実の事実とか現実の問題に基づく立法事実が、何一つ政府からは、前回も含めて今回も、この矛盾の点も、私は示し切れていないと思います。そうでしょう、大臣。こんな閣法は私はおかしいと思います。こんな生煮えのようなものを、法案を国会に提出して、この焼き加減はベストですから自信がありますからといって国民に食べていただくような、そんな、学術会議に食べさせようとすること自体が私はおかしいと思います。
本法案はそもそも審議の前提を欠くということを、この点、立法事実を欠くという点からもはっきり指摘をしておきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 これも何度か御答弁を申し上げているところでございますが、学術会議も七十六年余りたって、社会から様々な要請も受けるようになり、役割も期待をされている。そういった役割に応えていくためには、政府の一機関で様々な行政の縛りがかかるような状況、今の状況よりは法人化した方がそういったものに応えていける、こういったことをお話をさせてまずいただいております。
その一つが、外国人の会員のお話であったり、財源ですね、収入、歳入の話であったり、こういったものが新たに入れられる。しかし、これがないと、例えば海外の共同プロジェクトなどにも参加しづらいといったような事例もございますし。
ですから、そういった様々、今の時代に合った状況を鑑みたときに、法人化をすべきということでの今回の法案提出ということでございます。
○梅谷委員 光石会長にお伺いしたいんですが、前回の質疑のときには、この矛盾の話、私は、七十六年間矛盾があった、内在していた、まあ、それが積み重ねられたような話になっていましたけれども、今日は。すごくひどい話だなというふうに受け止めて、会長にお伺いしたら、特段矛盾があるとは思わない、あるとは思っていないとはっきりおっしゃいました。
今大臣が御答弁されたこの点は矛盾に当たるんですか。会長の御認識をお伺いしたいと思います。
○光石参考人 お答えいたします。
特に矛盾というか問題はないと思っておるところですが、唯一挙げるとすれば、外部資金を取れるかどうかとかというところがございますが、ただ、これは、外部資金を取ることが目的ではなく、ナショナルアカデミーとしてのよりよい役割を発揮するというところが本来の目的ですので、そこが、何というか、非常に重要な点というわけではないというふうに認識をしております。
○梅谷委員 大臣、聞いていただけましたか。一つ挙げるとしたら財源のというお話でしたけれども、財政だって、後で具体的に触れていきますけれども、さんざん頑張っているんですよ、日本学術会議。寄附の話とか、財源の、財政の多様化というのが今回議論になっていますけれども、論点になっていますが、やはり、この学術会議、これまでも、実は、日本学術協力財団という公益法人を通じて寄附を集める努力をさんざん続けてきたんですね。既にやってきているんですよ。しかも、会員や連携会員から月一万ずつ寄附を募るという涙ぐましい努力もされている。
これが私は矛盾に当たるとは思わない。もうここまで頑張ってきて、それをもって矛盾だからとかそういう話で、これが立法事実だと。私は、これはいかがなものかなというふうに思わざるを得ません。
ここで、時間もないのであれですが、いずれにしても、しっかりと見直すべきだと。しかも、その根拠は、やはり日本学術会議からの意見もきちんと聞く、その上で、彼らの修正要請、声明、これも踏まえて、いま一度やはり差し戻して見直すべきだと思いますよ。
そもそも私は、この立法事実が足りていない、そして、そこの大きな中核にあるのは、日本学術会議当事者の意見もまともに、本当に聞いたのかという、ここに帰結すると思っていますが、いかがでしょうか、大臣。
○笹川政府参考人 立法事実の話と矛盾の話は、密接に関連していますけれども、必ずしもそこは一緒じゃないかなと思っています。
それから、立法事実のあるなしと、それが立法すべきかという最後国会の御判断に行くところと、そこはまた違っていて、例えば外国人会員だけのために立法するのか、そこはまた違う御判断かと思っております。私どもとしては、さっき大臣から話があった外国人とか外部資金の話は、典型的な立法事実だと思っています。
それから、矛盾について、報告書で書いていたのは、やはり、国に厳しいことを言うのに中にいるのがと。端的に言うとそういうことでしたけれども、いろいろな議論があって、一番分かりやすいと思ったのが、つい最近の記者会見の話。ごく簡単に一言だけ申し上げますけれども、前も申し上げたかもしれません。なので、元会長お二人、申し上げていますので、やはり矛盾がなかった、感じなかったということはないだろうと思っております。あとは、その上で立法府に御判断いただくということかなと思っています。(梅谷委員「全然聞いたことと違うから。大臣に答えていただきたいんですよ、時間がないんだから」と呼ぶ)はい、済みません。
あと、コミュニケーションにつきましては、そこはるる申し上げているつもりですけれども、やってまいりました。
懇談会の中で、会長にも毎回来ていただいて、議論し、報告書をまとめるまでの間に、学術会議の意見、懸念、それなりに取り込んでまとめました。それから、報告書から閣議決定に至るまでの間にも、実際、修正というか改善して、最終案、閣議決定としてはかなり学術会議の希望を入れたものを作ったつもりです。その後も、二月十三日幹事会という話がありましたが、ほぼ条文そのものと言えるようなものをお出しして御説明してきたということでございます。
○梅谷委員 私は大臣に聞いているんですね。
この立法事実をきちんと担保するには、日本学術会議当事者の意見をしっかりと受け止め、それと一緒に作っていく、こういう姿勢が私は大事だな、不可欠だなというふうに感じているんですが、この点、大臣、御認識を教えていただけますか。
○坂井国務大臣 今室長にお話しいただいたのは、コミュニケーションを取ってずっと対話をしてきたのは室長を中心に現場で努力をしていただいてきたということでございますので、その話もさせていただいたところでございますが。
これは、何が十分かということも、その十分度合いはなかなか難しい話ではございますが、先ほど市來委員の御質問にあったような、総会に、会員の選考に関するところでその承認を入れるとか、そういった具体的な話をかなり学術会議側の皆さんからの意見を入れて作ってきたというところでございますので、そういった意味では、先ほど申し上げたように、懇談会の報告書をまとめる段階から、そして、報告書を受けて法案化する段階、そして、閣議決定をして、法案化して閣議決定をした段階以降も、それぞれコミュニケーションを取る努力はしてきたと思っておりますし、そこが十分でないと言われれば、十分の判断がなかなか難しいところではございますが、今後も、やり取りはする中で、しっかり運営が望むような形でやれるように支援をしてまいりたいと思っております。
○梅谷委員 学術会議は、いわゆる五要件を中心に、以前から懸念事項を明確に度々言ってこられました。ここは、五要件に沿っていない、いや、沿っていると考えているということのぶつかり合いなんですけれども。
そもそも、前回の質疑でもありましたが、有識者会議では、光石会長を正式メンバーに加えてもらえなかった。必ず出席してもらったとか、何回か議論を積み重ねたとかおっしゃっていますけれども、いわゆるオブザーバーなんですよね。光石会長も、前回、対等な立場ではなかったというふうに御答弁していただき、はっきりおっしゃられていました。
そこで、大臣にお尋ねしますが、聞いてくださいね。大臣のおっしゃる学術会議とのコミュニケーション、これと称するものは、そういう表現はしていないですけれども、学術会議の意見をできるだけ取り入れてきたような話をされていましたが、これは説明の機会を設けた、意見を聞いたというだけで、共に新しい制度をつくるというものではなかったと、私は、この五要件の扱い方を含めて受け止めざるを得ませんが、この理解で間違いないでしょうか。
○坂井国務大臣 精いっぱい学術会議の皆さんとコミュニケーションを取って、そして、御意見を反映させる中で、御納得いただける制度、法案にするよう努力をしてきたものと認識をいたしております。
○梅谷委員 そういう、意見を聞いて努力してきたという趣旨の御答弁をされていますけれども、それは違うと思いますよ。だったら、この会長談話、修正も求める四月の学術会議の決議も、出されるわけないじゃないですか。
話は聞きおくだけで、まあ、聞きおくという表現はしていませんけれども、私はそう思わざるを得ないと思いますが、瑣末なとも言いたくないけれども、そういった幾つかの点は聞きましたよと。でも、学術会議が声明まで出して重要だと言っている五要件についてなど、重要なことは何一つ反映されていない。これはそういうことだと思いますよ。それが政府のおっしゃる、今大臣がおっしゃるような学術会議とのコミュニケーションの実態なんじゃないんですか。
この委員会でも、この法案がベストだというふうにおっしゃいますけれども、だけで、学術会議の意見を踏まえた質疑にもゼロ回答だし、素直に意見を受け止め修正に応じるそぶりもない。ここで議論をしているのに。
大臣、改めて伺いますが、前回も聞きましたけれども、学術会議当事者の意見をきちんと聞いて、いま一度法案に反映させるべきだと思いますが、改めて大臣の御認識をお尋ねします。修正に係る話ですから。
○大岡委員長 まず笹川室長から答弁させます。
○笹川政府参考人 最終的には大臣に御答弁いただきますが、事務的な話を幾つか。
最初、懇談会のメンバーの話です。
あれは、学術会議もある意味利害関係者でございますので、政府も学術会議も確かに正式メンバーにはなりませんでした。ただ、これは光石会長もお分かりと思いますけれども、時間制限をかけるとかそういったことはなく、ある意味対等に話してきました。懇談会の委員の中では、学術会議と政府ばかりしゃべっていて自分たちがしゃべれないと苦情をいただいたこともありますので、そこは、十分かどうかは分かりませんけれども、話してきたつもりでございます。
それで、いろいろ学術会議の意見を入れて、五要件の話ですけれども、簡単に申し上げますけれども、例えば政府に対する勧告権というのは、これは法律上そんなに簡単な話ではございませんが、かなり重視しているところを入れたということもありますし、法律の書き方は分かりませんが、財政保障、保障というか、国費を入れるというのも入れた、選考にも特段関わらないようにした、部、三部制等々、弾力化した、できる限りのことはやってきたつもりでございます。
引き続き、コミュニケーションを取っていきたいと思います。
○梅谷委員 光石会長にお伺いしたいと思います。
今笹川参考人からるる、五要件に関して、我々は取り入れたんだよというような趣旨のことをおっしゃいましたけれども、これは、本当に皆さん、日本学術会議が当事者として声明までまとめ上げて、そして五要件にもっと沿った対応を、修正してほしい、こういうのにかなう今のお話だったと思いますか。会長、お願いします。
○光石参考人 前回も申し上げましたけれども、まずプロセスそのものについてですが、任命拒否問題がある中、また、陪席者としての発言の機会はあったものの、対等の立場ではなかったというところが一つと、それから、ただ、意見を言う機会はありましたので、幾つかの点については、例えば勧告権とかですね、そういうものについては今回の法案に盛り込まれているというところではございますが、懸案として示しているところというのは依然として払拭していないというところで、運用方法によってはどうなるか分からないという状況かと思います。
以上です。
○梅谷委員 大臣、今お聞きいただけましたか。聞いていましたか。運用によってどうなるか分からない、懸念が払拭し切れないと、当事者の日本学術会議の会長がそうやっておっしゃいました。
大臣、そういうことなんじゃないんですか。だからこそ、今ここで審議を我々させていただいて、そういう疑念を払拭するために一生懸命議論させていただいているんでしょう。冒頭に申し上げたじゃないですか、トランプ政権による話。ああいうことも考え得るから、我が国で絶対起こり得ないなんて、それは断言できないでしょう。だからこそ、今ここできちんと法律で整えていく必要がある、そういうことなんです。と私は思います。
大臣、今の光石会長の御答弁を受けて、懸念が払拭されていない、この点、どうお考えですか。
○坂井国務大臣 やはり、今までやってきた体制が変わるということは、変化があるということですから、変化がある、どういう変化になるかということに関して、やはりそこは不確定な部分、そして見えない部分がありますので、そこに対して懸念を持つということはやはり必ずあり得ることだろうとは思っています。
しかし、この間の総会でも、例えば、学術会議の懸念に対してゼロ回答ではなかった、やり取りを通じて相当の内容をかち取ることができた、予算、活動面、会員選考の独立性など、いわばここは五要件の中に入っている部分ですが、それぞれ、一部の懸念については、学術会議側の活動次第で問題にならない可能性もあるなどという議論もあったと聞いておりますので、全くコミュニケーションを取れていない、全く理解をいただいていないという状況ではないかと認識をいたしております。
○梅谷委員 大臣、今、制度が移り変わる過程の中で、ちょっと正確にじゃなかったらごめんなさいですけれども、制度が移る、この過程の中では必ずあり得ると今おっしゃいましたね。すなわち、必ずあり得るということは、いわば、今、権力の濫用の懸念について議論をしているわけだし、それをどうやったらこの法律で、修正すれば整えられるのかという話をしている。もって学問の自由への侵害の懸念があるということの話をベースに議論させていただいているじゃないですか。なのに、制度が移るときには必ず起こり得るなんて。
だって、冒頭言ったじゃないですか、権力による学問の自由の侵害懸念は、それはよくないと。そういう表現だったか忘れましたが、冒頭、そうやっておっしゃったじゃないですか。そんな軽い話じゃないんですよ、ここは。
大臣、しっかりお答えください。きちんと声を受け止めて、そして、今ほどおっしゃった部分の話をきちんと整えていくと。お願いします、大臣。
○坂井国務大臣 なので、制度の中で、それぞれ、内閣総理大臣の影響力も最小限にする、そして直接会員選考等には関わらないという話をさせていただいたり、予算に関しても、通常の予算編成プロセスという中で予算を獲得をしていくということもお話をさせていただいたり。今まで、ですから、そういった、内閣総理大臣による権力の濫用が不可能なお話をずっと、いわばそこに配慮してきたというお話をずっとさせていただいたわけでありますが、それらを御認識をいただいているとは思いますが、それで濫用されてしまうというようなお話に、ちょっと論理の飛躍があるような気がします。
ですから、では、この制度、新しく考えられる制度の中で、どのような形で、どのように内閣総理大臣が権力を濫用して、どのように例えば学術会議に具体的にどんな形で影響力を行使するのかといったようなお話を懸念しているというような話は、私はいまだこの議論の中では聞いておりません。
聞かせていただけたら、それに対してどう考えているか、そして、もしそれで足りなければ様々また考えるということになろうかと思いますが、そういった議論をさせていただければと思っております。
○梅谷委員 決して飛躍した話ではないと私は思いますよ。
そして、財政の話、今おっしゃっていましたが、先ほどの市來委員の質問に対する答弁では、直接的な関与はないと。間接的関与ということは除いて御答弁されていたんですね。
そこでお伺いしますが、総理は、監事の任命権を持って、また、発足時及び三年後の特別な選考の候補者選考委員会の任命に当たり会長と協議する者を指定しますよね。内閣府には評価委員会が置かれる。じゃ、総理又は政府が、直接、間接を問わず、これらの者を通じて学術会議の運営や会員の選考に影響を及ぼすことが、そんなことはないとここではっきり断言していただけますか。
○坂井国務大臣 今まで御説明をさせていただいたのは、まさしくそれがないということをこの制度の仕組みを使って御説明をさせていただいたわけでございまして、あくまで学術会議の会員は、今後、会員同士、会員の中でそれも選考も進めていただくという形になるということを申し上げてきたわけでございます。
○梅谷委員 だから、直接、間接を問わず、会員同士の話合いの中で決めるんだから、そういう影響、懸念はないと断言できるということでよろしいですか。
○坂井国務大臣 なので、その特別な場合が新法人発足時だということでもございますが、その後は、そこは全くなく、学術会議の会員の中で御選考いただくという形になるということを申し上げているところでございます。
○梅谷委員 ちょっと確認なんですが、今、特別な選考についてのお話をされていましたので。少なくとも、この点では影響を及ぼすことは考えていないとの趣旨で御説明もいただいています。
ここで改めて確認しますね。発足時及び三年後の特別な選考に際して、直接、間接を問わず、政府が会員の選考、任命に影響を及ぼすことはない、このことを明確にお約束をいただけますか。
○坂井国務大臣 これはまた、直接的はありません、どこまでが間接的かというお話でありますが、例えば、今申し上げたように、候補者選考委員会のメンバーを決める際には、現行の会長のほか、有識者二名、この二名は総理が決めるということでございますから、それを間接と言うか言わないかということはなかなか、御判断だと思いますが。
大事なことは、それによって政府の意向をこういった選考に反映させようという気は全くありませんし、多くのところに出して、多くの国民が見て、そこで疑念を抱くような人事や様々な取組はしない。ですから、結果として、そこに総理の意向等々のようなものが反映するような結果にはならない、こういう仕組みをつくったということは申し上げておきたいと思います。
○梅谷委員 ならないとはっきりおっしゃいましたが、他方で、先ほどの、今の御答弁の冒頭、間接的というのが一体どこまで広がるか分かりません、どこまでの範囲なのか分かりませんけれどもとおっしゃいましたが、その点でいったときに、この点、どこまでが間接的な部分に広がるのかというのは、やはりある程度議論をしていって、そして明確にするべきだ、議論していく必要があると思います。
なので、理事会での協議事項としてやってください。それをお願いします。協議してください。
○坂井国務大臣 既にそこは明確にしておりまして、今申し上げたような点であったりとか、設立委員の中で見識のある科学者の方を代表としてお願いをするとか、そしてその方に全ての権限を委任をしていくというような形で、そういったことはもう既に決めてあります。
だから、それを、要は間接的に関与があると言うのか言わないのかというのが御判断だというだけであって、今後好き勝手にいろいろなことが出てきて、いろいろな役割が出てきて、間接的だからというような話をしようという気は全くありません。全てここに既に書いてありますので、入っておりますので、明確にしていると認識をいたしております。
○梅谷委員 だから、先ほどの光石会長の御答弁から、日本学術会議としてはそこの余幅があるから懸念があるという趣旨のことをおっしゃったから、こういう議論をさせていただいているんですよ。大臣がそういうふうに、我々は一生懸命やっているんだ、書かれているんだというふうにおっしゃるのは分かりました。ただ、やはりその意味でも、日本学術会議の話はきちんとまた聞いていただく必要があるかなと思います。
最後に、学術会議に対する政府の関与について、今後の考え方を伺いたいと思います。
さんざん今も議論させていただきましたが、新たな法人の主務大臣は総理となり、その監督下に置かれますが、この監督権は形式的なものであり、監督権を背景に学術会議に影響を及ぼすことがない。これは重ねての議論に聞こえるかもしれませんが、監督権を背景に学術会議に影響を及ぼすことはないと考えてよいのか、それとも総理の監督は実質的なものなのか、この点、明確にお答えいただきたい。形式的なのか、それとも実質的なのか。これは大臣にお願いします。
○坂井国務大臣 実質的に何かそこで総理の意向を反映させようとか、監督して何か動かそうとか、そういったことを考えているものではございません。
○梅谷委員 ありがとうございます。今ので実質的ではなく形式的だというふうに、総理の監督権限、これが形式的だということを確認をさせていただきました。
時間が来たので終わりにしますが、最後に、委員各位、そして各党各会派に申し上げたいと思います。
学術会議の在り方や行動について、この間いろいろ議論がありました。それぞれ考え方に違いはあると思います。でも、あくまでも、権力側の視点もあれば、そういうことでない視点もあるわけで、いろいろな物の考え方があると思います。しかし、政府に忖度せず、様々な意見があることこそが健全な学問の姿だと思います。それこそが科学の発展をもたらすものであり、さんざんいろいろおっしゃっていましたけれども、私はこの在り方すら違和感を覚えざるを得ません。そこに右も左もないし、イデオロギーの問題ではないと私は考えます。
我が国の科学の発展のためにも、この法案をこのままの形で通すべきではないということを強く申し上げ、山岸委員につなぎたいと思います。
ありがとうございました。(発言する者あり)
○大岡委員長 御静粛にお願いします。
次に、山岸一生君。
○山岸委員 立憲民主党、山岸一生です。よろしくお願いいたします。
質疑に入る前に、一言申し上げたいと思います。
与党の皆さん、建設的な議論をしようという中にあって、非常に残念なやじが多く飛んでおります。この議論、中身のある議論にしていくために私も真摯に取り組んでまいりますので、是非皆さんも議論への御参加をお願いをしたいと思います。
大臣、どうぞ。
冒頭は、大臣不在で事務局の方にお伺いしたいと思っております。
やはりこの法案の議論の出発点である任命拒否問題から話を始めなければなりません。
皆さんのお手元に資料を一枚お配りをしております。「承諾書」と書いてある一枚紙、皆さんお手元におありかと思います。これは、おととい内閣府から開示をいただいたペーパーでございます。任命拒否問題に関する資料を出してくださいとお願いしましたところ、先ほど梅谷委員からあったように、ほとんどはもう既に出ている資料だったわけですけれども、この承諾書だけ新たに御提供をいただいたというものです。皆さんのお手元にはコピーの関係上一枚しかお配りしておりませんが、実際はこれはつづりでございまして、承諾書と書かれたペーパーが、およそ百枚程度つづりになっているものでございます。
学術会議事務局にお伺いいたしますけれども、この承諾書というのはどういう趣旨の書類であるか、御説明をお願いします。
○相川政府参考人 お答えいたします。
御指摘の承諾書につきましては、令和二年七月の日本学術会議総会で会員候補者百五名が承認されたことを受けまして、日本学術会議事務局から会員候補者に対しまして、承諾書を含む確認書類の提出を同年八月上旬に郵送で依頼したものでございます。
○山岸委員 会員予定者、推薦予定者の方々に郵送で八月に依頼をしたということをお聞きをいたしました。
皆さんのお手元にある紙は、一枚目の紙をコピーして渡したんですけれども、よく御覧いただければ分かるんですが、右下に番号が振ってありまして、二番となっております。なぜか一番がなくて二番から始まって、この先、二、三、四、五、六とあって、最後百五まで通し番号が振ってあります。
お伺いいたしますが、この通し番号の意味と、欠番になっているのは何番と何番で、どういう理由で欠番になっているのか、御説明をお願いします。
○相川政府参考人 お答えいたします。
番号につきましては、事務局において振っているものでございます。
欠番でございますけれども、一番、十番、十七番、二十三番、二十五番、八十三番でございます。
○山岸委員 六枚、六人の欠番があるわけですね。
確認でお伺いしますけれども、この六枚の欠番になっている承諾書というのは、六人の方それぞれから承諾書はいただいたんだけれども、任命拒否を受けて最終的には任命権者に提出をしなかったからこの中に入っていない、こういう理解でよろしいですか。
○相川政府参考人 最終的に任命に至らなかったものについて、これが入っておりません。
○山岸委員 つまり、六人の皆さんには承諾書を書いてもらっていたということですよね。それはまずよろしいですか。
○相川政府参考人 六名を含めた承諾書を提出いただいております。
○山岸委員 私は、ここに大きな問題があると考えています。
先ほどお答えいただいたように、この承諾書を求めたのは八月の上旬に郵送で、その後返事をもらっている。したがって、八月から九月にかけて返事をもらっているということなわけです。
ところが、先日の委員会で私が質問したように、六月十二日付の黒塗りペーパーというのを御紹介申し上げました。これは六名の当事者の皆さんが記者会見等でも表明されていますから申し上げていいと思いますけれども、あの六月十二日付のペーパーに六人の名前が書いてあって、バッテンがしてあるというものを御披露申し上げました。これは、六月十二日の段階で総理官邸から学術会議事務局に対して、この六人の任命に関して端的に言えば忌避感を表明した、そういう内容でございます。
つまり、学術会議事務局においては、六月の段階でもう六人はペケだと分かっていながら、八月以降に、先生は推薦されますので承諾書を書いてもらえますかということを白々しくも要請をしていたわけですよね。
この事実関係は間違いありませんか。
○相川政府参考人 お答えいたします。
令和二年七月の総会で承認された百五名について承諾書の提出の依頼をしたということでございます。
○山岸委員 確認でお伺いしますが、そのときに、ではこの六名の皆さんに対しては、当然事務局としてはこの六名に関して既に総理官邸から忌避感が示されているということは分かっていたわけなので、六名の方に対しては、承諾書をお願いする際に、いや実はちょっと先生に関してはいろいろ事情があってペンディングなんですけれども、ひとまず手続だけはお願いしますといったふうな、何らかの説明というのはされたのかされなかったのか、教えてください。
○相川政府参考人 お答えいたします。
六月十二日の日付が付された文書でございますが、これは情報公開に係る審査請求の過程で、令和二年任命に向けた会員候補者の推薦に係る意思決定過程において、任命権者側から日本学術会議事務局に、令和二年任命に向けた会員候補者の推薦に係る事項として伝達された内容を記録したものという説明をさせていただいておりますが、内容につきましては、人事のプロセスに関することであるのでお答えを差し控えさせていただいているところでございます。
○山岸委員 六月の件ではなくて八月の、その郵送の段階のことを聞いています。八月にこの承諾書を書いてもらうというお願いをする段階で、六名の方には、実はちょっと事情があって、任命拒否とまでは言葉を使うかは別にして、任命に関して若干課題があるんだけれども、ひとまず書類だけは書いてもらえますかというふうな事情を説明したのかしていなかったのかをお伺いしています。
○相川政府参考人 六月十二日付文書の内容について、人事に関するものなのでお答えを差し控えさせていただいておりますので、ただいまのお尋ねについてもお答えを差し控えさせていただきます。
○山岸委員 これは全く別問題ですよ。六月の件は分かりました、言えませんと。まあ、当事者がおっしゃっていますけれどもね。
八月に郵送した、その段階で六名の方にどういう説明をしたのか。あるいは、では、六名じゃなくてもいいです、百五名全体でも構いませんけれども、そういった方々に対して、今回の任命に関してはちょっといろいろ課題があってまだ若干調整は残っているけれども、ひとまずこの書類だけは提出してもらえますかというふうな、事情を説明したのかしなかったのかということをお伺いしています。
○相川政府参考人 お答えいたします。
その件につきましても、六月十二日の文書の内容、説明を控えさせておりますので、そのときにどういう人事のプロセスを経たかということについてもお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○山岸委員 非常にこれは不誠実な御答弁だと思いますよ。不誠実というのは、我々委員会に対しても不誠実だと思いますし、百五名の中でもとりわけ六名の、後に任命拒否されることになる皆さんに対しても、要するに、事務局としては、この方々は結果的に落ちるんだということを分かっていながら、何も言わずに郵便を送って、書類を書いてもらえますか。これは、住所、氏名、自筆で署名してもらっているわけじゃないですか。これほど、ある意味人を小ばかにしたというか、不誠実な姿勢というのは、私はなかなかないと思うんですね。
なおかつ、それを今になってもこの委員会の場で言えないと。説明責任がこれだけ問われている中にもかかわらず、それすら明らかにできないという姿勢は、ちょっとこれは受け止めることは私はできない。
大臣、冒頭あれでしたけれども、大臣が帰ってこられましたので、さすがにちょっとこれぐらいは、大臣、リーダーシップを持って、八月の段階で承諾書を書いてもらう、そのときに六名の皆さんにきちんと事情をお伝えしたのかどうか、こういったことは明らかにすべきではありませんか。いかがですか。
○坂井国務大臣 なかなかそこの取扱いに関しても、私も不慣れでございますので、情報が足らず、何ともそこは申し上げられないところでございます。
○山岸委員 この期に及んでも、政府の任命拒否問題に対する極めて不誠実な態度が明らかになった。大変残念に思うとともに、指摘を申し上げて、この話が本法案と関わってくるということをこれから議論させていただきます。
それは、事務局がどこを向いて仕事をするのかという話なんですね。この間、緒方委員から何度か議論がありましたけれども、監事が結局総理の方を見ちゃうんじゃないのという議論をしてまいりました。私は、今日、同じようなお話の中で、事務局がどこを向いて仕事をするのかということを申し上げたいと思うんですね。
今指摘をしたように、事務局はこの令和二年の任命拒否に際して、六名の方に対して、事情を伝えないまま、承諾書を書いてもらえますかということだけやっていたわけですよ。非常に、会員の皆さん、あるいは総会、会長、こちら側を見るというよりは、任命権者あるいは内閣府本府、こちらの方を見て仕事をしているということが明らかになっているわけで、それが、この法案ができた後、どう変わるのかということなんですね。
そもそも、それで私、では、この法案が通ると事務局はどういう仕組みになるのかなと思って調べてみたんですが、実は、法案には事務局という規定が存在していないと思うんです。
政府参考人にお伺いしますけれども、本法案には事務局に関する規定はないという理解でいいのか、ないのであれば、なぜ落としたのか、教えてもらえますか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
事務局に関する規定はございません。
なくなった理由、なくなったというか書かなくした理由は、学術会議の希望で、特に内部組織管理について、なるべく法律で規定せずに、内部規則や何かに譲って弾力化してほしいという要請がありました。それを踏まえて、事務局、それから、お気づきと思いますけれども、三部制とか、さっき話があった連携会員、そういったことも内規に委ねるということにいたしました。
○山岸委員 となりますと、現時点で、当然事務局を置かないことはないと思うんですけれども、事務局は誰の下に置かれる、誰のために働く、誰の指揮命令下で働くということは規定はされていないんでしょうか。何らか想定はあるんでしょうか。教えてください。
○笹川政府参考人 事務局自体に関する規定が、法律がございませんので、例えば、誰の方を向いて仕事をする、そういった規定はございません。(山岸委員「ないですね、はい」と呼ぶ)
一言だけ。ただ、職員を採用するのは新法人でございますので、そこはその新法人の人事権者というんでしょうか、と基本的にやり取りがあって採用されるということかと思っています。
○山岸委員 どなたの指揮命令に服するかということは必ずしも規定されていない。
そこでなんですけれども、実は、事務局という規定はないんだけれども、職員という規定が何か所か出てくるところはあります。つまり、事務局は法定されていないけれども職員がいることは法定されているという、そこ自体もちょっとした矛盾ではあるんだけれども、そこはさておきまして、どこに書かれているかと申しますと、第十九条、監事の職務のところに職員が出てくるんですね。
第十九条の二項を読み上げます。監事は、いつでも、役員、役員以外の会員及び職員に対して事務及び事業の報告を求め、又は会議の業務及び財産の状況の調査をすることができると。つまり、事務局は法律で定めていないのに、監事は職員にいつでもヒアリングできますよというところだけ書いてあるというのがこの法案なわけですね。
これだけ読みますと、先ほど笹川さんからは、どなたの指揮命令下にあるかは法律に書いてありませんという話がありましたが、明文的に書いてあるのはある意味ここだけなわけです。つまり、職員は、監事に言われたらすぐに調査に協力しなさいよということだけが規定されているとなりますと、相当これは監事の指揮命令下というか、監事の影響力というものが、職員、つまり事務局に対しても大きいものになっていく、そういう規定になっているのではないかと考えますけれども、政府参考人の見解を求めたいと思います。
○笹川政府参考人 申し上げます。
職員という言葉は確かにそんなに出ていないんですけれども、ここ二つだけということではもちろんございません。
それで、ここで監事との関係で出ているのは、御存じのとおり、職員だけじゃなくて、会長とか、そういった方々と並びで出てくるようなところも多いので、法人の構成員的な意味合いで捉えていただければと思います。
ということで、よろしゅうございましょうか。
○山岸委員 あくまで並びですという話なんだけれども、法律に書くのか、府省令で決めるのか、内規で決めるのか、これはやはり優先順位があるわけでございまして、法律の文章に事務局は規定されていないけれども、職員は監事から調査を受けるというところだけあえて規定しているということは、私は、やはり監事の権限の肥大化に対する抑制としては不十分だということは指摘をしておきたいと思います。
そしてまた、監事の関連でございますけれども、二ポツ、二番目の大きな質問に入ってまいります。
やはり監事のことをもっと詰めていく必要があるなと思います。
監事は二名で、常勤か非常勤かということも決まっていないような状況ではあるんですけれども、当然大変重要な役目ではあるので、少なくとも一名は常勤になるんであろうなというふうに想定をしております。その場合の報酬、待遇に関してお伺いをしたいと思います。
当然、今現在では決まっていないという御答弁にしかならないと思うので、せめて、例えば、どこどこと並びです、どこどこ相当ですというふうな御説明の仕方でも構いませんから、監事の報酬がどれぐらいになるのかというのを御説明をお願いいたします。
○笹川政府参考人 失礼いたしました。
監事の報酬自体は、先生がおっしゃったとおり、まだ決まっておりません。それから、常勤、非常勤があるし、あと、非常勤だと、何日来るかとかいうのもあるので、一概に申し上げにくくて、法人が決まる過程の中で、必要な額をということでございます。
それで、ただ、そうはいってもということでしたので、どの法人を挙げようかと、あれなんですけれども、一応私が担当している国立公文書館の監事、非常勤です、月額二十九万一千円ということでございます。
○山岸委員 今のは非常勤の方ということでございましたが、常勤の場合の参考事例というのも出してもらうことはできますか。お願いします。
○笹川政府参考人 常勤でございます。他部局のやつを出すのはなんなんですが、OISTでございます。常勤一名、非常勤二名ということで、これは上限ということなんですけれども、年額千五百万上限ということです。
○山岸委員 年額一千五百万。次官とまでは言いませんけれども、役所でいえば審議官級ぐらいになるんでしょうか、相当な幹部の方の待遇ということが行われる。今回も、常勤であればそういったことが想定されるということでございます。
お金の関係で、今、監事のことをお聞きしましたけれども、せんだってお尋ねをしました、外部監督機関というふうに言えばいいんですかね、私は三つ挙げましたけれども、選定助言委員会、運営助言委員会、評価委員会、プラス監事で、全部で三十一名最大そういう人がいますよという御答弁があって、それはちょっと多過ぎじゃないのという指摘をしたところなんですけれども、ここに係るお金の議論をちょっと詰めてやらせてほしいと思っています。
今、監事のことは御答弁いただきましたが、残りの三つ、選定助言委員会、運営助言委員会並びに評価委員会、こういった方々は、当然、知識経験をお持ちの有識者の皆さんにお運びいただくわけでございまして、もちろん無料というわけにはまいりません。ここで日当や費用弁償が当然生じてくるだろうと思います。
ここもまた、決まっていないという御答弁になってしまったら困りますので、例えばですけれども、八条委員会の並びの中で幾らぐらいの金額を想定されるのか、事例の紹介でも構いませんから、御説明をお願いいたします。
○笹川政府参考人 申し訳ございません。ちょっと今、それは手元になく、急ぎ確認いたしますが、八条委員会とかそういうやつです。
○山岸委員 これは通告してありますので、御説明いただけるように理事会協議をお願いいたします。
○大岡委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○山岸委員 ありがとうございます。これはちゃんと、おとといお伝えしていますので、これはきちんと御説明いただきたいというふうに思います。
当然、これは三十一名の皆さんが、常勤か非常勤かを問わず、会議に定期的に参加をされて、そこで報酬が発生をする。報酬だけではなくて、事務局の方も、かなりこういった部分のいわばお世話係みたいなところに時間を割かれるんじゃないかということを次にお聞きしたいと思います。
監事はお二人いますけれども、監事だけでは機能しないので、監事を支える事務局員も当然想定をされます。さらに、選定助言委員会、運営助言委員会、評価委員会に関しても、会議の日程調整をしたり、資料を用意したり、いろいろなサポートを含めて、当然これは事務局職員がそこで働くということが想定されるわけですけれども、以上の四者、四つの機関の運営に関わる事務局員というのは大体どれぐらいの規模を想定しているのか、御説明をお願いいたします。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
お答え申し上げますというか、現時点ではということなんですけれども、それぞれの委員会の、まさに開催頻度ですとか、どういったことをするかということによって様々でございますので、現時点で積算するのは正直困難だと思っています。もし法案を通していただければ、その暁、発足準備の中でやっていきたい。
ただ、二つ言わせていただきますと、一つには、例えば一人の職員がずっと評価だけやっているということでももちろんない、そういう場合もあるかもしれませんけれども、ありませんので、必ずしも比例して増えるということではございませんというのが一つ。
それから、いずれにしても、そこが、妙にそこだけ肥大化して、言い方はあれですけれども、ほかを圧迫するというか、ほかを食っちゃうようなことはいけないと思いますので、合理化といいますか、そこはきちっと節約に努めるというか、考えていきたいと思っています。
○山岸委員 今、節約に努めるという話はありましたが、そこはやはり法定されていないわけであって、結局、まさに先ほどのお話でもあったように、これからの運用次第ということになってくるわけです。運用によっては、監事秘書みたいな人が何人もいるとか、評価委員会の専従職員、こういった方々が二、三人いる、結局、事務局全体のリソースを圧迫をするということが、懸念が払拭されていないというふうに私は考えます。
これはちょっと大臣の見解を求めたいと思うんですけれども、前回お伺いしたように、そもそも、外部監督機関の人が三十一名もいて、二百五十名の組織で三十人もお目付役がいるというのはトップヘビーじゃないかということを申し上げました。
それを、資金面と、また人事のリソースの面から見て、今の状況ですと、これは非常に、事務局の負担も含めて、あるいはお金の面も含めて、相当学術会議の活動を圧迫するということになりかねないんじゃないか、単にトップヘビーで頭が重たいというだけじゃなくて、活動を制約することにもなりかねないのではないかと考えますけれども、これは大臣、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 今委員が御指摘をされたような仕組みは、学術会議の自主性、自律性を尊重しての必要最小限の仕組みと我々が認識をして今回法律案に組み込んでいるものでございますので、そこに必要な費用でありますとか、それから人材でありますとか、先ほど室長が申し上げたように、それが過大なものであったり、常識的に受け入れられないよというようなものでない限り、しっかり御説明をしていただいて、我々にお伝えをいただければ、ここに関しては、先ほど心配をされているような、組織がほかのことに力が注げなくなるというようなことがないように、しっかり予算取りに関しても、ここの経費に関しては努力をさせていただきたいと思っているところでございます。
どちらにしても、新しい法人の会長以下執行部の中で、この辺は、どういう事務局にするのか、それから、どういった形でこの運営を回していくのかというのは、ある意味、お決めになっていくことでもございますので、ここは今後もコミュニケーションを取りながら支援をさせていただければと思っております。
○山岸委員 今の御答弁の関連で、先ほど山議員との議論の中で大臣もお金のことをおっしゃっていましたので、重ねてお伺いしたいと思うんですけれども、さっき光石会長の方から、今現在、学術会議は自由に使えるお金は年間二億円ぐらいだという御答弁がありました。つまり、研究活動、事務局経費とかは除いて、実質、研究支援であるとか活動にできるお金は二億円しかないという話だったわけです。
そうした財政状況の中で、先ほどあったように、監事が常勤であれば、例えば一千五百万円ということも想定をされる、そうした機関をどんどんどんどんつくっていって、僅か二億円しかないと言っているところのお金を一千万、二千万単位で食っていくという話になりますと、これは、先ほど大臣は、予算は基本的に変わらないと御答弁しておられましたので、結局、学術会議の活動にとっては実質目減りということになってしまうのではありませんか。いかがですか。
○坂井国務大臣 今、二億円余りというお話がありましたが、今年度は全体で十二・五億円予算化を、確保いたしましたので、恐らく四・五億円ほど活用できるかと思います。
とはいいましても、この予算に関しては、通常の予算編成プロセスの中で、必要な予算に関して財務当局とやり取りをする中でお認めをいただいて確保していく作業が必要となります。今後の新しい法人においては、毎年年度計画をお出しをいただくことになっておりますので、その年度計画の中で必要な費用といったものを予算要求をしていただく、そして、その中で、今御心配いただいている様々な、事務局でありますとか助言委員会等々に関わる事務費用に関してもお示しをいただく中で、そこは予算獲得に向けてしっかり努力をしていきたいと思っておりますが、そこをしっかりお書きいただいて、お示しをいただくということが大事かと思っております。
○山岸委員 そこは徹底してお願いしたいと思います。
財源の関係、もう一点お聞きしたいと思います。
先ほどの市來議員、梅谷議員との質問の中で、大臣から、予算の考え方は基本的に変わりませんという御答弁を繰り返していらっしゃるんだけれども、これは本当にそれで大丈夫なのでしょうかということを確認させてください。
というのが、当然、条文は変わるわけですよね。現行法の条文は、第一条の三項、経費は国庫負担とする、国が持ちますということを規定している。一方で、新法では、これは四十八でしたかね、「政府は、」云々かんぬん、「必要と認める金額を補助することができる。」という表現になっています。つまり、国庫負担する、から、補助することができる、やってもいいよという規定になっているわけですよね。
大臣、これで変わらないと言うのは、ちょっとこれは御説明が矛盾していませんか。いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 いや、国の機関の予算づけと、国から独立をした法人に対してお金を出す場合と、それは表現が変わることになります。
それと、補助という言葉でございますが、事務方からお伺いをすると、交付金の形と補助金の形と、学術会議に対して、どちらがいいか、こういうお話をさせていただいたところ、交付金であれば、これはある種がちがちな中期計画を出した上に政府の認可が必要だということになりますので、交付金は嫌だという学術会議の方々からの御意見を受けて、今回、政府の認可の要らない形で補助金という形にまとめて、あとは、法文上極めて自然な形で書かせていただいたということでございます。
○山岸委員 理屈としては御説明いただきましたけれども、負担するというところから、補助することができる、つまり、ドゥーからキャンドゥーに変わっているわけですよね。それは、格下げという言い方は失礼ですけれども、国の裁量の幅がその分広がるというふうに理解するのが順当と思いますけれども、政府が、裁量の幅が広がって、予算を武器にして学術会議に物を言うということがないと断言できるのか、この点、もう一遍説明をお願いします。
○坂井国務大臣 先ほども申し上げましたが、国の機関への予算づけと、外部の法人に対してお金を出すということの表現の違いだけであるということを申し上げたいと思います。
○山岸委員 次のテーマに参ります。
三番目でございますけれども、名称の使用という規定が法文に入っております、七条ですね。
事務局に確認しますけれども、この名称の使用制限、つまり、日本学術会議でない者は、日本学術会議という名称を用いてはならないというこの規定ですけれども、こういった規定は現行法にはあるのかないのか、お答えください。
○笹川政府参考人 ございません。
○山岸委員 これは新たに設けられたわけですね。
なぜ設けられたかというと、これは元々、元ネタといいましょうか、出典は、独立行政法人通則法にあるものをコピペをしてきたという結果で入っているわけなんですけれども。
今回、この法案は、様々、多分事務局的には御苦労をされて、いろいろな方からの要望で、あれこれ継ぎはぎした結果、この間、参考人からも、自分でもこんがらがっていますという御答弁があったわけですけれども、非常に複雑になっている中の一つとして、この名称の使用制限があると思います。
独法通則法は、独立行政法人でない者は、独立行政法人と言ってはいけない、ある意味当たり前なわけですけれども、今回はそれを日本学術会議という特定の組織に適用してしまっているので、日本学術会議でない者は、日本学術会議という言葉を使ってはいけない、名称を使ってはいけないとなってしまっております。これが、意図したかしないかは別にして、私は副作用になり得るんじゃないかということを懸念しております。
今、学術会議ではないけれども学術会議という名前を使っているという団体はあるわけですね。具体的に申し上げますと、日本学術会議協力学術研究団体という制度があります。これは、いろいろな学会ですとか研究者のグループに対して、いわば学術会議が称号を付与するという形で、名のっていいよという仕組みになっているわけですよね。これは結構な数の団体がおられまして、実際活用されているわけなんです。我が団体は、学術会議からしっかり認めてもらって、日本の学術に貢献していますよということを言える制度なわけですけれども。
この七条の規定を素直に読みますと、新制度の下では、日本学術会議協力学術研究団体、こういった名称というものは使用できなくなる、使えなくなる、こういうことでよろしいのですか。
○笹川政府参考人 この制度は、独法とかほかにもあるわけですけれども、新法人に対する国民の信頼を確保する観点から設けたというもので、ほかにも幾つかあるはずです。済みません、今細かく確認していませんけれども。
それで、この趣旨は、まさに信頼確保ということです。どういった名称を、おっしゃった、未来を考える会とか、使った場合にアウトなのかというのは、最終的には恐らく訴訟を起こすことになる法人が判断することになると思いますので、現時点で何ともというのが法律的なというかオフィシャル答弁ですが、ただ、その趣旨から考えて、今おっしゃったような、絶対違うようなものは通常は対象にならないというふうに思っています。これは基本的には固有名詞を使うなということを言っていて、おっしゃったやつは、固有名詞というかグループ、名刺の肩書みたいな話ですので、当てはまらないだろうと思っていますが。
済みません、あと一つ。審議会のお金を調べました。内閣府のやつです。CSTIの常勤議員、特定の一人しかいないんですけれども、月額百三万四千円。あと、非常勤、念のため、食品安全委員会、一回ですけれども……(山岸委員「一個でいいです」と呼ぶ)いいですか。はい、分かりました。
○山岸委員 今、希望的観測で、影響はないんじゃないかという話があったけれども、そういったことを私は法案準備の過程でしっかり精査したのかということを伺いたいんですね。
例えば、これは当然、法制局と議論していると思うんだけれども、法制局の議論の際に、いや、これは独法通則法から引こうと思っているんだけれども、副作用ないかな、影響はないかなということをきちっと七条に関して議論をしたのかしていないのか、この点も御説明をお願いします。
○笹川政府参考人 この条文も含めて、当然、法制局とはやっております。
それで、どの条文がどのぐらいやったとかはなかなか申し上げにくいんですけれども、申し上げたとおり、割と普通にある規定ですので、特段、まさにこれは大丈夫かというような議論はなく、あと、各省にも当然相談しています、そこは。
○山岸委員 大丈夫だろうから特段の議論はなかったということなんですけれども、そこに大きな見落としがあるんじゃないか、穴があるんじゃないかということを指摘しております。
大臣、もう時間ですから最後にお伺いしますけれども、やはり七条、結果的に、今回、学術会議の機能を強化するんだと言っておきながら、こういった規定を入れることによって萎縮効果を生んだり、活動の拡大を妨げたりするということが、これは懸念を払拭できないと思いますけれども、大臣の見解を求めます。
○坂井国務大臣 日本学術会議の活動や、これから実績を上げていく上において、それをしっかり支えていくということが、今までどおり、そういった意味での萎縮なしにやっていただいたり、また様々活動を広げるために環境をつくるというためには、今御指摘の点はできる限り整理をして、しっかりお伝えをし、お披露目をする中で、これは今後も注意をして、改善をしていこうと思っております。
○山岸委員 時間ですから終わりますけれども、まだまだ法案に穴があるし、議論は不十分だと指摘をします。
終わります。
○大岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十二分休憩
――――◇―――――
午後一時二十四分開議
○大岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。三木圭恵君。
○三木委員 昼の質疑を再開ということで、日本維新の会の三木圭恵でございます。
今日、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、早速質問に入らせていただきます。
コオプテーション方式についてお伺いいたします。
現在の日本学術会議の会員の選出方法、これは、現会員が次の会員を指名するいわゆるコオプテーション方式が採用されていますが、この採用方法が学術会議の中の一部の思想の固定化につながってきたのではないかという疑念が生じてきております。
その中で、おとつい、七日の質疑の中で、参考人質疑の中で黄川田委員と維新の市村委員、それから法案の質疑の中で平沼委員から、名前を伏せた形で、日本学術会議の総会での会員の一部発言について質問がありました。
私も今日質問しようと考えておりましたので、私も名前を伏せて質疑をするつもりだったんですけれども、ちょうど昨日の産経ニュースに載っておりまして、この発言をした人物は自分だ、御自身だということをフェイスブックに投稿されておりまして、それが記事になっておりました。
御自身から名前を名のっていらっしゃって、新聞にもニュースにもなっておりますので、もう匿名にする必要はないかと思います。名前を伏せずに質問をさせていただきます。
四月の十四日、日本学術会議の総会が開かれました。その名前を伏せていた教授というのは、北海道大学教授の宇山智彦会員ということになっておりますけれども、これはユーチューブとかで見ることができるので誰でも見ることができるんですが、こう述べられております。
この法律が通ることによって予想されるのは、コオプテーションが一旦途切れて、その後、これまでとは違う人が入ってくる、特に第一部は大きく変化する可能性があります、特に、文系の中の人には、理系の人以上に政府にすり寄る、そして、政府だけでなく、かなり右の方に立っている人たちが少数ではありますが確実にいます、そういう人たちがここに入ってくると思います、そういう状態を許していいのかということも考える必要があるという御発言をされているんですね。
宇山会員が何をもって右の方に立っている人との認識を持っていらっしゃるかは私は存じ上げませんが、明らかに、自分とは違う考え方、右の方に立つ人間を排除しようという意図を持って発言されていることは、私はすごく明白に感じることができました。この発言から、今まで自分たちの思想信条と同じ人をコオプテーションで選んできた、自分たちとは相入れない思想信条の人は日本学術会議の会員にはさせないという強い意思が感じられると思います。
また、宇山会員は、二〇二三年四月二十日のしんぶん赤旗に寄稿をして、学術会議の法案に反対するという文章を書いておられますけれども、学術会議は学術界全体の声を政府に届けられる唯一の公式の機関です、その活動が制約を受ければ今以上に学問的根拠のない政治が行われる可能性が高まりますと述べておられます。
そもそも、学術界全体の意見と言うならば、右の立場の人も左の立場の人もいて当然だと思うんですけれども、この宇山会員の発言というのが、現在の学術会議が一方に偏った学者で構成されているのではないかという危惧を国民に与えるものだと私は思います。
そして、昨日の記事を読ませていただきますと、御自身がフェイスブックに現在の学術会議に関していろいろ述べておられるんですね。
発言した意図について、学術会議は現在は政府と協力しつつ独立した立場を保てる研究者が会員になっているが、法人化後には右派が入って学術会議の活動を政治化する可能性があるのではないかと説明したと。何かかなり偏ったお考えをお持ちだと思うんですけれども。そう疑問視する理由として、学術会議の法人化を中心的に唱えてきたのは日本会議や旧統一教会、現世界平和統一家庭連合とつながりのある政治家であり、その人々が自分たちと同じ政治的立場を持つ人を学術会議の会員にしようと考えていても全くおかしくないからであるというふうな発言をされているんです。
これは通告にはないんですけれども、こういったことが、システムとして、制度として、新しい法案になると、こういう、政治家が自分たちと同じ政治的立場を持つ人たちを学術会議の会員にすることができるんでしょうか。大臣、お答えいただけますか。
○坂井国務大臣 学術会議の在り方を今議論している中で、私が感じておりますのは、今回この発言をした方がどうしてこの発言をしたかというと、この方が、今までは右に立つ人が入っていなかったけれども、今後入ってくる可能性があるという認識を持っておられるからだと思っております。
つまり、今この法案で我々が議論をしている選考方式といったものが、この人が言うような右側の人、右派とか右側に立つ人だけではなくて、結局、幅広くダイバーシティーを確保する選考方法であって、今までは、そうではない人は、右側の人は入れてこなかったけれども、今度からは、ダイバーシティーを確保する選考方法であるので、いろいろな方が入ってくるということを、逆に言うと、ダイバーシティー確保に向けて適切な選考方法だということをこの方が御評価いただいているということかとも思いますが。
ですので、極めて、こういった形で公正公平に幅広く日本の知恵を結集をするという選考方法を知恵を出して考えてきましたし、また、これを企画どおり運用し、結果を出すため努力をしていきたいと思います。
○三木委員 ありがとうございます。
左派であろうと右派であろうと、私は、やはりいろいろな方々が入ってきて学術に関して研究をしていく、究明をしていく、そういったことはまさに必要なことだと思っておりますし、ただ、やはり左派の方とか右派の方が政治的に中立じゃないというのは、それは私はいかがなものかなと思っております。
この方が続けておっしゃっておられるのは、現在の学術会議に関しては、共産党に連なるような左派の存在は全く感じられない、学術会議の外での法人化反対運動が軍学共同反対運動とかなり重なっていることもあり、学術会議もそのイメージで見られがちだと指摘した。一方、過去の学術会議では共産党系などの左派の会員が政治的な主張や活動をしていたとして、決して好ましいことではなかったとした上で、法人化後の学術会議に右派が入ることも同様に好ましくないとした、とおっしゃっているんですね。
私は、これを読みまして、あくまでも過去にという限定ではあるけれども、宇山会員は、共産党系の左派の会員がいて政治的な主張や活動をしていたということを、この方は認めていらっしゃるんだなと思うんですね。過去にあったが現在にはないというこの主張は、私はちょっと、後の質問でまたさせていただきますけれども、私はそれは違っていると思っておりまして……(発言する者あり)
○大岡委員長 やじに答えないでください。質問を続けてください。
○三木委員 済みませんけれども、やじは控えていただけますでしょうか。済みませんけれども。議運、議会運営委員会でちゃんと結論を出していると思いますので。
○大岡委員長 委員会での質疑を、政府に対する質疑を続けてください。
○三木委員 はい。
なので、済みませんけれども、委員長も注意していただけますか。
○大岡委員長 御静粛に願います。
○三木委員 あくまでも過去にという限定ではあるけれども、この宇山会員は、共産党系の左派の会員がいたということを認めていらっしゃるということなんですね。私は、今も現実的にやはりそういった方々がいるということを後でまた質問させていただきます。
このコオプテーションによって、過去が現在の会員選定に連なってきているということは事実でございますので、過去にあったが現在にはないというこの主張に私は矛盾を感じているところでございます。
そこでお尋ねをいたしますが、法改正が行われた後、一旦途切れたコオプテーション方式が再度採用されることによって、また政治的な中立が阻害されることがあるのではないかと危惧いたしますけれども、こちらの見解をお伺いいたします。
○坂井国務大臣 会員の選考、選定で大切なことは、客観的かつ透明性を確保しつつ国民に説明できる方法で選考されること、会員が仲間内だけで選ばれる組織だと思われないために外部に説明できる選考の仕組みを整えることが必要であると指摘をされております。
この法案におきましては、透明化と多様性について、まず、選考に先立って学術会議が作成する選定方針の中で、今後六年間の活動を見据えた新会員の専門分野を設定することとしております。分野や選考の固定化、既得権化の抑止の必要性は懇談会の報告書でも指摘をされているところです。
次に、法学、政治学などの専門分野ごとに業績を審査する分野別業績審査委員は、割り当てられた人数より多い候補者を選考して、その中から会員候補者選定委員会が人選することとしております。会員候補者選定委員会が選定した候補者と総会の選任との関係も同様であります。要するに、実質的に絞り込みを二回行うことで、狭い範囲で選ばれた人たちがそのまま会員に選任されてしまわないように設計をしております。海外のアカデミーは、いずれもこのような実質的な意味のある投票を行って絞り込んでいると承知をしております。
また、この選任の過程を国民に明らかにすることも条文化しているところでございまして、このように、選考プロセスを客観性、透明性の高いオープンなものにすることで、会員の選考の自律性、コオプテーションの要請を前提としつつ、御指摘のような分野の固定化の防止などが図られるものと考えております。
○三木委員 今行われているコオプテーション方式と、今後この法改正が行われて後のコオプテーション方式とは、若干方式が違って、二重にやはり審査をしていって、優れた研究又は業績があって、人格が高潔であり、かつ会議の業務などをちゃんと遂行できる方を会員として選んでいくということになっていくのだというふうに理解をさせていただきました。コオプテーション方式が、やはり、一つの考え方に凝り固まったような、連綿と続く、そういった思想の固定化みたいなものにつながらないように配慮していただきたいというふうに思います。
次に、質問をさせていただきます。
政治的中立性について、もう一問、お伺いしたいと思います。
学術会議の会員は、先ほど言ったように、優れた研究又は業績があって、人格的にも優れた人を会員として選んで、その中でも特に優れた方を会長とされるというふうに認識をしております。公正公平に物事を判断できる方でないといけないなと思うんですけれども、政治的中立性ももちろん私はここには必要だと思っております。
大臣の御答弁でも、本会議の私に対する御答弁でも、アカデミーが政治的、社会的勢力から独立して活動することは極めて重要なことと考えます、諸外国においても、アカデミーは、政治的、社会的あるいは宗教的な諸勢力からの独立性を保ちながら、学術の発展のための活動や政府への提言などを行っているものと承知していますというふうに御答弁いただいております。
そこで、この間、おとつい梶田会長が来られて、「石破茂首相に対して「日本学術会議法案(仮称)」の撤回を求める声明」というものを資料で配られております。声明ですから共同で提案されておりますね。元会長が六人名前を連ねておられますけれども、この中の広渡清吾氏、同第二十一期会長なんですけれども、この方、第二十一期会長の広渡清吾さんは、市民連合の方で、二〇一七年の総選挙の際に、日本共産党のしんぶん赤旗に、赤旗の記事は、「二十二日投開票された総選挙結果をどうみるか、日本共産党の躍進に期待を表明してもらった識者の方々にあらためて感想・意見を寄せてもらいました。」として、広渡さんが意見を寄せられています。
「今回の総選挙は、改憲勢力としての希望の党の出現、これまで一緒にたたかってきた民進党の分裂という難しい事態のなかで、共産党が「ぶれず、ゆるがず、たじろがず」市民との共同の路線を堅持し、新たに結党した立憲民主党をはげまし、社民党とともに、今後の市民と立憲野党の安倍政権に対するたたかいの条件を確保した、そういう選挙だったと思います。」というふうに書かれているんですね。
また、日本共産党のユーチューブのチャンネルで、野党統一候補でチェンジと題して、市民連合呼びかけ人、日本学術会議元会長として、野党統一候補を応援する動画に御自身で出られております。
何とおっしゃっているかというと、市民連合は立憲民主党や日本共産党などの立憲野党と一緒に今度の参議院選挙を戦うために十三の項目で共通政策をつくりましたと発信されているんです。その一番目が、安倍政権がこのまま参議院で勝つと九条が改正されてしまう、改悪されてしまうということが第一番目のことで発信されているんですが、そのような方が、一会員ではなくて、元会長として名前を連ねているこの日本学術会議のこの声明文は、果たして政治的に中立だと言えるのかということを私はお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 政治的に中立かどうかというのは、実態も含めて判断をするべきところかと思いまして、なかなか難しいところかと思いますが、ただ、大事なのは、政治的、社会的勢力や特定の外国勢力から独立して学術的な活動をしていただくというのが望ましいということは言うまでもないわけでありまして、特定の勢力に沿った形で活動いただくというのは本来的な意味からは望まれていないことではないかと思っておりますが。
ただ、特定なイデオロギーや党派的な主張を繰り返す会員は、学術会議の中で、今度の法案の中で、今度は解任ができる、学術会議が解任できるということでございますので、どのような場合が解任に該当する事由となるかについては学術会議において適切に判断されるべきであろう、こう思っておりますが、そういったものなどは規則などにおいてあらかじめ具体的に定めておく必要があろうかと考えております。
○三木委員 先ほど、宇山会員のお言葉を紹介しました。現在は共産党とか左派につながる会員はみじんも全く感じられないとは言うものの、これは元会長がこういった政治活動をされているわけですよね。
連名の中でこういった方の名前を挙げてくるということは、学術会議の自浄作用というのは私はちょっとないんじゃないかなと思うんですよ。これは、会長をされているときにこういったことをやっていないとおっしゃるんだったら、会長職をされているときはやっていないんですよといったら、別にそれはそれでいいと思いますよ。だけれども、元会長で、こういうところに名前を載せているということは、でも、政治活動をした後じゃないですか。日本学術会議は、これを分かっていたら、この声明の会長のところから広渡さんのお名前を消した方が私はいいと思うんですよ。
こういったことを考えずに、考えずにというか、知らなかったのかもしれませんけれども、こういったことを声明文に、共産党や立憲民主党と一緒に統一候補を掲げて戦うんだという方のお名前を載せてしまうということ自体が、私は、現在の日本学術会議の自浄能力の低さというか、限界を感じるところでございます。
先ほど御答弁いただいたんですけれども、もう一度質問をさせていただきたいと思います。
海外からの不当な資金を供与されている者が会員にならないようにするという対策についても、本会議でお尋ねをさせていただきました。先ほど私が言ったように、ナショナルアカデミーが特定の政治勢力や外国勢力から独立して活動することが大事であるということは言うまでもありませんとお答えいただいているんですけれども、このような我が国の科学者コミュニティー全体としての取組というのも当然踏まえながら、不透明な資金提供を受けるなど公正性に問題があるような人物が会員とならないように適切に対応されるというふうには思っておりますけれども、もし仮に、会員になった科学者が、会員になった後に特定の政治勢力や外国勢力から資金提供を受けたりとか、緊密に連携し活動したりなどの事実が判明した場合は、会員取消しなどがあるのかどうか。もう一度、これは外国勢力のことも含めてお答えください。
○坂井国務大臣 我が国の科学者を代表する機関であります学術会議は、このような我が国の科学者コミュニティー全体としての取組も当然踏まえながら、不透明な資金提供を受けるなど公正性に問題があるような人物がまず会員とならないよう適切に対応されるものと考えておりますが、しかし、この法案においては、会員が学術会議の業務以外の業務を行った場合には罰則の対象となり、業務に関し著しく不適当な行為をした会員は学術会議において解任することができることとなっております。
○三木委員 ありがとうございます。適切に選んで、選んだ上でも、もし仮に後でそういった方が判明すれば、きっちりと解任をしていただくことが国益にかなうことだと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次の質問に移らせていただきます。
防衛装備品の研究開発に関して、御質問いたします。
二〇二〇年に北海道大学の奈良林直名誉教授が、平成二十八年から三十年度の防衛省の安全保障技術研究推進制度に採択された同大の研究に関して、北大が三十年三月に防衛省からの資金提供を辞退した経緯を、日本学術会議が二十九年三月に出した軍事的安全保障研究に関する声明が辞退に影響したとして、産経新聞に寄稿しています。
研究の内容は、船底を微細な泡で覆うことで水中の摩擦抵抗を減らす同僚の教授の研究で、実現すれば自衛隊の護衛艦や潜水艦の燃費向上と高速化が期待できるものであった。
二十八年九月に設立された軍事研究に反対する団体や学者らでつくる軍学共同反対連絡会は、北大総長に対する面会要求や公開質問状の送付を繰り返した。同連絡会のホームページには、北大が私たちの運動と世論、学術会議声明を無視し得なくなったからで、画期的だとの記載があったとしています。
北大では推進制度への応募を模索した別の研究もありましたけれども、こうした経緯を踏まえて応募は見送られたといい、奈良林氏は、学術会議の声明が錦の御旗になってしまったと話したとあります。
その後、五年が経過をして、北大はむしろ防衛装備庁への応募を解禁して、令和五年度には一件、六年度に二件採択されております。これは本当に喜ばしいことだなと思います。
坂井大臣の答弁でも、学術会議は梶田会長のときに、デュアルユースとそうでないものとを単純に二分することは困難であるとの現実的な見解が示されたことも影響しているかと思います。これは非常にいいことだと私は思っておりますけれども。
ただ、この声明、元々出された声明の中には、「まずは研究の入り口で研究資金の出所等に関する慎重な判断が求められる。」ここは多分削除されるというか、ここは違いますよということだと思うんですけれども、その次なんですね。「大学等の各研究機関は、施設・情報・知的財産等の管理責任を有し、国内外に開かれた自由な研究・教育環境を維持する責任を負うことから、軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的・倫理的に審査する制度を設けるべきである。学協会等において、それぞれの学術分野の性格に応じて、ガイドライン等を設定することも求められる。」としているんですね。
この声明を受けて、大学等が多く、審査する制度であったりとかガイドライン等を設定しています。この結果、多くの大学が軍事的安全保障研究に尻込みする事案が散見されるようになった。この声明の、大学等への審査制度及びガイドライン等の設定という文言により、大学等の研究機関にこの制度及びガイドライン等が設定されたかどうか把握しているかどうかお伺いしたいんですけれども、それは把握していないというふうに問取りのときにお伺いしておりますので、ちょっと時間もないので省かせていただきますけれども。
デュアルユースは、この声明では、我が国の防衛装備品の技術開発にマイナスの影響を及ぼしていたということはもう言うまでもないんですけれども、研究者の自由な学問への探求を妨げるものだと私は思っています。新しい学術会議でもこの声明を受けて、審査制度とかガイドライン等の設定を求めるんでしょうか。
○相川政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年の声明は、大学等の各研究機関に、軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的、倫理的に審査する制度を設けるべきことを求めるものですが、いわゆるデュアルユースに係る研究のような、安全保障に資する研究を一律に禁止するという趣旨のものではありません。
また、デュアルユース技術に関しましては、令和四年七月、当時の梶田日本学術会議会長より、先端科学技術、新興科学技術は、人類社会のウェルビーイングの実現に欠かせないものであるばかりか、一国の研究力、国際競争力を支えるものであるという基本認識を示した上で、従来のようにデュアルユースとそうでないものとに単純に二分することはもはや困難であり、研究対象となる科学技術をその潜在的な転用可能性をもって峻別し、扱いを一律に判断することは現実的ではないとして、より広範な観点から、研究者及び大学等研究機関が研究の進展に応じて適切に管理することが重要となるといった考え方が示されておるところでございます。
さらに、令和五年九月には、いわゆるデュアルユースを有する先端科学技術、新興科学技術に係る研究が大学等の研究機関で円滑に実施される方策について、研究インテグリティーの観点から見解が取りまとめられております。
今後、この見解が大学等の研究機関の現場に浸透し、我が国の研究力の向上や国際競争力の強化などにつながるよう、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
○三木委員 デュアルユースは研究対象だからということなんですけれども、審査制度とかガイドラインとかもかなりの多くの大学が多分設定していると思いますので、そういう設定をしている大学に、デュアルユースの研究はもう解禁されているんだということを是非政府の方からも広く告知していただきたいと思っておりますし、私個人の考え方では、デュアルユースではない防衛装備品のみの研究というのがいまだに行われないような、学問の研究というか学問の自由が奪われているような状況は私は時代遅れだと思っておりますので、こういったことも、今後、後々、考えを改めていただきたいなというふうに思います。
最後の質問になるかと思うんですけれども、財政基盤についてお尋ねをしたいと思います。
全額を政府からの財政支援に頼るのではなく、日本学術会議は政府以外からも資金を獲得する組織を目指すのが正しいと思うという意見が懇談会の議論の中でも述べられていました。
これも本会議の代表質問で大臣答弁があったわけですが、政府としては学術会議が財源の多様化に向けた取組ができるよう必要な支援をしてまいりたいと考えていますと言われただけで、具体的にどのような取組を政府として考えているのかちょっと分からなかったので、もう少し具体的に答弁が欲しいと思います。
例えば、日本に寄附の文化を醸成させるために、日本学術会議に対する寄附を募って、寄附をしてくれた人には寄附金控除等のインセンティブを検討して、学術に関する知識を広めたり関心を持っていただいたりとかしつつ、こういった寄附金控除のインセンティブなんかも検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 こういった財源の多様化に向けて、必要な支援は必要だと申し上げたところでございまして、こういったことのために、税の面でいいますと、法人税の優遇措置については、この法案に盛り込んでいるところでございます。
ただいま三木委員から、寄附金控除の仕組みにより個人からの寄附も促進できないかという具体的な御提案をいただきましたので、そのことも含めて、ここはよく検討して、どんな支援措置が具体的に考えられるか、考えていきたいと思います。
○三木委員 ありがとうございます。
日本学術会議が日本の国民の皆様に広く受け入れられ、そして日本の国益にかなう組織になることを願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いいたします。
ちょうど今、三木さんが最後におっしゃった寄附控除の件も含めて後で議論させていただきたいんですが、まず、法人形態。
今回は、法人化ということがテーマでありますが、法人形態として今回は特殊法人を選んでいるということなんですが、私たち日本維新の会は、そもそも完全民営化が望ましい、こういう思いでいます。そのときに、実は、この度の学術会議の法人化に関する有識者会議がございました中で、その有識者会議の中でも、公益法人化が望ましいという意見もあったというふうに聞いております。
日本も、曲がりなりにも新しい公益法人制度が十七年前ぐらいにできていまして、それが今、去年も公益法人改革が行われたところでありますし、非常に公益法人をこれから育てていこう、こういう流れがあります。
ですから、その流れで考えると、私は実は、これは特殊法人よりも、例えば公益財団法人の形態の方が望ましい、こういうこともこの間の参考人質疑でも話をさせていただきました。そのときに、ナショナルアカデミーの五要件をそれが満たすのか、こういう話があったと思いますが、そこで、今日は、公益財団法人化した場合にはナショナルアカデミーの五要件は満たせないのか満たすのかということについて議論をさせていただきたいと思います。
五要件というのは、一つに、学術的に国を代表する機関としての地位が一つ、二、そのための公的資格の付与が一つ、三、国家財政支出による安定した財政基盤、四、活動面での政府からの独立、五、会員選考における自主性、独立性、こうあるわけですね。
公益財団法人をもし選びますと、この四、五の活動面での政府からの独立、会員選考における自主性、独立性、これは今よりも更に担保できます。特殊法人の場合は、どうしても国の監督の下にいなくてはならないという法人でありますので、だから、監事とかがついてこなくちゃいけなくなるわけですね。公益法人化していただけますと、この四番、五番はもうこれでオーケーと。じゃ、問題は前の三つなんですね。
まず一、学術的に国を代表する機関としての地位なんですが、ちょっとまとめて行きましょう、そのための公的資格の付与、そして、三、国家財政支出による安定した財政基盤。今日は、公益法人協会、公益法人に関する御担当の高角事務局長にお越しいただいていますが、仮に日本学術会議が公益財団法人になった場合、このナショナルアカデミーの五要件の、今申し上げた三つは満たすことはできるんでしょうか、満たさないんでしょうか、どっちでしょうか。
○高角政府参考人 お答えいたします。
まず、個別の組織がどのような法人形態を取るかは組織の特性とか事業内容に応じて検討されるべきものと考えますけれども、一般論といたしまして、一般法人法や公益法人認定法の要件を満たす限りにおきまして、御指摘のナショナルアカデミーの五要件に合致するような公益法人、財団法人はあり得るものと考えております。
○市村委員 ありがとうございます。あり得るんですね。
ならば、本当は、最初から完全民営化を考えると、公益法人は民の組織ですので、私は民の公の組織と呼んでいますけれども、これは民の組織なんです。民というと、皆さん必ず、営利企業ばかりを思い浮かべるかもしれませんが、NPO、ノンプロフィットオーガニゼーションは基本的には民の組織であります。民でありながら公益的活動を行う組織がNPOである。そのNPOの一形態が公益法人でありますから、公益法人化というのが本当は望ましかったかなと思います。
しかし、そこでナショナルアカデミーの五要件を満たすのかとありましたが、今、満たすということであれば、これは、今回特殊法人化でまず六年ということになると思い、まずというか、基本的にはこれからずっと六年ごとに計画を立てて進むんでしょうけれども、できれば私は、この六年の間に、それこそナショナルアカデミーとしての矜持を見せていただくためには、これは自主性、独立性というものを、自律性というものをうたわれるのであれば、この六年の間に自律してみせると。それは、何を自律しなくちゃいけないのか、一番重要なのは財源なんですね。自主財源を持てるか、独立財源を持てるかというのが大切なんですね。やはり一〇〇%国に頼っていて、それで、じゃ、自主性をと言っても、それはなかなか国民が納得いかない部分も出てくると思います。
ですから、私は、いきなり一〇〇%自分でやれというのも、これまでのいわゆる日本学術会議の成り立ちから考えて、これまでの経過から考えて、なかなか難しいと思います。ですから、取りあえず特殊法人でスタートした上で、特殊法人の中で、やはり独立性、自主性を目指すという中で公益法人化を目指す道もあるのかなと私は思いますが、大臣、いかがでございますか。
○坂井国務大臣 有識者懇談会では、各国アカデミーの在り方などを参考にした上で、我が国に適した形でナショナルアカデミーとしての理想的な在り方を議論していただきました。
そうすると、理想的な在り方としては、海外アカデミーに見られる公益法人のような形に落ち着いていくことだとされましたけれども、現実的に、現実味というか現実性を見ると、やはりいきなりというのは無理でありまして、国が設立する法人として出発をし、国民の理解と信頼を獲得するよう努めつつ、財政面も含めた運営の自律性を着実に高めていくことが現実的ではないかということになったわけであります。
その際、学術会議に期待される役割、機能を十分に発揮するために、特別な地位、権限及び国による必要な財政的支援をすることができる旨を法律に明記することから、公益法人が理想的で望ましいということではありましたけれども、現実を踏まえて特殊法人とするものとなったわけであります。
○市村委員 改めて御説明いただきましてありがとうございます。
だからこそ、先ほど私も申し上げましたように、最初から一〇〇パー、いきなりというのは難しいんですけれども、今回、予算も増えるでしょうし、これから予算を増やして、特に自主財源を持つというのが重要なんですね。
やはり自主財源を持たないと、幾ら言っても、お金もらっている人に対してなかなか物を言いにくいですよ、これは。NPOをやってきた私としては、一番それは申し上げられるところでありまして、そうはいっても、理想は、それはお金出して口出さないのが一番理想ですけれども、それはお金出した人は、我々は政治家ですから、やはり資金をいろいろ援助、受けてもらって、お金出してもらって、その人の言うことは一切聞きませんというのも、それはなかなか言いづらい。実際、やっていなくても言うことはできないですよね、それはなかなか。
だから、やはり自主財源を持つというのが大変重要なわけでありまして、であれば、例えば今日、光石会長いらっしゃっているんですが、ちょっと光石会長に。いかがですか、六年間かけて、まあ今は特殊法人でスタートされますが、やはり日本学術会議の矜持というのを先生方に見せていただいて、いいと、我々、そんなに言うんなら、もう自分でやっていくというような形で、自主財源をつくっていく御努力をされて、将来、公益財団法人として、例えばイギリスの王立協会とか、基本的にはあれはチャリタブルオーガナイゼーションです。日本でいうと公益法人、公益財団法人のようなものですが、そういう方向を目指せば、はっきり言って国から何も言われる必要はないんですね。
多少、公的資金は入れなくちゃいけないので、だから、そこはマッチングで、これはアメリカなんかのNPOでも見られるんですけれども、マッチングするんですね。半分は自分たちで集めてくるから半分出してほしいとか、そういうことも含めて、公益法人化の方向というのはいかがでございますかね。会長、いかがでしょうか。
○光石参考人 議員から御提案いただいているところではありますけれども、公益法人に限らず、法人ということのみをもって独立性が確保できるということにはなりません。法律によってどのような政府からの関与の仕組みを入れるのかということも併せて考えるべきではないかというふうに思います。
また、外部資金が獲得できるようになることを法人化のメリットとして捉えることもできますが、これも午前中に申し上げましたけれども、いずれにしましても、外部資金を得ることが日本学術会議の目的ではなく、ナショナルアカデミーとしての機能を十分に発揮するためには、独立性を保ちつつも安定的な財源基盤を確保するということが必要であるというふうに考えておるところでございます。
○市村委員 もちろん、外部資金を求めることが目的とは誰も思っていないと思います。ただ、やはり、別に法人格があろうとなかろうと、ある組織を維持しよう、それを運営していこうとすると、それは資金、いわゆる物、人、金というのが必要なのは、もうどんな法人だろうと、法人格を持たない組織だろうと、いわゆる昔で言う任意団体だろうと同じなんですね。別にそれは日本学術会議だけがそれを免れるわけでもないわけでありまして、ですから、自主性を持つということは、やはり自主財源を持つということに私は一番大きい意味合いがあると思っています。
ですから、別に法人格を持たなくてもいいんですよ。別に法人格を持たなくてもやれるんだという人がいれば、それが一番いいに決まっているわけですけれども、しかし、法人格を持たないと、永続性というもの、これが担保されないんですね。じゃ、誰か会長さんが組織をつくっていて、その方が何か病気になったり、もし亡くなったりすると、その組織は終わりなのかという話になりますから。そうじゃない、法人化するというのは、誰が会長になろうと、その組織自体は残るということが法人化の大変大きな重要な意味でありますので、日本学術会議も、ある会長が辞めたらもうその会議は終わりだということじゃなくて、日本学術会議としての組織体がある種持続性を持つ、できるだけ永続性を持つということが必要だと思うんですが、会長、いかがでございますか。よろしくお願いします。
○光石参考人 令和三年四月に公表いたしました「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」におきまして、学術会議の組織形態として公益法人が適切かどうか、既に検討がされておりました。
「より良い役割発揮」におきましては、公益法人とする場合、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律等に基づくことになると思いますけれども、公益法人の設置主体は民間であり、ナショナルアカデミーを機能させる国の責務を維持しながら、どのような主体による法人の設立が適当かつ可能であるのかが明確ではないこと、とりわけ、独立行政法人の場合と同様、学術的に国を代表する機関としての地位に関する公的資格の付与に関して、法人に対して政府からの諮問及び政府への勧告などの公的な権限を個別法で規定できるのかどうかも重要な検討事項であるということが指摘され、これらの観点から、公益法人がナショナルアカデミーの機能を発揮する上で適切な設置形態とは言えないとされているところでございます。
○市村委員 済みません、最後の適切な設置形態とは言えないというところに関しては、私は異論がございます。
先ほどもナショナルアカデミーの五要件を満たすというふうにこの場でもありましたし、今度、特殊法人じゃなくて、例えば指定法人というものがあるんですね。指定法人というのは、幾つかあるわけでありますけれども、指定法人となれば、先ほども申し上げたように、ナショナルアカデミーの五要件は十分満たし得るんです。
ですから、これは大臣もおっしゃっていただいたんですけれども、いきなり、もう完全民営化しろと、我々はそう思いますが、日本維新の会はそういう主張でありますけれども、しかし、それはなかなか厳しいなということで、まず六年間、新しい組織がスタートします、特殊法人でございますという中で、それで六年間かけて、やはり、是非とも、もう日本の最高頭脳の集まりの場所なわけでありますから、いろいろ、人文から自然科学系から、中には、それこそ金融のプロとか、いわゆる資金集めのプロ、ファンドレーザーみたいなプロも、それは学問的にやっていらっしゃる方もいらっしゃると思いますから、そういう方を取り込んで。
また、その方は、皆さん、物すごくお偉方ですから、例えばユースアカデミーみたいなものがありましたよね、若者アカデミーみたいなもの。そういうところに集う若手研究者とかに、例えばAIで今、資金集めをする方法とかを研究している方もいらっしゃると思いますから、そういう方を雇うとかして、その分、政府、それこそ大臣、少しそういう人を雇って。
そういう人というのは、一年雇えば一年でつくり上げられますよ。一年も要らないと思いますよ。分かった、名誉なことである、日本学術会議のこんな財源づくりをお手伝いできるなら喜んでやりましょうという若手経営者は多分出てくると思うんですね。
最高の頭脳なわけですから、最高の頭脳が寄ってできないはずがない。三人寄れば文殊の知恵なんだから、百何十人寄れば文殊どころじゃないわけでありますから、是非ともそこで財源づくりをやってほしい。やって、矜持を見せてほしいんですよ。ほら見ろ、我々はすごいだろう、もう政府なんかに頼らないでいい、財源なんか要らないぐらいの気持ちで、私は、この新しい日本学術会議はやはりやっていただきたいな、こう思っておるんですが。
済みません、何か会長、お苦しい立場は重々分かっておるんですが、いかがでしょうか、会長。
○光石参考人 自分自身の研究あるいはそれ以外でも、資金集めの上手な教員というか会員はいっぱいおりますが、多くの会員は、自己の大学のために資金集めをしているというのが現状でございますので、そこをどのような法人形態にするかといったようなところにつきましては、本国会で議論いただければというふうに思います。
○市村委員 済みません、まずは特殊法人の議論をしているところでということなんですが、我々は完全民営化が望ましいかなと思っている流れの議論でございますので、済みません。
自己の資金集めで頑張っていらっしゃる方たちも、やはりそれをまたみんなで担う、人文・社会科学系から自然科学系まで、いろいろな方の、トップ頭脳が集う場所であります。だから、先ほど申し上げましたように、トップの先生方、会員の先生方はいいでしょう。だから、そこに連なる、要するに、さっき連携会員という話もありましたけれども、ユース会員とか、やはり名誉なことだと思うんですよ。そういう日本学術会議の財務というか財源を自分たちで生み出そうということに力をかしてくれと言って、私は、やってくれる人が現れないなら、それは大きな問題かなと思います。それこそ日本学術会議に対する存在意義が問われる問題だと思う。そんなすばらしい会議なら私が、やらせてほしい、それこそボランティアでもいいというぐらいの気持ちでやる人が出てくると私は思います。
ただ、それはボランティアじゃいけませんので、ですから、大臣、そういう、いわゆる財源をつくれるような人材はいるはずなんですよね。その財源、これはいろいろな分野で今人材の話がされておるんですけれども、長く雇わなくても、一年でもいいから、それなりの高額な報酬を出して、あと、成功報酬は、例えば一〇%の成功報酬だ、集めたお金の一〇パー出すぐらいの話をして、人を集めて、日本学術会議の自主財源づくりというのを、どうですか、大臣、やりませんか。
○坂井国務大臣 我々政府の立場は、法律を御審議いただいて、特殊法人化をするということであり、特殊法人化した後の運営に関しては、我々は、基本的には、基本的にはというか、学術会議の執行部の皆さんに基本担っていただくということになっておりますので、こういった形で自主財源を確保していくという在り方を模索をしていただいて、海外の様々な各国のアカデミーと同じように、政府以外からも資金を獲得する組織を目指していただきたいと期待はするところでございますが、基本的にはそのときの執行部の考えでございますけれども。
例えば、午前中の審議などでも、立法府に対しての提言というようなお話もありました。今後、立法府と学術会議も様々チャネルをつくってそういった意見交換等をやっていくということも、期待というか、期待というよりは、もっと確実性の高い形であり得るんじゃないかと思いますので、そういった機会なども使っていただいて、市村委員のお考えをこの学術会議の中で議論していただくような、こんな環境をつくっていただければいいのではないかなと思います。
○市村委員 最後に、日本学術会議のセルフガバメントの強化を願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。
市村先生から今もありましたが、ナショナルアカデミーの組織が果たすべき五要件に関連して質問をしたいと思います。私も一昨日、この場で参考人の皆さんに、この五要件についての話、また、それに合わせて、会長声明の五項目の懸念ということが挙げられていましたので、それについてお聞きをしました。それに関連してお聞きをしたいと思います。
この五要件については、一つ目の、学術的に国を代表する機関としての地位、また、二番目の、そのための公的資格の付与、これは法文にも明記をされたところでありますが、残りの三つがまだまだ、それぞれの理解に溝があったり、また、それぞれの理解が違うということでお聞きをしたいと思います。
まず、総理大臣任命の監事の設置について伺います。
一昨日の梶田参考人から、今でも学術会議は会計検査院等の監査を受けているとの発言がありました。これは、改めて監事による監査の必要はないとの認識かと私は理解しておりますが、今回の法案で位置づけた監事の役割について、また、監査の中身とはどのようなものなのか、改めて、もう一度伺いたいと思います。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
監事は、一般に法人の業務執行を監査することを職務とする機関で、この業務執行するということ、それから条文の書き方は、ほかの国が設立する法人と同じでございます。ということで、会計検査院とは違って、ある意味、業務全般を監査する、ただし業務の中身とか学術的な価値に入るわけではないということでございます。あくまでも、ルールを守っているか、作っているか、そういう話でございます。
それで、監事が何でもするんじゃないかという誤解というか懸念がありますけれども、具体的な監査対象として通常想定というか考えているのはこんなことでございます。関係法令、規則、計画などの整備状況それから実施状況、以上が一つのまとまり。それから、予算の執行状況、資金運用の状況、決算の状況が二つ目。三つ目、物品の管理状況。四つ目、人件費の状況ということで、この四つだけということではありませんが、典型的に想定しているものはこういうもので、いわゆる業務のやり方を見て回るというイメージでないということは御理解いただきたいというふうに思います。
それから、先ほど、繰り返しになりますが、学術的活動の価値、内容に入るわけではなくて、これは国立大学の監事も教育研究の内容自体に入って何か見るということではないので、それと同じことでございます。逆に言うと、先ほど来いろいろ御心配いただいていますが、仮にそういうことに立ち入って、余計なことというか不適切なことを言った場合には、これは権限外、越権行為ということになるというふうに考えております。
それから、監事は、ほかの役員と違って、法人の運営にその職務として関わるということではございません。それから、総理から指揮命令を受けるわけでもございません。総理も、したがって、指揮権はございません。逆に、法令、規則を遵守して、法人のために忠実に職務を遂行するという義務がかかっておりますので、任命権者である総理のために何かやるというのは、それも、ある意味、法令違反というかルール違反、所掌事務違反ということになります。
それから、もう一つ言わせていただきますと、監事を総理が任命するということがどうかという御指摘、御懸念をよく伺います。例えば、学術会議で選んでいいんじゃないかという話でした。これについては、業務遂行も含めて監査するということなので、学術会議の最高意思決定機関であり、かつ執行機関でもある総会が選んでしまうとよくない、そこから独立した立場に、総会から独立した立場にいなければいけないということです。
これは懇談会というかワーキングの中のヒアリングで他省庁の、関係省庁の方から伺った話なんですが、私立大学法で、最近改正、施行されましたけれども、監事を選任する主体が執行機関である理事長だった、昔は、去年ヒアリングしたときはそうだったんですが、今年から変わりますということでしたが、それが諮問機関、チェック機関である評議会に改められたということで、理由は、これまでの仕組みではチェック機能が本当に働くか懸念があったからだということでした。
なので、まとめると、要するに、ほかの法人の監事と同じ権限で、学術的な価値、内容に入らなくて、そういったことは所掌事務上できない、想定しないということであります。
したがって、通常のこと以外に何か言うことではないということで、是非御理解いただきたい。
○田中(健)委員 ちょっと長いです。端的にお願いしたいと思います。済みません、質問がたくさんありますので。
価値、内容を判断したり、また中身を見るものでないということではあるので、そこは安心するんですけれども、法人のために忠実に働くという一方で、しかし、本法案で新たに置かれる機関については、ほかの機関、様々ありますけれども、任期三年で一回に限り再任可とある中で、監事だけが再任の任期の定めがありませんので、ずっとできるということであります。
これについては他の委員からも指摘がありまして、法人のための、忠実にするという一方で、任命権者に顔が向いてしまうんじゃないかということも指摘をされました。
どうして監事だけがこのような任期となったのか、その理由を伺います。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
監事の任期が、再任なしになっているのは、これも所掌事務と一緒で、ほかの法人と合わせたということでございます。
もう一言だけ追加いたしますと、会長とかほかの人たちと何で違って、制限がないんだということですけれども、例えば、会長が任期三年で再任一回になっているのは、会員の任期がまず六年であるということ、今も運用上六年なので、余り長く、九年、十二年というのはおかしいということ、それから、懇談会の中でも、会長の任期が余り長くなるというのは消極的だったので、結果的に、じゃ、三年で再任可、六年ということにしました。
最後一点。ただ、長期化については、別途一般的なルールがございまして、特殊法人の役員の再任とか任期について運用ルールがあります。それで、役員の長期留任は避けるということで、在職期間はおおむね六年を限度とするという、政府というか、そういうルールがございますので、そういったことも意識しながら決めたということでございます。
○田中(健)委員 特殊法人法に書かれているということですけれども、そうであるならば、しっかりとここの、今回の法律にもその文言を書いていただきたいと思っております。
また、先ほど少し私立学校法の改正の話が出ました。
資料をお配りさせてもらいましたが、これは一昨年、私立学校法が改正されまして、今年の四月からまさに始まったばかりですけれども、このガバナンス強化ということで、大きな法改正がありました。
この中でも、より一層私立大学のガバナンスを高めていくために、理事会と評議会また監事の在り方ということが、この図を見れば分かるように、現行と改正後、大きく変わっています。これは学術会議でも大変参考になるというか、ほかの組織がどのようになっているかということが、理解するのに分かりやすいかと思いましたので、どのような議論がされて、また監事や評議会というのがどのような位置づけとなったのかを、これは文科省に来てもらっていますので、御説明をお願いします。
○浅野政府参考人 お答えさせていただきます。
委員御指摘いただいた今般の私立学校法の改正に当たっては、学校法人が社会の要請に応え実効性のあるガバナンス改革を推進することを目的としつつ、私学の自主性を重んじ、公共性を高めるという同法の趣旨を踏まえ、議論がなされたところでございます。
このような議論を踏まえ、改正法におきましては、意思決定機関は理事会という基本的な枠組みは維持しつつ、執行と監視、監督の役割の明確化、分離を基本的な考え方として、監事の選任を評議員会が行うことや理事と監事や評議員の兼職の禁止などの監事や評議員会の理事会へのチェック機能の強化により、学校法人の管理運営制度を改善したところでございます。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
まさに、執行と監督は分けて独立させなければ、そのチェック機能が働きませんので、監事というのは、総理大臣が任命するということはまだ懸念があるようですけれども、必要性というのは、私もこの過程を聞いて理解をさせていただきました。
その上で、さらに、皆さんの懸念という中では、総理の任命の評価委員会についても併せて伺いたいと思います。
評価委員会についても、総理が任命する、さらに、中期目標、中期計画を法定化する、それに懸念の声があります。これについても、一昨日、梶田参考人にお聞きをしたところ、六年という任期についてのお話がありましたが、その期間について、長いのではないかと。会長の任期が三年ですから、六年決めますと途中で会長が替わってしまうという中でありましたが、この計画年数が適当なのか、また、この期間に定めた理由についての見解も伺います。
○笹川政府参考人 手短に申し上げます。申し訳ございません。
中期的な活動計画は、半数の会員が三年ごとで改選されて、実際学術会議の活動の単位になっている期という三年の単位があります、それを超えて横断的に活動していただき、あと、全体で方針を共有するというような意味合いで、三年より長い方がいいだろうという気持ちを持って、気持ちというか考えでございました。一方で、余り長くてもどうかということもありました。もちろん、十年がいいんじゃないかという話もありましたけれども、そうはいっても、やはり学術、社会は動いていきます。
ということで、会員の任期を意識して六年に合わせてということなんですが、ここで大事なのは、中期的な活動方針は変更、修正、可能でございますので、例えばですけれども、三年後に人が入れ替わったときに修正するということは排除しているわけではございません。
○田中(健)委員 説明のときに、確かに変更は可能と聞いたんですけれども、条文の中を見ますと、例えば、変更したときはこのようなことが必要、必要と書いてあって、積極的に、ないしは変更しながら、計画を変えていいというふうにはなかなか読みづらかったわけであります。
更に言えば、例えば四十二条を見ますと、中期的な活動計画を定めようとするときは内閣府に置かれる学術会議評価委員会の意見を聞かなきゃならないとありますが、さらに、変更のときもこの委員会の評価を聞かなきゃいけないわけですよね。ですから、簡単に、三年で会長が替わったから、じゃ、もう一回中期計画を変えればいいじゃないかと、なかなかそんな簡単ではないかとは思うんですけれども、それについてのもし見解があれば、お願いします。
○笹川政府参考人 二点申し上げます。
もちろん、いいかげんなものじゃないので、しっかりやっていただかないといけません。したがって、そんな簡単にということではございませんが、やはり大きく方針が変わるとかということであればいけると思います。実際、これはそんなに細かくがちっと書くことを考えていないので、ある程度方向が変わっても、一々変えなくてもいいんじゃないかとも思っています。そこは、ただ、どう作るかは学術会議です。
それからもう一点。時々話に出ていますけれども、学術会議で今、アクションプランという、三年計画、光石会長が作られて、やっています。懇談会で議論していたときは、六年で長期的なやつを作って、必要があったら三年ごとにそういう真ん中ぐらいのやつを作って、もう一つ、毎年の計画、予算関係でございますので、そんなのもあるんじゃないかという議論はしておりました。
○田中(健)委員 この中期目標、計画と、また業務実績は、これも他の法人を参考にしたということで、つけさせていただきましたが、これは国立大学法人の評価制度と全く同じ形を取っています。お配りした資料の裏でありますが、国立大学法人をつくるときにかなり議論となってこの制度を定めましたけれども、これを定めたときの考え、また、これと学術会議の関係についても、文科省に来てもらっていますので、お聞きをしたいと思います。
○森友政府参考人 お答え申し上げます。
国立大学法人評価につきましては、大学の自主性、自律性や教育研究の特性に配慮しつつ、各法人の自己点検評価に基づき、教育研究、業務運営等における中期目標の達成状況を評価するものでございます。国立大学法人法に基づきまして文部科学省に置かれる国立大学法人評価委員会が、国立大学法人の六年間の中期目標期間のうち、四年目及び六年目終了時に評価を行っているところでございます。
また、国立大学法人評価制度は、法人が中期目標、中期計画を着実に実施し、投じた国費が有効、適切に使用されたかどうかを国として検証すること、法人の継続的な質の向上に資するとともに、法人の状況を分かりやすく示し、社会への説明責任を果たしていくこと、各法人が自主的に行う組織、業務全般の見直しや次期の中期目標、中期計画の検討に資することといった意義を持つものと認識をしております。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
ですので、監事や、課題となっています評価委員会も、他の法人の中で今運用されているということでありますので、是非こういったことを説明していただいて、まだ私、かなり大きな溝があるのは、それぞれの皆さん違う理解の下、不安を感じたり、また、それについてもまだまだ懸念があるという発言が相次ぐと思いますので、そこは政府にお願いしたいと思います。
その上で、法人の在り方全体としてでありますけれども、今、国立大学法人や私立大学法人の在り方を聞きましたけれども、同じように中期目標を定める中で、独立行政法人があります。さきの参考人の意見でも、法人化そのもの自体には、どの先生も反対しないということでありました。そして今回も、極力拘束力のない法人にしたいということもお話がありまして、その考えの下、特殊法人という形を取ったかと思いますが、独立行政法人と何が違うのかということであります。
特殊法人にした大きな考え方をもう一度、これは大臣にお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 これは、独立行政法人のような組織にはしないという有識者懇談会の方針に沿って、学術会議にふさわしいと思われる法人の形にしたわけであります。
独立行政法人制度におきましては、まず、法人の長を主務大臣が任命をいたします。ですから、トップは主務大臣が任命をする。当然これは、解雇する権限も持つということになります。主務大臣が中期目標を法人に示し、そして中期計画を出してもらって、これを主務大臣が認可をするという手続があります。そして、法人の業務の実績全般について主務大臣が評価を行うということがございまして、予算づけがなされ、動いてまいります。
これに対して、今回の学術会議は、人事や業務への直接的な関与を通じて監督権限を行使することは行いません。やりません。総理大臣によっての会員及び会長の任命は行わない。内閣総理大臣による中期目標の指示、中期的な活動計画の認可もありません。評価についても、内閣総理大臣が業務の実績全般について行うのではなくて、専門家が学術会議の自己点検評価についてだけ意見を述べるなど、国による関与は、説明責任を果たすための必要最小限の仕組みにとどめているというところでございまして、同じように、監事や評価等に関しても、学術会議の学術的な内容、価値を判断はしないということになっていて、そして、この法律は、政府による不当な介入を許容しないという法律になっていることを御理解いただきたいと思います。
○田中(健)委員 確かに独法は、人事、認可、さらには評価、それら全て大臣が行うということで、さらに、総務省に置かれた評価委員会もチェックを行う、かなり厳しい中であって、それに比べれば、特殊法人というのは、自主性また独立性というのは保てているのかなというふうにも、今のお話を聞いて感じます。そこについては、懸念は、私としては解消いたしました。
更に法人化についてお聞きをしたいんですけれども、メリットについてもお聞きをします。
私も法人化すべきであるという立場でありまして、しかしながら、梶田参考人の方から、日本の場合は、なかなか科学的助言のチャネルがない、さらに、立法府への助言機能も明記されていないということでありました。
私は、法人化すれば、政府から独立し、そして離れますから、独自に学術会議が様々な提案をしたり、ないしは、私たちが、立法府が、コロナの形でしっかりと科学的な調査をしたいといった場合は、連携をしながら活動ができると思ったんですが、この話ですと、今回の法改正の中では、そのような取組が可能となるのかならないのか。私はなるんじゃないかという思いでいたんですけれども、そこについての見解を大臣に伺います。
○坂井国務大臣 有識者懇談会におきましても、立法府への科学的助言でありますとか、交流でありますとか連携でありますとか、もう是非やっていただきたいという声がございますし、また、行政府の中にある組織よりは法人化した方が、自由に、様々なところに配慮する必要なくできるのではないかという声もありまして、当然これはできますし、私個人としては期待をしたいところでもございます。
○田中(健)委員 時間が来ましたので終わりますが、かなり議論も、多くの先生たちから指摘がされてきました。私としても、何とかこの溝を埋めて、そして、学術会議、皆がいいものにしたいと思っておりますので、その思いで、引き続き、我が党の菊池委員が質問させていただきますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
○大岡委員長 次に、菊池大二郎君。
○菊池委員 国民民主党・無所属クラブの菊池大二郎でございます。
田中理事に引き続いて、質問をさせていただきたいというふうに思います。
今し方、田中委員の方からも溝という言葉がありました。私も一回生なのでまだ不慣れでありますけれども、この委員会、午後も理事会が押しまして、遅れてのスタートになった。これも、いろいろとそれだけ緊張感のある法案なんだなということを改めて痛感しております。そしてまた、私も、諸先輩方の議論をこれまで拝聴しておりまして、懸念点を言えば、どの角度から見るかによって、非常に両極端に引っ張る作用があって、そちらを引っ張っていき続けると、どうしても妥結点をどういうふうに見出すかというのは非常に難しいのかなというところで、私もまだまだ、気持ちのいい納得感が得られているかといえば懐疑的な印象がございまして、まず一つ一つ整理をさせていただきたいというふうに思います。
大臣の方からも、重ね重ね、サイエンス・フォー・ポリシーというような言葉が出ております。実用化、そしてまた政策実現のためにどのように運用していくかということの視点の重要性だと思いますが、個々の政策目的ごとでいえば、この日本学術会議でなくとも、例えば学会であったりとか研究活動をダイレクトに支援をしていけばいいのではないかなという単純な私の疑問もあります。
そういった意味で、この学会や有識者会議、諮問機関と言えるかもしれませんけれども、こういった有識者会議とこの日本学術会議のそもそもの違いは何なのかなというところをお伺いしたいと思います。
これまで、私も内閣委員会に所属をさせていただいて、AI法の議論もありました、そしてまた能動的サイバー防御の法案もありました。この点、国民の理解が及ぶところまで至っていないかもしれませんけれども、恐らく、この両法案の審議において重要視されたのは、国際的な規範の形成というところがあったと思います。こういったところも実はこの日本学術会議が担ってきた貢献度の高い分野であったのではないかと推察をするんですけれども、この点、お伺いをしたいと思います。
○相川政府参考人 お答えいたします。
まず、学会とは、一般に、特定の学問分野における研究者や専門家が集まり、研究成果の発表、情報交換、相互評価を行う組織と承知しております。また、いわゆる政府の有識者会議ですが、政策の企画立案、執行等に際して、外部有識者の意見を聴取するために設置、開催されるものと承知しております。
一方で、日本学術会議は、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の幅広い学術分野の科学者が所属をしておりまして、分野横断的な議論を通じて、政府や社会に対して、科学者を代表して専門的かつ信頼性のある見解の提示や助言を行っているところでございます。
また、世界各国のアカデミーや国際学術団体との連携、交流を行う国際活動、学協会との連携や地域における活動など科学者間のネットワークを構築する活動など、内外に対する科学者の代表機関としての使命を果たすため、様々な活動を行っております。
例えばでございますが、日本学術会議を含むG7各国のナショナルアカデミーにより構成されておりますGサイエンス学術会議では、例年、共同声明を取りまとめまして、G7サミットに向けて参加各国の首脳に報告をしているところでございます。二〇二四年には、「人工知能と社会」を始めとする地球規模の重要課題をテーマとした共同声明を取りまとめ、我が国日本におきましては、日本学術会議会長から内閣総理大臣に手交するということもやっております。
以上です。
○菊池委員 先般審議をしたAI推進法における、いわゆる広島プロセス、そういった類いの部分に対する貢献も大きくあったんだろうと思います。
これまでの議論を通じて、法人化に対する異論はないのかなという印象を持っております。先般の有識者の皆さんからもそのように私は解釈をしております。組織形態云々が主たる問題ではないんだろうというふうに思います。
そこで、国の行政機関という立ち位置から離れて、仮に特殊法人化になった場合に、より国民に理解される日本学術会議の再定義をしていく必要があるんだろうと思います。機能強化を図っていけるのかどうかが問われているんだと思います。
先般の有識者の先生からも御提言がありましたけれども、立法府への提言機能の強化、こちらは、国会との関わり、国会へのチャネルをどうもたらすかという点になろうかと思います。我が党でもEBPMの推進をうたっておりますし、加えて、例えば、既に第二十六期アクションプランで示されている、学術を核とした地方活性化の促進、こちらは新しい地方創生にも資する観点だと思いますけれども、こういった点を実効的に推進していくといったことが具体化できるのかが問われていると思いますが、どのようにお考えになりますでしょうか。
○坂井国務大臣 まさしく委員が御指摘をされたとおりかと思います。
「拡大・深化し明確化された使命・目的を踏まえた学術会議の基本理念は、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与するとともに、学術の向上発達及び学術の成果を行政、産業及び国民に還元し社会の課題を解決することを通じて、国民及び人類の福祉並びに我が国及び人類社会の発展に貢献することである」とされているところでございます。
サイエンス・フォー・ポリシーというお話も触れていただきましたが、やはり、社会的問題が、課題が解決に向かい、多くの国民が実感を、学術会議の知恵のおかげで、その集積のおかげでここが変わったと実感をしていただくというのが一番望ましい形ではないかと思っております。
今回、この学術会議の法案で、今までありました勧告権とか、こういったものは引き続き持っていただいた上で、法人化によって人事や組織運営の自由度が高まって人材登用や事務局強化を自律的に進められるようになりますし、また、アカデミアと政府、産業界などの実務をつなぐ、いわばファシリテーターのような役割を担う者も適切に配置できるなど、会員の活動を支える事務局の体制も強化できます。また、外部資金の獲得が可能になったり、また海外の方の会員というものも可能になってまいりますので、つまり、おっしゃるように、再定義というか、今までと変わってきて、こういう可能性があるということをしっかり国民にお伝えするということは本当に大事なことだと改めて今認識したところでもございます。
○菊池委員 続いての質問に移ります。
私も、誤解というか、まだまだ理解が足りていなかったなという部分で非常に気づきがあったのが、実際に、会員さんがいらっしゃって、連携会員と言われる方も二千名近くいらっしゃる、そういった方の一部からお伺いをすると、この組織改革、機構内部改革に関する声というのは内在をしているんだなという印象を受けました。
会員そして連携会員の皆さんの実態が、非常に私は過重な負担になっているのではなかろうかというのを、行間からも、言葉の間々からも感じました。
というのは、先ほど来審議の中でもあったかもしれません、実際に、大学での講義もある、御自身の研究活動もある、そしてまたこの学術会議での活動というところで、幾重にも業務が重なっているという部分でいえば、ある意味、権威主義的な、若干私なりの誤解があったんですけれども、よほどこの点が、国家に対する気概がないとこの業務を遂行するにはたどり着けないのではないかなという思いがあるんですけれども。実際、会員さん、そして連携会員の皆さんの業務の実態についてお伺いをしたいと思います。
○相川政府参考人 お答えいたします。
日本学術会議でございますが、定員二百十人の会員のほか、連携会員、会員と連携して学術会議の業務の一部を行うために置かれております連携会員約千九百名の方、併せて活動しております。
特に、各連携会員でございますけれども、それぞれ委員会等に所属して、提言などの審議に参画をしておりますほか、全国各地域における活動に参画をしたり、学術に関する国際活動等に代表として派遣されるなど、本来の研究活動のある中で、精力的に活動いただいております。
とりわけ、四十五歳未満で構成されております若手アカデミーにおきましては、多くの連携会員に活動していただいておりまして、社会的に注目される見解を取りまとめるなど、幅広い活動を行っていただいている、こういう状況でございます。
○菊池委員 これを受けて、また大臣に御質問させていただきます。
先ほどの御答弁でも少し重複するところがあろうかと思いますけれども、会員それぞれの、連携会員も含めまして、それぞれの研究活動を尊重し、そしてまた学術会議の健全な組織運営を実施していくためには何が必要なのか。会員や連携会員をサポートする事務局機能の強化は、まず必至だろうというふうに思います。実際、国の方から出向しているということであれば、通常考えられるのは、二、三年で交代をしてしまうというようなことが想定されるわけであります。
若手研究者の参画促進、多様性の確保、そしてまた、既に実施している内部改革、アクションプランをどう評価して新たな中期計画、年度計画等につなげていくのか、いけるのか。法改正によって果たして機構改革をなし得るのか。その展望についてお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 まさしく、改革を進め、先ほど申し上げましたように、学術会議があって、そこの知恵が結集をして、我々の社会が変わったと実感をいただけるような、そういう結果にまでつなげていけるような学術会議に変えていきたいということで、今回、様々な改革というか、方向性をお示しをしているところでございます。
若手の方のお話がありましたけれども、今回、まず、会員の定数を増員をいたしました。これによって、少しでも若手の方に会員に入っていただきたいという思いもあったと聞いておりますし、また、再任も一回に限り可能ということになりました。余り若いときに会員になってしまうと、一回きりということになると、その後、会員になれない、いわばその方が、研究が進み、言葉は難しいんですが、脂が乗り切った頃にまた会員にということが難しかったというようなこともありました。
ですから、こういったことも含めて、いろいろな声を聞かせていただく中で、最終的には、学術会議が自ら執行部でそういった運営やガバナンスもこの後やっていただかなければなりませんので、そういった会員さんの状況でありますとか、会員さんの声でありますとか、今いる連携会員の皆さんの希望なども聞いて、連携会員の制度をどうするかということも、この後、学術会議の執行部の皆さんに具体的にはお決めをいただいていこうということでございますので、こういった様々、ステップアップをしていくための制度設計でありましたり、そういったものに、必要であれば事務局の拡充等々も含めて御支援を申し上げたいと思っております。
○菊池委員 若手だけではなくて、この法案審議を通じてですけれども、地方大学とか地方というところの視点というのも非常に、増員になった分だけ、可能性を拡大していくという視点も重要ではないかなというふうに思います。
次の質問に移ります。
財政的自律性の確保というところを質問させていただきます。
我が党では、科学技術関係の予算は更に増額をして、しっかり、人づくりはまさに国づくりというところで、教育に係る予算を増額していくということに関して前向きに推進していきたいという立場でありますが、現状の学術会議の財源を見るに、既に御案内のとおりでありますけれども、何か裁量的に使える余白があるわけでもなく、ほぼほぼ、経常的な経費、加えて国際的な取組に対する活動経費というふうに理解をしております。
この点、政府負担研究費対GDP比の推移を見るに、以前、この内閣委員会でも私触れたんですけれども、国の研究予算というのは四十年前から対GDP比でほとんど変わっていない。その際、健康・医療戦略について私もただしたんですけれども、いわゆるAMEDの対象経費も、当初予算ベース、過去十年の推移を見ても横ばいだというようなところも指摘しました。日本の研究予算というのは、成長が非常に鈍化しております。
私が冒頭から申し上げたのは、サイエンス・フォー・ポリシーという話がありましたけれども、実用化に向けた基礎研究、学術研究のみが重要ではないという思いがあります。
これまでの審議を通じて、財源の多様化という話が出ておりますけれども、一方で、民間から資金調達をしなければいけないとなった場合に、先ほど来出ているように、お金を出したら口を出すではないですけれども、出し手側の部分を何かしら忖度をしなきゃいけないという部分の危惧は依然として残るんだろうなというふうに思いますし、一方で、学術研究とか学術振興のための資金調達というのは非常に、なじまないというか、難しいんじゃないのかなというふうな部分は私は危惧をしています。
目的がある程度先鋭的だ、先鋭化していて、この目的のために投資を募ってというような、何かそういうものではなくて、全体として、学術研究に対しての、投資というよりかは恐らく寄附ということが想定されると思うんですけれども、この辺、事務局機能を強化したといっても、こういった資金調達に事務局が更に手間を取られるというのも、ある意味これは本末転倒だろうというふうに思うんですが。
改めて、仮に法人化した場合の、今後の予算措置、財政的支援の考え方、これはしっかり国が伴走していくという姿勢を示す必要があるんだろうというふうに思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○坂井国務大臣 今回の法案に関しましては、学術会議の業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができることとしておりまして、この点に関しては、今現在と同様に、同じようなプロセスを経て、査定のプロセスを経て予算を獲得をするということを考えておりますので、基本的には、そういった事務的な部分、作業でありますとか、例えば国際的な学会への参加費でありますとか、そういったものを年度計画に学術会議の方でお示しをいただいて、必要な金額ということで予算交渉をやって獲得をしていくということ、これは全く今までと一緒ということを考えております。
その上で、先ほど市村委員からも御指摘がありましたが、それ以外の財源の確保ということも御努力をいただくということが私も必要ではないか、こう思っているところでございます。
○菊池委員 済みません、最後、一点だけ質問をさせてください。
なかなか私自身もまだ懐疑的な印象を払拭できるところまで至っておらず、あさってから、五月十一日から大相撲夏場所が始まりますけれども、何か、国技である相撲のルールがちょっと変わりそうだという中で、関取も、差配する行司も、そしてまた見ている観覧客の方も、何となく納得感を持って楽しめないというような、私の勝手な印象なんですけれども。その根底にあるのは、やはり、政府と日本学術会議の信頼関係をいかにもう一度再構築していくかということが重要なんだろうというふうに思います。
この点、ナショナルアカデミー五要件の懸念の払拭、こちらも、政治側のトレンドによってどっちに傾くか分からないというような緊張感があると思います。
これまでの任命拒否問題に端を発して、コミュニケーション不足があったのではないかというところを、しっかり、信頼関係の再構築に向けて真摯的に取り組んでいく姿勢が重要なんだろうというふうに思いますが、その点、最後、大臣の決意をお伺いできればと思います。
○坂井国務大臣 学術会議の皆さんも、そして我々も、望むところは、学術会議が今後拡充し、充実し、そして国民のために、国民に認知をされ評価をされ、そして社会のために研究成果を具体的に形になって実感できるようなものをお示しをいただくといったような、望むべき学術会議をつくることだと思っております。
今までいろいろございましたけれども、今までもできる中で精いっぱいのコミュニケーションを取りながら議論をここまで深めてきて、今までも何か所かで御指摘をさせていただきましたが、学術会議からの要望も受けて法案を作ってきて、そしてまた、懸念についても御説明をする努力をさせてきていただいたところでありますが。
ですから、同じ、目標は一つと思っておりますので、それに向けてこの法案後も真摯に対話を続けてまいりたいと思っております。
○菊池委員 以上です。ありがとうございました。
○大岡委員長 この際、政府参考人から発言を求められておりますので、これを許します。笹川内閣府大臣官房総合政策推進室室長。
○笹川政府参考人 本日の市來先生への私の答弁において、会長の選任について、正確には、条文はこうなっています、「総会が、その決議により選任する。」というところを、済みません、みんなで選んでいるというような気分で言っていました。総会によって互選されます、互選の結果、互選でございます、互選なので、四か所誤っておりました。大変申し訳ございません。改めておわびいたします。(発言する者あり)はい。申し訳ございません。
○大岡委員長 次に、上村英明君。
〔委員長退席、國場委員長代理着席〕
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
四月二十五日の質疑、五月七日の参考人質疑、それから本日の午前の質疑、大変勉強になりました。特に、今回の日本学術会議法案に関して、学術会議と政府の溝は深いなということを感じることになりました。
それに関して、二点まずは前置きしたいんですけれども、この法案は、ある意味では法律の体を成していないなということを思います。法律の体を成していないというのはどういうことかというと、立法府がいかに軽んじられているかということを感じざるを得ない形になっていると思います。
具体的には何かというと、これこれは内規で定める、例えば、構成に関して内規で定めるとか、それから事務局に関しても内規で定めるとか、こういうことがたくさんあるので、委員の皆さんが、大臣、どう思いますかというのを問わざるを得ない。大臣の発言の議事録を言質としてこの法案のある意味では担保にしたいという構図を取るということは、法案自体が法の体を成していないということを実は感じております。
それからもう一点は、もう少し具体的なことなんですけれども、日本学術会議が四月十五日に採択した中に、ある意味では、国会で、抜本的な修正の可能性を含む、十分に慎重な審議をしてほしいという期待が記入されております。しかし、今までの質疑を見ても、内閣委員会を含む本衆議院審議で抜本的な修正が行われる可能性はないなというふうに私は思っています。
ちょっとこの辺の確認をまずは坂井大臣に率直にお尋ねしたいんですけれども、これから少し、若干まだ委員は残っているんですけれども、本委員会で今回の法案の抜本的な修正は可能だというふうにお考えでしょうか。御意見を伺います。
○坂井国務大臣 何度か私も御答弁申し上げさせていただいておりますが、懇談会の報告書を踏まえ、そして法案化をしてまいりました。その間も、学術会議の方々といわばコミュニケーションを取りながら、様々な御要望を伺いながら行ってきたところでございまして、これがベストと思われるものを今回提出をさせていただいておりますので、前提において、この法案、修正を今考えているものではありません。
○上村委員 確認ができまして、とてもありがとうございます。
今日は光石会長もいらっしゃるので、学術会議としては十分な検討をしていただきたいという期待を込められてここに出席されていると思うんですけれども、残念ながら、今のお話を聞いていると、この場では基本的には修正はできない、今がベストな状況での法案の提出だというふうなことを確認させていただきました。
それを踏まえて次の点に移っていきたいんですけれども、まず、御紹介させていただきたい言葉があります。四月二十三日の拉致問題特別委員会で、私がもう一つ所属している委員会で質問をしたところ、林官房長官が答えられた言葉があります。余りにすばらしかったので皆さんと共有したいなと思っているんですけれども、何とおっしゃったかというと、愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶということをおっしゃいました。さすがにやはり官房長官だなというふうなことを思い、めちゃくちゃ同感したんですけれども。
その意味でいけば、四月十五日の日本学術会議の決議は、どこから始まるかというと、どういう理由で、あるいは、どういう背景でこの日本学術会議が設置されたのかというところから始まります。いわゆる日本学術会議のある種の歴史というものをちゃんと認識して、この取組をしてほしいなという期待だというふうに思うんです。
戦前は一九二〇年につくられました学術研究会議があり、これも前回私が指摘したと思うんですけれども、一九四三年の東条英機内閣の閣議決定で、科学研究は大東亜戦争の遂行を唯一絶対の目標としてこれを推進するとして、軍事研究に動員され、この軍事研究の展開の中で著しい人命が損なわれた歴史をくぐった経験から、この日本学術会議が誕生します。
人命の損傷と言いましたけれども、これは今、議長席には沖縄の出身の先生が座っていらっしゃいますけれども、やはり、沖縄戦の問題とかが忘れ去られようとしているという現実を考えると、本当に重いなというふうに思うんです。
第二次大戦の犠牲者は全体で五千万から八千万と言われています。どうしてこれだけの多くの犠牲を払ったかというと、原因の一つが科学技術なんです。つまり、物すごい軍事技術の発展によってこうした人命の損傷が行われた。これを踏まえて、科学者の方たちが、戦後は自分たちは平和の目的に貢献するんだといって日本の中でつくられたのがこの日本学術会議だというふうに私は認識しております。
この日本学術会議法は、一九四九年ですけれども、科学技術が文化国家の基礎である、それから我が国の平和的復興への貢献をするという、ある種、理念といいますか、歴史的な背景を踏まえた前文が、決して長くはありませんけれども前文が掲げられているのに対して、今回の法案は、第一条、目的の中に、人類共通の知的資源、まあ、時代が違うと言われればそうかもしれませんが、科学技術は資源なんだそうです、資源であり、経済社会の健全な発展への基礎であるというふうに書き換えられました。これに対して、日本学術会議の総会で、こうしたものに対するある種の、反省、何というかな、懸念が生じたというふうに思うんですけれども。
大臣にお尋ねします。法律の前文というのは、本来どういう役目があるというふうにお考えでしょうか。
○坂井国務大臣 法律を総論的に見て、その意義等々をお示しをするということかと思います。
○上村委員 ありがとうございます。何かちょっとひっかかっているんですけれども、ちょっとずれているなという部分がございまして。
目的と前文は違います。前文は何が書かれているかというと、その法律の理念や歴史が書かれています。皆さん御存じの日本国憲法は、我々、第九条が平和主義だというふうに考えているんですけれども、実は日本国憲法の一番大事な平和主義は、前文です。この日本国憲法がどうしてできたのかという歴史認識が書かれているので、我々はその原点に立ち戻ることができる。
この原点とは何かというと、法律は時代が変わると新しい解釈を必要とします。条文が現実に合わなくなってくるというのは、どの法律でもあり得る話です。その場合に、法律学者は一般的に何をするかというと、前文に戻るんです。前文に戻ると、そこに理念と歴史が書かれているので、ああ、この第○○条はこういうふうに解釈すべきだなということができるというのが、この前文の、ある意味では重要な役目であります。その前文が第一条、目的に書き換えられたということは、これは実はかなり大きな問題であるというふうに私は考えています。
そうした意味での、平和的復興に日本学術会議は役に立つという歴史の中で始まったんですけれども、これは古い時代の話に飛びますが、二〇一五年に防衛装備庁が、これは先ほどから何回も出ておりますけれども、安全保障技術研究推進制度ができ、これに対して、日本学術会議がそれに対する懸念を示される声明を出されました。さらにその後は、安保三文書が出て、ある意味では軍事利用の問題というのが日本の政治課題になっていくという。その意味では、日本学術会議は、学術の機関であるとともに、歴史的にいえば平和主義の組織なんです。
この問題を、今回の新しい法律を作るとおっしゃっておられて、しかも強化するというふうなことをおっしゃっている中で、どういうふうにお考えか。つまり、政府の政策に、ある意味ではイデオロギー的に反応しているのではなくて、元々、日本学術会議のでき方は、平和を守るという科学者の第二次大戦後の使命に基づいてつくられました。この辺について、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○坂井国務大臣 現行法の基本理念ということでございますが、拡大、深化した形で、時代の変化等に合わせて新法に引き継がれていっているということで考えておりまして、学術会議の継続性が失われるということではないと考えております。
いずれにせよ、学術会議におきましても、先日、四月十五日の声明において、日本学術会議の理念と位置づけは変わらず存続すると表明されているものと承知をしているところでございます。
○上村委員 では、ちょっと今のも異論があるんですが、次のポイントに移りたいと思います。
これは、学術的に国を代表する機関というのが日本学術会議ということを言われていまして、その意味でいけば、現在の日本学術会議法が持っている三部制の問題をどう考えるかというのは極めて重要なことであるというふうに思います。第一部が人文・社会系、これはもう繰り返しませんが、第二部、第三部があって、特に人文・社会系の研究者の存在というのがとても大きな意味を持ってくると思います。
さらに、この下に、実は日本学術会議は各委員会を持っています。これは、機能別委員会、分野別委員会、課題別委員会というのがあるんですけれども、私のところにも、例えば法学委員会とか史学委員会とか、そうしたグループの先生方から、様々な、今回の状況に関していろいろな要望が内閣委員ということで寄せられています。
こうした会員組織をどう扱うかに関して、これも何回も言われていますが、法案に明文はなく、先ほどのお話ですと、内規で決めるということが書かれているんですけれども、学術的に国を代表する機関ということをちゃんと残すのであれば、さっきの学会とか大学とは違います。そういう意味で、どういうふうな会員組織を扱うということが法文に明記されなかった理由をお尋ねしたいと思います。
さらに、これに付随するんですけれども、二百十名の会員がいれば、これは七十、七十、七十です。三つの分野を七十人ずつ分けて、ちゃんとした構成を考えていらっしゃったと思うんですけれども、これを二百五十にするという。二百五十では三で割れません、私の算数能力かもしれませんが、三つで割れないんです。こうした研究者のそれぞれの分野というものをどういうふうに統合していくのかというのを、今回の法案ではどういう議論をされたのかというのを笹川さんにお答えいただければと思います。
〔國場委員長代理退席、委員長着席〕
○笹川政府参考人 お答えいたします。
御質問いただいた点、三部制を始めとして事務局、連携会員、みんなある意味そうなんですけれども、いろいろ議論しました。そもそも今何をやっているんですかみたいな話からして、そもそもどういう機能なんだという、そんな話をしました。
結論的には、元々学術会議の方が、内部組織の決め方はなるべく、法律で書かないで、内部規則なり自分たちで決めさせてほしい、その方が弾力的だからというお話がありましたので、可能な範囲でそのようにしようというのが懇談会の意思でもあり、我々もそう考えました。ただ、例えば総会だとか、絶対の骨格として要るやつは落とせないわけですけれども、それ以外はなるべくと、そういうことでございます。
○上村委員 光石会長がいらっしゃるので、この分野別の構成に関しては、会長としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○光石参考人 日本学術会議が活動を行っていく上で、御指摘の部ですとか委員会、そういう組織ですとか、それから連携会員の役割というのは非常に重要であります。これらの組織については、法人の自主性に委ねられているものとの説明を受けております。
今回、四十名の増員をされているわけなんですが、分野融合的なところをしっかりやるべきであるということで、これまでも分野融合的なところはやっているのではありますが、そこを更に強化するという意味で増員ということをお願いし、それが認められているという形になっております。
三では割れないんですけれども、分野融合的なところというのは必ずしも三で割れる必要もないかなというふうには思っております。
○上村委員 ありがとうございます。
なぜこうしたことをお尋ねするかというと、二〇〇一年につくられまして、これは端々に出てくるんですけれども、総合科学技術・イノベーション会議という、もう一つの科学技術政策の司令塔と言われる組織が政府にあるんですけれども、このCSTIは、どうも文科系の研究者がなかなかいないんですね。
科学技術をいわゆる自然科学系の研究者中心で牽引していきたいという御議論があると思うんですけれども、私なんかは前から言っておりますように国際法の研究者なんですけれども、例えばバイオテクノロジーとかというのは、このCSTIの範囲内に入ると思います。いわゆる自然科学系の分野でありますけれども、じゃ、バイオテクノロジーが自然科学系の先生だけで構成できるかというと、今どういうふうな議論が文系の中でできるかというと、遺伝子資源の知的所有権という議論を国際的にはしています。つまり、DNAの構成が違った場合にどこで特許権を発生させるかということがございまして、国際的に知的所有権機関というのがジュネーブにあるので、こうした法的な枠組みをバイオの分野であっても文系の研究者が扱っているということがございます。
その意味でいけば、今会長がおっしゃったように、やはり文系と理系のある意味ではちゃんとした融合がないと本当は科学政策というのは前進しないということがあり、それまでは、日本学術会議の場合は、少なくとも三部構成というのは、その基礎をつくられていたと思います。確かに、それぞれの研究者が分野を融合、個人で幾つかの分野にまたがるということはありますけれども、これはある種、社会学的に言うと、アイデンティティーの問題とよく似ています。
私も、いろいろな分野、それなりに話ができます。でも、あなたは何と聞かれたら、私は国際法が専門ですと言います。なぜかというと、これは、大学のときには政治学でしたし、私が一番近しい研究者の先生が社会学だったんですけれども、自分が今一番自信を持って語れるのは国際法学だから。ですから、どんなに分野をまたがっていても、あなたのアイデンティティーは何と聞けば、研究者というのはそれなりに答えられるものだというふうに私は思っています。
その意味でいけば、こうした、分野の違う研究者、違うという、区別がつく研究者を統合的に扱う組織としての日本学術会議の重要性というものはとても大事だなというふうに思っていて、それを、内部構成は皆さんにお任せしますということの中で、先ほど言いましたように、内規でこれを定めるという形のものが、本当に政府の政策として、見える形になっているのかというのはとても疑問に思っています。
次の点に移りたいんですけれども、活動の独立性の問題というのは、これも皆さん何回も御質問になったので余り新鮮味がないかもしれませんが、私の視点からすると、実は活動の独立性というものの中には、産業界からの独立性や、それから、先ほどから言っております軍事研究からの独立性が入ります。
例えば、政府からの独立性と同時に産業界からの独立性が重要だということは、これも古い話と言われればそれまでなんですけれども、一九六一年、アメリカのアイゼンハワー大統領が退任演説のときに、軍産複合体ということを警告されて退任されました。これは何かというと、軍事産業と政府の癒着が民主主義を脅かすという警告をされたことであります。
アイゼンハワー大統領というのは、日本では余り、マッカーサー元帥の方がなじみ深かったんですけれども、いわゆるノルマンディー上陸作戦の指揮をされた方です。相手方のドイツ軍はロンメルさんがいたので、上陸作戦はすごく難しかったんです。映画を見ると、船が揺れているんですけれども、あの日は天候が悪い日だったんです。その日しかなかったというのを決断されたのがアイゼンハワーさん。で、彼は大統領になりました。その方が、軍人の出身の方が軍産複合体を警告されたということがあり。
二〇一四年の安倍政権による、武器輸出三原則、これは御存じのように、七六年に三木武夫政権のときに確立されたものでありますけれども、実質的に日本は武器を海外に売らないという政策が取られていたものを、安倍政権が外して、防衛装備移転三原則へ転換しました。
これは、実は日本における軍産複合体の形成の始まりに当たります。つまり、武器を海外に売れるという構造ができれば、それによって軍需産業がどんどんどんどん拡大をしていくということになります。今までは、軍需産業はあっても売れなかったので、物すごくコスト高ではあるけれども、それは産業としては拡大しないということがあったんですけれども、早速売ろうということになります。
最初は、日本の潜水艦をオーストラリアに売るということがあったんですが、失敗します。何でかというと、これは武器貿易のノウハウを日本が持っていなかったんですね。それを踏まえて、様々な、武器見本市とかが今行われているんですけれども、こうした軍産複合体がある意味で始まったときに何がされたか。
先ほど言いましたように、二〇一四年にこの軍産複合体が日本で始まったということでいえば、二〇一五年の防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度は、日本における軍産学共同体の始まりと言ってもいいと思います。それに対して二〇一七年に日本学術会議が声明を発表されたのは、これは非常に卓見だというふうに私はその当時思いました。これはつまり、イデオロギーがどっちかの問題ではなくて、日本の戦後の平和主義の問題を体現してきた日本学術会議が、日本政府のある意味では変質に対してきちんとした対応をしたということであったと思います。
軍産学共同体の問題点というのも、先ほどから何か出ているようで出ていないので、ちょびっとだけ言っておきますと、これは、大学が軍事研究に加担するとどういうふうになるかというと、皆さん、ちょっと想像するとお分かりになると思うんですけれども、研究成果が公開できない部分が出てきます。何でだか分かりますよね。一部分が軍事機密だからです。ですから、防衛省と一緒にやれば、ある部分は、研究が完成した後、公開できないということになります。
それから、それが軍産学まで行くと、海外に物が売れるので、どういうふうなことが起きるかというと、軍事産業というのは、アメリカを見たら分かるんですけれども、これは賄賂と癒着がどんどん広がっていきます。例えば、東南アジアに日本の武器を売るとかというと、幾らで売ったかというのは向こうは言いたがりません。こっちも言わないので、賄賂が飛び交うということになって、そういう意味でアイゼンハワー大統領は警告されたんです。
そういう形の産業に日本がのめり込むという時期が二〇一四年、一五年だとすれば、この時期に日本学術会議がこういうふうな声明を出された意味というのは、皆さんが考える以上に重要なことであったというふうに思います。
日本学術会議の副会長の日比谷さんがまとめられた「日本学術会議の組織及び海外のナショナル・アカデミーについて」という資料があるんですけれども、フランスの科学アカデミーの見解を紹介されています。フランス科学アカデミーは何とおっしゃっているかというと、最も正当な助言と勧告を行うためには、公的機関や産業界に対して政治的、財政的義務を負わない完全に独立した機関であることが不可欠であるということをおっしゃっています。
ところが、残念ながら、有識者会議も含めて、産業界の人が入らないと意見の多様性が担保されないということ自体が、ある意味では国際的な基準から外れるのではないかなと思います。
この辺は、笹川委員、いかがでしょうか。
○笹川政府参考人 産業界、まず、当たり前ですけれども、連携はいろいろ言われていて、取り組んでいました。
それから、独立の方も、懇談会でも全く議論がなかったわけではなくて、これは、でも、基本的にはコンセンサスですけれども、特に、まず学術会議の方々が、やはり産業界からの資金が入るときに、今先生がおっしゃっているような懸念があるから非常に慎重にやらないといけないという、そのままの言葉じゃないですけれども、そういう趣旨のことをおっしゃっていました。
それに対して、産業界というか、そういうグループの方々は、それはそれで分かるけれども、そこはやはり、もらい方というか、ルールというんでしょうかね、そういったものをしっかり作って、外国はそういう意味では我々より進んでいるので、企業なり、外部資金をもらっています。そこでもきっときちっとしたルールを作っていて、何か、例えば、こういうことをやれと言われてお金をもらうようになっていないはずだからとか、そういう話がありました。
そこも、さっき先生、ちょっと厳しい御指摘をいただきましたが、どういうルールでやるかは、やはり一義的にはアカデミーの中で考えてもらうのかなという議論になっていました。御紹介をさせていただきます。
○上村委員 デュアルユースの問題も出てきて、確かにデュアルユースというのは、軍民共用でなかなか線引きが難しいということがあると思いますが、昨日の議論で、ちょっと大丈夫かなと思ったので、一つだけ追加で説明させていただきます。
レーダー、どこに誰がいるかというのを把握する軍事技術のレーダーなんですけれども、レーダーから電子レンジができたというのはまさにそのとおりです。ところが、ちょっと説明がなかったなと思うんですけれども、日本は、戦前はレーダー研究は政府が止めたんです。なぜかというと、当時の軍部は、レーダーというのは防御的兵器、つまり受け身の兵器であって、日本の大和魂でいけば、攻撃的兵器、つまり大きい軍艦を造ったり速い飛行機を造ることが大事だといってレーダーの研究に待ったをかけたために、実は日本の中ではデュアルユースはそう簡単には実現しなかったという、これはアメリカがやったので、戦後電子レンジが普及したということがあります。
そういうことを踏まえていくと、実は、デュアルユースの問題も、難しいけれども、やはり慎重に取り組まなくちゃいけない問題で、二〇一三年、日本学術会議は「科学者の行動規範 改訂版」というのを作っていらっしゃいます。この改訂版を作ったときに、科学者の責務の第六項に、当時はこういうふうな文言です、科学研究の利用の両義性に触れられていて、デュアルなので両義性という言葉を使っていらっしゃいますけれども、科学者は、自らの研究の成果が、科学者自身の意図に反して、破壊的行為に悪用される可能性があることを認識し、研究の実施、成果の公表に当たって、社会に許容される適切な手段と方法を選択する。
これはすごい、何というかな、明確とは言えないんですけれども、でも、当時としては多分ベストな表現だと思います。科学者は、自分たちの成果が意図しない悪用をされることに気をつけながらやってくださいよという、こういう警告であります。そういう意味では、日本学術会議は、私は、物すごくよく働いているなという、これは別に光石会長をよいしょしているわけじゃないんですけれども、というふうに思っております。
そういうことを考えれば、二〇一五年の日本学術会議の今後の展望とか、二〇二二年の政策討議取りまとめの中にも、二〇一五年の報告書の中では、日本学術会議に期待されている機能に照らしてふさわしいものであり、これを変える積極的な理由は見つからないという報告書の意見もございます。二〇二二年の部分は、日本学術会議に自ら主体的に考えていただくことが何よりも重要であるという認識の下、日本学術会議の自己改革の円滑な進展を強く期待するという、これが当時の、いわゆる、何というんでしょうね、日本学術会議の改革を求めた人たちの意見でありました。
もちろん課題はあるけれども、日本学術会議はよくやっているよという意見だったというふうに思います。それが急遽、学術会議法を廃止して新しい法律を作らなければいけないという、何か論理が飛んでいるなという、私も根がおっちょこちょいなのでそういうふうに思っちゃうんですけれども、そういうことを思わざるを得ないということがあります。
それからもう一つ、寄附文化がないというふうに、これは笹川室長がおっしゃったんだと思うんですけれども、日本が外部資金の導入、これは先ほど田中健委員が、国立大学の改革の問題と今回の問題がよく似ているのではないかとおっしゃられて、私もまさにそのとおりだというふうに思うんです。
では、国立大学に外部資金を導入し、教育機関の活性化をした結果どうだったかというと、国立大学法人法は二〇〇三年に施行されたんですけれども、世界大学ランキングという、イギリスの評価機関がつくった大学ランキングがあるんですけれども、二〇〇三年は東京大学十四位、京都大学二十一位だったんですけれども、今年の二〇二五年の世界大学ランキング、東京大学二十八位、京都大学五十五位であります。
この何年間も、教育改革をするよといって、その結果、順位が落ちているわけですよね。これは失敗じゃないんですか。同じような手法で、日本学術会議の財源の多様性とかそういうことを言ったときに、本当にこれは成功するんですかという疑問があるんですけれども、笹川室長、いかがでしょうか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
成功してほしい、必ず成功するというつもりでこの法律を作らせていただきました。
学術会議も含め、懇談会の皆さんとも一年半議論をしてきました。やはり、何でも海外がいいというわけじゃないんですけれども、海外アカデミーの、先生がおっしゃったように、まさに国から独立して、多分、本当の意味での独立ということで、我々はそれを目指していますが、独立して責任ある形で、かつ、外部資金を獲得しながら、それには苦労が伴うわけですけれども、獲得しながら、そしてその獲得したお金で、事務体制などを整備したり、あるいは、新たな、場合によったら、調査や何かをやったりとか、それから優秀な人材を雇ったり、そういうこともできるんだと思います。
それから、さっきちょっと申し上げたような気もしますけれども、やはり、そういう外部資金を取ろうとして……(上村委員「短めで」と呼ぶ)済みません、いろいろな人とコミュニケーションを取ったりするところが活性化にもつながります。
是非、モデルチェンジと言うと変ですけれども、新しい時代の将来に向かって発展していく学術会議として、やはり国民、社会と対話をしながら頑張っていただきたい。もちろん学術の発展が一丁目一番地だと思っていますので、頑張っていただきたい。
以上です。
○上村委員 これで最後にしたいと思いますけれども、今の室長のお話を聞いていると、何か、期待と希望だけでこの法案を通そうなんということが明らかではないかなと思います。
先ほど、最初のときに申しましたように、この法案は、私の見解からすると、やはり廃案にして、一からもう一回、日本学術会議側ときちんとした話合いをして作り直すべきだというふうに思っています。
会長が一人入っているからとかではなくて、本当は半数ずつ入るぐらいの政府と日本学術会議の話合いの場があってもいいというふうに思っていますので、その辺を、これはもう質問ではないので、これで終わりたいと思いますが、もしそういうことであれば、抜本的改革というのは、そういうことまで行き着かないと、この問題が解決することはないと思います。
今日はありがとうございました。
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
日本学術会議法案について質問いたします。
まず最初に、先ほどの日本維新の会の三木委員の発言ですけれども、この間の学術会議に対する不当な発言、我が党に対する不当な攻撃に対して強く抗議するものであります。
ましてや、市民の発言を抑圧するようなことは許されるものではありません。さらには、大臣が、特別な発言を繰り返すような会員には解任を持ち出すかのような答弁というのは、断じて認められるものではないということも申し上げておきます。
我が党が学術会議に不当に介入、干渉をした事実は全くありません。
三木議員は、本会議で、「日本共産党の七十年」の本には、同党が日本学術会議の設立に一定の役割を果たしたと書かれていると述べておりましたけれども、しかし、実際に、党の七十年の歴史の本の中では、同党が、日本共産党が、が主語ではなくて、民主主義科学者協会が日本学術会議の設立に一定の役割を果たしたと書いてあるんです。まさに、七十年の党史の記述を改ざんをして本会議で質問の材料にする、とんでもない話であります。
こんな我が党への攻撃、同じようなことをやっているような団体があるなと思いましたら、そういう団体というのが、あの統一協会系の団体の国際勝共連合や世界日報であります。解散命令の対象となるような統一協会系の世界日報の社説では、「日本学術会議 共産党の影響力を排除せよ」などと中傷する社説が書かれているところであります。
結局、三木委員のやっていることは反社会的集団の統一協会系団体と同じものでありまして、統一協会と一体と見られても仕方がない。恥ずかしくて本人もいなくなってしまった。軍拡推進で政府・与党と気脈を通じているということが大本にあるということを厳しく批判をし、質問に入ります。
ただ、質問に入る上でも、この間の答弁の誤りは余りにもひどいということを言わざるを得ません。
本会議において、大臣が、候補者選考委員と候補者選定委員を言い間違える。その修正の答弁についても誤りがあった。また、笹川室長の答弁においては、会長職務代行者を会長予定者と繰り返し述べるようなことがありました。さらには、今日明らかになりましたように、会長の選任方法を、総会の決議による選任と言うべきところを現行法と同じ互選と述べるという。私も長年国会議員をやっておりますけれども、こんなに政府の答弁が一つの質問で繰り返されるようなことは経験したことがありません。これは国会の審議を愚弄するものじゃないでしょうか。
これは、委員長として、はっきりと政府に対して、そういう旨、強く伝えるべきではありませんか。
○大岡委員長 私にも発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
いずれも、塩川先生の御指摘で明らかになったミスだと思っております。
政府に対しましては、法案説明それから答弁においては正確な言葉を使うように、私からも強く、厳重に注意をさせていただきたいと思います。
○塩川委員 余りにもひどいと。
大臣、こんなに、四回も答弁を誤るような政府の対応というのは看過し難いと思っております。こういう問題について、大臣として率直に発言をいただきたい。
○坂井国務大臣 私なりに一生懸命やってきたわけでありますし、笹川室長も懸命にやっていただいていると思いますが、このような結果になりましたことは申し訳なく思いますけれども、誠心誠意努めてまいりたいと思います。
○塩川委員 大体、質問をしても、答弁が間違っているかどうかをチェックしなくちゃいけない、そんなところから始めるという、まともな議論にならないのは当然のことではないでしょうか。
丁寧な議論が必要だ。まさに現行法を廃止をして新法を作るわけですから、まさに新法を逐条的に議論することこそ、当委員会が行うべきことであって、今日で質疑終局、採決のようなことを与党が提案しているのは断じて認めることはできません。徹底審議を是非とも求めていくものであります。
その上で、この答弁間違いに関連して、幾つかお尋ねします。
今日、笹川室長が間違えた会長の選任方法の件ですけれども、この新法において、「総会が、その決議により選任する。」という会長職ですけれども、この新法において、会長の選任方法というのは誰がどのように決めるものでしょうか。
○笹川政府参考人 総会で選任するところまでの流れというような意味合いでしょうか。
いずれにしても、どういったプロセスで議決するかとか、説明の段取りを進めていくかといったようなことは、基本的には、学術会議の中において決められることだと思っています。
内部の選考、選任手続ということであれば、そういう答弁をさせていただきます。
○塩川委員 新法における会長の選任方法なんですけれども、これは、新法人の総会の議長ともなる会長職務代行者が関わって、こういったルール作り、会長そのものの選任方法についての下部、下位規定を定める、そういうことになるんですか。
○笹川政府参考人 基本的には、会長の職務代行者が議案を準備するということですので、その方がどういった方に相談というか、していくかということだと思っております。
○塩川委員 議案を用意する会長職務代行者がそれを担うということであります。
現行の法律にあります会長の選任方法は互選ということですけれども、これは日本学術会議の細則で、細かい規定が求められているものであります。
こういった、それこそ、今のコンクラーベと同じように、会員が互選をする、過半数を得るまで繰り返すと。三回やっても成らないときには、上位二名の決選投票という形で、細かく規定をしているわけですよね。
今回の、総会における、総会の決議により選任されるというのは、こういうのを、念頭にあるんでしょうか、全く別物ということになるんでしょうか。
○笹川政府参考人 委員会に諮問するとか、諮問というか意見を聞くといった、そういったプロセスは当然委員会がないからできないんですけれども、塩川先生がおっしゃっているような意味合いであれば、基本的には、その後の通常のプロセスと同じような丁寧なやり方を考えていただくということだというふうに思っております。
○塩川委員 いや、答えになっていない話で、結局は、会長職務代行者が議案を提出する、それに当たって必要なルール作りに深く関わっていくということになるわけですけれども、この会長職務代行者が新たな会長の選任方法のルール作りに深く関与するということで、その会長職務代行者は、総理が会員予定者のうちから指名をするということになるわけであります。
こうなると、事実上、会長職務代行者が新法人の学術会議の初代会長となる、そういう人がルールも決めるということに取られるんじゃないでしょうか。
○笹川政府参考人 会長職務代行者自体は、元々の仕事としては、設立時総会の招集とか、先生おっしゃった、議事の進行を務め、議案を作る、そういったことでございます。非常に重要な役割の方なので、ここは会員の予定者から選ぶという、当たり前ですけれども、外部から取ってこないということにしております。
そして、会長職務代行者というのは、会長が選任されるまでの間代行するということでございまして、会長が選任されれば職務に従事しなくなるということでございます。
それで、会長職務代行者が会長になれるかということについては、たしか先ほど申し上げたかもしれませんが、これは排除する規定はございませんが、それを想定してやるという条文でもございませんで、あくまでも総会で選任していただくということでございます。
○塩川委員 総理が指名するという、いわばお墨つきがあり、会長の選任方法についてのルール作りにも深く会長職務代行者が関わるということになれば、二重の意味で、やはり新会長に当たる、そういうのに大きな力を発揮をする。それは、自らなるということも含めてそういうことが行われるようになれば、これはやはり政府の深い関与の下で新しい学術会議がスタートすることになる。会長人事にも政府が深く関与して、いわばその手のひらの上に乗せるということを担保するような法案と言わざるを得ないということを申し上げておくものであります。
それと、この間、私は、現行法と新法と、政府は、この新法について、現行の学術会議の機能を強化するために行うんだということですから、では、機能強化をするというのであれば、その対照表、比較対照表を出してくれというのも最初のときからずっと要求をしてまいりました。私が求めていたものは、現在になっても出ておりません。そういう点でも、附則の部分も含めて、会員選考の方法、部分も組み込んだような対照表というのは是非とも出していただきたい。
その上で、今日、理事会で罰則の話の議論がありました。現行法の学術会議法には罰則の規定がありません。新法には罰則の規定がたくさん盛り込まれております。その際に、理事会のやり取りの中で、政府の方からの説明では、国家公務員法における罰則の関連もあってというので、現行の会員に対して何らかの罰則がかかるという話の説明があったんですけれども、この件についてはどういうふうな整理がされたところなんでしょうか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
会員に適用される罰則ということでしたので、急ぎ確認いたしました。
結果として、特別職公務員である会員にかかる罰則はございません。
○塩川委員 ですから、理事会での説明がいいかげんだったということですかね。
○笹川政府参考人 そういうつもりではなくて、例えば、連携会員は一般職公務員ですので、これは、余り不正確なことは言えませんけれども、国家公務員法とか、違う体系になってきます。会員というふうに限定していただいたので、急ぎ確認して、結果を申し上げたということでございます。
○塩川委員 だから、理事会の、私は最初から、罰則についての対象ということを言ってきたにもかかわらず、やっと今日の私の質問開始の十分前に説明があったということで、これでまともな議論ができるのかと率直に言って言わざるを得ません。
それで、結果として、会員にかかる罰則はないということでありますと、今回の新法によって、幾つもの罰則が会員にかけられることになる。それが、だから大きなおもしになるんじゃないのかということになってくるわけであります。
第五十五条で、秘密保持義務に違反する場合についての罰則が設けられているわけであります。これは拘禁刑ですから、有期刑で、非常に重いものにもなるわけでありますけれども、こういった秘密保持義務をかける。私は、学術会議の性格からして、おかしいんじゃないのかと。
そもそも、学術というのは公開が基本原則なんですよ。公開を通じてまさに真理を探求をする、ここにこそまさに学術の大本があるわけで、これに対して何で秘密保持義務で罰則までかけるのか。おかしいんじゃないですか。大臣。
○坂井国務大臣 特殊法人であります学術会議には、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、公文書等の管理に関する法律などが適用されることから、情報公開等については、これらの法令の下で適切に対応されるべきものであり、総会の公開を含む法人化後の学術会議の適切な運営の具体的な在り方については、学術会議におきまして適切に検討されるものと承知しておりますが、学術会議にも政府の様々な情報が提供される場合もございます。そういう中に様々なものがあるということを想定をする中で、そういった場合においての守秘義務というものを要は今回つけているということでございます。
○塩川委員 現行の学術会議において、こういった秘密に関わるような情報というのは提供されてきたという経緯があるんですか。そもそも、そういうのがない中で、このような様々な貢献、成果を上げてきているのが学術会議だと思うんですけれども。
政府の情報が提供される、それは現行だって、政府から情報は提供されているでしょう。何でそこに秘密保持義務をかける必要があるんですか。
○坂井国務大臣 罰則につきましては、基本的には、現行は政府の中の組織であるということであります。今回、外部の組織、法人化になって外部の組織に出るので、こういった形で担保しているということでございます。
○塩川委員 現行で問題となる事例がない。特別職国家公務員において、そもそも罰則をかけないでやってきているわけですから。そういう中での業務。その機能強化で、何で会員に秘密保持義務で違反すれば罰則をかける必要があるのかと聞いているんですよ。その際に、政府の情報が提供されるからだという話ですから、どんな情報が提供されるから罰則が必要だということなんですか。
○笹川政府参考人 済みません、先に事務局からお答えさせていただきます。
この守秘義務規定は、一般的に、例えば独法なんかでも、その役員について置かれているものであって、特段、学術会議だけ今回罰則を置いている、守秘義務については、ということではございません。
ということと、それから、どういう場合というのは、これはそういう意味では様々ですけれども、それほど機微にわたる情報がないのであれば、当然この規定は適用されませんので、それほど問題はなかろうと思います。(発言する者あり)
ただ、これは前から申し上げているとおり、最後申し上げますと、国が設立して、それは国のお金で運営される法人でございますので、その法人が適正、適切に運営される責任を負っているというのは先ほど申し上げました。その一環として、やはり役員は守秘義務をかけておく必要があるということでございます。
○塩川委員 いや、大臣は、政府の情報が提供されるから、その場合に秘密保持義務が必要であり、それに違反するようだったら罰則が必要だと述べていたんですよ。ここの、政府の情報が提供されるという、その情報が、まさに秘密に関わるものだ、特定秘密とか特別防衛秘密とか経済安保保護情報、こういった秘密が提供されるということを念頭に、この罰則規定があるということですか。
○坂井国務大臣 最初からちょっと整理をさせていただきますと、現行の日本学術会議の会員には罰則規定はかかりません。これは逆に言うと、総理が任命をするということによって、それが外されているという意味合いがあるそうです。そして、その代わり、連携会員、連携会員は公務員でございますので、連携会員に関しては公務員の守秘義務がかかっているということでございます。
それで、ですから、今回は法人で、外に出ますし、総理大臣の任命ではなくなりますので、そこで守秘義務がかかるということでございまして、その中身に関して様々な場合があるということが想定、想定というか可能性を示しておるわけで、具体的にどんな情報がどうだという話を私は想定をして申し上げたわけではありませんが、しかし、そういう可能性もあるということも含めてそこは申し上げたところでございます。
○塩川委員 いや、だから、具体的にどういう事例があるか示してもらわないと議論にならないじゃないですか。何で入れたんですか、いや、一般的にそうなんです、そんな話ではなくて、現行はないんですから。ないものに何でこういった秘密保持義務をかけて罰則をかけるのかといった点について、これはやはりきちっと説明してもらわないと。
○坂井国務大臣 一応そこは今説明させていただいたつもりなんですが、総理が指名に関わり、総理が任命をしたということで外させていただいている。そうではなくて、今回、総理の任命は一切関係がなくなりますので、その分かけさせていただいているということは申し上げたつもりでございます。
○塩川委員 それじゃ説明として納得いかないですね。
この秘密保持義務と言っている秘密について、これは先ほども言いましたけれども、特定秘密だとか特別防衛秘密あるいは経済安保保護情報、こういった秘密に係る、そういった案件が、ここで言っているものに対象としては入っているということですか。
○坂井国務大臣 将来、いろいろな形といろいろな場面が出てくると思いますので、それは全てを排除するものではないとは思っております。
○塩川委員 だから、デュアルユースなんかも念頭に、こういうことをやるのかという疑念というのは当然出てくるわけであります。
こういったことが、要するに、秘密と言われるものが何なのかが分からない、会員の皆さんについても、何が秘密かが秘密で分からないというときに、こういったこと自身が会員の活動に対しての様々な萎縮効果をもたらすことになりかねないということになると思いませんか。
○坂井国務大臣 基本というか、普通は萎縮されることはないと思います。これは全く通常とは違う扱いでありますので、そこは大丈夫だと思っております。
○塩川委員 それでは、何が秘密か分からない中で秘密保持義務と言われても、それはやはり、会員にしてみれば、様々遠慮せざるを得ないという効果にならざるを得ないというのは、もう明らかじゃないでしょうか。
あわせて、罰則の五十七条の五号には、会議の業務、第三十七条に規定をする会議の業務以外の業務を行ったときに罰則をかけているわけであります。この三十七条では、一号から五号まで書かれておりますけれども、いわば学術会議の政策目的に沿った項目が会議の業務に掲げられているんですが、この限定列挙の会議の業務以外の業務を行ったときに罰則ということになると、これは誰がその判断を、つまり、会議の業務以外の業務をやっていたということはどういうふうに判断するものなんですか。
○笹川政府参考人 そこは、最後は罰則の話になりますので、司法判断なんだと思います。
ただ、これは、業務以外の業務という意味合いは、学術会議の、おっしゃっている業務以外の全然関係ない業務を、あたかも学術会議がやっているようにとか会員の名前でやるとか、そういうことを防止しようとしているのであって、副業みたいなのが駄目だとか、そういうことを言っているわけじゃございません。
それから、これも一般的に国が設置する法人において設けられている規定でございまして、ある意味、守秘義務と一緒で、法人のガバナンスを担保するためのもので、どういう場合か、それは、申し訳ないですけれども、ケース・バイ・ケースということになります。通常の場合、そんなにと思っています。済みません。
○塩川委員 学術会議というのは、通常の独立行政法人のような業務執行の法人、機関ではありません、審議機関ですから。そういったことについて、会議の業務の範囲を超えたらこれは罰則にするといったものというのが、やはり様々な審議に対しての萎縮効果にもつながりかねない。一体誰が外れていると判断するのかといったことなんかも問われてくるんじゃないですか。
○笹川政府参考人 先生、言葉尻を捉えるわけじゃないですけれども、ここで言っているのは、例えば人事とか会計みたいなやつもこれは入りますので、そこは、そういう意味では、例えば人事の秘密みたいなのも、何か狭い例で申し訳ないですけれども、入ってき得る話でございます、さっきの守秘義務ですね。
同じように、法人の基本的に中でやっている分には、普通は業務外にはなりませんけれども、さっき言った、よそに行って何か学術会議の名前をかたってというふうなことであればなり得るということでございます。
○塩川委員 いや、だから、誰が業務から外れていることの問題について指摘をするのかという問題が出てくるわけですよ。
ですから、三十七条の一号から四号までには、それぞれ事項が述べられています。五号には、こういった「前各号に掲げる業務に附帯する業務を行う」というのがあるんですよ。附帯の業務ですから、その範囲だって当然幅があるわけですよね。どこまでが業務の範囲であって、どこから先が業務外なのか、この線引きというのは誰がどういうふうにやるんですか。大臣。
○笹川政府参考人 それは、通常は法人の長ということだと思っております。
○塩川委員 これは、監事は全く関わらないということですか。
○笹川政府参考人 法人の長だけと言っているわけじゃないんですけれども、最終的に判断し、例えば懲戒処分みたいなのを打つとか、そういう形になっていくのは法人の長だということを申し上げました。
もちろん、監事であっても、会長に見つけたという報告をするとか、そういったことはございます。
それから、もっと言ったら、それ以外の方も、端緒があったら、しかるべき者に報告するということだと思いますけれども、やはり法人の中ですから、一義的には法人の長が判断されるというふうに思います。
○塩川委員 だから、会議の業務から外れていますよといったことを指摘するのは監事の仕事の範囲内ということですね。
○笹川政府参考人 まず、監事だけじゃなくて役員もそういうことはできますし、それから、監事は何でもできるかというと、基本的に法人の中ですので、どこか、その人の家で何か違法行為をやったというのを監事がやるということじゃありません。監事はあくまでも法人の業務に関する監査をするということでございます。
○塩川委員 だから、会議の業務、外れていますといったことをやれば罰則の対象ですよと。その外れていますよという判断を監事がするということですね。
○笹川政府参考人 ですから、ですからと失礼しました。
会長が判断して、例えばその人を処分するとか注意するということで、監事はあくまでも、見つけたら会長に報告するということでございます。
○塩川委員 会長とともに総理大臣にも言うんですよね。
○笹川政府参考人 そうです。ただ、一義的と言ったら変ですね、法人の内部で違法あるいは不当な行為を是正する権限を持っているのは会長ですので、通常は会長に言いますし、同時に総理に言われても、総理はある意味何もすることがないです。
総理が何をするかというと、是正の求めというのがございますので、どうしても法人の中で是正がされなかったようなときには、そういう求めをするというようなことはございますけれども、基本的には、会長、総理に報告して、会長がまず動く、そういうことでございます。
○塩川委員 総理に任命される監事が、非常に大きな権限があって、白か黒かといったことについて事細かに監視、監査をするというのが今回の法案にならざるを得ないんじゃないのかということを強く危惧するものであります。
私が質問したかったのはこれからの話なんですけれども、光石会長に伺います。
現行法の前文には、日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と連携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立されるとあります。
ここにあります「科学者の総意の下に、」の意味するところは何かについてお答えください。
○光石参考人 お答えします。
現行の日本学術会議法の制定に際しては、全国各分野の研究者から選出された委員で構成する学術体制刷新委員会において審議、決定し、総理に報告された日本学術会議法要綱を基に法案が作られたと承知をしております。
このような経緯を踏まえ、現行法の前文に、「科学者の総意の下に、」という文言が規定されているというふうに考えております。
○塩川委員 今、会長から御説明がありましたように、やはり、現行の日本学術会議法が、戦後の学術の新体制を検討するために国内の科学者の選挙によって選ばれた学術体制刷新委員会により起草され、そして総理に提出をされた。それが国会審議などを通じて現行の学術会議法になっているところであります。やはり、戦前の日本が学術を政治に従属をさせ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省に立ったものが、この日本学術会議法の出発点にあるところであります。
このような日本学術会議法は、科学者の総意の下に法の基本理念や制度がつくられ、政府による提案と国会による審議を経て成立したものであります。その後の改正でもこの基本理念は維持されてきました。
ところが、本法案は、日本学術会議との合意もないまま、科学者の代表により起草された現行法を廃止をし、基本理念や会員選考方法、組織の在り方等を政府が一方的に定め、新たに法人としての別組織を設立するというものであり、科学者の総意の下に設立するという学術会議の在り方そのものを否定するものではないのか。大臣に伺います。
○坂井国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、こういった理念の表現の仕方は現代風に変わってはおりますが、しかし、その大本でございます考え方というのは継続をしていると考えておりますし、先ほども触れましたけれども、四月十五日の学術会議の声明でしたか、発表した文書におきましてもそこは継続をしていると認識をしております。
○塩川委員 先日の参考人質疑で、梶田前会長は、各国アカデミーの連合体と言える国際学術会議から、日本政府は、日本学術会議の運営と会員選考の手続に干渉しようとする度重なる試みに対し深い懸念を表明するとのメッセージをいただいたと紹介をしておられました。政府による干渉を退けて、科学者の総意の下に運営、会員選考を行うのがいわば国際的なスタンダードだという立場からの厳しい批判が寄せられているということをしっかりと受け止めるべきであります。
また、梶田参考人は、学術会議との真摯な協議を欠き、同意を得ないまま、組織や選考などの変更を法定化すること自体、ナショナルアカデミーの独立性、自律性を脅かす懸念があると述べているとおりであります。今回の法案は、現行の日本学術会議を解体する法案だと言わざるを得ません。
その上で、法案における会員選考の仕組みについてお尋ねします。
光石会長にお聞きします。
日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会における意見交換の場で、五つの懸念を述べました。そのうち、会員選考に係る、次期以降の会員の選考に特別な方法を導入すること(コオプテーションの考え方の逸脱になる)、選定助言委員会の設置を法定することの二点について述べられている、この懸念の内容を御説明いただきたいと思います。
○光石参考人 お答えいたします。
法人発足時及び三年後の会員選定につきましては、現行のコオプテーション方式とは異なり、現会員ではない外部の有識者を入れた候補者選考委員会により会員候補者を選考するとされております。これは日本学術会議の人的継続性を失わせることを念頭に規定されているのではないかとの懸念があります。
政府の見解では平成十七年度改正時を参考にしたことを述べておりますが、学会における推薦制から現在のコオプテーションへと制度変更された当時と今回の改正は、コオプテーションの仕組み自体は変わらないことを考えると、果たしてこうした特別な仕組みが必要なのか、疑念は残るところでございます。
○塩川委員 まさにその人的な継続性を損なうという点での今回の措置に強い懸念の声が寄せられているところであります。
こういった人的な継続性を損なうようなこういうやり方が、まさに現行の学術会議をなきものにして新しいものをつくるという形を目指すというのが今回の法案ということは極めて重大で、これで質疑が打切りではないと思っておりますし、是非この法案の問題点を更に深めていく。
私が本体でやろうと思った質問はまだたくさん残されておりますので、こういった点でも引き続き審議を行っていくということを改めて求めて、今日の質疑は終わります。
○大岡委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後四時八分休憩
――――◇―――――
午後四時十九分開議
○大岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま議題となっております内閣提出、日本学術会議法案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○大岡委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。山登志浩君。
○山委員 立憲民主党の山登志浩です。
会派を代表して、日本学術会議法案に反対の立場から討論を行います。
そもそも、これといったまともな立法事実がありません。
会員任命拒否問題に関し、政府は、既に一連の手続は終了している、人事に関することは答えないと、既に解決済みであるかのように、まるで人ごとのような答弁を繰り返すばかりでありました。政府が学術会議との信頼関係を損ねることとなったこの問題に対する説明責任を、なぜこの期に及んでも拒み続けるのか、全く理解できません。
本法案提出に至るまでのプロセスについて、政府は、学術会議に丁寧に説明してきたと言いますが、学術会議会長は、有識者懇談会においては対等な立場ではなかったと述べられました。コミュニケーションが不足し、学術会議と真摯に向き合おう、そういう姿勢が明らかに欠けていたと断ぜざるを得ません。
学術会議側は本法案に対し、国家財政支出による安定した財政基盤や活動面での政府からの独立、会員選考における自律性、独立性の充足を求めております。しかし、監事や評価委員会委員は内閣総理大臣による任命であり、忖度、権力の濫用、時の政府による介入のおそれを否定することができません。コオプテーションの考え方の逸脱になる次期以降の会員の選考に特別な方法を導入し、学術会議の人的継続性が遮断されかねません。
これに対し、政府は、この法案の仕組みの中で全てクリアされている旨答弁しておりますが、先ほども学術会議会長の答弁にありましたように、法案質疑を通じて、懸念は払拭されていない、運用がどうなるか分からないと明確に述べておられました。
もはや、本法案を抜本的に修正しない限り、当事者である学術会議の理解、そして国民の理解を得ることは困難であります。しかし、政府は、修正について終始かたくなに拒み続け、必要性がないと繰り返し述べるのみであり、全く改めようとする姿勢はありません。極めて残念であります。
以上、課題山積の本法案には到底賛成することはできません。あるべき学術会議の姿を考えるに当たっては、現行法の学術会議の前文で示されている崇高な理念、そして学問の自由に由来する独立性、自律性が担保されることが大前提であり、本法案はそれを全く満たしていないことを厳しく指摘し、反対の討論といたします。(拍手)
○大岡委員長 次に、市村浩一郎君。
○市村委員 日本維新の会の市村浩一郎です。
私は、会派を代表し、日本学術会議法案に賛成の立場から討論いたします。
賛成するとはいえ、法案の内容に全面的に納得しているわけではありません。
国の機関としての学術会議は廃止し、完全民営化することこそ求められる改革ですが、今回の法案はまだまだ不十分であり、学術会議をめぐる問題の抜本的解決策になっているとは言えないからです。民営化することこそ本来の独立した姿であり、それは真の学問の自由のためにも必要なことだと考えます。
しかし、不十分な法案とはいえ、本法案に反対し、廃案にするとすれば、現行の学術会議がそのまま存続することになり、それでは必要な改革を先送りすることにしかなりません。この度の法人化に当たって重要なことは、その独立性、自主性、自律性を担保することです。
まず、政治的中立性を確保することが非常に重要であり、特定の政党や外部勢力が介入することのないようにするべきです。そのためにも、本法案で新設される選定助言委員会などを会員候補者の選定に当たっての外部の目としてしっかりと機能させることが必要です。
また、運営費用については、できるだけ早い時期に、税金依存の体質を改めて、自主独立の財源の比率を高めていく必要があります。民間が取り組んでいるように、組織運営及び財務面の無駄を徹底的に排除し、寄附金の受入れや会費の導入により財源の多様化を図ることも検討すべきではないでしょうか。新しい法人が透明性のある財務運営を実行することは、国民の理解を得るためにも不可欠だと考えます。
そして、社会の課題を解決するために、政府の科学技術政策の推進に貢献し、学術の価値を社会に還元することで、新たな価値やイノベーションの創出につなげることも求められています。国民から理解や信頼を得られる機能、役割を果たすことは寄附金の申出にもつながるのではないでしょうか。
本法案はあくまでも改革への最初の一歩にすぎず、これで終わりではありません。廃止又は完全民営化を含めた抜本的改革を実現するまでは、改革の手を緩めるわけにはいきません。
本法案の附則第二十七条の検討規定については、施行後六年にこだわらず、不断に見直しを行い、廃止又は完全民営化に向けた議論を続けていくべきです。
以上、提案いたしまして、賛成討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○大岡委員長 次に、上村英明君。
○上村委員 れいわ新選組の上村英明です。
私は、日本学術会議法案について、会派を代表して、断固反対の立場から討論いたします。
この法案は、二〇二〇年の任命拒否問題をきっかけとして、あたかも今の日本学術会議に深刻な問題があるかのように論点をすり替えて出てきたものであり、立法事実が全くないと言っても過言ではありません。そもそも、当時の安倍政権が設置した学術会議に関する有識者会議は、現在の制度を変える積極的な理由は見出しにくいという報告書を出しております。それから数年しかたっていないにもかかわらず、この様変わりは何でしょうか。
現在の日本学術会議は、さきの戦争の歴史や反省を踏まえて、戦後の一九四九年に設立されました。現在の日本学術会議法の前文に、「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、」という文言が入っているのはまさにその表れです。しかし、今回の法案には、平和の文字がないどころか、二〇二〇年に任命拒否された研究者六名が全て文系の研究者であったことが象徴するように、研究者全体を把握する組織としての構成も見えてきません。
学問、学術、科学の研究とは、基本的に批判的精神を生かしながら真理の探求を求めるものであります。そうした意味で、日本学術会議が政府の政策に対して厳しいことを言うことは当然のことであり、今回の法案は法案としての体を成していないばかりでなく、そうした機能を解体するものであるということに強い懸念を持って、今回の法案に反対させていただきます。
以上です。(拍手)
○大岡委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、日本学術会議法案に反対の討論を行います。
政府は四回も答弁を誤り、まともな資料も出してこない。ただすべき点が多々あるにもかかわらず質疑を打ち切り採決をすることに、断固抗議をするものであります。
現行の日本学術会議法は、その前文で、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とするという設立趣旨をうたっています。これは、戦前の日本が学術を政治に従属させ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省の上に、学問の自由を保障する日本国憲法を具体化するという日本学術会議法の歴史的な出発点を記したものです。その下で、独立性や自律性を確保するものとして基本理念や制度がつくられました。
また、各国のナショナルアカデミーは、学術的に国を代表する機関としての地位、そのための公的資格の付与、国家財政支出による安定した財政基盤、活動面での政府からの独立、会員選考における自主性、独立性の五つの要件を確保しています。
ところが、本案は、日本学術会議の合意もないまま現行法を廃止するものです。前文は丸ごと削除され、政府が基本理念や会員選考方法、組織の在り方などを一方的に定めた上で、新たに法人としての別組織を設立します。さらに、学術会議の運営、財務、会員選考にまで政府が介入できる仕組みを様々設け、現行法における、独立して職務を行うとの規定も削除します。日本学術会議の組織及び運営に関する事務が内閣府の所掌事務に位置づけられるなど、政府の監督の下に置かれる組織へと変質させるもので、五つの要件を充足するものとは到底言えません。
本案は、科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、学術会議から独立性、自主性、自律性を奪い、政府の意向に従う組織へと変質させるもので、断じて容認できません。
さきの参考人質疑において、梶田隆章前会長が、学術会議との真摯な協議を欠き、同意を得ないまま、組織、選考などの変更を法定化すること自体、ナショナルアカデミーの独立性、自律性を脅かす懸念があると述べているとおりです。
本案提出の契機となった六名の任命拒否は撤回を、そして、現行の日本学術会議を解体する本法案の廃案を求め、討論を終わります。(拍手)
○大岡委員長 次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 日本学術会議法に反対の立場から討論いたします。
私は、審議に先立ち、賛成でも反対でもない立場からスタートし、審議の結果として反対との結論に至りました。
徹頭徹尾、違和感が拭えない審議プロセスでした。比較的丁寧に質疑通告したつもりでしたが、答弁で疑問が晴れることはありませんでした。大臣答弁から、透徹した目で学術の重みを捉える姿勢を感じることはありませんでした。このような法案では、政府案の足らざるを答弁で補うことはよく行われます。その切り代の準備すらなかったことをうかがわせました。政府の事前の準備不足を厳しく指摘したいと思います。
一方、野党は、いい指摘があったにもかかわらず、修正案が出てこなかったことに違和感があります。先日の参考人質疑では、特に梶田参考人からは、事実上の修正案のトスがありました。熟議を尽くした良質のトスだったと思います。あのトスを受け切れなかったのは残念でなりません。また、この後、附帯決議案が出てくると承知しておりますが、例えば、その中にある監事の政治的中立等は、法案の修正として結実すべきものでした。
結果として、今回の審議については、形骸化という言葉が最も適当な表現だと思います。私は、今日採決することは適当でないと思っていましたが、その一方で、このぐだぐだな審議を対案なきまま継続することの無意味さも実感しています。結局、我々は何をやっていたのだろうかという違和感だけが残ります。
さらには、この機会に、学者の先生方にも一言申し上げたい。
私は、デュアルユース研究に賛成です。一方、反対だという方の見解は十分に尊重すべきだと思っています。しかしながら、他の学者の研究にまで立ち入ってデュアルユース研究や防衛省委託の研究を受けることを阻もうとするのは、それこそ学者の独立性を害するものだと思います。学術会議の独立性はとても大事なものだと思っていますが、個々の学者の独立性も同様に大切なものです。組織の独立性を強調するが余り、個々の独立性を損なうという矛盾は、これを機に解消してほしいと思います。
そして、今回の審議で非常に気になったのが、法案の正当化のために財政民主主義を持ち出したことです。想像するに、これだけの縛りを入れるのに財政民主主義でも持ち出さないと正当化できなかったということでしょう。しかし、よく考えていただきたい。行政の中には、財政支出で支えられる組織でありつつ、政府から独立性を維持しているものが多々あります。会計検査院、公正取引委員会、そしていわゆる三条委員会、それらの独立性にまで容喙するきっかけをつくりかねません。国が金を出しているのだから言うことを聞けとばかりに財政民主主義を振りかざす行為は野蛮であり、非常に危険です。
以上、懸念を申し上げました。
繰り返しになりますが、いい答弁が来ていれば私は賛成する意思を持っていました。そうならなかったことが残念でなりません。その点を強調し、討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)
○大岡委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○大岡委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、日本学術会議法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○大岡委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、國場幸之助君外六名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。市來伴子君。
○市來委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
日本学術会議法案に対する附帯決議(案)
政府及び日本学術会議は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 政府は、令和二年の会員任命拒否問題について、国民に説明責任を果たし、国民の信頼を得るよう努めること。また、日本学術会議との信頼関係を損ねたとの指摘があったことを踏まえ、日本学術会議との信頼関係の構築に努めること。
二 政府は、会長の選任について日本学術会議が公表しなければならない事項を内閣府令で定めるに当たっては、会長に求められる資質を十分に勘案しながら慎重かつ丁寧なプロセスで選考されたことが国民に明らかとなるようにすること。
三 政府は、現行の日本学術会議が、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命として設立されたものであることを尊重すること。
四 政府は、日本学術会議が我が国の科学者の内外に対する代表機関としての役割及び機能を十分に発揮することができるよう、会員の選任、科学的助言等、運営及び活動における日本学術会議の独立性、自主性及び自律性を尊重すること。
五 政府は、法人化後の日本学術会議の設立に当たっては、日本学術会議の実務の連続性に配慮すること。また、設立時の会員の選考について、コ・オプテーションの理念に配慮すること。
六 政府は、日本学術会議が、その役割及び機能を十分果たし、また、その活動を萎縮させることがないよう、日本学術会議の要望を踏まえつつ、必要な財政支援を行うこと。また、補助金等の算定に当たっては、日本学術会議が中期的な活動計画に基づいて作成する年度計画に記載される事項に基づき公正に行い、適切な金額となるよう努めること。あわせて、日本学術会議は、無駄を排除した上で、政府からの財政支援のみに依存せず、民間からの寄附金を始めとした財源の多様化を図るよう努めること。
七 政府は、監査報告、選定助言委員、運営助言委員、中期的な活動計画、年度計画、自己点検評価、日本学術会議評価委員会等に関して政令、内閣府令を定めるに当たっては、日本学術会議の自主性を尊重すること。また、内閣総理大臣が任命する監事や日本学術会議評価委員会の権限が不当に拡大しないよう留意すること。あわせて、監事には、業務における政治的中立性の確保も含め、適切に監査できる者を任命すること。また、日本学術会議評価委員には、産業や国民生活に最新の科学研究及び学問的知見が活かされるよう、中期的な活動計画に対して幅広い視野から意見を述べることができる者を任命すること。
八 政府は、産官学の連携を一層深め、民間の知見や活力を積極的に活用することで、学術の成果を社会に還元し、新たな価値やイノベーションの創出につなげること。また、日本学術会議は、社会の関心及び状況等を認識し、立法府に対する提言を検討することも含め、その政策提言機能を強化すること。あわせて、政府は、日本学術会議が行う勧告、答申等について、その趣旨を尊重すること。
九 日本学術会議は、会員候補者選定委員会、選定助言委員会等の会議体の議事録の公表、日本学術会議と社会とのコミュニケーションの強化等、組織や活動の透明性の向上に努めること。
十 政府は、日本学術会議の更なる改革に向けて不断の見直しを行うため、組織の在り方を含め、本法の運用状況について適時適切に評価及び検証を行い、必要に応じて適切な措置を検討すること。また、本法の施行後三年を目途に本法の施行状況を点検し、その結果を公表すること。
十一 政府は、本法の規定について施行後六年を目途に検討する際には、本法の規定する目的及び基本理念を踏まえた活動状況、業務遂行及び会員選任等に係る説明責任の履行状況、財政面も含む自主的・自律的な運営に向けての取組などに留意すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○大岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。坂井国務大臣。
○坂井国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。
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○大岡委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○大岡委員長 次回は、来る十四日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十一分散会