衆議院

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第7号 平成30年4月4日(水曜日)

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平成三十年四月四日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 中山 泰秀君

   理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 鈴木 貴子君

   理事 山口  壯君 理事 末松 義規君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      小渕 優子君    黄川田仁志君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    辻  清人君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      堀井  学君    本田 太郎君

      三浦  靖君    山田 賢司君

      阿久津幸彦君    篠原  豪君

      山川百合子君    源馬謙太郎君

      関 健一郎君    緑川 貴士君

      岡本 三成君    岡田 克也君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        中根 一幸君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川崎 方啓君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川村 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 増島  稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        石川  武君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     三浦  靖君

  杉田 水脈君     本田 太郎君

  関 健一郎君     源馬謙太郎君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     杉田 水脈君

  三浦  靖君     高村 正大君

  源馬謙太郎君     関 健一郎君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

四月三日

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官大鷹正人君、大臣官房審議官川崎方啓君、大臣官房審議官川村博司君、大臣官房審議官高橋克彦君、大臣官房審議官飯島俊郎君、大臣官房審議官増島稔君、大臣官房参事官鯰博行君、北米局長鈴木量博君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛政策局次長岡真臣君、地方協力局長深山延暁君及び防衛装備庁プロジェクト管理部長石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。遠山清彦君。

遠山委員 おはようございます。公明党の遠山清彦でございます。

 早速でございますが、一般質疑ということで、幾つか外務大臣に御質問させていただきます。

 まず、先週末、私、東北の復興で岩手の三陸沿岸部の町々を震災直後から担当しておりまして、久しぶりに釜石それから大槌、大船渡、陸前高田と回ってまいりました。陸前高田では戸羽太市長とも意見交換をしてきたわけでございます。

 大臣御承知のとおり、三陸沿岸部の今申し上げた市町村中心に、七年前の大震災で、巨大な津波によって甚大な被害をこうむりました。その後、外務省のちょっと関連の質疑になっていくわけですが、第七十回国連総会の本会議におきまして、日本を始め百四十二カ国の共同提案によりまして、十一月五日を世界津波の日に定める決議が採択をされました。国連の決議でございます。日本の国内におきましては既に、二〇一一年六月に制定された津波対策推進法によりまして、毎年十一月五日を津波防災の日と定めているわけでございます。

 日本は今後も太平洋側で、北海道あるいは関東から四国地域までの広い範囲で発生する可能性が指摘されている南海トラフ地震等が予測されておりまして、津波対策は国を挙げて取り組まなければならない喫緊の課題でございます。

 世界津波の日が国連で決議されたことによりまして、外務省も、日本の経験の共有や津波対策についての国際協力の裾野を広げる活動をしていると認識をしておりますが、具体的にこの間どのような活動をしてきたのか、また、これまでの実績を踏まえて、今後関係省庁と連携しながらどのような活動をする方針なのか、まずお伺いをしたいと思います。

増島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の世界津波の日の制定につきましては、津波の脅威と防災の知見を過去から学び、将来の津波に備える観点から非常に重要であり、我が国は、世界各地でさまざまな取組を積極的に行ってきているところでございます。

 具体的に申し上げますと、二〇一六年に高知県黒潮町で、そしてまた二〇一七年に沖縄県宜野湾市で、世界津波の日高校生サミットを開催いたしました。加えまして、二〇一七年に同じく沖縄県で世界津波博物館会議を開催したほか、世界各地において、国連機関と連携し、津波避難訓練や津波に対する意識向上のための活動等を実施してきております。

 外務省といたしましては、引き続き、関係省庁及び国際機関と協力しつつ、世界津波の日の取組を通じて、防災に関する日本の知見と技術を生かしながら、津波に対する意識向上のための啓蒙活動や津波対策の強化等を推進してまいりたい、こういうふうに考えております。

遠山委員 ありがとうございます。

 今の答弁にありましたように、世界津波の日、十一月五日を普及する活動の一環として、高校生島サミットを高知県の黒潮町あるいは沖縄県の宜野湾市で開催をしてきたということでございますが、私、岩手の三陸沿岸部をずっと支援してきた立場もありますが、先週末に陸前高田市市内を視察しておりましたら、最近になって、国立岩手大学と私立の立教大学が協力して、陸前高田グローバルキャンパスというものが設置をされておりました。

 大臣、これは私から要望ですけれども、陸前高田市、津波で甚大な被害を最近こうむった場所でもございますし、このグローバルキャンパス、そういう名前がついておりますけれども、常に授業が行われている、研究が行われている大学施設とは異なりますけれども、一方で、私が現地で伺ったところ、国連のスタッフ、外務省の職員、大学の研究者等が、既にこのグローバルキャンパスを使ってワークショップ等を開催する実績を積んできておりまして、私ちょっと驚いたんですが、その中には、大臣が努力をされている中東和平関係のワークショップも、国連職員、外務省の職員、中東の方々も実際に参加をして行われたということでございます。

 こういうところを捉まえて、ぜひ外務省としても主体的に、この陸前高田市、特にこのグローバルキャンパスとの連携のもとで、世界津波の日普及につながるような国際的なイベントを企画していただけないか、その検討をぜひお願いをしたいと思いますが、所感をいただきたいと思います。

河野国務大臣 世界津波の日の趣旨に沿って、震災の教訓を後世に伝えるためにどういうことが効果的なのか、今後検討してまいりたいと思います。

遠山委員 ぜひ、よろしくお願いをいたします。

 次に、ことし三月二十九日に、核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の白石隆座長から、河野外務大臣に提言が出されました。外務省が公表しておりますこの提言の要旨を、私も興味深く読ませていただいたわけでございますが、この提言の二つ目の柱は「橋渡しの取組」となっておりまして、ここに国際社会からの日本への一番大きな期待があると理解をしております。

 この提言の中で、私が特に注目をしたのは次の三点でございます。

 一つは、十四パラグラフにあるとおり、核兵器の脅威とリスクの削減や核軍縮に伴う安全保障上の懸念への対処、核弾頭の削減や政策面の透明性等々の課題について、核兵器国及び非核兵器国を巻き込んだ対話の枠組みを形成しなければならないという点。それから、二十四パラグラフで指摘をされております、核物質管理や廃棄の検証について合意された、法的拘束力のあるグローバルな体制の必要性。さらに、二十八パラグラフ三項目め、核軍縮が直面している究極のジレンマの解決の追求、すなわちこれは、全ての国々の安全保障を確保するレジームのもとで義務の遵守と軍縮の強制を両立させる。この三つの点、私、特に注目をし、重要だと思っております。

 それぞれ非常に困難な要素をはらむ提言になっているかと思いますが、私は、この賢人会議のメンバーの知恵の結晶として、非常にすばらしい提言がなされたと考えております。

 この提言についての河野外務大臣の所感、及び、今後日本政府として、特にこの橋渡しの取組への期待にどう応えていこうとされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 賢人会議の皆様、二十六日、二十七日に東京で、二日間にわたってかなりしっかりと議論をしていただきました。二十六日の夜には私も議論に加えさせていただきまして、二十九日に提言をいただいたところでございます。

 この提言は、近年、国際的な安全保障環境、戦略的環境が悪化をしている中で、核軍縮における二つの流れの対立というのが先鋭的になっている、そして、場合によっては異なる立場の国同士で核軍縮に関する対話が困難になっているという現状認識を示した上で、安全保障環境を改善しながら核兵器のない世界を追求するための、この二つの異なるアプローチをどう収れんするかという方策を示しておりまして、これは国際社会にとって非常に有益ではないかと思っております。

 四月下旬に開催されますNPT第二回準備委員会に、日本政府としてしかるべくこの提言をインプットし、また、提言の内容を更に検討した上で、我が国としての具体的な取組にもつなげてまいりたいというふうに考えているところでございます。二〇二〇年には、新たなNPT運用検討会議が開催をされますので、そこに向けて国際社会の機運を高めてまいりたいと思います。

 また、この賢人会議は、ここで終わりになるのではなく、残された中長期的な課題、論点についても更に引き続き議論をしていただきたいと思っておりまして、今年度もその活動を続けていただくつもりにしております。

遠山委員 ありがとうございます。

 河野外務大臣は、私が初当選した十七年前から、既にこの核軍縮の問題につきましては超党派の枠組みで推進をされてきた議員でございます。

 日本の場合は、広島、長崎、唯一の被爆国という立場と、非常に今悪化をしております世界の安全保障環境の中で米国の核の抑止力に安全保障を依存しているという立場と、日本の立場自体が大きなジレンマをはらんでいる中で、どうやって核軍縮を進めていくか、核のない世界を目指していくかということだと思います。

 公明党の中でも非常に難しい議論をしてきておりますが、私どもとしては、究極の目標として、核のない世界というものをしっかり目指していかなければいけないと。その立場から、山口代表も、核禁止条約ということに対して一定の高い評価をさせていただいているわけでございます。

 他方で、国家の安全保障というものをどうやって確保していくかという観点から、先ほど外務大臣の御答弁にもありましたように、核兵器保有国を巻き込んだ形でやはり対話をしっかり続けていくということが大事でありますし、日本にしかその橋渡しできない部分というのは私はあろうかと思っておりますので、ぜひ外務大臣のリーダーシップのもとに、本年もいろいろな重要な核軍縮の会議がありますので、推進をお願いしたいと思います。

 続きまして、再び、自律型致死兵器システム、いわゆるLAWSについて質問をさせていただきます。

 ことしに入りましてから、私は、予算委員会とこの外務委員会において、二度にわたりまして外務大臣にも質問させていただきました。私の質問の根幹は、この軍事技術の中で、人工知能、AIが活用されていくというのは時代の趨勢上不可避であると思いますが、その人工知能が人間の判断から完全に独立をして、自律的に目標を捕捉し、破壊、殺害を目的とした攻撃を行うということは、人類社会の中で絶対に容認をされてはならないということでございます。これが防げないと、銃器と核兵器に続いて戦争に第三の革命をもたらす、こういう指摘があるわけでありますが、私はこれは大げさな考え方ではないと思っております。

 しかし、最近の日本の報道にもありますとおり、残念ながら、中国、韓国などアジア諸国の一部を含む複数の国々で、この完全自律型AI兵器、LAWSの開発が進んでいるという指摘があるわけであります。

 例えば、我々、簡単に想像してもわかるのは、民生分野の、自動車の自動運転の技術が先進化していきますと、それがそのまま兵器に転用されますと、無人化された軍事車両、無人化された船舶、無人化された潜水艦、無人化された戦闘機、爆撃機等々が登場しかねないということでございます。

 これに関しまして、去る三月十四日、河野外務大臣主催のLAWSに関する有識者との意見交換会が開催されたという報道発表がありました。残念ながら、私が外務省に問合せをしたところ、この大臣主催の会議のメンバーや内容は非公開ということでありますが、ぜひ大臣に、この場で、話せる範囲内で、この意見交換会の意義と今後の取組についてお話をいただきたいと思います。

河野国務大臣 今お話をいただきました三月十四日、民間の有識者をお招きをして、自律型致死兵器システムに関する意見交換会を外務省で開催をいたしました。

 このLAWSについては、国際場裏において、国際人道法との関係、倫理上の論点、関連技術のデュアルユースあるいは安全保障上の問題、こうしたものを主要な論点として活発な議論が行われていて、ことしも議論が継続される予定でございます。

 こうした国際社会での議論が深まっていく中で、外務省として、この問題をどういうふうに考えていったらいいのかという理解を深めようということで、有識者に非常に率直にざっくばらんな御指摘をいただきたい、あるいは考え方を伺いたいということで、非公開ということでお集まりをいただいて意見交換をしたものでございます。

 人間が全く関与しない完全自律型の兵器の開発に制限を設ける一方、民生分野の技術開発の妨げにならないようなルールメーキングをどうやっていくのか、それに日本が積極的、建設的にどう関与していくのか、技術的あるいは法的などの専門的な分野を中心に議論を行いました。

 この自律型の致死兵器システム、目標を探査し捕捉し、最後、武器として攻撃をするところまで一連の流れがあって、どちらかというと、最後の攻撃のところをどうするんだというところに議論の焦点が当たりがちでございますが、AIを使ったこうした兵器というのは、恐らく、最後の攻撃のところが問題になるのかというと、むしろ、その以前の探査、捕捉のところからさまざまな問題が出てくるのではないか。

 あるいは、火薬の発明あるいは核兵器の発明といった、これまでの武器の発展の中には節目節目がありますけれども、この完全自律型の兵器というのが、極めて安い価格で、安いコストで大量につくることができる。そうすると、極めて安いコストで大量につくられたものを高価な武器で一つ一つこれと対決したのでは、とてもコスト的に引き合わないというようなことも想定をされます。

 今まで武器の開発体系としてやってきたものが、ある面、根底から覆るような可能性があるということで、この問題については、引き続き、こうした方々にお集まりをいただいて更に議論を深めていきたいというふうに考えているところでございます。

遠山委員 大臣、大変深い御見識を持たれていることに私は勇気づけられたわけでございますが。

 私もいろいろ勉強しておりましたら、なるほどと思ったのは、例えば、非常に進んだ人工知能がつけられた航空機、人間が乗らなくても目標を捕捉して破壊することができる航空機、人工知能つきの航空機ができた場合は、これは、人間が乗っているときは、その乗っているパイロットの生命維持のためにさまざまな機器を載せて、気圧を調節したり酸素を入れたりということをやっているわけですね。しかし、人が乗らないと、そんな必要性は全くないわけでありますから、いろいろなことが効率化されてしまうということが、例えば一つあります。

 これは、車両でも船舶でも潜水艦でも、人間が乗っていれば生命維持のための機能というのを備えなきゃいけませんけれども、人工知能は人間じゃありませんので、それは要らなくなる。要らなくなったところを何で埋めるかということを考えると、今大臣御指摘のあったように、非常に、今まで考えたこともないような強力な兵器になる可能性がそういう面でもあるということでございます。

 ぜひ外務大臣におかれましても、通常兵器に関する軍縮会議等でこれは大きな論点になってまいりますので、ぜひ外務省の中でも英知を結集して積極的な議論をして、あり得べき規制のあり方を検討していただきたいと要望しておきます。

 さて、時間がなくなってまいりましたが、北朝鮮の関連について、二問、きょうは最後に御質問させていただきたいと思います。

 一つは、先日、中朝首脳会談が電撃的にございました。報道によりますと、金正恩氏は、習近平国家主席に対して、非核化の意思を表明した上で、その前提条件として、同時並行の措置を米国と韓国に求めるとしたとされております。

 問題は、金正恩氏が本当に言ったか言わなかったか、私はわかりませんが、この非核化というのが実は朝鮮半島全体の非核化を意味しておりまして、その場合には、米国の核兵器を配備できるアセットを持っている在韓米軍の撤退もしないと、金正恩氏の言う非核化に当たらないという専門家の指摘がございます。

 また、前提条件とされております同時並行措置、これは、北朝鮮から見た軍事的脅威の除去というものと、みずからの体制の安全の保証、この二つの措置を米国や韓国に求めるということでありまして、この軍事的脅威の除去というのは、すなわち、在韓米軍の撤退がなければ自分たちは非核化の措置に応じないと言っているともとれる内容でございます。

 もしこれらの分析が正しければ、金正恩氏がこの核やミサイルの問題について全く姿勢を変えていないと言わざるを得ないと私は考えておりますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

河野国務大臣 北朝鮮を訪問した韓国の特使団の一員でした徐薫国情院長に東京へ来ていただいた折に、かなり詳しく、やりとりについての御説明をいただきました。その後、中朝の会談の後、中国側からもかなり詳しい説明をいただいているところでございますが、その中で、北朝鮮の非核化という話は出てきておりますが、いまだに北朝鮮からはこの非核化について何も触れられていないというのが現実でございます。

 今、遠山委員がおっしゃったのも、これは中国側が発表した内容であって、北朝鮮が正確にそうしたことを言ったかどうか、内容はどうだったかということはいまだにわからないというのが現実でございます。

 そういう中で、北朝鮮が、金正恩委員長が言ったということについて、その真偽が正直わからない中で、そこで言われていることが何を意味するのかというのを余り考えてみても仕方がないのかなと思っております。

 いずれにしろ、北朝鮮が非核化に向けてコミットしているのかどうか、そこに前提条件その他がついているのかどうか、これは、今後の南北の首脳会談あるいは米朝の首脳会談あるいはそこに至る準備会合等で明らかになってくると思います。

 大切なのは、国際社会がしっかりと足並みをそろえて、北朝鮮の言葉あるいは対話に出てくるという姿勢に対しては対価を与えない、北朝鮮が具体的な行動に出なければ対価を与えないというこれまでの方針をしっかりと堅持していくというのが大切だというふうに思っております。

遠山委員 北朝鮮の金正恩氏が、最近、短期間で精力的な外交活動を展開しているという中で、野党の一部の方々からあるいはマスコミの一部から、日本が置き去りになっているんじゃないか、日本置き去り論のような主張が最近なされております。率直に、私は、これは的外れな主張じゃないかと思っております。

 北朝鮮の立場に立てば、まず、自分たちの安全保障確保のために一義的な外交活動を展開をするときに、いまだに法律上は休戦状態にあります朝鮮戦争の当事国である、韓国、米国、中国をまず回るというのは当たり前のことでございまして、そこに日本が直接やりとりをする対象になっていないから日本が置き去りだというのは、まあ、国際社会の基本の理解が欠如した話ではないかなと私は思っているわけでございます。

 ましていわんや、この後外務大臣から御答弁いただきたいと思いますが、日本政府として、総理や外務大臣を中心に、韓国とか米国と緊密な連携をとっていれば、日本が何ら焦る立場にないのではないかと私は思っておりまして、外務大臣はほぼそれに近いことを既に公におっしゃっているわけでございますが、一部でまだ、喧伝というか、誤って報じられていると私は思っておりますけれども、この日本置き去り論みたいなことに対しての外務大臣の御見解を最後に聞きたいと思います。

河野国務大臣 そういう方々がどういう意図でおっしゃっているのかわかりませんけれども、今の状況は、国際社会が、国連の安保理に基づき、かなり一致して北朝鮮に対する圧力を最大限にしようという取組に協力をしてくれてきた、その成果が今出てきているというふうに思っております。

 多くの国々は、北朝鮮の脅威は、東アジアの問題ではなく、国際社会全体に対する、あるいは核不拡散という問題に対する脅威というふうに認識をし、北朝鮮に対する姿勢というものを示してくれているわけであります。

 そんな中で、我が国は、アメリカ、韓国と連日緊密な連携をし、また中国、ロシアとも意見交換をしながら、この北朝鮮の非核化の意思がどこに、本当にあるのかどうか、どうなのかというところを確認をしながら、南北の首脳会談あるいは米朝の首脳会談に備えていこうという作業を今やっているところでございますので、余り意図のはっきりしないことについて特に気にしても仕方がないというふうに思っております。

遠山委員 今月も、総理あるいは外務大臣の海外訪問も予定されていると仄聞をしておりますが、ぜひ総理、官邸とも連携をとりながら、河野外務大臣、日本の外交の司令塔として、この北朝鮮の問題、これはもう本当に、油断をするとどういう深刻な危機に一気になるかわからない事態でありまして、総理が国難であると言ったこともあながち大げさではないという状況でありますので、ぜひ外務大臣のリーダーシップに期待をしたいと思います。

 以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 岡田克也です。

 まず、きょうは、非核三原則について少し大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

 特に非核三原則のうちの核の持込みについてでありますが、この問題は密約問題として長く議論されてきた問題ですが、密約調査の結果としてわかったことは、もともと、この持込み、つまり認識のギャップが日米にある。

 一時的な寄港というのは持込みに当たるという日本に対して、いや、それは持込みに当たらないというアメリカ側の認識、そこにギャップがあることについて、もともと意識的にそういうことが密約として行われたのか、あるいは、自然に、何といいますか、認識の違いがそもそもあったことに気づかなかったのか、あるいは、人によっては、最初から日本側も、一時的な寄港というのは持込みに当たらないんだというのが当初の日本政府のスタンスであった、そういう意見までさまざまあります。

 そのことを今議論するつもりはありませんが、むしろ学者の領域に属する話ではないかと思いますが、最大の問題は、ある時点から日米間に認識のギャップがあるということが明確になったにもかかわらず、依然としてそのことを放置してきたというところに私は問題があるんだというふうに思います。

 この件は十二月にもたしか大臣とも少し議論させていただきましたが、私は、一九六八年の東郷北米局長メモというものがあったということが明確になった、つまり、歴代の外務次官が、総理が就任した、あるいは外務大臣が就任したときに、きちんとそういう認識のギャップがあるということを説明してきた、そのことは明確なわけですけれども、にもかかわらず、それを放置してきたということは、やはりこれは国民に対して極めて遺憾だというふうに思うわけです。

 大臣はそこのところをどう考えておられるのか。もちろん、その時々のいろいろな事情があったことは私も理解しつつ、やはり国民に対して余りにも不正直だったのではないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 いわゆる密約問題については、民主党政権当時、外務省において徹底した調査が行われ、二〇一〇年三月にその結果を「いわゆる「密約」問題に関する調査報告書」として公表されておりまして、現政権もこの報告書の内容を踏襲していると言ってよろしいかと思います。

 当時の状況については簡単に判断できるものではなく、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨、述べられております。

 しかし、おっしゃるように、一方で、この問題がこれほど長期間にわたって国民に対し明らかにされてこなかったことは、やはり遺憾であると言わざるを得ないと思います。

 私としては、今後とも、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力をしてまいりたいというふうに考えております。

岡田委員 そういうふうに一般論で私はお答えになることを求めているのではないんです。

 例えば、一九九一年にアメリカの政策が変わって、戦略原潜あるいは戦略爆撃機以外の艦船についてはもう核を積んでいないということが明確になって、事実上のそういった日米間の食い違いというのは起こらない、つまり、密約の問題について正直に語っても弊害は少ないという状況が生まれたにもかかわらず、例えば、党首討論などで共産党の不破さんが当時の総理に密約の問題について追及しても、そういうものはないと、いわば国会で国民に対してうそをつき続けてきたということは否めないと思います。

 本来であれば、今いろいろな局長の答弁が問題になっていますけれども、これは、やはり党首討論という場でそういうことを言っていたことは、私は、国会に対する侮辱である。そのことについて、もう過去のことで、私も外務大臣のときにそのことを殊さら言うようなことはしませんでしたが、しかし、自民党の外務大臣としてそういう一般論だけで切り抜けるというのは、私は納得いかないんですね。

 もう少し、自民党の外務大臣として、この問題についてどう総括するのか、おっしゃっていただきたいと思います。

河野国務大臣 歴代の政権関係者が答弁を行った当時の状況について、これは簡単に判断できるものではないというふうに思いますが、当時の国際環境その他日本国民全体の利益、国益に照らしてそれぞれの判断をされたんだろうと思います。

 ただ、おっしゃるように、この問題がこれほど長期間にわたり明らかにされてこなかったというところは遺憾であると思います。

 今後とも、国民とともに歩む外交というものをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

岡田委員 大臣、答えられていないんですが、秘密があって事実を明らかにできない、外交にはそういうものがあるということは当然だと思います。そうじゃなくて、はっきり、そういうものはない、いわば事実に反すること、もっと言えばうそを言ってきたと。

 では、外交で、大臣は、国会の場で、国民に対して、必要があればうそを言うことは許されるというふうにお思いなんですか。

河野国務大臣 私個人としては、外交には秘密のものがございますから、それはつまびらかにできないものはいろいろあろうかと思いますが、そうでないものにつきましては、できる限り、誠心誠意お答えをしてまいりたいと思っております。

岡田委員 質問に答えていただいていないんですが、明らかにできないものもある、それは当然です。だけれども、だからといってうそを言っていいのか。河野大臣は、そういう場合には国会の答弁でうそを言うこともやむを得ないというふうにお考えなんですね。

河野国務大臣 先ほど申しましたように、私は、秘密のものは別でございますが、誠心誠意答えられるものについてはお答えをしてまいりたいと思っております。

岡田委員 私の質問には全然答えていないわけですね。誠心誠意答える、当たり前です。そして、秘密のものがある、これも当たり前です。でも、秘密のものがあったら、事実と異なることを国会で答弁していいのかと私は聞いているんですが、いかがですか。

河野国務大臣 外交には当然外交秘密というものがございますが、お答えできるものについては誠心誠意お答えをしてまいりたいと思っております。

岡田委員 今の答弁をお聞きしていると、河野大臣は、明らかにできないものがあるときにそれを言わない、答弁を回避するというだけではなくて、積極的に事実に反することを言ってもいいというふうに受け取られますよ。それで、河野大臣、いいですね。

河野国務大臣 私が先ほどから申し上げているのは、外交には外交秘密というものがございまして、それについてはつまびらかにすることはできないというのは外務大臣を経験した岡田委員もよくおわかりだと思いますが、そうでないものにつきましては、誠心誠意お答えできる範囲でお答えをさせていただきたいというふうに申し上げております。

岡田委員 では、もとに戻って、先ほどの持込み疑惑、日米間の認識のギャップがあるということは、これは正直にそういうギャップがあるということを言うことができない何か秘密があったんですか。

河野国務大臣 当時のことは、民主党政権当時、外務省において徹底した調査が行われ、いわゆる密約問題に関する調査報告として公表されており、この政権もこの報告書の内容を踏襲している、先ほど申し上げたとおりでございます。

岡田委員 調査結果を踏襲しているといっても、それは有識者が述べた報告書ですから、大臣自身の口でそういった、この持込みをめぐる問題について歴代総理あるいは外務大臣が事実に反することをしてきたことについてどう考えているか。密約調査の中では、有識者がいろいろなことを言っていますよ。だけれども、大臣はどう考えているかということを聞いているわけです。

河野国務大臣 当時の状況については、簡単に判断できるものではなく、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益、国益に照らして判断すべきものである旨、述べられております。

岡田委員 ちょっと今原本を持ってきていませんが、密約調査の中で、この持込みに関するところについては、それにしても、もう既にアメリカの政策が変わった後もそういったことを維持してきたことについては、これは国民に対して正直でなかった、遺憾であるという趣旨のことを明確に言っていると思いますよ。どうですか。そういう認識は共有されますか。

河野国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、この問題がこれほどの長期間にわたり国民に対し明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えております。

 私としては、今後、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力してまいりたいと考えております。

岡田委員 事務当局はそういう答弁を作成しているんだと思います。安倍総理も岸田大臣も、同じようなことを言っておられました。しかし、そこはやはり河野大臣のリーダーシップというものがあっていいんじゃないかと。やはり、事務方をどうやって動かしていくか。

 私は、大臣に就任した日に命令を発して、そして、全省挙げて明らかにしろと。公務員法の制約がかかっているよ、そういう中でこういう調査をして、そして出てきた話なんですね。でも、この調査をしていなければ、いまだにうそを言い続けなきゃいけなかったかもしれない。私は、日本の外交にとって一つの大きな問題を取り除いたというふうに自負はしているんです。

 ぜひ大臣も、この問題についてどう考えるのか、過去のことについて、先輩のことですから言いにくいところはわかりますが、しかし、やはり国民を向いて外交をやっているのであれば、そのことについての大臣の肉声が聞こえてくるのは、私は当然だというふうに思います。これ以上きょうは言いませんが、ぜひ大臣が外務大臣として大成していただきたいと思うからこそ、私はこういうことを申し上げているところであります。

 それでは、昨年の十二月のこの委員会における私との質疑の中で、大臣はこういう答弁をされているんですね。アメリカ政府は日本政府の非核三原則の立場を理解しているので、それを損なう形で戦略爆撃機が来ることはない。つまり、戦略爆撃機が日本に仮に来たときに、そこに核を積んでいるかどうかわからないではないか、そういう私の質問に対して、アメリカ政府は日本政府の非核三原則の立場を理解しているので、それを損なう形で戦略爆撃機が来ることはないと答弁されています。

 そこで言われている日本政府の非核三原則の立場というのは何ですか。

河野国務大臣 政府として、政策上の方針として、非核三原則を堅持しております。

岡田委員 ここで問題になるのは、持ち込ませずということですけれども、核兵器を搭載した艦船の寄港あるいは航空機の飛来もこの持込みに含まれていて、認められないというのが日本国政府の立場だというふうに私は理解するんですが、大臣も同じですか。

河野国務大臣 我が国は非核三原則を堅持するわけで、政府としてその方針を堅持しよう、そういうことでございます。

岡田委員 ちょっと大臣、答弁が不真面目過ぎますよ。私が聞いていることにイエス、ノーでお答えください。

 その持込み、非核三原則の一つの持ち込ませず、その持ち込ませずの中に一時的な寄港も含まれるということが日本国政府の立場ですね。そういうことについて、大臣は同じ考えですかと聞いているんですよ。もし答えなければ、大臣は一時的寄港は持ち込ませずに含まれないんだというふうに言っているに等しいことになりますよ。

河野国務大臣 先ほどから申し上げているように、我が政府は非核三原則を堅持するということを申し上げているわけで、この非核三原則の中の持ち込ませずに一時的寄港も含まれるというのは、これまで政府が申し上げていることでございます。その方針を堅持するということを申し上げているわけでございます。

岡田委員 その日本政府の考え方をアメリカは理解しているというふうに、立場を理解しているというふうに大臣はおっしゃったんですが、理解しているんですか。

河野国務大臣 同盟国として、日本の方針を米国はしっかり理解をしていると考えております。

岡田委員 理解しているかどうか、外交の場で確認されたことはありますか。

河野国務大臣 日米の間では、この核の問題を含め安全保障に関するさまざまな問題について、日ごろから緊密に連携をしておりますので、日米の間でこの非核三原則についてそごはないというふうに考えております。

岡田委員 アメリカは理解しているとか日米でそごはないとおっしゃったんですが、そのことは、一時的寄港については持込みに含まれるので、それは、日本国政府の非核三原則、もし一時的寄港で、核を積んだ船が一時的寄港をすれば日本国政府の非核三原則に触れることになる、したがってそれは行ってはならないというふうにアメリカが理解しているということですか。

河野国務大臣 日米の間でそのように理解されていると考えております。

岡田委員 その理解という言葉が非常に不透明なんですね。理解している、日本国政府の考え方は理解している、わかっているということと、アメリカがそれを尊重して守るということは、それはイコールじゃないわけですね。

 ですから、理解していると大臣はおっしゃったけれども、アメリカ政府は、日本国政府の非核三原則の立場、つまり一時的寄港も持込みに含まれるということについて、それを守る、尊重するということは明確なんですかと聞いているわけです。

河野国務大臣 日米間で、先ほどから申し上げておりますように、核を含む安全保障の問題について日ごろから緊密に連携をしておりますので、日米の間で考え方、その理解にそごはないということでございます。

岡田委員 これは、アメリカは、従来は、核を艦船に積んでいるか積んでいないか明確にしないという中で、実際には核を積んだ艦船が日本に寄港していたという、その疑いは極めて濃いわけですね。日本国政府の非核三原則の考え方は知ってはいたけれどもアメリカの立場は違うということで、そういったことが事実上黙認されてきたということだったと思うんです。

 そういうことはもうないということは断言できますか。

河野国務大臣 アメリカは我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしておりますから、米国が核兵器を搭載した戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということは、現状において想定されません。

岡田委員 現状においてとか想定されないと言われるんですが、もしアメリカ側が日本側の非核三原則をしっかりと守るということであれば、そのことを確認されたらどうですか、日米間で。

河野国務大臣 先ほどから何度も申し上げているとおり、日米の間では、核を含む安全保障について日ごろから緊密な連携をしているところでございますので、米側は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしております。米国が核兵器を搭載する戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということは、現状において想定をしておりません。

岡田委員 それはどうやって確認するんですか。

河野国務大臣 日米の間で、核を含む安全保障について日ごろから緊密に連携をしているところでございます。

岡田委員 私は、アメリカは核を積んでいるか積んでいないかということを言わないわけですから、結局、核を積む可能性のある戦略爆撃機や戦略原潜を日本に寄港させることは認めないということしか事実上担保できないと思うんですね。そういうお考えはありませんか。

河野国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げているように、日本とアメリカは、核を含む安全保障の状況について日ごろから緊密に連携をし、アメリカは我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということは、現状において想定をしておりません。

岡田委員 これは結局、新しい密約がスタートしつつある、そういうふうに考えざるを得ないんじゃないかと思うんですね。日本のことをアメリカは理解しているからそういうことをするはずがないと言いつつ、実際それを確認する余地はないわけですから、アメリカを信頼するしかないと。

 しかし、日本の非核三原則をもし堅持するというふうにおっしゃるのであれば、それはやはり、きちんと確認できるような、そういう形がなければならないと思うんですね。

 それでは、少なくとも文書でそういうものを日米間で確認されたらどうですか。

河野国務大臣 日米の間は核を含む安全保障について日ごろから緊密に連携をしておりまして、その結果として、米側は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりということを現状において想定をしておりません。

岡田委員 この持込みの密約といいますか、この問題を、過去を振り返ると、アメリカ側は何度か、いや、日本政府は核兵器を積んだ艦船の一時的寄港は持ち込ませずに含まれると言っているけれども、我々は実はそんなことは区別できないし、例えば核を積んでいる艦船がそれをわざわざおろして寄港させるなんということはできないのでしていないんだよ、そこに食い違いがあるけれども大丈夫かということをアメリカ側が何度かサインを発しているわけですね。

 例えば、大平さんが駐日米国大使に呼ばれてそういう話をされた。結局、それはもういかんともしがたいということで、日本国政府は、本当のことを言うとこれはもう国会がひっくり返っちゃう、内閣がひっくり返っちゃうということで、ずっと修正できないまま来てしまった、こういう問題だというふうに思うんです、大臣もお詳しいと思いますけれども。

 同じようなことがまた始まろうとしているんじゃないか。それをきちんとした形で、国民に対して正直な形で整理できるのは、それは外務大臣なんですよ。だから、あなたがそれをきちんとするかどうか、あるいは、かつてあなたが批判してきたような、そういった歴代の外務大臣や総理大臣と同じような道というか、新たに始めるんだからそれより罪は深いと思いますよ、そういった道を行くのか、今その瀬戸際だというふうに私は思うんですが、もう一回答弁してくれますか。

河野国務大臣 日米は核を含む安全保障に関して日ごろから緊密に連携をしております。よって、アメリカは我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略原潜や戦略爆撃機を我が国に寄港、飛来させたり領空を通過させたりというようなことは、現状において想定をしておりません。

岡田委員 何回聞いても同じ答弁をされるんですが、まあ大臣も非常に苦しいところだと思いますが、ここはまたやがて私は質問しますから、よく考えておいていただきたいと思います。これは外務大臣しかいないんです、このことについてきちっと整理できるのは。事務方では無理なんですね。そのことを申し上げておきたいと思います。

 それから、非常に気になるのは、核兵器搭載可能なB2戦略爆撃機が自衛隊の航空観閲式へ参加する、これは結果的にはなかったんですが、そのことが取り沙汰されたり、それから、B52戦略爆撃機が日本の領空を通過して、航空自衛隊と共同訓練を行った。つまり、核を積める航空機というものが自衛隊とリンクしつつあるということについて、私は非常に懸念をしているわけです。

 大臣にお聞きしたいと思いますが、もし、これは日本の領空でなくて結構なんですが、B52戦略爆撃機を日本の自衛隊が守る、護衛する、編隊を組んで護衛するというようなこと、そして、その戦略爆撃機に核が積まれている可能性がある、そういう事態というのは、大臣はどう思われますか。

河野国務大臣 自衛隊機と米軍の航空機との共同訓練は、日米同盟全体の抑止力、対処力を一層強化するためのものであって、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中で、地域の安定化に向けた我が国の意思と高い能力を示す効果があるというふうに考えております。

 その上で申し上げれば、米側は我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていることから、米国が核兵器搭載の戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりするようなことは、現状において想定をしておりません。

岡田委員 私が聞いたのは、領空を通過するということではなくて、日本の領空の外で戦略爆撃機が実際に行動するというときに、それに自衛隊がその戦略爆撃機を守るために一体として行動する、そういったことは、当然訓練しているわけですから想定されていると思うんですが、しかし、その戦略爆撃機に核が積まれている可能性がある。実際に実戦になったときに、そういった核を積んだ戦略爆撃機がその核兵器を使うかもしれない、それに自衛隊がその戦略爆撃機を護衛するというようなことは、もちろん非核三原則とは直接関係ありませんが、しかし、非核三原則と同じような考え方に基づけば、そういうことは私は認められないと言うべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

河野国務大臣 核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定をしておりません。

岡田委員 現状において想定しないという二重の言い方をしているんですが、そういうものは認められない、日本はしないんだというふうに言うべきじゃないですか。

河野国務大臣 認める、認めない以前の問題として、核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定されません。

岡田委員 現状において想定しないという答弁を二回繰り返されたんですけれども、本当にそれだけでいいんですか。想定するってどういう意味ですか。答えてください。

河野国務大臣 国語辞典が手元にありませんから正確にお答えができているかどうかわかりませんが、現状において想定されないということは、現状において考えられないということでございます。

岡田委員 想定されないというのは、アメリカがそういったことはしないという意味ですか。それとも、日本国政府として、アメリカに求められてもそれは受けないということですか。どちらですか。

河野国務大臣 現状において、そうしたことが起こるとは想定をしていないということでございます。

岡田委員 これは、客観的に起こる、起こらないの話じゃないんですね。想定されないというのは、日本はそういったことをアメリカから求められてもそれは受けないということなのか、あるいはアメリカがそういうことはしないということ、どっちかしかないじゃないですか。客観的にそういうことは起こらないって、自然現象じゃないんですから。はっきりお答えください。

河野国務大臣 先ほどから申し上げているように、核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍の戦略爆撃機を自衛隊が警護することはない、想定されない、そういうことでございます。

岡田委員 同じ答弁を繰り返しておられるんですが、想定されないってどういう意味ですかと聞いているんです。日本としてやらない、そういうことですか。それとも、想定されないって、地震が起こるとは想定されないならわかりますけれども、これは意図的に、人間の意思が聞かれているわけですから、日本の意思としてどうなんですかということを私は聞いているわけです。

河野国務大臣 核兵器の特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機を自衛隊が警護するということは求められないというふうに今想定をしているということでございます。

岡田委員 核兵器の特殊性を踏まえれば求められないというのは、もう少し説明してもらえますか。アメリカからなぜ求めないんですか。

河野国務大臣 核兵器の運用について言えば、アメリカは、核兵器の運用は自国のアセット、米国のアセットのみで運用するという秘匿性の高さがまずございます。また、核兵器を搭載する戦略爆撃機は、一度命令を受ければ米本土の基地から敵地まで自律的に飛行して攻撃を行うものであって、艦艇のように、補給のための寄港のためその他第三国の領域を経由する必要がないという運用の特殊性がございます。またさらに、核兵器の安全を確保するという必要性がございます。

 こういう特殊性を踏まえれば、核兵器を搭載した米軍の戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定されません。

岡田委員 グアムにいる戦略爆撃機、もともとは本土から来たかもしれません、それが朝鮮半島に向かう、それを警護するということはないんですか。今の大臣の御答弁のようなことを私は言っているんじゃなくて、グアムにいる戦略爆撃機が朝鮮半島に向かう場合に、それを警護することはないのかと。お答えください。

河野国務大臣 核兵器を搭載した米軍の戦略爆撃機を自衛隊が警護することは、現状において想定しておりません。

岡田委員 もとの答弁に戻られちゃったので、この続きはまたしたいと思いますが、私は、かなり、日本政府は、アメリカの言うがままに、どこまでも突き進んでいるという印象を受けるんですね。確かに、朝鮮半島の今の現状は憂慮すべき事態です。しかし、そこに一定の線を引かないと、もし線を引かないというのなら、非核三原則を堅持するなんて言わない方がいいですよ。

 そのことだけ申し上げておきたいと思います。

中山委員長 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 立憲民主党の阿久津幸彦でございます。

 一昨年五月の世界人道サミットで確認されたとおり、世界の人道危機は大規模化、長期化、複雑化しておりまして、難民、国内避難民の数は六千五百万人に達して、そのために必要な資金も対二〇〇〇年比で十五倍にもなっているというふうに言われております。

 私の方からは、ちょっとNGO関連の質問から入らせていただきたいと思っております。

 SDGsの流れの中で、深刻化する世界の人道危機に、日本政府、日本の市民社会、シビルソサエティーが連携して、より効果的な人道・開発支援を実施できるようにすべきとの声が上がっております。

 NGOの有志団体からも要望を受けている次第なんですが、ちょっと御紹介させていただきます。一つ目の要望は、人道支援に従事するNGO職員の渡航に際して、一般渡航者向けの安全基準を一律に適用する方針が見直されること、もう一つは、政府が資金拠出を行うNGOの活動であっても、個別の団体、事業ごとにNGO側との協議の上で渡航の是非が判断され、十分な安全管理がなされている場合には、団体の自己責任による駐在や渡航が認められることという御要望をいただいております。

 河野外務大臣の見解を伺うとともに、その見直しの検討開始をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 まず、原則論から申し上げますと、NGO職員であっても邦人であることに変わりはないわけですから、邦人保護は外務省の重要な責務の一つであり、外務省が発出する危険情報に従うよう、政府として要請をすることとなります。

 レベル4の退避勧告地域への邦人NGO職員の渡航は、安全確保が極めて困難であり、認めることは適当でなく、邦人の安全に責任のある外務省として、海外安全情報に従っていただくよう要請をしております。また、レベル3、渡航中止勧告地域への渡航については、当該NGOが十分な安全対策を講じていることが確認できれば、個別に認めた事例もございます。

 NGOの活動は重要でございますが、邦人の安全にかかわることでもあることから、慎重な対応を日本政府としてしてまいりました。

 先般、NGOの代表者の方々と外務省でお目にかかりまして、NGO側の問題意識を伺ったところでございます。

 国際的なNGOの中には日本人の職員がいるNGOがございまして、そうした国際的なNGOがさまざまな地域で活動するときに、そのNGOの一員として邦人職員が行くということは十分に想定をされるわけでございます。その一方で、同じ地域に日本のNGOが行こうとするときに、外務省としてさまざま邦人保護の観点からお願いをしてきたことでございますが、そこに差が出るということもございますし、日本のNGOとしての能力構築その他ということを考えると、今後、邦人保護という観点は非常に重要でございまして、外務省として、NGOだからあるいは人道支援だからということで一律どうこうということは難しいかもしれませんが、そこは、地域の情勢あるいはNGOの能力、その他さまざまなことを考慮しながら、NGOの皆さんとどういうことがこれから必要なのかしっかりと議論をし、必要ならばさまざまな新しいルールというのをつくることを考えていく、そういう時期に来ているのではないかというふうに思います。

 そういう対応ができるように、NGO側にもさまざまな対応のお願いをしたところでございますし、我々あるいは政府側全体としても、少し対応の検討をしてまいりたいというふうに思います。

阿久津委員 大変いいお答えをいただきまして、もちろん原則論は原則論として、邦人保護、しっかりとやらないといけないというのはもちろん理解した上で、地域によるし個別の判断もあるというお話をいただいたと思っております。

 私は、鍵を握るのは、特に日本の場合はメディアだと考えております。これは、NGO側の努力もまた足りなくて、メディアリレーションズの強化を含めて、もっともっとメディアとしっかり向き合って、理解していただけるように話を積み重ねていかなければいけないと思っておりますので、これからもこの問題、少し時間はかかると思いますけれども、ぜひお力添えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続けて、次の質問に入らせていただきます。

 北朝鮮問題についてお話を伺いたいと思います。

 やや唐突なんですけれども、北朝鮮問題について、非核化か戦争回避か、我が国の国益を考えて究極の選択を迫られた場合、どちらの優先順位がより高いというふうにお考えでしょうか。お答えいただければと思います。

河野国務大臣 東アジアの地域の平和と安定のため、あるいは国際社会における不拡散、この体制を維持するためには、朝鮮半島の非核化は不可欠でございます。

 しかし、同時に、朝鮮半島と日本の距離その他を考えたとき、あるいは、韓国にいる多くの日本人あるいは韓国の大勢の方がソウルを始め北朝鮮と非常に近いところで暮らしているということを考えれば、平和的、外交的に問題を解決しなければならないというのは言うまでもないことでございまして、選択は、戦争回避か非核化かではなくて、平和裏に非核化を実現するということなんだろうというふうに思います。

阿久津委員 ありがとうございます。

 外務大臣としてはそう答えざるを得ないと思いますし、それが正解なんだと思うんですが、中国、韓国がそれぞれの国益でどう考えたのかを推察させていただくと、どちらも戦争回避の優先順位が高かったのではないかというふうに私は考えています。

 米国は中立だと思うんです。ただし、今までの米国政権がどちらに力を入れてきたかなという歴史的な背景を見ますと、明らかに非核化を優先していたように思います。ただ、トランプ政権は、中間選挙も近いですし、ビジネスマインドが強い政権ということから、戦争回避にウエートを置いているのではないかな、そんなふうにも思うんですけれども。

 次に、私は、その流れの中で、米中韓が北朝鮮との関係において対話路線を模索していく上で、日本だけが蚊帳の外に置かれているのではないかという批判に対してはどのように受けとめているのかということを聞こうと思ったんですが、先ほど遠山清彦委員がきちんとお聞きになりましたので、この問題においては、米中韓と日本は国益に基づく優先順位が必ずしも一致していない場合もあるということを私は指摘するだけで、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 日本は、北朝鮮が核保有の放棄と核開発の断念を実行し完了するまでしっかりと見届ける必要があるというふうに私も考えております。北朝鮮への経済制裁は、非核化の検証が完了するまで続けるべき。

 また、韓国は、最近になって、非核化に向けて北朝鮮が何らかのアクションをとるたびに見返りを与える、私の言葉で言うとステップ・バイ・ステップ方式というんですが、北朝鮮の言葉で言えば同時並行措置を求める方式というのかもしれないんですけれども、そんな外交を模索しているように思えます。

 日米韓の連携を維持強化して、国連の北朝鮮に対する制裁決議を遵守するよう、日本が先頭に立って韓国にも働きかけていくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 まず申し上げておきたいのは、北朝鮮は非核化にコミットしているという発言を、北朝鮮自身はこれまでしてきておりません。ですから、北朝鮮の意図がどうなのかということをしっかりと分析をする必要があって、これはアメリカも韓国も、あるいは中国も、言ってみれば、同じ状況だろうというふうに思っております。

 また、中国側の発表では、金正恩委員長が段階的かつ同じ歩調の措置をとれば云々、こう述べたということでございますが、これについても北朝鮮は何も触れていないというのが現状でございます。

 そういう中で、今行われている経済制裁は、これは国連の安保理の決議に基づくものでございまして、国際社会が全体として一致して行っているものでございますから、国際社会としてどうするか。国際社会は、北朝鮮が完全、不可逆的、なおかつ検証可能な方法で非核化をせねばならないということを言っているわけでございますので、交渉が始まり、首脳会談、南北の首脳会談あるいは米朝の首脳会談が行われ、その準備会合が行われていく中で、北朝鮮の意図がはっきりと明確になってきた段階で、それではどのように進めていくのかというのは、これは交渉の中での手のうちになることでございますから、申し上げるのは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが。

 今行われているのは、これは北朝鮮と国際社会の対話ということであって、その対話の先頭に立つ役を、南北では韓国が、米朝ではアメリカが先頭に立つということでございますが、今後どういう対応をしていくか、これは国際社会全体で議論をして進めていく必要があるというふうに思っているところでございます。

阿久津委員 私の質問の趣旨は、韓国への懸念というとあれなんですけれども、韓国にももちろん感情があると思います。それは、末松委員の前の質問のときにお話がございましたけれども、やはり同胞意識というのは、これは我々にはわからないぐらい強いものがあると思うんです。

 それで、間もなく訪韓されて、韓国の文在寅大統領や康京和外務大臣ともお会いすると聞いておりまして、そのときの主要課題は恐らく、これは新聞記事ですけれども、拉致問題を韓国が南北会談で持ち出してくれるように働きかけるというふうに聞いております。

 私、率直に申し上げると、韓国官邸は、拉致問題は日朝、バイでやってほしいみたいなニュアンスも出してきているというふうにも聞いています。だから、これは、いや、もちろん言うことは大事なんですけれども、これを言うだけではなくて、もう一つ韓国にプレッシャーとして、先ほど申し上げたような、金正恩は非核化の意思を明確化したというふうに直接言ったことはないんですよという言葉も含めてお伝えいただいて、韓国のことも日本は国際社会の重要な一員として見ているよ、北朝鮮に何かエネルギー等の協力をすることは許されないよというようなことをお伝えいただければなというふうに考えております。ちょっとだけございますか。

河野国務大臣 北朝鮮とのやりとりの中で、韓国について、メディアあるいは一部の評論家、さまざまな見方をされているのは承知をしておりますが、我々は、今、日米韓で緊密に政府間、連携をしております。連日のようにさまざま情報のやりとりをしているところでございますし、さまざまなレベルでの意見交換というものもやっているわけでございます。

 もちろん、もともと一つの民族であった朝鮮半島が南北に分断をされているという意識もございますし、あるいは、国境線から極めて近いところに首都ソウルがあるという状況もある。さまざまな韓国の事情もございますが、韓国は一貫して、北朝鮮の非核化というのが大事だということを言ってきた。非核化をきちっと実現をするまで、国際社会の圧力というのを続けなければならないということを言ってきております。

 今、日米韓の中で考え方に差があるかと言われれば、さまざまな、何というんでしょうか、感情みたいなものはいろいろあるかもしれませんけれども、方針として、どう北朝鮮と向き合っていくかという中で、今、日米韓、差はないのではないかというふうに思っております。

 これから南北の首脳会談が行われ、そのための準備会合が何度か行われるというふうに思っておりますが、そのたびに韓国としっかりと情報を共有し、また日米韓で連携をしながら、さまざまな対処について議論をし、そのたびに方針が一致しておりますので、これからも、日米韓、しっかりと連携をした上で、中国、ロシアを始め国際社会の支援もいただいて、この朝鮮半島の非核化に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。

阿久津委員 私は、北朝鮮の意図は明確だというふうに思っているんです。それは、体制の維持、保全を目指しているのであって、非核化を国内では言わないで国外で人の口を使って唱え出したのは、体制維持、保全のための手段であって、私は、北朝鮮は本気で非核化をする意思はないというふうに考えておりますけれども、一方で、北朝鮮で支援を必要とされている方々もいらっしゃると思うんです。

 我が国は、NGOを活用して、NGOの緊急人道支援活動を堂々と支援して届けていくべきだと考えていますし、そのNGOの活用について、河野大臣、どのようにお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。

河野国務大臣 まず、前段についてでございますが、北朝鮮の意図がどこにあるか、いまだにはっきりと明確になっていないということなんだろうと思います。また、おやめになられましたが、ティラソン前国務長官は、北朝鮮に対して四つのノー、その中で体制変更は求めないというようなことも発信をしてまいりましたので、北朝鮮の意図というのがどのあたりにあるのかというのは今後しっかりと明確に見きわめていきたい、今の段階で、非核化の意思があるかないかというのを断定するのはまだ早いのではないかというふうに思っております。

 NGOの件、人道支援についてでございますが、北朝鮮は、本来、北朝鮮の人々の福祉に責任を持つべきでございまして、内戦が続いているイエメンと北朝鮮とは明確に状況が違います。責任のある政府が存在をしている、そして、その政府には、広島に投下された原爆の十倍とも分析をされる核実験を行うだけの財力もあるわけでございます。

 ですから、北朝鮮の中で困っている人々に手を差し伸べる責任は、これはもう北朝鮮の体制にあるのははっきりをしておりまして、この北朝鮮の責任、その責任の一部を国際社会がいかなる形でも肩がわりするということは、北朝鮮にその分、核、ミサイルの開発を行う余裕を与えるということになるわけでございまして、このような状況を踏まえれば、日本政府として、NGOを通じたものを含め、北朝鮮に対する御指摘のような支援を行う考えは現時点でございません。

阿久津委員 NGOに関してだけ申し上げると、私も今は大臣の答弁で結構だと思います。それで、NGO側も、実際に今北朝鮮に対して手を挙げるNGOはほとんどないというふうに考えております。ただし、準備と言うとあれなんですけれども、北朝鮮にもしかのいろいろなことがあった場合はそういう事態も発生し得るというふうに考えております。

 最後に、一つだけ質問したいと思います。

 拉致問題を除けば、北朝鮮問題の進展を慌てる理由は我が国にはないというふうに私は考えています。日本にとって次なるターニングポイントは、二〇二〇年の東京オリンピックになるのではないかと。北朝鮮は恐らく東京オリンピックを利活用して、ありとあらゆる仕掛けを繰り出してくると思っております。オリンピックを活用して日本がしかけるとすれば、それは南北朝鮮の統一という目標設定ではないか、日本の後押しをにおわすことでこれは結構インパクトがある話になるのではないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 平和裏に、地域の平和と安定を損なうことなく、また安全保障環境を損なうことなく南北が統一されるというのは日本にとっても喜ばしいことだとは思いますが、平和裏に国民が選ぶ方法で統一が行われなければならないと考えます。

 そのときに、北の体制で統一されるのか、あるいは韓国の体制のもとに北を組み込むのかということになるわけで、これは今の段階でなかなか道筋を描くのは難しいのではないか、特に二〇二〇年というのはもう今から、まあ、ベルリンの壁が崩壊するに至った過程は極めて速かったわけでございますから、全ての可能性を否定するわけではございませんが、南北の統一と東京オリンピックを結びつけるというのは少し時期的にも厳しいのではないかと正直に思っております。

阿久津委員 私は、北朝鮮は恐らく東京オリンピックを利用して国際デビューを図ろうとするのではないかというふうに考えております。よって、東京オリンピックというカードは食らいつきやすいカードではないかというふうに考えておりますので、まだこれから時間も、大臣おっしゃるようにありますので、ぜひそれも含めて、拉致問題はなかなか大変だと思いますので、どういう形でも拉致問題に最終的に結びつけていって、お救いするという方向性も含めて、意見を述べさせていただきました。

 もう一つだけ、こちらの関係で質問したいと思います。

 先日の中朝首脳会談の映像を私も見たんですけれども、珍しく金正恩委員長の緊張した表情がうかがえたんですね。日中関係の強化が北朝鮮に対して今なおプレッシャーになり得るのかなというふうに考えているんですが、中朝首脳会談についてどのように捉えるのか、また日中関係の修復、強化に向けたお考えも伺いたいと思います。

河野国務大臣 中国側の発表と北朝鮮側の発表と同一ではないということが一つあるんだろう、北朝鮮の意図についてはどうなんだろうというふうなことを考えております。また、中国は安保理の常任理事国でもございますし、かつ六者会合の議長国でもございます。また、かつて北朝鮮との貿易の九割を対中貿易が占めていたということを考えると、中国の果たすべき役割というのは非常に大きいというのは、そのとおりだろうと思います。

 今、日本と中国は、アジアの平和と繁栄に大きな責任を共有している、そういう二つの国でございまして、ことしは日中平和友好条約締結四十周年という節目の年でもございます。戦略的互恵関係という考え方のもと、まず、日中韓のサミットを東京でなるべく早い段階で、今、日程調整、その他調整中でございますが、ここに李克強総理をお迎えし、時期を見て総理の訪中、そして習近平主席にその後訪日をしていただく、こういうハイレベルな往来を重ねていく中で、日中関係を新たな段階に押し上げていきたいというふうに考えているところでございます。

 日中関係のみならず、国際社会の連帯というのが北朝鮮に向けて最大の圧力になってくると思いますので、それが維持できるように、しっかりと対応してまいりたいというふうに思います。

阿久津委員 私、日中関係は、改善というか強化するチャンスが日本に訪れているのではないかというふうに思っております。それは、貿易、経済問題において、米国トランプ政権の中国狙い撃ち感は結構強い、かなり厳しいなというふうに思っておりまして、その反作用というかバランスの中で、総合的に見て、日本が中国と距離を縮めるチャンス、これはいつもあるわけじゃなくて回ってくると思いますので、もう大臣の方がよく御存じだと思うんですが、ぜひこのチャンスを生かしていただいて、中国との関係も含めて、世界で北朝鮮問題というものを考えていくようにしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 終わります。

中山委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 よろしくお願いします。おはようございます。篠原豪でございます。

 私からも、北朝鮮に関して幾つかお伺いをしていきたいと思います。時間が短いので、手短に質問していきますけれども、まず、北朝鮮の核・ミサイル問題に関して、金正恩朝鮮労働党委員長と会談した韓国大統領府の鄭義溶国家安保室長らが訪米をして、金委員長に託された文書を受けて、トランプ大統領は、首脳会談を五月末までに開く意向を明らかにしています。実現すれば、初めての、現職の米大統領と北朝鮮の最高指導者が会うということになります。

 そこで、まず、日本政府はその意義をどう考えているのか、また、会談が実現に至った要因をどういうふうに評価をしているのか、教えてください。

    〔委員長退席、山口(壯)委員長代理着席〕

河野国務大臣 米朝首脳会談、予定はされておりますが、これは実現に至るかどうか、まだまだ予断を許さないというのが現状だろうというふうに思っております。

 その上で申し上げれば、これまで国連の安保理で累次、北朝鮮に対する経済制裁を含む安保理決議を通してまいりました。そして、日米韓あるいは中国、ロシアといった国々だけでなく、国際社会全体が、この北朝鮮の核・ミサイル開発をそれぞれ脅威と捉え、また核不拡散体制への挑戦というふうに捉え、この安保理決議による制裁をかなりしっかりと履行してくれた。また、独自の制裁を加えてくれた。その結果、中国、北朝鮮の間の貿易、特に、中国側の輸入は今、非常に多くの品目でほぼゼロという状況になっておりますし、北朝鮮の国内で石油精製品の価格が大幅に値上がりをしているというようなことも韓国の政府が確認をし、発表しているところでございます。

 そういう具体的な措置が北朝鮮に対する圧力となってきたということは、これはもう否めないところでございまして、北朝鮮がこういう状況をどう変えていくのかというのを考えた結果、米朝首脳会談の提案というのがその一つであったのではないかというふうに思っておりますが、最初に申し上げましたとおり、今後この米朝というのがどのように準備が進められていくか、しっかりとアメリカとも連携しながら見きわめてまいりたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 先ほどの阿久津委員の質疑の中で、日本としてもこれはしっかりと分析をいろいろしていかなければいけないだろうということだと思っています。

 この問題は、北朝鮮の核、ミサイルをめぐる主な動きでいうと、今北朝鮮の非核化、非核化と言っていますが、そもそもは九一年に南北非核化宣言をやった、九二年にこれを正式署名をして二月に発効したというところからずっと来ているので、やはりこの間の、実際には一九五三年の朝鮮戦争が休戦してからということになると思うんですけれども、その分析をしていく上で、やはりちょっと考えなければいけないなと思っていることがありまして。

 今経済制裁が、国際社会への圧力の要求によって、これがこの状況を生んだんだろうというふうにおっしゃったと思います。実際、では、日本として北朝鮮がそのような類似の状況にあったことがあったのかというふうに思うとすれば、私なんかは、九四年から九八年にかけて、金正日が死去して、そして飢餓と経済的な不況で国が崩壊をしてもおかしくないんじゃないかというふうに国際的な評価を受けているときがあって、北朝鮮はそれを乗り切るために苦行の行軍というのをスローガンに掲げて、そして政権維持を必死にやっていると思います。

 北朝鮮が核実験をし、これは莫大なお金がかかりますので、それも四度やっているわけですね、六十発ぐらいのミサイルも核実験とまた切り離して発射をしているという状況において、一体北朝鮮が本当にどこまで、その前のときと比べて、日本としてはせっぱ詰まっている状況にあると思っていらっしゃるのか、ちょっとそこをもう少し伺いたいなと思いますので、あれば教えてください。

    〔山口(壯)委員長代理退席、委員長着席〕

河野国務大臣 北朝鮮が核やミサイルを開発するためには、どうしても外貨の収入というのが必要になってくると思います。この累次の安保理決議によって、恐らく北朝鮮がこれまで輸出で得ていた外貨というのはほぼなくなってきたと考えてよろしいかと思います。

 また、北朝鮮の外貨収入のもう一つの柱は、北朝鮮の労働者をさまざまな国に大量に送って、その賃金をいわば体制がピンはねをする、そういうことが行われてきたわけでございますが、安保理決議で、これも、二十四カ月という猶予期間はございますが、北朝鮮の労働者を北朝鮮に送り返す、新たなビザの発給は認めないということでございますが、かなり多くの国が二十四カ月を待たずにやってくれている、あるいは安保理決議を待たずに送還を始めているということがございますので、北朝鮮として外貨収入は極めて厳しい状況にあると思います。

 また、石油精製品も、中国からの輸入が安保理決議によってかなり絞られてきていて、だからこそ、今東シナ海で瀬取りが頻繁に試みられ、あるいは北朝鮮の石炭を他国の石炭と偽って販売をするような石炭を積んだ船が、今、特に東南アジアの港を徘回をするという状況にございますので、この累次の安保理決議はそれなりに、この北朝鮮に対して経済的な圧力となり得ているというふうに見ているところでございます。

篠原(豪)委員 総合的にどう評価をしているかということですね。結果から類推をすると、そうなるだろうということです。

 そうしますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、北朝鮮は、恐らく一刻も早く一九五三年の朝鮮休戦協定を平和協定に置きかえるということをやはりしたいんだというふうに、こうして手繰り寄せたいんじゃないか、そういう評価をする方々も決して少なくないと思います。

 それがなぜかといえば、やはりこの朝鮮戦争から今日に至るまで、アメリカの圧倒的な軍事的な圧力か、特に今、彼からすれば米国の核の脅威というのがあって、その対抗策としてここまでやってきているというのは誰しもが思っているかと思うんですが。食うや食わずにという状態と言うのが正しいのかどうかわかりませんけれども、そこまでして核実験を四度やり、先ほど申し上げましたけれども、六十発ぐらいのミサイルを実験と称して撃って、実戦配備する一歩手前まで行きましたよと公言をしているわけです。アメリカもそれに近い評価をしているんだと思います。

 そうなると、日本政府としては、制裁によって北朝鮮が話に応じたということを評価しているというのは今聞いたんですが、そもそも、この制裁によって、北朝鮮が大半の国富をこれまでつぎ込んでやってきた完成間近のICBMを放棄するということが本当にあり得ると、あり得るのは、それは考え方なんでしょうけれども、どういうふうに本当に考えていらっしゃるかということをちょっと教えていただければと思います。

河野国務大臣 北朝鮮の真の意図というのはなかなか、いまだ、見きわめるのは非常に難しいと言わざるを得ないと思います。

 その中で、国際社会に対する挑戦ととられるような核実験やミサイルの発射を繰り返し、あげく、国連の安保理決議を通じて、国際社会全体からの圧力を今かけられているという中でございますので、北朝鮮として、一つは、今の体制の維持というのはもちろんあるのだろうというふうに思いますし、自国の安全保障ということも考えているのだろうと思います。

 また、南北のこれまでの会談の中で、あるいは中朝の会談の中で、経済発展ということに触れているということもございますので、海外からのさまざまな経済的な支援を受けて、自国の経済を発展させようということを考えているということもあるのだろうというふうに思います。

 そういう中で、国際社会として、北朝鮮が核、ミサイルを放棄し拉致問題あるいは拘束者の事案の解決をしてくれれば、我が国は国交正常化に向けて動くのはやぶさかでないということを申し上げているわけでございますし、ほかの国も、そうなった状況下で経済的に支援をするということを言っているところもあるわけでございますから、体制が保証され、そして経済的な支援が受けられるという状況をつくり出せば、北朝鮮も核にこだわる必要はない。

 これは、韓国を通じて我々は聞いている話で、北朝鮮の真の意図がどうかはわかりませんが、少なくともそういう可能性があるということだろうと思いますので、まず、我々としてそうした可能性を追求をする。ただし、その際に圧力は維持したまま、かつての過ちは繰り返さないように、国際社会として圧力を維持したまましっかりと北朝鮮の意図を見きわめ、非核化に向けて北朝鮮が動くようならば、更にその次に向けて国際社会も動いていくということになろうかと思います。

篠原(豪)委員 そうしますと、これまでの対話のための対話というのは我が国はとらないという方針を一貫してやっていくということでした。

 今までのその過ちを、何かが前に進むんじゃないのかということを期待をし、そしていろいろやってきて、累次、全部うまくいっていない、結局ここまで来てしまったということを考えますと、むしろ、明確に非核化の意思、日本の考え方からすれば、北朝鮮から明確に意思が示されるまでは対話をするというのができなかったんだろうというふうに思うんですけれども、その辺の考え方というのは変わったというふうに理解してよろしいんでしょうか。

河野国務大臣 交渉、対話、接触、さまざまな言葉がございますが、少なくとも、向こうがこうしたらこっちはこうするというようなことをやろうというわけではなくて、向こうがまず何を考えているのかということを確かめるところから始まるのだろうというふうに思っております。

 北朝鮮が対話に出てくるというふうに局面が変わっているわけでございますから、そして、少なくとも韓国あるいは中国を通じて非核化の意思というのが出てきているわけでございますから、これが真の意図なのかどうかということを確かめる必要もあるだろうと思いますし、その場合には、恐らく、どういう手順で核、ミサイルの放棄あるいは拉致問題の解決といったことをやっていくのかというところを話し合うということになるのだろうと思いますので、少なくとも、この今国際社会がかけている圧力を維持したまま、北朝鮮の意図を確かめるための接触、対話というのは否定されるべきでもありませんし、それは国際社会として何か立場が変わったということではないというふうに理解をしております。

篠原(豪)委員 そうしますと、非核化の必要性をお互いに話をし理解を深める、それで、それをどうしていくかという交渉に入る前の予備協議であるというような扱いになるんですかね。

 中朝首脳会議ですけれども、非核化の意思が明確でないまま米朝首脳会議が開かれようとしているやさきですよね、突如、中朝会談が行われたわけです。

 日本はこれに対してどうだったかというのは、これまでもいろいろと質疑があったと思うので、私はそこはあえて聞きませんけれども、どのような意図が北朝鮮にあるというふうに評価を政府がしているのかというのは聞きたいと思っているんです。

 韓国政府は、中朝首脳会談が南北や米朝首脳会談に肯定的な影響を与えるだろうと歓迎しているけれども、日本政府は、これも米朝首脳会談に中朝首脳会談というのはいい影響を与えると考えているのか、あるいはそうでないのか、どういうふうに評価されているかというのを教えていただければと思います。

河野国務大臣 中朝の首脳会談の後、中国側から詳しい説明をいただきました。これは北朝鮮の発言だけでなく、それに対する中国の受けとめといったことを含めて御説明をいただいているところでございます。北朝鮮の中朝会談を始めた意図というのはなかなか明確でないというのが正直なところでございますが、一つには、核やミサイルの開発に対する国際社会の目をそらして時間を稼ごうとしているんだという意見も専門家の中にはございますし、制裁解除、支援を引き出すことを狙いとしているんだという意見もございます。あるいは、米朝会談の前にアメリカと中国の間のバランスをとろうと北朝鮮がしているという見方をする専門家の方もいらっしゃいます。

 外務省もさまざま御意見を伺っているところでございますが、これは今の時点でこうだとなかなか断定できるようなものではないというのが正直なところではなかろうかと思っております。

篠原(豪)委員 中朝関係を見れば、悪化していたというふうにとらわれていますので、そこがこういうふうに会談をして、当然、中国は意図があってやっているわけなので、北朝鮮への影響力を強めていこうという考えもあるかもしれません。

 ロシアもこれから首脳会談をしたいというようなことも取り沙汰されているんですけれども、ロシアのプーチン大統領は、金正恩氏を、教養があり大人の政治家だと評価をしています。核兵器取得をめぐる勝負に勝ったんだと述べているんですけれども、この朝ロ首脳会談が開かれた場合について、政府は、どのようにそこに対して評価を、今の時点でするとすればしているのかというところがあれば教えていただきたいと思うんですけれども。ロシアと北朝鮮の関係ですね。

河野国務大臣 三月二十八日の時点で、ペスコフ・ロシア大統領報道官が、現在のところロ朝首脳会談は焦眉の問題とはなっていない、ロシア大統領の日程に係る予定はないというふうに大統領報道官が発言をしているというふうに承知をしております。

 北朝鮮の外務大臣がモスクワあるいはロシアを訪問し、ラブロフ外務大臣と会談をするのではという報道もございます。もし外相会談が行われれば、ロシア側からその内容について話を聞いてみたいというふうに思っているところでございますが、ロ朝の首脳会談が今行われるかどうかというところについては、日本政府として、行われるという確たる情報があるわけではございません。

篠原(豪)委員 なぜいろいろな国々の評価を聞いているかというと、やはり分析をどうされているのかということが大事で、これはずっと動いていく問題だと思うんです。きょう御質問しているところに限らず、やはりちょっと、しっかりと議論をこの場でやっていくというのは大事だと思っていますので、したいと思います。

 先ほど拉致の話が出ましたのでちょっとお伺いをしようと思うのですが。

 先ほど、阿久津委員のときには、南北での拉致の問題に対し、これは日本はバイでやってほしいというふうに言われているんだけれどもどうかという質問もありましたし、先週だったと思いますけれども、岡田委員のときにも、トランプ大統領に、この会談が実現するのであれば日本の拉致の問題はどう取り上げてもらうんだというような話があり、それに対して、実際には外務省がどういうふうに考えているかというふうにおっしゃったんですが。

 これから日朝首脳会談を模索していくのかというのが一点と、もししていくのであれば、今、他の国々がこうやってやっていますので、していくのかどうかというのを日本は狙っているのかどうかというのと、そのときに、やはり拉致の問題だと思うんです。バイでやるとして、話すのは拉致の問題だと思います。

 小泉さんが訪朝をされて、あれから十六年たって、何も進んでいないというのが現実だと思います。そういうことを考えたときに、では、日本としては、実際にどのような外交カードを持って直接北朝鮮、やはり北朝鮮が思う、日米首脳会談を開き拉致問題を取り上げるメリット、そこに対してやはりないと、これはなかなか解決しないんだろうと思いますし、そのメリットというのは、拉致問題を解決する日本政府の外交カードは何なんだろうということなので、そこのところをもう一度少し教えていただければと思っています。よろしいでしょうか。

河野国務大臣 これからさまざまな準備会合を経て、南北首脳会談が四月二十七日に行われる予定になっております。また、現時点では五月末までに米朝の首脳会談が行われるという状況でございますので、日本政府としては、まずこうした南北首脳会談、米朝首脳会談といったものの内容を見きわめた上で何がベストか判断をしていきたいというふうに考えております。

篠原(豪)委員 先ほどは、条件がそろっていけば、制裁の解除、経済的支援、そして国交正常化というのがあるというふうにおっしゃったと思うんですけれども、それはそういう考えでよろしいんですか。

河野国務大臣 日本政府の考え方は、日朝平壌宣言にあるとおり、核、ミサイル、拉致の問題を包括的に解決し国交正常化を目指すというのが日本政府の立場であることについては変わりはございません。

篠原(豪)委員 もう十六年間固まっていますので、やはりそこは、本当にこの機を捉えてやるんだったら、人に頼んで外交をやっていくなんというのは、それはどちらかというと他力本願だと思うし、私たち日本人、日本としてやはりしっかりと、責任ありますのでやっていかなきゃいけない。まあ、いろいろな方法はあると思いますよ。いろいろなあらゆる手を使ってやっていくというのは大事だと思いますけれども、最後どういうふうに落としていくのかというところも、考えていらっしゃると思いますけれども、こういう機会なので、もう一度申し上げておきます。

 最後に、平和国家を標榜する日本として、トランプ政権がこれは軍事オプションもいとわないということをやはりやってきているので、そのことに対して、軍事オプションをテーブルに置いているということがある中での、この北朝鮮との米朝首脳会談が行われるということに対して、どのような評価をトランプ政権に対してしているのかということを御示唆いただければと思います。

河野国務大臣 国際社会は、今、北朝鮮による完全かつ不可逆的、そして検証可能な非核化、ミサイルの廃棄、そして拉致問題の解決というものを実現しようとしているわけで、そのためには最大限の圧力を維持する必要があると思っております。このような観点から、我が国としては、全ての選択肢がテーブルの上にあるというアメリカの立場を今後も支持してまいります。

 その上で申し上げれば、この北朝鮮問題について挑発を行っているのはひとり北朝鮮であって、世界じゅうの誰もが紛争など望んでおりません。また、我が国として、ほかの国、地域の体制を力により転換することを目標として掲げたことはございません。

 日本として、引き続き、来るべき南北首脳会談、米朝首脳会談を通じて、北朝鮮から具体的な行動を引き出すべく、総理の訪米の機会を始めあらゆる機会を捉えて、日米韓三カ国の間で緊密に政策のすり合わせを行っていきたい、さまざまな場面で日米の政策のすり合わせを緊密に行っていきたいというふうに考えているところでございます。

篠原(豪)委員 米朝首脳会談をこれからやるかどうかまだ決まっていないけれどもそれに向けていくという中で、トランプ大統領は、その北朝鮮の小出しの譲歩に見返りを与えてきたアメリカ政権の歴代の過ちを繰り返しはしまいと断言をして、強硬派のポンペオさん、CIA長官を国務長官、ジョン・ボルトン元国連大使を国家安全保障担当大臣補佐官に起用する人事を行っていますので、したがって、この米朝会談が、なかなか、これはどうなっていくのかというのは非常に、うまくいくことはあるのか、妥結することがあるのかどうかということを、時間が来ましたので、最後に、このことについてどう思っているかということを教えていただければと思います。

河野国務大臣 ボルトン大統領補佐官が、恐らく九日から執務されるんだろうと思います。また、新しいポンペオ国務長官がG7の外相会合の前に上院の承認を得ることができれば、G7の外相会合のマージンででも日米の外相会談をやらせていただきたいというふうに思っておりますが、さまざま、今、日米間、さまざまなレベルでの情報交換、意見交換というのをやっておりますので、まず、南北の首脳会談の状況などをしっかり把握しながら、日米間で緊密に連携をしてまいりたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 交渉決裂すると何が起きるかというと、結構大変なことが起きるので怖いことがあって、今、米韓軍事演習を、四月一日からですかやっていますけれども、病院船がこれに今回参加しているんですよね。そういう状況で、実際には今軍事演習も行われている、同時にやっているということもありますので、決して本当に悪い方向にならないよう、そして日本もしっかりとその中にプレーヤーとして入って、河野外務大臣には、特にその役割を、いろいろな方々とお話をしてこれからやられると思いますので、ぜひお願いをしまして、きょうの質疑とさせていただきます。ありがとうございました。

中山委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様お疲れさまでございます。朝からの質疑、そして、またイージス・アショア、地上配備型弾道ミサイル迎撃システムについて、前回の質疑に続いてまた質問させていただきたいと思います。

 国が配備を検討している、報道での限りですけれども、検討されているのが、秋田県の秋田市、そして山口県の萩市でございます。この二カ所。そのうち私の地元秋田では、実際の配備の賛否の前にいろいろな不安が広がっているということを先月お伝えをいたしました。納得のいく説明、そして慎重な対応が求められる問題でございます。前回に続いて、よろしくお願いいたします。

 昨年の十二月に閣議決定された地上イージス、この導入の経緯について、小野寺大臣が発言したアメリカとの調整について先月触れさせていただきまして、その際、山本防衛副大臣からお答えいただきましたけれども、新規アセットの性能面、既存の装備体系との親和性、要員養成の効率性、費用対効果に関して検討を行うために必要な情報収集や所要の調整をアメリカ側に行ったと、山本副大臣から御答弁をいただきました。

 質問ですけれども、このうちの新規アセット、つまり地上イージスの性能面と費用対効果について、地上イージスの導入決定に当たってそれぞれどのように評価されて導入を決められたのか、お答えいただきたいと思います。

山本副大臣 おはようございます。

 お答え申し上げます。

 確かに、委員御指摘のとおり、三月二十三日の本委員会で私がお答えを申し上げました。更にということでございますので、お答えを申し上げます。

 北朝鮮の核開発、ミサイル開発が、我が国の安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっている中で、一刻も早く、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃から我が国を常時、持続的に防護する、そういった能力を抜本的に向上させる、そのことによって国民の生命財産を守り抜く万全の備えを構築する必要性がございます。このため、必要となる新規装備品に関して、イージス・アショアとTHAADの双方について、性能面や費用対効果の観点を含め、精査、比較してきたところでございます。

 これらの装備品のうち、イージス・アショアにつきましては、広域の防衛を目的としたアセットであり、二基で我が国の全土を常時、持続的に防護することが可能となります。また、イージス艦の既存の整備体制や教育体制を活用することがイージス・アショアは可能であると。

 この点、THAADは、一定の地域を防護することを目的としたアセットであり、我が国を常時、持続的に防護するために必要なアセットの数、THAADの方が、必然的に、よりイージス・アショアより多くなる、そういったこと。あるいは、THAADは、先ほど、イージス艦とイージス・アショアであると要員の問題、訓練の問題、親和性があるということを申し上げましたけれども、THAADを運用する隊員を、また新たに人員、要員、また訓練、教育をさせなければいけない、そういったこと等々を比較検討いたしまして、政府として、イージス・アショアを二基導入する、そういうことにいたしました。

緑川委員 この能力、防衛能力を、持続的に、抜本的に向上させていくという一環の中での導入ということで、性能面について少し触れさせていただきたいです。

 特に重要である迎撃能力ですけれども、地上イージスの導入決定の前から実証実験が行われております。日米で共同開発しているこの新型ミサイルSM3ブロック2A、このミサイルの迎撃実験が、昨年の二月、初めて行われておりますが、そのときには成功している。しかしながら、昨年六月には、二回目、失敗していて、三回目の迎撃実験は、ハワイでことしの一月、失敗しております。つまり、三回中一回しか迎撃が成功していない。期待されていたこの迎撃能力に疑問符がつく形になったかと思います。

 命中率が三三%という現状の結果、大臣、どのようにこれは受けとめられていて、改善策はどのようにお考えでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 SM3ブロック2Aでございますが、現在防衛省・自衛隊が保有しているSM3ブロック1Aを基礎といたしまして、迎撃可能高度あるいは防護範囲を拡大するものとして日米で共同開発を進めてまいりました。

 このブロック2Aは、既に能力が確立されたブロック1Aの実績に加えまして、約十二年間にわたり、開発プロセスにおいて、数多くの段階ごとに試験、評価を繰り返してまいりました。慎重に開発を前に進めてきたものであり、我が国の防衛所要を満たすに必要となる基本的な性能を有しているということを確認をしております。

 これまでの開発の過程で、委員御指摘のとおり、三回の迎撃試験を実施しておりまして、昨年二月に実施した海上発射試験では、発射から標的の迎撃に至るまでの一連の動作が正常に行われ、その性能が改めて実証されたところでございます。

 また、昨年六月の海上発射試験では標的に命中しませんでした。しませんでしたが、その原因は、イージス艦から計画外の迎撃停止信号が送信されたためで、飛翔中のSM3ブロック2Aの安全装置が作動したものであります。SM3ブロック2Aの機能に異常がなかったことは確認をされております。いわゆる試験中のヒューマンエラーということになります。

 ことしの一月に実施された発射試験については、ブロック2Aの動作にふぐあいが確認され、標的には命中しなかったと承知をしておりまして、これは現在詳細を解析中でございます。本件に関して、米国ミサイル防衛庁長官は、今回のふぐあいはミサイル性能にかかわる致命的な問題ではない旨を述べたと承知をしております。

 防衛省としましては、改善すべき点があれば、今後の生産過程で量産品に反映していくことは十分可能であると考えております。また、同種の試験は米国により今後数回繰り返されるものと承知をしておりまして、我が国としても、これに引き続き協力し、必要に応じて量産品の仕様を改善するなど、より信頼性の高い装備品として納入されるよう、日米で適切に事業を推進してまいりたいと考えております。

緑川委員 十二年間の開発の中で、思い入れももちろん、日米の間で信頼を重ねながら続けてきたところはあると思いますし、三回のうちというまだ少ない実証実験、迎撃実験ですから、今後の成果も大いに期待したいところではございますけれども、現状の数字はこういう状況であり、そして、実戦配備されたときのヒューマンエラーというのは、これから現実的にはやはり起こり得る話、多いと思うんですね。今後しっかり検討していただきたいところです。

 新型ミサイルの、このSM3ブロック2Aの性能を一方で更に引き出していく必要があるという観点から、現行のレーダーでないSPY6の性能について、現行のレーダーがSPY1と言われていると思いますけれども、把握している限りでお答えいただきたいと思いますが、この性能について、政府の御答弁でもいいんですけれども、お願いできればと思います。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 お尋ねのSPY6の件でございますけれども、今現在、防衛省・自衛隊としまして、イージス・アショアに関連するレーダーなどについては幅広く情報収集を行っている段階でございます。その一方で、イージス・アショアに搭載できるレーダーに関して複数の選択肢が見込まれております。そのため、我が国のイージス・アショアに最適なレーダーを選ぶために、現在、選定手続を行っております。この選定手続におきまして、いろいろな企業が競争するという可能性がありますので、公平性、公正性の確保が極めて重要であると考えております。

 現在、まさに各企業から提案を受け付ける前段階でございますので、委員御指摘のSPY6というもの、そういった具体的なことはまだ決まっておりませんし、また、そのレーダーの性能等を我が方としてコメントをするという今状況にないということを御理解いただければと思います。

緑川委員 民間企業とのいろいろなすり合わせの中で、やはり性能を高めていくということが、まず、逐次、大事なことだというふうに考えております。情報提供を早目にいただきたいなというふうに考えているところでございます。

 私が調べたところですけれども、やはり、仮にこのSPY6を導入するとすれば、そうなった場合には、現行レーダーを採用するよりも採用に当たっては時間がかかってしまうために、イージス・アショアの配備も更に遅くなってしまうんじゃないかという懸念もありますので、早い段階でお知らせいただければと思います。

 先ほどの迎撃性能のお話も含めてですけれども、やはり、閣議決定をした当初の情報と比べて、この判断ですけれども、信頼できる情報がちょっと少し変わってきているんじゃないかというところも否定できないと思うんですね。レーダーも最新のものにするという余地もある、そして、迎撃能力もまだまだ実証を進めていかなければならない、この地上イージスの運用も、また少し、二〇二三年よりも少し遅くなってしまう、そんな懸念もある中で、得られていた情報が、政策決定の段階で、これは得られた情報が前提であると思うんですね、その前提をもとに政策を進めているんだけれども、それが少し変わってきているとすれば、運用のあり方も含めて見直しが必要な部分も少しあるんじゃないかと思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほどのブロック2A、試験中ということで、発射実験を今のところ三回行っておりまして、そういったところで得られたデータ、これはプラスのデータ、マイナスのデータ、いろいろなものを収集をして、委員御指摘のとおり、よりよいものにバージョンアップをさせていく、そういったことも逐次、こういったものは日米共同で開発をしていますので、情報共有をしつつ我々の防衛政策に反映をさせていく。

 もちろんイージス・アショアも、先ほど申し上げたとおり、レーダーも複数、どういったレーダーがいいのかというのは検討していかなければなりませんし、SPY1という、今現行イージス艦で使っているようなレーダーというのももちろん除外はしておりませんし、いろいろなものを考えて、我々の防衛政策として、国民の生命と財産を必ず守る、そういった観点から政策決定をなしていく、常時その情報収集はして、我々の政策もグレードアップ、バージョンアップをさせている、そういう状況でございます。

緑川委員 国民の生命、そして暮らし、財産を守っていく。状況に応じて、そしてまた、今後新たに得られた情報をもとに有事への備えを柔軟に考えていくということは必要だと思いますし、それと同時に、平時の暮らしの安心、安全というものも並べて私はしかるべきだと思うんですね。

 そういった点では、配備先の候補地となっている、まだ報道段階でなっている、どうなっているんだという疑問そして不安が拭えない状況が長く続いております。納得できないままで、そしてさまざまな不安も解消されない状況では、どうしても前に進むというのは難しいと思うんですね。

 その中で、先月、秋田県議会が開かれまして、配備の検討に当たって国からの打診、提示があった場合に知事はどういうふうに受け入れる方向かどうかというのを県議会議員から尋ねられたところ、佐竹知事は、できないという理由も逆にない、つまり受け入れられないという理由も逆にないというニュアンスだと思いますけれども、そのように答えられました。自治体としては、受け入れていく可能性を否定はしていないわけですね。

 しかし、自治体の首長の了承を仮に取り付けた、形の上で取り付けたからといっても、地元住民の総意を得られたということには私はならないと思うんですね。安易に進めていける話ではないというふうに考えておりまして、地元自治体が住民に対して丁寧に対応していくという方針においても、自治体としても、結果として納得されずに地元の声が置き去りにされるような形になれてしまえば、必ずどこかで、配備の後、ひずみが出てくると思うんですね。

 資料一枚目をちょっとめくっていただいて、二枚で一つづりになっていますけれども、二枚目の下の方にある、青森県つがる市、これはTPY2レーダーの、これはいわゆるXバンドレーダーの配備の流れについて書いてありますけれども、これによりますと、二〇〇五年の十二月に、国がつがる市に現地調査に入るという連絡がありました。その後、地元住民の説明会を途中に開いて、二〇〇六年の六月にはもうレーダーの運用を開始しております。半年ほどでこれは配備されているということになります。住民からは、反対しようがしまいが初めから決まっていたのではないか、あるいは説明会も形だけだったと、疑問や、少し憤りのお声も上がったということなんですね。これがひずみというような話にもなってくると思うんですけれども。

 今回の地上イージスについて、自治体への連絡、地元住民への説明、そして適地調査、配備、運用、どのようなスケジュールで見ているのか。これは配備候補とあくまで名前が挙がっていますので、地元への丁寧な姿勢もどうかお示しいただきながら、大まかにでも教えていただきたいと思います。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 大変恐縮なんですが、その県議会での議論というのは私は承知をしておりませんので、その点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、もちろん、ふだんから、防衛省・自衛隊として、駐屯地あるいは新設の施設、そういったもの、防衛施設をきちっと運用していく、安定的な運用ということを考える際に、地元の理解と協力が得られるということが大変重要であるということは、常日ごろ我々も心がけていることでございます。

 そのため、従来から防衛施設の運用に関する地元の首長、先ほど委員も御指摘でしたが、地元の首長あるいは住民の方々に対して丁寧に説明を、今までも行ってきたと我々は思っております。御質問のイージス・アショアの配備地を決定する際には、我々も地元の理解と協力を得られるよう丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。

 その上で、委員御指摘のように、何をもって地元の了解を得たのかということについては、それぞれの施設、駐屯地、新設の場所の地元の状況、環境というものが異なりますので、一概にこれによって地元の理解は得られたのだというようなことというのは、確定的に申し上げるというのはかなり困難だと認識をしております。

 ただ、地元の皆様の理解と協力を得られるように丁寧に説明をしていきたいということは先ほど申し上げたとおりでございまして、いずれにしましても、国民の生命と財産を守らなければなりませんので、可及的速やかに導入を図ることができるように必要な検討を進めてまいりたい、そのように考えております。

緑川委員 青森県のつがる市の例でも、Xバンドレーダーの配備に当たっての過程の中でも、地元説明会というのを防衛庁の、当時の庁の職員の皆様がお越しいただいて、合わせて五回説明をしているということですけれども、しかしながら、こうした声も一方ではやはり残る。

 了承を得るというのはやはり難儀な、大変難しいお話もあると思いますけれども、やはり事前に、信頼できる情報を可能な限り、これは防衛機密とかそうしたもので片づけることなく、可能な限り出せる情報を出していくということが私は了解につながるんじゃないかというふうに考えておりますので、最大限そのあたり努力をお願いしたいなというふうに考えます。

 二枚目の資料をごらんいただきたいと思います。

 弾道ミサイルの探知や追尾を目的としたTPY2レーダー、早期警戒レーダー、いわゆるXバンドレーダーですね、これは配備が二カ所で行われていまして、青森県と京都府でございます。

 青森は地図に載せていませんけれども、二〇〇六年に青森県のつがる市にあるアメリカ陸軍の車力通信所、そして追加配備として、二〇一四年に京都府京丹後市の米軍経ケ岬通信所の合わせて二基のXバンドレーダーが配備されております。

 このうち、京都では、日本海側に向けた半径六キロメートル、高度六キロメートルの範囲で、航空機に対する飛行制限区域が設定されております。青森県でも同じように飛行制限区域が、配備された二〇〇六年から設けられておりますが、地上イージスの配備の際にも、これは同じように区域を設けて飛行制限を行うおつもりなんでしょうか。現状でのお考えをお聞きしたいなと思います。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 イージス・アショアを配置することとなった場合、航空機など他の無線局に対し影響を与えないよう、電波法等を遵守し運用することは当然であると考えております。

 このため、十分な調査を行った結果、仮に影響を与えることが判明するような場合は、関係省庁などと連携し、航空機などに影響が出ないよう必要な対策を実施することになりますが、現時点において、御質問の飛行制限区域の設定について確たることを申し上げることは困難でございます。

緑川委員 やはりこれが、私は、信頼あるというか、事前に、安心できるために情報を届けていく際に必要な、大切な情報の一つだというふうに思うんですね。

 これは、ドクターヘリとか海難救助ヘリが飛行ルートとして使う場合もあるわけです。こうした中で、やはりここが区域になるかならないかというのは地元でも大変大きなお話なわけです。ですので、これを早い段階であわせてお知らせいただきたいなというふうに思います。

 このXバンドレーダーの説明資料ですけれども、これは一枚目ですね、この周波数について少しお話をさせていただきます。時間もなくなってまいりましたけれども。

 イージスシステムに今搭載されているレーダー、SPY1レーダーの周波数帯、少し私、加筆しましたけれども、三ギガヘルツ帯でございます。衛星通信とか空港監視レーダーと一部重なっている。Xバンドレーダーとは周波数帯が違うということです。この違いによって、周波数が違うことで電磁波の種類も変わってくることになります。

 このことも踏まえて、このSPY1レーダーを配備した場合の飛行制限区域の範囲、そして電磁波が影響する範囲と強度、どのように考えていらっしゃるでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 レーダーを使用するに当たりましては、電波法及び電波防護指針などにより、電波の安全性の基準について規定されているところでございます。自衛隊が既に全国各地に配備している警戒管制用レーダーに限らず、我が国において使用される全てのレーダーは、当該規定に従って適切に運用をされております。イージス・アショアに搭載するレーダーについても、当該規定に基づき適切に運用することは当然であります。この点について候補地となる地元の皆様には十分な御理解をいただくことが、これも重要であると考えております。

 その上で、本年一月に小野寺防衛大臣が米国のイージス・アショアの試験施設を視察をしました。実際にレーダーが稼働している状態で問題なく視察を実施することができました。また、米側からルーマニアに配備された運用中のイージス・アショアについて、必要な対策により通信機器との関係で問題なく運用されている旨の説明も受けております。

 こうしたことも踏まえまして、防衛省・自衛隊として、これまでの知見を活用しつつ、他の無線局やテレビ受信等に影響が出ないように細心の注意を払いまして、候補地となる住民の皆様に影響が生じないよう、十分な調査を行った上で、必要に応じて対策を講じつつ、丁寧な説明をしてまいりたいと考えております。

緑川委員 御丁寧なお答え、ありがとうございます。

 時間が来てしまいましたけれども、電磁波の暮らしへの影響、また健康面、そしてまた通信機器への影響、またもう少し詳しく質疑させていただきたいと思いますし、飛行制限区域のところも含めて、やはり暮らしにかかわるあらゆる部分を可能な限り情報提供をお願いしたいなというふうに考えております。とにかく、配備されたその後でしこりが残らないように、地元住民の理解、そして不安を拭うということをまず第一に、最優先にお考えいただきたいと思います。

 また丁寧な議論でお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

中山委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 希望の党の源馬謙太郎です。

 私は外務委員会に所属しておりませんが、きょうは理事に無理をお願いして質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 どうしても早い段階で質問をさせていただきたかったのには理由がありまして、きょう取り上げさせていただくカンボジアの話題ですけれども、これはもう本当に時間がない問題でございます。ですので、大臣に前回、予算委員会の分科会でもお伺いしましたけれども、更に深くお伺いをしたいというふうに思います。

 カンボジアの今の状況を御存じの方も多いと思います。今カンボジアは本当に大変厳しい状況になっておりまして、少し振り返ってみますと、ことしの二月の二十五日にカンボジアの上院選が投開票されましたが、与党の人民党が全議席をとるという状況になっています。これはなぜかというと、この上院選挙というのは間接選挙になっていまして、間接選挙、つまり下院で救国党という最大野党の議席が全てなくなってしまって、人民党の議席になってしまった、こういう背景がありました。

 この最大野党の党首であったケム・ソカさんという方が突然逮捕をされて、そして、党首が逮捕をされた政党は解党する、そういう法律までつくって実際に最大野党を解党してしまいました。つまり、今カンボジアにはまともな野党が一つもないんですね。

 前回の、去年行われた地方選挙では野党が実は大躍進をしたんですが、この解党によって、地方議会における、この野党も議席が全てなくなったわけで、その議席が与党である人民党の議席になってしまった、こういう背景がありました。つまり、独裁が進んでいます。

 我が国はずっとカンボジアの民主化というのを支援してきましたけれども、今まさに、民主化に逆行した、こういう状況になっております。

 こうした状況で、七月にはカンボジアでまた総選挙が行われるわけですけれども、私は、このままの状況でいったら、まともな選挙はカンボジアで行われないんじゃないか、こういう危惧を持っておりまして、独裁化を進めていると言われている今のフン・セン政権、そして今カンボジアの政治で行われていること、こういったことの、まず河野外務大臣の御所見を伺いたいんです。

 今、さまざまな国でも、強権化しているということが言われています。ロシアのプーチン大統領しかり、又は中国の習近平国家主席もそうです。終身国家主席になるんじゃないかと言われているような状況です。これはまさに、この後にカンボジアが続いてしまうのではないかと私は危機感を持っておりますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

河野国務大臣 カンボジアでは、二〇一五年以来、国内の政治的緊張が高まり、例えば、英字紙が脱税の摘発を受けて閉鎖に至ったり、最大野党の救国党が解党されたりという状況になっていると承知をしております。

 こうした司法手続などが結果としてもたらす萎縮効果は、政治あるいは市民社会環境の悪化につながると考えておりまして、人権理事会や二国間の対話の場でこうしたことに対する懸念を表明しているところでございます。

 今後も、カンボジアの現地の状況を注視しながら、必要な働きかけをカンボジアに対して行っていきたい、継続していきたいと思っております。

源馬委員 大臣も、もちろんこの状況を御存じだと思いますし、危機感を持っておられるということは承知をしております。

 ただ、先ほど御答弁の中にありました、カンボジア・デイリーという、これは英字新聞ですけれども、これが廃刊に追い込まれたのも、確かに脱税の疑いという、名目上はそうでしたけれども、私は、この副編集委員長の方にもお会いしましたけれども、全くいわれのないことだと。しかも、突然やってきて、七億円払え、無理だったら廃刊する、こういったやり方だったというふうに聞いています。あわせて、二十以上のラジオ局も閉鎖されましたし、さまざまな活動家と言われる方たちが今、身の危険を感じて国外にも逃げております。

 また、これも御存じだと思いますけれども、例えば、人民党という与党のポスターに対して靴を投げた女性がいて、靴を投げただけで三年懲役を今食らっている、こういう状況もあります。暗殺事件が起きたり、国外への避難もたくさん起きています。これは、本当に国際社会も物すごく高い関心を持っていて、我が国よりも一層危機感を持っているなというふうに思います。

 二週間前の三月二十一日に、国連の人権理事会におきまして、加盟国四十五カ国がカンボジアの現在の政情について危機感を持っているという共同声明を出しましたが、我が国はそこに加わっていません。なぜ、これだけの状況にあるのに我が国は賛同できなかったのでしょうか。

河野国務大臣 日本としては、ことしの七月の国民議会選挙がカンボジア国民の意思が反映される形で実施されることが何よりも重要であると考えております。そのために、日本としては、カンボジア国内の政治関係者間での対話を実現し、全ての政治関係者や市民団体等の権利が尊重され、活動できる環境が確保されるよう、カンボジア政府に働きかけをしているところでございます。

 先般の第三十七回の国連人権理事会においては、我が国として御指摘の共同ステートメントには参加せず、独自のステートメントを実施し、今御説明をいたしました我が国の立場について述べつつ、カンボジアによる最大限の努力を求めました。

 もちろん、我が国は、カンボジアの民主主義や人権状況をめぐる動向への懸念は各国と共有しているところでございますが、御指摘の共同ステートメントには、カンボジア政府による対応を一方的に求める内容も多く含まれており、カンボジア国内の関係者間での信頼関係の回復と対話を促すとの現時点での我が国のアプローチにそぐわない部分がございました。

 こうした点を勘案し、御指摘の共同ステートメントには参加せず、独自のステートメントを実施したということでございます。

源馬委員 その理由と背景はわかりました。同時に、カンボジアに対する危機感は国際社会と共有しているということを伺いまして、それは少し安心をしました。

 ここでちょっと細かなことを伺っていきたいんですけれども、我が国のカンボジアに対する対応ですね。きょうお配りさせていただいた資料をごらんいただきたいというふうに思います。

 例えば、この一番上の「問題の所在」のところの二つ目のポツに、議席再配分により地方議会のほとんどを与党人民党は掌握と書いてあります。これは、私もさっき指摘しましたが、野党を解党して、解党された議席は今ある政党に振り分けなきゃいけないという法律までつくって、そうなったら自動的に人民党にならざるを得ないわけですが、再配分という言葉、事実と違うんじゃないかと思います。

 また、その下の段の「野党側の対応」というのがあって、二つ目の黒丸があります。これは、海外逃亡中の前党首と書いてありますが、事実関係、これは間違っていたら指摘していただきたいですけれども、この前党首の人は、日本を含む海外に遊説中に突然国内で逮捕状が出され、帰れなくなって亡命していたと理解していますが、これは逃亡中なんでしょうか。

 さらには、二月二十五日、上院選挙では五十八の全てを人民党が獲得と書いてありますが、これもさっき申し上げましたけれども、間接選挙になっていて、その前に野党は解党しているわけですから、獲得という何か積極的な書き方はおかしいんじゃないかというふうに思います。

 これは外務省が出された資料ですけれども、こうした書きぶりを見ていても、やはりちょっと政権側に偏りがあるんじゃないかなと感じます。

 このことについて、担当の方で結構なので、お伺いしたいと思います。

鯰政府参考人 お答えいたします。

 今お配りいただいている資料の中で、議席再配分であるとか海外逃亡中であるとか、あるいは獲得という言葉が適切かどうかということにつきましては、いろいろ御意見があろうと思いますし、当省としてもいろいろ考えていきたいと思います。こういう考え方でない表現の方がよいという御指摘もあろうかと思いますので、それは私どもとしてはよく検討していきたいというふうに思います。

源馬委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 特に、このサム・レンシー元党首の逃亡中について、逃亡中という認識ですか、外務省は。逃亡していた、そういう認識なんでしょうか。

鯰政府参考人 事前の通告をいただいておりませんので、正確に外務省の立場をお答えすることは今回できませんけれども、ここに海外逃亡中というふうに書かせていただいた資料は確かに外務省の資料でございますので、これについてどういう表現がより適切であるかについては、先ほども申しましたけれども、引き続き検討させていただければと思います。

源馬委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 あわせて、先ほど大臣にお伺いをさせていただいた共同声明についても、各国がこういう反応をしているということもぜひ載せていただきたい。余り、こういう各国の視点ですとかそういったことが、この外務省側からの資料では見受けられないので、そういったところもフェアにしっかり書いていただきたいと思います。

 あわせて、これも外務省側の対応としてちょっと伺いたいんですけれども、現地の方に伺うと、各国の大使は、このいわゆる不当に逮捕されたのではないかという疑いのある最大野党の党首に対して面会を求めているという状況がありますけれども、我が国の堀之内大使は、そうしたことはされているんでしょうか。

鯰政府参考人 これも通告をいただいておらないというふうに承知をいたしておりますので、きちんと確認して、追って回答させていただきたいと思います。

源馬委員 では、後ほどお答えいただけますように、よろしくお願いします。

中山委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

源馬委員 この大使についてですが、先日、朝日新聞の報道がありました。この中で、日本は引き続き七月に行われる選挙への支援を続けていくべきだと堀之内大使はおっしゃっています。その理由として、日本がかかわりをやめるとどんどん中国の方に行ってしまうという懸念がある、今米国とカンボジアの関係がよくないことが問題である、そういうふうにおっしゃっていますけれども。

 この七月に行われるカンボジアの総選挙に我が国は、我が国の国民の皆さんの税金で八億円の支援をする、しかもこの状況、公正な選挙が行われないのではないかという今の状況の中でも八億円を支援する、その意義はどこにあるのか、日本にとっての意義はどこにあるのかを伺いたい。あわせて、その堀之内大使の見解と、外務省、大臣の見解が一致しているのかも、あわせて伺いたいと思います。

河野国務大臣 堀之内大使は、現地で状況を見て、大使の個人的なお考えを述べたものだというふうに承知をしております。

 昨年の六月の地方選挙において、日本の支援を通じて選挙人登録や投開票作業の改善を図ったことが、選挙プロセスの信頼性の向上に大いに寄与したと考えております。カンボジアにおいて国民の意思を反映した形で選挙が実施されるためには、少なくとも、それに必要な選挙用物品がなければ国民の意思を反映した形での選挙ができないわけでございますので、最低限必要な投票箱といった不足しているものについて、この観点から支援を行っていきたいというふうに思っております。

源馬委員 私、前、予算委員会の分科会で質問させていただいたときは、この八億円の支援、やめるべきじゃないかという視点から質問させていただきました。しかし、きょうはそうしたことは言いません、八億円の支援はやはりやめた方がいいという論には立ちません。

 ただ、やはり、この今の状況で、日本がこの今の状況のカンボジアを支援する、そういったことに対しての国際社会の評価、こういったものもしっかり考えていかないと国益を損ねるのではないかと思います。

 そこで、まず大臣に伺いたいんですけれども、国民の意思を反映した選挙を行うことであったりとか、それに対する支援というのは、やはり民主化にとっても大切なことだと思います。今回の今の状況で、フン・セン体制の独裁化が進んでいる今の状況、具体的に言えば、最大野党が解党されて実質一党支配になってしまっている今の現状で選挙が行われたら、これは自由で公正な選挙というふうに言えるのでしょうか。あるいは、大臣がおっしゃる国民の意思を反映する選挙。選択肢がない状態で行われた選挙は国民の意思を反映した選挙と言えるのでしょうか。大臣のお考えを伺いたいなと思います。

河野国務大臣 国民議会の選挙は七月というふうに承知をしておりますので、現時点で予断を持って何か判断をすべきではないというふうに思っております。

 国民議会選挙がカンボジアの国民の意思がしっかりと反映される形で実施されることが重要であって、それに向けて必要な働きかけを日本政府として継続をしていく考えでございます。

源馬委員 私も危惧しているのは、仮に、これでそのまま選挙に入っていって、日本が支援をした、八億円の支援をしたという中で選挙が行われた場合、フン・セン首相率いる人民党が圧勝するのは間違いないわけです、ほかに野党がないわけですから。そうなったら、フン・セン首相は、恐らく、日本の支援で自由で公正な選挙が行われたというような発言をすると思います。それを受けたら、我が国も、いやいや、それは違うということは当然言えないわけで、それを認めることになると思います。そうしたら、国際社会からどう見られるかといえば、私は、これはもう笑い物と言ったらあれですけれども、どこが公正な選挙をやったんだというような反応を招きかねないなというふうに思います。

 ですから、大臣のおっしゃるとおり、何が一番大事かといえば、やはり公正で国民の意思が反映できるような選挙を行うことが大事だと思いますので、ぜひそれに向けた取組をしていただきたいというふうに思います。

 先日、この逮捕されましたケム・ソカ元党首のお嬢さんでありまして現職の国会議員でもあるケム・モノビチアさんという方が来日をされまして、私も御講演を伺いました。何が最も今危機的なのかと伺うと、やはり野党が不在のまま選挙が行われてしまうこと、しかも同時に、現在では国民が五人以上集まって政治的な話をすると逮捕される、こういった集会の禁止、こういったことまで今行われていて、恐怖政治にまさしく足を踏み入れ始めているという現状だとおっしゃっていました。もちろんケム・ソカ元党首のお嬢様ですから、それはその立場に立たれているということは当然ですけれども、それでもやはり一人の議員として今のカンボジアの現状を非常に憂えていらっしゃるなというふうに思います。

 日本に何ができるのかと伺いました、何が一番効果的なのかと。そうすると、日本しかフン・セン首相をやはり説得できないんじゃないかというふうにおっしゃっていました。

 しかも、私が今回質問させていただきたいという理由に挙げました、時間がないというのは、七月が選挙ですけれども、五月の中旬までに政党の登録をしないと、七月の選挙にその政党は臨めないわけです。ですから、実質的なタイムリミットはあと一カ月だと思います。この間に野党がちゃんと政党としての登録をできて、そして七月の選挙に行けば、私はそれでも多分人民党が勝つと思います、しかし、国民に選択肢は少なくとも与えることができるというふうに思います。

 そこで、先日、これは三月二十八日ですが、カンボジアの英字新聞、プノンペン・ポストという新聞に、フン・セン首相の発言として、河野外務大臣が来週カンボジアを訪れるということが書かれていますけれども、これは事実なんでしょうか。大臣は行かれるんでしょうか、カンボジアに。

河野国務大臣 私の今後の外国訪問については何ら決まっておりません。

源馬委員 このプノンペン・ポストでは、フン・セン首相は、河野大臣がいらっしゃるけれども対話であるとか交渉であるとか和解であるとかそういったことは一切考えていないという発言をしています。

 この報道どおりかどうか、違っても、仮に大臣がカンボジアに行かれることがあったら、ぜひフン・セン首相を説得していただきたいなというふうに思いますが、いかがでしょう。

河野国務大臣 私の今後の外国訪問についてはまだ何ら決まっておりませんが、私が行く行かないは別として、カンボジア国内での政治の緊張が高まっていることについては、日本政府として、さまざまな機会を捉え、我が国の懸念の伝達等、状況改善に向けた働きかけを行っているところでございますので、今後も、現地の状況を見ながら、必要な働きかけをしっかりと継続をしてまいりたいというふうに思っております。

源馬委員 私は、繰り返しになりますけれども、河野大臣が行かれて、そしてフン・セン首相を説得することしか、カンボジアのこの逆行する民主化はとめられないんじゃないかなと思います。もう大臣しかいらっしゃらないんじゃないかなと思います。もし行かれる機会がありましたら、こうした今のカンボジアの状況を話題に出すだけではなくて、説得をするという心づもりでぜひ行っていただきたいなと思います。

 薗浦総理補佐官もカンボジアを訪問されたということを伺っておりまして、外務省の出した結果というものを拝見させていただきました。確かに触れていただいているんです。しかし、対話を実現するよう改めてカンボジア政府に働きかけた、そして、自由、公正かつ適切に実施する考えをカンボジア政府は述べたというふうになっていますが、やはりこれだけでは不十分だと思うんです。もう一歩踏み込んで、例えば、ケム・ソカ元党首の釈放、それから、最大野党であった救国党の復活、これはどんな形でもいいと思います、野党の復活、そして、少なくとも、集会の禁止という、国民を恐怖政治で縛るような今の現状を打開すること、この三点ぐらいは、ぜひ言質をとって説得をしていただきたいと思います。

 更に言えば、あちらにもやはり関心はありまして、例えば、私も専門家に伺ったところ、フン・セン首相がもし仮にこの選挙で負けたら、そんなことはないと思いますが、負けてしまったら、自分が逆に逮捕されるんじゃないかという危機感を持っているとか、あるいは反対に、日本の支援なんかなくても、バックには中国がついているから大丈夫だ、こういった若干強気な姿勢があるという話も伺いますし、又は、政権交代ではなくて、政党の中で世代交代をしたいという思惑もある、こういったこともいろいろと聞いております。しかも、やはりメンツがあります。ここまで言ってきたフン・セン首相が折れるという形に見られるのは、やはりできないだろうというふうに思います。

 これは現実的な交渉ですので、私のような若輩者が言うよりも、大臣にお任せをしたいと思いますが、実際に、さっきもちょっとお話を出しました、サム・レンシーという元党首のときには対話もしています、フン・セン首相は。最初、対話しないと言っていたのが、対話もしています。ケム・ソカ氏に対しても、一時、対話をしたこともありました。やればできると思うんです。

 ぜひ、もう一度、大臣の強い決意をお伺いさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 日本政府として、カンボジアの政治的な緊張の高まりというのはよく認識をしておりますので、カンボジアの国民の意思が反映される選挙がしっかりと行われるように、日本政府としても、これからさまざまな機会を捉まえて、カンボジア政府に働きかけをしっかりやってまいりたいと思います。

源馬委員 時間が来ましたので終わりますが、大臣に強く期待をしたいと思います。仮に、実現しなかったりうまくいかなかった場合は、日本国民の税金を使った、民主化のためのこの八億円の支援、これを見直すこともぜひ念頭に置いて、正しい道に進めるようにお願いをしたいと思います。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 先週金曜日、穀田議員が「日米の「動的防衛協力」について」の文書を示して、改ざんの疑いというのを指摘いたしました。一昨日、大臣が同じタイトルの文書が三つあるということを発表されまして、その日に私も詳しい説明を受けました。

 そこでお伺いしたいんですが、昨年に情報公開された文書と、あと一昨日明らかになった文書は、それぞれどこから見つかったんでしょうか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘の、防衛省が情報公開で開示決定した文書につきましては、平成二十九年五月五日付の情報公開請求に対して防衛省内で文書を探索したところ、存在が確認できたものについて、同年七月及び九月の二回に分けて決裁を行いまして、開示決定を行いました。

 他方、委員御指摘の、三月三十日の本委員会での質疑におきまして、穀田委員より、防衛省が開示した文書に改ざんがあるのではないかとの御指摘をいただいたことなどを踏まえまして、関連文書について改めて探索をしました。

 結果、防衛省が昨年七月及び九月に開示決定し、また、本年三月、穀田委員からの資料請求で提出した検討文書と同じ表題であるものの、内容が一部異なり、用途も異なると思われる文書二件を新たに確認をいたしました。

 これらの文書は、いずれも防衛政策局日米防衛協力課の共有フォルダにおいて確認をされております。

宮本(徹)委員 つまり、同じ場所から見つかっているわけですよね。昨年捜したのと同じ日米防衛協力課の共有フォルダの中から見つかる。こんなおかしな説明は、私は成り立たないと思いますよ。

 昨年もわかっていたけれども、これは出すわけにいかないということで隠していたということしか説明がつかないと思いますが、山本副大臣もおかしいと思いませんか。昨年同じ場所を捜して、なかったけれども、今度は見つかった。隠蔽していたんでしょう。違いますか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のような、隠蔽をしていたということではもちろんございません。これらの検討文書は、昨年七月及び九月に開示をした際の探索において特定されるべきものだったと認識をしております。この特定の際に、共有フォルダ内の十分な確認を行わずに文書の特定を行ったことと認識をしております。

 いずれにしましても、今回の事案については、新たに確認された資料の提出を行ったところでございます。また、開示決定のやり直しを早急に行うなど、適切に対応をさせていただきたいと思います。

 また同時に、防衛省・自衛隊におけるさらなる文書の探索を継続していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 大体、副大臣が、そういう説明を事務方から受けて、そのまま答弁しているから隠蔽体質が改まらないんですよ。

 どう考えたって、同じ課の共有フォルダの中を捜せばすぐに見つかる話じゃないですか。それを、去年は見つからなかったものが今回同じところから見つかりました、前回は不十分だったんです、そういう説明をそのままここでする。これは、国会で穀田さんが二〇一五年から何回も質問されてきた問題ですよ。そういうのを、やはりもう一回捜したら見つかりましたということの説明を事務方から聞いて、そのままオウム返しに繰り返すようでは、副大臣としての職責を果たしているとおよそ言えないと私は思いますよ。

 それから、もう一点伺いますが、それぞれの資料がいつ作成されたのかというのがあるわけですが、とりわけきょう聞きたいのは、開示が昨年やられたもの、この昨年開示されたもののデータの最終更新年月日、これはいつですか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 最終更新日というお尋ねでございますが、それぞれの文書が三個のファイルから構成されておりまして、昨年七月及び九月に開示決定を行った文書につきましては二〇一七年七月十一日又は二〇一七年七月二十一日、その後確認された二件の文書は二〇一二年の七月四日、五日及び六日となっております。

宮本(徹)委員 つまり、一昨日出してきたのは二〇一二年のものだったということですね。

 そして、情報開示請求のものに対しては二〇一七年、いずれも二〇一七年と言いましたか。え、二〇一七年の七月十二と七月二十一と言いましたか。間違いないですね、ちょっと。三つに分かれているという話をされましたけれども、それぞれがいつかというのをもう一度。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 済みません。私の言い間違いでございました。もう一度正確に申し上げます。

 最終更新日でございますが、昨年七月及び九月に開示決定を行った文書につきましては、二〇一二年でございます。先ほど私は二〇一七年と申してしまいましたが、二〇一二年の七月十一日又は二〇一七年七月二十一日でございます。

宮本(徹)委員 先日、記者の方に対して、防衛協力課の方が、複数のファイルに分かれている、別紙一、別紙二みたいに分かれているというお話がありましたけれども、その別紙二については情報公開請求よりも日付が後だったという説明をされているんですけれども、これは間違った説明をされたということですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年五月五日の情報公開請求を受けまして昨年の七月と九月とに開示決定した資料、表題は「日米の「動的防衛協力」について」となっておりまして、これが別紙に分かれている。そのうちの別紙の第二、「沖縄本島における恒常的な共同使用に係わる新たな陸上部隊の配置」、これにつきまして、更新日時が情報公開請求後の昨年七月二十一日となっておりまして、先ほど委員から御質問があった点につきましては、その旨を日米防衛協力課の方から説明をしたということでございます。

宮本(徹)委員 つまり、一つは情報開示請求の後ということですよね。この二の方は一ページ欠けているわけですよね。

 それからもう一つ、ちょっとお伺いしたいんですけれども、文書を分けて保存していたというお話なんですが、もう一つ抜けているページが、「日米の「動的防衛協力」の取組について」というページが丸々、情報開示されたものの中からは削除されていたわけですが、この部分はファイルをもともと削除して出したという可能性もあるんじゃないですか、電子ファイルを別々に幾つにも分けて管理していたということになると。もうその部分は廃棄しちゃった、そういう可能性もあるんじゃないですか。

岡政府参考人 御指摘の点につきましては、開示請求に対応しておりました職員あるいは作成当時の関係職員への確認等を行っているところでございます。

宮本(徹)委員 つまり、否定できないということですね。

 つまり、文書を別々に管理していた、穀田さんが先日この委員会で丸々一ページ抜けていると言ったところのファイルについては、その電子ファイル自体を廃棄していた、そしてそれは開示しないということで出した可能性もあるということですよ。そういう疑いがあるということですね。

 これはもう徹底した調査が必要ですよ。そのことを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。

 それからあと、きょうはもう一点、昨日発表になりました米軍横田基地へのオスプレイの配備の問題について質問させていただきたいと思います。

 二〇二〇年と言われていたものが、突然、もう今横浜に陸揚げされて、あしたにも横田に飛んでくるという話になっております。

 横田基地は、皆さん御存じのように、住宅密集地の真ん中にあります。そして、この間、在日米軍機の事故、トラブルというのは相次いでいるわけですよね。オスプレイの事故も、一昨年末、沖縄で墜落の事故もありました。その後も緊急着陸も、繰り返しているわけですよ。

 私は、こういう危険きわまりないオスプレイを首都東京の基地に配備して、関東周辺さらには日本全体で、夜間飛行訓練、低空飛行訓練、パラシュート降下訓練、こういうことをやるなど、絶対に許されないと思いますよ。

 これはまず、河野大臣にお伺いしたいと思います。

 河野大臣にいつ連絡があったのかというのは聞きたいところですが、外務省に連絡があったのは三月十六日だというふうにきのう防衛省からお伺いしました。河野大臣、三月十六日は訪米されていたんですかね。マティス国防長官やペンス副大統領や、あるいは国務副長官と会われていたと思いますが、この接受国通報、横田にオスプレイを配備する、この問題について、米側に対して、この話があったときに河野大臣はどういう話をされたんですか。

河野国務大臣 私の訪米の前後だったと思いますが、三月十六日に在日米軍司令部から接受国の通報がございました。米側からは、公表に向けて調整が整うまでの間は日本側からの公表を控えるよう要請をされておりましたので、この米側の要請を踏まえ、米側と調整を行った結果、四月三日の公表となったところでございます。

宮本(徹)委員 そんなことを聞いているわけじゃないんですよ。この接受国通報に対して、日本国内ではこの間、米軍機の事故が相次いでいるわけですよ。そういう中で、危険な訓練を行うオスプレイの配備、そして事故も繰り返しているオスプレイの配備はけしからぬと、国民の懸念は伝えたんですかということを聞いているんですよ。どういう話をされたんですか。

河野国務大臣 日米間で、安全保障に関するさまざま緊密な連携は行っております。詳細については差し控えたいと思います。

宮本(徹)委員 詳細について差し控えたいじゃなくて、これだけ事故がずっと続いているじゃないですか、ことしに入ってからも。そういう中で、住宅密集地の真ん中にオスプレイがやってきて、訓練が開始するわけですよ。そのことについて何も言わなかったということですか。そういう話は、およそ本当に、日本の外務大臣として、私は、そういう姿勢だったら恥ずかしい話だと思いますよ。

 大体、今回配備されるCV22というのは、沖縄に配備されているMV22オスプレイとも違うわけですよね。防衛省の資料にも書いてあるとおり、特殊作戦部隊を輸送するための部隊ですよ。対テロ戦争なんかにもCV22が活用されましたけれども、隠密裏に国境線を越えて、夜間、特殊作戦部隊を輸送していくとなるわけですね。東京の横田から飛び立って、そういう、ある意味、国際法上からすれば無法な作戦に出撃していくということになるわけですよね。

 しかも、東京に配備する、横田に配備するということは、当然アメリカの頭の中には、斬首作戦、これがあると思いますよ。今、一方では、米朝対話、これをやっていこうじゃないかということをやる中で、私はこういう、それこそ斬首作戦まで念頭に置いた特殊作戦部隊を東京の横田基地に配備していく、こういうのはおかしいと思いますよ。そう思われませんか、河野大臣。

河野国務大臣 意見の相違だと思います。

宮本(徹)委員 そんなことしか言えないんですか。

 先ほど河野大臣は、前の議員とのやりとりで、北朝鮮問題、朝鮮半島の問題は平和的に非核化を進めたいというお話をおっしゃっていたじゃないですか。さっきおっしゃったことと今の答弁、全然違いますよ。平和的に非核化を進めたいというんだったら、なぜ、斬首部隊の実行部隊となるCV22オスプレイを、今、日本に、東京に配備するんですか。全く先ほどの答弁と整合性がつかないと思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 CV22が斬首作戦に使われるというのは、委員がそうおっしゃっているだけでございます。

宮本(徹)委員 この間、アメリカと韓国の作戦計画の中では斬首作戦も具体化されている、その中でアメリカの特殊作戦軍がしかるべき役割を果たすというのは、軍事演習の中でもやられている。報道でも明らかになっている事実です。私が一方的に言っている話じゃないです。

 そして、このMVに比べても、CVというのは大変、役割の面だけじゃなくて、事故も多いわけですね。

 まず、MVのオスプレイ自体の事故率も上がっているわけですよ。政府は、オスプレイを普天間に配備する際、こう言っていたわけですね。事故率は一・九三だ、MV22オスプレイは一貫して海兵隊航空機の平均を上回る安全記録を示している、こう言っていたわけですよ。ところが、昨年公表されたMVオスプレイの事故率は三・二四、一・七倍になりました。海兵隊の平均も上回っています。もともとオスプレイを日本に配備した初めの口実は成り立たなくなっているわけですよね。

 ちょっと、CVはそれに比べてもっと事故が多いと思いますが、防衛省、来ていただきました。横田に配備されるタイプのCV22オスプレイのこれまでの累計の飛行時間は幾らで、Aクラス事故は幾らで、機械的に十万飛行時間当たりの事故率を出せば幾らになりますか。数字をお答えください。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 米空軍安全センターによれば、二〇一七年九月末時点におけるCV22の総飛行時間は約七・四万時間でございまして、その間に発生したクラスA飛行事故の件数は三件と承知をしております。

 他方、CV22の十万飛行時間当たりのクラスAの飛行事故の件数としての事故率につきましては、米国政府から十万飛行時間に達していない段階で有意な事故率を算出することは困難であるという旨の説明を受けております。CV22は総飛行時間が十万飛行時間に達していないということでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 それはまた変な答弁ですね。MVを普天間に配備するときは、CVについても、皆さん十万飛行時間に達していないのに出していましたよ。わざわざ割り直して数字を出していたんですよ。突然今になってから出さないというのは、そんなおかしな話はないじゃないですか。割り算すれば出ますよ。四・〇五ですよね、違いますか。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、算数の問題で、割り算をすればということでございますが、今後の飛行時間にどれだけの事故が発生するのかということは、我々が予見することは不可能でございまして、今までのケースをただ単純に算数をして解けるという性質のものではないと私は思いますが、あえて御指摘の十万飛行時間当たりの事故件数を委員御指摘のとおり算数として計算をしますと、確かに四・〇五となるということでございます。

宮本(徹)委員 MVも初めは一・九三だといって、飛べば飛ぶほど普通は安全になるかなと思ったら、飛べば飛ぶほど事故率が上がって三・二四。CVはそれよりも高い四・〇五となっているわけですね。なぜCVの方がMVよりも単純計算すれば事故率が高いんですか。

山本副大臣 御指摘の点でございますが、委員御指摘のように、さまざま御意見があるということは承知をしておりますが、我々防衛省・自衛隊として、米軍機の事故が起きている要因について確たるお答えをすることは困難でございます。

 ただ、一般論として、一般的に、自国の航空機の運用に当たっては、いかなる場合であっても、必要な点検整備が行われずに運用されることは認められないものでありまして、在日米軍からも同様の見解が我が方に示されております。

 いずれにしましても、米軍機の飛行に際しては安全の確保が大前提でありまして、引き続き、米側に対しては、飛行の安全確保に万全を期すよう強く求めてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 大体、米軍機の事故がこれだけふえているにもかかわらず、その原因について、さっきみたいな、よくわからないみたいなことを言って、それで危険なオスプレイの新たな首都への配備をはいはいと認めちゃう、こんな情けない話はないですよ。これ、日本国民を守るとか、何にも関係ないですからね、特殊作戦部隊ですよ、米軍の。国民を危険にさらすだけのことを皆さんはやっているわけですよ。

 それで、CVオスプレイがMVオスプレイよりも事故率が高い原因、防衛省は六年前にちゃんと言っているんですよね。

 防衛省のパンフレット、ありますよ、MVオスプレイの事故率についてと。ここに出てきますよ。MVはCVに比べて事故率が低い、CVはなぜ高いのか、書いています。特殊作戦という独特の任務所要のため、より過酷な条件下で訓練を実施と書いてあるじゃないですか。だから事故率が高いと防衛省はずっと説明してきたわけですよ。そのMVオスプレイよりも事故率が高い危険なCVをどうして配備するんですか。

中山委員長 防衛省岡防衛政策局次長、申合せの時刻が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 事故率に着目しての御質問でしたのでその点について申し上げますけれども、事故率につきましては、安全記録の一つの指標として使用はされているものではございますけれども、整備ミスや操作ミス等さまざまな、機体以外の要因も含めて発生する事故もあることから、そのことのみをもって機体の安全性を評価することは適当でなく、あくまで目安の一つであると考えているところでございます。

 CV22につきましては、先ほど副大臣からも答弁ございましたように、十万飛行時間にも達していないということで、有意な形で事故率を算出することは困難であるという旨も説明を受けているところでございます。

 いずれにいたしましても、CV22の配備につきましては、アメリカのこの地域の平和、安全保障に対するコミットメントを示すものでもございますし、日米同盟の抑止力、対処力を高めていくことにも役に立つものであるというふうに理解をしております。

宮本(徹)委員 そんないいかげんな答弁をして、事故が起きたら誰が責任をとるんですか。河野大臣、責任とれるんですか、そういう姿勢で。

 厳しくそのことを指摘して、質問を終わります。

中山委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも一般質疑をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 まず、報道でもありましたように、来年の六月の二十五日と二十六日に、大阪を中心に、G20、この日本で開催されることが決まりました。本当に、大阪選出の議員の一人としましても喜ばしい限りでございますし、その後の万博の誘致に向けても弾みがつく案件だというふうに思います。

 また、大阪だけじゃなくて日本各地で閣僚級会合をやるというのも、またそれはそれですばらしいことだと思います。各地の特色を生かして、おもてなしの心でぜひ各閣僚をもてなしていただきたいですし、何より、その場所で有意義な議論が進んで、日本にとっても世界にとってもすばらしいG20になるように進展をお願い申し上げたいというふうに思います。

 お伺いしたいのは、まずこのG20に向けた意気込み、この点、大臣にお伺いできますでしょうか。

河野国務大臣 まず、来年のG20の首脳会議ですが、六月の二十八、二十九だと思います。済みません。

 いずれにしましても、来年大阪で開催することを決定いたしましたG20のサミットは、G7諸国を含む二十の首脳、さらに招待国あるいは多くの国際機関のトップも参加する、日本が主催するサミットとしてはこれまでで最大のサミットとなるわけでございます。

 G20のGDPの合計は世界の八割を占めることになりますので、世界の経済の成長と繁栄のために非常に大きな役割をこのサミットは果たすことになりますので、そこで議長国として力強いリーダーシップを発揮してまいりたい。また、各国首脳が有意義な議論を行えるように、適切な会場を準備するとともに、宿舎、空港、警備、その他ロジについてもしっかりと万全を期してまいりたいというふうに思っております。

丸山委員 本当ですね、済みません、二十八日、二十九日でした。おわび申し上げます。

 そういった意味で、このG20、非常に重要な会合だというふうに思いますが、この意気込みを今お伺いして、大臣、気合い十分だなと感じたところですが、ニュースを見ていますと、このG20のためのいろいろなやりとり、大阪府、市ととも必要なので、国においても必要なので、G20の事務局が立ち上げられた。そこの看板に、大体大臣がいつも揮毫されるんですが、大臣が珍しい字をお書きに、篆書という少し特殊な字をお書きになっていますが、一瞬見るとなかなか独特の字でございますが、この字を選ばれた理由、こうしたところ、先ほどの意気込みに関係するのかなというふうに思いますが、重ねて、これについても何か言及ができましたら、よろしくお願いします。

河野国務大臣 ありがとうございます。一生懸命書いたつもりでございますが。

 今までと少し違う字体だということでございますけれども、G20のサミットを主催するに当たって、これはこうでなければいかぬとか、これはこうしなければいけないというこれまでの固定観念にとらわれずに、二十一世紀の日本らしいサミットをやってほしいというふうに思っております。

 事務局に来るみんなが朝入り口で看板を見るたびに、今までのやり方をやらなくてもいいよということを目で再認識をしながら一日を始めてもらおう、そういうことで、やるべきところはしっかり、警備ですとかロジですとか、しっかりやらぬといかぬと思いますけれども、全体的な、G20というものを日本でこの時期にやるということで、固定観念にとらわれず、二十一世紀の日本らしいG20サミットにしてまいりたい、そういうことでございます。

丸山委員 なるほど、今までの固定観念にとらわれない、二十一世紀の日本らしいG20にするんだという意気込みがその字にあらわれているということですね。

 ぜひ、事務局の皆さんと一致団結して、外相としても成功に導いていただきたいというふうに思いますが、やはり懸念される点もあります。

 特に、大阪に住んでいますと、やはりG20となると、国際的な一番大きなと言ってもいいほどの会議ですので、そうすると、必然的に今テロのリスクだとか、また、それだけじゃありません、治安面だとかです、デモだとか、反対される方々もいらっしゃいますので、そういったものも非常に、これまでのG20を見ていますと、その危険にさらされている状況はありありと見えるわけで、そうした中で、どうしても大阪府、市だけではやはり難しい部分もたくさんあります。

 そういった意味で、必ず成功に導くために、そうした不安点も一つ一つ払拭していかなきゃいけないと思います。こうしたバックアップ体制について、国としても全力でこのバックアップに当たっていただきたいと思いますが、それについてお伺いできますか。

河野国務大臣 私も、G7の伊勢志摩サミットのときは国家公安委員長で、警備の責任者をやっておりましたが、こういうサミット、特にG20のような超大型と言ってもいい首脳会議をやるときには、地元の自治体、国、そして地元の皆様、いろいろやるのは国そして自治体でございまして、ここが一体となってやらなければいけませんし、地元の皆様の深い御理解をいただかなければなりません。そういう意味で、警備あるいは交通面でいろいろ地元の皆様の御理解をいただきながら、しっかり、御迷惑を最小限にしてやってまいりたいというふうに思っております。

 おとといでしたか、サミットの開催日時の決定を受けまして、早速、大阪府、大阪市と緊密に連携をとりながら、会場、宿舎の確保を始めとする準備をスタートさせました。

 また、四月一日付で外務省内にG20サミット事務局を立ち上げまして、ここに、大阪府、大阪市それぞれから二人ずつ優秀な職員に出向していただいて、今、外務省あるいは財務省からも出向してきておりますが、こうした職員と一体となって準備を進めております。

 また同時に、外務省からも近く大阪に職員を出向させていただこうと検討しておりまして、こういう人事交流を通じて、お互い支え合いながら、準備をしっかりやってまいりたいと思っております。

丸山委員 ぜひ、しっかりとよろしくお願い申し上げます。

 大阪の皆さんの期待という意味では、このG20は、もちろん大きな会議だというのは皆さん御存じですし、ああすごいな、トランプさんやらプーチンさんやら世界じゅうの首脳が来るんやなということで、しかも、大阪が世界じゅうに大阪という名前でアピールされるので、これは非常にええことやという話を伺います。

 もう一つ、国際的な部分で一番今大阪の皆さんが関心があるのが、やはり万博の部分なんです。

 G20は、どうしても皆さんが参加するというのは難しい案件で、トップ級での部分ですけれども、万博というのは、やはり、住んでいらっしゃる皆さんも世界じゅうの皆さんも、どういう方も来られて参加できるという意味では、非常に皆さんの期待感が大きい部分だと思います。

 BIEの方が来られたときに、大阪だけでも百万人を超える方が署名をされて、ぜひ実現させてくださいという声も日に日に大きくなっているところなんですが、これはしっかりと誘致活動を成功させるためには、やはり根回しが必要です。BIE加盟国に対して一票でも多くとっていくというのが非常に大事な部分だと思います。私も、海外に行くときは必ずバッジをつけて、万博の話題に触れることで、きちんとお話をしつつやる、いつもそういうことをしていますけれども、しかし、一番大事なのはやはり政府対政府の部分だと思います。

 しっかりこれはやっていただけているとは思うんですが、確認させていただきたいと思いますが、大臣や副大臣、政府の幹部の皆さんが訪問されるとき、海外に行かれるとき、この大阪・関西万博の誘致活動についてどういうふうにされていらっしゃいますでしょうか。しっかりされていますか。よろしくお願いします。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 総理、閣僚を始め、各省政務及び各省幹部が外国を訪問し、博覧会国際事務局、BIEメンバー国の政府要人と会談を行う際には、積極的に二〇二五年大阪・関西万博誘致の働きかけを行っているところでございます。

 これらに加えて、日本国内のさまざまな分野で活躍をされている方々に二〇二五年国際博覧会誘致特使をお願いし、個々の人脈等を活用していただきながら、各国への働きかけも行っているところでございます。

 本年二月にフランスが立候補を取り下げましたが、ほかの立候補国であるアゼルバイジャン及びロシアは誘致活動を活発化しておりますので、外務省といたしましては、十一月の選挙に向けて、引き続き全力で誘致実現に取り組んでいく所存でございます。

丸山委員 ちょっと事務方に確認したいんですけれども、一応、先方に行くとき、基本的には全て先方にはこの案件をお伝えになっている、よろしくお願いしますという形で誘致の活動をされているということでよろしいんですね。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 原則的にはその方向で準備をしております。

丸山委員 重ねてお伺いしますが、これからも、秋まで、まずは決まる秋までが一番重要な時期ですが、しっかりやっていただけるということでよろしいんですね。

飯島政府参考人 全力で取り組んでまいります。

丸山委員 よろしくお願いしたいと思います。

 大臣、具体的に会議に出られる最前線にいらっしゃるわけですが、こうした話題に触れていただけることも多々あると思います。そうした中で、反応というのはいかがでしょうか。その相手の方が、どのようにこれに関して反応されるのか。特に、具体的にはどの部分に関心を持たれたり、どういったお話になるのか。そういったものもありましたら、ぜひ参考に教えていただければと思います。

河野国務大臣 具体的な反応を一々申し上げると、ちょっと、その国との関係その他がございますが。

 二〇二〇年にUAEで万博が開催されます。そういうこともあって、UAEは、万博をホストする立場から、どの国を今支援をするということは明示的に申し上げられないことは理解をしてくれというような話があって、そういうのはお互い理解できますから、それはもうよくわかっておりますというような話をいたしましたが、総じて、非常に好意的に反応がございますし、その場で、ああわかりました、支持しますよと言ってくださるところもございます。

 今、外務省で、どれぐらいの支持が集まっているかというところを日々確認しながらやっているところでありますが、大阪・関西万博のコンセプト、「いのち輝く未来社会のデザイン」、サブテーマで、「多様で心身ともに健やかな生き方」、そして「持続可能な社会・経済システム」というコンセプトについて共感を明言してくれた方もいらっしゃいますし、また、成長するアジアの中での巨大なマーケットに、この万博を通じてアクセスを促進することができるのではないか、特にこの日本について、文化やビジネスを紹介する大きなチャンスになるのではないかという期待は、そして関心は非常に大きいというふうに思っておりますので、そうしたことをてこにしながら、更に支援を拡大していきたいというふうに思っております。

丸山委員 よろしくお願いします。

 少し話題はかわりまして、韓国が、日本の福島等八県の水産物の輸入を制限している、輸入規制している問題についてです。

 WTOでの訴訟に日本側が勝訴したということですが、これについて見解をお伺いしたいのと、要は、科学的根拠が薄いと思います。だからこそWTOでも日本側の主張が認められているんだというふうに思いますが、同様に、今中国や台湾等でも、ほかの国でも同様の対応をしているような国があります。こうした部分に関しても政府としての見解をお伺いできますか。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 韓国による日本産水産物等の輸入規制につきましては、平成二十七年九月にWTOの紛争解決小委員会、いわゆるパネルが設置されて以降、約二年半にわたる検討を経まして、二月二十二日に本件に関するパネルの報告書が公表されております。

 この報告書におきまして、パネルは、韓国の措置がWTO協定に反すると認定し、韓国に対して、措置を協定に適合させるよう勧告をしております。

 我が国としましては、日本の主張が反映されたものとして今回の報告書を評価しており、WTO協定に反すると認定された措置を韓国が誠実かつ速やかに是正することを求めてまいります。

 中国、台湾等、同様に輸入規制を行っている国、地域への対応でございますけれども、中国政府、台湾当局に対しましては、食品の安全性に関する詳細な情報提供を行いつつ、繰り返し、早期の規制の撤廃、緩和を働きかけております。また、各地で食品見本市や日本紹介イベント等がございますので、こういった機会も通じて、日本産食品の安全性PRを積極的に行っているところでございます。

丸山委員 これは、同様に、他国についても、科学的根拠がないものに対して、やはりおかしなもの、風評被害に対しては、断固として、おかしいものはおかしいという対応をとっていただきたいと思います。

 韓国側も反応を示していまして、韓国は一応上級委員会に上訴するという対応をとるというふうに述べていますが、もしこれで、上級委員会で、こちらでも韓国側が敗訴した場合には、一応ルール上、十五カ月以内にこれに対して取りやめ等対応しなかった場合には、対抗措置をとれるというのが規定になっています。日本政府として、この場合には断固対応措置をとらなきゃいけないというふうに思いますが、これについて日本政府としてどうお考えですか。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 まず、一般論として申し上げますと、委員御指摘のとおり、WTOの紛争解決に係る規則及び手続に関する了解、これにおいて、申立て国は一定の条件のもとで、いわゆる対抗措置をとることについてWTO紛争解決機関の承認を求めることができることになっております。

 その上で、本件におきまして我が国がいかなる対抗措置をとるのかにつきましては、韓国側の今後の対応を見きわめつつ、適切に対応していきたいと考えておりまして、上級委員会での手続がまだ開始されていない現時点におきましては、具体的な対応についてお答えすることにつきましては差し控えさせていただきたいと考えております。

丸山委員 もちろん断固とした措置をとっていただけるものだと考えておりますし、そうじゃない場合には、これは委員会でも確認していかなければなりません。しかし、思いは一緒です。やはりおかしなものに対してはおかしいと言っていかなければなりませんので、最前線で交渉されておられます外務省の皆さん、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 時間がなくなってまいりましたので、最後の議題に移りたいと思います。

 日ロ関係です。この春以降、非常に、外交の春と言っていいほど、いろいろな首脳会談等立て続けに組まれておりまして、外交上、非常に重要な時期になってまいります。

 そうした中で、ロシア関係も、日ロの関係も非常に重要な部分になっておりまして、もちろん首脳会談も予定されているというふうに聞いていますし、何より、次官級会談で、いわゆる共同経済活動という形で、北方四島におけるこうした交渉の部分、ある意味前進になるかどうかの瀬戸際のところだと思います。非常に難しくて、これは、いつもロシア側にこういった部分だけとられて、結局、日本が本当に望んでいる、日本の固有の領土である北方領土の返還に関する部分が全然進まないんじゃないか、プーチンさんに、ロシア側にしてやられているやんかという御意見もなかなか多い中で、しっかりこれは、結論を急ぐわけじゃないです、ただし、やはり心待ちにされている方々もいらっしゃいます。

 外交問題、難しいのもわかります。しかし、結果がなければ、これは何やっているんだと言われるのが外交ですので、そういった意味で非常に重要だというふうに考えますが、この共同経済活動、こうした批判もある中で、返還に対する影響をどのようにお考えになっているのか、効果についての見解をお伺いできればと思います。

河野国務大臣 おととし、二〇一六年十二月の日ロ首脳会談で、プーチン大統領、安倍首相は、この平和条約問題を解決するみずからの真摯な決意を表明され、北方四島において、双方の法的立場を害することのない形で共同経済活動を実施するための交渉を開始するということを合意いたしました。

 先月の二十一日、三月二十一日の日ロ外相会談の中で、五月のあり得べき安倍総理の首脳会談に向けて、集中的に作業をしていくということが合意され、局長級の作業部会を四月中ごろに開催しようという方向で調整することで一致をいたしました。

 この次回の局長級作業部会などを通じて精力的に作業を進めていきたいと思いますが、日本とロシアがともに北方四島の未来像を描いて、その中から、双方が受入れ可能な解決策を見出していくという、いわば未来志向の発想でこの北方領土の問題を解決し、平和条約の締結にたどり着こうというふうに考えているわけでございますので、粘り強くロシアと交渉してまいりたいと思います。

丸山委員 確認したいんですけれども、色丹島に第三国、米国ですね、米国の企業の進出の話が、発電所の建設の話が上がっているという報道がありますが、これについてどのように認識されているか、見解をお伺いできますか。

河野国務大臣 北方四島の中で第三国の企業が経済活動に従事することは、北方領土問題に関する我が国の立場に相入れない、極めて遺憾であるということをロシア側及びアメリカ側にも申入れを行っているところでございます。

 こういう問題を根本的に解決するためには、やはりこの北方領土問題それ自体を解決しなければこういう問題の根本解決はできませんので、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を結び、こういう問題が起きないように、根本的な問題の解決を目指して頑張っていきたいというふうに思っております。

丸山委員 相手方も非常にしたたかというか、外交ですから、片方は握手していても片方は殴り合うという、非常に難しい中での交渉です。なかなか、領土が戦争や武力以外で返ってきたというのは本当にまれなケースだと思います。そのまれなケースに挑戦しなければなりません。ぜひ、外相の手腕に、総理の手腕にも期待して、一国民として、早く返還されますことをお願い申し上げまして、私も努力することを申し上げまして、時間になりましたので、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件及び投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣河野太郎君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十八年十二月以来、リトアニア政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成二十九年七月十三日にビリニュスにおいて、我が方在リトアニア大使と先方外務大臣との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、日・リトアニア間で二重課税の除去を目的とした課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約を締結することについて御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十八年八月以来、エストニア政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成二十九年八月三十日にタリンにおいて、我が方在エストニア大使と先方財務大臣との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、日・エストニア間で二重課税の除去を目的とした課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約を締結することについて御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十九年三月以来、ロシア政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成二十九年九月七日にウラジオストクにおいて、我が方在ロシア大使と先方財務次官との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、現行の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソビエト社会主義共和国連邦政府との間の条約をロシアとの間で全面的に改正するものであり、投資所得に対する源泉地国課税のさらなる減免、税務当局間の徴収共助の手続の整備等の措置を講ずるための規定等を盛り込んでおります。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、我が国とロシアとの間での課税権の調整がより効果的に行われることになり、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約を締結することについて御承認を求める次第であります。

 最後に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十九年八月以来、アルメニア共和国政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成三十年二月十四日にエレバンにおいて、我が方在アルメニア大使と先方外務大臣との間で、この協定の署名が行われた次第であります。

 この協定は、投資の許可段階及び許可後の内国民待遇及び最恵国待遇の原則供与並びに輸出についての要求を始めとする特定措置の履行要求の原則禁止を規定するとともに、公正衡平待遇義務、収用等の措置がとられた場合の補償措置、支払い等の自由な移転、投資紛争の解決のための手続等を定めております。

 この協定の締結は、我が国とアルメニア共和国との間の投資の増大及び経済関係のさらなる緊密化に大いに資するものと期待されます。

 よって、ここに、この協定を締結することについて御承認を求める次第であります。

 以上四件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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