衆議院

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第9号 令和2年5月22日(金曜日)

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令和二年五月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松本 剛明君

   理事 岩屋  毅君 理事 木原 誠二君

   理事 鈴木 憲和君 理事 中山 泰秀君

   理事 山田 賢司君 理事 大西 健介君

   理事 山内 康一君 理事 竹内  譲君

      小野寺五典君    尾身 朝子君

      木村 次郎君    城内  実君

      黄川田仁志君    新藤 義孝君

      杉田 水脈君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    武井 俊輔君

      中曽根康隆君    中谷 真一君

      中山 展宏君    阿久津幸彦君

      小熊 慎司君    岡田 克也君

      玄葉光一郎君    森山 浩行君

      伊佐 進一君    岡本 三成君

      穀田 恵二君    杉本 和巳君

      井上 一徳君

    …………………………………

   外務大臣         茂木 敏充君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   法務大臣政務官      宮崎 政久君

   外務大臣政務官      尾身 朝子君

   外務大臣政務官      中谷 真一君

   外務大臣政務官      中山 展宏君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         野村  護君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 椿 百合子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   垂  秀夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       塚田 玉樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           赤堀  毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大隅  洋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   久島 直人君

   政府参考人

   (外務省アジア大洋州局南部アジア部長)      石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         浅川 京子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           神井 弘之君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  黒萩 真悟君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         覺道 崇文君

   外務委員会専門員     小林 扶次君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     木村 次郎君

  岡本 三成君     伊佐 進一君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     杉田 水脈君

  伊佐 進一君     岡本 三成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障に関する日本国とスウェーデン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 社会保障に関する日本国とフィンランド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)

 刑を言い渡された者の移送に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第一四号)

 専門機関の特権及び免除に関する条約の附属書18の締結について承認を求めるの件(条約第一五号)

 国際獣疫事務局アジア太平洋地域代表事務所の特権及び免除に関する日本国政府と国際獣疫事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一六号)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 社会保障に関する日本国とスウェーデン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、社会保障に関する日本国とフィンランド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、専門機関の特権及び免除に関する条約の附属書18の締結について承認を求めるの件及び国際獣疫事務局アジア太平洋地域代表事務所の特権及び免除に関する日本国政府と国際獣疫事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長垂秀夫君、大臣官房地球規模課題審議官塚田玉樹君、大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官赤堀毅君、大臣官房参事官大隅洋君、大臣官房参事官遠藤和也君、大臣官房参事官河津邦彦君、大臣官房参事官御巫智洋君、総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長久島直人君、アジア大洋州局南部アジア部長石川浩司君、北米局長鈴木量博君、内閣官房内閣審議官河村直樹君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長野村護君、法務省大臣官房審議官椿百合子君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、農林水産省大臣官房総括審議官浅川京子君、大臣官房審議官神井弘之君、大臣官房参事官出倉功一君、水産庁増殖推進部長黒萩真悟君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官覺道崇文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西健介君。

大西(健)委員 おはようございます。立国社会派、国民民主党、大西健介です。

 きょうは、条約とそれに関すること、また新型コロナウイルス関連の質問をしていきたいと思います。

 まず、今回、ベトナムとの間で受刑者の移送に関する条約が審議をされておりますけれども、お手元に資料を配らせていただきましたけれども、海外で拘禁をされている日本人の数ということでありますが、ベトナムは、この資料でいうと三名、わずか三名だけであります。そういう意味では、むしろ、日本で刑に服しているベトナム人の方は数が多いけれども、ベトナムで刑に服している日本人の数というのは少ない。

 そして、二ページ目を見ていただきたいんですけれども、大変残念なことですけれども、近年、ベトナムの方の犯罪というのがふえております。この資料を見ると、国籍別の検挙状況を見ると、ベトナムは、中国を抜いて、残念ながら一位ということになっております。特に特別法犯の伸びが大きい。

 この背景には、ベトナム人の留学生や技能実習生が大変増加をしている、そしてまた、留学や技能実習をあっせんする業者にベトナムの人たちが多額の借金を負わされて日本にやってきている、あるいは日本語能力が不十分なまま来ている例が見られる。こうした悪質な日本語学校やあっせん業者の問題というのが指摘をされております。

 もちろん、日本側、受入れ側にも問題はあるんですけれども、この技能実習等については二国間の取決めというものがありますので、送り出し側のベトナム政府に対して、こうした日本人学校の問題やあるいはブローカーの問題に対して改善を、しっかり外務省として外交ルートを通じて求めているのかどうかについて、まず御質問したいと思います。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 ベトナムからの留学生や技能実習生については、ブローカーや送り出し機関に高額な手数料等を支払うために借金をして訪日する事例がございます。また、留学生については、日本語能力証明書の偽造の問題もあると承知しています。

 このような状況に対処するため、二〇一八年十月に、日本で学ぶベトナム人留学生に関する協力覚書を日・ベトナム間で作成し、これに基づき、問題がある留学あっせん業者や日本語学校の情報を相互に通報しております。また、日本語面接を行うなど査証審査を強化し、不適格な者が一定割合を超える留学あっせん業者からの査証代理申請の受け付けを停止する措置をとっております。

 技能実習生については、二〇一七年六月に日・ベトナム間で作成した協力覚書に基づき、当局間で協議を行うとともに、我が国が不適切な事案を把握した場合には、ベトナム側に通報し、事実関係の調査や必要な指導監督を求めております。

 さらに、外交ルートにおいても、首脳及び外務大臣、また大使を含む在ベトナム大使館のハイレベルからベトナム側の大臣を始めとする要路に対し、不適切な送り出し機関やブローカーの取締りを要請しております。

 留学生や技能実習生の適正な受入れは、日越関係のさらなる強化に資するものであるところ、外務省としても引き続きこれらの取組に努めてまいりたいと存じます。

大西(健)委員 せっかく夢を持って日本に働きに来た、あるいは勉強に来た人が犯罪に陥ってしまうということがないように、その背景にあるこうした問題について、しっかりと二国間で改善をしていくということが私は必要だというふうに思います。

 次に、先ほどの一ページ目の資料を見ていただくと、日本人で海外で拘禁されている数が一番多いのは、これは明らかに中国です。

 中国に関して言いますと、実は、これはたびたび問題になっていることでありますが、スパイ容疑ということで日本人が拘束される事例というのが相次いでおります。スパイ防止法や国家安全法ができた二〇一五年以降、拘束された日本人というのは、資料の四ページ目に表をつけておりますけれども、これは「選択」という雑誌に載っている表ですが、いろいろなメディアが同じようなデータを載せています。この表によりますと、これまで十五人の方が拘束をされたということでありますけれども、こういうことで間違いないのか、二〇一五年以降拘束された日本人の数とその状況について、御説明をいただきたいと思います。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 政府として、一連の邦人拘束事案として十五名の邦人が中国側に拘束されていることを確認しております。そのうち五名は帰国済みであり、十名は帰国に至っていないものでございます。

大西(健)委員 その具体的な中身、あるいは、どういうことをやったからということで拘束をされているということは、外務省としてしっかり把握をされているんでしょうか。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 帰国に至っていない十名のうち、九名については既に公判が行われ、七名は刑が確定、二名は上訴中、残り一名は拘束中でございます。判決の出ている九名については、いずれも国家秘密の窃取等国家の安全に危害を与えた罪で既に有罪判決を受けているところでございます。

 以上でございます。

大西(健)委員 今御答弁の中で、国家安全に対するとか機密に対する罪ということでありますが、参議院での答弁によりますと、各公判について、実は判決文を書面で入手することができないという状況でございますというふうになっています。

 日本国憲法にも理由なく拘禁されないということが書かれているにもかかわらず、判決文もないのにまさに理由なく拘束されている、これはまさに不当な拘束だというふうに思いますが、せめて判決文を入手して、どうして拘束されているのかというのを明らかにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 かかる事案についての判決文は、中国において公表されておらず、入手が困難な状況でありますけれども、我が方から入手できるよう引き続き中国当局に申入れをしていきたいと存じております。

 なお、判決公判の際には、邦人保護の観点から、在外公館職員を派遣して判決公判を傍聴しており、判決内容については把握しております。

 政府としては、邦人保護の観点から、今後も領事面会あるいは御家族との連絡など、できる限り支援をしていくとともに、判決文についても入手できるよう引き続き中国当局に対し申入れをしていきたいと存じます。

大西(健)委員 先ほどの一覧表の一番下のところですけれども、北海道大学の男性教授、この方は、昨年の十一月十五日に超法規的措置ということで釈放され、帰国をされています。背景には、習近平国家主席の国賓訪日が迫っていたこととか、あるいは日本側から強い要請があった、また、この教授は、防衛研究所の教官や、あるいは外務省の国際文化協力室勤務の経歴を有しているという、外務省と密接な関係があったからじゃないかということが指摘をされていますが、外務省は、この岩谷氏以外の十人についても強く釈放を求めているんでしょうか。

 この委員会でも繰り返し大臣は、例えば、帰国を希望して帰れない日本人、海外にいる日本人の安全を保護するというのは外務省の最大の任務なんだということをおっしゃっていますが、まさに、先ほど来言っているように、判決文も明らかにされないまま、よくわからない理由で拘束されている日本人について、その解放を強く求めるというのは外務省の最も重要な仕事だというふうに思いますが、これを真剣に外務省はこれまでやってきているのかどうなのか、大臣に御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 一連の邦人拘束事案につきましては、政府として、日中間の首脳会談や外相会談等、これまでさまざまなレベル、機会で、早期解放に向け、中国側に働きかけを行ってきているところであります。

 例えば、今大西議員の方から御紹介がありました、昨年九月に北京市で北海道大学の教授が拘束されたわけでありますが、その後、十月に王岐山副主席が訪日しまして、その際、総理からも私からも直接働きかけを行い、十一月には解放に至っているわけであります。その後、十二月に私がまた改めて日中韓サミットの際に訪中いたしまして、王毅国務委員・外相と会談した際も、残る拘束事案について速やかな解決を求めたい、そういう話もさせていただいているところでありまして、今後も引き続き、さまざまなレベル、機会を捉えて、中国側に対して前向きな対応を求め、早期の解放に向けて努力を進めていく考えであります。

大西(健)委員 ぜひ大臣には努力をしていただきたいと思います。特に、既に訴訟プロセスが始まっている方が多いですけれども、表の下から二番目の五十代の男性、昨年の七月に湖南省で拘束されたということですけれども、十一月二十七日に公表されているということでありますが、この方についてもしっかり解放を求めていただきたいというふうに思っております。

 先ほど、ベトナムで拘禁されている日本人は三名しかいないということですけれども、中国は同じ表でいうと百九名ということでありますので、この受刑者移送条約というのは私は日中間が一番意味があるんだろうなと思っているんですけれども、これは二〇一〇年から実は交渉が始まっているというふうに聞いていますが、中国との間の受刑者移送条約が締結されれば、こうしたスパイ容疑で拘禁をされている日本人もその対象になるのか。

 それから、二〇一〇年からということでいいますと、もう十年もたっているわけですけれども、何がネックになって、こんなに長い時間かかっているのか。まさに、先ほど来言っているように、中国とやるのが一番早くやるべきだというふうに思いますし、そうすることによって、こうして拘禁されている日本人に対しても日本で刑に服してもらうということもできるんじゃないかというふうに思いますが、そもそも対象になるのかどうなのか、また、何でこんなに時間がかかっているのかについて教えてください。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御質問ございました日中間の受刑者移送条約につきましては、御指摘のとおり二〇一〇年六月以降六回の交渉を行ってきておりまして、昨年六月に行われた日中首脳会談では、早期の妥結を目指すということを確認しておるという次第でございます。

 現在交渉中でございまして、その要件、手続等をまさに交渉しておるというところでございますので、詳細についてお答えを申し上げるということは差し控えさせていただきたいとは思いますが、引き続き、同条約の早期締結を目指して中国側と交渉してまいるという考えでございます。

大西(健)委員 先ほど申し上げたように、例えばスパイ容疑で今拘禁されている、刑に服しているような日本人も対象になるんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、現在まさに交渉中の日中の間の受刑者移送条約でございますので、その詳細についてお答え申し上げるということは差し控えさせていただければと存じます。

大西(健)委員 繰り返しになりますけれども、一番多く日本人が海外で拘禁されているのは中国でありますから、できるだけ条約の締結を急いでいただきたいと思いますし、今申し上げたような皆さんが日本に帰ってこられるような形でぜひ条約を締結していただきたいというふうに思います。

 次に、特権・免除の関係で、今回、国際獣疫事務局、OIEについてこの特権・免除の協定がかかっておりますけれども、COVID―19、新型コロナウイルスも人獣共通感染症ということでありますし、昨年は豚コレラの流行というのもありました。そういう意味では、このOIEの重要性というのは大変増してきているというふうに思います。

 OIEで事務局次長を務めた宮城島一明氏は、講演で、OIE本部で働く日本人の数は非常に少なく、OIEはEU圏、特にフランスが主体になっている機関である、そのため、日本は資金を拠出するが物言わぬ国になってしまっていると述べています。

 我が国は三つのカテゴリーのうち最も高い分担金を払っていますけれども、ぜひこのパリのOIE本部に、高いレベルに日本人をしっかり送り込むべきじゃないかというふうに思いますが、この点について政府からの御答弁をいただきたいと思います。

神井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、パリにあるOIE本部には、農林水産省が派遣した一名の日本人職員が勤務しております。

 先生御指摘のとおり、OIEにおける我が国のプレゼンスを高めるためには、OIE本部の日本人職員の数をふやしていくことが重要であると考えております。このためには、農林水産省からの派遣に加えまして、より多くの日本人の獣医師や専門家にOIEへの関心を高めてもらい、積極的にポストへの応募を行ってもらう必要があります。

 このため、農林水産省では、外務省やOIEアジア太平洋地域代表事務所に働きかけて、日本でのキャリアセミナーの開催、幹部職員を含むOIEの求人情報のウエブサイトでの提供などを実現し、応募を促しております。

 このような取組を通じて、OIEにおける日本人職員の増加とより高いポストの獲得に向けて努力してまいります。

大西(健)委員 ぜひお願いしたいというふうに思います。

 ちょっとさっきの受刑者移送で、済みません、もう一問聞こうと思って忘れていました。

 けさのニュースで、これは韓国メディアが報じているんですが、韓国の保健当局が自主隔離を命じた日本人男性が無断外出したということで、感染症予防容疑で逮捕されたということであります。

 事実だとしたら非常に残念なことだというふうに思いますけれども、この件について、事実関係、今外務省はどのように把握をしているのか、今後、接見等する御予定があるのか、この点についてお聞きしたいと思います。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 現地時間二十一日、在大韓民国日本国大使館は、韓国入国後の新型コロナウイルス感染症に係る十四日間の自宅隔離期間中に同措置に違反し数回にわたり無断で外出したとして、二十代邦人男性が拘束されたことを現地当局より確認しております。

 これ以上の詳細については、現地当局にて捜査中のところでありますので、回答は差し控えたいと存じますが、いずれにせよ、邦人保護は外務省の最大の責務のうちの一つでございますから、在韓国日本大使館において現地当局より引き続き情報収集を行うとともに、適切に邦人保護の対応をしていきたいと考えております。

大西(健)委員 事実だとすれば残念なことですし、男性は否認しているということですけれども、引き続きしっかり情報収集していただきたいと思います。

 次に、先日の委員会で、海外における邦人の感染者数というのが明らかになりましたけれども、今海外で邦人保護や帰国者支援に当たっている在外公館の職員も感染リスクにさらされているというふうに思います。在外公館の職員及びその家族の感染者の数についてお聞きをしたいと思います。

垂政府参考人 お答えいたします。

 現在、在外公館におきましては、新型コロナウイルス感染症に関する邦人保護を最優先の課題として取り組んでおります。

 そうした中、現時点で報告を受けているところでは、在外公館に勤務する外務公務員、現地職員及びその家族について、これまで五カ国で十二名が新型コロナに感染したことが確認されております。そのうち、日本人は六名でございます。

大西(健)委員 今、私も申し上げましたし、御答弁にもありましたけれども、邦人保護のために、あるいは帰国支援のために前線で頑張っていただいている職員の皆さんの安全というのもしっかり確保していただきたいというふうに思います。

 在外公館には、外務省の医務官という日本の医師資格を持っている医師がいるということでありますけれども、例えば、最近、コロナ問題でいろいろな専門家の方がテレビ等でコメントをされていますけれども、関西福祉大学の勝田教授、この方はSARSの流行時に北京の大使館で外務省医務官として勤務をしていたそうです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、この外務省医務官がいる在外公館がどれぐらいあるのか。また、どういうところにこういう外務省医務官というのを配置しているのか。また、その医務官の数。それから、私が今申し上げましたように、今後、この今回のCOVID―19、新型コロナウイルス等のことを考えると、感染症の専門家や公衆衛生の専門家というのを積極的にこの外務医務官に採用していくべきではないかというふうに思っています。というのも、現地の医師免許がないと現地で診療というのはできないわけですから、情報収集というのが非常に大きな役割になると思います。

 どういうところにこの医務官を配置していて、何人いるのか、そして、感染症の専門家や公衆衛生の専門家を積極的に採用すべきじゃないかということについて、まとめてお答えいただきたいと思います。

垂政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在、百七名の医務官を百四の在外公館に配置しております。

 在外公館の基準としましては、定員や予算状況、現地の医療事情等を総合的に勘案の上配置してきているところではございますが、優先的には不健康地を中心に配置してきているところでございます。

 先ほど委員御指摘のように、医務官は医療行為そのものは従事することはできておりませんが、今般の新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、在外公館が全館体制で当たってきており、医務官のその知見、これをしっかりと生かしながら、現地における感染状況に関する情報収集、在留邦人及び渡航者に対する適時適切な情報提供、注意喚起などの支援を行っているところでございます。

 今後、感染症を含む専門家の医務官、これを積極的に採用すべしとの委員の御指摘につきましては、しっかりと受けとめて、医務官活動の広報をしっかり行っていくとともに、臨床医としての専門性を維持するための研修制度の充実をしっかりすることにより、医務官体制の拡充に努めてまいりたいと存じます。

大西(健)委員 医師の方としても、例えば熱帯地域とかで、そういうことを専門にしている人にとってはメリットはあると思いますけれども、ただ一方で、処遇の問題、医師として国内で得られる処遇に比べて、この外務医務官としての処遇というのが必ずしも恵まれているということではないということでありますので、優秀な、そういう感染症やあるいは公衆衛生の専門家をリクルートするには不十分な待遇というのもあるのかもしれませんので、そういうところも踏まえて、今後しっかり考えていただければというふうに思っております。

 続けて、コロナウイルスの関係で、今、各国が、次第に自粛を解除して経済活動を再開しようという動きがありますけれども、特に、早い段階から感染が拡大して早く終息に向かっていった中国等は立ち上がってきているということでありますけれども、そういう中で、例えば、欧州議会最大会派のトップであるドイツのウェーバー議員は、中国勢が、資金的支援も得て、コロナ危機が理由で割安になったり財務的困難に陥っている欧州企業を買収の標的にする動きが強まっているという懸念を表明しています。また、カナダ政府は、外国からのカナダ国内への投資が国民の健康と安全を含めカナダ経済や国家安全保障に新たなリスクをもたらすことを防ぐためとして、カナダ経済が新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復するまで、一時的に外国企業による投資の審査を厳格化することを発表しております。

 自由貿易体制の大切さということは繰り返し大臣もこの委員会で御答弁されていますが、一方で、日本の優良な企業や不動産、いろいろなものが外資に買収をされるという危険も、これも防がなければならないというふうに思います。

 そういう意味で、この外国の事例も参考にしながら、我が国も同様の措置をとるべきだというふうに考えますが、外務大臣の御所見をいただければと思います。

茂木国務大臣 現在のコロナ危機の経済への影響、今後更に大きくなることが懸念をされておりますが、二十世紀大恐慌以来の大きな影響が出るのではないかな、こういう予測もあります。

 あの当時でいいますと、世界の株価が大きく落ちて、例えば、アメリカの大企業スタンダード・オイルの株価も落ちたわけでありますが、ジョン・ロックフェラーは、かなり落ちた株を相当買い集めまして、結果的には相当資産をふやす、こういったこともやっているわけでありますが、今、国内ではなくてグローバルな形でのさまざまな投資、こういったものが進む中で、新型コロナウイルスの感染拡大による企業価値の下落というのが起こっているわけでありまして、そういった中で、幾つかの国で、自国企業が買収されないように投資審査の厳格化などさまざまな措置を導入していることと承知しております。

 我が国としても、我が国にとって重要な企業が買収されることがないように、これまでもさまざまな措置は御案内のとおりとってきているわけでありまして、例えば通信関係の産業であったりとか電力関係の産業であったりとか、今後、このコロナを踏まえて、どんな形で日本の企業を守っていくか、適切に対処していくか、このことについては所管省庁において適切に対応されるものと考えております。

大西(健)委員 ぜひそういう観点はしっかり持っていただきたいというふうに思います。

 次に、きょう、この委員会の前の理事会で外交青書について簡単に御説明をいただきましたけれども、皆さんのお手元に配った資料の五ページ目ですけれども、これは私の方で、二〇一六年以降の外交青書の北方領土に関する記述を抜き書きをさせていただきました。

 見ていただければ明らかなように、二〇一八年までは、北方四島は日本に帰属するというのが日本の立場であると書かれていたのが、二〇一九年にその記述が変わった。今回、二〇二〇年版では、北方領土は我が国が主権を有する島々でありというふうに、主権を有するということが明確に書かれた。このことは私も高く評価をしたいというふうに思います。

 ただ、繰り返し大臣も国会で御答弁されているように、我が国の立場というのは一貫して全く変わっていないんだということであれば、二〇一六年から二〇一八年は、北方四島はと、北方四島の帰属という言葉が書かれているわけですから、そうであるならば、この二〇一六年から二〇一八年と同じ記述に戻せばいいじゃないか、変にこの北方四島あるいは帰属という言葉を使わないことによって、四島の表現を用いないことによって、二島返還でいいと思っているんじゃないか、そういう余計な邪推を招いてしまうのではないかというふうに私は思いますので、なぜ二〇一六年から二〇一八年のように四島の帰属とはっきり書かないのか、このことについて、大臣からの御答弁をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、外交青書でありますが、さまざまな読者、それは、外交に直接かかわる人間、さらには研究機関等で外交の研究、分析をされている方、又は大学で外交について勉強されている方、さらにはビジネスマンであったり、一般の方で、外交について勉強してみたいな、最近の外交について興味を持っているな、さまざまな読者の方がいらっしゃるんだと思いますが、そういった幅広い読者に対して、その時々の国際状況を踏まえて、当該年におけます我が国の外交活動の概要を紹介するために作成する、これが外交青書の大きな目的であります。

 その上で、御指摘いただきました北方領土は、我が国が主権を有する島々であります。政府としてこの立場に変わりはなく、平和条約交渉の対象は四島の帰属の問題であるというのが、日本の一貫した立場でございます。

大西(健)委員 まさにそれが一貫した立場であるならば、記述を変えると方針が変わったんじゃないかという誤解を招くんじゃないか、だから、変わらないんだったら表現も同じにすべきじゃないかというふうに私は思います。このことはやり出したら時間がないというふうに思いますので、このことは大臣に再度強く申し上げておきたいというふうに思っております。

 今回、二つの社会保障協定のうち一つはフィンランドと結ばれたということでありますけれども、このフィンランド、成田―ヘルシンキというのは飛行機で行くと九時間半と、最も近い欧州の国がフィンランド。実は、フィンランドというのは隠れた親日国だそうです。日露戦争の勝利がロシアからの独立につながったこと、そして、スウェーデンとの間のオーランド諸島の帰属をめぐる領土問題を当時国際連盟事務次長だった新渡戸稲造が平和的に解決したことで、日本人が大変尊敬をされている、日本に対する印象が大変よいというふうに聞いております。

 前々回の委員会で、私、ウズベキスタンは非常に親日国だ、シベリア抑留者のおかげで親日国であるということを申し上げましたけれども、日本人の中でも、ウズベキスタンやフィンランドが親日国だということは余り知られていないんじゃないか。もちろん外交に直接かかわっておられる在外公館の方や西欧局の方なんかは御存じなんでしょうけれども、せっかくそういう、意外に親日国だということが知られていないというのは、私はもったいないというふうに思います。

 いろいろな国と親善を深めていくというのは外務省の仕事だと思いますけれども、そういう意味においては、こうした日本に対して親しみを持っている国々、この情報をしっかり国民に知らせていくことも外務省の役割ではないかというふうに思いますが、この点についての大臣の御答弁をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 御指摘いただきましたフィンランドでありますが、新渡戸稲造の大きな功績もありまして、また、フィンランドは、ヨーロッパにありますが、語学体系でいいますと日本と同じウラル・アルタイ語系に属すると、さまざまな要因もあって、日本と非常に、親近感を持っているというのは事実であると思っております。

 御指摘のように、世界各国の親日国というのは、我が国の外交推進上重要なパートナーでありまして、議員のように直接そういった国を訪問して実感していただく、これが一番いいわけですが、みんなが「世界ふしぎ発見!」みたいにあらゆるところに行けるわけじゃありませんので、そうでないにしても、そういった国々の存在を国民に知ってもらうことは大切で、外務省としても、そういった努力をしていきたいと思っております。

 そして、世界にさまざまな親日国がありますが、その背景を見てみると、先人たちの現地での功績に対する美談であったりとか交流のエピソードというのがあるわけでありまして、先日委員の方からも御紹介いただきましたように、ウズベキスタンにつきましては、日本抑留者のナボイ劇場建設、これが象徴的な事例となって、非常に親日感が強いというわけであります。

 また、トルコにつきましては、十九世紀末に和歌山県の串本町沖に台風により沈没したオスマントルコ帝国海軍の軍艦の乗組員を地元の住民が協力して救出してトルコに送還をしたということが、トルコ国民の心に今でも残っているわけであります。

 また、モンゴルについて言いますと、一九九〇年代の民主化への移行期に経済社会が困窮した際、日本がODAによりましてモンゴルの国づくりを力強く支えたことで困難を克服することができたということが広く知られておりますし、また、モンゴル出身の大相撲の力士の活躍を通じても、日本に対して好意や親近感を抱くモンゴル国民の方は多いんだと考えております。

 外務省では、こういった先人たちの功績、努力も踏まえつつ、民間団体等と共催によります国際情勢講演会であったりとか、外務省職員が全国の大学で講演を行う外交講座の実施、さらには、外交専門誌「外交」の発行等を通じて、国民の皆さんに対してさまざまな国の外交政策や日本との関係を発信してきているところであります。

 また、外務省ホームページでは、外務省職員がさまざまな国に赴任した際の体験等を紹介しているほか、ソーシャルメディア上でも、やわらかツイート等、各国のさまざまな事情に親しんでもらえるような発信も行っております。

 こういった取組を通じて、親日国に対する国民の理解そして関心を高めるということは、極めて重要だと考えております。

大西(健)委員 ちょっと、丁寧に御答弁いただいたため答弁が長かったので、最後に一点だけ。

 フィンランドですけれども、北極圏に領土を持っている八つの国の一つということで、最近は温暖化によって九月は北極は無氷状態になっている。欧州、アジア、これはスエズ運河で行く南回りが主流ですけれども、北極海航路を使えば距離が三割、四割短くなる。中国も最近、砕氷研究船を二隻保有するなど北極海への関与を強めています。

 我が国も今この砕氷研究船の調査をしているということでありますが、我が国は北極評議会のオブザーバーですし、外務省には北極タスクフォースという組織もあるし、何と、北極担当大使というのがいるそうです、私は知らなかったんですけれども。

 そういう意味で、外務省の北極政策について、ちょっと時間が来ていますので簡潔に大臣から最後御答弁いただいて、終わりたいと思います。

松本委員長 それでは、簡潔に答弁願います。

茂木国務大臣 北極は大切だと思っております。

 北極をめぐっては、地球温暖化によります環境変化に対する懸念が存在する一方、海氷状況の変化に伴いまして北極海航路の活用や資源開発といった経済活動が活発化しておりまして、安全保障の観点からも各国の北極に対する関心は高まりつつあります。

 我が国としては、北極の生態系や先住民の生活を尊重しつつ、北極における持続可能な経済活動を追求すべきと考えておりまして、御指摘のあった北極評議会を始めとする多国間の枠組みにおける取組や関係国との対話を通じて、北極における活動に関して法の支配に基づく自由で開かれた秩序が確保されるよう、積極的に取り組んでいきたいと思います。

大西(健)委員 終わります。

松本委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 共同会派、立国社の小熊慎司です。

 条約の質疑に入る前に、昨日、報道等でもありましたけれども、国際オリンピック委員会、IOCのバッハ会長が、一年二カ月後の状況は誰にもわからないとはしながらも、来年夏に開催延期されている東京オリンピック・パラリンピックについて、安倍総理からも最後のオプションということもあり、再延期はないという考えを示しましたけれども、この件について日本政府としての受けとめ、考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

河村政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘いただきましたIOCバッハ会長の発言に関しましては、そのような報道があることに関して承知をしておりますが、一連の発言につきましては、来年の東京大会の成功に向けたバッハ会長の強い決意が示されたものと考えております。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、引き続き、世界のアスリートが万全のコンディションでプレーを行い、観客の皆様にとっても安全で安心な大会を来年開催できるよう、今後とも、大会の主催者であるIOC、大会組織委員会、東京都等との緊密な連携のもと、大会に向けてしっかりと準備を進めてまいります。

小熊委員 これは復興五輪というふうにも位置づけられておりましたし、延期発表前、直前まで、私の地元の福島県では、聖火ランナーがスタートする地点でもありましたので非常に期待をしていたわけでありますが。来年の開催に向けて、これは、本当にバッハ会長が言うとおり、コロナを全世界的に終息させなければならないという点ではまだまだわからない部分もありますけれども、今、世界連携の中で、こうしたこともしっかり取り組んでいきながら、開催に向けて万全の体制をとっていただきたい。

 バッハ会長が言うとおり、コロナの状況もあるので、今いろいろな形で連携をとっていくというのがありましたけれども、バッハ会長が言っているとおり、アスリートの安全確保も重要ですし、また、WHOが言っているとおり、ワクチンがそのときにちゃんと整っているかどうかということも一つ考慮しなければならない点でありますので、そういう意味では、IOC、東京都だけではなく、アスリート側の各種さまざまな団体、また、WHOとの緊密な連携というのも必要になってきますので、その点もぜひ留意して、さらに、こういう形、もし、無観客ということも、これは可能性、いろいろなことを考えなければなりませんけれども、あわせて、復興五輪ということがかすんでも仕方がない点でもありますので、こうした点もしっかりかすまないようにやっていただきたい。その点について、もう一度答弁をお願いします。

河村政府参考人 先ほどのバッハ会長の発言でございますが、BBCの方でインタビューに答える形でお答えになっておられますが、その中で、今回、オリンピック史上初めての延期された大会が特別なものであることが証明され、改めて、ともに集い、コロナウイルスに打ちかったあかしとして、全世界に団結した、連帯したメッセージを発信できるということを力強く述べておられます。

 今、委員から御指摘がございました復興五輪の趣旨も体して、しっかりとした準備をしていきたいと思っております。

小熊委員 ぜひ、一年二カ月後、どうなっているかわかりませんが、しっかり開催に向けて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、条約に移りますので、河村審議官はもう結構でございます。

松本委員長 では、内閣官房河村審議官、どうぞ。

小熊委員 条約について質疑をさせていただきます。

 日・ベトナム受刑者移送条約、今ほど質疑をされました大西委員とも重なる部分もありますので、その点については割愛をさせて議論を進めたいというふうに思っております。

 在日のベトナム人が増加をしていて、残念ながら犯罪件数も上がっているというのは、先ほどの大西委員の質疑でも明らかになっているところであります。留学生がふえると犯罪がふえるという相関関係も指摘をされてきました。犯罪数等が大西委員からも示されてはいましたが、犯罪数とはまた別に、今、在日のベトナム人の実数と、また、その中における留学生の実数をまずお聞きいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 出入国在留管理庁におきましては、毎年、六月末現在及び十二月末現在の在留外国人を公表しておりますところ、直近の令和元年末現在の数値をお答え申し上げます。

 令和元年末現在で我が国に在留するベトナム人は四十一万一千九百六十八人となっており、このうち在留資格「留学」を有するベトナム人の方は七万九千二百九十二人となっております。

小熊委員 あわせて、これはコロナによって多分動きはとまっているとは思いますが、今年度来日予定の技能実習生の今の状況をお聞きいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 最近の状況でございますけれども、少なくとも、令和元年中におけるベトナム人、在留資格「技能実習」での新規入国者は九万九千五十六人でございました。

 また、本年一月から三月までの新規入国者数について取り急ぎ集計しましたところ、概数となりますが、約二万五千人となってございます。

 他方、四月以降、上陸の制限は厳しくなっておりますので、四月以降の入国者は、全国籍通して激減しているところでございます。

小熊委員 数年前にベトナムの政府の方とお話ししましたら、特に留学生、累積ですけれども、世界的にはアメリカや中国の留学生が多いのが普通ですが、ベトナムにおいては日本が、中国、アメリカを合わせても、累積では日本の方が留学生が多いんですよということを教えていただきました。非常に日本に対して思い入れのある国でもあり、犯罪者がふえている状況ではありますが、こうした交流をとめるわけにはいかないわけであります。

 この技能実習生の制度改正の折にもこの委員会で質疑させていただきましたが、残念ながら、先ほどの大西委員の質疑でも明らかになりましたけれども、送り出し側と受け手側の問題もあって、書類は整っているんだけれども、実際、日本語学校、書類自体は偽造はしていない、だけれども、その日本語学校の出した証明書も偽造ではないんだが、内容を見てみると、ちゃんと日本語の実習をしないで来てしまっているというのが明らかになり、これは、外務省の抜き打ちでやれば、一割から二割程度そういうのが見受けられるというのが当時の委員会での質疑の状況でありました。

 これは外務省だけではなくて、法務省がしっかりここはしなければならない点でありましたけれども、その改善が残念ながら今追いついていないというのが実情だというふうに思いますし、現地に行って調べなければならない点もあります。そうなると、このコロナ禍で人の移動が制限されているときに、こうしたことも防止ができない状況になっているわけであります。

 我々野党は、昨年、技能実習生の逃亡事案をいろいろ調べてみたら、これはやはり、約束と違って働かせているという日本側の問題の実態もありました。必ずしも外国人が悪いわけではない、やはり受入れ側の問題も存在するというのも、我々のアンケート調査でも明らかになったところであります。

 そうした意味で、この在日のベトナム人の犯罪の種類とその原因について、改めてお伺いをいたします。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 ベトナム人犯罪の種類と原因についてのお尋ねでございますが、昨年、令和元年中に検挙されましたベトナム人については、入管法違反が検挙人員で千八百六十九人、率で見ますと五五・五%と最も多く、続いて窃盗犯が検挙人員七百八十七人、二三・四%となっており、二つ合わせまして、ベトナム人検挙人員全体の約八割を占めております。

 このうち、入管法違反につきましては、不法残留が入管法違反全体の七四・三%を占めております。また、窃盗犯につきましては、万引きが窃盗犯全体の七二・四%を占めているところでございます。

 次に、ベトナム人検挙者につきまして、入管法違反及び窃盗犯が多い原因につきましては、一概に申し上げることはなかなか困難でございますけれども、例えば、ベトナム人による入管法違反につきましては就労目的の不法残留が、また、窃盗犯につきましては転売目的で組織的に大量に商品を万引きするといった特徴が見られるところでございます。

小熊委員 ぜひその点、実際、本来的には、日本に来たい、日本で働きたい、日本で学びたいというベトナム人の多くは、これは、日本が好きであり、日本をまた目標にしながら努力をしたいというところで来られているのが多いというふうにも思いますし、今、原因についても、一概には言えないけれども、るる答弁がありましたが、一方で、不法滞在につながっていったり、また窃盗に走らざるを得ないという状況も、日本側の、受入れ側の問題もあるというふうにも思います。

 そうした点においては、これは、取り締まるのは警察の方でありますけれども、ぜひ、受入れに関しては、しっかりと受入れ体制が整っているのか、本国から日本に来るときのいろいろな情報の説明がよくなかったのかどうかといった点も含め、外務省はしっかり、ベトナムとの友好関係の中で、努力をしなければならないというふうにも思うところであります。

 改めて、先ほどお話しさせていただいたとおり、技能実習生を拡大するときに、いろいろな、書類は整っているけれども、実際は実態が伴っていないでいる受入れの問題がありました。

 これは、法務省にしっかり本当は、外務省はしっかりやっていると思います、法務省がちょっとやり切れていないというのが私の見解でありますけれども、そうした防止策について、今どういうふうになっているのか。コロナ禍でこういう状況でありますけれども、技能実習生の制度が改正されて一年以上が過ぎているわけでありますので、その点、あの議論をしたときに問題となっていた点がどのように改善されているのか、状況をお聞かせいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたとおり、技能実習制度の改善につきましては、まず、送り出し、日本側の受入れ、双方が努力して改善していかなければならないと思っております。

 新制度創設後でございますが、まずは国内の方でございますけれども、外国人技能実習機構の方で、従前、入管がやっていましたときと比べますと、実地検査というのを監理団体、実習実施者の方に強化しているところでございます。

 また、送り出し国との連携の中で、相手国政府との二国間取決めもございますので、その中で、問題のある送り出し機関をこちらから連絡する、あるいは、先方からも問題のある機関を通報いただくということで、現に、日本側で監理団体の許可を取り消したりとか、あるいは、送り出し機関の認定を先方に取り消していただいたような事例も出てございます。

 まだ失踪者もたくさん出ている状況でございますので、御指摘を踏まえまして、引き続き努力してまいりたいと思います。

小熊委員 ぜひこれは、きょうはお呼びしていないんですけれども、法務省の役割というのも非常に大きいものでありますし、今、法務行政が揺らいでいるさなかではありますが、その辺、外務省がしっかりリーダーシップを発揮して、法務省との連携も進めながら、本来、受刑者が発生しないということが理想でもありますので、その前の対策をしっかりしていただいて、両国間の人の交流拡大は、拡大して犯罪がふえてしまうという側面はありますけれども、そうしたことで不幸なことが起きないように、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に移りますので、警察庁、また出入国管理庁のお二人は、委員長、結構でございます。

松本委員長 出入国在留管理庁丸山在留管理支援部長と警察庁刑事局組織犯罪対策部長野村護君、どうぞ。

小熊委員 次に、今回、条約も審議になっているスウェーデンとフィンランドは、いわゆる海洋国家であります。スウェーデンは歴史的に大陸国家的な政策をとってきた点もありますけれども、いずれにしろ、この二つの海洋国家は、現在、脱原発の国際的な流れの中で、非常に洋上風力発電についても力を入れて取り組んでいる二国家でもあります。

 今回のこの社保協定が締結されることによって、更に日本との経済的な交流が活発になることが望まれているわけでありますし、そうした中でも、今、政府においても、海洋再エネ新法を受けて洋上風力発電に力を入れているところでありますので、こうしたフィンランド、スウェーデンといった二国家を始め、国際的な連携の中で政策が実現し、推進されていくことが望まれているところであります。

 しかしながら、このコロナ禍による世界経済の停滞を受けて、現在、発電事業者の部品調達についてさまざまな影響が出ているところがあります。こうしたコロナ禍ではありますけれども、再エネ新法を受けて力を入れているところでありますから、こうした中での国際的な連携については今どのように取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、今般の新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、国内外におきまして風車部品工場の生産停止や物流の停留などの影響が生じている、こうした声も聞いてございます。

 近年頻発する自然災害や今般の新型コロナウイルス感染症の影響などに直面しまして、改めてサプライチェーンの強靱化の必要性を認識しているところでございます。その実現に向けましては、日本国内でサプライチェーンの構築に加えまして、先生御指摘のとおり、国際的な連携を進めていくということが非常に重要でございます。

 再エネ海域利用法におけます事業者の評価に当たりましては、国内外での実績を評価することとしてございまして、こうした枠組みのもとで日本企業と海外企業の連携が進みつつある状況にあると承知をしてございます。

 洋上風力発電の導入の拡大に向けまして、サプライチェーンの強靱化を図りつつ、また国際連携を促進しつつ、再エネ海域利用法を着実に施行してまいりたいと考えてございます。

小熊委員 現在、取組の中で、三つの区域ですか、促進区域指定を受けるべく現場で調整が図られていますけれども、今回のこのコロナの影響で、その協議会などのスケジュールに影響が出ているのではないかというふうにも思われております。

 今後の洋上風力発電の促進区域指定などのスケジュールに影響が今あるのか、協議会が開催できていない、延期になっている、その有無をお伺いしますとともに、今、コロナ禍であるけれども、いろいろな体制を整えながら強力に推進していくということでありますが、コロナの影響を受けながらもおくれがあるのかどうか、それに対してどういうふうに対応しているのか、今後のスケジュール等についてお伺いをいたします。

覺道政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月に施行されました再エネ海域利用法に基づきまして、昨年七月に一定の準備段階に進んでいる区域を十一区域選定をしてございまして、そのうち四区域、具体的には、長崎県の五島市沖、それから秋田県の能代市、三種町及び男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖及び千葉県銚子市沖、この四区域ですけれども、これについては、有望な区域として、協議会の設置等を行いまして検討を進めているところでございます。

 このうち長崎県の五島市沖については、昨年十二月に初の促進区域として指定したところでございまして、現在、事業者の公募を行うための準備を行っているところでございます。

 したがいまして、先ほど先生御指摘のとおり、四区域のうち、一区域は既に促進区域として指定してございまして、三区域が今、促進区域の指定に向けた検討が進んでいるということになります。

 また、秋田県の能代市、三種町及び男鹿市沖、それから秋田県の由利本荘市沖、この二区域については、本年三月三十日に開催されました両区域の第三回協議会におきまして、促進区域の指定に異存がない旨の取りまとめをいただいてございまして、現在、促進区域の指定に向けた準備を行っているところでございます。

 さらに、千葉県の銚子市沖については、現在、第三回の協議会の開催に向けた日程の調整を行っている、こうした状況でございまして、調整がつき次第、日程を公表したいと考えてございます。

 一方で、今般の新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、世界の物流や経済に大きな影響が生じてございます。将来的な不透明さが生じてきている中で、再エネに取り組む事業者等の方々に、この今回のもろもろの制度の運用が契機となって不測の事態が生じたりですとか、あるいは足元の感染防止対策に悪影響が生じるようなことがないように、そうしたことはしっかりと回避をしなければならないと考えてございます。

 このため、長崎県の五島市沖における事業者公募ですとか、あるいは千葉県銚子市沖等の促進区域の指定のタイミング、こうしたことにつきましては、今般の事態の収束状況や関連事業を取り巻く状況等を踏まえて検討してまいる予定でございます。

小熊委員 コロナにしっかり対応していかなければいけないというのは優先事項でありますけれども、今回こうして条約の審議もしている中で、経済も動かしていくための、ある意味支える社保協定でもあります。先ほど答弁にもありましたとおり、いろいろなサプライチェーンも含めれば世界連携が必要で、世界的にも経済をしっかり生かしていかなければならないという点でもあり、今回政府が力を入れている洋上風力発電の促進についても停滞するわけにはいかないわけでありますので、万全のコロナ対策をしながらも、おくれのないように今後また取り組んでいただいて、また、こうした海洋国家、スウェーデン、フィンランドだけではありませんけれども、とりわけこういうふうに力を入れている国々との連携についても、これからしっかりとっていただきたい。

 そのためのこの条約でもありますので、ぜひその点に留意をしていただいて、スケジュール感になるべくおくれの出ないように対応をとっていただくことをお願い申し上げ、次の質問に移りますので、資源エネルギー庁の方々は結構でございます、委員長。

松本委員長 資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策調整官覺道君、どうぞ。

小熊委員 次の質問に移りますけれども、このコロナ禍において、今ほど話題にもなりましたサプライチェーンの問題も指摘をされましたが、一方で、食料の安全保障についてもしっかり対応をとっていかなければならない点、日本の食料自給率の低さがまたあらわになったというふうにも理解をしております。

 これはもう世界恐慌以上の経済的なインパクトがあるというふうにも言われていますが、初期のころはリーマン・ショックとも比べられておりました。ちょうどリーマン・ショックのころ、世界的にも凶作であって穀物類が高騰したんですけれども、リーマン・ショックによって逆に穀物の値段が下がって、食料の輸入については落ちついたという側面もあったのも事実であります。

 しかしながら、今回のこのコロナはそれとはまた違う状況でありますし、日本は世界有数の経済大国ではありますけれども、金はあっても食料がないという状況で、札びらを使ってほかの国々からこうした食料を輸入するというのも国際的な批判を浴びるところでもありますし、過去においてはそうしたこともなかったとは言えないのが一つであります。

 国内農業を進展させる上でも、人口減少、労働力減少の中で、先ほども議論した技能実習生も農業分野においては大きな期待を寄せられたところでありますが、現在、コロナの影響によって技能実習生が入国できないという状況が続いており、その労働力を期待していた農家などでは大変困っている、経営困難に陥っているというところもあります。

 ことし、今年度の来日予定の技能実習生の今の状況について、まずお伺いをいたします。

出倉政府参考人 お答え申し上げます。

 農業分野における外国人技能実習生の数は、令和元年十月末時点で約三万二千人となっております。

 このような中、今回、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、多くの国に対して入国制限が行われ、これに伴い、農業で受入れの見通しの立たない技能実習生の方々は、私たち、都道府県からの聞き取り、これをもとに積み上げますと、五月七日時点で約二千四百名となっており、人手不足により営農への影響が懸念されている状況でございます。

小熊委員 いろいろな形で、これは二次補正にもかかわってきますけれども、今現在聞いている農業分野においても、政府においては支援策を考えているというところでありますが、支援したとしても、人手がなければ動かせない。まして、もう農業が忙しくなってくる時期になってきている中で果たして間に合うのかという点もありますし、そうした中で、農水省においては、農業高校とか大学生の学生をそうした派遣をする支援を今しているところでありますし、また、聞くところによれば、農業の時給を幾らかかさ上げをして人材確保に努めようということも検討しているというのも聞いて、承知しております。

 ただ、それでは、技能実習生だけで解決するわけには、二千人が穴あいておりますし、今のコロナ禍によってさまざまな影響を受けているわけで、この学生派遣支援や、また時給の上乗せだけでは追いついていかないというふうにも思います。

 というのは、今ほど言ったように、このコロナ禍において、日本の自給率を上げなければ、輸入もなかなか滞ってくる点が世界的に起きてくるわけでありまして、そういう意味では、中長期の視点から、やはりこの点についてはさらなる支援、対策が必要だというふうに思っています。

 そのさらなる支援についてお聞きしますけれども、その前に、例えばフランスなんかでは、もう影の軍隊というふうにも言われている援農隊、農業を応援する組織があるわけでありますし、こうした大がかりな対策までしていかなければならないというふうに思いますけれども、この学生派遣支援、また時給のかさ上げだけではなくて、ほかの対応についてどのように検討されているのか、お伺いいたします。

出倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員からも御紹介いただきましたように、今般の補正予算の中で、緊急の労働力確保対策といたしまして、農業労働力確保緊急支援事業、これを措置いたしまして、農作業の経験のある即戦力人材に加えまして、学生や他産業からの人材も受け入れて農作業に従事いただけるよう、交通費や宿泊費、研修費、それから労賃などのかかり増し経費を支援する。それから、農業現場でのマッチング、これをしっかり支援するということにしたところでございます。

 それから、委員からも御指摘がありました学生の援農につきましても、四月三日に通知を発出し、農業大学校に対して援農への協力を呼びかけるとともに、この事業を活用しまして、学生が農作業に従事する場合の交通費等、これを支援することとしております。

 このような中で、地域においては、地元の宿泊業者や飲食業者などの方とのマッチング、これが進んでいるということで、一部では既に雇用契約に至った地域もある、こんなふうに聞いておりますし、JA職員や学生からの援農、これも始まっているという地域もある、こんなふうに聞いてございます。

 農林水産省といたしましては、まずは農業関係団体や人材のマッチングをしている都道府県、これと十分連携をとりながら、この補正予算をしっかり活用して、各地域でのマッチングを後押しして、しっかりと農業労働力の確保、これを推進してまいりたいと考えてございます。

小熊委員 それで、新たに今後の方向性として、アフターコロナ、実際、コロナが完全に終息しなければ、コロナウイズという言葉もあって、コロナがある状況の中で経済を動かし、世の中を動かしていくという意味では、これまでも農水省においては、小規模農業についても支援はしてきましたけれども、今までの流れの大きな柱というのはやはり大規模型でもありますし、そうしたもののあり方、農業のあり方というのを見直していかなければならないんじゃないかな。持続可能な農業のあり方を求めるからこそ、食料の安全保障というもののベースができ上がるというふうにも私は思います。

 そうした方針の見直しといったものを、今般、このコロナを機にしっかり取り組んでいかなければいけない時期にあるというふうにも思いますし、この補正予算の中でも、これは私の地元もありますから、和牛についても支えをしていかなければならないんですが、世界的には逆に、日本のカロリーベースの食料自給率が低いというのは輸入飼料に頼っている部分もあるわけであって、いわゆる、また、今、国会の中でもビーガンの支援の超党派の議連もできました。いろいろな大豆やまた代替の肉が世界的にも開発をされている。オランダにおいては食肉に増税をするというところも、今、オランダの国会で議論されているというふうにも聞いています。そうした生活様式の変革によって食料自給率を高めていくということも、我々は今求められているのかもしれません。

 そうした意味では、大規模型の農業の支援という柱もありながら、やはり、持続可能な農業、小規模型の農業といったものについても見直しを図って食料自給率を上げていき、食料の安全保障といったものを確立していく必要があるというふうに思いますが、その方向性について、このコロナを見据えた方向性の転換又は見直しといったものについてはどのように取り組んでいくのか、最後にお聞きいたします。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、本年三月に食料・農業・農村基本計画を改定いたしました。そこでは、最近の不安定な国際情勢というのもありますが、コロナウイルスが既に発生した後でありますので、それも踏まえまして、農業の生産基盤を強化し、食料の安定供給を図るという観点から、国内の需要が増加しており、輸入品からの代替が見込まれる小麦や大豆等の国産農産物の増産や、国内の飼料基盤に立脚した畜産経営の確立、また、経営規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず、農業経営の底上げにつながる生産基盤の強化、荒廃農地の発生防止や解消といったことを図るという方向を打ち出してございます。

 また、今回の新型コロナウイルスの影響により厳しい状況に直面している農業に対する対策としては、在庫が滞留している農産物の販売促進や他産業からの人材受入れなどによる労働力の確保、また、食品産業における輸入原料から国産原料への切りかえの推進といった対策を講ずることにしております。

 これらの政策を通じて、将来にわたって食料を安定供給できる持続的な農業を実現し、また、ひいては食料自給率の向上というのも図ってまいりたいと考えております。

小熊委員 この点については、後日また外務大臣と、これは、将来的に外務大臣が各国に行って食料を買い求める、そういう交渉をしていくというような状況が起きないように、食料の安全保障も大事でありますから、ぜひ後日また大臣とも議論したいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 立国社の岡田克也です。

 まず、日・ベトナム受刑者移送条約に関連して法務省に聞きたいと思いますが、現在ある移送条約に基づく実際の運用ですが、どうも、例えば送り出し移送の所要期間を見ますとかなり時間がかかっている。二〇一三年から二〇一九年までに二百三十五名の方が対象になっていますが、二年未満で答えが出た人は十八人、八%、最も多いのが三、四年で七十八人、三三%、六年以上かかっているという人も十二人いるということです。

 何がネックでこんなに時間がかかっているんでしょうか。

椿政府参考人 議員御指摘のとおり、送り出し移送の所要期間につきましては、平均して三、四年の期間を要しており、六年以上の期間を要するケースもあることは承知しております。

 送り出し移送につきましては、その手続の中で、移送の法定要件の該当性や相当性、例えば、受入れ国の国民であることの証明、受入れ国において受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進することが期待できるか、被害者の感情等に照らし、送り出し移送の実施が相当か、受入れ国における刑の執行内容は我が国の刑罰の目的が達成されると認められるものか等につきまして、受入れ国との情報交換も行いながら、個別具体的かつ総合的に勘案して決定しております。そのため、受入れ国との手続の進捗等によりまして、所要期間に差異が生じることがございます。

 法務省といたしましては、受入れ国との手続が円滑に進み、送り出し移送の実施が適当と認められる案件につきましては、速やかに移送できるよう、今後とも国内及び外国関係機関との連携を図ってまいりたいと思います。

岡田委員 これは、余り時間がかかるということになると、まず受刑者は同意をするわけですね、同意してから何年も何年も手続が進まないというのは、私はかえってこれは人権問題と言われてしまうのではないか。したがって、条約をいろいろ結ぶのはいいんですが、その運用がきちっとしていないと、非常に問題ではないかというふうに思うわけです。

 法務省のホームページを見ますと、この法律の適用について、今御指摘のような、一つは受刑者移送法二十八条各号に掲げる要件ということで、該当性判断ということが言われています。

 それ以外に相当性判断ということが言われていて、一部言われましたが、事件関係者や社会一般の状況に照らし相当かどうか。もちろん被害者あるいは被害者に関連する方々の感情を十分に配慮したものであることは重要だと思いますが、社会一般の状況に照らしとか、そういう非常に抽象的な要件が入ってくると、なかなか判断に時間がかかる、あるいは迷う、先送りするということが起きているんじゃないか。

 それからもう一つは、恐らく外務省と法務省の間のキャッチボールにかなり時間がかかっているんじゃないか。

 そういうことについて改善する必要があると私は思うんですが、いかがですか。

椿政府参考人 個々のケースにつきまして、さまざまに事情が異なるところがございますので、一概にどのような原因で所要期間を要しているかということを申し上げるのは難しいところがございますが、繰り返しになりますけれども、国際受刑者移送制度の趣旨に鑑みまして、速やかに手続が進むよう、今後とも国内及び外国関係機関との連携を図ってまいりたいと思います。

岡田委員 条約や法律上求められている要件は、実はそんな複雑なことではなくて、かなりシンプルですから、平均三、四年かかっているというのは、ちょっと私には理解できないんですね。何か問題が、恐らく外務省も含めてあるんじゃないか。かなり複雑な、外務省と法務省のやりとりが何回も行われなければいけない仕組みになっていますから、そういうことも含めて、これは、ぜひこの際、両省でしっかり見直しをしていただきたいというふうに思っております。

 もう一点、OIEについて質問したいと思います。

 OIEというのは非常に歴史のある国際機関で、かつて一九九二年にはアジア太平洋地域代表事務所が東京に設置されたということであります。しかし、今回、特権及び免除に関する協定が結ばれるということです。

 九二年に事務所が設置されながら、今日までこのアジア太平洋地域代表事務所の特権及び免除に関する協定が結ばれてこなかったのは、私は非常に時間がかかり過ぎているというふうに思うんですが、何か理由があるんでしょうか。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 OIEにつきましては、アジア太平洋地域事務所が一九九二年に東京に設立されたわけでございますが、当初はOIEからは、事務所に対する特権・免除の付与につきましては特段の要請はなされていなかったということでございます。

 一方で、越境性の動物疾病等に対する対処の緊急性が高まる中で事務所の活動も活発化してきたため、OIEから特権・免除の付与に関する要望が示されるようになりまして、具体的には、二〇一七年にOIEの事務局長から当時の外務大臣に対しまして要請がなされました。

 こうした具体的な要請を踏まえまして、OIEの役割が拡大する中で、事務所の円滑な活動を確保し、OIEとの連携の強化を図ることは重要だというふうに考えまして、OIEとの協定の交渉を行いました結果、今般、この協定の締結を目指すというふうにした次第でございます。

岡田委員 二〇一七年までは要請は全くなかったということですか。

塚田政府参考人 そのとおりでございます。

岡田委員 今回、非常に必要があるから必要だということでこの委員会で議論されているんですが、ちょっと私にはよくわからない。東京にそういう事務所が設置されたのであれば、それがうまく回るように、日本としても積極的にそういった特権及び免除に関する協定を締結すべく動くべきだったと思いますし、何か、向こうから要請がなかったからおいておいたというのもよくわからないわけであります。

 私は、今回の世界観光機関の附属協定の締結もそうなんですが、何か非常に時間がたっている。例えば、世界観光機関であれば、二〇〇八年七月に附属書が発効している。今回、非常に大事なものだということで委員会に附属書がかかっているわけですけれども、発効後十年以上かかっているのはなぜなんでしょうか。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇八年のこの附属書の作成以降、UNWTOに対する特権・免除の付与の必要性につきまして先方と検討を行ってきたわけでございます。

 その際、議論のポイントとなりましたのは、UNWTO側が職員を派遣するという意思決定、これをまずしていただくことが先決ということを私どもの方から申し上げており、一方、UNWTO側は、特権・免除の付与の決定をまずしてほしいと、日本側において。このどちらが先に来るかということがいわば検討の際の大きなポイントだったわけですけれども、昨年、UNWTO本部の方から新たに駐日事務所に職員を派遣するという意向が表明されまして、これが政府内で検討を更に前に動かすいわば決定打となりまして、本格的な検討を始めるということになりました。

 加えまして、地方創生のかなめでもございます日本の観光産業のさらなる発展のために、UNWTOとの連携を強化する重要性が急速に高まっているということを受けまして、今般、附属書の締結を目指すということとした次第でございます。

岡田委員 割とつまらないことで議論が停滞してきたんだなという感が否めません。

 この両機関は、いずれも日本に事務所がある。そういうものの誘致については、かなり日本政府としては働きかけをしてきたはずだと思うんですね。せっかく誘致しながら、それがちゃんと機能できるような前提が整わないというのは、私は決して望ましいことじゃないというふうに思うんですが、大臣、一般論で結構ですから、こういったことについて、もう少し改善の余地があると思われませんか。

茂木国務大臣 国際機関、それが例えばアジアで唯一の事務所を日本に置く、これは観光分野についても動物の検疫においても極めて重要なことなんだと思っておりまして、それは積極的な誘致をするということは当然でありますが、その上で、そこがきちんと機能することによって、やはり日本のプレゼンス、その分野でのプレゼンスも高まるということでありまして、まずスピード感を持って対応する、同時に、そのフォローアップというものをしっかりしていくということが極めて重要だと考えております。

 同時に、日本外においてもやはりさまざまな国際機関があるわけでありまして、そこに日本人スタッフがより多く出ていくということで、両側において日本のプレゼンスをどう高めていくかということが極めて重要だと考えております。

岡田委員 それでは、次に移りたいと思います。

 前回に引き続き、ちょっと東アジアにおける抑止の問題を議論したいと思います。条約に関連する皆さんはもう結構ですから、お帰りいただいて結構です。

 それでは、前回の議事録をちょっともう一回よく精査してみたんですが、まず、大臣は、前回、五月十三日の私とのやりとりの中で、こういう答弁がありました。アメリカも地上発射型の中距離ミサイルを開発中だが、米国からは、直ちに配備する状況ではなく、また、具体的な配備先についても検討は行っていないとの説明を受けている、そういうふうに答弁されました。

 これは、米国側が地上発射型の通常ミサイルについて言及した、その発言を受けての答弁だったというふうに思います。具体的にはエスパー国防長官が昨年八月に何回か発言しているというふうに聞いておりますけれども、ただ、現に日本政府が配備について何かアメリカ側から打診があるということはないにしても、やがてそういう議論が出てくることは間違いがないというふうに思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 先日十三日の委員会で、この米国の地上発射型中距離ミサイルについて、まず、開発中である、そして、具体的な配備先については検討は行っていない、そして、これは核弾頭搭載型ではなくて、あくまで通常弾頭搭載型である、このように答弁をさせていただきました。

 ただ、INF全廃条約で米ロに廃止が義務づけられていたミサイルをそれ以外の国々が開発、実戦配備している状況が出てきている、このことについても申し上げたと思いますが、これは我が国自身にも関係する重要な問題でありまして、引き続き米国とも緊密に意思疎通をしていきたいと思っております。

岡田委員 東アジアにおけるこういった形での通常ミサイルの配備というものは、これは米国政府として、現在まだ開発中だけれども、それを配備する、そういう考え方を持っているということは間違いないというふうに思います。

 そこで、東アジアというときに、具体的に配備できる国というのは限られているというふうに思うわけです。日本が配備の打診を受けた場合にどう対応されるおつもりですか。配備というときには、自衛隊に配備するというものもあれば、在日米軍基地に置くという考え方もあると思いますが、そういったことについてどう考えておられますか。

茂木国務大臣 先ほど申し上げたように、今、米国は具体的な配備先については検討は行っていないということでありますが、今後、米国の核抑止を始めとする拡大抑止、これをどう実効性を確保していくかについては、日米間でさまざまなやりとりをやっていく必要があると思っております。

 ある程度の時間がかかる中でそういった議論は進むと思っておりまして、今の段階で、ここはこうなるという一つの結論を持って臨むつもりはございません。

岡田委員 このミサイル自身は核を持たないミサイルだという、そういう前提で今私はお聞きをしたんですが、確かに、これは簡単には答弁できない問題だというふうに思うんですね。東アジアをめぐる安全保障環境の大きな変化の中で日本自身がどうするのかという問題、同時に、国内の状況もあるし、それから、相手国と想定される国あるいは国々の反応というものも考えなきゃいけない。非常に難しい問題であって、私も実は、今聞かれれば簡単に答えられない問題だというふうに思っております。

 私は、そういう意味でも、突然降って湧いたようにこういう問題が起きるのではなくて、状況に応じて、丁寧な国内での議論というものが必要だというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。

茂木国務大臣 まずは、アメリカは開発中であったり配備については検討していない、こういう段階にある中で、しかし、米国の拡大抑止の問題についてはこれからもやりとりをしていかなきゃならない。何らかの方向性、これが見えてきた場合には、当然、それは国会に対しても国民の皆さんに対してもきちんと、変化する東アジアの安全保障環境の中で、どういう今オプションがあるかとか、どういう方向を目指す必要があるか、こういったことについては丁寧に御説明する必要が出てくるかもしれませんが、今はそういう段階にない、こんな認識を持っております。

岡田委員 近い将来そういう議論が必要になってくるんだというふうに思いますが、今は、米国が配備を考えている通常ミサイルの話を私はしたつもりであります。

 その上で、今度は核の話ですね。核について、前回の審議、私とのやりとりの中で大臣はこういうふうに言っておられます。東アジア地域において新しい安全保障上の脅威が存在するようになってきているとした上で、こういった中においては、よりきめ細かな核体制のあり方、こういうものを模索していく必要はあると考えている、そういうふうに大臣は答弁されているわけです。

 よりきめ細かな核体制のあり方というのは、もう少し具体的におっしゃっていただきたいんですが、どういうことでしょうか。戦略核による拡大抑止というだけではなくて、よりきめ細かな核体制のあり方ということになると、それは非戦略核による抑止ということを念頭に置いてされた発言かなというふうに思うんですが、いかがですか。

茂木国務大臣 先日私が、よりきめ細やかな戦略核のあり方を模索していく必要があると述べましたのは、望ましい核体制のあり方については、安全保障環境の変化等も踏まえ、より詳細かつ不断に検討していく必要があることを述べたものでありますが、特定の核体制を念頭に置いた答弁ではありません。

 いずれにせよ、米国の拡大抑止の実効性向上に向けて、引き続き、米国と緊密に協議をしていきたいと思っております。

 ただ、その上で申し上げますと、我が国周辺においても、戦術核を保有し、これを増強する国が現在存在している以上、現時点において、いかなる戦力を持って抑止力を構成するか、こういう検討において、戦術核を排除することはできないと考えております。

岡田委員 大臣、今、御自身の答弁を言われましたが、戦略核という言葉は大臣の答弁には出てきておりませんので、よりきめ細かな核体制のあり方、議事録によるとそういうふうになっておりますので、そこは訂正しておきたいと思いますが。

 今、戦術核の話をされましたね。確かに、NPR二〇一八では、柔軟な核オプションを拡大することが強調されています。あるいは、小型核や、新たな艦船発射巡航ミサイル、SLCMの開発も強調されております。

 東アジアにおける、そういった非戦略核、あるいは戦術核と言ってもいいかもしれませんが、それを日本として将来求めていくべきなのかどうかということについて、大臣は今検討の必要はあるというふうにおっしゃったと思いますが、東アジアの今の安全保障環境を見ると、そういった非戦略核の存在というものは必要であるというふうにお考えですか。

茂木国務大臣 その体制の、どういうものを持つかという検討の中から排除することはできないと申し上げたわけでありまして、それが必ずしも今の段階でプリコンディションで持つ必要があるという意味で申し上げたわけではございません。

岡田委員 今、日米間で核をめぐるかなり深い議論が行われているはずだと私は思っておりますが、その中で、日本がそういった戦略核でない核を東アジアに配備することを積極的に求めているということは今でもないというふうに理解しておいていいですか。

茂木国務大臣 それで結構であります。

 そして、更に申し上げると、先日も答弁をさせていただいたと思うんですが、米国側の抑止力を確保するに当たって、具体的にいかなる運用を行うのか、いかなる装備体系を保有するかといった点については、我が国は最終的にこれを判断する立場にはなくて、すぐれて米国が判断すべき事項であると考えております。

 この点、岡田委員、二〇〇九年、外務大臣時代に、クリントン国務長官、当時でありますが、に対して、我が国は、米国の特定の装備体系について、それを持つことが必要であるか、持つことが望ましいかについて判断する立場にはない、そういった書簡を送られていると承知をいたしております。

岡田委員 それは、私のレターの読み方が間違っています。レターを読んでいただければわかるんですが、要するに、日本の事務方が、トマホークの退役や、それから小型核について、むしろ必要だというふうに述べたという、そういう報道がありましたので、もしそういうことを日本政府が言ったとすると、それは違うと。つまり、日本は、アメリカ政府はそのときトマホークの退役はもう決めていたし、小型核の開発についても、これは議会は認めなかった、そういう状況の中で、一旦アメリカが意思決定したものについて異論を述べることはありませんという、そういう脈絡で述べたわけで、一般論として大臣が言われたようなことを私が言ったわけではないということは申し上げておきたいと思います。

 いずれにしても、核について、これも議論から排除はできないという大臣のお立場であります。

 そこで、今度は、今後の軍備管理の進め方について少し議論したいと思うんです。

 大臣は、アメリカのトランプ大統領がINF全廃条約を失効させました、そのことの理由というのは、ロシアの条約違反よりも、米ロ以外の国々が開発、実戦配備したことの方が大きいと思うということを前回発言されています。それはそうかもしれません。

 しかし、では、INF全廃条約を失効させたら、例えば中国との話合いがより進むんでしょうか。大臣の御発言はそういうふうに受け取れるんですけれども、条約を一旦なくしてしまった方が、中距離ミサイルについての中国との話合いが進む、あるいは軍備管理についての中国との話が進むというふうな御判断ですか。

茂木国務大臣 中国との話が進むかどうかの前に、まず、これまでの軍備管理の枠組みとして、INF全廃条約というものは、軍備管理、軍縮において歴史的な役割を果たしてきたことから、同条約が終了せざるを得なくなった状況は望ましくないと考えているわけであります。

 そして、その理由については、二点申し上げたわけでありますが、そこの中で、まさに二点目が、東アジアの安全保障環境、これが急激に変化する中で、米ロだけによります軍備管理の枠組みでよいのか、こういった議論がさまざまなところであるわけでありまして、そうした観点から、INF全廃条約のような枠組みに限らない、より広範な国家、より広範な兵器システムを含む幅広い軍事管理が必要であるという考え方であります。

 ですから、仮にINFがあったにしても、今直面している脅威、さらには今後拡大していく脅威を考えたときに、何らかの形で軍縮の枠組みをつくっていくとなると、より広範な兵器システムを含んだ幅広い軍備管理、これを模索しなければ、大きな意味、大きな成果を上げることはできないと思っております。

岡田委員 最終的なゴールは私は同じなんですが、そこに至るプロセスとしてどう考えるのか。より大きな、広範な国家、より広範な兵器システムを含む幅広い軍備管理の重要性、アメリカが指摘している、そのことは私も否定をいたしません。ただ、そういうゴールに到達するために、例えばこのINF全廃条約のように一旦白紙に戻してしまって、では、どうやってそういう広範な国家とか広範な軍備システムについて一定の結論に持っていくのか、その絵をどういうふうに考えておられるのかというのが私の質問なんですね。

 やはり、圧倒的な核保有国は米ロであります。それ以外にも、中国を始め、核を持っている国はあるし、特に中国は核をふやしているわけですから、それを視野に置いて議論していかなければならないことは間違いありませんが、圧倒的に核を持つ米ロがまずきちんとタッグを組んで、そして、このINF全廃条約や、後から言います新START、それを更に先に進めていくということがあって初めてその他の核保有国に対して巻き込んでいくということが可能になるんじゃないか、そういうふうに私は思うんですが、大臣の考えはいかがですか。

茂木国務大臣 岡田委員の問題認識といいますか、アプローチの仕方については十分理解いたします。

 その上で、私の考えを申し上げますと、アメリカ、ロシア、中国、それぞれ持っている兵器というものは違うわけであります。そうなりますと、特定の分野に絞って削減交渉をするというのは、かえって多分難しくなるんだと私は思います。

 より広い分野で、どれだけ全体が譲れるか、こういう議論をしていくことの方が、結果的には何らかの、それぞれが一定の目的を達成する、若しくは、それぞれが同じような形で、イコーリー・アンハッピー、こういう言葉を使うんですけれども、同じようにみんなが不満を持った状態で解決をするという状態に達することができるのではないかな、こう思っております。

 もちろん、こうした幅広い軍備管理の構築、簡単ではないわけでありまして、だからこそ、関係国が膝を交えて話し合う、そして信頼醸成を進めていく、また、信頼に足り得るような削減のプロセスというか仕組みもつくっていくということで、大変な作業にはなると思いますけれども、私は、遠回りのようで、それが現実的なアプローチではないかなと考えております。

岡田委員 中国は全く議論を拒否していると私は思うんですが、そういう中で、巻き込んでいくといっても、本当に議論になるのか。それから、プレーヤーはもっとふえますね。イギリスもあればフランスもある。もちろん、それ以外にも核保有をしている国はある。

 ですから、どういう断面で切って議論していくかということを考えないと、私は、広げるだけ広げてしまっても何のいい結論も得られないんじゃないか。現に中国は、何か議論に参加する、議論しようという、そういう機運はあるんですか、今。私は全くないんじゃないかと思いますが。

久島政府参考人 中国との関係でございますが、これまで十一回にわたりまして日中軍縮・不拡散協議というものを行っております。部長級でございまして、最近の例で申しますと、昨年の五月でございます。

 こういう席におきまして、信頼醸成あるいは軍縮につきまして中国に前向きな対応を促してきているところでございまして、我が国として、引き続き中国にそのように働きかけていきたいと思いますし、中国側も、日本との間でそのような対話を続けていく、そういう意思であると承知しております。

岡田委員 私の経験からいうと、中国は全く本質的な議論には乗ってこないというふうに思いますけれども、少なくとも、米ロがきちんとタッグを組んで、そして中国を議論に追い込んでいくということでないと前に進まないんじゃないか。米ロがタッグを組むということ自身が大変なことですが、そういうふうに思っております。

 今御説明ありましたが、では、中国に対して外相レベルあるいは総理レベルで、この核を含む軍縮の問題について、きちんとテーマとして上げて議論したことはありますか。日本自身の問題としてですよ。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 中国との間で外相レベル、首脳レベル、何度も会談はございます。さまざまな外交や安全保障問題にかかわる議論、もちろんしておりますが、詳細につきましては、この場でコメントすることは差し控えさせていただきます。

岡田委員 さまざまはいいんですが、中国の核をめぐって明示的に議論したことはありますか、そして、それで何か前に進むような議論はなされたんですかというふうに聞いているわけです。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、日中の軍縮・不拡散協議の場では直接そのような議論をしておりますし、外相レベルでも中国の軍縮の問題につきましての議論は行っておるところでございますが、繰り返しになりますが、それ以上の詳細につきましてはコメントを控えさせていただきます。

岡田委員 きょうはこの辺にこの問題はしておきたいというふうに思いますが、やはりどういうふうにして軍縮、軍備管理の問題を成果を上げていくかということについて、もう少しいろいろな議論が私はあり得ると思いますので、外務省においてもしっかりと検討していただきたいというふうに思っています。

 それでは次に行きますが、新STARTの問題です。

 この新START、戦略兵器削減条約の延長の問題ですが、現在、米ロ両国間の協議の現状、どうなっているのか、説明していただけますか。

茂木国務大臣 新STARTの前に、今の議論、若干短くしますが。

 恐らく、中国を巻き込んでいく、率直に言って、私も外相会談等々でなかなか難しい問題だと思いますが、これは軍備管理、さらには通商の問題でもそうでありますけれども、一つは、やはり中国に、あなたは大国なんだ、大国としての責任を果たすべきだ、こういったことをしっかり言い、またもう一方で、世界でそういう潮流をつくって、あなただけが違う道を歩むんですかという形をつくっていかないと、なかなか動かせない、こういう側面があると思っておりまして、それは一朝一夕にはできない問題でありますが、大きな目標として、恐らく、私は、この軍縮の問題、今、中国を除いて軍縮を進めるというのはほぼ意味のないことだ、こんなふうに思っておりまして、そういったアプローチをとっていきたいと思っております。

 その上で、STARTにつきましては、安全保障環境の戦略的安定性に資すると同時に、米ロ両国の核軍縮における重要な進展を示すものでありまして、同条約については米ロ間においてさまざまな協議が行われていると承知をいたしております。本年の一月十六日に次官級の米ロ戦略対話が開催され、四月十七日、五月六日には米ロ外相会談が行われた際に、米国務省は米ロ戦略対話の次の段階について議論した旨、またロシアの外務省は新STARTの延長を提案した旨、それぞれ発表しているところであります。

 新STARTの延長の可能性を含め、今後の米ロ間の動き、注視をしていきたい、こんなふうに思っております。

岡田委員 先ほどの大臣の御発言ですが、私は、中国を除いてというふうに言っているのではなくて、中国を本当に巻き込んでいくためには、まず米ロがしっかりタッグを組まないと中国はそもそも議論に乗ってこないんじゃないか、そういう観点で議論しているということです。

 今、新STARTについて、注視をしているという御発言だったんですが、私は、もっと日本は積極的にこれに関与していくべきだというふうに思うんですね。もし新STARTが延長されないということになると、戦略核のレベルでもたがが外れて軍拡競争が始まりかねない、こういうことであります。

 安倍総理は、トランプ大統領ともプーチン大統領ともそれぞれ何度も会っているわけですから、もっと、この新STARTについてきちんと延長していくということについて、しっかり役割を果たすべきじゃないですか。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 日米、日ロの首脳会談を含めましてさまざまな外交安全保障問題に係る議論はしておりますが、外交上のやりとりの詳細を明らかにすることは、私からは差し控えさせていただきます。

岡田委員 今の答弁なら出てこなくていいです。本来、私、大臣間、首脳間の議論について質問しているわけですから、大臣がお答えになるべきだというふうに思うんですね。

 外務省が中心になって賢人会議というのを、白石さんが座長でやられました。その中でも、大きな提言として、二〇二一年に失効が懸念される新STARTを五年延長することを二〇二〇年までに実現すべきだというのが一つの結論なんですね。

 ですから、注視しているんじゃなくて、日本国として、あるいは外務大臣、総理大臣としてどういう役割を果たしてきたのか、あるいはこれから果たそうとしているのか、御説明ください。

茂木国務大臣 まず、今御質問がありました賢人会議のことについてでありますが、昨年十月に外務省に提出されました核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の議長レポートにおいては、新STARTが二〇二一年に失効する前に五年間延長することや、核軍備管理及び戦略的安定性に関する米ロ間の対話が進展することの重要性について言及がなされたところであります。

 翌月、十一月、ちょうど名古屋でG20の外相会合が行われたときでありますが、自分が共同議長を務めました、軍縮、核不拡散イニシアチブ、NPDI十二カ国の外相会合におきまして、この提言も踏まえて、新STARTの重要性を強調する外相の共同声明発出をしているところであります。

 新STARTにつきましては、我が国は、米ロによる引き続きの履行及びさらなる核兵器削減に向けた対話の継続を求めてきているわけでありまして、当然、アメリカに対しても、そしてロシアに対してもそういった方向での働きかけを継続していきたいと思っております。

岡田委員 それを具体的に、きちんと首脳会談でテーマとして出して議論しているかということを私はお聞きをしているわけです。

 一般論として言うのは、それはそれで結構なんですが、説得する、いかに大事か、この問題、私は本当に大事だと思うんですね。これで新STARTが失効してしまえば、もう全く核の世界では無法地帯ということになってしまうわけです。これだけはやはり守り切るということを、私は、安倍総理も政治生命をかけるぐらいのつもりでプーチン大統領やトランプ大統領に迫るべきじゃないかというふうに思いますが、大臣、そういう気構えはありますか。

茂木国務大臣 私もそうでありますが、もちろん安倍総理も日本の国益だけではなくて、国際社会の平和と安定においてどういう姿が望ましいか、それに向けて日本としてどんな役割が果たせるか、こういう思いでさまざまな外交交渉に臨んでいるところであります。

 岡田委員のおっしゃっていることはよくわかります。その上で、大切な問題については、これについてこう言いましたということになりますと、それが表に出て、では、そこについてどこまで進展があったんだという話になりますので、きちんと岡田委員の問題認識は踏まえて、さまざまな議論を行っている、そのようにお答えさせていただきたいと思います。

岡田委員 先ほど、注視していくというお話もありましたので、今の大臣の答弁がどこまで本当か非常に懸念を持ちますが、私は本当にこの新STARTは、これは何とかしなければいけない、そういう認識を持って、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 終わります。

松本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 初めに、五月十三日の質問に続き、在日米軍基地での新型コロナウイルスの感染拡大問題について聞きます。

 私は、十三日の質疑で防衛省の渡辺政務官に対し、在日米軍の施設・区域から日本に入国する米軍関係者について、米軍が行っている新型コロナに関する検疫の実態を明らかにするように求めました。しかし、渡辺政務官の答弁は、自衛隊では米軍と共同で検疫訓練まで行っているにもかかわらず、防衛省としては報告を受けていない、検疫に関しては厚生労働省に聞いてほしいというものでした。

 そこで、改めて厚労省の行政文書を調べたところ、厚労省の検疫所では、日米地位協定に基づく米軍側の検疫実施状況と題する文書を年度ごとに保存していることがわかりました。私の資料要求に対して、昨日、厚労省の検疫所業務管理室から三つの文書が提出されました。これです。三沢基地を管轄する仙台検疫所と八戸出張所、岩国基地を管轄する広島検疫所の徳山下松・岩国出張所で保存する文書であります。

 文書を見ますと、検疫では、米軍側の検疫実績として、二〇一八年四月から二〇一九年三月までの一年間、航空機とそれから船舶の別に、検疫数、さらに検疫実数、人数を毎月、一覧表にまとめています。

 厚労副大臣に聞きますけれども、これらの文書はどういう名目で作成、保存されているのか、明らかにされたい。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 平成八年の日米合同委員会における人の検疫に関する合意事項といたしまして、アメリカ合衆国のために又は合衆国の管理のもとに公の目的で運航される船舶又は航空機が合衆国に提供された施設及び区域を通じて日本国に入国する場合は、合衆国軍隊の実施する検疫手続の適用を受けると定められております。また、当該合意では、合衆国軍隊の検疫官は、検疫手続を実施し仮検疫済み証を交付したときは、所轄の日本国の検疫所長に通報すると定められております。

 御指摘の文書は、日米の合意、今申し上げたものに基づきまして、合衆国軍隊の検疫官より検疫所長に通報された仮検疫済み証に係る実績を記録するため、月ごとに作成し、行政文書として検疫所で保存しているものと認識をしております。

穀田委員 つまり、今お示しした文書ですけれども、これらの文書は、在日米軍の施設・区域から日本に入国する米軍関係者に対し米軍が行った検疫実績について、基地を管轄する検疫所が米軍から受けた通報を月ごとにまとめた文書ということになりますね。

 厚労省は、在日米軍関係者の新型コロナの感染実態についてどう言っているか。個別事案の詳細は日米間で調整の上、公表されることになっており、答弁は差し控える、こう一貫して繰り返しているわけですよね。しかし、厚労省の検疫所では、この文書にあるように、毎月の米軍側の検疫実績を年度ごとに保存している。このことからも、基地を管轄する検疫所では、新型コロナに関しても米軍が実施した検疫実績についても把握しているということで理解していいですね。

橋本副大臣 今御質問いただいている資料、お示しをしたものについて申し上げれば、それはその検疫を、先ほど申し上げましたとおり、合衆国軍隊の検疫官が検疫手続を実施し仮検疫済み証を交付したときは私どもの検疫所長に通報するということになっているということに基づいて記録をしたものでございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。

穀田委員 前の質問と同じ答えをしていたんじゃ困るんですよ。私が聞いているのは、新型コロナに関しても米軍が実施した検疫実績についても把握してんねやなと聞いているんですよ。

橋本副大臣 検疫というのは、別に新型コロナかどうかにかかわらず、さまざまな感染症等々が我が国の中に上陸をするということを防ぐために行われているものでございまして、そうした、一般的に検疫手続というのは行われているものでございますから、その実績につきまして私どもの方で通報をいただいたものを記録している、その結果を示しているのがその資料であるということでございます。

穀田委員 米軍の行った検疫実績を年度ごとに保存している以上、新型コロナに関しても米軍がどの程度検疫を行っているのかを把握していることは明白なんですよ。

 皆さん、今、厚労省も、それから検疫の問題全般についても、そんなもの、感染症一般について同じだなんて、そんな話、今どき通用すると思ったら大間違いで、もしそんなことを厚生労働副大臣が言うとしたら、そうすると、新型コロナと感染というのは大した違いはないのかとなるじゃないですか。それほど注目している、今、世界が注目していて、毎週外務省だって数字を出していただいて、これはどうなっているんだという話をしているときに、それは別に笑っているか笑っていないかについてとやかく言わぬけれども、やはり感染症としていろいろなことで出るうちの一部だから、それはあるでしょうみたいな話は、それはあきまへんで。

 では、そうすると、先ほど述べたように、答弁は、調整の上、公表されることになって、差し支えるという答弁をしているわけですね。だから、米軍の運用を理由に国会や国民に知らせないということは問題だと。しかも、これ、出されている文書は全部黒塗りなんですね。

 問題はそれだけじゃないんです。

 各検疫所が定める標準文書保存期間基準、これを見ますと、日米協定に基づく米軍側の検疫実績を記した文書の保存期間が三年だったり五年だったり、結局、検疫所によってばらばらに設定されているんですね、それは御存じかと思うんですけれども。更に重大なのは、横田基地を管轄する東京検疫所、嘉手納基地を管轄する那覇検疫所では、この米軍の検疫実績を保存対象にすらしていない。

 なぜこのような文書扱いをしているのか、お示しいただきたい。

橋本副大臣 お待たせをして、失礼をいたしました。

 この資料についてでございますけれども、なぜつくっているかというのは先ほど申し上げたとおりでございますが、この保存につきましてはそれぞれの検疫所において取り扱われているものでございまして、一個一個の検疫所がなぜそのような扱いをしているかということにつきまして、ちょっと私も今つまびらかに承知をしておりませんけれども、そのような扱いの中で、それぞれの検疫所で判断をされているということだと承知をしております。

穀田委員 それはあきまへんで。そういう答弁をしていたんじゃ話になりません。

 つまり、私が言っているのは、それぞれの検疫所で判断している、そんなことはないんですよ。だって、米軍の関係をどうするかと一元的にやっている役所が、それぞれの検疫所で判断している、そんなことがありますかいな。問題は、肝心なところは、横田を管轄する東京検疫所、嘉手納基地を管轄する那覇検疫所、これは米軍側の実績を保存対象にすらしていないということが問題なんですよ。

 私はこの間の五月十三日の質疑でも指摘しましたけれども、横田や嘉手納の両基地には、米軍が米本土からのチャーター機などで連日のように飛来している、そして入国している。にもかかわらず、東京検疫所や那覇検疫所では、米軍による検疫の実施状況を行政文書の保存対象にすらせず、存在を隠している。さっき言ったように、それぞれが決めているというんだったら、あるんでしょう。これが日本政府のやることかと。

 私が言っているのは、米軍の検疫実態を、何となく話を、それぞれのところでやっているからなんという話でうやむやにするような話じゃないというんですよね。いわば日本の国民の生命と安全にかかわる、そういう問題に関して言えば、物を言うということが私は必要だということを言っているわけです。そういう点だけ指摘しておきたいと思います。

 そちらの極めて不十分な実態というのは本当にあからさまになったということなので、それはお互いに共有できたと思うので、きょうはこれでもう、お忙しいでしょうから、結構でございます。お引き取りください。

松本委員長 では、どうぞ、橋本厚生労働副大臣は御退席ください。

穀田委員 そこで、今度は茂木大臣に聞きます。

 次に、私は、新型コロナウイルスの感染拡大による国産牛肉への影響問題について聞きます。

 ことしの一月一日に日米貿易協定が発効しました。そこで、私は、協定の発効により、米国産牛肉がどのくらい輸入しているのか調べてみました。

 財務省の貿易統計を見ると、米国産牛肉の輸入量は、一月は二万一千四百二十八トンとなっており、昨年比で一二二%もの輸入増となっています。また、三月末までの三カ月間の米国産牛肉の輸入量は、累計で見ますと五万六千トンを超えています。

 日米貿易協定で定めた緊急輸入制限措置、いわゆるセーフガードの発動基準は年間二十四万二千トンですから、三カ月分にすれば六万五百トンとなって、この一月から三月の月間の累計輸入量は、セーフガード発動基準のぎりぎりのところまで目いっぱいに輸入しています。

 これに加えて、新型コロナの感染拡大で、和牛の枝肉価格が全国的に低迷し、国内の肥育農家などに重大な影響が出ています。

 三月十四日付の地方紙の報道によると、青森県畜産農協連合会の会長が、今回の価格の大幅下落について、繁殖農家のダメージは相当大きいと述べ、安値の要因が重なり大打撃、和牛を含めて肉がだぶついた状況だと指摘した声を紹介しています。

 茂木大臣は、こうした深刻な実態が全国各地に広がっていることについてどう思われるか、どう受けとめているか、見解をお示しいただきたいと思います。

茂木国務大臣 全体の経済、さらには農業に対してどういう影響が出ているということでありますけれども、新型コロナに伴います、さまざまな移動制限であったりとかそういう措置がとられる、また、入国制限等によりまして九九・九%の観光客が減少する、こういった中においては、需要というものはある意味蒸発する、こういう段階にあるわけでありまして、それがいいことで言っているわけではありません。それによって、当然それは、牛肉だけではなくて、さまざまな農産品、そして工業製品についても供給過剰が起こる、若しくは、サプライチェーンが寸断されることによってその供給すらも行われない、極めて深刻な状態にあると思っております。

 特に、そういった影響というものは、中小零細企業であったりとか農家の皆さんに及んでくる。それに対する手厚い措置をとることによって、事業を継続する、これがまず極めて重要なことであると思っておりますし、さらには、今後、コロナの終息後をにらんだ経済のV字回復に向けて、さまざまな、新しい設備の導入であったりとか生産性を向上していく、こういった取組に対する支援策をそれぞれの予算等でしっかり進めていくことが極めて重要だと思っております。

穀田委員 手厚い措置、継続への支援、そういうことをお話しいただきました。

 四月一日の新たな年度に入って、日米貿易協定だけでなくて、TPPや日欧EPAも、牛肉の関税率が二六・六%から二五・八%と更に引き下げています。先ほど述べました財務省の三月の貿易統計によると、牛肉の輸入量は前年比で二一%増、二カ月連続で前年を上回っています。まさに、米国産牛肉だけでなく、輸入牛肉に歯どめがかからない状態となっている現状を、それはそれとして直視する必要があると思います。

 こうしたもとで、新型コロナの感染拡大は、肥育農家などに追い打ちをかけています。宮城県の肥育農家は、全く先が見えない、たとえ赤字でも売らざるを得なくなる、牛を売れば売っただけ赤字が累積していると、厳しい経営に悲鳴を上げています。私が住んでいる関西の方でも、食肉業者は、売上げは前年の半分以下になっているというふうに明かしています。

 今求められているのは、こうした実情に政府がいかに素早く対応するのかが問われています。肥育農家への支援として、販売価格が生産費を下回った場合に、国と生産者による積立金から差額の九割を補填する牛マルキンがあります。農水省は、生産者の負担金を免除し、国負担の四分の三を支払うこととしていますけれども、肥育農家の切実な思いを受けとめるのであれば、実質免除とする生産者負担の分を差し引かずに、国が責任を持って牛マルキンの九割を全額補填すべきじゃないのかと思っているんですが、農水副大臣の見解をお聞きします。

伊東副大臣 先生今お話しのとおり、牛マルキンは、肥育牛一頭当たりの標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合に、その差額の九割を補填する制度であります。お話しのとおり、国が三に対して、生産者一の割合でこれを負担することになっております。

 このため、生産者負担金を支払わない場合、制度上、本来はマルキンの支払いは行われないところでありますが、今回、肥育牛農家の資金繰り対策といたしまして、生産者負担金の納付猶予を講ずることといたしまして、生産者負担金を払わなくても、このマルキン発動時には国費分、すなわち交付金の四分の三を交付するとしたところであります。

 さらに、四月七日に公表されました緊急経済対策におきまして、肥育牛農家が体質強化に資する取組を行った場合に、出荷頭数一頭につき二万円の交付金を交付するとともに、三月十日の緊急対応策第二弾で措置されました農林漁業セーフティネット資金の貸付け当初五年間実質無利子無担保、この融資枠を大幅に増額をすることとしているところであります。

 これらの対策によりまして、肥育牛農家の皆様の不安を払拭し、意欲を持って経営を継続していただけるよう、しっかり支援をしていきたいと思います。

穀田委員 その内容は、もう既に明らかにされているわけです。

 私どもの田村貴昭議員が十二日に質問したときに、江藤農水大臣は、さっき言った四分の四を払うべきだとの指摘は胸にとどめさせていただきたいと答弁しているんですよね。

 たとえ今言った措置がさまざまとられたとしても、生産費の基準価格が低過ぎて、実際の補填には不十分だとの声が上がっているのが現実なんですね。だから、そこはやはりよく踏まえてやらなくちゃならぬと思います。

 もう一つ、子牛の問題も深刻です。

 報道にもありますけれども、奄美大島の大島地区の五月子牛の競り市で、平均価格が五十一万円台まで下落したとあります。これは、前回の三月競りと比べて十一万五千円安、前年の同月比では二十万五千円安と、大幅に下落しています。既に各地でこのような事態が生まれています。

 岩手県江刺地域は、水沢、江刺、胆江ですね、その地域では、子牛生産者から、とても利益が出ない状況であって、二、三カ月もこの状態が続けば先行きの見通しが立たないという声が上がっています。

 子牛生産の安定化を図るために、肉用子牛の価格が低落し、保証基準価格を下回った場合、生産者に対して生産者補給金を交付する肉用子牛生産者補給金制度があります。現在の保証基準価格は黒毛の和種で五十四万一千円だけれども、これとかつかつになっている現状があります。

 もともと農水省は、子牛一頭当たりの生産費は六十五万九百六十九円としています。今述べた江刺、胆江地方では、生産者からは、保証基準価格を生産費まで引き上げてほしいとの要望が上がっています。こうした要望に応えるべき時期ではありませんか。

伊東副大臣 五月の全国の主要市場五十市場におきます黒毛和種の子牛の価格は、きのうまでの平均で六十万八千円でありまして、前年同月と比べまして二三・二%の大幅な低下となっているところであります。

 今先生御指摘のように、肉用子牛の再生産を確保するため、この繁殖農家に対しましては、子牛価格が保証基準価格、黒毛和種で五十四万一千円でありますが、これを下回った場合、その差額の十割、全額を国が補填する肉用子牛生産者補給金制度を措置しているところであります。

 こうした中にありまして、繁殖農家の生産意欲を維持し、生産基盤の弱体化を防ぐためにどのような対策が考えられるか、先生御指摘のとおり、農水省としても真剣に検討をしてまいりたい、このように考えております。

穀田委員 真剣に検討をしていただいて、胸にとめるとか真剣に検討するとかじゃなくて、実行が今求められている。窮状は、すぐ、平均したら六十万だと言うんだけれども、五十万を割っているところがあるわけですよね、五十万になっているところはいっぱいあるわけですよ。

 そこで、資料に、皆さんのところにお渡ししましたけれども、国会決議の尊重という点からも私は当然だと思うんですね。

 この二〇一九年十二月五日衆議院農水委員会の決議では、肉用子牛生産者補給金の保証基準価格は、中小、家族経営を含む酪農家の意欲喚起を考慮して決定するよう要望しています。保証基準価格を生産費までに引き上げることや、牛マルキンの九割を国が全額保証するなど、大打撃を受けている生産者が、今、副大臣がお話あったように、まさに意欲を持ってできるように、政府の責任で、私は支援を更に強めるべきだということを指摘しておきたいと思います。

 副大臣もお忙しいでしょうから、これで結構でございます。

松本委員長 では、伊東農林水産副大臣、どうぞ。

穀田委員 次に、議題となっている、国際獣疫事務局に関し質問します。

 国際獣疫事務局が一九九七年に発行した、米国の食中毒における魚介類の役割と題する文書があります。これを見ますと、自然毒を有する魚介類の一つとしてフグの毒性が紹介されており、フグの毒性による中毒の発生件数は日本が最多、一番多いと指摘しています。致死率も五〇%と記され、患者は年間二百人に及ぶ。今はそんなふうにはないですけれども。

 日本では、直近の五年間でも、フグの食中毒は依然として後を絶たず、平均二十一件あります。フグの毒、テトロドトキシンは、青酸カリの約千倍の毒力があって、毒力が強い場合は、肝臓十グラム以下で死に至ることがあると報告されています。

 もともと、フグは、種類によって毒のある箇所、すなわち食用可能な部位がまちまちで、取扱いが困難です。その上、厄介なことに、ここ数年、今までにない品種というべき交雑種フグが数多く出現していると聞きます。

 交雑種フグの出現状況はどうなっているのか。その原因や地域別の特徴など、この数年内の変化の問題について簡潔にお示しいただきたいと農水省にお願いします。

黒萩政府参考人 お答えいたします。

 近年、各地において、さまざまなフグ類各種の交雑の発見が報告されております。地域別には、東日本の太平洋沿岸域におけるショウサイフグとゴマフグ、瀬戸内海におけるナシフグとコモンフグ、日本海におけるトラフグとマフグ、九州沿岸域におけるシロサバフグとドクサバフグ、こういったフグ類各種の交雑事例が報告されているところでございます。

 交雑の原因についてでございますが、近年の海水温の上昇や海流の変化により、フグ類各種の分布域に変化が生じ、交雑が起こりやすい状況になっているといったことが指摘されております。

 農水省としましては、引き続き、フグ類の交雑の実態把握に努めてまいりたい、このように思っております。

穀田委員 交雑種のフグの出現というのは新しい問題なんですね。さらに、東京湾などでは、毒性がわからないスジモヨウフグというのも確認されているんですね。この交雑種フグについては、毒がどのように形成されるのか、どの部位に毒があるのか、そのメカニズムが未解明と言われています。

 そこで、今度は料理の方にちょっと話が行くんですけれども、フグ料理といえば、その旬というのは大体冬から三月、四月までだけれども、現在のコロナ禍の中で、書き入れどきのこの時期に、経営的に大きな打撃となっています。フグ関係業者への経営支援と、フグを安心して食べられるよう環境整備を行うこと、また、食の安全確保というステータスの上に、フグ食を国際的に普及することも重要な課題となっていると思っています。

 私は、二〇一〇年に厚労省に対してフグ処理免許の国家試験化を要望するなど、この問題を取り上げてまいりました。世に、フグは食いたし命は惜ししと言われているんですけれども、厚労省は、昭和五十八年、厚労省環境衛生局長通知、フグの衛生管理についてを出して、十六種のフグ科、先ほどいろいろありましたけれども、ハリセンボン科四種、ハコフグ科一種とナシフグについてのみ食用可能と認めています。確かに死亡件数の減少はしたけれども、これは医療の発展のおかげなんですね。

 京都府ふぐ組合が行ったアンケート、京都料理展示大会に参加した食に興味を持つ方のアンケートなんですけれども、千六百六十五人のアンケート調査なんですが、これによると、フグの肝臓について、食べるのは危険と答えた方が四六%。多数の人が、場合によっては食べてもよいと思っておられる。素人が釣ったフグも含めて、まずフグの肝臓には毒があるから食べてはいけない、フグを釣って食べてはいけないという認識が国民の中に浸透していないということを示しているんじゃないか。

 水産庁は、この問題の周知徹底をどのように図っているか、一言、お願いします。

黒萩政府参考人 お答えいたします。

 一般の方が自分の釣ったフグであるとか譲り受けたフグをみずから調理することにより、フグによる食中毒事例が発生しているということは承知しております。

 こういった状況を踏まえまして、農水省といたしましては、ホームページにおいてフグによる食中毒に注意するよう釣り人に呼びかけ、さらには、食中毒事例が発生した場合におきましては、釣り関係団体へ随時情報提供を行っております。さらには、釣り人向けのイベント等の機会を捉えて注意喚起を行う、こういった取組を実施してきたところです。

 引き続き、厚生労働省などの関係省庁とも連携し、食中毒を防ぐための注意喚起を実施してまいりたいと考えております。

穀田委員 やはり、中毒が起きているわけだから、もうちょっと頑張ってくれな、ホームページをやっています、いつも何か言うとすぐ、ホームページでやっていますと。それでいいのやったら苦労せぬわけでね。人の命がかかわっているんだから、どこを改善したらいいかとか、もうちょっと考えてほしいなと率直に思います。

 安全に食べようと思うと、二つのことを確実に行う必要があります。一つは、フグを処理する者が、食用可能な二十二種類のフグを確実に見分けることができる。危険な交雑種フグは見分けて排除できるかどうか。もう一つは、食用可能なフグについても、フグの種類によって個々に違う毒の部位を確実に識別し、除去する処理能力が求められます。

 ところが、フグ処理者の免状は、都道府県が取扱資格を設定し、都道府県ごとに許認可を与えている。都道府県ごとに、現実としてはばらばらに認可を与えている、これは事実ですね。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 フグ処理者の認定制度につきましては、先ほど議員御指摘のとおり、昭和五十八年に厚生労働省が示したガイドラインを踏まえ、都道府県等によって条例で定められたものと認識しております。

 フグ処理者に起因する食中毒自体は近年少なくなっておりますけれども、フグ処理者の認定要件が都道府県等により異なるということが、都道府県間等でのフグ処理者の受入れの障壁になっていたというふうに承知しております。

 この状況を踏まえまして、厚生労働省では、平成三十年の食品衛生法改正を受けまして、フグ処理者を食品衛生法施行規則に位置づけるとともに、フグ処理者の認定に必要な知識及び技術等の全国的な平準化を図る検討会を開催し、昨年十月に、フグ処理者の認定基準を策定し、都道府県に通知いたしたところでございます。

 厚生労働省といたしましては、この新たな認定基準に適合するよう、都道府県等に対しまして、既存のフグ処理に関する条例等の改正を要請しているところでございまして、フグ処理の認定基準の全国の平準化を図ってまいりたいと考えております。

穀田委員 平準化に向けて努力していることはいいことだと思います。さらに、五月一日にガイドラインを出されているということも私は承知しております。

 問題は、条例等の見直しを確実に実行させ、安全対策を万全に履行しようと思えば、厚生労働省がほんまに力を注がなければならない。フグを扱うというのは、当然、漁師、漁協、そして市場、調理する人に至る全ての工程で安全性を確保、完結させるためには、相当な覚悟が要ると私は思っているんです。

 京都ふぐ組合の方々に話を聞きますと、かつて京都では、試験による基準の統一化とその徹底のために、ふぐ組合の役員が京都府北部の久美浜や間人などの漁協にも出向き、二十四時間の講習や実技を教えたと言われています。相手は魚の専門家としての自負もあり、何で今さらあんたたちの話を聞かなあかんのやというようなやりとりもあったそうですが、事は人の命にかかわるとの思いで、きちんとフグを処理できる知識と技能を講習し、地域ごとに中心となる人物を育てたと聞きます。

 また、私は、先ほどお話しだった厚労省の検討会の議事録を読みましたけれども、市場で処理された身欠き、フグの身欠きは流通するものだから、フグの調理人にそこまでのことを求めるのはいかがなものかとの意見も出ています。しかし、市場で処理された身欠きの中に、毒を持つマフグの皮の部分が入っていたとか、食べられる白子、精巣の部分と、食べられない真子、卵巣の部分、これがまじっていたりすることがあったという料理人のお話を私は聞きました。

 仮に危険部位がまじっていても、最終的にはフグを提供する調理人がしっかりとしておれば、客には提供されない。だから、文字どおり基準を統一して徹底することが必要だと。こうしたところまで、つまり、全ての工程に至るまで本当に徹底する覚悟と責任体制をとって取り組もうとしているのか、その決意をお聞きしたいと思います。

小島大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど話がありましたように、五月の一日付でガイドラインとして通知をしておりますけれども、それに続きまして、フグの安全性の確保に当たりましては、水揚げや魚介類市場において、漁業者に市場関係者が有害なフグ及び種類が不明なフグを確実に排除するとともに、飲食店等のフグ処理施設においては、フグの鑑定及び有毒部位の確定、除去が必要と考えております。このため、水産庁に漁業者の指導について要請し、また市場関係者に対しましては、フグの鑑定に係る専門的な知識を有する者の市場への配置を求めております。

 さらに、フグ処理は、フグの種類の識別に関する知識及び有毒部位を除去する技術等を有するフグ処理者みずからが行うこと、また、その立会いのもとに行わせることに限定をいたしております。

 このように、厚生労働省といたしましては、フグの安全性確保のため、漁獲、流通、処理の各段階において対策を講じまして、引き続き水産庁とも連携しつつ対応してまいりたいと考えております。

穀田委員 そのとおりなんですけれども、現実に進行している内容はなかなか大変だということをよく見ていただかないと、こうなっています、通知しました、ガイドライン出しました、水産庁も協力しましたというような話でいくのやったら苦労はせえへんわけですよ。これは人の命にかかわっていることやから、私、割としつこく言っているわけですね。

 といいますのは、近年、先ほど述べたように、フグの漁獲量がふえている北海道や青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の各県では、フグのブランド化に取り組んでいる自治体もあると聞くけれども、現時点では、その処理者の免許は講習会だけで取得できるんですね。

 しかし、例えば、私の住んでいる京都では大変厳しい内容で、知識を問う学科試験、実際に処理能力があるかどうかを見きわめる実技試験の両方を課しています。受験者の三分の二は料理学校の卒業生だけれども、二十四時間の座学、最低五回はフグをさばいた経験を経て、当日の試験では、毒を持つ九つの内臓、これは皆さんに資料で提供していますけれども、これをきちんと取り除き、九つのところをきちっとはめなあかんのやね、これ、でやっている。これは、万が一、毒のある内臓が取り残されることがないようにするためであります。

 厚労省は、二〇二一年をめどに全都道府県が統一基準で認定試験を行うようにするとのことですけれども、本当にこれは京都などと同様に全国統一基準となるような担保があるのか。通知やガイドラインを見ましても、そういう試験を行うとか、こう言っているんだけれども、実際は立会いする人間がそれほどいるのかという問題があるんですよね。立会いのもとに試験をやると書いているんですよ。だから、そういうことについて確保できるのかという問題点も含めて、そう簡単じゃないよと相当腹を固めてやらなフグに負けるでということは思うんですが、いかがですか。

小島大臣政務官 お答えをいたします。

 全く先生のおっしゃるとおり、よく理解できます。新しいフグ処理者の認定制度では、フグの種類の識別に関する知識や有毒部位を除去する技術等に関する試験を行うことといたしております。現行のフグ処理者の認定制度では講習会の受講により認定している都道府県等においては、実技試験の試験監督者の養成を始め、試験実施の体制整備が課題であると認識をいたしておるところでございます。

 これからは都道府県において新しい認定制度の施行に向けて準備いただくものと考えておりますが、厚生労働省といたしましては、令和三年度を目途に都道府県等の試験実施体制について把握することといたしております。参考となるような好事例につきましてもしっかりと紹介をしてまいりたい、このように考えております。

穀田委員 通知し、ガイドラインを出し、そして情報も提供してもらうと、各都道府県から、そういう段取りになっていることはつかんでいますけれども、当面、各都道府県でやってみて、やはり問題点が克服されない場合は、将来、全国統一試験、つまり国家試験化も視野に入れる必要があるんじゃないかと私は考えています。

 最後、一言だけ言っておきますと、新しい環境変化のもとで常に最新の知識を持つことがフグ処理者に求められていると私は考えます。だから、免許を運転免許のように五年更新にするなど、制度上の改善が必要ではないかと考えます。問題提起だけにしておきたいと思います。

 フグを食べるということは、先人たちが毒と格闘し、長年の経験を積み重ねてつくり上げた日本の食文化の最高傑作の一つであります。フグの取扱制度と免許を全国統一基準で確立し、最高峰の食の安全確保の体制を確立してこそ、フグ食を世界にアピールし、普及することができると思います。

 食材や食品が全国的に流通する時代またグローバルな時代状況の中で、地域によってフグの食中毒のリスク格差が存在することなどあってはならないと思います。国の責任において確かな安全証明を行ってこそ、先ほど外務大臣がおっしゃっていましたポストコロナの後のV字回復、私はV字というのはいかがかとは思いますけれども、フグ関連業界の一層の発展につながる。したがって、フグ処理免許の全国統一、国家試験の制度化も視野に入れた取組の強化を求めて、質問を終わります。

松本委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳です。

 きょうは条約など五本の審議とコロナの関係の質問ということで、条約については一本の日・ベトナム受刑者移送条約についてのみ茂木大臣にずばっと御回答いただければということで、茂木大臣に伺おうと思います。

 大西理事がベトナムの数字をおっしゃってくださって、ベトナム側の検挙数が六千四十、日本側は被拘禁邦人数は三ということにとどまっているということの中で、服役をするということを経験したことはありませんけれども、壁の外に出たいという思いの中で優秀な成績で服役期間を短く出られた方も身近にいらっしゃいましたが、きょうは名前は申し上げませんが、この条約によるどういう効果によって、例えば受刑者の改善更生が見込まれたりするのかなど、この条約の効果について、大臣の御答弁をずばっといただければと思います。

茂木国務大臣 この条約は、ベトナムとの間で受刑者移送の要件、手続等を定めるものであります。

 近年、ベトナムとの関係は、政治、経済、文化、人的交流とあらゆる分野で緊密化をしております。日本は、ベトナムにとり最大のODA供与国、第二位の投資国、第四位の貿易相手国であります。日・ベトナム間の交流が進んで人の往来が増加することは望ましいことでありますが、その一方で、相手国で罪を犯し刑罰を科される者が今後も一定数出てくることが予想されるわけであります。

 そのため、この条約を締結することによりまして、両国の受刑者に本国で刑に服する機会を与え、受刑者の更生及び円滑な社会復帰を促進することが重要であると考えております。また、これは外国人受刑者に対して刑を執行する移送国にとっても、負担の軽減にも寄与するものと考えております。

 ちょっと話題はかわるんですが、先ほど穀田先生がフグの話をされておりまして、江戸時代はフグは禁食令が出ておりました。これは、豊臣秀吉が朝鮮出兵するに当たりまして、ちょうど九州のあたりに駐留していた兵士が行く前に釣りをして食中毒を起こしていた、戦いの前に死ぬのはどういうことだということで禁食令を出して、それが江戸時代ずっと続いたんですが、初代総理大臣の伊藤博文がこれを解禁する、そしてその第一号店が春帆楼でありまして、そこで日清講和条約が結ばれております。

杉本委員 大臣のうんちくを伺って、私の質問だったんですが、総合的な見地から歴史を振り返っていただいて、ありがとうございます。第一次大戦も、ドイツの将軍だったかトップが負けたのは病気で負けたみたいな発言をされていますので、そういった意味では、フグの毒も、あるいは感染症という問題も、実は本当に戦争という以上に我々は考えていかなければならないということで、大臣のうんちくからちょっと話を戻させていただくので、そんな話をさせていただきます。

 先ほど、大西理事並びに岡田元外相が質問されましたが、OIEについて質疑がある中で、歴史があるんですが、農水省から一名だけ人が派遣されているということを伺いました。

 感染症関連で、幾つかの国際機関的なところに対して、日本の外務省なり日本国全体としてどういう人なりあるいは研究なりの成果を上げているのかというのを幾つか伺いたいと思います。

 一つは、一九八八年に国連とベルギー政府の間で創設された国際災害データベースというのがあるようで、EMDAT、エマージェンシー・イベンツ・データベースという機関があるようでありまして、気象災害、地質災害、生物災害の三分類で分けていて、感染症については病虫害とともに生物災害に分類されているということです。

 この機関、私はちょっと書の中で、こんな機関があるんだということで、外務省さんに現状どうなっているのかなと聞かにゃいかぬという思いできょうは質問をさせていただきますが、我が国の外務省を始め、あるいはほかの、さっきの農水省がありましたけれども、日本人の勤務状況、出向状況、また当該機関への日本の研究などの科学的貢献、ありましたらお願いします。

 ちなみに、この国際データベースによる災害のふえ方は、一九九〇年代から十年刻みで比較で見て、二〇〇〇年代は、二〇〇五年までの調査なのでこれはちょっと数字が古いんですけれども、生物災害というのが八十四倍に膨らんでいるという情報もございます。その上で御答弁をいただければと思います。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 御質問のありましたCRED、災害疫学研究センターでございますが、これは一九八八年にWHOとベルギー政府の支援を受けて立ち上げられた機関でございますが、現在、このCREDには日本人職員やあるいは日本政府からの出向者は在籍はしておりませんが、これまで、日本の複数の大学との間で協力が行われてきているというふうに承知しております。現在は慶応大学との間で、過去には東北大学あるいはアジア開発銀行研究所との間での協力実績があるというふうに承知しております。

 また、JICAとの間でも断続的に交流がございまして、CRED主催の防災に関する会合ですとかあるいはワークショップにはJICAからの参加があるというふうに聞いております。

 また、過去には、日本人のポスドクの客員研究員がCREDに派遣されたこともあるというふうに承知しております。

杉本委員 ありがとうございます。略称CREDということで、ちょっと改めていただきました。

 いずれにしろ、こういった国際機関、できる限り、人的資源に限界もありますし、高齢化が進んでいるということで、シニアの活用などもあるのかもしれませんが、国際的な感染症というのはますます、将来、現状もですけれども、大変な難敵でございますので、そういった意味で、我が国からも協力体制を整えていただければと思います。

 次に、感染症の原因という点で、殊にこれは鳥インフルにかかわる話になるのかもしれないんですけれども、地球環境の変化の理由はいろいろ述べられている中で、湿地の減少みたいなところが指摘されていて、これは米国のカリフォルニア大学のサンタクルーズ校が研究してそんなことを言ったりしているようでございますが、地球環境の変化の中で、湿地保全という意味での、湿地保全の国際機関であるラムサール条約事務局、こういった組織がやはりあるようでございますが、農地転換や農地開発によって過去半世紀に世界の湿地の五〇%が失われたと、このラムサール条約事務局が発表しているようでございます。

 地球環境の変化、農地の拡大というようなことの中で、これを発表したラムサール条約事務局に対しての日本国の人的あるいは科学的研究等での貢献等はどんな状況かを教えてください。

塚田政府参考人 お答えいたします。

 ラムサール条約につきましては、我が国は、一九八〇年に加盟しまして、昨年度は、米国及び中国に次ぐ第三番目の分担金拠出国として、条約の実施に貢献しているところでございます。

 事務局には、総勢十五名、これは専門職以上でございますが、十五名の事務所、小さな世帯ではございますが、二〇一八年の八月から、アジア、オセアニア地域の上級アドバイザーという立場で邦人が一名正式採用されていると承知しております。

 また、科学的な貢献としましては、国別報告書により我が国の情報を提供しますとともに、アジア地域の湿地及び渡り鳥の情報集積に貢献しておりますほか、東南アジア諸国に対しまして、ラムサール条約への湿地登録を促進するために、登録候補地のリストの整備、こういったもので技術的支援を行ってきているところでございます。

杉本委員 ありがとうございます。確認させていただきました。

 次に、日本は実ははしかの後進国というようなことを言われていまして、衛生状態、医療水準も世界のトップクラスと我々は自負しているつもりでございますが、申し上げた、事はしかに関しては、ワクチン接種率が低いということで、レッテル張りをするなとか、レッテルではないとか、いろいろ議論は国会ではありますけれども、後進国というレッテルを国際的に張られてきたという経緯があるようで、殊に、ちょっと事実確認をさせていただきたい点を質問させていただきます。

 カナダにおいての話ですが、カナダが二〇〇〇年にはしかの排除宣言を発表していた。そういったことの後、二〇〇七年の六月に、修学旅行のカナダを訪れた東京都内の高校生、教員計百三十三名、うち一名がはしかでバンクーバーの病院に入院した。そして、残りの人たちは、出国検査で一人が微熱があることが判明して、検査で免疫のない生徒三十一名の航空機への搭乗が拒絶され、足どめされたといったことがあったようなんですが、そして、この事件を機に、外務省が、三十歳未満ではしかの免疫がないと見られる渡航予定者に対しワクチンの接種を勧める異例の渡航情報を出したということがあったようでございます。

 この事実関係の確認をさせていただきたいのと、また、この二〇〇七年の事案ですけれども、二〇〇〇年以降から振り返って、はしかにかかわらず、はしかを含めてかもしれませんが、日本が感染症の、日本人がと言った方がいいかもしれないですが、感染源あるいは感染の爆発の途中の中でのクラスターの原因みたいなところになったケースがあったかどうか、確認をさせてください。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇七年六月、カナダで修学旅行中の生徒一人がはしかを発病し、参加者の一部が現地保健当局の検査などを受けたことなどを踏まえ、渡航先でのトラブル回避のため、渡航前のワクチン接種を勧める旨の広域情報を発出しております。

 さらに、二〇〇八年三月、改めて広域情報を発出し、海外で発病した場合やその可能性を疑われる場合には行動が制限される旨のトラブルが発生することもあり、既に予防接種を受けた方についても、免疫低下の可能性のある三十歳未満の方については再度の接種を勧める旨の広域情報を改めて発出しております。

 そのほかの例につきましては、申しわけございませんが、今ここに情報を持ち合わせておりませんので、また別途の機会にお答えさせていただければと存じます。

 ちなみに、最近の例では、二〇一八年五月に、エボラ熱に関してコンゴ民主共和国及び周辺数カ国に感染症危険情報レベル1を発出するなど、感染症危険情報については、今回の新型コロナウイルスの件もそうですけれども、適切に対応していきたいと存じております。

杉本委員 ありがとうございます。

 最後の質問、短くいきたいと思いますが、ポンペオ米国務長官がイスラエルを訪れた際に、星条旗のマスクをしてイスラエルに入っていました。

 そのときふと思いましたけれども、井上先生も同じような問題意識で、私は短く伺いますけれども、外交官とか政治家とか、そういった要人なり、場合によっては賓客などもいらっしゃるかもしれないですが、日本国に入ってくるというのは、やはりどんな人間であれ人間に違いはないので、感染症を持ち込むリスクがあると思いますけれども、こういった方々の感染症がないという事実確認などは、例えば大使館で情報をとるとか、そんな形できちっとしていただいているかどうかを確認をさせてください。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 我が国の水際対策措置の外国政府要人や外交官等への適用につきましては、二国間関係等に悪影響を与えない点にも配慮しつつ、国際法も踏まえ適切に対応しております。

 例えば、我が国に接受された外交官などは、国際法上、特権・免除を享有するため、PCR検査や隔離、停留等が必要な場合、在京外交団などに対し、我が国への感染者の流入や世界的なさらなる感染拡大を防止するために実施するものであり、これは各国の努力とも足並みをそろえるためのものであるということを丁寧に説明するなどして、派遣国、機関の事前の同意を得た上で実施しております。

 なお、国家元首、政府の長、大臣等が訪日する場合の対応については、関係省庁と個別に事前調整することといたしております。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございました。

 感染症防止には国際協力、そして国際機関への我が国の貢献、大事だと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

松本委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 井上一徳です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、二十日のNHKニュースに関連して質問をしたいと思います。

 こういうニュースが流れておりました。在日外国人、親が亡くなっても一時帰国断念、コロナ影響ということです。これは、水際対策として政府で今、入国を拒否する、これをやっているわけですけれども、その陰で、日本に住む外国人たちが困難に直面しています、母国にいる親が亡くなっても一時帰国を断念したケースがあることもわかりましたということです。

 この方、十一年間日本に住んでおられる方ですけれども、母親の死去、これは特別の事情に当たるのではないかと思い、法務省に再入国を許可してもらえないか問い合わせましたが、認められませんでしたと。例外はない、とにかくだめだというふうに言われたということで、帰国するのを断念したということでありました。この方がいわく、母のために喪主を務められなかったので、とても心が痛みます、こういうことでありました。もう人権問題です。

 このニュースでは、ドイツでは長期滞在の許可がある外国人は再入国が認められ、オーストラリアでは再入国を申請できる基準が人道的な配慮が必要な場合などと公表されているということでありました。

 それで、資料をお配りしておりますけれども、これが法務省が出しているやつでありまして、ずっと書いてあるんですけれども、いずれにしても、先ほど申し上げたことが書いてあるわけです。外国人は、「永住者」云々かんぬん、いろいろ書いてありますけれども、「原則として、特段の事情がないものとして上陸拒否の対象となります」ということで、やはり、出たら戻ってこられないので、出られない。私は、これは人権上憂慮すべきというか、配慮をする必要があるんじゃないかと思います。

 まず、この中で出ている、先ほどニュースの中で出ていましたドイツとかオーストラリア、ここはどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツでございますけれども、現在、EU及びシェンゲン域外からの入国に関しましては、自宅へ戻るEU市民、シェンゲン協定加盟国の国民及びその家族や、長期滞在資格を有する域外外国籍者につきましては、入国制限の例外としているということでございます。

 また、オーストラリアでございますけれども、現在、外国人の入国を禁じているところでございますが、永住権保持者及びその家族やオーストラリア在住のニュージーランド人は例外とされており、また、人道的な理由等による個別の判断に基づき例外が認められる場合があると承知しております。

井上(一)委員 そういったドイツとかオーストラリアの例を見ても、やはり人道上の配慮というのはしているわけですから、やはり日本もこういった人道上の配慮、特に、法務省は人権擁護の機関ですよね、人権擁護の促進をすべき役所ですよね。こういった人権擁護の観点から、やはり、再入国を認める特段の事情、例外措置があってもいいのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

宮崎大臣政務官 先生御指摘のとおりでありますけれども、まず前提としまして、上陸拒否の対象の地域は、新型コロナウイルス感染症の感染者数などを考慮して、外務省が感染症危険情報レベル3として渡航中止の勧告をしている地域でございます。

 そのため、再入国を認めるか否かの判断に当たっては、もちろん人道的な配慮はしつつも、感染症の国内への流入を可能な限り防止するという観点が極めて重要でございます。

 上陸拒否対象地域となった後に当該地域に出国をする外国人の方については、仮に再入国許可を得て出国をしたとしても、再入国の際に上陸を拒否することとなるので、まずはその旨を御説明して、渡航の自粛を要請させていただいております。

 なお、上陸拒否の対象地域となった後に当該地域に出国をした外国人が再入国をする場合であっても、あらかじめ再入国の許可を得ていて、かつ、特に配慮すべき事情が存在する場合には、渡航自粛の要請の趣旨を踏まえつつ、個別の事情に応じて特段の事情があるものとして上陸を認める場合もございますし、そのような措置もとっているところでございます。

 いずれにしましても、法務省としましても、国内への感染者の流入防止を図るための水際対策には万全を期してまいり、また、御指摘のような個別の事情に応じた特段の事情についても、適切に配慮してまいりたいと思っているところでございます。

井上(一)委員 やはりこの法務省の出しているやつを見ると、これだとやはり帰ってこられないと思うわけですよ。だから、ここに、人道上の配慮から再入国を認める場合がありますから、ぜひ相談してくださいということを明記すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。

宮崎大臣政務官 今の、特段の事情が認められる場合の基準、例えば、個別の事情によって再入国を希望する方の、外国人の事情というのはそれぞれまちまちでございまして、特段の事情が認められる場合ということを、例えば、御指摘のような点も踏まえて、事前に明確にお示しをするということは困難であると考えております。

 また、御相談があった場合には、具体的な事情、それはその方のいろいろな属人的な事情であったり、渡航を要する事情であったり、さまざまだと思いますけれども、その具体的な事情をお聞きして適切に判断をしているところでございます。

井上(一)委員 済みません、こればかりやろうとは思っていなかったんですけれども、先ほどの人は、例外はない、とにかくだめだと言われているわけですよ。これはやはり人権問題ですよ。

 やはり、法務省は人権擁護機関なわけです、人権に一番敏感じゃないといけない役所ですよね。私は、やはり書くべきですよ、これは絶対に。世界から誤解されますよ。どうですか、本当に。もう一度御答弁ください。

茂木国務大臣 今後の対応として、特段の事情の中で、人道上の理由というのは十分配慮されるべきだと思っております。

 書き方等につきましては法務省を中心に検討したいと思いますが、きちんと、困っていらっしゃる方が相談できる、そこの中で、本当に適切に、人道上配慮が必要だ、そういう方については許可する方向で考えたいと思います。

井上(一)委員 外務大臣、済みません、答弁をお願いしていなかったんですけれども、していただきまして、ありがとうございました。

 私は、やはり世界に間違ったメッセージを出すと思うんです。日本のイメージが、人権に対して後ろ向きだ、これは絶対よくないと思うんです。ぜひ法務省、外務省とよく相談していただいて、これを書き直してください。これは絶対に間違ったメッセージを与えると思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、残りの時間、一問だけ。

 技能実習生です。技能実習生も、本当に困っておられる方はたくさんおると思うんですけれども、やはり、一人たりとも技能実習生が日本の中で困ることがあってはならないと思うんです。

 これ、実態はまず把握されていますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 技能実習生の中には、当然、技能実習は修了したけれども帰国できない状況にある方であるとか、あるいは受入れ側の事情によって解雇等されて技能実習の継続が困難になっている方がいらっしゃるということは承知しています。

井上(一)委員 とにかく、一人も外国人技能実習生が困らないように、実態把握をしっかりしてもらって、フォローをしていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、社会保障に関する日本国とスウェーデン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、社会保障に関する日本国とフィンランド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、刑を言い渡された者の移送に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、専門機関の特権及び免除に関する条約の附属書18の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、国際獣疫事務局アジア太平洋地域代表事務所の特権及び免除に関する日本国政府と国際獣疫事務局との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

松本委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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