衆議院

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第10号 平成31年4月26日(金曜日)

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平成三十一年四月二十六日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 若宮 健嗣君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武井 俊輔君

   理事 堀井  学君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 遠山 清彦君

      池田 佳隆君    小田原 潔君

      小渕 優子君    黄川田仁志君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      杉田 水脈君    鈴木 憲和君

      鈴木 隼人君    辻  清人君

      中曽根康隆君    中山 泰秀君

      山田 賢司君    岡田 克也君

      櫻井  周君    山川百合子君

      青山 大人君    太田 昌孝君

      穀田 恵二君    宮本  徹君

      杉本 和巳君    玄葉光一郎君

      井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        あべ 俊子君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   外務大臣政務官      辻  清人君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  桑原振一郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡野 正敬君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 齊藤  純君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   中前 隆博君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 大矢 俊雄君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          安居 孝啓君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 武藤 功哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 森田 治男君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君

   参考人

   (日本銀行理事)     前田 栄治君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     池田 佳隆君

  高木 陽介君     太田 昌孝君

  穀田 恵二君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     佐々木 紀君

  太田 昌孝君     高木 陽介君

  宮本  徹君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)


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     ――――◇―――――

若宮委員長 これより会議を開きます。

 投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として日本銀行理事前田栄治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官塚田玉樹君、大臣官房審議官岡野正敬君、大臣官房参事官齊藤純君、中南米局長中前隆博君、内閣官房内閣審議官桑原振一郎君、財務省大臣官房審議官大矢俊雄君、主税局国際租税総括官安居孝啓君、国税庁長官官房審議官武藤功哉君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、電力・ガス事業部長村瀬佳史君、原子力規制庁原子力規制部長山田知穂君、防衛省大臣官房審議官森田治男君、防衛政策局次長石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の鈴木隼人でございます。

 本日は、租税条約とそれから投資協定、それぞれについて質疑を行わせていただきます。

 租税条約についてまずお伺いいたしますが、この租税条約締結の意義について、政府の御見解をお願いいたします。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 租税条約の締結は、国際的な二重課税の除去、脱税及び租税回避行為の防止を通じて二国間の健全な投資、経済交流の促進に資するものでございます。

 例えば、企業にとりましては、租税条約が締結されることで源泉地国における課税所得の範囲が明確化されるということ、こういったことを通じまして法的安定性あるいは予見可能性が高まるということになります。

 政府としましては、相手国との経済関係、我が国経済界からの要望、租税条約の締結、改正等から生じる効果、こういったことを踏まえまして、新規の租税条約の締結や既存の租税条約の改正のための交渉に引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 今ちょっと触れていただきましたけれども、租税条約の締結によって、具体的な効果、より詳しく教えていただければと思います。

塚田政府参考人 租税条約の締結は、国際的な二重課税の除去、脱税及び租税回避行為の防止を通じて二国間の健全な投資、経済交流の促進に資するものでございますが、具体的なメリットとしましては、一般に、投資先の国におきましては、国内法の改正により、課税所得の範囲ですとか、あるいは税率が変更されるということから、将来的に法的に不安定な状況にある。こうした中で、租税条約が締結されることで、課税所得の範囲、こういったものが明確化されれば、法的安定性や予見可能性が高まるということが期待されております。

 また、投資所得につきましては、投資先国における源泉地国の課税の減免が受けられるということによりまして、日本企業あるいは日本国の個人にとりましては、この条約により、投資先国において課される租税が軽減される、あるいは免除される、こういうメリットがございます。

 こうした租税条約の存在は、企業あるいは個人による海外の投資活動を後押しするというふうに期待されておりまして、海外投資の拡大、投資先国とのさまざまな分野での交流の促進にもつながるものというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 ちょっと事前にお伝えしていた質問の順番を変えますので、注意深く聞いていただければと思います。

 租税条約の締結によって我が国の税収に与える恩恵、このことについて政府の御見解をお願いします。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 租税条約は、投資あるいは経済交流の促進を目的とするものでございますが、企業の投資判断におきましては、租税条約の有無だけではなくて、その時々の世界的な景気動向、あるいは当該国の政治経済状況、こういったさまざまな要素が勘案されるものというふうに考えられますので、租税条約のみに起因する経済効果というのを定量的に示すというのは非常に困難であるということはまず御理解いただきたいんですが、その上で申し上げますと、租税条約の締結が我が国の税収に与える影響、一般的には、租税条約に基づく租税の減免が行われるということによりまして、まず、我が国を源泉地国とする所得につきましては、外国企業に対する我が国の税収が減少する、こういったことがあります。

 一方で、相手国を源泉地国とする所得につきましては、本邦企業に対する相手国での課税が減免されるということの反射的効果としまして、我が国での外国税額の控除額が減少しまして、結果として税収が増加するということになるという影響などが考えられます。

 ただ、具体的な影響額につきましては、税収への影響を推計するには企業の経済行動を具体的に予測する必要があるということ、さらに、経済行動はその時々の経済金融情勢を始めとする経済環境に大きく左右されるということから、なかなか予測というのは難しいということがございます。

 同時に、条約締結が一方的に増収又は減収、こういったものを生ぜしめるというものではないことから、一概にお示しするというのはなかなか難しいということは御理解いただければというふうに思います。

鈴木(隼)委員 丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 今回、スペインとの関係で締結をするということでありますけれども、このスペインとの協定で仲裁手続が盛り込まれております。この仲裁手続は納税者にとってはとても大切な項目になりますけれども、ほかの国との投資協定を見ると、一部の国との間でしか盛り込まれていないという状況であります。

 今後、我が国としてこの仲裁手続の項目を投資協定において広げていく、このことについて何かお考えはございますでしょうか。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、租税条約におきましては、仲裁手続ということについては一般にはまだ入っていないところが多うございます。

 従来の租税条約におきましては、相互協議手続というものが設けられておりまして、権限のある当局の合意によって事案を解決する努力をする義務というものが定められているにすぎず、権限のある当局間の合意が成立しない場合には事案が解決されないということになってしまっております。

 こうした事態に対処するために、相互協議手続の一環として、そうした当局間の協議の開始から一定期間が経過しても合意が成立しない場合には、申立てを行った納税者の要請に基づきまして、当該事案の未解決の部分につきまして仲裁に付託する制度というのが二〇〇八年のOECDのモデル条約で採択されたわけですけれども、こうした仲裁手続の導入ということを通じて納税者の負担軽減を図っていきたいというふうに私どもとしましては考えております。

 こうした考えから、我が国としては、租税条約の新規の締結、あるいは今後改正をしていく、こうした交渉の中では、できるだけこういった仲裁手続の導入を積極的に取り上げていくというふうに考えておりまして、この方針は仲裁手続の導入を求める我が国の経済界の要望にも沿っているというふうに考えております。

 こうした方針のもとで、今後、できるだけこの仲裁手続を多くの国あるいは地域との間で導入していきたいというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 今後、この租税条約、どういった国と交渉を行っていきたいと考えているのか、そのあたり、政府の方針を聞かせてください。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 我が国はこれまで、二国間の投資、経済交流を促進するという観点から、経済関係が緊密な国との間で租税条約の締結を進めてきております。

 二〇一九年四月一日現在、七十三の租税関連条約を締結しておりますが、台湾との民間取決めを合わせて百二十九カ国・地域に既に適用されております。これにより、我が国からの対外直接投資先の約九九%が既にカバーされているということでございますが、あわせて、未来投資戦略二〇一八におきましては、今後、我が国企業の健全な海外展開を支援する上で必要な租税条約ネットワーク、これを質的、量的に拡充を進めるということが示されておりまして、我が国は、近年の経済情勢の変化に応じて、既存の租税条約の改正を進めると同時に、このネットワークの拡充に取り組んできております。

 私どもとしては、今申し上げたような経済界からの要望、あるいは租税条約の締結、改正から生じ得る効果、こういったことを踏まえまして、新規の租税条約の締結、あるいは既存の租税条約の改正のために積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 ここから先は投資協定について質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、今回、日・アルゼンチンということなんですが、最初に、日・アルゼンチン二国間関係の現状について教えていただけますか。

中前政府参考人 お答えを申し上げます。

 日本とアルゼンチンは、一八九八年に外交関係を樹立して以降、日系社会の存在もございまして、伝統的に友好協力関係を維持してございます。両国は戦略的パートナーとして、二〇一八年までの三年連続で首脳会談を実施するなど、協力関係を深化してきてございます。

 また、昨年、二〇一八年は外交関係樹立百二十周年に当たりまして、G20ブエノスアイレス・サミットに出席するためアルゼンチンを訪問した安倍総理とマクリ大統領との間で首脳会談が実現し、両首脳は本件投資協定の署名に立ち会ったところでございます。

 また、経済面では、豊富な食料資源や鉱物・エネルギー資源を有するアルゼンチンとの間で貿易・投資も活発に行われてきております。特に、マクリ政権発足以降、日系企業による投資意欲は旺盛でございます。

 さらに、中南米で第三位の規模であります六万五千人の日系社会が同国の親日的な感情の基盤を築いております。

 このように、両国関係は非常に友好的な関係を築いているというところでございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 時間が割と迫ってまいりましたので、この後、投資協定の意義と効果についてそれぞれお聞きしようと思っていましたが、まとめて、投資協定締結の意義と効果について教えていただけますか。

塚田政府参考人 まとめてお答えさせていただきます。

 まず、意義でございますけれども、海外に拠点を構える日系企業の数、あるいは我が国の対外直接投資は近年増加してきておりまして、我が国から海外への投資が一層進んでいるということは御案内のとおりでございます。同時に、新興国を中心に世界の市場が急速な勢いで拡大を続けている中で、日本企業は熾烈な海外市場の獲得競争にさらされている現実がございます。

 我が国の経済成長をより強固で安定的なものとしていくためには、貿易・投資立国としての発展を目指して、世界のビジネス環境をより一層整備していく必要があるというふうに認識しております。

 投資協定には、こうした我が国の投資家が投資をした後に、その投資について投資国がしかるべき保護を与えるということを義務づける規定が盛り込まれております。

 投資の効果でございますけれども、こういった投資協定の締結によりまして、相手国における投資環境の透明性、法的安定性及び予見可能性というものが向上して、良好な投資環境の創出又は整備が促されるというふうになります。

 相手国におきましては、こういった良好な投資環境の整備が促されれば、日本国とその当該国との間の投資増大、経済分野での交流が一層促進されるということが期待されております。

 実際、多くの国において、投資協定あるいは投資章を含むEPA、こういったものが発効した後に投資額がふえている、あるいは進出日本企業数がふえているということが見られますので、こういった経済界からの要望も踏まえて、今後積極的に投資協定の締結を進めたいというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 最後に今後の展開をお聞きしようと思っていましたが、どうやら時間が来たようですので、これで終わろうと思います。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 河野外務大臣、きょうは条約の質疑をさせていただきますが、その前に一言、答弁は要りませんので、感謝を申し上げたいと思います。

 大臣、先日の日米の2プラス2に行かれて、大変お疲れさまでございました。その際に、いろいろなことを議論されたと伺っておりますが、特に在日米軍に関連しまして、我が党から、また私からいろいろと地位協定に関連する提言をさせていただいておりますが、大臣の方からまたしっかりアメリカの方に働きかけをしていただいていると認識をしております。引き続き御努力をお願いしたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 さて、本日の議題でございますが、まず一問目、大臣にお伺いをいたします。

 我が国の投資協定締結の基本方針は、明年、二〇二〇年までに投資関連協定について百の国、地域を対象に署名、発効するというものでございます。

 来年までにこの目標を達成する見込みについて大臣の御見解と決意を伺いたいと思いますし、また、この関連で、隣国であります韓国並びに中国がその他の諸国との投資関連協定の締結についてどういう状況にあるか、これも踏まえて御答弁をいただければと思います。

河野国務大臣 二〇二〇年までに百の国、地域を対象に投資協定の署名、発効をするというのが目標でございますが、現在までに、投資協定及び投資章を含む経済連携協定を合わせると四十八本の発効済み及び署名済み・未発効の投資関連協定があり、これで七十六の国、地域をカバーしております。これに現在交渉中のものを加えると九十四の国、地域をカバーすることになります。また、チュニジアと交渉開始を合意いたしましたので、これで九十五になりますので、あと五つ、ちゃんと発効までいかなければいけませんが、スタートしているところが九十五でございますので、あと五カ国となるべく速やかに交渉の開始ということに合意をし、交渉しているものは速やかに発効できるように努力してまいりたいというふうに考えております。

 また、中国、韓国は、外資の誘致ということを目的として、かなり早い段階に、日本よりも早い段階に先進国と投資協定を締結してきたという経緯がありますので、発効済みの投資協定の関連の数でいきますと我が国よりも多いわけでございます。中国が、発効済み百十六本、署名済み・未発効二十一本、合わせて百三十七本、韓国は、発効済み百三本、署名済み・未発効九本、合わせて百十二本ということでございます。

 政府としては、引き続き、海外投資により新興国の成長を取り込むとともに、日本市場に外国の投資をしっかり呼び込めるように、アクションプランに沿って目標が達成できるように努力をしてまいりたいと考えております。

遠山委員 大臣、ありがとうございます。

 今お話ありましたように、韓国は交渉中も合わせて百十二、中国は百三十七ということでございます。焦って数をふやせばいいものではないと私は思っておりますけれども、しかし、日本も百を目指しているわけでございまして、ぜひ河野外務大臣の時代に百まで見通せる努力をしていただければと希望しておきます。

 二つ目の質問でございますが、日本・アルゼンチン投資協定に関連をしてお伺いをしたいと思います。

 アルゼンチンに進出をしている日系企業の数が近年急増しております。外務省からいただいた資料によりますと、二〇一五年十月からたった二年間で、それまでの五十一社から百社へと、まさに文字どおり倍増しているわけでございます。

 アルゼンチンに進出する日系企業が二年間で倍増した理由と背景について、どう外務省として分析をされているのか。また、あわせまして、きょう議題となっているこの投資協定、これが締結されることによりまして両国の経済、貿易関係にどういうインパクトを与えると考えておられるのか、外務省の答弁を求めます。

中前政府参考人 お答えを申し上げます。

 投資は、投資家が種々の要素を勘案して、みずからの経営判断によって行うものではございますけれども、その上で申し上げれば、アルゼンチンは、二〇一五年十二月に発足しましたマクリ政権のもとで、外貨取引規制の撤廃など、自由で開放的な経済政策を推進してまいりましたほか、同国の豊富な食料資源、あるいは鉱物、エネルギー分野等に対する日本企業の関心が急速に高まっている、そういうことから、これらの要因が日本企業の投資判断に影響を与えたというふうに推察してございます。

 日・アルゼンチン投資協定は、投資の自由化促進及び保護に関して包括的かつ詳細な規定を有しており、法的安定性の向上等、投資家にとって良好な投資環境の整備を促すとともに、両国間の投資及び経済関係のさらなる緊密化に資するものと期待してございます。

遠山委員 ありがとうございます。

 続きまして、この四本の租税条約、協定案に関連してお伺いをいたします。

 政府の説明によりますと、日本はこれまでに七十四本の租税関連条約等を締結し、百二十九カ国・地域にそれが適用されている、我が国からの対外直接投資先の金額ベースで約九九%が既にカバーされていると理解をしております。

 今回の四本のうち新規は三本でございますので、この三本の締結で更に一〇〇%に近づくと推察をしておりますが、今後、租税協定等を交渉、締結する予定の国というのはどの程度あると見込んでいるのか、お答えをいただきたいと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 租税条約の今後の交渉、締結の方針でございますが、まずは相手国との経済関係、さらに我が国の経済界からの要望、また租税条約の締結、改正から生じ得る効果、こういったものを勘案しまして、新規の租税条約の締結あるいは既存の租税条約の改正のための交渉に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、ペルー、モロッコ、チュニジア、これらの国々との間で新規の租税条約の締結交渉を開始したところでございまして、それ以外にも、アルゼンチン、ジャマイカ、ウルグアイ、こういった国々との間では、交渉を経て、実質合意に既に至っております。

 これらの国々を含めて、今後、更に多くの国と、さきに述べました方針に基づきまして、新規の租税条約の締結あるいは既存の租税条約の改正、このための交渉に積極的に取り組んで、租税条約のネットワークのさらなる拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。

遠山委員 ありがとうございます。

 河野大臣のリーダーシップのもとに、一層の租税条約等の締結先の拡大についても御努力をお願いをしたいと思います。

 大臣に、ちょっときょうの議題から若干外れるかもしれませんが、今回の質疑を考えるに当たりまして、日本銀行の資料を読んでおりましたら、日本の直接投資残高が海外で二番目に多い国は英国であるということで、日本の対外直接投資残高の約一〇%を英国だけで占めております。ということは、英国がEUを離脱した後の影響というのは極めて大きいわけでございますが、英国、UKがEUを離脱した後に、その英国と日本の投資協定及び租税協定等はどうなるのかということについてお伺いをしたいと思います。

 EUから外れた英国と二国間の条約、協定を結び直す必要があるのかないのか、もし結び直す必要があるとすれば、もうそれは間近の可能性が高いので、どのような準備をされているか、このことも含めて、可能であればお答えをいただきたいと思います。

河野国務大臣 イギリスには日系企業が一千社近くというか、一千社を超えているかもしれません、約一千社進出し、日系企業がイギリスでつくり出している雇用だけでも恐らく十五万人は下らないというふうに思います。非常に強い経済関係がある中で、租税に関しては日英の二国間の条約がございますので、これはブレグジットの後でも特に問題はございません。

 問題は、せっかくの日・EU・EPAの投資章が、イギリスが外れれば、当然ブレグジットの後は外れてしまいますので、日英の間で新しい投資章を盛り込んだEPAを結び直すか、あるいは、もう一つの選択肢として、イギリスがTPPに加入をする、どちらかの方法があろうかというふうに思っております。

 今のところブレグジットの見通しが極めて見通せないという中でございますが、ブレグジットの行き先が決まり次第、イギリスとどちらの選択になるのか協議をした上で、しっかりと交渉してまいりたいというふうに思っております。

遠山委員 大臣から極めてわかりやすい御答弁をいただいたと思います。

 選択肢として、ブレグジットの後に英国と日本で二国間のバイの投資協定を結ぶか、あるいはTPP11に、これはジェレミー・ハント外務大臣含めて英国の首脳がTPPへの関心を公に示しておりますので、それも選択肢だと思います。

 私の唯一の注文は、今大臣の答弁にもありましたように、日系企業は相当英国に進出をしております。英国は私が留学していた先でもございますが、ロンドンの金融シティーがありますので、金融そして不動産の関係で相当な規模の投資が日本からも入って日々動いているということからいたしますと、TPPの場合はいろいろな国の合意をとらなければいけないということで、余り時間がかかり過ぎる場合には、二国間での暫定的な措置も含めて、余りビジネスコミュニティー、経済界にマイナスの影響がないように、政府としても慎重に御検討いただければと思います。

 最後になりますが、河野外務大臣は昨年、エクアドルに行かれている。今回、租税条約も初めてエクアドルと結ぶわけでございますが、大臣がエクアドルを訪問した際に、私、驚いたのは、大臣の前に日本の現職閣僚でエクアドルを訪問した人は誰もいない。誰もいないんですが、実は、両国は昨年、外交関係樹立百周年の佳節を迎えていたわけでありまして、河野大臣が百周年で初めて現職閣僚で行かれたということを高く評価をさせていただいているわけでございます。

 今回、租税条約も結びますこのエクアドルについて、閣僚として初めて訪問された河野大臣の率直な感想と関係強化への決意を最後にお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 外交関係が百年ありながら外務大臣が一度も訪問していなかったというのは、これは速やかに是正されるべきことでございまして、大変先方にも申しわけなく思っております。

 訪問後、昨年の九月ですか、モレノ大統領、日本に来ていただきまして、二国関係をきちんとやっていこうということで、この両国の関係が進んでいくことになるだろうというふうに思います。

 エクアドルに参りましたら、朝食からステーキが出まして、何というか、すごいなという感じでございましたが、民主主義とか人権とか自由といった基本的な価値観を共有するパートナーたり得る国でございますので、そのパートナーシップをしっかりとつなげていくことによって、日本とエクアドル、そして日本と中南米の関係を更に緊密にしてまいりたいと思います。

 百年の反省の上に、今後はもっと緊密にやってまいりたいと思います。

遠山委員 以上で終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日も、おとといに引き続きまして質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の議題、租税条約それから投資協定等についてでございますが、その前にちょっと、おとといの質疑の続きをさせていただきたいというふうに思います。

 おととい、アメリカとの貿易協定で為替条項の取扱いについて質問をさせていただきました。日本時間のけさになりますが、麻生財務大臣がワシントンでムニューシン・アメリカ財務長官と会談をしたということでございます。この中で、会談後の記者会見では、麻生大臣は、双方の立場を確認したにとどまる、こういうふうに述べたということで報道されております。

 これまでムニューシン財務長官は、為替も議題となり、協定には通貨切下げを自制する為替条項を含めることになるというような発言をされておりますので、この会談でもそのような発言があったのではないのかなというふうに考えております。

 前回、こうしたことについて質問させていただきました。こうした為替条項が貿易協定の中に入ってくると、日本の金融政策にも影響を受けるのではないのか、足かせになるのではないのか、自由度を失うことになるのではないのかということで質問をさせていただきました。

 実際、アメリカは、メキシコ、カナダとの協定の中では為替条項を入れるということをやっております。ただ、この中身については、そんなに踏み込んだものではなく、IMF等これまで国際社会で共通の理解となっているような範囲で協定が結ばれているということでございます。

 しかしながら、日本、特に日本銀行が今やっている金融緩和というのは、通常の次元ではなくて、異次元の緩和をやっている。この異次元というところが問題になってくる可能性があるのではないのか、こういうふうな心配もするんですが、このことについて、おととい、ちょっと日本銀行の方は政策決定会合があってこの委員会に来ていただけないということもありましたので、この点について御答弁をお願いいたします。

前田参考人 お答えいたします。

 私ども日本銀行の金融緩和政策でありますけれども、これはあくまで国内物価の安定という責務を果たすため、今で言えば二%の物価安定の目標を実現するために行っているものでありまして、為替相場を目的とするものではございません。

 また、金融政策は、各国の中央銀行がそれぞれの国、地域の経済、物価情勢を踏まえ、物価の安定というマンデートに沿って適切に運営するものであることを考えますと、金融政策の内容が各国によって異なるということも自然ではないか、このように考えております。

 今委員から御指摘ありましたけれども、日本銀行の場合、非伝統的政策を活用しながら強力な金融緩和を行っているということでございますけれども、これは伝統的な手段である短期金利がゼロにまで低下する中で、その物価安定目標を実現するために行っているということでございまして、こうした考え方は幅広く理解されているもの、このように認識しております。

櫻井委員 そうなんですね。異次元の緩和という中で、例えば、おとといも申し上げましたが、株式の大量購入であるとか不動産投資信託の購入であるとか、こういうことはほかの中央銀行はやっていないことですし、従来の経済学の中でも、なかなかそこまでやると中央銀行としての、むしろ今度健全性の問題があるのではないか、いろいろな諸説ある中で、日本銀行は踏み込んで、もう五年近くになりましょうか、こうした異次元の緩和をやってきたわけです。

 その結果、では、物価水準というのが二%目標に達したかというと達していないという中で、物価目標の手段として余り有効ではないのではないのか、一方で、こうした異次元の緩和をやっているから、結果として、目的ではないにしても、副次的な効果として為替が切り下がっているのではないのか、こんなふうな指摘を受けたときに、果たしてどういう議論になるのか、ないしは、そういった議論が沸騰することによって、それでもマーケットに対していろいろな影響を与えるのではないのか、こういう心配もするんですね。

 こういったところも含めまして、この為替条項の取扱い、これは協定の中に入らなくてもマーケットに対して影響を与えるのではないのか、このように考えるんですが、この点、改めて御答弁いただけますでしょうか。

前田参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、私どもの金融緩和政策は、あくまで私どものマンデートに沿って運営しているものであります。

 それで、今委員から御指摘ありました為替政策につきましては、財務大臣の所管であるというふうに認識しておりまして、いわゆる為替条項の取扱いなどについては私の立場からコメントすることは差し控えたい、このように思います。

櫻井委員 日本銀行にしましても、物価水準の安定、二%目標という目標を掲げながら、しかし、日本銀行として持ち得る政策手段、これでは現状のところなかなか達成できない。手段が十分に与えられていないのにそれをやらなきゃいけないというところで、非常につらい立場にあるのではないのか、むしろ政府の方でもっともっと取り組むべき課題がたくさんあるにもかかわらず、何か日本銀行の方に全部の責任が寄っているのではないのか、こういうところからしますと、日本銀行は大変気の毒だなというか、これではいけないなという問題意識も持っているところでございます。

 したがいまして、ちょっとそこから先になりますと外務委員会というよりは財金の問題かと思いますので、この質問はこれで終わらせていただきます。

 続きまして、前回の質問で、一つ、外交青書について質問させていただきました。

 三日ぐらい前ですかね、外交青書が発表されまして、この中において、北方領土に対する記載について、「北方四島は日本に帰属するというのが日本の立場である。」という文言がなくなったのはなぜか、こういう質問をさせていただきました。これは私だけじゃなくて、その後の玄葉元外務大臣も同じような質問をされております。

 それに対して、河野大臣の御答弁、その青書が記載をする当該年度に我が国が行った外交を総合的に勘案して作成しているものでございまして、全てのことをここに列記をしているわけではございませんと答弁をしています。

 ただ、外交青書というのは三百ページ、四百ページ近くになるような膨大なものでございます。その中には、重要な言葉、ずっと毎年記載をされている重要な言葉もあれば、本当にその年々の出来事について書いてある、それほどずっと外交青書の歴史を通して重要というわけでは必ずしもない文言もまざっているわけでございます。

 その中で、やはり、「北方四島は日本に帰属する」ですとか、固有の領土である、この文言については、以前、この外務委員会でも御答弁いただいたとおり、高校の教科書にもあって、高校でも教えているぐらい重要な言葉でございます。

 どうしてこの文言がなくなったのか、簡単に消えてしまうような軽い言葉だったのかということについて、改めて外務大臣の御見解をお願いいたします。

河野国務大臣 当該年度における外交を総合的に勘案して決めた記述ということでございます。

櫻井委員 この言葉尻だけでなく、ことしの外交青書を読ませていただきますと、一ページぐらいあって、確かにこの一年の動きについて書かれている、そういう内容になっております。

 ただ、本当に一番その出発点といいますか、かなめになる、その大事なところが抜けたまま最近の動きだけを追っかけていっても、どこが出発点なのかわからない、そういう青書になってしまっているのではないのか。やはり、我が国の立場、原点はどこにあるのかということをはっきり示さないと、交渉をやっても、原点がなければ、どんどんどんどん押して押して押しまくられて、ずるずる下がっていくだけじゃないのか、こういう心配をしているわけです。

 特に、昨今の交渉の状況を見ていますと、おとといの玄葉元外務大臣も懸念を示されていたように、日本が一歩下がると、譲歩すると、もうロシア側はどんどんまた一歩踏み込んでくるというようなことがどんどん進んでいるのではないのか。日本側が幾ら、例えば北方四島に対する軍事拠点化が進んでいることに対して懸念を示しても、では、ロシア側はそれに対して、わかりました、ちょっとやめますといってやってくれているのかというと、そういう様子は余りうかがい知れないというところでございます。

 結局、その結果として、平和条約についても、この安倍政権ではできませんでしたということになったときに、譲歩していって、後ろに下がったところが次の政権の交渉の出発点になってしまうということだと、これは、やったことがむしろ将来に対してマイナスに働く可能性があるわけですよ。だから、そういう将来に禍根を残すような交渉の仕方というのはぜひ考え直していただきたい。

 やはり、交渉、外交というのは非常に時間のかかるものなわけですから、自分の時代に功を焦って、何でもかんでも解決できる、そういう性質のものでもないですし、外交というのは政権交代が起きた後でもしっかりとそれは継続してやっていかないといけないものですから、その点について改めて外務大臣の御所見をお願いいたします。

河野国務大臣 交渉の方針、内容について申し上げるのは差し控えます。

櫻井委員 いつも外務大臣は交渉の内容について説明をされないということですので、ますます不安が募るというところが現状でございます。

 これ以上質問しても多分同じ御答弁ということですので、本日の本題でございます租税条約、それから投資協定等についての質問に移らせていただきます。

 この租税条約等につきまして、意義それから効果については既に与党の方々の質問で答弁をいただいているところでございますので、更にちょっと突っ込んだ部分について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 二年ぐらい前に、パナマ文書であるとかパラダイス文書というようなことが次々と明らかになって問題になりました。タックスヘイブンの問題でございます。こうした問題について、脱税というよりは租税回避ということであろうかと思いますけれども、こうした問題に対して、今回の租税条約、これは租税条約、協定については四カ国でございますが、こうした着実な取組がどのような効果があるのか、この点についてお聞かせいただけますでしょうか。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 近年、G20ですとかあるいはOECD等におきましても、委員御指摘の国際的な脱税あるいは租税回避に対処、あるいはそれを抑止するための方策、特に国際協力の機運が高まっているということがございます。そのために、税務当局間の情報交換についての重要性もこれまで以上に高まってきているということが言えるかと思います。

 我が国としましても、租税に関するこうした情報交換ネットワークの拡充に取り組んできておりまして、今後我が国が締結する租税条約につきましては、国際標準に沿った情報交換規定というのを盛り込んできているところでございます。

 加えまして、我が国が締結する租税条約におきましては、条約の特典の濫用を防止するための規定を導入するですとか、租税債権の徴収を相互に支援するための徴収共助の仕組み、こういったものを導入することによって、国際的な脱税あるいは租税回避行為に対して効果的に対処、抑止するということを可能としております。

 政府としましては、こうした観点を踏まえつつ、引き続き租税条約ネットワークというのを更に拡充していきたいというふうに考えております。

櫻井委員 これまで地道に着実に取り組んできたというところで、そのことについては感謝申し上げるところでございます。

 ただ一方で、このパナマ文書とかパラダイス文書等でも明らかになったように、また、それ以外にも、非常に世界的な大企業が、特にインターネット取引とかそういった部分であると、いろいろな利益の、上手に動かしてというようなことで課税を逃れる、安くする、こういった動きもいろいろある。幾ら税当局の方が頑張っていろいろ工夫をしても、あちらはあちら側でさるものでございまして、いろいろ工夫をしてどんどん逃げていくというところもあります。イタチごっこみたいになっているところもあろうかと思います。

 やはり、こうした脱税はもちろんのこと、租税回避の動きもしっかりと防止をしていく、抑止をしていくという観点から、やはり、より世界のネットワーク、先ほどの御答弁にもいただいております、日本から見たら九九%カバーしているということではございますが、ただ、それ以外のところでも、日本以外の国同士でカバーできていなかったりすると、そこでいろいろな不正が起きる可能性があろうかと思います。

 こうした世界の動き、全ての国と租税条約を締結し、また全ての国同士が租税条約を締結して、取締りをしっかりとできるような体制をつくっていくというのが、ある種、理想形であろうかと思いますが、こうした状況に向かって、日本政府の取組を少し御説明いただけますでしょうか。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたとおり、まずは、国際的な協力を通じて、国際的な脱税及び租税回避行為に対しては効果的に対処するということに全力で取り組んでいきたいというふうに思います。

 加えまして、多国籍企業による租税回避、こういったものに各国が協調して対抗するために、二〇一二年に、OECDを中心にいわゆるBEPSプロジェクトというのが立ち上げられまして、二〇一五年にその最終報告書が出されたところでございます。昨年は、この報告書の一部を実施するための、BEPSの防止措置実施条約というのを国会においても御審議いただいたところでございますし、締結をいただいたところでございます。

 現在、この条約の着実な実施に各国が取り組んでいるというところでございまして、また、租税条約の新規の締結、改正交渉におきましても、このBEPSプロジェクトの勧告内容に基づいて、租税回避の防止の観点、これを踏まえた対応を行っているところでございます。

 我が国としましては、これまでも、G20あるいはOECD、こういったところでの取組を主導してきたところでございますけれども、引き続き、国際的な租税回避の防止に向けて、今後とも積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 BEPSの取組など、いろいろ御説明いただきまして、ありがとうございます。

 まさにこのBEPSも、五年ぐらい前にこの話が始まったんでしょうかね、こうした取組、当初は、それこそ、こんなのできるのか、必要だけれども理想主義的過ぎて難しいんじゃないか、こんな話もあったように記憶をしております。

 ただ、そうやって、しっかりと理想に向かって着実に進んできたことが、こうした条約締結というような形で実を結んできた、一つ一つ前に進んでいるんだなということで、その取組にまた感謝を申し上げるところでございます。

 さて、せっかくの機会ですので、グローバル社会における税のあり方について少し話を広げて、大臣にもお尋ねをしたいと思います。

 日本の歴史、戦後の歴史を見ますと、当初のころは、日本の社会の市民のニーズといいますか、それこそ高度経済成長のころには、三種の神器というような、テレビを買ったりとか冷蔵庫を買ったりというようなところから、三Cと言われるように、車を買ったりクーラーを買ったりというような、物に対する消費が市民のニーズだった。

 ところが、高度経済成長もあって、一通りそういったものが満足されてくると、今度は、特に高齢化社会になってくると、介護であるとか、医療であるとか、それからまた教育であるとか、環境であるとか、こうした分野の方がむしろ市民のニーズとして高まってきた。

 しかし、介護とか医療とか環境とか教育、これは多くの場合、公共サービスとして提供されるということで、社会のニーズが変わってきて、そして、そのサービスの提供主体も、いわゆるマーケットメカニズムで提供するものから、公共セクターが提供するものに比重が移ってきたというふうにも私は考えるところです。

 したがって、そうすると、各国において、それぞれやはりその市民のニーズに応えていこうと思ったら、ある程度しっかりと税を納めていただいて、皆さんで負担をしていただいて、そして、その必要なニーズを提供するということが必要なわけでございますから、税もしっかりといただかなきゃいけない。にもかかわらず、今現状、世界で起きている傾向としましては、法人税の引下げ競争のようにも見えるような状況になってしまっている。

 そうすると、一方で、税をもう少し集めて、そして、その分、しっかりとしたサービスを提供しなければならない、そういうニーズがある一方で、実際起きていることは、税金がだんだんと取りにくくなっている、こういうある種矛盾といいますかが起きているのではないのかというふうにも考えるところでございます。

 そうしたときに、やはり、各国がこれ以上法人税の引下げ競争みたいなことをやっていたら、それぞれの国が立ち行かなくなってしまうのではないのか、必要な公共サービスを提供できなくなるのではないのか、ある種の囚人のジレンマ的状況に陥るのではないのか、このようにも心配をするところでございます。

 河野大臣、日本の総理大臣をやった後、国際機関のトップを目指すんだ、こういうふうにこの委員会でもお話しいただきました。このグローバル社会の税のあり方として、大臣の御所見をお願いいたします。

河野国務大臣 まだ総理をやっておりませんから、あれでございますけれども。

 やはり、リーマン・ショックの後、それぞれの国で、国民にきちんと税の負担をしていただかなければならないという動きは出てきたんだろうと思いますが、その一方で、やはり、グローバル化する中で、それぞれの国の制度が違えば、そこにあるさまざまなずれ、あるいはすき間というところを多国籍企業が利用して課税を回避することができるというのも現実にあるんだろうと思いますし、委員がおっしゃったように、法人税を下げることによって直接投資をふやす試みというのは多くの国がやっているわけでございます。

 確かに、法人税を下げることによって企業を集めることができれば、結果として税収が上がるかもしれませんけれども、それは全ての国が勝ち組になるわけではありません。これをやれば、勝ち組になる国もあれば、負け組になってしまう国もあるわけで、その中で、では、どういうルールの中で競争するのがいいのかというのは、これはやはり国際的にも考えていかなければいけないことだと思います。

 また、物にかける税金、それから物からだんだん消費行動がサービスに移ってくるとなると、では、サービスにどういうふうに税をかけるのか、今のインターネットのように、国境を瞬時に越えてしまうようなサービスの課税はどうするのか、これも国際的にルールがなければならないわけでございますし、もっと言えば、今いろいろなところで、相続税をどうするのか、あるいは、国によっては出国税、エグジットタックスをかける、あるいは、どこに住んでいても、うちの国籍があればうちの国の税金の対象になるとか、さまざまなことが行われるようになっております。

 やはり、どういうルールの中でそれぞれの国が課税ルールを決められるのかという大きな枠組みを決めて、その中でやってくださいということにしないと、委員おっしゃるように、どんどん競争になって、結果として、負け組は税収が上がらなくなってということにやはりなってくるんだろうと思いますので、そういう中で、これから先、どういうことを考えていったらいいのかというのはしっかり考えていく必要があろうかと思います。

 その中で、私が今いろいろなところで申し上げているのは、第二次世界大戦後、昨年、難民、避難民の数が史上最高になりました。七千万人を超える難民、避難民がいて、そこに対する人道支援、これをどうするのかということを考えれば、やはり、このグローバル社会の中で、日が当たっているところから日陰になってしまったところへきちんと支援を行うというのがこれは大事なんだろう。

 国際連帯税と私は申し上げておりますけれども、例えば、全世界の為替取引、莫大な金額で毎日行われているところへ、極めて薄い税率でもいいですから入れさせていただければ、それなりの金額が上がるわけでございまして、これを人道支援のために国際機関に直接投入して、そこはそれでやっていただくというような新しい考え方の国際的な資金調達ということもやっていかなければならないのかなということで、今、開発のための革新的資金調達のリーディンググループの議長を日本はやっておりますので、その中でもそうした議論をしっかりとやってまいりたいというふうに考えているところでございます。

櫻井委員 時間になりましたので、質問をこれで終わらせていただきますが、最後に大臣から非常に意欲的な取組について御説明いただきまして、ありがとうございます。

 SDGs等、それから避難民の話もいただきました。こうした国際公共財といいますか、国際公共サービスが非常に今高まっている、そうしたニーズにしっかり応えていくためにも、そして、何よりそれが世界平和につながっていくんだ、こういう観点からも、こうした税のあり方についてぜひ今後もしっかり考え、そして、その理想に向かって進んでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 これで質問を終わります。

若宮委員長 次に、山川百合子君。

山川委員 立憲民主党・無所属フォーラムの山川百合子です。本日もよろしくお願いいたします。

 まず、投資協定の方からお願いいたします。

 本協定は、三十一条に見直し規定が設けられています。まず、その見直し規定を設けた理由と事情。

 それから、本協定は自由化型と言われるものであると思いますが、これまで我が国が過去に締結したものにおいては、特定措置の履行要求を禁止する規定、また、投資設立段階の投資紛争についてもISDSを利用できるような規定が設けられていますが、本協定には盛り込まれていません。その理由もあわせて、まずは伺いたいと思います。

中前政府参考人 お答えを申し上げます。

 本協定第三十一条の規定につきましては、アルゼンチン側が日・アルゼンチン投資協定に盛り込まれなかった規定を含む投資関連協定を将来的に他の国との間で締結した場合に、その協定に関連する規定を日本とアルゼンチンとの間の協定にも加える、そういうことを目的として見直しを行う、そういうことを担保するために設けたものでございます。

 さらに、御指摘いただきました、盛り込まれなかった規定でございますが、これらにつきましては、アルゼンチン側にとって、自国が締結済みの投資協定において例がないというふうな点がございまして、そういうところを踏まえつつ両国間で交渉を行いまして、総合的に判断した結果として、本協定には含めないということで合意に至ったところでございます。

山川委員 では、続いて、投資協定の新規締結交渉と既存の協定の見直しについて、これはアルゼンチンに限ったことじゃないんですが、伺っていきたいんです。

 我が国がこれまで締結した二国間の協定の中には大分古いものがあります。エジプトが初めてですが、これは七八年、それからスリランカは八二年、トルコは九三年というかなり古い時期のものでありまして、経済界からも見直しの要望が示されているというふうに理解しています。

 そして、新規のものは、先ほどもありましたが、二〇二〇年までに百カ国・地域ということでやっていらっしゃるわけですが、この新規も大事ですが、古いものの見直しも必要であるというふうに思っています。

 この観点から、新規の締結と既存のものの見直しをどう進めていくのか、お伺いしたいと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただいた今後の締結方針につきましては、まずは、二〇一六年五月に投資関連協定の締結促進等投資環境整備に向けたアクションプランというものを政府として作成しまして、二〇二〇年までの時間軸の中で、今後百の国、地域との間で協定を署名、発効させるという目標を掲げているところでございます。

 現在、先ほど御答弁申し上げたとおり、この目標の達成に向けて協定の交渉を進めているところでございますけれども、既存の協定の見直しについても並行して行う必要があるというふうに思っておりまして、産業界から寄せられている要望、あるいは二国間その他の経済情勢の変化、こういったものを総合的に勘案の上、検討していきたいというふうに思っております。

 外務省としましては、そういったことに対処するため、交渉体制を整備、強化をした上で、交渉を加速していきたいというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。では、よろしくお願いいたします。

 続いて、租税条約の方ですが、通告の順番をちょっと変えて、まず四番の方から伺っていきたいというふうに思います。大臣にも御答弁をお願いしていることもありまして、先に四番の方から始めさせていただきます。

 最初に、IT企業への課税の現状についてお伺いします。

 平成三十年度税制改正において、恒久的施設、PEの定義を国際的なスタンダードに合わせるための見直しが行われました。それによって、物品の保管のみを行う場所であっても、それが企業にとって準備的、補完的な活動ではなく、本質的な活動であると認められる場合においては、PEの認定をし、課税し得るように規定をされたというふうに理解しています。

 過去のことになりますが、二〇〇九年に、国税庁が、アメリカのアマゾン・ドット・コムの販売会社に、日本での所得に係る法人税を米国に納めていたとして追徴課税処分を行ったけれども、当時のPEの定義によれば、アマゾンが日本に所有する倉庫はPEとは認定されなかった。これによって、大幅に課税額が減額されたということがございました。

 そこで、PEの定義が見直された現在、アマゾンが所有している倉庫はPEとみなされるのか、みなされないのか。

 また、それを確認した上で、二〇一三年に国会で承認された日米租税条約改正議定書がいまだ発効していないということがありますが、同議定書が発効に至っていないことは、現在においてもアマゾンが所有する倉庫が我が国の同社への課税対象とならないことと関係があるのか。もしこれが関係があるのであれば、政府は米国に対し、同議定書の早期発効への働きかけを行っているのか、この事情も含めて、御説明をいただきたいというふうに存じます。

安居政府参考人 お答えいたします。

 アマゾンという個別の会社のお話がございましたけれども、申しわけございませんが、当方でそれについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げますと、先ほど先生から御指摘ございましたとおり、昨年度の税制改正におきまして、倉庫等であっても準備的、補助的な活動でない場合にはPE認定ができるということとされまして、PE認定を人為的に回避することによる租税回避への対応が強化されたところでございます。

 ただ、これはもちろん、御指摘のとおり、租税条約自体を改正しなくてはいけないわけでございまして、アメリカにおきましては、残念ながらまだそれがなされておりません。したがって、この規定は、日米間では、残念ながらまだ適用がないというところでございます。

 我が国といたしましては、アメリカとの間でもこういうものがちゃんと適用されますように働きかけておりますし、今後も働きかけていきたいというふうに考えておるところでございます。

山川委員 ぜひ御努力いただきたいというふうに思います。

 続いて、IT課税のルールの策定についてなんですが、先ほども櫻井議員も少し取組についてお聞きになられていましたが、大臣に伺っていきたいというふうに思います。

 GAFAと呼ばれるアメリカのIT大手企業などが、低税率の国、地域に利益を移して節税を行っていることで、収益に見合う税金が納められていないということが問題となっています。G20でも、このIT課税問題は主要議題となるというふうに理解をしております。

 そこで、G20において議長国を務める我が国は、IT課税のルールづくりの方向性を打ち出すために、リーダーシップを発揮することが求められているというふうに思います。我が国のIT課税に関する国際的な枠組みづくりについての方針と、それから、議長国としてルールづくりにどのように貢献していかれるおつもりなのか、河野大臣の決意表明という形でお伺いをできればというふうに存じます。

安居政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、現在の国際課税制度について見ますと、外国企業の事業所得に課税するためには、自国内に物理的な拠点というものが必要でございまして、この物理的な拠点がなく事業を行っている外国企業の事業所得については、これを課税できるようにするためには、国際課税原則そのものの見直しというのが必要でございます。

 このような経済の電子化に伴う課税上の課題に関しまして、二〇二〇年までにグローバルな長期的な課題を取りまとめるということで、現在、OECDを中心に、我が国、米国ないしはEU諸国も含めまして、国際的な議論が進められているというのは御指摘のとおりでございます。

 現在の状況を申し上げますと、OECDにおきまして複数の考え方というのを公表しておりまして、それを示して、経済等の民間部門からも今意見を聴取したところでございます。そういった意見も含めまして、これから国際的な検討というのが更に進められていくということと承知しております。

 我が国といたしましては、先ほども御指摘にございましたとおり、本年のG20の議長国でございますので、解決策の合意に向けまして、さまざまな困難が予想されるとは思いますけれども、国際的な議論に引き続き貢献してまいりたいというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 もし大臣からも何かあればお伺いできればと思いますが、ちょっと通告上、伝わっていなかったのかもしれませんから、もしあればお願いいたします。

河野国務大臣 税につきましては、これは財務省の管轄でございますので、お答えは控えたいと思います。

山川委員 ありがとうございました。

 続いてなんですが、時間が気になるので、関連質問の方をちょっと先にさせていただければと思うんです。

 ロシアとの租税条約は全面的に昨年改正されたというふうに理解していますが、その関連で、ロシア極東、シベリア地域の開発について少し伺っておきたいというふうに存じます。

 日ロ関係を深めていくには平和条約の締結が課題であり、また、北方領土問題がその手前にある、大変困難な問題であることは私ももちろん承知をしておりまして、櫻井議員からも、先ほど外交青書についての御質問もございました。そして、我が国としてどのように対応していくべきか、この北方領土の問題、非常に重要な課題でございます。

 ただ一方で、現実的に日ロ経済連携についても気になるところでございまして、少しちょっときょう伺っておきたいというふうに存じます。

 ロシア極東、シベリア地域開発についてです。

 そこで産出される天然ガスや原油の埋蔵量を考えれば、我が国へのエネルギー供給源として大きな役割が期待されるのではないかというふうにも思うわけであります。

 現在のように、シーレーンを通って大型タンカーで中東まで原油をとりに行くことを考えれば、ロシアは地理的にはるかに優位性が高いのではないか、そして、複数のエネルギー供給源を確保することは、我が国のエネルギー安全保障の観点からも重要ではないかなというふうに思うわけであります。ですので、ロシアの極東、シベリア地域開発は大変重要ではないかというふうに考えているわけであります。

 そこで伺っておきたいのは、日系企業が参画している原油や天然ガスの開発プロジェクトの実績と今後の課題について、これは参考人の方に。

 そして、大臣には、我が国のエネルギー安全保障にも大きな貢献が期待されるロシア極東、シベリア地域開発についての御所見と、また、それらを含めた今後の日ロ外交の進め方について、お差し支えのない範囲で構いませんので、お考えをお伺いできればと存じます。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 石油、天然ガスの大部分を中東を始めとする外国に依存する日本にとりましては、供給源の多角化は非常に重要な課題でございます。

 ロシア極東、シベリア地域は、豊富な資源ポテンシャル、それから地理的な近接性、さらには供給源多角化等の観点から、日本のエネルギー安定供給にとって非常に重要でございます。

 日本企業は、これまで、ロシア極東、シベリア地域において、三つのプロジェクトに参画しております。サハリン1プロジェクトでは原油を、サハリン2プロジェクトでは原油及びLNGを生産しておりますし、また、東シベリアのINKザパド・プロジェクトでは原油を生産しているところでございます。

 これらのプロジェクトを含めまして、昨年は、ロシアから日本の原油輸入量の約五%を輸入しております。また、LNGにつきましては、約八%を輸入しているところでございます。

河野国務大臣 今エネ庁からもお話がありましたように、エネルギーを含め、幅広い分野での日ロの関係を進めていく上でも、領土問題を解決し平和条約を締結するという基本方針のもと、粘り強く交渉してまいりたいと思います。

山川委員 ありがとうございます。

 それでは、租税条約の四本について、時間のある限り伺います。少し細かく伺います。

 まずは、今後の締結方針についてですけれども、今後の締結、また改正要望がいろいろと経済界から出ていると思いますが、それらの中で多くを占めるのは、開発途上国との間のものであるというふうに理解をしています。

 よって、今後は、OECDモデルも重要なんですが、やはり源泉地国である開発途上国の課税権により配慮した規定となっている国連モデル租税条約にも留意することが必要ではないかというふうに思いますが、この点から、改正の見通しについてお伺いをできればと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 租税条約の今後の締結につきましては、我が国としましては、いわゆるOECDモデル条約、あと国連モデル条約のいずれかを採用するといった二者択一あるいは一方的な観点ではなくて、租税条約の目的に照らして適切、かつ両国にとって受入れ可能な条約とするべく交渉を行っていきたいというふうに考えております。

 個々の租税条約の具体的な内容は相手国との交渉によって決まるものでございますが、今後の交渉においては、OECD型のみならず、国連で議論されているもの、こういったものも踏まえつつ、二国間の健全な投資、経済交流の促進に資するという目的に沿って、ふさわしい内容となるように交渉してまいりたいというふうに思っております。

 同時に、委員御指摘の途上国あるいはいわゆる新興経済国との関係も、経済活動が非常に高まっている中で、我々としては取り組んでいきたいというふうに考えておりまして、具体的な経済界からの要望ということで申し上げますと、未締結国のうち、例えばアジアではミャンマー、中南米ではアルゼンチン、あるいはアフリカではナイジェリア、こういった国々について経団連から租税条約の交渉推進の要望が出されているところでございますので、こうした要望を踏まえまして、引き続き我々としては取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山川委員 ありがとうございます。

 では、続いて、OECD承認アプローチの導入についてなんですけれども、二〇一〇年に改定されたOECDモデル租税条約でAOAが導入されて、これで二重課税、二重非課税のリスクが小さくなる。

 今回の四条約のうち、エクアドルとのものについてAOAが導入されていないということでこの理由と、そして、既に発効済みの条約のうち、例えばロシア、ラトビア、オーストリアとの租税条約ではやはり導入されていない、ですので、AOA未導入の条約への今後の導入に向けてどのような取組を行っているかについてお伺いをしたいと思います。

塚田政府参考人 AOAについての規定でございますけれども、お尋ねの日・エクアドル租税条約においてなぜ導入されていないのかということでございますけれども、エクアドルとの交渉の過程で、エクアドル側がOECD承認アプローチに係る議論が熟していないということが判明しまして、OECD承認アプローチを受け入れる決定ができる状況になかった、そういう事情を踏まえつつ交渉を行った結果、現在のような、規定がないという状況になっております。

 いずれにしましても、我が国としては、租税条約を締結、改正する際には、相手国との交渉の結果次第ではありますが、こういったOECD承認アプローチに基づいた規定とするということを目指す方針でございます。

 また、お尋ねのラトビアとオーストリアとの租税条約では、近い将来、交換公文によってこの規定を導入するという約束を議定書で定めてございます。できるだけ早期にAOAを規定するということを確保すべく、両国間でこの規定の導入に向けまして交渉を進めていきたいというふうに思っております。

山川委員 ありがとうございました。

 仲裁手続のことがありましたが、時間になりましたので、申しわけありませんが、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 国民民主党の小熊慎司でございます。

 平成最後の外務委員会となりますので、しっかりやっていきたいと思いますし、また、平成の世が、災害が多かったわけでありますけれども、日本においては戦争のなかった平和な時代だというのも、ひとえに、それは日本国民の努力もありますが、大臣始め外務省の平和外交のまた成果の一つであるのではないかなというふうに高く評価をしたいというふうに思いますし、また、いろいろな意見がありますけれども、河野大臣が超人的な外遊をされているということは、私はいいことだというふうに思っています。

 人と人とのかかわりですから、一朝一夕に成果が出るものでもないわけでありますし、私も過日、今外務省に大変お世話になっていますけれども、アメリカの日系移民百五十周年に向けて、カリフォルニアで、またサンフランシスコの総領事館で対応していただいていますけれども、大臣も昨年行かれて、しっかりそこを言及していただいたり、また、サンフランシスコに大臣が行くというのも久々のことで、やはりそれは、アメリカの人なり日系人なりにも大きな感動を呼んでいたところでもあります。

 また、私の家内は、たびたび御紹介していますけれども、青年海外協力隊で南の島に行っていました。大臣においては、そうした小国についても御訪問されているというのは、そこで何が成ったのかという成果は見えにくい部分はありますけれども、やはり日本に対する評価はがらっと変わるでありましょうし、また、日本のそうした平和外交に対する姿勢というのも十分に伝わっていくことであろうかというふうに思います。

 こうした平和外交をこれからも進めていって、令和の時代においてもしっかり日本が国際貢献をしていく、平和に寄与していくということで、これからも引き続き日本の外交進展のためにも頑張っていただきたいことを冒頭申し上げて、質問に移らせて、大臣、何かありますか。いいですか。

河野国務大臣 過分なるお言葉を頂戴をいたしまして、ありがとうございます。

 先ほど、エクアドルの外交関係樹立百年、初めて現職閣僚が行ったというようなこともありました。これだけ国際化の進んでいる中で、やはり日本の外交を考えたときに、オール・ジャパンでやらなければいかぬ、そういう状況だと思います。

 外務大臣が先頭に立って頑張りますが、議員外交、そして国民お一人お一人の交流を通じて、やはりこの日本という国、それから外国との間のきずなをしっかりしていかなければならぬと思いますので、委員も、ことし、若松コロニーですか、いろいろやっていただいております。ありがとうございます。しっかり頑張っていきたいと思います。

小熊委員 大臣から議員外交ということも出たので、もちろん、大臣が言うとおり、私的な外交は便宜供与は要らないと私も思いますが、議員外交の大切さを言及していただきましたので、我々も、これは党派を超えて、日本外交の進展のために努力していきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 では、質問に移ります。日本とアルゼンチンとの投資協定であります。

 アルゼンチンは、既に議論になったと思いますけれども、日本より先立って、多数の国と投資協定を締結をしているところであります。そうした先行する国々に劣後しないために、日本がそれよりグレードの低いものにならないために、どのように努力をされてきたのか。また、あわせて、一番目の質問と二番目の質問を合わせてやりますけれども、まず、その先行した国よりも劣らない、グレードが下がらないようにどう努力したのかということと、では、おくれた分、逆にそれ以上のものも努力としてできようかと思います。その二点について、まずお伺いします。

中前政府参考人 お答え申し上げます。

 UNCTAD、国連貿易開発会議によりますれば、アルゼンチンは、我が国を除きまして、五十の国、地域と既に投資協定を締結しているということでございます。これまでアルゼンチンが締結してきたこれらの協定は、そのほとんどが投資財産設立後の投資保護を規定する保護型であると承知しております。

 一方で、我が国は、アルゼンチンとの間で、この保護型に含まれる規定に加えまして、投資の参入段階において外資であるとの理由で差別されない、そういうことなどの自由化についても幅広く規定する自由化型の協定を追求してきたところ、今般、交渉の結果として、この自由化型の内容で合意するに至ったところでございます。

 このように、本協定は、先行した他国の協定にはない要素を含むという点で、充実をしているというふうに評価できるかと考えてございます。

小熊委員 まだまだ、このアルゼンチンに限らず投資協定を結んでいくということでありますけれども、ぜひ、対応がおくれている部分については、今回のアルゼンチンのように、よりグレードの高いものをやはり求めて、交渉をまとめていただきたいなというふうに思っています。

 先ほど来、櫻井委員、また山川委員からも出ていますけれども、電子経済、電子商取引の進展に伴って、この投資の部分におきましても、企業が海外市場へ投資を行うに当たっては、国境を越えたサービス貿易の自由化やデータの自由な流通などの重要性が高まっておりますし、経済界からも、こうしたものへの対応というのは求められているところでもあります。

 安倍政権におきましても、日本再興戦略の中に、サービスや電子商取引などの分野をそういったものに含めていくということも検討する旨が明記をされています。

 確認させていただきたいんですけれども、この日本・アルゼンチン投資協定においては、その点についてどのように対応してきたのか、お伺いをいたします。

中前政府参考人 お答えを申し上げます。

 アルゼンチンとの投資協定につきましては、両国間で種々交渉を行いました結果として、現在御審議いただいている内容となったものであり、国境を越えたサービス貿易や電子商取引等の分野は含まれてございません。

 他方で、企業が海外市場への投資を行うに当たり、国境を越えたサービス貿易の自由化やデータの自由な流通は重要と考えてございます。

 かかる観点から、アルゼンチンとの間では、二〇一七年五月の日・アルゼンチン首脳会談におきまして、両首脳により、サービス貿易及び電子商取引に関する二国間協定、これの交渉のための作業が指示されたところでございます。

 この指示も受けまして、これまでアルゼンチン側と事務レベルで調整を進めており、投資環境の一層の整備をしていく観点から、今後も引き続き調整を進めてまいりたいと考えております。

小熊委員 今指摘した点は、この投資協定には入っていないけれども、違う形で今努力をしているという。

 だから、この電子商取引はすごい進展をしていますし、消費税をどうするかわかりませんけれども、軽減税率はやめた方がいいとは思っていますが、その電子決済を政府としても進めようとして、ポイント還元とかでやっていて、今二〇%ぐらいですかね、これを四〇%ぐらいに持っていくんだと。台湾においてはもっとやるんだということで国家目標でやっている中で、この電子関係、電子経済というのはすごい速度で進んでいるわけですね。

 今言った点で、アルゼンチンと話を詰めているということでありましたけれども、大体、今どのぐらいまで来ていて、何回ぐらいやっていて、今後、そのゴールというのはどの辺に想定して交渉されていますか。

中前政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたとおり、アルゼンチンとの間では協議を始めておるところでございます。

 これから、投資協定等の交渉に当たりまして、サービス貿易、電子商取引といった分野を含めた協定の適用範囲をどうするかということは、相手国もあることですから、一概に今の時点でどういうふうにということは、ちょっと困難であるということは御理解いただきたいと存じます。

 御指摘いただいたとおり、サービス貿易の自由化、電子商取引の重要性というのは高まっておりますので、WTOや経済連携協定等の取組を通じて、こうした分野におけるルール構築に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 先日、WTOは僕もう要らないと言っちゃったので、WTOは古いルールでどうしようかということをやっていますから、あらゆる角度からこれはしっかりやっていただきたいと思いますし、この投資協定とかに限らず、個人レベルでもどうしていくのかというのは、インバウンドもふえているわけでありますから、この電子商取引というのは、あらゆる角度から、いろいろな国とこれからいろいろな取決めをしていっていただきたいと思います。

 次の質問に移りますけれども、先ほど同僚議員からもありましたとおり、税制上の問題では、ブラックホールとまでは言わないけれども、かなり穴のあいた状況でありますし、電子決済に関しましても、例えば仮想通貨なんかにおける各国の捉え方というのもばらばらで、そういう中で、その抜け目をくぐって利益を得ていると言っても過言ではありませんし、こういったことが看過されるようであれば、真面目に生活をしている消費者たち、また真面目にビジネスをしている人たちが、正直者がばかを見るところでもあります。

 これは国際的にやっていくという、先ほど真摯な答弁もありましたけれども、いろいろな国際機関についてやるんでしょうけれども、それでも今ばらばらですから、これは本当にどうやって連携をとって解を見出していくのか、改めてもう一回お聞きいたします。

安居政府参考人 お答えいたします。

 改めてということでございますけれども、委員からは、電子経済ないしは電子商取引についての税制上の課題ということでお話をいただきました。

 この課題につきましては、二〇一二年にいわゆるBEPSプロジェクトというのが始まっておりまして、それをOECDを中心として議論しているところでございますけれども、その中の大きな課題の一つとして、この電子商取引、電子経済についての課税の問題というのが取り上げられているところでございます。

 その中で、一つは間接税の分野がございまして、それにつきましては、国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税については一応二〇一五年の最終報告の中で合意がされておりまして、我が国におきましても、平成二十七年の税制改正で対応しているというところでございます。

 これに対しまして、残されたのは、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、外国の企業の事業所得についての課税をどうするかということでございまして、これにつきましては、G20の場で、二〇二〇年までにグローバルな長期的課題の合意に向けて取り組んでいくというふうに合意がされておりまして、これも踏まえまして、今、OECD、それからその周辺の国も含めまして、全部で百二十カ国を超える枠組みがございますので、その中で一生懸命議論しているところでございます。

 我が国といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、G20の議長国として、議論を少しでもリードしていきたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 そういう意味では、こそくな租税回避をさせないようにしなければなりませんし、ひところ、パナマ文書などでも問題になりましたけれども、日本は、私の印象としては、ほかの先進国よりはそれほど多くなかったのかなとは思いますが、そういった部分についてもしっかり目を光らせていかなければいけないし、国際的な合意のもとでルールを設定しなければならないというふうに思います。

 ただ、いいルールができたとしても、それもまた抜けていく人たちもいて、それを取り締まっていかなきゃいけないという意味では、国際的な税務官は足りていないというふうに思います。また新たなルールをつくるわけで、それに対応する職員も必要になってくるわけでありますよね。だから、いろいろな対応をしていくという意味で、人員は足りていないんじゃないですか。どうですか。

安居政府参考人 お答えいたします。

 国際部門につきましては、今どんどん業務がふえているのはおっしゃるとおりでございまして、今申し上げましたとおり、OECDでの議論におきましても、たくさんの職員を動員しまして一生懸命対応しているところでございます。

 我々としては、とにかく最大限の効率を出せるように、日々、鋭意努力をしてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 財務省は自分のところで査定するんだから、人員をどんどんふやすように。そのときはやはりODAをちょっとふやしてもらわないと、それは賛成しかねるところもありますけれども。

 あとは、この課題、一年前か二年前にやったんですけれども、現状は、国際的な電子商取引に対応している職員さんというのは、入省されてから研修を受けるという話を聞きました。

 今、公立、私立問わず、コンピューター専門の単科大学もあったりしますので、やはりそういう分野の人材をしっかり雇っていくということで、電子決済ですから、目の前の帳簿とかじゃなくて、まさにソフトの中にいろいろなものを仕込んだりする時代でありますから、抜けようとすれば。

 ですから、そういった人材をふやすというだけじゃなくて、やはり質の高い人材を確保しなければならないので、確保した後研修を受けさせるではなくて、まさにそういう専門分野の学生をきちっと採用していくという、採用のところもしっかり考えながら今後進めていっていただきたいなというふうに思っています。

 ぜひ、いい人材をふやしていただいて、あわせてODAもふやしていただければありがたいというふうに申し述べまして、次に移らせていただきます。

 先ほど、平和の話もさせていただきましたけれども、こうした世界経済の進展ということも平和がなければできません。安定的な経済の発展のためには、やはりいろいろな紛争やそういうことがあってはならないわけでありますし、ちょっとしたテロというか、規模にかかわらずテロがあれば、そこでの経済活動も阻害をされてしまうところであります。

 こうした投資協定、租税条約を通じて世界経済の進展に寄与しているところでありますけれども、その前提となる安定といったためにテロ対策もしっかりしていかなければ、財務省の方はもう私はいいです、大丈夫です。委員長、財務省はもう大丈夫です。

若宮委員長 どうぞ、御退席いただいて結構です。

小熊委員 予算獲得、よろしくお願いします。

 外務省におきましても、テロ対策についてはしっかり対応するということで、ホームページ上にも、我が国のテロ対策といったことが掲載をされております。

 その中に、テロに対する基本認識が示されておりますけれども、テロ組織と直接かかわりがなくても、インターネットなどを通じていろいろな影響を受けて、全くその組織とは関係ないのにテロに及ぶことも世界じゅうで散見をされているということも言及をされておりますし、また、来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、日本国内のテロ対策の強化も重要なテーマであるということもうたわれています。そしてさらには、ボーダーレス化していくテロの脅威と闘うということも強く認識をされているところであります。

 ボーダーレス化をしている、また、来年オリンピックもあって、いろいろな海外の人たちも来る、そういう中で、国内でのテロへの脅威について、改めて端的に認識をお伺いいたします。

桑原政府参考人 お答えを申し上げます。

 ISILやアルカイダ関連組織につきましては、近年、一時の勢力を減退はさせているところでございますけれども、いまだに影響力を有しているところでございます。

 今般スリランカで発生した爆弾テロ事件に見られるように、依然として、これらの過激な思想の影響を受けたと見られるテロが各地で発生しているところでございます。

 日本国内では今日までこうしたテロ事案は発生していないところでございますけれども、これまでISIL等が我が国や在外邦人をテロの標的として繰り返し名指ししてきたことに加えまして、委員御指摘のとおり、来年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えていることから、我が国がテロのターゲットとされることや、過激な思想に触発された者によるテロ行為が敢行される懸念があるというふうに考えているところでございまして、我が国に対するテロの脅威は依然として継続しているものと認識しているところでございます。

小熊委員 外務省のホームページにも指摘はされていて、今はちょっと言及はなかったんですけれども、組織的なものだけではなくて、特定の個人だけで、ローンウルフと言われるようなテロ行為も散見をされていますし、そこまでいっちゃうと本当に何が何だか、大変な状況ではありますが、しっかり対応しなければいけないという認識は強くお持ちであるということは確認をさせていただきました。

 そういった中で、国内におけるテロ対策が重要であるという認識のもとではありますけれども、原子力発電所に設置が義務づけられていますテロ対策施設が、期限内に完成できない状況が明らかになっています。今言われたとおり、テロの脅威、そして対策をしっかりしていかなければいけないという認識の中でありながら、残念ながら、電力会社におけるテロ対策の甘さが露呈をしたというふうに思います。

 この状況、テロ対策をちゃんとやらなければいけない、官民挙げてやらなければいけないという状況の中で、まして来年の東京オリンピック・パラリンピックもあるということもある中で、このテロ対策の甘さが、政府はしっかりやっていかなきゃいけないと言っているけれども、これが国民レベルでは、また経済界レベルでは浸透していないということの一つの証左だというふうに思います。

 この今回の原子力発電所におけるテロ対策の甘さについて、政府はどのような見解をお持ちか、お聞きいたします。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 テロ等の不測の事態から原子力発電所を守ることは極めて重要な課題だと認識してございます。

 原子力発電所のテロ対策につきましては、原子力規制委員会が、関係法令に基づきまして、御指摘のテロ対策施設も含め、事業者に対してさまざまな防護措置を求めているものと承知してございます。

 事業者においては、当然のことながら、テロ対策を含めた安全対策について、規制委要求に的確に応えていく必要があると考えてございます。

 政府といたしましては、原子力発電所につきましては、原子力規制委員会によって科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合にのみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが一貫した方針でございます。

 いずれにせよ、事業者においては、原子力規制委員会の指導のもと、安全対策にしっかりと取り組んでもらうことが重要である、このように考えてございます。

小熊委員 しっかり取り組んでいただくことが重要であるということでありますが、このテロ対策施設というのは、原発が攻撃を受けたときに大事故に至るのを防ぐかなめです。

 本当にあってはならない二〇一一年の原発事故災害でありましたけれども、起きたことによって、そこにとどまることをしないで、広範囲に、そしてまた年月がたっても大きなマイナスの影響を与えているというのは、皆様御承知のとおりであります。

 どんな事故でも命が失われることがあってはならないし、犠牲になる方があってはならないですけれども、原発で一旦事故が起きたときは、これはもう想像を絶する世界になってしまいます。

 そういう意味では、このテロ対策施設というのは重要でありますし、だからこそ、今ほどあったように、規制委員会が未完成ならば停止命令をする、例外を認めないという、厳しい、筋を通す委員長の発言もあったところでありますけれども、この停止命令措置となる現状について、今後の政府の対応、これを緩めるということがないようにしていただきたいんですけれども、今後の対応についてお伺いをいたします。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制に関しましては、経済産業省としてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、規制委員会によって適合すると認められた場合にのみ、その判断を尊重し、再稼働を進めるというのが一貫した方針でございますので、この規制委員会の指導のもとで安全対策を適切に進めていくように、我々としてもしっかりと働きかけをしてまいりたい、このように考えてございます。

小熊委員 ぜひ経産省も気をつけていただきたいのは、この停止命令に関してもいろいろな議論が今起きています。一つには、これを停止したら、また電力供給が間に合わなくなってくるんじゃないか、また電気料金が上がるんじゃないかということが指摘をされていますけれども、安全にまさるものはありません。経済性も安全性を上回ることはできません。安全性が第一義です。

 その点については、そうした経済性が上回るようなことの議論がリードすることのないように、安全が第一なんだ、安全のために多少電気料金が上がったってこれはしようがないんだというような、そういうしっかりとした哲学のもとにやっていただきたいというふうに思います。

 あと、今回のこれについても、日本においてテロが今までないみたいなところ、一応、認定されたのはほとんどないんですけれども、幾つかしか。ですから、我々も普通の世の中の人たちも、これだけテロが拡散していても、日本においては、テロというのはやはり遠い国の話にまだ今でもなっているところでありますけれども、だから、いつ起きるかわからないテロに、一部ですよ、電力各社から、工事期限に何の意味があるんだというような声も聞かれているということが巷間伝わっています。これはとんでもないことです。

 だって、この施設の重要性はみんなで認識をして、そして、原発再稼働する際に、これはちゃんと期限内につくりますよと約束していて、今になってみて、間に合いそうもないからこんなことを後出しじゃんけんみたいに言うということはゆゆしき問題です。だって、期限内にやるということを約束しているわけですから。

 だから、これも認識が甘いと思うし、テロ対策の重要性、先ほど政府答弁がありましたけれども、いや、そんな、いつ起きるかわからぬし、少しぐらい延ばしてもいいんじゃないみたいな甘い考えがだめだと思うんですよ。

 発電所も、そういう甘い考えのもとに、あの二〇一一年の地震のときの対応も、本当は気づけていたのに、気づいていたのに対応しなかったから外部電源が喪失したということがあります。やはり万全の体制をしなければなりません。普通の事故でも命が失われることがあってはならないけれども、原発事故はまたレベルが違います。

 今言った点について、経済性が上回るような議論はさせてはいけない、そしてまた、このテロ対策においてもしっかり原則を守っていく、そうあるべきだと思いますけれども、改めて答弁をお願いします。

村瀬政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、原子力を活用する上では、安全が何よりもまさる最優先の大前提だというふうに考えてございます。

 また、委員御指摘のように、テロ等の不測の事態から原子力発電所を守ることは極めて重要な課題であると考えてございます。

 事業者においては、原子力規制委員会の指導のもと、安全最優先で安全対策にしっかりと取り組んでもらいたいと考えてございますし、政府としても、そのようにしっかりと指導してまいりたいと考えてございます。

小熊委員 これは大臣には答弁は求めませんけれども、規制委員会はしっかり筋を通しているわけですし、厳しく守っていくということでは、再稼働はもうなされないというふうに思います。順次停止をしていくんだというふうに思います。

 そうした意味では、ある意味、エネルギー外交といったものも重要になってきますから、原発については、答弁は求めませんが、大臣と私は思いを共有しているというふうに思っていますし、停止した際のエネルギーの外交についてもしっかり御尽力をいただきますように御提言申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

若宮委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、租税条約についてお伺いします。

 本条約の改正により、二重課税の除去を理由に、配当、利子、使用料に対する源泉地国での課税を更に軽減又は免除されるということになります。例えば、日本の企業がスペインにある子会社から受け取る配当について、スペインでは一〇%の課税がなされていたのが免税となります。スペインでは配当に課税されないということになるわけですね。

 では、その配当を日本の企業が受け取ったとき、日本の税法では課税されるんでしょうか。

武藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点につきましては、租税条約の適用により、相手国のスペインにおいて課税されない配当を日本の企業が受け取った場合の我が国の法人税の一般的な課税関係を申し上げますと、その配当が持ち株割合二五%以上の外国子会社からの配当である場合には、外国子会社配当益金不算入制度が適用されまして、その配当の額の九五%相当額を差し引いた五%相当額が課税対象となります。一方で、その配当が持ち株割合二五%未満の外国子会社からの配当である場合には、その配当の額の全額が課税対象となります。

 この点は、条約改正前において、相手国で課税された配当を日本の企業が受け取った場合の取扱いと同様でございまして、条約の改正前後で取扱いに変更はございません。

宮本委員 今までスペインでは課税されていました、日本では二五%以上の持ち株の子会社の場合は、外国子会社配当益金不算入制度によって、配当のうち九五%はもともと税はかからない、五%だけそこに税金を課していたということですが、今度は、もうスペインでも課税されない。日本でも、今の日本の税制の仕組み上でいえば、配当、九五%はかからないわけですよ。五%についてだけかかる。

 ですから、二重課税の除去を理由に今回の措置というのは設けられているわけですけれども、実際は、この配当のうち五%しか課税対象にならないということですから、九五%の配当については二重非課税、どちらでも二重非課税になるというのが今度の条約の改正がもたらすものだというふうに思います。

 ですから、今、BEPSプロジェクトの話もこの間ここでも議論されておりましたけれども、BEPSプロジェクトは、税の侵食からいかに国際的に税を確保しよう、こういう努力をしているときに、どっちでもほとんど課税されませんよという状態をつくり出しているのは、私は、やはり今の国際的な方向性に逆行しているというふうに思いますので、この租税条約の改正については反対だということを申し上げまして、別のテーマについて質問させていただきたいと思います。

 横田基地の軍民共用化について報道がございましたので、質問させていただきます。

 四月十九日付毎日新聞にこういう報道がございました。「政府は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向けて首都圏の空港の発着数を増やすため、在日米軍横田基地の臨時的な軍民共用化を米国政府に打診した。」「日本側は、実現すれば民間機の恒久的な乗り入れに道を開くことになると期待している。」

 これは、事実関係、この報道は間違いないか、大臣にお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 御指摘の報道は承知をしております。

 アメリカ政府は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて政府を挙げて協力するとしており、今般の2プラス2閣僚会合においても、日米間で引き続き緊密に協力する意図を確認をいたしました。

 また、お尋ねの横田飛行場の軍民共用化のあり方についても、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、さまざまな考え方があることは承知をしております。

 他方、いかなる分野で協力を行うのか、また、かかる協力に関する協議がどこまで進展しているかなどについては、米側と調整中であることもあり、現時点で個別にお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、引き続き、東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、関係省庁や東京都と連携し、適切に対応してまいります。

宮本委員 いかなる協議をやっているのか、どこまで進展しているかは差し控えるということです。

 この日の報道を受けて、同じ四月十九日に瑞穂町の町長から、総理や河野外務大臣宛てに、横田基地の軍民共用化に反対する要望書というのが出されております。一部だけ読みます。

  瑞穂町はこれまで長きにわたり、軍民共用化反対を関係機関に申し入れてきましたが、地元の声が聞き入れられず、このような報道に接したことは誠に遺憾です。

  これまで国策による施設であるとして耐え忍んできましたが、経済や利便性のみを追求し、これ以上の騒音の増大をもたらす軍民共用化の推進は、容認できるものではありません。飛行直下に位置し、航空機騒音被害をより多く受けている当町の実情をご賢察くださいますようお願いいたします。

こう書かれております。

 これは河野大臣宛ても名前が入っておりますが、大臣はこの要望書についてどういうふうにお受けとめになっているでしょうか。

河野国務大臣 御指摘の要望書については承知をしております。

 先ほども申し上げましたとおり、横田飛行場の軍民共用化のあり方についてはさまざまな考え方があると承知をしております。

 いずれにせよ、引き続き、オリンピック、パラリンピックの成功に向けて、関係省庁や東京都と連携し、適切に対応してまいります。

宮本委員 大臣は瑞穂町に行かれたことはございますか。

河野国務大臣 横田飛行場の周辺には行ったことがございますので、瑞穂町にも当然足を踏み入れていると思います。

宮本委員 瑞穂町は横田の滑走路の延長線上ですから、周辺自治体の中でもとりわけ騒音被害が激しい地域です。石原元都知事が軍民共用化を打ち出したときから一貫して反対運動を町、議会挙げてやっているところなわけであります。

 それで、横田基地の騒音は、この間、住民の皆さんも爆音訴訟を闘ってまいりました。そして、いつも判決ではこうなっているわけですよね。社会生活受忍限度を超える違法な権利ないしは法律上の侵害を受けている。判決では、騒音は違法状態だということとされているわけですよね。

 現状の横田基地の騒音は違法状態だ、こういう認識は大臣にはございますか。

河野国務大臣 横田飛行場の米軍の運用に際し、地元の方々などから安全や騒音等についての懸念が示されていることは承知をしており、真摯に受けとめております。

 政府としては、これまでも米側に対し、横田飛行場の騒音規制措置に係る日米合同委員会合意の遵守を含め、安全面に最大限配慮するとともに、地元に与える影響を最小限にとどめるよう、米側にさまざまな機会を通じて求めてきております。

 また、今般の日米2プラス2においても、飛行安全及びこの問題に係る国民の懸念に対処する重要性について四閣僚の間で認識の一致を見たところであり、外来機の騒音を含め、米軍の運用が地元に与える影響が最小限となるよう米側に要請したところでございます。

 その上で申し上げれば、日米安全保障条約は、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため、米軍の我が国への駐留を認めており、飛行訓練を含めた軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを前提としております。

 横田飛行場については、在日米軍司令部や第五空軍司令部などが置かれており、また、有事においては極東地域全体の兵たん基地となります。在日米軍の中枢基地であるが、米軍機による航空機騒音に関し、周辺住民の方々に対し多大な御負担をおかけしていると認識しております。

 政府としては、今後とも、米側に対し、地元に与える影響を最小限にとどめるよう、さまざまな機会を通じて配慮を求めてまいります。

宮本委員 その騒音が違法状態だということを繰り返し裁判でも断じられているわけですよね。その上、更に軍民共用化ということになれば、基地は固定化しますし、騒音はふえる。このことを瑞穂町の町長さんは懸念して、報道が出て、その日のうちに要望書も出されるということになったわけですよね。

 最も騒音被害に苦しんできた地元自治体や住民の頭ごなしに、さっき2プラス2でも何か話合いをやっているような話がありましたけれども、地元自治体や住民の頭ごなしにこの話合いを進めるというのはあってはならないことだと思いますが、その点、大臣の認識はどうですか。

河野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、横田飛行場の軍民共用化のあり方についてはさまざまな考え方があると承知をしております。

 いずれにせよ、引き続き、関係省庁や東京都と連携し、適切に対応してまいります。

宮本委員 そこには関係省庁や東京都が出てくるんですけれども、地元自治体が出てこないじゃないですか。おかしいんじゃないですか。

河野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、横田飛行場の軍民共用化のあり方についてはさまざまな考え方があると承知をしております。

 いずれにせよ、適切に対応してまいります。

宮本委員 これまでの政府の答弁と違うんですね。

 ちょっと私も議事録を振り返りましたけれども、岸田外務大臣は、二〇一四年の答弁で、横田飛行場周辺の地方公共団体の考え、こうしたこともしっかり考慮することが重要であると認識しておりますと言っていたわけですね。基地周辺自治体のことも考慮すると言っていたのに、河野大臣からその発言がないわけですよね。私は、政府の今までの姿勢からも大きな変更だと思いますよ。

 こういう騒音で苦しんでいる地元自治体が反対しているもとで、その意見も聞かずにこういうものを進めていくというのは許されないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、もう一点、別の問題について質問させていただきたいと思います。

 自衛隊の統合幕僚学校の研究についてお伺いします。

 平成二十九年度、三十年度の研究を見ますと、指定研究として、宇宙作戦にかかわる研究、また、自主研究として、多国間の共同(連合)作戦に指揮権等が及ぼした影響に関する研究、これが行われているということがわかりました。

 まず、基本的なことをお伺いしますが、この統合幕僚学校の指定研究、委託研究の研究テーマは、どのように決められ、誰が決裁するのか、決裁に当たって政務三役への報告というのはどうなっているんでしょうか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 統合幕僚学校は、自衛隊の統合運用に関する知識及び技能を修得させるための教育訓練を行うとともに、基本的な調査研究を行うこと等を目的として統合幕僚監部に附置された機関でありまして、平素より、その所掌事務の一環としてさまざまな調査研究を行っております。

 統合幕僚長の定める研究開発に関する達によれば、指定研究は、統合幕僚長の指示する事項について実施する調査研究として、統幕長の判断により行われるものとされております。

 また、御指摘の委託研究につきましては、この達に定める自主研究を示しているものと考えますが、これは、統幕の部長等又は統合幕僚学校長が必要と認めて自主的に実施をする調査研究として、統幕の部長等又は統合幕僚学校長の判断により行われるものとされております。

 御指摘の宇宙作戦に係る研究は、平成二十九年度及び平成三十年度の指定研究として、統幕長の決裁により、また、多国間の共同連合作戦に指揮権が及ぼした影響に関する調査研究は、平成三十年度の自主研究として、統合幕僚学校長の決裁により、それぞれ実施することとなったものと承知をいたしております。

 なお、これら個別の調査研究の実施に係る意思決定に際し、一つ一つ政務三役に報告されるものではございません。

宮本委員 現場の判断でやっているということですけれども、宇宙作戦という言葉は、私も大綱だとか中期防だとかいろいろなものを見ますけれども、そういう国民向けに説明される言葉では、防衛省の文書では見たことはないわけですが、この宇宙作戦というのは一体何を指すんですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 統幕学校は、その所掌事務の一環として、基本的な調査研究を平素から行っておるところでございます。

 御指摘の宇宙作戦に係る研究につきましては、そうした調査研究の一環として、平成二十九年度及び三十年度におきまして統幕学校におきまして実施したものであり、本研究は、今後、必要に応じ、統幕の業務の資とすることが可能となるよう、米軍や各国軍の宇宙分野における作戦全般等につきまして、公開資料等をもとに、統幕学校の各研究員が自由な立場から分析、検討を行ったものでございます。

 したがいまして、委員の御指摘の宇宙作戦は、自衛隊や米軍、各国軍の宇宙分野での活動一般を指しているものでございまして、特定の軍事行動を指すものではございません。

宮本委員 文書が出てくるのを待ちたいと思いますけれども、宇宙作戦なんて国民向けには使っていない言葉で、米軍と自衛隊が宇宙分野でも一体化を進めようとしているのではないかということで、大変懸念を持っています。

 それで、この宇宙にかかわりまして、先日の日米の2プラス2のファクトシートではこうあります。「双方は、」「二〇二三年の打ち上げが予定される日本の準天頂衛星システムへの米国が提供するSSAペイロードの搭載の機会を強調した。」こうあるわけですね。

 なぜ日本の衛星システムにアメリカの宇宙状況監視ペイロードを搭載するんですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 先週行われました2プラス2では、二〇二三年度に打ち上げ予定の日本の準天頂衛星への米国宇宙状況監視、SSAと言っておりますけれども、このペイロードの搭載、具体的にはセンサーでございますけれども、センサーの搭載を通じたSSA能力向上のための協力を促進していくことにつきまして日米両国間で一致をいたしました。

 日米間では、安全保障、探査、産業の各面で宇宙協力を強化していくことを確認しております。準天頂衛星に米国のSSAセンサーを搭載することになれば、日米間の宇宙協力の進展につながり、日米同盟のさらなる強化にも資するものと考えております。

 また、このような国際協力は、スペースデブリの増加を始めとする宇宙空間の混雑化による衛星衝突等のリスクに対応し、宇宙空間の安定利用を確保する観点から、日米両国のみならず、あらゆる宇宙活動国にとって有意義と考えております。

宮本委員 これは、費用負担はどうなっているんですか。

石川政府参考人 今後の日米協議の中で検討されていくものと考えております。

宮本委員 日本がアメリカのペイロードを積んで打ち上げて、情報はアメリカに持っていかれて、その代金は日本が支払うみたいな話じゃないのか、そういう懸念も持つわけです。

 もう時間が迫ってまいりましたので、次に行きますけれども、もう一つの、多国間の共同作戦に指揮権等が及ぼした影響に関する調査研究、なぜ今この研究をこのタイミングで始めたのか、いかなる事態を想定している研究なのか、教えていただけますか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 統合幕僚学校は、平素から、その所掌事務の一環として、さまざまな調査研究を行っております。

 御指摘の調査研究につきましては、どの国も一国のみでは平和を守ることができない時代におきまして、自衛隊も外国軍隊と協力して活動を行う可能性が排除されないところでございますので、米国を始めとした諸外国が実施した共同連合作戦において発生した問題とか、その改善について調査をし、参考とするということを趣旨として、あくまでも平素からの基本的な調査研究として行われたものであると承知しておりまして、特に特定の具体的な事態を念頭に置いたものではございません。

宮本委員 なぜこのタイミングで始めたのかということをお伺いしているんですよ、安保法制ができて、更に数年たった今のもとで。

森田政府参考人 繰り返しとなりますけれども、どの国も一国のみでは平和を守ることができない時代において、自衛隊も外国軍隊と協力して活動を行う可能性があるということで研究がなされたというふうに承知しております。

宮本委員 多国籍軍の作戦に日本も参加していくということを想定して研究を、なぜこのタイミングで始めているのか。これからも徹底してこの点については質問していきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

若宮委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本和巳でございます。

 質疑に入らせていただきますが、このゴールデンウイーク、十連休とありまして、先ほども発言で外遊という表現がありましたけれども、外遊という表現が、マスコミの方も含めて使っておられますけれども、むしろ外交日程という形で、決して遊びに行くという……(発言する者あり)ということなので、私は、この言葉の使い方というのは、国全体として改めていただく必要があるのではないかと。

 真剣に、各議員の方々も国の責任をしょって海外に行かれる。プライベートはプライベートで、それは議員としてではないという理解でむしろいいと思うので、そんな点で、言葉遣いという点は、私は改めていただきたいとお願いを申し上げます。

 あともう一つだけ、下斗米伸夫教授から、きのう我が維新は部会を開いて、外交のあるべき姿というようなことを伺う中で、私も予算委員会等で安倍総理に北方領土の状況を、色丹島の状況とかを、御説明を写真入りでさせていただいたというのが二〇一三年ごろとかにあるんですけれども、改めて私が感じたのは、やはり現政権が安定政権であって、そして先方のプーチン政権も、国内の支持率が下がっているとはいえ、極めて安定している政権ということでありますので、この機会が本当に大切な機会ですので、ことしという焦り方ではなくて、ここ数年のうちにやはり解決される、平和条約までいくというような期待を改めてさせていただきたいと思います。

 ロシア側の事情を結構きのう下斗米先生から伺いましたけれども、国内事情であったりウクライナの状況であったり、対中、対北朝鮮、あるいはもっと経済的な面でインドとの関係とか、そういった点もにらんでいるというふうにも伺いました。

 また、伺った中では、メドベージェフ首相であるとかラブロフ外相は北方領土に入ったことはあるけれども、プーチン大統領自身は入ったことがないということもあり、また、クリル発展計画という言葉がありますけれども、南クリルの地域に歯舞、色丹は入っていないということで、いろいろ日本の議員の方々でも御意見はあると思いますが、私としては、やはり従前から使われてきているかもしれないですが、段階的返還論という言葉があって、二島が先にというようなことがあっていいのではないかという思いの中で、極めて今センシティブな、ナイーブな状況の中で、なかなか御発言しにくいというのは十分拝察させていただいているので、引き続き、この五月のゴールデンウイーク明けの公式の外相会談、御健闘をお祈り申し上げます。

 あとは、協定、条約についての質疑なので、政府参考人に、冒頭のことは私の勝手なというか私としての思いを申し上げましたけれども、質疑に入らせていただきます。

 まず、全般的な話なんですけれども、諸外国の経済、政治情勢を含めた評価をビジネス界ではカントリーリスクといいますけれども、外務省の場合は海外安全情報というような形で、ホームページ等で発信をしています。カントリーリスクというのは、インテリジェンス全体という点で、公表していることを別として外務省は把握しているという認識を私は持っておりますけれども、ただ、それを対外的に出すということは、その国に対する評価であり、それに直結してしまうようなことで、逆に外交上の支障となるというようなことは容易に想像できますので、そこは対外発表していないという認識をさせていただいています。

 しかし、きちっと外務省としては、そういったインテリジェンス的な、経済情勢だとか社会情勢だとか政治情勢というのを把握しているかどうかという点で、金融の世界に私もおりましたので、シンジケートローン、私、まだ、一九八〇年代前半に金融界に入りましたけれども、そのころ盛んに言われていたのが、南米をラテンアメリカなのでラ米といって、ラ米債券というような表現で、南アメリカの国々は極めてデフォルトリスクが高いというような厳しい見方だとか、リスケジュールとか、そんな言葉も出てきていたのが記憶にあるんです。

 ここ今日に至って、あえて確認させていただきたいんですが、申し上げた、外務省としていかに経済、政治、社会情勢を把握し、そのためにいかなる情報入手手段を持っているか。例えば、総合商社であるとか、あるいはジェトロであるとか信用調査会社などとの連携はうまくできているのかどうか、包括的な点をお伺いできればと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 外務省は、世界各国との外交関係の維持強化を図っていくため、各国の経済、政治、社会情勢等に係る公開情報に基づくデータ、これをまずは集積をして、同時に、全世界から日常的に入ってくる在外公館からの報告、これはカントリーリスクというのを評価するに際しても重要な政務あるいは治安情報も当然含まれるわけでございますけれども、加えまして、国際機関との接触を通じた情報、あるいは日本国内の、地域の専門家ですとかあるいは分野ごとの有識者、こういった方々との意見交換、情報交換、こういったものを通じ入手するさまざまな情報、こういったものを活用するなどして各国情勢の適切な把握に努めているところでございます。

 また、企業支援を進める上で、あるいは経済協力、特に途上国との経済協力を進める中で、各国のマクロ経済に関する情報というのも極めて重要でございまして、このためには、JBICさん、あるいはNEXI、ジェトロ、こういった機関との連携、あるいは国際機関、こういったところとの連携も緊密に行っておりまして、日常的に意見交換を行っているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 日々の情報収集、きちっとやっていただいていると思いますが、引き続き御尽力、各外交官の方、外務省職員の方々には引き続き頑張っていただきたいとお願い申し上げます。

 それでは、個別の条約、協定等について、あるいは投資協定について質問させていただきます。

 アルゼンチンとの関係でいきまして、アルゼンチンは去年も、ちょっと今資料をめくっていたら、通貨のやはり下落危機みたいなことがニュースであった。アルゼンチン・ペソでございますけれども、アルゼンチンの経済状況は大丈夫なのかというような心配も、私も勝手ながらさせていただいています。

 アルゼンチン政府は二十二日に、生活必需品約六十品目を対象にした価格統制策を始めたという発表をしたようですけれども、インフレ対策として行われているのかもしれませんが、うがった見方かもしれませんが、大統領選をにらんだ動きとの報道もあるようです。

 アルゼンチンのインフレ状況を含む経済状況、あるいは政治的な安定状況をいかに把握しているかをちょっと教えていただければと思います。

中前政府参考人 お答え申し上げます。

 アルゼンチンは二〇一六年に、二〇〇一年のデフォルト以降初めて国際金融市場に復帰いたしましたが、二〇一八年二月以降、米国の長期金利の上昇あるいは財政、貿易赤字等の要因により、自国通貨の価値が米ドル等主要通貨に対して急速に減価いたしました。

 二〇一八年十月、IMFは総額五百六十三億ドルのスタンドバイ融資枠を承認し、アルゼンチン政府は、融資合意に基づき、二〇一九年の基礎的財政収支均衡、二〇二〇年の財政収支の黒字化、二〇一九年六月までマネタリーベースの水準を引き上げない等、ペソ下落への対応を始めとするマクロ経済安定化のための措置を講じていると承知しております。

 また、アルゼンチン中央銀行によりますれば、GDP成長率は、二〇一七年はプラス二・八%、二〇一八年はマイナス二・四%となっており、インフレ率は、二〇一七年は二四・八%、二〇一八年は四七・六%となっております。

 さらに、二〇一五年十二月に発足しましたマクリ政権は、外貨取引規制の撤廃、穀物関連の輸出税の段階的撤廃、輸入制限の原則撤廃等の自由開放経済政策を推進してきました。

 こうした経済改革努力への支持もあり、二〇一七年十月の議会中間選挙では、与党が上下両院において第一党になった。また、そういう形で同政府の基盤強化につながったというふうに承知しております。

 二〇一九年、ことしの十月には大統領選挙が実施される予定でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 ちょっとまとめて伺えばよかったんですが、このアルゼンチンにおいて、進出日系企業は、製造業、卸売、小売合わせて百社に上るというような御説明をいただいていますけれども、今次投資協定締結による具体的な効果、変化を教えていただければと思います。

中前政府参考人 お答え申し上げます。

 アルゼンチンへの進出日系企業数は、二〇一四年には約五十社であったものが、二〇一七年十月時点で、製造業、農産業分野を中心に百社となりました。

 投資は各投資家の経営判断によって行うものであり、投資協定の締結が直ちに投資の増大を保証するものではございませんが、投資協定の締結によって良好な投資環境の創出又は整備が促されることから、投資の増大及び経済分野での交流が一層促進されることが期待されております。

杉本委員 ありがとうございます。

 次にコロンビアを伺おうかと思ったんですが、その前に、クロアチアについてちょっと一方的にお話をします。

 今回は協定で、大臣政務官が署名されているということで、伺ったら、協定はアグリーメントで条約はコンベンションである、過去からの連続性というか当国との関係から、アグリーメント、協定ということでクロアチアとは締結して、他国とは、今回の審議しているものについてはコンベンションの条約であるということを伺いましたので、この違いはいかなるものかというのは何となく私は合点がいきにくいんですけれども、そんな説明があったということはちょっと開陳させていただきたいと思います。

 次に、スペインについて伺います。

 スペインの租税条約は、全面改定ということで、配当は親子間で免税、その他を一五から五%へ軽減、利子は免税、使用料は免税とするということでありますけれども、この効果はいかなるものなのかというのと、あわせて、ちょっともう一つ、まとめて答えていただければと思いますが、二十八日投開票の総選挙で、与党優勢、ただ過半数は厳しい、極右勢力が初の議席を獲得する見通しというような報道がありますけれども、政治、選挙情勢についてもあわせて御答弁いただければありがたいです。

齊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、租税条約に関してでございますが、スペイン経済は欧州第五位の規模でございまして、我が国経済界も引き続きスペインに注目しているところでございます。

 今般、一九七四年に発効いたしました現行の日・スペイン租税条約を全面改正し、投資所得に対する源泉地国課税を更に減免することは、委員から御質問の具体的な見通しを述べることは現時点ではなかなか難しゅうございますが、我が国企業のスペインへの投資を後押しするなど、日・スペイン間の健全な投資、経済交流の促進に資するものと考えておるところでございます。

 選挙を含めた政治情勢でございますが、政府といたしましては、他国の内政や選挙情勢についてコメントすることは差し控えたいと考えておりますが、二十八日に予定されているスペイン議会選挙をめぐる動向を引き続き注視していく考えでございます。

 選挙の結果にかかわらず、日・スペイン両国は、自由、民主主義、人権、法の支配、自由貿易等の普遍的価値を共有する重要なパートナーでございますので、政府といたしましては、引き続き、日・スペイン関係のさらなる強化に取り組んでいくとともに、スペインと緊密に連携して、国際社会の諸課題に取り組んでいく所存でございます。

杉本委員 最後に短く、恐縮なんですけれども、ポルトガルですね。

 スペインの隣国のポルトガルは、ここのところ、いろいろ報道等を見ていると、不動産投資が活発化していて、欧州内を中心かもしれないし、アメリカからの投資かもしれないですが、結構活発に動いているんですが、ポルトガルとは平成二十五年に発効した租税条約があるとは思うんですけれども、スペインが一歩踏み込んだので、ポルトガルにも一歩踏み込む、あうんの呼吸も必要かもしれないんですが、我が方からむしろ積極的に提案をしていくべきではないかな。租税条約のさらなる深化というようなことは、ちょっと答弁は要らないんですけれども、そういった点もぜひ検討いただければとお願い申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

若宮委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 まず最初に、投資関連協定について質問したいと思います。

 資料をお配りさせていただいておりますけれども、下の方に、二国間投資協定署名件数というのがありまして、これで見ますと、ドイツが一位で百三十一件、二位が中国百二十七件と、ずっと続いてきて、あとは、順番はないですけれども、韓国が九十三件、ロシア七十九、イタリア七十二、そして日本が四十八ということであります。これは、署名済み・未発効のものも含むということであります。

 次のページをめくっていただきまして、投資関連協定の現状ということで、これは大臣からもお話ありましたけれども、発効済みが四十三、署名済み・未発効が五、交渉中が今二十五ということだと思いますけれども、目標である百に向けて今努力をしているということであります。

 ちょっとこの表の下のところに、署名済み・未発効というのが五本書いてあるんですけれども、TPP、アルメニア、アラブ、ヨルダン、アルゼンチンと。今回は、このアルゼンチンが出ているわけです。

 そこで見ていただきますと、アラブ首長国連邦は二〇一八年の四月に署名、ヨルダンについても二〇一八年の十一月に署名、アルゼンチンは二〇一八年の十二月に署名。今回は、この未発効のうちのアルゼンチン一つだけが出ているわけです。

 私は、国益のことを考えると、これは三つ出してもよかったのではないかと思いますけれども、あえてアルゼンチンだけを今回国会に提出した理由についてお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 今次国会に外務省から提出させていただきました法案及び条約につきましては、政府全体の提出法案のバランスなどを考慮した上、判断をしたものでございまして、この日本とアルゼンチンの投資協定は、二〇一七年の五月に、先方の大統領訪日の時点で実質合意に至っていたということを含む交渉経緯などを踏まえて、先に御審議をいただきたく、今次国会に提出することといたした次第でございます。

井上(一)委員 これは恐らく、推測ですけれども、やはり国会の審議では、法案とか条約、これはできる限り絞って出してこいというような話があるんだと思います。

 ただ、私は、やはりこれは日本の国益につながる話ですので、投資協定とか租税、こういったものについては、署名し次第、やはり速やかに国会に提出して審議してもらう、そういう政府の姿勢が大事なんじゃないかと思います。

 これから、交渉中が二十四本あるわけですけれども、こういったものについても、署名ができればやはり国会に速やかに提出し発効するということで、これは与野党共通の理解になると思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、次の質問としては、先ほど杉本先生からもアルゼンチンの経済状況等について質問ありましたけれども、今のマクリ政権のもと、アルゼンチン側における承認手続の見通し、これについてお聞かせいただきたいと思います。

中前政府参考人 お答えを申し上げます。

 アルゼンチンでは、署名された本協定について、議会による承認を経て国内手続が完了いたします。その後、我が国に対して、国内手続が完了した旨の通告が行われることになります。

 アルゼンチン側の国内手続の見通しについては、予断を持って申し上げることは差し控えたいと存じますけれども、早期発効に向け、日本とアルゼンチンとの双方においてしっかりと国内手続を進めていくことが重要と考えております。

井上(一)委員 この投資関連協定、これを促進していくということで、アクションプランによりますと、民間出身の人材の交渉チームへの参加の一層の促進など、こういうことをして体制強化を図っていくということになっておりますけれども、この投資関連協定の締結促進のためにどのような体制強化を行っているか、お聞かせいただきたいと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のアクションプランに基づきまして、平成二十九年五月に、外務省の経済局内に投資政策室というものを設置をいたしました。

 この室では、法曹有資格者などの専門的知見を有している民間出身の人材の登用を図るなど、効率的かつ効果的な交渉体制の整備、強化に努めてきているところでございます。

 また、各国あるいは地域を主管する課が当該相手国の事情あるいは二国間関係を踏まえて交渉を進めるということに加えまして、投資政策室が横断的に戦略立案機能を担うことで、外務省全体として投資の協定交渉体制の充実を図っているところでございます。

 ちなみに、この投資政策室の室員、交渉官には、民間の弁護士の方の参画もいただいているところでございます。

井上(一)委員 それでは、最後に、租税条約の関連で質問させていただきます。

 また資料を見ていただきたいんですけれども、資料一で書いてありますが、日本は租税条約が六十八、中国が百三、韓国九十六というふうになっています。

 次の資料二を見ていただきますと、租税条約ネットワークがありますが、やはりアフリカの部分が非常に白のところが多くて、ここをもうちょっと強化していかないと、なかなかふやしていくことはできないというふうに思っています。

 ここのこれからの租税条約、これは投資も関連するんですけれども、どういう国と今後交渉を進めていくのか。私としては、アフリカを中心にもっともっと進めていく必要があるのではないかと思いますけれども、この今後の進め方についてお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 投資関連協定の交渉相手国でございますけれども、先ほど来出ておりますアクションプランを踏まえて検討しているところでございますけれども、租税条約につきましては、我が国との経済関係を反映しまして、アジアや欧米諸国と比べると、委員御指摘のとおり、アフリカ諸国との締結数というのは少のうございます。

 他方で、現在、我が国との投資関係の発展が見込まれる国、地域との間での新規締結あるいは既存の条約の改正を通じまして、我が国企業の健全な海外展開を支援するというために、租税条約のネットワークの拡充に努めているところでございまして、こうした考え方に基づきまして、我が国は、アフリカ諸国を含む多くの国との間で租税条約のネットワークの拡大を今進めているところでございます。

 現在、モロッコとチュニジアとの間では既に租税条約の締結の交渉が開始しております。

 投資関連の協定につきましては、これまで我が国は、主に、直接投資先として多かったアジア地域の国々あるいは環太平洋地域の国々との間で締結を進めてきたという経緯がございます。

 しかし、近年における我が国とアフリカ諸国との経済関係の緊密化も背景に、日本とアフリカ諸国との間の投資促進及びアフリカに進出する日本企業や投資家のための投資環境の改善のために、アフリカ諸国との間でも交渉を開始してきているところでございまして、現在、ナイジェリアあるいはエチオピア、こういった国々、十カ国との投資関連協定について交渉中でございます。

井上(一)委員 では、時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

若宮委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 日・アルゼンチン投資協定及び日・スペイン、クロアチア、コロンビア、エクアドルの各租税条約に反対の立場から討論を行います。

 まず、日・アルゼンチン投資協定です。本協定に盛り込まれたISDS条項は、進出先の国の制度や政策の変更によって損害を受けたと主張する外国企業が、その国の政府を相手取り、損害賠償を求めて提訴できる取決めであり、一企業が国家を訴え、国の主権を脅かすことにつながりかねません。

 また、スペインほか三つの租税条約は、日本の大企業とその海外子会社が、当該国内の外資優遇税制のメリットを十二分に受けつつ、その上、本条約によって投資に対する源泉地国課税が劇的に軽くなるなど、税制優遇措置を二重、三重に享受することを可能とするものであります。我が国税制の外国子会社配当益金不算入制度と相まって、二重非課税が拡大します。税源侵食の対策として国際的に取り組んでいるBEPSプロジェクトの精神にも反します。

 以上を指摘し、反対討論とします。

若宮委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

若宮委員長 これより採決に入ります。

 まず、投資の促進及び保護に関する日本国とアルゼンチン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

若宮委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とスペイン王国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

若宮委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とクロアチア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

若宮委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

若宮委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とエクアドル共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

若宮委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

若宮委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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