衆議院

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第4号 平成28年11月2日(水曜日)

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平成二十八年十一月二日(水曜日)

    午前八時四十七分開議

 出席委員

   委員長 三ッ矢憲生君

   理事 黄川田仁志君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 長尾  敬君 理事 小熊 慎司君

   理事 寺田  学君 理事 岡本 三成君

      池田 道孝君    今津  寛君

      小田原 潔君    小渕 優子君

      大野敬太郎君    熊田 裕通君

      佐々木 紀君    島田 佳和君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      辻  清人君    堀井  学君

      松島みどり君    山田 美樹君

      木内 孝胤君    吉良 州司君

      田島 一成君    中川 正春君

      原口 一博君    渡辺  周君

      浜地 雅一君    笠井  亮君

      塩川 鉄也君    足立 康史君

      木下 智彦君    玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        岸  信夫君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   環境副大臣        関  芳弘君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  久島 直人君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       安藤 英作君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       相星 孝一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川崎 方啓君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 高橋 克彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 三上 正裕君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   相川 一俊君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          寺澤 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 多田 明弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 正田  寛君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     堀井  学君

  武井 俊輔君     池田 道孝君

  石関 貴史君     田島 一成君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

  足立 康史君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     武井 俊輔君

  堀井  学君     今津  寛君

  田島 一成君     木内 孝胤君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

  木下 智彦君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  木内 孝胤君     石関 貴史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 パリ協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

三ッ矢委員長 これより会議を開きます。

 パリ協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官相星孝一君、大臣官房審議官川崎方啓君、大臣官房審議官滝崎成樹君、大臣官房参事官宇山智哉君、大臣官房参事官高橋克彦君、大臣官房参事官三上正裕君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長相川一俊君、北米局長森健良君、内閣官房内閣参事官久島直人君、総務省情報流通行政局郵政行政部長安藤英作君、経済産業省貿易経済協力局長寺澤達也君、資源エネルギー庁長官日下部聡君、資源エネルギー庁次長多田明弘君、環境省大臣官房審議官正田寛君、地球環境局長鎌形浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。

松島委員 自民党の松島みどりでございます。

 質疑時間は短くせよと言われましたので、早口で失礼します。

 パリ協定は、世界最大の温室効果ガス排出国である中国や、京都議定書を批准しなかった米国、今後大幅な伸びが予想されるインドなど途上国を含む全ての国が参加する初めての枠組みとして、大変重要な意味があると思います。

 日本にとっては、先進的な省エネ、環境対応の技術を途上国に移転させることこそ国際貢献の重要な使命です。都市鉄道、電力、物流、防災インフラといったハードの面と、製造業の省エネ化、車や工場の排気規制といったソフトの面、両方があると思います。

 安倍総理は、COP21首脳会合で、「美しい星への行動二・〇」として、途上国支援とイノベーションの二つの貢献を表明されました。

 途上国支援は、二〇二〇年までに年ベースで官民合わせて約一兆三千億円、現在の一・三倍にするとしていますが、岸田大臣に、ODAについての私の日ごろの持論を含めて提案し、質問とさせていただきたいと思います。

 ODAにつきましては、国際機関への拠出を減らし、相手国の政府や国民に日本の支援ということがわかりやすい二国間の供与を基本としていただきたいのですが、どうでしょうか。

 九月初めにミャンマーのヤンゴンに行き、道路の渋滞が激しく、交通事故死も多いことに驚きました。

 日本は、地球温暖化防止にもつながる交通分野での協力として、ミャンマーのヤンゴンの鉄道の環状線にJR東日本の古い車両を供給しております。回送とか快速とか書いた電車がそのまま走っているんですが、車体にも車内にも日の丸とミャンマーの国旗が描かれており、私が日本人だということで、乗客、一般庶民の方たちにも大きく好意を寄せられました。第二の都市マンダレーとの間の鉄道も日本の協力で整備いたしますが、きっとまたそこにも日の丸が登場することと思います。

 ヤンゴン川河口の両側を結びます、日本が供与した通勤通学用のフェリーにも日の丸が描かれ、改札では、日本人は運賃無料です、日本からいただいた船ですから、そのように言われました。

 ベトナムでは、親日が高じて、ついに日本語が英語とともに小学校の第一外国語となり、まずハノイで授業が始まりました。ハノイのホン川には、日本の援助でかけた橋、固有名詞はありますけれども、そこが日越友好橋として親しまれておりますし、ホーチミン市の中心部にある地下鉄一号線の建設現場には、ジャパン、ODAと、目立つような表示があります。こういった表示に、これからは、できれば、地球温暖化対策に資する、つまり、交通が便利になるだけでなく地球温暖化対策にも役立つODAなんだということも書き込んでいただければと思うわけです。

 二国間の支援だからこそ、こうして親日感の醸成に大きく寄与している、そのように思っております。

 この問題と、もう一つ、次の質問を続けて申し上げます。

 ODA全体に占める地球温暖化対策の比率を目標値として掲げてはどうでしょうか。国民は一般にODAに対して、自分たちの税金を外国にばらまいているというような印象を抱きがちですが、温暖化対策という目的ならば、日本を含む全人類の課題への対策費として国民の共感を得られやすいと考えるからです。

 この二つ、マルチではなくバイの支援をということ、そして温暖化対策のODAに対する比率の目標値のこと、この大臣のお考えを伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、委員御指摘のように、公的資金を使って開発協力等を行うわけですので、我が国による協力事業であることを明確にするということは、対日理解の観点からも重要なことであると考えます。

 そして、二国間協力の方が、よりそれがわかりやすいという御指摘をいただきました。

 そういった点は確かにあると思いますが、一方で、国際機関の高度な専門性とか調整能力を必要とする場合もあると考えます。例えば、シリア問題とか難民対策などということになりますと、国際機関の調整能力なくして効果的な支援はできないという場合もあります。

 ですから、課題によってこれはしっかり使い分けることが重要だと思いますし、国際機関を通じての協力ということであっても、日本の顔がより見えるようにしなければならない。これは大変重要な指摘だと思います。

 そして、二点目の、地球温暖化対策事業の比率を明らかにするということについてですが、国民の理解を得るということは大変重要だと思います。ただ、地球温暖化問題以外にも、貧困ですとか感染症ですとか、さまざまな課題があります。それから、国のニーズもさまざまでありますし、状況の変化に対応していかなければいけない、こういったこともあります。

 ですので、機動的かつ柔軟にこうしたODAを活用していく、こういったことも重要であると思いますので、厳格な数字でこの比率を最初から明らかにするというのは難しい面もあるかと思いますが、いずれにしましても、ODAに対する国民の理解を得るために、我が国のありようをしっかりと明らかにしていく、こういった工夫として何ができるのか、引き続き検討はしていきたい、このように思います。

松島委員 ありがとうございました。

 イノベーションについて、総理は、日本は二国間クレジット制度などを駆使することで、途上国の負担を下げながら画期的な低炭素政策を普及させていきますと演説されました。パリ協定は具体的な枠組みやルールを今後詰めていくわけですが、ぜひ日本が活用しやすい形の二国間クレジット制度のルールになるよう頑張っていただきたいと思います。

 そして、その中に、日本の極めて高効率の石炭火力発電も活用する形で位置づけていただきたい。

 私は、二年前に経産副大臣としてポーランドに参りまして、日本企業の高効率の石炭火力発電の宣伝をしてまいりました。超超臨界圧、Jパワーの磯子発電所のタイプですが、この発電所はポーランドに既に建設中で、来年十二月に運転を開始いたします。それに、さらに発電効率の高いIGCC、石炭ガス化複合発電も二〇二三年を目標に導入が検討されております。

 このポーランドというのは石炭産出国でありますし、そしてまた、四十年以上前の社会主義体制下でつくられた古い建設所、古い発電所をどんどん切りかえていかなきゃいけない。そういった中で、エネルギー対策と同時に温暖化対策としても日本のこの高い技術の活用というのが重要だと思います。

 日本でも、IGCCはまだいわき市に実証炉があるだけという状況です。二〇二〇年に世界最高効率の大型炉の商業運転を日本で、いわき市で開始いたします。こういうトップレベルの、日本でもこういう状況である最新技術を今後いち早く諸外国に供与していくことは非常に有意義なことだと考えております。

 かつて、石炭火力は悪であるというような欧米諸国の風潮がありましたが、OECDでも昨年十一月に、超超臨界圧は大型機を含めて全て輸出信用の供与が可能というふうに認められました。こういったことを踏まえて、ぜひ世銀、IMFグループにも働きかけたり、あるいは二国間クレジット制度の中に位置づけるとか、そういったことを進めていただきたいと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

 そして、日本政府としては、ベトナムやタイ、インド、さらにG7で支援を決定いたしましたウクライナへもこの高効率の石炭火力の採用を目指していくようですが、成功を願っております。これについてもお答えをお願いします。

岸田国務大臣 まず、一点目の二国間クレジット制度、JCMの話ですが、この二国間クレジットは、低炭素技術等の普及促進、あるいは我が国の削減目標の達成、こうしたものに資する制度であると認識をしており、我が国としまして、十六カ国と実施関係を構築しているわけですが、ぜひこのJCMにつき、これまでと同様、積極的な活用を担保すべく、パリ協定のもとでのルール構築に係る交渉にも全力で取り組みたいと思います。

 二点目の高効率石炭火力の方の話ですが、開発途上国の中には、環境的に、あるいはニーズとして石炭火力に頼らなければならない場合も存在します。その場合において高効率の石炭火力は有効であると認識をいたしますが、いずれにしましても、石炭火力に関する国際的な議論が今盛んに行われています。この議論の状況も見ながら、そして相手側のニーズもしっかり確認しながら、我が国として、こうした課題、地球温暖化問題という大きな問題の中で、さまざまな課題についてしっかりと貢献できるよう努力を続けていきたい、このように思います。

松島委員 どうもありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。民進党の原口一博でございます。

 委員長初め理事各位の皆さんにまずお礼を申し上げ、質問に入りたいと思います。

 パリ協定に入る前に、きょう飛び込んできたニュースで、北方領土に関してロシアの議長が言及をし、主権について譲り渡さないというような趣旨の発言をしたかのような報道がございました。

 プーチン大統領の訪日を一月後に控えて、この時期に、大統領の専権事項である外交、特に我が国の主権の問題について議長が仮にそのような発言をしたとするのであれば、非常にそれは、私たちとしてもきっちりただしておかなきゃいかぬ、こう思うわけでございます。

 通告をしていませんが、外務大臣の御認識を伺えればと思います。

岸田国務大臣 まず、日ロ両国の間においては、首脳間において、隣国同士であるにもかかわらず戦後七十一年たっても平和条約を結ぶことができないという状態、これは異常な状態であるということで一致をしています。そして、双方受け入れ可能な形でこの問題を解決していこうということで一致をし、今努力を続けています。

 そして、御指摘の発言も含めて、いろいろな関係者からさまざまな発言があることは報道等で承知をしていますが、両国の間においては、両国の首脳間でのこうした合意に基づいて努力をしていかなければならないと考えます。

 十二月十五日にプーチン大統領の訪日が予定されています。その中にあって、我が国としましては、四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結していく、この基本方針は全く変わりはないと考えます。この基本方針のもとに、引き続き粘り強く交渉を続けていきたい、このように考えます。

原口委員 ありがとうございます。

 この問題に与野党の垣根はありません。私たちは一致して、この首脳間の交渉が異常な事態を打開する方向に向かうように協力をしていきたいと思います。

 ロシアは、普通こういうことを上げるときは、副議長とかがやるんですね。副議長とかがアドバルーンを上げて、そして相手国の反応を見ながらいろいろなことをやっていきます。しかし、議長が言及したということは、私は看過できぬというふうに思っています。

 さて、本題のパリ協定の方に移ります。

 今回、委員長にお許しいただいて、資料を皆さんのお手元に。一をごらんいただくと、まさにこれは、一九九七年京都議定書から始まる多くの努力の中で、多国間の枠組み、中国あるいはアメリカも入った、そして二〇二〇年以降の新しい枠組みが発効したということで、大きな第一歩であるというふうに考えております。

 その中で、幾つか問題点についても議論をしておきたいと思いますが、パリ協定の意義をまず外相に確認しておきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、パリ協定は、歴史上初めて、米国や中国、インドといった途上国を含む全ての国が参加し、温室効果ガス削減のための行動をとる、これを約束しました。公平かつ実効的な国際枠組みであり、我が国の長年にわたる主張に沿う画期的な合意であると考えます。

 そして、中身としましては、全ての国が目標を掲げるわけでありますが、その目標の提出、実施、その報告、レビュー、あるいは定期的な更新、こういった仕組みによって削減目標の達成を含めたパリ協定の実効性を確保する、こういった仕組みをとっています。

 こうしたパリ協定、我が国としましても、大変重要な協定であり、大きな意義を感じています。ぜひ一日も早い締結に向けて、国会で御承認いただくべく全力を尽くしていきたいと考えます。

原口委員 そこで、環境省に伺います。

 資料二をごらんください。

 我が国の京都議定書第一約束期間の目標達成の結果ということで、我が国は、これまでこういう形で世界の環境を引っ張ってきました。ただ、京都議定書の目標達成マイナス六%には幾つかのクレジットを買わないと足りなかったわけですけれども、どういうことになったのか、環境省から伺いたいと思います。

関副大臣 京都議定書の第一約束期間におけます我が国の五カ年平均の温室効果ガスの排出量でございますが、約十二億七千八百万トンでありまして、これに森林等の吸収源及び京都メカニズムクレジットを加味いたしますと、五カ年平均で、基準年でございます一九九〇年比で八・七%減となりました。京都議定書の目標は基準年比六%減となっておりますが、これを達成した状況でございます。

 我が国といたしまして、政府といたしましては、京都メカニズムを活用いたしまして、約九千七百四十九万トンのクレジットを取得した次第でございます。これにかかわります予算の執行額でございますが、合計いたしますと約一千六百億円でございました。さらに、詳細でクレジットの種類別の内訳を申し上げますと、先進国におけますクレジット、GISでございますが七七・四%、途上国におけますクレジット、CDMは二二・六%でございました。

 以上でございます。

原口委員 今副大臣がお答えになったのを資料三に載せています。この取得に要した国費、今千六百六十億円、こういう大臣答弁がございます。

 そして、資料四をごらんください。これが主要各国の温室効果ガスの削減目標でありまして、先進国あるいは途上国の中でも随分ばらつきがあるわけでございます。

 そこで、さらに、これは事務方で結構ですから、環境省に伺いたいと思います。

 我が国は、先ほど副大臣がお答えになりましたけれども、中国やあるいはその他の途上国からもクレジットを買っていますね。その実態について教えてください。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、私どもで今、資料の手持ちがないんですけれども、先生御提出の資料にその記述がございます中で申しますと、中国、ブラジル、インドなどの途上国からもCDMという形で調達をしているという事実がございます。

原口委員 詳しいところをあなた方に教えてもらおうと思って。僕の資料にあるなんて答えを、委員長、余り、ここは吉本興業じゃないんだから。ちょっと、何か信じられぬね。

 資料九です。資料九が政府によるクレジット取得なんですよ。中国をごらんください。こんなに大きいでしょう。千六十八万トン、一一%を買っているんですよ。こういう状況の中で、では、中国はどうかということを見ていかなきゃいかぬと思っています。

 そこで、資料をごらんください。資料五、主な国別エネルギー起源のCO2排出量の推移です。右肩上がりの急速なものがあります。これが中国です。変化率三〇七%。物すごい勢いでCO2を排出しているわけです。資料六は、世界のエネルギー起源CO2排出量の比率。中国が二八・〇%、アメリカが一五・九%です。いかにこの二国が大きいかということがわかるというふうに思います。

 先ほどの四に戻ってください。主要各国の温室効果ガス削減目標です。日本は一番上に書いてあります。中国、ちょうど真ん中から下ぐらいですけれども、「二〇三〇年前後にCO2排出量のピークを達成。また、ピークを早めるよう最善の取組を行う。二〇三〇年にGDP当たりCO2排出量でマイナス六〇からマイナス六五」、こうあるわけです。

 これが何を意味するかというと、GDPがどんどん伸びていって、それと同じ比率で排出しても、これでオーケーですよということを意味しているわけです。つまり、量の削減には何のコミットもしていないという状況なわけですね。

 こういう今の私の認識でいいですか。事務方で結構です。今度は真面目に答えてください。真面目に答えないと退室してもらいます。

鎌形政府参考人 中国の目標でございますけれども、御指摘のとおり、二〇三〇年までにGDP当たりCO2排出量でマイナス六〇%からマイナス六五%、二〇〇五年比でございます。そして、二〇三〇年前後にCO2排出量のピークということでございます。

 この意味するところでございますけれども、GDP当たりということで、いわゆる原単位の扱いでございます。そういうことで、GDPで割った数字が六〇ないし六五%削減であればいいということです。

 ただ、一点、二〇三〇年前後にピークということでございますが、これについては総量だというふうに認識してございます。

原口委員 今、私の認識のとおりだということが、外相、おわかりになったとおりです。

 ということは、GDP比ですから、GDPが伸びていけば、ますますCO2の排出はこれによってとめることはできない。枠組みの中に中国を入れるということは成功した。しかし、それはあくまで第一歩であって、決してゴールではないし。インドについてもごらんください。インドと中国でこんなに違うんですね。インドもGDP当たり排出量です。マイナス三三からマイナス三五%、二〇〇五年比というふうになっているわけです。ですから、今回のパリ協定は大きな一歩ではあるけれども、しかし、その中には今申し上げたような問題をはらんでいる。

 そこで、外務大臣。今後、中国やインド両国にしかるべき温室効果ガスの削減行動をとるように積極的に働きかけていくべきじゃないか。先ほど松島代議士からもお話がありましたけれども、私も総務相のときにインドの環境大臣と、デリー・ムンバイ構想、十兆円の、これは安倍総理も随分力を入れてくださっていますけれども、やって、その中で、環境でウイン・ウインの関係を築きましょうと。どんどんどんどん経済発展していくインドについて、今のうちから日本の環境技術を入れて、そして世界を引っ張っていこうじゃありませんか、パートナーシップをつくろうじゃありませんかという提案をいたしました。

 外務大臣に御認識、国に対する働きかけと、それから環境協力、環境プロジェクトを推進していく、そういう意思について伺いたいと思います。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、中国とインドはGDP当たりのCO2排出量でそれぞれ目標を掲げています。

 他の国の具体的な目標について評価することは控えますが、一般論として申し上げるならば、これは我が国として、能力のある新興国に対しては総量目標への移行を促すなど、相応の取り組みを行うよう働きかけていかなければならないと思います。ぜひこういった考え方に基づいて、総量目標への移行など、あるべき取り組みを促していく、こういった努力は続けていきたいと思います。

 そして、その目標とあわせて、目標の実効性を高めていく、さらにはそれに対する透明性を高めていく、こういったこととあわせて、このパリ協定がより効果的な協定になるよう我が国も努力を続けていきたい、このように考えます。

原口委員 今、総量規制というお話がございました。まさに全体の量を規制することができなければ、私たちはこの温暖化をとめることができない、その認識を申し上げて、この項の最後ですけれども、もう一回資料の九ページにお戻りになってください。

 チェコとかウクライナも先進国で、そこから私たちはクレジットを買っています。しかし、クレジットの種類がいろいろあるんですけれども、これだけ温暖化ガスを出している国からクレジットを買っている、この現実についても、あわせてここで特記をしておきたいと思います。

 さて次に、この外務委員会で外務大臣にお願いをしてきました、隠された被爆者の問題についての日米共同研究。オバマ大統領が来られて、私もアメリカ側に幾つか働きかけました。大変な成功だったと思います、広島訪問。外相の御地元でもあります。

 ただ、そこで、この外務委員会でも外相にお願いをしましたけれども、まだ被爆の実相というのはわかっていない。核というのは抑止力とばかりは言えない、核を持っていること自体が脆弱性であり、安全保障の大変大きな問題になりかねない。それは、サイバーアタックやテロに対する問題、あるいは核の、ウラジオストクで私も、ロシアの原潜の解体作業を日本は手伝っていますね、あれも視察をしましたけれども、やはり核が横流しされるということからすると大変危険だと私は思います。

 日米共同研究の実施について、米国へ申し入れも検討するというような御回答だったと思うんですが、その後どうなりましたでしょうか。

岸田国務大臣 我が国が唯一の戦争被爆国として国際世論をリードする上において、核兵器の非人道性あるいは被爆の実相に対する正確な認識を持つということは大変重要な観点であると考えます。

 そして、内部被曝の影響も考慮した原爆症認定等に関しては、被爆者援護施策を実施している厚生省において対応しているわけでありますが、委員の御指摘につきましては、厚生労働省に既にしっかり伝えてあります。そして、御質問いただくに当たりまして確認をしましたが、今現在においてまだ米国への申し入れは実施されていないということでありましたが、こうした被爆の実相あるいは被爆者の範囲に関しましては、引き続きさまざまな議論が行われています。

 こういった問題意識につきましては、しっかり厚生労働省にも受けとめてもらい、御提案につきましても検討を続けてもらいたいと思っています。今回の御指摘についても、しっかり厚生労働省に伝えます。

原口委員 厚労省に伝えていただいたのはありがたいですけれども、私は、被爆者の認定の範囲であるとか、そういったことだけを問題にしているんじゃないんですね。日米の間で、やはり政府全体でこの実相について迫らなきゃいけない。アーカイブスがありますけれども、あれは前のクリントン政権のときには一時開きました。しかし、それが今は閉じかけているんですね。だんだんだんだんいろいろなことがわからなくなってきている。

 私は、被爆の実態がABCC等によって必ずしもつまびらかになっているとは思っていないんです。これは厚労省の所管ではなくて、まさに政府全体、外務省として大臣のリーダーシップを強く求めておきたいというふうに思います。

 さて、先般の国連総会第一委員会にて、これは資料十をごらんください、英文ですが、オーストリア等が提出した核兵器禁止条約交渉開始決議案、これが採決をされました。この概要はどういうものですか。また、どういった国が共同提案になっていますか。これは事実関係ですから、事務方で結構です。

相川政府参考人 御指摘の決議案の概要でございますが、二〇一七年に国連のもとで、核兵器の完全撤廃につながる核兵器を禁止する法的拘束力のある文書を交渉する会合を招集するということを決定する。それから、この会合は、特段の合意がない限り、国連総会手続規則のもとで、来年の三月二十七日から三十一日まで及び六月十五日から七月七日まで、ニューヨークにおいて、国際機関や市民代表の参加と貢献を得て招集される。それから、この会合に参加する加盟国は、できる限り早急に核兵器を禁止する法的拘束力のある文書の締結に至るよう最善を尽くすよう求めることを決定する。

 この決議案に関しましては、オーストリア、メキシコ、南アフリカ、ブラジル、アイルランド、ナイジェリア、ニュージーランド、インドネシア、フィリピン等、計で五十七カ国が共同提案を行ったと承知しております。

 以上です。

原口委員 資料十一をごらんください。

 これは国会図書館に資料をまとめてもらったものですが、今局長が答弁されたものですね。賛成百二十三、この中には北朝鮮も入っています。反対がアメリカ、ロシア、日本等三十八。棄権が中国、十六。

 なぜ反対をするのか。先ほど外相がお話しになりましたように唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器を法的拘束力を持って全面廃棄に導く、そういう決議に対して反対をする。私はとんでもないと思います。

 他方、ちょっとこれは質問を続けますが、国連総会決議は、もう一つ、私たちが出しているものもありますね。核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意のもとでの共同行動、これはアメリカは今まで入っていなかったと思うんですけれども、今回は入った。

 これについて、局長、詳細と提案国、そして結果がどうなったかを教えてください。

相川政府参考人 我が国が提出いたしました核兵器廃絶決議案でございますが、これは、核兵器国と非核兵器国の核兵器廃絶に向けた共同行動を呼びかけるものでございまして、一九九四年から二十三年連続で国連総会に提出しておりまして、今までも多数の賛成票を得て採択されているということでございます。

 今回出しました決議案でございますが、内容を申し上げますと、まず、二〇二〇年、NPT運用検討会議が開かれますが、それに向けてのNPT体制の維持強化の必要性を強調する、それからオバマ大統領を初めとする各国の指導者の広島、長崎訪問を歓迎する、各国指導者、若者等が被爆者を含むコミュニティーへ訪問する、そういうことを通じて被爆の実相の認識を向上させていくあらゆる取り組みを奨励していく、北朝鮮の核実験、弾道ミサイル発射の最も強い表現での非難をする、それからCTBTの早期発効、CTBTは包括的核実験禁止条約でございますが、それからFMCTと呼ばれる核兵器用核分裂物質生産禁止条約の早期交渉開始の呼びかけということを内容にしているものでございます。

 それで、共同提案国は、アメリカ等を含めまして百九カ国、賛成が百六十七カ国で採択されました。反対は四カ国、それから棄権は十七カ国でございます。

原口委員 ありがとうございます。

 そこで、最初の多国間核軍縮交渉の前進決議に対して我が国が反対をした理由、これについて教えてください。

岸田国務大臣 まず、我が国が核軍縮・不拡散の問題に取り組むに当たりまして、一つの基本的な立場というものを今日までも明らかにしてきております。

 我が国の基本的な立場は、核兵器に対する非人道性を初めとする正確な認識と、そして厳しい安全保障環境に対する冷静な認識、この二つの認識に基づいて、核兵器国と非核兵器国の協力のもとに現実的、実践的な取り組みを進めていく、核兵器のない世界を実現するために努力をしていく、これが基本的な立場であります。

 今御指摘になられました我が国の決議においても、そしてオーストリア等が提出しました核兵器禁止条約の交渉開始を含む決議についても、そして今後の取り組みについても、我が国のこの立場は一貫していると考えています。

 今回、国連総会の第一委員会におきまして、各国の決議が提出され、そして議論をされ、採決をされました。その中で、我が国としましては、まずは我が国の決議の採択に向けて全力で取り組んだわけであります。

 そして、先ほどの基本的な立場に基づく我が国の決議が、去年棄権に回った米国も含めて百九カ国が共同提案国になり、そして、百六十七カ国が賛同するという結果になりました。国際社会の中で、我が国のこの立場に基づく決議が最も多くの支持を得たということであると考えます。

 そして、我が国の決議の採択を得た上で、他国の決議について、我が国として態度を明らかにしていかなければなりません。御指摘の、このオーストリア等が提出した決議、我が国は反対をしたわけでありますが、その理由につきましては、基本的な立場、厳しい安全保障環境に対して現実的な、実践的な対応という意味でいかがか、あるいは、核兵器国と非核兵器国の協力という観点において核兵器国が全く関与しないという対応について問題があるのではないか、こういった問題意識に基づいて反対をいたしました。

 そして、我が国のこうした判断の妥当性については、他の国の投票行動においてもあらわれていると考えます。御指摘のように、北朝鮮はこの決議に賛成をしました。核兵器国は、米、英、仏、ロ、これは全て反対でありました。中国は棄権でありました。そして、何よりも、我が国とともに非核兵器国としてこの問題に取り組んできたドイツ、あるいはカナダ、あるいはオーストラリア、こういった国も全て反対という投票を示しています。こうした投票行動にも、今の考え方は裏づけられていると考えます。

 そして、この決議はいずれにしましても採択されました。オーストリアの決議は採択されましたので、来年以降、核兵器禁止条約の交渉が開始されることになります。私は、現時点において、この交渉においても、我が国は、核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場から、堂々と議論に参加するべきであると考えています。これから正式には政府として決定するわけでありますが、こうした我が国の基本的な立場に基づいて、議論にも堂々と臨むべきであると、私は現時点で考えているところであります。

 このように、我が国の立場はあらゆる行動において一貫しているということをしっかり説明した上で、今後ともこの方針を重視しながら核軍縮・不拡散の問題に取り組んでいきたい、このように考えます。

原口委員 次の質問も答えていただいたんですが、外相は、この採択された多国間核軍縮交渉の会議の中に積極的に参加をして、それを主導していく、こういうお立場を今表明されたという認識でよろしいですか。

岸田国務大臣 おっしゃるとおりであります。

 来年、この交渉が開始されること、決議が採択されましたので、これは確認をされました。その際に、先ほど申し上げました基本的な立場、核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場から、この議論に堂々と臨むべきではないか。核兵器国と非核兵器国の協力なくして結果を出すことができない、こういった現実をしっかり訴えながら、我が国としてこの議論に参加するべきではないか。このように考えます。

原口委員 私は、我が国が反対に回ったということは、やはり議論が必要なことだと思っています。

 ただ、採択されたこの決議の中で、やはり積極的な役割、それから、もう実際に我が国の国民が亡くなっているわけですから、その中で被爆の実相を明らかにするように強く求めておきたいというふうに思います。

 さて、アメリカの関連についても少し触れておきます。

 もう大統領選挙を目前に控えた今、ウィキリークスに公開されたクリントン・アメリカ大統領候補とポデスタ選対委員長の間のメールの内容が問題となっております。支持率にも大きな変化が出ています。

 クリントン氏がその中で、太平洋は米国のものと述べたとの記述を含め、我が国の外交安全保障にもかかわるものがあると承知しています。また、ウィキリークスに公開されたクリントン・アメリカ大統領候補とポデスタ選対委員長の間のメールの内容の中には、ウォールストリートの銀行家との関係を知ることをクリントン候補が望まなかったとするような、金融の不透明な動きに関する記述があると考えています。

 このことについての見解を、きょうはもうあえて求めません。しかし、私は、この間、安倍総理がクリントン候補だけとお会いになった、アメリカ側から求められてお会いになったんだと思いますが、総理から外相に相談はありましたか。

岸田国務大臣 九月に、御指摘のように、安倍総理はクリントン元国務長官の表敬を受けたわけでありますが、そういった表敬を受けるに当たりまして、事前に、私あるいは外務省には連絡があり、相談はありました。

原口委員 組織として動いていますから。私どもも、短かったですが政権を持っておりまして、自分らの内閣あるいは所掌の省をつかさどるときに、やはりチームとして動くこと、個々人のスタンドプレーに、ましてや官邸の中のスタンドプレーに振り回されないように、外相はやはり、外務省という優秀なスタッフ、それから各国に散らばって頑張っている人たち、その人たちの顔も見ながら仕事をしてくださるようにお願いをしておきます。

 さて、この間の質問で少し残したところがございますので、残りの時間で。

 TPP、きょうもまた大臣の不規則発言で問題になっているみたいですけれども。私は、この間外相と議論しました。実体経済とマネーとがほぼ同一であれば、私は自由な貿易協定というのはとても大事だと思います。しかし、今のように、マネーの流動性が極限まで高まって、実体経済よりもはるかに大きくなったときに、そのときにこういうことをやれば、不公正と格差、もっと言うと国家の主権まで奪われるんじゃないか、そういう心配をしているんです。

 外相に。実体経済とマネーの乖離はどのように考えておられますでしょうか。

岸田国務大臣 これは前回も議論させていただいたと記憶していますが、実体経済とマネーの流動性との関係については、さまざまな見方があると承知をしております。そして、金融市場が実体経済に与える影響について、当然のことながら、政府としても注視をしているところであります。

 実体経済と金融市場の適正な規模感について、今申し上げましたように、一概に判断することは困難ですが、例えば金融市場については、金融資産規模で見ると、二〇一三年に二百八十七兆ドルとなっており、当時の世界のGDPは七十五兆ドルでありますので、これを比較すると、金融市場は約四倍ということになると承知をしております。こういった数字があるのは事実でありますが、引き続きまして、これについてはさまざまな議論が行われております。

原口委員 イギリスがEUを離脱するとか、今回のフィリピンの動きだとか、アメリカの大統領選挙を見てみると、やはりグローバリズムというか、これまで三十年間の構造改革路線に対する反省が世界の中で見えているんだと思うんです。

 この間も議論しましたけれども、この構造改革は何かというと、労働と資本と資源を市場化していって、そこに一つのビジネスチャンスを求める、これは一つの考え方でしょう。しかし、本当にそれが幸せになるんですかと。労働を市場化した結果、雇用が不安定になる。資本を市場化した結果、むさぼるマネーが育むマネーを駆逐する。あるいは、資源を市場化した結果、きょうのまさにこのパリ協定というのはそういうものに一つの歯どめをつけるものだと思うんですけれども、資源を市場化してしまえば、まさに得られるべき人たちにもその資源が行き渡らなくなる。私は、このことがもう議論されなきゃいかぬと思っています。

 きょうは、前回質問できなかった総務省に来てもらっています。ISDS条項の中の留保、日本郵政はどうなっていますか、教えてください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 郵政三事業につきましては、先生の資料にございますとおり、郵便につきましては留保の対象となってございます。一方、郵便貯金、簡易生命保険につきましては、郵政民営化によりまして、現在、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が担い手となってございますけれども、この両事業者に個別の留保は行っていないという状況にございます。

原口委員 これは与野党で議論をさせていただいて、私が総務相のときに郵政改革法案というのを出させていただいて、皆さんがつくっておられた郵政民営化法案と合体させて、シナジー効果を生かすために、その二つの法案のよいところを与野党で合意して、今その法律が通っているわけです。

 やはり三事業一体で国民の郵政事業における権利を保障するという考え方のもとで私たちはやってきました。しかし、今部長が答えたように、今回、ISDS条項の対象となっている、留保となっているのは郵便法だけなんですね。

 今、郵便の方はかなり厳しいです。ですから、もう一回私たちが、かんぽやゆうちょと一体的に経営をやろうと決断をしたとしたら、そこは今回ISDSが発動してしまう、そう考えるのが自然じゃないかと思うんです。

 外相に、前回の質問のもう一回更問いをいたしますが、教育については、文科省は、そういうものに参入する他国の事業者は想定していないから、高等教育について将来留保をしていないけれども、そこはISDSで訴訟されることは想定していないという答えを前回いたしました。本当にそれでいいんですか。

 例えば、アメリカなり今回のTPPの締約国の中の例えば教育会社が日本の中に参入しようとして、私たちが教育をさらに強く公的な支援をしたり、あるいは、日本としては、教育大国だから、もっともっとここに特別の予算を入れよう、日本の事業者に特別な補助をしようとしたら、それは対象になるんじゃないですか。お答えください。

岸田国務大臣 御指摘の課題については、所管は総務省であったり文科省であるとは認識いたしますが、TPP協定の議論においてISDS条項に関連して申し上げるならば、この協議に当たって、我が国の国内法令あるいは国内制度との間に何か矛盾を生じることがないのか、これをまずしっかりと点検し、そして、今御指摘になったような点についてはしっかり留保をかけたという作業を行いました。必要な留保をしっかりと活用する形で、TPP協定と我が国の国内制度との矛盾が生じないようにしっかりと確認をする、この作業を政府を挙げてしっかりと行った次第であります。

 こういったことであるからして、このISDS条項に基づいて我が国が提訴されるようなことは想定していないというお答えをさせていただいております。

 こうした対応は、TPP協定のみならず、我が国が今日まで結んできた経済連携、多くの経済連携の中においてもISDS条項があり、我が国として対応してきた対応であります。結果として、今日まで我が国は一件たりともISDS条項において提訴されたことはありません。

 TPP協定におきましても、しっかりと検討を行い、確認を行い、そして署名を行ったということであります。こういったことから、提訴されることは想定していない、このように申し上げている次第であります。

原口委員 もう質問時間が来ましたので終わりますが、私は、今の御答弁は甘いと思いますよ。

 そのために、前回、対日要望書を出したわけで、保険については、共済、留保していないじゃないですか。郵政についても、郵貯、簡保については留保していない。高等教育についても、それは将来留保はしていない。

 皆さん、一回立ちどまって考えてください。本当にこれで幸せになるのか。

 そのことを訴えて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

三ッ矢委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党・無所属クラブの田島一成でございます。

 きょうは、この外務委員会で四十分の時間を頂戴し、質問に立たせていただきます。御理解いただきました委員長また理事の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 パリ協定、昨年のCOP21で、主要排出国また途上国も、全ての国を含んだ新たな取り決めがなされたところであり、我々も、これから温暖化対策がより加速するだろう、そんな思いで昨年その成り行きを見守ってきたところでもありました。

 また、国内法の整備、温暖化対策推進法の改正についても、正直申し上げて、長期見通し、長期削減目標等々についても十分に盛り込まれない中で、非常に不十分だ、これが果たして本当に温暖化対策をリードしてきた日本として十分な姿勢があらわせるのか、そんなじくじたる思いで法案審議にも臨んできたところでもありました。

 そして、いよいよパリ協定の批准。年内中に、年度中に、さまざまなゴールが飛び交う中で、日本がのんびり構えていたやさき、ついに日本が置いてきぼりにされて、交渉がスタートするスタートラインがつくられてしまいました。

 外務省は、本当に、このような事態をごらんになられて、大いなる反省をしなければならない事態に私はあると思いますし、この先、本当に外務省は大丈夫なのかなという心配が私の中に渦巻いております。日本政府の今回の取り組み、大変言葉は悪いかもしれませんけれども、外務省の情報収集能力が落ちたのではないか、レンズが曇っているのではないかとさえ思うところでもあります。

 批准を急いだ国々は日本とは対照的に、それこそ、日本がこれまでどんなにリードをしてきたかをうたっても、第一回の締約国会議にはオブザーバーとしてしか参加することができません。

 日本政府の姿勢、本当に、この臨時国会の冒頭で、安倍総理が所信表明演説でパリ協定に一言も触れることがなかった、温暖化対策にも一言も触れることがなかった、そのことからも政府の温暖化対策に対する姿勢が読み取れるのではないかと私は思っているところであります。

 この総理大臣の所信表明演説案、これは閣議決定でありますから、外務大臣も、また環境大臣も経産大臣も了承された話であります。大変残念な気持ちでならないわけでありますし、現閣僚がそろいもそろってパリ協定を適当にあしらっていると言われても仕方がないのではないかというふうに思うわけであります。

 大臣は、このパリ協定の答弁、参議院でもまた本会議でも、それこそ、我が国は早期発効を重視し取り組みを進めてきたと何度も何度もおっしゃってこられましたが、この総理の所信演説にも盛り込まれなかったことから見ても、本当に重視しているのか、取り組みを進めてきたのかと疑問を持たれても仕方がないような、そんな足跡しか残っておりません。

 改めて、まずは岸田大臣の方から、どのような姿勢で、そして、どうして今回、第一回目の締約国会議にオブザーバーとしてしか参加できない、こういうタイミングになってしまったのか、弁明も含めて御答弁をいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、総理の所信について御指摘がありました。

 総理が所信の中で発言しましたのは、国際社会が解決しなければならない課題として地球温暖化問題というものを掲げ、国際社会としてしっかりと解決をして、課題に取り組んでいかなければならない、こういった所信表明の内容を表明しています。

 そして、今日までの取り組みについて御質問いただきましたが、委員の方から御指摘がありましたように、私も再三申し上げておりますように、我が国は今日まで、パリ協定の重要性に鑑み、早期発効、早期締結に向けて努力を続けてきました。四月二十二日の署名あるいは五月の伊勢志摩サミットにおいてもその姿勢を示したわけでありますし、本年中の発効、本年中の締結、これを目指すんだということで国内調整も続けてきたわけであります。

 その中で、来年締結を目指していたEU、全加盟国の締結をもって締結を行おうとしていたEUが、EUと一部の加盟国で締結を行うなどによって、国際社会全体が当初想定していたスケジュールより全体が早まった、こういった事実はあったということは、そのとおりだというふうに認識をしています。しかし、その中にあって、我が国としまして、全力で取り組んできた。

 そして、何よりも大切なのは、今後、実施指針を初めとする実施ルールの策定に我が国がおくれをとらないようにしなければならないということであります。

 その点につきまして、第一回締約国会議において実施指針が採択されるのではないかというような心配があったわけですが、これにつきましても、この議論は五月にスタートしたばかりであり、そして締約国会議で採択されることはないということ、そして、実施指針などルールにつきましては、気候温暖化条約の全締約国で今日まで議論をしてきたわけですが、この議論は、この間行われましたプレCOPにおきましても、この枠組みで議論をするということが確認をされています。この議論において我が国がしっかりと我が国の考え方、立場を明らかにしていく、こういったことが重要であると認識をしています。

 ただ、いずれにしましても、より説得力を持ってさまざまな議論に参加するためにも、我が国自身が締約国になることは大変重要だと認識をしており、ぜひ国会においても一日も早い御承認をいただけるようお願いをしている次第であります。

田島(一)委員 今答弁の中ででも、またこれまでにも、時間がかかった理由として、国内調整に時間がかかったということをただいまもおっしゃっていただきました。具体的に国内調整で時間がかかったものというのは何があったのか、幾つかお示しをいただけませんでしょうか。

岸田国務大臣 国内調整において最も大きな問題は、我が国の国内法令、温対法等において、パリ協定が要求している国内措置が十分対応できるのかどうかという点でありました。こうした温対法等を改めてしっかり確認し、今の法律の範囲内でパリ協定が要求している対応をしっかりと行えるか、あるいはカバーすることができるのか、こういった点が国内調整の最も重要な点でありました。

 そして、温対法等国内法において十分対応できるということを確認した上で、十月十一日、閣議決定を行い、そして国会に協定を提出させていただいた、こういった次第でありました。

田島(一)委員 一年以上も時間がたっているわけであります。もう既に丸川前環境大臣も、国内法の必要性等々も含めて議論を深めていくということは、その一年も前からずっとおっしゃり続けていました。一年かかった、それでいて、結局、今回、この批准については、国内法を改めて出すということもなくお出しになられてきたわけであります。果たして本当に、その言われている調整に手間取ったというような足跡には私にはどうしても見られないわけであります。

 もう一つ申し上げるならば、今回、国際的な動き、スピードというのは、政府だけではなくNGOも、また、ありとあらゆる方面の方々が御心配をされておりました。八月の当時から、WWFジャパンを初めとするNGOも、世界各国の動きが余りにスピードが速い、早く日本政府も対応するべきだというコメントを発しておられたのは、大臣も御承知のことと思います。

 外務省が、それこそ各大使館等々を通じて、各国の動き等々も相当情報収集をされていたのかどうか、されていたんだろうというふうに私も信じたいのですが、NGOの方が外に対する発信力は随分早かったな。国内調整に手間取ったとおっしゃるけれども、実は、やはりのんびりと構えていたからこそこういうようなことになってしまったのではないかなと私は思うところでもあります。

 実際に、九月の二十八日、もう月末でしたけれども、気候ネットNGOが主催してのフォーラムには、国会の各党からも代表者が集まって、このパリ協定批准を早期に急ぐことをそれぞれの党が代表して表明をされました。しかし、まだ、その当時でも閣議決定もされていない。当時は、閣議決定は十月の十八日に行われる予定だったのが、大慌てに大慌てして、一週間だけ前倒しをした。しかし、その段階ででも、もう既に間に合わないというスケジュールでありました。一週間でも早くしよう、回そうという、その姿勢は認めます。しかし、時既に遅しという事態でありました。

 一事が万事で、このパリ協定の第一回の締約国の会議にオブザーバーとして参加することが、これ以外の条約等々で同じような、国益を損ねるようなことになってはいけないとしみじみ思うわけでありますが、こうした、政府が余りに感度が低いと言わざるを得ないスピード感が私は今後の日本の外交に大きな影を投じているのではないか、そんな心配をここでまず申し上げておきたいと思います。

 きょうは外務委員会でありますが、経産省また環境省の方からもお越しいただいておりますので、関係するそれぞれ副大臣にもお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、環境省でありますが、山本大臣も、今回のおくれに対して、会見や答弁の中で、オブザーバーとしての発言はできるのだから実質的な不利益はないというふうに御説明をたびたびされております。

 きょう、関副大臣にお越しいただいておりますけれども、副大臣も同様にお考えなのか、単純明快にお答えください。

関副大臣 説得力を持ちまして交渉に参加するためには、我が国としまして、パリ協定を一日も早く締結することが重要であるのは、委員と同じ考えであるのはそのとおりでございますが、先ほど外務大臣からも御答弁がありましたけれども、事実関係としましては、実際的に、第一回のパリ協定の締約国会議、CMA1という部分ですが、これにおいて実質的な影響を及ぼすという認識ではございません。

田島(一)委員 では、環境省として、今回不利益を絶対こうむらないと言われる根拠は何ですか。お答えください。

関副大臣 今回のパリ協定でございますが、オブザーバーとして参加する形になるわけなんですが、その際にも、発言もできるという立場は確保されているということと、今回のパリ協定が非常に重要な協定でありますので、一回目の、パリ協定を今後進めていく際の考え方なんですけれども、方針としまして、全締約国の参加を得て本年五月に開始されたばかりであるこの指針の策定なんですが、全ての国が開かれた形で交渉に参加するということに重要性を鑑みているということがもう発言されておりますので、その方針からしまして、全ての国の考え方を入れるということの中におきまして、我が国はオブザーバーとして参加させていただき、意見も言えるというところで、不利益はないものだと考えておる次第でございます。

田島(一)委員 それは根拠ではなく、事実として、オブザーバーとして参加するから不利益はこうむらないんだと。それだったらば、どこの国だって、オブザーバーで参加したって大丈夫だと皆さんおっしゃいますよ。それは全然根拠にはなっていないと思います。もう一度お答えいただけますか。

関副大臣 ちょっとつけ加えさせていただきます。

 今回のその関係において、第一回のパリ締約国会合でございますけれども、第一回のパリ締約国会合では、同実施の指針の採択というのはできない、されないというふうな形が言われております中において、我々が不利益をこうむるということはないだろう、そのように判断している次第でございます。

田島(一)委員 採択されないというのも、確約では全くありません。どのような事態で事が進んでいくのか、どのような形で協定の実施指針の策定が進んでいくのか。それぞれ各国、今回参加する国々は、国益を損ねないためにも、いろいろな思惑で、いろいろなネゴシエーション等々で臨んでくるはずであります。

 EUは、必ずEU一つでまとまって今回批准してくるだろうと思い込んでいたところ、ドイツやフランスだけは抜け駆けをしました。まさかと思っていた、環境省も外務省も経産省も同じことだったろうと思います。これが国際交渉の実態であります。

 私は、正直申し上げて、今回、何の根拠も見当たらずにオブザーバーとして参加せざるを得ないというのが実態であろうかと思います。

 実は私も、来週、国会のお許しがいただければマラケシュに参ります。その中で、どのような反応なのか、肌感覚で学んできたいと思っております。

 外務大臣の方も、多分、いろいろと思惑があろうかと思いますので、もし何かつけ加えることがあれば、お答えいただいて結構です。

岸田国務大臣 基本的には、今、関副大臣から答弁があったとおりですが、ちょっと整理して申し上げますと、我が国が不利益をこうむるかどうかは、今後、パリ協定の実施指針、この実施のルールづくりにしっかり参加できるかどうか、おくれをとることがないか、あるいは、日本の方針がそれに反映されないなどということがないか、この点が重要だと認識をいたします。

 そして、このルールづくり、実施指針づくりについては、パリ協定上、第一回締約国会議で採択するというふうに当初されていたわけでありますが、この議論については、ことし五月から議論が始まったばかりですので、第一回締約国会議では採択されない、このように判断されています。

 あわせて、このルールづくりについては、締約国会議ではなくして、従来から、気候変動条約、この条約締約国、全締約国で議論をするという枠組みでこの議論が行われてきました。この枠組みで今後も議論が行われるかどうか、これがポイントになるわけですが、十月十八日から十九日にかけて、プレCOPという会議が、事前準備のために開催されました。この会議において、この議論は引き続きこの条約締約国、全締約国が参加するオープンな形での議論において議論されるということが改めて確認をされました。

 そういったことから、このルールづくりにおいて日本がおくれをとることはないのではないか、こういった判断をし、御説明をさせていただいている次第であります。

 いずれにしましても、説得力がある形で議論に参加するために締約国になること、これが重要だと認識し、早期の締結に向けて努力をしていきたい、このように思います。

田島(一)委員 もうこのテーマについてはこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 ただ、おっしゃったように、今回のプレCOPででも、相当違う、使わなくてもいいエネルギーをお使いになられたと私は思っております。

 本質的に、全世界の気候変動に対して牽引してきたという自負、これを持って、もう一度、マラソンでいう先頭集団に追いついていかなければならない、そのことがやはり何よりも肝要だというふうに思っております。どうか、本気度が疑われることのないような国際舞台での交渉に当たっていただくことを外務大臣には強く求めておきたいと思います。

 さて、パリ協定と国内法の関係について、幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず、私自身の、それこそかかわってきた者の一人としての反省にも立ってお尋ねをしたいのが、エネルギー政策と気候変動政策の統合の必要性であります。

 パリ協定を批准することによって、これから五年ごとにNDC、約束を提出していかなければならないことは御承知のとおりであります。長期目標に向けた世界全体の進捗状況を定期的に確認し、取り組みを強化していく仕組みとして、協定の十四条には、五年ごとに確認するグローバルストックテークも規定されたところであります。

 目標の引き下げは許されないことになっておりますから、だからスタートラインは低目にという今回の目標設定が日本政府のお考えなのかもしれません。しかし、国内体制もこれに合わせていかなければならないのでありますが、今申し上げようとしている、エネルギー政策を取りまとめている基本法、エネルギー政策基本法、これに基づくエネルギー基本計画の改定のタイミングと、地球温暖化対策推進法に基づく地球温暖化対策計画のタイミングが合っておりません。定量的なエネルギー見通しを示してきた長期エネルギー需給の見通しについては、法律にも基づいておらず、いつ、どのようなタイミングで改定されるのかもこれまでは不透明でありました。

 どちらの計画の改定も三年ごとに見直すというタイミングがずれていることによって、気候変動政策を決めるときには、エネルギー政策方針が先に決まっていて手も足も出ない、野心的な目標、計画等々を立てることが不可能という状況がこれまでずっと続いてまいりました。

 エネルギー起源のCO2は日本の温室効果ガス排出の九割を占めており、エネルギー政策と地球温暖化対策、気候変動政策が今のようにばらばらでは困ると言わざるを得ません。パリ協定に基づいて、国内体制と政策形成プロセスの見直しが今求められているのではないかと反省にも立ちながら、申し上げたいところであります。

 エネルギー政策と気候変動政策の統合は避けられない事態にあると認識しておりますが、経産省、環境省、それぞれどのように御認識をされているのか、お答えください。

高木副大臣 今委員御指摘のように、エネルギー基本計画と地球温暖化対策計画、これが整合性を持って同時期にやった方がいいのではないかという御指摘でございます。

 まず、今、御指摘もありましたように、エネルギー基本計画も、エネルギー政策基本法において、少なくとも三年ごとに検討を加えて、必要に応じて見直すこととされておりますが、その上で、エネルギー政策は、地球温暖化などの環境負荷の低減のみならず、安全性、安定供給、経済効率性の向上も同時に実現する必要がありまして、こうした観点も踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

 そういった中で、いずれにしても、エネルギー政策と温暖化対策は表裏一体でございますので、エネルギー基本計画と地球温暖化対策計画の整合性というものは絶えずとっていかなければいけないと思います。その時期だけで考えるのではなくて、やはり、環境負荷の問題、CO2をどう削減するかというのもしっかりと考えながらこのエネルギー基本計画もつくられているということを申し上げておきたいと思います。

関副大臣 今の経済産業省の副大臣からの御答弁と重なるところが多々あるんですが、委員もおっしゃられましたとおり、我が国の温室効果ガスの総排出量の九割はエネルギー起源の二酸化炭素が占めておるところでございまして、この点を踏まえまして、エネルギー政策の動向等も含めましたさまざまな状況を勘案しながら、地球温暖化対策計画を適切に見直すということは本当に必要だと思います。

 このために、当計画の見直しなんですが、地球温暖化対策推進法の九条に基づきまして、今経産省副大臣からもございましたけれども、少なくとも三年ごとに、エネルギー基本計画も含めまして、温室効果ガスの排出及び吸収の量の状況その他の事情を勘案しつつ、国内政策については必要に応じて見直すという形で、十二分に関係省庁と連携をとりながら進めていく所存でございます。

田島(一)委員 見直しの時期を統合するというお考えが全くないということだけはわかりました。

 エネルギーの安全、安定供給を決して否定するものでは全くありません。重要な政策課題だと思います。しかしながら、温暖化対策も一方でやはり重要な課題であります。連携をとる、我々も実はそういうふうに申し上げてまいりましたが、本気で国際社会に示していかなければならない責任等々を考えていくと、やはり避けられない大きなテーマであります。

 この三年三年のタイムラグが一致しないことによって随分と大きな制約があった、このことは私どもも反省に立つ部分でもあります。どちらかが譲らなきゃ統合なんというのはできる話ではありませんが、今、国際社会において気候変動の大きなテーマを抱えている中で、もちろん、エネルギー供給、安定供給という課題も避けて通れない喫緊の大きな課題であることは承知しておりますが、どうぞ、ウイン・ウインでうまくこの計画がしっかりと回っていくような仕組みづくり、これは統合も含めた見直しということを私は大胆に、やはり、計画見直しのタイミングを待たずして両省が議論を重ねていかなければ、うまく温暖化対策でパリ協定の批准、約束を果たしていくということは非常に難しいのではないかと思っております。どうぞ、省益を超えた共同での議論を深化させていただくことを強く望んでおきたいと思います。

 そこで、今し方私も申し上げましたNDC、約束の提出でありますが、現在、二〇三〇年の二六%削減目標は、INDC、約束草案でありまして、正式に提出、更新することが求められているところであります。

 この先、日本がどのような国内プロセスを経て、いつまでにこれを提出しようと考えているのか、その具体的な予定をぜひお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 昨年十二月のCOP21の決定に基づいてパリ協定の締結前に提出された約束草案ですが、各国が協定を締結した後に、協定上の自国が決定する貢献になるとされています。そのため、我が国が昨年七月に提出した約束草案も、我が国の協定の締結に伴い、協定上の自国が決定する貢献となると承知をします。

 そして、COP21の決定においては、我が国を含め自国の約束草案の期間が二〇三〇年までの国は、二〇二〇年までに約束草案を提出または更新する、このようにされています。そして、その後五年ごとに更新ということになるわけですが、我が国においては、約束草案の達成に向けて、外務省も参画して地球温暖化対策計画を作成しており、同計画に盛り込まれた対策、施策の進捗状況を毎年点検するとともに、少なくとも三年ごとに必要に応じて同計画を見直す、このようにしています。

 我が国の二〇二〇年までの約束草案の提出または更新については、こうしたプロセスや、パリ協定の規定、そしてCOP21の決定、こういったものを踏まえて、関係省庁と連携して検討し、対応していくことになると考えます。

田島(一)委員 今回のパリ協定下での取り組みというのは、今までのものと結構違ってくる、大変重いプロセスが必要になってこようかと私は思っております。

 政策措置議論をどれぐらいのスパンで今後考えていくべきなのかを考えると、やはり、一年ぐらいはしっかりと議論を重ねていかないとだめなんじゃないかなと私は思うんですね。お尻が決まっています、その後の更新も頻度がやはりどんどんどんどん迫ってまいります。適宜数字と照らし合わせていきながら、日本がきちっとした計画、そして約束を示していく。そして、後戻りもできないという事態にあることを考えると相当丁寧な議論をしていかなきゃならない、そういう御認識が政府に本当におありなのかどうか、もう一度お答えをいただけませんでしょうか。

高木副大臣 ただいま大臣からお話がありましたけれども、二〇二〇年までの提出が招請されている長期低排出発展戦略、いわゆる長期戦略の策定に向けて、現在、経産省、環境省の双方がそれぞれの立場からヒアリングなどを通じた基礎的な検討を進めております。

 経産省が本年七月から立ち上げた産官学の長期地球温暖化対策プラットフォームで、まずは国内投資の拡大、または我が国の有するすぐれた技術を生かした世界全体での排出削減への貢献、さらに大幅な排出削減を可能とするイノベーションの創出など、経済成長と両立する地球温暖化対策のあり方について、年度内の取りまとめに向けて検討を進めております。

 政府全体では、長期戦略の策定プロセスについては、今後、両省の検討結果も踏まえつつ関係省庁と調整してまいりますが、その議論ですけれども、やはりこの問題というのは国全体がしっかりと認識をしていただかなければ、それぞれの業界ですとか、または御家庭ですとか、御理解をいただかなければいけない問題でもあると思います。

 そういった意味では、今後、エネルギーミックス等々、策定に当たっても、エネルギー、産業、技術に精通した学識経験者、労働団体や消費者の代表などを含む、経産省と環境省の合同の審議会で検討を重ね、また、これまでもパブリックコメント等を実施などして各階層の多様な意見の反映に努めてまいりましたので、こういったことをしっかりと踏まえながら取り組んでまいりたいと考えております。

田島(一)委員 次に用意しておりました質問の答弁まで含めて今やっていただきましたが、年度内に行っていく、取りまとめ後も進めていくというようなお考えをお示しいただけたことであります。

 やはり、省庁間の調整にとめてはならないと私は思っております。先ほど、パブリックコメントだとか開かれた議論をするようなファイティングポーズは感じ取れたところでありますけれども、やはり、ここは国会もきちっと関与をしていく必要があるのではないか、するべきではないかと私自身認識しております。どのようにお考えか、どなたからでも結構です。

関副大臣 重要な項目でございますので、国会で御質問が出ました際には、丁寧に我々も対応して答弁させていただきたいと考えております。

田島(一)委員 そのためには、我々にもきちっとした情報を提供していただくことが大前提であります。そのことだけはきちっと申し上げておきますので、よろしくお願いを申し上げます。

 時間も限られてまいりましたので、最後、政策措置についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 二〇二〇年の三・八%削減目標も、二〇三〇年の二六%削減目標も、十分に開かれた民主的な議論が行われて決まったとは言えない上、政策措置についてはほとんど政府内で決定してきたと言っても過言ではないと思います。しかしながら、今後、目標達成をどのような手段で進めるかについては、できる限り複数の案を提示し、広く国民に示しながら検討、議論を行っていく必要があろうかと思います。

 先ほど、いろいろな方法、選択肢はおっしゃってくださいましたけれども、こうした国民にわかりやすい説明、示し方をしなければ、政府の決定や検討の透明化が担保されているとはなかなか言えないと思います。どうか、その点については、まず冒頭、きちっと行っていただくことを強く要望しておきたいと思います。

 次に、石炭火力の新設、対応についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 丸川前環境大臣のとき、環境省は、二月に経産大臣との申し合わせで、省エネ法等の対応で今後の様子を見るという方針に変わって、経産省にまるで押し切られるような形で新規の石炭火力に対しては反対しなくなったというふうに私は受けとめております。その理由として、経産省から情報を受け取って、それをもとに評価を行おうとしているからであります。

 評価は、一体、どのようなタイミングで、どのような内容について行う予定なのでしょうか。今の新設計画が妥当かを検討するには、二〇三〇年近くになって行っていても全く意味は持ちません。また、評価に際しても、どのような情報を新たに経産省から受け取ろうとしているのか。

 以上、経産省、お答えください。

関副大臣 環境省の方からお答えさせていただきたいと思います。

 CO2の排出量の多い石炭火力発電所の新増設なんですが、この制約がなく進むと国の削減目標等の達成が危ぶまれるというのは、もう委員の御指摘のとおりだと思います。

 このために、委員もおっしゃいましたけれども、本年二月には、環境、経産両大臣の合意に基づきまして、毎年度その進捗をレビューすることになっておるわけですが、まず、今月の九日に、評価をどのように行うべきか、有識者の方に御意見を伺う場を設けることといたしております。

 また、経済産業省からは、評価を行うに当たりまして、これは毎年度、発電施設の設備容量、また、省エネ法のベンチマーク指標に関する発電事業者の取り組み状況等の資料を受け取ることといたしております。

 今後、有識者の御意見や経産省から提供されました情報等を踏まえつつ、取り組みの進捗状況をしっかりと評価して、適切なタイミングで公表を行ってまいりたいと思います。

田島(一)委員 石炭火力からのCO2等の影響を評価して老朽火力の実態などを把握するには、例えば、一基ごとの年間CO2排出量であるとか、一基ごとの設備利用率などが当然ベースになってくるわけであります。

 しかしながら、これまでこうした数字等は全く公表されていない情報なんですね。こうした情報がなければ、おっしゃるような評価はかなわないと私は認識をしておりますし、少なくとも経産省は、これまでに、こうした一基ごとのCO2排出量だとか設備利用率などの数字というのはもう受け取っているのかどうか。しかし、受け取っているとするならば、なぜそれを公表しないのか。こうした数字について公表する意思があるのかどうかについてお答えください。

高木副大臣 今、石炭のお話が出ました。

 この石炭火力につきましては、御存じのように、三・一一以降、原子力発電がとまって、九〇%に及ぶ火力発電の中で、例えば、電気事業者によりましては、一旦とめた、廃止をする予定だった火力発電を再稼働しながら、そして電力を賄っているという現状もございます。

 そういった中で、このデータにつきましては電力事業者が持っているものでございますが、やはり今後、温暖化対策という大変重要な課題につきましては、今委員御指摘のように、しっかりとしたデータというような中で議論を積み重ねていくことが最も重要であると思います。

 ただ、もう一言付言させていただきますと、今現実の中でエネルギーをどういうふうに賄っていくか、賄っているかということをしっかりと私どもも認識をしなければいけないと思います。そういった中で、ただ単に石炭火力をなくしていけばそれで済む問題なのかどうか。

 一方で、再生可能エネルギーも、これも経産省だけではなくて政府を挙げてしっかりとやっていこうという流れがございますが、その接続の問題といったもの、またはその容量の問題、こういったこともしっかりと勘案しながら、安定した電力というものを供給しなければ、いわゆる国民生活全般に大変な影響を与えるということも考えた上で、このデータというものをオープンにしてまいりたいと思います。

田島(一)委員 オープンにしていくというお約束がいただけました。どうぞ、前提であるとか思惑だとか、そういったものは抜きにして、堂々とあるべき数字を示していただく、それが役所としての大きな役割だと思います。その後、安定供給でありますとか接続だとか、いろいろな課題をどのようにしてクリアしていくかは次なる議論であろうかというふうに思います。

 さまざまな臆測等々で、杞憂で、データを隠すなんということが今後やはりあってはならない、ここは、国民に広くさまざまな情報、数字等々を見ていただく中で御判断を今後していくことが大事だというふうに私は思っております。

 こうした経産省の数字をもとにして評価を進めようとする環境省、何か、環境省自身にこうした調査能力等々が担保されていれば妥協する必要も本当になかったのになと非常に残念で歯がゆい思いもしておりますが、どうぞ、数字は共有し合って、お互い、温暖化対策も安定供給も含め、ウイン・ウインで、きちっと国益を担保することができるような、そういう取り組みをぜひお願い申し上げて、質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司です。

 田島委員も御指摘しましたし、また、過日の外務委員会でも指摘をさせていただきましたが、今回のパリ協定についての発効時期を見誤ったことについてであります。

 前回、ちょっと建設的な視点から質問させていただきましたが、やはり大いなる反省点に立ってこれは改善をしていかなきゃいけないという意味では、どういうふうに反省しているのかを、根本的に何が原因だったのか、足りなかったのか。見誤っていないという言葉は聞きたくないんですが、見誤ったということに対する経緯と、それに対しての、それをどう改善していくかという具体的な対策について、まずお伺いいたします。

岸田国務大臣 当然のことながら、パリ協定の締結に向けた各国の動向、我が国としましても、不断に情報収集、分析を行ってきたところであります。

 その中で、先ほども少し触れさせていただきましたが、全加盟国一括して来年に締結することを予定していたEUが、EU及び一部の加盟国のみを先行して締結した、こうした動きもあり、我が国のみならず国際社会全体として、当初の見通しよりも早期に発効に至った、これは事実であると考えます。

 政府としましては、今こういった現状の中で、まずは、我が国として、国会の承認を一日も早くいただき、締結を行うことが重要であると思いますし、あわせて、今後、実施指針の議論、ルールづくりの議論等が行われるわけでありますが、この交渉において、しっかりとおくれをとらないような体制づくりを行っていかなければならない、このように認識をいたします。

 ぜひ、そういった体制づくりの中にあっても、情報収集の充実をしっかり図っていく、こうしたことをもって現状にしっかり対応していきたい、このように考えます。

小熊委員 丁寧で、実はちゃんと答えていないんですけれども。どこぞの大臣と違って失言はないですけれども、核心に触れていただけていないんですね。

 見込みと違った、何で見込みと違った情報しか入らなかったのか、見込みどおりにならなかったのか、どこにそれの原因があったんですか、それに対する対策をどうする。パリ協定に対する対策じゃないんですよ。見込みどおりにいかなかった情報収集能力、どこに欠点があって、そこでそれをどう改善していくかということですから。

岸田国務大臣 見通しどおりにいかなかったということでありますが、状況は刻々と変化をしています。

 我が国としましては、本年中の早期締結、そして早期発効に向けて努力を続けていたわけでありますが、その中で、状況の変化に対応して国内の作業等も急ぎ、そして、結果として十月十一日の国会提出になったと認識をしています。情報収集は大変重要でありますし、そしてその情報収集に基づいて国内の対応についても迅速に対応を考えていかなければならない、こういった取り組みの中で、結果として十月十一日の国会提出ということになったと認識をしています。

 今後とも、情報収集にしっかり努め、そして、状況の変化に対して柔軟に、機動的に対応していく、こういったことは重要だと認識をいたします。こういった観点から、今回の経験も踏まえて、今後しっかりとした体制づくりに努力を続けていきたい、このように思います。

小熊委員 昨年のAIIBのときの見込み、そこもちょっと違っていたなというのがあって、やはりこれは、前回も言いましたけれども、長期的には、逆に、今五千数百人の外務省職員を、極端なことを言えば、倍増して、質的にはもう十倍ぐらいにしていくというぐらいの長期計画のもとに強化をしていかなければいけないというふうに思っています。

 国際状況も今まで以上に変化も激しいですし、もっと複雑多岐になってくるというふうに思います。そういう意味では、万全の体制でしっかりと情報収集能力を上げていく、外交力を上げていくという意味では、今の外務省の体制では非常に足りていない。これは予算もかかわる話ではありますけれども、私はODAも倍増と言っていますけれども、外務省も倍増して質は十倍に高めるというぐらいの長期計画のもとに今回の点を反省して進んでいかなければいけないという、ある意味では応援団として言っているわけですから。ただ、どう反省していくかということによってその方向性が大きく変わりますから、今回の点を奇貨として、しっかりと機会として捉えて、外務省の外交能力を上げていくための長期的なビジョンをもう一度考え直してほしいというふうに思います。

 今回の見誤った件は、一事が万事だと思います。そういう意味では、しっかりと今回の点を真剣に捉えてこれからの対策をとっていただきたい、ぜひお願いをいたします。

 次に移ります。

 先ほども田島委員も言いましたけれども、環境分野また地球温暖化対策には、日本は国際的にリーダーシップを発揮してきました。ただ、京都議定書においては第二約束期は参加できなかったことがありますし、今回もこの締約国会議にオブで参加せざるを得ない状況にもありますが、しかしながら、そういう状況でも、国際的に、日本は何をやっているんだという批判めいた意見は聞いておりません。それはやはり、これまでの長年の環境分野に対する日本の取り組みが国際的にも評価されているからだというふうに思っています。

 さはさりながら、この京都議定書の第二約束期に参加しなかった、また、今回の発効に、スタートラインに日本がしっかり着いていないということを考えれば、これからまたこのCOPの中でリーダーシップを発揮していく上では、今までどおりではやはり、ちょっと立ちおくれている部分がありますから、これを取り返していかなきゃいけないというふうに思うんですね。

 今後、これからの締約国の中での役割、多少大臣も触れましたけれども、改めて、環境分野、脱炭素社会、温暖化対策において日本のリーダーシップを発揮していくためにはどういうふうに努力をしていくのか、お伺いをいたします。

小田原大臣政務官 気候変動対策を重視する我が国として、パリ協定の早期発効を目指す立場を積極的に示してきたものであります。これは、パリ協定の迅速な締結が不可欠であるという考えのもとで、ことし五月のG7伊勢志摩サミットにおいて、ことしじゅうのパリ協定の発効という目標を掲げるG7首脳宣言を議長国として取りまとめるなどであります。

 我が国として、パリ協定を一刻も早く締結することで国際社会に対し我が国の気候変動対策についての積極的な姿勢を示すとともに、安倍総理が昨年末のCOP21で表明した、二〇二〇年における約一・三兆円の対途上国支援の着実な実施を初めとし、引き続き、この分野において主導的な役割を果たしてまいります。

 加えて、現在進行中のパリ協定の実効性をさらに高めるための同協定の実施指針の策定に係る交渉において、引き続き、関係国と緊密に連携をし、全ての国による排出削減というパリ協定の精神を貫徹すべく、国際社会での議論に積極的に貢献してまいります。

小熊委員 ありがとうございます。今、次の質問の部分まで答えてもらっちゃっていたんですけれども。

 まず、国内の目標をしっかり達成する。達成もしていないのに、国際的にリーダー的な役割を担えませんから。あと、今言ったとおり、途上国支援というのは、パリ協定のまた一つの柱だというふうに思います。政務官は真面目で、そっちまでしゃべっちゃったので、そっちに質問を移っていきます。

 この途上国支援、途上国に配慮している条項もこのパリ協定には多く盛り込まれているのが、今回のこの協定の特徴的なものだというふうに思います。これはしっかり、どう途上国を支援していくのかというのも国際的に表明をして、レビューもされるわけでありますけれども、この途上国支援、具体的に、日本のあり方としてどのようにやっていくのか、お聞きいたします。

相星政府参考人 お答えいたします。

 途上国における気候変動対策の資金ニーズは増大してきております。そういう中で、昨年末のCOP21におきまして、安倍総理から、二〇二〇年における一・三兆円の途上国支援実施を表明いたしました。政府としては、まず、ここに向けて着実な実施を図っていくということでございます。

 さらに、委員御指摘の、二年に一度の支援実績の報告や、パリ協定に規定された五年に一度のストックテークにつきましても、我が国の積極的な取り組みにつきまして、国際社会に対して適切に発信していくことが大事だと考えております。

 また、パリ協定におきましては、気候変動対策のための途上国支援に関しまして、途上国から途上国に対する資金供与の道が開かれております。我が国としては、気候変動は国際社会全体の問題であり、先進国、途上国の区別なく、資金供与主体の拡大が非常に重要であると考えております。

 引き続き、我が国自身の途上国支援を積極的に実施するとともに、能力のある途上国に対して、積極的な途上国支援を働きかけていくことが大事だと考えております。

小熊委員 そこで、国際的にもこれはやっていきましょう、各国がやっていきましょうということではあるんですけれども、いろいろな、今、国際的な緑の基金とかを通じても対策をとっているわけですが、もう既に専門家の間では、パリ協定がしっかり動いて途上国支援をしていくとしても、途上国のいろいろな経済的な発展、社会的な発展を見込んでいくと、今現時点じゃないですよ、将来的には一千百二十二億米ドルぐらい、さらに追加の支援策が必要なぐらい、この途上国の発展性、また対策を考えると、そのぐらい見込まれると。これは一部の専門家の指摘ではありますが、そういう傾向は推測されるわけですね。

 とりあえず、現時点で、今途上国支援を頑張っていきましょう、しっかり削減目標を達成できるように頑張っていきましょうですが、将来見通しとしては、さらに、お金をかければ全て成果が上がるかというのはまた別問題でありますけれども、とりあえず追加的なお金も発生するというふうに、現時点においてもう指摘をされています。

 この点については、日本政府としては、その推測のもとに長期的な対策というのは、今のところ何らか手を打っているのか、プランニングがあるのか、お伺いをいたします。

相星政府参考人 お答えいたします。

 途上国における将来的な気候変動対策のニーズが増大していくという点に関しまして、まずは、日本といたしましては、先ほど申し上げたように、日本自身の支援策を実施していくこと、あるいは途上国から途上国への支援を拡大していくことがございますが、既に、委員御指摘の途上国の今後増大するニーズに関しましては、民間資金をいかに動員していくかということも非常に重要であるということが認識されておりまして、本年開かれました気候変動に関する主要経済国フォーラムにおきましても、金融あるいはファイナンスの専門家の参加も得て、いかに途上国のニーズに応えていくためのファイナンスを動員していくか、民間資金を動員していくかという議論が行われており、我が国もかかる議論に積極的に参加していきたいと考えております。

小熊委員 これは、大臣、ここでこそ、こういう途上国支援、これから増大していくであろうというところでは、先進国一丸となってやっていかなきゃいけないところでありますから、まさに、日本がリーダーシップを発揮するという意味では、こういったところに力を入れていかなきゃいけないというふうに思っています。

 私もずっと評価していますけれども、世界の中でも、国際支援、ODAはほかの国に全然劣っていない、逆に、世界一の内容での国際支援をしてきたと私は思っています、歴史上。

 そういう意味では、日本が、途上国支援に関しても、これから長期的に増大していくニーズに対しても、今、相星さんがお答えしていただいたのも、これは、国際的な大きな流れとして、日本政府がやるだけの話ではなくて、全体の中で、増大していくニーズに対してどうやっていくか。

 これは、やはりお金のかかる話ですから、そのうち先進国などでもなかなか出しにくいよみたいなのも出てくるかもしれませんから、しっかり全員参加型で途上国支援ができる、この枠組みをつくる、仕組みをつくる、長期的にも、増大するニーズにもたえられるというのを、これは、今からつくりましょうみたいな形で日本が提案をして、世界を引っ張っていくということがまさに重要な切り口だ、アプローチだと思いますけれども、大臣、どうでしょうか。

岸田国務大臣 先進国のこうした支援については、二〇〇九年のCOP15で、先進国全体で一千億ドルの支援を行う、こうした約束が行われました。この約束ですが、なかなか実現には困難が伴ったわけですが、昨年、COP21の際に、我が国として一兆三千億の途上国支援を表明しました。このことによって、この一千億ドルの約束の実現にめどが立った、こういった実績もあります。

 このように、今日も御指摘の分野において我が国は大きな貢献をしてきたと自負をしていますが、今後に向けても、こうした実績を背景に、ぜひ日本として議論をリードしていく、こうした気概を持たなければならない、これは御指摘のとおりだと思います。ぜひ、こうした観点から、具体的な取り組みをしっかり検討し、議論をリードしていきたい、このように思います。

小熊委員 指摘させていただいている一部の専門家ですけれども、中長期的にはさらに一千億ドルかかるんじゃないかということも指摘されていますから、その辺もしっかり調査をしていただいて、そういうことがいきなり来て、いきなりどうしようという話ではなくて、しっかりその状況を見きわめながら、さらなるニーズに適宜に応えられるように、今のうちからちょっと検証していただきたいなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 これは、国際的にはこうやってやっていく。では、我々自分の国の中でどうやって目標を達成していくんだということがあるわけでありますけれども、結構高い目標だなというふうに私は思っています。

 御承知のとおり、我々民進党は、エネルギー環境調査会を立ち上げて、二〇三〇年代の原発ゼロ社会に向けて具体的に工程表をつくっていこうということで、今取り組んでいるところであります。

 現状としては、政府は、原子力をベースロード電源と位置づけて、電源構成目標を二〇から二二%として、その中でCO2削減目標を立てていますけれども、原発賛成、反対は別として、現状を言えば、四十年廃炉基準、またこれは延長というのもありますけれども、あとコスト、また新設の、まあ新設のものは今あれですけれども、建設期間とか、また安全面、また早期の進展、原発を回復していくということの進展は早期には望めないのが実際の現実だというふうに思っています。

 そういう意味では、脱炭素だ、ではそのために原発をふやしていきましょうという専門家やまた政治家の意見もありますけれども、やはり早期に対応をとっていくということであれば、常に原発は、世界的に見ても建設するときにはすごく時間がかかる、初期の投資よりもさらにお金もかかる、ましてCO2のことを考えると、実は、できてから最後に廃炉にするまでのCO2の排出量は、実際は風力発電の建設の際に出るCO2よりも多い、そういう試算も出ていますので、決して完璧に脱炭素社会に原発が寄与しているとも言えない状況でもあるんですね。

 パリ協定のいろいろなこれからの時系列を考えれば、早期に原発がわっとふえるわけでもありませんし、動かせるという状況にもないわけでありますから、削減目標のために、やはり既存のエネルギー、再生可能エネルギーですね、水力とかも含めてですけれども、再生可能エネルギーに対してはやはりかなりの取り組みをしていかなきゃいけないというふうに思っていますが、その点についてお伺いをいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、エネルギーミックスでお示しいたしました二〇三〇年度のエネルギー需給構造、これは、安全性の確保を大前提に、安定供給の確保、電力コストの引き下げ、そしてCO2排出の抑制、これら三つの政策目標をバランスよく同時に達成するぎりぎりの姿、これを示したものでございまして、その中で、政府として、再生可能エネルギーを最大限導入し、原発依存度については低減していく、こういった姿をお示ししたものでございます。

 その中で、今御指摘の再生可能エネルギーでございますけれども、二二%から二四%程度ということで、原子力の依存度二〇%から二二%を上回る水準を設定しております。

 これも、実は内訳を見ますと、先ほども引用がございましたけれども、水力、これは大変大きな割合があるわけでございます、八%程度でございますが、これはなかなか導入の拡大の余地は少のうございます。したがいまして、水力を除きますと、足元の四%から四倍ほど拡大する、こういった内容でございまして、極めて野心的な内容だというふうに考えているところでございます。

 これはなかなか努力しないと実現できないということでございまして、この水準の実現に向けまして、私ども経済産業省資源エネルギー庁といたしましては、関係府省とも連携をいたしまして、ことしの四月にエネルギー革新戦略というものを策定したところでございます。これに沿って、再生可能エネルギーなどのエネルギー関連投資、これを拡大していきたいと思っております。

 詳細は割愛させていただきますけれども、例えば、FIT制度の見直しというものの中でも、地熱、風力、水力というのは非常にリードタイムが長い電源でございます。こうした導入の拡大を後押しするために複数年度分で買い取り価格を設定するといったこと。それから、再生可能エネルギーの場合、一番問題はコストでございます。したがいまして、蓄電池の開発を含めまして、低コスト化のための技術開発、これにもしっかり予算を入れて取り組んでいく。さらには、昨年来、御記憶もあるかと思いますが、系統につながらない、こういった問題がございます。こういった系統制約の解消にも取り組んでいく。さらには、この後御説明があるかもしれませんが、環境アセスメントの迅速化など規制面での取り組みといったことも必要かと思っております。

 いずれにいたしましても、再生可能エネルギーを最大限導入する中で、国民負担の抑制という考え方と両立させながら、しっかり政府として取り組んでいきたいと思っております。

小熊委員 ぜひそういった取り組みを進めていくという上で、もう一度ちょっとお話しさせていただくと、脱炭素社会に向けて世界的には原子力発電というのは主流になっていないということをまず指摘させていただきます。

 一九九七年の原子力の全世界でのシェアというのは一七%でしたけれども、今一〇%に低下をしています。また、建設が進んでいる中国においても、計画どおり原発をつくっても、中国の総電量の中で原発の占める割合は五%にしかなりません。

 そういう意味では、今回のパリ協定、しっかり温暖化対策をやっていきましょうという上では、原発に置きかえていくというのは実は世界の潮流でもないですし、長期にわたる建設、またその安全面、またコストといったものを考えると、そこをやはり主流にしてはいけない。今答弁のあったとおり、再生可能エネルギーにもっともっと力を傾けていかなければならないわけであります。

 今あった買い取り制度とか国民に対する賦課金とかやると、ざっくり言うと多分一・三兆円ぐらいなんですね。既存技術の普及ということもこれはやっていかなければいけません。普及することによって安価な電力にかわっていくということもありますから。

 もう一つは、先ほど言った技術革新です。

 技術革新においては、これをやることによって、逆にこれは大きな輸出産業にもなっていくわけです。世界の中では原子力は主流ではありません、電力開発において、安定供給においても。ということであれば、大きなシェアがあるのは原発輸出ではなくて、こういう再生可能エネルギーの技術革新によって、日本の技術供与、またそれで国際的なビジネスもやっていけるということですから、ここにやはり力を入れなきゃいけないんですが。予算的なことを言うと、私が調べた限りでは、片や一・三兆円ですね、既存の技術の普及のために、買い取り制度とか含め。こっち、技術開発のためにつけられている予算は多分六百億ぐらいだと思うんですけれども、このバランスの悪さは変えていかなきゃいけないと思います。

 技術開発にもっとしっかり国の予算を通じて、再生可能エネルギーの普及にお金を使うことも大事ですけれども、やはり、再生可能エネルギー、今の技術力でももっと技術革新していかなければ、世界的にも広がらない、安定供給にもしっかり寄与できないということはわかっているわけですから、新たな技術開発のための予算確保というのは必要になってくると思いますけれども、このパリ協定の目標を達成するためにも。

 この点について、この予算、少ないということに対して、今後どういうふうにふやしていくのか、長期的にはどう考えているのか、お答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の再生可能エネルギー、技術開発を含めまして、あるいはその予算をしっかりととっていくということが必要だという御指摘かと思います。

 私ども、先ほど申し上げました国民負担の抑制といったことを、この再生可能エネルギーの導入に当たってはしっかりと頭に置かなければいけない。それから、もう一つ考えなければいけないのは、原子力の御指摘につきましても、我が国というのは、やはり他国と比べましても資源の制約が非常に大きい国の中でどういうふうにバランスをとっていくかというのを同時に考えていかなければいけないとは思っております。

 ただ、その中で、原子力も、そして再生可能エネルギーも、バランスをとってこの国の中でしっかりと使っていくということでありますと、現在の予算の規模が多いのか少ないのか、こうしたことについては、これは予算の金額だけの問題ではなくて、金額の使い方といったところもしっかり我々として問題意識を持ちながら取り組んでいきたいと思っております。

 再生可能エネルギー導入についての応援と受けとめて、しっかり考えていきたいと思います。

小熊委員 ぜひこれは努力して、一・三兆円対六百億ですから、これはやはりしっかりと、全然足りていないということを認識していただいて努力をしていただきたいのと、ちょっと今、気になる一点は、資源の少ない国と言っていますけれども、日本はもちろん国土面積、世界でも六十一位ですけれども、いわゆる海の面積、排他的経済水域は世界で第六位です。地熱に関しては世界第三位です。森林率は、先進国の中ではこれも三位です。

 ということを考えれば、自然エネルギーのポテンシャルを非常に持っているということで、資源の少ない国じゃないんです、逆に活用していない資源がいっぱいあるということですから。そういう発想のもとに、切り口のもとにやっていかなければ、これは本気で、野心的な目標を立てているわけですから、これに対して取り組みもなかなか腰が入らないですよ。

 逆に自然エネルギー大国、しかも眠っている自然エネルギー大国だという意識のもとに、ぜひそういった取り組みをこれからしていただく。発想をしっかり転換してですよ。資源のない国じゃないんです、あるんです、使われていないんです。これをしっかり利活用していく。そして、このパリ協定の目標をしっかり達成していって世界をリードしていく、そのぐらい気概を持ってこれから頑張っていただきたいと思うし、その点については与党、野党関係なく、これは国際的な貢献、日本の未来、世界の未来のためですから、しっかりと我々も提言をしてお支えしていくことをお約束申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 パリ協定についての質疑をいたします。

 私、最初に一言申し上げたいのは、今国会におきましては、強行採決発言が相次ぐなど、国会審議を軽視するかのようなやりとりがあるということは極めて重大だと考えております。しっかりとした審議を行うことこそ国会の責務でありますし、十分かつ慎重な審議を行う、このことをぜひ求めたいと思っております。

 パリ協定におきましても、その経緯の問題やその内容、また国内対策をどうするのか、そのそれぞれについてしっかりとした議論が尽くされるべきであります。

 私は環境委員会にも所属をしておりますので、そこでも今回のパリ協定については、当然、国内対策、あるいは、COPに参加をしているのは環境大臣でありますから、その面でも、環境大臣も出席をした審議が可能となる連合審査の要求もしてきたところであります。残念ながら、それがかなうものになっておりません。

 参議院の外交防衛委員会では、外交防衛委員会の審議ではあれ環境大臣も出席をして、外務大臣とともに質疑を行われたと承知をしております。そういう点でも、やはりしっかりとした審議を行うことに努めていくということが必要であって、審議については、きょうもしっかり行うと同時に、引き続き審議を継続する、十分かつ慎重な審議を求めていきたいと思います。

 それで、パリ協定についてでありますが、パリ協定は、産業革命前からの気温上昇を二度未満に抑制し、さらに、一・五度までへの抑制に向けた努力を行い、今世紀後半の温室効果ガスの排出を実質ゼロにするために、先進国も途上国も参加し法的拘束力を持つ、かつてない取り決めとなりました。

 それなのに、パリ協定発効に間に合わなかった安倍政権の責任は極めて重大であります。

 大臣にお尋ねをいたします。

 四月二十二日に国連本部においてパリ協定の署名式が行われました。日本を含む百七十五カ国とEUが署名をいたしました。ですから、世界の大半の国々がこの四月二十二日をスタートラインにして各国における批准や承認の手続に入っていく、こうなっていたわけですけれども、結果として日本政府はこの発効に間に合わないということで、スタートラインは同じだったのに、なぜ日本は出おくれたのか、このことについての説明を求めたいと思います。

岸田国務大臣 我が国としましては、パリ協定、大変重要な協定であり、早期発効、早期締結が重要であるという認識のもとに取り組んできました。

 御指摘のように、四月二十二日、署名が公開された当日に我が国も署名を行いました。そして、その後、五月の伊勢志摩サミットを初めさまざまな機会に、この本年中の早期発効が重要であるということを訴えてきましたし、早期締結に向けて努力を続けてきたわけであります。そして、国会に提出する前に、国内調整の努力を続けなければならないということで、パリ協定の国内実施の担保に係る検討を進めてきたわけであります。

 国内調整の長さについては、協定によってさまざまな事情があります。法改正が必要なもの、ないもの等、事情はさまざまであります。事実、京都議定書の際には、署名から国会提出まで四年かかっております。こういったさまざまな事情がありますが、今回のパリ協定においては、法律改正が必要ないという判断でありましたので、半年で国内調整を終えたということであります。そして、国内調整終了と同時に国会に提出をさせていただいた、こういった次第であります。

 出おくれたという御指摘でありますが、問題は、今後の、協定が発効した後の実施指針、実施ルールの策定の議論において出おくれないことが重要であると考えています。ぜひこの議論においてしっかりと、おくれをとらないように努力をしていきたいと思いますが、何よりも、日本自身が早期締結することが重要であり、説得力のある形で議論に参加することが大事だということで、まずは国会における早期承認をお願いするべく、全力で取り組んでいきたいと考えます。

塩川委員 各国同じ事情でスタートしたにもかかわらず日本が出おくれたということは明らかで、その点についての明確な説明はありませんでした。

 京都議定書四年の話もありましたけれども、今回のパリ協定の合意に当たっても、日本政府内では、二〇一八年ぐらいの発効という想定もあったわけですね。それが、中国やアメリカの取り組み、またそれに呼応するようなインドやEUでの取り組みの中で、結果として日本が出おくれる、そういう点でも、私はやはり日本政府の姿勢そのものに問題があるということを言わざるを得ません。

 先ほど、伊勢志摩サミットでの年内における発効についての話もございました。この伊勢志摩サミットの首脳宣言では、「G7は、引き続き指導的な役割を担い、パリ協定の二〇一六年中の発効という目標に向けて取り組みつつ、同協定の可能な限り早期の批准、受諾又は承認を得るよう必要な措置をとることにコミットするとともに、全ての締約国に対し、同様の対応を求める。」旨の言及をしたわけであります。

 そこで、環境省の関副大臣にお越しいただいております。この伊勢志摩サミットの首脳宣言の直後の五月三十一日に、当時の丸川環境大臣が記者会見で述べていることがあります。そこのところを紹介いただきたいんですが、このパリ協定の国会承認の時期をめぐる記者の質問の中身と、それに対する大臣の回答について、その該当部分、ホームページで紹介しているその部分を読み上げていただけますか。

関副大臣 記者とのやりとりのところでございますが、まず記者から、現実的に臨時国会でTPPと補正予算があることを考えるとかなり時間が限られると思うのですが、一方で今回サミットの中で二〇一六年中の発効の目標をG7として打ち立てたということもあって、大臣としては臨時国会では厳しい時間の中でも、この次の臨時国会までには必ずとか、どのくらいまでには確実に国内の手続を進めたいとお考えなのでしょうかとの質問がございました。

 これに対しまして、丸川前環境大臣より、「私の希望としては、少なくとも次の通常国会中にはお願いしたいと思っております。」との応答があったのは事実でございます。

 なお、丸川前大臣でございますが、その五月末の同じ会見の中で、国会の見通しは我々は予断を持つことはできないとしつつ、できる限りの努力は我々としてはしたい、本年中のパリ協定の発効という目標を十分に念頭に置いて取り組みたいと明確に発言がなされているところでございます。

塩川委員 いや、今ちょっと読み上げた部分で若干間違いもあると思います。後で訂正があると思いますけれども。

 今紹介いただいたように、丸川大臣の答えが、「私の希望としては、少なくとも次の通常国会中にはお願いしたい」と。その後に、いや、臨時国会でということもあったという紹介もありましたけれども、しかし、ここでは、幅を持って述べているわけですね。

 ですから、直前にサミットにおいて年内発効に頑張ろうと言っていたにもかかわらず、その直後に、丸川環境大臣が次の通常国会ということで年明けだと言うのは、まさにここに政府の姿勢が出ているということじゃないですか。

関副大臣 今の御質問の前に、先ほど私が申し上げたとき、ちょっと一カ所読み間違えたところがありまして、済みません、そこを先に訂正させていただきます。記者の方からの質問で、「大臣としては臨時国会では厳しい時間の中でも、この次の通常国会までには必ずとか、」というところ、「通常国会」のところ、臨時国会と読んだみたいでございまして、失礼しました。そこを訂正させていただきます。

 そして、丸川前環境大臣の発言のところでございますが、先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、丸川前大臣が、この五月末の会見の中では、国会の見通しは我々は予断を持つことはできないとしつつ、できる限りの努力は我々としてしたい、本年中のパリ協定の発効という目標を十分に念頭に置いて取り組みたいと、その点は明言をされております。

 実際、現在の山本大臣も、丸川前大臣からは、G7伊勢志摩サミットにおけます首脳宣言を踏まえまして、本年中のパリ協定の発効という目標を念頭に置きまして我が国として早期の締結を目指す必要があるという引き継ぎを行った次第でございますので、一日も早く締結できますように全力を尽くしてまいりたいと思います。

塩川委員 こういう発言をしているというのは明らかなんですよ。そういう点では幅を持って言っているわけで、そこにやはり政府の基本姿勢、認識があるということを言わざるを得ません。

 大臣にお尋ねしますけれども、この丸川大臣のやりとりでも、臨時国会にTPPという話がありました。やはり政府がTPPを最優先にしている、そういう中でこのパリ協定を後回しにするという結果というのがこの臨時国会にはっきりと示されているんじゃないですか、所信表明演説の話もありましたけれども。

 そもそも、地球の、人類の存続にもかかわるようなこういう温暖化対策よりも、米国や多国籍企業の利益を上に置くようなTPP協定を優先する、こういう姿勢というのがパリ協定発効に国会承認が間に合わないという事態をつくったんじゃないでしょうか。

岸田国務大臣 まず、丸川大臣の発言の意図については私は十分承知しているものではありませんが、政府としましては、五月の伊勢志摩サミットにおいて、G7の首脳宣言の中で本年中の早期発効を目指すということを明記した、この宣言を議長国としてまとめたわけですので、政府の方針はあくまでも本年中の早期発効そして早期締結に向けて努力するものであると私は認識をしております。

 そして、TPPとパリ協定についてお話がありました。

 TPP。我が国は、経済的にもそして戦略的にも大変重要な協定であるという認識を持ち、二月に署名を行い、準備を進め、そして国会に提出をいたしました。パリ協定も、大変重要な協定だという認識のもとに、四月に署名を行い、国内調整を行って、そしてこの国会への提出を行ったわけであります。

 TPPもパリ協定も、ともに我が国の国益にとって、そして国際社会の平和や安定や繁栄のために大変重要な協定であると認識をしております。ともに重要な協定であるという認識のもとに、早期の国会での御承認をいただけるよう最善を尽くしていきたい、このように思います。

塩川委員 TPPそのものについても、地域経済や日本経済、国家主権、食料主権を含めて重大な侵害を及ぼすTPP協定承認には、我が党は断固反対であります。

 このTPPの早期承認を最優先にしているということはこの間の国会対応でも明らかであって、そういった中でパリ協定の国会提出そのものが先延ばしをされた。そもそも、九月二十六日に召集されたにもかかわらず、国会への提出というのは十月の十一日ですから、ここ一つとっても、まさに今国会はTPPを優先するという姿勢というのが見てとれることは明らかであります。

 あわせて、こういったパリ協定批准について政府が様子見だった背景には財界の慎重姿勢があるわけで、京都議定書のときに、アメリカは議定書の採択に合意をしましたが、批准せず、離脱をしました。日本政府は、不平等を理由に第二約束期間から離脱をしました。こういう経緯を踏まえて、日本経団連は、「パリ協定の締結については、京都議定書の教訓を踏まえ、各国の対応を慎重に見極める必要がある。」と要求していた。アメリカや中国の様子見をする、そういう姿勢というのがまさにあらわれているわけで、世界は脱炭素化に向けて大きく踏み出しております。政府の後ろ向きの姿勢が厳しく問われなければなりません。

 そこで、パリ協定についてですけれども、パリ協定と同時に、国内対策を含めて、石炭火力発電問題について質問をいたします。

 この協定文についてですけれども、パリ協定の第二条第一項の(c)に資金のところがございます。「温室効果ガスについて低排出型であり、及び気候に対して強靱である発展に向けた方針に資金の流れを適合させること。」この意味するところは何かについて、御説明をお願いします。

小田原大臣政務官 パリ協定第二条1(c)前段の、「温室効果ガスについて低排出型であり、及び気候に対して強靱である発展」とは、温室効果ガスの排出量が少ないと同時に、気候変動による被害を最小化または回避し、さらに、そのような被害から迅速に回復するような能力の向上を目指した発展を指すと考えています。

 また、同規定後段の「資金の流れを適合させる」とは、前段で言及されている発展に沿う形で資金供与や投資が行われ、活用されるべきであることを意味するものと解されます。

 我が国は、低炭素社会及び気候変動に強靱な社会の構築に向けて、国内での取り組みを進めるとともに、途上国支援にも引き続き積極的に取り組んでまいります。

塩川委員 抑制、適応、それぞれについて、この資金の流れを適合的なものにする、そういう点でも、温室効果ガスの排出については、排出量が少ないもの、こういう方向への資金の流れを進めるということであります。パリ協定は、温暖化ガスの削減目標と矛盾しない資金の流れを呼びかけているということです。

 そこで、経産省にお尋ねをいたします。この間、海外向けの石炭火力に対する公的金融支援の制限がOECDの輸出信用会合において議論されてきました。どのような議論が行われたのかについて、説明をお願いします。

高木副大臣 石炭火力発電に対する公的輸出支援につきまして、二〇一四年の三月、アメリカなどから各国の支援のあり方を見直すべきではないかという問題提起がございました。OECD輸出信用作業部会におきまして議論が開始され、同部会におきましては、我が国は、可能な限り高効率な石炭火力技術を導入することこそが実効的な気候変動対策であると主張してまいりました。

 議論の結果、昨年の十一月の十七日に、同部会におきましてOECD輸出信用アレンジメントの改訂に合意がなされたものでございます。

塩川委員 このOECDにおける公的金融支援の制限の議論というのは、アメリカのオバマ大統領が大統領気候変動行動計画の発表をして、石炭火力の海外向け公的金融支援の停止を他国に呼びかけたというのがきっかけであります。北欧諸国やイギリス、オランダ、世銀などが同調した、そういう中での議論で、今答弁ありましたように、日本政府としては、高効率化こそが実効的な気候変動対策だという主張をしてきたということです。

 その上で、これはどのようなルールの見直しが行われたのかについての説明をお願いします。

高木副大臣 昨年の十一月の合意は、高効率石炭火力発電の輸出を通じて気候変動対策への貢献を進めるという我が国の考えを認め、それを可能とする内容でございます。

 具体的には、本合意におきましては、一つ目は、最も効率の高い設備である超超臨界については、途上国のみならず、高所得国も含め制約なしに輸出支援を続けることができる。二つ目の、他方では、超臨界、亜臨界については支援できる対象が一部制限されたものとなっております。

塩川委員 超超臨界という高効率の石炭火力の支援というのは制限がない、低効率の石炭火力については、低所得国等々の例外はあるけれども、基本的に制限をしていきましょうという話であります。

 そこで、このOECDの輸出信用会合の合意の中身というのは、実際に抜け穴が多いというか、今言ったように、高効率のものであればオーケーだよとか、こういう話になっているわけです。

 しかしながら、この合意そのものは、温室効果ガスを大量に排出する海外プロジェクトへの公的金融支援そのものがやはり問題なんだ、問題があるんだという立場で規制に踏み込んだという点で極めて重要だと考えております。

 大臣に少しお尋ねしたいんですけれども、WWFなど環境NGOの調査では、G7諸国の石炭に対する資金支援というのは二〇〇七年から二〇一五年で四百二十億ドルを超えると、集計の結果が発表されています。こういう四百二十億ドルを超えるような石炭に対する資金支援のうち、半分以上が日本だという指摘なんですね。

 こういった海外の石炭火力発電への資金支援は日本が最多だという認識というのはお持ちでしょうか。

高木副大臣 今御指摘をいただきましたように、日本が輸出信用をしている、こういうような形もございます。

 その上で、委員の問題意識の中には、石炭火力自体が地球温暖化対策に逆行するとお考えだと思います。確かに、石炭というのはCO2を出しますけれども、一方で、経済性やエネルギー安全保障の観点から、石炭をエネルギー資源として選択せざるを得ない国というのがございます。こうした国にとって、可能な限り高効率な石炭火力技術を導入することこそが実効的な気候変動対策であると考えております。

 というのは、私も昨年の十月でございますが、G20のエネルギー大臣会合に行きました。そのときに、一つのテーマは、サブサハラ、いわゆるアフリカ大陸でのエネルギーをどうするかという問題を議論したときに、実は、世界各国で十六億人がまだ電気の供給を受けていないという現実がございました。

 そういう開発途上国に対して、どういうふうにして電気を、そしてエネルギーを供給するかという問題において、原子力発電を導入するのは無理であろう。再生可能エネルギーも、理想かもしれないけれども、そういう開発途上国ではなかなかこれも導入できない。そういう中で、まずは経済をつくり上げていかなければいけない開発途上国においては、石炭火力を導入するという現実が一つございます。

 そういった中で、もしこの高効率をしっかりと導入していかないでやった場合には、OECDに加盟しない中国が、安い、ある意味では性能の悪い石炭火力をどんどん輸出しているという現実がございますので、そういった意味では、まさに地球温暖化対策に逆行するということもございますので、我が国としては、これを高効率に転換しながらやっていくということで主張させていただきました。

塩川委員 石炭火力の高効率化の話をしましたけれども、もちろん、電力の開発中の国々の現状というのはあります。そういう際に、大規模火力発電でやるのかという話なんですよ。地域分散の発電の工夫だってできるわけですから。そういった国々に大規模石炭火力を持ち込むという姿勢そのものが、私は地球温暖化対策に逆行すると言わざるを得ません。石炭は気候変動の主要な原因の一つであるわけで、石炭火力が稼働し続ければ炭素排出は続くわけで、気候の変動の緩和策にはならないということを申し上げたいし。

 中国の話もされました。二〇一五年の九月に、中国は、アメリカとの共同声明において、国内外向けの石炭プロジェクトへの公的支援を制限することを表明しています。インドにおいても、こういった石炭火力の導入量というのがこの間減少にも転じているわけで、再生可能エネルギーの大幅な導入が中国でもインドでも急速に進んでいる。

 そういう点で、火力発電と比べての価格競争力を持つようになっている、こういう現状が背景にあるということもしっかり踏まえて、日本がやるべき道は、やはり石炭火力の発電を抑制していく、これをなくしていく、こういう方向の対応こそ求められているということを申し上げたい。大臣から、資金支援は日本が最多だということについてのお答えがありませんでしたけれども、そういう現状からやはり対策を考えなくちゃいけない。

 経産省の方に少し具体的な案件でお尋ねします。

 今、安倍政権のもとでは、インフラシステム輸出戦略に取り組んでおります。石炭火力発電の輸出もその中に含まれているわけですけれども、例えば、インドのカルナタカ州のクドゥギ超臨界石炭火力発電所の新設に関する融資にも安倍総理もかかわっているわけですけれども、この案件がどのようなものかについて簡単に説明をお願いできますか。

高木副大臣 御指摘のありましたインドの案件につきましては、カルナタカ州クドゥギ石炭火力発電所で八百メガワットの石炭火力発電を三基建設するプロジェクトでございます。我が国企業が二〇一四年にタービン、発電機の部分を受注しているもので、本プロジェクトの蒸気条件は、二十四・一メガパスカル、五百九十三度C以上となっており、これらはOECD輸出信用ガイドラインにおける超超臨界に該当いたします。

 その当時、報道されたのには超臨界となりましたけれども、このOECDの輸出信用アレンジメントの改訂によりまして、超超臨界に該当するということから、公的輸出信用の供与が可能なものとなっております。

 なお、本件は、現在、建設工事が進んでいる段階であり、二〇一七年以降、順次運転が開始される予定となっているものと承知しております。

 そして、もう一つ。先ほど、開発途上国にまでというような話で議論になりました。そのときに、今回の輸出信用アレンジメントの改訂におきまして、大型だけでありません、大型については、超超臨界については各国、大丈夫だというふうにしましたけれども、特に開発途上国向けの小さなもの、それについては大型、中型はしっかりと規制をしておりまして、小型でいく、こういったことにもなっておりますので、その点もしっかり御認識をいただければと思います。

塩川委員 今、答弁ありましたように、インドの案件につきましても、超超臨界という話がありました。規制の対象外だという説明です。

 これ以外にも、OECDのルールというのが、日本から輸出する発電プラントへの公的支援は規制の対象となるけれども、日本企業が現地で生産する発電プラントへの公的な支援は対象外となっている。インドなどもそういう東芝の現地法人がやっているということですけれども、こういう点でも、対象外という点でいえば、超臨界だろうと実際には対象外となっているということがこういう例にも見てとれるわけです。

 私は、やはりこういった、率直に言って、全体とすれば石炭火力について規制の網の目をかけていこうというときに、日本政府というのが規制の網の目をくぐってというより、みずから規制の穴をつくって、温暖化対策に逆行する石炭火力を総理みずからトップセールスを進めようというのが問題だということを指摘するものです。

 次に、チリへの石炭火力発電の技術提供の件についてお聞きしたい。

 これも安倍総理のトップセールスがきっかけとなっています。高効率発電技術の導入によるJCM、二国間クレジット制度のプロジェクト実現可能性調査についてというふうに聞いております。二国間クレジット制度の活用といいますけれども、どういう案件か、御説明をお願いします。

高木副大臣 ただいまのチリの案件について御指摘もございました。

 本件は、チリに五百メガワット級の石炭ガス化複合発電、いわゆるIGCCの導入を目指した案件でございます。本件導入に向けまして、平成二十六年及び平成二十七年度に、二国間クレジット制度の活用を含む実現可能性調査、いわゆるFSを実施いたしました。

 事業化に当たっての経済性や二酸化炭素排出削減量、さらには技術的な適用可能性等の調査を実施したところでございますが、本件につきましては、チリ側のカウンターパートとの間で、プロジェクトの推進方法について合意に至らなかった。そのため、現在、プロジェクトが停滞中でございまして、現状では案件受注には至っておりません。

 もう一つ、済みません。先ほどからずっとお話しになったOECDのルールづくりでしたけれども、アメリカからの提案でございましたが、このルールができた後、二〇一五年十一月二十日の日米首脳会談におきまして、オバマ大統領は、この石炭火力発電への公的信用供与に関し、OECD輸出信用作業部会での輸出信用アレンジメントの改訂に基本的合意したことや、クリーンエネルギーや環境問題での日本のリーダーシップに感謝していると。提案をしたアメリカ自体がこの方法に関しましてしっかりと評価をしているという、この先進国での合意についての確認もここで行わせていただきたいと思います。

塩川委員 規制の方向でというのはあるわけですから、そういう点についてのそれなりのコメントというのは当然あるだろうと思います。

 しかし、そもそも世界全体の流れから見たときに、日本の進み方というのは逆行をしているんだというところがまさに問われているわけであります。

 今のチリの案件ですけれども、停滞中、成案となっていないということでした。

 私がそれを踏まえてお聞きしたかったのが、二国間クレジット制度、JCMのことなんです。つまり、このチリの案件のときにはまだパリ協定ができておりませんので、日本政府とすれば、こういった二国間クレジットについてもパリ協定の中に組み込んでいく、こういう働きかけをしている中で先行して行っている案件ということになるわけですけれども。二国間クレジット制度というのは、日本の技術や製品を提供して、新興国や発展途上国の温暖化ガスを減らし、その削減分を排出枠として得る日本独自の制度であります。日本政府は、パリ協定第六条においてこのJCMの仕組みが位置づけられたとしております。

 この件について、経産省、高木副大臣にお尋ねしますが、もともと二国間クレジット制度は、大規模石炭火力発電というのも対象にしているということですね。

高木副大臣 これは、ケース・バイ・ケースでいろいろと判断をされていくものだと思いますし、今御指摘のように、大規模な部分でもこれは可能だというふうに考えております。

塩川委員 可能だということであります。案件としてあるかどうかは別にしてみても、スキームとしては可能ということでした。

 これは、経産省の中でいろいろJCMの検討を行っております。私が拝見したものの一つに、長期地球温暖化対策プラットフォーム海外展開戦略タスクフォースの資料の中に、JCM、二国間クレジット制度の課題を指摘しています。

 その中では、やはりJCMというのは規模が小さいよね、コストも高いよねと、幾つかこういう課題が列挙されているわけですけれども、そういう中で、「大型・ビジネス案件のJCM化が必須。」とあります。

 パリ協定の詳細ルールづくりにおいて、大型、ビジネス案件のJCM化を求めていくという立場ですか。

高木副大臣 先ほども申し上げましたけれども、ケース・バイ・ケースの案件でございますので、積極的にこれを求めていくということではなくて、現実の中でそれぞれのその各事業者、企業がそういうような案件を取り扱えるかどうか、こういったことも含めて検討されていくものだと考えております。

塩川委員 これは、政府の中でいろいろ議論されていると思うんですけれども、外務省としてはどうなんですか。こういった大規模石炭火力も含むような大型、ビジネス案件のJCM化、そういうルールづくりをパリ協定の詳細ルールづくりの中で求めていくのかどうか、その点について。

相星政府参考人 お答えいたします。

 二国間クレジット制度自体は、途上国へのすぐれた低炭素技術等の普及促進や対策実施による温室効果ガスの排出削減クレジットについて、我が国の貢献を適切に評価した上で獲得して、我が国の削減目標の達成に活用するのがその目的でございます。

 まさにその趣旨に照らして、今後、関係省庁とも緊密に連携の上、実施指針の策定に当たって検討してまいりたいと思います。

塩川委員 否定されませんでした。大規模石炭火力発電もJCMの対象とするためにパリ協定の詳細ルールづくりにかかわろうという姿勢を否定されなかったということであります。

 ですから、私、日本政府がパリ協定の詳細ルールづくりに参加をしても、こういった大規模石炭火力を推進するようなスキームを入れ込むようなアプローチでは、率直に言って、温暖化対策の足を引っ張るだけだということを言わざるを得ません。

 安倍政権全体の方針として、インフラシステム輸出戦略に取り組んでいるわけです。毎年、インフラシステム輸出戦略のフォローアップを行っています。

 そこで少し事実関係でお聞きしますが、これは内閣官房でしょうか、経産省かな。総理、閣僚による強力なトップセールス、つまり、総理あるいは閣僚が先頭にトップセールスを行うということを、この間政府が方針として掲げています。これについて、実施件数が幾つかというのを、数字が出ています第二次安倍政権発足以降の二〇一三年、二〇一四年、二〇一五年について、総理のかかわる案件が何件で、閣僚のかかわった案件が何件か。その合計について教えてもらえますか。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年から二〇一五年まで、総理及び閣僚レベルの外国訪問によりますトップセールスの実施件数につきましては、総理、閣僚、それから副大臣・政務官、それぞれ、九十八、百二十四、百四十五でございまして、合計は三百六十七件となってございます。

塩川委員 今は副大臣、政務官を含めた数字でお答えいただいたんですけれども、総理と副大臣でいいですから、各年次ごとの数字と合計数。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 総理につきましては、二〇一三年、三十四、二〇一四年、三十二、二〇一五年、三十二、合計九十八でございます。

 また、副大臣・政務官レベル、これは副大臣、政務官を合わせた数字で取りまとめておりますけれども……(塩川委員「閣僚、閣僚」と呼ぶ)閣僚でございますか、失礼いたしました。閣僚レベルにつきましては、二〇一三年、四十六、二〇一四年、四十二、二〇一五年、三十六、合計百二十四件でございます。

塩川委員 失礼しました。

 そうしますと、総理が三年間で九十八件、閣僚が百二十四件、合計二百二十二件、こういったトップセールスを行ったということで、内閣官房が取りまとめをしています。

 このトップセールス実施件数のうち、石炭火力発電事業に係る件数が何件あるのかについては、これは経産省ですか、お願いします。

高木副大臣 石炭火力発電事業に関して、経産省が把握しているものとしては、二〇一三年から一五年に、総理、経産大臣、そして副大臣、政務官が海外出張した案件のうち、相手国との会談におきまして石炭火力の導入を働きかけた件数は二十三件でございます。

塩川委員 これは、経産省の政務三役がかかわった案件ということでの数字で、ほかの役所がかかわっているというのは実際ないのかな、これで政府全てということでしょうか。

高木副大臣 総理がかかわられたのが四件、経産省、大臣、副大臣、政務官が十九件ということでございます。

塩川委員 ぜひどういう案件かについて、例えば、先ほどのOECDのルールで見てもらったような、それぞれの発電方式ですね、超超臨界、超臨界、まあ亜臨界はないんだと思うんだけれども、その辺の区分とかの件数というのは出せますか。

高木副大臣 現在の段階では、今の手元には、その資料としては手持ちではありませんので、申しわけございません。

塩川委員 二十三件の一覧表を含めて、今言った発電方式の区分とかの資料を後で出していただけますか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 二十三件の内訳ですけれども、これは個別企業のビジネスにかかわる話でございますので、具体的内容については公表というのは難しいと考えております。

塩川委員 でも、トップセールスで実施した件数というので、わざわざ内閣官房が宣伝のためにつくっているわけですよ。そういう案件について、詳細を聞こうなんて別にそこまで求めていませんから、どういう案件かの一覧表ぐらい、これは集計しているわけですから出せますよね、副大臣。

高木副大臣 今、寺澤局長がお話ししましたように、それぞれの案件、具体的にビジネスとして成立した案件はございます。ビジネスとして成立していればオープンになっても問題はないと思うんですが、いわゆるFSを実施してその後どうなるかだとか、そういう部分では、各企業、それぞれ企業としてのさまざまな情報の管理というのはございます。そういうことを含めまして、今局長は、そこは公開できない、こういうふうなお話でございます。

 ですから、契約が成立して実質的にスタートしているものに関しましてはオープンにできると思いますので、それは努力していきたいと思います。

塩川委員 何が開示できて、できないのかというその境目というのも重要ですから、いずれにしても、改めて経産省に対してその資料については求めていくものです。

 こういった案件の中には、先ほどの四件と言いましたけれども、安倍総理がかかわった案件もあります。あわせて、この内閣官房の資料には、二〇一四年のインフラ受注実績というのがあって、約十九兆円となっています。そのうちエネルギーは五・六兆円とあるんですが、この五・六兆円のうち、石炭火力発電に関する受注実績が幾らぐらいかというのはわかりますか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 二〇一四年のインフラ全体の受注は、エネルギー分野で五・六兆円あるうち、電力分野は三・二兆円でございます。そのうち、タービンとかボイラー等の機器受注が〇・九兆円、発電事業というIPPが二・三兆円でございます。

 機器受注〇・九兆円のうち、これについては機械受注統計から算出しているものでございまして、これ以上の詳細内訳はございません。IPPの二・三兆円のうち、火力発電が二兆円、再生可能エネルギーは〇・三兆円という内訳でございます。これ以上の詳細は把握しておりません。

塩川委員 石炭火力も含まれるというお話でした。詳細については、また改めてお尋ねします。

 いずれにしても、こういったように温暖化対策を進める上でどのように温室効果ガスを抑制していくのか、そういう際に、やはり日本政府としての姿勢を明らかにする意味でも必要な情報開示が求められていると思います。石炭火力発電事業に係る日本政府の公的金融支援に関する詳細データをぜひ出していただきたい。JBICですとかNEXIですとかJICAとか、こういった資料についての情報開示、石炭火力発電について求めたい。大臣、一言。

高木副大臣 先ほどから申しておりますけれども、いわゆる契約を結ぶためのさまざまな交渉をしている段階では、これは、やはり企業側としてみれば、その情報というのは開示できない部分はあると思います。ただし、その契約が成立をして、事業が発注されて、そして工事が展開されているようなものは、これはオープンにして何ら問題はないと思います。

 そういった中で、私どもは先ほどから何度も申し上げておりますけれども、この石炭火力、まさにCO2を削減していく流れの中で、世界各国はこの火力、特に石炭火力を使う流れというのがございます。それをどこまで抑えられるかということを、日本の技術、これをしっかりと発揮しながらやっていくということが最も大切であるということを申し上げておきたいと思います。

塩川委員 この石炭火力発電というのは、世界のCO2排出量の約三割を占めるという最大の排出源です。これをどう抑え込むかということこそ行うべき仕事じゃありませんか。超超臨界であっても、天然ガス火力の約二倍の炭素排出をもたらす、温室効果ガスの大量排出は避けられない、こういう立場で取り組むことこそ求められていると思います。

 安倍政権の成長戦略であります日本再興戦略を見ても、高効率火力発電の導入推進及び国際展開とありますし、公的金融支援やトップ外交を通じてアジア等々の新興国へ普及させると述べているわけです。国内においても、火力発電についての導入推進と同時に、石炭火発の輸出、国際展開、これも安倍政権のもとの成長戦略でうたっていることで、安倍政権が石炭火力発電輸出にお墨つきを与えている、そういう世界の流れに逆行しているということを言わざるを得ない。こういう点について転換すべきだ。大臣、最後に一言伺って、終わりにします。

岸田国務大臣 気候変動対策として温室効果ガスを大幅に削減する、これが急務であるということについては、問題意識、政府としましてもしっかり有しております。そして、温暖化効果ガスを削減する、このことを実現するためにはさまざまなアプローチがあると思います。その一つのアプローチとして、この高効率の石炭火力をどう考えるか、位置づけるかという議論であるかと思います。

 新興国においては、環境や事情において、この高効率の石炭火力の導入が効果的な気候変動対策である場合もあるという考えに基づいて、政府としましてもこの問題に取り組んでいるわけでありますが、引き続きまして、国際的な大きな議論の動向も踏まえながら我が国の対応をしっかりと検討していきたい、このように考えます。

塩川委員 石炭火力推進政策の転換を強く求めて、質問を終わります。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今ずっと、全部伺えていたわけじゃありませんが、与党に続いて野党の御質問を拝聴しておりました。パリ協定もそうですが、TPPについての議論がたくさんありました。もう本当に聞くにたえないですね。聞くにたえない。

 TPPは国益のためになります。我々日本維新の会は、とにかくTPPを早く採決した方がいいと。また何かきょう、TPPの採決を野党四党が拒否するかのような報道がもう既に始まっていますというか、今与野党で国対同士でやっていると思いますが。しかし、私はおかしいと思うんですよ。これは、大臣、別に質問じゃありませんけれども。おかしいと思うんですよ。

 何がおかしいかというと、私は、野党四党がいつも政府・与党の足を引っ張るのは、中国とかの国益に何かコミットがあるのかな、こう疑っていたんですよ。いや、間違いでした、これは。間違い。私は、それは今までの私の不明を恥じます。どうもTPPのやりとりを見ていると、アメリカの国益にもコミットがあるみたいなんですね。

 我々日本が今TPPの採決を急いでいるのは、これはもう何度も議論していますが、日本のためです。日本の国益のためです。何でTPPが日本の国益のためになるとわかるかというと、釈迦に説法ですけれども、アメリカが反対しているからですよ。アメリカの、オバマさんはいいですよ、オバマ大統領はいいですが、トランプ大統領候補もクリントン大統領候補もTPPに反対ですよ。

 なぜ、選挙を前にして両方の大統領候補が反対しているかといったら、これはTPP交渉で日本がとり過ぎたからですよ。とり過ぎるというこれは実力ですよ、日本の。日本の外交の実力ですよ。それで、甘利前大臣がこれをまとめてきた。これをきょう、一刻も早く採決して、そして、もういよいよ来週がアメリカの大統領選挙ですよ。そして、オバマ政権の間にTPPを何としても実現しておく。これは国益そのものですよ。

 かつて日本の政府・与党のことをアメリカ追随だと批判していた共産党さんが、今、共産党がアメリカ追随ですよ。アメリカが反対だから、アメリカが反対だから日本も反対すべきだと言っているわけでしょう、共産党が。(発言する者あり)いや、言っていますよ。不規則発言に反応しちゃいかぬのでやめますが。

 私は、だから、こういう、本と末が転倒する、本末転倒した議論が国会で行われていること自体に大変違和感を感じるわけであります。これは、私は発言権がありますので、ぜひ御容赦をいただきたいと思います。

 かつ、TPPはこのパリ協定と密接に関係するわけです。

 野党におかれては、野党さんは無責任だという指摘がネット上でもあり、私が言っているんじゃないんですよ、匿名ブログにそう書いてあるんですよ。匿名ブログに書いてあるところの無責任野党四党は、パリ協定を軽視したといってずっと外務大臣に質問しています。

 違うでしょう。野党四党がTPPとACSAの邪魔をするから。要すれば、TPPとACSAは対決法案なんですよ。いや、ACSAは知りませんよ、多分そうでしょう、安保関係だから。TPPとACSAは対決法案なんです。パリ協定は全会一致ですよ。もう最初からわかっている。こういう耳ざわりのいい話は野党も賛成するんですよ。

 だから、政府・与党が対決法案であるTPPとACSAを優先して処理していって、当たり前ですよね、これは。国益のために考えたら、僕がやってもそうなりますよ。

 何で私がこういうことを申し上げているかというと、私はよく気持ちがわかるんです。私は二十七日に総務委員会を飛ばしたので、今すごく怒られているんですね。これは、勘のいい方はもう既にこの一言でわかると思いますが、TPPとパリ協定の関係は、憲法審査会と総務委員会の関係なんですよ。ここまで言えばもうわかりますね。よくわからないですね、みんな。

 要すれば、確かにパリ協定もちゃんとできれば、よりよかったと思いますよ、全部完璧にするのが一番いいですよ。でも、限られた国会日程で、限られた中で国益を最大化する、国益を最大化するためにはやはり対決法案を丁寧にやる。これは政府・与党の国会対策、当たり前ですよね。

 もしそれに問題があるんだったら、もしそれに、政府・与党の対応に問題があったと野党四党が言うのだったら、それは誰が悪いかって、野党が悪いんですよ。野党がTPPに難癖をつけて。

 明らかに、これは虚心坦懐に見たらわかるじゃないですか。アメリカが反対しているんだから。日本の国益に資するというのは当たり前でしょう。それにレッテルを張って、揚げ足取りをやって。大臣も、何かきのうの夜の大臣の発言も問題があると思いますよ。思いますが、だからといって、国益全体を揺るがしていいのかということがこの国会で議論されるべきことですよ。私はそう思う。

 だから、いろいろ閣僚にも問題はあるかもしれないが、国益を最大化する観点からTPPはきょう採決すべきだと思うし、パリ協定についても、余りそういう細かいことを言うんじゃなくて、パリ協定をまた国益に資するものにしていくための建設的な議論をこの外務委員会でやるべきだ、こう思うわけであります。

 何でこんなことを言っているかというと、繰り返しになりますが、私が、憲法審査会と総務委員会がダブった、重なってしまった。これは努力したんですよ。もともと余裕が二十分しかなかったから、総務委員会の社民党の吉川委員にお願いをしてかわってもらって、五十分あけておいたんですよ。五十分あけておけば、幹事懇談会、幹事懇談会が五十分超えると普通思いますか。これは前代未聞ですよ。

 何で幹事懇が延びたかというと、辻元さんと武正さんの責任ですよ。辻元清美幹事がわあわあわあわあ言うものだから憲法審査会の幹事懇が延びたんですよ。だから、全ての原因は、民進党と辻元清美委員にあるんですよ。

 だから憲法審査会が延びた。延びたら、私は、でも一方で総務委員会の委員でもありますから、みずからの権利、みずからの責任ですよ、国民から負託を受けたその質問の権利を、軽々に、早々に放棄できますか。私は、委員部にお願いをして、ごめん、間に合いそうにないから空回しして、もしどうしてもあかんかったら切ってもらっていい、散会してもらっていいが、もし委員会が許していただくのであれば空回ししてくれと。

 だから、野党四党が言っている空回しと違うんですよ。彼らは審議拒否の空回し。私は、国民の負託を受けた自分の質問権を何としても行使したい、行使したいから、ごめん、空回しでちょっと我慢して待っていてくれますか、三十分のうち二十分だけでも使いたい、こうやってやっているわけですよ。

 でも、うちの国対が……(発言する者あり)何を言っているか聞こえませんが、私の国対が……(発言する者あり)いや、共産党は、本当にひどい人ですよ、この人は。この人、言っていることがひどい。何でかというと、共産党は、私のやったことに理解を示してくれているんです。小党だから。小党は仕方ない。

 むしろ、共産党の委員は、私にこう言ってくれているんです。足立先生、空回しして、足立さんはその質問時間を、散会して放棄したよね、僕ら共産党だったら、だめだった理由は国会運営全体にあるんだから、共産党のせいじゃない、足立さんのせいじゃないんだから、次の質問の機会にその分の時間をもらうべきだ、こう言ってくれているんですよ、共産党は。何か党内でちょっと食い違っているんじゃないですか。まあ、いいですが。

 すなわち、何が言いたいかというと、あ、やりますやります、質問。

 いや、大臣、これは外務委員会と関係ないことじゃないんです、国益の問題なんです。誰が国益のために仕事をしているのか。誰が国民の負託を受けた国会議員としての責務を果たそうと努力をしているのか。私は努力したんですよ。努力したけれども、さすがに、党として、これは申しわけないから散会してもらうということで、途中で散会したんです。途中で散会したのに、足立さん、連絡していなかったんじゃないのと。違うんですよ。全部話し合って話し合って、空回しすると決めたんです。これでやめますが。

 何が言いたいかというと、TPPは憲法審査会なんです。パリ協定は総務委員会なんです。外務大臣もパリ協定をどうでもいいなんて思っていませんよ。私だって総務委員会をどうでもいいとか思っていませんよ。思っていないけれども、限られた人数で、限られた会期で、国益の最大化を図ろうとしているだけじゃないか。その国益の最大化を図ろうとしている中で起こった事案について、無責任野党と言われている人たちが、わあわあわあわあ、そればかりここで質問するというのは、全くこの外務委員会の質疑が国益に資する議論になっていないということですよ、私に言わせれば。

 もうやめましょうか。何か、雰囲気悪いですか。大丈夫ですか。いや、僕はこれぐらいしか場所がないので、国益の議論をさせていただいた。大臣、コメントないですね、まあ、やめておきましょう。そういうことです。

 それで、だから私は、きょうの質疑で通告をさせていただいていますが、そういう通告は一切していません。つまらないから。そんな政府の揚げ足取りとかレッテル張りしたって、何の意味もないですよ。むしろ大事なことは、いよいよパリ協定、私の立場で言うと総務委員会ですよ。大事ですよ、それも。大臣だってそう思っていますよ。

 パリ協定というのは画期的な、だって、今までは、アメリカと中国が入っていないとか、いや、気合いは入っていたんだけれども、全然大事な人が入っていない会議だったわけですよ。いよいよこのパリ協定は、全ての国が加盟する、入っている画期的な協定なわけですが、そのかわりに、義務がかかっていないとか、やはり非常に緩いわけです。緩いから全員入れるんです。きつくして米中が入らないのがいいか、緩くして全部入るのがいいか。緩いけれども、これが実効性が上がるんだったら、私はパリ協定も評価していい、こう思いますが、パリ協定というのは本当に実効、上がるんでしょうか。ちょっと、その辺、御説明いただきたい。

岸田国務大臣 まず、パリ協定、委員御指摘のように、歴史上初めて、中国、米国、インド、こうした全ての国が参加し、温室効果ガス削減のための行動をとることを約束したものであり、公平かつ実効的な国際枠組みであります。我が国の長年にわたる主張にも沿う、画期的な合意であると認識をしております。

 その上で、実効性があるのかという御質問をいただきました。

 このパリ協定においては、全ての国が削減目標を作成、提出、維持するとともに、目標を達成するための国内措置を実施する法的義務を規定しています。また、全ての国が削減目標に向けた取り組み状況を報告し、レビューを受ける義務が規定されています。さらには、世界全体の実施状況を五年ごとに検討する仕組みを通じて、各国の目標も五年ごとに提出、更新され、進展していくことが想定されています。

 すなわち、各国による削減目標の提出、実施、報告、レビュー、そして定期的な更新、こうした仕組みによって目標の達成の実効性を確保する、こうした、目標を仕組み全体で支えることによって実効性を確保する、こういった内容になっていると認識をしています。

足立委員 ありがとうございます。わかりやすい御説明なので、このパリ協定というのがそういう仕組みだということは事前に私も勉強していますが、よくわかります。

 ちょっと、さっきの話に戻りますけれども、私が揚げ足取りと言いました。揚げ足取りというと、どこが揚げ足取りなんだよ、こう言われるわけですけれども。

 私、総務委員会で謝りました。だから、大臣がここで、パリ協定が出おくれたんじゃないかと言われて、そんなことにならないようにしっかり頑張るよ、こう説明しますね。別に謝っていないですよね。謝ったかな。まあ、いいんですけれども。謝ったかどうか知りませんが、僕は謝る必要ないと思うんですよ。でも、私は総務委員会で謝ったんです、仕方ないから。

 何で謝ったかというと、実際に総務委員の皆さんに負担をかけたから謝る、これは人間として、社会人として当たり前だと思いますが、民進党の議運委の筆頭理事で泉健太さんというのがいるんですよ。泉さんが議運の中でわあっとやって、足立というのがけしからぬと言って、ばあっとプレッシャーをかけて、謝らなかったら議運のテーマにするぞと言って、プレッシャーをかけてきたわけですよ。そうしたら、竹内総務委員長は議運のテーマにされたくないじゃないですか、普通。だから、謝れ、謝れということになるわけですよ。採決もあったし。大変厳しい国会日程の中で。

 大臣は偉い方だから簡単に謝りませんけれども、私は余り偉くないので簡単に謝っちゃいました。その場をうまくスムーズに進める。ただ、それは、総務委員に謝っただけであって、ほかの国会議員に謝るつもりは全くないし、それは、総務委員としての私が謝っただけで、足立康史が謝ったんじゃないんです。総務委員として謝ったわけですね。

 そうしたら、この泉健太筆頭理事が、けさかな、私のフェイスブックの、私が書いているところにぶわっとメッセージを送ってきて。フェイスブックというのは、これはお友達の仲なんですよ。そこに泉健太筆頭理事が、泉健太です、足立はけしからぬと書くわけです。普通じゃないよね。

 だから、民進党の議運の筆頭というのは普通じゃないんです。そこで、足立、頑張れといってエールを送ってくださったのが原口先生なんですけれどもね。それは余り。

 だから、私のフェイスブック、今おもしろいですから。皆さん、また、御関心がありましたら見ていただいたらと思いますが。

 さて、大臣おっしゃったように、大変画期的なスキームになっているわけでありますが、京都議定書は、日本が頑張っていろいろやったということで、すごく報道もされましたね。でも、パリ協定というのは余り、報道が足りないと僕は思うんです、この画期的な仕組みの割には。僕は、日本が果たした役割もきっと大きかったんだろうなと。

 あれが妥結されたときに、経産大臣だったかな、誰だったかな、環境大臣か、担当だから環境大臣、とにかく、いろいろやっておられるのは承知していますが、ちょっと改めて、パリ協定を取りまとめていくプロセスで日本がどういうふうに貢献してきたのか、簡単で結構ですけれども、御紹介ください。

岸田国務大臣 我が国の地球温暖化対策における貢献ですが、先ほど質疑の中で、資金的な貢献も答弁させていただきましたが、パリ協定、作成の交渉における主張とか提案ということで申し上げるならば、世界共通の長期目標として二度目標の設定、全ての国が削減目標を五年ごとに提出、更新すること、あるいは、全ての国が共通だが柔軟な方法で取り組み状況を報告し、レビューを受けること、そして、二国間クレジット、JCMを含む市場メカニズムの活用、そして、発効要件、すなわち、五十五カ国の国数、排出量五五%、こうした要件を決めるということについて、そして、イノベーションの重要性の位置づけ、こういった内容は、我が国の主張、提案が取り入れられたものであると認識をしています。

足立委員 ありがとうございます。

 本当に、日本がリーダーシップを持って取り組む大変重要な分野の一つがこの温暖化対策だと思いますので、引き続きリーダーシップをお願いいたしたいと思います。

 私、地元でこのパリ協定の話をしていると、結構世間で喧伝されているいろいろなうわさ、うわさじゃないな、デマかもしれませんが、いろいろ言われることが多いんです。

 これは、きょう環境省に来ていただいているのでちょっと確認しておきたいんですけれども、要すれば、温暖化対策、要は、人為的な問題で温暖化が起こっているのであれば、当然、人為的なところをコントロールして温暖化を食いとめる、これは当たり前のことですね。

 ただ、そもそも、温暖化の原因はそういうことなのか、人為的なものなのかということ。あるいは、太陽の黒点がどうとか、何か地球の地軸で、例の、氷河期がどうとか、そういう大きなサイクル、こういう人間の営みを超えた、太陽がどうとか氷河期がどうとか、そういう話を言って、この政府の取り組み、世界の取り組みを、詮ないんだよなというふうに言うおじさんとかお姉さんとかが結構いはります。ちょっと解説していただけますか、その辺。

鎌形政府参考人 気候変動に関する科学的知見に関しましては、気候変動に関する政府間パネル、IPCCが報告書を取りまとめております。直近の報告は、第五次評価報告書ということでございますが、この報告書によりますと、気候システムの温暖化には疑う余地がないこと、そして、人間による影響が二十世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高いこと、こういったことを指摘しておるということでございます。

 それから、今、黒点のお話が出ましたけれども、黒点は、一般に、太陽活動が活発になると増加して、鎮静化すると減少するということが知られております。

 太陽活動と地球温暖化との関係について、やはりそのIPCCの第五次評価報告書に記述がございますが、その中で、太陽活動が活発化しますと、太陽放射照度の変化ということが起こるわけでございますが、IPCCの報告書によりますと、太陽放射照度の変化等の自然起源の放射強制力は、過去一世紀にわたる温暖化に対してほんのわずかな寄与しかしていない、このように結論づけているということでございます。

足立委員 これは、議論し出すとまた時間がかかるんですが、今基本的な認識を御紹介いただいたので、きょう御答弁いただいた内容を踏まえて、また地元でも説明してまいりたい、こう思います。

 私の質問の権利はまだあと七分ほどあるんですが、きょう、時間を、いろいろ野党が、無責任野党と言われている方々が朝からわあわあやったものですから、ずれ込んでいます。私も今後も重要な仕事が立て込んでいますので、もう終わりたいと思います。

 一つ、最後、JCMの話をさっき共産党の方もおっしゃっていましたが、私は、共産党委員がやった議論と真反対です。

 いや、石炭は大事だと。やはり高効率の、世界の実態を踏まえれば。高木経産副大臣が熱弁を振るわれた、もう極めて説得力のある話だと思っていまして、国民の皆様もよくその辺を聞いていただいて、一体、誰の言っていることが本当で、誰の言っていることが間違っているのか、よく見きわめていただきたいし、私にかかわる報道も何が本当なのか、ぜひ改めて確認いただきますことを委員各位、そして国民の皆様にお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

三ッ矢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学です。二十五分間質疑をさせていただきたいと思います。

 パリ協定に関してお伺いした上で、そこの流れをくみながら、他のこともお伺いしたいと思います。

 パリ協定の内容の是非については、同僚議員も含めて御議論いただきました。ただ、参議院、衆議院を含めてやはり言われることは、第一回の締約国会議に参加できない、さまざまな理由の分析があると思いますが、この失態がどのようにして起こったのかという議論がありました。答弁の中では、いや、締約国会議に入らずともさまざまな形でフォローしていく、キャッチアップしていくような体制を整えるんだというお話がありました。

 議事録に残す意味で基本的なことを改めてお伺いするんですが、第一回締約国会議に入らないことは決まっています。それにもかかわらず、一日でも早く国会での承認をしてほしいと思う外務省の考え方の根底には何があるんでしょうか。

岸田国務大臣 午前中答弁をさせていただきましたが、パリ協定の実施指針、実施のルールづくりの議論については、国連気候変動枠組み条約の全締約国が参加する形で議論が行われており、そして、引き続きこの枠組みで議論が行われるということが、十月行われましたプレCOP、準備会合において確認をされておりますので、この議論については日本も参加する形で、開かれた形で議論が行われると承知をしております。ですから、この議論について、日本が締約国会議に参加できないから何かおくれをとる、不都合を生じる、そういったことではないというふうに認識をしています。

 ただ、今後、さまざまな議論が続けて行われるわけであります。そして、その議論の中身によっては締約国が特別扱いにされる可能性もありますので、これは、あらゆる議論において説得力がある形で議論に参加するためにも、我が国として一日も早く締約国になり、そして堂々と議論に参加していくことが重要であると考え、一日も早い国会での御承認をお願いしている、こういったことであります。

寺田(学)委員 御説明いただきましたけれども、今回、マラケシュで行われる会議に間に合わせる形でぜひとも国会での手続を終えてほしいというようなことも内々いただいておりました。その中には、今回おくれたことに関して、締約国会議に入れないという実態的な問題と、あともう一つは、いわゆるレピュテーションといいますか、日本自体が環境問題に対して積極的ではないと諸外国から見られること、または国内から見られることも、今回のことについてのマイナス面だと私は思っているんです。

 外交をやられる以上、実態的な部分も必要でしょうし、周りからどのように国際世論として見られるかということも非常に重要だと思うんです。今回、このパリ協定の件に関しては、やはりそこが一番私はネックになっている、問題点になって浮かび上がったと。今後のことに関しては、その点をしっかりと教訓として生かしてほしいという意味で立法府側から注文をつけたいなというふうに思っているんです。

 その流れに合わせて、核軍縮のことに関してお伺いをしたいと思います。

 参議院の質疑の中でも、核軍縮のことについて、今回の衆議院の委員の中でも質問がありましたが、国連の中で、ちょっとまどろっこしいですが、核兵器廃絶決議と核兵器禁止条約交渉開始決議、オーストリアを中心として出された決議と我が国が出した決議の二つがありました。やはりニュースの中では、オーストリアやメキシコが出された核兵器禁止条約交渉開始決議に日本が反対をした、ある種、先ほどのレピュテーションの話でいうと、日本は核軍縮に対して唯一の被爆国として非常に積極的と諸外国そして国内から見られているにもかかわらずこの決議に反対したのは何なんだろうということを、ニュースを見られた国民の皆さんを含めて多く思われたと思います。

 御説明は、先ほど大臣るるお話をされていますが、あのような長い説明では、恐らく国民の皆さんは、なぜあれに反対したのかということに納得できるのは難しいのではないかなと思います。

 私がまず第一歩としてお伺いしたいのは、このような反対をするというような意思決定がどのように政府内で行われたかということをしっかりと私はお伺いしたいと思っているんです。

 私も、少ないながら官邸で勤務をして、総理のおそばでお仕事をしましたが、全ての政府の意思決定に関して責任を総理が持たれると思うんですが、全ての意思決定を総理御自身がしているわけではありません、大臣御存じのとおりと思いますが。

 ですので、まず第一歩としてお伺いしますが、今回のこの核兵器禁止条約交渉開始決議に関して反対をするということに、総理の御意思があったんでしょうか。それとも、外務省から上げたことに対して了とした、そのような形での意思決定だったんでしょうか。どちらでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の決議に対する賛否は、総理も含め、政府内で慎重に検討を進め、その結果として判断をしたということであります。総理も含めて、政府として反対という決断をした次第であります。

寺田(学)委員 もう一段具体的にお伺いしますが、もちろん、最終的に反対をしたという結論を出していますので、政府の考え方は反対で一本にまとまっていると思いますが、それまでの間にさまざまな議論があったと思います。

 もちろん、総理に上げるまでは、外務省として、外務大臣としてお考えはある程度まとめた上で総理に御相談されていると思うんですが、最終的な結論は反対で決まっていることは私は疑っておりませんし、それが一枚岩であることもわかっていますが、岸田大臣としてどのようなお考えを持って総理と御相談されたんでしょうか。

岸田国務大臣 私の考えは、午前中御説明したとおりであります。

 核軍縮・不拡散の問題について、我が国は唯一の戦争被爆国として国際社会においてしっかり責任を果たさなければならない。そして、その際に重視すること、二つの認識と、そして核兵器国と非核兵器国の協力を重視するということ、これが基本的な立場であるということを説明させていただきました。この考え方に基づいて今回の決議に対する賛否も決断したということを私の立場からも説明させていただいた、こういった次第であります。

寺田(学)委員 結論は結論ながら、実際、当初はどのようなお気持ちを持っていたんでしょうかということをつまびらかにお話しするのは難しいかもしれませんが、私自身も、核軍縮を進めなければいけないという一つの方向性と、とはいえ、現実として核の抑止の力があるという反面も十分理解しているつもりです。

 参議院の議論の中でも、やはり棄権という判断というのが一番妥当ではないか、もしくは条件つきの賛成という形ではないかと。福山委員が言われていましたけれども、いわんや反対ということはないでしょうねということを決議が決まる前の御質問では質問されていました。

 なぜ棄権ではいけなかったんでしょうか。反対までしなければならなかったんでしょうか。今回の決議に対して政府が出された結論として、棄権という選択肢、今までも、さまざまな決議の中で棄権をとられることは往々にしてあると思うんですが、なぜ今回、棄権という判断をとらなかったのか、大臣の考え方を教えてください。

岸田国務大臣 私は、外務大臣を務める中にあって、核軍縮・不拡散の問題において、核兵器国と非核兵器国の協力なくして結果を出すことはできない、こういったことを痛感する場面に多々出会いました。非核兵器国がしっかりとした理想を訴える、これは大変とうといことであります。これは尊重しなければいけない。しかし、核兵器を持っているのは核兵器国ですので、これをなくすためには核兵器国が関与しなければ結果につながらない、これが現実であるというふうに感じてきました。

 こういった点から、核兵器国と非核兵器国の協力は重要であるというふうに考え、そして、特に昨年、五年に一度開かれたNPT運用検討会議での議論のありようを振り返りましても、昨今、核兵器国と非核兵器国の対立、亀裂はより深刻なものになっている、これが現実だと思います。

 こういった厳しい対立、亀裂の中にあって、我が国としてこうした議論をリードするためには、我が国が率先して核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場を示していかなければならない、こういったことでさまざまな取り組みを行ってきました。

 その中で、まずは決議を通じて我が国の考え方をしっかり示し、アメリカを初めとする多くの国々に共同提案国になってもらい、そして賛同国を集める、この努力を続けたわけですが、そしてその上で他の決議にもどう対応するのかを考えた、これが今回の国連総会第一委員会における決議の取り扱いのありようだったわけでありますが、その際に、御指摘の決議については、核禁条約の交渉開始を盛り込んだ決議につきましては、我が国が今北朝鮮の核、ミサイルを初めとする厳しい現実に直面をしている中にあって、厳しい安全保障に関する冷静な認識という点において問題があるのではないか、そして加えて、今申し上げました、核兵器国が全く関与していない形で非核兵器国がこうした決議を進めるということになりますと結果として亀裂をより深めてしまうのではないか、こういった判断に基づいて反対をしたわけであります。

 そして、反対という行動は、我が国のみならず、ドイツ、カナダ、あるいはオーストラリア、こうした我が国がともに非核兵器国として核軍縮・不拡散に取り組んできた国々も同じく反対をしているということであります。こうした考え方に基づいて我が国としては反対を決断した、こういった次第であります。

寺田(学)委員 核兵器を保有している国と核兵器を保有していない国の対立が激しくなっているということは、私もさまざまな報道を含め耳にしているところです。

 だからこそ、大臣の御認識のとおり、その二つの勢力でしっかりと協力をし、大臣のお言葉、議事録をかりますと、橋渡し役をしなければならないと考えれば考えるほど、賛成でも反対でもなく、棄権という立場をとりながら両方の対立をおさめていくというのが非常に論理的な帰結だと私は思ったので、なぜに反対するのですかということをお伺いしたんです。

 恐らく、もう一度お伺いしても同じことを御答弁されるのであれですけれども。冒頭、パリ協定の教訓のことを申し上げましたけれども、やはり諸外国からどのように見られるか。もちろん、それは核保有国のみならず、核保有していない国、核廃絶に向けて理想的と言われながらも頑張っている方々の期待を裏切らないのは、被爆国として当然の役割だと思っています。

 今回、全てとは言いませんが、やはりそういうように理想的に頑張っている方々、諸外国から失望を買っているのは仕方がないという言葉では私は済まされないと思っています。私は、今回の件に関しては非常に大きな疑問を持っている。そのことに関して質疑の中で、総理が関与されて、総理の御判断で決められたことであるということはしっかり御答弁いただきましたので、理解をしながら、今後の質疑にも続けていきたいと思います。

 もう一点なんですが、間もなくインドのモディ首相が来日をされます。報道によりますと、日印の原子力協定を来日時に結ぶのではないかという報道がありました。

 まず、事実関係としてお伺いしますが、来週でしょうか、再来週でしょうか、モディ首相がいらっしゃいますが、そのときに日印の原子力協定を署名される御予定になっているのでしょうか。

岸田国務大臣 インドはNPTに加盟をしておりません。しかし、インドは、核実験のモラトリアムを継続しているなど、約束と行動と呼ばれる政策を表明して、原子力の平和利用について決意を新たに明らかにしている、こういった次第であります。

 インドとの原子力協力を進める、これは原子力の平和的目的の利用についてインドが責任ある行動をとることを確保するものであり、こうしたインドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながる、インドとの原子力協力はそういった意味合いがあるという認識のもとに交渉を続け、そして既に原則合意に至っております。

 そして、署名について行うのかということでありますが、まだ今の段階で署名云々については具体的な日程は明らかになっていないと思っています。今、現状においては、今申し上げた考え方に基づいて交渉を進めており、原則合意に至っている、これが現状であります。

寺田(学)委員 原則合意は去年の段階で行われていると私もレクで受けましたけれども。今回の来日時に署名をするのかどうかということはまだ決まっていないということでよろしいですか。端的にお願いします。

岸田国務大臣 決まっておりません。

寺田(学)委員 署名をするしないに関して、これもまた総理と御相談をされて御判断されるということでよろしいですか。

岸田国務大臣 政府として判断するわけですが、その際に総理も含めて政府全体として判断する、これは当然のことだと思っています。

寺田(学)委員 私自身、インドに関しては、非常に友好的な国だと思っていますし、戦略的にも非常に大事だと思っています。一般的な意味でのインドとの関係強化ということは私は必須だと思っています。それを言った上で、ただ、この原子力協定を結ぶ結ばないに関しては、私は非常に現時点においてはネガティブです。

 大臣が先走りしてお話しされましたが、これは参考人でも結構ですけれども、基本的なこととして、なぜインドはNPTに入らないのか、署名しないのか、どのように日本政府として分析されているでしょうか。

滝崎政府参考人 お答えさせていただきます。

 我が国として、インドがなぜNPTを締結していないのか、理由について確たることをお答えする立場にはありませんけれども、インドは、核兵器国をアメリカ、イギリスなどの五カ国に限定しているNPT体制とは考え方を異にしている、そういう立場であるというふうに承知しております。

 一方で、インドは、先ほど大臣からも申し上げたように、二〇〇八年に核実験モラトリアムを継続するということを発表したり、あるいは約束と行動と呼ばれる政策を表明して、原子力の平和的利用を進めるかたい決意を明らかにしているということもあります。

 そういったことも踏まえて、我が国としては、NPTを中心とする国際的な核軍縮・不拡散体制の維持強化を目指して、NPTの普遍化やCTBT早期発効を重視する立場に変わりはありません。こういった点については、機会あるごとにインドに伝達してきているということであります。

寺田(学)委員 今回初めて、NPTに加盟というんですか、署名をしていない国と原子力協定を結ぶことになります。もちろん、NPTに署名していない国というのは本当に限られていますので、そういうことでこういうことになっているんだと思いますが。

 インドがなぜ入らないかということをインドにかわって確たるふうに説明することは難しいと思いますが、日本政府として、なぜインドがNPTに入らないかということの考え方を確として、ちゃんと話してください。それじゃない限り、NPTに加わっていないところと初めて原子力協定を結ぶ可能性が報道によるとかなり高いわけですから。それこそ、核軍縮をどのように我が国政府として行っていくのかということにおいては一番大事なところだと思います。

 もう一点、事務的にお伺いしますが、先ほど国連決議の話をしました。メキシコやオーストリアが提案をした先ほどの禁止条約交渉開始決議に関しては反対をした際に、先ほどお話が余りなかったですけれども、他のところでは、いや、我が国が出している決議にはアメリカ初め賛同国が多かったということをお話しし、だからこそ、私たちの核軍縮はしっかりと前進しているんだということの御答弁を参議院の方でもされていました。

 事実関係だけお伺いしますが、今度、我が国が原子力協定を結ぼうと検討しているインドは、さきの国連決議の我が国が出した核兵器廃絶決議に賛成をしているでしょうか。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 私ども日本政府が提出した核兵器廃絶の決議に対して、インドは棄権をいたしております。

寺田(学)委員 NPTにも加わらず、我が国が出した直近の、アメリカも、過去賛成になったことは多々ありますけれども、昨年とは違い今回賛成にも回って共同提案までした、我が国が出した核兵器廃絶決議に、インドは棄権をし賛成をしませんでした。

 この決議の内容を見れば、もちろん御説明いただければ簡単ですけれども、まさしくNPT体制の維持強化、日本政府が考える核軍縮の大きな方向性をうたっているもので、多くの国の賛同を得ております。

 なぜインドはこの決議に、我が国が出した決議に賛成をしなかったんでしょうか。どのように分析をされていますか。

岸田国務大臣 我が国は、NPT体制を重視し、CTBTの交渉を促進し、FMCTの早期交渉開始を訴えてきています。こうした取り組みを重視する姿勢、これは全く変わってはおりません。

 その中で、インドが今回の我が国の決議に棄権をしたという理由について、私の立場から確たるものを申し上げるものは手元にありませんが、ただ、インドがNPTに参加していないからこそ、インドを、まずはNPTに加入するべくしっかり働きかけていく、これはこれからも続けていきたいと思いますが、実質的な意味においてもNPT体制に取り込む努力をしていく、これは重要であると認識をいたします。

 よって、インドに責任ある行動を促していく、そして実質的に国際的な不拡散体制に取り込んでいく、そのためにインドとこうした原子力協定の議論を進めていく、こういった考え方に基づいて取り組みを進めてきました。

 原子力協定というのは、あくまでも原子力の平和利用について取り決めをするものであります。インドに原子力の平和利用をしっかりと約束させるということ、こうした取り組みを通じて、インドに平和的な利用についてしっかり前向きな対応を約束させるということ、このことはNPT体制に実質的に取り込んでいく上で大変重要ではないか、このように認識をしております。

寺田(学)委員 だったら、この決議に賛成を条件にしなきゃだめじゃないですか。棄権させているんですよ。

 大臣、手元にないという言い方、まあ、私の通告の仕方が悪いのかもしれませんけれども、なぜインドが我が国のこの核廃絶の決議に賛成をしてくれなかったかということを説明できずして、原子力協定を結ぶんですか。今まだ決まっていないと言っていますけれども、もう間もなくですよ、来日されるのは。我が国が提案しているんですよ、しかもNPTに入ることを条件にしているわけじゃないです。NPT体制の維持強化、我が国が今までずっと核軍縮のために柱として訴えてきたものを強化していく、維持していく、そのことに賛同もできないような国に、私たちは原子力協定を結んで、まあ、どのようなことをすることを、勝手に推測はできませんよ。私たちが原子力協定を結ぶということは、私は絶対に反対です。

 まだ決まっていないのであれば、大臣、反対しましょう。協定を結ぶのは、私は、今回は延期するべきだと思います。

 大臣、いろいろな、さまざまな、外交ですから、表の話と裏の話があると思いますが、一般国民から見て、オバマ大統領を広島に連れていき、過去の原爆の悲惨なその現実を知ってもらうことに大きく寄与した岸田大臣とは、この決議案、国連での決議案、そして今後インドとの原子力協定を結ぶ姿は、ほぼ別人に見えます。

 大臣、まだ決まっていないのであれば反対すべき、署名をするべきではないと思いますが、大臣のお考え方はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 先ほど、インドがなぜ我が国の決議に棄権したのか、この理由について、確たるもの、手元にありませんと申し上げてしまいましたが、不正確でありました。

 要は、インドについては、さまざまな情報収集は行っています。インドについて、さまざまな情報収集を行っているわけですが、ただ、こうした公の場で、インドの意図について私の方から申し上げるというのは控えなければならないと考えています。

 その上で、オバマ大統領の広島訪問等の動きと考えた場合に、先般の核禁条約の交渉開始の決議に対する反対、そしてインドとの交渉の開始、これは矛盾しているという御指摘がありました。

 私は、矛盾はしていないと考えています。私は、さまざまな核軍縮・不拡散に対する取り組み、一つの基本的な立場を重視しています。先ほど申し上げたことから、核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場、これを大切にしてきました。オバマ大統領の広島訪問、アメリカの現職の大統領、要は、最も主要な核兵器国であるアメリカの大統領に被爆地を訪問してもらい、被爆の実相に触れてもらうこと、これは大変重要なことであるということで、こうした訪問についても、前向きに捉え、取り組んできました。核兵器国の理解を得るという点から、こうした取り組みも大きな意味があったというふうに思っていますし、核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場を我が国の決議の中にもしっかりと盛り込んだわけでありますし、そして、御指摘のオーストリア等が出しているこの決議においても、この協力の重要性の観点から判断をしたわけであります。

 さらに申し上げるならば、オーストリア等の提出した決議、これは結果的には採択されました。よって、来年から核兵器禁止条約は交渉開始となります。この交渉において、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国と非核兵器国の協力を重視する立場から、堂々とこの交渉に参加をして、この議論に参加するべきであると私は思っております。もちろん、政府としてこれから正式には判断をしなければなりませんが、現状においては私はそう思っているところであります。

 このように、さまざまな課題について、我が国の対応は一貫している、一つの考え方によって貫かれていると考えています。

寺田(学)委員 時間ですので終えますが、矛盾しているとは言っていません、別人に見えると言っているんです。

 パリ協定の反省点という話から始まりましたが、どのように見えるかということは、非常に私は外交において大事だと思います。環境問題に積極的ではないと今回見られかねない行動だったということは、反省すべきだということだと思いますし、今回の決議とそして協定、私は、大臣、勝手なことを言うと、大臣をおやめになってでも、今回のことに対して、広島選出の外務大臣として、日印の原子力協定を署名することに立ち会うのは、私は、一岸田ファンとして我慢しがたいなと思いますし、国益にとって何よりもよくないと思っていますので、ぜひ御検討ください。よろしくお願いします。

三ッ矢委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 私が最後の質問者となりますが、重複する質問等に関しましても真摯な御答弁をお願いしたいと思います。

 さて、先ほど核禁止条約の岸田大臣の発言を聞いておりますと、確かに、苦しい立場、いろいろな調整役を担わなければならない立場、あろうかと思いますが、日本はやはり、唯一の被爆国として、世界から、日本のとる一挙手一投足というのは非常に大きな影響を与える。特に、この核軍縮問題、核兵器の禁止などに関しては、非常に大きな世界の注目を常に浴び続けているというふうに思います。

 そういうことからすると、やはり多くの国民がさらに理解できるような国際社会での表明についても、いろいろまた厳しい中でも御検討をいただきたいというふうに思う次第です。

 さて、パリ協定について承認を求める件ですが、条約審査ですので外務委員会での条約審査に当たるわけなんですが、しかし、このパリ協定は、地球規模の気候変動の深刻な問題に対応するというふうなことから鑑みますと、やはり環境大臣が出席しての合同審査を行うべきではなかったかというふうに思うわけであります。

 私は環境委員会の理事会の陪席としてその理事懇に臨んでおりますが、日程的な問題でありますとか、あるいは双方の大臣の時間がとれるかどうかであるということの調整ですとか、さまざまな問題があるやということで、ついぞ環境委員会から外務委員会にはその合同審査の申し入れがなかったということは、私は非常に残念でなりません。

 なぜなら、きょうこの後、この委員会質疑が終わりましたら、採決をして我々がその態度を正式に表明するということになるわけですが、きょうの環境委員会での理事懇談会でも、来週の八日、定例日に、環境委員会ではこのパリ協定に対して一般質疑を行うということになろうかと思います。まあ、国会の状況はまだよく見通せない状況ではありますが。しかし、このパリ協定が批准を決定して採択を決定してから、それから内容について審査をするというふうなことは、非常にやるせないものを感じるわけですね。

 それは、やはり審議をしっかり深めていくということによって、国民に、このパリ協定の重要性、あるいは世界規模の地球温暖化が我が国においても大変大きな問題になっているということを身近に感じていただく、そして、後ほどの質問にも入れてありますが、国民全体でエコな社会をつくっていくための生活の変革を求めているという政府の方針もありますので、そういう方向性では、ぜひ、今後、このような多岐にわたる案件、特に国際的な問題や国内においても重要な問題と鑑みるのであれば、合同審査の必要性は、外務委員会の条約審査ではあっても、その内容によっては、しっかりと委員からも、またさらに委員会の方へ求めて進めていきたいというふうに思います。

 では、質問させていただきます。

 パリ協定は、人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題の一つである地球温暖化に対処するため、一九九二年採択、九四年発効の国連気候変動枠組み条約、それから九七年採択、二〇〇五年発効の京都議定書以降、本パリ協定に至るまで、さまざまな取り組みがありました。

 当初の気候変動に関する国際連合枠組条約では温室効果ガスの排出量に具体的な削減義務を定めなかったことから、法的拘束力の伴う数値目標を新たに設けた京都議定書が採択されております。しかし、削減義務を負っていない中国やインドなどは、経済発展に伴い温室効果ガスの排出量が急増したことなどから、これをいわゆる批准することなく、その実効性や公平性の面で問題が指摘されておりました。そして、かかるさまざまな国際会議等を経て、このパリ協定に至っていたわけです。

 ここで、まず最初に質問させていただきます。

 この国連気候変動枠組み条約から本パリ協定に至るまで、我が国として主導する形で温室効果ガス削減対策への取り組みを進めてきた主な国際取り組みについて伺います。

相星政府参考人 お答えいたします。

 一九九二年の国連気候変動枠組み条約の採択以降、古くは、最初の気候変動枠組み条約の締約国会合が九五年にドイツで開催されまして、そこで日本政府は、まさに日本での気候変動枠組み条約の会合の開催を招致いたしました。それが京都会合につながり、京都議定書の採択につながったわけでございます。

 その後も、我が国は、二〇〇二年から東京で、ブラジルとともに共同議長を務め、主要国の気候変動交渉の首席交渉官を招いた会合を毎年開催しております。これが毎年大体二月から三月、ことしも二月に開催いたしましたけれども、その年の気候変動交渉の皮切りとなる主要な会合として国際的にも広く認知されております。

 また、先ほど来答弁にも出てきておりますが、二国間クレジット制度につきましても、途上国へのすぐれた低炭素技術等の普及促進や対策実施による排出削減のクレジット等、我が国の削減目標の達成に活用する制度として、我が国が二〇一一年来協議を行ってきております。その結果、十六カ国との関係を構築するとともに、パリ協定の第六条にも規定されることとなりました。

 さらには、二〇一三年から一五年の間の三年間、官民合わせて一兆六千億円の途上国支援を行う旨を表明し、これを一年半で達成、さらに、昨年のCOP21におきましては、二〇二〇年に官民合わせて約一兆三千億円の途上国支援を実施することを表明し、パリ協定の採択を後押しいたしました。

 このような我が国の国際的な取り組みは、気候変動分野において主導的な役割を果たすべく取り組んでいる我が国の政策の一環でございます。

玉城委員 この九四年発効の国連気候変動枠組み条約においては、気候変動に取り組む削減義務を負う国として附属書1に挙げ、どの国が先進締約国か、あるいは開発途上締約国かを明らかにしていましたが、途上締約国としての権利を主張して削減義務を回避するなどの問題がありました。

 環境省の資料、国連気候変動枠組み条約及び京都議定書の主な締約国の概念図という資料からいたしますと、当初、気候変動枠組み条約には百九十六カ国、一地域が参加をしておりましたが、この削減義務を持つ京都議定書では三十六カ国、一地域というふうに、明らかに、附属書1に挙げてある国とそれ以外の国ということに分けられていたわけですね。

 本パリ協定では、そのような特定をせずに、各国が自主的な目標を決定し、協定に基づく取り組みを進めていくこととなっていることについて、その評価についてお伺いしたいと思います。

岸副大臣 お答え申し上げます。

 パリ協定は、従来の先進国と途上国の対立という問題を乗り越えて、気候変動対策分野において、歴史上初めて、米国や中国、インドといった途上国を含む全ての国が参加して、温室効果ガス削減のための行動をとることを約束いたしました。公平かつ実効的な国際枠組みでありまして、我が国の長年にわたる主張に沿う画期的な合意であった、このように思っております。

 具体的には、全ての国が削減目標を作成し、提出し、そして維持するとともに、目標を達成するために国内措置を実施する法的義務が規定されております。また、全ての国が削減目標に向けた取り組み状況を報告し、レビューを受ける義務が規定をされています。さらに、世界全体の実施状況を五年ごとに検討する仕組みを通じ、各国の目標も五年ごとに提出、更新され、進展していくことが想定されておるところです。

 このように、各国による削減目標の提出、実施、その報告やレビュー、定期的な更新といった仕組みによりまして、削減目標の達成を含めたパリ協定の実効性が確保されている、このように考えております。

 今後とも、一日も早いパリ協定の締結に向けて努力するとともに、全ての国による排出削減とのパリ協定の精神を貫徹すべく、現在行われている協定実施のための指針等の策定に係る交渉に積極的に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

玉城委員 今、副大臣の答弁にもありましたように、このパリ協定では、全ての国の、各国の事情に照らして、その目標をそれぞれの国が設定し、お互いがそれを遂行するように協力をするというふうな重点が置かれているというふうに思います。

 さて、本委員会での条約審議に当たり、パリ協定の資料の配付がありましたが、このパリ協定、これはいわゆる日本語訳、日本文ですので、その内容、表現はいろいろと、直接の英文との違いはあると思いますが、「この協定の締約国は、」から始まる、いわゆる序文、この中で書いてあることは、やはり、それぞれの国の実情に合わせてこのパリ協定がここまで進んできているということがしっかり記されていると思います。

 例えば、「条約の目的を達成するため、また、条約の諸原則(衡平の原則並びに各国の異なる事情に照らした共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に関する原則を含む。)を指針とし、気候変動という緊急の脅威に対し、利用可能な最良の科学上の知識に基づき効果的かつ進歩的に対応することが必要であることを認め、」というふうに来ると、ここから後は一つの文章です。

 語尾は全て、「認め、」「認め、」「考慮し、」「考慮すべきであり、」「留意し、」「確認し、」「認め、」「次のとおり協定した。」というふうな、いわゆる一文になっているんですが、この中には、「貧困の撲滅との間に存在する内在的な関係」「食糧安全保障及び飢餓の撲滅という基本的な優先事項並びに気候変動の悪影響に対する食糧生産体系の著しいぜい弱性」、また、「気候変動に対処するための行動をとる際に、全ての生態系(海洋を含む。)の本来のままの状態における保全及び生物の多様性の保全を確保することの重要性」など、それぞれの国が取り組むべき、いわゆる数値目標の達成は義務づけられてはいないものの、それぞれが取り組むべき課題はその国々に応じてしっかりと決めることがこの中で述べられています。

 では、お伺いいたします。

 開発途上締約国が、各国の事情に照らして経済全体における排出の削減目標や抑制目標に向けて時間とともに移行していくことが奨励されるとする点において、途上締約国の取り組みの実効性をどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

岸副大臣 お答え申し上げます。

 協定第四条の4の規定において、途上国については、経済全体における排出の削減目標または抑制目標に向けて時間とともに移行していくことが奨励されておりますが、経済全体におけます排出の絶対量での削減目標が求められていないことは事実であります。

 同時に、同条においては、各国が排出削減に関する取り組みを強化していくべき旨が規定をされています。

 したがって、削減目標のあらわし方いかんにかかわらず、協定第四条3等に基づいて、途上国を含め全ての国が野心的な目標を掲げて、その達成に向けて取り組んでいくことがまさに重要でございます。

 また、協定第四条8において、自国が決定する貢献の明確性、透明性及び理解のために必要な情報を提供することが求められております。当該情報に関する指針は、関係国間で現在交渉がされておるところであります。

 全ての国による排出削減というパリ協定の精神がより実効的な形で貫徹されるよう、我が国としては、例えば、さまざまな種類の削減目標が絶対量としてはどの程度の水準なのか把握することが可能となるような情報の提供を求めることなど、主要排出国も巻き込みながら、交渉に臨んでいく考えであります。

玉城委員 では、大臣に二点質問させていただきたいと思います。

 締約国が自主的に決定する取り組みや数値目標の達成が条約上は義務づけられていない点について、例えば、本協定における発効要件上の各国排出量割合の第一位の中国や第五位のインドなどへの温暖化ガス削減目標取り組みへの実効性を、パリ協定ではどのように取り組まれるものと考えていらっしゃいますでしょうか。まずお伺いいたします。

岸田国務大臣 目標達成が義務づけられていない中にあって実効性をどう確保するかという御質問をいただきました。

 パリ協定においては、全ての国が、削減目標を作成、提出、維持するとともに、目標を達成するための国内措置を実施する法的義務が規定されています。また、全ての国が削減目標に向けた取り組み状況を報告し、レビューを受ける義務が規定されています。さらには、世界全体の実施状況を五年ごとに検討する仕組みを通じ、各国の目標も五年ごとに提出、更新され、進展をしていくことが想定されています。

 要は、目標自体は義務づけられていませんが、このように、目標の提出、実施、報告、レビュー、そして定期的な更新、こうした仕組みによって削減目標の達成の実効性を確保する、こういった全体の仕組みをとることによって、結果として目標達成の実効性を確保する、こうした理屈になっていると承知をいたします。

玉城委員 同じ点について、この発効要件上の各国排出量割合の第二位である米国への実効性はどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

岸田国務大臣 米国のオバマ政権は、この気候変動問題を政権の重要事項として推進してきたと承知をしています。国際的にも、パリ協定採択に係る国際社会における議論を積極的にリードしてきました。

 今申し上げたように、パリ協定は、全ての国に対して、削減目標の作成、提出、維持等によって削減目標の実現の実効性を確保しているという形になっております。アメリカにおいてもこうした制度が課せられるというふうに認識をいたします。

 ぜひ、今後とも、実施指針策定交渉等において、米国と連携しながらパリ協定の実効性を高めていきたいと考えます。

 アメリカということで取り上げていただいたので、一言申し上げるならば、アメリカの場合はパリ協定は議会承認を必要としておりません。なぜならば、国連気候変動枠組み条約を議会で承認してもらい、その枠内としてパリ協定を捉えておりますので、アメリカは議会承認をパリ協定においても必要としていない、そういったことからスムーズに締結に結びつけることができた、こういったことでもありますが。

 いずれにしましても、アメリカのパリ協定重視の姿勢、これは間違いないところでありますし、我が国としましても、この制度の中で実効性を確保するためアメリカと協力をしていきたい、このように思います。

玉城委員 では、質問をかえまして、第百九十国会で成立、本年五月二十七日に公布、施行された地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律において、パリ協定採択を踏まえて、二〇三〇年削減目標二六%達成のために、家庭並びに業務等の民生部門では四〇%削減が必要だと掲げられています。そのための規制、税制、補助金等の施策に加えて、国民の意識変革とライフスタイルの転換の抜本的な強化も必要とされています。

 この高い削減目標への取り組みの見通しについてお伺いいたします。

鎌形政府参考人 御指摘の民生部門四割削減のためには、国民お一人お一人にCO2削減に取り組んでいただく必要がございます。

 御指摘のように、規制、税制、補助金、国民の意識改革やライフスタイルの転換も含め、地球温暖化対策計画に基づき、政府一丸で各種施策を総動員で実施する方針でございます。

 規制、税制、補助金については、具体的には、省エネ法に基づくトップランナー基準やエコカー減税、あるいは省エネや再エネ設備に対する補助金、こういったことを政府全体で着実に実施してまいります。

 また、国民の意識改革とライフスタイルの転換につきましては、賢い選択、クールチョイスを旗印に、低炭素型の製品、サービス、ライフスタイルの選択を促すべく、具体的なアクションの選択肢や生活におけるメリットを全国に発信して実施してまいりたい、このように考えてございます。

玉城委員 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

三ッ矢委員長 これにてパリ協定の締結について承認を求めるの件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 パリ協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十一分散会


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