衆議院

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第6号 平成29年3月22日(水曜日)

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平成二十九年三月二十二日(水曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 三ッ矢憲生君

   理事 黄川田仁志君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 長尾  敬君 理事 小熊 慎司君

   理事 寺田  学君 理事 岡本 三成君

      今津  寛君    小田原 潔君

      小渕 優子君    大野敬太郎君

      熊田 裕通君    佐々木 紀君

      島田 佳和君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      松島みどり君    山田 美樹君

      石関 貴史君    吉良 州司君

      中川 正春君    原口 一博君

      渡辺  周君    浜地 雅一君

      宮本  徹君    足立 康史君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   外務副大臣        岸  信夫君

   外務副大臣        薗浦健太郎君

   財務副大臣        大塚  拓君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   外務大臣政務官      滝沢  求君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        宮島 昭夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 三上 正裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局長)            金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    正木  靖君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           篠原 康弘君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 伊澤  修君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  笠井  亮君     宮本  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(第百九十二回国会条約第二号)

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)


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     ――――◇―――――

三ッ矢委員長 これより会議を開きます。

 第百九十二回国会提出、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、今国会提出、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官三上正裕君、大臣官房参事官飯島俊郎君、アジア大洋州局長金杉憲治君、北米局長森健良君、欧州局長正木靖君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、国際平和協力本部事務局長宮島昭夫君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、国土交通省総合政策局次長篠原康弘君、防衛省大臣官房審議官土本英樹君、防衛政策局次長伊澤修君、人事教育局長鈴木良之君、統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより防衛大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉良州司君。

吉良委員 民進党の吉良州司でございます。

 まずは、岸田大臣、稲田大臣、日ロ2プラス2、お疲れさまでございました。この件につきましては、私の場合、また後半に時間をいただいておりますので、岸田大臣にいろいろとお聞かせいただきたいと思いますけれども、この十分間、場合によっては同僚議員の了解を得て少し十分を超えるかもしれませんけれども、稲田大臣に対して、南スーダンPKO派遣についての事柄につき質問をさせていただきたいと思います。

 稲田大臣、質問通告はしていませんが、ごく一般的なこととしてまずお聞きしたいんですが、防衛大臣に就任後、稲田大臣の一つの生活パターンについて、といっても細かいことではなくて、大体、何時ぐらいに起床されて、何時ぐらいに防衛省に行かれて、何時ぐらいに戻られて、また就寝されるか。大臣の場合は、海外出張、国内出張、そしていろいろなイベント参加もありますので、なかなか一様ではないとは思うんですけれども、一般的な日常について、もしお答えいただけるのであればお答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 その日の国会の様子やさまざまな状況において異なりますけれども、起床するのは大体四時半から六時半の間ぐらいですね。そして、役所に行くのも、国会があるときには政府控室の場合もありますし、役所に行くこともありますし、官邸にまず行くこともありますし、さまざまでございます。そして、帰るのは大体九時半から十時ぐらい。寝ますのは十二時から一時ぐらいかというふうに思います。

吉良委員 幾分プライベートにかかわることにもかかわらず、お答えいただいてありがとうございました。

 それではもう一点、今、南スーダン・ジュバの現地時間は何時でしょうか。

稲田国務大臣 大体朝八時ぐらいかなと思います。

吉良委員 ありがとうございます。南スーダンと日本とは時差が六時間ありますので、今、現地時間では八時過ぎなんだろうというふうに思います。

 なぜ最初にこのような質問をさせていただいたかといいますと、稲田大臣は、ジュバに隊員を派遣している責任者として、もちろん最高責任者は総理ですけれども、実質的な責任者が稲田防衛大臣ということで、常に、今日本では何時だけれども、現地ジュバでは何時で、そしてどういう生活をしている、ちょうど今、インフラ整備のために宿営地を出たころだろうとか、その辺のところを常に現地に思いをはせながら毎日過ごしておられるか。念のため確認で、お答えいただけますか。

稲田国務大臣 もちろん、私、大臣になりましてから、毎日、ジュバの状況については事務方から報告を受けております。それは、今問題になっている日報からの情報のみならず、現地の情報、そして国連からの情報、他国部隊からの情報、そして、きょう施設隊が何をやる予定で、次に何をやる準備をしているか等々、報告を受けております。

 そうすることによって、週末は除きますけれども、この直近の十二時間の様子をしっかりと確認しつつ、自衛隊員が安全を確保しつつ有意義な活動ができている状況かどうかということ、そして、今回、活動終了を決めて、五月に全員無事に日本に帰国して家族のところに戻れるまで、緊張感を持ってその安全状況等を確認してまいりたいと考えております。

吉良委員 今の答弁の中で、責任感を持って、現地にも思いをはせている、また家族にも思いをはせているという話がありました。

 私、なぜこの話をさせてもらったかといいますと、防衛大臣として稲田さんの先輩に当たる石破茂元防衛庁長官そして防衛大臣、この石破茂さんと一緒にアメリカでとある会合に出席する機会があって、そのとき、ちょうどイラクのサマワに、イラク復興支援のために、石破大臣が責任者として部隊を送った、そのときでありました。

 石破大臣の話を聞いて、私はもう大変な感銘を受けたんですけれども、石破さんは、部隊を派遣している間、大体三時間ぐらいなんだそうです、睡眠が。なぜか。それは、石破大臣は、日本時間とサマワ時間と、両方とも生きていたということなんですね。どんな状態がいかなるときに起ころうとも即座に対応できるようにということと、あの灼熱の地で活動している自衛隊員とともにあるということを、みずからその覚悟を持って、かつ、それを生活の中に組み入れておられた、こういう話を聞いて大変感銘を受けたんです。

 そういう意味で、稲田大臣も、今、報告を受けてとかありましたけれども、今回、南スーダンに対しては、それでなくても治安状況が非常に悪くなっている、だからこそ、これだけ国会でも問題になっている、しかも、それに加えて、危険度がさらに増す駆けつけ警護の任務も与えた中で送り出している。その稲田大臣が、寝ても覚めても隊員の活動や思いに、まさに思いをはせて、彼ら隊員とともにいるのかというその覚悟をお聞きしたくて先ほどのような質問をさせてもらったわけです。

 実は、その覚悟について、申しわけないですけれども、疑わざるを得ないようなことがあります。これは、今、これから恐らく日報についてはいろいろな他の議員がやるでありましょうけれども、私はちょっと観点が違って、駆けつけ警護にかかわることなんです。

 まず、駆けつけ警護の任務付与を指示したといいますか、その付与した責任者は稲田大臣ということで間違いございませんね。

稲田国務大臣 そのように認識しています。

吉良委員 では、駆けつけ警護にかかわる、ある種、危険手当とでも言えるかと思いますけれども、駆けつけ警護手当、これは日常の国際平和協力手当に加えて、駆けつけ警護の手当が幾らで、どういう状況の中で支給されるということが決まっておりますけれども、これを決めた責任者も稲田大臣という了解でよろしいでしょうか。

宮島政府参考人 失礼いたします。

 いわゆる駆けつけ警護に関する国際平和協力手当につきましては、PKO法上の第十七条の第一項に基づきまして、派遣先国の勤務状況と任務の特性等を総合的に勘案して決めるということで、現在支給されている日額一万六千円とともに、日額八千円を新たに支給することになりました。

 これに関しましては、内閣府が、防衛省等関係省庁と調整の上、南スーダン国際平和協力隊の設置等に関する政令を改正し、昨年十二月六日に閣議決定をいたしまして、同九日より施行いたした次第でございます。

吉良委員 私は、その決めた責任は稲田大臣ですかと聞きましたけれども、今のお話ですと、事務局があり、防衛省があり、そして内閣があるということでありました。

 ただ、稲田大臣に確認したいのは、この駆けつけ警護手当とその支給条件については大臣が送り出す責任者として認めた、これは間違いないですね。

稲田国務大臣 これは昨年十二月六日に閣議決定をしたものであり、その中において私も了承したということでございます。

吉良委員 私は、実は、この駆けつけ警護の、金額は横に置いておきまして、支給の条件というものがどうしても納得ができないんです。それで今回これを取り上げているんですね。

 それは、与党の皆さんも御存じだと思いますけれども、駆けつけ警護の任務は付与している、だけれども、駆けつけ警護の手当については実際に駆けつけ警護の任務に当たったときのみ支給されるという条件です。これで本当にいいんでしょうか。

 駆けつけ警護という任務を与えることが決まり、隊員たちはそれに基づいて日々訓練を重ね、そして、国会でいかなる答弁をしようとも、実際、隊員たちは、南スーダンは今危険な状態にある、その中にあって、さらに危険度の高い駆けつけ警護の任務を帯びていく。そのような使命感と覚悟を、大臣がその任務を付与して派遣した時点から、隊員たちはその覚悟で臨んでいるんじゃないですか。であるならば、任務を付与して現地に派遣した時点からこの駆けつけ警護の手当を支払うのが筋ではないでしょうか。いかがですか、大臣。

稲田国務大臣 この駆けつけ警護、これは、今までのPKO活動の中でもそういう要請があって、法的根拠がない中でも、邦人保護のために自衛隊員が駆けつけて邦人を保護したりなどいたしました。

 そういう要請等もあり、法的根拠、さらには、しっかり訓練をして駆けつけ警護という任務を付与したわけですけれども、これは、自衛隊部隊の近傍でNGO等の活動関係者が襲われ、ほかに速やかに対応できる現地治安当局や国連部隊等が存在しないといった極めて限定的な場合に、緊急的な要請を受けて、人道性の観点から、応急的、一時的な措置として、その能力の範囲内で行うものであります。

 したがって、派遣施設隊の要員に駆けつけ警護の業務が新たに付与されても、それが日々の国際平和協力業務の性格が変わらないものであることから、駆けつけ警護に実際に従事した場合にのみ支給することとしたものです。

 新たな任務を付与する以上、任務を遂行する現場の自衛隊員に対し、任務の実施される環境や任務の特質などに見合った新たな国際平和協力手当を支給することは当然であって、これによって、任務を遂行した現場の自衛隊員の労苦に報いることにもつながるというふうに考えているところでございます。

吉良委員 私の論点に正確に答えていただいていないと思っているんです。私は、駆けつけ警護手当がだめだと言っているんじゃないんですよ。逆に、そのときだけじゃなくて、任務を付与した時点で、そしてそれを現地に派遣した時点で渡すのが筋でしょうということを言っているんです。

 冒頭、石破茂元防衛庁長官、防衛大臣の例を出したのも、隊員の日々の気持ちに寄り添い、その危険を絶えず思っているということを、その大臣の覚悟に感銘を受けたということを言いました。

 私が、なれないですけれども、防衛大臣の立場だったら、今言った、政府内でこのような決定がなされようとしたときに、ふざけるな、冗談じゃない、この危険な地域に、これだけの任務を与えて出す、そのときに……(発言する者あり)うるさい。そのときに、自衛隊員としては、先ほど言いましたように、任務が付与された時点で、非常に高い使命感を持ち、覚悟を持つんです。そして、恐らく派遣前には、家族にもそのことを伝えて、危険かもしれないけれども、自分は日本のために、そして南スーダンのために、命がけで行くんだということを家族にも伝えているはずです。

 その覚悟に対してきちっとした手当を払う。もちろん、自衛隊員たちは、お金のためにやっているんじゃないですね、崇高なまさに任務のためにやっている、それはわかります。けれども、送り出す側は、それに甘えるのではなくて、隊員たちにも家族にも納得してもらえるような、まさに援護射撃をするのが防衛大臣の役割ではないんでしょうか。いかがですか、大臣。

稲田国務大臣 駆けつけ警護の任務を与えたことによって、今、南スーダンで、施設隊の活動しているその業務の内容が変わるわけではありません。あくまでも本質は、施設隊としての活動です。しかも、この駆けつけ警護、何かすごく特別なことをやるということではなくて、今までも、そういう要請がある中で、法的根拠がなくても、自衛隊員は、助けられるものであれば、邦人がそういう状況になっているときには助けに行っていました。

 しかしながら、今回、しっかりと法的根拠も与え、しっかりと訓練もし、緊急的、人道的に、しかもみずからが対応できる場合に限ってこの保護を行うことができるというふうにしたものでございます。

 したがいまして、活動の本質は今までどおりである。しかしながら、先ほど申し上げましたように、駆けつけ警護に実際に従事した場合にしっかりと手当を付与するということでございます。

吉良委員 やはりちょっと論点がずれていると思えてしようがないんですけれども。

 今までの任務と変わらないとおっしゃいましたけれども、結果的には一度も駆けつけ警護に、そういう場面に遭遇しなかった場合もあり得るでしょう、けれども、先ほど言っているように、危険な地域において、より危険度の高い任務を付与して送り出した。現地に着任した途端に、その時点から、実は、駆けつけ警護にいざとなったら行くんだ、また行かざるを得ないんだという覚悟が自衛隊員にはあるんですよ。その自衛隊員の、先ほど言った覚悟に対して、使命感に対して、送り出す側はきちっと報いるべきではないか、このことを申し上げているんです。

 もう時間が来ましたので、私が言いたかったことは、今言ったようなことも含めて、絶えず現地の自衛隊員に寄り添い、自衛隊員の命を必ず守り抜くという覚悟で臨んでいただきたいと思っていますけれども、その確信が持てないので、申しわけないですけれども、辞任をされてはいかがでしょうかということと、それからもう一つについては、撤退を決めたこと自体は私は評価をしますけれども、一日も早い撤退を強く望んで、私の質問を終わります……(発言する者あり)わかりました。一日も早い撤収を強く希望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司でございます。

 まず冒頭、原口一博先輩が久々に委員会に戻られて、また、委員長初め、新藤筆頭を初め理事の皆さんにも特別な御配慮をいただいたことにまず感謝を申し上げます。

 また、冒頭、きょうの午前中、北朝鮮がまたミサイル発射を行ったようで、これは大変遺憾なことでもあります。まだ詳細は伝わっておらないわけでありますけれども、これは、日本の安全保障だけではなくて、地域の安全保障にもかかわり、また、世界の安定に対しても、冒険主義的な、挑戦的な、許しがたい行為であるというふうに思います。

 このミサイル発射について、稲田朋美大臣、どのように今詳細を把握し、対応しているか、お伺いいたします。

稲田国務大臣 北朝鮮の核、ミサイルに関する動向については、政府として、重大な関心を持って、平素から情報収集、分析に努めておりますが、個々の具体的な情報の内容や分析については、事柄の性質上、コメントは差し控えたいと思います。

 その上で申し上げれば、我が国に飛来するミサイル等は確認されておらず、我が国の安全保障に直接の影響を及ぼす事態が発生したとは認識いたしておりません。

 いずれにせよ、引き続き、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、挑発行動の自制及び関連する安保理決議などの遵守を求めていくとともに、いかなる事態にも対応することができるよう、緊張感を持って情報収集、警戒監視等に全力を挙げ、我が国の平和と安全の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

小熊委員 緊張感を持ってやっていただきたい。日本には今回影響がなかった。とはいえ、発射して爆発をしたというような情報が今伝わっていますけれども、爆発しなければ日本の経済水域に落ちたのかどうかということも含めて、しっかりと分析をして、今後対応していただきたい。

 また、こうした状況が続いておりますので、しっかりと北朝鮮に対して、こうした暴挙に走らないように、これは外務大臣含め、さまざまな外交努力の中で、北朝鮮のこうした行為をとめられるように努力をしていただくことをお願い申し上げます。

 質問に移りますけれども、先ほどの吉良委員と同じく、南スーダンのPKOについてであります。

 今回、撤収を決めたわけでありますけれども、撤収する大きな理由というのは幾つかありますが、大きな理由としては、私は、二点、政府の説明ではあるのかなというふうに思っています。

 そこで確認ですが、撤収する理由、一つは、国連が四千名規模の新たなPKO部隊を首都ジュバを初めとする地域に展開することになったということで、一定の役割が日本の自衛隊としては終わったのではないか。また、もう一つは、三月中に南スーダンでの国民対話、政治プロセスの進展があるということで、撤収を決めた。そのほかの理由もありますけれども、大きな理由としてはこの二点でよろしいかどうか、簡潔に確認をさせてください。

稲田国務大臣 まず、南スーダンの新しい国づくりのPKO、まさしく、平成二十四年、施設隊が行ったのは一月、野田政権において大きな決断のもとでPKOを派遣したわけであります。その後、さまざまな武力衝突、大きな衝突がありましたけれども、そこからことしで五年を経過して、施設隊の派遣としては過去最長となった。

 そんな中で、かねてより今後のあり方について検討を行ってきて、そして今委員が御指摘になったようなことなどがあり、これまで我が国のPKO活動の中で過去最大規模の実績を積み重ねてきたことから、一定の区切りをつけることができたというふうに考えたものでございます。

小熊委員 簡潔に答弁をお願いします。

 撤収を決めたのは、国連の四千名規模の新たな展開があるというのも一つの理由に挙げていますよね。それは間違いないですね。

 ところが、昨年十月の派遣継続のときも、政府のいろいろな資料を見ると、逆に、国際社会は取り組みを強化しているから派遣を継続するんだと、この四千名規模の話を派遣継続の理由に使っているんですね。今回はこれを派遣撤収の理由に使っているんですね。

 整理していただきたいのは、これを継続の理由に使いながら撤収の理由にも使っている、一見矛盾するように思えるんですが、ここをどういうふうに整理されているんですか。

稲田国務大臣 昨年の段階では、国連は新たなPKO部隊、地域保護部隊の増強を決定したものの、南スーダン政府はその受け入れについて態度を明確にしておらず、部隊の展開のめども立っておりませんでした。

 また、キール大統領の行う国民対話のような、民族間の融和に向けた、すなわち、南スーダン、非常に治安が厳しい一つの要因であるところの部族間の対立、衝突というものが多くありますけれども、そういった民族間の融和に向けた具体的な取り組みも進んでいない状況であり、また、国連の要請によって行っていた首都ジュバの国連施設の整備もまだ途上であったことなどを勘案して、引き続き部隊を派遣することが適当だというふうにしてきたわけでございます。

 しかしながら、今回、派遣開始から五年の区切りがついた。また、治安改善のための地域保護部隊の展開も、一定の安定に向けた取り組みが進みつつあります。また、南スーダン政府による民族融和を進めるための国民対話の発表もあり、国内の安定に向けた取り組みが進展して、新たな段階に入ろうとしているということでございます。

小熊委員 政府の派遣継続に関する基本的な考え方というこのホームページだと、今大臣言われたのは、増派は決定していたけれども十月はまだ出そろっていなかった、だから派遣継続したと。これがそろったから今回は撤収するんだということですが、この十月の派遣継続に関する基本的な考え方だと、創設して、増派を決めて、国際社会は取り組みを強化しているんだ、撤収させた国は今ないんだ、だから日本も撤収させずに派遣を継続するんだ、増派をするぐらい国連は強化しているんだから、日本もそれをやらなきゃいけないんだと。

 強化をするのでそれがそろったら撤退なんていう文言、読み込めないですよ。逆に、強化しているんだから日本もそれをやっていかなきゃいけないという理由でこのホームページに載っているんですね、政府の説明が。

 そろったから今回やめるということなんですか。派遣継続のときはそんなふうに読み込めませんよ。みんながやっているんだから、我々もやっていくんだということですよ。みんながやって、そろったから撤収じゃないですよ、十月のこの説明は。

 簡潔に、もう一度お願いします。

稲田国務大臣 先ほど申し上げましたように、新たなPKO部隊の地域保護部隊の増強についても現実に進みつつある。しかも、国民対話など、キール大統領が各地を回って民族融和を進めるための国民対話も進んでいる。そんな中において、一定の区切りをできるような、国連施設の整備が四月末に、また、首都ジュバで行っている道路整備も五月末には、それぞれ完了する見込みであることから活動に一定の区切り、もう五年たっていますから、野田政権が派遣されてから五年がたって、そして大きな成果も上げているわけですね。そこで区切りが、まず五月末をもって活動を終了する。

 そして、全て撤退するということではなくて、UNMISSの司令部への自衛官の派遣は継続をして、引き続き国連PKOへの貢献を行っていくということでございます。

小熊委員 聞いたことだけ答えてください。

 五年区切り、五年区切りと言うけれども、義務教育と違うんですよ。何年やったから区切りなんてなくて、目的が達成された、役割がどうだったということで、五年であろうと十年であろうと終わらないものは終わらないし、終わるのは一年でも二年でも終わるんですよ。よくわからない。五年区切りなんというのは、もともとそんなものなんですかね、PKOというのは。五年ごとに一つの区切りですなんて。こんなのは年限じゃないですよ。やはり内容ですから。

 だから、ずっと言っているのは、国民対話とかそこまで今指摘していませんから、再度質問しているのは、継続を決めたときは、国連全体でやっていくんだ、こうやって創設してやっていくんだということを理由にしながら、何で今回それが撤収になっているのか、それは論理的に整合性がとれていないですよと言っているんですよ。それで、全然関係ないことを答弁で答えたり。

 これはまた、ちょっと時間がないのでほかへ移りますけれども、継続を決めたときの説明と今回撤収を決めたときの説明、もっと国民に向けてしっかりと説明がなされるように、この指摘した点について、もう一度整理をして、しっかりとした説明責任を果たしてください。今のでは全然わかりません。

 次に移ります。

 昨日も参議院の外務防衛委員会の方で我が党の藤田議員が質疑をされて、この日報の隠蔽問題についてやりました。これは、特別防衛監察の指示を大臣はされました。藤田議員の指摘は、この問題はやはり政務三役も含めてまないたの上に乗らなきゃいけないんじゃないか、調査対象にならなきゃいけないんじゃないか、大臣が指示をしてこれをしっかり問題を解決するということではなくて、大臣以下全てまないたの上のコイになって、そして問題を明らかにしていく必要があるんじゃないか、そういう指摘だったわけです。

 大臣として特別防衛監察をしっかり指示して徹底的にやらせる、これも一つのあり方でありましょうけれども、今回の問題は、藤田議員が指摘をされたとおり、これは政務三役も含め、大臣から以下全て組織的にどういう問題があったのかということをしっかり検証しなきゃいけない事象だと思います。

 こうした考え方について、大臣、答弁を求めます。

稲田国務大臣 まず、今回、その日報ですけれども、一年未満、用済み後廃棄と決められていたその日報を不存在、不開示としたものを私の指示で徹底的に捜して、そして公表をした。今、開示請求があるものは全て公表をしているところであります。

 しかしながら、さまざま委員会の中で御指摘を受けておりました。その点については、改善点、さらには文書保存のあり方や管理のあり方を含め、しっかりと検証するように指示をしておりましたが、今回の報道を受けて、事実関係を徹底的に解明しようということで、特別防衛監察という、防衛省の機関からは独立した、元検事長がトップのそういった機関で徹底的に調査をすることにいたしております。

 防衛監察の対象に政務三役は含まれておりませんけれども、事実解明のために必要であれば、私も当然調査に協力すべきですし、政府三役、もちろんその調査に協力させますので、その点はしっかりと徹底的に調査をした上で、改善点をしっかりと改善してまいりたいと考えております。

小熊委員 今回のこの問題は、ある意味いろいろな形でこれまでの質疑がありまして、ここではやりませんが森友問題、これもどうなるかわかりませんけれども、といったことまで含めて、大臣の資質、能力といったものに対してさまざまな角度から質疑がなされてきました。ちゃんとシビリアンコントロールがされているのか、しっかり大臣としての職責を全うできる、それだけの能力があるのかといったことも含めて質疑をされてきたわけであります。

 その中で、先日の金曜日のこの委員会で、同僚議員の足立議員が、もう現場では、戦闘なんてそんな言葉をどうするかなんということじゃなくて、大変なんだからそんなのはいいじゃないかと。全く同感ですと大臣は答えられて、そうだ、戦闘訓練とかという言葉もあるし、どんどん書けと指示をしているという答弁がありました。

 ということでありながら、戦闘という日報を隠そうとする、資料がどこに行ったかわからない、こういった問題が起きてくるというのは、やはり大臣に対してストレートに情報を上げていこうとするものを阻害するものがあるのではないかというふうにも推測をされます。

 私の地元は会津というところで、大変厳しい武士道の精神が残っている地域で、私は会津人としてもまだまだ恥ずかしい部分がいっぱいありますけれども、常日ごろ先輩方に言われるのは、何か起きたときには自分原因説に立てということを言われるわけです。どんな不条理なことを言われたりされたりしたとしても、それを言われるだけのおまえの甘さがあるんだというような指摘を受けます。

 そうした自分原因説に立って、今回の日報の問題、大臣はちゃんと調べろという指示をした側ではありますけれども、その自分の側に何か非があったのかどうか、自省すべき点があったのかどうかということを振り返ることがなければならないというふうに思うんです。そうした思いに立ったことはありますか。

稲田国務大臣 まず、事実関係として、日報を隠そうなどということは一度も考えたことはありません。むしろ、不存在、不開示といったことを、それを自発的に、私の指示で自発的に公表した、ある意味シビリアンコントロールのきいている例だと思います。今まで、防衛省の中で不存在、不開示となった文書を捜して自発的に公表した例は初めてであります。

 しかも、戦闘を隠すなんということは私は全く考えておりません。今も隠していません。そして、戦闘は、私は何度も言って、この間も言って……(小熊委員「そんなの言っていないよ」と呼ぶ)いや、ちょっと説明させていただいていいでしょうか。

 この間も言っていますように、戦闘、戦闘行為はPKO五原則に抵触をする言葉なので、私は国会の場ではその言葉は使いませんということを一貫して言っておりますが、現場において戦闘という言葉を使う、それは全く問題にしていませんし、その言葉が日報にある、これはあることについて隠そうとも思いませんし、思ったまま書いてほしいんです。戦闘と思えば戦闘、それとこの国会での場の議論を分けて私は議論したいということでございます。

小熊委員 だから、そこを私、殊さらにどうだというんじゃなくて、それがありながら特別防衛監察をしなければならない状況になっているわけですよ。大臣がそんなことを言っていないなんて、だから金曜日の答弁も例にして、大臣はそういうふうに言いましたよねということで言っているわけですよ。

 だけれども、特別防衛監察をしなければならない事象になったというのは、大臣にそういうことを言えない、隊員たちが言えない、防衛省の中でそういった情報をストレートに上げていけない原因とするものが特別防衛監察の対象者にあるのか、それとも、大臣の自分の資質に何かがあって、防衛省の信頼がなくてこういうことになっているのかということも考えなきゃ、自省しなきゃいけないんじゃないんですかということです。

 そういう意味で、昨日の参議院の委員会の中でも我が党の議員からは、資質に、適格ではないということで、日本の防衛または二十数万人の隊員の命を預けるわけにはいかないから、ぜひ出処進退をしっかりしてほしいということを言ったわけですよ。

 もう一度お願いします。

稲田国務大臣 私は、一貫して日報については情報公開すべきという立場に立って、日報の破棄を指示するようなことは断じてありません。

 ただ、今までも国会の中で、では、なぜ見つかってから私に報告するまで一カ月もかかったのかというような点はるる指摘をされてきました。また、今回の報道で、日報の破棄を指示して、破棄をしたというような報道等もあったものですから、ここはしっかりと特別防衛監察という第三者的な独立した機関において徹底的に事実解明をした上で、改善すべき点をしっかりと改善していくのが私の責任だというふうに感じております。

小熊委員 指示をしていながら動かない防衛省、聞かなかった方が悪いのか、指示した側の問題があるのか、その指揮が、命令が伝わらないということに対するものでシビリアンコントロールされていないということを我々は指摘をしてきたわけであります。

 いずれにしろ、この問題は引き続きますし、大臣に対しての、さまざまな資質に対しての指摘もこれまでもされてきましたけれども、この日本の防衛のためにも、しっかりと大臣は、その身分も含め、職責を全うするということだけの選択肢ではなくて、自分がのいた方がそれが達成されるといった選択肢も含め、ぜひとも一度真剣に考えていただきたいことを述べまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 南スーダンPKO派遣部隊の日報隠蔽問題について、稲田大臣に伺います。

 大臣は、日報は廃棄したと繰り返し国会で説明してきましたが、電子データが陸上自衛隊内にも保存されていた疑いが新たに浮上いたしました。しかも、情報公開請求への不開示決定後にデータが削除された可能性が指摘されており、事実なら、まさに組織的な隠蔽行為が行われていたという大問題だということであります。

 報道によれば、統合幕僚監部の背広組と言われる幹部が、国会答弁を乗り切るために、国会議員の資料要求直後にデータを消去するよう指示した、こう言われております。この統幕の背広組幹部とは一体誰なのかということです。

 そこで、稲田大臣に伺いますが、統合幕僚監部の部長クラス以上の幹部で、いわゆる背広組と言われる事務官というのは何人いらっしゃるんですか。

稲田国務大臣 まず、隠蔽とおっしゃいますが、出したんです。この日報は全て出しました。百日分も含め全て、今、日報は情報公開をいたしております。そして、破棄をしたこと自体は違法ではありません。

 その上で、今の御質問ですけれども、統合幕僚監部に背広組の幹部は何人いるのかという委員のお尋ねですが、幹部の定義にはさまざまなものがあります。本省課長職以上の背広組は二名でございます。

宮本(徹)委員 本省課長以上の幹部は二名ということで、総括官と参事官の二名だと思いますが、改めて確認します。

 統合幕僚監部のホームページによれば、国会答弁を含む対外説明を担う部署が記されております。統幕の中で、国会答弁を含む対外説明を担っているのはどこでしょうか。

稲田国務大臣 統合幕僚監部の中で国会答弁を含む対外説明をする担当部署は、統合幕僚監部においては、総括官及び統合幕僚監部参事官付が担当しているところでございます。

宮本(徹)委員 総括官と参事官、二つしかないわけですが、それぞれどなたですか。

稲田国務大臣 総括官は辰己総括官、統合幕僚監部参事官付は吉田氏でございます。

宮本(徹)委員 辰己総括官、吉田参事官、二人はいずれも国会答弁を含む対外説明、国会対応を担っていると。報道にある統合幕僚監部の背広組の幹部というのは、この二人ということでよろしいんですね。

稲田国務大臣 幹部の定義にもよりますが、本省課長級以上の者は、統合幕僚監部総括官及び統合幕僚監部参事官の二名ということでございます。

宮本(徹)委員 つまり、辰己総括官、吉田参事官、これが幹部だということなんですが、このお二人というのは、当然、特別防衛監察の対象にされているということでよろしいんですね。

稲田国務大臣 監察の対象として統合幕僚監部がなっておりますので、そういうことでございます。

宮本(徹)委員 昨年十月三日に日報の情報開示請求があった際に不開示決定がなされたわけですが、その際の決裁文書、きょうお持ちしました。これは、我が党の要求に対して統幕監部から提出されたものということになっています。この決裁文書に添付された案一には、関係課室という欄があります。ここに何て書いてあるかといいますと、関係課室、統合幕僚監部参事官というふうに書いてあります。

 稲田大臣、統幕の吉田参事官は不開示決定にそもそもかかわっていたということですね。

稲田国務大臣 昨年十二月の不開示決定の際には、昨年十一月二十八日に陸上自衛隊が日報を不存在とした判断についての意見照会があり、これに対して統合幕僚監部参事官付政策調整官が、部下職員から照会文書の提示を受け、口頭で、意見なしとの回答を了解いたしました。

 政策調整官の了解をもって、統幕参事官付として陸自が日報を不存在としたことについて意見なしとの回答を行ったものであり、統合幕僚監部総括官及び参事官の了解を得るというふうなことは行っていないということでございます。

宮本(徹)委員 了解を得るということはやっていない、かかわってはいないんですか。ここには、参事官のお名前が、はっきりと参事官というのが書かれているんですけれども、かかわっているんですよね。

稲田国務大臣 今御答弁申し上げましたように、意見なしの決裁は、統合幕僚監部参事官付政策調整官が、部下職員から照会文書の提示を受けて了解をしたものであり、統合幕僚監部総括官及び参事官の了解を得ることは行っていないということでございます。

宮本(徹)委員 了解を得ることはやっていないといいますけれども、ここに、関係課室、参事官ということは、了解する、しないは別にして、開示、不開示を決める過程にかかわっているんじゃないですか。これはうそが書いてあるんですか。

稲田国務大臣 今先生がお持ちの書類、それを確認させていただいて、答弁させていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 それは、いつ答えるんですか。後で答えるということですか。

 いずれも、これは、書いてあるのはもうはっきりしているわけですよ。これは統幕から出された書類ですからね。関係課室、統合幕僚監部参事官。

三ッ矢委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

三ッ矢委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 今突然、手元の書類を示されておりますけれども、今私が申し上げましたように、決裁をしたのは統合幕僚監部参事官付政策調整官でございまして、この者が部下職員から照会文書の提示を受けて、口頭で、意見なしとの回答を了解したということでございます。

宮本(徹)委員 参事官付調整官という話ですけれども、吉田参事官そのものはかかわっているんじゃないですか。

 この書類、突然示されたと言いましたけれども、私、きのう通告で、不開示の決定の際に参事官がかかわっているんじゃないかということをお伺いしましたし、これも出所があやふやなものじゃなくて、統幕から出していただいた資料ですよ。

稲田国務大臣 今申し上げましたように、統合幕僚監部参事官付政策調整官が、十一月二十八日に、陸上自衛隊が日報等不存在とした判断について意見を求められ、部下職員からその提示を受けて、口頭で、意見なしとの回答を了解したということでございます。

 陸上自衛隊の文書であり、陸上自衛隊において施設隊で作成をし、その報告先である中央即応集団において、その両者において不存在という判断についての意見の照会でございますので、その政策調整官の了解ということでもって回答を行ったものであって、統合幕僚監部総括官及び参事官の了解を得ることは行っていないということを申し上げたということでございます。

宮本(徹)委員 ですから、それがよくわからないと言っているんですよ。ここに統幕から出された資料は、不開示決定を決めた際の決裁文書は、案一、案二というのを書いています。案一で、関係課室、統合幕僚監部参事官としっかり書いてあるんですよ。にもかかわらず、かかわっていないと言うのは、この文書は、かかわっていないのにかかわっているかのように名前を書いた、そういう極めていいかげんなものだということですか。

 とにかく、全く納得いかないですから、またこれは続きをやりますけれども、市民から情報開示請求があった際に、日報はないと不開示決定にかかわった可能性が、吉田参事官は高いわけですよ。ここに書いてあるわけですから、参事官と。そうすると、今回の日報のデータの消去をした疑惑を持たれている方が不開示決定にもそもそもかかわっていたということにもなる極めて重大な問題だというふうに思いますので、私、不開示決定の経過を改めてただしていく必要があるというふうに思います。

 さらに、報道では、統幕監部の背広組の官僚が、防衛省の上層部に相談した上で、公表しないという方針を陸上自衛隊に伝えた疑いがあるというふうにされております。

 今回の防衛監察で内部部局を対象にした理由というのは何なんですか。報道にあるとおり、上層部の関与に関係があるから内部部局を対象にした、こういうことでいいわけですね。

稲田国務大臣 報道を踏まえて、報道が事実であるとするならば国民の信頼を失うようなことでありますので、特別防衛監察をすることにし、また、特別防衛監察計画を既に十七日付で承認をして、その中において徹底的に事実関係を解明し、改善すべき体質があればしっかりと改善をしていきたいということでございます。

宮本(徹)委員 ですから、内部部局を対象にした理由は何ですか。上層部の関与に関係があるからということでいいんですか。報道で、上層部も関与している、こう出ているので内部部局も対象にした、こういうことですか。

稲田国務大臣 省の情報公開窓口は大臣官房でもあり、内部部局も当然対象になるということでございます。

宮本(徹)委員 上層部の関与のお話を全然言おうとしないわけですけれども、報道の範囲で言いますと、稲田大臣が日常的に仕事をしている防衛官僚の皆さんが隠蔽を指示した疑いがあるという話なわけですよ。しかも、この不開示の決定の際の決裁文書を見ますと、豊田官房長の名前もありますが、これは豊田官房長も不開示決定にかかわっているということです。

 報道にある、防衛省の上層部といった場合に、この豊田官房長も可能性としては含まれているというふうに思うんですが、これは、内部部局は監察対象ということになっていますけれども、豊田氏も含まれるということでよろしいんですね。

稲田国務大臣 まず、報道の内容について、個別の報道についてコメントは差し控え、独立性の高い立場から徹底した調査を行わせるため特別防衛監察が開始をされているということでございます。

 大臣官房、内部部局も当然に対象となっているということでございます。

宮本(徹)委員 時間が参りましたけれども、これで質問を終わりますけれども、とにかく、国会答弁を乗り切るために情報を隠蔽するというのは、今回に始まった話じゃないんですよね。

 安保法制の際に我が党が国会で追及した内部文書、ありました、河野統幕長の訪米録。これも国会答弁では文書の存在を認めなかった。ところが、先週の金曜日に防衛省の大貫三等陸佐が、身に覚えのない内部文書の漏えいを疑われて省内で違法な捜査を受けたということで、国家賠償請求訴訟をさいたま地裁に起こされたわけですよね。

 ない、ないと国会で答弁した文書の流出元を調べていたわけですよ、防衛省自身が。しかも、訴状によりますと、この内部文書は電子データで各職員が保管していたが、国会で追及された翌日に各職員に削除を命じたとなっているわけですよ。

 ですから、本当に防衛省の隠蔽体質というのは拭いがたいものですよ。国会を本当に愚弄するような隠蔽体質は絶対に許されないということを申し上げまして、質問を終わります。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、民進党、共産党からるる質疑がありましたが、国会を愚弄しているのは防衛省や陸自ではなくて野党四党だ、特に中でも民進党、共産党だと思います。理由をきょうは明らかにしていきたいと思います。

 きょう、総務省、内閣府も来ていただいています。私は、行政文書、公文書の整理をまずちゃんとした方がいいと思っています。

 まず、総務省。結局、行政文書とか公文書という定義がありますね。行政文書、定義があります。情報公開請求の対象になるのは、私は行政文書だと理解しています。

 例えば、今回、陸自の情報が指揮システムという掲示板に載っかっていたわけです。個別の話は総務省はわからぬからいいですよ。それを例えば個人的にダウンロードした人がいて、電子媒体が残っていた。これは情報公開の請求ではない。個人的ですよ。一般論でいいですよ。

 要すれば、行政文書が情報公開の請求対象であって、それ以外の行政文書に該当しない文書、それは紙であれ電子媒体であれ、これは情報公開請求の対象ではない、こういうことでいいですか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 情報公開法上……(足立委員「一言でいいよ。合っている、大体」と呼ぶ)開示請求の対象となるのは行政文書でございます。

 行政文書は、情報公開法の第二条におきまして、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書」等であって、「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」でございます。

 それ以外のものは、この行政文書には該当いたしません。(足立委員「公開請求の対象ではない」と呼ぶ)ただいま申し上げた定義に該当しないものについては、開示請求の対象ではございません。

足立委員 当たり前のことですね。当たり前ですよ。

 だから、防衛省の中に写しが残っていることは、それはあり得ますよ。だって、これだけ電子化された時代で、それでデータが陸自の指揮システムの掲示板に載っていたわけですよ。掲示板を見られる人はもうちょっと広いわけですよ。先ほど出ている統幕だって見られるわけですよね、大臣。

 だから、昨年の十二月の二日に、南スーダンの派遣隊と中央即応集団司令部の二つ、それは何かというと、当該情報の発信元と発信先です、OとRです、この二つを調べて、組織的にそれを扱っていたのはその二つですから。だって、この情報は、日報は、派遣隊が中央即応集団司令部の司令官に見せるために日報というのはつくっているわけです。したがって、その役割を、要は、報告が済んだら速やかに廃棄するというのが規則なんです。規則ですね。だから、私は、十二月二日の不開示決定は、これは極めて法令あるいは防衛省の規則に従ったものであると思います。これは明らかですね。

 その上で、大臣が十二月六日に、範囲を広げて捜せと言った。これは、民進党や共産党が余り言うものだから、無理したんだと思いますよ。私が防衛大臣だったら、まあ、僕が防衛大臣になることはないと思いますが……(発言する者あり)わからないですか。ありがとうございます。しかし、私だったら、していません、そういうことは。だって、行政文書じゃないんだから。そういうものを国会に見せる必要もありません。特に民進党と共産党の要求に応える必要はないが、稲田防衛大臣は国会を重視しているから、民進党と共産党の要望に応えて、範囲を広げて、行政文書でないものも含めて捜せと言ったというふうに僕は理解していますよ。

 そうしたら、統合幕僚監部が何か、消せと言ったとか言っていない、これは報道ベースだから。私は、民進党や共産党のように、週刊誌とかマスコミの下請をやりません。自分で調べます。ちゃんと法令も全部読みました。

 あと五分ですが。

 ただ、これは、行政文書じゃないものまで含めたら、あるに決まっているんですよ。あるんです。それを大臣は出せと言った。私は防衛大臣にはなれませんし、なれるかもしれませんが、統幕の幹部にもなれませんよ、私は。(発言する者あり)統幕は無理ですね。でも、私が統幕の幹部だったら、私も消せと言ったと思うんですよ、消せと。

 なぜ消せか。だって、そこにあるファイルは、行政文書じゃないんですよ。たまたま指揮システムの掲示板に載っていたものを統幕がダウンロードしていたわけですよ。

 しているでしょう、だって、それは南スーダンですよ。さっき何か民進党の議員が、大臣は睡眠時間三時間でやれと言っていた。防衛省の職員は、統幕の職員もみんな南スーダンのことを心配ですよ。みんな、これを見るわけですよ、派遣隊の日報を。でも、それは、心をともにしているから、現場の派遣隊の皆さんと心をともにしているから見ているだけで、それは行政文書じゃないんですよ。

 だから、私が統幕の幹部だったら、そういう行政文書じゃないものがファイルであるんだったら、民進党、共産党に揚げ足取り、レッテル張りをされる前に消しておけと。その命令は正しいと思いますよ。

 なぜ正しいか。だって、行政文書は、指揮官への報告が終わったら速やかに廃棄するというのが、公文書管理規則の、防衛省の規則のルールだからですよ。ルールに従わずに何かファイルを持っている人がいたら、それはルールに反しているから、廃棄されているべきものがあるんだったら廃棄しろと言いますよね。

 だから、僕は、今、一連の報道されている事実は、多分そういうことあっただろうな、僕でもそうするよな、間違っていないよなと。

 法令にも間違っていない。きょう、内閣府が来ていますが、公文書管理法上も、そういうものは、廃棄するという規則にのっとって廃棄されているのが正常な姿で、コピーされてファイルが残っていることこそ不正常だという理解でいいですね。一般論でいいですよ。誰でもいいですよ。辰己さんでもいいですよ。誰でもいいですよ。

辰己政府参考人 今先生からいろいろ御指摘があったんですが、ちょっと申しわけないんですが、ここで整理をさせていただきます。

 統合幕僚監部で見つかっているものも、これは公文書でございます。なぜかというと、統合幕僚監部におきましては、南スーダン派遣隊の活動概要などの作成に当たって、執務の参考として組織的に利用していた。しかしながら、その後残っていた。これは、残っていたということについては、委員がおっしゃるように問題があると思っています。というのは、一年未満、用済み後廃棄でございますから、普通であれば、使って、利用が終われば捨てるというのが基本でございます。

 したがって、ちょっと整理をしておきたいのは、これは公文書であって、公文書管理法第二条第四項の行政文書に、まず該当する。一方で、保存期間は一年未満、用済み後廃棄。したがって、それは、用がなくなれば廃棄をするということでございました。

 ただ、残っていたので、それは行政文書だったということで、今回統幕の方から出させていただいたということでございます。

足立委員 よくわかりました。

 要は、行政文書は定義がありますから、その行政文書の定義に該当するんだ、該当するけれども、規則で一年未満、廃棄しろと書いてあるものが残っているんだったら廃棄しておけと。当たり前ですよね、何がおかしいんだと。

 そこはまた議論があるかもしれませんが、大臣、大体こんなことだと思いますが、大体そんなところでいいですか、稲田大臣。

稲田国務大臣 私としては、やはり日報というのは第一次資料なので、そこは、可能な範囲で保管する方が望ましいのではないか。そして、あるのであれば、それは国民の皆さん方に公開をしましょうということで、別に民進党から言われたということではなくて、まだ国会も始まっていませんでしたし、公表しましょうということで、統幕から公表したということでございます。

 しかしながら、委員が前回もおっしゃったように、どういうふうに扱ったらいいかということも含めて、しっかりと検討していきたいというふうに思っております。

足立委員 もう時間が来ましたので終わりますが、稲田大臣は少なくとも私よりはいい人だということが明らかになったということで、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

三ッ矢委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 日米、日豪、日英ACSA法案に関する質疑をさせていただきます。

 この時間、十分間、防衛大臣と外務大臣にそれぞれお伺いをいたしますが、まず、今般、日米のACSAでは、これまでもさまざまな事態に対応するために、条文としてしっかり書き込まれております。例えば、重要影響事態、存立危機事態などなどです。

 そして、日豪のACSAは今般新しく新協定を作成するもので、これによって、弾薬等の提供も含まれるということになっております。

 そして、日英は新しく協定を結ぶものでありまして、PKO、国際連携平和安全活動、そのほか、それぞれの国の法令により物品、役務提供が認められるその他の活動、重要影響事態などというふうになっております。

 防衛大臣にお伺いいたします。

 日本とアメリカと、それから、日本とオーストラリア、日本とイギリス、日豪・日英ACSAとの大きな相違点及びその理由について、まずお聞かせください。

稲田国務大臣 新日米ACSAと新日豪ACSA及び日英ACSAの対象とする活動は、基本的には同じですが、新日米ACSAが対象としている活動のうち、米軍の施設及び区域の警護及び弾道ミサイル等の破壊措置については、新日豪ACSA及び新日英ACSAの対象とはしておりません。

 自衛隊が自衛隊法第八十一条の二に基づく警護出動をするに当たっては、豪軍、英国軍は、米軍のように日米地位協定に基づく施設及び区域を日本国内に有しておらず、自衛隊と豪軍または英国軍が連携して当該任務を遂行することは想定されません。

 また、自衛隊法八十二条の三に基づく弾道ミサイル等の破壊措置については、豪軍及び英国軍との間での協力のニーズが現時点では確認されなかったため、国内法上その実施を可能とする規定は設けることとしておらず、ACSAの適用対象とはしていないということでございます。

玉城委員 私は前の委員会の時間でも質問させていただきましたが、日米はきちんと安保条約があり地位協定がある。ですから、我々は、この日米同盟というものを我が党も当然認めておりますし、しかし、私は、私の個人的な意見として、駐留なき安保で、より日本が独立国家たるべきであるというふうに考えております。

 しかるに、いろいろな国々と共同対処するということが国連の中で必要であるということも、五十一条の中では、集団的、個別的を問わず、国連の行動がとられるまではその対応が制限されていないということも確認をしております。

 集団的自衛権と集団安全保障、そして個別的自衛権、これは平素からそれぞれが互いに隣接するといいますか関係性があると思いますが、しかし、平和安全法制などのいわゆる憲法の解釈の変更によって、私は、これから後の日本と諸外国とのACSA、つまり、役務や物品の提供協定なども非常に変化をするのではないかというふうに思っているわけです。

 そこで、防衛大臣にお伺いいたします。今回新たに協定を結びます、日英ACSA締結によって得られる意義及び目的とは何でしょうか。

稲田国務大臣 近年、自衛隊と英国軍は、共同訓練や国際協力活動において、ともに活動する機会が増加しております。例えば、両国がともに参加した第三国での共同訓練は、二〇〇六年以降約三十回に上り、また、二〇一五年のネパール大地震の際の国際緊急援助活動等についても、ともに活動したところでございます。

 ACSAは、自衛隊と外国軍隊との間で物品、役務の円滑な相互提供を可能とする決済手続等の枠組みを定める協定ですが、これにより、さきに述べた活動を含むさまざまな活動をより円滑に行うことが可能になり、自衛隊と英国軍との緊密な防衛協力を促進することにもなります。また、国連を中心とする国際平和のための取り組みにも寄与することが可能になると考えております。

玉城委員 先ほども申し上げましたとおり、世界各国が共通の目的を持って、相互理解を持って連携し合うということについては、私もそれに関しては賛同いたします。しかし、日本が、特に自衛隊が他国の軍隊と活動をともにする、行動をともにするということは、多分にまたいろいろな別の意味を持って、いわゆる我々の同盟にくみしない側からはさまざまな見方があるのではないかというふうに憂慮するわけですね。

 外務大臣にお伺いいたします。

 今後、ACSAの締結について今用意を進めているところはどちらでしょうか。外務大臣にお伺いします。

岸田国務大臣 ACSAの協議ですが、各国との二国間関係あるいは協力の実績、具体的ニーズを踏まえながら必要なACSAの締結を推進しているところですが、現在、今、国会で御審議いただいている米国、豪州及び英国、これ以外には、カナダ及びフランスとの間でACSA締結交渉を行っております。

 それ以外を申し上げるならば、ニュージーランドとの間において、ACSAに関する研究を検討する、こういったことで一致をしているという事実はございます。ただ、交渉はまだ行っておりません。

玉城委員 済みません。外務省の政府参考人に、事前通告はないんですが、ちょっとお聞かせください。

 日本と韓国の間ではこのACSAはいつ締結されておりますでしょうか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 日韓間のACSAでございますけれども、韓国との関係では、戦略的利益を有する最も重要な隣国として、特に北朝鮮問題の対応に当たりましては日韓、日米韓の緊密な連携が不可欠であるという認識のもと、適切なタイミングで日韓のACSAを締結することが望ましいと政府としては考えておりまして、現在、韓国側と協議をしておりますが、これはまだ協議でございまして、交渉は開始されておりません。

玉城委員 ありがとうございます。

 確認をさせていただいたのは、防衛省の資料から、日韓二国間の訓練等、海上自衛隊が訓練もしているということがしっかり明記されているわけでございます。つまり、ACSAの協定締結がない国ともこのように訓練を行い、それから、先ほど外務大臣からありましたとおり、今、カナダ、フランスとのACSAの協定締結を目指している、そしてニュージーランドとは検討しているというふうな話がありました。

 つまり、現在行われているその訓練や、さまざまな必要とされる物資の提供に関して、まだ韓国とは締結していないというところにも、なぜだろうという疑問が当然生じるわけですね。では、フランスとACSAを結ぶ必要性は何だろうかという、また次の疑義が生まれてくるわけでございます。

 つまり、相手国は軍隊です。我々は、そういう装備を有する組織を持っておりますけれども、憲法上は軍隊とは位置づけられておりません。ですから、そこには当然制限がかかってくるわけですね。

 ですから、このどれを先に進めるべきかということは非常に議論があると思いますが、それを丁寧に国民に説明していきつつ、このACSAの締結の必要性について本来ならもっと議論を深める。まあ、きょうの時点での、もし採決を行うとすれば、少しそれは時期尚早ではないかと私も思います。

 最後に、防衛大臣にお伺いいたします。

 このACSAの締結によって、今回は、オーストラリアとは新しいACSA、そしてイギリスとは全く新しい、新規のACSAの締結が行われます。自衛隊と当該他国軍との共同訓練が日本国内で、自衛隊基地もしくは米軍基地を使って増加することを想定してのACSAなのでしょうか。お聞かせください。

稲田国務大臣 一般に、自衛隊が諸外国軍隊と訓練を行うに当たっては、戦術技量の向上や相手方との防衛協力の深化といった我が方のニーズを満たすことが重要です。その上で、実施時期、内容、部隊の運用状況を踏まえた双方の都合等について相手方と調整を行い、地元との調整を踏まえた上で、調整が整った場合に実施をしております。

 このため、ACSAを締結したからといって、日本国内の自衛隊基地及び米軍基地において自衛隊と諸外国軍隊との共同訓練が自動的に増加することはないと考えております。

玉城委員 質問を終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

三ッ矢委員長 これにて防衛大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 ACSAについて質問します。

 ACSAは安保法制の実行を可能とする条約です。戦闘現場に向かって飛んでいる米軍のオスプレイの空中給油も可能になります。

 そこで、まずオスプレイについて聞きます。

 先週、参議院の予算委員会で我が党の山下芳生議員が、普天間基地で米海兵隊が訓練で使用しているマニュアル、チェックリストを示して質問しました。このチェックリストの中では、オスプレイが空中給油機から連結ホースで給油を受ける中で、ホースが分離不能となった場合の事例が書いてあります。両機から連結ホースを強制分離すれば構成品が破損し異物破片がプロペラにぶつかる、ギロチンをすればホースがプロペラに絡まるなど、いずれの対処もカタストロフィー、壊滅的な影響が生じると、危険性を強調している。稲田防衛大臣は、このチェックリストの存在は知らないと繰り返すばかりでした。

 そこで、きょうは違う角度で聞きます。

 自衛隊自身が二〇一八年からオスプレイの運用を開始する予定となっておりまして、そのためにパイロットの研修を既にアメリカで始めております。今アメリカで自衛隊のパイロット何人がオスプレイの研修を受けているのか、明らかにしていただきたいと思います。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 V22オスプレイにつきましては、平成二十七年度の予算で五機、それから平成二十八年度の予算で四機を取得するということでいたしておりました。それぞれ、実際には平成三十年度、それから平成三十一年度の納入を予定いたしておりますところでございます。また、平成二十九年度の、今参議院の方で御審議いただいております予算案では四機の取得に係る経費を計上いたしておりまして、これは平成三十二年度の納入を念頭に置いているところでございます。

 このオスプレイの操縦士の養成につきましてでございますが、平成二十八年度から米国に留学をさせまして、必要な知識また技能を習得させることとしております。昨年の十月から順次教育をさせておりまして、現時点では三名を派遣しているところでございます。

 実際にこの三名が行っている養成につきましては、地上における座学ですとか、あるいはシミュレーターを用いた教育、また、実際の機体を用いた操縦訓練を実施していると承知をいたしているところでございます。

宮本(徹)委員 実際の機体を用いた操縦訓練をもうやっているわけですね。USAミリタリーチャンネルというところに、二月一日、自衛隊員がオスプレイを初操縦したというふうに出ておりました。

 この間、チェックリストの存在は知らないと稲田防衛大臣は委員会で繰り返したわけですが、実際にオスプレイを運用して訓練しているわけですから、そうすると、マニュアルだとかチェックリストを当然使用してやっているということになると思います。そうすると、アメリカでの自衛隊のオスプレイの研修というのは、米軍のマニュアル、チェックリストでやっているのか、それとも、それとは違う独自の自衛隊がつくったものでやっているのか、どちらですか。

若宮副大臣 現在米国に派遣をいたしておりまして実施をしているオスプレイの操縦教育に関しましては、米軍が作成をしたマニュアルを使用して行われているというふうに聞いております。

宮本(徹)委員 当然そうだと思うんですね。

 そうすると、その米軍のマニュアル、チェックリストは、当然、空中給油についても書かれているはずです、危険性について書かれているはずです、破滅的な影響が生じる危険性が書かれているはずだと思うんですが、アメリカで研修中の自衛隊員の皆さんに、オスプレイの空中給油についてはどういう記述があるのか、これは防衛省として把握されているんですか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりましたオスプレイの操縦にかかわりますマニュアルにつきましては、米軍の厳重な管理のもとで訓練中の自衛官が閲覧をしているのは事実でございます。

 その内容につきましては、これは米軍との関係もございますことから、お答えは差し控えさせていただければというふうに思っております。

宮本(徹)委員 では、内容をしゃべれと言いません。内容は確認しているんですか、防衛省として。

若宮副大臣 実際に訓練中の隊員がそれを見ながらシミュレーターあるいは実機に関しましての訓練をしておりますので、その内容につきましては、隊員が知っているということでございます。

宮本(徹)委員 自衛隊の隊員が知っているだけじゃなくて、本省として掌握していないんですかということを聞いているんです。

三ッ矢委員長 答えられますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

三ッ矢委員長 速記を起こしてください。

 若宮防衛副大臣。

若宮副大臣 本省として今把握をしているわけではございませんで、実際に現地に行っております、先ほど申し上げた隊員の方が、そのマニュアルを見ながら訓練をしているということでございます。

宮本(徹)委員 重大ですよ。あれだけ沖縄で事故があって、それで、事故の危険性というのは、実際にはアメリカのマニュアルには書いてあったということも国会でこれだけ問題になっている。現地で、アメリカで自衛隊員の皆さんはそのマニュアルを見て訓練していると、そこまで知っておきながら、どうして本省で把握しようとしないんですか。

 これは実際、自衛隊も運用しようという話で今なっているわけですよね。自衛隊員の皆さんの命も、住民の皆さんの命も軽んじる話ですよ。どうしてこれは把握しないんですか。すぐ確認できるんじゃないんですか。どうですか、確認されますか。

若宮副大臣 その訓練につきましては、もちろん、今委員が御指摘のとおり、いずれは日本にも導入予定ではございますけれども、現時点におきましては、米軍の厳重な管理のもとで、訓練中の自衛官がそれを見ながら訓練をしているということでございますので、内容についてはちょっと差し控えさせていただければということでございます。

宮本(徹)委員 内容について差し控えさせてじゃなくて、確認すべきじゃないかということを言っているわけですよ。

 沖縄のあの事故を受けて、皆さんが、その運用の安全性を確認している、確認しているということを言っているわけですけれども、実際出てきた米軍のマニュアルというのは、空中給油訓練で破滅的な影響が結果としてもたらされる危険があるんだというのが書かれていたわけですよね。それを、なぜ、アメリカに自衛隊員の皆さんが行って実際見ているにもかかわらず、それをつかもうとしないのか、そこがわからないですよ。

 知りたくないんですか。危険性に目を向けたくないということですか。どうですか、若宮副大臣。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました、さまざまな件につきましての御指摘も十分考慮していかなければいけないと思っておりますのですが、内容につきましてはやはりお答えは差し控えさせていただければというふうに思っております。

宮本(徹)委員 いや、本当に、自衛隊の皆さん、住民の皆さんの命を軽んじる態度だと思いますよ。ここまで危険な訓練なんだということももう明らかになってきているのに、それを、実際、文書を調べようともしない。それで、住民に向かっては、オスプレイは安全です、安全です、安全ですと。こんなのは通用しないですよ。全くもっておかしいと言っておきたいと思います。

 それから、もう一つお伺いします。

 MV22の沖縄に配備されているものに続いて、横田に、当初、ことし後半からCV22オスプレイが配備される予定でした。先日、これは最長三年延期という発表がありましたが、延期の理由は何なんでしょうか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりましたように、三月の十三日、これは現地時間でございますけれども、アメリカの国防省の方で、CV22オスプレイの横田飛行場への配備を延期して、二〇二〇年のアメリカの会計年度といたします旨の発表をされたところでございます。

 現在、米側に詳細につきましては確認中でございまして、現時点で申し上げることというのはないのでございますが、今後、詳細な情報が得られ次第、御地元を初め、関係各位に対して、適切に説明していきたいというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 東京新聞の報道によりますと、本紙の取材に対して、米国防総省は、操縦士や整備士の育成が計画よりもおくれている、要員が十分な経験を積む前に分散して配備することは賢明ではないと述べたというふうに書かれております。では、果たして、こういう報道があるように、要員の不足だけなのか。

 私、ちょっと、いろいろ調べましたら、アメリカの国防総省の運用試験・評価局が米議会に出した最新の年次報告書があります。これにCV22の評価も出ております。この中で、運用試験のパイロットはアイシング・プロテクション・システムで、氷結防止装置というんですかね、頻繁な障害を報告したと。飛行安全上の問題を引き起こす可能性がある、追加の設計変更が必要かどうかを判断しますということも書かれております。

 若宮副大臣もこういうものがアメリカの議会で報告されたのを御存じだと思いますけれども、延期の理由というのは、機体の安全性、こういう問題も含まれているんじゃないんですか。違いますか。

若宮副大臣 今委員からいろいろな御指摘がございました。

 アメリカ側とは日ごろからさまざまなやりとりを行っているのは事実でございますが、その詳細につきましてはお答えすることは差し控えさせていただければというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、現在、その詳細につきましては確認をいたしてございますので、それが確認次第、関係各位にまたお示しをさせていただければ、かように考えているところでございます。

宮本(徹)委員 若宮副大臣は当然御存じですよね、こういうものがあると。議会に出されているというもの、CV22の安全性。

若宮副大臣 今、ちょっと、御通告いただいていなかったものですから、その書類というのがどういったものなのかというのが、今、私、にわかには、定かに特定できませんので、お答えできない状況というのは御理解いただければと思っております。

宮本(徹)委員 いや、これは毎年出されている年次報告書で、F35のものだとか、いろいろなものがあります。F35は何百カ所も欠陥があった、こういう報告もですね。毎年、そういうものが出されていますので、アメリカ製の兵器、これだけ買っているわけですし、アメリカのいろいろな兵器も配備されているわけですから、そういうのはぜひ見ておくというのが防衛省として必要なことだと思います。

 その上で、このCV22、配備は最長三年の延期ということになっていますが、これが実際どう活用されていくのかというのが問題です。

 米軍はどう活用しているのかということで、自衛隊はオスプレイを導入する際に、委託調査報告書ということで、アメリカ軍がどうオスプレイを運用しているかというのを調査しております。諸外国におけるティルトローター機の開発・運用等に関する調査研究でありますが、イラク戦争ではどういう役割をCV22が果たしたか、ちょっと記述を紹介していただけるでしょうか。

若宮副大臣 平成二十五年度の予算におきまして、各種活動に活用し得る機動展開、輸送機能等を持つティルトローター機につきまして、その実用化が私どものこの日本の安全保障にとってどのような意義があって、我が国としていかなる利用可能性があるのかについての検討の資とするために、諸外国におけるティルトローター機の研究開発、運用等の実情について情報収集を行うための調査研究というのは確かに実施したところでもございます。

 御指摘の平成二十五年の十一月の諸外国のティルトローター機の開発・運用等に関する調査研究報告書の中の百十四ページの部分のことだと思いますが、読み上げをさせていただきますと、アメリカ・フロリダ州から七千ノーティカルマイル、これは約(一万二千九百六十四キロ)の距離を自己展開しOIFに、これはオペレーション・イラク・フリーダム、イラクの自由作戦のことでございますが、参加、主として特殊部隊のために長距離投入、脱出や補給ミッション、テロリストと疑わしき者の捕獲をサポートするミッションを実施、自己展開時には、途中三回の空中給油を受け、七日間で大西洋を横断。作戦時には、類いまれな航続距離性能、高速性能、多用途性でもって兵力の投入に貢献、従来のヘリコプターではできなかった戦闘を可能としたと。作戦参加の間、残した実績は以下のとおり、四十五回の強襲兵力直接投入、脱出、百二十三回の戦闘部隊サポートミッション、三万二百五十ポンド(一万二千七百二十一キログラム)の物資、二千三百四十九人以上の人員を輸送というふうに記載をされているかと思います。

宮本(徹)委員 今紹介してもらいましたけれども、CV22というのは、対テロ戦争に、それこそアメリカ本国からも空中給油で直接出撃して、テロリストと疑わしき者の捕獲と。疑わしき者ですよ。もう国際法の根拠も何もなく拘束しているという作戦に使われているわけですよね。

 ちなみにアフガニスタンの作戦では、同じ報告書の中では、CV22は、一万一千五百三十一人の強襲兵員を投入し、七百二十五人のテロリストと疑わしき者を捕獲したと書いてあります。

 横田にCVが配備されたら、今回のACSAで、こうした対テロ戦争の空中給油、岸田外務大臣、これは行うんですか。

岸田国務大臣 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油あるいは整備、こうしたことについて、一昨年の平和安全法制の議論の中で、米国のニーズが確認されたことを前提に検討を行った結果、現に戦闘行為を行っている現場では支援活動を実施しないという一体化回避の考え方に基づいて、給油及び整備を実施することができる場合を明らかにする、こういった法整備を行った次第です。

 新たな日米ACSAは、このような協力を含む、平和安全法制で実施可能となった自衛隊からの米軍への物品、役務の提供も協定の適用対象となっております。

 そして、米側から要請がある場合に御指摘のような空中給油ができるかどうかについては、今申し上げました我が国の法律はもちろんですが、それ以外にも、我が国の政策ですとか関連条約との整合性、さらには、自衛隊の部隊における装備品の保有状況、支援を提供する必要性、緊急性、こういったものを、個々、要請の都度に具体的に判断するということになるかと思います。

 要は、実際に発生した事態に即して個別具体的に判断することになると考えます。

宮本(徹)委員 つまり、個々、発生したことで具体的に判断するということを言って、やらないということを言わないわけですよ。アメリカの対テロ戦争なんというのは、国際法上、何の根拠もないですよ。こんなテロリストを捕まえて、アメリカの、アブグレイブだとかいろいろな、アブグレイブじゃないですかね、ちょっと失念しちゃいましたけれども、いろいろな収容所に入れて、それはもう国際的にも大きな問題になってきたわけですよね。

 ですから、こういうCV22特殊作戦機の配備は、延期ではなくて中止しなきゃいけない、そして、ACSAなどもってのほかだということを申し上げまして、質問を終わります。

三ッ矢委員長 次に、島田佳和君。

島田委員 自由民主党の島田佳和です。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本題に入る前に、最近、一つ私は気になることがありまして、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 先日、レックス・ティラソン国務長官が来日して、大臣も会見されましたけれども、この国務長官の名前表記が、大臣も外務省も、これは一貫してティラソンというふうに表記、書き言葉でも話し言葉でもティラソンというふうに使われております。

 一方、ちょうど、きょう、「国際情勢の動き」が各皆さんに配られていると思いますけれども、メディアの報道上はティラーソンというふうに表記されております。

 まず最初に、外務省がティラソンというふうに公式表記を使っている理由、そう決定した理由をお聞かせ願いたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 外国の固有名詞を外務省としてどのように仮名表記をするかというお尋ねでございますけれども、これは必ずしも特定の基準があるわけではございませんで、基本的に、当該外国における実際の発音に照らしまして、最も近いと考えられる仮名表記を用いることとしております。

 そうした中で、過去に確立した表記の仕方があるものにつきましては、その固有名詞につきまして、一般にそれをそのまま使用することとしてございますけれども、そういう確立したものがない場合には個別の判断ということになります。

 御質問のティラソンにつきましては、そうした確立した表記の仕方が見当たらないという状況でございますので、私どもとして、米国人一般が行っている実際の発音を聞きまして、最も近い仮名表記として、ティラーソンではなくて、そのラを伸ばさないティラソンということとした次第でございます。

島田委員 ありがとうございます。

 今の答弁にもありましたとおり、実際にアメリカ人の発音を聞くと、iにアクセントがあって、ティラソンというのが音的にも正しいと思われますし、何々ソンというのは、英語の由来としては誰々の息子ということでありますけれども、非常に類型化できる名前でありまして、きのうから私は一晩考えたんですけれども、何々ソンという名前で、最初の母音以外にアクセントが来る名前というのは実はないんじゃないかなというふうに思います。

 有名なところでいえば、トーマス・ジェファーソンとか、最近、巨人の選手でアンダーソンとかありますけれども、実際はジェファソンですし、アンダソンというふうに発音するべきだと思います。

 こういった、もうなじんじゃった名前は仕方ないと思いますけれども、特に、ティラソンという名前は、これからもこの委員会でも多く登場する名前だと思いますので、ぜひ外務委員の皆様にはティラソンで統一していただきたいなと思いますし、日本語で、例えば、ティラソン、ティラーソンで、長音が入るか入らないかの話ですけれども、これはアメリカというか英語圏の人にティラーソンと言っても通じませんので。例えば、新聞を読んで、ティラーソンが新聞に書いてあるから正しいんじゃないかというふうに言う方もいらっしゃるかと思いますが、いや、外務省がティラソンというふうに使っている、外務委員がティラソンというふうに使っているからティラソンが正しいんですというふうに、根拠をつくっていただきたいというふうに思っております。

 次に、ACSAの話ではありますけれども、その前に、ちょっと外堀の方から入っていきたいなというふうに思っております。

 今、トランプ関連本、書店に行きますとたくさん並んでおりますけれども、この国会、委員会の場で一冊の本を取り上げてどうこう審議するのはちょっとどうかと思うんですけれども、その中でも非常に大事な本がありますので、きょうは、紹介がてら、お話をさせていただきたいというふうに思っております。

 トランプ政権で、先ほどのティラソンもありますし、G20でマヌーチン財務長官の報道等もありましたけれども、なかなか実は報道に余り上がってこないキーパーソンでピーター・ナバロという、今回、トランプ大統領が国家通商会議という新しい機関をつくりまして、それのディレクター、いわゆる委員長に任命された方でありますけれども、この方、大統領の選挙戦中はいわゆる政策顧問という立場であられて、本を出されていました。

 それがこの「米中もし戦わば」という、日本語のタイトルは戦うという言葉が出てきてちょっとおどろおどろしい、いわゆる中国脅威論をエスカレーションさせるようなタイトルになっていますけれども、英語のタイトルで「クラウチングタイガー」、クラウチング、陸上競技なんかでクラウチングスタートという言葉を使うと思いますけれども、まさに身をかがめて今か今かとスタートの瞬間を待っているような虎というのが原題でありまして、これが、ピーター・ナバロが考える、いわゆる政権の中枢の中にいる人間が考える中国のイメージなんだろうというふうに思っております。

 これをちょっと何冊か持ってきましたけれども、最初はトランプ政策顧問というタイトルで出していたんですけれども、最近のものは、国家通商会議議長、大統領補佐官みずからが執筆、防衛省現役組が今読んでいる本という宣伝文句で出ている本ではありますけれども、まさに、それ以外のトランプ関連書籍は、いわゆる学者であったり評論家であったり、部外者があくまでも推測で書いているものでありますし、それに対して実行力がないわけですけれども、このピーター・ナバロ委員長が書いているものは、政権中枢にいる人間として、その考えに基づいた、実行力を持っている点から考えても、非常にこの本というものは資料価値が高いというか、今アメリカが例えば中国なり日本なりに対してどういうふうに考えているのかというのが直接わかるものというふうに思っております。

 この本の中で日本についてもたくさん言及されているわけですが、一応、尖閣問題というくくりで一章丸々書かれておりまして、次のような問題提起がされております。

 「問題 日本は今後、日米安全保障条約についてどんな判断を下し、中国にどう対処するかを選べ。」という問題がありまして、三つ選択肢が提示されております。一つ目が、「弱体化した、もしくは決断力に欠けるアメリカはもう日本を守ってくれないと判断し、自前の核兵器を開発して独自路線を模索する―「日本核武装」シナリオ」。二つ目が、前提は一緒です、「弱体化した、もしくは決断力に欠けるアメリカはもう日本を守ってくれないと判断し、中国の覇権を受け入れて中国主導のアジア経済圏の一員となる」、これは「「中国に乗り換える」シナリオ」。三つ目、最後の選択肢が、「アメリカは今後も条約の義務を守り、日本に核の傘を提供し続けると信じ、通常戦力及びミサイル防衛能力を増強しつつ、アメリカやその他の同盟諸国との経済的結びつきを強化する」、いわゆる「「ぶれない同盟国」シナリオ」。この三つのシナリオがピーター・ナバロから提示されている。

 これらの選択肢のうち、最初の核武装論だったり、また中国の覇権を受け入れるというのは現実的ではないと思いますし、結論として、ナバロ委員長は、アジアの恒久平和を築くためにはアジア地域に対するアメリカの熱意と決意の度合いが重要であるというふうに述べられております。

 三つ目のいわゆるぶれない同盟国シナリオということでありますけれども、このぶれない同盟国シナリオについて、大臣から見解をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、日米安全保障体制を中核とする日米同盟、これは我が国の外交、安全保障政策の基軸であります。さらには、アジア太平洋地域の平和と安定において不可欠なものであると認識をいたします。

 このことは、先日の、二月十日の日米首脳会談においても確認されたところです。さらには、先週、来日したティラソン国務長官との間における日米外相会談においても、日米同盟のさらなる強化に向けて議論も行いましたし、トランプ政権下で初となります2プラス2閣僚会合についても開催のタイミングについて調整を加速していく、こういったことで一致をした次第であります。

 ぜひ、こうした2プラス2の議論等を通じましても、日米同盟を強化していくためにどうあるべきなのか、こういった、しっかりとした議論を行っていきたいと思います。アジア太平洋地域の平和と安定のために、日米がしっかりと連携し、主導的な役割を果たしていく、このことが何よりも重要であると認識をいたします。

島田委員 今、日米同盟の重要さというものをお伝えいただきました。

 日米同盟の深化という観点から、今回のこの日米ACSAがどのような働きをするのか、どのような意義を持っているのか、教えていただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 ACSAは、自衛隊と相手国の軍隊との間の物品、役務の相互提供に適用される決済手続等の枠組みを定めるものでございます。これを締結することにより、自衛隊と相手国の軍隊との間の物品、役務の相互提供を円滑かつ迅速に行うことが可能となる。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、今回の日米ACSAの締結は、昨年三月に施行されました平和安全法制によって幅の広がった日米間の安全保障協力の円滑な実施に貢献し、協力の実効性を一層高める上で大きな意義があると考えます。

島田委員 ありがとうございます。

 今、緊迫する世界情勢というお言葉がありました。

 その中で、中国の挑戦という言葉が最近よく使われております。きょうの北朝鮮のミサイルもありましたけれども、やはり、北アジアの情勢が非常に今緊迫していると思いますけれども、私が非常に気になるのが、今、中国が空母の建設を非常に意欲的に進めている。

 第一号となる遼寧、ウクライナから買って中国の方でつくったものですけれども、完成させて、実際にもう使われております。それと同時に、今現在、大連の方では、山東と命名されるだろうというふうに言われていますけれども、完全な国産空母第一号が今建設中でありますし、進水も間近だというふうに言われている。あとは、上海郊外の方では三隻目も今つくっているというふうに報道に出ております。

 中国としては、空母を常時展開するためには、修理、訓練等で使うことも考えると、最低でも五から六隻は必要だということで、今後もその計画に基づいて、恐らく四隻目、五隻目、六隻目、つくってくるかというふうに思っておりますけれども、海洋重視の中国の挑戦、もちろん日本も大きな影響を受けているわけですけれども、ここ最近の動き、特に目立った動きを教えていただきたいんですが。

 特に、昨年六月、十月、そしてことしの頭、そして三月にも動きがあったと思いますけれども、その辺の状況を教えていただきたいと思います。

伊澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中国は近年、東シナ海や南シナ海などの海空域等において活動を急速に拡大、活発化させております。我が国の周辺海域においては、尖閣諸島に関する独自の主張に基づくと見られる活動の推進を初め、その活動範囲を一層拡大するなど、その行動を一方的にエスカレートさせており、強く懸念される状態になっております。

 具体的なケースを幾つか申し上げます。

 東シナ海におきましては、中国海軍艦艇が活発に活動しております。昨年六月、中国海軍ジャンカイ級フリゲート艦一隻が、中国海軍戦闘艦艇としては初めて尖閣諸島周辺の我が国接続水域内に入域をしました。同じ月には、ドンディアオ級情報収集艦一隻が口永良部島及び屋久島付近の我が国の領海内を航行した後、北大東島北方の接続水域内を航行し、その後、尖閣諸島南方の接続水域の外側を東西に往復航行することが確認されました。中国海軍艦艇による我が国領海内の航行は、約十二年ぶりのことであります。

 また、沖縄本島―宮古島間の海域や、大隅海峡等の通過を伴う中国海軍艦艇部隊による太平洋での活動が活発化しており、昨年十二月には、委員御指摘のとおり、中国の保有する空母遼寧が沖縄本島―宮古島間を通過し、初めて太平洋へ進出したことも確認されております。

 以上でございます。

島田委員 その中で、昨年十月二十日に、これもジャンカイ2級フリゲート艦二隻とフチ級補給艦一隻、この三隻で大隅海峡を東に抜けたという報道がありました。その同一と見られる艦隊が、ことしの一月の五日、津軽海峡を今度は東から西に西進して、対馬海峡を南下したというふうに報道が出ているわけですけれども、十月二十日から一月五日まで約二カ月半あります。この二カ月半、この三隻がどういう動きをしていたか、把握されているでしょうか。

伊澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、中国海軍艦艇三隻による昨年十月の大隅海峡航行及び同艦艇の本年一月の津軽海峡航行に関しまして、当該艦艇の航路全体の詳細については、我が国の情報収集能力を明らかにするおそれがあるためお答えを差し控えさせていただきますが、その上で、その前提で申し上げれば、当該中国海軍艦艇は、昨年十一月にニュージーランド沖で行われた演習に参加したほか、昨年十二月に米国及びカナダを訪問した旨が報じられていると承知しております。

島田委員 今の答弁、報道ベースだということでありますけれども、日本の鹿児島沖を抜けて太平洋を南下して、ニュージーランドに行ったというふうにありますけれども、恐らくオーストラリアの近くも通ったんじゃないかなと想像はできます。そして北上して、アメリカ、カナダを回って、津軽海峡から日本海に抜けたと。まさに、活動範囲の拡大が、この十月の活動を見てみると非常にわかりやすいのではないかと思いますし、今回、日米ACSAに加えて日豪ACSAも締結するということ、これが今、太平洋のコンテクストから考えると、非常にメークセンスといいますか、論理的なんだろうというふうに思っております。

 それ以外にも、実は三月七日、二週間前の話ですけれども、中国の駆逐艦三隻、これは大隅海峡を今度は西進、東から西に航行しております。これ、東から西ですけれども、どうやって東の方に入ってきたのかというのは把握されているでしょうか。

伊澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど同様、当該艦艇航路全体の詳細については、我が国の情報収集能力を明らかにするおそれがあるためお答えを差し控えさせていただきますが、その前提で申し上げれば、この艦艇は、本年二月、中国海軍ホームページにおいて、中国の第二十四次海賊対処部隊の艦艇三隻として、カラチ、パキスタン周辺海域を離れ、帰途についたと発表しております。大隅海峡の航行が確認された艦艇三隻は、当該海賊対処部隊艦艇の三隻と同じ番号であることから、同一艦艇であると考えられます。

 したがって、日本周辺海域にどのようにたどり着いたかというのは詳しくは申し上げられませんが、このように、一応、一度太平洋に出た上で、それを今度は南シナ海、東シナ海へ戻るということで、大隅海峡を西に向かって通過したというふうに考えられます。

島田委員 ありがとうございます。

 太平洋、インド洋、非常に中国の活動範囲が広がっているということがわかるかというふうに思います。

 今回は、日米、日豪、そして日英というふうにあります。日英は、御存じのとおり、太平洋の国ではありませんけれども、今回、日英、イギリスともACSAを締結するに当たって、その必要性、過去に何か実績といったものがあるのか、そういったところをお聞かせください。

正木政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊と英国軍との間では、二〇一五年にネパール大地震、あるいは二〇一三年にフィリピンの台風の被害等におきまして、国際緊急援助活動を初め、国際協力の現場でともに活動する機会は顕著に増加しております。また、二〇一六年に戦闘機タイフーン部隊を含むイギリス軍が訪日しまして、航空自衛隊との共同訓練を実施いたしました。さらに、同じ年に、自衛隊と英国軍は、バーレーン周辺海域で海賊の対処のための親善訓練も実施いたしました。

 このような日英間の安保、防衛協力の拡大を踏まえまして、今般、ACSAを締結したいと考えている次第でございます。

島田委員 ありがとうございます。

 国際協力、共同訓練といったところで、やはりこれからこのACSAが非常に、イギリスとのACSAも非常に重要である、必要であるということがわかりましたということであります。

 先ほど、アジアの安全に関してナバロ委員長がアメリカの熱意そして決意の度合いを強めるというふうに書いてありますけれども、アメリカの熱意、決意に日本も、もちろん、それは受けとめるのは大事ではありますけれども、それに乗っかって日本も熱くなり過ぎないようにということはここで申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 そういった中で、緊迫するアジア情勢の中で、アメリカ議会の方でも、いわゆるミスカルキュレーションという言葉で表現されておりましたけれども、現場での誤算、計算間違いということが不測の事態を招きかねないというふうに中国脅威論を語っております。

 そういった不測の事態を避ける意味でも、今、防衛省としてどういった努力をされているのか、お聞かせ願いたいと思います。

伊澤政府参考人 お答えいたします。

 中国の周辺海域等における急速な活動の拡大に対応いたしまして、このような動きに対しては毅然かつ冷静に対処することが重要だと考えております。同時に、日中の戦略的互恵関係の構築の一環として、防衛当局間における建設的な協力関係を推進し、信頼醸成を図ることが極めて重要だと考えております。

 中でも、近年の東シナ海における中国の活動の急速な活発化を踏まえ、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの早期運用開始が重要であると考えております。本メカニズムの早期運用開始を実現するため、引き続き努力していくとともに、ハイレベルや部隊間といったさまざまなレベルでの対話や交流の実績を働きかけて、日中の信頼関係、相互理解を増進していく考えでございます。

島田委員 ありがとうございます。

 では、中国との関係改善の糸口も含めて、政府レベルではどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、誤解を避けるためには相手との意思疎通が欠かせないということで、今、防衛当局では、御答弁のありましたように、海空連絡メカニズムが進んでおります。

 政府全体としましては、中国の国防政策や軍事力の動向ということに極めて強い関心を持っておりまして、こうした点について中国側との意思疎通を図るために、例えば次官級の日中安保対話、これは直近では昨年の十一月に開催いたしましたけれども、こうした対話を通じて、中国の国防政策の透明性の向上といったものを働きかけているところでございます。さらに、首脳、外相レベル、こうしたハイレベルでの対話を通じまして、中国側との信頼醸成に努めるとともに、政策面の意思疎通を深めていっております。

 こうした取り組みを通じまして、中国側にも日本の安全保障政策を含めて日本の政策についての理解を深めてもらいたいというふうに思っております。

 もちろん、日中さまざま難しい問題がございますけれども、根本には日中の戦略的互恵関係という考え方がございますので、この原則のもとで、大局的な観点から、日中がともに努力して関係改善を進めていく、こうした方針で進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

島田委員 ありがとうございます。

 このナバロ委員長の本の肝でもあるんですけれども、決して日本プラスアメリカ、大なり中国という式をつくるのではなくて、日本、アメリカ、中国がフランクにしっかりとした未来志向の対話を続けていくことがアジアの平和を守るんだということがこの本の一つの結論でありますので、今後も現場レベル、また政府レベルにおいてしっかりとした取り組みをしていただきたいと思いますし、今回、三本のACSAがありますけれども、国際平和にこのACSAが寄与していただくことをしっかりと願っております。

 ちょっと時間が余りましたので、答弁は求めないんですけれども、一つちょっとお伝えさせていただきたいことがあります。

 大統領就任以来、今、アメリカ、イスラム圏六カ国の入国禁止は報道等でもいろいろ話題にはなっているんですけれども、今、日本人がアメリカに行く際も、非常に空港で足どめをされたり、入国審査が厳しくなっているというふうに聞いております。

 私の知人が、娘さんがアメリカで結婚生活を送っているということもあって、頻繁にアメリカに行く機会が多い方がいらっしゃるんですけれども、先日、娘さんと一緒に行ったときには、お父さんの方は大丈夫だったんですが、娘さんが別室の方に連れていかれまして、一時間以上にわたって質問された。幸い入国拒否というところまではいかなかったんですけれども、実際、ほかのケース等を見てみると、日本人であっても入国が認められていないケースがふえているという報であります。

 これは、その方からの実際の報告でありますので、肌感覚的なところだとは思いますけれども、アメリカの政策なので、日本の政府からどうこうということはできないことは承知しておりますが、今後、これからたくさんの方、たくさんの日本人がアメリカに行くと思います、そういったときに、このようなケースをしっかり想定していただくことも大事だと思いますし、入国審査に時間をとられて乗り継ぎ便等を逃してしまうというようなケースも散見されるという状況が、今アメリカの空港で展開といいますか、起こっているということでありますので、ぜひこれは外務省の方からも、もしできることがあれば、アメリカ政府の方に働きかけをしながら、日本人の旅の安全ももちろんでございますけれども、旅の利便性もしっかりと確保して、努力していただきたいというふうに思っております。

 ちょっと時間は短いですけれども、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

三ッ矢委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 民進党の吉良州司です。

 きょう二度目の質問になりますけれども、ACSAの審議ということで、最初、ACSAについての私自身の素朴な疑問を質問という形にさせていただきたいと思っています。

 今回の三本のACSAでも、物品等の第三国への移転については事前同意が必要だということになっておりますけれども、これは、既存の日米・日豪ACSAの中で、このような事前同意を求めて、かつ第三国に移転したような事例はあるんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで実際に事前の同意が与えられて、第三者へ移転が行われたことはありません。

吉良委員 実績というか、そういう事実はないということでありますけれども、そういう中にあって、第三国移転について事前同意が必要だという条文が入り続けている、その理由、背景は何なんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員御指摘のとおり、現行の日米・日豪ACSAでは、ACSAのもとで提供される物品については、提供国側政府の書面による事前の同意を得ないで、いかなる手段によっても自衛隊または相手国の軍隊以外の者に移転してはならないということを規定しているところでございます。

 先生がおっしゃいましたその理由という点でございますが、今私が申し上げました、我が国としていかなる場合に同意を与えるかという点につきましては、あらかじめ一概に申し上げることは非常に困難ではございますが、例えば、自衛隊が災害対処活動を行っている相手国の軍隊に対して燃料や医療品を提供した場合において、当該燃料や医療品を第三国軍隊の部隊に移転しなければ当該部隊による災害対処活動に支障が生じる等のやむを得ない状況であるようなケースというものが考えられますので、こういう場合につきましては、我が国政府による事前の同意をもって第三国部隊への移転を認めることもあり得るということでございまして、こういうことが想定されるというのが一つの理由になろうかと考えておるところでございます。

吉良委員 今の説明は納得いくんですけれども、一方、今回、野党としてというか民進党として問題にしている弾薬が加わったので、そこはちょっと弾薬を仮におくとしますと、過去の、弾薬がない場合に、例えば今出た燃料。燃料を提供します、そして通貨によって決済をしました、その燃料を第三国に移転することによって我が国が国益上何かを失う、または、我が国として、移転された先で何か起こって大変だというような事態は想定できないんじゃないかと思っているんですよね。

 それにもかかわらず、今言った、事前同意を文書でもって求めるということを書いている背景は何なんでしょうか。もう一度聞かせていただきます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 今御答弁ございましたとおり、ACSAの協定におきましては、相手国政府の書面による事前の同意を得ないで第三者に移転してはならない旨を規定しておりますけれども、これは、一言で言いますと、提供された物品の適正管理の確保を目的としているわけでございます。

 条約交渉を行いまして、特定の相手国との間で協力を行うという枠組みをつくるわけでございますから、提供した物品、役務は基本的にその国の軍隊に使ってもらう、こういうことでやっておりますので、全く知らないうちにそれがいろいろな国に流れていくということは適切ではない、こういう判断で、必要があれば書面による事前同意を与えることはできるわけですけれども、そうした手続なしで、全く知らないうちに拡散していくということは好ましくない、こういう判断に基づく規定でございます。

吉良委員 適正管理というのが理由だということでありました。

 ただ、ちょっと見方を変えて質問させていただきますと、今言いました、例えば燃料を供給しました、通貨によってここはもう決済が終わりました、例えば日米、米国が第三国に対して移転をした、そしてそれが事前同意を求めてこなかった、仮にそういう場合、これは検証のしようがあるんでしょうか。

 見方を変えていえば、性善説に基づいて、事前通知がなかった場合は第三国への移転はない、でも、実際、移転があった場合でも検証のしようがないのではないか。このような見方に対してはどうお答えになるでしょうか。

森政府参考人 協定を作成しまして、そのもとで物品を提供する。国際約束におきまして、事前の同意を得ないで第三者に移転しないということを義務づけているわけでございますので、そのような、事前の同意なく第三者に移転されることはおよそ想定されない、こういう考え方でやっておるところでございます。

吉良委員 私、ずっと民間でやってきたので、こういう、外交における協定、条約というのは基本的に物すごく忠実なんだろうと思ってはいるんですけれども、さっき言いましたように、決済も終わっているわけですからお互いに実害もないし国益も失うわけではない、そういう中にあって、さっき言ったように、検証のしようのないことというのは、だんだん形骸化して、実は守られないこともあり得るのではないかということをちょっと思い浮かべたものですから、こういう指摘をさせていただいたわけではありますけれども、これが入っているからこの条約がいかぬということではありませんので、私自身の今申し上げた素朴な疑問について提示をぶつけさせていただいて、また答えをいただいたということで了としたいと思います。

 申しわけないですが、ACSAについてはこれぐらいにさせてもらって、ちょっと最近のトピックについて話をさせていただきたいと思います。

 まず、去る三月十七、十八日、ドイツのバーデンバーデンにおいて、G20の蔵相そして中央銀行総裁会議がございました。この中身についてまた後で聞かせていただきたいんですが、まず、この会合には実は外務省の職員、事務方はついていっていないという了解をしておりますけれども、その了解でよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、今次、大臣会合には外務省の関係者は同行してはおりません。

吉良委員 またそのことについて後で追って質問させていただきたいと思いますけれども、まず、このG20の財務大臣・中央銀行総裁会議の主な合意内容というものを、非常に大部になっていると思いますので、簡潔にお答えいただければと思います。

大塚副大臣 非常にいろいろな合意内容があるわけですけれども、一番重要だと思っております部分について申し上げますと、今回のG20、米国の新政権が発足して、ムニューシン財務長官が就任して最初のG20という中で、いろいろ注目が集まる点もあったわけでございますけれども、日本にとって非常に重要だったのは、マクロ政策とか為替、こういう部分でございまして、ここについて、G20のこれまでのコミットメントを確認することができたということでございます。

 具体的に申し上げますと、共同声明では、一つは、全ての政策手段、金融、財政及び構造政策を個別にまた総合的に用いるということ、それから、金融政策は引き続き中央銀行のマンデートと整合的に経済活動と物価の安定を支えるという点、もう一つ、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得るといった点について再確認をすることができたわけでございまして、これは非常に大きな成果であったというふうに考えております。

 また、ほかにも、G20では国際課税、BEPSなど最近の取り組み、そういう問題ですとか金融規制といった問題などにおいても幅広く認識を共有することができたということで、大変有意義なものであったというふうに考えているところでございます。

吉良委員 今答弁いただいたところについては我が国として望ましい合意形成ができたというふうに思っておりますが、報道でも報じられているし、実際の実体経済として動きが出てきている保護主義について、その辺については、保護主義にかかわる論点についてはどういう合意がなされたんでしょうか。

大塚副大臣 今回のG20の声明では、我々の経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいるという点で一致をしたところでございます。これによって、貿易の促進に向けたG20としての決意、それから貿易が経済に果たす貢献の重要性の認識というものが示されたというふうに考えてございまして、また、会議の場で自由貿易を否定するような発言もなかったというふうに聞いているところでございます。

 いずれにしても、貿易の問題については、これはトランプ政権がいろいろ選挙公約をされて、財務長官も就任して初めてのG20であったわけでございますので、まあこれぐらいかなということもありますけれども、貿易問題は、本チャンは七月に予定されているサミットでございますので、これに向けたシェルパトラックの中で議論を進めていくことになるんだろうというふうに考えております。

吉良委員 今答弁いただいた、我々の経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいるということでありますけれども、この部分に相当する、中国・成都で行われた、同じくG20の財務大臣・中央銀行総裁での声明では、どういう表現で合意がなされていたんでしょうか。

大塚副大臣 ちょっとそこの部分が、今手元で持ち合わせておりませんけれども。よろしいですか。(吉良委員「はい、わかりました」と呼ぶ)

吉良委員 私の手元にある資料では、我々はあらゆる形態の保護主義に対抗するということで、明確に保護主義に対抗ということを書いていて、今回、その部分が大きく、先ほど変わらずに確認できたと言っておりますけれども、私がこの表現を見る限りは、大きくトーンダウンをしているように感じます。

 そういう意味では、今答弁にもあったように、トランプ政権発足に伴い、そのトランプ政権が保護主義を前面に出していると。その意向が、G7ならまだしも、G7でも私自身個人的には納得できませんけれども、G20という場でそこまで米国新政権の意向が反映された、それを容認した形でのまさに合意になった。その辺については、どういう経緯か、またどう評価されておるのか、お聞きしたいと思います。

大塚副大臣 御存じのように、会議における個別の、他国の発言をつまびらかにすることはしないということになっておりますので。もう一つ、私自身、その場にいたわけではないということもございますけれども、基本的に、聞いているのは、自由貿易を否定するような発言があったわけではないと。

 ただ、一定の範囲でちょっと御紹介を申し上げます。これは、麻生大臣が財金委員会で答弁をされている内容をちょっと御紹介申し上げますと、今回の会議の中において、米国と中国という新人同士が、片方はフェア、もう片方がフリーという言葉にこだわったということが今回の流れとして各国が感じていることだと思うというふうにおっしゃっておりまして、ワーディングの問題について、G20で全部の国がなかなか一致をしなかったということは、今回の声明がこういう形になっている一つの原因だろうと思いますけれども、だからといって、自由貿易を否定するというような発言がなされていたわけではなかったというふうに聞いております。

吉良委員 今答弁されたことについては受けとめますけれども、同時に、このG20の声明だけが理由ではないんでしょうけれども、ここに来て大幅に円高が進んで、そして、先ほどおっしゃられたように、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認するということで、せっかく為替について、我が国にとって非常にいい合意形成がなされている中で、実体経済としては、このG20の声明を受けて、今言った、円高が急激に進んでいるわけですね。

 そういう意味で、私、ちょっとここからは、財務省というよりは、先ほど、今回なぜ外務省が同行しなかったのかなということについては、正確な文言というのは忘れましたけれども、岸田大臣の、この外務委員会での最初の所信表明の中でも、力強い経済外交を進めていくということ、そして日本経済を強くするための外交を進めていくという趣旨の所信であったというふうに思います、そういう中で、このトランプ政権が発足した直後、世界がトランプ政権に対してどう向き合うかというのは、我が国にとって極めて重要な時期に当たると思うんですね。私がこれまでも主張してきたように、トランプ政権がTPPから離脱するといっても、我が国としては十二カ国のTPPを諦めてはならないと思っているし、仮に米国が抜けても、何とか十一カ国で船出させられないかという問題意識も披露させてもらいました。それだけ、トランプ政権が発足した直後の国際会議でどういう合意形成をするかというのは我が国にとって極めて重要だったと思うんです。

 そういう中において、財務省もそうですし、実は外務省としても、このG20、財務大臣会合、中央銀行会合ではありますけれども、我が国の経済外交にとって、我が国の経済にとって極めて重要な会合だったのではないのかなと。それに同行しなかったということは、私は極めて残念だと思っています。それについては、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 先ほど答弁させていただきましたように、今次、G20、財相会合には外務省は同行していなかったわけですが、従来から、担当となる各省庁から出張者を出すのが通例になっていること、そして、実際の会議においては、参加可能な人数、議長国から制限を課される、こういったことになっています。今回の人数制限との関係もあり、結果として、外務省としては関係者は同行しておりません。

 ただ、この会議に臨むに当たって、同行してはおりませんが、会議の準備ということにおいては、日本国内において、関係省庁、しっかり意思疎通を図り、準備を行ってきたわけであります。その準備段階においては、当然のことながら、外務省もしっかり参加しておりますし。

 先ほど来、今回のG20、財務大臣・中央銀行総裁会議における声明について、御指摘や御議論がありました。この声明においても、我々の経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいくということで一致したとされているわけですが、少なくとも、自由貿易の重要性は共有されたと我々は認識をしておりますし、そして、さらに加えて、G20の財務大臣会合の直後、安倍総理は欧州を訪問しております。その際に、欧州の首脳と議論を行って、自由で開かれた国際秩序こそ平和と繁栄の礎である、こういったことについて一致をし、日欧が米国とともに協力して、自由貿易の旗を高く掲げていかなければならない、こういったことを訴えた次第であります。

 ぜひ、G20のサミット、これはハンブルクで予定されていますが、サミットに向けて、こうした国際社会の諸課題に、関係国と連携しながらしっかり取り組んでいくことが重要であると存じます。その中にあって、外務省もしっかり責任を果たしていきたいと考えます。

吉良委員 先ほど大塚副大臣の方からも、今、大臣がおっしゃったように、次のサミットに向けて、ある種、分科会のような、中でもシェルパ会合が重ねられるということでありますので、その中できっちりと我が国の国益に有利になるような議論をしていただきたいと思っております。

 私がなぜこの問題を取り上げたかというと、安倍総理にエールを送るという意味ではないんですが、つい先日、アメリカの有名なシンクタンクの方々と議論をする機会がありました。その際に言っていたことは、今、G7のリーダーを見ても、安倍総理が古株になっている、今度、ドイツの総選挙次第で、下手すると一番の古株かもしれない、少なくとも今でも古株のリーダーだと。

 これに加えて、今までG7というのが、自由な貿易、自由な投資、それを七カ国で旗振りをしていたところに、トランプ政権の誕生によってそれがぐっと抑制されるような状況になってきた。こういう情勢の中にあっては、安倍総理がというか日本が自由貿易を初めとする、まさに開かれた、今、自由で開かれたという表現を使われましたけれども、その旗振り役にならなければいけないんだ、なってほしいんだという、アメリカの著名な方々からのある意味ではエールがありまして、だから、そういう意味で、こういう国際会合において、我が国としては、今言った自由貿易、この旗振り役をどんどん務めていかなければいけない。

 そういう意味で、今回は財務省でありますけれども、まさに政府一体となってこういう会合に本当に気合いを入れて、一歩たりともこの自由というものが後退しないように努力していただきたい、このように思っているところであります。

 もし何かあれば。

大塚副大臣 今回のG20でも、麻生大臣から、自由で公正な貿易のルールに基づかなければならず、貿易にかかるコストは上げるべきではない、また、自由貿易が多くの国で経済の繁栄に寄与してきたことを認識すべきであるという旨を発言しておりまして、議論として、自由貿易をしっかりやっていかなきゃいけないということでリードをしてこられたというふうに聞いているところでございます。

 今回、財務大臣会合でありますので財務省が正面に立ちましたけれども、もちろんしっかり外務省とも連携をしながら、自由主義経済の旗振り役として、また、米国もまだ発足直後で、御存じのようにポリティカルアポインティーの方も全員決まっているわけではないということで、まだ準備が不全の部分もあると思いますので、我々がリードしていけるところはしていくということで、財務省も外務省と一致結束をしてやっていきたい、このように考えているところでございます。

吉良委員 しっかりと旗振り役を果たしていただきたいと思います。

 続いて、つい最近行われた日ロ2プラス2についてでありますけれども、まず、この2プラス2についての主要な成果というものについて簡潔にお答えいただければと思います。

三ッ矢委員長 どちらが答えますか。

 正木欧州局長。

正木政府参考人 お答えいたします。

 三月二十日に行われました日ロの2プラス2の概要でございますけれども、これは、アジア太平洋地域における重要なプレーヤーでありまして、また隣国同士であります日本とロシアの両国の外交防衛の責任者である四閣僚が一堂に会するという2プラス2でございますので、両国間の信頼醸成の向上のみではなく、地域の平和と安定にも貢献するものと考えております。

 概要、事実関係を説明させていただきますと、今回の会談では、特に北朝鮮の核・ミサイル問題について突っ込んだ議論を行いました。北朝鮮によるさらなる挑発行動の自制、あるいは安保理決議等の遵守を強く求めていくことで一致し、国連の場を含め、緊密に連携していくことを確認するとともに、今後も日ロ間で率直に話し合い、協力していくことで一致いたしました。

 また、テロ対策や麻薬対策などの安全保障に関するいわゆる非伝統的脅威への対応につきましても、これまでの実績に立ちつつ、さらに協力を進展させることで一致しました。

 また同時に、択捉島及び国後島への地対艦ミサイルの配備、北方四島または千島列島への新たな師団の配備につきましてもしっかりと取り上げまして、日本の懸念をロシア側に伝えました。

 両国は、今後とも2プラス2を継続することとし、次回2プラス2はロシアで開催するということで一致いたしました。

吉良委員 まず、失礼しました、大塚副大臣、もう今後財務省への質問はございませんので。ありがとうございました。

 今答弁いただいた中で、ちょっと素朴な質問をさせていただきたいと思っています。

 これから幾つか、2プラス2の会合で話し合われたことについて質問させていただきたいというふうに思っているんですが。

 今後、北方領土問題を含め、日ロの平和条約に向けて前進していくためには、ロシアのいろいろな活動というものは一体どういう背景があり、どういう意図があってというようなことは、当然ながら、細かく分析、認識していかなければいけないというふうに思っています。

 その中で、北朝鮮は、昨今のロシアによる対米対抗意識、トランプさんによって一時変わりそうになりましたけれども、引き続いて、ロシアからしてみれば、対米、対して非常に対抗心がある、それから、歴史的に見るならば、北朝鮮とロシアというものは、旧ソ連の時代から比較的仲のいい国であったということを考えたときに、我が国の北朝鮮の存在、北朝鮮の最近の活動に対する懸念というものをロシアが完全に共有して、かつ、安保理決議等の遵守を求めていくということでロシアが前向きになった、前向きであるということのロシアの意図、その背景というのは一体何だと思っておられるでしょうか。

岸田国務大臣 今回の日ロ2プラス2においては、先ほど正木局長から答弁させていただきましたとおり、さまざまな議論が行われましたが、特に、北朝鮮問題について率直な意見交換を行いました。その際に、北朝鮮の挑発行動の自制あるいは安保理決議の遵守等をしっかり求めていかなければならない、こういった点で一致をしたわけですが。

 言うまでもなく、ロシアは安保理の常任理事国であります。六者会合の一員でもあります。そして、アジア太平洋地域における外交、安全保障環境を見ましても、重要なプレーヤーであります。こうしたロシアと我が国の外務、防衛の責任者四人が直接顔を合わせてこの議論を行う、このことの意味は大変大きいと思います。単なる理屈を超えて、お互いが顔を合わせて議論をする、そのことによって、信頼の醸成にもつながるのでありましょうし、ひいては、アジア太平洋地域の平和や安定にもつながる重要な取り組みであると考えます。

 そういった考え方に基づいて、今回の2プラス2は、この北朝鮮問題についても大きな意義があると説明をさせていただいております。

吉良委員 今の大臣の説明自体は納得がいきます。

 ただ、同時に、私がレクを受けたときに聞いた話として、ロシアは、御承知のとおり、GDPの規模から見れば小さな国です、けれども、これだけ世界的に発言力のあるゆえんは何かといえば、ロシア自体の核保有だし、軍事大国だから。そういう意味で、ロシアとして、核保有国というこの立場が、国際的に発言力を持つ意味では非常に大きい。したがって、核を保有する国が拡散していくことはロシアにとって国益ではないという意図が背景にあるんだろう、こういう話を聞いて、これは私も非常に納得した次第なんですね。

 そういう意味では、今大臣が答弁いただいたことは私自身も納得する、そこを否定するものではないんですけれども、我々が北朝鮮に対する懸念を持つのと、ロシアが北朝鮮に対して懸念を持つというのはおのずと次元が違うというか、性質が違うものであるということを認識しておく必要があるんだなということを、私自身もそのレクを受けて感じた次第でありました。そのことをちょっと披露させていただきたいと思います。

 あともう一点、先ほどなかったんですが、中国の、南シナ海における岩礁等の埋め立てで今インフラ整備を行っているということについても、我が国の懸念をロシア側に伝えたというふうに聞いています。

 クオートアンクオートで、ロシアがどう反応したというのは、外交上言えないことは承知していますけれども、この我が国の懸念表明に対するロシア側の反応というのはどうだったのか、話していただける範囲で答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、今回の日ロ2プラス2においては、地域情勢についても意見交換を行いました。その中にあって、南シナ海における力による現状変更などの動きについての我が国の考え方、我が国の懸念、こうしたものについてはしっかり伝えさせていただきました。

 ただ、それにどう反応したかということにつきましては、これは私の方からは控えなければならないと考えます。

吉良委員 これも私の個人的な見方でありますけれども、ロシアと中国は、旧社会主義圏、共産圏という位置づけもありましょうし、先ほども言いました昨今の対米対抗という意味で、非常に近くはなっている。だけれども、歴史を振り返っていけば、ソ連時代の中ソによる激しい対立というのもあり、ロシアの側から見れば、中国とは非常に仲よくしていかなければいけないけれども、同時に警戒もしているというのがロシアの本音ではないかというふうに思っています。

 南シナ海、これも私がレクを受けたことでありますけれども、ロシアにとってみれば、ベトナムとの関係は、これまた旧社会主義、ソ連の時代から非常に親密な関係にあって、そのベトナムと中国が利害を異にする、ここについて、この南シナ海については深くコミットできない、こういう立ち位置なんだろうというふうに思っています。

 そのことを念頭に入れた上で、先ほど説明があった、ロシアが地対艦ミサイルを北方領土に配備している。ちょっと、私の方は、もう配備したのか、これからするのか、どの程度配備しているのか、その準備をしているのか、その辺のところは私自身も把握していないのでありますが、また防衛省としてもそこのところは言えること、言えないことがあると思っています。

 この北方領土に対する地対艦ミサイルの配備をするロシアの意図をどう見ておられるでしょうか。

正木政府参考人 もちろんロシア側の意図については私どもの方でコメントする立場にございませんが、先ほど申し上げましたように、2プラス2の協議の中で、御指摘の問題も含め、日本側として取り上げ、議論をしっかりさせていただきました。

 それ以上のことは、外交上のやりとりでございますので、申し上げられません。

吉良委員 私は、外務省でお世話になっていたときの本当に最後のときに、北極海会議というのに出させてもらいました。この北極海会議で、当時は、釈迦に説法になりますけれども、地球温暖化により北極海の氷が狭くなって、特にロシアの北側の航路が夏場はヨーロッパまで使えるということで、その北極海航路及び北極海にある資源開発ということで、我が国としても高い関心を示し、オブザーバー格として認めてもらう、その会合に私自身出たわけでありますけれども。

 この北極海航路ができたことによって、ロシアの沿海州そして朝鮮半島、時には中国からこの北極海航路を利用しようとすれば、中国の場合は宮古海峡から出ていくというような、太平洋にいきなり出ていくという選択肢もあるでしょうけれども、通常であれば、日本海を通り津軽海峡か宗谷海峡を通っていく。メルカトル図法の地図で見ればそう変わりがないように見えますけれども、地球を北極海の側から見ると、やはり宗谷海峡から千島列島を通っていく方がはるかに近い。

 この北極海航路が事実上使えるようになったことで、北方領土におけるというか、北方領土の地政学的、戦略的な意味合いが変わってきたのではないかというふうに見ておるんですけれども、この点について大臣はどうお考えになるでしょうか。

岸田国務大臣 まず、近年、北極海の氷の減少によって、アジアと欧州を最短距離で結ぶ北極海航路の潜在性、関心を集めているということ、委員の御指摘のとおりだと認識をしています。

 ただ、ロシアがこの北極海航路との関係で北方四島をどう位置づけているかを含め、ロシア側の意図について私の立場からコメントをするのは控えたいと思います。

 いずれにしましても、北方領土問題は、我が国の外交にとりまして戦後最大の外交課題の一つであると認識をしています。

 さまざまな問題との関係を指摘はされるわけですが、こうした問題を根本的に解決するためにも、北方四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結する、この大きな目標に向けて努力していくことが何よりも大事であると認識をいたします。

吉良委員 これまた大臣の御見解についてはよくわかるわけですけれども、先ほど言いましたように、北極海航路が開通したということ、開通というか使えるようになったということですね、特にロシア北方のヤマル油田、ヤマルのLNGという、埋蔵量からするとロシアの年間生産量の四分の一に相当するような埋蔵量、生産可能な埋蔵量を持った油田それからLNG開発が行われている。その油田、LNGを求めて、中国も当然ながら関心を示しているし、我が国としても、今後油価の乱高下といいますか、またエネルギーの安全確保という観点からも、当然、関心は示していくことになるというふうに思うんですね。そうなってくると、先ほど言いました、私がロシアという立場であれば、やはり、北方領土の、繰り返しますけれども、地政学的な、戦略的な位置づけが大きく変わった。

 この北極海航路が使えるようになるということは、一時、北方領土問題が大きく前進するんじゃないかと日本じゅうが期待を持った時期も既に北極海航路はあったわけですけれども、その後、一つは、OPECの減産合意によって油の値段というものがまた上がることになった、そして、今までロシアを目のかたきにしていたオバマ政権から、少しロシアとの関係を見直したいと思っているトランプ政権が誕生した、これに加えて、今言った北極海航路というものが出てきたことによる戦略的重要性というものから、そう簡単に日本の期待のとおりにはいきませんよというロシアの態度の大きな変貌があったのではないか、こう見ておるわけですけれども、その辺については、大臣の見解はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 さまざまな切り口から北方領土問題について考えていく、こうした議論は当然あっていいものだと思います。

 ただ、日ロ両首脳は、昨年十二月、山口県で首脳会談を行って、その際に、平和条約締結問題について真摯な決意を、覚悟を新たにいたしました。プーチン大統領も、平和条約締結交渉が重要であるということ、これを表明した次第であります。両国首脳のこうした思いをしっかり受けてこの問題を解決すること、こういうことが両国の間で確認をされているところです。

 こうした両国首脳の決意を具体化するべく、さまざまなレベルで努力をしていく、粘り強く対応していく、このことが何よりも重要であると認識をいたします。

吉良委員 私も外務省にはもう本当にお世話になっていたので、外務省があらゆることを考えながら、また、今後起こることを想定しながら対処しているということは十分認識しているつもりでありますけれども、ロシアがどう出てくる、どう考えていくというのは、本当に、不断に事実を確認し、検証し、予測していかなければならないだろう、ちょっと当たり前のこと過ぎますけれども、そのことを指摘させてもらいたいと思います。

 最後に、もう時間はほとんどないのですが、宮澤政務官にずっとお越しいただいて、ちょっと質問時間がなくなってしまったんですが。

 PKO、これはもう南スーダンのことは先ほど私触れましたけれども、前回の質問の際に、南スーダンから撤収した場合には司令部要員を除いては事実上部隊のPKO派遣先がなくなる、ただ、これは焦るべきではないということを申し上げました。

 この背景は、これも言うまでもなくですけれども、一九九四年のルワンダの大虐殺以降、国連PKOの性質がある意味では変わってきたんだろうというふうに思っています。そして、名指しはしませんけれども、PKO部隊を派遣している国々、南アジアの国々、そしてアフリカ諸国の国々が、本来ならそこの住民の命を守る、平和を守る、安全を守る立場で行くにもかかわらず、いろいろな問題を起こしている。それがゆえに、PKO自体見直すということが、今、日本のみならず国連においても必要になっているというふうに思っています。

 そういう中にあって、日本として、焦ることなく、どうあるべきかということをきちっと検証した上で、また、国連にも我が国の意向を十分に反映させていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、十分しかございませんし、三問だけ通告をさせていただいておりますが、時間の関係もあり、ACSAの関係、平和安全法制の関係は割愛をさせていただきます。

 岸田大臣に、後で結構なんですが、北朝鮮の弾道ミサイルの話がやはり緊迫をし続けています。成功しようと失敗しようと、大変な脅威が隣国に、東アジアにあるわけであります。これについては、アメリカと北朝鮮のつばぜり合いみたいなものもありますし、今あったロシアとの関係、あるいは何よりも中国、もちろんこれは日中関係もありますが、アメリカが中国とどうつき合っていくのかというのも結構難しいテーマだと思います。細かいことはもういいんですが、国民の皆様はこの弾道ミサイル、大変心配をされておられると思いますので、その辺のことを最後にちょっと伺いますので、それまでのんびりしておいてください。

 せっかくいただいている時間でありますので、先ほど稲田防衛大臣がいらっしゃるところで議論しました日報の問題、正直この日報の問題は、繰り返し申し上げますが、国会で議論するほどのことではないと私は思っています。そういう意味で、日報の問題に終止符を打つためにも、あと二、三、お伺いをしておきたいと思います。

 先ほど稲田防衛大臣と私の見解の違い、これは明らかになりました。稲田防衛大臣は、国会は大事だからしっかりと日報をできるだけこれは開示をしていくべきであるという観点で、特別監察も行っていく。一方の私は、私の意見はどうでもいいかもしれませんが、野党に見せる必要はない、PKOの南スーダンの現場の情報を野党に見せる必要はない、これが私の意見でありますが、そういう防衛大臣と私の意見の違い、これも明らかになりました。

 それからもう一つは、統幕に残っていた電子ファイルだと思いますが、これは行政文書なんだというお話を辰己総括官の方からいただきました。

 そこで、総務省、引き続きありがとうございます、情報公開の仕組み、行政文書の情報公開の仕組みにおいて、余りちゃんと通告できていないと思うのでちょっと今考えてほしいんですけれども、本来は廃棄をされているべき行政文書が実はあった、本来ないべきものですよ、それはどうしたらいいんですか、開示請求があったときに。本来廃棄されているべき行政文書が残っていたときは、開示すべきなんですか、それか不開示でいいんですか。どっちですか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えいたしましたけれども、開示請求の対象となる行政文書の定義は情報公開法の二条二項で定められております。すなわち、職員が職務上作成し取得した文書、図画及び電磁的記録であって、職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているものという定義でございます。

 したがって、現にこの定義に当たっている状況であれば、保存期間が満了しているものであっても行政文書に該当するということで、情報公開法上は開示請求の対象となります。

足立委員 わかりました。

 辰己総括官も残っていただいていますが、行政文書だということだから、すると、昨年の十二月二日の不開示決定、これはさっきの、情報の発信元である南スーダン派遣隊と発信先である中央即応集団司令部、この両方をチェックして、なかったので、これはもう廃棄している、廃棄しているからないに決まっているんですけれども、それを、両者を調べて十二月の二日に不開示決定をした。しかし、あったわけですね。

 今の総務省の説明では、それは行政文書だから、本来廃棄されているべきであったんだけれども、あるんだったらそれは開示対象だな、こういう説明ですが、防衛省としてもそういう理解でいいですね。

辰己政府参考人 先ほども御答弁いたしましたが、統合幕僚監部において、この文書というのは、南スーダン派遣施設隊の活動概要などを作成するに当たって執務の参考として利用していたという意味で、行政的文書としての性格があったというふうに思っております。その文書自身が利用後残されていた、期間は本来、保存期間一年未満、用済み後破棄であったのですが、残されていたということで、これは公文書管理法第二条四項、行政文書に該当するということで、今回情報公開の対象として開示をさせていただいた、そういうことでございます。あくまで行政文書として整理できるものが残っていたということでございます。

足立委員 すると、一方で、一年未満の廃棄ルールが規則としてありますね。それは、そこに残っていたというのは、規則に違反して残っていたわけですね。今あるわけです。これはいつ廃棄するんですかね。いつ廃棄するか。

 特別監察とは別に、総務省によると、そもそも開示対象だと。でも、本来廃棄されているべきなんですね。いつ廃棄しましょうか。ちょっと、もしアイデアがあれば。

辰己政府参考人 制度論から申し上げますと、情報公開の対象になった文書は、これは一定期間保存しなくちゃいけないというルールがあると承知しておりますので、もう情報公開請求が来た段階、そして今対応している段階においては、これは一定期間保存する必要があるというふうに考えていますし、先ほどちょっと大臣の方から申し上げましたが、日報の性格を考えたときに、大臣としては、やはり、可能な限り保存期間というのを適切に定めて、将来に対して教訓として生かしていくことが必要ではないかという指示を受けているところでございまして、その指示に従って適切に対応してまいりたいと考えています。

足立委員 ありがとうございます。

 大体それで、私としてはわかりました。

 最後に、ちょっと危惧されるのは、おそらく、いわゆる統幕には、さっきあったように、いろいろ資料、文書を処理しますから、いろいろなものが陸自の例えば指揮システムからダウンロードされていると思います。今回は、それは本来廃棄期限が来ていたのに残していたわけだから、そこの部分での業務が不徹底である可能性は結構あると思うんですね。

 だから、私はそれを聞くと、ほかにもたくさん、やはり統幕ですから、統幕には広く期限が来ているものが残っている可能性があると思いますが、それは、特別監察の対象だからしばらく凍結して全部置いておくのか、期限が来ているものはもう一回徹底して廃棄するのか、どっちですかね。

 どっちかですよね、実際のマネジメントとして。どっちか指揮しないといけないと思うんです、総括官は。

辰己政府参考人 統幕にはいろいろな文書が集まってきますし、御案内のとおりでございます。それぞれ保存期間というのがございますので、その保存期間に従って、文書管理は適切にする必要があると思っています。

 一方で、今委員の申されたように特別監察が始まっているわけでございますので、特別監察に支障のあるような対応をとってはいけないと思っておりますので、その両面をよく考えながら、適切に対応してまいりたいと思っています。

足立委員 大臣、済みません。時間が来てしまいました。北朝鮮の問題は、また一般質疑でやらせていただきます。

 ありがとうございます。

三ッ矢委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 私は、日本共産党を代表して、日米・日豪・日英ACSAの三協定に反対の立場から討論を行います。

 ACSAは、世界規模で展開する米軍の軍事作戦の遂行に不可欠な物資や役務を、米軍が必要とするとき、いつでも調達できる集団的軍事支援網を構築するためのものであります。

 米国は、一九八〇年の相互兵たん支援法の制定以来、世界各国とACSA締結を追求してきました。三協定はその一翼を担うものであり、多国間の軍事協力の推進、強化を明記した新ガイドラインのもと、米軍を頂点とする日米豪英四カ国の軍事体制を強めるものであります。

 三協定は、安保法制、私たちは戦争法と呼んでおりますが、戦争法の内容を反映し、平時から集団的自衛権の行使が可能となる存立危機事態に至るまで、自衛隊があらゆる場面で他国軍に兵たん支援できる枠組みを定めるものであります。戦争法に基づき、政府が重要影響事態や国際平和共同対処事態と認定すれば、世界各地で展開する艦船や発進準備中の戦闘機への給油が可能となり、これまで武力攻撃事態に限られていた弾薬も、共同訓練を初め、あらゆる事態で提供できるようになります。

 政府は、非戦闘地域という歯どめを撤廃し、安保法制により、これまで戦闘地域とされていた場所でも自衛隊による兵たん支援を可能にしました。兵たん支援は武力行使と一体不可分の活動であり、自衛隊が、戦闘が発生する可能性のある地域で活動すれば、相手方から攻撃を受ける危険性は増大します。

 しかも、安保法制は、攻撃されれば自衛隊の武器使用を認めており、憲法九条が禁止する武力行使に発展するおそれがあります。

 憲法違反の安保法制、戦争法と一体の三協定は断じて容認できないことを強く指摘して、反対の討論とします。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史です。

 私は、党を代表して、日米ACSA、日豪ACSA、日英ACSAの三協定について、賛成の立場から討論いたします。

 私たち日本維新の会は、一昨年の、延長後の通常国会、いわゆる安保国会において、政府・与党の平和安全法制に対する独自案を提出した上で、政府提出の平和安全法制に反対をいたしました。

 具体的には、憲法適合性を高めるため、存立危機事態にかわる米軍等防護事態を定義し、日本を防衛するために活動している米軍に対する攻撃等に対処できる法整備を提案いたしました。

 そうした経緯からいえば、平和安全法制の施行を背景に改正される日米ACSAについても反対するという考え方もあり得ましたが、今回の日米ACSAについては、第一に、日米同盟の運用を支える基盤であるという観点から、第二に、単なる政局から日米ACSAに反対するであろう民進党や共産党と一線を画する観点から、賛成する次第であります。

 そもそも民進党は、二〇〇九年に政権を獲得するまでの間、累次の自衛隊関連法案に反対しておきながら、いざ政権につくと、自動失効し廃止となった一つを除いて、反対したはずの自衛隊関連法制の全てについて、修正することも廃止することもなく、自民党を中心とする政権が築いてきた制度体系の上で自衛隊を指揮命令したのであります。

 日本維新の会は、政権を獲得した暁には、既に提案しているとおり、平和安全法制を修正し、日米ACSAについても修正を加えますが、日米同盟の運用を支える基盤であるという観点から、日米ACSA、日豪ACSA、日英ACSAの三協定に賛成いたします。

 以上です。

三ッ矢委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより採決に入ります。

 まず、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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