衆議院

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第10号 平成29年4月19日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十九年四月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ矢憲生君

   理事 黄川田仁志君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 長尾  敬君 理事 小熊 慎司君

   理事 寺田  学君 理事 岡本 三成君

      今津  寛君    小田原 潔君

      小渕 優子君    大野敬太郎君

      熊田 裕通君    古賀  篤君

      佐々木 紀君    島田 佳和君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      辻  清人君    松島みどり君

      山田 美樹君    吉良 州司君

      坂本祐之輔君    中川 正春君

      原口 一博君    渡辺  周君

      浜地 雅一君    笠井  亮君

      足立 康史君    玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        岸  信夫君

   法務大臣政務官      井野 俊郎君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   外務大臣政務官      滝沢  求君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宮川  学君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 三上 正裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   高瀬  寧君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (財務省主税局参事官)  吉田 正紀君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     古賀  篤君

  石関 貴史君     坂本祐之輔君

同日

 辞任         補欠選任

  古賀  篤君     大野敬太郎君

  坂本祐之輔君     石関 貴史君

    ―――――――――――――

四月十四日

 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とインド共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスロベニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一六号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とラトビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一七号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一八号)

 脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一九号)


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     ――――◇―――――

三ッ矢委員長 これより会議を開きます。

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスロベニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とラトビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官水嶋光一君、大臣官房審議官宮川学君、大臣官房審議官三上正裕君、大臣官房参事官四方敬之君、大臣官房参事官小泉勉君、中南米局長高瀬寧君、中東アフリカ局長上村司君、内閣官房内閣審議官横田真二君、財務省主税局参事官吉田正紀君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君、地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田佳和君。

島田委員 おはようございます。自由民主党の島田佳和でございます。

 きょうは、スロベニア、ベルギー、ラトビア、オーストリア、バハマということでありますけれども、ちょっと冒頭にお断りしておきます。私、議員になる前、オーストリアの日本法人に勤めておりましたので、どうしてもきょうはちょっとオーストリアに焦点が当たった質問の分量になってしまうかと思いますけれども、スロベニアさん、ベルギーさん、ラトビアさん、バハマさんには御容赦いただきたいというふうに思っております。

 租税条約、毎年、毎国会の方でも審議しております。その中で、二〇一六年の日本再興戦略二〇一六の中にもこの租税条約の推進というものが書かれております。「健全な国際的投資・経済交流の促進により我が国経済を活性化する観点から、今後とも、相手国との経済関係、経済界からの要望等を踏まえ、近年の経済情勢の変化に対応した既存の租税条約の改正を進めるとともに、将来的に我が国との投資関係の発展が見込まれる投資先国との間で新規に条約を締結することで租税条約ネットワークの拡充に努める。」。

 今回、ベルギー、オーストリアは既存の条約の改正、ラトビア、スロベニアは新規のということで、新規と改正がバランスよい組み合わせになっていると思いますけれども、現在、日本が租税条約を締結している国の数はどれくらいあるか、教えてください。

小泉政府参考人 お答え申し上げます。

 租税の関連条約ということで、租税条約、租税の情報交換協定、また税務行政の執行共助条約というのがございます。これらを広く租税の関連条約として六十七と捉えますと、現在我が国が締結しておりますのは、台湾との民間の取り決めも含めまして、全部で百十カ国・地域をカバーしているということになります。

島田委員 この再興戦略の中で、経済界からの要望を踏まえという文言が書き込まれております。今、六十八条約以外で、未締結の国もたくさんあると思いますけれども、その中で経済界からどのような国が要望が強いのかというのがあれば教えていただきたいと思います。

小泉政府参考人 経団連を代表的な例として捉えますと、例えば経団連からは、アジア地域におきましてはミャンマー、モンゴル、また中南米ではアルゼンチン、ベネズエラあるいはコロンビア、またアフリカからナイジェリア、こういった国につきまして名前を挙げて、租税条約交渉の推進の要望をいただいているところでございます。

 ちなみに、経団連の要望では、その理由としまして、租税条約の拡充によって、国際的な二重課税の排除、これによって、企業の海外における安心かつ確実な事業展開の大前提になるということ、また、投資の所得に係る源泉地国課税を軽減するということによりまして、海外からの資金の還流、また、国内における再投資という好循環の実現に資するものということが挙げられておりまして、そういった理由を背景に、そのような要望をいただいているということでございます。

島田委員 済みません、ちょっとこれ通告していない質問なんですけれども、わかったらでいいので教えていただければと思いますが、今挙げられた国というのは、いわゆるOECDに加盟している国ではないと思うんですが、その際も、いわゆるOECDルール、AOAというものが適用されるのかどうか、教えていただきたいと思います。

小泉政府参考人 この場で承知している範囲でお答えをさせていただきたいと存じますが、OECDにおきまして決められておりますAOAのルールでございますが、OECD自体では、そのまま、直ちに拘束力になるものということでつくられているものではございませんで、これをそれぞれの租税条約等に取り込んでいくことによって初めて、実際的な意味があるというものになるものでございます。

 したがいまして、個々の条約におきましてAOAなるものを取り込んでいくことが望ましいと我が国自身は考えておりますけれども、それはひとえに交渉次第ということになろうかと思います。

島田委員 今回、見てみますと、オーストリアとラトビアとは、このAOAが本条約では導入されておらず、議定書で規定されているというふうになっております。四つの並びの中で、二つのグループに分かれた理由を教えていただけますでしょうか。

宮川政府参考人 お答え申し上げます。

 租税条約の個々の具体的な規定内容につきましては、それぞれの相手国との交渉の中で合意されるものでございます。

 今回、御指摘のラトビア及びオーストリアとの租税条約におきましては、事業利得の算定にかかわる両国、ラトビア、オーストリア国内での議論が十分に完了していないといった事情を踏まえまして、鋭意交渉を行った結果として、御指摘のAOAアプローチは導入できないということに、とりあえずなっております。

 他方、日本としては、できるだけ早くにAOAを適用することを確保したいと考えておりまして、そのために、ラトビアまたはオーストリアがそれぞれの国内におきまして、事業利得に関する新たな規定を、可能な状況になった時点で、日本とそれぞれの国が外交上の公文の交換により合意する日におきまして、条約本文の関連条項、事業利得に関する規定を改めるということを議定書の中に設けさせていただいております。

 議定書は条約の不可分の一部でございますので、法的には同じ効果を持つものでございます。

島田委員 オーストリアの国内の方での調整がということでありましたけれども、今、オーストリアは九十一カ国と租税条約を結んでおりまして、恐らくその中の相当な数とAOAに基づいた条約になっていると思います。

 ということですので、引き続き、オーストリアとの交渉の方、日本の方からも積極的に進めていただきたいというふうに思っております。

 先ほど私がオーストリアの日本法人にというお話をさせていただきましたけれども、私が勤めていた会社が、最近エナジードリンクでおなじみになりましたけれども、レッドブルという会社でございまして、レッドブルの、余り会社の情報というのは外に出さないんですけれども、数年前に、「レッドブルはなぜ世界で五十二億本も売れるのか」というのが出まして、実は、私もびっくりしたんです、余り社の情報というのは出さないんですね。

 四年前で五十二億だったんですが、今、もう六十五億までふえておりまして、大体、地球上の一人一本、年に一回は飲むというような計算になっているぐらい、今ビジネスの方が広がっております。

 この本の中に、一つの章で、「オーストリアに喜んで税金を払う」という章があります。レッドブルが、地域に対する還元という意味でも、税金を非常に払いたがる会社ということであるんですけれども、その中の一節をちょっと紹介させていただきたいと思います。

  現在では、オーストリア以外の国での取引が、売上の九〇パーセント以上を占めている。しかし、税引前利益(PBT)では、この比率が逆転する。ここでは九〇パーセント強がオーストリア分となる。オーストリアで生産を行い、商標もこの国にあることが、その理由の一つである。もう一つの理由は、OECDが企業の利益の大部分を純粋な販売子会社の利益として計上することを禁止していることにある。いかがわしいタックスヘイブンに利益が流れることを阻止するための取り決めだ。

  したがって、レッドブル社は現在、オーストリアに年間数千万ユーロの税金を支払っている。

というふうに表記がありますけれども。

 この租税条約、海外に進出する企業からすると、メリットが大きくて、非常にインセンティブにはなってくるわけです。逆に、海外から日本に進出している企業にとっては、日本の側から見たらデメリットになってしまうというところもあるかというふうに思っております。

 今、オーストリアは、幸いといいますか、日本が貿易黒字でありますけれども、ベルギー等に関しては、まだまだ貿易赤字が年間三千三百億円ぐらいあります。

 しっかり、今回のこの租税条約の効果、メリット、そして国を告知することによって、日本の民間の企業がどんどん世界に、海外に進出していくような状況といいますか環境をつくっていかないと、せっかくこの租税条約を結んでも、本来、例えばレッドブルが日本に払うべきであった税金がオーストリアの方に持っていかれて、オーストリアの方でレッドブルが税金をどんと払って、地域貢献といいますか、後でちょっと具体的にお話しさせていただきますけれども、そういう方に使われてしまうということで、もろ刃の剣かなというふうに思っております。

 ですので、今回、この租税条約、毎回ですけれども、この租税条約を結ぶことによって、どんどんオーストリアに企業が進出する、ベルギーに進出するような環境、そのための告知も含めて、外務省の方で努力していきたいと思っておりますが、大臣、その辺の所感をお願いしたいと思います。

岸田国務大臣 こうした租税条約を結ぶ、そして国際的にこうした課税のあり方についてルールができ上がっていく、こういったことは、個別の企業の経営判断はともかくとして、一般的に、企業にとって法的な安定性をもたらす、あるいは予見可能性を高める、こういったことから思い切って投資や企業活動を行う、こういったことには間違いなくつながっていくものであると考えます。

 それぞれの国とどんな条約を結ぶか等は交渉の結果ではありますが、基本的に、今言ったメリットがあるということは念頭に、前向きにこうした取り組みには臨んでいくべきである、これが基本的な考え方ではないかと考えます。

島田委員 ありがとうございます。

 このオーストリアという国は、私も何回も行きましたけれども、今日本が抱えているいろいろな政策に対してヒントを与えてくれる国じゃないかなというふうに思っております。

 例えば、ワーク・ライフ・バランス、働き方改革であったりとか、あとはインバウンドの観光客数の誘致も日本は頑張っていますけれども、オーストリアは、大体北海道と同じ面積なんですけれども、日本の二倍のインバウンドの観光客が来ておりますし、一人当たりのGDPも日本の約一・四から一・五倍、あとは、非常に地方分権も進んでおりまして、狭い国でありながらも、なかなか一極集中をしているような状況ではないということでありますから、しっかりとこの辺の環境を踏まえて、日本のこれからの政策を考える上での一つの手本としていただきたいと思います。

 残りの時間、実は、レッドブルという会社は日本と縁遠からぬ会社でありまして、ちょっとその辺のお話をさせていただきたいと思います。質問はないので、大臣もリラックスして聞いていただければと思いますけれども。企業宣伝にならない程度にお話しさせていただきたいと思います。

 この会社に入社しますと、大体年に二回、研修がザルツブルクの方であります。そのときに、世界じゅうから五十人ぐらいの、一つのクラスみたいな形で集まるんですけれども、その場で公式に話されていることなんですが、もともと、このビジネスのアイデアは、日本の大正製薬さんのリポビタンDでありました。

 一九八四年に、ディートリッヒ・マテシッツというレッドブルの創始者が、ニューズウィークの中で、日本の、当時、長者番付というのがありましたけれども、そこになぜか、ソニーとかそういう大企業の社長ではなくて大正製薬の社長が出ていた、これは何でなんだということから、リポビタンDを突き詰めてといいますか発見して、それをヨーロッパに合う形で売り出したいという思いから、結果的にはタイの会社と合弁で会社をつくってパッケージも変えて味も変えて世界販売をするわけですけれども、ビジネスのアイデアのもとは実はリポビタンDでしたということを、国際的な研修の場で、レッドブルの社内で語られることであります。

 今、実は、大正製薬さん、違うエナジードリンクを売り出しているわけですけれども、もしそのときにしっかりとビジネスチャンスをつかんでいれば、もしかしたら大正製薬さんの商品が世界で六十五億本売れていたかもしれないということを考えると、今回、租税条約といった投資環境をつくるのは我々の責任だと思いますけれども、実際に、それをうまく、メリットを生かしながら海外で事業を展開していく、そこで成功していくということは、やはり事業者さんの方の一義的な責任といいますかリスクというふうになってくると思います。

 そういった中で、先ほどもお言葉をいただきましたけれども、今、日本商品、特に消費財が日本の商品がなかなか世界で見えなくなってきた時代かなと思っております。昔でありましたら、電気製品もしかり、どこへ行っても日本の商品が世界に並んでいるような、世界の要衝にも日本の会社の看板がいろいろなところにありましたけれども、今は結構、中国系であったりとか、なかなか日本の看板も見られなくなっている状態でございますから、この租税条約等環境づくり、海外の投資の環境づくりをもっともっと推し進めていただいて、安倍総理が掲げる、日本が世界の真ん中で咲き誇るというようなことを実際に生活の現場で感じられるような環境をこれからもぜひつくっていただきたいなというふうに思っております。

 ちなみに、レッドブルの本社というのは、フシュルという、ザルツブルクから二十分ぐらい走ったところにあるんですけれども、そこの庭園は日本庭園になっておりまして、秋になると紅葉がきれいで、そこも一つの観光資源というふうになっておりますので、もし、オーストリアとかザルツブルクに行かれるときがあれば、ぜひ、本社の方も皆さん訪れていただければ、いろいろなアイデアの源泉になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 若干、ちょっと時間が短いですけれども、以上で質問の方を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、佐々木紀君。

佐々木(紀)委員 自由民主党の佐々木紀でございます。

 自民党二人目ということでございまして、途中から島田委員がレッドブルのお話をしていただいたおかげで、全ての質問がかぶらなくて済んだなと。前半の方はほとんど重複するものでありますから、もしかすると、私の所感にかえさせていただく場面もあろうかというふうに思います。

 今、島田委員の発言のように、やはり、企業が国際化していって、自国の中で戦うだけではなくて海外の市場を目指していく、そして、そこで得た利益を日本に還流して国内の投資に充てていくということがこれからすごく大事になってくるんだなということを感じました。

 そこで、ちょっと質問させていただきたいというふうに思うんですけれども、先ほどの質疑の中でも、御答弁の中に若干触れていらっしゃったわけでありますけれども、この租税条約の締結の目的とか意義とか効果について、新たに聞いてみたいというふうに思います。

 名前も大変長いわけであります、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための条約ということで、まさに読んで字のごとしということではあろうかと思います。先ほど法的安定性や予見可能性というようなこともございましたけれども、改めて、この租税条約締結の意義やその効果についてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 租税条約締結の意義ですが、まずは、国際的な二重課税の除去あるいは脱税及び租税回避行為への対処等を通じて二国間の健全な投資、経済交流の促進に資する、こうしたものを挙げなければならないと思います。

 その上で、企業にとってのメリットということについては、まさに先ほど島田委員に少しお答えした部分ではありますが、租税条約が締結されることで、源泉地国、いわゆる投資先国における課税所得の範囲が明確化される、こういったことを通じて法的安定性ですとか予見可能性が高まる、こうした効果が期待されると思います。

 こうした租税条約、政府としては、相手国との経済関係あるいは我が国経済界からの要望、また租税条約の締結、改正から生じ得る効果、こういったものをしっかり踏まえながら、新規の租税条約の締結、既存の租税条約の改正、こうした交渉に積極的に取り組んでいかなければならない、このように考えます。

佐々木(紀)委員 大臣に御答弁いただきまして、本当にありがとうございました。

 環境をつくっていくという意味では本当に大事でございますので、ぜひこれからも、租税条約を結んでいない国とは早く締結できるように、またやはり経済環境というのは本当に目まぐるしく変わっていく現代でございますので、既に締結した国においてもやはり最新の条件でアップグレードできるように、ぜひ改正についても鋭意取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。

 先ほどの質疑の中でもありましたけれども、現在我が国では租税関係条約として、先ほど六十七とおっしゃったかと思いますけれども、条約を百十カ国で締結をしているということでございます。本当に、大体日本の経済活動の九五%ほどをもう既にカバーしているということではございますけれども、先ほどの、経済界からの要請に基づいて、これからまだまだ新規の締結も進めていきたいというようなお話もございました。

 先ほど名前が出た国は、ミャンマーとかアルゼンチン、ベネズエラ、コロンビア、ナイジェリア、モンゴルなんという国々、名前が挙がっていたわけでありますけれども、本当にまさに日本がこれから企業が進出し、またそれぞれの国も成長の可能性、ポテンシャルが高い地域でございますので、やはりこういった国々との早期の締結をしていかなければいけないというふうに思いますし、また、もう既に締結した国であっても、中国とかインドとかタイとかインドネシア、ベトナム、ブラジル、ロシア、シンガポール、韓国、マレーシア、こういったところとは、やはり随分前に締結して、したっきりといったような状況もございますから、今、現状の条件で速やかに改正の手続に入っていただきたい、そのように思うわけではございます。

 いずれにしましても、この租税条約というのは本当に、今、どちらかというと経済連携協定等、やはりマルチで進めていくケースが非常に多いわけでございますけれども、この租税条約というのは、どうしても租税というのはその国の主権そのものであるというふうに思いますので、やはりバイで、細かくやっていかなきゃいけない、それぞれの国の事情がもろに反映されてくる条約の一つであろうかというふうに思います。

 それで、先ほどの委員の質問にもありましたけれども、一見すると同じ条約なんですけれども、もっと中身を見ると、細かく微妙に違っているといったことだというふうに思います。

 例えば、新規か改正かということもありますし、先ほど出てきましたAOA、OECD承認アプローチの導入の可否とか、あと、配当や利子や使用料などの源泉地国での課税率なんかも、やはり微妙に違ってきているわけなんですね。

 それで、先ほど指摘があったので私の方からは質問はしませんけれども、このAOAの導入の可否、これは本当に、移転価格というか租税回避を防止するためのプロセスでありますけれども、これを、今回、ラトビアとオーストリアに関しては条文の中に規定をできなかったということでありました。これは、相手国があってのことでございますし、相手国の国内の調整も必要だということでございますので、準備が整い次第、議定書をしっかり締結をしていただいて、AOAを速やかに導入できるように、日本として確保できるように、ぜひお取り組みをお願い申し上げたいというふうに思います。

 したがいまして、AOAの導入が何で議定書に規定されているのかということと、今後どのように進めていくかということを先ほどお答えいただきましたので、質問は飛ばさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにしましても、租税条約の一番大きな目的というのは、二重課税の防止ということもありますけれども、この租税回避、それをやはり防いでいくということが僕はこれからすごく大事になってくるというふうに思います。

 リーマン・ショック以降、なかなかどこの国も税収が上がらないということで大変苦労したわけであります。その分、財政も悪化していったわけでありますけれども、それを補うために、やはり自国民に負担を求めていく、こういうことになっていく。その一方で、企業、特にグローバルな企業はどんどん海外に出ていって、いわゆる国際的な税制のすき間というか抜け穴というか、そういったことを利用して節税対策をしていくということ。なかなか海外には出ていけない自国民に税負担を強いて、もう海外に行っておるところは、何か利益を、所得を海外に移して税負担を逃れるといったようなことが散見されるようになってきたわけであります。こういったことはやはり許されないというふうに思います。

 実際、事業実態が海外のその先でしっかりあれば、もちろん、それは源泉地国で納税するというのは当然だと思いますけれども、事業実態のないケース、いわゆるペーパーカンパニーとかを置いている場合とか、そういったものはやはりしっかりと捕捉をして、本国で合算して徴税すべきものだというふうに思います。いわゆる税逃れというのは絶対許してはいけないというふうに思います。

 そこで、近年、OECDでは、税源侵食と利益移転に関するプロジェクト、BEPSプロジェクトというものに取り組んできました。本来、このBEPS対策も租税条約に盛り込んでいかなければいけないわけでありますけれども、先ほど申し上げたように、租税条約に盛り込むということになると、二国間で細かい交渉をしていかなきゃいけないということで、もう世界に無数にある二国間条約を全て改正をしていかなければいけないという、大変膨大な時間がかかるわけでございます。

 そこで、二〇一六年、昨年十一月に、このBEPSの対抗措置を効率的に実現するために多国間協定を実施しようということでOECDが発表されました。二〇一七年、ことしの六月に署名が行われる予定ということではございますけれども、このBEPSプロジェクト全体に対する政府の評価と、我が国の多国間協定への署名に向けた取り組み、また、この協定を含めたBEPS対策への我が国の取り組み状況について、政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御質問のBEPSプロジェクトについてでございますけれども、いわゆる多国籍企業による課税逃れに各国が協調して対抗するというBEPSプロジェクトにつきましては、日本といたしましても、G20の財務大臣会合におきまして、この課税逃れの防止に向けた政治的モメンタムを高めるべくリーダーシップを発揮するとともに、OECD租税委員会の議長国として議論を主導してきたところでございます。

 このBEPSプロジェクトの、二〇一五年十月に公表されました最終報告書でございますけれども、BEPSに対抗するための十五の行動計画というものが盛り込まれてございます。具体的には、一点目でございますが、価値が創造された場所と課税利益を認識する場所を一致させるための措置、それから、各国政府及びグローバル企業の活動に関する透明性を高めるための措置、及び、企業にとっての不確実性を排除するための措置というふうになってございます。

 この報告書を受けまして、我が国といたしましては、例えば平成二十八年度税制改正におきまして、多国籍企業グループに対して、各国共通の様式に基づきまして、グローバルな活動実態の報告を求める多国籍企業情報の報告制度というものを導入しております。また平成二十九年度改正におきましては、税負担の軽い外国子会社を活用した租税回避を抑制する外国子会社合算税制の見直しを行ったところでございます。

 現在、このBEPSプロジェクトは各国が合意事項を実施する段階へ移ってきておりまして、我が国といたしましても、各国による合意事項の着実な実施が重要な課題というふうに考えてございます。引き続き、このBEPSプロジェクトの合意事項を踏まえて、国内法の改正に着実に進んでまいりたいと考えてございます。

 また、委員御指摘のございましたBEPSプロジェクトの合意事項につきまして、多数国間条約におきまして多数の租税条約を一挙に修正いたしまして、租税回避に対抗するための措置を効率的に実施するための枠組みの策定が勧告されてございまして、先般、同条約が採択されたところでございます。

 日本といたしましても、多数国間条約の策定に積極的に参加してきたところでもございまして、できる限り早期に、BEPSプロジェクトで定めたルールを既存の租税条約に反映させるように、引き続き努力していきたいと考えてございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 日本がこのBEPSプロジェクトをリードしてきたわけでございますし、やはり、これは多国間で連帯して取り組まないとなかなか効果も出てこないことだと思いますので、ぜひこういったマルチの取り組みを、これからもしっかりフォローアップしていっていただきたいというふうに思います。

 それで、日本も、具体的に、このBEPSプロジェクトの方針に基づいて国内で対策をとっていただいているわけであります。二十八年度の税制改正では多国籍企業の情報報告制度であるとか、二十九年度改正では外国子会社の合算税制、こういったことを見直して対策をされてきたということでございます。

 そこで、この外国子会社合算税制について、少し財務省の方にお伺いをしたいというふうに思います。

 実際、平成二十九年度の改正はやはり大きな制度の改正であったというふうに僕は思います。そこで、この外国子会社合算税制そのものについて、見直しの方向性、主なポイントはどういう点を見直したかとか、その辺について少し御説明いただければと思います。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 外国子会社合算税制についてのお尋ねでございますけれども、本制度は、外国子会社を利用いたしました租税回避を抑制するために、一定の条件に該当する外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなして合算をする制度でございます。

 今般の平成二十九年度税制改正におきまして、まずその外国子会社の経済実態に即して課税すべきというBEPSプロジェクトの基本的な考え方がございまして、これに基づきまして、同時に日本企業の海外展開を阻害することなく、より効果的な、国際的な租税回避に対応するという観点から見直しを行ったところでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、租税回避リスクを外国子会社の税負担率の差異により把握するという現行制度を改めまして、所得や事業の内容によって把握する仕組みに改めているところでございます。

 これによりまして、従来は制度の対象外でございました税負担率二〇%以上の外国子会社についてでございますけれども、一見して明らかに利子、配当、使用料等の受動的所得しか所得を得ておらず、租税回避リスクが高いと考えられる、委員御指摘のペーパーカンパニー等である場合には、原則として、その外国子会社の全所得を親会社の所得とみなして合算できるようにいたします。

 また、他方で、経済活動の実態のある事業から得られた、いわゆる能動的所得というのがございますが、これは、外国子会社の税負担率にかかわらず、合算対象外とすることといたしてございます。

 また、同時に、企業の事務負担を軽減するという観点も必要でございますので、さらに現行制度との継続性も踏まえながら、ペーパーカンパニー等に該当しない二〇%以上の税負担を行っている外国子会社については、原則といたしまして制度の適用を免除するとの措置を講じているところでございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 簡単に言いますと、これまでは租税負担率二〇%未満か否かで、二〇%未満であれば見ますけれども、そうでない、上回る子会社については事業実態を見ないで、一律所得の内容を見てこなかったわけです。いわゆるトリガー税率で判断をしていたわけでありますけれども、それを今回撤廃して、事業実態を見ていこうということだというふうに思います。非常にいいことだというふうに思います。

 これまでも、トリガー税率を上回る企業であっても、ちょっと租税回避しているようなケースもあったかと思いますので、これからはしっかりその事業実態を見ていくといったことが大事だというふうに思います。

 ただ、そうすることによって、本当に租税回避をしていない、関与していない企業に対して過度な事務負担を強いたりとかということがあってはならないというふうに思いますし、やはり予見可能性ということも大事ですので、その辺はしっかり配慮していただきたいというふうに思います。

 それで、最後に一問させていただきたいと思いますけれども、その外国子会社の、いわゆる外国関係会社というんですか、対象となるかならないかというところが、実は株の持ち合い比率で決まっておるわけであります。日本企業が海外で事業をするときに、いわゆるベンチャーで、国内法人五〇%、海外法人五〇%で事業を始めれば、そもそもこの外国子会社合算税制の対象にならないという制度なんですね。

 これは事業の安定性を高めるという意味では非常に大事な制度だというふうに思っていましたけれども、しかし、これが、例えば、ある外国のライバル企業が、その法人の国際競争力を失わせようとして、日本の子会社を使って、そのベンチャーの先の海外の会社の株を〇・一%でも購入すると、全体で見ると日本の法人が五〇%超支配するということになって、この外国関係子会社とみなされて、合算の対象になるかもしれなくなるということでございます。

 これは、意図しないことで、実質支配関係がないにもかかわらず課税をされたりとか、あるいは課税をされるリスクというんですか、税務当局と課税が発生するしないについて交渉が発生したりとか、あるいは余計な事務負担がふえたりということがある可能性もございます。

 したがって、今回、この外国関係会社の判定基準の見直しも行われたと思うんですけれども、その見直し内容について御説明いただければと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 外国子会社合算税制の対象となります外国子会社、法律上、外国関係会社と呼んでございますが、この対象範囲でございますが、現行の制度におきましては、内国法人等が五〇%超の株式を保有する外国法人としておるところでございます。今回それを、実質支配基準というものを導入いたすこととしてございます。これは、内国法人等が外国法人との資本関係を意図的に断絶しつつ、契約関係などによりましてその外国法人に対する支配を実質的に維持しているということで制度の適用を免れることができるという、現在の問題に対応するための措置でございます。

 具体的に申し上げますと、今般の改正におきまして、資本関係がなかったとしても、内国法人等がその外国法人の残余財産のおおむね全部を請求できることができる関係があるというようなこと等によりまして、その外国法人の財産を実質的に支配していると認められる場合には、その外国法人を本税制の対象となる外国子会社とすることといたしました。

 また、現行の税制におきましては、内国法人等が間接的に五〇%超の株式を保有している外国法人、今委員も御指摘になりました関係でございますが、すなわち孫会社も対象としてございます。

 その際ですが、この間接的に保有する持ち分割合の計算方法といたしまして、いわゆる掛け算方式というものを現行は採用してございます。具体的には、内国法人等が株式等を直接保有する子会社に対する持ち分割合と、その子法人が別の孫法人に対して保有する株式の持ち分割合を、大変複雑で恐縮でございますが、割合を乗じて算出した割合が五〇%を超える場合には、その孫法人を制度の対象となる外国子会社と判定しているところでございます。

 今回の見直しにおきましては、内国法人などが五〇%超の関係が連鎖している外国法人を実質的に支配していても制度の対象外となる場合があるという問題を認識してございまして、外国法人を支配しない少数株主であっても持ち分割合の判定にカウントされてしまうというまた別の問題もございまして、これも委員御指摘のとおりでございますが、それに対応する措置としてございます。

 具体的に申し上げますと、今回の改正におきまして、内国親法人と外国子法人の間及びその子法人と外国孫法人の間にそれぞれ五〇%を超える持ち分関係がある場合には、制度の対象となる外国子会社と判定することといたしておりますが、一方で、委員御指摘ございましたが、五〇%以下の持ち分割合の場合には、外国子会社の判定から除外するということといたしました。

 したがいまして、これによって、いわゆるジョイントベンチャーの外国パートナーの少数株主の変更が、意図しない外国子会社の判定に影響を与えるというような問題が避けられるというふうに考えてございます。

佐々木(紀)委員 どうもありがとうございました。

 改正前は、随分日本の商社がこの税制で意図しない課税を強いられていたということもございましたので、今回の改正は大変いい改正だというふうに思います。

 いずれにしましても、脱税や租税回避行為、これはやはり厳格に対処をしていかなきゃいけないし、租税条約等を通じて、両国間の健全な投資環境、経済環境を整えて、日本企業が海外で活躍できるようにしていっていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 皆様、おはようございます。公明党の岡本三成です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日議題となっております租税条約、あと脱税防止協定に加えまして、国民の皆様が大変懸念していらっしゃる北朝鮮問題につきましても質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、北朝鮮問題ですが、以前よりミサイル実験、核開発等々の行動をとっていた北朝鮮に対して、トランプ政権になりまして、戦略的忍耐ということをやめて、全ての選択肢はテーブルの上にあるというふうに発言をされて、最近、シリア、アフガニスタンに実際に軍事行動をとられた姿を見て、多くの国民の皆さんは、このテーブルの上のオプションというのが本当に行使可能なオプションなんだということを実感されて、懸念されています。

 一方で、圧力とともに対話の道も探ろうということで、中国に依頼をして、一番貿易関係のある中国から北朝鮮にもプレッシャーをかけていただいて平和的な解決にも導こうということで、日本を含めた各国が今努力をしているわけですけれども、毎日ワイドショー等でも報道されておりますので、一体あした何が起こるんだというふうに懸念されていらっしゃる国民の皆さんも多い状況ですので、大臣から、今のこの状況がどういう状況にあるというふうに認識されているかということを、まず初めに御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮の情勢については、核開発、ミサイル開発、去年の段階から申し上げておりますが、これは新しい段階の脅威に至っているという認識を持っております。

 たび重なるこうした挑発行動は、我が国を含む地域あるいは国際社会に対する明らかな挑発行動であり、決して容認することはできない、このように認識をしております。

 こうした状況に対して、我が国としまして、国民の生命財産を守るべく高度な警戒監視体制を維持し万全の体制をとり、国民の安心、安全の確保に努めていかなければならない、これは当然のことですが、あわせて、国際社会との連携が重要であるということは間違いありません。

 米国の対応については、今委員の方から御紹介がありました。あらゆるオプションが俎上にあるというこの対応については、抑止力を強化するという点においては評価できると思います。

 ただ、外交力、外交を通じて平和を守るというのが基本であるということも間違いないと思います。その点については、米国は、北朝鮮を意味ある対話に引っ張り出すために努力を続けることは大事だ、こういったことをティラソン国務長官も発言していたと思います。対話と圧力という我が国の方針にも、これは整合的であると思います。

 いずれにせよ、さまざまな事態に対応していかなければならないわけですが、米国との政策的なすり合わせは重要であるということから、首脳間においても外相間においても、たび重なる会談あるいは電話会談を続けているということであります。

 こうした米国との連携はもちろん重要でありますし、それ以外にも、御指摘のように中国との関係、これも大変重要であると思います。中国にしっかりとそうした役割を果たしてもらうために、国際社会としても連携して中国にも働きかけていかなければならない、こうした点は重要であると認識をしております。

岡本(三)委員 その上で、一部報道ですと、米国が万が一軍事行動をとることを決めたときには、日本側と事前協議が行われるという報道もあります。一方で、大臣は、一昨日の参議院の決算委員会で、今も御答弁されましたけれども、今でも日米間ではすり合わせを行っているというふうな御発言をしていらっしゃいます。

 私、ぜひお願いをしたいですし、もう既にそうされているというふうに予想していますけれども、要は、決断をするのが米国で、その米国が何らかの決断をしたらその決断に従って日本がとるべき対応をとるというのではなくて、米国が決断をするその決断の要素の一つとして日本の意見をしっかりと聞いてもらうというようなコミュニケーション、すり合わせをお願いしたいと思っているんですね。

 それはどういうことかというと、日本は非常にユニークな状況にございまして、拉致被害者の方々は北朝鮮の中にいらっしゃいます。あと、韓国にも邦人は三万八千人おりまして、万が一の事態のときには安全に避難できるような体制も必要です。

 であるがゆえに、米国や他国とは違う状況にあるわけですから、米国の判断を待ってその判断に従って何か行動するということではなくて、米国の判断に日本の意見が大きく、その判断の中の一つの要素として検討をされるというふうなすり合わせが行われているということを確認させていただきたいのと同時に、想定外があってはいけませんので、万々が一のときには、今、実は外務省から、韓国に渡航される方には渡航注意情報を出されています、つまり、渡航しているタイミングでは常に情報に対してアップデートをしていただいて万が一のときにはその情報に対して適切な行動をとってくださいというふうな注意情報が出されているわけですけれども、万が一のときには、この三万八千人の方々をどのように安全に退避させるか、そういう御準備も一方でされているかどうかということに関して確認をさせていただければと思います。

岸田国務大臣 まず、順番にお答えしますと、朝鮮半島における邦人の安全確保、そして無事の帰国を考えますときに、米国との協力、これは大変重要なことであると思います。

 よって、米国との政策のすり合わせは重要であるということで、四月の六日、四月の九日、日米首脳電話会談を行っております。四月の十日には日米外相会談も行っておりますし、昨日はペンス・アメリカ副大統領が訪日をされまして、安倍総理、そして麻生副総理とも会談を行っているわけですが、そうしたさまざまな機会を通じて、政策のすり合わせを行っております。

 そして、委員御指摘のように、双方向のすり合わせが重要だということは御指摘のとおりだと思います。双方向の政策のすり合わせを行い、しっかりとお互い意思疎通を図っておく、このことは大変重要であると思います。

 そして、朝鮮半島で万が一有事等が発生した場合の邦人の安全確保について、どう対応しているのか、準備をしているはずだと思うという御指摘がありました。

 当然、こうした海外においての邦人の安全確保は、国の責任としてしっかり取り組まなければならない課題だと認識をしております。

 韓国においても、現地の日本人会、ソウル日本人会等ともしっかり連携をし、ソウル日本人会との間においては、ソウル日本人会安全対策委員会、これを年四回開催するなど、情報交換、意見交換を行っておりますし、安全マニュアル、これも必要に応じてしっかり改定を行いながら、活用をし、現地の邦人の方々との連絡体制、意思疎通を確認しているということであります。

 一方、北朝鮮におきましては、我が国として、国交がないわけですから、北朝鮮における拉致被害者、あるいは日本人配偶者、あるいは残留日本人、こういった方々に対する情報の確認等も直接はできないという現実はあるわけですが、それだからこそ、米国との協力が重要になると考えます。例えば、米国に対しましては、拉致被害者に対する情報を提供しております。そして、拉致被害者の安全が脅かされる事態に至った場合には、拉致被害者の安全確保のための協力、これを既に米国政府に依頼しているということであります。

 このように、米国、さらには国際社会とも連携しながら、邦人の安全確保のために全力で取り組んでいきたい、このように考えます。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 その上で、一般的な国民の方の感覚というのはこんな感じだと思うんです。要は、圧力をどんどんかけていただきたいけれども、結果的に、その圧力のもとで対話の窓口が広がって、平和的に問題を解決してほしい。ただ、万々が一北朝鮮が暴発をして、ミサイルを撃ってくるようなことがあったら、間違いなくその全てのミサイルを空中で迎撃して、日本に被害が及ばないようにしてほしい、こういう素朴な、皆さんの率直な意見だと思うんですね。

 このミサイルの迎撃体制について確認をさせていただきたいんですけれども、ちょっと時間の関係で、初めに申し上げますけれども、万が一弾道ミサイルが飛んできたら、大気圏を出た五百キロぐらいのいわゆるミッドタームのところでイージスから撃ち落とす、その能力は、日本とアメリカの協力の中で十分に持っています。どんどん落ちてきて地上に近づいてきて、地上二十キロぐらいまでのところに来たら、PACミサイルで拠点防護で、これまた守ることができます。

 私の質問は、もしイージスでトップで撃ち落とせなくて、この拠点に近い二十キロぐらいまで来るこの時間があったときに、この間ですね、高さでいうと、三百キロぐらいから百キロぐらいまでの間、ここを迎撃できるようなシステムというのは日本は持っているんでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問にございましたとおり、我が国の弾道ミサイル防衛システムにつきましては、イージス艦から発射をいたしますSM3と呼ばれる迎撃のミサイルによる上層での迎撃と、それから航空自衛隊が持っておりますペトリオット、PAC3ミサイルと呼ばれる迎撃ミサイルによる下層での迎撃、これを組み合わせて多層的に防衛することによりまして我が国全域を防衛するということとしております。

 さらに、こうしたものにつきましては、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制の強化に向けまして、PAC3MSEと呼ばれる能力向上型の導入、あるいは弾道ミサイル対処能力を有するイージス艦の数をふやす、増勢を図る、あるいはSM3につきましても、ブロック2Aと呼ばれる能力向上型のミサイルを取得するといった種々の取り組みを進めてきているところでございまして、こうした新たな迎撃ミサイル等の導入によって、同時対処能力を含めて、我が国の弾道ミサイル防衛体制を一層強化していこうという考えでございます。

 さらに、防衛計画の大綱におきましては、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図るということとされておりまして、現在、防衛省におきまして、将来の弾道ミサイル迎撃体制の調査研究など種々の検討を行っているところでございます。

 平成二十九年度予算におきましても、そうした調査研究の費用を計上しておりまして、THAADと呼ばれております迎撃ミサイルであるとか、あるいはイージス・アショアといった新規装備品も含めた弾道ミサイル防衛能力の向上策を含むシミュレーションを実施する予定でございまして、こうした調査研究を迅速に進め、その性能面や導入時のコストのみならず、費用対効果、我が国の防衛力全体における位置づけも含めまして、新規装備品の導入の可否といったことについて可及的速やかに必要な検討を進めたいというのが現状でございます。

岡本(三)委員 要は、今でも迎撃体制は万全なんだけれども、相手もさまざまな武器の向上を図っているわけですから、さらに万全にするためにやるべきことはあるという御答弁だと思います。

 韓国のTHAAD配備に関しては中国が大変な懸念を示しているわけで、我が国も中国との関係を考えながらさまざまなことを進めるべきだと思いますけれども、私は、個人的には、THAADは必要不可欠だというふうに思っておりまして、要は、若干手薄になっている迎撃のエリア、ここでさえも確実に撃ち落とせるというふうな体制をつくることは必要不可欠だというふうに思っておりますので、ぜひ、検討を進めながら、配置の実現に、私たちも議論しながら一緒に協力をしてやらせていただきたいというふうに思います。

 最後に、今回の協定につきましてちょっと質問をさせていただきます。

 今回の租税協定なんですけれども、租税協定に関しましては、今、二国間で十一カ国と提携をしております。この十一カ国以外のところはどうなっているかというと、実は、多国間の税務行政執行共助条約がございまして、これは日本を含めまして七十九カ国が入っておりまして、この中で、租税回避等が行われないように、情報交換のパターンが三つあります。

 一つは、自動的に情報交換をする。二つ目には、おかしいなと思ったらそれを見つけて相手方に知らせる。三つ目は、相手方の要請に基づいて情報交換をするということなんですけれども、当然、その重要度を考えますときに、租税回避をしようとしている人たちは自分の情報がいろいろな国と共有されることが嫌なわけですから、自動的にどんどん情報が共有されるというのは、租税回避しようとしている人から見ると大変な脅威なわけです。

 そこで、質問なんですが、このマルチの七十九カ国の中で、実は十一カ国のバイでも自動的に情報交換ができるようになっているのはバハマとパナマだけでございまして、残りの九カ国は自動情報交換の協定になっておりません、この七十九カ国は、先ほど申し上げました三つの情報交換パターンのうち、それぞれ何カ国がどういうパターンで情報交換をするようになっているかというのを教えてください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、我が国の税務情報交換協定の根拠につきましては、マルチの枠組みといたしまして税務行政執行共助条約がございます。また、バイの枠組みとしましては、租税条約及び税務情報交換協定がございます。

 今御指摘いただきました七十九カ国についての自動情報交換でございますけれども、七十九カ国全てについてできることになってございます。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 大変重要なことで、自動的に情報が交換されると、こちらの国ではAと言っていて、こちらの国ではBと言いながら租税を回避していくということの手口が横行しているわけですから、そうなりますと、今バイで結ばれている十一カ国のうち九カ国は自動的な情報交換になっていないわけですが、この九カ国に関しても、相手方に働きかけて、今後、自動的情報交換に発展をさせていこうというふうな取り組みをしていかれるという認識でよろしいんでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 既にマルチで加盟している国々につきましては、今後順次、自動情報交換を進めていくというふうに考えてございます。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 今回の議案となっております租税条約というのは、経済の交流をより大きくしながら経済のパイを大きくしていこう、今質問させていただいた脱税防止協定については、フェアな経済の環境をつくっていこうということで、非常に重要なところですので、今ある協定の中でも、さらに協定の内容を向上させるような取り組みをしていくというふうな御答弁でしたので、そのことを遵守していただきながら、日本の企業が海外で自由に経済活動が行われるようになって、その中で不届き者が利益を得るようなことがないようなさらなる取り組みをお願いしたいと思います。

 では、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。民進党の小熊慎司でございます。

 本日は租税に関する五条約の審議でありますが、まず初めに、日・バハマ租税情報交換協定改正議定書についてお伺いをいたします。

 租税関係の条約それぞれ、その国との経済交流の拡大、進展、また租税回避等の抑制的な措置が大きな意義として、目的として結ばれるわけであります。バハマについては、距離的には遠い国ではありますが、今、政府におかれても、カリブの国々に対して新しいアプローチで支援をしているところでもありますし、今後そうしたカリブの、バハマとの経済交流をどのように進展させていくのか、まずお聞きをいたします。

高瀬政府参考人 お答えいたします。

 バハマは小さな島国でございまして、人口が約四十万、国全体のGDPは約八十億米ドルでございます。

 日本とバハマとの貿易関係について申し上げますと、日本からバハマへ、船舶ですとか自動車等を中心に約一千百億円、バハマから日本へは、原油、化学製品等四十三億円の輸入となっております。

 バハマの経済は観光に大きく支えられておりますけれども、近隣国の経済情勢ですとか、ハリケーンなどの自然災害によって大きな影響を受けるという、小さな島国ならではの脆弱性を持っております。我が国は、この小さな島国特有の脆弱性の克服を含む持続的な経済社会発展に向けた協力を推進しながら、経済交流の発展にも取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、今般の日本とバハマの租税情報交換協定改正議定書は、バハマの金融市場に対する国際的な信頼の維持向上にも資するものでございまして、そうしたことも通じて、日本とバハマの経済交流の進展にも貢献するものと考えております。

小熊委員 いわゆる島特有の脆弱性ということで、ODAの対象国から卒業してもこれをやっていくということで、新たな取り組みを今しているところであります。

 カリブの国々の共同体のCARICOMという意味では、カリブ諸国も、自国でそれぞれ頑張りながらも、一体的にやっていこうということでCARICOMがまた存在をしているということでもありますので、さまざまな条約はその国ごとに結んでいかなければいけないというたてつけではありますけれども、受け手の側のカリブの諸国も共同体、EUほどではないにしろ連帯性があるという中で、今回はバハマとの租税条約ではありますが、一体的に経済交流、また、いろいろな条約の整備もしていかなければ、総合的な効果も出てこないというふうに思われます。今回はバハマでありますけれども、今後、バハマ以外、CARICOM全体として、経済交流を活性化、進展させていくために、こういった条約ともどう取り組んでいくのか、やはり一体性の中での取り組みが必要だと思います。

 そういう観点に関して、この条約も含めて今後のCARICOM全体への取り組み、改めてお聞きいたします。

高瀬政府参考人 お答えいたします。

 まず、条約交渉の取り組みの方でございますけれども、CARICOMは必ずしもこの条約につきましては一体では対応しておりません。

 現在の時点で申し上げますと、CARICOM加盟諸国・地域の中では、四カ国が我が国も参加しております税務行政執行共助条約というのを締結しております。

 我が国といたしましては、残る九カ国・一地域につきましても、実効的な租税情報交換ネットワークを拡充していくという観点から、この税務行政執行共助条約への参加を促すべく取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、CARICOM経済交流全体の取り組みということでございますけれども、CARICOMとの間では、例えば、日本とCARICOMの間の大臣会合というようなものも開催しておりまして、一体として取り組んでいるところでございます。

 CARICOM諸国との貿易額は、日本からCARICOMへ約千七百四十五億円、CARICOMから日本へは約百三十億円となっております。

 他方、委員から御指摘もありましたとおり、CARICOM諸国はいずれも小さな島国でございまして、先ほども申しましたが、ハリケーン等による大きな被害をこうむることもございます。我が国は、そのような小さな島国特有の脆弱性の克服という観点から、持続的な経済社会発展に向けた協力を実施しておりまして、これが日・CARICOM間の経済関係強化にもつながるものと思っております。

 いずれにしましても、日本とCARICOM諸国は、法の支配や民主主義といった基本的な価値を共有します。また、長年、友好協力関係を構築してきたパートナーでございます。CARICOM諸国の地理的条件も生かしながら、引き続き、経済関係の発展に取り組んでまいりたいと思っております。

小熊委員 個別に丁寧に対応していく部分、また、CARICOM一体として支援していく、交流していく、連携をとっていくという部分もありますので、そういう意味では、今、条約の状況をお聞きしましたけれども、やはり一体的な取り組みとしていくことによって、それは一カ国ずつ丁寧にやっていく対応も必要ですが、そもそも、CARICOMを支援していくという新たなアプローチという意味では面的な取り組みになっておりますので、そういう意味でも、個別にしっかり対応しなきゃいけない点は留意しなければなりませんが、こうした経済交流の拡大についても、条約等の対応も含めて一体的な取り組みをすることによって、その地域でのいろいろな効果も上がってくると思いますので、ぜひとも今後努力をしていただきたいというふうに思っています。

 次に、日・ベルギーとの租税条約についてお伺いをいたします。

 これは、いろいろな国がいろいろな制度で成り立っていて、また地方と国とのかかわりというのも、その国の成り立ちや、また考え方、哲学、主義によって、いろいろな国内での自治制度も異なるところでありますが、このベルギーにおいては、これは世界の中ではレアケースというか珍しい方だと思いますが、この条約等の承認に関しては地方議会の決定もなければならない国の一つであるところであります。

 この租税条約について、ベルギーの地方議会の対応についてお伺いをいたします。

宮川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ベルギー王国でございますが、三つの言語共同体及び三つの地域から成る連邦国家でございます。ベルギー憲法におきまして、各共同体・地域はその議会の所掌事項に関する条約について締結する権限が認められております。

 それからまた、租税条約について申し上げますと、各共同体・地域が排他的な締結権限は持たない条約と位置づけられておりまして、各共同体・地域の議会による承認に加えまして、連邦の議会の承認が必要とされます。

 お尋ねの現在のベルギーにおける地域の議会における準備状況でございますが、現在、承認手続の準備が始まっていると把握しておりまして、具体的には、各部局におきまして条約文の仏語及びオランダ語への翻訳等の批准作業を鋭意進めているということでございます。

 引き続き、政府として条約の早期承認に向けて働きかけを行ってまいりたいと考えております。

小熊委員 これは、国内手続においてはベルギー政府の責任において行われるものではありますけれども、今、強い権限ではないんですが、議会の承認が要るということでもあります。

 こういった国々に対しては、今、世界的にも反自由貿易主義みたいなものの流れが出てきている中で、これは租税とはまたちょっと離れていきますけれども、ベルギーもおおむね経済は良好でありますが、やはり北部と南部地域での経済格差もある中で、そういう意味では、ベルギーにおいては、北部が経済的にどちらかというと数字が落ちている地域ですから、反自由貿易主義的な風潮があるということで、カナダとの自由貿易協定も否決みたいなことが出てきたところでもあります。

 これは租税ということではなくて、そういう意味では、こういった仕組みを持った国々に対しては、日本も経済活動、経済交流の拡大をしていくときにはより丁寧に対応していかなければいけないというふうに思っています。

 ここはちょっと大臣にお伺いしていきたいんですが、こういう地方議会の関与がある国々に対しては、やはり日本の制度というか、いわゆる日本のプレゼンスを上げていくときに、外務省は今、さまざま、ジャパン・センターを設置したりして努力をしているところでありますけれども、こういった地方議会が外交にも多少なり関与をしていく国というものに関しては、ざっくり国に対して日本のイメージをアップしていくという対応だけではやはり足りなくなってくるんじゃないかなというふうに思っています。

 そういう意味では、より丁寧に地方議会にもアプローチをしていく。外交全体の話です、済みません。そういう意味では、その国の制度によって、たてつけによって日本のかかわり方、アプローチというのも変えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 そういった取り組みについてどういった考えをお持ちか、大臣、今あればお願いをいたします。

岸田国務大臣 おっしゃるように、国によりまして制度は異なります。このベルギーのように、条約に関しても独自の制度をとっている国があります。

 こういったことを考えますと、我が国として、外交を進めるに当たって、それぞれの国の特別な制度を念頭に置きながら、その国の地方自治体との関係も考えていく、こういった視点は大変重要なのではないか、このように認識をいたします。

 それぞれの大使館、総領事館、現地、在外公館において、まずは、そういった任国の制度、実態の把握にしっかり努めた上で、必要な、地方自治体等に対してさまざまな働きかけを行う、人脈をつくっていく、情報収集をしていく、こうしたさまざまな働きかけ、取り組みは重要なのではないかと認識をいたします。きめ細かい丁寧な対応が求められると認識をいたします。

小熊委員 ありがとうございます。

 とりわけ、経済交流の拡大という意味では、法整備みたいなものもありながら、やはりイメージといったものも大事であると思います。この日本のイメージをよくしていくという意味では、そういう地方議会の強い国、関与が大きい国というのは、今言われたとおり、より丁寧なことが必要だというふうに思いますし。ある意味、経済活動のアプローチとして、もう大分前になりますけれども、山形の酒田にオランダせんべいというのがあって、これをオーストラリアで売るのは、ランチェスター理論で、一つの州に徹底的に売り込んだら爆発的にオーストラリアで広まったという事例もあるわけであります。

 今大臣言われたとおり、その国のいろいろな制度、状況を見ながら、情報発信、また、いろいろなアプローチをしていくということが、日本と各国との経済活動、アプローチの仕方はいろいろ丁寧にやっていかなければいけないと思いますので、いろいろな視点で、そういった視点でぜひとも今後とも対応していただきたいというふうに思っています。

 次に移ります。

 岡本委員のすばらしい質問、さすが平和の党、公明党だなというふうに思いました。租税の回避行為を抑制していくということでこの租税条約というのが結ばれていくわけでありますけれども、巷間言われているとおり、北朝鮮がマネーロンダリングをしているという問題があります。全体が把握されているわけではありません。

 そういう意味でも、この租税条約というのは非常に重要な条約であって、これは、日本のみならず、世界の国々がしっかりとこういった取り組みをして、不条理な租税回避を抑制していくということは、北朝鮮の資金源を断つことにもなってきますし、今、共謀罪についても審議が始まっていますが、そもそもの、組織的犯罪のマネーロンダリングなども防止していくためには必要であります。

 この北朝鮮問題に関しては、私も岡本委員と同じような観点というか考え方なんです。アメリカとの連携は必要でありますし、また、関係各国とも今連携をしているということは承知をしているところではありますが、岡本委員がおっしゃったとおり、アメリカと連携する部分もありながら、日本の主張、立場というものもやはりあるというふうには思います。アメリカが全て正しいというわけではないというふうに思いますし、残念ながら、今、緊張感が高まっているということをこれ以上高めるわけにもいきませんし、当事国である北朝鮮にも冷静になってほしいし、我々は、平和を、あくまでも目的は紛争を起こさない、あり得ないことを起こさないということが重要であります。

 来日されたペンス副大統領は、力による平和について言及をされていますけれども、力だけが平和をつくるものではないということを改めて確認させていただきたいんですが、大臣、どう答えますか。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、ペンス副大統領は、平和を守る上において力というものが大事だという趣旨の発言をされたということは承知をしております。これは、今、米国が北朝鮮政策の見直しを行いつつあり、米国はあらゆるオプションが俎上に上っているんだという方針のもとに見直しを行っていると承知をしております。こうした見直しの姿勢の一端を表現した発言であると承知をしています。

 ただ、外交を通じて平和を守る、これが基本であるということは間違いないと思っています。あらゆるオプションが俎上に上っているという姿勢は、抑止力という意味においては我が国は評価しています。ただ、外交を通じて平和を守る、これが基本だということも、これはしっかり確認しておかなければなりません。

 その中にあって、米国と日本の政策のすり合わせが重要になってくるということだと認識をいたします。今日までも、さまざまなレベルを通じて日米間で意思疎通を図り、政策のすり合わせを行っていますが、今言った点の重要性をしっかりと認識しながら、引き続きすり合わせを行っていきたいと考えます。

小熊委員 もちろん、今大臣がおっしゃったとおり、圧力に屈するわけにはいきませんし、力によって世界の状況を変えるということも許されざる行為でありますし、北朝鮮のたび重なる挑発行動、ミサイル発射も到底許されるものではありませんが、今大臣がおっしゃった考え、また岡本委員が指摘して述べられた答弁も、それでしっかり守っていっていただきたいと思いますし、報道ベースでありますけれども、その訳が正しいかどうかも確認はしっかりしていませんが、ペンス副大統領は、米国は平和を追求しているが、平和は力によってのみ、力によってのみ初めて達成されるということを言っているのは、これは認めるわけにはいかないというふうに思っています。

 大臣がおっしゃったとおり、これは外交、また、力によってのみ平和が達成されるというのであれば、人間の安全保障、とりわけ世界の中で日本がリーダーシップを発揮して取り組んできたことも否定されることになりかねませんし、そもそも地域の紛争、テロといったものは貧困やそういったものからも発生しているわけでありますから、しっかりと、平和のために何があるか、この地域の安定のために何があるかということは、あらゆる選択肢、アメリカもあらゆる選択肢と言っているんですが、力によってのみ達成されるという考え方には決してくみせずに、まさにあらゆる選択肢の中で、一義的には大臣がおっしゃったとおり外交努力でしっかりやっていくということを基本ラインに、これからも日米間のすり合わせを進めていっていただきたいということを確認させていただいたということで、次に移ります。

 同じく租税の中においては、今、テロ等準備罪になっていますけれども、国際組織犯罪防止条約も、そもそもは国境を飛び越えていくマフィアなどの活動を防止していくということで、またマネーロンダリングなどをできないようにするということでの条約でもありましたし、その実務的なところで租税条約というのが役割を果たしているところでもあります。

 そういった意味では、共謀罪がテロ防止に資するのかどうかということは、これは法務委員会の方で今議論をしているところでありますし、我が党も、テロを防止していかなければならない、根絶をしなければならないということは、これは我々も訴えているところでありますし、とりわけ、この島国の日本においては、国際的なテロの起きた事例もほとんどないという過去の経緯もあります。そういう意味では、日本がやるべきことというのは、水際対策であったり、また、こうしたマネーロンダリング等の資金源になるようなものを絶っていく、根本を絶っていくということが、まさにテロ防止、組織的犯罪の防止につながってくるというふうに考えるところであります。

 政務官にはたびたびこの委員会に来ていただいて議論をしているところでもあり、また、今法務委員会が開催されている中でもこちらの委員会に来ていただいたことをまずは評価いたしたいというふうに思います。

 これは、今言ったとおり、今回この外務委員会にかかっている租税条約も、こうしたテロ防止に資しているわけでありますよ。租税回避ということでありますから。それを使って、テロだって、北朝鮮もマネーロンダリングしているという状況があるわけでありますから。共謀罪もありながらも、やはりテロ防止というもとで、今共謀罪が提出されましたが、そもそも論として、もっと租税回避といったものとか国内におけるそうした対策といったものも必要なんじゃないでしょうか。政務官、御見解を。

井野大臣政務官 小熊委員にお答え申し上げます。

 租税等についてでございますけれども、確かに、今回のテロ等準備罪においては、このTOC条約に入るに当たっての、二百七十七のうちに、そういうテロ資金を防止するというか、そういった目的で対象犯罪に含めております。

 そのほか、租税条約等については、やはり我々の所管外という部分にもかかわってくるものですから、外務省なり財務省とも連携しながら、そういった意思疎通というか、テロ防止に役立つものについては、そういった連携を図りながら、より一層効果的に努めていきたいというふうに思います。

小熊委員 効果的にやるということですが、そういった意味では、御承知のとおり、テロ等の防止のためのさまざまな条約というのは、日本はもう十以上締結をしているわけであります。この共謀罪だけが、共謀罪は、我々は、これが本当のテロの防止、抑止につながるかということは、今、違うんじゃないかという観点からも法務委員会の方でやっていますけれども。今政務官が言ったように、総合的にと言いました、所管外という言葉も出てきたけれども、そもそもテロに関する、かかわる、抑制する、抑止する、根絶を目的としたいろいろな条約というのは、十以上もう既に結んでいるわけであります。

 そういう意味では、共謀罪が全てではないし、我々も、テロの防止、これを根絶していくという目的に関しては何ら疑義を挟むものではありません。目的を達成するために、共謀罪ありきということではないんだということが我々のスタンスでありますし、目的を達成することが重要ではありますけれども、その中でも、とりわけ国民の権利とかそういったものが侵害をされないようにしていくということが重要であるということも、あわせてこれはしっかりと配慮していかなければならないということで我々は臨んでいるわけでありますし、国民的な理解も、残念ながら、この共謀罪については大きな不安を持っているところであります。

 我々は、テロに屈しないという姿勢は、これは世界共通の認識でありますけれども、そういった観点からも、しっかりと今後、テロの防止、対策に向けては取り組んでいかなければならない。そういう意味では、日本が今置かれている状況、この社会的な状況も含め、これはちょっと大臣にお聞きしますけれども、本来的にはもっと水際の問題とか、今言った、国境を越えていく、電子決済もふえていく中での、こうした租税条約を含め、マネーロンダリングをしっかり抑止していく、根本原因を絶っていくということが重要であると思うんです。

 ですから、今回、東京オリンピックをまた枕言葉に政府は説明もしてきていますけれども、本当にテロ防止って何だと。この間も言ったとおり、やっと新しい探知機が、国際空港はいっぱいあるのに、羽田と成田だけに整備されて、本当はこういうことにもっと傾けていかなきゃいけないんじゃないんですか。そういう議論をしっかりしてこそ本当のテロ対策じゃないですかね、共謀罪の前に。大臣、どう思われますか。

岸田国務大臣 我が国が締結しているテロ関連の条約、たしか十三あったと思います。

 こうした条約と比較して、今、国内法の整備をお願いしているTOC条約、国際組織犯罪防止条約、この条約は、重要犯罪について合意罪あるいは参加罪、こうしたものを設ける、そして国際的な連携を強化する、こういった意味で、ほかの条約にない特徴、特色、役割があるとは認識をいたしますが、ただ、おっしゃるように、TOC条約、他の十三の条約、そしてそれ以外の国内の取り組み等も含めて、全体として我が国のテロ対策を充実させていく、こういった考え方は重要であると認識をいたします。

 我が国がこうした国際的なテロへの取り組みの中で抜け穴にならないように、そして、東京オリンピック・パラリンピック、あるいはラグビーワールドカップなど、世界じゅうが注目する大きな行事を前にする中にあって、しっかりとしたテロ対策を全体として準備しておく、こうした姿勢は重要であると認識をいたします。

小熊委員 共謀罪についてはこれからまた法務委員会を主戦場としてやっていきますが、ただ、東京オリンピック・パラリンピックを余り枕言葉としては、私、どうかなと。

 もちろん、それは、世界各国からどおんと一定期間の間に多く来られるわけですけれども、今、国はインバウンドで、福島県はその恩恵は余り受けていませんが、観光立国というのをやっていて、本当にどんどん海外の観光客がふえている中でいえば、オリンピック・パラリンピックも意識しながらも、インバウンド等もあわせて海外の方は来ているんですから、そこにも言及をしていかなきゃいけないと思うんですよ。しっかりそういう配慮をして、テロ対策、実効性の上がるものをしっかりやっていただきたいと思います。

 井野政務官におかれましては、ホームページの問題をやってきましたけれども、過去の資料ではありますが今回提出されていて、今回提出されているホームページのところには、今回の法案の資料としては、私は確認をしていません。

 条約は所管外と言ったけれども、これは外務委員会なんですから、外務委員会というのは、条約が何なのか、事実としては共謀罪か参加罪をどちらかということで、共謀罪のみじゃないんですよ。これは事実としてちゃんと載せてほしい。上書きしてくださいよ。対策をとると言ったんですから、しっかりと見直しをして、具体的に結果を出していただきたい。報告を待っていますので、よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学です。

 質疑をさせていただきたいと思います。

 質問内容は、本件五条約のうちの日・バハマ租税情報交換協定改正議定書について質問させていただいた後に、シリアに対するアメリカの攻撃に関する政府の考え方というものを質疑したいと思います。

 まず、日・バハマですけれども、今回、過度な租税回避行為に対する国際協調的な流れの中で、我が国としても、外務委員会にこのような議定書がかかりまして、審議することになりました。

 まず、一般的な話ですが、世界的な流れとして、そして日本の行動、政府の行動も含めてですが、過度な租税回避行為に対してどのような対応を今まで練り、今後やっていこうとしているのかというのを御説明いただければと思います。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 過度な租税回避行為に対する政府の取り組みでございますけれども、おっしゃるとおり、近時、国境を越える経済取引、資産の移転等が活発化する中にございまして、大企業や資産家による租税回避地等を通じました国際的な脱税及び租税回避行為が行われているということは事実でございまして、これを防止して、公平、適切な課税を確保するという必要性が高まってきているところでございます。

 こうしました中、G20等での議論も受けまして、OECDを中心にBEPSプロジェクトが進められているところでございます。多国籍企業の租税回避を防止するための対策についての報告書もまとめられてございまして、こうした動きに加えまして、海外の金融機関を通じた租税回避、脱税への対処については、二〇一四年にOECDにおきまして、非居住者に係る金融口座情報を各国税務当局間で自動的に交換するための国際基準というものが策定されているところでございます。この国際基準には、いわゆる租税回避地と言われるイギリス領のケイマン諸島でありますとか、バハマ等の国、地域もコミットしてきたところでございます。

 日本におきましても、BEPSプロジェクトの勧告に適切に対応するとともに、先ほど申し述べましたOECDの国際基準を実施するために、まず、平成二十七年度税制改正におきまして、国内金融機関に対しまして、非居住者に係る金融口座情報について国税庁への報告を義務づける制度を導入しているところでございます。

 また、国際基準に基づく自動的情報交換をできるだけ多くの国、地域と行うことができるように、マルチ、バイ双方の枠組みを活用しながら、租税情報交換ネットワークを拡充してきたところでございます。

 引き続きまして、このように各国、地域と協調しつつ、これらの取り組みを通じまして、国際的な脱税や租税回避の防止に適切に対処してまいりたいと考えてございます。

寺田(学)委員 今回このバハマの件の質疑に当たり、多少なりとも過度な租税回避に関してのいろいろな調べ物をしましたけれども、一般的に、例えばタックスヘイブンに対してどのように向き合うかという議論をすると、ともすれば、とにかく税率が低いというところだけに注目がされて、私も前まではそうだったかもしれませんけれども、口座情報等の過度な秘匿性に対する問題意識というところの論点が抜け落ちていたなというふうに思っています。まさしく今回のバハマの件に関しては、税率が低いということに対する着目というよりも、そこに開設される口座情報というものがしっかりと国際的に共有できるということの枠組みが大事だと。

 余談というわけでもないですが、この間、この委員会で「ゴルゴ13」の話題になりました。「ゴルゴ13」といえば、その漫画の中でのたてつけでは、外務大臣がゴルゴ13に依頼をして、恐らく依頼費はスイス銀行に支払われるというのが漫画のお話です。

 私の世代というのもあれですけれども、多くの方は、やはり何かやましいお金に関してはスイスの銀行に預けるというのが秘匿性を保つものだと。今回のたてつけ自身、そのスナイパーという暗殺者に対して外務省が頼むというのもいかがなものかと思いながら、それに対する支払いがスイス銀行という形になっています。

 これはちょっと、きのうのレクの段階で来てくださった方に丁寧に教えていただいた部分もあるんですが、では、このバハマ等のタックスヘイブンと言われる指定された国々の口座の秘匿性というものは問題じゃないかという議論はありながら、片や一方で一般的にはスイスの銀行というものは秘匿性が守られているんじゃないか、この辺のアンバランスがあるんじゃないかということを、きのうちょっとレクの段階で質問させていただいたんですが、このいわゆるタックスヘイブンと言われる国に開設される口座情報と、スイスの口座情報、そこら辺の秘匿性のバランスというのはどのようになっているのか、知っている範囲で参考人の方から御紹介いただければと思います。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 租税回避それから脱税を防止するために情報交換を行っていくということは非常に重要なことでございます。これは委員御指摘のとおりでございます。

 それで、この自動情報交換につきましてでございますけれども、いわゆる金融情報等を含めまして自動に交換をする統一的な基準というのが適用されてございまして、それはスイスについても適用されてございます。

 スイスにつきましては、既に結んでおります税務執行行政共助条約や租税条約を通じて、そうした基準にのっとった自動的な情報交換を行う枠組みはもう既に整備されているというところでございます。

寺田(学)委員 そこら辺は分け隔てなく、スイス銀行、一般的な意味で秘匿性が高いと国民の方々が思われている部分に関しても、しっかりとこの国際的な枠組みというものの中に入って、いわゆる口座情報等が共有され、悪いことには使われない環境が整備されるよう頑張っているというところだと思います。

 今回、バハマに関しては、自動的に情報交換することを趣旨としながらこういう議定書をつくるわけですけれども、今回、自動になることによってどのような変化があるのかということを御紹介いただければと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のバハマとの租税情報交換協定の改正でございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、国際的な脱税、租税回避の防止を図るという観点から、OECDが策定いたしました国際基準、共通報告基準でございますが、これに基づく金融口座の情報交換に必要な自動的な情報交換の条項を現行協定に導入するというものでございます。

 本改正によってどのような変化が起きるかということでございますが、日本、バハマ間において、この国際基準にのっとりました非居住者に係る金融口座情報の自動的交換を行うことが可能になります。

 具体的には、日本、バハマの各金融機関は、二〇一七年以降、相手国に居住地を有する者の金融口座について、その口座保有者の氏名、住所、残高等の口座情報を収集し、それを自国の税務当局に提供いたします。さらに、日本、バハマの各税務当局は、自国の金融機関から報告されました当該口座情報につきまして、二〇一八年度以降、必要な情報を収集した後でございますが、年一回まとめて相互に交換し合うということになります。

 このような、非居住者に係る金融口座情報の自動的交換が着実に実施されるということによりまして、日本、バハマ間、それ以外の国も含めまして、国際的な脱税、租税回避の防止行為に一層資することになるものと考えているところでございます。

寺田(学)委員 よくわかりました。

 賛成いたします。この手の類いの、類いというか、こういう非常に有益な条約、議定書に関しては、委員会としても速やかな審議をし、そして発効ができるだけ早く調うように、委員の一人として努力もしたいというふうに思っています。

 それでは、岸田大臣、シリアに対するアメリカからの攻撃に関する政府の考え方をお伺いしたいと思います。

 質問する前に、自分の考え方というか、今回の整理をしているんですが、これがいいとか悪いとかということを決めつけて言うつもりはありません。起きた行為に対して日本政府がどのように考えているかということを、もちろん外交情報もあると思いますので曖昧なところがあることは十分理解しながらも、なぜそのような考え方に立つのかということを、具体的に国民の皆さんに国会を通してお話をしていただきたいというのが趣旨です。

 日本時間の四月七日にシリア攻撃が行われましたが、その日、総理が会見で発言されたことが、その後も、岸田大臣が引用され、国会の中でも総理、外務大臣が発言されている基調になっています。

 本来であれば資料として配りたかったですが、今読み上げますと、化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を日本政府は支持いたします、その上で、今回の米国の行動はこれ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解しています、そして、東アジアでも大量破壊兵器の脅威が深刻さを増しています、その中で国際秩序の維持と同盟国と世界平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを日本は高く評価しますというものです。

 一つ一つ質問をしていきたいと思うんですが、まず、大前提としてですけれども、今回の化学兵器による攻撃というものはシリアによるものと日本政府は捉えていますか。

岸田国務大臣 シリアにおいて化学兵器による甚大な被害が発生したこと、これは認識をしております。それ以上の事実関係については、これは詳細について国際機関が調査中と承知をし、その結果を待たなければならないと考えています。

 化学兵器禁止機関、OPCW及び国連により委託された共同調査メカニズム、このメカニズム等による調査の結果を待ちたいと考えています。

寺田(学)委員 化学兵器による攻撃がシリアによるものかというものに対して、日本政府の見解は、大まかに分けて、そうだと思っている、そうだとは思っていない、わからない、この三つしかないと思います。わからないということですか。

岸田国務大臣 今回の化学兵器の使用については、今申し上げたように、国際機関の調査を待たなければならないと思っていますが、先ほど申し上げました化学兵器禁止機関、OPCW及び国連によって委託された共同調査メカニズムの調査によりますと、二〇一四年、すなわち、シリアが化学兵器禁止条約を締結してから後だけでも、シリア軍による化学兵器の使用が三件、これは明らかに結論づけられています。

 こうした調査の結果もあり、その上で今回の化学兵器の使用があり、そして、G7あるいは中東諸国の多くの国も今回のこの攻撃を支持し、そして理解を示しているということであります。事実関係については、今言ったような状況にあると考えています。

寺田(学)委員 大臣、今回に限らず、一般質疑でもきっちりやりますので、お答えできるところははっきりお答えになってください。

 もう一回聞きます。

 今、大臣がお話しになられたようなさまざまな要素を含めて、日本政府としてどのように考えているかということを先ほどから聞いているんです。過去のシリアの使用例、またほかの国際機関におけるさまざまな考え方、それを全て政府として集約しながら、政府としてどのように捉えているのかと聞いているんです。

 今回のシリア国内における化学兵器による攻撃は、シリアによるものと考えているんですか。

岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、国際機関による調査中ですので、我が国としてその点について断定的に申し上げることは控えます。

寺田(学)委員 シリアによるものというふうに断定はできない。シリアによるものと考えているというわけでもないんですか。

岸田国務大臣 我が国としてこの事実関係について公の場で申し上げている内容は、先ほど申し上げたとおりであります。国際機関の調査中であり、その結果を待ちたいと考えています。

寺田(学)委員 しつこく聞いていますけれども、大事なことだと思うんです。

 事実関係は、まさしく調査の後じゃないとわからないと思いますし、言い方は変ですけれども、神のみぞ知る部分があるのかもしれません。ただ、さまざまな考え方から集約をして、政府としてどのように捉えているのかというのは、それは政府が決めることですので、聞いているんです。

 もう一回お伺いしますけれども、これはいまだわからないというところで私は質問していますけれども、わからないというような政府の考え方だと私が捉えることは間違っていますか。

岸田国務大臣 我が国としましては、例えば米国等の間においても、首脳会談、外相会談、あるいはG7等の枠組みでさまざまな説明を受け、そして意見交換を行っています。さまざまな情報は得ていますが、正式には、そして公の場においては、これは国際機関の調査中であるからして調査を待ちたいということ以上のことは申し上げられないと考えています。

寺田(学)委員 整理をすると、現在、政府として、国会の場においても、これはシリアによるものだと考えているということもお話しできない、調査中だというところでとどめるという段階において、総理として先ほどの発言があったというふうに進めていきます。

 その上で、もう一度読みますけれども、さまざまな要素が先ほどの総理の発言には含まれています。化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を日本政府は支持すると。決意を支持しているというような文脈になっています。この決意とは何を指すんですか。

岸田国務大臣 シリアにおきましては、先ほど答弁の中でも申し上げましたように、過去、シリアによる使用だと断定されたものも含めてたびたび化学兵器が使用されてきた中にあって、再び化学兵器によって罪のない多くの一般人が犠牲になりました。幼い子供たちまでも犠牲になっている、こうした惨状を目の当たりにして、国際社会全体が大きなショックを受けています。このような行為は極めて非人道的であり、国連の安保理決議にも反するものであります。

 こうした化学兵器の拡散、使用は絶対に許さないという米国の決意、この決意を支持すると申し上げております。

寺田(学)委員 聞き方を変えますが、この決意というものは、いつ示されたものを指してその決意と言われているんでしょうか。

 米国によるシリアに対する攻撃、その後、行動という言い方もしていますけれども、その行動のもととなっている決意を指しているのか。一貫して、アメリカ及び国際社会は、化学兵器の使用を決して許さないというような意思は示しています。ある種それを決意と呼ぶのかどうかは別として。

 この決意、今回日本政府が支持した決意というものは、いつ示された決意のことを述べられているんですか。

岸田国務大臣 いつ、どの時点でその決意が示されたのかということは申し上げるのは難しいですが、米国が示している一連の言動、この言動において示されている決意であると考えます。

寺田(学)委員 言い方を変えます。

 今回の行動のもととなっている、日本時間四月七日の空爆、攻撃をするということのもととなっている決意ではなくて、一貫して今まで流れている決意、考え方を支持している、改めて支持したということで間違いないですか。

岸田国務大臣 今回の言動も含めて、米国の、化学兵器の拡散、使用は許さないという決意を支持すると申し上げております。

寺田(学)委員 今、今回の言動と言われました。言動の中にシリア攻撃が含まれているんですか。

岸田国務大臣 言動に含まれている、示されている決意、その決意の部分を支持すると申し上げております。

寺田(学)委員 すごく細かく、しつこく聞いているんですが。これは、もちろん大臣ですから事の重要性はわかっていると思いますけれども、昔も、ブッシュ大統領のときもいろいろありました、先制攻撃論だ何だといろいろありましたけれども、国連の中で、大量破壊兵器があるかどうかとかさまざまな議論をされながら、いわば荷崩れしながら進んでいった部分もあると思います。

 今回は、ある種、私どもにとってみると、いきなりシリアに対してアメリカ軍が攻撃をした、アメリカが別にシリアから攻撃されているわけでも、どこから攻撃されているわけでもなく、いきなりシリアに対してアメリカ軍は攻撃をした事案なんです。それに対して日本政府はどのような評価をするのかということは、物すごくこれは、今も大事なことですし、トランプ大統領のやることだからとか、国際社会が今連帯しなきゃいけないからというのは、さまざまなことはありながらも、こういうことを一つ一つ丁寧に解釈を、やっつけではなく整理しておかないと、今までの議論というか今までの国際秩序というのは何だったんだということに私はなると思うんです。なので聞いているんです。

 進めますけれども、今回の米国政府の決意を日本政府は支持すると。その決意は、今回の攻撃のもととなる決意も含めた、過去からある、化学兵器は許さないというような決意だということですが、その上で、今回の米国の行動はこれ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解していますと。この一文、二文の中で、化学兵器の使用、拡散は絶対に許さないという米国政府の決意と言いながら、次の文で、その上で今回の米国の行動。米国政府の決意という言葉と、米国政府の行動と分けています。

 質問したいんですけれども、これはなぜ一文目で、化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないという米国政府の行動というふうに書かずに、決意にしたんですか。なぜ、行動自体、そのものに対しての支持はしなかったんでしょうか。

岸田国務大臣 まさに、決意を支持する、行動は理解する、これはしっかりと使い分けているわけであります。

 我が国が支持したのは、化学兵器の拡散、使用は絶対に許さないという決意であります。そして、今回の行動については、これ以上事態の深化を食いとめるための措置であると理解する、このように申し上げております。

 この我が国の考え方は、この表現そのままであります。

寺田(学)委員 今回の米国政府の行動を支持しない理由は何ですか。

岸田国務大臣 我が国は、これ以上事態の深刻化を食いとめるための措置であると、米国の行動を理解しているということであります。そして、決意を支持しています。

 それ以上については、事実関係については、国際機関の調査を待たなければならないと思います。また、法的な評価については米国の説明を待たなければなりません。

 こういった我が国の置かれている立場の中で、決意については少なくとも支持できる、行動については、これ以上事態の深化を食いとめるための措置として理解をしている、こうした我が国の考え方を示した次第であります。

寺田(学)委員 もう少し端的に聞きます。

 今回の米国の行動は支持しますか、しませんか。

岸田国務大臣 我が国が支持をしているのは、先ほど申し上げました決意であります。

寺田(学)委員 なぜ行動は支持されないんでしょうか。

岸田国務大臣 今回の行動が行われた、示された後、こうした行動に対するさまざまな評価、考え方があります。その中で、事実関係について、あるいは法的な評価については先ほど申し上げたとおりであります。

 その中にあって、我が国としては、化学兵器は、拡散、使用を絶対に許してはならない、これは当然のことであり、この決意を支持し、そして、これ以上事態を深刻化させない行動として理解をしている、こうした考えに至った次第であります。

 これを、こうした米国の攻撃が行われた直後、総理から、整理をし、説明をさせていただいた次第であります。

寺田(学)委員 これは更問いを今度の機会でもしますけれども、まず、今回の一文の全部の解釈をお伺いしたいと思って、先に進めます。

 その後に、東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻さを増しています、その中で国際秩序の維持と同盟国と世界平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを日本は高く評価しますと。

 この、トランプ大統領の強いコミットメントとは何を指すんですか。

岸田国務大臣 大量破壊兵器の脅威、これは、化学兵器のみならず、核兵器などさまざまな脅威があります。こうした大量破壊兵器の脅威、これは東アジアにおいても深刻化を増しています。その中にあって、国際的な秩序を維持する、あるいは同盟国を初め世界の平和と安全に対してしっかりと関与する、こうしたトランプ大統領の姿勢、こうしたコミットメントを評価するというふうに申し上げております。

 こうした国際秩序を維持する、あるいは世界の平和と安全を守る、こういったことにおいて米国の関与は重要であるという認識であります。

寺田(学)委員 この米国政府の強いコミットメントの中に、今回の米国の行動、いわゆるシリア攻撃は含まれていますか、含まれていませんか。

岸田国務大臣 コミットメント、米国大統領の、そして米国の、こうした世界の平和と安全にしっかり関与する、こういったことを我が国として評価するということであります。

 こうした全体の米国の姿勢について申し上げております。

寺田(学)委員 質問に答えていません。

 この強いコミットメントの中には、今回のシリア攻撃は含まれているんですか。

岸田国務大臣 米国の関与全体について申し上げております。具体的にどれを指すということではないと考えております。

寺田(学)委員 どれを指すではなくて、今回のシリア攻撃はこの強いコミットメントの中に入っているんですかと聞いているんです。

岸田国務大臣 このコミットメントというのは、米国の基本的な姿勢を示しているものであると考えております。

 こうした、かかわろうということ、関与、こういったものについて我が国としては評価する、このように申し上げております。

寺田(学)委員 その関与の中に今回のシリア攻撃が入っているんですかと聞いているんです。

岸田国務大臣 基本的な姿勢について申し上げています。(寺田(学)委員「関与について答えてください」と呼ぶ)関与のありようについて申し上げております。

寺田(学)委員 次回の一般質疑にその後は譲りますけれども。

 差し出がましいようですけれども、本当に、当選で戻ってきて初めて質問したのは二年前ぐらいです、保守本流そのものが問われている局面だと私は思いますよ。しっかりと外務大臣として、今回の米国の行動に対して日本政府の考え方を国民の皆さんにわかるように、かつ、保守本流の、その背筋に流れるものをしっかりと波打たせながら、国会の中で答弁してくださいよ。

 すごい行動が行われたわけですよ。それに対する日本政府の態度というものをしっかりと示していただきたいということを申し添えて、終わります。

三ッ矢委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 本日の案件に先立ちまして、北朝鮮問題への日本政府の対応について、岸田大臣に伺いたいと思います。

 トランプ米政権は、北朝鮮への対応について、軍事力の行使も選択肢にする立場を表明いたしております。

 昨日、来日したペンス米副大統領は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応について、さきに訪問した韓国で述べたように、アメリカの戦略的忍耐の政策は終わった、全ての選択肢はテーブルの上にあるというふうに述べて、北朝鮮に対して軍事的な動きも排除しない考えを改めて説明をしております。また、米国は平和を追求しているが平和は力によってのみ初めて達成されるというふうにも述べました。

 トランプ政権のこうした軍事的な威嚇について、岸田大臣は是とするんですか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、米国においては、北朝鮮政策の見直しを行っていると承知をしています。そして、その見直しに当たって、全ての選択肢が俎上に上っているというこの方針で見直しを行っていると承知もしております。このことは、安全保障における抑止力という点においては評価できると考えます。

 ただ、我が国として、外交を通じて平和を守る、この姿勢が基本であるということは変わらないと考えます。

 ぜひ、米国とも引き続きしっかりと政策のすり合わせを行いたいと考えます。

笠井委員 抑止力として評価できるというふうに言われましたけれども、ペンス副大統領は、シリアやアフガニスタンでの行動を通じトランプ新大統領の力を見せた、北朝鮮は大統領の決意やこの地域の米軍の力をテスト、試す、テストしない方がよいと、韓国で発言いたしております。そして、我々は通常兵器や核兵器などいかなる攻撃にも圧倒的に対処するという形で、軍事力の行使を公言しているわけであります。

 そういう中で、日本政府が全ての選択肢を評価するという形で支持を表明することは、米国が北朝鮮に対して軍事力を行使するということについて容認、支持するということですか。

岸田国務大臣 日米同盟を強化する上において、あるいは地域の平和と安全を守る上において、抑止力を強化しなければならない、これは重要なことであると考えます。引き続き、日本も抑止力の強化に協力をしていかなければならないと思います。

 その中にあって、外交を通じて平和を守るという姿勢が大事だという我が国の方針はこれからも変わらないと思いますし、米側としっかりすり合わせを行っていきたい、このように考えます。

笠井委員 軍事力についての、行使を行うことを容認、支持するということになるのかということについて、はっきり答えてください。

岸田国務大臣 今申し上げているのは、抑止力を強化することが重要であるということを申し上げております。その中に、その抑止力強化をするためにあらゆるオプションが含まれる、こうした説明が米国からされておられると認識をいたしております。

笠井委員 抑止力を強化すると言うけれども、先ほど副大統領自身の言葉も紹介しましたが、米国は使うと言っているわけです。そういう中で、それについてきっぱりした態度をとれないという問題が、大きな問題だと思うんです。

 実際に、米国が軍事的脅威を強める中で、北朝鮮は先日も弾道ミサイル発射というさらなる軍事的挑発行為も行いました。軍事対軍事の危険なエスカレーションが起こっている現実をしっかり直視すべきだと思うんです。

 今、必要なのは、経済制裁の強化と一体に、北朝鮮との外交交渉に踏み切って、その外交交渉の中で北朝鮮の核・ミサイル開発の手を縛って放棄させる、外交的選択肢こそとる、基本と言うなら、それこそとる、軍事はだめだ、そこをはっきりすべきじゃないんですか。

岸田国務大臣 先ほどから申し上げているように、抑止力の強化は重要であると思います。外交を通じて平和を守ることは基本であると我が国は思っています。そして、北朝鮮に行動を変えさせる上において国際的な連携が重要であるということで、取り組みを続けています。累次の安保理決議の実効性を高めていく努力等を通じて、しっかりと北朝鮮にメッセージを送り、建設的な行動に導くよう国際社会全体として努力を続けなければならない、このように考えます。

笠井委員 外交が基本だと外務大臣として繰り返されるわけですけれども、安倍総理は、今週、四月十七日の衆議院の決算行政監視委員会で、外交努力を通じて平和を守ることが重要であることは言うまでもないと述べながらも、建前を述べるのは結構ですけれども残念ながらそれでは北朝鮮は動いてこなかったのは事実というふうに強調をして、外交努力を通じて平和を守ることを建前だと、総理大臣の答弁として言い放ちました。これは私、驚くべき暴言だと思うんです。

 岸田大臣も、外交努力というのは建前だと。同じ考えなんですか。

岸田国務大臣 今御指摘の総理の発言は、外交努力が建前だという趣旨で申し上げたものではないと私は理解しております。

 外交において、平和を守ることが重要であることは言うまでもない、基本を申し述べた上で、その後、今日まで、例えば米国の政策についても、戦略的忍耐という方針で臨んできた、しかしながら北朝鮮の挑発行動はますますエスカレートしている、米国が今、北朝鮮政策を見直している、こういった具体的な取り組みについて表現されたものであると理解をしております。

笠井委員 私が今、総理大臣の答弁を紹介したように、建前を述べるのは結構ですけれどもとはっきり言われたんですよ。外交努力を通じて平和を守るということが建前だということを言われたわけですから、外務大臣も同じように、総理は建前と言われた、外務大臣も同じかと私は聞いているんです。(発言する者あり)言葉尻じゃないですよ。

岸田国務大臣 たしか、あのとき、私もその場にいたようなことを記憶しておりますが、その前段があったと思います。さまざまな質問が寄せられた上で答弁しているわけですから、こうした答弁を受けて、建前というものでは現実は変わらない、こういったやりとりだったと記憶しております。

 外交によって平和を守ることが重要であるということを建前だと言って否定するような発言ではなかったと理解しています。

笠井委員 私は、明らかに、これは建前だと総理が言われて、びっくりしたんですよ。

 では、外務大臣は、とにかく、外交を通じて解決するという努力というのは建前じゃないと。

岸田国務大臣 それでは、総理の御指摘の答弁についての理解はともかくとして、我が国政府として、外交を通じて平和を守る、これは大変重要な基本姿勢であると認識をしているということは改めて申し上げたいと思います。

笠井委員 私、三月八日の当委員会で質問をさせていただいたときに、今こそ国際社会が一致結束をして経済制裁を厳格に実施して、この圧力を強めることと一体に外交交渉を通じて北朝鮮に非核化を迫って、核・ミサイル開発の手を縛ってその放棄に向かわせる、そういうことが極めて重要になってくる、より重要だということでよろしいんですねと、最近の北朝鮮による核・ミサイル開発という暴挙に対してただしたときに、そういうふうに質問いたしたときに、岸田大臣御自身が、御指摘のとおりだと認識をいたしておりますと。

 今もそれは変わりませんね。

岸田国務大臣 はい。先ほども申し上げましたが、外交を通じて平和を守るという姿勢は重要だと思いますし、国際社会と連携し、北朝鮮に、非核化に向けての建設的な行動など、具体的な行動をとらせるようしっかりと圧力をかけていく、こういったことは重要であると認識をしております。

笠井委員 決算行政監視委員会でのやりとりの中では、建前という発言だけじゃないんです。

 安倍総理は、戦争はもちろんあってはならないというふうに述べられながらも、北朝鮮には軍事的挑発行為をやめろと強く言わなければならないけれども、アメリカにおまえらはやめろと言うことではないと、アメリカに対して。

 つまり、米国に対して軍事力行使を行うなとは言わないということをはっきり公言されましたが、岸田大臣、これは日本政府の立場ということですか。

岸田国務大臣 まず、基本的に、北朝鮮の、累次の安保理決議に反し、国際社会に挑戦的な行動を続けている、こういった行動と、米国を初め関係国が平和を守ろうとしている努力、これを同列に論ずることは、これはいかがなものかと思います。その上において、米国のこうした取り組み、抑止力を強化するという取り組み、これについては、平和と安全を守る上で大変重要な取り組みであると認識をし、我が国として評価をしている次第であります。

笠井委員 同列論を言っているんじゃないんですね。

 先ほど、冒頭にも紹介しましたけれども、ペンス副大統領は、平和は大事だと、平和を守る努力というふうに言うけれども、それは力によってのみ初めて達成される、軍事力でやれるんだとアメリカは言っているわけですよ。それはいいのかという話になってきて、結局、アメリカに対して、北がやるからといってアメリカも軍事力でやっていいのかということについて、アメリカにはやめろとは言わないと総理は言われたと。それが日本政府の立場ですかと、こういうことなんです。

岸田国務大臣 米国については、あらゆるオプションが俎上に上っているという方針で、政策の見直しを行っています。あらゆるオプションが含まれるわけであります。ペンス副大統領の発言も、そうした見直しの趣旨に沿った発言であると認識をしております。そして、そのことは抑止力の強化という点において評価できると我が国は考えています。

笠井委員 アメリカが、抑止力の強化、それは評価すると言われますけれども、そういう形で、結局、いざというときに使うと。米国が先制攻撃などの軍事力行使を実際にそういうことでやったらどうなるかということが大変問題になると思うんです。おびただしい犠牲が出ることは避けられないと。

 一九九四年のことがよく引き合いに出されますが、クリントン政権時代、米政権時代に、米国による北朝鮮への先制攻撃の一歩手前まで行ったことがありました。そして、そのときは、韓国の金泳三大統領がクリントン米大統領に電話をして、戦争は絶対だめだ、そんなことになれば南北で数百万人もの人々が死亡する、もしも米軍が戦争を始めたとしても韓国軍は一人たりとも動かさない、断固反対という談判をやってとめたことを、金泳三氏本人が回顧録で述べております。

 こうして、あのとき先制攻撃を一歩手前でとめて、カーター元米大統領の訪朝ということになって、まさにそういう中で世界は地獄をかいま見たわけですが、そういう経過については、当然、岸田大臣は御承知ということでよろしいですね。

岸田国務大臣 御指摘の点も含めて、過去さまざまな経緯があったことを承知しています。

 ただ、そういった経緯を経た現在において、北朝鮮は、新しい段階の脅威と指摘されるほど、挑発行動をさらにエスカレートしています。この現実に対して、我が国として具体的にどう対応するか、国際社会全体としてどう対応するか、こうしたことをしっかり考えていかなければならないと考えます。

笠井委員 一九九四年だけじゃありません。二〇〇二年、過去さまざまなということを言われましたが、米韓首脳会談で、当時のブッシュ米大統領は、北朝鮮の核施設への外科手術的攻撃をオプションとして考えていると表明したことがありました。これに対して、当時の金大中大統領は、そうなれば北朝鮮を攻撃しなければならない、それは全面戦争に発展するというふうに反論して、戦争だけは避けなければならないことを切々と訴えたことがあります。

 翌二〇〇三年の第二次核危機でも、当時の盧武鉉大統領、韓国の大統領は、ブッシュ大統領に、軍事オプションは絶対にのめないと強く反対をいたしました。米国は、北朝鮮の反撃による韓国などへの被害リスクが大き過ぎて先制攻撃できないと判断したということだと思うんですけれども、そうした経緯ということについて、新たな段階とかと先ほども言われたけれども、しかし、そういう歴史的経緯を無視してよいというふうにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 さまざまな歴史的経緯があるということ、御紹介いただいたことも含めて私も承知をしています。そして、それに対しては、さまざまな評価があるのも承知しています。

 しかし、いずれにしましても、そういった経緯を経て今日に至りました。今日、北朝鮮の核開発、ミサイル、弾道ミサイル開発、こうした挑発行動は一向におさまっておりません。ますますエスカレートしています。昨年一年間に発射された弾道ミサイルの数だけでも、北朝鮮の現在の指導者の前の指導者の時代に発射した弾道ミサイルの数を上回っているということも指摘をされています。

 こういった状況について、今は国際社会として連携しながらどう対応しなければならないか、我が国はしっかり考えていかなければならないと考えます。

笠井委員 大臣に伺いますが、北朝鮮の核・ミサイル開発は新たな段階、エスカレートしたと。エスカレートしたというもとで先制攻撃はやってよい、相手がエスカレートしたので、それに対して米国は先制攻撃をやってよいとお考えでしょうか。

岸田国務大臣 米国は北朝鮮政策の見直しを行っていると承知をしています。そして、全てのオプションが俎上にある、こういった方針で見直しをしていると承知をしております。これについて、抑止力の点から評価していると申し上げておりますが、それ以上につきましては、何か予断を持って申し上げるのは控えなければならないと思っています。

笠井委員 全てのオプションということで言われて、実際に過去に先制攻撃ということに関して米韓でやりとりが何度もあったということでの話なので、それ以上のことについてはというんじゃなくて、私は、エスカレートを相手がしたからといって、それに対して米国が先制攻撃をやってよいというふうにお考えかということについてちゃんと答えてもらいたいんですよ、そこは。それは、いけないと言えるのかどうか、いけないという過去に経過があったじゃないか。

岸田国務大臣 米国は、あらゆるオプションを俎上にのせるといって見直しを行っています。それ以上のことについて、我が国が米国の行動について予断を持って何か申し上げるのは控えなければなりません。

 ただ、米国との間において政策的なすり合わせ、これは綿密にしておかなければならない、こういった問題意識は強く持っています。こうした努力は続けたいと考えます。

笠井委員 先制攻撃などの軍事力行使の選択肢は絶対やってはならないと思うんですよ。これは、こうした先ほどの経験を踏まえても明らかなことで、最近、カーター前国防長官は、アメリカのABCテレビのインタビューで、米国が北朝鮮を先制攻撃すれば北朝鮮は韓国を攻撃するだろう、その戦争は朝鮮戦争以来見たこともない極めて破壊的なものになるだろうと強く警告しております。

 米国が、北朝鮮に対して、シリアで行ったような先制的な軍事行動という選択肢をとった場合、韓国、日本を巻き込んで深刻な武力紛争に発展して、おびただしい犠牲が出ることは避けられないと思うんですけれども、そういうことは避けられないという認識はありますか。

岸田国務大臣 こうした事態、御指摘のような朝鮮半島におけるさまざまな事態については、あらゆる事態を想定して、万全の体制をつくっていかなければならないと考えます。

 ただ、予断を持って具体的な事例について申し上げるのは控えなければならないと考えます。

笠井委員 アメリカがあらゆるオプションと言っている以上、その中に軍事オプションもあって、先制攻撃ということについても寸前まであったということになれば、予断を持ってではなくて、しっかりとそれはだめだよということを言わなきゃいけないんだと思うんですよ。

 本当に国民の命と安全に責任を持つというんだったら、米国に対して軍事的選択肢を絶対とるなということをきっぱり要求すべきだし、国際社会と協調して、北朝鮮への経済制裁を厳格に実施、強化しながら、外交交渉に踏み切って非核化を迫る、北朝鮮の核・ミサイル開発の手を縛って、放棄させる選択肢をとるようにアメリカに対して強く働きかけるべきだ、それが真に国民の命と安全に責任を負うべき政府の務めであって、憲法九条を持つ日本ならではの役割じゃないんですか、大臣。

岸田国務大臣 我が国の基本的な方針は、対話と圧力、行動対行動のもとに、核開発、弾道ミサイル開発、拉致問題、こうした諸懸案を包括的に解決するために努力をしていくというものであります。そのために何が最も効果的なのか、こういったことを不断に検討していかなければならないと存じます。

 そして、あわせて、国際社会の連携が重要であると認識をいたします。安保理決議の履行など、大きな役割を担っている中国などともしっかり連携しながら、米国、韓国の関係国との協力もしっかりと確認しながら、国際的な取り組みも進めていく、これが我が国の基本的な方針であります。ぜひ、この方針に基づいて、北朝鮮にしっかりと働きかけていきたい、このように思います。

笠井委員 米国に対して、軍事的選択肢をとるな、先制攻撃するな、それさえ言えない、私はとんでもないと思います。国際社会のさまざまな努力にもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル開発をとめることができていない事実があるからこそ、従来の延長線上にとどまらない外交的対応と、中国を含む国際社会による制裁の厳格な実施強化という両面での対応を抜本的に強化することで、北朝鮮に非核化を迫ることがいよいよ重要だということを強調しておきたいと思います。

 それでは次に、租税条約に関して質問いたします。

 スロベニア、ベルギー、ラトビア、オーストリアの四つの租税条約は、国際課税分野における日本の大企業優遇税制を国内外で一層拡大強化するものであり、我が党は反対であります。

 そこで、バハマとの租税情報交換協定の改定議定書について質問したいと思います。

 バハマは国際的な租税回避地であり、その対策が求められてきました。今回の改定で、非居住者の金融口座情報が相互の税務当局に自動的に通知されることは、国際的な脱税や租税回避行為の防止対策の一つとして理解をいたしております。

 そこで、確認でありますけれども、今回の議定書によって可能となる自動的情報交換というのは、どういうものでしょうか。

高瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 自動的な情報交換とは、一般的には、非居住者にかかわる税務情報を、租税条約等に基づき、外国の税務当局に対して自動的に提供する仕組みのことでございます。

 OECDは、二〇一四年に、特に金融口座情報の自動的交換に関しまして、国際基準として、共通報告基準というのも策定しております。この基準におきましては、各国税務当局が、自国の金融機関から報告される非居住者にかかわる金融口座の残高情報等を、年一回、自動的に交換するということになっております。

 今般のバハマとの改正議定書では、この共通報告基準に基づく自動的情報交換を可能とする規定を導入することとしておりまして、日本とバハマの間では、これに基づきまして、二〇一八年から自動的な情報交換を行う予定としております。

笠井委員 現行の協定は、非居住者に関する情報について、当該税務当局の照会の要請に応じて情報を提供するものであったと思うんですけれども、今回の改定によって、一年に一回、日本とバハマの間で、税務当局の非居住者情報を、要請のあるなしにかかわらず自動的に情報交換を行うようになる、そういうことでよろしいんでしょうか。

高瀬政府参考人 はい。委員御指摘のとおりでございまして、この改正議定書の発効によりまして、両国の税務当局は、それぞれ、自国の金融機関から非居住者の口座情報の報告を受けまして、これを相手国の税務当局に対しまして、年一回、取りまとめて提出するということになります。

笠井委員 最後に大臣に伺いたいんですが、自動的情報交換を行う際の非居住者情報の取り扱いはどうなるのか、入手した情報を他者に開示することがあるのかどうか、その点、そして、全体としてのこの改定議定書についての意義も含めて答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 日・バハマ租税情報交換協定を見ますと、第八条において、協定に基づき一方の締約国が受領した情報については秘密として取り扱うものとされています。原則として、租税賦課等の目的のためにのみ使用されることが許される、こういった規定になっていると認識をしております。

 したがって、交換された情報については、個人情報保護の観点から、厳格な取り扱いが行われるものであると認識をしております。

 そして、こうした協定の意義でありますが、協定を行うことによって、租税回避等の行動に対してしっかりとした目が注がれることになるわけでありますし、両国の金融制度等に対する信頼性を高めるということにもなるんだと考えます。両国間の信頼関係の醸成という意味において、重要な協定であると認識をしております。

笠井委員 終わります。

三ッ矢委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは租税条約の審議ということであります。租税条約の質問も用意しておりますが、その質問に入る前に幾つか、北朝鮮を含めて、大臣にも御質問をしてまいりたいと思います。

 まず、ちょっと関係ありませんが、きょう、朝日新聞に何かわけのわからぬ記事が出ていまして、大体、朝日新聞というのはだめですね、これ。何がだめかというと、事実じゃないこともあるし、それからレッテル張りが激しいというか、政治というのはこんなに単純に動いているものじゃないので、非常に物事を単純化する朝日新聞の悪意のある報道については、しっかりこれは、しっかりって、国会と関係ありませんが、また別の場で対応していきたい、こう思っています。

 さて、先ほど共産党の笠井委員がいろいろ大臣あるいは安倍総理の発言について、私に言わせれば、言葉尻を捉えて、民進党もびっくりのレッテル張りをされていました。

 いや、国会というのは政府にしか質問できないので仕方ないんですけれども、外務委員会でもぜひ機会があれば自由討議を、あるいは大臣にも反問権を持っていただいて。

 私が大臣であれば笠井委員に申し上げたいのは、申し上げる立場にありませんが、あえて申し上げれば、共産党がそういうことをおっしゃるのであれば、では、共産党は、まさに外務大臣がおっしゃった意味で、北朝鮮の核保有、弾道ミサイル、これを認めるんですかと。今、北朝鮮は、大臣がおっしゃったように、弾道ミサイル、そして核兵器の開発、これをエスカレートさせていますよ。

三ッ矢委員長 足立君に申し上げますが、答弁者に対する質問に集中していただきたいと思います。

足立委員 わかりました。

 では、同じ問いをちょっと大臣にもあえて伺っておきたいんですが、私は、政府が、米国政府のシリア攻撃も含めて、その決意を支持されていることについて、私も支持をします、それは。政府の立場を、政府のポジションを私も強く支持します。少なくとも足元ではね。大臣は抑止力とおっしゃる。足元では、そういう日本政府の支持を、支持表明を支持します。

 ただ、今後、この北朝鮮にどう向き合っていくかということを考えたときに、先ほど笠井委員の質疑をとりたてて、わかりやすいので申し上げましたが、これは結局、笠井委員がおっしゃった意味での、日本国がまさにおびただしい犠牲を払うリスク、これに向き合うのか、あるいは、笠井委員はそれは嫌だとおっしゃっているわけです、おっしゃっているように私には聞こえましたが、では、北朝鮮の核保有を認めていくのか。究極の選択をいずれ世界は、日本は、迫られるときが来ると私は思っているわけですね。

 そこで、岸田大臣にお伺いするのは、日本国は北朝鮮の核保有を認める、将来的に認める、そういう選択肢を持っているのか持っていないのか、御答弁をお願いします。

岸田国務大臣 朝鮮半島の平和と安定を確保するためには、朝鮮半島の非核化を実現することは不可欠であると認識をしています。北朝鮮による核保有は断じて容認することはできません。

 この点については、中国、ロシア、米国、韓国を含む六者会合のメンバーにおいても、六者会合共同声明において、平和的な方法による朝鮮半島の検証可能な非核化、これを目標としてしっかり明記をし、確認をしているところです。この六者会合の共同声明、関係国が確認した目標、これはこれからも守っていかなければならないと思います。

 そして、その目標を守るために、現実的に、具体的には、北朝鮮の核開発等を阻止するために安保理決議の履行を厳格に行っていかなければならない、北朝鮮の外貨収入をしっかりと減少させなければならない、こういった取り組みを国際社会とともに行っています。

 ぜひ我が国も、引き続き、対話と圧力、行動対行動の原則のもとに、関係国とも連携しながら、この非核化に向けて努力を続けていきたいと考えます。

足立委員 これまでのポジションはそれでいいと思いますよ。これまでのポジションはそういうことだと理解しています。

 しかし、そういう六者で共有している目標、これは今はもう失敗しつつあるんですね。それはまだ努力しているんだということでありますが。もう既にアメリカがあらゆる選択肢を排除せずに北朝鮮政策の見直しをしているということは、すなわち、これまでの目標はもうついえたわけでありまして、私は、非核化の、先ほど大臣が御答弁された言いぶりは既にそれは過去のもので、私が大臣に伺っているのは近い将来のことです。

 近い将来も、あるいは将来にわたって、日本国は北朝鮮の核保有を認める、そういう選択肢を持たないということでいいんですか。

岸田国務大臣 私は、これから将来に向けても、朝鮮半島の平和と安定のためには、朝鮮半島の検証可能な非核化、この目標はしっかり掲げ続けていかなければならないと考えます。そのために、我が国としてもしっかり貢献をしていきたいと考えます。

足立委員 大臣はお立場があられますから、それ以上難しいと思いますが、我が党と言っていいかどうかわかりませんが、少なくとも私の認識は、既にある種の、要すれば、武力攻撃でもってしか北朝鮮の核保有に歯どめをかける方法がない状態にもう入っている、あるいは入りつつある、あるいは入っているのではないかと思っているわけでありまして、もし私の認識がいずれ実現すれば、あるいは既にもう実現しているかもしれません、そのときには、世界は、そして日本は、アメリカは、ソウルや日本が被弾をする、そういう覚悟を持つのか、北朝鮮の核保有を認めるのかという究極の選択に迫られる。

 きょう、あした迫られるかもしれません。二十五日に迫られるかもしれません。私は、そういう局面に今あるのではないか、こう思っていますが、大臣、私の認識はそれは違うということでしょうか。

岸田国務大臣 さまざまな考え方はあると思います。そうした見方について議論は当然あっていいと思いますが、ただ、政府の立場、私の立場から申し上げるならば、北朝鮮の核保有、これは断じて容認することはできないということであります。朝鮮半島の非核化、これはこれからも守っていかなければいけない目標であると考えます。

足立委員 次の問いで、実は私は、私の先ほどの勝手な認識に基づけば、これは日本の究極の選択になるわけでありまして、日本国民の生命と財産をとにかく守るんだということを最優先すれば、北朝鮮の核保有を認めざるを得ない、NPT体制の変更を世界が容認せざるを得ないという局面が、いや、私がそれを支持しているというよりは、論理的にはそういうことが選択肢に入ってくるんじゃないですか、こう申し上げています。

 次の問い、通告していたのは、そうであれば、北朝鮮を含むNPT体制の抜本的な見直しが必要になってくるので、その際には、日本国も、例えばニュークリアシェアリングとか、日本国が核を持つとかつくるとかいうことに先立って、まず、持ち込まないというこれまでの核兵器に関する日本国の政策について、一定の検討、見直しの検討が論理的には必要になるんじゃないかという御質問を用意していましたが、これはもう今、先ほどの御答弁で私の問いはナンセンスになっていますので割愛をしますが、今申し上げたような議論がいずれ出てくるということを指摘しておきたいと思います。

 最後に、条約の話に入る前に、Jアラートですね。

 Jアラートは、実際に弾道ミサイルが発射されてからJアラートが鳴るまで、どれぐらいの時間を要すると考えておけばいいですか。過去の事例に即して端的にお答えください。

横田政府参考人 過去、Jアラートを使用した例といたしまして、平成二十八年二月七日の、人工衛星と称する弾道ミサイルが発射された事例がございますが、このときは、九時三十分に発射がされまして、Jアラートで発射情報を発信しましたのが九時三十四分ごろということでございます。

足立委員 北朝鮮の弾道ミサイルが日本の領土、領海に着弾をする、日本の領土、領海も広いですから、その中で最も早いケースで何分ぐらいが想定されますか。発射されてから着弾をするまでの一番短い想定時間。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 一番近いという御質問でございますが、発射する場所でありますとかミサイルの種類でありますとかそれによって異なってまいりますので、一概には、済みません、お答え申し上げられませんが、先ほどの沖縄の例でいきますと、沖縄県の先島諸島上空を通過したのが九時四十一分ごろということになっております。

足立委員 沖縄ですから、十一分かかっているということですが、事前に伺っているのは、七分から十分ぐらい、こう聞いています。

 だから、七分であれば、発射してから四分たってJアラートが鳴ります、さっきの例でいえばですよ。そして、三分後に着弾するケースが想定できると、私は勝手に幾つかの断片的な情報で理解をしています。ぜひ国民の皆様は、Jアラートが鳴ったらほぼ近づいてきているんだということを御理解いただいて、屋内避難、できれば地下に避難、これを心がけていただきたいと思います。

 もう時間が来ましたが、租税条約については、私が用意していた質問については、さきの委員の皆様の御答弁で大体済みましたので、時間も来ましたので割愛させていただいて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ矢委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 日・スロベニア、日・ベルギー、日・ラトビア、日・オーストリア租税条約、そして日・バハマ租税情報交換協定改正議定書、各十五号から十九号について、総括の上で質問をさせていただきます。

 まず、租税条約の意義についてですが、この租税条約の意義については、国境を越えた経済活動によって生じる二重課税を排除するためには、あらかじめ租税条約において、一方の締約国の居住者、個人、法人等が他方の締約国で所得を得た場合の課税方法を規定し、居住地国と源泉地国の課税権を調整しておく必要がある。この課税権について、OECDモデル条約に準拠した租税条約では、居住地国には広範に認める一方、源泉地国に対しては限定的に認めるものというふうになっています。

 この、居住地国には広範に認め源泉地国に対しては限定的に認めるという、その理由と意義について説明を求めたいと思います。大臣、お願いいたします。

岸田国務大臣 委員御指摘のように、OECDモデルに準拠した租税条約については、源泉地国による課税権を制限し、そして居住地国で課税を行う、これを原則としています。

 この理由ですが、二重課税を除去する方法として、源泉地国による課税を認めた上で居住地国で二重課税を除去するという方法よりも、源泉地国による課税権を制限して居住地国で課税を行うということによって二重課税の発生を防ぐ方法の方が、投資、経済交流の促進の観点から、より有効であり、かつ適切な手段である、こうしたことが理由になっていると認識をしています。

 このような考え方に基づいて、例えば配当、利子、使用料といった投資所得に対する源泉地国での課税が制限または免除され、投資、経済活動に関する二重課税のリスクが低減され、そして両国間の投資、経済交流がさらに促進される、こういったことが期待されるものであると認識をいたします。

玉城委員 原則的なことではありますけれども、やはり投資の積極的な参加、そして、お互いの二国間の積極的な経済交流が行われるということがこの条約の最も意義ということで、今大臣に確認をさせていただいた次第ですが、それぞれの条約においては、恒久的施設に帰属する事業利得に対する課税について、本店、支店間の内部取引に関して独立企業原則を厳格適用し、本支店間の内部取引を網羅的に認識して恒久的施設に帰属する利益を計算するOECD承認アプローチ、AOAを導入する場合があります。

 この間も各委員からその点に関しては質問が出ておりますが、このAOAを導入することによるメリットとは何か、お示しください。

岸田国務大臣 一般に租税条約においては、企業等の事業利得について、進出先の国、すなわち源泉地国ですが、源泉地国は相手国企業に対して支店、工場等の恒久的施設がなければ課税することができないとするとともに、その課税対象を恒久的施設に帰属する利得のみに制限をしております。

 御指摘のOECD承認アプローチですが、これは独立企業原則に基づいて、例えば本支店間で内部取引を行った場合であっても、本店と支店は独立した企業同士であるとみなして、利子や使用料として支店に帰属する所得に反映させる、こういったことを行うものであると承知をしています。

 このアプローチによって、恒久的施設に帰属する利得の算定方法をより明確化することができるために、二重課税あるいは二重非課税のリスクをより小さくすることができる、こうしたメリットがあると承知をしております。

玉城委員 さて、今回は、日・スロベニア第十五号、日・ベルギー第十六号、この条約二つではAOAを導入し、日・ラトビア十七号、日・オーストリア十八号については導入しないとなっていますね。その理由について御説明をお願いしたいと思います。

宮川政府参考人 租税条約の具体的な規定内容につきましては、それぞれの相手国との交渉の中で合意してきております。

 ラトビアとオーストリアとの租税条約におきましては、事業利得の算定に係るラトビア及びオーストリア国内での議論が完了していない等の事情がございまして、交渉の結果、御指摘のAOAアプローチを導入しないこととなりました。

 他方、できるだけ早期にAOAを全面的にこの二カ国についても適用することを確保したいと考えておりまして、今後、ラトビア及びオーストリアにおきまして事業利得に関した新たな規定が可能になった場合を見据えまして、日本とこの両国とが外交上の公文の交換によって合意する日にちにおいて条約本文の事業利得に関する規定を改めるということを定めた規定を議定書に設けさせていただいております。

玉城委員 ありがとうございます。

 さて、多国籍企業が低税率国や地域に利益移転を行い、先ほど大臣の答弁にもありましたとおり、例えば課税逃れをするBEPS、税源侵食と利益移転について、OECDではBEPS行動計画を提案し、累次のG20首脳会議あるいは財務大臣会合等で報告されてきました。二〇一六年十一月、このBEPSの最終報告書における租税条約関連措置を実施するための多国間協定がOECDにより発表され、本二〇一七年六月には協定署名が行われる予定となっていると思料いたします。

 実は、私も少し、貿易・投資円滑化ビジネス協議会というメンバーがおりまして、百二十七の貿易関連の産業団体から構成され、一九九七年四月に設立されている協議機関で、この貿易・投資円滑化ビジネス協議会からも累次の提言が政府あるいは省庁の方になされているというふうに認識しております。

 本協定署名、いわゆるBEPS協定署名による本邦の民間企業におけるメリットとはどういう点でしょうか。

小泉政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員今御指摘のとおりでございまして、BEPSの最終報告書、二〇一五年の十月に公表されました。そこには、BEPSの対抗措置ということで、租税条約に関する措置といたしまして、租税条約の濫用等を通じた租税回避行為の防止に関する措置、また、二重課税の排除など納税者にとっての不確実性を排除するための措置がございます。

 多数カ国間条約でございますが、こうした措置を効率的に二国間の租税条約に反映させていくということを目的といたしまして昨年十一月に採択、昨年の暮れのうちに実は署名のために回付をされておりますが、これも、御指摘のとおり、今年の六月に署名式が行われる、そういう運びになってございます。

 我が国といたしまして、この条約にまず署名をし、発効しなければ実は具体的な効果になりませんが、署名をし、発効をさせるということによりましてBEPSの対抗の措置の内容がより効率的に二国間の租税条約に反映をされていく、それを通じまして、本邦の民間企業にとりましても、租税条約に関連する例えば紛争解決のための相互の協議手続の実効性が高まる、あるいは課税の不確実性を排除し予見の可能性を高める、こういったメリットがあるというふうに考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 先ほど紹介いたしました貿易・投資円滑化ビジネス協議会から幾つかの提言がなされていまして、税制度の問題と国際的に合意された税制度への我が国を含む対応の問題というところに、改善要望として、我が国民間企業に対し過度の事務負担や情報開示等による課税リスクと手続コストを増大させないよう十分な配慮を要望するという項目、もしくは、租税条約の新規締結及び、既存条約がある場合でも相互協議規定、事前確認制度規定、仲裁規定を含む高水準の条約へ改定することを要望するなどという項目がやはり織り込まれています。

 大臣にお伺いしたいんですが、この課税リスクと手続コストへの十分な配慮を求める意見等々についての見解をお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のような御意見について配慮するということ、これは、そういった観点も重要であると認識をいたします。

 ただ、まずは、国際的な課税逃れに対してこのBEPS最終報告書の内容を着実に実施していくことが重要であり、現在、各国において、BEPS最終報告書の内容を実施するための国内法等の整備が行われているところです。

 我が国としましても、課税逃れは許さないという基本的な考え方、これをまず中心に持たなければならないと思いますが、他方、過度の事務負担等を避けるべきであるという点、御指摘のような経済界等からの意見、こういったものもしっかり踏まえながら、我が国及び各国国内法等の整備がBEPS最終報告書の内容に沿ってしかるべく行われるよう、しっかりと取り組んでいかなければならない、このように考えます。

玉城委員 条約については以上で質問を終わります。

 続いて、米軍による流弾事件について防衛省にお伺いしたいと思います。

 恩納村安富祖集落に近い米軍キャンプ・ハンセン内で、十三日、恩納村が発注するダム工事に従事する日本人作業員の車両や、六日にはその近くの水タンクなどが銃弾らしきものによって破損したというケースが見つかっています。恩納村長浜村長と安富祖区の宮里区長らが十七日、沖縄防衛局と米軍キャンプ瑞慶覧を訪れて、一歩間違えば人命にかかわる重大な事故であるとの認識で抗議し、原因の究明と再発防止を求めています。

 まず、事件の経緯について説明を求めたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案でございますが、四月十四日の金曜日に沖縄防衛局が沖縄県恩納村から以下の情報を受けまして、事態が発覚いたしました。

 四月六日木曜日にキャンプ・ハンセン内で工事業者が工事車両に積み込もうとした水タンクに銃弾らしきものが突き刺さっているのを発見した、また、四月十三日の木曜日に工事業者が駐車場の車両に傷がついているのを発見し、車両付近を見回したところ、約六メートル離れた場所に銃弾らしきものが落ちていた、両日ともけが人はいない、現場からの連絡を受けた米軍の担当者が現場に来て銃弾らしきものを確認し持ち帰った、以上の連絡を、十四日、沖縄防衛局が恩納村から受けたところでございます。

 これを受けまして、沖縄防衛局は、在沖縄米海兵隊に対し、事実関係を照会するとともに、関係自治体に対して情報提供を行い、また沖縄防衛局の職員を現地に派遣いたしまして現場確認を行ったところでございます。

 これまでのところ、米側からは、現在、キャンプ・ハンセン内においてこの事案と関係する可能性のある射撃場の使用を中止し、事実関係を調査中であるとの回答を得ているところでございます。

 現時点において米軍の射撃訓練によるものと特定されているわけではございませんけれども、このような事態の発生は人命にかかわり得る問題として深刻に捉えておりまして、沖縄防衛局長から在沖縄米海兵隊基地司令官に対して強く抗議するとともに、本件に係る原因究明と再発防止策を申し入れたところです。

 いずれにしても、防衛省といたしましては、米側に早急な事実関係の究明を求めておりまして、詳細な情報が得られ次第、速やかに関係自治体に対して御説明してまいりたいと考えているところでございます。

玉城委員 時間の関係で一つ質問を飛ばして、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、この流弾現場はキャンプ・ハンセンの国道五十八号線側のゲートの近くであります。それから、このゲートは、安富祖公民館など安富祖集落からは四百メートル、国道五十八号線からは八百メートルという、非常に近い距離にあります。狭隘なこのような場所における実弾演習の移転についての見解について、この間も、一九七二年の復帰以降、この流弾事故、被弾事故、そして原因究明と抗議が繰り返されてきております。復帰以降でも二十七件発生しています。

 六日と十三日、週をまたいで同じ曜日にこの被弾事故が起こったということは、米軍はこの演習をする際に、どのような部隊がどのような目的を持ってどういう訓練をするかということがルーチンとなって決まっております、ですから、こういう事故が後を絶たないのは、そのルーチンを米軍は部隊の運用上繰り返しているにすぎないということは明らかなんですね。ですから、改善されている気配が全くないというのがこの間の被弾、流弾事件の真相ではないかと思います。

 狭隘な場所における実弾演習場を一刻も早く、速やかに移転させることについての防衛省の見解を最後にお伺いしたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 在沖米軍が部隊の練度を維持するため、実弾射撃を含む訓練をキャンプ・ハンセン等の沖縄県内の演習場において実施することは必要であると考えておりますが、訓練の実施に当たっては、周辺の安全を確保することは当然でございます。

 防衛省としては、米側に対しまして、このような事件が起きることのないように安全確保に万全を期すように引き続き強く求めてまいりたいと考えているところでございます。

玉城委員 質問を終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

三ッ矢委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 ただいま議題となっております各件中、まず、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスロベニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とラトビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の四件について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、日・スロベニア租税条約、日・ベルギー租税条約、日・ラトビア租税条約及び日・オーストリア租税条約の四つの条約に反対の立場からの討論を行います。

 これら四つの租税条約は、投資所得課税に係る源泉徴収税率を減税ないし免税を含めて措置するためのものであります。これは、日本の大企業とその海外子会社が、当該国内の外資優遇税制のメリットを十二分に受けつつ、その上、租税条約により投資に対する源泉地国課税が劇的に軽くされるなど、税制優遇措置を二重、三重に享受することを可能とするものであります。

 日本経団連はかねてより、租税条約について、国際的な二重課税の排除を行うことは我が国企業の海外における安心かつ確実な事業展開に欠かせない、投資所得に係る源泉地国課税を軽減することは海外からの資金還流及び国内における再投資という好循環の実現に資するなどと、投資に係る税コスト低下を要求しています。

 我が党は、海外進出した多国籍企業が源泉地国においてもうけに応じた税負担をすべきとの立場から、租税条約の大企業優遇税制に反対してきましたが、今回の四条約は、まさに国際課税分野における日本の大企業優遇税制を国内外でさらに拡大強化するものにほかなりません。

 以上を表明し、四租税条約に対する反対討論とします。

三ッ矢委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 これより採決に入ります。

 まず、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスロベニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とベルギー王国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とラトビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、脱税の防止のための情報の交換及び個人の所得についての課税権の配分に関する日本国政府とバハマ国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について議事を進めます。

 これより本件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ矢委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ矢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ矢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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