衆議院

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第5号 令和2年4月10日(金曜日)

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令和二年四月十日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 松本 剛明君

   理事 岩屋  毅君 理事 木原 誠二君

   理事 鈴木 憲和君 理事 中山 泰秀君

   理事 山田 賢司君 理事 大西 健介君

   理事 山内 康一君 理事 竹内  譲君

      小野寺五典君    尾身 朝子君

      城内  実君    黄川田仁志君

      新藤 義孝君    杉田 水脈君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    中曽根康隆君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      阿久津幸彦君    小熊 慎司君

      岡田 克也君    玄葉光一郎君

      森山 浩行君    岡本 三成君

      赤嶺 政賢君    杉本 和巳君

      井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   外務副大臣        鈴木 馨祐君

   外務副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      尾身 朝子君

   外務大臣政務官      中谷 真一君

   外務大臣政務官      中山 展宏君

   防衛大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        三又 裕生君

   政府参考人

   (外務省大臣官房儀典長) 海部  篤君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小野 日子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           大隅  洋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山中  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 齋田 伸一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   久島 直人君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            高橋 克彦君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  鈴木 秀生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第二号)

 包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件(条約第三号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第五号)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房儀典長海部篤君、大臣官房審議官小野日子君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官大隅洋君、大臣官房参事官山中修君、大臣官房参事官遠藤和也君、大臣官房参事官河津邦彦君、大臣官房参事官齋田伸一君、大臣官房参事官御巫智洋君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長久島直人君、北米局長鈴木量博君、中東アフリカ局長高橋克彦君、経済局長山上信吾君、国際協力局長鈴木秀生君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣府知的財産戦略推進事務局長三又裕生君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、防衛省地方協力局次長青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲でございます。

 きょうは投資関連協定の質疑ということなんですけれども、その前に、やはり新型コロナウイルス対策に関しまして、外務省に関連する質問を少しさせていただきたいというふうに思っております。

 緊急事態宣言を受けまして、本当に深刻な状況に陥っているわけでございます。世界も同時に、大変、パンデミックということで憂慮すべき状況にあるというふうに思っております。

 その中で、少しでも参考になる国のことを我々はやはり学ぶべきではないかなというふうに思っておるわけでございまして、まず最初に、台湾の状況につきましてお聞きしたいというふうに思います。

 国際的な機関の報告によりますと、台湾ではかなり感染者数が抑えられており、死者数も少ないというふうに伺っております。いろいろ特徴ある活動をされているようですけれども、これらの点につきまして、感染の状況と感染対策の特徴などにつきまして、外務省から報告をお願いしたいと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 四月九日、昨日付の台湾の衛生当局の発表によれば、台湾での累計の感染者数は三百八十名、亡くなられた方は五名と承知しております。

 台湾では、新型コロナウイルス対策といたしまして、例えば、健康保険カードを活用したマスク購入制度、それからフェイクニュースに対する規制強化措置等がとられているほか、三月十九日からは、外国からの全ての入境者に対して一律十四日間の自宅隔離措置を義務づけているものと承知しております。

竹内委員 台湾の場合は、SARSのときの大変貴重な経験があるというふうに伺っておりまして、七十三人が当時は亡くなったということで、早くから手を打ったというふうに聞いております。

 私の知る限りでは、地域と一体となった予防対策であるとか、それからまた、指揮センターというのがあって、市民に現状を理解してもらう、情報共有がしっかりされている。それから、ケアセンターというところがあって、いろいろ隔離された方々につきましての日常生活の支援とか、買物とかお弁当とか薬とか、そういうセンターもあるというようなことで、いろいろ伺っているところでございます。

 しかし、台湾でも、何か自粛疲れというのもあるそうでありまして、やはり日本と同じように花見が増加したりというようなことで、オーバーシュートの可能性もあるということで、引き続き油断なくやっていかなければならないというのを伺っているところであります。

 それから次に、韓国の状況なんですけれども、韓国は、御承知のように、最初のときに大きく感染者数が増大をしたんですけれども、その後、ある時点からかなり抑えられている、抑制的になっているというふうに伺っております。

 この辺の、韓国の状況と感染対策の特徴について報告をお願いします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現時点での状況でございますが、韓国政府の発表によれば、現時点で韓国国内の新型コロナウイルスの感染状況は、累計感染者数は一万四百二十三人、亡くなられた方は二百四名というふうに承知しております。

 韓国における感染症対策といたしましては、一つは、国内におきまして、例えばですけれども、感染症を受けた感染者の動きなどの情報公開の徹底をかなりやっているということと、ドライブスルー方式の検査を含めたPCR検査の実施、それから、感染者のみならず接触者の自宅隔離措置、外出、集会等の自粛要請等を実施しているとともに、水際措置といたしましては、四月一日以降、原則として全ての入国者に対する十四日間の隔離等を実施しておるものと承知しております。

竹内委員 韓国で今注目すべきは、総選挙を今やっているということでありまして、あれだけソーシャルディスタンシングというふうに言ってきたにもかかわらず、選挙の様子を見ていると、かなり接触している雰囲気があるんですね。本当に大丈夫かというふうにこちらが心配になるぐらいでありますけれども、その辺は我々としても引き続きフォローしていきたいというふうに思っているところであります。

 さて、もう一つ、ドイツの状況でございますけれども、ドイツも大変感染者数は多いと伺っておりますが、医療崩壊をせずにかなり持ちこたえておるというふうに伺っております。さまざまな参考にすべき事例もあると思いますので、ドイツにつきましても同様に報告をお願いしたいと思います。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、感染状況でございますけれども、ドイツのロベルト・コッホ研究所の発表によりますと、四月九日時点でございますが、感染された方は十万八千二百二名、亡くなられた方は二千百七名となってございます。

 次に、感染対策の内容でございますけれども、ドイツ政府は、四月六日、いかなる国から帰国するかを問わず、ドイツへの帰国者に対する十四日間の隔離措置の実施を各連邦州に対して推奨することを決定しております。

 また、国内におきましては、三月二十二日に、ドイツ全土で、公共空間における同居家族以外の三名を超える集まりの禁止といった接触制限、全ての飲食店の閉鎖等を実施する指針を発表しておりまして、四月一日、この指針を四月十九日まで延長することを決定しております。

 御指摘のございました医療体制の方ですけれども、ドイツは、例えば人口当たりの集中治療室の病床数も多くございまして、高度な医療体制を有する国でございまして、現時点においてドイツの医療施設が大幅に逼迫しているという情報はございません。

 一方で、ロベルト・コッホ研究所は、地域によっては医療システムへの負担が非常に高くなるため、集中治療病床や医療従事者の増強等、重症患者の急増に備える対応がとられている、このように承知をしております。

竹内委員 やはり大変参考になったと思いますね。やはり、公共空間、三名以上の集まりは禁止しているとか、それから、飲食店につきましても、四月十九日までこれはクローズだというふうな今お話がありましたけれども、この辺、日本としても非常にこれからよく考えていかなければいけない点だというふうに思った次第であります。

 そのほかにも、抗体検査の問題とかいろいろあろうかと思いますけれども、外務省関係にきょうは絞っておりますので、個別の国の話はこの辺にさせていただきたいと思います。

 全体として、この緊急事態宣言の状況下で、やはり外務省として果たすべき役割は何かということを、緊急経済対策の内容も含めてお伺いをしておきたいというふうに思います。

 私としては、きちっとこの状況を、海外に対して説明責任を果たすということが一つあろうかと思います。英語だけではなくて、さまざまな言語でも、正確に、誤解のないように発信していくことが大事だと思っていますし、それからまた、感染症対策としては、自分の国のことだけ考えているのではなくて、私ども公明党も、国際的に活動している感染症対策のそういう世界的な団体に対して、GAVIとかCEPIとかそういうものがあるわけでありますが、これらに対しても積極的な資金拠出をするべきだということを求めてまいりました。この点、どうなったか。

 そしてまた、海外の邦人保護とか在外公館のやはり機能維持ということは非常に重要でありますので、そういう点につきましても、さまざまな点から要求をしてきたわけでございます。

 この辺につきましてトータルに、大臣の方から、ぜひ外務省としての果たすべき役割についてお話を願いたいと思います。

茂木国務大臣 新型コロナウイルス感染症は、現在、百八十四の国・地域で約百五十三万人の感染が確認をされ、そのスピードも加速をしているわけであります。

 最初、十万人に感染者が拡大するまでは六十日かかりました。十万人から二十万人になるのには十一日です。二十万人から三十万人は四日、それ以降は二日ぐらいで十万人ずつふえて、今、百五十万を超える、こういうふうにスピードも加速をしておりまして、世界的な広がりを見せている。

 このような中で、海外に渡航そして滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでありまして、間違いなくその重要性というのは高まっていると考えております。また、感染症の拡大防止という国際社会が直面する難しい問題の解決に向けて日本の役割は極めて大きい、このように考えております。

 まず、情報発信、注意喚起等でありますが、外務省としては、これまでも、在外邦人及び海外渡航者の安全を確保するため、感染症危険情報の発出、レベルの引上げ、これを適時行いまして、また、在外公館のホームページであったり外務省の海外安全ホームページへの関連情報の掲載等、適切な情報発信、情報提供、注意喚起に努めているところであります。

 今後も、世界各国におけます航空便の運航、今、急にとまったりしています、そういった情報であったりとか、移動制限措置等を含みます在外邦人及び海外渡航者の安全の確保のために必要な情報の発信、更に強化をしていきたいと思います。

 情報発信という点では、同時に、海外に対して、日本に対する正しい認識を持ってもらう、こういったことが重要でありまして、今般の緊急事態宣言の内容であったりとか考え方も含めて、我が国の現在のコロナウイルスの状況であったりとか取組を各国に対して丁寧に説明しておりますし、また、これを続けていきたいと思っております。

 さらに、新型コロナウイルスの感染の国内での蔓延を防いで、そして世界的な感染拡大を防止するために、各国の取組とも足並みをそろえて、水際対策についても引き続き実施をしていきたいと思っております。

 四月の三日から、かなり水際措置が強化をされる、こういう形になりまして、世界全体でも、各国から入ってくる外国の方、現在、百数十名から百人を切る、こういったところで推移をしている。この問題が起こる前は毎日十万人、日本に海外の方がお越しになった、この状況からさま変わりをしているんじゃないかなと思っております。

 また、邦人の帰国支援などについても、本省、在外公館が現地邦人としっかりと連絡をとりつつ、現地政府への働きかけであったり空港までの移動の支援といった必要な支援を行っております。

 これらの支援によりまして、これまで、臨時商用便、さらには民間のチャーター機の運航が実現して、移動であったり出国が困難な国々から約四千六百名の邦人が出国又は帰国できているという状況でありまして、これは毎日、世界全体の状況について、私を中心に、領事局、そして各地域局、さらには関係する在外公館の方で状況をアップデートして、この国だったらどういう出国手段があるかということを検討しながら、日々対応というのも考えているところであります。

 最後に、国際協力、これも非常に重要でありまして、これは、G7、G20の首脳電話会談、さらにはG7の外相の電話会談でもこの重要性を確認をしたところであります。

 日本としてもしっかりこういった支援の先頭に立っていきたいと考えておりまして、医療体制、保健システムが脆弱な国々を支援するために、今回の緊急経済対策におきましても、ユニセフ、さらには途上国へのワクチンであったりとか予防接種支援に取り組みますGAVI、こういった国際機関への拠出と同時に、二国間の無償資金協力、さらにはJICAによります技術協力、こういったことも実施をしていきたいと考えております。

 そして、こういったことをやっていくとなると、邦人の保護を進めるとなると、外務省の人間、在外公館の人間がきちんと働けなければいけないということで、外務省の感染防止対策、これも徹底をしていかなきゃならない。テレワークをする、一つの課を二つに分けてデュアルで仕事をすることによって、機能全体がとまってしまう、こういったことも避ける。こういった安全対策もとりながら、邦人の保護、安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

竹内委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、投資関連協定につきまして質問を幾つかさせていただきたいと思います。

 今回、この法案を出されているわけでありますが、これまで九十四の国・地域をカバーして、現在の目標数を大体おおむねクリアすることとなってきたわけでありますけれども、この投資関連協定につきましては、経済界からも継続して要望が出されておりまして、世界の主要な各国と比較してもまだ少し開きがあるというふうに思います。

 政府として、二〇二〇年以降の新たな具体的な目標や戦略を明確にすべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 世界各国と比較してということでまず申し上げますと、貿易、さらに投資に関する協定で、今、世界的に保護主義的な動きが強まる中で、日本は、御案内のとおり、TPP11、一時、アメリカが離脱をして、漂流してしまうのではないか、これを主導して合意に導き、TPP11、おととしの十二月に発効し、さらには昨年の二月に日・EU・EPAが発効し、そして、交渉は難しいだろうと言われていた日米の間でも、日米貿易協定、これが合意し、ことしの一月一日から発効ということになっておりまして、これらの協定によりまして、日本を中心に世界のGDPの六割をカバーする自由な経済圏が誕生して、このことについては国際社会からも高い評価がなされている、このように考えております。

 その上で、投資関連協定について申し上げますと、我が国は、今回御審議をお願いしている投資協定を含めまして、現在までに七十八の国・地域との間で投資関連協定を発効済み又は署名済みでありまして、これらに交渉中のものを加えますと、九十四の国・地域をカバーすることになります。

 政府としては、御指摘のように、二〇一六年に投資環境整備に向けたアクションプランを定めまして、二〇二〇年までの目標として、世界百カ国・地域と投資関連協定を署名することを目指して、その締結促進に集中的に取り組んできたところでありまして、二〇一六年から見ますと、三十五だったものが七十八まで来ている、倍増以上しているという形でありますけれども、今後も、中東、そして中央アジア、中南米、アフリカ等の未締結の国々との間で投資関連協定の交渉を積極的に進めていきたいと思っております。

 その上で、二〇二〇年以降どうしていくか。これにつきましては、まず、ことしまでに、どんな形になったか、成果というのを一度きちんと検証した上で、来年以降の方針、新たな戦略についてはよく検討していきたいと思っております。

竹内委員 その関連でありますけれども、これまで保護型協定というのがやはりかなりありました。経済界からも自由化型協定への見直し要望が出されているところであります。

 大臣、今、成果をまず検証してというふうにおっしゃいましたので、そういうことになろうかと思いますが、今後、新規の締結だけではなくて、古くなった保護型協定についてもどうするのか、自由化型へと改正していくべきではないかというふうには私は思いますけれども、このあたりについてはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 竹内委員とは全く同じ考えでありまして、政府としては、投資参入後の投資財産の保護のみならず、投資参入段階での自由化についても規定をします自由化型協定の方が、日本企業の海外進出を後押しする観点から望ましい、そのように考えておりまして、我が国経済界も、新規の投資関連協定の締結に加えて、自由化型への改善、例えばトルコなどの投資関連協定について、今、保護型であるものを投資型への見直しを要望しているところでありまして、政府としては、こうした経済界を含めたさまざまな要望であったり相手国の事情等を総合的に勘案しながら、今後とも、グローバル化の中で投資をより促進するような投資協定となるように取組を進めてまいりたい、このように考えております。

竹内委員 よろしくお願いします。

 そこで、個別の話に少しなってまいりますが、我が国とASEAN諸国、各国との間では、既に個別に投資協定あるいは投資章を含むEPAが発効しているわけでございます。今回のAJCEP協定のような、いわば枠組みの整備にとどまる本改正議定書を新たに締結する意義について、改めて確認をしたいと思います。

山上政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の投資章でございますが、この投資章につきまして留保表が効力を生ずるまでは、投資財産の設立段階における内国民待遇や特定措置の履行要求の禁止等に係る義務は適用されないということになっております。

 他方、この改正議定書が発効後、ASEANとの間で投資章の留保表の協議を開始することが定められておりまして、留保表が効力を生ずることによりまして、これらの義務について適用範囲が明確になる次第でございます。

 したがいまして、適用範囲の拡大等、既存の二国間の投資関連協定からのさらなる改善を図るべく、外務省としてもしかるべく交渉してまいりたいと考えております。

 また、留保表が効力を生ずる前の段階におきましても、例えば、一定の規定、公正な待遇、収用及び補償の規定、それから、こういった投資家の保護に関する規定が適用されることになっております。

 また、既存の二国間の協定とも比べましても、例えば、日・フィリピンのEPAで規定されなかったISDS条項、それから、ラオスとの日本との間の投資協定に含まれていないパブリックコメントの努力義務などが規定されているところでございまして、これらの規定によりまして、この改正議定書の投資章には意義があると考えております。

竹内委員 少し局長も触れられましたが、やや細かい議論になりますが、AJCEP協定は、自由化型協定ではあるものの、投資財産設立段階に関する紛争につきましては、ISDS手続に基づく仲裁に付託することができないと規定されているわけであります。この辺、設立段階の自由化の意義が減殺されるのではないかという指摘もありますが、この点につきましてはどのように考えますか。

山上政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘の点、まさにそのとおりでございまして、改正後のこの協定、五十一・十三条というのがございます。ここにISDSの手続が定められておりまして、どういう紛争が調停、仲裁に付託することができるかという規定がございまして、御指摘のとおり、投資財産の設立段階に関する紛争につきましては、この改正議定書のISDS手続に基づく調停又は仲裁に付託することはできないということになっておるところでございます。

 もっとも、この改正議定書の締約国としては、この議定書を締結することによりまして、一定の規律に服することになります。例えば、今後協議される留保表が効力を生じた後は、投資財産設立段階における内国民待遇や特定措置の履行要求の禁止等の義務を遵守することが求められます。

 また、仮に、これらの義務に対する違反があった場合に、紛争解決手続ですが、投資家と国との間のISDS、これに付託することはできませんが、締約国間の紛争解決手続に付託することは可能になる、こうしたことを通じまして、投資自由化の意義は確保されるものと考えております。

 なお、ブルネイ、タイ、フィリピンを除くASEAN各国とは、既に二国間のEPA又は投資協定によりまして、投資財産の設立段階に関する紛争についても、それぞれの二国間の協定に基づくISDS手続を適用することが可能となっている、こういう側面もございます。

竹内委員 このAJCEP協定第六章、サービスの貿易の章では、ポジティブリスト方式が採用されているわけであります。投資家の便宜を考えた場合、これはやはりネガティブリスト方式の方が望ましかったのではないかというふうにも思いますが、この辺につきましてはどのようにお考えですか。

山上政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりかと思います。ポジティブリスト形式、ネガティブリスト形式という二つの形式がある中で、一般的に申し上げれば、ネガティブリスト方式、これは自由化義務の例外分野を特定する形式でございますが、この形式によりまして、締約国がサービス貿易の自由化を約束していない分野をより明確に把握できる、こういうメリットがあるのではないかと考えております。

 他方、ASEANの主張でございますが、ASEAN側は、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、こういった国々との協定における約束表でポジティブリスト形式を採用しておるという経緯がございます。こういうこともございまして、日本とのこの改正議定書の交渉におきましてもポジティブリスト形式を採用することを主張したという経緯がございます。

 これに対しまして我が国としてはどうしたかということでございますが、規制の透明性や予見可能性を高めることは重要である、こういう考えに立ちまして、各国が、サービスの貿易における関連規制のうち、市場アクセス及び内国民待遇に関する規定に基づく義務に適合しない措置を列挙した透明性に係る表、この表を作成することを強く求めたということがございます。

 最終的には、交渉の結果、この改正議定書ではポジティブリスト形式を採用することとなりましたが、その一方で、今申し上げたサービス貿易の透明性や予見可能性を高める、いわゆる透明性に係る表を作成することが義務として規定された、こういう交渉経緯がございます。

竹内委員 では、最後に、もうこれで終わりますが、同様に、我が国にのみAJCEP協定では最恵国待遇義務がかかることになっております。この理由や今後の展望についてお聞きして、終わりたいと思います。

山上政府参考人 お答えいたします。

 端的に申し上げれば、ASEAN側の姿勢がかたかったということが申し上げられるかと思います。

 ASEANは、各国とのサービス貿易に係る交渉におきまして、最恵国待遇を約束しないという方針で臨んできておりまして、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドといった国々との協定においても、一切、サービスの貿易につきましては最恵国待遇義務を負っていないということがございます。我が国との協定におきましても、当初からこの最恵国待遇義務を負うことについて強く反対しておりました。

 こうした状況の中で、交渉の結果、我が国としては、とるべきものは相当程度とれたのではないかという感触を得ました。具体的には、これまでのASEAN構成国との二国間のEPAや、それから、ASEANが中国等の第三国との協定で約束している水準を上回るサービスの貿易に係る自由化の約束をASEAN側から確保することができたと考えております。また、自然人の移動の分野でも、WTOのサービス貿易協定、二国間EPA又はTPPを上回る約束を確保できたということでございます。

 加えて、主要なASEAN構成国のほとんどにつきましては、既に二国間のEPAやTPPにおいて、我が国のサービス提供者に対して最恵国待遇を与える義務が確保されているということでございまして、以上を踏まえまして、総合的な観点から、このような結果を受け入れたということでございます。

 最後に、今後の展望ということでいえば、やはりサービス貿易の一層の自由化を図るという観点で、全ての国が最恵国待遇義務を負うべく協議していくことは重要であると考えておりまして、この改正議定書が発効した暁には、できるだけ早期にこの改正議定書の見直しを行うべく、ASEAN側に働きかけてまいりたいと考えております。

竹内委員 終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 岡田克也です。

 まず最初に、投資保護協定関連について若干御質問したいと思います。

 まず、日・UAEの投資協定ですけれども、ここで天然資源が協定の対象外ということになっております。UAEは、日本にとりましては主要な石油あるいは天然ガスの輸出国で、もちろん、近年いろいろな関係が深まっていることは承知をしておりますが、天然資源が除かれているということは、果たして、投資協定を締結することの意義が大きく失われてしまっているのではないか、そういう気もするわけであります。

 なぜ天然資源が除かれているのか、そして、そのことについて、投資を行う日本企業からの不安とか不満はなかったのか、事務方で結構ですから、御答弁いただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 アラブ首長国連邦の憲法上、天然資源は、アラブ首長国連邦を構成する各首長国の公共財とみなす旨規定されております。これを踏まえまして、連邦政府を締結主体とする本協定においては、交渉の結果として、天然資源はこの協定の対象とならないと規定するに至りました。

 一方、この規定は、天然資源に関連して行われる投資全てをこの協定の適用対象外とするものではございません。例えば、天然資源を加工、精製する工場などについては、この協定上の投資財産として保護を受けることになります。

 外務省として把握している範囲においては、日本企業からも、本件協定に対する特段の不満は上がっていないと承知をしております。

 先ほど委員御指摘ございました石油の件でございますけれども、我が国企業の自主開発油田に十分な保護を与えることについては、我が国は以前からアラブ首長国連邦政府に対して政府レベルで働きかけておりまして、アラブ首長国連邦首脳からも、十分配慮をするという確約を得ております。

 引き続き、アラブ首長国連邦との間では、さまざまな協議の場を通じて両国の意思疎通をより一層緊密にしながら、我が国投資家や企業への悪影響を及ぼすような大きな問題が生じないよう最大限努力していきたいと考えております。

岡田委員 次に、先ほど竹内委員の質疑の中にもありましたが、保護型と自由化型の話であります。

 UAE、ヨルダン、モロッコの投資協定、つまり五つの投資協定のうちの三つについては保護型であるということですが、まずお聞きしたいんですが、これは事務方で結構ですが、例えばドイツとかイギリスとか韓国、こういった国とUAEやヨルダンやモロッコとの投資協定も同じように保護型なのでしょうか、それとも例外はあるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のございましたドイツ、イギリス、韓国に関しましては、アラブ首長国連邦、ヨルダン及びモロッコがそれぞれ締結した投資協定について、いずれも保護型となっております。

岡田委員 それでは、今まで日本が締結した、あるいは今交渉中だと言われる九十四の国・地域での協定ですけれども、その中で、自由化型の割合というのはどの程度になっているんでしょうか。

茂木国務大臣 七十八の国・地域との間で発効済み、そして署名済みの投資関連協定の中で、自由化型の協定は、全体の四分の三、五十九カ国・地域をカバーしている、このように考えております。

岡田委員 自由化型四分の三にもかかわらず、今回、五つのうち三つが保護型だというのは、若干残念な気がいたします。

 先ほど大臣も、自由化型が望ましくて、現在の保護型のものも自由化型に変えていくことの必要性に言及されましたが、それぞれの国の事情はあるにしろ、そして、ほかの国も保護型だというお話もありましたが、日本こそが先頭を切って、より開放的な投資保護協定を締結していく、そういう必要があるというふうに思います。

 これからの見直しに当たって、そのことを柱の中心にするということについて、大臣のお考えを聞きたいと思います。

茂木国務大臣 基本的な認識はそのように考えております。

 ただ、岡田委員も御指摘のように、相手国の事情等もありまして、まず投資したものについて保護をする、こういったことも必要になってくる場合がありますから、それぞれの事情を考えながら、しかし基本は自由化型の方向に持っていくということで考えたいと思います。

岡田委員 それでは次に、新型コロナウイルス関連で若干質問したいというふうに思います。

 まず、前回、金曜日のこの委員会での質疑の中で、その当時の数字として、約四千名の帰国希望者があって、そのうち千名は出国手段が決まっていないというふうに答弁がありました。

 この約千名の金曜日の段階で出国手段が決まっていなかった人たちについて、外務省としていつまでに帰国させることができるというふうに考えているのか、そのめどを、これは事務方で結構ですから、御答弁ください。

茂木国務大臣 かなり数字は今変わってきております。

 まず、各国の在外公館、出国を希望してもできない邦人の方々の出国に向けて、毎日、現地政府であったりとか航空会社への働きかけ、調整、チャーター機の他国との共同の利用、例えばアフリカなんか在留邦人が少ない、そうすると、例えばフランスに帰る人と一緒に帰ってくる、こういうケースもあったりもいたします。さらには、現地日本人会、商工会との協力であったりとか帰国希望者の取りまとめ、これもその日によって帰りたいとおっしゃったり、もうちょっととどまろうかと、そういう状況も変わってきたりもいたします。さらには、空港への移動について制限がある、こういった支援等々、さまざまな支援を行ってきております。

 その結果、これまで、ペルー、ポーランド、ウズベキスタン、バングラデシュ、フィジー、ラオス、インドなどの国々から、かなり出国が困難な国々から、合計で四千六百名の邦人が出国又は帰国をしております。

 まだ残っておりまして、出国を希望している、帰国を希望しているのに邦人が帰国できていない、国でいいますと、昨日時点で六十カ国以上あるという状況であります。

 そこの中で、邦人が直面している状況、今申し上げたように違っておりますが、また日々変化をしておりますが、暫定的に申し上げますと、昨日時点で三千三百名、帰国を希望する方がまだ海外にいらっしゃる。

 このうち、臨時商用便であったりとか民間チャーター便の運航に対する在外公館の支援によって出国日が確定している邦人、これが大体二千名、移動手段は確保したんだけれども具体的な出国日が調整中の邦人、これが約九百名、もともと千名と申し上げていた出国手段等について検討を進めている邦人、これが四百名ということでありまして、この四百名の方も含めて、できるだけ早く希望する方が出国できるように、これは毎日状況をアップデートしております。私を中心に、領事局、そしてまた各地域局、そして関係する在外公館、一体になって取り組んで、早期の帰国、これを実現していきたいと思っております。

岡田委員 今の御説明だと、現時点で帰国を希望しながらまだ具体的なめどが立っていない人は四百名ということですが、実は、まだこれは更にふえていく可能性があると思うんですね。今は帰国するつもりはないとか、迷っているけれども状況の進展に応じてやはり帰国したいという人が今後新たに出てくる可能性は当然あるというふうに思います。

 特に、医療体制が十分でない、例えばアフリカとか南アメリカとかアジアの一部とか、そういう国々で感染者がどんどんふえてきて医療体制が崩壊するという中で、命の危険を感じて、やはり出国せざるを得ないというふうに思う人がふえてくるんじゃないかというふうに思うんですね。そういう邦人の保護というのは外務省の最も重要な役割の一つだというふうに思います。

 大臣も、先ほど御説明にあったように、恐らく省を挙げて世界じゅうから、どこにどういう人がいるのかということを大使館、領事館などを通じて把握をして、個別にどうすべきかということを検討されているんだというふうに思いますけれども、非常に重要な案件だけに、外務省の責任は重大だというふうに思っています。

 この問題、これからも新たな出国希望者が更にふえていく可能性が高いという中で、そして、その国の状況が悪化をする、そういう可能性が高いという中で、外務大臣の決意をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 そういう懸念、これを持ちながらこれまでも対応してまいりまして、例えば、アフリカは医療提供体制が脆弱な国が多いわけでありまして、三月三十一日には広域情報を発出いたしまして、至急の帰国をできるだけ検討してほしい、こういった情報を出し、さらには、それぞれの在外公館に、在留している日本人について、また旅行者について帰国の希望をとるということをやっておりまして、今の段階で申し上げますと、日々、若干ふえる人がいたり、また、もうちょっととどまってもいいんじゃないかな、こういう人がいたりという状況の中で推移をしておりますけれども。

 そういう、特に途上国において感染拡大したときにはどうするかということを念頭に置きながら今やっておりまして、例えば、そういった中でカタール航空の航空便が飛んでいるというのは非常に大きいんです。また、エチオピア航空も来週は飛ぶ形になると思います。二便出すと思いますけれども、こういった便をきちんと確保していったりとか、何カ国か回りながら何人かずつ拾っていくというオペレーションであったりとか、さまざまなことを検討し、具体化していきたいと思っております。

岡田委員 実は、出国を決意するかどうかということに当たって、日本国内の受入れ体制というのも非常に重要だと思うんですね。これは外務省の役割ではないということかもしれませんが、内閣一体でこれはやっている話なので、外務大臣にお聞きしたいと思うんです。

 今、日本国内では、海外からの帰国者はPCR検査を行う、そして、陰性が明らかになった人については公共交通機関を利用せずに帰宅してもらう、こういうルールになっているというふうに理解しております。

 先般の緊急経済対策の中でも、「隔離が必要な帰国者等の受入れ体制について、」ここには陰性ということが明らかになった人も含まれるんだと思いますが、「について、公共交通機関に代わる移動手段の確保を含め、関係省庁の連携により、十分に確保する。」移動手段を確保する、こういう記述もございます。

 今、どうなっているんでしょうか。帰っても、自分で、自力で帰れと、空港なり、あるいは一泊、検査のためにはするのかもしれませんが、そこから自力で帰れと言われても、具体的に会社や家族が迎えに来てくれるわけではない、あるいは、羽田や関空におり立ったけれども、実家は北海道や九州にある、そういう人に自力で帰りなさいと言うのは、そういうルールを無視して、公共交通機関を利用して帰ることを内々是認しているか、あるいは帰ってくるなと言うに等しい話だと私は思います。

 きちんと、各省庁の連携によって移動手段を確保するというふうに緊急経済対策に書かれたわけですが、今、本当にそういうことができているのかどうか。海外からの帰国者は、かなりラッシュ的にどんどん戻ってきていると思いますが、そういう人たちはどうやって自力で帰っているのか。私は非常に懸念するわけですが、そういったことについて、大臣、閣僚としての判断、それからどうすべきかということについてお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 海外からの邦人の帰国者、この後どう推移していくかわかりませんけれども、若干ラッシュは過ぎたかな、こんなふうに思っております。移動制限、これが四月の三日から発令をされるということで、その前に、第一波といいますか、かなりな数で帰ってきている。更に申し上げると、外国の方で日本に訪れる方は、先ほど申し上げたように、もう百人を切る、こういうレベルになっているわけであります。

 そういった中で、御指摘の、PCR検査で陰性だった帰国者について、十四日間の待機であったりとか公共交通機関の不使用の要請対象となっているわけでありまして、確かに、公共交通機関を使わずにどうやって帰るのか。企業の方だったら、今、企業の方で独自に車を手配したりとかありますけれども、なかなかそういうことができない方もいらっしゃる。こういった方については、空港近隣での宿泊施設等への移動の支援など、またその紹介等を検疫所が中心になってやっていると承知をしておりますが、更に関係省庁で協力をしながらそういった取組を進めていきたいと思っております。

 これも私は重要だと思っております。同時に、在外にいらっしゃる方にとってより大きなハードルというのは、何しろ、まず現地で空港までたどり着けるか、現地で飛行機に乗れるか、こういう問題の方が大きいと思っておりまして、それは我々の仕事だという思いで、先ほど申し上げたような形で全力で今取組をしているところであります。

岡田委員 もちろん、外務省の本来業務は大臣おっしゃるとおりなんですが、ピークは過ぎたとおっしゃるけれども、まだ三千三百人が帰国を希望しているわけですね。そういう人たちについて、例えば、今、二週間のホテルを手配するということも言われましたが、これは国が持つんですか。恐らくこれは自己負担じゃないですか。それから、先ほど言いましたように、どうやって自力で北海道や九州まで帰るんですか。

 ここのところの答えがないままに、こういう、自力で帰ってくださいと言っているのは、私は、国として非常に無責任、それから感染の可能性もそれだけ広がるということなので、内閣としてしっかりと、手当てするというふうに書かれたわけでもありますので、自力で帰るということではなくて、帰る手段を国として責任を持って手当てをしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 基本は厚生労働省の所管になってくる部分が大きいわけでありますが、御意見はしっかり受けとめさせていただきたいと思います。

岡田委員 それから、今回のこの新型インフルエンザの問題で、日本としてどうすべきか。

 予備費を使った対策は、ほぼ百億円、これは国際機関への出資などで、例えばWHOとかユニセフとか、そういったところへの出資、拠出がなされたというふうに理解をしておりますが、今度の補正予算について、九百億円ぐらい対策費として計上されているというふうに理解をしておりますけれども、国際機関への資金拠出も大事ですけれども、やはりそれ以外の、大臣も先ほど言われた無償とか技術協力とか、そういうものが必要だというふうに思っております。

 例えば、日本にとって重要なインドネシアとかベトナムとか、あるいはインドとか、そういった国に対して無償とか技術協力で具体的にどういうことをやろうとしているのか、これは事務方で結構ですから、御答弁いただきたいと思います。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国としては、国際社会の先頭に立って、医療体制、保健システムが脆弱な国々を支援する所存でございます。

 御指摘のとおり、先月十日には、ASEAN諸国やインド等を含む途上国に対して、医療、保健従事者への技術協力や衛生施設、病院、検疫施設に対する物資供与等の緊急支援を行うべく、ユニセフ等関係の国際機関への拠出として計百五十・一億円を計上したところでございます。

 これに加えて、四月七日に閣議決定されました緊急経済対策に掲げましたとおり、御指摘のようなASEAN諸国あるいはインドなど医療体制が脆弱な途上国における新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、二国間の無償資金協力やJICAによる技術協力を通じ、各国の多様なニーズを踏まえつつ、医療機材の供与あるいは検査等に関する人材育成、キャパビル等を実施していく、そのような考えでございます。

 また、世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大する中、医療、保健、衛生分野に対する世界的な関心、需要の高まりを受け、これらの分野における我が国企業の製品、インフラ、技術を活用した無償資金協力、技術協力等、二国間協力についてもしっかり行っていくという考えでございます。

岡田委員 例えば医療機材とか、あるいは薬とかということですが、世界的に新型コロナウイルスに関連して必要なものは逼迫していて、日本自身も入手することが容易でないものもある。そういう中で、これは本当にできるんですか。何か絵に描いた餅であるかのように思いますが、もう少し具体的にお話しいただけますか。

鈴木(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 無償資金協力を通じたさまざまな二国間支援については、途上国への医療用機材の提供に当たり、相手国のニーズ、そして、日本国内の需給あるいは世界的な需給の状況等を踏まえながら、対象となる機材、これはできるものを適切に選別していく、そういったことでございますし、また、国民生活に影響のない範囲でそういう支援を行っていくということを考えております。

 また、国際機関を通じた支援の具体的内容については、国際機関が専門的な知識を活用しながら、途上国のニーズを踏まえて適切な医療機材を実施するに加えて、また、大変重要なところは、そういったものを使う医療あるいは保健の従事者、これに対するトレーニング、キャパシティービルディングを行っていく、これが大変重要なことだと思っておりまして、そういったこともしっかりやっていく、そのように考えております。

岡田委員 今、まさに現場は火の車の状態であるときに、トレーニングといって、誰がどうやってトレーニングするのかというのも余りぴんとこないんですね。

 大臣、やはりここは、先頭に立ってとか、言葉はいいんですけれども、具体的に日本外交として非常に重要な場面じゃないかと。

 今までアジアにいろいろなことがあったときに、例えば金融危機のときに、日本の存在、果たした役割というのは非常に大きかった。そのことはASEANの国々もよく覚えている。それに比べると、今回、自国が大変な状況にあるだけに難しい面があることはわかりますが、やはり発信も含めて、しっかり日本外交の存在感というものを示していかないと、これは終わった後、またアジアにおける日本の立ち位置というのが変わってきてしまう可能性もあるというふうに思いますが、大臣の決意をお伺いしておきたいと思います。

茂木国務大臣 アジア通貨危機、たしか一九九七年の七月、タイから起こったと。為替の下落等々ありまして、東南アジアを中心にしながら、アジア各国に影響が及んだ。

 当初、日本の方が影響が少ないという中で、流動性支援であったりとかODAを活用した支援、これは日本が大きな役割を果たした、これは間違いないと思っております。

 恐らく今回の新型コロナウイルス感染症への対応ということでは、まさにこれからが本番になってくるのではないかなと考えておりまして、各国が自分の国での拡大の防止を図る、こういうフェーズから、それもやりながら、国際的な、特に医療提供体制が脆弱な途上国に対する支援を行っていくという形でありまして、恐らく補正予算、これから最終的に確定をすることになると思うんですが、二国間のものと国際機関のものを比べると、恐らく二国間のものを若干多くしたい、こんなふうに今考えております。

 そういった中で、やはり、すぐにきくものがいいんだと思っているんです、基本は。出せるもので、向こうが欲しがっている中で。それは、日本で今足りないものもありますけれども、いろいろなものについて今増産体制に、人工呼吸器なんかは入っております。今まで一旦生産をとめていた会社もまた生産を復活する、こういうのもありますので、現地のニーズであって、また、こちらがどこまで供給できるか、そういったことを適切に判断しながらやっていきたいと思います。

 また、アビガン、物すごい、やはり、私も電話会談とかやっていますけれども、みんな要求されますよ、日本のアビガンが欲しい。ということで、恐らく五十カ国ぐらいに、共同での治験、このためのアビガンを提供する、こういったこと。もちろん、副作用はありますから、どういう副作用があって、使うに当たってはどうしてください、こういったこと、免責条項、こういったことも合意をした上ででありますが、そういった提供も含めて、日本としてやれる協力、しっかり進めていきたいと思っております。

岡田委員 治験のためのアビガンの供与というのはわかりますけれども、やはり安全性ということも当然重要で、過去のいろいろな例を見ても、こういった、いわばパンデミックが起きたときの対応で誤った対応がなされたこともありますから、そこは一方慎重に、しっかり副作用などを見きわめる、そういうことも要望しておきたいというふうに思います。

 さて、核軍縮の話を少ししたいと思うんですが、大臣、まず、日本もアメリカの拡大抑止に依存している国の一つでありますけれども、核兵器保有国の拡大抑止に依存することと核軍縮を唱えることと、この二つは私は両立可能である、一部に、拡大抑止に依存しているから核軍縮が言えないというような議論もありますが、私はそうではないというふうに考えていますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 基本的に岡田委員と同じ認識でありまして、現実的な必要性としての核抑止力と今後の方向性としての核軍縮、これは矛盾するものではないと考えております。

 現在、国際社会には、核戦力を含みます大規模な軍事力というものが存在し、さらには大量破壊兵器の運搬手段であります弾道ミサイルが移転、拡散をしております。そのような現実、厳しい安全保障環境において、自国の安全保障のための抑止力、また拡大抑止、こういったものは、私は、善悪ではなくて、必要なものなんだと思います。

 一方で、軍備や兵器の過度な増大というのは、不信感であったりとか脅威意識を高めて、国際関係を不安定にして、武力衝突そして武力紛争、またそのエスカレーションを引き起こすことになりかねないわけでありまして、特に核兵器の場合は、その破壊力の大きさ、またその拡散リスクの観点からも、軍備管理を進めることが重要な課題だと思っているところであります。

 我が国について申し上げますと、我が国の周辺には、国の具体名を挙げなくても御案内のとおり、質、量ともにすぐれた軍事力を有する国々が集中をする、軍事力のさらなる強化、軍事活動の活発化の傾向が顕著になっているわけでありまして、核兵器のない世界の実現に至る道のりにおいて、現実に核兵器などの我が国に対する安全保障上の脅威が存在する以上、日米安全保障体制のもと、抑止力を含みます米国の拡大抑止は不可欠なものだと考えております。

 同時に、軍備や兵器の過度の増大、これが不信感を高め、そういった不信感から核軍縮が進まない、こういう現状にあるわけでありますから、核軍縮を進めるに当たっては、残念ながら、一歩一歩、急に全てが解決するのではなくて、一歩一歩、信頼醸成を積み重ねて不信感を取り除きながら、段階的アプローチで核軍縮を地道に前に進めていく、これが求められるんだと思っております。そういった取組を着実に進めていくことによりまして、究極的には核廃絶につなげていきたい。

 こういった形で、冒頭申し上げたような、現実の対応としての核抑止力、現実の必要としての核抑止力と今後の方向性としての核軍縮、これは矛盾するものではないと考えております。

岡田委員 ちょっと具体的に聞きたいと思います。

 今、米ロ二大国の核弾頭数、それぞれ六千発以上あるというふうに言われております。もちろんそのほかにも、フランス、イギリスあるいは中国、その他の国々がありますが、米ロで全体の九割近くを占めるというふうに言われております。この米ロの核弾頭数をバランスをとりながら減らしていくということは、日本の安全保障上、問題になるのかならないのか。

 バランスがとれない減らし方をすれば、それは脅威は増すかもしれませんが、バランスをとってこの六千発以上という非常にばかげた、人類を何度でも絶滅できるような、そういう規模を縮小していくということは、日本の安全保障にとって決して問題にはならない、バランスがとれていれば、というふうに私は考えておりますが、ここの点について大臣の御見解を聞きたいと思います。

茂木国務大臣 まず、バランスのとれない削減、これに米ロ双方とも合意するということはないんだと私は思います。基本的には、双方が納得する形でない限り、こういった削減というのは進まないわけでありますから、当然バランスがとれた形で削減というのは進める。

 そして、それを進める上で、先ほども申し上げましたが、相互の不信感であったりとか脅威意識、これを十分に抑制できるような形の、信頼できる削減のスキームとか対話の継続、こういったものが極めて重要だと考えております。

岡田委員 バランスをとって減らしていくことについて、大臣、私の認識と同じだというふうに理解しましたが、最近、一部のというか、大部分と言ってもいいかもしれません、非核国と、それから米ロを中心とする核保有国との対立が激化しているという現状があります。

 私は、その最大の理由は、やはりNPT条約に定めた、核保有国が誠実に核軍縮交渉を行う義務、第六条ですね、これが果たされていないということが最大の原因ではないかというふうに思っております。

 そもそもNPT条約というのは極めて不公平な条約で、当時核を持っていた五つの国に対しては核保有を認めながら、ほかの国は未来含めて核を持つことは許さない。その不公平感をつなぐブリッジのような役割が六条で、いや、核保有国は核軍縮を目指していきますよと。そういう意味で六条というのは非常に大事だというふうに思うんですが、最近、そういった核保有国、これは米ロだけではなくて中国などもそうなんですが、核軍縮が前に進んでいないということが非核国との対立を生んでいる最も大きな理由ではないか、そういうふうに私は思っておりますが、外務大臣は同じ認識でしょうか。

茂木国務大臣 まず、不信感ということで申し上げますと、今NPTで定めた核保有国五カ国の間にも不信感があります。そして、核保有国とそうでない国の間にも不信感がある。さらには、核兵器を持っていないとされる国の間、若しくは五カ国と認められていない、五カ国に定められていない国の間でも不信感がある。さまざまな立場の違いであったりとか核軍縮を進める上でのアプローチの違い、こういったものはあるのではないかなと考えているところであります。

 そこで、御指摘いただきましたNPTでありますが、恐らく、NPTで定めた核兵器国五カ国とその他の国々を完全に分けて、担うべき義務のバランスということでいいますと、岡田委員おっしゃったとおりなんだと思いますが、その上で、もう少し厳密に申し上げますと、NPTにおきましては、米国、ロシア、英国、フランス及び中国の五カ国を核兵器国と定めた上で、これら五カ国を含みます締約国全てに核軍縮誠実交渉義務、これが課されている。ただ、たくさん持っているかどうかによって、その義務の負担というのは当然変わってくるものだと思います。

 同時に、NPT、これは、非核兵器国への核兵器の拡散防止、そして全ての締約国によります原子力の平和利用、これについて規定をしているわけでありまして、このように、NPTにつきましては、核兵器国及び締約国の核軍縮、そして核不拡散、原子力の平和利用、これを三本柱として、全体としてこのような構成になっている、私はそう理解しております。

岡田委員 大臣のおっしゃるとおりですけれども、このNPTの最大の重要な点は、やはり世界の核の九割を保有するロシアと米国の軍縮ということだと思います。それが、逆に今、軍拡に行きかねないような状況。

 もちろん、そのほかにも、中国が核能力をふやしていることとか、五カ国に含まれない、特に中東におけるイスラエルの存在とか、あるいは、だんだん五カ国以外の核保有国がふえてしまっていることとか、いろいろな問題はありますが、一番根本の問題は、圧倒的な核を持つロシアと米国がその軍縮の流れから今逆流しているということに私はあるというふうに思います。それが本質じゃないかというふうに私は思っていますが、いかがですか。

茂木国務大臣 大きな原因であるのは間違いないと思っておりますが、ただ、プレーヤーといいますか、中国の存在が大きくなってきている、米ロだけで進めても、同じようなことがほかの国で起こったら全く実効性を持たないんじゃないかな、米国内にはそういった考えもあるんだと思います。

岡田委員 トランプ政権になって、INF条約が米国政府の通告によって失効した。それから、その上で、新たな中距離核の開発が進められようとしている。それから、現状のままですと、新START条約も延長されないまま失効する可能性が私は高いというふうに思っています。そうなれば、戦略核レベルでも軍拡競争が始まる。つまり、核軍縮の今大きな瀬戸際の段階、これをやはり何とかしなければいけない。

 私は、もちろんロシア側も、INFの協定違反、米国が指摘するような違反もあったりして、非常に問題があると思いますが、やはり主体的に一番動いているのはアメリカであって、そこに対してどう歯どめをかけるか。これは同盟国としても非常に重要なところじゃないかというふうに思います。

 大臣、お聞きしますけれども、このアメリカの動きについて、日米外相会談あるいは首脳会談で議論したことはありますか。

茂木国務大臣 日米外相会談、ポンペオ国務長官の間ではさまざまな、これは外交、安全保障にかかわる問題について議論しております。

岡田委員 さまざまな議論をしているのはいいんですけれども、核についても恐らくいろいろな議論をしているはずだと私は思っていますが、少なくとも、このNPT体制をこれから維持していくために、米国の今の活動、もちろん大統領が主導してやっている感もありますから、なかなか難しい部分もありますが、しかし、日本として、そういう方向性について疑義を呈するというか、方向を修正するというような、そういう議論を国務長官との間でされたことはありますか。

茂木国務大臣 まず、NPTに関しましては、ことしに入ってからも、五つの核兵器国、二月に会合を開催して、NPTへのコミットメントを表明して、また三月にも、NPTの発効五十周年になったわけでありますけれども、それに際して外相共同声明を発出して、NPTへのコミットメントを再確認したところでありまして、そういったコミットメントをどう具体化させていくかというところが各国の力なんだろう、そんなふうに思っております。

 そして、INF全廃条約、これは軍備管理、軍縮において歴史的な役割を果たしてきておりまして、同条約が終了せざるを得なくなった状況については望ましくないと考えておりますが、同条約が終了に至ります米国の問題意識、これは私なりに理解をいたしております。

 米国が主張するところのロシアによります深刻な条約違反が継続したことに加えまして、INF全廃条約で米ロに廃止が義務づけられていたミサイルをそれ以外の国々が開発、実戦配備している状況が出てきている現実を踏まえた対応というのがやはり必要になってくるんだろうと思います。

 アメリカも、米ロを超えたより広範な国家、より広範な兵器システムも含みます幅広い軍備管理の重要性、指摘をしていると承知をいたしております。

 我が国として、本件、東アジアの安全保障にも直結することから、もちろん高い関心を持っておりますし、望ましい安全保障環境を確保し、米国と連携しつつ、アジア地域における透明性の向上の観点も含め、しっかり今議論していくことが重要であると考えております。

岡田委員 米国政府がINF離脱を通告したのは二〇一九年二月一日。二月五日に当時の河野外務大臣は、私はこの離脱通告についてちょっと待ってくれということを本来日本として言うべきだったと思いますが、そういう発言は余りなく、河野大臣が言われたのは、日本としてはINFのマルチ化を積極的に働きかけていきたい、こういう記者会見での答弁だったわけですね。

 大臣おっしゃるように、例えば日本の周りを見ても、中国とか、中距離核を持つ国も出てくる中で、あるいは北朝鮮もあります、マルチ化ということはわかりますけれども、では、INFを失効させてしまって、どうやってマルチ化の絵を描くのか。

 具体的な考え方、アイデアがあった上で言っているならいいですよ。そうじゃなくて、単にINFを失効させてしまった。これは、私は、日本外交としては大きなミスだったんじゃないか、あるいはそういうことも言えないような日米同盟なのかというふうに思いますが、いかがですか。

茂木国務大臣 先ほども私申し上げたように、INF全廃条約、これは軍備管理、軍縮において歴史的な役割を果たしてきたことから、同条約が終了せざるを得なくなった状況は望ましくない、このように答弁をさせていただいた、このように思っております。

 同時に、東アジアの安全保障環境、これが急激に変化をする中で、やはりこれは米ロだけでいいのかという議論は私はあるんだと思います。より広範な国家、そして、より広範な兵器システムを含んだ軍備管理、これが必要なのではないかな。決して簡単ではありません。私もそう思います。

 ただ、簡単でない、展望が今ないから、それでは、なくていいんだということではなくて、この問題が直面する課題なんだから、それに対してどう展望を開いていくかということを関係国が膝を交えて話し合う、こういった努力が必要なんだと思っております。

岡田委員 簡単ではないからこそ、一番の基本であるINFを失効させずに、これはこれで、ロシアのいろいろな協定破りについてしっかりと是正していくとともに、そのINFがあることを前提のマルチ化だと私は思うんですね。根っこがなくなってしまって、白紙で中国なども含めてやっていくといったって、具体的アイデアとか展望は現時点で何もないと思うんですよ。

 そういう意味で、私は、INF条約について、もっと日本としてしっかりとその持続について努力すべきではなかったのかということを申し上げて、きょうのところはこれで終わりたいと思います。

松本委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立国社、立憲民主党の森山浩行でございます。

 私の方からも、まずは新型コロナウイルスの対策について、法案の前にお聞きをしたいと思います。

 四月七日、七都府県に対する緊急事態宣言、発令をされました。国内の問題でありますけれども、これは外務省の仕事という部分についても影響があるかと思います。緊急事態発令以降の外務省の動きについてお知らせください。

茂木国務大臣 先ほど申し上げましたが、新型コロナウイルス感染症、現在、百八十四の国・地域で百五十三万人の感染が確認をされておりまして、そのスピードも加速するなど、世界的な広がりを見せているところであります。そのような中で、海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは外務省にとって最も重要な責務でありまして、その重要性は高まっていると考えております。

 これまでの取組を含めて、できるだけかいつまんでお話をしたいと思うんですが、まず、情報発信、感染症危険情報の発信については、三月三十一日に、四十九カ国・地域の感染症危険情報レベルを新たにレベル3、渡航中止勧告に引き上げて、この結果、合計七十三の国・地域がレベル3となりました。また、それ以外の全世界の危険情報レベルもレベル2、不要不急の渡航自粛勧告に引き上げたところであります。

 水際対策の強化につきましても、関係省庁と連携して進めておりまして、外務省としては、感染症危険情報レベル2に指定した国、地域で発給された査証の効力を停止をするとともに、これらの国に対する査証免除措置、この停止も順次行っているところであります。

 さらには、在外公館の支援によって実現した臨時商用便であったりとかチャーター便によって邦人の出国、帰国が実現をしておりまして、現在、出国が困難な国から四千六百名の邦人の方が出国、帰国しているという状況でありまして、この状況につきましては、私を中心に、領事局、各地域局、さらには関係する在外公館、一体となって、日々状況をアップデートして、きめ細かく対応の検討を行っているところであります。

 また、もう一点、情報発信ということで申し上げますと、今般の緊急事態宣言、この内容について、また、我が国の今の状況であったりとか、どんな取組をしているか、これを国際社会に対しても発信をしてきておりますし、更に丁寧な発信に努めたいと思っております。

 また、国際協力ということで申し上げますと、我が国が国際社会の先頭に立って、医療体制、保健システムが脆弱な国々の支援を行うために、今回の緊急経済対策におきまして、ユニセフ、更に途上国へのワクチン、予防接種支援に取り組みますGAVIなどに対して、国際機関への拠出と同時に、二国間の無償資金協力によります医療機材の提供であったり、JICAによります技術協力等を通じて支援をしているところであります。

 最後に、こういった邦人の保護、また帰国支援、さまざまな業務を行っていくためには外務省の機能が停止してはいけませんので、外務省内の感染の防止ということも進めていかなきゃならないということで、今、九六%の課で既にテレワーク、そしてまた、ツーシフト制、半分の人が出てきたら半分の人はテレワークにする。こういった形で、全体の機能が停止することがないような体制をとっているところであります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 その中で、九六%でテレワークというお話をいただきました。外務省の本省につきましてはそれでやっていくということなんでしょうけれども、例えば在外公館あるいは関係のJICA、海外青年協力隊などは随分と医療体制のないようなところにも行っておられますけれども、こういうところに対してはどのような方針でおられますか。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 今御質問ありました在外公館につきましても、大臣の指示のもと、テレワーク、二交代制の実施等、かなり、領事サービスというものについて、我々の最大の責務の一つでありますから、それを維持しつつ、感染の防止のためにそういう体制をつくるということで、シフトさせていただいているところでございます。

 JICAあるいは青年海外協力隊については、JICA自身で帰国のためのいろいろな策をとっているということを承知しております。青年海外協力隊についても、基本的には全員帰すということで措置をとっているということを承知しております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 済みません。在外公館につきましては、帰国を一部されるとか、そういう形にはなっていない。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 在外公館につきましては、館員の家族等で一部帰っている例はございますけれども、本格的な縮小ということで本省に戻しているというような状況には至っておりません。

森山(浩)委員 ぜひ、感染拡大がないようにお願いをしたいというふうに思います。

 さて、海外の在留邦人の保護問題で、先ほど岡田委員の方からもありましたが、再三、衆参の委員会でも議論になっております海外在留邦人の三千三百人程度、現在、帰国希望、いらっしゃるということでありますけれども、三月二十二日の毎日新聞の記事では、邦人退避が必要となった場合を想定し、在外公館員を中心に、各十から二十人程度の地域別緊急対応チームを編成するというようなことを検討されるとなっていますけれども、その後、どのような体制になっておりますでしょうか。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 現在、在外公館において、新型コロナウイルスに関する邦人保護を最優先の課題として取り組んでおり、在留邦人に対して、適切な情報提供、安否確認、退避の支援等、可能な限りの支援を行っております。

 一方、在外公館から遠く離れた場所や孤立した場所などにおいて邦人保護事案が発生し、既存の在外公館のみでは対応が難しいケースも考えられます。そのような場合に、領事業務や現地の言語の専門家、医務官等によって構成され、機動性を持ったユニットを速やかに派遣するためのリソースを確保しておく必要があると認識しており、現在、具体的な検討を進めているところでございます。

茂木国務大臣 多分、イメージを湧かせるために、一月の末から二月にかけて実施しました武漢のオペレーション、帰国オペレーションを見ていただきますと、北京の大使館の方から十名の人間が入って、そこの中には医務官もいますし、中国語の専門家もいますし、その人たちが中国政府との交渉に当たったりとか、移動手段の確保等々でも相当頑張った。武漢には領事館がないために北京の方から行ったわけでありますけれども、そういったチームを基本的には本省の方につくって、必要が出たところに送り込む。当然、人もそうでありますけれども、それに必要な機材であったりとか、いろいろな備品も出てくると思います。そういったものを含めたチーム、ユニット、こういったものをつくっていきたいと思っています。

森山(浩)委員 現在のところ、どこかに派遣したというのは武漢以降はないということでよろしいですか。

茂木国務大臣 それで結構です。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 さて、先ほどカタール航空のお話もありました。六日、茂木大臣が、ムハンマド副首相と電話会談をされて、そして直行便の継続について確定をしていただいたということなんですけれども、これは、ほかの部分についてもそのような交渉はなさっていますか。

茂木国務大臣 今、航空便ということでいいますと、例えばインドからの帰国、これはJAL便、ANA便を使って二千名を超える邦人の方が帰国をしたわけであります。

 あと、それぞれの地域によって違っておりまして、恐らく、中南米でいいますと、メキシコが起点になってくる部分は出てくるんじゃないかな。また、中東、ヨーロッパ地域でいいますと、一つは、カタール航空、これが毎日飛んでいるというのは非常に心強いことであります。あと、アフリカにおきましては、エジプト航空、今週は欠航になっておりますけれども、来週は二便飛ぶ、そのように聞いておりまして、こういった必要最低限の人の移動手段を確保していく、このことは重要であるということは、先日のG7の外相テレビ会議でも私の方からお話をさせていただいて、皆さんから支持を得たところでありまして、どう確保していくか。

 また、チャーター便を使うときも工夫も必要でありまして、先日のポーランドの場合は、ポーランドの方がチャーター便を出したい、それで日本にいるポーランド人を帰国させたいというお話があったので、それだったら、まず、行き、空で来るのより日本人を乗せてほしいということで、帰国を希望する日本人に急遽乗ってもらう、こういう形をとったり、さまざまな工夫をこれからもやっていきたいと思っています。

森山(浩)委員 そうですね。ばんばん飛行機を飛ばすというわけにはいかないとは思うのですが、アメリカは、三月の時点でチャーター機それから軍用機も含めて派遣をし、一万三千人以上の帰国希望者を支援するというようなことでスタートされています。我が国でも、政府専用機、あるいは、海外航路がストップしておりますので、ANA、JALを始めとして航空会社の海外便の飛行機、機体あるいはパイロットや飛行機の運航をする関係者の皆さんの体もあいているというような部分もあるかと思います。

 一個の場所に商用便で飛べるというようなところであれば、それを利用させていただくというのがいいと思うのですが、例えばアメリカでも、国内で、その飛行場まで行くのが大変だ、あるいは、国内で飛行機を飛ばさないと行けないような位置にいるというような方がいるというお話も聞きました。

 国を越えるともっとだと思います。アフリカ、あるいは中東、若しくは南米というような形で、ここ、ここというような形で都市を指定し、順番に皆さんを回収しながらというか、帰国希望者を回収しながら帰ってくるというような形で、あと、商用便でカバーし切れない部分、ここについて、専用機あるいはチャーター便を飛ばしていくなどというようなことも工夫をしていただきたいというふうに思うんですが、これはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、さまざまな臨時便というものは最大限活用したい、そんなふうに思っております。

 アフリカなんかの場合、邦人の方もいらっしゃいますけれども、特にフランス人の方が多くて、パリに帰る、こういうチャーター便があるときにその空き席を使わせてもらう、活用する、こういったことも考えられるのではないかなと思っております。

 さらには、例えば、セネガルのダカールからコートジボワールのアビジャンに入って、そしてまたエチオピアのアディスアベバ経由で日本に帰ってくる、こういう、幾つかの地域で十人単位の人をピックアップしながらそういったチャーター便を埋めていくということは、今後進めていかなきゃならない。相当なシミュレーションは、それぞれの地域でそういった形で行っております。

 また、若干陸路で移動できるところがあったりとかします、国内の中でも。アルジェリアも空港が二つありますけれども、今、日本人がいる拠点が三つありまして、その空港二つにこの拠点三つから、どう、どこに移動させるか、こういう検討もやっているところであります。

 そういった中で、今後のことについてはまた必要があれば検討したいと思いますが、今時点で、政府がチャーター機を仕立てないとすぐに帰国できない状況ではなくて、現地の日本人会であったりとか商工会が中心になって、外務省も支援するような形でのチャーター機であったりとか、旅行会社がつくったチャーター機、こういったもので、帰国の手段はかなりの部分は確保できているのは事実であります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ぜひ工夫をいただきたいというふうに思いますし、また、国内では航空会社に、マスクをつくってください、あるいは防護服をつくってくださいというようなお願いをしているような話も出てきています。本来のお仕事の方でぜひやっていただきたいという部分については、お願いをするというようなこともぜひやっていただきたいなというふうに思います。

 さらに、海外の方だけではなくて、在日大使館、日本にある各国の大使館の方で感染者が出た場合、日本人の勤務者の保護についてお伺いをしたいと思います。日本人の勤務者、どのような形になるのでしょうか。

海部政府参考人 お答えいたします。

 外務省は、在日の各国大使館など、総領事館も含めて、に対しまして、日本人現地職員を含め、関係者の感染が確認された場合の外務省への通報を要請しております。

 多くの大使館は、既に、レセプションや文化イベントなど各種行事の実施を見合わせたり、閉館時間を短縮したり、テレワークを導入したり、窓口業務を一部ないし全部停止したり、あるいは一時的に館そのものを閉館してしまうというような諸々の対策を講じているというふうに承知をしております。

森山(浩)委員 邦人保護という部分でいいますと、この在日大使館、在日公館の中というのも非常に大事な部分かなというふうに思っています。

 東日本の大震災のときに、私は大阪におりますので、放射能が怖いということで関西に避難をされている大使館が当時ありました。では、その間どうしているんですかとお聞きをすると、いやいや、現地の日本人スタッフが対応しているから大丈夫なんだというような形で、日本人スタッフは東京に置いている、ただ大使たちは関西に逃げているというような状況があったりもいたしました。

 だから、日本人の方に危険な業務を押しつけられるというようなことが起きないように、これはしっかり情報交換をしていただきたいというふうに思います。

 さらに、東京オリンピックについてでございます。

 先日の委員会の中では、まだ予定どおりやるんだというような状況でありましたけれども、来年の七月の二十三日に延期というような形で発表をされています。

 これは、そのときに決め打ちをやって大丈夫なのかというような声が各所から寄せられておりまして、一年後の七月というのが、一つは、このコロナがしっかりおさまっているのかというようなことで、本来、おさまってからやるというような発信、あるいはおさまるように頑張るというような発信であれば、そうだね、一緒に頑張ろうというような話になるのかと思いますが、七月二十三日、おさまっているだろうからやるというような発信になってしまっているというふうにもとられる向きもありますけれども、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。

茂木国務大臣 これは大半の部分、組織委員会であったりとか東京都にお答えいただいた方がいいんじゃないかなと思う部分があるんですが、アスリートファーストということで考えると、ことしの夏が、ある意味延期されてしまった。私なんかもテレビの番組なんかを見ていて感じることなんですが、相当ターゲットを絞って、それに向けて練習をする、大変なことで、やはり日程を確定させるということは、アスリートの皆さんにとっても、さらには大会の準備、来年になりますといろいろ、競技場等々を使う予定とか、さまざまな施設についてもある中で、そういったものを確定させないと準備が順調に進まない、こういう要因もあるのではないかな、そのように私なりに考えております。

 確かに、新型コロナウイルスとの戦い、これはまだ厳しい局面が続いているわけでありますけれども、朝が来ない夜はない、そして夜明け前が一番暗いんだ、そういった思いでこの戦いに臨む必要がある。そして、人類が来年このコロナウイルスに打ちかったあかしとして完全な形で実現をするという方針であり、この方針につきましては各国からも支持が得られているところでありまして、引き続き、関係団体等々と連携をしながら着実な準備を進めていきたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 それでは、投資協定についてお伺いをしたいと思います。

 今回議案となっております投資協定でありますけれども、保護型と自由化型というものがあるということでございまして、これの世界全体に対する現状について御報告ください。

山上政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの保護型と自由化型でございますが、我が国としましては、投資関連協定のうち、投資参入後の投資財産の保護についてのみ規定する協定を保護型と呼んでおりまして、こうした保護に加えまして、投資参入段階の自由化についても規定するものを自由化型の投資協定と呼称しておる次第でございます。

 今回国会で御審議をお願いしております投資協定を含め、現在までに七十八の国・地域との間で投資関連協定を発効済み又は署名済みでございます。この七十八のうち、先ほど茂木大臣からも御答弁ございましたけれども、自由化型は五十九ということで約四分の三でございまして、残りの十九、四分の一が保護型になっておる次第でございます。

森山(浩)委員 先ほども議論がありましたけれども、自由貿易という中において、昔のものを中心に、まだ相手国の都合により保護型というような形にとどまっているものがある。それに対しては経済界などから意見があって、これは自由化型にしていくというのがいいんだというような空気、雰囲気がある。けれども、何らか固まった方針はまだないんだというふうに認識をしておりますけれども、これは自由化型にしていくんだというようなこと、まあ相手もあることですから、交渉がどうなるかというのはわからないけれども、自由化型にしていくというような方針をきちんと固めて、そしてやっていくというようなことをやるべきではないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 基本的にはそのような方向で考えております。また、今後そう進めたいと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、個々の国の事情がありまして、なかなか、自由化型でやろうとした場合に、交渉が進まない。

 そうしますと、既に投資しているこういった財産の保護というものを考えていかなくちゃならないということで、まずは、言ってみると保護型で締結をして将来的にはその見直しも検討する、こういうオプションというものも全く排除するものではないと思っておりますが、基本は自由化型が望ましい、この方針は堅持をしたいと思います。

森山(浩)委員 そうですね。事前にやりとりをした中では、方針というところまではなかなかできていないんだよというようなお話でありましたけれども、方針でやるんだということであるということで、今回の協定の中では、UAEとの協定で、天然資源が除外という取扱いになっています。

 天然資源そのものは除外だというようなことであるということですけれども、相手側の企業が天然資源を中心に扱っているもので、その他の業務の部分について投資をするとかいうようなことにも及んできたりしないのかというような部分がありますけれども、これは支障は出ませんか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、アラブ首長国連邦の憲法上、天然資源が各首長国の公共財となっているものですから、これを規定から外さざるを得ないというのが交渉の結果でございます。

 一方で、アラブ首長国連邦の経済状況を見ますと、実は石油よりもそれ以外の部分のセクターの割合が多くなっておりますので、その意味でまず、天然資源を除外しても結構な部分がこの投資協定でカバーされるということがございます。

 さらに、この天然資源に関しましても、投資全てを適用対象外とするものではございませんで、例えば、天然資源を加工、精製する工場などについては協定の投資財産として保護を受けることになりますので、天然資源でも更により狭いということになります。

 コアの、まさに天然資源そのものとの関係ではどうなのかということがございます。まさに我が国企業の自主開発油田がございますので、その点は御懸念があるかと思いますけれども、この点に関しましても、我が国は以前からアラブ首長国連邦政府に対して政府レベルで働きかけてきておりまして、先方政府のハイレベル、首脳からも十分配慮するとの確約を得ておりますので、全体として天然資源が対象から外れても大きな問題はないというふうに考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 天然資源そのもの、また、そのものの中でもしっかり絞ってお話をしていただいているということで、相手の憲法の話ですから、これはこう書いてしまうのは仕方がないことなんだろうと思います。

 さて、中国製機器の使用における日本のスタンスについてお伺いをしたいというふうに思います。

 イギリスでは、ファーウェイ、中国製のファーウェイの5Gへの一部参入を認めるというような形となりましたが、米国、アメリカの方では、これは以前よりだめだという話になっているということで、随分と対応が、先進国間、英米の間でも分かれているという状況であるんですけれども、製品の中にどんな機械が入っているのか、あるいは中国の法律によって情報を提供せよと言われた場合にどうするのかというようなことが、世界的にも大変議論になっているところでございます。

 これにつきまして、この英米のスタンスが違うというのを踏まえて、日本のスタンスというのはどうなっていますでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、特定の国や企業の製品を一律に排除するというような取組は行っておりません。

 他方、情報の窃取、破壊、情報システムの停止等、悪意のある機能が組み込まれるような、いわゆるサプライチェーンリスクに対応することは、サイバーセキュリティー上、これを確保する意味では大変重要でございます。

 平成三十年七月に閣議決定されましたサイバーセキュリティ戦略におきましても、このサプライチェーンリスクへの対応を強化することについて言及をしております。

 具体的な取組といたしまして、平成三十年十二月には、関係省庁において申合せを行いました。特に防御すべき政府機関の情報システムの調達に際しましては、サプライチェーンリスクの懸念を考慮した調達を開始しております。

 また、総務省におきましては、第五世代移動通信システム、委員御指摘の5Gでございます、平成三十一年四月の全国用の5Gの周波数割当てに当たりまして、各社に対して、さきに述べた申合せに留意することに加えて、サプライチェーンリスク対応を含む十分なサイバーセキュリティー対策を講じることを条件に付しております。

 また、令和元年十二月から免許申請の受け付けを開始しておりますローカル5G、地方用の5Gというのがございます。このローカル5G導入に関するガイドラインというものについても、サプライチェーンリスクの対応を含めた十分なサイバーセキュリティー対策を講じることを求めて、その旨を免許のときに条件として付しているというものでございます。

 いずれにせよ、政府といたしましては、引き続き、サプライチェーンリスク対応を含めたサイバーセキュリティー対策の充実強化に努めてまいりたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 特定の国を名指ししたり、特定の企業を名指ししたりという形では排除しないということですが、この件については、世界でもまだ、本当に安全なのかという中身の問題でチェックがなかなか難しいというような状況もあるわけですが、外務省内での中国製の製品の数は把握をしておられますか。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 外務省として、通信システム機器の調達に当たっては、サプライチェーンリスクを十分に考慮しておりと先ほど内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターから言及のあった、平成三十年十二月の関係省庁における申合せにのっとって適切に調達しております。

 ただし、どのような通信システム機器を使っているかについて明らかにすることは、情報セキュリティー上の懸念があるため、お答えを差し控えさせていただきたく、御理解賜れればと存じます。

森山(浩)委員 中身、数というところまではいかないということですけれども、では、どうやってサイバーセキュリティーを確保するかというようなこと、本当に大丈夫なのか。あるいは、法律でもって情報を出せと言われたときに、いや、出さないと社長が言っているから大丈夫だというのでいいのかというのは、さまざまな問題があるかと思います。大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 まず、第四次産業革命の時代を迎えて、AI、そしてロボット、IoT、こういった技術革新は加速をしております。中でも、御指摘の情報通信技術、これは圧倒的な発達を見せておりまして、それが我々の日々の生活であったりとか企業活動に大きな変化をもたらしているわけであります。

 大容量、そして高速、リアルタイム性が5Gによって向上するということによって、さまざまな新しいサービスというのも生まれてくる。今、コロナウイルス感染症の対応で注目されている遠隔診断、これはまさに5Gの技術と8Kの画像があってできることでありますから、そういった問題なんだと思っております。

 そして、では、無線通信ネットワークで何が問題かといいますと、一部の限られた通信メーカー、これが垂直統合するといった形で寡占市場になり、その部分がブラックボックスになってしまう、こういう問題があるわけでありまして、オープン化を進めて、より多くの参入を得て市場を活性化、多様化させる、これが今後の課題でありまして、大切なことは、ユーザーが安全性と選択肢を確保できるかということでありまして、このことは英米含め多くの国の賛同が得られる点だ、そんなふうに考えておりまして、その方向に沿ってさまざまな施策を進めていければ、こんなふうに考えております。

 それで、先ほど森山委員の御質問の中で、セネガルのダカールから、コートジボワールのアビジャン経由で、アディスアベバ経由で日本に戻ってくる、当然エチオピア航空なんですが、エジプト航空と私言ってしまったようですので、訂正をさせていただきます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。ぜひ、サイバーセキュリティーの面からも、きっちりやっていただきたいというふうに思います。

 さて、クールジャパン戦略の取組について御報告をお願いいたします。

三又政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月、政府の知的財産戦略本部におきましてクールジャパン戦略を策定いたしました。この戦略は、日本のファンである外国人をふやし、日本のソフトパワーを強化することを政府がクールジャパンに取り組む目的と位置づけ、関係省庁間及び官民の連携を図りつつ、クールジャパンの取組を強化することとしております。

 その一環として、クールジャパン戦略担当大臣を議長とし、関係省庁の副大臣で構成するクールジャパン戦略会議を新たに設置し、関係省庁のさまざまな施策を最大限連携、活用することにより成功事例を生み出すべく、食、日本産酒類、コンテンツ等の分野に着目しつつ、それらを例えばインバウンドとどう結びつけるかといった具体的な議論を進めております。

 同時に、さまざまな日本の魅力を海外に発信する上で、デジタル時代に応じた効果的な発信のあり方や、在外公館等をどのように活用するかといったことについても検討し、一部実行に移しております。

 現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、各種イベントの中止、延期やインバウンドの大幅減少といった事態に直面しておりますが、クールジャパン戦略のもとに、日本各地に存在する多様な魅力を外国人目線を生かして磨き上げ、世界に対し効果的に発信することは、新型コロナウイルス感染症の流行終息後に日本経済や地域の活性化を図る上で重要な取組であると認識しております。

 今後、クールジャパン戦略会議等における議論を深め、本年夏ごろまでに策定する予定の知的財産推進計画の中にクールジャパン戦略の実行計画を盛り込むべく、関係省庁と連携してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 パブリックディプロマシーということで、ソフトパワーでどうやって日本を売り出していくかという部分、昔、「大草原の小さな家」というようなものがテレビ番組であって、その生活パターンというものに憧れを日本人が持って、アメリカを近くに感じたというようなこともありましたし、現在では、アニメの背景に映る土地自体が聖地というような形で、多くのアニメファンの皆さん、これは外国からもそれを目指してやってくるというような状況もあります。

 日本の生活パターンなんかも含めて発信をしていく。特に、今、皆家にいるという状況でもありますので、終わってからと言わずに、特にアニメなどの作品の部分につきましてはしっかりやっていただきたいなというふうに思うのですが、外務省としてのパブリックディプロマシーの成果について御報告をお願いします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 パブリックディプロマシーの事業の成果の評価でございますけれども、外務省は、行政機関が行う政策の評価に関する法律、いわゆる政策評価法に基づきまして実施した政策についての評価を行い、結果を公表してきているところでございます。

 御指摘のパブリックディプロマシー分野につきましては、海外で実施する講演会やセミナー等の対外発信事業を対象に評価を実施してきております。具体的には、海外で実施する各種発信事業の実施件数、また、それらの事業及び発信力のある海外の有識者の方、メディア関係者の方々の招聘事業等を通じまして実現した、SNS投稿を始めとする第三者発信等の件数を取り上げております。

 これらについて、事前に目標値を設定し、各年度について実績値をモニタリングするとともに、評価年には、設定した目標がどの程度達成できたかを評価し、その結果を公表することとしております。

 直近の例を申し上げますと、平成三十年度の実施件数は、目標値三百件に対しまして三百三十九件を実施しております。また、その結果として行われた第三者発信件数でございますが、こちらは目標値七百件に対しまして千百八十件を実現しております。いずれも、事前に設定した目標を上回る実績を残したところでございます。

森山(浩)委員 アウトプットとアウトカムというのがあると思います。これだけやりました、それに対してこれだけの結果がありましたということで、アウトプット、やられているのに対して、アウトカム、これは目標値の問題もあるのでしょうが、もっと話題になってもいいのかなという気がいたします。

 大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 まず、ここ数日、テレビ、ネットフリックスとか、TSUTAYAオンデマンドとかを見ていると、本当にアニメが多いですね。何しろ、自分で検索から始めないで、ただそのまんま見始めると、圧倒的にアニメが多い、これを感じていらっしゃる方も多いと思うんですけれども。

 今、やはり、ソーシャルメディアの影響力、これは極めて大きいと思っておりまして、体制の変換、かつてプラハの春というのがありました。そして、アラブの春がありました。プラハの春というのは、残念ながら、国民の力、これはありながらも実現しなかった。しかし、アラブの春を実現した力というのは、SNSの力、これが私はやはり大きかったんじゃないかなと思っておりまして、こういったソーシャルメディアの発展によりまして、世界各地において、国民一人一人が世論を形成する力が大きくなっているということに注目する必要があるんだと思っております。

 その結果、各国の政府だけではなくて、その国の国民に直接訴えかけて、対日理解、対日好感度を上げていくということは日本の外交にとっても重要になってきていると考えているところでありまして、それに向けた取組を進めていくということになるんですけれども。日本のさまざまな魅力を発信したりとか日本のメッセージを伝えるとなると、今度は、伝える側、ここも多様性が要求されるんですね、いろいろな人の。だから、外務省だけがやるんじゃなくて、また政府だけがやるんじゃなくて、いろいろな、文化人であったりとか、それこそアニメをやっている方であったりとか、ソフトパワーを持っている方、こういった力を総合して、オール・ジャパンで取り組むということが何より重要なんだと思っております。

森山(浩)委員 もちろん、外務省が発信をするというのはなかなか難しいことだと思いますので、先ほどネットフリックスの話もありました、作品という形で出していくなどというのは、特にこの時期にできる前向きな仕事の一つではないかなというふうに思っております。

 最後、先ほど岡田委員の方からもありましたが、核廃絶に向けて、広島、長崎、戦争被爆から七十五周年のことしのNPTの会議の延期、再検討会議が延期をされるという中におきまして、日本が主催をしました賢人会議の提言を受けて、透明性、核リスク低減、そして軍縮教育というような三本柱を提案されていると思います。これについて御説明をお願いします。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の三点につきましては、まず、透明性につきましては、例えば軍縮・不拡散イニシアチブ、NPDIの取組の中で、核兵器国に対しましてNPT上の義務の履行に関する報告書の提出を働きかけてきているなど、取組を行っているところでございます。

 また、核リスク低減についても我が国として提案を行ってきておりまして、例えば、昨年の国連総会に我が国が提出しました決議案の中で、各国が共同行動としてとれることとして、核兵器を保有する全ての国に対しまして、誤解などによって起こる核爆発のリスクを低減する措置をとることなどを促しております。

 また、三点目の軍縮教育につきましても、我が国が唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードしていく使命を有していると考えておりまして、例えば要人の被爆地訪問、あるいは非核特使、あるいはユース非核特使の委嘱など、被爆の実相を伝える取組を積極的に推進しております。先ほど申し上げました国連総会に提出しました決議の中でも、世界の指導者や若者による長崎、広島への訪問を歓迎する旨を盛り込んでいるところでございます。

森山(浩)委員 透明性につきましては、核兵器国、保有国の情報公開を十分にというようなこと、あるいは、リスク低減につきましては先制不使用というようなことも提案していただきたいなと思ったり。

 あと、軍縮教育についてですけれども、特に、七十五年ということで、当時ゼロ歳だった被爆者の方でも、もう七十五歳。今、私の地元では、広島、長崎の原爆被爆者の皆さんが逃げてこられた一世、二世の会がありますけれども、この語り部の語りをDVD化して配布をするなどのようなことも始めています。我々が生きているうちに何とかというようなお話をお聞きをしているわけなんです。

 そんなことも含めまして、このNPT、延期をしたという中で、二〇一〇年には核兵器のあらゆる使用がもたらす壊滅的な人道上の帰結を深く憂慮するという文言があったものが、二〇一五年には入っていません。これを改めて復活をすることも含めまして、この三本柱を含めてしっかり主張していただきたいと思いますが、最後、大臣、お願いいたします。

茂木国務大臣 我が国は唯一の被爆国でありまして、核軍縮の進展に向けて、核兵器の非人道性に対する正確な認識を広めていくことを含め、我が国が果たしていくべき役割は極めて大きいと思っておりまして、三本柱、しっかりと推進をしていきたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございました。

松本委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、外務委員会での質問の機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、投資協定について質問をいたします。

 政府が昨年六月に閣議決定した成長戦略フォローアップは、現在交渉中の投資関連協定の早期妥結に加えて、二〇二〇年までに百の国・地域を対象に署名、発効するとして、産業界の要望などを踏まえながら新規交渉国を選定し、早期交渉開始を目指す、このようにしています。

 外務大臣に伺いますが、今回の五つの投資協定の締結に当たっては、産業界からどのような要望が出されているんですか。

茂木国務大臣 我が国の産業界、これまで、アラブ首長国連邦やモロッコを含めた中東、さらにはコートジボワールを含めたアフリカの国々との協定の締結について要望が出されておりまして、今回の協定はその要望に沿ったものとなっております。

 例えばモロッコ、これは、いわゆる北アフリカの中のマグレブと言われる、これはアラビア語で日が沈むところという意味でありますけれども、この一番西側に属しまして、ちょうどアフリカとヨーロッパを結ぶ、こういう拠点にもなってくる。さらには、コートジボワール、まさにかつては象牙の積出地の拠点でありまして、西アフリカ全体に進出する拠点にもなっている。こういった地域に進出している企業も多い。こういったことから、そういった経済界の要望もあるんだと思っております。

 また、日本とASEAN、この投資関係について申し上げますと、日本は、ASEAN域外からASEANに投資を行う国、地域の中で第二位です。そして、日本からの対外直接投資の投資先で見ましても、ASEANは第三位となっておりまして、日系企業も多く進出をしております。こういった形で、日本とASEANの投資関係の強化について経済界も要望していると考えております。

 では、どういった内容を盛り込んでほしいかということでありますけれども、投資関連協定に盛り込むべき規律内容としては、内国民待遇、ローカルコンテンツ要求の禁止、さらには、資金移転の自由、公正な待遇義務、ISDS条項等が要望されてきているところであります。

 政府としては、今後も、経済界の具体的なニーズであったりとか相手国の事情等に応じながら、グローバル化の中で投資をより促進するような投資関連協定の締結に向けてしっかりと交渉を進めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 今説明をいただいたんですが、政府は、成長戦略のもと、経済界の強い要望を受けて、対日直接投資とともに、日本の多国籍企業の海外展開を促進するため、諸外国との投資関連協定を加速させております。今回の五つの投資協定も、まさにその一環であるということを指摘しておきたいと思います。

 それでは、次に、米軍機事故の問題について質問をいたします。

 二月二十五日、沖縄県の読谷村にある米軍トリイ通信施設の西約一・三キロの海上で、米軍普天間基地所属のCH53Eヘリから、つり下げていた金属製の訓練用標的を投下するという事故が起こりました。米軍は、機体が不安定になったため、乗員の安全を確保するために落下したと説明し、事故原因が明らかになるまでつり下げ輸送を停止する考えを明らかにしています。

 ところが、その二日後、今度はフォークリフトをつり下げて飛行する様子が確認をされました。訓練用標的ではないから停止の対象にはならないというのが米軍の説明であります。

 現場周辺は定置網やジンベイザメの生けすがあり、漁業者が日常的に操業し、多くの観光客が訪れる場所であります。読谷村の石嶺村長は、現場の海域は恒常的に漁民の漁業活動があり、年間二万人以上の観光客が訪れる、訓練は中止してほしい、このように述べております。

 読谷村漁業協同組合の金城組合長は、万が一、乗客がいる船に落ちていたら大惨事になる、二度と起こらぬようヘリのつり下げ運用はしてほしくない、このように訴えております。

 外務大臣は、今回の事故が住民の生活圏で起こったという認識、これはありますか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月二十五日、米側より沖縄県トリイ通信所から物資をつり下げて輸送中であったCH53Eヘリが、乗組員の安全を確保するため、同通信所から西約一・三キロメートル付近の海上に当該物資を投下したとの情報がございました。

 御指摘のトリイ通信施設の沖合の当該海域の状況につきまして、委員から御指摘をいただきましたが、米側からは、物資を投下させる際には、船舶が周囲にいないことを確認するなど安全面に最大限配慮しており、また、投下した物資には有害物質等は含まれていないとの説明を受けてございます。

 本件事案で被害が発生したとの情報はないと承知しておりますが、航空機からの物資投下は重大な事故につながりかねないことから、本件事案の発生時に、外務省から米側に対し遺憾の意を表明するとともに、原因究明、再発防止、さらなる情報提供を申し入れてございます。

赤嶺委員 生活圏の真っただ中に落下させておきながら、落下させる前に安全は確保していた、こんな発言そのものがまず許されないことであります。

 再発防止を求めている、このように言っても、つり下げ輸送に伴う事故は、今回が初めてではありません。二〇〇六年十二月には、トリイ通信施設の沖合約二百メートルの海上で、CH53Eヘリがつり下げ輸送中の米軍車両を落下させました。落下させたのは、漁船が頻繁に通る航路でした。

 外務大臣、大惨事になってからでは遅いと思います。住民の生活圏でこうした危険な活動を許してはならないと思います。つり下げ輸送の中止を米軍に働きかける、そのことを真剣に検討すべきだと思いますが、いかがですか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、航空機からの物資の投下は重大な事故につながりかねないことから、本件事案の発生時に、外務省から米側に対し遺憾の意を表明するとともに、原因究明、再発防止、さらなる情報提供を申し入れてございます。

 米軍機の飛行の安全確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であると考えております。政府としては、我が国における米軍の運用に際し、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えており、これまでも累次にわたって申し入れているところでございまして、先般、茂木外務大臣からも、シュナイダー在日米軍司令官に対し申入れを行ったところでございます。引き続き米側に強く申し入れていきたいと考えております。

赤嶺委員 沖縄の米軍基地には、使用条件などを定めた五・一五メモというものがあります。在沖米軍基地の使用目的と使用条件を定めておりますが、その五・一五メモ、そこにはトリイ通信施設の使用目的、条件について何と書いてありますか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 トリイ通信施設につきましては、その提供に関する昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会合意におきまして、使用の主目的、主たる目的といたしまして、通信所と記載されております。

赤嶺委員 つり下げ輸送ができると書いてありますか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 トリイ通信施設の使用目的に関しましては、その使用の主目的として通信所と記載されております。これはトリイ通信施設の使用の主たる目的を定めたものでございまして、使用の主たる目的が通信所であることに反するのでない限り、今般のような訓練の実施を排除しているとは考えてございません。

赤嶺委員 つり下げ輸送ができると書いてあるかどうかを聞いているんです。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 トリイ通信施設の使用目的は、その主たる目的として通信所というふうに書いてございます。施設の使用の主目的について、個々の施設・区域の使用の主たる目的、これは合同委合意で定められたとおりでございますけれども、米軍がいわゆる管理権の範囲内で、その活動の使用主目的としての形態に反しない限り、他の目的に当該施設・区域を使用することは排除されていないというふうに認識しております。

赤嶺委員 トリイ通信基地の主目的は通信所でありますが、使用条件も五・一五メモに書かれております。使用条件は、陸上施設の保安、汚水処理のための水域の常時使用など、条件が定められているわけですよ。

 条件が定められているにもかかわらず、つり下げ訓練というのは全く書かれていないにもかかわらず、いや、トリイ通信所の主目的に反しない限り何でもできるといったら、本当に、何のための五・一五メモですか。使用目的と使用条件がはっきりしている、そこを無視したら、米軍は、米軍の運用に全く制限がきかない、ブレーキがきかない、どんな訓練でもできることになってしまいます。基地ごとに使用条件を定める意味がなくなってしまうではありませんか。

 五・一五メモというのは、沖縄が復帰をするときに、沖縄の米軍基地がどのような使い方をされているか誰もさっぱりわからない、そういう中で、九五年の少女暴行事件の後に公開されたものであります。住民の、県民の安全を守るために、安全性に配慮するためにつくられたと称しているのが五・一五メモであります。

 そこにつり下げ訓練なんか、どこにも書いていない。書いていないのに、外務省は、いやいや、使用目的に反しない限り、それは何をやってもいいんだと。何でもできることになるんじゃないですか。一体何のために使用協定を締結したんですか。住民生活への影響を最小限に抑えるため、それが目的の五・一五メモではないですか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍は、我が国にある施設・区域において、当該施設・区域に関する合意に従って必要な活動ができることとされておりますが、その際、委員もよく御存じのとおり、日米地位協定第三条三項に従いまして、公共の安全に妥当な考慮を払ってそのような活動を行う、こういうことに合意しておるわけでございまして、その合意についてはしっかりと遵守していると考えてございます。

 繰り返しになりますけれども、米軍がいわゆる管理権の範囲内で、その活動の主目的としての形態に反しない限り、他の目的に当該施設・区域を使用することは排除されていないというふうに認識している次第でございます。

赤嶺委員 県民の生活のなりわいがある場所で、こういう危険な活動は絶対に認めるべきではないと思います。使用協定に、五・一五メモの中につり下げ輸送とは書いていないんですから、使用協定を守れと言うべきじゃないですか。なぜそれが言えないんですか。外務省が住民の命と安全を少しでも考えるなら、使用協定を守れ、このように言うべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって大変恐縮でございますが、米軍がいわゆる管理権の範囲内で、その使用の主目的の形態に反しない限り、他の目的に当該施設・区域を使用することは排除されていないということでございます。

赤嶺委員 全く使用条件の意味を失ってしまうような、地位協定三条があったにしても、住民の命と暮らしに配慮する、それがいわゆる使用協定だといって皆さん説明してきたんじゃないですか。それを今ごろになって、使用協定に書かれていないことでもできるんだ、こういう、誰が県民の命を守るんですか。日本の外務省がアメリカ寄りになって、そんなことで暮らしやなりわいは守れないと思います。

 そこで、別の角度から伺いますが、米軍が普天間基地へのオスプレイ配備に当たって実施した環境レビューでは、トリイ通信施設には三つの着陸帯があり、いずれも管理着陸帯だと書かれております。

 管理着陸帯とはどのような着陸帯のことですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 MV22オスプレイの普天間飛行場への配備に当たって、米側は平成二十四年に環境レビューを作成いたしました。この中で、沖縄においてオスプレイの使用に適切であると評価された着陸帯は戦術着陸帯と管理着陸帯の二つから成り立ち、トリイ通信施設内の三カ所の着陸帯は管理着陸帯に分類されていると承知しております。

 お尋ねの管理着陸帯では、給油、人員輸送、VIP移動及び緊急医療活動が行われると記載されていると承知しております。

赤嶺委員 管理着陸帯の役割はVIPの輸送、医療避難等ということでありますが、米軍は、そのトリイ通信基地で、標的となる車両や物体を射爆撃場に輸送してつり下げ落下事故を起こしているだけではありません。トリイ通信施設で兵員をつり下げた戦術訓練を何度も行っています。

 米軍が環境影響評価のために実施した環境レビューでトリイ通信施設の着陸帯は管理着陸帯だと言っているにもかかわらず、なぜ兵員のつり下げ訓練という戦術訓練、これができるんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 この環境レビューは、米国大統領令、米国防省指令等に基づきまして、米国外での活動による環境への影響を分析するためのものであります。

 着陸帯の使用目的がレビューに書かれたもののみに限定されるものではないというふうに考えております。

赤嶺委員 環境レビューは何のために行ったか。オスプレイを日本に配備するために、安全に配慮しますといって個々の着陸帯について環境レビューの中で評価をしているわけです。そして、トリイ通信施設の着陸帯は、そういう訓練なんか、戦術訓練なんか行えない、そういう着陸帯として位置づけられています。

 オスプレイは配備するときにはレビューがあるから安全だ安全だ、このように説明しておいて、一旦配備したら、いやいや、レビューに書かれている範囲を超えて訓練してもいいんだと、こんなことを認めてしまう。一体、五・一五メモやレビューというのは何のためにやったんですか。まさに、これでは県民を欺くために、日本国民を欺くためにやったも同様ではありませんか。

 読谷村議会の意見書は、今回の事故についてこのように述べています。「本村においては過去にパラシュート投下訓練によるトレーラー少女圧殺事故があり、あの悲惨な事故は村民の記憶に根強く残り、決して消えることはない。」「村民大会を開催し、議会においても訓練の中止を幾度となく求めてきたにもかかわらず訓練がくり返されていることは、読谷村民の人権を蹂躙し、人命を軽視するものであり、断固抗議するものである。」このように述べて、つり下げ訓練と戦術訓練の即時中止を求めています。

 過去の歴史で、一九六五年、小学校五年生の棚原隆子ちゃん、上空から落下させられたトレーラーによって圧死した、あの事件が今でも読谷村民の心の中に深く傷として残っている。だから、落下訓練やつり下げ訓練、そういうものに対して非常に敏感に厳しく反応していくわけです。

 外務大臣、日本政府としてこの声を正面から受けとめるべきだと思いますが、読谷村民の声、どのように受けとめますか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機の飛行の安全確保は、米軍が我が国に駐留する上での大前提であると強く考えている次第でございます。

 政府としては、我が国における米軍の運用に際し、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えておりまして、これまでも累次にわたり申し入れているところでございます。

赤嶺委員 こんな答弁で、幾多の米軍機の事件、事故が起きてきた、そういう日本政府の態度が事故の拡大にも結びつく、この点も厳しく指摘しておきたいと思います。

 この問題にかかわって、幾つかの事実関係を確認しておきたいと思います。

 三日付の地元紙は、今回の事故を引き起こしたヘリ部隊の司令官が責任を問われる形で解任されていたと報じました。外務省には、このことについて米側から説明はあったんですか。あったなら、いつ、どのような内容だったんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、四月三日、防衛省から事実関係を確認したところ、米側からは、内部における部隊を率いる能力の信頼と信用を失墜したことを理由として当該ヘリコプター飛行隊司令官を解任したことは事実である、これ以上の詳細については差し控えるとの説明を受けております。

 また、二月二十五日に発生した米軍ヘリによる金属製標的の投下事案については、発生当時、米側から、原因を特定するため、徹底した検証を実施する旨の説明を受けており、現在、調査が継続していると認識しております。

 防衛省といたしましては、同様の事案の再発防止が徹底されるよう、引き続き米側に強く求めてまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、このような事案は地域の皆様に不安を与えるものであり、引き続き米側に対し米軍機の運用における安全確保に万全を期するよう求めるとともに、地域の皆様への迅速な情報提供ができるよう、日米で連携して対応してまいりたいと思っております。

赤嶺委員 今回の場合、報道によりますと、事故をめぐる初期調査で、運用における手順の誤りが事故につながったという認識を示しているようでありますけれども、初期調査の内容は説明を受けているんですか。報告書は提出されておりますか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 本件事案に関する初期調査が米側によってなされたとの報道があることは承知しております。現在、米側に対して、本件に係る原因や再発防止策等について情報提供を求めているところでございます。

 他方、本件は引き続き米側において調査が継続していると認識しておりまして、現時点において事故調査報告書が作成されているとは承知しておりません。

赤嶺委員 事故原因について一定の調査結果が出たから司令官を解任したのではありませんか。

 なぜ、その内容について報道ベースで知ってはいるけれども、外務省に説明がないんですか。その点、いかがですか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍は、一定規模以上の事故について事故調査報告書を作成するものと承知しております。

赤嶺委員 そうすると、今回の場合、事故調査報告書、例えば、二〇〇六年の事故も指摘しましたが、当時、米軍は、乱気流に遭い、乗員の安全確保のために投下したと説明しています。現場では、ヘリと車両をつなぐワイヤが切れていた、そういう経緯があります。

 米軍は、そのときの事故原因をどのように結論づけたんですか、ワイヤが切れていたとの関係はどのように指摘されているんですか。この事故についてどのように認識しておりますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきまして、米側からは、事故発生当時、CH53Eヘリが車両をつり下げ輸送中、乱気流を受け、機体と乗員の安全性を確保するため車両を切り離した、当該車両は輸送前にオイル及びガソリンを抜き取っていた、飛行経路は、住宅地区を避け、海上を飛行するよう計画されていたとの説明を受けております。

赤嶺委員 事故報告書は出ていないんですよね。事前に外務省、防衛省に事故報告書の提出を求めたら、持っていない、このように回答しておりました。

 米軍は事故報告書の調査報告を作成していないんですか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点において、事故調査報告書が作成されているとは承知しておりません。

赤嶺委員 これでよく、再発防止だの、事故原因の究明だの、こんなことを日本政府が言えるんですか。事故報告書が作成されているかどうかもわからない。

 こういう事故が相次いだので、実は日米間には合意があります。それは、一九九六年の日米合同委員会合意は、日本政府が要請したときには、アメリカ政府が米軍航空機の事故調査報告書を提出する、このような合意をしております。

 米軍のつり下げ輸送に伴う事故は、人命にかかわる重大な事故であります。合意の対象になると思いますが、なるのか、ならないのか、どちらですか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の日米合同委員会合意におきましては、日本国政府が合同委員会を通じて要請を行うときは、合衆国政府は、米軍航空機の事故調査報告書の公表可能な写しを提供することに同意するといった旨が記載されております。

 いかなる航空機事故が同合意の対象となるかについては、事案ごと個別具体的に判断されるものでございまして、一概にお答えすることは困難でございますが、同合意の対象になるか否かにかかわらず、政府としては、我が国における米軍の運用に際し、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えておりまして、米軍航空機に係る事故が発生した場合には原因究明、再発防止策がとられるよう強く求めてきているところでございます。

赤嶺委員 二〇〇二年三月の国会答弁があります。当時の外務大臣は川口さんでした。川口外務大臣は、墜落、火災といった航空機事故が発生した場合に事故調査報告書の提出を求める、このように述べておりました。対象が大きな墜落事故に限定されるものではないということを、当時、国会の答弁でも明らかにいたしました。

 つり下げ輸送に伴う事故は合意の対象とすべきだと思います。アメリカとの間でそういう交渉を続けるべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、二月二十五日に起こった事故につきましては、繰り返しになりますけれども、米側からは、安全性に最大限配慮し、投下した物資には有害物質は含まれていないといった、安全性についての確保を行ったというような説明を受けてきております。

 この事故調査報告書、これは私どもの方でも一定規模以上のものというふうに申し上げた次第でございますが、これは米側があくまでも判断するところでございますけれども、また事例によって異なるとは考えますけれども、例えば米軍機の墜落とか人身の事故等、こういったものであれば事故調査報告書が出されるものと考えてございます。

茂木国務大臣 米軍機の飛行の安全確保、米軍が我が国に駐留する上での大前提と考えております。

 事案ごとに適切に対応してまいりたいと思います。

赤嶺委員 これだけの事故を放置して、事故報告書も求めない。日米同盟の存立を危うくするような人権じゅうりん、これを放置して、外務大臣は、その事案の一つ一つの質問に答えないで、最後に一言言っただけ。こういうやり方では、県民の怒りはおさまらない、読谷村民の怒りはおさまらない。

 事故報告書提出を強く求めるべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

松本委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新・無所属の会の杉本和巳であります。

 早速質疑に入りたいんですけれども、その前に、通告しておりませんですが、英国のボリス・ジョンソン首相が入院され、直近のBBCなりNHKの報道ですと、ICUから一般病室に移られておられるということで、ICUの中でも、酸素マスクをして、人工呼吸器まではいかなかったという状況で、よい方向に向かわれているというふうに聞いていて、私自身はほっとしている状況でございます。

 政府として、総理は、緊急事態宣言の際に、その際、発出された後、質疑のときに記者の質問に対して、ボリス・ジョンソン首相へのお見舞いを言われた記憶はございますけれども、国会の場で、外務大臣におかれては、日英関係、歴史と伝統の両国の関係という上に立って、公式にお言葉をいただいておいた方がいいのではないかと急遽考えまして、急な質問で恐縮でございますけれども、外務大臣としての御見解を伺えればと思います。

茂木国務大臣 ボリス・ジョンソン首相、現地時間の昨夜、ICUから一般病棟の方に移られた、このように承知をいたしております。昨日の段階で、もうICUにいらっしゃる段階から話ができるような状態であったということで、改善に向かっているんだろう、総理も、この方向で全快してくれれば、こういう話をしておりました。

 ジョンソン首相の一日も早い全快、お祈りをしたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。公式の見解をいただいて、感謝申し上げます。

 ちょっとまた、いつも話がぶれて恐縮なんですけれども、私、銀行で人事部にいて、採用を担当していることがあって、それで、官僚になられる方々を私どもの中の言葉でマル公といって、外交官試験を受かられている方はマル外というような言い方を内部ではさせていただいている中で、この新型コロナ始め、チャーター機の問題であったりクルーズ船の問題であったり、あるいは、今は在留邦人の帰国の問題、先ほどは岡田元副総理、外務大臣からも在留邦人の帰国について、ロジやケアの問題について御提言なりあったかと思いますし、先般は井上委員がこの問題、質問されておられます。

 なかなか、自粛を求められている中で、皆さんお忙しくしていらっしゃると思いますが、たまたま私は、「外交は国威なり」という、「BS世界のドキュメンタリー 選」というので、「密着イギリス外交」ということで、特に国連での動きで、ミャンマーのロヒンギャに対する差別、虐待問題、これに対するレゾリューション、国連決議に向けての舞台裏での根回し等、インサイド・ザ・フォーリン・オフィス・キーピング・パワー・アンド・インフルエンスという、これはBBCが二〇一八年に制作した番組がありましたけれども、これの再々放送がつい先日行われておりまして、改めて、外交官の皆さんのプロフェッショナルの度合いというのは、英国の外交官の方を通じて、日本の外交官の方々が、いかに国益であったり、あるいは普遍的価値であるバリューを守るというような姿勢の中で日ごろ当たっていただいているということを、ちょっとこの番組を通じて、敬意と感謝を申し上げつつ、多分、外務省の皆さんはごらんになっておられる番組かと思うんですが、NHKもいろいろ前の番組を見られるようになったりしていますので、ぜひ改めて、この「外交は国威なり」というのを機会があれば見ていただければと思っております。

 話がそれましたが、きょうは条約五本についての質疑ということでございます。私は、主に三つ目だったかの丸がついていますけれども、東南アジア諸国連合、ASEANについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣に伺えればと思っておりますが、SDGs、大いに我々はリーダーシップを発揮して世界で先行をしていかなければならないと思いますけれども、このSDGsにかかわって、またASEANとの関係、あるいは中国とASEANの関係、あるいは日本とASEANとの関係という点について、ちょっと今回の新型コロナの問題も絡めて、ざっくり大きなテーマで質問いたしますので、御回答を何らかの形でいただければと思います。

 中国、ASEAN諸国では広く概念として、NTSと言われる、非伝統的な安全保障、ノン・トラディショナル・セキュリティーという概念があるやに聞いておりまして、この観点から、域内の協力関係はどんなになっているんだろうか。殊に、今次、新型コロナウイルスの対策で域内でどんな協力関係が行われているのか、それを日本政府としてどう把握されているのか、また、日本はどういうかかわり合いをASEAN諸国に対して持っているのか、こういった点を教えていただきたいと思います。

 この非伝統的な安全保障、NTSについては、テロ、こういった今回の新型コロナじゃないですが、ウイルス等の感染症対策、あるいは自然災害等の対策ということでこういった概念が共有されているやに認識しておりますけれども、域内の協力関係、日本とのかかわりを教えていただければと思います。

茂木国務大臣 杉本委員、銀行の人事部にいらしたということで、何か、「半沢直樹」とかああいうドラマを見ていますと、大体、人事部というのは悪い人間が銀行にいるんですけれども、杉本委員のような立派な方もいらっしゃるんだなと感じたところであります。

 御指摘の非伝統的安全保障、ノン・トラディショナル・セキュリティーとは、従来の安全保障が軍事的な課題を扱ってきたことに対して、非軍事的脅威、まさに今回の新型コロナウイルス、これは典型例だと思いますが、そのほか、気候変動、テロ、そして貧困と、安全保障上の課題と捉える概念だと承知をいたしております。

 今や、安全保障、これは陸海空から宇宙、サイバーへ領域を広げ、また非伝統的課題にその対象を広げていると考えております。

 アジア太平洋地域におきましては、一九九四年に、アジア太平洋地域におけます唯一の常設の多国間の安全保障協力制度でありますARF、ASEAN地域フォーラムが設立されまして、これは、非伝統的な安全保障分野を中心として、域内の秩序や規範、そして実質的な協力関係の構築に向けて重要な役割を果たしてきていると考えております。我が国は設立以来の参加国として、アジア太平洋地域で多発をしております自然災害やテロでも、域内協力に積極的に貢献をしてきているところであります。

 東南アジアの国々でいいますと、一九六〇年代ぐらいから日本というのは、相当な形でODAの供与であったりとか、それも単に箱物をつくるだけではなくて人材育成、さまざまな形で、こういった新しい脅威に対してもキャパシティービルディングをしていくといったことでの協力をしてきているところであります。

 新型コロナウイルスにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、国際協力、まさにこれからだと考えておりまして、そういった中で、さまざまな必要とされる医療物資、医療機材、そしてまた医療関係の人材への支援、こういったこともしっかりと進めてまいりたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 まずは我が国の国民の皆様の命、健康ということではあるんですけれども、やはり地球儀を俯瞰する外交という意味からも、我が国の財政も厳しい状況はありますけれども、一方で、本当に苦しんでおられるお立場の方々に、各国の、特にASEANの方々、あるいはアフリカもそうかもしれないですし、各国に御支援の手というのをできる範囲で最大限お願いをしておきたいと思っております。

 次に、このASEANについて、中国の提唱する一帯一路とのかかわりで、どんな状況にあるのかというのを伺っておきたいと思います。

 私の認識では、インドシナ半島、東西、南北、南部の、この三つの経済回廊がほぼ二〇一五年に完成したと言われております。陸のASEANと言われる言い方があるようで、タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、こういった国々と中国の内陸部というのはつながったというような認識もあるやに聞いております。

 この中国が提唱している一帯一路、西の端はイタリアで、イタリアが感染者が多いみたいな報道もあったりしますけれども、足元というか、近隣諸国のASEANの国々、加盟各国において、この中国の提唱する一帯一路、いろいろな事情があって、国々、当然国益があって、あるいは政治体制も違い、方向感が違うのは認識できるんですけれども、今、政府としてどんな御認識があるのかを確認させていただきたいと思います。

 具体的には、マレー半島のマレーシア、シンガポール、あるいは海洋国家であるフィリピン、逆に、今申し上げたいわゆる内陸部の陸のASEANと言われるような国々、また歴史的背景から親中と言われるカンボジア。言い方としてCLMVという言い方があるようですけれども、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、こういった国々との、この一帯一路の関係での、それぞれの立ち位置というか状況をどういう形で認識しておられるか、これは御当局の御担当から伺えればと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問ございました中国の一帯一路に対するASEAN各国の受けとめでございますけれども、各国ごとの事情、さまざまあろうかとはございますけれども、第三国間の関係でもございまして、個々のコメントについては差し控えさせていただければと思います。

 その上で申し上げさせていただきますと、ASEANにおきましては、昨年六月にインド太平洋に関するASEANアウトルックを打ち出しておりまして、地域における協力ガイダンスの提供をするとともに、ASEAN共同体の建設プロセスや既存のASEAN主導のメカニズムを強化する旨を打ち出しているところでございまして、引き続きASEAN加盟国の結束、主体性を重視しておるというふうに考えております。

 こうした中で、我が国といたしましてもASEANの一体性、中心性を支持してまいっておるというところでございます。

杉本委員 一体性をASEANは大事にしていくということですが、一国一国それぞれ、いろいろな国益の方向感があると思いますので、ひとつきめ細かに御対応をお願いしておきたいと思います。

 次に、また遠藤大臣官房参事官に伺えればと思いますけれども、ちょっと域内の問題で、外務省がどういう形で把握していらっしゃるか伺いたいんですけれども、二〇一七年の十月十七日に公布されて二〇一八年の一月一日から発効したベトナムの政令百十六号、輸入禁止的な非関税障壁と言われるようなものらしいですけれども、これを発効以降、どういった影響が出ているのかということです。殊に、タイ、インドネシアの域内自動車輸出、あるいは日本の自動車業界の輸出にどんな影響があったか、現状の御認識を確認させていただければと思っております。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の物品の貿易額につきましては、御指摘のような各国政府の法令、施策に加えまして、各国の経済状況であるとか関連企業の企業戦略等々さまざまな要素が影響いたしますことから、一概に申し上げるということは困難でございますけれども、その上で、御指摘の法令が施行される前年に当たる二〇一七年と施行後の直近の二〇一九年のベトナムに対する日本、タイ、インドネシアからの自動車及び自動車部品の輸出額を比較いたしますと、それぞれ、基本的にはふえているという状況にございます。

 まず、日本からベトナムへの輸出につきましては、二〇一七年の三億三百三十万ドルから二〇一九年には三億五千六百九十一万ドルと、約一八%伸びているというところでございますし、タイからベトナムへの輸出につきましては約一三四%ふえておるというところでございますし、インドネシアからベトナムへの輸出につきましても二倍以上、約一一三%ふえているというところでございます。

 ちなみに、最近ですけれども、本年二月にこの政令百十六号が改正をされまして、自動車輸出に際して必要であった輸出元国の政府当局が発行する許可証の提出義務が撤廃される等、ベトナムへの自動車の輸出に関する条件の見直しといったようなことも行われておるというところでございます。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 各国の変化をぜひきめ細かくフォローしておいていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 井上一徳です。よろしくお願いいたします。

 投資協定の質問に入る前に、まず、中国の尖閣諸島に対する最近の行動について質問したいと思います。

 資料を配っておりますけれども、三月、接続水域入域、ずっと続き、三月二十日には領海侵入をしている。そして、最近の新聞では、四月八日にも領海侵入をしている。それで、三月、四月だけじゃなしに、一月、二月、これも領海侵入している。資料を配っておりますけれども、接続水域でも、前期と比べても五割増し、こういう状況です。

 これは東シナ海だけではなくて、南シナ海でも同じように、中国、海洋覇権へ強硬ということで、中国政府に所属する公船がベトナム漁船に体当たりしたり、台湾周辺では軍事訓練をふやしたり、こういう状況なわけです。

 今まさに国際社会がこの新型コロナウイルスとみんな一生懸命戦っている最中に、こういうような、努力に水を差すというか邪魔をするというか、こういう行動は本当にけしからぬことだと思うんです。

 孫文がこういうことを言っておりました。中国革命の父の孫文ですね。今でも中国、台湾、双方から尊敬を集めている方ですけれども、今から百年前に日本の神戸でこう言っておられるんです。日本は西洋覇道ではなく東洋王道を目指せ。まさに武力ではなく仁義、道徳で対応しろ、やってほしいということを孫文は日本に期待したんだと思います。私は、まさに今の中国にこの言葉がふさわしいんじゃないかというふうに思っています。

 大臣、ぜひ、領海侵入に対して抗議、これは形式的な抗議、今までは多分、もうずっと毎月やっているから、形式的な抗議にとどまったと思うんですけれども、一度、大使を呼んで、本当に中国はこういうことをやっていたらよくないというのをしっかり伝えた方がいいと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 今、我々が戦うべきなのは新型コロナウイルスだ、そのように思っております。そういった中で、尖閣諸島周辺海域において、中国公船によります接続水域航行及び領海侵入が継続している。いつものときでもそうですけれども、こういった状況でありますから、極めて遺憾だ、このように考えているところであります。

 もちろん外交ルートを通じても、そのたびごとに抗議を行っておりますが、私も、例えば王毅国務委員と会談のときには、この問題、きちんと提起をして、中国側に行動の是正、こういったことも働きかけをしているところであります。

 また、例えば昨年も、ASEMの会合、スペインの方で開かれましたが、王毅外相もいる前で、ほかの国の外相もいる前で、みんなのいる前で、南シナ海の問題等々、明確に日本の立場、力による一方的な現状変更の試み、これは断じて許容できない、こういったこともしっかり申入れをしているところであります。

 大使を呼ぶのがいいのか、もう一回王毅さんに言うのがいいのか、よく考えてみたいと思います。

井上(一)委員 ぜひ、中国に対して強く言っていただきたいと思います。

 それでは、帰国困難者の問題で、今までいろいろ議論が出ましたので、その部分については質問を割愛いたしまして、今、三千三百名の方が、これは暫定的ですけれども、希望されていて、そのうちの四百名の方がなかなか、手段がまだ見つかっていないということでありましたが、よく誤解をされて、行っておられる方は旅行で行っているんだろう、もう自己責任なので、今、日本は大変だから、もうしばらく戻ってきていただかなくても、いてほしいとか、そういう意見もちょっと耳にするんですけれども、私の理解では、もう最前線で、企業の駐在員の方とかJICAの方とか、まさに日本の国益を背負って頑張っている人は私は多いというふうに理解しているんですけれども、今、どういう方が帰国困難者としているのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 現在、航空便の運航停止等により、希望しているにもかかわらず出国できない邦人の方々には、御指摘がございましたとおり、旅行者や留学生だけでなく、日本の民間部門で経済を支える企業関係者や、国際協力そして発展途上国の国づくりを支援するODA関係者もいらっしゃるということを承知しております。

茂木国務大臣 なかなか、毎日、帰国を希望される方の人数も変わったり、その国によって状況も違うんですが、若干、例えば、ペルーの事案で旅行者の方は注目をされた部分もあるんですが、比較的、途上国、こういうところでいいますと、企業の関係者、さらにはJICAの関係者の方の方が多い。各数字を見ておりますけれども、私の印象としては、そういった、お仕事で行かれている、若しくはその国の開発支援のために携わっている方、こういった方がたくさんいらっしゃる、こんなふうに考えております。

井上(一)委員 そういう日本の国益を背負って頑張っておられる人たちに、やはり安心、安全な日本に戻ってきてもらう、一日も早くですね、私はそういう姿勢が大事だと思っているんですが。

 それで、先ほど岡田委員もおっしゃっていましたけれども、帰ってくるときに条件があって、これは外務省のホームページにもまだ書いてあるんですけれども、検疫所長の指定する場所で十四日間待機し、国内において公共交通機関を、しないよう要請していますと。これは緊急経済対策で、公共交通機関にかわる移動手段の確保について、関係省庁の連携により十分確保するというふうになっているはずなのに、今なおホームページでは変わっていない。

 この点について、今、厚生労働省として、私は、やはり責任を持って、二週間ちゃんと違うところで待機してもらって、それが終わったら、政府が用意する移動手段で帰ってもらう、そういうことをしっかりやるべきだと思っているんですけれども、今どういうふうな状況で、この後ホームページについても変える予定はないのか、お聞かせいただきたいと思います。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスの感染症の流行地域から帰国される方につきましては、自宅あるいはホテル等における待機を要請しております。

 帰宅に係る費用あるいは検査結果待ち以外に係る宿泊費用などについては自己支弁としているところでございます。

 これは、単に新型コロナウイルス感染症の流行地域から入国したという理由だけで、PCR検査の結果が陰性だったことが確認された方には、一律に健康監視のための施設で待機させることについては、その方々の日常生活に必要以上の制約を設けることとなるので、人権上望ましくないというふうには考えております。

 現在、新型コロナウイルス感染症対策は正念場を迎えておりまして、お一人お一人が自発的に感染拡大防止のための行動をとっていただくことが重要と考えており、流行地域からの帰国者の方に対しましては、御不便をおかけしながらも、感染拡大防止のために待機措置を要請していることについて御理解、御協力をいただけるよう、引き続き求めてまいりたいと思います。

 なお、こうした方々の宿泊支援でございますが、実態としましては、まだ宿泊を拒否されるような施設等も、ホテル等ございますので、空港近隣の宿泊施設で、私どもの方で、こういった方々を受け入れてもらえる宿泊施設に関する情報も提供し、その宿泊施設への移動支援、借り上げバスの運行を行っているところでございます。

井上(一)委員 ちょっと時間が来てしまいましたので、もう質問はやめますけれども、この間、大臣も、やはり十四日間ととめ置かれるんじゃ困るから帰国は取りやめようという方もおられるのは間違いないわけです。そういう方がいないように、国としてしっかり責任を持って対応してほしいということを要望して、終えたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、日・UAE、ヨルダン、ASEAN、モロッコ、コートジボワールの五つの投資協定、議定書に反対の討論を行います。

 投資関連協定は、相手国との投資促進のため、投資の自由化や投資家の権利、財産保護のルールを定めるものです。

 安倍内閣は、大企業優先の成長戦略のもとで、経済界の強い要望を受け、対日直接投資と日本の多国籍企業の海外展開を促進するため、諸外国との投資関連協定の締結を加速させています。今回の協定、議定書も、まさにその一環であります。

 政府の投資関連整備に向けたアクションプランは、二〇二〇年までに百の国・地域を対象に署名、発効することを目指すとしています。今回の五つの協定、議定書で計七十七カ国、現在交渉中の国を含めると九十四カ国がカバーされることになります。

 ASEANとの改定議定書は、新規参入時点での無差別待遇を規定した、いわゆる自由化型の投資とサービス貿易のルールを盛り込むものです。日本の多国籍企業の海外進出のための環境整備という協定の性格を一層強めるものです。

 以上を指摘し、討論といたします。

松本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより採決に入ります。

 まず、投資の促進及び保護に関する日本国とアラブ首長国連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とヨルダン・ハシェミット王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、包括的な経済上の連携に関する日本国及び東南アジア諸国連合構成国の間の協定を改正する第一議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とモロッコ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国政府とコートジボワール共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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