衆議院

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第6号 平成31年4月10日(水曜日)

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平成三十一年四月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 若宮 健嗣君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武井 俊輔君

   理事 堀井  学君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      池田 佳隆君    小田原 潔君

      小渕 優子君    大隈 和英君

      神谷  昇君    黄川田仁志君

      高村 正大君    杉田 水脈君

      鈴木 憲和君    鈴木 隼人君

      辻  清人君    中曽根康隆君

      三ッ林裕巳君    山田 賢司君

      吉川  赳君    岡田 克也君

      櫻井  周君    山川百合子君

      青山 大人君    高木 陽介君

      赤嶺 政賢君    杉本 和巳君

      玄葉光一郎君    井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   外務大臣政務官      辻  清人君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   防衛大臣政務官      鈴木 貴子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡野 正敬君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田村 政美君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    正木  靖君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       林  俊行君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 秀雄君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           菅原 隆拓君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        斉藤 和重君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     吉川  赳君

  中山 泰秀君     大隈 和英君

  穀田 恵二君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     神谷  昇君

  吉川  赳君     池田 佳隆君

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     佐々木 紀君

  神谷  昇君     三ッ林裕巳君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

四月八日

 東京・横田基地へのオスプレイ配備撤回とすべての飛行・訓練の中止に関する請願(宮本徹君紹介)(第六六五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)


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     ――――◇―――――

若宮委員長 これより会議を開きます。

 日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官大鷹正人君、大臣官房審議官飯田圭哉君、大臣官房審議官岡野正敬君、大臣官房参事官田村政美君、大臣官房参事官船越健裕君、欧州局長正木靖君、内閣官房内閣審議官三貝哲君、国土交通省水管理・国土保全局次長林俊行君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君、大臣官房審議官深澤雅貴君、防衛政策局次長石川武君、防衛政策局次長鈴木秀雄君、統合幕僚監部総括官菅原隆拓君、防衛装備庁装備政策部長土本英樹君、プロジェクト管理部長斉藤和重君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高村正大君。

高村委員 おはようございます。自由民主党の高村正大です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございました。早速ですが、質問に入らせていただきたいと思います。

 河野外務大臣、G7外相会合、本当にお疲れさまでした。

 本日の議案はカナダ、フランスとのACSA締結に関する件でありますが、G7外相会合に出席された直後ということで、一つだけ先に伺わせていただければと思います。

 先週、前回の外務委員会でも議論がありましたが、米国のトランプ大統領がゴラン高原におけるイスラエルの主権を承認した件について伺いたいと思います。

 この件は明らかに国連安保理決議に矛盾するものではないかと思います。G7外相会合を経て、この件に関する日本政府の見解を改めて教えてください。よろしくお願いします。

河野国務大臣 先般、トランプ米大統領がゴラン高原をイスラエルの一部であるとする文書に署名をした、このことについて、先週の外務委員会でも玄葉委員から御質問をいただきました。

 本件に関する日本政府の見解について、改めて申し上げたいと思います。

 一般に、国際法上、武力により占領した領土を一方的に併合する行為は認められないというのが原則でございます。我が国はこのイスラエルによるゴラン高原の併合を認めないという立場をとっております。

 この点、一九八一年に全会一致で採択された国連安保理決議第四百九十七号は、イスラエルの法律、裁判権及び行政を占領地であるシリア領ゴラン高原において実施するとのイスラエルの決定が無効であり、国際法上の効力を持たないということを決定する旨規定をしております。

 先般のアメリカの行動と国連安保理決議との関係については一義的にアメリカが説明すべきものだというふうに考えますが、アメリカによるゴラン高原におけるイスラエルの主権の承認は、関連する安保理決議とは相入れないものというふうに考えております。

 この点につきまして、四月五日、フランス・ディナールにおいて開催されたG7外相会合の機会に、私からアメリカを代表して出席をしましたサリバン米国務副長官に対しても説明をし、五日及び六日にかけて開催されましたG7外相会合で中東和平についての議論がございましたが、我が国としては、この件をめぐる動向については注視している、中東地域の安定を実現するという観点から、アメリカを含む関係国と今後一層緊密に意思疎通を図っていきたいというようなことを申し上げました。

 この件を含め、これからの中東情勢につきましては、アメリカを始め、さまざま、G7各国あるいは関係諸国と緊密に連携をし、意見交換を密にしていきたいというふうに考えているところでございます。

高村委員 河野大臣、ありがとうございました。先週よりもかなり突っ込んだ御答弁をいただけたと思っております。

 続きまして、本日の本題であるカナダ、フランスとのACSA締結に関する件について質問に入らせていただきたいと思います。

 今回、カナダ、フランスとのACSA締結は、二〇一七年に発効した日米、日豪、日英に続いてということになりますが、なぜ今回、このタイミングでカナダ、フランスとACSAを締結するのでしょうか。今回の締結の意義、そして経緯について教えてください。よろしくお願いします。

河野国務大臣 我が国とカナダ、フランスは、基本的価値を共有するG7のパートナーということで、国際社会の平和と繁栄に貢献すべく、さまざまな課題について緊密に連携をして取り組んできているところでございます。安全保障や防衛の分野におきましても、カナダ、フランスとの間ではかなり緊密な協力関係を近年築いてきております。

 例えば、自衛隊は、カナダ軍、フランス軍も参加した国連PKO活動、あるいは外国での災害救援活動などに参加をした実績があるほか、近年、カナダ、フランス両国と二国間の共同訓練を実施する、こういう機会、あるいは多国間共同訓練にともに参加をするという機会もふえてきているところでございます。

 このような経緯を踏まえて交渉を行った結果、カナダとは二〇一八年四月、フランスとは二〇一八年七月に署名するに至りました。

 ACSAは、自衛隊と相手国の軍隊との間の物品役務の相互の提供に適用される決済などの枠組みを定めるものでございまして、ACSAを締結することにより、自衛隊とカナダ軍、フランス軍との間で物品役務の提供を円滑かつ迅速に行うことが可能となります。

 カナダ、フランスとの安全保障、防衛協力が拡大する中、ACSAを締結することは、自衛隊とカナダ軍、フランス軍との間の緊密な協力を促進するものであって、我が国の安全保障に資するのみならず、我が国が国際社会の平和及び安全に積極的に貢献する、寄与することにつながっていくものと考えている次第でございます。

高村委員 ありがとうございました。

 若干今の御答弁とかぶるかもしれませんが、今現在時点で、カナダ及びフランスと日本は安全保障面でどのような協力を行っているのか、もう少し具体的に教えていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

正木政府参考人 それでは、私の方から、それぞれの国との安全保障面での協力について簡単に御紹介させていただきます。

 まず、カナダでございますが、カナダは、太平洋国家として、近年、アジア太平洋地域への関与を強めておりまして、その一環として、我が国との安全保障、防衛分野での協力に積極的な姿勢を見せております。

 二〇一八年十一月に行われました日加首脳会談でも、安保、防衛協力を含む日加間の戦略的関係を一層深めていくことで一致いたしました。また、自衛隊とカナダ軍との間の協力はこれまでも活発に行われておりまして、どちらもPKOあるいは国際緊急援助活動に参加してきたほか、二国間訓練や米国等が主催する多国間の共同訓練にも多数参加しております。

 フランスにつきましては、インド太平洋地域に海外領土を有するインド太平洋国家として、インド太平洋に関するビジョンを表明し、同地域へのさらなる関与の方針を打ち出しております。

 日本とフランスの間では、首脳会談あるいは外務・防衛閣僚会合、いわゆる2プラス2でございますが、それらの場におきまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け協力を強化していくことで一致しておりまして、具体的には、二〇一七年の五月には、フランスの練習艦隊ジャンヌ・ダルクが訪日した際に、初めての日仏英米による共同訓練が行われました。本年も、米軍以外では初となる空母機動群との共同訓練として、フランス空母シャルル・ドゴールとの共同訓練も予定されております。

 日本政府としましては、我が国の安全保障を強固なものとし、自由で開かれたインド太平洋地域を維持強化していくために、基本的価値とインド太平洋地域における利益と関心を共有するカナダ及びフランスと更に協力を強化していく考えでございます。

高村委員 ありがとうございます。

 続きまして、我が国は既に米国等とACSAを締結しておりますが、そもそも、具体的にどのようなニーズのもとに、今回、カナダ及びフランスとのACSAを締結することになったのか、教えてください。よろしくお願いします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 ACSAは、自衛隊と相手国の軍隊の間の物品役務の相互提供に適用される決済手続等の枠組みを定めるものでございます。

 ACSAそれ自体が物品役務の提供そのものを可能とするものではございませんが、決済の方法を始めとする提供、受領の際の手続などを定めることによりまして、相手国軍隊との物品役務の提供を行う際の手続を明確にし、円滑な提供、受領を可能とするものでございます。

 自衛隊と外国の軍隊がともに参加する国連PKOや国際的な緊急援助活動の機会、また多国間のものを含めた共同訓練の機会におきまして、自己の活動や相手との連携を効率的に行うためには、必要な物品役務を相互に円滑に提供するための仕組みを整備することが不可欠でございます。

 例えば、イギリスとのACSAにつきましては、平成二十五年にフィリピンで発生した大型台風による被害を受け、自衛隊と英国軍がともに国際緊急援助活動に従事した際に、現場で活動する自衛隊と英国軍との間で物品役務を相互に提供するための手続を明確化する必要が認識されたことを契機としまして、日英ACSAの検討が開始されるに至った経緯がございます。

 カナダ及びフランスとの間でも、共同訓練やPKO活動への参加を始め、自衛隊とカナダ軍、フランス軍とが協力する場面がふえている状況におきまして、あらかじめ必要な手続を定めておくことに日本側も相手国側も意義を見出しております。不測の事態に備える観点からも、平素から、例えば近傍にいる外国軍隊との間で相互に協力できるようにしておくことは大きな意義があると考えております。

 ACSAは、まさにこのようなニーズに基づきまして、物品役務の相互提供に必要な決済等の枠組みをあらかじめ定めておくものでございます。本協定を締結することは、自衛隊とカナダ軍、フランス軍との間の緊密な協力を促進するものでございまして、我が国の安全保障に資するのみならず、我が国が国際社会の平和及び安全により積極的に寄与することにつながるものでございます。

 アジア太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、これらの協定を通じまして、日加間、日仏間の安全保障、防衛協力を強化することは重要であると考えております。

高村委員 ありがとうございます。

 このACSAで一番興味のある部分なんですけれども、実際にACSAを締結することによって、自衛隊とカナダ軍やフランス軍とが協力する活動の範囲が今よりも広がっていくことになるんでしょうか。広がるとすれば、具体的にどのような任務が考えられるんでしょうか。よろしくお願いします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 ACSAは、自衛隊と相手国の軍隊の間の物品役務の相互提供に適用される決済手続等の枠組みを定めるものでございます。

 自衛隊の活動の根拠は自衛隊法を始めとする国内法において定められておりまして、ACSAを締結することによって自衛隊と相手国軍隊が協力する活動の範囲が広がるものではございません。

 一方、ACSAを締結することによりまして、物品役務を相互に提供する際の決済等に係る諸手続が明確に定められることから、自衛隊と相手国、今回はカナダ、フランスでございますが、これらの軍隊との間の物品役務の提供を円滑かつ迅速に行うことが可能となりまして、結果として相手国軍隊との協力を促進することにつながると考えております。

高村委員 ありがとうございます。

 今、安倍政権で、自由で開かれたインド太平洋戦略を言っていますが、こういうことを考えると、インドなど、まだまだ連携を強める必要性のある国もあると思いますが、政府としては、今後のACSAの締結予定、政府の方針等があれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 ACSAにつきましては、政府として、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係ですとか、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、そして具体的なニーズ等も踏まえながら、必要なACSAの締結に取り組んでおりますところでございますけれども、今後のACSAの締結につきましては、まさに今御指摘いただきましたインドとの間で、ACSAの締結に向けた交渉を開始することにつきまして、昨年十月末の日印首脳会談において一致したところでございます。

高村委員 ありがとうございました。

 今回のフランス、カナダとのACSA締結の意義や必要性についてよくわかりました。

 続きまして、現在の国際情勢一般について質問をさせていただきたいと思います。

 今日本にとっての一番の脅威というと、やはり、北朝鮮の核、ミサイルということは変わっていないんだと思います。一時期は、米朝首脳会談を受けての融和ムードで、我が国に対する北朝鮮のリスクは減ってきているというような論調も見られました。また、若干停滞しているようでありますが、引き続き韓国が独自に南北の協力関係を進展させようとしているという現実もあります。

 そこで、先般、第二回目の米朝首脳会談の結果に関する日本政府の受けとめについて教えてください。また、米国のポンペオ国務長官が、第三回米朝首脳会談の開催を確信している旨述べましたが、第三回米朝首脳会談の開催に向けた見通しについても教えてください。よろしくお願いします。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 先般ハノイで行われた第二回米朝首脳会談に関し、朝鮮半島の非核化を実現するとの強い決意のもと、安易な妥協を行わず、同時に建設的な議論を続け、北朝鮮の具体的な行動を促していくというトランプ大統領の決断を全面的に支持しているところでございます。

 最も重要な拉致問題につきましては、トランプ大統領から、初日の、最初に行った一対一の会談の場で、拉致問題について金正恩委員長に安倍総理の考え方を明確に伝え、また、その後の少人数夕食会でも拉致問題を提起し、首脳間で真剣な議論が行われたとの説明がございました。このように、トランプ大統領が、拉致問題を大変重視し、米朝首脳会談で提起していただいたことを高く評価しているところでございます。

 第二回米朝首脳会談後につきましては、委員御指摘のとおり、米国は、北朝鮮との間でやりとりを続けているとの考えに基づき対応しているものと承知しております。

 引き続き、米国政府との間で、あらゆる機会を通じて、しっかりと政策をすり合わせ、朝鮮半島の非核化に向けて日米で一層緊密に連携していきたいと考えております。

高村委員 ありがとうございました。

 続きまして、北朝鮮の瀬取り及び瀬取りの疑いの事例が摘発されていますが、特定の国がかかわっていることが判明した場合、日本政府としてはどのような対応をとっていくのでしょうか。また、これは安保理決議違反に当たるものでありますが、国連は何らかの対応をとるのでしょうか。よろしくお願いします。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、北朝鮮関連の国連安保理決議を完全に履行するという観点から、安保理決議違反が疑われる船舶の情報収集を行っておりますし、昨年一月以降、瀬取りの実施が強く疑われる十二回の行為を公表するとともに、国連安保理北朝鮮制裁委員会等への通報ですとか関係国との情報共有を行ってまいりました。

 また、アメリカ及び関係国は、在日米軍嘉手納基地飛行場を拠点として、航空機による警戒監視活動を行うとともに、また、洋上での警戒監視活動のために艦艇を派遣しているという現状でございます。

 こういった取組の結果、北朝鮮籍船舶のみならず、北朝鮮船舶と瀬取りを実施した疑いのある他国船籍船舶につきましても、国連安保理制裁委員会ですとか関係国により適切な措置がとられてきておりまして、例えば、昨年三月には、我が国が国連安保理制裁委員会に通報した船舶のうち五隻の船舶が新たに制裁対象に指定されております。

 我が国といたしましては、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄の実現に向けまして、引き続き、米国を始めとする関係国と緊密に連携しまして、安保理決議の実効性確保に取り組んでまいりたいと思っております。

高村委員 済みません、たくさん質問を用意していたんですが、時間がぼちぼち終わりだと思うので、最後の一問にしたいと思います。

 旧朝鮮半島出身労働者問題の裁判で、韓国裁判所が下した判決に基づく強制執行により日本政府に実害が出た場合、経済制裁を科すことも含めた毅然とした対応で臨み、場合によっては駐韓大使の召還も含めた断固たる対応をするべきではないか、このように私は思っております。

 我が国は、日中国交回復に当たり、台湾と国交を断絶したという歴史があります。一方で、現在でも台湾とは民間で比較的よい関係が構築されているんだと思っております。

 このような例に鑑みれば、今後、たとえ日本が制裁を科して、制裁合戦のようなことになり、それがエスカレートした場合、一時的に国交断絶に至ったとしても、最終的には日韓がよい関係を築いていくためには、そういうこともあってもしようがないんだ、こういった強い覚悟で対峙するという選択肢も日本政府にあってもいいのではないかと思いますが、このことに関して、政府の見解をお願いいたします。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 旧朝鮮半島出身労働者をめぐる問題につきましては、現在に至るまで、韓国政府が日韓請求権協定違反の状態を是正する具体的な措置をとらず、加えて、原告側による差押えの動きが進んでいることは極めて深刻と考えております。

 我が国としましては、韓国による協定違反の状態を解決するべく、韓国政府に対し、協定に基づく協議を要請し、協議に応じるよう重ねて求めているところであり、韓国側が当然誠意を持って協議に応じるものと考えております。

 この協議要請に加えて、どのタイミングで何を行うかといった具体的内容につきましては、我が国の手のうちを明かすことになるため、お答えは差し控えさせていただきますことを御理解いただければというふうに思います。

 なお、その上で申し上げれば、駐韓大使につきましては、一連の大法院判決等を踏まえた日韓間の高いレベルでの協議のため、また、北朝鮮問題に関する日韓間の高いレベルの意見交換、情報収集のために、引き続き現地で任務に当たらせることが重要と考えております。

高村委員 ありがとうございました。

 もちろん業務も大事だと思いますけれども、日本政府としての対応を毅然としてやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 本日議題となっております日加、日仏ACSAについての質問の前に、二問、先般、ジュネーブで開催をされましたCCWのLAWS、自律型致死兵器システム、これの規制に関する政府専門家会合の概要と成果について、河野外務大臣にお伺いをしたいと思います。

 大臣御承知のとおり、この問題につきましては、私が座長を務めております公明党のLAWS開発規制プロジェクトチームとして、このジュネーブの会合の前に、外務大臣に直接中間提言を申し入れたところでございます。私どもの主張、いろいろありましたけれども、根幹部分は、日本政府として政治宣言等の成果文書、これの策定を目指すべきではないかと主張させていただきました。

 まずお伺いしますけれども、政府として、どのような基本姿勢でこのジュネーブの会合に臨み、また、どのような主張を展開し、また、どのような成果が今回の会合で得られたのか、概要をお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 遠山委員には、公明党のPTの中間提言も頂戴をいたしました。ありがとうございます。

 そうした御提案も参考にさせていただいて、今度の会合の前に、文書として我が国の考え方を取りまとめたものを提出をいたしました。人道的な問題と安全保障の観点、双方をバランスよくまとめることが大事だろうというふうに思っておりますので、バランスのとれた議論を行って、将来目指すべき取組の方向性をきちんと示す、そういう我が国の考え方を取りまとめた作業文書を提出をいたしました。

 しかし、まだ各国の考え方というのに大きな隔たりがあるというのも今回はっきりしたわけでございますが、今回は、議長から、議論がまとまっている点とまだ引き続き隔たりのある点、これを整理をするという取組が行われまして、規制すべきLAWSの特徴、人間の関与のあり方、今後の取りまとめの進め方、こういうことについて今回活発な議論が行われましたが、残念ながら、各国の認識、立場、隔たりを全て埋めることはできませんでした。

 我が国として、作業文書を提出するほか、議長が主宰をした少数国の会合への参加を通じて、議長の成果の取りまとめの支援というところに我が国としてかなり貢献ができたのではないかと思っております。

 今後とも、今度は五月、六月に非公式な会合が行われ、八月にまた再度会合が行われることになりますので、そういう場を通じて国際的なルールづくりに積極的に関与していきたいというふうに思っております。

遠山委員 日本が、言葉をかえれば完全自律型のAI兵器、これは我が党としては、人道的な立場から、倫理的な立場から、その開発、実現は容認できないということを公言をした上で、いろいろと外務省の皆さんとやりとりさせていただいているわけですが、日本の政府が、今大臣御説明あったように、ルールづくりについて積極的な役割を果たしていただいていることに敬意を表したいと思いますし、これからも議論が継続してまいりますので、大臣のリーダーシップのもとに大きな役割を果たしていただけるものと期待を申し上げたいと思います。

 二点だけちょっとコメントさせていただきたいんですが、一つは、今回のジュネーブ会合で、もともと昨年のこの政府間会合、GGEで報告書が出されて合意をされたあり得べき指針、これは英語ではポッシブル・ガイディング・プリンシプルズというものでございますが、このタイトルからポッシブルをとる、つまり、あり得べき指針から基本指針というか指針にしたいという提案が議長から最後にあって、そこについてはコンセンサスがとれたという報告を外務省の事務方から受けております。私、これは非常に大きな前進だというふうに思っております。

 また、EUが、このCCWの会議とは直接関係ないんですが、EUとしてAI全体についての指針を策定をしたいということで、先日、日本でも報道されておりましたが、この指針を読んでも、どんなにAIが発達していっても、人間を中心にAIを使っていくのだという、やや哲学的なものも含む指針のたたき台が国際社会に提示をされたというふうに思っておりまして、この文脈の中でも、日本として、またEUとの対話の中で、外務大臣からも御発言いただければという希望を申し上げておきます。

 では、次にACSAの問題に移りたいというふうに思います。

 まず、先ほども同僚議員からいろいろ御質問があったので重なるところがございますが、今般、日本がACSAを締結しようとしているカナダとフランスは、日本と基本的価値を共有している両国ではありますけれども、条約に基づく同盟国ではございません。

 同盟国ではないカナダとフランスとのACSA締結の意義、また、日本にとってのメリットは何なのかということ、それから、あわせて、今回の両国とのACSA締結を契機に、両国と、特に安全保障分野について、どういう関係強化を期待をされているのか、外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。

河野国務大臣 カナダ、フランスは、おっしゃるように、条約上の同盟国というわけではございませんが、基本的価値を共有するG7のパートナーという関係で、国際社会の平和と繁栄に一層協力しながら貢献をしていく、そういう中で、さまざまな課題について緊密に連携をしていくということが近年とみにふえているわけでございます。

 安全保障、防衛分野においては、カナダ、フランスとの間で緊密な協力関係を築きつつありまして、例えば、自衛隊は、カナダ軍、フランス軍が参加した国連PKOあるいは外国での災害救援活動にともに参加をした実績がございます。また、それぞれの国との二国間の訓練、あるいは多国間の訓練にともに参加をする、こういう機会もふえてまいりました。

 ACSAは、自衛隊と相手国の軍隊との間の物品役務の相互の提供に適用される決済手続の枠組みを定めるものでございまして、これを締結することによって、カナダ軍、フランス軍と自衛隊との間で物品役務の提供を円滑かつ迅速に行うということが可能になります。

 カナダ、フランスとの安全保障、防衛協力が拡大する中、ACSAを締結することは、両国の軍隊との間で緊密な協力を促進するものであって、我が国の安全保障にまず資するということを申し上げてよろしいかと思います。

 我が国を取り巻く安全保障環境が大変厳しい状況にある中で、また、国境を越えるさまざまな脅威が増大をする中で、我が国として、ともに太平洋国家を標榜するカナダ及びフランスと緊密に連携をしながら、国際社会の平和と安定のためにこれまで以上に積極的に貢献をしていくことができるのではないかと考えている次第でございます。

遠山委員 カナダとフランスが太平洋国家という御指摘が今外務大臣からもありましたけれども、おっしゃるとおりでございまして、フランスも太平洋に領土を有しているわけでありますから、自由で開かれたインド太平洋という外交戦略のもとでも、今回のACSAは非常に大事な意義があると私も思っております。

 続けて大臣にお伺いをしますが、ACSAのもとでの武器弾薬の提供と、平成二十七年九月十七日に参議院の平和安全法制特別委員会で議決をされた附帯決議、これはいわゆる五党合意と言われているものでございますが、その関係についてお伺いをしたいと思います。

 具体的には、カナダ、フランス両国への武器弾薬の提供や兵器等の輸送の協力について、五党合意の内容に照らして、今回のACSAでどのような制限がかかっているのか、具体的に御説明をいただければと思います。

河野国務大臣 今度の日加及び日仏ACSAのもとで、武器は相互提供の対象となりませんし、クラスター爆弾ですとか、そういったものの輸送は行わないということになります。

 弾薬につきましては、平和安全法制の成立に際し、弾薬の提供は、緊急の必要性が極めて高い状況下にのみ想定されるものであり、拳銃、小銃、機関銃などの他国部隊の要員等の生命身体を保護するために使用される弾薬の提供に限る、我が国が非核三原則を堅持し、NPT条約、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約等を批准していることに鑑み、核兵器、生物兵器、化学兵器といった大量破壊兵器及びクラスター弾、劣化ウラン弾の輸送は行わないといったことを内容とする五党合意が行われております。

 政府としては、平成二十七年九月十九日の閣議決定のとおり、弾薬の提供に当たっては、五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処していきたいというふうに考えております。

遠山委員 ありがとうございました。

 続きまして、カナダは、北朝鮮による瀬取りを含む違法な海上活動に対する警戒監視活動に参加をしてきておりますが、そのような活動に従事するカナダ軍に対して、今回のACSAに基づく物品役務の提供を日本がすることはできるのか、お答えをいただきたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、カナダは、北朝鮮船舶による瀬取りを含む違法な海上活動に対する警戒監視活動のため、航空機及び艦船を派遣してきているところと承知しております。

 日加ACSAのもとで様々な場合における物品役務の提供等が可能になっているところでございまして、個別具体的な活動の態様により判断されることとなりますが、カナダ軍が一九五四年の国連軍地位協定に基づいて国連軍を構成する部隊として行動する場合にはACSAの規定は適用されないという形になっております。

遠山委員 わかりました。

 そうすると、カナダ軍が国連軍として活動をして、国連軍の地位協定が適用される場合は、今回の日加ACSAは適用されないという整理だということが明確になりましたので、理解をいたします。

 最後の質問になりますけれども、きょう議論されております日加、日仏とのACSA締結後に、更にほかの国とのACSA締結へ向けた交渉をどうするかという点でございますけれども、これはもう報道されておりますとおり、インドが次に想定をされていると認識をしております。

 先ほども申し上げました、自由で開かれたインド太平洋という外交戦略を掲げる日本としては、ある意味、インドとACSAの締結を目指すのは当然と考えておりますけれども、昨年十月末の日印首脳会談でACSA締結への交渉の合意がされてから、余り進展についての情報に私自身接しておりません。政府のインドとのACSA交渉の現状と今後の方針についてお伺いをできればと思います。

河野国務大臣 インドとの間では、近年、共同訓練を始めとして、安全保障、防衛協力が非常に深まっているところでございます。

 それを受けまして、委員御指摘いただきましたように、昨年十月末の日印首脳会談において、ACSAの締結に向けた交渉を開始するということで首脳間が一致をしております。

 首脳レベルの発表を踏まえ、事務レベルでインド側とさまざまやりとりをスタートさせておりますが、今の段階では、まだ静かに事務レベルのやりとりをやろう、そういうことでございますので、少しこの状況を続けさせていただきたいというふうに思っております。

遠山委員 静かにやりとりをされているということでございますが、静かで構いませんけれども、着実にしっかりと前進をさせていただいて、日印でまたACSA締結ということになりますと、日本の安全保障上は相当大きな意義が出てくるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいということを申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、山川百合子君。

山川委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの山川百合子でございます。

 ACSAの質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、ACSA締結の必要性について、既に先生方お二人も御質問ありましたが、私の方からも大臣にお聞きをしたいというふうに思います。

 アメリカとイギリス、そしてオーストラリアに続いて、今回はカナダ、フランスと、また今後はインドとも政府はACSAを締結しようとされています。この間の質疑でもそのような御答弁がございました。今回のカナダそしてフランスとの締結については、日本側からというよりは、もともとカナダやフランス側から求められたものというふうにも伺っています。

 そこで、まず河野大臣に、このACSA締結の必要性、そして、まずは求められたというふうに伺っているわけですが、我が国としてのニーズ、そして相手国のニーズそれぞれについて、相手国については求めてきたというのはあると思うんですが、我が国としてのニーズについて、河野大臣から、具体的な事例を挙げて、先ほどもいろいろな御答弁がありましたが、より国民にイメージとしてそのニーズがわかるような形で御説明をいただければと思います。

河野国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しい中で、カナダというのは、大西洋、太平洋両岸を有するカナダとしても、太平洋国家を標榜しているわけでございますし、フランスは、この太平洋の中に領土があり、それを中心とした領海そしてEEZ、これは極めて大きな面積を有しております。フランスはみずから太平洋国家あるいはインド太平洋国家だということを言っているわけでございまして、国境を越える脅威が増大をしていく中で、太平洋国家を標榜するカナダ、フランスとの連携を密にしていくということは、我が国の安全保障に資するのみならず、インド太平洋地域における平和と安定の構築に大いに役に立つというふうに考えております。

 先ほどから累次申し上げてきておりますように、カナダ軍、フランス軍とは、二国間の共同訓練あるいは多国間の共同訓練の中に一緒に参加をする、あるいは、PKO活動あるいは国際的な災害救助活動に自衛隊とこの両国の軍が一緒に活動をする、こういうことがふえてきているわけでございます。

 このACSAは、物品役務の相互の提供をする際の決済手続をどうするかということを定めるわけでございまして、これを定めることによって、物品役務の相互の提供を円滑かつ迅速に行うことができるようになります。

 そういう意味で、このACSAの締結は、自衛隊とカナダ軍、フランス軍との緊密な協力を更に促進をする、ひいては我が国の安全保障並びにインド太平洋地域における平和と安定の構築に役立つというふうに考えている次第でございます。

山川委員 ありがとうございます。

 では、もう少し具体的にその状況などを伺っていきたいというふうに思います。

 少しさかのぼるような形ですが、明治維新につながる日本の開国劇、これも、アジア太平洋地域に展開する欧米列強の船舶が日本の水や食料、石炭などの物資を調達するニーズがあったということがその背景にあるわけであります。

 ACSAも、そのような遠方から日本周辺に展開してくる外国の軍隊に同様の必要物資を日本が提供することが期待されているのではないかなというふうにも思うわけであります。ですから、今回も、カナダやフランス側からACSA締結の提案がきっかけとしてあったのではないかというふうに思います。

 それで、逆に日本側から見ると、日本の自衛隊がカナダ軍やフランス軍からACSAによって必要な物資や役務や弾薬等を提供してもらうニーズが具体的にどのような場面で想定されるのか。災害の現場とか共同訓練というのは御説明が繰り返しあるんですけれども、ちょっとその現場の様子がよくわからない中ではあるんですが、例えば共同訓練などでは、基本的には自分で持って、自前のもので賄えるような形に訓練ではなっているんじゃないかなというふうにも想像するわけですけれども、その具体的な場面というのがどういうふうに想定されているのかというのがちょっとイメージとしてよく湧かないんですね。

 それで、少し細かく伺っていきたいんですけれども、まずは、カナダ軍、フランス軍が我が国周辺に展開している状況について、頻度と規模、またその目的についてお伺いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、カナダとフランスの両国と我が国は、基本的価値観を有するG7のパートナーとして、国際社会の平和と繁栄に貢献すべく、さまざまな課題に協力して取り組んできており、近年、安全保障、防衛分野における協力も深めております。

 カナダは、太平洋国家として、近年、インド太平洋地域への関与を強めておりまして、その一環として、我が国との安全保障、防衛分野での協力に積極的な姿勢を見せております。

 また、フランスは、インド太平洋地域に海外領土を有するインド太平洋国家として、インド太平洋に関するビジョンを表明し、同地域へのさらなる関与の方針を打ち出しております。

 これらを受けて、まず、共同訓練につきましては、海上自衛隊はカナダ海軍と過去五年間に三回、二国間共同訓練を実施しておりますほか、自衛隊とカナダ軍は、さまざまな多国間共同訓練に過去五年間で約四十回参加をしております。

 また、自衛隊とフランス軍との訓練に関しては、二〇一八年に、海上自衛隊がフランス領ニューカレドニアを母港とするフリゲート艦バンデミエールと二国間共同訓練を実施しましたほか、自衛隊とフランス軍は、さまざまな多国間共同訓練に過去五年間で約三十回参加をしております。

 国際平和協力活動については、自衛隊とカナダ軍は、これまで、ハイチ、南スーダンなどの国連PKOに参加してまいりましたほか、フィリピンの台風被害、インドネシアの地震、津波災害等における国際緊急援助活動を始めとする国際協力の場でも活動しております。

 また、自衛隊とフランス軍は、カンボジア及びハイチでの国連PKOや、二〇一四年の西アフリカにおけるエボラ出血熱流行に対する国際緊急援助活動を始めとする国際協力の場で活動しております。

 このように、自衛隊とカナダ軍、フランス軍とがさまざまな地域でともに活動する場面が拡大する中で、両国軍とより緊密に連携して活動できるよう、ACSAを適用した物品役務の相互提供を可能とする体制を整備することが重要と考えております。

山川委員 それぞれの頻度と規模、御説明ありがとうございました。

 では、御説明ありましたが、それらのときには、物品や役務や弾薬の供給が実際に必要だった、あるいは行われるような事態、実態というのは、災害派遣なども含めて、過去の、今御説明いただいた中であったのかどうかについてお伺いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 一例申し上げますと、ジブチに展開中の海上自衛隊の活動でございますけれども、フランス軍から現地で、自衛官がこれまで七名、医療の提供を受けたというふうに承知しております。

山川委員 ありがとうございます。

 では、北朝鮮による瀬取りについて伺っていきたいというふうに思うんです。

 まず、その枠組みのことについて、確認を含めて伺っておきたいんですが、北朝鮮によるいわゆる瀬取りの監視のためにカナダもフランス軍も我が国周辺に展開しているわけですが、これらの監視行動は、どのような国際的な枠組みあるいは国際法を根拠としているのか。PKOやPKFとは異なると思いますが、各国が航行の自由の範囲内で、各国の判断で展開しているものなのか。これらの監視行動の根拠になっている安保理決議についても確認しておきたいと思います。お願いいたします。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 国連の安保理決議は、全ての国連加盟国に対しまして、自国民等が、北朝鮮船舶に対する又は北朝鮮籍船舶からの洋上での船舶間の物資の積みかえ、これはいわゆる瀬取りでございますけれども、を容易にし又は関与することを禁止しているという現状でございます。

 こうした中で、カナダにつきましては、安保理決議に基づく制裁を完全に支持し、そのために、国連制裁回避である北朝鮮の洋上での密輸、特に瀬取りへの対応に参加することを発表してきているわけです。また、フランスにおきましても、北朝鮮による国連制裁の回避の取組に対抗することを目的とした国際的な連携への協力、参加の一環として、航空機及び船舶を展開する旨の発表を行ってきているわけでございます。

 このように、いずれにしましても、関連する安保理決議等を踏まえて適切に対応しているものというふうに当方としては考えております。

 以上です。

山川委員 では、より具体的に、瀬取り監視に従事したカナダ軍、フランス軍について伺いたいんです。

 先ほどカナダ軍について少し御質問ございましたが、具体的に、カナダ軍そしてフランス軍が瀬取り監視に従事した時期及びその勢力はどの程度の頻度であり、規模であったのか。また、あわせて全部伺っていきますが、両軍の監視行動により、瀬取りの疑いのある船舶が確認された事実がこれまであったのか、あったとすればその対応について。さらに、両軍が今後も監視活動に従事する予定があるのか、ACSA締結相手国との情報共有などはどのように行われているのか。三点、あわせてお伺いいたします。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 相手国との関係もございますので、可能な範囲で御説明差し上げたいと思いますけれども、まずカナダにつきましては、平成三十年四月下旬から約一カ月間、また同じ年の九月中旬から約一カ月半の間、航空機を派遣しました。そのほかに、海軍フリゲート、カルガリーが警戒監視活動を行ったということでございます。

 フランスにつきましては、平成三十一年三月中旬から約三週間、航空機を派遣しました。また、今春、海軍フリゲート、バンデミエールを派遣し、警戒監視活動を行う予定でございます。

 実績、成果についてでございますけれども、直接フランス、カナダに関するものではないんですけれども、本年三月には、警戒監視活動中の我が国海上自衛隊補給艦と英国の海軍フリゲートとの間の情報共有を通じまして、北朝鮮船籍タンカー、セビョル号と船籍不明の小型船舶による瀬取りが強く疑われる事案を確認し、それを公表したところでございます。

 このような形で、関係国による取組は安保理決議の実効性の確保に貢献するものと考えておりますし、今後とも、米国を始めこういった関係国と緊密に連携していくことが重要だというふうに考えております。

 以上です。

山川委員 では、続いて、カナダ及びフランスとのACSAの適用対象となる活動と事態についてお伺いをしていきたいというふうに思います。

 まず初めですが、ACSAの締結交渉過程の中で、全てのACSA適用対象となる活動と事態について、日本とカナダ、そして日本とフランス、双方の具体的なニーズについて十分な想定と確認行為を行ったのかということを伺いたいと思います。

 日本の自衛隊に関する国内法は、いわゆるポジティブリストで、できることを事前に法で定めておかなければ現場の自衛官が行動できない法制度設計になっているというふうに私は理解をしております。

 ACSAを締結しても、想定される活動、事態に対応するための国内法の整備が不可欠だと思いますので、締結交渉の際にどのような確認行為をされたのかを伺っておきたいというふうに思います。

正木政府参考人 お答えいたします。

 カナダ及びフランスにおきましては、それぞれの国内法令上、特定の活動がACSAの適用対象からあらかじめ排除されるということがないという中で、可能な限り広く協力の可能性を確保しておきたいという基本的立場を有しております。

 そうしたニーズを踏まえまして、カナダ及びフランスに対しまして、日本の国内法令上、自衛隊による物品役務の提供が可能な活動、場面につきまして個別に説明の上、これらがACSAの適用対象となることを確認いたしております。

山川委員 個別の説明の上ということだったんですが、では、武力攻撃事態等や存立危機事態、また重要影響事態もACSAの適用対象に含まれているわけですが、締結交渉の際に、相手国政府との間でこれらの事態に対する具体的な支援のあり方は十分に議論したのかも伺っておきたいと思います。

正木政府参考人 お答えいたします。

 ACSAは、あくまで自衛隊と相手国軍隊との間で物品役務を相互に提供する際の決済手続等の枠組みを定めるものでございまして、ACSAに基づく物品役務の提供は、それぞれの国の法令により認められる範囲でのみ行われるものでございます。

 カナダ及びフランスからは、御指摘の各種事態のもとで自衛隊から両国の軍隊への物品役務の提供が行われ得ること、また、その場合にはACSAが適用されることについて個別に説明し、理解を得ております。他方、このことは、これらの事態におけるカナダ軍及びフランス軍との協力について、何らかの具体的な想定がなされていることは意味しておりません。

山川委員 それぞれのACSAでは、適用対象となる活動、事態については、ずっと繰り返し御説明のある共同訓練とかPKOとかは明記されているんですが、今も少し伺いましたが、武力攻撃事態等や存立危機事態、重要影響事態、それから国際平和共同対処事態などは大きくくくられて、「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」として一くくりにされています。

 今も内容的にはそのような御説明であったのかと思いますが、大きく一くくりにしているのはなぜか、理由を伺います。

正木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、日加及び日仏ACSAにおきましては、御指摘の武力攻撃事態等や存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態等における活動は、「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」として包括的に規定されております。

 これは、日豪及び日英のACSAの構成も踏まえまして相手国と交渉を行いました結果、日豪、日英ACSAの構成を基本的に踏襲した形でまとまったものでございます。

山川委員 ちょっと今の御答弁ですと、では、日英、日豪はどうして一くくりにされたのかもあわせて伺っておきたいと思うんですが。踏襲したものだというお答えだったので、では、その踏襲したもとはどうして一くくりにしたかということをお伺いしたいと思います。

岡野政府参考人 ACSAにつきましては、委員御指摘のとおり、物品役務をそれぞれの国内法上の規定に基づいて提供する、相互提供するということが決められております。

 それぞれ国内法上、いろいろな規定の仕方があるのだと思います。例えば、今申し上げましたカナダ、フランスにおきましては、国内法令上、特定の活動がACSAの適用対象からあらかじめ排除はされていないのでございます。これに対しまして、日本の国内法体系では、委員御指摘のとおり、提供できる場面、内容がそれぞれの国内法で規定されているわけであります。

 このような違いを埋める交渉をする中で、どのような書き方が最も明確か、適当かということを総合的に判断した結果、特定の事態については列記する、それ以外のものについては、今回の協定では、第一条の1のe、「その他の活動」という形で規定したものでございます。

山川委員 では、あと二つありますので進めていきたいんですが、次に、弾薬の提供やACSAの適用対象となっている安保法制にかかわる問題について伺っていきたいと思います。

 重要影響事態や国際平和共同対処事態における自衛隊による物品役務の提供は、我が国の憲法が禁止する武力の行使と一体化していると法的に評価される可能性があるので、そのような事態を回避するために、現に戦闘行為が行われている現場以外の場所で物品役務、弾薬の提供を実施するというふうに規定をされています。

 しかし、戦闘が一時的にやんでいれば、そこは現に戦闘行為が行われていない場所であると認定されて、自衛隊による兵たん、後方支援が可能となるものと解することができるのでしょうか。

 非戦闘地域は、必ずしも戦闘地域との近い又は遠いといった距離の問題ではなく、戦闘状況そのものの問題だということになりますから、地理的には、自衛隊が後方で支援できない場所というのは、現に戦闘行為が行われていない場所以外には存在しないことになると思います。つまり、現に戦闘行為が行われてさえいなければ、どこでも後方支援ができることになるのではないでしょうか。

 実施区域というのを定めていると思いますが、この実施区域というのはどのような手順で見直されて、それは誰がどのように定めるのかをまず伺っておきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 重要影響事態法あるいは国際平和支援法に基づいて我が国が実施する後方支援につきましては、武力の行使に当たらない活動であって、また、他国による武力の行使と一体化しないことを確保して行う活動でございます。また、その性質上、そもそも、戦闘行為が行われているような場所で行うものではございませんで、危険を回避しつつ、活動の安全を確保した上で実施するものでございます。

 このため、自衛隊が活動を実施する区域、実施区域の指定に当たりましては、円滑かつ安全に実施することができるようにとの法律上の規定を受けまして、現に戦闘行為が行われていないというのみならず、自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域として指定いたします。

 その上で、活動場所やその近傍で戦闘行為が行われるに至った場合等には、部隊等の長は活動を一時休止して、活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認められる場合には、防衛大臣は活動の中断等を命じるということになるわけでございます。

 なお、個々の場面における対応については、その時々の具体的な状況を踏まえて判断することとなりますので、一概に申し上げることは困難でございますが、以上の点を踏まえて一般論として申し上げれば、例えば、一時的に戦闘行為がやんだが、再び戦闘行為が発生する可能性があるといったような場合には、自衛隊が活動を円滑かつ安全に実施することは困難と考えられますので、活動を行うことはございません。

山川委員 御説明ありがとうございます。

 ただ、御説明を伺っても、やはり個々の現場での状況があるというふうな御説明にもなりましたし、実施区域と現に戦闘行為が行われている場所という区別がやはり明確ではないままでは、結局のところ、後方支援によって自衛隊が提供した物品や弾薬は、後方支援の性質が前線を支えるものである以上は、現に戦闘行為が行われている場所で使用されることになるというふうに思います。

 ですので、いろいろとどんなに言葉を尽くしても、自衛隊の相手国である他国の軍隊の武力行使と自衛隊の支援は一体化していることにほかならないというふうに思われるんですが、この点についてのいま一度政府の見解を伺っておきたいというふうに思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 弾薬の提供と武力行使との一体化との関係ということと理解申し上げましてお答え申し上げますと、これは繰り返しになりまして恐縮でございますが、現に戦闘を行っている現場ではない場所で実施する補給、輸送などの支援活動については、提供する物資の種類にかかわらず、他国の武力の行使と一体化するものではないというのが政府の考え方でございます。

 重要影響事態法及び国際平和支援法に基づき実施する弾薬の提供につきましても、現に戦闘が行われている現場では実施しないということでございますので、他国の武力の行使と一体化するものではないというふうに考えております。

山川委員 では、ちょっと時間がないので、弾薬について伺っておきたいというふうに思います。

 先ほど五党合意についての確認の質問もございましたが、弾薬は、緊急の必要性が極めて高い状況下において、提供相手国部隊の要員の生命身体を保護する場合のみ提供するという五党合意の趣旨について、これについては、まず、カナダとフランスは十分に理解しているのか。また、理解しているとすれば、文書による確認行為を行っておくべきだというふうに思うんですが、それについてはどうなっているんでしょうか。お伺いいたします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 日加及び日仏ACSAのもとで、武器は相互提供の対象とはなりません。

 弾薬につきましては、今御指摘がありましたように、平和安全法制の成立に際した五党による合意というものがございます。政府としましては、この五党合意の趣旨を尊重しまして、適切に対処するという平成二十七年九月十九日の閣議決定のとおり、弾薬の提供に当たっては、五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処していく考えでございます。

 この日加、日仏ACSAのもとでも、自衛隊は国内法で認められた範囲内においてのみ物品役務の提供を実施できる、弾薬の提供についても、自衛隊が国内法上実施し得るものだけが本協定の対象になることは当然でございまして、こうした考えにつきましては、カナダ側及びフランス側に十分説明し、理解を得ております。

山川委員 今御答弁で、理解は得ているということだったんですが、もう一つ、文書で確認をしておりますかということについてはいかがでしょうか。

正木政府参考人 今申し上げましたように、十分説明し、理解を得ておりまして、文書による確認はいたしておりません。

山川委員 それでは、時間が来てしまいます、最後になりますが、第三条二項と弾薬の第三国部隊への移転について伺っておきたいというふうに思います。

 この第三条二項によって、書面による事前の同意を得られれば、弾薬も第三国の部隊に移転することは可能なのか。五党合意の趣旨に鑑みれば、弾薬の第三国部隊への移転は考えられないというふうに思いますが、いかがでしょうか。お伺いをいたします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、日加、日仏ACSAのいずれも第三条におきまして、協定のもとで提供される物品役務を提供当事国政府の事前の同意を得ないで受領当事国政府の部隊以外の者に移転してはならないこと、提供される物品役務の使用は国連憲章と両立するものではならないことについて規定をしております。

 ACSAのもとでは、相手方に必要な物品の提供を要請した上で提供を受けた物品は原則として相手方に返却すること、現物を返却できない消耗品の場合には、同種、同等及び同量の物品か通貨により相手方に償還することになっております。

 また、ACSAのもとで物品を提供する際には、相手国の部隊が必要とする物品の種類や数量等を確認するとともに、当該部隊の置かれている状況など、物品提供の必要性や緊急性についても緊密に意思疎通することになります。

 仮に、我が国自衛隊から相手国の部隊に物品を提供し、相手方において、かかる物品を当該部隊以外の者に移転することが必要となる場合には、かかる移転の前に日本政府の同意を書面で得る必要がございます。

 そのような場合には、相手方からの要請に対し、日本政府として移転の可否を主体的に判断した上で、移転に同意する場合には、しかるべく書面で通知することになります。

 いずれにしましても、第三条の規定によりまして、相手国とも確認していますとおり、他者への無断の移転等、提供の目的を逸脱するような物品の使用が協定の趣旨に照らして認められないということは当然でございます。

山川委員 ぜひ、第三国への移転ということによって日本が認められていないところに弾薬が使われるようなことが決してないように、しっかりと、これは国民への説明責任も含めてお願いをしたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

若宮委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、日本とカナダ、それから日本とフランスのACSAについて早速質問をさせていただきます。

 先ほど山川委員からもいろいろな質問が出ております。通告させていただいております部分と重複しているところについては割愛をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、意義について、先ほど来何度か質問がございました。その中で、特に重要なものとして、カナダそれからフランスは、日本とは深い関係にあるものの、安全保障上の同盟国というような表現の仕方はしていない、これは、安全保障分野における条約等を結んでいるわけではないから、こういうことだと思います。

 一方で、今回、ACSAを締結することによって安全保障分野における協力関係が緊密化していく、このこと自体は私どももいい方向だというふうに理解はしております。しかしながら、この意義の説明の中で何度も表現されていたのが、基本的価値を共有するG7のパートナー、こういう表現が何度もされております。

 この基本的価値ということについて改めてちょっと確認をしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 G7のそれぞれの国は、民主主義、基本的人権、法の支配、あるいは国際法の尊重といった価値観を共有している国の集まりでございます。

 今、特に、民主主義に対する、あるいは第二次世界大戦後の世界をつくり上げてきたリベラルな国際秩序にさまざまな挑戦が行われている。そういう中にあって、この基本的な国際秩序のもとになっている価値観を守っていく、そういう志を同じくする国として、このフランス、カナダは大切なパートナーであるというふうに考えているところでございます。

櫻井委員 まさに今大臣がおっしゃられた基本的価値、本当に大事なことだと私も深く深く認識をしているところでございます。

 ただ一方で、先週も質問させていただきました、我が国は本当に民主主義、そしてその前提となる国民の知る権利、情報開示がきちっと行われているのかというと、必ずしも、世界的には知られている情報について、政府として承知していない、隠している、言わない、また、自衛隊についても、日報問題もあったりとか、こうした、本当にちゃんと国民の知る権利、情報公開、情報の管理というのができているのかというと、できていない部分があるのではないのか。

 そうすると、日本から見て、カナダとかフランスは基本的価値を共有しているというふうに思っていても、あちらから日本を見たときに、基本的価値を共有できている国なのかな、こいつらは大丈夫かなというふうに思われかねないわけですので、まず、我が身もきちっと、この基本的価値に照らして大丈夫なのかどうかということをしっかりとやっていかなければならないということを申し上げさせていただきます。

 その上で、ちょっと具体的な条文について確認をさせていただきます。

 先ほど山川委員からも質問させていただきました一条一項eに関して、一条一項のaからdまでについては個別具体的な記載がされておりますが、eについては、「それぞれの国の法令により」ということで、ちょっと曖昧といいますか、範囲が極めて広いというふうな書きぶりになっております。

 なぜ個別具体的に規定していないのかという質問に対して、これは先方とそれから我が国との法体系の違いなんですという説明がございました。といいますが、例えばアメリカとのACSAにおいては、個別具体的に結構しっかりと記載をしている。だから、先ほどの答弁では話のつじつまが合わないと思うんですが、改めてお伺いいたします。

 先方との法体系の違いという説明ではちょっと納得しかねるんですけれども、何でカナダとフランスとのACSAで個別具体的に書かないんでしょうか。しっかり、何ができるかということをきちっと書いていけばいいんだと思うんですが、何も隠し立てすることなく正々堂々とやればいいと思うんですが、いかがでしょうか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のとおり、日加及び日仏ACSAは、豪州及び英国とのACSAと同様に、ACSAを適用して物品役務の相互提供を行うことができる活動の類型につきまして、第一条一項で相互提供に係る協力内容について、第二条でそれぞれまとめて規定しております。これに対して、御指摘がございましたように、アメリカとのACSAは、重要影響事態や武力攻撃事態等の協定を適用し得る場面を個別に列挙した構成になっております。

 これにつきましては、日加及び日仏ACSAにつきましては、日豪、日英のACSAの構成も踏まえて相手国と交渉を行った結果、この日豪、日英ACSAの構成を基本的に踏襲した形でまとまったものでございます。

 アメリカとのACSAの構成との違いの背景につきましては、日米ACSAにつきましては、アメリカとの間の同盟関係も踏まえ、日米がいかなる場面でいかなる協力ができるかにつきまして、可能な限り明確に示したという事情がございます。一方、カナダ及びフランスとの間では、かかる事情が必ずしも当てはまらなかったこともございまして、相手国との交渉の結果としてこのような構成になりました。

櫻井委員 ちょっと今の答弁を拝聴していると、アメリカとのACSAでは、本当に個別具体的、実務的にもどんどん運用していくから、しっかりと細かく書いておく、具体的に書いておく必要がある、しかし、これまで既に結んであるオーストラリアそれからイギリス、そして今回上がってきておりますカナダ、フランスとはそこまで深い関係になるかどうかわからないから、そんなに細かく書かなくていいやというような、ともすればちょっとやる気のなさげな、頼りない答弁のようにも聞こえたんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 大変恐縮でございますが、日加、日仏につきましては、相手国と交渉を行った結果、今の規定ぶりの方がふさわしいということで合意したものでございまして、それ以上でも以下でもございません。

櫻井委員 この一条一項eの中には、二〇一五年の安全保障関連法で規定される武力攻撃事態とか重要影響事態なども含まれるというふうに理解をするところですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 そういった御理解で結構でございます。

櫻井委員 そうしますと、武力攻撃事態、重要影響事態での協力というふうになると、しかも、先ほどの説明ですと、アメリカとは更に結構細かくいろいろ議論もして、具体的な運用についても考えているような、そんな感じでしたけれども、ほかは、カナダ、フランスとはどういったものが想定されているのか、ちょっと御説明をお願いします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 たびたび同じ答弁で恐縮でございますが、この規定ぶりの違いというものは、向こうとの交渉の中でこういったものになっているにすぎませんので、実際の活動云々につきましては、当然のことながら、先ほど来申し上げていますように、事前にフランス、カナダと十分説明をして理解を得て、こういった今後の活動に備える、あらゆる事態について備えるということでございますので、規定の違いにより、実際想定され得る協力の活動形態が変わるということはございません。

櫻井委員 ちょっと済みません。質問のポイントは、どのようなものが想定されているのかということだったんですが、今の御答弁の最後の一文で、アメリカとのACSAとそんなに変わることはないという答弁のように聞こえたんですが、その理解でよろしいですか。

岡野政府参考人 さまざまな事態、委員が御指摘になりました重要影響事態とか武力攻撃事態、このような事態があると、日本側の考え方についてはカナダ、フランス側には説明しているということで理解を得ているということでございますが、具体的にそのような事態が生じた際にどのような形の協力が行えるかということについては、その具体的な状況が生じてみないとわからないところがございます。

 ただし、協定の第二条を見ていただきますと、第二条の二項に、次に掲げる区分に係る物品役務が提供されるということが書いてありまして、その中では、食料、水、宿泊、輸送、燃料等、最後には空港・港湾業務及び弾薬という形で、提供できるもの、役務のメニューが書かれております。基本的な提供の中身はここに書かれているということでございます。

櫻井委員 二条についての御説明に移ったので、ちょっと後で、また二条についてはしっかり聞かせていただきます。

 最後に、一条一項eについてなんですが、これは、それぞれの国の法令に基づいてということですから、例えば、日本における法令が変更される、これは当然、将来的に起こり得ることだと思うんですが、そうすると、この協定の内容についても実質的に変更される。もしかしたら範囲が広くなるかもしれないし、範囲が狭くなるかもしれない。そういうことについて、それぞれその都度、先方政府、フランス、カナダと了解しておくということでよろしいんでしょうか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、一条一項のeにいろいろな活動が規定されてございますが、当然のことながら、日本で仮に国内法の改正が将来行われる場合につきましては、ACSAに基づく物品役務の提供は、改正された国内法の範囲内で行われることになります。こうした日本側における変更につきましては、もしそういったものが生じれば、当然のことながら、しかるべく相手国に説明することとなります。

櫻井委員 そうしましたら、続きまして、二条二項について質問させていただきます。

 提供される物品及び役務について列挙されているということで、先ほど御答弁いただいたとおりでございます。一つ一つ、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 まず、輸送というのが挙がっております。空輸を含むということなんですが、自衛隊が輸送できる物品というものは、どういったものが対象になるのか。何でもかんでも運んでいいのか。核兵器、劣化ウラン弾、クラスター弾、化学兵器、生物兵器等を運ぶことはあり得るのかどうなのか。その運ぶ対象の物品について教えていただけますでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、御案内のとおり、非核三原則を堅持するとともに、核兵器不拡散条約や生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約を批准し、大量破壊兵器の拡散防止にも積極的に取り組んでおりまして、委員御指摘のように、核兵器、生物兵器、化学兵器といった大量破壊兵器を輸送することはございません。

 また、我が国は、クラスター弾や対人地雷の使用や保有を禁止するクラスター弾に関する条約及び対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約の締結国でございまして、他国の劣化ウラン弾、クラスター弾、対人地雷を自衛隊が輸送することも想定していないということでございます。

櫻井委員 今、我が国として想定していない、核兵器とか、そういった大量破壊兵器を輸送することは想定していないと。

 我が国の方は想定していなくても、相手は想定していて、運んでくれるんだと思って期待していたのに、いざ運んでくれと言って頼んだら、えっ、それはだめだよと言われると、話が違うじゃないかということになりかねないんですが、そこについても、我が国はかくかくしかじかの条約に参加しているから、批准しているからこういうものはできないんですよということも既に共通理解として持っている、こういうことでよろしいんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が物資を輸送する際には、輸送中の安全確保というものが当然のことながら大前提でございまして、その内容、性質などにより輸送方法や取扱いが異なるため、自衛隊は、相手国部隊からのまず要請を受けた時点で、輸送対象がいかなるものか、またその重量、危険性の有無等について輸送前にあらかじめ逐一の確認を行うというのが実際の手続でございます。

 その確認に際しまして、我が国の政策や関連条約、法律等々の整合性を確保し、また五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処するため、輸送対象となる貨物が大量破壊兵器やクラスター弾、劣化ウラン弾でないことを確認するということとしております。

 なお、仮に輸送対象となる物資のこん包の仕方により内容物が見えにくい状況にあったとしても、あらかじめ相手国部隊から提示された物資の目録を踏まえまして、重量や容積、荷姿、こん包の仕方等から確認、照合することとなり、また必要に応じまして内容等を問い合わせる等によりまして、相手国部隊と緊密に意思疎通をいたしまして、適切な輸送の実施を確保するというところでございます。

櫻井委員 続きまして、燃料についてもお尋ねをいたします。

 燃料を提供する際に、例えば航空機なり船舶の燃料を提供するということになるんでしょうけれども、そういった場合に、その航空機なり船舶が一体何を運んでいるのか、どういう種類の船舶なのかということも重要になってくるかと思います。

 これはどういったものが対象になるのか。場合によっては、それこそ先ほど申し上げた核兵器とかクラスター弾を運ぼうとしている航空機なのかもしれないんですけれども、そういった輸送機へ給油するということも、これはいいのか悪いのか、いかがでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自衛隊は、ACSAのもとで、自衛隊法等の法律に規定する各種の活動、事態におきまして、相手国軍隊の航空機、車両、船舶等に使用する燃料、例えばガソリンや軽油等でございますが、こういう燃料や装備品等の整備に用いる潤滑油等を提供することが可能となる、これがまず一般的な原則でございます。

 その上で、委員御指摘の、核搭載の航空機に対する例えば燃料の提供という点でございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、我が国は、非核三原則を堅持するとともに、核兵器不拡散条約を批准し、大量破壊兵器の拡散防止にも積極的に取り組んでおりまして、大量破壊兵器を今後とも保有することはあり得ませんということでございます。

 核兵器を搭載する航空機への給油につきましては、非核三原則を堅持する我が国の立場を踏まえまして、我が国として主体的に判断することは当然のことであり、支援対象国の航空機が核兵器を搭載している場合に、支援対象国からの要請を受けてその航空機へ自衛隊が給油することはあり得ないというところでございます。

櫻井委員 搭載可能であっても、搭載しているかどうかはちょっとわからない場合もあるでしょうし、航空機の場合だったらまだしも、船舶の場合だったらますますわかりにくいということはあろうかと思います。しかも、先ほどの輸送の場合であれば、こん包等、実際に見るわけですから確認できるでしょうけれども、船舶で中に何を積んでいるかというのを全部チェックするわけにいかないし、これは実効性の観点からどうなのかなというところはありますが、その点についてもちょっと疑問は持っておりますが、ちょっとほかの質問に移らせていただきます。

 先ほど来、五党合意という話もございました。この五党合意なんですが、先ほどの質問では、文書では確認しておりません、こういう答弁でございました。しかし、文書で確認していないと、我が方、防衛省もそれから外務省も、担当者はある程度の年限がたったら異動するわけですし、あちらだって人事異動があるかもしれない。だんだん、記憶といいますか、薄れていくわけでございまして、言った言わないとか、そういったことになりかねないのではないのか。

 なぜ文書で残さないんでしょうか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御答弁申し上げましたが、この日加、日仏ACSAのもとでも、自衛隊は国内法で認められた範囲内においてのみ物品役務の提供を実施できる、弾薬の提供につきましても、国内法上実施し得るものだけが本協定の対象となることは当然でございます。五党合意も踏まえまして、十分私ども、カナダ、フランス側に説明し、理解を得ております。

 書面でなぜ了解を求めなかったのかという御指摘でございますが、これはこの交渉の中で十分理解を得ているということを踏まえまして、書面という形式は必要ないという判断に至った次第でございます。

櫻井委員 まさに法令の範囲ということなので、こちら側からすると、法令をつくるときの立法経緯も踏まえて、こうですよということなのかもしれないですけれども、あちら側は、日本法についてそんなに詳しいわけでもないし、また、日本法の中で、さらにその立法過程にまで一々詳しいわけでもない。条文をそのまま読んで、できるじゃないかと思ったら、実際やろうと思ったらできませんでしたということになると、せっかくの友好関係を結ぼうというのが逆の効果になってしまうのではないのかということもあるので、きちっと文書で残すものは残しておいた方がいいんじゃないんですか、こういう御提案でございます。

 別に今からでも遅くないと思いますので、きちっと文書を取り交わすなり、解説書をつくるなりしておいた方がいいのではないかと思います。

 次に、二条三項について、「武器の提供が含まれるものと解してはならない。」こういうふうに書かれておりますが、武器の提供なのかどうなのか、これもまた微妙な線引きの問題があろうかと思います。

 例えば、自動車のような輸送機器ですと、普通のセダンタイプの車であれば武器でないだろうというふうになるわけですが、オフロードタイプになるとどうなのか、装甲車だとどうなるのかとか、いろいろ、だんだんグレーなところが出てくるのではないかというふうに考えるんですが、この武器と武器でないものとの線引き、どのようにされるんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊による物品の提供の場面におきまして、まず武器と弾薬を分離して、弾薬のみの提供を行うことが想定されておりますので、物品の提供に関する法律上の規定におきましては、まず武器と弾薬を別々のものとして法律上規定している。

 この前提の上で、委員御指摘の、提供対象とならない武器というものはどういうものかと申しますと、人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置であり、例えば拳銃、小銃、機関銃など、消耗品でないものが該当するというものでございます。

 ACSAにおきます武器は、今申し上げた内容の定義のものでございます。

櫻井委員 あと、六条についてもお伺いをいたします。

 朝鮮国連軍として行動している場合には適用されないということなんですが、ただ一方で、どこまでが朝鮮国連軍として行動している場合なのか、多分ローテーションで行ったり来たりしているんだと思うんですけれども、いつから朝鮮国連軍としての行動になるのか。その手前の場合とか終わった後とか、いろいろあろうかと思いますけれども、この境目というのはどういうふうに判断をされるんでしょうか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、各国の軍隊、カナダ、フランスも含めてでございますが、朝鮮国連軍として活動する際には、当該活動が国連軍の目的に合致するか等も含め、当該国と国連軍との間に様々な調整がなされるものと考えております。

 国連軍の目的と申しますのは、朝鮮の平和と安全でございます。そうした調整の結果、国連軍として運用されるということでございまして、日本政府として、お尋ねの点について個別具体的にお答えする立場にはございません。

 同時に、我が国との間で国連軍地位協定を締結している国の軍隊、カナダ、フランスを含めてでございますが、同協定に基づいて国連軍として在日米軍の施設・区域を使用する際には、我が国として、国連軍との間で様々なやりとりを行う中で、朝鮮の平和と安定という活動の目的等を含む所要の確認を行っているところでございます。

櫻井委員 あともう一つ、朝鮮国連軍として行動する場合は本協定の対象ではありませんと言っておるわけなんですが、一方で、この協定の外側で、この協定とは関係のないところで、別の法律に基づいて朝鮮国連軍として行動する場合、行動しているカナダ軍やフランス軍に対してこうした物品等の提供をすることというのはあり得るんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで法律論、制度論として、委員御指摘の、このACSA以外の法律上の根拠として、カナダ、フランスに何らかの提供をできることがあるのかという点に関しましては、例えば、自衛隊以外の航空機が自衛隊の飛行場に不時着した場合等につきまして、自衛隊は、自衛隊法第百十六条に基づきまして、当該航空機に対し燃料等を貸し付けることが可能という法律上の規定がございます。

 したがいまして、あくまで法律論として申し上げれば、朝鮮国連軍として行動するカナダ軍及びフランス軍の航空機に対しても、この百十六条が対象となるというところでございます。

櫻井委員 最後に、こうした一連の協定について、この協定は条約ですから、ある種大きく書いてあるわけですが、実務、運用していくに当たって、具体的な手続を定めたものも取り交わすものだというふうに理解をしております。

 アメリカとのACSAでの手続取決めは公表されておりますけれども、今回のカナダとのACSA、それからフランスとのACSAの手続取決めについては要旨のみ公表となっているようでございまして、全部が公表されていないんですね。これは何で公表していないんでしょうか。

岡野政府参考人 日加ACSA、日仏ACSAの手続取決めにつきましては、相手国側の取扱いを踏まえて非公表としております。

 その上で、国会での議論の参考とするために、この要旨を国会提出に係る資料の中に参考として提出させていただいております。

櫻井委員 今、カナダ政府の都合、フランス政府の都合で、日本としては別にオープンにしてもいいんだけれども、カナダ政府がオープンにしてくれるな、フランス政府がオープンにしてくれるな、こう言うからこの要旨に限って公表しているんだ、こういう御答弁でよろしいですか。

岡野政府参考人 手続取決めについてどのような扱いをするかということにつきましては、我が国政府と先方政府との間で交渉して、最終的に決めるものであります。

 今回の二つの協定につきましては、先方政府の意向も踏まえてこのような形に、取扱いにするということで決めたものでございます。

櫻井委員 アメリカとの手続取決めは公表しているし、それこそ、冒頭大臣おっしゃられたように、民主主義、それから基本的人権というようなことをしっかりと共通の価値として共有している国同士であるならば、こうしたことは別に隠し立てするようなものではないと思うんですけれども、何で公表しないんですかね。カナダ政府とか、それこそ人権大国のフランス政府が公表してくれるなと言ってくるとは、にわかに信じがたいんですけれども。

 しかも、日本が結んでいる、日本が当事国になっている、カナダとかフランスとか、日本がかかわっていると公表されないというふうになっているように見て、ちょっとこれまでも、日報とか、あるものをないと言ったりするような日本政府でございますので、にわかに信じがたいんですが、それで本当に大丈夫なんですか。

岡野政府参考人 一般論として申し上げますと、他国と何らかの取決めをする場合には公表するのが一般的でありますし、実際にそのような形で対応してきているところであります。

 他方、軍隊の活動に関しましては、その運用にもかかわるところがございますので、一部その取扱いについては注意が必要という一点も考慮する必要があるかと思います。

櫻井委員 質問時間がもう終了ということですので、質問は終わらせていただきますが、やはり、別に隠さなくてもいいものまで一々隠すから、何かまた変なことをやっているんじゃないのかというふうにいろいろ疑いの目が向けられてしまうわけですよね。

 公表できるものはきちっと公表していくという姿勢が、それこそ基本的な価値を共有していく国同士では必要なことだということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

若宮委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 国民民主党の小熊慎司です。

 日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定及び日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定について、あわせてお伺いをさせていただきます。これまでの同僚委員の質疑とかぶる部分もありますが、丁寧な答弁をよろしくお願いいたします。

 今回、我が国が締結しようとしているいわゆるACSAについてでありますが、相手国であるカナダとフランス、両国ともに、自由また民主主義、法の支配、基本的人権の尊重など基本的な価値観を重んずる国であり、我が国ともこの価値観を共有しているというふうに思います。それらのカナダ、フランスの国々とは、価値観は共有していますけれども、条約に基づく同盟関係にはないのも事実であります。そうした前提においてお伺いをしてまいります。

 まず、交渉の過程において、カナダ側またフランス側から、同盟国ではない我が国に対して、ACSAの締結について具体的にどのような期待があったのか、示されたのか、それぞれお伺いをいたします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 カナダ側及びフランスの側からは、我が国とACSAを早期に締結することによりまして、自衛隊との間の物品役務の提供を円滑かつ迅速に行うことを可能とし、両国間の安全保障、防衛協力を一層強化していく点につきまして期待が示されております。

 また、実際に、委員御指摘のように、我が国と基本的価値を共有するG7のパートナーであるカナダ及びフランスとの間では安全保障、防衛分野での協力関係が大変発展、深化しておりまして、特に近年、自衛隊とカナダ軍及びフランス軍との共同訓練などの機会がふえてきております。

 そういう中で、このACSAの締結ということで強い期待が示されてきたということでございます。

小熊委員 確認ですが、外務省の資料によると、今言われた共同訓練に関して、やってはいるけれども、私が確認すると、過去五年間、カナダは三回、フランスは一回なので、ふえているというのは何をもってふえているんですか。フランスは、過去五年、一回ですよ。なかったから、一回ふえたからふえたという認識なんですか。どうなんですか、共同訓練に関して。

正木政府参考人 今委員御指摘のとおり、過去の実績という点ではそうなんですけれども、先ほども申し上げましたように、両方とも太平洋国家、まさにフランスはインド太平洋国家ということで、この地域への関与ということを深めている中で、過去の実績もそうではございますけれども、これから一層共同訓練等をふやしていきたい。先ほど来答弁しているように、具体的に計画も幾つかございますので、そういう中で、このACSAというものの締結の必要性というものが非常に高いレベル、例えば2プラス2などの場でも出てきている中で、今回、こういった交渉をし、締結の直前に至っている、そういうことでございます。

小熊委員 そういう意味では、今、太平洋地域の話にも言及されましたけれども、現行の我が国側の見方として、我が国の安全保障上、同盟関係にはないこうした二つの国とACSAを締結することによって、今少し触れられていた部分もありますが、我が国としては、今回の二国間とのそれぞれのACSAはどのような意義があるか、改めてお伺いいたします。

河野国務大臣 フランスもカナダも、この太平洋、あるいはインド太平洋と言ってもいいかもしれません、に対する関与を強めてきているところでございます。

 国境を越える脅威という意味で、我が国に対する脅威あるいはこの地域に対する脅威が増大をしている中、また、日本を取り巻く安全保障環境が厳しい状況にある中に、こういう太平洋を重視する両国との間でこうした取決めを締結するというのは、我が国の安全保障に資することにもなりますし、地域の安定ということにも役立つというふうに期待をしているところでございます。

小熊委員 そうした、カナダ側、フランス側からの期待、また、日本政府としての、そして安全保障上の意義を踏まえて、この二国間の前にオーストラリア、またイギリスともACSAがありますけれども、これらと同様に、ちょっと確認しますけれども、今回のこのACSAについては、武力攻撃事態などや重要影響事態のように、我が国の平和と安全が脅かされているような事態に適用することが可能となっていますけれども、両協定の交渉過程ではこうした事態に対する協力について具体的にはどのように議論がなされたのか、お伺いいたします。

正木政府参考人 カナダ及びフランスに対しましては、平和安全法制で新たに実施することが可能となったものも含めまして、日本の国内法令上、自衛隊による物品役務の提供が可能な活動や場面について個別に説明の上、これらがACSAの適用対象となることは確認いたしております。

 詳細につきましては、外交上のやりとりでございますので、これ以上は差し控えますが、カナダ及びフランスからは、これらの活動や場面において自衛隊から両国の軍隊への物品役務の提供が行われ得ること、また、その場合にはACSAが適用されることについて理解を得ております。

小熊委員 引き続きまして、現在、カナダ軍やフランス軍はアメリカが主催するリムパックなどの多国間訓練に自衛隊とともに参加をしておられます。

 先ほども御紹介あったとおり、最近では自衛隊との間での二国間訓練も実施されているところでありますが、我が国といたしましては、ACSAの締結を契機として、どのような形で具体的に安全保障分野における協力関係を更に築き上げていくつもりなのか、連携強化などについてお伺いをいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 カナダ、フランスの両国と我が国は、基本的価値観を共有するG7のパートナーとして国際社会の平和と繁栄に貢献すべく、さまざまな課題に協力して取り組んできておりまして、近年、安全保障、防衛分野における協力も深めてきております。

 例えば、これまで自衛隊とカナダ軍、フランス軍は同じ国連PKOあるいは外国での災害救援活動等に参加した実績がありますほか、近年、両国と二国間共同訓練を実施する機会あるいは多国間共同訓練にともに参加する機会もふえてきているわけでございます。

 このように、自衛隊とカナダ軍、フランス軍とがともに活動する場面が拡大する中で、両国軍とより緊密に連携して活動できるよう、ACSAを適用した物品役務の相互提供を可能とする体制を整備することが重要と考えております。

 ACSAの締結を通しまして決済や実務上の手続について枠組みが設けられることによりまして、日加、日仏間で相互の物品役務の提供を円滑にかつ迅速に行えることとなりまして、共同訓練を始めとした防衛協力、防衛交流を一層進展させることができるというふうに考えております。

 防衛省としましては、カナダ軍、フランス軍との間の協力を推進することによりまして、我が国の安全保障を強固なものとするとともに、自由で開かれたインド太平洋を築き上げ、国際社会の平和及び安全により積極的に貢献していく所存でございます。

小熊委員 今の答弁のとおり、実際、太平洋地域はいろいろな複雑な様相を呈しています。中国軍の台頭、また朝鮮半島の状況などもありますし、まさに、カナダとフランスと連携するということは、この地域の安定に資さなければなりませんし、また、余計な緊張感を持たないようにしなければならないということと、また、あわせて日本国憲法をしっかり遵守していくということも必要でありますので、交渉の過程で明らかにならない部分もありますが、やはりこうしたものをしっかり踏まえて、そこから逸脱することのないようにしていただきたいというふうに思います。

 このACSAについて、ちょっと違った観点から質問させていただきます。そのポイントとしては、朝鮮国連軍としてカナダ軍及びフランス軍はACSAの適用除外をしたという点があります。その意味について二、三お聞きをしていきたいというふうに思います。

 御承知のとおり、一九五〇年代に起きた朝鮮戦争はいまだに休戦状態にあり、先ほど御指摘させていただいたとおり、朝鮮半島有事に関しては全く起きないということを言い切れない状況にも残念ながらあるわけであります。

 もしということで答えられないかもしれませんが、もし有事が起きて朝鮮国連軍が活動するような事態となった場合、カナダやフランスもこの国連軍のメンバーでもありますので、カナダ、フランスも国連軍のメンバーとして活動する可能性もあります。我が国が重要事態安全確保法に基づいて重要影響事態と認定すれば、両軍に対する自衛隊による後方支援活動が可能となります。しかしながら、このACSAについては、朝鮮国連軍地位協定に基づいて朝鮮国連軍を構成する部隊として行動するカナダ軍やフランス軍が実施するいかなる活動にも適用されないというふうに規定はされているところであります。

 そこで、お聞きいたしますけれども、そもそも朝鮮国連軍自体は国連安全保障理事会決議に基づいて創設されており、朝鮮国連軍地位協定は、国連軍が我が国に滞在する間の権利義務その他の地位及び待遇について規定する協定となっています。朝鮮国連軍を構成する部隊として行動するカナダあるいはフランスがこの地位協定に基づく場合と基づかない場合のメルクマールは、我が国の施政下にある場所なのか、それともカナダ軍あるいはフランス軍の行動の内容なのか、あるいはその両方なのか、確認をさせてください。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、フランス軍、カナダ軍を含めまして軍隊が朝鮮国連軍として活動する際には、当該活動が朝鮮国連軍の目的、すなわち朝鮮半島の平和と安全に合致するかどうかを含め、当該国と朝鮮国連軍との間で様々な調整がなされるものと考えております。

 その上で申し上げますれば、我が国との間で国連軍地位協定を締結している国、カナダ、フランスを含んでおりますが、の軍隊が同協定に基づいて国連軍として在日米軍施設・区域を使用する際には、我が国として国連軍との間で様々なやりとりを行う中でその目的等の所要の確認を行っているところでございます。

 委員御指摘のメルクマールということかどうかは別といたしまして、当該軍の活動が朝鮮半島の平和と安全という目的に資するかどうか、さらには、その当該国と国連軍が調整をして、これが国連軍の活動ということになるかどうかというところが委員御指摘の点だと存じております。

小熊委員 それでは、更にお聞きいたしますけれども、このカナダとのACSA及びフランスとのACSA第六条の第一項と同様の規定は、オーストラリアとのACSA又はイギリスとのACSAにも規定されています。

 百九十三回国会において、両協定承認案件の際の政府答弁では、そのような規定を設けた理由は、朝鮮国連軍に対しては、朝鮮国連軍地位協定に基づいて我が国国内の在日米軍施設・区域の使用が認められているというふうになっています。

 ただ、現状では、横田飛行場に後方司令部要員を置くほかは部隊の配置がないこと、また、朝鮮国連軍内部の連絡調整など、後方支援のための航空機などの一時的な立ち寄りの際にこれらの施設・区域を使用してはいるものの、その際の物品役務の提供は専らアメリカ軍が実施をしているのが現状であり、現実的なニーズが今存在しないというような答弁もありました。

 しかしながら、もし仮に朝鮮戦争が再開されてしまった場合、この朝鮮国連軍地位協定に基づいて国連軍の部隊が我が国国内にある米軍基地に長期にわたり所在する可能性があるほか、出撃するために一時的に我が国に所在する部隊もあるということは想定をされると思います。また、場合によっては、現在使用が認められております七カ所のアメリカ軍基地のほか、自衛隊基地の使用も可能性がないとは言えないというふうに思います。我が国に対して物品役務の提供など支援を求めてくることなども想定をされると思います。

 こうした朝鮮半島有事の場合における我が国に所在する外国軍部隊の行動について、この朝鮮国連軍地位協定に基づくあるいは基づかないを区別することは、実際は起きてしまったら困難だというふうに思います。両者を区別する積極的な理由といったものが私においては見当たらないというふうに思いますが、見解をお伺いいたします。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、朝鮮半島において何らかの事態が発生した場合に関係国や朝鮮国連軍がいかなる行動をとるかについては、個別具体的な状況に応じて異なると考えられ、あらかじめ一概に述べることは困難でございます。

 その上で、一般論として申し上げれば、我が国との間で国連軍地位協定を締結している国の軍隊が国連軍として活動する際、同協定に基づいて在日米軍施設・区域を使用することができるということになっております。すなわち、朝鮮国連軍という位置づけを持って初めて地位協定のもとで我が国にありますところの米軍施設・区域を使用することができるという意味において、ここで実態的な差異が存在するということになってきております。その際に、先ほど委員から御指摘いただきましたとおり、当該国連軍は米軍から物品役務の提供を受けることが想定されております。この点は国連軍にも確認しているところでございます。

 いずれにせよ、問題意識は有事の際にどういうふうな調整を行うのかということだと存じますが、仮に御指摘のような事態が生じる場合、我が国の主体的な判断のもと、国内法令等に従いまして適切な対応、調整を行ってまいりたいと考えております。

小熊委員 これは有事ですから何が起きるかわかりませんが、今言われたとおり、我が国の法制をしっかり遵守して適正な対応をしていくという答弁でありましたので了としたいというふうに思いますし、こういう有事がないように国際社会が一致して外交努力で解決をしていかなければならないというのは言うまでもないということも指摘をさせていただきます。

 あと、先ほども議論に出た五党合意ですけれども、私自身も、五党合意は、しっかり趣旨が踏まえられているとはいうものの、やはり文書として取り交わすべきだったというふうに思います。

 また、この五党合意で更にちょっと確認をさせていただきますけれども、この趣旨においては、他国への輸送支援に関連して、カナダ及びフランスとの間では、自衛隊は大量破壊兵器やクラスター弾、劣化ウラン弾の輸送は行わないとの了解がとれているのかお伺いをいたしますし、また、了解がとれているのであれば、やはり五党合意も文書で交わすべきだったと思っていますから、この部分もしっかり文書で交わすべきだったと思いますが、まず、了解がとれているのか、とれているのであれば文書として取り交わすべきだったと思いますが、その見解を求めます。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 カナダ、フランスともに、先ほど委員から御指摘ございました五党合意に基づく対応につきましては、しっかりと説明をして、理解を得ているところでございます。

 また、先ほど防衛省から答弁がございましたとおり、我が国が五党合意にあるような大量破壊兵器、クラスター弾、劣化ウラン等の輸送を行うことは想定されていないという点についても、カナダ、フランスに説明している、十分な理解を得ているところでございます。

 また、御案内のとおり、ACSAは要請に基づいて物品と役務の提供を行うものでございまして、それを義務づけるものではございません。我が国としてきちんと主体的に判断をして、そのような五党合意の趣旨が反映されるように担保してまいりたいと存じます。

小熊委員 先ほど櫻井委員からもありましたとおり、今からでもしっかり、本来的にはこれは文書で取り交わすべきだというふうに私も思いますので、この点は指摘をさせていただいておきます。

 ACSAからちょっと離れさせていただきまして、震災から丸八年以上がたちました、原発事故からも八年以上がたっていますが、原発事故に関してはいまだに継続中の災害であり、福島県だけではなく、今、近隣各県においても、科学的根拠のないさまざまな規制がまだ近隣国においてははめられているところでもありますし、また、国際的な理解をされていない状況も存在するのも実態であります。

 福島県の方で、こうした風評被害対策として、PRの動画をつくりました。御承知のとおり、日本酒鑑評会において福島県は連続してその数が日本一というのが今でも続いているところでありますし、そうした意味では、多くの人に評価もいただいているところであります。

 こうした日本酒のPR動画を福島県でつくったんですけれども、英語バージョンもつくってあって、ユーチューブで公開されていたんですが、大変許しがたいコメントが書き込まれ、福島県の日本酒には放射性物質が含まれているという全く根拠のないコメントが書き込まれたので、今月三日に、県の方では、動画は見られるようにしてあるんですが、コメントはできないようにしてしまったわけです。これは対応としてやらざるを得なかったんですけれども、こうしたことが起きるというのは非常に残念なことですし、こうした対応を本来とらなくてもいいように変えていかなければいけません。

 今、日本政府においても、そうした国際的な風評被害に対策はとっていただいていますけれども、今回のこうした書き込みについて、まず見解をお伺いいたします。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、いまだ風評被害が残存しているということは非常に重大な問題だというふうに受けとめておりまして、このような中で、東京電力福島第一原発事故を受けた海外での風評被害対策は政府の最重要課題の一つと重く受けとめております。

 外務省としても、これは政府全体で策定いたしたものでございますけれども、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略に基づいて、本省のみならず、在外公館においても全力で風評被害の払拭に取り組んでいるところでございます。

 日本酒の御指摘がありましたけれども、それを含めた日本産食品の安全性、その魅力発信のためのPRイベント等を、公邸、在外公館、レセプション、外交行事、あらゆる機会を捉えて、被災地産品の積極的な活用の取組を行っているところでございます。また、関係省庁、御努力いただいている地方自治体とも連携をして、SNS等も活用して、一般市民を対象とした国外での情報発信も積極的に行っているところでございます。

 ただ、委員御指摘のように、今回の出来事は、いまだ国際的にも風評被害が強く残っているという証左であるというふうに思っておりまして、今後とも、在外公館を踏まえ、外務省の持つリソースを最大限活用いたしまして、最大限この問題に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 今までもやってはいただいていたんですよ。だけれども、こうしたことが起きてしまう、まだどうしても払拭できない部分もあるということで、この件については長年取り組んできて、外務省の皆さんとも意見交換させていただいていましたけれども、俗的に言えば、ちょっと真面目過ぎて、やっていることが教科書どおりというか、しゃくし定規で、だから効果が徹底的にあらわれていかない、こういう事態が八年たっても生じてしまっているということです。

 例えば、最近、インバウンドが伸びています。アジア地域です。中国、韓国、台湾、香港がトップフォーを占めていますし、リピーター率も台湾とか香港は高いわけですけれども、今までインバウンドの五位はアメリカだったんですけれども、直近ではタイが抜いたわけですよね。

 タイの伸び率を考えると、どうしたことになっているかというと、在外公館を通じてとか、ジャパン・ハウスもそれはそれでいいんですけれども、結局、SNSなんですよ。中国なんかも、コマーシャルとかは信用されていないから、インフルエンサーを使って日本の企業も宣伝したりしていますけれども、こうした、ユーチューバーとか、まさに大きなくくりでインフルエンサーですよね、SNS上で影響力のある人をどう使うかということによって、この情報発信がなされる。

 在外公館を通じてとか、政府一体となってリスクコミュニケーションをしっかりやりますというのは、実は、結果がもうこれ以上出る伸び代がないと思っています、やっていただいてありがとうございますなんですけれども。

 だから、ここから先はそうしたものを使っていくしかないと思っていますし、実際、日本政府観光局では、これは独法ですかね、各自治体向けのSNSの活用、インフルエンサーの活用というようなレクチャーもしているんですよね。これはまさに国際的な風評被害においても、インフルエンサーを積極的に使っていくということを前面に押し出してやっていかなきゃいけないんじゃないですかね。実際、今回、福島県がこうして傷つけられたのもネット上での話です。多分、これは一般の外国人なんです、英語で書き込まれたから。

 そうしたリスクコミュニケーション、情報発信で積極的にインフルエンサーを使うべきだと思いますけれども、取組の中の柱の一つに今後ぜひ入れていただきたいと思いますが、対応はどうですか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、一般市民に対する情報提供、まさにいろいろなソーシャルメディアを使った、そういう点は重要だというふうに認識をしておりまして、新たな取組も始めております。例えば、政府関係者のみならず、海外の報道関係者あるいはソーシャルメディア発信者等を対象とした方を日本にお招きをして被災地訪問事業を実施して、被災地の魅力を多角的に発信をしているということも取り組んでおります。

 まだ十分効果が出ていないという御指摘だと思いますけれども、今後とも、そういうリソースを最大限活用して、魅力発信に向けて粘り強く取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 インフルエンサーを使うというのは観光庁でもやっていて、誘致したりして、私の地元にも呼んでいただいたりもしていましたが、そういう明るい情報発信の部分だけじゃなくて、まさにこうした風評払拭の、ネガティブな情報に対して、それを打ち返していくインフルエンサーの活用も今後は大きな柱の一つにしていかなければならないという趣旨で今回質問させていただきましたし、本当にこうした心ないことで、これは日経新聞に載った案件ですけれども、出るたびにこれはもっと頑張らなきゃと、あと、やはり県民も傷ついていますし、これはしっかり打ち返しをできる切り口で対応をとっていただきたいというふうに思っています。

 だから、今言われた、やっていますけれども、もっともっとここで拡大をしていくということと、こうしたネガティブな情報発信に対しての打ち返しとしてのインフルエンサーの活用といったものをもっと幅広く、また深く活用するように検討していただいて、対応をとっていただきたいということをお願いを申し上げて、残余の時間を同僚議員に譲ります。

 どうもありがとうございました。

若宮委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人でございます。

 フランス、カナダのACSAについて質問をさせていただきます。

 ACSAが初めて運用されたのが二〇一三年、平成二十五年十一月のフィリピンでの台風での大きな被害に対して、自衛隊が現地で国際緊急援助活動をした際というふうに伺っております。

 そこでお聞きしたいのが、その二〇一三年のフィリピン台風の国際緊急援助活動で、現地にはどういった国々が参加されたのでしょうか。そして、その際、日本とアメリカの間、そして日本とオーストラリアの間で物品役務相互協定、すなわちACSA、具体的にどういった物資等の相互提供を行ったのでしょうか。お伺いいたします。

鈴木(貴)大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 委員がおっしゃられましたとおり、平成二十五年十一月に発生をしたフィリピン共和国における台風被害に対する国際緊急援助活動において、まさに日米ACSAのもとで、米海軍から海上自衛隊、そして米空軍から航空自衛隊に対し、それぞれ燃料の提供を実施をさせていただきました。

 また、日豪ACSAのもとで、海上自衛隊からオーストラリアの海軍に対し、燃料の提供を実施をしたところであります。

青山(大)委員 ちょっと済みません、これは参考人の方で結構ですけれども、このフィリピンの国際緊急援助活動のときに参加した国というのは、日本とアメリカ、オーストラリアの三カ国だけだったというような認識でよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 大変申しわけございません。手元に今参加国のデータについて持ち合わせておりませんので、恐縮でございます。

青山(大)委員 当時、日本とアメリカで、そして日本とオーストラリアでACSA協定が結ばれていたということで、あくまでも、先ほど来答弁がありますように、ACSAというのは決済手続であるけれども、そういったACSAが結ばれていたことによって、現場目線からのメリット、利点、また、さっき、アメリカとオーストラリア以外にほかの国が参加したかどうか、ごめんなさい、ちょっと私も事前に聞いていなかったのであれなんですけれども、フィリピンの国際緊急援助隊で、もし、ほかの国も参加した中で、日本は当時、アメリカとオーストラリア以外とはACSAを結んでいなかったわけじゃないですか、なので、ほかの国と本当は物品や役務の相互提供をしたかったんだけれども、ACSAを結んでいなかったことによって現場で不都合とかそういったことがあったのかについて、お伺いさせていただきます。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 これまでACSAがないことによって特段協力に支障が出たという個別具体的な事例が発生しているわけではございませんけれども、ACSAを締結することによりまして、共同訓練等さまざまな場面において必要な物品の提供を円滑に行うことが可能になる、協力を更に拡大することができるというふうに考えている次第でございます。

青山(大)委員 とりあえず、今回、共同訓練を除くと、さっき言ったように、フィリピンの国際緊急援助活動をした際が初めてのACSAを実際現場で運用した事例というふうにも聞いていますので、そういった中で、ACSAを結んだことによって、現場から、やはり結んでおいてよかったなという、そういったメリットをもう少し聞きたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。

河野国務大臣 平成二十五年度から二十九年度までの五年間で、例えば、日米ACSAのもとで、国際緊急援助を含む災害応急対応は十七件の実績がございます。また、オーストラリアとの間のACSAでは、平成二十五年度から二十九年度までの間に国際緊急援助及び国連平和維持活動で十件の実績がございます。

 そういう意味で、ACSAを締結することによってPKOあるいは災害緊急派遣の際にさまざまな国の軍といろいろ物品役務の相互提供が成り立っているということは、自衛隊がこういう活動に参加をする際にかなり役に立っていると申し上げてもよろしいかと思います。

 もちろん、ACSAは一義的には安全保障あるいは地域の安定ということに資するということで我々取り組んできているわけでございますが、同時に災害対応ですとかPKOでも非常に役に立っているということは申し上げてもよろしいかと思います。

青山(大)委員 今大臣から、いわゆる共同訓練以外でも、災害支援活動ですとかPKOでACSAを運用したことの事例の御答弁をいただきましたけれども、そういった今おっしゃった事例の中で、いわゆる弾薬の提供についてのACSAを運用した決済というのはあったのでしょうか、お伺いいたします。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の弾薬については、これまでございません。

青山(大)委員 では、確認ですけれども、いわゆる自衛隊と他国の軍隊との共同訓練の際には、当然、弾薬の提供についてのACSAの運用はあったということで、そこは確認ですけれども、それはよろしいんですよね。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、ACSAのもとで、現在までに、自衛隊が相手国軍隊との間で、委員御指摘の共同訓練の場合を含め、弾薬の相互提供を行った実績はございません。

青山(大)委員 御答弁ありがとうございました。今までのACSAの中で弾薬提供に対する決済はなかったということでいいですね。ありがとうございます。

 ちょっとACSAというのはなかなか一般の方にとっては聞きなれない言葉でございますし、ただ、ちょっとイメージ的に言うと、安全保障や軍事面だけがクローズアップされてしまいがちですけれども、先ほど大臣の御答弁にもあったように、大規模災害発生時の災害緊急派遣の際やPKOに活用されてきたことも、私はもっとそこは国民の皆様に伝えていってもいいのかなというふうには思っています。

 ただ、今回、やはりフランスとカナダの今回のACSAの協定書を見まして、これは二〇一五年の安保法制成立以前のACSAの協定の中身、当時ですと、ACSAを結んでいたのはアメリカとオーストラリアの二カ国ということになりますけれども、提供される物品又は役務の中に、武力攻撃事態以外、弾薬の提供が入っていなかったわけでございます。二〇一五年の安保法制成立以降のACSAの協定の中身には必ず弾薬の文言が入っている。

 例えば、今回の協定書でいいますと、やはり論点になってくるのが、第一条第一項の(e)のところですね、「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」というところと、第二条の二項、「この協定に基づいて提供される物品又は役務は、次に掲げる区分に係るものとする。」の中に弾薬という言葉が入っている。やはり、この二点がどうしてもいろいろな論点が出てくるのかなというふうに思っております。

 恐らく過去にも、安保法制の際に国会でも弾薬や武器の定義などが議論されたというふうに思いますし、その議論を蒸し返すつもりはありませんが、やはり弾薬の提供というところが気になってしまうのも実際のところでございます。

 このACSAの協定の中に、この弾薬の提供というのを外すということは、やはりこれはなかなか実際のところできないのでしょうか、お伺いいたします。

岡野政府参考人 委員御指摘のとおり、二〇一六年、平成二十八年に施行された平和安全法制において、武力攻撃事態その他の各種事態、存立危機事態等の事態や平素の活動に際して、関係法令に従い、弾薬を提供することができるようになりました。

 これは、過去には具体的なニーズが想定されなかったものの、例えば、日米ガイドライン見直しに係る日米間の協議の中で、アメリカ側から弾薬の提供を含む幅広い後方支援への期待が示されたこととか、二〇一三年、平成二十五年十二月、国際連合南スーダン共和国ミッション、UNMISSに対して、韓国隊の隊員の生命身体を保護するために自衛隊の弾薬を提供した実績があったということで、想定外の状況により弾薬を融通する必要が生じる場面が現実にあるということが確認されたということも踏まえまして、それ以降の協定といいますか法制のもとで弾薬の提供ができるようになった。それ以降のACSAにおいては弾薬の提供を想定した形で書かれているということでございます。

青山(大)委員 今回、フランスとカナダのこの協定に来るまで、本当に事務方もいろいろな交渉があったというふうにもちろん思いますし、今回はこのような協定の内容になっておりますが、今後も、ほかの国ともACSAの締結に向けて取り組まれるというふうにも考えられますが、その際、この弾薬の提供という文言はやはり常に一体となるしかないんでしょうか。

岡野政府参考人 今後の協定については相手国との交渉次第というところがございますけれども、今回お諮りしております日仏、日加の協定につきましては、既に成立している日英、日豪をもとにつくったものでございます。その中には弾薬の提供というのが想定されているということでございます。

 委員も御指摘になりました、協定には第二条というものがございますけれども、この中で書いてありますのは、まずは、物品役務の提供はそれぞれの国の権限の範囲内で行うということが書いてあるとともに、もう一つは、提供することができるということが書いてあります。実際に提供するかどうかというのは、それぞれの国が主体的に判断することは確保されていることでございます。

青山(大)委員 先ほどもほかの委員の方からも御質問があったんですけれども、我が国については、安保法制の議論の際に、二〇一五年の九月に、弾薬の提供及び輸送支援について、いわゆる五党合意というものが結ばれたものでありますけれども、日本には弾薬の提供及び輸送支援についてそういった国内の取決めがあるんですよということは、締結する相手国もしっかりその辺は御理解をしているんでしょうか。

鈴木(貴)大臣政務官 政府といたしましても、法制成立時に行いました閣議決定のとおり、まさにこの五党合意の趣旨というものを尊重し、適切に対処していく考えであり、また、これまでも、カナダそしてフランス側に対しましても、我が国の国内法令及び五党合意の内容、そしてまた、それを我々としても尊重するという意向についても説明をしてきたところであります。

青山(大)委員 そういったことについて、相手国と文書等をもってきちんと取り交わしはされているんでしょうか。重ねてお伺いいたします。

岡野政府参考人 先ほど来御説明申し上げているとおり、日本側ができることについては、カナダ、フランス両国との間では、交渉の過程を通じて十分に理解を得ているということで、それ以上、文書というのは作成しておりません。

青山(大)委員 わかりました。

 ちょっと話をかえますけれども、これも質問が重複してしまいますけれども、今回、フランスとカナダと何でACSAを結ぶのかということで、ほかの委員の方からも御質問があり、さまざまな答弁がありましたけれども、いただいたACSA協定の説明書の中の成立経緯のところを読むと、日本とカナダの間で、また日本とフランスとの間で、「安全保障面での協力が拡大してきている現状を踏まえ、」というふうに書かれておりますけれども、もう少し具体的に、どういったことを指しているのか、改めてお伺いいたします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 カナダは、太平洋国家としまして、近年、アジア太平洋地域への関与を強めておりまして、その一環として、我が国の安全保障、防衛分野での協力に積極的な姿勢を見せております。

 二〇一八年十一月に行われました日加首脳会談でも、安保、防衛協力を含む日加間の戦略的関係を一層深めていくことで一致しております。また、自衛隊とカナダ軍との間の協力はこれまでも活発に行われておりまして、どちらもPKOや国際緊急援助活動に参加してきたほか、二国間訓練や米国等が主催する多国間の共同訓練にも多数参加しております。

 フランスにつきましては、インド太平洋地域に海外領土を有するインド太平洋国家としまして、同地域へのさらなる関与の方針を打ち出しております。

 日仏間でも、首脳会談あるいは外務・防衛閣僚会合、いわゆる2プラス2等におきまして、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け協力を強化していくことで一致しておりまして、例えば、二〇一七年の五月には、フランスの練習艦隊ジャンヌ・ダルクが訪日した際に、初めて日仏英米による共同訓練が行われました。

 政府としましては、我が国の安全保障をより強固なものとし、自由で開かれたインド太平洋地域を維持強化していくためにも、基本的価値とインド太平洋地域における利益と関心を共有しますカナダ及びフランスと更に協力を強化していきたいと考えております。

青山(大)委員 そこで、ちょっと先ほども触れました協定書の第一条第一項の(e)の部分ですけれども、今回のフランスやカナダとのACSAには、存立危機事態や重要影響事態は明記されていませんけれども、条文に、今言ったところに「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」と書かれております。

 その他の活動には存立危機事態や重要影響事態も論理的には含まれるというような理解でよろしいでしょうか。

山田(賢)大臣政務官 お答えします。

 ACSAは、自衛隊と相手国の軍隊との間の物品役務の相互提供に適用される決済手続等の枠組みを定めるものでございます。

 自衛隊の活動の根拠は自衛隊法を始めとする国内法により定められており、ACSAを締結することによって自衛隊の活動の範囲が広がるものではございません。

青山(大)委員 ありがとうございました。

 では、ちょっと質問をかえて、フランスやカナダとACSA協定を締結するに当たって、フランスやカナダと存立危機事態や重要影響事態の協力についてどういった議論などが交わされたことがあったのでしょうか、お伺いいたします。

正木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来御答弁させていただいておりますが、当然のことながら、我々の国内法令につきましては、フランス、カナダに対しまして十分御説明申し上げておりますし、その中で今後どういった活動、協力ができるのかということは協議した上で今回の協定の署名に至ったということでございます。

青山(大)委員 ありがとうございました。

 ちょっと最後の質問に行きますけれども、もちろん、今回、フランスとカナダということで、先ほどもなぜ必要なのかといった御答弁をいただきました。

 今、我が国の周辺の安全保障環境を見た場合、韓国と、請求権問題とか本当にいろいろな多くの懸案を抱えており、この外務委員会でもいろいろな議論がなされておりますが、一方、韓国が隣国であることには変わりないという中で、かつて二〇一一年一月には、日本と韓国の防衛大臣の会談において、ACSAの締結に向けた意見交換を進めていくといったことで一致したというふうにも承知をしております。

 もちろん、それから大分期間がたって、日韓関係も大分変わってきている面は当然ございますけれども、日本と韓国の間におけるACSAの締結に向けた話合いなどは考えているんでしょうか。

山田(賢)大臣政務官 お答えします。

 韓国側とは、これまで実務レベルでの協議を行っておりますが、現時点で交渉は開始されておりません。

 日韓関係は、委員御指摘のとおり、非常に厳しい状況が続いており、政府としては、さまざまな問題について、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく考えでございます。

 他方、北朝鮮問題を始め、連携すべき課題については韓国ともしっかり連携していくことが重要だと考えております。

 韓国とのACSAについては、政府として、これらの観点を総合的に勘案しながら、引き続き検討してまいります。

青山(大)委員 丁寧な御答弁をありがとうございました。

 また、周辺含めて、タイやインドネシアとかフィリピンなど東南アジア諸国との間で、自衛隊とこれらの国の軍隊との間で、今現在も共同訓練や部隊の訪問などが実際に行われております。

 東南アジア地域の国家との間で今後ACSAを締結していくのか、そういった必要性について改めて見解をお伺いいたします。

山田(賢)大臣政務官 お答えします。

 御指摘の国との間でACSAやこれに類する取決めの交渉開始が具体的に検討されている事実はございません。

 政府といたしましては、自衛隊が諸外国の軍隊と協力して活動する際に物品役務を相互に円滑に提供できることは重要な意義を有することから、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、具体的ニーズ等も踏まえながら、必要なACSAの締結に取り組んでいく考えでございます。

青山(大)委員 ありがとうございました。

 あともう一点、周辺諸国ですと、当然、国交は結んでいませんけれども、地理的な状況を踏まえると、やはり安全保障上、台湾との連携も私は必要じゃないかというふうに思っております。

 当然、国交がないので、また共同訓練なんかもしていないという状況とは思いますけれども、台湾とACSAを締結することなども視野に入れるべきじゃないかなとも思いますけれども、そういったことについて御見解をお伺いいたします。

山田(賢)大臣政務官 お答えします。

 日本の台湾に関する基本的立場は、一九七二年の日中共同声明のとおり、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくというものでございます。

 各分野における台湾との協力につきましては、こうした立場に基づき、適切に対応してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 はい、わかりました。

 間もなく時間ですけれども、ACSA、物品又は役務の相互の提供に関する協定ですけれども、かつて民主党政権のときもACSAの締結ということで進めてきたことは事実でもございますし、私もその必要性は十分認識はしておりますけれども、その後の安保法制のさまざまな議論を経て、ちょっとその中身も変わってきたところでございます。

 先ほど、私の中では気になるところに、繰り返しですけれども、第一条第一項の(e)の部分、「それぞれの国の法令により物品又は役務の提供が認められるその他の活動」というところと、第二条二項の弾薬というところがあるというようなところで、先ほど参考人の方からも、弾薬といっても、第二条一項のところで、あくまでも当事国の政府の権限の範囲内で、要請された物品又は役務を提供することができるということで、別に無制限にするわけじゃないといった答弁もございました。

 今後も、恐らくほかの国ともACSAの締結を進めるに当たって、現在交渉しているところもあるというふうにも伺っております。その際は、先ほど来申しましたように、我が国の立場ですとか、繰り返しますけれども、特に、二〇一五年の、弾薬の提供及び輸送支援に結ばれた五党合意、そういった趣旨の徹底を相手国に対しても図っていただきたいというふうに申し上げ、私の質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、協定について外務大臣に質問をいたします。

 今回の協定は、これまでのACSAと同様に、平時の共同訓練だけでなく、重要影響事態や存立危機事態、武力攻撃事態なども適用対象としています。

 日本の同盟国ではないカナダ、フランスとのACSAで、日本の平和と安全にかかわるこれらの事態を対象としたのはなぜですか。

河野国務大臣 我が国は、基本的価値を共有するカナダ及びフランスとの間で、安全保障、防衛分野での協力関係を発展あるいは深めてきております。特に、近年、自衛隊とカナダ軍及びフランス軍との共同訓練という機会がふえております。

 カナダ、フランスは、それぞれインド太平洋地域への関与を強めているということもありまして、日本との安全保障面での協力を円滑化するACSAの早期締結を重視してまいりました。

 カナダ及びフランスのいずれにつきましても、自衛隊と自国軍が協力する場面をあらかじめ全て具体的に列挙することはできないが、そのような場面が生じた場合に、物品役務の相互提供を行えるようにしておきたいという意向を有しているわけでございます。

 近年、自衛隊とカナダ軍、フランス軍が協力する機会が増加する中、ACSAの締結は、自衛隊とカナダ、フランスそれぞれの軍との間の緊密な協力を促進するものであって、我が国の安全保障に資するのみならず、我が国として、国際社会の平和及び安全により積極的に寄与することにつながるものと考えております。

 カナダ及びフランスに対しては、平和安全法制で新たに実施することが可能となったものを含め、日本の国内法令上、自衛隊による物品役務の提供が可能な活動や場面について個別に説明の上、これらがACSAの適用対象となることを確認済みでございます。

 このACSAは、あくまで自衛隊と相手国軍隊との間で物品役務を相互に提供する際の決済手続の枠組みを定めるものであって、ACSAに基づく物品役務の提供は、それぞれの国の法令により認められる範囲のみで行われるものでございます。

 カナダ及びフランスからは、平和安全法制のもとで想定される各種事態のもとで自衛隊から両国の軍隊への物品役務の提供が行われ得ること、また、その場合にはACSAが適用されることについて理解を得ておりますが、このこと自体が、これらの事態におけるカナダ軍及びフランス軍との協力について、何らかの具体的な想定がなされていることを意味しないということを申し上げたいと思います。

赤嶺委員 そうしますと、安保法制、これは、従来戦闘地域とされていた場所での兵たん支援、戦闘作戦行動に発進準備中の航空機への給油、整備も可能としております。

 カナダ軍、フランス軍に対しても、こうした支援が可能になるということですか。

河野国務大臣 ACSAは、あくまで自衛隊と相手国軍隊との間で物品役務を相互に提供する際の決済手続などの枠組みを定めるものでありまして、ACSAに基づく物品役務の提供は、それぞれの国の法令により認められる範囲でのみ行われることになります。

 平和安全法制においては、我が国の支援対象となる外国軍隊が現に戦闘行為を行っている現場では、支援活動を実施しないこととなっております。また、発進準備中の航空機への給油及び整備については、支援を行い得ることとなっております。

 いずれにせよ、ACSAに基づく物品役務の提供は、それぞれの国の法令により認められる範囲でのみ行われる。繰り返しておきたいと思います。

赤嶺委員 これまでは政府が憲法上認められないとしてきた武力行使と一体化した兵たん支援活動、これまでのアメリカ、オーストラリア、イギリスの三カ国に加えて、カナダ、フランスの軍隊に対しても可能になるということであります。

 憲法違反の安保法制、日米ガイドラインの具体化を更に推し進めるものであり、私たちは絶対に認められないということを指摘しておきたいと思います。

 それでは次に、辺野古の基地建設の問題について質問をいたします。

 石井国土交通大臣は、今月の五日、沖縄県の埋立承認撤回を取り消す裁決を下しました。

 裁決に至る経過から伺いますが、今回の審査に当たって審理員が指名されたと聞いています。具体的に、いつ、どういう人が、何名指名されたんですか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 審理員につきましては、現行の行政不服審査法第九条第一項におきまして、審査庁は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名する、こういうこととされております。

 また、あわせまして、行政不服審査法第九条第二項におきまして、この審査庁が指名する者につきまして除斥事由を定めておりまして、審査請求に係る処分等に関与した者、あるいは審査請求に係る処分について利害関係を有すると認められる者、こういった者以外の者でなければならない、こうされております。

 本件につきましては、このような行政不服審査法の規定に基づきまして、私ども水管理・国土保全局総務課の職員を審理員として指名をいたしました。

赤嶺委員 何名指名したんですか。

林政府参考人 審理員については、一名でございます。

赤嶺委員 審査庁である国土交通省の職員、総務課の職員、その審理員は国土交通大臣の指揮命令のもとにあるんですか。あるいはそこから外れるのか。どちらですか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 審理員につきましては、行政不服審査法第九条におきまして、審査庁は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名する、こうされておるわけですけれども、本件につきましても、審査庁である大臣から指名を受けておりまして、この審理員の事務につきましては、行政不服審査法の規定に基づいて適切に対応したもの、こういうふうに受けとめております。

赤嶺委員 石井大臣から指名を受けたと。つまり、大臣の指揮命令下にある立場、それは変わらないわけですね。

林政府参考人 委員御指摘のとおり、審査庁であります国土交通大臣の指揮に基づいて、行政不服審査法の規定に基づく事務を執行した、こういうことでございます。

赤嶺委員 辺野古が唯一の解決策というのは、二〇〇六年の閣議決定に基づく政府の統一した方針であります。

 審理員は、政府の統一した方針から免れる立場にあるんですか。

林政府参考人 大臣の事務については、他の委員会でも石井大臣御自身が答弁されておりますけれども、あくまでも審査庁としての事務は、行政不服審査法の規定に基づいて審査庁として行っておるものでございますので、その意味で、審査庁の立場としての国土交通大臣は、いわゆる行政不服審査法の規定に基づいて事務を執行している、こういうふうに受けとめております。

赤嶺委員 審査庁の立場、行政不服審査法に基づいてやったこと、そのやったことを聞いているんじゃなくて、それは、唯一の解決策という閣議決定、その政府の統一した方針、審理員はその統一した方針から免れているわけですか。

林政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、審理員の事務は、あくまでも行政不服審査法の規定に基づいて執行すること、こうされておりますので、大臣との関係も、審査庁としての石井大臣の指揮のもとで事務を執行している、こういうことでございます。

赤嶺委員 政府の統一した方針のもとに国土交通大臣の立場があり、審理員もそこの指揮命令下にあるというだけでも、行政不服審査法に基づく審査請求、審査庁の立場というのがいかほど国民から見て合理的に聞こえるのか。私には、極めて疑い、あるいはそんなことが許されていいのか、こう思うのは、また別の理由もあるんですよ。

 国土交通省は、防衛省からの求めに応じて、辺野古の基地建設に協力するために大量の出向者を防衛省に送り込んでいます。いわば国土交通省挙げてこの事業に協力しているときに、この審理員だけは公正中立な審査ができるんですか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の、私ども国土交通省からの人事、出向の件については、ちょっとお答えをする立場にはございませんので、コメントは控えさせていただきますけれども、繰り返しになりますが、審理員の事務につきましては、行政不服審査法の規定に基づいて事務を執行させていただいている、こういうことでございます。

赤嶺委員 その審理員というのは中立公正な立場ということを強調しているんですが、この審理員はもともとどこの部署にいた職員ですか。

林政府参考人 繰り返しになりますけれども、審理員の現在の所属は、水管理・国土保全局総務課の職員でございます。

赤嶺委員 それで、今はどこにいるんですか。

林政府参考人 今も水管理・国土保全局総務課に所属をしております。

赤嶺委員 審理員の役割を果たしていた間は別の部署に行っていたんですね。

林政府参考人 お答えをいたします。

 所属は継続をして水管理・国土保全局総務課でございまして、勤務をしている場所も、審理員に指名される前と同様の場所で勤務をしておりました。

赤嶺委員 そうしますと、要するに、国土交通省の一職員が同じ場所に勤務し続けながら審理員の仕事もやっていた、そういうことですね。

林政府参考人 勤務をしておりました場所については、そのとおりでございます。

赤嶺委員 これで中立公正だとどんなに言い張ってみても、とても中立公正だとは言えないと思います。

 審理員は、軟弱地盤の問題で有識者に鑑定を依頼しております。審理員が専門家の鑑定を依頼したときに、審理員はどういう基準に基づいて有識者を選定したんですか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 鑑定人につきましては、行政不服審査法第三十四条の規定におきまして、審理員は職権で適当と認める者に鑑定を求めることができる、こうされております。ただし、法令上、鑑定人の選定基準というものが具体的に定められているわけではございません。

 今回、本件について鑑定人を選定するに当たりまして、行政不服審査法の規定に基づいて、地盤改良や地盤工学に係る専門的な知見を有する方が鑑定人としては適当であろうということで、日下部治先生に鑑定を依頼したものと承知をしております。

 日下部先生につきましては、地盤改良や地盤工学の研究経験が四十年を超え、実績が国際的にも評価されており、現在は東京工業大学名誉教授、国際圧入学会会長等を務められていると承知をしております。

赤嶺委員 この鑑定書、私も目を通してみました。辺野古の地盤改良をめぐっては、容易に完成を見通せない難工事になるという指摘も専門家の間からなされています。さまざまな評価があり得るもとで、審理員が複数人ではなく一人だけに鑑定を依頼したのはなぜですか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 審理員が鑑定人を選定するに当たりましては、やはり、委員御指摘のように、中立性とか公平性とか、こういったことを確保しつつ、専門的な知見を有する方を選定する必要があるだろうということで、審理員の方でも複数の方を検討した上で、やはり学識経験等からこの方が適当だろうということで、複数人選ぶというのも選択肢であったかと思いますけれども、限られた時間の中でもあったということもあって、一人の方にお願いをしたというふうに承知をしております。

赤嶺委員 複数の鑑定人、専門家を選ばなきゃいけないという検討過程がありながら、結果として一人しか選ばなかった。ちょっとやはり疑問ですよね。時間がなかったとかそんなことよりも、中立、公平、公正というのが問われる中で、いやいや、時間がなかったから一人にしたというのは、言いわけにしてもお粗末であると思いますよ。

 依頼した有識者が辺野古の受注業者から寄附を受けた事実があるかどうか、これについて事前に確認しておりましたかね。

林政府参考人 御指摘の寄附の有無につきましては、今のところ把握ができておりません。承知をしておりません。

赤嶺委員 防衛局が環境に対する配慮をしているという最大の根拠にしている環境監視検討委員会、沖縄防衛局の中に置かれておりますが、その中には、受注業者から寄附をもらっていた事例、過去に国会で私も示したことがありますが、今度の場合にはそういう検討もしないで依頼をしたということですね。

 それで、一昨日、野党合同ヒアリングでもこの点が聞かれていました。防衛省としては、この点を受注業者などに確認しましたか。

辰己政府参考人 お答えいたします。

 防衛省が鑑定人を選ぶ立場ではございませんので、その点について事前に確認はしておりません。

赤嶺委員 調査すべきじゃないかということを、野党合同ヒアリングで防衛省は求められていましたね。求められている立場にあることは認識していないんですか。

辰己政府参考人 野党合同ヒアリングではそのような議論があったということについては承知をしておりますが、我々としてその立場にはないと思っていますが、この点については別途検討したいと思っています。

赤嶺委員 国土交通省の裁決書は、鑑定結果に基づいて工事は可能だ、このように結論づけております。しかし、まず申し上げなければならないことは、沖縄県が指摘していたのは、地盤改良工事によって工事が長期化する、そして、この事業の目的である普天間基地の早期返還が実現できなくなる、この点であります。

 国土交通省は、裁決に当たって、地盤改良工事の工期、事業全体の工期をどれくらいと判断したんですか。

林政府参考人 お答えをいたします。

 沖縄県が、行政不服審査手続におきまして、地盤改良工事により工期が延びれば普天間基地の返還がおくれるということとして、公有水面埋立法第四条の「国土利用上適正且合理的ナルコト」、この要件を満たさない、こう指摘をしておりました。

 これを受けまして、行政不服審査法に基づいて審理員が求めた鑑定の結果や、沖縄県及び沖縄防衛局、両当事者の双方から提出された書面の内容を検討しましたところ、地盤改良工事につきましては、施工実績も豊富な一般的な工法によることができること、更に今後の詳細な検討によって、より合理的な設計、施工方法によることも考えられること、こうしたことからすると、具体的な工期の設定というのは証拠書面の中で提示をされていたわけではありませんが、工期が延びるとしても、埋立工事が実現可能なものであると見込まれる状況にあることから、公有水面埋立法第四条の埋立承認の要件を満たさないとは言えない、こう判断をしたところでございます。

赤嶺委員 国土交通省は、埋立承認撤回をしたときに、沖縄県のその撤回を執行停止にしました。そのときの理由も、これは、普天間の返還がおくれる、日米関係にかかわる問題だといって、あなた方自身も重視していた時期の問題ですよ。期限はわからないけれども、沖縄県は違法だ、こんなやり方がありますか。工事にどれだけの期間を要するかの見通しもない、しかし防衛省の主張は妥当だ、こう一方的に判断したということであります。

 政府はこれまで、普天間基地の五年以内の運用停止に全力を尽くすと説明をしてきました。五年以内の運用停止の約束を守れば、普天間基地周辺住民の苦しみ、危険性を直ちに除去できます。その点は、裁決に当たってどう判断しましたか。

林政府参考人 委員御指摘の点については、行政不服審査手続では、審査請求を求めてこられました沖縄防衛局、それから処分庁として撤回をされました沖縄県、それぞれからの双方の主張をもとに判断をいたしておりますので、この主張の中で求められていないことについては、我々として判断をしているものではございません。

赤嶺委員 外務大臣に伺いますけれども、あさって、四月の十二日、橋本・モンデール会談から二十三年になります。普天間基地の一日も早い危険性の除去が原点だと言いながら、辺野古の基地が完成するまであと十三年以上も待ち続けるということに、そういう事態に今実際になっております。直ちに運用停止に踏み切るべきではありませんか。

河野国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運用停止については、例えば日米2プラス2などの機会に、外務大臣及び防衛大臣からアメリカに対して説明するなどして、政府として、適切な機会を捉えて米側にしかるべく説明をしてきたところでございます。

 しかし、普天間飛行場の移設をめぐる状況は、沖縄県が埋立承認を取り消し、さらには埋立承認を撤回するなど、根本的な部分において仲井真元知事と認識を共有した当時と大きく変化しております。このような中で、五年以内の運用停止を実現することは難しいということを申し上げてまいりました。

 もとより、政府としては、今後とも、沖縄の負担軽減、そして普天間飛行場の一日も早い全面返還に向けて全力で取り組んでいく考えであり、かかる考えについては、けさ開催された普天間飛行場負担軽減推進会議において私からも表明したところでございます。

赤嶺委員 けさ、負担軽減推進会議も開かれたようですが、中身は後でまた詳細に検討させていただきますけれども、政府が負担軽減といいながら、沖縄の実態は、外来機の飛来により普天間飛行場が爆音が激しくなり、非常に負担が拡大強化しているという現状があります。

 同時に、仲井真知事と安倍首相、あるいは負担軽減推進協議会で当時の岸田外務大臣も入って、五年以内の運用停止を合意したときに、その後、仲井真当時の知事は県議会の答弁でも、それから当時の宜野湾市長も宜野湾市議会の答弁でも、これは辺野古の基地問題とはリンクしない、一刻も早い運用停止が必要だと、リンクはしないということをずっと県民に説明をしてきました。

 今の河野大臣の説明だと、極めてリンクした問題だということになりますが、それでいいんですか。辺野古ができ上がるまで、ずっと普天間は危険なままでいいんですか。やはり即刻運用停止すべきではないですか。

河野国務大臣 政府としては、今後とも、沖縄の負担軽減、そして普天間飛行場の一日も早い全面返還に向けて全力で取り組んでいく考えであり、けさの普天間飛行場負担軽減推進会議においてもそういうことを私から申し上げたところでございます。しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

赤嶺委員 今度の行政不服審査請求に基づく審査そして裁決は、まさに国土交通省と防衛局、政府同士のなれ合いに基づく結論であって、とても容認できるものではありませんし、負担軽減といいながら負担を増加し、ここに来て運用停止を辺野古新基地とリンクさせるようなやり方も到底受け入れられないということを申し上げて、質問を終わります。

若宮委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳であります。

 まず冒頭、F35A戦闘機が青森沖で消息を絶ち、機体の一部が見つかったという報道が入りましたけれども、パイロットの方がとにかく無事でいただくことを私は今の立場ではお祈りするしかありませんけれども、無事を祈りたいと思います。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 先般、中央アジアの国々についての質問をちょっとさせていただきましたけれども、その答弁の中で河野外務大臣が、法華経の経典にコーカサスという言葉が出てきますけれども、そのコーカサス三カ国の中で特にアルメニアとジョージアは日本の外務大臣として初めて訪問されたということを伺いました。そのときに既に私も知っていなきゃいけなかったんですけれども、エコノミスト誌のザ・エコノミスツ・カントリー・オブ・ザ・イヤー二〇一八というか、こちらにアルメニアが選ばれているというようなことがあって、本当に的を射た訪問をされたというふうに評価させていただきたいと思います。

 ちなみに、アルメニアは、ちょっと最初のセンテンスの中で、前の年に比べてインプルーブドしたというのと、プログレスがあったという国の評価として、アルメニアが二〇一八年のエコノミストのカントリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたということでございます。

 若干皮肉めいたところで、一番おいしいものを出す国である日本、残念でしたみたいなことが書いてあって、若干皮肉でございますけれども、アルメニアのように成長著しい国はそういう評価になるかもしれませんが、我が国も後ろ向きではなくて前向きに評価されるようなことがあってもいいのではないかと思いますので、ひとつアルメニアを目標に我が国も頑張っていこうということを申し上げたく存じます。

 それと次に、きょう、もう質疑は多分あったかと思うんですけれども、国会議員の外国訪問に当たって大使の送迎なしということで、外務大臣名の通達があったということがございました。

 私もそんなに海外へ行かせていただきませんし、なかなか、委員会訪問とか、本当に公務というような形でお邪魔する機会がないので、そんなに機会はありませんでしたけれども、ケース・バイ・ケースであっていいなというふうには私は思っておりましたので、重要な議員外交等はある意味で必要なこともあるかもしれませんけれども、基本的には、在外公館の大使なりそれに準ずる方々は、やはり外交に力点を置いていただきたいという意味で、接待のような立場でお仕事をするというのは私も控えるべきだと思いますので、こういった御通達には賛意を示させていただきたいと申し上げます。

 それともう一点、大臣は、障害者雇用の拡大という観点で新部署ができて、そちらを視察されたという報道がありましたけれども、こういった方々に現場で会っていただくということは、本当に職員の方々にとってのモラールが向上すると思いますので、この点についても、障害者の方々も大事ですし、あるいは現場の職員の方々に対しても接することをぜひ多くしていただければありがたいなと思います。

 それで、ちょっとお疲れかもしれないので、先に大臣への質問を、順番を変えてさせていただきます。

 岸田前外務大臣が当委員会で、百九十三国会で答弁されていることについてでございますけれども、朝鮮国連軍として活動するカナダ軍、フランス軍をACSAの適用除外とした理由といった点を、岸田大臣と現河野大臣とのお立場、あるいは現状認識等で、適用除外のままでいいかどうかを、念のためというか、今次両協定を審議させていただくという機会なので、改めてこの点について御答弁をいただければと思います。

河野国務大臣 先ほど御発言をいただきました便宜供与の件につきましては、特に何かを根本的に変えるというものではございませんが、ゴールデンウイークを前に少しわかりやすい形で再度御説明をさせていただこうということで、国際局の方に出させていただいたわけでございます。

 議員外交その他につきまして、外務省は今後ともしっかりとサポートをさせていただきたいというふうに思っておりますが、私的な渡航の場合、対応は非常に限られる。特にことしは、G20、TICAD、そして即位の礼ということがありまして、本省へかなり在外から人を引き揚げるということもあるものでございますから、そこは少し線を引かせていただいて、議員外交その他対応をしっかりやらせていただく部分と私的な渡航のところと、少し分けさせていただきたいということでございます。

 今お尋ねのありました朝鮮国連軍の件でございますが、我が国との間で国連軍地位協定を締結している国の軍隊が国連軍として活動する際、同協定に基づき日本国内の在日米軍施設・区域の使用が認められておりますが、我が国に常駐する国連軍自体は横田飛行場に後方司令部員四名を置くのみであって、固有の部隊は配置をしておりません。

 また、国連軍は、航空機などの一時的な立ち寄りなどの目的でこれらの施設・区域を使用することもありますが、実務上、その際の物品役務の提供は専ら米軍が実施していると承知しており、この点については国連軍にも確認をしているところでございます。

 かかる現状を踏まえて交渉した結果、今回の日加あるいは日仏ACSAにおいても、カナダ軍及びフランス軍が一九五四年の国連軍地位協定に基づいて国連軍を構成する部隊として行動する場合にはACSAの規定を適用しないということとしたものでございまして、この点は、イギリス、オーストラリアとのACSAでも同様でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 改めて、大臣がかわられてということで、また今次承認ということの確認からも御答弁いただいて、ありがとうございます。

 次に、今度は防衛省さんの方から答弁をいただきたいと思います。

 改めてですけれども、まずはカナダ、日加のACSAについてですが、日本の自衛隊とカナダの軍隊との、過去、これまでのPKO、国際連携平和安全活動、人道的国際救援活動、大規模災害への対処等で実際の共同活動を行った事案全て、あったかどうかを含めて確認をさせていただければと思います。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省においては、他国の世界各地における活動状況を必ずしも網羅的に把握しているわけではございませんが、まず、自衛隊が実施してきたPKOミッションでカナダも参加してきたことを確認している事例といいますのは、現時点で、ゴラン高原、東ティモール、ハイチのPKO等の四件となっておるところでございます。

 このほか、今度は自然災害等への対応の国際緊急援助活動でございますが、カナダが自衛隊の国際緊急援助活動と同様の活動を行っていたことを確認しているのは、現時点で、平成十七年のパキスタンでの地震災害、平成二十五年のフィリピンでの台風被害等の六件となっておるところでございます。

 カナダについては、以上の実績でございます。

 なお、具体的な共同活動の実例を申し上げれば、例えば、ゴラン高原PKOでは、自衛隊とカナダ軍が共同で参加各国等への後方支援を行ってきたところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。概要、よくわかりました。

 改めてということなので、次は日仏ACSAという観点から、日本の自衛隊とフランス共和国の軍隊との、過去、これまでのPKO、国際連携平和安全活動、人道的国際救援活動、大規模災害への対処での実際の共同活動を行った事案を全て確認させていただければと思います。

菅原政府参考人 お答え申し上げます。

 フランスとの事例でございますけれども、自衛隊が実施してきたPKOミッションにフランスも参加していたことを確認している事例は、現時点では、カンボジアPKO、ハイチPKOの二件となっておるところでございます。

 このほか、フランスが自衛隊の国際緊急援助活動と同様の活動を行っていたことを確認しているのは、現時点で、平成二十六年の西アフリカにおけるエボラ出血熱流行への対応の一件でございます。

 具体的な内容としては、平成二十二年のハイチのPKOにおいて、道路補修のため、フランス軍と共同でアスファルト舗装工事を行った事例等がございます。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。改めて確認をさせていただきました。

 次に、また防衛省さんにお伺いします。

 他国の部隊への弾薬提供の制限について、二〇一五年の九月の時点でいわゆる五党合意があったということを確認させていただいていますけれども、現存している政党は与党の自民党、公明党のみで、他の三党は存在しなくなってしまっている。また、その中で署名した方を探してみると、現職では中山恭子さんだけというような状況でございます。

 その五党合意の同じ月、二〇一五年九月に閣議決定で、その旨を尊重するとしたということがあったようで、相手国との文書署名について、その先ですけれども、当時の宮澤防衛大臣政務官が、通常会だと思いますが、第百九十三国会の当委員会答弁で、日付でいうと平成二十九年三月十七日でございますけれども、「防衛省におきましては、内部規則を整備することで、自衛隊の現場レベルまで五党合意の趣旨の徹底を図ることができ、相手国からの要請の際に適切な判断ができると考えておりますので、必ずしも文書を取り交わす必要はないというふうに考えております。」という答弁をされておられます。

 この答弁にありました内部規則整備ということは実行されたのかどうか、そして、それは開示できるような内容なのか等を確認させていただければと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、平成二十九年、平和安全法制を踏まえた新たなACSAが発効したことを受けまして、弾薬の提供、輸送を適切に実施するための手続等を定めた内部規則といたしまして、事務次官通達、これは平成二十九年四月でございますが、これを発出しております。

 具体的な内容といたしましては、平和安全法制成立時の五党合意の趣旨を踏まえまして、現場の部隊長等が弾薬の提供、輸送を判断するという際には、提供する弾薬がまさに緊急の必要が極めて高い状況下で生命身体を保護するために使用されること、輸送に関しましては、輸送する弾薬が大量破壊兵器等でないことなどを確認すべき旨をこの次官通達の中で定めております。

 その上で、部隊長等が弾薬の提供を判断した場合には、提供前に防衛大臣に報告をいたしまして、また、部隊長等による判断が困難な場合と部隊長が判断した場合には、防衛大臣に判断を仰ぐ、その指示に従うということをこの次官通達の中で定めております。

 弾薬の提供、輸送の可否をこのように適切に判断することが可能になっていると考えているところでございます。

 日加ACSA及び日仏ACSAに係る内部規則につきましても、関係法令改正後、しかるべく同様のものを定めることを考えさせていただいているところでございます。

 なお、最後に御質問ありました情報公開の関係でございますが、当該通達につきましては、情報公開請求等において開示請求された場合には適切に対応することといたしておりまして、引き続き国民の皆様への説明責任を果たすべく、適切な情報開示に努めてまいりたいと考えているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 情報開示も含めて、この内部規則整備をしていただくし、準備があるということを確認させていただいたということでございます。

 次に、この両ACSAについて、いざというときに備えるという認識では、私、それでいいのかと思っているんですけれども、決済方法についての協定でもあるわけでございまして、基本的には現物で返還なのかもしれないんですけれども、そうできない場合には提供当事国政府の指定する通貨でという取決めがあるようでございます。

 冷静にというか基本的に考えてみると、通常であれば相手国の通貨でいいのではないかなというふうに思いますけれども、フレキシビリティーを持たせるという意味でこういった決済方法の協定になっているのかどうかも含めて、なぜ相手国の通貨でないのか等を確認させてください。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 日加、日仏ACSAにおきましては、受領当事国政府が提供された物品につきまして、提供当事国政府にとって満足のできる状態及び方法で当該物品を返還すること、同種、同等及び同量の物品を提供当事国政府にとって満足のできる状態及び方法で返還することもできない場合に、受領当事国政府が、御指摘のとおり、提供当事国政府に対して提供当事国政府の指定する通貨により償還することを規定しております。

 今後、いかなる通貨を指定するかにつきましては、カナダ、フランスとそれぞれ協議の上決めることになりますが、本規定は、受領当事国の通貨を指定することを排除するものではございません。

 その上で申し上げましたら、我が国について申し上げれば、日米、日豪、日英ACSAのもとで自衛隊が相手国軍隊に提供した物品役務につきましては、相手国軍隊から通貨による償還を受ける場合には、円建てで償還を受けていると承知しております。

杉本委員 御答弁ありがとうございました。

 私はふだん財政の問題を非常に考えてしまっていて、ソフトランディングをする必要が本当に日本の財政の危機に対してはあるのではないかなという思いがあって、外貨準備をいろいろな通貨で持っている必要があるかなというような思いがありまして、あえてちょっと質問させていただく感じなんです。

 今両承認案件、ACSAは、基本的には、まさかとか、いざというときとか、そういうことのためであるという認識はしておるんですけれども、この機会に、カナダ国債であるとかフランス国債であるとか、ユーロ債になるかもしれないですけれども、相手国の国債等をあらかじめ購入して、時間の経過による為替リスクというんですか、その決済までの時間、短時間かもしれませんが、為替相場というのはすごく動きますので、そういった点で、決済準備として他国の資産を持っていてもいいのではないかという考えを持てるのではないかと思っているんです。

 そうはいっても、まさかであるとか、いざというときということのためであるのかなという認識はしているんですけれども、その点について、事案がそう発生する可能性は余り高くないんだという認識をされているかどうか、いざというとき、まさかのためだという認識でいいかどうか、確認させていただければと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍等との物品役務相互提供におきまして、通貨による償還を行う又は償還を受ける場合における本邦通貨と相手国通貨の換算額というものは、毎年度告示される出納官吏事務規程第十四条及び十六条に規定する外貨貨幣換算率により換算した額というふうにしております。

 この外貨貨幣換算率は、原則といたしまして年度を通して適用されるため、同じ年度内に通貨償還する場合につきましては、原則といたしまして、委員が御指摘の為替リスクということは生じることがないというところでございます。

杉本委員 念のため伺わせていただきました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

若宮委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 私は、日加ACSA、日仏ACSA両協定について賛成の立場で質問させていただくんですが、両ACSAとも、やはり日豪それから日英ACSA、これを基本的に踏襲したという御説明がありましたけれども、この委員会の中でも議論がありました、今の北朝鮮の瀬取りに対する対処、こういうのは日豪、日英ACSAを締結したときにはなかった活動ですので、こういう今の瀬取りの状況とかこういう状況を踏まえると、私としては、もうちょっと今の時代に合ったACSAにしていった方がいいのではないかという観点から幾つか質問させていただきたいと思います。

 その前提として、今の北朝鮮の瀬取りに対して、先ほどの答弁の中でも、日英で連携して対処したというような話もありましたけれども、諸外国は瀬取りに対してどのような活動を行っているのか、御説明いただきたいと思います。

山田(賢)大臣政務官 お答え申し上げます。

 我が国は、昨年一月以降、瀬取りの実施が強く疑われる十二回の行為を公表するとともに、国連安保理北朝鮮制裁委員会等への通報や関係国への関心表明を行ってきたところでございます。

 また、米国及び関係国は、在日米軍嘉手納飛行場を拠点とし、航空機による警戒監視活動を行うとともに、洋上での警戒監視活動のために艦艇を派遣しております。

 本年三月には、警戒監視活動中の我が国海上自衛隊補給艦と英国海軍フリゲートの間の情報共有を通じて、北朝鮮籍タンカー、セビョル号と船籍不明の小型船舶による瀬取りが強く疑われる事案を確認し、公表したところでございます。

 これらの取組を通じ、北朝鮮籍船舶のみならず、北朝鮮籍船舶と瀬取りを実施した疑いのある他国船籍船舶についても、安保理制裁委員会や関係国によって適切な措置がとられてきております。

 我が国といたしましては、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄の実現に向け、引き続き、米国を始めとする関係国と緊密に連携し、安保理決議の実効性確保に取り組んでまいります。

井上(一)委員 この委員会の議論の中でももう既にいろいろ質問、答弁がありましたけれども、確認で、今、こういった瀬取りに対する活動を行っているアメリカを始めイギリス、オーストラリア、フランス、カナダ、こういった国は朝鮮国連軍として活動しているということでよろしいでしょうかという点と、もう一点は、朝鮮国連軍ということであれば、現在のACSA協定では物品役務の提供は法的にはできないということでいいのか、この二点、簡潔にお答えいただきたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、昨年二回にわたり瀬取り対処のための警戒監視活動に従事しましたカナダのCP140哨戒機や、本年、同活動に従事したファルコン200哨戒機は、国連軍として、国連軍地位協定に基づき嘉手納飛行場を使用したところでございます。

 また、各国が従事する、北朝鮮船舶による瀬取りを含む違法な海上活動に対する警戒監視活動は、国連憲章第七章のもとで、北朝鮮船舶が関与する瀬取りを禁止した国連安保理決議の履行の目的で行われておるところでございます。

 改めて申し上げますと、この瀬取りの活動を含めた両軍の活動には、国連軍の目的及び任務に合致する活動が含まれていると承知しておりますが、その個々の活動や全体像の運用については御説明する立場にございません。

 ただ、昨年、瀬取りのために対処しました、先ほど申し上げたカナダのCP140、フランスのファルコン200等の哨戒機は、国連軍として、国連軍地位協定に基づき嘉手納飛行場を使用したところでございます。

 また、二つ目の御質問でございまして、改めて、カナダ軍、フランス軍が一九五四年の国連軍地位協定に基づき国連軍を構成する部隊として行動する場合はACSAの規定の適用はございません。

井上(一)委員 これは質問も出ましたけれども、日豪、日英ACSAで朝鮮国連軍への適用が除外されている理由、これについてお答えもありましたが、岸田外務大臣は、物品や役務の提供は専ら米軍が実施しているということと、現実的なニーズがないということで適用除外をしているということでしたが、先ほどの説明もありましたように、日英連携で対応してやっているということなので、自衛隊と諸外国の軍隊が緊密に連携し合う、言うなれば、物品役務の提供をし合う、こういうニーズは十分あり得るんだと思うんです。

 それで、あえてここのACSAの六条で朝鮮国連軍への適用を除外するとしている理由はどういうことなんでしょうか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたとおり、国連軍が航空機等の一時立ち寄りの目的で在日米軍の施設・区域を使用することはございますが、そうした実務上も、そうした物品役務の提供は専ら米軍が実施しているところと承知しております。

 また、委員御指摘のとおり、昨今、瀬取りの活動について非常に重要な役割を果たしているところでございますが、この点につきましては、改めて、今般、国連軍の方にも確認したところでございます。

 同時に、一般論として申し上げましたら、様々な事態において、各国の軍隊が各国の法令等に基づき支援活動を行うことが想定され、様々な差異があることは当然想定されますが、そうした状況において、個別具体的な状況に応じて、効果的にいかに調整をしていくかというのは重要な課題だと思っております。

井上(一)委員 これは通告していないので特に答弁は要らないんですけれども、今、インドとACSAについてもやっているということでしたけれども、恐らく、インドと協定を結べば、この六条は多分要らない規定だと思いますので、今後、いろいろな意味でACSAの改善というのを図っていただくということは重要じゃないかというふうに思います。

 それで、最後の質問になりますけれども、これは小熊先生も御質問になっていましたけれども、朝鮮半島有事の場合には、これは朝鮮国連軍として活動するのか、また違う枠組みで活動するのか、これはわからないと思いますけれども、やはり朝鮮国連軍として活動する可能性も十分想定されるのではないかと思います。

 いずれにしても、朝鮮有事の場合、諸外国に対して物品や役務の提供をどういうふうにして行っていくのかということは、今のうちからやはりきちんと考えておく必要があると思うんですけれども、この朝鮮半島有事が万が一起こった場合の諸外国への支援、これについてはどのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 朝鮮半島において何らかの事態が発生した場合に、関係国や、また、御指摘の朝鮮国連軍がいかなる行動をとるかについて、個別具体的な状況に応じて異なりますことから、あらかじめ一概に申し上げることは困難であることは御理解いただけると存じます。

 そのような前提で、まさに朝鮮半島において何らかの事態が発生した場合、我が国は、各種の事態法制に従い、認定された状況において、法令に基づいて諸外国の軍隊と協力をしていくことになると承知しております。

 また、とりわけ平和安全法制のもとで、自衛隊による物品役務の提供の対象となる外国軍隊、それは朝鮮国連軍を含めどうなるかにつきましては、個別具体的な状況に応じて異なりますことから、あらかじめ一概に申し上げることは困難でございますが、いかなる形で効果的な支援又は各国との調整を行っていくかにつきましては、御指摘のとおり、極めて重要な課題であると認識しております。

井上(一)委員 質問の時間が来たので終わりますが、特に朝鮮半島有事の場合の諸外国に対する支援、これについては今のうちからしっかり検討していただきたいと思います。

 では、以上で終わります。

若宮委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 これより両件に対する討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、日加、日仏ACSAの二協定に反対の討論を行います。

 そもそもACSAは、一九八〇年の相互兵たん支援法の制定以来、アメリカ政府が世界各国と締結を進めてきた協定です。世界に展開する米軍が、軍事作戦の遂行に必要不可欠な物資役務をいつでもどこでも調達できる集団的軍事支援網をつくることが狙いです。

 日本政府は九六年に締結し、以来、周辺事態関連法、武力攻撃事態関連法、安保法制の制定にあわせ、協定の内容を次々と拡大してきました。

 本協定は、これまでのアメリカ、オーストラリア、イギリスに続き、新たにカナダ、フランスとの間で物品役務の提供の枠組みを設けるものです。

 これにより、平時の共同訓練から、国際平和共同対処事態、重要影響事態、集団的自衛権の行使が可能となる存立危機事態、武力攻撃事態まで、カナダ、フランス両軍と自衛隊が食料や水、燃料などの物品、輸送や通信、衛生などの役務を相互に提供し合うことが可能になります。

 しかも、協定では、全ての場合に弾薬の提供を可能とし、国際平和共同対処事態や重要影響事態に際して、従来、戦闘地域とされていた場所での兵たん支援、戦闘作戦行動に発進準備中の航空機への給油、整備も可能になります。政府自身が憲法上認められないとしてきた武力行使との一体化そのものであります。

 こうした米国以外の第三国とのACSAの締結は、多国間の軍事協力の推進、強化を打ち出した日米ガイドラインを具体化するものです。

 憲法違反の安保法制と一体で、平時から有事に至るあらゆる段階で米軍の軍事行動を同盟国が支援する体制を強化するものであり、断じて容認できません。

 以上、討論を終わります。

若宮委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 これより採決に入ります。

 まず、日本国の自衛隊とカナダ軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とカナダ政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

若宮委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、日本国の自衛隊とフランス共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

若宮委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

若宮委員長 次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会


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