衆議院

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第5号 平成31年4月3日(水曜日)

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平成三十一年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 若宮 健嗣君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武井 俊輔君

   理事 堀井  学君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      小田原 潔君    小渕 優子君

      黄川田仁志君    小島 敏文君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      杉田 水脈君    鈴木 憲和君

      鈴木 隼人君    中曽根康隆君

      福山  守君    堀内 詔子君

      三浦  靖君    山田 賢司君

      岡田 克也君    櫻井  周君

      山川百合子君    青山 大人君

      高木 陽介君    穀田 恵二君

      杉本 和巳君    玄葉光一郎君

      井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        あべ 俊子君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 秀樹君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         飯嶋 康弘君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 倉内 康治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           菅原 隆拓君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        斉藤 和重君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     福山  守君

  鈴木 隼人君     三浦  靖君

  辻  清人君     小島 敏文君

  中山 泰秀君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     辻  清人君

  福山  守君     黄川田仁志君

  堀内 詔子君     中山 泰秀君

  三浦  靖君     鈴木 隼人君

    ―――――――――――――

四月二日

 日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

同日

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(宮本徹君紹介)(第六三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

若宮委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官長岡寛介君、大臣官房参事官船越健裕君、大臣官房参事官宇山秀樹君、北米局長鈴木量博君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、水産庁漁政部長森健君、経済産業省大臣官房審議官松尾剛彦君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君、航空局交通管制部長飯嶋康弘君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、大臣官房審議官倉内康治君、大臣官房審議官深澤雅貴君、地方協力局長中村吉利君、統合幕僚監部総括官菅原隆拓君、防衛装備庁プロジェクト管理部長斉藤和重君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀井学君。

堀井委員 おはようございます。自由民主党の堀井でございます。

 質問の機会をいただき、委員長始め理事の皆様方に感謝を申し上げます。

 前外務政務官を河野大臣のもとで務めることができました。多くの国民が評価する河野大臣の外交のもとで仕事ができたことは私自身の誇りであり、自信を深めることができました。この経験を生かし、外務委員会の理事を全うするとともに、外務省の政策推進にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 実は、私は二月八日から二月十一日までの四日間、ロシア・サハリン州ユジノサハリンスク市を訪問してまいりました。

 訪問の理由は、第一回アジアの子供たち冬の国際スポーツ大会が開催され、我が国から六十四名の選手団を率いて、大会のアンバサダーとして参加をさせていただきました。参加国数は二十カ国、参加人数は千二百十五人でありました。

 ロシア側よりこの大会の開催の御案内と日本選手団の参加の要請を受けたのは、二年半前にさかのぼります。二年半前のこのころは、我が国のロシアとの外交状況を振り返ると、ロシアとの交渉に本腰を入れる安倍総理の強い決意が国民に示されたタイミングであり、この決意を受けて、自分ができるロシアとの友好関係構築に取り組みたいと胸にかたく決意し、外務政務官となってロシアの外交の一翼を担いたいと考え始めていたころでもありました。その後、ロシアを担当する外務政務官となったわけであります。

 ここからは、議員であれば誰もが経験されたことがある、政策を進めるときの壁、予算を措置するときの壁に行く手を阻まれる憤りの話をちょっとしたいと思います。

 しかしながら、選手団を結成して参加するための調整の現実は厳しく、外務省、スポーツ庁に相談しても、スポーツの国際大会参加のための経費負担はできない、スポーツ庁においては年度内での予算が既に決まっているなど、門戸はかたく閉ざされ、非常に丁寧に私を説得し、お断りをする方ばかりでありました。

 ロシアとの経済協力の八項目、スポーツ、文化芸術の交流から道を切り開こうと交渉しても、趣旨が違うとシャッターが閉まり、丁寧なお断りを受け、日本におけるロシア年、ロシアにおける日本年にかかわる事業から道を切り開こうと迫っても、スポーツ交流は含まれないと、物音立てずにゆっくりとシャッターが閉まっていく。

 某大手広告代理店に何億と予算計上することができても、ユジノサハリンスクに行く子供の航空運賃代、交通費にびた一文も捻出できない。私の試算では、約八百万程度の渡航費用、参加費用であります。

 最終的に示された参加実現の道のりは、北海道庁が主体的に選手団を派遣するというものでありました。国の政策、予算ではなく、道庁の政策、予算で行くこととなったわけであります。一年近く年月をかけて参加実現の道を探りましたが、国の予算化は許されず、交渉は決裂に終わり、最後のとりでとなった北海道庁に相談したところ、何と一発でオーケー。道議会議員に戻ろうかと思える瞬間でもありました。不参加を免れたことは不幸中の幸いであり、道庁の御英断に感謝し、当然のことながら、道庁に根回しをしていただいた関係省庁の皆様にも感謝せねばなりません。

 開会式では、選手団は日本国旗を先頭に、選手団の手には両国の国旗を持って、大きく手を振り入場行進いたしました。スタンドから観戦しているユジノサハリンスク市民から大きな拍手で日本選手団が迎えられたことは、これまでの前途多難な大会参加までの苦労の道のりを癒やすものとなり、その光景には感動を覚えるものがありました。

 ユジノサハリンスクに最も近い日本から選手団が参加していなかったらと考えたとき、私なりに想像いたしますと、幾つか例を申し上げます。最も近い国、日本はなぜ参加しないのだろう、韓国からは百人以上の選手団が来ているのに、日本はなぜ参加しないのか、両国の首脳が二十五回も会談する中で友好が深まっているのに、なぜ日本は参加していないのか、平和条約を締結したいと本当に思っているのだろうか、ロシアにおける日本年、日本におけるロシア年は終わったのかと思われたに違いありません。

 そこで、伺いたいと思います。

 ロシアにおける日本年、日本におけるロシア年と位置づけて行われた事業と執行された予算についてお伺いしたいと思います。また、サハリン州で行われた事業数と予算額もあわせてお伺いいたします。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本側が担当しておりますロシアにおける日本年では、経済、文化、科学、教育、青年・スポーツ・地域間交流等、幅広い分野を対象としておりまして、外務省のみならず、ほかの関係省庁、地方自治体、民間団体等においても事業を実施してまいっております。

 このロシアにおける日本年につきましては、二〇一九年三月末までに合計五百四十四件の行事が在ロシア日本国大使館の方に登録されておりまして、ロシア側が担当いたします日本におけるロシア年につきましては、約百五十件の行事がロシア外務省に登録されております。

 ロシアにおける日本年におきまして、外務省及び在外公館が主催した事業の数は二〇一九年三月末時点で合計百十七件でございます。その執行額は約十一億五千万円となっております。そのうち、サハリン州で行われました事業数は二〇一九年三月末時点で合計十六件、その執行額は約五千四百万円となってございます。

堀井委員 次に、日本とロシア経済協力の八項目のうち、芸術文化、スポーツの人的交流事業ではどうなっていますでしょうか。先ほどと同じく事業予算についてお伺いしたいと思います。うち、サハリン州の事業数と予算額もあわせてお願いいたします。

宇山政府参考人 委員御指摘の八項目の協力プランの人的交流分野につきましては、そのうち、芸術文化、スポーツに該当する事業としまして、外務省等が所掌しておりますロシアにおける日本年事業と、文部科学省が所管しておりますアジア地区スポーツ交流事業がございます。

 このうち、外務省等が所掌しておりますロシアにおける日本年の事業につきましては、まず二〇一七年度、これは日本年のオープニングが二〇一八年でございましたので、そのプレイベントという位置づけでございますが、二〇一七年度の事業数は五件、執行額は約三千五百万円でございました。そのうち、サハリン州を含むロシア極東で実施された事業が一件ございまして、当該行事全体の執行額は約一千四百万円となってございます。

 それから、正式にロシアにおける日本年が始まりました二〇一八年度につきましては、事業数は三十七件、執行額約十億円でございます。そのうち、サハリン州を含むロシア極東で実施された事業が四件、執行額約四千三百万円でございました。

 一方、文部科学省が所掌しておりますアジア地区スポーツ交流事業につきましては、二〇一七年度、日ロ間の事業数は三件、執行額は約六百万円でございました。そのうち、サハリン州における事業は一件、執行額は約百万円でございます。

 それから、文部科学省の事業につきましては、二〇一八年度は、日ロの事業数は四件、執行額は約七百万円でございました。そのうち、サハリン州における事業数は一件、執行額は約百万円でございました。

 以上でございます。

堀井委員 私は、極東地域、特にサハリン州の交流を更に促進すべきだと考えております。

 先日、北方四島に住んでいるロシア人の調査が行われましたが、島に住む八千人の九六%の方が、日本に領土を返還すべきではないという回答を出したようであります。

 お配りの資料をごらんいただきたいと思います。サハリン州の空港や町中で売られているお土産には、サハリン州の領土が印刷をされております。また、サハリン州を走る車には、窓にはこのステッカーが張ってあるわけであります。そういう車を数多く見ることがありました。

 サハリン州に住む方々の自国に対する愛国心、自分たちの領土に関する思いは、強烈な保守的思想が精神の中心にあるのだと考えさせられたわけであります。そこには徹底した教育も行われているのだろうと想像しました。訪問を通じて強く感じたわけであります。

 こうしたロシアの国境沿いに暮らす国民の意識を考えたとき、両国民には互いに許し合える意識の醸成を図ることが今こそ必要であると考えております。

 時間がないので一問ちょっと飛ばさせていただきますが、ぜひ、この極東を含むサハリン州にかかわる事業をふやすべきと私は考えております。

 河野大臣におかれましては、ドイツ・ミュンヘンにての安全保障会議の際、ラブロフ外務大臣と外相会談を行ったと承知をいたしております。この会談を受けて、日本の報道は一斉にロシアが交渉を先延ばししたと報道をされました。

 先延ばしせざるを得ない理由がロシア側にあるのだと考えておりますが、単刀直入に言うと、二〇一九年、ことしの九月にサハリン州知事選挙があり、連邦政府・与党候補が勝利するよう必勝体制をつくる必要がロシア側にあるからであります。普通に考えても、九月の選挙に影響するような日本との外交結果は出せないということは誰にでも理解ができます。事実上、交渉の膠着状態が選挙を終える九月まで続くんだろうと考えます。

 この時期は、両国の観光や教育に光を当て、観光振興、青少年の交流事業に数多く取り組むべきと考えます。先ほど、極東地域を含むサハリン州の予算についてお伺いしましたが、観光振興につながるビザの発給緩和や青少年交流事業についてどう取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ビザの発給の緩和でございますけれども、ロシアは訪日プロモーション事業の重点国の一つでございまして、外務省といたしましては、我が国の観光立国推進と日ロ間の国民交流促進といった観点から、ロシア人に対するビザ緩和を実施しております。

 この一環といたしまして、二〇一七年一月に数次ビザの発給要件を緩和いたしました。また、昨年十月には団体観光ツアー参加者の申請書類を簡素化いたしました。この結果といたしまして、昨年の訪日ロシア人数は約九万四千八百人と、対前年比で約二三%の増となりまして、過去最高を記録いたしました。

 外務省といたしましては、引き続き、ロシアに対してどういったビザ緩和が可能かということを検討してまいる所存でございます。

 それから、委員御指摘の青少年交流事業につきましては、一九九八年の日ロ首脳会談におきまして、日ロ間の国民レベルでの人的交流の抜本的拡充について合意されまして、一九九九年に日ロ青年交流協定が締結されております。この協定に基づきまして、これまでに延べ約八千二百人の日ロの青少年の交流を実施してまいりました。

 ロシアとの人的交流の抜本的拡充につきましては、さらに、二〇一六年十二月の山口県長門での日ロ首脳会談の合意を受けまして、安倍総理から提示した八項目の協力プランの一つでもございます。

 こういった青年交流の拡大は、日ロ両国国民間の相互理解を促進し、日ロ関係全般の強化に資するものと考えておりまして、今後とも、サハリン、極東も含めまして、その一層の促進に努めてまいりたいと考えております。

堀井委員 親日系、知日家を育てるアフリカのABEイニシアチブ、欧州のMIRAIプログラムのような、ロシア極東、特にサハリン州に焦点を当てた教育プログラムの促進と、より一歩踏み込んだ観光振興の取組を進めるよう求めたいと思います。

 私は、両国民が互いに許し合える環境づくりをすることが何より重要と考えております。では、どのようにしてその環境をつくり出していくか、いま一度再考する必要があるとも考えます。

 ロシアは、二〇一〇年、九月二日を第二次世界大戦の終了の日と制定し、極東各地域、ウラジオストク、ハバロフスク、ユジノサハリンスク、各都市で大規模な対日戦勝記念式典を開催しております。この式典では、大戦によって命を失ったソ連兵士に対して献花も行われています。

 そこで、これまで日本の国会議員又は外務省関係者がこの式典に参加されたことはあるのか、また、これまでロシア政府より我が国に対して参加要請があったのか、お伺いしたいと思います。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘の式典につきましては、過去にロシアのサハリン州政府の方から現地の日本総領事館に対しまして参加要請がなされたことがございます。

 ただし、外務省として承知する限りでは、日本の国会議員や外務省関係者がこの式典に参加したことはございません。

堀井委員 私は、互いに許し合える環境づくりのためには、ロシア、日本の両国で、さきの大戦に対して行われる記念式典には相互の訪問を実現させ、式典に参加し合い、献花し合うことを求めたいと思います。

 我が党の水落敏栄参議院議員が会長を務める日本遺族会においては、樺太・千島戦没者慰霊碑をサハリン州のスミルヌイフに建立をいたしております。ロシア連邦政府とサハリン州との幾多の交渉の末、両国の交渉のもとに慰霊碑建立を実現したということであります。慰霊碑の趣旨にはこう述べられております。さきの大戦にて樺太及び千島地域並びにその周辺海域で戦没された全ての人々をしのび、平和への思いを込め、かつ、我が国とロシアの両国民の信頼と相互理解の強化を目的とするとあります。水落会長は、日本遺族会とともに毎年欠かさずサハリン州を訪問し、追悼式を行っているようであります。

 そこで、毎年九月二日に行われる対日戦勝記念式典を、両国の平和を象徴する記念式典へと変わっていくようアプローチすべきと考えます。この対日戦勝記念日を平和の象徴となる両国の追悼式となるように試みてはいかがでしょうか。働きかけをする必要についてどう考えるか、外務省の見解をお伺いいたします。

宇山政府参考人 ロシアによる対日戦勝式典の関係でございますけれども、これは従来から対外的にも申し上げてきていることでございますが、日本政府といたしましては、ロシアにおいて九月二日が第二次世界大戦終了の日という記念日とされて対日戦勝記念式典が行われているということは、現在の日ロ関係にふさわしいとは言えず、また、日本国民の感情に鑑みれば残念であると考えております。

 ロシア側に対しましては、二〇一〇年に本件記念日が制定される前後に、このような日本側の考え方を伝えるとともに、これが日ロ関係に否定的な影響を及ぼさないよう適切な対応を申し入れたという経緯がございます。

 委員御指摘の点につきましては、こうした経緯、考え方を踏まえて、対応を慎重に検討する必要があると考えております。

堀井委員 両国で行われる式典の相互のハイレベルの訪問を行って献花することは、両国民が互いに許し合える環境づくりにつながると考えます。ぜひアプローチしていただきたいと思いますし、河野大臣には、どこかのタイミングでサハリン州を訪問をして、そうしたことを実現していただきたいと考えます。

 次に、ユジノサハリンスク訪問の際、二〇二一年、第二回の開催に当たっては、冬季子供スポーツ大会をロシアと日本で共同開催したいと要請を受けました。連邦政府、外務省と、ロシア・アジア・オリンピック委員会会長から、日本政府、外務省に対して、今後、本格的に共同開催について協議していきたいと相談を受けております。

 在ロシア日本大使館に対して働きかけはあったのか、また、駐日ロシア大使館、ガルージン駐日大使からこうした要請を受けているのか、確認したいと思います。

宇山政府参考人 これまでに、在日本ロシア連邦大使館の方から外務省に対しまして、アジアの子供たち冬季子供スポーツ大会の共同開催に関する働きかけを受けております。ガルージン駐日ロシア連邦大使から今里スポーツ庁次長に対しても働きかけがあったと承知いたしております。

 これまでにロシア側から在ロシア日本国大使館に対する働きかけがあったとは承知しておりませんけれども、アジアの子供競技会国際委員会側の方から在ユジノサハリンスクの我が方総領事館に対して働きかけがあったと承知いたしております。

堀井委員 ロシア側より第二回子供冬季アジア大会の共同開催の打診は、私の想像を膨らませるものとなりました。さきの大戦を乗り越えて互いに許し合える環境、両国民が領土の問題や平和条約を受け入れられる環境をつくるためには、両国が共通の目標をつくり、なし遂げたことの感動を共有し、たたえ合うことができること、それは何かと考えたときに、私は、三〇年冬季オリンピック・パラリンピックを日本、ロシアで共同開催するということを考えつきました。

 幸い、北海道は既に二〇三〇年冬季オリンピック・パラリンピックを招致することが決定をいたしております。ユジノサハリンスクは冬季スポーツ環境に適した地域でもあります。町の中心部から冬季スポーツ競技場まで十五分以内で行き来ができる、こうした条件を満たしている町は北半球でユジノサハリンスク市だけであります。北海道とサハリン州がオリンピックを通して一つになる、夢のある提案をしたいと思います。

 提案には答弁は求めませんが、最後に、一年間を通して、二〇一八年をロシアにおける日本年、日本におけるロシア年とし、政策推進を重点的に行い、大きな成果を残したと考えます。この交流の促進を今後も継続させる必要があります。外務省として、今後、ロシア外交、交流をどのように発展させていくのか、お伺いしたいと思います。

河野国務大臣 ロシアにおける日本年、日本におけるロシア年、相当多くの方が両国で参加をしていただきました。そうしたことを含め、文化交流、スポーツ交流を始めとした青少年交流あるいは人的交流というのは、今後も更に活発化していかなければならないものだと思っておりますし、それが政治や経済にもつながってくると考えております。

 外務省として、関係省庁あるいはさまざまな民間団体と一緒に、何ができるか、しっかり検討してまいりたいと思います。

堀井委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの櫻井周です。

 今月で平成が終わり、来月からは令和が始まるというこの時代の変わり目に質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 この元号ですが、これは大臣に通告をしていなかったんですけれども、実はこのような新聞報道がございましたので、ちょっとお尋ねをさせていただきます。

 原則西暦表記、外務省トーンダウン、こういう新聞記事がちょっと出ておりまして、昨日、大臣が記者会見で、外務省内での文書の西暦表記について述べられたと。外務省は原則として元号を使った和暦ではなく西暦を使う方向で検討していたが、トーンダウンしたというような趣旨の報道もされております。

 これはどのようにされるんでしょうか、大臣。

河野国務大臣 メディアが勝手にトーンアップして、勝手にトーンダウンして、やや困惑しておりますが。

 外務省はさまざま外国とのやりとりを当然にたくさん行うわけでございますが、その場合、西暦でやることがほとんどでございまして、平成にしろ令和にしろ、和暦で相手の国と年月日の話をするということはおよそ考えられません。相手の国とのやりとりを西暦でやっていたものを、公電なりメモなりなんなりの形で文書に直すときに、それを一々和暦に直す、あるいは和暦を併記する必要はないということを常々申し上げているわけでございまして、先方と西暦でやったものを文書にするときには、そのまま西暦にするということでよろしいというふうに思っております。

 他方、会計関係の文書ですとか、あるいは閣議に関連するような文書は、これは和暦を使っておりますので、これは当然に和暦で今後もやっていくということになります。

 令和が発表されて、元号に関する注目が集まるときに、外務省として、外務省がこれまでやってきた原則を確認するというのは当然のことだと思っておりまして、別に上げたり下げたりしているつもりはございません。

櫻井委員 外国とのやりとりがあるというのは、外務省だけでなく、民間企業でも、今どき多くの会社が外国とやりとりがあるということもあって、西暦表記を実務上されている会社も少なくないというふうには承知をしております。

 そういった意味で、外務省での仕事をされる上で、まさに働き方改革というのも昨今ずっと議論しているわけでございますので、効率よく、そして間違いなく仕事ができる体制をとっていただきたいということで、私から今の大臣の方針についていいとか悪いとか申し上げるつもりはございませんが、そういったことで、しっかりとやっていただければというふうにお願い申し上げます。

 それでは、質問の方に移らせていただきます。

 実は、おととい、四月一日に普天間飛行場所属のオスプレイが私の地元である伊丹空港に着陸をしました。一泊をして、昨日、伊丹空港から離陸していった、こういうことでございます。このことについて、大阪国際空港周辺都市協議会の会長である伊丹市長の藤原保幸市長から防衛大臣宛てに抗議があったというふうに承知をしております。これは防衛大臣だけでなく、国土交通大臣に対してもあったようでございます。

 まず、ちょっと防衛省にお伺いをしたいんですが、地元からの抗議をどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 事案の発生を受けまして、防衛省といたしましては、直ちに現地へ職員を派遣をいたしまして、発生時から離陸までの間、事実関係などを確認の上、速やかに関係自治体に情報提供を行ってまいったところでございます。

 また、アメリカ側に対しましては、安全管理の徹底等について申入れを行っているところでございます。

 今回の事案におきまして、機体の損傷ですとか人的被害、これは生じておりませんけれども、民航機の離発着に最大十九分の遅延が発生したということでございます。

 いずれにいたしましても、米軍機の飛行に際しましては安全の確保が大前提との認識のもと、引き続き、米側に対し安全管理に万全を期すよう求めるとともに、周辺地域の方々に不安感を与えることがないようしっかりと取り組んでまいりたいというように考えてございます。

 今回の申入れに関しましては、我々として重く受けとめて今後とも対応してまいりたいというように考えているところでございます。

櫻井委員 今回、速やかに周辺自治体等に連絡したということで対応いただいたという御答弁でございましたが、しかし、速やかにというのがまた微妙なところでございまして、連絡を受けた側の自治体の方では、速やかな連絡を受けられなかったということでまことに遺憾だ、こういうことだったと思います。

 また、平成二十七年、今から四年前にもこうした事象、このときにはオスプレイではなくて、ヘリコプター三機が伊丹空港におり立ったということでございまして、このときにも同様に、速やかに連絡してもらうように、それから、特に伊丹空港の場合には、民間空港であって、そして定期便が数多く就航している空港でございます。そういった意味で、また、市街地のど真ん中にあるということもありまして、安全確保というのは常日ごろから気を使っているところに予定外というか予想外のものが飛んでくるということになりますと、非常に危なっかしいということにもなります。

 こうした観点で、四年前にも地元から抗議の声が上がっていたかと思うんですが、また同じことが繰り返されたじゃないかということで、地元では大変問題だというふうに認識をしております。

 改めて、四年前の反省は生かされているんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案の発生は、四月一日の午後二時ころでございます。

 我々のクロノロジーによりますれば、三十分後の二時半ころには、空港周辺の関係自治体、それに加えまして、沖縄県と普天間基地が所属する宜野湾市に情報提供を行っているところでございます。

 いずれにしましても、我々としては、速やかな情報提供というのは非常に重要であると考えておりまして、今後とも、できるだけ速やかな情報提供が実施できるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。

櫻井委員 実は、私も衆議院議員になる前は地元の伊丹市で市議会議員をやっておりました。私自身、飛行場問題特別委員会というところの委員も務めておりまして、飛行場に関するさまざまな問題、関西経済の発展のためには必要不可欠な空港であるけれども、しかし、市街地にあって、長らく騒音問題で苦しんできた、安全のことについてもさまざまな懸念がある中で、非常に気を使いながら空港運営をしてきたという経緯がございますので、そうした経緯もしっかりと踏まえて対応いただきたいというふうに思います。

 そもそも、この伊丹空港、何度も申し上げておりますが、市街地にあって、便数も多いところでございます。なぜオスプレイがわざわざ伊丹空港に着陸をしたのか。特に何か機体の損傷があったわけではないとかいう先ほどのお話もありましたけれども、しかし、緊急着陸ということですから、一体何があったのか、ちょっと御説明をいただけますでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 米側に対しましては細部の事実確認を行っているところでございますが、これまでの説明によりますと、パイロットが、コックピット内の警告灯が点灯した、このために、標準的な安全手続に従って、安全に着陸できる空港に着陸をしたといったような説明を受けているところでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、米側には情報の提供を求めているところでございますので、追加的に御提供できる情報がありましたらば、適切な形で伝達してまいりたいと考えているところでございます。

櫻井委員 私の地元の伊丹市においても、一泊二日、オスプレイが飛来したということで、それなりに地元でもちょっとした騒ぎになったわけです。ふだん見かけない飛行機が飛んでいるなということで騒ぎになったわけでございます。

 ただ一方で、例えば沖縄県でありますと、日々アメリカ軍と向き合っている。総理も沖縄の心に寄り添う、こういうふうに日々おっしゃっておられるわけですから、私自身、こういうことはしっかりと、言うだけでなく、実行していただきたいなということを改めて要望させていただきます。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。日韓関係について少し質問させていただきます。

 今回の大臣の外交演説の中でも、「韓国に対しては、日韓請求権・経済協力協定、慰安婦問題に関する日韓合意など、国際的な約束事をしっかりと守ることを強く求めていきます。また、日本固有の領土である竹島については、日本の主張をしっかりと伝え、粘り強く対応します。」このようなお話がございました。

 一方で、平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談後の、共同記者発表されております慰安婦問題についてでございます。これの法的拘束力についてお尋ねをいたします。

 実は、その翌月、平成二十八年の一月八日の衆議院予算委員会におきまして、自民党の平沢勝栄議員がこのような質問をしています。「今回の合意を、外相同士の記者会見という形で発表されたわけですけれども、文書にしなかったわけですけれども、今回の合意というのはどの程度の拘束力を持つものなのか。」「韓国の中で野党は、政権がかわったらこれをまたほごにするというか、なかったことにするようなことを言っているやにも聞いておりますけれども、この拘束力についてちょっとお答えいただけますか。」というふうに質問されています。これに対して、当時の外務大臣、岸田外務大臣はこのように答弁しております。「世界を前にして両国政府が最終的、不可逆的な解決であることを確認することを明言した、このことは大変重たいものであると考えております。」

 結局、岸田外務大臣は、法的拘束力はあるのかどうなのかということについての平沢勝栄議員の質問に対して、法的拘束力があるとは答弁しなかったわけです。

 改めてお伺いいたしますが、平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談後の日韓外相共同記者会見発表の合意内容について、法的拘束力があるのかないのか、大臣、御答弁をお願いいたします。

河野国務大臣 この日韓合意は、二〇一五年の十二月二十八日、当時の岸田外務大臣と当時の尹炳世韓国外交部長官が協議を行い、韓国政府としての当該合意に対する確約を直接取り付けたものでございます。

 また、尹長官は、この会談後の共同記者発表の場で、この合意を日韓両国民の前で国際社会に対して明言をし、この日行われた両首脳間の電話会談においても確認された合意でございます。

 したがって、政府としては、最終的かつ不可逆的な解決であるとの韓国政府の明確かつ十分な確約を得たものと受けとめております。

 また、韓国政府は、今の文在寅大統領を始めとして、これまで繰り返し、最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意に関し、合意を破棄しない、日本側に再交渉を要求しない旨を対外的に明らかにしております。

 政府としては、最終的かつ不可逆的な解決であるとの韓国政府の明確かつ十分な確約を得たものと受けとめております。

櫻井委員 一方で、昨年十一月、韓国政府は、和解・癒やし財団の解散を進める、こういうふうに発表もしております。日本側に再交渉を求めないという観点においては、日本側にとって直接的に何か問題が起きるということではないのかもしれませんが、しかし、実態として、約束した内容が誠実に履行されているかというと、必ずしもそうではないのではないのか。問題解決について、つまり、こうした慰安婦の方々に対する癒やしといいますか、そういったことをしっかりと履行していくということが、果たして十分に今後できるのかどうなのか、ないしは、もう既に完了したから解散したということなのか。

 この和解・癒やし財団の解散ということがどういう意味を持つのか、何か不可逆的に解決したのかどうなのか、最終的な解決なのか、非常に危ういようにも思うんですが、この点、大臣、どのように捉えていらっしゃいますか。

河野国務大臣 韓国政府による和解・癒やし財団の解散への動きは日韓合意に照らして問題でございまして、これは到底受け入れられるものではございません。

 我が国は、韓国に対して、累次にわたり、日韓合意の着実な実施を強く求めてきているところでございます。

 この日韓合意は国際社会にも高く評価をされているものでございますから、韓国政府がしっかりとこの合意を着実に実施するよう、強く今後も求めていきたいと思います。

櫻井委員 日韓関係というのは、行ったり来たりというような形で、話を蒸し返した、蒸し返されたということの応酬であるようなところもあろうかと思います。そうではなくて、今後は着実に一歩一歩進めていけるような関係でありたい、あるべきだというふうにも考えるところですので、そういった観点から、交渉事においても確実に進めていけるような、例えば、前回のこの共同記者会見というスタイルは本当によかったのかどうなのか、文書を残せなかったのかどうなのか、また、文書を残すまでしっかりと煮詰めた方がよかったのかどうなのかということも含めて、韓国とのつき合い方を考えていただきたいなというふうに思います。

 一方で、河野談話についてもお伺いをいたします。

 平成五年八月四日の河野談話、これは河野洋平官房長官の談話でございますが、自民党の中では見直すべきとの声が上がっているという報道もございました。

 平成三十年の二月二十三日の衆議院予算委員会第三分科会で、本日も出席されておりますが、岡田克也議員が質問しております、河野談話についてどうお考えかと。これに対して大臣は、「この慰安婦問題についての政府の立場は、安倍総理の戦後七十年談話と日韓合意にあるとおりでございます。」というふうに答弁しておりまして、河野談話についてどう考えるのかということの河野外務大臣としての答弁、これは避けているように見えます。

 そこで、改めてお伺いしますが、河野大臣はこの河野談話を引き継いでいるのかどうなのか、お答えいただけますでしょうか。

河野国務大臣 安倍内閣として、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えでございます。

櫻井委員 今の御答弁で、河野外務大臣は河野談話を引き継いでいるというふうに承知をさせていただきました。

 これは言い方の問題かもしれませんが、引き継いでいないのではないのかというふうに受け取られると、韓国側からすると蒸し返されたというふうに受け取られかねない。我が方が相手に対して蒸し返しじゃないのかということを強く言うのであれば、我が方において、クリーンハンズといいますか、責められる点がないようにしっかりと、潔癖といいますか、クリーンであるべきだと思いますので、この点もよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、北方領土についても質問させていただきます。

 外務省に聞く前に、文部科学省にちょっとお尋ねをいたします。

 新学習指導要領において、北方領土について、我が国固有の領土として記載されていると承知しておりますが、それでよろしいでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば高等学校の学習指導要領においては、北方領土が我が国の固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題などを取り上げるということとされているところでございます。

櫻井委員 それでは、重ねて文部科学省にお尋ねしますが、学習指導要領においてそのように記載されているということは、学校現場では、北方領土は我が国の固有の領土である、このように教えているということでよろしいでしょうか。

矢野政府参考人 先ほど申しましたとおり、北方領土が我が国の固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題などを高等学校の学習指導要領において取り上げることとしており、各学校においては学習指導要領を踏まえて適切に指導がなされているものと考えているところでございます。

櫻井委員 それでは、今度、大臣にお尋ねをいたします。

 北方領土は我が国の固有の領土ということでよろしいでしょうか。

河野国務大臣 政府の立場に変わりはございません。

櫻井委員 最近、国会論戦の中でも、総理そして外務大臣が北方領土について我が国固有の領土だと言わなくなってしまったということで、それで本当に大丈夫なのか、こういう心配の声もあるわけでございます。それでちょっと確認をさせていただきましたが、大臣として、北方領土は我が国固有の領土だと明言していただいたというふうに受けとめまして……(発言する者あり)していない。していないというお答えもあるんですけれども、これは明言したと受けとめてよろしいでしょうか。

河野国務大臣 政府の法的立場に変わりはございません。

櫻井委員 明言したということの質問に対して、イエスかノーかというのが英語的に考えれば妥当な答えだと思うんですが、イエスでもない、ノーでもないというお答えだったということで、相変わらず明言はされないということで承知をさせていただきました。

 次に、二月十六日に河野大臣とそれからラブロフ・ロシアの外務大臣が会談を行ったということについて、これは公表されている資料についてでございますが、この交渉過程について、最近、大臣も、この委員会で質問されても、交渉過程のことについてはお答えしない、答弁しないということで、一向にどういう状況にあるのかお話ししてくださらないわけですが、外務省ロシア課が発表している資料におきましても、双方が受入れ可能な解決に向けて突っ込んだやりとりをしたとか、胸襟を開いた率直な議論、こういった形で、しかも、そこにアンダーラインを引いて強調している。これは要するに、何も決まらなかった、具体的成果がなかった、こういうことだと思うんですね。

 また、日程を調整していくことで一致といっても、これは結局、次の日程は決まらなかった、ただ、次、いつになるかわからないけれども会おうねという約束だけはした、こういうことかと思います。

 また、北方四島における共同経済活動について、早期実現に向けた具体的な進め方について議論ということで、これも議論はしましたということで、結局、議論はしたけれども進展はなかった、進展はなかったけれども物別れに終わったというわけではないということに尽きると思うんです。

 こうした中身のない説明といいますか、もう具体的な進展がなかったんだったら正直にそう書けばいいのにと思うんですが、こういう、ある種、説明になっていないような説明をやっているから、一体どうなっているんだ、こういうことになろうかと思うんですけれども、何かもう少し正直な説明の仕方というのはできないんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 交渉の中身を対外的に申し上げることは、手のうちをさらすことになりますので、差し控えているところでございます。

櫻井委員 一方で、安倍総理は、私たちの手で終止符を打たねばならない、その強い決意という、ある種、みずから背水の陣をしくようなことも言っているわけですね。これも、ある意味、交渉の手のうちを明かしていることになろうかと思います。

 こちらが本当にもう必死でやりたいんだ、安倍総理の任期も、自民党総裁として四期目は考えていないとおっしゃっているので、三期目ということになると、あと二年半ということになろうかと思いますけれども、その間にやるんだということになると、何か日本側は焦っているのかと、これもすごい手のうちを明かしていることになると思うんですね。

 プーチン大統領からすると、領土交渉をするというか、話をテーブルに上げるということだけ、ちらちらと領土交渉というのを見せるだけで日本側は経済協力のカードをどんどん切ってくれるということで、日本は何か気前よくどんどん経済協力のカードを切らされて、ある種、おいしいところだけ持っていかれちゃって、しかし、こちら側は領土というのを見せられるだけで一向に手に入れることがない。何か目の前にニンジンをぶら下げられた馬のような状態で、いつまでたってもそれを得ることができないということになってしまっているのではないのか。

 むしろ、こちらのカードをどんどん切ってしまっているから、これだったらもういつまでたっても解決できないんじゃないか。ロシア側もこれでおなかがいっぱいになっちゃって、こちら側は交渉のカードがなくなってしまう。交渉のやり方を根本から何かちょっと間違っているんじゃないのかと思うんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

河野国務大臣 そうは思いません。

櫻井委員 一方で、こうやって経済協力のカードを安倍総理が今のこの時期に切っていく。ロシアに対しては、やはりクリミア問題等があって欧米各国とも歩調を合わせているときに、ある種、それを裏切るかのようにロシアに対して経済協力ということになりますと、経済制裁に風穴をあけるということにもなりかねません。

 そうすると、一方で、日本は、ある種、裏切り者というような見方をされかねないわけですよね。まさに、ロシアが日本にこの時期寄ってくるというのは、そういった意味で少々つらいところがあるからこそ寄ってくるわけでございますけれども、こういったことをしていると、ほかのところに悪影響が及ぶことになるのではないのかというふうにも思うわけです。

 領土交渉を本当に進めようと思うんだったら、例えば、今から二十年ほど前、ロシアが本当に困っているような状況のときですと、これは経済的にも、それからNATOがどんどん東の方に侵攻してくる、こういう時期であればこそ我が国もいろいろ交渉しようがあったんだと思うんですが、今の時期に、無理に自分の政権のうちにやるんだというようなことで、焦ってやるとかえって失敗するのではないのか、足元を見られることになるのではないのか、大変懸念をするところでございます。

 大臣は今、そんなことありませんと御答弁いただきましたけれども、いや、そんなことあるんじゃないのかということも含めて、改めて、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 特にコメントはございません。

櫻井委員 外交交渉については大臣はコメントしないという立場で一貫しているということで、そういうふうにおっしゃるんだろうなとは思っておりましたけれども、その分、こちらも言いたいことは言わせていただくということにさせていただきます。

 続きまして、陸上イージスについて次に質問させていただきます。

 陸上イージス、イージス・アショアのシステム導入コストについて、もう既に予算も計上されておりますけれども、改めて、この導入コストとそれから三十年の運用コスト、それぞれ教えていただけますか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 まず、現段階におきますイージス・アショア二基の取得経費、教育訓練に係る経費、三十年にわたる維持運用経費の総額については約四千三百八十九億円と見積もっております。ただし、この経費には施設整備費やVLSなどの費用は含まれておらず、維持運用経費も現段階で判明しているものに限られているため、いわゆるライフサイクルコストではございません。

 防衛省としては、今後も米国政府と調整し、イージス・アショアのライフサイクルコストについて、しかるべき段階で公表する考えでございます。

 なお、ただいまイージス・アショアの導入コストについてのお尋ねのうちの、いわゆる平成三十一年度予算につきましては、イージス・アショア関連事業経費として約一千七百五十七億円を計上しております。このうち、イージス・アショア本体二基の取得経費として約一千七百三十三億円を計上しておりますが、この経費にはレーダーの取得経費も含まれているところでございます。

櫻井委員 今、ライフサイクルコストではないという御答弁でございましたが、ライフサイクルコストはいつ判明するんでしょうか。将来にわたって関係してくるものですけれども、トータルで幾らかかるかわからないと、これもまた今後の予算を考えていく上で非常に問題になってくるかと思いますので、ライフサイクルコスト、総額幾らかかるのか、いつわかるのかについて教えていただけますでしょうか。

小波政府参考人 失礼いたします。

 繰り返しになりますけれども、ただいま申し上げましたように、先ほど申しました四千三百八十九億円にはいわゆる施設整備費やVLSなどの経費は含まれておらず、ライフサイクルコストになっておりません。ですから、今後、これら施設整備費でありますとかVLSの経費等々が判明していきました段階で公表していく考えでございます。

 めどということでございますけれども、防衛省としては、今後も米国政府等と精力的に調整をいたし、イージス・アショアのライフサイクルコストについてできるだけ早い段階で公表できるように交渉していくつもりでございます。

櫻井委員 ちょっと、いつごろなのか、めどすらお答えいただけなかったので、改めて聞きますけれども、来年度の予算審議のときには既にわかっていますでしょうか。

小波政府参考人 失礼いたします。

 繰り返しになりますけれども、ライフサイクルコストとただいま公表いたしました四千三百八十九億円との間の、いわゆる施設整備費やVLSなどの経費が判明し次第公表するということでございますので、その点については御理解をいただきたいと思います。ただいま、これについては精力的に調整しているところでございます。

櫻井委員 今質問は、来年度予算、つまり令和二年になるんですか、令和二年度予算案の審議のときには出て、その資料といいますか、幾らかかるかというのがわかるかどうかを聞いているので、わからないんだったらわからないとお答えいただけますか。

小波政府参考人 申しわけございません。

 ただいま、繰り返しになりますけれども、施設整備費やVLSの予算などが判明した段階で公表するということでございますので、もし、来年度の予算審議の段階で判明しているようであればもちろん公表できておりますし、それについて、今この段階で、相手国政府等との関係もございますので、ちょっと明言することが困難である点については御理解いただきたいと存じます。

櫻井委員 いや、別に、わからなかったらわからないと言えばいいんですよ。わからないということは恥ずかしいことではないので。

 ただ、施設整備費ですとかVLSで、これは初めてのものではないと思いますので、他国でやっている例なんかもあるでしょうから、おおよそ幾らぐらいかかるのかぐらいはわかるかと思うんですよね。そういった桁数ぐらいは、一千万円かかるのか、一兆円かかるのか、そういったことぐらいは教えてくれてもいいんじゃないのかなと思いますので、引き続き、もうちょっとしっかり計算をしていただいて、おおよそのめどの金額も、来年度予算と言わず、せめてその前に教えていただきますようお願いいたします。また聞かせていただきます。

 ライフサイクルコストじゃないというお話でしたが、これまで、先ほど答弁いただいた四千四百億円弱の金額の中で、これはミサイルの費用というのは入っているんでしょうか。

小波政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、先ほど申し上げました経費においては迎撃ミサイルの取得費用は含んでおりません。迎撃ミサイルSM3はイージス・アショアと一体不可分のものではないため、従来からイージス艦とも切り離して別途管理をしているところでございます。

櫻井委員 そうすると、これはしかし、弾が入っていなかったらどうにも役に立たないわけですから、当然、弾、ミサイルは買っていただかなきゃいけないわけですが、何発ぐらい購入するつもりなのか、その見通しを教えていただけますでしょうか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 まず、前提といたしまして、イージス・アショアに用いることのできる迎撃ミサイルは海自イージス艦と基本的には共通でございまして、SM3ブロック1A、SM3ブロック1B、SM3ブロック2Aの三種類がございます。

 現段階におきまして、イージス・アショアに使用するミサイルの発数などについては検討中であり、また、これまでイージス艦用に取得してきたミサイルも転用可能でありますことから、今後必要となる総経費を現段階で見通すことは困難でございます。各年度、予算のたびに迎撃ミサイルSM3の取得経費を公表していく考えでございます。

櫻井委員 今、ミサイル購入の取得経費について、これは予算審議をするために金額を出していただくのは当然なんですが、これは、その金額で一体何発買えるのかということについては、つまり、大体一発幾らぐらいするものなんでしょうか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 まず、SM3ブロック2Aの平成三十一年度予算では三百三億円を計上しております。また、同じく平成三十一年度予算では、SM3ブロック1B、これが四百十五億円計上しております。

 これら総経費については予算の審議の段階で公表させていただいておりますが、一方、迎撃ミサイルの取得数、数でございますけれども、これを公にいたしますと我が国の具体的な防衛能力を露呈することとなるため、従来からお答えは差し控えさせていただいているところでございます。

櫻井委員 我が国の防衛能力の手のうちを明らかにすることになるから一発の値段はお答えできないという答弁でございましたが、しかし、これは日本が買う立場でございますけれども、これは売る立場もあるわけですね、アメリカ側はこれは売る立場です。

 アメリカがこういう最新兵器を海外に売るときには連邦議会の承認が必要ということで、例えば、前回、二〇一八年一月九日の、これはディフェンス・セキュリティー・コオペレーション・エージェンシーの記者資料でございますが、ここに、日本に対して売却しています、一億二千三百万ドルで四発売っていますと。つまり、一発当たり三千万ドル、大体三十億円か三十億円ちょっとですかね、それぐらいの値段で売っていますということをアメリカ側は公表しているわけですよね。

 ですから、もうアメリカが手のうちを全部ばらしちゃっているんですから、全然秘密にも何にもなっていないじゃないですか。そういうことで、本当にセキュリティー上必要だというんだったらちゃんとアメリカ側にも隠してくださいと言わなきゃいけないし、アメリカ側が出しているものを日本で、いや、手のうちをさらすから公にできませんと言うんだったら、これはもう国会というか国民をばかにした話でございますので、ちゃんと言ってくださいよ。一発幾らなんですか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 SM3の取得数、価格についてでございますけれども、これは繰り返しになりますけれども、従来から各年度におけるSM3の取得経費については公表している一方、取得数については、これを公にすると我が国の具体的な防衛能力を露呈することとなるため、従来からお答えは差し控えさせていただいているところでございます。

 今お話がありましたように、一発当たりの単価についても、これを公表すれば、取得経費をこれで割ることによって取得数が明らかになるため、公表できないことにつき御理解を賜りたいと思います。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、引き続き米側と調整を行い、弾道ミサイル防衛に万全を期すべく、SM3ミサイルの着実な整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

櫻井委員 いやいや、だから、アメリカはもうばらしちゃっているんですよ。

 これは、日本に対して売るときだけじゃなくて、このイージスシステム自体はアメリカはあちこちで売っているわけですから、売ったり持っていったりするたびに何発幾らで売りましたと発表しちゃっているわけなので、これは手のうちが明らかになっちゃっているんですよ。

 スタンダードミサイル3ブロック2Aですと大体一発三十億円ぐらいだともうばれちゃっているんですから、今さら隠したってしようがないでしょう、こういうことです。下手に隠すと、また防衛省は何か変なことをやっているんじゃないのかと、日報も隠すけれども、ほかのミサイルとかいろいろなものを何か変なところに隠しているんじゃないのかというふうになっちゃうので。

 ということと、それから、世界の情報戦といいますか、情報戦の九九%は公表された情報で行われているというふうにも言われたりします。日本の情報収集能力というのはアメリカの連邦議会の情報すら収集していないのか、ばかかということに、大丈夫かということにもなるわけですよね。

 ですから、もう既に公表されているものについてはしっかりと正直に国会で答弁いただくということで、どうですか、最後にお願いします。

小波政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの委員御指摘の米国政府の議会への報告につきましては、当然私どもも承知しておりまして、毎年そういう報告がなされていると承知しております。

 今回の報告ぶりにも、あくまでもそこの書き方は、ポッシブル・セール、売ることが可能なものはどれくらいかという書きぶりになっておりまして、その中から厳密にどれくらいの数をどういうふうな形というものではなく、いわゆる可能数の上限を報告しているというふうに承知しております。

 引き続き、防衛省としては、繰り返しになりますけれども、具体的な調達数量等については、我が国防衛能力の露呈との関係から、お答えを差し控えさせていただいているところでございます。

櫻井委員 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、何か今の最後の答弁も、人を食ったようなというか、頭隠して尻隠さずの答弁でございまして、こういうことではいけないということで、改めてちゃんと誠意ある答弁を今後求めてまいります。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 国民民主党の小熊慎司です。

 大臣におかれましては、お体を大切に御公務に励んでいただきたいと思います。大臣の体自身はお父様とお母様からもらった体ではありますが、外務大臣という立場でありますので、ある意味では公共財でもありますので、ぜひお体を大切にしていただいて、日本の外交のためにまた引き続き御尽力をいただきたいというふうに思います。

 訪日外国人客が年々ふえていて、本当に堅調に推移をしていますし、政府の取組、また各地域、また民間の方々のさまざまな努力によって、三千万人、四千万人という数字は、もう四千万人という数字も決して非現実的ではないような形で推移もしています。

 この中で、七割以上が中国、香港、台湾、韓国といった国々に集中しているのも現状でありますし、そうした国、地域のリピーターの方々も多く存在するというのも皆様御承知のとおりであります。

 そういった中で、いろいろな玄関口が、船でもありますけれども、とりわけ空での、飛行機を利用しての日本に入ってくる人たちも、地方空港の国際線のあり方といったものも、よくよく調べてみると、国においても、訪日誘客支援空港の認定等に関する懇談会で、地方空港への支援をしていくということで行っているわけでありますけれども、お配りの資料のとおり、残念ながら西高東低といった状況にあるわけであります。

 やはりこれは、もちろん距離的なものもあるのかもしれませんけれども、ある意味では、八年前の東日本大震災、東京電力の原発事故災害の影響もあるのかもしれません。日本全体で何千万人という実績を上げていますが、この地域的な偏りというのはやはり正していかなければいけませんし、とりわけこういう傾向にあるのであれば、国の支援も東日本側にしっかりと、更に強い支援をいただきたいなというふうに思っているところでありますけれども、こういった西高東低の状況を踏まえ、まず、どのように捉えられているのか、お聞きいたします。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 明日の日本を支える観光ビジョンが定めます訪日外国人旅行者数、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人という目標の達成に向けましては、地方創生の観点からも、国際線就航によります地方インそして地方アウトの誘客促進が大変重要であると考えておるところでございます。

 このため、議員御指摘のように、平成二十九年七月に、全国二十七の地方空港を訪日誘客支援空港としまして認定を行いまして、当該空港に対しまして、新規就航でありますとか増便への支援、旅客受入れ施設整備への支援等によりまして、各地における国際線就航に向けた取組を促進しているところでございます。

 各地域の取組とこれらの支援の効果から、三大都市圏を除きます地方空港への国際旅客定期便は、二〇一八年の冬ダイヤ期首におきまして、週に千百三十三・五便、対前年比でいいますと一三%の増加になるなど、順調に増加をしているところでございます。

 この中で、規模の大きい新千歳、福岡、那覇を除いた地方空港につきましては、同様に、二〇一八年冬ダイヤ期首での国際旅客定期便は、いわゆる東の方、関東、北陸、甲信越以北では合計週九十三便、そして、東海、近畿等以西では合計週二百二十七便となっておりまして、便数比較でいいますと、現時点におきましては、西日本での就航数が多くなってきているというふうに認識をしているところでございます。

小熊委員 もちろん、例えば、地方の空港でも大きいところへ行って、またそこから周遊してもらえばいいという考え方もありますけれども、地方の今言った大きな空港じゃなくて、私の資料にあるとおり、それぞれの小さな地方空港かもしれないけれども、それが直接海外と結びついていれば、そこからの広がりは大きいわけですよね。

 震災以降、四十七都道府県、どれも訪日外国人がふえていて、福島県は残念ながら余りふえていなかった中で、秋田県もへこんだんですよ、実は。これは何でと見たら、韓国との直行便がなくなって、途端にマイナスになっちゃったんですよ。そうすると、小さな地方空港は、それが開設されるか否かではすごく大きな違いが出てくるんですね。私のお配りしている資料のとおり、小さな空港で見ても、とりわけそっちの方が西高東低の割合が大きいわけですよ。福岡と千歳を比べたら、それはそんなに遜色ない感じにもなっていますけれども。

 その状況を踏まえて、このバランスをとらなきゃいけないんだというのが質問の趣旨で、西高東低の傾向はありますという認識でありますから、じゃ、具体的に、この状況を、それぞれ頑張ってくださいとやっていくのか、支援していくというわけですから、この西高東低を是正していくという取組ということに関してはどのようにお考えで、対策を打つのか、いや、特にありませんなのか、どっちですか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げたとおり、全国二十七の地方空港を訪日誘客支援空港として認定して、国際線誘致を促進する地域に対しまして総合的な支援というものを行っておるところでございます。この認定空港の中には、北海道の六空港を始め、東北地方でいいますと青森そして花巻、仙台、福島といった空港、さらには関東甲信越の空港も含まれているところでございます。

 この訪日誘客支援空港に対しましては、航空会社が支払う着陸料でありますとかグラウンドハンドリング費用を補助するなど新規就航や増便への支援というものを行うとともに、ボーディングブリッジでありますとか待合スペースを拡充するといった旅客受入れ施設整備についても支援を行っているところでございまして、航空局といたしましては、観光庁などと連携しながら、海外におけるPR活動も行っているところでございます。

 それで、特に東北地域につきましては、東北観光復興対策交付金という仕組みもあるところ、国土交通省といたしましては、引き続き、関係者と連携して、これらの支援を通じて、北海道、東北、関東甲信越を含めた地方空港への国際線就航促進に強力に取り組んでまいりたいと考えてございます。

小熊委員 復興のお金もありますけれども、今言ったように、二十七、総合的にということは平均的なんですよ。平均的にやっていけば、多少の差も出てくるかもしれないけれども、この差は埋まらないんですね。これは差を埋めてくれという話ですから。

 それは復興の予算でという話じゃなくて、直接担当としては、この差を埋めるということが日本を満遍なく観光を盛り上げるということになるから、この差はあるというのは認識していただいていますし、でも、支援となると、日本全国二十七、それぞれ総合的にというのであれば、これはこのままいくだけですから、この差を埋める努力をしてくれという話です。

 もう一回。

久保田政府参考人 先ほど、支援の中身としまして、例えばボーディングブリッジでありますとか待合スペースの拡充、こういったことに対しまして支援を行いますと申し上げました。これは、実はそれぞれの地元の御要望に基づいて私どもは対応しようと思っております。そういった中で最大限の配慮等を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

小熊委員 あと、相手の国また航空会社の意思もあるんですけれども、西高東低ということは、これは逆に外務省になってきますが、やはり日本の宣伝をどうしていくか、地域の宣伝をどうしていくかということにかかってくるというふうに思います。

 やはり、私も海外に行くと、東日本に対してはまだ国際的な風評被害が色濃く残っているということで、こうした結果にもなっているというふうに思いますので、そうした中で、今支援をしていただいているわけですけれども、チャーター便などもたまに飛んだりしますが、今まであった海外の路線は福島は今ありません。

 具体的に言うと、インバウンドの七割以上を占めるこの東アジアの地域で、中国の民間航空会社が福島と結びたいと言っても、実は中国政府がストップをかけていて、この委員の中にも、同僚委員も一緒に超党派で、武井委員と一緒に行きましたけれども、中国政府は、この福島の状況に関して、科学的根拠でいえば大丈夫だというのはわかっていますよということを言っていただきました。これは政治的な意味がありますということも言われました。政治的な意味においてこうした福島空港への就航をストップさせているということであれば、正しい情報発信をしてもこれは動かないわけでありますから、まさに日本の外交力が問われています。

 河野外務大臣が就任されてから日中関係の改善もなされているところでありますが、中国政府の役人がこれは政治問題ですとはっきり言いました、福島のこのいろいろな規制に関しては。それでストップもしているということも直接聞いています。そういう意味では、日本の河野大臣のもとで外交力を発揮していただいて、こうしたことを改善をしていただきたい、交渉していただきたい。常々言ってはきていますけれども、この点については、大臣、何かありますか。どうですか。

河野国務大臣 ことし、また日中ハイレベル経済対話を行う予定にしておりまして、国交省からも参加をしていただく予定になっておりますので、そういう場を通じてこうした問題を提起していきたいと思います。

小熊委員 ぜひお願いしたいと思います。

 私も中国の航空会社のCEOにも直接お会いして、ぜひ結びたいんだという話をしていました。(発言する者あり)今、言っていただけるということだったので、ぜひそのときも。

 具体的には春秋航空のCEOと私も会っていますけれども、ぜひ結んでいきたいということでもありました。でも、中国政府が許可をしない。中国政府は政治的案件になっちゃっているということをはっきり言っていましたので、ぜひ今度訪中されたときに具体的な進展があるようにお願いをしたいというふうに思っています。

 次に移りますけれども、現代に奴隷問題が存在すると言うと、日本人としては、そんなのあるの、全然知らない世界の話じゃないのかというふうにも受け取られます。現代奴隷法というのはイギリスとオーストラリアで最近制定をされていますし、アメリカにおいては、カリフォルニア州ですけれども、サプライチェーンに関する州法ができていて、結局、何かというと、この委員会でもやりましたけれども、IUU漁業とか、日本人が、直接ではないんだけれども、間接的に児童労働やそうした強制労働の産業を支えてしまっているという問題があるということです。

 これは先進国でもそうした意識の中でさまざまな取組をされていますし、河野大臣もお会いされたオーストラリアの前外務大臣の勉強会にも私は参加をして、この問題に触れることができましたけれども、現在、企業活動もグローバル化している中で、ビジネスと人権といった観点からさまざまな課題を解決しなければならないということが指摘されていますし、漁業や農業といった一次産業だけではなくて、さまざまな製造業の分野においてもこうしたことが指摘をされています。

 そうした意味で、これを改善していく上では、企業の責任といったものも大変大きなものがありますし、オーストラリアの前外務大臣の勉強会では、日本の大手小売業の方も取組を発表されていました。そういう意味では、ビジネスと人権というテーマで国際社会でも大きなテーマになっていますし、二〇一一年には、国連人権理事会において、国連の指導原則と呼ばれるビジネスと人権に関する指導原則、国連の保護、尊重及び救済枠組みの実施といったものが、日本も含む参加国全会一致で支持をされました。

 また、二〇一四年には、国連人権理事会決議においては、政府による指導原則の履行手段の一つとして、国別行動計画、NAPの策定が各国において奨励されていますし、また、二〇一五年のG7のサミット首脳宣言でも、この指導原則が強く支持されて、二〇一七年においては、G20のサミット首脳宣言においても、我が国を含む二十の各国が、ビジネスと人権に関するこうしたNAPなどの政策的な枠組みを構築することが求められています。

 我が国におきましても、こうしたコミットメントの一つとして、二〇一六年末にはNAPの策定を決定し、昨年六月に閣議決定された未来投資戦略二〇一八においても、この取組を促すことが明記をされています。

 また、この策定においては、SDGs、持続可能な開発目標の実現に向けた主要な取組の一つとしても我が国で位置づけられていますが、残念ながら、こうした取組をしていきますといろいろな首脳宣言でも確認をされているにもかかわらず、G7の中で取組がおくれているのは日本とカナダだというふうに指摘をされているところでもあります。

 ことし、G20が日本で行われます。主催する国として、この状況をこのままにしておくということは大変恥ずべきことだというふうに思います。G20も踏まえて、これからのこうした取組について、まずは、この国別行動計画に盛り込むべき優先分野の特定が行われなければなりません。この優先分野というのは、既に日本としては特定していて、どのような分野を優先的に取り組まなきゃいけないという認識になっているのか、まず現状をお聞きいたします。

長岡政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国は、人権を保護する国家の義務と人権を尊重する企業の責任についての原則を示した、国連のビジネスと人権に関する指導原則を一貫して支持しております。そのもとで、現在、ビジネスと人権に関する国別行動計画の策定をしております。

 この策定をするに当たって、まず、政府としては、現状がどういう状況になっているのか。企業活動というのは非常に多岐にわたりますので、かつ既存の法令もいろいろございますから、そういったものをしっかりとまず確認をした上で、また、さまざまな関係者、いわゆるステークホルダーの皆様から御意見を頂戴した上で作業を進めているところでございまして、現時点においては、優先分野の特定という作業を行っているところでございます。

 この作業のスケジュールにつきましては、本年前半に優先分野の特定を行うということを政府としては意思統一をしておりまして、その旨は既にホームページでも公表をしているところでございます。

小熊委員 今、取組の最中ですが、おくれているわけですよ。じゃ、具体的に、この国別行動計画というのはどのぐらいの目標で策定をするということになりますか。

長岡政府参考人 まず、本年前半に優先分野の特定を行いまして、それから、本年の後半に国別行動計画の原案をまとめて、来年の半ば、まだ具体的に何月とまでははっきりしていませんけれども、来年の半ばに国別行動計画を公表する、そういう大きなタイムラインのもとで、関係省庁が協力して鋭意作業しているところでございます。

小熊委員 できるだけ速やかに。だから、先ほど言ったとおり、G20がことし我が国で行われるわけですし、そのときにはよりもっと具体的な発表ができるように、ぜひスピード感を持ってやっていただきたいというふうに思います。

 先ほど言ったとおり、国際社会では現代奴隷制という言葉になっていますし、英国においてもオーストラリアにおいても現代奴隷法という言葉になっていますけれども、やはり日本人としては、現代の奴隷といってもぴんときていません。というのは、実態的には、日本の国内でそうした強制労働とか児童労働といったものはほとんどないからです。でも、間接的に関与しているというのは、アメリカに次いで日本は二位というふうな指摘もあります。

 確かに、私も、ずっと見ていると、野口博士が我が県出身の偉人でもあります、千円札になっていて、アフリカのガーナで亡くなっていますから、ガーナという国とも福島県は大いに親交があるんですけれども、例えば、チョコレートのカカオの輸入量は、日本は七割以上ガーナなんですね。私、子供に、チョコレートを食べるときにガーナという国を思いながら食べなさいよと言っているんですが、ここでも児童労働があるわけです。

 ただ単純に我々が食べているもの、いろいろな製品を享受はしていますけれども、その先にどんな世界が広がっているのかというのは、やはり日本は島国である以上なかなか感じないのかもしれませんけれども、これをしっかり認識していかなければならないというふうに思いますし、この委員会でも、過日の委員会でもやりましたとおり、水産国でもあって、輸入も大変している中で、この水産業においても児童労働、強制労働が指摘をされていて、アメリカではそれが問題視されて、新たな法律までつくられているという状況です。

 ということは、結局は、現代奴隷法という言い方も日本人にはなじまないので、まさにサプライチェーンのこうしたものを是正する、しっかりと規制をする法律といったものの制定が望まれると思いますし、さきに紹介した勉強会で、日本の大手小売業の課長さんも、こういうものは、一企業の努力でやっても、ほかの人たちがやらなければ、悪貨は良貨を駆逐する状況になってしまうということで、ぜひ制度をつくってほしいということも日本の企業からも言われました。正直者がばかを見るような状況を続けてはいけないというふうに思いますし、国際社会の中で日本が名誉ある地位を保つためにも、こうした問題を看過するわけにはいきません。

 そういう意味では、こうしたビジネスと人権という観点から、このサプライチェーンの透明化を図って規制をしていくような政策、仕組み、法律といったものが必要だというふうに思いますけれども、対応についてお伺いをいたします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省の関係でございますけれども、まず、議員御指摘ございましたように、グローバルに展開します企業につきましても、社会の一員として、社会的課題の解決に向けて、積極的な取組がますます重要になっているというふうに思っております。

 先ほど外務省からも御答弁ありましたとおり、政府全体として今国別行動計画を策定中でございますけれども、こうしたものを通じまして我が国企業に先進的な取組を促すことは、日本企業の活動におきます人権の保護を推進し、さらには日本企業の競争力の確保、向上にもつながっていくというふうに考えております。

 この点は、特にサプライチェーンにつきましては、産業界においても具体的な行動が出てきているところでございまして、具体的には、経団連におきましては、その定めております企業行動憲章におきまして、「すべての人々の人権を尊重する経営を行う。」ということを明記いたしましたほか、その実行の手引きの中におきまして、具体的なアクション項目として、グローバルな人権規範の理解、そしてデューデリジェンスと情報開示、さらには包摂的な社会づくりを通じた人権の増進、こうしたものを推奨いたしているところでございます。

 このような取組が進みますことは、関係企業の問題意識を高め、その取組を進める上でも大変重要というふうに考えております。

 私どもといたしましても、引き続き、関係省庁と連携を図りながら、政府全体の取組に貢献してまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 もう一歩踏み込んで言いますけれども、こうしたサプライチェーン上の問題を解決するのに法制化していくということが私は必要だというふうに思っています。今言った民間の努力では足りていかないし、この間、オーストラリアの前外務大臣ともしゃべって、オーストラリアでできたものは報告義務に罰金などの罰則がないんですね、それで国内でもいろいろな議論があったといいますけれども。

 単なる一企業の努力とか取組だけではやはりぬるいし、法律ができているオーストラリアでさえまだまだぬるいという指摘もあったりしていますし、ましてや日本は、法的な制度がない以上、企業の努力といったって、そこには何の縛りもないんですよ。さっき言っていたように、それでは正直者がばかを見る状況になりますし、日本の消費者が、善意のある消費者が、国際的にはそういう違法な、違法というか人権を無視したような、また国際上問題があるような産業を支えている国だ、消費者だという後ろ指を指されないようにしなければならないんです。

 そのためには、一企業や一団体の努力では到底これは対応できませんから、法制化といった取組についてはどうですか。やっていきますか。やる必要があるというふうに思いますけれども、もう一回お願いします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、経済産業省としての取組を一つ御紹介させていただきたいと思います。

 私ども経済産業省といたしましては、投資家と企業経営の、いわゆるESG、環境、社会、ガバナンス、それから非財務情報に関する対話、開示の手引ということで、価値協創ガイダンスというのを一昨年の五月に公表しております。

 本ガイダンスは、企業の自主的、自発的な取組の指針となることを期待して作成、提案されたものでございますけれども、ESGのいわゆるS、社会の要素については、ビジネスと人権もその要素に当然含まれているということでございまして、本ガイダンスでは、この要素につきましても、企業の中長期的な企業価値、ビジネスモデルの持続性に影響を与え、又は事業の存続そのものに対するリスクとなりますことから、企業においてその要素を特定して、その影響をどのように認識しているかを示すべきではないかというようなことを御提案しております。

 いずれにつきましても、この国別事業計画の中で今後どう取り組んでいくかを考えたわけでございますけれども、その中で、政府全体の議論の中で、私どもとしてもしっかり貢献をしていきたいというふうに考えております。

小熊委員 ちょっと前まで日本の外交は、価値観外交という言葉を使っていましたけれども、価値観外交という言葉を使って中国に対してもいろいろ日本政府は物を言ってきましたが、そうした価値観外交といった言葉を使っていたことを振り返ってみると、日本が国際社会の価値観から外れているんじゃないのと言われているような状況ですから、取組もおくれているわけでございます。

 ぜひ今後、まさに日本が国際社会の中でリーダー役として牽引をしていかなければいけない部分もいっぱいありますから、この点についてはおくれをとっていますし、とりわけこれは、想像していくと、今後中国も経済的にどうなるかわかりませんけれども、今、中国抜きでつき合える、産業が成り立つ国ばかりでもありますし、日本がこういった分野においてしっかりとリーダーシップを発揮していかないと、まさに人権とビジネスという意味においては中国もおくれをとっていますし、ある意味では中国に対して物が言えなくなる国にもなってしまいかねませんから、ぜひ具体的な、産業界の後押しじゃなくて、国が主体的にやるべきところもあるわけですし、それがまさに法律化をしていくということでもありますから、今後のNAPの策定の中でそうした取組が具体化されるように望みたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 これにあわせて、先日、訪日されたオーストラリアの前の外務大臣のジュリー・ビショップさんと河野大臣も会談をなされたということでありますが、大臣から、ビジネスと人権という問題解決のために、サプライチェーンの透明化などを目的とした現代奴隷法がオーストラリアで策定されていますけれども、こうした取組についてどのような見解をお持ちか、お聞きいたします。

河野国務大臣 オーストラリアも国別行動計画をまだ策定していないんだというふうに認識をしておりますが、昨年末でしたか、一定以上の規模の企業に対して、今おっしゃったような現代奴隷のリスクあるいはその対応策をどうするかということを、毎年でしたか、報告をきちっとせいというような法律をつくったそうでございまして、国内法を制定することによってこうした問題に対応していこうというのが今のオーストラリアのやり方なんだろうと思います。

 そういう意味で、計画をつくるだけでなく、何かそうしたことを法的にしっかり担保する、そういうやり方をオーストラリアはとったんだろうというふうに考えております。

 日本としても、委員おっしゃるように、国内でこうしたリスクはほとんどないわけですけれども、サプライチェーンの中でそういうリスクがあるというのは、これは常々指摘をされているところでございますから、日本政府としてしっかりと国際的な責任を果たしていきたいというふうに考えております。

小熊委員 ありがとうございます。

 関係省庁と連携をとって、大臣、リーダーシップを発揮していただいて、この問題に取り組んでいただきたいと思います。

 次に移ります。

 昨年は戊辰百五十年、場所によっては維新百五十年とか言っていたような感じでもありますけれども、我が県においても、私の地元会津だけではなくて、白河地方や二本松などでこうした歴史を振り返るさまざまな取組がなされてきたところでありますが、ことし百五十年というのも実はありまして、ことしはアメリカに日系移民が集団で入植した百五十周年の年になります。

 これは、カリフォルニアの州都であるサクラメントの近隣のところに初の日系アメリカ人の入植がなされて、今から五十年前の百周年のときは、ちょうど後に大統領になったレーガンさんが知事のときに、日系移民百周年という記念碑も当地につくられているところであります。ことしは百五十周年という年になって、六月に式典が行われます。

 この初の入植というのは、実は、戊辰戦争で疲弊した中で、新天地で会津藩の再興を願いつつ、プロシア人にお世話になりながら行った会津藩の人たちを中心とする一団でありました。まさに、ある意味では、福島県会津だけの歴史ではなくて、日系人全体の記念碑的な歴史でもありますし、ある意味では、ちょっと外形的には違いますけれども、東海岸のプリマスにある、まさにピルグリムファーザーズみたいな歴史的な意味合いがあるというふうに思います。

 この歴史認識に関しては河野大臣も承知をされていて、サンフランシスコに赴いたときに、総領事にこの取組を指示をしていただいたということも聞いております。私も先月行ってきまして、その式典に向けたさまざまな事前の会議をしてきたわけであります。

 それに先立って、じゃ、日本の支援がどうなっているか。総領事館挙げていろいろな取組をしていただいていますけれども、昨年はハワイで、ハワイ元年者百五十周年ということで、秋篠宮様も行かれましたし、日本政府としても、その記念式典に予算も多少つけていて、支援をしていただいているというふうに聞いていますが、改めて、昨年のハワイ百五十周年はどのような取組をしたのか、まずお聞きいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、昨年は、一八六八年の日本人による初の組織的な海外移住から百五十周年に当たりますことから、ハワイ現地の日系人や日系企業の関係者、総領事館員等から構成された百五十周年記念式典実行委員会が中心となって、様々なイベントの開催がされたと承知しております。

 このうち、中心的なイベントであります、昨年六月に開催された元年者百五十周年記念式典及びシンポジウムに関しましては、外務省は、日系移民の貢献を広く知らしめ、日米のきずなを深める目的で、開催費用の一部を支援申し上げたところでございます。

 また、同式典と同時期に、第五十九回海外日系人大会が現地で開催されたこともございまして、同式典に秋篠宮両殿下及び佐藤外務副大臣が参加いたしました。さらに、両式典とタイミングを合わせて、ホノルル総領事主催のレセプションを開催したところでございます。

 また、両式典以外の百五十周年関連イベントに関しましても、後援名義付与等の側面支援を行ってきたところでございます。

小熊委員 これはハワイの一地域、あの当時はアメリカではありませんでしたから、ハワイ王国でありましたから。

 今回の日系アメリカ人初の入植地である記念式典に関しては、先ほど言ったとおり、総領事館挙げて御支援はいただいておりますけれども、こちらの式典の方には、これは六月にありますが、具体的にどのような御支援をしていただけるんでしょうか。今の現状をお聞きいたします。

河野国務大臣 若松コロニー百五十周年ということで、今委員おっしゃいましたように、アメリカ本土へ組織的に渡ったということでは初めてのことでございますから、日系アメリカ人社会の中でも相当に注目をされることになると思います。

 昨年、サンフランシスコの総領事館に赴いたときに、そこのレセプションに、今回のイベントの主催者になりますARC、アメリカン・リバー・コンサーバンシーの方も来ていただきまして、そのときに、広報活動について少し支援が欲しいというようなお話もございました。

 そうしたことを含め、しっかりと、日系社会にはもちろんでございますが、そこに限らず、アメリカ社会に対してこういう歴史的なことがあったということがしっかり伝わるようにしていきたいと思いますし、今回の六月の記念イベントを始め、さまざまなイベントが行われると思いますので、総領事館を中心に、しっかりバックアップできる体制を組んでいきたいと思っております。

小熊委員 当時のカリフォルニアの新聞に、百五十年前の新聞に残っているんですけれども、連れていったプロシア人が、三十数名の一団であったんですけれども、この後何百人も連れてくる、会津松平家のプリンスも連れてくるという約束をしたんですね。

 今回、その六月の式典に向けては、会津松平家の第十五代の若君を連れていくということになっていまして、百五十年かかったけれどもしっかり約束を果たすということを、先日、私、現地に赴いてお伝えしたら、大変な盛り上がりをしていただいて、こうした百五十年の時を超えて約束を果たすわけですから、今言われた情報発信も、総領事館でやっていただいている情報発信はやはり日本のメディアが中心になっていますので、まさにこれは日本でも知っていただきたい歴史的な金字塔でありますけれども、日系アメリカ人のまさにファーストプレースの地でありますから、アメリカ又はアメリカ大陸にいるそうした日系人社会、また、アメリカは移民の国でありますから、さまざまないろいろなルーツを持った人種の人たちにも、まさに日系の最初の地があそこなんだということを知っていただくためには、アメリカの現地メディアの情報発信も必要になってくるというふうに思いますので、その点についてもぜひ。

 今のところ、まだそれは、総領事館に私行ったときに、具体的にはなっていませんでした。アメリカにいる日本のメディアの方には伝わっていたようではありますけれども、まだその辺が手薄でありますので、ぜひその点について更に御支援をいただきたいのと、あとは、記念式典に向けては、さらなる物心両面においての御支援をいただきたいのですが、ここでは具体的な答弁はできないでしょうから、この後に大臣含めちょっといろいろ交渉したいというふうに思いますが、大臣、よろしいでしょうか。

河野国務大臣 心の方はもちろん、物の方も可能な限りの支援はしたいと思います。可能な限りということでございますが、しっかり対応したいと思います。

小熊委員 この答弁をしっかりアメリカ側の主催者にお伝えをしたいというふうに思いますので、ぜひ約束を果たしていただけるように、義の心でよろしくお願いいたします。

 以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 三月十三日の質疑に引き続き、初めに、陸上自衛隊の海外での共同訓練に関する日報問題について原田防衛副大臣に質問します。

 前回の質疑で原田副大臣は、安保法制成立後の二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの間に陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練のうち、三つの訓練で日報を含む定時報告文書が作成、保有されていたことはお認めになりました。

 私は前回の質疑で、その三つの訓練日報の全文を早急に提出するよう求めたが、三週間近くたった一昨日、ようやく全文が提出されました。

 そこで、提出された三つの訓練日報を中心に原田副大臣に質問します。

 防衛省が提出した定時報告の文書は、第一空挺団が保有する、二〇一六年度にアメリカで行った米陸軍とのアークティックオーロラと、二〇一七年度にオーストラリアで行った米軍とのタリスマンセーバーの二つの日々報告、そして、第一三旅団が保有する、二〇一七年度にオーストラリアで実施した米豪軍とのサザンジャッカルーの週間隊務報告の計三つでありますが、定時報告の分量は訓練ごとに何日分なのか、簡潔にお答えください。

原田副大臣 今御指摘をいただいた順にお答えをさせていただきたいと思いますが、アークティックオーロラにつきましては日々報告として十九日分、タリスマンセーバーにつきましては日々報告として十一日分、サザンジャッカルーにつきましては週間報告として四週間分となります。

穀田委員 原田副大臣は前回の答弁で、海外での共同訓練は基本的に演習場等で計画的に訓練を実施するものなので、上級部隊へ定期的な報告をさせることは一般的でないというふうに強調されました。岩屋防衛大臣も三月十五日の記者会見で、共同訓練というのは、通常、一々日報をとっているものではありませんと述べています。

 それでは、なぜ三つの共同訓練では日報が作成されていたのか、作成の根拠は一体何なのかということが問われると思います。いかがですか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 陸上自衛隊が海外で実施する共同訓練につきましては、基本的に、今御指摘がありましたように、演習場等で計画的に訓練を実施するものであることから、防衛大臣や上級部隊の指揮官の判断に資するような定時報告を求めることは一般的ではなく、通常、訓練終了時に成果を報告をいたしておるものでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省においては、陸上自衛隊の海外での共同訓練に係る定時報告文書の保有状況について、防衛大臣の指示を三月二十九日に発出し、御指摘の三つの共同訓練において定時報告が作成された理由等について今調査中でございます。

穀田委員 二つ言っていますよね。一つは、前回の答弁と同じように、通常の海外でのやつはそういうことはないんだということと、もう一つは、改めて三月二十九日付で大臣指示を発して新しく調べることになったという二つのことを言ったというふうに理解していいですよね。

 そうしますと、私は前回の質疑で、三つの訓練でなぜ日報を作成、保有していたのか質問しました。その答えが相変わらずないわけですよ。なぜ日報が、これがあり、こっちはないというのがあるのかという問題が問われるわけですよね。

 それでいいますと、今副大臣は、三月二十九日に大臣の指示を発して新たに調査を始めている、それは極めて重大なことだと思うんですよね。問題は、その発する以前に、もともと私がそういう質問をしているのやから、なぜ保有していたのかということについて、保有しているわけですから、そこだけはあるわけですよね。では、既に三週間がそれからたっているわけで、保有する部隊に聞き取りすればすぐわかることなんですね、何で持っていたんやと。

 だから、そういうことについて言うならば、私はおかしいと思うんですね。通常、自衛隊という実力組織が上級部隊の指示や命令もなく定時報告を行っていたなどおよそ考えられないということは、誰の目にも明らかだと思うんですね。

 そこで、防衛省から提出を受けた二〇一六年度のアークティックオーロラの実施計画があります。これですけれども、こういうやつですよね、そちらが出していただいたやつなんですけれども。その実施計画、ここにあるわけですけれども、陸上幕僚長の指示に添付されていたものです。

 この実施計画を見ますと、確かに、報告事項には日報は含まれていません。しかし、陸上幕僚長の指示には次のように書いていまして、実施計画のほか必要な事項については担任官の定めるところによるとの記述があるんですね。そして、実施計画には、その担任官を中央即応集団司令官が務め、訓練部隊指揮官を指名すると定めています。

 このことからも、第一空挺団が保有する日報というのは、中央即応集団司令官などの統裁官らが別途定めた必要事項を根拠に作成されたのではないんですか。お答えいただきたいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 防衛省におきましては、先ほど申し上げましたように、陸上自衛隊の海外での共同訓練に係る定時報告文書の保有状況等について、防衛大臣の指示を三月の二十九日に出しまして、御指摘の三つの共同訓練において定時報告書が作成された理由について今まさに調査をしている最中でございます。

穀田委員 今のを聞いて、本当におかしいと思いませんか。さっきと同じことを言っているだけなんですよ。しかも、私、言いましたやんか。そんなもの、出している部隊があんねやから、どないなってんねんと聞いたらしまいのことですやんか。

 全体に調査をかけるなんて、それはそれでよろしいで。今お話があったように、私が前回指摘したときには、大臣の指示としてではなくて、部隊がやっているということでの調べをしているわけですやんか、みんな調べなさいよと言って。ところが、今副大臣がおっしゃったように、今回の新しい調査というのは、大臣が指示しているというのは、新たな段階に、ステージに上げたということは極めて重大な問題だと思うんですよ。

 だけれども、今、お話を何回もしていて、同じ答弁をしているだけなんですよ。前回から五回ほど同じことを言っているんですよ。でしょう。五回か六回かちょっと正確ではないけれども、要するに、そんなもの、出しているところが三つある、三つ、あんたのところはどないして出したんやと聞いたらしまいのことですやんか。そんなもの、ほんまにいかがかと思いますよね。

 防衛省の調査では日報が発見されなかったとされる他の共同訓練でも、例えば、二〇一七年度に行った米海兵隊とのアイアンフィストの陸上幕僚長の指示でも、やはり同じように、ここを聞いていてくださいよ、計画のほかに必要な事項については担任官である西部方面総監の定めるところによるとされているんですね。その担任官が統裁官を兼ねた訓練部隊指揮官を指名すると記されている。

 こうした記述からも、日報が発見されなかったという他の訓練でも、担任官などの統裁官らが別途定めた必要事項、先ほど述べましたよね、必要事項に基づいて日報が作成されていた可能性があると、私は一連の文書を見たってそうだと思うんですね。

 そこで、まあ、よう聞きなさい、そんな出てこぬと。原田副大臣は前回の答弁で、先ほど述べたように、通常、訓練終了後に成果報告させていると述べたわけですよね。その成果報告との関連ですが、防衛省の行政文書管理規則、これですけれども、これによりますと、例えば、意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして、長期間の保存を必要ないと判断される文書は、保存期間を一年未満とし、廃棄すると定めています。

 日報が発見されなかった訓練では、この規定に照らし、当該部隊が訓練終了後に成果報告の取りまとめを行って、日報は長期間の保存を要しないと判断して廃棄したということじゃないのか。

 岩屋防衛大臣は三月十五日の記者会見で、残っている記録、日報が少なかったと述べられたわけですが、この発言は、そうした扱いが行われた可能性があることを認識されていたからではありませんか。(発言する者あり)

若宮委員長 速記をちょっととめてください。

    〔速記中止〕

若宮委員長 速記を起こしてください。

 原田防衛副大臣。

原田副大臣 もともと存在したものであるか、あるいは、存在したものを廃棄したものであるのか、それから、もともとなかったものであるのか、その辺のところも含めて今調査をさせていただいておるところでございまして、繰り返しの答弁になりますけれども、共同訓練のうち、相手国との関係から公表していない訓練を除いたものを抽出した上で、みずからの上級部隊に対し定期的に報告した文書の陸上自衛隊における保有状況、作成状況、今申し上げましたように、廃棄の有無等について、今調査をしておるところでございます。

穀田委員 幾ら何でも、調査している、調査している、三月二十九日に始めた、指示を出したと。

 思い出してほしいんですが、私が言ったのは、去年五月十日に調べろということで通達したわけですよね。前大臣もいらっしゃいますから、よく御存じかと思うんです。五月の十日に調べろと出したんですよ。十一月末までに調べると言って、報告もしなかったという経過があるわけですよね。これは一年間たっているわけです。

 また、さっき、大臣は、残っている記録、日報が少なかったと述べたと。こういう発言についても調査するということになるわけですよね。いいんですね。うんと言ってはりますから、もう一々こっちに来てもらったら、また答弁の時間がもったいないですから。

 では、もう一度聞きますけれども、私は、岩屋大臣の発言についても調査をするということを、うんと言ってはるから、極めて大事だと思うんですね。

 私は前回の質疑で、日報を含む定時報告文書を保有している訓練と保有していない訓練がどうしてあるのか、保有していない訓練の中には廃棄したものもあるのか、徹底調査を行い、全てを明らかにするように求めたわけであります。そういう点から、そういうものも調査するということで、先ほど言ったようにやるわけですけれども、いつまでにその報告書を上げるんですか。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 はっきりした、ここで、いつということは、今のところ申し上げることができません。しかし、委員長も先日、早急にというお話もございましたので、鋭意、そのように、報告をできるように対応しておるところでございます。

穀田委員 私は三月二十九日に発している文書を持っていますけれども、防衛大臣の指示ということになっていますが、この期日は六月二十八日までになっていますよ。

 委員長と言ったのは、今、若宮委員長のことを指しているんですかね、早くしろと。

 私は外務委員会の理事懇で、こんないいかげんな話があるか、六月二十八日だと国会が終わっているやないか、終わっているときに、終わるまでに出して議論に付そうなどという態度はさらさらない、いいかげんにせいと言っているんですよね。去年も五月から一年かけて出し、今度は、指示を出しているけれども、国会が終わってから出しましょうかと言っている。そんなあほなことがあるかというんですよ。ACSAの問題の質疑にもこれは極めて重要なかかわりがあるということを知っていて、こういうことをやるねんからね。

 それで、六月二十八日というのは変えるんですか。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、本年六月の二十八日までにということで動いておりますけれども、できるだけ早い時期に御報告をさせていただくべく、今、鋭意努力をしておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。

穀田委員 理解できませんね。

 要するに、国会の審議で質問していて、国会の委員会の場でこの資料提出を要求して、ずっとやっているものをまたやるのかということを言っているわけで、そんないいかげんなことを言ったらだめですよ。

 もう時間があれですから、そもそも、安保法制の成立後、海外での共同訓練にどれだけ参加しているかということを聞こうと思ったんですけれども、もう皆さんにお出ししているので、これが出したものであります。

 その防衛省が提出した調査対象訓練リストでは、第一空挺団は、二〇一六年度のアークティックオーロラ、配付資料の訓練番号八番だけではなくて、二〇一七年度にも米陸軍とのアークティックオーロラを米国で行っています。それは訓練番号でいいますと二十番です。

 それなのに、なぜ二〇一六年度の日報しか保有していないのか。同様に二〇一七年度の日報も作成、保有しているのではありませんか。簡潔にお答えください。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のところも含めて調査をさせていただくということでございます。

穀田委員 あのね、そんな、おたくのところが出している資料の中にあるやつを、これは同じ訓練、年度が違っている、これは出ている、これはない、何でやと聞いているわけですやん。そんなこと、同じ調査をせんかて、聞いたらしまいですやんか。そんなもの、防衛省がおるんやから。こっちは日報が作成されている、同じ訓練でこっちは作成されていない、何でやと聞いているんやから、わかるでしょう、そのぐらいのことは。

原田副大臣 今御答弁申し上げましたように、それも含めて精査中でございますので、直ちに今ここでということは、答えは差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 皆さん、差し控えるというのは、あるけれどもやるということなんですよ、差し控えるというのは。でけへんというんだったら、でけへんと言ってくださいな。でけへんのでしょう、わからぬから。差し控えるというのは、あるけれども出さないというのが、今は別に万葉集までさかのぼらぬでいいけれども、そういうことでしょう。あかんで、それは。

 不可解なのはそれだけじゃないんですよ。

 二〇一六年十月から十一月にかけて、陸上自衛隊は日米共同統合演習に参加しているということで、これは訓練番号の十三番、キーンソードと呼ばれるこの演習は、安保法制に基づく初の共同訓練として、重要影響事態を想定し、中央即応集団や西部方面普通科連隊などがマリアナ諸島のテニアン島で水陸両用の作戦の訓練などを行っています。

 この訓練の実施計画があります。これですけれども、この訓練の実施計画は、統合幕僚長の指示に添付されていたもので、防衛省が情報公開請求に応じて開示した文書であります。

 実施計画では、演習の準備期間と実施期間について定時報告を行うよう求めており、そのための定時報告の様式まで定めているんですね。その定時報告の様式には、具体的には、一、部隊の活動状況、二、安全管理事項、三、予定主要演習行動などについて二十四時間ごとに報告するよう求めている。

 なぜこの訓練の日報は発見されなかったんですか。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 それも含めて、申しわけありませんが、調査中でございます。

穀田委員 委員長、改めてこういうのを、僕は国会の審議に対する冒涜だと思うんですよね。言えば、調べている、調べている、調べている、調べていると。

 これは去年の五月からやっているわけですやんか、私。それで、今ごろになって、新しい通達を出した、調べていると。しかも、おたくのところが出している、開示請求に基づく公開情報なんですよね。それも知らぬというわけにはいかぬのですよ。あんたのところが出してへんというのやったら、それはよろしいで。あんたのところが開示請求に基づいて出している。その内容を聞いていたら、調査しますと。そんなあほなことがありますかいな。

 出していないというのやったら、調査しますでしまいでしょう。開示請求に基づいてみんなにお知らせしているということについて、それを今ごろになって調査する、それは理が立たぬですよ。そんなことはだめですよ。もう一遍言ってくださいよ。

若宮委員長 もう一度御答弁をお願いいたします。

原田副大臣 繰り返しで申しわけありませんけれども、今調査をしている最中でございますので、御指摘を受けて調査をしている最中でございますので、ちゃんとした答えを今できないということで御理解をいただきたいと思います。

穀田委員 国会質問、論議というのは、おたくのところが出した資料に基づいてやっているものについてまで調査をしているなんて理屈は成り立たないんですよ。

 私が独自に提起したというので、しかも、おたくのところが、防衛省が今調べていますというのやったらわかりますよ。情報公開請求に基づいて開示したものについて聞いている。それも調査するといったら、我々国民は、開示されたものについて、それを聞いたら、いや、調査します、そんなあほなことがありますかいな。その内容はどうなっているのか、このとおりかと聞いていますねやんか。

 それを、国会の中で、前防衛大臣もいらっしゃいますけれども、私はこの問題について言えば、前防衛大臣、別に名指ししているつもりはないんですけれども、いろいろな方々は、その都度その都度明らかにするということを言ってはったわけですやんか。これは去年の五月から私はずっとやっているんですよ。しかも、情報開示でやったものまで、その内容について、おたくのところが出しているけれども、これは何やと聞いているわけですやんか。それについて調査します、そんなことがありますかいな。だめですよ、そんなの。

原田副大臣 お答えいたします。

 これから調査するということではありませんで、今まさに調査をしておるところでございます。

穀田委員 それは違いますよ。さっきどう言いましたか。

 ちょっと、私、時間との関係がおかしいと思うんだよね。三月の二十九日に発したという文書があるわけですやんか、これが。それで指示したとさっき言いましたやんか、調査しますと。その前から調査していたんやったら、さっき私が言ったことについて言えば、昨年、前にもう既に出ているものなんやから、答えることができるじゃないですか、それやったら。

 そんなわけのわからぬことを言ったらだめですよ、そんなこと。そんな、時間を費やすだけの、質問を浪費させるという政府のやり方は間違っていますよ。私は納得できませんよ。

原田副大臣 お答えをいたします。

 今お示しをいただきました訓練につきましては、先般の調査では該当文書が確認されておりませんけれども、時間をいただいて確認をさせていただきたいと思います。

穀田委員 いつまでにやるのかというのが一つ。

 それと、何度も皆さん方は、共同訓練では一々日報をとっていないということを言って、定期的な報告をさせることは一般的でないと説明してきているわけですよ。しかし、このキーンソードでは、さっき言ったように、報告様式、三つの話をしましたよね、報告様式まで定めて日報の作成を求めているんですよ。にもかかわらず、防衛省の調査では、この日報も、今おっしゃったように、発見されていないと。

 だって、自分のところで発見できない、ところが、情報公開では出している。あるということじゃないですか。だから、そういうことについては、改めて調査を行うことを理由にして、御自身の答弁にかかわる重大な疑問に正面から答えようとしない、しかも、時間を無為に過ごさせるということは、私は許せないと思うんですよね。

 したがって、日報作成は義務づけていない、一々とっていないと言いながら、実際は報告様式まで定めて日報の作成を義務づけている。もはや、これは防衛省の行政文書の取扱いレベルの話ではないと私は思うんですね。重大な虚偽答弁に当たる問題で、南スーダンやイラクの日報に続く、今お話ししたように、新たな日報隠しともいうべき問題だと思うんです。

 したがって、委員長に要請したいんですけれども、本委員会で、原田副大臣の答弁にかかわる問題、つまり、今お話があったように、事実関係を調査して、その結果を資料として提出することを要求したいと思います。

若宮委員長 後刻、理事会で御協議します。

穀田委員 大臣、申しわけありません。日豪円滑化地位協定、いわゆる円滑化協定について質問する予定でしたけれども、やめろと言うてはりますので、済みません、やめさせていただきます。

若宮委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本でございます。

 時間が短いんですけれども、まず、入管法の改正後、施行が一昨日ですか、ということで、ちょっと具体的なケースとして、愛知県の日進市で働くフィリピン人のお二人の女性の方が、日本に再入国というか、外国人の労働者の受入れに当たっての資格試験を本国で受けなければならない、一回帰国しなければならない、そんな環境があるというような報道が、NHKだったかと思いますが、あったかと思います。また、ベトナムのメディアも日本の外国人労働者の受入れ拡大のことを報じたりしていますが、これは、申し上げておきたいのは、外国の方々が日本で就労する環境といったものの整備、私どもは意を用いていかなければならないというのが、施行されて問題がまた出てきたので、改善を求めていきたいと思います。

 それと、もう一点、ちょっと大臣に御認識いただければということで、一方的に申し上げます。

 日本の再興、日本を元気にしていくとか、財政再建とか、いろいろテーマはありますけれども、一つの例として、イギリスが最低賃金を一九九九年からステップ・バイ・ステップで上げ続けていて、その結果、購買力平価ベース、米ドルベースですけれども、イギリスは九ドル台ですけれども、日本は六・五ドルという形になっていますけれども、結果として、最低賃金を上げることによって労働生産性が上がって、そして格差が縮小している。

 また、経済のインフレターゲティングの面でも二%を達成しているのはイギリスということで、ブレグジットで揺れてはいますけれども、一方で、最低賃金の引上げといったテーマを、労働政策という切り口ではなくて、経済社会政策的な切り口で改善をされているという情報が、デービッド・アトキンソンさんが書かれている本にちょっとありまして、確かに確認する必要はあると思いますけれども、外務省として、イギリスの最低賃金引上げ、これは地域別じゃなくて全国共通で上げているような形になっているようですけれども、ちょっとこういったテーマも外務省として検討、研究していただけないかなというふうに冒頭申し上げたく存じます。

 それで、きょうは、旧ソ連邦の国々との外交状況というのを、いわゆる地球を俯瞰する、地球儀を俯瞰するかもしれませんが、外交を、総理もですけれども、外務大臣も、極めて精力的に、訪問国数、延べの数でも、それからスピード感といっても、短期間というか、就任後の期間で活発に展開いただいていることは高く評価させていただきたいと思います。

 直近のニュースで、きょうも配られていた資料にありましたけれども、カザフの大統領が実権三十年を経て退任されると。ヌルスルタン・アビシェビチ・ナザルバエフ大統領は、日本にも、私がいつもヨルダン国王に来ていただきたいという話をさせていただく中で、直近で来ていただいているのが、二〇一六年十一月八日に、参議院の議場で公式実務賓客としてお運びになっておられたりしていますけれども、この方が十九日に退任を表明し、現在七十八歳、政権与党のヌルオタン党首は継続、国家安全保障会議議長もとどまるというような流れがある。

 一方で、ユーラシア経済連合というようなものがあって、その中で若干きしみが出てきていて、ユーラシア地政学という意味では、カザフに加えてベラルーシ、アルメニア、キルギスがロシアとともにこの連合体をつくっているようですけれども、ベラルーシのルカシェンコ政権も、ちょっとロシアに若干不満を口にするというようなことがあったりされているというような動きがあるようなんですけれども、いわゆるスタンの国々ですね、キルギスタンと昔はキルギスも言われたようなので。

 このスタンの国々との、大臣の訪問の状況とか外交の状況などを教えていただければと思います。

河野国務大臣 スタンの中からパキスタン、アフガニスタンを除いた中央アジアの五カ国で申し上げますと、九一年、中央アジア各国が独立をして以来、我が国とは非常に友好的な関係を築いてまいりました。

 近年では、二〇一五年に安倍総理が中央アジア五カ国を歴訪し、委員おっしゃいましたように、二〇一六年にはカザフスタンの大統領、二〇一八年にはタジキスタンの大統領がそれぞれ訪日されております。

 今、中央アジアにおける地域協力を促進する触媒になるべく、中央アジア五カ国プラスジャパン、こういう枠組みで対話を立ち上げまして、外相会合をこれまで六回、高級実務者会合、SOMを十三回開いてきているところでございます。

 次回の中央アジアプラスジャパンの外相会合は、現在の議長国でありますタジキスタンで開催をする予定で、今具体的な日程を調整し、近日開催をしたいというふうに思っております。

杉本委員 概観をありがとうございます。伺いました。

 本当に、資源のある、極めて我が国にとっても、いろいろな地域が大事ですけれども、おつき合いを深めていく必要がある国々だと思いますが、よく、中東でもイラクとイランが仲が悪いというような話は子供たちも知っているような話かもしれませんけれども、この五カ国の中の関係といったものを認識しておく。この五カ国内の国交、友好関係というのはいかなる状況にあるのか、外務省としていかに把握されておられるか。これは、官僚の方、お願いします。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中央アジア五カ国の間の関係はなかなか微妙なものがございまして、これまで、その間の協力というのは必ずしも緊密に行われていたとは言えませんけれども、近年は一定の進展が見られます。

 例えば、中央アジア各国の首脳間の相互訪問が活発化しておりますし、従来閉鎖されていた一部の陸上国境が再開されるとか、各国の首都の間を結ぶ直行便が就航するといった肯定的な事象が近年見られます。また、昨年三月には初めて中央アジア諸国の首脳会合がカザフスタンで開催されまして、地域共通の課題について意見交換が行われたと承知しておりまして、今後これが定例化されると聞いております。

 中央アジアの地域協力を促進する触媒としての役割に努めてまいりました日本政府といたしましては、このような中央アジア諸国間の協力の進展の動きを歓迎しております。

 先ほど大臣からも答弁申し上げました中央アジアプラス日本対話の枠組み等を通じまして、この協力の流れを引き続き後押ししていく考えでございます。

杉本委員 宇山参事官、ありがとうございます。わかりました。

 次に、旧ソ連邦の国々という形であったわけでございますけれども、現在は、それぞれの独立国で、五カ国内でも関係が強化されつつあるという状況を今伺いましたけれども、やはり中国の国力が増していっている。

 アメリカの引き続きのパクス・アメリカーナ的な世界の動きが若干変化しつつあるような中にあって、この五カ国のそれぞれの国々と、対ロシア、対中国、対アメリカ合衆国との関係というのをいかに外務省として掌握されておられるか、確認をさせてください。

宇山政府参考人 中央アジア五カ国は、いわゆる全方位外交を志向しておりまして、主要国とのバランスを重視する外交姿勢をとっていると認識しております。

 中央アジア五カ国は、いずれも一九九一年に独立する前は旧ソ連の一部でございましたので、伝統的にロシアとの関係が政治、経済ともに深いものがございます。

 例えば、ロシアが主導しておりますユーラシア経済同盟には、カザフスタンとキルギスが参加しております。同じくロシアが主導しております集団安全保障条約機構、これにはカザフスタン、キルギス、タジキスタンが参加しておりまして、この三カ国にはロシア軍の拠点も置かれていると承知しております。

 それから、中央アジアと中国との関係につきましては、近年、経済関係を中心に関係が強化、拡大されておりまして、中国との貿易額がロシアとの貿易額を上回っている国もございます。

 それから、米国との関係につきましては、ロシアや中国との関係と比べますとそれほど密ではございませんけれども、二〇一五年に、アメリカ国務省と中央アジア五カ国の外務省の間の対話の枠組みとして、C5プラス1というものが、Cというのは中央アジア、セントラルアジアのCでございますが、これが発足するなど、一定の良好な関係も保たれていると承知しております。

杉本委員 ありがとうございます。状況は、ざっくりですけれども理解をさせていただきます。

 次に、資源ということで、やはり大切な国々ということで、きょうは資源エネルギー庁の南資源・燃料部長さんにお運びいただいています。

 資源の現状、埋蔵量とか将来性とか、あるいは我が国のJOGMEC、あるいは、炎熱商人と最近言われなくなりましたけれども、商社各社の活動状況をいかに資源というくくりで見ていらっしゃるか。それとあわせて、環境の問題もやはりビジネスチャンスとして、鉱業活動にかかわって、環境対策もビジネスチャンスとしてあるのではないかと思われますけれども、この点についても言及いただければと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの五カ国は、石油、天然ガスなどのエネルギー資源や、ベースメタル、レアメタルなど鉱物資源が豊富に賦存している、そのように認識しております。

 例えば、カザフスタンにつきましては、二〇一七年末時点の石油生産量が日量約百八十三万バレルでありまして、これは世界全体の約二%を占めております。世界第十六位の産油国となっております。埋蔵量も約三百億バレルでありまして、世界第十二位という有力な石油産出国でございます。

 また、ウズベキスタンにつきましても、金、モリブデン、タングステンなど多様な金属鉱物が賦存しておりますし、特にモリブデンにつきましては埋蔵量は世界第十二位、金の生産量も世界第九位となっているところであります。

 こうしたこともありまして、我が国の商社やエネルギー企業は、JOGMECと協力しまして、経済性や政治情勢も見きわめつつ、これら天然資源の探鉱や開発に参画をしていこうということであると認識しているところであります。

 また、これらの国々におきましては、各国の事情に応じまして、砂漠化、森林破壊、温暖化などのさまざまな環境問題への対応が進められていると承知しております。こうした中で、環境対策に専門性や経験を持つ日本企業が活躍できる場面があるということを期待しているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。引き続き、大事な国々ですので、エネ庁としても頑張っていただければと思っております。

 最後の質問になってしまうと思いますけれども、中央アジア五カ国の重要性は改めて今も認識を深めさせていただきましたけれども、それ以外のコーカサス諸国との外交状況、独立三カ国、アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアとの関係はいかにあるか、御答弁いただければと思います。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のコーカサス三カ国でございますが、アジア、ヨーロッパ、中東の結節点に当たる、地政学上重要な位置にあると認識しております。

 日本は、従来、これら三カ国それぞれと友好的な関係を築いてきておりますけれども、これらの国々との関係を更に強化するため、昨年九月二日から六日にかけまして、河野外務大臣がアルメニア、ジョージア、アゼルバイジャンの三カ国を訪問されました。アルメニアとジョージアは日本の外務大臣としての訪問は史上初でございまして、アゼルバイジャンにつきましては十九年ぶりの訪問でございました。

 この訪問では、日本の対コーカサス地域へのアプローチといたしまして、国づくりのための人材育成と、インフラ、ビジネス環境整備、これを二つの柱とするコーカサス・イニシアチブを発表いたしまして、各国から歓迎の意が示されたところでございます。

 河野大臣のこの訪問を契機といたしまして、日本とコーカサス三カ国との関係の多面的な関係、協力の推進に一層努めてまいる考えでございます。

杉本委員 時間となりましたけれども、ユーラシア各国との関係、更に強化をお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 米国によるゴラン高原におけるイスラエルの主権の承認の問題について質問をいたします。

 まず、最近、中東和平の一丁目一番地に関連する大きな出来事があったわけであります。言うまでもなく、三月二十一日のアメリカの大統領布告であります。

 三月二十一日、トランプ大統領は、ゴラン高原へのイスラエルの主権を完全に認める日が来たとツイッター上で表明し、二十五日、ゴラン高原をイスラエルの一部であると認める米大統領布告に署名をしたわけでありますけれども、まず、これに対する日本政府の立場をお聞かせください。

河野国務大臣 我が国はイスラエルによるゴラン高原併合を認めない立場でございますので、この点において、今般発表された米国の立場と我が国の立場は異なっております。

玄葉委員 国連安保理は今申し上げるような決議をしています。

 二四二の国連安保理決議は、占領地からのイスラエルの撤退と中東地域の全ての国家の承認という原則に基づいて中東地域に永続的な和平を実現することを確認する。これが二四二の概要であります。

 さらに、安保理決議四九七は、イスラエルの法律、管轄権及び行政を占領地であるシリア領ゴラン高原に課すとのイスラエルの決定は無効であり、国際法上の効力を持たないことを決定する。占領国であるイスラエルがその決定を取り消すべきであると要求するというふうにしているわけであります。

 先ほど申し上げた、アメリカのこのゴラン高原におけるイスラエルの主権承認というのは、こういった国連安保理決議に真っ向から矛盾するのではないかというふうに思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 今お話のありました国連安保理決議二百四十二号及び四百九十七号と、今回のトランプ・アメリカ大統領のゴラン高原をイスラエルの一部であると認める文書への署名の関係は、これは一義的に米国が説明すべきものだと思います。

玄葉委員 一義的に米国が説明するものである、それはそのとおりだと思います。

 他方、日本として、この安保理決議に対して、米国の今回の承認行為というのは真っ向から矛盾するのではないかというふうに聞いているわけであります。日本政府としてどのように考えるかということであります。

河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本はイスラエルによるゴラン高原の併合を認めない立場でございますので、この点において、アメリカの先般発表された立場は我が国とは異なっております。

玄葉委員 結論から申し上げれば、先ほどの安保理決議に真っ向から矛盾する行為を、残念ながら、我々の同盟国、米国が行ってしまったということだろうというふうに思いますけれども、そのことについて日本政府又は河野外務大臣は発言をしないということであります。

 これは私は気になっていまして、河野外務大臣はもっと踏み込んで発言をされた方がよいのではないかというふうに思います。

 それはすなわち、外務大臣御自身が、日本がこの中東地域で歴史的にも宗教的にも中立的な立場であった、しかも、今もそうだ、したがって、そのプロセスを生かして、政治的な関与も強化する、取組も強化すると言ってきたわけでありますので、そういう意味では、同盟国、米国だからといって余りここで遠慮していると、河野外務大臣がこれから誠実な対話のファシリテーターになるのだと言ってきた、そのことが弱まってしまうんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 イスラエルのゴラン高原に関する問題について、我が国は我が国の立場をこれまで繰り返し表明をしてきたところでございます。その点について、中東のいずれの国も日本の立場について疑いがない、そういう状況だろうと思います。

 また、安保理決議の有権的解釈権は、これは安保理にあるわけでございまして、アメリカが行った行為について、これは一義的にアメリカが安保理決議との関係については説明すべきものでございますから、日本国政府がこの件についてどうこう申し上げる必要はないと思っております。

 我が国の立場はアメリカがとる立場と違うということも明確に申し上げてきているところでございます。

玄葉委員 これは一般論で、一般国際法上、武力による領土の併合というのは認められていますか。

河野国務大臣 一般論で申し上げれば、武力による領土の獲得は認めないということだろうと思います。

玄葉委員 その国際法上認められていない併合に対して、これを認める行為というのは、少なくとも国際法に反する行為というふうに一般的に言えるのではないでしょうか。

河野国務大臣 それは当事者が説明をすべきことだと思います。

玄葉委員 まずは一般論で聞いています。

河野国務大臣 一般論で申し上げれば、武力による領土の獲得は認めないというのが国際的なルールだと思います。

玄葉委員 その行為を承認する行為というのは、その行為というのは、いわゆる国際法上認められていない併合を承認をする行為というのは国際法に反するのではないですか、こう聞いています。

河野国務大臣 それは、それぞれの国が個別具体的な中で判断すべきことだと思います。

玄葉委員 フランスのマクロン大統領は、ゴラン高原におけるイスラエルの主権承認は国際法に反する、こうはっきり言っています。これはまさに政治的な立場としてそういう評価をするということを言っているわけで、私は、日本政府がこの言葉を避ける必要はないと思いますけれども、外務大臣、いかがですか。

河野国務大臣 このゴラン高原の問題について、我が国の立場はアメリカの立場と違うということを明確に申し上げてきております。

玄葉委員 私は、国際法に反する行為に対しては、たとえ私たちの命綱ともいうべき同盟国であっても、米国に対しても、しっかりと毅然と物を言った方がいいというふうに思います。奥歯に物が挟まったような形で、余りに遠慮する姿勢で、外務大臣がちゅうちょすべきではないというふうに思います。なぜなら、今も申し上げたように、米国という力というのは日本にとっては大事です。大事ですけれども、他方で、法の支配というのも日本にとっては生命線だというふうに思います。

 今回のイスラエルの主権承認に対する米国の行動というのは、いわゆる力による現状変更というものにつながっていく可能性があるというふうに思います。例えば、クリミア半島、クリミア併合におけるロシアの行為、あるいは南シナ海の人工島建設における中国の行為、こういったものとつながっていくのではないか。

 そのときに、法の支配、国際法で闘っていくわけでありますけれども、そういう極めてセンシティブな、重要な問題に対して、法の支配にかかわる最重要課題に対して、日本の政府がアメリカに遠慮して物を言わないということは、私は特に河野さんらしくないなというふうに思いますけれども。

河野国務大臣 先ほどから何度も繰り返しておりますが、アメリカの今回の立場は我が国の立場と違うということはちゅうちょなく申し上げているところでございます。

玄葉委員 ですから、例えばフランスのマクロン大統領は国際法に反すると言っているわけですけれども、それはそのとおりということでよろしいですね。

河野国務大臣 アメリカの行動が安保理決議とどう関係しているか、これは一義的にアメリカが説明すべきことだと思います。

玄葉委員 例えば、安保理のメンバー国であるイギリスとフランスとドイツ、ポーランド、ベルギーが公に共同で会見をしています。

 この中で何と言っているかといいますと、武力による領土の併合は国際法のもとで禁じられている。一方的に国境を変更するいかなる宣言も、法に基づく国際秩序の基礎及び国連憲章に反する。我々は違法な併合を承認することがもたらす、より広範な影響及び、より広範な地域的な影響を強く懸念する、こういうふうに述べているわけでありますけれども、こういった認識は外務大臣として共有されますか。

河野国務大臣 先ほどから繰り返しているように、アメリカの今回の行動はアメリカが一義的に説明すべきだと考えております。

玄葉委員 恐らく米国に対して相当遠慮した発言をしているのだろうということは予想、想像していたのでありますが、我々にとっての大事な米国が、残念ながら、このことで中東和平プロセスの仲介者たる立場から遠ざかる行為をしているわけであります。あわせて、米国のいわば信用、クレディビリティーが著しく低下する行為を行っているわけであります。

 我々は立場は違うとかということはおっしゃるんだけれども、もう少し踏み込んで、突っ込んだ発言をして初めて、私は、中東の中で外務大臣がファシリテーターになると言っているのであれば、日本として活躍するフィールドというのが開けてくるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 我が国は我が国の立場をこれまでも累次明確に申し上げてきているところでございます。

玄葉委員 もう一回、念のため確認しますけれども、ロシアにおけるクリミア併合とか南シナ海における中国の人工島建設についてはどういう見解ですか。

河野国務大臣 ロシアによるクリミア併合は日本は認めないという立場をとっておりますし、南シナ海についてもこれまで累次説明してきたとおりでございます。

玄葉委員 それはなぜですか。なぜ認めないんですか。

河野国務大臣 武力による領土の獲得は認められないということでございます。

玄葉委員 だとすれば、本当に法の支配という日本にとって極めて大事な問題が脅かされているわけでありますから、日本はここはアメリカに対してももっと物を言うという姿勢があっていい、少なくとも総理大臣が言えないなら外務大臣が言うべきだ、それでバランスをとったらいいというふうに私は考えております。

 きょうは恐らく平行線かなとは思いながら、ただ、フランスなどはかなり突っ込んで発言をしていますからね。フランスの代表は、安保理決議に背を向けるいかなる一方的な行動も失敗が運命づけられているということまで突っ込んで言っています。日本も同じように同盟国なわけでありますけれども、遠慮が過ぎるなというのが私の意見でございます。

 北方領土の問題をやろうと思って用意しているのでありますけれども、ちょっと時間がないので、通告しておりませんけれども、一つだけ、意見あるいは見解をお聞かせいただきたいと思っています。

 米朝の話で気になることが最近一つございました。同じ三月二十一日の出来事でありますけれども、米国の財務省が北朝鮮制裁を発表しました。中国所在の二団体を米国独自の制裁対象に追加指定するということを発表したわけであります。ムニューシン財務長官による発表であったわけでありますけれども、その後、御承知のとおり、トランプ大統領がツイートして、本日、米国財務省から北朝鮮に対する大規模な追加制裁が既存の制裁に加えて科されることが発表され、本日、自分はそれらの追加制裁の撤回を指示した、こういう報道がなされていますけれども、外務大臣はどういうふうにお考えになられますか。

河野国務大臣 日米間でこの米朝プロセスを後押ししていくためには、国連の安保理決議を国際社会が今までと同様にしっかりと履行していくことが大切だという確認をしております。今、日米両国で、国際社会に対して、この安保理決議の完全なる履行を再度働きかけをしているところでございます。

 アメリカが、それに加えて、個別的な制裁をこれまでも科してきたところでございますが、それは恐らく、アメリカなりのさまざまな理由があって科してきているものだろうというふうに考えております。それを行うか、取り消すか、これはさまざまな判断がアメリカの政府内であるんだろうというふうに認識をしております。

玄葉委員 前回の質疑で私ここで申し上げて、ここは見解はほぼ同じであったわけでありますけれども、非常にトランプ大統領の北朝鮮に対する向き合い方に危うさを感じるところがあるわけです。

 つまり、結局、この制裁は撤回されていないというふうに承知をしておりますけれども、今大事なことは、むしろ、追加制裁をしないとかということよりも、国連安保理決議を完全に履行することだというふうに思います。つまり、恐らくたがが緩んでいるんじゃないかというふうに思われる制裁について、それを締め直すということの方が、北朝鮮に対する向き合い方として正しいというふうに思いますので、どうもこういう報道があると、またかというふうに心配になりますから、やはり日本政府としてしっかりと注文をつけてもらいたい。

 どうもトランプ大統領以外の米国の関係の政府高官の大半はわかっているように感じますけれども、今回もボルトンさんなんかがかなり厳しく締め直しているんじゃないかと推測しますけれども、どうもこういう報道がありますので、よくよく注意をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

河野国務大臣 特にこの安保理決議の履行に関しては、日米間で、一つは瀬取りの対策、これは北朝鮮向けの石油、それから北朝鮮からの石炭、こうしたものを中心とした瀬取りをきちんと防ぐということと、もう一つは、北朝鮮によるサイバー攻撃による仮想通貨の奪取といったものについて、やはりしっかりと対応を強化していく必要があるということで認識は一致しておりますし、国際社会に対して、そうした両面についての働きかけをしているところでございます。これは、トランプ大統領以下、アメリカ政府の一致した動きだというふうに認識をしておりますし、だからこそハノイがああいうことになったんだろうというふうに思っております。

 今の時点でそのアメリカの方針に何ら変わりはないというふうに我々は認識しておりますので、今後とも、アメリカと足並みをそろえて、この安保理決議の完全なる履行のための瀬取り対策あるいはサイバーでの対策に努力をしていきたいと思っております。

玄葉委員 終わります。ありがとうございます。

若宮委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 本日は、横田空域について質問をさせていただきたいと思います。

 この間の総務委員会でも少し横田空域に関しては質問したんですけれども、もう少し突っ込んで質問をしたいと思います。

 資料二で横田空域をつけておりますけれども、横田基地の上空に、日米地位協定の六条それから合同委員会合意に基づいて、米側が管制するというような空域になっているわけですけれども、これについては何回か削減され、最終的には今の形になっており、横田空域の全面返還に関する条件の検討、これは二〇〇九年度に完了ということで、これについて今どうなっているんですか、資料も出してくださいということを総務委員会でも言っていたんですけれども、これについては出せませんということで、私も、やはり全面返還に向けて外務省にぜひ努力をしてほしいということで終わったわけですが、この点についてもう少し質問をさせていただきたいと思います。

 米軍がこうやって管制するという状況が今なお続いているというのは、これは非常に特異な状況だと思っていますが、まず、この横田空域の法的位置づけ、航空法上はこれは厳密な意味では適用されないということではあると思うんですけれども、まず、航空法上、米側の管制について、どういうような位置づけか、教えていただきたいと思います。

飯嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる横田空域において米軍が実施している管制業務は、日米地位協定に基づく航空交通管制合意に基づき行われているものであり、我が国が行うものと同様に、国際民間航空機関、ICAOの標準に準拠したものが提供され、航空機がこれに従うことで安全が確保されているところでございます。

井上(一)委員 もう一点、確認をしておきたいんですけれども、これは資料一で渡しておりますが、昭和四十三年に質問主意書が出され、それに対する答弁書が出されているんですけれども、この横田を始め米軍が管制を行っている空域、これについては、「米軍が進入管制業務を事実行為として行なうことを日米間で認めている区域にすぎない。したがつてこのような空域についても必要があるときには、いつでもわが国は進入管制業務を行ないうるものである。」というふうになっていますけれども、この考え方は今も維持されているかどうか、伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の主意書に対する答弁においてお伝えしている考え方につきましても、現在は変わらないものと考えております。

井上(一)委員 私、問題意識を持っているのは、仮に首都直下大地震が起きたときに本当に大丈夫なのかということなんです。

 東日本大震災でも、人命救助のヘリ、それから医療関係者を輸送する、それから救援物資を運ぶということで、多くの航空機が行き交いしたわけですね。国交省の方は、千五百フィート以下は、これは人命救助のためのヘリが飛んでください、千五百以上でないと報道のヘリ、民間のヘリは飛んではだめです、そういうように国土交通省の方で仕切ったわけですね。

 私は、この横田空域の存在がそういった、例えば人命救助のためのヘリがここを飛ぶ、それから多くの医療関係者を運んだ航空機がたくさん東京に来る、そういうときに、この横田空域が支障になってはならないし、私は支障になる可能性があるのではないかと思っているんです。

 この点について、いろいろ政府としても、首都直下大震災が起きた場合の航空管制のあり方、こういうことについて検討されていると思いますが、今の状況について教えていただきたいと思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 首都直下地震時の航空機の安全対策につきましては、平成二十年三月に、関係省庁、日本新聞協会等の関係協力団体の合意のもと、首都直下地震時における救援航空機等の安全対策マニュアルを内閣府防災担当で取りまとめてございます。

 本マニュアルにおきましては、ヘリコプター等の安全運航確保手段及び関係機関等の役割分担を定めておりまして、例えば、救助・救急ヘリコプターと報道ヘリ等との活動空域を区分する考え方などを定めております。

 マニュアル策定後十年を経過したところでもございますので、現在、実動省庁及び関係協力団体との間で改定作業を進めているところでございます。

 御指摘の米軍との関係につきましては、本改定後、訓練等を通じまして、米軍を含めた関係機関、関係協力団体、関係都県との連携を図ってまいりたいと考えております。

井上(一)委員 先ほど政府の方から説明がありましたように、このような空域についても、必要があるときはいつでも我が国は進入管制業務を行うということですので、やはり日本側が主体的に管制をすべきだ、そういうことを前提に米側とぜひ調整していただきたいと思います。

 ちょっと観点を変えて、この横田空域の上空というか、政府専用機が海外に飛行する際にこの横田空域を通過することはあるかどうか、事実関係を聞かせていただきたいと思います。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 政府専用機による要人輸送等に当たっては、民航機と同様の飛行経路を飛行することが一般的であることから、現時点で同機が現に設定されているいわゆる横田空域を通過した実績は確認されていないところでございます。

井上(一)委員 聞いたところ、やはり自衛隊機等はここの横田空域を通過することもあるということですので、やはり政府専用機なんですから、これはもう通告ベースでここを通過するよといって通過すればいいんだというふうに私自身は思っているんです。

 いずれにしても、時間がありませんので、最後に大臣に、この間も外務省の方には、この横田空域の全面返還について、外務省としてももっと努力していただきたいということを申し上げたんですけれども、この全面返還について外務大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

河野国務大臣 横田空域の返還につきましては、我が国の空域を一元的に管制することが望ましいという観点から、米国としっかりと調整を今後してまいりたいと思います。

井上(一)委員 では、以上をもって終わりたいと思います。

     ――――◇―――――

若宮委員長 次に、日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣河野太郎君。

    ―――――――――――――

 日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

 日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 平成二十三年八月以来、カナダ政府との間でこの協定の交渉を行った結果、平成三十年四月二十一日に署名が行われました。

 この協定は、日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における、それぞれの国の法令により認められる物品又は役務の提供に係る決済手続等を定めるものです。

 この協定の締結により、日本国の自衛隊とカナダ軍隊がそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 平成二十九年一月以来、フランス共和国政府との間でこの協定の交渉を行った結果、平成三十年七月十三日に署名が行われました。

 この協定は、日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における、それぞれの国の法令により認められる物品又は役務の提供に係る決済手続等を定めるものです。

 この協定の締結により、日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊がそれぞれの役割を一層効率的に果たすことを促進し、国際の平和及び安全に積極的に寄与することが期待されます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

若宮委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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