衆議院

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第2号 平成30年3月9日(金曜日)

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平成三十年三月九日(金曜日)

    午前九時十四分開議

 出席委員

   委員長 中山 泰秀君

   理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 鈴木 貴子君

   理事 山口  壯君 理事 遠山 清彦君

      小渕 優子君    黄川田仁志君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    関  芳弘君

      津島  淳君    辻  清人君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      藤井比早之君    堀井  学君

      三浦  靖君    山田 賢司君

      佐藤 英道君    丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        中根 一幸君

   外務副大臣        佐藤 正久君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   外務大臣政務官      堀井  巌君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 増島  稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           岡田 健一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   吉田 朋之君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            岡   浩君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     飯田 陽一君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     瓦林 康人君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            奥島 高弘君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            三島 茂徳君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     藤井比早之君

  杉田 水脈君     三浦  靖君

  渡海紀三朗君     関  芳弘君

  山田 賢司君     津島  淳君

  岡本 三成君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     渡海紀三朗君

  津島  淳君     山田 賢司君

  藤井比早之君     熊田 裕通君

  三浦  靖君     杉田 水脈君

  佐藤 英道君     岡本 三成君

    ―――――――――――――

三月九日

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房審議官飯田圭哉君、大臣官房審議官増島稔君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官岡田健一君、大臣官房参事官長岡寛介君、大臣官房参事官志水史雄君、大臣官房参事官鯰博行君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長吉田朋之君、中東アフリカ局長岡浩君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長飯田陽一君、観光庁審議官瓦林康人君、海上保安庁警備救難部長奥島高弘君、防衛省統合幕僚監部総括官鈴木敦夫君及び防衛装備庁技術戦略部長三島茂徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小田原潔君。

小田原委員 自由民主党の小田原潔であります。

 河野外務大臣の所信に関連し、質問をさせていただきます。本日は、この機会を頂戴し、ありがとうございます。

 まず、河野大臣の所信冒頭に、北朝鮮に関する御発言がありました。我が国にとって現在最も重要であり、喫緊の課題であるというのは私も同感であります。北朝鮮に対して毅然とした対応をするというふうにおっしゃっていただきました。

 しかしながら、我々が、また国際社会が期待している北朝鮮の態度の変化、これは、核の放棄と、特に我が国にとっては拉致被害者の救出でありますが、そういった変化が見られるようには見受けられません。

 また、オリンピックを契機に多少の行動に変化があったような報道はあるものの、冷静に考えてみれば、三十年間一貫して核保有に固執してきた、またICBMの開発の中断など、突然変わるともなかなか思えないところがございます。

 本当に制裁の効果が上がり、期待した変化があるというふうに分析をされているのか、大臣の所見を頂戴したいと思います。

河野国務大臣 昨年の八月、九月、十二月に国連の安保理で、中国、ロシアの賛成も得て、北朝鮮に対する経済制裁がかつてないほど強化されてきております。

 北朝鮮が貿易で得る外貨収入はほぼなくなってきているという現実がございますし、二〇一七年の中国と朝鮮の貿易の総額が前年比で一五%減少し、中国による北朝鮮からの輸入額は前年比で四割近く減少しております。

 また、韓国政府の発表によれば、北朝鮮のガソリン価格が、二〇一七年十二月時点で、二〇一七年の初頭と比べ二倍から三倍値段が高くなっているという韓国政府の発表もございます。

 そして、何よりも、オリンピックに関連をした北朝鮮のほほ笑み外交、これは北朝鮮に対する経済制裁が効果をあらわしている紛れもない証拠だというふうに思っております。

 北朝鮮が今さまざま南北対話を通じて言ってきておりますが、まだ確固たる行動に移しているものはございません。北朝鮮が核、ミサイルを放棄し拉致問題を解決する、明確にその方向に向けて確固たる行動に出るまで、国際社会としてしっかりとこの経済制裁、圧力を最大化、続けてまいりたいと思っております。

小田原委員 ありがとうございます。

 過去三十年間、対話に応ずるふりをされて対価だけ取られたという苦い経験があることを踏まえて、引き続きお願いをしたいと思います。

 大臣の所信、次にうたわれていたのが、積極的平和主義の旗のもと取組を強化されるということでありました。

 そこで質問でありますが、昨年の五月に、南スーダンでの国連のPKO、自衛隊の任務は無事に終わりました。しかしながら、まだまだ、我々立法府として、懸念は残っていると考えます。

 特に、駆けつけ警護ができるように法整備がされた後、仮に在外において自衛官が武器使用に至った場合、憲法九条二項の定めがある限り、前線で引き金を引いた隊員が外国で殺人罪に問われる、そういったことを完全に守り切れるのか。陸海空軍その他の戦力を保持しないということでありますから、自衛隊は軍ではない、軍でなければ軍法もない、そうすると、今申し上げた懸念というのは本当に払拭されている法的環境下にあるのか。

 また、軍でない以上、仮に海外で隊員が拘束された場合、ジュネーブ条約上の捕虜としての扱いが受けられないという懸念も残ると思います。捕虜という定義がジュネーブ条約にはありますが、自衛官や自衛隊というのはその分類のうちのどれに当てはまる、だから捕虜として扱われるという、確固たる根拠があるのか、お聞きしたいと思います。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国連PKOに派遣される自衛隊員の裁判管轄権でございますが、個別のPKOミッションにおきましては、国連と接受国政府の間で締結されます地位協定の規定によることとなっております。通常は、接受国の刑事裁判権は免除され、本国の専属的裁判権に服することというふうになっております。

 したがいまして、通常、PKOミッションにおける公務中の行為について我が国自衛隊員が接受国の国内法によって処罰されることはない、そういうふうに理解をしております。

 続きまして、ジュネーブ諸条約の捕虜との関係でございますが、ジュネーブ諸条約上における捕虜というものは、紛争当事国の軍隊の構成員で敵の権力内に陥ったもの、そういうことをいうというふうにされております。

 したがいまして、国際平和協力法に基づいて国連PKOの活動に参加する我が国は紛争当事国となるわけではございませんので、そうした場合に自衛隊員がジュネーブ諸条約上の捕虜というふうなことになることはない、そういうことでございます。

 以上でございます。

小田原委員 くれぐれも、将来、自衛隊員がその活動の結果、国際法上むごい目に遭わないよう留意をしていただきたいというふうに思います。

 次に、所信で表明されたものの中に、東シナ海の一方的な現状変更の試みは断じて認められない、こういう表明をしていただきました。大変心強いわけではありますが、現在、東シナ海での一方的につくられた構造物、先日までは十六基という認識だったと思いますが、現状どうであるか。

 また、万が一、海底掘削目的とおぼしきパイプ等に対潜水艦の感知センサーなどを取り付けられた場合に、我が国の安全保障上問題があると考えますし、自衛隊員の安全にも大きな懸念が残ると思います。調査、情報収集はできているのか、教えてください。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 東シナ海におきまして、日中の地理的中間線の中国側で、これまで、委員御指摘のように、計十六基の構造物を確認しているところでございます。

 現状、この十六基のほかに何かあるかということについては、固定されたプラットホーム、構造物というものが新たにつくられたというふうには認識しておりません。ただし、移動式の掘削船がこの地域に二隻あるというふうに把握しているところでございます。

 累次の申入れにもかかわらず、中国が、東シナ海における日中間の境界がいまだ画定していない状況において、一方的な資源開発を進めていることは、極めて遺憾であります。これまでも、中国側の関連の動向を把握するたびに、中国側に対して、一方的な開発行為やその既成事実化の試みを中止するよう強く求めてきており、今後も求めていきたいと考えております。

 また、御指摘の点でございますけれども、一部のもの、プラットホームにレーダー等がつけられているということは承知、認識しております。他方におきまして、中国側の意図というのを私どもとして確定的に申し上げる状況にはございませんが、引き続き監視を継続していきたいというふうに思っております。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今、ここで御議論ありましたような、こうした情勢を踏まえまして、防衛省・自衛隊といたしましても、警戒監視活動を通じまして、中国が建設した海洋プラットホームの動向を平素から注視して、その情報の収集に努めているところでございます。

 引き続き、我が国周辺海域における警戒監視に万全を期して、一方的な資源開発を進める中国の動向について、引き続き関心を持って情報収集し、関係省庁と連携して毅然と対応してまいりたいというふうに考えてございます。

小田原委員 幾ら中間線の中国側とはいえ、レーダーをつけられているということを認識している以上、その意図がわからないということ、揚げ足をとるつもりはありませんが、魚影を探知するためのレーダーとは到底思えません、緊張感を持って対処し続けていただきたいと思います。

 次に、北方四島における共同経済活動について言及をいただきました。現在、五項目優先ということで話が進んでいると認識しておりますが、進捗状況を教えていただきたい。

 また、この合意は平和条約の締結に向けた重要な一歩という認識で一致しているということでありますし、特別な制度の検討作業の着手というのが大きなポイントだと思います。この経済活動がつつがなく進んだとして、次のステップ、また戦略について教えてください。

佐藤副大臣 お答え申し上げます。

 今、北方領土において議論されております共同経済活動、これは、二〇一六年十二月の日ロ首脳会談で、北方四島において双方の法的立場を害することのない形で共同経済活動を実施するための交渉を開始することで合意したことに起因しております。

 先月十六日の日ロ外相会談でも、河野大臣とラブロフ外相の間で、御指摘のありましたプロジェクト候補、五件でありますけれども、これについても協議が行われました。

 現時点におきまして、いつまでにどのような成果を上げることができるかは予断できておりませんけれども、その外相会談でも、早期実施に向けて作業を更に加速するべく事務方に指示を出すことで一致いたしました。そして、五月のあり得べき首脳会談に向け、今月二十一日に日本で日ロ外相会談を行い、改めて議論する予定であります。

 日ロがともに北方四島の未来像を描き、その中から双方が受入れ可能な解決策を見出していくという未来志向の発想によって、北方領土の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができるという考えで交渉してまいります。

小田原委員 ありがとうございます。

 国民の共通に感じている焦燥感、そして歯がゆい思い、どうか、我々一同、胸に刻んで活動を続けていただきたいと思います。

 次に、言及されていらっしゃいますTPP11や日・EU・EPAの交渉妥結であります。

 特に、TPP11につきましては、本日未明、チリで署名式が行われたと認識しております。

 署名式の地をあえてチリにされ、三月十一日が任期であるバチェレ政権への御配慮なのか、前政権の成果だということで微妙な立場をとっているように見えたカナダへの見事な御配慮なのか、私自身も大変すばらしいことだというふうに思いますが。

 米国のトランプ大統領が、昨年一月二十三日にはTPPから永久に離脱するという大統領令に署名をしておきながら、ことしの一月の二十五日、スイスにおいて、CNBCのインタビューで、アメリカ合衆国に有利な条件にするなら復帰の検討をする用意があるという発言がありました。

 この発言やアメリカ合衆国の態度によって、今ようやく進みつつあるTPP11のプロセスに何か影響があるということはあるのか、お聞きしたいと思います。

河野国務大臣 ダボス会議以来、トランプ大統領が時々このTPP11について発言またはツイートをされているというのは認識をしております。それが、トランプ大統領がこのTPP11の重要性に気がつかれているということなら、非常に喜ばしいと思っております。

 政府としては、TPP11を早期に発効させることがアメリカのTPPへの復帰を促すことにつながるというふうに考えておりますので、無事に署名式も終わりましたので、TPP11の早期発効に向けて努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 このTPPは、アジアにおける、貿易に限らずさまざまな経済関係のルールを決める、その礎になるものだというふうに思っておりますので、このTPP11を起点として、アジア太平洋あるいはインド・太平洋にわたる地域での、経済における、あるいはさまざまなルールメーキングにおいて、日本がしっかりとリーダーシップをとってまいりたいというふうに思っております。

小田原委員 ありがとうございます。

 次に、大臣は、我が国の国連安保理常任理事国入りについての意欲をお話しいただきました。大変心強く思います。

 思えば、六十年以上、我が国は世界第二位の拠出金を払い続けながら議決権がない。これは、民間企業に例えて言えば、第二位の筆頭株主に議決権がないというようなことであります。こういう扱いを国際社会の良心がいつまでも許すはずがないと信じたいところでありますが、いまだに国連憲章に敵国条項があるなど、納得のいかない思いをしている国民は多いと思います。

 現在の常任理事国入りへの現状、ホームページではG4外相会合など国際社会への呼びかけをうたってはおりますが、いつも特定の常任理事国の反対で国連改革がうまくいかないというようにもお見受けします。この点への戦略も含めて教えてください。

河野国務大臣 現在の国連安保理は、第二次大戦後の現状に照らしてつくられたものであって、この二十一世紀の現状を反映していないというふうに我々は考えております。そういう意味で、この安保理改革が喫緊の課題になっているということは、日本だけでなく多くの国がそう思っております。

 そして、国連改革が必要だと言っているだけでは何も物事が進みませんので、この国連の会期の中で、安保理改革のテキストに基づいた交渉を始めたいというふうに思っております。

 日本は、G4始めさまざまな場面でテキストベースの交渉を開始しようということを広く呼びかけておりまして、現時点で、国連加盟国の圧倒的多数、恐らく百五十カ国以上がそれに賛同してくれているというふうに思っております。安保理の常任理事国の中でも、イギリスやフランスはそうした動きをむしろ歓迎をしていると我々は認識をしているところでございますので、まず、きちんと政府間のテキストベースの交渉を進めていく、それが大事だというふうに思っております。

 アフリカを始めさまざまな地域で、考え方はいろいろありますが、ゴールはいろいろな考えがあるにしろ、テキストベースの交渉をスタートさせなければならないというところは広く一致していると考えておりますので、まずしっかりその交渉を始めるところからやってまいりたいと思います。

小田原委員 ありがとうございます。

 次に、大臣の所信には、SDGsの推進について述べられました。私の選挙区立川でも、JCの皆さんが中学生にSDGs教育をして、発表会を議員会館で開くなど、そこには法務大臣も来ていただいた、取組が非常に熱心な地域であります。

 現状の我が国の取組、そして我が国ならではの取組があれば教えてください。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 小田原委員におかれましては、このSDGsの取組につきまして日ごろから御努力をいただいて、深く感謝いたします。

 現在、総理が本部長、外務大臣が副本部長を務めますSDGs推進本部のもと、政府一体となって国内実施と国際協力の両面において取組を加速しているところであります。

 その推進本部において決定しましたSDGsアクションプラン二〇一八では、日本のSDGs推進の基本的方向性として、三本柱、一、官民挙げたソサエティー五・〇の推進、二、SDGsを原動力とした地方創生、三、SDGsの担い手である次世代、女性のエンパワーメントを柱として掲げております。

 そしてまた、SDGsの達成に向けたオール・ジャパンの取組を促すため、ジャパンSDGsアワードの第一回発表の表彰も実施いたしました。二百八十を超える応募がありまして、SDGs達成に資するすぐれた取組を行っている企業、自治体、協同組合や市民社会、教育機関に対しまして、本部長賞一件、副本部長賞五件、特別賞六件を授与したところであります。

 外務省といたしましては、同アクションプランを踏まえつつ、引き続き国際協力を推進するとともに、SDGsアワード受賞団体を含め、官民の取組の好事例を積極的に発信してまいりたいと思います。

 以上です。

小田原委員 質問としては最後にしたいと思いますが、二月の二十二日、竹島の日でありました。私は、地元の日野市の日野駅で、自民党の日野総支部の仲間たち、そして青年部の仲間たちとともに、島根県、そして島根県の教育委員会がつくった、日本人が踏めない故郷竹島というようなパンフレットを駅頭で配り、周知活動をいたしました。

 竹島、北方領土、尖閣諸島そして東シナ海、共通した国民としての歯がゆい思いがあると思います。それは、突然、一方的に我が国の主権が脅かされていることに対して、奪還に向かう効果というのが長年目に見えて得られていない、そういう焦燥感であります。

 米国政権に入られたピーター・ナバロ氏の直近の本、「米中もし戦わば」、「クラウチングタイガー」という本の中には、国は総合力と総合力で交渉するべきだというのは正しいが、総合力の中に兵力がなければ全く意味を持たないという記述があります。また、話合いは力が対等なときだけ効力を発するという記述もあります。私自身、何人かの国会議員の仲間も、力を背景にしない外交は無力であるという思いがどうしても頭をよぎります。

 この歯がゆい思い、また、力を背景にしない外交は無力ではないかという疑念に対して、外務大臣としての所見を伺いたく存じます。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、力による現状変更、一方的な変更というのは認めることはできないものでありますし、法の支配の重要性というのを我が国は一貫して訴えているところでございます。

 個別に申し上げますと、竹島は、歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかに我が国固有の領土であります。我が国としては、この問題に関し、国際法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決したいと考えております。この問題は一朝一夕に解決する問題ではございませんけれども、韓国側に対しては受け入れられないものについては受け入れられないとしっかりと伝え、大局的観点に立って冷静に粘り強く対応していきたいと考えております。

 北方四島に関しましては、いまだかつて一度も外国の領土になったことのない我が国固有の領土でありますが、ロシアによる法的根拠のない占拠が続いております。北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針のもと、粘り強く交渉を進めてまいります。

 尖閣諸島に関しましても、我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがありません。現に我が国はこれを有効に支配しているところであります。尖閣諸島の周辺海域においては中国公船による領海侵入が継続されており、政府としては、このような状況を深刻に懸念し、中国側に対して累次にわたり抗議を行ってきております。

 引き続き、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意のもと、毅然かつ冷静に対処していく考えでございます。

小田原委員 終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、辻清人君。

辻委員 自民党の辻清人です。引き続き、大臣所信に基づいて質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まず冒頭に、政治用語というか、英語で、ロング・サイド・オブ・ヒストリー、つまり時代に逆行する、そういう言葉、特にアメリカのオバマ前大統領がよく使った用語でございますが、歴史に逆行するか否か、これはその時々の政権が判断するわけではなくて、歴史が判断します。例えば、奴隷制廃止、男女平等、今では当然と思っているようなそういったものも、大変大きな抵抗に遭いながら、さまざまな過程を経て、今普遍的な価値になっているものが多いわけでございます。

 私は、そういう時代を読む力、私は長年外国から日本を見てまいりましたが、個人的な感想を申し上げると、日本は、空気を読むことにはたけているけれども、時代を読むこと、もっと言えば時代をつくることに関しては、なかなかこれは近代においても難しい局面、例えばニクソン・ショック一つとってもそうですが、多々あったんじゃないかと思います。であるからこそ、それこそ昔の日本が不平等条約に苦しんでいたときに辣腕を振るった陸奥宗光元外相が、政治はアートである、サイエンスにあらずと言ったゆえんだと思います。そういった観点から、私は河野大臣に大変大きな期待を寄せております。

 その観点から、短い時間でございますが、まず冒頭、中東問題に対して大臣のお考えを聞きたいと思っております。

 なぜそう申し上げるかというと、私は、議員になる前から、河野大臣の中東に対する姿勢を常に関心を持って見詰めていました。特に、今回、外相に就任されてから後、河野四箇条、この中で特に私が注目しているのは、政治的プロセスに対して日本が関与するということに対して言及しているからでございます。

 私は、中東問題というのは、もちろん我が国を取り巻く周辺の国際環境も大変緊張感が高まっていて大事ではございますが、中東のこの和平交渉も含めた政治的プロセスに日本が関与するということは、これは最終的には、これからの時代において、日本にとっても世界にとっても好ましい状況をつくるには不可欠だという観点を持っています。そういった観点から、河野大臣に、今までも、そして現在の、そしてこれからの中東問題に対する大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 外務大臣の就任会見でも、中東を外交の一つの柱にしていきたい、特に地域を名指しして申し上げました。中東は日本がエネルギーを依存をしている地域であり、これからもしばらくそういう状況が続くんだろうというふうに思います。また、さまざまな国際通商の重要な海上ルートに中東は位置している。それから、最近は、テロあるいは暴力的過激主義が中東にある面はびこって、これが世界的にもさまざまな影響を与えているという現実がございます。

 そういう中で、この地域が平和で安定するということが、日本の経済のみならず世界的にも、世界の平和と安定にも影響をするという状況にあるんだろうというふうに思っております。

 そんな中で、日本は中東の宗教とは中立の立場にあると言ってもいいんだろうというふうに思っておりますし、歴史的に振り返ってみても、日本は、中東の歴史の中でネガティブな足跡というのが全くありません。植民地主義という植民地の歴史もなければ、ユダヤ教徒に対する圧迫ということもないわけでございます。また、中東の中で非常に大きな力を持っているアメリカと同盟関係にあり、アメリカにかなり率直に物を言うことができるという日本の立場がございます。

 そういうことを考えたときに、中東の中で日本が、今まで経済的あるいは開発支援という面で大いに日本は絡んでいきましたが、政治的にも日本は中東に果たすべき役割があるんだろうというふうに思っております。そして、それが日本だからできるということはある。

 今、イランとサウジアラビアがやや対立傾向にありますが、日本はどちらとも話ができる、あるいは、中東和平の一つの中心でありますパレスチナとイスラエルの問題、日本は両側と忌憚のない意見交換をすることができる。

 こういう中で、日本が果たす役割、特に政治的な役割は非常に大きいと思いまして、外務大臣就任以来、中東の出張が四回になると思います。昨年の九月には、カイロで日本とアラブの政治対話というのを始めましたし、ことしは、初めてバーレーンのマナマ対話に出席をし、自由で開かれたインド太平洋戦略について協議を呼びかけたということがございます。また、トランプ大統領の声明の直後にイスラエルとパレスチナを訪問し、平和裏の問題解決に向けて日本もかかわっていきたいということを申し上げたところでございます。

 そういう中で、今後とも、河野四箇条と申し上げておりますが、知的・人的貢献、中東の、人への投資、息の長い取組、そして日本の政治的取組の強化、これを四つの柱として、中東問題に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

辻委員 大変心強いお言葉、ありがとうございます。我々も、特に立法府の立場から議員外交等々でバックアップをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 せんだっての小田原議員と重複しないように質問をさせていただきたいんですが、やはり北朝鮮のことに関しては別の観点から申し上げなければいけないと思います。

 いろいろと、今、大変緊迫して、状況が猫の目の色のように変わっている状況であることは私も承知しておりますが、先ほど河野大臣がいみじくもおっしゃったように、確かに、制裁も含めて、ほほ笑み外交、微笑外交というふうに称しておりますが、私は、今、北朝鮮の中では大変余裕がなくなっている証拠が今の交渉姿勢だと思っています。

 つい先ほど飛び込んできたニュースも含めて、アメリカの今後北朝鮮に対する交渉態度、これはもちろん事務方でも結構なので、今の現時点でのちょっと事実関係も含めて、いろんなカードがあると思いますが、一旦、今の状況、北朝鮮の我が国との姿勢ももちろんそうなんですが、アメリカと北朝鮮、韓国と北朝鮮、今どういう状況にあるかということを今の現時点で教えていただきたい。あ、大臣、済みません、ありがとうございます。

河野国務大臣 まず、中東の議員外交については、これは非常に大事なことだと思っております。政府同士だけでなく、さまざま複線的に、さまざまな国と人間関係がつながっているというのは非常に大事ですし、特に中東は人と人とのつながりというのが極めて大切だと思います。

 私が初当選直後にサウジアラビアを訪問したときに言われたのは、議員が中東に行くときは、会談なんかどうでもいいから飯を食え、お茶を飲め、それをさんざん言われました。要するに、飯を食ってお茶を飲んで、向こうはイスラム教ですから酒を飲んでということはできないのかもしれませんが、そうやって人間関係をつくっていくことで、何かあったときに電話ができる、そういう人間関係がどれぐらいその国との間であるかというのが非常に重要だ、そう言われて、当時お茶を飲んだ人たちが今、政権の中枢に入りつつある、そういう状況になってまいりましたので、ぜひ議員外交を積極的にやっていただきたいと思います。

 北朝鮮の状況ですが、つい先ごろ北朝鮮を訪問した韓国の方々がワシントンでトランプ大統領にお目にかかったということでございますが、アメリカは一貫して、北朝鮮が言葉でなく行動を示さない限り経済制裁は緩めない、圧力をかけ続ける必要がある、これは、こうした一連の動きがある前に、日本、アメリカ、韓国でしっかりと確認をしてきております。北朝鮮がさまざま、いろいろなことを言うかもしれないけれども、行動で示さない限りは圧力をかけ続ける必要があるというこの三カ国の認識には変わりがございません。

 そういう意味で、アメリカも全く同じように、行動を示すまでは圧力をかけ続ける、あるいは、米韓の軍事演習というのはパラリンピックが終わった後再開をされる、そういう状況でございます。

 ついせんだって、ミュンヘン対話に行く前に、ウィーンにありますIAEAで天野事務局長とお目にかかりましたが、IAEAは既に北朝鮮のためのチームをつくっていて、いつでもゴーサインが出れば査察に入れるという状況にあります。日本は、そのために必要な、機材その他の初期投資が必要なら、その分、日本がまず肩がわりをする、そういうお話もさせていただいております。IAEAとの間でいつでも、北朝鮮が非核化に向けて査察を受け入れるというシグナルを送れば、きちんと対応することができるように準備をしておりますので、これは、日米韓に加え国際社会の協力をいただいて、北朝鮮が具体的な行動に出るまでしっかりと圧力をかけ続けていきたいというふうに思っております。

辻委員 ありがとうございます。中東外交に対するアドバイスも含めて、本当にありがとうございます。

 北方領土、これについて、私も、三年前でしょうか、ビザなし交流で国後島に三日間訪れたことがありますが、そのとき思ったのが、元島民の方々も大変御高齢になっています。「えとぴりか」という船で根室から国後島まで、そして現地でも宿泊をして二泊三日で訪れたんですが、御高齢の方には大変負担が大きいというふうにも感じました。

 今後、四島は我が国固有の領土で、返還はもちろん当然であるが、そういった元島民の方々がもっと楽にアクセスをできるように何か工夫はないのか、それを外務省にお聞かせ願いたいと思います。

中根副大臣 ありがとうございます。

 政府といたしましては、北方四島の墓地を訪問する元島民の方々、先生おっしゃいましたとおり非常に高齢となっております、そのことを考慮しまして、人道的な観点から、現行の枠組みによる訪問手続の改善を図ってきているところでございます。

 具体的には、昨年九月、航空機による特別墓参として国後島及び択捉島への訪問が行われました。また、昨年八月には、歯舞群島への墓参の際に、臨時の追加的な出入域ポイントを設置させていただきました。これらの設置により、四島への移動に要する時間が大幅に短縮され、元島民の方々の身体的負担を軽減することができたと思っております。

 元島民の方々の思いに鑑み、引き続き、元島民の方々の御希望に沿うよう、改善を不断に目指していく考えです。

 ちなみに、先生はお船で行かれたということでございますが、船舶の場合、片道、国後島までが三時間、択捉島までが十時間近く移動時間がかかったわけですが、飛行機での墓参は、中標津空港から国後まで四十七分、そして国後から択捉まで三十六分ということで、特に択捉は大幅に縮小されたということになっております。

辻委員 ありがとうございます。

 時間ですので、質問を終わります。

 頑張ってください。ありがとうございます。

中山委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 おはようございます。公明党の遠山清彦でございます。

 外務大臣、通告はしておりませんが、先ほども若干言及がありましたけれども、ちょうどこの委員会が始まったころに、ワシントンの時事の速報で、アメリカのトランプ大統領が、金正恩委員長とことし五月までに首脳会談を実現するという意向を、会談した韓国の特使に表明したという速報が流れております。

 速報ですので詳細はわかりませんけれども、その中に含まれている話として、韓国の特使がトランプ大統領宛てに持ってきた親書の中に非核化の意思が記されていたと。恐らくそれを受けて、トランプ大統領が、金正恩委員長に直接会う、五月までに実現をしたいという意向を示したということでございます。

 先ほど外務大臣から辻委員への答弁の中でありましたように、日米そして国際社会、国連決議に基づいて一致して圧力をかけ続ける、こういう方針でやってきたわけでございますが、まだお互い詳しいことはわからないわけでありますが、この圧力、制裁、これをしっかり国際社会一致してかけてきた一つの結果として、この非核化の意思というものが北朝鮮のリーダーから出てきて、それを受けてこういう流れになったのかなと理解しております。

 ただ、私、外務大臣もこれから詳細な情報収集をして分析をしなければ余り特定のことはおっしゃれない段階だとは思いますけれども、御承知のとおり、文在寅韓国大統領も金正恩委員長と会談をする方向だと報じられております。そして、きょう、トランプ大統領もということになる中で、日本の外務省としてまたどのような方針で臨まれるか、今の段階でおっしゃれることで結構でございます、御答弁よろしくお願いします。

河野国務大臣 この一連の動きの前に日米韓で確認をしていることとそんなに変える必要はないというふうに思っております。

 非核化の意思がありますというのは、それは誰でも言えるわけでございまして、具体的に行動を起こすというのが大事だというのは、これまで二度北朝鮮は同じようなことをやって核開発の時間を稼いできているわけでございますので、具体的な行動が必要だということに変わりはございません。

 そして、核実験をしない、ミサイルの発射をしない、もともとやってはいけないことをやっていたわけで、それをやりませんと言うから何か対価を下さいというわけにはいかないというのは、これは日米韓足並みをそろえていることでございますので、先ほど申し上げましたように、先日IAEAに行きまして、IAEAの査察がいつでも可能になるという状況の確認もしてきておりますので、日米韓足並みをそろえて、具体的な行動が始まるのをしっかりと待つ、それまでは国際社会で一致して圧力を継続する、この方針で変わりないというふうに思っております。

遠山委員 大臣、ありがとうございます。私も、大臣の考えと全く一緒でございます。

 北朝鮮の最近の一連の動き、メッセージが、何か日本から見て、国際社会から見て、プラスがあったわけでなくて、マイナスがゼロになったかもしれないけれどもゼロにもなっていない、マイナスから少しプラスのあるマイナスになったという状況かもしれませんし、いずれにしても、私、お願いは、今外務大臣がおっしゃったお考えのもとに、日本と韓国と米国が、まずしっかり日米韓が結束するということと同時に、先進諸国を含めて国際社会全体が一致してこの問題に対処していけるように、日本がまた河野外務大臣、また安倍総理のもとにリーダーシップを発揮していただきたいということを要望として申し添えておきたいと思います。

 さて、通告していた質問に戻りたいと思いますが、一問目は、先日の予算委員会の集中審議で私が取り上げさせていただきましたLAWS、これはリーサル・オートノマス・ウエポンズ・システムと英語で言われておりますが、日本語では自律型致死兵器システムというものでございます。

 この兵器というのは、要するに、人工知能、AIが攻撃目標の捕捉から破壊まで、人間の判断、関与なしで全て完全自律型でやることができる兵器ということで、予算委員会では、「スター・ウォーズ」とか「ターミネーター」という映画に出てくるような兵器がそろそろ現実のものになりそうだというお話でございます。

 外務省も、通常兵器制限及び軍縮の観点から、このLAWSに関する国際的協議の枠組みに参加していることは既に確認をさせていただきました。

 また、メディアでも、今月三日付の産経新聞から三日間にわたって特集記事が出まして、中国が人工知能を活用した無人兵器開発で世界トップを狙っているという指摘がなされ、また、韓国軍については、南北軍事境界線にSGR―1という、AI活用型の機関銃及び擲弾発射装置が既に実戦配備されていることが詳報されております。

 私自身、この記事に記載されている内容の真偽を判断する情報やインテリジェンスや根拠を有しているわけではありませんけれども、世界各国でAIを活用した兵器が急速に開発されているトレンドが強まっていることは事実だろうと認識をいたしております。

 そこでまず、外務大臣に改めて、このLAWS、自律型のAI兵器の開発についての外務省の基本姿勢を伺っておきたいと思います。

河野国務大臣 おっしゃったように、この人工知能、AIを武器に使用する、そこに人間が関与しないということは、今さまざま研究が行われているのは、これはもう現実でございます。いろいろな可能性が議論されておりますが、我が国として人間が関与しない完全自律型の兵器の開発を行う意図はないということを、まず我が国はこれまで明確に申し上げてきております。

 他方、ロボットの技術あるいは人工知能という先進的な技術を有する我が国として、人工知能が民生の部分で活用されることを阻害するということがあってはならないというふうに考えておりますので、国際的なルールメーキングの場で、こうした、人間を介さない人工知能による兵器の開発には制限を設ける方向で、しかし、それが民生部分の技術開発の妨げにならないような、そういうルールをつくっていくためのリーダーシップをとるということは必要だろうというふうに思っております。

 今、外務省の中で、有識者会議の立ち上げを始め、さまざま研究を進めているところでございますので、この交渉の場で日本として積極的にリーダーシップをとってまいりたいというふうに思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 公明党としても、この問題、今、大分関心が高まっておりまして、独自にしっかり調査研究をしていきながら、また、今外務大臣がおっしゃった方向性で、そういう、人間が関与しない形でのロボットの開発は、基本的に日本政府として意図は持っていないという立場で国際社会での議論に参加をしていただければと思います。

 これに関して、防衛省にお伺いします。福田政務官ですかね。

 先ほど私が言及した産経新聞の記事でも、AIを活用した兵器には三類型あるという指摘がなされております。一つは、現場から、戦場から離れた場所で操縦士が標的の攻撃を決定する遠隔操作ロボット型。これはもう既に実は実戦配備されているわけですし、イージス艦も人工知能は前から載っているわけであります。それから二番目が、人間の許可なしに攻撃を開始することができるが、操縦士が途中で停止できる半自律型ロボットというものが二番目の類型で指摘されております。三つ目は、今、河野大臣と私で議論しました、人間が全くかかわらず、標的の探索から攻撃の全てをAIが、人工知能が担う自律型致死兵器システムだということでございます。

 それで、この三つの類型で問題視されているのは三番目であることはもう議論しているわけでありますが、問題は、二番目の類型と三番目の類型というのはグレーゾーンがあるわけですね。つまり、日ごろは人間がいないところでAIに監視をさせておいて、攻撃目標が出てきたら、それを捕捉して自動的に攻撃するというところまでできるわけですけれども、とめようと思えば人間がとめられるというものと、完全に、最初から最後までAIが行って、事が終わる。

 ちなみに、三番目の類型が実戦配備をされまして、攻撃の捕捉から無力化、破壊、完全破壊まで人工知能がやってしまいますと、今の国際法上は、その法的責任の所在が問えないんですね、ロボットがやっていますから。ですから、ほかにもいろいろ倫理的問題があるわけですけれども。

 そこで防衛省に伺いたいのは、防衛省も今AIの活用自体は否定をしていないようでありますが、私の関心は、この二番目の類型と三番目の類型というのは判別が非常に難しい問題に技術的になってきますので、私の考えとしては、この二番目の半自律型ロボットの開発もかなり抑制をかけていかないと紙一重の話になるんじゃないかと思っておりますが、御答弁をいただきたいと思います。

福田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生には予算委員会の方でも御質問いただいて、それに更に半自律型、これをどう考えるかという御質問だと思っております。

 御指摘のとおり、LAWSにつきましても、まだ定義については国際的なコンセンサスがないという状況でありますし、また、半自律型LAWSとの判別についても、一部、スタンダードが出ているという段階において、まだ明確ではないという状況であるというふうに私どもは理解しております。

 その中におきまして、人間の許可なしに攻撃を開始するけれども操縦士による停止が可能という半自律型ロボットについて、これについても、LAWSにかかわる国際的な議論においてもどのように取り扱われていくか、これもまた、現時点では不透明という状況であるというふうに認識しています。

 その上で申し上げますれば、防衛省・自衛隊におきまして、操縦士による停止が可能であるか否かにかかわらず、人間が介在せずに攻撃を開始する兵器については現存せず、また、これに関する研究開発を行う具体的な計画がないというふうに考えております。

 付言しますれば、当然のことながら、国際法や国内法により使用が認められない装備品の研究開発、これを行うことは我が国としてはあり得ないということでございます。

 他方、防衛省としましては、隊員の安全確保や負担軽減を目的としたAIや無人装備について、研究開発を含め、積極的に技術基盤の向上に努めていく必要があるとは考えております。そのため、ただいま申し上げました目的での無人装備等の利活用への影響や自律的な機械が人間の生死に関与することの倫理上の問題点といった観点から、LAWSにかかわる国際的な議論に適切に参画してまいりたい、そう考えております。

遠山委員 ありがとうございます、政務官。

 もちろん、外務省も防衛省も、国際会議の場で、このLAWSについては、定義が確立していないからなかなか特定の立場に立って物を言えない、また、どういう防止措置があるかということについてもこれから議論を続けていかなければいけないという立場をとっていることは私は理解をいたしますが、これは、私の予算委員会の質疑でも指摘をしたように、もし完全自律型、キラーロボットとも一部言われておりますが、これが完成しますと、これは実業界からも言われているんですが、戦争にもたらす第三の革命だと言われているわけです。

 第一の革命は、銃器の開発でもたらされました。第二の革命は、核兵器の開発です。三つ目が、この完全自律型のAIロボットだと言われているわけでありまして、もしこれが、どこかの国が開発をして、国際社会が定義についていろいろ議論している最中に実戦配備をされて、このLAWSによる死者、死傷者が実際に発生をしてくると、じゃ、あっちの国がつくったんだからこっちも対抗してつくろうということで、LAWSの軍拡競争というものが急速に広がっていくような事態になるととめようがないのではないかと私は危惧をしているところでございますので、日本政府におかれましても、議論は議論として専門家を交えてやっていただきたいと思いますが、そういう戦争にもたらす第三の革命の危険性があるという深刻な受けとめはぜひしていただきたいと思います。

 次に、外務省に伺いますが、武器貿易条約、ATTについて伺いたいと思います。

 このATTにつきましては、通常兵器の国際貿易を規制する初の普遍的な条約でございまして、二〇一四年、今から四年前の十二月二十四日に発効をしております。締約国・地域数は九十四でありまして、主要国のうち、イギリス、フランス、韓国は締結済み、アメリカとイスラエルは署名のみ、中国、ロシア、インド、パキスタン、北朝鮮は未署名となっております。

 日本政府は、一連の関連国連決議の共同提案国としてこのATTのプロセスに主導的に関与しておりまして、日本としては、二〇一三年六月三日に署名、二〇一四年五月九日に受諾書を寄託して、アジア大洋州地域における最初のATTの締約国は日本ということになっております。

 この武器貿易条約が貿易を制限している通常兵器、特に小型兵器は、小型兵器なんですが、実は、この小型兵器による犠牲者の数というのは、今、年間約二十万人。私が以前国会で取り上げたとき、約十年前は、年間五十万人が小型兵器で殺されておりました。つまり、これは事実上の大量破壊兵器と言っても過言ではないわけでございます。

 また、もちろん、テロ対策などの上でもこの通常兵器の制限というのは必要不可欠な措置でありまして、二〇二〇年に東京オリンピックを控えております日本としても大きな課題だと思っております。

 まず、外務省に、参考人にお伺いいたしますが、ATT発効から約三年間経過したわけでございますが、その効果について外務省としてどのように分析、評価をしているか、簡潔に御答弁をお願いします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 ATT、武器貿易条約につきましては、御指摘いただきましたような経過をたどっておりますけれども、通常兵器の国際貿易を規制する初めての普遍的な条約でございます。

 ただいま委員の方から御説明いただきましたように、現時点におきまして、全体で九十四の国が締結国、署名をしております。現在、この武器貿易条約におきましては、実効的な条約の履行、透明性、それから報告、条約普遍化といった課題につきまして、さらに議論を進めていくことになっております。

 我が国としては、先ほど委員から御説明いただきましたような経緯をたどりまして、この条約を高く評価しておりますので、昨年九月に行われました締約国会議におきまして、ことし八月に行われる締約国会議の議長に立候補をし、選出をされております。本年八月に日本で締約国会議を開催いたします。

 今申し上げたような諸課題について、日本政府としても積極的に取り組んでいきたい、このように思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 河野外務大臣にお伺いします。

 今の答弁にもありましたように、ことし八月に第四回のATT、武器貿易条約の締約国会議が開催されます。議長国は日本。河野外務大臣も所信の中でも言及をされておりました。

 ぜひこの締約国を増加させていく、先ほど私の質問の中で申し上げましたように、主要国の中でも幾つか未署名、あるいは署名したけれどもまだ条約を発効していないアメリカやイスラエルという国もあるわけでございまして、ぜひ、この武器貿易条約の実効性を高めるために主要国を中心に締約国をふやしていく、そのために外務大臣にリーダーシップをとっていただきたいと思いますし、また会議そのものの成功のためにも御貢献をいただきたいと思っておりますが、御決意を一言いただきたいと思います。

河野国務大臣 先ほど議論のありましたLAWSと違って、これはもう既に存在をする武器でございます。特に日本はこの分野で最初からかなり貢献をしてきたと自負をしておりまして、締約国会議の議長を務めているということでございますので、まず、軍縮代表部の高見沢大使がアフリカを始めさまざまな地域を今積極的に回って呼びかけをしております。また、ATTの事務局やほかの国際機関と連携をして、少し、普遍化、そして実効性の上がるさまざまな努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 アジア太平洋の中でもまだまだ加盟国が少ないという現状がございますし、アメリカのように署名だけという国もありますので、締約国会議に向けて日本としてしっかり努力をしてまいりたいと思っておりますし、これは議長をおりた後も、日本として非常に重要視をして、これを実効性あらせる条約にするために引き続き努力を続けてまいりたいというふうに思っております。

遠山委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間の関係で、経済産業省は、済みません、割愛をさせていただいて、次の質問に行きたいと思います。

 外務大臣、続けてで恐縮ですが、日ロ関係についてお伺いをしたいと思います。

 安倍総理とプーチン大統領の直接の首脳会談の回数が二十回に達したと認識をいたしております。これは非常にまれなことだと思います。首脳同士の個人的関係が強固であるということで、日ロ関係の改善を図る基盤は今非常に強固にあると私は確信をいたしております。

 私自身、公明党の国際委員長として、昨年九月、山口那津男代表と一緒にロシアに参りまして、モスクワとサンクトペテルブルクに行かせていただきまして、そのことを実感しました。

 一番実感した機会になったのは、ロシアの下院議員の方々と山口代表の懇談会というのをセットさせていただいたんですが、会場に入り切れないぐらい、四十名以上、ロシアの国会議員が若い人も含めて集まっていただきまして、セットした会談の時間内におさまらない数の質問とか意見が公明党の山口代表にぶつけられるのを間近で見ておりました。私も十年ぐらい前に外務大臣の政務官としてモスクワに行ったときと比べても、日ロ関係を改善したいという思いとか気持ちがロシアの政界でいかに強まっているかということを実感をさせていただいたわけでございます。

 他方で、両国関係には不安定要因も多いわけでございます。例えば安全保障の分野におきましては、日ロの経済協力対話が進む一方で、ロシア側の軍事演習あるいは地対艦ミサイルの配備の問題等がございます。また、経済協力分野でも、河野外務大臣も今積極的にやられている八項目の経済協力というものがあるわけでありますが、ロシア側からは、日本からロシアの極東地域への投資がふえていないじゃないか、こういった不満の声も表明されておりまして、なかなか改善しにくい面もあるのかなと思っております。

 外務省として、本年、日ロ関係の改善についてどのような方針で臨まれるのかを伺いたいと思います。

河野国務大臣 今委員おっしゃったように、首脳間の相互の信頼関係というのがかなり強固につくれているんだろうというふうに思っておりますし、おととしの十二月に、この二人が、平和条約を結ぶという真摯な決意を表明するに至っているわけでございます。その上に立って、私どもとしては、しっかりと共同経済活動を推進し、北方四島の将来像を見せることによって、北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結してまいりたいというふうに思っております。

 この三月の十八日でしたかにロシアは大統領選挙がございますが、大統領選挙の直後に先方から外務大臣が東京へ来て、さらに会談をするという段取りができております。総理が五月にロシアをできれば訪問をするということに予定をしておりますので、そこに向けて、共同経済活動ですとかあるいは元島民の方々の人道的な措置等を今議論を進めているところでございます。

 共同経済活動については、なるべく早期にフィージビリティースタディーをしっかりとやって、実現に向けて進んでまいりたいと思っておりますので、しっかりとまずこうした作業をやってまいりたいというふうに思っております。

 その一方で、北方四島でロシアの軍の行動があったり、いろいろなことがございますが、首脳間の信頼関係に基づいて進めるべきものをしっかりと進めていくということでやっていきたいと思っております。

遠山委員 以上で私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

中山委員長 次に、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間に入るのでありますが、いまだ御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより午前中の立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

中山委員長 これにて午前中の立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十二分開議

中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られておりません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。

 これより午後の立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

中山委員長 これにて立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の会の丸山穂高でございます。

 まず最初に、委員会のあり方について強く抗議申し上げたいと思います。

 きょうは、ずっとこの三、四時間、大臣始め大臣経験者の皆さんもここに座ったままという状況でした。あらゆる原因が考えられますが、例えば、私もこの最後の質疑時間をいただくということで、できれば、もう与党以外の、野党の通告がないわけですから、その時間を空回しするんだったら、私の時間を先に上げていただいて、ほかの委員会で野党の時間をなしにしている委員会もあります、そうした中で、削るという決断もあるんじゃないかという話も委員会でさせていただきましたが、慣例だというお話で、結局こういう形になりました。

 そもそも、今回の森友問題の件で、財務省、本当に対応は私もひどいと思います。そもそも、国政調査権は国会にあるわけですから、そうした中で、資料が出てこないという状況、しかもそれが司法に影響を与えるということで出てこないということですけれども、東京地裁でしたっけ、過去の判例でもありますけれども、明らかに司法の独立性や検察の捜査に支障が出る場合に極めて限定的に国政調査権は自制を求められるとされているわけで、今回の資料、あるかないかをずっとこの国会でもめているわけで、そもそも検察側にこのコピーの請求はできますし、そもそも国政調査権を持ち出さなくても、刑事訴訟法を考えても、通常、仕事に関係のある場合、実務上はコピーをとってくることも容易ですから、財務省ももっとしっかり対応することができたと思います。

 同時に、私は、朝日新聞も、あれだけ小出しにするんじゃなくて、資料を確認したと言うのなら、どういうものなのか、しっかりと出すべきだと思いますが、こうした本当にうやむやな状態で国会が空転しているのを本当に悲しく思いますし、断固抗議したいというふうに思います。

 外務委員会です、しかも衆議院の外務委員会なので、そういった意味で、全く関係のない話でこれだけ空転してしまっていますから、しっかり、委員長を始め、立て直しをこれからよろしくお願いしたいというふうに思います。

 時間がもったいないですので、外交の話に移らせていただきたいと思います。

 最初に、実は、予算委員会で以前、外務大臣にお越しいただいて、分科会の方で問合せさせていただいた案件、まだ積み残しが残っておりました、この案件についてさせていただきたいと思います。

 何かといいますと、台湾の地震の際に、お見舞いのメッセージを首相のホームページにも掲載しております、蔡英文総統宛てに送ったというメッセージがありまして、しかして、それが、二月八日ですかの段階で、なぜか急にホームページ上からこの総統閣下という部分が削除されたという問題です。

 これは、同時に、次の日の九日に中国の報道官が、日本に厳重抗議したという報道官の発表がされておりまして、時系列を見たら、どう考えても、他国から圧力があってこの表記の掲載を訂正したんじゃないか、削除したんじゃないかという疑いの声が出ております。

 外交上、そうした、一度出したものに対して他国から抗議があって直すというのは非常にゆゆしき事態にもつながる問題だと思いますが、これに対して、外務省、前回の質疑では明確にお答えをいただけませんでした。それで、もう一度問合せさせていただいて回答が幾つか来ましたので、それも重ねてお伺いしながら確認していきたいというふうに思うんです。

 二回出しているんです。まずは、やはり、台湾は二十八年にも地震がありまして、二年前ですが、このときにも同様のメッセージを出します。そして、ことし、地震があって、再度メッセージを出しているんです。

 まず、ことしの分から聞いていきたいんですけれども、ことし、平成三十年のメッセージ、官邸ホームページには、蔡英文総統閣下と最初書いてあったんですが、それが現在は削除されております。

 こうした中で、当然、外交文書ですから、総統宛てにも、台湾に対しても、恐らく外交上、日本台湾交流協会を通じて出すものだというふうに理解していますが、相手方にもきちんとそれを発出したという理解でいいんでしょうか。そして、発出したというなら、相手方にそのお渡しした文書は総統閣下と書かれているんじゃないでしょうか。確認できますか。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の震災を受けまして、安倍総理から蔡英文総統に対しまして、日本台湾交流協会を通じて、委員御指摘のようなお見舞いのメッセージを発出いたしております。

丸山委員 通告でもお聞きすると言いましたけれども、その文書には総統閣下というふうに書かれていたということでよろしいですね。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 申し上げましたとおり、蔡英文総統に宛てたメッセージでございまして、委員御指摘のとおり、書かれてございます。

丸山委員 相手に送ったものが、ホームページに掲載のものは削除されているわけですよ。

 では一方で、二年前のメッセージはどうか。二十八年のメッセージでも同様に、当時は総統は違いまして馬総統だと思いますが、その総統宛てに同様に送ったのかどうか。そして、相手に発出した文書に同じように総統閣下と書かれているということの理解でよろしいんでしょうか。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一六年の震災のときには、安倍総理から馬英九総統に対しても、これも交流協会を通じまして、委員御指摘のとおりの内容のお見舞いのメッセージを発出してございます。

丸山委員 確認ですが、その平成二十八年、二〇一六年のメッセージにも同様に、宛先である馬総統閣下というのは書かれているということでよろしいんですか。

鯰政府参考人 委員御指摘のとおり、書かれてございます。

丸山委員 これはどうして削ったんだという話を前回もお伺いして、また菅官房長官も記者会見で述べられていますが、理由は、より広く台湾の皆さんへのメッセージとして掲載するのが適当だと判断して変更した、中国からの抗議を受けて修正したわけではないという御答弁なんですが。

 問題は、そうしますと、広く台湾の人に向けてメッセージ、二十八年、二〇一六年のメッセージでも同じように台湾の皆さんに向けて広く発したメッセージであるはずだと思いますが、それに関しては、この総統閣下という文書がそのまま、ホームページ上に掲載されたままで、そして相手にも同様の文書で送る。しかし、なぜかことし送ったものだけが、先方には総統閣下宛てと書かれたものを送ったにもかかわらず、ホームページ上は削除されているわけですよ。明らかにこれは矛盾しているんじゃないでしょうか。

 逆に言えば、では、二〇一六年、平成二十八年、二年前のものはどうして削除しないんですか。矛盾していると思いませんか。いかがでしょうか。

鯰政府参考人 委員御指摘のとおり、二〇一六年のメッセージ、現在でもホームページ上で掲載しておりまして、今これを変更する予定はございません。

 二〇一六年のメッセージと今回のメッセージでは扱いが違うのではないかという御指摘につきましては、その時々におきまして総合的にどうするかということを判断した結果がこういうことになっているということでございます。

丸山委員 その時々の状況をどう判断したのかというのは、非常に見ていますし、理解ができないんですけれども。

 今の話だと、個別ケースとしてそう判断したとしますよね。そして、逆に、送ったときには、では間違えていたということですか。そして、ホームページ掲載のみ削除したということになりますけれども、普通おかしくないですか、そうすると。

 どういう判断で、では今回は前回と何が違うんですか。それを国民の皆さんにきちんと御説明いただきたいんですけれども。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 送ったメッセージはいずれも総統ということでありまして、それをどのようにホームページに載せるかにつきましては、まさにそれぞれの時々において総合的に判断したという以上に申し上げるのはなかなか難しく存じます。

丸山委員 正式な外交文書で送ったものを、いわゆる、今回の件は、ホームページ上違う形で書いているわけじゃないですか、前回はそのまま載せているのに。これこそ文書の、偽造までは言いませんけれども、変わっているわけですよ。通常考えたら、どう考えてもおかしいと思いますけれども。

 まず最初に、では別の観点から聞きたいんですけれども、他国の、若しくはほかの地域の首脳宛てのメッセージに対して、宛先を書かないで送ったものというのはありますか。それをまずお伺いしたい。

鯰政府参考人 これまで我が国が諸外国等の首脳宛てに送ったメッセージは数限りなくございますけれども、その宛先の書き方、あり方について網羅的にお答えするのは困難でございますけれども、一般に、諸外国等の首脳宛てにメッセージを送る際には、その宛先となる方の氏名や呼称をつけて送ることが通例であるものというふうに認識しております。

丸山委員 通例、そうですよね。

 そうした中で、現に宛先を書いて送っていらっしゃるわけですよ、外務省から。それを、先方に送ったものには書いてあるのに、しかも二年前はきちんと同様にやって、ホームページ上にも宛先が今もアップされているわけです、それを、今回だけ削って自分の国のホームページには載せているというのは、これは大変失礼じゃないですか。どういうお考えなんでしょうか。

鯰政府参考人 これはお見舞いのメッセージでございますので、当然失礼のようなことがあってはいけないと考えておりますし、私どもといたしましては、ホームページの掲載のあり方については、その時々のあり方で判断して行っているということでございまして、これが失礼に当たるということはないものというふうに認識しております。

丸山委員 外交ですから、いろいろな動きがあると思います。そして、ここで言えないことも含めて、いろいろな外交の動きがあるのが通常ですし、そうした中で、お答えも厳しいなと私は感じますが、こればかりやっても平行線だなと。

 今ちょうど別の議論、森友の議論の平行線を見ていて、平行線の議論ばかりするのはよくないと私は思いますので、これ以上役所の皆さんを追及するのはやめますけれども、しかし、外形上見れば、どう考えても今私が申し上げたような状況に捉えられるわけで、これがひいては、日本の外交の筋が曲がるんじゃないかと他国から見られる、そして国民の皆さんからも思われるような案件の一つになりかねないと思います。

 台湾は、あの東北の地震のときに、ほかの国に比べても明らかに多くの支援を下さった。それに対して、総理も、台湾加油でしたっけ、直接の、直筆のメッセージまで書いて、そして今回のメッセージも、何より東北のこともあったからというのもあると思います。そうした中で、こんな対応をしていたら、外務省何やっているんだと言われてしまうと私は思いますし、くれぐれも気をつけていただきたいと思います。

 大臣、お答えが難しいとは思いますけれども、前回、他国からの圧力を受けたものではないというお答えをいただきましたけれども、残念ながら外形上そう見えてしまう部分があるわけで、しっかりこの部分について受けとめていただきたいですし、そうした批判に対してきちっとお答えいただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。

河野国務大臣 何か物事が起きたときに、あたかも二つのことが関連しているかのように見えるというものはいろいろなところで起きているわけでございまして、それに一々そうではないんだということを答えていたら、それは外務省、仕事にならないんだろうというふうに思います。

 わざわざ総理が、台湾頑張れという直筆のメッセージを、これは官邸のフェイスブックだったかと思いますが、台湾の皆様宛てに発信をした。だからこそ、この官邸のホームページにおいても、これに合わせる形で、総統個人ではなく台湾の方々という形で広く総理のメッセージを伝えようとしたわけであって、そこに中国側の抗議があったからといって、別に特にそれにこだわっているわけではない。

 そんなことを言うなら、私の出した台湾の外交部長宛てのメッセージは、同じように中国から抗議があったというふうに聞いておりますが、それは別に、外交部長宛てに出したものですからそのように載せているわけでありまして。あたかも何か関連性があるかのようなものというのは世の中広くありますが、だからといって別に全て関連しているわけではなくて、関連していないものを関連していないと証明をするのは、これはなかなか難しい話でございますので、外務省としても、そう勘ぐる方がいても、それはある意味やむを得ないのかなと。一々それを、そうではありませんと言って走り回ってみても仕方がないことだというふうに思っております。

 東日本の震災の際には、台湾の方々に大変お世話になりました。そういうこともありますし、今回は、震災の発生直後から専門家チームが台湾に行ってさまざまな支援も行ってきて、それに対して台湾当局を始め幅広い台湾の方々から深い感謝の意が表明されてきているわけで、そういう意味で、お互い何かあったときには助け合う、そういう関係がしっかり、どちらも自然災害の多い地域でありますから、何かあったときにはお互い助け合う、そういうことができているというのは非常に喜ばしいことだというふうに私は思っております。

丸山委員 しっかり日本の矜持を、プライドを持って外交を前に進めていただきたいというふうに思いますし、何より今二十八年のは削除しないというお話もありました。しっかり、その部分を含めて、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 時間がありませんから、次の議題に移りたいというふうに思います。

 中国は本当にいろいろな外交戦略をとっていまして、ある意味したたかだと思いますし、我が国も隣国として、戦略的互恵関係をうまく築いていくという点もあります一方で、警戒しなければいけないところもあるという点で、一つ、後半の、警戒しなければいけない点、お伺いしていきたいというふうに思います。

 最近、中国が日本の周辺の海底の地形にどんどん命名を、名前をつけていっているという事例が出ております。こうした命名の活動について、政府はどのように見られているのか、見解とその対応をお伺いできますでしょうか。

増島政府参考人 お答え申し上げます。

 海底地形名は、各国の機関等が海底地形名小委員会、いわゆるSCUFNに提案をいたしまして、同委員会にて決定されると承知をいたしております。

 委員御指摘の、中国の海底地形名の命名活動、これの意図についてお答えする立場にはございませんけれども、同委員会のもとで行われております海底地形名の承認といいますのは、学術的な観点から海底地形名を標準化することを目的としております。沿岸国の海洋権益に何ら法的な影響を及ぼすものではございません。

 いずれにいたしましても、中国が多数の海底地形名を提案している状況につきましては、引き続き注視してまいりたいと思っております。また、我が国といたしましても、今後も、過去の調査成果をもとに、積極的に海底地形名を提案してまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 これは、日本の場合は実は中国よりもまだまだ多いんですけれども、一方で、やはり学術的な側面若しくはエネルギー採掘の側面といった観点から見ているんですが、実は、中国含め他国は、もうちょっと安全保障上の観点も含めて調査しているような動きを見せています。特に日本の場合、今、幸いなことに、EEZ内まで中国の命名というのはないということなんです。フィリピンなんかは、中国が先にフィリピンのEEZ内の海底の地形に対して命名を始めるという話が出ています。

 名前ごときでという方もいらっしゃるかもしれませんが、大体、領土を広げていく、若しくはそういった形で自国の権益をアピールするときは、まず名前をつけていくのが外交上も歴史上も最初の動きだと思います。そうした意味で、日本も、尖閣もあります、微妙な海域があるわけで、しっかりとこの辺は見ていかなきゃいけないんですけれども。

 実際、中国はいわゆる日本のEEZ内でも調査船を出して調査をしている状況が常に報道されていますけれども、現行、どう把握されていますでしょうか。また、日本も調査しているという話なんですけれども、日本も、EEZ内、どれぐらい自分の国で把握しているのか、命名権をお願いした、SCUFNに言った割合のうちEEZはどれぐらいなのか、その辺も含めて、実際の数字、わかりましたら教えていただけますか。

奥島政府参考人 お答えをいたします。

 まず、中国の海洋調査船の関係でございます。

 我が国の排他的経済水域におきまして、外国海洋調査船によります我が国の同意を得ないなどの調査活動件数は、平成二十九年に十六件確認をしてございます。船籍別に見ますと、中国の海洋調査船による活動件数が最も多く、八件となってございます。また、平成三十年におきましては、これまで確認はいたしておりません。

 これらの活動に対しまして、海上保安庁では、関係機関と連携しつつ、巡視船等による中止要求や継続的な監視等、その時々の状況に応じて適切に対応を行っているところでございます。

 二つ目、海底地形、どの程度をつけているのかという御質問かと思います。

 海底地形名小委員会におきまして、これまで日本が申請し、承認された海底地形名は約四百五十件でございます。このうち、日本の排他的経済水域内のものは約三分の二、件数でいいますと約三百件ということになります。

 今後とも、海底地形名の標準化に向けた提案を通じ、同委員会に積極的に貢献していく考えでございます。

丸山委員 時間が来たので終わりますけれども、このSCUFNに対して、委員会に対して、うまく日本人を、人を出していくという戦略が一つ大事ですし、今お話のあったEEZ内にしっかりと、まず日本から、自分みずから名前をつけていくというのは非常に重要だというふうに思います。

 最後、大臣にお伺いして終わりたいと思います。どのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 丸山委員の御懸念については、我々も共有していると言ってもよろしいかと思います。しっかりと中国の海底地形名の提案状況について注視をしていかなければならぬと思っておりますし、我が国としても、調査に基づいて積極的な提案をしていくべきだと思っておりますので、そこはしっかり対応してまいりたいと思っております。

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣河野太郎君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。

 改正の第一は、在ダバオ日本国総領事館及び北大西洋条約機構日本政府代表部を新設するとともに、同総領事館及び同政府代表部に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めることであります。

 改正の第二は、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。

 改正の第三は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当の支給額を改定することであります。

 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額の改定及び子女教育手当の支給額の改定については、平成三十年度予算案と一致させて行うため、四月一日から実施する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十五分散会


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