衆議院

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第8号 平成30年4月13日(金曜日)

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平成三十年四月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 泰秀君

   理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 鈴木 貴子君

   理事 山口  壯君 理事 末松 義規君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      石川 昭政君    小渕 優子君

      黄川田仁志君    熊田 裕通君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      辻  清人君    渡海紀三朗君

      中曽根康隆君    西田 昭二君

      細田 健一君    堀井  学君

      山田 賢司君    阿久津幸彦君

      篠原  豪君    山川百合子君

      関 健一郎君    緑川 貴士君

      岡本 三成君    岡田 克也君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        佐藤 正久君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   外務大臣政務官      堀井  巌君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川村 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 松浦 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           岡田 健一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 安藤 俊英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    相星 孝一君

   政府参考人

   (財務省主税局参事官)  吉田 正紀君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           信濃 正範君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 齋藤 雅一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中  聡君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     西田 昭二君

  辻  清人君     細田 健一君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  西田 昭二君     佐々木 紀君

  細田 健一君     石川 昭政君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     辻  清人君

    ―――――――――――――

四月十二日

 税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアイスランドとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

同月六日

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八九九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九一六号)

 同(笠井亮君紹介)(第九一七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第九一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九二〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九二一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九二二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九二三号)

 同(藤野保史君紹介)(第九二四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九二五号)

 同(宮本徹君紹介)(第九二六号)

 同(本村伸子君紹介)(第九二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアイスランドとの間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件及び投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房審議官川村博司君、大臣官房審議官松浦博司君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官岡田健一君、大臣官房参事官安藤俊英君、大臣官房参事官小泉勉君、領事局長相星孝一君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、財務省主税局参事官吉田正紀君、文部科学省大臣官房審議官信濃正範君、防衛省大臣官房長高橋憲一君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、大臣官房審議官齋藤雅一君及び地方協力局次長田中聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。

鈴木(貴)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木貴子です。

 きょうは、今委員長からも読み上げがありました租税条約、そしてまた日・アルメニアの投資協定について質問をさせていただきたいと思います。

 そしてまた、きょうは、私もライフワークとして取り組んでおりますロシア若しくは旧ソ連邦から独立した国々との条約ということでありますので、関連して、今まさに安倍総理の強いリーダーシップのもと推進をされております共同経済活動等の進捗状況にも関連して質問をさせていただきたいと思います。

 まず、日・アルメニア投資協定でありますけれども、基本的な、我が国の投資関連協定締結の基本方針というものをお伺いさせていただきたいと思います。

 投資関連協定の締結促進等投資環境整備に向けたアクションプランの中で、二〇二〇年までに百の国、地域をとする投資関連協定の署名、発効を目指す、このように目標設定がなされているところでありますが、その目標のまず目的について教えてください。

小泉政府参考人 投資協定の締結目標の目的についてお尋ねを頂戴いたしました。

 一般的に、投資協定につきましては、これを締結することによりまして、相手の国におけます投資環境の透明性、また法的な安定性、そして予見の可能性が向上するということが見込まれます。したがいまして、投資の関連協定でカバーされます相手の国がふえることによりまして、日本の企業が、海外展開を含めて、我が国からの投資のさらなる促進、また保護につながることが大いに期待されるものでございます。

 ということで、そういった一般的な投資協定の意義を踏まえまして、御指摘のいただきましたような目標が定められているということでございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 今、目的を伺ったんですが、それでは、二〇二〇年までに百の国、地域ということでありますが、その目標達成見込み、進捗状況について教えてください。

小泉政府参考人 今現在まで、二国間の投資協定、また、より広い、FTAないしは経済連携協定、EPAと呼んでいますが、その中に投資章が盛り込まれることもございます。この二つを合わせまして数えますと、現在までのところ、既に発効しているもの、ないしは発効まではいっていないけれども署名は済んでいるもの、この両者を合わせまして、四十四の投資関連協定が署名はなされているということでございます。これにつきまして、四十四本で、都合四十五の国と地域がカバーされているというのが今の現状でございます。

 これに加えまして、現在、構想中のものが幾つもございます。これらを全て足し合わせますと、今、現時点で九十二の国、地域がカバーされることが見込まれているところでございます。

 二〇二〇年までまだ若干時間がありますので、目標の達成に向けて頑張っていきたいというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 今のお話を伺いながらも、この目標を達成するためにも、速やかな締結というものを順次していくということが必要なのかなと確認をしたところであります。

 そこで、今回上がっておりますアルメニアとの締結に向けまして、まずは、そもそもの日本とアルメニアの外交の現状についてもお尋ねをしたいと思います。

 といいますのも、本年の二月にまず外相会談があったところでもあり、そしてまた、同じく二月には、堀井学政務官もアルメニアの方を訪問をされ、そして会談等々を行ったというふうにも伺っております。

 この日・アルメニアの外交状況、二国間の現状というもの、若しくは訪問をされての成果等を、ぜひとも、せっかくなので教えていただければと思います。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 アルメニアとの外交関係でございますけれども、アルメニアはヨーロッパとアジアとの結節点に位置をしておりまして、地域の安定において重要な役割を担っているところでございます。

 日本は、このようなアルメニアとの関係を一層強化をしたいというふうに考えておりまして、外交関係樹立二十五周年として、各種往来、行事が行われた昨年の機運を本年も生かしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

鈴木(貴)委員 せっかく、堀井学政務官、私も尊敬をする同じ北海道の政務官がいらっしゃっておりますので、政務官からも一言お願いいたします。

堀井(学)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 議員御承知のとおり、本年二月十六日から十七日にかけてアルメニアを訪問させていただきまして、アルメニア外務大臣を始め日・アルメニア議連等、さまざまな意見交換を行わせていただいたところでございます。

 現時点におきまして、アルメニアを始めとするコーカサス地域におけるさまざまな外交状況がありますけれども、中国に対する影響など等の意見交換も行ったところ、比較的、限定的なものと認識をさせていただきました。

 例えば、中国とアルメニアは一帯一路の一部分であるシルクロード経済ベルト案件の実施に向けて協力することに首脳間で一致するなど、日本としても、日・アルメニア、そして日・中国との関係を現状で注視をさせていただいているところであります。

 コーカサス地域は、ロシア、イラン、トルコといった地域大国に囲まれ、アジアと欧州の中間に位置する地政学上重要な地域と我が国は捉えております。我が国は、国際社会の平和と安定に直結するコーカサス地域の安定化を支援すべく、コーカサス各国、民主化や市場経済化に向けた努力を支持してきております。

 アルメニアとの間でも、投資協定の締結によって、ビジネス関係を強化することを始め、さまざまな分野で取組を通じ、アルメニアがバランスのとれた自立した政策をとることに我が国としてもしっかりと貢献してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 大変、大局観といいますか、大所高所のお話を今いただいたな、このように思っております。今の堀井政務官の答弁を一つとりましても、やはり、このアルメニア、地政学的に見ても大変興味深い、そして我が国としても注視をすべき地域であるということを確認できた答弁をいただいた、このように思っております。

 やはり、ロシアとの関係もそうでありますし、今、一帯一路の話もあったところでありますが、こういった意味合いでも、中国の関係というもの、また存在感というものが高まっている中で、いかに日本としても存在感を出していくか。そういった意味でも、この協定の速やかな締結というものの必要性を改めて感じたところでもあります。

 あわせて、この二国間の外交の状況でいいますと、在京大使館の開設というのはついこの間、二〇一〇年、そして在外公館におきましては二〇一五年の開設ということで、比較的最近、積極的にといいますか、動き始めたのかな、こんなふうにも思います。

 そしてまた、この交渉の開始の合意に至ったのが昨年の夏というふうにも資料等で拝見をしているところでありますが、このスピーディーな、去年の夏からまだ一年もたっていない中で、こうして今委員会でも審議があるところでありますが、非常にスピーディーだなというふうな感想を持っているんですけれども、そこには何らかの背景若しくは日本企業のそういった声等々というものがあるのか、ぜひ教えてください。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本とアルメニアの投資協定の正式交渉の開始は昨年六月に合意をされまして、八月に第一回交渉会合を実施しまして、本年の二月十四日には協定の署名に至ったところでございます。

 比較的迅速な交渉妥結であったと言えるかと思いますが、これが可能でありました背景としては、アルメニアが我が国との関係を重視していること、また、アルメニアが近年、外国投資誘致に積極的であるということが挙げられると思います。

 また、御指摘をいただきました二〇一五年一月に、在アルメニア日本国大使館を実館として開設をいたしました。この我が方大使館が現地においてさまざまに働きかけや調整を行ったことも、早期の交渉妥結に貢献したというふうに考えております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 関係各位のさまざまな努力があったということでありますが、この協定の中身についてもちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 投資家や投資財産に対してさまざまな待遇というものを与えることが義務として明文化をされているところでもあります。中でも重要視されているのが、国が投資家との約束を遵守する義務、いわゆるアンブレラ条項と言われるものでありますが、そういったものがしっかりと担保されていることが非常に重要になってくると思います。

 このいわゆるアンブレラ条項というものが、今回の協定においてもしっかりと明記をされているのでしょうか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆるアンブレラ条項は、締約国が相手国の投資家の個別の投資に関して負った義務を条約上の義務として遵守することを定めるものでございます。

 投資受入れ国がこのような相手国投資家との間の契約に違反した場合は、これは投資協定上の義務の違反ということになりますので、投資家は投資受入れ国を相手取った紛争解決手続、いわゆるISDSによる救済を受けることが可能になります。したがって、アンブレラ条項は、海外進出する日本企業にとっても有意義な規定であるところでございます。

 今回の投資協定におきましては、アンブレラ条項は含まれておりませんけれども、そのかわりに、投資受入れ国と投資家の間の契約の違反をISDSの対象とすることを定めます、いわゆる投資に関する合意条項というものを規定をしております。これは、個別の契約の保護という観点からは、アンブレラ条項と同種の効果を有するものでございます。

鈴木(貴)委員 この点が非常にはっきりとしていることが投資の促進にもつながると思います。

 といいますのも、例えば、企業が投資を決めたところで、このアルメニアしかり、その他の諸外国もそうでありますが、国が突然何らかの方針転換をし、そのプロジェクトが例えば中止になったであるとか、若しくは何らかの損害をこうむったり予定どおり進まないときに、司法手続に出たい、しかしながらそこの国ではまだ司法整備というものが十分になされていない、じゃ、どうしたものか、こういったものが投資家側の大きなリスクの一つであると思います。

 今、相木審議官からも、アンブレラ条項とは違うけれどもしっかりと法的な担保がなされているという旨の発言であったかと思いますが、法的担保というものはアンブレラ条項と同様に担保されているということを、もう一度確認をさせていただいてもよろしいでしょうか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の投資協定に入っております投資に関する合意条項によりまして、個別の契約の保護という観点から、アンブレラ条項と同種の効果を有するものを入れておるところでございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 それでは、重要なところも確認をさせていただきましたので、日・リトアニア、エストニア、そしてロシアとの租税条約の方に移らせていただきたいと思います。

 まず、リトアニアといえば、思い出すのはやはり、日本のシンドラーとも時に言われる、元外務省職員である杉原千畝さんだと思います。この杉原さんというのは、第二次世界大戦中に、ナチス・ドイツの迫害を逃れるユダヤ人の皆さんに対して、日本を通過してもいいよというビザを最後の最後のぎりぎりまで発給をし続けた、そしてまた六千人を上回るユダヤ人の皆さんの命を助けられたということで、本になったり若しくは映画等々にもなっていらっしゃる方であります。

 あわせて、大事なのは、この杉原さんという方は、このビザ発給というものが当時の本省からの訓令に違反をしているということで、晩年は非常に冷遇を受けた、若しくは御家族もそのような思いとともに長きを過ごされていらっしゃったわけであります。

 その際に、時間はたちまして、一九九一年、ようやくバルト三国、リトアニアがソ連から独立を宣言するということで、日本が、いよいよ国交の樹立だということで、当時、外務政務次官だったのは鈴木宗男先生でありますが、鈴木宗男先生が、外務政務次官としてバルト三国を訪問する前に、ならばやはり杉原千畝さんの名誉回復をしないといけないのではないかということで、時の外務省とかけ合いまして、出発の前、ちょうどたしか二日前だったと思いますが、幸子夫人、そして御長男と面談をされ、外務省として公式な謝罪を実に四十四年ぶりにされたという、これまた歴史もあるわけであります。

 そして、またその後、平成十二年でありますが、杉原千畝さんの生誕百年に合わせまして、功績をたたえる顕彰プレートというものが、外交史料館において除幕式がありました。その顕彰プレートをつくるということを決定をされましたのが、時の河野洋平外務大臣であります。

 そういった意味では、さまざまな歴史、外務省の中でのさまざまな事情があった中でも、まさに時の河野洋平大臣の英断があって、新しい、そしてまた日本が世界にも誇れる歴史というものがつくられたのではないのかな、このようにも思うところであります。

 そして、きょう、河野太郎大臣とも、そういった意味では、歴史といいますか、つながりもありますリトアニアとの租税条約であります。

 そもそもの質問に入らせていただきますが、まず、この租税条約を締結する目的若しくは必要性というものはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

小泉政府参考人 租税条約の目的、意義ということでございます。

 一般的に、租税条約は、これを締結いたしますと、国際的な意味での二重課税を除去する、また同時に、脱税だとか行き過ぎた租税回避の行為を防止する、この両面がございます。この両面を通じまして、二国間の健全な投資、経済交流の促進に資することが期待されるものでございます。

 例えば、海外に出ていこうという日本企業の立場に立って申しますと、行き先に考えております相手の国との間で租税条約があるということによって、投資をした相手先国、専門用語で源泉地国と呼びますが、そこにおけます課税の所得の範囲が明確化され、どこまで課税されるのかあるいはされないのかがはっきりするといったことを通じまして、法的な安定性、また予見可能性が高まります。

 したがいまして、政府としましては、相手国との経済関係、また日本の財界等からの要望、また、租税条約の締結によってどういう効果があるかといったことを総合的に考えまして、引き続き、積極的に締結あるいは既存のものの改正の交渉に取り組んでいくということでございます。

鈴木(貴)委員 大変早口な回答をありがとうございます。ついていくのが今やっとでありましたが、それぐらいのスピードでこの条約も進んでいかないといけないのかなと思った次第であります。

 今その御答弁の中にもありましたが、この二重課税であるとか二重非課税、これのリスクを抑えることが非常に重要だとあったわけでありますが、それを抑える一つの抑止力として、OECDの承認アプローチというもの、この導入の必要性、重要性というものがたびたび指摘をされているところであります。

 日本としても、過去の委員会等のやりとりなどを見ていても、日本の基本的スタンスというものは、基本的にこの承認アプローチを導入するというスタンスである、このように思いますし、今もうなずいていただいておりますので、そのような意味だと思っておりますが、リトアニアとロシアの条約においてはこのOECD承認アプローチというものが導入をされていないかと思うのですが、その理由というものは何かあるのでしょうか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般論といたしまして、このOECD承認アプローチを導入するためには国内法の改正が必要な国も多いところがございます。そのような国内法改正が完了していない等の場合には、このOECD承認アプローチを導入することができないことがございます。

 租税条約の具体的な規定の内容は、それぞれの相手国との交渉の結果として合意されるものでございます。リトアニア、またロシアとの租税条約におきましても、それぞれの国での国内の議論が完了していないといったことなどの事情を踏まえつつ交渉を行いました結果、この規定は本文で規定しないことという結果になったところでございます。

鈴木(貴)委員 それでは、今後どのようにその二国間に対して働きかけをされていく予定でしょうか。

相木政府参考人 リトアニアとの租税条約におきましては、できるだけこのOECD承認アプローチを早期に適用することを確保するべく、今後リトアニア側が同内容を規定することが可能になった場合を見据えまして、両締約国が外交上の公文の交換により合意する日において該当する条項を改めることを定めました規定を議定書の中に設けているところでございます。

鈴木(貴)委員 ありがとうございました。速やかに締結に向けてまた引き続き御尽力いただきたいと思います。

 それでは、冒頭にも申し上げましたように、関連質問の方にも移らせていただきたいと思います。

 先ほど河野洋平大臣のお話もさせていただきましたが、河野家といいますと、このロシアの、先ほどのリトアニアの問題もそうでありますが、五六年宣言もそうであります、時の河野大臣であります。そして、先ほどの杉原千畝さんの名誉回復も時の河野大臣であります。今回の河野太郎大臣が引き続き間違いなく新しい歴史をつくってくださる外務大臣であると、私も期待をしてやまないところでありますが、私は、河野太郎大臣は、ぜひとも北方領土問題の解決、前進、それに寄与された歴史に残る大臣として御活躍をいただきたいと願っているところであります。

 日ロ共同経済活動等々、今進んでおりますが、そもそも論として、この北方領土問題が戦後もう七十数年たっているにもかかわらず、一島たりとて解決をしていない、足踏み状態と言ってもいいと思うんですけれども、このまず現状について、大臣の御認識というものを伺わせてください。

河野国務大臣 既に五十年以上前にこの問題について日本と当時のソ連の間でさまざまなやりとりがございました。平和条約を締結してまず歯舞、色丹を返還する、その後、国後、択捉については議論する、そういう合意ができていたにもかかわらず、そこまで至っていないのは極めて残念に思っております。

 御指摘がありましたように、足踏み状態でございますので、少しアプローチを変えてこの北方四島の帰属の問題を解決しようというのが、今行われている日ロ共同経済活動を始めとする新たな試みでございます。こうした取組をしっかり進めることによって、この平和条約締結に向けて北方四島の帰属の問題を解決してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。私も、地元北海道、また活動の拠点は釧路管内、根室管内、そして北方四島も私は自分の選挙区である、このような思いで日々活動をしている者として、今、大臣の御発言というものは大変心強い、現実的な御答弁をいただいたものと思います。

 というのも、既存のアプローチにとらわれない、やはり、結果を出すためには何をすべきなのか、そしてまた、過去の外務大臣は、外交には相手がいるということを忘れたかのような発言をされ、この問題をまさに足踏み状態に持っていった方もいらっしゃったように私は思っておりますが、そういう意味では、現実的な歩みというものが必要だという大臣の御答弁に、私は大変力強く思っております。

 その中で、この共同経済活動を一歩でも、一つでも、まず具体的に表にしていく、こういったことが今進んでいるということをしっかりと見せていくということが大事だと思うんですけれども、現状の共同経済活動のスピード感について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 五月には安倍総理の訪ロというのがあり得べきだろうというふうに思っております。その五月の首脳会談に向けてさまざまな準備を急いでまいりたいというふうに思っておりまして、おとといには人の移動に関する局長級の作業部会を実施し、今月の二十四日にはプロジェクトの内容に関する局長級の作業部会というものを行う予定でおります。しっかりと、五月に向けて成果が出るように、作業をスピードアップしてまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。ぜひ、今の大臣の御答弁を聞いて、外務省の皆さんも拍車をかけていただきたいな、そのようにも思うところであります。

 あわせまして、ロシアとの関連なんですけれども、この共同経済活動、新しいプロジェクトのように思いますが、実は、沖、海では、既に日本とロシアにおいては特別な枠組みで海の共同利用等々を、もう過去から進んでいるところであります。その一つがいわゆる安全操業でありますが、安全操業におきまして、ロシアのいわゆる国境警備局からの臨検、船にやってきまして、例えばとっている魚の魚種の確認であるとか漁獲量の確認というものが多々散見をされているところであります。近年にない数でありまして、非常に現場としても困惑をしているところであります。

 まず、事務方で結構なんですけれども、この安全操業の協定において、操業船がいわゆる訪船を受けるということ自体は協定には規定として入っているんでしょうか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 北方四島周辺水域操業枠組み協定に基づきます日本漁船の操業は、我が国の法令のもとで実施をされておるものでございまして、仮に我が国の法令に照らして違法な操業が行われた場合には、日本側が操業許可を取り消すことなどによって対処することとしてございまして、ロシア側が何らかの取締りを行うことは想定されていないところでございます。

鈴木(貴)委員 続いて大臣に伺いたいんですけれども、一月三十一日から二月の二日、三日連続で、スケソウの漁船全船がいわゆる臨検を受けております。こういったことが起こると何が問題かといいますと、スケソウというのは、魚卵、たらことかになるわけですから、鮮度が重要になるんですけれども、そういったものでも、物にならない、若しくは競りに間に合わない等々で、経済的なダメージというものも多々出ております。ぜひ、各級協議の場において、ロシアに対して、この協定にまさに盛り込まれていない訪船、臨検に対し、大臣からも申入れを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 先ほど、ロシア側が何らかの取締りを行うことは今の枠組みでは想定していないというふうに申し上げましたが、二〇一八年、既に八十件を超える訪船を経験をしているところでございまして、公権力の行使と捉えられかねないような行動にロシア側が出ているというのは、我が国の北方領土に関する立場のみならず、この枠組み協定の趣旨に照らしても受け入れられないところでございますので、既に局長級を含め、さまざまロシア側に申入れを行っておりますが、この枠組み協定に基づく安定的な操業が維持できるよう、私からも適切に働きかけをしてまいりたいと思います。

鈴木(貴)委員 最後の質問になるかと思いますが、きのうも日ロ友好議連等々もありまして、ガルージン大使もお見えになったわけでありますが、ガルージン大使からも、再三にわたりまして、人的、経済的交流促進のためにも、サハリン州と北海道のビザの免除、これを行うことによって人的、経済的交流促進をしていこうという呼びかけが再三にわたって行われているところであります。

 事の発端といいますのは、昨年のサハリン州知事のコジェミャコ知事の発言にあったかと思いますが、これについて、ぜひとも、このサハリン州と北海道のビザの免除、速やかに行動していくということが日ロ全体の友好関係にも資すると思います。河野大臣の御決意また見通しのほど、最後、お聞かせください。

河野国務大臣 幅広い日ロ両国の発展に向けて、両国の隣接地域であります北海道とサハリンの間の人的交流について更に活発化させることは重要だというふうに思っておりますので、何ができるかしっかりと考えていきたいと思います。

鈴木(貴)委員 ありがとうございます。

 先ほど来から申しておりますように、五六年の国交回復しかり、そして杉原千畝さんの名誉回復しかり、そしてまた河野太郎大臣におかれましては、北方領土問題の解決という歴史を残していただけますように強く期待を申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、山川百合子君。

山川委員 立憲民主党・市民クラブの山川百合子でございます。

 きょうは、租税条約と投資協定、それから、今課題となっております防衛省の日報問題や森友、加計学園の問題に関連して、情報管理とセキュリティークリアランス等についてもお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 早速ですが、まず最初に、租税条約とBEPS防止措置条約についてお伺いします。BEPS防止措置実施条約は次回の委員会にかかってくるとは思いますが、租税条約と深く関係しておりますので、関連して一緒に伺っていきたいというふうに思います。

 租税条約は、そもそも、企業が海外進出する際に、本国と投資先の国又は地域から二重課税されることを回避するために締結される二国間条約で、国境を越えた経済活動を推進するための条約であるという面が主なものであったというふうに思います。しかし、昨今、スターバックスコーヒーやアマゾンなどグローバル企業が、租税条約と本国、投資先国の税法の網の目をくぐるようにして租税回避をしたり利益移転したりと、二重非課税の問題が大きく指摘されるようになってきました。そのため、二国間条約である租税条約の改正も必要になってきているというふうに思います。

 一方、この問題に対応するために、BEPS防止措置実施条約、いわゆるBEPS条約ですけれども、個別の租税条約の改正が必要ないように、多国間のマルチ条約としてOECDやG20を中心にまとめられ、批准国が広がってきております。

 グローバル企業の税逃れを許さず、適正な課税を実施していく一方、世界経済の成長と企業のグローバル化に与える影響や、BEPS批准国と非批准国との間に不公平な環境を生じさせることが危惧をされております。

 そこで、租税条約とBEPS防止措置実施条約について、あわせてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 先ほど鈴木議員の御質問にもございました、この租税条約を締結することのメリットは何かということでございますが、先ほどお答えもありましたので、あわせて今後どのように租税条約の締結国・地域を拡大していくのかという点を含めて、まずお伺いをしたいというふうに思います。

河野国務大臣 租税条約の締結につきましては、国際的な二重課税を排除するということ、そして同時に、脱税、租税回避行為への対処を通じて、両国間の健全な投資、経済交流の促進を行うというのが目的でございます。企業にとりましては、源泉地国における課税所得の範囲が明確化されることなどを通じて、法的安定性あるいは予見性が高まるというメリットがあるわけでございます。

 日本は、これまで、二国間の投資、経済交流を促進するという観点から、経済関係が緊密な国との間で租税条約の締結を進めてまいりまして、二〇一八年の四月一日現在、六十九の租税関連条約、これは租税条約のほかに、租税情報交換協定及び税務行政執行共助条約を含んだ数でございますが、六十九の関連条約を締結し、台湾との民間取決めを合わせると百二十三の国と地域に今適用されております。これによって、我が国からの対外直接投資先の実に九九%が既にカバーされております。

 また、未来投資戦略二〇一七において、我が国との投資関係の発展が見込まれる国、地域との間での新規締結や既存条約の改正を通じて、我が国企業の健全な海外展開を支援していこうということで、租税条約ネットワークの質的、量的な拡充を進めてまいりたいというふうに思っております。

 政府といたしましては、相手国との経済関係、あるいは我が国企業の海外展開を後押しする観点も含め、新規の締結、そしてこれまでの条約の改正にも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

山川委員 ありがとうございます。

 租税条約の役割が、二重課税防止、そして、いわゆる二重非課税防止ということの御説明もいただいたんですけれども、私は、実際、租税条約の役割が二重課税防止から二重非課税にシフトしている、世界の現状を見るとその役割がシフトしているのではないかというふうに思っておりますが、このBEPS条約の締結によって、仲裁に付託する事件への対応など、日本の租税条約はどのような影響を受けることになるのか、お伺いをしたいというふうに思います。

 さらに、BEPS条約は、我が国の経済及び財政にどのような影響があるのか。

 さらにまた、PE認定の人為的回避防止策の見直し等、BEPSプロジェクトを推進するのに伴いまして、今後税法とどのような国内法の整備が必要になるのか。

 この三点、あわせてお伺いしたいというふうに思います。

小泉政府参考人 幾つかお尋ねを頂戴いたしました。

 まず、BEPS防止措置実施条約に盛り込まれております仲裁の話でございます。

 まず、このBEPS防止措置実施条約でございますが、これは、委員も冒頭おっしゃっていただきましたとおり、通常であれば、既存の二国間条約を一本一本時間をかけて改正をしていくというのが普通のやり方でございますが、既存の租税条約のネットワークは全世界でかなりの数になっております。したがいまして、これをある意味で一挙に修正してしまおうということで、一本一本の改正と同等の効果をもたらすことを意図してつくられておるのがこのBEPS防止措置実施条約でございます。

 その中の仲裁の規定につきましては、まず、通常でありますと、課税をどちらで行うのかあるいは行わないのかといったことで、A国とB国の間で何か見解の相違があった場合に、双方の課税当局の間でまず話合いをいたします。この話合いでうまく解決がつかないときに、最後、仲裁に持っていきましょうというのが、この仲裁の手続になります。

 このBEPSの防止措置実施条約に盛り込まれております仲裁条項、これは、我が国と相手の国との間の双方が、ともにこの仲裁を採用しましょうということで一致した場合に採用されることになります。

 我が国といたしましては、明確化の向上のためにこの仲裁手続の導入は積極的に進めていきたいというふうに考えておりまして、相手国次第というところはございますが、我が国の方針としては、そういうことでやっていくことにしております。

 また、このBEPSの防止措置実施条約が我が国経済、財政にどういう影響があるのかということでございました。

 大変申しわけないのですが、これを数値的あるいは統計的に具体的にお示しするというのはちょっとなかなか困難でございます。

 ただ、一般的に、このBEPSの防止措置実施条約は、我が国の海外に出ていこうという企業の立場に立ってみますと、まず、国際競争上、外国の企業との間で不利な競争条件に立たされないことを確保することにつながります。また、出ていった先の進出先、源泉地国でございますが、そこでの課税リスクに関し、今申し上げました仲裁の手続なんかも通じまして、一つでも多くこういった仲裁手続の採用を広めていくことによって二重課税の除去に資するといった点で、メリットはあるというふうに考えております。

 また、最後に、PEを含めて実施のための国内措置ということでございますが、私の承知している範囲では、日本は既に必要な国内の立法措置は整えておりますので、この条約の締結に当たって特段の新規の立法等は必要ないというふうに承知をしております。

 以上です。

吉田政府参考人 BEPSプロジェクトに対応するための国内法の整備状況ということでございますので、お答えを申し上げたいと思います。

 具体的な取組といたしましては、これまでもやってきているところでございまして、二十八年度税制改正におきまして、多国籍グループに対して、各国共通の様式に基づいて、グローバルな活動の実態の報告を求める多国籍企業情報の報告制度を導入しているところでございます。また、二十九年度改正におきまして、外国子会社合算税制について、より効果的に国際的な租税回避に対応する観点からの見直し、それからさらに、三十年度改正におきまして、日本におけるPE認定を回避することを通じた租税回避に対応するためのPE関連規定の見直しを行ったところでございます。

 このほか、今後の主要な課題といたしましては、まず、知的財産等の無形資産を税負担を軽減する目的で海外へと移転する行為に対応するための移転価格税制の見直し、それから、損金算入される利子の過大な支払いを通じた税負担の軽減に対応するための過大支払い利子税制の見直し、さらに、国税当局が租税回避スキームによる税務リスクを迅速に特定するために義務的開示制度を導入したいと考えておりまして、こういったことも含めまして、今後、引き続き精力的に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

山川委員 ありがとうございます。

 先ほど御答弁の中で、我が国の経済及び財政にどのような影響を及ぼすかということを定量的に示すのはちょっと難しいという御答弁をいただきました。確かにそうなのかなというふうに思うんですが、OECDによると、BEPSによる税収の損失は、控え目に見積もっても年間一千から二千四百億米ドル、これは世界全体の法人税収の四%から一〇%に達するというふうに推計されているということもOECDの方から出されていまして、質問に当たって、定量的に何らかの数字が推計でも出ませんかということで、それはちょっと難しいということはわかっていたんですけれども、非常に大きな影響があるというふうに思っております。

 もしよろしければ、租税条約とBEPS条約が国際経済活動に与える影響と今後のビジョンについて、大臣から一言お伺いできればというふうに思います。

河野国務大臣 世界経済が国際化していく中で、企業の活動というのも国境を越えて行われていくことになっております。また、最近は、経済がデジタル化、電子化された環境の中でもさまざま行われるという中で、今までのルールというのがだんだんそぐわなくなってきている、そういう現実があることは否めないんだろうと思います。

 そういう中にあって、国際的な取引を安定化させ、企業の活動に予見性を持たせ、そして国の財政にも税収あるいは税源といったものをしっかり確保するという意味において、新たな枠組みというのが当然に必要になってくるというふうに思います。

 こうしたものだけで十分かと言われると、まだまだやらなければいけないことはあるのかもしれませんけれども、日本政府として、きちんと一歩ずつやらなければいけないことを国際ルールの中でやっていけるように、これからも努めてまいりたいと思います。

山川委員 ありがとうございます。

 いわゆるBEPS条約は、日本政府が非常にリードしてやってきているというふうに伺っておりますので、どうぞそのリーダーシップを更に発揮していただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、投資協定についてでございます。

 日・アルメニア投資協定についてですけれども、先ほどももう鈴木議員から御質問がございましたけれども、この投資協定の締結によって二国間の経済活動が活性化することが期待されるわけでございます。

 堀井政務官が二月の十六、十七と行かれたということで、私も政務官から、御訪問されたことで、現地をごらんになって、先ほど地政学的に非常にアルメニアは重要だというような御答弁がありましたけれども、それに加えて、このアルメニアという国においては、在留邦人三十三人、それから進出日系企業はまだ二社ということで伺っておりますが、こういうアルメニアではありますが、IT人材が豊富ということもありますので、このアルメニアと投資協定を結ぶことについての意義、堀井政務官の現地で得たホットな感覚を通しての御意見を、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

堀井(学)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 議員御承知のとおり、先ほどもお答えをさせていただきましたが、本年二月十六日から十七日にかけてアルメニアを訪問させていただきました。その際、外務大臣を始め、日・アルメニア議員連盟始め、政府要人の方々とさまざまな意見交換をさせていただいたところであります。

 今般の投資協定署名を契機とした経済分野を始めとする日・アルメニア関係のさらなる発展への期待が、各議員さらには政府要人の方々から示されたところであります。

 自分も、アルメニアが潜在力を有するとともに非常に親日的な国である一方、両国の関係はまだ限られており、一層、両国の関係強化の余地があるという印象を受けました。

 また、アルメニアは、特に近年、議員御指摘のとおり、IT産業の成長が顕著であり、アルメニア政府として積極的に外国投資誘致を進めているところであります。今後は、日本企業にとってもビジネスチャンスの拡大が見込まれております。

 本協定の締結により、日本企業がアルメニアにおいて他国企業に出おくれないための法的枠組みが整備され、両国間のさらなる投資増大及び経済関係の緊密化が促進されることが期待をされ、大変意義ある協定になるものと確信をするものであります。

 以上であります。

山川委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この投資協定によって、日本とアルメニアの関係が更に推進していくことを願うものであります。ありがとうございました。

 続きまして、先ほど最初にお話を、きょうの質問としてお伺いしたい点に移っていきたいというふうに思います。

 まず、情報管理とセキュリティークリアランスについてお伺いをしたいというふうに思います。

 防衛省の日報問題や森友、加計学園問題についてですけれども、なぜそのような事件が起きたのかといえば、それは、それぞれの公文書がそれぞれの行政組織内で重要度の低い情報として扱われていたことに原因があったのではないかというふうに私は思っております。

 例えば日報問題ですが、憲法九条に抵触しないように自衛隊の海外派遣を決めなければならないのに、その実態を記録した現場からの日報が単なる注意文書、いろいろ段階があるようですが、注意文書として扱われていたり、国民の財産を、これは森友の方ですけれども、国民の財産を処分する交渉過程の記録が軽く扱われていたり、我が国の公文書や行政情報の記録、収集、分類、保管、管理、公開といった一連のプロセスには大きな問題が、課題があるというふうに指摘せざるを得ないというふうに思います。

 情報は国民の財産であります。また、公文書は歴史の証人であります。きょうは、ここでは、外務委員会での質問でありますので、我が国の情報管理とセキュリティークリアランスについて、外務省、そしてあわせて防衛省、内閣府にお伺いをしたいというふうに思います。

 我が国には、米国のCIA、英国のMI6のような諜報機関が存在しませんが、外交戦略や防衛戦略を策定し実行するために必要な世界じゅうの情報は、どのように収集、集積され、そして分析されて、意思決定プロセスに反映されるのか、まずそれぞれ、外務省、防衛省、そして内閣府にお伺いをしたいと存じます。

堀井(学)大臣政務官 お答えをいたします。

 外務省としては、我が国及び国民の安全を守り、また平和で安全な国際社会の維持に寄与するため、在外公館等を通じて、また関係省庁とともに連携しつつ、日々関連情報の収集、分析に努め、政策形成に活用しているところでございます。

 今後とも、適時適切な外交、安全保障政策を策定し実施していくためには、正確かつ時宜を得た情報を広範に収集し分析することが不可欠であります。情報機能の強化に更に力を入れてまいりたいと考えております。

 以上であります。

齋藤政府参考人 防衛省でございます。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、我が国の防衛にかかわる情報を適時かつきめ細やかに収集する重要性はこれまで以上に高まっております。このような中で、インテリジェンスの果たすべき役割は今日ますます大きくなっているものと認識をいたしております。

 防衛省におきましては、画像情報、電波情報、公開情報、人的情報等のさまざまなソースから得られる情報をもとに、政策部門及び運用部門のニーズに適切かつ的確に応えられるよう、情報収集、分析を行っているところでございます。

 情報収集、分析の具体的内容につきましては事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、安全保障に関する政策判断を的確に支えるべく、引き続き情報機能の強化に努めてまいります。

田中(愛)政府参考人 内閣府は、公文書管理を担当しておりまして、公文書管理法及びその施行令、そしてガイドラインに基づきまして公文書の管理を行っているところでございまして、この枠組みの中で秘密文書についても扱っているところでございます。

山川委員 もう少しお答えいただけると思いましたが。

 今の質問では、情報収集、集積、分析と意思決定プロセスへの反映といった、情報の入り口についてお伺いをしたわけですけれども、更にちょっと伺っていきたいのは、我が国の秘密情報の分類、保管、管理、開示、非開示、そして移管と廃棄の判断は、どのような制度若しくは手順で行われているのか教えていただきたいと思います。

 私は、秘密を重要度に従って分類し、それぞれの保全情報へのアクセス権限を定めて、アメリカの場合ですが、死刑を含む厳しい罰則規定を課しているこのアメリカのセキュリティークリアランス体制のように、日本でも、我が国でもより強化したセキュリティークリアランス体制の構築が不可欠だというふうに考えております。そのことが我が国の行政情報に対する認識を変えるきっかけになるというふうに考えているからでございます。

 特定秘密を含む情報の保全とインテリジェンスの重要性について、河野大臣はどのように認識し、取り組んでいくべきとお考えでしょうか。そしてまた、クリアランスレベルの高い情報についても、全て年限を定めて、国民への将来の開示を大前提とすべきというふうに私は考えております。大臣とあわせて、防衛省、内閣府の御見解もお伺いをしたいというふうに思います。

河野国務大臣 特定秘密の制度をつくっていただいたおかげで、最近の北朝鮮情勢その他で諸外国との情報の共有というのが非常にスムーズにいくようになりまして、非常にありがたいというふうに思っているところでございます。

 例えば特定秘密の場合、秘密を漏えいした場合は、特定秘密の保護に関する法律において、十年以下の懲役又は情状により十年以下の懲役及び一千万円以下の罰金に処すると定められており、そのほかの秘密については、国家公務員法で、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するというふうに定められております。

 外務省としては、こうした罰則も踏まえつつ、組織全体として秘密保全の確保に取り組むことが重要との認識から、秘密保全に関する規則を定め、各課及び室長を各担当課室の秘密管理責任者として指名し、職員に対する秘密保全上の指導及び監督に充てることとしております。職員の秘密保全に対する意識向上が組織全体の秘密保全の確保に資するとの観点から、個々の職員に対する各種教育に取り組んでいるところでございます。

 また、秘密の情報については、指定の有効期間の上限を定めて、一定期間が経過した後には秘密を解除し、国民に開示するような仕組みをつくるべきというお考えのようでございますが、物によっては、例えば領土問題、領土交渉に関するものについては、期限を定めて一斉に公開をすれば、相手国に我が国の手のうちをさらすことになってしまいますので、残念ながら、そういうようなことはできないだろうというふうに思っております。

 特定秘密に関する有効期間につきましては、特定秘密保護法において、各行政機関の長が五年以内で定めるが、有効期間満了前においても指定の要件を欠くに至ったときは速やかに指定を解除するなど規定をされておりますので、外務省におきましても、これらの規定に基づいて、特定秘密の指定のあり方についてしっかり精査し、適切に運用していきたい。それ以外の秘密につきましても同様でございます。

福田大臣政務官 お答え申し上げます。

 基本的に、特定秘密については、今外務大臣の方から御答弁がありましたのと重なりますが、防衛省におきましては、外部に秘匿すべき情報の内容等に応じまして、先ほどお話がございました特定秘密、特別防衛秘密、秘密、これはいわゆる省秘と呼んでおりますけれども、注意、部内限りに区分しまして、関係法令に従い、適切に管理しておるところであります。

 御質問の、管理のあり方につきましては、それぞれの区分ごとに差異があるところではございますけれども、それぞれの関係法令において、それぞれの秘密等について指定を行い得る者とそれを実際に取り扱うことができる関係者の範囲を限定するということをしております。また、作成した際の表示、登録、複製、交付のほか、保管や破棄に至るまで、関連する文書等を適切に取り扱うことを確保するために必要な各種手続を定めております。

 また、先ほど御指摘がございましたが、年限についてでございますが、基本的に、行政文書というものは、職務遂行のためにまず適切に管理した上で、国民に対しては適切に公開すること、これを大前提と考えております。

 特定秘密につきましては、外務大臣の方からもお話がありましたとおりでありますけれども、最も機微な特定秘密を含む行政文書につきましても、特定秘密の要件を欠くに至ったときは国民へ開示され得るものとなっておるというふうに考えております。

 防衛省としましても、関係法令に従い、今後とも引き続き適切に対応していきたいと思っております。

田中(愛)政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府は、公文書管理に関する一般制度を所管しておりまして、公文書管理については、各行政機関の業務プロセス等を最もよく理解する当該行政機関において、公文書管理法の規定に基づき行政文書管理規則を定め、当該規則にのっとり当該行政機関の責任において公文書管理を行う仕組みとなってございます。

 文書の移管、廃棄といった個々の文書に係る保存期間満了時の措置については、当該文書を保有する行政機関において適切に判断されるということになるものでございます。その上で、公文書管理法第八条二項においては、行政文書の廃棄に当たって内閣総理大臣の同意が必要である旨規定されておりまして、廃棄、移管についての制度が整っているというところでございます。

 特定秘密につきましては、内閣府の所管ではございませんけれども、特定秘密である情報を記録する行政文書についても公文書管理法及び情報公開法が当然適用されるところでございまして、すなわち、特定秘密である情報を記録する行政文書についても、指定が解除され、又は指定の有効期間が満了し、当該行政文書の保存期間が満了した場合に、歴史公文書等に該当するものは国立公文書館等に移管されることになるというふうに承知しているところでございます。

山川委員 ありがとうございます。

 河野大臣にいただいた御答弁の中で、公開に関しては期限を定めて公開すべきではないかという私の考え方に対して、それは、期限を定めて公開する、例えば領土問題などについては相手国にその情報が知られてしまうということになるというようなことの御答弁をいただいたんですけれども。

 その期限というのは、十年とか二十年とかそういう短い期限とは限らず、アメリカのジョン・F・ケネディの暗殺の記録、これは七十年の期限を経て、公開に付されるかどうかということで、大統領の御判断でいまだに公開されていないのではないかというふうに私は理解しておりますけれども、時の外交、そのときの外交に影響を与えるような短い期限ではなくて、もっと長い期間も想定して私はお尋ねをしております。

 というのは、先ほど申しましたように、情報は国民の財産ということ、それから公文書は歴史の証人であるというこの二点、これが最も今大事な、日本としてここにしっかりと立脚しなければいけないというふうに私は思っているわけであります。

 ですので、もう一度、この点について大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。この、情報は国民の財産、そして公文書は歴史の証人、これについての大臣のお考え方を含めてお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 日ロの領土交渉に関して申し上げれば、五十年を超えてまだ領土交渉が続いているわけでございますし、例えば日韓の国交正常化に至る交渉記録については、まだ北朝鮮との国交正常化が行われていない中でこうしたものを公開するのは不適切だと考えます。

 それぞれの文書にはそれぞれの文書の必要な期限というのがあるというふうに考えておりますので、一律に期限を設けて、期限が来たら一斉に公開するというやり方は、外交文書に関してはなじまないものだというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 一律に年限を定めてというか、定めた上でそのときの状況によって判断をしているというのがアメリカのあり方でないかというふうに私は理解をしているわけです。つまり、ジョン・F・ケネディの暗殺のことがまだ公開されないのは、七十年たっているけれどもまだ公開するときではないという判断があるのではないかと思います。

 もう一度、一律に、五十年たったらもう公開すると決めたらするということではなくて、やはり、いずれ公開する。繰り返しますが、公文書は歴史の証人であり、また情報は国民の財産だというこの点に立脚して、いずれは歴史の証人として国民の知るところとなるというこの考え方について、大臣はどのようにお考えになられるでしょうか。

河野国務大臣 外交文書は三十年たったところで原則公開をすることになっておりまして、そのときに公開できないというものに関しては、公開の先延ばしをさせていただいているところでございます。

 そういうことで、アメリカと日本と、やり方にそんなに差があるとは思っておりません。

山川委員 ありがとうございます。

 繰り返しで恐縮なんですが、もう一度、情報は国民の財産であるということ、そして公文書は歴史の証人である、この二点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 当然のことだと思っております。

山川委員 ありがとうございます。

 できれば河野大臣から、その言葉、当然のことというふうにおっしゃってはいただいたんですが、情報は国民の財産である、そして公文書は歴史の証人であるという言葉を御答弁の中で使っていただきたいと思っていたんですが、ちょっとしつこいですが、もう一回。いかがでしょうか。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、当然のことというふうに答弁させていただきました。

山川委員 ありがとうございます。

 ちょっと言葉がお伺いできなかったのは残念かなというふうに思いますが、ぜひ、情報は国民の財産、公文書は歴史の証人というこの点に立脚して、公文書の管理、公開というものを行っていっていただきたいなというふうに思います。

 それから、先ほど内閣府に公文書の管理等について御答弁をいただいたわけでありますけれども、先ほど少し引用もされまして、公文書管理法第八条には、行政機関の長は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、第五条第五項の規定による定めに基づいて、国立公文書館等に移管し、又は廃棄しなければならないというふうにあります。

 これでは、行政機関の長の裁量が私は大き過ぎるというふうに感じております。移管するか、又は廃棄するか。この廃棄をするという決断というのは非常に私は大変なことだというふうに思うんです。

 行政機関の長がそれを判断するということで、この裁量が大き過ぎると感じているんですが、これをどのように客観的に、そして適正に判断を行ってコンプライアンスを確保していくのかというところについての御見解を伺いたいというふうに思います。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御答弁いたしましたように、基本的には各行政機関において適切に判断していただくということでございますが、廃棄に当たりましては内閣総理大臣の同意が必要ということも規定されているところでございます。

 これは、歴史資料として重要な公文書等が確実に国立公文書館等に移管されることを確保するための重要な局面に当たりまして、各行政機関における行政文書の歴史的価値の判断に誤りや疑義が生じた場合に、まさに内閣総理大臣が、政府全体としての基準の統一性を図るという趣旨で設けられたものであるというふうに認識しております。

 さらに、行政文書の廃棄につきましては、今申し上げたような内閣総理大臣の同意が必要とされているほか、運用上、同意の適否については独立行政法人国立公文書館から助言を求めることとしておりまして、国立公文書館は、まさに専門家の見地から、歴史資料として重要な文書が適切に選別され国立公文書館に移管されるよう、専門的な技術的助言を行っているところでございます。

山川委員 移管して保管するか、あるいは廃棄するかという判断がされるわけですけれども、情報管理が紙ベースで行われていたときには、膨大な情報を全て保管していくというのは大変だということは確かにあったかと思うんです。

 しかし、今、デジタルアーカイブ化によって、公文書の利用促進のためにデジタルアーカイブ化を促進するなどすることによって、国立公文書館の取扱情報量の拡大と機能強化をすることによって、廃棄をする必要がもうなくなる、データ管理上、情報管理上、廃棄をする必要がなくなるのではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、国立公文書館改革というようなものを図っていくおつもりがないかどうか、内閣府の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 行政文書の移管に際しましては、行政文書の整理を行いまして、歴史的文書として公文書館に受け入れる、そういう仕組みをとっているところでございます。そういう意味で、行政文書の整理を前提として国立公文書館へ移管をするという仕組みでございます。

 また、先ほど御指摘のデジタルアーカイブにつきましては、利用者が所蔵文書をいつでもどこでも閲覧できるようにする重要な取組であると認識しておりまして、現時点におきましては、国立公文書館の所蔵する資料の一五%についてデジタル化を行っているところでございます。引き続き、デジタルアーカイブの充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 電子文書の受入れに当たりましては、国立公文書館において、永久保存の前提があるということから、長期保存フォーマットへの変換やバックアップの作成、利用制限に係る設定等、長期保存に耐え得る措置もとっているところでございまして、電子化の進展状況も踏まえまして、必要な対応をとってまいりたいというふうに考えております。

 なお、国立公文書館につきましては、書庫の逼迫等の状況を踏まえまして、新たな施設の建設について検討を進め、本年三月末に建設のための基本計画を策定したところでございます。この計画におきましては、デジタル化作業に必要なスペースの充実等を図るといった、時代の変化による国立公文書館に求められる役割の変化に柔軟に対応できるような施設とすることとしたところでございます。

山川委員 もう、今現在つくられる文書というのは、基本的には、紙ベースしかないというものは想定しづらいほどデータ化していると思うんですね、作成される段階から。ですので、廃棄か移管かということで、これは、今そういう決まりになっているということでは、それは理解するんですが、ぜひ、廃棄ということをもうしないように、全て保存してくれるようにしていっていただきたいなというふうに思っております。これは意見として申し述べたいというふうに思います。

 それでは、一応、準備した質問は、もう少しやりとりの中で御答弁が御丁寧にいただけるんじゃないかと思っていたので、時間が少しあるんですが、ODAについて、よろしいでしょうか、御質問して。

 大臣にお伺いをしたいんですけれども、大臣にODAについての御見解をお伺いしておきたいというふうに思います。

 私も、国会に来て二回目の質問でありますけれども、前回の質問で申し上げましたように、河野大臣には本当にNGO時代にお世話になって、そして関係者が非常に大臣に期待するところがあるんですが、きょうはODAについての御見解についてお伺いをしておきたいというふうに思います。

 と申しますのは、大臣は、ODAについて、大臣になられる前のお考えというか発信されている内容を拝見させていただきますと、非常に、ODAの課題というものにすごく着目をされていらっしゃっていたかというふうに思います。そして、ただ一方、大臣に御就任をされてから、非常にODAに対しては前向きな御見解というふうに思います。

 私も、NGO時代に、現地で、現地の住民の立場から、例えばダム建設で立ち退きを迫られる住民の立場から見ると、日本のODAというのは非常に課題が多いなというふうに見えていたこともあるわけなんですけれども、大臣の就任前にごらんになっていたODAの課題と、就任後に見えていらっしゃるODAの可能性というんでしょうか、それぞれあろうかと思いますが、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 ODAというのは、外交上の重要なツールだというふうには認識をしておりますが、財政の制約がある中で、その規模というのは当然制約を受けるわけでございます。また、国民の皆様の税金を使う以上、その効果あるいは効率性というものがきちんと説明をできなければならないというふうに思っております。

 実際に、ODAの有効性も多々ございますが、我が国のODAに関しては、やはり解決しなければならない課題というのもあるというふうに思っておりまして、今、JICAの問題を中心に、少し日本のODAの課題を総ざらいして、一つ一つきちんとその答えを導き出したいというふうに思っているところでございます。

 ようやくその取組をスタートさせたばかりでございますので、まだここで申し上げられるような段階にはなっておりませんが、きちんとこのODAについて課題を取り除いて、国民の皆様にしっかりと御理解がいただけるような姿にしていきたいというふうに思っているところでございます。

山川委員 ありがとうございました。

 ODAが世界の平和と安定と繁栄に寄与するように、そしてまた我が国にとって大切な外交のツールとしても機能するように、ぜひ大臣には頑張っていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 希望の党の小熊慎司です。

 山川委員がODAに触れました。ODA倍増論の小熊慎司です。世界益、国益のためにはODA倍増。

 大臣も課題を指摘しましたけれども、国民の多くがチャリティーだと思っていますから。その誤解を理解に変えていくところから始めなければ、効率性とか意味合いではなくて、それがないから理解がないということでありますので、それをしっかり取り組んでいただきたいということで、質問に入っていきます。

 日・リトアニア、日・エストニア、日・ロシアそして日・アルメニア投資協定。

 全般的な話ですけれども、これは今までの質疑にもありましたとおり、世界各国から比べると、おくれて取り組んでいるということです。

 これはなぜかといえば、質をきちっと担保をして、いい条約として締結をしなければならないので、ほかの国は、内容的には余り整っていない中でスピード感はあったけれども、日本は、スピード感よりもしっかり質を確保するためにこれだけ時間がかかったということを、外務省から説明を受けています。

 では、具体的に、ほかの国よりはそれぞれの租税条約、投資協定、おくれてはいるけれども、内容にこだわったという以上、具体的にどういうふうにその内容が確保されたのか、お示しをいただきたいと思います。

小泉政府参考人 お答えを申し上げます。

 質そのものについてお答えを申し上げる前に、若干一言申し上げたいと思いますが、さきの質疑におきまして河野大臣からも御答弁がありましたとおり、既に租税関連条約のネットワーク、我が国の投資残高の九九%をカバーしているのが現状でございます。ただ、おくれて追いついてそこまで来たのではないか、諸外国に比べるとそこまでに至るテンポが遅かったのではないかという御質問であれば、確かにそういう面はあったかもしれません。

 実際、今国会にお諮りを申し上げておりますリトアニアとの租税条約、またエストニアとの租税条約、それから新規ということでは、次に御審議いただきますけれども、アイスランドとの租税条約、これら三本の新規の条約でございますけれども、いずれも、実は、G7の諸国でこれらの国々と租税条約を現在までに締結しておらなかったのは日本だけでございました。

 その理由でございますが、質そのものの話も別途ございますとは思いますけれども、まずその前に、租税条約の大きな目的の一つが二国間の投資、経済交流の促進という観点でございますので、まずは経済関係が既に緊密な国との間の条約の締結を推進しよう、これを優先しようという大方針がございます。

 それと同時に、ただ、近年、先のことを見据えて、今後活発化することが見込まれる国との間でも租税条約のネットワークを広げてほしいという御要望を財界の方々等からいただくようになってまいりました。ということも踏まえまして、今申し上げた三つの新規の条約等もその一つでございますけれども、新たに締結の運びに、署名をして、今お諮りをしているということでございます。

 その質の話で、ごく一例で申し上げますと、例えばリトアニアとの租税条約でございますが、我が国は、基本的に我が国企業の海外進出を後押しするというのを大きな一つの命題として掲げておりますので、進出先での国、つまり進出先の源泉地国でございますが、そこでの課税の限度額はできるだけ低い方がいいという方針で交渉しております。

 その結果、例えばリトアニアとの租税条約で、配当に係る税率でございますが、今回、今お諮りしております条約では、基本的に免税、ただ、個人の受取の場合のみ一〇%ということでございます。これはリトアニアが、既存の、G7のほかの諸国、また中国、韓国も含めてそうでございますが、結んでいる同様の条約に比べてかなりというか、かなり上のレベルをいっているというのが現状でございます。

 同様に、エストニアも同じでございまして、日本については、配当に係る税率は基本的に一〇%が一般なのですが、今般の条約では免税ということになりました。これは、ほかの、エストニアがG7諸国あるいは韓国、中国と結んでいる条約で一律全て五%税率がかかることになっていますので、という意味でも有利になっているということになっております。これはほんの一例でございます。

小熊委員 これは実は、来週かかる条約に関して我が党でヒアリングをしたときに、全般的におくれているのは質をちゃんとしたいからですという説明があったのできょうの質問につながっているんですけれども。まあ事前のヒアリングですからいろいろあっていいんですけれども、より丁寧にしていただかないと、質だけじゃないという話が質疑の中で出てきましたけれども、事前のヒアリングでも丁寧な説明をいただきたいというふうに思います。あえて言っておきます。

 これは、来週もこの経済関係の協定ですから、そのときにお示しをいただきたいが、これまでのいろいろな租税のやつも、これは丁寧にやってきたというのが我が党のヒアリングでの説明でした。だからスピード感よりも質にこだわっています、日本政府はと。

 今言ったとおり、なぜ質の部分がどういうふうになったかの説明がありましたが、じゃ、これまで結んだ結果、スピード感を上げて、内容が日本よりもよくない租税条約を結んだ国と、ちゃんと質を高めて結んだ日本と、定量的に、定量的にですよ、いろいろな数字の上で、金額ベースでもいい、いろいろな投資環境の数字上あらわせるものがあれば、来週の質疑で問いますから。租税条約一般論として。全体的な数字じゃなくてもいいです、一例で挙げてもいいです。時間をかけたことによって確保された質、条約の質が高まったことによって定量的にはどう国益が得られたのか。これは来週ちょっと具体的にお示しをいただきたいというふうに思っています。

 なぜかというと、早い国からすると結構数年おくれていたりするわけです、日本が。失われる時間があるわけです。でも、質にこだわるということであれば、二、三年おくれたとしても、それを取り返す分ぐらいのちゃんとした数字がなければいけないんですよ。意味合いは聞きました。その配慮した結果、数字としてどう反映されたのかは、これは来週お聞きしますから、ぜひ整理をしておいていただきたいというふうに思っています。

 私としては、質をちゃんと確保していく、確かにそのとおりだというふうに思いますが、できれば、質も確保しつつ時間もなるべく早い方がいいわけでありますので、逆にその差によって生じる益というものを、来週には質疑をしていきたいというふうに思っています。

 今回、ロシアとやりますけれども、ロシアの経済交流、先ほど北方領土の話もありました。ロシアとの結びつきというのはこれからも深化をしていかなければなりません。この租税条約によって更に経済交流が深まるとは思います。

 一方で、ロシアの国内経済状況、いろいろ変化が激しいわけでありますが、とりわけ、日本が意識していかなければならない、それはやっぱり距離感もあります、この環太平洋の経済圏、アジアの経済圏、そして環日本海経済圏というのもあります。

 この環日本海経済圏にはもちろんロシアも入ってくる、とりわけ極東地域が入ってきますが、ロシアの極東地域に着目すれば、やはりロシアもいろいろ国内経済上の課題を抱えている、極東では労働力不足で、中国からばんばんばんばん入っているというところがあります。中国の企業の進出も激しい。ということであれば、こうした動きを見据えて経済交流もしていかなければならない。対ロシアだけの関係ではなく、そこにいろいろな、中国も大きくかかわってくるという点が、今のロシアの極東地域での状況だというふうに思います。

 ロシアとの経済交流の深化をしていく上で、とりわけ極東地域に限定して言えば、そうした中国の進出を背景にした上でどう対応していくのか、お聞きをいたします。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府といたしまして、ロシア極東地域の動向につきましても関心を持ち、また注視をしているところでございます。

 そのような中で、ロシア極東地域につきましては、エネルギー、農業、水産物など多くの資源に恵まれているところでございまして、日ロ間の協力の余地は大きいというふうに認識をしております。

 極東開発は、プーチン大統領も、二十一世紀の国家的優先課題とするロシアの重要政策と位置づけているというふうに承知をしております。我が国といたしましても、安倍総理からプーチン大統領に提案をしました八項目の協力プランの中で、極東における協力を重視をしているところでございます。

 今後とも、日本の技術、ノウハウを生かしながら、農林水産業の発展、輸出基地化のためのインフラ整備、エネルギー開発の協力、投資促進ビジネスマッチングの基盤整備といった四点を中心に、極東における協力を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

小熊委員 これは、単なる二国間の関係ではなくて、マルチになってきている。とりわけグローバル化しているので、経済交流というのも、ただ相手の国のことだけ考えていればいいという状況じゃなくなってきているのが今の世界の現状だというふうに思います。

 あわせて、これは旧ソ連関係の国の条約ですけれども、来週また租税条約が入ってきますが、とりわけヨーロッパの方の環境が変わってきているというのは、EUから英国が離脱をします。そうすると、英国での経済活動というのがこれから変わってくるので、今、英国にある日本の現地法人も、イギリスから離れてヨーロッパ地域に拠点を移そうという動きもあるわけですね。

 こういうことにも、今後、いろいろな経済条約を結ぶときにいろいろ配慮していかなきゃいけない部分もあるというふうに思います。この英国のEU離脱を受けて、日本の法人がヨーロッパ地域での活動をしやすい支援、拠点を移すということはそれなりに経費もかかってくる、もちろん、民間での経済活動ですから、それはいろいろ支援の仕方というのは一定の範囲がありますけれども、こういう動きに関して外務省としては、今のところどう対応していくのか。

 もうその動きが加速化しようとしているのはわかっているところでありますから、これをどういうふうに見ていますか。

小泉政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたとおり、イギリスがEUを離脱するということに伴いまして、今現在、英国に進出をしております日系企業におきましては、リスク分散という観点から、主に金融機関などを中心にいたしまして、欧州の大陸の方に拠点を移す、ないしは拠点を強化していこうという動きがあるということは十分承知をしているところでございます。

 政府といたしまして今現在までやってきておりますことは、まず、官邸にイギリスのEU離脱に関する政府タスクフォースというのを立ち上げておりまして、そこを中心として、外務省のみならず関係の府省庁を集めて、横断的に情報の集約に努めているということでございます。

 また同時に、相手方でありますイギリス、あるいはEU、また個々のEU加盟国に対しまして、イギリスのEU離脱が、日系企業を含みます日本と欧州、日本とイギリスとの間の経済に及ぼす影響をできるだけ最小限にするのが望ましいという認識のもとで、その離脱のプロセスにおける透明性、また予測の可能性をできるだけ確保してほしいということで、累次にわたって申入れをしてきておるところでございます。

 またさらに、外務省としましては、在外公館のネットワーク等もございますので、現地に出ております日系企業に対しまして、さまざまな機会を捉えて情報提供等をしておるところでございますし、また、事イギリスに特化して申し上げますと、我が国からの要請に応じる形で、ことしの二月でございますが、メイ首相が、主要の閣僚とともに、日系企業のみをターゲットにしたラウンドテーブルを開催してもらうという機会を設けてもらったところでございます。

 引き続き、こうした努力を継続するということでございます。

小熊委員 今おっしゃられたように、しっかり日本企業には情報提供していかなければいけない。そういう意味では、先ほども出ていた情報収集能力というのが問われてきていますので、昨今のいろいろな国際情勢の情報収集能力、外務省はちょっとはてなマークがつくときもありますので、ぜひこれは、大臣におかれては予算をしっかり確保していただいて、情報収集能力を向上していただきたいというふうに思います。

 また、これは租税条約そのものではありませんが、グローバル化していく、また多国間で活躍する企業が世界的にもふえている中で、この租税条約のまさに肝である、二重課税をしていかない、また税を逃れさせないというテーマがあるわけです、この条約には。

 という意味であれば、これは超党派の取組で、私もその末席に並んでいますけれども、いわゆる世界連帯税といったものも、この際日本は積極的に取り組んで、まさにODAといったものに関して、各国の財政事情ではなくて、まさに世界の中で活躍する企業が世界全体で税を徴収し、そしてそれを世界のために使うというのは、ある意味必要な考え方であろうかと思いますし、国連改革もしなければならないけれども、それぞれの分担金という中で世界のために働くというのもありますが、税という考え方でこういう国際社会に寄与していくというのも、これは日本こそが旗振り役になってやっていくべきだなというふうに思っています。

 今回、租税条約とはちょっと離れた今テーマですけれども、あえてこれは指摘をさせていただいて、ぜひ取組を強化していただきたいなというふうに思っています。

 次に、ロシアの話も出ましたのであえてお聞きいたしますけれども、現地時間十日、日本時間では十一日午前でしたけれども、国連の安保理で、シリアの化学兵器使用疑惑を受けて、調査チーム設立の決議案が出されましたけれども、ロシアが拒否権を行使して否決をされました。

 このシリア関係は、数えてみると、二〇一一年から十二回否決をされています、ロシアの拒否権によって。これは、名指しで、シリアに関してロシアが犯人だと言っていることじゃないんです、単に調査しようということですから。それすらも拒否をするというロシアのこの対応というのは非常にいかがなものかと思いますし、政府としても、官房長官のコメントで、これに関しては言及がなされているところでありますが、改めて外務大臣にこの件について見解を求めます。

河野国務大臣 シリアについて申し上げる前に、今お話がありました国際連帯税でございますが、私も外務省も、これは非常に前向きにやらなければいかぬというふうに思っているところでございます。

 さまざまな国の援助疲れというようなことが指摘されている中で、さまざまな国の予算の中から援助を出していくこのやり方をずっと続けていくのがいいのか、あるいは国際連帯税、これはやり方あるいは課税対象その他、大きな議論が必要にはなってまいりますし、ではそれをどこがどう分配するのかというような、やらなければいけない問題はあると思いますが、だからといって何もやらなくていいというわけではないだろうというふうに思っておりますので、これは議員連盟もあるわけでございますので、私どもとしてはしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

 情報収集のための外務省の足腰予算というのを今年度の予算から随分ふやすように財務省とも折衝し、次の予算でもそうしたことを考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 シリアにおきましては、首都ダマスカスの近郊の東グータ地区におきまして化学兵器を使用した空爆が行われ、数千人の被害あるいは相当数の被害、死者が出たという情報に接して、極めて憂慮しているところでございます。

 御指摘をいただきましたように、安保理会合で、シリアでの化学兵器使用の責任の所在を明らかにするための新たな枠組みを設置した決議案が否決されたというのは、極めて残念でございます。

 核兵器、生物兵器と比べると、化学兵器を使用することに対する敷居が極端に低くなっているのが今の現実だろうと思います。化学兵器を使ったものは厳しく処罰をされなければいけないということが今の日本政府の立場でございますので、その処罰をするためには、やはり事実解明をしっかりとやる必要があると思います。

 そういう枠組みをつくっていくことに向けて、国際社会の中でもこの必要性についてさまざまな国が声を上げ始めておりますので、日本といたしましても、そうした国々と一緒に、化学兵器の使用に対する国際規範というものを再構築できるように努力をしてまいりたいと思っております。

小熊委員 連帯税についてはありがとうございます。

 また、ロシアについては、経済交流もやっていかなきゃいけない、北方領土も粘り強くやらなきゃいけないですけれども、だめなものはだめですから。シリアに関してだってウクライナに関してだって、言うべきことは言っていく、対応すべきことは厳しく対応していくというのが本来の外交であって、ずぶずぶの関係にならないように、ぜひその線でお願いしたいと思います。

 我々も、長州に対しては、仲よくするところはあるけれども、だめなものはだめだということで百五十年間やってきているわけでありますので、こうした哲学のもとに大臣も頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 希望の党の関健一郎でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 租税条約に関してお話をさせていただきます。

 私は、私ごとではありますが、ラトビアという国にとても強い関心を持っています。大学生のときに、政府のお金で国際会議に出させていただきまして、ありがとうございました、そのときに、台湾で会議が行われたんですけれども、五日間の日程で、向こうが勝手に決めるルームメートがラトビア人でございまして、五日間一緒に飲み続けると、嫌でもラトビアのことをわからざるを得なかったということで、その後も非常にラトビアに関して強い関心を持っていたんですけれども、今回、リトアニア、エストニア、バルト三国とめでたく租税条約を締結されることになるわけですけれども、ここで伺います。

 バルト三国との関係、日本国の外交として、このバルト三国をどういうふうに位置づけているのか、どういう関係を志向しているのか、お聞かせください。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 バルト三国でございますけれども、我が国としてもこれら三国との関係を非常に重視いたしております。その一つの証左でございますけれども、ことしの一月でございます、日本の総理大臣として初めて安倍総理がこれらの国を訪問したところでございます。

 これらの国でございますけれども、特に経済面で申し上げますと、高い経済的潜在力を秘めております。このため、これらの国に日本企業も非常に注目をしておるところでございまして、ことし一月、総理がこれらの国を訪問された際も、ビジネスミッションということで多数の企業が同行し、ハイレベル、また先方企業との間でも交流を深めたというところでございます。特に、これらの国々との間、運輸、物流、IT等の分野でさらなる経済関係の強化が期待されるところでございます。

 我々としては、そういうことで非常に重視をしておるところでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 非常に重視をしているということが確認をできました。まさにおっしゃるとおり、大手商社とかがバルト三国に関して強い関心を持っているというのは私も直接話を聞いていますし、まさにこれからの潜在的な成長力が潜んでいるんだと思います。

 そんな中で、まさに今回の租税条約締結による企業進出にとってのメリットを教えてください。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 G7の諸国の中で、このリトアニア、そしてエストニアと租税条約を締結しておりませんのは日本のみでございます。日本の企業にとりましては、こうした国との租税条約の締結によりまして、既にこれらの国と租税条約を締結しているほかの国の企業と比較して不利な競争条件を課されることを回避ができるということでございます。

 例えば、配当、利子、使用料といいました投資所得に対する源泉地国での課税が軽減され又は免除されることによりまして、我が国からバルト三国に投資、進出する企業にとって、投資、経済活動に関する二重課税のリスクが低減をするということとなります。

 こうした租税条約の存在は我が国企業による海外への投資活動を後押しするものでございまして、海外投資の拡大は投資先国との人的、経済的交流の促進につながるものと考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 これは進出をまさに意図している企業にしてみると結構大事な問題で、いざ、では行ってみよう、それで企業団地を建てよう、そのときに、では税制はどうなっているのか、いろいろ個別な、まさに細部を詰めていくときに、こういう条約がないと、まさにリスクが高過ぎてそこに進出できないということをやはり企業の皆さんは言っているので、ここはまさにイコールフッティングというか同じ状況にしていくことを強くお願いをいたします。

 そして、まさに今、企業に関連してのお話はわかったんですけれども、人、人的関係の強化に関して、外務省としてどのように取り組んでおられるのか、お尋ねします。

堀井(学)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 バルト三国とは、これまで活発な要人の往来や幅広い分野での人的交流を実施しております。

 本年一月には、先ほど御答弁ありましたが、安倍総理が現職総理大臣として初めてバルト三国を訪問するなど、日本はバルト三国との関係を重視しているということであります。安倍総理のバルト三国訪問の際には、日本からの経済ミッションとして各企業の方々が同行させていただきました。また、各国の首脳との間で、ワーキングホリデー制度導入に向けた協議を加速し、人的交流のさらなる強化のために協力していくことで一致をいたしております。加えまして、日本とバルト三国での幅広い分野での協力を更に促進していくため、日・バルト協力対話を創設することでこれも一致をいたしております。

 引き続き、こうした機会を活用して、バルト三国との間で官民での人的交流を更に強化していきたいと考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 ラトビアを始めバルト三国に強く肩入れをする人間としては、やはり総理、トップが訪問していただくことも、これはまさにありがたいことですし、さらに、人的な交流の活発、これはとても大切なことだと思いますので、引き続き加速をさせていただきたいと思います。

 そして、今ビジネスのお話をいただきましたが、もうちょっと年齢を下げて、バルト三国への、ちょっときょうはバルト三国縛りでやらせていただきますけれども、大学生などの留学生の数を、バルト三国、国ごとに留学生の数を教えていただけますでしょうか。

信濃政府参考人 独立行政法人の日本学生支援機構、ここの調査によりますと、平成二十八年度に我が国の大学生等でバルト三国へ留学した数、これは、国ごとですと、エストニアに四十四名、ラトビアに三十二名、そしてリトアニアに四十八名となっております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 一遍に聞けばよかったんですけれども、イギリス、フランス、ドイツ、まさに非常に重要な関係だと位置づけているリトアニア、エストニア、ラトビアですけれども、例えばイギリス、フランス、ドイツとかと比べて、数を教えてもらえますか。

信濃政府参考人 同じ調査によりますと、イギリスへは五千八百二十七名、フランス、二千五百九十九名、ドイツ、二千八百八十二名となっております。

関(健)委員 ありがとうございます。まさに数字が圧倒的に違うわけです。

 なぜ今この数字をお尋ねしたかといいますと、実は、私、豊橋という愛知の一番南のところが選挙区なんですけれども、ここの有権者の方で、ラトビアの大学に留学をしている方がいるんです。この前、一時帰国で帰ってきたときにいろいろ話を聞いたんですけれども、ラトビアが大好きになって帰ってきたわけです。

 何でかというと、今ラトビアは三十二人とおっしゃっていましたけれども、彼のいる周りには日本人が一人しかいなくて、おお、日本人かと重宝がられて、まずお箸から説明してとか、いろいろかなり歓迎をされているようです。その中でも、大学は、EUの中から、いろいろな国からの留学生が来ていて、日本代表としていろいろな毎日の学生生活を送っているということなんだそうです。

 彼がなぜラトビアを愛したかという、たくさんの理由があるんですけれども、その中の一つが、全然日本人がいないから、ちょっと寂しいことにもなるわけですね、一年ぐらいいると。そのときに、外務省の大使館の人、その人が、気を使ってくれてじゃないですけれども、ちょっと一緒に飯に行くかと。何かすごくかわいがってもらったそうなんです。その人は、寂しい、日本人が右も左もいない中で、その大使館の人が物すごくかわいがってくれた、それで寂しいときも乗り切れたし納豆も食べさせてもらったし、こういうことで、まず、すごく恩義を感じておられたわけです。彼は日本に帰ってきて、ラトビアが大好きです、外務省が大好きです、こういうふうになったわけです。

 これは、私、すごくいいことだなと思ったんです。先ほど杉原千畝さんの話も出ましたけれども、このラトビアの大使館の方が個人的にすごくいい人だから、彼はラトビアの待遇をハッピーに感じたわけです。だから、飲みに行くか、飯を食うか、こうやって言ってもらえることが、別に、すごく彼にとってはよかったわけですけれども、単に彼の個人の優しさというか、そういうところだと思うんです。

 これは質問、あえて質問なんですけれども、まさにこういうグッドプラクティス、例えば、これはラトビアだったからそうなったわけですけれども、どの国の大使館でも、そういうおもてなしじゃないですけれども、そういうふうなことがもしあれば、留学生とかもすごく喜ぶと思うんです。私も海外にいたときに、大使館の人なんて会ったこともない。そういう人にそういう優しいおもてなしを受けて、彼はラトビアが大好きになったわけです。そういう、何かいいケースの共有とか、そういう仕組みというのはありますか。

堀井(学)大臣政務官 外務省の職員に対して、大変、一例を挙げていただいてお褒めの言葉をいただきました。諸外国で働いている外務省職員のこの一例を、大変、取り上げていただいたこと、委員会でこういう御発言があったことは、外務省職員の一層のモチベーション向上につながるものと考えております。

 お答えでありますが、邦人の方々が海外で活躍できるよう、在留邦人の視点に立ってきめ細かなサービスを提供することは外務省の重要な責務であります。在外公館では、在留邦人との良好な関係構築のため、館長以下全員が領事との考え方に立って領事サービス向上に努めているところであります。

 具体的には、在外公館の職員を対象にした領事研修において、参加者が自分が経験した邦人対応事案について互いのプレゼンテーションを行ったり、経験豊富な領事が近隣公館を回って経験の浅い領事に助言を行うなどの方法でグッドプラクティスを共有しているところであります。また、毎年、在外公館で現地の在留邦人に対するアンケート調査を実施しており、領事サービスへの満足度や窓口対応の評価について目標値を達成していない公館には個別に指導を行うなどして、領事サービス向上に努めているところであります。

 今後とも、在留邦人にとって親しみやすい領事サービスを目指して、不断の努力を行っていく考えであります。

 以上であります。

関(健)委員 ありがとうございます。

 大使館の人って、やはり大学生とかバックパッカーとかにしてみると偉い人たち、遠い人なんですけれども、そういう人にそういう声をかけてもらえるというだけで海外での安心につながりますし、これはサイドストーリーと見せかけてとても大事な話ですので、ぜひ、どこの大使館に行ってもそういう応対をしていただけるようにお願いを申し上げます。

 ちょっと話を転換するんですけれども、このラトビアに行った、私の地元の石原純太郎君というんですけれども、その石原純太郎君は、ラトビア関係の仕事につきたいと言っているんです。これは何でかというと、これだけ歓迎をされて大好きになったところには、やはりその仕事もしたいな、あなたたちの魅力をとても日本に持ってきたいなと、やはり自然に思うわけです。

 例えば中国とかアメリカとか、これは何かほっておいたってたくさんの人が留学するわけです。でも、比較的関係がこれから活発になるであろう例えばバルト三国とか、そういうところに関しても、やはり、一村一品運動じゃないですけれども、一国、物すごくその国を愛している人というのがどんどんふえていくということ、これは大切なことだと思うんです。

 そして、そういう観点から質問をさせていただきます。

 文部科学省が奨学金を出している日本人留学生全体、これは何人いらっしゃいますでしょうか。また、予算規模も教えてください。

信濃政府参考人 大学生等の海外留学の経済的負担を軽減するために、文部科学省では、海外留学支援制度というものを行っております。この制度では、平成三十年度に約六十四億円を計上しておりまして、この予算で、国費で二万一千三百三十人への支援を行っているところでございます。

 これに加えまして、社会全体で若者の海外留学を支援するために、平成二十六年度から、民間からの寄附金で全てを賄う新しい海外留学支援制度、これは、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムと呼んでおりますが、これを行っているところでございます。現在、年間約千人の大学生、それから五百人の高校生の海外留学を支援しているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 ちょっと、質問通告している、バルト三国への文部科学省の奨学金による留学生の数ってわかりますか。

信濃政府参考人 先ほどのこの三国への留学生の数を申し上げましたが、その中で国費によって留学されている方は、エストニアに二名、ラトビアに十二名、そしてリトアニアには十三名となっております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 つまり、二万一千人のボリューム感の中でそれぐらいの規模ということなんですね。ですから、もちろん、やはりアメリカ、中国、そういうところは国がインセンティブをつけなくてもみんな行くわけです、勉強したいし、未来の市場がありそうだし。でも、これから活性化をしていくであろう、私が強く肩入れをしているバルト三国とか、そういうところにも、まさにそういう国を愛するような人がどんどんふえるような、こういうのは、結果的には、長い目で見ると草の根外交につながっていくと思いますので、より多くの国に留学生が散るような、そういうようなインセンティブを出していただければなと思います。

 そして、最後に、外務省にお尋ねをします。

 各国の、まさに水先案内人じゃないですけれども、この国のことは僕に聞けみたいな人がいると、その国に関してはやはりいろいろ、経済上もいろいろな合理性がある、有益性があると思うんです。やはりその国に何年も住んだ人しかわからない慣習であるとか文化的背景、こういうのもあると思いますので、非常に重要なことだと思います。

 外務省として、まさに草の根外交という部分にもつながるわけですけれども、比較的交流が活発ではない国々への関心を持ってもらうためにどういう取組をしておられるのか、お聞かせください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省では、外交政策、国際情勢に関する国民の理解の促進を図るため、民間団体等との共催による国際情勢講演会、外務省職員が全国の大学で講演を行う外交講座、さらには、外交専門誌「外交」の発行等を通じて、さまざまな国の外交政策、国際情勢を幅広く取り上げているところでございます。

 これに加えまして、外務省ホームページでございますけれども、外務省職員がさまざまな国に赴任した際の体験談等を紹介したり、あるいはソーシャルメディア上でも、やわらかツイート等におきまして、各国のさまざまな事情を、より親しんでもらえるような発信を幅広くやっているところでございます。

 今後とも、諸外国への国民の関心を高めるため、こうした事業を積極的に展開してまいりたい、このように考えております。

関(健)委員 ありがとうございました。

 複数の国、より多くの国に、その国に特別な愛着を持ってもらう人を育成するというのは、長い目で見ると、一番、ボディーブローみたいにきいてくると思いますので、そういう絶え間ない御努力をいただければというふうに思います。

 さらに、条約をちょっと踏み込んでいきたかったんですけれども、今、国際情勢がいろいろ動いている状況ですので、ちょっと外務大臣にお尋ねをいたします。

 トランプ大統領がTPPへの復帰を検討するように指示したという一部報道があります。その中で、我々の条件での復帰を検討するよう指示したと、アメリカの複数のメディアや日本では時事通信が伝えていますが、大臣のそれに対する認識をお聞かせください。

河野国務大臣 トランプ大統領がTPPに関しての検討を指示したという報道には接しております。

 これまで、日本はアメリカに対しまして、TPPの重要性あるいは意義というものを繰り返し、トランプ政権に対しても申し上げてきたことでございますので、このようなアメリカの動きが出てくるということは歓迎をしたいというふうに思っておりますが、我が国といたしましては、まず、TPPの早期発効を目指していきたいというふうに思っております。

 このTPPは、アジア太平洋地域におけるハイスタンダードなさまざまなルールを決めていこうということでございますので、これにアメリカが復帰をするというのは大変歓迎できることだというふうに思っておりますので、まず、トランプ大統領あるいは政権の意図をしっかり伺っていきたいというふうに思っております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 まさに、今、大臣おっしゃられましたけれども、政権の意図ということですけれども、アメリカのジャーナリストに聞くと、アメリカでは珍しい、複数の大手メディアが一斉に報じたと。つまり、何らかの思惑を持って政権側がリークをしているんだろうというのが現地での見られ方なんだそうです。

 まさに、大臣、そこもおっしゃいましたけれども、二年半前に締結して以降、再交渉には反対という姿勢で日本政府は貫いてきておられたと思います。

 まさに先月、アメリカ抜きの新協定に署名をしたわけですけれども、一部の、一部のというか複数の各国がどういうふうな思惑で見ているかというと、当然ですけれども、現在起きている中国との貿易摩擦の中でアメリカが相対的な立場を強めるということを狙って、TPPへの復帰を検討しているということをやったのではないか、当然、そういうふうに見るのが自然だと思いますけれども、我が国の国益の最大化という観点からいえば、この段になって条約を緩和して締結し直すということは考えられないと思いますが、大臣の認識をお聞かせください。

河野国務大臣 TPP11の署名もいたしましたので、まずしっかりと早期発効に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。

 このTPPそのものは、ガラス細工のように微妙なバランスでつくられておりますので、一部だけ取り出してそれを変えるというのは困難というふうに認識をしておりますが、アメリカの政権の意図が今のところまだはっきりよくわかっておりませんので、まず話をしっかり聞いてみたいというふうに思っているところでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 まさにガラス細工と。私もNHKの記者時代、ちょうど十年ぐらい前にこれは交渉していたと思いますが、外から取材している人間には到底わからない、ガラス細工のような細かいやりとりが、分捕り合いがあるんだと思います。そこを聞いても答えていただけないので聞きませんけれども、まさに来週日米首脳会談が行われると思いますが、その中でも、日本が条件を緩和して譲歩をして締結し直すというような、再交渉をするという趣旨の話をする可能性があるのか。まさに大臣おっしゃられたとおり、ガラス細工として積み上げたものをいきなりたたき割られるようなことがないのかというのを改めてお伺いします。

河野国務大臣 諸般の事情が許せば、総理の訪米ということも予定をされておりますが、その首脳会談の中で何がどう議題になるかというのはまだ、対外的には差し控えたいと思います。

関(健)委員 ありがとうございます。

 まさに十一カ国でやったものがアメリカ単独の思惑によって崩されないように、これまでのいきさつを遵守していただいて、国益にかなう交渉をしていただければと思います。

 この後、「ゴルゴ13」の動画に関して質問をしたかったんですけれども、制限時間がやってまいりましたので、一問だけ。

 私、あの動画を拝見させていただきました。この前、外務省はわかりやすく発信をしていくことが必要だということを質問させていただきましたけれども、皆さん、「ゴルゴ13」の動画というのが、ちょっと、割とサイドストーリーというか、ふざけるなみたいなふうに思っている方もいらっしゃると思いますが、実は私、ああいうものほど大事なことはないと思っています。現に、大手商社の人間なんかも見て笑っていますし、高倉外務大臣がゴルゴ13に直接依頼するシーンなんかもあるんですけれども、外務省の正面の受付をゴルゴ13が通るのかとか、そういう細かいことをみんな関心を持って見ておられるわけです。

 ですから、あれは、ターゲットにしているのは、まさに中小企業で海外展開を考えておられる方々なんだと思いますけれども、二つお尋ねします。

 一つは、大臣に、声優としてデビューをされたときの感想と、こういう動画の意義について教えていただきたい。そしてもう一個は、これは僕はかなりいいコンテンツだと思うんです、外に発信していく、この漫画というコンテンツも。これは、海外に行く、つまり飛行機で行くわけですね、そういうときに必ず見られるように、JALとかANA、飛行機会社とかで見られるようにしてはいかがでしょうか。

 この二点についてお伺いします。

中山委員長 河野外務大臣、申合せの時刻が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

河野国務大臣 飛行機に関していえば、JAL、ANAの機内で国際線で視聴できるようになるというふうに承知をしておりますので、ぜひごらんをいただきたいと思います。

 中小企業あるいは海外にいらっしゃる日本人の中で、この「ゴルゴ13」に親しんできた方々と思われるところが一つのボリュームゾーンになっているということから、外務省は「ゴルゴ13」を使わせていただいたわけでございます。

 私が子供のころ、私のおやじが、ディズニーの「ダンボ」の最初にコウノトリが赤ちゃんを運んでくるシーンがあって、その吹きかえをやったのを家族で見て、何て下手なんだと言って笑った記憶がございますが、自分でやってみて、おやじに謝らなきゃいかぬなというふうに思っているところでございまして。いろいろ御意見はあろうかと思いますが、高倉大臣のせりふが変だということでも、視聴者がふえれば海外の安全に資するのではないかと思っておりますので、ぜひ、委員の皆様には一度見ていただいて、御宣伝をしていただけたらと思います。ありがとうございます。

関(健)委員 わかりやすい発信をお願いいたします。ありがとうございました。

中山委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 無所属の会の岡田克也です。

 まず、きょうの本題に入る前に、外務大臣、先ごろ韓国を訪問されました、そのことについて少し申し上げたいと思います。

 短い時間の中で、日韓の外相会談、そして大統領表敬を行われて、私は非常に有意義だったというふうに思うわけです。特に、北朝鮮による完全、検証可能な、かつ不可逆的な方法での核、ミサイルの廃棄を実現するために最大限の圧力を維持していくということが確認されたことは、私はよかったというふうに思っております。評価しております。

 その上で、南北あるいは米朝の首脳会談に向けて今後の方針を綿密にすり合わせあらゆる機会を捉えて日韓米三カ国で緊密に連携していくことを確認した、この点も高く評価できるところですが、ここで言う今後の方針というものについて、詳しくは言えないと思いますけれども、基本的にどういう方針で日米韓で緊密に連携していこう、首脳会談に備えていこうとしているのか、お話しいただきたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 北朝鮮危機は、核、ミサイルそして拉致あるいは拘束者の問題、こうしたものを包括的に解決をするというのがゴールだろうというふうに思っております。

 核兵器については、完全かつ不可逆的そして検証可能な非核化をしなければならないというゴールも共有をしておりまして、また、これまで国際社会は少なくとも八回北朝鮮と対話をいたしましたが、結果、少なくとも八十億ドル程度の資金を提供したにもかかわらず何も生まなかったということがございます。

 その反省を踏まえて、少なくとも北朝鮮が非核化に向けて不可逆的な行動をとったということに対する対価でなければならない。非核化という言葉、あるいは非核化にコミットするという言葉に対して対価を与えてはならないというのが今の方針でございます。

 そうすると、大きな方針としては、日米韓あるいは中国、ロシア、合意をしているところでございますが、それでは、これからそこに向けて、細かなステップについて、どういうふうにステップを切っていくのか。あるいは、当然、北朝鮮はそうした行動をとることに対して対価を求めてくるということになろうかと思いますが、国際社会で一致して、どのタイミングで制裁の緩和を始めるのか、どれだけ緩和をするのか。

 そうしたことを国際社会の中でしっかりと議論をし、合意をしていかなければならないというふうに思いますので、その点に関して、日韓あるいは日米韓、しっかりと連携をしてまいりたいというふうに思っておりますし、中国、ロシアとも当然にそこは連携が必要になってくるというふうに思っております。

岡田委員 今までの北朝鮮との交渉、核、ミサイルの開発という意味では何も生まなかったという表現は私はあながち誤ってはいないと思うんですが、なぜそうだったのかという検証は、それは北朝鮮の側だけに理由があったのか、あるいはそれ以外の五カ国にもそれぞれ理由があったのか、その検証はしっかりした上でこれからの交渉というのは必要だと私は思います。それはまた別の機会にこの場でもしたいと思いますが。

 二〇〇五年の九月の六者会合による共同声明というのがあります。これもやがて事実上ゼロになってしまったわけですが、この二〇〇五年の六者会合が一つのベースになる、そこに重要なことはほとんど書かれていると私は思いますので、そういうお考え、これがベースになるというお考えはおありでしょうか。

河野国務大臣 二〇〇五年九月の六者会合に関する共同声明において、北朝鮮は、全ての核兵器及び既存の核計画の放棄、核不拡散条約、NPT及びIAEA保障措置への早期復帰を約束いたしました。これが一つの、非核化に対する考え方であろうかとは思いますが、このときとは北朝鮮の、さまざま、核に関連する活動の進展というのもございますので、これは一つの考え方にはなると思いますが、これだけでいいのかどうかというのは、一度点検をする必要があろうかと思います。

岡田委員 ここに、北朝鮮、それから残りの五カ国、例えばアメリカや韓国、日本が行うべきことはほぼ網羅的に書いてありまして、私は、これは一つのベース、もちろん、大臣おっしゃるようにその後状況は変わっていますから、そのままにはならないわけですが、一つのベースではないかというふうに思っております。

 では、もう一点、訪韓に関してお聞きしておきたいと思います。

 日韓パートナーシップ宣言二十周年であることを踏まえて未来志向の関係を構築していくことを確認したというふうに発表されておりますが、二十年前の、小渕総理と金大中大統領との間のパートナーシップ宣言というのは非常に歴史的なものだったというふうに私は思います。

 そのことを踏まえて、未来志向の関係を構築していくというふうに確認されたわけですが、何か改めて日韓で文書を交わすとか、そういったことはお考えですか。

河野国務大臣 日韓パートナーシップ二十周年というのがことしの十月にやってくるわけでございまして、これに向けてさまざま、両国間、困難な問題が昨今いろいろございましたが、それを適切に両国間でマネージしながら未来志向の関係をつくっていこうということを、外交部長官あるいは大統領とも、表敬の際にそうしたことを申し上げてきたところでございまして、今御提起いただきました、新たな文書をつくるかどうかについては、今の時点ではまだ何も決まっておりません。

 ただ、パートナーシップ宣言にありましたような、さまざまな共有する認識あるいは行動計画というのが出ておりますから、そうしたものをもう一度振り返ってみて、次の十年、二十年、どうしていくのかというのは、これは一つ考えていかなければならないというふうに思っておりますので、文書を出すかどうかは別として、この二十周年というのを振り返ってみて、この次の日韓関係を前向きなものにしていこう、そういう努力、議論というのはしっかりやらせていただきたいと思っております。

岡田委員 アジアの情勢が大きく変わってきた。これから中国に対して、やはり日本と韓国が協力して対応していかなきゃいけない課題も多いと思います。アメリカのトランプ大統領は極めて不安定ですので、北朝鮮の問題も、やはり日韓の協力というのは欠かせない。そういう中で、日韓関係をもう一回、さまざまな困難はありますけれども、それを乗り越えて、しっかりと関係を深める、そういうきっかけにこの二十年をすべきではないかということを申し上げておきたいと思います。

 大臣、もし何かありましたら。

河野国務大臣 まさにおっしゃるとおりだと思います。

 パートナーシップ宣言というのは、やはり、当時の首脳がかなり思い切った決断をされて、この両国関係を前に進めていくことが大事だというところで一致をしたわけで、さまざま、当時もいろいろな問題がありましたが、それはそれでマネージしながら、やはり大胆に前向きにやっていこうではないかということを、二人のリーダーが合意し発表したわけでございますから、その精神というのを我々もしっかり受け継いで、困難な問題は適切にマネージしながら、この日韓の両国関係を更に深め発展させていく、そういうつもりで頑張ってまいりたいと思います。

岡田委員 それでは、朝鮮半島有事について幾つか質問したいと思います。

 平成十一年四月二十三日の高村外務大臣の答弁で、北朝鮮が武力行使に至ったときに、国連安保理決議八十二、八十三、八十四、これらの決議に基づいて朝鮮国連軍が反撃することは現在でも理論的には排除できないというふうに高村大臣は答弁されました。

 もしそういった朝鮮国連軍として反撃を行うというときに、日米安保条約と一体をなす岸・ハーター交換公文に基づく戦闘作戦行動、発進のための基地使用が事前協議の対象となるのかならないのか。私は、実質的には、朝鮮国連軍といっても米軍ですから、基地使用の際には事前協議の対象になるというふうに思うんですが、確認したいと思います。

河野国務大臣 日米安全保障条約及びその関連取決めと朝鮮国連軍たる米軍との関係につきましては、吉田・アチソン交換公文等に関する岸総理・ハーター国務長官の交換公文において、国際連合統一司令部のもとにある合衆国軍隊による施設及び区域の使用並びに同軍隊の日本国における地位は、相互協力及び安全保障条約に従って行われる取決めにより規律されると了解をされております。

 つまり、朝鮮国連軍の一部を構成する米軍につきましては、日米安全保障条約第六条の実施に関する交換公文、岸・ハーター交換公文に言う事前協議の主題のうち、日米安全保障条約第五条に基づいて行われるものを除いた、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設・区域の使用に該当する、そういう場合には我が国との事前協議が行われることとなります。

 他方、米軍以外の朝鮮国連軍について言えば、その駐留の根拠となっている吉田・アチソン交換公文及び同交換公文を受けた国連軍地位協定において、事前協議制度は存在しません。

 それは、国連軍地位協定についての合意された公式議事録の地位協定第五条に関する規定からも明らかなとおり、国連軍地位協定上想定されている朝鮮国連軍の活動は、全て兵たん上のものであります。

 したがって、国連軍地位協定上は、朝鮮国連軍が我が国の施設・区域を発進の基地として戦闘作戦行為に従事することは想定をされておりませんので、朝鮮国連軍の一部を構成する米軍については我が国の事前協議が行われますが、米軍以外の朝鮮国連軍について言えば、事前協議の制度は存在しない、その対象とならないということでございます。

岡田委員 米軍以外の朝鮮国連軍が、例えば直接、基地から発進するとか、そういうことはあり得るんですか。

河野国務大臣 米軍以外の朝鮮国連軍の活動は、全て兵たん上のものでございます。

 我が国の施設・区域を発進基地として戦闘作戦行動に従事することは想定をされていないというふうに考えております。

岡田委員 わかりました。

 次に、大臣が私の質問に対して、現在の北朝鮮を抑止するために全ての選択肢がテーブルの上にあるということを高く評価するという大臣の答弁について私が聞いたところ、つまり、先制攻撃をアメリカが行うときにはどうなのかと聞いたときに、大臣は、現在の北朝鮮を抑止するために全ての選択肢がテーブルの上にあるというのは、アメリカも国際法の規範の中でそういうことを行っていると我々は認識している、そういうふうにお答えになりました。

 この答弁の意味なんですが、アメリカは、国際法の規範の中で、今までそれに反するような先制攻撃は行ってこなかった、そういうことは例がないんだという意味ですか。

河野国務大臣 先制攻撃を行うことは国際法上認められていないという点について、これまでも申し上げてきたとおりでございますが、アメリカも国連憲章を遵守する義務を負っており、我が国として、アメリカが国際法上違法ないわゆる先制攻撃を行うということは考えておりません。

 他方、アメリカを含めた他国の行動の一々について我が国としてその法的評価をしているわけでもございませんし、我が国として、外国政府の国際法の解釈について有権的な説明を行う立場にはないというふうに考えております。

 いずれにせよ、アメリカは国連憲章を遵守する義務を負っておりますから、我が国として、米国が国際法上違法ないわゆる先制攻撃を行うということは考えておりません。

岡田委員 アメリカはもちろん国連憲章を守る義務はあるものの、国益上必要だと考えれば、それにもかかわらず、そこからはみ出るような先制攻撃もいとわないというのがアメリカの基本的考え方だと私は理解していますが、大臣、違うんですか。

河野国務大臣 日本として、他国の政策あるいは国際法の解釈を他国がどのようにやっているか、有権的な評価をする立場にはございませんが、先ほど申し上げましたとおり、アメリカも国連憲章を遵守する義務を負っているわけでございますから、国際法を守って活動するというふうに日本政府として認識をしております。

岡田委員 例えば、具体例を挙げますが、二〇〇二年のブッシュ・ドクトリン、ここでは大量破壊兵器を持つテロ支援国家に対する先制攻撃というものを認めているわけです。これは必ずしも国連憲章の枠の中にあるということに限らないと私は思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 二〇〇二年の米国の国家安全保障戦略には、米国が脅威に対して先制的に対処するために必ず武器を行使するとしているわけではありません。また、先制を侵略のための口実としてはならないという旨が明記されているというふうに承知をしておりまして、このブッシュ・ドクトリンというものが、アメリカが国際法上違法な武力の行使を使うということに当たるとは考えておりません。

岡田委員 必ず当たるというふうに言っているのではなくて、そういうこともいとわないというふうに普通は読まれているんじゃないんですかということを申し上げているわけです。

 日本の外務省の解釈は普通考えられているのと違いますが、そういう解釈でいいんですか、本当に。

河野国務大臣 アメリカも国連の常任理事国として国連憲章を遵守する義務を負っている国でございますので、日本政府として、アメリカが国際法に違反するような先制攻撃を行うとは考えておりません。

岡田委員 普通ならそういう答弁でも済んでいくのかもしれませんが、私が問題にしているのは、トランプ大統領があらゆる選択肢が机の上にある、それを高く評価するというふうに日本政府が言ったから問題にしているわけですね。

 つまり、国際的にアメリカが国連憲章に反するような先制攻撃もあり得るというふうに考えられている中で、そしてあえて、あらゆる選択肢はテーブルの上にある、つまり武力行使もある、その中にはひょっとしたら国連憲章に反するものもあるかもしれない、それを高く評価してしまっているから、私はそれは行き過ぎであるというふうに考えているわけですが、いかがですか。

河野国務大臣 今回の北朝鮮危機は、対話を通じて平和的、外交的に問題を解決するということを全ての国が望んでいるわけでございますし、この危機をつくり出しているのは北朝鮮という国でございます。北朝鮮は、国際社会が対話を進めようとしている中にあって、核、ミサイルの開発を継続をしてきたわけでございます。

 我々としては、今後北朝鮮の意図をしっかりと分析をしてまいりたいと思っておりますが、北朝鮮による完全そして不可逆的、検証可能な核、ミサイルの廃棄を実現するためにはこの最大限の圧力を維持していくということが必要だというふうに国際社会は考えております。

 このような観点から、我が国は、全ての選択肢がテーブルの上にあるという米国の立場を今後も支持してまいりたいと思っておりますし、私どもは、アメリカは、国連憲章を遵守する、そういう義務を負っていることから、国際法に違反するような行動に出るということは想定をしておりません。

岡田委員 結局、いざとなって武力行使をされたときに、日本に対して報復がある可能性が非常に高いわけですね。そういう状況にあるときに、かつ米国の今までを見てきたときに、国連憲章を必ずしも遵守しているわけではないということが明らかなときに、私は本当に不要な発言だったと思いますよ、高く評価するとまで言ったのは。

 今、少し対話のムードが出てきているこのときに、少しそのトーンを変えたらいかがですか。そうでないと、私は国民の命を守れないと思いますよ。余りにも調子に乗って、アメリカの中でもいろいろな議論があるトランプ大統領のその発言をそのまま一〇〇%肯定するようなやり方というのは、私は日本外交として非常に情けないというふうに、そう思っているということを申し上げて、時間が参りましたから私の質問を終わりたいと思います。

中山委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 条約の質問に入る前に、何点かお伺いしたいと思います。

 四月十日に起きた米軍パラシュートの羽村第三中学校への落下事故について、まず聞きます。

 翌十一日、国土交通委員会で私が質問した際に、山本防衛副大臣は、その日、十一日の午前に米側から、今回の事故原因が確認されるまではパラシュートの降下訓練は行わないという連絡を受けた、こう答弁されました。ところが、そのわずか数時間後に、米側から、翌十二日から訓練を再開する予定という発表がありました。実際、きのうから降下訓練がやられております。

 山本副大臣にお伺いしますが、事故原因は確認、究明されたんですか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 今、宮本委員からもございましたが、この横田のパラシュート落下事故に関しましては、委員からもう既に他の委員会でも取り上げていただいておりますので、ひょっとしますと繰り返しの答弁のものがあるかもしれませんが、そもそも委員会が違うということで御理解をいただければと思います。

 まず、米軍の運用に関しましては、地域住民の方々の安全確保が大前提であり、事件、事故はあってはならないと承知をしております。

 お尋ねの、四月十日に事案が発生、その後中止されていた横田飛行場におけるパラシュート降下訓練は、四月十二日から再開されたと承知をしております。

 今回の事案につきましては、米軍、米側からは、C130J航空機から降下中、メーンと予備のパラシュートがともに展開したため、降下隊員は、メーンパラシュートを切り離して、予備パラシュートで横田基地に無事に降下をしたと。

 予備パラシュートは展開時に一部が分離されるよう設計されておりまして、その分離した部分が風に流されて羽村第三中学校に降下したとの説明を受けました。

 また、訓練再開に当たっては、全てのパラシュートの検査を行ったと説明を受けております。

 いずれにしましても、米軍の運用に当たっては、地域住民の方々の安全確保が大前提であり、事件、事故はあってはならないものであります。安全の確保については、最優先の課題として日米で緊密に協力をし、安全確保に万全を期してまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 私は、事故原因を確認されたのかということをお伺いしたわけですよ。メーンとサブのパラシュートが同時に開くということが一体なぜ起きたんですか。

山本副大臣 米側からは、エアクルーと降下隊員は定められた手順と安全手段に従って訓練を行っていたと報告を受けました。

 こちらとしましては、手順に従ってきちっと訓練していたのに、ではなぜ事故が起きたのかということを尋ねたところ、ひもが絡まって事故が起きたのだという説明がありました。

 その後、パラシュートを全て開いて確認をして、また畳み直して安全をきちっと確保した、ひもが絡まることはないということを確認したので訓練を再開したというふうに報告を受けております。

宮本(徹)委員 なぜひもが絡まったんですか。

山本副大臣 ひもが絡まったという報告を受けておりまして、そのひもが絡まるか絡まらないか、全てのパラシュートを開いて確認をして、またきれいに畳んで収納して、安全を確保して訓練を再開したという報告を受けております。

宮本(徹)委員 私、おとといの国土交通委員会でも指摘しましたけれども、同じ事故が四月三日にも伊江島で起きているわけですよね。これも畑に落下しました、パラシュートが。民家から五十メートル離れたところだということですよ。

 同じ事故が繰り返されているわけですよ。それは、なぜ同じ事故が繰り返されているのか、ここを究明するのが事故原因の究明なんじゃないんですか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 もちろん、絡まったということを受けて、米軍は、全てのパラシュートを一旦開いて、絡まる危険性というものをきちっと除去をし、安全を確保したその後に訓練を再開したと承知をしております。

宮本(徹)委員 だから、何で同じことが繰り返して起きたのか、ここを究明しない限り安全だなんというのは絶対言えないですよ。パラシュートの畳み方だけの問題なのか、あるいは、そのチェックは日常的に余り、いいかげんにやられているのか、いろいろなことを米側に、何で二回繰り返されたのかと。これを究明するのが、日本政府がまず米軍に対して求めなきゃいけないことなんじゃないですか。

山本副大臣 委員御指摘のように、確かに続けてこういうパラシュートの落下事故が起きておりますので、我々としては、こういった事故は地元の皆様に大変不安を与えるものだ、大変重い問題だと承知をしておりますので、引き続き、米側、米軍に対しては、事故原因の報告をするように強く求めているというところでございます。

宮本(徹)委員 つまり、事故原因は日本政府としても納得がいっていないというわけでしょう。引き続き報告を求めている、それが今の段階なんですよ。

 事故原因が確認されるまではパラシュートの降下訓練を行わないと言っておきながら、日本政府ですらまだ報告を求め続けなきゃいけないような状況なわけじゃないですか。事故原因は解明されていないわけですよ。だから、きのうも、地元の自治体は、事故原因及び再発防止策の具体的な説明がないまま訓練が再開されたことは住民の不安を増大させるものだと批判の声を上げていらっしゃるわけですよね。

 河野太郎大臣にもお伺いしたいと思います。

 地元の羽村の並木市長から河野大臣宛てに、今回のパラシュート降下訓練を中止してほしいという要請が、抗議文書が出ていると思いますが、今回の、日本政府ですらまだ事故原因の究明を更に求めているさなかに、米軍は訓練を再開した。問題じゃないですか。河野大臣は、今回の問題に対してどういう対応をとられたんですか。

河野国務大臣 日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力は極めて重要であります。

 他方で、米軍の運用に当たっては、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはならないものでございますので、安全の確保について、最優先の課題として日米で緊密に協力し、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 ですから、安全確保が大前提と言うんだったら、事故原因の究明がないままパラシュート降下訓練を再開するなど、認めるわけには絶対いかないんじゃないんですか、大臣。

河野国務大臣 米軍と防衛省の間で適切に事故原因の究明が行われ、そして、安全の確保を大前提として、今後、日米しっかり緊密に連携をしてまいりたいと思います。

宮本(徹)委員 ですから、今、私と山本副大臣のお話を聞いていたらわかりますように、事故原因の究明はまだやられていないわけですよ。日本政府ですらまだ米軍に事故原因を求め続けているという話じゃないですか。この段階では、安全が確保されているというのは日本政府の立場でも言えないんじゃないんですか。

河野国務大臣 パラシュートの降下訓練は、これは米軍の隊員の安全もかかわっているものでございますから、米軍も当然これをおろそかにして訓練を行うわけではございませんし、我々としても、地域住民の皆様の安全の確保を大前提として米軍が活動をするということが重要だと思っておりますので、そこはしっかり対応してまいります。

宮本(徹)委員 しっかり対応していないから、地元自治体からも批判が上がっているわけですよ。

 外務大臣は日本国民の命を守る立場にあるわけですから、それは、米軍に対して正々堂々と、こういう原因究明もやられていないもとでの訓練再開はだめだと言わなきゃいけないと私は思いますよ。そのことを強く指摘しておきたいというふうに思います。訓練は禁止しなきゃいけない。

 しかも、先日取り上げましたけれども、オスプレイが配備されれば、オスプレイも横田基地でのパラシュート降下訓練をするということを言っておりますので、危険はますますこのままでは高まっていきます。大体、こんな住宅密集地の真ん中にある基地でパラシュート降下訓練をすること自体が間違っていると繰り返し申し上げておきたいと思います。

 次に、日報隠蔽問題についてお伺いしますが、昨年、国会で、ないと答弁されていたイラク派遣時の陸自の日報が、陸自研究本部それから衛生部などで見つかりました。陸自研究本部でいえば、教訓センターの外づけハードディスクの中にあったということです。そして、陸自研究本部では、今回のイラク派遣以外にも、例えばPKOでいえば、カンボジア、ゴラン高原、東ティモール、ハイチなどへの派遣部隊の日報もあったということであります。

 陸自研究本部の教訓センターは、なぜこれらの日報をたくさん保有していたんですかね。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 いわゆる日報とは、行動命令に基づき活動する部隊が作成しました上級部隊への定時報告でありまして、防衛大臣又は上級部隊の判断に資するものでございます。

 その内容については、各自衛隊の運用を反映した形になるためさまざまなものになり、一概に申し上げることはできませんが、例えば陸自のイラクの日報には、派遣部隊の活動状況、あるいは人員、装備の状況、現地の治安状況といった情報が記載され、上級部隊に報告をされております。

 今委員のお尋ねにつきましては、詳細な事実関係は現在確認中ではありますが、陸上幕僚監部衛生部においては、イラク復興支援……(宮本(徹)委員「いや、研究本部のだけです」と呼ぶ)陸上自衛隊研究本部におきましては、部隊の運用などの任務遂行の主となる教訓資料を作成するため、保有をし収集していたと考えております。

宮本(徹)委員 つまり、陸自の研究本部は、日常的に海外派遣の活動の日報を収集して教訓化していく、そのためにずっとやっていたわけですね。

 陸自研究本部では、このイラク派遣の日報が昨年三月二十七日に見つかっていた、ところが、その三日後、当時の情報公開請求に対してイラク日報はないと回答していたというのが今週の質疑で明らかになっております。この問題については小野寺大臣も調査されるということですが、あったものをないというふうに隠蔽していたということが明らかになっているわけですね。

 陸自研究本部の隠蔽というのはこれだけなのか、疑いが私はあると思っています。というのは、もともとこの日報問題が初めに問題になったのは、南スーダンの日報だったわけですね。我が党は、南スーダンの日報は陸自の研究本部の教訓センターにあるんじゃないかということを繰り返し繰り返し質問しました。私も一年前、この委員会で質問させてもらったことがあります。本当は南スーダンの日報も陸自の研究本部にあったのではないかというふうに思うんです。

 昨年、特別防衛監察が行われました。ただ、この防衛監察の結果は、どこにあったのかというのが、その他の部隊というくくりがあってよくわからないんですが、この特別防衛監察の「その他の部隊等」というところでも過去保有四十人、現在保有四人というように書かれておりますが、この中に陸上自衛隊の研究本部というのは入っていますか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 昨年、防衛監察本部が実施しました南スーダン派遣施設隊の日報に関する特別防衛監察の結果において、その他の部隊という項目がございます。その内訳を具体的に申し上げますが、陸上自衛隊の通信団、警務隊、中央情報隊、中央業務支援隊、幹部学校、富士学校、武器学校、研究本部、補給統制本部となっておりますので、委員御指摘の研究本部が入っているのかということでございますので、研究本部はその他の部隊の中に入ってございます。

宮本(徹)委員 つまりそれは、過去保有四十人、現在保有四人のうち、どちらに入っているんですか。過去保有ですか、現在保有ですか、研究本部は。

小波政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの委員御指摘の点はかなり細かい点ですので、若干ちょっと確認を重ねながらということになるかと思いますけれども。

 ただいま私どもの山本副大臣がお答えいたしましたのは、この表の中の、九ページの表でございますけれども、陸上自衛隊の「その他の部隊等」の内訳を具体的に申し上げればということで、当然のことながら、この調査時点というのが、公表したのは平成二十九年の七月二十八日でございますけれども、この表の調査時点は、注に書いておりますけれども、ごらんいただければわかるかと存じますが、同年の三月三十一日現在を調査したものでございます。ですから、ただいま副大臣から申し上げました内訳の部隊等は、まさにこの部隊の内訳が何かという点に対して、これらの部隊が入っているということを申し上げたところでございます。

 この研究本部というのは、ですから、当然のことながら、ただいまは改組されまして教育訓練研究本部となっているところでございますけれども、以上のようなところを申し上げた点でございまして、ただいま恐らく委員から御指摘があった、それらの具体的な数をお知りになりたいという理解でよろしいでしょうか。その研究本部が何名かという。

宮本(徹)委員 過去保有四十人、現在保有四人のどこに、双方に入っているんですかということをお伺いしています。

小波政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員のお尋ねは、実は突然のお尋ねでございまして、そこまで細かい御質問をいただいていなかったものですから、ただいまはっきりと副大臣の方から部隊ごとの内訳は申し上げましたので、今の点につきましては持ち帰りまして、その辺についてお出しできるかどうかについて検討して、対応したいと考えております。

宮本(徹)委員 小野寺大臣がうみを出し切るということを言っています。去年の国会審議では陸自の研究本部にはないということをずうっと皆さんは言い続けたわけですよね。今回、過去保有か現在保有かどこに入るのかわからないんですけれども、あるという話ですよね。

 では、過去保有だとしたら、調べていただきたいのは、これはいつ破棄をしたのか。現在保有だったら隠していたということになるわけですし、過去保有ならいつ破棄したのかということなんですよ。研究本部の教訓センターにあるんじゃないかということが国会で問題になってから破棄した可能性が私はあるんじゃないかというふうに思います。これは、過去保有ならいつ破棄したのか、この点も含めて調査していただきたいと思いますが、よろしいですね、防衛副大臣。

小波政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ただいま委員の御質問のうちの、ちょっと誤解が一点ございます。このたび研究本部で発見されましたものにつきましては、いわゆるイラクの日報でございますので、そこは混同のないように、でございます。

 それから、ただいまの点につきましても、ちょっと申しわけございません、かなり細かい表の細かい一部になりますので、私ども、特にこの段階でもうちょっと検討させていただきたいというふうに申し上げているところでございます。

 もし可能であれば、事前に御通告いただければ、恐らくそれまでに御回答できたと思うんですけれども、今突然この部分についてお尋ねがございましたので、申しわけありません、ただいま私が手元にその資料を持っておりませんし、提出の可否について今この場でお答えできるだけの準備がないということを申し上げた次第でございますので、その点につきましては、申しわけないと思いますけれども、対応させていただきたいと思います。

宮本(徹)委員 私は、過去保有と現在保有の内訳をちゃんと全部教えてほしいという通告をしたはずですよ。ですから、言えない方がおかしいんですよ。

 大体、防衛省の調査で、この間、研究本部には、イラク派遣以外にも、初めに言いましたけれども、PKOでカンボジア、ゴラン高原、東ティモール、ハイチの派遣日報があるわけですよ。何でそれより新しい南スーダンの日報だけが表に出てきていないのか。これは、国会の答弁に合わせて、ないということにしようとして破棄したんじゃないか、隠蔽したんじゃないか……

中山委員長 宮本君、申合せの時刻が来ておりますので、御協力よろしくお願いします。

宮本(徹)委員 こういう疑いがあるということなんですよ。

 その点、ちゃんと、この点だけ、調査を必ずするとお約束していただきたいと思います。うみを出し切ると言っているんですから。

中山委員長 防衛省小波サイバーセキュリティ・情報化審議官、時間が来ておりますので、端的にお願いします。

小波政府参考人 申しわけありません、ただいまの点については、当然のことながら、小野寺防衛大臣の御指導のもと、ただいま、この南スーダンの日報に限らず、過去の日報に類する、日々報告に類するもの全てを調査の上、日々刻々公表している段階でございますので、先生がお考えになっているようなことではなくて、まさにテクニカルに、今この場に私がその資料を持ち合わせていないということでございます。

 ですから、大変申しわけありません、持ち帰りまして、検討させていただいて、対応させていただきたいと存じます。本当に申しわけございません。

宮本(徹)委員 時間になりましたので、条約の質問ができずに申しわけございません。反対討論で述べさせていただきます。

 終わります。

中山委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私は条約の質疑をさせていただきたいというふうに思います。今回は四本ということでございますが、時間も短うございますし押していますので、手短に要点を聞いていきたいんですけれども。

 今回は二国間条約ということで、BEPSはちょっとあれですけれども、二国間条約もしっかり進めていただきたいし、多国間条約ももちろんやっていただきたいという我々は立場ですが、経済界からもいろいろな要望が来ている中で、改正も新たな締結も、いろいろな国、来ていると思います。改正だとシンガポールだとか、新たにつくるのはミャンマーとか、本当にいろいろな国についての要望が来ていると思います。

 これらに対して、こうした要望が来ている国々との租税条約の締結に関して今後の方針、政府としてどのように考えているのか、そして、こうした要望されている国々との条約改正の必要性についてもどう捉えられているのか、お答えいただけますか。

小泉政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたとおり、租税条約の締結、新規の締結ないしは改正につきまして、経済界から種々御要望等をいただいております。

 例えば、新規の締結につきましては、経団連の方からは、アジアでは例えばミャンマーあるいはモンゴル、また中南米でアルゼンチン、ベネズエラ、コロンビア、アフリカではナイジェリア、ケニア等々といった国について新規交渉の要望をいただいているところでございます。

 また、改正につきましても同様に、例えば中国、インド、タイ、インドネシア、ベトナム、ブラジル、ロシア、シンガポール、委員の御指摘のとおり、あとは韓国、カナダ、フィリピン、マレーシア、パキスタン、こういったところの国々について御要望を具体的にいただいているところでございます。

 いずれにしましても、新規の締結、改正を問わず、政府といたしましては、こういった御要望も踏まえながら、更にその他の幾つかの要素を勘案しまして、相手国との間で健全な投資、経済交流の一層の促進に資する租税条約の実現が見込まれるというときには積極的に新規の締結又は改正の交渉を進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

丸山委員 どこの国と結ぶねんというのは、非常に興味のあるというか、経済界もあると思うんですけれども、一方で、相手のあることなので、交渉が妥結されたところから結んでいかなきゃいけないと思うんです。

 今回はリトアニアとエストニアとロシアということで、これらの国、どうしてだ、何でここが来たのだというお話も聞くんですけれども、これは多分締結された順番だというのももちろんあると思うんですが、これらを結ぶ意義とか効果について改めて強調いただきたいんですけれども、外務省の見解をよろしくお願いします。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねのリトアニア、エストニア及びロシアとの租税条約でございますが、いずれも、国際的な脱税、租税回避行為に適切に対処しつつ、投資所得に対する源泉地国課税の範囲を縮減すること等によりまして二重課税の除去を確保する内容を含んでおります。

 これによりまして、日本企業が各国で課される配当、利子、使用料といいました投資所得に対する源泉地国での課税が軽減又は免除されることとなるほか、課税所得の範囲等が明確化され、法的安定性や予見可能性が高まることで、企業の海外展開に向けた環境を整えることが可能となるわけでございます。

 リトアニア及びエストニアについて申し上げれば、これらの国々との間で人的交流、経済交流が活発化する中、G7の各国の中でこれら二カ国との間で租税条約を締結していないのは日本のみでございます。我が国の企業が租税条約を締結している他国の企業と比較して不利な競争条件を課されることを回避するため、本条約を早期に締結する必要があると考えております。

 また、ロシアについて申し上げますと、現行の日ソ租税条約でございますが、これは一九八六年に発効したものでございます。今後、両国間の経済交流を一層促進するとともに、脱税、租税回避行為に対処するための仕組みを強化するため、新たな租税条約の締結の必要があるというふうに考えております。

丸山委員 調べますと、リトアニアとエストニアにいらっしゃる方は余り多くなくて、在留邦人の方、七十七人、そしてエストニアの方は百三十人ということで少ないんですが、しかし、今お話のあったように、結ぶべき必要性と、そして今後のこうした経済活動の活性化のためにも必要だと思いますので、そうした意味で有意義だと私も思います。

 そうした中で、ちょっと気になったのは、AOA、いわゆるOECD承認アプローチ、これに対して、エストニアとの租税条約を見ると盛り込まれているんですけれども、リトアニアとあとロシアとの関係ではこの承認アプローチについて盛り込まれていないような感じがするんですが、これについてどのようにお考えなのか、お答えいただけますか。

川村政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、委員御指摘のOECD承認アプローチ、AOAと呼んでおりますが、こちらを導入するためには、各国の中で国内法の改正が必要という国もございます。したがいまして、そのような国内法の改正が完了していない等の国の場合にはそもそもこのAOAを導入することができないという事情がございます。

 租税条約の具体的な規定内容につきましては、それぞれの相手国との交渉の結果として合意されるものでございます。リトアニアそしてロシアとの租税条約におきましても、両国の国内における議論が完了していない等々の事情を踏まえつつ交渉を行った結果、御指摘の規定は、これらの租税条約の本文では規定をしないということとなりました。

 なお、リトアニアとの租税条約につきましては、できるだけ早期にこのAOAを適用することを確保すべく、今後リトアニア側が同内容を規定することが可能となった場合を見据え、両締約国が外交上の公文の交換により合意する日において、該当する条項を改めることを定めた規定を議定書に設けております。

丸山委員 前に進めていただきたいと思いますし、そういう規定を盛り込んだということですので、やっていただきたいというふうに思います。

 租税条約といえば、やはりアメリカとの租税条約が大きいんですけれども、これは、我が国では既に二〇一三年に国会でも承認しておりますが、残念ながら、アメリカの方は、まだ批准もしていないし、発効もするに至っていないということで、これによる、未発効であることの不利益が非常にあるんじゃないかと危惧しています。

 これについてどのように政府として見解をお持ちで、アメリカが何で批准せずという部分に関して、そして日本としては求めていかなきゃいけないと思うんですけれども、こうした部分について政府の見解をお伺いできますでしょうか。

小泉政府参考人 日米租税条約の改正議定書でございますが、これは緊密化をますます進めております日米の経済関係を反映いたしまして、配当、それから利子、この二つに対する源泉地国免税の対象を拡大することを内容とするものでございます。

 この改正議定書を締結することができますれば、日米間での二重課税のリスクが現状よりも更に低くなるという意義があるというふうに考えておりまして、締結できていないことのデメリットは、この裏返しということになると思います。

 委員御指摘のとおり、我が国は二〇一三年の一月に署名をしまして、その後、大変速やかに御審議をいただいてきました結果、同じ年の六月には既に御承認をいただいているところでございますが、残念ながら、アメリカの側では、憲法上の規定で、上院の三分の二以上の賛成をもっての決議が必要ということなんですが、でも、三分の二ということではなくて、全会一致をもってやるということを通例としているようでございまして、なかなか現状、まだそこの条件を満たすことができていないというのが現実だというふうに承知をしております。

 ただ、いずれにしましても、冒頭申し上げたようなメリットがあることは明らかでございますので、我が国としましては、累次機会を捉えて、最近ですと日米経済対話の機会なんかも捉えまして、アメリカ側に引き続き働きかけをしておるところでございます。

丸山委員 アメリカは条約関係、往々にしてそういうときがあります。TPPのときもそうだったと思いますし、今回の件もまさしくそうで、政権がトランプ政権にかわっておりますので、そういった意味で予断は許さないと思いますが、事務方の会議で特にこれをやはり主張していくというのは非常に大事ですし、してくださっているということですので、引き続き、これは相手に求めていかなきゃいけないと思います。よろしくお願いします。

 今回の、今話しているのは租税条約ですけれども、租税条約に関しては、企業によっては、いわゆる租税回避地、ケイマン法人とか、そういった部分での、条約の規定上、外形上は基づいているけれども実際はそれからうまく外れて経済活動を行っているところに対して、税制上もこういうのを取り締まっていこうということで、法改正もしましたし、それを、政府としてはできる限りそうした状況をなくしていきたいというのが方針だと思います。

 ただ一方で、東京地裁と、東京高裁も負けましたか、国側が敗訴しているような訴訟もあったり、非常に、現状としてはなかなか、裁判所も、条約を結ぶときにきっちりそうした条文を含めて結ぶようにという要請もあるぐらい、非常に、なかなか難しいところです。今後の方針も、それによって変わってくるところだと思うんですけれども。

 実際、こういった、趣旨から外れて経済活動を行った者に対して、取締りはどういうふうになっているのか、政府として今後こういった対応をどうされていくのか、そのお考えをお聞かせいただけますか。

小泉政府参考人 お答えをいたします。

 租税条約の歴史はなかなか古うございますけれども、今委員から御指摘のありましたとおり、経済活動の実態はどんどん変化してまいります。それに応じまして、OECDのモデルの租税条約も累次バージョンアップをしてきているというのが現実でございます。

 国際的な課税逃れ、現状では違法とは言えないけれども、ちょっとやり過ぎじゃないのというようなケースが多々出てきているということでございまして、例えば、租税条約をうまく活用することによって、実際には活動の実態がないペーパーカンパニーだけ第三国に置いて、そこを経由して投資をすることによって節税ないしは脱税に近いようなことをやるということも、ケースとしては出てきているというふうに承知しております。

 こうした、行き過ぎた課税対策に対する対処といたしましては、各国が国際的に協調をして、そのもとで一致した対策を実施するということ、それとともに、また情報交換という形で各国の税務当局間の協力関係を充実させる、こういったことが重要になってきております。

 こういったことも踏まえまして、我が国は、BEPSがまさにその一つの典型例でございますけれども、G20ですとかOECDの場を含めまして国際的な議論を主導してまいってきているところでございます。

 また、BEPSはまたこの次に御審議いただきますけれども、そのほかで、例えば一例を申し上げますと、税の透明性の向上といったことも必要になっているということでございまして、例えば、昨年の九月以降でございますが、海外の金融機関を通じた資金のいろいろな流れ、これをきちんと捕捉しようということで、非居住者に係る金融口座の情報を各国の税務当局間で自動的に交換しようという取組が始まっております。我が国も今体制の整備がほぼ終わりかけておりまして、ことしの九月以降これに参加するということでやってきておりまして、今後ともこうした取組を進めていくということでございます。

丸山委員 やはりこうした部分、各国は今センシティブになっていまして、EUもアマゾン等、こうしたニュースも流れてきていますけれども、日本としてもこれはしっかりやっていかなきゃいけないと思いますし、問題は、財務省、昨今のいろいろな不祥事で、御批判もありますが、やるべきことはしっかりやっていかなきゃいけない。それは別で、しっかりそれは対応する、この税の部分もしっかりやっていくというのが必要です。そういった意味で、外務省も連携して、こうした部分を前に進めていただきたいと思います。

 残りの時間で投資協定のお話を聞いておきたいんですけれども、投資協定も同じように民間から要望が多々来ていると思います。

 例えば、ブラジルとかベネズエラ、ボリビアみたいな中南米の諸国、またアフリカ等の諸国との交渉開始の必要性について、やってくれという要望が来ていると思いますけれども、また見直しも、大きいところだとエジプトだとか、あとスリランカなんかも、これらの協定に関して見直ししてくれという御要望が来ていると思うんですけれども、これらについてどのような見解をお持ちでしょうか。

小泉政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、投資協定につきましても、財界等からの御要望も踏まえながら政府としてどんどん推進していきたいというふうに考えているところでございまして、けさからの御質疑でも何回か出ておりますけれども、例えば、平成二十八年五月に発表いたしました、投資関連協定の締結促進等投資環境整備に向けたアクションプランというのを政府としてつくっております。

 そこでは、我が国として、我が国から相手国への投資の実績また今後の拡大の見通し、経済界からの御要望、あるいは我が国の外交方針との整合性、また相手国ないしは地域のニーズや事情といったことを総合的に勘案をして進めていくということになっております。

 今委員から幾つかの国を具体的に御指摘いただきましたが、ちょっと個々の国に触れますと問題が生じますので差し控えさせていただきますけれども、今申し上げましたような四つの大きなメルクマールに従ってどんどん進めていくということでございます。

 中には、相手国の側で投資協定の中身に関する認識がかなり違っているようなケース、あるいは、御要望はあるかもしれないけれども、なかなか現状、政情が安定していないようなところとはなかなか交渉もしにくいといったような事情が多々あるということは御理解いただければというふうに存じます。

丸山委員 民間の方のお話を聞いていますと、やはり、政府の対応が少し遅くてむずむずするとおっしゃる方もいらっしゃいます。この辺、いろいろな外交事情があります、難しいところもあるんですが、しっかりこうしたニーズを捉えながら先方との交渉に臨んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 投資関連協定という意味では、かなりの国をカバーしてきているなというのは正直思いますし、それに対しては評価できますし、頑張ってくださっていると思います。今交渉中のものも発効すると九十一を超えるということで、かなり進んできているとは思うんですが、この状況についてお伺いしたいんです。

 お話を聞いていますと、二〇二〇年、オリンピックがある年ですが、ここまでに百を目指すんだというお話も聞きましたが、こうした部分をどう考えていらっしゃるのか。また、二〇二〇年の後どういうふうに政府として捉えていくのか、また目標を掲げられるのか。そのあたりについて政府の見解をお伺いできますか。

小泉政府参考人 投資の関連協定につきましては、現在交渉中のものも含めて数えさせていただきますと、都合、全部で九十二の国、地域をカバーすることになります。これによりまして、日本の対外直接投資残高の実に九三%がカバーされることになります。

 ではあるのですが、今委員からも御指摘いただきました……(発言する者あり)はい。今委員から御指摘をいただきました、二〇二〇年までに百の国、地域をカバーするという目標を立てておるところでございますので、引き続きこれの実現にまずは全力を傾けていきたいと思っておりますし、それを達成したら、そこでおしまいということでは当然ございません。その後、具体的な、どういう目標かというのは、ちょっとまだ時期尚早でございますのでお答えすることができませんが、当然、百達成すれば十分ということではないということは重々承知しておるところでございます。

丸山委員 今のお話だと、九十二の国や地域、そして九三%ということで、かなり上の方になってきますと、ここから先は非常に難しくなってきて、逆に言えば、数字目標じゃないのかもしれませんね。その特定の国との、改正だとか経済活動の状況を見ながら特定の国に絞っていって、そこに人的リソースも交渉のパワーも投資もかけていくというのが一つの目標のあり方だと思いますが、今の段階では、まだ目標を立てるということではないという御回答でしたが、しっかりその辺、戦略性を持って、次の段階を見据えて、ぜひ交渉を進めていただきたいというふうに思います。

 維新の会としては、これはしっかりやっていくべきだというふうに考えています。租税条約にしても投資協定にしても、世界じゅうと、二カ国ももちろんですけれども、多国間条約でしっかり結んでいくことでグローバルな観点から日本の経済を育てていくということ、非常に大事だと思います。しっかりと外務省も、足を引っ張るとよく言われるときもありますけれども、引っ張るんじゃなくて、こういった押すべきところは押していただいて、ぜひ日本の経済に貢献していただきたい、外交のあり方を追求していただきたいと思います。

 時間が来ましたので、私、丸山穂高の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 日本・リトアニア、エストニア、ロシアの三つの租税条約及び日本・アルメニア投資協定に対する反対討論を行います。

 三つの租税条約は、投資所得課税に係る源泉徴収税率を減税ないし免税を含めて措置するためのものであります。これは、日本の大企業とその海外子会社が、当該国内の外資優遇税制のメリットを十二分に受けつつ、その上、租税条約により投資に対する源泉地国課税が劇的に軽くされるなど、税制優遇措置を二重、三重に享受することを可能とするものであります。

 日本経団連はかねてより、投資に係る税コスト低下を要求してきました。租税条約は、国際課税分野における日本の大企業優遇税制を国内外で更に拡大、補強するものにほかなりません。

 また、本投資協定はISDS条項が盛り込まれており、進出先の国の制度や政策の変更によって損害を受けたと主張する外国企業が、その国の政府を相手取り、損害賠償を求めて提訴できます。一企業が国家を訴え、国の主権を脅かすことにつながりかねず、看過できません。

 財界は、国内では法人税の減税や労働法制の改悪を、国外では日本の多国籍企業が最大限の収益を上げられるよう条件整備を求めています。本協定は、こうした財界からの強い要望を受けたものにほかなりません。

 以上を指摘し、反対討論を終わります。

中山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより採決に入ります。

 まず、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とリトアニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエストニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とアルメニア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアイスランドとの間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣河野太郎君。

    ―――――――――――――

 税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアイスランドとの間の条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この条約は、OECD及びG20によってその設置が承認されたこの条約の策定のための特別部会において平成二十八年十一月に採択されたものであります。

 この条約は、国際的な租税回避行為に対処するための租税条約関連措置を迅速に、協調して、及び一致して実施するための法的枠組みについて定めるものであります。

 我が国がこの条約を締結することは、国際的な租税回避行為に更に効果的に対処するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約を締結することについて御承認を求める次第であります。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十九年四月以来、デンマーク政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成二十九年十月十一日に東京において、我が方外務大臣と先方外務大臣との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、現行の租税条約を全面的に改正するものであり、投資所得に対する源泉地国課税のさらなる減免、税務当局間の徴収共助の手続の整備等の措置を講ずるための規定等を盛り込んでおります。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、我が国とデンマークとの間での課税権の調整がより効果的に行われることとなり、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約を締結することについて御承認を求める次第であります。

 最後に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアイスランドとの間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 政府は、平成二十九年五月以来、アイスランド政府との間でこの条約の交渉を行いました。その結果、平成三十年一月十五日にレイキャビクにおいて、我が方在アイスランド大使と先方外務大臣との間で、この条約の署名が行われた次第であります。

 この条約は、日・アイスランド間で二重課税の除去を目的とした課税権の調整を行うとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであります。

 この条約の締結により、脱税及び租税回避行為を防止しつつ、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。

 よって、ここに、この条約を締結することについて御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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