衆議院

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第9号 令和5年4月26日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年四月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 黄川田仁志君

   理事 小田原 潔君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 中川 郁子君 理事 西銘恒三郎君

   理事 源馬謙太郎君 理事 徳永 久志君

   理事 和田有一朗君 理事 吉田 宣弘君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      上杉謙太郎君    城内  実君

      島尻安伊子君    新藤 義孝君

      杉田 水脈君    鈴木 貴子君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      辻  清人君    寺田  稔君

      平沢 勝栄君    本田 太郎君

      青山 大人君    篠原  豪君

      松原  仁君    青柳 仁士君

      杉本 和巳君    金城 泰邦君

      鈴木  敦君    穀田 恵二君

      仁木 博文君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   外務副大臣        山田 賢司君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   経済産業大臣政務官    里見 隆治君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 宮坂 祐介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 日下部英紀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 西永 知史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片平  聡君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    中込 正志君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    安藤 俊英君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山崎  翼君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           杉浦 正俊君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 小杉 裕一君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     杉田 水脈君

  高木  啓君     本田 太郎君

  吉良 州司君     仁木 博文君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     上杉謙太郎君

  本田 太郎君     高木  啓君

  仁木 博文君     吉良 州司君

    ―――――――――――――

四月二十五日

 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とバーレーン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第四号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアゼルバイジャン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルジェリア民主人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とバーレーン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアゼルバイジャン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルジェリア民主人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官實生泰介君、大臣官房審議官日下部英紀君、大臣官房参事官西永知史君、大臣官房参事官大河内昭博君、大臣官房参事官片平聡君、大臣官房参事官松尾裕敬君、欧州局長中込正志君、中東アフリカ局長長岡寛介君、領事局長安藤俊英君、内閣府大臣官房審議官宮坂祐介君、財務省大臣官房審議官山崎翼君、経済産業省大臣官房審議官杉浦正俊君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君、防衛省大臣官房審議官小杉裕一君、統合幕僚監部総括官大和太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小田原潔君。

小田原委員 自由民主党の小田原潔であります。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 バーレーンの投資協定、それからアゼルバイジャンとアルジェリアの租税条約について質問をさせていただきます。

 私が二十代の頃、我が国は、自動車貿易摩擦とか半導体の貿易摩擦とか、貿易収支が黒字で資本収支が赤字という国でありました。

 一九八九年に私が当時勤めていた銀行のニューヨーク支店に転勤した頃に、タブロイド紙にはこういうジョークが載っていました。テロリストがフランス人と日本人とアメリカ人を人質に取り、これから処刑するということになった。最期の望みを聞いてやる。フランス人は、殺される前にフランス国歌を歌ってから死にたいと言いました。日本人は、殺される前に日本経済の成功の秘訣について講義をしたいと言った。アメリカ人は、あの日本人の講義が始まる前に殺してくれと言った。

 四十年たち、今や我が国は、二十兆円近い貿易赤字、そして資本収支が同額程度の黒字の国になりました。

 さて、四月二十日に貿易統計が公表されました。貿易赤字の水準若しくは貿易額の傾向を当該地域別に、分かりましたら教えてください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御質問のございました四月二十日に発表いたしました令和四年度の貿易統計におきまして、対世界の輸出額は九十九兆二千二百六十五億円、輸入額は百二十兆九千五百五十億円、輸出額から輸入額を差し引きました金額は、過去最大の二十一兆七千二百八十五億円の赤字となりまして、二年連続の貿易赤字となってございます。

 それから、委員御指摘のありましたバーレーン、アゼルバイジャン、アルジェリアが含まれます各地域の令和四年度の貿易額につきましては、バーレーンを含みます中東でございますが、輸出額が三・〇兆円、輸入額が十六・〇兆円、アゼルバイジャンを含みます中東欧・ロシア等につきましては、輸出額が二・〇兆円、輸入額が二・七兆円、アルジェリアを含みますアフリカでございますけれども、輸出額が一・二兆円、輸入額が二・〇兆円となってございまして、輸出入額のいずれも対前年度比で増加しております。

小田原委員 当時、ゼミの先生が、貿易赤字、黒字で大騒ぎするのは全くもってナンセンスというふうにおっしゃっていました。前のアメリカ合衆国の大統領なんかは随分貿易赤字が悪いことのように言っていますが、私も余り貿易赤字か黒字かということには頓着いたしません。

 むしろ、我が国の全体的な構造というのは、一般機械、それから半導体等の部品、そして自動車を輸出し、エネルギーと食料を輸入するという構造でありますし、対米においては黒字を確保していますし、対中においては入超が定着している。これは、一人一人の国民の生活が健全に維持される限りにおいては全く問題のないことだろうというふうに思います。

 さて、私は、令和三年の四月二十八日に、対ジョージアの租税条約について質問をさせていただきました。毎年二、三本ずつ投資協定それから租税条約を締結しているわけですが、まず、今なぜバーレーンなのかということについてお話を聞きたいというふうに思います。

 今日の三国は、それぞれ、特殊というか、多文化に挟まれたというか、混在する雰囲気のある国ではないかというふうに思います。バーレーンはそもそもカタールとサウジアラビアに挟まれた小さい島国でありますし、サウジアラビアとは橋でつながっているという国であります。また、女性の活躍ですとか文化の自由度が高くて、女性は顔を隠す必要がない社会であるというふうに聞いています。

 バーレーンについての今の重要性、そして外交戦略上の方針について教えてください。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 日本とバーレーンは、皇室と王室の良好な関係の下、二〇一三年、当時の安倍総理大臣のバーレーン訪問時に発表しました安定と繁栄に向けたパートナーシップを踏まえまして、経済分野を始めとする幅広い協力を推進してきております。

 日本とバーレーンは、昨年二〇二二年に外交関係樹立五十周年を迎えておりまして、そのような累次の機会を捉えまして、二国間関係、特に経済関係を強化することを確認してきておりますけれども、この協定をもちまして、両国の長年にわたる友好的な関係を更に強化することにつながると確信しております。

 バーレーンは、製油所の近代化などによりまして、単なる資源輸出だけではなく、付加価値の高い石油関連製品の輸出や、資源産業の上流部門に頼らない産業の多角化を推進し、外国資本の積極的な誘致を進めてきております。簡素な事業認可手続や税制面での優遇政策等が高い評価を受けておりまして、同国には比較的良好な投資環境が整っていると認識しております。

 同国には、製造業、金融、商社を中心に十九社の日系企業が進出しておりまして、今後も投資の更なる増加が見込まれております。そうしたことから、この協定により、投資環境の透明性、法的安定性及び予見可能性を向上させまして、日系企業による投資の保護、促進を進めていきたいというふうに考えております。

小田原委員 ありがとうございます。

 バーレーンは、絶対君主制であったのが、近年、王国へと制度が変わり、文化や人権の自由度が増している国であろうというふうに理解します。これからの両国の活発な取引を期待したいところであります。

 次に、アゼルバイジャンでありますが、これはカスピ海の西の国であります。国境を接しているのは、二年前に聞いたジョージア、そしてロシアとイラン、これまた異なった文化に囲まれた国であろうと思います。

 前回、ジョージアの質問をしたときに、国名の由来がジオグラフィーのジオ、つまり、土地、転じて農民、ジョージアは農産物を産出する農民の土地ということだという話をしました。転じて、アゼルバイジャンは、アゼルというのが火という意味で、バイジャンが土地ということらしいですから、火の土地、また、異説として、ペルシャの総督の名前からきているという説もあるそうですが、つまり、ジョージというのは農民という意味なんだ、これは言っていいことかは別ですけれども、ということであろうというふうに思います。

 また、アルジェリアは北アフリカにあるわけですが、アフリカ世界に属し、同時にアラブ世界に属し、かつ、地中海に面していますから、地中海世界に属すという、これまた特殊な文化を持った国であろうと思います。また、首都のアルジェが元々島々という意味からきた国名だということであります。元々、その島々が要塞になり、陸続きになり、国名になったということであろうと思います。

 さて、同様に、この二国についての我が国にとっての重要性、そして外交戦略上の方針について教えてください。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、アゼルバイジャンの重要性でございますけれども、アゼルバイジャンは、カスピ海に面し、アジアと欧州を結ぶ要衝に位置しておりまして、ロシアによるウクライナ侵略以降、中央アジアからのロシアを経由しない海への出口として重要性の増すカスピ海ルートの経路上にありまして、物流の拠点としての注目が増しているところでございます。

 また、アゼルバイジャンでございますけれども、天然資源に恵まれておりまして、日系企業も油田及び石油パイプラインの権益を有しておりますし、最近では、脱炭素の分野で二国間クレジット制度の構築の協力覚書も署名されている。

 日本とアゼルバイジャンの関係でございますけれども、一九九二年に外交関係を樹立して、三十年以上の幅広い分野での交流が積み重ねられているということでございますので、今後も、地政学、エネルギー安全保障上の重要性に鑑みて、アゼルバイジャンとの二国間関係を、今回御審議いただいている条約も含めて、是非強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。

小田原委員 ありがとうございます。

 アゼルバイジャンとアルジェリアの租税条約を比較してみますと、配当と使用料に関する限度税率がこの二国の条約で異なる部分があります。この限度税率が異なる理由、そしてその交渉の経緯について教えてください。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 配当及び使用料に対する源泉地国における限度税率でございますけれども、日・アゼルバイジャン租税条約ではいずれも七%、それから、日・アルジェリアの租税条約では、親子会社間の配当は五%、その他の配当及び使用料は一〇%となっているところでございます。

 このような配当、使用料を含む投資所得に対する源泉地国における限度税率につきましては、相手国との経済関係、それから我が国及び相手国が他国との間で締結する租税条約の内容、それから各投資所得の源泉地国における国内法上の税率等を総合的に勘案しつつ、交渉の中で決まるものでございまして、条約の交渉の結果として相違が生じております。

 今般御審議いただいております日・アゼルバイジャン及び日・アルジェリアの租税条約の限度税率の軽減の程度でございますけれども、相手国が他国と締結している条約と比較してもおおむね遜色のないもの、又はそれ以上のものとなっているということでございます。

 以上でございます。

小田原委員 ありがとうございます。

 この三国との友好関係に基づいた活発な取引が今後発展することを期待いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、金城泰邦君。

金城委員 おはようございます。公明党会派、金城泰邦です。

 通告に従いまして、質問させていただきます。

 初めに、今回条約締結を目指す三国に近い北東アフリカのスーダンにおける軍と対立する準軍事組織側の武力衝突について、二点御質問させていただきます。

 一点目に、現時点でのスーダンにおける在留邦人の避難状況を教えていただきたいと思います。報道にもございましたけれども、二十五日の時点では、希望する日本人五十一人とその家族の合わせて五十八人が退避したとの報道がございました。残る方の今後の対応等について、様々状況はあるかと思いますので、御説明をお願いしたいと思います。

 二点目は、スーダンの武力衝突の情勢が悪化しておりますが、今回条約締結を目指す三国も含めた周辺諸国への経済環境や貿易等における影響について、外務省の見解をお伺いいたします。

安藤政府参考人 私の方から、まずスーダンにおける在留邦人の状況について御説明いたします。

 今般のスーダンにおける一連の退避オペレーションによりまして、約六十名の在留邦人のうち、二十四日までに、スーダンからの退避を希望していた方のほとんどが退避を終えてございます。

 一方で、様々な事情によりスーダン国内に残留されている方が少人数いると承知しております。これらの邦人の方々とは緊密に連絡を取り合ってございますが、今のところ、生命身体に影響があるとの情報には接しておりません。

 他方、現地情勢は引き続き流動的で、首都ハルツームでは市街戦が行われるなど、治安情勢は厳しい状況にあると承知しております。

 引き続き、ジブチの在スーダン日本国大使館臨時事務所におきまして、関係各国とも緊密に連携しつつ、新たに退避を希望する方が出てくる可能性も踏まえまして、スーダンに残留している邦人への支援に全力を尽くしたいと考えております。

西永政府参考人 お答え申し上げます。

 スーダンにおける衝突の周辺諸国への影響でございますけれども、まず、我々といたしましては、スーダン国軍と即応支援部隊、RSFの衝突が地域の平和と安定に与える影響を深刻な懸念を持って注視しているところでございます。

 その上で、一般論として申し上げれば、物価の高騰、エネルギー不足、物流の停滞、難民、国内避難民の発生等を通じ、スーダン及びその周辺地域の経済、貿易活動にも当然悪影響が及ぶものと考えているところでございます。

 現時点でこれ以上、具体的にどのような地理的範囲でいかなる影響が生じるかについて見通しを述べることは困難ではございますけれども、いずれにせよ、スーダンの情勢安定化に向けて、同志国、そして国際社会と連携していく所存でございます。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 続いて、グローバルサウス、アフリカは、豊富な鉱物資源を有しており、市場として高い将来性を有していますが、投資のリスクを減らすための投資協定の締結等の政府による環境整備が遅れているため、日本企業によるアフリカへの投資は減少しており、経済界からは、アフリカとの投資協定がほとんど進んでいないとして、このままでは競合国との差が開くとの声もあると聞いております。

 経済界からのアフリカ諸国との投資協定締結の要望は以前から示されていたようですが、我が国とアフリカ諸国との間の投資協定は、発効済みが五本あるのみです。政府としても、成果の検証と今後の方針において、今後の交渉相手国について、中南米及びアフリカを中心に検討するとしております。

 一方で、先月、政府は交渉中であったアンゴラとの実質合意を発表しましたが、そのほかに交渉中であるアフリカの七か国との交渉は時間を要しているものも多いようです。

 そこで、外務大臣に質問いたします。

 これらの国々との交渉において、どのような問題があるのでしょうか、現在の進捗状況はどのようになっていますでしょうか。また、ほかのアフリカ諸国との新規の投資協定の交渉開始に向けての取組状況について御説明ください。

林国務大臣 アフリカは、若い人口に支えられましてダイナミックな成長が期待できる、その一方で、投資環境面に課題が残っているというのも事実でございます。

 政府としては、これまで投資環境改善に向けて取組を進めてきており、今議員から御指摘がありましたように、アンゴラとの投資協定交渉については、先般、実質合意に至ったところでございます。

 交渉上の具体的な課題、懸隔点、そして進捗状況、これは相手国との関係もありまして差し控えますが、現在も、複数のアフリカ諸国と投資協定の交渉を行っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、交渉中の協定につきましては、様々な外交機会も活用しながら、引き続き粘り強く取り組んでまいりたいと思っております。

 また、他のアフリカ諸国との新規の投資協定の交渉開始につきましては、経済界の具体的なニーズ、そして相手国の投資協定に関する方針、こういったものを踏まえながら、引き続きしっかりと検討してまいりたいと考えております。

金城委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 続いて、日本・バーレーン投資協定でございますが、日本・バーレーン投資協定は、二国間の投資を促進し、両国の産業活性化、拡大を期待しての締結と考えております。

 バーレーンでは、二〇一八年に大規模油田及びガス田が発見されたとのことです。ロシアのウクライナ侵攻以後、世界的にエネルギー調達が不安定になっていると思います。周知のとおり、日本においては、石油、ガスの価格高騰により、ガソリン、灯油、ガスの価格が高騰しています。さらには、それらを使用して発電する電気代も高騰しています。エネルギー安全保障の観点で、バーレーンとの友好関係を強固にすることが肝要と考えます。

 この投資協定締結を契機として、エネルギー安定調達などの施策をGCC六か国に向けて展開していくことが必要と考えます。今後、どのように取組を進めていくか、経済産業政務二役から御見解をお伺いいたします。また、外務大臣の御決意をお伺いいたします。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 日・バーレーン投資協定においては、エネルギーの安定供給にもつながる日本企業の投資の保護等を狙いとして、二〇一七年二月に交渉を開始し、二〇二二年六月にバーレーンにて署名に至ったと承知しております。

 御指摘のエネルギーの安定供給に関し、二〇二二年には、バーレーンから、日本の年間輸入量の〇・四%に相当する原油が輸入されていると承知しております。

 四方を海に囲まれ、資源の大部分を海外に依存する日本といたしましては、資源外交等に最大限取り組むことが不可欠でございます。これまでも、中東の産油国を始め、生産国に対する継続的な増産、安定供給の働きかけや、日本企業の権益取得の後押しをしてきたところでございます。

 今後も、引き続き、こうした資源外交等を通じ、中東諸国との関係を一層強化をし、エネルギーの安定供給を確保してまいりたいと考えております。

林国務大臣 日本とバーレーンは、二〇二二年に外交関係樹立五十周年を迎えておりまして、この協定は、経済分野を始めとする両国の長年にわたる友好な関係、これを更に強化することにつながるものでございます。

 経産省からも御答弁がありましたように、バーレーンは資源輸出国としてエネルギー安全保障上重要な国である、これは金城委員がおっしゃったとおりだと思っておりますが、これに加えて、資源産業の上流部門に頼らない産業の多角化を推進いたしまして、外国資本の積極的な誘致を進めてきております。

 簡素な事業認可手続、そして税制面での優遇政策等が高い評価を受けるなど、バーレーンには比較的良好な投資環境が整っております。製造業、金融、商社を中心に、十九社、日系企業が進出しておりまして、今後も投資の更なる増加が見込まれております。

 そのため、本協定によって、投資環境の透明性、法的安定性、予見可能性、これを向上させまして、日系企業による投資を保護、促進する意義は大変大きいと考えております。

金城委員 里見政務官、また大臣、御答弁ありがとうございます。

 先方にとっても、投資をすることで相手国のメリットが生まれる、日本国におきましても、今、国内では様々、人手不足の問題等もございますけれども、こういった投資なども通じながら、そういったGCC六か国との更なる関係を築いていって、日本の課題、先方の課題、お互いに解決に向けて取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、私、地元は沖縄でございますが、沖縄の電力は主に石炭と石油で発電を供給しております。二〇一二年、二〇一三年には、LNGを燃料とする火力発電所が営業運転を開始しました。これにより、使用燃料が石油、石炭及びLNGの三種類に多様化しています。しかし、石炭使用率が高く、CO2削減のため、LNG使用の発電を増やしていかなければいけないと思います。

 しかしながら、沖縄は、本土と違って電力の融通がなかなかできない状況にございますので、そういった部分を考えますと、日本・バーレーン投資協定締結を契機として、沖縄の関係者の希望があれば、国として、沖縄とバーレーンを始めとしたその他のエネルギー輸出国とをつなぐ橋渡しに支援いただければありがたいと思っております。外務大臣並びに経済産業省政務二役の御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 日本とバーレーンは、二〇一三年に安倍総理のバーレーン訪問時に発表されました安定と繁栄に向けたパートナーシップの下で、経済分野を始めとする幅広い分野で協力関係にある状況でございます。

 こうした中、近年、山梨県等でバーレーンの特産品を紹介するイベントが開催をされました。また、バーレーンにおいても、静岡県の特産品を紹介するイベントが開催されたところでございます。

 バーレーン投資協定を契機として、こうした取組を通じて地方の企業も含む日本企業全体の更なる海外展開を促進し、両国の関係を一層強化してまいりたいと考えております。

里見大臣政務官 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、沖縄エリアは他の地域に比べまして火力発電の比率が高く、沖縄電力からも、火力発電からの温室効果ガス排出削減のため、LNGの使用の拡大を行う旨が表明されていると承知しております。

 石油と同様な形での備蓄が困難なLNGの安定に向けては、資源外交等に最大限取り組むことを通じ、供給源の多角化に取り組むことが何より重要であると認識しております。供給源の多角化に向けては、これまで、積極的な資源外交のほか、JOGMEC等を活用した権益確保やLNG投資の支援を含め、十か国以上からのLNG輸入を可能とするなど、一定程度の多角化は実現したところでございます。

 一方で、LNGは世界的な争奪戦となっておりまして、安定した価格で調達できるLNGの長期契約は、二〇二六年まで売り切れ状態とも言われております。こうした中で、今回のG7気候・エネルギー・環境大臣会合でも、将来、ガス市場で不足を引き起こさないようにするため、ガス分野への投資が必要である旨がコミュニケで明記をされたところでございます。

 こうしたことを踏まえ、日本企業からの要請に応じ、日本の安定供給に資するLNGプロジェクトについては、積極的な資源外交や公的金融の支援を通じて、日本企業のLNG調達を後押ししてまいりたいと考えております。

 加えまして、短期的な需給逼迫時への対応策としては、経済安全保障法に基づく戦略的余剰LNGの確保、運用を行いますとともに、事業者間のLNG融通の整備等、官民で連携して、有事に備えた体制を構築してまいりたいと考えております。

 経済産業省として、引き続き、あらゆる方策を活用し、エネルギーの安定供給に向けて全力を尽くしてまいります。

金城委員 御答弁ありがとうございました。

 これからのGXに向けた政策の中で、沖縄のような脱炭素の非常に厳しい環境にある地域におきましても、そういった燃料、LNGを始めとした資源の確保、しっかり努めていただければと思います。

 少し時間を残しましたが、今日は以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 本日の議題である条約の問題点については後ほど討論で指摘することとし、陸上自衛隊のUH60JAヘリが沖縄の宮古島周辺で消息を絶った事故について再度質問したいと思います。

 前回、十九日の質疑で、私は井野防衛副大臣に対し、陸自のヘリに標準装備されているフライトレコーダーには位置を知らせる発信機能や海面に浮上する機能がついておらず、回収が難航しているのではないかと質問しました。これに対して井野副大臣は、現時点で確認が取れていないと述べ、答弁されませんでした。

 しかし、翌日の二十日に行われた参議院外交防衛委員会で、防衛省の大和総括官は、UH60のフライトレコーダーは、機体内部の後方に設置されており、機体が水没した際に自動で機体から分離して浮上する機能を持っていない、したがって、ビーコンなどを発信して自分の位置を知らせるという機能も有していないと説明しています。

 そこで、改めて聞きますが、副大臣、UH60のフライトレコーダーには、なぜ海自や空自の同系統のヘリのように洋上での事故を想定した機能が備わっていないのか、御答弁願います。

井野副大臣 陸自のUH60JAのフライトデータレコーダーは、確かに、おっしゃるとおり、機体内部の後方に設置されておりまして、海上自衛隊、航空自衛隊が保有する救難ヘリコプターUH60Jのフライトレコーダーとは異なり、機体が水没した際、自動で分離、浮遊する機能や、フライトレコーダーの位置を知らせるビーコンを発信する機能は有しておりません。

 これは、海自、空自が保有するUH60Jは、自衛隊機の事故発生などにおいて自衛隊機の捜索や乗組員の救助を任務としており、主として洋上での運用を想定している一方、陸自のUH60JAは、人員や物資の輸送、航空偵察などを任務としており、主として陸上での運用を想定していたということによる違いによるものであります。

穀田委員 それはないでしょう。

 質疑前日の十八日に行われた自民党の会合で、防衛省は、陸自のヘリは、軍事作戦で洋上飛行を想定していないため、そうした仕組みがないと説明したそうだけれども、それはそのとおりですか。

井野副大臣 先生が御指摘された、自民党の部会か何かで防衛省の担当者が説明したということなのかということなんですけれども、ちょっと済みません、私の手元にそのときの資料ないし発言要領についてはございませんので、現時点でちょっと確認しようがございません。

穀田委員 聞くと言っておいたんですけれどもね。

 つまり、もしそういう事実についてどうのこうのというのであれば、少なくとも、この事故の問題に関わる報道は見ているはずなんですよね。というのは、命に関わる問題で、発見されていない問題を含めて、心を痛めるのが普通ですやんか。そうすると、地元紙も当然見る。普通、そうですよね。私らかて、宮古島付近でやっていたら、地元紙が何と書いているか、見るのは当然じゃないですか。その地元紙は、やはりちゃんと、自民党の会合で、洋上飛行を想定していないためにそうした仕組みがないと説明したと書いているわけですやんか。そうしたら、聞かなあきませんで、それは。

 防衛省の公開資料を見ると、これまで陸自は、軍事作戦を想定した洋上飛行訓練を行っているのではないか。

 例えば、二〇二〇年十月の日米共同統合演習、キーンソードでは、水陸両用作戦として、UH60を輸送艦「おおすみ」に着艦させる訓練を行っています。翌二〇二一年五月には、沖縄の陸自第一五旅団がUH60を補給艦「とわだ」に着艦させる訓練を行っています。違いますか。

井野副大臣 UH60JAが様々な訓練等に参加していることは事実でございますけれども、済みません、先生が御指摘の点については、現時点で資料がないものですから逐一明確にお答えすることはできませんけれども、様々な訓練に参加していたということは事実であります。

穀田委員 洋上訓練を含めた飛行訓練を行っているという事実を明らかにした。

 防衛省の公開資料を見ても、陸自では、UH60による軍事作戦を想定した洋上飛行訓練を繰り返し行っています。後でも述べますが、このほかにも洋上飛行を行った事例はあります。にもかかわらず、洋上での事故を想定した機能を備えていないということは極めて重大だと私は思います。

 事故機のフライトレコーダーに位置を知らせる発信機能や海面に浮上する機能がなかったことは、事故機の発見の遅れ、自衛隊員の救助の遅れにつながったことは否めないのではないでしょうか。

井野副大臣 事故を起こした機体の発見に要する時間については、事故の態様や捜索時の気象状況、海象状況など、様々な状況で変わり得るものというふうに認識しております。今回の事故についても、事故機に御指摘の機能があればより早く機体が発見できたかどうかについては、現時点においては確定的なことは申し上げることができません。

 現在、海中で発見された機体の一部について、早期かつ確実に機体を引き揚げるべく、知見や技術力を有する民間企業と契約を行ったところでありまして、今月中にもその作業を開始できるように準備を進めているところでございます。

穀田委員 確定できないと。情けないと思いませんか。

 もしこれがあったら少しは早くなったというのは、誰が考えたかて、だって、浮かんでけえへんのやから、発信がないんやから。発信がなかった、浮かんでこなかった。もしあったら、浮かんできていた、発信があった。そうすると、日時が当然縮まった。

 確定できないんじゃなくて、そういうことについて見ようとせずに、その話を遺族に言うことができますか。確定していないと言えますか。私は、冗談じゃないと思いますよ。人の道に反するということを言っておかなあかんと私は思います、はっきり言って。

 それで、防衛副大臣、ほんまにその方々に言えますか、確定していないんですと。国会で、あったらどうやと言われましたけれども、そんなのどうでもええですねんというような話にならぬでしょう。私は、これはあかんと思いますよ。

 だから、今回の事故は、洋上での事故を想定した機能がないまま航空機を運用してきた政府、防衛省の責任が厳しく問われるものだ。今の発言は、私は認めることはできないと言っておきます。防衛省でもそのことははっきりさせてほしいと思います。

 そこで、次に、事故を起こしたUH60が所属する第八師団は、鹿児島県の奄美大島も担当するほか、有事の際には沖縄方面の最前線に機動師団として展開する部隊であります。

 政府は、二〇一九年に宮古島、今年三月には石垣島に新たな陸自の駐屯地を開設しました。昨年末に策定した安保三文書は南西諸島の防衛強化を明記しており、今後も陸自部隊の増強計画を推し進めようとしています。

 そこで、具体的に聞きます。

 陸上総隊隷下の第一ヘリコプター団は、二〇一九年十一月七日から二十七日までの期間、木更津駐屯地から南西地域に至る地域で演習を行っていると思いますが、事実ですか。

井野副大臣 御指摘の陸上自衛隊は、令和元年十一月五日から十一月二十七日にかけて、令和元年度陸上総隊演習を実施いたしました。

 本演習において、水陸機動団や第一空挺団などの陸自部隊が、第一輸送ヘリコプター群や第一〇二飛行隊所属の各種航空機による輸送支援を得て、木更津駐屯地から南西地域に機動展開する際の要領を訓練をいたしました。

穀田委員 まず、演習した事実は認められた。

 第一ヘリコプター団が作成した二〇二〇年七月三日の令和元年度陸上総隊運営の成果及び今後の課題、この資料ですけれども、ここには、演習の行動の概要として、木更津駐屯地を起点に、第一に南西機動展開として那覇基地を経由して与那国駐屯地まで、第二に水陸両用作戦支援として種子島まで、第三に統合特殊作戦支援として奄美駐屯地まで、三つの訓練を行ったと。これは事実ですね。

井野副大臣 本演習においては、第一ヘリコプター群や第一〇二飛行隊所属の各種航空機による輸送支援を得て、水陸機動団や第一空挺団などの部隊が木更津駐屯地から南西地域に機動展開する要領を訓練をいたしました。

 その上で、具体的には、令和元年十一月十一日から二十一日にかけて、第一ヘリコプター団が木更津駐屯地から高遊原分屯地、日出生台演習場、那覇基地、与那国駐屯地、宮古空港、与那国空港などの南西地域に向けて飛行する訓練を行いました。

 そして二つ目が、同年十一月十二日から十五日にかけて、統合特殊作戦訓練の一環として、第一〇二飛行隊が木更津駐屯地から奄美駐屯地、奄美基地、那覇基地などの南西地域に向けて飛行訓練を行いました。

 そして三つ目が、同年十一月七日から二十一日にかけて、第一ヘリコプター団が水陸両用作戦訓練の一環として、木更津駐屯地から種子島などの南西地域に向けて飛行する訓練を行いました。

穀田委員 前半の部分、同じことを言わぬでええのやわ、時間がそんなにないのやから。

 要するに、それで聞くと、資料によれば、今お話がありましたけれども、この演習に参加した航空機は、CH47輸送ヘリ、LR2連絡偵察機、そしてUH60の多用途ヘリの三機種十一機とあります。大体そういうことだということは、今のおおむねの話としてはよろしいね。もうそれだけ、うんとかなんとか言ってください。

井野副大臣 演習に参加した航空機は、CH47、UH60JA、LR2の三機種です。

穀田委員 要するに、さらに、参加した航空機が三種類であることは認めた。

 資料によれば、統合特殊作戦支援として、第一輸送ヘリコプター群は、今お話があったように、第一〇二飛行隊がCH47やUH60を運用したとあります。演習には、そういうことで、第一輸送ヘリコプター群や第一〇二飛行隊が参加したということはお認めになった。

 そこで、第一〇二飛行隊は、陸上自衛隊で唯一の特殊部隊とされる特殊作戦群がUH60を使って行う軍事作戦支援を主要な任務とする部隊であります。この特殊作戦群を編成した目的、装備、訓練内容は何か、お答えいただきたいと思います。

井野副大臣 陸上自衛隊の特殊作戦群は、主としてゲリラや特殊部隊による攻撃に対処するため、平成十六年三月に習志野駐屯地に新編された高い機動力や高度な近接戦闘能力を有する専門部隊であり、各部隊から選抜された約三百名の精鋭な隊員から構成をされております。

 特殊作戦群は、小銃、拳銃などの小火器のほか、軽装甲機動車、高機動車などを装備をしております。

 また、高い機動力や高度な近接戦闘能力を習得させるための訓練を実施しておりますが、これ以上の具体的な訓練内容については、部隊の運用要領などが推察されるおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただいております。

穀田委員 林大臣にお聞きします。

 林大臣は防衛大臣経験者ですが、この特殊作戦群が行う訓練を御覧になったことはございますか。

林国務大臣 私が防衛大臣であった間、自衛隊の訓練等は視察する機会がございましたが、今お話のありました陸上自衛隊の特殊作戦群に対しては視察を行っていないところでございます。

穀田委員 井野副大臣は視察しましたか。

井野副大臣 まだ習志野には行ったことはございません。

穀田委員 特殊作戦群が訓練で年間に消費する弾丸の数は、陸上自衛隊の一個師団、一万人が使用する量に匹敵するとされています。

 これまで、安倍総理や菅総理が訓練を視察したことがあるようです。その詳細は、防衛大臣であっても簡単に知ることができない。国会や国民から徹底して秘匿されている存在であります。

 井野副大臣、そうした特殊作戦群が行う軍事作戦を直接支援するのが第一〇二飛行隊であります。したがって、演習では、特殊作戦群による南西地域での軍事作戦を想定した訓練が行われたということではないんですか。

井野副大臣 本演習の具体的な訓練内容や参加部隊の詳細については、自衛隊の運用に関わる情報であるためお答えをしておりませんので、御理解いただければと思います。

穀田委員 運用に関わるということでそれは済ますわけにはいかないと私は思うんですね。

 つまり、今、南西地域における様々な問題が起きている、それに対して、こういった形で、特殊作戦群による軍事作戦を想定した訓練が行われたということは簡単に言うと事実だ、だけれども内容は明らかにできない、こういうことですな。

井野副大臣 運用については、やはり、こちらの能力の関係上、お答えすることは差し控えさせていただいています。

穀田委員 やったということは、特殊作戦群の運用というか、軍事作戦を想定した訓練が行われた、運用その他の内容はいろいろあるだろうけれども、そういう中身、そういうことは明らかだと思うんです。この資料にある統合特殊作戦支援では、潜入支援として、昼夜間に洋上低空飛行をする訓練を行ったと明記されています。

 特殊作戦群が行う軍事作戦については、これまでも我が党は一貫して追及してまいりました。情報活動から偵察、突入、鎮圧に至る作戦は全て隠密に行われ、任務遂行のためには相手を狙撃、射殺することもいとわないというものであります。これは、歴代自民党政府が述べてきた専守防衛ということとは相入れないと私は思いますし、憲法違反の存在であることは明白な部隊だと私は考えます。

 このような部隊を南西諸島の防衛強化の名目で秘密裏に運用していくことは断じて認められない、私は、直ちに中止すべきだ、そのことを強く求めて、終わります。

黄川田委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 おはようございます。徳永久志です。

 それでは、早速、本題の条約案、協定案についてお伺いしてまいります。

 まず、アゼルバイジャン、アルジェリアとの租税条約についてであります。

 この両租税条約につきましては、両国間の緊密な経済関係の構築を図るという意味において大変評価をしたいというふうに思います。その上で、以下お聞きしてまいります。

 まず、アゼルバイジャンとの租税条約につきましては、これは、日本が当時のソ連邦との間で締結して、一九八六年に効力が発生したということであります。しかしながら、一九九一年のソ連邦解体後、アゼルバイジャンにこの租税条約がそのまま継承されたと承知しています。

 日本として、この条約を全面的に改正しようという取組を二〇二一年から行ったと伺っておりますが、ソ連邦解体後三十年も経過してからの交渉開始ということでありますので、その間の改正の理由とか経緯について、まずは御説明願いたい。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 アゼルバイジャンでございますけれども、今御指摘ございましたとおり、一九八六年に発効しました現行の日ソ租税条約を二〇〇五年に承継しております。

 その後、両国間の経済関係の発展がございましたけれども、そういうものを踏まえまして、両国間の経済交流を一層促進するとともに、最近問題になっております脱税、租税回避という問題がございますので、これに対処するための枠組みを強化する、こんなような目的がございまして、両国政府におきまして現行条約を全面的に改正する必要性が認識されるに至ったということでございます。

 こうした状況を踏まえまして、二〇二一年五月に政府間交渉を開始し、実質合意に至りまして、昨年十二月にバクーにおいて署名が行われたものでございます。

徳永委員 租税条約というものは、二国間にまたがる所得について、両国の課税権の競合、すなわち二重課税を調整、回避するためのルールであると承知しています。

 相手国との関係によりましては、配当、利子、使用料などの投資所得に対する源泉地国の限定税率にある程度の差が生じることはやむを得ないとは理解しますが、進出している日本企業が他国から進出している企業と比較して不利な立場に置かれることのない環境を整備していくことが最も肝の部分だろうというふうに思っています。

 今回のアゼルバイジャン並びにアルジェリアについては、日本企業が課税上、他国企業に比べて不利な立場に置かれることはないということを御説明いただきたいと思います。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生のお話がございましたとおり、租税条約の目的でございますけれども、源泉地国課税を軽減し、二重課税リスクを低くすること等によりまして、健全な投資、経済交流を促進することでございます。

 今回御審議いただいております日・アゼルバイジャン租税条約及び日・アルジェリア租税条約、両方でございますけれども、源泉地国課税の軽減又は免除がなされております。

 軽減の程度でございますけれども、これはアゼルバイジャン、アルジェリアがほかの国と締結している条約と比べてもおおむね遜色のないもの、又はそれ以上のものとなっておりまして、日本企業が他国企業と比較して不利な立場となることはありません。

徳永委員 今確認させていただきました。

 ただ、例えば、別の事例で申し上げますと、過去、オーストラリアとは、アメリカとイギリスは、配当に関する源泉地国の限定税率が親会社、子会社の持ち株比率の要件に従って一五%か免税なのに対し、日本は一律一五%課税でありました。また、特許などの使用料への税率も、アメリカ、イギリスが五%だったのに対して、日本は一〇%と、オーストラリアにおける日本企業の競争力はアメリカ、イギリスに対して劣る環境にありました。

 オーストラリアとはこうした環境は既に改善されているというふうに承知していますが、ほかの租税条約についても、日本企業と他国企業との間の競争条件に格差が生じている場合、条文の改正等々によってしっかりと対応はなされてきているのかについて、概略を伺います。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 若干繰り返しにはなりますが、租税条約の目的は、源泉地国の課税を軽減し、二重課税のリスクを低くする、こういうことによって健全な投資、経済交流を促進することにございます。

 この点、例えば、投資所得に関します源泉地国における限度税率につきましては、相手国が他国との間で締結している租税条約の内容等を勘案いたしまして、我が国企業の海外展開を支援する、こういう観点から、可能な限り低い限度税率を確保すべく取り組んでいるところでございます。

 我が国がこれまで締結いたしました租税条約におきましては、源泉地国の課税の軽減又は免除がなされ、軽減の程度は、他の国が締結している条約と比べてもおおむね遜色のない、又はそれ以上のものとなっている、このように考えてございます。

 御指摘の点はございますが、日本企業が他国企業と比較して不利な立場となることは基本的にはない、このように考えております。

徳永委員 次に、本条約ではありませんが、租税条約の中には、みなし外国税額控除制度というのがあります。これは、途上国に投資している先進国の企業が優遇措置で租税の減免を受け、実際には外国所得税を納付していなかったとしても、納付したものとみなされて、外国税額控除ができる制度であります。

 これは、途上国に対して投資を引き出すために、日本の投資利益に対する所得税を減額して手取りを増やすというインセンティブを与えることが趣旨だと理解していますが、租税条約上この制度が設けられているのは二〇〇六年時点では十九か国あったということでありますが、現在はどこの国との間で設けられているのかについて教えてください。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が締結しております租税条約において、御指摘のみなし外国税額控除が設けられ、引き続き同控除が供与されている国は、スリランカ、ザンビア、ブラジル、中国、タイ及びバングラデシュ、以上六か国でございます。

徳永委員 六か国ということであります。

 繰り返しますけれども、みなし外国税額控除制度は、先ほど述べた趣旨からしますと、相手国の経済の発展に伴って見直していくべきだろうというふうに思います。今、中国もその対象だということでありますが、もはや世界第二位の経済大国になっているわけでありますから、これをそのまま残しているというのはいかがなものかと思います。

 今なお残る六か国のこの制度をどのように今後考えていこうとされているのかについて伺います。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 みなし外国税額控除に関しましては、御指摘のとおりでございまして、OECD等におきましても、投資交流の促進に必ずしも資するものではない、租税回避のために濫用されるおそれがある、課税の公平性や中立性に反するといった諸々の問題点が指摘されております。

 こういうことを踏まえまして、我が国としては、新たに締結する租税条約においてはみなし外国税額控除の規定を設けないという方針でございますし、また、同規定を含む租税条約の改正におきましては、できる限り廃止、縮減に努めてきているところでございます。

 今後の改正交渉におきましても、引き続き同規定の廃止、縮減を図ってまいりたい、このように考えております。

徳永委員 日本の租税条約ネットワークというものは、二〇二三年四月一日現在で八十四条約、百五十二か国に至っているということで、日本の対外直接投資の九割以上がカバーされている現状だということであります。

 この条約のネットワークを拡大していくということの重要性については否定するものではありませんけれども、既存のものに対して、例えば、今私が指摘させていただいた、限度税率において日本企業が不利に置かれていないかどうか、あるいは、みなし外国税額控除制度がまだ六か国残っている、中国もそこに含まれている、これについて廃止あるいは縮減に向かって努力していくことを不断にやっていくことが必要だというふうに思うわけなんです。

 ですから、是非、既存のものについても、日本の国益に一層かなったものにバージョンアップしていく努力というのは不断に行っていく必要があるのではないかと考えるわけですけれども、これは大臣の御見解を賜りたいと存じます。

林国務大臣 政府といたしましては、相手国との経済関係、我が国経済界からの要望、租税条約の締結、改正から生じる効果、こういった観点を踏まえまして、新規の租税条約の締結や既存の租税条約の改正に取り組んでおります。

 今お話がありましたように、新規締結はもちろんのことですが、まさに、既に締結している相手国との間で、経済関係の実態に即した内容の条約となるように改正していく取組、これも大変重要であると認識しております。

 今後の租税条約交渉においても、我が国企業による海外への投資活動が後押しをされ、投資先国との人的、経済的交流の促進、そして、ひいては我が国の国益につながりますように、新規の条約の締結及び既存の条約の改正の双方につきまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

徳永委員 前向きな答弁をいただきました。是非、日本の国益に一層かなったものにバージョンアップしていくという努力を不断に続けていただくことを強く要望しておきたいと思います。

 それでは、続きまして、バーレーンとの投資協定についてであります。

 長年にわたって友好国でありますバーレーンとの投資協定は、両国の投資促進や投資家の権利保護の枠組みを定めるということで、両国の経済的な関係がより一層強化されるものとして評価をさせていただきたいと思います。

 一般に、投資協定というものは、海外進出した企業にとって、海外ビジネスのお守りと言われているということは御存じでしょうか。ジェトロあたりでは言われているようです。お守りというものは、精神的な落ち着きを与えるものである一方で、御利益がないとやはりなかなかみんな持たないわけでありますから、ここはしっかりとそういう意識も持っていくことが必要かというふうに思います。

 例えば、二〇一〇年にUAEが発注した無人鉄道システム、ドバイ・メトロというのがあるんですが、この建設工事において発注者であるUAE政府の設計変更が一方的になされて工事費がかなり膨らんだ、しかしながら追加の支払いには応じてもらえずに、結果的に日本企業は数百億円もの損失を被って泣き寝入りせざるを得なかったというような事例もあります。

 もしここに投資協定があれば、しっかりとしたこうしたトラブルの解決等々がなされたんだろうなというふうに思いますので、こうしたお守りの御利益というものがしっかりと発揮されなければならないということを強く思うものであります。

 そこで、その流れでいきますと、バーレーンとの協定案を始め、投資協定一般にも規定されていますが、いわゆるISDS条項について少しお聞きをしていきたいというふうに思います。

 もう御存じのとおりですけれども、投資家と投資受入れ国との間で紛争が生じた場合、協議で解決されず、紛争発生から一定期間を経過すれば、国際仲裁に付託できる旨の規定が本協定第十六条にもあります。

 世界でも投資協定の締結は増加する傾向にありまして、それに伴って、ISDS条項を活用した国際仲裁の件数も年間五十件を超えて、二〇二一年まで累計で約千二百件あるということをお聞きしました。

 そこで、日本企業がこのISDS条項を活用した件数というのはこれまでどのくらいの件数になっているのかについて伺います。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 ISDS案件につきましては、全て公表されているわけではございませんので、政府として網羅的にその件数を全て把握するというのはなかなか難しいところがございますけれども、仲裁機関等が公表している情報、それから報道等で出てきた情報など、公になっているものの中でお答え申し上げますと、二〇一五年から二〇二〇年までの間に日本企業がISDS条項に基づいて外国政府に対して投資仲裁を申し立てた件数というのは、少なくとも六件、こういった中で把握しております。

 以上であります。

徳永委員 この六件という数字をどう見るかでありますけれども、決して多くはないわけです。世界的には増えている状況と比較をするとということです。

 日本の企業がISDS条項によって相手国政府を訴えることがなかなかないという理由について、私が耳にする範囲ですと、相手国政府と事を構えるのは、その国から撤退するときしかできないとか、まずはISDS条項を使わない方法を模索する。これを使ってしまったらもう二度とその国でビジネスができなくなるのではないかという恐怖感もあるようであります。

 こうして日本企業がISDS条項を活用しない、あるいはできない、どちらか分かりませんが、これについての理由はどういうふうに認識しておられますか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、公開情報から把握できる範囲での日本企業による投資仲裁申立て件数は少なくとも六件ということで承知しておりますけれども、これら以外にも、日本企業の海外現地法人による投資仲裁申立て、それから、先ほども御答弁申し上げましたが、公表されていない案件なども存在する可能性があると考えております。

 その上で申し上げますと、日本企業と相手国政府の間の紛争が起きた場合には、ISDS条項に基づく投資仲裁に至らずに解決に至るケースもある、おっしゃったとおりだと思います。そのため、一概に公表されている仲裁件数のみでISDS条項の効果を評価するというのはなかなか難しいところはございますけれども、一方で、日本貿易振興機構、ジェトロが二〇二〇年度に実施した日本企業に対するアンケート調査において、海外に拠点を有する企業で、大企業で約四〇%、中小企業では約六〇%がこのISDS条項を含む投資関連協定の存在自体を余り認識していないということを回答いただいておりまして、そういった投資関連協定の認知度が低いということも事実だというふうに考えております。

 このため、経済産業省としましては、投資関連協定を周知するために、これまで、投資協定を含むセミナーの開催、パンフレット、解説書を作成して配布させていただく、それから、ジェトロ配信のウェブチャンネルや解説動画なども作成しまして、こういった形で投資協定の仕組みや活用事例の紹介、それから、ジェトロ相談窓口、それから、海外事務所がジェトロはございますので、そちらにおける投資協定を含む面談や助言などを促進しておりまして、今後も、経済関係団体等とも連携しつつ、ジェトロ、それから外務省さん、我が国在外公館等も活用して、投資関連協定に関する積極的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

徳永委員 かなりの企業が制度の存在そのものを知らないということでもありますので、今おっしゃっていただきましたが、まず周知活動を徹底していただきたいということを思います。

 ただ、知ったけれども、やはり、日本企業のいいところなのか悪いところなのか分かりませんけれども、なかなか争い事を好まないということもあろうかというふうに思いますが、ただ、そういった中にあっても当然トラブルというのは発生するわけで、こういったISDS条項の活用をなかなかためらっている企業に対してはどういう策を政府としてお持ちなのかということをお聞きします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、実際のISDS条項に基づく仲裁申立てに至らずに、相手国政府との間のトラブルの解決につながる方策は存在するものと考えております。

 例えば、当事者である日本企業が相手国政府と直接お話をする、協議するという形で解決されているケースがあるというふうに考えておりますし、また、政府の方の取組としましては、こうした直接当事者間の協議に加えまして、相手国政府が例えば協定違反の可能性、認定という前の話として、可能性があるような措置があるというふうに認識した場合等には、我が国政府高官、それから在外公館、そしてジェトロの海外事務所などを通じて相手国政府に申入れを行う。また、経済連携協定に基づいてビジネス環境整備小委員会という二国間の枠組みなどがつくられておりますので、そういったところを通じてこうしたケースについて協議をするというようなことを行って、政府側の申入れ、働きかけによって解決されているというケースもございます。

 実際、こうした政府の取組については、先ほど申し上げたような形で日本企業さんの御意見をいただいておりますけれども、こういったビジネス環境の整備、それからトラブルの解決などに役立っているという声も数多くいただいておりまして、こういった取組を今後とも積極的に行っていきたいと考えております。

徳永委員 是非、海外に進出する日本企業のトラブル解決あるいはリスクの低減といったことについては主眼を置いて取り組んでいただきたいということを申し上げたいと存じます。

 投資協定全般で、ちょっと横道にそれます。

 日中韓投資協定が二〇一四年に発効しています。これは、当初政府が望んでいた、例えば市場アクセス、透明性の確保、強制的な技術移転の禁止、公正な競争環境などが盛り込めなかったという経緯があります。

 しかしながら、二〇二〇年、EUと中国との間でEU・中国包括的投資協定がありまして、これはまだ発効していないようですけれども、この中身をざっと見ますと、当時の日本と韓国が中国に対して求めていた内容のレベルとなっています。それなりの高いレベルとなっています。

 こうなってくると、二〇一四年段階ではなかなか盛り込めなかったけれども、EUとはやっているわけですから、現在の日中韓投資協定についても、EUが結んだ協定と同じレベルの内容に改正する努力を始めていくべきではないかというふうに思うものですけれども、これは大臣の見解を問いたいと思います。

林国務大臣 今御指摘のありました日中韓投資協定の扱いでございますが、この協定の発効後、二〇二二年一月に、日中韓三か国が参加するRCEP協定が中国を含めて発効しておりまして、これを踏まえて考える必要があるだろうと思っております。

 このRCEP協定には、参入段階での内国民待遇、そして技術移転要求の原則禁止といった日中韓投資協定に含まれていないルールが規定をされておるところでございまして、まずは、これらを含めて同協定の透明性のある履行の確保に取り組むことが重要であるというふうに考えております。

徳永委員 その線に沿って是非御努力をいただきたいというふうに思います。

 次に、現在、我が国は、ロシアに対し、戦略物資の輸出停止、ロシア産資源の輸入停止、あるいはロシアの個人、企業、中央銀行を含めた銀行の資産凍結など、厳しい経済制裁を科しています。

 一方で、ロシアとは、二〇〇〇年五月、日ロ投資協定を結んでいます。日本のロシアへの経済制裁は、投資協定全般の趣旨からすれば相反するものの、もちろん、国際社会と連携して制裁を科すことは私は正しいことだというふうに思いますが、ただ、日ロ投資協定の全体の趣旨からすれば相反するのではないかというふうに思うものです。

 何かもごもご言っていますけれども、経済制裁そのものは、投資協定の全体の趣旨からすれば相反するのではないですかというような指摘もあろうかと思います。もちろん、経済制裁そのものは私は正しいと思っていますけれども、投資協定との関係でこの辺の法的解釈というのはどのように整理がなされ、見解をお持ちなのかということを、概略、お答えください。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のロシアによるウクライナ侵略でございますけれども、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反でございます。

 我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携いたしまして、ロシアの個人、団体等に対する資産凍結、輸出入禁止措置などの制裁措置を実施してございます。

 これらの措置と投資協定の関係でございますけれども、これらの措置は、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中、これを一日も早くやめさせるための取組の一環ということでございまして、日ロ投資協定を含め、国際法上許容されるという考え方でございます。

徳永委員 日本のロシアに対する経済制裁は国際法上許容されるというようなお答えでした。

 では、逆の方で、ロシアはロシアで、我が国を非友好国に指定して、非友好国の国民が保有するロシア企業の株式や不動産、外貨をロシア国外に譲渡することを制限したり、あるいは非友好国に関係する者が保有する特許を無償で行使できるというような措置を講じています。

 こうしたロシアが行っている非友好国への制裁返しというか、そういった措置も当然ながら私は投資協定全般の趣旨と相反するものだというふうに思っているわけなんですが、こうしたロシアの一連の措置というものは日ロ投資協定との関係でこれもまた法的解釈をどういうふうに捉えておられるのか、伺います。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアでございますけれども、今先生から御指摘がありましたとおり、二〇二二年三月に日本をいわゆる非友好国に指定しまして、ロシアに進出している日本企業の活動に一定の制約を課すような措置を取っているところでございます。

 ロシア側による個別の措置が日ロ投資協定上の義務違反を構成するかということでございますけれども、個別具体的に検討する必要があるということで、その上で申し上げますと、日ロ投資協定におきましては内国民待遇義務等が規定されておりまして、ロシア側による一連の措置については、日ロ投資協定上の義務に違反する可能性があるものも含まれていると考えております。

 いずれにしましても、今回の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものでございまして、そのような中で、日本をいわゆる非友好国に指定し、ロシアが一連の措置を講じていることは極めて不当であり、受け入れられません。我が国として、ロシアに抗議するとともに、日本国民や企業の正当な利益が損なわれないように求めてきているということでございます。

 以上でございます。

徳永委員 ロシアの非友好国に対する一連の措置が日ロ投資協定に違反するかどうかというのは、違反する疑いはある、ただ、個々個別に検討していかなければいけないけれどもという注釈つきでという理解をさせていただきました。

 これは、やっていくうちに、投資協定に明確に違反ですよねということになれば、政府としては何らかの措置というものは考えておられるんですか。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、政府としましては、外交ルートを通じて、これまでロシア側に対して、日本国民や企業の正当な利益が損なわれないように求めてきているところでございます。

 日ロ投資協定との関係については、いろいろな規定がございますけれども、協定に基づいて政府間で協議を行うかどうかについては、予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに考えております。

徳永委員 相手国と協議をするのは今の状況では困難だということは十分理解しますので、状況が落ち着けば、その辺りのこともしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは次に、スーダンからの邦人退避の問題について伺います。

 スーダンでは、国軍と準軍事組織、即応支援部隊との間で軍事衝突が発生、戦闘が激化しているということであります。報道によれば、死者は少なくとも四百二十名以上、負傷者も二千人を超える、そして、戦闘はかなり長引く可能性があるのではないかということでありました。

 スーダンに滞在している日本人は、大使館関係者やNGO、JICAの関係者ら約六十人程度。彼らの置かれている状況というのを非常に心配しておりましたが、先日、スーダン北東部のポートスーダンから退避した日本人が自衛隊機により無事ジブチに到着したということであります。

 大変困難な状況の中で邦人退避という重大なミッションを成し遂げられました現地大使館、自衛隊始め、関係者の方々の御努力に心からの敬意と感謝を申し上げたいと存じます。

 そこで、今回の邦人退避の一連の経緯について、大臣に是非御説明をいただきたいと思います。

林国務大臣 まず、自衛隊機により出国した邦人等四十五名でございますが、国連機関、そして韓国、UAE等の協力を得まして、ハルツームから陸路でポートスーダンに到着いたしまして、ポートスーダンから自衛隊機によりジブチに空路で退避したということでございます。

 それから、もう一つは、フランスそして国際赤十字の協力により出国した邦人等十三名でございますが、フランスの協力によりまして、ハルツーム北部の空港からジブチに退避するとともに、国際赤十字の協力によってスーダンからエチオピアに退避したということでございます。

徳永委員 そこで、私の方からも一連の流れの中で質問します。

 四月十九日、林大臣から浜田防衛大臣に対しまして、自衛隊法八十四条の四に基づき、在留邦人の退避のため、邦人を輸送する自衛隊機の派遣に向けた準備行為を要請したということであります。

 この要請に至るプロセス、経緯について御説明願います。

林国務大臣 四月十五日でございますが、ハルツーム市を含むスーダン全土におきまして、今冒頭触れていただきましたように、スーダン国軍と即応支援部隊との間で武力衝突が発生した、このことを受けまして、直ちに領事メールを発出して注意喚起をいたしましたとともに、十六日にスポット情報を発出しております。そして、十七日には、スーダン全土の危険情報レベルをレベル3、すなわち渡航中止勧告に引き上げまして、在留邦人に対して、外出は厳に控えて身の安全を確保するように呼びかけたところでございます。

 その上で、在留邦人等の国外輸送を実施することを目的として、十九日でございますが、私から防衛大臣に対して、同国に滞在する邦人等の輸送の実施に必要となる準備行為の要請を行ったということでございます。

徳永委員 四月十九日、林大臣から浜田防衛大臣に対して準備行為の要請をされた。

 この要請を受けた防衛省は、自衛隊機の派遣に向けた準備行為、具体的にどのようなことをされたのか、おっしゃれる範囲でお願いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 四月十九日、スーダン情勢を踏まえ、外務大臣から防衛大臣に対して、現地に滞在する邦人輸送に向けた準備開始の要請がありました。これを受けて、翌二十日には、防衛大臣から、在外邦人等の輸送に向けた準備行為の実施について自衛隊に命令が出されております。

 これに基づきまして、航空自衛隊航空集団司令官を指揮官とする在スーダン共和国邦人等輸送統合任務部隊を編成いたしました。そして、航空自衛隊のC2輸送機、C130輸送機及びKC767空中給油輸送機をジブチにおいて待機させました。また、派遣される部隊の受入れ調整などを実施するための連絡調整要員五名をジブチに派遣いたしました。

 このほか、現地の情勢が予断を許さない状況であることを踏まえて、ジブチを拠点に海賊対処行動に当たっている部隊についても、必要に応じ対応できるような態勢を取ることとしたところであります。

徳永委員 そうした準備行為を経て、四月二十三日、林大臣から防衛大臣に対して邦人輸送の実施についての依頼がなされ、二十三日、防衛大臣は邦人輸送の実施に関する命令を発出したというふうに理解していますが、大体そんな感じで、大臣、よろしいですか。

林国務大臣 今おっしゃられたとおりだと思っております。

徳永委員 そこで、そうして自衛隊が派遣されたわけですけれども、国際法上、派遣先の国の同意を得ることが求められると思うんですね、軍を領土に入れる場合には。この場合、当然スーダン政府の同意は得られたということですよね。

林国務大臣 今、徳永委員からおっしゃっていただきましたように、国際法上、一般に、自衛隊を他国の領域に派遣する際には、派遣先国との関係で国際法上の問題が生じないように、当該国政府の同意を得る必要があるところでございまして、今般の輸送に当たっても、スーダン共和国政府の同意を得ているところでございます。

徳永委員 何日に同意を得られたかというのをおっしゃっていただけますか。

 いいです。済みません、これは通告していなかったので、またよければ教えてください。

 そこで、昨年四月に、自衛隊法改正によりまして、改正前は輸送を安全に実施できるとしていた派遣の要件を、予想される危険を避けるための方策を講ずることができると改正しています。これは、解釈としては、一定の危険が想定されても、対処可能な範囲内だというふうに判断すれば派遣が可能になったというふうに私は理解しています。

 そうした中でいきますと、今回、ポートスーダンの空港までの陸路の輸送、それからポートスーダンの空港の管制機能があるのかないのか、あるいは、そこが戦闘状況が行われているのかどうか、そういった部分の情報収集は極めて困難だったというふうに思いますけれども、こうした派遣要件を満たすか否かの判断はどのような形でなされていったのかということを御説明ください。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の活動については、流動的であり、かつ予断を許さない現地情勢の中で、防衛省としては、関係省庁とも連携し、自衛隊法八十四条の四に規定する、御指摘のあった予想される危険及びこれを避けるための方策を講ずることができるということを確認しております。

 具体的には、例えば、今回使用したポートスーダン空港について、スーダン政府の空港職員が管制を実施し、また、空港周辺の治安についても当局により統制されていたことから、自衛隊機が問題なく離着陸できる状況にありました。

 各種の情報収集などをして、これらを含むいろいろなことを総合的に勘案した結果、予想される危険及びこれを避けるための方策を講ずることができるという判断に至ったところであります。

徳永委員 先ほど大臣から御説明をいただきました、特に、首都ハルツームからポートスーダンまでは陸路で行ったということでありますけれども、これは自衛隊の車両を持ち込まれたのか、あるいは現地調達されたのか。そして、車列を組んでいく道中の安全性の確保はどのようにされていたのか。それはどこまで言えるかどうかというのはあるんでしょうけれども、可能ならば教えてください。

大和政府参考人 まず自衛隊の方について申しますと、今のところ、自衛隊の活動としては、車両による輸送は行っておりません。自衛隊が行ったのは、ポートスーダンからジブチまでの退避ということであります。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 スーダン国内は車両による陸路での移動でございますけれども、協力を得た国連、関係国との関係もあり、詳細は差し控えたいと考えております。

林国務大臣 ちょっと補足をさせていただきますが、先ほど最初に私が御答弁さしあげたように、まず、四十五名の邦人等ですが、国連機関、韓国、UAE等の協力を得て、ハルツームから陸路で移動したということでございますので、ハルツームからポートスーダンまでの間は国連機関や韓国、UAE等の協力を得たということでございます。

 それから、邦人等十三名は、フランスの協力によって、ハルツーム北部の空港から直接空路でジブチに退避した、こういうことでございます。

徳永委員 ハルツームからポートスーダンまで陸路で、UAEや韓国の協力を得たということですと、自衛隊の車両は持ち込んでいないということなので、韓国やUAEの車両を借りながら、そこに日本人が同乗してポートスーダンまで行ったという理解でいいでしょうか。

林国務大臣 先ほど事務方からも答弁させていただきましたように、国内は車両による陸路の移動ということでございますが、協力を得た国連や関係国との関係もあり、これ以上の詳細は差し控えたいということでございます。

徳永委員 もう一度確認です。

 陸路が危ないのではないかという想定は当然されるんですが、この陸路の安全性を十分に図れるという確証があってこの行動に踏み切ったという理解でよろしいですね。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどから御答弁申し上げているとおり、スーダン国内は車両による陸路での移動でございまして、協力を得た国連や関係国との関係もあり、詳細は差し控えたいと思っておりますけれども、もちろん、移動する邦人の安全については十分な配慮を行っているというふうに承知しております。

徳永委員 勘違いしないでいただきたいんですが、今回は立派に任務をやり遂げていただきましたので感謝しているんです。ですから、ぎりぎり責め立ててどうのこうのというのは毛頭思っていませんので、それだけは理解してください。

 その上で、こうした危機に瀕している日本人をしっかりと保護していくということは日本政府の最大の責務であります。各国と連携して即時の停戦を呼びかけるなど、そうした外交努力を一方でしっかりとしていく必要があろうかというふうに思います。

 こうした意味で、このスーダン情勢、停戦あるいは戦闘行為が終わることが最大の責務だというふうに思いますので、その辺りの大臣の見解を問いたいと思います。

林国務大臣 今般のスーダンにおける一連の退避オペレーションによりまして、約六十名の在留邦人のうち、二十四日までに、スーダンからの退避を希望していた方のほとんどが退避を終えることができたわけでございます。

 今般の邦人退避に当たっては、韓国、フランス、ドイツ、米国、英国、UAE、サウジアラビア、国連、国際赤十字など、多くの関係各国や機関の協力を得たわけでございます。各国から、そして各機関からの協力に対し心から感謝するところでございます。

 引き続き、ジブチの在スーダン日本国大使館臨時事務所において、関係各国とも緊密に連携しながら、新たに退避を希望する方が出てくる可能性も踏まえて、スーダンに在留している邦人への支援に引き続き全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 そして、今後もG7等の同志国とともに、地域の関係国と協力しながら、スーダンにおける全ての当事者に対して即時の暴力停止を呼びかけてまいりたいと考えております。

徳永委員 改めまして、今回の邦人退避に向けて様々に御努力をいただきました外務省を始め、現地大使館、自衛隊、関係者の皆様方に心から御苦労さまという言葉を申し上げさせていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 それでは、早速、今回の三つの条約の質疑を始めます。それぞれ、締結までに大変な御苦労があったと察します。

 まず、日本・バーレーンの投資協定について伺います。

 投資協定には、投資財産設立後、参入後の投資財産保護を目的とする保護型の協定と、これに加えて、投資財産設立段階、参入段階の投資の自由化を促進する自由化型の協定の二種類があるというふうに承知をしております。

 政府は、二〇一六年五月に発表した投資関連協定の締結促進等投資環境整備に向けたアクションプランにおいて、今後の方針として、自由化型の投資協定を念頭に交渉に当たるとされております。

 今回の日本・バーレーンの投資協定は保護型の協定となっていますが、そのいきさつについてお伺いいたします。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 投資協定一般について申し上げますと、今委員御指摘のように、自由化型、保護型、それぞれございますけれども、交渉に当たっては、我が国経済界のニーズ、それから相手国の事情、そういった要素を様々勘案しながら、先方との交渉を通じて、最終的にどのような形になるかということが決まってまいります。

 今回御審議いただいていますバーレーンとの投資協定につきましては、今申し上げたような要素も勘案してバーレーン側と鋭意交渉を行った結果、最終的には保護型とすることで合意に至った次第でございます。

青山(大)委員 今後、バーレーンとも引き続き協議をして、自由化型への移行をするような意思はあるのか、現状をお伺いします。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定、現在御審議いただいていまして、いまだ締結するには至っておりませんけれども、今後、自由化型への移行を含むかどうかにつきましては、協定締結後の投資の状況ですとか、あるいはその段階における我が国経済界の具体的なニーズ、そういったものを政府としてしっかり把握しまして、その上で、どのような対応が可能かということを検討してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 さらに、先ほどのアクションプランにおいては、投資家保護などの分野でISDS条項の挿入も含め高いレベルの質を確保することを不断に追求するというふうにされています。

 今回の日本・バーレーンの投資協定においては、ISDS条項が入っていることは評価できますけれども、いわゆるパフォーマンス要求の禁止については一部にとどまっております。近年締結された日本・ジョージアの投資協定では、国内販売の制限や現地人材の雇用などの十一項目の禁止が規定されたことと比べると、今回のバーレーンとの投資協定は低い基準となっております。

 投資家の自由や投資活動を確保するためには、パフォーマンス要求の禁止範囲は広くした方が投資家保護になると思われますが、こういった状況について、いかがでしょうか。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御質問がございました、いわゆるパフォーマンス要求の禁止につきましては、これもバーレーン側と鋭意交渉を行った結果、この協定に規定してございますように、貿易に関連する投資措置に関する協定の第二条の規定に基づく義務に反する措置は取ってはならないということを明示的に規定したものでございます。

青山(大)委員 今後、締結後ですけれども、禁止範囲の拡大に向けて働きかけは行っていくのでしょうか。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げました、今後自由化型になる可能性ということとある意味似ているような話でございますけれども、この協定が実際に締結をされた後、その後の状況を見ながら、特に、日本企業のニーズですとかそういったことも踏まえながら、不断の見直しをしていきたいというふうに考えております。

青山(大)委員 それでは、次の質問に行きます。

 今後の投資関連協定の締結の方針について伺います。

 二年前の三月に、投資関連協定の締結促進等投資環境整備に向けたアクションプランの成果の検証と今後の方針では、当初は二〇二〇年までに投資関連協定について百の国、地域を対象に署名、発効するという目標を掲げていますが、その当時の検証の段階では九十四の国と地域という結果になっております。

 まず、二〇二〇年までに当初の百という目標を達成できなかった要因をどのように考えているのか、伺います。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のアクションプランの発表以来、政府として取組を鋭意進めてきておりますが、交渉に当たって、可能な限り高いレベルの質の確保に努めてきたということもございまして、合意に至ることができなかった、こういう協定もございます。結果として、全体として目標を完全に達成するには至らなかった、こういう次第でございます。

 もっとも、これまでの取組の結果、発効済み又は署名済みの投資関連協定が我が国の対外直接投資残高に占める割合は二〇一六年の三五%から約九三%に増加、また、交渉中の協定も含めれば合計九十四の国、地域をカバーするに至った、こういうことでございまして、政府としては、引き続き、我が国経済界からの要望、我が国の事情等を総合的に勘案して取り組んでいく、こういう考えでございます。

青山(大)委員 今、現在交渉中の国もあるというふうに聞いたんですけれども、例えば、現在交渉中のものには、交渉開始から五年以上の期間が過ぎているものも多く含まれておりますけれども、それらの交渉に時間を要している理由は何と考えられるか、また、そういった交渉妥結の見込みについてどのように考えているのか、お伺いいたします。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 交渉に時間を要している理由に関しましては、交渉ごとに個別の経緯もございますし、また相手国との関係もございますので、一概にお答えすることは若干困難でございますが、我が国としては、投資協定の交渉に当たって、可能な限り高いレベルの質の確保に努めてきた、こういう事情があるところでございます。

 妥結の見通しに関しましては、交渉事でございますので、申し訳ございませんが、一概にお答えすることは困難ということでございます。

青山(大)委員 次に、当初の、二〇一六年に策定されたアクションプランの中で、二〇一六年の翌年、二〇一七年には新規交渉が多く開始されていますが、最近新規交渉が開始された国は二〇一九年一月に交渉が開始されたアゼルバイジャンであり、その後の四年間余りは新規交渉が開始されていないというふうに伺っておりますけれども、百の国、地域という目標の期限が二〇二〇年だったとはいえ、その後、交渉を開始していないのは何か理由があるのでしょうか、お伺いいたします。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、アゼルバイジャンとの交渉開始以降、新規に交渉を開始した投資協定は現時点ではないということは御指摘のとおりでございます。一方、新規の交渉相手については不断の検討を行っている、こういう状況でございます。

 その上で、現在は十八本の協定につき交渉中、また、アクションプランの結果の検証と今後の方針におきましてお示しさせていただいていますとおり、現在交渉中の協定については、様々な外交機会も活用しつつ、引き続き早期妥結に取り組む、こういう方針もございますので、それら交渉の妥結に向けた作業を集中的に行っている、こういう状況でございます。

青山(大)委員 あともう一点聞きたいんですけれども、最終的に、先ほど、計九十四の国や地域がカバーされているとありましたけれども、投資関連協定の本数は、二国間では三十七本、投資章を含むEPAが十八本でございまして、中国やドイツを見ますと、二国間だけでも百本を超えます。また、韓国も八十八本と、本数には大きな開きがあります。

 先ほどの、二年前に発表された成果の検証と今後の方針の発表後、外務委員会で日本・ジョージア投資協定を議論した際の政府側の答弁では、新たな数値目標を掲げることは現段階では考えていないというふうに御答弁がありましたけれども、今から二年前の答弁でございまして、方針の変更も考えられますが、現在、数値目標の設定や具体的な戦略など、どのように考えているのか、お伺いいたします。

大河内政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の方針ということでございますが、まず、現在交渉中の協定に関しましては、様々な外交機会も活用しつつ、引き続き早期妥結に取り組む、また、交渉に当たっては、相手国の事情等を考慮しつつも、可能な限り高いレベルの質の確保に努める、こういう方針でございます。

 また、新規の投資関連協定に関しましては、我が国経済界の具体的ニーズ、相手国の投資協定に関する方針を踏まえながら、交渉開始に向けた努力を行っていく、その中でも特に中南米及びアフリカを中心に検討する、こういう方針でございます。

 いずれにせよ、投資関連協定に関しましては、二〇一六年のアクションプランにおきまして百の国、地域という目標が設定されているということも踏まえつつ、引き続き政府といたしましてはしっかり取組を進めていく、こういう考えでございます。

青山(大)委員 承知しました。

 次に、日本とアゼルバイジャンの租税条約についてお伺いします。

 先ほども徳永委員の方からも指摘がございましたけれども、現行条約である旧ソ連邦との間の租税条約の内容をアゼルバイジャンとの間で改正するものとしていますけれども、旧ソ連邦との租税条約を承継した十二か国のうち、現在も七か国が旧ソ連とのままを承継したものと聞いております。

 今後、この七か国との間の租税条約の改正に向けてはどう具体的に取り組んでいくのか、お伺いいたします。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 一九八六年に発効しました日ソ租税条約でございますけれども、今委員から御指摘がありましたとおり、アゼルバイジャンを除きますと、我が国とキルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウクライナ、アルメニア、ベラルーシとの間で現在まだ有効に適用されているところでございます。

 政府といたしましては、相手国との経済関係、我が国経済界からの要望、租税条約の締結、改正から生じる効果といった観点を踏まえまして、新規の租税条約の締結や既存の租税条約の改正に取り組んでいくこととしておりまして、日ソ租税条約が今も適用されている旧ソ連構成諸国との租税条約についても、こうした観点を踏まえて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

青山(大)委員 今回の日本・アゼルバイジャンの租税条約を見ますと、現行条約になかった徴収の共助や条約の特典の濫用防止が新たに盛り込まれました一方で、仲裁に関する規定が盛り込まれておりませんけれども、仲裁に関する規定が盛り込まれなければ条約の締結の意義が薄れるのではないかというふうにも言われていますけれども、こういった旧ソ連邦との、これまで締結した五か国もそうですけれども、やはり、そういった仲裁の規定というのは、なかなか旧ソ連邦の国とは盛り込めないのでしょうか。そういった理由についてお伺いいたします。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの答弁のところでモルドバを飛ばしたということで、大変失礼いたしました。つけ加えさせていただきます。

 その上で、仲裁の規定でございますけれども、仲裁手続でございますけれども、相互協議手続の一環ということでございまして、未解決の部分を第三者による仲裁に付託して解決するという手続でございまして、こうした手続の導入は、投資環境の整備とか、国際的に投資交流の促進に資するもので、基本的に、我々、我が国として、仲裁手続の導入を積極的に取り上げていくという考え方でございます。

 他方で、仲裁手続でございますけれども、国内法上の制約等により、その導入を困難とする国がございまして、アゼルバイジャンについても、交渉の結果、導入に合意できる可能性はないということが判断されたということでございまして、今般、アゼルバイジャンとの友好な深化する経済関係を踏まえて、早期に租税条約を締結するという観点で、仲裁条項なしで、今回、租税条約の締結を優先するという判断をして、今御審議をお願いしているところでございます。

 先ほど委員から御指摘がございましたとおり、ソ連から独立して新たな条約が締結されているロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、ジョージアなどとの間の租税条約についても、仲裁規定は導入されていないということでございます。

 以上でございます。

青山(大)委員 先ほどの答弁、モルドバが抜けていて、あれっと思ったんですけれども、ちょうどこの後、超党派のモルドバ議員連盟の総会もございまして、林大臣は会長をやっていますので、非常にモルドバに力を入れている大臣ですので、そこは飛ばさないようにお願いいたします。

 それで、アゼルバイジャン、本当に天然資源に依存する経済からの脱却ということで、我が国もODAを通じて様々なこれらの課題解決を後押ししているんですけれども、アゼルバイジャンに対するODAの供与国として、以前は日本が一位だったんですけれども、政府は今後アゼルバイジャンに対するODAについてはどういったふうに取り組んでいくのか、お伺いいたします。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 豊富なエネルギー資源を有し、中央アジア、カスピ海地域と欧州をつなぐ地政学的に重要な位置を占めるアゼルバイジャンの安定的な発展は、コーカサス地域の安定にとっても非常に重要でございます。

 アゼルバイジャンは石油価格に大きく依存する産業構造であり、一九九一年のソ連からの独立後、石油、天然ガス開発による経済発展が見られていたものの、その後は、石油価格の上下落の影響を大きく受け、マクロ経済状況が安定していないため、産業構造の多角化が急務となっております。また、都市部と地方との格差拡大等の課題にも直面しているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、我が国としましては、持続可能でバランスの取れた経済成長の達成と格差の是正に向けた国づくり支援の実施を対アゼルバイジャンODAの基本方針とし、経済インフラ整備、産業開発基盤整備及び産業人材育成、社会サービスの改善を重点分野としているところでございます。

 近年は特に国づくりを担う人づくり支援に積極的に取り組んでおり、例えば、アゼルバイジャンの将来を担う行政官等の人材を日本に招聘し、保健、環境、農業開発等の分野で研修を行っているところでございます。

 引き続き、このような方針に基づいて、アゼルバイジャンに対する開発協力を進めてまいるところでございます。

青山(大)委員 もう一点、今回、アルジェリアの租税条約ですけれども、我が国がアフリカ諸国との間で租税条約を署名した五番目の国であるということで、過去に、どういった国かを見ますと、エジプトがございまして、これが一九六八年、ザンビアが一九七〇年、南アフリカが一九九七年、モロッコは最近の二〇二〇年なんですけれども、モロッコ以外は相当古いなと思いました。

 アフリカ諸国との間の租税条約の締結や改正の交渉が、これはなかなか困難なのか、そういったもし理由があれば、お伺いいたします。

西永政府参考人 お答え申し上げます。

 アフリカ諸国との租税条約の交渉状況等についてお尋ねがございました。

 御指摘のとおり、アフリカ諸国の幾つかの国において交渉を今継続しているところでございます。個別の具体的な交渉内容についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、いずれにせよ、二国間の健全な投資、経済交流の促進に資するとの目的にふさわしい内容となるように交渉してまいりたいというふうに考えております。

 交渉における困難な点はどういうことかということについてお尋ねがございました。

 個別の国との接触状況についてお答えさせていただくことは差し控えさせていただきますが、一般論といたしましては、租税条約の交渉におきましては、途上国側から、より広く源泉地国における課税を確保する提案が寄せられ、それに対して、我が国としては、我が国企業の海外展開を支援する観点から、可能な限り源泉地課税を軽減することを方針としているところでございます。

 このように、政府といたしましては、租税条約の締結の数のみならず、個々の租税条約を質の高いものにしていくこと、それが重要だというふうに考えております。

 こうした点を踏まえながら、引き続き、アフリカ諸国も含めて、新規の租税条約の締結や既存の租税条約の改正のための交渉に積極的に取り組みまして、租税条約ネットワークの更なる拡充を図ってまいりたい、このように考えております。

青山(大)委員 今回、三本の条約が出ていますけれども、今後もこういった投資協定や租税条約がたくさん外務委員会で審議できるように、皆さん、是非現場の方でこれからも頑張ってください。

 あともう一点、もう二点ですかね。

 せんだって、北方領土の元島民でつくる日本の千島歯舞諸島居住者連盟、これに対して、ロシアの最高検察庁が好ましからざる団体に指定したとのことで、既に政府としてロシア大使館に抗議をしたとのことでございますけれども、本当に、私も、外務委員会で何回かビザなし交流に行った関係で、元島民と今も交流している関係で、非常に危惧を覚えております。

 今後の政府の対応について、改めてお伺いいたします。

林国務大臣 四月の二十一日でございますが、ロシア最高検察庁は、千島歯舞諸島居住者連盟をいわゆる望ましくない外国NGO団体に指定する旨を発表し、その中では、千島連盟の活動はロシアの領土一体性の侵害を目的としている等の言及があると承知をしております。

 千島連盟は、北方領土の元島民の方々とその後継者で組織される公益法人でありまして、長年にわたり、国民世論を高めて、日ロ政府間の平和条約交渉を支えるための運動を行ってきたところであります。したがって、ロシア側の発表は極めて一方的でありまして、その主張は全く当たらないと考えております。

 元島民の方々は、御高齢となられる中、領土問題の解決や、一日も早い北方墓参等の再開を望まれております。そうした中で、今回のロシア側の発表は、何よりも、元島民の方々とその御家族、関係者のお気持ちを傷つけるものであると考えております。

 少し青山委員に触れていただきましたが、四月二十四日に、外交ルートを通じてこれらをロシア側に申し入れ、今般の発表は受け入れられないという旨、抗議をしたところでございます。

 今回の発表がどのような影響を及ぼすかについて予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、千島連盟や所属する元島民の方々などの活動に悪影響が出ることはあってはならず、政府として、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

青山(大)委員 この問題は、本当にしっかりとやってほしいなと思います。

 最後にですけれども、外国人の土地の所有に関してですけれども、これも、重要土地等調査法が制定されたわけでございますけれども、最近、私の地元茨城県でも、結構、外国人による農地の購入や、ダミーの日本法人などを立てて、実質的には特定の外国人が支配しているという事例が見られて、懸念の声が上がっております。

 本当に、外国人の土地の所有に関しては、様々な議論がなされた上で重要土地等調査法が制定されたというふうにも理解していますけれども、そういった外国人の土地所有に関して懸念される問題についてどういうふうに対峙していくのか、改めてお伺いいたします。

宮坂政府参考人 お答え申し上げます。

 安全保障の観点から土地等の利用をどのように管理すべきかという課題につきましては、国会や地方議会等でも長年にわたって議論されてきたところでございまして、今委員からお話がございましたように、重要土地等調査法というものは、その課題の解決に資するものと考えてございます。

 この重要土地等調査法でございますけれども、法案作成時に開催いたしました有識者会議において、ダミーとして日本企業が使われることもあるという御意見もあり、また、提言では、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないとされたことなどを踏まえまして、調査や利用規制の対象を外国人、外国法人に限定しない、内外無差別の枠組みとしているところでございます。

 この法律につきましては今年の二月に本格運用を始めたところでございまして、まずは本法を着実に執行し、区域内にある土地建物の所有、利用状況などについて調査を行い、実態把握を進めていきたいと考えてございます。

 その上ででございますけれども、重要土地等調査法の附則第二条におきまして五年後の見直しに係る規定を置いておりまして、今後の法の執行状況や安全保障をめぐる内外の情勢などを見極めた上で、更なる政策課題についても検討を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 今後の動向を注視しながら、また議論していきたいというふうに思っております。

 私の質問は以上です。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本和巳であります。

 四十分、長い時間をいただきました、おつき合いいただきたいと思います。

 質問の順序は、国会全体のこととか我が党のお話をさせていただくのが冒頭ありまして、その後、この協定、条約について質疑をさせていただき、最後に、時間がありましたら提案を、あるいは参考となる情報提供などさせていただければというふうに思っております。

 まず、国会全体について申し上げたいんですけれども、国会は、今、順調に政府・与党のスケジュール感どおりにほぼ進んでいるんじゃないかなという理解をしておりますし、野党側も、国対さんも結構協力をされているように私は理解しております。

 そんな中で、ただ、このままでいいのかという意味で申し上げたいのは、本当に民主主義の危機なんじゃないかということでございます。先日の和歌山の総理に爆弾が投げられた、昨年は安倍総理が倒れられ、亡くなられたということがございました。

 そういった意味で、民主主義が本当に危機に瀕していると思いますし、直近の、衆参補選も含めてかもしれないし、統一地方選挙、ここにおける投票率なども、皆さんお考えいただきたいんですけれども、殊に、前半後半と分けているということについては、私は、岸田総理には、二月の中旬ぐらいの予算委員会で、統一地方選挙といいながら統一されていなくて、政令市は一緒にやっておられますけれども、そうではなくて、一般市町は別になっているというようなたてつけで、都市部はいいですけれども、そうじゃないベッドタウンのような地域は二度投票しなきゃいけないというようなことの中で、それも低投票率につながっているかというふうに思っております。

 我が党としては、日本維新の会としては、コンビニ投票とか、あるいはインターネット投票、エストニアなんかは、ロシアと隣国でありますけれども、インターネット投票ができるということですし、河野大臣が頑張っておられるマイナンバーなども、マイナポイントがつく形で皆さん一生懸命加入してくださっているというようなことなので、マイナンバーの活用、場合によってはマイナポイントの付与など、これは私個人が考えていますけれども、そんなこともしていかないと、投票率というものは、今、我が地域ですと、前半戦ですと三人に一人ですね、投票に行った人。三三%とか。前回より、四年前よりも二%ぐらい下がっていたり、あるいは一%ぐらい下がっていたりというような地域も多いと思います。むしろ、増えたという地域はまれなんじゃないかなというふうに思っています。

 そういった意味で、やはり、投票率の問題も含めて、政治の信頼を高めることによって、投票率を上げたり、あるいは爆弾が投げられたりということのないような国会運営にしていかなければならないと思っています。

 そんな意味で、自民党さんの高木国対委員長には前もって、各委員会でお話をするということの中で、私も外務委員会で林大臣に質問しますということは高木委員長にはお伝えしてありますけれども、我が党が主体的に、他党さんも、立憲さんとか国民さんとかも御協力いただいているかと思いますけれども、国会議員の調査研究滞在費の改革、特に使途の公開や未使用分の返還などについて、まず質問をさせていただきます。

 自民党、公明党を与党とする連立政権の岸田内閣の重要閣僚であるお立場である林外務大臣、当然のごとく、自民党の参議院議員を長くされて、今は衆議院議員というお立場でいらっしゃいますけれども、伺いますが、まず、枕として、財務省によると、日本の現在の国民負担率は四六・八%であります。かつ、この国民負担率に財政赤字を加えた潜在的国民負担率というのを見ますと、五〇%を超えてしまって、五三・九%となる見通しというような数字が聞こえてきております。すなわち、国民が稼いだ半分以上を政府に持っていかれるというリスクをはらんでいるという状況かと思っております。

 そんな中で、岸田政権の目玉政策である安全保障強化を目指す防衛費増、そして、六月には骨太で出てくると言われていますけれども、異次元と称する少子化対策、これの財源が、まだ正確ではありませんけれども、与党幹部の発言等も含めて、増税や社会保障費増を企図している路線というふうに感じ取られてしまっているのではないかなと、私は野党ながら感じています。

 この部分は、是非、行財政改革による歳出削減の努力を最大限行って、今の試算上の歳出削減努力以上に行っていただいて、そして、規制改革、経済成長、そして税収増のロードマップをしっかり描くということが本当に大事ではないかなと思っています。

 我が党の言い方をすると、財源が必要になったら取りやすいところから取る、自分たちの身や既得権は守るという姿勢は、日本維新の会としては到底容認できるものではないというふうに幹部が申し上げさせていただいているかと思います。そういった意味で、せめて国会議員が身を律するべきであり、我が党は独自に、調査研究滞在費、旧文通費等を含むところで身を切る改革を率先して継続を実施しております。

 そこで、昨年の、たしか臨時国会だったかと思いますが、国会開会中に既に案がまとまり、その臨時国会の中で言われた言葉、括弧書きで、今国会、すなわち、同じ臨時国会で結論を得る、括弧閉じとの与野党の約束があったようでございますけれども、これは、公明党さんはどうなのか私ははっきり存じ上げませんが、自民党は一方的にほごにされたというように聞いております。

 冒頭申し上げたとおり、岸田内閣の重要閣僚で、国会の閣僚席では、閣僚席を望ませていただきますと岸田総理のお隣にお座りである、かつ自民党総裁という立場のお隣に座っておられるという理解もできると思いますので、自民党議員として、内閣を構成なので、よく内閣側がおっしゃる国会のことは国会で決めていただくという回答はしないでいただいて、是非、政治の信頼回復とか、投票率も上げたいし、将来、本当に信任される総理というような立場をみんなが支えていくには投票率が高くないとどうかなというふうにも思いますので、そういった観点からも、この問題、いわゆる調査研究滞在費の改革を放置したままでよいとお考えかどうか、一自民党国会議員、あるいは自民党の中枢にいらっしゃる議員として御答弁をいただければと思います。

林国務大臣 御指摘の調査研究広報滞在費でございますが、議会政治や議員活動の在り方に関わる重要な課題であると認識しておりまして、各党会派において御議論いただくべき事柄であると考えております。

 是非国民の皆様から御理解いただける合意に至るよう、議論が進むことを期待するところでございます。

杉本委員 これ以上答弁を求めませんけれども、国民に期待するのではなくて、リーダーシップを岸田総裁並びに自民党主要議員でいらっしゃる林大臣に、林芳正様に御期待を申し上げます。

 次に、また維新のお話で恐縮なんですけれども、維新の身を切る改革の有言実行として、直近、私どもが、際立った寄附と言ったら手前みそになるかもしれませんが、三月の中旬にウクライナ大使館を通じまして、民生用としてピックアップトラック、これはトヨタ製だと私は認識していますけれども、4ドアで後ろに荷台があるというような形のものだと思いますが、こちらを二十台、党としてウクライナ国に寄附をしております。

 これは政府参考人の方に伺いますけれども、この維新の寄附について、ウクライナ政府なりウクライナ大使館から何らかの連絡が外務省に対してあったのか、この点を教えていただきたいのが一つと、それと、ほかに民間法人、個人の支援で何か象徴的なものがあって、国会として私どもが認識をしておくような民間からのウクライナへの支援といったものが、どなたからというのは伺えないと思いますけれども、どのようなものがあって、どのような反応がウクライナ政府なり大使館なりからあったかなどについて、政府参考人から教えていただきたいと思います。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 御党によりますピックアップトラックの寄贈でございますけれども、在京ウクライナ大使館の方では、SNS上で、ウクライナ国民への支援、支持について感謝するという旨を発表しているということでございますし、それから、ウクライナの国営通信社でありますところのウクルインフォルムも、三月二十一日に御党による支援について報じているというふうに承知しているところでございます。

 それから、今御質問がございました日本の民間法人、個人の支援ということでございますけれども、大変多くの方々から、国難に直面するウクライナの人々を支えたいという思いから実施していただいているということでございまして、象徴的なものを選ぶのはなかなか難しいところでございますけれども、一つ、政府が関わったということで申し上げますと、超党派の国会議員、日本・ウクライナ友好議員連盟、それから日本経済団体連合会、日本財団が協力して発電機を寄贈する取組がございました。

 これも含めまして、幅広い国民の皆様から支援をいただいていることについて、政府として御礼申し上げたいと思いますし、ウクライナ政府からも累次の機会に我が国による支援への感謝の意が表されているということでございます。

 以上でございます。

杉本委員 御開示ありがとうございます。

 発電機等、大陸の中の寒さというのは、海洋国家の日本では感じられないような地面の底から来る寒さというのが、体感したことがありますけれども、それが毎冬あって、それこそロシアを攻めた国々が撤退してしまうほどのああいった地域の、東方地域を含めて非常に寒冷地に対してそういった発電機等で御協力いただいている民間というのがあるということもすばらしいことかなと思って今伺わせていただきました。

 それでは、せっかくなので、林外務大臣から、政党というものをどういう位置づけに、民間ではないですが、政府でもないですし、準公的な、あるいは私は公器だと思っているので、非常に責任の重たい政党法の問題とかいろいろありますけれども、政党からのウクライナへの支援、あるいは民間からのウクライナへの支援、今報告をずっと受けておられたとも思いますけれども、そういった点の御評価を、概観で結構ですので、大臣から伺えればと思います。

林国務大臣 ウクライナは、ロシアによる侵略によりまして、多数の貴い人命の喪失、住居、インフラ等の損傷等の膨大な人的、物的損害、多数の避難民の発生、こうした未曽有の国難に直面しておりまして、我が国は、国際社会と連携して、ウクライナの人々に寄り添った支援を行う必要があると考えておるところでございます。

 オール・ジャパンとして支援に取り組んで、ウクライナへの連帯を示していくことが重要でありまして、こうした観点から、政党である御党によるピックアップトラックのウクライナへの寄贈を含め、先ほど事務方から紹介さしあげたようないろいろな各界各層の皆様によるウクライナ支援の実施について、政府として改めて御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 在日コルスンスキー大使ともお会いする機会が何度かございますけれども、そのたびに、本当に日本の皆様から温かい支援をいただいている、大変ありがたいし、ウクライナの皆様が本当に感謝しているということを伝えてほしいということを会うたびに言われるわけでございますので、杉本委員にもそのことをお伝えできればというふうに思っております。

 今後も、ウクライナに寄り添いながら、日本の持つ経験や知見を活用して、様々な分野で切れ目なく、日本らしいきめの細かい支援を行っていく所存でございまして、引き続き、国民の皆様からの広い御支援をお願い申し上げたいと思っております。

杉本委員 ロシアによる現状変更の試みというか、力による国際法を無視した行いに対しては、毅然と岸田内閣は当たっていただいているというふうに私は認識しておりますし、今もお言葉をいただいたとおり、オール・ジャパンで、侵略されている、防衛に徹している国を、今回はウクライナでございますけれども、我々は支えていかないと、地球の安寧というものは守れないというふうに私は感じていますので、大臣始め皆様に引き続きの御尽力をいただきたいと思います。

 さて、そこで、協定、条約の方に入らせていただきたいんですが、まずバーレーンについて伺いたいと思います。

 GCCと言われる、ガルフ・コオペレーション・カウンシルですか、私は英語が下手なものですから発音が悪いんですけれども、湾岸協力理事会との協定について伺いたいと思います。

 私見では、大臣は相当な回数中東へ行かれていると思いますけれども、中東という言葉を一くくりで言っちゃいけないなというのは、私の拙い経験からすると、ヨルダンとカタールに行かせていただいたときに、ヨルダン国は非常に友好的な国でありますが、稼ぐ力という意味では資源に恵まれない国であられて、そして、カタールに行ったら、LNGのすごい基地があって、それを拝見するというようなことがあったし、カタールでは、逆にヨルダンの方々が出稼ぎに来ているというような、そんなことが常態化しているような感触を持ったわけでございます。

 そういったことで、中東といっても、ガルフ沿岸から紅海の北の方とかいう大きなくくりで我々は一言で言ってしまってはいけないというふうに感じますし、この後伺えればと思うんですが、直近のサウジとイランの関係改善によるところの効果みたいなものも中東全体に行き渡っている、それはいろいろな地域にということが言えるかもしれません。

 それで、質疑でありましたけれども、バーレーンについては、外交関係樹立五十周年ということを政府参考人からもお言葉がありました。

 ただ、バーレーンについては、私の認識としては、国内の石油、ガスの生産量は、他の国々、大産油国などに比べれば相対的には少なくて、出稼ぎというよりは国内雇用が、王族はスンニ派、国民の多くがシーア派という、いわゆるねじれと言えるのか分からないんですけれども、そういったような状況にあるということで、雇用機会の創出といったものが課題というふうに認識させていただいています。

 そこで、一つ目の質問を政府参考人に伺いますが、二〇一一年二月、十年以上前になりますけれども、バーレーンでは非常事態宣言が発出されて、十数年の間、国民対話、憲法改正、国民対話のまた再開、独立系新聞の無期限発行禁止処分等が行われているようでございますけれども、現状のバーレーンの国内の政治的な安定の状況は確保されているのかいないのか、この辺りの認識を伺わせてください。渡航レベルとか、そんなものも教えていただければありがたいです。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 バーレーンにおきましては、今委員から御指摘がございましたように、二〇一一年の二月から数か月間、国家非常事態宣言が発出されておりました。その後、憲法の改正、国民対話、あるいは反体制派による選挙のボイコット等、そういった動きがございました。

 直近で、昨年の十一月に下院の選挙が行われましたけれども、それは大きな混乱なく無事に実施をされておりまして、現在におきましては、政治状況は安定的だというふうに見ております。渡航についても特段大きな問題はございません。

杉本委員 政治的安定、下院選挙もありました、渡航は問題なしという、最後、結論をありがとうございます。

 それで、枕でちょっと申し上げた、次に、同じく長岡中東アフリカ局長さんに伺いますけれども、雇用環境が問題だみたいなふうに伺っていますけれども、経済状況という点では、我が国と投資協定を結ぶわけですけれども、どんな認識をしておいたらいいのか、教えてください。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 バーレーンにおきましては、以前から資源産業の上流部門に頼らない産業の多角化といったものを推進しておりまして、また同時に、外国資本の積極的な誘致も進めております。

 そうした例として、バーレーンにおきましては、石油の精製を行うとともに、アルミニウムの精錬の育成に力を置いておりまして、一九七一年に設立されました国営アルミニウム精錬企業、アルバという会社ですけれども、これは世界最大規模のアルミニウム精錬を行っております。

 石油の生産は、サウジアラビアのような近隣の国に比べるとかなり小規模ということでございまして、二〇〇四年には中東で初めてのF1のグランプリを誘致するなど、商業、観光政策にも力を入れているところでございます。

 なお、御質問いただいた失業率につきましては、二〇二一年は七・七%、昨年は五・四%ということで若干下がっておりますけれども、バーレーン政府としては、特に自国民の雇用創出といったものが引き続き重要な課題として取り組んでいると理解しております。

杉本委員 ありがとうございます。

 F1の誘致なんかもされているということと、失業率も、今伺って、そう高いという感じでもないのかなというふうに伺いましたけれども、国内の方々を雇用していくというのは教育環境等もあるのかもしれませんが、そういった点も含めて、我が国が協力できるところは協力していただきたいというふうに申し上げておきます。

 次に、また局長に伺いますけれども、サウジとイランの国交回復、これが三月十日に中国の仲介でなされたということですし、ちょっと認識すると、これによって、実は、先ほど申し上げたクウェートとUAEあたりの国々、湾岸諸国とイランとの関係改善の可能性というか端緒というか、それから、イエメンの内戦の止まる可能性の端緒というか、あと、シリアとサウジアラビアとの関係の安定化の端緒みたいな、こんなところにも結びつく可能性が、サウジとイランの国交回復じゃないですね、関係改善ですね、関係回復がなされていると思いますが、事このバーレーン国について、我が国の同盟国であるアメリカとの関係、あるいは中国との関係はどんな状況にあるのか、認識をどうしておいたらいいか、教えてください。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 第三国間の関係についてでございますので、我々として詳細にコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、まず、アメリカとバーレーンの関係につきましては、安全保障面を中心として非常に強い関係があるというふうに認識しております。

 例えば、一九九一年に両国間で防衛協定が締結されておりまして、バーレーン国内には米海軍の第五艦隊の司令部が置かれているということでございます。また、二〇〇二年には、アメリカはバーレーンを主要な非NATO同盟国に指定しているというふうに承知しております。

 一方、中国につきましては、バーレーンと中国の間の経済関係というのはかなり活発に行われておるというふうに認識しておりまして、バーレーンは、湾岸協力理事会、いわゆるGCCの一員として、ほかのGCC諸国との善隣友好協力関係といったものが外交の軸ではございますけれども、それ以外のアラブの国とか、あるいは中国や我が国を含めたその他の地域の国々との友好関係も同時に重視する政策を取っているというふうに承知しております。

杉本委員 ありがとうございます。

 そこで、外務大臣に伺いたいと思いますが、今次協定をするバーレーンを始めとして、中東も何度も行かれているとは思うんですけれども、改めて、申し上げたヨルダンを始め、北の方の国々から、湾岸諸国、GCC各国との関係強化、維持継続、こういったことを目指して御訪問をされた方が、お忙しいとは思うんですけれども。

 手段としては、コロナ前とコロナ後は変わったと思っていまして、コロナ後は、オンラインで会談を結構頻繁に行っておくというのも実は生産的、効率的かもしれないし、やはり重要な、顔を合わせて何ぼで、握手して何ぼだみたいな、選挙じゃありませんけれども、そういった意味は、やはり人間関係というのはあると思っていますので。

 ちなみに、河野外務大臣にお伺いを立てましたところ、中東に関してだけではないんですが、在任中、これはコロナ前です、コロナ前であらっしゃいますけれども、延べ百二十三か国に行ったというふうに教えてくださいました。

 そんなことで、本当に活躍されているということは十分認識しておるんですけれども、さらに、機会があれば、中東の北から南、南と言ったらよくないですね、ガルフ諸国あたりまで含めて、是非外交を進めていただきたいと思いますが、その辺についての展望とか予定とか、お言葉をいただければと思います。

林国務大臣 今委員からもお話がありましたが、日本はバーレーンを含む中東諸国と長年の友好関係を有しておりまして、エネルギー安全保障の観点からも中東諸国は大変重要でございます。こうした国々との関係の一層の強化に努めてきたところでございますし、今後も一層努めてまいりたいと思っております。

 大臣就任後でということで申し上げますと、昨年の三月にトルコとUAEを訪問しておりまして、これに加えて、あらゆる機会を捉えて中東諸国の外相との会談を行ってきております。これは先方が来られた場合とかマルチの場とか、いろいろなオケージョンがあったわけでございますが、精力的に取り組んできております。

 委員がおっしゃったように、直接会ってお話をするということが大変重要であるというのは、まさにおっしゃるとおりでございます。

 今の時点で外国訪問の日程が何か決まっているということではございませんけれども、引き続き、中東諸国との一層の関係強化に努めまして、地域の平和と安定に貢献していきたいと思っております。

杉本委員 ありがとうございます。

 本当にお忙しいし、ウクライナの問題もありますし、G7もありますし、外相会合は軽井沢で、地元で行われないのがやはり林大臣は違うなというふうに思いましたけれども、そういった意味で、中東も大事な地域でありますので、是非よろしくお願いします。

 質問を二問ほど、時間があったら、多分なくなると思うんですが、飛ばさせていただいて、次はアゼルバイジャンとの租税条約についてお伺いをさせていただきます。

 ちょっときな臭い部分の確認をしておきたいんですけれども、アゼルバイジャンは、一九九二年九月七日外交関係樹立ということで、ただ、二〇二〇年にアルメニアとはナゴルノ・カラバフ紛争が二度にわたって行われているということであります。

 この後また質問するんですけれども、私が今確認したところ、旧ソ連邦の国々というのがやはりロシア離れが起きているんじゃないかなというふうにちょっと思っていまして、情報で参考として、CSTOという集団安全保障条約というのがありますけれども、これが現時点でロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの六か国にまで少なくなってしまっていますし、アルメニアについては、申し上げたナゴルノ・カラバフ紛争で、これは括弧書きですが、「窮地に陥ったアルメニアを、ロシアとCSTOは助けてくれなかった」というようなアルメニアンの言語学者の言葉がAFPBBニュースというのに出ていまして、タイトルは「小国アルメニア、西側参加望む声も」と。ロシア離れというようなタイトルの記事がございました。

 そんなことで、ロシア離れが実は起きているのがアルメニア、このアゼルバイジャンと争っていたアルメニアでも起きているというような認識を私はしておりますけれども、その上で、アゼルバイジャンとアルメニアと旧ソ連邦の中心であるロシアとの関係を現状いかに外務省として捉えておられるか。他国の話をまたというのは各局共通の答えになるかもしれないですが、できる範囲でお答えを、局長、お願いします。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 第三国間の関係でございますので、詳細にお答えすることは困難でございますけれども、可能な範囲でお答えいたしますと、アゼルバイジャン、アルメニアでございますけれども、一九九一年に独立して以来、ロシアとの間で政治的、経済的に密接な関係を有しているということでございまして、ナゴルノ・カラバフ紛争に関しましては、ロシアの仲介で一九九四年五月に停戦協定に合意がされ、その後、ロシアは、アメリカ、フランスとともにOSCEミンスク・グループ共同議長として和平交渉を仲介していたということでございます。

 それから、委員の方から御指摘がありました二〇二〇年のナゴルノ・カラバフにおける軍事衝突の関係では、同年十一月にアルメニア、アゼルバイジャン、ロシアが三か国首脳声明というのを出しておりまして、それに基づきまして、ロシアの平和維持部隊がナゴルノ・カラバフ及び同地とアルメニアを結ぶラチン回廊に駐留しているということでございます。

 それから、アルメニアにつきましては、委員から御指摘がありましたとおりでございますけれども、ロシアが主導する集団安全保障条約機構、CSTOに加盟しておりますし、国内にロシア軍基地が存在するなど、ロシアとの間に緊密な関係がありますけれども、二〇二〇年の軍事衝突の際の対応をめぐり、ロシアやCSTOに対する一定の不満がアルメニア側に蓄積されているとの情報もあるというのは事実でございます。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、CSTOじゃないんですけれども、略語でCISとかEAEUとかGUAMとか、読み方が分からないので、申し上げていますが、CISは、コモンウェルス・オブ・インディペンデントステーツ、独立国家共同体というのにアゼルバイジャンは加盟。アルメニアの方は、EAEUという、ユーラシアン・エコノミック・ユニオンですか、ユーラシア経済同盟というのにも入っているということを外交青書から確認させていただいていますが、それぞれの内容と存立意義及び日本国とのその国のつながり等の関係について御認識を伺わせてください。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、独立国家共同体、CISでございますけれども、これは、旧ソ連崩壊に際しまして一九九一年に発足した、旧ソ連の九か国が加盟する地域協力の枠組みでございまして、これにはアルメニア、アゼルバイジャン双方が加盟してございます。

 このCISでは、政治、経済、文化等、幅広い分野での協力に関する議論が行われておりまして、直近でございますけれども、昨年十月にカザフスタンの首都アスタナで首脳会合が開催され、モルドバを除く八か国の首脳が出席したということでございます。

 それから、もう一つ御指摘がございましたユーラシア経済同盟、EAEUでございますけれども、ロシアを中心とした五か国による経済統合の枠組みでございまして、こちらはアルメニアが加盟しております。域内の商品、資本等の自由な移動、それから経済分野の協調政策等の実現を目指しているところでございます。

 直近でございますけれども、二〇二二年十二月にキルギスの首都ビシュケクで首脳会議が開催され、各国首脳が出席したということでございます。

 我が国としましては、各機関との間に直接の関係を有しているわけではありませんけれども、こうした機関の動向も含めて、情勢を引き続き注視してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。参考になりました。

 次に、GUAMというんですかね、GUAMが、昔はGUUAMだったのがGUAMになっちゃったということで、これは二〇〇五年のウズベキスタンの離脱によってUが一つ減ってGUAMというふうになっていますけれども、昨年の外交青書百十五ページにこのGUAM四か国、ジョージア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバという、まさしく戦争になってしまっている、攻撃を受けてしまっているウクライナの周辺国がウクライナとともにGUAMというのを形成しているわけでありますが、この枠組みについて、今ウクライナは戦争をしていますけれども、今どんな状況になっているのかなというのと、日本国とは二〇〇七年にGUAMプラス日本という枠組みを創設というふうに昨年の外交青書には書かれております。

 それで、併せてまた伺っちゃうんですが、今年の二〇二三年の外交青書を見ますと、GUAMというのは地図上の表記が百三十六ページにあったんですけれども、GUAMというものの説明が外交青書には書いていないんですね。あれっ、それでいいのかなと思っちゃったんですが、地図上は西バルカン諸国とGUAMという形で色分けして、緑色で、このネクタイと一緒なんですけれども、同じような色でGUAMが表記されていたんですが、このGUAMが説明がないというような状況になっているので大丈夫かというふうにも思っていますが、その後のGUAMの現状、GUAM諸国の動き、あるいはGUAMと日本の枠組みの動き、ロシアの侵略以来どんな状況にあるのか、連携協力の状況はどうなっているのかを、政府参考人から教えてください。

中込政府参考人 お答え申し上げます。

 GUAMでございますけれども、民主化の促進と市場経済による経済発展を共通の目標とする、今、四か国によって設立されます地域フォーラムでございます。

 GUAM諸国は、民主主義、自由、人権、法の支配という基本的価値を共有するパートナーでございまして、御指摘がありましたとおり、二〇〇七年にGUAMプラス日本会合を初めて開催して以来、これまで外相級会合を六回、次官級会合を六回開催するなど、十五年近くにわたりまして協力対話の継続を行ってきているところでございます。

 直近の動きとして申し上げますと、令和三年三月に、オンライン形式でGUAMプラス日本の税関ワークショップというのを実施しております。また、同年十一月にも、東京でGUAMプラス日本の枠組みによる対話と協力の重要性を確認するというようなことを行っているところでございます。

 他方で、今委員の方からも御指摘がありましたとおり、ロシアによるウクライナ侵略の影響がGUAMという枠組み自体にも影響を与えているということでございます。

 GUAM自体としましては、昨年九月の国連総会の機会にGUAMの外相会合が開催されたということは我々として確認をしているところでございますけれども、GUAMの今後の状況を見据えながら、意義ある協力の在り方を摸索していきたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

杉本委員 今、GUAMのお話、現状を伺いました。

 ロシアの侵略があるということの中でということなんですが、林外務大臣に、GUAMとの関係、GUAMプラス日本、十五年継続している関係というのは非常に大事だと思います。ただ、下手にロシアを刺激しても意味はないとも思いますので、そういった意味で、できれば訪問していただきたいんですけれども、なかなか現実はそうでもないと思いますので、オンラインでGUAMプラス日本というのも大臣に考えてみていただいてもいいのかもしれないなと、今、局長の御説明を伺いながら感じました。

 そんなところで、大臣の今後の展開、展望みたいなものを伺えればありがたいです。お願いします。

林国務大臣 GUAMプラス日本は、今委員が触れていただきましたように、十五年近くにわたって協力対話が行われておりまして、大変重要な枠組みであるというふうに思っております。コロナ禍の影響下でも、オンライン形式によるワークショップを開催するなど、協力が継続、強化されているということであります。

 今事務方から答弁いたしましたように、ロシアによるウクライナ侵略はこの枠組みにも少なからず影響を与えておるわけですが、九月の国連総会の機会にGUAM外相会合が開催されたと承知しておりますので、今後の状況を見ながら、いろいろな可能性を追求して、意義のある協力の在り方を更に模索していきたいと思っております。

杉本委員 外交というのは、日程を組んで、先方の御予定もございますし、こちらの予定もありますので、そう簡単に私がお願いしてすぐできることではないと思いますが、少し期間を長めに取っていただいて、是非ともGUAMプラス日本というのも状況に応じてオンラインでも設営いただければありがたく、お願いしておきます。

 時間が残り一分程度になってしまいましたので、外務省さん並びに外務大臣に質問は終わりたいと思います。

 委員長に提案があるんですが、昨年、今理事でいらっしゃいますか、城内理事が委員長でいらっしゃったときに、これは委員会ではなくて理事会というたてつけで、ロシア周辺国というようなところの大使を、この部屋だと思いますが、来ていただいて、状況というんですか、困っていることであったり、現状認識という意味で、非常に有意義な委員会の設営がなされました。

 それで、まだ侵略は続いているという状況が残念ですけれどもありますし、私は、軽々に停戦といって、停戦がすぐ終わってまた戦争が勃発するということは望んでおりませんので、やはり何らかの決着というのは必要だというふうに思っておりますけれども、そんな中で、お呼びした国々の大使でも結構ですし、今、現状、日本は一種ロシアとは国境を接しているわけでございますが、国境を接しているフィンランドであったりバルト三国であったり、そういった国々の大使の危機意識みたいなものを我々は共有しておく必要があると思いますので、できれば委員会ですが、できなかったら理事会とかで、少し先をにらみながら、できれば今国会でそういった設営も御検討いただければということで、理事各位に後刻理事会で御協議いただければというふうに提案をさせていただきます。

 以上です。

黄川田委員長 御意見は承りました。

杉本委員 以上で終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦です。

 条約になっているアゼルバイジャンですけれども、先ほども御質問があったとおり、ナゴルノ・カラバフの事件があって、紛争がいつ再燃するか分からない状態になっています。

 アゼルバイジャンの石油パイプラインについては、我が国の企業が権益を有しておりますので、これを保護するというのは非常に大切なことなんですが、一方で、アゼルバイジャンに日系企業がこれから進出しようとしたときに、ここに紛争があるかもしれないと思うとなかなかちゅうちょしがちであります。

 日本も、保護しているといいつつ、どこまでできるか分からないとなれば、不安でなかなか進出できないということも起こり得ますので、是非、この点は外務省としても引き続き調査をしていただいて、適切に情報提供をするということを推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 企業関係者を含めまして、海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは政府の最も重要な責務の一つであります。

 そして、経済の着実な成長を後押しするためにも、政府による日本企業の海外展開支援は極めて重要でございまして、現地の在外公館等でも様々な形で個々の日本企業の活動を支援しております。

 今御指摘のあったように、アゼルバイジャンには、パイプラインそして油田に権益を保有する日系企業や、首都バクーに事務所を置く日系企業も存在しております。

 在留邦人や日本企業の活動の安全確保のために、引き続き、現地大使館を中心に、現地情勢に関する情報収集、そしてアゼルバイジャン政府との関係構築に努めてまいりたいと思っております。

 そして、先ほど杉本委員からもございましたように、ナゴルノ・カラバフを含めまして、コーカサス地域の平和と安定、これは地域全体の発展のためにも重要な課題でございます。

 私自身も一月にアルメニア外相と電話会談を行いましたが、こういうことを含めて様々な取組を行ってきておりますし、これからも行っていくことによって、アゼルバイジャン、アルメニア両国間の対話、これを引き続き働きかけてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 よろしくお願いいたします。

 三条約についてはおおむね理解をいたしました。

 次に、今話題になっておりますスーダンについて、主に防衛省に伺いたいと思っておりましたけれども、今日、前段で井野副大臣がいらっしゃいまして、その際に、穀田委員との議論の中でいささか不十分な御説明があったと思いますので、指摘をさせていただきたいと思います。

 政務官は御存じないと思いますし、通告もしておりませんから、これについて有益なことは出てこないと思いますけれども、UH60という御説明をしておられました。UH60には二機種存在するということをメディアも政府も意図的に隠しておられるのかなと私は思っています。

 UH60J、これは救難ヘリコプターです。海上自衛隊と航空自衛隊に配備をされています。陸上自衛隊、今回落ちたヘリコプターはUH60JA、これはいろいろ陸上戦闘に使われるような装備がついております。私も乗りました。

 だから申し上げますが、このUH60JAが主に陸上での任務を想定している、海上での任務は想定していないという御説明でしたけれども、昨年、トンガで海底地震が起こったときに、輸送艦「おおすみ」に載せてトンガに派遣しました。また、平成十六年のスマトラ沖地震のときにも、同型艦の「くにさき」に載せて事故の同型機のUH60JAを現地に派遣をして、洋上基地として利用しておりました。その前後にも、発着艦訓練等は洋上で行っています。

 つまり、防衛省は、二十年も前から洋上での訓練あるいは任務に供すると想定されていたにもかかわらず、二十年間、洋上の装備品をつけていなかったということになります。そういうことですよね。

 今まで、主に陸上で使うとはいっても、洋上で使っていたこともあったわけです。それまでの間、陸上自衛隊の航空隊員たちに、洋上での訓練に洋上の装備がついていない装備品で出動をさせていた。この責任、誰が取るんですか。

 私は今回通告しておりませんから、答弁をいただこうと思っておりませんが、政務官、もし御意見があるなら、おっしゃった方がいいと思いますよ。二十年間、何もしてこなかった、分かっていたのにやらなかったということについては厳しく指摘をさせていただきたいと思いますが、いかがですか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 今の御指摘の内容も踏まえて、いずれにしましても、今回の事故については、いろいろな角度から検証して、今後の教訓として生かしていかなくてはならないと思っておりますので、今いただいた御指摘も踏まえて、また、省内、いろいろな議論の中で参考にさせていただきたいと思います。

鈴木(敦)委員 想定していなかったなんて、実際に実例があるのに、そういう発言はできないと私は思っています。あの航空機に乗っていた者としても、大変自衛官に失礼な話だと思います。それは指摘をさせていただきます。

 順番は入れ替わりますけれども、今回のスーダンからの邦人退避、これが実現したことは非常によかったと思います。ただ、一点、防衛省に伺いたいと思いますが、今回、出動の法的根拠となっているのは八十四条の四であろうかと思いますが、三が適用できなかった理由は何ですか。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 今回のスーダンの在留邦人の輸送に関しましては、まさに御指摘のとおり、八十四条の四ということで実施いたしましたが、御指摘の八十四条の三、保護措置でございますけれども、これはオペレーションの性質が違うものでございまして、八十四条の三及び四を含めて、あらゆる選択を排除しない形で検討はいたしましたが、結果として、八十四条の四ということで実施いたしました。

 以上でございます。

鈴木(敦)委員 オペレーションの違いというのは、どちらも、邦人を保護して日本に無事に連れてくる、これがメインの任務じゃないですか。その方法が違うというだけですよね。

 八十四条の三、保護措置、これは、保護をするために必要な措置は何でも取れるんです。任務を遂行するために武器も使用できる。八十四条の四、今回やったのは輸送なので、自分たちを守る以外の自衛手段は取れない。

 これは、具体的に防衛省も通達を出していますよ、想定される危険を避けるための方策の例。飛行場の機能を維持すること、群衆を統制すること、そして安全な輸送方法を選択、チャフ、フレア、防弾板等の自己防護措置を含む、これは、自分で守ること以外のことは何もできない、つまり、発砲することを想定していないんですよ。

 この状態で陸上輸送をしろといったって、それは無理じゃないですか。もし仮に、バリケードを張られたらどうするんですか。中東地域でよくありますね。車を燃やしたり、タイヤを燃やしたりして、車が使えなくなる。そういうときに、輸送というのをどうやってやるんですか。想定されているんですか。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 八十四条の四に基づく在外邦人の輸送の場合は、御指摘のとおり、輸送のみが任務でございまして、強い武器使用はできません。他方で、八十四条の三の保護措置に関しましては、警護や救出といった任務が付せられる関係上、任務遂行上の武器使用という強いものが認められてございます。

 これらの二つの違いを、現地の情勢とか、あと関係省庁とも協議しながら、どういったものが必要になるかといったところで、どちらのオペレーションにするかということを決めていくということでございます。

鈴木(敦)委員 現地の情勢という言葉で濁していらっしゃいますが、では、私から言いますよ。このスーダンからの脱出に際して、フランス、それからカタール、エジプト、それぞれの大使館の職員が襲撃を受けています。車両で移動中に射撃を受けて、金品を略奪される、携帯電話を盗まれる、こういうことが起こっています、実際に。そのときに陸上自衛隊が輸送任務で行っていたら、守れないんですよ、警護ができませんから。だから、今回、陸上輸送ができなかったんじゃないんですか。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の陸上輸送に関しましては、八十四条の四の在外邦人の輸送の中の陸上輸送というものがあります。他方で、八十四条の三の方にも、形態としては救出や警護というものなんですけれども、その中に輸送という分野もございまして、両方にかかるというところがございます。

 そこは、済みません、先ほど現地の状況ということでお答えいたしましたが、まさにどちらが求められるかというところで、どのオペレーションになるかを判断する、そういうことでございます。

鈴木(敦)委員 ですから、陸上輸送を仮に行おうとしたときには、その陸上輸送をしている車両を警護する必要があるじゃないですか。警護する必要があるときには、八十四条の四では実現できないじゃないですか、こういうことを申し上げているんです。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 在外邦人の輸送の中における武器使用に関しましては、自己防衛、自己や管理下に置かれた保護すべき人たちを守るためには武器使用ができますので、そういった観点からの、警護といいますとちょっと行き過ぎかもしれませんが、そういった意味で、全く何もできないというわけではございません。

鈴木(敦)委員 私は一応、高卒だけれども、教育は受けていますから、分かりますよ、そんなことは。

 とはいえ、陸上輸送で自己防衛のことしかできません。だから、車が置いてあったりバリケードが置いてあったらどうするんですか。これは爆破できるんですか。武器を使用していますよね。あるいは、自衛隊が持っていった車両をぶつけることでその車を、障害物を排除すること、これも武器の使用ですよね。武器というのは銃だけじゃないじゃないですか。一般国民はそう思っているかもしれないけれども、そうじゃないでしょう。どうやってそれを使うのかということを想定していないじゃないですか。できるんですか、バリケード排除。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊法八十四条の四に基づく在外邦人の陸上輸送に関しましては、例えば輸送部隊が輸送経路上にバリケード等の障害物等を探知、発見した場合には、まずは迂回するとか、又は現地当局に通行の回復を要請することなどにより、安全な通行を確保することが基本となります。

 一方で、これらの対応によることが難しい場合には、人に対して危害を加えるようなものでない限り、自ら障害物を除去して前進することができると考えられます。また、このような方法で任務を続けている最中に、自己等の生命又は身体を防護するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、当該業務を行う隊員は武器を使用することができるということでございます。

鈴木(敦)委員 後段だけでよかったんです。前段は当たり前なんです。

 迂回するのは当然ですよ。迂回するのは当然ですけれども、どうやってそれを排除するのかということを聞いているわけです。燃えている車をどうやって、ほかの人に危害を与えずに排除するんですか。あるいは、タイヤもそうですよ。どうやってそれをやるんですか。実際にやることなんか、何も考えていないじゃないですか。それで現場の隊員に全部丸投げするというのは、隊員に対してよくないと思います。

 かつ、申し上げますけれども、そもそも自国民を何か紛争地域から引き揚げようということを法的に規定している国は日本とスペインぐらいのものでしたよ、私が調べた限りは。ほとんど、アメリカもドイツもフランスも、当たり前だという考えですよ。あるのは交戦規定だけです。やってはいけないことだけを規定して、自国民は自分で守る。だから、アメリカは大使館にヘリを降ろしたじゃないですか。

 もう一個申し上げます。

 二〇一一年にコートジボワールで紛争があった際、日本の大使の公邸に武装勢力が押し入ったことがありました。その際、何をやったか。大使は十五時間、防弾壁のある部屋に立てこもって、フランスの部隊に助けてもらったんですよ。日本の自衛隊は何もできなかった、そのとき。フランスの部隊と国連の部隊に助けてもらって、ようやく救出されたんです。

 よく考えてください。もし日本人の大使を助けるためにフランス人がけがをしたり、最悪亡くなったらどうするんですか。誰が責任を取るんですか。自国民を保護したわけじゃない、外国の人を助けに行ったフランス人の兵士の家族やそれ以外の方にどう申し開きをするんですか。自国民を保護することもできないんですか、日本人は。

 今回ちょっと時間を割きましたけれども、この八十四条の三と四のたてつけについては、そのときの法体系を作ったときは私はまだこの世界にいませんでしたけれども、かなりいいかげんだと思います。そもそも、八十四条の三の保護措置をやるためには、戦闘行為が行われていない、当該国の同意がある、そして当該当局の管制が行われていることが前提です。

 戦闘行為が行われないところで、何で武器を使うんですか。どういう状況を想定していらっしゃるんですか、防衛省は。

小杉政府参考人 お答えいたします。

 八十四条の三の保護措置における武器使用のことでございますけれども、要件の一つとしましては、戦闘行為が行われていないということがございます。

 これはなぜかと申しますと、自衛隊が海外でオペレーションを行う際には、やはり憲法や国際法に準じた形で行わなければならないということでございまして、保護措置の任務の性質上、先ほど言いましたように、任務遂行型の武器使用、自己防衛じゃない方の任務遂行型の武器使用を行うということがどうしても必要になってくる。その場合、もし仮に相手方に国や国に準ずる方々がいる場合には、どうしても憲法九条で禁じる武力の行使の方につながると評価されるおそれがございますので、こういった規定を設けているというところでございます。

 それで、戦闘行為というのは法的な言語でございますので、もちろん、そのほかにも危険なものがございます。その際には武器使用を使う、そういった整理でやってございます。

鈴木(敦)委員 だから、ここの戦闘行為というのは、人を殺傷したり、あるいは物を破壊したりということを想定していらっしゃるんじゃないですか。それが行われてもいないところで、自衛隊が武器を使用することなんかあり得るんですかね。私はあり得ないと思う。

 それに、日本人を救出するためにこれだけがんじがらめにされている陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の全三自衛隊は、行動に制限をかけられ過ぎていると私は思いますよ。アフガニスタンのときと何も変わっていないです、今回の構図は。少なくとも、空港からは出ていないし、空港に来てくださいということも変わっていないし、それに国連が助けてくれたか、フランスとか韓国が、UAEとかいろいろな国が助けてくれたというだけで、昨年の事例から全く進歩していないです、今回も。せっかく法律を変えたって、それをオペレーションするための要件が余りにも多過ぎて何もできていない、これが今の自衛隊法じゃないですか。これは根本的に解決した方がいいと思います。

 これを外務大臣の要請でやっていただくわけじゃないですか、邦人の救出というのは。これは、幾ら大臣が救出してくれといっても、防衛省側は、これだけがんじがらめにされて、自衛隊も出せないし車も出せないんですよ。もっと言いますけれども、ジブチには大きい車がありませんから、六十人なんて到底想定できなかったわけですよ。これは、幾ら外務大臣がお願いしますといったって、防衛省の側でできないんですよ。

 だから、これは政府全体として、防衛省に対してもそうですし、自衛隊法は根本的に改めていただかないと、今後同じような事例があったときに、先ほど言ったコートジボワールもそうだし、アフガニスタンも今のスーダンも、全部同じ構図です。あっても何もできない。いろいろなことをこねくり回して、ようやく遠くから出してきた、これだけですから。是非、法改正に向けた議論を林大臣からもお願いしたいと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 自衛隊法でございますから、浜田大臣からお話をいただく方がよろしいかと思いますが、先ほど事務方が申し上げたように、恐らく、私の記憶ですと、宮沢内閣でPKOの議論をしたことを、まだ国会議員になる前ですが、覚えておりますが、そのとき以来、今まさに委員がおっしゃるような、憲法の制約下でどこまでどう線を引くかというのは、非常に綿密なといいますか、細かい議論が行われて、ここに至っているということでございまして、ほかの国の例を先ほど少しお触れになりましたけれども、かなり、我々は、九条というものを持って、海外で武力行使ということに対して、そういうような姿勢でずっとやってきた経緯がございます。

 これは、不断の検討をしていかなきゃいけないというのはもちろんでございますが、法律の改正ですから、やはり国会の審議というものもございますので、そういうものに向けて、しっかりと不断の検討はやってまいらなければならないというふうに思っております。

鈴木(敦)委員 日本の法律で、日本の国会で審議して作るんですよ。日本の部隊が日本の国民を守るわけですから、日本人の命は日本人で守るのが当然じゃないですか。そういう考えを持っていただきたいと思います。

 終わります。

黄川田委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより各件に対する討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表して、日・バーレーン投資協定、日・アゼルバイジャン及び日・アルジェリア租税条約に反対の立場から討論を行います。

 日・バーレーン投資協定は、日本の多国籍企業の海外展開を促すために、相手国との間で投資環境の整備を図るものです。

 本協定に盛り込まれたISDSは、進出先の国の制度や政策の変更によって損害を受けたと主張する多国籍企業が、その国の政府を相手取り、損害賠償を求めて提訴できる取決めです。

 これは、仮に提訴された国が勝訴したとしても、多額の裁判費用がかかるなどのために、ISDSの対象にされるおそれのある施策を抑制する萎縮効果を生み、国の主権を脅かすことにつながるものです。

 日・アゼルバイジャン及び日・アルジェリア租税条約は、投資所得に対する源泉地国での課税限度税率を軽減又は免除する措置を講じるものです。

 これは、日本の大企業とその海外子会社が、当該国での外資優遇税制の利益を十二分に受けつつ、その上、両条約によって源泉地国での課税が劇的に軽くなるなど、税制優遇措置を二重三重に享受することを可能とするものであります。

 日本経団連など経済界は、租税条約について、投資所得に関わる源泉地国課税を軽減することは、海外からの資金還流及び国内における再投資という好循環の実現に資すると主張し、政府に対して、締結国の拡大による租税条約ネットワークの充実を求めています。

 両条約は、こうした財界の要求に応え、国際課税分野での大企業の優遇税制を国内外で更に拡大強化するものです。

 以上を指摘し、三つの条約に対する反対討論とします。

黄川田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより採決に入ります。

 まず、投資の相互促進及び相互保護に関する日本国とバーレーン王国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアゼルバイジャン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルジェリア民主人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

黄川田委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

黄川田委員長 次に、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件及び世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣林芳正君。

    ―――――――――――――

 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件

 二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 ただいま議題となりました三件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 まず、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件は、平成三十年十二月二十日に条約が採択されました。

 この条約は、商事紛争の解決方法としての調停の利用を促進するため、調停による国際的な和解合意の執行等に関する枠組みについて定めるものです。

 この条約の締結により、調停の利用が促進されることは、外国からの投資の誘致及び我が国企業の海外展開に資するものであり、我が国の経済発展の見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件は、令和四年六月九日に協定が採択されました。

 この協定は、国際コーヒー機関の組織、コーヒーに関する情報の交換、持続可能なコーヒー産業の実現のための国際協力及び官民連携等について定めるものです。

 この協定の締結は、コーヒーの安定的輸入の確保に資すること、開発途上にあるコーヒー生産国の持続可能な開発を支援すること等の見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 最後に、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件は、令和四年六月十七日に議定書が採択されました。

 この議定書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正し、違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業につながる補助金の禁止等について定める漁業補助金に関する協定を追加すること等について定めるものです。

 この議定書の締結は、世界的な漁業資源管理の促進、多角的貿易体制の更なる発展及び世界経済の持続可能な成長に寄与するとの見地から有意義であると認められます。

 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。

 以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いをいたします。

黄川田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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