衆議院

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第6号 令和元年11月13日(水曜日)

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令和元年十一月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松本 剛明君

   理事 岩屋  毅君 理事 木原 誠二君

   理事 鈴木 憲和君 理事 中山 泰秀君

   理事 山田 賢司君 理事 下条 みつ君

   理事 山内 康一君 理事 竹内  譲君

      穴見 陽一君    小野寺五典君

      尾身 朝子君    大野敬太郎君

      城内  実君    佐藤 明男君

      新藤 義孝君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      中山 展宏君    百武 公親君

      堀井  学君    三ッ林裕巳君

      小熊 慎司君    岡田 克也君

      亀井亜紀子君    玄葉光一郎君

      篠原  孝君    高井 崇志君

      福田 昭夫君    森山 浩行君

      岡本 三成君    穀田 恵二君

      杉本 和巳君    井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   内閣府副大臣       宮下 一郎君

   財務副大臣        藤川 政人君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   経済産業副大臣      牧原 秀樹君

   外務大臣政務官      尾身 朝子君

   外務大臣政務官      中谷 真一君

   外務大臣政務官      中山 展宏君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   東出 浩一君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            天谷 知子君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     竹村 晃一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 桑原  進君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    山上 信吾君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山名 規雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   角田  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         浅川 京子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       池山 成俊君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長)           平形 雄策君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           渡邊  毅君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           春日原大樹君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     大野敬太郎君

  新藤 義孝君     百武 公親君

  鈴木 貴子君     堀井  学君

  阿久津幸彦君     亀井亜紀子君

  小熊 慎司君     篠原  孝君

  森山 浩行君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     三ッ林裕巳君

  百武 公親君     新藤 義孝君

  堀井  学君     佐藤 明男君

  亀井亜紀子君     福田 昭夫君

  篠原  孝君     小熊 慎司君

  高井 崇志君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     鈴木 貴子君

  三ッ林裕巳君     穴見 陽一君

  福田 昭夫君     阿久津幸彦君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     黄川田仁志君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三五号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三六号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一四一号)

 同(藤野保史君紹介)(第一四二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 デジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官桑原進君、大臣官房参事官御巫智洋君、経済局長山上信吾君、内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君、事務総局経済取引局取引部長東出浩一君、金融庁総合政策局審議官天谷知子君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長竹村晃一君、財務省大臣官房審議官住澤整君、大臣官房審議官山名規雄君、主計局次長角田隆君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、農林水産省大臣官房総括審議官浅川京子君、大臣官房輸出促進審議官池山成俊君、生産局農産部長平形雄策君、生産局畜産部長渡邊毅君、水産庁漁政部長森健君、経済産業省大臣官房審議官春日原大樹君、通商政策局通商機構部長黒田淳一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉本和巳君。

杉本委員 おはようございます。

 大変注目されている委員会のようで、カメラがずらっと並んでおりますが、謙虚に質疑をさせていただきたいと思います。

 冒頭、通告を申し上げてはおりませんけれども、きのう、香港のデモで五十代の男性が負傷したと。茂木大臣も夕方の記者会見で、きのう、香港で五十代の日本人の男性一人がデモに遭遇し負傷したことを確認した、その後、本人と連絡がとれ、病院で治療を受け、既に退院したことを確認しているということで、邦人の無事は確認することができました。

 しかしながら一方で、安倍内閣がいつもおっしゃっている普遍的価値というか、価値観、自由であったり、人権であったり、あるいは機会の均等とか、そういった価値観というのは大切であると思います。一方で、外交というものは、全てが民主主義の国家と我々はつき合っているわけではなくて、例えば、サウジアラビアは王制であったり、やはり中国は共産党一党支配というような状況にあると思います。

 そういう状況の中で、来年、国賓として習近平さんをお迎えする流れになっているやに拝聴しておりますけれども、現時点で、いろいろ外交ですから難しい問題であるということは十分認識しておりますが、香港の現状をどう茂木外務大臣は認識されておられるのかを確認させていただければと思います。

茂木国務大臣 デモ隊と警察の衝突によりまして、これまで多数の負傷者が出ていることを大変憂慮しているところであります。

 自制と平和的な話合いを通じた解決を関係者に改めて求めたいと思っておりますし、事態が早期に収拾をされ、香港の安定が保たれることを強く期待をしているところであります。

 中国に対しましては、首脳レベル、それから外相レベルを含め、さまざまなレベルで引き続き、一国二制度のもとで自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性を指摘しております。引き続き、高い関心を持って情勢を注視していきたいと思っております。

 御案内のとおり、今、日本と中国の関係、首脳レベルを含めさまざまな往来を通じて、完全に正常な軌道に戻っているわけであります。対話を通じて、もちろん日本と中国の間、さまざまな懸案事項もあるわけでありまして、一つ一つ適切に解決をしていく、こういったことが重要だと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 日米同盟、日米基軸という外交姿勢もありますが、一方で、やはり、隣国であり、長い歴史を中国とは我が国は結んできているわけでございますので、歴史の中での外交ということだと思いますので、今のお言葉、一つ一つ丁寧に、外交であり、分野ごとに丁寧な外交につながる交渉なりを進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それでは、日米貿易協定、日米デジタル貿易協定の承認の件について、影響試算について、澁谷さんを中心に伺うことになるかと思いますが、改めて、この影響試算、マクロベースで見て、GDP、約四兆円相当、約〇・八%の押し上げがあるという試算であります。

 この基本的な計算の根拠を改めて伺いたいのと、日・EU・EPA押し上げ効果は一%ということで、〇・八の日米と、日・EU・EPAの方は一パーということで、これ全体を冷静に見ますと、一方はEPAですね、包括的なことであり、今回の日米については、デジタルを含めてですが、物品協定とデジタル貿易協定という、外務省さんの説明にもありますとおり、ちょっとまだ中身が違うというような理解を私はしておりますけれども、この比較感の中で、このGDP押し上げ効果について御説明を改めてお願いします。

澁谷政府参考人 おはようございます。お答え申し上げます。

 GTAPという一般的な、世界でよく使われている経済分析モデルを用いまして、二〇一七年に日・EU・EPA、それからTPP11の経済効果分析をいたしまして、今回、同じ方法で日米貿易協定の経済効果分析を行いました。

 基本的な考え方は、まず、輸入価格が下がることが出発点でありまして、輸入価格が下がることで、これは相対価格の下落ですので、実質所得が増加する形になります。そうしますと、所得の増加に伴いまして消費、投資が増加する。また、貿易が拡大することで全要素生産性が高まり、生産性が高まることで実質賃金が押し上げられます。実質賃金が押し上げられると労働供給が増加する。こうしたものを全てトータルで国全体のGDPが押し上げられる、こういう分析を行っているところでございます。

 御指摘のとおり、日・EU・EPAの試算では、さまざまなルールによります貿易円滑化、貿易が円滑化することによるコスト減、これを関税削減に代替をして、これも価格下落要因というふうに勘案して計算をしておりますが、日米貿易協定では同様の効果を織り込んでいないという違いがございます。

 また、日米の貿易額六兆ドル、日・EUは十四兆ドルということですので、日・EU・EPAの押し上げ効果は一%、日米〇・八でありますけれども、ちょっとこれは単純な比較はなかなか難しいなというふうに考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 日・EUにちょっと絡む話でございますが、今、ブレグジットですね、十二月十二日に総選挙が行われるという流れにイギリスの方はなりました。

 直近のニュースですと、ブレグジット党という政党、新しい政党なんでしょうか、こちらが保守党候補の立つ選挙区には候補者を立てないというような流れの中で、ポールというか、世論調査でいくと、保守党が四二%ぐらいの数字でリードしているというようなことですが、選挙なので予断は許さないし、やってみないとわからないというのが古今東西変わらないと思いますけれども、このブレグジットの影響試算というのを、今は日・EU・EPAでも入っていないんですけれども、あらゆる試算について言えるかもしれないんですが、やはりあらゆる可能性を含めて我が国というのは試算を行っていく必要があるのではないか、その例えの一つとしてこのブレグジットがあるのではないかと思います。

 また、更に申し上げると、ユナイテッド・キングダムは、人口でいくと、イングランドは五千五百九十八万人、スコットランドは五百四十三万人、そしてウェールズは三百十三万人、北アイルランド、ノーザンアイルランドは百八十八万人という、大分数字が違うというのが実はこの連合王国の構成という、これは二〇一八年の数字ですけれども。

 こんなようなことの中で、イギリスがEUから離脱して、スイスのような動きになっていくのかはちょっとわかりませんけれども、そういった可能性も含めてあらゆる試算をやはりしておいていただくということが、やはり我が国の国益を守っていくことにつながるのではないかなという思いがいたしますけれども、このブレグジット及び、今申し上げたとおり、今後の可能性についての試算という考え方というのは、内閣官房としては持つのか持たないのかを改めて確認させてください。

澁谷政府参考人 日・EUの試算をしたときも同様の御質問をいただきましたが、その時点、それから現時点におきましても、英国がEUから離脱していないという状況でございます。

 したがって、現時点の日・EUの試算は英国も含めたEUを対象としているわけですけれども、実際に御指摘のとおりEUを離脱した場合の経済効果はどうなるかということにつきましては、具体的にどういう形で、特に通商関係の面でイギリス、英国とEUの関係がどのようになるかということに大きく左右されますので、現時点ではなかなか難しいと思います。

 あえて一般論で申し上げますと、我が国とEUとの貿易に占める英国の割合は約一割でございますので、英国離脱に伴う経済効果は、単純に考えますと、約一割程度縮小するというのが一つの目安であると考えております。

杉本委員 目安の一割ということを伺いましたが、やはり国家として、精緻に近いような試算を考えていっていただきたいなというお願いをさせていただきます。

 ちょっと、他党の議員、先生から提示があったことを重ねて伺いたいんですけれども、今回の日米貿易協定の試算に関して、単独試算ということだと思います。しかし、TPP11が発効し日・EU・EPAも発効したということを勘案しなくていいのかということです。

 おとといのワールドビジネスサテライトというのを見ていましたら、例えばということで、具体的商品でいくと乳製品において、薫製のカマンベールの輸入がかなり増加している、そして、この輸入増加に伴って国内の薫製のカマンベールの製造が非常にふえているというような紹介が番組の中でありました。発効した経済のTPP11、日・EU・EPA、どちらも結構影響をもう及ぼし始めているという状況かと思います。

 こういった部分もやはり勘案する、先ほど御説明をいただいた基本的な考え方、GTAPでしたかの考え方を伺いましたけれども、改めて、重ねてというか、ほかの連携協定の発効効果というものを考えていかなくていいのかどうか、くどいかもしれませんが、御答弁いただければと思います。

澁谷政府参考人 冒頭申し上げましたとおり、GTAP、これは、経済学でいいますとCGEモデル、計量一般均衡分析と言われているものでございまして、基本的には、価格の変化によって経済がどう変わるかということで定義されるモデルでございます。

 マクロ全体で私どもは計算しておりまして、産業別の影響というものはここは勘案しないということになっておりますので、そういう意味では、TPP11、日・EU、それから日米、いずれも、他の協定による効果を完全に控除して単独の効果というものを試算してございます。

 精緻に言えば、確かに、同じ商品がいろいろな国から来たときにどうなるのかということはあるかと思いますが、単純な価格モデルで、他の協定の影響を控除して試算しておりますので、TPP11、日・EU、日米、全部合わせてどうかと言われますと、これは、GTAPの場合は単純に足すということでございますので、三つの経済効果を足しますと約三・三%ということになるかと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 単純に足し上げると三・三という数字になると伺いましたが、デジタル貿易なんかで一つのテーマになっているアルゴリズムという言葉がありまして、アルゴリズムというのは、コンピューター上の目的解に達するための効率的ないわゆる方法論みたいなことであると思うので、AIとかアルゴリズムがより発達してくると、合算する形の試算というものも当然できるようになっていくかと思いますので、計量モデルというものも変化をしていくのではないかという期待もありますので、そういった方向感もぜひ内閣官房でも持っていただきたいとお願いを申し上げます。

 あと、今回の貿易協定でも、アメリカ側の意識というのは、雇用というもの、あるいは選挙と言ってしまったら言い過ぎかもしれませんけれども、そういったところに目は向いていると思っていますが、今回、試算で、二十八万人の雇用増、〇・四%の雇用増という数字が出ておりますけれども、この計算根拠と、いかなる分野で雇用がふえると日本の場合は、国内の場合は考えているのかを確認させてください。

澁谷政府参考人 御指摘の労働供給の増加でございますが、冒頭申し上げましたとおり、生産性向上に伴いまして実質賃金が上昇することで労働供給量が増加する、これは二〇一五年の試算のときから〇・八という弾性値を用いまして計算をしてございます。これを就業者数に当てはめますと、約二十八万人の増加ということでございます。

 労働人口がどんどん減っていく中で増加するとは何だという話を、毎回お問合せがあるんですけれども、これはいわゆるウイズ・ウイズアウト分析でございますので、日米協定がなかった場合に比べると増加するということでございます。

 また、GTAPは基本的に完全雇用モデルでございますので、この増加というのは、これまで労働市場に参画していなかった人たちが参加し始める、こういう純増の効果ということになります。

 なお、先ほども申し上げましたとおり、この経済効果分析ではマクロ経済全体で試算を出しておりますので、特定の分野を想定したものではございません。

杉本委員 時間となってしまいました。質疑がまた続くのか、終局するのか、存じ上げませんが、次の機会をいただければ、残余の質問はまた次の機会にさせていただければと思いますし、なければ一般質疑で問合せさせていただければと思います。

 以上で終わります。

松本委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 井上一徳です。

 きょうは五分しかありませんので、主に日米デジタル貿易協定について質問をしたいと思います。

 その前に、私、常々、自動車・自動車部品、これについては今後の交渉によるということですので、これを除いた試算をぜひ出してほしいということを求めておりますが、この点についてはなかなか政府の方として対応していただいておりませんので、ぜひこれについては試算の資料を提出していただきたいということを強く求めて、この日米デジタル貿易協定について質問をしたいと思います。

 日米デジタル貿易協定の十八条の第三項、ここでプロバイダーの免責について定めておられます。

 プロバイダー、例えばフェイスブックとかツイッターとかユーチューブ、これに名誉毀損に当たる情報が記載されていた場合の対応なんですけれども、アメリカの場合ですと、プロバイダーが名誉毀損の情報を知っていたとしても、このプロバイダーには基本的には責任がないということになっております。

 他方で、日本のプロバイダー責任制限法では、基本的にはプロバイダーに免責は認められない、善意無過失のときに限って免責が認められるということですので、これは基本的には認められていないということで、日米の法制に差異があるということで、ここの点については、日米間で両国の法制に相違があることを認識した上で、我が国のプロバイダー責任制限法が本条に反せず、同法を改正する必要がないことを確認はしておるんですけれども、いずれにしても、法制に差異があるままの状況です。

 こういう状況の中で問題が本当に生じないのか、確認したいと思います。

澁谷政府参考人 御指摘の日米デジタル貿易協定第十八条でございますけれども、米国におきましては、コミュニケーション・ディーセンシー・アクト、通信品位法というのでしょうか、二百三十条という条文がございまして、日本では御指摘のプロバイダー責任制限法、そういう制度でございます。

 アメリカの通信品位法は、一九九〇年代に、いろいろな判例がありまして、そうしたことを踏まえてつくられたものでございます。

 我が国の場合も、十年近く官民で紆余曲折いろいろな取組を経た上で、日本独自の制度を設けたということであります。

 御指摘のとおり、日米の制度は微妙にそこは食い違っているところがございますけれども、今回、日米でここは合意したのは、権利者の保護、名誉毀損等の権利が侵害される者の権利の保護と、それからデータの自由な流通、この両方のバランスをとるということを確認したということでございますので、お互いの法制度について、特に日本のプロバイダー責任制限法について米国に相当詳しく説明をいたしまして、米国もそこを十分理解した上で、お互いの制度というものについては協定に整合的であるということを確認したということでございますので、特段、今後、日米間でそごがあるとは考えておりません。

井上(一)委員 そうは言いつつも、やはり両国の法制で差異があるわけですので、実際上何か問題が起こったとき、そうした問題が起こったときに日米間でどういうふうにして紛争を処理していくのか、そういう仕組みはどうなっているんでしょうか。

澁谷政府参考人 もともと日米貿易協定そのものに紛争処理の規定がないということも通常の協定とは異なるところだと思いますけれども、特にデジタル貿易協定につきましては、この十八条を含めて、日本国内の制度、米国の制度等について、お互いに相当な時間をかけて議論をし、お互いに十分理解をした上で合意をしているというところでございます。

 また、デジタル貿易の推進については、WTO等の場で日米が、これは実際連携をしてやっているというところがございます。

 かなり、今回の協定の交渉以外に、相当以前から、このデジタル貿易担当官同士で日米間でいろいろな議論をされている。一緒にやっていこうということで、そこは意見が完全に一致しているところでございますので、日米間の考え方にそごはないというふうに考えております。

井上(一)委員 質疑時間が終了しましたので、もう少し確認していきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

松本委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 国民民主党の篠原孝でございます。

 外務委員会、何年ぶりですかね、久方ぶりに質問させていただきます。

 私、多分、四回、外務委員会に所属しておりますけれども、しばらく休んでおりました。例によって資料を、三時間分ぐらいの質問の資料を皆さんのお手元にお配りしてありますので、これを見ながら、特に大臣、よく聞いていただきたいと思います。

 まず、一ページ目を見ていただきたいんですが、ウイン・ウインだとそこらじゅうで言われますけれども、皆さん国民の相当のパーセントは意味がわかっていると思いますが、私は、この交渉、最初からゆがんだ交渉だと思っております。本当は、二番目の「TPPの約束」、ここから始めなくちゃいけないんです。

 ところが、場外乱闘だか事前の何か知りませんけれども、アメリカの方から、トランプ大統領から商務省に、一九六二年通商拡大法の二百三十二条の安全保障上の問題があるんじゃないか、検討しろと言われて、いや、ありますと。これがまことしやかにあちこちに伝わって、二五%の追加関税をかけられるんじゃないかと。

 こんなのは、我々にとっては関係ない話ですよね。関係ないというか、そんなことを言われる筋合いはないわけです。それを、これを回避できればいいんだなんて、そんなところから交渉を始めたのがそもそもの間違いだったと思います。

 これを見ていただきたいんですが、まず、真ん中の「TPPの約束」から、「ここから交渉開始」というのを。センシティブ品目、これは米とかがあって、米はちゃんと守ったというのがいつも出てくるんですが、牛肉・オレンジ、のみました。アメリカ人は自動車です。

 これは、左右を対照して見ていただくとわかりますけれども、ちゃんと約束してたんです、TPPのときは。それを、結果を見てください。よく取り沙汰されますけれども、自動車・自動車部品については、附属書に、何かわかりませんけれども、大臣はよくおわかりになるんでしょう。私もそこそこわかりますけれどもね。「カスタムズ デューティーズ オン オートモービル アンド オート パーツ ウイル ビー サブジェクト ツー ファーザー ネゴシエーションズ」、関税の撤廃に関して更に交渉と書いてあるだけで、さっぱりきちんと書いていない。

 それに対して左側、我が方は、全部そのまま約束をしているわけです。させられたのかもしれません。これでウイン・ウインなんて言えるんでしょうか。何か、農産物、農業を差し出して、そしてトランプの関心を引いて丸くおさめた。

 今後もどうなるかわからない。日本側の方に書くんじゃなくて、今後は両方に共通なんですが、四カ月以内に協議を終えて、更に次のテーマを決めていく。そして、サービスとか投資だとか、貿易というかトレードとかデジタルとか、そんなのだけじゃなくて、ほかのところにも広げていく。そこで自動車・自動車部品の関税二・五%、撤廃されるんだったらいいんですが、そうでもなさそうな雰囲気があるということです。

 次のページのところ、次じゃないですね、五ページのところを見ていただきたい、資料の。

 今までこういう交渉を何回もやってきました。私は、茂木大臣はちょうどいい大臣だと思います。交渉を担当されてきて、そして外務大臣になられて、ここで委員会をやる。だから、三十時間ぐらい議論をちゃんとする、する内容をお持ちでしょうし、我々も持っているんですけれどもね。ぜひ、それをやっていただきたいと思いますけれども。

 五ページを見ていただきたいんですが、今までの交渉、そこそこ手間がかかっているんです。

 TPPは、これは交渉開始から発効までを計算しましたけれども、八年九カ月。日豪EPAは、一番上にあって七年九カ月。日欧EPAはちょっと短くて五年十カ月ですけれども、日米FTA、こうやって呼んでいませんけれども、私はあえてこうやって言っています、アメリカがこう言っているんですからね。わずか六カ月。五カ月というふうに言われることもありますけれども、五カ月ですよ。

 それから、協定の条文が公開されてから国会提出の閣議まで、その期間にしました。たった八日しかない。なかなか出さないでいたんです。日欧EPAは非常に早く出た。TPPも、何だかんだ言って、途中でちょこちょこ出ていましたけれども、結局、計算すると三十三日しかない。ただ、これは、一六年二月四日、ニュージーランドがホームページで一月二十六日に公表して我々はそれを見ていましたから、もうちょっとあるかもしれませんけれども、日本国政府が出したのはこれだけです。非常に拙速なんですよね。何でこんなに急ぐ必要があるのか。

 私は、こんなことからしても、やられっ放しの交渉じゃなかったかと思うんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 日米貿易協定、日米双方にとってウイン・ウインかつバランスのとれた協定になったと考えております。

 個々の品目をどう見るかという部分はありますが、日本の農林水産品については、全て過去の経済連携協定の範囲内でありまして、これまで貿易交渉で、篠原委員もよく御案内のとおり、常に焦点となってきました米については調製品も含めて完全除外でありますし、林産品、水産品、さらにはTPPワイド関税割当て対象の三十三品目など、全く譲許をしていない。

 一方で、工業品につきましては、日本企業の輸出関心が高く貿易量も多い品目を中心に早期の関税撤廃、削減が実現をするわけであります。一方、日本の側は、工業品につきまして、これまでさまざまな交渉の中で、例えば皮革製品、革ですね、こういったものは非常にセンシティブであるということで、この交渉も大変だったんですが、工業品について一切日本は今回譲許していない、これが今回の協定であります。

 さらには、二三二のお話もありましたが、車でいいますと、原産地規則、これが極めて今大きな問題になっております。

 例えば、USMCA、こういったことを結んで、原産地規則が極めて高くなる、これによって、日本の自動車メーカー、サプライチェーンを見直さなきゃならない、こういった状況が生まれているわけでありますが、今回の日米貿易協定におきましては、厳しい原産地規則など、グローバルサプライチェーンをゆがめるような措置も幅広く排除をした、日本が主張する自由で公正な貿易体制を維持する点でも大きな意義があったと考えております。

 ですから、このような交渉結果について、自動車工業会も、我が国の自動車業界にとっても日本の貿易を安定的に発展させるものと評価をしてもらっているものだと思いますし、また、農家の皆さんにとっても、JA全中の談話にあるように、生産現場は安心できる、このように評価してもらえる内容になっているんだと思います。

篠原(孝)委員 原産地規則はわかりますよ。NAFTAのところで、メキシコやカナダはさんざんぱらそれをやられているわけですね。それは、サプライチェーンがあって、あちこちの部品を買ってやっているので原産地規則が問題になる、それが避けられた、それは成果でしょうけれども、一番肝心かなめの自動車と自動車部品の二・五%の約束が全然手をつけられていないわけですよ。これは明らかにおかしいと思います。

 それで、二ページを見てください。米はそれなりに、私の三ページ、四ページのマル・バツ総括表はちょっと細かいので後で見ていただければいいですけれども、マル・バツ、客観的にしてあります。それで、日本は丸だ、これはかち取ったのだと書いてあります。

 しかし、二ページのところを見ていただくとわかるんですが、除外と言っていますけれども、ほとんどのところは除外なんですよ。除外じゃないのはTPP、本体のTPPとCPTPPだけですよ。

 それで、右側、ミニマムアクセス米、これはいろいろなのがあるんでしょうけれども、七十七万トンのうち四割近くの三十五万八千トン、アメリカから買ってやっているんですよ。入札でちゃんとやるんですが、なぜかしらこのぐらいいつもアメリカから買うようになっている。これで二百九十七億円買ってやっているのに、アメリカにそんながたがた、それよりももっとというのは言われなくたっていいんじゃないかと思うんです。

 次に、外交の問題、続けさせていただきますと、もう農作物の関税削減、相当TPP水準で譲っているわけです。そうしたら、次の交渉は何になるかというと、また譲らざるを得なくなるんじゃないか、そんな気がするんです。

 それで、六ページ、七ページをちょっと見ていただき、資料の六ページ、七ページ。

 譲る必要はないんですね、我々は。なぜかというと、自動車、あれだけアメリカに買ってもらっている。だから、日本は、まあ、自動車の大お客様のアメリカのことをそこそこ考えてやらなくちゃと、そういう情け心が働いていいんだと思います。しかし、農産物を見てください。ずっとこの十年、二十年、アメリカが断トツ、トップです。日本は一番アメリカから買っているんです。

 そして、七ページもちょっと見てください。

 七ページで、どういう品目を買っているかということ、農産物ですね。一兆五千四百八十七億、一番直近年で。それで、全体の一七・二%、農林水産物の、特に農産物でありますね、その輸入額の一七・二%も買っている。

 それから、皆さん意外と思われると思います、トウモロコシが一番多いんです。さすがトランプ大統領です、ビジネスマンです。一番額の高いところへ目をつけたんです。まして、中国から三五%の関税をかけられてだぶついていますから、これを何とかしてくれと泣きついたんでしょうね。牛肉と豚肉を足したのよりずっと多いんです。だから、ここのところに狙いを定めて、まあよくわかりませんけれども、そんなにいっぱい牛や豚が急にふえるわけじゃ、鶏もふえるわけじゃないですから、そんなに買ったって使い道はないんですけれども、前倒しとかよくわからないので。これは、日本側が適当にやったんだろうと思いますけれどもね。

 こんなので、アメリカに私は譲る必要はないんじゃないかと思います。それにもかかわらず、アメリカは平気で、もっと買え、もっと買えと言ってきているんです。そんな、二五%の制裁関税なんてちらつかされる筋合いはないんですね。

 この状態が続きますと、何か言えば日本はまた譲ってくれるんじゃないかということで、不利になるばかりじゃないかと思います。最初が肝心なのに、最初の交渉で、大臣は非常に張り切って臨まれたと思いますけれども、苦しい立場だったと思いますけれども、相当譲ってしまったんじゃないかと思うんです。

 この次に切れるカードはほとんど日本にはなくなってしまったんじゃないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。今までの交渉は、金額では大したことないのに、農産物で譲っては、工業製品の輸出市場を確保してきた、そういう歴史なんですね。今回、もうそれもできなくなってしまうんじゃないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、御指摘いただいた二ページの米の扱いでありますけれども、日本に入ってきて競争になるとなると短粒米になるわけですね、長粒米ではない。そうなると、当然、比べなきゃならないのは、日・タイでも、そして日欧EPAでもなく、TPP12、そしてCPTPP、つまりTPP11。

 多くの皆さんの議論も、米については、農産品については、TPPとの関係でどうだ、こういう議論だったと思いますよ。日・タイと比べてどうなるかという議論を、私は残念ながら、これまで、この表を見るまで、余り、委員会においても、またさまざまな議論においても、されたことはなかったのではないかなと思っております。

 その上で、今後の協議につきましては、共同声明に書かれているとおり、まず、日米間でどの分野を交渉するかということについて協議をする、この協議の中で日米が合意した項目について協議をするということになっております。

 そこの中で、農業という話がありましたが、関税に関する分野、ここの中では、今回の協定にも明記をされております自動車・自動車部品の関税の撤廃を協議する、これを想定しておりまして、農産品、米を含め、その他の関税については、全くそのことは想定をしてございません。

 また、トウモロコシについても御指摘がありましたが、トウモロコシについては、現在関税はかかっておりませんから、日米貿易協定の交渉の対象外であります。

篠原(孝)委員 きょうは、大事な協定ですので、三省庁の副大臣にもお忙しい中来ていただいていますので、質問させていただきたいと思います。

 まず、宮下内閣府副大臣。

 計算、影響試算についていろいろ言われています。

 その前に、八ページをちょっと見てください。お金のことを、何か一千百億円で済むとか、六百億から一千百億とか、それから二・五%を全然実行していないのにという、この問題はもう皆さんが言っているので、僕はやめます。八ページを見てください、実際にどういう影響があるかというのを。

 農業は、林業もそうですけれども、関税ゼロにしてきた歴史が積み重ねられているわけです。牛肉・かんきつ、牛・かんというのを皆さん覚えておられると思います。古い人しかわからないかと思いますけれども、牛肉・かんきつ交渉というのは非常にどたばたしました。一九八八年に自由化することに決まりました。

 網かけのところを見ていただきたいんですが、十年ごとにとってあるからわからないんですが、牛肉でいいますと、消費量がふえているので、生産量はほぼ変わりません。一生懸命バックアップしているから、これは日本の農林水産行政のたまものだと思いますけれどもね。輸入量を見てください。九〇年には三倍増しているんです。そして、二〇〇〇年には、一九八〇年、自由化の前と比べたら何倍になる、六倍になっているんです。

 下のミカン、ミカンはもっと壊滅的です。約三百万トン生産していたのが、自由化したら半分に減り、今じゃ七十七万トンです。かつての三分の一なんです。これだけ大影響があるんです。生産が低くなるんです。生産減少というのは物すごいんです。こういう数字が出ているんです。

 だから、あの計算なんというのは、何か四兆円GDPを上げるとかなんとかいっていますけれども、まあ、そっちはそれでいいでしょう。しかし、農林水産業に対する打撃というのははかり知れないものがあると思うんですけれども、もう一回計算し直すつもりはおありになるでしょうか。

宮下副大臣 お答えをいたします。

 今回の日米貿易協定の経済効果分析につきましては、農林水産物については、国内対策をしっかり打った上で、生産量は不変ということを前提にいわゆるGTAPモデルに組み込んで、そして、この完成形といいますか、自動車の関税撤廃も組み込んだ格好でGDPの押し上げ効果等々を計算しております。

 これは、一体的に、貿易全体を静的に試算するという格好でありまして、これを産業別に影響を出すということは考えておりません。

篠原(孝)委員 大臣も私と同じ長野県で、しかも、私のところよりかは、こんなことを言っちゃ悪いんですけれども、私のところは一応、善光寺平、長野盆地ですけれども、大臣の地元というのは、伊那谷と呼ばれているんですが、もっと大変なところです。ここを何とかするということを考えていろいろやっていただきたいと思います。

 それから、伊東農林水産副大臣においでいただいています。

 やはり、農業は相当影響を受けると思うんですね。今、私のところなんかは水害のショックがあります。東北地方はみんなそうだと思います。そこにまた、これ。何回もやっているので、もうなれちゃっているかもしれませんけれども、TPP、日欧EPA、CPTPP、そしてこれですよ。心理的な影響というのははかり知れないと思うんです。

 そして、先ほど宮下副大臣の答弁にありましたけれども、こういう対策を講じるから影響はないんだ、そんな計算の仕方は普通しないですよ。これだけ影響があるから、だからこういう対策を講ずるとやらなくちゃいけないんです。

 私は、農林水産業については、農林水産予算は大幅にふやす、江藤大臣がそう言っておられます、ぜひしていただきたいんです。よく間違った風評があるわけですよ、日本の農業は保護だらけだと。違うんですね。アメリカも相当保護しているんですよ。その上にあの農業は成り立っているんです。ちょっと考え方を変えていただいて、農業、農村、農民をちゃんと守り、地方を活性化する、それには、パラシュート工場とかそういうのではだめなんです、地域の資源を有効活用してできる内在的な産業をちゃんと振興しなかったら無理だと思うんです。

 大事な役割を農林水産省は担っていると思うんですけれども、この点について、いかがでしょうか。

伊東副大臣 お答えさせていただきます。

 お話しのとおり、我が国の農業は、頻発する自然災害や、あるいはTPP等による国際環境の変化など、多くの政策課題に直面をしているところであります。

 このような中で、我が国農業を持続的に発展させていくためには、農業の営みに欠かすことのできない農地やあるいは人材など、生産基盤を強化していくことが何よりも重要であると考えております。

 このため、災害につきましては、先日決定をいたしました被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージに基づきまして、生産基盤の再建など、被災された農業者が一日も早く経営再開できるよう支援対策を講じてまいります。

 また、日米貿易協定等につきましては、年末に向けまして、総合的なTPP等関連政策大綱を改定することといたしておりまして、農業者の皆様の不安にしっかりと寄り添い、万全の対策を講じてまいるつもりでございます。

 こうした政策を生産現場の声を真摯に伺いながら進めていくことで、若い人、あるいは夢や希望を持って農業者が取り組むことができる、そうした日本の農業を実現するとともに、持続的な発展により食料安全保障の確立を図ってまいりたい、このように考えております。

篠原(孝)委員 牧原副大臣、ちょっと経産省に注意しておいていただきたいと思いますが、私、質問、金曜日だったんですよね。それで、木曜日の午前中に資料、数字ですよ、出したんですけれども、さっぱり届けないんですよ。岡田委員がこの間指摘された、あれはちょっと、交渉事ですし、どこまで出すかというのはあると思いますが、単なる数字なのにさっぱりよこさず、きのうになってもまだ数字を出さないとか、そういうみっともないことはやめていただきたいので、よく事務方に注意していただきたいと思います。

 どういう数字かというと、十ページです。十ページの、最初は、だから、先週は二〇一六年の数字でやったと思います。この数字を埋める、自動車関連部品の輸出金額とか輸入金額がどうかというのすら出してこないんです。

 これを見ていただきたいんですが、いかに日本は自動車に頼っているか。政界では安倍一強ってありますけれども、製造業では自動車一強、一週間前のトヨタの連結決算の発表ときょうの残りの五社の連結決算の発表でいうと、自動車工業会ではトヨタ一強、何か一強ばかりはやっているようですけれども、いかに自動車に偏った産業構造か。これはゆがんでいるんじゃないかと僕は思います。

 やはり一国は、いろいろな産業があって、バランスがとれていなくちゃいけない、農業もそうですけれども。かつては繊維産業、家電産業があった。家電産業はもうがたがたです。それで自動車に頼っているから、自動車だけを守ろうとする。これは間違っているんじゃないかと思います。

 それで、九ページを見ていただきたいので、九ページ。それなりにアメリカは日本も考えてくれているというのは、相対的に日本の対米貿易黒字が減っているんですね。中国がとてつもない。だから、米中戦争が起こって当然だと思いますよ。これはゆがんだ構造だと思います。こういうのは直すべきだと私は思います。これだと長続きしないので。

 経産省は、やはり自動車一強のこの体制を変えていくということをしていただかなくちゃならない。今まで経産省がしてきたのは、何とか構造業種とかいって、だめな産業をちょっと助けるということをやってきた。最近はそれもやらなくなっているんですね。繊維産業、造船業とやってきたんですが、全然もうほったらかしで、自由競争に任せて、だめなのは消えていけばいいと。じゃ、みんななくなっちゃうような気がするんです。

 これじゃだめだと思うんです。弱い産業もちゃんと育てて、バランスのとれた産業構造にする、社会構造にするのが当然だと思いますけれども、そういう感覚が全く経産省からは欠如してしまったんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。これは変えてもらわなくちゃいけないと思います。

牧原副大臣 お答えいたします。

 議員、先生が御指摘になった点というのは大変重要な点だというふうに受けとめさせていただいております。やはり、一つの産業のみに依存するような体質というのは脆弱でございますし、産業を多様化するということは極めて重要な視点だというふうに思っております。

 先生からも御指摘があった弱い産業ということも踏まえつつ、現在、経済産業省としては、自動車産業という一番強い競争力ももちろん強化をしつつ、その他、幅広い産業育成に取り組んでいるところでもございます。

 特に、少子高齢化、あるいは第四次産業革命、あるいはグローバルな市場での激動する状況等々を踏まえつつ、やはり産業構造や就業構造の転換が不可欠であるという観点から、超高齢化社会を乗り切るためのヘルス産業分野や、人手不足対応につながるロボット産業分野、あるいは次世代のエネルギーとして期待される水素分野、さらには、災害が多い国としてこその防災の産業分野など、こうした課題、あるいは世界の社会課題、あるいはSDGsに資する、こういう視点から産業育成を図っているところでもございますが、また御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

篠原(孝)委員 外務大臣、私は外務大臣に期待しているんですよ。よくわかりませんけれども、他党のことですけれども、いろいろ将来を嘱望される方は大体二世か三世ですよね。そうじゃなくてちゃんとこんなにのし上がってこられる、この言葉がいい言葉かどうかわかりませんけれども、ぜひ、きちんときわめていただきたいと思います。

 ちょっとだけ紹介しますと、渡部恒三さんから私は教えをいっぱい受けました。私は、こういうおもしろいことを言われたことがある。君、知っているか、竹下登ってと。知らないわけないんですけれども、あれはな、背は低かったけれども、腰はもっと低かった、あれでちゃんと総理になった、ああいうのが総理・総裁にふさわしいんだと。それを、我が党の人に余りそういう人がいない、我が党も態度は見習わなくちゃいけないと言われたんです。

 ぜひ茂木さんにはそういうのを見習っていただきたいと思います。センスとかそっちは抜群で、そっちは言うところがないんですけれども、あと、竹下さんのいろいろなところ、腰の低いところを見習っていただきたいと思います。

 ですけれども、外国交渉はびしばしやっていただきたいんです。

 アメリカが二五%制裁課税なんて言ってきたら、二つ我が方も言ったっていいと思うんです。一つは食料安全保障ですよ。何かと目をかけてやっているつもりなんですが、同僚の杉本委員が食料安保のことでちょっと触れましたよね。あっちが何か安全保障と言うんなら、我々は食料安保を振りかざして、これ以上買えない、自給率三七%に減っちゃっている、こんなのでもっと輸入しろと言うのか、とてもじゃないがやってられないから高関税をかけさせてくれ、あんたら二・五%を維持するんだったら逆に関税を上げさせてくれと言ったっていいと思うんです。

 それから、パリ協定からの離脱ですよ。

 環境に金を使わずに雇用を確保してアメリカの産業界を助けるんだ、そういうことを言っている。三年たたなくちゃ離脱宣言できなかったからって、だから、計算していますよ。離脱を完全にできるのが大統領選挙の翌日なんです。全て選挙のためにやっています。そうしたら、これはおかしい、エコダンピングだ、そんなことをするんだったら、我々はその環境を手を抜いている分関税を上げるよ、そういうことを言ったって僕はいいと思うんです。世界から喝采されると思うんです。

 外交は腰を低くではなくて、ライトハイザーという名前ですが、あれはヘビーハウザーじゃないですか。何か、非常に高飛車でやってきたじゃないけれども、あんなのに負けてもらいたくはないんです。

 こういうことを言って厳しい交渉をしていただきたいんですが、いかがでしょう。

 それからもう一つ。

 米中戦争をやっています。これはいい機会です、日本が外交手腕を発揮するときなんです。それを、アメリカや中国には遠慮して何も言わずに、韓国にだけ高飛車な態度をとっているのも、これはやはり改めなければいけないんじゃないかと思う。弱い国というか、弱い国なんと言うと失礼かもしれませんけれども、そういう国にはやはり腰を低く、態度のでかい大国には向かっていく姿勢が必要だと思うんです。

 大臣には、そういう気概も資質もあると思いますけれども、ぜひそういう外交をやっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 先ほど米の話をさせていただきましたが、お米、実がつく、実るほどこうべを垂れるのが米でありまして、そういう姿勢で政治に臨みたい、そのように考えております。

 その上で、米国に対しましては、まさに国益と国益をかけた交渉でありますから、しっかり日本の立場を主張して、そこの中で、攻めるべきは攻め、そして守るべきは守る、こういう姿勢で臨んできましたし、これからもそうやっていきたいと思っております。

 また、ことし、TICAD7を開いたり、さまざまな形で、これから成長してほしい国、これに対する日本らしい支援策であったりとか、そういったことも充実をしていきたいと考えております。

 韓国につきましても、お隣の国でありますから、友好関係を築いていく、特に今、北朝鮮情勢もある中で、日韓、日米韓の連携が極めて重要だ、このように考えておりまして、そういった中で、昨年来、韓国が国際法に違反する、こういった状態をつくっていることについては、早期の是正、これはしっかり求めていきたいと思っております。

篠原(孝)委員 ちょっと質問時間がオーバーしています。あと二、三分だけお許しいただきたいと思います。

 最後の十一ページ、十二ページを見てください。

 今回の交渉、皆さんおわかりいただいていると思いますけれども、トランプ大統領は選挙を意識しているんです。二〇一六年の選挙で、農業従事者が多く住んでいる方が、トランプがクリントンに大勝ちしているんですよね。

 それで、次の十二ページ、トウモロコシを何で大事にするか、コーンベルトなんです。コーンベルトとラストベルトで、ここ、ミシガン、ウィスコンシン、オハイオ。ちょっと右の方にペンシルベニアですね。それから、スイングステーツと言われるオハイオがあるわけです。

 だから、本当に、選挙を意識してこれをトランプ大統領がやっているのは明らかなんです。こういうのは私は打ち砕いていいんだろうと思います。

 最後に一つだけ嫌みを言わせていただきますと、TPPといって、トレード・アグリーメント・オン・グッズと言っていた。それが、これはFFR、フリー・アンド・フェア・アンド・レシプロカルですか、そういう対応。それで、これは何と呼ぶかというと、日米貿易協定と言っている。全然アルファベットにしていないんですよ。

 僕は、これは第二TPPだと思います。TPPは、トランス・パシフィック・パートナーシップ・アグリーメントです。これは、アグリーメンツ・オブ・ザ・トランプ・フォー・ザ・トランプ・セカンド・ビクトリー、だから、トランプ・パシフィック・パートナーシップ・アグリーメントというような協定だと思います。

 こういう嫌みを言って、質問を終わらせていただきます。

松本委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 きょうは、外務委員会の皆様、お時間をいただきましてありがとうございます。お礼申し上げます。

 先日、十月二十四日に、農水委員会の方で、日米貿易協定について、大臣所信に対する質疑の中で質問させていただきました。そのときには中山政務官にお出かけいただきました。ありがとうございました。

 ただ、そのときの質問は、やはり私は茂木大臣に質問したかった内容でして、答弁についても納得いかない部分がございましたので、きょうの前半は、先日の農水委員会の質問と重なりますけれども、同じことを大臣に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 今回、日米貿易協定が合意に至った、デジタル貿易協定と両方合意に達したという報道が最初にされたときに、私が初めに思ったのは、あらっ、貿易協定の名前が変わったと思ったんです。

 実は、去年、農水委員会で、なぜ日米物品貿易協定なのか、これは日米貿易協定ではないか、FTAではないかとさんざん言い合ったんですね。そして、昨年の日米共同声明があったときに、NHKの同時通訳者は、FTAの交渉が始まると最初は訳したんですけれども、それを外務省が誤訳であるとクレームを入れて、それで、日米物品貿易協定なのだと農水委員会の理事懇にまでいらして説明を伺ったんです。

 ですので、ちょっとここにまず戻りたいと思います。きょうは、全部、原文の英文だけお配りしております。

 一ページ、昨年の二〇一八年九月二十六日の日米共同声明での英文です。ここの三番目ですが、これがTAG、日米物品貿易協定の根拠となった文章かと思います。線を引いてございますけれども、「トレード アグリーメント オン グッズ」、これの頭文字がTAGです。「アズ ウエル アズ」、何々と同様に、この後ろが「オン アザー キー エリアズ」、他の重要な分野、「インクルーディング サービシーズ」、サービスを含むとあります。

 日本側は、このTAG、ここを、前半を切り出して、日米物品貿易協定であってFTAではないということでしたけれども、私は、「オン」の後、「グッズ アズ ウエル アズ オン アザー キー エリアズ」、ここは同格なので、この後ろは全部一まとまりですよ、「トレード アグリーメント」はこの後ろの「オン」の後に、全部にかかる言葉だから、一つの協定でFTAじゃないですかと申し上げました。

 それに対して、先ほどから申していますとおり、関税に関する協定であって物品貿易協定だと外務省は強く言っておられたのに、なぜ今回、物品という言葉を落としましたか。大臣に伺います。

茂木国務大臣 昨年九月二十六日になるんですが、日米共同声明におきましては、このお示しいただきましたジョイントステートメントの三番、五番、これを見ていただければ明らかなように、工業品と農業品について対象にし、そして、今お触れいただきましたアズ ウエル アズの後になるわけでありますが、その他、早期に結果を生じ得るものを対象にする旨で合意をしたところであります。

 インクルーディング サービスの後にカンマがあって、ザット キャン プロデュース アーリー アチーブメントでありますから、ザット キャン プロデュース アーリー アチーブメントは、トレード アグリーメントのグッズとアザー キー エリアズ両方にかかるということになるわけであります。

 この共同声明に沿って交渉を行った結果、合意した協定の正式名称は、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定、英語ではトレード アグリーメント ビトウィーン ジャパン アンド ジ ユナイテッド ステーツ オブ アメリカとすることにしました。

 いずれにしても、本協定は、協定の内容をごらんいただいても、日米の物品の関税を対象にしたものでありまして、物品貿易に関する協定であることは間違いありません。

 また、この日米貿易協定とは別途、その他早期に結果を生じ得るものとして、私とライトハイザー代表との間で、デジタル貿易について協議をしようということで、今回、日米デジタル貿易協定について、日米間で最終合意、署名を行ったわけであります。

 この日米デジタル貿易協定は、円滑で信頼性の高い自由なデジタル貿易を促進するためのルールの整備などを目的とする協定でありまして、物品関税の撤廃、削減を規定する日米貿易協定とは性格が異なることから別途の協定とした、こういう形であります。

亀井委員 内容的に関税のみ、日本側は農産物、米国は自動車・自動車部品に関する関税について書かれている条約について、なぜ物品貿易ではなくて日米貿易協定という名前をつけたかというところは答えていただいていないように思います。

 先日、連合審査のときに、佐々木委員が、なぜ今回二つの協定に分けましたかという質問がありました。

 日米貿易協定といえば包括的な協定を思い浮かべるわけですし、その中にデジタル貿易の部分というのは入れてしまっても一向に問題はないと思うんですけれども、このように二つに分けて出してきたということは、今後の協定、今後も更に交渉されるとおっしゃっているわけですが、早期に合意できたものについて、どういう形で出てくるのかというのが気になります。

 といいますのは、昨年、アメリカ側は、二〇一八年の十二月の二十一日、二十二項目の交渉目的を米国通商代表部、USTRは発表しております。この中からその交渉のメニューが出てくると思われますけれども、サービス貿易、投資、知的財産、労働、為替等々ありますが、この後の協定、また日米投資協定とか日米知的財産協定とか、全部ばらばらに結ぶようなことをお考えでしょうか。

茂木国務大臣 まず、御質問の前半部分につきましては、先ほども答弁をさせていただきましたが、日米のデジタル貿易協定は、円滑で信頼性の高い自由なデジタル貿易を促進するためのルールの整備を目的とした協定でありまして、基本はルールの整備です。それに対して、物品関税の撤廃、削減を規定する日米貿易協定とは明らかに性格が異なるということで、別途の協定とした。

 そして、お触れいただいた、昨年の十一月のアメリカ、これは、TPAをとるためには、いつも、こういう項目についてやりますというのを議会に対しても出すわけでありまして、それに沿ってアメリカの国内手続としてやられたものだ、このように理解をしております。

 では、今後の交渉がどうなっていくかということについては、九月二十五日、今回の日米共同声明におきまして、まずどの分野を交渉するか、それについて今後協議をすると。この日米の協議の中で決まった分野について協議が行われることになります、交渉が行われることになりますが、交渉の結果、では、どういう協定をつくりますとかどういう形にします、こういったことは決まっておりません。

 まさに、まずはこの日米貿易協定そして日米デジタル貿易協定が発効した後に行われます協議において今後の進め方等々が決まってくるものだ、そのように明記がされているわけであります。

亀井委員 関税に関する取決めと、デジタル貿易、ルールに関する取決めは別のものだから二本に分けたとおっしゃいますけれども、何事においてもルールの取決めですから、貿易協定というのは、何もわざわざ二つの協定に分ける必要はないんじゃないかなとやはり腑に落ちない部分がありますし、では、今後、何の分野をやるかということについて既に発表がされておりますよね。「関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題についての交渉を開始する意図である。」と今回、声明でございます。

 ここにもう一回関税が出てくるわけですけれども、ということは、関税に関する今回の協定というのはこれで終わりではない。今回は米は除外されていますけれども、協定の原文に、特に今後米が入らないというような表現もないですし、自動車や自動車部品の交渉も行うけれども、米もテーブルに上がるという可能性はありますでしょうか。

茂木国務大臣 九月二十五日の日米共同声明、パラグラフの三になるわけでありますが、そこにもありますように、日米で今後どの分野を交渉するのか、その対象をまず協議することとしておりまして、その後の交渉では、この協議において日米双方が合意したもののみについて交渉することになるわけであります。

 そして、関税につきましては、この協定に、さらなる協議による関税の撤廃、関税の撤廃についてさらなる協議を行う、こういったことが明記をされております自動車・自動車部品を想定しておりまして、それ以外の分野というのは想定をいたしておりません。基本的に、物品貿易につきましては、今回の日米貿易協定でカバーした、このように考えております。

 そして、いずれにしても、次の段階の交渉も日米双方にとってウイン・ウインなものとなるようにまずはしっかりと協議、コンサルテーション、これを行う考えでありまして、また、どの分野を交渉するにしても、我が国の国益に反するような合意を行う考えはございません。

亀井委員 自動車・自動車部品の関税の撤廃に関する原文のことは後でまた質問させていただきたいと思うんですけれども、次の質問は、今回、日米貿易協定と呼んでいるもの、これはFTAでしょうか。

 といいますのは、ガット二十四条の例外規定となるのはFTAだけですから、これはFTAじゃないと言ってしまうと関税の削減が発効できないわけですよね、国際法違反になりますから。そういう意味で伺っております。日米貿易協定はFTAでしょうか。

茂木国務大臣 FTAというものに対して、国際的にこれがFTAであるという共通の認識というのはございません。どういう形のものをFTAと言うのか亀井先生の方で定義をしていただいたら、その定義が日米貿易協定と同じであるかどうかについてしっかりとお答えさせていただきたいと思います。

亀井委員 今の発言は結構私は大きいように思いまして、つまり、FTAの定義というのは、はっきり規定されていないにしても、大体、WTOの加盟国の中で共通認識というのはありますよね。基本的に関税撤廃に向かう中で、原則関税撤廃であるけれども、大体九割くらいは撤廃をする、例外は一割程度というような共通認識があってのそれぞれの地域別のFTAであったと思うんですけれども、では、今回、おおむね九割というような、そういう国際認識というのはないんだ、関係ないんだとおっしゃっているように聞こえますけれども、それでよろしいですか。

茂木国務大臣 ガット二十四条の規定はそのようにはなっていないと承知をいたしております。

亀井委員 えっ、そうですか。

 これは違うんじゃないかと思いますよ。今まで、いろいろな議員の方が今回の日米貿易協定はWTO違反ではないかという質問をしております。それはなぜかというと、関税の削減率が九割に満たないからです。

 例えば、二〇一八年度の日本から米国への輸出総額は十五兆四千七百二億円でしたが、そのうち、二九%が自動車、六%が自動車部品、六%が原動機です。自動車、部品を除いた関税撤廃率は五九%ですから、WTOが求める約九〇%にはほど遠い。

 なので、自動車の関税撤廃が明記されてはいない中で、ここは後でまた争う部分ですけれども、現在撤廃されていない中で、その数値まで含んで九割という基準を満たしているというのはおかしいんじゃないですか、そういう質問がたくさんあったかと思いますけれども、この九割は関係ないとおっしゃっているんでしょうか。

茂木国務大臣 そうではございません。

 申し上げたのは、FTAの定義でガット二十四条のお話をされましたので、ガット二十四条は、加盟国が自由貿易地域を設定するに当たって、関税譲許との関係において、実質上全ての貿易について関税その他の制限的通商規則が廃止されることが求められる、こういうことが書いてあるわけでありまして、それに沿った協定になっている。

 ただ、ここに、FTAの定義がガット二十四条に書いてあるわけではございませんという話を申し上げたんです。

亀井委員 確かにその文章に九割までは認めましょうと書いてあるわけじゃないですけれども、基本原則、関税はなくす……(茂木国務大臣「FTA」と呼ぶ)でも、それは、FTAというのはガット二十四条の例外として認められているものじゃないんですか。

 これはもう一回確認します。

茂木国務大臣 ガット二十四条においては、自由貿易地域というものの規定はされておりますが、フリー・トレード・アグリーメントとは何かという規定をしているものではございませんという話をしているんです。

亀井委員 その中でWTO加盟国の共通認識というのがある程度合意形成されているというのが私の認識ですけれども、ここは私は腑に落ちない部分がありますけれども、先に行きたいと思います。では、次の質問のときに、そこで御答弁いただければと思います。

 自動車と自動車部品の関税撤廃が約束されているかということが、またこれまでも多く質問にありました。

 ですので、私はきょう、原文を持ってきました。

 きょうお配りしている資料の一番最後のページなんですけれども、この七番の下のところ、下線を引いております。ここが今回の、自動車及び自動車部品、「オートモービル アンド オート パーツ」についての関税の今後の交渉に関して書かれている部分です。

 茂木大臣は、関税撤廃は約束されているんだというふうにおっしゃっていましたけれども、ここでは、「サブジェクト ツー」ですから、委ねられるということですよね。「ファーザー ネゴシエーションズ」、さらなる交渉、「ウイズ リスペクト ツー」、何に関してかというと、「ジ エリミネーション オブ カスタムズ デューティーズ」、関税の撤廃についてのさらなる交渉というふうに読めるわけですけれども、ただ、全てはその交渉を経てのことですから、さらなる交渉が行われていない今の段階においては、決まっていないというふうに読むのが普通であろうと思いますけれども、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、先ほどのところ、私の説明が十分先生の御理解をいただけなかったのかもしれないんですが、ガット二十四条においては、加盟国が自由貿易地域を設定するに当たりまして、関税譲許との関係において、実質上、全ての貿易について、関税その他の制限的通商規則が廃止されていることが求められている。そして、我が国としては、貿易額のおおむね九割の関税撤廃、これを一つの目安と解して考えておりますけれども、この目安について各国で若干の違いがあっても、大体この部分は同じなんだと思います。

 ただ、これとFTA、フリー・トレード・アグリーメントの概念というのは違っている。フリー・トレード・アグリーメントという概念になりますと、国によっては、当然、ここの中にサービスであったりとかその他の分野が入ってくる。さらには、包括的FTA、こういうことになりますと、知財の問題であったりとか、そういった問題も入ってくるものを一般的に我が国では包括的FTA、こういった形で呼んでおりますが、冒頭申し上げたように、このガット二十四条がFTAについて規定されたものではない。

 したがって、また、そういう国際的な概念が確立をされておりませんから、先ほどの質問で、日米貿易協定がFTAかという質問をされますと、先生なりにFTAというものをどのような概念で捉えていらっしゃるか明確にしていただいたら、日米貿易協定がFTAに当たるかどうか明確にお答えできます、そういう話をさせていただいたところであります。

 その上で、後段の部分でありますが、今回の協定においては、構成でありますけれども、まず、協定の本文の第五条の1におきまして、各締約国は、附属書1又は附属書2の規定に従って、市場アクセスを改善すると、両締約国、この場合は日本とアメリカになるわけでありますけれども、この義務を規定をした上で、それぞれの締約国の附属書において、この市場アクセスの具体的な改善の仕方を記載するという形にしております。

 そして、米国の附属書、今お示しをいただいておりますように、ここには、自動車・自動車部品について、関税の撤廃に関して更に交渉する、カスタム デューティーズ オン オート アンド オート パーツ ウイル ビー サブジェクト ツー ファーザー ネゴシエーション ウイズ リスペクト ツー ジ エリミネーション オブ カスタム デューティーズということが書いてあるわけでありまして、まさに、市場アクセスの改善策として、その具体的な撤廃時期等について、今後交渉が行われるということになるわけであります。

亀井委員 前段のFTAの部分については、先ほどの御答弁とあわせて、何をおっしゃりたいかはわかりました。つまり、私の質問に対して、あくまでも日米物品貿易協定であって、日米貿易協定と名前が変わったけれども、まるで包括的FTAのような名称だけれども、これはFTAではないのだ、だから、そのFTAの定義にはめる必要はなくてというふうに私には聞こえましたけれども、次の質問に行きたいと思います。

 今の、関税撤廃の時期について今後交渉をすることになっているという、その御答弁も今までもほかの方にされていると思いますけれども、そうであるならば、この英文ですね、やはり言葉が足りないです。ファーザー ネゴシエーションズ ウイズ リスペクト ツー ザ スケジュール フォー エリミネーション オブ カスタム デューティーズと、そこにスケジュールという言葉が一言入っていれば、関税の撤廃が前提となっていて、その日程感について交渉であると読めますけれども、その言葉がない限り、関税の撤廃という言葉、単語がここにあるからといって、それが前提になっているとは読めません。

 いかがですか。

茂木国務大臣 どういう文章をつくるか、全体の中で、日米間で協議をして、この文章ということで確定をしたわけでありますけれども。

 先生の趣旨でおっしゃいますと、サブジェクト ツー ファーザー ネゴシエーション ウイズ リスペクト ツー カスタム デューティーズであれば、それだと関税撤廃というのは約束をされていないということになるのかもしれませんけれども、「ウイズ リスペクト ツー ジ エリミネーション オブ カスタムズ デューティーズ」、こういう形になっているわけです。

 単純に関税について更に協議をするではなくて、関税撤廃について協議をする。もしその関税撤廃というものが決まっていなければ、ここに「ジ エリミネーション」、こういう言葉は入ってこないんだと思います。

亀井委員 そこは私の認識とは違いますね。やはりそれが関税であろうが関税撤廃であろうが、要するに、「ファーザー ネゴシエーションズ」、今後さらなる交渉を通じてどうなるかが決まるということなので、何事も一方的にアメリカが関税を下げるよと言ってくるわけがないので、交渉を通じて決まることなので、ここはごく一般的な、関税の撤廃についてはさらなる未来の交渉に委ねましょうと書いてあるわけで、撤廃するということが前提になっているわけではない。それを前提だと言うためには、やはりスケジュールという一言が必要だということを申し上げておきたいと思います。

 それで、きょうこの英文をお配りいたしましたのは、今回、非常にやはりこれは日米で不平等な条約だなということを感じまして、その構成をちょっと皆様に御説明したくてお配りしました。

 二枚目ですね、二枚目から二枚というのは、今回の協定の附属書の1の最初の二ページです。後ろの二枚は、附属書の2、今回和訳されていない方の最初の二ページになります。

 比較します。

 日本側、関税あるいは関税関連のプロビジョンズ、契約事項ですけれども、日本側が約束したことですね。その下にセクションAとあって、ゼネラルプロビジョンズという、プロビジョンズという言葉が使われています。これがいわゆる契約条項です。そして、その後ろのページですね。ここに、セクションBで、タリフコミットメンツ、コミットメンツというのは約束という意味ですけれども、関税に関して日本が約束したこととして、だあっとたくさん書かれているわけです。

 それに対してアメリカの方の附属書、次のページですが、これは、タイトルこそ同じで、関税、関税関連に関するプロビジョンズと書いてありますけれども、その下、コミットメンツという言葉もなければ、プロビジョンズという言葉もなくて、いきなりゼネラルノーツ、注釈で入っているわけですよね。ですから、どうしてこんな非対称な構成なんでしょうか。

 つまり、コミットメント、単数形のコミットメント、約束一つとれていないというふうに読めますけれども、何でこんな不平等な構成なんですか。

茂木国務大臣 決して不平等な形にはなっていないと思います。

 それから、若干、全て英語でおっしゃっているので、なかなか、皆さんがどこまでしっかり理解されているかも含めてなんですが、附属書の1及び2は、表題が、御指摘ありましたように、タリフス アンド タリフリレーテッド プロビジョンズ オブ ジャパンと、オブ ジ ユナイテッド ステーツであることからも明らかなとおり、その全体が日米それぞれの関税上の約束を定める規定というものに日本語で言えば該当するわけであります。

 そして、附属書の中でのノーツ、注釈、それからプロビジョン、規定という表現が用いられておりますが、あくまで附属書の構成によるものにすぎず、約束の程度に異なるものが出るわけではございません。

 そして、先ほども言ったように、五条の1の中で、こういうふうに附属書の1、2で決められた形で市場アクセスの改善をするということのやり方が書いてあるのが附属書でありますから、それによって、日本の書き方と英語の書き方、全て同じことが書いてあるわけじゃありませんから、この言葉が違うからといって、何らかそれによって約束の程度、アメリカの約束は非常に軽くて日本の約束が非常に重いとか、そういう形にはなっておりません。

亀井委員 そんなことはないですよ。

 なぜ私がこんなに英語を持ってきたかといいますと、今までの御答弁で、英語で書かれていることと日本語で皆さんに説明していることが違うからです。だから、きょうは英文を持ってきました。

 それで、不平等だということをお示ししたくて、私はちょっときょう、この英文の協定をかざしたいと思うんですけれども、先ほどの、日本が附属書で約束した部分、そのページ数というのは四ページから百十七ページまでですよ。これだけの厚みがあって、百十三ページあるんですね。それで、内容はコミットメンツですから、日本側の約束として書かれている。

 それに対して、附属書の2というのは、百十八から百四十一ページまで、二十三ページだけ。これだけ薄いわけですね。さらに、コミットメンツという言葉はアメリカ側にはないんです。

 これのどこがウイン・ウインなんでしょうか。

 そしてもう一つ、附属書の2を訳さなかったのは、訳してしまうと、これだけ内容に差があるということが見えてしまうからではないでしょうか。違いますか。

茂木国務大臣 協定の第七条におきまして、「この協定の附属書は、この協定の不可分の一部を成す。」と規定をされておりまして、そもそも附属書全体が協定と同じ法的効果を有しているということになるわけであります。

 量が多い、量が少ない、いろいろ検討されたこと、それから、亀井先生が英語について非常に造詣が深いことについてはよく理解をさせていただきました。

亀井委員 いや、全然答えになっていませんよ。

 交渉というのは、やはり、どういう文言を入れるか、その戦いだと思います。幾ら、今まで、議事録が公開されていないだとか、いろいろなやりとりがあって委員会がもめたことも知っていますけれども、仮に議事録が公表されようと、この協定に書かれているか書かれていないかが全てであり、その言葉、何の文言を使うかということがいわゆる交渉でもめる一番のかなめだと思いますから、ここにコミットメンツがないとか、ゼネラルノーツで注釈レベルだとか、そういうことが全てを語っていると思います。違いますか。

茂木国務大臣 よく聞いてください、よく聞いてください。

 先ほど答弁いたしましたが、協定の第七条をごらんください。第七条をごらんください。そこに、「この協定の附属書は、この協定の不可分の一部を成す。」と規定をされているわけであります。つまり、附属書全体が協定の本体と同じ法的な効果を有していることは、この七条から明らかであると私は考えております。

 それから、附属書の日本語でありますが、日・EU・EPA、さらには日豪EPA、これにおきましても、相手側の附属書の日本語というのはつくっておりません。

 更に申し上げますと、TPPにおきましては、英語、フランス語、そしてスペイン語、この三カ国語が正文でありまして、日本の正文というのはございません。

亀井委員 時間が超過しておりますのでここでやめますが、私が申し上げたいことは、先ほど、協定とその附属書が不可分だ、それはそのとおりですよ。それで、不可分である、だから非常に重要な附属書の日本が約束した部分がこんなに厚くて、アメリカの部分がこんな薄い。これは、英文を和訳したら膨らむんですけれども、同じ英語で書かれていますから、このボリュームの違いというのが全てなんですよ。

 これが、平等であり、ウイン・ウインであるとはとても思えない。そして、アメリカから、コミットメント、約束一つとれていないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

松本委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました、高井崇志でございます。きょうは、外務委員会での質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、きょうは日米デジタル貿易協定に絞って質問したいと思います。

 余りこの議論、できていないように思います。貿易協定の方がもう課題山積なのでということだと思いますけれども、このデジタル貿易協定も極めて重大な論点が含まれていて、人によっては、むしろアメリカはこれをとりたかった、こっちの方がアメリカにとっては重要だったというような人もいるぐらい大変重要であり、また、アメリカにとって、私は利益の大きい内容になっていると思います。

 まず、大臣にお聞きしますけれども、この間の経緯を見ておりますと、ことしの四月になって急にデジタル貿易協定の話が出てきて、そして、日本の中でもほとんど議論が行われず、というか、この後も話をしますけれども、例えば巨大IT規制、GAFA、デジタルプラットフォームの規制なんか、まさに今、日本がこれから法整備をするような、そういった段階で、これだけ早急にデジタル貿易協定を結んだ理由は何なんでしょうか。

茂木国務大臣 昨年九月の日米共同声明におきまして、物品貿易、その他早期に成果が期待できる分野についてまず交渉を行うということが決められたわけであります。

 そして、委員も御案内のとおり、デジタル貿易、これから大きな拡大が期待をされておりますが、そこの中でのルール整備等が必要になってくるわけでありまして、そのルール整備等について、恐らく、世界の中でもかなり進んでいる二カ国というのが日米でありまして、考え方に大きなそごはない。つまり、早期に成果が期待されるということから、この分野も交渉に加えたということでありまして、四月に急に出てきたというお話をされておりますが、当然、交渉でありますから、何回かのやりとりの中で、四月から本格的に交渉が始まったということであります。

高井委員 もう本会議でも総理にも聞きましたけれども、トランプ大統領は、日本のデジタル市場を四兆ドル、約四百六十兆円規模で開放させたというようなコメントもしている。あるいは、十月八日付のニューヨーク・タイムズでは、今回、第十八条のSNS提供者の免責条項、これについては、アメリカの巨大IT企業が訴訟に巻き込まれるのを防ぐ条項をトランプ政権が書き入れた、そういう報道があるわけです。

 こういった中で、今回のこの協定は、かなりTPPのときよりも踏み込んだ部分があります。例えば、十三条で、金融サービスのコンピューター関連設備の利用、設置要求の禁止であるとか、第十七条では、ソースコードに加えてアルゴリズムも開示要求の禁止をした。それから、先ほど井上委員からも、あるいは、先般、公明党の岡本委員からも指摘のあった、SNS提供者の免責事項、こういったことが踏み込まれている。

 それから、これはTPP協定のときから私は問題だと思っていましたけれども、第七条の電子的な送信に関する関税の不賦課という、これはまさに、今は、電子メールで何かやりとりをするのに関税なんてかけるかと思われるかもしれませんけれども、もう本当に、近未来になれば、電子的送信によっていろいろなものが送られるようになる。そして、3Dプリンターの技術なんかを活用すれば、もうまさに物品そのものが電子メールで送られるようになるときに、これはもう全部関税をかけないということをまさに約束した。

 圧倒的にアメリカの巨大ITデジタルプラットフォーマーの方が大きいわけで、そこが利益を得ることはもう明白だと思うんですけれども、こういう協定を結んだということは、これはアメリカにとってしか利益がない、日本のIT企業にこういうメリットはあるんでしょうか。

澁谷政府参考人 デジタル協定第七条の電子的な送信に対する関税の不賦課の規定について御指摘をいただいたところでございますが、電子的な送信に対する関税の賦課については、ビジネスの予見可能性を阻害すること等を通じて経済全体にマイナスの影響を与えるリスクがあること、また、物の貿易と異なりまして、そもそも電子的な送信に対して関税を賦課することが技術的にも容易でないといったようなことを踏まえまして、我が国としては、これまでも電子的な送信に対して関税を賦課してきていないというところでございます。

 今回の日米デジタル貿易協定においても、こうした我が国の基本的考え方を踏まえて日米間で電子的送信に対する関税不賦課を約束したところでございますが、これは今回初めてということではなくて、既に発効しておりますTPP11協定あるいは日・EU・EPA等において規定しているものと同じでございまして、今回何か、アメリカのためにこうした規定を設けたということではないということは御理解いただければと思います。

高井委員 今申し上げましたとおり、TPPにこれは入っていたというのは私も申し上げましたけれども、そもそも、やはりもうちょっと将来を見据えて私は考えなきゃいけないんじゃないかと。

 アメリカがそう言っているから入れているという感が拭えないというのが全体的に思いますし、今、この電子的送信、第七条のことについては言われましたけれども、ほかの条項も含めて大臣に改めて聞きたいと思いますけれども、まさに先ほど大臣はアメリカと日本が先導的で一致していると言いましたけれども、やはり、世界を見ると、アメリカと中国、米中貿易戦争があって、非常に両極がある。

 そういった中で、EUもある、それから新興国もある、非常にやはりいろいろな立場が今せめぎ合っている中にあって、今、日本がアメリカと全く共同歩調をとるということが、本当に経済のデジタルの分野で、しかも日本においてまだこれから国内の法整備とかが検討される状況にあって、それが本当に正しかったのか、それでいいのかということは、本当に大臣はそうお考えなんでしょうか。

茂木国務大臣 この日米デジタル貿易協定は、これからの時代の経済を牽引しますデジタル貿易のルールづくりにおいて、その先進国たる日米両国が引き続き主導的な役割を果たしていく基盤になるものであると考えておりまして、六月のG20大阪サミットでの大阪トラックの推進を始め、デジタル貿易に関する国際的なルールづくり、これを日本が主導し、しっかりと対応していくためのものだと考えております。

 この日米デジタル貿易協定では、今後のデジタルデータ、さらにはデジタル取引で考えられるさまざまな変化、恐らく、電子商取引であったりとか検索であったりとかSNSの世界からバーチャルデータとリアルデータが結合していく、さらには新しい領域、金融分野のデータ化、さまざまな動きが今後考えられるわけでありまして、こういったさまざまな変化も念頭に置きながら例外規定等々も置いているところでありまして、例えば、ソースコードやアルゴリズムの開示要求の禁止について、規制機関や司法当局による例外も認められておりまして、決してアメリカのGAFAと言われるような巨大プラットフォーマー、この利益を優先するようなものにはなっていないと考えております。

高井委員 ちょっとこの後の質疑で明らかにしていきたいと思いますけれども、これは先ほど、午前中も井上委員からも、プロバイダー責任制限法とアメリカの通信品位法ですかね、それとの差異がある、これについて、貿易交換公文というもので、それはブロバイダー責任制限法の変更は必要ないんだと。このことについては、公明党の岡本委員も、これは越権行為じゃないかと。私もそう思いますね。やはり立法府で、本来、この協定にこの法律が合っているのかどうかというのは立法府が判断することを、政府が勝手に合意しているというふうに私は思いますけれども。

 では、ほかの法律はどうなんですかね。きょう副大臣にも来ていただいていますけれども、まさにきのうもデジタル競争市場会議でGAFAからヒアリングをして、非常に規制案に懸念があると不満の声があったということなんですけれども、これを我が国が法律などに定めたときに、今度、アメリカ側が、それでは不満だと、あるいはアメリカの国内法とそごがあると言ったら、これはどうなんですか。一つ一つまた何か継ぎ足していくんですか。

 これから日本では議論することを、こんなに何の議論もしない前に先取ってしまって、どういう関係になるんですか、これからのデジタルプラットフォーマー規制との関係は。

宮下副大臣 お答えをいたします。

 御指摘のように、政府としましては、デジタル市場競争本部を九月二十七日に設置いたしまして、ただいま、デジタルプラットフォーマー取引透明化法案、また独占禁止法のガイドライン、そして個人情報保護法改正について、年内の内容の取りまとめに向けて検討を行っております。

 先ほど茂木大臣からも御発言がありましたけれども、今回の日米デジタル貿易協定上ではさまざまな例外規定が置かれております。

 例外規定としては、一般的な全体の例外として、生命、健康、公衆道徳、こういったこともありますし、消費者保護もあります。安全保障例外、信用秩序維持、金融政策、為替政策のための例外、こういったものもございます。また、データの越境移転制限禁止の例外としては、恣意的、不当な差別、貿易偽装制限でないことを理由に、この例外も置かれておりますし、先ほど言及がありましたソースコード、アルゴリズムの開示要求禁止の例外も、規制機関や司法当局が調査、検査、執行活動、司法手続等をやる場合は除外となる。

 こういう規定がきちっと置かれておりますので、競争法、個人情報保護法などに関する必要な規律が妨げられることはないと考えております。したがって、現在、デジタル市場競争本部が検討している必要な規制を行うことも問題ないと考えているところでございます。

高井委員 今いろいろ例外規定を言われましたけれども、そもそも、デジタル競争本部でしたか、この政府の組織もつい最近できたばかりですし、まさに日米デジタル協定が協議されていたころは、まだ、総務省と経産省と公取が三省庁寄せ集まって、私が何聞いてもほとんど答えられないような状況で、まさにこれからデジタルプラットフォーマー規制というのはできるんですね。それが、その協定に本当に縛られるんじゃないかということを私は大変懸念をいたします。

 そういう意味では、なぜ本当にこんなに早く結んだのか。それはやはり、日本の国内の法整備がそろう前にこういう協定を結んでしまった方がアメリカにとって有利だからとしか私には思えません。

 きょう、公取とそれから総務省にも来ていただいていますけれども、これは現実に今既に起こっています。

 デジタルプラットフォーマー、GAFAが、自分のアプリを、やはり自分の会社のを優遇して搭載する。それは、もう公取も、優越的地位の濫用じゃないかということで調査もしてくれています。あと、GAFAに限らず、国内の電気通信事業者、携帯の三キャリアも、やはり自分のアプリを自分の携帯を持っている人には搭載するように、販売代理店であるとかあるいは直営店などにそういう指示をしている。

 これは、私は、明らかにやはり競争政策として間違っていると思いますけれども、それぞれ、これについてはどういう対処をしているのか、お答えください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会は、デジタルプラットフォームでありますオンラインモール等アプリストアに着目いたしまして、独占禁止法や競争政策上問題となるおそれのある取引慣行等の有無を明らかにする実態調査を行いまして、先月の十月三十一日、報告書を公表したところでございます。

 この報告書では、オンラインモールやアプリストアにおけます事業者間取引につきまして、利用事業者そして運営事業者からの指摘を整理いたしまして、独占禁止法上の考え方を示すとともに、取引の公正性、透明性を高め、公正な競争環境を確保するためには競争政策上どのような対応が必要なのかにつきまして明らかにしているものでございます。

 公正取引委員会といたしましては、デジタルプラットフォームにおける競争を促進して、消費者利益の向上を図るために独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、引き続き厳正、的確に対処していきたいと存じます。

 個別の案件に対する独占禁止法上の問題の有無についてのお答えは差し控えたいと思いますが、今後、引き続き厳正、的確に対処してまいる所存でございます。

東出政府参考人 御質問の大手キャリアのアプリの販売の関係でございますけれども、個別のことにつきましては申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますと、アプリの販売の体系、販売のやり方にもよるところはございますが、市場における有力な事業者が、正当な理由なく取引先事業者に自己あるいは自己と密接な関係にある事業者の商品と競争関係にある商品の取扱いを制限するよう拘束する条件をつけて取引するというような行為を行いました場合、市場閉鎖効果が生じる、すなわち、新規参入者ですとか既存の競争者が排除される、あるいはこれらの取引機会が減少するような状態をもたらすおそれがあるということになりますと、独占禁止法上、問題があるというふうに考えております。

竹村政府参考人 携帯電話事業者と販売代理店との関係でございますけれども、電気通信事業法第二十七条の四では、電気通信事業者が電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介等の業務を代理店に委託する場合には、当該委託に係る業務の適正かつ確実な遂行の確保の観点から、代理店に対して指導等の措置を行うことを義務づけております。

 一方、委員御指摘のアプリの販売を含む電気通信役務以外の商品、サービスに関する電気通信事業者の代理店への対応につきましては、公正取引委員会と共同で作成している電気通信事業分野における競争の促進に関する指針において、独占禁止法に関する基本的な考え方や問題となる行為などを記載する等の対応を行っております。

 総務省としては、電気通信事業分野における公正な競争の促進と利用者利益の保護の観点から、引き続き、公正取引委員会と連携して適切に対応していきたいと考えております。

高井委員 今るる説明いただきましたけれども、これはなかなか厄介なんですよ。だから、電気通信事業法の改正も私は必要じゃないかと思いますし、独占禁止法の整備なんかも必要で、まさにそれを今政府でやっている、そのときにこういう協定ができてしまうと、これは協定に縛られるんじゃないですか、今、国内でやろうとしていることが。こういったことがやはりアメリカ側の論理でどんどん縛られていくということを私は大変懸念をいたします。

 ちょっと時間がなくなってきてしまいましたので、財務副大臣にも来ていただいているので、どうしてもデジタル課税についても一つ聞いておきたいと思います。

 OECDの試算によれば、全世界で、いわゆるGAFA、デジタルプラットフォーマーで、約十兆から二十四兆円の法人税が失われている、取りはぐれている。これは全世界の法人税の四から一〇%に相当するそうです。

 一方で、日本では消費税二%値上げして、これ、五・六兆円ですよ。これを国民の皆さんから取るのに、この二十四兆円もの法人税を見過ごすというのは私は絶対に許されないと思いますけれども、財務副大臣として、今、OECDの提案をG20で協議中、あるいはもっと広い枠組みで協議中と伺っていますけれども、これは必ず取るという決意をお聞かせください。

藤川副大臣 お答え申し上げます。

 経済のデジタル化に伴う課税上の対応につきましては、二〇二〇年末までにグローバルな解決策を取りまとめるべく、先生おっしゃられましたとおり、OECDを中心として国際的な議論が進められているところでございます。

 本年日本が議長国を務めましたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、経済のデジタル化に伴う課税上の対応をプライオリティーの一つに掲げたことにより、解決策の合意に向けてG20による強い政治的な後押しができたと考えております。

 G20の強い政治的な後押しを得たことで、今後、国際的な検討作業が更に加速することを期待しておりまして、二〇二〇年末までに解決策に合意できますよう、引き続き国際的な議論に積極的に貢献してまいりたいと考えております。

高井委員 これは合意できなかった場合、独自で課税する考えはありますか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような独自の課税につきましては、ヨーロッパ諸国において導入しているところ又は導入を検討しているところがあるというふうに承知しておりますが、これらのものにつきましては、OECDにおける議論におきまして、あくまで本格的な措置が導入されるまでの暫定措置というふうに位置づけられているものと承知をいたしております。

 現在、OECDにおきましては、来年二〇二〇年までにグローバルかつ抜本的な解決策に合意すべく作業を進めているところでございまして、我が国も本年の議長国としてこの作業に大きく貢献してきたところでございます。

 まずは、この抜本的な解決策の取りまとめに向けて我が国としても貢献していくというのが基本的な考え方でございます。

高井委員 答えていただけていないんですが、これも恐らく、アメリカの要求に屈して結局日本はできないということになりはしないかということを大変懸念しております。

 時間が来ましたので、最後に、大臣、今短い時間でしたけれども、いろいろ私から指摘しましたけれども、やはり、この協定があることによって、これからまさに、きょう内閣府の副大臣に来ていただいて、デジタルプラットフォーマー規制、これは本当に大きな問題ですよ。自民党の中でもかなり力を入れてやっておられますけれども、私は、そこに大きな制約になる、それをアメリカの要求をのんで入れてしまった、そういう位置づけがこの協定だと思っておりまして、非常に拙速な、議論のないままに行われてしまったと考えますけれども、改めて大臣、これまでの議論を聞いていかがですか。そう思いませんか。

茂木国務大臣 このデジタルデータ、そしてデジタル貿易の世界、おっしゃるように、これから大きな拡大が予想されます。そして、さまざまな想定されないような変化というのも起こってくる可能性も十分あるんだと思っております。

 ただ、今見える範囲において日米で同じ考え方の部分もあるわけでありまして、その部分についてのルールを整備した。また、これから、日米だけではなくて世界を巻き込んで大阪トラックもスタートしたわけですから、新しいルールづくりを日米が主導していくという意味において大きな意味のある協定であると考えております。

 そういった中で、それぞれ、日本においてもアメリカにおいても必要な、個人情報の保護であったり、さまざまな規制をしなければならない、こういう場面が出てくる可能性もありますので、しっかりした例外規定も置かせていただいております。

高井委員 まだまだ問題山積で、本当に質疑が全く足りないということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立国社の福田昭夫でございます。

 茂木大臣、希望の大臣就任おめでとうございます。同じ栃木県人としてお祝いを申し上げます。

 しかしながら、自由貿易をどうするかについては、我が国の将来を左右する大問題ですので、質問の方は手抜きをいたしませんので、ぜひ大臣の考えを思う存分聞かせていただければと思います。

 まず最初に、我が国の経済連携協定の取組についてであります。資料の一をごらんいただきたいと思いますが、これは、外務省がホームページにアップしている今の経済連携協定の取組でございます。今回、TPP11、日・EU・EPA及び日米貿易協定により、世界のGDPの五九%、貿易額二十三兆ドル、人口十三億四千万人の巨大市場をつくるということになるわけでありますが、これをつくることについての大臣の御感想をお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 ベルリンの壁が壊れて、東西冷戦構造が終結をして、ことしで三十年になるわけであります。一時、世界は自由主義、これが完全な主流になってグローバル化が進む、このように見られておりました。

 確かにグローバル化は進んだわけでありますが、その反動として、保護主義の動き、これが台頭してきておりまして、そういう現代であるからこそ、日本が自由貿易の旗を高く掲げ、自由で公正な経済連携を広げていくことが重要だと考えておりまして、そういった意味から、日本として、図にも示していただきましたようなTPP11、そして日・EU・EPA、さらには日米貿易協定、こういったものをリードしているところであります。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 そして、RCEPについては、どうもインドが離脱も示唆したというような報道もありますけれども、RCEPの方は本当のところはどうなっているんですか。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 RCEPにつきましては、委員御案内のとおり、今、大変重要な局面の交渉を続けておるところでございまして、我が国といたしましては、自由で開かれたインド太平洋構想の実現、こういった観点からも、インドを含めた十六カ国での、来年二〇二〇年の協定署名に向けて、引き続き主導的な役割を果たしてまいりたい、かように考えております。

福田(昭)委員 この日米貿易協定まで含めてでも巨大な市場であります。もし仮に、RCEPがまとまりますと、更に巨大な市場になるわけであります。

 そうした中で、こうした巨大な市場を構築して、国内対策、特に農林水産業対策や食の安全、食料自給率向上対策はどうしようと考えているんですか。簡潔にお答えください。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の日米合意により今後関税が長期にわたり段階的に下がっていく品目があることや、生産現場での農業者の減少や高齢化が進んでいるということで、将来の生産基盤について懸念する声が多くなっております。

 このため、総合的なTPP等関連政策大綱を改定することとしておりまして、これを踏まえた生産基盤の強化、輸出にも対応できる強い農林水産業、農山漁村を構築する万全の対策を検討してまいりたいと考えております。

 さらに、自給率の向上のためには、国内外での国産農産物の需要拡大や食育の推進、消費者ニーズに対応した麦、大豆の生産拡大や飼料用米の推進、付加価値の高い農産物の生産販売や輸出の促進、優良農地の確保や担い手の育成といった施策を着実に講じてまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 それでは、次の質問に行きますけれども、我が国の自由貿易の推進の基本的な考え方についてであります。

 これだけ巨大な市場をつくっていくということになりますと、我が国の農林水産業、特に規模が小さい、面積も小さい、補助金もヨーロッパやアメリカは日本の二十数倍も出している、そういう中で対等に戦えといっても、戦えません。そういうことに対する認識が政府には全くないのかなと思っておりますが、そこで、一つ目として、ハイレベルな自由貿易というものはどのように指すのかであります。

 第一点として、安倍総理始め政府がTPPのときから、ハイレベルな自由貿易を進めるんだ、こう言っておりますけれども、その定義を、どういう定義なのか、ちょっと教えてください。

茂木国務大臣 我が国としては、特にマルチの枠組みではTPP11、そして日・EU・EPA、合意をし、発効させてまいりましたが、単に関税の引下げにとどまらず、知的財産、電子商取引など幅広い分野で透明性の高い、自由で公正なルールを整備すること、これが、ハイスタンダード、ハイレベルな自由貿易にとって重要であると考えております。

 同時に、TPP11におきましても、ハイスタンダードかつバランスのとれた、それぞれ国内事情を抱えているわけであります、日本も。そういったバランスがとれて、攻めるべきは攻める、しかし守るべきは守る、こういうしっかりした協定を結んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 残念ながら大臣からもちゃんと定義が聞けませんでしたけれども、今まで勉強会で四省庁の課長クラスと議論をして、そこでハイレベルな自由貿易というのは何だと言うと、答えが出てきませんでした。

 私が、P4の原則、十年後に関税ゼロ、食の安全基準などの非関税障壁を撤廃することがハイレベルの自由貿易なのかと聞いても、返事がありません。大臣はどう思われていますか。

茂木国務大臣 方向性と実際にどういう数字が出てくるか違ってくる部分はありますが、我が国として、P4の原則をそのまま受け入れるということではなくて、ハイスタンダードでバランスのとれた経済連携協定、こういったものを推進してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 非常にそういう曖昧な考えでは、実はとんでもないことになるんですよね。

 ここに、きょうは澁谷交渉官ですか、審議官ですか、来ていますけれども、さきの私の質問に対して、実は、TPPのときに、お米を始め重要五品目には、関税には聖域がないと答えたんですよ。最初、自民党は、選挙のときにですよ、関税撤廃を前提とする限りTPP交渉には入りませんというポスターを北海道から沖縄まで張りめぐらせて選挙を戦ったんじゃないですか。ところが、その重要五品目にも、関税、聖域ないというんですよ。そうすると、いずれはゼロにされる可能性があるということなんです。

 ですから、ここはしっかりと、はっきりと、我々はちゃんと関税を守ります、そういう発言がなければ、非関税障壁も、遺伝子組み換え食品などは入れません、そういうはっきりとした基準がなければ、どこまで押し込まれるかわかりませんよ、力関係からいったら、これは日本の方が弱いわけですから。その辺、どうなんですか。

澁谷政府参考人 済みません、私のお名前を出していただきましたので。

 先生からそういう御指摘をいただいたということで、調べてみましたら、昨年、平成三十年の五月十六日の衆議院内閣委員会で、まさにTPP11の国内法の審議だったと思いますが、福田先生の方から、先ほど先生御指摘があった、P4の原則って何ですかという御質問をいただいたのに対して、私の方から、関税は全て撤廃というのがP4の原則である、私が答えたのはそういう趣旨でございます。

 先ほど大臣がおっしゃったとおり、守るべきものはしっかり守りというのが日本の政府の基本方針だと理解をしております。

福田(昭)委員 澁谷審議官、そういううそをついちゃだめだよ。私の質問に対して、そんなこと答えていないだろう。まあ、官僚はうそつきだというのはわかっているからいいけれども、だめだよ、そんなうそをついちゃ。

 さらに、では第二点。

 仮に関税収入がゼロとなった場合に、何の税源で国内対策をするんですか。関税は今一兆円超ありますけれども、これが仮にゼロになったときに、所得税でやるのか、法人税でやるのか、消費税でやるのか、どういう税財源で国内対策をやるんですか。どうですか。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定の財源をもって対策をやっているのは、極めて例外的なものはありますけれども、基本的には一般財源で対応させていただいているところでございます。

 バランスのとれた協定をこれからもということでございますので、自由貿易が進展する中、新しい国際環境に対応できるような競争力ある農林水産業を構築していく必要がある、政府として必要な施策を推進してまいる必要があると考えております。

 具体的な中身ですとか財源というのは、農林水産業を取り巻く国内外の情勢とその変化の状況、財政状況も踏まえて総合的に勘案しながら、毎年の予算編成過程で議論していきたいと考えております。

福田(昭)委員 それは、全て一般財源だから、目的税じゃないからね。しかし、関税があるからこそ国内対策がやりやすいんじゃないですか、違うんですか。関税ゼロになっちゃったら、じゃ、どこから財源をつくろうかと。一番適切なのは消費税かなと思っていますけれども、輸出免税還付金があるんだから。

 工業製品だけ潤って、一次産業が停滞して、食料が確保できなくなったら大変でしょう。だから、輸出免税還付金を例えば半分にして、その分国内対策に充てる、こういうことだって場合によっては考えることもできる。農林水産関係者がこういうことを知らないからきっと言わないんだと思いますけれども、わかればこういう要求も高まってくると私は思いますよ、基本的に。

 そこで、私は、私も自由貿易は基本的に賛成ですけれども、しかし、過ぎたるは及ばざるがごとしという教えがあるように、やはり自由貿易にも一定の限度が必要だと思っています。完全に、まさに関税ゼロ、こういう市場をつくれば、これは弱肉強食、資本の論理が貫徹されます。強いものが必ず勝ちます。こんなことをやっていったのではだめだと思います。

 そこで、やはり日本が自由貿易の旗手というのなら、世界の自由貿易をリードするというんだったら、私は、適切な関税と発動可能なセーフガードつき自由貿易をWTOのルールにする、それぐらいの気概でやらないと日本の守るべきものを守れなくなると思いますが、いかがですか。

松本委員長 どなたに答弁を。(福田(昭)委員「それは大臣ですよね」と呼ぶ)

 外務省山上経済局長、まず、では、御答弁を。

山上政府参考人 お答えいたします。

 貿易を自由化する一方でセーフガードもということであれば、まさに、関税の引下げ、非関税障壁の撤廃などにつき、攻めるべきは攻め、守るべきは守るということで、そういった観点からセーフガードも必要に応じて活用しながらやってまいりましたし、今後もやってまいりたい、そういう形で我が国の国益を確保してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 残念ながら、やはりちゃんとした理念、哲学がない。これではどこまで押し込まれるかわからない。しっかり、日本の政府として、自由貿易の判断基準はここだというものをやはり決めなきゃだめだと思いますよ。

 聞くところによりますと、WTOでもP4までのルールはない。大体、慣例として、関税は九〇%ぐらいは撤廃しましょうというのがあるけれども、しかし、それがWTOでルールになっているわけではないという話も伺っております。ですから、そうしたことについて、しっかりとやはり基本的な政府としての考え方を決めて自由貿易を進めていく必要があると思っております。

 二つ目は、経済連携協定における本文及び附属書の日本語文の作成についてであります。

 私は、本文及び附属書ともに日本語の正文をつくるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

御巫政府参考人 お答え申し上げます。

 条約の正文をどの言語にするかにつきましては、統一的なルールがあるわけではございません。各国との交渉によって決まってまいります。

 今後の条約交渉におきましても、それぞれの交渉において適切に判断していきたいと考えております。

 経済連携協定の附属書につきましては、協定の本文とともに速やかに公表しております。また、国会への提出に当たっては、附属書の重要部分を記した説明書をお配りしているところでございます。

福田(昭)委員 何で私がそんなことを言うかというと、附属書の中に、実は本文を覆すようなことがいっぱい書いてあるんですよ。ですから、附属書まで日本語にしないと、政府は附属書に書いてあることを適当に答えられる。これでは、事実に基づく、真実に基づく議論もできないし、あるいは、押し込まれても言いわけが政府はできる、こういうことになっちゃう。

 その実例をこれから申し上げますけれども、今回の日米貿易協定でも、自動車・自動車部品関係については附属書の2に記載されているじゃないですか。それで、政府が、撤廃を前提として交渉を続けるんだと言っているけれども、それはまるっきりうそでしょうね。そんなことは書いていない、一言も。英文には書いていない。附属書にこういうことが書いてある。

 そこで、世界全体の貿易のルールにも同じようなことが言える。三つ目の、WTOを設立するマラケシュ協定の附属書一の補助金協定についてであります。

 資料の二から四をごらんいただきたいと思いますが、このWTO協定の構成の、多角的貿易協定の附属書一の下の方に、二重丸をつけておきましたけれども、補助金・相殺措置に関する協定、補助金協定というものがあります。

 資料の三を見ていただきますと、その協定の概要が書いてあります。ここには、縮めて申し上げますと、基本的には、補助金はだめよということが書いてあります。減税もだめよと書いてあります。

 その後ろ、WTO補助金協定の抜粋であります。これは財務省からいただいた資料でありますが、第三条には「禁止」と書いてあります。三の一、「農業に関する協定に定める場合を除くほか、第一条に規定する補助金のうち次のものについては、禁止する。」と書いてあります。

 附属書の1、輸出補助金の例示表の(g)、「輸出される産品の生産及び流通に関し、同種の産品が国内消費向けに販売される場合にその生産及び流通に関して課される間接税(注2)の額を超える額の間接税の免除又は軽減を認めること。」これはだめだよと禁止されておりますが、しかし、注の2、ごらんください。「この協定の適用上、」下の方ですね、「「間接税」とは、売上税、個別消費税、取引高税、付加価値税、フランチャイズ税、印紙税、」こう書いてありますが、「その他の税であって直接税及び輸入課徴金以外のものをいう。」と書いてあるんです。これだけでは意味がよくわからない。

 そこで、実は、この補助金協定の附属書には書いていないそうでありますが、その下に米印がありまして、これは財務省が入れたそうであります。これを読むと、「国内消費者向けに販売される商品に課される間接税の額を超えない範囲までの税の免除は問題とならない。」こうあるんです。

 財務省、これはどういう意味ですか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今、資料を読んでお示しいただいております第三条の第一行目をごらんいただきますと、この第三条で禁止される補助金につきましては、「第一条に規定する補助金のうち次のものについては、禁止する。」という規定の構造になってございます。

 この米印の注釈を付しておりますのは、この第一条に規定する補助金から除かれているものについて言及をしているものでございまして、具体的には、その第一条の注釈におきまして、輸出産品について、国内消費に向けられる同種の産品に課される内国税を免除すること、又は、このような内国税が課されたときにその額を超えない額だけの払戻しなり還付を行うことは、補助金とはみなさないという規定がございまして、これを念頭に置いた注釈でございます。

福田(昭)委員 これが、実は輸出免税還付金の根拠になっているんですよ。

 要するに、それぞれの、ヨーロッパは付加価値税、標準税率二〇%になっていますけれども、日本は今度上がって一〇%ですけれども、この範囲内だったらいいよ、こういうことになっちゃうわけ、これは基本的に。これが、附属書の中で、わけのわかんないような表記の仕方で、実は世界的なルールになっちゃっている。これは、だから、こういうものをしっかりと附属書も日本語の正文をつくっておかないと、どこまでつけ込まれるかわからないし、また政府もどこまでひどいことをやるかわからない。そういうこれは証拠です。

 その次、今度は、OECDまで同じようなことをやっています。国際的な付加価値税、物品・サービス税に係るガイドライン、二〇一七年、これも財務省からいただきましたけれども、これを読むと、いかにも公平なように見えるんですよ。「付加価値税のシステムは公正で公平なやり方で適用されるよう設計されているが、それは、国際貿易を歪曲し消費者の選択を制限することになる不公正な競争上の利益を国内企業及び外国企業のいずれに対しても与えないようにするためである。」というんですよ。

 しかし、その後ろを見ていただきますと、OECD諸国、三十五カ国における付加価値税の輸出免税制度です。日本、ヨーロッパ諸国がありますね、その他の諸国があります。しかし、下の注に書いてありますように、「OECD加盟国のうちアメリカでは、売買取引への課税として付加価値税ではなく、州、郡、市により小売売上税が課されているが、輸出取引は小売売上税の課税対象外である。」と書いてあるんですよ。

 私は、EUにも手紙を出して確認してみましたが、付加価値税のない国に輸出したものについても輸出免税還付金は出されるとEUから回答をもらいました。これは不公平じゃないですか。外国企業に対しても公平に扱っているとこれは書いてあるけれども、ですから、OECDのガイドラインもこれはうそを書いてあるんですよ、OECDのガイドラインもうそを書いてある。

 しかも、消費税、付加価値税って、納税義務者は事業主で、実際納めるのは消費者じゃないですか。だから、本来ならば、消費者を公平にするということでやるんならいいけれども、これは事業主を公平にするためにあるわけですよ。いかにも、消費者の選択を制限することになる、消費者のせいにしていますけれども、おかしいじゃないですか、これは、基本的に。

 ですから、まさにこのOECDのガイドラインも、私に言わせれば、公正性はないなと、これは。付加価値税がない国もあるわけですけれども、それに対する輸出に対しても輸出免税還付金が行われちゃう。不公平じゃないですか、基本的に。

 しかも、消費者を保護するような言いわけになっている、これはおかしな、まさにそういった意味では、私はしっかりWTOの附属書まで日本語にして、きちっとわかるように国民に説明しないとだめだと思いますよ。

 それで、時間もなくなってきましたので、日米貿易協定についてもちょっと聞いておきたいと思います。

 たくさん用意しましたが、時間がありませんので、(四)の2と3、農林水産物の米国への輸出促進についてであります。

 まず第二点、米、米菓、日本酒等についてであります。

 TPPにおいて関税撤廃が合意されていた米、米菓、日本酒等について、なぜ譲許されていないのか、教えてください。

茂木国務大臣 今回、日本酒等におきましては、清酒業界始め、日本のボトルのまま輸出できるような状態にしてほしい、また、その商品表示のあり方に対する保護等要望いただきまして、それに沿った国内対策をアメリカの側で検討する、そういった交換公文、これもしっかりと結んでいるところであります。

 また、農林水産物の輸出ということで申し上げますと、例えば、今、牛肉、アメリカでもブームでありまして……(福田(昭)委員「いいですよ、それだけで」と呼ぶ)よろしいですか。(福田(昭)委員「はい」と呼ぶ)

福田(昭)委員 大臣、御存じでしょうけれども、栃木県も、大臣の地元も、米、米菓、日本酒は特産地なんですよ。特に栃木県では、地酒で乾杯条例までつくって、何か宴会をやるときには、まず日本酒で乾杯しよう、そういう条例までつくってやっているのに、大臣、これは地元に顔が立ちませんよ。

 それから、次の質問ですけれども……(茂木国務大臣「立ちますよ。全然、喜んでいるよ」と呼ぶ)何で喜ぶの。(発言する者あり)そうですよ。

 第三点。次、原発事故由来の、失礼しました、一言だけ加えておきます。

 菅官房長官がこの間鳥取へ行って、日本酒輸出を支援、強化するんだと言っているんです。菅官房長官と外務大臣の対応は違うじゃないですか。菅官房長官は、この間、鳥取県の境港市で、四日、日本酒の輸出を強化するんだと言っているんだけれども、アメリカは残念ながら輸入してくれない。

 それで、次、三点目、原発事故由来の米国の輸入規制措置の解除についてであります。

 EUは、日本食品等の放射性物質にかかわる輸入規制の緩和を十月二十四日決定し、十一月十四日から、あしたからですかね、施行されることになりました。栃木、岩手、千葉の農林水産物の輸入規制は、全ての品目について撤廃されることになりましたけれども、米国はまだ解除されておりませんけれども、茂木大臣、これに対してどう対応しようとしておりますか。

池山政府参考人 お答え申し上げます。

 米国における放射性物質に関する輸入規制でございますが、既に相当程度緩和が進んできておりますものの、依然として、日本の出荷制限措置がとられている品目について県単位で輸入措置がとられております。

 これまでも、閣僚級会合を始めさまざまなレベルで、政府一丸となって緩和、撤廃を働きかけてきており、引き続き、あらゆる機会を捉えて、関係省庁と連携して、粘り強く緩和、撤廃の働きかけを行ってまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 残念ながら、今回、ウイン・ウインの協定だと言っているけれども、全然ウイン・ウインじゃないじゃないですか。アメリカに貢ぎっ放しじゃないですか。自動車もだめ、自動車部品もだめ、そして米や米菓や日本酒もだめ、原発の規制も緩和されない。そして、日本農産品だけ再協議を約束させられた。これでは、まさにTPP12と同じになっちゃうじゃないですか。

 三年後に全面見直し、七年後にまさに、カナダ、チリ、ニュージーランド、オーストラリアに加えて、アメリカと農産品の再協議をすることになるんじゃないですか。そうしたら本当に、P4が始めたような関税ゼロ、非関税障壁が撤廃される可能性が十年後に迫ってくるということじゃないですか。こういうことをしっかりとめないとだめだと思いますよ。

 時間が来ましたので、終わりにします。ありがとうございました。

松本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 初めに、日米貿易協定の影響試算について農水省に質問します。

 私は、十月二十三日の本委員会で、農水省が貿易協定の審議の前提となる影響試算を、枚数にしてわずか一枚、これですね、それも暫定版しか公表していない問題を指摘し、二〇一七年公表のTPP11や日欧EPAの試算との比較分析とともに、農産物の品目ごとの正式な試算を、なかんずく本委員会に提出するよう強く求めました。その後、十月二十九日になって、農水省から品目別の参考資料、これですね、約七十枚の資料が新たに提出されました。

 そこで、伊東農林水産副大臣に伺いたい。

 貿易協定は十月二十四日の本会議で審議入りしたけれども、農水省はなぜ十月二十九日に追加提出した品目別の参考資料を審議が始まる前に公表しなかったのか、お答えいただきたいと思います。

伊東副大臣 穀田議員の御質問にお答えをいたします。

 日米貿易協定による農林水産物の生産額への影響につきましては、今委員お話しのとおり、九月二十六日の日米貿易協定の最終合意を受け、できるだけ早く情報提供を行うという観点から、これまでの算出方法に直近の生産額や単価を当てはめ、これは機械的に算出したものでありますが、十月十八日に暫定版としてこの試算結果の概要を公表したところであります。

 その後、お話にありましたように、十月二十三日、外務委員会の質疑におきまして穀田委員より品目ごとの試算を提出するよう御要望があったところであり、また、翌二十四日、農林水産委員会におきまして影響試算の詳細資料についての御要望があったということでございまして、それぞれの委員会の理事会等にお諮りした後に、十月二十九日に品目ごとの詳細な資料を農林水産委員会並びに外務委員会に提出させていただいたところであります。

 経緯は以上であります。

穀田委員 経緯を聞いているんじゃなくて、本来、始まる前に何で公表せえへんねと言ったわけですよ。

 十月二十九日に提出された参考資料、これを二つ見ますと、品目別に、考え方のシナリオ、イメージ図などが添付されています。算出方法については、相変わらず、今お話があったように、暫定版として機械的に算出したとなっています。生産額も、貿易協定によって最大一千百億円、TPP11と合わせると最大二千億円減少するという試算結果も、十月十八日に提出されたわずか一枚の暫定版と全く変わらないんです。

 つまり、十月二十九日に提出された品目別の参考資料は、当初提出された一枚物の暫定版のもとの資料、原本に当たるのではないか。そうであるならば、貿易協定の審議が始まる前に十分に提出できたじゃないか。なぜそうしなかったのかと、みんなが疑問に思う。

 はなから提出したらよいじゃないか、それは誰もが考える疑問だと思うんですね。その点、いかがですか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、十月十八日に影響試算ということで公表いたしましたけれども、この日にちについては、政府全体の影響試算の中でこの日にちが決まって、農水省もそれに合わせて公表したということでございます。

 これまでの影響試算においても、品目別の試算の単価やデータを明らかにした参考資料というのを公表してまいりましたので、今回も準備が整い次第お示しするということを考えておりまして、それで、資料をということで、既にあったものを提出したということでございます。

穀田委員 あったものを提出したと、あったんですよ。

 品目別の参考資料は、当初、外務委員会の理事、オブザーバーにしか配付されなかったんです。日米貿易協定の審議が行われる主要委員会であるこの外務委員の全員に配りもしなかった。事態を知った私が、せめて全員に配付すべきだと要求したら、先週の六日になって、ようやく各委員の事務所に配ったと言われています。

 貿易協定について、国民の不安は農産物にどれだけ影響があるのかという、固唾をのんで見守っているというのに、積極的に議論に供するのが当たり前じゃないですか。それなのに、あれこれの理由をつけて、貿易協定の審議の前提となる資料を小出しする。野党の追及を受けて渋々提出するというのは、極めて許しがたい対応だと言わなければなりません。

 農水省がいかに国会審議を軽視しているか、そうした姿勢が端的に示されていると指摘しておきたいと思います。

 農水省はこの間、全国各地で行った貿易協定に関する説明会で、国内対策が定まっていないにもかかわらず、国内の農家の所得や生産量は一切減らない、食料自給率も変わらないと指摘してきました。

 こうした農水省の説明について、例えば、日本農業新聞の十月二十四日付の論説は、「そもそも国内対策の検討が始まるのはこれからで、まだ決まっていない。にもかかわらず、なぜ日本の農家所得や生産量に影響なしと言い切れるのか。首をかしげたくなる農家も少なくないだろう。」と指摘しています。全くそのとおりだと思うんです。

 せっかく先ほど浅川さんが立たれたので聞きます。農水省は、既に国内対策を講じた場合の品目ごとの影響を分析した資料を作成しているんじゃないですか。

浅川政府参考人 今回提出させていただいた資料については、国内対策が万全に講じられるということを前提に試算した資料となっております。

穀田委員 要するに、国内対策を講じた場合の分析した資料を作成しているんじゃないか、もう一度お答えください。

浅川政府参考人 提出させていただいた影響試算につきましては、国内対策が講じられるということを前提として試算したものでございます。

穀田委員 私は、資料提出の不十分さを指摘したことに対して、農水省が十一月五日に本委員会の理事会に提出した補足説明、これがあります、によりますと、暫定版で示された試算結果というのは既に国内対策が措置されることを見込んだもので、暫定版でなくなることで試算の数値が変化するものではないとありました。つまり、国会に提出した一連の資料は、国内対策を講じた場合の最終試算を示したものだと言うことができます。今もそういうことだとおっしゃっていました。

 そうすると、十月二十九日付の品目別の参考資料、十月二十九日付には国内対策に関する具体的な記述が何らないということ、なぜなんですか。これは伊東さんにもお聞きしたいと思います。

伊東副大臣 資料には、これまで行ってきた算出方法に直近の生産額、単価を当てはめる暫定版として機械的に算出したと記載しているところでありますが、政策大綱、これは年末までに出るものでありますけれども、これに基づく国内対策の効果により国内生産量が維持されるというふうに私ども見込んでいるところであります。

 また、今回の日米貿易協定でも、十月一日の政策大綱改訂に係る基本方針で、農林水産業の生産基盤を強化し、新市場の開拓等、万全の施策を講ずるとされているところでございまして、これを踏まえて、これまでの試算でお示ししたような万全の国内対策が今回も措置されることを見込んで使ったものであります。

 また、暫定版という文言につきましては、現在、政策大綱の改定作業が進められているということから用いたものでありまして、今後の試算の数値が変化することを意味するものではありません。

穀田委員 後半の方は先ほど言ったんやからね。よう聞いておいてくれなあかんわね。そんな話していないんですよ。前半だけでいいんですよ。突然答弁書を渡されると、そういうふうになっちゃうんだけれどもね。

 私は、今お話あったように、暫定試算が国内対策を見込んだ試算であり、しかも、万全のと来るわけですよね。それで、変わらないと。だとしたら、品目別の参考資料の中にある考え方のシナリオ、イメージ図には、二〇一七年公表のTPP11や日欧EPAの影響試算の資料と同じように、国内対策を講じた場合の品目ごとの影響に関する記述があってしかるべきだと思うんです。

 これはTPP11のときの資料です。これが日欧EPAのときの資料です。これはいずれも、国内対策による影響緩和、さらに、イメージ図というところで、何を行っているかということで具体的に出ています。

 だとしたら、この記述が、先ほどお話ししたこの二つの資料には一切ない、今。そういう形の記述が一切ないということはおかしな話なんですね。だから、国内対策に関する記述を省いたものを参考資料として作成、提出したということになるんですか、浅川さん。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、副大臣からもお答えさせていただいたとおり、現在、TPP大綱が改定中ということで、暫定版として今回お示ししたところでございます。

 したがいまして、この政策大綱の改定が成り、対策が決まった段階で、それを書き込んで最終版ということでお示しするという考えでおります。

穀田委員 それだと、先ほど言ったように、数値は変わらないと言っているわけで、国内対策を見込んだ試算だと言うんだったら、国内対策を講じた場合の品目ごとの影響を分析したデータは当然あるんじゃないですか。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 提出しております試算値につきましては、万全の対策が講じられるということを前提とした試算でございます。それによって生産量が変わらないということを前提に置いて試算をしたものでございます。

穀田委員 生産量が変わらないというふうに言うんだったら、少なくともこういう形でデータがあるわけですよ。それを、データを出しなさいと。当たり前じゃないですか、委員長、そう思いませんか。

 だから、何回も言うように、暫定試算が国内対策を見込んだもので、試算の数値は最終版でも変わらないと何回も言うわけですよ。だとしたら、品目ごとの国内対策を講じた場合の影響を分析した資料を過去のTPP11や日欧EPAの資料と同じように作成しているということになるじゃありませんか。

 その大もとの資料、データを明らかにせず、国内対策に関する記述を欠いている、省いているものを国会に提出したのであれば大問題になるわけですね、これは。だから、貿易協定の審議に、根幹にかかわる重大問題だと思うんです。

 そこで、委員長に私は提起したいと思うんですけれども、作成している影響試算に関する資料、データを包み隠さず本委員会に提出されることを強く求めます。

松本委員長 データの提出をということですが、農林水産省浅川大臣官房総括審議官。

浅川政府参考人 提出させていただいたデータの最後に、諸元ということで詳しいデータが全て入っております。

穀田委員 先ほど述べたように、入っていないから言っているんです。それは、あるんだったらそれを出していただきたい。それは委員長に要求し、理事会で協議を求めます。

松本委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

穀田委員 事ほどさように、まことにデータさえも出さないというような事態になっていて、あれこれ強弁して、違う中身についてもさっぱり同じだというようなことを平気で言っているという、これは議論の前提がないということを一つ示したと思います。

 今度は茂木大臣に、貿易協定の審議の根幹にかかわる問題として、ただしたいと思います。

 茂木大臣は、十月十一日の衆院予算委員会で、貿易協定の審議に当たっては、これまでの経済連携協定のときと同様に、必要かつ、わかりやすい説明書を用意させていただきたいと答えています。その説明書とは、外務省が提出、配付した十ページの冊子、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の説明書、このことですか。

茂木国務大臣 さようです。

穀田委員 これですね。この外務省の説明書の九ページ目を見ると、説明書の九ページですね、これを見ますと、協定に関連して作成された文書として、農産物の緊急輸入制限措置、いわゆるセーフガードですね、この運用に関する日米政府間の交換公文の説明が書かれています。これを見ると、牛肉でセーフガード措置がとられた場合、「発動水準を調整するため協議を開始する」と書かれています。しかし、この部分は本来、交換公文では、「発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する。」となっているものであります。

 なぜ説明書で「一層高いものに」という文言を削ったのか、これは茂木大臣の指示でございますか。

茂木国務大臣 指示ではございませんが、牛肉のセーフガード、発動をされた場合に、協議をする場合は、当然、今回、二〇一八年のアメリカからの日本への牛肉の輸出、これは今回のセーフガードより高い数字になっている。そういった中で、協議については、そういった形で協議を行われることになるだろうと。

 ただ、協議の結果、合意するか、また、どんなセーフガードになるか、このことについては、予断を持って決めているものではございません。

穀田委員 前回、私、質問しましたけれども、高い水準になっているというのは、それはTPP11との関係を含めて、きちんとしたセーフガードの文言を調整しなかったからにすぎません。

 そこで、交換公文は、今もお話ししたように、セーフガードが発動した場合に、単に協議の開始を約束しただけではありません。その発動水準を一層高いものに調整する、いわば発動水準を引き上げるための協議を開始することが約束されているわけであります。

 したがって、「一層高いものに」というこの文言は、このセーフガードの運用に関する交換公文の内容を正確に把握をする上で必要不可欠な文言であり、核心部分なのであります。したがって、説明書で削るなどということは絶対にあってはならないことであります。

 説明書を見ると、この重要な文言を削った箇所は牛肉の部分だけではありません。豚肉やホエー、オレンジのセーフガードについても、発動水準を調整するための協議を開始するとなっており、「一層高いものに」という文言が同じように削られている。

 茂木大臣、これは余りにも意図的、作為的ではありませんか。

茂木国務大臣 決してそのような意図は持っておりません。

 その上で、もう一度説明をさせていただきますと、日米貿易協定におきましては、米国の牛肉のセーフガードの二〇二〇年度の発動基準数量を、二〇一八年度の輸入実績であります二十五万五千トンを下回る二十四万二千トンとして、それ以降については、TPP11の発動基準と同じ比率で増加させることといたしました。

 米国とTPP発効国を合わせた牛肉輸入におけます米国のシェアは、近年で最も高い二〇一八年で四一%であります。一方、今回の米国の牛肉セーフガード発動基準数量は、毎年TPP全体の発動基準数量の三九%台に抑えていることから、日米とTPP発効国を合わせてもTPP12を上回る、こういう事態にはならないと考えております。

 なお、二〇二三年以降については、TPP11協定が修正されていれば、米国とTPP11国からの輸入を合計してTPPの発動基準に適用する方向で米国と協議をする旨を、米国との間で交換公文において確認をしております。

 交換公文で、牛肉のセーフガード措置がとられた場合に協議を行うとされておりますが、この協議の結果、具体的な数字がどうなるか、また結論が出るか、それについても予断をするものではございませんで、我が国としては、国益に反するような合意を行うつもりはございません。

 このことにつきましては、何度か御指摘をいただいた段階でも丁寧に国会において説明をしておりまして、決して、その部分を省いたりとか、いずれにしても、ある部分というか、合意した内容でありますから、それにつきまして、それを隠すということは全く行っておりません。

穀田委員 牛肉のセーフガードの問題について、今お話あったように、そのパーセンテージや高さの問題については、前回、私、質問しているんですよ。そこの中で、当時TPP11で合意した内容とそれから米国との内容は別個にやっているものだから、当然それを上回ってくるという話は、既に私、しているんですよ、前回。ですから、そのことを踏まえて言ってくれなあかん。

 問題は、そういう話をすると、予断を持ってやっていないということと、それから国益を守る、この二つが大体キーワードで、いつもそういう答えをするんですよ。それはもう知っているんです、それは何回も同じことを聞いているわけで。

 ただ、問題は、相手との交渉との関係で、交換公文で約束された内容と明らかにそれは違うと。「一層高いものに」という文言があるとないとでは違う、大きく変わってくる。そして、政府の側は、この文言は、今お話にあったように、大した話じゃないんだということに勝手に判断をして、結局のところ、説明書から省いて提出、配付するなどについては言語道断だと私は思うんです。

 ですから、この文言自身が、大臣がおっしゃっているように、国益に反する重大な踏み出しなんだってことを提起したいと思うんです。

 ですから、そんな重大な文言を意図的、作為的に削除した説明書を是として、これ以上質疑を続けることはできないと私は思います。

松本委員長 今のは質問、大臣に対する質問ですか。

 質問を続行していただきたいと思います。

穀田委員 私、十月二十三日の質疑でも指摘しましたけれども、セーフガードが発動した場合というのは、国内の畜産農家に重大な損害を及ぼす数量の輸入が米国から行われる、また行われたということなわけですよね。

 そんな事態になったにもかかわらず、交換公文では、「発動水準を一層高いものに調整する」、つまり、発動水準を引き上げるという協議を行うことがアメリカ側と約束されているわけですやんか。まさにセーフガードを、この間も言いましたけれども、更に事実上無力化させるという貿易協定の重要な論点の一つであります。そういう極めて重要な文言を削除した説明書を配付するなど、到底許されることではないというのが私の見解です。(茂木国務大臣「ちょっと」と呼ぶ)まだいてください、まだしゃべっているんですから、私は。

 そして、外務省の説明書をめぐっては、私、思うんですけれども、かつて衆議院のTPP特別委員会で、当時の岸田外務大臣が、「説明書に関しましては、所管官庁として、外務省が責任を持たなければならないと思っています。」つまり、交換公文やそういった文書についての一つ一つについて責任を持つということを言っておられるわけですよね。単なる違いじゃないということを含めて、先ほど明らかにしました。

 「よって、外務大臣である私が」とそこで言っているんですけれども、「よって、外務大臣である私が責任を持たなければならない問題であると認識をしています。」こう答えているんですね。

 私は、したがって、この問題は、まさに文言の中心問題は、茂木大臣の責任が問われる問題だと思うんです。

 私は、先ほど述べた農水省の資料といい、外務省の説明書といい、まさに国会に対して審議を軽視している、それから、いろいろな形で不安を持っておられる国民に対して無視している、これがその態度だと思うんです。したがって、外務省の説明問題は私は許すことはできないし、これ以上質疑はできないということを述べております。

茂木国務大臣 先ほど、この説明書、貿易協定についてはこの説明書をお配りをしてございます。

 そして、交換公文を交わしてございます。交換公文に関しましては、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定に関連して作成された文書ということで、この説明書と一緒にお配りをいたしております。

 そして、この中にそれぞれの交換公文が出ておりまして、御指摘をいただきましたセーフガード措置につきましては、その一ページ目に、「アメリカ合衆国及び日本国は、農産品セーフガード措置がとられた場合には、当該農産品セーフガード措置に適用のある発動水準を一層高いものに調整するため、協議を開始する。」ということが明確に書いてございまして、この資料も一緒にお配りをしてございます。

穀田委員 何度も言うように、その内容とこの内容が違うじゃないかということを言っているわけで、そういう意味では、質問ができないということです。

 以上です。

松本委員長 穀田君、質疑を続行してください。

 必要な資料については、先ほど理事会への御要請もいただきましたので、協議をさせていただくことになっておりますので、穀田恵二君、審議を続行していただきたいと思います。(発言する者、退場する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十分開議

松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 穀田君の残余の質疑を行いたいと思います。穀田恵二君。

穀田委員 穀田恵二です。

 私は、本日の午前中の質疑で、茂木大臣が、日米貿易協定の審議に当たり、必要かつ、わかりやすい説明書を用意するとして国会に配付された外務省作成の説明書で重大な文言が削られていることを指摘しました。

 もう一度言いますけれども、具体的には、説明書の九ページ目にある農産品のセーフガードの運用に関する交換公文の説明で、本来あるべき「一層高いものに」という文言が削られ、「発動水準を調整するため協議を開始する」とだけ書かれている事実を指摘しました。

 交換公文は、日米両国は、セーフガードが発動された場合、単に協議の開始を約束しただけではありません。セーフガードが発動された場合、その発動水準を一層高いものに調整する、いわば発動水準を引き上げるための協議を開始することが約束されているのであります。

 したがって、説明書から削られた、私からいえば削られた、そちらでいえば書いていない「一層高い」という文言は、このセーフガードの運用に関する交換公文の内容を正確に把握する上で必要不可欠な文言であり、私は核心部分だと思っています。

 そこで、もう一度整理して言います。

 最初に、説明書には、大臣が報告された、必要かつ、わかりやすいという説明文書にはそれが書いていないということは確かですよね。

茂木国務大臣 説明書の方には記載をしてございません。

 私の説明が不十分だったのかもしれませんが、説明書は、日米貿易協定についての国会の御審議に資するために、同協定の作成の経緯や内容を説明したものでありますが、協定に関連して作成された交換公文についても、その要点を簡潔に説明し、一方、交換公文の詳細については、午前中も最後の答弁で申し上げましたが、詳細については参考資料の方に譲っております。

 確かに、委員から御指摘のありましたセーフガードの発動基準の調整、これは重要な問題と意識をいたしております。そこで、当該交換公文につきましては、委員会での御審議に当たり、参考資料としてその全文をお配りをしております。

穀田委員 もう一度整理して言いますと、説明文書、説明書には書いていないことは確かだということは確認すると。

 その上で、私がなぜこういうことを言っているかという問題なんですよ。

 今大臣は、説明書と交換公文の両方渡したということもるる言われる、先ほどもそういう説明でした。

 そこで、私が言っているのは、この「一層高いものに」という文言があるとないとでは、交換公文で約束された協議内容の理解が大きく変わってくるということを私は主張しているわけです。

 それを政府の側で、今お話ありましたように、コンパクトとか要約とか、それから両方出しているからとかいうお話ありましたけれども、そういうことで説明書から省いて配付するというのは、私は、間違っているんじゃないか、言語道断だ、こう言っているわけですよ。私の立場は。

 そこの上で、午前中の質疑でも指摘しましたけれども、セーフガードが発動した場合というのは、国内の畜産農家に重大な損害を及ぼす数量の輸入がアメリカ側から行われたということだと思うんです。

 そんな事態になったにもかかわらず、つまり、大きな被害を受ける事態があったにもかかわらず、交換公文では「発動水準を一層高いものに調整する」、つまり発動水準を引き上げるということに文書上ではなっているじゃないか、そのことが、米国側と約束されている根本の中心問題じゃないかと。

 そういう意味で、今大臣がおっしゃったように、重要な問題だと指摘がありました。その点が、私、改めて確認したいわけですよ。つまり、事実上セーフガードを無力化させるという貿易協定の重要な論点の一つだ、極めて重要な論点の中心ポイントだと思うんですね。

 だから、そんな重大な文言を意図的に、まあ、大臣に言わせれば、両方出しているからとか、そういうのを要約したんだからとか言うんだけれども、やはり私としては、意図的、作為的に削除した説明を配付するなど許されないんじゃないかということを改めて思うんですが、いかがでありましょうか。

茂木国務大臣 先ほども御説明申し上げましたが、この貿易協定、そして、貿易協定を締結するに当たりまして、サイドレター、交換公文というのを結びます。これは一般的なやり方でありまして、そこで、今回、この貿易協定を結ぶに当たりまして、この貿易協定そのものの説明書、それから交換公文につきましては日米で交わされました文書の全文、これをお配りをして、国会での審議に資するような形をとらせていただいている。

 先ほど申し上げましたが、セーフガードの発動基準の調整は重要な問題だと意識をしておりまして、日米貿易協定の交換公文におきましては、委員にも配付をさせていただいたこの交換公文全文の中で、「発動水準を一層高いものに調整する」、そのように書いてあるわけであります。「一層高いものに調整」と書かれているわけでありますが、この交換公文の内容は、協議の結果、これを予断するものではありません。

 いずれにしても、我が国として、国益に反するような合意を行うつもりはございません。

穀田委員 大臣、私、この言葉に関して、枝葉末節をとっつかまえて言おうという気はないんです。

 問題は、私の問題意識というのは、このセーフガードの中心問題というのは、やはり発動するという場合の基準なんですよね。それを、この話合いの交換公文で、一層高いものにするということは、簡単に言えば、緩和することになるじゃないかと。それをいわば核心として見ないというのではまずいんじゃないかということを指摘したかったわけですよね。

 それで、先ほど大臣は、いわば重要な問題だということを言ったので、その意味では、私が極めて大事だと言ったことについては了解いただいたという理解をしていいということですね。

茂木国務大臣 それで結構でございます。同じ問題意識でございます。

穀田委員 わかりました。

 私は何でこういうことを言ったかというと、最後にちょっとだけ言わせていただきたいんですけれども、この説明書というのは、やはり大臣がおっしゃったように、コンパクトだとか、両方出しているとか、全員に配っているとかで理解してもらえるというんじゃないんだということを言いたいわけです、私は。やはり中心、核心問題を説明書に書かなければならないということを言っている。

 なぜそう言っているかというと、先ほど、午前中にも言いましたように、二〇一六年の十月十七日の、改めてちょっともう一遍見てきたんですけれども、衆議院TPP特別委員会で、当時の岸田外務大臣がこう言っているんですね。「説明書に関しましては、」と、説明書のことを言っているんですよ。だから、いわゆる説明じゃないんですよ。説明書に関しましては、所管官庁として、外務省が責任を持たなければならないと思っています、よって、外務大臣である私が責任を持たなければならない問題であるとの認識を示しています、と答えています。

 したがって、この問題というのは、まさに茂木大臣の責任が問われる問題だというふうに私は思ったから質問したわけで、そういう点は御理解いただけましたか。

茂木国務大臣 重要であるということについては理解いたしました。

 整理として、日米貿易協定、この本体はもちろん附属書も含めたものでありますが、この説明書をつくらせていただいて、サイドレターの場合は別途結んでおりますので、そのサイドレターについては参考資料として全文をお出しした、こういう形式でありまして、あらかじめそういったことを丁寧にこれから説明するように心がけたいと思います。

穀田委員 今後、そういうことについて、今お話ありましたように丁寧に説明。ただ、いつも、丁寧に説明するという言葉を聞くと総理大臣の言葉を思い出して、またああいうことを言うのかいなと思って、結局、丁寧な説明を聞いたことは一度もないので。いや、ほんまに。というので、大臣も笑ってはるかね。笑っていませんか、そこで。いや、私の言葉に対して笑っているので、総理の言葉に対して笑っているとは思いませんけれども。

 だから、私は何回も言うんだけれども、説明書の問題は、国会の審議を軽視する政府の姿勢があらわれているんじゃないかということであって、貿易協定の審議の根幹にかかわる重大問題だということだけもう一度指摘し、しかも、なおかつ、このセーフガードの問題についての充実が極めて大事な問題だということを大臣が答弁なさったということを確認して、きょうは終わります。

松本委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十五日金曜日午前十一時理事会、午前十一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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